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翡翠先生作品集(復刻版)
162
:
黒い太陽
:2015/01/12(月) 01:51:18 ID:rlmKZg46
そうやって、私達は、うまくバランスを取りながら、小さな愛のようなものを、二人で築いていた。
『レフアの身体はとても気持ち良さそう。』
『マカニの身体は、きつく抱き締めると折れそう。でも、折りたい位抱き締めたいよ。』
『レフアになら、粉々にされたっていいよ。ううん。粉々にして。そしてあたしの骨を高い高いビルから、世界中に振りまいて。』
私も、かなり細かったが、マカニは度を越していた。身長があって、あちこちが骨張っていた。
私は、細くともバストは大きく、太ももにも適度にお肉がついていて、よくピンナップガールみたい、なんてジョークで言われていた。
あの頃、確かウェーブのついたロングのエクステをつけていたっけ。
それに比べ、マカニには肉なんて全くついていないようだった。バストも、勿論ないし、立っているとただの棒切れのように見えた。
彼女は言わなかったが、拒食症だったのだろう。
髪の毛は、真っ黒いワンレンストレート。病気のように真っ白く、透き通る肌。
外見は異なれど、私達はお互い、魅かれあった。
ストイックすぎるマカニの考えに、反論したりもしたが、それすらも私達には楽しいゲームのようだった。
私達は、楽園にいるようだった。会わないからこそ、成り立っている恋愛。よく似た二人。
だけどよく似た性格の二人は、本来なら磁石のNとNのように、反発しあうものだ。もしかしたら、マカニには少しでも、私に嫌悪する気持ちがあったのかもしれない。憶測だけでしか、ないけれど。
それでもいい。私は彼女を愛していたのだから。傲慢な考え方は、やっぱり同じだね。
163
:
黒い太陽
:2015/01/12(月) 01:52:13 ID:rlmKZg46
私達は、うまくいっていたはずだった。
けれど、お互いに悪い波がやってきてしまった。
『今度二人で出かける時、思いっきりお洒落して、思いっきり目立ってやろうぜ!』
という、メールがきた。完全に躁状態になっているのが、判る。自分もそういう時があるから、よく判る。
『皆が、ひくぐらい目立って洒落て綺麗にして闊歩しよ!』
と、返事をした。
それ以来、メールの返事がこなくなったのだ。
躁状態から、欝に入ったのだろう。
私は、またマカニが連絡をくれると呑気に構えていたが、さすがに1ヶ月がすぎると、うろたえ、ダーリンにまで相談した。
そして、私は私まで、欝状態になるのは適わないと思い、私の癒しの場所であるサロンに行った。カラーでも、エクステでも、カットでもなんでも、いいのだ。私は何故かサロンに身を置いていると安心できたし、美しくなる自分を創造して、うっとりできた。
けれど、その、うっとりも長くは続かず、やはりマカニの事が気に掛かり長いメールを彼女あてに送った。
きっと、私の魂みたいなものが入る位に、真剣に。
彼女から返事が来たのは、私がもう死にたくなっていた時だった。
死のう。私は彼女に捨てられたのだ。なんの別れの言葉もなく。と、悲劇のヒロインの最中にいる時だった。
164
:
黒い太陽
:2015/01/12(月) 01:52:52 ID:rlmKZg46
『愛するレフアを悲しませているのも、傷つけているのも判ってる。だけど、今は、あなただけではなく、誰とも連絡をしたくない。このメールは、レフアあなただけに送ってる。だから、あなたは特別な人だという事を忘れないで。
変わらぬ愛をレフアに。マカニより。』
彼女は、私なんかよりも躁鬱が激しいし、注目されるのが大好きなのに、少しでも、中傷めいた事を言われたら、それだけで世界の終わりと信じてやまない人だった。もしかしたら、今回も、マカニの美しさや色々な才能に(彼女は、音楽やアートに長けていた。すごく。)嫉妬をした奴らが、彼女の耳に入るようにこれみよがしに、何かを言ったのかもしれなかった。
実際、彼女の本性を知っている人間はたくさんいて、彼女はすこぶる評判がよくなかった。そして、またそれらの人間は、彼女の全てを嫌っていた。まぁ、確かに私も嫌いな人間には、1ミリも良いところを見いだせないから、偉そうな事は言えないが。
けれど、私はマカニに、そんな悪意を持った奴らに笑って仕返しする位の気概が欲しかった。全く、勝手だけれど。
そこが、私とマカニの違いだったかもしれない。私は仕返ししてしまうタイプだったから。けれど、仕返しをできないんじゃなく、もししてなかったとしたら、やはり、マカニは大人だ。
私がマカニについて知っている事、そして私達の日々は、振り替えるとみじんこみたいなもんで、だけどみじんこでもいいや、って思える日々であり、人であった。
彼女は、一言で言うと、 『毒々しい食チュウ植物』 のような女性だった。
けれど、本当は言いきれない。世界中全ての言葉を使っても、彼女を表現しきれないだろう。
そう。それが、彼女か。
165
:
黒い太陽
:2015/01/12(月) 01:53:53 ID:rlmKZg46
【月光。】
そんな昔の事を回想していた私は、フロアのど真ん中でマカニに抱きついている。 私をそっと、官能的に撫でるマカニ。
そして、私は、マカニから少し離れて彼女を観察する。
以前より、疲れているようで、生気のようなものが感じられない。
真っ黒いコートと、つばの広い帽子、大きなサングラス。そのために、彼女の様子は判らなかったが、加減が悪そうなのは、一目瞭然だった。そして、その格好は彼女の加減の悪さを隠すものだろう。
猥雜なフロアで、マカニが私の首筋に何度も、キスをした。 そのたびに、『チュッ』と鳴る音が、なんとも淫美で、気持ち良く、私は、私のパンティを濡らした。
私達は、観客達の前で愛し合ったのだ。臆することなく。
騒めき、ひそひそとなんだか嫌な感じのフロア。いいじゃん。こんなに場所があいてるんだから。キス位であーだこーだ言うなよ。
マカニが、
『ちょっと、外行かない?』
と、身体と同じ可愛く細い声で言う。
私は、ダーリンにマカニと喋ってくる、と言うとダーリンは、
『ずっと、見てたけどさ。二人とも、派手好きだ、やっぱ』
と、笑って核心をついた。そう、この貴重な再会も、私達は、ついつい演出を施してしまう。つまりは、目立ちたがり屋なんだ。でも、人生目立ってなんぼの私達には、とても良い再会場所だった。オーディエンスの反応には、不満が残ったけど。
マカニと私は手を繋いで外に出た。
166
:
黒い太陽
:2015/01/12(月) 01:54:50 ID:rlmKZg46
外に出ると少し寒かったけど、私はそんなのは、気にならなかった。
だって、今日が今がどんなに大事な時かって、もう判ってるから。
道端に、座り込む。
マカニが、
『あたしの事、恨んだでしょ?勝手だって?』
『恨んでないよ。ただ、マカニを心配してただけ。』
月光に照らされて、浄化されてゆくような気持ちになる。ありがちな幻想。 あたりは、静寂を保ち、私達の会話に耳を澄ませているようだった。
『マカニはさ、やっぱり自由にしてるのが一番だと思うよ?』
『レフアにそう言われると救われるね。今日、久しぶりにクラブ来た甲斐があったよ。ありがとう。』
『マカニ、1つのありがとうより、100のキスだよ』
ほんのジョークのつもりだったけど、マカニの冷たい手が私の頬を引き寄せ、幾度となく唇に、キスの雨を降らした。私は、うっとりと、今、死ねたら本望かも、あ、でもダーリンいないと駄目だ、と思っていた。
長い長い、二人の女のキスを満月だけが見ていた。
柔らかい光を私達に注いでいた。
満月は、悪魔二人のキスをどんな風に見ていたんだろう。
167
:
黒い太陽
:2015/01/12(月) 01:55:35 ID:rlmKZg46
マカニは、サングラス越しに私を見て、
『レフアはやっぱり綺麗だね。神様に愛されてるよ。』
と、なんだかしみじみ言った。
私は、
『よく言うよ!文章だろうが音楽だろうがなんでもできて、神様に愛されてるのは、マカニだよー!』
マカニは、そんな事ない、って何回も言っていたなぁ。その、『そんな事』をもっと、ちゃんと聞いておけば良かったと悔やまれる。
『でも、いいじゃん。こうして会えたから全部チャラ。』
『チャラかぁー…あたしの人生全部チャラになんないかなぁー。』
そう。そこここに、きちんとサインは出ていたのに。私だって、今日がとても大切な日だって、判ってたのに…。なんて、私は愚鈍だったのだろう。
そして彼女と同じく傲慢だったのだろう。
もしかしたらどうにかできたかもしれない、という事を後悔と言うのではないだろうか。
168
:
黒い太陽
:2015/01/12(月) 01:56:54 ID:rlmKZg46
冷えが身体の芯を突き抜ける。限界だ。
私とマカニは、戻ろうか、と言って、また手を繋いで、クラブの中へと入っていった。
すると、マカニの本名を呼ぶ男の人がやってきた。 私達の手は、繋がれたままなのに、
『うちの相方。』
と、マカニが紹介してくれて、旦那さんと自己紹介しあった。
彼は、愛想がよくて、礼儀正しかった。
お互いに自己紹介を終えると、マカニが帰ると言う。
私は、またダーリンの所に行き、マカニ見送ってくるねー、と言い残して、マカニ達がクラブの前に置いた車まで行った。
マカニが、窓を開け、その小さい顔を見せる。
マカニは、
『今度こそ、ちゃんと連絡して遊ぼう!』
と言って、素早く唇に、濃厚なキスを残し、またねー!と去っていった。
私は知っている。もし、このまま彼女と付き合えば極上の幸福感を味わえるかもしれないが、その反対に、『待つ』ことしかできないどん底の地獄を見る事も。
彼女は、覚えていなかったけど、初めて会った夜も今夜のような素晴らしい満月だった。
彼女と夫を乗せた車が見えなくなると、私は、携帯を取出し、彼女を電話帳から削除し、メアドを変えた。
勘の良い、彼女なら必ず、気が付くはず。
さよなら、私の愛したマカニ。もう、二度と会わないよ。あなたを愛しているから。
そして、私自身を壊したくないから。
ごめん。愛してるのに…。私は、逃げる卑怯者だ。
169
:
黒い太陽
:2015/01/12(月) 01:57:58 ID:rlmKZg46
【ラストステージ。】
それから、ダーリンと仲良くする平凡な日々に戻った。浮気もしていない。
私は相変わらず精神病を患っているが、とりあえず低いところで安定している。
あれから、大好きなクラブには行っていない。マカニに会うのが怖いからだ。
勿論、マカニからの連絡もない。電話番号は、そのままだったから、彼女はかける事もできたろうけど、そんな事はしなかった。私は、彼女のプライドに感謝する。
決別しといて、またヨリを戻すなんて、昼ドラみたいで、真っ平ごめんだ。
私も彼女も、自分の
『かっこいいやり方』
を貫きたいのだ。だから、もう暫くは、クラブに行く事もないだろう。
そして、彼女もそう思っているだろう。
私は、でも、やはり喪失感が大きく、毎日を息をつめてやり過ごした。
そんな時だった。あの噂が流れてきたのは。
私の耳に入ってきた時には、一週間は経ってたけど。初めは、誰かが面白がって流している噂だとしか思ってなかった。
『マカニが手首を切って、死んだらしい。』
と…。
170
:
黒い太陽
:2015/01/12(月) 01:58:50 ID:rlmKZg46
けれど、何故かは判らないが、数日もすると、足元から、『本当に噂なのか?』ていう疑問が、ざわざわと泡だってきた。
確かめる術は、いくらでもあった。
だけど、現実を知るのが何より怖い。
私はその噂を聞いてから、ずっとマカニとのメールのやり取りを見ていた。
そうだ!人を介さないでも、ここにアドレスがあったんだ!今更だけど、素知らぬ顔して、メアド変えたよー!ってメールしてみようか?
いや、もし彼女が生きていたら、それは彼女の美意識にも、私の美意識にも反する。
万が一、死んでいた場合…あの、礼儀正しい旦那様から代理で返答がくるのか?それとも、放置なのか…。
私には、何も判らなかった。ただ、涙がとまらなくて困った。
彼女の望むラストステージは、こんなものではないはずだ。
派手好きで、人から同情されるのが大嫌いな彼女だったから。
171
:
黒い太陽
:2015/01/12(月) 01:59:32 ID:rlmKZg46
【私の黒い太陽。】
結局、あれから一年経つが、彼女の生死は判らないまま。
誰も、真相を知らない。家族も、引っ越したらしい。
あの、旦那さんはどうしてるのだろう?
私の1000倍以上ショックを受けて泣いているか、違う土地でマカニと笑いあってるか。
もう、それは判らない。 私も、もう真相を探らないよ。
マカニ、この文章全てをあたなにあげる。
あなたは、嫌がるかもしれないけれど。
私があなたにあげられる最後のプレゼント。
大好きだよ、マカニ。
どんなマカニでも。
もう、会う事はないし、会っても絶対他人のふりをするような私達だから、この小説だけの繋がりだね。 でも、それってすごいんだよ?あなたへの愛を綴ったこの世の中で1つの物語なんだよ。いつもの皮肉な笑顔で笑ってよ。
愛してる。愛してる。
鈍く光る私の黒い太陽。 あなたが、生きていると信じて書き上げたよ。
永遠なんて、ないのかもしれないけど、永遠に愛してる。この言葉を最後に、あなたへ。どこかで、あなたが、この物語を読んでいるよう、願ってる。
終
172
:
たんぺんしゅう
:2015/01/12(月) 03:42:01 ID:rlmKZg46
テキスポ執筆分の一冊
ハンドルネーム(ペンネーム)
翡翠
プロフィール
翡翠です。女としての才能はあるかもしれない、ただのあばずれです。
文章は、文才がありません。なのに、書き連ねてしまう、業の深い奴です。
どうぞ、よろしくお願い致します。
概要らしきもの
他サイトで紹介したものを集めたいろいろな要素の話たち。
ショートショート。
私の書きたいテーマはいつでもたった1つなのです。
173
:
たんぺんしゅう
:2015/01/12(月) 03:51:09 ID:rlmKZg46
【***ガーベラの想ひ出*** 】
其の日、彼は30分の寝坊をした。寒い朝というのは、なんでこんなに起きる事が
困難なのか?そんな事を考えながら、ばたばたとクローゼットを開け、
身支度を始める。
今日は、彼にとって大切な日。
大好きな彼女が、自分の住む町にやって来る日なのだ。
楽しみすぎて、遠足前の子供のように眠れなくて、それで結局
寝坊をしてしまった。
『そうだ・・。』
彼は、身支度を整える手を止めて、携帯を見る。
*着信あり。*
の文字。履歴を見ると、彼女から3回ほど電話が、かかっていた。
急いで、折り返し電話をかける。
首と肩の間に携帯を挟み、そう広くない部屋の中をあちこち移動して今日着ていく
洋服たちを、ベッドに放り出す。
携帯からは、今流行のアーティストの曲が流れてくる。
だが、彼女は出ない。
その曲をしばし聞いて、もうこうなったら、駅まで急ぐしかない!
と、彼はそう決めた。
174
:
たんぺんしゅう
:2015/01/12(月) 03:51:43 ID:rlmKZg46
2階から、だだっと、駆け下りる。
誰もいない日曜日の、シンとした静寂の居間を通り過ぎ、
彼は、リーボックの真っ白いシューズを履き、かちゃかちゃと鍵を閉め、
弾丸BOYとなって、走る。
走る彼の口元から、白い息が規則的に流れる。
そして、それは冬の空気に取り込まれ、一体となって何処かへと消えて行った。
家から、駅まで走って10分程度。
いくつか信号があるから、それさえ、うまく繋がっていけば
時間は、そうかからない。
走り行く彼の視界に、小さな可愛らしい幸福の香り漂う花屋が、入る。
咄嗟の思いつきに彼は、花屋に、まさにダイブをするかのように飛び込む。ザブーン。
たくさんの花々が可憐に、美しく咲いている。
彼は、花屋の女店員の、いらっしゃいませ〜、と軽やかな声を聞き終えない内に、
『色とりどりのガーベラばっかりの花束を作って下さい!いっぱいのガーベラを使って。まぁるく。』
女店員は、にこっと微笑み、
『かしこまりました。少々、お待ち下さいね。』
と、言った。
その間にも、彼は彼女に電話をするが出ない。なんでだろ?不思議に思いながらも
『ごめん!寝坊した!電話してくれ!』
175
:
たんぺんしゅう
:2015/01/12(月) 03:52:37 ID:rlmKZg46
と、短いメールを送信した。
けれど、彼女からの返信は、
ない。
『お待たせしました!この様な雰囲気でよろしいですか?』
ふいに、女店員の声が耳に入る。
慌てて、そちらを見ると、赤やピンクや黄色や白のガーベラたちがこんもり,真ん丸く
大きな花束になっている。
英字新聞をアレンジし、リボンもブラウン系を使っていて、更にガーベラの色味が引き立っている。
『いい感じです!!思った以上です!ありがとうございます。』
彼は、会計を済ませ、そっとその花束を受け取ると、もう1度、女店員に
『どうもありがとう!』
と、言った。
女店員は、
『こちらこそ!』
と、ふんわりと笑った。
そして・・・・・
彼は、また走り始める。花束を抱えるようにして。
彼女の大好きなガーベラ。
僕のガーベラは、君だ、なんて気障かな〜と、彼は考えて一人、
走りながら、照れていた。
176
:
たんぺんしゅう
:2015/01/12(月) 03:53:22 ID:rlmKZg46
目前の信号が、点滅を始めた。
いけね!急がないと!!
