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( ´ー`)クローンが蔓延るこの世界で、のようです
47
:
名無しさん
:2016/04/17(日) 18:56:14 ID:5O9jLkbw0
よし
48
:
名無しさん
:2016/04/17(日) 19:31:53 ID:.Dbz7Oo60
よかった!続き読みたかったんだ!
楽しみにしてるぞ!
49
:
名無しさん
:2016/05/08(日) 22:46:59 ID:.OdM98ko0
やっと書き終わったので投下します。一話なのに主人公でない
50
:
名無しさん
:2016/05/08(日) 22:47:41 ID:.OdM98ko0
( )『ある晴れた 昼下がり 市場へ 続く道』
( )『荷馬車が ごとごと 子牛を 乗せてゆく』
( )『かわいい子牛 売られて行くよ』
( )『悲しそうなひとみで みているよ』
( ´ー`)クローンが蔓延るこの世界で、のようです
第一話
51
:
名無しさん
:2016/05/08(日) 22:48:31 ID:.OdM98ko0
夢を見た。少年少女が荷台に積まれて何処かへ向かっていく夢を
少年少女達は皆同じ顔していた。比喩とかではなく、本当に同じ顔をしていたのだ。
その集団の中にも自分が居た。一人の少女と何か約束をしたような気がしたけどノイズ混じりで聞き取れなかった
そうして連れてこられて早一時間。でこぼことした山道を走り、とある工場へ着いて――――
52
:
名無しさん
:2016/05/08(日) 22:49:24 ID:.OdM98ko0
( ^ν^)
目が覚めた。ついうたた寝してしまったのだろう。仕事柄寝不足になってしまうのは仕方がない事だろうと考えてしまうが、自分らしくないと思わずため息をついた
早く仕事に戻らなければ
( ^ν^)「……つってもたーだモニター見るだけだしなぁ」
頬杖をつきながら画面を見る男――入速は警備員だ。好きでこの仕事をやっているのではなく、ただ単にお偉方に気に入られただけ。人と違う箇所を上げればクローン人間だという所であろう
そんな成り行きで2年以上勤務している訳だがよく続けられると思った。まぁ、やめてやってもいいがその時は豚の餌 それだけはごめんだ。
( ^ν^)(ていうかなんで気に入られたんだ俺)
( ^ν^)(もっと適した人間なんか沢山居るだろうに)
( ^ν^)(う〜〜〜ん……)
( ^ν^)「めんどくせっ」
53
:
名無しさん
:2016/05/08(日) 22:51:13 ID:.OdM98ko0
( ^ν^)(しかしあの夢……)
数分前まで見てた夢の内容を思い出す。同じ顔した少年少女達が連れてかれ、自分もその中に混じっていた夢だ。
普通に考えたら奇妙な夢だろう。
だが、クローンの人口が半数を占めている現在では珍しくもない。むしろほぼ毎日のように見る光景だ
今やクローン人間は家畜や奴隷と同じ扱い。手伝いとして買っていく者も居れば性欲を満たす為に買っていく者も居る
殺そうが食べようが放置しようが関係ない。何故なら簡単に増やせるが故に人権が存在しないのだ
そうして先程見た夢と今まで連れて行かれたクローン達を思い出しながら肩を震わせた
:( ν ):
傍から見たら悲しい現実や連れて行かれた仲間達を悔やんでいるように見えるだろう。
だがこの男
54
:
名無しさん
:2016/05/08(日) 22:52:44 ID:.OdM98ko0
(*^ν^)「さいっっっこ――にメシウマだなぁオイ!!」
かなり楽しんでいる様子だった
(*^ν^)「劣等コピーめ!!今頃は変態共のおもちゃか物好きの食卓の上に並んでるって事か!!」
(*^ν^)「この俺が、そう安々と売られる訳ないだろ!?」
(*^ν^)「むしろ仕事を与えてもらっている!ここの!クローン生産所で!この俺が!」
(*^ν^)「ざまぁみやがれカス共!!恨むなら自分の不甲斐なさを恨むんだな!!」
55
:
名無しさん
:2016/05/08(日) 22:53:41 ID:.OdM98ko0
誰も居ない警備室で腹を抱えながら笑う。楽しくて仕方がないのだ。自分の様なクズが生き残り、純粋無垢なクローン達は世の中の汚い部分を見せ付けられる
最高にクソみたいな世界だな、鼻で笑いながら真っ白な天井を見上げた。蛍光灯の光がじくじくと目に突き刺ささって痛い。
薄暗い部屋を好む入速にとってはやはり慣れないものだった。
( ^ν^)(目、痛い。何考えてるんだ)
( ^ν^)「………」
( ^ν^)スゥー
数秒間を置いて、最後の締めにと思いっきり息を吸い込み
( ^ν^)「生きてるって最高!!!!!!!」
皮肉たっぷりな台詞を吐き出すかのように叫んだ。
56
:
名無しさん
:2016/05/08(日) 22:54:28 ID:.OdM98ko0
……さて、余談だがこの警備室、大雑把な性格の入速によりドアが半開き状態なのだ。おまけに声が響き渡る廊下。これらを合わせたら一体何が起こるのだろうか
(#^ω^)「コラー!!うるさいおー!!」バァン
( ^ν^)「やべっ聞こえてた」
言わずもがなである。
57
:
名無しさん
:2016/05/08(日) 22:55:58 ID:.OdM98ko0
(#^ω^)「全く声のボリュームを考えろお!さっきからゲラゲラうるさいうえに更に声のボリュームをデカくするんじゃないお!」
( ^ν^)「今はお前がうるさい」
(#^ω^)「ムキー!!誰のせいだと思ってるんだお!!さっきからヘソで茶を沸かしそうな勢いで!!何がそんな面白いんだお!!」
( ^ν^)「さぁ?」
(#^ω^)「舐めてんのかお」
( ^ν^)「内藤塩分濃そうだから嫌だ……」
(#^ω^)「ムキャ――――ッ!!!」
( ^ν^)(猿か)
声を荒らげながら入速に掴みかかる男、内藤もクローン人間だ。同じクローンでも入速との性格は真反対で穏やかで基本的には人懐っこい性格。
その性格が幸いしたのか、この施設の研究員として働いている
胸元のナンバープレートには「No.710」
58
:
名無しさん
:2016/05/08(日) 22:56:34 ID:.OdM98ko0
(#^ω^)「ふぅ……ふぅ……ニュッくんに怒るのはここまでにするお」
( ^ν^)「そんなキレやすいと早死にすっぞ」
( ^ω^)「誰のせいだと」
こほん、と咳払いをし真剣な目つきで内藤は口を開いた
( ^ω^)「今日、生まれてくるはずのクローンが一人死んだのは聞いたおね?」
( ^ν^)「聞いたぜ。たまーにある事だな」
( ^ω^)「おっお。だけどねそのクローンが息を吹き返したんだお」
( ^ν^)
59
:
名無しさん
:2016/05/08(日) 22:57:12 ID:.OdM98ko0
( ^ν^)「マジで?」
( ^ω^)「マジで。」
唖然とした。そりゃ誰もが死んだと思った生物が突然生き返ったらびっくりするが桁が違う。むしろ違いすぎて逆に信じられないのだ
( ^ν^)「う、嘘だろお前……ゾンビじゃあるまいし」
( ^ω^)「そりゃ最初僕だって信じられなかったお……普通に掃除屋呼んじゃったし……」
( ^ν^)「呼んじゃったか……」
( ^ω^)「おーん……」
( ^ω^)^ν^)"ヒョコ
「ていうかその一回死んだクローン後ろに居るし」
( ^ν^)「わーお」
60
:
名無しさん
:2016/05/08(日) 22:58:07 ID:.OdM98ko0
( ^ν^)
内藤の後ろから出てきたクローンの顔は入速そのものだった。
人を見下す様なその目も、下唇を軽く吸う口元も、青白い肌も全く一緒だ
( ^ν^)「………」
もう何百人見てきたクローンだが鏡も置いてないのに自分の顔も体型もそっくりそのままの生き写しが目の前に居るのは気持ちが悪い。
早くどっか行ってほしいがそんな事を言ったらまた内藤が怒り出しそうなので言葉を飲み込みつつ雑談と言う名の新人いびりを始めることにした
( ^ν^)σ「めっちゃ不健康面……」
( ^"ν^)「お前よりかは健康的な顔してるわ死ね」
( ^ω^)(最初の一言が死ねって……)
( ^ν^)「は?」
残念な事に同じなのは顔だけではなく性格もそのままだった。
これは負けじと入速も次に反論する言葉を考える
61
:
名無しさん
:2016/05/08(日) 22:58:48 ID:.OdM98ko0
( ^ν^)「大体お前死んでた癖に何生き返ってるんだよ。洋服まで来ちゃってぷ――wwww」
( ^ν^)「うるせぇな隣に居る豚まんに貸してもらったんだよ」
( ^ω^)「同じ顔で喧嘩すrおい待て今なんつった?」
( ^ν^)( ^ν^)「「豚まん」」
(#^ω^)「テメェら何揃いも揃ってハモってるんだお!!誰が豚まんじゃコラ!!せめて水餃子にしなさい!!そっちの方がヘルシーな感じあるし!!」
( ^ν^)「やだ……自分の事を水餃子ですって……」ヒソヒソ
(^ν^ )「自称ぽっちゃりのデブと似たような感じしません……?ありゃもうケバブと同然ですよ207さん……」ヒソヒソ
( ^ν^)「言えてるわ死体さん……ここで研究員やってるより屋台の丸焼き肉の方がお似合いじゃなくって?」
(#゚ω゚)「ぶっ殺されたいか不健康共おおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」
62
:
名無しさん
