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“違和感”のようです
1
:
◆T7j3n76Cc.
:2017/08/24(木) 18:13:51 ID:Ry1To0T60
分割投下になります。
締切に間に合うように頑張りますので気長にお付き合いください。
20
:
◆T7j3n76Cc.
:2017/08/24(木) 18:27:27 ID:Ry1To0T60
能力の発動には多少の条件が必要だが、その事についてはおいおい説明していけば良いだろう。
(´・ω・`)「ブーン、これからどうするの〜?」
( ^ω^)「決まってるお!」
ショボンと共に荒れている購買から飛び出したブーンは、
スマホを取り出し何やら入力した後、高らかに宣言した。
( ^ω^)「図書室でいつものやつら、全員集合だお!!」
21
:
◆T7j3n76Cc.
:2017/08/24(木) 18:28:07 ID:Ry1To0T60
.
22
:
◆T7j3n76Cc.
:2017/08/24(木) 18:28:52 ID:Ry1To0T60
(っ´・ω・`)っ「じゃあ僕みんな来るまで寝てるから〜」
図書室につくと、ショボンはいつの間にか綺麗になっていたバスタオルを抱えて机に突っ伏した。
本人曰く
(っ´-ω-`)っ「怪我治すのも生き返るのも体力使うんだよ〜、ふぁあああ〜」
と欠伸混じりに言い訳をしていたが、普段の素行から鑑みてただ単純に寝たいだけであろう。
川 ゚ -゚)「まーた『V.I.P.』か。懲りないな、奴らも」
一足先に図書室についていたクールは、頬杖をついて呆れたような顔で
たどり着いたブーン達にそう言った。
腰まで伸びたストレートの黒い髪、切れ長の目。
どこか大人びた雰囲気が印象的だ。
23
:
◆T7j3n76Cc.
:2017/08/24(木) 18:29:30 ID:Ry1To0T60
彼女……富楼(ふろう)クールの能力は【国民的アニメ方式】。
かの国民的アニメのように、彼女の肉体は17歳のままで時が止まっている。
勿論、その事に関して周りが“違和感”を持つことはない。
永遠のしたらば高校2年A組の1生徒として、彼女は今現在も生き続けている。
ちなみに実年齢は謎だ。
以前ブーンが聞いてみたところ、
川 ゚ -゚)「私から1つ、良いことを教えてやろうブーンくん」
川 ^ -^)「レディにはむやみやたらに歳を聞くものじゃないぞ」
の言葉と共に腹への鋭い一撃を御見舞いされた、ということだけ言及しておこう。
やはりいつの時代も女子というものは恐ろしいものなのである。
24
:
◆T7j3n76Cc.
:2017/08/24(木) 18:30:40 ID:Ry1To0T60
(,,゚Д゚)「もう来ていたのか」
(*゚ー゚)「また『V.I.P.』なの?
ツンちゃんもいい加減飽きてきたんじゃない?」
そう言いながらしぃがギコと共に図書室に入ってきた。
川 ゚ -゚)「私もそう思うよ、いい加減諦めてくれればいいのだが……」
( ^ω^)「諦めてくれないから面倒くさいんだお」
(,,゚Д゚)「またブーンの胃痛が増すな……」
( ^ω^)「ツンは何も悪くないから……」
(*゚ー゚)「いい加減ぶっ潰しても良いと思うんだけどねー!」
そう言いながら自分の制服のスカーフをいじるしぃ。
何気に女子の方が発想がバイオレンスである。
25
:
◆T7j3n76Cc.
:2017/08/24(木) 18:31:38 ID:Ry1To0T60
('A`)「すまん、モナーとジョルジュと合流してた」
( ´∀`)「ツンさんも苦労してるモナね……」
_
( ゚∀゚)「あれ? モララーは?」
そこにドクオ、モナー、ジョルジュが合流。
ブーンがあれ、と声をあげた。
( ^ω^)「一緒じゃなかったのかお?」
( ´∀`)「すぐ行くって言ってたモナけど……」
首を傾げるモナーにジョルジュが閃いたように口を開いた。
_
( ゚∀゚)「また【能力】で大変なことになってる?」
26
:
◆T7j3n76Cc.
:2017/08/24(木) 18:32:19 ID:Ry1To0T60
( ;・∀・)「なっっっっっってた!!!!!!!!!!」ガラガラーーーー!!!!!!!!
ジョルジュの言葉に被せるように、先程図書室にたどり着いたモララーは、
叫びながら扉を思いっきり開けた。
('、`*川「モララーくん、図書室で騒いじゃダメですよ」
( ;・∀・)「あっごめんなさい!!」
即座に司書の先生に怒られていたが。
彼の能力についても言及しておこう。
27
:
◆T7j3n76Cc.
:2017/08/24(木) 18:33:16 ID:Ry1To0T60
〜〜〜
( ;ФωФ) <きゃー遅刻遅刻ーー!!
( ФωФ) <なんで朝からフルコース食わされてたんだろう我輩
( ;ФωФ) <まぁいい!遅刻するーー!
(゚、゚;トソン <うわあああ!遅刻です!!
(゚、゚;トソン <まさか目覚ましが止まってるなんて……!
三三( ;ФωФ) (゚、゚;トソン三三
ドンッ!!
Σ ( ;+ω+)(>、<;トソン そ
ムニッ( ;+ω+) <うわっ!
( ;ФωФ) <むに?
(//、///;トソン カァアアアア
( ;ФωФ) <うわぁああああ!!すまない!!
〜〜〜
28
:
◆T7j3n76Cc.
:2017/08/24(木) 18:34:26 ID:Ry1To0T60
誰もが見たことがあるであろうラノベ御用達のラッキースケベ。
正直書いていて辛かったが、これが図書室に滑り込んできた気弱系イケメン、玉坂(たまさか)モララーの能力。
能力、【To LOVE ルメイカー】。
なお、某ちょっとエッチなジャンプコミックスとは一切関係ない。
( ;-∀-)「さっき先輩とぶつかっちゃって……。
ボクホント胃が痛いよ……」
更にこれはモララー以外にも言えることだが
彼らの持つ能力、オンオフは一切出来ない。
その上、クーやショボンなどの常駐型と違い
モララーやツンは
能力の発動も不定期であり、本人の都合への容赦は一切無い。
イケメンの割にナード気質のモララーは、能力が発動する度に胃を痛めているそうだ。
ざまぁみろである。
29
:
◆T7j3n76Cc.
