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SS・ソロールスレッド
10
:
せいぎのゆうしゃ・ももたろう?
◆BDEJby.ma2
:2016/05/05(木) 13:54:59 ID:M5rJPzIY
むかしむかしあるところに、1人の子どもがいました。名前は”むめい”といいました。
むめいたちが住んでいるのは鬼ヶ島というとても小さく、みんなのところからとても離れた島でした。食べ物は少なくて、おもちゃなんかもない。
でも、そんな中でみんな助けあって、楽しくくらしていました。むめいはそんなくらしと、家族、ともだち、みんなが大好きでした。
ですがとうとう、この島も食べ物がなくなり、どうしようもなくなってしまいました。彼らは『そだてる』ことをしらず、ただただあるものをとっては食べるのみだったのです。
しょうがないので、お船をつくってしらない人たちのところに何人かが行きました。
しばらくして、しょんぼりした顔でかえってきました。どうやら、ことばが通じず何ももらえなかったとのことでした。
でもそんなことどうしようもありません、ただひたすらお願いするしかないのです。もう一度、彼らはしらない人たちのところに行きました。
でも、彼らが帰ってくることはもうありませんでした。鳥さん達にようすを見てもらっても、彼らの姿は見えません。あれー?どこいったのかなぁ??
しばらくして、おっきなお船が鬼ヶ島にきました。でも乗ってるのはいち。に。さん。よにんでした。
食べものをくれるんだろうと、お父さんがいちばんてらそうな人のところに行きました。
お父さんは切られました。見た事のないするどいはもので、血がいっぱい出ていました。
そしてそれと同時に、えらいひとじゃないさんにんもうごきだしました。みんなはひっしに抵抗しました。
むめいはお母さんにいわれて、ゆかのしたの空いた場所にかくれていました。こわくて、こわくて、ずっと目をつぶってたら、いつの間にか寝ていました。
起きて、外に出てみると、みんなしんでいました。さっきのよにんはもういません。でも、あの大きなお船だけは、穴があいていたけど、のこっていて、小さいお船がなくなっていました。
あとできいた話ですが、あのえらそうな人の名前はは”桃太郎”というそうです。とてもつよく、せいぎのゆうしゃだっていわれてたみたいです。
僕たちは何もしていないのに、みんなとくらしていただけなのに。それなのにこの人が『せいぎ』なの……??
11
:
”探偵”
◆NYzTZnBoCI
:2016/05/08(日) 15:32:03 ID:vfULsUNc
春の季節を感じさせられる陽気と桜の花吹雪をバックに、一人の青年が思いに耽る。
肌寒さも抜けて心地よい暖かさに包まれる時期となったが、青年の心は曇天のように晴れることはない。
その原因は言うまでもなく、かの陽愛社の令嬢から請けた依頼に関することだ。
身辺調査という依頼自体は珍しくもなく何度も受けてきたが、今回はその規模が違う。
単なる権力だけでは調査できない相手であり、その依頼人は世界的にも有名な社長令嬢。
視界に映る景色が全て違う世界に見えるほどに、探偵は頭を抱えていた。
「……ここまで聞き込んでも、有力な情報を得られないとは…」
一人愚痴るように溢す探偵、小柳=アレクサンドル・龍太。
”高天原いずも”の聞き込みを始めてから実に1週間、情報を尋ねた人数は200を優に超える。
そうして分かったのは高天原いずもは番長を名乗り人助けを行っていることと、第一学園に所属していることと、簡単な容姿の情報だけ。
何処に住んでいる、何処に現れる――…などという明確な情報は誰も持っておらず、殆どが無駄足に終わる。
その僅かな情報から推察するだけでも、高天原いずもという人物像はだいたい想像がつく。
お世辞にも学園都市は治安がいいとは言い切れない街だ。能力という力を手に入れたからか、悪い方向へ進む者も少なくない。
そんな中で高天原いずも、彼女は能力に溺れずに人助けという方向へ進みその名を轟かせている。
直接見なくともその情報だけで、自分よりも相当人間が出来ているのだと実感させられた。
「私が困れば颯爽と現れる……なんて、都合のいい事は起きませんよね……」
自分が態と襲われ危機的状況に陥りいずもを誘う――それも考えたが、一瞬で振り払う。
可能性はあるかもしれないが博打にしては分が悪すぎるし、何よりリスクが高い。
ならば風紀委員を頼るか?
