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京太郎「あの、部長」

1 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2019/06/20(木) 23:01:38 IkCWgDRA
https://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/internet/20196/1560951212/

久「なに!?」クルッ

京太郎「いや、部長がご機嫌な理由って……お母さんが……」

久「そう! 出てったの!家から!!」

京太郎「あー…………お金とか……」

久「さぁ? 通帳は持っていったんじゃない?」

京太郎「それ不味いんじゃないんですか?」

久「うーん、でも前々からパ……お父さんの養育費は私の口座に振り込まれてたから別に」

京太郎「えっ、あっ、そう、ですか……」

久「それも原因なのかしらね。自分が悪いくせに呆れちゃうわー。自業自得よね?」

京太郎「理由知らないんでなんとも……」

久「そうだ!!」

京太郎 ビクッ

久「須賀くんうちに来ない!?」

京太郎「はい!?」

久「まことか咲ちゃんでもいいんだけど今日はみんないないし、マイホームお披露目しちゃうわよ? 中古だけど」

京太郎「なんでそうなったんですかね……」

久「誰かを家に呼ぶってちょっと憧れてたのよね」

京太郎「!」

久「どう? あ!無理にとは言わないわよ。須賀くんに女子の家は刺激が――」

京太郎「行きます」

久「いいじゃないいいじゃない! じゃあ早速行きましょ!」

――――――

京太郎「家この辺なんすね」

久「ええ。コンビニもスーパーも近いから不便しないのよ」

京太郎「へぇー」

久「さ、着いたわよ!」

京太郎「おぉー! ……普通っすね」

久「ぷっ、そりゃそうよ」ガチャン

京太郎「お邪魔しまーす」

久「邪魔するなら帰りんさい」キリッ

京太郎「んっふ……なに染谷先輩の真似してんすか」プルプル

久「似てた? 似てたでしょ?」

京太郎「ま、まぁ、かなり」

久「そうでしょそうでしょ♪」

京太郎「いやーでもホント普通……!?」


2 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2019/06/20(木) 23:02:08 IkCWgDRA
久「あ、ごめんなさい。まだリビング全然片付けてないんだったわ」

京太郎「泥棒……?」

久「違う違う。出てく時に色々引っ掻き回したみたいなの。私の部屋なら綺麗だから」

京太郎「…………」

バタン

久「さぁ、初めて女の子の部屋に入った感想は……って咲ちゃんの部屋に入り浸ってるか」

京太郎「入り浸ったことなんかないですよ!」

久「ホントにぃ?」

京太郎「むしろ咲とか優希はうちにカピを触りに入り浸ってきますけどね」

久「あー、カピバラ!飼ってたんだったわねそういえば。私もペット飼おうかなー」

京太郎「部長、好きな動物は?」

久「うーん……犬……いや、兎かしら……」

京太郎「ハムスターとかは」

久「あー無理無理ダメ苦手。可愛いけど飼うのはナシ! いなくなったら怖いし」

京太郎「なんとなく気持ちはわかります」

久「ほら、これから一人だからペットくらいはって気持ちなのよね」

京太郎「っ、あぁ……」

久「…………」

京太郎「……部長、本当にこれから……」

久「うん、一人よ」

京太郎「……」

久「この家にはずっと一人」

京太郎「部長……」

久「ね、須賀くん。ひとつだけお願いがあるんだけど」ギュッ

京太郎「!?」

久「今日は、ここに居て」

京太郎「それは……」

久「お願い。夜の間だけでもいいわ。すぐに帰っていいから、少しだけ一緒にいて欲しいの。それ以上はワガママも言わないし、晩御飯ならわたしがお金出すから――」

京太郎「わかりました」

久「あ…………いい、の?」

京太郎「はい」

久「ほんとに?」

京太郎「はい。明日まで、ここに居ます」

久「零時まで?」

京太郎「朝までです」ギュッ

久「っ…………ぅ……」

京太郎「部長の気の済むまで、居ます」

久「ぅぅ……っ……あり、がと……ぅ、っ……」ボロボロ


3 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2019/06/20(木) 23:02:25 IkCWgDRA
まこ「ふぁ……」

まこ(ちぃとばかし早ぅ起きすぎたかのぅ。寝れんまま登校するのもなかなかしんど……ん?)

まこ「おお、部長。おは――!!?!?」

久「あら、まこじゃない! おはよう!」ギュ-ッ

京太郎「お、おはようございます……はは……」

まこ「おんしら……そういう、関係じゃったんかい……」

京太郎「これには深い訳が……」

まこ「そりゃあ……そうじゃろなぁ」

久「んふふふふ♪ まこも私と腕組む?」

まこ「い、いや、遠慮しちょく……」

久「ええー、ノリ悪いわねぇ」

京太郎「ひs……部長、さすがにそろそろ」

久「あ、右腕疲れちゃった? じゃあ左腕ね」ニッコニコ

京太郎「いや……もう…………はい」

まこ「」

まこ(ひ、久がぶっ壊れてしもうた……)


4 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2019/06/20(木) 23:05:26 1TWf5AsI
こういうのでいいんだよこういうので


5 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2019/06/20(木) 23:12:07 a2.NHN4s
京ちゃんに依存する部長は興奮するのでもっとやれ


6 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2019/06/20(木) 23:13:24 JaRyVa/c
最終的にパパ呼びになるところまで頼む


7 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2019/06/20(木) 23:13:36 E0F4gPzE
続きは…続きは無いんですか!!??


8 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2019/06/20(木) 23:15:35 pYul.7qU
なんすかこれ


9 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2019/06/20(木) 23:15:46 B09xhVcs
やはり心の穴を埋めるのには人肌が最適


10 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2019/06/20(木) 23:27:39 q4Geobw2
続きはどこ…?ここ?


11 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2019/06/20(木) 23:31:59 bEiY38Mg
興奮してきたな


12 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2019/06/20(木) 23:38:12 C.MRqKWo
続き続き


13 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2019/06/20(木) 23:38:29 BTgicKRc
続け


14 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2019/06/20(木) 23:44:00 joXzC/72
続けたまえ


15 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2019/06/20(木) 23:56:07 PUBoGcw6
オギャれ!


16 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2019/06/21(金) 00:00:31 dfvqOV1A
ぱぱぁ…?


17 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2019/06/21(金) 00:09:13 MnRRs/hU
咲さんあたりブチギレそう


18 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2019/06/21(金) 02:56:03 zdTyEWxE
竹井部長はいい嫁さん…ではないな、別の何かだ、うん


19 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2019/06/21(金) 04:48:28 O/PD9E7w
うえのさんあいてをまちがえていませんか


20 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2019/06/21(金) 05:36:28 2sQjIj2Y
うえのさん悲惨な死に方しそう


21 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2019/06/21(金) 07:18:23 GGYQNX/s
ヤバいよォ!(戦慄)


22 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2019/06/21(金) 07:46:56 OFpW5EhI
パパ(辻垣内当主)


23 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2019/06/21(金) 07:57:07 BLrrILFo
カピが人化転生して転校・入部してきそう


24 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2019/06/21(金) 12:51:06 wKQ5CwbU
いいぞ、続け給え


25 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2019/06/21(金) 20:56:35 sBWi0iyY
うえのさん、あたらしいままがここにいますよ


26 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2019/06/21(金) 21:43:20 OtH0FTCk
京ちゃんは逆レイプを受けていないから平和な世界ですね


27 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2019/06/21(金) 21:48:56 sBWi0iyY
あのおかあさんはわたしがしょぶんしておいたのであんしんしてください