:2017/08/24(木) 18:35:21 ID:Ry1To0T60
( ・∀・)「みんないるってことはやっぱりそっち関係?」
( ^ω^)「うむ、ツン関係だお」
川 ゚ -゚)「おら全員集合したぞ、起きろ火鳥」
(っ´-ω-`)っ「う〜、あと7世紀は寝てたい……」
('A`)「お前あと何世紀生きるつもりなんだ……」
目をしぱしぱさせて唸るショボンを軽く揺さぶるドクオ。
ギコは、鼻歌を歌おうとしていたしぃの頭を小突くと、口を開いた。
(;*゚ー゚)「うがぁあああ」
(,,゚Д゚)「場所はわかってるのか?」
(;*゚ー゚)「ぶつならせめて何か言えやぁあああ」
30
:
◆T7j3n76Cc.
:2017/08/24(木) 18:36:14 ID:Ry1To0T60
( ^ω^)「そこに関しちゃ心配いらんお。ドクオの【能力】があるから。
当然5、6時間目はサボることになっちゃうけど……」
ブーンがギコにそう言った時。
『♪〜♪〜』
校内放送を伝えるチャイムが鳴った。
( ・∀・)「……ん?」
『全校生徒に連絡いたします。
緊急の事情により、5,6時間目の授業及び
放課後の部活を休止します』
『生徒は直ちに下校してください。
繰り返します……』
31
:
◆T7j3n76Cc.
:2017/08/24(木) 18:37:13 ID:Ry1To0T60
( ´∀`)「……5,6時間目綺麗につぶれたモナね」
(´・ω・`)「願ったり叶ったりじゃないの〜?
ドクオとかジョルジュなんか頭悪いから授業サボったら余計バカになっちゃうし〜」
(;'A`)「喧嘩売ってんのか天才型!!!」
_
( ゚∀゚)「お? 褒めてる?」
( ^ω^)「どこを聞いたらそんなポジティブに考えられるのやら」
川 ゚ -゚)「まぁまぁ、都合が良いのは良いことだ。これからツン奪還作戦に赴く。
ドクオ、頼んだ」
('A`)「へいへい了解ですよっと。
お前ら今ちゃんと財布持ってるよな?んじゃ行くか」
そう言って椅子から立ち上がったドクオに次いで立ち上がる面々。
('A`)「【場面転換】」
32
:
◆T7j3n76Cc.
:2017/08/24(木) 18:37:41 ID:Ry1To0T60
.
33
:
◆T7j3n76Cc.
:2017/08/24(木) 18:38:43 ID:Ry1To0T60
ドクオがそう言うと同時に周りの景色がぐりん、と変わる。
顔を上げれば、本がこれでもかと並べられていたしたらば高校の図書室は消え去り、目の前には廃ビルがでんとそびえている。
( ;´∀`)「なんかおばけとか出そうモナ……」
( ^ω^)「ツーン!今助けにいくおーー!!」
('A`)「今回意外にかかったな」
ちらりと財布のなかを覗いたドクオがそう呟く。
場飛(ばとび)ドクオの能力、【場面転換】。
移動にかかるおおよそのお金と、おおよその時間(およそ分単位、秒以下は切り捨て)を消費して距離を無視した移動が出来る能力。
とは言っても、理解するのはなかなかに難しいと思うので例をあげて説明しよう。
34
:
◆T7j3n76Cc.
:2017/08/24(木) 18:39:45 ID:Ry1To0T60
〜〜〜
(゚、゚トソン <杉浦くん杉浦くん。
( ФωФ) <んであるかトソン。
(゚、゚トソン <でずにーランドに行きたくないですか?
( ФωФ) <でずにーランドじゃなくてデ●ズニーランドな。
( ФωФ) <……消されたりしないであるな?
(゚、゚トソン <行きたいですか? 行きたくないですか?
( ФωФ) <そりゃ行きたいなーとは思うであるが……。
(゚、゚トソン <じゃあ行きましょうよ。
( ФωФ) <え?
(゚、゚*トソン <という訳でやって来ちゃいましたよでずにーランド!!
( ФωФ) <思い立ったが吉日精神の極みかよ……。
(゚、゚*トソン <ほらほら行きますよ杉浦くん!
( ФωФ) <……まぁいいか。
〜〜〜
35
:
◆T7j3n76Cc.
:2017/08/24(木) 18:40:36 ID:Ry1To0T60
ふと思ったのだが何故能力の説明をするのにわざわざリア充を引き合いに出さなければならないのか。
別にイチャつくリア充なんざ都会へ行けば吐くほど見ることが出来るし田舎でも吐くほど見れる。
決して羨ましいとかそんなんじゃない。
思えば中学生時代のリア充のイチャつきっぷりは酷いもので
正直思い出すだけで口を押さえてトイレにダッシュしたい位
……話が逸れた。
『と言う訳で』、というフレーズと。
金銭を消費した、時間と距離のスキップ。
簡単に言ってしまえばこれがドクオの能力の説明だ。
36
:
◆T7j3n76Cc.
:2017/08/24(木) 18:41:18 ID:Ry1To0T60
スキップした時間分なら巻き戻すことも可能らしい。
ドクオがそれを何に使っているかは謎ではあるが。
なお、【場面転換】は本来であれば目的地への行き方を
誰かが把握していなければ使用することが出来ない能力である。
その辺りについては
川 ゚ -゚)「まぁ『秘密結社V.I.P.』と私たちの間にはただならぬ因縁があるし……、
その過程で『基地を探す過程のスキップ』が可能になってもおかしくないよな」
とクーがコメントを残している。
37
:
◆T7j3n76Cc.
:2017/08/24(木) 18:41:57 ID:Ry1To0T60
⊂( ^ω^)⊃「ツーン!!」ドドドドドド
_
( ;゚∀゚)「ブーン早ぇえ!!落ち着いて!!」
やはり不思議な体制で入口に突進しようとするブーン。
それを何とか止めようと腰に捕まるジョルジュ。
Ω「む、侵入者だ!!」
そんな目立つことをしていたため、外に出てきていた敵にあっさり見つかった。
まぁ敵のアジトの前でどったんばったん大騒ぎしていれば当然である。
38
:
◆T7j3n76Cc.