彼は、横断歩道に飛び込む。車の影すら、感じなかった。
**************************
ポーンと、飛んだのはガーベラのまあるい花束。
そして、彼の身体。
一瞬を、スローモーションの様に彼は、捕らえていた。
そして、自分に降り注ぐガーベラの花びらが見えた。
祝福の様に、彼の身体に降り注ぐ花びらたち。
自分が冷たいアスファルトに、横たわっている事に気がついた彼は
ふと、横を向いてアスファルトに流れる、自分の真紅の血を見た。
『ふふっ。僕の血も、ガーベラに負けない位綺麗だな。ああ、それよりも、彼女に・・・・。』
******************************
ガーベラ達は、見ていた。
彼の最期を。
さっきまで、自分達を見て喜び、大切に抱えていた腕を想い出していた。
彼を想って、ガーベラ達は、その花びらをはらはらと散らし、泣いた。
彼のために、はらり、はらり、と。哀しみに花弁を揺らし。
それが、ガーベラ達の最期の想い出。
誰も、知らないガーベラ達の、想い出。
***************************
177
:
たんぺんしゅう
:2015/01/12(月) 03:57:53 ID:rlmKZg46
【 甘い雨 】
いつもの店で待ち合わせ。彼が、まるで来たくもなかったかのように
30分遅れて、入ってくる。
彼の洋服は濡れていた。
『雨、降ってるの?』
さっきまで、そんな気配すら感じなかったのに。
彼は、ハンカチで、自分の洋服のあちこちを、
せわしげに拭きながら、
『ああ。急に、降ってきてさ。』
と、答えた。
そして、私の隣に座り、バーボンソーダを注文する。
私は、グラスに少し残っているジントニックを飲み干し、
『同じものを。』
と、新たに注文した。
飲み物が、二人の前に置かれ、
『今日も、ハードワークを乗り切った二人に。』
と、私は、笑顔で言って、グラスをあわせた。
だが、彼の表情は、曇っている。
最近は、逢う時に、彼の心からの笑顔を見ていない。
いつも、少し、途惑って笑うか、
口の端を微妙にあげるか、だった。
彼が、唐突に切り出す。
『ちょっと、言いたいことがあって・・・。』
バッドニュースなら、いらないわ。
バッドニュースは、ごめんよ。
と、心で呟く。
178
:
たんぺんしゅう
:2015/01/12(月) 03:58:26 ID:rlmKZg46
『何?何?』
わざと、気丈に振舞う。でないと、この場から逃げ出してしまいそうだったから。
『・・・・・・・・好きな女(ひと)が、できたんだ。』
落ち着け、落ち着け。
『それで?』
私は。悪あがきと判っていても、そう言わずにはいられなかった。
『だから・・・・・別れたいんだ。・・・・・・』
優しい彼のことだから、きっと、今苦しんでいるんだろう。
私は、言うべき言葉を探すことができない。
できない?違う。言うべき言葉は、1つしかないのだ。
『・・・・・・もう、付き合ってるの?』
自分を苦しめるためだけの、切ない質問。
『・・・・・・・一ヶ月前から・・・・。』
フラッシュバックする。急な残業があって、上司に飲みに誘われて
断れなくて・・。そういえば、そうやって、デートのキャンセルが
何回か、あったことを。
『そう。・・・・・・ズルイのね。最低よ。私には、あなただけが
特別なのに。』
責めたところで、どうしようもないことを、知っていても
私の口からは、彼を責める言葉ばかりが、
容赦なく、機械的に出てくる。
彼は、小さな声で
『ごめん。本当にごめん。』
と、言う。
179
:
たんぺんしゅう
:2015/01/12(月) 03:58:56 ID:rlmKZg46
ピアノの音が、やけに遠くに聞こえる。
その優しい旋律すら、今は私の心に届かずにいる。
恋愛は、対等であって、彼に他に好きな女性が出来たことを
責めるのは、絶対に、間違っている。
彼の、心から、私ははじき出され、今は違う女性が
その心を占めている。
そう、それは、仕方のないこと。
沈黙で、押し黙る2人。ピアノの音も、囁くように話す、
人々の声も、全てが、なんだか作られたもののように感じる
私は、これ以上、卑屈になりたくなかった。
彼との別れをを受け入れるしかないのだから。
ならば、最後は、毅然としていよう。
『ごめんなさい。私、あなたのこと、本当に愛しているの。
特別に想っているの。それなのに、あなたばかりを
責めてしまって・・。』
彼は、無言で俯きながら、私の言葉を聞いてくれている。
『ありがとう、なんて言う気には、まだなれない。
だけど、私は、あなたの前で涙を見せたくないわ。
・・・・・・・・・・・さよなら。・・・・・・・・』
そして、急いで席を立ち、店を出る。
嗚呼、そう言えば雨が降っている、って言ってたっけ。
雨は、私に容赦なく降り注ぐ。
私の涙を、隠すように。
今日の雨は、悲しみでできているけれど、
いつか、甘い雨の中を、笑顔で歩こう。
甘い雨が、私に降り注ぐのを待とう。
泣きながら、そう願っていた。
180
:
たんぺんしゅう
:2015/01/12(月) 04:05:01 ID:rlmKZg46
【 さよならまでの距離 】
偶然だった。ううん、仕掛けたのは、私だったのかもしれない。
あなたは、ずっと、私を好きだった、と言った。
私も、彼のことが大好きだった。
あれから、もう10年も経つというのにね。
あの時は、あなたが結婚をしていて、今は私が結婚をしている。
それでも・・・・・
ゆっくりと、昔の時間が流れ出した。それは、どうしようもなくて、
私にも、あなたにもどうすることもできなかった。
ゆったりと、静かな音楽の流れるお店で、
少し、はしゃぎ気味に、しゃべる二人。
しゃべることは、昔話と、仕事の話ばかりで、
近づきすぎるのが、怖かった。
だけど、その時間は、きてしまった。
甘い蜜を二人で味わった。
何時間も、何時間も。
二人は、それの虜になった。
秘密の部屋で、秘密の行為を行うことが、悪いことだと
思えなかった。
愛する人と、一緒に持つ秘密は、キラキラと眩かった。
眩かったのに・・・・・。
あなたは、罪悪感に耐えられなくなる。
罪悪感が、あなたを支配していたことを知っていたけど、
この秘密を、あなたを、この手から離すのが
出来なかった。
そ知らぬ顔をして、禁断のジューシィーなフルーツを
貪っていたの。
ごめんね。知っていたのに。ごめんね。
もうすぐ、あなたは、いなくなる。
容易に逢えない場所。、私ではない、女の人を連れて行く、と
言った。
でも、それでいい。それしかない。
私達の進む道は、別れ道しかなかったのだから。
あなたとの、秘密の宝物を宝箱にしまい、鍵をかける。
そして、土深く埋めて、葬り去ろう。
明日から、また何食わぬ顔して、笑っていよう。
あなたと、あなたが選んだ女性のことは、
綺麗さっぱり、忘れよう。
最後まで、私を愛してくれたままの、あなたで行って欲しかった、
なんてことは、私は、言わない。
心の中で、叫ぶだけ。
ありがとうは、まだ言えない。
言える時には、もうあなたはきっといない。
だから、永遠にあなたにありがとうは、言えない。
さようなら、としか言えない。
181
:
たんぺんしゅう
:2015/01/12(月) 04:10:26 ID:rlmKZg46
【 神様のお帰り。】
その日の彼女はとても落ち込んでいた。
ざわめくキャンパスのたくさんの人間のさざめく声、笑い声
そんな中、2人は無言で歩いていた。
彼女の落ち込んでいる理由は、僕にしたらそんなに大したこととは
思えなかったが、真っ直ぐで純粋な彼女を黙らせるには、十分な
理由となるのだろう。
なんて言っていいのか判らない。
僕らは、とぼとぼと大学を後にし雑踏の中に出た。
街は賑わい、そして急かすように、もうクリスマスの飾り付けを
している店もある。
猥雑な人々の声のノイズを聞き流し、もう夕方ともなると
めっきり寒くて、僕は首をすくめる。
横にいる彼女も、やはり寒そうだ。
どこか店に入って夕食を取ろうか、と彼女に言いかけた時
夕焼けの赤さがなんだか妙に、気になって空を見上げた。
『あ、神様のお帰りだ!』
思わず言ってしまった。なんて、懐かしい響きだろう。
昔は毎日のように、空を見上げ神様のお帰りを
見つけるのに、必死だったというのに。
何故か、今日、僕はそれを偶然に目にし、その懐かしい
言葉を発した。
さっきまで押し黙っていた彼女が、僕に訊ねる。
『神様のお帰り、って何?』
それはね・・・・・と僕は彼女に説明を始める。
夕暮れ時の、もう少しで、日が落ちるという時に
たまに、雲の途切れたところがあって、そこから
キラキラと光が射している。
その光は神様が天に帰る時のもので、それを
『神様のお帰り』と言うんだよ。
その僕の説明を彼女は無邪気に喜んだ。
『素敵だわ!じゃあ、私達は、今神様が天国に帰るところを
眺めているのね!!』
『そうだね。僕らは今、一緒に神様のお帰りを見ているんだ。』
『でも・・・・・』
躊躇いがちに彼女は言う。
182
:
たんぺんしゅう
:2015/01/12(月) 04:10:57 ID:rlmKZg46
『たまにしか見えないって事は、神様は毎日お家に帰れないのかしら?』
そうか。そう言われてみればそうだ。美しく一条の光が雲の隙間から
見えるのは、稀な事だ。
僕も、彼女もそのことについて考え込む。
光はもう短くなっていて、神様はもうすぐ家路に着くのだろう。
『これは、あくまで僕の考えなんだけど・・・。』
本当に我ながら、稚拙だと思うような考えだったが
そうとしか考えられなかった。
『何?どんなことでもいから、教えて?』
よかった。彼女はすっかり、いつもの調子を取り戻し、
笑みさえ浮かべている。
『神様はね、あちこちでいろんな人を助けたり、なんらかの形で
導いたりしてて忙しいんだよ。だから、一生懸命働いて、働いて
くたくたになるんだ。それがどれ位の期間でくたくたになるかは
僕にも判らない。だけど、疲れすぎたら皆に幸せを振りまく力が
弱くなってしまうから、たまーに帰って休息を取るんだよ。
そして、休息が終わったら、また地上に降りてきて
君や僕や、この雑踏で足早に歩いてる人達、みんなに
幸せを振りまくんだ。』
彼女は僕のその、まるで小さな子供が考え付くような事を
真剣に聞いていた。
そして、また空を見上げた。
神様は、もうお帰りになられたようで、夕闇が迫っていた。
僕らは、今日神様のお帰りを偶然目にして、
こんなにも幸せな気分になっている。
『ゆっくり休んで下さいね。神様。』
僕と彼女は、人々が行き交う雑踏の中で神様に感謝していた。
今日、神様のお帰りを見た人間は何人いるのだろう。
携帯を片手に取引先だろうか、頭を下げながらしゃべっている
中年太りの男性。
タイトなスーツに身を包み、ヒールをこつこつと言わせ、
どこかに急いでいるキャリアウーマン風の若い女性。
集団で、声高くしゃべりながら通り過ぎて行く制服の女の子達。
たくさんのたくさんの人々。
全ての人々に、神様の幸せが届けばいいな、と僕は
いつになくそんな気持ちになった。
だから・・・・・これからは前ばかりを見るだけでなく、たまには
空を見上げようと思う。
彼女と一緒に、空を見上げて少しばかりの時間を
空想に使うとういのは、とっても贅沢で素敵な事だと
僕は思う。そう彼女に伝えると
『それ、すごくいい。』
彼女のぴかぴかの笑顔が光った。僕らは幸福に包まれていた。
神様に感謝するのも、悪くない。
183
:
たんぺんしゅう
:2015/01/12(月) 19:52:47 ID:rlmKZg46
【 からっぽ 】
その日は、日曜で彼女は昼前に、けだるい身体をベッドから起こした。 彼女の部屋は、ひどく散乱していた。
1人暮らしで2LDK、という広い部屋に住んでいる彼女は
商社に勤め、給料も良く、眺めの良い、このマンションの
一室に暮らしていた。
けれども、彼女は、お給料を全て買い物につぎ込んでしまい、
毎月、何枚かのカードの請求の支払い、家賃、光熱費を
支払うために、またキャッシングして・・・という
自転車操業的な事を続けていた。
表参道、銀座、青山、なんて魅惑的で、刺激的な街なのだろう!
と、彼女はいつも、感嘆にむせぶ。
彼女の好物のブランドショップやセレクトショップに入ると
もう、手ぶらでは出てくることができない。
ショップ店員の巧みな話術と、その高級な場所で試着する
高級な洋服は、彼女をも、とても高級に見せた。
まるで、ちょっとしたお金持ちの女になった気分で、
ついつい、カードで購入してしまうのだ。
初めは、良かった。給料の範囲内で、カードの支払いは
スムーズにできたし、家賃や公共料金を支払わずに
溜める人間を信じられない!と思っていた。
ところが、どうだろう。
1年もすると、家賃は溜めずとも、公共料金の支払いが、
遅れがちになっている。支払いたくても、お金をキャッシング
しても、追いつかなくなってきている。
彼女は、とても焦っていた。じりじり、じりじりと。
初め、セレクトショップで選んだ洋服を着ていった時に
周りからとても好評で、それがとても嬉しかった。
ただ、それだけだった。
どんどんエスカレートしていき、1年も立たないうちに
会社でも『お洒落な女性』と誰もが、彼女を認めていた。
彼女自身もそれを知っていたので、皆の抱く偶像の
『お洒落な自分』を守るために、カードを何枚も駆使して
頑張ってきたのだ。
洋服ばかりではなく、メイク用品も新作が出れば購入し、
トイレで皆でメイク直しの時にさりげなく、それを出す。
そうすると、皆が
『わーーーっ!それ○○の新色ですよねーーー!』
と、騒ぐ。彼女は、自慢げにならないよう、用心しながら
『これとこれと、あーっと、これと、これも、予約して
買ったんだけど、すごいいいわよ。』
と、他のアイテムも皆に見せる。
肌も週1のエステに通い、高級基礎化粧品をラインで
使っている。
努力をすればするほど、お金がかかり、でも、それと
比例して、彼女は拍車が掛かるように垢抜けていった。
184
:
たんぺんしゅう
:2015/01/12(月) 19:53:25 ID:rlmKZg46
でも・・・・ それが・・・・・・・・このざまだ。
収納には洋服が全部入りきらず、あちこちに山積みになって
、 もしくは、カーテンレールに高級な洋服がかかっている。
メイクアイテムは、もうぐちゃぐちゃで、毎朝アイテムを探すのに
必死だ。新製品だけは、全部会社に持って行く、ポーチに
収まっていたが。それでも、まだ新品といえるものが、
たくさんあった。
彼女は、モノが、ごちゃごちゃと氾濫している部屋に佇んで
自分の足元に目を落とす。
どこも、ここも、洋服だらけだ。
彼女は、考える。無理せず、楽しく買い物していた頃は
とうの昔に過ぎ去ったことを。
途中からは、周りの評価にあわせるために、周りのために
買い物をしていた自分。おだてられ、毎月、必死になって
返済に追われる自分・・・。
こんな女性になりたいわけじゃない。
身の丈を無視して楽しくもなく買い物をし、周りの声に左右され、せっかくの綺麗な部屋を
乱雑にして・・・・。確かに、自分は外見は綺麗になり、そして垢抜けた、と我ながら思う。だけど・・・・これが、本当に望んでいた自分なんだろうか?
彼女は、ぎゅっと唇を噛み締める。
私は、こんなにモノがあっても、からっぽだ。
モノがあれば、ある程、私でなくなっていく。
からっぽになっていく。モノによって、綺麗になっているだけで、
一皮向けば、カードやいろいろな支払い・返済に追われているだけの女だ。こんなの、本当の綺麗じゃない。薄々は感づいていたのだけど、
知らないふりをしてきた。でも、限界だった。何もかもが。
こんなのは、嫌だ。
彼女は、もう1度声に出して半ば、叫ぶように言う。
『こんなのは、嫌だ!』
乱雑な部屋を、まず、どうにかしよう。
日の良く当たるこの部屋に、もっと光を、美しい、空気を!
