したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | |

まーちゃんとまりあんLOVEりんのスーパー姉妹スレ@新狼

1名無し募集中。。。:2016/12/01(木) 00:45:02
。。8‘ ー‘)<避難所でもやっちゃいまりあ

川* ^_〉^)<ねえ、栗きんとんはいつ出てくるの?


。。8*‘ -‘)

。。8*‘ -‘)<…

142まさきのマジェスティ:2017/05/21(日) 21:21:12
【エピローグ】

真莉愛は病院用ベッドの端に腰かけていた。
廊下にいる楓と玲奈が手を振った。

黒木も含めた全員が“組織”によって身柄を確保された。

「ここに滞在することになるんですか?」真莉愛はぼそぼそと優樹に話しかけた。
優樹は背もたれに身体を預け、しばらく天井を見つめていた。
やがて両手を広げて膝に置いた。
「“拘禁”かな。正確に言うと」

優樹は深いため息をついた。
政府機関のエージェントである優樹たちは複雑な機密情報そのものだ。
組織自体に法的承認がない。
ありがたいことに刑務所暮らしをすることはないが、似たような暮らしをすることはある。

ここは壮大な煉瓦造りの屋敷だった。
立派なプラタナスの大木が並んで植えられている。
優樹はその環形の私道をじっと眺めた。

楓と玲奈は廊下の先にある部屋に向かった。
これから数週間、あるいはもっと長い期間ここで過ごす間、彼女たちの食堂であり共用スペースになる。

屋敷の中は自由に動き回ることができるが、外部との接触は一切できない。
政府の秘密機関――特別委員会と呼ばれている――が結論を出すまでは。

黒木がわびしげな風情で舗道を散歩していた。
(分別のあるところを見せてくれて嬉しいわ)
兵藤はそう言っていた。
五木の背信行為についての供述書はうわべを取り繕ったものだった。

“組織”にとってダメージが最小限で済むように責任を分散させた悪あがきだ。
自分が闇に葬られることなど気にもならないが、まだ若い女の子たちを矢面に立たせることは我慢できなかった。



ほどなくして屋敷を管理監督している男に命令が下った。
“全員を自由にするように”
電話が鳴った。男が対応する。電話の相手は兵藤だった。

この“組織”で無条件に命令に従うべきごく少数の幹部の中では、兵藤はリストのトップにくる。
「承知いたしました、兵藤“長官”」



おわり

143名無し募集中。。。:2017/05/21(日) 22:38:56
自由……

144名無し募集中。。。:2017/05/22(月) 01:25:14
乙した
面白かった

145名無し募集中。。。:2017/05/22(月) 08:44:46
めちゃくちゃ面白かった
Dとよこやんが生き残っ…いや生き残れなかったのか?

146名無し募集中。。。:2017/05/22(月) 11:20:41
。。8*‘ -‘)<佐藤さん、ご飯を幾ら食べてもお腹いっぱいにならないんですけどどうしてでしょう……

川* ^_〉^)<あ、肺じゃなくて間違って胃にストロー刺しちゃってた
        んで抜くの忘れてた ごめーん

。。8*‘ -‘)

。。8*‘ -‘)

147名無し募集中。。。:2017/05/22(月) 11:32:58
川* ^_〉^)<拘禁されちゃったねー

。。8*‘ -‘)<まりあそんなに汚く無いですよ

川* ^_〉^)

川* ^_〉^)<抗菌じゃねーよ!

148名無し募集中。。。:2017/05/22(月) 12:19:52
分かりにくかったかな
エピローグの時点で5人とも生きてます
ただそのあと“自由”というのはいろんな解釈ができるようちょっとアンフェアな書き方しました
引退生活を満喫してるかもしれないし以前のようにエージェントとして働いてるかもしれない
あるいは…粛清されて…とかね

読んでくれたひと どうもありがとう
また書いたら付き合ってください

149名無し募集中。。。:2017/05/22(月) 12:38:27
拘禁とは保護されている事でもあって、それを解く=自由にする、で後はどうなろうと関知せず、か

作者さん有難う御座居ました
出来たらまたスピンオフも読みたいです(^-^)

150名無し募集中。。。:2017/05/22(月) 20:24:48
楽しかった
ここ最近一番楽しみにしてました
ありがとう

151名無し募集中。。。:2017/05/23(火) 00:08:00
ありがとう
面白かった

152まりまーZERO:2017/06/01(木) 21:24:27
[だーさく編]

最初に2発の迫撃砲弾が地面を打った。
聞き違えようのないその炸裂音が空気を揺るがす。
「ちくしょう!」亜佑美が叫んで発砲を始めた。
ようやく敵の1名を射殺したところで、また激烈な連続射撃を受ける。

亜佑美とさくらはたまらず大地に腹這いにさせられた。
さくらは強行突破を考えている方角がよく見えるところへ匍匐していった。
敵の3名がすでにその方角を遮断している。
さくらの顔が見えた途端、敵は射撃を開始した。

跳弾が空に舞う。
さくらは手榴弾のピンを抜いて、その方角へ投げつけた。
投じた手榴弾が炸裂して爆発音をあげる。 
敵が数名、トランプのカードのようにバラバラに吹っ飛び宙に舞った。

さくらは膝射姿勢をとり、敵に銃撃を浴びせたが相手は強引に接近してくる。
腕に1発、胸を守っている炭化ホウ素防弾板に1発、弾を食らってしまった。
亜佑美のいるほうへ這いずり戻る。「包囲を狭めようとしてます」

亜佑美が、敵の頭を下げさせておこうと貧相な木立に数発の弾を撃ち込みながら問いかけた。
「あいつら、待ち構えてたような感じだけど、どう思う?」
さくらが負傷した腕にコットンを押しあてた。
「ええ、そうですね。どの方角に行っても待ち伏せのど真ん中です。罠ですよ」

周囲は完全に包囲され、身を隠せるものはまばらにある岩だけだ。
「あいつらが迫撃砲の着弾を修正したら終わりだね」と亜佑美。
「それはもう済ませてるんじゃないですか」さくらが続ける。「生け捕りにするつもりかも」

亜佑美が片膝をついて迫ってくる敵を撃つ。撃ちながら苦悶のうめきを漏らしていた。
「苦しそうですね」さくらが亜佑美の背中を守るように敵に発砲する。
「口を慎みなさい。腓骨が折れてるの」亜佑美が言った。
さくらが亜佑美をちらっと見た。
「どうして折れたことが分かるんです?」
「骨が突き出してるからよ、小田!」

苦悶しながら亜佑美が叫んだ。
「さっさとここを離れなさい!」続ける。「あたしが押し止めておくから!」
さくらがにやっと笑って敵に連射を浴びせた。「カッコいいこと言わないでください」

