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ブーンの楽しい○○

6名無しさん:2016/06/05(日) 00:01:53 ID:EcTaGEX20



                                    https://www.youtube.com/watch?v=FWiyKgeGWx0








         _人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人_
         > だが、実際の大航海時代はそんな生易しいものではないのだ<
          ̄Y^Y^Y^ Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^YY^YY^Y^Y^ ̄












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7名無しさん:2016/06/05(日) 00:03:04 ID:EcTaGEX20
夢や希望などあったものではない。あったとしても金と名声、果ては支配欲にまみれた夢や希望である。
そして海に待っているのは孤独と絶望。まさに狂気の世界。
人は海などに出なくてよかったのだ。人は海に出て、世界を乱した。

さあ、地獄の時代が幕開ける。今日はモニターの前の皆さんに大航海時代は如何なるものかというのを知ってもらいたい。
もちろん、ブーンも一緒だ。
だが時代が時代の為か、どうせ海に出ればすぐ死ぬのでブーン一人ではなく、一族に登場してもらおう。




  「僕はブーンだお!」 「僕はブーンだお!」 「僕はブーンだお!」「僕はブーンだお!」 「僕はブーンだお!」

      ( ^ω^)       ( ^ω^)       ( ^ω^)       ( ^ω^)        ( ^ω^)

         ブーン       ブーン2世      ブーン3世       ブーン4世        ブーン5世
    (1401 - 1434)    (1432 - 1487)     (1460 - 1500)    (1480 - 1497)     (1498 - 1521)




ここに5世代に渡って時代に振り回された哀れなブーンを用意した。それぞれが気のいい奴で、憎めない、絶妙な具合になっている。
彼が身をもって大航海時代がどんな時代だったかを紹介してくれるハズだ。

長い前書きもこのくらいにして、時代とともに無様に死んでいくブーン達を実際に見てみよう。
さあ、ブーンの楽しい大航海時代の始まりだ。


.

8名無しさん:2016/06/05(日) 00:03:55 ID:EcTaGEX20
















                                ( ^ω^)

                          1. ブーンの楽しい大航海時代













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9名無しさん:2016/06/05(日) 00:05:45 ID:EcTaGEX20

§ ブーン(1401 - 1434)                                 https://www.youtube.com/watch?v=Qe4yTxbOTi4


さて、前置きもそのくらいにして、と言っておきながら背景を少しは押さえておかなくてはゴリラのココでも中々理解がしづらい。
そもそも大航海時代とは、ポルトガル、スペインを中心とする国が活発に海外進出が盛んだった15世紀あたりのことを言うのであるが、
どうしてそんな時代になったのかということを知っておくと、ふりかけ位にはウマ味が増すだろう。


大航海時代になるキッカケとしては、以下の3つを押さえておけば良い。


         _人人人人人人人人人人_
         > イスラムマジ強すぎィ!<
          ̄Y^Y^^Y^Y^Y^YY^Y^Y^Y^ ̄

         _人人人人人人人人人人人_
         >  プレスタージョンッ!!  <
          ̄Y^Y^^Y^Y^Y^YY^Y^YY^Y^Y^ ̄

         _人人人人人人人人人人人_
         > コショー便利すぎひん!?<
          ̄Y^Y^^Y^Y^Y^YY^YY^YY^Y^Y^


これだけ押さえておけば、小学生相手に大航海時代を知っている風を吹かせることが出来る。
詳細は順を追って短めに説明していきたい。特にコショーの話に関してはもう少し後、さしあたって一匹くらいのブーンがくたばった後くらいの話になるだろう。

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10名無しさん:2016/06/05(日) 00:06:34 ID:EcTaGEX20
物語に入る前、ブーンの先祖の住むヨーロッパのすぐ隣にモンゴルさんというキチガイ虐殺おじさんが住んでいた。
が、実家で喧嘩があったとか何とかでずっと東の方まで帰って行ってしまう。
人の親を目の前でみじん切りにしていたモンゴルおじさん。そんな彼に恐れおののいていたイスラム国家はラッキーとばかりに元気になった。

そんな中、ヨーロッパではモンゴルおじさんにビビりながらもキリスト教ブームが巻き起こっていた。
だいたい1990年代の安室奈美恵や浜崎あゆみ程度には盛り上がっていて、それなりの人たちがキリスト教いいよね〜と口を揃えていた。

当時のヨーロッパはブーン系ツイッター民ぐらいに排他的なお国柄。のそのそやってきたイスラム野郎どもをぶっ殺そう!と騒ぎ立て始める。
が、このイスラムはちゃめちゃに強い。ホントつよい。強さには理由があった。
イスラムに人間にとってアッラーの敵との闘いは聖戦である。聖戦の中で死んだ肉体は魂となって天国みたいなハッピーなところに行くのである。

つまり、イスラムの人間は戦争で死ぬことがまったく怖くないのだ。これには、遊びとばかりに王をも殺すヨーロッパ人もビビりまくり。

           |      丶
           |       )
    -  ⌒  ` ↓   ⌒  ⌒へ
 /~                   \
∠ _ 、       イ  イ       丶    「オッス! オラ、イスラム戦士! いっちょジハードやってみっか!」
      丶    / |  /     イ    L_
  -〜 -  - - (  | /  | / | ヘ     ⌒ ー _
 `〜-_ _   \く ⌒ヽ レ /⌒丶   _- - ⌒
      へ(⌒∨(⌒ヽ  /⌒)∠    ̄ー__
    〜 ̄_ヘ℃| |_  0  0  _/ / ヘ  __丶
      ̄ ̄ヾ  |   ⌒ 、 ⌒   /p 丿\
          ̄- l  ⊂  フ  ノ〜  ̄
             ヽ  _  /

            イメージ画

兵器に物言わせてオラオラやってるヨーロッパもこれにはタジタジアンドタジ。とはいえイエス様が見ているので引くに引けない。
一進一退の泥沼試合が続いていくのである。

11名無しさん:2016/06/05(日) 00:07:12 ID:EcTaGEX20
強いイスラムにコテンパンにされてもめげないヨーロッパ戦士。彼らが頑張るのにもちょっとした理由があった。
それは、




            殺 伐 と し た 中 世 に プ レ ス タ ー ジ ョ ン が !
             \                    /
               \  丶       i.   |      /     ./       /
                \  ヽ     i.   .|     /    /      /
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               \
                                              -‐
              ー                  「プレスタージョン!」
             __               。。               --
                 二           ∧∧         = 二
               ̄              (・∀ ・)               ̄
                -‐             <(  )>             ‐-
                             <  >
                /
                        /               ヽ      \
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. ./ ̄ ̄ ̄ / . /''7    / ̄ ̄ ̄/  / ̄ ̄ ̄ /         . /__7 , /''7       / ̄/ ./''7
   ̄ ̄/ /  / / ___   ̄ .フ ./.  / ./二/ / .         /__7 ./ / / ̄ ̄. ̄/  ̄  / / 
  ___ノ / .. / /_ ノ /  .__/  (_.. /__,--,  /   / ̄ ̄. ̄/.   ___ノ / ./ ̄ ̄ /  ___ノ /  .
/____,./   ./_____.ノ  /____ノゝ_/   /___ノ   .   ̄ ̄    /____,./ ,.二二/ / /____,./  .
                                                 ̄


プレスタージョンの存在である。

12名無しさん:2016/06/05(日) 00:08:47 ID:EcTaGEX20
プレスタージョンって何だろう、プレデターみたいで強そう。みたいな人も多いだろう。
簡単に言えばプレスタージョンとは、東方にあるキリスト教国家の王様である。
しかもその国はハチャメチャに強い。グレートコナンみたいな筋肉隆々としたゴリラみたいな人間がアホみたいにいて、クッソ強い。そんな国だ。

だが、この国は本当にあるのかどうか確認されたことがないまま今日まで来ている。ネタをバラしてしまえば、いわば当時の都市伝説である。

が、この (・∀ ・) 「プレスタージョン!」 なる男。たびたびイスラムとの戦いに現れているので、侮れない。
なんたって「ペルシャよりもずーっと東方からプレスタージョンとかいうカッコイイキリスト教君主がムキムキ野郎を引き連れてペルシャをぶっ飛ばした」
という報告がガチンコでされているのだ。

ペルシャより東方といえば、キタイやインドなど。そしてインドといえばキリスト12使徒随一のおもしろ男”聖トマス”が営業しに行った場所。
たしかに、あの聖トマスが笑いを取った場所なら、そこに”おもしろキリスト軍勢”がいてもおかしくない。

時代が過ぎるにつれ、プレスタージョンなるすんごい強いキリスト教マンはマジで存在するという気になって来たヨーロッパ人。
そんな中、十字軍が「プレスタージョンが助けてくれたおかげで勝った!! ヴィクトリーーー!」なんて報告をしてきた。
連日負けっぱなしで泥水を飲むにふさわしい有様の十字軍が勝ったなんて言うからヨーロッパ人はビックリ。

      rfニ、ヽ
      l。 。 f9i  プレスタージョン!
      t≦_ノゝ、            ,,....,,,,__
      `ブ´,,:: -- ::、       ,r''"''''''ヽ:::`ヽ.
      ,rニュf::r-‐t::::::::ヽ     f´,,..、 r"::::::::::i   プレスタージョン!
     /,,, Y.. -‐ ヾ::::::::l      ノ゙ f・=  7:::::::::::l.
      ム゚゙゙' く、'゚`  ゙'"):::l    ヽ''    ゙'⌒リ:ノ  ,:rニテ三ミゝ、
     l=,,;;:. l=、  ..::" ,)ヽ、   j⌒    ト'"fノ ,r"彡彡三ミミ`ヽ、
    /`ゝ-''^ヽ''"  ,/: : : :\  ヽ、: : : '" ノ^i,  ゙ゞ''"´   ゙ifrミソヘ,
    /rf´ i′  ,f^ヽノ:,. - - 、 ヽ,,. -テ) ,/  `ヽ:,i ,,.,...、  ヾミく::::::l
   ゙'゙  l   l: : j :f´: : : : : ヽ,/   '''"´  ,,.: -  lヲ ェ。、   〉:,r-、::リ
      !   /: :ノ l: : : : : : : ノ,      ,:'"   / ,, 、   '"fっ)ノ::l
      /-‐-/: :/: l: : : : : : ,/ /     /       `i- 、ヽ  ,.:゙''" )'^`''ー- :、
. _,,..::-,テ   /`7: :(: : : : : //'´ミ)ゝ^) 〃      i、ヺi .:" ,,. /;;;;;;;;;;;;;;;;;;;`゙
`_,:ィ''"  _,r''" f: : :ト---ヲ ト、つノ,ノ fノ       ノ゙i  ,,.:ィ'" /;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;
-‐-‐'''フ"  ,.ノ,:::::」、,:r'"  i _,,.:イ  /      ,r''";;;;;;`゙゙" ヽ_,,ノ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;
、..、く´_,,∠"ィ''"´ /    ,ヽ  ゙:、 /\、   /;;;;;;;;;;;;;;;;;r-'"´`i,;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;
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ーフ´ > ヽ`ー、/    /く _,,..ヽ   ヽ ,/  `゙''ーハ.     l;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;
/ / ,,ゝヽ, )  ,./ ィ'"   ゙t    `'     /^t;\  ,,.ゝ;;;;;;;;;;;;;;;i;;;;;;;;;;;;

やがて、民衆は声を揃えてプレスタージョンを称えるようになった。

13名無しさん:2016/06/05(日) 00:09:32 ID:EcTaGEX20
しかし、所詮は都市伝説。大衆は騙せても知識人は騙せない。
知識人たちはプレスタージョンに半信半疑であった。

「本当にそんな話があるのか?」 「いや、信じがたいな」 「しかし、あの十字軍が……」 などと偉そうなハゲ頭をぶつけあって議論する始末。
知識人たちはものすごく頭を悩ませた。悩んだ。悩んだ。

そして存分に悩んだ末に、「東方に存在するプレスタージョンの帝国は広大であり、土は越えている。黄金があらゆる場所から出土するため、川は
金に染まり、蜜の味がする。また、宝石が良く転がり落ちていて誰でも好きにとれる。故に最強であり、出陣の時には筋肉隆々の軍団の象徴として
14本の黄金の十字架が並ぶのである。すごい国だ」 という、知識人全員が大納得の優しい結論に落ち着いた。

そんなすごい人と国があるのなら、俺たちもがんばろ〜!お〜! といった具合にヨーロッパ戦士たちは立ち上がった。

            殺 伐 と し た 中 世 に プ レ ス タ ー ジ ョ ン が !
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              ー                  「プレスタージョン!」
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                 二           ∧∧         = 二
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                -‐             <(  )>             ‐-
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                                                 ̄

プレスタージョンはヨーロッパ人の心なのである。
なお、その後十字軍がプレスタージョンの援軍頼りに最強イスラム軍団のいるエジプトに特攻しているが、そんなものが来る訳なく、大敗。
そのままヨーロッパのおギャグ担当を欲しいままにした事は喜ばしいニュースである。

14名無しさん:2016/06/05(日) 00:10:36 ID:EcTaGEX20
はてさて、こんな話をいつまでも続けてもしょうがない。
そろそろブーンを登場させようと思う。


( ^ω^)「ブーンだお!」


彼はブーン。出来立てほやほやの赤ちゃん国家、ポルトガルで生まれた。
ブーンのお父さんは国に仕える人。いわゆる公務員みたいなもので、ブーンはあんまり不自由することなく育ってきた。
とはいえ、キリスト教ブームのさなか、近くのイスラム国家に喧嘩を売ることはしばしば。決して生活が安定していたわけではない。

そしてブーンは大人になってお父さんと同じように国に仕えることになった。

当時、ポルトガルにはエンリケ王子という、いかにも王子っぽい名前の王子がいた。

                 ,イ  ,ィ    ,  '"                \
            / ト、 l \_/                      \ノ
            l   `ー―'       /               \
            ゝ            /                      ',
            ト、_,>、  l      /        、   、             ',
                \__,才  \_  l     ,  l   ト、            ',   「私はイスラムが嫌いだ!
              /   \___人   ,イ /!  /l ム   |         |    イスラムが滅びるならアッラーを崇めたって良い!」
                { , ,  <   ノム / | / ノ/_ノ 人ム  乂       |
              ヽl l , ハ´ ̄≧x ゝ | l/ 才f升幵手、   >     \
                 ヽ| ト、{ l 乏込式l 乂    ´込r少'´ |         \
                     ヽ __≧=‐'     | l        ,ィ   |          \
                /    ',      | |      { t_ノ              ',
                  /       '     j j       ,仆、_,イ  /     ,      l
                   /       ',     ヽr'     { `ー'  /     /        l
               l       ' ,   ,ニニ,__    \_____/    /       l
               |          >,  ー--      ,イ       ,ハ       l 
               |      ,  '"∧         / |      /  ',         l
               |  , -‐'"       l>、   , r<⌒ヽl       l   ',        |
                j/            |  ` ´ |     ム     |    ',       |

                    エンリケ王子 (1394 - 1460) ※男です

彼はブームに乗りまくってイスラムが大っ嫌い。暇さえあればイスラムをぶっ潰すことばっかり考えていた。

15名無しさん:2016/06/05(日) 00:13:30 ID:EcTaGEX20
しかし、エンリケ王子のいるイベリア半島にはイスラム勢力が結構な感じで蔓延っていた。
蔓延っていた所か、グラナダとかいう一国まで出来てしまっている始末。これにはイスラムアレルギーのエンリケ王子もたまらない。

エンリケ王子も頑張ってイスラムを叩くが、前述のとおりイスラムは強い。エンリケ王子もくじけそうになる。
アフリカ北部はイスラム一色。いつイベリア半島にイスラムの皆さまが大手を振って駆けてくるかわからない。エンリケ王子は恐怖に震えた。
しかし、エンリケ王子。ある日ひょんな事を思いつく。

                        , -― '" ̄ ̄ ̄ ̄ > 、
                 ,イ  ,ィ    ,  '"                \
            / ト、 l \_/                      \ノ
            l   `ー―'       /               \
            ゝ            /                      ',
            ト、_,>、  l      /        、   、             ',
                \__,才  \_  l     ,  l   ト、            ',
              /   \___人   ,イ /!  /l ム   |         |   「イスラムを背後から刺せば
                { , ,  <   ノム / | / ノ/_ノ 人ム  乂       |    良いんじゃないだろうか……」
              ヽl l , ハ´ ̄≧x ゝ | l/ 才f升幵手、   >     \
                 ヽ| ト、{ l 乏込式l 乂    ´込r少'´ |         \
                     ヽ __≧=‐'     | l        ,ィ   |          \
                /    ',      | |      { t_ノ              ',
                  /       '     j j       ,仆、_,イ  /     ,      l
                   /       ',     ヽr'     { `ー'  /     /        l
               l       ' ,   ,ニニ,__    \_____/    /       l
               |          >,  ー--      ,イ       ,ハ       l
               |      ,  '"∧         / |      /  ',         l
               |  , -‐'"       l>、   , r<⌒ヽl       l   ',        |
                j/            |  ` ´ |     ム     |    ',       |

                    エンリケ王子 (1394 - 1460) ※男です


正面からやっても歯が立たない。ならば背後から、と”引いてだめなら押してみな”理論を思いつくのである。

16名無しさん:2016/06/05(日) 00:14:20 ID:EcTaGEX20
エンリケ王子の考えは、こうだ。
               
      ,へ〜~~ ̄ ̄フ,           フ
     /´         `〜、_ |`〜、_,、__/   
   ,/                    ヽレ、
  /        イスラム         ヽヽ     ← このへんのイスラム勢力を
 |                         ヽ ヽ
 `|                         ヽ ヽ
 (                          ヽ |  _、-
  |                           \`´,-フ
  \                            ̄  /
    `\,,〜〜〜´`L_、                  /        ※アフリカ北部です
               ↑
              この辺から攻めていきたい

うーん、実に見事な考え。これにはカルタゴのハンニバルも脱帽。
これは最高! と、エンリケ王子は即行動に移した。国の大きなバックアップを受けて”アフリカ背後からグサり作戦”を決行するのだ!

