揺杏（―――って息巻いてから１ヶ月）
揺杏（結局告白できず、あっという間に明日から学校だ）
揺杏（本当にもう自分が情けなくなるよ……はは……）
揺杏（……）
揺杏（あーあ……せめてあと１週間あればな……）
揺杏（今度の今度こそ、本気で……）
揺杏（……）
揺杏（はぁ… もう寝るか…）
風呂行ってくる
（翌朝）
揺杏（……あれ？）
揺杏（っかしーな、スマホの日付が１週間前になってる。壊れたか？）
TV ＜ ○月○日のお天気は〜〜
揺杏（んん？ テレビまで変な事言ってら）
揺杏（……？？）
揺杏（遅刻するから取りあえず学校行かねーと）
――――――――――――
―――――――――
――――――
―――
揺杏（……学校に行っても授業はやってなくて、他の部活の連中しか居なかった）
揺杏（クラスメイトにも会ったから今日は何日か聞いてみたけど……丁度１週間前の日にちを答えてた）
揺杏（何かおかしい）
揺杏（……）
揺杏（と、とりあえず帰るか）
揺杏（……きっと白昼夢でも見てんだ）
（北海道の高校の夏休みがいつまでなのか詳細は分から）ないです
ｽﾀｽﾀ…
揺杏（でも……なんか夢らしくないんだよな。ほっぺつねったら痛かったし）
揺杏（マジでどうなってるんだ？）
ｽﾀｽﾀ…
爽「―――お、揺杏じゃん」
揺杏「おー」
爽「どうした？ 制服なんか着て」
揺杏「え？」
爽「いや、夏休みだってのに制服着てるからさ。まさか補習でもあったのか？」
揺杏「……いや……」
揺杏（…………）
揺杏「な、なぁ」
爽「ん？」
揺杏「夏休みってまだあるっけ？」
爽「は？」
揺杏「いや……その……変な事聞いてんのは分かってるんだけどさ、答えてくれ」
爽「そりゃまだあるよ。って言ってもあと１週間だけど」
揺杏（……！）
爽「はぁ〜あ……今年の夏もあっという間だったなー」
揺杏（……）
爽「―――あ、そうだ」
揺杏「え？」
爽「今日近くの商店街で縁日やるらしいから、夕方に集合な」
揺杏「あ……うん」
爽「連絡しようと思ってたんだけど会ったから丁度良かったよ」
揺杏（そうだ……確かに１週間前、爽からこの件でLINEが来たんだ）
爽「じゃあまた後でなー」
揺杏「……ちょ、ちょっと待ってくれ」
爽「どした？」
揺杏「縁日ってさ……先週皆で行かなかったっけ？」
爽「はぁ？？ 行ってないけど」
揺杏「そ、そっか……」
爽「……本当にどうした？ 大丈夫か？」
揺杏「いや、悪い。私の勘違いだったみたいだ」
爽「体調悪いなら今日は―――」
揺杏「大丈夫だよ。じゃあまた後でな」
爽「お、おう」
ｽﾀｽﾀｽﾀ…
揺杏（……）
揺杏（爽が演技してる風には見えなかった）
揺杏（やばい……）
揺杏（なんかよく分からないけど……多分時間が１週間前に戻ってる……！！）
揺杏（しかも私だけ―――なのかはまだ分からないけど、記憶が残ったまま……）
揺杏（テレビのお天気ねーさんもクラスメイトも先生も爽も、皆は覚えてないみたいなのに……）
揺杏（……何が何だかわかんねー……）
揺杏が頑張る物語です
流石の長門も「いい加減告白して」ってキレそう
わざと自分の記憶消して知らんぷりしてるんでしょ（邪推）
一回目ユキ二回目ユキ三回目ユキ四回目ユキ
爽くんまで記憶残ってたら難易度下がるからね、仕方ないね
（夕方）
誓子「―――あっ。揺杏来たわよ」
成香「揺杏ちゃーん、こっちでーす」
由暉子「……」ﾍﾟｺｯ
揺杏「おー」
爽「よし全員揃ったな」
ｶﾞﾔｶﾞﾔ…
揺杏（……）
揺杏（もし本当に時間が戻ったんなら、１週間前と全く同じ事が起こる筈だ）
揺杏（まずはそれを確認しよう……）
揺杏「……」
揺杏「えっ？ い、いや別に何でもねーよ」
揺杏「……ちょっと考え事しててさ」
揺杏「……」
揺杏「にしても去年に比べてまた寂れてねーか？」
揺杏「来る度に屋台が減ってる気がするよ」ﾊﾊｯ
爽「おっ！ おい皆、射的やるぞ！」
揺杏（……そうだよ、爽が最初にそう言うんだ。私の記憶と同じだ）
揺杏（……）
――――――――――――
―――――――――
――――――
―――
揺杏（確か射的の次は成香がわたあめ買って……）
おっちゃん「はいよ、お嬢ちゃん」
成香「ありがとうございます！」
揺杏（浴衣姿のユキがつまづいて転んじゃって）
爽「おいおい大丈夫かー？」
由暉子「はい、平気です」
揺杏（……そんで金魚すくいはチカセンだけ取れない）
誓子「もう一回やるわよ！！」
爽「もういーよチカ、次行こうぜ」
揺杏（全部同じだ……）
揺杏（やっぱり私……１週間前に戻ってる……！）
揺杏（何でだ……？？）
揺杏（……）
揺杏（一番有り得るのは爽のカムイがなんかやらかしたって線だけど……）
