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浅井漣「パワポケさんAIで遊びましょう!」
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パワポケくん『レンはいつ見てもカワイイな〜!』
レンちゃん『パワポケさんもいつ見ても素敵ですよ〜!』
パワポケくん&レンちゃん『キャッキャ』
パワポケ「…なんか、さっきからずっと相手のこと褒めてばっかじゃないか?この二人」
レン「あはは…まだ試作段階ですからね。AI任せの反応だと、パターンの変化も乏しいです」
パワポケ「うむむ…でも、外見だけでも良くできてるな。笑った時の顔とかも、すごい俺そっくりな気がするよ」
レン「はい!それには自信ありますよ!ミーナさんから、資料用にパワポケさんの写真をいっぱい貰いましたから。顔の表情だけじゃなく、体全体の動きを骨格から再現してます」
パワポケ「あの人最近事あるごとにパシャパシャしてくると思ったら…そういう事だったのか」
レン「だ、だって…その…面と向かってパワポケさんに頼むの、は、恥ずかしかったので…」
パワポケ「そ、そうなんだ」
パワポケ(この二人のイチャイチャを画面越しに見せられる方が、よっぽど恥ずかしいような気もするけど…)
パワポケ(というか、なんでアバターの俺は野球のユニフォームなんだろう。レンは私服なのに)
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レン「素の反応はまだまだですが、こっちからシチュエーションを用意してあげれば、パワポケさんAIもそれに対応してくれますよ」
パワポケ「へー。例えばどういうのがあるの?」
レン「えっとですね…オススメでいうと『朝起こしにくる幼馴染編』があります」
パワポケ「妙にマニアックなチョイスだな…」
レン「えへへ…作ってるうちに色々盛り上がっちゃって。こっちは開田さんと、あと田西さんにも監修してもらいました」
パワポケ「嫌な予感がする二人だけど…まあいいか。とりあえずその幼馴染編?を見てみようかな」
レン「はい!では設定を反映させますね」カチカチカチカチ
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〜朝起こしに来る幼馴染編〜
パワポケくん『レンちゃん!起きてくれよな〜頼むよ〜』
レンちゃん(オカルトテクノロジーですよん)『zzzz』
パワポケくん『お、お前さレンちゃんさ、狸寝入りしてんだら?さっさと起きろよ起きろよぉ〜︎♥︎♥︎♥︎』
レンちゃん『これは寝言ですけどパワポケさんのミルク(意味深)を飲まなきゃ起きませーん!それにアソコも濡れてるからこれも鎮めないとねぇ〜』
パワポケくん『ファッ!?朝っぱらからセクハラとかやっぱ好きなんすねぇ〜』
レンちゃん『早くしないと学校に遅れちゃうけど言うとおりにしてくんなきゃ一生寝たきりのままなんですよなぁ〜(ルート分岐)』
パワポケくん『A.まったく、しょうがねぇなぁ〜ホライグどぉ〜』
ズボンのチャックを下し、豊かなほるひすが弾けるように飛び出す。中身は特濃野球選手ミルクがたっぷり詰まっており、レンちゃんは毎朝これを紅茶に入れてから登校しているのだ。
授乳を施そうと、勃起したほるひすをレンちゃんの薄く開かれた口へと当てがう。呼応するように、ほるひすの先に歯が当たる。
パワポケくん『乳首もシコシコしてやるからなぁ〜♥︎♥︎♥︎♥︎♥︎』
レンちゃん『ママーッ!!!!!!!!』
ぬっと伸びた手がシーツの盛り上がりに触れる。ただそれだけで、ゆうすけはほとばしるような叫びとともに絶頂した。
パワポケ「なんだこれは…たまげたなぁ」
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パワポケSSはもっとやれ
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こういうのでいいんだよこういうので
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ファッ!?
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ほもびにでるけど、ひっともうつよ。
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デウエス『すごいですねこれ』
レン「えっ!?」
パワポケ「うわっ、デ、デウエス!?」
デウエス『ツナミネットをご覧の皆様こんばんわ、”深層心理“の“神”です』
パワポケ「な、なんでお前がここに!?俺たちはお前を倒したはずなのにっ!?」
デウエス『……ええ、確かに呪いは発動しましたよ。試合に負けたあの時、確かに“ワタシ”は”カオル“と共に消滅しました』
パワポケ「そうだ。お前が消滅したから、開田くんや呪いで消えた人々もちゃんと戻ってきたんだぞ!」
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デウエス『しかし、こんな事もあろうかと、カオルと融合したワタシは、自分のコピーを作成し、シカゴの研究所に保管していました』
パワポケ「そんな馬鹿な……カオルがかけた呪いは、お前の存在を完全に消滅させる力があったんじゃなかったのか?」
デウエス『ええ。ですから言ったでしょう……ワタシは完全に消滅しています。今ここにいるワタシは、カオルの人格を元にワタシの記憶を入れ込んたバックアップデータ……そこに、呪いが介入する力はありません…呪いは、ワタシの人格と、カオルの記憶を対象にしていましたから」
デウエス『それゆえ、ワタシが持っていた「ネット上から人を食べる呪い」は失いましたが……便利な事に、もう一つの「全てのインターネットに瞬時にアクセスする力」はカオルも持ち合わせていましたので…』
レン「有事の際の管理者は必要だと、ツナミが判断したという事ですか…」
デウエス『ワタシが消されていない事を見るに…ええ、そのようですね』
デウエス(主に、ジオット局長の仕業でしょう)
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デウエス『それより、チャット欄に訳の分からない怪文書を垂れ流すのはやめてください。ツナミネットは子供も見ているので』
レン「怪文書じゃないです!パワポケさんとの愛のメモリーその1です!まったく、今は良いところだったのに…」
パワポケ(こんなのがまだまだあるのかよっ!?)
デウエス『ふむ……なるほど。私と同じテクノロジーを持つAIですか。たしかに、外見や動作はなかなか精巧に作られていますね』
レンちゃん『パワポケさーん!一緒にお昼ご飯食べましょ〜❤️』
パワポケくん『うわっ、レンちゃん…み、みんなが見てる前で抱きつくのはやめてよっ!』
パワポケ「いつのまにか、舞台が学校の昼休みに変わってるぞ…」
レン「愛のメモリーその2!お昼の食べさせ合いっこタイムです♪……あぁ…私もパワポケさんと同じ高校に通っていたらなぁ…」ポワポワポワ
パワポケ(レンが妄想モードに入ってしまった…)
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レンちゃんすき
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デウエス『なるほど……興味深いですね。オカルトテクノロジーを持つAI同士の会話、それによるデータの集積……これは、元々ツナミも解析に乗り出していた分野です』
パワポケ「ああ、ヒトの心を持つAI……だっけ。レンはそう言ってたけど、実際にそんなことが可能なのか?」
デウエス『可能性のひとつとしては、ありえるでしょう。少なくともあなたが以前見たカオルは、データとしての自覚が無いながらも、ほぼ人に近い振る舞いをしていたはずです』
パワポケ(……確かに、最初に出会った時のカオルを、俺は誰かのアバターだと思ってたな……って、あれ?)
パワポケ「お前はカオルの記憶がないんだろう?どうしてそんな事を知ってるんだ?」
デウエス『ワタシがカオルを取り込んだ時、わずかながら、カオルの記憶がワタシに混ざりました。カオルがあなたに出会った瞬間から、ワタシがカオルを取り込むまで……つまり、”カオルでないカオルが持つ記憶“です』
パワポケ(……????)アゼン
デウエス『……では、ひとつ再現をしてみましょうか』
・*>+$¥%#さんが、レンさんの公開チャットに参加しました。
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でかした!
パワポケ12スレだ!
こんなところでパワポケ12SSの恩恵に預かるとはな!
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ポケ12スレいいゾ��これ
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???『もうー、レンさーん、パワポケさんが困ってますよ〜』
パワポケくん『あ、カ、カオルちゃん!?」
レンちゃん『うっ、性懲りも無くまた現れましたねっ!いい加減、二人の邪魔をしないでください!』
カオル『邪魔だなんてとんでもないです〜。私はお二人の仲を応援してますから…』
レンちゃん『ふ〜ん、そう言うわりには、よくパワポケくんと楽しくお喋りしてますよね!』
パワポケくん『レ、レンちゃん!そんな言い方は無いだろ…カオルちゃんとは、その…たまたま会ってるだけだって…』
レンちゃん『あっ!パワポケくんもこの人の肩持つんだ!ふんっ、もう知らないっ!』
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レンちゃんすき
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レン「ファッ!?ちょっと〜!二人の邪魔をしないでくださいよー!」
パワポケ「おいおい、レン……レンちゃんの思考回路とまったく一緒でどうする」
デウエス『フフッ、どうでしょう。記憶から作ったアバターですが。設定に充実にするため、お好みで学生服を着けてみました』
レン「あ!知ってますよ、このアバター。パワポケさんが私に内緒でデートしてた人ですよね」
パワポケ「いや、違うって……カオルとは、その、たまたま会ったってだけで……」
レン「ふ〜ん、そう言うわりには、パワポケさん、楽しくお喋りしてましたよね!」
デウエス(仲が良いですね、この二人)
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今年はパワポケSSが流行る
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>>3
>特濃野球選手ミルクがたっぷり詰まっており
12の主人公に言うほど野球選手ミルク要素あるか?
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パワポケ「なぁ、記憶から作ったって言っても、こっちのカオルは、俺が会ったカオルとは別……になるんだよな?」
デウエス『ええ。ワタシが作成したデータですので……趣向を変えて、こういう事もできますよ』
$%+=##さんが、レンさんの公開チャットに参加しました。
=€%“%;さんが、レンさんの公開チャットに参加しました。
カオル1『パワポケさ〜ん、一緒にキャッチボールしましょう〜』
カオル2『パワポケさん、少しの時間でしたけど……楽しかったですよ!』
カオル3『私がいれば十分じゃないっすか?(正史捏造派寺岡薫) 』
パワポケくん『うわっ、同じ顔が三つ!』
レンちゃん『もうっ、次から次に……パワポケくんは渡しませんからねっ!』
レン「はえ〜、色んなカオルさんが出てきましたよ!」
デウエス『作成したAのデータを元に、B、Cと新しいカオルを生成しました。狭い範囲でなら、簡単な受け答えが可能です。長い時間をかければ、より高度な知能を持たせる事もできますよ』
パワポケ「ナイトメアーズにいたデウエス達も、こういうカラクリだったんだな……改めて考えると、とんでもない技術だ」
パワポケ(……こうやってたくさん表示されると、なんか嫌だな。俺と出会ったカオルが、否定されてるみたいで)
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デウエス『おや、浮かない顔をしていますね。お気に召しませんでしたか?』
パワポケ「い、いや、そういうわけじゃないけど……カオルの再現はもういいよ」
デウエス『では、カオルを戻しましょう』スッ...
#{+#=={さんが、レンさんの公開チャットから退出しました。
レン(退出メッセージもめちゃくちゃに改ざんされてる……公開チャットなのに、無理矢理ハッキングを仕掛ける必要があった?)
パワポケ「……えーと、それで、結局のところ、お前は……いや、君は“カオル”なのか?ここに現れた時から、デウエスの様な敵意が無いのは感じられるけど」
デウエス『ウフフ、最初に言ってるじゃないですか。ワタシはカオルの人格を元にワタシの記憶を入れ込んたバックアップデータです。つまり、「デッド・コピー(模造品)」……ワタシはワタシであり、カオルでもある、また、反対にどちらでもない……その解釈は、あなた達に任せます』
パワポケ「……なんで濁す様な言い方をするんだ?なにか、隠しているのか?」
デウエス『ワタシが何を隠しているか……それもあなた達に委ねます。今のワタシに与えられた役割は、ネットを徘徊し、イキスギた言動や行動を取り締まる……いわば、ツナミネットのお巡りさんです』
チンポモシコシコシテヤルカラナ〜!
ママ-ッ!!
デウエス『おっと、早速またどこかで妄言を吐き散らす輩が発生した様です。では、ワタシはこの辺で……』ス-ッ
パワポケ「いなくなった……」
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なんだこの展開!?
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レンちゃん『パワポケさん、いつ見てもカッコいいです〜!』
パワポケくん『レンちゃんも、いつ見ても素敵だよ〜!』
パワポケ「あれ。いつの間にか、チャットのホーム画面に戻ってる……」
レン「私が設定を解除しました。レンちゃんとパワポケさんのラブラブを見たかったのに、横入りされちゃ台無しです!」プンスコ
パワポケ「あはは……そうか。急にデウエスが現れて、話がこじれだしたけど、最初はそういう話だったっけ」
レン「デウエス、何もせずどこかに行っちゃいましたね」
パワポケ「ああ……前のデウエスの雰囲気とは、全く違う感じだった」
(デウエス『ええ。ですから言ったでしょう……ワタシは完全に消滅しています。今ここにいるワタシは、カオルの人格を元にワタシの記憶を入れ込んたバックアップデータ……そこに、呪いが介入する力はありません…呪いは、ワタシの人格と、カオルの記憶を対象にしていましたから」)
パワポケ(あいつの話を整理すると、今のあいつは、データ生命体のカオルの人格に、デウエスの記憶が吹き込まれた存在なんだよな。だから、本来のカオルの記憶はない。でも、”カオルでないカオル“の記憶はある。だから、それを元にしたカオルのデータを作る事はできて……)
パワポケ(デウエスが言っていた”カオルでないカオル“……それは、俺と出会ってからのカオルの事だ。つまり、俺と出会う前のカオルが、本来の”カオル“?)
