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空想のコキュートス【設定投下用スレッド】

1名無しさん:2014/07/11(金) 12:26:39
夢の底の底、存在と非存在の根源にして、無限に広がる閉鎖領域。
生誕出来ぬ夢や表象が凍りつく、アーキタイプの監獄。



《趣旨》
【なりきりリレー小説】ローファンタジー世界で冒険!に関わる、設定未満レスの投稿用スレッド。
裏設定、没設定、実用化を待つ段階のアイデア、設定未満のイメージ、小ネタ、SS、妄想ツイートの投下を想定。

《前スレ》
ローファンタジー世界のゴミ捨て場
ttp://www1.atchs.jp/test/read.cgi/lightfantasy/1383232010/

2名無しさん:2014/07/11(金) 12:27:50
◆央漢国(国家)
東大陸に位置して古い歴史を持つ、中華文明に似た国家。
夏王朝から清代までは、だいたい中国と同じような過程の歴史を辿った。
清朝以降は中華民国とはならず、劉氏が漢王朝を復興させ、清を打倒して千年の歴史を紡ぐ。
文化風土や官制は漢王朝のものを採用しており、漢皇帝が国家の頂点となり、十三州のそれぞれを州牧たちが統括する。
漢王朝こそが世界の中央との意から央の字を付け加え、央漢と呼ぶ。

二千八百年前の央漢には、やはり中国と同様に魏呉蜀に拠る三国志の時代があった。
仙界編に登場した孫尚香は、この時代の人物が昇仙して仙人となったものであろう。

◆ツガル(国家)
トキオの北東に位置する島国の独立国家、漢字では東日流と書く。
リューキューと同じ程度の文明レベルで、貿易を行う程度の国交はあるようだ。
気候は夏に涼しく、冬は寒い。

◆伏契(人名)
応龍の一匹で「ふっけい」と読む。
神話の時代に黄帝に直属していた龍の一派で、水の属性を持つ。
黄帝と悪鬼との戦いで、天へ留まれない程に穢れを帯び、地上へ墜ちた。
戦の深傷と堕天の影響に拠って、肉体が蛟にまで零落していたが、各地の霊脈を食い荒らすことで元の応龍へ戻す。

神代の存在なので、大いなる厄災の存在も漠然とだが知っている。
ネバーアースが抱える冷たい方程式への彼の解は、予め人口の二割を殺しておけば大災厄は未然に防げる、とのもの。
それゆえに、自分にとって良き者(眷属)は残し、そうでないもの(他種族)は積極的に除く。
仮に厄災の発生が避けられずとも、生命の総数が減少していれば、自分の眷属が死の籤を引く確率も減るからである。
なお、天位級アイン・ソフ・オウルの1/4が強さのイメージ。

◆ウミンチュ(種族)
リューキューに数多い人型の種族の一つ。漢字では海人と書く。
外見は人間に酷似していて、その多くは黒髪黒目の黄色人種。
人間との違いは水陸両方に適応した種族で、海洋国家の労働力として重きを占めることである。
リューキューの近海で潜れば、海底にウミンチュの集落が見えるかもしれない。

3フォルテ ◆uVQKW6f//c:2014/07/11(金) 22:54:14
本スレ2の90の後ぐらいであったかもしれない会話

「テイル……済まない!」

テイルの背中に、アサキムの真剣な声が投げかけられる。
さっきまで軽口を叩き合っていたのに何を改まって……と振り返ると、なんとアサキムが土下座をしていた。

「何、いきなり……」

「フォルテに弁財天の力を受け継がせた。あそこを切り抜けるにはそうするしかなかったんだ」

「……」

フォルテは本来知っていた。
自分がアマテラスの手で弁財天の器として作られたということも、ラルゴによって魂を得てその役割から解放されたということも。
世界の再編の始まりを察知し活動し始めたアサキムは真っ先にフォルテの元に向かい、記憶操作を施した。
そうあの時、ローファンタジアの祭典の直前の時の事だ。
そのままにしておいてはフォルテはいずれ自らすすんで弁財天の力を受け継ぐことになる。
しかし受け継いでしまったからには感情を捨て去って罪を滅する殺戮の天使にならなければならない。
それは、魂を持ってしまった者にとってはとても残酷な事。
そう考えたアサキムは、フォルテと対面し視線を交わした一瞬のうちに自分の素性に関する記憶を消し去った。
尤も強烈な記憶を完全に消し去る事はいかにアサキムといえども難しく
母親はトンデモない存在らしい、父親は偉大な音楽家だったという断片的な情報は残ってしまった結果
記憶消去ではなく記憶操作のようになってしまったのだが。
結局その消し去れなかった記憶が真実に辿り着く一端となってしまった事は否めない。
暫しの沈黙の後、テイルは呟いた。その表情はうかがい知れない。

「許さない……」

「テイル……」

アサキムはあらゆる仕打ちを覚悟した。大地母神は怒らせるとめっちゃ怖いのだ。
しかし、顔を上げたテイルは、嬉しい事があった時のように笑っていた。

「それ以上謝ったりしたら許さないよ?
これは君に強要された訳でも器としての宿命でもない、あの子自身が選んだことなんだ」

呪いと祝いは、表裏一体の天秤の左右のようなもの。
フォルテが自らの魂のままに生きる事を願い、弁財天の器としての役割を解いた時から
自分が与えた力はフォルテにとって邪魔にしかならない呪縛だと思っていた。
それがほんの少しでも祝福の側に傾いた。それがたまらなく嬉しかったのだ。
自分の与えた力が、フォルテが心から望む夢を実現する助けになれる――

「だからね、下でフォルテに会ったらおめでとうと伝えて」

「――ああ」

そして本スレ91に続く

4名無しさん:2014/07/20(日) 04:55:03
◆瞬間移動装置について(雑感)
ネバーアースには「旅の扉」や「転送ポータル」なる遠距離間の瞬間移動装置がある。
作成にコストが掛かるのか、利用料金はかなりの高額とのことで、他の移動手段も廃れていないようだ。
原理は不明だが、転送元が消滅する量子テレポーテーションでないことを願う。
なお、量子テレポーテーション実験は地球でも今年五月に成功している。

>ついに来たか?原子を100%の精度で3メートル移動させることに成功。
>人間のテレポーテーションも可能に!?(オランダ研究)
ttp://karapaia.livedoor.biz/archives/52165230.html

◆蘇生について(雑感)
数百、数千年前、輸血や外科手術が一般的でなかった世界の人間は、これらに禁忌や抵抗や嫌悪の念を覚えたはず。
翻って現在の人間を見れば、宗教的な理由でもなければ輸血を拒むケースはまずない。
蘇生についても同様で、蘇生が一般的になれば蘇生への抵抗感も軽減されると思われる。
しかし、書く側の人間の倫理観が、蘇生が一般的な世界に追いつかず。
蘇生を普通の事として捉える人間に感情移入できなくなるケースも想定される。

死が不可逆ではない世界では、果たして人間はどういった命の捉え方をするのだろうか。
殺人の罪悪感や忌避感も地球より軽いのか。悲しみや悼みより先にまず蘇生と考えるのだろうか。
とすると、ボルツや虐殺された犠牲者を蘇生させようという発想が浮かんでも良さそうである。
メインパーティーが去った後に、誰かが蘇生を試みているとも考えられるが……。

かつて、ケルトには戦で殺した相手の輪廻転生を防ぐため、首を刎ねる風習があったとか。
ネバーアースでも、本当に殺したい相手は蘇生を防ぐ措置を取るのかも知れない。
魂を魔術で毀損させたり、肉体を酸で完全に溶かしたりなどして。
ただ、肉体が一部でも残っていれば、復元魔術を用いて蘇生は可能なようだ。
従って、死刑制度がある国は刑死者リストを星霊教団などに渡して、死刑囚の蘇生禁止を要請している事だろう。
蘇生依頼を受けた身元不明の死体の一部をどうやって刑死者と判別するのか、という疑問は残るが。

◆位階について(雑感)
人位→地位→天位と位階を進めるごとに想いが一方向に振り切れ、価値観も刃のように研ぎ澄まされる印象だ。
そして、価値観が定まらない存在は、あまり位階も上がらないイメージがある。
仏教を学んで実践するほどキリスト教の教義からは離れ、イスラムに傾倒すれば儒教からは遠ざかり。
全てを取り入れようとすれば、個々の理解も浅くなるように。

位階を上げるには、世界の歪みが起因していることは間違いないが、具体的な条件は何だろうか。
今の時点で、己の世界を広げる具体的な術は明らかでないが、ネバーアースは想いが力を持つ世界。
想いの強さが世界を広げるとも考えられる。
ならば、位階の低いものや、アイン・ソフ・オウルでないものは強い想いを持たないのだろうか。
仮に強い想いを持った時点でアイン・ソフ・オウルになるとしたら、アイン・ソフ・オウルだらけになりそうである。
やはり、位階を上げるには内的なものだけでなく、何らかの外的要因もあるのかもしれない。

◆アイン・ソフ・オウルの発生について(雑感)
1.小世界(一般人)が増え過ぎると、世界を収める器が歪む
2.歪みの影響で大きめの世界(アイン・ソフ・オウル)が生まれる
これは器が大きく歪んだ場所に嵌った世界がアイン・ソフ・オウルになる、ということなのだろうか。
物質的なイメージを当て嵌めるのは、そぐわないのかもしれないが。

◆魔法について(雑感)
回復や蘇生やテレポートなどの利便性の高い魔術は、理由も無しに習得しない方が不合理だ。
確かに敵が何度も蘇生したり、あと一息で倒せそうな瞬間に完全回復魔法を唱えられたら、萎えるかも知れない。
しかし、やはり術の恩恵に与れる存在ならば使うのが理に適う。

◆永久闘争存在について(雑感)
世界からの支援は、討伐対象の意志や目的も関係するのだろうか。
となると、書き手が心理描写などで目的を明かすかどうかで、力の供給が始まったり止まったりしかねない問題が出てくる。
さらに現在のネバーアースにとっては過剰な人口こそが異物。
限界を迎えようとする状態を鎮める為、人口削減の防衛機構が発露しつつある世界なのだ。
単に殺戮や虐殺を止める為だけでは、世界の異物を排除するモードは機能しがたいようにも感じられる。
頂天魔に関しては、他世界にまで根を伸ばしていたので、そちらへの影響を排除する為に機能したと思われるが。

5エスペラント ◆hfVPYZmGRI:2014/07/23(水) 03:17:04
屠竜之技

捻りも無くそのまま竜を必ず殺し、治癒も蘇生も無意味である概念を含む技。
ある者が長い年月と万金を費やして、竜をも屠るという技を習得したが、その人の生きている時代に竜がいなかったため、まったくの役立たずでしかなかった。「無用の長物」のように、
いかに巧みであっても実用の役に立たない技を指すというのもそのままだが
この場合明確な技についての詳細・そのまま言葉の解釈として全ての技が竜を殺す技になり逆に言えば竜と何らかの関りがある
全て以外にはその技は役に立たないし殺傷できない。

そして全ての動作、行動が技であり術である。
極論例として上げるならその技法に則るなら爪楊枝や指を突いただけでもドラゴンを殺せる。
拳で殴る、触るでも同じ効果を発揮する。
但し力の強さが大きく作用される為、応龍クラスなどにはそれ相応の準備や装備を用いる必要がある。

取得するにはその作り出した人物の子孫を見つけ出して奥義書なりを探さねばならず
恐らくどんな人外だろうと人が半生を迎えるぐらいの年月を最低得ないと身に付けられない為
本当に誰得な技である。エスペラントも人の半生というより取得するのにそれぐらいは経過している。