揺杏（……ていうか考えられるのがそれくらいしかねー）
揺杏「なぁ、爽」ﾎﾞｿｯ
爽「ん？」
揺杏「お前のカムイって……なんか、こう……タイムスリップできる奴とかいる？」
爽「なんだ急に」
揺杏「なんとなくだよなんとなく」
爽「まぁ、なんやかんやすれば多分出来るぞ」
揺杏「出来んのかよ」
爽「なんでだ？」
揺杏「いや、別にー」
揺杏（……マジか）
揺杏（だとすると何で私だけ……？？やっぱり分かんねー）
揺杏（……）
揺杏（でもまぁ悩んでても仕方ないな）
揺杏（……確かこの１週間のイベントは縁日プール花火だったっけ）
揺杏（取りあえず普通に過ごしてみるか。なんかの間違いで戻っただけかも知れないからな）
揺杏（……にしても今日もあっちーなー）
難易度下げるくらいで丁度良いんだよなぁ…
――――――――――――
―――――――――
――――――
―――
（１週間後）
８月３１日
揺杏（……あれから特に何も変わった事なく全員で遊んで１週間が過ぎた）
揺杏（当然と言うべきか、全部私の記憶通りで…全く同じ事が起こってた）
揺杏（……）ﾁﾗｯ
［ 8/31（水） ２３：３５ ］
揺杏（……）
揺杏（……）
揺杏（……寝よう）
揺杏（私に何が出来るか分からないし、そもそも何をすれば良いか分からない）
揺杏（悩んだところで解決するか分からないんだ）
揺杏（それに寝て起きたら元通りになってるかもだしな）
揺杏（よーし寝よう！ そうしよう！）
揺杏（……明日のお天気のおねーさんが素頓狂な事言い出しませんように）
揺杏（……）
揺杏（じゃあおやすみーっと…）
揺杏（……）
.
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
〜〜〜〜〜〜〜〜〜
〜〜〜〜〜〜
〜〜〜
（翌朝）
揺杏「……」
［ 8/24（水） ７：００ ］
.
流石です！
頼むから今回ばかりは大人しくしていて（懇願）
鈴羽エンドのオカリンみたいになってる…
［ 8/24（水） ７：００ ］
揺杏（まただ…… また……戻ってる……）
揺杏（……なんで……？？）
揺杏（訳分かんねー……マジで）
揺杏（……）
揺杏（……）
揺杏（顔…洗ってこよ……）
――――――――――――
―――――――――
――――――
―――
揺杏「……」
スマホ ＜ ﾋﾟﾛｰﾝ
揺杏（あぁ、爽からかな。縁日の件で……）
揺杏（……やっぱそうだ）
揺杏（ははっ……）
揺杏（……）
揺杏（……）←スマホをいじる
ﾌﾟﾙﾙﾙﾙ…
『―――もしもーし』
揺杏「あ、悪い爽。ちょっと話があってさ」
『縁日の事か？ どした？』
揺杏「いや……そうじゃないんだけど……なんつーか……」
『？？』
揺杏「今から…ちょっと時間作れないか…？」
『えっ？ まぁ暇だしいいけど……』
揺杏「よし、じゃあいつもの喫茶店で待ってるわ」
（通話を切る）
揺杏（……）
――――――――――――
―――――――――
――――――
―――
爽「―――はぁ？ 夏休み最後の１週間を繰り返してる？？」
揺杏「ばかっ声でけーよ！」
爽「……」
揺杏「……なんだその目、別に暑さで頭やられて訳じゃねーぞ」
爽「因みに何周してんの？」
揺杏「２周。……これで３周目」
爽「はぇ〜、それは大変だ」
揺杏「信じろよ」
爽「信じてるよ。……すいませーん、お水くださーい」
揺杏「おい」
揺杏「大体なぁ、お前のカムイとやらのせいなんだかんな」
爽「そうなのか？ まぁ多分出来なくはないけど」
揺杏「前の周のお前もそう言ってたよ」
爽「仮に本当に時間が戻ってたとしてだ。どうして揺杏だけ記憶残ってるんだ？」
揺杏「私が聞きたいよ」
爽「そりゃそーか」
揺杏「……と、とにかくお前から『もう巻き戻さなくていいよ』ってカムイに伝えてくれよ」
爽「んー……」
揺杏「何だよまだ疑ってるのか？」
爽「疑ってるというか……釈然としないというか」
揺杏「はぁ？？」
爽「だってよっぽどの事がないとあいつらだって時間なんて巻き戻そうと思わないだろ」
揺杏「……そりゃ、まぁ……知らないけど」
爽「しかも私の知らないとこでそんな事する程なんだから相当だよ」
揺杏「そ、そうなのか？」
爽「なんか無かったか？ 強い願望とか後悔とか」
揺杏「うーん……そう言われても」
爽「２学期始まるまでに胸を大きくしたかった…とか」
揺杏「私を何だと思ってんだよ」
爽「夏休み終わるまでに役満全部和了したかったとか」
揺杏「ないない」
爽「後は……ほら、あいつと恋人になりたかったとか」ﾊﾊｯ
揺杏「……あ」
爽「えっ」
揺杏「……」
爽「……」
揺杏「……」
揺杏「……（赤面）」ｶｧｧ…
爽「あっ……（察し）」
――――――――――――