さくらが被弾して仰向けに倒れる。
亜佑美は手を貸しようがなく、身を低くして敵に銃口をめぐらして撃った。
血にかすんだ目を通して、さくらが最後の手榴弾をハーネスから取りだすのが見えた。

激烈な銃撃戦となる。
亜佑美とさくらは、どちらも何も考えず、なかば這い、なかば相手を引きずって浴びせられる銃弾から逃れようとした。
自分たちがどこに向かっているのかも分からないまま、ふたりは身を転がす。

抱きあったふたりのあいだには、緑色をした滑らかな楕円形の手榴弾があった。
「小田…」「石田さん…」

153名無し募集中。。。:2017/06/01(木) 21:39:57
急に壮絶なのがキター!!!……

154名無し募集中。。。:2017/06/02(金) 01:28:18
すげえなあ皆それっぽいんだよな

155名無し募集中。。。:2017/07/03(月) 12:48:31
新たな刺客が送り込まれたな…

156名無し募集中。。。:2017/07/29(土) 19:22:37
http://stat.ameba.jp/user_images/20170725/23/morningmusume-10ki/b4/2e/j/o0480064013990569119.jpg
まさきのミリタリールックに笑う画像

157名無し募集中。。。:2017/08/12(土) 07:56:46
まりまーZERO 道重部隊が壊滅させられたシーンのイメージ
https://youtu.be/A9a-1KCzxrs

158名無し募集中。。。:2017/08/13(日) 07:35:34
8/11(金/祝)佐藤優樹/牧野真莉愛生写真『“Hello! Project ひなフェス 2017”佐藤優樹/牧野真莉愛ライブバージョン』
http://www.helloshop.info/photo/20170808_107944.html
http://www.helloshop.info/wp-content/uploads/2017/08/2d28d2a02b583ffd6e4422f7046de70d.jpg

159名無し募集中。。。:2017/08/22(火) 19:32:31
>>158
買った買った

160名無し募集中。。。:2017/10/08(日) 02:41:43
小説読んでた頃楽しかったな
だーさく編も読みたいぜよ

161名無し募集中。。。:2017/10/11(水) 20:50:13
フリーランスの暗殺者になった鞘師のスピンオフでも練ろうかな

162名無し募集中。。。:2017/10/18(水) 19:22:31
どうぞどうぞ!!
フリーランスの暗殺者とはまた物騒なw

163名無し募集中。。。:2017/10/26(木) 14:28:25
スーパーマリオの新作が
まりあのオデッセイに空目した

164名無し募集中。。。:2017/10/28(土) 13:23:59
エログロ描写濃いめのスーパーまりあオデッセイ

165名無し募集中。。。:2017/11/05(日) 22:19:55
ガンスリンガーガールズというアニメがここの小説と近くて面白い

166まりあのオデッセイ ACT Ⅱ:2017/12/24(日) 13:23:43
ドゥカティの後輪で砂利と赤土を飛び散らしながら、真莉愛は縁石を跳び越えた。
走りながら右のハンドルバーにあるボタンを押す。
呼び出し音が一度鳴ってすぐ黒木は応答した。
「黒木だ」
「先生」真莉愛は報告した。「ターゲットがいる場所へたどり着くため、ちょっと独創的なルートを選んでいます。
警察に邪魔立てしないよう伝えてくださると助かります」
「任せてくれ」黒木は答えた。

真莉愛はスロットルを全開にし、太い後輪でアスファルトを焦がしながら走った。
ドゥカティは直線道路では素晴らしい力を発揮する。
時速180キロ近いまずまずのスピードを軽く引き出し、逃げるターゲットとの距離を詰めつつあった。

真莉愛は耳にはめているブルートゥースのイヤホンのスイッチを入れた。
「佐藤さん?」
優樹は頭にデビッドクラークの緑色のヘッドセットを装着し、口の前の小型マイクに答える。
「望ましくない状況に思えるんだけど?」口を利く暇さえないと言いたげに不機嫌な声だ。

特大の青いダッフルバッグをヘリコプターの後部座席に放り投げる。
操縦席に乗り込み、無線を操作しながら言った。
「時間を節約しろとは言ったけど、派手にやり過ぎよ」

「おっしゃるとおり…」障害物を機敏に避けつつ、幹線道路と平行して延びる道を走りながら真莉愛は言った。
「まりあ、感じよくやろうとしたんですよ」と、ため息をついた。「すごく頑張っちゃいまりあ」

優樹は眉間にしわを寄せて、コレクティブレバーを引いて草地からヘリコプターを離陸させた。
機体はダウンウォッシュから脱するとすぐに飛び立ち、速度を上げる。
「追いかけていくから、ターゲットを見失わないようにしてよ」
優樹の声に心配そうな響きが交じった。「聞こえてる、まりあ?」

「はっきり聞こえてます!」強い風を顔に受けつつ、真莉愛はブルートゥースの通信機に叫んだ。
時速200キロ近くで突き進んでいるので、周りはぼやけた染みにしか見えない。
2車線の道路に車が並んでゆっくり走っていたが、真莉愛は難なく車の間を縫って進んでいた。
体重を左右に振り分け、ジグザグのダンスをするようにすり抜ける。

スロットルをひねって加速し、身体を傾けてターンを決めるたびに、膝のわずか数センチ下を道路がかすめる。
真莉愛に匹敵するライディング・スキルを持ち合わせている人間はほとんどいないだろう。

危険なターゲットを追っているという事実がなければ、走りを楽しめたかもしれない。
逃走するバイクにひたすら視線を向けていたため、背後からタイヤを軋らせて迫るSUVに轢かれそうになるまで気づかなかった。
「く!!」真莉愛はごくりと喉を動かし、トランジット・レザージャケットの下からグロックの床尾に触れる。

サイドミラーに映るSUVのぎらぎら光るラジエーターグリルがどんどん大きくなる。
助手席の窓からサブマシンガンの短い銃身が突き出ていた。
「あんまり気は進まないけど」真莉愛は激しく右に身体を傾けて、金属のフットレストでアスファルトを引っかきながら急カーブする。

グロックの銃弾全てを開かれている窓めがけて撃ち込んだ。
助手席側のフロントガラスが真っ白になる。マシンガンは窓から外へ転がり落ち、助手席の男の両腕がぐたりと風に揺られた。

167まりあのオデッセイ ACT Ⅱ:2017/12/24(日) 15:31:42
優樹はぎりぎりまで機体を下げ、自然の地形の高低に合わせて飛ぶ匍匐飛行をしていた。
低く速く飛行する。このテクニックはヘリコプターが近づく音を木や地形で隠せるという利点もある。
優樹はテクニシャンというよりアーティストのようにヘリコプターから出せるだけのスピードを引き出した。