一応覚えたらそれ一色になるという訳では無く意識の切り替えで発動する為
特定の型が有る訳ではなく、意識して構えた物が屠竜之技なのである。

6フォルテ ◆uVQKW6f//c:2014/07/25(金) 01:11:59
>◆蘇生について
エヴァンジェルでは騒動後に蘇生は試みられたけど一例も成功しなかったそうな
どうやら蘇生不可の特殊効果付きの攻撃という物があるらしい
三主神の他に祖竜ファフニールもその攻撃の使い手でした
と言う訳で生き返れるにしても死ぬ時は痛いし100%蘇生できるとも限らないので
生き返った場合は殺人の罪は軽くはなるだろうけど
ヒャッハースプラッタ殺伐ワールドまではいかないんじゃないかな、という感じです

>◆魔法について
たくさんの人が使えるようになると魔法の効果が薄れていくので高位魔法は秘匿されているそうな、という所までが公式設定
ここからが推測
秘匿してもそのうちうっかり広まってしまいそうと思うんだけど
うっかりポロリしたところで最先端の高等数学を一般人は理解不能なのと同じ原理が働いてそう
理解できるのは余程の鍛錬を積んだ者か天性の素質がある天才か
一般に広く浸透してる魔法は九九みたいなもんかな
要するに高位魔法を習得するのは色んな意味で並大抵の事ではなさそう

7名無しさん:2014/07/26(土) 06:43:27
◆華燭戦役(儀式)
神人(しんじん・央漢国に於けるアイン・ソフ・オウルの呼称)を作り出す為の結婚式にして戦争。
主催者は皇帝・劉煌で、この儀式的な乱戦は央漢十三州のそれぞれに造られた戦都(儀式用の都市)で執り行われる。

最初に、互いを想い合う二人一組の参加者が朝廷から宝珠を下賜される。
二人は宝珠に自らの想いを篭め、自分たち以外の全ての宝珠を砕くために他の参加者たちと相争う。
この宝珠は他者の持つ宝珠を砕く程、そこに篭められた想いを奪い取って力を持つ。
多くの想いを喰らった宝珠は擬似的な如意宝珠と化し、奪った想いの量に応じて望みを叶える。

逆に己の宝珠を砕かれれば、篭められた想いは砕け散ってしまい、自身らも宝珠を砕いた者に隷属する事となる。
華燭戦役で最後に残った一組は列侯に封じられるが、それ以外の参加者は勝者の臣民として隷属するのが運命。

華燭戦役は一種の蟲毒の呪法にして、何番煎じか分からない『願いが叶うバトルロイヤル』である。
強い想いを賭けた死闘で小規模な世界の歪みを作り上げ、意図的に神人を産むという訳だ。
ただし、参加者たちが抱く想いの質や量次第では、最後に勝ち残った者とて神人になるとも限らないが。
なお、アイン・ソフ・オウルは想いが宝珠如きに囚われる事もないので、最初の段階で華燭戦役から弾かれる。

この方法で、原理的にアイン・ソフ・オウルが発生し得るのかは分からない。
そもそも、アイン・ソフ・オウル発生の仕組みが明確でない段階で、俎上に乗せる事は適切でないかも知れない。
が、むしゃくしゃして書いた。今は反省している。

◆クレド・マディラ(遊戯)
古代マディラ帝国と、惑星神を奉ずる諸侯国の戦いを舞台背景に持つ、対戦型トレーディング・カードゲーム。
中央大陸でのクレド・マディラの人気は大きく、小学生から大人までもが愉しむ。
神魔コンツェルンからは、カードを3D映像化して動かす機器も発売され、人気に拍車を掛けている。
レアカードが高額で取引される事もあってか、魔術や計量器を使ったサーチ行為も少なくなく、様々な対策が取られた。

8魏永琳:2014/08/01(金) 04:09:43
【とある密貿易団と士族、4/4】



 あたし魏永琳(ウェイ・ヨンリン)! 十八才の肉食系女子!
 何してる人かって問われれば、遊侠だって答えるよ。
 遊侠って言うのは、他の国で冒険者って呼ばれてる人たちと同じ感じの人種かな。
 決まった生業は無いけど、怪異を退治したり、遭難者を連れ戻したり、色々な事で生計を立ててるんだ。

 今、あたしたちは荷物を積んだ船に乗って琉球って島国に向かってるの。
 生国の央漢から、はるばる海を越えて小さな島国を目指す目的は密貿易!
 央漢の特産品をたくさん売って、大儲けするためにねっ。
 こう見えて、あたしは八健将って遊侠団の頭領だから、団のみんなを食べさせるためには遠出だってしなくっちゃ!

「運ぶのは絹と虎皮、お茶に薬草、陶磁器でしょ?
それと、珍しい金属で全部だっけ? いっぱい売れるとい〜ね〜♪」

 船の甲板に立つあたしは、傍らに立つ黒髪の女の子――幼馴染みの瑜律(ユーリュ)に話しかける。
 瑜律は頭が良くて八健将の知恵袋。
 琉球で密貿易すれば、飛ぶように物が売れるって提案したのも彼女なんだよ。
 確かに、鎖国で交易を制限してる国なら、色んな物が品薄なはずだものね。
 うんうん、あたしでは考えつかなかったよ……。

「あ、島が見えて来たよ!
猫の額ほどの土地って聞いてたけど、思ったより大きな島なんだねー。
えーっと、琉球の商人と落ち合うのは夕喜瀬ってとこだったっけ?」



名前:魏永琳(ウェイ・ヨンリン)
綽名:桃飛将
種族:人間
身分:遊侠
性別:女
年齢:18
技能:獣属性の生物を騎獣として自在に使役する操獣の術・騎乗時は重い巨大槍を自在に扱える
外見:小柄、長いピンク髪、青い瞳、巨乳(武力94)
装備:騎兵槍『饕餮牙(タオティェヤー)』、白地に紫雪模様の漢風防護服『壁装(ビーヂュゥァン)』、魔除けの符
能力:(体力:20)(魔力:30)(筋力:40)(耐久:40)(敏捷:10)(器用:20)(知性:10)(世界:1)
備考:遊侠集団『八健将』の筆頭、密貿易のためにリューキューへ訪れた。緩い

9宋瑜律:2014/08/01(金) 04:11:48
「そうよ、琉球商と取引するのは島の北側で、憲兵の目も届き難い森の中。
琉球北部は反乱軍が一部を占拠してるから、他の地域に比べれば警備も緩いのよ」

 宋瑜律(ソン・ユーリュ)は、小柄な頭領を眺めて返答した。
 魏永琳の真っ白な衣服には紫の雪模様が刺繍され、亜熱帯気候の海域でも涼しげだ。
 現在の天候は快晴で見通しもよく、温かな潮風が海原を砕いて、硝子の泡と真珠の白波を作っている。
 やがて、徐々に速度を落とす輸送船は、着岸するのに良さそうな岬へ停泊した。

「皆、荷を降ろす準備をなさい」

 宋瑜律は人足たちに荷降ろしを命じた。
 遊侠団がリューキューに運び込むのは、君山銀針のような芳茶にレアメタルなど。
 どれも高価な嗜好品や希少金属ばかりで、全てを売り払えればかなりの資金を得られる。
 尤も、不首尾に終われば調達費用を回収できず、多大な借金を背負うことになってしまうのは間違いない。
 微かな懸念を眉に宿らせつつ、宋瑜律は人足を督して上陸の準備を終えた。

「永琳、リューキューは武術の達人が少なくないって聞くから注意してね」



名前:宋瑜律:(ソン・ユーリュ)
綽名:鉄雨箭
種族:人間
身分:遊侠
性別:女
年齢:18
技能:射撃
外見:中肉中背、黒色の長い髪、緑の瞳、貧乳(武力75)
装備:機関銃『百弩(バイヌー)』、薄橙の上着と翠の下衣の漢風防護服『壁装』、魔除けの符
能力:(体力:10)(魔力:30)(筋力:10)(耐久:10)(敏捷:30)(器用:40)(知性:40)(世界:1)
備考:八健将の知嚢、永琳の補佐でリューキューへ訪れた。

10魏永琳:2014/08/01(金) 04:13:30
「あははーっ。だいじょぶだいじょぶ!
取引は森の中でするんでしょ? そんなとこ誰も見回らないって」

 あたしは考え込む瑜律の背中をぽんと叩いてを励ます。
 瑜律はちょーっと心配性なんだよね。

「それにみんなが危なくなったら、あたしが体を張って守るから!」

 船が木々の茂った人気の無い森の近くに接岸すると、架け橋が降ろされる。
 あたしは子象ほどの大きさをした巨大兎へ跨ると、琉球の大地にぴょんと降り立った。
 この大兎は一年ほど前に捕まえた騎獣で、桃色に近い綺麗な赤の毛並みだったから、赤兎って呼んでる。
 あっ、そうそう……乗れるだけの大きさがあれば、あたしは大抵の獣なら乗りこなせるんだよ。
 それこそ妖獣に魔獣の類でもね。凄いでしょ?

「それじゃ行こっ!」

 積荷が降ろされると、あたしは荷車を引く人足たちを引き連れて、緑の原生林を突き進む。
 細葉榕(ガジュマル)が生い茂る薄暗い小道をえっちらおっちら進み続けて、森の中ほどに差し掛かろうという時。
 あたしは木々の密度が高い森の中で、吹くはずも無いような強い風を頬に感じた。
 次の瞬間、突然視界がぐるぐるぐるっと、いけない感じの反転を繰り返す!

「あっ、きゃぁわぁ! だうっ! んふぁっ……いたぁ……」

 ゴッチーン!と凄い音がして、頭の中にわんわんと残響が駆け巡る。
 あたしたちは竜巻かと思うような風に巻き込まれて、後ろの荷車や人足ごと吹き飛ばされてしまっていた。
 大きな木に頭をぶつけたみたいで、激痛で目が……回るうぅ……うっ……うっ……うっ……痛い……よぉ。


★遊侠(ゆうきょう)
公的に職業として認められている訳ではないが、央漢国に於ける冒険者相当の存在。
遊侠は自由を愛して生業を持たない義挙の士たちで、武術や方術などの優れた技能を持つ者が多い。
生計を立てる手段は様々で、刺客や盗賊になるものがいれば、旅商の護衛や猛獣退治を行うものもいる。
義を重んじないものは遊侠(ゆうきょう)ではなく、無頼(ぶらい)と呼ばれる。
もっとも、世間から見ればたいして違わない。

★能力
能力は乱数判定が生じた際、コンマ数にプラスされる数値で、人間ならば装備や魔術込みでも最大値は50。
(コンマ数)+(能力)=(達成値)……となる。
能力を設定してあるNPCとの応酬では、関連能力で達成値の上下を競い、行動の成否を決める。
小さな世界しか持たない存在ともなると、奇跡を掴むのも簡単ではないということだ。
なお、アイン・ソフ・オウルとの応酬では乱数判定を用いない。

11刑部 咲姫:2014/08/01(金) 04:16:55
――瞬天旋風波。

 剣圧で作り上げた強力な風を気で操って旋回させ、敵する者を吹き飛ばす剣技。
 それが、央漢国からの密貿易商団の荷車を横転させ、頭目や人足たちをも薙ぎ払う猛烈な風の正体だった。
 技の使い手は長い黒髪を総髪(そうがみ)にした女剣士、刑部咲姫(ぎょうぶ さき)。
 彼女は地に伏した密貿易商たちへ向かって、底冷えのするような声を放つ。

「……密貿易商が現れるとの密告は事実だったか。
抜け荷の持ち込みは天下の御法度と知っているだろう、異国人。
禁令を破る者には、この刑部咲姫が誅を下す」

 抜き身の刃が魏永琳に向けられると、刀身は厚い枝葉の間から差し込む木漏れ日を宿した。
 周囲に張り詰める闘気で、虫すらも鳴くのを止めて静寂を保つ。
 荷の運び手たる人足たちは旋風波の襲撃で全身を強かに打ち、すでに戦意も逃走する気力も無いようだった。
 氷の静けさの中で、刑部咲姫は再び刃の如き玲瓏な声を発する。