―――――――――
――――――
―――
由暉子「では、また」ﾍﾟｺｯ
成香「気をつけてくださいね」
誓子「……じゃあ私達も帰ろっか、なるか」
爽「じゃあなー」
揺杏「おつかれー」
爽「……」
揺杏「……」
爽「……本当だったんだな。ユキが転びそうになる事もチカが金魚取れなくて不機嫌になる事も全部予知してたし」
揺杏「信じてなかったのかよ！」
爽「まぁ少しだけな」ﾊﾊｯ
爽「……そんで、残りの６日はどうする？」
揺杏「プール行ったり花火したりしたな」
爽「そのままで良いのか？」
揺杏「……ま、まぁ……うん……」
爽「試しにあいつに告ってみれば？」
揺杏「む、むり！！ 無理だよ！！」
爽「なんでだよ？ それを滅茶苦茶後悔してるから時間が巻き戻ったんだろ？多分」
揺杏「だ、だって……もしフラれたら……」
爽「フラれたらまた戻れば良いじゃん」
揺杏「そんなの……戻れる確証もまだ無いし……」ｳｼﾞｳｼﾞ
爽「はぁ〜〜…まったく…」
――――――――――――
―――――――――
――――――
―――
（数日後）
揺杏（明日はプールだし準備するかー）ｺﾞｿｺﾞｿ
揺杏（……）ｺﾞｿｺﾞｿ
揺杏（『日焼け止め塗ってくれ！』……なんつって）
揺杏（……ﾊﾊｯ……）ｺﾞｿｺﾞｿ
揺杏（……よし、こんなもんか）
揺杏（……）
揺杏（……）
揺杏（いや……）ﾁﾗｯ
揺杏（……水着、違うやつにしてみよ）
揺杏（なんとなくな。なんとなく）
水着姿の揺杏あくしろよ
（翌日）
ﾐｰﾝﾐﾝﾐﾝﾐｰ
揺杏（この辺が集合場所だったよなー）ｷｮﾛｷｮﾛ
揺杏（……おっ、あいつもう来てる）
揺杏「よっ」
揺杏「まさかお前が最初に来てるとはなー」
揺杏「……そんなにユキの水着が見たかったのか？」
揺杏「……ははっ。冗談だよ」
揺杏「それにしても今日も暑いなー」
ﾐｰﾝﾐﾝﾐﾝﾐｰ
揺杏（……マジあっついな）
揺杏（飲み物買っとけば良かった……）ｷｮﾛｷｮﾛ
揺杏（……駅の方行かないと自販機無いかー）
揺杏（前の周より暑くなってる気がすんなー）ﾊﾟﾀﾊﾟﾀ
揺杏「……ん？」
揺杏「え！？ “ これ飲むか？ ” って……！」
揺杏（ま、前の周ではこんな事なかったのに……！）
揺杏（ていうかそれ飲みかけだろ…？ 分かってるのか？ 流石に分かってるよな！？）
揺杏（……）
揺杏（でも私が告白できなかった事を後悔してるのは事実だし……）
揺杏（折角起きたこういうイベントをちゃんと拾ってかないとだよな。うん）
揺杏（出来る限り良い方向へ自分で未来を変えていかないと……）
揺杏「じ、じゃあ―――」
由暉子「―――おはようございます。先輩方」
揺杏「あっ……」
由暉子「？？ どうされました？」
揺杏「い、いや別に……。 おはようユキ」
――――――――――――
―――――――――
――――――
―――
（プール）
爽「―――よっしゃー泳ぐぞー！」
誓子「ちょっと、準備運動しないと……」
爽「ひゃっはー！」
＜ ｻﾞﾌﾞｰﾝ
誓子「飛び込んだらダメよ！」
ｷﾞｬｰｷﾞｬｰﾜｰﾜｰ
揺杏「……あの２人全く同じ事してら」
成香「何がですか？」
揺杏「あっいや何でもない」
揺杏（さてと……日焼け止め塗るか）
揺杏（……）
揺杏（……）ﾁﾗｯ
揺杏（……いけ……言っちまえ私……！）
揺杏「な、なぁ……あのさ……背中……
由暉子「揺杏先輩、背中は私が塗りましょうか？」
揺杏「……！ あ、ああ、頼むよ。ありがとな」
由暉子「いえ」ﾆｺｯ
揺杏（……そう簡単に未来は変えられないって事か）
揺杏「……じゃあ私達も泳ぎにいこうぜ」
成香「あ、はい」
由暉子「そうですね」
揺杏「お前も来いよ」ﾁﾗｯ
揺杏「……はぁ？ “ 荷物見とく ” ？」
揺杏「大丈夫だよ、別に盗られて困るもん持ってきてねーし」
揺杏「……」
ｸﾞｲｯ
揺杏「……ほ、ほらっ、行くぞ」
――――――――――――
―――――――――
――――――
―――
ｶﾞﾔｶﾞﾔ…
揺杏（やっべー３人とはぐれちまった。気ぃつけてたのに……）
揺杏（前の周だとあいつが飲み物買いに行ってる間にユキと成香がナンパされたんだよな）
揺杏（あん時は一悶着あったから早いとこ見つけないと……）ｷｮﾛｷｮﾛ
揺杏（確かトイレの近くで…… あ、いた）
揺杏（特に絡まれてる訳でもなく普通に２人で話してるな）
揺杏（……まぁいっか。何も起きないに越した事はないし）
揺杏「―――おーい
チャラ男「―――ねぇ君、ちょっといい？」
揺杏「へっ？」
チャラ男「君めっちゃ可愛いね。モデルとかやってるの？」
揺杏「えっ？ いや……あの……その……」
チャラ男「暇だったら一緒に遊ばない？」
揺杏「いやいやいや違くてなんつーかマジで……」ｱﾀﾌﾀ