「尾行されてます!」通信機を介して真莉愛の叫び声が聞こえた。
優樹は歯を軋らせた。こうなることを予想していなかった自分を呪った。
長銃で――安全な距離を置いて――ターゲットを仕留めるはずだったのに。
どうやらターゲットは予想以上に狡猾で簡単には仕留められそうにない。
また上層部に叱られることになる、と優樹の直感は告げていた。

「何台か猛スピードであんたの800メートル後ろにいる」優樹は言った。
吹きつける風にかき消されないよう真莉愛は大声で応じる。「このままじゃ逃げられちゃいまりあ!」

「追手は任せなさい」優樹は続ける。「ターゲットを取っ捕まえて」
「了解!――」
「あ、まりあ」
「はい!?」
「バイクに乗っている時、事故に遭っても、死亡率は車に乗っている時より6倍高いだけだから」
「はい!?」
「張り切ってどうぞ!」
真莉愛は派手にクラクションを鳴らしながら地面を強く蹴ってドゥカティを旋回させた。
頑丈なブーツを履いていてよかったと思った。

真莉愛は広い芝生を猛然と突っ切る。最短距離で遅れを取り戻すためだ。
青信号が目に入り交差点に飛び込んだ。
南には絡まり合ったスパゲッティのような高速道路の複雑な迷路の入り口がある。
自分が逃亡者だったらそこへ逃げ込む。ターゲットも高速道路に逃げ込むはずだと賭けた。

何でもいいから情報が欲しくて、真莉愛は再び黒木に呼びかけた。
控え壁で支えられた陸橋と、弧を描くコンクリートの出入り道路が目の前に迫っていた。
「先生!衛星画像でどっちに行けばいいか教えてくだちゃいまりあ!」

「西だ!西!」イヤホンから黒木の緊迫した声が流れた。
「ターゲットの姿ははっきり見える。ここからじゃ手出しはできんが、呑気に飛ばしてやがるぜ、この野郎」

「そのまま見失わないで」真莉愛は続ける。「出入り口のチェックを!」
速度計に目をやると針が190キロを超えて揺れ動いていた。
ガタガタ揺れながら進んでいるトレーラーを内側車線から追い抜く。
大型トレーラーの風圧に押されてぬいぐるみのように飛ばされそうになったので時速220キロを出して急いだ。

突然、黒木の取り乱した声が真莉愛の耳に響いた。
「別動隊がターゲットに近づいてる…びびらせちまったようだ…引き返してくるぞ!繰り返す!お姉ちゃんのいる方向へ引き返してくる!」
「反対車線から?」
「同じ車線の真っ正面からだ、お姉ちゃん!」と黒木。
「対向車の流れに突っ込んでってる。勝手に正面衝突して問題をすっきり解決してくれるかもしれん」

「そんなラッキーあるわけないじゃん」黒木にというより自分に向かって、真莉愛は吐き出すように言った。
ほんの少し前までスムーズに動いていた流れが、あっという間に詰まり始めている。
想定される危険を頭から振り払うように真莉愛は風に向かって身体を倒し、さらに加速した。

168まりあのオデッセイ ACT Ⅱ:2017/12/24(日) 16:56:47
不意に、前方にバイクが見えた。
地平線の小さな点に過ぎなかったバイクがみるみる大きくなってくる。
けたたましくクラクションが鳴り響いた。乗用車やトラックがモーゼの前の紅海のように両側に分かれる。

ターゲットのバイクと真莉愛のドゥカティはどちらもおよそ時速120キロで走行していた。
すぐにすれ違う瞬間が訪れるはずだ。
真莉愛は無意識に腿に力を入れてタンクを締めつけていた。
グロックの弾を撃ち尽くしたせいで選択肢はほとんどない。

車の流れが分かれて広い高速道路に空間が生じ、突進する2台のバイクは今まさに交わろうとしていた。
ターゲットはハンドルバーに身を乗り出すほど前傾姿勢になっている。
真莉愛の姿を見るなり、即座に敵と認識した。

強く吹きつける風に歪んだ男の顔には引きつった笑いが張りついていた。
向き合って走るバイクがどちらも時速120キロで走っていれば、100メートルの距離を埋めるのに2秒もかからない。

真莉愛は後頭部から特殊なワイヤーを抜き放った。
掴んでいる右のハンドルバーに体重を預けると同時に敵のバイクとすれ違った。
ふたりの膝と膝はわずか数センチしか離れていなかった。

目には見えない極細のワイヤーがターゲットの身体と交わった瞬間、真莉愛は震動を感じた。
だが、この速度で走行中に振り返れば転倒してしまう危険がある。
おのれの狙いの正確さを見届けることはできなかった。

何台もの車が急ブレーキをかける甲高い音が響き、高速道路の流れが完全に止まった。
真莉愛はさらに100メートルほど流してから中央分離帯でドゥカティのタイヤを横滑りさせて停まる。

事情を知らないパトカーが真莉愛の背後に滑り込んで停車した。
怒り狂った番犬さながらに警官が吠える。「そこを動くなよ!」
真莉愛はドゥカティにまたがったまま両手を上げた。

「説明させてください」真莉愛は両手を上げたまま振り返り、強い口調で告げた。
警官はがなった。「そこに倒れてる首なし死体が何者か、説明してくれるってのか!?」

ほどなくして“組織”の後始末があり、優樹と真莉愛はようやくのことで外部との接触を許された。
優樹が目をこすり、歯の治療痕を数えられるくらい口を大きく開けてあくびをした。
「言いたくはないけど」優樹は手の甲を口にあて、あくびを全身の伸びに変えた。「今回のミッションは穴だらけだったね」

真莉愛は迷彩柄のバックパックからプロテインバーを取り出し、袋を歯で噛み切った。
「久しぶりですもん。仕方ありません」プロテインバーを平らげながら真莉愛は優樹を見つめた。
ふたりとも、まだゴールまで何キロも残っているのに体力を使い果たしたランナーのようにため息をついた。

その時、殺風景な部屋の真ん中に置いてある黒電話が鳴る。
真莉愛がハンズフリー通話のボタンを押した。
「黒木だ」ふたりとも返事をしなかった。「聞こえるか、お姉ちゃんたち?」

「いつもどおり、もったりした、間抜けな声に聞こえます」優樹がわざとらしく大きくため息をついた。
暗号化されたレーザーバースト信号による声なので嘘ではなかった。

「よし、次のミッションだ」

169名無し募集中。。。:2017/12/24(日) 21:42:42
クリスマスプレゼントをありがとう

170名無し募集中。。。:2017/12/24(日) 23:06:56
久しぶりにキター!

