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沼男はいないようです

140名無しさん:2016/04/03(日) 16:04:31 ID:gxLDXQXc0



 お願い。
乗っていないと答えて。
私を置いて行かないで。





ミセ*゚ー゚)リ「うん、乗ったよ! 今まで怖がってたのが馬鹿みたいだった!」


(* ー )


ミセ*゚ー゚)リ「でもでもなんか、思ってたのと違ったんだよねー。意識が無くなるっていうよりも、気が付いたら到着してた? みたいな――」



 そんな、ミセリ。

 貴女もニセモノだったなんて。



* * *

141名無しさん:2016/04/03(日) 16:05:34 ID:gxLDXQXc0

 ふらふらと、家に着く。
家族の居ない我が家に。

 鍵を開けて入ると、姉の形をしたニセモノが出迎えてくる。

 ああ、腹立たしい。
ニセモノのくせに、なんで我が家に居座っているんだ。

 黙って2階の部屋に向かう。
すれ違いざまに、肩を触られた。


 やめろ!! さわるな!!


 思わず振り払う。
するとびっくりしたのか、それは尻餅をつく。

 少し胸が痛んだ。
いつも優しくしてくれる「お姉ちゃん」に、こんな仕打ちをしてしまった自分が嫌になった。

 だが、すぐに思い直す。
これは「お姉ちゃん」じゃない。
私の「お姉ちゃん」を返せ。

 座り込んでいるモノをキッと睨みつけた。

142名無しさん:2016/04/03(日) 16:06:47 ID:gxLDXQXc0



(# ;;- )


 ソレは泣いていた。

 ニセモノなのに、涙なんか流せるのか。


 分かっている。

 お姉ちゃんの形をしたソレが、スワンプマンが、何も悪くないということは。


 でも。それでも。

 私にはスワンプマンを人間扱いすることは出来ない。


 そのまま私は、自分の部屋に向かう。

 啜り泣く声が、耳に残った。


* * *

143名無しさん:2016/04/03(日) 16:07:53 ID:gxLDXQXc0

 木曜日。約束の日。

 時刻はお昼を少し過ぎたあたり。
事前に貰っていた地図を頼りに、恋人の家を探す。

 お世辞にもわかりやすいとは言えない手描きの地図のせいで、少し道に迷ってしまった。
噴き出す汗をハンカチで拭いながら、進んでいく。

 するとようやく目印のコンビニを見つけた。
一旦涼を得るために入店する。

 体に悪そうなクーラーの冷気にあたりながら店内を見渡していると、あるものが目につく。


(*゚ー゚)「……」


 特に深い理由もなく、私はそれを購入した。

144名無しさん:2016/04/03(日) 16:08:31 ID:MZBV8cfM0
不穏だなぁ

145名無しさん:2016/04/03(日) 16:09:10 ID:gxLDXQXc0

 コンビニから出たところで、肩をポンと触られる。
思わずビクッとして、その手の主を確認する。


(,,゚Д゚)「よっ」


 ギコくんだ。

 ギコくん、か?


(,,゚Д゚)「地図分かりづらかっただろ? 取り敢えずここには寄るだろうと思ってさ」

(*゚ー゚)「これ、あげる」


 今買ったばかりのものを、コンビニの袋ごと渡す。
彼は怪訝な表情を浮かべたが、中身を確認してはしゃぎ始める。


(,,゚Д゚)「おお! ボンタンアメ! これ俺好きなんだよなー! くれるのか?」

(*゚ー゚)「内藤くんが教えてくれたんだ。ギコくんはそれが好きだって」

(,,゚Д゚)「あーなるほど、ナイスだ内藤。サンキューな」

146名無しさん:2016/04/03(日) 16:10:04 ID:gxLDXQXc0

 早速飴を1つ取り出し、口に放り込む。
私にも1つくれた。

 オブラートの包みをそのままに、私も口に含む。
甘い。美味しい。


 思わず彼と顔を見合わせて、笑い合う。



 あーあ、なんでこんなに楽しいんだろ。


.

147名無しさん:2016/04/03(日) 16:11:39 ID:gxLDXQXc0

 それから数分かけて、彼の家に着いた。
アパートの2階に上がり、一番奥の扉の前に辿り着く。

 ポケットから鍵を取り出しつつ、彼は私に向けて言う。


(,,゚Д゚)「そのうちお前に合鍵でもプレゼント出来るかもな」

(*゚ー゚)「……うん、そっか」


 ああ、言い出しづらい。
これから別れ話をするだなんて。

 扉が音を立てて開く。

 頭を軽く振って、気を引き締め直す。

 覚悟はもう決めてきた。

 私の決意は、揺らがない。

148名無しさん:2016/04/03(日) 16:12:55 ID:gxLDXQXc0

 中に入ると、そこは小綺麗に片付けられた部屋だった。
机の上には、何種類かのお菓子が既に用意されている。


(,,゚Д゚)「何が飲みたい? 先ずは軽く――」

(* ー )「ギコくん、あのね」


 言葉を遮る。

 今言わないと、きっと私はずっと言い出せない。

 この心地良さに、入り浸ってしまう。

 そうなる前に、ケリをつけよう。



(* ー )「別れてほしいの」


.