:2016/05/08(日) 22:59:33 ID:.OdM98ko0
―――――
――――――――
(; ω )ゼェ……ゼェ……
(; ω )「本題はそうじゃなくて……生き返ったクローンの方だお……」
壁にもたれかかり、ぐったりとした様子で内藤は呟いた。ここまで来ると哀れに見えてくる
63
:
名無しさん
:2016/05/08(日) 23:00:29 ID:.OdM98ko0
(;^ω^)「普通クローンは生まれたらすぐナンバープレートを作るおね」
( ^ν^)「アイツか」
(;^ω^)「そーそー。うちのお偉い変人さん。だけど今あの人寝てて……」
(;^ω^)「しかも叩いても起きない人だからここは上司でも同僚でも容赦ないニュッくんにどーんと」
( ^ω^)「あ、ちなみにニュッくんは本当に起きなかった時の最終兵器として使うから普通に起きた時は用済みだお」
( ^ν^)「ひでぇ言い草だし俺は必要なのか必要ないのか。まぁ手伝ってやらん事もないぞ」
( ^ω^)「ありがとうだおー。でも頭蓋骨陥没する勢いで殴っちゃ駄目だお」
( ^ν^)「ちょっとやそっとじゃ死ななそうだから平気だろ」
( ^ω^)「それもそうだおねー。それじゃあレッツゴーだおー」
( ^ν^)「へいへい」
やや強引に背中を押され、部屋を後にする3人。
警備室がもぬけの殻になるが入速にとってはどうでもよかった。どうせ他の警備員なんか大量に居る。
仕事は他の奴らに任せて今はあの変人を引っ叩きに行こう
64
:
名無しさん
:2016/05/08(日) 23:01:14 ID:.OdM98ko0
警備室を出て右左、壁も床も真っ白な廊下を歩く。
さっきまでぐったりした内藤は上機嫌で歌いながらぎこちないスキップをしながら進んで行った
( ^ω^)「ドナドナドォーナードーナー♪」
サビのフレーズが気に入ったのか、はたまたその部分しか知らないのか。壊れたレディオの様に繰り返しながら歌う
しかし残念な事に内藤は破滅的な音痴だ。おまけに今居る場所は廊下。どこぞのガキ大将のリサイタル並に音程の外れた歌声が響き渡って不愉快だ
( ^ω^)「おおおおーおーおーおー♪」
ついには謎のアレンジまで始まってしまった。「メシマズが作る創作料理かよ」と突っ込もうとしたが目的の場所に着いたので心の中で止めとく事にしよう。
65
:
名無しさん
:2016/05/08(日) 23:02:07 ID:.OdM98ko0
( ^ω^)o" コンコンコン
『医務室』と書かれたプレートのドアを三回ノックする。部屋に入る時は必ず三回ノックしろと教えられた。そんな細かい事決定づけなくていいのに、
二回ノックするのはトイレだとか、ドアは両手で閉めろだとか、お偉方は色々とうるさい。まぁ覚えていて損はないが
シーン
( ^ω^)
予測はしていたが返事は無し。やはりまだ寝てるのだろうか。ふむ、と内藤は手で口を抑え別の方法を考えついた
66
:
名無しさん
:2016/05/08(日) 23:03:29 ID:.OdM98ko0
( ^ω^)(………起きる可能性は低いけど、アレを試してみる価値はあるおね)
( ^ω^)(久々の『嫌いな奴の悪口ラッシュ』!)
『嫌いな奴の悪口ラッシュ』は昔クローン内で流行った遊びだ。気に入らない上司や職員の悪口をひたすら機関銃の様に吐き出すだけ。定期的に競い合ったりする事も少なくもない。
相手に聞こえるか聞こえないぐらいの声の大きさで言ったり、わざと本人の前で言って施設内を使った鬼ごっこに発展したりとなかなかスリルがある遊び……だが、
冗談が通じる相手を選ばないと洒落にならないので、今ではあまりやるクローンが居ない。
そんな内藤は『嫌いな奴の悪口ラッシュ』の優勝候補(一位は入速)。寝ている相手を怒らして起こすのもお茶の子さいさい。だが、今回は質が違う。
なにせ『どんな悪口を言っても怒らないしどんなに叩き起そうとしても起きない事に定評のある男』と評される相手だ。そう簡単には起きないだろう
( ^ω^)(腕が鳴るお)
以前から優勝候補として名をかけていた血が騒ぐ。ドアとの至近距離、竜の咆哮の様に内藤は叫んだ。
67
:
名無しさん
:2016/05/08(日) 23:04:10 ID:.OdM98ko0
( ^ω^)「バカ!!アホ!!スカポンタン!!変態!!犯罪予備軍!!えーっと……サイコパス!歪んだ性癖!」
( ^ν^)・'.。゜ ブフォ
そ(^ν^;)(汚ぇ!!)
( ^ω^)「カス!ボロ雑巾!社会不適合者!生きる価値もないゴミ虫が!ありんこの方がまだ生きる価値あるお!」
( ^ω^)「お?反論無しかお?ビビって顔も出せねぇのかお弱虫?こんな家畜も同然なクローンに色々と言われてる人間様とか恥ずかしくねぇのか?あ?」
( ^ω^)「だったら部屋から出て一発でも殴ってみろよこの腐葉土」
(*^ν^)"ケラケラケラ
(^ν^;)(どこまで信頼されてないんだよここの上司……)
( ^ω^)「…………」
68
:
名無しさん
:2016/05/08(日) 23:05:09 ID:.OdM98ko0
シーン
機関銃かの如く罵倒を叩き込んだが、返事無し。それどころか物音さえ無く
(;^ω^)「また負けたおおおおおおお!!!」
内藤は膝から崩れ落ち、悔しそうに床に叩いた。
(*;ν;)"ゲヒャヒャヒャヒャwwwwww
(^ν^;)(そこまで悔しいのか!?)
69
:
名無しさん
:2016/05/08(日) 23:05:42 ID:.OdM98ko0
(;^ω^)「ぐうう……これで敗北10回目……」
( ^ν^)「まだまだだな、内藤」
(;^ω^)「やっぱ強敵だお……やっぱりここはニュッくんに任せるお……」
( ^ν^)b
(^ν^;)(なんでこんなくだらない事で10回も敗北してんだよ……理解出来ねぇよ……)
70
:
名無しさん
:2016/05/08(日) 23:06:25 ID:.OdM98ko0
(;^ω^)「ぐうう……これで敗北10回目……」
( ^ν^)「まだまだだな、内藤」
(;^ω^)「やっぱ強敵だお……やっぱりここはニュッくんに任せるお……」
( ^ν^)b
(^ν^;)(なんでこんなくだらない事で10回も敗北してんだよ……理解出来ねぇよ……)
71
:
名無しさん
:2016/05/08(日) 23:07:48 ID:.OdM98ko0
(;^ω^)つ「もう勝手に入るお……おじゃまんぼだお」ガチャ
ドアを開けるとふわりと薬品の匂いが鼻を突く。この独特の匂いはなかなか慣れるものじゃない。
あまり長居はしたくないものだ
(((( ^ν^)「杏仁豆腐食いてぇ」スタスタ
そんなのはお構いなしかのように入速は部屋の中に入っていく。怖いもの知らずというか、何というか
(((( ^ω^)
入速の後に付いていくように内藤も部屋の中に入る。しかし、一人足りないような感覚がして後ろを振り向くと
│ ^ν^)「…………」
(;^ω^)
もう一人の入速(以下名無し)は警戒するように顔を覗き込んだ。なかなか警戒心が強い
72
:
名無しさん
:2016/05/08(日) 23:08:52 ID:.OdM98ko0
(;^ω^)「おー……大丈夫だお死体さんー別に危険な場所ではないから」
( ^"ν^)「その名称は固定かよ」
( ^ω^)「ごめんだお。でもすんなり出てきてくれたおね。ニュッくんより素直だお」
(^"ν^ )チッ
舌打ちをしてそっぽを向く名無し。やはり同じクローンでも少々個体差が居るようだ。
対する入速は思いっきり内藤を睨みつける。視線がなかなかキツイが割と慣れてきてるのでスルーして机の上で涎の海を作っている男に近づいた
73
:
名無しさん
:2016/05/08(日) 23:11:02 ID:.OdM98ko0
(;^ω^)「あーあーきちゃねぇお」
( -∀-)zzz
(;^ω^)ノシ
試しに顔の前で手を振ってみる。そんな事はお構いなしとスヤスヤと眠り続ける男。
寝ているので分かりにくいがやや童顔気味の整った顔立ちをしていて少々腹立たしいと思いつつもまじまじと見つめた。
( ^ω^)
クローンである内藤にとってはなかなか珍しいと思うものだ。自分以外の顔、似たような顔ではなく、完全に別人の顔を見る事はあまりない。
昔はそうだったのだろう。だけど皆違う顔と言うのも不気味に思えてしまうのはこの時代に生まれたからか
( ^ω^)(皆顔が違うっていうのがよく分からんお)
いまいち信じられなかった。
74
:
名無しさん
:2016/05/08(日) 23:12:03 ID:.OdM98ko0
( ^ν^)「見事にぐっすりだな」
いつの間にか隣に居た入速の声で我に返る。
(;^ω^)「あ、うん。そうだおね。疲れてるのかもしれないけど見事な爆睡っぷりだお……」
( ^ν^)「まぁここは俺に任せろ」
そう言って不敵な笑みを浮かべる入速。何処からか取り出した拡声器を手に持ち
( ^ν^)「耳塞いでろよお前ら」
(;∩^ω^)∩「なんでそんな物持ち歩いてるんだお!」
(∩^ν^)∩
75
:
名無しさん
:2016/05/08(日) 23:12:50 ID:.OdM98ko0
( ^ν^)<あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"Σ(・∀・;)あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"!!!!