「リューキューで犯した罪はリューキューの法で裁くと決まっている。投降して縛に付け。
先の一撃は死なぬ程度に加減したが、無駄な抵抗や逃亡を試みる者あらば、この場で切り捨てる」

 刑部咲姫は幕府傘下の士族であり、幕府の敷いた秩序を脅かすものに一切の容赦はしない。躊躇無く殺す。
 遊侠団が逃走や応戦をすれば、瞬天曲撃斬――どこまでも標的を追う、不可視の斬撃を繰り出すとも決断している。
 生身の人体程度なら容易く切断するであろう、線のレベルにまで凝縮した気の刃を。

「……返答せよ、それとも誰か死なねば判らぬか」

 刑部咲姫は、うつ伏せに倒れた宋瑜律の喉元に刀の先端を当てると、鋭き矢の問い掛けで返事を促す。
 狼狽する魏永琳と痛みで呻く人足たちの様子から、密貿易商団は投降するだろうと確信しつつ。
 人足の一人に荷車の縄を投げつけると、刑部咲姫は仲間を縛り上げるよう視線で告げた。
 これで、反乱軍の資金源となりかねない密貿易を断つ事が出来るだろう。
 彼女たちを役所へ連行して引き渡せば、己の役目も終わりだ。
 リューキューの秩序を守る為には、次なる考えを巡らせなければならない。
 乱賊の志士を討ち倒して、謀反を起こす大名を鎮め、幕府の濁臣すらも粛清する為には――。

【とある密貿易団と士族、了】



名前:刑部 咲姫(ぎょうぶ さき)
種族:海人
身分:士族
性別:女
年齢:22
技能:琉球剣術『瞬天流』、気配の遮断と察知、
外見:長い黒髪を総髪(そうがみ)にした黄色人種、琉球女性としては平均的な体格
装備:玲瓏な刃の長刀『月影東風平(つきかげこちひら)』、青羽織に黒袴
備考:刑部の名の通り、刑罰を司る一族の末裔。幕府に臣属する士(サムレー)
世界観:『誅罰』罪あるものには罰を

12エスペラント ◆hfVPYZmGRI:2014/08/15(金) 22:48:48
青春と子供の国 ブルースプリングス

それは何処かの大地にひっそりと存在するらしい国。其処には大人が居らず、子供しかいない場所で
入った誰もが昔懐かしいと感じ、それぞれの良かった子供時代・青春時代に戻り最も心地よかったり心の底から戻りたいと思う時間に戻る事が出来る為訪れた者は全員自然と夢中になりそのまま暮らす事となると
自然と子供や戻りたかった時代の姿に戻っている。

その国の内部は時間軸と時空が世界から切り離されており、完全に入った一人一人の人間には望んだ過去を維持したまま、その記憶に不自然さと矛盾が無いように入った自分以外の他の人間は最初から知り合いか新しい友達として存在して生活している為、一人だけ都合の良い物を見せられているという状況ではない。

他にも路頭を迷う子や親や親戚による虐待等をされる居場所の無い子や親兄弟の居ない子など心や身体に傷ついた子供や親兄弟の居ない子供等が何者かに保護されてやってくる事もある為、完全に子供に返った大人達だけが住んでいるわけではない模様で
その子供達ともこの国にやってきた人達は助け合って生きている。

誰が作ったかは不明だが此処は悪意無く純粋に誰にでも優しい夢を見せて暖かく包み込んでくれる国。
しかし家族や周囲に恵まれて心底充実していたりや幸せな人々の前には一切出現しない。
もはや死期が差し迫っている人などの走馬灯やら無くなる一時の間だけ現れることもある
一説には何処かのテーマパークを模して装っているらしいが
悪意など邪な物を持っているを見抜き、そういう者達に対しては記憶を抹消したり
最悪番人の様な化け物が現れて排除をするらしいが、基本的には純粋な邪悪や
極めて悪質な存在を除いて改心の余地などがある者達も受け入れて貰える。

13エスペラント ◆hfVPYZmGRI:2014/08/16(土) 23:19:42
アメリゴ合衆国連邦

南北大陸にてある探検家が当初発見した新大陸であり
その探検家の名前から国の名前を取られた。
合衆国連邦という名の通り、元々様々な人達が開拓あるいは入植していった為
独立した州あるいは小国であり国境もバラバラであったが、ある人物の尽力及び国家構想により
新大陸全ての州を合衆国として平和的に時に武力衝突を繰り返して統一し、
数百年の時を経て現在のような国家と至る。
文明的には西部開拓時代から末期のような文化形態としているが
中にはこの世界の宇宙を自力で見てみたいとロケットを作る人々もいるなど
従来の西部劇のような一辺倒な場所ではないようである。

合衆国連邦としてトップに居るのは大統領であり、それぞれの州には州知事に委任しており
基本的な法律を除けば州や小国によって異なる条例やその場所だけのルールやらが存在している。

14名無しさん:2014/08/23(土) 21:10:49
◆ローファンタジースレ最強議論(最強議論)

アイン・ソフ・オウルの項にソードワールド2.0の説明があったのを思い出したので、両者のレベル換算を企図してみる。
ソードワールドのモンスターレベルや冒険者レベルは、ここでは世界レベルとでも仮称すべきか。
まずは下記のレスから、ソードワールド2.0のモンスターをアイン・ソフ・オウルの位階に当て嵌める。

> ファン主催のTRPGイベントで、SNEの北沢さんが残したといわれる発言。
> 神になりかけの状態が16〜20レベル、マイナー(小神)が21レベル〜
> メジャー(大神)が31レベル〜、エンシェント(古代)が41レベル〜

人位・半神、フレスベルク(17)、イフリート(17)、ペルーダ(18)、ヴァンパイアローズ(19)、上位魔神(16〜19)
人位・ユグドラシルの若木(20)、ドラゴンゾンビ(20)、ミスリルゴーレム(20)
地位・小神、ヴァンパイアノワール(23)、エルダードラゴン(25)
天位・大神
神位・古代神

アイン・ソフ・オウルの説明の項を見ると、神位=古代神、天位=大神、地位=小神、人位=半神に相当するようだ。
ただし、バアル=ペオルを考えれば、戦闘技能や肉体の強さと、存在の規模や世界の大きさは、必ずしも比例はしない。
思いや感情が世界を作り変えるとの設定を見るに、意志や知性の乏しい者は戦闘力が高くても世界の規模は小さそうだ。

アサキムはローファンタジア跡地の草原化と、炎海になった山を鎮めた事から、地位級の中でも影響力は広範囲。
ファフニールは攻撃力だけなら天位にも届くが、他は一回り下。
ゲオルギウスはファフニールと同じくらいだと思われるが、討伐した事から僅かに上。
不朽華はノーライフキングやヴァンパイアノワールのイメージ。
氷鵬王ユジャはルシファーやアスラなどの堕天伝説と、先史時代の魔術王が融合した伝承上の存在を想定。
獅子皇帝ギルヴィは蛇王ザッハークが原型。
伏契はエルダードラゴン級だが、攻撃が全くアサキムに通らなかった事を考えるとレベル差3〜5くらいが妥当。
これらを踏まえて地位級の序列を定めると下記が適当か。

【アサキム(30)>《PCの壁》>ゲオルギウス(30)>ファフニール(29)>>ユジャ(27)>>伏契(25)>ギルヴィ(24)>不朽華(23)】

枢要罪は強欲、暴食、淫蕩、憤怒が四強。
他の天位は全般的に捉え難いので測定しない。
ラルゴは神々の思惑を超えていたらしく、枢要罪にも干渉できたことから天位? 続いて人位やその他。

【ボルツ(20)>ミヒャエル(19)>>>ヴェルザンディ(16)=阿由羅城(16)>>《アイン・ソフ・オウルの壁》>インペリア兵(7)>魏永琳(6)】

フォルテ、ゲッツは六章の時点で16〜20。
レッサードラゴンが13〜15、ドラゴンゾンビが20なので、単騎で竜の群を退けたボルツも20。
アヤカ、ヘッジホッグ、浄子、アルテナ、ディミヌエンド、ジャックは計測困難。
エスペラントも体系の違いなどから捉え難い。守護者の特性でアイン・ソフ・オウルにもならない。
静葉、リーフは異世界人だが、人類の限界を越える程の世界を持ってればアイン・ソフ・オウルになっていそうだ。
星の巫女を見るに、別世界出身でもネバーアースに来ればネバーアースの法則には従うと思われるので。

阿由羅城は伏契の前に為す術も無かったが、9レベル差なら、さして不自然でもなかったか。
クシャーナやジョージがアイン・ソフ・オウルなら、ヤタガラス等の解析作業に協力しないのも解せないので15以下?
ただし、ゲッツが雰囲気の違いを感じた描写から、自覚無きアイン・ソフ・オウルでもおかしくはない。
国家司書時代のヴェルザンディは「本物のアイン・ソフ・オウルになれれば〜」との発言から、厄災の種込みで16以上?
教皇時代のミヒャエルは三神召喚が実力なら15以上。厄災の種の数から上乗せ分はヴェルザンディよりも上。
枢要罪への転生後は両者とも天位?

リンセル、ヴァルン、リュジーなどはおそらく非アイン・ソフ・オウル。
冒険者は技能レベル1〜3が駆け出し、4〜7が中堅、8〜10がベテラン、11〜15がトップクラスだろう。
枢要罪との戦いが話の主軸の今、非アイン・ソフ・オウルがPCとして本編に出るのは自殺行為だが。
アイン・ソフ・オウルとそれ以外では、モース硬度9と10よりも硬い壁がある。
誰からも雑魚と認識されたインペリア兵すら、陸軍の標準的武装を持つ自律兵器と考えれば一般人の対処は困難。
結界が無いと、普通の生物は機関銃や手榴弾程度でもまともに喰らえば死ぬのが痛い所。

なお、以上のレスの全ては妄想であり、なんら本編に影響を及ぼすものではありません。
最強議論とは、夢とロマンを大真面目に追求するカオスなお遊びです。

15名無しさん:2014/09/15(月) 08:16:40
 西暦2822年。
 中央大陸でも屈指の人口過密地域であるクムスリ平野の諸国家連合、クムスリ共同連合は海上進出を計画。
 南に広がる群青海の沖合いに人工島を築く事として、都市建造に着手した。
 都市は何十年もの工事を繰り返しながら、洋上で拡大していく。
 2895年、ついに約100000km2の面積と七つのサイドポリスを持つ巨大都市、七芒都[ヘプタグラムシティ]が完成した。
 世界の歪みを引き起こすべく造られた魔都が――。

【1/9】

16名無しさん:2014/09/15(月) 08:17:57
【side polis-Ⅰ・ジッグラト】
 七芒都が抱えるサイドポリスの一つ。
 250km2を持ち、最高部は2000mを超え、内部に数百万の人々が居住可能な高層都市群ジッグラト。
 此処は人口過剰や環境劣化の対策として、生産と消費活動の自己完結を企画した巨大建造物だ。
 一個の建物の中で、食料と水と電力の供給、通信や医療、学業に娯楽、廃棄物処理までが可能なのである。
 この膨大な生命を内包する高層都市は、内部に一つの生態系を築く宇宙樹と言っても良いだろう。

 時は深更。
 山にも比肩するジッグラトの全体に細いプラズマが奔り抜け、内部を満たす人工の光が一瞬途切れた。
 夜遅くまで作業をしていた会社員たちから悪態の声が漏れるが、停電は一瞬のこと。
 人々はすぐさま戻った灯りに安堵し、停電の原因について深く気にする者もいなかった。