チャラ男「学生だよね？ 大学生？」
揺杏（な、なんで私がナンパされてんだよ！？ どうする！？）
揺杏（ユキと成香に助けを―――いやダメだ、求めたらもっと状況が悪化する気がする！！）
チャラ男「……ほら、行こうよ」
揺杏「ちょ、ちょっと待ってくださ―――
揺杏「―――！！」
チャラ男「ん？ 何だお前？ 何か用か？」
チャラ男「……ちっ、男持ちかよ」ｽﾀｽﾀ
揺杏「……」ﾎﾟｶｰﾝ
揺杏「……」ﾁﾗｯ
揺杏「あ、ありがと……助かった……」
揺杏「……し、しかし今の奴も見る目ねーな。すぐそこにユキがいるってのに」
揺杏「まったくとんだ物好きがいたもんだよ」
揺杏「ははは……」
揺杏「……」
揺杏「―――え？」
揺杏「あ、あぁ。そうだな。そろそろ皆と合流するか……」
揺杏「……もう昼時だしな。いやー腹減ったなーははは」
揺杏（……）ﾄﾞｷﾄﾞｷ
――――――――――――
―――――――――
――――――
―――
爽「……ウォータースライダー乗ろうぜー」
揺杏「おーいいね」
成香「ちょっとこわいです……」
誓子「大丈夫よ。なるかは私と２人で乗りましょ」
爽「じゃあユキ、私らも一緒にどうだ？」
由暉子「はい。分かりました」
揺杏「……」
揺杏「え？」
爽「じゃあお前たちも２人で乗れば？」
揺杏「！」
誓子「そうね。そっちの方がなんとなく収まりが良いし」
揺杏「……ま、まぁ……私は別に……」ﾁﾗｯ
揺杏「お前が良ければ……だけど」
揺杏「……！」
揺杏「そ、そっか。じゃあ２人乗りのやつ借りようぜ」
爽（揺杏の奴めっちゃニヤニヤしてんなー）
――――――――――――
―――――――――
――――――
―――
揺杏（―――って言ったけど！！）
揺杏（いざ乗ってみるとクッソ密着する！！）
揺杏（しかもめっちゃ揺れるからその度に……は、肌が……！！）
揺杏（うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお……！！！！）
＜ ｻﾞﾊﾞｰﾝ
揺杏「―――ぷはっ」
揺杏（あﾞ〜……受け身ミスって鼻に水が……）
揺杏「……」ﾁﾗｯ
揺杏「……って、お前もかよ」
揺杏「……ﾌﾌｯ……」
揺杏「……え？ “ もっかい乗ろうぜ ” ？」
揺杏「ぁ……えっと……私は……」
揺杏「……」
揺杏「……いや、そうだな」
揺杏「よし！ 行くか！」
揺杏「次は後ろ向きで乗ろうぜ！」ﾆｶｯ
良い感じなのであと２、３回で終わると思います
（８月３０日）
揺杏「……」ｺﾞﾛﾝ
揺杏（もう夏休みも終わりか）
揺杏（今までと同じなら……今日の夜に皆で花火をやる筈だ）
揺杏（……）
揺杏（……決めた。私はあいつに告白する）
揺杏（今日こそ……！）
――――――――――――
―――――――――
――――――
―――
爽「―――待たせたな！」
花火 ＜ ﾄﾞｻﾄﾞｻﾄﾞｻｯ
誓子「えっ？ こんなに買ったの！？」
爽「特売だったからな」
成香「はぇ〜すっごいです……」
由暉子「使い切れるでしょうか」
揺杏「……ほれ、水バケツ持って来たぞ」
――――――――――――
―――――――――
――――――
―――
爽「獅子原ファイヤー！」ﾊﾞｼｭｯ
誓子「危なっ！！」
ﾜｰﾜｰｷﾞｬｰｷﾞｬｰ
揺杏（……）ﾁﾗｯ
揺杏（……あいつ１人で線香花火やってる）
揺杏（ﾊﾊｯ、めっちゃボーッとしてら）
揺杏（……）ｽﾀｽﾀ
揺杏「―――おい、何をボンヤリしてんだ？」
揺杏「隣座るぞ？」
揺杏「……」
揺杏「……私も線香花火やろっと」
揺杏「１本ちょうだい。……ん、サンキュー」
揺杏「……」
ﾊﾟﾁﾊﾟﾁﾊﾟﾁ…
揺杏「……」
揺杏（……）
揺杏（なんで線香花火やってっと無言になっちまうんだろ……）
ﾎﾟﾄｯ…
揺杏（……あ、落ちた）
揺杏（もう１本……）
ﾊﾟﾁﾊﾟﾁﾊﾟﾁ…
揺杏（……）
揺杏（……）ﾁﾗｯ
揺杏（もしこいつのより長く点いてたら……）
揺杏（わ、私は……告白する。……よし、決めた）
揺杏（ぜってー告る）
揺杏（もう繰り返してたまるかってんだ）
ﾊﾟﾁﾊﾟﾁﾊﾟﾁ…
揺杏（……）
ﾊﾟﾁﾊﾟﾁﾊﾟﾁ…
……ﾎﾟﾄｯ
揺杏（―――！！）
揺杏（か、勝った……！）
揺杏（……いや勝ち負けってのも変な話だけど……と、とにかくこいつの方が先に落ちた！）
揺杏（……）
揺杏（よ、よし……言え私……！）
揺杏（覚悟決めろ……！）
揺杏「あ、あのさ―――」
由暉子「―――少しよろしいでしょうか」
揺杏「……！！ ど、どうした？？」
由暉子「いえ、バケツの水を取り替えてこようかと……」
揺杏「ぇ……あーハイハイ水ね！ うん、ありがとな！」
由暉子「いえ」
由暉子「……え？ 手伝ってくださるんですか？」