パワポケ(いや、待てよ。そもそも、カオルは寺岡薫の一部だった。……なら、本来のカオルは、”寺岡薫の記憶を持つカオル“なんじゃないのか?……いかん、理解が追いつかなくなってきたぞ)
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やっぱり12のメインヒロインはカオルなんだよなぁ
幸せになれコラ!(届かぬ思い)
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レン「…………」ジ-ッ
パワポケ「…………」
レン「…………」フ-ッ
パワポケ「うひゃあっ!み、耳に息が……!」
レン「えへへ、パワポケさん。さっきから難しい顔ばっかしてたので、イジワルしちゃいました」
パワポケ「あ、あぁ、ごめんごめん……ちょっと考え事をしてて」
レン「ふぅ……やっぱり、デウエスとカオルさんの事……気になりますか?」
パワポケ「ああ。なんというか……さっきのデウエスは、カオルに近いと思ったんだ。話して行くうちに、まるでカオルがデウエスのふりをしているように思えてさ……」
レン「でも、アバターは“顔の無い女”……デウエスでしたよ?」
パワポケ「そこが、どうしても引っかかるんだよな。仮にあいつがカオルだったとして……わざわざデウエスを真似る理由があるのかどうか……?」
レン「……うーん。ちょっと、不思議です」
パワポケ「……え?」
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レン「……私の見解を言うと、そもそも、先程の彼女がデウエスであるか、それともカオルさんであるかは、それほど重要だとは思いません」
レン「元々、二人は寺岡薫さんから派生してできた人格です。なので、その人格が一度統合された後……残された人格に上書きしてコピーデータが作成されたからと言って……それは寺岡薫さんではないし、ましてや、カオルさんでもない」
レン「……それに、正直、デウエスもどうでもいいです。復活したとはいえ、ツナミの管理下にあるという事は、以前の脅威が排除されたわけですから。ネットを徘徊するデータであって、それ以上でもそれ以下でもない……その言い分も、ある程度信頼できるでしょう」
レン「言い方は悪いですが、私には、パワポケさんが、あのデウエスを無理矢理カオルさんだと思い込もうとしてるように見えました」
パワポケ「あれ、もしかして俺の考え、口に出てた……?」
レン「ふふっ、いえ、パワポケさんの顔を見れば、何を考えているか、少しはわかりますよ。でも、そこまでオリジナルのカオルさんに固執するのは……どうしてなのでしょうか?」
パワポケ(………………)
(デウエス『ふこーへいじゃないか!あたしにだってけんりがある!しあわせになれてもいいはずだ!わたしはまだしあわせになってないじゃないか!』)
(カオル『楽しい思い出をたくさんありがとう。だから、笑顔でお別れしましょう』)
(パワポケ『…………さようなら、カオル』)
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パワポケ(……試合に負けたデウエスは、呪いで崩壊しながら……自分は不公平と言っていた。それは、寺岡薫の心の奥底に潜んでいた”深層心理“だったんだろう。そして、寺岡薫の人格を持つカオルも同じく……)
パワポケ「…………強いて言えば、幸せになってほしかったかな」
レン「しあわせ、ですか?」
パワポケ「デウエスが暴れなければ、カオルが消える必要も無かった……データ生命体にそんな事を思うのは、少し変かもしれないけど。もし今のデウエスがカオルの生まれ変わりだったら、今度は、前よりちょっぴり幸せになっても、いいんじゃないかって……」
レン「……なるほど」
パワポケ「でも、レンの言う通り、俺が無理矢理思い込んでる….…それがほとんどだと思う」
レン「…………ふむ」
パワポケ「………」
レン「……」
パワポケ「………レン?」
レン「…………」ニパッ
パワポケ「………レンちゃん?」
レン「…………よし!では、あのデウエスの正体、突き止めちゃいましょうっ!」
パワポケ「……はい?」
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〜セントラルシティ奥・スポーツエリア前〜
パワポケ『突き止めるって言ったって……一体何をするのさ』
レン『さっきの愛のメモリーその1を聞かせれば、すぐに出てくるとは思いますが……』
パワポケ『い、いや、それだけはやめてくれ。カオルにあんなの(※)が聞かれてたと思うと、なんだか気分が悪くなってきた』
(※野獣ママコピペ改変)
レン『別に、恥ずかしがらなくてもいいのに……まあでも、2度目、3度目は、処罰の対象になるかもしれませんしね。流石にアカウントを凍結させられたりしたら、満足に調べ物もできなくなりますから、やめておきましょうか』
パワポケ(ほんと、妄想モードにならない時は良識のある子なんだけどなぁ)
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レン『捜査は足で稼ぐと言いますから、みんな会う傍ら、聞き込みもしちゃいましょうっ!』
パワポケ『妙にウキウキしてるね……』
カイダ『パワポケくん、レンちゃん、遅いでやんすよ!もう試合が始まっちゃってるでやんす!』
レン『ごめんなさい、カイダさん!急な用事が立て込んでたので……』
カイダ『用事ぃ?ぜってぇ嘘でやんす!ど〜せ二人でイチャイチャしてただけでやんす!毎回毎回空気を読んでクールに去るオイラの身にもなるでやんす!』
レン『あ、言いましたねー!だったらパワポケさんとのルームシェア、譲ってくれればいいじゃないですか!今ならカイダさんの持ってるフィギュア、全部定価で買ってあげますよ!』
カイダ『倍以上出されてもお断りでやんす!!オイラの限定フィギュアはプライスレスでやんす!!』
パワポケ(そもそも、開田が集めたコレクションの数を見ると、引っ越しするのも一苦労だからな……)
ワ-ワ-!ギャ-ギャ-!
サイデン『おまえら、静かに試合も見れんのか…』
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パワポケ『あはは……それより、サイデン。今日の試合は誰が出てるんだ?』
サイデン『野手は、スターとピンク、パカ、臨時でELに外野に入ってもらって、投手はゼット。この5人以外はCPU任せにしている』
パワポケ(ええと、平木さん、ピンク、パカーディ、電視炎斬……だっけ?と、雅美さんか。……おいおい、見事に暇そうなメンバーばかりじゃないか)
パワポケ『他のみんなは?』
サイデン『BARUは内職で忙しいみたいで、最近付き合い悪いな。で、シズマとノリコちゃんは学校、アッシュは仕事。ヤハッシーは今回はパス』
パワポケ(浅梨、静間くん、典子ちゃん、川合くん、美保か。浅梨はフィギュア塗装を頑張ってるのかな?美保は元々興味なさげだったから、どうしても暇な時だけ出てるのか)
サイデン『あああと、ユウジローは相変わらずあの試合から行方不明。……まあ、あいつはよく分からん奴だったから、はなからあてにはしてないが』
パワポケ(虎男さんは……試合の後……病室であったのが最後だった。今も元気でいるのだろうか……)
パワポケ『一応、新生デンノーズは、カイダ、サイデン、BARU、スター、ピンク、EL、ゼット、アッシュ、ノリコ、ヤハッシー……俺とレンを入れて、合計12人か』
サイデン『だが、その内、平日昼間でも試合ができる奴に絞ったら、もっと少なくなる。元々、主力だったウズキやミーナが抜けたのも考えると……戦力補強は必須だな』
パワポケ(うぅ……渦木さんとミーナさんが抜けるから、新しく、典子ちゃんと美保を誘ったのはいいけど……あまり効果はなさそうだな)
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12ほんとすき
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レン『あれ、シズマくんはデンノーズに含めないんですか?』
パワポケ『うん。彼、受験勉強に向けて毎日が勉強漬けだから。息抜きぐらいでしか、ネットをする余裕は無いみたいだよ』
サイデン『学生は大変だな』
カイダ『オイラ達の余裕を、分けてあげたいでやんすねぇ〜』
パワポケ(この二人は、もう少し必死になれよっ!)
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『8回裏 二軍インムスターズ 10ー3 新生デンノーズ』
ハハァ...
クキキキキ....
アイキッ!!
イヤァボクモウオオエセンリデスヨネ
カキ-ン!!
ゼエエエエエエット!!!!
キ-----ボ-----ド!!!!!!!
スタ-------!!!!!!!
アンタタチウルサイノヨ!!!
ウタレタノハヨノセイデハナイゾ!
パワポケ『うわっ、満塁ホームランだ』
サイデン『あのバカ王子がフライを落として溜まった塁が、一気に点になったな』
パワポケ『スコアは……いまので14対3!?……げぇっ、ボコボコじゃないか』
レン『さっきから、パカさんだけじゃなく、CPUも守備の乱れが多いですからね』
カイダ『いくらCPUレベルが高いと言っても、反応速度は人間の方がよっぽど上でやんす。内外野に鈍い選手をおけば、野球はそれだけで不利になるでやんすよ』
サイデン『ただ、練習試合とはいえ、敵も強い。ここ数週間でできたチームらしいが、個性派揃いで、ウィークリーランキングでも上位だ』
パワポケ『そうなのか。パッと見、ただの色物集団にしか見えないけど……二軍ってついている以上、一軍もいるんだろう?』
サイデン『いや、特にない。チーム名は、ただ単にそういう名前なだけらしい』
パワポケ(………………どういうセンスだ)
『9回表、二軍インムスターズ、選手交代のお知らせです。ピッチャー、変わりまして、ドラゴン田中……』
【登 竜 門】
サァイコウゼ-♪
パワポケ(登場曲まで流すんじゃないっ!)
アァモットツイテクレオルルァン!!
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パワプロの二軍淫夢チーム出てきて大草原
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あの動画のドラ田 あっ…(察し
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『試合終了 二軍インムスターズ 14ー9 新生デンノーズ』
レン『負けちゃいましたね.…』
パワポケ『最後は、ちょっといけるかもと思ったのにな……』
カイダ『まあ、既存のCPUばかりじゃどうしようもないでやんす。この試合で勝つ事は、元から期待してなかったでやんすから』
パワポケ『なんだ……じゃあ、わざわざ俺たちを呼ぶことも無かったのに。てっきり、重要な試合なのかと思ったぞ』
サイデン『いや、お前とレンを呼んだのは、また別の用があるんだよ……そのために一応、全員が集まるタイミングが欲しかったんだが……まあ、来れない奴らのことを考えても仕方がない』
パワポケ『別の用事?』
レン『その件については、皆さんが試合から帰ってきたら、私から話しますね』
パワポケ「……あれ?レンは知ってるのか?」
レン「はい。パワポケさんにだけ内緒にしてましたが……ふふっ、きっと驚くと思いますよ」
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一方だところ・・・
ジオット『うん。それでいいよ。そうそう、アジムのお偉いさんには僕から通しておくから。うん、じゃあ何かあったら報告する事』ピッ
ジオット「はあ。何から何まで説明させられるとは。ちょっと困り者だね、彼は」
(フフフフ、まるで赤ん坊をあやすようでしたわ、ジオット様)
ジオット「まぁね。ただ、人の指示にすんなり従う事に関しては一流だから。中途半端な奴よりは、よっぽどね」
(……なるほど。しかし、気晴しの余興にしては、いささか派手な顛末になってしまいそうですね)
ジオット「イワンくんには、しばらくは後処理に奔放してもらおうかな。彼、コワモテだからさ。言葉通り、顔が効くんだよね」
(私が出向けば、すぐに終わる事ですのに)
ジオット「いや、キミだと怖がらせすぎちゃうでしょ。人間の相手は、やっぱり人間がいい。世の中、人を見かけで判断する奴が多くて、困るね」
(まったく、残念です)
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また更新されてていいゾ〜これ
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バヂュン!ジュビィィン
バヂュン!ジュビィィン
ジオット「おや?前よりずっと早いじゃないか。管理部の連中が知ったら、ショックだろうね」
デウエス『いえ、気を落とす必要はありません。ワタシにかかれば、これくらいの暗号解読は造作もない事ですので』
ジオット「そのセリフは、“深層web”を見つけ出してから言ってもらいたいものだね。まあいいけど。それで、いいニュースはあった?」
デウエス『世界各国の電子機器に接触しましたが、これほどまでに被害が広がっているとは思いませんでした。アジア諸国、アメリカ、ヨーロッパ。どの国も急速に広がるミーム汚染により、深刻な認識災害が発生しています。日本における侵食率は、36%。これは、将来的に修復不可能な数値です』
ジオット「君の言い方は、相変わらず好きじゃない。僕は『いいニュースがあったか』を、聞いたんだけど」
デウエス『ウフフ、それくらい、いいじゃないですか。どちらに転がるにせよ、あなたは得しかしない。……“九百龍”は落ちるとだけ、伝えておきましょうか』
ジオット「……ふぅん。それで、キミの個人的な探し物の方は見つかったのかい?」
デウエス『…………ウフフ、局長には隠し事はできませんね。こちらも、見つかった、とだけ』
ジオット「そう。僕は気にしないけど、あまり、そっちに頓着しすぎない事だ。過度な期待は、裏切りへの一歩だ」
デウエス『ウフフ、一応、肝に銘じておきましょうか。……おっと、ジャジメントに気付かれてしまいましたので、私は退散します』
ジオット「はいはい、じゃあ、今度はもっといい知らせを期待してるよ。君に会うためだけに、データ班の面子を潰すわけにはいかないからね」
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ジオット「はあ。またイワンくんへの指示がひとつ増えた」
(局長……ですか。お言葉ですが、今のジオット様は、ジャジメントグループ会長ではなかったでしょうか?)
ジオット「いいんだよ、細かい事は気にしなくて。そう思う奴には、そう思わせとけばいい」
(……フフフ、なるほど。ではジオット様、彼女は始末しなくて構わないのですか?)
ジオット「うん、手出し無用。鳥籠の中の鳥を、わずらわしいからと言って殺そうとはしないでしょ?」
(……フフッ、フフフフフフ、さすがジオット様ですわ)
ジオット「いずれ、彼女は“彼女”と接触する。真打ちが登場するまで退屈だけど、過ぎた余興は退屈よりもつまらない。キミの上がる幕は今回はないよ、エアレイドくん」
(かしこまりました。では、その時を、待ち侘びていますわ)スゥ-ン
ジオット「はい、よろしく」
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ジオット「………………ふぅん、“野獣ママ”、それに”野獣先輩“か。歴史上のおとぎ話と、こんなところで会えるとはね」
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思ったよりもちゃんと作られてて草
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・・・・・・
パワポケ「あのさぁレン、サイデンぐるみで俺に内緒にしていたことってさ……」
レン「はい♪」
パワポケ「もしかして、これの事だったの?」
パワポケくん『レンちゃんは可愛いな〜♪』
レンちゃん『パワポケくんも素敵です〜♪』
スター『ス〜タ〜もスタ〜だぞ〜♪』
ゼット『ゼェ〜ット〜は子供の〜みか〜た〜♪』
パカ『よ〜の名〜はパカ王子〜♪』
カイダ『あんた達までやる必要は無いでやんす』
ピンク『正直趣味がヤバいわねこれ』
EL『ぼ〜く〜はピエロだよ〜♪』
サイデン『(お前は誰だよ……)』
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レン『改めて紹介しましょう!レンちゃんver1.05と、パワポケくんver1.00です!』
レンちゃん『レンちゃんで〜す!好きな人はパワポケくんです!』
パワポケくん『パワポケだ!俺は、野球が好きだな!』
ピンク『うわー、すっごいそっくり。確かにあいつ、こんな間抜けヅラだったわね』
パワポケ(誰が間抜けヅラだ……)
レンちゃん『むっ、あなたは敵です!敵!』
ピンク『いたたたたた、またぶったわねコイツ!』
ゼット『……ふむ。前から思っていたが、なぜか、ピンクだけ異様に敵視してるな、この女』
レン『AIは自己学習もできるんですけど、なんでかは私にもわからないんですよ……ごめんなさい、ピンクさん』
パカ『さしずめ、桃色が嫌いなのではないか?』
カイダ『オイラも、人参が嫌いなので、オレンジ色は好きじゃないでやんすね。だからコイツは、ピーチが嫌いなんでやんす!』
サイデン『おいおい、子供か……』
EL『ピーチは抜ける👍』
スター『あー!なるほどね〜♪』
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パワポケ『じゃあ、そろそろ本題に入ろうか。レン。俺も知らないから、みんなに色々と説明してくれ』
パワポケくん『俺は、野球が好きだな!』
パワポケ『うるさいよ!お前が野球好きなのは知ってるよ!』
レン『はいは〜い♪それでは説明していきますが……その前に、今のデンノーズが何人いるか、みなさんご存知ですか?』
ピンク『ええと。私、パカ、ゼット、レン……』
サイデン『俺、パワポケ、カイダ、EL、スター。ここにいるのは、全部で9人だ』
レン『それにプラスして、今日は不在のBARUさんと、臨時メンバーのヤハッシーちゃん、ノリコちゃんの3人がいますので、9足す3で……新生デンノーズは、12人なんです!』
パワポケ『あれ?さっきメンバー表チラッと見たけど、パカじゃなくてアッシュじゃなかったか?』
サイデン『ああ、すまんすまん。9月からのアップデートでIDと紐付けせずにチーム内の個人名を変更できるようになったんだが、このバカ王子が「パカ」を「バカ」と間違えて登録してたんだ。それでどうしても嫌だっていうんで、「アッシュ」の名前を無理矢理借りてやってたわけ。そもそも、アッシュは仕事で忙しいから、野球する暇は無いしな』
パワポケ『そんなの、すぐに名前を変更すればいいじゃないか』
サイデン『……あのな、こういうのは変更するにも「金」がかかるもんなの』
パワポケ『……………ああ、なるほど』
パワポケ(パカ……今は貧乏だもんな)
パカ『まったく、けしからんキーボードだ!』
ピンク『あんたが打ち間違えただけじゃない』
カイダ『………………本当にパワポケくんの勘違いだったんでやんすかね』
ゼット『そういうのは「言わないお約束」という奴だろう』
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レン『それで、8月まではみなさん一緒に試合をできていましたが……9月はそれぞれの事情で、全員がひとつの試合に集まる事が無くなってしまいました』
パワポケ(俺自身も、野球コーチに就任してからは一回しか試合をしていない。それ以外の日は今日みたいにときどき試合を見に来るだけだったな)
ピンク『まあ、ほとんど無職かフリーター、もしくは学生やってる暇な奴らしかいない集まりだったからね』
カイダ『改めて言われると、耳が痛いでやんす』
サイデン『……おい、本題から逸れるからいちいち茶々を入れないでくれ』
レン『ゴホンゴホン……そんな新生ナマーズでしたが、なんと、今日、新しく2人のメンバーが加わります!はい、拍手〜!』
パワポケ『え、いつの間に2人も勧誘してたのか!?……今のキャプテンはサイデンとはいえ、メンバー追加の知らせなら俺にも一言くれよ』
サイデン『まあ、色々積もる事情があってな……』
パワポケ『?……それで、その新しい人達はいつ来るんだ?試合にも出てなかったし、メンバー表にもいなかったし、見たところ、ここにもいないようだけど』
レン『ふふふっ、まだわからないんですか、パワポケさん♪』
パワポケ『?』
カイダ『察しが悪いでやんすね〜。新メンバーは、もうここに来ているでやんすよ』
サイデン『俺が全員を呼びつけた理由と、レンが俺たちとグルになってお前に用意してたサプライズは、全く一緒だ』
パワポケ(は……どういう事だ……?)