171名無し募集中。。。:2017/12/25(月) 14:32:02
きみがこのスレに夢中になってしまっても
当局はいっさい関知しないからそのつもりで

172名無し募集中。。。:2017/12/27(水) 20:48:22
ちなみに書いてる最中に頭に浮かんでいるのはこんなメロディー
https://youtu.be/e-jhL4RbyWs

173名無し募集中。。。:2018/01/09(火) 07:12:25
よこやんは血にまみれた自分の手を洗い続ける…
新人アサシンの通過儀礼ですな…

174名無し募集中。。。:2018/01/12(金) 23:45:42
ドラクエ6にあったなそういうの

175名無し募集中。。。:2018/02/03(土) 07:40:09
まー「はいプレゼント」
まり「あ!これ欲しかったやつ!」
まー「ブレードはセラミックだし、カーボンファイバー製だから探知機にも引っかからないよ」
まり「ありがとうございます!」
という物騒なプレゼントでしたとさ

176名無し募集中。。。:2018/02/08(木) 22:54:45
こんなイメージで映像化してもらいたい
https://youtu.be/7SXucZp5J4w

177名無し募集中。。。:2018/02/18(日) 18:53:36
敵を倒したものの重傷を負ってしまったまりまー
そんなラストシーンを思い描いていたら泣けてきてしまった…



真莉愛は息を吸った。それを肺にとどめて全身に力をこめた。
家を焼く炎に煌々と照らされる。

家が燃え落ちる音と、優樹の喘鳴だけが続くなか、夜の空高く、灰と煙の黒い柱が伸びていく。
それは長い腕のようにも見える。優樹が真莉愛を、真莉愛が優樹を求めて伸ばす腕のように。

真莉愛は空を見上げた。視界の端に月がある。
まりあから離れていってしまう…。それとも、まりあを先導してくれようとしているの…?

真莉愛は優樹の傍らにひざまずいた。
柔らかい土の上でよかったと真莉愛は思う。
優樹の身体の下に広がる真っ赤な血もこれならそうとは分からない。
猛る炎に照らされれば、血ではない何かの滲みだと思えてしまう。

息はあった。しかし、かすかだ。
「佐藤さん」優樹の耳に触れるほど口を近づけて真莉愛はささやいた。
優樹のまぶたが開いた。「なあに、まりあ?」かすかな声だった。

「心配いりません」真莉愛は身を乗り出して優樹の頬にキスをすると、地面に寝そべり、その肩に頭をすり寄せた。
死につつある優樹ではなく、星空の下で居眠りをする優樹に寄り添うかのように。

優樹は微笑む。「心配いらないよね」
血と煤にまみれたひどい有り様のふたりはお互いの顔を見つめた。
優樹はまだ笑っている。

ほんのつかの間、時が立ち止まり、仲間たちの姿が見える。
抱き合い、笑い合った。

何よりも真莉愛は願った。
目を閉じる時を迎えても、一緒にいられますように。
ふたりでいられる時間の終わりが来ても、一緒にいられますように。

横たわる優樹に向かって真莉愛は言いかけたが、すでに優樹は息を引き取った。
その顔は安心しているように見て取れた。
だから、「愛しています」とだけ言った。
大事なのはそれだけだ。

すべてがぼやけた。真莉愛は優樹の手を固く握りしめて笑い声をたてた。
目を閉じると星が瞬きだした。
傷口を押さえていた手を離す。
すべての動きが止まった。




178名無し募集中。。。:2018/02/21(水) 14:27:52
まりまーサーガ終わってしまうのかい…

179名無し募集中。。。:2018/04/18(水) 20:11:31
組織に裏切られたまりまーの復讐劇「まりあのバリスティック」構想中

180名無し募集中。。。:2018/04/19(木) 18:23:03
マジか!

181名無し募集中。。。:2018/04/21(土) 22:14:36
秋ツアーDVDのone two threeでこのスレ住人的にうれしい場面があったね

182まりあのバリスティック:2018/05/04(金) 20:48:22
【プロローグ】

金澤朋子は自分の車で煙草を吸っている。窓は上まで閉まり、紫煙が立ちこめている。
朋子は催涙ガスのことをふと思い出す。これが初めてではない。最後でもない。

催涙性薬品がまかれると、角膜の神経を過度に刺激する。目玉が釘で刺されたような痛みだ。
激痛、涙、くしゃみ、咳、そして真っ暗闇。

“組織”の訓練所。
朋子は同じチームの連中とともに、最初のチームがガスを浴びるのを見ていた。
ガスにさらすのは新米たちをタフにして一人前の暗殺者に育てるためのはずだった。
だが現実にはただ単に新米たちをくじけさせただけだ。

全員が悲鳴をあげ、自分の目玉をかき出そうとした。ミミズのようにのたくった。
朋子はそれを見て、バカな奴らだと思った。みな同じ説明を受けていた。
痛みはあるが、おさまるのを待てばいいだけだと。
30分後にはなんともなくなる。30分などあっという間だ。

やがて朋子がガスを浴びる番がまわってきた。
熱いガスに目を焼かれ、肺に針を刺されたような鋭い痛みがあった。
パニックを起こし、床に崩れ落ちた。さっきのミミズどもと同じようにのたうちまわった。

チームの何人かはガスの作用で死んだ。原因不明の喘息症状と、お偉方は言った。
信用できるだろうか?たぶん新しい成分の有害ガスを実戦で使う前に実験していたのだ。

そんなことは初めてではない。最後でもない。
あらゆる無意味な悲劇の裏には、そのデータを収集して記録する人間たちがいるのだ。

朋子もクリップボードを持っている。自分が記した日誌を見おろす。
そのとき、工作用粘土のように見えるソフトボールくらいのかたまりがフロントガラスに落下し、へばりついた。

タイマーと起爆装置が包みこまれた粘着爆薬だと朋子が判断した瞬間、目のくらむ白光を発した。
運転席に座ったまま、爆薬の圧力波がフロントガラスに蜘蛛の巣状のひび割れを生じさせるのを見た。

朋子は頭部を馬に蹴られたような衝撃を感じた。
コードネーム“ローズクォーツ”の意識と生命が完全に途絶した。

183名無し募集中。。。:2018/05/05(土) 02:12:24
新作来た!