由暉子「ありがとうございます。ではよろしくお願いしますね」ﾆｺｯ
＜ ｽﾀｽﾀ…
＜ ﾃｸﾃｸ…
揺杏「……」
揺杏「は―――……」ｶﾞｸｯ
揺杏（もう少しだったんだけどなー）
揺杏（偶然とはいえすげータイミングで来るな、ユキめ）
揺杏（……まぁいいや）
揺杏（後でも伝えられるから……）
揺杏（……）
揺杏（ていうかインハイん時より緊張するんだけど！！）ﾄﾞｷﾄﾞｷ
――――――――――――
―――――――――
――――――
―――
爽「蛇玉花火ってウ◯コみたいだよなー」ﾊﾊｯ
成香「そ、そうですね。ワンちゃんのに似てます」
誓子「話合わせなくていいから！」
ﾜｰﾜｰｷﾞｬｰｷﾞｬｰ
揺杏（……あのやりとり見るのも３回目か）
揺杏（……）
揺杏（しかし遅いな２人とも）
揺杏（水場そんな遠くねーだろ）
揺杏（……暗いし迷子になってんのか？ しゃーねぇ。探しに行くか）
ｽﾀｽﾀ…
揺杏（……）ｷｮﾛｷｮﾛ
揺杏（確かこの辺に―――）
揺杏（―――ん？）
＜ ……
＜―――
揺杏（なんか話し声が聞こえるな）
揺杏（……ここか？）ﾋｮｺｯ
由暉子「―――先輩、好きです」
揺杏（！！）
揺杏（な、なんでユキが……あいつに……）
揺杏（……え？？ なんだこれ……？？）
揺杏（……）ﾌﾗｯ
枝＜ ﾊﾟｷｯ
由暉子「？ 何か音がしましたね」
揺杏（……！！）
揺杏（やっべ！！ どうするどうするどうする！？）
揺杏（あーもう！ どうにでもなれ！！）ｶﾞｻｯ
揺杏「お、お前らこんな所に居たのかー」
由暉子「あ……揺杏先輩」
揺杏「戻って来んのが遅いからさ、迷子にでもなったのかなーって」ﾊﾊｯ
由暉子「心配させて申し訳ありません」
揺杏「いやそれは別に良いけどさ」
由暉子「見ての通り水は汲み終わってますので戻りましょうか。……ね、先輩」ﾆｺｯ
揺杏（……）
揺杏（ユキも……好きだったのか）
揺杏（そっか……そうだったのか……）
――――――――――――
―――――――――
――――――
―――
（８月３１日）
揺杏「……」ｺﾞﾛﾝ
揺杏（……あいつ、なんて返事したんだろ）
揺杏（まぁ普通に考えて付き合うよな……）
揺杏（……明日学校行ったら伝えられるのかな。 “ 私達付き合いました ” とか）
揺杏（……）
揺杏（……）
揺杏「イヤだ……そんなの……」ﾎﾞｿｯ
揺杏「……」
［ ２３：５９：０５ ］
揺杏「……」
［ ２３：５９：３８ ］
揺杏「……」
［ ２３：５９：４５ ］
揺杏「……」
［ ２３：５９：５０ ］
［ ２３：５９：５２ ］
［ ２３：５９：５８ ］
［ ２３：５９：５９ ］
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
〜〜〜〜〜〜〜〜〜
〜〜〜〜〜〜
〜〜〜
（翌朝）
揺杏「……」
［ 8/24（水） ７：００ ］
.
>>128
長文のやつだったらそうですね
爽「ククク…ひどい言われようだな
まあ事実だからしょうがないけど」
展開先読みのマナー違反だけどこれになりそうですね
展開先読みのマナー違反をさらし上げるのもマナー違反ですね
［ 8/24（水） ］
揺杏（……）
揺杏（やっぱダメだったか）
揺杏（……まぁ、そりゃそうだよな）
揺杏（……）
揺杏（私って本当に弱いな……）
揺杏（はぁ……）
＜ 〜〜♪
揺杏（……爽からだ）
揺杏（あぁ、縁日の誘いか）
揺杏（……）
揺杏（……ここで普通に参加したらまた同じ事になる）
揺杏（また同じように繰り返して……そんでまたユキに……）
揺杏（もうイヤだ。今度こそ……！）
――――――――――――
―――――――――
――――――
―――
成香「揺杏ちゃん遅いですね……」
由暉子「―――あ、来ましたよ」
揺杏「わり、遅くなった」
爽「……おぉ。揺杏も浴衣着て来たのか」
揺杏「う、うん。まぁ……」
誓子「似合ってるじゃない」
成香「すてきです」
揺杏「っス……（赤面）」
揺杏「……」
揺杏「そ、そんな凝視すんなよ……」
揺杏「！」
揺杏「 “ 似合ってる ” ？ ……あ、ありがと」
揺杏（へへへ……）
爽「おい皆、射的やるぞ！」
揺杏「はいよー」
揺杏「……行こうぜ」
――――――――――――
―――――――――
――――――
―――
揺杏「……規模小さいのに人だかりスゲーなぁ」ｽﾀｽﾀ
成香「そうですね」ｽﾀｽﾀ
揺杏「成香、あそこに綿飴の屋台あるぞ」
成香「あっほんとだ」
揺杏「ほら、あのアニメのキャラのやつにしろよ」ﾊﾊｯ
成香「あ……えーっと……」
揺杏「どうした？」
成香「わたあめはいいです。それよりたこ焼きが食べたいですっ」
揺杏「へ？」
成香「何だか最近食べたような気がして」