149名無しさん:2016/04/03(日) 16:14:32 ID:gxLDXQXc0

 空気が凍り付く。
両手にチューハイの缶を持ったまま、固まっている彼。


(;,゚Д゚)「……な、何の冗談……だ……?」


 絞り出された返事は、震えていた。


(* ー )「ごめんね、嘘じゃないんだ。本気だよ」

(;,゚Д゚)「なっ……どうしてだ!? 俺の何が悪かった!?」

(* ー )「耐えられないの。今の君と、一緒にいることが」

(;,゚Д゚)「…………」


 酷く困惑しているのが伝わる。

 何度も言うが、私たちの関係は良好だった。
時には喧嘩もしたけれど、いつも最後には仲直りをすることが出来た。

150名無しさん:2016/04/03(日) 16:15:28 ID:gxLDXQXc0

 何故振られるのか分からないだろう。
心当たりが無いだろう。

 そりゃそうだ。
だって彼は、自分をニセモノだと知らないんだから。

 しかし、私はそれを伝えるつもりはない。

 私なんかにそんなことをこのタイミングで告げられても信じられるわけないだろうし、万が一信じたとしたらそれはそれで厄介だ。

 もしも私なら、私がニセモノだと分かった時には死を選んでしまうかもしれない。

 無駄に情報を与えて議論を重ねるより、キッパリと別れを告げた方がお互いの為。
そう判断した結果がこれだ。

 最良だとは思わないが、きっと最悪でもないだろう。

151名無しさん:2016/04/03(日) 16:16:31 ID:gxLDXQXc0

(;,゚Д゚)「何でだ!? 何がダメだった!? 言ってくれさえすれば、絶対に直すから!!」


 声を荒げる彼。
直せるものか。だったら私のギコくんを返せ。
なくなったものは、もう戻らない。

 スワンプマンの君に罪がないことは分かってる。
だから、お願い。
黙って承諾して。


 何を言われても、何を聞かれても、私の答えは変わらなかった。

 その様を見て、彼も徐々に冷静さを取り戻してきたようだ。

 しばしの沈黙。

 怒鳴り散らされても仕方ないと思って身構えていたが、そのような様子は全く見られない。
むしろ今にも泣き出してしまいそうな、情けない顔だ。


 そして静かに私に問うてくる。


(,,゚Д゚)「しぃ……お前、変わっちまったのか……?」


(* ー )「違う! 変わったのは――」

152名無しさん:2016/04/03(日) 16:17:43 ID:gxLDXQXc0



 ――あれ?

 唐突に、違和感が芽生える。
変わったのは、ギコくん。
ギコくんは、変わった。



本当に?



 ギコくんがテレポート装置を使ったのは、確かずっと前。



 ずっと。ずっと。



 私と付き合う前。



 私と、出会う、前だ。



(;*゚ー゚)「――っ!!?」

153名無しさん:2016/04/03(日) 16:19:03 ID:gxLDXQXc0


 まさか、そんな。


 私が愛していたギコくんは。


 元から、人間じゃなかった。


 オリジナルのギコくんじゃなかった


 私は、スワンプマンのギコくんを愛していたのか。



(,,゚Д゚)「……どうした?」



 今までの考えが、全てひっくり返る。
どうして今まで気付かなかった。

 いや、気付くチャンスはあったのだろう。
思考停止して彼をニセモノと決め付けていたのは、私だ。
オリジナルの彼のことなんてこれっぽっちも知らないくせに、勝手にニセモノだからと拒絶していた。

154名無しさん:2016/04/03(日) 16:20:06 ID:gxLDXQXc0

 途端に彼に申し訳なくなってくる。
今まで私の言ってたことが、私の本当の気持ちじゃなかったと気付いたから。
ニセモノの、言葉だったから。





 でも、それでも。
私はスワンプマンを許容することができない。


 なんで?


 死んだオリジナルに悪いから?


 違う。そうじゃなかった。


 じゃあ、なんで?





 ――あぁ、そうか。


 ただの私の、エゴのせいか。

155名無しさん:2016/04/03(日) 16:22:42 ID:kY3prAPQ0
逆転の発想である

156名無しさん:2016/04/03(日) 16:22:47 ID:gxLDXQXc0

(*゚ー゚)「……ううん、ごめんなさい。私が間違ってた。君は何も変わってなかったね」

(,,゚Д゚)「……?」


 ホンモノのギコくんに悪い、だって?
思わず数日前の自分を鼻で笑う。

 じゃあお前は、ホンモノのギコくんを知っていたのか。

 お前が出会ったギコくんは、初めからスワンプマンだったというのに。

 一体何を知った上で、あんな分かったような口振りで言っていたんだ。

 あんなもの、ニセモノを許容出来ない私の矮小な心が産み出した、無意識下の言い訳に過ぎなかった。

 そうだ。
私はホンモノのギコくんのためなんかに、別れるんじゃない。

 私がオリジナルだから。キミがスワンプマンだから。

 その違いが、我慢出来ないから。
私はスワンプマンを認められないんだ。

 自分のために、自分のエゴのためだけに。

 スワンプマンという存在自体を拒絶する。



 逃げるな。忘れるな。目を反らすな。


.

157名無しさん:2016/04/03(日) 16:24:14 ID:gxLDXQXc0



「あなたのこと、好きじゃなくなった。それだけなの」


「さよなら、ギコくん」



 このギコくんが流している涙を、心に刻む。

 私のエゴのせいで、ごめんなさい。


.

158名無しさん:2016/04/03(日) 16:25:10 ID:gxLDXQXc0



case.B 猫田しぃ



実験終了

159名無しさん:2016/04/03(日) 16:32:08 ID:gxLDXQXc0
残りは夜
期間内に完結させたい

160名無しさん:2016/04/03(日) 16:49:05 ID:znaWjSLc0
待ってる、がんばれ

161名無しさん:2016/04/03(日) 17:06:31 ID:FOEas/cs0

辛いなぁ

162名無しさん:2016/04/03(日) 18:43:10 ID:CYeJo5H.0
待つ

163名無しさん:2016/04/03(日) 23:24:34 ID:qNOpZ/3I0

それに気づいたのに別れてしまうのか……悲しいな
ブーンは愛さえあればだったけど、しぃはギコも受け入れずこれから他の皆とも相容れないで生きていくのかな

スパゲッティ美味しそう

164 ◆qRAFc2g8TE:2016/04/03(日) 23:54:49 ID:gxLDXQXc0

なんとか仕上がりました。

皆様大変長らくお待たせ致しました。

これより、残りの投下をはじめます。

投下は日を跨ぐことになりそうですが、どうかお付き合い頂ければ幸いです。

それでは、よろしくお願いします

165名無しさん:2016/04/03(日) 23:56:47 ID:gxLDXQXc0


彼女はきっと、ニセモノなのだろう。



だからって、拒絶することができるか?



