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('A`)ドクオの夏と夏休みのようです(^ω^)
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サマーシーズン到来!
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半年前、顔も知らないひい爺さんが死んで田舎に空き家ができた。
そのころ親戚達は爺さんの遺産とかの奪い合いで大変だったらしいが、大した価値もない屋敷には誰も興味を示さなかったらしい。
結果、バカでかい土地と、金目の物を殆ど奪い取られたボロ屋だけが残り、今度は屋敷の管理を誰がするかという責任の押し付け合いが始まった。
(;'A`)(暑い……)
……ここまで言えばもう察しがつくだろう。
俺の名前はドクオ。都会でニートをしてたら貧乏くじを押し付けられた悲劇の男だ。
屋敷唯一のエアコンは故障中。ネット開通もしばらく先。あるのは山と畑と太陽と川。ここは地獄か。
( ^ω^)「あああああああwwwwwww」
ところでこいつは近所のガキのブーン。
屋敷唯一の扇風機を独占して吠え続けている短パン小僧だ。
(;'A`)「……おいブーン……金やるからアイス買ってこいよ……」
( ^ω^)「ヴァアアアアアアアアwwwwwwンボボボボボボボwwwww」
('A`)
(;'A`)「はぁ……」 パタパタ
もはや、俺の味方はうちわだけだ。
畳の上に寝転がり、ご立派な木組みを見上げて、とっくに冷気を失っている氷枕に頬を寄せる。
死ぬのが先か日が落ちるのが先か、という戦いに一刻も早く対抗策を用意せねば……。
( ^ω^)「ンブwwwwプリュルルルルルルルルルwwwww」
(;'A`)(……うるせえ……)
ブーンがうちに来たのはつい二日前のことだ。
回想するので読んで欲しい。
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〜回想〜
( ^ω^)「こんにちはー!!」 ドンドンピンポンピンポン!!
ガラガラッ
('A`;)「はいはいなんすか……って」
(^ω^)
('A`)「ガキじゃん。なに、なんか用?」
(^ω^)「道に迷いました! 道を教えて下さい!」
('A`)
(^ω^)「あとセミがいっぱい居る場所も! いっぱい捕まえて友達に配るんだお!」
('A`)
(^ω^)「おじさん誰!?」
('A`)(うわぁマンドクセ)
〜回想おわり〜
-
( ^ω^)「ンピィィィィィィwwwwwォワォワォワォワォワwwwwww」
ブーンは裸の大将をそのまま小さくしたような見た目のガキだった。
スイカをやると凄まじい勢いで食べきるし、バッタの足をちぎって笑うし、飽きたら寝る。
虫かごと虫あみを常備していて、ポケットには24円とガムの当たり券が入っている(自慢してきた)。
(;'A`)「なあブーン……そろそろ扇風機を自由にしてやってくれよ……」
(^ω^)「やだおー」
(;'A`)「……昼飯、どっか食いに行くか?」
(^ω^)「やだおー」
(;'A`)「……ゲーム貸してやろうか?」
(^ω^)「ねーちゃんのたまごっちあるからいいお」
田舎のガキが強敵すぎる。
('A`)
('A`;)「暑い〜エアコン〜修理早く来てくれ〜」 ジタバタ
業者が来るのは早くても三日後。
この屋敷に来てから半月、俺はもう、夏に焼き殺されてしまいそうだ……。
1日目 おわり
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また明日! 夏休みの宿題は毎日こつこつ!
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毎日やるつもりか…(笑)
おつ
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奇声の勢いでワロタ
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どの程度の田舎なんだろ乙
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夏の楽しみが一つ増えた
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ブーンとドクオのテンションの差好き
乙乙
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楽しみ
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昨日、疲れて寝てしまったブーンを迎えに来たブーン姉からスイカを貰った。しかも丸ごと1個。
……こいつを裏山の川で冷やして灼熱の真っ昼間にかっ食らう。いいプランだ。
('A`)(朝方は涼しいんだよなぁ)ヨッコラセ
という事でスイカを持って裏山を登っている俺。
ついでにビールとラムネも持ってきた。中々に大荷物、涼しい時間帯じゃなきゃ死んでるとこだ。
('A`)(メシ、なんにすっかなぁ)
帰ったら朝飯にそうめん、昼飯はこのスイカとビール……だけじゃあ少し物足りない。
なにか肉が、揚げ物があるといいんだが、登山後さらに1時間歩いてスーパーやコンビニに行く元気は俺には無いのだ。
うちで料理しようにも暑いし面倒臭い。エアコン無いんだぞ、無理だ。
('A`)(……ブーンが来たらパシらせるか)
よし、そうしよう。
-
〜昼〜
(^ω^)「こんにちはー! こんにちはー!」 ミ゙ーンミンミンミン
来やがった。しかも今日はセミ持ってきやがった。
こいつ家の中でセミを解き放つから嫌いだ。
('A`)「よう。お前昼飯食ってきたか?」
( ^ω^)「食べてきたお!」
('A`)「どうせそうめんだろ。今日はピクニック行くぞ」
(^ω^)「ピ!?」
('A`)
ヘ('∀`)ノ 「そこでブーン隊員に重大指令! これで好きなおかしを買ってくるのだ!」チャリーン
∩(^ω^)∩「うおおお! 500円玉だお! 5円チョコ100個買えるお!」
('A`)「5円チョコ算をマスターしたブーンは無敵だ! 行って来い勇者よ!」
三三三( ^ω^)「いってきまーーーーーーー」 タタタタタ
-
〜1時間後〜
(^ω^)「こんにちはー! 買ってきたおー!」
('A`)「おー。なに買ってきた?」
(^ω^)「駄菓子いっぱいだお! あんま見ずに買ってきた!」 ガサッ
('A`)「お前にはブルジョワの才能があるな。よし、今度はピクニックに行くぞ!」
(^ω^)
('A`) ?
(^ω^)「疲れた! 寝てから行くお!」 ゴロン グコー
('A`)
しまった。ブーンはこういう奴だった。
まぁまだ13時にもなってないし、おやつにすれば丁度いいか……。
('A`)
( 'A`)(今日は扇風機も自由の身だし、俺も少し寝とくかね……)
氷枕を持ってきて、俺も寝た。
.
-
〜2時間後〜
('A`)「あー寝た寝た……」
ξ゚⊿゚)ξ「……おはようございます」
(^ω^) スヤスヤスヤスヤスヤスヤ…
('A`)「おお」
起きたらブーンの姉が来ていた。
ブーンの奴を膝枕している。羨ましくなんてないぞ。
('A`)「なんだ、来てたんなら起こしゃよかったのに……」
ξ゚⊿゚)ξ「別に用があった訳じゃないので、起こすのもあれかなって……」
('A`)「よくできた姉だこと……」
ξ゚⊿゚)ξ「あの、ピクニックには行ってきたんです?」
('A`)「なんだ知ってんのか? まだ行ってねえけど、昼寝してたし」
ξ゚⊿゚)ξ「こいつ、昼に一度帰ってきて自慢してたんですよ」
-
〜回想〜
(^ω^)「ただいまー!」ガラガラッ
ξ゚⊿゚)ξ「あれおかえり。遊びに行ったんじゃないの?」
(^ω^)「ふふふ…秘密だお!」
(^ω^)「ヒントはピ! ピクニックのピがヒントだお!」
ξ゚⊿゚)ξ「ピクニック行くの? 楽しそうね」
(^ω^)「!?」
〜回想おわり〜
ξ゚⊿゚)ξ「ということが」
('A`)「なるほど」
-
ξ゚⊿゚)ξ「で、どうせ今日も疲れて寝てるだろうと思ったので」
('A`)「ああ、先んじて迎えに来たってわけか」
(^ω^) パチッ!
(^ω^)「ねーちゃん!? なんで居るんだお!?」
ξ゚⊿゚)ξ「それはブーンがまだ夢を見てるからよ」
(^ω^)「!?」
ξ゚⊿゚)ξ「うそよ」
('A`)「ブーンも起きたし、そろそろ行くかぁ〜」
ξ゚⊿゚)ξ「私も行っていいですか?」
('A`)「いいよ」
ということで、俺達3人はひえひえのスイカが待っている裏山に登った。
.
-
〜山〜
( ^ω^)「うおおお! スイカもラムネもあるお!」 バシャバシャ
ブーンはさっそく川に飛び込んで遊んでいる。
服なんて上下ともびしょ濡れだ。
( ^ω^)「ザリガニ! ザリガニとるお! うわあの石でっか!」
ξ゚⊿゚)ξ「転ばないでよねー」
('A`)(ビール、駄菓子、はしゃぐガキ) グビグビ
('A`)(まぁ、悪くねえ組み合わせだな……) グビグビ
('A`)(……ていうかスイカ切る包丁持ってくんの忘れたな……) グビグビ
(^ω^)「ドクオー! 強そうな棒! 強そうな棒あったお!」
('A`)
ヘ('∀`)ノ「ブーン隊員! その棒でスイカを割りたくはないかね!?」
(^ω^)「!?」
急遽、スイカ割り大会が始まった。
.
-
〜夜〜
(^ω^) ンゴー ンゴー ンゴー ンフフw
(;'A`)「あっ! こいつセミ死んでるじゃねえか……」
ブーンが持ってきたセミが虫かごの中で御臨終している。
俺はセミをそっとつまみ上げ、庭の端っこに投げた。
(;'A`)「……ひっさしぶりにセミ触ったな……」
ξ゚⊿゚)ξ「いつもごめんなさい。ブーンの世話、だるいでしょう」
('A`)
その通りすぎてフォローのしようがなかった。
ξ*゚⊿゚)ξ「あの、よかったら御夕飯作っていきましょうか? リクエストあれば」
('A`)「……あー、そうだな……」
と、そういえば今日食べたかったものを思い出した。
('A`)「……揚げ物、鶏の唐揚げかな」
ξ゚⊿゚)ξ
ξ;゚⊿゚)ξ「あ、揚げっ……!?」
.
-
(;'A`)「……あれ、なんかマズかったか?」
ξ;゚⊿゚)ξ「あ、いえ……レシピも分かるので大丈夫なんですけど」
ξ;゚⊿゚)ξ「その、まだ危ないからって、家じゃ作らせてもらえないんです……」
(;'A`)「……あーそっか、そりゃそうだな……」
油は扱いを間違えると大事故だ。そりゃ禁止するわ。
('A`)「じゃあまた御馳走になるわ。今日は付き合わせて悪かったな」
ξ;゚⊿゚)ξ「……いえ! 大丈夫です! 作ります!」
('A`)「いやいいって。また今度頼むよ」
ξ;゚⊿゚)ξ「やらせてください! 家じゃできないんですもん!」
(;'A`)「……いや、それでミスったら俺の責任になるんだぞ」
-
ξ;゚⊿゚)ξ
ξ;゚⊿゚)ξ「な、なら一緒に……」
(;'A`)
……エアコン無いんだぞ。作っても死ぬぞ。
ξ;゚⊿゚)ξ ゴクリ…
(;'A`)
(;'A`)「……分かったよ。でも火元には近付けさせんからな」
ξ*゚⊿゚)ξ パァァ!
これが身から出た錆ってやつか。
くそったれ、最高の唐揚げを作ってやるからな!!
(^ω^) ンゴー
2日目 おわり
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また明日!まだ8月入ったばっかだ!遊ぼうぜ!
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ンピィィィィィィwwwwwォワォワォワォワォワwwwwww乙乙乙乙乙wwwwwwww乙乙乙乙乙乙乙乙wwwwwww
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緩い感じがすき乙
-
好き
-
3人の歳が気になるな
-
>>16
ワロタ
かわいい
-
ほのぼの感が良いね
乙
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ドクオ子供の扱いが地味にうまいなww
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どうでもいいがIDすげえな、ブーンの奇声みたいになってんぞ
-
おつ
のんびり緩い感じが良いな
夏の暑い時ならではの楽しみ方すき
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〜とても夜〜
('A`)「……」
真夜中に目が覚めてしまった。
やっちまった。もう眠れんぞ。
(;'A`)「あーヤダヤダ。酒でも飲むか……」 ポリポリ
俺は暗がりのなか台所に向かい、冷蔵庫を開けて昨日の残り物を取り出す。
ブーン姉と一緒に作った唐揚げだ。あの小娘、なかなか悪くない味付けをしてくれたのだ。
唐揚げをレンチンしつつ酒を選ぶ。
ビールは昨日飲んだし、ここは日本酒か焼酎で……
('A`)
('A`)(……いや、ラムネにすっか……)
ラムネを3本ポケットに差し込んで、温かくなった唐揚げを持って台所を後にする。
昼間はあれだけ暑いのに夜はしっかり冷えやがる。けどまぁ、悪くない。
-
〜縁側〜
('A`)「おお、やっぱうめえな……」
縁側に腰を下ろして足を放る。
早速つまんだ唐揚げもやっぱりおいしかった。あれはいい嫁になるぞ。
('A`)(ラムネなぁ……ビー玉欲しさに割ってた頃が懐かしいぜ……) グビッ
唐揚げをつつき、ラムネを飲み、庭の草木を見る。
都会に居た頃に比べたら、多分こっちのが平和で幸せなんだろうな……。
('A`)
(;'A`)「……ああ、やだやだ……」
比べるな、考えるな。
ここに来てまだ半月しか経ってないんだぞ。平常心、平常心だ……。
.
-
('A`)「……いいな、静かで……」
静かだから独り言も多くなる。
人によっては虫の鳴き声やら風やらでうるさいと思うかも知れないが、俺はそうは思わない。
車の音も他人の生活音もない。ケータイも鳴らないし、俺は安心して独りで居られる。
('A`)
……俺がひい爺さんの顔を知らないのは、俺が妾の子孫だからだ。
だから俺の家は遺産争いに加われなかったし、逆に要らない物をこうして押し付けられている。
更に俺は自分の家族からも疎まれてた分、連中からしたら要らない箱に要らないものを詰められて清々したって感じだろうな。
('A`)(……お前はいいよな。良い値がつけば万々歳だよ) ペシペシ
縁側の柱を叩いて嫌味をこぼす。
ちくしょうそれでも唐揚げがうまい。ラムネもだ。
('A`)「…………」
ここはいい。何もなくて。
それでも何かはあるんだろうが、俺にはもう見えやしないものだ。
せいぜい呑気に過ごして、適当な頃合いで首を括ればそれで終いだ。
('A`)「……」
('A`)「まともな家で、まともな親に育ててもらいたかったぜ……」 グビグビ
.
-
〜翌朝〜
(^ω^)「ドクオー! んなとこで寝てたら怒られるお!」
Σ(;゚A`)「――んおっ!?」 ビクッ!!
(^ω^)「おはようだお! ラジオ体操するから見てて!」 チャーン チャーン チャーン
('A`)
('A`)「え? ああ、分かった……」
昨日あのまま寝落ちしてたらしい。
ていうかまだ朝の6時だぞ。ていうか、こいつ俺にラジオ体操見せに来たのか!?
(;'A`)「……」
<(^ω^)/「終わったらハンコ押してほしいお! 学校の宿題で大人のハンコがいるんだお!」 オイッチニ
(;'A`)
\(^ω^)> サンシ
(;'A`)「……ハンコなら全部押してやる。だから二度と俺をラジオ体操に巻き込むな」
(^ω^)「でもこれねーちゃん命令なんだお。ドクオ運動不足だからって」
(;'A`)「…………」
参った。もう夜更かししてられんぞ。
ていうか、睡眠不足のままこいつと遊ぶのは正直ヤバい……。
(;'∀`)「ブーン、今日はたまごっちデーにしないか? 2人でうんこの世話をするんだ」
(^ω^)「今日も裏山に登りたいお」
('A`)
3日目 はじまり
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また明日! 夜更かしには気をつけよう!
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心が洗われる
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非常に良いと思う
応援している
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ええのう…
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唐揚げ旨そうやな……
清涼感もあるし本当良い
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複雑な過去が…?
ビャアアアアアwwwwwwwwwwwwwww乙乙
-
面白い
支援
-
乙
ほのぼのしててもニートだからなー、首括るバッドエンドは回避できるだろうか
-
ニートって言っても家を相続できているならそれなりの収入はあるのかね
-
土地と建物で税金掛かるからね
-
(^ω^)「しつもんです。今の時代にきょうりゅうさんが居たらどんなきょうりゅうさんですか」
('A`)「わかりません」
(^ω^)「仏像がホッピングするならホッピングはどれぐらい大きいですか」
('A`)「とてもおおきいです」
ピンポーン
(;'∀`)「あっ! 来たぞ! エアコン修理のスペシャリストが!」 ガタッ
ブーンと夏休み子ども科学電話相談ごっこをして暇を潰していた俺。
存外ヒートアップしてきてたごっこ遊びを中断し、俺は玄関に駆けていった。
(;'A`)「こんにちは!」 ガラガラッ!
(,,゚Д゚)
(,,゚Д゚)「こ、こんにちは……」
三└(^ω^)┐ ドテドテドテ
(^ω^)「あっギコ屋!」
(;'∀`)「まぁとにかく上がって下さい! エアコンはこっちです!」
(,,゚Д゚)(元気だなぁ〜)
-
〜1番広い個室〜
(;'A`)「お茶置いときますね……」
(,,゚Д゚)「「あーすんません」 ガサゴソ
(^ω^)「町の便利屋ギコ屋さん! CMで見た事あるお!」
('A`;)「おいブーン、邪魔になるから向こうで遊ぶぞ」 ソソクサ
(,,゚Д゚)「あ、ドクオさんは残っててくださいよ。一応監督しててもらわんと」
(;'∀`)「あー……そっすか? じゃあ一応……」
三└(^ω^)┐「えー!? じゃあブーンだけどかすのかお!?」 ジタバタ
┌(^ω^)┘三「いやだおいやだおいやだおいやだお」 ゴロゴロゴロゴロゴロ
(;'∀`)「……」
(,,゚Д゚)「べつにいいですよ。でも道具とかに触らんように気をつけて下さい」
(;'∀`)「へへ、すんませ……へへ……」
.
-
〜2時間後〜
かくしてエアコンの修理が完了した!
(;'∀`)「冷気だぁ〜〜〜〜……」
(^ω^)「うひ〜〜〜」
ひんやり空気を全身に浴びる俺とブーン。
俺はもうこの部屋を出ないぞ。誰が何と言おうとだ。
('∀`;)「やーすんませんねギコさん! ほんと助かりました!」
(,,゚Д゚)「また壊れたら呼んでください。つっても、今の修理で3年は壊れないでしょうけど……」
腕が良すぎる。
(,,゚Д゚)「そんじゃあ俺はこれで。名刺、置いてきますね」 スッ
(;'A`)「え? あの、支払いが……」
(^ω^)「うはwwww20度にするとさむいwwww」
(,,゚Д゚)「先代の遺言なんすよ。この屋敷の仕事はタダでやってやれって」
(;'A`)「あ、そんな話が……」
(,,゚Д゚)「ええ。なんでまぁ、気にしないでください」
.
-
('∀`)「あ、じゃあさっき取り付けてたアレもサービスっすか?」
(,,゚Д゚)
(,,゚Д゚)「アレってえのは、どれの事でしょう」
('∀`)σ「ほらあれ、人感センサーって言うんですか?
カメラも取り付けてたし、こんなハイテクなの古いエアコンにも後付けできるんだな〜って」
(^ω^)「カメラ!? センサー!? なにそれすごいお!!」
v(^ω^)「イエーイ! うわエアコンこっち向いたお! 写真撮れた?」
(,,゚Д゚)
(,,゚Д゚)(……参ったな。俺の仕事、バレてたのか……)
('A`)「名刺も要らないっす。多分もう頼まないんで」
(,,゚Д゚)「ああそう。外し方は分かるか?」
('A`)
(,,゚Д゚)
('A`)「え? べつに外さないですよ。俺ここでオナニーしかしないですもん」
(,,゚Д゚)
三⊂(;,,゚Д゚)「無料で取り外させていただきます!」 ダッ!!
三 ⊂
.
-
〜5分後〜
('∀`)ノシ 「お疲れさまでした〜」
(^ω^)ノシ
(;,,゚Д゚)(なんだあの家……ボンクラが住み着いたって話じゃねえのかよ……)
(;,,゚Д゚)(タダでやれってこういう意味かよ……良い経験になったぜ……)
\('A`)/ 「ふー終わった終わった。ああいうの、田舎にも居るんだな〜」
(^ω^)「ねえドクオ。川で遊びたいお」 グイグイ
('A`)「ブーン、あとでお前んちのエアコン見てやるよ」
(^ω^)「は? うちのエアコンは元気だお」
( 'A`)「一応だよ、一応な」
(^ω^)
ヘ(#^ω^)ノ 「それより川に行くんだお!! シャケを取って帰るんだお」 プンスコ
(;'A`)「な、なに怒ってんだよ……あとシャケは無理だぞ……」
(#^ω^)「いいから行くんだおーーーー」
4日目 おわり
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また明日!子供にはいっぱい構おう!