寝ている男の耳元で思いっきり叫んだ。
(;∩^ω^)∩(い、いくら起きないとはいえ耳元で拡声器は拷問だお……)
(∩^"ν^)∩(うるせっ)
76
:
名無しさん
:2016/05/08(日) 23:13:53 ID:.OdM98ko0
(;・∀・)そ「うおおおおおおおなんじゃあああああああい!!?」
流石にここまですれば起きた。
突然の事に軽くパニックになってる上司を見て鼻で笑いつつ挨拶だけはしようと思った
( ^ν^)「あー……」
(;・∀・)「何!?何なの!?高校野球!?」ガンッ
(;・∀・)「いでっ!肘ぶつけた!」
(;・∀・)「ああああああ腕がビリビリする!!」
( ^ν^)(一人で楽しそうだな)
……が、あっちはテンションが高い。
それはそれで滑稽な姿だが話が進まないので軽く小突いた後にもう一度声を掛ける
77
:
名無しさん
:2016/05/08(日) 23:14:58 ID:.OdM98ko0
( ^ν^)「とりあえずおはよう」
(;・∀・)「あ、うん!おはよう!!耳が痛いんだけど!!」
( ^ν^)「そっか」
(;・∀・)「軽いなチクショウ!!」
耳元を軽く撫でながら涙目で騒ぐ男、モララーは入速の足を踏みつけながら目を凝らす。それでも見えなかったのか更に近づいた。
78
:
名無しさん
:2016/05/08(日) 23:16:12 ID:.OdM98ko0
( ・∀・)「……今頃だけど誰?」
( ^ν^)「No.207」
( ・∀・)「あっニュッくんか」
( ^ω^)「よく分かるおね……」
( ・∀・)「その声はブーン?ブーンも居るんだね」
( ^ν^)「なんで俺は分かんねぇんだよぶっ飛ばすぞ」
(;・∀・)「ごめんて」
79
:
名無しさん
:2016/05/08(日) 23:16:58 ID:.OdM98ko0
( ・∀・)「もー……今日コンタクトじゃないからよく見えないんだよ……それでなんか用?」
( ^ν^)「……いや、お前には用はない」
(;・∀・)そ「散々人を叩き起して用無しとか酷くない!?ねぇ!?」
( ^ν^)「今俺が用があるのは……」
そう言って卓上にある眼鏡を手に取ると――
「こっちの方」( ^ν^)三つ) ∀ ;)そ「もぎゃん!」
思いっきりモララーの顔面に叩きつけた。
80
:
名無しさん
:2016/05/08(日) 23:18:14 ID:.OdM98ko0
( ^ν^)「ふん」
(;^ω^)「ちょ、ま!そんな事したら眼鏡がぶっ壊れるお!」
( ^ν^)「知るかボケ。それにお前、あっちは苦手だって言ってただろ」
(;^ω^)「そ、そうだけど……今は関係ないお……」
(;-@∀@)"「あーもう……寝起き早々なんやねんホンマ……」
( ^ν^)「やっとお出ましか。今度こそちゃんと見えるよな?」
(-@∀@)「視界いっぱいにへちゃむくれの顔が見えますわ」
( ^ν^)
(;^ω^)「きゃあああ!!耐えるんだおニュッくん!!殴りかかろうとしちゃ駄目だお!!」
81
:
名無しさん
:2016/05/08(日) 23:18:56 ID:.OdM98ko0
( ^ν^)"
(;^ω^)-3 ホッ
( ^ν^)ノ「せんせーさっき内藤君が先生の悪口言ってましたー腐葉土とか言ってましたー」
(;^ω^)「ちょ、今そのタイミングで言うのかお!!」
(-@∀@)「ええやん腐葉土。お芋さんとかお花さんとか家庭菜園する時に必要やし、土にいい影響を与えてくれる」
(-@∀@)「優秀な人材育て上げる僕にピッタリな言葉だと思わへん?」
(;^ω^)「ムッキャああああああ!!ポジティブ関西人があああああ!!」
( ^ν^)「それ逆に褒めてねぇ?」
(^ν^ )イジイジケッケ
Σ(^ω^;)「ああっ!散々会話に入れない挙句のけ者にされた死体さんがいじけてるお!おいでおいでだお!」
(-@∀@)「自分らホンマおもろいな」
82
:
名無しさん
:2016/05/08(日) 23:20:10 ID:.OdM98ko0
―――――
――――――――
名無しが生き返って医務室に行くまで早一時間、ようやく本題に入る事が出来た。
いつもなら数十分で終わるこの流れもどっかの誰かさんが寝てたせいで無駄な時間を食ってしまったが、自分達も言える立場ではないし
またここで時間を食っても勿体無い。
内藤は一連の流れを説明した。
( ^ω^)「――……って事で、僕の隣に居る彼がそうだお」
(-@∀@)「一回死んだクローンがまた生き返ったねぇ……」
キャスター付きの椅子を座りながら回し、説明を聞く上司。心なしかつまらなそうだ。一度引っぱたいてやりたい
( ^ω^)「そうだお。他の警備員曰く死体安置所から物音……何かを叩く音が聞こえたらしくて開けたらまぁ、さっき言った通りだお」
(-@∀@)「ふーん……」
(;^ω^)「お?」
やけに反応が薄い。一度死んだクローンが数時間後には息を吹き返したと言うのに驚きはしないのだろうか
83
:
名無しさん
:2016/05/08(日) 23:21:17 ID:.OdM98ko0
(-@∀@)「あんなぁ、確かに一回死んだクローンが生き返るっちゅーのは珍しい事やけど過去に何回かあったんやで?」
( ^ω^)「そうなのかお……?」
(-@∀@)「せや。クローンに限らず生き返る人間が稀に居るらしいで。どっかの国のばーちゃんもそんな例あったな」
(;^ω^)「うえー……報告して損したおー……」
( ^ν^)「ぐえっ」
がっくり、隣に居る名無しに項垂れながら唇を尖らせる。世紀の大発見を期待してた内藤には聞きたくない言葉だった
(-@∀@)「まぁそない落ち込むな。飴ちゃんやるで飴ちゃん」
( ´ω`)「おーん……」
そう言って白衣のポケットから飴を取り出し内藤の手に握らせる。
受け取った飴の包装を破り口の中へ。イチゴ味。甘ったるいのは嫌いじゃない。むしろ好きな方だ
84
:
名無しさん
:2016/05/08(日) 23:22:15 ID:.OdM98ko0
噛み砕かない程度に飴を齧りながら内藤は呟いた
( ^ω^)「やっぱ嫌いにはなれないお……」ボソッ
言葉こそはキツイが定期的に飴をくれたり飴をくれたり飴をくれたりするので悪い人ではないと思う。
ただハッキリと言うだけであって根はいい人だと信じたい。じゃないとただ単に餌付けされて機嫌を取らされてると考えてしまうので
……決して餌付けじゃない、決してチョロイ奴ではない。
内藤が飴を舐め終わる頃には作業が終わったのか、名無しにナンバープレートを手渡した。
(-@∀@)ノ「さ、内藤が飴ちゃん一粒で機嫌直してる間にへちゃむくれ二号のナンバープレート用意したで」ポーイ
(;^ν^)「うわっ」
( ^ω^)(前言撤回)
正確に言えば適当に投げたのだが。
85
:
名無しさん
:2016/05/08(日) 23:23:05 ID:.OdM98ko0
( ^ν^)ツケツケ
渡されたナンバープレートを右胸に付ける。やや斜めに曲がってしまったがそんな細かい事は気にしない
隣に居る内藤がそわそわとこちらを見てくるが正直言って鬱陶しい。
無事付け終わった後、次は何をするのか話そうとしたがあちらから話しかけてくれた
(-@∀@)「どこか具合悪いとか怪我したとか無い?」
( ^ν^)「今の所はない」