俺には無理だ。



ニセモノだと分かっていても、愛していることに変わりはないんだ。

.

166名無しさん:2016/04/03(日) 23:57:33 ID:gxLDXQXc0





case.C 茂羅モララー




.

167名無しさん:2016/04/03(日) 23:59:02 ID:gxLDXQXc0

 内藤と別れてから、およそ1時間が経っている。

 家にはまだ着いていない。


( ・∀・)「……」


 俺は今、最寄駅前のファストフード店にいる。

 客も殆どいなく、閑散とした店内。
不味いコーヒー1杯を片手に、ずっと考え事をしていた。

 荒巻博士の、あの話についてだ。

168名無しさん:2016/04/04(月) 00:01:53 ID:6uu3gP120

 スワンプマンについて、俺は今の段階では賛成派とも否定派とも言えない。
どちらかといえばやや否定派寄りだが、肯定的な意見も一応は持ち合わせている。

 例えば、身体。

 博士の説明によると、スワンプマンの身体は全く別の人間の分子によって構成されている。


 聞いた瞬間はなんておぞましいと思ったが、よくよく考えてみると大した問題ではないように感じた。


 その理由は、俺自身にある。


 今ある俺の腎臓は、元々俺のものではない。
どこかに住んでいる、心優しい人によって提供されたものだ。


 そう、臓器移植だ。


 臓器移植によって、俺はもっと早くに死なずに済んだ。
移植手術によって、俺は生き長らえることが出来ている。

 分子テレポート理論を否定することは、即ち俺自身という人間の否定になってしまう。

169名無しさん:2016/04/04(月) 00:02:44 ID:6uu3gP120

 俺は手術前の自分と手術後の自分を同一の人間だと思っているし、そのことについて疑ったことは一度もない。

 つまり、スワンプマンの肉体はオリジナルと同一と見なして良いだろう。
そういう結論に至った。


 しかし。
流石に精神や心までがツクリモノだったとなると、そう易々と看過することはできない。

 それこそ内藤の質問の、「オリジナルが痛みを感じるかどうか」といった問題もある。
荒巻博士は「嘘をつかない」と前置きした上で「痛みは存在しない」と言っていたからおそらく事実であろうが、そのことを証明する手段は無い。

 もしもこれでオリジナルが筆舌に尽くしがたい苦痛を与えられて分子分解されるとしたら、このテレポート理論は大問題だろう。

170名無しさん:2016/04/04(月) 00:03:37 ID:6uu3gP120

 それと、オリジナルの意識についての問題。

 スワンプマンの視点だと、何も問題が無い。
オリジナルの意識とスワンプマンである自分の意識は、同一のものと見なしているためだ。
そもそもスワンプマンには自分がスワンプマンという自覚が無いのだから、疑う余地すら発生しない。


 しかし、オリジナルの視点からはそういうわけにはいかない。

 一度生物的な死を遂げている以上、その個体の意識はそこで途絶えている。

 つまりオリジナルからすると新しく生み出されたスワンプマンは、自分にそっくりなだけのニセモノだ。

 自分が死んだ瞬間と、スワンプマンが生まれる瞬間に同じ意識を引き継いでいたとしても、あくまでそれはオリジナルにとって「別の意識」である。

 何も知らないものが客観的に見た場合だと、それは何の問題もない。
何故なら、そもそも成り代わっているということが分からないからだ。

171名無しさん:2016/04/04(月) 00:05:13 ID:6uu3gP120

 帰りに電車で、スワンプマン肯定派の内藤に意見を求めてみた。
彼の視点は、「自分には見分けがつかないし、誰も気付けるわけがない」という意見から分かるように、客観的な視点に重きを置いていると感じた。

 一方猫田。
話こそ聞けなかったが、彼女は恐らく主観的な意見の持ち主だろう。
それと同時に、この事実を知ってしまったオリジナルだからこその悩みとも言える。
きっと死んでしまうオリジナルの主観性に重きを置いていたのではなかろうか。

 そこまで深く語ったわけでもないし、そもそも2人とはまだ会って1週間ちょっとしか経っていないので不確定だが、大体こんな認識でいる。

 しかし、それはあくまでスワンプマンという思考実験についての彼らの意見だ。
自分が当事者となった今、その意見がどのように変化するは分からない。

172名無しさん:2016/04/04(月) 00:06:06 ID:6uu3gP120

 ここで初めて、自分が考えているのがスワンプマンの思考実験についてのことだけだと気付く。

 違う。この実験の趣旨は、そこじゃない。

 この実験で試されているのは、人間の愛についてだ。

 博士は確か、スワンプマン問題についての議論を交わしたいわけではないと語った。
つまりスワンプマン肯定派も否定派も、人間の愛という感情を前にしてどういった行動を取るか、という結果を求めているのだろう。