モニターの前の皆さんはそろそろ疑問に思うかもしれない。「こんなふんわりとした考えで国が動くのか……?」と。
それが、動いた。理由は

            殺 伐 と し た 中 世 に プ レ ス タ ー ジ ョ ン が !
             \                    /
               \  丶       i.   |      /     ./       /
                \  ヽ     i.   .|     /    /      /
                  \  ヽ    i  |     /   /     /
               \
                                              -‐
              ー                  「プレスタージョン!」
             __               。。               --
                 二           ∧∧         = 二
               ̄              (・∀ ・)               ̄
                -‐             <(  )>             ‐-
                             <  >
                /
                        /               ヽ      \
                /                    丶     \
               /   /    /      |   i,      丶     \
             /    /    /       |    i,      丶     \
         ◎                                    ∥∥
. ./ ̄ ̄ ̄ / . /''7    / ̄ ̄ ̄/  / ̄ ̄ ̄ /         . /__7 , /''7       / ̄/ ./''7
   ̄ ̄/ /  / / ___   ̄ .フ ./.  / ./二/ / .         /__7 ./ / / ̄ ̄. ̄/  ̄  / / 
  ___ノ / .. / /_ ノ /  .__/  (_.. /__,--,  /   / ̄ ̄. ̄/.   ___ノ / ./ ̄ ̄ /  ___ノ /  .
/____,./   ./_____.ノ  /____ノゝ_/   /___ノ   .   ̄ ̄    /____,./ ,.二二/ / /____,./  .
                                                 ̄

こいつだ。

17名無しさん:2016/06/05(日) 00:16:05 ID:EcTaGEX20
この頃、東方のプレスタージョンはなぜかアフリカ中部(現在のエチオピアあたり)に国を作っていた。もう完全に設定ブレブレ。
偉い人たちは考えた。エンリケ王子が一生懸命アフリカを背後から突くのであれば、あの憧れのプレスタージョンに会えるのではないか?
となると、すでに乗り気だったエンリケ王子も100倍乗り気になる。

                        , -― '" ̄ ̄ ̄ ̄ > 、
                 ,イ  ,ィ    ,  '"                \
            / ト、 l \_/                      \ノ
            l   `ー―'       /               \
            ゝ            /                      ',
            ト、_,>、  l      /        、   、             ',
                \__,才  \_  l     ,  l   ト、            ',
              /   \___人   ,イ /!  /l ム   |         |   「もしかしたら、プレスタージョンと
                { , ,  <   ノム / | / ノ/_ノ 人ム  乂       |    軍事同盟なんかも結べるかも……」
              ヽl l , ハ´ ̄≧x ゝ | l/ 才f升幵手、   >     \
                 ヽ| ト、{ l 乏込式l 乂    ´込r少'´ |         \
                     ヽ __≧=‐'     | l        ,ィ   |          \
                /    ',      | |      { t_ノ              ',
                  /       '     j j       ,仆、_,イ  /     ,      l
                   /       ',     ヽr'     { `ー'  /     /        l
               l       ' ,   ,ニニ,__    \_____/    /       l
               |          >,  ー--      ,イ       ,ハ       l
               |      ,  '"∧         / |      /  ',         l
               |  , -‐'"       l>、   , r<⌒ヽl       l   ',        |
                j/            |  ` ´ |     ム     |    ',       |

                    エンリケ王子 (1394 - 1460) ※男です

エンリケ王子は思った。これを機に国をあげてプレスタージョンと友達になろう!
こうしてはいられない。早いところアフリカの南の方まで行かなくては!

18名無しさん:2016/06/05(日) 00:16:55 ID:EcTaGEX20
エンリケ王子は早速海洋事業に乗り出した。
アフリカの西側の海を南下して、ある程度のところで拠点を築き、イスラム勢力を攻撃しようとしたのである。
しかし、当時の船乗り達にとって、アフリカの西側の海はまったくもって未知の世界だ。

ひとまずエンリケ王子の命令を受けて、ポルトガル中の船乗りはアフリカに向けて出港した。
が、ちょっとも経たないうちにホイホイと戻ってきてしまう。大半の船はアフリカの西の先っちょだけを航海して戻ってきてしまうのである。

ここでエンリケ王子、ムキになる。

                        , -― '" ̄ ̄ ̄ ̄ > 、
                 ,イ  ,ィ    ,  '"                \
            / ト、 l \_/                      \ノ
            l   `ー―'       /               \
            ゝ            /                      ',
            ト、_,>、  l      /        、   、             ',
                \__,才  \_  l     ,  l   ト、            ',
              /   \___人   ,イ /!  /l ム   |         |   「我が親友を海に捧げる!!」
                { , ,  <   ノム / | / ノ/_ノ 人ム  乂       |    
              ヽl l , ハ´ ̄≧x ゝ | l/ 才f升幵手、   >     \
                 ヽ| ト、{ l 乏込式l 乂    ´込r少'´ |         \
                     ヽ __≧=‐'     | l        ,ィ   |          \
                /    ',      | |      { t_ノ              ',
                  /       '     j j       ,仆、_,イ  /     ,      l
                   /       ',     ヽr'     { `ー'  /     /        l
               l       ' ,   ,ニニ,__    \_____/    /       l
               |          >,  ー--      ,イ       ,ハ       l
               |      ,  '"∧         / |      /  ',         l
               |  , -‐'"       l>、   , r<⌒ヽl       l   ',        |
                j/            |  ` ´ |     ム     |    ',       |

                    エンリケ王子 (1394 - 1460) ※男です

ついにエンリケ王子はリーザルウェポンを導入した。ジル・エアネスという人物である。

19名無しさん:2016/06/05(日) 00:17:19 ID:mDf9i8S.0
ギャグかと思いきや意外と為になる

20名無しさん:2016/06/05(日) 00:18:15 ID:EcTaGEX20
                 (/( <: : : : : : : : : : :>- ノ(/(
                ノ: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :/(
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               /: : : : : /⌒V(\ : : : : : : : ーく
               }: : : : :/芹苧ミ.  \: : : : : : : : }
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               {: : : : : : : :ー=彡  ┼=彡: : : : し  「馬、いいよね……」
              : : : : : : : ー=ニア   ' ー=: : : イ(.}
             ( : : : : : : : : :ア¨ --― - ア: :r=彡′
            }ト-=彡: : : : :ハ    こ  . : : |
            ゝ-=彡: : /刈込     /: : : { }i
              }八(⌒V  ∧〕=- .ィ⌒ー=彡
                /     / V`¨¨¨7∧ム
.              人   /  ∨___,/ ,∧L
             <   \_,/    ∨,/   ∧ >---

            ジル・エアネス (生年没年不詳) 

エンリケ王子の素敵な友達、ジル・エアネス。普段は馬のお世話をしている生き物係だ。
エンリケ王子は命令した。「アフリカ西部を本気で探検してこい」と。
今まで完璧に馬のお世話をしてきた、ジル・エアネス。エンリケ王子は彼なら完璧に仕事をしてくれると考えた。

ジル・エアネスは二つ返事で承諾。すぐさまジル・エアネスを司令とした西アフリカ探検プロジェクトが始動した。


( ^ω^)
   φ....


国に仕えていたブーンもこのプロジェクトの一員だ。上司の命令に従って、長期の航海に必要な物資を集めた。
乗船はしたことがないものの、何回か航海プロジェクトに参加しているブーン。ノウハウは大体わかっている。
水は腐るからワインをたくさん積んで……。干し肉やビスケット、チーズにバター……。

それなりに出来る男のブーン。人だって集める。ポルトガル中のベテラン船乗りたちをたくさん引き抜いた。


( ^ω^)「完璧!」
  p q

そうこうしている内に、いい感じに準備が整った。ブーンも上司に褒められてうれしい。
がんばった! というような顔をしてジル・エアネスが出帆するのを港から見送った。

21名無しさん:2016/06/05(日) 00:20:03 ID:EcTaGEX20
                 (/( <: : : : : : : : : : :>- ノ(/(
                ノ: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :/(
               ¨ア : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : ノ
               /: : : : : /⌒V(\ : : : : : : : ーく
               }: : : : :/芹苧ミ.  \: : : : : : : : }
.               ノ: : : :八_ `¨¨^  __{ノ : : : : : : ノ
               {: : : : : : : :ー=彡  ┼=彡: : : : し  「馬が恋しくて……」
              : : : : : : : ー=ニア   ' ー=: : : イ(.}
             ( : : : : : : : : :ア¨ --― - ア: :r=彡′
            }ト-=彡: : : : :ハ    こ  . : : |
            ゝ-=彡: : /刈込     /: : : { }i
              }八(⌒V  ∧〕=- .ィ⌒ー=彡
                /     / V`¨¨¨7∧ム
.              人   /  ∨___,/ ,∧L
             <   \_,/    ∨,/   ∧ >---

            ジル・エアネス (生年没年不詳) 


が、しばらくしてジル・エアネスは戻ってきてしまう。もちろん、アフリカ西部はほとんど探検出来ないままだ。
何の成果もあげられずに帰ってきてしまったこの男。当然エンリケ王子に怒られた。

                        , -― '" ̄ ̄ ̄ ̄ > 、
                 ,イ  ,ィ    ,  '"                \
            / ト、 l \_/                      \ノ
            l   `ー―'       /               \
            ゝ            /                      ',
            ト、_,>、  l      /        、   、             ',
                \__,才  \_  l     ,  l   ト、            ',
              /   \___人   ,イ /!  /l ム   |         |   「もう絶交だ!!!!!」
                { , ,  <   ノム / | / ノ/_ノ 人ム  乂       |    
              ヽl l , ハ´ ̄≧x ゝ | l/ 才f升幵手、   >     \
                 ヽ| ト、{ l 乏込式l 乂    ´込r少'´ |         \
                     ヽ __≧=‐'     | l        ,ィ   |          \
                /    ',      | |      { t_ノ              ',
                  /       '     j j       ,仆、_,イ  /     ,      l
                   /       ',     ヽr'     { `ー'  /     /        l
               l       ' ,   ,ニニ,__    \_____/    /       l
               |          >,  ー--      ,イ       ,ハ       l
               |      ,  '"∧         / |      /  ',         l
               |  , -‐'"       l>、   , r<⌒ヽl       l   ',        |
                j/            |  ` ´ |     ム     |    ',       |

                    エンリケ王子 (1394 - 1460) ※男です

エンリケ王子は”もうお前なんか知らない!”とばかりに彼を冷遇してしまった。
プンプンのエンリケ王子、ジル・エアネスに”お前はいれてやんねー!”と、実力ある他の人間を司令に、どんどこアフリカへと送り出す。

22名無しさん:2016/06/05(日) 00:23:27 ID:EcTaGEX20
こうして白羽の矢が当たったのがブーンの上司だ。

               ,. -‐ 、
            , '  ,ハ 、 ` 、
           /   .,'  `゙ヽ、、`ヽ
            !  ィ'._ニ .._ ,  `ヽノ
            l ,' ゙!| ``’`  {ェテ}
           |.! !}      i. !    「ワシは有能だ」
               },゙r1  , _`_′'     
           ´}!_ \.   -  ,'
           /: : :`: ‐= _ ...,./
 ,......、_ ,, .. -‐ '"\: : : /:/: ハ:',
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ブーンの上司は非常に有能な男だった。詳しいことは書かないが、非常に有能だった。
このブーンの上司は何度か航海に出たことがあり、少し前のセウタ攻略では結構頑張ってイスラムをぶっ叩いた。これがエンリケ王子にウケたのだ。

ブーンの上司がアフリカに征くというので、ブーンもプロジェクトを動かした。


( ^ω^)
   φ....


今回は自分がプロジェクトリーダー。乗船はしないものの、それに必要なものを集めて回った。
それだけじゃないぞ、今回のブーンはちょっと違う。出帆の許可を港にとったり、手配書を回したり、自分の足で商業会に赴いたり、
いつものブーンじゃないくらい働いた。

よーし、いい感じに準備がすすんできたぞ〜と思った矢先、衝撃的な事件が起きてしまう。

.

23名無しさん:2016/06/05(日) 00:24:36 ID:EcTaGEX20
なんと、ブーンの上司がポックリ死んでしまったのだ。

               ,. -‐ 、
            , '  ,ハ 、 ` 、
           /   .,'  `゙ヽ、、`ヽ
            !  ィ'._ニ .._ ,  `ヽノ
            l ,' ゙!| ``’`  {ェテ}
           |.! !}      i. !    「ワシは死んだ」
               },゙r1  , _`_′'     
           ´}!_ \.   -  ,'
           /: : :`: ‐= _ ...,./
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( ; ゚ω゚)「えええええええええええええええええええええええええええ」


死因は当時良くある”食あたり”だった。
謝肉祭で食べきれなかったお肉を食べてしまったのだ。ちょっと糸引くなぁ、と思ったが食べてしまったのだ。
これにはブーンも参った。香典なんかも集めたり上司の奥さんを慰めたりしたけど、プロジェクトのことが気がかりで仕方がない。

果たしてブーンの上司亡き今、誰がアフリカに向けて出帆すると言うのだろうか。


( ;´ω`)「……?」


ある日、ブーンの元に一通の手紙が届いた。恐ろしい事にエンリケ王子からだ。

24名無しさん:2016/06/05(日) 00:26:13 ID:EcTaGEX20

      ある日がんばるブーンに
       手紙が届きますた・・・
          _____
         / ヽ____//
         /   /   /
        /   /   /
        /   /   /
       /   /   /
       /   /   /
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       ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                                    https://www.youtube.com/watch?v=wEQ0-ZzEacQ


       | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|
       |                    |
       |                    |
       /    ̄ ̄ ̄ ̄      /_____
       /                   /ヽ__//
     /    お前が行け     /  /   /
     /              /  /   /
    /   ____      /  /   /
   /             /  /   /
 /             /    /   /
  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄/   /   /
                      ̄ ̄ ̄ ̄ ̄


( ; ゚ω゚)「うわあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」

ブーンは知っていた。アフリカの西にちょっと行っただけなのに結構な数の船員が死んでいることを。
ブーンは知っていた。3分の1は船長が亡きまま帰ってくることを。
ブーンは知っていた。自分に白羽の矢が当たってしまうことを。

25名無しさん:2016/06/05(日) 00:28:23 ID:EcTaGEX20
ああ、哀れブーン。こんなことになろうとは。
王子から直々にお前が行け、と言われたのであれば上野のトイレでさえ尻を磨いて裸で行かねばなるまい。
その上ブーンはまだ船に乗ったことがない。初航海が司令でアフリカ探検なのだ。こども店長がゴールドマンサックスを買収しようとするものだ。

ブーンの用意した食料だって、ハチャメチャに節約をしなくては生きて帰ってこれない。食いしん坊のブーンにはこれがつらい。
これ以上積もうものなら海の藻屑だ。ただでさえクラゲみたいな体が本当のぶよぶよぷくぷくクラゲとなって海に打ち上げられる。
誰よりも航海の厳しさを知っていたブーン、絶対に海には出たくない!