 雲にも届かんという建造物の屋上、広大な庭園の一つには複雑怪奇な巨大魔法陣が描かれている。
 幾何学的な図形の線は、闇の中で白光に輝いて浮かび上がっていた。
 先程ジッグラト全体を駆け抜け、一瞬の停電を齎した謎のプラズマ光だ。

 魔法陣の中央に目を移せば、金髪を靡かせた壮年の男が浮かんでいた。
 彫刻の如き端麗な容貌で、蒼銀の甲冑を纏い、天使とでも形容したくなるような姿。
 全身から荘厳な圧迫感を放っていて、近くに立つだけでも心臓を握られたかのように威圧される。
 彼の雰囲気に畏れを抱いてか、空を吹き抜ける風すらも動きを止めていた。

「……祈り、我が時を動かすのは何者か、答えよ」

 魔法陣の上で浮かぶ白翼の男は、怜悧な双眸で目前に跪く人物を睥睨する。
 古代語で為された諮問に答えるのは、氷藍色の魔術法衣を身に付け、背中に黒翼を持つ翼人種の女だ。
 容貌は白い肌と群青の瞳と金髪で、翼の黒色を除けば、身体的特徴は跪拝を向ける男に酷似していた。

「陛下の末裔が一人、アンセレム・ルトラーシャで御座います。
我らの王として陛下を戴くべく、御無礼ながらお目覚め頂きました。
今現在は陛下が眠られてより、すでに五千年以上の時が経過しております。
陛下の帰還は、長きに渡る我が一族の悲願でしたが、ようやく私の代で成功し、歓喜に堪えません。
副王として王国再興を期す我が父、カダレス・ルトラーシャに代わり、祝賀を申し述べます」

 黒翼の女は声に緊張を滲ませながら、質問者と同様に古代語で返答した。
 アンセレム・ルトラーシャは翼人種の軍閥、空の軍勢[アエリアエ・ポテスタテス]の一人である。
 彼女の立場は、代表のカダレス・ルトラーシャの娘であり、召喚術を修めた高位魔術師。
 ジッグラトに魔法陣を描き、金髪白翼の男を呼び出したのもアンセレムだ。

「左様か、大儀」

 浮揚する翼人種の男は、緩やかにジッグラトへ降り立つと庭園を歩き始めた。
 植物の香りで肺を満たしながら、建物内部に通じる硝子張りのペントハウス(差し掛け塔屋)へ向かって行く。
 屋上庭園は人払いの結界が敷かれているので、魔法陣に召喚された何者かが歩き始めても静かなものだ。

「陛下、此処より北方の大陸、オルダム多胞体峡谷に翼人種の本拠があります。
御足労ながら、陛下には其方までお越し頂きたく――」

「アンセレムとやら、我は峡谷などに住むつもりはない。
この、いと高き塔が気に入ったゆえ、これより我が高御座とする」

「ジッグラトを本拠に? 恐れながらそれは……へ、陛下、お待ちを!」

 広大な高層都市を占拠するのは、総数一万五千の空の軍勢を持ってしても容易ではない。
 しかし、主君として戴く人物の聖旨を無碍にも出来ず、アンセレムは困惑した。
 困惑しながら、己が主の背を追いかけた。

17名無しさん:2014/09/15(月) 08:19:01
◆空の軍勢・組織詳細
【名称】空の軍勢[アエリアエ・ポテスタテス]
【区分】軍閥(魔術組織、財閥、政治組織)
【代表】カダレス・ルトラーシャ(副王)
【体制】ルトラーシャ一族を盟主とした小勢力の連合体
【創設】三百年
【理念】聖地セイラムの奪回と独立政府の樹立
【本拠】中央大陸南部、ラプティス共和国、オルダム多胞体峡谷の集落
【規模】翼人種のみで約一万五千
【財源】峡谷地帯の希少鉱石、企業を経営する構成員からの献金
【構成員】王、副王、六柱卿(軍閥の長)、用途に応じた役職と一般構成員
【好戦性】政治的敵対者と看做した者へ先制攻撃を掛ける程度には高い
【遵法性】将来的に主権国家を望むだけに、一応は他国の法律も尊重する
【知名度】翼人種や各国の軍事・政治関係者には知られているが、活動範囲外の一般人は名前を聞く程度
【加入条件】翼人種であり、加入志願して受理されること
【活動範囲】中央大陸南部
【活動内容】聖地奪回に向けた軍備拡張
【組織概要】翼人種の国家をに樹立する事を目的とした軍閥組織
【世界の中で望む立場】主権のある正式な国家

18名無しさん:2014/09/15(月) 08:20:30
【side polis-Ⅱ・ランカー】
 七芒都の第二副都市、サイドポリス-Ⅱは水上都市をコンセプトとした海上フロートで、またの名はランカー。
 此処は水運を重視した造りで、蜘蛛の巣の如く大小の水路や橋が張り巡らされている。
 優美な海上フロート都市を実現させたのは、街全体を上下動できる構造の開発。
 これで、潮位の変化や群青海で稀に起こる津波への対応も可能となったのだ。

 宝石を散りばめたかのような夜景の中では、長身の偉丈夫が水上バイクを走らせている。
 黒髪に浅黒い肌で無精髭を生やし、ベージュのコートに身を包む男の名はウェイン・ディルマーク。
 中央大陸の犯罪組織、黒い庭[ブラック・ガーデン]の幹部だ。
 彼がランカー地区へ上陸した目的は、クムスリ平野や七芒都へ進出の動きを見せる軍閥、空の軍勢への牽制。
 すなわち軍閥の要人、アンセレム・ルトラーシャの暗殺だった。

「よお、待たせたな」

 居住用クルーザーに水上バイクを横付けし、ウェインは甲板に降り立つ。

「あんたがウェイン・ディルマークさんかい?
援軍を派遣してくれるって話のはずだが、見たところ部下を連れてないな」

 甲板上で佇む若い男が、値踏みするような視線でウェインに話し掛けた。
 彼はランカーを根城とする黒い庭の下部組織、海蛇[サーペント]のリーダーだ。

「兵隊なんざ邪魔で仕方ねえからな。
まあ、俺は一人で百人力だから心配いらねえよ……そんで、ターゲットは今どこだ」

 ウェインの物言いに海蛇のトップが不満そうに鼻を鳴らす。
 同時に彼の取り巻きの四人がウェインに襲い掛かった。
 ナイフを持った四人の襲撃者たちは、いずれも武器の扱いに手馴れた者。
 しかし、ウェインが腕を一閃した瞬間、彼らは血飛沫を迸らせて崩れ落ちる。
 身体には、無数の獣の爪に切り裂かれたような痕が刻まれていた。

「おいおい、手荒い歓迎じゃねえか……なんのつもりだい?」

 ウェインは、いつの間にか海蛇の親玉の背後に立っていた。
 相手の首筋を爪で撫でるように掻きながら、口角を歪めて嘲笑している。

「き、気を悪くしないでくれ。
ウェインさんが兵隊を連れて来てないんで、さらに他の幹部の助力も必要かと思って腕試しを、な。
だが、どうやらその必要は無かったようだ。あ、ああ、必要無いとも。
そ、そうだアンセレム・ルトラーシャは二日前からジグラトにいるはずなんだが、どうも様子がおかしい。
さっきから通信機能が完全に止まってるみたいで、子分とも連絡も付かない状態なんだ」

 海蛇のリーダーはウェインが何をしたのか全く分からず、恐れの色を見せながら答える。

「そうかい、じゃあ俺が直接行って確かめて来るよ。
鳥野郎どもに飛ばれるとどうにもならんから、得物の方はよろしく頼むぜ、おい」

「ぶ、武器ならクルーザーの中に用意してあるから、好きなのを見繕ってくれ」

「んじゃ、そうさせてもらうよ。
あんたの部下は殺しちゃいねえから、手当てはちゃんとしてやれよ。
いくら人気の無い夜の水路とはいえ、街の中にゃ代わりねえからな。
ああ、しっかし腹減ったなあ……アンセレム嬢が美味いと良いんだが」

 ウェインは両手で腹部を摩りながら切なげに息を吐くと、クルーザーの中に入って武器の吟味を始めた。
 彼は容貌こそ人間に似ていたが、種族は羅刹[ラークシャサ]と呼ばれる食人種だ。
 ただ、人類を喰う種族といっても無差別に喰らうことは無い。
 糧として喰らうのは、生に足掻き、死を拒み、命を懸けて己と戦う者のみ。
 常に決闘と闘争と犠牲者を必要とする彼にとって、犯罪組織である黒い庭は都合が良かった。
 もっとも、食人種と人類は共存が難しいので、ウェインは己の種族に関しては人間で通しているのだが。

19名無しさん:2014/09/15(月) 08:21:16
◆黒い庭・組織詳細
【名称】黒い庭[ブラック・ガーデン]
【区分】犯罪組織(営利団体、武装集団、非公然組織)
【代表】ウィルゾス・ルゼー
【体制】首領を頂点としたピラミッド制
【創設】四十年
【理念】組織の利益追求
【本拠】中央大陸南部クムスリ平野、カルディア共和国リアトノード州、サンダイスホテル
【規模】構成員は三千人程度
【財源】幹部の二次組織が納める上納金
【構成員】首領、幹部、構成員、準構成員
【好戦性】縄張りを荒らす勢力には高い
【遵法性】都市でも殺人を行う程に低い
【知名度】名前だけは一般人にも知られているが、内実までは知られていない
【加入条件】構成員の推薦と幹部の承認
【活動範囲】中央大陸南部のクルアナ平野と、沖合いの人工島である七芒都(ヘプタグラムシティ)が中心
【活動内容】麻薬取引、暗殺、密輸、密造、売春、賭博、人身売買、高利貸し、企業の乗っ取りなど
【組織概要】ウィルゾス・ルゼーが一代で築いた中央大陸の犯罪組織の一つ
【世界の中で望む立場】裏の存在として、社会の富を搾取する組織

20名無しさん:2014/09/15(月) 08:22:21
【side polis-Ⅶ・ノヴァ】
 サイドポリス-Ⅶは七つの副都市の中で最も新しい区画であり、新星[ノヴァ]と呼ばれる。
 深夜、西大陸の魔術師バルク・ウェステリは門下たる四名の魔術師を引き連れて、この都市区画に現れた。
 彼らの出現場所は、サッカースタジアムのピッチ上で瞬く光の門。
 昼の間は歓声に包まれる球場も今は静寂が主役のようで、魔術師たちの他に動くものは無い。
 彼らが七芒都に入島した手段は、空間を捻じ曲げて遠距離への通路を造る星幽門[アストラル・ゲート]の魔術だ。
 多国間を私的に魔術で移動するのは無断入国に他ならないのだが、五人の魔術師は意に介さない。
 そもそも、人知れず標的を抹殺するのが目的なので、渡航記録も残すつもりは無いのだ。

「アンセレム・ルトラーシャ。
事もあろうにアルサレド宮殿から、我がアーテリアル黄金協会の至宝を強奪するとは……ね」

 バルクは感情の抑制された声音で呟く。
 彼は金髪白皙で十代半ばの容姿をした男なのだが、見た目通りの年齢でない。
 肉体的にも霊的にも高い形質を持ち、美麗な容貌のまま老化しない、白銀の種族[シルバー・レース]だ。
 魔術協会の一つ、アーテリアル黄金協会の導師を務める事も二十年以上になり、老練な魔術師でもある。

「今回の強奪事件は、導師級も含めて十名近い翼人が手引きしたと判明している。
一応は盗みの痕跡を消そうとしたようだが、少々魔術の研鑽を疎かにしていたようだ。
空の軍勢[アエリアエ・ポテスタテス]が、組織ぐるみで行ったと看做すべきだろう。
彼女が本拠地に戻らず、七芒都へ来訪したのは、此処に至宝を利用する手段が有るからかも知れない。
早急に賊を誅殺して、協会の所有物を奪還するとしよう」