173名無しさん:2016/04/04(月) 00:08:01 ID:6uu3gP120



 愛、か。


 なるほどこれは確かに立派な「人体実験」だ。

 こんな安っぽい机と椅子に座ってウダウダと考えるより、今一度「愛」と向き合ってみるとしますか。

 少し古い型の携帯電話で彼女にメールを打ちながら、席を立つ。

 すっかり覚めてしまったコーヒーは、相も変わらず不味かった。


* * *

174名無しさん:2016/04/04(月) 00:09:20 ID:6uu3gP120

(゚、゚トソン「おかえりなさい。遅かったですね」


 都村トソン。俺の恋人だ。
俺は彼女と同棲している。

 所謂大学生カップルというやつだが、俺とトソンは同い年じゃない。
学年は一緒だけど、俺の方が2つ歳上だ。

 高校時代に手術や通院を経験していたので、大学に入るのが遅れた。
そしてやっと大学に入学し、出会ったのが彼女だ。


( ・∀・)「ただいま。遅くなってごめんね、夕飯はもう食べた?」

(゚、゚トソン「まだです。モララーのことを待ってたので、お腹ペコペコですよ」

(;・∀・)「そ、それはごめん。待っていてくれてありがとう。一緒に食べようか。俺も腹ペコだ」

(゚、゚トソン「わかりました。準備しますね」

175名無しさん:2016/04/04(月) 00:11:52 ID:6uu3gP120

 時刻はもう、8時を過ぎている。
つい考え事をし過ぎていたせいだ。
あのまま真っ直ぐ帰っていたら、6時半頃には家に着いていたことだろう。

 家の中に入ると、何かを醤油で煮込んだ良い香りが漂ってくる。


( ・∀・)「煮物?」

(゚、゚トソン「はい。今日は肉じゃがです」


 それは楽しみだ。
彼女はとても料理が上手い。
痩せ型だった俺の体重が同棲してから3キロ増えたのは、ひとえに彼女のおかげだ。

 食事の準備を2人でしていく。
彼女は料理を温め直し、俺は食器を用意する。
同棲したての頃はお互いどこかぎこちなかったが、今はもう淀みなくこなせるようになった。

 食事の準備が整ったので、食卓につく。
一緒にいただきますの号令の後、食べ始める。
さて、どれから食べよう。

176名無しさん:2016/04/04(月) 00:12:52 ID:6uu3gP120

 まずは味噌汁から。
具は豆腐と油揚げ。
この中身はいつも冷蔵庫に余っているものの中からランダムに選ばれるが、俺はこの2つの具が一番好きだ。
ちなみに彼女は豆腐とワカメが一番好きらしい。

 味噌汁のお椀を持ち、一口啜る。
出汁と味噌の香りが鼻を抜ける。
何やら美味しい出汁パックを最近購入したらしい。
あれから一気に味噌汁が美味しくなった。
少し値が張ったらしいが、その価値は十分にあるだろう。

 温かいうちに、メインの肉じゃがに手をつける。
具はジャガイモ、ニンジン、玉ねぎ、牛肉。
ジャガイモを少し箸で割り、牛肉と一緒に食べる。

 美味しい。
ほっくりとしたジャガイモに、醤油ベースの煮汁がしっかりと染みている。
単体でもしっかりと味わえるが、そこに牛肉の旨味がジワッと溢れてきた。

 人参と玉ねぎも、よく味が染み込んでいる。
人参本来の優しい甘みと、甘っ辛い煮汁に浸かった玉ねぎが調和する。
それぞれの具を別々に食べても勿論美味しいが、この肉じゃがはどの組み合わせで食べても美味しくなる。

177名無しさん:2016/04/04(月) 00:14:00 ID:6uu3gP120

 口が醤油味に占拠されたところで、次はご飯だ。
帰る前にちゃんと連絡を入れておいたおかげで、炊きたてだ。

 炊きたてツヤツヤのお米を、パクリと口に含む。
やはり、醤油味はご飯に合う。
胃に送った後も口内に余韻として残っている牛肉の濃い味が、ご飯によって中和されていく。
この組み合わせだけでどれだけでも食べられそうだ。

 ひとつ箸休めに、小鉢をつつく。
ほうれん草のお浸しだ。
醤油は控えめに垂らされ、軽くかつお節が振りかけられており、噛めば噛むほどほうれん草のスッキリとした青臭さとかつお節の旨味が混ざり合う。

 一通り味わったところで、彼女に声をかける。


( ・∀・)「相変わらず美味しいね」

(゚、゚トソン「ありがとうございます。肉じゃがの味付けはどうでしょう?」

( ・∀・)「ちょうどいいと思うよ。俺好みだ」

(゚、゚トソン「ありがとうございます」

178名無しさん:2016/04/04(月) 00:15:51 ID:6uu3gP120

 そう言って、また食事に戻る。
無表情に見えるが、料理を褒められて喜んでいるのが俺には分かる。

 こうした些細な感情の変化も敏感に感じ取れるようになったのは、一体いつからだろうか。
付き合い始めの頃はそこがよく分からず、困ったりもしていた記憶がある。


 このトソンが、完全なニセモノだと割り切ることは俺には出来ない。

 かと言って、今までと全く同じトソンだというのも少し違う気がする。


 彼女がスワンプマンになったのは、つい最近のことだ。

 それまでずっとトソンがテレポート装置を使わなかった理由は、特にないらしい。
たまたま乗る機会が無かっただけだそうだ。

 その機会が、つい最近訪れた。
先月、彼女の友達と一緒にVIPタワーに行くことになったそうだ。
良い機会だし、一度使ってみようと思ったとのこと。
帰ってきた彼女は、「特になんともなかった」と言っていたのを覚えている。