28 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2019/06/21(金) 21:51:23 VWh8gd9Y
>>25
お母さんそのものにトラウマがあるのに気づかないのが最高にキャップらしく感じてしまう


29 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2019/06/22(土) 00:08:37 .6/8SdKI
なんですか!だからこそわたしがうえのさんのあたらしいやさしいおかあさんになっていやしてあげようとしているんです!
さてはわたしとうえのさんをひきさいてうばいとるつもりですね!
かなにあなたをとくていしてもらいます


30 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2019/06/22(土) 00:30:17 dFn4uj9k
久「〜♪」スリスリ

京太郎「……」ゲンナリ

咲「」

和「」

優希「」

まこ「あちゃあ……」

咲「えっなにこれは」

京太郎「これには色々と事情があるんだ……」

和「事情云々でこうなるとは思えないのですが」

京太郎「部長、あのことは話してもいいんですか?」

久「別に隠すようなことじゃないわよ。うちから親が出てったってだけ」

和「え、それは……」

まこ(ああ……)

優希「事情の内容がヤバすぎるじぇ……」

咲「ちょ、ちょっと待ってください! それでどうして京ちゃんとそうなるんですか?」

久「だって須賀くん、一晩中私のこと慰めてくれたんだもの」

咲「!?」

京太郎「誤解を招く言い方しないでください!!」

久「誤解もなにも、事実じゃない」

まこ「あー、この際色々と脇に置いとくが、部活中にずっとそんままでおられるとむず痒うてたまらんのじゃが……」

久「あら、ごめんなさい」パッ

京太郎(両腕がすげぇ重い……)

優希「矢吹丈みたいになってるけど大丈夫か?」

和「こほん。お二人の関係にとやかく言うつもりもありませんし、部長の事情については把握しましたが、ちゃんと節度は保って下さい」

久「はーい」

京太郎「……ウッス」

咲「……京ちゃん、ちょっといいかな」ガタッ

京太郎「ん」ガタッ

まこ「(……)さ、わしらは打つぞ」

優希「昨日割れた賽子の替え持ってきたじぇ」

久「なにこれ36面ダイスじゃない!振りがいあるわね!」


31 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2019/06/22(土) 00:32:09 dFn4uj9k
咲「えっと……」

京太郎「さっきの話だろ?」

咲「う、うん」

京太郎「本当だよ。部長、一人なんだ」

咲「警察とか……」

京太郎「行かないだろうなぁ」

咲「……」

京太郎「親が二人ともなくなるなんて普通はな……」

咲「うん……」

京太郎「一週間二週間したら落ち着くとは思う」

咲「それまでずっと部長の家に居るんだ?」ムッ

京太郎「だから誤解だっての!確かに昨日は一晩中居たけど、部長はその……ずっと、泣いて……」

咲「あっ……ごめん」

京太郎「いや、俺には謝らなくていいよ。実際さ、わかんねぇよ。親がどっちもいない悲しさみたいなの」

咲「そうだよね……」

京太郎「けど、部長一人で潰れちゃうよりかはどんな形でも頼って貰った方がありがたいっていうか」

咲「……京ちゃん、優しいね」

京太郎「優しいっていうか……うーん、優しさなのか……?」

咲「ごめんね、わざわざ呼び出しちゃって」

京太郎「いいよ。そりゃ誰だって聞きたくなる」

咲「戻ろっか」

京太郎「おう」


32 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2019/06/22(土) 00:33:28 dFn4uj9k
久「そろそろいい時間ねー」

まこ「終いにするか」

和「そうですね。優希、忘れ物があるので校門で待っててください」

優希「あいよー」

京太郎「お疲れ様でしたー」

咲 チラッ

久「さぁて、今日は悪っぽく寄り道して帰っちゃおうかしら」

まこ「悪もなんも買い食いくらいたまにしちょるじゃろが」

久「じゃあ皆、また明日ー」フリフリ

パタム

優希「あれっ」

和「随分あっさりですね」

咲「そう、だね……」

まこ「ふむ……?」

京太郎「部長も大人ですから、気持ち切り替えたんじゃないですかね。プライバシーなんであんまり言いませんけど、昨日はそれはもう酷かったですよ」

まこ「その辺は仕方ないというかそうなるじゃろな。わやになっとるんがおんしのお陰で戻ったんなら何よりじゃ」

京太郎「だと良いんですけど……」

和「少し心配ですね」

優希「のどちゃん?」

和「私の家は父と母が極めて冷静に離婚の手続きを取って、それきりではなく偶に揃って食事などしますが……」

和「父は離婚直後に酷く元気がない日が多々ありましたし、母も時々電話してきては謝ることが多かったので」

和「そういう板挟みで子どもながらに辛さを感じたことがある身としては、もうしばらく気にしてあげた方がいいのではないかなと」

京太郎「そっか……」

まこ「まあ、ひとまず様子見じゃな」

京太郎「……」


33 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2019/06/22(土) 00:34:23 dFn4uj9k
京太郎「ふー、ただいま」

カピ「キュ-」

京太郎「よしよし」

京太郎(部長、本当に大丈夫ならいいけど)

久『なんで私の周りから離れてくの? 私何もしていないのに、いい子で居たのに』

久『どうしてパパは私のこと置いてったのよぉ……!』

京太郎「……」パタッ

京太郎「……そういや昨日あんまり寝れてなかったな」

京太郎「……」

京太郎「…………」

京太郎「………………」ス-





ピロリンピロリン♪ ピロリンピロリン♪ ピロリンピロリン……












京太郎「ふごっ……んぉ?」

京太郎「…………!? 六時! 朝の!?」

京太郎「起こしてくれよ母さーん……」

京太郎「とりあえずシャワー浴びて何か食う……ん? スマホが……」

京太郎(……部長が夜に電話掛けてきてる)

京太郎(一回だけでメッセージもなしか。できれば出てあげたかったけど仕方ない)

京太郎(多分出なかったから染谷先輩辺りにかけてるだろ)

カピ「キュ-」

京太郎「あっ! ごめんなカピ、昨日飯抜きになっちゃったよな。今からご飯作るからちょっと待ってろ」

バタバタ


34 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2019/06/22(土) 00:35:03 dFn4uj9k
咲「おはよう京ちゃん」

京太郎「おは……ふあぁ〜」

咲「すごい欠伸。夜更かし?」

京太郎「むしろ滅茶苦茶早寝して十二時間寝た」

咲「寝すぎだよ!」

京太郎「ははは。ところで、部長から電話来たりした?」

咲「え? ううん、昨日はなにもなかったよ?」

京太郎「そっか」

咲「?」

――――――

優希「おっ、咲ちゃんと京太郎だー!」

和「おはようございます」

咲「おはよう」

京太郎「おはあぁ〜」

優希「欠伸しながら喋るんじゃないじぇ!」

和「行儀が悪いですよ」

京太郎「悪い悪い。二人さ、昨日部長から電話来たりした?」

和「いえ、ありませんでしたが」

優希「私も」

京太郎「そっか」

――――――

まこ「おう京太郎。おんしと学食で会うのは珍しいのぅ」

京太郎「染谷先輩。今日は弁当じゃないんすか?」

まこ「忘れっしもうた」

京太郎「あー、勿体ない」

まこ「晩飯代わりにすりゃええじゃろ」

京太郎「あ、そういえば、昨日部長から連絡あったりしました?」

まこ「いんや?」

京太郎(あれ……)