彼女は、この休日、乱雑な部屋を汗まみれになって綺麗にし、乱雑な洋服を、着る物、着ない物に分け、要らないものはどこかに売りに行こう!最低限、いるもの、気に入ってるものだけに囲まれて、身に着けて生きよう! 彼女は、乱雑な部屋を何時間もかけて、綺麗にした。
たくさんの、いらなかったもの、洋服、靴、バッグが合った事に、
そこで初めて気がつく。
彼女の、この決意が、彼女が部屋を片付けるという行為が、
彼女を変えた。彼女の心の止まっていた流れを、再度
動かした。彼女の中の澄んだ水が、流れ始める。
そして、彼女は、今度こそ、楽しくショッピングができる、
本物の大人の女性になっていく。要る物とそうでない物を自分で判断し、無駄な買い物をせず、毎月の月末を
余裕を持って過ごせるようになるのだ。
からっぽの彼女は、もうどこにもいない。
綺麗な光いっぱいの美しい部屋で、くつろぐ彼女の微笑みは
十分に、満たされた者のそれであった。
185
:
たんぺんしゅう
:2015/01/12(月) 19:54:37 ID:rlmKZg46
【 美しい私の彼女 】
彼女のことを形容する時、誰もが
『美しい』 『綺麗』という表現をする。
確かに、彼女は美しいけれど、それだけではない。
彼女は、長い手足と、形の良い胸と、甘い香りのする
『それ』を持っている。
知っているのは、今は、私だけだ。
私と彼女は、現代的すぎるネットの世界で出会った。
たまたま近くに住んでいて、今度逢おう、等とメールで
やり取りをしていた。
それが、偶然にも、とあるイベントで出遭ってしまったのだ。
彼女が、私の名前を呼ぶまで、私は彼女に気がつかなかったのに、
彼女は気がついてくれ、そして、私の名前を、高く細い声で
呼んだ。
一目で、恋に落ちた。 ・・・・・彼女も幸い、同じ気持ちでいてくれたようで、私達は、頻繁に逢うようになり、
彼女から
『付き合いましょう』
と、言われた時、私は、それが当たり前かのように頷いた。
そして、闇に乗じて、そっと、お互いの唇に唇を重ねた。
小鳥が、そうするように。
お互いの部屋を行き来するようになり、私達は
たくさんの秘密を共有するようになった。
秘密というのは、なんで、こんなに楽しいのだろう。
美しい彼女とは、部屋でゆっくりする時も、ショッピングを
楽しむ時も、美味しいものを食べる時も、いつも一緒にいた。
笑っても、泣いても、怒っても、彼女がいればそれは全て薔薇色だ。
彼女は、たまに
『いつまで、こうして一緒にいられるのかしらね?』
と、微笑みながら、私に聞く。私は決まって
『ずっと一緒に決まってんじゃん。』
と、言う。 けれど、お互いに知っているのだ。
こんなに完璧に幸せな日々が永遠に続くことがないことを。
そして、完璧に幸せなまま、終わりたい、と
願っていることも。
だから、1日1日を祈るように、今、美しい彼女と過ごす。
私の美しい彼女は、きっと、永遠に美しい。
186
:
たんぺんしゅう
:2015/01/12(月) 19:56:46 ID:rlmKZg46
【 *** あたしについて *** 】
あたしについて。
あたしの母親は、あたしが小さい頃、とても美しい女だった。
艶やかなロングの髪をなびかせ、小さな顔の中のパーツは
それぞれが整っていた。
父親は、ろくでもない男で、母親と結婚するまでは、
母親と同じ職場の、チーフという立場にいて、
母親を優しくフォローしていたらしいが、結婚してからは
本性を丸出しにし、ろくに働かない男に成り下がった。
そんな2人から、あたしは産まれた。
そうして、暫くすると、弟が産まれ、あたしは、
嬉しかったのを覚えている。
あたしの家は父親がろくろく働かず、毎晩飲み歩いていたので
子供のため、自分の夫のため、母親はぶっ倒れるほど
働いていた。
なので、物心つく、3歳の頃から、あたしは、いつも夜は
1人だった。
自分はだらしないくせに、他人には厳しい父親は
あたしの躾にも厳しく、夜21時以降テレビをつけておくのを
禁止した。 冷蔵庫のモノを勝手に食べるのも禁止されていたが
そちらは、問題がなかった。
何故なら、うちには盗み食いする余分な食べ物なんてなかったから。
そんな生活の中でも父親と母親はSEXをしていたらしく
弟ができた。
これで、夜1人じゃない!と、5歳のあたしは喜んだ。
が、今、思えば当たり前だが、夜、よく泣いた。
5歳のあたしは、何もできず、ただただ
『早く、泣くのが終わりますように』
と、神様にお願いしていた。
きっと、弟は、おむつをぐしょり濡らしていた夜も
お腹がすいてどうしようもなかった時も
そうやって、泣きながら、泣き疲れて眠りに
ついていたのかもしれない・・・。
弟は4歳になっても、しゃべらなかったが、
あたし達はたった2人の、恐ろしい夜を共有する仲間として
とても仲がよかった。
************************
そうやって、過ごしてきたがとうとう、父親が借金を膨らまし、
母親の実家に、結婚をとても反対していた実家に、
金の無心をし、精算した。
残念な事に母親の実家は、金持ちだった。
それを機に、母親の田舎に引っ越すことになったが、
当然、父親はついて来ないと思っていたが、厚顔無恥な彼は
何食わぬ顔をして、ついてきた。
187
:
たんぺんしゅう
:2015/01/12(月) 19:57:27 ID:rlmKZg46
*********************
田舎での生活も、そう変わる事はなかったが、あたしは、もう
1人でも気楽に過ごせるようになっていったし、父親のご機嫌を
伺う生活に、飽き飽きして、彼に横柄な態度を取るようになっていた。
**********************
高校卒業と同時にあたしは、大阪に出た。
もう、父親のいる生活なんて、まっぴらだった。
大阪ではやり放題で、彼氏を何人も作り、毎晩ミナミに
友達と、繰り出しては酒や食べ物奢ってもらい、
今更、処女でもなかったし、タイプの男とSEXしたりを
繰り返していた。
楽しい毎日だった。 ・・・・・・・だが、あたしにはあたしが幼い頃から
まとわりついてる、厄介な病気があった。
精神的な病気で、不安神経症、パニック障害、買い物依存症、躁鬱、
アルコール依存症、等など。年々、病名は増えていった。
しかも、あたしは、何故かだらしない男ばかりを好きになり、
身体を売って、男を養うようになっていた。
これでは、駄目になる、と心配した同郷の友達が母親に
あたしには内緒で電話をし、あたしは、結局実家に
連れ戻された。
それからも、あたしは、出鱈目に結婚したり、浮気を何回もし、
当たり前だが、離婚をされた。
それでも、あたしは、男とやりまくっていたし、毎晩取り巻きを
連れて、散々遊びまわっていた。
********************
そんな、壊れたあたしなのに、10歳年下のとても、格好の良い
男性にプロポーズをされ、再婚にいたった。
が、入籍はせずに、式だけあげた。いわゆる事実婚だ。
離婚するときに、面倒な事がたくさんあるのを
知っているあたしは、入籍はごめんだった。
それでも、彼はあたしと結婚をした。
穏やかな生活が続く中、あたしは、毎日病気による
自分の心の変化を、なんんとかするのに必死で、
彼もあたしを、一生懸命、守ってくれている。
*************************
彼を愛している。それは、もう揺るぎようがない真実だ。
でも、あたしは知っている。 また、彼ではない、他の男と
寝ることを。それは、もう、きっと決まっている事のようで、
あたしは、待っている。
その時を。
これが、あたしなのだ。ろくでもない女。
結局、あたしは、あんなに嫌っていた父親の血をしっかり
受け継いでいる、と自覚せざるを得ない。
あたしという女は、だらしのないろくでもない女だ、
という事を、1番知っているのは、きっと、あたしだ。
あたしは、このまま、ゆらゆらゆれ続けるだけなのだろう。
188
:
たんぺんしゅう
:2015/01/12(月) 19:58:38 ID:rlmKZg46
【 硝子の靴。〜シンデレラはいなくなった。〜 】
その夜、僕はすごく酔っ払っていて、でもまだ家に帰りたくなくて、
繁華街の、路地を徘徊していた。
次は何処の店に行こうか・・・。
と、悩んでいるとゴミため場で、座り込んで何かを
しているらしい、人間の姿が、見えた。
酔っ払っているからか?幻想か?
そう思いつつ、少しの恐怖心、と少しの野次馬根性で
そこに、ふらふらと近寄って行った。
近寄って見てみると、その『人間』は、まだ若い、20代前半だろうか?? やけに着飾った女だった。 まるで、どこかの
貴族のパーティーにでも行くような格好をしていた。
薄明かりに、ぼんやりと見える横顔は、とても整っていて
明るい所で見ても、きっと美しい女なのだろうと僕は思った。
酔っ払っている僕は、彼女の美しさと、その余りにも豪奢な衣装に
驚き、見とれ、ぼーっと彼女を見ていた。
彼女と僕の距離はいつの間にか、近づいていた。
と、いうか僕が近づいて行ったからだろう。
彼女、暫く無言だったが、急にイラついた声で
『ぼっとしてないで、一緒に探しなさいよ!』
と、怒鳴った。僕は驚いて、慌てて彼女に聞いた。
『一体、こんな所で君は、俺に何を探せと言うんだ。大体、その格好はなんだ?こんな所に何かを落とすって、なんなんだ?!僕はただの
通りすがりで君とは何も関係ないのに、何かを探せと言うのか?』
僕は酔っ払っているはずなのに、勝手に口が動き始めた。
ちょっとイカレタ女なのか?
だけど、僕は、気がつくと、その場に座り込んで
彼女と一緒にゴミを漁っていた。
また、唐突に
『硝子の靴よ。』
と、彼女は今度は、笑顔になって言った。
益々、僕の中で疑問は深まった。
硝子の靴?こんな場所に?
『こんなゴミために、硝子の靴を落としたのかい?』
『・・・・・・ここじゃないかもしれない。でも、ここかもしれない。だから、
探すの。』
いつの間にか手は真っ黒で洋服も勿論、生臭い香りといろんな
何か考えたくもないようなモノが張り付いていた。
彼女も同じようなモノだった。
それでも僕らは、無言で探し続けた。
だけど、僕は酔っ払っていたからかもしれない。
必死に頭の中で
『硝子の靴、硝子の靴、硝子の靴・・・・・・』
と、唱えながら、いつの間にかゴミために
身を沈めて、意識が遠のいていった。
気がつくと、朝で、豪奢で美しい昨夜の彼女の姿はなかった。
夢だったのか?僕は、酔っ払って、ここで眠ってしまい、
夢を見ていただけだったのか?
手の中に何かがあるのを感じた。握り締めた手を
まだ、覚めやらぬ頭の中、開いてみた。
そこには、紙を適当にちぎったようなものがあり、
何か、小さく細い字で書かれている。
僕は、それに顔を近づけ、その文字を読んでみる。
『本当は、硝子の靴なんて、ないのにね・・・・・・ありがとう。』
僕は、その紙に書かれている、彼女の言葉に
心が痛くなった。彼女の文字からは、どうしようもない淋しさが、
発せられていた。
**************************
彼女の硝子の靴、とは何を意味するのか、今でも僕は
考えている。
何処にもない硝子の靴を彼女は今夜も何処かで
探しているのだろうか。
僕は、彼女と硝子の靴の事を考えて、少しだけ、泣いた。
189
:
たんぺんしゅう
:2015/01/12(月) 19:59:40 ID:rlmKZg46
【 想ひ出と、想ひ。 】
昔、私が中学生の頃から、ひょっとしたら、もっと前からかも
しれないが、夕飯の食卓には、いつも父親のためにだけ
作られる小鍋があった。
それは、ただの湯豆腐の時もあったし、鳥鍋や、寄せ鍋の時も
あり、様々だった。
私も、弟も口には出さなかったけれど、鍋は大好物で
父親にだけ出される鍋が、とても羨ましかった。
父親は、おかずにうるさく、他の家族とおかずに差をつけることで
父親の威厳みたいなものを、象徴したかったみたいだった。
それは、おかずだけではなく、何かにつけては威張り散らしていた。
なのに、外では、異様に人に頭を下げ、ぺこぺこして、お辞儀ばかりしていて、その嘘くささは、絶対に相手にばれていたと思う。
父は上辺を取り繕って、自分を良く見せることに専念していた。
外面が良い人は内弁慶である・・・・ということが多いが
父親も、まさにその通りの人間だった。
自分の子供だろうが、容赦はなかった。
だけど、父は、いつもその小鍋の豆腐や鶏肉等を、
ほんの少しだけ、私達、姉弟に分けてくれた。
父はその小鍋の中身を『分け与える自分』が、好きだったのだ。
いつも、『やるぞ。ほら。』と、優越感に浸った声で言っていた。
何年間も、父の小鍋は夕飯の食卓にあがった。
そして、私達は、それを分けてもらって食べていた。
けれど、月日は流れ、高校を卒業し、就職した私は
自分で、好きな日に鍋を、食べられるようになった。
時には、彼氏と一緒に。時には、友達数人と賑やかに。
それは、小さいことだけど、私が自由を手に入れた証でもあった。
それから、数年。私は、田舎に戻ってきた。
父と母は、離婚をしていた。
私は、父を少なからず、いろいろな事で憎んでいたので、
なんとも思わなかった。
だけど、母親に、大皿を出して欲しいと頼まれて
食器棚を、探していたら、父の使っていた、あの小鍋が、
出てきたのだ。
あの時、あんなにこの小鍋の中身を欲しがっていた
自分を思い出す。
そして、たかが、小鍋でしか父親の威厳を表すことの
出来なかった父を、少しだけ可哀想に思った。
家族にまで、見栄をはっていた彼を。
今、父がどうしているかは知らないが、
この小鍋を持って行かずに困っていないのだろうか、
と、考える。
190
:
たんぺんしゅう
:2015/01/12(月) 20:02:12 ID:rlmKZg46
【 蜜月・秘密・蜜の味 】
10年という長い年月、愛しながらすれ違い続けた人がいたわ・・・・・・。
星空が180度、あたし達を囲む、小高い丘で、
彼の車の中で、清潔で無臭な彼の香りを
感じながら、KISSをしたの。
そして、彼はそのまま、あたしの座席のシートを倒し、
あたしの真上に、来たわ。
星達は、見ていた。あたし達が折り重なる姿を。
彼は、それに飢えていたのではなく、愛に飢えているのが
あたしに、伝わってきた。
彼の吐息と、あたしの小さな喘ぐ声は、1つになっては
消えていった。
あたしを、揺さぶる彼は、悲しいほど美しかった。
男と女である限り、これに辿り着くしかなかった。
あたし達は、逢うたびに、ホテルに行ったわ。
彼の、どんな要求も、あたしは、受け入れた。
それで、彼の心が少しでも満たされるのなら。
一時の、玩具に、あたしは、なった。
ある日、それは突然で、悲しむ間も、憎む間も無く
彼は、結婚をした。
それは、もう、何年も前から決まっていた事で、
家柄の固い、彼に課せられていた使命だった。
あてつけのように、あたしは、その数ヵ月後、彼の友達の男と
結婚したの。
馬鹿な女、って言葉がこんなに、しっくりくるのも珍しいわよ?
なのに、彼はたった数ヶ月で離婚したの。
そして、あたしが、結婚しているのを知っていながら
あたしを呼び出す。
誰にも、知られてはいけないあたし達の関係を
なんて、呼べば良かったのだろう。
彼は、以前よりも、あたしを求めた。
何度も、何度も、深く、深く。
あたしと彼は、そうやってしかお互いの気持ちを
確認できなかったわ。
愛、なんて言葉は薄っぺらくて使えなかった。
出鱈目に結婚したあたしも、数年後、離婚した。
それでも、彼とはそのまま続いていた。
お互いの、悲しみを快楽に変換することを、やめはしなかった。
けれど・・・・・あたしも、彼も、逢うことをやめたの。
それは、どちらが言い出したわけでもなく。
そうして、あたし達の10年は、幕を下ろしたわ・・・・・。
あたしは、今度はちゃんと『愛している』という言葉を
使える、優しくて、可愛い人と結婚をした。
そして、甘ったるいミルクのような生活を送っている。
彼も、再婚したと、知り合いから聞いた。
彼の、新しい妻の名前は、あたしと同じ名前だった。
ただの、偶然に決まっている、と思いながらも
あたしは、切なくてただ、あの星空を、あの時の彼を
思い出していた。
蜜の味を、二人で共有していた彼との想い出は
一生、あたしから離れていくことは、ないの。
191
:
たんぺんしゅう
:2015/01/12(月) 20:02:56 ID:rlmKZg46
【 あとがき 】
☆あとがき☆
以前から発表していた作品を短編集として
まとめてみました。
拙い文章で、申し訳ありません。(-_-;)
それでも、読んでくださった皆様、ありがとうございました。
とびきりの愛を込めて。 LovE Ya!!
192
:
たんぺんしゅう
:2015/01/12(月) 20:14:05 ID:rlmKZg46
※補足※
>>2-7
アンダーグラウンド(2008?)
モバゲー発表以前の未完の作品です
同じく未完の作品(高級娼婦・花びらを探す、元スーパーモデルなロシアンハーフ・カートさんが主人公の探偵モノ)は保管していません
>>8-148
ノンフィクション(2008)
>>150-171
黒い太陽(2008)
モバゲーで発表されたケータイ小説です
>>172-191
たんぺんしゅう(2007)
テキスポで発表された小説です
193
:
マタコさんを遠くから見守る会会員No.774
:2015/01/13(火) 01:47:05 ID:LDbLp6/I
憂鬱な不倫恋愛〜精神患者のあたしと誰か〜
私小説とフィクションを織り交ぜた私小説。
※マリア名義で執筆されたブログ小説
画像掲示板に一部キャプションあり
ttp://ip1.imgbbs.jp/read4/niya/2/22/
194
:
憂鬱な不倫恋愛〜精神患者のあたしと誰か〜
:2015/01/13(火) 01:48:39 ID:LDbLp6/I
【不倫恋愛】
出会わなければ、良かった、出会うのが遅すぎた。
そんな事はいくらでも言える。
だけど、そんな陳腐な言葉を使うほどには、あたしは、腐ってない。
好きだから、好き。
理屈もいらないし、いつの間にか恋に落ちたなんて、言ってみる。
*****************
あたしは、未入籍だけど一応、夫、という立場の人間がいる。
勿論愛している。尊敬している。
そして、あたしは、精神の病気を患っている。
リスカは常習犯だし、薬の乱用も、日常茶飯事。
夫は献身的に、あたしのケアをしてくれる。
だけど、男性としての魅力で愛している、と言うより身内として愛している。
もう1年以上はSEXはしていない。する気なれない。
する気になれない事をあたしはできない。
**************
そんな日々の中、昔の彼氏に出合った。
食事を一緒にしたり、カラオケ行ったり。
先日、カラオケの後、夫が迎えに来てくれる間
表で人目から隠れるように、2人で隣同士で座っていろいろ話した。
そして、その話の延長のように自然にKISSをした。
それは、とても甘く罪の味がしてあたしを興奮させた。
そのままベッドにいってやりまくりたい、と口には出さねど
2人ともそう思った。彼の柔らかい舌があたしに差し込まれて、あたしは
身体の芯から痺れた。受け入れて、あたしも彼の下にあたしの舌を絡めた。
だけど、時間がなさすぎた。
だから、あたし達は例えそれが一時のものだとしても、何回も
KISSを交わした。
2人の煙草の味が混じって、とても美味しかった。
バターになってとろけるような切なくて素敵なKISSに
あたし達は夢中になった。そのまま、たったまま挿れて欲しかった。
彼の硬いものをこの、柔らかい身体に感じていた。
***********
でも、如何せん彼は忙しすぎて、なかなか逢えない。
逢いたいのに逢えない。
あたしは欲張りだから夫も愛しているし、彼も愛している。
それは、比べようがない。
そして、あたしにはもう1人彼がいる。
*この文章の著作権は私マリアに属します。*
195
:
憂鬱な不倫恋愛〜精神患者のあたしと誰か〜
:2015/01/13(火) 01:50:44 ID:LDbLp6/I
【Kとあたし。】
昨夜の電話の内容をやっぱりあたしは、あんまり覚えていなくて
でも、なんだか良いこと聞いたような、幸福感の余韻があった。
昨夜はKとも、メールのやり取りをした。
やっぱり、うろ覚えだったけど、メールチェックをして読み返した。
Kとも、Dとも、あたしはSEXしていない。
SEXしてしまうと、何故だか気持ちが萎える事が多いから。
でも、その場になったら、きっとお互いを貪りあうのだと思う。
何度も何度も、求め合うのだと思う。
SEXしていない今は、恋人達とSEXをしたい、と思うあたしがいる。
それが、いつ来るのかあたしにも、判らない。
**********************************
Kは、いわゆる『S』だ。それは、初めて逢った時に感じた。
初めて逢ったときは、仕事関係だったのに、彼をそんな目で見ていた
あたしは淫乱なのだろうか。
付き合い始めて、KISSもしない、それどころか手すら握ったこともないのに、
Kは、写メで、あたしにいやらしいポーズを送ることを要求してきた。
あたしは、断った。
だけど、次にきたメールが命令口調で、あたしは、M女だから、
その言葉だけで、いってしまいそうで、彼の要求通りの
恥かしいポーズの写メを言われるがまま何枚も送った。
開いて、舐めて、服従するあたしを、何枚も。
彼は
『良い子だ。すごい可愛いよ。』
と、褒めてくれた。嬉しかった。
あたしは彼との擬似SEXに溺れている。
でも、それだって、いつ、あたしが、彼が飽きるか判らない。
それに、もうこれ以上、送るべきいやらしいポーズが、ない。
彼は、あたしの身体の全てを見ている。
彼の声を聞くだけで、あたしは濡れた。
その内、テレフォンSEXでもするのだろうか。
遠距離のあたし達には、実際に交わることが難しい。
でも、彼はきっと、『それ』をしにくるはずだ。
彼の欲求も、きっと限界に近い。
あたし達は、お互いに求め合っている。
*この文章の著作権は私マリアに属します。*
196
:
憂鬱な不倫恋愛〜精神患者のあたしと誰か〜
:2015/01/13(火) 01:56:50 ID:LDbLp6/I
【もう1人の彼と、やるせない出来事。】
あたしには、もう1人の彼がいる。
だけど、その彼は、また、とっても忙しい人で、会う暇が全くない。
あたし達を繋ぐ細い線は、メールと電話。
彼が、どれだけあたしを彼なりに愛しているかをあたしは知っているし、
どれだけ彼が忙しいかも、勿論十分に知っている。
だけど、お互いの身体を触れ合いもせずに、続けていく自信が
あたしには、ない。
なぜなら、あたしは躁鬱でパニック障害を患っている女だから
躁の時はいいけれど、鬱の時は、もう自分でもどうしようもない。
心に広がる闇と不安があたしを覆い尽くす。
あたしは、その闇の住人になり、闇に服従姿勢。
だけど、2人の恋人達は、そんなあたしの状況を知らず終いで、
傍にいてくれる事なんてない。
彼達の名前は、Dと、Kと称しておく。
全くプラトニックな彼をD。
甘いKISSを交わした彼はK。
けれど、あたしを最も愛してくれているのは、この2人ではない。
あたしを心から愛してくれているのは、夫だけだ。
恋人達にとって、あたしは、彼らなりにあたしを愛してくれていると
理解しているが、心は曇るばかりだ。
なんで、こなにも慈悲深い夫だけで、あたしは満足できないのだろう。
罪悪感が募るばかりなのに、恋人達と切れることもしない。
恋人達と切れると思うと胸が苦しくなるからだ。
だけど、これは擬似恋愛だと知っているあたしがいる。
2人とも、恋愛至上主義ではないし、
あたしの求めているものや、言葉や、行動全てが彼らは判っていない。
こうなってくると、恋人でも、なんでもないような気にさえなってくる。
リスカ常習犯のあたしが、久しぶりにリスカをしてしまい、
『やってしまった。』
と、2人の恋人達にメールを入れたが、Dからは怒られ、Kからは真夜中
短いメールが1通届いただけだった。
Dには、前々から
『なんかあったらなんでも言え。辛かったらなんでも言え。』
と、言われていたから言ったのに、物凄い勢いで怒られてそれがあまりにも
傷つく言葉の羅列だったから
『優しいのは逢ってる時だけなんだね。』
と、メールを返したら、
『俺にはもう無理だ。さいなら。』的なメールが入ってきた。
あたしは、それを見て何回もメールをし、何回も電話をしたが、
Dがそれに応えることはなかった。
やるせない気分があたしを襲って、睡眠薬をたくさん飲んだ。
だけど、あたしの貰っている睡眠薬では死ねないのだ。
病院のドクターが、睡眠薬自殺を図ろうとしたあたしに
『死ねない』睡眠薬を処方したからだ。
次の日、目覚めたらだるくて、何をする気も起こらずメールチェックだけはしてみた。
Dからメールが入っていて
『昨日は無視じゃなく、寝てただけ。まあ、なんでも、ほどほどにしよう。
なるようになる。』
と・・・・。これって、都合のいい女でいてくれって、思ったあたしは
勘繰りすぎなのか?