:2017/08/24(木) 18:42:35 ID:Ry1To0T60
(*゚ー゚)「あららぁ」
(,,゚Д゚)「下がってろしぃ、俺がやる」
驚いたような間抜けな声を出したしぃを下がらせ、
ギコは目にも止まらぬスピードで相手の背後に回った。
そして相手の首筋に手刀を叩き込む。
Ω「ぐぁああああ」
ばたり、と倒れる敵。
( ´∀`)「相変わらずお強いモナね……」
(,,゚Д゚)「【能力】のお陰だ。俺自身はそこまで強くない」
( ・∀・)「空手黒帯なのによく言うよ……」
39
:
◆T7j3n76Cc.
:2017/08/24(木) 18:43:26 ID:Ry1To0T60
振手(ふりて)ギコの能力、【急所打ち】。
その名の通り、相手の急所を的確に突くことの出来る能力だ。
普通の人なら不可能な、首トンによる気絶も可能。
かなり強力な能力だ。
更にギコは元々幼い頃から空手を習っており、
その技術に能力が重なったことによって、彼自身の強さも増幅している。
(,,゚Д゚)「ほら、行くぞ皆」
(*゚ー゚)「ギコくんつよーい!」
Ω「あっ!侵入者!」
即対応したにも関わらず、建物の影から
再び敵がやって来てしまった。
その後ろからも何人かの声が聞こえてくる。
40
:
◆T7j3n76Cc.
:2017/08/24(木) 18:44:33 ID:Ry1To0T60
(,,゚Д゚)「チッ……」
(´・ω・`)「待ってギコ」
構えを取るギコの肩にショボンがぽん、と手を置いた。
(,,゚Д゚)「……なんだ」
(´・ω・`)「ここでみんなで固まって戦ってても時間の無駄だよぉ」
川 ゚ -゚)「あぁ、火鳥の言うとおりだ。
だからここは私と火鳥と……」
川 ゚ -゚)「しぃ、一緒に来てもらってもいいか」
σ(*゚ー゚)「あたし?」
41
:
◆T7j3n76Cc.
:2017/08/24(木) 18:45:38 ID:Ry1To0T60
きょとんとした顔のしぃにショボンが言葉を繋げる。
(´・ω・`)「確かに、妥当な判断じゃない〜?」
(,,゚Д゚)「そうだな、室内でしぃの【能力】ぶっぱなされたら堪ったもんじゃない」
( ´∀`)「無差別兵器モナね」
( ;・∀・)「ぶっちゃけ庇えない」
('A`)「俺らじゃなきゃ死んでる」
( ^ω^)「思い出しただけで寒気が……」
(;*゚ー゚)「酷くない!?」
そう嘆くしぃの肩をクーがぽん、と叩く。
42
:
◆T7j3n76Cc.
:2017/08/24(木) 18:46:58 ID:Ry1To0T60
川 ゚ -゚)「まぁそう言うわけだ、ここは任せて先に行け」
( ^ω^)「了解だお!」ダッ
(,,゚Д゚)「巻き込まれる前にとっとと行くぞ」ダッ
(・∀・; )「あっ、えーと、とっても独創的だと思うよ!」ダッ
(;*>ー<)「覚えてろよ〜〜!!」
中へ走っていく男子高校生達の背中に向かって叫ぶしぃ。
しかしその直後、敵の方にぐるりと振り返る。
(*゚ー゚)「さぁさぁ!しぃちゃんのコンサート、はじまるよー!」
そう言いしぃはにっこりと笑った。
43
:
◆T7j3n76Cc.
:2017/08/24(木) 18:47:44 ID:Ry1To0T60
(*゚ー゚)「思いっきり歌っちゃうよ!」
くるりと回転したしぃは思いっきり息を吸い込んだ。
クーとショボンはすかさず自身の耳をふさいだ。
(*゚ワ゚)「〜♪〜♪」
そしてしぃは歌い出す。
しかしその歌声は酷いもので、とても聞けたものではない。
Ω「ぐわぁああああ」
Ω「うわぁああああ」
駆け寄ってくる敵達は、ある一定の距離に踏み入った瞬間ものすごい勢いで吹き飛んだ。
_, ,_
川∩゚ -゚)「やべーしぃマジやべー」
_, ,_
(∩-ω-`)「流石としか言いようがない」
それをしぃから離れた所で耳を塞ぎ眉間に皺を寄せてながら眺める二人。
44
:
◆T7j3n76Cc.
:2017/08/24(木) 18:48:58 ID:Ry1To0T60
歌荷(うたに)しぃの能力、【音痴】。
その名の通り、彼女は音痴だ。
その音痴っぷりは酷いもので、彼女が1フレーズ歌うだけで
窓ガラスは割れ衝撃波で人々が吹き飛ぶ。
当然普通の音痴にそんな芸当は不可能だ。
だからこそ彼女の音痴は能力であり、凶器でもあるのである。
しぃの歌声が襲いくる敵をどっかんばっこん吹き飛ばすのを、二人は眉をしかめながらもどこか信頼した表情で眺めていた。
45
:
◆T7j3n76Cc.
:2017/08/24(木) 18:49:43 ID:Ry1To0T60
.
46
:
◆T7j3n76Cc.
:2017/08/24(木) 18:50:45 ID:Ry1To0T60
外にしぃの歌声が響き渡っている頃。
ξ゚⊿゚)ξ「……」
広院(こういん)ツンは、小さな部屋に閉じ込められていた。
閉じ込められた、といっても部屋の外に出られないだけで、
室内に限った話で言うのならV.I.P.の彼女に対する扱いは非常に良いものだった。
彼女の能力は【被害体質】。
彼女がいるだけで何かしら事件が起こる。
更に言えば、彼女の前世はどこかの国のお姫様だったらしいし、
先祖にはなんかすごい霊媒体質の人とかいたらしい。
他にもエトセトラ。
V.I.P.は彼女の前世に関係していた組織らしく、
こうして定期的にさらわれる。
さながらツンはピ●チ姫といったところか。
47
:
◆T7j3n76Cc.
:2017/08/24(木) 18:51:38 ID:Ry1To0T60
┗(⌒)(^^) 「暇なのかい?」
そこへがちゃり、と扉を開いて一人の少女が顔を出した。
猫のような糸目と真っ白な短髪。
申し訳程度にある胸に巻かれた包帯とショートパンツ、太腿まである編み上げブーツ。
そして右肩に生えた羽。
彼女の名前は、ラプチャー=フェリシエンヌ。
秘密結社V.I.P.に所属する幹部の1人だ。
48
:
◆T7j3n76Cc.