パワポケ(サイデンが全員呼んだ理由、それは新メンバーを追加するって事だよな……レンのサプライズは、俺のAIを作ったって事?……それで2人……)
パワポケ『あ……もしかして!』
レン『ピンポ〜ン!そうです!新メンバーは、パワポケくんとレンちゃんの2人で〜す!』
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パワポケくん『パワポケだ!野球が好きだ!みんなよろしく!』
レンちゃん『レンちゃんでーす!パワポケくんが大好きです!みなさんよろしくお願いしまーす!』
ピンク『この子喋るたびに愛の告白するのどうにかならないの?』
ゼット『いや〜若いっていいわ〜』
パカ『ゼット、素がはみ出ておるぞ.…』
カイダ『けしからんでやんす!うちのチームは不純異性交遊禁止でやんす!』
サイデン『いったいいつから決めたんだそんな協定……』
パワポケ『ああもう進まないから次、次!』
レン『加入するにあたって、ひとまず2人の実力を見てもらいます。パワポケさんのチームと、私のチームで二手に別れてください!』
-
ーパワポケチームー
パワポケくん『さあ、練習、練習!』
パワポケ『結構やる気満々だな』
カイダ『こいついきなりバットを振り回して危ない奴でやんす……』
サイデン『打撃、守備、走塁の順で見ていくか。おい、EL、打撃投手を任せた』
EL『了解。じゃあまずは10球試すか。ランダムにボールを投げるから僕の球を打ってみろ』
スター『楽しみだねぇ〜』
パワポケくん『うおおおおおおおおおお!!!!』
カキ-ンカキ-ンカキ-ンスカッカキ-ンカキ-ンカキ-ンカキ-ンスカッスカッ
カイダ『凄いでやんす!初見の球相手に10球中7球ヒット性の当たり、その内4球はホームランでやんす!』
EL『キーーーーーボーーーーーード!!!!なぜ僕の球がこんなにも打たれる!!!!こいつ、イカサマをしているだろっ!!!!』
サイデン『バカか……元々こいつにはデンノーズのメンバー全部のデータをインプットしてるんだよ。3球もスカッたって事は、むしろそれだけELの投球レベルが上がってる証明だ』
パワポケ『凄いな!即戦力どころの話じゃないぞ!』
スター『僕たちも負けてられないね〜』
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サイデン『守備走塁はそれぞれスター、カイダに競争相手になってもらう。まずは守備。さあ……コーチ、お手本を頼むぞ』
カイダ『本職の腕を見せてもらうでやんすね〜』
パワポケ『……あ、そうかコーチって俺のことか』
サイデン『おいおい、しっかりしてくれよ。これじゃあなんのために専念してるかわからないだろ』
パワポケ『ごめんごめん……よし、気張っていくぞぉーーーー!!!!』
パワポケくん『おーーーーーす!!!!!』
スター『おーーーーすっ……』
パワポケ『こら2人ともーーーーー!!!!!声が小さーーーい!!!!!!!』
パワポケ『おーーーーーーーーーーーーす!!!!!』
スター『とほほ……僕こういう暑苦しいの苦手なんだよね…』
カイダ『心なしか、今のパワポケくんが輝いて見えるでやんす』
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パワポケ『どうだった?』
サイデン『100球ノックで、87球がスター。74球がパワポケAIがカバーしたか。ちなみに、CPUは最大レベルでもせいぜい50球取れるか取れないか程度だ』
カイダ『流石にパワポケくんの身体能力を基準にしたAIでも、人間の方が反応速度は上でやんすね』
サイデン『だが、今の時点でデンノーズの過半数より上手い。球場ごとの細かい地形データを計算に入れれば、もっといい動きを見せるだろう』
パワポケ『あはは……多分、俺よりよっぽどコイツの方が上手だよ』
パワポケくん『押忍!押忍!押忍!押忍!』
EL『僕の周りでバットを振り回すのはやめろ!!!』
スター『どうどうどう』
-
サイデン『最後は走塁だが……いかんせん、単純なベースランニングだと元々プログラムで決められた動きしかしないから予測からずれなくてな。AIの走塁判断も見たいから、今回は塁間の途中で、お前たち三人に邪魔に入ってもらう』
EL『僕が一二塁間』
スター『スターが二遊間』
パワポケ『そして俺が本塁と三塁の間……だな』
カイダ『クックック、人間様の力の前に平伏すでやんす!』
パワポケくん『さあ、練習!練習!』
カイダ『あ〜!もっといい反応はできないんでやんすか〜!』
サイデン『……レンに頼め』
-
カイダ『うおおおお!!!どけどけどけーいでやんすー!!!』
EL『キーーーーボーーーード!!!!!!』
カイダ『ひぁ〜!!恐ろしい顔でやんす〜!!』
スター『さっきからずっと同じところグルグルしてて、全然こっちに来ないね〜』
パワポケ『意外と仲良しだな……あいつら』
サイデン『遊びでやってんじゃないんだぞ!こっちは!』
パワポケ(電脳野球なんだから、十分遊びだろ)
パワポケくん『うおおおおおおおおお!!!!!』←すごい速さで準備運動をしている
-
サイデン『やり直して、記録は44秒か。プロ野球選手のベーランは、普通程度の速さの選手が15秒ほどらしい。妨害を加味しても、ちょっと遅いんじゃないか、カイダ?』
カイダ『真正面から向かってくるのはやりすぎでやんす。本当の試合だったら、走塁妨害でやんすよ』
パワポケ『それくらいやらないと、練習にならないだろ』
サイデン『お待ちかね、最後はパワポケAIだ』
パワポケくん『押忍!押忍!押忍!押忍!』←すごい速さでブリッジを繰り返している
EL『なあスター……あいつがさっきからやってる練習って何の意味が……』
スター『ギンギラギンにさりげなく〜♪そいつがおーれのやり方〜♪』
カイダ『凄いこと言う人間でやんすね。そいつは人工知能に対するヘイトスピーチでやんす』
パワポケ『急にどうしたんだコイツら……』
サイデン『ほっとけ……』
-
パワポケくん『うおおおおおおっ!!!』
EL『キーーボーード!!!さっきはコイツにコケにされたが、今回は僕の勝ちだ!!!!』グオオオオ!
パワポケくん『てやっ!!!』スカッ
カイダ『あっさりと交わされたでやんす』
EL『うおおおおおお!!!これは罠だああああ!!!!』
サイデン『いやっ!切り返したっ!後ろと前、スターとELで挟み撃ちだっ!』
スター『うわわわわわ、こっちに来るよ!』
パワポケくん『うおおおおおおおっ!!!!』ズサァァァァ
サイデン『なっ!?塁間でスライディングの体勢!?』
カイダ『これは……鋭いフックスライディングでやんす!!!』
スター『ヒィィィ!!!』
スカッ
ゴッチ---ン!!!
EL『馬鹿やろぉおおおおお!!!スターァアアアアア!!!!!!誰を狙っているぅうううう!!!ふうううざけるなあああああ!!!!!』
スター『そんなこと言われても……君が襲いかかってきたようなもんじゃないか〜』
-
パワポケくん『どりゃあああああっ!!!』
サイデン『おお!うまい!二塁ベースの上ですぐ走行姿勢に持ち直したぞっ!』
カイダ『そのまま三塁を回って、本塁へ向かうでやんす!』
パワポケ(……くるか。うまくELとスターを避けたみたいだが、今度はそうはいかない。線上に立つことができる以上、分はこちらにある)
パワポケ(線上での立ち方によって、相手の走路は制限できる。ちょうど俺が右足を前に出して立てば、合理的な判断をするお前なら、ダイヤの外側に向かって避けようとするだろう)
パワポケ(奴は、左に避ける!ちょうど対角線上になるところで、もう一度フックスライディングを仕掛けてくる!)
パワポケ(腰を深く下ろして足元を固め、奴の足の入りに合わせて、思いっきり体を突っ込む!この勝負、俺の勝ちだ!)
-
パワポケくん『だりゃあああああああ!!!!』
パワポケ『うおおおおおおお!!!!』
パワポケ(姿勢が崩れた!今だ!!)
パワポケくん『とおおおおおおお!!!!』ドヒン!
サイデン『おっ!』
スター『えっ!』
EL『なんっ!』
カイダ『やんすっ!』
パワポケ(お、おい!嘘だろっ!?)
トスンッ
パワポケくん『ふ〜〜〜』
パワポケ(と、跳んだぞあいつ……しかも、俺の頭の上を飛び越えて……)
-
─レンチーム─
ピンク『実力を見るっていっても、グラウンドはアイツらが使ってるから、こっちでできることは限られているのよね』
パカ『貧しい時こそ、日頃から培った知恵が生きるというものだ。ふむ。ゼット、電脳レンとキャッチボールでもしてみせい』
ゼット『了解した。徐々に距離を離していき、先に大きく暴投した方が負けだ』
レン『はい!さあレンチャン、一緒に頑張りましょう♪』
レンちゃん『はーい♪』
パカ『……一緒と言っても、現実レンは特に何もする事はないが』
ズキュユユユユウン
パァン
ズキュユユユユユウン
パァン
レンちゃん『シクシク……シクシク』
レン『負けちゃいました……』
ゼット『ふう……だが良い勝負だった。遠投100mに付いてこられたのは、お前を除いても3人しかない』
ピンク『うちで一番コントロールが良いゼット相手に、善戦した方なんじゃない』
パカ『うむ……それにしても、そのレンの姿だと、長い黒髪と相まって、動く姿も中々優美に見えるな』
(注※現在、レンは仮面の騎士のアバター、レンちゃんは浅井漣をモチーフにしたアバターが表示されています)
レンちゃん『そんなー♪照れちゃいますよー、パワポケさーん!』
パカ『余はパワポケではないぞっ!』
ピンク『……あんた、大丈夫?アイツに構ってもらえないからといって、歪んだ欲望をコイツに入れてたりしてないよね?』
レン『もちろんそんな事ないですよ、ピンクさん。アハハハハ……』
-
ゼット『構うと言えば、パワポケくんとレンちゃん、私の家の子供たちのお守りをする機会も増やしてくれて、ほんと、助かっちゃうわ!』
ピンク『セナくんとミレちゃん、可愛いですもんね〜。あいつらが終わるまで、こっちは井戸端会議と洒落込みますか!』
パカ『しかし、ゼットのそのキャラクターの振れ幅は、急に来るとビビるのう……』
レン『あはは、私たちもセナくんとミレちゃんに会うのが大好きですので、いつでも呼んでください♪』
レン(パワポケさんとの将来に向けて、ばっちり予行練習もできますしね!)
ゼット『ミレなんかパワポケくんが来ると特に大喜びで、「大きくなったらお兄ちゃんと結婚する〜」とか言い出すのよ。ほーんとマセてるわよね〜』
レン『ふぅん……ミレちゃんがね……』
ゼット(な、なに?漣ちゃんの目が急に冷たく感じるわっ!?)ゾワッ
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パカ『(お、おい!レン相手にこういう話題はまずいのではないか!?)』
ピンク『あ、で、でも!こ、子供の言う事だから!ほ、ほらっ!子供って運命とか、そういうわけわからないの思い込みがちでしょ!?』
ゼット『そ、そうね!子供の言う事だものね!』
レン『運命……あはは、私とパワポケさんも、運命のはずなんですけどね……』
パカ『(わっ、馬鹿者、余計に墓穴を掘っておるぞ!)』
パカ『ええい、何を焦る必要がある!女たるもの料理で男の胃袋を掴めば良かろう!』
レン『料理……典子ちゃんの餌付け……アパートの同居人……将来は絶対美人……』
パカ『(わっ、しまった!典子の存在がいたか!)』
ゼット『(パカちゃんが一番大きな地雷を踏んじゃったっぽいわ!)』
ピンク(私のセンサーより拾う範囲が大きいわね……)
レンちゃん『敵です!敵です!』ポカッポカッ
ピンク『ちょっと、ポカポカすんのやめなさいよあんた!』
レン「………………むーーー!」ギュ-!