179名無しさん:2016/04/04(月) 00:16:49 ID:6uu3gP120

 その話を聞いた後、俺がトソンについて違和感を覚えたことは一度もなかった。

 彼女がスワンプマンになってからも、食事は美味しいし、些細な感情の変化も読み取れるし、性生活も特に問題はなかった。

 彼女が別人に成り代わっていたというのに、俺は全く変わらずその人といつも通りの生活をしていたということだ。

 完璧な擬態、とでも言うべきか。

 それとも、彼女がトソン本人だと認めるべきか。

 中途半端な、だけど決して無視できない心のもやもやを抱えたまま、俺は食事に戻る。


 コツン。
箸が茶碗の底を突いた。
考え事をしていたら、もう食べ終わっていたようだ。

 あぁ、もっと味わいたかった。



* * *

180名無しさん:2016/04/04(月) 00:18:25 ID:6uu3gP120

 それから、俺たちは特に何事もなく過ごしていた。
何事もなく、というのはあくまで表面上のことであって、俺は四六時中彼女のことについて考えていた。

 出した答えは、やはりスワンプマンは同一ではないというものだった。

 俺を愛してくれていたトソンは、あくまでオリジナルのトソンだ。
スワンプマンの彼女は、それを引き継いでいるだけに過ぎない。

 つまり、スワンプマンになってからの彼女の記憶は紛れもない彼女のものであるが、それ以前のオリジナルのトソンの記憶はスワンプマンとしての彼女のものではない。

 よって俺は、オリジナルとスワンプマンを別人だと結論付けた。

 ここまでは良い。

 しかし、そこで一つ問題が生じる。

 俺は彼女と、都村トソンのスワンプマンと離れ離れになりたくないのだ。

181名無しさん:2016/04/04(月) 00:19:31 ID:6uu3gP120

(;-∀-)「……」


 どうしたものか。
オリジナルとスワンプマンの共生なんて、出来るのか。

 そう自問して、気付く。
出来るに決まってるだろ。

 現に今の社会は、オリジナルとスワンプマンが入り乱れている。
この街に関して言えば、スワンプマンの方が多いくらいだ。

 だが、世界は変わらずに回っている。
何も混乱など起きていない。
オリジナルとスワンプマンの共生は、可能だ。

 だがしかしそれは、オリジナルがスワンプマンの存在を知らなければ、という枕詞が必須である。

 俺は知ってしまった。
共生出来るか出来ないかは、俺の意識次第ということか。

182名無しさん:2016/04/04(月) 00:20:29 ID:6uu3gP120

( ・∀・)「……」


 正直、出来るとは思う。
だがどこかで綻びが生まれるのが怖い、というのが正直な感想だ。

 何よりこの結論を出したからには、オリジナルの彼女に申し訳が立たない、といった気持ちがある。

 俺は、トソン以外の女性を愛することになるのか。

 そしてスワンプマンの彼女は、本当に俺を愛しているのか。

 その愛という感情も、プログラムによって埋め込まれた「愛」「のようなもの」なのではないだろうか。

 そんな漠然とした不安を抱えながら、また日常を過ごす。



* * *

183名無しさん:2016/04/04(月) 00:21:13 ID:6uu3gP120

 事態が動いたのは、それから2週間後。
相変わらず俺は、自分の出した煮え切らない答えについて悩んでいた。

 風呂から上がると、寝巻き姿のトソンが布団の上で正座をしていた。

 そういうことかと思い手を出そうとしたら、手を叩かれた。痛い。


(゚、゚トソン「モララー、正座」

(;・∀・)「……はい」


 なんだろう、この空気。
手を出そうとした自分が恥ずかしくなる。
よく見ると、少し怒っているようだ。


(゚、゚トソン「最近のモララー、少し態度がおかしいです」

(;・∀・)「へ?」

184名無しさん:2016/04/04(月) 00:22:05 ID:6uu3gP120

(゚、゚トソン「私に対して、なんというか……よそよそしくなった気がします」


 ドキッとする。
なんでこんなに鋭いんだ。
そんなところまで、オリジナルのトソンを真似なくても良いと思う。

 荒巻博士は、本当に天才だ。
こんなの何の説明も無くニセモノだなんて言われても、信じられるわけがない。

 いや、コピーという観点から見るとそれは当然のことなのだろうか。

 取り敢えず一旦思考を放棄して、トソンの話に集中する。


(゚、゚トソン「あなたは他の人に比べて、少し考え過ぎる節があります」


 多少の自覚はある。
黙って頷き、肯定する。

185名無しさん:2016/04/04(月) 00:23:06 ID:6uu3gP120

(゚、゚トソン「つまり、一度考えることを放棄して、遊ぶ必要があります」

(;・∀・)「……はぁ、そうですか」


 いやその理屈はおかしい、と言いたかったが、口を挟める余裕なんか無かった。
オリジナルの彼女も、こういう風に熱くなると話を聞かなくなる節があった。


(゚、゚トソン「と、いうわけでですね」

( ・∀・)「はい」

(゚、゚トソン「ゲームをやりましょう」

(;・∀・)「……はい?」


 そう言って彼女は、いそいそと手元のリュックから携帯ゲーム機を取り出す。
ピンク色のボディにやたらと可愛らしいシールが貼ってあるのと、そういった装飾が何もない黒くてシンプルなものの2つだ。

 待て待て、どういうことだ。
ていうかそのゲーム機はなんだ。

186名無しさん:2016/04/04(月) 00:24:23 ID:6uu3gP120

(゚、゚トソン「この前に話した知り合いと、また最近会いまして」


 この前、というと恐らくVIPタワーに行った友達のことだろう。


(゚、゚トソン「その子から借りてきました。少し古い型ですけど、ちゃんと動作するはずです」

(;・∀・)「どういうこと? ていうか、トソンってゲームとかやるんだ」

(゚、゚トソン「最近は全くやってませんが。こっちのはわざわざ実家に帰って取りに行きましたよ」


 そう言って、コホンと小さく咳払いをする。


(゚、゚トソン「何に悩んでるか知らないし、相談もしてくれないようですけどね」

(゚、゚トソン「励ますことくらい、私にもさせてくださいよ」


( ・∀・)


