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('A`)便利屋ドクオの野暮用です
159
:
◆PizzaMan.c
:2016/05/02(月) 16:01:38 ID:/bf6AHok0
暗い廊下を抜けて、自分の部屋へと到着する。
同時に、ある事を思い出した。
今日は、ギャング達に金を渡さなければならないのだった。
('A`)「……行かねーと殺されちまうな」
部屋へ入り、ベルトで挟んでおいた封筒が確かにある事を確認した。
そしてベッドの下に隠しておいたドラッグを取り出して、ショルダーバッグへ詰め込んだ。
部屋の窓をゆっくりと開けて、周囲を確認する。
外には誰もいない。俺はゆっくりと足を地面に下ろした。
('A`)「……行くか……」
枯れ葉を踏み越えながら、ゆっくりと庭を抜け出した。
.
160
:
◆PizzaMan.c
:2016/05/02(月) 16:02:24 ID:/bf6AHok0
しばらく歩くと、人通りの多い場所へ出た。
時計を確認すると、時刻はまだ22時を10分過ぎたばかりだ。この時間帯なら、バーやパブへ出入りする人達が多い。
俺はその人混みに紛れるようにして、決して走らず、ゆっくりと歩みを進めた。
客寄せの声。クラブから漏れ出す音楽。酔っぱらいの叫び声。道端の吸い殻。割れたビール瓶。
全てがこの街を小汚く彩っていた。
シュボッ /ィヘ/
,' / .)/
. _______ (:' /イ)/
./∨========.∧ ', )) ィヾヽ/
マ:::::∨.\/\/\∧ } /( 弋,イ
.マ:::::∨/\/\/ ∧ ,' ノし': :ヽ
..マ::::::∨__/\/\ ∧ ((,イ: : :: :V) /¨⌒`ヽ
マ::::::∨ \/\/\∧ 、ゝ: : : :(ノ} Y′ |
. マ:::::::∨/\/\/ ∧ ヽ: :: : : :: :/ / /
. マ:::::::∨__/.\/\ .∧ ゝ;:; :;从;ノ ./ /
. マ:::::::∨ .\/\/ヽ∧ ┌───────i/ヽ_ ./
.マ:::::::∨./\/====∧.二二ニニニニニニニニニニニ| ー-─ /
. マ:::::::∨==ヽ:::::::::::| |\/\/\/\/|三| /
` ̄ ̄ )::::::::::| |/\/\/\/\|三|. /
ソ´⌒ ̄ ̄ ̄へ──'ニt‐‐ ./\/\/|三| .|
/ 〃 l ̄ヽ ヽ/\/\ ̄リ .|
| ゝ .| | ) /\/\| |
バッグから取り出したタバコに火をつけ、煙を一気に吸い込む。
肺に溜まった酸素とともに吐き出した煙は、まるで俺の気持ちのようにゆらゆらと揺れながら、やがてネオンの光の中に薄く溶けていった。
161
:
◆PizzaMan.c
:2016/05/02(月) 16:03:38 ID:/bf6AHok0
明るい看板が並ぶ通りを逸れて、月明かりのみが照らす薄暗い路地へと入る。
ゴミ袋や空き瓶を避けながら歩みを進めると、やがてポカンと小さく開けた空き地へと出た。
そこに佇む、5人の男たち。
彼らが、この辺りでドラッグを捌くギャングたちだ。
('A`)「……どうも」
軽く頭を下げて、そう挨拶する。
すると一人の男が手に持っていたタバコの火を消して、こちらへゆっくりと歩み寄ってきた。
(,,゚Д゚)「時間通りだな」
('A`)「…………」
このギャングのリーダであるギコという名の男は、左手にした時計を見てそう言った。
確認せずとも、恐らく22時半頃だろう。
俺はいつもこの位の時間に、この場所にやってきていた。
162
:
◆PizzaMan.c
:2016/05/02(月) 16:04:43 ID:/bf6AHok0
(,,゚Д゚)「飯は食ったか?」
('A`)「……ああ、はい。食べました」
(,,゚Д゚)「そうか。そりゃいいな。飯を食うことは大切だ。俺たちはまだ何も食ってないんだ」
('A`)「……なにか買ってきましょうか?」
(,,゚Д゚)「いや、その必要はない。お前は施設で出された飯を食っただけのこと。俺たちは自分で飯を食うための金を稼がなきゃなんねぇ。それだけの違いだ」
('A`)「…………」
嫌味な言い方だ。
ただ別に、それで腹を立てるようなことは無い。この言い方は、彼の性格によるものなのだ。
いちいち彼の発言に腹を立ててストレスを貯めるような事をしても、無意味だとわかっていた。
(,,゚Д゚)「お前から金を受け取らないと、俺たちは今日の晩飯にありつけないんだ」
彼はそう言うが、決してそんなはずはない。あくまでそういう言い回しをしているだけだ。
俺はバッグの中から残りのドラッグと封筒を取り出して、彼に渡した。
(,,゚Д゚)「どれ……」
っロ゛
163
:
◆PizzaMan.c
:2016/05/02(月) 16:05:32 ID:/bf6AHok0
ギコはドラッグの数を数え、次に封筒の中の金を取り出して、舐めるようにその枚数を数えた。
(,,゚Д゚)「……29万しかないぞ」
('A`)「――あっ……」
ミセリがいなくなった事ばかり考えていたせいで、忘れていた。
彼女へのプレゼントを買ったために、1万レス少ないのだ。
('A`)「……すいません、どうしても使わなくてはならなくて……1万だけ借りました」
(,,゚Д゚)「……ほぉ」
('A`)「その分は……俺の分の2割から引いてもらえればいいので……」
(,,゚Д゚)「……あのな」
ギコは一歩踏み出して、俺の肩に手を置いた。
(,,゚Д゚)「お前は、俺たちが貸したドラッグの売上から金を使った。つまり、俺たちの金に手を付けたってことだ。わかるか?」
('A`)「……はい」
(,,゚Д゚)「人の金を盗むのは良くないよな」
('A`)「…………はい」
164
:
◆PizzaMan.c
:2016/05/02(月) 16:06:38 ID:/bf6AHok0
わかっていた。
してはいけない事だと。
ただ、俺の取り分から引けばいいものだと勝手に考えていた。
(,,゚Д゚)「……わかっているならいいんだ。今回は許してやろう」
('A`)「……えっ」
ギコはそう言って、まだ金を数え始めた。
(,,゚Д゚)「……これがお前の取り分だ」
っロ スッ
('A`)「…………」
っロ
ギコから受け取った金をじっと見つめる。
俺の取り分は6万。そこから1万だけ引いた5万が渡されるのだと思っていた。
――だが俺の手元にあるのは、たったの2枚きりだった。
165
:
◆PizzaMan.c
:2016/05/02(月) 16:07:16 ID:/bf6AHok0
(;'A`)「…………」
(,,゚Д゚)「罰として、今回の取り分は1割だ」
彼はそう言った。
俺は、何も言うことができない。
彼の言う事はもっともだ。罰を与えられて当然で、2万くれるだけでもありがたい事なのだ。
ただ、俺は気になった。
ギコを取り囲む周りの4人が、ニヤけた顔で俺を見つめているのが。
(;'A`)「…………」
もともと彼らは、1割しか渡さないつもりだったのではないか。
(,,゚Д゚)「まあ来月からは2割にしてやる。……さて、続けるか? 売上次第では3割にしてやってもいい」
('A`)「…………」
166
:
◆PizzaMan.c
:2016/05/02(月) 16:08:16 ID:/bf6AHok0
冗談じゃない。
どう頑張ったって、30万レス程度しか売ることができないんだ。
もしそのうちの1割しか貰えなかったら、俺はあと何ヶ月こんな事を続けたらいいのだ。
いつまで経っても、あの施設を出ることができない。
金をためて逃げ出す前に、法的に働ける年齢になってしまう。
俺は一刻も早く、あそこから逃げ出したいのだ。
('A`)「…………」
ギコの持つ、27万。
それがあれば、一ヶ月は一人でもやっていける。
('A`)「続けます」
俺がそう言うと、ギコは喜んでバッグの中を漁り始めた。
周りの男たちもそう聞いて安心したのか、俺から興味をなくしたように下がっていって、タバコを吸い始めた。
167
:
◆PizzaMan.c
:2016/05/02(月) 16:08:54 ID:/bf6AHok0
俺はその隙を見逃さなかった。
(;'A) バシッ
/":-っ゛
j_-/
,し^、ゞ
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
すかさずギコの上着のポケットから封筒を掴み取り、そのまま全力で逃げ出したのだ。
(;,゚Д゚)「あっ、おいテメェ!!」
後ろを振り返る暇はない。
ただ、複数の男たちが俺を追いかけて来ていることは、大きな足音と叫び声でわかった。
(;'A`)「ハァッ……ハァッ……!」ダダッ
人混みの中を縫うようにして、走り続ける。
時折ぶつかった人が驚いて声を上げる。
それでも構わず走り続ける。
168
:
◆PizzaMan.c
:2016/05/02(月) 16:09:39 ID:/bf6AHok0
「ハァ……ハァ……ッ!!」
(;'A)
ノ/-/o
j._/| ダッダッ
;.、ノイ、)
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
俺はなんて、馬鹿なことを。
「ハァ…………うぐ……ッ!!」
、 ,
;.、vr⌒ち(;'A)っ ドサッ
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
.
169
:
◆PizzaMan.c
:2016/05/02(月) 16:10:18 ID:/bf6AHok0
でもまだ、死ぬわけにはいかないんだ。
『待てやクソガキィ!!』
「……クソッ!!」
(;'A)
/,-|、 スクッ
j._/U
.,」^、〉 .,
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
.
170
:
◆PizzaMan.c
:2016/05/02(月) 16:11:01 ID:/bf6AHok0
男たちの叫び声が聞こえなくなるまで俺は走り続けた。
もう何十分走っただろうか。
脚は棒のようになり、走る速度も先程よりも随分と遅くなってしまった。
それでも、ふらふらとよろけながら走り続けた。
そして暗い路地の角を曲がったその時。
ドンッ
(;'A`)「うわっ!」ドサッ
不意に何かにぶつかって、地面に転んでしまった。
「おっと…………」
.
171
:
◆PizzaMan.c
:2016/05/02(月) 16:11:52 ID:/bf6AHok0
そんな声が聞こえてはじめて、ぶつかったのが人だと理解した。
見上げるとそこにいたのは。
「……大丈夫か坊主」
_
( ゚∀゚)
ri:::|_|::|
/ロ/n|j:| (A`;)
し/^J 、, ∧イ-.人
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
黒いロングコートに見を包み、右手をポケットに突っ込んで佇んでいた、一人の男だった。
太くしっかりとした眉毛が特徴的なその男は、地面に尻をついて倒れ込んだ俺に手を差し伸べていた。
「……手を貸せよ」
_
( ゚∀゚)
ri:::|_|::|っ
/ロ/n|j:| (A`;)
し/^J 、, ∧イ-.人
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
.