揺杏「え？ ……成香、それってどういう……」
成香「なんとなくですよ。なんとなく」
揺杏「……そうなのか」
成香「どうしました？」
揺杏「いや、なんでもねー」
成香「？ ……じゃあ買ってきますね。２人はここで待っててください」
揺杏「あ、いや……私らも行くよ。ちょうど腹減ってきたし」
――――――――――――
―――――――――
――――――
―――
（金魚すくい）
揺杏「お、こいつなかなかデカイな」
揺杏「……ほいっと」
揺杏「よし取れた」
成香「揺杏ちゃん上手です」
揺杏「だろー？」
揺杏「お次はこの出目金を……」
誓子「―――やった！ 取れたわ！」
爽「おー」
由暉子「おめでとうございます」
誓子「……？？」
誓子「う〜ん……」
成香「どうしたの？」
誓子「なんというか……前は取れなかった筈なんだけどなーって思って」
成香「え？ 前って？」
誓子「それが自分でもよく分からなくて。気のせいかしら？」
爽「やばい！ 遂にチカがおかしくなった！」
誓子「ちょっと、遂にって何よ！！」
揺杏（…………）
――――――――――――
―――――――――
――――――
―――
誓子「じゃあまたね」
成香「おやすみなさい」ﾍﾟｺｯ
揺杏「おー」
揺杏（……）
揺杏（成香に続いて、チカセンも前の周回の記憶が残ってるみたいだった……）
揺杏（なんでだ？ 私以外は皆リセットされてたのに）
揺杏（この分じゃ爽もユキも……なのか？）
揺杏（……）
あと２、３回で終わります
（数日後）
ﾐｰﾝﾐﾝﾐﾝﾐｰ
揺杏（……）
揺杏（……）
揺杏（……）
爽「おい揺杏」
揺杏「―――！？ な、なに！？」
爽「なにじゃないだろ、もう全員集合したぞ」
揺杏「ぁ…… 悪い悪い」
爽「……ったく。乗り遅れたら次の電車１時間後だぞ？」
揺杏「へーへーすんませんね」
――――――――――――
―――――――――
――――――
―――
（プール）
爽「―――よっしゃー泳ぐぞー！」
誓子「ちょっと、準備運動しないと……」
爽「そんなの関係ねぇ！ 行くぞ成香！」ｸﾞｲｯ
成香「ファッ！？」
爽「ひゃっはー！」
＜ ｻﾞﾌﾞｰﾝ
誓子「飛び込んだらダメよ！」
ｷﾞｬｰｷﾞｬｰﾜｰﾜｰ
揺杏「ったく……」
揺杏「……」
由暉子「……」ﾎﾞｰｯ
揺杏「……ん？ ユキ、どした？」
由暉子「えっ？」
揺杏「いや、上の空な感じだったから」
由暉子「い、いえ。申し訳ありません」
揺杏「別に謝る事じゃねーけど」ﾊﾊｯ
由暉子「……勘違いだと思うんですが、何だかこの光景を前にも見たような気がして」
揺杏「えっ？」
由暉子「……いえ、きっと気のせいです。忘れてください」
揺杏（……や、やっぱり……）
揺杏（皆……曖昧だけど記憶が残ってる……）
揺杏（どうして……？）
揺杏（……まさか何回も繰り返してるからなのか？）
揺杏（このまま……また同じ事を繰り返したら……）
揺杏（どんどん告白しづらくなる―――っていうか、繰り返し続けたらこの先どうなるか全く分からない）
揺杏（完全に記憶が残るようになるかもしれないし、今の周回だけかもしれない……）
揺杏（……）
由暉子「……揺杏先輩」
揺杏「！ ど、どうした？」
由暉子「日焼け止め、塗りましょうか？」
揺杏「あ、あぁ……うん。サンキュ」
――――――――――――
―――――――――
――――――
―――
ｶﾞﾔｶﾞﾔ…
揺杏（またあいつらと逸れちまった）
揺杏（ユキがナンパに捕まる前に探し出さねーと……）
揺杏（……流石に私がナンパされる事はもう無いだろ）ｷｮﾛｷｮﾛ
揺杏（……あっ）
モブ女「ご、ごめんなさい！ 前見てなくて……」
モブ女「……いえいえそんな！ 私の方が悪いので弁償しますよ！」
モブ女「 “ 本当に大丈夫 ” ？ でも……」
揺杏（何してんだあいつ？？）
揺杏「おーい」
モブ女「……あっ」
揺杏「……」ﾍﾟｺｯ
モブ女「…こ、こんにちは…」ﾍﾟｺｯ
揺杏「お前何してんの？ 知り合い……じゃないよな？」
揺杏「…… “ 余所見してたらぶつかっちゃったから ” ？ あぁ、成る程……」
モブ女「あ、あの、悪いのは私の方で……」
揺杏「あー……でもこいつ本気で気にしてないんで大丈夫だと思いますよ」
モブ女「でも……」
揺杏「逆に罪悪感覚えるような性格なんで。マジで」
モブ女「……そ、そうなんですか……？」
モブ女「じゃあ……お言葉に甘えさせてもらいます。本当にすみませんでした」ﾍﾟｺｯ
揺杏（律儀な人だなー）
モブ女「あと……彼女さんも、ありがとうございました」ﾆｺｯ
揺杏「へぇっ！？」
モブ女「？」
揺杏「か、彼女？ 誰が！？ 私が！？」