( ;´ω`)


しかし、もう決まりである。ブーンは出帆しなくてはならない。海の荒くれ達を連れて。
かわいそうなブーンはとぼとぼと帰路につく。妻のツンと息子のブーンにそのことを告げねばなるまい。

もちろん、海に出ることというのは世間的に考えれば非常に誇らしいことである。
希望と野心に燃える冒険家! 川口浩みたいで非常に聞こえが良い。

しかしブーンにそんなものは一切ない。
上司が死んで、仕方がなく生死を賭けるのだ。仕方がなく死ぬ思いをして海に出るのだ。
出てしまえば二度と帰ってこれないかもしれない。あのムカツク顔したエンリケ王子に無理やりに海に追いやられるのだ。

少しでも名声を手に入れたい、とか、見たことないものを自分の目で……、とか打倒イスラム!とかそういった気持があればよいのだが、
ブーンにとっての幸せとはツンと息子のブーンと仲良く三人で幸せに暮らすことなのである。
誰がブーンをこんな運命にさせたろう。時代がそうさせたのだ。プレスタージョンは悪くない。

26名無しさん:2016/06/05(日) 00:30:00 ID:EcTaGEX20
                                                  https://www.youtube.com/watch?v=hvDBWw2C3Hg

帰宅して早速、妻のツンに航海に出ねばならないことを告げた。
この話を聞くと妻のツンはわあわあわあわあと泣き出してしまった。


。・゚゚・ξ>⊿<)ξ・゚゚・。 ビエーン


無理もない。夫が死にに行くようなものなのである。その上小さな息子までいる。この殺伐とした中世を女で、かつ一人で育てて行かなくては
ならなくなるかも知れないのだ。当時、女一人で育てるなんて言ったら体を売らねばならない。
泣きすがってでもエンリケ王子にブーンのアフリカ行を止めたい所なのである。


( ´ω`)


そんなツンを見ていたら、なんだか不憫でかわいそうで。ブーンは非常に申し訳なくなった。
そう考えていたら、なんで自分は海に行かなくてはならないのだろう、自分が何をしたというんだろう、と考え始めた。


。・゚゚・( ´ω`)・゚゚・。 オーン


今度は自分がとてもかわいそうになって来て、ブーンまでわあわあわあわあ泣き始めてしまった。


(;^ω^)


大の大人二人が子供みたいに泣いているのを見ていた息子のブーン。
お父さん、お母さんがこんなに泣きわめくのなんか生まれてこの方一度も見たことがない。

27名無しさん:2016/06/05(日) 00:30:46 ID:px2Dg7O60
これは悲しい

28名無しさん:2016/06/05(日) 00:31:42 ID:EcTaGEX20
そんなの見ていたら、全く意味の分かっていない息子のブーンもなんだかだんだん悲しくなって来て、結局息子のブーンまで
わあわあわあわあと泣いてしまった。


。・゚゚・( ´ω`)・゚゚・。 オーン  。・゚゚・ξ>⊿<)ξ・゚゚・。 ビエーン  。・゚゚・( >ω<)・゚゚・。 エーン


悲しいことにこれが中世。一家三人が涙での結束を果たした所で運命は変わりはしない。
ブーンは海に行き、ツンは一人で小さなブーンを育てなくてはならなくなるのだ。



( ´ω`)(´ω`)ξ´⊿`)ξ



その日、三人は肌を寄せ合って眠った。
泣きはらしたところで運命を変えることは出来なかったが、三人の間にはちょびっとだけの家族愛みたいなのが生まれた
ような気がした。




さて、しばらく時が過ぎて出港の日となった。
今日と言うXデーが来るまでブーンはまったく眠れなかったが、どうにかして妻のツンと息子のブーンには笑顔でサヨナラをいう事が
出来た。やれやれ、かわいそうなブーン。こうなったのは決してプレスタージョンのせいでは無いぞ。

29名無しさん:2016/06/05(日) 00:33:29 ID:EcTaGEX20
ブーンの船は当時にしては大きめのキャラック船一隻とキャラベル船だ。どちらも最新鋭の船だった。
キャラック船の方にたくさんの積み荷を詰め、キャラベル船の方には人員を多く配備した。
もちろん、ブーンは司令官であるため、大きいキャラック船の方に乗り込んだ。


( ´ω`)ノシ


さて、出港の時である。アルガルヴェの先端から、アフリカ西部へと旅立つ。
地元民の歓声に手を振ってはみるが、まっっっっっったく気乗りしない。吐き気さえ催すブーン。なんとかわいそうだろうか。


ブーンの航路は、こうだ。


                 この辺を
                / 
             / 
          /   ,へ〜~~ ̄ ̄フ,           フ
        ◎    /´         `〜、_ |`〜、_,、__/
 こう進んでいく!,/                    ヽレ、
          /                      ヽヽ
         |                         ヽ ヽ
         `|                         ヽ ヽ
         (                          ヽ |  _、-
          |                           \`´,-フ
          \                            ̄  /
            `\,,〜〜〜´`L_、                  /
                      )                /


単純にして完璧! 古くからプロジェクトに関わってきたブーンに狂いはない!! これでアフリカ攻略だ!

30名無しさん:2016/06/05(日) 00:35:26 ID:EcTaGEX20
さて、出港してからしばらくたち、ついにアフリカの大地が見えた。
これもブーンの計画通り。あとは陸から目を離さないで南下すれば良いだけなのである。航海は順調。幸先が良い。

当時は近海航法が主流であった。
陸の近くをのんのんとのんびり進んでいく、と言ったもので当時ビビり野郎の多かった船乗りたちの間ではそれが普通だったのだ。
だって、陸が見えなくなったら怖いじゃん。という理由ただ一つである。

少し頭の回転の速い人なら、ある一つの疑問が浮かぶであろう。
”座礁するんじゃね?”と。

ご名答である。

    .ソ三三ニ|      ─               ヘ                        https://www.youtube.com/watch?v=FBQr6ryEorg
   〈三三三.ヽ,,,   / ̄ ̄ ̄ヽ、       ─  ヘ
   〈三三三三/    /ニニニヽヾ.ヽ、    /⌒ヽ .リj
  .  (/⌒ヘミ三/    /     .\ゝ   /ニニニゝ /ミl.
   /人 |三|   =、`─‐o─-  /__ソ.     | | |彡〉
  .|/ ソ>.|三|    ヽ、` ̄ ̄´ ノ     \to─、レ゙ lr‐i   「キャラベル船が座礁……、しました……」
   | ゝ .|三|   u  ̄ ̄ ̄´       ヽ ̄¨´  |6 }
   ヽ、 .{三|          _r'`    ,__、} ̄^  / /゛
     ゞレ|三〉        /   .、 ̄   ヽ、   / /
      .|ヽ        l───ッヽ、    )  ト/
      .| \\             ヾ____ノ  /f′
     /\    \   i ッ--―ー──、 /  /
    ィ////.ヽ、         ` ̄ ̄ ̄ ̄''´/  /


( ; ゚ω゚)「うわあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」


思い出していただきたい。エンリケ王子が海洋事業に乗り出したとき、多くの船がアフリカの西をちょっと行っただけで逃げ帰ってきた事を。
その半数が仲間の船が座礁したのを見て、逃げ帰って来たのである。

そして今、ブーンはその危機に直面した!どうする、ブーン!

31名無しさん:2016/06/05(日) 00:35:38 ID:nNvfxHsEO
1401 - 1434……(察し)

32名無しさん:2016/06/05(日) 00:36:43 ID:EcTaGEX20

( ; ゚ω゚)「あわわあわわ」


これは困った。しかもキャラベル船には多くの人員が乗っている。アフリカの海に詳しい人間や海図に詳しい人間もいるのだ。
慌てふためくブーンに船員から”とにかく、向こうの船長に連絡しましょう”との神の声。
早速ブーンは連絡船を出して、座礁した船へと向かわせた。

と、同時に陸から何隻かの船がこちらへ向かってきた。一体何者だ!


           |      丶                                https://www.youtube.com/watch?v=rjdJHEQ-85g
           |       )
    -  ⌒  ` ↓   ⌒  ⌒へ
 /~                   \
∠ _ 、       イ  イ       丶    「おめぇらやっぱドジだなぁ〜。オラ、おどれぇたぞ!」
      丶    / |  /     イ    L_
  -〜 -  - - (  | /  | / | ヘ     ⌒ ー _
 `〜-_ _   \く ⌒ヽ レ /⌒丶   _- - ⌒
      へ(⌒∨(⌒ヽ  /⌒)∠    ̄ー__
    〜 ̄_ヘ℃| |_  0  0  _/ / ヘ  __丶
      ̄ ̄ヾ  |   ⌒ 、 ⌒   /p 丿\
          ̄- l  ⊂  フ  ノ〜  ̄
             ヽ  _  /

            イメージ画


イスラム戦士だ!! 忘れてはならない、この土地はイスラムの支配下だ。
地元のイスラム戦士は知っていたのだ。この辺を通れば座礁するかも、という事を。

.

33名無しさん:2016/06/05(日) 00:38:22 ID:EcTaGEX20
万事休す、ブーン。すでに座礁した船はイスラム戦士に取り囲まれている。連絡船員もイスラム戦士に切り付けられて海に捨てられた。
そして、ついにイスラム戦士たちはブーンのいる船にまで近寄って来た! これはまずい、ブーン逃げろ!


( ; ゚ω゚)「逃げるお! 逃げるお!」


ケツまくって逃げるブーン。幸い天候が味方して簡単に振り切ることが出来た。が、多くの人員と少しの貨物を紛失。
これは大きな痛手だ。もう、すぐにでも帰りたいブーン。早く帰りたい。が、慌てて逃げたのでもっと南下を始めてしまった。
戻ればイスラム戦士がいる。ここで戻ってしまうのは自殺行為。しかし、陸から離れて大回りするのもあり得ないくらい怖い。

長らく考えた後、ブーンは孤独と絶望の中、南下することを決めた。


( ;´ω`)


もうこの時点でブーンのメンタルぼろぼろ。涙さえ出てこない。なんだか手足もむくんでくるし、最悪。
戻りたくても戻れず、知らない土地に行くだけのブーン。そんな哀れなブーンに船員たちもなんだか可哀想になってきて、


    .ソ三三ニ|      ─               ヘ   
   〈三三三.ヽ,,,   / ̄ ̄ ̄ヽ、       ─  ヘ
   〈三三三三/    /ニニニヽヾ.ヽ、    /⌒ヽ .リj
  .  (/⌒ヘミ三/    /     .\ゝ   /ニニニゝ /ミl.
   /人 |三|   =、`─‐o─-  /__ソ.     | | |彡〉
  .|/ ソ>.|三|    ヽ、` ̄ ̄´ ノ     \to─、レ゙ lr‐i   「歌いましょうか……?」
   | ゝ .|三|   u  ̄ ̄ ̄´       ヽ ̄¨´  |6 }
   ヽ、 .{三|          _r'`    ,__、} ̄^  / /゛
     ゞレ|三〉        /   .、 ̄   ヽ、   / /
      .|ヽ        l───ッヽ、    )  ト/
      .| \\             ヾ____ノ  /f′
     /\    \   i ッ--―ー──、 /  /
    ィ////.ヽ、         ` ̄ ̄ ̄ ̄''´/  /


なんて聞いてくる始末。

34名無しさん:2016/06/05(日) 00:40:36 ID:px2Dg7O60
悟空怖すぎ

35名無しさん:2016/06/05(日) 00:40:42 ID:EcTaGEX20
さて、一隻失った後も南下をしていたわけであるが、ついにカナリア諸島へ到達する。

 
              ,へ〜~~ ̄ ̄フ,           フ
             /´         `〜、_ |`〜、_,、__/
        ◎ ,/                    ヽレ、
         カナリア諸島                ヽヽ
         |                         ヽ ヽ
         `|                         ヽ ヽ
         (                          ヽ |  _、-


ひとまず、ブーンの他にもメンタルぼろぼろの船員が多くいたので、立ち寄って、地に足を付けることにより元気になろうとした。
あわよくば、新鮮な水を少し積み込みたかった。
が、カナリア諸島の人間はブーン達にマジギレ。全くブーンの船を島に入れてくれない。

理由はコイツである。

                 (/( <: : : : : : : : : : :>- ノ(/(
                ノ: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :/(
               ¨ア : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : ノ
               /: : : : : /⌒V(\ : : : : : : : ーく
               }: : : : :/芹苧ミ.  \: : : : : : : : }
.               ノ: : : :八_ `¨¨^  __{ノ : : : : : : ノ
               {: : : : : : : :ー=彡  ┼=彡: : : : し  「馬、好きかい?」
              : : : : : : : ー=ニア   ' ー=: : : イ(.}
             ( : : : : : : : : :ア¨ --― - ア: :r=彡′
            }ト-=彡: : : : :ハ    こ  . : : |
            ゝ-=彡: : /刈込     /: : : { }i
              }八(⌒V  ∧〕=- .ィ⌒ー=彡
                /     / V`¨¨¨7∧ム
.              人   /  ∨___,/ ,∧L
             <   \_,/    ∨,/   ∧ >---

            ジル・エアネス (生年没年不詳) 

この男、ジル・エアネス。アフリカから逃げ帰る時、何も持たないで帰るとエンリケ王子が怒ると思って、あろうことかカナリア諸島の人間を
さらってしまったのだ。何を考えているんだジル・エアネス。これは人間の所業ではないぞ!

36名無しさん:2016/06/05(日) 00:42:58 ID:EcTaGEX20
怒るのも無理もないカナリア諸島の人々。ブーン達も戦う気力なんてこれっぽっちもない。脳裏にはあのイスラム戦士のニヤケ顔
が張り付いている。ブーン達は流されるように追い返されてしまった。


(ヽ´ω`)


メンタル面で本格的にピンチのブーン一行。ちょんぼししか残っていない精神ゲージを切り詰めて南下していく。
ブーンにとっては穏やかな海も、高い空もただの地獄の光景にしか見えなくなる。

しかも船内で病気が流行り始め、毎日2、3人の死体を海に投げ捨てている。冗談ではなく、地獄の光景になり始めた。

カナリア諸島を越えて、ブーンの船はある岬に差し掛かった。


              ,へ〜~~ ̄ ̄フ,           フ
             /´         `〜、_ |`〜、_,、__/
          ,/                    ヽレ、
         ◎ ボハドル岬               ヽヽ
         |                         ヽ ヽ
         `|                         ヽ ヽ
         (                          ヽ |  _、-


ボハドル岬だ。ブーンはあの岬にたどり着いて、早いところ地に足を付けたいと考えていた。
が、岬が見え始めてから船員たちがざわざわとし始めている。
メンタルがすでに死んでいるブーンもこれには何事かと思い始める。

37名無しさん:2016/06/05(日) 00:43:56 ID:EcTaGEX20
    .ソ三三ニ|      ─               ヘ   
   〈三三三.ヽ,,,   / ̄ ̄ ̄ヽ、       ─  ヘ
   〈三三三三/    /ニニニヽヾ.ヽ、    /⌒ヽ .リj
  .  (/⌒ヘミ三/    /     .\ゝ   /ニニニゝ /ミl.
   /人 |三|   =、`─‐o─-  /__ソ.     | | |彡〉
  .|/ ソ>.|三|    ヽ、` ̄ ̄´ ノ     \to─、レ゙ lr‐i   「こ、これ以上は危険です」
   | ゝ .|三|   u  ̄ ̄ ̄´       ヽ ̄¨´  |6 }
   ヽ、 .{三|          _r'`    ,__、} ̄^  / /゛
     ゞレ|三〉        /   .、 ̄   ヽ、   / /
      .|ヽ        l───ッヽ、    )  ト/
      .| \\             ヾ____ノ  /f′
     /\    \   i ッ--―ー──、 /  /
    ィ////.ヽ、         ` ̄ ̄ ̄ ̄''´/  /