:2017/08/24(木) 18:52:36 ID:Ry1To0T60
ξ゚⊿゚)ξ「まぁ、暇よね」
┗(⌒)(^^) 「悪く思わないでね、あの方的には貴女のこと心配してるだけだから」
┗(⌒)(;^^) 「……まぁ、貴女的には迷惑だよね」
ξ゚⊿゚)ξ「多分今後の成績に支障が出る気がするわ」
┗(⌒)(;^^) 「ご、ごめんね……」
眉をへにゃんと下げて謝る少女に合わせてぺたん、と右肩の羽が折り畳まれた。
いつもツンがさらわれる度にこうして顔を出して話をしてくれる辺り、
あながち悪い子では無いのかもしれない。
ξ゚⊿゚)ξ「(それに……)」
┗(⌒)(;^^) オロオロ
ペターン
ξ゚⊿゚)ξ「(なんか親近感わくのよねぇ……)」
主に胸囲の辺りとか。
49
:
◆T7j3n76Cc.
:2017/08/24(木) 18:54:16 ID:Ry1To0T60
┗(⌒)(^^) 「ところでお腹はすいてない? さっきミセリが買ってきてくれたんだけど、私はそういうの要らないから」
ぽい、と放られた袋を受けとってみれば、今コンビニで人気のフルーツサンド。
ξ゚⊿゚)ξ「あ、ありがと」
そういえば昼食を買いに購買に行った時にさらわれたんだった、とツンは思いだしありがたく頂くことにする。
ξ゚〜゚)ξ「美味しい」
┗(⌒)(^^) 「そう?私はミセリと違ってこの世界には詳しくないから、喜んでくれたのなら良かったよ」
ξ゚〜゚)ξ「ん」
┗(⌒)(^^) 「じゃあ、私は1回戻らなきゃいけないから」
┗(⌒)(^^) 「何かあったらドアの脇にあるボタンを押してくれれば誰かしらが来てくれるからね」
そう言って、ラプチャーはとことこと部屋を出ていった。
ツンは1つ目のフルーツサンドを咀嚼しながらそれを見送った。
50
:
◆T7j3n76Cc.
:2017/08/24(木) 18:55:41 ID:Ry1To0T60
ξ゚〜゚)ξ「(そういや……またさらわれちゃったけど、もう対して驚かないなぁ)」
ξ゚⊿゚)ξ「(大分慣れちゃったわね、私も)」
フルーツサンドを飲み込み2つ目に手を伸ばす。
昔は何かに巻き込まれる度に泣きわめいていたものだが現在となっては随分と図太くなったものだ。
( * ω )
それとも。
必ず助けに来てくれる幼なじみがいるからだろうか。
ξ;-⊿-)ξ「うーん……」
一瞬頭をよぎった誰かさんを振り払い、ツンは手に持ったままだったフルーツサンドにかぶりついた。
きっとまだ、この気持ちは知らないままで良い。
そんな呟きは飲み込んだフルーツ達と共に喉の奥へ消えていった。
51
:
名無しさん
:2017/08/24(木) 18:58:07 ID:Ry1To0T60
今回はここまで。
後半は多分明日辺りに。
52
:
名無しさん
:2017/08/24(木) 20:29:49 ID:qPjfgdT.0
発想が好き ニヤニヤしながら読めた
続き楽しみにしてる
53
:
◆T7j3n76Cc.
:2017/08/26(土) 10:22:20 ID:A9OrxQuE0
_
( ゚∀゚)「こん中意外と綺麗だね!」
('A`)「また例のアレソレでどーにかしたんだろうなぁ……」
( ´∀`)「それにしても、ツンさんは一体どこにいるんだろうモナ……」
( ^ω^)「あのジジィアホだから多分上の方にいるんじゃないかお?」
('A`)「仮にも相手の親玉に向かってひどい言いぐさ」
( ^ω^)「いいんだお、ぼくあいつのこと嫌いだし」
(,,゚Д゚)「あーな」
( ・∀・)「チャラいよね」
_
( ゚∀゚)「わかるわ!」
( ;´∀`)「皆否定しないんだモナね……」
そんな間抜けな会話をしながら歩みを進める男子高校生達。
時折襲ってくる敵もいたのだが、ギコが全て片付けてくれた。
54
:
◆T7j3n76Cc.
:2017/08/26(土) 10:23:18 ID:A9OrxQuE0
と、そんな彼らの前に、一人の少女が立ちはだかる。
('A`)「あ」
_
( ゚∀゚)「お!」
ミセ*゚ー゚)リ「くっくっくー!遂にやって来たわね男子諸君!」
ミセ*^ー^)リ「ミセリ待ってたのよぉ!」
あまりのふわふわっぷりに動きづらくないのかと問いかけたくなる程、女の子らしさを前面に押し出してくるピンク色のロリータ。
それでいながらも、彼女の豊満な胸元は腰をコルセットで締めていることによって強調されており、女性らしさも演出している。
軽く癖をつけられたエメラルドグリーン色の髪はフリルのついた鮮やかな真紅のリボンで纏められている。
彼女の名前はミセリ=ミストラル。
ラプチャーと、同じく秘密結社V.I.P.の幹部だ。
55
:
◆T7j3n76Cc.
:2017/08/26(土) 10:24:26 ID:A9OrxQuE0
ミセ*゚ー゚)リ「ひゃっほい!!会いたかったぜモララーくん!!」モミッ
( ; ∀ )「きゃーーーーー!!?」
(,;゚Д゚)「今の一瞬で後衛にいたモララーの元にたどり着いた……だと……!?」
それでもって、モララーの天敵だ。
全自動ラッキースケベマシン(命名ドクオ、不名誉)のモララーは、
かつてのミセリとの遭遇でなんやかんやあったらしくこうして会うたびに胸を揉まれている。
おっぱいでかくてかわいい女の子にセクハラされるとかご褒美どころの話じゃないのでもっと喜んで頂きたいところなのだが、
残念ながらモララーは度重なる能力の発動の影響でやや女性恐怖症になりかけているため生娘のような反応しか返せない。
多分そういうところも彼の胃痛が収まらない原因なのだろう。
ちなみに個人的に胃痛には太○胃散が割と効くと思う。
56
:
◆T7j3n76Cc.