いや、それはダメだ。自らプライバシーの侵害を犯す風紀委員など存在しないだろう。
学園の生徒に聞き込むにしても、その噂が高天原いずも本人に流れてしまったら本末転倒だ。
だとすればやはり、今自分に出来ることといえば外部からの聞き込みを行うだけ。
「――お兄ちゃん、探偵さん?」
そんな思考の中だ、探偵に声が掛かったのは。
12
:
”探偵”
◆NYzTZnBoCI
:2016/05/08(日) 15:33:22 ID:kPdKZ8zY
思案の渦から我に返り視界に映ったのは、一人の小学生くらいの少女。
探偵だと訪ねてきたからには、青年の容姿を見てそう判断し何か用事があって声をかけたのだろう。
焦げ茶色の探偵服を羽織り直し、警戒させぬよう声の主へと微笑みを向ける。
「ええ、その通りですよ。……ご依頼ですか?」
「あのね、あのね……えみぃを探して欲しいの!」
「えみぃ……とは?」
慌てた様子で身振り手振り説明する少女は、どうやら人探し或いはペット探しを依頼している様子だ。
だがその慌てぶりから恐らく居なくなったのは気ままなペットではなく、身近な人間だろう。
視線を合わせるように座り込み穏やかな口調で尋ねれば、少女からはやはり予想通りの返答が返ってきた。
「私のお友達!小早川エミちゃん!
……今日のお昼、広場でかくれんぼしてたら居なくなっちゃったの…」
「…なるほど、分かりました……その広場へ案内していただけますか?」
こくりと大きく頷き、探偵を先導するように駆け出す少女。
追い越さぬように背後を付いていきながら、探偵は静かに思案する。
人探し自体は珍しい依頼ではなく、特にこの街ならばそういう話は多い。
大半は迷子だとか家出だとか、探偵が大した活動をしなくとも自発的に解決するケースも多いが。
だが同時に自発的に解決できないケース――すなわち、”人攫い”などの場合があるのも否めない。
言い知れぬ焦燥を抱きながら、探偵たちは”現場”へと向かった。
―――――
―――
―
「ここだよ!ここでかくれんぼしてたの…っ!」
「…………」
数十分移動した末にたどり着いたのはいたって普通な、噴水がシンボルの平凡な広場だ。
外景だけならば昼時には学生や子供が集まり、穏やかな時間を過ごしていても何らおかしくはない。
だが、それでもこの時間に人っ子一人いないのは相応の理由があってこそのものだ。
そう、この広場は近場では有名な不良達の集い場。事案も多く発生し風紀委員が手を焼いている。
滅多に人も訪れないこの場では目撃証言も期待はできないだろう。
そんな場所で小学生ふたりがかくれんぼ等をしていたらどうなるのか――想像は容易い。
13
:
”探偵”
◆NYzTZnBoCI
:2016/05/08(日) 15:34:21 ID:vfULsUNc
「貴方は風紀委員に連絡を入れ、大至急ここへ来るよう伝えてください。
私は近くを捜索していますので、時間があるようならばエミさんの親御様にも連絡を入れてくれませんか?」
「あ…う、うんっ!」
早口で捲し立てる探偵の言葉に僅かに困惑を見せながらも、言われた通りに携帯電話を取り出す少女。
しっかりした子だ、と感嘆している場合ではない。一刻も早く少女を探し出さなければ、最悪の可能性も浮かび上がる。
少女が自ら失踪した場合も考えられるがここまで条件が揃っていて、そう判断するのは愚策だ。
まずは手がかりを見つけなければ……何も残さず失踪しているとは、考えられない。
「風紀委員の人たち、すぐ来るって!」
「ご苦労様です、……エミさんの親御様にも連絡を」
「うんっ!…探偵さん、絶対えみぃ見つけてねっ!」
「……勿論です」
手から携帯を取りこぼしそうになるほど焦った様子で再び連絡を入れる少女を他所に、捜索の目を広げる探偵。
地面を這い、壁を伝い、花壇を漁り、噴水の中を覗き込み――裏通りへと続く道を歩くさなか、ふと陽光を反射する何かが目に映った。
「……これは…」
探偵が手にとったのは花柄にあしらわれた女児向けのヘアピン。
誰かに踏まれたのか、いびつな形に歪み土が付着していたが……それほど汚れてはいない。
という事はつまり、まだこのヘアピンが落とされて時間は経過していないという事だ。
「……………」
この裏通りを抜けた先にあるのは旧繁華街。人が寄らず、自然と寂れていった街並み。
少女たちがかくれんぼを行っていたのは時間にして約2時間ほど前。
そしてこのヘアピン――…探偵は弾かれるように、裏通りへと飛び出した。
背後で少女が何かを叫んでいるが、敢えて耳にしない。
これから自分が向かうのは、少女が入り込んではいけない世界なのだから。
そこで待っていてください、と、ただ一つ言葉を残して探偵は姿を消した。
―――――――――――――――
14
:
”探偵”
◆NYzTZnBoCI
:2016/05/08(日) 15:35:08 ID:vfULsUNc
「大丈夫だからねぇ…お嬢ちゃん、ちょーっとだけ利用するだけだからねぇ……?