ベテラン船乗りの話を聞くブーン。すると、こんな訳の分からない事を言い始めた。

    .ソ三三ニ|      ─               ヘ   
   〈三三三.ヽ,,,   / ̄ ̄ ̄ヽ、       ─  ヘ
   〈三三三三/    /ニニニヽヾ.ヽ、    /⌒ヽ .リj
  .  (/⌒ヘミ三/    /     .\ゝ   /ニニニゝ /ミl.
   /人 |三|   =、`─‐o─-  /__ソ.     | | |彡〉
  .|/ ソ>.|三|    ヽ、` ̄ ̄´ ノ     \to─、レ゙ lr‐i   「あれはボハドル岬。あれより南に海はありません」
   | ゝ .|三|   u  ̄ ̄ ̄´       ヽ ̄¨´  |6 }
   ヽ、 .{三|          _r'`    ,__、} ̄^  / /゛
     ゞレ|三〉        /   .、 ̄   ヽ、   / /
      .|ヽ        l───ッヽ、    )  ト/
      .| \\             ヾ____ノ  /f′
     /\    \   i ッ--―ー──、 /  /
    ィ////.ヽ、         ` ̄ ̄ ̄ ̄''´/  /

(ヽ´ω`)「……?」

ブーンにとっては意味不明である。

38名無しさん:2016/06/05(日) 00:44:45 ID:EcTaGEX20
当時の船乗りたちの常識としては、こうだ。
ボハドル岬を越えると巨大な滝があり、奈落の底へ落ちる。これ以上、海はないのだ。
冗談ではなく、船乗りたちは大マジでこの話を信じていたのである。


(ヽ ゚'ω゚)「!?!?」


この話を聞いたブーンはひっくり返ってしまう。正常な思考能力であれば、分かるであろう迷信もマジに信じてしまうブーン。
さらに頭の良いベテラン船員は続ける。

    .ソ三三ニ|      ─               ヘ   
   〈三三三.ヽ,,,   / ̄ ̄ ̄ヽ、       ─  ヘ
   〈三三三三/    /ニニニヽヾ.ヽ、    /⌒ヽ .リj
  .  (/⌒ヘミ三/    /     .\ゝ   /ニニニゝ /ミl.
   /人 |三|   =、`─‐o─-  /__ソ.     | | |彡〉
  .|/ ソ>.|三|    ヽ、` ̄ ̄´ ノ     \to─、レ゙ lr‐i   「その上、このまま南下すると赤道が近いです。
   | ゝ .|三|   u  ̄ ̄ ̄´       ヽ ̄¨´  |6 }   赤道の海は燃え盛っていて、この船ではとても……」
   ヽ、 .{三|          _r'`    ,__、} ̄^  / /゛
     ゞレ|三〉        /   .、 ̄   ヽ、   / /
      .|ヽ        l───ッヽ、    )  ト/
      .| \\             ヾ____ノ  /f′
     /\    \   i ッ--―ー──、 /  /
    ィ////.ヽ、         ` ̄ ̄ ̄ ̄''´/  /


確かに。確かに、この話はブーンにもしっくり来るところがある。
つい先日、外に出ていたら皮膚が赤くなって、夜にはペリペリと皮が剥けたのだ!しかも昨日はヒリヒリと痛かった!
流石は頭の良いベテラン船員。ブーンをうならせる。

39名無しさん:2016/06/05(日) 00:45:29 ID:EcTaGEX20
このまま南下すれば海は沸騰する。そして燃え盛る。これはマズい。南下しても燃えて死に、北上してもイスラムおばけに殺される。
ブーンは終わりだった。いわゆる、詰みの状態である!
                        , -― '" ̄ ̄ ̄ ̄ > 、
                 ,イ  ,ィ    ,  '"                \
            / ト、 l \_/                      \ノ
            l   `ー―'       /               \
            ゝ            /                      ',
            ト、_,>、  l      /        、   、             ',
                \__,才  \_  l     ,  l   ト、            ',
              /   \___人   ,イ /!  /l ム   |         |   「海が燃え盛るとか笑止千万」
                { , ,  <   ノム / | / ノ/_ノ 人ム  乂       |    
              ヽl l , ハ´ ̄≧x ゝ | l/ 才f升幵手、   >     \
                 ヽ| ト、{ l 乏込式l 乂    ´込r少'´ |         \
                     ヽ __≧=‐'     | l        ,ィ   |          \
                /    ',      | |      { t_ノ              ',
                  /       '     j j       ,仆、_,イ  /     ,      l
                   /       ',     ヽr'     { `ー'  /     /        l
               l       ' ,   ,ニニ,__    \_____/    /       l
               |          >,  ー--      ,イ       ,ハ       l
               |      ,  '"∧         / |      /  ',         l
               |  , -‐'"       l>、   , r<⌒ヽl       l   ',        |
                j/            |  ` ´ |     ム     |    ',       |

                    エンリケ王子 (1394 - 1460) ※男です

なお、あのエンリケ王子は天文学やら地理学やら結構勉強していて、周りの人間には”迷信やで”とか、”自信もって進んで良いで”
とか喋っていたのだが、下々の船員までには伝わってはいなかった。
      っ
     っ
(ヽ ゚'ω゚)

ともかく、一大事となった。早く引き返さなくては海が燃えてしまう。奈落の底に落ちてしまう!

40名無しさん:2016/06/05(日) 00:46:39 ID:EcTaGEX20

(ヽ ゚'ω゚)「い、今この場より北上するお!」


これは英断だ、ブーン。このまま進んでは全滅必至。船員の命を守るために北上するのだ。
あーあー、哀れ大司令官ブーン、迷信を真に受け北上開始。ブーンのアフリカ探検は今この時より幕を閉じる。

南下しないのだから海が燃え盛ることはない。だが、ブーンは相当パニクっており、何故か”炎が迫ってくる”と設定変更。
全速力で北上していくのである。

早く帰ろう。優しいツンが待っている。かわいい息子のブーンが待っている。
船員にだって家族がいる。早く帰してあげたい。
逸る気持ちを押さえて北上するブーン。その速さはまさに韋駄天。が、ブーンは肝心なことを忘れていた。


           |      丶                            https://www.youtube.com/watch?v=_B0CyOAO8y0
           |       )
    -  ⌒  ` ↓   ⌒  ⌒へ
 /~                   \
∠ _ 、       イ  イ       丶    「おめぇら忘れ物かぁ〜? やっぱドジだなぁ〜!」
      丶    / |  /     イ    L_
  -〜 -  - - (  | /  | / | ヘ     ⌒ ー _
 `〜-_ _   \く ⌒ヽ レ /⌒丶   _- - ⌒
      へ(⌒∨(⌒ヽ  /⌒)∠    ̄ー__
    〜 ̄_ヘ℃| |_  0  0  _/ / ヘ  __丶
      ̄ ̄ヾ  |   ⌒ 、 ⌒   /p 丿\
          ̄- l  ⊂  フ  ノ〜  ̄
             ヽ  _  /

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イスラム戦士の存在を。

41名無しさん:2016/06/05(日) 00:47:32 ID:EcTaGEX20
ブーンの船は陸に近づきすぎたのだ。ガゴッと言う大きな音とともにあっけなく座礁。
遠くからイスラム戦士が近づいてくる。何やらヘンテコな剣やら縄やらを持っているぞ。これでブーン達をどうするつもりだ!!
ニヤニヤしやがって何を考えている!

       っ
      っ
(ヽ ゚'ω゚)


ブーン焦る! これは本当の終わりに近づいているぞ!
船員たちは武器をもってイスラム戦士と戦おうとするが、下から水が溢れてきて思うように動けない!

イスラム戦士はテキパキとブーン達の積み荷を運び出す。手慣れた仕事っぷりにブーンもなんだか”もう良いや、僕たちもテキパキと
殺されるんだろうな”、と思った。
まさにその通り、何の躊躇もなくサクサク殺されていく船員たち。若い男は縛られて連れていかれたが、25を超えたような男は
サックサック首を斬られていった。

いよいよブーンの目の前にイスラム戦士が立つ。

           |      丶
           |       )
    -  ⌒  ` ↓   ⌒  ⌒へ
 /~                   \
∠ _ 、       イ  イ       丶    「おめぇ偉ぇヤツなのになんで戦わねぇんだ? オラわかんねぇぞ」
      丶    / |  /     イ    L_
  -〜 -  - - (  | /  | / | ヘ     ⌒ ー _
 `〜-_ _   \く ⌒ヽ レ /⌒丶   _- - ⌒
      へ(⌒∨(⌒ヽ  /⌒)∠    ̄ー__
    〜 ̄_ヘ℃| |_  0  0  _/ / ヘ  __丶
      ̄ ̄ヾ  |   ⌒ 、 ⌒   /p 丿\
          ̄- l  ⊂  フ  ノ〜  ̄
             ヽ  _  /

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.

42名無しさん:2016/06/05(日) 00:48:17 ID:EcTaGEX20

(ヽ´ω`)「はい」



みんなが殺されていく様子をボーッと眺めていたブーン。あーあ、死ぬ前にひどい事まで言われてしまった。
こうなっては仕方がない、無様に死ぬのだブーン。


           |      丶
           |       )
    -  ⌒  ` ↓   ⌒  ⌒へ
 /~                   \
∠ _ 、       イ  イ       丶    「ま、次はうまくやれよ! じゃあな!」
      丶    / |  /     イ    L_
  -〜 -  - - (  | /  | / | ヘ     ⌒ ー _
 `〜-_ _   \く ⌒ヽ レ /⌒丶   _- - ⌒
      へ(⌒∨(⌒ヽ  /⌒)∠    ̄ー__
    〜 ̄_ヘ℃| |_  0  0  _/ / ヘ  __丶
      ̄ ̄ヾ  |   ⌒ 、 ⌒   /p 丿\
          ̄- l  ⊂  フ  ノ〜  ̄
             ヽ  _  /

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哀れブーン、屈強なイスラム戦士に首をチョンっと斬られてコロリンコ。妻ツンを残して死んでしまった。合掌。
船は解体されて、イスラム戦士たちの家々や日用家具になった。ありがとう、ありがとう!



.

43名無しさん:2016/06/05(日) 00:48:46 ID:XIBDDmgo0
おい死んだぞ

44名無しさん:2016/06/05(日) 00:48:50 ID:EcTaGEX20
( ^ω^)

45名無しさん:2016/06/05(日) 00:54:36 ID:nNvfxHsEO
子供2歳か…

46名無しさん:2016/06/05(日) 01:00:45 ID:px2Dg7O60

>>35の人さらいの理由が軽くて笑う
時代だよなあ

47名無しさん:2016/06/05(日) 01:45:58 ID:Uy97Cxpc0
淡々と進むなあ

48名無しさん:2016/06/05(日) 08:08:36 ID:xEYt4D2w0
面白い
続き期待

49名無しさん:2016/06/05(日) 12:57:04 ID:nNvfxHsEO
4世が早世かつ3世より先に死んでる上に没年1年後に5世が生まれてて嫌な予感しかしないんだが

50名無しさん:2016/06/05(日) 13:01:08 ID:ubLhac7s0
マジかよ失望しました
ワンピース売ってDB買ってきます

51名無しさん:2016/06/05(日) 20:27:18 ID:HfWvWGJM0
面白いなぁ……

52名無しさん:2016/06/08(水) 20:02:13 ID:SzL2U0n.0
( ^ω^)

53名無しさん:2016/06/08(水) 20:06:13 ID:SzL2U0n.0
§ ブーン2世(1432 - 1487)                                  https://www.youtube.com/watch?v=Qe4yTxbOTi4


さて、臆病者のブーンはあっさり死んでしまったわけだが、その後すぐに航海史に残る大きな事件が起きた。

                 (/( <: : : : : : : : : : :>- ノ(/(
                ノ: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :/(
               ¨ア : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : ノ
               /: : : : : /⌒V(\ : : : : : : : ーく
               }: : : : :/芹苧ミ.  \: : : : : : : : }
.               ノ: : : :八_ `¨¨^  __{ノ : : : : : : ノ
               {: : : : : : : :ー=彡  ┼=彡: : : : し  「三馬身差で勝利のエアネス、サンバ踊る、なんつって。
              : : : : : : : ー=ニア   ' ー=: : : イ(.}   これが本当のお馬ギャグ。うまい。馬だけに」
             ( : : : : : : : : :ア¨ --― - ア: :r=彡′
            }ト-=彡: : : : :ハ    こ  . : : |
            ゝ-=彡: : /刈込     /: : : { }i
              }八(⌒V  ∧〕=- .ィ⌒ー=彡
                /     / V`¨¨¨7∧ム
.              人   /  ∨___,/ ,∧L
             <   \_,/    ∨,/   ∧ >---

            ジル・エアネス (生年没年不詳) 


エンリケ王子に許さて再び航海に出たジル・エアネスがなんと、あのボハドル岬を越えてしまったのだ。
ボハドル岬と言えば、あの世とこの世の境界線。そこを過ぎると海は燃え、奈落の底に落ちるといわれる、あのボハドル岬である。
それをジル・エアネスは超えて見せたのだ。当時の船乗りたちの常識を覆す出来事である。

「少し怖かったけど、得意の馬の世界に入って事なきを得たヒヒーン」と、馬の世界が抜けきらない様子のジル・エアネスにエンリケ王子もご満悦。
しかもボハドル岬より先に自生する植物まで持って帰って来た。地元ポルトガルではヒーローである。

54名無しさん:2016/06/08(水) 20:08:42 ID:SzL2U0n.0

                        , -― '" ̄ ̄ ̄ ̄ > 、
                 ,イ  ,ィ    ,  '"                \
            / ト、 l \_/                      \ノ
            l   `ー―'       /               \
            ゝ            /                      ',
            ト、_,>、  l      /        、   、             ',
                \__,才  \_  l     ,  l   ト、            ',
              /   \___人   ,イ /!  /l ム   |         |   「信じていたぞ、心の友よ!!」
                { , ,  <   ノム / | / ノ/_ノ 人ム  乂       |    
              ヽl l , ハ´ ̄≧x ゝ | l/ 才f升幵手、   >     \
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                     ヽ __≧=‐'     | l        ,ィ   |          \
                /    ',      | |      { t_ノ              ',
                  /       '     j j       ,仆、_,イ  /     ,      l
                   /       ',     ヽr'     { `ー'  /     /        l
               l       ' ,   ,ニニ,__    \_____/    /       l
               |          >,  ー--      ,イ       ,ハ       l
               |      ,  '"∧         / |      /  ',         l
               |  , -‐'"       l>、   , r<⌒ヽl       l   ',        |
                j/            |  ` ´ |     ム     |    ',       |

                    エンリケ王子 (1394 - 1460) ※男です

エンリケ王子が考えていたように、ボハドル岬の先は普通の海だった。良く知るアフリカ西部の気候ともあまり変わらず、太陽は今まで通りに輝く。
気温は少し上がったが、陸は続き、人のいる痕跡もあった。燃え盛る海も大いなる滝も、一切ウソっぱちだったのだ。

これを知った地元の船乗りたちは「俺が俺が!」と、ここぞとばかりに”僕もっと南に行けますアピール”をしまくる。
エンリケ王子は「征け! 海の王者たちよ!」と、ただでさえ乗りまくってる船乗りたちを乗らせる乗らせる。これが本当のノリノリ、なんつって。
こうして大航海時代はついに本格的に幕を開けるのであった。

55名無しさん:2016/06/08(水) 20:11:28 ID:SzL2U0n.0
そろそろ皆様はお気づきであろうと思うが、エンリケ王子は決して自分から海に出ようとしなかった。
なぜなら船酔いが激しかったからである。こんなでも王子、船乗りたちの前で「オロロロロロ」とするわけにもいかない。王子なりのメンツがある。
しかし、海に出ないとなると、それなりには暇になる。暇すぎて迷路を描いて自分で辿ってみたりもした。

そんなある日、エンリケ王子のイスラム嫌いがついに爆発した。

                        , -― '" ̄ ̄ ̄ ̄ > 、
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            / ト、 l \_/                      \ノ
            l   `ー―'       /               \
            ゝ            /                      ',
            ト、_,>、  l      /        、   、             ',
                \__,才  \_  l     ,  l   ト、            ',
              /   \___人   ,イ /!  /l ム   |         |   「今こそ勝利の時! 掲げよ、豚の首を!」
                { , ,  <   ノム / | / ノ/_ノ 人ム  乂       |    
              ヽl l , ハ´ ̄≧x ゝ | l/ 才f升幵手、   >     \
                 ヽ| ト、{ l 乏込式l 乂    ´込r少'´ |         \
                     ヽ __≧=‐'     | l        ,ィ   |          \
                /    ',      | |      { t_ノ              ',
                  /       '     j j       ,仆、_,イ  /     ,      l
                   /       ',     ヽr'     { `ー'  /     /        l
               l       ' ,   ,ニニ,__    \_____/    /       l
               |          >,  ー--      ,イ       ,ハ       l
               |      ,  '"∧         / |      /  ',         l
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                    エンリケ王子 (1394 - 1460) ※男です