 バルクは魔術で造られた空間の綻びを消し去ると、芝生の上を歩き始めた。
 黒い礼装を纏った門下の四人も後に続く。
 まずは、使い魔の黒蝶が先行して監視カメラの有無を探査。
 スタジアムの扉は開錠[アンロック]の魔術で開けられ、通過後は施錠[ロック]の術で元の状態に戻される。
 バルクは白のタキシードという目を惹く格好だが、隠身[コンシール・セルフ]の魔術で市街地に出ても気付く者は無い。

「探索魔術で調べた結果、賊の拠点は高層都市のようだ。
一味の全てが魔術師ではないと思うが、数も少なくないだろう。
時間は惜しいが、万全を期して近くに拠点を置く」

 魔術師の集団が向かった先は、東にジッグラトを臨む大型展示場施設ノヴァ・シーサイドプラザ。
 複数の大型展示ホールや会議室を備え、毎週のように博覧会や学術講演が行われる巨大建造物だ。
 バルクたちは、此処に数時間で魔獣や精霊の蠢く魔術要塞を築き上げた。
 後日の記録では、大型展示ホールは学術講演の名目で借りられた事となるのだが。

21名無しさん:2014/09/15(月) 08:23:12
◆アーテリアル黄金協会・組織詳細
【名称】アーテリアル黄金協会
【区分】魔術組織(思想集団、武装集団、非公然組織)
【代表】プラロヴナ・クレイルーン
【体制】合議制、複数の門閥当主が交替で代表を務める
【創設】二千年以上
【理念】世界の摂理を把握すること
【本拠】西大陸の北部、レーケスラント氷侯国の古都カーフィスト市、アルサレド宮殿
【規模】十の門閥があり、魔術師の総数は五百名程度
【財源】閥族が経営する企業
【構成員】協会長、門主、導師、魔術師
【好戦性】魔術の神秘保持を侵すものには極めて高い
【遵法性】世俗の法律は重視しないが、神秘保持の観点から魔術を用いた犯罪には厳しい態度
【知名度】一般人への知名度は低いが、魔術師や西大陸の王侯には名を知られている
【加入条件】加盟員の推薦
【活動範囲】西大陸、中央大陸で広域に渡って活動
【活動内容】対外組織からの自衛、魔術の管理、知識の蓄積、組織運営、神秘保持、違反者の粛清
【組織概要】大魔導エルロイの啓蒙主義に反する弟子、アーテリアルが創設した魔術協会
【世界の中で望む立場】魔術の管理団体

◆ロトフィド実験
西暦1900年代に中央大陸の森林区域、ロトフィドで生物学者の集団が行った実験。内容は人為的な魔力付与。
魔力を持たない生物が、妖精や妖魔など魔力の高い生物を摂食や吸血。
あるいは輸血や臓器移植、溶解した凝縮液を服用する事で、どれだけ魔力を向上させるか調べようとしたもの。
ロトフィド実験は、アーテリアル黄金協会の魔術師が研究施設を破壊、研究員全てを殺害、接収する事で終了。
警察組織に拠る捜査も行われたが、魔術での探査妨害で犯人追跡は出来ずに終わる。
この〝警告〟以後、同種の実験は公式には行われていない。

◆魔術学校詐欺事件
西暦2000年代に起きた、魔術学校を設立して大勢の生徒に魔術を教えようという試み。
魔術は一般的な知識になると力を失うので、魔術師ならば看過できない事件だ。
しかし、集まった生徒たちは、教本通りに呪文を唱えても魔術を行使できなかった。
後日、学校設立に関わった人物たちもは、全て詐欺師として逮捕される。
魔術協会が教本の摩り替えや、生徒や教師へ集団暗示を行ったとも噂されたが、両者を関連付ける証拠は無い。

22名無しさん:2014/09/15(月) 08:25:23
【central polis】
 七芒星形を象る都市の中心部、セントラルポリス。
 最初に都市建造が着手された区画であり、七芒都の政府機構も此処に置かれている。
 七芒都特別行政区政府が、ジッグラトの異変を知ったのはアンセレムの魔術儀式から約三十分後だ。
 政府総署の地下一階では、通信の途絶した区画と連絡を取ろうと政府職員たちが通信機器に齧り付いている。

「赤城区長とは連絡が取れませんか」

 眼鏡を掛け、褐色の肌を持つ初老の男、アマルティア行政長官が危機管理室に入るや職員に問い掛けた。

「はい、三十分ほど前からジッグラトと連絡が取れません。
周囲の工業地帯は連絡網も生きていますが、高層都市内部は電話、無線、衛星通信に魔術通信、全て駄目です。
電気は生きているようなので、発電所に異変が起きた訳ではないようですが……。
……あっ、いま警察局からサイドポリス-1が区画封鎖を始めたとの報告が。
警察交通部がブルーオーシャンブリッジの他、各ブリッジの閉鎖を確認。
陸路からサイドポリス-1に入ろうとした車両も、重機型の警備ロボットに攻撃を受けたそうです」

 携帯電話で警察局と話していた職員が、緊迫に顔を引き攣らせる。
 アマルティアの頭にも、七芒都の独立を望む勢力のテロではないのか……との考えが過ぎった。
 七芒都はクムスリ共同連合の特別行政区として大きな自治権を持つが、完全な独立を望む声も少なくない。
 黒スーツにネクタイの職員たちも互いに顔を見合わせ、その可能性を論じ始めた。

「警備ロボットが攻撃ってことは、事故じゃないのか!?」

「誰かは知らんが、通信を遮断して警備システムまで操ってるんだから、人災に決まってるだろう!」

「サイバーテロか?」

「ジッグラトの保安部が乗っ取られているなら、すぐに中央の保安機動隊を動かすべきでは」

「まだ、テロと決まったわけでは……単なるシステム障害かも」

「周辺住民への勧告はどうするんだ! すでに負傷者も出ているのに悠長な対応は出来ないぞ!」

ざわつき始めた職員を前にして、行政長官は唇を引き結ぶ。

「事態の収拾には中央警察局を当たらせ、各サイドポリスの区長にも通達を。
報道陣への発表は、三十分以内に広報部で戦略を立てるように。
住民が人質になっている可能性もありますので、各局にも区民の安全を最優先して動くよう伝えて下さい。
それと、KSA(クムスリ共同連合安全保障局)にも連絡をお願いします」

 行政長官から直接命令を聞くと、政府職員たちも迅速に動き始めた。
 出動命令を予想していた中央警察局も、政府の命令を受けて迅速に保安機動隊を動かす。
 十五分後、アマルティア行政長官はKSAの七芒都支局長を執務室のテレビ電話で迎えた。
 液晶画面に映るのは茶色い髪を七三に分け、鷹のように鋭い目をした白色人種、ボールス支局長だ。

「行政長官、周辺地帯の監視カメラを調べた結果、人口数百万の大都市にしては人の動きが無さ過ぎる」

「ボールス支局長……まさか、住民のほとんどが殺されたとでもいうのか」

「いや、あれだけの広範囲を騒ぎを起こさずに制圧するなど無理だ。
化学兵器を使うべく事前に入念な準備をしていれば、我々が情報を掴む。
何らかの魔術や、広域放送を利用した音声催眠、あるいは別の手段が使われた可能性も否めない。
普通のテロリストでないとすれば、特殊部隊に拠る対処が必要だろう。
非常事態宣言の発令も考慮した方が良い」

 ボールス支局長は冷然と言い放つと、ノートパソコンの通信モードを終了。
 諜報班と共に専用車両に乗り込み、サイドポリス-1の方面へ向かった。

23名無しさん:2014/09/15(月) 08:26:51
◆七芒都政府・組織詳細
【名称】クムスリ共同連合・七芒都特別行政区政府
【区分】政府機構
【代表】アマルティア行政長官
【体制】議会統治制(行政長官は選挙委員会で選出し、クムスリ共同連合が任命する)
【創設】西暦2823年
【理念】都市の運営と発展
【本拠】七芒都セントラルポリス・政府総署
【規模】行政長官1、サイドポリスの区長7名、議員300名程度(末端の公務員まで含めれば20万以上)
【財源】税金
【構成員】行政長官、区長、住民選挙で選ばれた議員、行政長官の任命議員、クムスリ共同連合の選出議員など
【好戦性】低いが、七芒都の治安を脅かすものには別である
【遵法性】政府機関なので極めて高い
【知名度】高い。名前は知らずとも常識で考えれば行政府の存在は思いつくはず
【加入条件】議員になること
【活動範囲】七芒都、及び関係ある国家
【活動内容】政策の会議や決定
【組織概要】七芒都の政府機構で、他国の政府と同様に多くの政策局を下部に持つ
【世界の中で望む立場】七芒都の政府

24名無しさん:2014/10/04(土) 01:48:37
【仙界にて。1/2】
 広大な仙界の一角、水連の咲く池の畔にて二人の仙が擦れ違った。
 二人の内、片方は緋煉太君(ひれんたいくん)と言う。
 童女のような外見で、女物の漢服に身を包んでいるが、瞳と髪は炎色。
 緋煉太君は自然霊から昇仙した存在であり、全身からは人ならざる気配を漂わせていた。

「東師伯。
明日、泰明殿で伏契の処遇について審議するそうだ。
あれが現れたのは貴公の管轄に近いそうだが、少し歓談を宜しいか」

 緋煉太君が呼び止めた相手は、ゆったりとした青い漢服を身に纏う、白髪白髭の老翁である。
 名を東師伯(とうしはく)と言い、役職は都市の守護神である城隍神(じょうこうこしん)。
 仙界では重要な地位にないものの、都市を管轄するので地上の存在にとっては馴染み深い。
 地上の官僚機構に当て嵌めるなら、県知事や市長級といったところか。
 これらの土地神は、その土地に縁のある人物が配される。
 東師伯も生前、ある島国で生まれて昇仙した男である。
 ただし、仙人になってから日は浅く、緋煉太君に比べれば格下の存在に過ぎない。

「伏契……千年ほど前に天から追われた応龍ですな。
あれなら、力を失ってただの蝮となったと聞いております。
処遇も何も、伏契が元の力と姿を取り戻すまでには、あと二千年くらいは掛かるはずですが」

「いいや、下界で霊脈を喰らって力を増し、すでに応龍の姿を取り戻した」

 緋煉太君が疑問に答えると、しばしの沈黙。
 二仙は翠玉の屋根を持つ四阿に向かって歩き、木卓に掛けると互いに向かい合う。
 東師伯は北面して、対する緋煉太君は南面した。

「解せませんな。
本来なら、まだ成龍の段階でしょう。
蝮が応龍となるには、三千年の時を必要とするはずですから。
成龍から一足飛びに応龍に成長するには、膨大な気を取り込まねばなりません。
豊かな霊脈を喰らい始めれば、仙界での監視の網に掛からぬ筈がないのでは?」

「狡猾にも、あれが食っているのは世界の歪みに拠って作られた新しい霊脈が中心のようだ」

「左様でしたか。
あの龍が下界で勢力を増せば、数万の民衆が落命しましょう。
すぐにでも討伐の使者を派遣すべきかと存じます」

「さて、そうだろうか?
地震や津波でも、地上の存在は同じように落命する。
しかし、大地震で数え切れぬ犠牲が出なければ、地上の存在は制震装置なるものを作り出せたか?
津波や洪水で数多が死ぬ悲惨を経験せねば、堤を築こうという発想は生まれたか?
大局を見よ、危機が起こるたびに仙界が干渉して解決すれば、下界のものは自ずを救う力を弱める。
今、安易に手を出して、彼らが生育する機会を奪うべきではない。
数千数万の犠牲が出ようとも、地上の事象は地上の存在に対処させるべきであろう」