(-@∀@)「そう。クローンは一応商品やからな。売り物に病気やらあったら困るんですわ」
(-@∀@)「何か怪我したりしたら報告しなはれ」
( ^ν^)
"商品"と来たか。初めて会った警備員に聞いたがやはり下級生物と同じくくりにされているのであろう。
まぁ一応怪我をしたり軽い病気にかかったりしても多少は直してくれるらしいのでまだマシだ
(-@∀@)「あ、ちなみに感染症とかだったら即刻処分になるから。そこ覚えてえな」
( ^ν^)(全然マシじゃなかった)
86
:
名無しさん
:2016/05/08(日) 23:23:58 ID:.OdM98ko0
(-@∀@)「さて……もう要件は済んだはずや。さっさと出てけ」
(;^ω^)「言われなくても出ていきますおーだ」
べーっと子供みたいに反論する内藤。
彼がまだ幼子だったら可愛げがあったかもしれないが見た目20そこそこの男がやっても可愛さのひとかけらもない。
冷め切った目でやり取りを見ているとふと、言いかけた言葉が一つ。
そういえばさっきと性格が違うような気がする。
……いや、性格どころじゃない、口調そのものが違うのだ。
何故こんなにも違いが分かりやすいのにこの誰も口に出さないのだろうか。それともあえて言わないようにしているのか
名無しは思い切って聞いてみる事にした。
87
:
名無しさん
:2016/05/08(日) 23:26:02 ID:.OdM98ko0
( ^ν^)「質問があるんだけど」
( ^ω^)「お?なんだお?ニュッくんがドアの前でオブジェみたいになってるからなるべく早くするお」
( ^ν^)「それはどうでもいい」
( ^ω^)(どうでもいいって)
( ^ν^)「さっきからずっと言いたかったんだが……アンタさっきとキャラが全く違うわねぇか?」
(-@∀@)
(-@∀@)「……自分が何言っとるのかさっぱり分かりまへんが」
怪訝そうな顔をされた。自覚がないのだろうか知らないが、こっちのセリフだと反論したくなる
( ^ω^)「あー……」
対する内藤はボリボリと頬を掻く。素振りからして事情を知ってるように見えた
( ^ω^)「死体さんが言いたいのこの事だおね?」パッ
そう言って内藤は眼鏡を取り上げると――
88
:
名無しさん
:2016/05/08(日) 23:26:52 ID:.OdM98ko0
( ・∀・)「やあ!!」
素顔と同時に先程とは明らかに違うテンションに変わっていた。
さっきの気だるそうな雰囲気、眼鏡を外したせいか多少目付きは悪くなっているが嫌味ったらしい目つきは何処に
(;^ν^)
本当に何者だ、この男。
89
:
名無しさん
:2016/05/08(日) 23:28:40 ID:.OdM98ko0
( ・∀・)「さっきぶりだね、新しいクローン君!」
( ・∀・)「驚くのは無理もないさ!!だって俺とキミは初めて会うからね!!よろしく!!」
(;^ν^)「よ、よろしく」
(^ν^;)「お、おい……これは一体どういう事なんだ?」
( ^ω^)「簡潔に言うとだおね」
( ^ω^)「アサピーもといモララーは多重人格なんだお」
( ^ν^)「たじゅうじんかく」
( ^ω^)「っつっても分からんおね。スイッチのON・OFFみたいに人格が入れ替わるんだお」
( ^ν^)「つまり発動条件が眼鏡という訳か?」
( ^ω^)「そうだお」
(;^ν^)「えぇ……」
( ・∀・)「そうさ!今の俺はモララーなんだからな!」
( ^ω^)三つ「うんそうだおねーじゃあもう今回の出番はないお」ドスッ
(; ∀ )・'.。゜「クレラップッ!!」
(;^ν^)「えええええええ!!?」
90
:
名無しさん
:2016/05/08(日) 23:29:26 ID:.OdM98ko0
(-@∀@)「……なんか顔痛いんやけど」
( ^ω^)「気のせいじゃないかおー」
(;^ν^)
内藤が顔面に眼鏡を叩き込んで数分、やかましいぐらいに騒いでいたのが大人しく、いや、気だるい雰囲気へと様変わりした。
モララーからアサピーに戻ったのだ。
(-@∀@)「て言うかさっきはよ出てけ言ったハズやけど」
( ^ω^)「もう流石に出て行くお」
(^ω^ )「てな訳でニュッくんも警備室に……」
シーン
(^ω^;)「いねええええええ!!!」
(-@∀@)「へちゃむくれならさっき出てったで」
(;^ω^)「せ、せめてなんか言ってほしいけど……まぁいいお」ガラッ
91
:
名無しさん
:2016/05/08(日) 23:31:45 ID:.OdM98ko0
( ^ω^)「失礼しましたお」
部屋を出て一言
ぱたむ、ドアを閉める。
( ^ω^)ハァ-
なんだかいつもより疲れた様な気がしてならないが、まだまだ仕事が残っている。頑張らねば
先の長い廊下を歩きながら自分に言い聞かせてると不意に名無し……ではなく№44が話しかけてきた。
( ^ν^)「なぁ、この後俺はどうなるんだ?」
( ^ω^)「さあ?」
(;^ν^)「さあって……」
( ^ω^)「だってそんなもんは運次第で変わるお。ここで働くか、別の場所で働くか、家族の一員として向かわれるのか、変態のおもちゃか」
( ^ω^)「自分達で決められたら苦労はしないおー」
( ^ν^)「……そうか」
( ^ω^)「少なくとも食肉にはならないと思うからそこは安心していいお!」
(;^ν^)「なんだそれ」
( ^ω^)「食肉クローンはまた別の棟だお」
( ^ω^)「ついでにクローンについても説明するお。……実物見た方が早いと思うけど、ね」
そう言って内藤は歩いていた足を止める。エレベーターだ
92
:
名無しさん
:2016/05/08(日) 23:33:46 ID:.OdM98ko0
( ^ν^)「まさか解体作業を間近で見せる訳じゃねぇよな」
( ^ω^)「解体作業は食肉センターだお。別にそっちを見せる訳じゃないお」
( ^ν^)「じゃあ何を……」
( ^ω^)「僕達のお母さんに会いにいくお」
(;^ν^)「それって」
93
:
名無しさん
:2016/05/08(日) 23:34:50 ID:.OdM98ko0
ポーン
No.44が言いかけると同時にエレベーターのドアが開く。どうやら先客が居たらしくエレベーターの中から一人の男が出てきた。
(,,^Д^)
明るめの青いキャップ、同色の作業着、手にはゴム手袋。
やや大きめなポリバケツの中身は雑巾やら霧吹きやらスポンジやらが雑に詰め込まれている。
( ^ω^)「………」
掃除屋だ。不覚にも呼んだのをすっかり忘れてしまった。
多分ここに来たばかりなのだろう。男、宝田は苦笑いをしながら内藤に話しかけた
(,;^Д^)「あのー……お電話受けて来たんですけど……」
(;^ω^)「あ、ごめんなさいお……つい手違いで呼んじゃって……」
(,;^Д^)「あらら。そうなんですか……クローン生産所だからてっきり死体安置所の掃除かと……」
(;^ω^)人「ほんっとに申し訳ないです!宝田さん!」パンッ
(,;^Д^)「いえいえ!こちらも一人じゃ死体処理は難しいしぶっちゃけあまり……」
(;^ω^)「ですおね!ハウスクリーニングの仕事が主な仕事内容ですし!」
94
:
名無しさん
:2016/05/08(日) 23:35:52 ID:.OdM98ko0
(,;^Д^)そ「ハッ!ついお客さんの前で弱音を……」