周囲の大反対を押し切って、当時イスラム戦士の拠点の一つ、モロッコはタンジェに進軍したのである。
心のどこかであのプレスタージョンが助けてくれると思っていたのだろう。哀れにもそれは二番煎じ。おギャグ担当はすでに十字軍の手の中。

56名無しさん:2016/06/08(水) 20:13:22 ID:SzL2U0n.0
エンリケ王子、あっけなく敗北。敗北しただけならまだ良い。
愛する弟が人質に取られる始末。これには身内からも大バッシング。今までそんな怒られたことなかったエンリケ王子はヘコたれた。

そのまま、”軍事怖い病”に陥った挙句、身内からも「あのバカ王子には戦争は任せられんぞ」と陰でコソコソ言われ始めた。
まさに悲劇の王子である。

                        , -― '" ̄ ̄ ̄ ̄ > 、
                 ,イ  ,ィ    ,  '"                \
            / ト、 l \_/                      \ノ
            l   `ー―'       /               \
            ゝ            /                      ',
            ト、_,>、  l      /        、   、             ',
                \__,才  \_  l     ,  l   ト、            ',
              /   \___人   ,イ /!  /l ム   |         |   「私には海しかない。なぜなら、海も私しかないからである」
                { , ,  <   ノム / | / ノ/_ノ 人ム  乂       |    
              ヽl l , ハ´ ̄≧x ゝ | l/ 才f升幵手、   >     \
                 ヽ| ト、{ l 乏込式l 乂    ´込r少'´ |         \
                     ヽ __≧=‐'     | l        ,ィ   |          \
                /    ',      | |      { t_ノ              ',
                  /       '     j j       ,仆、_,イ  /     ,      l
                   /       ',     ヽr'     { `ー'  /     /        l
               l       ' ,   ,ニニ,__    \_____/    /       l
               |          >,  ー--      ,イ       ,ハ       l
               |      ,  '"∧         / |      /  ',         l
               |  , -‐'"       l>、   , r<⌒ヽl       l   ',        |
                j/            |  ` ´ |     ム     |    ',       |

                    エンリケ王子 (1394 - 1460) ※男です

軍事に関しての評価がボハドル岬の奈落の底にまで落ち込んでしまったので、エンリケ王子は開き直った様にすべてを海に捧げた。
こうして、エンリケ王子は1460年に”王子の村”とかいう自分で作ったクッソウケる名前の村で死ぬのであった。享年66歳。なお、借金まみれだった模様。

57名無しさん:2016/06/08(水) 20:15:33 ID:SzL2U0n.0

はてさて、茶化しはしたがエンリケ王子の功績はシャレにならないくらいデカいものであった。
エンリケ王子が死ぬまでにヨーロッパ人がたどり着いたのはシエラレオネ。

          ,へ〜~~ ̄ ̄フ,           フ
         /´         `〜、_ |`〜、_,、__/
       ,/                    ヽレ、
      /                      ヽヽ
     |                         ヽ ヽ
     `|                         ヽ ヽ
     (                          ヽ |  _、-
      |                           \`´,-フ
      ◎ ここ!                       ̄  /
        `\,,〜〜〜´`L_、                  /
                  )                /
                 く               /
                  \            (
                   ヽ            |
                    )            |    

アフリカの西側をちょこっと行っただけでビビりまくってた当時を考えたら本当に大したものである。

エンリケ王子亡くなったとて、この大航海時代を終わらせるわけには行くまい。エンリケ王子が開拓したアフリカとのやり取りでそれなりに
儲かってもいるし、もったいない。
そう考えて立ち上がったのがジョアン2世という男であった。なんと、彼はポルトガル国王である。国王が本気で航海事業に乗り出したのだ。

そして、このジョアン2世というお人、若くして国王になったせいもあってか、とんでもなく熱い男であった。

58名無しさん:2016/06/08(水) 20:19:24 ID:SzL2U0n.0
                    _,.ィ≦圭圭≧x .. _              https://www.youtube.com/watch?v=S86ppy4jdxg
                    .ィ為圭圭圭圭圭圭圭≧x
                 /圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭会:
                ,イ圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圦
                  |圭圭才⌒ー=≠寺圭圭圭圭圭|
                 ⅧiⅣ          ̄ ̄Ⅷ圭圭|
                   ⅧIi  、        _   ⅧIli:圭!
                     Ⅷ| `ー=≠'.  ,.ィ=彳`  Ⅵ圭7       「もっと熱くなれよ!!! 海の男だろ!?!?
                 Ⅵ <てハ :::i : rt_j ァ  }才' /        熱い血燃やしてけよ!!!人間熱くなった時が本当の
                       }|    ...::::ノ 、   ̄    iレ /           自分に出会えるんだよッ!!!!」
                  ト、   ,.ィ   .     /.イ
                  ヘ  / ー-=彳ヽ  //_
                     ヘ : r=ニ ニ=ォ,   /圭≧x 、
                .ィ≦Ii圦 、 レ⌒⌒レ’ ,.イ|圭圭圭会:
                   /圭圭圭ハ `ー==イ  /  |圭圭圭圭L.. _
           _,ィ≦圦:寺圭圭∧ゝ... _ ,イ  ,イ圭圭圭圭圭圭圦
        ,.ィ≦圭圭圭圭≧ュ...`寺∧ ー=≠≡彳圭圭圭圭圭圭圭圭≧x
       /圭圭圭圭圭圭圭圭会ュ. Ⅶ圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭ハ

                ジョアン2世 (1455 - 1495) ※この時代にもテニスはあった
                                  

熱いどころか、暑苦しすぎる王様であった。今でこそ名君として名を馳せている男であるが、どうにも熱すぎた。しかし、これくらいでなくては後世に名は残らない。
とにかく、この王様は手抜きや諦めというのを許さなかった。本当の本当に許さなかった。
すこしの手抜きであれば”情熱”で対処するのだが、ちょっと度が過ぎる手抜きになると法的処置に出た。この王様はそれくらい本気なのであった。

さて、このジョアン2世。なぜそこまで本気になっていたかと言うと、ちょっとした理由があった。
もちろんエンリケ王子の熱い意思を熱い心で受け止めたのもあるのだが、これ以上に抑えきれない熱い気持があったのだ。

59名無しさん:2016/06/08(水) 20:20:41 ID:SzL2U0n.0
もう、皆さまならお分かりであろう。あのお方への熱い思いなのである。


            殺 伐 と し た 中 世 に プ レ ス タ ー ジ ョ ン が !
             \                    /
               \  丶       i.   |      /     ./       /
                \  ヽ     i.   .|     /    /      /
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                                              -‐
              ー                  「プレスタージョン!」
             __               。。               --
                 二           ∧∧         = 二
               ̄              (・∀ ・)               ̄
                -‐             <(  )>             ‐-
                             <  >
                /
                        /               ヽ      \
                /                    丶     \
               /   /    /      |   i,      丶     \
             /    /    /       |    i,      丶     \
         ◎                                    ∥∥
. ./ ̄ ̄ ̄ / . /''7    / ̄ ̄ ̄/  / ̄ ̄ ̄ /         . /__7 , /''7       / ̄/ ./''7
   ̄ ̄/ /  / / ___   ̄ .フ ./.  / ./二/ / .         /__7 ./ / / ̄ ̄. ̄/  ̄  / / 
  ___ノ / .. / /_ ノ /  .__/  (_.. /__,--,  /   / ̄ ̄. ̄/.   ___ノ / ./ ̄ ̄ /  ___ノ /  .
/____,./   ./_____.ノ  /____ノゝ_/   /___ノ   .   ̄ ̄    /____,./ ,.二二/ / /____,./  .
                                                 ̄


そう、こいつだ。

60名無しさん:2016/06/08(水) 20:22:26 ID:SzL2U0n.0
このジョアン2世という熱血漢、本気でプレスタージョンを信じていた。

                    _,.ィ≦圭圭≧x .. _
                    .ィ為圭圭圭圭圭圭圭≧x
                 /圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭会:
                ,イ圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圦
                  |圭圭才⌒ー=≠寺圭圭圭圭圭|
                 ⅧiⅣ          ̄ ̄Ⅷ圭圭|
                   ⅧIi  、        _   ⅧIli:圭!
                     Ⅷ| `ー=≠'.  ,.ィ=彳`  Ⅵ圭7       「プレスタージョンは史上最高の味方だ!!
                 Ⅵ <てハ :::i : rt_j ァ  }才' /        心の底から好きなことに本気で取り組めるなら、
                       }|    ...::::ノ 、   ̄    iレ /           それは本当の幸せッ!!」
                  ト、   ,.ィ   .     /.イ
                  ヘ  / ー-=彳ヽ  //_
                     ヘ : r=ニ ニ=ォ,   /圭≧x 、
                .ィ≦Ii圦 、 レ⌒⌒レ’ ,.イ|圭圭圭会:
                   /圭圭圭ハ `ー==イ  /  |圭圭圭圭L.. _
           _,ィ≦圦:寺圭圭∧ゝ... _ ,イ  ,イ圭圭圭圭圭圭圦
        ,.ィ≦圭圭圭圭≧ュ...`寺∧ ー=≠≡彳圭圭圭圭圭圭圭圭≧x
       /圭圭圭圭圭圭圭圭会ュ. Ⅶ圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭ハ

                ジョアン2世 (1455 - 1495) ※この時代にもテニスはあった


ジョアン2世は考えていた。アフリカ探索を進める事によって、いつか絶対にプレスタージョンに出会うことが出来る!
シンパシーが共鳴しあって、軍事同盟を結ぶことが出来る! 情けないイスラム戦士に強烈な熱血をおみまいする事が出来る!

少し前までエチオピアあたりにあるとされていたプレスタージョンの国は、度重なる設定の変更を経て今はナイジェリアあたりにあると
考えられていた。もちろん、ナイジェリアには黒人たちのほんわかした国があるだけで、プレスタージョンなどはいない。

61名無しさん:2016/06/08(水) 20:25:06 ID:SzL2U0n.0
ジョアン2世のプレスタージョンへの熱い気持ちもさることながら、ポルトガル王国幹部の連中も熱い可能性に燃えていた。

国の”頭いいマンズ”はアジアやアラブの商人たちから仕入れた情報により「アフリカから東に回って、インドいけるんじゃね?」という
可能性を抱いていたのだ。

その頭いいマンズの中に、あのブーンの息子、ブーンはいた。
父の功績をたたえられ、国に仕えることが出来たのである。実際にブーンパパは何にもしていないに等しいのだから、これはラッキーとしか言いようがない。


( ^ω^)


このブーン、もし船でポルトガル人がインドに行けるのなら行っちゃったほうがいいんじゃないの? と考えていた。
なぜなら、インドには香辛料が山ほどあると考えられていたからである。しかも、安価で買うことが出来る。アンカーテイクではないぞ。

当時のヨーロッパ人にとって香辛料、もとい”胡椒”はハチャメチャに大切なものだった。
この時代のヨーロッパ人の主食は肉。春、夏に豚や牛を育る。その間は穀物も取る。秋になったら頭カチ割ってぶっ殺す。そのお肉で冬を越すわけだ。
が、当然冷蔵技術なんて一切ない当時のヨーロッパ。冬とはいえ、しばらく保存していたらそりゃ腐る。春先になればもう臭くて臭くて食べれたものじゃない。

それでも悲しいかなヨーロッパ人は腐った肉を食べなくてはならなかった。エンリケ王子などはある程度新鮮な肉を食えたろうが、ブーン達くらいの
身分の人間だとやっぱり腐った肉を食べた。

しかしどうだろう。胡椒をパッと振りかけてみると、アラ不思議。肉の臭いのが消える消える。
ヨーロッパ人たちはものすごい勢いで胡椒を買いたがった。ブーンだって、あのブーンパパだっていっぱい買っておきたかった。
冬だろうと春先だろうと、おいしいものをたっくさん食べたい。有史が始まる前からブーンは食いしん坊と設定がされているのである。

62名無しさん:2016/06/08(水) 20:26:44 ID:SzL2U0n.0
とはいえ、このコショーなる品物。ハチャメチャに高い。
胡椒は東南アジアあたりで取れるのであるが、

東南アジアから中国へ→モンゴル被害者の会の友達アラブへ→アラブと仲良しイタリアへ→ポルトガル()スペイン()

というルートを踏むもんだから、ポルトガルやらスペインやらにたどり着くころにはアホみたいに値段が釣り上がっていた。
だから、ブーン達はインドと直接やり取りをして、コショーをた〜〜んと使ったお肉料理が食べれたらいいんじゃないのかな。みたいに考えていたのだ。

                    _,.ィ≦圭圭≧x .. _
                    .ィ為圭圭圭圭圭圭圭≧x
                 /圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭会:
                ,イ圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圦
                  |圭圭才⌒ー=≠寺圭圭圭圭圭|
                 ⅧiⅣ          ̄ ̄Ⅷ圭圭|
                   ⅧIi  、        _   ⅧIli:圭!
                     Ⅷ| `ー=≠'.  ,.ィ=彳`  Ⅵ圭7       「腐ったって食べれるんじゃないのか!?
                 Ⅵ <てハ :::i : rt_j ァ  }才' /        感謝しろよ!! お前、感謝しろよ!!
                       }|    ...::::ノ 、   ̄    iレ /           なんでそこでやめるんだよ!! ダメダメ!!」
                  ト、   ,.ィ   .     /.イ           
                  ヘ  / ー-=彳ヽ  //_
                     ヘ : r=ニ ニ=ォ,   /圭≧x 、
                .ィ≦Ii圦 、 レ⌒⌒レ’ ,.イ|圭圭圭会:
                   /圭圭圭ハ `ー==イ  /  |圭圭圭圭L.. _
           _,ィ≦圦:寺圭圭∧ゝ... _ ,イ  ,イ圭圭圭圭圭圭圦
        ,.ィ≦圭圭圭圭≧ュ...`寺∧ ー=≠≡彳圭圭圭圭圭圭圭圭≧x
       /圭圭圭圭圭圭圭圭会ュ. Ⅶ圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭ハ

                ジョアン2世 (1455 - 1495) ※この時代にもテニスはあった

中にはこういう風に考える熱血野郎もいただろうが、当時の庶民たちは喉から手が出るくらい胡椒が欲しかったのであった。

63名無しさん:2016/06/08(水) 20:28:59 ID:SzL2U0n.0
しかし、”アフリカ西海岸から東に回ってインドに行ける説”というのは、常識で考えたらムリムリムリムリカタツムリな理論なのである。

なぜならば、アフリカ大陸と南極大陸(南極大陸があるとは思ってない)は陸で繋がっていると考えられていたからだ。
ふーむ、確かにそれなら無理だろう。が、そういう話をするとアジアの商人たちに何言ってんだコイツみたいな顔をされてしまう。
ここで先ほどの疑問に戻る。”アフリカから東に回って、インドいけるんじゃね?”。もし本当に行けたのであればそれはとってもハッピーなのだ。


ここで、ポルトガルのブレイン達がジョアン2世に”アフリカ西海岸から東に回ってインドに行ける説”を説いてみると

                    _,.ィ≦圭圭≧x .. _                       https://www.youtube.com/watch?v=YqHJrRBu1uA
                    .ィ為圭圭圭圭圭圭圭≧x
                 /圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭会:
                ,イ圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圦
                  |圭圭才⌒ー=≠寺圭圭圭圭圭|
                 ⅧiⅣ          ̄ ̄Ⅷ圭圭|
                   ⅧIi  、        _   ⅧIli:圭!
                     Ⅷ| `ー=≠'.  ,.ィ=彳`  Ⅵ圭7       「良いじゃんそれ。食いしん坊、万歳!」
                 Ⅵ <てハ :::i : rt_j ァ  }才' /        
                       }|    ...::::ノ 、   ̄    iレ /          
                  ト、   ,.ィ   .     /.イ           
                  ヘ  / ー-=彳ヽ  //_
                     ヘ : r=ニ ニ=ォ,   /圭≧x 、
                .ィ≦Ii圦 、 レ⌒⌒レ’ ,.イ|圭圭圭会:
                   /圭圭圭ハ `ー==イ  /  |圭圭圭圭L.. _
           _,ィ≦圦:寺圭圭∧ゝ... _ ,イ  ,イ圭圭圭圭圭圭圦
        ,.ィ≦圭圭圭圭≧ュ...`寺∧ ー=≠≡彳圭圭圭圭圭圭圭圭≧x
       /圭圭圭圭圭圭圭圭会ュ. Ⅶ圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭ハ

                ジョアン2世 (1455 - 1495) ※この時代にもテニスはあった

と、結構乗り気になった。

64名無しさん:2016/06/08(水) 20:32:37 ID:SzL2U0n.0
王様が乗り気になったところで、ブーン達は本格的に”アフリカ西海岸から東に回ってインドに行ける説”証明する探索隊を作ることになった。
もちろん、プレスタージョンとコンタクトをとる目的の方が上である。絶対に笑ってはいけない大航海時代。


( ^ω^)
   φ...