とりあえず、夫がいなかったので電話をした。
少し話して、あたしはあたしの言いたい事があったから
話しかけていたら
『今、パチンコしててかかってるから後で電話する。』
と、言ったまま5時間すぎてもかかってこない。
あたしの恋人は、あたしの話より、パチンコが大事らしい。
*この文章の著作権は私マリアに属します。*
197
:
憂鬱な不倫恋愛〜精神患者のあたしと誰か〜
:2015/01/13(火) 02:04:06 ID:LDbLp6/I
【Dとの電話】
Dからの電話はなかなかなく、あたしは、もうかかってこないのだろうと
思った。
淋しいけど、もう仕方ない、という気持ちになっていた。
夫がが帰ってきて夕飯のしたくをしてくれる出来上がったおかずをつまみながら、
ビールをやけくそに流し込む。
アルコールが入るとあたしは元気になれるのだ。
すると、いきなり携帯が鳴った。そして、すぐ切れた。
履歴を見てみるとDからだった。
付き合うときの約束で、電話をする前に、メールで電話ができる状態か
確認してから電話を、という事だったのを、 彼はきっと忘れていて
かけてしまってから、気がついたのだろう。
アルコールが入って上機嫌なあたしは、
『まりに電話してくるから。』
と、夫に言って2階へと軽い足取りでとんとんとん・・・。
Dに電話すると、Dもアルコールが入っているようだった。
『悪い、悪い、思わずかけてしまって。すぐ切ったからセーフ?』
『セーフだよ』笑いながら、答えた。
Dの言い分は、あたしを都合のいい女にするつもりなんかなく、
長く続けていきたいからこそ、『なんでもほどほどに』という表現を
使ったらしい。
がーーーっ、となってしまうと、ばれる可能性も高くなるし、
お互いに疲れてしまうかもしれない、そんな事で、別れるのは
嫌だ、と。
そうだ。忘れていたが、彼は昔からメールでは言葉足らずだった。
そして、絵文字を使うがらじゃないので、
落ちてたあたしには、とても嫌な言葉に感じたのだった。
Dは、
『今週は肉でも食べよう。』と、言った。
そして、
『俺は付き合ったら、一生モンだと思ってる。俺が結婚したとしても
お前と一生付き合う。だから、お前も、もっと広く考えろ。』
とも。とりあえず、パチンコよりは大事みたいだ。
『一緒にいて楽しいし、癒されるし、お前は可愛いし、俺は
お前が大事だ。だから、手首を切るなんて事を考えるんだったら
俺に電話しろ。そのとき、出られなくても必ず折り返すから、待っとけ。』
あたしは、Dに愛されていることをやっと理解できたような気がする。
でも、酔っ払いのあたしは、明日になったらきっと、この言葉の
半分も覚えていないのだろう。
*この文章の著作権は私マリアに属します。*
198
:
憂鬱な不倫恋愛〜精神患者のあたしと誰か〜
:2015/01/13(火) 02:05:57 ID:LDbLp6/I
【あたしについて】
あたしは、あたしで、名前は、みきや、舞、香織、静香、と、たくさんある。
性別は、雌。いつでも何かに飢えてる雌。
夫が1人いて、だけど未入籍でいる。離婚歴のあるあたしには
入籍なんて、面倒なだけだ。それについて夫は何も言わない。
あたしが、嫌がることを夫は絶対に強要しない。
それが、ありがたくもあり、疎ましくも感じる。
優しすぎる夫に、苛立ちを感じてしまうのは、何故なのか判らない。
そして、そんな事は誰にも聞けやしない・・・・。
恋人が2人。2人とも、愛しているし、でも時には憎しみも感じる。
愛するが故、彼らにどうしようもない感情が湧き出てくる。
精神病のせいだ、と言ってしまえばそれまでなんだろうが、
果たして、本当にそれだけだろうか。
躁鬱、パニック障害、不安神経症、不眠症、おまけに、アルコール依存症と
買い物依存症。インフォマニアでもあるのかもしれないと
思っているが、いつでも誰とでもというわけではないから、そうではないのだろう。
だけどドクターには、買い物依存とアルコール依存は内緒にしている。
だって、それを話しても治る薬はないのだから。
話しても仕方ない。
あたしは、たまに自分の身体を売る。
今時、女子高生だって、2万が相場だと言うけれど、あたしは3万でしか売らない。
安売りしたくない、なんて言ってられる立場でも、年でもないけれど
あたしは、変にプライドが高いから、安売りをしない。
身体を売る人間は決まっていて、ここら辺では名前の通っている社長3人。
愛人契約の話を持ちかけられるけれど、あたしは契約なんかで
縛られるのは、まっぴらごめんだ。
おっさん達とのSEXは、とっても気持ちがいい。
若くない彼らはそれぞれ巧みに、舌や、指や、言葉を使って
あたしを絶頂へと導く。快感が体中を突き抜けて、あたしは
何回も、そこへ、辿りつかされる。
それで3万。いいお小遣い稼ぎで、罪悪感は全くない。
利害関係が一致しているから?
そうやって、あたしは身体を、おっさん達に差し出す。
あたしの容姿は、中の上,位だと、自己採点。
スタイルも悪くない。バストが大きくて、細身なのに、Eカップある。
だからあたしはバストを強調する服を着る。
その方が、美しい女に見えるから。
男には、むやみにモテル。だけど、自分が好きでもない男から
好かれたって、そこにはなんの意味もない。
友達は普通にいる。だけど女は敵対意識が強いから、本物の友達は
小学校からの友達と、大人になってからは数える程。
あたしは、女に嫌われる女らしい。
でも、たまに波長の合う女性がいて、バイでもあるあたしは、その何人かの女性と
付き合ったりもした。どの女性も、美しく、繊細で、あたしなんかの恋人に
なってくれたことを今でも感謝している。
最後に付き合った彼女とは、自然消滅になってしまったが
本当に美しく、頭の良い女性だった。
せめて、KISS位しとけばよかった。
あたしについては、きっとこんなもんだろう。
あたしは、やっぱり、SEXで人と繋がっているのかもしれない。
それでも、あたしは、あたしだ。
次にSEXをする相手はおっさんだ。お小遣いが今月は少ないから、
ふっかけようと思ってる。
お金が介在しているSEXでも、あたしは感じて、動物じみたうめき声をあげ
されるがままに、濡れすぎる程濡れて、するりとおっさんのモノを受け入れる。
受け入れて、突き上げられる度に、あたしはもう何も考えられなくなっていく。
それが、誰に対しても悪いことだと思わないあたしは、
欠陥品なのかもしれない。
結論。あたしは、インフォマニア予備軍の欠陥品だ。
*この文章の著作権は私マリアに属します。*
199
:
憂鬱な不倫恋愛〜精神患者のあたしと誰か〜
:2015/01/13(火) 02:06:34 ID:LDbLp6/I
【いつか、する。】
2人の恋人達とあたしとが、性的関係を持っていないのには
理由がある。
まず、逢える時間が限られている。
Kとは、遠距離である。
そして、これが第一だが、あたしが、もっと彼らを焦らしたいのだ。
焦らして焦らして、そこがパンパンになる程あたしに欲情をして欲しいのだ。
あたしだって、恋人達と、したい。
何度も何度もお互いの、汁や汗まみれになって、部屋に篭って
呻き声をあげ、恥かしい格好をさせられ、穴という穴に挿れて欲しい。
だけど、こうやって想像する事は、我慢することは
実際にそれをするより甘美で、いやらしい事だとあたしはどこかで知っている。
だから、あたしは彼らに恥かしい、淫乱極まりない写メを送り、挑発して
欲望をかきたてさせる。
だけど、それを考えていると、あたしは自分の火照りに我慢できず
指で1人で、自分のそれを触る。
すっかり濡れているそれをなぞり、こすり、1番敏感な部分をそっと
刺激する。
彼らとの情事を思い浮かべながら、1人でそこを弄んでいると、すぐに快感の波が
あたしを飲み込もうとする。
あたしは、それがくると、すぐに手を止める。自分でも自分を焦らすのが
好きなのだ。
少し息を整えて、Kと、Dとの情事を考える。
Kとの情事は、きっと縛られて、目隠しをされて、開いて自分で自分を
弄ぶ事を要求されるはずだ。
Dは、ねちこく、これ以上我慢ができないと悲鳴をあげても
執拗に舐め続け、耳元でいやらしい言葉を囁かれるはずだ。
嗚呼・・・・・・・・・
もう、自分で自分の指の速度を緩める事ができないあたしは、
その妄想にどっぷりと浸かり、くちゅくちゅという音を聞きながら
胸を揉みしだき、乳首をぎゅっと抓み上げ、
絶頂に達した。
なんという快感なのだろう。
あたしは、焦らして、そして焦らされている事に気がつく。
彼らと交わる日は、きっとそう遠くない。
あたしは、それまで、こうやって、1人で指でやりながら、
それを待っているのかもしれない。
焦らして焦らされた分、ぐちゃぐちゃのべちょべちょになって
お互いの肉を啜りあうのを・・・・・。
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200
:
憂鬱な不倫恋愛〜精神患者のあたしと誰か〜
:2015/01/13(火) 02:36:08 ID:LDbLp6/I
【あたしの生い立ち〜幼少編〜】
あたしの生い立ちなんて誰も興味がないだろうけど。
あたしだって、本当は覚えていたくない位なのだから。
あたしは、美奈子という名前を不本意ながらつけられた。
子、なんて、つく名前は腐るほどあって、物心つく頃には
あたしは、あたしで自分の名前をつけた。
それを誰にも言わなかったけれど。
3歳の頃、弟、という存在ができた。
とても嬉しかった事を覚えている。
あたしの家はとても、貧乏で、というのも後で判った事だが
父親が、とある、芸能人御用達の大きなサテンのチーフで、人事に
言って、給料明細を誤魔化して書かせていたからだ。
なんと、当時10万も誤魔化していて、偽の明細とそれにあわせた金しか
家に入れなかったからだ。
それだけでも、糞みたいな男なのに、自分の小遣いを少なくした
給料から更に、取っていたのだ。
そんなわけで、母親も父親と同じサテンで夜も昼も働いていた。
母親は田舎娘の典型みたいな女で、初めてSEXした男と結婚しなければ
いけないと思っていたらしく、そして母親はミス○○という栄冠をいくつも
持っているような美しい女だったので、父親は、母親と結婚した。
田舎娘のままでいた母親は、家のため、子供のため、自分の夫のために
1日中働いていた。
なので、あたしが、ロングの艶やかな髪を持つ、美しい母親と過ごせるのは
1日、4時間あるかないかだった。
小さなあたしの記憶は3歳頃からはっきりと覚えている。
父親も、母親もいない夜、3歳のあたしはとても闇が恐ろしかった。
父親は自分はだらしないくせに、あたしの躾には厳しくテレビは、
21時までと決められ、冷蔵庫のものを勝手に食べてはいけなかった。
と、言っても冷蔵庫には食べるもの等、ほとんど入っていなかったから
開けてもしょうがなかった。
弟を産む寸前まで母親は夜も昼も働いていて、妊娠してから病院に
初めて行ったのが八ヶ月の時だったらしい。
話が前後するが、あたしには姉がいた。・・・・・・いた、という表現が
正しいかどうかは判らない。
何せ、彼女は生後23日でこの世を去ったからだ。
母親は、自分の初めての娘が死んだことを
葬式も何もかもが済んでから知らされたそうだ。
せめて、亡くなった時には言って欲しかった・・・と珍しく父親に言ったら
(これでも母親なりの抗議だった。)父親は
『死んだもんをとやかく言ってもしょうがないだろう!』
と、心も身体をも傷ついている母親に怒鳴ったと聞いた。
だから、あたしには本当は、姉がいるはずだった。
あたしが出来た時も、弟が出来たときも、悪阻がひどくて
仕事を休みがちになった母親に向かって
『そんなに働くのが嫌ならおろせばいいだろう!!!』
と、何度も母親を怒鳴りつけた。
が、母親は姉を亡くしたこともあって、あたしたちを半ば強引に産んだ。
産んでくれなくてもよかったあたしですら。
201
:
憂鬱な不倫恋愛〜精神患者のあたしと誰か〜
:2015/01/13(火) 02:37:13 ID:LDbLp6/I
弟ができて、闇を怖がることが少なくなった代わりに
弟の夜泣きに、毎晩起こされ、どうしたら良いかも3歳のあたしには
判らず、ただただ泣き止んでくれるのを待った。
今、思えば小さな赤ん坊だった弟は、おむつをぐっしょり濡らしていたり
お腹が減っていたり、だったのだと思う。
そのせいかどうかは判らないが弟は4歳近くまで一言も喋らなかった。
病弱でひきつけを何回も起こし、その度あたしは、
母親の勤め先に電話を入れた。
弟は大きな病院で、何回も脳波の検査や、いろんな検査を受けていた。
けれど、普通に元気な時もたくさんあったので、あたし達兄弟は、
とても仲が良かった。仲良くせざるをえなかった、とも言うかもしれない。
弟とあたしは家が貧乏なのを幼いながらに肌で感じていたから、
お風呂のお湯を少しだけしか使わずにいかにして入るか、
トイレもなるべく公園でしたり、とかいろんな事にいろんな工夫を凝らした。
晩御飯時、お金だけが置かれているテーブルを見て
わざと、晩御飯時に大家さんや、近所の良くしてくれる大人達の所に行った。
そうすれば、必ず、彼らはあたし達を不憫に思い、晩御飯を
食べさせてくれ、テーブルのお金を使わずに済むからだ。
でも、あまりにも頻繁に、他人の家でご馳走になるわけにもいかなかったので
パン屋さんで、今と違って、ただだった、パンの耳を貰って食べたりもした。
***********************************
母親は、テーブルに残っているお金に不信感を抱いていたようだったが
何も言わなかった。
彼女には、余裕がなかったのだ。
稼いでも、稼いでも、見栄っ張りの父親が、従業員達を引き連れ飲み歩くので
お金は、一瞬の泡のように消えてなくなった。なので、彼女はひたすら働いていた。
********************************************************
202
:
憂鬱な不倫恋愛〜精神患者のあたしと誰か〜
:2015/01/13(火) 02:37:55 ID:LDbLp6/I
私生活とは裏腹に友達は幼稚園の頃から絶えなかった。それがあたしの救いでもあった。
とても印象に残っている友達がいる。幼稚園の時にできた友達、名前を今でも覚えてる。圭子ちゃん。
妙に色気のある女の子で、なんだか一緒にいるとドキドキした。
その子は、いつもあたしと2人きりになりたがり、よく、彼女の家に幼稚園帰りに
遊びに行った。 圭子ちゃんは、
『美奈子ちゃん、大好き!』と、よく言ってくれて、可愛い圭子ちゃんに、そう
言われて、悪い気はしなかった。
いつものように圭子ちゃんの家に遊びに行った時に、突然それは起きた。
圭子ちゃんが、
『美奈子ちゃんは、ずっと圭子と友達でいてね』
と、言うのであたしは、答えた。
『うん。ずっと友達だよ。』
と。 すると、彼女はあたしの手を、まだ小さい幼い手を握って
自分の、まだまっ平らな胸に誘い、半ば自分で動かすように、あたしの手を使って
平らな胸を弄らさせた。あたしは、なんだか甘酸っぱい気分でされるままになっていた。
すると、彼女はあたしにキスをして、布団に行こう、と誘った。
それが、どういう事を意味するかは判らなかったし、あたしは断って、急いで
誰もいない家に帰った。
それが、あたしのファーストキスで、この事件?が起因してか、
バイになっているあたし。
今、思い返すと圭子ちゃんの家にはいつも、誰もいなかったな。
小学校では、そんな事もなく、たくさんの友達と遊んだが
皆、極端に裕福な家庭が多く、誕生日会に呼ばれるのが
何より、辛かった。
それさえなければ、あたしはなんの引け目も感じる事はなかった。
**********************************
父親が自分の店を持ちたい、と言い出した。
残念な事に母親の実家は、とても裕福だった。
一回りも違う母親と、父親の結婚に反対していた母親の両親に、
母親は、きっと不本意だったろうけど、実家に金の無心をし、当時2千万という
借金をして、店を出した。絶対に金は返すという約束で。
当時にしては、大規模な高級割烹店をとても高い土地に出した。
そのお店には、有名店から引き抜きした料理人がいた。
彼の給料は、その当時にしては、破格の30万だったらしい。
初めは店も流行り、黒字続きで一時的に収入を得たがそれは、全部今まで
貯めていた家賃やらなんやらに消えていき、まだまだ貧乏だった。
そのまま店を父親がきちんとやっていれば問題はなく、
あたし達の生活は、もっと楽しく、楽になるはずだった、と今でも思う。
目の前の金が全ての父親は、次第に開店中に、知り合いが来れば
自分の奢りで飲み食いさせ、挙句には、開店中でも自分の知り合いが来ると
よその店に行って、朝まで飲み明かして、河岸に行かなくなった。
電話で河岸に注文するもんだから、向こうはふっかけた値段のものを
じゃんじゃん入れてくる。
もう、店が潰れるな・・・・・という頃に、板前さんが母親に