京太郎「……そうすか」

まこ「なんかあったか?」

京太郎「実は昨日電話掛けてきてたみたいで。俺は早いうちから寝ちゃってたから取れなかったんですよ」

まこ「京太郎にだけか?」

京太郎「みたいです。もしかしたら別の友達とかに掛けたのかも」

まこ「……だといいがの」

京太郎「……」

――――――

久「はろろーん! あら、私が最後ね!」

京太郎「部長」

久「はい?」

京太郎「昨日の電話……」

久「ああ、あれね!いいのいいの気にしないで! その代わりに、ちょっと今日帰りにいいかしら?」

京太郎「え、はい」

久「よし! じゃあ今日も部活始めましょ!」


35 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2019/06/22(土) 00:35:35 dFn4uj9k
――放課後

まこ「じゃあわしらは先に失礼するぞ」

咲 ペコッ

久「はーい、また明日ー」

京太郎「えっと部長、それで用件っていうのは一体?」

久「とりあえず私たちも帰りましょ」

京太郎「えっ。俺と部長じゃ道が逆……」

久「気にしないの」

京太郎「あっ、待ってくださいよ!」







久「この辺は都会と田舎がいい具合に混じっててバランス取れてるわよねー」

京太郎「そうですね。電車もすぐですし」

久「おっ、手頃な石はっけーん! 須賀くんパス!」カッ

京太郎「うおっ、ほっ!」カッ

久「そりゃっ」カッ

京太郎「ふっ」カッ

久「あっ」

ポチャン

京太郎「用水路に入っちゃいましたね……」

久「イレギュラーバウンドとはいえ須賀くんのキックで落ちたから減点ね」

京太郎「ポイント制!? なんですかこのゲーム!」

久「あはははっ♪」

京太郎(部長、思ったより平気そうだな。やっぱりただの杞憂だったか)

久「あっという間に家に着いちゃったわ」

京太郎「ですね。それで、用件――」

久「さ、上がった上がった」グイッ

京太郎「ちょっ、部長」

バタン


36 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2019/06/22(土) 00:36:13 dFn4uj9k
京太郎「部長ってば、そんないきなり引っ張らなくても――」

久「……」ギュッ

京太郎「ぶ、部長?」

久「久」

京太郎「あー…………久さん」

久「……須賀くんのお陰で、治ったと思ったの」

京太郎(治った……?)

久「一晩一緒に居てもらって、泣いて、話して、疲れて……終わったと思ったの」

久「だからもう大丈夫だって、平気だって思ってたのに、違ったの」ジワァ

京太郎「昨日の電話って……」

久「家の中で、一人で、怖くて……ずっと布団の中に居たの。それで……それで……」

京太郎「久さん」ギュッ

久「須賀、くん……」

京太郎「昨日、夜寝ました?」

久「ちょっとだけ」

京太郎「今日は朝も昼もご飯食べました?」

久 フルフル

京太郎「部屋は片付けました?」

久 コクリ

京太郎「……そうですね……」

京太郎「じゃあちょっと早いですけど晩御飯作りましょうか。こう見えて結構色々作れますよ」

久「え……」

京太郎「それでさっさと風呂入って寝ましょう。明日は水曜で普通に平日ですから、ちゃんと睡眠取らないと金曜まで持ちませんよ」

久「居て、くれるの?」

京太郎「はい。でもご飯作ったら――」

久「! やっ、寝る時まで……!」

京太郎「…………ふぅ、わかりました」

久「須賀くん……須賀くん……」ギュ-

京太郎「……」ポンポン


37 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2019/06/22(土) 00:36:38 dFn4uj9k
京太郎「そろそろ寝ましょうか」

久 コクリ

京太郎「布団は別に……」

久 ゴソゴソ

京太郎「あー……わかりました」

パチン

京太郎「……」

久「……」

京太郎「ご飯、お口に合いました?」

久「うん」

京太郎「寝れそうですか?」

久「うん」

京太郎「……」

久「……須賀くん」

京太郎「なんですか?」

久「暖かい」

京太郎「……そうですか」

久 コクリ

京太郎「……」

久「……」スリスリ

京太郎「……」

久「……」ス-

京太郎(寝た、か)

京太郎(これはしばらく立ち直れないだろうな……)


38 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2019/06/22(土) 01:16:10 lK/8ZnaE
抱けー!抱けー!


39 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2019/06/22(土) 01:26:12 aCWauTIs
夜中勝手に帰ろう!


40 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2019/06/22(土) 01:30:29 MVAPx9LE
病むとかどうとか以前にガチのパパ依存ルートに入ってる…


41 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2019/06/22(土) 01:41:51 jTLCcqNQ
>>38
だまれ!気ぶりじじい!!


42 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2019/06/22(土) 01:50:33 ByYhsa3s
>>1はさぁ…
>>1は天才の人?


43 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2019/06/22(土) 02:11:14 d3KBQ.do
一歩間違えたらお互いに依存しそう


44 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2019/06/22(土) 02:19:36 YLQSyG.Q
あー好き


45 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2019/06/22(土) 02:52:56 9fH1EPyY
凄くいい…


46 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2019/06/22(土) 03:55:20 /R.hSR1E
オギャっていないのでまだセーフ


47 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2019/06/22(土) 05:39:04 PxSEUNVI
あーヤバい!(大興奮)


48 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2019/06/22(土) 05:43:45 IZMU7ZEs
京太郎の父性が高すぎる


49 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2019/06/22(土) 07:46:43 oP95TBWc
こういうのを待ってた


50 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2019/06/22(土) 09:20:49 y83V3OAg
ああ!良い!良い!あああああ!


51 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2019/06/22(土) 09:50:17 19QfpdOg
今までのヒッサがおぎゃってるのは空元気だった……?


52 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2019/06/22(土) 16:39:14 6EfvkKV.
京ちゃんの久呼びが強すぎる
こんなんされたら誰でもオギャるわ


53 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2019/06/22(土) 21:17:25 dFn4uj9k
久「よっし、ここまでね! 私は生徒会の方行くから」

優希「かーっ! 勝ち逃げだじぇ!」

和「今日は全く歯が立ちませんでした」

咲「う、うん。3回も直撃されちゃうなんて……」

まこ「仕上がっとるのぅ」

久「気勢もまた運よく呼ぶってやつよ」

和「初耳ですね。気持ちが運も運んで来るということでしょうか」

久「初めて聞いたなんて当然よ。私が今考えたんだもの」

まこ「なんじゃあそら」

久「とりあえず、みんな後はよろしく〜♪」

バタン

京太郎「……」

和「須賀くん? どうかしましたか?」

京太郎「へ?」

和「心ここに在らずといった様子でしたけど……」

優希「こいつ今日一日ずっとこんな調子だじぇ。な、咲ちゃん」

咲「……そだね。ちょっとぼーっとしてるっていうか……」

京太郎「まさかいつもぼーっとしてる咲にそんなこと言われる日が来るなんてなぁ」

咲「京ちゃん?」ジトッ

京太郎「知らない場所で迷わずしっかり目的地に行けるか?」ニッコリ

咲「行けません……」ションボリ

まこ「方向音痴とぼけっとしとるんは関係ないじゃろ」

和「……須賀くん、寝不足ですか?」

京太郎「寝不足……うーん、一昨日十二時間寝て昨日は三時間。足して割れば七.五時間だからそれはねーかな」

優希「極端すぎる……」

咲「……部長?」

京太郎「まぁ……」

まこ「昨日の件かい。部長にも同情はするが、それで京太郎に背負わすんは……」

京太郎「いえ、自分で納得してやってることです。別に負担がどうとかは考えてませんよ」

和「……」

まこ「……そうけ。おんしがそう言うんやったら、わしからはなんも言うことはない」

京太郎「ていうかチャンスじゃないすか」

まこ「チャンス? なんのじゃ」

京太郎「俺が部長に数少ない貸しを作るっていう」

まこ「なんじゃ、普段の雑用は計算外け?」

京太郎「あれは部活全体でやってることですから」

まこ「おーこわ。三人とも、京太郎の奴、暗にわしらに貸しがあると言いよるぞ」

京太郎「そういう意味じゃありませんって!」

和「そこは最初から感謝しています」

咲「あはは……私も」

優希「京太郎のタコス無くして勝利はないじぇ」

京太郎「おろ?」

まこ「よかったの、京太郎。おんしはどう思っとるか知らんが感謝は常にされとるぞ。わしの分も含めてな」

京太郎「あー、えっと……」

優希「お? なーに照れてんだっ。可愛いやつだじぇ!」ベシッ

京太郎「照れてねーし! タコスに生クリーム入れるぞ!」

優希「それはそれでアリ!」

京太郎「えぇ……」


54 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2019/06/22(土) 21:18:29 dFn4uj9k
まこ「ほいじゃ今日はここまで!」