ブーンは人材を集める担当を受け持った。立候補だった。ブーンパパからのパイプもあったので、適任であると自分で思ったのだ。
もう今は死んでしまっていないが、ツンのパイプだってある。女手一つで自分を育ててくれたツンは王立の病院で働いていたのだ。
ツンがマジメに働いてくれたおかげで、今こうしてブーンは王国のために働いているのだ。これほどありがたい話はない。

流石は父の代から卓上の仕事は得意なブーン、そうこうしている内に人材は集まった。今回も海には出ないが、探検隊の大きな力となった。
さて、肝心の司令であるが、これにはあの熱血漢ジョアン2世から直々に任命された”お気に入り”がいた。

                                             https://www.youtube.com/watch?v=c2i2LhWSv-A
                  ./            ;; ;;    :  l
                  {           ミ゛ ミ     : l
                 l            ./| ' \    : }
                 l        ._,, . '/丿  .ヽ     {
                 {     _,,,-''/ /. / ,,.   {     |
                 ヽ  { .r'~  .i' i″   ,,,,--、`i   { .}
                  `、  !rニニコ、{,,, i !、,;;ニ三 ̄ , {  .{l  {
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                 バーソロミュー・ディアス (1450 - 1500)  ※ 、 はつかない

この男、バーソロミュー・ディアスである。

65名無しさん:2016/06/08(水) 20:33:43 ID:SzL2U0n.0
冷静であり、大胆。頭は常にさえており、判断は適格。仲間思いで、勇敢。そう、この人こそバーソロミュー・ディアス!
父も同じく海に体をささげた男。エンリケ王子に直々に仕えていたのであった。うーん、これは信用できる。
さらに彼自身も王の僕。騎士であり勇猛。仕事も出来、貯蔵庫の管理だって任されていた。

それがスペシャリスト。これこそがスペシャリスト。バーソロミュー・ディアスなのである!

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                 バーソロミュー・ディアス (1450 - 1500)  ※ 、 はつかない

バーソロミュー・ディアス探検隊の発足にポルトガル王室中が沸いた。あのバーソロミュー・ディアスが海に出るのである。


( ^ω^)「これは凄いことになったお」


たまらずブーンも家に帰ってから妻や息子のブーンに自慢話。あのバーソロミュー・ディアスの目力の凄い事。あの声の優しく響くこと。
バーソロミュー・ディアスのおおよそ全てのことについて自慢したといっては過言ではない。
それほど、スペシャリスト。そう、彼はスペシャリストなのであった。誰もを虜にするスペシャリストなのだ。

66名無しさん:2016/06/08(水) 20:34:51 ID:SzL2U0n.0
いよいよ航海の日が近づいた。
ブーンは人材の確保が終わったので、あんまり進んでなかった船や積み荷の確保に急いだ。
流石は父の代から裏方だけは得意なブーン。ひょいひょいひょいひょいと集めて行った。すごいぞ、ブーン!

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                 バーソロミュー・ディアス (1450 - 1500)  ※ 、 はつかない

( ^ω^)「こ、光栄ですお!」


仕事のできる男、ブーン。直々にあのスペシャリストから声をかけられた。これにはブーンも有頂天。家に帰ってから早速自慢をした。

今回はこのバーソロミュー・ディアスの考えもあって、キャラベル船2隻に武装を施した。
この人はスペシャリスト。敵には武力をもって対抗する。来るなら来てみろ、野菜野郎! こっちにはスペシャリストがいるんだぞ!
ブーンは誇らしかった。この偉大なる男がプレスタージョンと会おうと言うのだ。インドへの道を見つけようと言うのだ。

ブーンは家族や同僚にこう言いふらしていた。「航海の日はかならず港でお〜〜い!ってするお!」と。

が、その晴れやかな気持も一気に不安となる出来事が起きる。

67名無しさん:2016/06/08(水) 20:36:58 ID:SzL2U0n.0
なんと、何の前触れもなくあの熱血漢ジョアン2世から手紙が届いたのだった。

      ある日がんばるブーンに
       手紙が届きますた・・・
          _____
         / ヽ____//
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                                    https://www.youtube.com/watch?v=wEQ0-ZzEacQ

       | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|
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( ; ゚ω゚)「うわあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」

ブーンはあの熱血漢に「海にも出ずに仕事をした気になってるムカツくヤツ」と思われていたのだ。

そして、ブーンは知っていた。海に出る事の過酷さを。亡き父が身を持て証明してくれた。海に出れば、命は無いという事を!
哀れブーン、ブーンパパに続きまたしても海と藻屑になる運命なのである。

68名無しさん:2016/06/08(水) 20:39:10 ID:yqKeQZCw0
しんだな

69名無しさん:2016/06/08(水) 20:41:44 ID:SzL2U0n.0
                                        https://www.youtube.com/watch?v=hvDBWw2C3Hg

無念、ブーン。ブーンは無念。こうなってしまっては仕方がない。命令を無視すれば”情熱”で対処されてしまう。
あの王様は諦めや躊躇などの類が世界一嫌いなのだ。スマッシュ!アンドスマッシュ!

家に帰ってブーンは妻と息子のブーンと孫のブーンに海に出なくてはならない事を伝えた。
妻はそれなりに悲しんだのだが、息子のブーン達は違った。


(*^ω^)「父ちゃん、すげぇお! カッコイイお!」

(*^ω^)「おじいちゃんゴイスー!」


などと孫にだって言われてしまう始末。若者にとって海は夢と希望であふれる大海原なのだ。息子のブーンの息子のブーンに至っては大学1年生の
ごとくハシャギまくりで、友達に自慢しまくる。おじいちゃんは海の男なんだぞ! ウェーーーーーーーーイ!
貴重な紙を消費して海の男ブーンシリーズのマンガまで描いてしまった。かわいいかわいい。

しかし、現実を知ってしまったつまらない大人代表のブーンはそういう目で大海原を見ることが出来ない。

一攫千金を夢見たり、自分で地の果てを見てみたい、歴史に残ることをしてみたい! と思っている人間なら別だ。
だが、コイツはブーン。相も変わらず王国に仕え、それなりに安定した生活をしている。こないだも”お仕事頑張ったから”という理由で
胡椒をすこ〜しだけ頂戴した。今の生活で大満足なのである。海になど出たくはない。


( ´ω`)「じーちゃん、がんばるお」


優しい男ブーン。キラキラした目を向けてくる我が子や孫に情けない事は言えまい。大きくなったとは言え、まだまだブーンにとっては永遠の子供。ブーンにだって
プライドがある。それに、こんなに慕われたのもいつぶりだろう。子供は成長すると人の子になってしまうのだ。
しかしブーン、ここは最後までヒーローに徹した。俺は大海原を征く海の戦士なのだぞ!ゴーゴー、トリトン!

悲しいかな、大人の務めはしっかり果たしたブーン。あとは海に死にに行くだけだ、頑張れ!
え? 死ぬとは限らない? いや、死ぬんだ。作者の俺が言うからには間違いない。死ぬ。このブーンも息子のブーンもみんな死ぬ。孫も死ぬぞ!

70名無しさん:2016/06/08(水) 20:45:06 ID:SzL2U0n.0
さて、ついに出港の日となった。
リスボンの港には大勢の人が集まっている。あのスペシャリストが海に出ようと言うのだ。旗まで振ってお祭り騒ぎである。
大勢の人の中にはブーンの息子ブーンと、孫のブーンもいる。肩車なぞをして、孫はけなげに手なんか振っちゃったりしているわけだ。


( ´ω`)


あーあ、ブーン。ホントはそっち側の人間だったのに、運命は逃がしてくれないのだ。こうなったら諦めて頑張れ、ブーン!

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                 バーソロミュー・ディアス (1450 - 1500)  ※ 、 はつかない

大歓声の中、リスボンの港から飛び立ったバーソロミュー・ディアス探検隊。
タイトルはこうだ。”15世紀の奇跡を見た!!人跡未踏の海洋にインドへの道は実在した!!”。高視聴率は間違いない。

武装キャラベル船を二隻、それに補給船を1隻といったパーティ。バーソロミュー・ディアスは先頭を行くキャラベル船に乗船。
不運の男、ブーンもバーソロミュー・ディアスとおんなじ船に乗り込んだ。

71名無しさん:2016/06/08(水) 20:46:56 ID:SzL2U0n.0

                  ./            ;; ;;    :  l 
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                 ヽ  { .r'~  .i' i″   ,,,,--、`i   { .}  「いいか、気が付いたことがあったら俺に言え!」
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                 バーソロミュー・ディアス (1450 - 1500)

海を出てからもスペシャリスト、バーソロミュー・ディアスのお陰で船員の士気は高かった。
何とも頼もしいその声と、的確な指示によって順調な航海を続けていた。
陸から攻撃してこよう野菜野郎がいれば、大砲を容赦なくブチかますバーソロミュー隊長。船員も「これヌルゲーだろ」とか思っちゃうレベル。

      っ
     っ
( ´ω`)

卓上の仕事は得意なブーンも、それなりに力仕事をこなした。あーだこーだグチグチ言う暇もなく、あっさりとボハドル岬を越えてしまった。
ブーンの父親が越えられなかったボハドル岬をあっけらかんと超えてしまった探検隊。これにはブーンも唖然。
哀れブーン、航海ってこんな簡単でいいのか? ともはや半信半疑の様子。

流石はあの熱血漢からも熱い信頼を寄せられている男。これがスペシャリスト、これこそがスペシャリストなのである。

72名無しさん:2016/06/08(水) 20:48:38 ID:SzL2U0n.0
快進撃のバーソロミュー・ディアス探検隊。その勢いは収まることを知らず、ギャンギャンと南下していく。
天候が味方したこともあって、ボハドル岬どころか、赤道なんて遊びに行くみたいに越えてしまい、果てはディオゴ・カン
というオヤジが超絶苦労してたどり着いた、当時の最南端であるナミビアはクロス岬までなんのトラブルもなく到達。


      ,へ〜~~ ̄ ̄フ,           フ                        https://www.youtube.com/watch?v=c2i2LhWSv-A
     /´         `〜、_ |`〜、_,、__/
   ,/                    ヽレ、
  /                      ヽヽ
 |                         ヽ ヽ
 `|                         ヽ ヽ
 (                          ヽ |  _、-
  |                           \`´,-フ
  \                            ̄  /
    `\,,〜〜〜´`L_、                  /
              )                /
             く               /
              \            (
               ヽ            |
                )            |    、
               ◎´この辺!      _) ,,ノ´ |
               (,,          、〜´  )  |´
               ヽ          ヽ   (  |´
                |,        、ノ    し-´
                 ヽ       ノ
                 ゝ     ノ
                 `-〜〜~´

しかし、スペシャリスト、一切の油断をしない。
「いいか、気を付けろよ。航海はなにがあるかわからないからな……」などと渋みを利かせたトークで船員たちを盛り上げた。
ヒュー。かっこいいぜスペシャリスト。

73名無しさん:2016/06/08(水) 20:50:36 ID:SzL2U0n.0
しかし、リスボンを出てから相当の時間がたっている為、船員も疲れてくる。
特に臆病で情けのない、座ってしか仕事のできないブーンみたいなやつはここまで到達すると急に不安になって来るのだった。


(; ´ω`)「ま、まだ先に行くんですか……?」


先に行くこと在り気で出発した船なのに関わらず、ぶっ飛ばされそうな質問までしてしまう有様。
当然バーソロミュー・ディアス隊長はその先まで行く気マンマン。そもそもの目的はプレスタージョンの国を見つけ、いや違う。
アフリカ西海岸から東に回ってインドへの道を見つけるという目的。

ここで諦めたらおいしいお肉が食べれなくなってしまうぞ!という言葉だけを胸にブーンは自分と戦った。


(; ´ω`)「がんばるお!」
   p q


バーソロミュー隊長は、少なくなった補給船の荷物のほとんどを他の船に積み込んで、武装船2隻で南を目指すことにした。
ブーンは意外に少ない荷物を運びながら思った。

「あれ? 物資ギリギリなんじゃないの?」 と。
でも、ブーンは大人! そんな小さな疑問なんて吹き飛ばしたぞ! 偉い!

そして、再びバーソロミュー隊長率いるスペシャリスト探検隊は出発することになるのだが、ここまで来て予期せぬ事態に直面すること
になるのだった。

74名無しさん:2016/06/08(水) 20:51:59 ID:SzL2U0n.0
                                                 https://www.youtube.com/watch?v=Opwq0C0hjOg
なんと、大嵐に巻き込まれたのだった。


( ; ゚'ω゚)「うわああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!」


これがとんでもない規模の大嵐。ベテラン船員たちもこんな大嵐体験した事無いくらい。
何人かは風に巻き込まれて海に放り出されてしまうほどであった。あいにくブーンは有史以前に決まっていたデブという設定により風に
飛ばされることはなかったのだが、それでも普通に立ってはいられないくらいの風。
ペチペチあたる雨水にくじけそうになるが、ここはスペシャリスト。船員の士気をギャンギャン上げる。

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                 ヽ  { .r'~  .i' i″   ,,,,--、`i   { .}  「最悪の時にこそ本質がよく見えるものだ。逆境こそ大いなるチャンス。
                  `、  !rニニコ、{,,, i !、,;;ニ三 ̄ , {  .{l  {   大時化の時こそ  大物を釣り上げるチャンスだ」
                    i  i  r..uュ .,  、 ..'┴'' `  リ`i.j'  ll                            ドドンッ!
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               ,,=-''″    / ,' i::::.` ー一'''" ..   //;  ,' .!
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                 バーソロミュー・ディアス (1450 - 1500)  ※ 、 はつかない

雨水と共に最高の名言を浴びせるバーソロミュー隊長。これを聞いて船員たちも死ぬまい死ぬまいと頑張って船を守った。

75名無しさん:2016/06/08(水) 20:54:54 ID:SzL2U0n.0

      っ
     っ
( ; ゚'ω゚)


ブーンも一生懸命頑張った。入ってくる水をオケで一生懸命外に捨てた。ディズニー映画みたいになりながらもバッシャバッシャ捨てた。
デブという設定を生かしつつ、飛ばされちゃいそうになる船員を支えたりもした。ここぞとばかりに頑張るブーン! 意地でもポルトガルに
帰るんだ! かわいい孫が待っているぞ!

全員が死ぬ物狂いで船を守っている内に嵐は過ぎ去った。これもすべてバーソロミュー・ディアス隊長のおかげだ!
全員が声を揃えて讃えた。ありがとう、隊長。ありがとう! と。
嵐にまみれて死ぬ直前だった船員たち。もうほんとマジで早いとこ家に帰りたい。

しかし、嵐が過ぎ去って新たな問題が発生したのであった。

                                        https://www.youtube.com/watch?v=FBQr6ryEorg
( ; ゚'ω゚)「ここ……。どこだお……?」


そう。自分の今居る位置が全く持ってわからなくなってしまったのだ。
もうほんとわかんない。ここどこ? 状態。周りを見ても海しかない。知っている海ならまだいい。
が、ここは未開の海。ヨーロッパ人がたどり着いたことの無い、未知の領域なのである。

船員全員が大パニックになってしまった。哀れブーン、この男も大パニックに陥った一人。

      っ
     っ
( ; ゚'ω゚)「早く! 早くリスボンに帰りましょうお!!」


率先して帰る事を提案する、情けなき男ブーン。こんなものジョアン2世が聞いたら、湿疹が出るくらいの”情熱”をおみまいされるに違いない。

76名無しさん:2016/06/08(水) 20:56:03 ID:SzL2U0n.0
慌てふためく船員たち。だが、その船員たちを見て、あのスペシャリストは口を開いた!