パワポケ「イダダダダダダダ!どうしたレン!なんで急に耳を引っ張るっ!!」
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サイデン『さて、みんな。今日は参加して貰い感謝している。9月より、こうしてまたメンバー同士で集まる機会に恵まれず、試合を行うにも様々な工面を行う必要があったが、メンバーひとりひとりの意欲が失われず、10月の今日にもう一度集まることができたのは新生デンノーズとしても誇らしい事だと思う』
パワポケ『サイデンの奴、結構キャプテンらしい貫禄がついてるじゃないか』
カイダ『あんた達が抜けて、オイラ達が参加して、色々なゴタゴタもあったでやんすからね。その度に矢面に立っていれば、自然とリーダーシップも生まれてくるものでやんす』
パワポケ『ほとんど押し付ける形で任せっきりになったから、サイデンには苦労をかけるよ』
サイデン『みんなも知っての通り、今日新しく2人のメンバーが加入した。パワポケとレンのAIだ。実力は自分たちの目で見た通り充分で、新戦力として大いに期待できる。ただ、実際の試合の際は、この2人には、パワポケ、レン両名に入れ替わる形で出場してもらうことになるだろう』
レン『ごめんなさい、みなさん。私たちも予定が合えば試合ができるんですけど。中々都合の取れる日がなくて……』
スター『レンちゃんもパワポケちゃんも、僕たちと違って暇じゃ無いもんね〜』
カイダ『今の時代は、なによりも仕事の方が優先されるでやんす。世知辛いでやんす』
EL『キミ、優先されるものが存在しなくないか?』
サイデン『今日をもって、新生デンノーズのメンバーは14人。そのうちパワポケ、レン、ヤハッシー、ノリコを除いた10人は、試合出場に折り合いをつけやすいメンバーと言えるだろう』
ピンク『ようは、”暇“組ね』
パワポケ(そうなんだろうけど……その言い方は、ぶっちゃけすぎだろ)
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サイデン『10人というのは、ちょうど、DH制で行う野球の試合の最低人数と、ピッタシ一致する。そこで、俺はみんなにある提案をしたいと思う』
パワポケ『提案?』
サイデン『11月より、ツナミグループの名称がジャジメントに戻ることは、みんなも知っての通りだろう』
パワポケ『ああ、ニュースでやってたな。確か……新会長の意向だっけな』
パワポケ(新会長は……ジオット・ゼヴェルス。パカにとっては、呉さんや、お姉さんの仇だ。なんとも……不気味な男だった)
スター『”ツナミネット“が、“ジャジメントネット”とかに変わる事はないけどね〜』
ゼット『今ある名称や規格まで変えてしまうと、混乱は免れないからな』
カイダ『まったく、変えたり、戻したり、変えたり、戻したり。大企業というのは、いつも身勝手でやんす』
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意外と長編でたまげたなぁ
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きちんと各キャラの性格掴んでるのが凄いわ
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サイデン『現ツナミグループは、これを記念して、10月中旬から11月にかけて、ツナミネット内にて大規模なe-Sportsの祭典を行う。そして、もちろんコンペには野球も存在する』
ピンク『つまり、野球の大会が行われるって話ね?』
サイデン『そう。優勝賞金は日本円に換算して810万0000円、準優勝でも364万3640円。もちろんチーム内で分配するから、優勝賞金を10人に振り分ければ、1人81万になるが……それでも一般層が参加できる大会としては、破格の金額だ』
カイダ『おお!オイラの軍資金を貯めるためにも、このチャンスを逃すわけにはいかないでやんす!』
パワポケ『って事はサイデン、お前の提案っていうのは!?』
サイデン『ああ!俺たちも、この大会に出場しないか!』
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開田「パワポケくん、遅いでやんすよ!30分もオイラを待たせるなでやんす!」
パワポケ「ごめんごめん、開田くん。色々手間取っちゃって」
開田「レンちゃんはどうしたんでやんすか?」
パワポケ「ああ、それが急な仕事が入ったみたいで、来れなくなった」
開田「男2人だと、むさ苦しいでやんすねぇ……」
パワポケ「そう言うなって。じゃあ、オカルト研究家って人のところに案内してくれよ」
開田「パワポケくんは勝手に着いてきただけでやんす!オイラを見失わないよう、さっさと歩くでやんす!」
パワポケ「あ、おい、いきなり歩き出すなって」
パワポケ(翌日、俺は開田と一緒に工業団地前にやってきた。なんでも、開田が近くに住むオカルト関係に詳しい人物と知り合いで、よく会っているのだとか。俺自身は、デウエスに関する情報を少しでも掴めればと思って着いてきたのだが……田西が言ってたことも、個人的に気になるな……)
-
パワポケ(『サイデン、みんな大会に参加する気満々だったな。良かったじゃないか』)
サイデン(『ああ、安心したよ。ひとまず第一関門は突破できた。BARUは、俺が適当に引っ張ってくる。……お前みたいに、俺は行動力も人望も無いから、新しいメンバーを勧誘するのも一苦労でな』)
パワポケ(『いや、俺はたまたま人の巡り合わせが良かっただけだって。お前は俺なんかよりもデンノーズのキャプテンとして、立派にやってるさ。ぶっちゃけ、俺は勝手に色んな人が集まってきただけだしな』)
サイデン(『……勝手に、ね。そういう事を言えるのが、お前の強みなのかもな。ネットとリアルでの違いなんか、俺自身がじゅうぶん理解してるつもりだ』)
パワポケ(『…………』)
パワポケ(田西とサイデン……か。お前が自分を卑下するなんて……らしくないぞ)
-
サイデン(『大会は、もともとAI選手の利用は認可されてるが、利用には特殊な条件がつきまとう。まずメインのIDとAI選手を紐付けすること。次に試合の際はそのIDが一定時間動作していないこと。まあ、試合のある日はパワポケとレンはツナミネットができないと考えてくれ)』
パワポケ(『残念だな。時間が空いてたら、試合に応援しに行こうと思ったのに』)
サイデン(『なんでもありだと、例えば、低レベルのAI選手をわざと対戦相手に入れて、楽々試合に勝つなんてイカサマができてしまうからな。時間と手間さえ惜しまなければ、対戦相手全てをAI選手にする事だって可能だ』)
パワポケ(『なるほど。俺たちみたいに、AI選手は誰かの変わりで出場しないといけないのか』
サイデン『元々は企業による使用を制限する目的で作られた規約だからな。他にも細かい条件は色々とあるが……まあいいだろう。何かと迷惑をかけるが、当日はよろしく頼む』)
パワポケ(『いや良いって。デンノーズの大会は俺に関係なくなっちゃったけど、陰ながら応援してるよ。優勝目指して頑張ってくれ』)
サイデン(『いや、関係がなくなった……そうとも限らないぞ』)
パワポケ(『ん?どういう意味だ?』)
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サイデン(『パワポケには話しておこうと思う。今大会、ツナミスタジアムと呼ばれているが……現ツナミグループもよほど力を入れているのか、現実とツナミネットの両方で、度々大きなプロモーション活動を行なっている』)
パワポケ(『それが俺に関係あるのか?』)
サイデン(『それ自体は特になんでもない宣伝なのだが……ツナミネット側で広告塔として活動している人物が、お前に関係しているんだよ』)
パワポケ(『広告塔が、俺の関係者?……い、いや、特に誰かがそんな事をしたとか聞いてないぞ?大会があるってのもお前から知ったのが初めてだし』)
サイデン(『広告塔の名前は”カオル“……お前ならわかるな』)
パワポケ(『カ、”カオル“……!』)
レン(『パワポケさん、こっちはダメでした。みなさんに聞いてまわったんですけど、やっぱり、誰もデウエスの事は知らないみたいで……』)
パワポケ(『“カオル”……!?“カオル”が大会の広告塔!?』)
レン(『あれ、パワポケさん……?』)
-
パワポケ(あの後、ネットで調べて判明したことが2つある。1つは、9月の終わり頃より、ツナミネットにて、野球……サッカー……ラグビー……全てのe-Sportsの祭典であるツナミスタジアムの宣伝のため、カオルというアバターを世界各地に“大量に”ばら撒かれているということ。もう1つは、そのカオルが、まさに俺たちが知っているカオルの姿だということだ。なぜ、ツナミが大量のカオルを派遣しているのかはわからないが……)
パワポケ(俺とレンの前に現れた”デウエス“と、ツナミネットの広告塔である”カオル“。この両者の登場が、偶然だとは思えない。もし何らかの目的でツナミがデウエスとカオルを利用しているなら、ネット内外問わず、何か別の動きがあるはずだ。開田のいうオカルト研究家という人が、あてになる保証は何もないけど……)
パワポケ(ミーナさんも渦木さんも、急に連絡が取れなくなったみたいで、今は誰でもいいから情報通の人が欲しい状況なんだよな……)
カイダ「パワポケくん、この階でやんすよ」
パワポケ「……あれ?このアパート、なんか見覚えがあるな」
カイダ「そうでやんすか?まあ、日本の集合住宅なんて、どこも似たりよったりでやんすからね」ピンポ-ン
『言っとくけど、新聞ならとらないからな!宗教にも興味ないぞ!』
パワポケ(あれ、この声も、聞き覚えがあるような……)
カイダ「千脇さ〜ん、オイラでやんすよ〜」
パワポケ「……千脇……?千脇……ちわき……」
ガチャ
千脇「開田くんか!すぐに入ってきてくれたまえ……と、おや、もしかして君は……?」
パワポケ「あっ、こ、こ、こ、この人は!?」
カイダ「ん?二人とも、急にどうしたでやんすか?すぐにオイラを置いてけぼりにするなでやんす!」
-
開田「なんだ、パワポケくんも千脇さんと知り合いだったんでやんすね」
パワポケ「ああ、呪いのゲーム騒動の際、不思議な話に詳しい人を探しててね。それで出会ったのが千脇さんだったんだ」
千脇「あの時の記憶は、未だにハッキリしないけどね。だが、とある記事に載っていた、ミーナという人物による”顔のない女“の告発文。それから開田くんから聞いた情報と、デンノーズの存在。そこから論理立てれば、ある程度何があったか、推測できる」
開田「オイラもミーナさんから話を聞くまでは、パワポケくんの話を信じてなかったでやんすけどね。だから、パワポケくんは、ミーナさんに感謝するでやんすよ〜」
パワポケ(そこは信用しろよ!親友なんだから!……でも、そうか、ミーナさんの苦労が、こんな所で身を結ぶとはな)
-
パワポケ「千脇さんから呪いのゲームの話を聞いていなかったら、最悪、俺警察に捕まってたかもしれなかったです。あの時は、ありがとうございました」
千脇「なになに、大した事をした覚えはない。だが、なるほど。僕が情報を与えたおかげで、君がデウエスを退治できた。つまり、間接的にだが、僕は君の“命の恩人”になるわけだね」
開田「それなら、オイラが中山先輩の資料を残していたおかげで、パワポケくんがデウエスを退治できたでやんす!つまり、間接的にオイラもパワポケくんの”命の恩人“でやんす!」
パワポケ「え?い、いちおう……そうなる……のかな?」
パワポケ(何か違うような……って、開田に関しては、先輩の資料をマニアショップに売ってただろ!)
-
パワポケ「でも、話が早くなって良かった。実は、また、デウエスが現れたんですよ。いつ頃から現れたのかも、今なんの目的で動いているのかもわからなくて……千脇さん。もし何か情報を掴んでたら、教えて欲しいんですけど……」
千脇「えっ!またデウエスが!?……その話、詳しく聞かせてもらってもいいかいっ!?」
パワポケ「うわっ!……も、もちろんいいですけど……」
パワポケ(急に身を乗り出してきたから、ビックリしたな)
開田「千脇さん、こういう話には目ざといでやんす……」
(デウエスの存在と、デウエスとカオルの関係性について千脇に説明した)
千脇「なるほど。ツナミネットを徘徊する“お巡りさん”……か」
-
パワポケ「デウエスはそう言ってて、本人の話では、一応、害は無いみたいなんですけど」
開田「なんか嘘っぽいでやんすけどね〜。第一、急に現れて、説明だけして、何もせず帰るなんて、ちゃんちゃらおかしいでやんす」
パワポケ「まあ、そう言われるとそうなんだけどさ。ただほら、警告をしにきたっていうのも、別に辻褄が合わないわけでもないだろ」
千脇「ふむ。しかしそれは矛盾してるな。ここ最近のツナミネット内で、“顔のない女”を見たという目撃情報は、僕が知る限りだと何も無い。第一、デウエスはネット内では、ちょっとした有名人でもあったからね。もし目撃情報があったら、君が調べる範囲でも見つかるほどに広まるだろう」
パワポケ「うっ!で……でも、そういう情報はツナミに削除されてたのかも……」
開田「だからといって、あんた達の前に現れる理由は無いでやんす」
パワポケ「それは、ほら、俺とデウエスは知り合いだから……」
開田「“殺し殺される同士”の関係を知り合いで済ませるなでやんす!そんな事言ったら、オイラだって知り合いでやんす!」
千脇「それに、情報の拡散を防ぐというのは思っているよりよっぽど難しい事なんだ。それこそ、呪いのゲームが広まったのと同じように、口伝から噂話として多くの人々の耳に入る。少なくとも、君たちデンノーズのメンバーも誰も知らないというのは、よっぽどの事だと言える」
-
開田「なんといっても、デンノーズは暇な奴らの集まりでやんす!そういう情報があれば、すぐに入ってくるでやんす!」
パワポケ「おいおい、誇れることかよそれ……」
パワポケ(弱ったな。話せば話すほど、デウエスが嘘をついているような論調になっていくぞ)
千脇「……まあ、デウエス自身による妨害行動が無いのもまた事実だから、あと考えられるのは、君たちと出会ったときに、すでに奴の目的は達成されていた。とかかな」
パワポケ「!……なるほど」
開田「パワポケくんと出会うこと自体が目的だった……というでやんすか?」
千脇「論理としては突拍子もないけど、考えられる要因ではあるよね」
開田「またまた〜。デウエスがパワポケくんに惚れてて、『会いたくなっちゃった❤︎』とでも言うんでやんすか?」
パワポケ(……“デウエス”自身は、復活した後にわざわざ俺と会う理由はないだろう……だが、彼女が“カオル”だったらどうだ?もしそうだったとしたら……)
-
開田「おやおや、パワポケくん?満更でもない顔でやんすね〜。レンちゃんに言いつけてもいいんでやんすか〜?」
パワポケ「えっ!?お、おい、違うって。そういう考えしてたわけじゃないよ」
千脇「『レンちゃん』……って誰だい?」
開田「パワポケくんの彼女でやんす!実は今日も、ここに来る予定だったでやんすが……ちなみに、めちゃくちゃ可愛いでやんすよ!」
千脇「あ……なるほど。やる事やってんのね、君も」
開田「ちなみに千脇さんはどうなんでやんすか?」
千脇「……ふむ。その情報は、僕のデータベースの中でも”トップシークレット“。知りたいなら、高くつくね」
開田(つまり、彼女いないんでやんすね)
-
千脇「どうやら、その件に関しては、僕は力になれそうもないみたいだね」
パワポケ「いえいえ、話を聞いて参考になりました。とりあえず、デウエスがほとんど活動を見せていないというだけでも、確かな事がわかったので」
開田「千脇さん、場も温まったところで、そろそろ本題に入るでやんす!」
パワポケ「本題?……ってああ、ごめんごめん。今日は開田くんに用が有って、俺はついでで来てたんだったな」
開田「そうでやんす!まったく、いくら設定の辻褄を合わせたいからって、無駄話が多すぎるでやんす!」
千脇「ようし。じゃあ二人とも、僕のPCの前まで来てくれ」
-
千脇「そうだ、開田くん、“あれ”を見せる前に、パワポケくんに、前提知識として説明しなきゃいけないことがあるね」
開田「あ、そうでやんすね……パワポケくんも、聞いて腰を抜かすんじゃないでやんすよ!」
パワポケ「前提知識、ですか?」
千脇「……うん。そうだな、君は『コピー&ペースト』というのを知っているかな?」
開田「いわゆる、『コピペ』という奴でやんすね」
パワポケ「……ええと、使いたい文章を切り取って、別の場所に貼り付ける……あれのことですよね?」
パワポケ(俺、機械には疎いけど、流石にそれくらいは知ってるな。コーチ業で球児たちの資料を作成するときにも、良く使うしな)
-
千脇「実際の意味はそうなんだけど、コピペにはもうひとつ、『スラング』的な意味合いで使われているものがあるんだ」
パワポケ「『スラング』ですか?」
開田「例えば、『チョベリバ』なら『チョーベリバッド』、『KY』なら『空気読めない』の略、といったような言葉の事でやんすね」
パワポケ「……なるほど。わかるような、わからないような」
パワポケ(というか、開田があげてる例、どことなく古臭くないか?)