和「お疲れ様でした」

優希「のどちゃん、帰りにタピオカ飲んで帰ろうじぇ!」

咲「京ちゃん、一緒に帰ろ?」

京太郎「おう。お先に失礼しまーす」

まこ「あーい」






咲「京ちゃんテスト勉強してる?」

京太郎「あー!言うなー! せっかく忘れてたのに!」

咲「もー、そんなんじゃまた日本史が赤点ギリギリになっちゃうよ!」

京太郎「くそー……他はそこそこいけるのに日本史がなー」

咲「高久田くんみたいに上白沢先生から頭突きされたくなかったらちゃんと勉強しないとね」

京太郎「やる気でねー」

咲「今回はどれくらいで泣きついてくるのかな」

京太郎「おぉい聞こえてるぞー?」

咲「ふふふ」

京太郎「見てろよ、華麗に平均点越えして驚かせてやるからな」

咲「そこはもうちょっと目標高く設定しようよ……」

京太郎「俺の辞書に勉強の文字はない!」

咲「えっ、本当に勉強するんだよね? ね?」

京太郎「するする、気が向いたらする。家着いたし、じゃあな!(ガチャッ)また明日!」バタン

咲「京ちゃん!? ……もう、知らないからねっ!」プク-

スタスタスタ……

京太郎「…………」

京太郎「さてと」ガチャッ


55 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2019/06/22(土) 21:19:19 dFn4uj9k
久「須賀、くん……?」

京太郎「生徒会っていつもこんな時間までやってるんですか?」

久「う、ううん。今日は部活の来期の予算案で先生が揉めてて時間が掛かったのよ」

京太郎「うわ、生徒会って大変っすね。それ生徒が関わる必要あります?」

久「先生たちが好き勝手にやったら全国行く時に全員自費よ?」

京太郎「あ、それは困る」

久「でしょ?」

京太郎「とりあえず帰りましょっか」

久「……わざわざ家から戻って来て待っててくれたの?」

京太郎「はい」

久「…………」キュッ

京太郎(ふ、服の裾……腕組まれるよりなんか……いやいやいや!)

京太郎(部長は参ってるんだから邪な気持ちで向き合ってちゃダメだ)

京太郎「行きましょう」

久 コクリ

京太郎「……」

久「……」

京太郎(な、なんかむず痒いっていうか、無言なのがキツイ……!)

京太郎(昨日の今日だから一応帰りくらいはと思ったけど、逆効果だったか……?)

久「……」

京太郎(……でも)

京太郎(こんなにしおらしい部長、初めて見たな)

京太郎(いくら空元気で誤魔化したってそりゃつらいよ)

久「なに?」

京太郎「あっ、いえ。なんでもないっす」

久「……そう」ギュッ

京太郎「部長……」

久「嫌?」

京太郎「……いいえ。昨日なんか朝からこうだったじゃないですか! しかも添い寝までしちゃったりして! ははは……」

久「うん」ギュ-

京太郎(……なんとか、立ち直ってもらいたいな)


56 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2019/06/22(土) 21:20:00 dFn4uj9k
京太郎「家、着きましたけど……」

久「……」

京太郎「えっと……今日は大丈夫そうですか?」

久「わからない」

京太郎「そうすか。じゃ、夜を目処にしてそれまでは居ます」

久 コクリ

ガチャッ……バタン

京太郎「お邪魔しまー――うわっ!?」ドサッ

久 ギュウ-ッ

京太郎「部長? もしかしてつまづきました?」

久 フルフル

京太郎「このままじゃ靴も脱げませんよ?」

久「須賀くん」

京太郎「はい?」

久「須賀くんはなんでそんなに優しいの?」

京太郎「え……」

久「わたし、ただの先輩で、部活の部長よ?」

京太郎「……」

久「どうしていっしょに居てくれるの?」

京太郎「どうしてって……」

久「みんな、いなくなるの」

京太郎「部長」

久「だれも、近くにいなくて、友達も家族も」

京太郎「部長」

久「わたしがわるいの?」

京太郎「部長!」

久「須賀くんも、いなくなるの?」

京太郎「久さんっ!!」グイッ

久 ボロボロ

京太郎「っ」

久「もういや……やだよぉ……なんでやさしい人からいなくなるの……?」

京太郎「久さん……」ギュッ

久「うぇ、うぅぅ……っ!」

京太郎「今日も一緒に居ますから」

久「うん……っ、うん……!」

京太郎「居て欲しい時は、一緒に居ますから……」

久「すが、く……ぅっ……! ひっ、ぐすっ……!」

京太郎「大丈夫です、大丈夫ですよ。ここに居ますからね」


57 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2019/06/22(土) 21:20:25 dFn4uj9k
京太郎(三日連続で泊まり、しかもそれが彼女でもない先輩の家。母さんが知ったらなんて言うかな)

京太郎(案外お節介だから養子にするとか言い出しかねねぇ……)

久「……眠たい?」

京太郎「そりゃいい時間ですからね」

久「ううん、今日眠たそうだった」

京太郎「あー……」

久「……寝れなかったの?」

京太郎「違いますよ。考え事してたらあっという間に時間が過ぎちゃって……気がついたらもう寝る時間があんまりなかったってだけです」

久「わたしの」

京太郎「せいじゃありません」

久「……須賀くん」スリスリ

京太郎「ん、寝ましょう」

久 コクリ

パチンパチン

シン……

京太郎(今日は真剣に寝よう。真剣にっていうか普通に眠いし!)