184まりあのバリスティック:2018/05/05(土) 14:41:16
【第1部】

夢も見ずに熟睡していた牧野真莉愛はびくりと目を覚ました。
佐藤優樹は胸を真莉愛の脇に押しつけてじっと横たわっている。
やがて目を真莉愛に向けて言った。「久しぶりだったね…」

真莉愛は微笑んだ。「まりあも満足しちゃいまりあ…」
真莉愛は自分がレズビアンであると思ったことはない。
異性愛者か同性愛者、はたまた両性愛者なのか、わざわざ時間を割いて考えたこともない。
そうしたレッテル貼りには興味がないのだ。優樹も同じ考えだった。

真莉愛にとっては、優樹の身体は温かく柔らかく、寄り添って横たわるのはなかなか気持ちがいい。
そして人間的にも、優樹となら同じベッドで目覚め、朝食をともにしてもいい、と思える。
それが大切なことだった。

ふたりは覚めきらない頭で起き上がり、朝の支度に取りかかる。
まずは家の周囲に取りつけた電池式防犯センサーのチェックだ。何者かが半径7メートル以内に侵入すると警報が鳴る。
同時に、家の前庭と裏庭にひとつずつ設置した高感度ビデオカメラが作動する。
さらに玄関上にも3つ目のカメラがあり、どれもカメラ本体はカモフラージュで覆われ、レンズだけが外に出ている。

毎秒1枚、低解像度の写真が撮影され、パソコンのハードディスクに保存される仕組みだ。
それからさらに玄関には重量センサー内蔵のマットが敷いてある。
センサーをかいくぐって侵入しようとしても、115デシベルの警報が鳴り響く。

優樹と真莉愛はそれぞれのセキュリティ装置を解除して、やっと朝食の準備に取りかかった。
用心深いなどというレベルではない。被害妄想だ。
ど田舎の隠れ家に1ミリの隙もない備えをしているのには理由があった。

「牛乳切らしてるから、まりあ売店まで行ってきます。あそこなら7時開店だし」
優樹の返事を待たずにくるりと向きを変えた。
ブーツをはき、バッグとヘルメットをつかんで玄関を出ていく。

真莉愛がバイクに乗り、アクセルグリップを握ったとき突如、早朝の寒風を轟音が包みこんだ。
F-15戦闘機が谷筋をなめるように低空で飛来する。
「え!?」隠れ家に投下された爆薬の猛烈な衝撃波に真莉愛はバイクとともに吹き飛ばされた。

185まりあのバリスティック:2018/05/05(土) 16:56:07
少女はようやく自分の名前を思い出した。
森の奥に身を隠し、疲れ果てていたときには、名前は記憶の彼方に消えてしまった。
岩場から這い出して森に入ってからというもの、自分の名前も、どこから来たのかも分からずにいた。

弱った腕と脚を動かして、怯えた顔で何度も何度もうしろを振り返った。
名前――それを口にする気力もないが、少なくとも名前を思い出せた。
それだけで気分はいくらか高揚したが、それも束の間のこと。

自分がどう呼ばれていたのかが分かったら、今度はそれ以外の答えも見つけなければならない。
疑問だらけ。分からないことだらけだ。

木の洞のなかでうずくまり目を閉じた。これ以上ないほど身を縮めて、じっとしていた。
まりあ。何度か口に出して言ってみる。
口から出てくるその言葉は弱々しく、かすれていて不気味に響く。

ここに来てから、いまの自分の声を別にすれば、誰の声も耳にしていない。
木々のなかでさえずりあう鳥の声が聞こえるだけだ。
地面に落ちていた大小さまざまな枝で、それなりに身を隠せる場所をつくった。

身を守れる――そんなわけがないことは、ほんとうは分かっている。
木の枝で身を守れるなんて。襲ってくる動物がいたら一巻の終わりだ。

それでも、ひとりになれて、隠れられて、近くの小川の水も飲める。
4本足の動物に襲われるか、2本足の動物に襲われるか。安心はできないが他にできることもない。

目を閉じて眠ることにした。
身体を丸めて横向きに寝て、頬を地面にぴたりとつける。
近づいてくる足音は聞こえなかった。にわかづくりの小屋にあいた穴からなかを覗きこむ目にも気づかなかった。
小屋から離れていく男の手に携帯電話が握られていることにも気づかない。

186まりあのバリスティック:2018/05/05(土) 17:43:24
まぶしい光と心電計の絶え間ない電子音に、目を覚ました。
腕には何本ものチューブが刺さっている。暴れて、叫びたい。
だが、その思いと、鏡に映る自分の姿はまるで違う。

身じろぎもせず静かにベッドに横たわる若い女。
なぜか棍棒で殴られて狩られたアザラシの赤ん坊を連想した。
折れた骨はつながり、運動機能は徐々に回復していたが、精神状態は限りなく不安定だった。

全身が冷たいが、手だけがやけに温かい。まるでさっきまで誰かに握られていたみたいに。
目の前に人影が浮かび上がり、明るくなったり暗くなったりした。

真莉愛は暗闇に落ちてはまた覚醒するということを繰り返していた。
清潔だが、冷たい。壁の白さ、光の白さと同じくらい冷たい。

目を動かすとカラフルなライトがついた機材が見える。
きょろきょろすると自分を見つめていた女の深く優しげな瞳と目が合った。
大きな目をした卵形の顔が黒髪に縁取られている。肌は磁器のようにつるりとしていた。

白衣を着ていて、赤い唇が優しい曲線を描いている。
真莉愛は信じられない思いで彼女の頬に手を伸ばし、確かめようとした。
そうする前に、そっと手をつかまれる。彼女の指は温かく、力強い。

「わたしは山木梨沙」と彼女は言う。心地よく、どこか浮世離れした声だった。が、まだ話は終わっていない。
「あなたを回収してから72時間経過している」

鼓動が激しくなる。逃げなければならない。
身体が思いどおりにならず、鈍かったが、無理やり動いて点滴をむしり取った。
リクライニング・チェアベッドから抜け出そうと、足をやみくもに動かし、揺らし、うめいた。

山木梨沙と名乗った女は真莉愛を止めようとはしなかった。むしろ心配そうに見ていた。
「おとなしくしていたほうがいい」言い含めるように話した。
真莉愛は視界をはっきりさせようとまばたきを繰り返した。

梨沙はかがみ、真莉愛に顔を近づけ、なだめるように言った。「まりあちゃん」
名前を呼ばれ、梨沙の顔を見た。
「力になりたいの、まりあちゃん」よく聞かされる台詞だ。

だが、梨沙は自分で言ったその言葉を本心から信じているようだった。
「あなたにもわたしの力になってもらいたい」

187名無し募集中。。。:2018/05/07(月) 12:46:11
山木さん…何者なのか…

188名無し募集中。。。:2018/05/24(木) 00:00:53
見てない間に新作きてて嬉しい

189名無し募集中。。。:2018/07/22(日) 22:42:05
娘の新両A面がこれでもかというほど新作のテーマソングにうってつけですねえ…

190まりあのバリスティック:2018/07/29(日) 16:38:40
力になる…?一瞬、そうしたいという誘惑に駆られた。
だが自己防衛の本能が真莉愛の脳に甦ってくる。
わたしは拐われた…。それが分かるぐらいには頭がはっきりしてきた。ここから逃げなければ。

金属棒が2本、かろうじて見える。ドアの取っ手らしい。
真莉愛はそこに向かって走った。
すると驚いたことに、目の前でドアが勢いよく開き、真莉愛は白い床に思いきり転倒した。