 人外から昇仙したものは、下界の法や国境、情を斟酌しない傾向が強い。
 元は自然霊であったものならば数百、数千年の単位で物事を考え、極めてドライに世界を眺める。
 緋煉太君もまた。

「太君の仰る事は尤もなれど、一つ失念しておられる。
どれほど時を置いても、下界で対処出来ぬ場合を。
彼らの手に余る存在ならば、時を置くのは悪戯に犠牲を増やすのみ。
インペリアで異変が起きた際も、早急に導師アサキムを向ける判断をされたではありますまいか」

 東師伯は静かに言を返す。
 彼のように人界で生きた経験のある仙は、私怨や惻隠の情を少なからず残している。
 生まれ故郷と子孫が蹂躙されるかも知れぬとあらば、憐憫を抱くのも当然だった。

25名無しさん:2014/10/04(土) 02:09:28
【仙界にて。2/2】
 池の畔に佇む四阿を緩い風が駆け抜ける。
 熱を帯びようとする歓談を冷ますかのような風。
 涼風は二人の仙を撫でて裾の長い衣を揺らし、鏡の湖面にも細波を立てた。

「あの機械都市か。
天仙にも比肩しうる太守が外界に勢力を広げ始めねば、聖魔法導師の派遣は無かっただろう。
己で作り出した、考える鉄匣に政を委ねるのも、人界の一つの統治形態だ。
それを多くの者が受け入れれば統治は長く続き、逆に不満を抱く者が多ければいつか民の革命で倒される。
生まれては滅びゆく、数多の王朝の栄枯盛衰のように。
時さえ掛ければ下界の存在で対処できる事は、本来仙界が口を出すような案件ではない」

 自然霊から昇仙した身ゆえか、緋煉太君の言には一切の迷いが無い。

「応龍も元は神精。
力を取り戻したならば、天仙にも匹敵する存在では……?
下界の力では対処しかねると存じますが」

「伏契に其処までの力は無い。
数百万、あるいは数千万の人類が長き時を掛ければ、打倒しうるかもしれない。
応龍が暴れる程、それを除かんとする想いと祈りも力を持つゆえに。
そのような状態が続けば、やがて民衆の中から自らを救う者も現れよう」

「それまで待てと仰るのですか。
夥しい犠牲で、下界が嘆きに満たされようとも……」

 東師伯が重い息を吐く。

「東師伯、かつて地上には稲穂を啄ばむ害鳥として雀を駆除する王朝があった。
その結果は、天敵たる雀が消えた事で害虫が増え、やはり農業に甚大な害を与えたという皮肉なものだ」

「応龍を討伐することで、さらなる別の害が生まれてしまうと?」

「竜種、妖、人類、獣類、魚類、鳥類、化生、神仙、魔。
我々も含め、どのような生類であれ一人勝ちは出来ぬ。
竜種側が地上を席巻しているのならまだしも、互いの総数を考えれば人類側に加担する必要があろうか。
繁栄する生類に加担して増長させるのは、自然の均衡を崩すことに他ならない」

 緋煉太君は人類だけを守れぬと、請願を斬って捨てた。
 この『人類』という言葉は人間族だけでなく、エルフやドワーフや獣人など、知性を備えた人型の異人類をも含む。
 様々な知的種族がいるにも拘らず、基本的にネバーアースの言語は人間寄りの概念を持っている。
 これは、世界中で使われる共通語を普及させたのが人間族だからに他ならない。

「世界が人類のみで成り立つものではないのは、百も承知しております。
ですが、伏契が潜むのは我が故国、子孫らの落命は忍びない……」

 老翁姿の仙人は気鬱な瞳で立ち上がった。
 その背に童女姿の仙が声を掛ける。

「然れども、貴公が直接地上に降りて管轄外に干渉する事は許されまいよ。
我々は地上に降り立つだけでも、周囲の法則に影響を与えてしまう。
仙界は格別に堅牢だからこそ、数百もの神仙を納めうるが、地上は容易く歪むのだ。
我も我もと神仙が地上に向かえば、維持すべき世界自体を歪めてしまう事を忘れるな。
貴公は、あの導師らのように用意されるべくして用意されたものではない」

 かくして、二人の仙は意見の一致を見ぬまま別れた。
 翌日、壮麗な大宮殿に数百の仙が集って朝議を行う。
 ほどなく出された審議の結果を聞き、東師伯は安堵と懸念の混じる複雑な表情を見せた。

「彼は四天の権能を失い、枢要罪にも仕掛けを施されたと聞くが……彼に任せて良いものか」

26名無しさん:2014/12/29(月) 17:43:27
【大楠原にて。4/4】
 リューキュー南部の大楠原は北端から南端まで十五里(約60km)、東から西は三十里に広がった平野である。
 この肥沃な土地は約十八万の人口を抱えており、幾つかの大名家が統治者として割拠していた。
 彼らは国の北部で叛乱が起きるや、幕府が力を失ったと見て、すぐさま覇権を求めて争いを始めている。
 弱小な勢力は瞬く間に淘汰され、残る大名家は大楠原の東西で派を二つに分けた。
 東の雄となったのは、南山王の後裔を推戴して南山王国の復興を目論む齋藤家。
 西の雄は、南部統一を目指して勢力を拡大する小久保家。
 突如の天変地異や妖魔の出没は、両雄の激突を困難にさせたものの、戦の気配は消える様子が無かった。

      【大楠原の勢力分布図/人口】
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■■■■■■■■■■■■■■□■■■■■■■■■■■■■■■■
■■■■■■■■■■与那森城★(井口家/3万)■■■■■■■■■■
■■■■■■■■■■□□■■□■■■■■■□□■■■■■■■■
■豊泉城★(森脇家/5千)■■■□■■■■久留間城★(杉内家/2万)■
■■■■■□■□■■■■■■□■■■■■■■□■■■■■■■■
■■■■■□□■■■■■■■□■■■■■■■□■■■■■■■■
■宇佐浜城★(小久保家/4万)▲□▲▲■■上地城★(和田家/2万)■■
■■■■■□■■■■■■▲▲□▲▲■■■■■□■■■■■■■■
■■■■■□■■■■■南山城★(新垣家/1万)■■□■■■■■■■
■■■■■□■■■■■■▲▲□▲□■■■■■■□■■■■■■■
■■■穂波城★(川崎家/8千)▲□▲▲□□□□■■□■■■■■■■
■■■■■■□■■■■■■■□■■■■■■□■□■■■■■■■
■■■■■■□■■■■■■□■■■■■伊馬里城★(齋藤家/3万)■
■■■■■■■□□■■■■□■■■■■■■■■■■■■■■■■
■■■■■■■■■鏑木城★(松中家/2万)■■■■■■■■■■■■
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★=城 ■=平野 ▲=丘 □=街道
(1マス約4km・1日に3〜5マス進むの行軍の目安)

27名無しさん:2014/12/29(月) 17:44:17
 荒天の空は白い微片を間断無く降らせ、大楠原を銀雪で敷き詰めようと勤しむ。
 常ならば季節を問わずに緑を為す平野も、今は悪夢のような白で染められていた。
 それを初老の男が城郭の窓辺に佇み、厭わしそうな視線で睨みつける。
 彼は小久保常久、大楠原の西に位置する宇佐浜の領主で、大名諸侯の一人だ。
 暫く異様な天候を見つめる常久だったが、やがて大広間に戻り、近頃の異変について諸臣と協議を始めた。

「大楠原で連日雪が降り、妖を運ぶ霧まで出る……。
元より自然の現象ではなかろうが、原因が何であるかは分かったか?
これでは、政務の全てに渡って支障を来たす」

 十数人の臣下たちに向かって常久が問いかけると、即座に大柄な一人が進み出た。 
 武士の礼装である素襖(すおう)を窮屈そうに着込むのは、荒金鉄頼。
 鉄虎の異名を持つ、小久保家きっての武臣だ。

「妖どもが関わっているのは分かりやすが、それ以上となると噂程度しか。
なんせ、奴等と来たら霧と共に現れるや、風と共に去り、まさに神出鬼没。
追っ手を出そうにも、あっという間に巻かれちまう始末でして。
ああ……そういえば、与那森の奴らはトキオの連中が怪しいって噂してましたね。
幕府が彼の国から援兵として、音に聞く悪魔召喚師たちを招聘したのかも知れねえと」

 トキオとは海を越えてリューキュー国の東に位置する島国。
 彼の国の烈士たちが、魔の類を隷属させる妖術を使うらしいとは常久も聞く所だ。
 突如として国中に妖が現れた事の説明として、悪魔召喚師の暗躍はいかにも尤もらしいと聞こえる。

「悪魔召喚師……叛賊を除くために、幕府は他国から妖魔を操る輩を招き入れたと申すか。
確かに幕府はトキオと関係が深いゆえ、考えられぬことも無いな。
とすると、幕府は天変地異や悪鬼妖魔で叛賊の連携を封じ、確固撃破する算段であろうか」

 常久の言葉に出た叛軍とは、開国を主張する維新志士たちの事である。
 南部大名も朝廷には不服従なのだが、彼には自分が叛賊との意識は欠片も無いようだった。
 そもそも、常久は独立領主としての自負心が強い。
 国王に対しても、自分は臣下ではなく同盟者なのだとの思いが多分にあるのだ。

「……幕府ではなく、その叛賊どもの仕業ということはないでしょうか?
何と言っても、奴らは手勢が少ない。
トキオの悪魔召喚師どもに目を付けても、おかしくはありません。
開国を主張する輩だけに、諸外国の力を借りることも厭わないはず」

 鉄頼とは別の若い臣が遠慮がちに口を差し挟む。

「それも有り得るが、内乱に他国を介入させれば今後の統治で彼らの意向を無視できぬ。
勝つのがどちらであれ、リューキューの首を絞めような」

 その後も黒幕は幕府だ、叛賊だ、齋藤家だ、いや朝廷だと、結論の出ない会合は続く。
 他に妖の発生に関わりがあると見られる存在、枢要罪については常久も臣下たちも知らない。
 フェネクスの事件が世界に広く知られ、ミヒャエルとヴェルザンディの知名度が比較的高いにも拘らず。
 これは、鎖国制度を取るリューキューに外国の情報が入り辛い事に拠る。
 ましてや、テレビ局もなければインターネット等の通信施設が整っている訳でもない国だ。
 諸外国との交易を独占する幕府と違って、南部大名たちは情報源も少ない。
 妖霧発生と枢要罪を結びつける僅かな手掛かりすら持っておらず、関連を察する事など出来ない有様。
 大大名である常久さえ真相に辿り付けなくとも、彼を責められないだろう。
 先進国の文明に浸かった者からすれば、井の中の蛙、とは言いたくなるかもしれないが。

28名無しさん:2014/12/29(月) 17:45:05
「ところで……民の様子はどうだ? 
時も場所も弁えぬ大雪や妖の出没が七日近くも続けば、さぞかし難儀しておろうな」

 小久保常久が問うと、荒金鉄頼は主君に向かって大仰に頷く。

「ええ、西街道に雪が一丈も積もって物が来ないわ、農霧で漁が出来んわで、領民も苛立ってまさぁ。
何しろリューキューで雪なんざ、生まれて初めて見る奴ばかりで、備えなんてある訳ありやせん。
おそらく、今年の田畑だって全滅でしょうや。
皆で護符を持ったり、坊さんに祈ってもらったりしちゃあいるようですが、ご利益無し。焼け石に水。
お役人様、何とかしてくださいって頼まれてたって、こっちもお天道様に祈ってくれと返すしかありやせんよ」

「この忌々しい天候が人災ならば、後ろで糸を引くものを何とかせねば止まるまいな」

「大雪で流民どもの動きも不穏らしいですし、早くそうして欲しいもんすねえ。
飢えと寒さで二割くらい死んだとしても、南部の流民は五千を下回らないでしょう。
奴らも生き残るのに必死でしょうから、このままじゃどうなることやら」