『奥さん、あの旦那さんは駄目です。お子さんを連れて田舎にお帰りなさい。』
と、言い、その板前さんは父親の店を去っていった。
そして、店は当然だが、潰れた。
しかも、まずい事に父親は母親の知らないところで、借金をし、
消費者金融で、今みたいにきちんと法律がなされてなく、
取り立て屋が、なんども家に来た。
仕方なく、母親は、実家に帰ることを条件に、また自分の両親から
金を借り、精算した。
あたし達は、父親抜きで田舎に引っ込む予定だったのに、
厚顔無恥な父親は、普通に当たり前のようについてきて、
母親の実家に、あたし達一家は同居することとなった。
急な事で、友達の皆はとても悲しんでくれて、泣きながら
学校を後にした。
反面、夏休みや、春休みだけ行けた田舎で暮らせるというあたしの喜びは、
並大抵ではなかったが、たまに行くからこそ・・・・・・という事を
あたしが知るのは、もうすぐだった。
あたしは、小学校4年生だった。
*この文章の著作権は私マリアに属します。*
203
:
憂鬱な不倫恋愛〜精神患者のあたしと誰か〜
:2015/01/13(火) 02:41:08 ID:LDbLp6/I
【あたしの生い立ち〜小中高編〜】
田舎に引越し、大好きだった祖父母と暮らせるのが嬉しかった。
転校先の学校では、散々、標準語である事や、東京から来たくせに真っ黒かった肌の
あたしを皆がひやかした。
だけれど、次第に田舎の純朴な少年少女は、あたしを受け入れてくれた。
暫くは、新しい環境に身を置いていて、目まぐるしく廻る毎日についていくのに
精一杯だったあたしも、ようやく落ち着いてきた頃、
祖母の態度が変わって来た。
実は祖母はかなりの守銭奴で、こちらから電話を使うのを極端に嫌がり、
3分も話していると、まるで昼ドラに出てくる意地悪姑みたいに、
大きな声で
『あー、今月も電話代がかかるなーーーーー。』
等と言ったりした。
掃除をしていても、わざと、あたしについてまわって、ここが綺麗になってない、
ここは、こうやってするもんだ、等と嫌味を言って廻った。
祖父は相変わらず、穏やかで優しい人でお小遣いもくれて、
大好きだった。だけど、祖母のことは父親の次に嫌いになった。
母親と父親は、母親の実家の店を手伝っていた。
給料は2人合わせて15万だった。家賃もきちんと払っていて
朝10時から夜7時まで働き、休みはほとんどなかったけど、
15万だった。
父親は相変わらず、嫌な男で、なんだかんだと言っては、また店をサボり始め
母親1人が忙しく立ち働いていた。
母親は、毎朝早く、あたしと弟の弁当を作り、朝食を作り、
祖母に嫌味を言われながら仕事をし、仕事が終わったら父親の晩酌の用意をし、
あたし達の晩御飯を作った。父親は、威張るのが大好きで、
いつも、おかずの質や品数をチェックし、あたし達と完璧に差をつけたものを
食べていた。 晩酌はだらだらと続き、母親は、晩酌が終わり父親が
寝るまで待たなければいけなかった。 なぜなら、母親には
毎晩『父親の身体をマッサージする』という仕事があったからだ。
あたしは、母親に同情する気持ちはあったが、余りにも従順すぎる所は
反吐が出るほど嫌いだった。
中学校になって、やっと、祖父母の家から引っ越すことができた。
ぼろぼろのあばら家の一軒家で、長ーーーーーーーーい廊下の先にある
奥の部屋に大家の婆さんが住んでいるような所だったが、
ねちねち嫌味を言う祖母がいないだけで、あたしには天国に感じた。
************************************
204
:
憂鬱な不倫恋愛〜精神患者のあたしと誰か〜
:2015/01/13(火) 02:41:45 ID:LDbLp6/I
そこのあばら家は、さすが、あばら家で雨漏りがして、そこ、ここにボールや桶を置いた。
ムカデやゴキブリもよく出て、外にいるような家だった。
ある日、知人がビーグル犬の子犬を貰ってくれないか?と、言ってきた。
あたし達は当然、断るものだと思っていたし、母親もそう思っていた。
けれど、気まぐれで気分屋な父親は
『俺が面倒を見るから、絶対に飼う。』
と、言い放った。誰も、父親には意見できなかった。
そして、ビーグルはやってきた。
最初は面白がって、名前を、『ロージー』とつけた犬の世話や散歩をしていた父親だが
家族の予想通り、すぐにロージーに飽きて世話はほとんどしなくなり、結局母とあたしが
ロージーの世話をした。
父親を更に、憎むことにはなったが、ロージーは可愛く、あたしは
毎日、散歩をしてやった。
******************************
中学生になったあたしは、急に音楽に夢中になっていった。
当時のインディーズバンド、テレビにはあまり出ないコアなアーティストに
主に溺れていき、音楽雑誌の『売ります』の欄を見ては、少ない小遣いから
ソノシートやレコードを買った。
あたしは、余りにも音楽に夢中になりすぎて、成績は常に1位だったのに、
どんどん落ちていき、志望校を1ランク下げる結果になり、
父親に散々ねちねち言われ(怒鳴ったりはせず、ねちねち言うのが彼の
常套手段だった。)、更に母親に、
『お前の育て方が悪いからだ!』
と、逃げ言葉に最適な言葉を母親に浴びせかけ、母親をねちこく責めていた。
それも、彼の酒の肴であり、楽しみだったのだ。
母親に偉そうに説教する事が。
友達に家の内情を相談する、という気持ちは何故か毛頭もなく、
あたしは、4人グループの1人となり、ヤンキーの子や、その先輩からも
可愛がられ、皆から、羨ましがられる位置にいた。
しかも、サッカー部の人気者の男子から告白され、付き合っていた。
段々と、あたしは父親の機嫌を取るのが馬鹿馬鹿しくなり、
彼に横柄な態度を取るようになった。母親は、いつもそれをはらはらと眺めていて、
あたしは、初めて彼女に軽蔑という感情を覚えた。
あたしには、その頃、怖いものはなかった。
ただ、小学校の時から急に身体に異変が起こり始め、
何も食べられなくなり、一ヶ月で体重が10キロも減ったり、
頭髪が一部分抜け始め、円形脱毛症のかなり、大きいものができたり、
通ってもいないトラックの音が1日中聞こえたりしていた。
さすがに心配した母親が病院にあたしを連れて行った。
『自律神経失調症』 という病名で、ここからあたしの病気は
始まったのだった。
あたしは、高校でも常に、勉強ができ、首位をずっと確保していた。
生徒会長も、何回もやった。
授業をさぼってばかりの、良い生徒とは言えなかったあたしだが、先生には好かれていて
大学進学を薦められていた。けれど、あたしは、もう親の保護の元の生活をしたくなくって、
彼氏と一緒に、大阪に出て行く事にした。
彼は某大手車メーカーに。あたしは、木材屋のただの事務員になった。
卒業式の日には、後輩の女の子達からたくさん花束を貰った。
知らない女の子もたくさんいて、写真を一緒に撮ったりもした。
ここまでが、あたしの主な生い立ちだ。
あたしは、なんて運のない生活を送ってきたのだろうか?
それとも、皆、言わないだけで、これが普通の生活だったのだろうか?
*************************************
*この文章の著作権は私マリアに属します。*
205
:
憂鬱な不倫恋愛〜精神患者のあたしと誰か〜
:2015/01/13(火) 02:44:55 ID:LDbLp6/I
【2人の愛人 1〜社長と会長〜】
そんなろくでもない生活を送ってきたあたしは、そのまんま、ろくでもない
女になっていった。
勿論、環境のせいだけではなく、元々のあたしの資質の中に
それが潜んでいたのだろう。
あたしは、大阪から、結局数年で帰ってきた。
当時、同棲していた男の子供を孕み、産むつもりだったが
流産してしまい、親にもばれて、連れ戻されたのだ。
同棲していた男も、父親と同じようなもので、ろくに働かない男だったから、
あたしが、身体を売っている事を、知っているくせに
見て見ぬふりをしていた。
その、同棲していた男は、SEXがとても長い男で、あたしのおまんこは
いつも、コトを終えると中があちこち切れる具合だった。
前戯で、いくら、ぐっしょり濡らされたとしても、
2時間は、果てない男にインサートされ、突き動かされていれば
誰だって、そうなるだろう。
だが、男は、日に何度も何度も求めてきた。
あたしは、痛いおまんこを擦りあげられる度に
『痛い、もう無理。やめて!』
と、小さな悲鳴のギブアップの声をあげたが、更に強くあたしに打ち付けてきた。
それは、身体を売っていたあたしへの、復讐だったのかもしれない。
実家に帰ってきて、昼は、病院の事務職をし、夜は、友達に誘われて
スナックで働いていた。
元々、酒と男は大好きだったあたしは、あっという間に人気者になり、
地元では、高級とされる類の会員制のクラブに引き抜かれた。
そこでも、あっという間にナンバーになって、あたしは、たくさんの男達と
しゃべり、話を聞き、酒を飲んでいた。
そこは、高級なだけ、カラオケがなかったので、毎日、新鮮な話題を
客に提供するために、あたしは、本を読み、新聞を読んだりした。
元々、活字中毒なので、あたしは、お客を飽きさせる事なく、
しゃべることができたし、男達は優雅に、艶然と微笑むあたしに、すぐ
心を許し、いろんな事をあたしにしゃべった。
その内、何人かの大手企業の会長や、社長から愛人になってくれ、と
頼まれた。
あたしは、その何人かの内でも、店のママと相談して、金持ちで、けちではなく
束縛をするような性格でない男を2人選び、愛人になった。
ママにとっても、店の売り上げに大いに貢献してくれる2人だったので
喜んでもらえた。あたしは、ろくでもない女だけど、
『他人様に喜んで貰える』
ことが大好きだったので、とても嬉しかった。
1人はSという会社の会長で、本社は大阪にあった。会長は
元々、こちらの人間で、何かにつけては 数時間かけて地元に来た。会長、という肩書きの割りにとても、若く50前だったはずだ。だけれど、やっぱり会長の風格が備わっていて、一見近寄りがたい雰囲気を持っていた。
もう1人は、地元大手企業の社長で、40歳だったが、35歳位にしか
見えず、見目麗しい男だった。この社長の女好きは有名だったし、
とても、たくさんの女達にちやほやされていたからあたしの他にも女はいたのだと思う。
206
:
憂鬱な不倫恋愛〜精神患者のあたしと誰か〜
:2015/01/13(火) 02:45:41 ID:LDbLp6/I
彼らとの契約内容は、
*月50万。
*SEX専用にマンションを借りること。
*月1で必ず、私の欲しいものをお小遣いとは別に、プレゼントすること。
*週に1回以上は、同伴。
*プライベートの詮索はお互いにしない。
だった気がする。ひょっとしたら、もっとたくさんあったのかも
知れないが、もう覚えていない。
SEX専用に・・・・と言うのは、こんな田舎には、赤プリもなければ、ワシントンホテルもない。
でも、そこらの清掃がきちんとなされているかどうかも、判らない
ラブホで、やるのは嫌だったからだ。
ラブホを使うのは、ナンパしてきた男や彼氏だけで、十分だったから。
そして、2人の男はおかしな偶然もあるもので、同じマンションを選んだ。
そのマンションがその町では、1番高級だったからだろう。
あたしは、愛人2人に、後々のトラブルを回避するために、お互いの存在を
伝えていたので、2人の男は静かに争っていたのだろう。
最上階の2部屋が、あたし名義のものになった。
賃貸なんて、けちくさい事はできない、と彼らは言い、あたしは
高級マンションを2部屋持つ事になった。
そして、あたしなんかでは、到底買えないであろう、高級な寝具やちょっとした
家具や、食器、インテリアが次々と運ばれてきた。
お金は、やっぱりあるところにはあるんだなー、と
まざまざと見せ付けられた出来事だった。
貧乏生活しかしていなかったあたしは、初めはすごくとまどった。
彼らが、あたし名義に買ってくれたマンションに彼らが来ない日は
女友達と、いわゆる『パジャマパーティー』なんかを、やったりもした。
あたしだって、普通の20代の、若い女がするような事は好きだったし、
誰にも愛人契約の事は話さず知り合いが、この部屋を借りているのだけれど、
出張ばかりでほぼ使わないから、好きにしていい、と言われていると、言った。
皆、あたしがナンバーなのを知っているから、日向の香りがする彼女らは
それを信じ、楽しくパーティーをやった。
パーティーの事は一応事前に社長に言っておく。社長の買ってくれた部屋でないとできない事情があったからだ。会長の買ってくれた部屋には、高級なインテリアとは不釣合いな『道具』達があったから。
社長は必ず、その日には、高級割烹の料理や寿司、フランス料理、大量のむせ返るような薔薇、あたしの好きなシャンパン、モエでも1番高級なものが
ケータリングで届くように手配をしてくれる。
料理を運んでくる所は、普通の客が、まず行けないところだし、ケータリングなんか、絶対に
お断りなはずだ。 だけど、金は不可能を可能にしているみたいだった。
定期的にハウスクリーニングを入れて貰い、ぴかぴかのマンションで
美味しいシャンパンと美味しい料理、美しい花々に囲まれ、
あたし達は多いに満足をしていた。
素直な彼女達は
『いいお客さんだね!よかったね!』
と、飾っている薔薇よりも美しい笑顔であたしに、よくそう言っていた。
その、無邪気さを羨ましいと、あたしは思っていたのかもしれない。
*******************************
207
:
憂鬱な不倫恋愛〜精神患者のあたしと誰か〜
:2015/01/13(火) 02:52:36 ID:LDbLp6/I
最初に、寝たのは会長だった。だが、会長はある病気でインポだったので、
インサートはなかった。
が、その分、彼には、欲求がたまっていたのであろう。
いろいろな事を、あたしにした。
まず、会長と寝る前日から風呂は禁止だ。
冬は、なんとか我慢ができるが、夏は我慢ができず、1回シャワーを浴びてしまい、
全裸になり、ベッドの上で身体を点検されている時に気がつかれ、
散々、怒られた事がある。その日はいつもより執拗に身体を舐めまくられ、黒くて大きな
バイブを、アナルに、何も塗らずに、入れられた。思い切り。
勿論、あたしの小さなアナルからは血が出て、痛くてたまらなかったはずなのに、
あたしは、何故か、喘いでいた。
会長の表情は判らない。
四つんばいになって、後ろからおまんこに会長の手が伸び、巧みな刺激が始まると
もう、あたしは、すぐに、いきそうになった。
『あ、いく・・・・・』
と、呻いた瞬間、会長はバイブをアナルから抜き取り、おまんこへの刺激を
やめた。
あたしは、もうすぐいくとこで、じんじんとする自分のあそこを意識しながら
会長にやめないで、と懇願したが、会長は約束を破ったお前がいけない、
今日はここまでだ、と、うすら笑いを浮かべた。
あんな気持ちを、もう味わうのは、あたしは嫌だったから、それ以降
会長と逢う前日からの風呂禁止命令は守った。
あたしは、彼によって、どんどんとMの気質を磨かれていったように思う。
会長は、インサートできないが、ふにゃふにゃの自分のモノを舐めさせた。
ふにゃふにゃのモノを舐めるのは初めてだったが、会長は
とても気持ちよさそうで
『もっと、咬むように。』
『舌を、先っぽの穴にぐっと入れてかき回すように舐めるんだ』
と、いろいろと注文をつけた。
だけど、断然いじくり廻されるのは、あたしだった。
会長は、縛るのも得意で、ちゃんと痕が残らないように縛って、
あたしの自由を奪い、口には拘束具をはめられた。
涎をだらだらたらしているあたしを、会長は、舐めて舐めて舐めて飽きることなく
舐めていた。耳の穴や目の玉が性感帯だなんて、知って驚いた。
舐めが終わると今度は、各パーツを弄りだす。あたしは、ぐったりと、快感のみに
支配される。乳首とおまんこは特に集中的に弄られた。
そして、それが済んだらやっと、バイブをインサートしてもらえる。
ごろんとうつ伏せにされ、顔のみの力で四つんばいにさせられ、おまんこにも
アナルにも、同時にバイブが突っ込まれる。アナルには、たっぷりと
ローションを塗られる。それだけで、あたしは、もう次の展開を予測して
濡れる。あたしの汁でシーツはいつもびしょびしょになってしまう。
インサートされると、同時に会長はあたしのお尻を平手で叩く。
『お前は、淫乱だ。お仕置きしてやる。お仕置きしてやる。』
と。思い切り叩かれて痛いはずなのに、あたしの身体は、それすらも快感に変換してしまう。
絶頂に達すると、あたしはおしっこを漏らしてしまうのだが、会長は
あたしが、もう絶頂に達するとき、それを素早く察知し、おまんこに顔をあてがい
あたしのおしっこをごくごくと飲む。
暗い部屋の中では、あたしは完全に彼の奴隷と化していた。
そして、それを欲していた。愛がなくとも、こんなに感じるSEXができるのは
どうしてなんだろう?