172
:
◆PizzaMan.c
:2016/05/02(月) 16:12:38 ID:/bf6AHok0
(;'A`)「…………」
ぶつかってしまったのは俺の方だ。
急いでいるとはいえ彼の好意を邪険にする必要もなく、俺はその手を掴んだ。
\
\
\, -. . ,_ ガシッ
\ ノ ';,
'ヽ, . し^ ' .ヾヽ、
'-:'_'、 .'ヽ、) ヽ、
'-ヽ、 ',._',-' \
^' \
'ヽ
_
( ゚∀゚)「よっと」
グイッ、と強い力で引っ張られ、俺の身体は簡単に持ち上がる。
_
( ゚∀゚)「……ガキか?」
俺の顔や背丈、体重からそう思ったのか、彼はそう言った。
俺はまだ、子供に見えてしまうのか。
173
:
◆PizzaMan.c
:2016/05/02(月) 16:13:17 ID:/bf6AHok0
('A`)「…………」
_
( ゚∀゚)「前見て歩けよ。……いや、走ってたか」
('A`)「…………」
_
( ゚∀゚)「……ひょっとして、逃げてんのか?」
(;'A`)「ッ…………」
_
( ゚∀゚)「やっぱりか」
なんだ、この男は。
俺が子供だと見抜いたり、逃げていると見抜いたり。
まさか――。
_
( ゚∀゚)「警察じゃねぇよ、安心しろ」
(;'A`)「ッ…………」
俺が思った事すら、見抜かれる。
_
( ゚∀゚)「……警察だと都合が悪そうだな。ってことは……何かやらかしたな?」
(;'A`)「…………」
_
( ゚∀゚)「だんまりかよ」
174
:
◆PizzaMan.c
:2016/05/02(月) 16:13:50 ID:/bf6AHok0
怯えているのでも、不審に思っているのでもない。
驚いているのだ。
驚いて、何も言えない。
_
( ゚∀゚)「安心しろよ、追手は来てねぇみたいだからよ」
(;'A`)「……それならよかった……」
_
( ゚∀゚)「んで、その封筒は?」
(;'A`)そ「ッ!」
そう言われて気がつく。
大事に抱えていたはずの封筒が、手元にない。
男が指差す方向を見ると、封筒は俺が先ほど転んだ辺りに転がっていた。
(;'A`)ササッ
っロ゛
_
( ゚∀゚)「……金か。盗んだな?」
(;'A`)「…………」
_
( ゚∀゚)「誰から盗んだ」
(;'A`)「…………ギャング……」
_
( ゚∀゚)「ギャング? ってーと……ギコあたりか?」
(;'A`)「……そう……」
_
( ゚∀゚)「…………プッ……」
_
(*゚∀゚)「……ハハハハハッ!!」
_
( ゚∀゚)「おいおい、マジかよ。やるじゃん」
175
:
◆PizzaMan.c
:2016/05/02(月) 16:14:41 ID:/bf6AHok0
男は、笑った。
_
( ゚∀゚)「で、その追手から逃げてるってわけ?」
((;'A`)コクコク
_
( ゚∀゚)「……いやー、面白い奴もいるもんだな。笑えるぜ」
男はそう言いながら、ロングコートを捲くって腰のあたりから何かを取り出した。
_
( ゚∀゚)「こいつをやるよ」
っ=y
男が俺に差し出したのは、拳銃。
黒いスライドから剥き出しになった銀色のバレルが、月明かりを反射させていた。
(;'A`)「えっ?」
_
( ゚∀゚)「銃は持っておくと便利だ。見せびらかすだけでお前の身を守る盾になり……」
「……相手を殺す武器になる」
.
176
:
◆PizzaMan.c
:2016/05/02(月) 16:15:24 ID:/bf6AHok0
(;'A`)「…………」
_
( ゚∀゚)「構うことはねぇよ。俺はもう一丁持ってるからな」
(;'A`)「…………なんで……」
_
( ゚∀゚)「?」
(;'A`)「なんで俺みたいな知らない奴に、こんなものを渡すんだ……?」
_
( ゚∀゚)「……ハッ。何を言い出すかと思ったら、そんなことか」
彼は笑って、空を見上げながら言った。
_
( ゚∀゚)「昔の俺に、よく似てるからだよ」
('A`)「…………」
_
( ゚∀゚)「いいから受け取っとけ」
っ=y
('A`)「……じゃあ……」ガシッ
っy=゛
177
:
◆PizzaMan.c
:2016/05/02(月) 16:15:57 ID:/bf6AHok0
彼から拳銃を受け取る。
拳銃を手に持つのは、初めての事だ。
('A`)「ッ……」
っy=
想像していたよりも、重い。
グリップは大きく、自分の手には少し余る。
だが、トリガーやマガジンリリースボタンに届かないほどではない。
_
( ゚∀゚)「使い方はわかるか?」
('A`)「……まあ、本とかで……」
_
( ゚∀゚)「ならいいな。とりあえず撃てればいいんだ。メンテナンスなんかはまた覚えればいい」
セーフティの位置も、見ればわかる。
弾も既に入っているようだ。
('A`)「……こんなもの、本当にもらっていいのか? 高いんじゃ……」
_
( ゚∀゚)「気にすんなよ。俺は結構稼いでるし、仕事柄いくつも持ってるからな」
('A`)「仕事柄……?」
_
( ゚∀゚)「ここらじゃ結構名の知れてる殺し屋さ。もっとも、お前みたいなガキが知ってるわけもねーが」
('A`)「殺し屋……か……」
178
:
◆PizzaMan.c
:2016/05/02(月) 16:17:09 ID:/bf6AHok0
殺し屋がどういったものなのか、想像はできる。
ただ実際に、俺の目の前にいるこの親切な男が殺し屋だなんて――、正直なところ合点がいかない。
こんなものだろうか。
檻に閉じ込められた子犬を解き放つような、そんな優しさが。
殺し屋の心にはあるのだろうか。
――いや、これは優しさと似ているようで、きっとまるで別ものなのだ。
そうでないと、子犬に牙を与える理由にならない。
('A`)「……ひとつ聞いていいか」
_
( ゚∀゚)「……なんだ?」
('A`)「そういう生き方って……大変じゃないのか」
_
( ゚∀゚)「……ハッ。そりゃ大変さ。人を殺し回ってりゃ、警察や法律と戦わなきゃなんねー時もある」
_
( ゚∀゚)「ただよ……」
_
( ゚∀゚)「俺たちみてーな人間が手っ取り早く“自由”を手に入れるためには、“銃”を手にするしかないんだよ」
179
:
◆PizzaMan.c
:2016/05/02(月) 16:17:46 ID:/bf6AHok0
('A`)「…………」
_
( ゚∀゚)「とても人にオススメできるようなもんじゃねぇ。けど…………、お前は望んでるんだろ?」
('A`)「…………ああ」
:.| ∨: : :|ハ:! //‐ ´ i: : : : : : : : /::::::::/
:.ゝ-V: :.| ヘ、 |: : : . . : : : : :厶イ/ _
: : :.|..∨ム |: : : : . : : : : : : : /:/ > .
ハ: :.! iヾ:.i {: : : : : : : : : : : イ:/ \ > .
.∧..i.....i \ __ j: : : : : : : : : , i:::/ \ `
.... Ⅵ.....i \ ` 〃: : : : : : : , '....|::′、 \
........ヘ.....i \ ___,........__: : : : : :., '........j/......∧ \
.................i \ ` ー─一 ´: : : /∨...................∧ \
..................i \  ̄:::::: : : :./ i..................... ∧ \
「……こいつがあれば、俺は自由だ」
.
180
:
◆PizzaMan.c
:2016/05/02(月) 16:18:39 ID:/bf6AHok0
_
( ゚∀゚)「……ハッ。そいつはよかったな――――」
『この辺にいるはずだ!!』
(;'A`)「ッ……!」
不意に、後方から声がする。
大勢の足音とともに、その声は段々と近づいてくる。
_
( ゚∀゚)「…………さて、俺はこの辺りでお暇するか」
('A`)「…………」
_
( ゚∀゚)「ビビってるのか?」
('A`)「……いや……」
('A`)「…………ウズウズしてるだけさ」
181
:
◆PizzaMan.c
:2016/05/02(月) 16:19:29 ID:/bf6AHok0
「……ハッ。……それじゃあな」
_
. (A` ) n( ゚∀゚)
|-h.| . 'ヽ|:::|_|::|
i_U_j /ロ/n|j:|
し^J ; .、し/^J ザッ
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
やがて彼は、この路地裏から姿を消した。
まるで初めからいなかったかのように。
夢でも見ていたのではないかと思わせる。
しかし俺の右手には、確かに銃が握られている。
Ω「いたぞ!!」ダッ
やがて路地の影から姿を表した3人の男たち。
ギコはいない。そもそも追いかけて来なかったのだろう。
182
:
◆PizzaMan.c
:2016/05/02(月) 16:20:09 ID:/bf6AHok0
('A`)「…………」
| |
| |
| | グッ
-' '- ノ;_
| | . , | | 7
t.'-'-'-'t;_;| J| |
. '==| ,:| _|
. | | |'|
| | |.|
. | |.|_|
| | |,
. '-'-┘
スチャッ
____
_ . -r--'-┴-��
,.-,__.- =≦三三| γ⌒ヽ|
|三三二二三三| |:::::::: | |
|三三三三三三|人 ___ ノ |
_〈≧て⊇____人t .○ yノ
= ≦__/ ̄  ̄, ̄ ヽ | |__又_彡'
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:::::: 〈 : ̄  ̄'. '.' ','
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ヽ '. .' '.
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ノ,
'
.
183
:
訂正
◆PizzaMan.c
:2016/05/02(月) 16:21:25 ID:/bf6AHok0
('A`)「…………」
| |
| |
| | グッ
-' '- ノ;_
| | . , | | 7
t.'-'-'-'t;_;| J| |
. '==| ,:| _|
. | | |'|
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'
ノ,
'
.