白衣を着たいくつかの人影がきびきびと接近してくる。
真莉愛はまだ立ち上がれない。這うように前腕を使って前に進んだ。
全身がずきずきと痛むが、徐々に下肢も動きはじめる。
背後から梨沙の声が聞こえる。「行かせてあげて」

屋内監視を目的とした部屋の中で、何人もの人間がいくつもの画面を観察していた。
何人かの視線が真莉愛に向けられる。脱走しようと無駄にあがき、這い、よろめき、足を引きずる真莉愛の一挙手一投足を見つめている。

真莉愛は歯を食いしばった。思いどおりにならない身体に苛立ち、やっとの思いで先に進んだ。
つまずき、転び、そのたびに不屈の闘志で立ち上がる。
足を一歩踏み出すごとに目が慣れてきて、身体もコントロールできるようになってきた。

歩調を速めて前へ前へと進む。
黒ずくめの守衛らしき男のそばを通り過ぎる。男の腰には拳銃が見えた。
だが、全力で階段を上ろうとする真莉愛を制止しようともしない。

「その子に触らないで」梨沙の声がする。背後にいる。あとをつけてきたのだ。
金属の傾斜を越えると、まばゆい陽光の下に出た。手をかざして光を遮る。陽光はまだ目に障る。
ここは…?真莉愛は歩く速度を緩めながら周囲を見回した。

歩道や芝生、低い木やベンチがあり、鳥の声も聞こえる。
そこにいるのは真莉愛だけではなかった。職員や技師…なんと呼べばいいかは分からない。
何人かが訝しげに真莉愛を見つめたが、ほとんどの者が真莉愛の闖入に関心がないようだった。

真莉愛はふたたび前進した。ようやく、低い壁に目の焦点が合う。
一方に数機のヘリコプターが見えた。
真莉愛の心は砕けた。こんなところから脱出できると思うのはとんでもない馬鹿だけだろう。
ここは要塞だ。

壁の上に立ち、絶望に身体を震わせていると、梨沙が現れた。
真莉愛は自分の足元を見た。足は――真莉愛自身も――足場から半分はみ出している。
四肢はまだ思うようには動かない。自分の自由意思で飛び降りるか、あるいは足を踏み外すか…。

跳ぶというアイディアは魅力的だった。
「まりあちゃん」梨沙の声がした。振り向いて梨沙を見る。
「わたしの役目はあなたを守ること」と梨沙は続けた。背筋を伸ばし、穏やかな物腰で。

「話を聞いてくれれば理解してもらえると思う。そこから飛び降りれば何も分からないまま死ぬことになる」
「ここはどこ?…わ…わたしは…だ…誰なの…?」真莉愛は壁から降りないまま梨沙に訊ねた。

191名無し募集中。。。:2018/07/30(月) 12:06:19
キマシタワー!!!

192名無し募集中。。。:2018/08/07(火) 14:43:18
まりあ…

193名無し募集中。。。:2018/08/25(土) 09:51:07
新作カモン!

194名無し募集中。。。:2018/08/27(月) 10:07:02
復讐を誓うまりあ
https://stat.ameba.jp/user_images/20180827/00/angerme-ss-shin/40/87/j/o0810108014255094364.jpg

195まりあのバリスティック:2018/10/14(日) 21:51:24
【第2部】

真莉愛は、自分が地面から持ち上げられ、何本もの手で高く担ぎ上げられるのを感じた。
遠方から、息せき切った叫び声が聞こえる。
いや違う。遠方ではない。近い…だが、水中でそれを聞いているような感じだ。

そして突然、耳に溜まっていた血が流れ出て、その声がはっきり聞こえるようになった。

自分は敵に捕らえられ、戦利品のように頭上に掲げられて、運ばれているのだろうか…?
真莉愛は拳銃を抜こうとしたが、手首を誰かにつかまれた。

戦闘服の、燃えてなくなった隙間から冷たい空気が入りこんでくる。
そのあと、自分が硬い地面に下ろされたのが分かった。

「まりあ!」顔の前で誰かが叫んだ。「まりあ、まーの声が聞こえる!?」
このときになってやっと真莉愛は、教会の鐘のような耳鳴りがしていることに気づいた。

「ひどい怪我」別の声が聞こえて、冷たい水が顔にかけられるのが感じられた。
顔面にこびりついた血が洗い流される。
「我慢して」はっきりと聞き取れたその声は道重さゆみの声だった。

さゆみは傷口をふさぐために、真莉愛の顔にワセリンを過剰なほどたっぷりと塗りつけた。
そしてハーネスから取り出した圧迫包帯を両目を覆うように巻いた。

「伏せて!」優樹の叫び声が聞こえて、身体をひっつかまれる。
「道重さん、敵は迫っています。視認できる距離まで」また別の声が聞こえる。鞘師里保だ。

さゆみは里保と優樹に周辺防御の態勢をとらせながら、無線送信に取りかかろうとする。
「くそ!」里保は怒声を発し、アサルトライフルを構えた。

すでにこわばっている背筋に力をこめて、上半身を起こした姿勢を保つ。
「さあ、きやがれ!」フロントサイトに集中し、里保が発砲する。
敵が地面に転がり、倒れながら、こちらに手榴弾を投げつけた。

「やっさん!」優樹は弾倉の残弾を敵に浴びせかけてから、里保を引き寄せた。
手榴弾が爆発し、さゆみが腹部に破片を浴びた。
「まずいことになったの…」苦悶しながらさゆみが言う。「置いていきなさい…」
腰のあたりから腸の一部がはみ出していた。

196名無し募集中。。。:2018/10/14(日) 23:03:24
待ってました!

197名無し募集中。。。:2018/12/22(土) 15:15:54
何回死ぬねーん!!(嬉)

198名無し募集中。。。:2019/02/11(月) 19:34:21
ほんとうの黒幕が分かったときのまりあのシークエンス
(ニコニコしながら)「残念です。あなたを1回しか殺せないのが」

199名無し募集中。。。:2019/03/21(木) 08:33:56
このスレの存在を知ってるとミリタリー系のゲームがはかどるよね
まさきのインテリジェンスを表現しにくいのが惜しいが

200まりあのバリスティック:2019/04/28(日) 11:33:54
何度目かの衝撃を感じたとき、真莉愛の右脇腹の低い位置で何かが防弾ベストを貫通した。
強烈な痛みは腹腔に血が溜まるにつれて、たちまち耐えがたいものになる。
銃声と爆発音がすぐ近くで炸裂している。それがだんだん小さくなり、心地よい声になっていく。