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かわいい
-
これは…
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乙乙。ところどころ不穏なのはなんなんだ
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これは一騒動あったか
-
乙
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かわいい…が、なんだこの不穏な空気……ドクオ何者なんだ
次が楽しみだ
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おつ〜
家系からして一癖ありそうだもんな〜
-
〜昼くらい〜
('A`)「あーすずしい」 シコシコ
('A`)「うっ!」
<こんにちはー!! ピンポ〜ン ガラガラッ ドテドテドテドテ
('A`)
Σ(;゚A゚)「ブーン待て! 下で待っててくれ!!!!!!!!!」
<分かったおーー!
('A`)(あぶね〜〜) フキフキ
いかんいかん。賢者モードだったので一瞬反応が遅れてしまった。
久し振りの上下運動で時間を忘れてしまったのが失敗だった。やれやれ、次からは気をつけねば。
('A`)
\('∀`)/「いや〜でもやっぱまぐろ物産最高!」 チラッ
扉|゚⊿゚)ξ ジィ
\('∀`)/ 「は?」 シュバババ
俺は最速でパンツをずり上げ、最速で上下運動の始末をした。
.
-
('A`)(やべぇ見られたやべぇ見られた……)
扉|゚⊿゚)ξ ジィィィィィ
なんで居るんだ。ていうかなぜ逃げも隠れもしないんだ。
見ないでくれ。なぜガン見なんだ。あの子はもうそういう年頃なのか?
('A`)
('A`)(まさか、俺が気付いているという事に気付いていない!?)
もしそうなら全てを暗黙の中に隠して互いに傷を負わずに済ませられるかもしれない。
……いや、そうしなければならない!!
一人の大人として、俺はあえて嘘をつく!!
('A`)「フゥ〜〜〜いや〜〜疲れた疲れた」
('A`)「股関節のトレーニングも終わったし、そろそろブーンのとこ行くか〜〜」 チラ
扉|
('A`)
よし、ちゃんと俺の独り言から行動を察してくれたみたいだ。
部屋を出て左右確認…よし、よしいいぞ! ブーン姉の気配は無い!
次はさっさと便所で手を洗って、ブーンと遊びつつアリバイ作りだ!
.
-
〜1階のトイレ〜
(;'A`)(いやー、男ならともかく女の子に見られたら終わりだったな…)
ガチャッ
ξ゚⊿゚)ξ
ξ゚⊿゚)ξ「えっ」
('A`)
('A`)「間違えました」 バタン
なんでだ。
.
-
〜ブーンの待つ広間〜
└(#^ω^)┘「あーもうドクオ遅いお!」
('A`)「……ごめんなさい……」
( ^ω^)「そっちのウルトラマンがドクオだお。ブーンはセミ怪人の役やるお」 ミ゙ーンミンミン
('A`)「はい……」
ブーン、リアルセミをごっこ遊びに持ち込むなよ。
(^ω^)「HAーHAーHAー! 我こそはセミ怪人、なんでも溶かすおしっこで、えっと…香川県を溶かしちゃうお!」
('A`)「とぅ……私はウルトラマ……」
('A`)「マ……マン……」
(^ω^) …?
::(;゚A゚)::「……マンッ……!?」 ガクブル
( ^ω^)「……ドクオ? 大丈夫かお?」
(>'A`)>「あ、ああ〜……!」(膝から崩れ落ちる)
俺は、俺はとんでもない罪を犯してしまった。
どうすればいいんだ……嘘ついて誤魔化せるレベルを全力で飛び越えてしまったぞ……。
(^ω^)「ドクオきも」
三┌(^ω^)┘「ねーちゃーん! ドクオが変だおー!」 ドテドテドテ
('A`)
(;'A`)「あっ、ブーン、今呼ぶのはちょっとまずい……」
.
-
ξ゚⊿゚)ξ
(^ω^)「ほらねーちゃん。ドクオがいつにも増してドクオらしいんだお」
ξ゚⊿゚)ξ「…………」
('A`)
もう顔も合わせられない。俺は罪人だ。
ξ゚⊿゚)ξ「……あの」
('A`)「……はい……」
ξ゚⊿゚)ξ「これ、昨日のお礼にって、親から……」 ススッ
そう言いながら差し出されたのは小奇麗な菓子折りだった。
そういえば、と俺はふと思い出す。
昨日ブーン家のエアコンを点検し終えた折、ブーンの親に「明日お礼の品を持たせる」と言われていた事を。
なるほど、彼女がうちに来たのはこれが理由だったのか……。
.
-
('A`)「あ、ああ……ありがとう……」
ξ゚⊿゚)ξ「……あの」
ふと、ブーン姉が近付いてきて俺の耳元に口を添える。
(;'∀`)「……な、なにかな……」
ξ*゚⊿゚)ξ「やっぱり、都会の人って、えっち……なんですか……?」 コソコソ
('A`)
――俺は素直なのでハッキリ書く。
彼女のささやき声、かなり股間に来た。
ξ*゚⊿゚)ξ「……見てないことにしてあげるので、見てないことにしてくださいね」
('A`)「はい」
く(^ω^)/「いっけーセミ怪人! 香川県爆発! ドゥブクシ」ミ゙ンミ゙ン
5日目 おわり
-
また明日!ハプニングには気をつけよう!
-
こんなんオカズ決まっちゃいますやん
-
おつ
ブーン姉がいいこじゃなかったら、ドクオがしんでたな
-
昨日の思わせぶりな内容とは打って変わってギャグ回…か?
乙
一歩間違えてたらドクオ終わってたな
-
やだツンちゃんエロい
そしてブーンは香川県に何の恨みがあるってんだチクショウ!
-
香川県ワロタ
-
うどん県民のおれ困惑
-
暑中見舞い申し上げます
http://i.imgur.com/DFYtRvm.jpg
-
うっめえ
-
おぉ…
-
最高じゃんけ
-
田舎だし和式便器なんかな
-
ドッカン
ドカバキ
.______ ピポポポポピンポーン
. | | |
| | |
| | | / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
( ^ω^)| | |(^ω^ )<おらっ!出てこいドクオ!
/ つ━━"....ロ|ロ | l .|U \___________
( / | | |⊂__ |
し'∪ └──┴──┘ .∪
ξ゚⊿゚)ξ「今日は留守なのかしら……」
(^ω^)「無職なのに留守!?」
ξ゚⊿゚)ξ「ブーン、無職を無職って言っちゃダメでしょ」
(^ω^)「ごめんなさい!」
ξ゚⊿゚)ξ「仕方ない…今日のところは帰りましょうか」
(^ω^)「いやどす」
ξ゚⊿゚)ξ「だめどす」
(^ω^)
ξ゚⊿゚)ξ
.
-
〜ブーンとツンの家〜
ξ;゚⊿゚)ξ「もう! 自由研究やらないと苦労するのブーンなんだからね!」
(^ω^)「香川県のことはもう調べたくないお〜」
ξ;゚⊿゚)ξ「自由研究を香川県に決めたのブーンじゃない! うどんレビューするんでしょ!?」
(^ω^)「それは…そうめんに飽きたから食べたくなって…」
ξ;゚⊿゚)ξ「…とにかく、香川県のこといっぱい調べて画用紙にまとめるのよ」
(^ω^)「はい…」
こんにちは。私はブーンの姉をやっているツンです。
今日、町の大人はお祭りに向けての集会で出払っています。
2週間後くらいには始まるらしいので楽しみです。
でも大人の人達は「しんちょくがぁ〜やりなおしだぁ〜」と言っていて、たいへんだなあと思いました。
ああなっちゃダメよとお母さんが言っていました。大人はたいへんです。
ξ゚⊿゚)ξ(…でも、ドクオさんまで居ないのはやっぱりちょっと変かも…)
ドクオさんはぶっちゃけ孤立しています。
むらはちぶ? というのに自主的になっているらしくて、誰とも交流を持とうとしないのです。
お父さんは言ってました。いいかい、あれはコミュ障というんだよ、と。
ドクオさんのあれはコミュ障と言うらしいです。
-
(^ω^)「うーん、うーん。しんちょくがダメだお」
ξ゚⊿゚)ξ「あれ、ブーンもしんちょくって言葉知ってるの?」
(^ω^)「ドクオが言ってたお」
あの人は言いそう。
(^ω^)「しんちょくがダメって言ってると、作業は進んでないけど作業自体には向き合ってるんだよって自己暗示ができて精神が安定するらしいお」
ξ゚⊿゚)ξ「へぇ〜ブーンはものしりね〜」
(^ω^)「はやく遊びに行きたいお〜」
ξ゚⊿゚)ξ
…ドクオさんは今なにをしてるんだろう。
エアコンの時にお父さん達と難しい顔をしてたから、ちょっと心配です。
ξ゚⊿゚)ξ「…あとでもう一回、ドクオさんのとこ行きましょっか」
(^ω^)「えー今日はもういいお。たまごっちしないとくちぱっち死んじゃうお」
ξ;゚⊿゚)ξ「死なせないでよ!?」
6日目 おわり
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また明日!ドクオは玄関に鍵かけてシコってただけです
>>72
とてもかわいい絵をありがとうございます!
熱中症には気をつけてね!
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ドクオのこの野郎
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たまごっち懐かしい
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小豆島で素麺作ってるから何気に香川でも夏場は素麺食うぞ
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香川県クセになるからやめて
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これはよいものですね…乙!
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ツン何歳くらいだ?中学生くらいかな
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>>60
あの子はもうそういう年頃って書いてるから多分中学下手したら小学生かも
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小豆島ってそうめんとオリーブオイルが有名なんだっけ
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閉鎖的な田舎
娯楽の少ない夏休み
村の大人から孤立した若いお兄さん
興味津々なお年頃
捗る!
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>>89
通報した
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└(^ω^)┘「ラジオ体操だいいちーーーーー!!」
早朝、ブーンが庭先でラジオ体操を始めていた。
これが毎朝やたらうるさいので寝ていられないのである。
┌(^ω^)┐「だいにーーー」
俺はさっさと顔洗って歯を磨いて外に出る。
パジャマのままだがどうでもいい。とりあえず、ブーンに声をかけた。
('A`)「うるせえ」
<(^ω^)/「それハンコ押しといてお」
(;'A`)「へーへー……」 ポンッ
こいつ俺がハンコ押さないと死ぬまでラジオ体操やるから嫌いだ。
('A`)「……あー」
('A`)「ねみぃなあ……」
縁側に腰を下ろし、ブーンがアホみたいに体操している姿を眺める。
朝飯は…まぁ、今日は米を炊くか…。
.
-
(^ω^)「ドクオまた寝てないのかお?」
('A`)「まぁなあ……」
(^ω^)「昨日、家でなにしてたんだお?」
('A`)「……別に、なにも」
(^ω^)
(^ω^)「ふーん。家には居たんだ」
(;'A`)
こいつ、ガキの癖して俺にカマかけやがった。
( ^ω^)「まぁいいお。昨日宿題いっぱいやったから今日はいっぱい遊べるんだお」
(^ω^)「ドクオ知ってたかお!? 香川県でも意外とそうめん食べるらしいお!」
('A`)
d('∀`)「ああもちろん知ってるぜ。そして香川県小豆島(しょうどじま)はオリーブの産地としても有名なんだ」
(^ω^)「へぇ〜! それ自由研究に書いておくお!」
香川県には魅力がいっぱいだ。俺も一度は行ってみたいぜ。
.
-
('A`)「……あっ」
(^ω^)「おっ?」
オリーブオイルで思い出したが、最近そうめんばっか食べてたから買い物に行ってなかった。
これは参った。俺のお腹はすっかり白飯の気分だ。今更そうめんを茹でる訳にはいかん。
だが、そうは言ってもおかずが無いしな……。
(^ω^)
('A`)「あー……」
('A`)「こんな時間じゃ、スーパーも空いてねえしなあ……」
(^ω^)「なんの話だお」
('A`)「朝飯のコトだよ。そうめんはあるんだが、ご飯に合う物が無くてなあ……」
(^ω^)「うちくるお?」
('A`)「いやいい」
(^ω^)「は?」
('A`)「……そうだなぁ、どうすっかな……」
やいやい、人の善意をなんだと思ってるんだお ゲシゲシ
( ^ω^)┘
└( )へ ( 'A`) 背中を蹴るんじゃありません
/ ノ( ヘヘ
-
('A`)「……そうだ、おいブーン」
三└(^ω^)┐「ブーンは帰ってご飯食べるから知らんお」
('A`)「――定食屋、行きたくないか?」
(^ω^)「行くお」
('A`)(アホだなぁ〜)
('A`)「うし、んじゃ待ってろ用意してくる」
(^ω^)
俺は部屋に戻ってパパっと着替え、親族の遺品争奪戦を生き延びたボロいタンスの引き出しを開けた。
このタンスには、爺さんが残した “意味不明だが大事そうなもの” がぎっちり詰まっているのだ。
もちろん金目の物や権利書やら何やらは根こそぎ持ってかれてるが、いま俺が探してるのは別の物…
('A`)「……お、あったあった」 ペラリ
サインペンで大きく 「捨てるな!!」 と書き込まれている一枚のチラシ。
これこそ、今日俺達が朝飯を食べに行く “定食屋 くそいなか” のチラシであった――
.
-
〜定食屋 くそいなか〜
ガラガラッ
('A`)
(^ω^)
屋敷から歩いて20分くらいのとこにある定食屋くそいなか。
この店なんと朝6時からやっていて、そして、当然のように客が一人も居なかった。
(^ω^)「ドクオ」
('A`)「あ?」
(^ω^)「なんかこわいお」 ギュ
(;'A`)「いや、幽霊屋敷ではねえよ。店の手入れもしてあるし、待ってりゃ誰か来るって……」
俺達はカウンター席に座って(ブーンが座りたがった)壁掛けのメニューを見上げた。
魚、肉、野菜炒め。今の気分からして多分、どれを頼んでも美味しい。
\('∀`)/「あーなんかテンション上がってきたな!」
(^ω^)(メニューの字が読めないお…)
.
-
俺達がぼけ〜っとメニューを見ていると、店の奥からぺたぺたと足音が聞こえてきた。
すかさず、声を掛ける。
('A`)ノ 「すんませ〜ん」
<…んにぇ?
やたら甘ったるい声が返ってきたな。
足音がこちらに向かってきて、やがて、一人の女性がのれんをくぐって現れた。
从'ー'从
('A`)
从'ー'从「……あれれぇ、もしかしてぇお客さんかにゃあ」
(;'A`)「……そ、そうです」
从'ー'从「あやーそっかぁ。でも嬉しいなあ、お客さんが来たのも半年振り? くらいだからんぇ」
この人、俺と同じくらいの歳に見えるのにやたら訛りが強い。
というか明らかにこの辺の訛り方ではない。恐らくは、彼女独自の訛り方であろう。
(;'∀`)「えっと、注文いいすか」
从'ー'从「いいけんどぉ、仕込みしてにぁえから簡単なのしか出せないにゅょ」
(;'∀`)
(^ω^)∩「はいはい! ブーンは焼き肉定食が食べたいお!」
从'ー'从「ぼく元気だぬぇ〜でも肉は品切れです」
(^ω^)
.
-
:::::::::::.: .:. . . . . .: ::::::::
:::::::: :.: . . /彡ミ゛ヽ;)ヽ、. ::: : ::<なんか…ご飯が進む定食をお願いします…
::::::: :.: . . / :::/:: ヽ、ヽ、i . .:: :.: :::
 ̄ ̄ ̄(_,ノ  ̄ ̄ヽ、_ノ ̄
(^ω^)「ドクオ泣くなお」
从'ー'从「いやごめんぬぇ。これ昨日の晩酌の余り物だけど、たこわさどうずぉ」 スッ
('A`)「あ、いただきます…あ、うまい…」 パクパク
(^ω^)
(^ω^)「ドクオ」
('A`)「あ?」
(^ω^)「たこわさってなんだお」
('A`)
('A`)「食べてみ。ほれ、あーん」
(^ω^) モグ
たこわさを食べたブーンは泣いた。
.
-
从'ー'从「あとなんだろな〜」 ガサゴソ
その後、店の人はキッチンを右往左往しながら次々と適当な料理を出してくれた。
せんべい(既に料理ではない)、だし巻き卵、生ハム、納豆、チーズの燻製、などなど…。
('A`)(なんだこの……朝食の定番にかすりつつ、ふんわり酒が欲しくなるラインナップは……)
∩(^ω^)∩「はいはい! だし巻き卵もっかいだお!」
ブーンは甘いだし巻きが気に入ったみたいだ。
从*'ー'从「だゆぉねぇ〜だし巻き美味しいねぇ〜」 グビグビ
そしてこの人は当然のように飲み始めてるんだが、一体なんなんだ。
(;'∀`)「あのぉ、そろそろ米と味噌汁が欲しいんですが……」
从*'ー'从「ごはん? 炊いてないから無いよぉ。でも味噌汁はインスタントがありゅから作るぬぇ」
('A`)
これ、多分お勘定もクソもないんだろうな。
だって俺らこの人の飲酒に付き合ってるだけだぞ。完全に飲み会じゃねえか、まだ朝なのに。
('A`)
('∀`)「お姉さん、日本酒あります!?」
从*'ー'从「ありゅゆぉ〜」
もう俺も飲むことにした。
(^ω^) チラッ
(^ω^)「ブーンもなんか飲みたいお」
('∀`)「へへへ、お前には子供ビールだ」
.
-
〜しばらくあと〜
(*'A`)「わたちゃんマジでありがとぬぇ〜」 フラフラ
从*'ー'从「いーよぉ〜私も楽しく飲めて楽しかったよぉ」
(*^ω^*)←雰囲気に酔った
(*'A`)「あれ…おかね…1万くらい…?」
从*'ー'从「あはは〜それ払ったらほんとに帰れなくなるゆぉ〜?」
(*'A`)「ええ〜なんでぇ〜?」
从'ー'从
从*'ー'从「お釣りで二次会始めちゃうからだよぉ〜!」
(*'∀`)「アハハハハハハハ! やべえ!」
从*'ー'从「ほらもう帰って帰ってぇ〜」
(*'∀`)ノシ「は〜い、ほらブーンも手ぇ振っとけ」
(* ^ω^)ノシ「ばいば〜〜〜〜〜い」
从'ー'从「は〜〜〜い、またぬぇ〜」
.
-
〜ドクオの屋敷 夜〜
(;゚A`)「――――ハッ!?」 ガバッ
(;'A`)
(;'A`)「……屋敷、酔い潰れて寝てたのか……?」
(^ω^)スヤスヤスヤスヤスヤ
目が覚めると俺達は屋敷に戻ってきていた。
道中の記憶がまったくないが、相応に飲みまくってきたので仕方がないだろう。
(;'A`)
(>;'A`)>「うー……頭痛いゆぉ……」
<こんばんはー。ごめんくださーい
玄関の方から声が聞こえる。
俺は壁伝いに歩いていって、そっと玄関の鍵を開けた。
.
-
ガラガラッ
ξ゚⊿゚)ξ「……あ、こんばんは」
(;'A`)「おお、姉ちゃんか。ブーンなら寝てるぜ」
ξ;゚⊿゚)ξ「……あの、ドクオさん大丈夫ですか? 顔色悪いですけど」
朝から飲んだくれてました! とは口が裂けても言えなかった。
(;'A`)「秘密。ちょっとよくない飲み方しちまってさ」
ξ゚⊿゚)ξ「……そうなんですか? あんまりお酒の匂いしないですよ?」
(;'A`)「マジ? まぁそれならいいんだけど、……悪いな。親も心配してたろ」
ξ;゚⊿゚)ξ「……はい、ちょっとだけ。朝からだったので、帰ったら説教です」
-
三└(^ω^)┐「あ、ねーちゃん」 ドテドテ
('A`;)「お迎えだ。今日はもう帰んな」
(; ^ω^)「――もう夜なのかお!?」
ξ゚⊿゚)ξ「そうよ。ほら、もう帰るからね」
(^ω^)「ちぇー。ドクオ、また遊びにくるお〜」
(;'A`)ノシ「おお〜気をつけてな〜」
俺は帰っていく2人を寝ぼけ眼で見送ってから、すぐさま広間に戻って寝転がった。
こんなに疲れたのは久し振りだ…けど、あの店の食い物は全部美味かった…また行きたいぜ…。
(;'A`)(……そういや、道を覚えてねえな……)
思い出そうとすると頭が痛い。
今日はこのまま、何も考えずに寝てしまおう――
.