184
:
訂正
◆PizzaMan.c
:2016/05/02(月) 16:21:59 ID:/bf6AHok0
セーフティを外して、銃口を男たちに向ける。
('A`)「…………」
っy=
Ω「――ッ!!」
それを見て男たちは、眉をひそめてたじろいでいた。
Ω「てめぇ……銃なんてどこで手に入れた……」
('A`)「…………さあな」
Ω「……俺たちに銃を向けたら、取り返しがつかねぇぞ」
('A`)「……取り返したいものなんて、ありゃしねぇんだ」
Ω「…………そうかよ」
Ω「だったらここで死にな!!」スッ
一人の男が、懐から拳銃を取り出した。
今更出したって遅い。俺は引き金を引くだけでこいつの命を取ることができるんだ。
185
:
◆PizzaMan.c
:2016/05/02(月) 16:22:41 ID:/bf6AHok0
('A`)「ッ……」
一瞬だけ、身震いする。
ここで引き金を引いたら、俺は一線を越えることになる。
なんて、簡単なのだろうか。
なんて、か弱いものなのだろうか。
命というものは、こんなにも軽い。
バァン
拳銃は、耳を劈くような大きな音を鳴らして、その銃口から火を吹く。
放たれた銃弾は一人の男の額を貫き、やがて男は地面に崩れ落ちた。
こんなにもあっさりと、人は命を落とすのだ。
.
186
:
◆PizzaMan.c
:2016/05/02(月) 16:23:32 ID:/bf6AHok0
Ω
Ω「ッ……て……てめぇ!!!」スッ
('A`)「おせぇよ」
っy=
バァン
一つ、二つ、三つ。
Ω「――ひッ……ヒィッ……!」ドサッ
次々と、地面に屍が転がる。
('A`)「…………」
Ω「ッ……やっ……やめろ俺は撃つな……!!」
最後に残った男が言う。
殺さないでくれ、殺さないでくれ。
か細い声で、彼は言う。
187
:
◆PizzaMan.c
:2016/05/02(月) 16:24:23 ID:/bf6AHok0
('A`)「…………終わりなんだよ」
っy=
Ω「ッ…………」
('A`)「……いや。もう、終わってたのかもしれねぇな」
Ω「…………?」
('A`)「バーン」
Ωそ「ひッ……!!」
('∀`)「……ハハハハッ!!」
バァン
地面に転がった四つの死体を踏み越えて、俺は路地を抜け出した。
銃声を聞いて誰かが通報したのか、ネオンの街にはサイレンが鳴り響いていた。
俺はまた、人混みに紛れるように、闇に溶けるように、ゆっくりと歩みを進めた。
.
188
:
◆PizzaMan.c
:2016/05/02(月) 16:25:01 ID:/bf6AHok0
しばらく歩いて、俺は施設の前まで来ていた。
庭を抜け、開けっ放しにしておいた自分の部屋の窓から中へと入る。
施設内は、静かだ。部屋の様子も変わりない。
どうやら外出したことに気づかれてはいないようだ。
必要なものは、何もない。
この部屋に――、この俺に大事な持ち物なんて、大してありはしなかった。
ふと、ベッド脇の机に目を移す。
そこには、ミセリに渡すつもりだったペンダントの入った箱が置いてあった。
('A`)「…………持ってくか……」
ドラッグが無くなったことで再び軽くなっていたショルダーバッグに、ペンダントの箱を入れる。
もっと早く、渡しておけば。
後悔の念に苛まれ、しばらくの間俺はベッドに座り込んでいた。
189
:
◆PizzaMan.c
:2016/05/02(月) 16:25:38 ID:/bf6AHok0
('A`)「……行くか」
冷蔵庫に入れ忘れたままぬるくなった安物銘柄の缶コーラの栓を開けて、その中身を一気に飲み干す。
しばらくして落ち着きを取り戻し、俺はタバコに火をつけた。
('A`)y‐~~「……ふぅ」
この部屋でタバコを吸うのは初めてだ。
もしも先生にバレてしまったら、面倒な事になるからだ。
しかし、そんな生活ももう終わりだ。
ベッドから立ち上がって、部屋の扉を開ける。
軋む廊下を歩いて、ホールの近くの扉の前に立つ。
その扉をゆっくりと開け、足音を立てぬように少しずつ部屋の中へと入り、扉の鍵をかけた。
やがて見えてくる、大きなベッド。
そこに横になる、一人の女。
豪快にいびきを立てている。
.
190
:
◆PizzaMan.c
:2016/05/02(月) 16:26:14 ID:/bf6AHok0
('A`)「起きろよ」
声をかける。
だが、いびきは収まらない。
('A`)「おい、クソババァ」
再び声をかける。
いびきが止まり、寝息が微かに聞こえてくる。
.
191
:
◆PizzaMan.c
:2016/05/02(月) 16:26:56 ID:/bf6AHok0
「目を覚ませよクソババァ!!」
,.ィ´::::::::::
,...,..ィ´:::::::::::::::::::::::
, イ´:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
, イ´:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
_/:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
/:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::;:. .'''"´
/:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::_:_;: '''"´
_,ィ、'´::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::,ィ´
,イ'´:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::;: '´
、|,' ,r'´ニ`:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::,:ィ''´
人、/ ,r'´ ̄ヽヽ, :::::::::::::::::':::::::::::::,:ィ''´
人," /´ ̄`ヽ、ヽ\ :::::::::::::,ゝ__‐'´
,/, / : : : : : :::::ヽ \ ヽイ::::::::/
v/ / ,...___ : : : : : :::::ハ ヽ/
,v ,イ,ィ:: : : : :`:‐-::、:_:,r‐l/ 三 ニ 一 -
. /:::::: : : : : : : : ::::::::::/
/::::_: : : : : : : : : : : :/
{::::::::::`ヽ:、: : : : : :./ 三 ニ 一 -
ヽ::::::::::::::::::::::::. : /
` 、:::::::::::::::::/ 三 ニ 一 -
` 、::/
ドンッ
.
192
:
◆PizzaMan.c
:2016/05/02(月) 16:27:40 ID:/bf6AHok0
「きゃあ!!」
靴底で、女の腰に蹴りをいれる。
流石にまだ寝ているということはない。
彼女は張り付いた瞼をむりやりこじ開けるようにして、事態を理解しようとしていた。
やがて、目が合う。
J(;'ー`)し「……えっ……?」
起き上がって再び俺を見つめるが、どうやら彼女はまだ、現状を理解できていないみたいだ。
蹴り飛ばしたのが俺であることすら――――いや、蹴り飛ばされた事すら、わかっていないようだ。
J(;'ー`)し「……何……なんなの……?」
('A`)「なぁ、先生」
J(;'ー`)し「…………」
('A`)「ミセリはどこに連れてかれたんだ」
J(;'ー`)し「……は? 言えるわけないじゃない……あんたみたいな金食い虫に……」
('A`)「…………」
193
:
◆PizzaMan.c
:2016/05/02(月) 16:28:13 ID:/bf6AHok0
「きゃあ!!」
靴底で、女の腰に蹴りをいれる。
流石にまだ寝ているということはない。
彼女は張り付いた瞼をむりやりこじ開けるようにして、事態を理解しようとしていた。
やがて、目が合う。
J(;'ー`)し「……えっ……?」
起き上がって再び俺を見つめるが、どうやら彼女はまだ、現状を理解できていないみたいだ。
蹴り飛ばしたのが俺であることすら――――いや、蹴り飛ばされた事すら、わかっていないようだ。
J(;'ー`)し「……何……なんなの……?」
('A`)「なぁ、先生」
J(;'ー`)し「…………」
('A`)「ミセリはどこに連れてかれたんだ」
J(;'ー`)し「……は? 言えるわけないじゃない……あんたみたいな金食い虫に……」
('A`)「…………」
194
:
これは失敬
◆PizzaMan.c
:2016/05/02(月) 16:28:58 ID:/bf6AHok0
('A`)「言えよ」チャッ
っy=
J(;'ー`)し「――ッ!?」
拳銃を向けると、彼女は竦み上がってその皺だらけの頬に汗を流した。
('A`)「……言わねーなら、殺して書類を漁るだけだ」
J(;'ー`)し「……なっ……まさか殺せるわけ……」
('A`) カチャッ
っy=゛
撃鉄を起こす。
その動作だけで、俺の言葉が嘘ではないと理解するのには十分だったようだ。
J(;'ー`)し「――ッ……わかった……わかったから……」ゴソゴソッ
彼女は恐る恐るその身を起こして、机の引き出しから一枚の紙を取り出した。
J(;'ー`)し「……ここよ……」ペラッ
っロ゛
('A`) パシッ
っロ゛
J(;'ー`)し「…………」
195
:
◆PizzaMan.c
:2016/05/02(月) 16:30:09 ID:/bf6AHok0
彼女から奪い取った紙は、養子縁組の手続きに使われたと思われる書類の控えだった。
大きな枠に囲われた部分に、ミセリを引き取った男の名前と、住所が書いてある。
その下には、ミセリの名前もあった。
どうやら、これで間違いはないようだ。
J(;'ー`)し「……あんた……」
紙を畳んでポケットに入れていると、彼女が俺の顔色を伺いながら口を開いた。
J(;'ー`)し「あんた……なんであの子のためにこんな事を……」
('A`)「…………」
これは決して、ミセリのためではない。
自分ではそう、理解していた。
あくまでこれは、自分のためなのだ。
自分を満足させるために、やっているだけの事なのだ。
196
:
◆PizzaMan.c
:2016/05/02(月) 16:30:43 ID:/bf6AHok0
そしてもう一つ、わかりやすい理由がある。
この女には、それすらもわからないのだろう。
J(;'ー`)し「……こんなことして……どうなるかわかってるの……?」
('A`)「……さあな」
J(;'ー`)し「…………」
('A`)「一つ、ためになる耳寄りな情報を教えてやるよ」
J(;'ー`)し「……何……?」
('A`)「これから俺がやる事は――――」
――――単なる憂さ晴らしに過ぎない。
.
197
:
◆PizzaMan.c
:2016/05/02(月) 16:31:47 ID:/bf6AHok0
そう言って、俺は彼女に向けた拳銃の引き金を引いた。
白いシーツが赤く染まり、その中央に倒れ込んだ死体。
俺はそれにタバコの吸い殻を押し付けて、この部屋を漁り始めた。
('A`)「……金庫の鍵はどれだ……」
机の引き出しや、バッグの中。
様々な場所を探し、最終的にたどり着いたのが、ベッドの下だった。
奥の方にある小さな木箱を引きずり出す。
その中に、金庫のものと思われる鍵と、ダイヤルのメモが入っていた。
全く、不用心な女だ。
そんな事を思いながら、部屋の隅にぽつんと置かれた大きな金庫にその鍵を差し込んだ。
その頃、廊下を走り回るような音がどこかから聞こえてくる。
銃声を聞きつけた子供たちが、何があったのかと不安な気持ちでこの先生の部屋へと向かってきているのだろう。
俺はそんな事は大して気にも止めず、メモの通りにダイヤルを数回だけ回した。
そして、金庫が開かれる。
198
:
◆PizzaMan.c
:2016/05/02(月) 16:32:28 ID:/bf6AHok0
(;'A`)「ッ…………」
想像以上だった。
金庫の中に入っていたものは、ぱっと見ただけでも数千万レスは越える大金だった。
一体どれだけの人が、どれだけの大金で、この施設の子供たちを買っていったのか。
吐き気にも近い怒りを、ぐっと胸の奥に押さえつけて、俺はその大金を手に取った。
これだけあれば、やり直せる。
新しい人生を、手に入れる事ができる。
('A`)「…………」
彼らに、選ばせよう。
.