(;^ω^)「いやいやいや!それが本来の反応ですお!」
(,;^Д^)「いやいやいやいや!路地裏や人気のない場所に転がってるクローンの死体を片付けるのが我々の仕事ですしもっと小森君を見習わければ……」
(;^ω^)「いやいやいやいやいや!宝田さんにはそのままで居てほしいですお!!」
( ^ν^)「お前ら謝罪合戦みたいなのしてるけどエレベーター閉まったぞ」
(,;^Д^)そ「ハッ!僕はなんて事を!すいませんすいません!お急ぎの用事だったのに引き止めて!」
(;^ω^)「気にしないでくださいお!電車乗り過ごした訳じゃないので!」
(,;^Д^)「でもすいません!僕はここでドロンします!それじゃあ!」
(;^ω^)「こっちも手違いで呼んでごめんなさいお!」
95
:
名無しさん
:2016/05/08(日) 23:36:47 ID:.OdM98ko0
―――――
――――――――
掃除屋の宝田とひたすら長ったらしい謝罪合戦を済ますと内藤達はエレベーターに乗り込んだ。
B1のボタンを押し、「閉」のボタンを押してドアを閉める。
未だにこの閉鎖感と体がふわりと落ちていきそうな感覚は慣れない。
停電なんかになったらきっと発狂してしまうだろう。
そんな不安な事を考えていたらいつに間にか目的の場所へ着いた。今日も無事だ
エレベーターのドアが開くと同時にひんやりとした空気が流れ込んだ。
上の階とは対照的に薄暗い廊下が広がる。鉄板の床を踏むとかつん、かつんと足音がこだまする。
( ^ω^)「はふぅ……いつでもここに行くのは緊張するお。あ、そのまま真っ直ぐ」
さっきの慌てぶりは一体なんだったのか、内藤は落ち着いた素振りで呟いた。
96
:
名無しさん
:2016/05/08(日) 23:37:24 ID:.OdM98ko0
( ^ν^)
進んだ行き止まりだ。いや、正確に言えば重たいドアが立っていた。
とてつもなく嫌な雰囲気がする。見てはいけない、知ってはいけない、そんな言葉が頭の中でぐるぐる回って気持ち悪い。
でも知らなければならない、そんな気がして。
( ^ω^)「ぴっぴっぴーっと」
そんなのはお構いなしと壁に取り付けてあるロックを解除し、ドアを開けた。
( ^ω^)「……さ、ここだお」
97
:
名無しさん
:2016/05/08(日) 23:39:13 ID:.OdM98ko0
着いた先は巨大な地下シェルターだった。
先程歩いた廊下とは対照的にほんのりと明るい。
だが、シェルター全体を明るくしているのは照明ではなく何十、何百と取り付けられたカプセルからだった。
( ^ω^)「僕達はあの中から生まれたんだおー」
内藤がY型のカプセルを指差す。
【(*- -)。゚】【(*- -)。゚】【(*- -)。゚】
その指先の向こうには同じ顔した少女が複数並んでいた。
カプセルの下に取り付けられたタイマーの様な機械には"残り三日"と記された文字
( ^ω^)「あ、あの子達は後三日で生まれるって事だお」
( ^ω^)「ちなみに年齢調節も出来るから便利だおねー」
(;^ν^)
( ^ω^)「大丈夫?顔色悪いお?」
(;^ν^)「お、おう」
( ´ω`)「やっぱ気味が悪いと思うおね……でもこれも大事な事だから……」
( ´ω`)「後このカプセル、妙な形だと思わんかお?」
( ^ν^)「妙……って言われても分かんねぇな」
( ^ω^)「だおね。僕も最初分からなかったけどこのカプセル」
98
:
名無しさん
:2016/05/08(日) 23:39:47 ID:.OdM98ko0
( ^ω^)「子宮をイメージして作ってるんだって」
99
:
名無しさん
:2016/05/08(日) 23:41:23 ID:.OdM98ko0
(;^ω^)「……とか言っても分かんないおね。ごめんお。分からない事ばっかの話で」
( ^ω^)「人間……人間限定じゃないけど哺乳類って普通はお母さんのお腹の中で育つんだお」
( ^ω^)「だけど僕達クローン人間なんか母親なんて個体存在しないしお腹の中で育たないお」
( ^ω^)「だからね、せめてのも情けって言うのかな?形だけでも普通の人間みたいな育て方」
( ^ω^)「でもぶっちゃけ悪趣味にも程があるお」
(;^ω^)「あ、補足するけど世界中のカプセルがこんな形だから別にウチだけこんなんなじゃないお。一応フォローね」
( ^ω^)「まぁ、僕達からすればお母さんだお!生みの親だお!」
(; ν )
(;^ω^)「……やっぱちょっと刺激が強すぎたかお?」
(; ν )「戻りたい……」
(;´ω`)「あちゃぱー……まだ早かったかお……無理矢理連れてきた僕が悪いお。じゃあ戻ろっか」
(; ν )"コクコク
100
:
名無しさん
:2016/05/08(日) 23:41:56 ID:.OdM98ko0
(((( ^ω^)テクテク
((((; ν )テクテク
(;^ν )"チラッ
【( -ω-)。゚】【( -ν-)。゚】
(;^ν )(見たくない……)
101
:
名無しさん
:2016/05/08(日) 23:42:20 ID:.OdM98ko0
―――――
――――――――
( ^ω^)「ここが僕達の部屋だお」
あの悪趣味な地下シェルターを見せつけられ数十分。内藤は自室に案内した。
(;^ν^)「………」
まさに男部屋というか、なかなか散らかった部屋だった。いっそのことさっき来た掃除屋に清掃させるべきだと思った。
おまけにあまり気分が優れない
(;^ω^)「本当はもうちょっと他の場所案内したかったけど具合悪いおね……」
(;^ν^)「ああ……ていうか勝手にこの部屋使っていいのか?」
( ^ω^)「うん。ちょうど一人枠が空いてるし、死体さんと仲良くなりたいんだお」
(;^ν^)(仲良くしたい相手にあんな場所連れてくるか普通)
102
:
名無しさん
:2016/05/08(日) 23:43:03 ID:.OdM98ko0
(;^ω^)「じゃあ、僕はまた仕事に戻るお。テレビ見たり漫画見たり自由にしてていいから」
( ^ν^)「おう……なんか色々すまねぇな」
(;^ω^)「謝る必要はないお。じゃあ」
( ^ω^)「楽しい毎日を」
ぱたん
第一話 おしまい
103
:
名無しさん
:2016/05/08(日) 23:45:32 ID:GJhLNpqI0
内藤さんの最後の言葉怖いなおい
乙
104
:
名無しさん
:2016/05/08(日) 23:46:02 ID:.OdM98ko0
更新はのんびりめ(多分)
105
:
名無しさん
:2016/05/09(月) 00:14:21 ID:BjsnrH3w0
続き来てたのか
乙!
106
:
名無しさん
:2016/05/09(月) 00:36:31 ID:yczlNCyU0
乙
107
:
名無しさん
:2016/05/09(月) 13:20:48 ID:rpwHwnag0
続き待ってた乙
とてもじゃないが楽しい毎日は送れそうにないな
108
:
('A`;削除)
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('A`;削除)
109
:
名無しさん
:2016/05/15(日) 17:50:18 ID:vQyL6lns0
続き来てたのか!