……おいてめぇら!!ガキの親とはまだ連絡がつかねぇのか!」
「そ、それが……誰かと通話中らしくて……」
「通話中だぁ!?…っち、5分後にまたかけろ!」
リーダー格の不良が撒き散らす怒号が辺りに響き渡り、部下の一人がおどおどしくも「へい」と返事をする。
その傍らではもう一人のガラの悪い部下が、椅子に縛り付けた女児の首元にナイフの鋒を突きつけていた。
「んーっ!!んんっ!!」
「うるせぇ!黙ってろ!!」
猿轡越しに悲鳴を上げる少女、小早川エミの表情は悲痛に歪み瞳に涙を溜めている。
彼女の周りを取り囲むように佇んでいる人数は2人、リーダー格を含めれば3人となる。
その集団はどうやら少女の親に脅迫を送り、少女の安否と引き換えに金銭を要求する魂胆らしい。
だが所詮は不良少年の集まり。先程から上手くいかず、苛立ちを募らせているのが目に見えてわかる。
広場には人気がないと言え時間が経過しては厄介事になるかもしれないというのは、流石に彼らも理解していた。
だからこそこうして少女の親に連絡を入れているのだが、このザマだ。
「おいおい、女の子にそんな乱暴なこと言うなよ……?
こいつは俺らの大事なお客様だ、金を運んできてくれる幸運の招き猫ってやつだよ……」
少女の顎を乱暴につかみ、怪しげに微笑むリーダー。
相変わらず少女の表情は恐怖に囚われており、泣き声もあげられない状況だ。
そしてそんな中遂に、電話のコールが全員の鼓膜を揺らす。
「!……ボス、繋がりました!」
「ようやくか!……おい、金の要求を――――」
「――させませんよ」
その瞬間、全員の動きが凍りついた。
15
:
”探偵”
◆NYzTZnBoCI
:2016/05/08(日) 15:36:27 ID:vfULsUNc
一斉に注がれる視線の先に佇むのは、焦茶色の探偵服を羽織る高校生くらいの青年。
瑠璃色の眼鏡の奥から覗く眼光はこの状況に臆することなく、真っ直ぐに全員の顔を見渡していた。
「て、てめぇ…風紀委員か…!?」
「いえ、私はただのしがない探偵ですよ……ほら、紋章がないでしょう?」
狼狽する不良の一人へ向けて、自身の探偵服を見せつけるように裾を引っ張る青年。
3人の不良が緊迫した状況の中ここまで余裕を保っているのは、恐らく何か理由があるのだろう。
自身の能力に相当自信があるのか、場慣れしているのか、本物の馬鹿か――推察するリーダーは、一先ず疑問をぶつける。
「……どうしてここがわかった」
「”落書き”ですよ、この工場跡にはほかの場所よりも一層色濃く落書きが描かれていたので。
……縄張り意識を優先するあまり、第三者からの視点を見落としていたのでは?」
淡々と紡がれる言葉の裏には一切の油断もなく、人数差があるというのにいつの間にか後退しているのは不良の方だ。
だがこの状況が不良たちにとって有利であることには変わりない。一人の部下が少女の首元にナイフの刃を当てて。
「動くなよ兄ちゃん、ちょっとでも怪しい動きを見せたら……」
「…ふっ!」
「がっ!?」
突如、青年が投擲した小石が部下の右手に被弾しナイフが弾き落とされる。
その生じた隙を見逃さず一瞬で距離を詰めれば、探偵による実戦に向けた一本背負いが決められた。
硬い地面と背中を勢いよく衝突させ悶える不良は、当分動くことすらままならないだろう。
一瞬で繰り広げられた探偵の攻撃にようやく危機感を覚えたのか、リーダー各が怒号をあげた。
「やれェ!!」
「へ、へいっ!」
スキンヘッドの部下が勢いよく返事を返すと同時に、その掌に宿るのは灼炎。
恐らくこの男は能力者なのだろう、Levelは2……或いは3といったところか。
無能力者と能力者では圧倒的な差があるというのに、探偵は微塵も動かずに徒手空拳の構えを取っている。
「いいんですか?能力を使って」
「は、はぁ…?テメェなにを……」
「私の後ろにあるオイル缶は可燃性のエンジンオイルです。