199
:
◆PizzaMan.c
:2016/05/02(月) 16:33:02 ID:/bf6AHok0
気づけば、鍵のかかったこの部屋の扉を強くノックする音が響いていた。
扉の向こうからは、不安そうな声で先生を呼ぶ声がいくつも聞こえる。
俺は大金を机の上に置き、ポケットから取り出したタバコに火をつけながら扉へ近づいた。
そしてゆっくり、その鍵を開けた。
(;’e’)そ「うわ〜!! ドクオ兄ちゃん!?」
鍵を開けたと同時に、扉は勢い良く開かれた。
この施設の子供たちの中で、俺を除いて最年長であるセントジョーンズが、その扉のノブをしっかりと握っていた。
(;’e’)「……兄ちゃん…………その……血は……」
('A`)「……ああ……。気にすんなよ」
200
:
◆PizzaMan.c
:2016/05/02(月) 16:34:27 ID:/bf6AHok0
(;’e’)「怪我してるの?」
('A`)「俺は平気さ」
(’e’)「ッ……じゃあ……先生……?」
('A`)「……そうだな……」
子供たちからは、俺の身体が影になって中の様子を見ることができないだろう。
俺は身体を退かすこともせず、言葉を続けた。
('A`)「お前らには、まだわかんねーかもしれねぇけど……。先生はな、ミセリを……ミセリ姉ちゃんを、悪い人にお金で売ったんだ」
(’e’)「…………」
セントジョーンズだけではない。
10歳かそこらの子供たちが、真剣な眼差しで俺の言葉に耳を傾けていた。
他の年端もいかない子供たちは、いまいちよくわかっていない様子であった。
201
:
◆PizzaMan.c
:2016/05/02(月) 16:35:21 ID:/bf6AHok0
('A`)「そこに、その金がある。それを分け合って自分たちで生きるか……、警察に任せて新しい施設へ移るか。お前ら次第だ」
('A`)「好きに選べ。自由に生きてくれ」
セントジョーンズの肩をぽんと叩き、呼び止める子供たちの声を無視して俺は施設の玄関を抜けた。
この施設とは、もうこれでおさらばだ。
:'.;′
:.
: '
. '
,: .'
,. '.:´ ´
.' ´
,. '.゙ ポトッ
' :
;. ; />
゙、( _,..、 //
`~⌒ヽ;...;;.. _/>'
ヽ:,;;:゙ー`'
フィルターのぎりぎりまで吸い尽くしたタバコを地面に放り投げて、薄暗い道をただひたすら歩き続けた。
.
202
:
◆PizzaMan.c
:2016/05/02(月) 16:36:28 ID:/bf6AHok0
疲れたので、続きは近いうちに……
よろしくお願いします。
203
:
名無しさん
:2016/05/02(月) 17:34:38 ID:tXFgH4KE0
おっ!乙!!
続編待ってたぜ〜
今から読む!
204
:
名無しさん
:2016/05/02(月) 17:42:57 ID:dGqu3YG60
その酉いっつもピザマンコって読んでます
冗談はさておきかっけえ乙
205
:
名無しさん
:2016/05/03(火) 19:51:39 ID:bvac.9YM0
乙!ハードな感じだな……
( ^ω^)との出会いとかも書くの?
206
:
◆PizzaMan.c
:2016/05/04(水) 03:24:02 ID:GCRBwiXg0
>>205
少年編終わらせてもないのに言うのもなんですが、ブーンとの出会いの話と、無印の続きの話の構想はあるんです
ただそれを実際に書けるかどうかは…モチベーション次第に…
207
:
◆PizzaMan.c
:2016/05/04(水) 03:39:26 ID:GCRBwiXg0
間違えてあげちゃったので、このまま残りを投下します。
208
:
◆PizzaMan.c
:2016/05/04(水) 03:40:12 ID:GCRBwiXg0
2kmほど歩いただろうか。
気づけば俺は見慣れない街にやってきていた。
それもそのはず。施設から近くの繁華街までの道しか行き来しなかった俺にとっては、この国はあまりに広すぎる。
ポケットから取り出した紙に載っている住所を頼りに、俺は歩き続けた。
辺りを歩いている人――この時間になると酔っ払いしかいなかったのだが――に聞いてみると、どうやらここから見える豪邸がその場所で間違いないらしい。
近くで見てみるとすでに、部屋の電気は消されている。
ただ唯一、小さな小窓から、薄らぼんやりと明かりが漏れていた。
塀を登り、あたりを見回す。
流石にこの時間になると、使用人らしき人影もない。
いくらこれほどだだっ広い豪邸を持つ金持ちとはいえ、そんな警備に金を回すのは無駄だと思える。
('A`)「……よっと」
209
:
◆PizzaMan.c
:2016/05/04(水) 03:40:51 ID:GCRBwiXg0
|::::::::::::::::::::::::::::::::::::| |::::::::::::::::::::::::::::::::::::::|
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|::::::::::::::::::::::::::::::::::::::i i::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::i
|:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::| |::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::i ( ⌒ヽ
ゝ:::::::::::::::::::::::::::::::::::シ 匕::::::::::::::::::::::::::::::::::::シ ( )
丿`  ̄ ゙ ~  ̄ ` ̄ ´i i ` ̄ ゙ ~  ̄ ` ̄ ´\ ) )
r´ } { `ヽ ノ ノノ
ト-‐ '´ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄7 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄`' ‐イ ∠ノ ゞ゙´、
`────────';.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.'────────´ ザッ
:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;::;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;::;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:
.
210
:
◆PizzaMan.c
:2016/05/04(水) 03:41:32 ID:GCRBwiXg0
手入れだけでも金がかかるであろう立派な芝を踏みしめて、例の小窓へゆっくりと歩き出す。
やはり近くで見ても、人が通れるほどの窓ではない。
高い位置にあるため、中を確認することも難しそうだった。
仕方ない。
明かりの漏れる小窓から侵入する事を諦め、その隣の大きな窓を覗く。
カーテンのおかげか、はっきりと中は見えない。たが恐らく、目的の部屋とは繋がっていないのだろう。
__r 、
///`Yヽ
/// :/ 〉
/// :/ /'. '、
///_,/ ./ . .
/ーr' / / ' 、
_,/ / / /
//=彳/ ./ '.
//// /o :/⌒i
//// / /`ー/_
〈/// / / /{ Yー、
\ / / '´ ,人_,丿 スッ
ガシャーン
.
211
:
◆PizzaMan.c
:2016/05/04(水) 03:42:19 ID:GCRBwiXg0
取り出した拳銃を振りかぶって、グリップエンドで窓を強く叩いた。
思わず自分でも耳を塞ぎたくなるほどの音が響く。
粉々に砕け散ったガラスは、チリチリと音を立てながら地面に転がっていく。
あまり時間はかけるべきではない。
俺はすぐに屋敷に侵入し、辺りを見回した。
月明かりでうっすらとしか見えなかったが、ちょうど正面にあった扉へと駆けだす。
あまり時間はない。
扉のノブを回して、廊下へと出る。
廊下は、先程の部屋よりもずっと暗い。
壁伝いに手探りで、先ほどの小窓がある部屋を探す。
指先に触れた冷たい物。それがドアノブであることを理解した俺は、すぐにそれを回した。
212
:
◆PizzaMan.c
:2016/05/04(水) 03:43:15 ID:GCRBwiXg0
||:::::::::::::::::::::::::::::::::::::/. . : : 、へ : : : : : : : : : ::l' :: : : :.::|:.:
||::,r‐r⌒ヽー─‐-イ . : : /::::::::|\ : : : : : : .: : | : : : :::|:.:.:.:i
ガチャ ||::lヽ^づ 〈: : : :.:: :.:: :.:/ : ::::::::::! \ :. : : : : : |_ :: : : ::|:.:.:.:
||::::ヾ_つっ'ー──一´:::::::::::::::::::| .ヽ,:..: : ::/⌒:: : ::/:.::
||:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::| ヾ.::/ .. :.:.::/
||:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::| iて ̄` ヽ::.::/ _
||:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::| し'て_, ノ'ij`´´ ..:.
||:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::|
しかし、いくら回しても扉は開かない。
('A`)「チッ…………」
鍵が、中からかけられている。
('A`)「……仕方ねぇ……なぁッ!!」
__________
|
|_
|| ドンッ
||('A`)
. c||f|:-:fヽ= -
||' V_ |、 , 、
|| し^ヽ) , .' ;
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
.
213
:
◆PizzaMan.c
:2016/05/04(水) 03:43:57 ID:GCRBwiXg0
勢い良く、扉に体当たりをする。
だがそうそう簡単に破れるはずもない。
('A`)「クソッ……」
拳銃を構え、銃口を蝶番に向ける。
ダァン .ィ≦,
i .イl ∧
\ .|! .i } l ∧
\ 、 \ .|l .| -= l l ̄l ∧
\`''<_)'" ̄ ̄ ̄\ |.! | ,, '" 7 .l l_l ∧
ヽ \j l、Ⅵ ,,'  ̄}. .l ∧
} | ,, ' -=≦ .l 「 ̄∧
、_ __ | / -≧,l l ∧
__}  ̄ ̄ / , ≧《∧ l l ∧
\ / ≧=- / V∧ l l ∧
-== [〕 ⊆二二 ̄ ,l V∧ l l ∧
} , 〈〉 ( ̄ ̄ ̄ j V∧ l l ∧
-��  ̄\ i rュ \ r'" V∧ l l ∧
) l 「y7 --く ̄ ̄ . イ V∧ l l ∧
_≠---ァ ` 、 \ \ .ノ V∧ l l___∧
/ /`勺\. ,| V∧ l |l |l ∧
 ̄ ̄ ̄〕 イ / 、 }`ヾ l |l 斗'”
 ̄`'つ_,,'" Λ ,ノ斗'"
 ̄ / ‘、 {
/ /ヽ l
/ \ ;
ヽ ‘、
‘. ‘、
‘. ‘、
‘. ‘、
‘. ‘、
.