京太郎(……色々あったけど、時間が経てば……)ウト…

久「須賀くん、パパみたい」

京太郎「……! …………?」

京太郎「…………はい!?!!?」

久「顔も声も……全然、覚えてないけど」

久「雰囲気が、似てるの」

京太郎「!! そう、ですか……」

京太郎「なんなら『パパ』って呼んでみます? なんて――」

久「パパ」

京太郎「ぉ――」

久「……」

京太郎「……」

京太郎「…………」

京太郎「………………」

京太郎「――寝ましょう」

久 コクリ

京太郎「……」

久「……」

京太郎「……」

久「……」ス-

京太郎(ふぅ……部長は寝入りがいいな)

京太郎(ビックリした、けど……)

京太郎「……おやすみ、久」

京太郎「……」

京太郎「……」ス-





久「……」

久「……須賀くん」ギュッ


58 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2019/06/22(土) 21:38:07 /R.hSR1E
まだオギャってないまだセーフ


59 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2019/06/22(土) 21:40:36 OpV9.DLo
べーよ
マジベーわ…


60 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2019/06/22(土) 21:41:56 MVAPx9LE
ダメみたいですね…


61 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2019/06/22(土) 21:47:53 6qZV5sRk
ディ・モールト ベネ


62 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2019/06/22(土) 21:48:45 2bUNvq8w
オギャり前兆演出がきましたね…


63 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2019/06/22(土) 21:58:25 9xXTZLog
咲ちゃんクイズ世界だったら今頃堂々とみんなのいる部室でオギャってる


64 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2019/06/22(土) 21:58:57 T/15e6u2
フラグ立ちましたね


65 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2019/06/22(土) 22:30:56 C7OTr7c.
おれもなー上白沢先生にハリケーンミキサー食らわせてもらいたいけどなー

久の依存度合いはさてどこまでか…


66 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2019/06/22(土) 22:32:55 ByYhsa3s
(最高過ぎて言葉が出なくて)笑っちゃうんすよね


67 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2019/06/22(土) 23:55:49 EojEX3Ho
京久の傑作になるポテンシャル


68 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2019/06/23(日) 01:17:29 aZ1h02MY
うわーっこれ……
ハアッ……(素晴らしすぎて声も出ない)


69 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2019/06/23(日) 12:30:14 yVfB4swk
ナチュラルな慧音エントリーで草


70 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2019/06/23(日) 22:05:05 cAcnJ4y6
チュンチュン ピチチチチッ
ホ-ホ-ホッホ- ホ-ホ-ホッホ- ホッ……

久「ん……」モソモソ

久「……え……?」

久「須賀くん、は……」

久「っ」バサッ

……タッタッタッ

バタンッ!

京太郎「ぶ、部長?! どうしたんですかそんなに慌てて」

久「ぁ…………」

京太郎「まだ登校するには早すぎるくらいですよ。朝メシもうできるんで、ゆっくり食いません?」

久「……」ヒタ、ヒタ

京太郎「……部長?」

久 ギュッ

京太郎「わ、っと……あ、危ないですよ?」

久「……出ていったかと思ったの」

京太郎「俺の性格上、黙って出てくなんてありえませんよ」

久「……うん」

京太郎「とりあえず、顔とか洗って来た方がいいんじゃないですか?」

久「ん」スッ

ヒタヒタ……パタン

京太郎(……酷い顔してた)

京太郎(いつまでもこんな状態なのは部長にとって良くないんだろうけど……)

京太郎(今は、タイショーリョーホーってやつしかない……よな)

京太郎(時間……時間以外に解決策……)

京太郎「……ん? これって――」


71 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2019/06/23(日) 22:06:45 cAcnJ4y6
久「……美味しかった」

京太郎「お口に合ったなら良かったです。つってもただウィンナーと目玉焼き焼いただけですけどね!」

久「朝からちゃんとしたご飯食べたの久しぶりだからかしら」

京太郎「いつもは?」

久「食べないか、菓子パンか」

京太郎「それじゃあ元気出ませんよ! 俺なんて大盛りですもんね!ほら!」

久「ふふ……須賀くんったら、それは食べすぎよ」

京太郎(よかった、少し笑ってくれた……)

久「鞄、持ってくるわね」

京太郎「はーい」

京太郎「……ごちそーさまでした! 洗うのは夕方にするとして、晩メシは……」

京太郎(って、なんか完全にここが家みたいだな)

京太郎「うおぉ、さすがに朝から詰めすぎたかも……」ボフッ

久「須賀くん?」

京太郎「あ、部長。いやーさすがにあれは食いすぎでしたよ」

久「だから言ったじゃない。満腹だと頭の回転も鈍るし、眠くもなるわ。腹八分目くらいにしておかないと」

京太郎「仰る通りです……」

久「えいっ」ドサッ

京太郎「うえっ!? ちょっ、乗っかられると胃がっ!」

久「私の体重を計算に入れてなかったあなたが悪いんだから」

京太郎「いやいやいやっ! そもそも乗っかられる前提でご飯食べないですから!」

久「そうでしょうねぇ」グィィ

京太郎(ぶ、部長の体が! 意識してなかったわけじゃないけど、改めて押し付けられると……!)

久「須賀くん」

京太郎「は、はいぃ!?」

久「もう少し、こうしてていい?」

京太郎「! ……ええ、もうちょい緩めてくれるなら」

久「うん」

京太郎「学校に遅れない程度にしときましょうね」

久「今サボっちゃったら、内木くんがすっ飛んでくるわね。『会長の判子がないと仕事が終わりません』って」

京太郎「それは大変」

久「うん、大変」

京太郎「ふふっ」

久「うふふ」

京太郎「……」ナデ

久「……」スリスリ

京太郎「今日、ご飯何がいいですか?」

久「今日は私が作るから。昨日も一昨日も、お願いしちゃったもの」

京太郎「部長の手料理が食べられる日が来るなんて……楽しみです」

久「あまり期待しないでね。そこまで凝ったのは経験ないの」

京太郎「正直、期待値鰻登りです」

久「プレッシャーだわ〜」

アハハハ……


72 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2019/06/23(日) 22:07:59 cAcnJ4y6
高久田「よォよォ須賀くんよォ〜〜? ちっとツラ貸して欲しいんだがなァ〜〜?」

京太郎「うわうっざ!! なんだよ?」

高久田「耳かせ」

京太郎「ああ?」

高久田「お前、なんか噂になってんぞ」

京太郎「噂?」

高久田「生徒会長とデキてんだって?」

京太郎「デキ……」

京太郎(よくよく考えたらそう見られるのって当たり前なのか)

京太郎「マジな話、違う」

高久田「でも仲良く行き来してんのはガチなんだろ?」

京太郎「事情があるんだよ、割りとシリアスな」

高久田「はぁ? お前どんな事情があったらデキてもねーのにキャッキャウフフしてる男女がいるんだよ」

京太郎「そうなるよなぁ……」

高久田「やれやれ、お人好しめ」

京太郎「なんだよ」

高久田「本当に彼女できたらウザイくらい自慢してくるんだろうし、お前の言う通り漫画みてーな事情があるんだろうな」

京太郎「おい」

高久田「心配すんな。そういう事にしとくからよ」

京太郎「そういう事にしとくってお前……」

高久田「噂になってるって言ったろ? お前が噂に当たる前に言っとかないと、変な風に耳に入ったら混乱しちまうだろーからな」

京太郎「だからわざわざ?」

高久田「おうよ。先に耳に入れて、真相も知っておく。ベストな選択だぜ」

京太郎「なに、お前ちょっと年上の頼れる仲間で中盤に主人公庇って退場しちゃう系ジョブなの?」

高久田「褒めてるのか馬鹿にしてんのかわからねーのやめろ! 咲ちゃんにお前の性癖バラすぞ!」

京太郎「咲だけじゃなくて誰にも言うなそれは!」


73 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2019/06/23(日) 22:08:56 cAcnJ4y6
久「はぁーーーー……参ったわねー……」