-
〜ブーンの帰り道〜
ξ゚⊿゚)ξ「今日はどこ行ってきたの?」 テクテク
(^ω^)「定食屋さんだお!」 トコトコ
ξ゚⊿゚)ξ「定食? この辺にそんなお店無いと思うけど……」
(^ω^)「子供ビール飲んだお!」
ξ゚⊿゚)ξ「……まぁいいわ。帰ったらお風呂とご飯だからね」
(^ω^)「はーい」
ξ゚⊿゚)ξ「宿題も」
(^ω^)
(^ω^)「はい…」
7日目 おわり
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また明日!お酒はほどほど!
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くそいなかwww
ブーンかわいい
-
半年も誰も来れないようなそういうアレか
生ハムがあるだけ贅沢な感じがする
結局白米は食えず残念だなw
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>>97
ワロタ
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ブーン案外するどいな
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死ぬまでラジオ体操でやられた
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今更だけど真正面向いてるブーンて何かかわいい
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アルパカさんはやはり正義なんだよ
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狐に化かされ……いやいや
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化かすならもうちょいいいモン食わせてやれなかったんか
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ビジュアル的に狸の方が近いんじゃ?
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〜昼〜
(^ω^)
(^ω^)「おかしいお……」
ラジオ体操をしこたまやり続けていたブーン、昼になってようやく違和感を覚える。
遅くても10時にはハンコを押しに来るドクオが、ぜんぜん表に出てこないのである。
(^ω^)(うーん、ドクオまた夜更かししたのかお?)
(^ω^)(ダメな大人だお……)
ブーンは思った。ドクオはダメな奴だと。
(^ω^)
(^ω^)「ドクオーーーー」 ピンポンピンピンピピピピンポーーン
…やはり返事は無い。
呼び鈴を連打しても無反応。
(^ω^)
ブーンは思った。
子供だからって、こないだみたいに居留守が通じると思うなよと。
-
おリアルタイム支援
-
三三└(^ω^)┐ ドテドテドテドテ
へ ┐
ブーンは広間の方に回り込んだ。
こっちはいつも窓が開いているのである。
広間の窓を開け、ブーンはもう一度だけドクオに声をかけた。
( ^ω^)「ドクオーーーこんにちはーーー」
( ^ω^)「入っちゃうおーーーーーーいいのかおーーーーーー」
…返事は無い。
(^ω^)
ブーンは思い出していた。
人の家に勝手に上がっちゃいけません、というおばあちゃんの言いつけを。
J(^ω^)し『でもまぁ、いいかなって思ったら、まぁいいよ』
おばあちゃんが、確かにそう言っていた事を――!
(^ω^)(おばあちゃん…今がその時だお…!)
ブーンは靴を脱いで縁側によじ登り、かくしてドクオハウスへの潜入を果たしたのであった。
.
-
⊂( ^ω^)⊃ そろ〜り
( )
し へ
(^ω^)(へへへ、なんだか泥棒の気分だお……!)
悪い子だぞ、ブーン。
(^ω^)(せっかくだからなんか盗むお! あとで返せば大丈夫だお!)
└(^ω^)┘(よし! 台所にある一番きれいなスプーンをいただくお!)
そうと決まれば行動は早い。
ブーンは抜き足差し足でドテドテ歩いていき、台所に侵入した。
.
-
ばあちゃん臨機応変ってのを教えたかったのかな
-
〜台所〜
(^ω^)(きれいなスプーンが見当たらないお……) ガサゴソ
椅子に上って台所の棚を漁るブーン。
なかなか気に入るスプーンが見当たらず、ブーンはもう飽きてきた。
(^ω^)(……セミいっぱいつかまえて、ドクオの部屋で解き放つか……) ガサゴソ
(^ω^) ガサガサ
(^ω^)「――!?」
ブーンのこの表情、何かを見つけたようである。
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.└¬{三}l|_》r'(
((アイ! 「{
 ̄ノ__!_}
 ̄
( ^ω^)「うお〜〜……」
つr=
ブーンは銃らしきものを手にとって、銃身の光沢に目を輝かせた。
.
-
(^ω^)(すごいお! 駄菓子屋にあるやつだお!)
(^ω^)(たいしょーねんれい? でいつも買ってもらえないやつだお!)
(^ω^)(すげー! 弾も入ってるお! ていうか重いお! リアリティだお!)
三└(^ω^)┘(こうなりゃさっそく裏山で試し打ちだお!) ドテドテ
ピンポ〜〜ン
<こんにちわぁ〜
(^ω^ )「はーい!」
(^ω^)「…あっ」
ブーンは思った。
返事をしたら出なきゃいけないじゃん、と。
(^ω^)(やっちまったお……)
ブーンはとりあえず広間に戻り、縁側に座って靴を履き直して、外に出て玄関へと走った。
.
-
ドクオ何やってんだろうな
-
从'ー'从「……あんれぇ、昨日のぉ」
(^ω^)「こんにちは!」
ドクオを尋ねに来ていたのは昨日のくそいなかの女だった。
くそいなかの女だと単なる悪口なので言い換えると、彼女は定食屋くそいなかで働く女性だった。
昨日の彼女はエプロン姿だったが、今日は薄紫のワンピースを着ていた。
(^ω^)「ドクオは居留守してるお!」
从'ー'从「居留守ぅ? あえー、そうなのかぁー」
(^ω^)「おねーさんは何の用だったんだお?」
从'ー'从
从'ー'从「……あれれぇ、ボク、ちょっとダメなの持ってるにぇ」
(^ω^)「おっ? これのことかお?」
つr=
ブーンは屋敷から盗んできた銃らしきものを手に持った。
さっそく自慢してやろうと思っていた。
-
从'ー'从「それ盗んで来たんでしょお〜ダメだよぉ〜」
(^ω^)「ちがうお! ちょっと借りてるだけだお!」
从'ー'从「……おねーさん、それ欲しいなあ」 スッ
渡辺は膝を折り、ブーンと目線を合わせた。
(^ω^)「……でも、ドクオのだお?」
从'ー'从「代わりの物をあげるゆぉ。ね、なにがい?」
(;^ω^)「い、いらないお……」
从'ー'从「無欲なのはダメだよ〜無欲な子供は神様になるしかないからにぇ」
从'ー'从「あ、ならこれあげりゅよお。きれいでしょお」 スッ
(^ω^)「…おっ? なんだお?」
差し出されたものを受け取り、ブーンはそれを青空にかざしてみた。
从'ー'从「それね〜勾玉って言うんだぁ。首に下げとくとカッチョいいんだよ〜」
(^ω^)「ほーん」
(^ω^)
(^ω^)「悪くない。交渉成立だな」 ポイッ
ブーンは渋い声で言い、銃らしきものを渡辺に投げ渡した。
-
从'ー'从ノシ 「ありがとね〜」
(^ω^)ノシ
(^ω^)
└(^ω^)┘「いやー今日は良い一日だったお!」
満足したので、帰って、寝た。
8日目 おわり
-
なんという…
-
また明日!人のものを盗むのはやめよう!
-
支援もありがとう!
-
乙乙
-
ひょえーー…
それにしても、ブーンのアホさ加減と空気が好きだ
乙!
-
クソワロタ
-
結局盗り逃げwww
-
銃があった事よりも、その銃を盗んで定食屋に渡してしまった事の方に驚いたw
ドクオの所有物だったのかどうかもグレーのままだな
-
大きな家だし妾とかあったしじいさん……
-
〜夕方くらい〜
俺とギコは縁側に座って麦茶を飲んでいた。
今日はなんと、ギコの方から相談を持ちかけてきたのである。
(,,゚Д゚)「今度向こうで祭りやるんだよ」
('A`)「へぇ」
(,,゚Д゚)「お前も手伝ってくれよ。手間賃出すからよ」
('A`)「……やる人間に見えるか?」
(,,゚Д゚)「裏方雑用を押し付けたいだけだ。表舞台にてめえを出せるかよ」
('A`)「……雑用って何やらせたいんだ?」
(,,゚Д゚)「ガキの面倒。屋敷広いし30人はいけるだろ?」
瞬間、俺はブーンが30人になった光景を想像して戦慄した。
(^ω^)(^ω^)(^ω^)(^ω^)(^ω^)(^ω^)(^ω^)(^ω^)(^ω^)(^ω^)(^ω^)(^ω^)(^ω^)(^ω^)(^ω^)
(^ω^)(^ω^)(^ω^)「「「「「「「「「「「「「「「「「 ドクオーーーー! 」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」(^ω^)(^ω^)(^ω^)
(^ω^)(^ω^)(^ω^)(^ω^)(^ω^)(^ω^)(^ω^)(^ω^)(^ω^)(^ω^)(^ω^)(^ω^)(^ω^)(^ω^)(^ω^)
('A`)「俺に死ねってのか?」
(;,,゚Д゚)「別にそこまで言ってねえよ……」
.
-
(,,゚Д゚)「……本当のとこ言うとよ、祭りの運営が統率とれてねえんだ」
(,,゚Д゚)「でもまた屋敷が一枚噛んでるって事になりゃあ、連中も少しはマシになると思うんだが……」
('A`)「あー……」
あの爺さんが死んだ後だ。村社会のパワーバランスに変化があっても不思議じゃない。
おおかた成り上がりを目論んでる奴らで対立してて、面倒事が増えて、下の方にしわ寄せが来てるって感じか…。
('A`)「はぁー、大変だなぁー」
(,,゚Д゚)「頼む。名前だけでも貸してくれ」
('A`)「だりぃよ。勝手にやんな、そんなの」
(,,゚Д゚)「……手間賃は出すって言ったろ」 ポイッ
大きく膨らんだ茶封筒が俺の膝に落ちる。
200、いや250の厚みはあった。
('A`)「……羽振りいいじゃん」
(,,゚Д゚)「そういう仕事だからな」
俺は茶封筒を開け、中身の紙切れを夕焼け空に透かして見た。
( 'A`)「……なるほど。いい仕事するね、ほんとに」
(,,゚Д゚)「……皮肉か?」
( 'A`)「マジだよ。田舎でこの仕上げ、誰も気付けない」
-
('A`)「……けどまあ、懲りねえ辺り気に入ったよ、お前のこと」
俺は茶封筒をギコに返し、麦茶をたっぷり一口分飲み下した。
('A`)「なあ、飲み食い専用のフリーパスみたいなの作ってくれよ」
(,,゚Д゚)「……は?」
('A`)「んで4000円くらいでガキに配れ。ガキ専用フリーパスだ」
(,,゚Д゚)
(;,,゚Д゚)「いやいや、んなことしたら売り上げ減るだろ!?」
('A`)「どうせガキは後先考えねえから4000円分も食えん。
さっさと腹いっぱいにさせて、他の的屋に走らせた方が効率もいい」
('A`)「そしたらついでに保護者も金を落とす。フリーパスで節約した気分になってるからな」
('A`)「あと、食い物は愛想の良い若い連中で仕切りな。
ジジババにやらせると質と衛生管理にボロが出る」
(;,,゚Д゚)「……配役は、善処する」
('A`)「連携しねえ店は端に固めてフリーパスからも除外。最悪、始末だ」
(,,゚Д゚)「……ああ。参考にする」
('A`)
( 'A`)「……まぁ、早めに仲間内で悪知恵出し合っとき」 グビグビ
余計な口が過ぎた。
俺はしばらく麦茶を飲みまくって沈黙し、やがて、大きく溜め息をして見せた。
.
-
('A`)「屋敷のことは相談役くらいで留めといてくれ。面倒なのはゴメンだ」
(,,゚Д゚)「……すまねえな。町内会の奴ら、ろくに挨拶にも来てねえだろ」
('A`)
('A`)「そうだなァ。少なくとも、お前みたいにエアコンに仕込みをする挨拶はねえなァ」
(;,,-Д-)「あれは忘れてくれ。俺の完敗だ……」
三└(^ω^)┐「あっギコ屋」 ドテドテ
('A`)「おおブーン。今日は遅かったな」
(^ω^)「友達の家に行ってたんだお」
('A`)「そうか。……もう暗くなる、今日は帰んな」
(,,゚Д゚)「キリもいいし俺も帰るわ。ブーンちゃん、車で送っていこうか?」
( ^ω^)「マジ!? 車乗るの久し振りだお!」
('A`)「誘拐するなよ」
(;,,゚Д゚)「しねえよ。じゃあな、また寄るよ」
('A`)「ああ」
(^ω^)ノシ 「ドクオーーーーーまたねーーーードクオーーー」
('A`)
きのう、俺の銃が消えていた。
最悪、始末が必要だ。
9日目 おわり
-
また明日!お祭りは楽しい!
-
不穏すぎて怖い
-
血祭りかな?
-
せめて……せめて鬱ではないシリアスに……
-
お前の銃かよ…
-
ブーンの事もなべちゃんの事も始末しないで……
-
おつ
じいさんやっぱりソッチの人なの……?
でも村人の一部もそんな感じだとは驚いたな
-
ドクオ言動鑑みるに両親辺りに秘密があんのかな
-
〜ブーンの家〜
| ̄ ̄(^ω^) ̄ ̄| スヤスヤ
|\⌒⌒⌒⌒⌒⌒\
| \ \
\ |⌒⌒⌒⌒⌒⌒|
\ |_______|
ξ゚⊿゚)ξ「ちょっとー。もうお昼よー」
連日の大冒険で疲れが溜まってたのか、今日のブーンはとてもスヤスヤ寝ています。
本当は起こさなきゃいけないのですが、宿題もまぁ順調だし、今日くらいは大目に見ようと思います。
ξ゚⊿゚)ξ「眠たい時は、仕方ない!」
長い夏だもの。
こういう日もあるなあ、と私は思いました。
10日目 おわり
-
また明日!ねよう!
-
おやすみ!
-
おつー
-
寝顔に突っ込んだら負けなのか
-
ちくしょう
-
(^ω^)スヤスヤ
-
http://i.imgur.com/J5vfyhH.jpg
タケシの寝顔みたいなもんよ
-
〜昼食(そうめん)を食べながら〜
('A`)「ブーン、お前台所の戸棚漁っただろ」
(^ω^) !?
('A`)「俺の銃が消えてんだけど」
(^ω^)
(^ω^)「知らないお!」
(;'A`)「いやお前しかいねえだろ! あんなオモチャ持ってく奴!」
(^ω^)「ブーンはもう持ってないお。知らないお」 チュルチュル
(;'A`)「いや、けっこう良い値段したんだぞ、あれ……」
ここだけの話、俺にはモデルガンを適当な場所に隠す趣味がある。
台所のはその一つだったのだが、先日ブーンに見つけられてしまったのだ。
おまけに持ってないって、この野郎もう失くしやがったのか……。
(;'A`)「探してくる。どの辺で落としたんだよ」
(^ω^)「定食屋にあげたお。かわりにコレ貰ったんだお」
そう言ったブーンは首に下げていた勾玉を見せびらかしてきた。
小豚に勾玉。
とはいえ大事そうにしているし、ブーンはその勾玉を価値ある物と見ているようだった。
-
(;'A`)「……つーか、定食屋だぁ? この辺にあったか?」
(^ω^)「こないだ一緒に行ったお! ドクオ熱中症かお?」
('A`)
('A`)
…だめだ、まったく思い出せん。
( ^ω^)「はあ……チラシ持ってたはずだから、探してくるといいお」 チュルチュル
('A`)
なんでガチトーンでダメ出しされたんだ。
というか最近、このガキ生意気になってきてないか?
( 'A`)「――おいブーン。口の利き方には気をつけろよ?」
(^ω^)「無職」
('A`)
(^ω^)「ごちそうさま! 今日は裏山探検に行くお!」
人
('A`)「はい……」
ガキ相手に社会的立ち位置で敗北する大人、悲しすぎる。
.
-
その後ブーンは裏山へ探検に行き、俺は家で定食屋のチラシを探し始めた。
あるとすればゴミ箱代わりにされてる例のタンスだが、んなもん入ってたか?
(;'A`)「うーん……」 ゴソゴソ
(;'A`)「無かったらまずいだろ……捨てんなって書いてあったのに……」
タンスの中身をひっくり返して早10分。
よく分からん雑貨小物は山ほど出てくるが、ブーンが言っていた定食屋のチラシは出てこない。
(;'A`)(……いや、『捨てんな』って、なんだ?)
(;'A`)(見た事ないチラシの注意書きを、なんで俺が覚えてんだ……?)
そうだ、確かあのチラシには爺さんの字が書き込まれていた。
ブーンの言った通りに記憶がよみがえる。俺達が行った店の名前は、……そうだ、定食屋くそいなかだ。
('A`)「……ん?」
――かさ、と足元に何かが落ちる。
それは軽く折り畳まれた一枚のチラシだった。
('A`)「…………」
俺はチラシを拾って開き、爺さんの字で書かれた「捨てるな!!」の注意書きを目の当たりにする。
道順も思い出した。あの店のたこわさでブーンが泣いた事も、ハッキリと。
('A`)(……あの女、だな……)
俺は最低限の用意をしてから定食屋くそいなかに向かった。
最悪の場合、ギコに仕事を頼むかもしれない。
.
-
.
-
〜ブーンの家〜
(^ω^)「ただいまーーーー」 ドテドテドテ
ξ゚⊿゚)ξ「はいはい、おかえり」
帰ってきたブーンの大声が家中に響く。
私は薄汚くなったブーンを出迎え、さっさと風呂に誘導した。
へ(^ω^)ノ「わーーーーーー」 ザップーン
ξ;゚⊿゚)ξ「体洗ってから入れバカ! 私も入るんだから!」 ヌギヌギ
※犯罪なのでツンちゃんの脱衣シーンおよび体を洗うシーンはカットされます。
-
(^ω^)「今日ねーすごいキモい虫が居たんだお」 ザブザブ
ξ゚⊿゚)ξ「…持って帰ってきた?」
(^ω^)「虫かごに居るからあとで見せたげるお!」
ξ゚⊿゚)ξ「捨ててきなさい」
(^ω^)「はい…」
でかい石があった、セミがいた、ヤバそうなキノコがあったなどなど。
私達は一緒に湯船に浸かりながら他愛のない会話を続けている。
(^ω^)「あ、帰ってくる時、ドクオが居なかったお」
ξ゚⊿゚)ξ「……ふーん。出掛けてたのかしらね」
(^ω^)「家中探したけど居なかったお!」
ξ゚⊿゚)ξ「ふーん……」 チャプチャプ…
お盆は死んだ人が帰ってくるらしい。
あとで、ブーンと一緒にナス・ウマとキュウリ・ウマを作らなきゃ。
11日目 おわり
-
また明日!姉なるものの新刊を買おう!
-
なんなんだ('A`)は?
-
なんだモデルガンか…()
始末ってのが気になるが
(^ω^)(^ω^)(^ω^)(^ω^)(^ω^)(^ω^)(^ω^)(^ω^)(^ω^)(^ω^)(^ω^)(^ω^)(^ω^)(^ω^)(^ω^)
(^ω^)(^ω^)(^ω^)「「「「「「「「「「「「「「「「「 乙ーーーー! 」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」(^ω^)(^ω^)(^ω^)
(^ω^)(^ω^)(^ω^)(^ω^)(^ω^)(^ω^)(^ω^)(^ω^)(^ω^)(^ω^)(^ω^)(^ω^)(^ω^)(^ω^)(^ω^)
-
死ぬほど大事なモデルガンなのか
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ナスは牛だぜお姉ちゃん
それにしても、くそいなかが謎だ…
乙!
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ブーンになりたいなぁ
-
ツン姉ちゃんツン姉ちゃんハアハァ
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ツンちゃんとエロエロしたい
-
>>167-168
死刑です
-
〜ドクオの屋敷〜
(^ω^)「こんにちはー! こんにちはー!」 ドンドンッ
ξ゚⊿゚)ξ「……居ないのかしら……」
昼を過ぎた頃合いでドクオさんの家を訪ねに来た私達。
お盆だからって作り過ぎた料理を持ってきたんだけど、ドクオさんが出てくる様子は一向になかった。
ξ゚⊿゚)ξ「……仕方ないわ。また明日出直しましょっか」
三┌(^ω^)┘「その必要はないお! 広間の窓が開いてるからそっから入るお!」 ドテドテドテ
ξ;゚⊿゚)ξ「え、ちょ……ダメよそんなの! 待ちなさい!」
人の話も聞かずに走り出したブーンを追い掛け、広間の方へと回り込む。
すると私達は、そこの縁側に腰掛ける作務衣姿の男と目を合わせた。
( ・∀・)「……おや、内藤のガキか。大きくなったね」
(^ω^)
(^ω^)「ねーちゃん、こいつ誰だお」
ξ;゚⊿゚)ξ「……し、知らない……」
物知り顔で微笑む男。
彼は私達を知っているようだったが、私には不審者にしか見えなかった。
.