モブ女「えっ？ ……も、もしかして違いましたか！？ すみません！ 早とちりを……」
モブ女「 “ 謝る事じゃない ” ？ ……ほ、本当にすみません……」
揺杏「……」
揺杏「……ﾌｩ」
揺杏（まさかユキや私がナンパされない今みたいなパターンもあるとは）
揺杏「……」ﾁﾗｯ
揺杏（こいつ特に動揺した様子もないな。恋人に間違えられたんだぞ？ もうちょっと何かあるだろ）
揺杏（ “ 皆と合流するか ” じゃねーよ！）
揺杏（ったく…… こっちがどんな気持ちでいると思ってんだ）
――――――――――――
―――――――――
――――――
―――
ｶﾞﾀﾝｺﾞﾄﾝ…
ｶﾞﾀﾝｺﾞﾄﾝ…
揺杏「は〜……つっかれた……」
揺杏「 “ もう筋肉痛だ ” ？ マジかよ」ﾊﾊｯ
揺杏「……」
成香「……」ｽﾔｽﾔ
由暉子「……」ｽｩｽｩ
爽「ZZZ……」
誓子「……」ｶｸﾝ… ｶｸﾝ…
揺杏「見てみ、皆寝てるぞ」
揺杏「写真撮ってやろ(笑)」
ｶﾞﾀﾝｺﾞﾄﾝ…
ｶﾞﾀﾝｺﾞﾄﾝ…
揺杏「ふぁ〜あ……」
揺杏「……え？ “ 着いたら起こすから寝てて良いぞ ” ？」
揺杏「いやいや大丈夫だよ眠くねーから」
揺杏「話し相手いないと寂しいだろ？」ﾆﾔｯ
揺杏「……」
揺杏「くぁ……」
揺杏「……！（口を押さえる）」
揺杏「悪ぃ。やっぱ寝るわ」
揺杏「……えっ」
揺杏「か、 “ 肩使ってもいい ” ！？」
揺杏「……」
揺杏「じ、じゃあ……そうさせてもらうわ……」
揺杏「……」ｺﾃﾝ
揺杏「……重くないか？」
揺杏「……そっか」
揺杏「……」
揺杏（……お世辞にも良い枕とは言えねーけど）
揺杏（なんか……安心するっつーか……）
揺杏（……）ｳﾄｳﾄ
揺杏（あぁ……やっぱ私……）
揺杏（こいつの事……好きだ）
揺杏（……）ｳﾄｳﾄ
揺杏（夢の中でなら……いくらでも言えるんだけどな……）
.
なんとなくそんな気がした
（８月３０日）
爽「―――待たせたな！」
花火 ＜ ﾄﾞｻﾄﾞｻﾄﾞｻｯ
誓子「こんなに買ったの？」
爽「特売だったからな」
成香「はぇ〜……」
由暉子「頑張って使い切りましょう」
揺杏「……ほれ、水バケツ持って来たぞ」
揺杏「……（バケツを置く）」
揺杏「……ん？」
揺杏「どした？ いつも以上にボーッとしてるっつーか……上の空だけど」
揺杏「 “ 何でもない ” ？ ……ふーん」
揺杏「……」
爽「なぁ、腕にロケット花火付けて発射したらカッコよくね？」
揺杏「あんま派手な事してっと通報されるぞー」
揺杏「ったく、毎度毎度あいつは…… 爽だけは変わんねーな」
揺杏（……）ﾁﾗｯ
揺杏（今日…ユキがあいつに告白する筈だ）
揺杏（ユキには悪いけど、みすみすそれを見過ごす訳にはいかない）
揺杏（……私もあいつが好きだから）
揺杏（……あいつらを２人きりにさせないように……）
揺杏（……）
揺杏（……いや、そんなこと言ってるとどれだけ時間があっても足りない。散々痛い目見て来ただろ）
揺杏（ユキより早く―――告白する！）
――――――――――――
―――――――――
――――――
―――
揺杏「……なぁ、水汲みに行くの手伝ってくんね？」
揺杏「ん。サンキュー」
由暉子「私もお手伝いします」
揺杏「いや大丈夫だよ」
由暉子「……そうですか」
揺杏（……よし、これで２人きりになれる……！）
水道 ＜ ｼﾞｬﾊﾞｰ
揺杏（……）
揺杏（２人きりになったは良いけど……こいつ全然喋んねーな）
揺杏（会った時から心ここにあらずって感じだし）
揺杏（まさか夏バテかぁ？）
揺杏（……）
揺杏「……おい」
揺杏「おーい」
揺杏「え？ じゃねーよ、水溢れてるぞ」
揺杏「……ったく」
揺杏「何か悩みでもあるのか？ なんだったらこの揺杏様に―――」
揺杏「―――！」
揺杏「お、おう……」
揺杏（マジであんのかよ）
揺杏「何かあったのか？ 話してみ？」
揺杏「……」
揺杏「え……？」
揺杏（ “ 昨日ユキに告白された ” ！？）
揺杏「……そう、だったのか」
揺杏「……」
揺杏「お前は……その……何て答えたんだ……？」
揺杏「……は？」
揺杏「 “ 保留した ” ！？ お前正気かよ！？ ユキだぞ！？」
揺杏「どうして……」
揺杏「……」
由暉子「あの……」ﾋｮｺｯ
揺杏「！！」
揺杏「ユキ……どうした？」
由暉子「いえ、お２人とも戻って来るのが遅かったので心配になって……」
揺杏「そ、そっか」
由暉子「……どうかしましたか？」
揺杏「い、いや別に？」
由暉子「そうですか。では戻りましょう」
揺杏「……ああ」
揺杏（……）
ちょっとかてない…
――――――――――――
―――――――――
――――――
―――
揺杏（……）
揺杏（ユキの奴、まさかもう告白してるなんて……）