:2017/08/26(土) 10:25:24 ID:A9OrxQuE0
_
( *゚∀゚)「おぁあ、いいなぁ………」
ミセ*゚ー゚)リ「お?ジョルくんどうした?ミセリンのおっぱいにご興味がおありで?」
_
( ;興∀味)「なーなな、何言ってんのー!?そんなこと全然ないしーー!!」
ミセ*゚ー゚)リ「うーん、やっぱジョルくんすぐ顔に出るから好きだわ」
能力、【表現技法】。
彼の感情はマンガのように分かりやすい。
例えば、嬉しい時には自身の周りに花やシャボン玉が舞い、落ち込んでいるときは人魂が舞ったりする。
嘘をつけない性格なので、思ったことは大体目に出る。
_
( ;胸∀胸)「なんも考えてないよ!おっぱいのこととか考えてないよ!」
こんな感じに。
彼の指差した先に集中線が出来ることはざらだ。
それが背景(せかげ)ジョルジュの能力である。
57
:
◆T7j3n76Cc.
:2017/08/26(土) 10:26:30 ID:A9OrxQuE0
ミセ*゚ー゚)リ「へっへ〜い!おっぱいぞ!おっぱいぞ〜〜〜!」ボインボイン
_
( ;オッ∀パイ)「ぬわぁ〜〜〜〜〜〜!!!!」
( ;・∀・)「うーんジョルジュってば素直」
そんな感じでジョルジュを一通りからかったミセリは男子高校生達の元に向き直る。
ミセ*゚ー゚)リ「さ!他のいたいけな少年達もからかって遊び……」
ミセ;゚-゚)リ「あらん?」
向き直ったミセリが間抜けな声をあげる。
(,,゚Д゚)「ん?やっと気づいたのか?」
( ・∀・)「ブーン達3人、ドクオの能力でもう先に行っちゃったよ?」
ミセ;゚-゚)リ「えぇー!!そこはみんなで力合わせて戦いなさいよ!!セオリーじゃないの!!」
_
( ゚∀゚)「セロリ?食えるの?」
( ・∀・)「ブーンみたいなこというのやめてね」
58
:
◆T7j3n76Cc.
:2017/08/26(土) 10:27:45 ID:A9OrxQuE0
(,,゚Д゚)「いや……6人でごちゃごちゃしてるとやりづらいって……」
ミセ;゚-゚)リ「どこ情報よそれ!!」
そう叫ぶとミセリは、自分の額にぺちんと手を当てた。
ミセ;- -)リ「んん〜」
ミセ*゚ー゚)リ「ま、いっか!」
ミセ*゚ー゚)リ「いいよ!遊んだげる!」
ミセ*^ー^)リ「やれるもんならやってみろーってね!!」
ミセリがそう宣言すると同時に、彼女の腕を淡い光が包み込む。
光が消えると、彼女の拳には装備されたごてごてのメリケンサック。
拳のちょうど当たるところは、ご丁寧に硬い金属で覆われている。
結論。当たったら絶対痛い。
59
:
◆T7j3n76Cc.
:2017/08/26(土) 10:28:44 ID:A9OrxQuE0
ミセ*^ー^)リ「おりゃーい!!」ブンッ
(,;゚Д゚)「うぉお!?容赦ねぇなお前!!!」
_
( ;゚∀゚)「オレたち普通の高校生なのに!!」
ミセ*^ー^)リ「やかましーーー!!!うちらとナチュラルにやりあえてる時点でお前らは普通の高校生失格じゃーーー!!!」
ふわふわふりふりの見た目に反して。
秘密結社V.I.P.幹部、ミセリ=ミストラルは武闘派なのである。
ミセ*^ー^)リ「あたしが君たちをぶっとばすか、先に行った子達が姫ちゃんを助けるか!」
ミセ*゚ー゚)リ「あ、あたしがモラぴっぴを手籠めにするかでもいいよん!」
( ;・∀・)「勘弁してぇ!?」
モララーのほぼ泣きかけの悲鳴を皮切りに、時間制限つきの鬼ごっこが始まった。
60
:
◆T7j3n76Cc.
:2017/08/26(土) 10:30:09 ID:A9OrxQuE0
一方その頃ツンは。
爪*'ー`)ノ「姫〜〜〜〜〜〜〜!!!!!!!!!!」
ξ;゚⊿゚)ξ「きゃあああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」シタタタタタタタタ
変態に襲われていた。
ツンは迷い無くドア脇のボタンを押した。
自分の持ちうる限りの全力で連打した。
爪*'ー`)「また会えましたね姫!これも運命ですかね!」
ξ;゚⊿゚)ξ「さらってきたのはあんたでしょーーーーーーーがーーーーーーー!!!!!!!!!!」
┗(⌒)(^^) 「ハイハイツン様、呼ばれたから来たよ……って」
┗(⌒)(;^^) 「何してらっしゃるんですかこの変態ーーーーー!!!!すけべーーーーー!!!!」
61
:
◆T7j3n76Cc.
:2017/08/26(土) 10:30:54 ID:A9OrxQuE0
ツンの呼び出しに応じてやって来たラプチャーの第一声は罵倒だった。
申し訳程度に使われていた敬語は完全にお飾りだった。そこに敬意などは一切無かった。
ラプチャーは頬を怒りやら羞恥やらの感情に赤く染めながらばさり、と右肩の羽を羽ばたかせた。
羽ばたかせた勢いでひらりと羽が何枚か抜けた。
刹那。
┗(⌒)(^^) 「国分寺ーーーー!!!!」ピョイン!
┗(⌒)(^^) 「国分寺ーーーー!!!!」ピョコン!
抜け落ちた羽が一瞬にして形を変え、小さなラプチャーを形作る。
そのサイズはもともと小柄なラプチャーよりも更に小さく、70センチほどしかない。
62
:
◆T7j3n76Cc.
:2017/08/26(土) 10:32:05 ID:A9OrxQuE0
┗(⌒)(#^^) 「『私達』!!!そいつぶっ飛ばしといて!!!」
┗(⌒)(^^) 「国分寺ーーーー!!!!」ダッ
爪;'ー`)「ちょ、まってラプちゃん!!国分寺ーズはマズイって!!」
┗(⌒)(#^^) 「ご心配無く!!大魔法使い様は偉大でいらっしゃるので多少の痛め付けはダメージの内に入りません!!!」
爪;'ー`)「ちょちょ、姫、なんとか言って……」
ξ゚⊿゚)ξ「構わないわ、やっちゃって」
┗(⌒)(#^^) 「かしこまりましたツン様!!!!覚悟しやがれこのド変態!!!!地獄の更にその先を見せてやります!!!!」
爪;'ー`)「ヒェッ」
┗(⌒)(^^) 「国分寺ーーーー!!!!」ドカッ
爪;'ー`)「あぁッッ、ちょ、国分寺ーズまた力強くな……痛い!!めっちゃ痛い!!」
63
:
◆T7j3n76Cc.