-
( ・∀・)「なにせ盆だからね、物理的に帰ってみたのさ」
( ・∀・)「君らは何しにここへ? ああいや答えなくていいよ。分かるから」
(^ω^)
(^ω^)「うわ、キモイ大人」
ξ;゚⊿゚)ξ「こらっ!」 ペシッ
私はブーンの頭を軽くはたいた。
(^ω^)「事実だおッ」 ゲシッ
ξ゚⊿゚)ξ「いたッ」
ブーンは最近、ローキックを覚えた。
( ・∀・)「ハハハ、笑い事だな。いや笑う以外の対処が思いつかないよ。好きでやってるのか?」
笑うというリアクションでここまで冷ややかな対処をされたのは初めてだった。
.
-
( ・∀・)「……さて、ドクオがどこに行ったか知りたいかい?」
ξ;゚⊿゚)ξ「え、もしかして知り合いの方なんですか?」
( ・∀・)「一応血縁者だ。だからこそ、ここで起こりうる顛末くらいは想像がつく」
( ・∀・)「ちっとばかり長い話になるが、いいかね?」
(^ω^)「やだ」
( ・∀・)「……え?」
(#^ω^)「お前キモイお!! ねーちゃん帰ろうお!!」 プンスカ
ξ;゚⊿゚)ξ「え、え?」
とたん、ブーンが私の服を全力で引っ張ってきた。
気持ち悪い虫でも平気で鷲掴みにするブーンがここまで言うことはそうそう無い。
ブーンには、この男がゴキブリより気持ち悪いものに見えているのだろうか。
( ・∀・)「ハハハ、そりゃ死人が帰ってくりゃキモがるのも道理だ。こちとら泣きそうだがね」
( ・∀・)「まぁ今日のところは帰りなさい。勾玉のガキには、私がよく見えているんだろう」
ξ;゚⊿゚)ξ「え、は、はぁ……」
ヽ(#^ω^)ノ「ねーちゃん!! あいつ絶対変態だお!! 帰るお!!」 ジタバタ
ξ;゚⊿゚)ξ「あの、すみません、ドクオさんによろしく言っておいてください……」
( ・∀・)「もちろんだとも。明日からよろしくね、二人とも」
作務衣の変態男はそう言って笑い、私達に手を振って見せた。
…帰ったら親にドクオさんのことを聞いてみよう。
ブーンほどではないけれど、私も少し、嫌な感じがしてきたのだ…。
.
-
〜一方その頃、定食屋くそいなか〜
('A`)
(*'∀`)「飲みすぎたーーーー!! アハハ!!」 グビグビグビグビグビグビ
从*'ー'从「空いた一升瓶でボウリングできちゃうよぉ〜〜」
('A`)「よし、ならボウリングでケリつけるか……」
从'ー'从「望む所だ……」
从*'ー'从「って、ボールが無いゆぉ〜〜〜」
(*'∀`)「たしかに!! あは!! やべーーー!! 金玉ならあるのに!!」
从'ー'从「あっそうか金玉あったにぇ! じゃあ一人一球だよ〜〜」 ガッ
('A`)「えっ?」
ドクオ達はしこたま酒を飲んでいた。
そう、子供達からの心配など、大人はまったく意に介さないのである――!
12日目 おわり
-
また明日!金玉大事に!
-
ホントにアルパカさん好きなお前
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さぁてどうなる
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ドクオが片玉になっちゃう
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えっ?
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ジャンルファンタジーだったか
-
8月13日がやってきた。正確には13日の日曜日、午前2時がやってきた。
街頭すら満足に配置されていないクソ田舎の深夜に明かりなど存在しない。
そんな暗闇の中を俺は歩いている。片手に、弾丸装填済みの拳銃を持って。
(;'A`)「……虫がうるせえ」
从'ー'从「ま、コトがコトだからね〜」
空いている片手側には定食屋くそいなかの店員・渡辺が付き添っている。
彼女はいわゆる白装束に身を包んでおり、さらに青白い光にも包まれていた。
結論から言うと彼女は人ではない。
彼女は化け物であり、けものが化けて出た類の存在だった。
(;'A`)「虫も反応するもんなのか? よく分からんが……」
从'ー'从「そりゃあもちろん! 虫はにぇ、人間よりよっぽど世界と密接なところに生きてるんだよぉ。
ああやって鳴り響いて、夜の虚ろを埋めているんだよぉ」
先日11日から今日この時まで、俺はなんの書き置きもせず家を出払っていた。
その理由は――いや、まずは事の切欠と、俺の家庭事情を語るべきだろう。
本来決して語るべきではなく、決して誰にも知らせてはならない禁句を――禁句のみで綴る文章を、俺はもう、語るしかないのだから。
時計の針は、11日の夕方を指し示した。
.
-
〜8月11日〜
〜定食屋くそいなか〜
ガラガラッ
从'ー'从「……あっ、来たにぇ」
店に入ると、カウンター席で酒を煽っていた渡辺が笑顔で俺を出迎えた。
戸を閉め、彼女の隣席に腰を下ろす。
('A`)「……ブーンがモデルガン持ってたろ? あれ大事なもんでさ、返してほしいんだ」
从'ー'从「ん、いいよぉ」 コトッ
('A`)
彼女は当然のようにテーブルにモデルガンを――拳銃を置いた。
俺は拳銃を手に取り、安全装置と弾倉を確認し、ひとまず撃鉄を起こして、彼女の横顔に突きつけた。
('A`)「どういう冗談だ」
从'ー'从「……それねえ、掃除はしっかりした方がいいゆぉ」
从'ー'从「血の臭い、残ってたから」
('A`)「話があるんだろ。だからこの状況でも驚かない」
从'ー'从「うふ、銃を持つとお爺ちゃんみたいだねぇ」
お爺ちゃん、というのが比喩ではなく人物を指す言葉だと直感で思った。
俺の爺さん。半年前に死んだあの男のことを、渡辺は知っているようだった。
.
-
从'ー'从「半年前に来たお客さん、あなたのお爺ちゃんでねえ」
从'ー'从「もし次の客が来たら相手してやってほしいって言われてたんだぁ」
渡辺はさきいかを食べながら話した。
从'ー'从「キミは、お爺ちゃんの事どれくらい知ってるのかにゃ」
('A`)「……お前よりは知っている」 グイッ
銃口をこめかみに押しつける。
俺の過去につけ入ろうとする口振りが気に入らない。
从'ー'从
从'ー'从「あは、そりゃそだよにぇ。殺したのキミだもん」
('A`)「……お前、いったい何者だ?」
俺はトリガーに指を置いて問い掛けた。
だがそれでも彼女は顔色を変えず、というか酒で顔を赤らめたまま微笑んでいた。
从'ー'从「答えてもいいけど、それは知らない方がいいかも知れないにぇ。
今でこそ人の形はしてるけど、今の私もそういう存在なのに変わりは無いからにぇ」
('A`)
(;'A`)「……お前、まさか爺さんの――!」
と、言いかけた瞬間に口が動かなくなった。
口周りの筋肉だけピンポイントで金縛りを受けたような感覚。
慌てて立ち上がった俺をよそに、渡辺は口元で人差し指を立てて囁いた。
从'ー'从「しぃー。ダメだよ。言葉にしたら足がついちゃう」
(;'A`)「……ッ!」
-
从'ー'从「……私の事はまぁ、妖怪変化のなにかってことで理解してほしいな。
お互い、素性を暴き合っても意味ないでしょう?」
(;'A`)「……ひとつ聞かせてくれ。あんた、爺さんの趣味を知ってるのか?」
从'ー'从
从'ー'从「もちろん。だからあの人は私に会えた。私の前まで自力で来れたんだよ」
(;'A`)「…………」
しばし沈黙した後、俺は銃を下げて席を立った。
从'ー'从「あや、どこいくの?」
(;'A`)「帰る。人間相手ならともかく、人外と言い合えるほど俺は物好きじゃない」
言葉にすれば足がつく、その通りだと思った。
俺の過去や彼女の正体について言い合えば、それだけ関係と事情は深まり後戻りが効かなくなる。
触らぬ神に祟りなし。知らず関わらずに済むならそうするべきだと、俺は深く心得ていた。
从'ー'从「……待って」
だが、渡辺は立ち去ろうとする俺の腕を掴んで引き止めてきた。
从'ー'从「このお店にはもうすぐ死ぬ人しか来れない」
从'ー'从「今度死ぬのは二人。キミと、あの子だよ」
――ここまでが事の切欠。
次は、俺の生い立ちの話になる。
.
-
――俺の祖父・モララーにはいくつかの顔があった。
その1、この田舎を取り仕切る町長としての顔。
その2、裏稼業組織の最高責任者としての顔。
その3、骨董品や曰く付きの物品を買い漁る、収集家としての顔。
この田舎に住む人間の大半はモララーの所業を知っていた。
金品薬物の違法取引、殺し、人身売買…噂話につく枝葉など半信半疑が常だが、モララーの場合はその全てが事実だった。
これらを踏まえてモララーという人物を一言で表すとすれば、"法で裁けぬ悪"より相応しい文言は無いだろう。
半年前、俺がモララーを殺すに至った経緯は簡潔だった。
俺の家庭は"妾の子孫"という立場上、表にも裏にも確たる居場所を持てなかった。
そんな両親は劣等感の穴埋めとして、十歳にも満たない俺を裏稼業の世界に放り込んだ。
まともな生き方など分からない俺はそれを当然の事と思い、以降十年以上組織の仕事に従事し続けた。
しかしそれでも俺の血筋に対する腫れ物扱いは変わらず、当時組織内で殺しを担当していた俺に、両親は一つの命令を言い渡してきた。
その命令こそが祖父モララーの暗殺だったのだ。
準備と根回しは両親が完璧にやってくれた分、俺はただ言われた場所で予定通りに実行するだけで仕事は終わった。
ベッドの下に身を潜め、モララーが寝たら下から鉛を撃ち込んで終わり。
こんなマヌケた計画の為にベッドの下で一週間待機していた俺は多分、かなりバカだ。
事が済んだら俺はさっさと寝室を出た。だから俺は今でもモララーの顔を知らない。
そもそも面会を禁じられていた相手。殺した後でも、大した興味は抱かなかった。
――親に言われたので祖父を殺した。
殺しの経緯は、これだけだ。
.
-
……しかし、話はこれで終わらなかった。
相続争いの結果屋敷を継いだ俺は、残された家財の整理をする中でボロボロのタンスと相対したのだ。
定食屋くそいなかのチラシが入っていた、あの例のボロいタンスである。
あの中には“意味不明だが大事そうなもの”がぎっちりと詰まっており、俺は一度その中身を一通り検めた事がある。
――たとえば、藁人形。
――たとえば、水晶。
――たとえば、細工箱。
中にあった物の正式名称を俺は知らなかったが、それらは一目見ただけで用途と目的が理解できた。
極めて現実的な悪事に手を染めていたモララーはその真逆であるオカルト、特に呪いに纏わる物を屋敷中に隠し保管していた。
で、それらを粗方見つけ出した親族達は金になりそうな物は持ち去り、ならなそうなものはボロいタンスに詰め込んで始末したのである。
('A`)「うわ、きも」
初めて中身を見てそう思って以来、俺はずっとタンスに触れず過ごしてきた。
なにせこれを収集していたのは根っからの極悪人。
真偽はともかく、キモいと思うには十分すぎる程の怨念をそれは放っていたのだ。
.
-
――時計の針が現在を指し示す。
8月13日の午前2時過ぎ。暗闇にもすっかり馴れた俺の目に、屋敷の陰が見えてきた。
(;'A`)(なんで……なんでこんなことに……)
(;'A`)(ドッキリでも仕掛けられてると思いたい……)
モララーと親しかった奴からの報復なら分かる。
けど、まさか相手が人間ですらないとは想像すらしていなかった。
ブーンが死ぬとまで言われちゃ話くらい聞かざるをえないんだが、流石に俺もまだ半信半疑だ。
なにせ渡辺はほとんどの情報を伏せたまま俺をここまで連れてきている。
言葉にしたらダメだと繰り返し、状況に対する明言を避け続けているのだ。
(;'A`)(どうせ妖怪とかなんだろ……言えよもう……)
かと言って、俺も 「実は人殺しの極悪人で〜す!」 とは言えないので彼女に明言を求める事もできなかった。
互いに誤魔化しが効くギリギリのラインまで情報を出し合ってはいるものの、いい加減、腹を割って話したいという気持ちが――
从'ー'从「あっ、やっぱりもう来てるにぇ」
ふと、渡辺がうちを指して呟いた。
俺も顔を上げて屋敷の方に注視する。
('A`)
( ・∀・)ノシ
青白く光る作務衣の男が、玄関前で手を振っていた。
('∀`)(あれ絶対モララーじゃん……)
今まで一番信じてなかったものが目に見える形で現れて、俺はもう、なんか笑えてきてしまった。
.
-
.
-
〜夕方くらい〜
(^ω^)「ブビィィィィィィィwwwwwww」
(;'A`)「……あっつ」
ブーンは扇風機ブームが帰ってきたようだった。セミよりうるさい。
(;'A`)「おいブーン、金やるからアイス買ってこいよ」
(^ω^)「ピロロロロロwwwww」
(;'A`)「……はあ」
広間に寝転がる俺は天井を見上げて嘆息した。
ここまで事情が深まると、なにも知らないブーンがほとほと羨ましくなる。
(;'A`)「……そうめん作るわ……」
( ^ω^)「ハンバーグ食べたいお」
(;'A`)「……」
(^ω^)「フェーーーーーーーーwwwwwwwwwwww」
13日目 おわり
-
また明日!
ドクオはこれから陰で主人公らしく頑張り始めますが、ブーンには勝てません
-
>>186
爺ちゃん陽気すぎるだろwww
-
進展来たな
乙
-
マジか…死ぬって……マジか……
-
お盆だから話が進んだぜ
-
おつおつ
-
今日はこねーかな?
-
〜広間〜
('A`)
暇なのでブーンで遊ぶことにした。
ここんとこずっと遊ばれてる側なので、たまには俺が遊んでもいいだろう。
(^ω^)「香川県は とてもすごいなあと思いました まる」 ゴロゴロ
ブーンは畳の上に画用紙を広げて自由研究を進めていた。
寝転がってやるのはどうかと思うんだが、ブーンは別に字が汚くなろうがお構いなしという感じで香川の魅力を書き綴っていた。
('A`)
まず、カンチョーしてみることにした。
('A`)「ていやっ」 ブスッ
( ^ω^)「……ドクオ、ブーンは今真剣なんだお」
('∀`)「まだ半月も夏休みあるんだろ? 遊ぼうぜ!」
( ^ω^)「毎日が日曜日の人に言われても……」
('A`)
14日目 おわり
.
-
また明日!
お祭りに向けた書き溜めがぜんぜんダメなのでしばらく1レスになるよ!
宿題はこつこつやろう!地獄を見ちゃうぞ!
-
進展来てなかった
乙
-
ぶーーーん
-
刃物は人に向けんなって教わんなかったのかコイツ!
-
言葉の刃物か
-
――盛夏の日差しが肌を焼く。
アホみたいに青い空を見上げながら、俺とブーンは庭で日焼けサロンごっこをしていた。
傍目にはパンツ一枚で横たわるアホ二人にしか見えないだろう。俺もいま、自分が何をやってるのかよく分からない。
(^ω^)「……ねーちゃん言ってたお。都会には日焼けサロンがいっぱいあるって」
('A`)「……いっぱい、いっぱいなのかなぁ……」
(^ω^)「でも、焼けたがる都会人の気持ちがブーンには分からないお……」
('A`)「……俺も分かんねえや……」
地面に寝転がって語らう俺達。
太陽の熱を感じつつ、土や風の冷たさも肌身で感じ取る。
果たしてこれは日焼けサロンごっことして成立しているのか?
日焼けサロンに行ったことがない俺には分からなかった。
(^ω^)「都会にはちょっと憧れてるけど、やっぱり都会は難しいお……」
('A`)「……多分、日焼けサロンってかなりハードル高いんだよ……」
(^ω^)「なのかもしれないお。はあ、なんかエスカレーター乗りたくなってきたお……」
('A`)「……エスカレーターって、ここじゃ珍しいのか?」
(^ω^)「うん……」
('A`)「……そっか……」
ふと、ブーンが起き上がって目の色を変えた。
恐らくは日焼けサロンごっこに飽きて、次の遊びを思いついたのだろう。
(^ω^)「次はデパ地下ごっこしたいお」
('A`)「……ああ、デパ地下なら、少し分かるわ……」
15日目 おわり
-
また明日!
-
短い!
-
進展!!進展!!!
-
おや、今日は8/16日か……そろそろ投下あるかな?
-
〜まぁまぁ夜〜
(;'A`)「……またか……」
寝入った矢先に目が覚めてしまった。
エアコンはまだ点いているのにやたら寝汗をかいている。
少し頭がぼーっとする…よく分からん奴らに巻き込まれたせいで、最近疲れが溜まってるのかもしれない。
俺は水を求めて台所に向かった。
水を飲んで、ついでに顔を洗って気持ちを切り替える。
( ・∀・)「――やあ、こんばんは」
(;'A`)「……何の用だよ」
そんな時、俺の背後に作務衣姿の不審者が現れた。
( ・∀・)「キミらを殺すものについては、こないだ語ったね?」
(;'A`)「……だから、バレないように普段通り生活してんだろ」
モララーや渡辺が言うには、俺とブーンは近い内に死ぬらしかった。
けれど俺達は決して『死』に立ち向かってはならず、しかも俺やモララー達の『正体』も決して口外してはいけないのだった。
俺達を殺すものをあえて敵と呼ぶが、敵は今も俺達の死因を探しているらしい。
モララーいわく、敵は凄まじく強大だが動機を持っていなかった。つまり、殺す術はあっても殺す理由が敵にはない。
だから敵は俺達の暮らしに聞き耳を立て、俺達が極自然に死ねる状況を予想しそこへ誘導しようとしている、らしい……。
殺さなきゃいけない、けど殺し方が分からない。
そんな意味不明であべこべな存在が俺達を殺そうとしているなんて、正直今でも信じられない。
.
-
( ・∀・)「――時間がずれた。気をつけたまえ」
(;'A`)「……あ?」
( ・∀・)「ずれたのだよ。今回“時と場所”の概念は極めて重要だ。
敵の総本山は――そう、それは文字通りうちの裏山なのだが、ついに時間にまで漏れ出てきたらしい」
( ・∀・)「空白の30分、せいぜい死なんよう立ち回れよ」
そう言い残してモララーは消えてしまった。
(;'A`)
空白の30分? 俺はふと振り返り、デジタル時計の日時を確かめた。
8月15日、……ではない。だが16日でもない。
(;'A`)「……なんだ、壊れてるのか……?」
5と6が混ざったような異常な数字が表示された時計が意味する戦いを、このとき俺はまだ理解できていなかった。
8月?日 はじまり
.
-
また明日!床ずれには気をつけよう!
-
始まったか……
-
>>206
だめもとでこれ書いて良かった!!……ということにしとく
乙
-
俺達とな
進展やったー!
乙
-
おつ
もともとのんびりした流れではあるし
話の都合がつくならそんなに急がなくてもかまわないがね
進展がほしいのもわかるが
-
おつ
デジタル時計のディスプレイって大概セグメント表示式だから5と6混ざると6にしかならないのではと思ったり
-
ξ゚⊿゚)ξ「こんにちはー」 ピンポーン
こんにちは、ツンです。
今日は「ブーンの代わりにドクオと遊んでやってほしいお!」と頼まれたのでドクオさんの家に来ました。
ブーンは友達の家に遊びに行っています。トンボ狩りに向かったそうです。
(;'A`)「へーい……」 ガラガラッ
少し待っているとドクオさんが出てきてくれました。
私は軽く会釈してから、いつも以上にドクオさんの顔色が悪い事に気付きました。
ξ;゚⊿゚)ξ「……あの、もしかして風邪ですか?」
(;'A`)「……あーいや、単に疲労と寝不足かな……」
ξ゚⊿゚)ξ
(;'A`)「……卑猥な意味じゃないぞ。マジで疲れてるだけなんだよ」
('A`;)「とりあえず入んな。いま昼飯作ってんだ、食べてくか?」
ξ;゚⊿゚)ξ「あ、なら私が作りますよ。ブーンがお世話になってますし……」
('A`;)「……助かる。今日はもう動きたくなくてな……」
.
-
おやっ?