その場から逃れようと勢いよく飛びのいたところで真莉愛は目を覚ました。
そしてカウチから転げ落ちていないことに、いつものように驚いた。
実際には小さくピクリと動くだけだということは経験から分かっている。
生々しい過去から目覚めるときは、毎回決まって同じで、記憶という夢幻状態がプツリと途絶えたとき飛び起きるのだ。

真莉愛は落ち着いてゆっくり深呼吸をして、激しく脈打つ鼓動を鎮めようとした。
「深呼吸をして、まりあちゃん。大丈夫かな?」梨沙の声が薄暗い部屋の向こうから聞こえる。

心臓がどくどくと鳴り、手が震え、胸に冷たい汗をかいているが、真莉愛は感情を押し殺した。
「水を持ってきましょうか?」梨沙が言う。「いえ。いい。大丈夫」真莉愛が答える。

カウチから両脚を下ろすと、背中と脇腹が強張っていて、つい顔をしかめた。
催眠状態から目覚めたあとは、全身が凝っていて、順応するためにしばらく時間が必要だった。

記憶を取り戻すために過去へ退行するのは、これで5回目だが、今回は何かが引っかかりすっきりしなかった。
「鞘師…さんが…」
梨沙がノートを開き、記録しようと身構えた。
「鞘師里保、暗殺部隊きっての凄腕ね」梨沙はノートに素早く書きこみ、パラパラとページを遡る。

「鞘師里保のことは、今回初めて口にしたのかな」
真莉愛は懸命に記憶をたどった。口にしたことがあったか?思い出しても口にしなかっただけか?
梨沙は猛然とメモを取ったが、片手を上げて口を開いた。
「思い出したことを話して。あれこれ考える必要はないの。ただ思い出したことを口にすればいいのよ」

いちいちを記録されることに、真莉愛は懐疑的になっていた。
感情のひとつが浮上してくる。激しい怒りだ。
真莉愛は唸るように唇を歪めて、勢いよく手を突き出すと、梨沙の柔らかく脆い喉をつかんだ。
このまま気道を握り潰してやる。そうしたい気持ちはあった。だが、しなかった。

「大丈夫よ」梨沙はすぐに守衛に向かって叫んだ。
叫べるくらいには息ができているのだから、梨沙は危害を加えられているわけではない。
それが分かるくらいには、ここの警備員たちは利口だろうか?真莉愛はそんなことを考えた。

梨沙は平然としているが、手に伝わってくる脈拍は冷静さを装っているだけだと分かる。
「どうしてそんなに攻撃的なの?」
「…攻撃的な人間だから…だと思う…」
「質問を変えましょう。その攻撃衝動は“あなた”のもの?」

自分の身に何が起こったのか。何をされたのか。
真莉愛の口は真一文字に結ばれ、鼻息は荒かった。
しかし、やがて視線を落とし自分の手を見つめると、ゆっくりと指を開き、梨沙を解放した。

梨沙は喉をさすり、自分の手の届かない距離に身を引くだろう。
真莉愛はそう予想していた。だが梨沙はそのどちらもしなかった。
代わりに微笑んで真莉愛の手を握った。「一緒に来て。見せたいものがある」

201名無し募集中。。。:2019/04/28(日) 15:18:50
GWに急にキタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!

202まりあのバリスティック:2019/04/28(日) 17:18:03
真莉愛は博物館を訪れたことはない。というより、学校らしきものに通ったことすらなかった。
にもかかわらず、梨沙に案内されて通ってきた数々の部屋は、その両方を思わせた。

注意深く分類され、解析されるべき資料として、おびただしい数の展示ケースがある。
図書館のような空気がありながら、同時に俗世から隔てられたような雰囲気を与えていた。

ガラス製の透明な壁に貼り出されている1枚の写真に真莉愛は見入った。
自分が写っている。幼い自分だ。
近づいてよくよく調べてみると、この区画は真莉愛の人生の奇妙で不穏な“スクラップブック”だと分かった。

少女時代の古いポラロイド写真は自然な色合いを失い、黄色に褪せている。
真莉愛の様々な顔写真の膨大なコレクションだった。
いくつかには扇情的な見出しが特筆大書されている。作戦名と死者数。任務の詳細。武器を持っている真莉愛自身――。

挙げ句に、数世紀前まで遡る一族の家系図らしきものまである。
家系についてなど、真莉愛は何も知らなかった。
下腹部が冷たくなるのを感じた。「これはいったい…。あなたは何なの?ストーカーなの?」

「あなたのことなら、すべて調べてある」梨沙は答えた。穏やかな口調と態度だった。
「出生記録から医療記録。心理プロファイル、セロトニン・レベルまで」
そう言って、つけ加えた。「あなたがしてきた他傷行為も」

真莉愛は愕然とし、吐きそうになったが、同時に梨沙の話に心をつかまれてもいた。
梨沙は方向転換し、別のコレクションのほうに無造作に歩いていった。
暗殺部隊の仲間たち。そう聞かされても、その言葉――その名前――は何の意味も持たないと同時に、いくつもの予兆をはらんでいた。

「殺し屋たち。部隊は壊滅した。わずかな生き残りはいたけれど」間を置いてつけ加えた。「あなたは生き残りよ」
「人殺しだと…。そうか、わたしをそういう目で見てるのね」
「あなたは大勢の命を奪っている」その言葉にはいかなる非難もこめられていなかった。
梨沙にとって、それは単なる事実でしかないのだろう。

「思い出せなくても、過去は消えない」梨沙は真莉愛に歩み寄る。
好奇心から訊いているようでもあり、挑発しているようでもあった。「わたしを殺したい?」

返事はせず、回れ右して、部屋の物色を再開する。
1枚の写真に目を落とした。鳥肌が立つほど見覚えがあるはずなのに、思い出せない。

女が写っている。車椅子のその女は、唇の端が歪み、愁いを帯びた笑みを浮かべていた。
その集中した表情から、撮影者以外の何かを見つめているように見える。
「…佐藤さん…」その言葉は余韻を持って漂い、真莉愛の身体に沁みこんだ。

203名無し募集中。。。:2019/05/11(土) 16:53:38
期待

204名無し募集中。。。:2019/05/20(月) 22:07:26
マリーア様「殺しますよ、きえぃぃ」

205名無し募集中。。。:2019/06/24(月) 07:15:39
新たな刺客が3人きたぞ・・・

206まりあのバリスティック:2020/08/22(土) 10:58:06
そのジムは車5台分のガレージを改造したものだった。
トレーニング用の様々なマシーンが設置されている。

真莉愛はグレーのTシャツ、グレーのヨガパンツという服装で自重エクササイズをこなした。
そして重いサンドバッグを相手に殴ったり蹴ったりしたあと、登攀用ロープに向かう。

ガレージの天井は3メートル弱なので、それほど高くはない。
だがロープの間隔は1メートルもないので、登るのはかなり難しい。
真莉愛は左右の手に手袋をはめてから1本ずつロープをつかみ登りはじめた。