214
:
訂正
◆PizzaMan.c
:2016/05/04(水) 03:44:48 ID:GCRBwiXg0
勢い良く、扉に体当たりをする。
だがそうそう簡単に破れるはずもない。
('A`)「クソッ……」
拳銃を構え、銃口を蝶番に向ける。
ダァン .ィ≦,
i .イl ∧
\ .|! .i } l ∧
\ 、 \ .|l .| -= l l ̄l ∧
\`''<_)'" ̄ ̄ ̄\ |.! | ,, '" 7 .l l_l ∧
ヽ \j l、Ⅵ ,,'  ̄}. .l ∧
} | ,, ' -=≦ .l 「 ̄∧
、_ __ | / -≧,l l ∧
__}  ̄ ̄ / , ≧《∧ l l ∧
\ / ≧=- / V∧ l l ∧
-== [〕 ⊆二二 ̄ ,l V∧ l l ∧
} , 〈〉 ( ̄ ̄ ̄ j V∧ l l ∧
---  ̄\ i rュ \ r'" V∧ l l ∧
) l 「y7 --く ̄ ̄ . イ V∧ l l ∧
_≠---ァ ` 、 \ \ .ノ V∧ l l___∧
/ /`勺\. ,| V∧ l |l |l ∧
 ̄ ̄ ̄〕 イ / 、 }`ヾ l |l 斗'”
 ̄`'つ_,,'" Λ ,ノ斗'"
 ̄ / ‘、 {
/ /ヽ l
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ヽ ‘、
‘. ‘、
‘. ‘、
‘. ‘、
‘. ‘、
.
215
:
◆PizzaMan.c
:2016/05/04(水) 03:45:29 ID:GCRBwiXg0
拳銃から放った一発きりの銃弾で、蝶番は根本からひん曲がり、少し力を入れれば簡単に外れてしまいそうになる。
もう一度、扉に体当たりをした。
__________
|
|
ドカッ
/ ('A`)
f|:-:fヽ= -
、// ' V_ |、 , 、
'ヽ、し^ヽ) , .' ;
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
蝶番を弾き飛ばして、木製の扉は勢い良く倒れ込む。
体勢を整えながら、俺はすぐに室内を見た。
そこで見たものは、ナイフを構える一人の男と、後ろで泣きじゃくるミセリの姿だった。
.
216
:
◆PizzaMan.c
:2016/05/04(水) 03:46:02 ID:GCRBwiXg0
ミセ*;ー;)リ「……ど……ドクオ……?」
('A`)「……、ミセリ……」
「ッ……なんだお前……」
(;^Д^) (A` )
/ vロ|っA |-h.|
|U_ : _ | i_U_j
(/^ヽJ . し^J
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
('A`)「…………」
lニゝ!∨ミl、
i".,,∠二-、゙'、
│.|.l.;;;;;;;;;゙l.} ! スチャッ
! `'`-ニ'" .l
| |
.! .○ |
_..-'''゙.! l.'''‐、
/´ .|"ーi��‐i''''} .l
l ゙'!、 l .! ,! '!、.ヽ
!  ̄` ! .l ミヽ..,__丿
,/ ヽ .| .,! .'''''/'i
l゙ .ゝ....-- ..,,,| .し,,,,,,ゾ
ヽ 、 .`'" / .
/ .\ ! ./ ,〃
.
217
:
訂正
◆PizzaMan.c
:2016/05/04(水) 03:46:45 ID:GCRBwiXg0
ミセ*;ー;)リ「……ど……ドクオ……?」
('A`)「……、ミセリ……」
「ッ……なんだお前……」
(;^Д^) (A` )
/ vロ|っA |-h.|
|U_ : _ | i_U_j
(/^ヽJ . し^J
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
('A`)「…………」
lニゝ!∨ミl、
i".,,∠二-、゙'、
│.|.l.;;;;;;;;;゙l.} ! スチャッ
! `'`-ニ'" .l
| |
.! .○ |
_..-'''゙.! l.'''‐、
/´ .|"ーi--‐i''''} .l
l ゙'!、 l .! ,! '!、.ヽ
!  ̄` ! .l ミヽ..,__丿
,/ ヽ .| .,! .'''''/'i
l゙ .ゝ....-- ..,,,| .し,,,,,,ゾ
ヽ 、 .`'" / .
/ .\ ! ./ ,〃
.
218
:
◆PizzaMan.c
:2016/05/04(水) 03:53:24 ID:GCRBwiXg0
(;^Д^)「くっ…………」
('A`)「……プギャー、だったか」
(;^Д^)「……だから……どうした……」
('A`)「いや、特に意味もないさ。名前くらい聞いても悪くないと思ってな」
(;^Д^)「……クソガキィ……何しに来やがった……」
(;^Д^)「――――ッ!!」
/^ヽ
(⌒)'
_ , . ; :'''"´"'' 、 ; ;,,
_ , . 、, ___-l二ヽ_______ ; ; _-、──、__/三'>
--=" ;,_ ; : . ()======| ───────┐.| .|,,;;,,, ,,,;;;,,()~-/ ̄l/、 ◎)\
l_,' ̄ ̄ |__┌--┬──┴┴─┴────── ' l l l l l ',__.`-' l. l
´"''''- ''" l,_ヽ__ __|三三三三|_________l_l_l_l_l_l_l_l_l_l_l_l_.l
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄`- 、_ O __○二二三l/ ̄ ̄ ̄ ヽ ̄
ダァンッ `v'~ | | |`) |::::::(_,ノ-,/  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
l'、_ヽ_)' ノO l:::::::::::::::::::`、
` ̄ ̄ ̄ ̄(  ̄ ̄)::○::::::::ヽ
(`─ー<::::::::::::::::ヽ;;::..
. (ヽ___ ,ノ:::::::::::::::/ ノ___
ヽ__/二二二l_,.-~ ̄
.
219
:
◆PizzaMan.c
:2016/05/04(水) 03:54:11 ID:GCRBwiXg0
銃口が火を吹き、目の前の男が額に大きな穴を開けて、ゆっくりと崩れ落ちる。
硝煙が、まるでタバコの煙のようにゆらゆらと立ち昇り、やがて消えてゆく。
ドサッ
ミセ;゚ー゚)リ「……ッ……」
('A`)「……ミセリ……」
怯えた表情で俺を見つめるミセリに、投げかけられる言葉などなかった。
ミセ;゚ー゚)リ「……そいつは……死んだの……?」
('A`)「ああ。死んださ」
ミセ;゚ー゚)リ「……助けに来てくれたんだね……」
('A`)「…………」
ミセ;゚ー゚)リ「……怖かった……」
.
220
:
◆PizzaMan.c
:2016/05/04(水) 03:59:33 ID:GCRBwiXg0
V: : :ム 、 u /: : : : : : ,:|: : : ,: l
. /;ィ: : : ::. ` _ /イ: :/: : : : /:l: : :/ヽ!
/ l: : : ::ゝ、 '─` / l: : : : /: リ' |: :/
}: : /ノリ:>, 、 , ィ '.i: : ;ィ"}イ' |/'
l: / ' レ'V / = l , ェ= |/ |ヘ、
V,-、 _ ィリ_/^∧ / `ー 、__ _
/ / >'´___, !!-rュ_」__ __/ /´ `ヽ
. / ' / / zム」ー ` ー, ./ ∧
「……怖かったよ………」
彼女はそう言って、涙を落とした。
いくつも、いくつも零れ落ちる涙が、彼女の足元を濡らした。
.
221
:
◆PizzaMan.c
:2016/05/04(水) 04:00:08 ID:GCRBwiXg0
('A`)「お前に、これを渡したかったんだ」
バッグの中から小さな箱を取り出して、それをうずくまる彼女にそっと手渡す。
ミセ*゚ー゚)リ「……これって……」
彼女が包みを解いて蓋を外すと、その中から、小さなペンダントが姿を現した。
ミセ*゚ー゚)リ「ッ…………」
('A`)「…………ごめんな」
ミセ*゚ー゚)リ「……どうして……?」
ミセ*゚ー゚)リ「どうして謝るの……?」
('A`)「…………」
握りしめたままの拳銃をベルトの隙間に挟み、再びバッグの中からひとつの封筒を取り出した。
222
:
◆PizzaMan.c
:2016/05/04(水) 04:01:30 ID:GCRBwiXg0
('A`)「……もう、会えないからだ」
29枚の紙が包まれた封筒を、床に置いた。
ミセ;゚ー゚)リ「……どうして?」
('A`)「……わかってるだろ……?」
ミセ;゚ー゚)リ「…………」
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| | /∧
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|L... _ │ /'/∧.
「 ̄ ` / ′/ ∧.
|..__ , /〕、 _」.
/ ̄ `  ̄|  ̄ ,〉
∠.. _ /!-‐=ニ />..
∠ ̄  ̄二ニ、 厶-、 , '/ 〉
r‐=≦ ̄ ` ∨ //`ー'´
iL.. ____r‐=iニニ」二ニ´/' キュッ
`  ̄ ̄ ̄ ̄ ´ ` ̄  ̄ ̄´
「お前は、まっとうに生きてくれよ……」
.
223
:
◆PizzaMan.c
:2016/05/04(水) 04:02:04 ID:GCRBwiXg0
踵を返して、扉へと戻る。
これでいいんだ。
汚れてしまったこの手で、彼女に触れることは許されない。
どんなにねじ曲がった運命でも、どんなにひねくれた生き方でも、俺はそうすることを望まない。
ミセ; ー )リ「……ドクオ……」
('A`)「……じゃあな」
ミセ; ー )リ「……待ってよ…………」
_/,. <: : : :. l u /: : : : : : : : :l: : : : :|
 ̄ ,.>: : : ', ` ,/:.ィ: : : : : : : : ト=、; ;|
/: : : : ::ム. rー--‐‐、 "´ |: : : : : x: : |} `ー==ヽ__ _
/:/´|: : : : 人. ∨、_ノ) ,.|: : : ::/ ヽ|| }::::::}´ ヽ
" |: : :∧: : }7> 、`ー - ' . < 〉: / リ /::::/ 丶、
ヽ::/ /〉ノ:l |>ー < / Y / l::::l ヽ
/ |::::::| { rヽf´ミ / /::::| \
{ {::::::{ ヽ j ′∧ / /::::::| \
「……待ってよドクオ!!!」
.
224
:
◆PizzaMan.c
:2016/05/04(水) 04:02:39 ID:GCRBwiXg0
_________________
|.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:..:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:..:.:.:.:.:.:.:.:.:.|
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Σ |.:.:(○).:.:.: .:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:. :.:.:.:.:.:.:.:.:.::..:.:.:.|
Σ |.:.:.:.::.:.:.:.__________.:.:.:.::.:.:.:|
|.:.:.:.:.:.:.:.|l ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄l|.:.:.:.:: .:.:|
バタン |.:.:.:.:.:.:.:.|l: : : : : : : : : : : : : : : : ||.: :.:.: .:.:|
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|.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:..:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:..:.:.:.:.:.:.:.:.:.|
 ̄  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
扉越しに聞こえた、“ありがとう”という言葉を。
俺は一生忘れることはないのだろう。
.