-
私は露骨に弱っているドクオさんと一緒に家に上がって台所に入った。
…いつもより散らかってるような気がした。というか、戸棚のお皿もけっこうな枚数が割れてしまっていた。
ξ;゚⊿゚)ξ「あの、何かあったんですか?」
('A`;)「……ちっと悪酔いしてな。暴れちまったんだ」
ドクオさんは目をそらしながら言った。
昼食はもうとっくに食べ飽きたそうめんだ。こっちは茹でるだけなので、冷蔵庫の食材でおかずを作り始める。
と言っても、出来合いのたこわさと生ハムをそれぞれお皿に盛り付けるだけなんだけど。
ξ゚⊿゚)ξ「うん、よし」
盛り付けを済ませた私はそうめんの湯で時間を確かめる為に時計の方を見た。
しかし、普段からアナログ時計が置いてある棚の上には見慣れた古時計が無くなっていた。
あの時計は小さくて可愛くて綺麗だったのに、一体どこに行ったのだろう。
(;'A`)「……あの時計、昨日壊しちまったんだ」
私の視線に気付いたドクオさんが椅子に座ったまま呟く。
(;'A`)「いや、昨日ほんとにダメな酔い方しちまって、あのアナログ時計がデジタル時計に見えたくらいなんだよ」
ξ;゚⊿゚)ξ「えっ、あのアナログ丸出しの時計がですか!?」
屋敷の前の持ち主の趣味で、この家には特注で作られた世界に一つだけの特別な古時計しか置いてないのだ。
それがセグメント表示式のデジタル時計に見えるくらい酔ってしまうのは、さすがにとてもよくない気がした。
.
-
ξ゚⊿゚)ξ「ドクオさん、しばらくお酒はダメです。いいですか?」
(;'A`)「……はい」
ξ゚⊿゚)ξ「そうです。反省してください、物は大事にですよ」
やれやれ、子供の面倒を見るのも大人の面倒を見るのも大差ないとは思っていませんでした。
けど、あんまり厳しくするのも弱ったドクオさんには可哀想なので、生ハムを少し多めにしてあげた。
(;'∀`)「……あー、人が作ったメシはうめえなあ」
ξ-⊿-)ξ「……もっとありがたがって食べて下さい」
しかたないので、昼食が終わったら台所を片付けてあげようと思いました。
16日目 おわり
.
-
時計問題はズバッと解決!ドクオとツンの関係もちょっぴり進展だ!また明日!
-
来てるじゃん!
-
解決してるのか!?!??
-
ドクオとツンの関係が進展だって?
-
パタパタ時計だったならワンチャン5と6が混ざって見えたかもしれない
-
端折られた戦い見てえ……
-
〜早朝〜
(; A゚)「――ッ!?」 ガバッ
バン、という聞き慣れた音で目が覚めた。
音は外から来ていたが、俺は自室を一望してひとまずの安心を得る。
(;'A`)「……」
聞き耳を立て、家に入ってくる足音が無いのを確かめる。
俺は手近にあった鉛筆と消しゴムを持って、一切の音を殺しつつ部屋を出た。
(;'A`)(反省だな……すっかり気を抜いて熟睡してた……)
昔ならありえなかった、と少し気をそらして自嘲する。
俺は階段に差し掛かったところで足を止めた。
階下に向かって消しゴムを放り投げ、敵の反射行動を煽ってみる…が、階下から反応が返ってくる事はなかった。
20秒待った。音はない。
階段を静かに駆け下りて周囲を確認、台所に入って隠し武器を調達しに行く。
(;゚A゚)(――あれッ!? また無くなってる!?)
こないだブーンに盗られてからは相当念入りに隠したのだが、それが更に無くなっていた。
仕方がないので爪楊枝と包丁を持って広間に向かう。
爪楊枝を使って広間の襖に穴を開け、中を確認してから開け放つ。
.
-
(;^ω^)「あっやべッ!」
(;'A`)「……何やってんだよ」
と、俺は広間に入ると同時にさっきの音の正体に気付いてしまった。
ブーンこの野郎、広間に忍び込んで爆竹に火を付けやがったな。
(^ω^)「おはようお!」 コソコソ
ブーンは焦げ跡のついた畳を隠しつつあいさつしてきた。
('A`) スタスタ
俺は足早にブーンに近付き、頭頂部に強めのゲンコツを叩き込んだ。
(^ω^) !?
('A`)「帰れ」
(^ω^)
(^ω^)「ドクオと裏山に行きたいお」
('A`)「……裏山はもうダメだ。とにかく帰れ、朝から怒鳴りたくないんだよ」
(^ω^)「ハンコ……」
(^ω^)
(^ω^)「……帰るお……」
('A`)「おう」
俺はブーンを見送ってから、さっさと部屋に戻って二度寝した。
17日目 おわり
-
また明日!駆け込み乗車には気をつけよう!
-
今日は来ないのかと…
拳銃(レプリカ)また消えたのか?
ブーン…じゃないよな…
乙
-
こりゃ怒るわ
-
>>228
試し撃ちしたって事だよ文盲
-
ああっm
-
そういうことか
-
まあ嘘だけどな
-
>>233
ええ…
-
>>233
うーんこの
-
本当にブーンがまた銃を取ったとしても
それを撃ったなら、ドクオが銃を回収もせずに済ますわけないと思うが。
すべては次回で詳しい内容待ち
-
地の文で嘘をついてはいけないってばっちゃが
-
〜広間〜
(,,゚Д゚)「ここが――」
( 'A`)「……ああ、まぁなんとかなるだろ」
この日、俺は朝からギコと祭りの最終確認をしていた。
今日までちょくちょく相談に乗っていたが、その祭りがついに明日から始まるのである。
(,,゚Д゚)「――まぁざっとンなもんだな。お前のおかげで少しは楽になったわ」
('A`)「俺のおかげなワケねーだろ、屋敷の威光だ」
(,,゚Д゚)「そう言うな。こういう世辞を受け取れん奴は早死するぞ?」
('A`)「俺は殺す側だ」
(,,゚Д゚)
('A`)「……黙るなよ。聞き流せない奴は早死するぞ」
(;,,-Д-)「……いや、敵わんと思っただけだ」
ギコはグラスに麦茶を注いでグビグビと飲んで見せた。
そんな時、俺はふと玄関の方に人気を感じ取った。
('A`)「誰か来たな」
(,,゚Д゚)「あ?」
直後、ピンポ〜ンと音が鳴った。
ξ゚⊿゚)ξ「あ、こんにちは」
('A`)「おう。いらっしゃい」
玄関に出迎えに行くとプールバッグを抱えたツンちゃんがそこに居た。
俺はツンちゃんを連れ、広間に戻った。
.
-
ξ;゚⊿゚)ξ「急に来てごめんなさい。
ちょっと昨日ブーンが落ち込んでて、話を聞きたくて……」
('A`)「……ああ、ちょっとな」
水滴のついたプールバッグを見るに、彼女はどこかプールで遊んできた後なのだろう。
ツンちゃんの濡れ髪から塩素の匂いが漂ってくる。
どんな水着を着たんだろう、やっぱりスク水かな。ふふっ。
(,,゚Д゚)「……ロリコン野郎」 ボソッ
('A`)「……え? いや、水着は気になるだろ!?」 ボソボソ
俺の完璧な反論を無視してギコはそっぽを向きやがった。
水着が気になるのは当然の疑問だろ。さてはこいつ女の下着を褒めないタイプだな?
ξ;゚⊿゚)ξ「あの、ブーンは何をしたんですか?」
('A`)「あー……」
俺は振り返り、遠くの畳を指差して言った。
('A`)「あそこに焦げ跡あるだろ? ブーンがあそこで爆竹しやがったんだ」
ξ゚⊿゚)ξ
ξ;゚⊿゚)ξ「――爆竹!? ブーンがですか!?」
途端、彼女は前のめりになって驚いて見せた。
そりゃあガキが人の家に忍び込んで爆竹やったなんて話を聞けば誰でもこう反応すると思った。
ξ;゚⊿゚)ξ
ξ;-⊿-)ξ「……私じゃ謝りきれません。帰って親に伝えます」
(;'A`)ノシ 「いやいや! 別にいいよ、大したことでもねえし……」
深く頭を下げたツンちゃんに罪悪感を覚え、俺はすぐさま適当な言葉を並べてフォローしにかかった。
けれど彼女は俺の言葉を大人としての優しさと受け取っているようで、何一つまともに聞き入れてはくれなかった。
俺の弁明が終わったあとも、ツンちゃんはただ申し訳なさそうに微笑んでいるばかりだった。
.
-
ξ;゚⊿゚)ξ
(;'A`)
(,,゚Д゚)「あんぐらいの焦げ跡なら誤魔化せるぞ」
('A`)
Σ('A`;)「――いや、それ早く言えよ!!」
(,,-Д-)「5分で済ませてやる。相談料から引いとくぜ」 ヨッコラセ
ギコは憎まれ口を叩きながら腰を上げ、外の車から道具箱を持ち込んで畳の修繕に取り掛かってくれた。
ξ;-⊿-)ξ「……お金の話も、親に伝えておきます」
(;'A`)「……ツンちゃんってさ、子供の領分を弁えてて正直すごいと思うぜ……」 グビグビ
俺は麦茶を飲みながら心から感心していた。
ツンちゃんは本当によく出来た姉だと思う。
弟が裸の大将みたいな格好のアホだと自然にこうなるんだろうか。
.
-
(;'A`)「んー……まぁなんだ」 ポリポリ
(;'A`)「俺もイラついてブーン殴っちまっててさ。
だからあんまり強く叱らないでやってほしいんだ」
(;'A`)「あとこれも難しいお願いだけどさ、
ツンちゃんには適当な頃合いでブーンの味方になってほしいんだ……」
ξ;゚⊿゚)ξ「……難しいですね。うちの親、叱る時は叱るので……」
ツンちゃんは自信なさげに俯いて答えた。
( ・∀・)「ちょうどいいじゃないか。厄介払いできて」
('A`)
(;'A`)「てめーは黙ってろ! 余計なお世話だ!」 ボソッ
( ・∀・)「そー言うなよ! どうせお前もすぐにこうなる!
実体が無いのも悪くないぞ! 風呂覗き放題だしな!」
('A`;)(……この野郎……)
(,,゚Д゚)「祭りにでも連れてって、仲直りしろよなー」
(;'A`)「……優待あるなら考えとく」
畳の上を直しつつアドバイスを装った営業を仕掛けてくるギコ。
俺は別に祭りに行くつもりはなかったが、ここはギコの言う通り、お祭りに金を落として仲直りするのが無難だろうか。
('A`)「ツンちゃんの家、外出禁止とかある?」
ξ;゚⊿゚)ξ「……最悪の場合はあります。でも、ブーンが素直にまた遊びに来るとは……」
ξ;゚⊿゚)ξ「あの、もしよければ連れてきましょうか?」
(;'A`)「いやいや、そんな無理矢理には……。
まぁブーンが機嫌直すのを待つよ、ありがとう」
.
-
〜しばらくあと〜
(,,゚Д゚)「んじゃあな。暇だったら事務所にも顔出してくれ」
('A`)「気が向いたらな」
ξ゚⊿゚)ξ「…………」 カチャッ…
('A`)「……どうかした?」
Σξ;゚⊿゚)ξ「あっ! ……いえ、また来ますね」
( 'A`)「おう。ばいばい」
一緒に昼飯(そうめん)を食べた後、ギコとツンちゃんはそれぞれやる事があると言って帰っていった。
しばらく彼らの背中を見送っていると、モララーが真剣な面持ちで話しかけてきた。
( ・∀・)「敵は今夜も来るだろう」
( ・∀・)「ルールは覚えているな? ちゃんと正体を隠して立ち回るんだぞ?」
('A`)「分かってるよ。向こうの正体、さっさと暴かねえとな」
……こっちの戦いにブーンが巻き込まれなくて済むのは正直安心した。
モララーいわく、敵はブーン程度のガキなら簡単に『交通事故』などの因果を結べるらしい。
そんな敵に目をつけられた俺はどうにかして敵に対処しなければならなかった。
だが俺には敵の正体が今も分からず、そして目に見ることすらできていなかった。
これを解消するには俺が敵の正体を掴む必要があるのだが、それは生前のモララーすら出来ずじまいに終わったとても難しい問題だった。
自分の正体を隠したまま戦い抜き、その中で敵の正体を先に暴く。
殺し合いとダウトゲームを組み合わせたような戦いは流石に俺も初めてで、先日も正直かなり苦戦を強いられていた……。
.
-
( ・∀・)「けっきょく私は敵の正体、その尻尾すら掴めずこの有り様だ。
極悪人にしかるべき因果を結ばれ、私は当然の帰結として君に殺された」
――敵は正体不明で、その解決に当たる俺やモララーでさえ倒し方が未だに分からない。
頭を吹き飛ばせば死ぬ相手ではない。言葉にして分解すれば倒せる敵でもない。
しかし、それでも俺はヤツの相手をするつもりでいた。
今までずっと人間を殺してきた男が最後に人外を殺してこの世を去る。
それは一人で首を括るよりずっとマシな終わり方だ。
ついでにガキも助けちまえば、きっと俺のお迎え役はキレイな天使様になるだろう。
( ・∀・)「君には一族の誇りの為に、というか私の憂さ晴らしの為にも勝ってもらうぞ。
勝負はこの先の一週間だ。夜は戦い通すことになる、休んでおきなさい」
('A`)「……ああ」
コトリバコ、くねくね、リアル、邪視、猿夢――モララーが生前調べた限りでは、敵の正体はそういうものでは無いらしい。
けれどもし敵の存在を分類するなら、それはきっと 『死ぬほど洒落にならない話』 以外にはありえないのだろうと、俺はにわかに思っていた。
この日を境に一週間。祭りの最終日が終わるまで、俺の屋敷には誰も訪ねてこなくなった。
18日目 おわり
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突然ですが今日から一週間ほど投下はお休みです! 紅白!
次回は27日から! 最終回は31日!
書くことが色々あるので最後は詰め込み気味になると思いますが、よろしくお願いします!
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乙乙
次回から一気に佳境か
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乙
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ドクオの死は確定事項かねえ
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乙
紅白頑張れ、応援してる
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祭りと紅白をかけてるのかな
続き楽しみにしてる
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ツンちゃんのカチャッは何なんだ…
ただの生活音ならいいけど撃鉄の音かと思った
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>>250
よそう
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先日ツンちゃんが台所の片付けもしてくれたっぽいし、その時ツンちゃんが銃見つけた→今日こっそり返却でもした可能性
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純粋な俺は普通に箸を置いた音だと思いました!
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>>253
それだな
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ドックンのチャックを外す音だろ
ふぅ…
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(^ω^)「こんにちはー!!」 ドンドンピンポンピンポン!!
ブーンがドクオと喧嘩してから、一週間が経過していた。
その間に開催されたお祭りには姉のツンと一緒に行ってきて、それなりに遊んで、それなり楽しんできた。
ブーンの夏休みはもうすぐ終わる。
宿題は終わった、自由研究の香川県特集も書ききった、この夏だけでセミを100匹は捕まえた。
友達ともいっぱい遊んだ。川で遊んだし、たまごっちもした。
(^ω^)「ドクオ遊ぼうおーーーーー!!」
しかし、どれだけ楽しい思い出を数えても、ラジオ体操のカードには一週間分の空白が残ったままだ。
一応ブーンは毎日ラジオ体操をしていたが、それを見たツンがハンコを押そうとすると、ブーンは頑なにハンコを拒んで逃げていた。
ドクオのがいいお、ドクオのがいいお。ブーンは一週間そう言い続け、ツンちゃんハンコから逃げ回ったのである。
.
-
――そして来たる今日、ブーンは遂にドクオとの和解交渉にやってきたのである!
(^ω^)「こんにちはー!!」 ダンダンダンダンダン!!!!!!
時刻は早朝6時30分。
空気は冷たく日差しは強い、そんな頃合いにブーンは屋敷の玄関を叩きまくっていた。
(^ω^)「もう忍び込まないから許しておーー!!!」 ピンポピンピピピピピンポーン!!
( ^ω^)「ドクオが好きそうな石もあるお! 機嫌直すおーー!!」
つ◯と
※ブーンはドクオが拗ねていると思っている。
(^ω^)「……」
(^ω^)「あっ手が滑った!」 ガラガラッ!!
ブーンは不慮の事故で手を滑らせ、思わず玄関を開けきってしまった。
てっきり鍵がかかっているものだと思っていた玄関はすんなりと開き、一週間ぶりにブーンを迎え入れてくれた。
(^ω^)「お邪魔します!! こんにちは!!」 スタスタスタ
正々堂々とした男らしい一声が屋敷に響き渡る。
ブーンはひとまず広間に入って虫あみ虫かごセットを畳の上に置いた。
虫かごの中にはドクオが喜びそうな雑草がみっちり詰まっていた。
ちなみに、ブーンのイメージは以下の通りだった。
(^ω^)「しょうがないお雑草あげるお」
('A`)「雑草うま」 モシャモシャ
〜ハッピーエンド〜
.
-
( ^ω^)「……」
ブーンはふと広間を見回した。
こないだ爆竹をブッ放したとこはすっかり元通りになっている。
それどころか、なんだか屋敷が全体的に色あせているような気もした。
そうこうしていると二階から軽い足音が下りてきた。
ドクオは広間で待ち構えていたブーンを見るや、面倒臭そうに溜息を吐いて見せた。
(^ω^)「ラジオ体操するお」
(;'A`)「……見てるから。庭に出ろよ、ったく……」
(^ω^)
夏休みは、今日を含めてあと5日だけだった。
27日目 おわり
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また明日!
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やった!再開!
今回の紅白のお薦めは?
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乙
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キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!
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ドクオしんどそうだな
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おひさ
-
乙
-
ドクオと仲直りしたブーンは翌日も朝からドクオの屋敷に来ていた。
ラジオ体操をやった後、二人は朝食のそうめんを食べながらけものフレンズの再放送を見ていた。
(;'A`)「あー腰いてえ…そうめんうめえ…」
(^ω^)「そうめんおいしいお!!」
⊃川 ヂュルヂュルヂュルヂュル!!!
v
□<ありがとう…元気で
(^ω^)
⊃川
('A`)
.
-
〜昼過ぎ〜
今日は二人で散歩に行くことになった。
目標地点は最寄りのスーパー(徒歩1時間)である。
≡(卍^ω^)卍「うおおおおおwwww」 ヒュンヒュンヒュン!!
(;'A`)「あんま虫あみ振り回すなよ…危ねえだろ…」
田んぼすらまばらな大自然のど真ん中、太陽の真下を、二人はテクテクと歩いていく。
ミ┌( ^ω^)┘「いい感じの茂みがあるお! ちょっと行ってくるお!」 ガサガサガサッ
('A`)「はい10〜…9〜…8〜…7〜…6〜…」
⊂(^ω^ )≡ 「ねーちゃんの髪みたいな針金があったお!!」 ドテドテドテドテ
ξと
('A`)「おお、よかったな」
(^ω^)「帰ったらねーちゃんにあげるお!」
ブーンは針金をポケットに突っ込んでまた駆け出した。
.
-
('A`)「あんま先に行くなよ〜追わねえからな〜」 トボトボ
(^ω^)「アアーッ!! ハイカラな蝶が飛んでるお!! セミと戦わせたいお!!」 ダダダダダ
ブーンは「蝶とセミと戦わせたい」という純粋な動機で命を狩りに向かった。
それから30秒くらいしてドクオがブーンに追いつくと、その頃にはもうブーンの虫かごにハイカラな蝶が捕まっていた。
(^ω^)「見てこれ蝶、すごいお」
('A`)
ドクオはふと足を止め、道外れの茂みに近付き、恐ろしく速い手刀を茂みに突っ込んだ。
そして、ゆっくりと茂みから引き抜いたその手には――
(^ω^) !?
('A`)「……でけーカマキリだ。すごいだろ」
(^ω^)「そ、そんな……」 ガクッ
ブーンは、敗北感に堪え切れず膝から崩れ落ちた。
でもそのカマキリを貰えたのですぐに持ち直した。
('A`)「駄菓子屋に寄ってくか」
( ^ω^)「つかれたお」
.
-
〜駄菓子屋〜
lw´‐ _‐ノv「へいらっしゃい。今日はポイント10倍デーだよ」
(^ω^) !?
('A`)「値段も10倍ってオチだろ」
(^ω^) !?
lw´‐ _‐ノv「ふ、よく分かったね。都会の瞬発力だね」
(^ω^)「…これがオトナの頭脳バトル…」
('A`)「ブーン、お前が今までどういう大人を見て育ってきたか察したよ…」
駄菓子屋の店主・素直シュールはドクオと同い年くらいのアホだった。
作中では一切描かれなかったが、ドクオはここにラムネを買いに来る度にシュールとアホっぽいやり取りをしていたのだ。
.