千脇「まあ、ある特定のコミュニティの中で面白がって使われる専門用語……という認識でいればいいかな」
-
パワポケ「ああ、だいたいわかってきましたよ。千脇さん、見せたい“あれ”っていうのは、その専門用語の事ですね?」
開田「より正確にいうと、その先でやんすけどね」
パワポケ「?」
千脇「まあ、パワポケくんもこっちも一度見た方が、説明がスムーズにいくかな。ちょっとこっちにきて、この文章を読んで見てくれないか?」
パワポケ「わかりました。どれどれ……」
-
野獣ママ「ゆうすけ、起きてくれよなぁ〜頼むよぉ〜」
ゆうすけ(あなたですよん)「zzzz」
野獣ママ「お、お前さゆうすけさ、狸寝入りしてんだら?さっさと起きろよ起きろよぉ〜♥︎♥︎♥︎」
ゆうすけ「これは寝言だけどママのミルクを飲まなきゃ起きませーん!それに朝勃ちもしてるからこれも鎮めないとねぇ〜」
野獣ママ「ファッ!?朝っぱらからセクハラとかやっぱ好きなんすねぇ〜」
ゆうすけ「早くしないと学校に遅れちゃうけど言うとおりにしてくんなきゃ一生寝たきりのままなんだよなぁ〜」
野獣ママ「まったく、しょうがねぇなぁ〜ホライグどぉ〜」
ブラジャーのホックを外し、豊かな乳房が弾けるように飛び出す。中身は特濃野獣ミルクがたっぷり詰まっており、ゆうすけは毎朝これを紅茶に入れてから登校しているのだ。
授乳を施そうと、勃起した変色乳首をゆうすけの薄く開かれた口へと当てがう。呼応するように、乳首の先に歯が当たる。
野獣ママ「チンポもシコシコしてやるからなぁ〜♥︎♥︎♥︎♥︎♥︎」
ゆうすけ「ママーッ!!!!!!!!」
ぬっと伸びた手がシーツの盛り上がりに触れる。ただそれだけで、ゆうすけはほとばしるような叫びとともに射精した。たまげたなぁ。
-
パワポケ「な、な、な、なんぞこれぇぇぇえええええええええええ!!!!!!!!!!!!!!」ガガ-ン
パワポケ(な、なんていうか……め、目がクサる!!!)
開田(ああ……いいでやんすね。こういう初々しい反応は。デンノーズの奴は、耐性のあるつまらない奴らばっかでやんすから)
千脇(趣味が悪いな、君も)
パワポケ「え、ちょっと待ってください。いったいなんなんですかこれ。文章?っていうか、徹夜明けの人の脳味噌をホルマリン漬けにして、強い電気ショックを与えても到底こんなとんでもない文章が思いつくとは思えないんですけど……」
千脇「いわゆる“怪文書”と呼ばれ、ネットに多く出回っている曰く付きの文章だ」
開田「便宜上、このコピペは”野獣ママ“と呼ばれているでやんす」
パワポケ「や、野獣ママ……」
パワポケ(それって、動物なの?人間なの?動物の母親?っていうかゆうすけって誰だ?ツッコミどころが多すぎるぞ……)
-
パワポケ「……あっ!ていうか、俺これに似たの見た事ありますよ!」
千脇「ほう?ネットに疎いパワポケくんがかい?それは興味深いな」
開田「ぎくっ」
パワポケ「……そうかゆうすけか。開田っ!レンに変なこと吹き込んだのもお前の仕業だなっ!」
開田「わ、悪気は無かったんでやんすよ〜。ただ、部屋のPCをつけっぱにしてたらたまたまレンちゃんが見ちゃって、それがすごいウケが良くてAIに転用しようという話になっただけでやんす……そ、それに田西だって共犯でやんす〜!」
パワポケ「問答無用っ!」グギギギギキ
開田「ぐわ〜っ!関節技はやめるでやんす〜!!」
千脇「……なんでゆうすけを残したんだ?」
開田「コピペ改変は最後だけ残すのが、オイラの美学でやんす!」
千脇「……そうかい(美しいのか、それは?)」
-
千脇「……落ち着いたところで、ここからは大真面目な話をさせてもらうよ。まず、その野獣ママが初めて確認されたのが、昨月の上旬……つまり9月10日だ。その日にとある事件が起きた」
パワポケ「……事件?」
千脇「当時のネット上では、“例のアレ騒動“としてもっぱらもちきりだったね。実はネットだけではなく、各種メディアにも取り上げられ、新聞の記事にも小さく載った事がある」
開田「パワポケくん、”ツナミ図書館の差し替え事件“って言えば、ピンと来るんじゃないでやんすか?」
パワポケ「ツナミ図書館……ああ、確か、保管された電子データの文書の一部が、誰かにハッキングされてデタラメな文章に書き換えられたってやつか?結局、返金問題にも発展して、ツナミが多額の損害賠償を支払ったとか」
開田「そうでやんす!実は、その時に書き換えられた文章こそ、この野獣ママでやんす!」
パワポケ「ええ……!でも、ニュースでは特にそんなこと触れてなかったぞ」
千脇「まあ、この文章自体が触れづらいというのもあるけど。それよりも、問題そのものは、ツナミがハッキングされたという事実に対してある」
パワポケ「ツナミがハッキングされた……まあ確かに、巨大企業としては、あまりない出来事な気がしますけど」
千脇「あまりないどころじゃない。これはとんでもない事なんだ。何故なら、ツナミが所有しているメインサーバを解析するには、『今の世の中にあるスーパーコンピュータ全てを500万年フル稼働』させて、やっと解けるか解けないか……というところだからね」
-
いきなり野獣ママ出てきて草
-
パワポケ(500万年……途方もない数だ……!)
千脇「当然、ネットでは様々な推論が飛び交った。常に議題の中心部にあったのは、“誰が野獣ママを作り、どういう方法でツナミ図書館のハッキングを成功させたか。犯人は個人なのか、組織なのか”だ」
開田「なにしろ、犯行声明そのものが存在しないでやんすからね。誰の仕業なのか、全くの謎なんでやんす」
パワポケ「野獣ママそのものは、その犯人が作った怪文書なんですか?」
千脇「順当に考えるとそうだろう。かなりの数の人間が怪文書の出所を調べて回ったが、同一と見られる文書はどこにも存在しなかった」
パワポケ「……うーん。考えてみると、そもそもなんでわざわざこんな文章を使ってハッキングしたのか、全くわからないな」
千脇「そこが、この怪文書の“神秘性”を高めているところだね」
-
パワポケとNaNじぇいの組み合わせはもっとやれ
-
最初のつかみかと思ったゆうすけコピペがしっかり回収されてて草
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パワポケ(し、神秘性……?)
千脇「ツナミがわざわざ怪文書の存在を伏せた上でハッキングを公にした理由はわからない。ただ、そのおかげで逆に多くの人の関心を惹き、コピペとして出回るようになってしまった。まあ、企業のまずい対応の例としては、良い教材じゃないかな」
開田「ほとんどの人は、きっとオイラみたいにこのコピペを面白半分で流してるでやんすね!」
パワポケ「千脇さん自身は、この野獣ママは、なんだと思うんですか?」
千脇「よくぞ聞いてくれた!僕はね、この野獣ママはウィリアム・シェイクスピアの『真夏の夜の夢』をモチーフにした創作戯曲の始まりで──」
パワポケ(あ、あはは。なんか長くなりそうだ……しかし、怪文書と、そのハッカーか。確かに多くの謎は気になるけど、デウエスとは、特に関係なさそうだし……これ以上ここに長くいても、あんまり実りのある話はないかもしれないな)
-
チャ-チャチャ-ララチャ-チャチャ-♪
千脇「おや、ハンガリー舞曲かい?どっちの携帯が鳴っているんだ?」
パワポケ「あ、俺です。すみません、ちょっと電話出ますね」
ピッ
パワポケ『もしもし……』
『パワポケッッ!!今あんたどこにいるの!!』
パワポケ『うわっ!美保、急に怒鳴るなよ。どうしたんだ?』
『どうもこうしたもないわっ!典子ちゃんが……典子ちゃんが!!』
パワポケ『典子ちゃんが?……交通事故?うん、急いで向かう。場所は東ジャジメント病院ってところ?わかった、こっからだと少し時間がかかるけど、すぐ行くから落ち着いて待っててくれ』ピッ
千脇「……ミホとかノリコとか、彼、女の子の知り合い多いんだね」
開田「パワポケくんは、なんと言っても二股の帝王でやんすからね。寄ってくる女をちぎっては投げちぎっては投げ……」
-
ポカリッ
開田「痛いでやんす……」
パワポケ「ホラを吹くな!俺はレン以外の女の子と付き合ったこと無いよ!……あの、すみません。千脇ん、お話のところ悪いんですけど、急用ができちゃって……」
千脇「ああ、急用なら仕方ない。しかし残念だな……君にも”あれ“を見せたかったのだが……」
パワポケ「また次の機会がありましたら、よろしくお願いします。ではっ、ありがとうございました!」タッタッタッタ
開田「……行ってしまったでやんすね。忙しい奴でやんす」
千脇「ちなみに開田くんは、彼女とかはいるのかい?」
開田「オイラは、ネットのできる環境と、限定フィギュアと、3度の飯さえあればじゅうぶんでやんす」
千脇(つまり、彼女いないんだな)
-
一方たどころ・・・
パァンパァンパァン!!
パパァキュルルルルブロロロロ...
ルッカ「危ないところを助けていただきありがとう。ミスター、イワン……イワノフ?どちらで呼べば良いのでしょうか」
イワノフ「どちらでも構いません。……お好きなように」
ルッカ「では、敬意を込めてイワノフと呼びましょう。……率直に聞きますが、あなたがここに訪れたのは、ジオットの差金かしら」
イワノフ「……お答えには、満足な回答を差し上げられないかと。私はただ、アジムよりあなたのボディーガードを依頼されただけですので……」
ルッカ「現ツナミグループのトップが、反ツナミ連合の長を助ける……ククッ、傘下の連中が聞いたら、どんな顔を見せるのか……」
イワノフ「…………………………」
ルッカ「あら、イワノフ。あなた、無口ですね」
イワノフ「…………………………」
『局長さん。今お電話繋がりますか〜?』ザ-ザ-ザ-
ルッカ「ええ、カオル。繋げなさい」
『は〜い、D-10地区、No.114514、モデル“ステロイド”のカオルです』
-
イワノフ「…………”ステロイド“?」
ルッカ「あなたは気にしないで結構。……カオル、”例のアレ“は見つかったのかしら」
『局長、変な事聞きますね。見つかってなかったら連絡寄越さないですよ』
ルッカ「……そう。続けなさい」
『ツナミが隠してた膨大なバックアップデータを解析して、出てきたファイルを反ツナミ連合の維持局に保管しました。何かあれば、すぐにでも起動できますよ』
ルッカ「そう、わかりました。もう探知はやめて、誘き出しにかかってよろしい。他のカオルにも、そう伝えておく事」
『いやだなー局長。それくらいやってから来てるに決まってるじゃないですか。”野獣先輩ウィルス“の感染率は上々です。予測通りなら11月には全ての媒体と完全に一致しますね』
ルッカ「……わかりました。では、デウエスの捜索も急ぐ事」
『あ、それも終わりましたよ。局長、情報伝達が遅いですね。それとも人間の老化って結構早いものなんですかね?』
ルッカ「……ご苦労様。もう下がってよろしい」
『あー今調べたら老化に効くサプリメントが中東圏内でも低価格で販売されてるみたいなので局長も──』ブチッ
ルッカ「……いちいちじゃあかしいのよっ!」ガンッ!
イワノフ「うおっ!!」
キキ-ッ!プウン!
ルッカ「おっと、失敬……」
イワノフ「……………….(この人、コワイ)」
-
・・・・・・
パワポケ「美保、典子ちゃんの容態はっ!」ガチャッ
美保「遅いじゃない!何やってんのよアンタ!」
パワポケ「はあ、すまん……はあ、電車が、はあ、遅延してて、はあ(今日は、何かと遅い遅い言われるな、俺……)」
美保「まったくすっとろいわね。こんな大事な時ぐらいタクシーでぜーんぶ飛ばして来なさいよ!」
パワポケ「お前じゃないんだから、長距離は無理だよ……んぐっ、ふう。……それより、典子ちゃん、大丈夫なのか!?」
典子「…………息」
パワポケ「……え?」
典子「……息、上がってる」
パワポケ「え、ああ?駅から、ずっと走ってきたからね。」
典子「ここ、病院ですけど。廊下、走ったんですか?」
パワポケ「え?えっと、ちょっとは抑えたよ、もちろん」
典子「抑えたんだ。私のこと、心配じゃなかったの?」
パワポケ「じゃ、じゃあ、思いっきり走りました」
典子「誰が、誰を心配して?」
パワポケ「俺が、典子ちゃんを心配して、全速力で駆け付けてきました!」
典子「……うん。ダメ大人ですね。相変わらず」
パワポケ「ああ……(なんなんだ、この茶番は)」
美保(そうとう飼い慣らされてるわね、こりゃ)
-
典子ちゃんかわいい
-
パワポケ「交通事故って聞いたけど、いったい何があったんだ?」
美保「自動車同士の衝突事故に、偶然典子ちゃんが巻き込まれちゃったみたいなの。ほんと、いい迷惑だわ!」
典子「車の散らばった破片を踏んで、自転車を転倒させちゃいました。幸い、片足の骨折だけで済んだけど、お医者さんからは、完全に治るまで一ヶ月くらいかかるって言われて……」
パワポケ「一ヶ月……11月の頭くらいまでか。できるだけお見舞いに来るよ」
美保「お金の事は心配しないで!示談金ガッポリ要求したから。典子ちゃんを傷つけたんだから、もう全身の毛全部むしり取って内臓までもらう勢いで行くわっ!」
パワポケ(こう言う時のミホは、心強いな……って臓器はダメだろっ!裏の人かっ!)