225
:
◆PizzaMan.c
:2016/05/04(水) 04:03:45 ID:GCRBwiXg0
しばらく歩いて、俺は繁華街へとやってきた。
再び小汚い路地を歩いて、ギャングたちの溜まり場へと向かう。
空き缶、吸い殻、ゴミ袋、ギャング。まさにゴミ溜めと呼ぶに相応しい。
俺はきっと、こんな街でしか生きられないのだろう。
( 'A)
|":-っ" 、
j._-|
,、し^J
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
咥えていたタバコを放り投げて、歩みを進める。
そんな時だった。
.
226
:
◆PizzaMan.c
:2016/05/04(水) 04:04:22 ID:GCRBwiXg0
Ω ( 'A)
- = j.-) . |":-っ
ダッ j__/ j._-|
、,し^j 、.し^J 、.' ポトッ
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
「オラッ!!」
Ω (;'A)
グイッ j'-|=|":-っ ,
- = j__/ j._-|⊇.
、,し^ j |_) 、'. ,
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
Ω
j'-| ドサッ
jU| (;'A)彡 . ,
'. (/^j 人_-ヽ∧'、. ,
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
不意に後ろから掴みかかられ、俺は地面に尻餅をついた。
突然の事に、状況を理解するのに時間がかかる。
Ω「動くなよ、クソガキ」
っy=゙ チャッ
(;'A`)「――ッ!」
.
227
:
◆PizzaMan.c
:2016/05/04(水) 04:06:54 ID:GCRBwiXg0
一人の男が、俺の脳天に銃を突き付ける。
いや、一人ではない。
前後からぞろぞろと姿を現す、男たち。
俺が来ることを、予見していたのか。
彼らは揃って俺に銃を向け、鋭い目つきで俺を睨み付ける。
ザッザッ
Ω「ほんとに来るとはなァ。ギコの言ったとおりだぜ」
(;'A`)「…………」
俺の正面に立つ6人の男たちを押し退けるようにして、ギコがゆっくりと姿を現した。
(,,゚Д゚)「どこから手に入れたんだから知らねえが、拳銃なんて持ってるんじゃあな。下手に力を手に入れた奴は、調子に乗るもんさ」
彼はその頬に残る傷跡を指でなぞりながら、ため息をこぼす。
(,,゚Д゚)「眠らせろ」
彼のそんな言葉と同時に、俺の後頭部に走る重たい衝撃。
俺はそれに抗うこともできず、意識は暗い闇の底へと落ちていった。
.
228
:
◆PizzaMan.c
:2016/05/04(水) 04:07:37 ID:GCRBwiXg0
俺が目を覚ました時には、あれから数時間が経過していた。
トタンの壁に囲まれた、薄暗い部屋。
元はどこかの工場か、あるいは作業場のようなもの。恐らく、彼らのアジトなのだろう。
その中心に、俺は転がされていた。
(,,゚Д゚)「ようやく目を覚ましたか」
両腕は背中に回され縄で縛られており、簡単には外せそうにない。
かろうじて、立ち上がる事だけは出来そうだった。
だが今はまだ、その時ではない。
ギコは落ちていた角材を拾い上げて、俺の顔を睨みつける。
彼の周りには、男が数人。皆、拳銃や角材を手に持っていた。
(,,゚Д゚)「お前に聞きたいことがあってな」
コツ、コツと音を立てて、ギコは俺に歩み寄る。
(;'A`)「……なんだよ……」
(,,゚Д゚)「わかってるだろう? 金の在り処だ」
(;'A`)「……30万ごときに、そんな必死になってるのか?」
(,,゚Д゚)「……、ゴルァ!!」ブンッ
(;'A`)「――ッ!!」ドゴッ
229
:
◆PizzaMan.c
:2016/05/04(水) 04:08:18 ID:GCRBwiXg0
ギコが振り上げた角材が、俺の肩へ直撃する。
それほど重い角材ではない。だが痛みは確実に、俺の神経を蝕む。
これは、俺を殺す事が目的なのではない。あくまで、痛めつけて情報を吐かせるつもりなのだ。
(,,゚Д゚)「30万なんて金はどうだっていい」
吐き捨てるように、彼は言う。
(,,゚Д゚)「お前の暮らしていた、施設の金だ」
(;'A`)「…………」
(,,゚Д゚)「あの施設が子供を大金で売り捌いてるのは、この界隈じゃ有名な話だ。その金だよ」
(;'A`)「……知るわけ無いだろ……」
(,,゚Д゚)「ゴルァ!!」ブンッ
(;'A`)「――ッ!!」ドゴッ
(,,゚Д゚)「言え!!」
角材を振り回しながら、彼は凄みをきかせる。
それを恐ろしいとは思わない。だが、角材が食い込む痛みは、味わっていて楽しいものではない。
230
:
◆PizzaMan.c
:2016/05/04(水) 04:09:13 ID:GCRBwiXg0
(,,゚Д゚)「……あの施設に、警察が集まっていた。聞いた話じゃ、先生が殺されたそうだな」
(;'A`)「…………」
(,,゚Д゚)「先生を殺す理由なんて、一つしかないだろう。それは、金だ」
確かに、彼の言う事も間違ってはいない。いや、そう考えるのが妥当だろう。
実際に俺がどういう目的をもって彼女を殺したかなど、彼らには関係がない。
そして事実、あの時俺は大金の在り処を探していた。
(,,゚Д゚)「教えてもらおうか」
(;'A`)「……知らないって言ってんだろ……」
今更、彼に教えたところでどうなると言うのだ。
あの金は、子供たちの誰かが持ち去ったかもしれない。もしくは、警察が管理しているかもしれない。
そして、それを教えてしまったら、俺は用済みになってしまう。
彼に教えるか、教えないか。どちらを選んでも意味はない。選択肢など、無いも同然だった。
(,,゚Д゚)「……ならば、見当がつくまで考えてもらうしかないなッ!!」ブンッ
ドゴッ
ブンッ
ドゴッ
231
:
◆PizzaMan.c
:2016/05/04(水) 04:09:47 ID:GCRBwiXg0
肩に、足に、痛みが走る。
何度も何度も振り下ろされる角材は、俺を絶え間なく痛めつける。
時折休憩を挟むようにして、彼は俺に同じ問いかけをする。
俺の返事も、また同じものだった。
止むことのない痛みに、終わりは来るだろうか。
いや、俺がそう望んでいるだけであって、ギコには一切そのつもりはないのだろう。
しかし俺は、その僅かな希望に縋り付く。縋り付こうとする。
.
232
:
◆PizzaMan.c
:2016/05/04(水) 04:12:02 ID:GCRBwiXg0
それから、一時間ほど経過しただろうか。
血が流れ出るほどの怪我を負わされることはなくとも、俺の全身にはいくつものアザが出来上がっていた。
もはや痛みなど通り越して、俺はただ、全身の苦しさだけを味わっていた。
(,,゚Д゚)「吐く気になったか?」
(; A )「…………」
もうこのまま、リタイアしてもいいのではないだろうか。
なぜ俺は、ギコが諦めるなんていうあり得もしない希望に縋り付いているのだ。
真実を話せば、きっと彼は俺を楽にしてくれる。
(,,゚Д゚)「……足りないようだな」スッ
(; A )「ッ……まっ……まて……」
(,,゚Д゚)「…………」
俺にはもう、耐えきれない。
どうせこんな生き方では、命も長くは保たないのだ。
数年もすれば、路上に転がる空き缶のように、俺は無様な死を遂げる。あるいは灰皿に放置された煙草のように、じわじわと息絶えるのだ。
(; A )「…………金は…………」
ゆっくりと、口を開く。
脳内から無抵抗に流れ出す言葉を、遮ることはしない。
全てを諦めた。その時だった。
233
:
◆PizzaMan.c
:2016/05/04(水) 04:12:44 ID:GCRBwiXg0
/: .: .: .: .: . : ./ _,,.-‐''" / / / ̄|| |: .: .: .: .
/: .: .: .: .: .: . _,,.-‐'': : : : : 三 二 ニ -- / || | ̄|| | || | || |: .: .: .: .
/: .: .: .: .: .: .//:: : : : : : : : / / 三 二/ || -- | || |_|| |_|| |: .: .: .: .
/: .: .: .: .: .: .//: : : : : : : : / / / || | || .| |: .: .: .: .: .
/: .: .: .: .: .: .//: : : : ヽヾ`;;:} 三 二 ニ -- /__|| .| || .| |: .: .: .: .: .
/: .: .: .: .: .: .//: : : : Z::::Z,,, / / = ̄ .|_|| 三 二 ニ --: .: .: .
/: .: .: .: .: .: .// : : : : <:::::::ヽ:::>' _ l || ̄|| .: .: .:
/: .: .: 三 二 ニ -- : : <:::::/ ̄, |_|| / // .: .: .
_/: .: .: .: .: .: .//: : : : : Z:::::{ l / // .: .: .
/ : .: .: . : .: .:,'/: : _,,.-‐>::::::ヽ __/ //.: .: .: .: .
: .: .: .: . : .: //_,,.-‐''": Z:::::}ヽ、::::{、 |___// .: .: .: .: .
: .: .: .: . : .://: : : : ノ/ /ー/ヽ | |: .: .: .: .: .
: .: .: .: . : // : : : : : : / / | |: .: .: .: .: .
: .: .: .: .: ,'/ : : : : : : : ./ / | |: .: .: .: .: .
: .: .: . : .:l | : : --二: : ./ / | |: .: .: .: .: .: .
: .: .: . : .{ l: : : : : : : { { | |: .: .: .: .: .: .: .
: .: .: . : .| |: : : : : : : | | | |: .: .: .: .: .: .
: .: .: . :..| |: 三 三 二 ニ -- | | |: .: .: .: .: .: .
: .: . : . :| |: : : : : : : | | | |: .: .: .: .: .: .
: .: .: .: .| |: : : : : : : :| | | |: .: .: .: .: .:
建物の扉が、勢い良く開かれる。
扉はその力によってひしゃげ、あらぬ方向へと飛んで大きな音を立てた。
(;゚Д゚)「な、なんだゴルァ!?」
.
234
:
◆PizzaMan.c
:2016/05/04(水) 04:13:16 ID:GCRBwiXg0
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厂: : : : :ト ミ|  ̄ ̄ [] []┌┐ V// ト、: : : : : :>fハ
ノ: : : : : : :||: : ∨ ┌┘| }/// }: : :/=/ /
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斥三三三三.\__:||__/ / /三三〃
`<三三三三三三} {三三/
`¨¨´ ゝく二フ′ `¨¨´
「余計な事は言うんじゃねぇ。その間抜けな口を閉じろよ、ガキ」
.