内木一太「会長、これもお願いします」

久「やだー」トンッ

一太「ありがとうございます」

久「会計くんはこんな時に限って風邪だなんて運が良くて恨めしいわ」

一太「病気は仕方ありませんよ。それに、お見舞いの桃缶代出してくれたじゃないですか」

久「それとこれとはべーつ。はーめんどくさ」

一太「会長」

久「どれ?」

一太「あ、いえ、そうでなく」

久「? なによ」

一太「会長……竹井さん、最近誰かと付き合ってるっていう噂が……」

久「ええ? どういうこと?」

一太「なんか登校の時とか放課後に
、竹井さんが男子生徒と腕組んだりしてるって」

久「……ああ」

一太「あ、思い当たる節はあるんだ。単なる噂かと思ってたけど」

久「須賀くんよ、内木くんも知ってるわよね?」

一太「うん。そっか、彼と付き合ってるわけか。なるほどなるほど」

久「あはは、違うわよ」

一太「えっ違うの? だってそんな仲良く……」

久「……………………あれ?」

一太「?」

久「……………………」

一太「……竹井さん?」

久「私、帰るわ」

一太「へっ? た、竹井さん?」

久「どうしても私の判がいるやつだけ残しておいて。副会長の代印が効くやつと、期日が来週のやつは後回しで」

一太「わ、わかりました」

久「また明日」ガラガラガラ

タッタッタッタッタッ……

一太「どうしたんだろう、突然……」

一太「はっ! まさか、勢いで仕事押し付けられちゃった……!? んむぅぅぅ……!」トンットンットンッ


74 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2019/06/23(日) 22:09:43 cAcnJ4y6
京太郎『今日も生徒会で遅くなるって話でしたよね?』

京太郎『ちょっと用事があって帰りだと微妙な感じなんで、先に家で待ってますね』

久「はっ、はっ、はっ……!」

京太郎『昨日、夜寝ました?』

京太郎『なんなら『パパ』って呼んでみます? なんて――』

久「はっ、はぁっ……はっ……!」

京太郎『部長の気の済むまで、居ます』

京太郎『居て欲しい時は、一緒に居ますから』

久「っ……!」ガチャガチャッ





京太郎「本当ですか? じゃあ今週の土曜日に……はい。ありがとうございます。じゃあその日に」ピッ

ガチャガチャッ

京太郎「部長かな? けっこう早いような……」

バタバタバタ!

京太郎「おかえりなさ――」

ドンッ

京太郎「どぉうわっ!?」ドテンッ

京太郎(なんかデジャブが……!)

京太郎「ぶ、部長! あぶな……い……」

久「はーっ……はーっ……」

京太郎「部長、顔が真っ青じゃないですか!? な、なにかありました? まさか痴漢に襲われて……」

久「はーっ……はっ……すが、くん……っ」

京太郎「な、なんですか」

久「須賀くんは、なに?」

京太郎「俺が……え?」

久「わから、ないの」

久「わたし……須賀くんに、頼って……最初は、勢い、だったと思うけど」

久「やさしい、須賀くんに……甘えて、それで……」

久「でも、普通は……っ、こんなこと、ないから」

久「こんなの、一緒じゃない……あの女と……!」

久「自分の都合のいいように……男の人、振り回して……!」

久「ごめんなさい、ちがうの……ちがうの……」

京太郎「……部長」グイッ

久「須賀くん……?」


75 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2019/06/23(日) 22:10:58 cAcnJ4y6
京太郎「まずはゆっくり深呼吸しましょう」

久「え」

京太郎「いいですか、深く息を吸ってー」

久「あ、え……すぅーっ」

京太郎「はい、吐いてー」

久「はぁーっ」

京太郎「吸ってー」

久「すぅーっ」

京太郎「吐いてー」

久「はぁーっ」

京太郎「……少しは息が整いましたか?」

久「……うん」

京太郎「息が荒い内に喋って酸素使っちゃうと過呼吸になるかもしれませんからね」

久「……」

京太郎「落ち着いて聞いてください」

久 コクッ

京太郎「部長が何を言いたいのかとか、何を考えてるかは大方わかりました。頷くか首振るかだけでいいです。噂話聞きましたね? 俺たちの」

久 コクッ

京太郎「やっぱり……」

京太郎(普通なら、そこまでは大丈夫だったんだろうな)

京太郎「先に言っときますよ。部長はお母さんじゃありません。自分の母親と自分を重ねないでください」

久「……」

京太郎「それで……ええと、そうですねぇ。こう言っちゃなんですが、部長は片親だった訳じゃないですか」

久 コクッ

京太郎「その時点で子どもとしては堪えるというか……お母さんも、あまり良くしてくれなかったみたいですし。まぁ子ども置いて出てってる時点で無いんですけど」

京太郎「それでも、部長は普通に学校通って普通に生活送って来た訳ですよ。普通どころか生徒会長ですしね」

京太郎「社交性もあるし部活も部長で文武両道……はともかくとして、この上でいきなり独り身になりました、なんて。そりゃめちゃくちゃなりますって」

京太郎「頑張って来たじゃないすか。何も悪いことしてませんよね? 犯罪を犯したわけでもないのに、なんですこれ」

京太郎「こんな状況で誰かを頼らないとか甘えないとか、強すぎるでしょうそれは」

京太郎「そんな時に後輩とか先輩とか、男だ女だとか関係ないっていうか」

京太郎「だから、いいんですよ」

久「…………全部、いいの?」

京太郎「そう、全部いいんです。今は何も気にしないでください」

久「須賀くんは、いいの?」

京太郎「構いません。ドンと来いです」

久「……」

京太郎「誰がなんと言おうと部長がつらいのは事実なんですから」

久「っ……やだ、また泣いちゃ……」

京太郎「久さん」ギュッ

久「〜〜〜〜〜〜!!」グッ

京太郎「今はわがままでもいいんですよ。俺でよければ受け止めます」

久「っ……! っ!」ポロポロ

京太郎(部長……)

京太郎(……俺は…………)


76 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2019/06/23(日) 22:12:06 cAcnJ4y6
久「また、須賀くんの前で泣いちゃった」

京太郎「知りませんでしたよ、部長がこんなに泣き虫だなんて」

久「……知ってるのは、須賀くんだけよ」

京太郎「二人だけの秘密ってやつですか」

久「うん」

京太郎(なん……つー可愛い笑い方してるんだこの人……)

京太郎(こういう表情も、俺しか知らないんだよな……)

久「須賀くん」ギュウッ

京太郎「はい」

久「須賀くん」

京太郎「はい」

久「須賀、くん」

京太郎「はい――ちゃんと居ますよ」

久「えへへ……」スリスリ

……グゥ-

京太郎「あっ」

久「……ごめんね、わたしのせいで夜ご飯食べられなかったから」

京太郎「お互い様ですよ。そうだ、明日は昼の弁当作りますよ、量多めで」

久「朝は?」

京太郎「朝は腹八分目、でしょ?」

久「あっ……」

京太郎「ははっ。それで、部室で食いましょう。二人で」

久「うん」

京太郎「決まりですね」

久「朝、起こしてね?」

京太郎「いいですけど……」

久「一緒に、作りましょ?」

京太郎「……いいですね!」

久「なんだか、ちょっとわくわくしちゃうわね」

京太郎「ふふ、なんかわかります。さて、そろそろ寝ましょうか」

久「うん。おやすみなさい」

京太郎「はい、おやすみなさい」

カチカチッ

京太郎「……」

久「……」

京太郎「……」

久「……須賀くん」

京太郎「……? 呼びました?」

久「……」

京太郎(……気のせい、か)

京太郎「……」

京太郎「…………z...」

久「――須賀くん、すき」

京太郎「………………………………」

京太郎「!?!!?! ぶちょ、う……」

久「ス-……ス-……」

京太郎(ああああああああ!!!!俺の空耳か!?思春期の中学生かっての!!!!)

京太郎(特殊な状況に俺もあてられてるんだ……冷静に、冷静に……)

京太郎(れいせい……冷製……? ああ、冷やし中華とか……いい、よな……)

京太郎「……グ-……グ-」


77 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2019/06/23(日) 22:29:04 .6JMJCro
なにが世界一やおまえ…宇宙一や!!