若いあたしは、そう思った。
*この文章の著作権は私マリアに属します。*
208
:
憂鬱な不倫恋愛〜精神患者のあたしと誰か〜
:2015/01/13(火) 02:56:46 ID:LDbLp6/I
【2人の愛人 2】
それに比べると、社長とのSEXは、もっとノーマルなものだった。
何を以ってノーマルかノーマルでないかとの判断をするのは
難しいが、今まで、してきたようなSEXというカテゴリーにあった。
きちんと、お風呂に湯を張る。バブルバスにするのが、社長は好きだった。
社長はまめな男で、それらを自分でする。
そして、一緒にお風呂に入る。
社長は、あたしを後ろから包み込むように抱っこしながら湯船に浸かるのが
好きで、あたしも、それは、なんとなく気に入っていた。
楽しくしゃべっていると、柔らかく、社長があたしの身体を触り始める。
あたしは、すぐに感じてしまい、社長は
『もう、感じてるのか?美奈は、本当に感じやすいな。可愛いよ。』
と、耳元で囁く。そして、暫く愛撫をされて、今度は身体を社長は手で丁寧に
洗ってくれる。だけれど、それは、洗うというより、もう愛撫だ。
後ろから、胸を揉みしだき、もう片手でおまんこの中に手をいれ、優しく振るわせる。
『はぁっ』
と、短く快感の吐息を吐くと、社長はあたしに壁に手をつかせ、身体を
折り曲げさせる。 そして、固くなったものを挿入して、何回も入れては抜き、
入れては抜きを、 繰り返す。
あたしが、
『もっと、続けて』
と言うと、今度は、巧みに角度を変えながら何回もあたしを突き上げる。
そして、お互い感じあったままの身体で、身体を拭くのももどかしく、ベッドに
滑り込む。 ベッドに入ると、もうすぐにでも挿れて欲しいあたしなのに、社長は
また愛撫から始める。
あくまで、柔らかいタッチで、羽で体中を撫でられているようで、
会長とするSEXとは、また異なった快感を得ることが出来る。
その羽のようなタッチで、あたしを徐々に濡らしていき、
腿にその、汁がつたうまで、彼は、続ける。
汁があたしのおまんこから、大量に溢れ出すと彼は、興奮したような声で
『すごいよ。ほら、こんなになってるよ。』
と、指でくちゅくちゅ音を出してみたり、じゅうじゅうと吸った。
それが終わって、彼も我慢が仕切れず、正常位で、あたしの脚を大きく開かせ
あたしの中に、さっきまでのソフトなタッチとは全く別人のように
ずん!と、激しく挿れてくる。突いて突いて突きまくるのが彼のやり方だ。
彼は立膝をついたまま、あたしを彼の固くなったもので、攻め立てる。
そして、
『美奈、自分でおまんこの1番気持ちいいところを触ってご覧。』
と、息がはずんだ声で言う。あたしが恥かしがって、戸惑っていると、
社長はあたしの手を彼自身がよく知っている、あたしを天国へと導く
その場所に誘う。そして、あたしの手を動かす。
知らない間に、社長の手は離れているのに、あたしは、もう自分の意思で
そこを刺激していた。撫ぜたり、強くつまんだり、教えられてもいないのに、
そうしていた。
『もう、我慢出来ない。』
と、あたしが言うと、社長はピストン運動を更に早める。
あたしが、行く時の声をあげると社長は、それを見届け、自分のモノを抜いて
精液を、あたしの顔にかけるのだった。
あたし達は、いつもそうやって、SEXを楽しんでいた。
あたしは、ただの契約愛人で、彼らの玩具の1つに過ぎなかったが
それでも、あたしは満足していた。
お金も性欲も、満足させてくれる愛人達に。
彼らとの関係は、あたしが初めての結婚をするまで続いた。
結婚しても、続けようと彼らは言ったが、あたしは、初めての結婚に
浮き足立ち、やっぱり、夫がいるのに、それは、できない、と断った。
マンションもくれると2人の愛人は言ったが、契約を放棄するわけだから
いらない、と、その時のあたしは言った。
お店も、惜しまれながら円満にやめることができた。
ママは
『いつでも戻ってきてね』
なんて、縁起の悪いことをさらっと言った。そして、それが本当の事になるとは!
だけど、あたしには、たった1つだけ心残りがあった。
*この文章の著作権は私マリアに属します。*
209
:
憂鬱な不倫恋愛〜精神患者のあたしと誰か〜
:2015/01/13(火) 03:00:04 ID:LDbLp6/I
【あたしのたった1人】
お金でも、ナンバーの地位でもなんでもない。
あたしの心残りは、今、現在、あたしの恋人になっているDの事だった。
あたしとDは、こんなにも昔からの知り合いだったのだ。
あたしは、ナンバーだったけれど、気楽に過ごせるスナック勤めも好きで
その店のママさん同士も、仲が良かったので、週に2回は、
スナックの方へと出勤した。
そこで、いつも来ていたのがDだった。
その頃、若い男がスナックに来る、となると、何人かでわいわいがやがやと
騒ぎに来るものだと決まっていた。
が、Dは違った。Dは、いつでも、気まぐれに1人でふらっと来て
どろ酔いする前に帰るのが常であった。
あたしが、入っている時は大抵、来てくれた。
歌のうまい男で、口では乱暴な言葉を使うが、心根の優しい男だった。
そして、今よりもとんがっていて、彼の周りの空気はどんなに笑いが
絶えなくても、ぴりぴりしていた気がする。
若さ、というやつだったのか。
彼のそういうとんがった雰囲気も、隠れた優しさもあたしには、とても
好ましかった。
何回かDが通ううちに仲良くなり、まだ、飲酒飲酒、と騒いでいない頃だったので
よくDに家まで車で送ってもらった。
でも、2人共直帰せずに、寄り道をした。
それは、いつも同じ海岸だった。誰も来ずに星空が果てしなく広がる
美しい海岸だった。
いつも月が出ていたような覚えがあるのは、なんでなんだろう??
あたし達は、その海岸の波打ち際に、いつも歩いて行った。
車では、そこまでは行けなかったから。
あたしは、目が悪く、頼りない月明かりでなかなか進めず、いつも
Dがあたしに手を差し伸べてくれた。
あたし達の接触は、その海岸での行き返りだけだった。
ただ、手を引いてもらうだけだった。 海岸に行き着いて、波内際に腰を下ろし、そのまんま、ごろんとなる。
ごろんとなると、夜空が、まるで、私達を取り巻いているようで
全然、現実味のない世界になった。
そこで、あたし達はいつも1時間程度、くだらない話や、どうでもいい話、
将来の話、いろんな事を、とりとめもなく話をした。
話をすることに意味があるのではなく、2人が2人でいられる場所と時間が
あたし達は、欲しかったのだ。
あたし達は、悲しい位にお互いを愛していた。
Dが不誠実な男だったら、どんなにか良かったろう。
残念な事に、Dは、結婚していた。
そして、男らしいDは、奥さんや子供の事を考えると、とても
あたしと恋愛なんてできるような男ではなかった。
210
:
憂鬱な不倫恋愛〜精神患者のあたしと誰か〜
:2015/01/13(火) 03:01:05 ID:LDbLp6/I
だから、あたし達は、そのひっそりとした美しい場所で
お互いを感じあいながら、おしゃべりをしていた。
あたしも、彼も、手を繋ぐ以上の事を欲していたけれど、それは、
願ったって、絶対に叶わない、夢に終わった。
彼は、その内、仕事関係で大きな変化があり、姿を見せなくなった。
その前に、あたしが無理矢理、晩御飯に連れて行ってくれるようDに
しつこくお願いした。約束の時間に、約束の場所に行ったがDは来なかった。
携帯も電源を切っていて、あたしは、とてもがっかりして、家に帰った。
あの時のDへの憎しみや、Dの立場を考えると辛いし、でも何も言わずに
キャンセルという、酷い仕打ち・・・。あたしは、もううこれで、完全に
終わった、と思っていた。
そして、間も無く、あたしは、出遭ってすぐの若い社長の、顔がタイプだった人と
付き合って、すぐプロポーズをされ、浮き足だっただけの
出鱈目な結婚をした。
その元夫という肩書きを持つ人間を愛している、と思っていたが
スピード結婚故に、見えていなかった嫌な面がたくさん出てきた。
食事に執着がない、あたしに、特に興味があるわけでもなさそうとすら
感じる事もあったし、テレビも見るものが全然違ったので、2台のテレビを
食事時にそれぞれ見た。
元夫は、とてもSEXが下手であたしは、自分をその波に乗せるのに
どれだけ苦労したことだろう。
子供が1人できたが、子供ができてからは益々性欲がなくなったあたしは
元夫の求めに応じることは決してなかった。
まさか
『気持ちよくないからできない。』
なんて云うほど、あたしは、デリカシーのない女ではない。
子供が1歳になった頃、それは唐突にやってきた感情だった。
また、水商売の世界に戻りたい!と。
元夫も、特に反対もしなかったので、あたしは、また元の店で働き始めた。
そして、どうでもいいような不倫を何度も繰り返し、狭いこの街ではすぐに
噂になり、あたしと、元夫は、当然の如く離婚した。
元夫にも、彼女がいたようだったが、あたしは、なんの証拠も、持っていなかったので
慰謝料を取られた。
あたしは、実家に、あたしの子供と戻り、母親と暮らす事になった。
あの、忌々しい父親は、とうとう母親に離婚されたのだった。
そうして、出て行ったのだ。
大嫌いで、今でも憎んでいるが、なんとなく淋しい気持ちがあったのは、
嘘でも、気のせいでもない。
実家に戻ると同時に、水商売も、やめざるをえなかった。
それは残念だったが、まだ小さい子供を母親に預けて・・・・というのには
抵抗があった。 彼女には、彼女の生活があるのだから。
そうして、あたしは、いつの間にか飲食店を経営することになっていた。
それまで、弟がやっていた店をあたしにやれ、という話だった。
特に、異存があるわけもなく、あたしは、引継ぎに、育児に忙しい毎日を送っていった。
*この文章の著作権は私マリアに属します。*
211
:
憂鬱な不倫恋愛〜精神患者のあたしと誰か〜
:2015/01/13(火) 03:03:15 ID:LDbLp6/I
【その男。】
店を開店させると、それまで以上に忙しい日々があたしを待っていた。
あたしは、毎日、死ぬほど働いた。一生懸命、これまでよりも働いた。
くたくたになり、店が閉店をすると、とりあえず、外に出て煙草を一服。
それから、片付け、明日のいろいろな用意をした。
その頃、あたしは、離婚時に付き合っていた、とても姿・形の良い
目を引く男と付き合っていた。
もう3年にも付き合いはなっていて、再婚も考えていた。
だが、彼には、いくつかの致命的な欠点があった。
まず、すぐ判るような嘘をつくこと。ギャンブルに依存していた事。その依存している
ギャンブルのために、いつも金が無く、あたしに金の無心をしていた事。
その男には、総額200万は貸しただろうか。
幸い、私が弟から引き継いだ店は、そこそこ流行り、私もそこそこの金を持っていた。
男は、それを知っていたので、いつも外食に行こう、カラオケに行こう、飲みに行こう、
と、様々な誘いをしてきた。
そして、勿論、誘った方が払う、もしくは割り勘だと思っていたが
男はいつも、なんらかの言い訳をして、総ての支払いは、あたしがした。
『あいつに5万貸して、今日は持ち合わせないんだよねー。』
『けつポケに財布入れてたら、財布落として金なくて・・・・。』
等と見え透いた嘘をついたが、あたしは、もうその男になんの期待もしていなかったので
そのまま、嘘つきの男と付き合っていた。
が、あたしが遂にその男と別れる決意をする日がやってきた。
それは、あたしの大好きだった叔父が亡くなった時だった。
まだ50歳で、これから、という人間だった。
叔父は豪快でとてもカリスマ性のある人間でとある会社の社長をしていた。
自分の子供に、女の子がいなかったせいか、あたしには、とても優しく、世話を焼いてくれた。
叔父は、病気をいくつか持っていて、酒も煙草もドクターストップがかかっているのにも
関わらず全てを守らなかった。
だが、太く短い人生は不謹慎だが、叔父にはぴったりだったような
気がしてならない。
212
:
憂鬱な不倫恋愛〜精神患者のあたしと誰か〜
:2015/01/13(火) 03:03:49 ID:LDbLp6/I
叔父が亡くなって、あたしは明らかに気分が凹んでいた。
だけど、店頭では、笑顔を振りまかなくてはいけず、相当のパワーを使っていた。
叔父を亡くした事を知っていた、男は
『今日は、気分転換に食事にでも行こう』
と、電話をかけてきた。あたしも、気分転換になればいいな。なんて気軽な気持ちで
迎えに来た男の車に乗り込んだ。 ところが、どうだろう。車に乗り込んでも、男は沈黙のままだった。
水商売歴が長いあたしは、誰かといて無言、というのには耐えられない。
なので、必死になって、男の近況や、男の家族の話、仕事で最近
変わった事はないか、等と必死になって聞いたりした。
だが、男は生返事をするばかりで、あたしを慰めたり、あたしに気分転換を
させようなんて気持ちは、全く感じられなかった。
男は、終始元気がなく、食事が終わって(勿論、あたしの奢りだが)また送ってもらう車中でも
益々無口になっていった。
あたしは、いぶかしげに思いながらも、
『じゃ、今日はありがとう』
と、家の中に入ろうとした。すると、初めて、男は自主的に口を開いた。
『10万都合できない?』
と。
あたしは、無性に腹が立ったし、胃の底からさっき食べた食べ物を
全部、吐き出してしまいたかった。
あたしは、
『ちょっと待って。』
と、言い、缶の中にちょくちょく貯めていた金の中から1万円札10枚を
抜き取り、男の車に戻り、その金を男に渡した。
男は、その日初めての笑顔をあたしに向け、来月には返すから、と、まるで
スキップしそうな勢いで言って、帰っていった。
さすがのあたしも、こんなに打ちひしがれている人間を、言葉巧みに
誘い出し、気を使わせるだけ使わせて、最終的には金の無心をする
男に愛想が尽き、すぐさまメールで別れよう、と送った。
が、男はしつこく、口八丁にあたしを自分の元に置いておく努力をしたが
あたしは、取り合わなかった。
もう、男の嘘や、何もかもに嫌気がさしていた。
返す、と言っていた金だけはこっちも返して欲しかったので、
最後に貸した10万だけを請求した。200万全額請求したところで
返ってくるわけがなかったから。
だけど、男は10万を返さなかった。来月には、必ず、と借金をしている人間が
誰でも言う台詞を言った。あたしは、腹がたっていたけれど、少し、笑ってしまった。
結局、10万は業を煮やしたあたしの友達が、あの手この手で男を脅して
正月に、返って来た。 店に、直接金を返しに来ると、言っていたのらしいが
小心者の男は、現金書留で、10万を送ってきた。
あたしは、現金書留なんて、何年ぶりに見るんだろう・・・・。と思いつつ
宛名等、全てが女文字なのに、気がついた。
この10万は、宛名を書いた几帳面な文字の女が、きっと、出したものなのだろう。
男は、あたしの代わりの女をまんまと見つけ出したようだった。
あたしは、200万というお金と、その男は、初めから無かったことにした。
*この文章の著作権は私マリアに属します。*
213
:
憂鬱な不倫恋愛〜精神患者のあたしと誰か〜
:2015/01/13(火) 03:05:29 ID:LDbLp6/I
【Tだったっけ・・・。】
暫くあたしは、特定の男を作らず適当に知り合った男達と、
自分の友達とで、よく飲み会をした。
合コンと呼ぶには、余りにもそういった駆け引きやどきどきするものがなさすぎるもので
本当に、飲み会だった。
それはそれなりに楽しかったし、あつぃはこうやって適当に遊んでいるうちに
いつか、自分の彼氏と呼べる存在が出来ると思っていた。
飲み友達になった男達に、次の男達を紹介してもらう。
手っ取り早いし、その飲み友達の男達に
『あくまで、あんた達は飲み友達よ。』
ということを確認させるのにはちょうどよかった。
何回か、紹介紹介と続けていてHITな男がきた。
背が高く、顔が小さい。全体のタイルのバランスもよかった。
切れ長の目がセクシーともとれたし、とにかくあたしは、その男を気に入った。
逢った次の日に早速、その男Tだったっけ?