(゚、゚トソン「貴方はいつも勝手に抱え込んじゃうんですから。ゴミ掃除くらいなら手伝ってあげますよ」

187名無しさん:2016/04/04(月) 00:25:24 ID:6uu3gP120

 自然と、言い放つ。
しかし俺には分かる。彼女は少し照れていることが。
最後のセリフは、きっと照れ隠しだろう。

 どうやら相手の感情を敏感に読める能力を持っていたのは、俺だけでないらしい。
随分と心配をかけさせてしまったようだ。

 それにしても、ゴミ掃除と言ったか。
俺の今までの悩みを、ただのゴミと捉えて一蹴しやがった。


 全く、敵わない。


 オリジナルだろうがスワンプマンだろうが、都村トソンには本当に敵わない。


(゚、゚トソン「分かったら、さっさと始めますよ。対戦だと圧勝してしまいそうなので、協力プレイのソフトです」

188名無しさん:2016/04/04(月) 00:26:16 ID:6uu3gP120

(;・∀・)「え、俺ゲームとか全然やらないんだけど……って、俺こっちのキラキラした方なの!?」

(゚、゚トソン「当たり前じゃないですか。私がそんな頭の悪そうなシール貼ると思いますか?」

(;・∀・)「いや、そうだけど……って、何気に酷いこと言うね……」


 小言を言いながらも、起動する。
にしても、この出っ張ったシール邪魔だな。


(゚、゚トソン「準備できましたか? それじゃあここの『通信プレイ』にしてですね……」

( ・∀・)「了解了解……えーっと、これか」

(;・∀・)「……プレイ時間200時間!?  めっちゃやり込んでるじゃん!!」

(゚、゚トソン「そんなもんですよ。ほらほら始めますよ」

189名無しさん:2016/04/04(月) 00:26:53 ID:6uu3gP120

 そう言い、ゲームを始める。
彼女のキャラクターは俺に構わずスイスイと進んでいく。
おい、協力プレイじゃないのか。
俺を置いて先に進むな。


(;・∀・)「だァーもう! 待てったら!」

(゚、゚トソン「早くこっちまできてください。暇です」

(;・∀・)「初心者相手に無茶言うな! ちょっと待ってろ……うわ、なんだこれ!!」

(゚、゚トソン「それくらい1人で狩れますよ。頑張って下さいね」

(;・∀・)「助けろよ!! 肉焼いてんじゃねーよ!!」

190名無しさん:2016/04/04(月) 00:27:38 ID:6uu3gP120

 どうやら俺は、勘違いをしていたようだ。

 ここまで想われておいて、愛されていないかもしれないだなんて言えるわけがない。

 俺は愛されている。
トソンだけでなく、スワンプマンの彼女にも。

 このトソンは、俺の知っているトソンとはきっと別人なのだろう。
それでも、俺以上にトソンのことを熟知している。当たり前か。

 俺はトソンの友達のことなんて知らないし、トソンがこんなにゲームが上手いとも知らなかったし、思いの外毒を吐くといったことも知らなかった。


 そして俺は、そんな彼女を愛してしまっている。
スワンプマンとしての彼女のことも、愛してしまった。

191名無しさん:2016/04/04(月) 00:28:21 ID:6uu3gP120



 オリジナルのトソンには申し訳ない。
これじゃ二股みたいだな。



 それでもきっと君は、表情を変えずにこう言うんだろうね。



『当然です。私のニセモノなんですから、それくらいしてくれないと困ります』


.

192名無しさん:2016/04/04(月) 00:29:09 ID:6uu3gP120



「なー、トソンー」

「なんです?」

「いつまでも一緒にいような」

「……当然です」

「あ、肉焦げてる」

「失敗したので次焼きます」

「おいちょっと待て!! だから助けに来いよ!!」

193名無しさん:2016/04/04(月) 00:30:03 ID:6uu3gP120



case.C 茂羅モララー



実験終了

194名無しさん:2016/04/04(月) 00:31:37 ID:6uu3gP120







【第一実験 全員終了】






.

195名無しさん:2016/04/04(月) 00:32:48 ID:6uu3gP120



 あれから1ヶ月。

 私の目の前に座っているのは、変わらずに3人の学生達。
少しやつれている者もいるが、今の所全員ちゃんと生きている。

 3人もいたら1人くらい脱落するかもと思っていたが、そんな心配も杞憂に終わったようだ。


 それでいい。

 これから行われる「最終実験」を前に壊れられてしまっては、つまらない。


 きっと私は、「彼女」を失ってから、狂ってしまったのだろう。

 じゃないと、こんな狂気に満ち溢れた人体実験を出来る筈がない。

 被験者達には、大変申し訳なく思っている。

 が、あくまで彼らは実験対象だ。
最後まで、この実験に付き合ってもらうとしよう。

196名無しさん:2016/04/04(月) 00:34:56 ID:6uu3gP120

 今回は隣にクールを立たせている。
これから行う「最終実験」で、被験者達が暴れないとも限らない。

 「彼女」は生前、格闘技をやっていた。
クールも、それを引き継いでいることだろう。
万が一に備え、クールには側にいてもらうこととした。



 さぁ。



 下準備は整った。



 はじめようか。




「よく来てくれた、学生諸君」


.

197名無しさん:2016/04/04(月) 00:35:30 ID:6uu3gP120







【最終実験】






.