 常久も臣下たちも渋面を作った。
 流民と言う存在は、多くが戦乱で兵に掠奪されたり、田畑を荒らされたりして資産を失った農民たちだ。
 戦で荒れた田畑にしがみ付いても生計が立ち行かないので、彼らは糧を求めて放浪の身となる。
 運良く職を得たり、知り合いを頼る事の出来た者は多くなく、ほとんどは生活基盤を持たない流民として流離う。
 だが、流民とて何も喰わねば死ぬ。
 已む無く、彼らは徒党を組み、賊となって掠奪を始めるが、財や生計の術を奪われた村人も新たな賊と化す。
 まさに餓鬼が餓鬼を生むような悪循環である。

「五千か……。
我が領内に来たら居着かぬように追い払え。強引にでもな。
大名として、領内の村々を掠奪する賊を捨て置くなど出来ん」

 宇佐浜の領主は苛立ちの溜息をついた。
 職も住まいも無く、常に飢えている大量の民衆は、どの大名家にとっても憂慮の種であり脅威。
 戦国の気風の残るリューキューでは、為政者だからといって民がおとなしく従うわけではないのだから。
 賊と同義の流民に対するならば、甘い顔など微塵も見せられない。

「御意」

 主命を聞いた家臣も一斉に頷く。
 流民の境遇は憐れだが、彼らを良民に戻すのは、一銭でも軍費が必要な大名たちには出来ない。
 何しろ種籾を与えるだけで終わりとはいかず、それが作物として実るまでの食費も賄わねばならないのだ。
 耕作地が増せば将来的には税収が増えるとしても、流民を支援して自立させるのは膨大な予算がいる。
 治安が回復し、行政にも体力が無ければ、とてもではないが無理な相談だ。
 猶、土地の異変と妖の出没で戦が止まれば、内治に専心出来るではないかと疑問を抱く者もいるかもしれない。
 しかし、各地の災異は継戦を困難にしただけでなく、日常生活にまで困難を強いる規模のものだ。
 民心の荒廃を加速させはしても、戦乱の終結とは程遠いものである。

29名無しさん:2014/12/29(月) 17:45:45
 身を切るような寒風の中、総勢五百にもなろう集団が宇佐浜の領内、白雁村に辿り着く。
 その中には若い男もいれば、老女や子供の姿もある。
 いずれも襤褸の衣服を雪で濡らし、頬や首筋は痩せこけ、薄汚れた顔には悲嘆が刻まれていた。
 彼らは東西の大名が血で血を洗う戦を行った際に流民となり、今は賊にまで零落したものたちだ。
 各々の手には赤鰯の悪刀、農具、竹槍に棍棒、弓、武器などが握られている。

「ようやく村だな……近くの林に潜み、日が沈んだらあそこを襲うぞ」

 賊の頭目たる男が、皆に向かって飢えを満たす算段を述べた。
 手段は白雁村を襲撃して、彼らの蓄えを残らず掠奪すること。
 数百もの大集団が飢えているから助けてくれと頼んでも、受け入れられる訳がないからだ。
 内乱から波及した戦乱や、常軌を逸した荒天を考えれば、相手にだって余裕は無いだろう。
 生きる為には、殺してでも奪い取るしかないのだ。

「夜まで待てだって!? 俺は一昨日から雪しか口にしてねえんだぞ!
こんな刺されるような寒さの中じゃ、もう一刻だって我慢できねえ!
ほら、見てみろ、俺らの中には息も絶え絶えの赤ん坊だっているんだ。
今すぐ行こう! 数で脅せば村の奴らだって食い物くらいは出すはずだ!」

 雪中での待機を命じられ、集団の中から不満が上がる。
 だが、頭目は悲鳴のような彼らの声を聞いても、冷たい視線を向けるのみだった。

「相手に時間を与えて、備えられたらどうする?
寝静まってから村に近づき、備えの無い相手を襲うのが確実だ」

「だが、夜までの間に何人も倒れちまう!
なんなら、俺と何人かだけで先に行っても良い! 行かせてくれ!」

 目と鼻の先の村には暖を取れる家々が有り、空腹を満たす食料もある。
 すぐにでも飛びつきたい集団へ言う事を聞かせるには、恐怖で抑えるしかない。
 そう結論付けると行動は早かった。

「俺に従えないなら、死んでもらう」

 流民の頭目は異論を述べる男の喉に刀を突きつけ、そのまま刺し貫く。
 恐ろしくあっさりと。
 雪上には鮮血が飛び散り、呻きながら倒れる体が続いた。
 人が鬼に変ずる民話は少なくないが、ここにもまた一人の鬼が。
 頭目は人間で、外見も農民らしい姿ではあったが、荒廃した心は紛れも無く鬼のものであった。
 いや、すでに人の姿の方こそ、彼にとっては虚飾の装いなのかもしれない。

「他に異論のある奴はいるか」

 疲れ切り、恐れをなした流民たちが異論を述べようはずも無い。
 声を発するものは誰も無く、聞こえるのは風が耳朶を打つ音のみ。
 手に手に武器を握り締める彼らは、やるせない気持ちで林に潜み、夜を待った。

 小久保常久が白雁村に数百の賊が押し入ったと聞くのは、翌日の事となる。
 生き残った村人が雪中を転ぶようにして駆けて、宇佐浜城へ辿り付き、白雁村の惨事を告げたのだ。

30名無しさん:2015/03/01(日) 07:21:43
◆レルト神国(国家)
南大陸の一国家。
面積は1200万km2程度で、国土の大半は荒野や砂漠。
その中に森林を中心とした居住区・ネメシュ(※1)が点在する。
住民の構成は大部分が獣人であり、統治形態は祭司王を長とした神権政治。
彼らの起源は獣頭神とされ、河馬のネメシュでは河馬頭の神、蛇のネメシュでは蛇頭の神が崇拝される。
人間のような種族も獣頭神を信仰して力を得る場合があり、その際は人狼[ライカンスロープ]のような獣化現象を起こす。
神権政治を取る事から分かるように、レルトの神々は神託という形で、限定的だが地上に干渉する。
彼らは獅子皇帝の手で影なる国に封じられたものの、いつの日か地上に戻り、楽園を築くと言う――。

※1=古レルト語で荘園の意。現代語では州と訳するのが妥当か

◆ローファン君(マスコット)
ローファンタジアの非公式マスコットキャラクター。
丸っこくデフォルメされた天空都市に羽と短い手足が付き、側部に顔が描かれているが、微妙に適当デザイン。
イベントや記念行事の際にはよく出演していたが、都市崩壊と共に消えた。

◆アーセリン(紅茶/地域)
中央大陸、カルディア共和国アーセリン地方で生産される紅茶。
濃い茶褐色の水色で、香りは芳醇。渋みがあってミルクティーに向く。
春の一番摘み[ファーストフラッシュ]、夏の二番摘み[セカンドフラッシュ]、秋摘み[オータムナル]の三種類がある。
好みもあるが、ゴールデンチップ(※2)を多く含む二番摘みが最良品。味はアッサムに似る。
異世界なのでインドもアッサム平原も、それに由来したアッサムティーも無いはずだが。
地域としてのアーセリンは、雨量が多くて高温多湿。

※2=自然乾燥させた芯芽を紅茶液で染め、金色に仕上げたもの

◆ケル・フィティ(伝承)
地上の人物が深く深く眠ると、遊離した魂は地の底まで沈むと伝えられる。
其処は広大な世界で、幾つもの都があり、玻璃の天と瑠璃の海を備えるのだとか。
魂の姿がそのまま肉体の姿となるのか、住民は概して夢幻的かつ象徴的な姿である。
ケル・フィティでの死は魂そのものの死となる。
比較神話学の研究では、所在不明の異境との共通項が多い。
よく挙げられるのが、ミストロード、ドリームランド、鏡の国などだ。

ttp://hayabusa6.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1392992926/117
スルーされそうな地下帝国を拾って組み立てようとも思ったが、割と難しい。失敗。

◆呪名(習俗)
遥か古の時代、中央大陸に伝わっていた風習。
呪名は魔術師の真なる名前で、魔術を行使する際に用いるもの。
代々の魔術師は、先代の呪名を受け継いでいき、用いる呪名が長ければ長いほど強い魔術を行使できる。
従って、家系の浅い魔術師では、数代も家系が続いた魔術師には及ばない。
基本的に知られてはならないものなので、敵の前で呪名を用いて呪文詠唱する際は認識阻害の術式で暗号化を施す。
以下が呪名を用いた魔術師の名前の例で、自らの系譜を遡っていくようにして命名する。
(本人の名前)+(本人の呪名)+(先代の呪名)+(先々代の呪名)+(先々々代の呪名)+(本人の苗字)
古代には魔術師のみが持つ呪名だったが、啓蒙のアイン・ソフ・オウルが一般大衆にまで呪名の法則を周知させた。
同時に呪的な意味も薄れ、単なるミドルネームの域にまで堕す事となる。
現代では、呪名を用いても魔術が威力を増減することは無い。
神秘が完全に滅びて神秘ではなくなり、力を失ってしまった一例。

◆召喚魔術(魔術)
召喚魔術とは、何かを呼ぶ魔術である。
意志の無いものの召喚は比較的容易いが、意志あるものの召喚は難しい。
地上で用いる場合、どこから召喚するかと呼ぶものの強大さで、影響にも差が出る。
基本的には遠くの世界や、大きい世界を持つものを呼ぶほど、世界の器に与える影響も大きい。
ネバーアースの外、円環多元世界群から強大な存在を招くとなると相当な歪みを生むことだろう。
それは、すでに目一杯となった袋の中に、さらに大きな物を捻じ込む行為にも似ている。
ガイアから星の巫女を招聘した時期や経緯は不明だが、当時は世界の器にも空き容量があったのかもしれない。
同等の存在量の生贄を使うなど、適切な手順を踏めば、歪みを生まずに召喚する事も可能そうではある。

31刑部 咲姫:2015/03/09(月) 04:07:47
 幕府の下級士族、刑部咲姫(ぎょうぶさき)。
 長い黒髪を総髪にした齢二十二の女で、種族は水陸に適応したヒト属である海人。
 出で立ちは青い羽織と黒袴、腰に一刀を佩く。
 刑部咲姫が北部の森に現れた密輸商たちを捕らえ、上役の総地頭の元へ連行しようとした時の事である。
 何処からともなく濃い霧が湧き始め、南国の趣を持つ細葉榕(ガジュマル)の木々を包んだ。
 真っ白な霧で濁り、輪郭も朧になった森の中、気味の悪い声が響く。

「世界を侵す……罪びとだな」
「世界を侵す……罪びとだな」

 咲姫の三丈先で霧の帳が割れ、粗末な麻の着物を纏う二人組の男が現れた。
 彼らも咲姫と同じく、黒髪黒目の東洋人らしい風貌なのだが、体躯は異様そのものだ。
 片方は異常に手が長く、もう一方は異常に足が長い。
 手長の男は一丈(約3m)程の背丈に二丈の腕を持ち、足長の男は脚だけでも三丈。
 全身から肌を刺すような妖気を漂わせており、明らかに普通の存在ではない。妖(あやかし)だ。
 咲姫は目線を二人の妖から外さぬまま、縄で数珠のように一繋ぎとした背後の異国人を顎で指し示す。

「その妖気は化生の類か……。
世界を侵す罪人と言ったようだが、探し人は此方の密輸商たちのことか」

 世界を侵す罪びととは大仰な物言いだが、密輸商の一団ならば該当しないでもない。
 咲姫が連行している密輸商たちは、東大陸の央漢国から来たと述べていたからだ。
 鎖国政策を取るリューキューに密入国したのだから、少なくとも彼らが国法を侵したのは間違いない。
 リューキュー王国と央漢国、二国間の法を破ることが、世界を侵す罪なのか。
 そう考える咲姫だが、相手は違う考えのようだった。