名無しかわいいな
110
:
名無しさん
:2016/08/14(日) 13:10:28 ID:GqC.7Qmo0
今読んだけど面白い、続き待ってるよ 乙
111
:
名無しさん
:2016/08/22(月) 23:55:13 ID:ZSm4mMU.0
カタン キー……
(((*゚∀゚)"ヌキアシサシアシ
( ´ー`)zzz
(*゚∀゚)(ターゲット発見)
( ´ー`)zzz
(*゚∀゚)(……寝てんのか起きてんのかわかんねー顔してんなー)
"(゚∀゚*)「………」
(*゚∀゚)(よーし)
=o==∩=
(*゚∀゚)「発射!」
「つめてええええええええええ!!」
( ´ー`)クローンの蔓延るこの世界で、のようです
第二話
112
:
名無しさん
:2016/08/22(月) 23:56:26 ID:ZSm4mMU.0
( ´ー`)
白井は怒っていた。何故なら自身に水をぶっかけた挙句に自室までずぶ濡れにされたからだ。
最初こそは困惑したが、目の前に引き笑いをしたつーが居たこと、手元にホースを持っていたことで確信した。
『あ、犯人コイツだ』
毎度毎度やられる度に子供の悪戯だと許していたが流石に今日は堪忍袋の尾が切れた。
懲りない悪ガキに大人の威厳と言うやつを見せてやろう。
( ´ー`)「つーさん?」
まず手始めとしていつもより高めの声で悪ガキの名前を呼ぶ。ついでに笑顔も追加だ。にこにこ
(;*゚∀゚))))
するとどうだろう、いつもは反論してくるクソガキが青ざめた顔で後ずさりをする。
これで本気で怒ってることを証明してみせるのだ。ついでに後ろは壁だ、バカめ
(;*゚∀゚)「あっ!」
とうとう後ろに追いやられたクソガキは絶望と言わんばかりの声を上げる。
少女を壁際に追い込む大人と言う図はなかなか犯罪臭がするものだが少女がクローンの限りこの世界にそんな道理は存在しない
さあ、これにてラストスパートと言わんばかりの悪い笑みを浮かべる
113
:
名無しさん
:2016/08/22(月) 23:57:09 ID:ZSm4mMU.0
( ´ー`)「嬢ちゃん、なんで俺はこんなびしょ濡れなんだヨ?」
(;*゚∀゚)「ね、寝汗じゃないかなー……」
( ´ー`)「人と話す時は目線合わせなきゃダメだって親に教えられたよな?」
(;*゚∀゚)「親居ねーし大体白井が親代わりだろ……」
( ´ー`)
( ´ー`)「正直にごめんなさいと言ったら許してやろう」
(;*゚∀゚)「あー!話逸らしたな!大人ってズリー!」
(#´ー`)「黙らっしゃい!!寝てる人に向かって水ぶっかけるか普通!?しかもホース潰して威力上がってるし!」
(;*゚∀゚)「目が冴えて暇だったんだよ!テレビはカラーバー、しぃは寝てる!じゃあ白井を起こそう!」
(#´ー`)「だーかーらーふっつーに起こせっつてんだヨおおおおおおおおおお!!」
(;*゚∀゚)「起こしても怒るクセにいいいいいいいいいいいいいいい!!」
114
:
名無しさん
:2016/08/22(月) 23:57:54 ID:ZSm4mMU.0
(#´ー`)「今日という今日は……」
( ´ー`)「許さ……」
( ´ー`)「待てよ」
(*゚∀゚)「ぬん?」
怒りが徐々に落ちていき、一つ疑問点が上がった。
この家に住んでいるもう一人の少女、しぃが寝ているのならば誰が蛇口を捻ったのだろうか。
いや、つーが蛇口を捻ってまた戻ってきたと言う可能性もあるが起きた時には水は止まっていたのでその可能性は低いだろう。
名探偵ばりの名推理だと思い込み、すっかり悦に浸った白井は床に座り込んだつーに問いかけた。
( ´ー`)「つーさん、もう一つ俺に隠し事してない?」
(;*゚∀゚)ギクゥ
問いただすと図星と言わんばかりにつーの体が跳ね、目線を天井に向けた。
(;*゚∀゚)「い、いや何も〜!それよりつーちゃんお腹が空いたなー」
そう答えると部屋から逃げるが如くそそくさと歩いて行く。それを逃がさんばかりと白井はつーの肩をがっちりと掴んだ
115
:
名無しさん
:2016/08/22(月) 23:59:05 ID:yipMUIFc0
おっ、来た
116
:
名無しさん
:2016/08/22(月) 23:59:44 ID:ZSm4mMU.0
(;*゚∀゚)「ぎゃー!離せー!湿った手でつーちゃんの肩を掴むんじゃねー!」
(;´ー`)「なんかその言い方だと俺の手汗が凄いみたいな感じだろ!正直に言え!」
(;*゚∀゚)「実際に今ずぶ濡れじゃん!レモナ!レモナが来てんだよー!」
(;´ー`)「レモナ……?」
つーの口から飛び出た言葉は、以前友人が連れて来たクローンの名だった。
いくら今が夏とは言え午前五時。外はまだ薄暗くヒグラシの鳴き声が響き渡る。
そんな中来客、ましてやクローンが来るのはありえないことだ。
(;´ー`)「ま、まだ早朝だよな……」
(*゚∀゚)ソローリソローリ
(;´ー`)「あっ!コラ待て!」
(*゚∀゚)チッ
117
:
名無しさん
:2016/08/23(火) 00:00:38 ID:8QK7gMu20
|゚ノ ^∀^)「おっはよーございまーす!!」バーン!!
二人のやり取りを遮断するかの様にドアが開き、少女の見た目をしたクローンが部屋へと入っていった。
(;*゚∀゚)「レモナー……」
|゚ノ ^∀^)「もう!ネタばらしが早すぎるよつーちゃん!」
(;*゚∀゚)「だって……」
両手に腰を当てながら膨れっ面で話す姿は誰もがあざといと思うだろう。だが残念な事に
( ´ー`)(男かー……男なのかー……)
れっきとした男である。未だに半信半疑な白井は二人のやり取りを聞き流しながらレモナに目を向けた。
白い肌、長いまつげ、細い腰、サラサラとした金髪。おまけに黒いTシャツとジーンズが艶かしい細さを強調させる
そこら辺の路地裏にほっぽり出したらすぐさま変態が群がるでろう容姿だと白井は考えた。
……だがレモナを見つめる視線こそ変態そのものであった。その横でつーが冷ややかな目線を送るが気づかない。
118
:
名無しさん
:2016/08/23(火) 00:01:22 ID:8QK7gMu20
いい加減横のスケベにしびれを切らしたつーは本人に文句を言うことにした。
(*゚∀゚)「……白井、目線がいやらしい」
( ´ー`)「いやまぁ、スケベな体つきしてんなーって」
_,
(*゚∀゚)
が、あまりにも直球すぎる答えに眉をしかめるつー。
なんでこんな大人が親代わりをしているのだろうと考えるだけで諦めてしまう。これで何度目だろうとため息を吐いた。
(*゚∀゚)(ぜってーレモナもドン引きしてっだろコレ……空気読めよなー)
同情を求め、目の前に居るレモナに視線を移したが
|゚ノ*^∀^)「きゃー!えっちー!」キャッキャ
(;*゚∀゚)(どえええええええええい!?)
まんざらでもなかった。
|゚ノ ^∀^)「僕はそんな安いクローンじゃないよ?仮に僕の所有権はモナーくんだしぃー」
( ´ー`)「そこを頼む!金ならいくらでもはずむヨ!」
|゚ノ ^∀^)「どうしよっかなー」
(;*゚∀゚)「朝からなんちゅう話してんじゃこの変態共おおおおおおおお」
――
―――――
119
:
名無しさん
:2016/08/23(火) 00:02:06 ID:8QK7gMu20
( ´ー`)「すまんすまんちょっと遊びすぎたヨ」
|゚ノ ^∀^)「つーちゃんにはまだ早すぎたかなー?」
(;*-∀-)(ムカつく)
暴走する二人を抑え口をへの字に曲げるつー。
さっきまで怒られている対象だったのにすっかり立場が逆転しまった。全く腹ただしい。
(*゚∀゚)「あーチクショウ!怒ったら腹減ったぜ!」
|゚ノ ^∀^)「そろそろ朝ごはんの時間だもんね。僕も食べてってもいい?」
(*゚∀゚)「つーちゃんは全然構わないぜ!食卓がさらに盛り上がるしな!」
( ´ー`)「……飯の前に二人で水浸しになった部屋を綺麗にしとけヨ」
(*゚∀゚)「流石に乾いてるだろ」
( ´ー`)「乾いてネーヨびちゃびちゃだよ。俺の服も生乾きだし、着替えてる間に片付けとけ」
(*゚∀゚)「雑巾はー?」
( ´ー`)「あー……俺の服でいいヨ」ヌギヌギポーイ
(;*゚∀゚)「ここで脱ぐんじゃねぇ!」
120
:
名無しさん
:2016/08/23(火) 00:02:49 ID:8QK7gMu20
ぱたん、とドアが閉まる。それと同時に一瞬静寂が生まれた。
先程まで騒がしかった部屋が一気に静まると何か違和感を感じてしまう。ぐしゃぐしゃの衣類で床を拭こうとしたら隣から笑い声が聞こえた。
|゚ノ ^∀^)「ふふふ」
(*゚∀゚)「……何が面白いんだよー」
|゚ノ ^∀^)「いやね、仲いいなーって」
口元を押さえながらくすくすと笑うレモナ。
自身より女の子らしい仕草をするレモナにつーは何とも言えない気分だ。
(*゚∀゚)「レモナだって仲のいい家族居るだろ?」
|゚ノ ^∀^)「うん。僕とモナー君はとっても仲良しだけどあんな風な喧嘩はしないから面白くって」
(*゚∀゚)「そんな喧嘩憧れちゃダメだぜー。モナーは好印象を与えるけど白井に至ってはクソみたいな印象しか残らないからさ」
<キャー!!