                                                https://www.youtube.com/watch?v=c2i2LhWSv-A
                  ./            ;; ;;    :  l 
                  {           ミ゛ ミ     : l
                 l            ./| ' \    : }
                 l        ._,, . '/丿  .ヽ     {
                 {     _,,,-''/ /. / ,,.   {     |
                 ヽ  { .r'~  .i' i″   ,,,,--、`i   { .}  「落ち着け! 東に舵を取れ!」
                  `、  !rニニコ、{,,, i !、,;;ニ三 ̄ , {  .{l  {                    ドドンッ!
                    i  i  r..uュ .,  、 ..'┴'' `  リ`i.j'  ll
                    .l ト,l   ''' ';   `゛゛   , ,. }   l
                    {.{ .l    , '   ヽ、  : . ''|  ..{{
                    `'. !   ./ 、,,_, ''゛ .\  ; ./;; .!川
                       、  !  __,,,_,,,,..-、', ,' / l /ヽ_`
                      ,.  ヽ.  '`''-二-'   /./   l ; ヽ ""'''-=,,,
                  _,,=-''''''" / ,'.ヽ、      ,,ン'.   /l ;  .i
               ,,=-''″    / ,' i::::.` ー一'''" ..   //;  ,' .!
              ''"       / ;  〈:::: ヽ ""      // .; ,'  l

                 バーソロミュー・ディアス (1450 - 1500)  ※ 、 はつかない

冷静であり、大胆。頭は常にさえており、判断は適格。仲間思いで、勇敢。そう、この人こそバーソロミュー・ディアス!
バーソロミュー・ディアスは船を東に進ませた。理由は単純。東に進めば嫌でもアフリカ大陸が見えてくるのである。
もう当然の理論。アフリカの西を行っているんだもの。が、パニクった船員たちはそんな単純なことさえ忘れていたのだ!

流石は隊長! この男についていけば何の間違いもないのだ! これで早くポルトガルに帰れるぞ! やったね、ブーン!

77名無しさん:2016/06/08(水) 20:59:48 ID:SzL2U0n.0
が、行けども行けども陸地が見えない。船員たちは理屈は知っているので、それでも諦めずに東を目指した。
しかし、やっぱりどうにも陸地が見えない。これはおかしい。

      っ
     っ
( ;´ω`)


もう2週間は東に向かっている状態。これには相変わらず冷静沈着なブーンもパニック。
自分たちの知らない世界の海を進んでいるのではないのか、と本気で心配するようになった。


( ^ω^)


やがて、段々と士気は下がっていき、ついにはブーンは考えることを止めた。

この状況にはスペシャリストも不思議に思った。どう考えても東に進めば陸地は見えてくる。これはおかしい。
が、ここで冷静な頭脳を持ち合わせたこの男に、とある閃きが舞い降りた。


「これ、大陸最南端通過しちゃってるんじゃないかな」


バーソロミュー・ディアスは「北に舵を取るんだ!」と命令。この推測が当たっていれば、北に舵を取ることで陸地が見えてくるからである。
が、早く帰りたい病に陥ってしまったブーンはようやく帰れると哀れにも早合点。ブーンより下の身分の人間にカッコイイ息子とかわいい孫の話を
始めてしまうので、これはもう始末に負えない。普段歌わない歌まで歌った。ブーンはウザい上司ナンバーワンだ。

78名無しさん:2016/06/08(水) 21:02:30 ID:SzL2U0n.0
                                                      https://www.youtube.com/watch?v=wsztV6HFGuA
すると、ほんのちょっと進んだだけなのに陸地が見えてきたではないか。
間違いない。バーソロミュー・ディアスは確信した。あれこそが、アフリカ最南端だ!

                  ./            ;; ;;    :  l 
                  {           ミ゛ ミ     : l
                 l            ./| ' \    : }
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                 {     _,,,-''/ /. / ,,.   {     |
                 ヽ  { .r'~  .i' i″   ,,,,--、`i   { .}  「見ろ……!あれを見るんだ……!
                  `、  !rニニコ、{,,, i !、,;;ニ三 ̄ , {  .{l  {   我々はついに成し遂げたのだ……!」
                    i  i  r..uュ .,  、 ..'┴'' `  リ`i.j'  ll                    ドドンッ!
                    .l ト,l   ''' ';   `゛゛   , ,. }   l
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                    `'. !   ./ 、,,_, ''゛ .\  ; ./;; .!川
                       、  !  __,,,_,,,,..-、', ,' / l /ヽ_`
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                  _,,=-''''''" / ,'.ヽ、      ,,ン'.   /l ;  .i
               ,,=-''″    / ,' i::::.` ー一'''" ..   //;  ,' .!
              ''"       / ;  〈:::: ヽ ""      // .; ,'  l

                 バーソロミュー・ディアス (1450 - 1500)

さらに東には海岸が続いているではないか。これでアフリカを越えてインド洋に出られるという可能性が現実味を帯びてきたのである。
ポルトガルが直接インドとやりとりが出来るかも知れないのである! ジョアン2世がマグマを噴出させる出来事だ! スマッシュ! アンドスマッシュ!


( ; ゚'ω゚)「そ、そんな……」


一方、アフリカ最南端とかいう歴史に残る発見でさえ、どうでも良いと考えているブーン。
早く帰れるとばかり思ったのに新発見をしてしまって、膝が砕けるほどにショック。まさに歴史の足枷状態である。

79名無しさん:2016/06/08(水) 21:02:57 ID:ZEzJIxBw0
孫いるのか・・・

80名無しさん:2016/06/08(水) 21:04:04 ID:SzL2U0n.0
このまま東に進めると分かれば、答えは決まっている。ついに我らが隊長は口を開いた!

                                                https://www.youtube.com/watch?v=c2i2LhWSv-A
                  ./            ;; ;;    :  l 
                  {           ミ゛ ミ     : l
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                 l        ._,, . '/丿  .ヽ     {
                 {     _,,,-''/ /. / ,,.   {     |
                 ヽ  { .r'~  .i' i″   ,,,,--、`i   { .}  「さあ征くぞ。モタモタはしていられない。
                  `、  !rニニコ、{,,, i !、,;;ニ三 ̄ , {  .{l  {   いざ、インドへ出港だ!」
                    i  i  r..uュ .,  、 ..'┴'' `  リ`i.j'  ll                    ドドンッ!
                    .l ト,l   ''' ';   `゛゛   , ,. }   l
                    {.{ .l    , '   ヽ、  : . ''|  ..{{
                    `'. !   ./ 、,,_, ''゛ .\  ; ./;; .!川
                       、  !  __,,,_,,,,..-、', ,' / l /ヽ_`
                      ,.  ヽ.  '`''-二-'   /./   l ; ヽ ""'''-=,,,
                  _,,=-''''''" / ,'.ヽ、      ,,ン'.   /l ;  .i
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              ''"       / ;  〈:::: ヽ ""      // .; ,'  l

                 バーソロミュー・ディアス (1450 - 1500)  ※ 、 はつかない

冷静であり、大胆。頭は常にさえており、判断は適格。仲間思いで、勇敢。そう、この人こそバーソロミュー・ディアス!
俄然やる気満々のバーソロミュー・ディアス隊長だが、疲れ果ててしまったブーン含む船員は”いやいやいやいや!”と全員で首を振った。
これは冗談じゃない。これ以上東にいったら本気で帰れなくなってしまう!

ほぼ船員全員で猛抗議。これ以上はスペシャリストについていけないぞ!

ブーンに至ってはものすごい勢いでもう抗議をした。ありとあらゆる理由をつかった! 補給船が遠くなってしまう! ポルトガルには小さな孫が!
妻が悲しんでしまう! 果ては、父が危篤なんです! うんこがもれそうだ!! とあからさまなウソまで並べる始末。というかウンコは漏らした。
最終的にはバーソロミュー・ディアス隊長の足に縋り付いて泣きわめいた。なんと意気地のない。設定上隊長は年下だぞ!

81名無しさん:2016/06/08(水) 21:05:50 ID:SzL2U0n.0

。・゚゚・( ´ω`)・゚゚・。「帰りたいんですぅ〜〜〜〜〜」 オーン


ここまでされたら仲間思いのバーソロミュー・ディアス。考えざるを得ない。無様に泣きついたブーンの様に負けたのだ。

                  ./            ;; ;;    :  l 
                  {           ミ゛ ミ     : l
                 l            ./| ' \    : }
                 l        ._,, . '/丿  .ヽ     {
                 {     _,,,-''/ /. / ,,.   {     |
                 ヽ  { .r'~  .i' i″   ,,,,--、`i   { .}  「よし。多数決を取ろう。二つに一つだ。
                  `、  !rニニコ、{,,, i !、,;;ニ三 ̄ , {  .{l  {   先に進むか、戻るか。良いか!」
                    i  i  r..uュ .,  、 ..'┴'' `  リ`i.j'  ll                    ドドンッ!
                    .l ト,l   ''' ';   `゛゛   , ,. }   l
                    {.{ .l    , '   ヽ、  : . ''|  ..{{
                    `'. !   ./ 、,,_, ''゛ .\  ; ./;; .!川
                       、  !  __,,,_,,,,..-、', ,' / l /ヽ_`
                      ,.  ヽ.  '`''-二-'   /./   l ; ヽ ""'''-=,,,
                  _,,=-''''''" / ,'.ヽ、      ,,ン'.   /l ;  .i
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                 バーソロミュー・ディアス (1450 - 1500)

                                                        https://www.youtube.com/watch?v=mmCnQDUSO4I
結果は先に進みたいバーソロミュー・ディアス1人に対し、他全員が帰りたい票という有様。
これにはバーソロミュー・ディアスもずっこけた。多数決ならしかたがあるまい。仲間思いのバーソロミュー・ディアスは逃げ帰る
事に決めてアフリカ最南端を後にしたのである。


( ´ω`) Zzz...


プライドの欠片もないブーンはホッと胸をなでおろした。この日はいつもより多くのかたーいお肉を食べて、ぐっすりとおねんねした。殺せ!

.

82名無しさん:2016/06/08(水) 21:07:05 ID:SzL2U0n.0
なお、嵐の後で一番最初にたどり着いた場所は最南端ではなかった。最南端を通り越して、ほんのすこし東の場所だったのだ。
ポルトガルの帰り道にちょこーんとした岬を発見したのだが、それこそがアフリカ最南端。その岬には「嵐の岬」という実にシンプルで男らしい名前を付けた。

                  ./            ;; ;;    :  l 
                  {           ミ゛ ミ     : l
                 l            ./| ' \    : }
                 l        ._,, . '/丿  .ヽ     {
                 {     _,,,-''/ /. / ,,.   {     |
                 ヽ  { .r'~  .i' i″   ,,,,--、`i   { .}  「男! 嵐!!」
                  `、  !rニニコ、{,,, i !、,;;ニ三 ̄ , {  .{l  {           ドドンッ!
                    i  i  r..uュ .,  、 ..'┴'' `  リ`i.j'  ll
                    .l ト,l   ''' ';   `゛゛   , ,. }   l
                    {.{ .l    , '   ヽ、  : . ''|  ..{{
                    `'. !   ./ 、,,_, ''゛ .\  ; ./;; .!川
                       、  !  __,,,_,,,,..-、', ,' / l /ヽ_`
                      ,.  ヽ.  '`''-二-'   /./   l ; ヽ ""'''-=,,,
                  _,,=-''''''" / ,'.ヽ、      ,,ン'.   /l ;  .i
               ,,=-''″    / ,' i::::.` ー一'''" ..   //;  ,' .!
              ''"       / ;  〈:::: ヽ ""      // .; ,'  l

                 バーソロミュー・ディアス (1450 - 1500)  ※ 、 はつかない

はてさて、ようやく帰れる事になったブーン。だがしかし、哀れブーンにとっての悲劇はこれからなのであった。
ポルトガルへの帰路について早1週間をすぎた所。やはり持つべきものはスペシャリスト。気候に恵まれて全速力で北上中。
途中で置いてきた補給船も動かして、早く帰るぞと船員全員の士気が上がっていたところ。


( ;´ω`)  ポタ…
    ・


ブーンの歯ぐきから血が出た。

83名無しさん:2016/06/08(水) 21:08:41 ID:SzL2U0n.0
これはどうしたことだろうか。放置していた虫歯が悪化したのか? それとも知らないうちに歯ぐきを切ってしまっていたのだろうか。


( ;´ω`)「……?」


ひとまず、その日は大して気にはしなかった。
その日も手帳に自分の息子と孫への思いと、孫には”決して大人になっても海になんか出るなよ〜”という事を記して寝たのである。

翌日は歯ぐきから血が出ていなかったので、やっぱり知らないうちに歯ぐきを切っていたのだなぁ、と思った。
のだが、2日くらい経つと歯が痛い。グラグラしてきた。


( ;´ω`)「あうあう」


さらには指やら肘やらに痣が出来ている。あんまり寝相が悪かったのだろうか。
いや、そうではない。ベテラン船乗り達はこの症状を知っていた!

             ,,,、、、、、,,,,
          ,.: .:;;:;:;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;:;:.、
         ,f;:;:;ミミヾ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;:',.
        ,;:;:;;;;ミミヽ:;:;;;;;;;f⌒'^^リN;;                            https://www.youtube.com/watch?v=_B0CyOAO8y0
       ,;:;;;;;;;;;;;;ヲヲ'''ィイハ、  ノi;;;;;!
       ',;:;;;;;;;;;ィイ ,,、、、、   ,r- 、;;;;!
       V;:;;:;;;ル'゙゙,rモテ.:;' ノッャ''';;シ 
         Nいiij       ~` リ         「壊血病ですね、これ」
        Nいii!':,    、;::′ ,j!       
        ル:;;;;{,    ,, --、  1 
        ルハシヽ   ´ 二`` ,′ 
        `フリハ `丶、.    / 
       ,/ i ',     ``ーイ     
  _,.. -‐''ニ7.  ヽ ヽ     i ヽ   
 ̄ `ー─'"7_ _ \\    ハ  \_   
  ',        _>\     /7⌒゙```ヽ、  
   i        <_   \  / \      ト、
 .  l        ``ヽ,  ', ! /      l '

84名無しさん:2016/06/08(水) 21:09:55 ID:4/z1YyoM0
あちゃー

85名無しさん:2016/06/08(水) 21:09:57 ID:SzL2U0n.0

( ; ゚'ω゚)「か、壊血病……?」


壊血病! それはバランスよくお野菜や果物を取らないとかかってしまう欠乏症である!
かかってしまうのも当然、長らく海に出ていればお野菜や果物なんて取れるはずもない。
大航海時代の船乗りたちは何万人とこの壊血病に倒れてきたのであった。ノービタミンC、ノーライフ。

哀れブーン、遠いアフリカの海で壊血病にかかってしまった! ああ、なんということだ、ポルトガルまではまだまだかかる。

やがてブーンの体はだるくなって動かなくなってきた。足も手も痛いし、歯ぐきからは血が出るし、とてもじゃないが生きた心地がしない。
咳をするたびに血が出てきて、これは見ていられない有様。こうなってしまっては残念だが死ぬしかない!

                  ./            ;; ;;    :  l 
                  {           ミ゛ ミ     : l
                 l            ./| ' \    : }
                 l        ._,, . '/丿  .ヽ     {
                 {     _,,,-''/ /. / ,,.   {     |
                 ヽ  { .r'~  .i' i″   ,,,,--、`i   { .}  「クッ……、大切な仲間をここで失くすとは……」
                  `、  !rニニコ、{,,, i !、,;;ニ三 ̄ , {  .{l  {                            ドドンッ!
                    i  i  r..uュ .,  、 ..'┴'' `  リ`i.j'  ll
                    .l ト,l   ''' ';   `゛゛   , ,. }   l
                    {.{ .l    , '   ヽ、  : . ''|  ..{{
                    `'. !   ./ 、,,_, ''゛ .\  ; ./;; .!川
                       、  !  __,,,_,,,,..-、', ,' / l /ヽ_`
                      ,.  ヽ.  '`''-二-'   /./   l ; ヽ ""'''-=,,,
                  _,,=-''''''" / ,'.ヽ、      ,,ン'.   /l ;  .i
               ,,=-''″    / ,' i::::.` ー一'''" ..   //;  ,' .!
              ''"       / ;  〈:::: ヽ ""      // .; ,'  l

                 バーソロミュー・ディアス (1450 - 1500)  ※ 、 はつかない

心配になって見に来てくれたバーソロミュー・ディアスも、ダラダラと徳光のごとく涙を流してもはや諦めムード。
必至になって生きてるブーンを目の前に、死んだ人間扱い。かわいそうに、ブーン!