多分、そんな名前だったような気がする・・。
Tから電話がかかってきて、Tはあたしを食事に誘った。
断る理由はなかった。
Tが連れて行ってくれた店は、私もよく行く隠れ家的な創作韓国料理の店だった。
その店は、とっても辺鄙な場所にあったけど美味しかったし、値段も手ごろだったから
流行っていた。
照明が間接照明になっていて、韓国料理屋だけれど、低くジャズが流れている。
客達も、そのひっそりとした空間を楽しむように声をひそめてしゃべっていた。
あたし達も、その低いジャズの音と同じく、静かに話した。
オーダーはTに任せた。Tはその店の1番人気の味噌味の持つ鍋と
海鮮サラダ、チジミ、チャンジャをオーダーした。
飲み物は最初から、マッコルリにしたのには、ちょっと待て、と思ったが
飲んでしまえば一緒なんだしいちいち言うのも面倒なので
そのままにした。
最初に鍋がきて、Tはその中身を箸であちこちに動かしていた。
『なんで、そんなに鍋ん中かきまわすの?』
不思議に思って、あたしは聞いた。
『具にまんべんなく火が通るようにね。』
ふーん、意外と細かいんだなーとあたしは感心した。
でも、実はあたしも友達と鍋をする時は、仕切るほうなのだ。
ついつい、張り切ってしまう。
だけど、今日はあたしの出る幕はなさそうだ。ま、いいか。
鍋の中のものがくつくつと煮えている中、他の料理が運ばれてくる。
あたし達は、乾杯をしてマッコルリを飲んだ。
チャンジャの辛さと、マッコルリの甘さが絶妙にマッチして、とても美味しかった。
Tは、鍋の世話をし、あたしにかいがいしく、料理を取り分け、
気さくな笑顔で、自分の仕事の話を面白おかしく話してくれた。
マッコルリを5回目に注文した時には、Tの話はあたしについての賛辞ばかりだった。
むやみやたらと、人を褒める人間なんて、これっぽっちも信用してなかったけど
酒も入っていたあたしは、それをジャズの音楽の一部のように
心地よく、耳にしていた。
214
:
憂鬱な不倫恋愛〜精神患者のあたしと誰か〜
:2015/01/13(火) 03:07:44 ID:LDbLp6/I
もう、お腹がいっぱいで酒も入らない状態で、あたし達は
その店を出ることにした。勿論、Tが支払いをしてくれる。
あたしは、短くでもちゃんと心を込めて
『ありがとう』を言った。こんなあたしでも、ありがとうやごめんなさいは
心を込めて言うのだ。
辺鄙な場所で、他に飲みに行くところもなかったので、お開きだなと
考えていたら、Tは自分の部屋に寄っていけと熱心に誘う。
Tは、自分の家はここから近いし酔い覚ましに、コーヒーを飲もうと言うのだ。
あたしは、断った。Tがあたしとやりたいのかどうかは判断しかねたが、
今日はあたしはSEXする気はなかった。お腹いっぱいだったから。
だけど、余りにも熱心にTが誘うし、そういえば見たいテレビがあった事を
思い出し、あたしはテレビを見せてくれるなら、という余りにも 容易な理由で
昨日と今日、逢っただけのTの部屋に行った。
Tの部屋というのは、自宅だった。が、自宅には誰もいないから全然遠慮しないで、
と言ってスリッパを出してくれた。この大きな自宅に スリッパを客に自然に出す仕草から見て
Tの家は裕福なんだろう。
通されたTの部屋は、だだっ広く寒い外から帰ってきたあたしの身体は
更に凍った。寒いとあたしが言うと暖房と、ストーブをつけてくれた。
大きなテレビや仰々しいいステレオがある部屋で、このストーブは似つかわしくなかった。
早速、テレビをつけてもらう。もう始まっている。こんな事ならもっと早くTの部屋に
来ることを承諾しとけばよかった、っとちょっと悔やんだ。
Tが熱いコーヒーを運んでくる。急いで口をつける。その熱いコーヒーを
テレビを見ているうちに何度か口に運んでいる内に、身体も部屋も暖まってきた。
あたしは、Tと2人でそ、のドラマをあまりしゃべらずに(というかあたしが余りにも
必死に見ていたので話しかけられなかったのかもしれない。)見ていた。
テレビが終わると、さっさと帰ろうと思っていたのだが、Tがテレビを消音にし、それから
立派なステレオから、あたしの知らない洋楽を流した。名前を聞いたらボブディランだと言った。
さすがのあたしもその名前を知っていた。
215
:
憂鬱な不倫恋愛〜精神患者のあたしと誰か〜
:2015/01/13(火) 03:08:39 ID:LDbLp6/I
テーブルにはTのアルバムがあって、アメリカに3年間留学していたのだと言う。
あんまり興味がなかったが、そこにはホストファミリーと一緒に笑っているTや
馬に乗っているTが写っていた。Tは、これはねと写真の説明をしてくれたりしたが
あたしは、そんな事はどうでもよかった。
コーヒーを飲み干して帰ろうとするとちょっと待ってて、とTが言い部屋を出た。
足音が遠ざかり、そしてすぐにまた足音が近づいてきた。その瞬間、部屋を煌々と
照らしていた電気が消えた。急だったので、思わず
『キャッ』と、小さな悲鳴を上げた。
テレビの明かりだけの中Tがあたしに近づいてきた。ねえ、電気が消えたよ
どうしたの?とTに聞くけどそれには、返事をせず、
『本当に綺麗だ。セクシーだ・・・・・。』と言ってあたしの唇に自分の唇を
押し付けた。
『ん・・んっ・・・・・・・・』
Tは唇を一旦離し、あたしをその広い部屋のふかふかの絨毯の飢えに押し倒した。
ちょっと、やめてよ、あたしの言うことなんかは全然聞いていない。
Tにキスで口を塞がれ、苦しい程であたしはもうなんだか、それだけで
頭がぼうっとしていた。するすると手馴れているような手つきでTは、あたしの洋服を
全て剥ぎ取った。あたしは、抵抗が出来なかった。Tがあたしの乳首を触ったり
舐めたり、そっと指を挿れたりしてる内に気持ちよくなってしまったから。
あたしは、おいで、とTに言われ胡坐をかいているTの上に座る。
勿論、Tのペニスを自分の穴で飲み込んで。
そして、あたしはTの肩に手をかけて、上下運動を始めた。
Tは絶え間なく、あたしの乳房や乳首をまさぐり、気持ちいいよ、もっと早く動かして、
もう少し奥に挿れる感じで、上手だ、綺麗だ、と言っていた。
Tは、もうイキそうだと言うので、あたしはTに乳首を咬んで・・・・と囁いた。
その通りにしてくれてあたしは自分の気持ちいい場所にペニスがあたるように
腰を動かし『イク・・・・・・』と、短く漏らした。Tは、その言葉を聞くと
あたしを手で払うようにしペニス抜いて、その高級そうな絨毯の上に出した。
結局、やってしまったなーなんて考えて、そう言えばボブディランはまだ流れているなー
とか思いつつ、パンティを穿き洋服を着た。
Tは玄関でまたねと言い、キスをしてくれた。
だけど、あたしはそれ以来Tと逢っていない。何故ならTは明らかに態度が変わり
なんだか尊大な喋り方を電話でした。
そんなTにあたしは萎えた。結局やりたかっただけだったのか。
でも、気持ちよかったからいーや。あたしは、気持ちよかったらそれでよかった。
*この文章の著作権は私マリアに属します。*
216
:
マタコさんを遠くから見守る会会員No.774
:2015/01/13(火) 23:38:30 ID:LDbLp6/I
>>193-215
憂鬱な不倫恋愛〜精神患者のあたしと誰か〜
ヤプログ(ID:badcrazy)で2007.10.14-11.2にエントリーされたものです
コピペミスで
>>196
と
>>195
の順序が逆になっています(´・ω・`)
さらなる発掘ができたのでモバゲー時代の他2作品も投下します
217
:
それでもあたしは生きている。
:2015/01/13(火) 23:43:57 ID:LDbLp6/I
初めまして。翡翠です。翡翠の、あたしの事について、ちょこっと?書かせて貰います(^-^)
あたしは、昔、劣悪な家庭環境のもと、育ちました。 どんなに劣悪だったかは省きますが、とりあえずご飯が毎日食べられるかどうか、3歳の頃から心配していたりしました。
そんな中、小学生の頃に『自律神経失調症』と、いうものにかかりました。 具体的な症状としては、“走ってもいないトラックの音が聞こえる”
という、いたってシンプルなものでした(笑)
それが、自然に治って母親も、安心していた覚えがあります。
が、そんなに甘くないのが、この病気(´ω`)
218
:
それでもあたしは生きている。
:2015/01/13(火) 23:48:47 ID:LDbLp6/I
中学生の頃に、突然!! “円形脱毛症”
と、いうものになり、小児科で診て貰ったら、精神的なものからくるもの、との診断。
不細工なりに可愛く装いたい時期に、かなり大きい円形脱毛症…(T_T)それが、頭のど真ん中にだーん!とできる。―これが、どんなに辛かった事か。
円形脱毛症は、治ったり、また、できたり(´`)
幸いにも、友達には恵まれて皆が励ましてくれたのだけが、救いでしたねー。
友よ、ありがとう!
219
:
それでもあたしは生きている。
:2015/01/13(火) 23:52:38 ID:LDbLp6/I
高校にあがる頃には、病気なんて嘘のようでした。たまに、幻聴が聞こえる程度で、気にもなりませんでした。
無事に高校も卒業し、就職。大阪で、遊びまくりましたねー(笑)
高校デビューは、勢いありすぎて怖いです(笑)
就職先から、地元に帰ってきて、色々な仕事をしました。固い仕事から、夜のクラブ、スナックなんかを転々としておりました。
幸いな事に、容姿は人並みだったので、夜のお仕事では大人気!嘘みたいな本当の話^ロ^;
昼の仕事をしながら、夜の仕事をし、ちやほやされながら過ごした黄金時代でしたね。
もてまくって、二又、三又上等!と、上せまくっていました。
あの頃の皆さん、ごめんなさいねφ(.. ;)
たくさん、色んな物買ってもらって、車や、マンションまで頂きましたー。
毎月10万お小遣いくれる方なんかもいたなぁ。
でも、騙したわけじゃないですからね!
あくまで、その方達のご好意ですよー!
今、思い出しても楽しかったなぁ、と思える日々でした。
バブリーな日々と言っていいでしょうね。
220
:
それでもあたしは生きている。
:2015/01/13(火) 23:54:20 ID:LDbLp6/I
その頃は、気が付かなかったけれど、完璧アルコール依存性でしたね。
女友達と、サテン入ってもビールしか頼みませんでしたからね(笑)
今だから言いますが、出勤前に我慢できず、予め、冷蔵庫に用意していた、缶ビールを一気飲みして、何食わぬ顔して、出勤していたんですよ、この女は(笑)
休みの日なんかは、お客様と一緒に知り合いの店を開けてもらい、昼から朝まで、飲みっぱなし!
はっきり言って、異常に飲んでいましたね。
夜の世界を離れてから、自営業をする事になり、なんとか昼間はアルコールを我慢しました。
けれど、夜になると、誘われるまま飲みに行き、ボトル2人で一本空けるなんて、当然でしたね。
ですが、お酒から、離れる出来事が起こりました。
221
:
それでもあたしは生きている。
:2015/01/13(火) 23:59:04 ID:LDbLp6/I
それは…。
『パソコン購入』
お店の役に立つかもしれない!と思ったのが、落とし穴。
役に立ったのは、立ったけど、自分の仕事ではなく…。
『ネットショッピング』
に、存分にその威力を発揮してくれました!(泣)
元々、洋服やコスメ、アクセサリー等、いわゆるショッピング全般が大好きな私にとって、パソコンは、家にいながらにしてショッピングができる、魔法の機械でした。
それが、後々、どうなるかも知らずに…(;´∩`)
222
:
それでもあたしは生きている。
:2015/01/14(水) 00:00:36 ID:Niha.nl.
ネットショッピングサイトは、楽天と決めて、ポイントを貯める事も楽しかったし、今までデパートに電話して、購入していた商品が、電話もせずに、しかも安く買える!
はまらない方がおかしいと、思っていたあたしがおかしいですから(苦笑)
ネット通販をし始めてから、“ブログ”というものに、興味を持ち、自分でもやってみる事に!
それが、また買い物依存に加速をつける事に…。
私がアップする、購入した品物を褒めてくれる顔も知らない人々。
私は、それが嬉しいのもあって、気になったものは、片っ端から買って、ブログアップ!
その話題で持ちきりになって、嬉々として返事をしていたあたし。
豚もおだてりゃ、木に登ってしまったわけです。
223
:
それでもあたしは生きている。
:2015/01/14(水) 00:01:21 ID:Niha.nl.
そして、また質が悪い事に、リアルショッピングも大好き!で。
近くにお気に入りのSHOPが何軒かあり、そこでも買い物してしまうんですね。これが。
買い物依存によくある、“何かを買った時の高揚感”が忘れられないのも、要因の1つでしたね。
気が付いた時には、自分のお小遣いなんてものは、なくなっていましたから。
それでも、欲しいものがあると、どうにかすると買えてしまう現代。
あたしも、どうにか買っていました。
買い物依存は、現在も苦しんでいますが、全盛期に比べれば、全然可愛いもので、なんとか遣り繰りしています。
全盛期のまま、買い物していたら、自己破産してますよ。大変です(οдО;)
224
:
それでもあたしは生きている。
:2015/01/14(水) 00:02:52 ID:Niha.nl.
買い物依存の話は、これ位にして、後は躁鬱とパニック障害ですが、これらは、急激にくるもんなんですね。
自律神経を患った事のあるあたしですから、当然、結構繊細だったりします。
初めの?は、仕事でした。
行っていましたが、なんとなーく行きたくない感がじわじわと、心の中に広がっていったのです。
その頃、あたしは結婚をしていて、後に離婚する事になる当時の旦那さんとうちの母親(何故か、話し合いにはいつも、うちの母親が混じっていました。)に、
『なんだか、心の様子がおかしいから、精神科に行きたい。』
旨を話しましたが、あえなく却下(´`)
二人共、あんな所は、もっと騒いだり、喚いたりする頭のおかしな人が行く所だ、と言いました。
あたしは、反論できませんでした。
でも、↑のように思っている人って、まだまだいるんじゃないですかね?
それこそ、偏見ですよ。
225
:
それでもあたしは生きている。
:2015/01/14(水) 00:06:51 ID:Niha.nl.
静かに、しずかーに、なんだかおかしくなっていく人達が、たくさんいるんです。
ま、この辺は後々詳しく書いていきますね。
で、ですね。
病院を却下されたあたしは、とりあえず、近所の内科の医師に相談してみました。
よくある話しですが、こちらの顔もよくよく見ず、質問もしないで、
『ちょっとした欝みたいなもんでしょ。お薬出しときます。』
と、なりました。
お薬は、確かに妙な不安感や仕事行きたくなーい!という気持ちを打ち消してくれましたが、いかんせん、なんだか気持ちが、いつも平坦になってしまったんです。
ロボトミー手術を受けたらこうなるのかな?って感じでした。
不安感もないけど、喜び、感動もない。
あたしは、薬を飲むのをやめました。
226
:
それでもあたしは生きている。
:2015/01/14(水) 00:07:43 ID:Niha.nl.
薬をやめたあたしは、なんだか元気を取り戻していて、その間に、なんとなく結婚した人と性格の不一致という、よくある理由で離婚。
当時3歳の子供がいたので、管理者はあたしになり、子供と共に、母親宅に同居と相成りました。
そして、病気は買い物依存が、ちょいちょい顔を出す程度に治まっていました。
離婚して、自分が子供を食べさせないといけないという、緊張感も多分にあったんだとは、思いますが。
ちなみに、子供は自由に父親に会えるようにしております。
あたしに、子供から親に会う権利を剥奪するなんて事は、できませんから。
離婚して、3年後に新しく結婚を前提にして、つきあう彼氏ができました。
今の相方です。
彼は、東京の人だったので、一年間、遠距離恋愛をして、事実婚に至ります。
事実婚とは、籍はいれないで、式だけして一緒に住む、もしくは式もなしで親の承諾を得て、一緒に住む事らしいです。
幅が広い言葉なので、特定はできませんが(^o^;
子供も、彼に懐き、全て順調でした。
ここまでで、今までのあたしのこと、とさせてもらいます。
現在は、相方とあたし二人が一緒に住んでいます。
子供は?と思われた方、病院は?今はどうしてるの?と思われた方、焦らないで下さいね(^-^)
順を追って、お話してゆきます(^-^)
この、章で書いた事についての捕捉もしていきますね。
227
:
それでもあたしは生きている。
:2015/01/14(水) 00:13:58 ID:Niha.nl.
【ブログ。】
私は、某コスメサイトで、頻繁に口コミをしていました。
買い物依存性でしたので、口コミする商品には事かきませんでしたし。
それを、少し皆とは違うように自分の昔の事や、遭遇した事等を、織り交ぜて書いていました。
すると、モバで言う『友希』が、たくさん来始めて、最終的には300という数になっていました。
おバカなあたしは、単純に喜んでいましたが、その実状を知らされた時には、カナリびっくりしました。
その実状については、もう少し待ってね(^O^)
そして、その300人の友達の中から、ブログをやって欲しい、という声があがってきました。
機械音痴のあたしは、ずっと断っていましたが、友達のブログを見たり、他の人のブログを見たりする内に、段々とその気になり…。
ブログ始めてみよう!
と、いう気になりました。
228
:
それでもあたしは生きている。
:2015/01/14(水) 00:14:55 ID:Niha.nl.
ブログを始めてから、自分の顔の露出をしたり、買った物をお披露目したり…。
すると、常連さんやお友達、通りすがりの方等から、賛辞を受けて、満足していました。
その頃、某コスメサイトとの口コミとブログを平行してやっていたので、さすがに疲れる←まだまだパソコン初心者の域だったので。 し、時間も取られるので、某コスメサイトの口コミをやめる宣言しました。
すると、私が辞めるのを惜しんで下さる皆様から、サイト内でのメールがたくさん届き…。
正直、感動しましたね。
ですが、その中の何通かは、嫌がらせ的な内容でした。そして、ある一通のメールに、さっき書いた、『実状』とやらが、書いてあったのです。
それは、どびっくり!な内容でした。
229
:
それでもあたしは生きている。
:2015/01/14(水) 00:20:30 ID:Niha.nl.
【 えーっ!!】
その、メール自体にではなく、メールに添付されたURLで、実状が明らかになったんです。
送り主は、善意を装っていましたが、きっとあたしに知らせたかったんだと思います。
添付されたURLをコピペし、どんなサイトかも判らずに、飛んでみました。
すると…そこは見たこともないサイト。
皆が、
『名無しさん』
という、ハンネになっていて、雑談をしているように、一瞬見えました。
ですが、実際には、雑談なんて、可愛いものではなく…。
僻み、妬みがバンバンに感じられる『悪口』を言いあう場所でした。
しかも、悪口を言われているのは、誰でもないこの、あたし。
思わず、
『えー!』
と、叫びました。
あたしのプライベートを憶測で話していたり、幼児虐待をしていると言われていたり―。
とにかく、あたしの悪口を言いたいんだな、と言うのは、もう物凄く伝わってきました。
230
:
それでもあたしは生きている。
:2015/01/14(水) 00:21:38 ID:Niha.nl.
そのサイトとは、悪名高き、◇2ちゃんねる◇
あたしは、それまで2ちゃんねるという、サイトがあって、芸能人が悪口を書かれたりしている、というのは聞いた事がありましたが、まさかあたしが、この一般ピープルなあたしが、このサイトでスレッドを立てられて、書かれるとは、思ってもみませんでした。
最初は、2ちゃんの様子が気になり、今の相方と一緒になるまでは、何を書かれているか、必死になって読んでいました。
ですが、相方が
『そんなバカでネクラなオタッキーの書く事は気にしない方がいいよ!見なかったら、ない事になるんだから。』
と、ナイスな発言をしてくれました。
そして、ようやく、あたしは2ちゃんを見る行為をやめる事ができました。
でも、この2ちゃんを見る行為は、あたしの心の中に、鉛を置いていったのでした。
あたしも、気が付かない内に…。
この2ちゃんのお話は後に、また出てくる事になります。
231
:
それでもあたしは生きている。
:2015/01/14(水) 00:25:19 ID:Niha.nl.