-
( ^ω^)「シューちゃんこれ見てお」
つξと
lw´‐ _‐ノv「うわ、チン毛みたいな針金だね」
(^ω^)
('A`)「ブーン、ツンには絶対言うなよ」
lw´‐ _‐ノv「ははは。股間がチン毛まみれだと言うことも違うね」
(;'A`)「……大人の男はみんなチン毛まみれだ」
lw´‐ _‐ノv「ブーンちゃんもいずれ、まみれるんだよ。でも、恥ずかしい事じゃないからね」
(^ω^)「わかってるお! 大人はみんなモジャモジャだお!」
('A`;)「……シュール、お前こいつに変なこと吹き込んでねえだろうな?」
lw´‐ _‐ノv「まさか! ブーンちゃんは純粋だからね、何を言っても元気に返されちゃって」
('A`;)「ならまぁ、いいけどよ……」
lw´‐ _‐ノv「でもツンちゃんは手遅れかな」
('A`;) !?
シュールは諸悪の根源だった。
-
〜舗装された道〜
駄菓子屋で買った駄菓子を食いながら行軍を続けるブーン一行。
やがて彼らはアスファルトの道に到達し、辛うじて車の音が聞こえるエリアに入っていった。
(^ω^)「この蒲焼さん太郎……かってえお!!」 バキッ!ボリッ!
(;'A`)「あの女、シケてるやつ掴ませやがったな…」 バリッボリッ
民家が並び、道があり、車の音も一応聞こえる。
5分10分と歩くごと、周囲の風景からは自然が消えて人の活気が増えてきた。
そうこうしている内に、二人はスーパーに到着した。
(^ω^)「おっちゃん! これ持っててお!」
つ□と
_、_
( ,_ノ` )「あいよ。預かったぜ」
食品売り場に虫あみ虫かごを持ち込むわけにはいかないので、併設された花屋のおっさんに虫を預ける。
('A`)「なに買うかな〜…」
(^ω^)「グミ」
('A`)「野菜はあるし、肉と…菓子と…日用品か」
(^ω^)「グミ」
それからドクオは普通に買い物をして、普通にスーパーを出た。
グミは買わなかった。
28日目 おわり
.
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また明日!
>>260
二階のやつです!
-
あれドクオ蟷螂触れるのか
-
グミ買ってあげてよお〜!
-
乙
-
乙。蒲焼きさん太郎とわさびのり太郎は冷やしてバキバキ食べるのがジャスティス
-
完結目前だけど凄くほのぼのしている……
-
〜夕方〜
(^ω^)「帰るお!!!」
今日も散々遊んだので、ブーンは日が落ちる前に帰ることにした。
扇風機の前を陣取って日暮れの涼風を浴びていたブーンは立ち上がり、虫あみ虫かごを持って玄関に駆け出した。
('A`)「あ、ちょっと待て」
(^ω^)「お?」 ピタ
('A`)「……あー……」
(^ω^)「……なんだお?」
呼び止められたのにドクオは何も言ってこない。
ブーンは首を傾げて彼の言葉を待った。
('A`)「……いや、なんでもない。明日も来るのか?」
(^ω^)「来るお」
.
-
('A`)「……ちょっとこっち来い」 チョイチョイ
ドクオの手招きに応じて広間に戻るブーン。
ドクオはブーンを畳に座らせ、首にかけていたラジオ体操のカードを何も言わずに取り上げた。
┌(^ω^)┘「何するんだお!!」
( 'A`)「……明日と明後日、家を空ける。2日分ハンコ押しといてやる」 ポンッ
└(^ω^)┘「アアーッ!! やめてお!! ズルだお!!」
そう言ったドクオはブーンの制止を振り切ってカードにハンコを押した。
ついでに空白の一週間にもハンコを押してやった。ブーンは膝から崩れ落ちた。
(^ω^)「そ、そんな…」ガクッ
(;'A`)「…でもどうせやるだろ? ラジオ体操」
(^ω^)「やるけど…達成感が…」
(;'A`)「……とにかく、明日明後日は居ないから。
うちに来ても誰も居ねえからな。いいな」
(^ω^)「ドクオにラジオ体操を奪われたお…」
('A`)「実は昨日グミ買ってたからやるよ」 ポイッ
(^ω^)「ドクオのそういうとこ好きだお」
ブーンはグミを持って帰っていった。
.
-
.
-
――もうすぐ日付が変わるという頃。
ドクオは最低限の武装を済ませた後、裏山の森に足を踏み入れていた。
しっとりとした山の冷気が全身をふんわりと煽る。動物や虫の気配も、今は無い。
( ・∀・)「何度やっても変わらんぞ」
('A`)「…まだ20回もやってねえだろ」 ガサガサ
裏山の森は、もう何十年も手付かずの状態で放置されていた。
とてもじゃないが、ここは普通の人間が安易に立ち入れる場所ではない。
人が通る為の道は無く、木々は密集して濃い影を落とし、そして、だからこそ人間の死体を処理するには丁度よかった。
( ・∀・)「昨日も敵の正体は目に見えず、一方的に傷を受けて終わり」
( ・∀・)「私はもう協力できんぞ。お盆パワーも限界だ」
('A`)「お前はさっさと成仏しろよ。アレはなんとか始末しとくから」
組織で始末した人間の死体は日本各地で多くの手順と時間を掛けて処理されている。
この裏山もその一つで、当然ここにはドクオが殺した人間の死体も転がっているし、なんならモララーの死体もここにある。
なので正直なところ、この裏山は怨霊の一人や二人は出てもおかしくない環境なのであった。
( ・∀・)「お、お前に絞殺された奴が凄い目を向けてきてるぞ」
(;'A`)「余計なこと言うな」
( ・∀・)「お前を絞め殺したいってさ。ははは!」
直後、バスン、と潰れた銃声が木陰を貫いた。
('A`)「当たったか?」
( ・∀・)「ジャストヒットだ」
('A`)「幸先いいな」
ドクオは拳銃を懐に戻し、山を登った。
.
-
( ・∀・)「……これは、私の予感なのだがな」
('A`)「……ああ」
( ・∀・)「……多分お前は、私の後を追う事になるよ」
('A`)「……だろうな」
( 'A`)「せめて、敵の姿くらいは拝んでから死にてぇな……」 ガサガサ
ドクオとモララーは木々の奥へと突き進み、今夜もまた、姿形すら無い敵との戦いに臨むのだった。
翌朝、ドクオは屋敷に戻らなかった。
29日目 おわり
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-
また明日!グミを食べよう!
-
期待
-
おつっす
-
敵倒さないとブーンも道連れなんだよな
バッドエンドにはならないでほしい
-
ほのぼのと見せかけてえぐいブームをひっくり返してくれ……
-
乙
-
| ^o^ | やめてくださいしんでしまいます
-
| v o ∨ |
-
('A`)ドクオの夏と夏休みのようです(^ω^)
30日目 夏の終わり
.
-
〜8月30日 午前1時〜
闇夜の森に草葉が舞い上がる。
夜空から差し込む月光の合間を疾走し、ドクオは敵に肉薄した。
(# A`)「――ッ」
ドクオの手には70cmほどのビニール紐。
数十本が束になり綿密に織り込まれたビニール紐は、その安価さ軽量さに反して武器として十分な強度に達していた。
夜間に銃声を響かせる訳にもいかない以上、ドクオの武器はこういったものに限定されていた。
(メA::)
(# A`)
ドクオは敵の姿を視認する。
ここ半月の戦いを経て、敵は少しずつドクオに似た姿形を獲得しつつあった。
――少しずつ、敵はドクオの正体に近付きつつあった。
( ・∀・)「バレたら即死だぞ。因果結ばれて終わりだからな。ははは!」
(;'A`)「黙ってろ!」
とはいえ、敵が人間の姿になった事でドクオは幾分か戦いやすくなっていた。
自分に似てはいるが自分よりも弱い相手。殺す事は容易かった。
(メA::)「――ぅ、ァ」
接近してくるドクオを払い除けようと、敵は腕を振るって攻撃してきた。
ドクオはそれを難なくすり抜けて背後に回り、敵の首にくるりとビニール紐を巻きつけた。
(# A`)「――ッ!」 ガシッ!!
紐の両端を片手で掴み上げ、空いた片手を敵の口内に無理矢理ねじ込む。
直後ドクオは敵の喉奥を指でかき混ぜ、嘔吐中枢を利用して体内の空気を完全に抜き出して見せた。
その間にも敵は凄まじい嘔吐感と窒息感に見舞われていたが、首を括られているせいで吐瀉する事もままならず、やがて、敵は人間のように死に絶えていった。
.
-
( ・∀・)「……あ、倒したのか?」
('A`)「……見りゃ分かんだろ」
( ・∀・)「ふむふむ。なら、これで4人目だな」
(;'A`)「……数えるな。意味ねえ数字だ」
どさ、と敵の死体を地面に放る。
敵の肉体は黒い灰のようなものに変わっていき、夜風に吹かれて形を失った。
(;'A`)「うわ、きたね」
口内に突っ込んでいた手には黒い灰がへばりついている。
ドクオはズボンで灰を拭ってから、敵の次の出現を待ち構えた。
('A`)「……なあ、敵の正体が分かれば本当にどうにか出来るのか?」
( ・∀・)「分からん。正体が分からんから、どうにか出来るかも分からん」
(;'A`)「……正体が分かった上で、どうにも出来なかったら?」
( ・∀・)
( ・∀・)「死ね」
(;'A`)「……だよな……」
しかし、半月ほど敵の変化を見ている内に、ドクオだけは敵の性質を少なからず推察出来ていた。
敵はまず獲物となる人間を決め、段々とその相手を模倣していく事で相手を理解していく。
理解していくその最中に 『死んで当然・仕方無い』 と定義できる事柄があれば、最後にその事柄を起点に然るべき因果を結びつけるのだ。
モララーの場合なら数々の悪事がその事柄に該当し、ドクオなら今まで行ってきた殺人がそれに当たるだろう。
だから敵に正体がバレてはいけない。彼らが自分の立ち位置を明言してこなかったのは、正しい対処だったのだ。
.
-
(;'A`)「……まったく、俺は何と戦ってんだか……」
( ・∀・)「今まさにそれを探っているのだよ。
私の知識で対応出来る相手なら、いいのだがな」
あれとか、あれとか――……。
モララーは自慢気に怪異の名前をつらつらと並べていったが、ドクオは聞く耳を持たなかった。
ドクオは次に備えて武器を再確認している。
その様子に、『未知のものと戦っている』という恐怖は微塵も表れていない。
( ・∀・)「……」
('A`)「……ま、こうやって殺せるなら大した相手じゃねえよ。
音を上げるまで人間と同じように殺しまくればいい訳だし、俺は俺の正体を隠してれば死にゃしない」 ヨッコラセ
ドクオの前に次の敵が現れる。
敵はやはりドクオのような姿形で、光を失った双眸で彼の事を睨んできていた。
( ・∀・)「……ところでなんだが」
('A`)「手短に」
( ・∀・)「君は、あれが怖くないのか?」
('A`)
('A`)「――怖くないね」 タッ
ドクオは再び地を蹴って飛び出した。
敵と数分の攻防をした後、ドクオはサイレンサー付の拳銃で敵の頭蓋を撃ち抜いた。
死んだ敵は地面に倒れ、また灰になって散っていった。
('A`)「……で、それがなんだよ」 スタスタ
( ・∀・)「……確信を得るまで、言わないようにと思っていたのだが」
戻ってきたドクオにそう言って話しかけるモララー。
ドクオは話を聞きながら地面に腰を下ろし、武器を再確認し始めた。
.
-
( ・∀・)「――君にはもう、敵の姿が見えているのか?」
('A`)
ピタ、とドクオの動きが止まった。
( ・∀・)「いや、さっき人間と同じようにと言っただろう?
だがな、私の目には 『人間のように殺せる相手』 など映っていないんだよ」
(;'A`)「……お前、俺が何と戦ってるように見えてたんだ?」
( ・∀・)「私の時と同じだ。黒いモヤで、霧のようで、形なんかない 『有耶無耶』 だぞ」
もう次の敵が襲い掛かって来ていた。
ドクオはまた駆け出して、そして自分みたいな奴を殺してから、また戻ってきた。
('A`;)「今のやつもか?」 テクテク
( ・∀・)「そうだ。私には姿形が見えない。君には何が見えている?」
('A`;)「……俺も最初はお前と同じだった。
だが、敵は少しずつ俺に似た姿に変化してきてる」
( ・∀・)「……私の時には無かった事象だ。
私には見えず、君には見えると来たか……」
モララーは宙に浮いてあぐらをかき、顎をさすって思案し始めた(彼は幽霊のようなものなので宙に浮けるのだ)。
既に二人の見ている事象は異なっている。
ならば、異なっている原因を見つける事で敵の正体に――
( ・∀・)「――……ああ、そうか」
――敵の正体に、到達出来る。
.
-
( 'A`)「……正体が分かったなら教えろよ。あと対処法も」
( ・∀・)「いや、私には分からない。だが、君には分かるのだろう」
モララーはそう言い、振り返ってドクオに背を向けた。
,_
('A`)「……どういう意味だ?」
( ・∀・)「敵の正体は、私には無くて、お前にはあるものだ」
( ・∀・)「自覚しろ。それだけでいい」
,_
('A`)「……なんだそれ」
( ・∀・)「私もそう思う」
モララーはあっさり答えて歩き出した。
( ・∀・)「はーあ」
(; ・∀・)「……やれやれ。私は、こんな稚拙なものに殺されたのか……」 テクテクテク
露骨に興味を失い、さっさと歩を進めていくモララー。
作務衣姿の幽霊っぽい男は振り返る事もせず、そのまま山を下りていった。
(;'A`)「……なんだよ」 クルッ
モララーの背中を見送ったドクオは呟いて視線を戻した。
早くも次の敵が姿を現そうとしている。地面の上に黒い灰がそびえ、段々と人間の形に近付いていく。
.
-
('A`)(……あいつに無くて、俺にあるものか……)
('A`)(自覚しろって事は、俺が無自覚でいる何かだ……)
('A`)
――君は怖くないのか、というさっきの問いが脳裏をよぎる。
恐怖。こわいもの。
ドクオはふと、そんな言葉に思い至った。
( A`)「……お前、まだ気付かないんだな」
('A`)「……んだと?」
そう言って相手を貶したのは、ドクオではなく、敵の方だった。
敵はもうすぐ、ドクオの正体に到達しようとしていた。
.
-
.
-
〜8月30日 午前7時〜
┗(^ω^)「こんにちはーー!!」
問答無用で朝からこんにちはし続けて一ヶ月、今日も元気にこんにちは。
昨日の話も無視して遊びに来たブーンは、今日も元気に玄関前で荒れ狂っていた。
(^ω^)「くっそー! 負けないお!」 ピピピピピピンポーン!!!!!!!!!!!
ξ;-⊿゚)ξ「……ほら、やっぱり居ないんじゃない」
一緒に来ていたツンは呆れ顔でブーンを見遣り、長い溜息をついた。
夏休みも残り二日。夏休みが終わる前に、ツンも少しくらいドクオの顔を見ておきたかったのだ。
(^ω^)「ねーちゃんはそういうとこがダメなんだお!!
ドクオなんてどうせ嘘ついて部屋にこもってるんだから呼べば出てくるお!!」
ξ*゚⊿゚)ξ「……かも知れないけど、畳の上で爆竹やって、今度は玄関叩き壊したなんて事になったら」
(^ω^)「ねーちゃん顔赤いお!」
ξ*-⊿-)ξ「とにかく! 物は大事にするの! 分かったら返事!」
(^ω^)「へーい(ドクオが好きなのバレバレだお! でも言うと怒られるから言わないお)」
ブーンは利口だった。
.
-
ξ゚⊿゚)ξ「……とりあえず今日は帰りましょう。
夏休みも終わりなんだから、帰って学校の準備しちゃいましょ?」
(^ω^)
(^ω^)「疲れたしそうするお」
――ガラガラッ!
从'ー'从「……あんれぇ、二人ともどしたぬぉ?」
そのとき、玄関を開けて渡辺が表に出てきた。
(^ω^)「あっ!! あの、…コレくれた人!!」
从'ー'从「あ〜勾玉持っててくれたんだにぇ。久し振り〜」
ξ゚⊿゚)ξ
男の家から薄着の女が出てきた。
人知れずツンの夏は終わった。
.
-
(^ω^)「おねーさんこんにちは!!」
从'ー'从「こんにちわ〜。それで、何の用かにゃ?」
(^ω^)「遊びに来ました!! 居ないって言われたけど!!」
从;'ー'从「……そ、そっかあ。でも、ドクオ君はほんとに居ないゆぉ」
渡辺はブーンの行動に困惑しつつ、たじろいでそう答えた。
ξ゚⊿゚)ξ「あの、あなたはだれですか」
从'ー'从「……あれ」
ツンに話し掛けられた渡辺は、彼女の服から覚えのある臭いが漂ってきている事に気がついた。
从;'ー'从「……もしかしてキミ、なんか、こう……鉄とか持ってる?」
ξ;゚⊿゚)ξ「……えっ」 ドキッ
.
-
从;'ー'从「……」
ヤバい、と渡辺は思った。
ツンくらいの年齢ならアレが本物の拳銃だと分かってしまうだろう。
ブーンはアホなので誤魔化せたが、今度ばかりは難しい……。
ξ゚⊿゚)ξ「……ブーン、ちょっと先に帰っててくれない?」
(^ω^)「やだお!」
从;'ー'从(あや〜…これもうバレてるゆぉ…)
ξ゚⊿゚)ξ「帰ったらグミあげるから」
(^ω^)
≡┌(^ω^)┘「帰るお!」 ドテドテドテドテ
ブーンは颯爽と帰っていった。
.
-
ξ゚⊿゚)ξ「…………」
从;'ー'从「…………」
ξ;゚⊿゚)ξ「……これ、やっぱり本物だったんですね」 スチャ…
ツンはそう言い、ポケットから恐る恐る例の物を取り出してきた。
以前ブーンが台所から盗み出し、渡辺が取り戻し、ドクオがまた隠したはずの拳銃――
从'ー'从「……誰かに言った?」
ξ;゚⊿゚)ξ「言ってないです。その、身の危険は感じてたので…」
彼女は以前、台所を片付けた折にドクオの拳銃を見つけてしまっていた。
今まで元の場所に戻す機会は窺っていたのだが、どうにも踏ん切りがつかず、今日まで持ち歩いてしまったのだ。
ξ;゚⊿゚)ξ「私も少しは、この辺にどういう人が住んでるかは知ってます。
干渉しないようにって親にも言われてきました…だから、お返しします」 グイッ
从'ー'从「……なら、キミにもこれをあげないとにぇ」 スッ
押し付けられた拳銃と交換するように、渡辺はツンの首に勾玉のネックレスを掛けてあげた。
ξ゚⊿゚)ξ「……これって、ブーンがつけてるのと同じ……?」
从'ー'从「そだゆぉ。まぁー……お守りみたいなものだにぇ。
あと、今日と明日はそれは外さないようにしててにぇ」
ξ;゚⊿゚)ξ「は、はあ……」
.
-
从'ー'从「……今日はもうお帰り。
それと、もうこの屋敷の事は忘れてにぇ」 ドンッ
そう言った直後、渡辺はツンの背中を強い力で押し出した。
ξ;゚⊿゚)ξ「わ、わ」
勢いよくよろめき、数歩玄関から離れされるツン。
踏み止まった彼女が振り返ると、そこにはもう、誰の姿も見えなかった。
ξ゚⊿゚)ξ「……居ない?」
ξ゚⊿゚)ξ
ξ;゚⊿゚)ξ「……ていうか、私、なんで空き家に……?」
ツンは訝しげに屋敷を見上げると、気味悪がるように身を縮こまらせて去っていった――……
.
-
.
-
〜8月30日 午後10時〜
( ・∀・)「……そうか。ガキの方はそう始末をつけたのか」
从'ー'从「うん。変に巻き込むのは本意じゃないからにぇ」
モララーと渡辺は縁側に並んで座り、花鳥風月と共に夜を過ごしていた。
お盆パワーが限界に達したモララーは今日で現世を発たねばならなかった。
とつ、 ←箸を刺したナス
゙
モララーは上のやつに乗ってあの世に帰る。
こんなアホっぽいシーンにおいて、しかし、二人は極めてシリアスな表情で言葉を交わしていた。
( ・∀・)「それと、敵の正体がおおよそ分かったよ」
从'ー'从「ほんと? やったにぇ〜!」
( ・∀・)「――名前を付けるなら、あれは 『こわいもの』 と呼ぶべきだろう」
( ・∀・)「あれは、私のように 『こわいもの』 を持たない人間を取り殺す、何かだ。
私は生前かなりの数の罪を犯してきたが、死んだ今でも罪悪感は無いし、反省も後悔も無い――」
.