貴方の能力は発火能力……万が一にも狙いが逸れたら、全員吹き飛びますよ」
「……っ!?」
探偵の言葉を受けて怯む部下の足元へ、傍に落ちていた鉄パイプを投擲する。
短い呻きを挙げて崩れ落ちる男の胸ポケットからナイフを抜き取り、顔面へ向けて肘鉄を決めた。
鼻血を噴き出し再起不能となった男に一瞥をくれることもなく、最後に残ったリーダー格の男と向き合う。
冷や汗を頬に伝わせ拡大した瞳孔で探偵をみやり、リーダーの男は自身の上着のポケットに手を掛けた。
「銃を抜く気ですか?」
「……な…っ!」
だが――それさえも、目の前の探偵は見抜いてしまう。
「やめておきなさい、この距離ならばナイフの方が速い。
銃は抜く、構える、撃つの三点動作で初めて攻撃が成り立つ反面、ナイフは斬るの一点動作ですから」
「…っの…野郎がぁッ!!」
もはや探偵の言葉が聞こえていないのか、ポケット内の銃に手を掛けるリーダー格。
その瞬間リーダーの手にはナイフによる裂傷が刻まれ、耐え難い激痛に手を抑えながら膝から崩れ落ちた。
自身の流れる血を見て戦意を喪失したのか、呻きを上げるだけで自ら起き上がろうとはしない。
だが念には念を……動きを封じる為両足をネクタイで縛り、鉄骨に凭れさせる。
鎮圧化は完了、椅子に縛られる少女の元へ向かい拘束を解いた。
「……もう大丈夫ですよ、小早川エミさん」
「…あの、あなたは……?」
「申し遅れました、私は小柳=アレクサンドル・龍太。
先程申した通り探偵です……あなたのご友人から依頼を受けました」
探偵さん?という少女の反芻をかき消す様に辺りにサイレンが鳴り響く。
恐らく依頼人の少女が風紀委員に事情を伝えたのだろう、この場所に到着するのにそう時間はかからない。
やがて武装した風紀委員がこの拠点を絞り出し、不良達を取り囲んでこの一件は無事終わりを迎えた。
―――――――――――――――
16
:
”探偵”
◆NYzTZnBoCI
:2016/05/08(日) 15:37:27 ID:vfULsUNc
「本当に、エミを助けていただいてありがとうございます……!
このご恩はいつか必ず……」
「探偵のお兄ちゃん!エミちゃんを見つけてくれてありがとう!」
騒動が収まり風紀委員の事情調査を終えた頃、エミの父親と依頼人の少女が探偵へ礼を述べていた。
解放されたエミは一足先に母親と自宅へ向かっており、精神面での休息をとっているらしい。
探偵は短く首を振って、変わらず澄ました表情で二人の顔を交互に見やる。
「いえ、探偵としての仕事を遂行したまでです」
「お兄ちゃん……私も何かお礼したいけど、お金…持ってなくて……」
「……お礼、ですか」
そう言えば考えてなかったなと、少女が口にして初めて気がついた。
本来ならばここで依頼料を請求するべきなのだろうが、別に探偵業で生計を立てているわけではない。
金よりも情報を求める彼にとって、この選択は真っ先に切り捨てられた。
「では、一つお願いがあります」
「お願い……?」
「ええ、”高天原いずも”という学ランとハチマキを身につけた人物を見かけたならば連絡をください」
「う、うん……でも、そんなことでいいの?」
「勿論です」
にこりと、軽く微笑む探偵の言葉を受けてパッと明るい表情を浮かべる少女。
もしも他の探偵がその様子を見ればせせら笑い、小柳の事を自分よりも劣った存在だと思うかもしれない。
だがそんな事を気にしていたら探偵などはやっていられない。ポン、と少女の頭に手を乗せれば踵を返し歩き出す。
時刻はもう夕暮れどき、街灯が広場を照らし出し夕焼けが空を独占する時間帯だ。
「探偵さーんっ!ありがとーっ!!」
後ろから響く声が自身の背中を後押しするような、そんな感覚に身を馳せて。
学園都市に吹き渡る気まぐれな風は、夕闇を歩いた。
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