片手で自分の身体を引き上げながら、もう1本のロープをつかんだ手を上にずらす。
足は垂らしたままで、肩、腕、背中の筋肉を駆使する。
天井に達すると、1本のロープを両手でつかみ、するすると下りる。
それを限界まで繰り返した。

膝に手をついてしゃがみ、荒い息を整えていると、警護官の男がにやにやと笑いながらジムに入ってきた。
「運動の時間は終わりだ。着替えて部屋に戻れ」

地下の廊下の照明が真莉愛の首筋の汗をきらきらと光らせる。
警護官は馴れ馴れしい態度で話しかけてくる。
「ちょっとは愛想よくしたらどうだ?こっちは親切にしてるだろう?」

真莉愛は、目は前に向けたまま歩き続けた。
無視されることに気を悪くしたふうもなく警護官はあからさまに真莉愛の肢体をじろじろと眺める。
「性悪女が」

真莉愛は自分にあてがわれた部屋でシャワーを浴びて着替えた。
監視カメラで何人もの警護官が見ているだろうことは承知している。
だが、どうしようもなかった。

そして別の警護官に、別の部屋へ連れていかれる。
梨沙はすでに中央のテーブルについていた。
真空断熱カップがふたつ置いてある。
梨沙は研究者らしい白衣を着て、厚いフォルダーに片手を載せていた。

飾り気のない実用的な眼鏡で真莉愛を見てから、ボールペンを口元に近づける。
「まりあちゃん、体調はいかが?」

207まりあのバリスティック:2020/08/22(土) 11:26:36
真莉愛はテーブルの向かいに座った。
「今日は遅かったのね。時計がないからどれくらい遅いのかは分からないけど。
外はもう暗い。いつもはもっと早いわ」
真莉愛はカップを手にしてアイスティーを一口飲んだ。

「デートの約束でもあるの?」
梨沙は冗談めかして微笑んだ。
「かもしれない」真莉愛はにこりともせず応じる。

「外出にはわたしの許可が必要だし、そんな書類はどこにもないようだけど」
梨沙はまだ微笑んでいる。
真莉愛が何も答えなかったので、梨沙は言った。
「時間は大切だものね。さっそくはじめましょ」

真莉愛はうなずき、窓の外の木立が風に揺れているのを眺めた。
梨沙がテーブルに置いたリモコンでデジタルレコーダーを起動する。
「今夜は76回目の面談。2時間ほどかかる。終わったら部屋に戻っていいわ」

「部屋?監房でしょ?」真莉愛が言う。
梨沙はため息を漏らした。
「拘禁用に造られた部屋だということは事実だけど鉄格子はないわ。
夜に鍵をかけるのはあなたの安全を考慮してのことよ。
昼間は施設内を自由に歩き回れるはずよ」

真莉愛は口を尖らせて言い返す。
「警護官に一挙手一投足を見張られながらね」
「警護官といってくれてほっとした。きつくあたってると聞いたけど」

「全員じゃない」真莉愛が目を伏せる。
「いやらしい目で見てくる奴だけよ」
それを聞いて梨沙が眉をひそめた。
「誰?プロ意識がないわね。交替させるわ」

真莉愛は顔の前で両手を振った。
「そんな必要はない。あんな男たち、まりあにとっては“無害”だから」

208名無し募集中。。。:2020/08/23(日) 18:07:30
更新キタ━━━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━━━!!!!

209名無し募集中。。。:2020/08/24(月) 07:09:56
おお!つづき(゚∀゚)キタコレ!!

210名無し募集中。。。:2020/09/04(金) 17:49:09
職人キター

211まりあのバリスティック:2020/09/22(火) 13:36:41
【第3部】

地下拘禁室から100メートルほど離れたところに6人の女がいた。
土砂降りの雨に打たれながら、遠くに見える建物を目指し、山腹を登っていく。

建物の明かりが暗視ゴーグルを通して見えた。
樹木に隠されるような位置に屋敷はある。
正面に通ずる2車線の九折の道に差しかかり、楓が握りこぶしをあげた。
一行は即座にその場にしゃがむ。

声を出さないようハンドサインで楓が指示を出す。
玲奈と知沙希が西に離れていく。
ほまれと愛生は東に向かった。

莉央に手招きをして、楓とふたり、濡れた樹木の蔭に陣取るよう告げる。
最大限の効果をあげるため、3方向から屋敷に接近するのだ。

楓は濡れた落ち葉に沈みこむように伏せながら、スナイパー・ライフルの2脚を引き出す。
望遠照準器で守衛詰所をのぞいた。
「ひとり」歩哨の側頭部に狙いをつける。

莉央がヘッドセットのスイッチを入れる。「位置についた」
「私設車道、位置についた」イヤホンからほまれの声が聞こえた。

裏の森をパトロールしている動哨にライフルの照準を合わせている知沙希からも応答がある。
「ターゲットひとつ。捉えている」

捕捉できていないサブジェクトは屋敷の外にはいないことを確認し、楓が言う。
「突入準備…」

屋敷の防御はかなり厳重だと、あらかじめチームには伝達してある。
楓は不安を振り払うように頭を振った。

「3…2…1」
楓が「1」と言った直後に、ターゲットを照準器に捉えていた3人が、サプレッサーで減音されたライフル弾を発射した。

正面ゲートの歩哨の首ががくりと折れ、守衛詰所の床に倒れる。
同時に森の動哨と私道の歩哨も、水浸しの落ち葉の上に前のめりに倒れた。

全員が身を起こし、屋敷に接近する。
真莉愛奪還の強襲作戦がスタートした。
「まりあ、待っててよ」楓が走りながら叫んだ。

212名無し募集中。。。:2020/10/09(金) 22:27:21
いいよいいよ

213名無し募集中。。。:2020/10/13(火) 06:38:37
15期が登場してる!

214名無し募集中。。。:2020/10/13(火) 16:15:37
https://www.instagram.com/saganokan/
倉樽他の人に比べて圧倒的に写真掲載数少なくてwwww
今回3位以下も結構モデル採用されてるから
2位のビジュアル見てヤバイって事で保険かけられたんじゃねーのwwww
朝日奈央は何やっても下品にならない
あの回はらむたん回が何故かお蔵入りしてねじ込まれてる
その後らむたんだけは別枠で放送
毎回4人に確認する通例からいくと
らむたん以外の3人が何かしらの都合で出れなくなったんだと思う
江渡尾島玉川はお気に入りメンバー

215名無し募集中。。。:2020/11/22(日) 23:01:23
更新うれP


新着レスの表示


名前: E-mail(省略可)

※書き込む際の注意事項はこちら

※画像アップローダーはこちら

(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)

掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板