-
( ・∀・)「――ああ、だからこそ私は殺された。
目に見えんものを怖がらないから、現実の中で、当然の末路を用意されて殺された」
( ・∀・)「他者の――死者の怨恨に怯えないという事は、どうやら相当の恨みを買うらしい」
モララーはそう言い、目を閉じて自嘲した。
生前から、モララーはこの世の何に対しても恐怖心を抱いた事がなかった。
彼が呪いにまつわる物品を集めていたのも、ひとえに呪いへの恐怖心を微塵も持っていなかったから。
モララーは死霊や妖怪の存在は信じていたが、その存在には一切の恐怖を抱いていなかったのだ。
――恐怖しない。それは、誰からの干渉に対しても、完全無視を決め込むという事。
生者を無視し、死者を無視し、あらゆる悪事に手を染めながら顔色一つ変えずに生きていられる。
畏怖を介して人を脅かす『向こう側』の存在にとって、モララーのような男は天敵以外の何者でもなかったのだ。
そしてそんな男を殺すためにこそ 『こわいもの』 は発生した。
恐怖心を持たない者を、現実の中で、現実の事象を用い、当然の帰結として呪い殺すもの。
それが 『こわいもの』 であり、ドクオを殺そうとする敵の正体であった。
.
-
从;'ー'从「……やっぱり、キミはすごいにぇ。
キミを呪い殺す為だけに、新しい『何か』を産ませるなんて……」
( ・∀・)「はは。なに、それくらい私が人道を外れた外道だったという事だ。
けれどドクオには 『こわいもの』 が見えているようだったし、まぁ大丈夫だろう」
( ・∀・)「あれは私のような、怯えも恐れも持たない非人間を殺すだけの存在だ。
普通の人間には……普通にビビる相手には、何の危害も及ぼすまい」
从'ー'从「……それで、彼はビビってた?」
( ・∀・)
( ・∀・)「あれ、そういえばビビってなかったな」
从;'ー'从「…え、ダメじゃん! キミみたいに殺されちゃうゆぉ!?」
( ・∀・)「まぁ〜自分を殺した相手の正体も対処法も分かったし、私は満足だし」
( ・∀・)「ドクオが死のうと生き残ろうと、ぶっちゃけどうでもいいしな!」
从;'ー'从
モララー、そういうとこだぞ。
.
-
( ・∀・)「飽きたしそろそろ帰る! あの世の化け物達がもう恋しいよ」
縁側を下りて立ち上がり、モララーは小さなナス・ウシの上に片足立ちした。
するとナス・ウシは空高く浮かび上がり、モララーをあの世へと運んでいった。
( ・∀・)「あれの決着は明日のはずだ。
また店に行くから、その時にでも結末を語り聞かせておくれよ」
从'ー'从ノシ「は〜い、また来年にぇ〜」
渡辺は手を振ってモララーを見送り、やっぱあいつクズだなと一考するのだった。
从'ー'从「……」
裏山を見上げ、ドクオの事を想像する。
『こわいもの』を払うなら、要は己の恐怖心を認めればいい。
たった、たったそれだけでいいのだ。
それさえできれば、敵はドクオを殺そうとはしなくなるだろう。
从'ー'从「…………」
しかし渡辺は気付いていた。
『こわいもの』が殺そうとしているのは、人並みの恐怖心を持たないドクオだけだ。
ブーンのように純粋に喜怒哀楽を表す子供を 『こわいもの』 は殺さない。
从'ー'从「……がんばってにぇ」
ならば、これからブーンを殺すものとは一体何なのか。
その正体に、渡辺はもうとっくに気付いていた。
.
-
ブーンの夏休みは、明日で終わる。
30日目 おわり
.
-
またあし…今日になってしまった! また今日! 最終回!
それと、最初は曽祖父だったモララーが途中から祖父になっていますが、
祖父の方が都合がいいので、そういう事にしてもらいたいです!
ミスですごめんなさい! また今日!
-
>>311
ワロタ
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乙乙
ツン(´・ω・`)
-
乙
俺のログには何もないな <曾祖父
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おつ
いよいよだあねぇ
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どうなるんや
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え?最初から祖父じゃなかった?
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最初から祖父だったぞ
作者は狐狸に化かされてるのか?
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曾爺さんの屋敷とは書いてる
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最初から読め
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>>319
>>320
-
>>2にひい爺さん〜とは書かれているけど、それのことじゃないの?
顔も知らないひい爺さん(顔も知らないまま殺したモララー)だと読んでたんだが。
-
('A`)ドクオの夏と夏休みのようです(^ω^)
31日目 夏休みの終わり
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-
| ̄ ̄(^ω^) ̄ ̄| スヤスヤ
|\⌒⌒⌒⌒⌒⌒\
| \ \
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\ |_______|
| ̄ ̄(^ω^) ̄ ̄| !
|\⌒⌒⌒⌒⌒⌒\
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\ |⌒⌒⌒⌒⌒⌒|
\ |_______|
午前6時、起床。ブーンの朝は早い。
.
-
三三└(^ω^)┐ ドテドテドテドテ
へ ┐
(^ω^)「みんなおはようお!」
ξ゚⊿゚)ξ「おはよー」
J(^ω^)L「おはようブーンちゃん! 今日も早起きできて偉いわね〜」
(^ω^)「おかーさんおはようだお!」
ξ´・_ゝ・`)ξ「ブーン、パパにも挨拶しなさい」
(^ω^)「やだお! モーツァルトみたいな頭しやがって」
ξ´・_ゝ・`)ξ「これ反抗期だよ母さん」
J(^ω^)L「そういうものです」
ξ゚⊿゚)ξ「今日もラジオ体操するんでしょ? 付き合うから外行きましょ」
└(^ω^)┘「だいいちーーーーーーー!!」
Σξ;゚⊿゚)ξ「リビングで始めるな! ほら行くわよ!」 グイー
(^ω^)「圧政を感じるお」 ズルズルズル…
.
-
(^ω^)「――おっ?」
ラジオ体操をするべく庭に出たツンとブーン。
すると、タイミングよく家の前にギコ屋の社用車が停車した。
(,,゚Д゚)「よぉ。朝から元気だな」
車から降りてきたギコは脱帽し、ブーン達に軽いあいさつをして見せた。
(^ω^)「街の便利屋ギコ屋さん!」
(;,,゚Д゚)「…もうそのCM忘れてくれよ。つかなんであんな昔のをブーンが…」
ξ゚⊿゚)ξ「なにか御用ですか? 親なら中に居ますけど」
(,,゚Д゚)「…あーいや、ちっと道を聞きたくてな」
ξ゚⊿゚)ξ「……道ですか? この辺の?
ギコさんでも分からない場所、この辺にあるんですか?」
(;,,゚Д゚)「……そーなんだよなぁ……」 ポリポリ
ギコは何と答えるべきか言葉に迷った。
ツンの言った通り、ギコはこのクソ田舎の土地を隅々まで知り尽くしている。
(;,,゚Д゚)「知ってるはずなんだけどよぉー……なんでか頭の地図が繋がらねえんだわ……」
ξ゚⊿゚)ξ「……はあ……」
彼自身、他の誰かにクソ田舎の道を尋ねるのは初めてだった。
ド忘れとは違う奇妙な感覚――知っている、覚えているのに辿り着けない。
そんな不可解な感覚に導かれ、ギコはこうしてブーン達の前に現れたのだった。
.
-
(;,,゚Д゚)「――ほらあれ、しばらく前に家主が逝って空き家になったトコあるだろ?」
ξ゚⊿゚)ξ「……あっ、あの不気味な!」
(;,,゚Д゚)「そうそう! あそこに行けって朝から親父がうるせえんだ……」
ξ゚⊿゚)ξ「あそこなら昨日、私も行きましたけど――」
(;,,゚Д゚)「おっマジか」
ξ゚⊿゚)ξ
ξ゚⊿゚)ξ「――……あれ」
昨日確かにそこに居て、見てきた筈の古屋敷。
ツンは会話の流れで屋敷の事を想起していたが、屋敷までの道順や、あの屋敷に誰が居たかも彼女は思い出す事が出来なかった。
知っている筈なのに――と、ツンはギコと同じように自分自身を訝しんだ。
ξ;゚⊿゚)ξ「……あれ、なんで思い出せないんだろう」
(;,,゚Д゚)「……まさかツンちゃんもか?」
ξ;゚⊿゚)ξ「……ちょっ、ちょっと親に聞いてきます!」 ダッ!
おかしな感覚に恐怖を覚えたツンは急いで家に戻っていった。
中からツンの大声が聞こえてくる。この異様な事態は、どうやらギコ一人で収まるものではないようだった。
.
-
>>322
いや、単にみんな解っててとぼけてるのにマジレスするやつが居るのが滑稽なのよ
-
<(^ω^)/ 「チャーーーーン!! チャーーーン!! チャーーーン!!」
(;,,゚Д゚)「……ブーンはなんか思い出せねえか。あの屋敷のこと」
ギコは勝手にラジオ体操を始めていたブーンに声を掛けた。
\(^ω^)>「わかんないお! でも多分あっちだお!」 ビシッ!
ブーンはラジオ体操ついでに遠くの山を指差した。
いや、そんな曖昧な…と呟いた後、ギコは頭を振って踵を返した。
(,,゚Д゚)「まぁ俺は俺でもうちょい探すわ。
シラミ潰しで行けねえような場所、この田舎にはねえしな」
(,,゚Д゚)「ツンちゃんによろしく。最後の夏休み、めいっぱい楽しめよな」
ギコはそう言い残して車に戻った。
それと入れ違いになって家から出てきたツンは、ギコの車が発進するのを見送ってからブーンに目を向けた。
ξ;゚⊿゚)ξ「……ギコさん、なにか言ってた?」
└(^ω^)┘「よろしくって! 言ってたお!」
┌ ┐
ξ;゚⊿゚)ξ「そう……」
中で親にも聞いてきたが、結局屋敷への道は分からずじまい。
彼女の胸中には、なんとも言い難い不安と恐怖が残ったままだった。
.
-
≡┌(^ω^)┘「ラジオ体操おわり!! ハンコ押してお!!」 ドテドテ
きびきびとラジオ体操を終えたブーンはカードを持ってツンの前に駆け寄ってきた。
ξ;゚⊿゚)ξ「え? あ、はいはい……」 スッ
彼女は特製ツンちゃんハンコを取り出しながらカードを受け取り、31日の欄にポンと捺した。
31日のハンコが二重になってしまったが、ツンは気付いていなかった。
ξ゚⊿゚)ξ「うんうん」
カードいっぱいに並んだハンコを一望して、我が弟ながらすごい、と素直に感心する。
ツンはブーンの頭をなでてやり、彼の首にラジオ体操カードを戻した。
ξ゚⊿゚)ξ「これで皆勤賞ね。すごいわよ、ブーン」
(^ω^)「ドゥフw 皆勤賞は焼肉がいいお!」
ξ゚⊿゚)ξ「そうねぇー…私からもお願いしてみようかな」
ピョイン!
( ^ω^)┘ やったおー!
└( )へ
/
ξ゚⊿゚)ξ「じゃあ戻って朝ご飯にしましょうか。焼肉ねだらないとね」 クルッ
(^ω^)
└(^ω^)┐「先に遊びに行ってくるお!!」 ダダッ
Σξ;゚⊿゚)ξ「――えっ!? ちょ、どこ行くの!?」
≡≡≡(^ω^)「いってきまーーーーーー!!」ドテドテドテドテ
.
-
.
-
(; ^ω^)「はっ……はっ……!」 ドテドテドテドテ
――セミの鳴き声は確実に減ってきていた。
夏が終わろうとしている。
そして、それだけではない何かが終わってしまうと、ブーンは漠然とした恐怖を感じていた。
(; ^ω^)(ねーちゃん、気付いてなかったお!
カードのハンコ、ドクオのハンコ見ても思い出さなかったお!)
ブーンがドクオの存在を思い出せたのはラジオ体操のハンコを見た瞬間だった。
習慣として行っていた筈のラジオ体操から感じた違和感――ギコとツンのやり取りを聞いて、ブーンの違和感は確信に変わっていた。
(; ^ω^)(やべーお! ドクオが心配だお!)
みんなで自分を騙そうとしていたならそれでいい。
だが、自分の中で自分ではない 『なにか』 に騙されていた事だけが、ブーンには不気味でならなかった。
(; ^ω^)「…えっと、お屋敷は……」 キョロキョロ
ブーンは立ち止まって辺りを見回す。
クソ田舎特有の大自然がブーンを包囲し、屋敷への道を深く閉ざしている。
セミの鳴き声なんてもうどこからも聞こえない。夏の暑さも消えかけている。
(^ω^ ;)「えっと、……えっと……!」 キョロキョロ
全部、覚えているはずだった。
記憶の中には確かにあの不貞腐れたドクオの顔がある。
整えればイケメンになるのに…とツンが呟いていた事も覚えている。
セミを持ってって屋敷で放った事も覚えている。
ラムネを飲んだのも覚えている。裏山でスイカ割りもした。
一緒に定食屋にも行った。アホほどラジオ体操をして、食べ飽きるほどそうめんを食べまくった。
.
-
(; ^ω^)「――多分あっちだお!」 ダッ
記憶は確かに残っている――なのに、残っている記憶が一つ一つ消えていく。
思い出す度に記憶が消えていく。思い出なんて残らない。ほらもうスイカ割りの事を忘れている。
(; ω )「――――ッ」 バッ
ブーンは草むらに飛び込んで全速力で走り出した。
自分より背の高い草が視界を塞ぎ、道を潰してブーンを阻む。
出口は見えない。思い出は消えていく。何も残らない。
夏が終わってしまう。ブーンは終わっていく夏を追い駆けるように、ただひたすらに走り続けた。
――走り続けていると、やがて、ブーンは開けた場所に出ることができた。
( ^ω^) キョロ
(^ω^ ) キョロ
足元の雑草は円形になるよう踏み潰されていた。
背高の草がブーンを取り囲んでいる。風が吹き、小さな草葉が夏空に舞い上がった。
.
-
「――……死んじゃうかもよ」
( ^ω^)
聞いた事がある――と思った瞬間に記憶が消えた。
ブーンに向けられたその言葉は、聞いた事の無い、女の人の声だった。
「誰も居なかったことにして、今日は帰ろう?」
.
-
「……キミは、こわいもの、ある?」
( ^ω^)「……あるお」
( ^ω^)「このまま夏休みが終わっちゃうのは、すごくこわいお」
――ふたたび、風が吹いた。
冷たい風だ。
しかし、風の中にはセミの鳴き声と、夏の香りが確かにあった。
ブーンは草むらに突っ込み、またまっすぐに走っていった。
└(; ^ω^)┐ ドテドテドテドテ
「……がんばってにぇ」
声は、それ以上ブーンを引き留めようとはしなかった。
.
-
.
-
〜8月??日 裏山 山中〜
(#::Aメ)
('A`)
目の前に居た自分を殺した。殺しまくった。
手には血の跡、地面にはぐちゃぐちゃに潰した俺の死体。
――潰れた銃声が小さく鳴った。
死体の血肉が無意味に弾ける。もう死んでるのに、俺はそれでも死体を踏み躙った。
('A`)
頬に返り血が飛んできた。
怖くはない。いつもの事で、いつもと同じ作業だ。
殺すことが俺の仕事だ。的を壊すことに躊躇など無い。
('A`)「まだ気付かないんだな」
次の俺が現れる。
もう殺し慣れてしまったので武器も要らない。
飛び掛かって、押し倒して、顔面を殴り潰した。
(#);;;A )「…ま、だ…気付ッ」
――その言葉も叩き潰した。
気付くも何もない。俺は何も怖くない。
俺がそう言い、そう思うのだから、こんなヤツの言葉はスッカラカンな虚言に過ぎない。
.
-
('∀`)「――――お前、まだ気付かないんだな」
(# A`)「ッ!!」ダッ!!
次の俺をまた殺す。俺が笑うとあんなムカつく顔になるのか。
ヤツは楽しそうに俺を笑っている。その笑顔を殴り潰した。
( A )
ヤツは、今まで俺が殺してきた奴らとおんなじ顔で死んでいく。
('A`)
俺はこんな風には死なない。俺は殺す側だ。
親がそう望んだから俺はこちら側に居る。殺していれば、俺の居場所は守られる。
('A`)「お前まだ気付かないんだな」
('A`)「ビビってやがるのに、気付いてないんだな」
(# A゚)「――――黙りやがれェ!!」
そう叫んで、また俺を殺した。
.
-
…ガサガサ
( A #)「ッ!!」
――そのとき、背後の茂みで何かが動いた。
ドクオは次の敵が現れたと確信し、振り返って即座に身構えた。
∩(; ^ω^)∩「……お、おはようお……」 ガサガサ
( A゚;)
( A゚;)「……なん、で……」
茂みから出てきたブーンを見て、ドクオは一瞬、何も考えられなくなった。
( ∀`)「――お前、もう気付いてるな?」
Σ(;'A`) バッ!!
次の瞬間ドクオの前に 『こわいもの』 が姿を現す。
ドクオは 『こわいもの』 と向き合い、ブーンを背にしてぐっと力んだ。
.
-
(; ^ω^)「……ドクオが、二人居るお……」
Σ(;'A`)「あっちは偽物だ! ブーンはさっさと逃げろ!」
('A`)「どっちが本物なんだよ」
(;'A`)「――黙れ!!」
('A`)「今までの自分と、そこに居る俺は、どっちが」
(; A`)「だまッ――!」
銃を取ろうとして、ブーンの視線に気付いて、ドクオはぐっと衝動を堪えた。
('A`)「――俺は人殺しのドクオだ。今まで、何人も殺してきた」
Σ(; ^ω^) !?
(# A゚)「――それ以上言うなァ!!」 ダッ!
ドクオは 『こわいもの』 に飛び掛かって首を締め、殺した。
途端に次のドクオが現れて、言葉を続けた。
.
-
('A`)「実は台所の銃は本物でした。
本物だってブーンが気付いてたら殺してました」
(; A゚)「やめッ……!」
ドクオは『こわいもの』を殺した。
けれど、また次が現れる。
('A`)「家を空けてた時は組織の仕事に行ってました」
('A`)「実は、今月もいっぱい人を殺してました」
(; A゚)「あ、ああああああ――!!」 ガバッ!!
今度はサバイバルナイフで目を潰す。
('A:::)「ブーンくらいの子供も殺した事がある。
それは敵対組織の子供で、けど親に身代金を出してもらえなかった子供だった」
(;゚A゚)「喋るな!! 黙れよ!!」 ドスッ!! ドスッ!!
ドクオは馬乗りになって 『こわいもの』 の顔面に刃を突き刺した。
(;;メA:::)「かわいそうだとも思わず殺してやった。報酬はそんなに多くなかった」
両目を潰し喉を裂き、頭蓋に刃を突き刺してなお、『こわいもの』 は語り続けた。
「――お前、まだ気付かないのか?」
「気付かないなら、お前の後ろに居るのはなんなんだ?」
.
-
( A゚;)
ドクオは振り返ってブーンの顔を見た。
(; ω )
怯えた顔を深く伏せて、音を聞かないように両手で耳をふさいでいる。
さっさと逃げればいいのに、ブーンはそこに留まって、すべてが終わるのをじっと待っていた。
( A゚;)
「……こわがられてるぞ、お前」
( A゚;)
――ドクオ自身が、ブーンにとって『こわいもの』になってしまった。
知られてしまった。情報漏洩の芽は、絶対に摘まねばならない。
ブーンを殺さなければならない。
この山は死体を捨てる為の場所、運搬の手間も省けてラッキーだ。
「お前、まだ気付かないんだな」
.
-
「始末、しないとな」
「こわくないんだろ? ならやれよ、ドクオ……」
( A゚;)「……なん、でだ……」
ドクオの 『こわいもの』 として完成したヤツは、それ以上、姿を現そうとはしなかった。
.
-
.
-
(; -ω^) チラッ
……ブーンは、恐る恐る目を開けた。
('A`)
ドクオは銃を構えていた。
目の前で、黒い銃口が光っていた。
.
-
('A`)「……俺は、人殺しだ」
(; ^ω^)
('A`)「秘密を知ったから、お前も殺さなきゃいけない」
('A`)「この銃は本物だ。撃鉄が落ちれば、お前は死ぬ」
(; ^ω^)「……知らないお」
('A`)「……いまさら誤魔化すなよ。
俺が 『こわいもの』 を殺すとこも見たんだろ?」
.