235
:
訂正ほんとごめんなさい
◆PizzaMan.c
:2016/05/04(水) 04:14:59 ID:GCRBwiXg0
i!: : : : : : : : :i! ヽ Vill ::::..ヽ/////////////////////\
i!: : :`┌┐: i! .} V! ::::..∨/////////////////////
i! : : : ||:i! ./ |il ::::.∨///////////////////
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i!:└--┐┌----┐| |ill :..∨/////////
i!.: : : : :|| /,|| _ ---  ̄∨///////\
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厂: : : : :ト ミ|  ̄ ̄ [] []┌┐ V// ト、: : : : : :>fハ
ノ: : : : : : :||: : ∨ ┌┘| }/// }: : :/=/ /
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斥三三三三.\__:||__/ / /三三〃
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`¨¨´ ゝく二フ′ `¨¨´
「余計な事は言うんじゃねぇ。その間抜けな口を閉じろよ、ガキ」
.
236
:
訂正ほんとごめんなさい
◆PizzaMan.c
:2016/05/04(水) 04:16:03 ID:GCRBwiXg0
「男だったら、痛みにくらい耐えやがれ」
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
::::::: _ ;;;:::'''| ̄ ̄ ̄|::::::::
:::::: (゚∀゚ ) '' | |:::::::
::::::: |::|_|:::h. | |::::::::
:::::::: |:j|n'iロ't | |::::::::
::::::';、し^ヽJ、,'. | |::::::::
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
ザッ
現れたのは、ロングコートに見を包んだ男。
この俺に銃を――、自由を渡した男だった。
(;゚Д゚)「ッ……なんだてめぇ……!」
_
( ゚∀゚)「おいおい、俺を知らねーのかよ」
(;゚Д゚)「…………はッ!! てめぇ、殺し屋ジョルジュ!!」
_
( ゚∀゚)「ご名答。以前はご贔屓にどうもな」
ジョルジュ、というのが彼の名前なのだろうか。
どうやら彼とギコは、面識があるようだ。
237
:
◆PizzaMan.c
:2016/05/04(水) 04:17:31 ID:GCRBwiXg0
(;゚Д゚)「チッ……、今更何しに来やがった……」
_
( ゚∀゚)「借りを返しに来たのさ。お前にやられた傷が、疼いて仕方ねぇからな」
(;゚Д゚)「……そうかよ……。だったら……」
(,,゚Д゚)「今度こそ殺してやるよ!!」スッ
っy=゙
_
( ゚∀゚)「…………やってみろ」
(,,゚Д゚)「やれ!!」
っy=
Ω スチャッ
っy=゙
ギコがそう叫ぶと、周りの男たちは一斉に拳銃を構え、その銃口をジョルジュに向けた。
ジョルジュは落ち着いた様子で深呼吸を一つし、大きく動いた。
238
:
◆PizzaMan.c
:2016/05/04(水) 04:18:10 ID:GCRBwiXg0
::::::::::::::::\
:::::::::::::::::::::'ヽ、
::::::::::::::::::::::::::::又.___ノ\ __ .へ
\::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::| {_. イ:i: \/ ヾ:
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.:.:.:.:.:.:.:.\::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::| /.i:i:i:i:i:i:i:i:i:、:i:i:i:i:i\ V:ヘ
.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.\:::::::::::::::::::::::::::::::::::{/:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i\:i:ヽ:∧`∨∧
.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.\::::::::::::::::::::::::::/{/:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i: /^ヾ\ハ^ヾ V:ハ
.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.≫..,_ _,.≠.:.:.:. .:. : i i:i:i:i:i:i:i/ \:{
.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:. .:. : . i: :i:i:i:i:i:ii/
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239
:
◆PizzaMan.c
:2016/05/04(水) 04:18:55 ID:GCRBwiXg0
_
パァン パァン (゚∀゚ )
Ω ィ Ω ィ |::|_|::oヽ -= ∋
j'-|っy=;、 j'-|っy=;、 /:j|n'iロ'\ -= ∋
jU| ' jU| ' ヽ)'^\)ミ
(/^j (/^j ,'、; '.、 タンッ
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
男たちの放つ銃弾を、ジョルジュは縫うように、時に跳躍して、掻い潜る。
その鮮麗された無駄のない動作。美しい動きだと、思わず見惚れてしまう程だった。
一体どのように鍛えれば、あんな動きができるのだろうか。
_
y= (゚∀゚ )
ΣΩ ΣΩ'、' ⊆/::/_/o|
j'-|っy= j'-|っ⊂/:j/n/ロ/ -= ∋
jU| jU| ''' '^し'ミ
(/^j (/^j パシッ ,'、;
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
「おらよっ!!」
「うぐッ!!」 _
(゚∀゚ )
ΣΩ Ω, |::/_/::|っ
j'-|っy= Σ|-(⊂|:j/n/ロ/
jU| ヽ'ヽっ 'ヽJ、、
(/^j .、乂)'
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
.
240
:
◆PizzaMan.c
:2016/05/04(水) 04:19:37 ID:GCRBwiXg0
一人、また一人。
ジョルジュの怒涛の蹴りによって、次々となぎ倒されていく男たち。
彼のその姿が、俺にはダンスを踊っているように見えた。
軽快な音楽も、立派な舞台もない。けれど、彼は頬を歪ませて、軽快に踊りを続けている。
_
( ゚∀゚)「銃を使うまでもねぇな!!」ドゴッ
もはや、ここに俺の居場所はない。
彼の攻撃に必死で抗う男たちですら、舞台を彩るちっぽけな小道具にしか見えなかった。
やがて地面に乱雑に散らばる小道具を踏みにじり、彼は一つため息をついた。
(;゚Д゚)「くッ……」ジリッ
_
( ゚∀゚)「どうした、ビビってんのか?」
(;゚Д゚)「…………やるじゃねぇか……」
_
( ゚∀゚)「お褒めの言葉なら結構だ。早いとこ決着をつけようぜ」
(;゚Д゚)「……チッ!!」
っy=゙ スチャッ
_
( ゚∀゚)「バカの一つ覚えかッ!?」ダッ
.
241
:
◆PizzaMan.c
:2016/05/04(水) 04:20:47 ID:GCRBwiXg0
「ガハッ!!」
ドゴッ _
. ∧,,ハ (゚∀゚ )
Σ(;゚Д゚)て/::/_/o|
o|:::V:(⊆|:j/n/'/
|--.-|っ '^ヽJ
,、'\j^、 .'、
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
ドサッ _
∧,,ハ チャッ (゚∀゚ )
(;゚Д゚) ゙=y⊂|::|_|:::h.
人;;;\ '' |:j|n'iロ't
;'、,し\/"⌒っ.' ';、し^ヽJ ,'
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
_
( ゚∀゚)「至近距離なら拳でかかってこいよ。コイツの使い方がまるでわかってねぇみたいだな」
(;゚Д゚)「くッ……」
_
( ゚∀゚)「コイツはな……」
っy= グッ
パァン
242
:
◆PizzaMan.c
:2016/05/04(水) 04:21:26 ID:GCRBwiXg0
ジョルジュの握る拳銃が、音を立てて火を吹く。
同時に、ギコの右足から鮮血が撒き散らされた。
(;゚Д゚)そ「あっ……がぁぁあああッ!!」バタバタ
_
( ゚∀゚)「動かねぇ獲物を狙うのにちょうどいいんだよ。……ま、俺くらいになれば別の話だが」
「ひっ、ヒィッ!!」
ハ,∧ _
(Д゚;) (゚∀゚ )
f|V:::|o =y⊂|::|_|:::h.
U.--|ミ |:j|n'iロ't
〈jヽ、).'ザッ ';、し^ヽJ ,'
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
_
( ゚∀゚)「おいおい、どこに逃げるつもりだよ」
(;゚Д゚)「う、うるせぇ!!」
_
( ゚∀゚)「どこへ行っても、逃げ場はねぇよ。てめぇの行き着く先は――――」
.
243
:
◆PizzaMan.c
:2016/05/04(水) 04:22:03 ID:GCRBwiXg0
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,.;==、、ヾヽ��‐、く‐`i7
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ド=シ:::::::Y`Y´::::::l:::::}
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ヽ:__::ノ-r‐'‐l二{__/ノ i |
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ヽ、 __.. -rヾ:::!/
(__ ,.メノ::l
ト、``´_/:丿
デッドエンド
「“行き止まり”だ」
'. ハ,∧ _
'、,'(Д,,) パァン (゚∀゚ )
f|V:::|o ゙=y⊂|::|_|:::h.
U.--| |:j|n'iロ't
〈jヽ、).' し^ヽJ
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
ドサッ
244
:
もうめんどくさい
◆PizzaMan.c
:2016/05/04(水) 04:23:10 ID:GCRBwiXg0
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デッドエンド
「“行き止まり”だ」
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ドサッ
245
:
◆PizzaMan.c
:2016/05/04(水) 04:24:57 ID:GCRBwiXg0
糸の切れた操り人形のように、ギコの身体は、地面にぱたりと倒れ込む。その姿を見て、滑稽だと、俺は思った。
先ほどまで俺の事を散々痛めつけていた男が、ジョルジュという男の強さに怯え、間抜け面を下げて逃げ出し、後ろから撃ち殺されたのだ。
俺が引き起こした出来事では無いとはいえ、これを滑稽と思わずにはいられない。
「……終わったな」
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\ i. ,. ヽ / ./ }
, -,.∧ 、-<_ / ' / ./ ,. 'ヽ
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ニ\ /::::::/./. ヽ. / \\ , ´ , ' ,. ′,.' / !
ニニ\ /:::::::::/::.. 、 /ヽ \.>ヽ ゙/ _... ´ / .'´ヽ./
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ニニニニニヽ:::::::::i:::::::::::: ,.. '"::::/ ; ; .:. ;. / //  ̄\ ./ .' ;
二ニニニニニヽ::::/:::::::::::: /::::::::::::::/ _ , i .:::. i ; // ! ,.' /
ニニニニニニニヽヽ:::::::::/、:::::::::::::;:'ニヽ 「.! ヽ,.= "l ̄ ̄l.! // ,' ′ /
ニニニニニニニi >゙}ヽニニ\::::::/ニニニl ,.-' .}、ヽ.l l l liヽ/ / . '
ニニニニニ! ̄ ̄ ハ: \ニニ\{二ニニl / l ̄ ̄ ̄ ̄ ̄l‐-=.._/ '
二二二ニニl l l:::. \二ニニニl、./ /.l _ l---、 ,. '´
二二二ニニニl l !:: \二二ニニV l.l l ,. --- ´ : \
二二ニニニニl l .l: ./二ニニニ/ .. - '", ,. }
二二ニニニニl } ,! ./ニニニニ,.' ´ ´ _,. _,.. --、 ノ
.