揺杏（やっぱダメなのかな）
揺杏（……ユキの行動力が羨ましいや）
揺杏（……）ﾁﾗｯ
［ 8/31（火） ０：４５ ］
揺杏（結局……残りはあと１日か）
揺杏（……）
揺杏（……）
揺杏（……いや、違う。そうじゃないよな）
揺杏（まだ１日あるんだ）
揺杏（今までと同じ事してたら今までと同じ結果しか待ってない）
揺杏（……）←スマホを取る
夜中にごめん｜
揺杏（……）
夜中にごめん
話したい事があるんだ｜
多分
きっと
勝ったな
（８月３１日）
ﾋﾟﾝﾎﾟｰﾝ…
揺杏「……」
揺杏「……（髪を整える）」
揺杏「……」
＜ ｶﾞﾁｬｯ…
揺杏「！」
揺杏「……よ」
――――――――――――
―――――――――
――――――
―――
揺杏「……」
＜ ｺﾄｯ…
揺杏「……あ、ありがと」
揺杏「……」
ｼｰﾝ…
揺杏「……」
揺杏「えーっと、話なんだけどな……」
揺杏「……なんつーか……その……」
揺杏（覚悟決めたんだろ、言え！ 言え！！）
揺杏「悪いな、急に……」
揺杏「……」
揺杏「 “ 大事な話みたいだしとりあえず上がれよ ” ？」
揺杏「あ、ああ。サンキュ……」
揺杏（玄関前でサッと告白して帰るつもりだったんだけどな）
揺杏「……おじゃまします」
揺杏「……」
揺杏「あれ？ 親いねーの？」
揺杏「……そ、そっか」
揺杏「あのさ……」
揺杏「……」
揺杏「夏ももう終わりだな」
揺杏「どうせ残暑は残暑でクッソ暑いんだろーけどな」
揺杏「今年もうんざりするくらい遊んだよな」
揺杏「……」
揺杏「……お前少し日焼けしたな」
揺杏「ちゃんと宿題終わったか？」
揺杏「……」
オカンか
揺杏「……私……」
揺杏「 “ ユキに告白された ” って昨日聞いた時……驚いたよ」
揺杏「でも、それ以上に怖かった」
揺杏「……どういう意味か分かるか……？」
揺杏「……」
揺杏「そのユキの告白を保留したって聞いて……急だったのにこうして私と会ってくれて……」
揺杏「怖いけど、少し期待しちまってる」
揺杏「……」
揺杏「好きなんだ。お前のこと……」
風呂入ってくる
揺杏「……」
揺杏「……っ……」
ｶﾞﾀｯ！
揺杏「―――よ、よし！ 用は済んだから帰るわ！！」
揺杏「じゃあまた明日！ 学校でな！！」
ｶﾞﾁｬｯ ﾊﾞﾀﾝ！
揺杏（……言った……！）ｽﾀｽﾀｽﾀｽﾀ
揺杏（言ってやったぞ……！！）
揺杏（たとえこれでユキが選ばれたとしても悔いはねぇ！！）
揺杏（っしゃあ！ 見たか！！）
――――――――――――
―――――――――
――――――
―――
［ 8/31（火） ２３：２５ ］
揺杏（……）ﾄﾞﾖｰﾝ…
揺杏（……なんださっきの告白……）
揺杏（日焼けしたなじゃねーよ……）
揺杏（ちゃんと宿題やったかじゃねーよ……）
揺杏（我ながらなんつー変な告白だよ……）
揺杏（……ちっくしょ）
［ 8/31（火） ２３：３０ ］
揺杏（……）
揺杏（あれ以来あいつから連絡もねーし……）
揺杏（明らかにやっちまったやつだよなコレ）
揺杏（……）
揺杏（なんか……むしろもう一回繰り返してくれた方が良い気がしてきた）
揺杏（……うん。マジで）
揺杏（そしたら今度こそ……）
揺杏（……）
揺杏（もう良いや……寝よう……）
――――――――――――
―――――――――
――――――
―――
（翌朝）
［ 9/1（水） ７：００ ］
揺杏「……」
揺杏（……）
揺杏（あー……）
揺杏（……そっか）
揺杏（そうなるかぁ……）
揺杏（……なんか、思ったより嬉しくないような……）
揺杏（依然あいつからは連絡なしだし……）
揺杏（……）
揺杏（……顔洗って朝飯食お）
TV ＜ ９月１日のお天気は―――
揺杏「……」ﾎﾞｰｯ
揺杏「……」ﾓｸﾞﾓｸﾞ
揺杏「ごちそうさまー」
揺杏「……」
揺杏「ん？ なに？」
揺杏「『玄関でお友達が待ってるわよ』？」
揺杏「あー、了解」
揺杏「……？？ なんでニヤニヤしてんの？」
（玄関）
揺杏（……きっと爽だな。珍しく早いじゃねーか）
揺杏（２学期早々やる気あるねぇ。こちとら色んな意味で疲れてんのに……）
揺杏（……）
揺杏（にしても今日も憎たらしいほど良い天気だな、まったく……）
揺杏（夏休みを何周もしてたなんて……なんか未だに信じられねーや）
揺杏（……）ﾎﾞｰｯ
揺杏（……はっ）
揺杏（やべー座ってる場合じゃねぇ、これ以上待たせたら爽にどやされる）
揺杏「―――じゃあ行ってきまーす」
ｶﾞﾁｬｯ…
.
ハッピーエンド！（確信）
既に交際いる場合もあるし後に破局するかもしれんしね
問答無用で略奪って手段もあるけど
こんな諺を知ってる?
恋と戦争においてはあらゆる戦術が許されるの
弱く見えるぞ