【 いきなり、それは、やってきた。】
あたしは、それからもブログ更新していました。
正直、あんな低俗な野次に負けたくない気持ちもあり。
けれど、あたしをブログ内で応援してくれている人にも、裏切り者がいる事は、既に判っていました。
それでも、割り切ってブログを続けていたある日…。
寝る時に、急に不安感が襲ってきました。
自分でも、わけが判らず、その不安感のために、ろくろく眠れず、次の日の朝を迎えました。
相方と子供とあたしの三人で暮らしていた頃です。
いつものパターンだと、相方が先に、会社に出かけ、あたしが子供を保育園に送り、それから出勤していました。
なのに!
いつもは、平気で相方を見送っていたのに、何故か、その日は、涙がぼろぼろ出て、どうしようもない。相方に、仕事に行かれるのが、辛くて泣きまくり、相方は、尋常ではないあたしの様子を察してくれて、その日は、会社を休んでくれ、子供をあたしの代わりに、保育園に送ってくれました。
相方が仕事を休むと、決めてくれたら、涙が止まりました。
あれは、一体なんだったんだろう?
と、軽く考えていましたが、相方が家にいる喜びに、あたしは有頂天でした。
むろん、自分のお店も休みました。
昼間、相方に謝ったら、
『いーよ!いーよ!』
と、快く受けとめてくれ、あたしも
『もう大丈夫だから!』
と、言っていました。
…が!
232
:
マタコさんを遠くから見守る会会員No.774
:2015/01/15(木) 01:04:02 ID:g9OPccms
>>217-231
それでもあたしは生きている。(2008)
モバゲーで発表されたケータイ小説です
コメント
躁鬱、パニック障害etcなあたしのエッセー
まえがき
それが始まるきっかけは、もう20数年前の事。自律神経失調症から、躁鬱病、パニック障害、買い物・アルコール依存、自傷行為へと…。そんなあたしの事を赤裸々に書いていきます。
判って欲しいとは思ってませんただ、こういった心の病気を知って欲しいかなぁ
堅苦しくなく、フラットに書いていきまぁす(^-^)
ぼちぼち書いていくけど、楽しみにしてるよレビューがたくさんあれば、頑張ります(笑)
2008/11/29更新分まで
>>217-226
章タイトル抜け 【あたしのこと。】
233
:
情緒不安定テロリスト
:2015/01/15(木) 01:10:07 ID:g9OPccms
【人間消滅】
語彙のない豚ども。
猿真似言葉の人々。
ああ、もう嫌だ。
適当にどうでもいい
話をし、笑顔を交わす。 そんな日々の中、僕は すり減っていく。
だから。
だから。
明日、僕は失踪する。
234
:
情緒不安定テロリスト
:2015/01/15(木) 01:11:03 ID:g9OPccms
いつものように、
どうでもいい、話をし もう慣れてしまった
作り笑いを浮かべ。
誰にも悟られないように、明日、忽然といなくなる。
皆、口を揃えて
『昨日は、いつもと変わりがなかったのに…。』
とでも、決まり切った 台詞を言うだろう。
反吐が出る。
暫くは、僕の話題でもちきりで、無神経な彼らは憶測で色々な事を言うはずだ。
だが、やがて、人々は忙しさやどうでもいい事に追い回され、僕の事なんか忘れる。
それは、なんて素敵な 事なんだろう。
235
:
情緒不安定テロリスト
:2015/01/15(木) 01:13:16 ID:g9OPccms
忘れられる僕は、美しい。
僕の事なんか、ひとかけらでも、想い出さないでくれ。お願いだから。
僕は、僕の不幸に気が付いてしまった。
でも、果たしてそれは不幸なのだろうか?
部屋をそのまんまにして、僕だけがいなくなる。 ぱっ、と消える。
何処に行くのか、
何処に辿り着くのか
判らない。
口数少ない人間達が
住む、おさびし島か、 それとも乾いた笑顔の 洪水のネオン街か。
僕の次の居場所は、
僕自身知らない。
けれど、このまま、 此処にいて、心まで 腐敗するのは嫌なんだ。
だから、僕は、明日
失踪する。
さようなら、豚ども。 さようなら、どうでもいい誰か達。
もう、二度と会う事はないのです。
さようなら。
さようなら。
僕は、本当の笑顔を作って、消えるのだ。
終
236
:
情緒不安定テロリスト
:2015/01/15(木) 01:15:51 ID:g9OPccms
【灰かぶりは…。】
ハッピーエンドで終わった物語。
素敵な王子様と白い馬に乗る。
微笑みあう二人。
そこで、終わる物語。
温かい気持ちになる
単純で純粋な人々。
237
:
情緒不安定テロリスト
:2015/01/15(木) 01:17:00 ID:g9OPccms
だけど。
だけど。
灰かぶりは、幸せになれたのか?
一生を王子と、愛し合い暮らしたのか?
環境の違いすぎる二人は、本当に幸せになれたのかを考える。
238
:
情緒不安定テロリスト
:2015/01/15(木) 01:20:22 ID:g9OPccms
もしかしたら…。
王子の気が変わり、元の灰かぶりに戻っているかもしれない。
そうして、何処へ行くあてもなく彷徨っているかもしれない。
あなたは、考えた事がない?
童話の中の幸せになった、プリンセス達の事を。
239
:
情緒不安定テロリスト
:2015/01/15(木) 01:21:01 ID:g9OPccms
物語は、終わってから始まる。
そこからが、本当の始まり。
物語の終わりの真実を、私は知りたい。
彼女達の、その後を知りたい。
幸せでありますよう。
そう、願うだけ。
灰かぶりは…
どうしているのだろう。
240
:
情緒不安定テロリスト
:2015/01/15(木) 01:22:39 ID:g9OPccms
【幻想】
細ひ月夜の晩は、
貴方との逢瀬の夜。
細ひ道を二人で歩く。
とぼとぼとぼとぼ。
少し前を歩く貴方の
影を、踏まぬやう、
気を付けて歩む。
早足の貴方は、わたくしの
前で何を考えているのか。いないのか。
241
:
情緒不安定テロリスト
:2015/01/15(木) 01:24:10 ID:g9OPccms
数分無言で、二人で
歩ひてゆくと、
その先にあるのは、
鄙びた宿。
貴方が、そっと、
すっと入ってゆく。
わたくしは、貴方を
追ふやうに歩を早める。
薄暗く、細い月夜の光が入る部屋で、貴方はやはり、無言でわたくしを促す。
促されるまま、貴方の 言ふ通りにするわたくしは、愚かな女なのでせうか。
242
:
情緒不安定テロリスト
:2015/01/15(木) 01:24:48 ID:g9OPccms
わたくし達の関係は、
なんでもありません。
ただの情事と貴方は、ゆふのでせう。
けれども、わたくしは…。
一時の幻想に、現つを抜かし、次の月夜を待つのです。
細い月夜を待つのでござひます。
貴方との逢瀬だけを、考へて。
貴方との情事だけを、考へて。
もう、動けないのです、貴方。
たとい、幻想だとしても、わたくしは愛があると思つているのでござひます。
243
:
情緒不安定テロリスト
:2015/01/15(木) 01:27:37 ID:g9OPccms
【踊り続けろ!】
蟻の行列。
蟻の行列。
鳩のタンゴ。
鳩のタンゴ。
豚の笑い。
豚の笑い。
そう。それだけで
もう虚しくて、また
あの場所から、
キラキラ光るナイフを取り出す。
244
:
情緒不安定テロリスト
:2015/01/15(木) 01:28:40 ID:g9OPccms
僕は、右利きだから、 嗚呼、こんなとこまで 凡庸極まりない。
左手首にナイフをあてる。
儀式にも程遠い、
子供の遊び。
何回も、あてては、ひき ひいては、あてる。
僕の血も、やっぱり
赤いんだ。
弱者の僕の血も、
真っ赤なんだよ。
その嬉しさに、
手を掲げる。
245
:
情緒不安定テロリスト
:2015/01/15(木) 01:29:43 ID:g9OPccms
そうすると、
ポタリポタリと僕の
顔の上に、血が
降り注ぐ。
生臭い鉄の匂い。
君達が、僕を詰っても、 凌辱しても、
僕は、構わない。
だって、僕は
死すらできるんだから。
君らは、僕を支配して いると思っているけれど 、本当の支配者は、
僕なんだ。
そんな事も知らないくせに。
くせにね。
246
:
情緒不安定テロリスト
:2015/01/15(木) 01:31:17 ID:g9OPccms
僕の周りの、僕より
凡庸で、低能な奴ら。
一生、そこで
踊り続けろ!
何も知らないまま
踊り続けろ!
僕のナイフがギラッと光る。
歪んだ僕の笑顔は、
醜くて、滑稽で
美しい。
蟻もダンス。
鳩もダンス。
豚もダンス。
お前らもダンス。
僕は、それを遠くから 楽しげに眺める。
口元には、ほんの少しの 笑み。
手首から流れるこの、 僕の血の行く末を、
僕は知っている。
247
:
情緒不安定テロリスト
:2015/01/17(土) 00:42:46 ID:EH7mrJwg
【 テロリスト】
緑が覆い茂り、
子供連れの母親達が
たくさんいる、
清々しい公園。
青空は、どこまでも
広がっていき、
私の知らない所まで
続いてゆくのだろう。
太陽の光りは、
眩しすぎて
目がくらむ。
少し離れたベンチから
楽しそうな、家族連れを 観察する。
笑顔。笑顔。笑顔。
そう、今は。
248
:
情緒不安定テロリスト
:2015/01/17(土) 00:47:07 ID:EH7mrJwg
柔和な笑顔で、ベンチに座る私の正体を、誰も
知らない。
私は、ある物を隠し持っている。
バッグにも、
心の中にも。
後少しで、起こるであろう出来事を思い浮かべる。
阿鼻叫喚の地獄絵図。
血まみれの人々から
消える笑顔。
その、素敵な想像に
胸が踊る。
そろそろ、時間。
249
:
情緒不安定テロリスト
:2015/01/17(土) 00:48:10 ID:EH7mrJwg
ゆうっくりと
立ち上がり、
静かに、人々に
近寄っていく。
母親の腕の中の
柔らかそうな
赤ん坊が、
にこにこしている。
私も、微笑み返す。
そして、私は、
バッグの中に手を入れた。
終
250
:
情緒不安定テロリスト
:2015/01/17(土) 00:52:12 ID:EH7mrJwg
【 シュール エリア】
上手な人真似で、 危うい綱渡り。
墜ちたら、消えてなくなる。
無個性は、凡庸極まりなく、残せるものは、何もない。
人真似。猿真似。
どうぞ、お気の済むまで。
けれど、その綱が細く細く、足元が危うい事に、気が付かぬ、愚か者。
愚鈍と陽気を履き違え、 どこまでも行くあなたを 笑いながら見つめている。
鏡を見てご覧?
のっぺらぼうが、 其処にいるから。
個性を捨て、人真似に 走る、その知性の 欠片のなさに、知らないふりをする。
251
:
情緒不安定テロリスト
:2015/01/17(土) 00:54:52 ID:EH7mrJwg
【 おうち】
家に籠もって何しよう。 家に籠もって何しよう。
何か楽しい事しよう。 何か楽しい事しよう。
楽しい事はなんだろう? 楽しい事はなんだろう?
考えてみた。
考えてみた。
ルルルル♪ルンルル♪
爆弾作ってみようかな。 爆弾作ってみようかな。
僕はこの家の透明人間。 僕はこの家の透明人間。
僕以外は仲良し家族。 僕がいなけりゃ、理想の 家族。
そう思っているあいつら を、驚かしてやる。
僕は爆弾を作る。 僕は爆弾を作る。
僕を透明人間にした あいつらの前に、 爆弾を見せ付けてやろう 。
阿鼻叫喚の地獄絵図。
楽しいな。
楽しいな。
フフッ。ウフッ。ウフフフ。
252
:
情緒不安定テロリスト
:2015/01/17(土) 00:59:30 ID:EH7mrJwg
【 ビス】
まちゃとのコラボ
はやすけに感謝の心を込めて゚+。(*′∇`)。+゚
253
:
情緒不安定テロリスト
:2015/01/17(土) 01:00:30 ID:EH7mrJwg
小粋で、ジョークがうまくて、無神経でない。
そんな大人になりたかった。
そんな大人が現れた。
颯爽と。
ふざけている言葉の中に見える、沼のような孤独感は、知らないふりをしてあげる。お城の中の淋しい目をした王子。
それが、あたしが貴方に対しての尊敬の表し方。
悲しい時こそ、笑っている心は、ビスがたくさん刺さって、血が流れ出る。 ビスがびっしりと、突き刺さっているよ?
ビスだらけの心の中に、 そうっと入っていって、 あたしが抜いてあげるから。1つ、1つゆっくりと気が付かれぬよう。
怖い夢は、あたしが全部食べてあげるから。
安心して、深く眠って。
流した血は、あたしが綺麗に、舐めとってあげる。
だから、もう大丈夫だよ。心配しなくて、いいんだよ。
254
:
情緒不安定テロリスト
:2015/01/17(土) 01:06:58 ID:EH7mrJwg
【 天使の分け前】
私の敬愛する、大切なsisterに贈ります。
255
:
情緒不安定テロリスト
:2015/01/17(土) 01:07:51 ID:EH7mrJwg
天使の分け前 彼女は、私の天使だ。
難しい事を話そうと、 何をしていようと、 それは一生変わらない。
偶然の幸福で、彼女に出会う。それだけで、心に身体に、幸福の雨がやまぬ。
友情でもあり、愛情でもある。
報われなくとも、細い糸で、奇抜な感性で繋がっていれば、それでいい。
彼女は、天使だから、素敵な分け前を持っている。
私は、そんな彼女をひっそりと見ているだけで幸せだ。
彼女の冷たい手を、温めてあげたい。
彼女の笑顔を守ってあげたい。
心から、そう願っている。 あなたが、幸せでありますようにと、子供のように、お祈りする。
256
:
情緒不安定テロリスト
:2015/01/17(土) 01:11:07 ID:EH7mrJwg
【蜜月 秘密 密の味】
とても気のあう、はやすけとの、違う世界での、彼とあたしの物語。
257
:
情緒不安定テロリスト
:2015/01/17(土) 01:12:27 ID:EH7mrJwg
『蜜月 秘密 密の味』
今日も、彼の言葉を待っている私がいる。
遠慮がちな彼の言葉は、私の心に波を起こす。
足元から、あわ立つような、この気持ちをなんて言ったらいいのだろう。
彼の笑顔を夢見て、その腕の中に抱かれたいと思う刹那。
この、秘密は甘くて、甘くて歯が痛くなる。
だから、この痛みには、もっと甘く、密やかなKissを。
私も、貴方も、もっと自由になって、お互いの密を舐めとりながら、蜜月を過ごそう。
戯れながら、何もかも忘れて、とろけるような蜜月を、過ごそうよ。
私達は、誰からも自由なのだから。
愛する気持ちは、自由なのだから…ね。
258
:
情緒不安定テロリスト
:2015/01/17(土) 01:15:17 ID:EH7mrJwg
【 あやかしの夜】
10年間という、月日の間、私達は、ずっと愛し合っていた。
誰かと結婚しても、心は、お互いを求めていた。
機会は、運良く私達に巡ってきて、私は、一人住まいの彼の家を、そっと訪れた。
彼は、何もかも知っていたかのように、私を家にあげた。
布団の中に入ると、彼の香りで、身体がいっぱいになる。
熱い愛し方をする彼に、しがみつき、その舌をまさぐる。
私達は、夢中だった。
これは、今夜だけの夢。 何者かが見せたあやかし。
私は、そう決めて、なおいっそう、彼を求めた。
これきり、彼に会う事は、なかろうと、心に刻みつつ。
259
:
情緒不安定テロリスト
:2015/01/17(土) 01:21:57 ID:EH7mrJwg
【終焉には、まだ早い。】
黄色くて、少しおおぶりの、私のカッター。
いつも、どこかでひっそり眠らせている。
たまに、出番を作ってあげる。
思い切り、刃をひくと、ねっとりとした血と、さらさらの血が混じって珠のように、ぷっくり膨らんで、流れる。
誰に、なんと思われたって私は構わない。
私の、この濃い色の血を眺める度に、私は生きている事を実感できるのだから。
もっと、深く。
もっと、長く。
もっと、たくさん。
私の金臭い血液の匂いが、部屋中に漂う。
誰にも、見られないで行う、私の大切な儀式。
神聖で美しい、尊い儀式。
生きるために、血を出す事を、誰も知らない。
260
:
情緒不安定テロリスト
:2015/01/17(土) 01:26:05 ID:EH7mrJwg
【 妄想家族】
いつも優しいお母さん。 何かと私と、一緒にいたがるから、これも親孝行だなんて、思って彼女と行動を、共にする。
鷹揚で私に甘いお父さん。お母さんに内緒で、こっそりお小遣いをくれる。 ダンディで、自慢のお父さん。
家は、都内の一等地にあって、周りには芸能人が、たくさん住んでいる。
乗っている車は、ベンツとレクサス。2台あった方が便利だから、ってお父さんがキャッシュで買った。
私の洋服は、クロエや、ドルガバ、マルタンマルジェラなんかが多い。
ブランドバッグなんて、もう飽きた。
毎日お母さんとお買い物に行って、何かしら買ってもらう。今日は、ショーメのペンダント。ダイヤが揺れる。キラキラ揺れる。
そんな事を思いながら、家族に棄てられたあたしはボロイアパートの一室で幸福に浸る。
虚構でも構わない。 だって、あの家族といると楽しいんだもん。
棄てられた事なんて、 忘れちゃうよ?
ゴミみたいに、ポイッと 棄てられた事、
忘れさせてよ。
261
:
情緒不安定テロリスト
:2015/01/17(土) 01:28:05 ID:EH7mrJwg
【 逃げ続ける。】
僕がこんな凡庸で 人目につかないような 人間なのは、
そんな風に僕を生んだ 両親のせいだ。
僕のださい自転車を
思わず隠したくなるような、あいつの最新の自転車。
僕の家が金持ちだったら、僕だって、あの自転車を手に入れられるんだ。
僕の成績が普通なのも、 女の子にもてないのも、 友達がいないのも、
全て、僕のせいじゃない。
僕のせいじゃない。
僕のせいじゃない。
僕のせいじゃない。
僕のせいじゃないだろう?誰か、そう言ってくれ。
さもなくば、僕に生きる価値はない。
価値がなければ、後は…。
どこまで凡庸なんだ。
誰かのせいになんかしていないんだ。
いないんだ。
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