(#゚∀゚)「……主に今みたいな状況が、な!」
部屋の奥から聞こえる少女の悲鳴と同時につーは立ち上がり、ドアを蹴っ飛ばし走り去っていく。
あまりの行動の速さにレモナは唖然としたが、すぐさまつーの後を追った。
121
:
名無しさん
:2016/08/23(火) 00:03:40 ID:8QK7gMu20
(*;∩ー∩)「見てません!私は何も見てません!」
(;´ー`)「今回俺は悪くネーもん!俺悪くネーもん!」
(#゚∀゚)「るせぇ!しぃの涙は命よりも重いんだよ!」
|゚ノ;^∀^)
急いでレモナがリビングの様子を覗き込むと部屋の中は阿鼻叫喚。
顔を覆い座り込む少女、ひたすら無実を訴える男、少女を庇うように両手を広げるもう一人の少女。
|゚ノ;^∀^)
なんだこれは
122
:
名無しさん
:2016/08/23(火) 00:04:13 ID:8QK7gMu20
三人の様子は置いといて、何も状況を把握出来ないレモナは近場に居た白井に話を聞くことにした。
|゚ノ ^∀^)「えーっと白井さん。ついに手を出しました?」
(;´ー`)そ「ついにって何!?何もしてないヨ!?」
(*;゚ー゚)「い、いえ!私が悪いんです!殿方の裸を見てつい……!」
|゚ノ ^∀^)「白井さん……」
(;´ー`)「違う!上着てなかっただけ!ズボンもパンツも履いてます!!」
(*゚∀゚)(なんだこの世界一無意味な会話)
――
――――――
123
:
名無しさん
:2016/08/23(火) 00:04:49 ID:8QK7gMu20
(*;゚ー゚)「……と言うことなんです」
まだ顔に赤みは残ってるものの、しぃは先程の状況を話した。
簡潔にまとめるとシャツを探し回って廊下を出たところ、ちょうど起き出したしぃにばったり出会ってしまったのだ。
まぁ何というか、お騒がせというか。その場で脱ぎ捨てた白井もそうだが一つ屋根の下暮らしてる異性の半裸ぐらい慣れるものじゃないかとレモナは思った。
口に出したところでつーに睨まれるのでそのまま飲み込んだが。
(*゚ー゚)「情けない悲鳴上げちゃってつーちゃんやレモナさんに迷惑かけてごめんなさい」
そう言ってペコリと頭を下げるしぃ。なんて清い少女だろうか、眩しくて直視出来ないレベルである。
( ´ー`)「……俺は?」
(*゚ー゚)「白井さんはちょっと……」
( ´ー`)「oh……」
124
:
名無しさん
:2016/08/23(火) 00:05:29 ID:8QK7gMu20
(;´ー`)「まぁいいや朝飯作るヨ……スクランブルエッグでいいかヨ?」
(*゚ー゚)「はい!」
(*゚∀゚)「異議なーし!」
|゚ノ ^∀^)「僕もー!」
( ´ー`)「んじゃあ早速作るか」
腰を上げ、朝ご飯の用意に取り掛かろうとしようとしたが
コンコン
玄関を叩く音が聞こえた。来客だ。
((((;´ー`)「タイミングわるぅー……」
白井は苦虫を噛んだ様な顔をしながら玄関に向かって行くことにした。
「朝ご飯には一歩遠くなった」とつーからのブーイングが後ろから飛んできたがそのまま無視し、ドアノブを開ける。
125
:
名無しさん
:2016/08/23(火) 00:06:05 ID:8QK7gMu20
( ^ω^)「新聞ですおー」
( ^ω^)「おー」
玄関の前に黒い帽子にきっちりとした制服を着込んだクローンが二人立っている。新聞配達だ。
ドアの隙間から差し込む朝日に目をしかめて睨みつける形になってしまったのか、白井の顔を見た二人のクローンは慌てて謝ろうとした。
(;^ω^)「ご、ごめんなさい!新聞要らなかったかお?それなら申し訳ないお!」
(;^ω^)「これでも仕事なんですお!だから暴力だけは勘弁してくださいお!」
(;´ー`)「いや別に怒ってネーヨ!眩しいだけで!新聞は貰うヨ!」
(;^ω^)「そうでしかお……こちらこそすみませんお取り乱して」
(;^ω^)「こちら今朝の新聞ですお」
( ´ー`)「サンキューな。お前ら気をつけて仕事しろヨ」
(*^ω^)「ありがとうございますおーところでついこの間起きた事知ってますかお?」
( ^ω^)「知ってますかお?」
( ´ー`)「なんだ……」
126
:
名無しさん
:2016/08/23(火) 00:07:00 ID:8QK7gMu20
( ^ω^)「いや聞いてくださいお、ここいらで殺人事件があったって」
( ^ω^)「怖いおー」
( ´ー`)「……人間のだよな?」
( ^ω^)「なーに当たり前のこと言ってんだお!クローンの殺人なんかニュースにもならんお!」
( ^ω^)「そんなの珍しいことでもないお。おにーさん面白いおねー」
(;´ー`)「ははは……」
( ^ω^)「それでおー遺体の状況が酷いらしくて」
( ^ω^)「ナイフでメッタ刺し!そりゃもうグサグサと!」
( ^ω^)「被害者の傍らには絞殺されたクローンの遺体があったらしいけどそっちは犯人が殺したのか被害者が殺したのか謎だお」
( ^ω^)「だお」
( ^ω^)「あ、犯人はまだ捕まってないけどその家で引き取られたクローンの可能性が高いお」
( ^ω^)「被害者はよくC型クローンを買うことが多いからって聞いたお」
( ^ω^)「物騒だねー」
( ^ω^)「物騒だおー」
127
:
名無しさん
:2016/08/23(火) 00:07:47 ID:8QK7gMu20
( ^ω^)「今頃掃除屋が探し回ってるところだお」
( ^ω^)「人間を殺したクローンは殺されちゃうからね」
( ^ω^)「あ、すっかり話し込んじゃったお。仕事戻らないと」
( ^ω^)「戻らないと」
( ^ω^)「それじゃあお気をつけて」
( ^ω^)「お気をつけて」
新聞配達のクローンの話が終わると
ばたん、とドアを閉めた。
(;´ー`)(ほぼ二人の世界じゃネーかヨ)
空腹の状態で放置されるのはどうなのかと思いリビングへ向かう。
随分と時間が経ってしまった。さっさと作ってさっさと食べてしまおうと思い部屋の様子を見ると
(;*゚ー゚)「あ、すいません。食べちゃってます……」
(*゚∀゚)「先にいただくぞー」
|゚ノ ^∀^)「卵かけご飯おいしー」
我慢できなかったのか、先に食事をするしぃ達が居た。
作る手間が省けたのでどちらかと言えばラッキーと内心ほくそ笑み、テーブルの上に置いてあるクロワッサンを貪りながら先程のクローンが言ってた話をしてみることにした。
128
:
名無しさん
:2016/08/23(火) 00:08:14 ID:8QK7gMu20
( ´ー`)「あ、さっき新聞配達の輩に聞いたんだけどヨー。ここ近くで殺人が起きたって」
|゚ノ;^∀^)「殺……」
(*゚∀゚)「うーっわ物騒な」
たくあんに手を伸ばしたレモナの手がピタリと止まる。
( ´ー`)「なんでもナイフでぐっさぐさぶっ刺したらしいヨ。相当な恨み買ってんだな」
|゚ノ;^∀^)「ひぇ……」
先程まで朝ご飯を楽しんでいたレモナがすっかり落ち込んでしまった。
その点に関しては申し訳ないと思ったが、特にこれといったリアクションもせずに黙々とご飯を食べるつー達にちょっと引いてしまう。
生まれ育った環境、というやつだろうか。
129
:
名無しさん
:2016/08/23(火) 00:08:41 ID:8QK7gMu20
|゚ノ;^∀^)「話聞いてたらお腹いっぱいになってきちゃった……ごちそうさま」
(*゚ー゚)「ご馳走様です」
(*゚∀゚)「ごっそさん」
( ´ー`)「おーう。あ、もう九時じゃん。そろそろレモナ帰った方がいいんじゃないか?」
|゚ノ ^∀^)「ホントだはやーい」
( ´ー`)「どうせなら送っていくぞ。お前一人じゃあぶねーからな」
|゚ノ ^∀^)「いいの?」
(;´ー`)「クローン一人が外をうろつくなんてほぼ危険でしかネーヨ。て言うかよく一人で来たな……」
|゚ノ ^∀^)「僕皆みたいなクローンじゃないから……」
(;´ー`)「まぁそうだけどヨ……しぃ、つー、レモナ送ってくからお前らも着いて来いヨ」
(*゚∀゚)「ほーい」
(*゚ー゚)「はい!」
( ´ー`)「じゃあ準備しとけヨー」
130
:
名無しさん
:2016/08/23(火) 00:09:54 ID:8QK7gMu20
(*゚ー゚)"
靴を履き、外に出る。久々に見た太陽は眩しくて肌に突き刺すような暑さだった。
(*;゚ー゚)(あつーい)
(*;゚ー゚)(……?)