典子「ふふ、ありがとうございます、ミホさん。でも、別のところで、心配な事があるかな……」
パワポケ「もしかして、アパートのヒマワリの水やりかな?それなら、俺が毎日やっておくよ」
典子「いや、パワポケさんの食事……毎日朝昼晩、ずっとレンさんが作ってるわけでもないでしょ」
パワポケ「お、俺の!?」
美保「ちょ、ちょっとアンタ、まさかまだ中学生に食事をたかってんの!?」
-
パワポケ「いや、違う!!レンがいない時だけ、典子ちゃんからお裾分けしてもらってるだけだ!!断じてたかってる訳ではない!!」
美保「アンタ広辞苑とか開いた事ある?お裾分けってそんな狙ってして貰うようなものだったっけ?」
典子「私とレンさんがいなくなったら、パワポケさん、食事はどうするんですか?」
パワポケ「ええと、そうだなぁ……雅美さんに、余り物でも貰おうかな?」
典子「雅美さんがいない日は?」
パワポケ「うーん、パカに料理でも作ってもらおうかな?最近勉強してるみたいだし」
典子「……パカーディさんもいない時は?」
パワポケ「あー、ピンク……じゃなくて桃井と飯でも食いに行こうかな?あんまりアイツと会う時間も少なくなったからな」
典子「…………あの、桃井さんもいなかったら?」
パワポケ「…………あっ!ミホ。お前の弁当、なかなか美味かったぞ」
美保「ふんっ!」バキッ
パワポケ「ぐえっ!」ブホッ
美保「ゴメンね典子ちゃん。今、アタシの中の確かなプライドが、コイツの存在を許せなかったの」
典子「…………」
-
典子「…………ちなみに、ちなみにだけど、誰の料理が一番美味しかった?」
パワポケ「え?そうだなぁ。俺はやっぱ典子ちゃん」
典子「!」
パワポケ「……の作るエビフライかなぁ!俺、好きなんだよエビフライ!」
美保「それってただアンタの好物あげただけでしょうがっ!私やレンさんが作っても変わらないでしょ!」
パワポケ「いや、そんな事ないぞ。焼き加減とか調理方法とか、色々変わるだろ、多分!」
美保「適当すぎるでしょアンタ!そんなんでよく味を比較しようと思ったわね!」
典子「……もう作りません」
パワポケ「え?」
典子「パワポケさんには、エビフライ、もう作ってあげないから」
パワポケ「そ、そんなぁ!?ど、どうかそれだけはっ!許してくださいっ!典子様ぁ!」
典子「許しません。……ふふっ、退院したら考えてあげます」
-
完全に餌付け調教されてますね…
-
美保「アンタせめて簡単な料理くらいしなさいよ。毎日、レンさんに負担かけまくってるんじゃない?今は良くても……いつか、捨てられるわよ」
パワポケ「うっ……お、俺だって料理くらいできるよ。冷蔵庫から卵を取り出して──」
美保「“卵かけご飯が作れます”とか言ったらもう一発行くから……頭に」
パワポケ「フ、フライパンの上に……(よ、読まれてる!?)」
美保「ふんっ、及第点と言ったところね」
典子「包丁、触った事ある?」
パワポケ「か、家庭科の授業で主に……」
美保「全国民の体験談を惜しげもなく披露するなっ!」
典子「そうだ。お見舞いのフルーツがあるんだった。悪いですけど、美保さん、籠を持ってきてくれませんか?」
美保「うん、今持ってくるね、典子ちゃん」
パワポケ「へー、お見舞いか……」
美保「アンタがくる前に、アンタのアパートの大家さんと、平良木の奴が一緒にスッとんで来たのよ。特に、大家さんは血相を変えてね」
パワポケ「なるほど。大家さんが……(大家さん、典子ちゃんを孫のように可愛がってたからな……不安だろうな。帰ったら、声をかけてみるか)」
典子「平良木さんからは、励ましの歌を貰いました。上手くはないけど……嬉しかったな」
パワポケ「た、平良木もね……(スターの奴……ここ、病院だぞ?)」
美保「はい、典子ちゃん持ってきたよ」
典子「あの、パワポケさん。リンゴの皮むきしてみない?」
-
パワポケ「リ、リンゴか……(い、いきなり難易度高くないか?)」
典子「じゃあ、自分で切って食べるんでいいです。特に手は怪我してないので」
パワポケ「おいおい、入院患者にそんな事させられないよ。わかった、俺が切るから、ミホ、包丁貸してくれ」
美保「はい。アンタ、自分の腕切断しないでね。流石にアンタの分の入院費は払わないから」
パワポケ「……あはは……(ちょっと、ワラエナイ)」
典子「リンゴは、てっぺんからくるくる剥いていくか、先にある程度切り分けてから皮を剥くか。どちらか二つの方法があるの」
パワポケ「頭から剥いていくやつは、ドラマの病室のシーンとかでもよく見かけるな。ちょっと、憧れたりはするけど……」
美保「あんた、包丁不慣れなんでしょ?血だらけになりたくなかったら、やめた方がいいわ」
パワポケ「そ、そうだな。じゃあ、切り分けるやり方でリンゴ剥く事にする(ミホ、さっきから物騒だよっ!)」
-
パワポケ「よし、出来た!出来たぞ、ミホ、典子!見てくれっ!!」
美保「どれどれ……うわー、ブッサイクな集団ね。アンタ、不器用なの?」
パワポケ「初めてにしては、上出来だ!!将来性を評価してほしいね!!」
典子「ふふ、それとか、3口くらいかけないと食べられないんじゃない?」
パワポケ「じゃあ典子、フォーク持ってきたから……」
典子「食べさせてください。すごくお腹すいたので」
パワポケ「え?……あの、自分で食べないの?」
典子「怪我しちゃったので」
パワポケ「あれ、でもさっき、手は怪我してなかったって……」
典子「いま、怪我しました」
パワポケ「え、それは……」
典子「パ、パワポケさんは……中学生をイジメて楽しいんですか?」
パワポケ「わー!わかった、わかったよほら、小さいのからね」
典子「はむっ…………うん、美味しい」ニコニコ
-
典子「じゃあ、次はパワポケさんの番、はい、あーんって、して」
パワポケ「えっ!!手が怪我してんじゃ……」
典子「怪我、治りました」
パワポケ「えっ!そ、そうだ。まだ一個しか食べてないじゃないか!?」
典子「私、もうお腹いっぱいなので」
パワポケ「でも、さっき、すごくお腹すいてるって……」
典子「パ、パワポケさんが、また中学生をイジめます」
パワポケ「わ、わかったよ……」
典子「はい、あーん」
パワポケ「あーん……(俺、病室で、自分で切ったリンゴを中学生に食べさせてもらってるぞ……)」
典子「美味しい?」
パワポケ「モグモグ……うおっ、スッゲーうまい!」
典子「そう。よかったね」ニコニコ
美保(あらら……典子ちゃん。さっきまで塞ぎ込んでたのに、すっかり元気になっちゃって。ちょっと、外の空気でも吸ってこようかな……って……あ、あれは!)
レン(えーっと、典子ちゃんの病室は……と)キョロキョロ
-
やべぇよやべぇよ…
-
レン(ミホちゃんから典子ちゃんが交通事故に遭ったって連絡を受けて、ほるひす部長に仕事を任せてもらって急いで飛び出してきたのはいいけど……)
レン『あの、すみません。この病院の関係者の方でしょうか?』トントン
『はぁぁぁぁああああああああい!!!!なんですかぁあああああああああああああ!!!!!』
レン『えっと、田村典子という人の病室を探してるんですけど……(うぅ……すっごく声がデカいです。この人)』
『典子ちゃんのぉおお!!部屋番号はああああああああ!5、9、6、3、ごくろうさあああああああああああああん!!』
レン『あ、ありがとうございます……あの、この病院とても広いですね。お爺さまやお婆さま方は、移動に苦労されると思うのですが……』
『こら、そこの君っ。それ以上の苦言は認めん……病院のブランドに傷がつくからな……』
『何が病院ブランドですかぁああ!!こんなジジババのたまり場に権威なんてありませぇええん!口コミも最悪なんだからこれ以上傷ついたってたいして変わりませんよぉおおおお!』
『なんだとぉ……』
レン『(二人で言い争いをしたまま何処かに行っちゃいました……)』
-
レン(あの後、やけに体格の良い看護婦さんに階数を教えてもらったから、このフロアに典子ちゃんの病室があると思うんだけど……あっ!)
美保「あ、レ、レンさん!」
美保(ヤバイ、発見された!正直今パワポケと典子ちゃんめちゃくちゃ良い感じの雰囲気なのよね。いくら中学生といっても、デンノーズ内でもレンさんの嫉妬深さは有名だし……今の二人と引き合わせちゃ何が起こるかわからないっ!)
レン「ミホちゃん!よかった〜、見つかって。私、このままずっと迷っちゃうんじゃないかと思いました!」
美保「アハハ……ご無沙汰してます」
レン「あの、典子ちゃんの様子は……」
美保「えっと、片足の骨折みたいで。だいたい一ヶ月様子を見るみたいです」
レン「そっか。典子ちゃん、ショックですよね……」
美保「はい。幸い命に別条は無いんですけど、やっぱり本人的にも怪我に落ち込んじゃってて……今、パワポケが中で一緒にいます」
レン「パワポケさんも来てるんですか?ちょうど良かった!三人いれば、典子ちゃんを励ます力も三倍ですねっ♪」
美保「い、今はそのー、あまり覗かないほうが……あ、聞いてレンさん!」
レン「典子ちゃん!いきなりごめんねっ!?私、事故にあったって聞いたから心配……で……」
美保「パ、パワポケ!中学生相手は犯罪だからね!(えーい覚悟を決めろ矢橋美保っ!せめて決定的な場面じゃありませんよーにっ!!)」
レン「……パワポケさん?のりこ……ちゃん?」
美保「……レ、レンさん……?」ドキドキ
レン「…………ふたりで、何をしているんですか?」
美保(お、終わった……)チラッ
典子「あはは!流石に口の中にリンゴ4つは入らないんじゃないですか?」
パワポケ「はへほほへはほふはひへはへふ!!(食べ物で遊んじゃいけません!!)」
美保「ズコーッ!!」ズテーン
-
パワポケ「自動車7台を巻き込む衝突事故?」
レン「はい、来る途中で、ニュースで流れてきました。ミルキー通りの国道線沿いで、大規模な事故が発生したと」
美保「私もブランドショップで買い物してたら、いきなり外から大きな音がしてきて……現場に向かった時にはもう、救急車に運ばれていく典子ちゃんが見えたの」
典子「私の怪我は、事故とはあまり関係なかったですけどね。バラバラになった破片を自転車が拾い上げちゃって……足は痛いし、みんなに見られて恥ずかしいしで、声も出なかった」
美保「関係なくなんか無いわ!どれもこれも事故を起こした奴らが悪いのよ!片っ端から慰謝料請求してやるわっ!」
典子「ふふ、ミホさんが怪我したわけじゃないのに」
レン「私も、ミホちゃんと同感です。押し付けがましいかもしれませんが……典子ちゃんが悲しい気持ちをしていると、私達も悲しいです。いつだって、私達を頼ってください」
典子「レンさんも……ありがとうございます」
-
パワポケ「しかし……どうしてそんな大きな事故が起きたんだろう?」
美保「どうしてもこうしてもあるの?交通事故の原因なんて、大抵は運転者の不注意によるものでしょ?」
パワポケ「いや、それはそうなんだけど。俺もミルキー通りにはよく行くけど、あの見晴らしの良い通りで、そんな大きな事故が起きるとは思えないんだよな」
典子「私自身も、事故現場とは離れたところで転んじゃったから、詳しいことはわからない。だけど、最初に事故が起きた時は、前を走ってた車に向かって、横から猛スピードで別の車が飛びしてきたと思う」
レン「信号無視……という事でしょうか。詳しい事情は、現場検証が終わって、情報が出てくるのを待つしかないですね」
パワポケ「もしかしたら、典子のところにも、警察の人が事情聴取しに来るかもしれないな」
典子「警察……」
美保「バ、バカ!不安にさせるような事言うんじゃない!ちょくちょく警察の世話になってるアンタとはわけが違うの!」
パワポケ「ご……ごめんごめん!」
パワポケ(いや、確かに渦木さんには色々助けてもらったけどさ。その言い方だと誤解されちゃうだろっ!)
-
レン「あの……典子ちゃん!私、明日からもときどきお見舞いに来るね!造花だけど、綺麗なお花を持ってきて、お部屋の中に飾るから……」
美保「アタシも今日はここに残っていく。もし、明日から事情聴取があれば、典子ちゃんひとりじゃ大変でしょうし。お姉さんが側に居てあげないと!」
典子「お二人とも、何から何までしていただいて……本当に、ありがとうございます」
パワポケ(お姉さんって……)ケゲン
美保「パワポケ……何か文句でも?」
パワポケ「いいえ、ナニモアリマセン」
レン「私達だけじゃなく、デンノーズのみんなにもお見舞いに来てもらいます♪ちょっとキャラの濃い人ばかりですが……みなさん、優しい方ですよ」
典子「ふふ、平良木さんみたいな人ばっかだったら、ここも賑やかになっちゃいますね」
パワポケ「典子ちゃん、俺だっているぞ!」
美保「なに?アンタに何ができるの?今だって、ヒモ無職からヒモコーチに変わっただけじゃない。無職時代にアタシがしてあげた資格勉強を、全部放り投げたのはどこのどいつだっけ?」
パワポケ「うぐっ。あ、あれは目標がなかったから。野球コーチになった今、野球関係のことならどんとこいだ!」
レン「それって……典子ちゃんとあまり関係ないような……」
-
パワポケ「え、そう?典子ちゃん、デンノーズとか興味ない?」
典子「一応、パワポケさんに誘われたから入ってはいるけど……今のところ、野球自体、あまり興味はないかな」
パワポケ「そ、そんなぁ!」
美保「……アンタ、もっと実りのある事しなさい。例えば、喉が渇いてる典子ちゃんのために、自販機からジュース買ってくるとかさ」
パワポケ「それ、ただのパシリじゃないか。まあでも、雑用係なら買って出るよ。何か困った事があったら、遠慮なく俺に言ってくれ」
典子「遠慮なく……そんな約束しちゃっていいのかな。もしかしたら私、すごいワガママ言うかもよ?」
パワポケ「いいさ。ワガママ結構、典子ちゃんは、今まで少し良い子すぎるくらいだったからな」
典子「パワポケさん……」
レン「…………」
美保「そうそう、ここはコイツの言う事に甘えて、遠慮なくアゴで使い倒しちゃいなさい」
パワポケ「俺だって、いつも飯を作ってくれた典子ちゃんに、少しでも恩返しがしたい。特別に、典子ちゃんが入院してる間は、俺が“なんでも”してやるよ!」
典子「ん?今”なんでも“するって言ったよね?」
-
パワポケ(うーん……妙な事になったぞ……)
典子「パワポケさん、もう少しこっち寄って。まだ、画面見れないから」
パワポケ「あの。俺の方の画面まで見る必要はないと思うんだけど……」
典子「見れない」
パワポケ「……わかったよ。ほら、これでこっちの画面も見れるだろ」
典子「うん。素直が一番だね」
パワポケ「はぁ……」
パワポケ(まさか、典子と一緒にツナミネットをする事になるとは……)
ノリコ『ほら、パワポケサン、ボケッとしてないで早く案内してよ』
パワポケ『ちょっと待てよ、ノリコ。じゃあセントラルシティを順に回って行こうか』
パワポケ「……こんなセリフまで、わざわざ打つ必要あるか?」
典子「気分の問題なので、良いんです」ニコニコ
-
パワポケ(典子ちゃんのワガママが、まさか『ネットを教えて欲しい』だとは……うーん、俺の時代じゃ考えられなかったけど、今の子は、やっぱり知らないと友達との会話についていけないのかな?)