:2017/08/26(土) 10:33:38 ID:A9OrxQuE0
体長70センチほどの少女幾人か(全員同じ顔)に取り囲まれリンチを受ける変態。
なかなかにイカれた絵面ではある。
ξ゚⊿゚)ξ「うーん容赦ない」
ツンも微妙に引いた。
しかしこの変態すけべおやじこそが秘密結社V.I.P.を統べる総統、フォックス=ファルギエールである。
なんかツンの前世に仕えててそんでなんか色々うんたらかんたら。
なんやかんやでツンのことをピ○チ姫をストーキングするク○パのごとく追い回しているのである。
立派な犯罪、早く捕まれば良いのに。
しかし残念ながらこの男、天賦の魔法の才能がある上、証拠も無いため普通の人には絶対に捕まえることが出来ない。
64
:
◆T7j3n76Cc.
:2017/08/26(土) 10:35:21 ID:A9OrxQuE0
( #^ω^)「どりゃああああ!!!!」バキィイイイイイイイ!!!!!!!!!
爪#)ー`)そ「何事ーーーーー!!!!!??」
ξ*゚⊿゚)ξ「ブーン!!」
( ^ω^)「ツン!」
ξ*゚ー゚)ξb グッ
グッ d(^ω^* )
だからこうしてブーン達がツンを助けに来てくれるのだ。
いつも、諦めること無く、絶対に。
65
:
◆T7j3n76Cc.
:2017/08/26(土) 10:37:34 ID:A9OrxQuE0
.
66
:
◆T7j3n76Cc.
:2017/08/26(土) 10:38:53 ID:A9OrxQuE0
ブーン達がフォックス達の元に乗り込む少し前。
( ´∀`)「えーと、武器はどうするモナ?」
( ^ω^)「何があるんだお?」
( ´∀`)「エアガンとか鉄パイプとか」
(;'A`)「なんでそんな物騒なもん持ってるんだよ………」
ツンの居場所をうまいこと突き止めたブーン達は、装備を整えていた。
67
:
◆T7j3n76Cc.
:2017/08/26(土) 10:40:05 ID:A9OrxQuE0
( ´∀`)「モナモナ……モナは心配性だから何でも持ってきちゃうんだモナ」
(;'A`)「そっか……じゃあ俺エアガンでいいや……」
( ´∀`)「うん、今出すからちょっと待ってモナ」
と、ここで首をかしげた者も多いだろう。
彼らは、学校の図書室からここまでショートカットで来たのだ。
そんな物騒な大荷物は持ってこれないのではないか、と。
( ´∀`)「はい、どうぞモナ」
('A`)「さんきゅ」
( ^ω^)「あいっかわらず便利極めてるおねぇ、その【能力】」
( ´∀`)「ボクってば心配性だからありがたいモナァ」
68
:
◆T7j3n76Cc.
:2017/08/26(土) 10:41:01 ID:A9OrxQuE0
モナーが手を背中側に回してごそごそと探れば、正面に戻った手にはお望みのエアガンが握られている。
それをドクオに渡した後、モナーは再び手を後ろに回し、片側にグリップテープが巻かれている鉄パイプを取り出した。
( ´∀`)「ブーンには鉄パイプあげるモナ」
( ^ω^)「いらねぇwwwwちゃんと返すおwwww」
これこそがモナーの能力、【謎収納】。
どこかの空間から自分の持ち物をひょいと取り出す能力。
直接取り出すところを見ることはできないし、どこから取り出しているかも不明。
そこに違和感は一切ない。
それが納芽(おさめ)モナーの能力だ。
69
:
◆T7j3n76Cc.
:2017/08/26(土) 10:42:51 ID:A9OrxQuE0
( ´∀`)「怪我してるとこないモナ?バンソコーあるモナよ」ヒョイ
('A`)「いや、俺は平気」
( ^ω^)「大丈夫だおー!」
( ´∀`)「そう!それは良かったモナ!じゃあそろそろいくモナ」
立ち上がり扉の前にたどり着いた3人、ブーンが扉に手をかけてみたが開きそうにない。
( ;´∀`)「ありゃ」
(;'A`)「どうする?モナーに針金出してもらって俺がどうにか………」
( ^ω^)「いや、その必要は無いお」
ペロリと舌なめずりをしてブーンはドアの正面に立った。
( ^ω^)「今日はお昼ごはん食べ損なって『お腹が空いてる』から……」
70
:
◆T7j3n76Cc.
:2017/08/26(土) 10:43:39 ID:A9OrxQuE0
.
71
:
◆T7j3n76Cc.
:2017/08/26(土) 10:44:26 ID:A9OrxQuE0
爪#)ー`)「何事ーーーーー!!!!!??」
突如ドアを蹴りやぶって来たブーン達に、フォックスは目を白黒させた。
( ^ω^)「ツンを取り返しに来たんだお!!!」
爪#)ー`)「いやだって扉!!鍵は!?」
( ^ω^)「食った!!!!!!」
爪#)ー`)「食った!!!!!!?????」
ブーンの言葉に、ツンは先程ブーン達が蹴りやぶったドアの残骸に目を落とした。
確かにかつてドアノブと鍵のつけられた部分には、ぽっかりと空間があいている。
もっと目を凝らせば、開いた空間の近くに『歯形』が付いているのがわかった。
72
:
◆T7j3n76Cc.
:2017/08/26(土) 10:45:36 ID:A9OrxQuE0
ブーンは食いしん坊だ。
筋金入りの食いしん坊だ。
授業中にお腹がなれば『またお前か!』と笑われ、お腹が空けば道端の雑草すら口に入れようとしてツンに怒られる。
その食に対する貪欲さから、歯の固さはダイヤモンドを凌駕し、彼が食べると決めたものは何でも食べられるという。
それが歯噛(はがみ)ブーンの能力、【悪食】。
ξ゚⊿゚)ξ「……お腹壊すわよ?」
( ;^ω^)「久しぶりすぎて壊したお!!!!!!!!!!!!」グギュルルル
………ただし稀に腹を壊す。
( ;´∀`)「えー!胃薬のむモナ!?」
('A`)「(今俺めっちゃ空気)」
┗(⌒)(^^) 「(あそこにいる人『今俺めっちゃ空気』とかって考えてるんだろうなぁ)」
73
:
◆T7j3n76Cc.