「いいや、うぬだ」
「いいや、うぬだ」

 手長足長は刑部咲姫を見つめ、またも声を揃えて言う。
 咲姫の方も己の心得違いを悟った。
 世界を侵すとは、彼ら妖の領域を人が侵したとの意味ではないか、と認識を訂正する。
 妖怪変化の類は人と異なる尺度を持つかも知れないと考え、心中で警戒の度合いも増した。
 一息で抜刀出来るよう、腰に佩く刀の柄に指を掛けつつ、咲姫は鋭い声で二人の妖へ話しかける。

「私はリューキューの士族で、この森へは密輸商の一団を捕らえに踏み入ったまで。
貴下ら、妖の世界に干渉するつもりは無い。
人の界と妖の界、互いに不可侵が良いと心得る」

 その言葉を聞くと、異形の二妖は揃って怒声を放つ。

「惚けるか、尾籠(びろう)! おれがうぬの隠す禍津灯(まがつび)を見て取れぬとでも思うたか!」
「惚けるか、尾籠(びろう)! おれがうぬの隠す禍津灯(まがつび)を見て取れぬとでも思うたか!」

 次の瞬間、手長の男は長大な怪腕を蛇のように伸ばし、足長の男は咲姫に向かって駆けた。

「昨今、村々に妖が現れ、訳の分からぬ事を言っては人を襲うと聞くが……どうやら、お前たちのようだな」

 言うや否や、咲姫は大きく前方に跳躍しつつ抜刀。
 刑部咲姫は琉球剣術〝瞬天流〟を修めて免許奥伝の身。
 リューキュー侍は精強との噂に違わず、剣術の冴えも比倫を絶するものだった。

「瞬天――弧月斬」

 目にも留まらぬ速さで玲瓏な刃を振るい、中空から三撃の気の刃を放つ。
 一撃目は手長の右腕、二撃目は左腕を狙い、三撃目は目前の足長の胴を横薙ぎに。
 藤色の光を帯びる気刃は寸分過たず、咲姫の狙い所を斬り裂く。
 手応えを感じて薄い莞爾を浮かべる咲姫だったが、眼前の妖が霧散していくのを見て、すぐさま表情を変転。
 刹那、左方の霧の奥から伸びた長腕が咲姫の首を掴み、右方からの長脚が咲姫の腹を蹴り上げて吹き飛ばす。

32魏永琳:2015/03/09(月) 04:10:45
 あたし魏永琳(ウェイ・ヨンリン)! 十八才の肉食系女子!
 何してる人かって問われれば、遊侠だって答えるよ。
 遊侠って言うのは、他の国で冒険者って呼ばれてる人たちと同じ感じの人種かな。
 決まった生業は無いけど、悪吏を退治したり、迷い猫を探したり、色々な事で生計を立ててるんだ。

 でも、残念ながら今は囚われの身……。
 密貿易で一儲けとしようと思ってリューキューに渡ったら、現地の女武官に捕まって、仲間の皆と数珠繋ぎ。
 こんな苦境に陥ったあたしたちだけど、すぐに転機は訪れた。
 いきなり……あたしたちの前で戦いが始まってしまったのだ!
 丸太みたいな手の大男と、すっごく足の長い大男が、何だか問答無用って感じで女武官に襲い掛かって来る。
 うん、これは逃げるなら今ってことだよねっ。
 きっと普段の行いが良かったから、天が見かねて助け舟を出してくれたに違いない!

「皆、今だよっ!」

 振り返った時、すでにあたしの仲間たちの姿は影も形も消えていた。
 ううん、よく見れば霧の中に微かな後姿が見えなくもないような……。
 えっ、あ、あれ? もしかして、逃げ遅れてるのあたしだけ?
 頭領のあたしは先頭にいたから気付かなかったけど、短刀か何かでとっくに縄も切られてたっぽい。
 これは、あたしの十倍頭の良い幼馴染、瑜律(ユーリュ)の仕業に違いない……って感心してる場合じゃない!

「悪いけど、さよならっ!」

 跳躍したリューキューの女武官を背にすると、あたしも身を翻して仲間の後に続く。
 霧で覆われた悪路な上に胸が……たゆんたゆんと揺れて、とっても走り難い。
 大きいと羨ましがられるけど、大きければ大きいで、こういう機敏に動きたい時はちょっと不便。
 それでも、少し走ると薄橙の着物を着た瑜律と、散乱した密輸品を回収する人足たちの姿も見えてきた。

「瑜律、積荷の回収は目ぼしい物だけ! すぐに皆を連れて船まで戻って!」

 仕方ないよね。
 高価な荷物を置いてくのは大損だけど、仲間をリューキューで囚われの身にするわけにはいかないもん。
 すごーく不服そうな顔だけど、これには瑜律も納得してくれた。
 あの女武官が、あたしたちより遥かに強いのを知っているから。
 また戦いになれば、また捕まって、今度は逃げられない。
 妖怪二匹が時間を稼いでる間に、あたしたちは一刻も早く遠ざかるべきなのだ……普通に考えるなら。

「この霧なんか変だし、妖怪も出るし、皆はここから離れて! もう積荷は良いから!」

 横転してる荷車を直して、ありったけの積荷を乗せて、人足たちが走り始めるのに一分も掛からなかった。
 よしっ、とりあえずこれで仲間の安全は確保したね。

「赤兎っ!」

 あたしの呼びかけで木々の間から出てきたのは、象ほどの大きさを持つ薄桃色の大兎。
 この子の名前は赤兎って言って、あたしの騎獣なんだ。
 乗り手のあたしが捕まって、森をさ迷っていたみたいだけど、これで元通りっ!
 あたしが武器にしてた重い騎兵槍も……あったあった。まだ近くに転がってる。
 赤兎に跨り、槍の柄に付けた鎖を手繰り寄せて大槍を拾うと、あたしは意を決して言う。

「瑜律、それじゃ行って来る!」

 赤兎の桃色の耳と、あたしの桃色の髪が、かなり薄くなった霧の中で揺れて百八十度反転する。
 『ちょっと永琳、何処に行くの!』って困惑した声を上げる瑜律に、あたしは首だけ振り返って言った。

「きっきの二対一の戦いが、どーしても気に入らない! 戦いは正々堂々一騎打ちで決めるべきでしょっ!」

 自分を捕まえた相手、わざわざ加勢に行く必要は無いかもしれない。
 だからと言って、多勢に無勢を見過ごすのは強きを挫き、弱きを助ける侠の生き方にそぐわない。
 もし、それを貫いて困ったら……それは、その時考える!

33エスペラント ◆hfVPYZmGRI:2015/11/04(水) 23:59:18
本編で使おうかと思ってます

王道探求振興会

サンジェルマン伯爵を筆頭に賛同する様々な著名人や資産家などや会員を集う会で
血湧き、肉踊る冒険譚や人々の心を揺るがせ感動させ、あるいは夢を与える御伽噺を記録・観察。
それを趣味的に鑑賞し、売れない画家や絵本作家に子供達や多くの人達に知らしめる為に本や絵を製作を依頼し、市井に流し布教したり
真なる英雄あるいはそれに匹敵する者達が居れば進んで手を差し伸べたり、尋ねてきた者に対して支援する団体でもある。
事実、依頼された売れなかった者達は有名になったり尋ねてきた来た者達からまた新しい物語が見れたりするため
互いにWInWInの関係で王道探求振興会のメンバーにとっては頼られる事は物語を傍で見聞き出来る無上の喜びで
創作物に携わる者にとって名誉かつ著名人への登竜門として認識されている。

だが名誉欲と言った物でやってくる者に関しては「王道ではない」為基本的には力を貸さない。
メンバーが力を貸すのは純粋にあるいは邪気や見返りを求めない尊い意志や信念を持つ者
すなわち「王道」の物語へと繋がる者と夢を持った邪な考えを持たない王道に相応しい現代の吟遊詩人である聞いてあるいは語り継ぐ創作者のみである。

設立の理由としては現代の語り継ぐ吟遊詩人の集いとしているが
創設者のサンジェルマン伯爵が英雄の介添え人として様々な英雄の物語を身近で見てきたが
誰にも知られずそして賞賛もされず誰かを守って死んでいくという事に対して疑問を持っていた。
あまつさえ誤解されていく歪められて行く事自体にその英雄達の想いを考えると無念でしかなかった。
だからこそシンプルに見てきた自分達がその事について皆に広めていけば良い世界、或いは宇宙にと。
要するに彼らは物語をただ見ている事が出来なかった、誰にも知られずに虐げられる者達あるいは弱者を救い守っていった
賞賛されるべき者達を自分達で知らしめ、永遠に語り継ぎ伝えるメッセンジャーとして。
それの手始めが絵本であり、その初代というべき記念すべきベストセラーとして有名なのが名無しの青年の物語は
リース、ガイアや様々な円環多元世界群の子供達に今でも読まれ続けているが
当人に許可は取っていないので一切そんな物があるのは知らされていない。

確かに趣味と実益を兼ねてはいるが物語の元となる者達を面白がっている訳では無く
サンジェルマン伯爵と同じ想いを抱いた者達がその意志と行動を賞賛し敬意を抱いている
枠外から見つめながら応援する者達であり
それが人を玩具の駒のように思う神の類との決定的な違いである事は留意していただきたい。

簡単に言ってしまえば

こいつ等、みんなの為に戦っているのになんで誰も知らないんだ→でも俺・私達は戦うことはできない
→なら俺達が拡散しようぜ、いろんな人に!そして夢と希望を与えて感動させる奴等はいるんだ!

っていう人達です

やる夫スレの王道波大好きな外道ズと同じ人種ですが
あくまで善意でやっています
でも王道波にはビンビン反応して喜びます
人生山あり谷ありも物語として面白いので大はしゃぎします

34エスペラント ◆hfVPYZmGRI:2016/01/03(日) 03:23:49
永遠の転換者〜エターナルシフター〜

多世界に置いて時代転換期(パラダイムシフト)に現れる者達。
混沌(カオス)と秩序(ロー)に属する者から世界という個、宇宙という次元を管理・運行する
均衡とバランスを重んじる天秤というシステムあるいは超常的な群体意思から役割により選別される。
神の玩具と呼ぶ者もおり、選ばれる者達は多くの者を救うために弄ばれ大切な者を奪われている点では否定できない。

35エスペラント ◆hfVPYZmGRI:2016/03/06(日) 04:16:37
その代表の一つ

劇中及び世界観で出てきた者達

エスペラント:役割(プレイヤー) 生きとし生ける者の代表の戦士(チャンピオン)
永遠の転換者の中では単体での実力・総合性能は下から数えた方が早い最弱。
しかし彼個人の人格の際、その人望と様々な人達との繋がりによる力を発揮する際は計り知れないものであり
不可能はなく奇跡すら成し遂げる永遠の転換者の最上位にすら超える計測不能の能力・実力を発揮する。
天秤がその性質を買い、現在の役割を与えたと思われる。

イリューシャ:役割 全ての存在に破滅を齎す大敵(アークエネミー)
永遠の転換者の中では単体での実力・総合性能は彼女自身には戦闘経験は無い為評価外だが
存在だけで全てを滅ぼし破滅させるという権能にして能力を持つ故に世界を滅ぼす為の核兵器的立ち居地の一つとされる。
彼女の性質は極めて慈愛と博愛に溢れているからして秩序側であるが能力が混沌側であり、矛盾に溢れる存在。
天秤はまったくの前例の無くそして貴重な存在ゆえに、自らの機能内に取り込み現在の役割を与えたと思われる。

それゆえにその矛盾を許容するいわば核兵器の保管庫のようなまた矛盾に満ちた
とある閉鎖世界に呼び出されるまで封印されている。


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