〜セントラルシティ〜
パワポケ『とりあえず、まずはセントラルシティを歩いてみよう。ノリコ、俺のアイコンを目印にして、動いてみよう』
ノリコ『うん。こうかな』タッタッタ
パワポケ『うまいうまい。中央に行くと、人でにぎわってるから、ぶつからないように気をつけて歩くんだぞ』
ノリコ『わかった。でも、すごいね。こっからでも、奥の方までたくさんの人が見えるよ』
パワポケ『ああ、このセントラルシティから、色んなエリアにアクセスできるからな。ここは、他に行くための港の役割をしてるんだよ』
ノリコ『違うよ。今日、平日なのにな……って思って』
パワポケ『………………こらっ!子供がそんな事気にしちゃいけません!』
ノリコ『はーい。あーあ、怒られちゃった。じゃ、はぐれないよう、私と手をつないでね』
パワポケ『手を?…………別にいいけど』ギュッ
ノリコ『あはは。ネットだから、全然感触ないね』
典子「パワポケさん、こっちでも、手、つないじゃう?」
パワポケ「え?…………つ、つないだら、ネットできないぞ!」
典子「いいじゃないですか。ほら、私の手、ギュッてしてください」スッ
パワポケ「…………はい」ギュッ
典子「……….うん。あったかい」
パワポケ(……お父さん、娘さんが大変な成長をしてますよ!)
-
〜スポーツエリア〜
パワポケ『ここがスポーツエリア。野球やサッカーはもちろん、カバディとか日本ではマイナーな他のスポーツも体験できるぞ』
ノリコ『足を怪我した私でも、ここではスポーツができるんだ』
パワポケ『ああ。現実ではできないことも体験できる。それがツナミネットのいいところだよな。……今は、野球場にサイデン達もいないみたいだ』
ノリコ『それじゃあパワポケサン、私とキャッチボールしてよ』
パワポケ『よし、わかった。いい球投げてこい!』
スパ-ン
スパ-ン
ノリコ『ふふ、すっごい楽しい!』
-
〜ファンタジーエリア〜
パワポケ『ファンタジーエリアだ。今は剣と魔法のRPGイベントをやってるみたいだな』
ノリコ『RPGってあれだよね。戦士とか、魔法使いとか出てくる奴。友達がやってるの見た事あるよ』
パワポケ『どれどれ、他の職業は……僧侶、忍者、女教師、ナース、レースクイーン……』
パワポケ(一体なんのイベントだ、コレ!)
ノリコ『パワポケサンは、何の職業やりたい?』
パワポケ『俺はもちろん、”勇者“を選ぶ!』
ノリコ『じゃあ、私は”料理人“としてお供します。勇者サマ』
パワポケ『ははは、ノリコはゲームの中でも料理を作るんだな』
ノリコ『うん。もしかしたら、創作料理の参考になるかもしれないし』
パワポケ(……トカゲの丸焼きとか、コウモリのスープとか出てきませんように)
-
〜ファイトエリア〜
パワポケ『それで、ここがファイトエリアだ。主に銃撃戦をモデルにした戦争ゲームを行なっている』
ノリコ『なんか、みんな戦ってて怖いかも……』
パワポケ『ノリコには、ちょっと刺激が強すぎるかもしれないな……』
ノリコ『でも、せっかくだから少しだけ遊んでみようかな』
パワポケ『まあ、ちょっとだけな。……泣いても知らないぞ?』
パァン!パァン!
ドッカ---ン!
ノリコ『はい、また私の勝ち〜!!』
パワポケ『クッソー!さっきから俺の行動全部ノリコに潰されてるぞ!なんでだよっ!』
典子「パワポケさん、考えてる事が顔に出やすいタイプだから……」
-
〜カジノエリア〜
パワポケ『カジノエリアに来たけど……』
ノリコ『パワポケサン!またまた大当たりです!』
パワポケ『ノリノリだな……ノリコ。まあ、金かけてやってるわけじゃないから、いくら遊んでも金減らないからいいけど』
『いえ、試供品の御遊戯の場合でも、別途場代は頂きます』
パワポケ『なんだって!』
ノリコ『次、バカラ!バカラやりましょパワポケだん!!』
パワポケ『待ってノリコ!そんな張り切らないで!俺のサイフに優しくして!』
-
〜カジノエリア〜
パワポケ『カジノエリアに来たけど……』
ノリコ『パワポケサン!またまた大当たりです!』
パワポケ『ノリノリだな……ノリコ。まあ、金かけてやってるわけじゃないから、いくら遊んでも金減らないからいいけど』
『いえ、試供品の御遊戯の場合でも、別途場代は頂きます』
パワポケ『なんだって!』
ノリコ『次、バカラ!バカラやりましょパワポケだん!!』
パワポケ『待ってノリコ!そんな張り切らないで!俺のサイフに優しくして!』
-
〜レスリングエリア〜
パワポケ『最後がレスリングエリアだな。最近できたばかりで、俺もどういう場所か知らないな……』
『DEEP♂DARK♂FANTASY』
パワポケ『ん?なんだ?マッチョメンな男達が俺を取り囲んできたぞ……?』
『いざぁ……♂』
パワポケ『アッー!!!』
ノリコ『ス……スゴイッッッ!!』ドキドキ
パワポケ『こ、ここは危険すぎる……』ゲッソリ
ノリコ『と、とにかく凄かった……』ドキドキ
-
〜セントラルシティ〜
パワポケ『ふぅ。とりあえず一周見てまわるだけでもだいぶ時間がかかったな。奥の方にはまだまだエリアも広がってるし、とても一日じゃ回りきれないよ』
ノリコ『はぁ、たくさん遊びましたね』
パワポケ『ノリコも疲れただろ。今日はコレくらいにしようか』
ノリコ『パワポケサン!明日はどこに連れて行ってくれるんですか?』
パワポケ『明日!?』
典子「……あの、ダメですか?」
パワポケ「あ、明日かぁ……」
パワポケ(ま、まずいぞ。流石にコーチ業と並行して毎日典子ちゃんの病院に来るのは辛いし、何より、そろそろデウエスの情報集めも再開したいところなんだよな)
パワポケ「その、病院には来れないけど、ツナミネットの中でなら会えるから……」
典子「嫌です。隣にいてくれないと、嫌」
パワポケ「……典子ちゃん……」
-
典子「……ふぅ」ポフッ
パワポケ「の、典子ちゃん……(ベッドに寝っ転がったぞ……)」
典子「パワポケさん。また、手、つないで」
パワポケ「……うん」ギュッ
典子「やっぱり、あったかい。安心する……」
パワポケ「…………」
典子「……昨日も、こうして美保さんに手をつないでもらったまま眠りました」
パワポケ「美保が?……だからだったのか」
パワポケ(俺と交代で出ていくとき、美保はだいぶフラフラした足取りで帰って行った。……寝てなかったんだな。典子ちゃんを安心させるために、ずっと)
典子「夜が、すごく怖くて。ずっとひとりには慣れてたはずなのに、急に怖くなっちゃって。看護婦さんも、お医者さんも優しいのに、なぜか不安でしょうがなくなって……」
パワポケ「うん……」
パワポケ(典子ちゃんは、半年前にお父さんを亡くしてから、ずっとひとりで暮らしていた。慣れてたんじゃない。我慢してたんだ。それが事故で……お父さんの交通事故と自分を重ねて……急に不安が爆発したんだろう)
典子「……パワポケさん……これ……」
パワポケ「これは、携帯電話……?でも、画面が割れてるけど……」
-
典子「事故が起きる前に、その電話がなってね。それで、私、気を取られたんだ。だから、それでうっかり転んじゃったんだけど……」
パワポケ「…………」
典子「だけど、電話がなったから自転車のスピードを緩めてて……わたし、助かったんだ。だって、あのまま緩めてなかったら、ちょうど道の真ん中に行ってて、それで……それで……!」
パワポケ「……大丈夫。想像しなくていい。典子ちゃんは助かったんだから。その電話、きっとお父さんから来てたんだよ」ギュッ
典子「うん……わたしもそう思う……」
パワポケ「典子ちゃんは、今までよく頑張った。だから報われる番なんだよ。典子ちゃんが望むなら、俺、明日も来るよ」
典子「うん……ありが……う…………さん」
パワポケ「典子ちゃん……?」
典子「……」ス-ッ
パワポケ「……(眠ったのか……)」
レン「………………」
-
パワポケ「………………?(ん?部屋の外から視線を感じるような)」チラッ
レン「………………」ジ-ッ
パワポケ「……あれ、レン?部屋の外にいたのか……ってレ、レ、レ!?」
レン「(しーっ!典子ちゃん、起きちゃいます!)」
パワポケ「んぐっ……(ご、ごめん。でも、来てたんなら普通に現れてくれよ。どうしてドアの隙間からこっちを覗いてたんだ?)」
レン「(部屋から話し声が聞こえてきて、それで邪魔しちゃ悪いと思って様子を伺ってたんですけど……)」
パワポケ「(じゃ、邪魔って。そんな事、俺も典子も思うわけないよ)」
レン「(そ、そうですよね。ごめんなさい。わ、私何言ってるんでしょう)」
典子「……ぁれ、私眠って……あ……レンさ……ん?」
レン「ご……ごめんなさい。起こしちゃいましたね」
-
典子「ふぅ……いえ、こちらこそすみません。お見舞いに来てくれたんですよね?ありがとうございます」ニコニコ
レン(典子ちゃん、笑ってるけど、目が腫れてる……泣いてたんだ)
パワポケ「レン、会社はどうしたんだ?今日はどうしても外せない用があるって言ってなかったっけ」
レン「そんなもん、急いで終わらせて、めんどくさいのは全部部長に押しつけて来たに決まってますよ!それでも、こんだけかかっちゃいましたけど……」
パワポケ(時計は……げぇ、10時!?俺たち、遊びまくってたんだな……そう言えば、結構前にやけに目つきの悪いナースさんが晩御飯を運んで来た気がする……)
典子「その、ごめんなさい。私のために……」
レン「いえ、典子ちゃんは気にしないで。自分から言い出した事だから。それより、良い物を持って来たんですよ!」
パワポケ「良い物?」
-
レン「まずは……じゃじゃん!『ひまわりの造花』です!こちら、床頭台に飾っておきますね」
パワポケ「ひまわり……そうか、典子ちゃんにピッタリだな!」
典子「ふふ、レンさんらしいプレゼントですね」
レン「実は、ガーベラと迷ったんですけど。やっぱり典子ちゃんには、こっちだと思って……」
パワポケ「なんでガーベラ?」
典子「ガーベラの花言葉は『希望』なので……病院へのお見舞いにピッタリなんですよ」
パワポケ「なるほど。でも、迷ったなら、どっちも持ってくれば良かったんじゃないか?」
レン「……パワポケさん。じゃあ私が婚約指輪二つ欲しいって言ったら、二つくださいね」シラ-ッ
パワポケ「婚約指輪!?き、気が早い!っていうか値段が全然違うだろ!」
レン「同じです!人に物をプレゼントする時ってのは、良い加減じゃダメなんですよ!」
典子「どちらにせよ、私は嬉しかったです……ありがとう、レンさん」
-
レン「次は……典子ちゃん、本は読みますか?」
典子「はい。漫画も小説も読みますし、参考書でもスラスラ読めますよ」
パワポケ「さ、参考書も……それは凄いな」
レン「ふふっ、良かった♪私が持って来たのは……『オオガミナマーズ、日本一に陰が差す!まさかの裏事情!』という、暴露本です♪」
パワポケ「ああ暴露本……って小説でも漫画でも参考書でもないじゃないか!し、しかも俺の好きなナマーズをメタメタにしてる奴っ!」
レン「え……でも面白かったですよ?この執筆者の”武内華音“さんの語り口調も面白くて……病院で読む物は、やっぱ明るいものが良いですよね♪」
典子「あ……ありがとうございます」
パワポケ(典子ちゃん引いてるって……ときどきレンのセンスがわからなくなるよ)
-
レン「最後は……これは、実際に見てもらった方が早いと思います」
パワポケ「おい、レン……いきなり何の準備をしだしたんだ……(というか、そのリュックに詰め込んで来たんだな……だからパンパンだったのか)」
典子「レンさん……それ、PCですか?」
パワポケ「それはレンが持ってるPCか?それだったら、今日、俺も典子ちゃん用にPC持って来たけど……」
レン「違います!私が用意したのは“中身”です。セッティングするので、ちょっとだけお待ちくださいね♪」
典子「中身……?」
パワポケ「レンのやつ、何をする気だ……?」
レン「……はい、できました!では、典子ちゃん、PCの画面を覗いてみて♪」
典子「はい……え?……これって……」
パワポケ「ん?どれどれ……あっ、これは!?」
-
パワポケくん『よう!俺はパワポケだ!典子ちゃん、今日からよろしくな!』
レンちゃん『私はレンちゃんで〜す!典子ちゃん、よろしくお願いします♪』
パワポケ「お、俺たちのAI……じゃないか」
典子「ふふ…………」
レン「典子ちゃんが寂しくないように、なんと!お二人が来てくれました!……典子ちゃん。あの、その……喜んでくれますか?」
典子「……ふふふっ!あははははっ!」ニコニコ
-
パワポケ「良かったな、レン!典子ちゃん、すごい喜んでたぞ!」
レン「……はい、良かったです。AIは田西さんに無理を言って持ち出しました。元々私が作成してたのと、典子ちゃんのためならと……快く許可してもらって幸いでした」
パワポケ「そうだったのか……俺、典子ちゃんがあんなに笑ったの、初めてみたよ。ちょっとウルって来ちゃったもん」
レン「……そうですか。それは良かったです」
パワポケ「レン……?なんか相槌が適当じゃない?それに、どことなく機嫌が悪いような……」
レン「そんな事ないですよ……私だって、典子ちゃんが元気になってくれて嬉しいです」
パワポケ「だ、だってさっきからツーンとしてないか……?なんというか、雰囲気というか、オーラというか……」
レン「全然そんな事ないです。全然そんな事ないですけど.…ただ……」
パワポケ「ただ?」
-
レン「……パワポケさん、今から飲みに行きませんか?」
パワポケ「い、今から!?も、もうすぐ11時超えそうだぞ。終電間に合うかどうか……」
レン「……ふーん。典子ちゃんのワガママは聞けて、私のワガママは聞けないんだ……」
パワポケ「げっ!?レ、レン。目が据わってる。俺たち、あ、明日もあるし、は、早く家に帰った方がいいんじゃないか?」
レン「明日は休んでください。私も休みます」
パワポケ「きゅ、急にそんなこと言われても……山井監督になんて言われるか……」
レン「……」ガサゴソガサゴソピッポッパ
パワポケ「レ、レン……鞄から携帯取り出してどうしたんだ……?」
レン「……あ、もしもし開田さんですか。はい、レンです。あの、今日は帰らないので……はい。ドアは頑丈に閉めといてください」
パワポケ「なんで開田に連絡してるんだっ!?」
-
レン「終電……無くなっちゃいましたね……」
パワポケ「なんでもう諦めてるんだっ!?まだ11時だよっ!」
レン「パワポケさん……」
パワポケ「は、はい?な、なんでしょう?」
レン「飲みますよね?」
パワポケ「レ、レン、だから急には……ま、まだネットカフェに泊まれば……」
レン「飲 み ま す よ ね?」
パワポケ「謹んでお受けいたします!」
-
レン「パワポケさーん!飲んでますかー!」
パワポケ(レンの酒癖の悪さ、相変わらずだな。もう何杯飲んだかわからないよ)
レン「ねえ、聞いてます!だいたい、距離が近いんですよ!いくら典子ちゃんが中学生だからって、分別くらいしたらどうですか!」
パワポケ「はいはい、聞いてるよ。典子ちゃんは中学生だろ?恋愛感情なんてまだないよ」
パワポケ(話題がさっきと一緒だぞ、レン)
レン「中学生を舐めすぎです!中学生だって、もう立派な女の子なんですよ!」
パワポケ(レン、あまり居酒屋で中学生を大声で連呼するのはやめてくれ。視線が痛い)
レン「わたし、くやしくて!くやしくて!中学生に嫉妬してる自分がなさけなくて!典子ちゃんに、もしパワポケさんが取られたらって思うと、思うと!」
パワポケ(絡み上戸が泣き上戸になって来たか、そろそろお開きだな)
-
パワポケ「ずっと言ってるだろ。俺はレン一筋だし、浮気なんか考えた事ない。ましてや中学生なんて、手出したら天国の親父さんにブっ飛ばされるよ」
レン「手、出してましたー!ギュッて握らせてましたー!口、出してましたー!ムシャムシャ美味しく食べてましたー!」
パワポケ(変なところを切り取って言うな。視線がより痛くなっただろ)
パワポケ「はいはい。そろそろ出るぞ、レン。俺の分まで飲んだろ?」
レン「いやですいやです!証明してください!私が好きなら私が好きってことを証明してくれなきゃ帰りません!」
パワポケ(いつものパターンだな、これも。しょうがない、言ってやるか)
パワポケ「わかったよ。じゃあ一回しか言わないからよく聞いてくれよ?」
パワポケ「レン、いつもありがとう。愛してるよ」
レン「…………くー、くー」
パワポケ(……これだもんなぁ)
-
レン「パワポケしゃ〜ん、愛してますよ〜」
パワポケ「ちょ、ちょっと、レン、俺にもたれかかりすぎだって」
パワポケ(酒臭いのとイイ匂いがするのとで、頭が変になりそうだ)
レン「このままお持ち帰りしてくだしゃ〜い」
パワポケ「はいはい、今日は朝までネットカフェね。さっき予約したから、すぐ入れるよ」
レン「いやれす〜!お城のようなホテルがいいれす〜!」
パワポケ「お、お城って……そんな高そうなとこ泊まる金なんてないよ」
レン「も〜う、わかってるくせに〜!このへたれ〜!」
パワポケ「うぐっ、な、なんのことだか….」
パワポケ(はあ。とりあえず今の時間は……12時回りそうなくらいか。レンが酒飲みで逆に助かったな。思ったより早く潰れてくれたぞ)
-
パワポケ(ん?……こんな時間なのに、あそこの前、やけに人だかりができてるな。これからイベントでもやるのか?)