86名無しさん:2016/06/08(水) 21:11:06 ID:SzL2U0n.0

( ;´'ω`)


時間がたってボロ衣のようになってしまっても、なんとか生きていた。
頑張って生きて帰って、息子と妻に会うんだと、静かな情熱を燃やしていたのであるが、
             ,,,、、、、、,,,,
          ,.: .:;;:;:;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;:;:.、
         ,f;:;:;ミミヾ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;:',.
        ,;:;:;;;;ミミヽ:;:;;;;;;;f⌒'^^リN;;      
       ,;:;;;;;;;;;;;;ヲヲ'''ィイハ、  ノi;;;;;!
       ',;:;;;;;;;;;ィイ ,,、、、、   ,r- 、;;;;!
       V;:;;:;;;ル'゙゙,rモテ.:;' ノッャ''';;シ 
         Nいiij       ~` リ         「死んじゃいましたね……」
        Nいii!':,    、;::′ ,j!       
        ル:;;;;{,    ,, --、  1 
        ルハシヽ   ´ 二`` ,′ 
        `フリハ `丶、.    / 
       ,/ i ',     ``ーイ     
  _,.. -‐''ニ7.  ヽ ヽ     i ヽ   
 ̄ `ー─'"7_ _ \\    ハ  \_   
  ',        _>\     /7⌒゙```ヽ、  
   i        <_   \  / \      ト、
 .  l        ``ヽ,  ', ! /      l '

完全に死んでしまったと勘違いされてしまった模様。
死体は船には積んではならない! なぜなら、腐ってしまって他の病気を呼んでしまうからである!
船員たちは「よし、海に捨てよう」「遺品は取ったか?」「誰が奥さんに告げる?」などと生きている本人の目の前で死後の処理を相談中。


( ;´'ω`)


生きているぞ! ブーンは生きているぞ!

87名無しさん:2016/06/08(水) 21:12:33 ID:SzL2U0n.0
しかし、喋れないし動けないブーンはたくましい船員たちにいっせーのーせっ! で持ち上げられて、ぽーいと海に捨てられてしまった。
ブーンは必死に心の中で叫んだ。生きているぞー生きているぞー! と。


( ´'ω`)。0 ○


しかし悲しいかな、ブーン2世ここアフリカ西海岸にて溺死!ぶくぶくと溺れて海の藻屑となってしまった。無念! 合掌!

             ,,,、、、、、,,,,
          ,.: .:;;:;:;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;:;:.、
         ,f;:;:;ミミヾ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;:',.
        ,;:;:;;;;ミミヽ:;:;;;;;;;f⌒'^^リN;;      
       ,;:;;;;;;;;;;;;ヲヲ'''ィイハ、  ノi;;;;;!
       ',;:;;;;;;;;;ィイ ,,、、、、   ,r- 、;;;;!
       V;:;;:;;;ル'゙゙,rモテ.:;' ノッャ''';;シ 
         Nいiij       ~` リ         「ただいま〜」
        Nいii!':,    、;::′ ,j!       
        ル:;;;;{,    ,, --、  1 
        ルハシヽ   ´ 二`` ,′ 
        `フリハ `丶、.    / 
       ,/ i ',     ``ーイ     
  _,.. -‐''ニ7.  ヽ ヽ     i ヽ   
 ̄ `ー─'"7_ _ \\    ハ  \_   
  ',        _>\     /7⌒゙```ヽ、  
   i        <_   \  / \      ト、
 .  l        ``ヽ,  ', ! /      l '

その後、バーソロミュー・ディアス探検隊は無事にポルトガルに到着! 生き残った船員は家族との再会を喜んだ! おめでとう、おめでとう!


.

88名無しさん:2016/06/08(水) 21:13:07 ID:SzL2U0n.0
( ^ω^)

89名無しさん:2016/06/08(水) 21:19:52 ID:zMgsp1h2O
容赦なく死んでいくな

90名無しさん:2016/06/08(水) 21:20:21 ID:ZEzJIxBw0

死ぬために生まれてきた

91名無しさん:2016/06/09(木) 01:02:49 ID:P7DDXV1g0
>>56
クッソウケる名前の村wwwwww

92名無しさん:2016/06/09(木) 01:51:19 ID:KwQGysVo0
ナレーションがちょっと昔のディズニーアニメとかカートゥーンとかの吹き替えのナレーションみたいな淡々とした感じに脳内再生される

93名無しさん:2016/06/09(木) 03:51:59 ID:M0s9tH0g0
この白々しいまでにあっけらかんとしたナレーションが癖になる

94名無しさん:2016/06/09(木) 21:18:19 ID:ZtWttxpA0
この儚いブーン達噛み締めながらネオアトラスやりたくなってくる

95名無しさん:2016/06/09(木) 21:44:12 ID:jwp8DEcc0
凄い面白い

96名無しさん:2016/06/10(金) 15:02:47 ID:LsyzIrUI0
クッソ面白いうえにBGMも秀逸過ぎて

97名無しさん:2016/06/10(金) 17:00:49 ID:jybB9CQc0
復帰早いなー

98名無しさん:2016/06/12(日) 17:52:17 ID:XbdkK0I.0
もっと熱くなれよwwwwww

99名無しさん:2016/06/14(火) 08:47:41 ID:kXBi2xPU0
センスが爆発してるなこれ
クッソ面白い

100名無しさん:2016/06/16(木) 00:35:21 ID:03A0jm9I0
§ ブーン3世(1460 - 1500)                                  https://www.youtube.com/watch?v=Qe4yTxbOTi4

ブーンがポックリ死んで、ポルトガルに無事帰還を果たしたバーソロミュー・ディアス。
アフリカ最南端を見つけてきた! なんて報告をするんだから、プレスタージョンの事は忘れてジョアン2世は大喜び。
そして、その岬を「嵐の岬」を名付けました、なんて言うと

                    _,.ィ≦圭圭≧x .. _
                    .ィ為圭圭圭圭圭圭圭≧x
                 /圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭会:
                ,イ圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圦
                  |圭圭才⌒ー=≠寺圭圭圭圭圭|
                 ⅧiⅣ          ̄ ̄Ⅷ圭圭|
                   ⅧIi  、        _   ⅧIli:圭!
                     Ⅷ| `ー=≠'.  ,.ィ=彳`  Ⅵ圭7       「ダメダメ!!! なんでそんなマイナスな名前つけるんだよ!!
                 Ⅵ <てハ :::i : rt_j ァ  }才' /        もっと熱くなれよ!! もっと思い込めろよ!!!
                       }|    ...::::ノ 、   ̄    iレ /           この岬は我々にとって希望だ! そうだ! 喜望峰だ!」
                  ト、   ,.ィ   .     /.イ           
                  ヘ  / ー-=彳ヽ  //_
                     ヘ : r=ニ ニ=ォ,   /圭≧x 、
                .ィ≦Ii圦 、 レ⌒⌒レ’ ,.イ|圭圭圭会:
                   /圭圭圭ハ `ー==イ  /  |圭圭圭圭L.. _
           _,ィ≦圦:寺圭圭∧ゝ... _ ,イ  ,イ圭圭圭圭圭圭圦
        ,.ィ≦圭圭圭圭≧ュ...`寺∧ ー=≠≡彳圭圭圭圭圭圭圭圭≧x
       /圭圭圭圭圭圭圭圭会ュ. Ⅶ圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭ハ

                ジョアン2世 (1455 - 1495) ※この時代にもテニスはあった

情熱方程式に基づいて勝手に「喜望峰」という名前に変えられてしまったのであった。
そのおめでたいネーミングセンスは置いておくとして、喜望峰の発見によりプトレマイオス先生が作った地図が嘘っぱちだったという事が
公になったのである。これは人類にとって大きなターニングポイントとなるだろう。

101名無しさん:2016/06/16(木) 00:37:10 ID:WGzdNDb.0
よっしゃ!

102名無しさん:2016/06/16(木) 00:38:04 ID:qq.XcEAo0
出だしから面白い

103名無しさん:2016/06/16(木) 00:38:41 ID:03A0jm9I0
こうしてポルトガルは、アフリカ西を通って東に進む! するとインドにたどり着ける! わあい! という可能性を独占することになるのであった。
アフリカ西海岸を多国籍船が通るものなら撃つわ沈めるわの大騒ぎ。ジョックのパーティーと同じくらいの乱痴気っぷりだ。
さらにさらにジョアン2世は既に本気だった海洋事業に対してもっと本気になった。もはやむさ苦しい火だるまとなってポルトガルを突き動かすはた迷惑な存在になってしまったのだ。

調子に乗りまくってポルトガルがインドへの道をあれこれ考察している中、とある破天荒な考えをした人物が現れる。


              .ィ                                 https://www.youtube.com/watch?v=vHs2pp2eiNk
             //. -''" ̄ ̄ ̄`゙''ー-、
           .へ}  ′          ヽ
          /  `              ヽ
          ノ                   .i
        / // / .イ .l|  ト、   、  、    l
       ノッ′/. /./ |/ .|  | ヽ、 ヽ  l    l    「ポルトガルから西に進むだけでインドに行ける……ッ
        | ./| /lイフ=、| |_,.=キ、 ト、 :|:::....  ヽ    絶対に……ッ」
        |イ | /::::} l {゚j`ヽ | '´{゚jヽ| Y::yヘ::::::. 〉
 .        レ|/:::::::|  ̄   ヽ{   ̄  }:/^i |::::::::/
           `ヽ::::l,  〈         レ‐'ノ::::/
            `'ーヽ  ー ―    イT":::;∠-ッ'
            `'ミミヽ,   _,.. イ  |:::::::::;∠
         _. -―''''^'ーl「  ̄   l   .|ソ ̄`">
         \、 、 jilil||リ     /.l __,.イ∠-z'〈

      クリストファー・コロンブス (1451 - 1506)  ※MS乗りではない


それは誰もが知っているこの偉人。クリストファー・コロンブスその人である。

この男、ジョアン2世に負けず劣らずの超熱血漢。この頃誰もが思いつかなかった”西に進めばインドにつく”という、たわけな事を考えていたのだ。
しかも、しばらく進めば、とかいうレベルじゃない。”ほんのちょっと進めば”インドにつけるとか言っちゃったもんだから街では大騒ぎ。

104名無しさん:2016/06/16(木) 00:40:45 ID:03A0jm9I0
そして何を隠そう、このクリストファー・コロンブス、”西進めばインド説”を持った原因がマルコポーロ先生の書いた「とーほーけんぶんろく!」とかいうラノベと
ピエール・ダイイ先生の書いた「せかいのすがた!」というラノベであった。
この本にこう書いてあったから! と周りの人間に必死になって説明するが面白いギャグだと思われて大爆笑。
今では教科書でデカい顔している人物だが、当時はただのキチガイであり、お前らと同類なのであった。
                   _,,,,,,,,,、
           ,..、  _..-'''"゛    ::`゙''- ,,,
         . / /,..-'"       :::::::::::::::::::::゙ヽ,
       ./  '"           ,i、  ::.::.:::::::::::::::\
        ',            │:.l, r'',::::::::::::::::::::::\
    .、、   ヽ       .i..i   :::/'''' .!.|:::.l,::::::::::::::::::::::::\
    \`'''―ー'"    iヘ.| ::', ::.::.‐\ .,,二、ヽ;::::::::::__;::::::::::ヽ
     `'ーッ     .,i{.l゛.リ:: .| ,i"'"   ,,_;::::::::::`i:::./ :::゙'i,:::::::::ヽ,
       /  、 .:;:〃l′:!  !,'      .:~';:::::::',/:^'‐::::.!:::::::::::,'    「インドーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!」
       ! /,! ::::::゙l !  ゙         ::::::::::::::::::,;::::: !:::::::::::.!
       ! .! .| :::、::}   .,..-ー'''''''ii、   : :::::::::::::::',、 / :::::::::::レi
       .l,! ',::/.!:.!  ,'..,..-''''゙´;::::.l.   ::.::.::::::::::./:::::::::::::::;:::l゙
       ゛  !,' .゙' l,  ...l,:::::::::::,, 一',   ::::::::::,,:::|:::::::::::::::::::::./
             ヽ  l:::::./    !  ::.::.::::./ ::ヽ::::::::::::::./
              ヽ  l'"|   ./   : ::::::./ :::::::::ゝ:,..-','
                  ヽ ゙'―ー'"   : :: / ::::::::.,..r'":::::::',,_
                 / .ヽ       .,./ ::::,..r'":::::::::::::::  `゙゙"'''‐

          クリストファー・コロンブス (1451 - 1506)  ※MS乗りではない


バカには何を言っても通じない。こうなればジョアン2世に直接説きに行かねば!
インドへの愛の叫びも高らかに、熱血野郎クリストファー・コロンブスはジョアン2世に熱血対決を申し込みに行くことになるのである。
俺が海に出る!! 西に進んでインドにたどり着く! 援護を頼む! インドーーーーーー!! といった具合である。

105名無しさん:2016/06/16(木) 00:42:02 ID:03A0jm9I0
しかし、ジョアン2世はというと
                    _,.ィ≦圭圭≧x .. _
                    .ィ為圭圭圭圭圭圭圭≧x
                 /圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭会:
                ,イ圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圦
                  |圭圭才⌒ー=≠寺圭圭圭圭圭|
                 ⅧiⅣ          ̄ ̄Ⅷ圭圭|
                   ⅧIi  、        _   ⅧIli:圭!
                     Ⅷ| `ー=≠'.  ,.ィ=彳`  Ⅵ圭7       「なんでアフリカからのインド行を諦めるんだよ!!
                 Ⅵ <てハ :::i : rt_j ァ  }才' /        どうしてそこで諦めるんだよ!! ダメダメ!!
                       }|    ...::::ノ 、   ̄    iレ /           ベストを尽くせよ!! もっと熱くなれよ!!」
                  ト、   ,.ィ   .     /.イ           
                  ヘ  / ー-=彳ヽ  //_
                     ヘ : r=ニ ニ=ォ,   /圭≧x 、
                .ィ≦Ii圦 、 レ⌒⌒レ’ ,.イ|圭圭圭会:
                   /圭圭圭ハ `ー==イ  /  |圭圭圭圭L.. _
           _,ィ≦圦:寺圭圭∧ゝ... _ ,イ  ,イ圭圭圭圭圭圭圦
        ,.ィ≦圭圭圭圭≧ュ...`寺∧ ー=≠≡彳圭圭圭圭圭圭圭圭≧x
       /圭圭圭圭圭圭圭圭会ュ. Ⅶ圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭ハ

                ジョアン2世 (1455 - 1495) ※この時代にもテニスはあった

と、クリストファー・コロンブスの考えをナイスボレー。熱血でも一枚上手である。
それも当然、ポルトガルの海洋事業はノリノリの状態で、コロンブスの考えなんか参考にしなくても全然平気。
というか、そんなリスクを冒さなくたってインド行けちゃうもんね〜、と超余裕な様子。当たり前と言えば当たり前である。リスクを負う必要なんてないのだ。
                   _,,,,,,,,,、
           ,..、  _..-'''"゛    ::`゙''- ,,,
         . / /,..-'"       :::::::::::::::::::::゙ヽ,
       ./  '"           ,i、  ::.::.:::::::::::::::\
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    .、、   ヽ       .i..i   :::/'''' .!.|:::.l,::::::::::::::::::::::::\
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       /  、 .:;:〃l′:!  !,'      .:~';:::::::',/:^'‐::::.!:::::::::::,'    「インドーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!」
       ! /,! ::::::゙l !  ゙         ::::::::::::::::::,;::::: !:::::::::::.!
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             ヽ  l:::::./    !  ::.::.::::./ ::ヽ::::::::::::::./
              ヽ  l'"|   ./   : ::::::./ :::::::::ゝ:,..-','
                  ヽ ゙'―ー'"   : :: / ::::::::.,..r'":::::::',,_
                 / .ヽ       .,./ ::::,..r'":::::::::::::::  `゙゙"'''‐

          クリストファー・コロンブス (1451 - 1506)  ※MS乗りではない

そして、今日も彼はインドへの熱い思いを叫ぶのである。


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