-
(; ^ω^)「でも、ドクオがその銃を撃って、ブーンが死ななければ、それは本物じゃないお」
('A`)「……バカ言うなよ。全弾装填済みだ。ドタマぶち抜いておわりだぞ」
ブーンの夏休みは今日で終わる。
あと少しで9月が来る。そしたら全てがおしまいだ。
(; ^ω^)「……なら撃てばいいお。
そんなオモチャでビビるほど、ブーンは子供じゃないお」
(; ^ω^)「ドクオなんか怖くないお……」
('A`)「……なんで、来たんだよ……」 スッ
消えてしまいそうな声で言い、ドクオは、耐えきれず銃口を下げた。
.
-
('A`)「なあ、ラジオ体操のハンコならやっただろ?」
('A`)「家にも居ねえって言っただろ?」
('A`)「夏休みなら、俺と遊ぶ以外の楽しみだってあっただろ……」
('A`)「……こうなるのが、こうなるのが怖かったから、俺は……」
涙は出てこない。
必要が無いと教え込まれてきたから、ドクオは人生で一度も泣いた事が無かった。
.
-
(; ^ω^)「……ドクオと遊ぶには、ドクオと遊ぶしかないんだお……」
('A`)「……意味分かんねえよ……」
(; ω )「……楽しかっただけだお。
だから、楽しかった夏休みが終わるのが、怖いお」
(; ω )「……その銃はニセモノだお。
ブーンはもう、何も見ないお……」 スッ…
そうしてブーンは両腕で自分の視界を覆い、ぎゅっと口を閉ざした。
.
-
('A`)「……殺したくなかったんだ……」 スチャッ
('A`)「でも俺は、親のことを……いや、組織のことを裏切れないんだ……」 スッ
ドクオは新しくリボルバー式の拳銃を取り出し、シリンダーから、一発分の弾丸を取り外した。
これで、6分の5の確率で人が死ぬ銃の完成だ。
('A`)「そういう生き方で、今まで生きてきた……」
('A`)「……だから、俺は、これからお前を殺すかもしれない」 カラカラカラ…
シリンダーを回し、撃鉄を起こし、怯え竦んだブーンに銃口を突き付ける。
.
-
ドクオは何も言わずに引き金を引いた。
('A`)
ガチン、と撃鉄が空を叩く音が鳴る。
その直後、ドクオは撃鉄を起こして二発目を構えた。
('A`)「……運はお前を味方した」
('A`)「だが次は死ぬ。まぐれはもう無い。どうする」
.
-
(; ω )「……ドクオは」 ボソ
('A`)
(; ω )「ブーンを、殺したいのかお……?」
('A`)「……殺したくないよ。誰かを殺したかった事なんて、一度もない」
.
-
(; ω )「……嫌なら、怖いなら殺さなければいいんだお」
('A`)「……ブーン、それは出来ないんだ」
('A`)「俺はもう大人だから、大人の世界で生きてかなきゃいけないんだ」
('A`)「俺にとってそれは殺し合いの世界だった。
お前には、一生縁のない世界だといいんだけどな」
ドクオは銃口を自分に向けて、
('A`)「だから死ぬのは俺でいい」 カチャ
そう言って、さっさと自分の頭を撃ち抜いた。
.
-
.
-
.
-
〜とても夜〜
(; A゚)「――ッッ!!」 ガバッ!
(;'A`)
('A`;)「……ここ、は……」
目が覚めると、そこは屋敷の縁側だった。
夜空を見上げる。月に雲がかかっていた。
四方八方から、虫の声が聞こえてくる。
リーン…リーン…リーーーン……
从'ー'从「……」
――庭先に立っていたエプロン姿の渡辺は、何も言わずにドクオをじっと見ていた。
(;'A`)「な、なあ……俺は、さっきまで裏山に……」
从'ー'从「……」
渡辺は何も言わなかった。
鈴虫が鳴いている。夜風もずいぶん冷たくなった。
夏が終わっていくのを、少しさみしく思う。
.
-
(;'A`)「……俺は、生きてるのか……?」
从'ー'从「……」
渡辺は何も言わなかった。
けれど、静かにドクオの首元を指差していた。
(;'A`)「……」
ドクオは自分の首元を見下ろした。
するとそこには見に覚えのない、勾玉のネックレスが掛けられていた。
ブーンがつけていたのと同じものだ。
しかしドクオの勾玉は下の鋭い方が欠けてしまっていて、半分しか残っていなかった。
从'ー'从「……私も、人間を助けたのはこれが初めてだよ」
从'ー'从「キミは悪い奴だから、見殺しでもよかったんだけどにぇ」
(;'A`)「お前が……俺を助けたのか……?」
从'ー'从「いんにゃ、助けてないよ。キミは夢を見ていたの。ただそれだけ」
从'ー'从「でも、貰うものは貰っていくからにぇ。
キミの命だけじゃ足りないほどの、多くのものを」
.
-
(^ω^) ンゴー
Σ('A`;)「――ッ!」 クルッ
いびきに気付いてドクオは広間を振り返った。
畳の上で大の字になっているのは、裸の大将をそのまま小さくしたようなガキだった。
「――キミの命は私が預かった。最後の一夜を、せめて安らかに過ごすといい」
(;'A`)
彼女の声に一瞬の畏怖を覚えたドクオは恐る恐る視線を戻した。
だが、その時すでに庭先に渡辺の姿はなく――
(;'A`)(……最後に、時間をくれたのか……?)
――外の世界には、夏の終わりを悲しむような虫達の声が、ただひたすらに鳴り響いていた。
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「――……さようなら。夏の最後に、よい夢を」
虫の知らせが、最後にそう囁いた。
31日目 おわり
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また明日! まとめきれなかったので明日は翌日談を投下します!
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乙乙
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乙乙
明日も期待…明日…?
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乙
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ブーンはアホだけど聡いな
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むむむむ
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なにがむむむむだ
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むが一個多いんだよオラァ
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最後の一夜かぁ
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〜ドクオの屋敷 朝7時くらい〜
(^ω^) スヤスヤ
(^ω^) パチッ!
ξ゚⊿゚)ξ「……おはよ」
ブーンが屋敷で目を覚ました時、彼はツンに膝枕をされている状態だった。
お腹の辺りに掛けられていた毛布を払いのけ、ブーンは勢いよく起き上がった。
(^ω^)「ねーちゃん!? なんで居るんだお!?」
ξ゚⊿゚)ξ「それはブーンがまだ夢を見てるからよ」
(^ω^) !?
ξ゚⊿゚)ξ
ξ゚⊿゚)ξ「うそよ。でも、ブーンは昨日も遊び疲れて寝落ちしちゃったのよ」
(^ω^)「…でも、すごい怖い夢を見たお…」
ξ゚⊿゚)ξ「…夢ならいいじゃない。夢はもう覚めたんだから」
(^ω^)「…ドクオのこと、覚えてるかお?」
ξ゚⊿゚)ξ「…もちろん。忘れてないわよ」
ツンは微笑んで答える。
ξ゚⊿゚)ξ「楽しかったわね」
(^ω^)
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ξ゚⊿゚)ξ「さ、私はドクオさんを起こしてくるから、ブーンは先に帰りなさい」
ξ゚⊿゚)ξ「そんな手ぶらじゃどこにも行けないでしょ?」
(^ω^) ハッ
≡└(;^ω^)┐「そうだお! 急いで取ってくるお!」 ドテドテ
ツンの一言で我に返ったブーンは、すっかりボロボロになってしまったサンダルを履いて飛び出していった。
ξ゚⊿゚)ξ「転ばないようにねー」
<分かってるお〜〜!
縁側から呼び掛けると元気な声が返ってきた。
ブーンのどたばたした足音が聞こえなくなるまで、ツンはブーンの帰路を見守り続けた。
('A`)「……悪いな、朝から呼び出して」
ξ゚⊿゚)ξ「…いいんです。ブーンを誤魔化すなら、私が一番だと思います」
二階から静かに降りてきたドクオを振り返り、ツンは大きなアクビをして見せた。
ξ゚⊿゚)ξ「…うちの親には、なんて言ってきたんですか?」
('A`)「……そのままさ。秘密を知ったから、ブーンの道は2つだけって」
('A`)「殺されるか、俺みたいに組織に入るか」
ξ゚⊿゚)ξ「…それって、私も…ですよね……」
('A`)「……いや、ツンは違う。だけど、俺の口からは……」
男と女では取り扱い方法が違う。
そのシンプルで下劣な違いを、ドクオはこんな少女に告げる事は出来なかった。
('A`)「……もう、9月だな……」
ξ゚⊿゚)ξ「……ですねえ」
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-
――そのとき、ピンポーンと玄関のチャイムが鳴った。
ドクオは己の死期を予感した。
('A`)「ツンちゃんはどっか隠れてな」
ξ゚⊿゚)ξ「…別に、いいです。私、ブーンよりは大人の世界を知ってますから」
ここで逃げたところで意味はない、と彼女は既に覚悟を決めていた。
その落ち着き払った彼女の素振りは、ドクオの緊張をほぐすほど凛々しい様になっていた。
('A`)「……なら、絶対見に来るなよ」
ξ゚⊿゚)ξ「見たとしても、見なかったことにします」
(;'A`)
…負けた、とドクオは心の隅で自嘲した。
('A`)「……じゃあ行ってくる」 クルッ
ξ゚⊿゚)ξ「…はい。いってらっしゃい」
.
-
('A`) テクテクテク…
最終的にドクオを殺したのは彼自身であり、彼の過去そのものだった。
今年の8月はとても穏やかで楽しかった。
多くの人を殺してきた冷酷な過去からは到底考えられない、人生初の8月らしい8月だった。
ドクオはこの一ヶ月間を、まるで違う世界に迷い込んでしまったかのように感じていた。
そして――明らかに、己の過去とは矛盾していた8月だった。
ドクオは、ブーンと出会った事で今までとは違う居場所を見つけてしまった。
陰鬱な最期を約束された人間が居てはならないほのぼのとした世界に、ドクオは居場所を見つけてしまったのだ。
本来、決して相容れるべきではない二つの世界。
この一ヶ月間、ドクオは世界の矛盾を放置し、暗黙し続けることで自分の夏とブーンの夏休みを守ってきた。
だからこそドクオは恐怖した。
こんなに矛盾してしまった時と場所が、いつか正しいものに戻ってしまうのではないか。
得るべきではないものを得てしまった代償を払う時が来るのではないか――と、恐怖を感じずにはいられなかった。
ドクオにとっての 『こわいもの』 とは、この世界の矛盾が暴かれ、間違った夏が正しいあるべき姿に戻ることだった。
今回の 『こわいもの』 はその恐怖を体現し、ドクオ自身が目をそらし続けていた 『こわいもの』 を彼に突き付けた。
けれど、 『こわいもの』 は恐怖心を持たない人間を殺す為だけの存在。
『こわいもの』 の出現を通じて自身の恐怖心を自覚したドクオを、結局『こわいもの』は殺していなかった。
つまり――戦いを経て残されたのは、けっきょく、人間同士の争いだけだった。
.
-
――ガラガラッ!
(,,゚Д゚)
('A`)「……ギコじゃん」
玄関を開けると、そこにはギコが突っ立っていた。
(,,゚Д゚)
(;,,-Д-)「やぁ〜〜〜っと着いた!!!」
(;'A`)「……は?」
ドクオの顔を見た途端、ギコは両手を膝について思いっきり息を吐いて見せた。
(;,,゚Д゚)「もう……もうぜんっぜん、意味が分からねえ……!
さっきまでお前のツラを忘れてたのも、さっきようやく道を思い出せた事も……!」
(;'A`)「……なんの用だよ」
(;,,゚Д゚)「そんな事より! まずは俺の話を聞きやがれ!」
(;'A`)「ええ〜〜」
かくかくしかじか。
ギコは昨日からずっとこの屋敷を探し回っていた事の顛末を口早に語り、「俺はもうとにかく疲れ果てた」と最後に愚痴っぽく言って話を締めた。
.
-
(;'A`)「そうか……まぁ、大変だったな……」
(;,,゚Д゚)「――で、もう帰りてぇから用事済ませて帰る」 ゴソゴソ
そう言い、ギコは携帯電話を取り出してどこかに電話を掛け始めた。
数秒と経たず、通話が始まる。
(,,゚Д゚)「あ、親父。言われた通り屋敷に来たぞ」
(,,゚Д゚)「…ドクオ? ああ、目の前に……ああ、分かった」
ギコは携帯電話をドクオに差し出しながら言った。
(,,゚Д゚)「かわれってさ。お前に話があるみたいだ」
('A`)「俺に…?」
受け取って携帯電話を耳に当てるドクオ。
もしもし、と簡単に声を掛けると、向こうから咳払いの音がしてきて、続いて渋いおっさんの声が聞こえてきた。
『……初めまして、ドクオ君。ギコが世話になっているらしいな』
( 'A`)「いえ、そんなことは…」
『君の素性は知っている。直接会った事はないが、同じ仕事をした事もある』
( 'A`)「……そう、ですか……」
.
-
『とりあえず、簡潔に今の状況を君に伝える』
( 'A`)「……」
『――組織は壊滅した。君の両親を含め、上層部はもう誰も生き残っていない』
('A`)
('A`)「は?」
.
-
.
-
〜広間〜
ξ゚⊿゚)ξ「……あ、おかえりなさい」
ツンは戻ってきたドクオを見て声を掛けた。
(;'A`)「お、おう……」
ξ゚⊿゚)ξ ?
ドクオは座布団の上に腰を下ろし、あぐらをかいて視線を泳がせた。
どこか落ち着かない様子だ。ツンは気を利かせ、彼に尋ねた。
ξ゚⊿゚)ξ「さっきの、誰だったんですか?」
(;'A`)「……お? ああ、ギコだったよ……」
上の空で答えるドクオ。
ツンはドクオのそばに寄り、一歩踏み込んで更に尋ねた。
ξ゚⊿゚)ξ「危ないお話ですか?」
(;'A`)「……まあ、そうなのかな……」
ドクオはツンを一瞥して言った。
('A`;)「……両親が死んだ。あと、俺の職場仲間とか、みんな……」
ξ゚⊿゚)ξ
ξ;゚⊿゚)ξ「……え、それって……」
.
-
――話は、物語の冒頭にまで遡る。
モララーが生前培った富・名声・力は、組織と彼の血縁者達の間で行われた相続争いによって各地に散り散りになった。
そして当然、その中にはモララーが集めていた 『人を呪うためのもの』 も含まれている。
相続争いに参加した者達はそんな事は露知らず、彼が残した呪いのアイテムを金目のものとして持ち去っていた。
ひとたび扱いを間違えれば一族郎党皆殺しになる代物が、素人の手に渡っておよそ半年――。
もし仮に、そんなヤバい代物達が人知れず無数に起動していたとなれば、ドクオが体験させられた8月の怪異にも察しがつく。
一族郎党――その末席たるドクオを殺すために、『こわいもの』 は駆り出されたのかもしれない。
(;'∀`)「……いや、いや……」
ξ;゚⊿゚)ξ「……」
ドクオは不意に、渡辺の言葉を思い出す。
――貰うものは貰っていく。
キミの命だけでは足りないほどの、多くのものを。
(;'A`)「…………」
ξ;゚⊿゚)ξ「……あの、なら、ドクオさんはこれから、どうなるんですか……?」
(;'A`)
(;'A`)「……自由、らしい」
(;'A`)「一応ギコの親父さんとこに配属されたらしいけど、もう、組織は自然消滅していく、らしい……」
自分で言ってて、どういう事なのか分からなかった。
自由という言葉は知っていても、ドクオは自由の意味を知らなかった。
.
-
ξ*゚⊿゚)ξ「――自由なら! いいじゃないですか!」 ギュッ
ツンは嬉しそうに笑ってドクオの腕に飛びついた。
(;'A`)「そう、かなあ……」
ξ*゚⊿゚)ξ「そうですよ! 無職ニートでいいじゃないですか!」
('A`)
('∀`)「マジ?」 ニタァ
.
-
三三└(^ω^)┐ 「こんにちはーー!!」 ドテドテドテドテ
へ ┐
そのとき、庭先にブーンが駆け込んできて勢いよく縁側に飛び乗った。
勿論サンダルは脱ぎ捨てていて、いつもと同じ虫あみ虫かごセットを持っていて――
('A`)
└(^ω^)┘「今日こそ裏山行こうお! てかさむっ!」
ξ゚⊿゚)ξ
('A`)
.
-
(^ω^)
(^ω^)「…二人とも、なんで何にも言わないんだお?」
ξ;-⊿-)ξ「……ブーン、今日は……」
(;'A`)「9月1日で、登校日だろ……」
(^ω^)
(^ω^) !?
.
-
〜その後〜
ξ;゚⊿゚)ξ「――え、なんにも準備してないの!?」
(^ω^)「やべーお遅刻するお! 提出するものどこにやったか覚えてないお!」
ξ;゚⊿゚)ξ「もお、バカ! 急いで帰って準備するわよ!」
(^ω^)「やだお! 気分はとっくに8月32日だお!」
ξ#゚⊿゚)ξ「問答無用! ドクオさん、また来ますね!」 ガシッ!!
#゚⊿゚)ξ
つ<^ω^)「ウワーーーーッ、ドクオ助けておーーーーッ!!」 ズルズルズルズルズルズル
(;'∀`)「……気いつけて行けよな……」 ヨッコラセ
ドクオはツンに引っ張られていくブーンを見送って、ふらりと縁側に腰を下ろした。
('A`)
('A`)「……はーあ……」
8月の最初くらいに、ここで考えていたことを思い出す。
('A`)(……そっか。親父も、母さんも死んだのか……)
再認識すると、体の力がどこかに流れ出てしまうような感覚に陥った。
自分の家柄と環境なりに、出来る限りの孝行をしてきたつもりだが、俺は結局――
('A`)
( 'A`)(……いや、あいつらは死んで当然だった)
ドクオは、同情を押し殺した。
.
-
リアタイwktk
-
――9月の1日、今日は露骨に空気が冷たかった。
お前の夏はもう終わりだぞ、と自然が告げているようだった。
('A`)「…………」
でっかい雲が風に吹かれ、青い空を流れていく。
セミはまだまだ鳴いている。多分、今日もブーンが何匹か捕まえて来ると思う。
('A`)
('A`)(…ラムネでも飲むか…) ヨッコラセ
――ゴトッ。
('A`)
立ち上がる拍子に、ドクオの懐から何かが落ちた。
ドクオは床を見下ろし、そこに落ちていた拳銃をじっと見つめた。
('A`)「……っと」
膝を折り、拳銃を拾い上げる。
ドクオはしばし考えてから、銃の撃鉄を起こして、自分のこめかみに銃口を当てた。
.
-
('A`)「よっ――」 グイッ
Σ(;'A`)「――いてっ!」
ドクオのこめかみに、小さなBB弾が直撃した。
(;'A`)>「……いってえ……」 サスサス
(;'A`)>「こんなんでも、意外と威力あんだな……」 サスサス
('A`)
('A`;)「……あー、ラムネだよ、ラムネ……」 ポイッ
ドクオはおもちゃの拳銃を捨て、台所に歩いていった。
.
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〜昼くらい〜
└(^ω^)「こんにちはーーーー!!」 ピンポポドンドンドンドン!!
ガラガラッッッッ!!
(;'A`)「うるっせえ!」
(^ω^)「読書感想文やるの忘れてたお! 先生に怒られたお!」
(;'A`)「…は?」
(^ω^)「ドクオ手伝ってお! 明日持ってかないとやべーんだお!」
('A`)「……そういや昼飯食ったか?」
(^ω^)「まだだお!」
('A`)
('A`)「ちっと気がはえーけど、鍋でもやるか?」
(^ω^)
(^ω^)「なべ!?」
その後、ブーンは皆勤賞の焼肉の事などすっかり忘れて、ドクオと一緒に鍋を食べた。
.
-
――もうすぐ、秋が来る。
.
-
('A`)ドクオの夏と夏休みのようです(^ω^)
お わ り
.
-
乙乙
全部モララーの所為だったか
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おわり!一ヶ月間ありがとう!またいつか!
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おつおつ、いいラストだ
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あー、秋だな
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乙乙
夏を楽しませて貰った
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乙
冬休みもよろしくね
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更新が楽しみだったぞ
おつ
-
おつ
良い余韻
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乙
ドクオに秋が来るんだな……普通に来るんだ
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乙でした。
よいエンドだった……。
-
乙
-
ほのぼのかつ殺伐としてて面白かった!
-
ドクオが残る代わりに組織は血縁関係が犠牲になったのか
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