78 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2019/06/23(日) 22:30:19 5HNZATs2
抱けー!抱けー!


79 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2019/06/23(日) 22:31:39 zqlLWCF.
犯せ!


80 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2019/06/23(日) 22:37:09 63tb4WtI
こんなところで良質な久京の恩恵にあずかるとはな


81 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2019/06/23(日) 23:00:44 7DdC9nV6
確かに


82 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2019/06/23(日) 23:07:55 3BxeLfD2
早く付き合え


83 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2019/06/24(月) 00:04:06 eLp.WD5k
もう実質SEXでしょこれ


84 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2019/06/24(月) 01:34:44 LzNuNT1Y
もっとちょうだい……!


85 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2019/06/24(月) 01:57:29 tnqA2OQc
ああ逃れられない!(歓喜)


86 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2019/06/24(月) 02:45:15 8D4M5Ke.
今俺は『犬の気持ち』がよく分かる、大好きな『餌』を眼前に置かれて『待て』を命じられた『犬の気持ち』がナァッ!!


87 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2019/06/24(月) 09:02:53 XTj59vBs
いい!いい!いい!


88 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2019/06/24(月) 09:16:51 hMHWvbls
世のオギャり系風俗は普段優秀で強かな人ほどハマりやすいらしいですね


89 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2019/06/24(月) 23:08:45 m67J3xAc
先生「朝鮮戦争によって1950年にはGHQの指示があって警察予備隊が設立されましたが――」

久(須賀くん……)

先生「1947年には首相の吉田茂が傾斜生産方式を実施し――」

久(須賀くん、須賀くん、須賀くん)

先生「では、同じく47年にGHQによって中止が言い渡された労働闘争はなんでしょうか。竹井さん」

久「二・一ゼネスト」

先生「はい、その通りです。次に――」

久(……須賀くん)




キ-ンコ-ンカ-ンコ-ン キ-ンコ-ンカ-ンコ-ン

生徒A「久〜、学食行こうよ〜」

生徒B「竹井たちも学食? 俺も……」

久「ごめんなさい、生徒会が忙しいからお昼は仕事しながら食べるつもりなの」

生徒A 「あ、そっかぁ。後輩がハードルとロイター板買いたいって言ってたからよろしく!」

久「それは顧問の先生の交渉力次第ね」フリフリ

生徒A「いってら〜」

生徒C「……最近あいつ雰囲気変わった?」

生徒B「え?」

生徒A「あ、なんかそれ私も思った」

生徒C「なんか意識が明後日の方っていうかなんていうか」

生徒B「気のせいじゃね? じゃなきゃ急に当てられて答え出ねぇだろ」

生徒C「なにちょっとムキになってんだよ」

生徒A「ウケる。あんた集中してても答えられないでしょ」

生徒B「は?」

生徒A「やっぱりアレかな〜……男」

生徒C「ああ、なんかそれ聞いたわ」

生徒B「……マジかよ」ガリッ

生徒A(うっわ……頑張れ〜)


90 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2019/06/24(月) 23:09:57 m67J3xAc
久(須賀くん須賀くん須賀くん)カッカッカッ

久(須賀くん須賀くん須賀くん須賀くん須賀くん!)カッカッカッカッカッ

バタンッ

京太郎「あっ部長! 俺もたった今来たところで――」

久「須賀くんっ!」ドンッ

京太郎「おっふ!?」

久「ん〜〜〜〜……!」ギュムゥッ

京太郎「……そんなにお腹空いてました?」

久「お腹も空いてたし、須賀くんにも会いたかった」

京太郎「(ドキッ)そ、そっすか」

久「須賀くん、須賀くん……」

京太郎「ちょ、部長……」

ガチャッ

京太郎「あっ」

まこ「ぬぁあっ!?」ビクッ

京太郎「そ、染谷先輩……これはその、あの……」

まこ「あー……いい、わかっとる。まぁ、ちょうどよかったかのぅ……久」

久 ピクッ

まこ「ちょっとそこ座りんさい。京太郎も」

京太郎「は、はい」ガタッ

久「ん」ガタッ

まこ「ふぅ……」

京太郎「もしかして、噂話のことで……?」

まこ「さすがに知っとるか。正直、それはどうでもええ」

京太郎「はぁ」

まこ「久、ワレはいつまで京太郎に甘えとくつもりじゃ」

久「……」

まこ「事情は重々承知しとる。おんしの気持ちもよく知らんままごちゃごちゃ抜かす気もない」

まこ「じゃが、それとこれとは話が別じゃ。京太郎はおんしの家族じゃなかろう」

京太郎「染谷先輩、少し……」

まこ「やかましい、ぶちまわすぞ」

京太郎 ビクッ

まこ「周りを頼るんとは当然じゃ。しわいまま潰れてしまわんで安心した」

まこ「が、たいがいにせにゃあがーに京太郎ばっかりにおんぶにだっこじゃあ、いつずコイツが倒るぅぞ」

まこ「無理してまでわしらに頼れとは言うとらん。京太郎を頼るんとは気持ちの問題があるんじゃろ」

まこ「なぁ、部長――」


91 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2019/06/24(月) 23:12:01 m67J3xAc
久「……わかってるの」

まこ「……」

久「須賀くんに話して……それだけでスッキリして済むものだと思ってた……」

久「全然、違ったんだけどね」

京太郎「部長……」

久「須賀くんがあんまりにも優しいから、ワガママだって分かってても沢山甘えちゃって」

久「変よね。ただの先輩後輩なのに」

久「最初は本当にしんどいし、苦しいし……自暴自棄ってやつだったんだけど」

久「ちょっとは……気分も落ち着いてきたわ」

久「タイミングを逃し続けて、っていうのは言い訳で、きっと『思ったより良かった』ってだけなのよ」

久「……いいえ、そうなのよ。ごめんなさい」

京太郎「……」

まこ「……ほーかい」

久「こんなんじゃ部長失格ね。退部処分ものだわ」ガタッ

京太郎「部長!!」

久「っ、ごめんなさい……っ」

バタンッ
タッタッタッタッタッ……

まこ「言い過ぎたか……」

京太郎「染谷先輩……!」

まこ「すまん」

京太郎「…………いえ」

まこ「もちっと怒鳴らんか」

京太郎「厳しい言葉は……なかなか掛けづらいと思います。親友同士でも相手の嫌なところは指摘できないみたいな話、ありますし」

京太郎「部長みたいな事情なら、なおさら」

まこ「……こすいのぅ」

京太郎「え?」

まこ「嫌われ役でもよかったんじゃ、わしは。甘やかすんはおんしがやっとる。じゃけぇ……」

京太郎「……染谷先輩のそういう優しいところ、素敵だと思います」

まこ「はぁー……せーじゃけぇ部長も京太郎を頼ったんじゃろなぁ」

京太郎「どういうことです?」

まこ「さあ?」

京太郎「……」

まこ「さっさと追いかけんか、バカタレ」

京太郎「……はいっ」ペコリ

タッタッタッタッタッ

まこ(ただの甘やかしがあそこまで他人の為に動くわけあるまい……久のボンクラめ)

まこ「……ほんに、羨ましいの」


92 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2019/06/24(月) 23:12:48 m67J3xAc
京太郎「部長っ!」ガシッ