流れる汗をぬぐい、背中に何か視線を感じた。
│;;-゚)
恐る恐る振り返るとそこには自分と同じクローンの少女がこちらを見つめていた。
ボサボサの髪に傷だらけの体、薄汚れてボロボロになったワンピースを身にまとい、お世辞にも綺麗な状態とは言えなかった。
(*゚ー゚)「………」
同じ顔なのに、同じクローンなのにどうしてここまで差がついてしまうのだろう。
目の前に与えられる現実を見てしぃは目を伏せた。
(*゚ー゚)(こんなの、同情でしかない)
(*゚ー゚)(私は………)
( ´ー`)「しぃーもう行くぞー?」
(*゚ー゚)「あ、はーい!」
白井の声で我に返り、そのまま彼に着いていった。
│;;-゚)
(*゚ー゚)
――ボロボロのクローンを横目に見ながら
第二話 おしまい
131
:
名無しさん
:2016/08/23(火) 00:10:28 ID:8QK7gMu20
おけま:レモナちゃん誕生の流れまで
(゚、゚トソン「お客様のクローンを?」
( ´∀`)"「モナ」
(゚、゚トソン「珍しいですね。ここ最近はC型やB型が支流なのに」
( ´∀`)「……自分のことを理解してるのは自分モナ。その方がいいと思って」
(゚、゚トソン「なーるほどなるほど。では手続きの書類をウンタラカンタラ……」ペラペラ
( ´∀`)
( ´∀`)(めんどくせぇ……これだったら普通に買ってった方が楽モナ……)カリカリ
132
:
名無しさん
:2016/08/23(火) 00:11:09 ID:8QK7gMu20
(゚、゚トソン「……はい、手続き完了ですね。ではこちらに案内します」ガチャ
( ´∀`)「はいモナ」
(゚、゚トソン「クローン作成にはお客様の一部が必要なので採取させていただきますね」
( ´∀`)「エロ同人誌みたいなことしませんよね」
(゚、゚トソン「しませんよ」ブチィ
( ´∀`)「いった!遠慮なく髪の毛ぶち抜いたモナこいつ!いった!」
(゚、゚トソン「すいませんお客様がエロ同人みたいに!エロ同人みたいに!」
( ´∀`)「だからってそんなブチブチ人の髪の毛抜くモナ?雑草じゃないモナよ?」
(゚、゚トソン「グチグチうるせぇお客様ですね」
( ´∀`)「対応わるーい。やだ変えてー」
(゚、゚トソン「やめてください上司呼ぶと色々面倒なんですよちょっと口が滑っただけなんですよ」
(゚、゚トソン「あ、ちなみに髪の毛は一本で十分ですね」
( ´∀`)「てめぇ十本ぐらい抜いてっただろ返せや僕の毛根」
133
:
名無しさん
:2016/08/23(火) 00:11:47 ID:8QK7gMu20
(゚、゚トソン「体型や顔を変えることも出来ますがどうしますか?」
( ´∀`)「うーんあんまりにも僕とクリソツだったら気持ち悪いから少し似るくらいに」
(゚、゚トソン「かしこまりました。性玩具が自分と同じ顔だったら最悪ですもんね」
( ´∀`)「誰が性玩具っつったモナ。せいぜいお手伝い出来る程度でいいモナ」
(゚、゚トソン「性的な処理をですか」
( ´∀`)「テメーの頭の中は男子高校生か」
134
:
名無しさん
:2016/08/23(火) 00:12:27 ID:8QK7gMu20
(゚、゚トソン「しかし本当に珍しいですね。こっちの方が料金取られるのに」
( ´∀`)「ああいうのはどうも好かんモナ」
(゚、゚トソン「分かります。私もあのファッキンクソ関西二重人格メガネのことはどうも好きになれません死ねばいいのに」
( ´∀`)「何言ってるかさっぱり分からんモナが明らかに別のこと言ってるモナね」
(゚、゚トソン「メガネ外した方は好きですよ。好印象ですよ。ですがメガネの方はもう最悪ですねあの人格消えればいい」
(゚、゚トソン「しかもファッキンカスボケナスメガネ私が仕事で失敗したとき鼻で笑いやがったんですよ足の小指ぶつけて死ね」
( ´∀`)「わー仕事の闇を感じるモナー」
135
:
名無しさん
:2016/08/23(火) 00:13:09 ID:8QK7gMu20
(゚、゚トソン「ハッ!つい私としたことが取り乱してしまいました。全てはあのうんこのせいですね。くたばれ」
( ´∀`)「誰のことだか知らんモナが役所と製造は違うんじゃないモナ?」
(゚、゚トソン「確かに違いますが仕事上同じ様なものですからね。たまにあっちで仕事があるんですよ」
( ´∀`)「ほーん。あっちの業界は闇が深そうだから近寄りたくもないモナ」
(゚、゚トソン「ボロクソ言われてるけど否定できない」
( ´∀`)「それで僕のクローンはいつ出来るモナ?」
(゚、゚トソン「早くても数日はかかります。その時はお電話しますので後日また来てください」
( ´∀`)「わーおそれを先に言って欲しかったモナ雑談してる場合じゃねぇ」
(゚、゚トソン「そういう私も窓口が詰まってましてね」
( ´∀`)「はよ仕事戻れや」
136
:
名無しさん
:2016/08/23(火) 00:13:40 ID:8QK7gMu20
―数日後
(゚、゚トソン「おめでとうございます!元気な男の子ですよ!」
( ´∀`)「出産みたいに言うなし。まぁそんな感じに近いかもしれないれども」
(゚、゚トソン「早速案内しますね」
( ´∀`)(生命の神秘が今や大量生産の時代になってしまったモナね)
137
:
名無しさん
:2016/08/23(火) 00:14:12 ID:8QK7gMu20
ウィーン
|゚ノ ^∀^)「はじめましてー……かな?もう一人の僕!」
( ´∀`)
( ´∀`)「あのちょいとお姉さん」
(゚、゚トソン「なんでございやしょう」
( ´∀`)「これ僕のクローンモナよね。取り違えとかじゃないモナね」
(゚、゚トソン「正真正銘貴方のクローンですよ」
( ´∀`)「性別は?」
(゚、゚トソン「男です」
( ´∀`)「パツキンさっらさらのロン毛でまつ毛もばっさばさなんですけど」
(゚、゚トソン「でも股間に一本槍付いてますよ」
( ´∀`)「一本槍とか言うな」
|゚ノ*^∀^)キャッ
138
:
名無しさん
:2016/08/23(火) 00:14:42 ID:8QK7gMu20
( ´∀`)「あーうんそうモナね。確かに僕に雰囲気似てるし顔つきも近いモナね」
( ´∀`)「でも見た目女モナよこれ」
(゚、゚トソン「喉仏もありますしれっきとした男ですよ」
( ´∀`)「男っつーかこれ巷で言う男の娘って奴だろこれ」
(゚、゚トソン「私の趣味です」
( ´∀`)「職員の趣味で僕のクローンこんなんになっちまったよ」
139
:
名無しさん
:2016/08/23(火) 00:15:13 ID:8QK7gMu20
(゚、゚トソン「ナンバープレートも用意しましたので、後は名前を付けるだけですね」
( ´∀`)「名前モナか………」
( ´∀`)「じゃあ、今日からお前はレモナで」
(゚、゚トソン「可愛らしいお名前ですね」
( ´∀`)「№0と僕の名前を合わせてレモナにしてみたモナ」
(゚、゚トソン「なるほど」
|゚ノ*^∀^)「名前嬉しいなー!今日からレモナって呼ぶね!もう一人の僕!」
( ´∀`)「その『もう一人の僕』ってのやめるモナ。僕はモナーって名前があるモナ」
|゚ノ ^∀^)「モナー君!」
( ´∀`)「君は要らないけど……まぁいいか」
(゚、゚トソン「それでは入口までお見送りいたします」
( ´∀`)「どうも」
140
:
名無しさん
:2016/08/23(火) 00:15:35 ID:8QK7gMu20
ウィーン
(゚、゚トソン「また来てくださいね」
( ´∀`)「次の担当がお前じゃなかったらな」
(゚、゚トソン「遠回しのツンデレってやつですね」
( ´∀`)「ポジティブゥ〜」
141
:
名無しさん
:2016/08/23(火) 00:16:05 ID:8QK7gMu20
( ´∀`)テクテク
|゚ノ ^∀^)テクテク
( ´∀`)「あー……改めてだけど」
|゚ノ ^∀^)「何かな?」
( ´∀`)「今日からレモナは僕の家族ってことで、よろしくモナ」
|゚ノ ^∀^)
|゚ノ*^∀^)「うん!」
おしまい
142
:
名無しさん
:2016/08/23(火) 00:17:48 ID:8QK7gMu20
>>139
のモナーのセリフがなんか文字化けみたいになってますがNO.0です。脳内で訂正してください
143
:
名無しさん
:2016/08/23(火) 00:34:09 ID:BX.HicRg0
あんたの書くキャラは本当に可愛いな
乙
144
:
名無しさん
:2016/08/23(火) 23:25:12 ID:m/6BYp8A0
乙乙! 続き嬉しいよ。
145
:
名無しさん
:2017/09/06(水) 18:12:04 ID:dS6JcYbY0
>>125
ぶーん大好き人にとってこれはやばいかわいい
146
:
名無しさん
:2017/09/14(木) 20:45:06 ID:.8.649s.0
owari?
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