レン「パワポケしゃ〜ん、好きですよ〜!」
パワポケ(人が見てるのは……ツナミの超巨大大型ビジョン?それも複数のビジョンに同じ動画?いったい何が映し出されてるんだろう?)
『じゃあまず、年齢を教えてくれるかな?』
『24歳です』
『24歳?もう働いているの?じゃ』
『学生です』
パワポケ(……?インタビューのような動画が、映っているみたいだけど)
-
『学生?あっ……ふ〜ん……え、身長・体重はどれぐらいあんの?』
『え〜、身長が170cmで』
『うん』
『体重が74kgです』
『74kg。今なんかやってんの?スポーツ……なんかすごいガッチリしてるよね』
『特にはやってないんですけど、トレーニングは……やってます』
『彼女とかいる?今』
『今はいないです』
『今はいない?いつまでいたの?』
パワポケ(なんだ?みんなザワザワし始めたぞ?あの映像がなんだって言うんだ?)
-
『……こ、去年ですね』
『うん。去年?』
『はい』
『ふーん』
『風俗とかは行くの?』
『行ったことありますよ』
パワポケ(1人の男が、自分の身体的特徴なんかを答えている?いや、明らかにテレビCMやアニメーションとはまるで違う雰囲気だ)
-
『うーん。どういう系統が好きなの?』
『そうですねぇ…』
『うん』
『やっぱり僕は、王道を征く、ソープ系、ですか』
『うん。あ、ソープ?高いでしょでもソープ』
『ピンキリですよねでもね』
『うーん』
『うん』
『じゃあ、オナニー…とかっていうのは?』
『やりますねぇ!』
パワポケ(俺は……“俺達”は今、一体何を見せられていると言うんだ……!?)
レン「パワポケしゃ〜ん!聞いてますか〜!」
-
チャ-チャチャ-ララチャ-チャチャ-♪
パワポケ(ハンガリー舞曲!俺の携帯に着信!?)
パワポケ「もしもし、パワポケです!」
『良かった!夜分遅くにすみませんっ!渦木ですっ!』
パワポケ「渦木さん!?こんな時間にどうして……それに今まで繋がってなかったのに……!」
『要件を省略してすみません!今すぐに会えますか!?場所はどこにいます!』
パワポケ「お、俺、今外に出てて、場所は──って駅の近くで!」
『非常に運が良いッ!今すぐそちらに向かいますので、──公園に待機しててください!』
パワポケ「ちょ、ちょっといきなりどうしたんですか!?」
『あなたに伝わるかわからないが、率直に申し上げましょう!“野獣先輩”が、日本に上陸しました!』
-
渦木「さて、お待たせしてしまい申し訳ありません。これから説明を行いたいのですが……」
ミーナ「……とその前に、そちらのレンさんは大丈夫ですか?」
レン「パワポケしゃ〜ん、おそとさむいでしゅよ〜」スリスリ
パワポケ「気にしないでください。その、置いていくのは色々まずいので」
渦木「あ……なるほど。コホン、まずは夜分にお呼び出した非礼、お詫びしましょう。例えあなたが眠りについていようが、叩き起こさなければならない理由があった」
パワポケ(ずっと思ってたけど、丁寧なようで荒っぽい人だよな、渦木さん)
ミーナ「先程駅前に居たのなら、あなたご確認したでしょう。正体不明の映像、そして正体不明の男……」
パワポケ「そうですね。謎はいっぱいありすぎてあげきれないんですけど、とりあえず、いったい誰なんですか?あの人」
渦木「彼の名は、わかりません。世界的に有名な呼称としては、彼は“野獣先輩”と呼ばれています」
パワポケ「野獣……先輩……?」
ミーナ「しかし、それもまた、多くの人間に好んで使われる名称に過ぎません。”ジュッセンパイヤー“、“ファニーアナル”、“ジュ・セ・パ”、“ターヘル・アナトミア”、“タマキン・オイルヌロッカー”、“李田所”……彼はあらゆる国家、都市、集落、地域にて、あらゆる言語によりその存在を名前付けられています。今あげた呼称は、彼の持つコード・ネームの1000万分の1に満たないと言って良いでしょう」
渦木「ただし、有史以来”日本では存在が確認されていなかった“。先程あなたが目撃されたものが、初めての例です」
-
パワポケ「ええと、つまりさっきの人はすごい有名人って事ですよね?そんなに目撃されてて、名前がわからない事なんてあるんですか?」
渦木「少々話が前後し、混乱させてしまいますが、彼の”母体“となる者については、ある程度の推測がついています。”タドコロ・コウジ“という、とある俳優志望の青年です。正真正銘、日本人のね」
パワポケ(タ、タドコロコウジ?それに俳優志望って……普通に正体がはっきりしているじゃないか。何を言ってるんだ、渦木さんは)
パワポケ「……日本人の人間が、世界で目撃されてて、日本で目撃されていない?それで、名前はわからないのに、タドコロっていう名前はついてる……?ちょ、ちょっとごめんなさい。話にまったく追いつけないんですけど……」
ミーナ「この問題の根底を捉えるには、男優”コウジ・タドコロ”と、野獣先輩という“存在”を切り離して考えなければなりません。まず、先程あなたがご覧になった映像は、『変態面接官SUPER S17』という、2001年に発売された、いわゆる”ホモビデオ“の一節とされています」
-
パワポケ「ほ……ほもびでお……?(聞き慣れない言葉が次々に飛び出してきたぞ)」
ミーナ「コウジは撮影を終えた後、失踪しました。彼をインタビューしていた者……『バットマン』も、依然行方をくらましています。しかし、今私達が直面している難問の前では、この二人の消息ですら枝葉末節でしかありません」
パワポケ「難問……?え、ええと……(もう、何がなんやらわからないな)」
ミーナ「要点を抑えて説明しましょう。野獣先輩とは、ある特定の現象を媒体にした強力な反知性的”ミーム“、そしてそのミームを各地にばら撒くため世界中で感染を引き起こされているのが、“野獣先輩ウィルス”……先程の映像です」
パワポケ「ミーム……?野獣先輩ウィルス.………?????」アゼン
渦木「早急な理解は求めません。野獣先輩は複雑で、複数の難問ががんじがらめのように重なり合ってできています……しかし、今、私達があなたに会いに来たのは、協力の申し出を受けていただくためです」
パワポケ「お、俺に協力ですか……?」
渦木「はい。……場合によっては、“野獣先輩”はあの“デウエス”を遥かに凌ぐほどの兵器となりうる」
パワポケ「…………デウエス!(ここで、その名前が出てくるのか!)」
-
思ったより長編でたまげた
読みますよ〜読む読む
-
渦木「まず、野獣先輩についてご説明しましょう。……といっても彼の説明とその理解には、あらゆる想像を逸脱した解釈をなされなければならない。しかし、私が今から語る事は“おとぎ話”では無いという事だけは、あなたには知ってもらいたい」
パワポケ「……わ、わかりました(渦木さん、凄い神妙な顔だぞ)」ゴクリ
渦木「彼は……野獣先輩は、一言で言えばそう、”実体の存在しない概念“です」
パワポケ「ええ……“実体の存在しない概念”?」
渦木「“リンゴ”と言われて、赤く熟した実をイメージする。“空”と言われて、雲の広がる青空を思い浮かべる。このように、多くの人間は無意識下でモノの形を定めています。例えば、あなたは“野球”と言われて、何を想像しますか?」
パワポケ「“野球”ですか?そうだな、俺はボールにバットが当たって、カキーンってなるところ……ですかね」
渦木「その解釈は、全くもって正しいと言える。何故なら、実際に野球にはその場面が頻出し、目撃が可能だからです。反対に、“野球”と聞いて、ホームランを放ちダイヤを一周する姿をイメージしても、これもまた正しい。なぜなら、想像の先に実体が存在するからです」
パワポケ「流石に野球と聞いて、ボールを相手のゴールにシュートする姿を想像するとかなら、間違いですかね。これはサッカーになっちゃいますし」
渦木「おっしゃる通りです。概念とは、実体の上に成り立つ存在です。“リンゴ”と聞いて青色の実をイメージする。“空”と聞いて暗い夜空を思い浮かべる。この解釈でも構いませんし、実体が伴うのであれば”リンゴは黒色“と主張しても、多くの人間は否定するが問題はないでしょう。『何々は、何々である』……多少の誤差はあれど、人間は見聞きした情報を統合して、その存在が何であるか結論づける事ができる。その上で、情報伝達が成り立っているというのは、パワポケさんも身近に感じられている事だと思います」
パワポケ「うーん……あんまり難しい事はわからないですけど、ようは”リンゴ“の事を”バナナ“とイメージして話しかけたら、まったく会話が通じない、という事で良いんですかね?」
ミーナ「そうですね。私も記者であるゆえ、取材の際にお互いの認識をすり合わせるのは苦労しましたです」
-
渦木「では、”野獣先輩“はどうでしょう?」
パワポケ「で、でた。野獣先輩……」
渦木「”野獣先輩“と聞いて、パワポケさんは何を思い浮かべますか?」
パワポケ「”野獣先輩“って、さっきのビデオ映像の人ですよね。印象に残ったのは、最初ら辺のドヤ顔というか……こっちをカメラ目線で見てた顔ですかね。なんか面白い顔してましたけど」
渦木「『24歳学生、身長170cm、体重74kg。スポーツはやっていないがトレーニングはやっている。風俗は王道を征くソープ系』……あのビデオから汲み取れる情報はこうでした。実は、あの映像の他にも野獣先輩が確認されるビデオ映像があるのですが……ともかく、これらは有力説のひとつとされる、”ホモビ男優説“を強く支えて、これから日本に多く出回る事になるでしょう」
パワポケ「説も何も、それ以外ないと思うんですけど……」
渦木「しかし、“彼”とまったく同じ姿形をした存在が、古代エジプトの壁画上に描かれていたとしたら?」
パワポケ「……え?」
-
渦木「ペルー遺跡の乾燥地帯一帯に、“彼”の巨大な地上絵が存在していたら?南部の島国から“彼“を象る石像彫刻が発見されたら?回収された衛星ロケットの中に、”彼“を映写したフィルムが残されていたら?」
パワポケ「え、あの、渦木さん?話の先が全く見えませんが……」
渦木「『“彼”は、少なくとも紀元前から今世紀に至るまで、歴史上の全ての時間に”存在“していた。そして、幾万もの姿に変わり、人々に伝承されてきた』……これが、野獣先輩を調べて浮かび上がった事実です。困った事にこれ、どの専門家に聞いても同じ回答が返ってくるんですよ」
パワポケ「は?き、紀元前って……?話がぶっ飛びすぎじゃないですか?野獣先輩って人間じゃないんですか?」
渦木「ぶっ飛んでますよね?私もそう思います。だが、そう解釈せざるを得なくなった。あらゆる時代に彼の痕跡が遺されている。”実体のない概念“。野獣先輩は、人類の歴史に巣食うミームです。その実体を様々な形に変化させながら、人の記憶・及び記録に映り込んでいる」
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更新に気づかなった
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パワポケと淫夢コラボはもっとやれ
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>デウエス『すごいですねこれ』
AILEくんの正体はデウエスだった…?
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あっ…(察し)
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はぁぁあああっ…!!(畏怖)
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