198名無しさん:2016/04/04(月) 00:36:28 ID:6uu3gP120

 一月前と、同じ状況。

 今はそれに、秘書が同席している。



 荒巻は3人から受け取ったレポートを読み終え、それぞれに語りかける。



/ ,' 3「内藤君は、スワンプマン肯定派のようだね。まさか自分から進んでスワンプマンになるとな思わなかったよ」

( ^ω^)「そうですかお」

/ ,' 3「猫田君は、否定派か。概ね予想通りの結果だが、どうやら大変だったみたいだね」

(* ー )「……」

/ ,' 3「最後に、茂羅君。君は大変興味深い。スワンプマン否定派なのに、スワンプマンを別個体と認識した上で関係を続けるというのか」

( ・∀・)「その通りです」

/ ,' 3「くくく……素晴らしい。まさしく三者三様の答えだ。ここまで綺麗に分かれるとは、私も思っていなかったよ」

199名無しさん:2016/04/04(月) 00:37:34 ID:6uu3gP120

 そう笑いながら、荒巻は懐から封筒を3つ取り出す。
厚さは1センチほどあるのではないだろうか。


/ ,' 3「被験者諸君、実験協力ありがとう。これはほんの気持ちだ」


 それを各々に渡す。
これまた三者三様の態度で受け取る。
その金額に一番驚いているのは内藤だった。


(;^ω^)「こんなに……ですかお?」

/ ,' 3「それもまた、価値観の違いだ。他の2人を見てみなさい。君ほど驚いていないだろう?」

( ・∀・)「そうですね。こんな実験なら、これくらい妥当だと思います」

/ ,' 3「はっはっ、『こんな』とは言うじゃないか。だが私も同意見だ。気にせず受け取っておきたまえ」

(;^ω^)「……わかりましたお」

(* ー )「……」

200名無しさん:2016/04/04(月) 00:38:40 ID:6uu3gP120

(* ー )「もう帰って……結構ですか」

/ ,' 3「いや、まだだ。あと少しだけ待ってくれ」

(* ー )「…………」

( ・∀・)「まだ何かあるのですか?」

/ ,' 3「そうだ。あとほんの5分で終わるので、もう少し待ってくれ。おい、クール」

川 ゚ -゚)「は」


 合図を送り、クールと呼ばれた女性はそれに応じて奥の部屋に入る。

 すると10秒も経たず、こちらに戻ってきた。
手にはノートパソコンを抱えている。


何やら少し操作した後に、画面をこちらに向けてくる。

荒巻はそれを確認して、3人に説明をする。

201名無しさん:2016/04/04(月) 00:40:25 ID:6uu3gP120

/ ,' 3「それはテレポート装置利用者のログだ。私はテレポート装置の使用にあたり、1つ義務を設けた。それが、テレポートカードの提示だ」

( ^ω^)「あ、それなら僕も作りましたお」

/ ,' 3「そう、それと同じものだ。それをとある機械に通すと、本部のマザーコンピュータに使用者のログが残る仕様になっている。さて、ここで少し、君たちに画面を確認してもらいたい」


 言われて3人が画面を見る。
すると茂羅が、いち早く気付く。

( ・∀・)「……Error?」

 画面の下部にあるのは、Errorの文字列が3行。
一体これは、どういうことか。

202名無しさん:2016/04/04(月) 00:41:54 ID:6uu3gP120

/ ,' 3「エラー表記は、テレポートカードを通さずにテレポート装置を利用した証だ。きっと画面には、3人分のエラーが表示されているね?」

( ^ω^)「……ほんとですお。一体、何故……」



/ ,' 3「さて、ここで少し話は変わるが君たち。この部屋へは、どうやって辿り着いた?」

( ^ω^)「……?」

( ・∀・)「どうやってって、そりゃあエレベーターに乗って……」

/ ,' 3「そう、それ。エレベーターだと思っただろう? だがあれは、エレベーターではないのだ」

(*゚ー゚)「……?」

( ^ω^)「……いや、普通のエレベーターでしたお?」

203名無しさん:2016/04/04(月) 00:43:09 ID:6uu3gP120

/ ,' 3「あれは業者に頼んで、内装だけをエレベーターに似せたものだ」

( ・∀・)「いやだから、現に僕たちはここに――」



( ・∀・)



(;・∀・)



(;・∀・)「ま、さか…………」



( ^ω^)「……?」

(*゚ー゚)「……?」

204名無しさん:2016/04/04(月) 00:44:01 ID:6uu3gP120





/ ,' 3「本当に察しがいいな、茂羅君。その通りだ」





/ ,' 3「あれはテレポート装置だ」




.

205名無しさん:2016/04/04(月) 00:46:41 ID:6uu3gP120



(;^ω^)「――――!?」


(;*゚ー゚)「――――っ!!?!?」


(;・∀・)「ちょっと待て!! いつからだ!!」


/ ,' 3「君たちが『初めてこの部屋に来た時』から、だ。あの時既にあれは、テレポート装置だった」


(;・∀・)「そんな、そんなことが――っ!!」


(;*゚ー゚)「ま、待ってよ!! それってつまり、私たちは、もう――!!?」


.

206名無しさん:2016/04/04(月) 00:48:56 ID:6uu3gP120


 ニヤリ。
 荒巻が笑う。
 クールは黙っている。

 内藤が驚く。
 茂羅が叫ぶ。
 猫田が狼狽える。





 地に堕ちた科学者は、告げる。





/ ,' 3「さぁ、『スワンプマン諸君』。今回は私の実験に付き合ってくれて、どうもありがとう」



/ ,' 3「これが今回、正真正銘、最後の実験、最後の質問だ」




.

207名無しさん:2016/04/04(月) 00:49:48 ID:6uu3gP120







/ ,' 3「もう一度問おう」







/ ,' 3「君たちは、ニセモノを許すことが出来るか?」






.

208名無しさん:2016/04/04(月) 00:50:59 ID:6uu3gP120







【最終実験 終了】






.