:2017/08/26(土) 10:48:43 ID:A9OrxQuE0
( ^ω^)σ「だからとっととお前しばいてツン取り戻すお!!」
( ^ω^)σ「ぶっちゃけ巻いてかないと無理だって言ってたし!!」
ξ゚⊿゚)ξ「(誰が言ってたんだろう)」
爪'ー`)「くっくっく、やれるものならやってみたまえ!!」
ブーンにそういったフォックスは、手をかざし何やらぶつぶつと唱え始めた。
彼お得意の魔法の詠唱だ。
74
:
◆T7j3n76Cc.
:2017/08/26(土) 10:51:08 ID:A9OrxQuE0
( ^ω^)「あぁ、やってやるお!」
ブーンは魔法詠唱中のフォックスに向かってダッシュし、
( ^ω^)「オラァッ!!!!!!」ゴスッ
爪;'ー`)「グワーーーーー!!!」バタリ
思いっきりぶん殴った。
フォックスは倒れた。
正直戦闘シーン書くのが面倒だったんじゃないかってくらい早期決着だった。
日曜朝ならきっと子供が泣いていた。
ξ゚⊿゚)ξ「(ホントに巻いていった……)」
毎度のごとく、ブーンはフォックスに対して容赦がないのだった。
75
:
◆T7j3n76Cc.
:2017/08/26(土) 10:52:20 ID:A9OrxQuE0
ξ゚⊿゚)ξ「ブーン!!」
( ^ω^)「ツン!!」
ヒシッ!!!!!
ξ*゚⊿゚)ξ(^ω^* )
抱き合い再会を喜ぶ2人。
この二人、付き合っていないのだが妙に距離が近い。
クラスではほぼ事実婚だとかなんとか言われているが、本人達は知らない。
┗(⌒)(^^) 「うんうん、二人が幸せそうならなによりだよ」
('A`)「あれ?お前一応このおっさんの仲間なんじゃねぇの?」
┗(⌒)(^^) 「いや私今こいつに怒ってるから。ざまぁみやがれって思ってるから」
┗(⌒)(ノシ^^) ノシ「国分寺っ!!」
('A`)「」
ドクオは女性の怖さに触れていた。
やっぱり女を怒らせちゃいけないなぁ、とフォックスの顔面を踏んでいるラプチャーを見ながら、ドクオはそう思った。
76
:
◆T7j3n76Cc.
:2017/08/26(土) 10:52:52 ID:A9OrxQuE0
そしてモナーは。
( ´∀`)「ブーン、これ胃薬モナ」
( ^ω^)「ん、ありがとうお」グギュルルル
( ;^ω^)「……助かるお」
( ;´∀`)「そんじゃモナはミセリと戦ってるギコたち迎えにいってくるモナ!!」
ブーンに胃薬を渡し、どこからか取り出したバールを抱えて慌ただしく部屋を飛び出していった。
<オッパイガ!!オッパイガアタッテル!!
<イヤァアアアア!!ドコサワッテルンダヨォオ!!
<アハハハハハハハ!!タノシイネェ!!
<モララードイテ!ソイツコロセナイ!
<ワーー!!ミンナオチツイテモナーー!!
下は阿鼻叫喚だった。
77
:
名無しさん
:2017/08/26(土) 10:53:27 ID:.ki7Rx3o0
腹壊したなら正露丸とかじゃね?
78
:
◆T7j3n76Cc.
:2017/08/26(土) 10:53:27 ID:A9OrxQuE0
室内が慌ただしくなった頃、外に残った3人は、
川*゚〜゚)「旨いなこの菓子パン」モッチャモッチャ
(*゚〜゚)「でしょでしょー!あたしおすすめなのー!」モグモグ
(´・ω・`)「へぇ〜、今度買ってみようかなぁ」パクパク
一足先に戦線を離脱し、呑気に遅い昼食を食べていたのであった。
79
:
◆T7j3n76Cc.
:2017/08/26(土) 10:55:04 ID:A9OrxQuE0
.
80
:
◆T7j3n76Cc.
:2017/08/26(土) 10:58:16 ID:A9OrxQuE0
「「「お疲れ様でしたーーー!!!」」」
という訳で、冒頭の放課後のプチパーティへと場面は帰って来たのである。
(´・ω・`)「ツンが無事でよかったぁ」
(,,゚Д゚)「俺らは死にかけだったけどな」
_
( ゚∀゚)「モララーなんか息上がって顔死んでたよ!!!」
( ・∀・)「思い出させないで辛くなる」
('A`)「(しぃがさっきから白目剥いてんだけど大丈夫かな)」
川 ゚ -゚)「しっかし『V.I.P.』の動きも大胆になってきたな……何か対策を考えなければ……あ、このチョコ美味しい」
( ・∀・)「でしょでしょ!ボクそれ好きなんだよ!」
_
( ゚∀゚)「マジで!!食べる!!」パクリ
_
。( *゚∀゚)゚。「うまーーー!!」ホワワーン
( ;・∀・)「うわっ!喜んでくれるのは嬉しいけどシャボン玉自重して!!」
81
:
◆T7j3n76Cc.
:2017/08/26(土) 11:00:16 ID:A9OrxQuE0
男子達がわいわいと騒ぐなか、意識を取り戻したしぃが、ツンの表情が沈んでることに気がついた。
(;*゚ー゚)「ふがっ!まーたギコくんはー……」
(*゚ー゚)「あら?どしたのツンちゃん?」
ξ゚⊿゚)ξ「ううん、大したことじゃないの」
ξ゚⊿゚)ξ「ただ、また私のせいでみんなに迷惑かけちゃったから……もう嫌になっちゃったかなって……」
そんなツンの言葉に一同は顔を見合わせた。
しかしすぐに、にこりと笑った。
ξ;゚⊿゚)ξ「えっ?えっ?」
予想外の反応にうろたえるツン。
82
:
◆T7j3n76Cc.
:2017/08/26(土) 11:01:41 ID:A9OrxQuE0
クーが口を開く。
川 ゚ -゚)「うふふ、もう決まりきってることじゃないか」
(´・ω・`)「ブーン、言ってあげなよ」
('A`)「俺たちが言ってやってもいいんだけどな、お前の方がツンも嬉しいだろ」
( ^ω^)「えっ、ぼくかお!?」
唐突に話を振られたブーンは目を白黒させて咀嚼していた煎餅を飲み込んだ。
( ^ω^)「え、えーと」
( ^ω^)「ツンの【能力】の辛さはツンしか知らないから、ぼくらにはなんにも言えないお」
( ^ω^)「でもぼくたちには、ツンの【能力】が認識できて、対策ができる」
( ^ω^)「だからぼくたちは……」
83
:
◆T7j3n76Cc.