246
:
もう訂正なんてしない
◆PizzaMan.c
:2016/05/04(水) 04:25:43 ID:GCRBwiXg0
ジョルジュはため息をついて、コートのポケットから取り出したタバコに火を付けた。
彼が殺したのは、ギコ一人。
他のギャングたちは皆、ジョルジュの蹴りによって気を失っているようだった。
_
( ゚∀゚)「ほどいてやるよ」
ジョルジュが俺の背中に回って、取り出したナイフか何かで、俺の腕を縛り付けていた縄を解いた。
自由になった腕を見てみると、きつく締め付けられていたせいか少し血が滲んでいた。
_
( ゚∀゚)「……一本吸うか?」
っ‐
('A`)「……えっ? あ、ああ……いや、俺は持ってる……」
タバコを取り出そうと上着のポケットを漁るが、そのどこにもタバコは入っていない。
それどころか、背負っていたショルダーバッグや、ジョルジュから貰った拳銃すら、手元から消えていた。
ギコたちが、予め俺の手荷物を別の場所に置いたのだろう。
247
:
絶対にしてやるものか
◆PizzaMan.c
:2016/05/04(水) 04:26:33 ID:GCRBwiXg0
_
( ゚∀゚) ガサガサッ
っ゙
_
( ゚∀゚)「……こいつか?」
っロ゙
ヒョイッ
('A`) パシッ
っロ゙
ジョルジュから投げ渡されたのは、ショルダーバッグと一丁の拳銃だった。
案の定、タバコはない。どこかに落としてきてしまったのだろうか。
('A`)「……ねぇや」
_
( ゚∀゚)「そんじゃあやるよ。ラークだけどな」
っ‐゙
('A`)「……ッ、マルボロじゃないのかよ」
っ‐゙
_
( ゚∀゚)「贅沢言うなよ。ほれ」
っd゙ シュボッ
( 'A)y‐ スゥー
('A`)「はぁ……」
っ‐~~
248
:
絶対にしてやるものか
◆PizzaMan.c
:2016/05/04(水) 04:27:21 ID:GCRBwiXg0
_
( ゚∀゚)「悪くないだろ?」
('A`)「…………ああ、思ってたよりは美味いよ」
煙を吐き出した後に残る、口の中のタバコ葉の香りと煙の苦味。
マルボロよりも癖がなく、俺にはすっきりとした吸い心地に感じた。
('A`)「……どうして」
_
( ゚∀゚)「あん?」
('A`)「どうして、こんなところに来たんだ?」
俺がそう問いかけると、彼は意外にもばつの悪そうな表情を浮かべて、顔を伏せながらこう言った。
,ィ ヽ __ `ー′/ ヽ }、_
_ _ ,< { \ ',\ '´-- -` ./\_ -‐ '''' }7Tヽ
.....-::::::::::::::::::/:::::::::::::::| \} \ ./ ヽ ヽ .// .|:::::ヽ
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「……ちょっとした、野暮用だよ」
.
249
:
◆PizzaMan.c
:2016/05/04(水) 04:28:00 ID:GCRBwiXg0
格好つけているのに、どこか頼りなく見える。
そんな彼の姿が、俺には何故だか羨ましく思えた。
_
( ゚∀゚)「さあ、とっとと行けよ。俺はこいつらの後始末をしなきゃなんねぇんだ」
('A`)「…………」
その後始末というのが一体どういう内容なのか、俺のちっぽけな脳味噌でいくつかのパターンを想像はできても、どれも確信には至らない。
しかし、俺はそれを尋ねることもしなかった。いずれにしても、彼がそれを俺に教えることは無いのだという確信だけはあったからだ。
結局のところ、俺たちのような人間は、自ら生き方を模索しなければならない。
彼は俺に手を差し伸べた。その時点で、彼は役目を終えたのだろう。
彼のやり方、生き方を、俺が倣う必要はないのだ。
('A`)「……ありがとな、助けてくれて」
_
( ゚∀゚)「礼はいらねーよ」
('A`)「……そうか」スクッ
痛む足を抑えながら、ゆっくりと立ち上がる。
背負ったバッグがやけに重たく感じたのは、肩や腰にもダメージを受けたからだろう。
250
:
◆PizzaMan.c
:2016/05/04(水) 04:28:35 ID:GCRBwiXg0
('A`)「……またあんたと、どこかで会えるかな」
_
( ゚∀゚)「さぁな」
('A`)「……ま、そうだよな」
踵を返して、歩き出す。
俺は、彼に感謝していた。
無駄になるはずだった命を、救ってくれたのだ。
ギコを殺して追手を失くすという、俺の目的を代わりに成し遂げてくれたのだ。
だが、彼にこれ以上お礼の言葉を投げかけるのは、この状況に相応しくはないのだと、俺は気がついていた。
('A`)「…………」
ジョルジュによって突き破られ、地面に虚しく転がった扉を踏み越えて、この建物を抜けようとした。その時だった。
「おい、ガキ。名前はなんて言うんだ?」
彼は俺にそう問いかけた。
その言葉を聞いて俺は何故だか頬を緩ませそうになったことに気がついて、振り返ろうとした顔を中途半端な位置で止めて、その問いに答えた。
('A`)「……ドクオ」
.
251
:
◆PizzaMan.c
:2016/05/04(水) 04:29:32 ID:GCRBwiXg0
その一言を言い終えて、俺はまた歩きだした。
「……また会おう、ドクオ」
建物を抜けた時に彼が言ったそんな言葉が、俺は嬉しかったのだ。
.
252
:
◆PizzaMan.c
:2016/05/04(水) 04:30:25 ID:GCRBwiXg0
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_,,|,,__,,|,,__,,|/../| ';, ;; ,,;;''| |ニニニニニニニニニニ
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|/ .| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| |ニニニニニニニニニニ
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄Llニニニニニニニニニニ
________________________________
����������������������������������������������������������������
..... .,,,........
...,,....... ..... ......,,,,... ...,,.
.
253
:
これはひどい
◆PizzaMan.c
:2016/05/04(水) 04:31:26 ID:GCRBwiXg0
翌日の朝、俺は見知らぬ街を歩いていた。
昨夜から歩き続けてたどり着いた場所だが、俺が昨日まで暮らしていた街に比べると、幾分かマシに思える場所だった。
通勤のためか、忙しそうに行き交う人々を縫うようにして歩きながら、俺は朝食が取れる店を探していた。
この朝早くからでも、カフェあたりなら開店しているところもあるだろうと思っていたのだが、これがなかなか見つからない。
('A`)「……こりゃ昼まで待つしかないか……?」
そう諦めかけた時、すぐ近くからカランという鈴の音が聞こえた。
音の方へ振り向いてみると、ちょうど開店したばかりのカフェの扉を開けている人の姿があった。
これは都合がいい。
俺は前の人を倣うように、迷わずそのカフェの扉を開けて、中に足を踏み入れた。
254
:
これはひどい
◆PizzaMan.c
:2016/05/04(水) 04:32:26 ID:GCRBwiXg0
カランカラン
いらっしゃい、という声を聞き流しながら、俺はテレビの近くの椅子に腰をおろした。
店員がすぐに注文を聞きに来るので、俺はメニュー表の中から適当なものを選んで、それを伝えた。
伝えた後で思い出した。俺に朝食を取れるだけの持ち金など、あっただろうか。
焦る気持ちを抑えながら、恐る恐るショルダーバッグを開けた。
そこに入っていたのは。
一丁の拳銃と、数十枚の1万札だった。
(;'A`)「えッ……!?」
俺がジョルジュに貰った拳銃は、ジャケットの内ポケットにしまってある。
バッグに入っていたこの拳銃は、彼がギコを殺したときに使っていたものだ。
そしてこの金は、一体。
255
:
◆PizzaMan.c
:2016/05/04(水) 04:32:59 ID:GCRBwiXg0
いや、考えるまでもない。
ジョルジュがこのバッグにひっそりと入れたに違いないのだ。
思い返してみれば、彼がこのバッグに物を入れるタイミングはあった。
俺にバッグを投げ渡す、その直前だ。
( A )「……なんだよこれ……」
冗談じゃない。
どうして、俺のような見も知らぬ子供に、ここまでする必要があるんだ。
( A )「…………」
その理由は、いくら考えたところで、俺にはわかるはずもなかった。
生き方を模索しなければならない、だって?
彼のやり方を、生き方を見て、俺が倣わないわけがないじゃないか。
( A )「…………ありがとよ……」
あの男に、ジョルジュという男に、救われた命だ。
死んでも生きなくてはならない。
俺は心の何処かで、そんな使命感を覚えていた。
256
:
◆PizzaMan.c
:2016/05/04(水) 04:33:32 ID:GCRBwiXg0
朝食がカウンターに置かれ、それを口に運ぶ。
施設の食事に比べれば悪くない味だ、なんて考えながらテレビを眺めていると、朝のニュース番組が始まった。時刻は9時に回っていた。
いち早く取り上げられたニュースは、俺が暮らしていた施設の事だった。
(;'A`)「…………」
しかし、おかしい。
画面下に大きく表示される見出しには、“施設の児童、大量殺人”と書かれていた。
大量殺人? いや俺は、たった二人しか殺していないはずだ。
あの下卑た笑みを浮かべた施設の先生と、ミセリを買い取った外道。
一体どうして、それが大量殺人だと表記されるのか。
その真相は、すぐに明らかになった。
児童2名が行方不明、ほか22人が死亡。
.
257
:
◆PizzaMan.c
:2016/05/04(水) 04:34:05 ID:GCRBwiXg0
あの施設には、俺やミセリ、先生を含めて、全部で25人いたのだ。
養子縁組が済されたミセリを除いて24人。
行方不明である俺ともう1人を除いた22人が、殺された。
(;'A`)「嘘……だろ…………」
子供たちを殺した犯人は、もう一人の行方不明者に違いないのだ。
キャスターが暗い表情で言葉を続け、やがて子供とはいえ大量殺人の容疑者である俺ともう一人の顔写真が、テレビに大きく映し出された。
_________________
| ______________ |
| | News Gero 9:04 | |
| | ___ ___ | |
| | | | | | | |
| | |. ('A`) | | (’e’) | | |
| | |____| |____| . | |
| | ドクオ セントジョーンズ | |
| | (14) (11) | |
| | 施設の児童、大量殺人 | |
| |_____________| |
| :::::::: O oo oo tony --..--. :::::::: |
|________________|
それは、俺とセントジョーンズの写真であった。
(;'A`)「――――ッ!!」
258
:
◆PizzaMan.c
:2016/05/04(水) 04:35:15 ID:GCRBwiXg0
何故だ。
何故、セントジョーンズが。
子供たちを、皆殺しにしたのだ。
“自由に生きてくれ”なんて言ったのが、間違っていたのか。
(;'A`)「クソッ……クソッ……!!」
食事が喉を通らなくなり、俺はフォークをトレイに置いた。
ふと見上げると、店員の一人が俺の顔をじっと見つめている。
まさか、俺が容疑者だと気づいたのか?
.
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