209名無しさん:2016/04/04(月) 00:51:50 ID:6uu3gP120










沼男はいないようです









おわり

210名無しさん:2016/04/04(月) 00:53:50 ID:EDHRp31c0
乙です!
最後はゾクッとした

211名無しさん:2016/04/04(月) 00:56:22 ID:6uu3gP120

以上です。

投票期間が終わった後、書ききれなかった話を短編にしてこのスレに投下させていただくつもりです。

管理人様、主催者様、そして読者の皆様
ほんとうにありがとうございました。

212名無しさん:2016/04/04(月) 00:58:41 ID:KHoUJcOM0


しぃは発狂確定だろうな
内藤は一回乗ってるしモララーはどうだろ

213名無しさん:2016/04/04(月) 01:00:05 ID:1gGoQkSA0
乙、面白かった
内藤は平気そうな気がするけど、しぃがやばそうだなぁ
モララーはどっちだろ

214名無しさん:2016/04/04(月) 01:00:41 ID:TPxW9V2Y0

スワンプマンについて考えてた次点で既にスワンプマンだったわけか

215名無しさん:2016/04/04(月) 01:02:12 ID:P2Qmai4Q0
>>211
作者もお疲れさん
本編面白かったし短編も楽しみにしてる

最後の感想だが
ああああトソンとモララー幸せなだなって、良い関係だなって余韻に浸っていたのに!
ラストが全部持っていったぞ!幸せな余韻を返せ!(惹きこまれるほど最後にゾクッときましためっちゃ良い締めでした)

216名無しさん:2016/04/04(月) 01:08:31 ID:ump49E220

しぃも一周回って元通りになる可能性

217名無しさん:2016/04/04(月) 01:15:16 ID:P2Qmai4Q0
内藤は今更だし
モララーは今まで悩みに悩んだ事が無駄だったって分かって怒るか呆れてそう。
しぃはもう吹っ切れた方が身のためだと思う。ギコとより戻すのだ。

218 ◆mQ0JrMCe2Y:2016/04/04(月) 01:38:12 ID:IbdAFKSs0
【連絡事項】
主催より業務連絡です。
只今をもって、こちらの作品の投下を締め切ります。

このレス以降に続きを書いた場合

◆投票開始前の場合:遅刻作品扱い(全票が半分)
◆投票期間中の場合:失格(全票が0点)

となるのでご注意ください。
(投票期間後に続きを投下するのは、問題ありません)

詳細は、こちら
http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/internet/21864/1456585367/404-405

短編楽しみにしてますね!

219名無しさん:2016/04/06(水) 22:28:44 ID:ggw9OPpQ0

なんかGantz思い出したな

220名無しさん:2016/04/06(水) 22:56:21 ID:ggw9OPpQ0
支援絵
http://boonpict.run.buttobi.net/up/log/boonpic2_2015.jpg

221 ◆qRAFc2g8TE:2016/04/07(木) 17:37:18 ID:/AJ47z4I0
>>220
素晴らしいイラスト、どうもありがとうございます。
このような拙作にイラストが貰えるとは思っていなかったので、とても嬉しいです。

222名無しさん:2016/04/08(金) 23:25:19 ID:DYANbS3E0
めっちゃおもろいやんけ

223名無しさん:2016/04/09(土) 11:56:08 ID:Rt4FzuvU0
こわいおもしろい

224名無しさん:2016/04/09(土) 13:59:45 ID:B.5SL43k0
面白すぎて死にましたんSF好きにはたまらない

225名無しさん:2016/04/13(水) 00:01:49 ID:aTTIMj8I0

だめだこの荒巻なんとかしないと…

226名無しさん:2016/04/13(水) 23:59:35 ID:07G8KNJw0
いやーもうこれすげえわ
しぃとかまじで自殺しかねんだろ

227名無しさん:2016/04/15(金) 13:19:09 ID:r7k9j/Wc0
面白かった

228 ◆qRAFc2g8TE:2016/04/17(日) 22:09:10 ID:AGeNm2EE0

こんばんは。作者です。
連絡とお礼をこの場でさせて頂きます。

短編について。
投票期間が終わったら出来るだけ早く投下したいと思っていたのですが、残念ながらまだ全く書けていません。
申し訳ありませんが、投下時期は未定ということでお願いします。逃亡はしないです。
もしかしたら結果発表よりも後になってしまうかもしれません。ご了承ください。

支援絵について。
絵師の方々、たくさんの支援絵本当にありがとうございます。
どれもこれも素晴らしい作品ばかりで、大変感激しております。全て大切に保存させて頂きました。
それぞれにお礼の言葉を述べたいのですが、それはまた次の機会にでもさせていただきます。
これらを励みに、残りの分も頑張らせていただきます。

どうか最後までお付き合い下さい。
本当にありがとうございました。

229名無しさん:2016/04/17(日) 22:12:06 ID:dJULyvPY0
待ってる

230名無しさん:2016/04/17(日) 23:37:48 ID:g6XSU5mA0
おん?まだ>>1投下するん?


やったぜ

231名無しさん:2016/04/18(月) 00:53:58 ID:sO7jiFp20
楽しみ!
無理せず書いてな

232名無しさん:2016/04/23(土) 19:06:27 ID:l36.BSjE0
あとがきは短編の投下が終わってから纏めてやります
お礼もそのときさせていただきます
もう少し待って、そろそろ本気出す

233名無しさん:2016/04/23(土) 19:41:16 ID:E6oZwKCI0
こういう思考実験的なもの大好きだわ
今更ながら乙っした

234名無しさん:2016/10/05(水) 11:22:26 ID:cxTtCLlU0
そろそろ本気でた?

235名無しさん:2016/10/08(土) 03:23:44 ID:pqOHgYIU0
人狼の方ひと段落ついたら本気出すからもう少し待って

236名無しさん:2016/10/08(土) 12:57:07 ID:WoOG0H/.0
了解

237名無しさん:2017/03/05(日) 08:20:09 ID:1B71qo0A0
も・・・もうそろそろ・・・

238名無しさん:2018/02/15(木) 07:46:00 ID:ssXEOP6.0
ほ…本気を…

239名無しさん:2020/05/24(日) 15:03:43 ID:ZZQdI1Io0
いつまでも待機してるから


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