:2017/08/26(土) 11:02:27 ID:A9OrxQuE0
(,,゚Д゚)「あーあ!まだるっこしいぞブーン!」パカン
( ;^ω^)「あいたっ!?」
( ´∀`)「理屈なんかいいモナ。助けたいからいつだって助けるよ、でいいモナ!」
( ・∀・)「そんでそれに広院さんが申し訳なく思うなら、言ってあげれば良いんだよ」
(*゚ー゚)「『勘違いしないでよね!あたしのためなんだから!』って?」
ξ゚⊿゚)ξ「………」
ξ*^ー^)ξ「ふふ、それ私の台詞じゃない!」
84
:
◆T7j3n76Cc.
:2017/08/26(土) 11:03:13 ID:A9OrxQuE0
ツンがクスリと笑ったのを見て、ジョルジュが椅子からガタンと立ち上がった。
_
( >∀<)+「めんどい話は抜きにして!今日ははしゃぐぞーー!!!」
('A`)「お前今の話の流れ理解して無かっただろwwさっきまで黙ってたから薄々感づいてたけどww」
( ^ω^)「じゃあ今からww歌荷のwwゲリラコンサート始めるときのギコの物真似するおwwwwww」
(,,゚Д゚)「やめーやwwwww」
ξ゚ー゚)ξ クスッ
ξ゚ー゚)ξ「(まぁ、こんなおかしな日常も、悪くはないかな)」
教室での大騒ぎは下校時刻を過ぎて、担任に乱入され全員が頭に拳骨を落とされるまで続いたという。
85
:
◆T7j3n76Cc.
:2017/08/26(土) 11:04:47 ID:A9OrxQuE0
きっと彼らは生きていくのだ。
今日も、明日も、これから先も。
お互いだけが知っている“違和感”を抱えて。
ー おしまい! ー
86
:
◆T7j3n76Cc.
:2017/08/26(土) 11:05:17 ID:A9OrxQuE0
.
87
:
◆T7j3n76Cc.
:2017/08/26(土) 11:05:53 ID:A9OrxQuE0
.
88
:
◆T7j3n76Cc.
:2017/08/26(土) 11:07:01 ID:A9OrxQuE0
「……とまぁ、こんな感じでまとめてみたんですがどうでしょう?」
「なぁ。1つ聞きたいんだが」
「ハイハイ、何でしょう」
「このちょいちょい挟まってる謎の例えは一体なんなんだ?」
「分かりやすいかと思ったんですけど、ダメですか?」
「いや、ダメじゃあないが……」
「じゃあいいじゃないですか」
「あと途中すごい私怨入ってるし。
どうしたのこれ」
「せめて例えの中だけでも、と思ったんですけど
やっぱリア充の波動で吐き気が凄くて」
「リア充の波動って何さ……」
89
:
◆T7j3n76Cc.
:2017/08/26(土) 11:07:33 ID:A9OrxQuE0
「それにしたって『V.I.P.』は厄介ですよ。折角襲撃によって1人……広院ツンを無力化できると思ったのに火鳥ショボンに庇われちゃいましたし」
「あー、『V.I.P.』の邪魔も入って失敗しちゃったんだったか」
「一応情報収集の為に『V.I.P.』に此方側の人員も幾らか潜らせてはみたんですけどね。
内部にたどり着く前に歌荷しぃに吹き飛ばされる始末……」
「そっか、ドンマイドンマイ」
「励ましてる場合じゃ無いですよ。こうしている間にも、確かな“違和感”がじわじわと広がってきているんですから。
現に富楼クールや火鳥ショボンの【能力】は以前よりも確実に世界に溶け込んできているんですし」
「よりによってその2人かぁ……一番世界に溶け込んじゃマズいやつじゃん……」
「だから問題なんですよ。場飛ドクオや歯噛ブーンを初めとした他の面子も“違和感”の扱いに慣れてきていますし」
「そっかぁ……まだまだ俺たちがするべきことは沢山あるねぇ……」
90
:
◆T7j3n76Cc.
:2017/08/26(土) 11:08:10 ID:A9OrxQuE0
(゚、゚トソン「それじゃあ、そろそろ行きましょうか」
大量のレポート用紙を集め揃えながら、少女はそう言った。
( ФωФ)「うん、そうだね」
それに答えた両目に傷のある青年も、腰掛けていた椅子から立ち上がる。
(゚、゚トソン「私たちの“信念”を貫くために」
( ФωФ)「世界を“あるべき姿”に戻す為に」
そう言い微笑みあった二人は、振り返らずに部屋を出ていく。
[ξ*゚ー゚)ξb]
[(◎'A`)]
[d(^ω^* )]
_, ,_ [(,,゚Д゚)]
[川∩゚ -゚)]
[(っ´-ω-`)っ] [(*゚ワ゚)]
[( *´∀`)]
_ [(・∀・; )]
[( >∀<)+]
後に残されたのは、青年が座っていた椅子の元に散らばる写真達。
少年少女達はまだ、自分達の身に降りかかる運命を知らない。
To be continue …… ?
91
:
名無しさん
:2017/08/26(土) 11:09:46 ID:A9OrxQuE0
終わりです。ありがとうございました。
92
:
名無しさん
:2017/08/26(土) 11:28:06 ID:.ki7Rx3o0
おつ!
93
:
名無しさん
:2017/08/26(土) 15:29:50 ID:gd8uSiDE0
乙
紅白だけにとどめておくには惜しい設定だなあと思ったら続いてくれるんか!
うれしい!
94
:
◆TflJu3mvXc
:2017/08/27(日) 01:26:35 ID:NDTquKGQ0
【業務連絡】
主催より業務連絡です。
只今をもって、こちらの作品の投下を締め切ります。
このレス以降に続きを書いた場合
◆投票開始前の場合:遅刻作品扱い(全票が半分)
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詳細は、こちら
【
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】
【
http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/internet/21864/1500044449/295
】
95
:
名無しさん
:2017/08/27(日) 18:28:13 ID:DLuBsRzs0
続編クルー?
96
:
名無しさん
:2017/08/28(月) 10:41:18 ID:XEgEjaoU0
面白かった、名字がユニークだ
97
:
名無しさん
:2017/09/09(土) 00:55:23 ID:0RMFXRHA0
>>36
絶対にエロい事してるじゃん!!!羨ましいな
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