久「っ! ……離して」

京太郎「嫌です」

久「お願い……離して……」

京太郎「嫌です!」

久「なんでっ……!」

京太郎「部長を、一人にはしておけません」

久「何するかわからないから? 人でも殺しそうな顔してる? それとも、首でも吊りそう?」

京太郎「やめてください」

久「……なによ」

京太郎「……」

久「ありがとう、須賀くんのお陰で数日間好き勝手できたわ。掃除も洗濯も全部やってくれて、人は情けに弱いっていうのがとても実感できたわ」

久「これも雑用の延長みたいなものだもの。もしかして、何か勘違いさせちゃった? だったらごめんなさいね、私別に須賀くんじゃなくてもよかったの。たまたま近くに居たからこうなっただけで」

久「だから……別に、こんな……」グッ

優希「お? 部長と京太郎だじぇー」

京太郎「優希……」

優希「こんなところでどうしたんだ?」

久「っ」パシッ

京太郎「あっ」

タッタッタッタッタッ……

優希「え……あれ? も、申し訳ないじぇ。間が悪かったのか……?」

京太郎「いや、逆に良かったよ」

京太郎(何を言えば……どうすりゃ良かったのか、わかんなかった)

京太郎(間を置くのも、強引に詰め寄るのも、たぶん違う気がする)

京太郎(頭がごちゃごちゃになって自分を追い詰めてるだけで……)

優希「京太郎……」

京太郎「へへ、すまねぇな。なんでもねーよ」

優希「ほ、本当か?」

京太郎「ああ。今から教室戻るんだろ? 一緒に行こうぜ」

優希「おう……」

京太郎(今は、仕方ない)

京太郎(……明日だ)


93 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2019/06/24(月) 23:13:19 m67J3xAc
久「お疲れ様」

内木「お疲れ様でした」

久「先に失礼するわね」

内木「はい」

パタン

内木「……ふぅ」

書記「昨日自分がいない間になんかありました?」

内木「いや……でも、どうしたんだろうね」

書記「明らかにいつもの会長じゃありませんでしたよね……」

内木「うん。覇気がなかったっていうか……昨日はそんなことなかったんだけど」

書記「仕事自体は完璧なんですよねぇ」

内木「……ま、会長も人間だからね。そういう気分の日もあるよ」

書記「……そうですね!」

内木「さ、僕らも帰ろう帰ろう!」







カチャン

久「………………ただいま」

フラフラ……ボスンッ

久「……………………」

久「……………………」

久「……………………」

久「なにやってるんだろ、私」

久(なにがしたかったのかなぁ)

須賀くんは都合のいい男なのよ。
ちょっと弱々しくしてみせれば甲斐性見せようとして気張ってくれるんだから。
普段からそうよ。お願いすればなんだって聞いてくれる。
無茶だろうが無理だろうが、「はいはい」って言いながらこなしてくれる。
だからこういう時にも活用したんでしょ?

母親『最高よね、言いなりになってくれる男って』

久「ッ!!!!」ギリッ

久「………………最低」

久「ぅっ……ひっ…………く……っ」

久「ごめんなさい……すがくん……っ……ごめんなさい……!」ボロボロ


94 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2019/06/24(月) 23:13:41 m67J3xAc
カランカラン

京太郎(えーっと、確か窓際の……)

(小さく手を上げる女性の姿)

京太郎(あ、居た)

京太郎「どうも、初めまして。清澄の須賀京太郎です」

福路美穂子「初めまして。風越の福路美穂子です」

京太郎「いきなり連絡したのに約束取り付けてくれてありがとうございました」

美穂子「ううん、大丈夫。上埜さんのことでわざわざ相談したいってことは、きっと何かあったんじゃないかなって」

京太郎「はい……」

美穂子「私のことは上埜さんから?」

京太郎「ええ、前に少しだけ。合宿の時に優希が連絡先交換しててくれて助かりました。新聞の見出しに風越が乗ってて、福路さんならって」

美穂子「そう……私でよければ、うん、力になります」

京太郎「本当にありがとうございます」

美穂子「それで、なにがあったの?」

京太郎「実は――」








美穂子「酷い……」

京太郎「はい……そのせいで部長も参っちゃって。空元気なのも自棄な感じで」

美穂子「ごめんなさい、私も上埜さんのご両親についてはほとんど知らないの。でも……」

京太郎「でも?」

美穂子「インターミドルの時と、その後改めて会った時と……雰囲気は、変わってた」

京太郎「……」

美穂子「年月が経てば変わる人は変わるのかもしれないけど、無邪気さというか天真爛漫というか……そういうのが、無くなってたような感じで……」

美穂子「強かになったっていうとまた違うのかも。あれだけ上埜さんは気さくなのに、壁……がある」

美穂子「きっと、そういうことだったのね……」


95 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2019/06/24(月) 23:14:04 m67J3xAc
京太郎(壁……)

美穂子「今は大丈夫なの?」

京太郎「いえ……しばらくは俺なんかを頼ってくれてたんですが……」

京太郎「少し雲行きが怪しくなってしまって」

京太郎「相談してる上で全部明かさないのは失礼かもしんないんですけど」

美穂子「いいの」

京太郎「ありがとうございます」

京太郎「早く……立ち直れるように、同じ麻雀部の人が喝を入れたんですけど、それがきっかけになっちゃったみたいで」

京太郎「状況と……部長自身の考えてる事とでごちゃごちゃになってるんだと思うんです」

京太郎「切り分けて考えるべき事とかが、今やるべき事と正しい事とで余計にわけがわからなくなってるような……部長はあんな分かりやすい悪態なんて――」

美穂子「須賀くん」

京太郎「!」ハッ

美穂子「落ち着いて。私もここに居るわ」

京太郎「すみません……」

美穂子「ううん。そこまで上埜さんの事を想ってるんでしょう?」

京太郎「……俺は…………」

美穂子「立場とか環境とか、やるべき事とかやらなきゃいけない事とか……色々が積み重なって、雁字搦めになって」

美穂子「不安、期待……そういうものに押し潰されるのってよくある事」

美穂子「手助けする側が巻き込まれちゃう事もある」

京太郎「……はい」

美穂子「須賀くん。人はたった一言でも、それだけで救われることがあるの」

京太郎「えっ」

美穂子「須賀くんは、もっとシンプルに考えた方がいいと思うな」

京太郎「シンプルに……」

美穂子「上埜さんが須賀くんの言葉をどう受け取るのかはわからない。だから――」

美穂子「私も、二人の力になる」


96 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2019/06/24(月) 23:17:08 8D4M5Ke.
このみっぽは頼れる美穂子だわ


97 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2019/06/24(月) 23:33:47 uVEcmDKI
これはキャプテン


98 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2019/06/25(火) 00:03:59 ud/x7jyw
SSでここまでマトモなキャップは珍しいな…


99 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2019/06/25(火) 00:57:25 vNe0SZcc
おかしいキャップがまともだし!


100 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2019/06/25(火) 06:03:44 RSjs5DbQ
NaNじぇい民は福路美穂子さんのことをなんだと思っているんだ


101 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2019/06/25(火) 07:46:32 I7PkWjc2
なんとすばらなss


102 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2019/06/25(火) 16:31:14 mRCbjJ/o
久を!


103 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2019/06/25(火) 21:10:15 jcANsTLA
>>100
クレイジーサイコレズ


104 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2019/06/25(火) 21:59:26 Ks0y55o.
更新が止まっ……ているように見えるのは私だけでしょうか


105 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2019/06/25(火) 22:02:27 GrAx9p76
まだ一日も空いてないが


106 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2019/06/25(火) 23:11:29 mRCbjJ/o
キャプテン……ついに心を入れ替えてくれたし!


107 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2019/06/26(水) 23:12:05 ipWtdQO6
ピン、ポ-ン

久「…………?」

久「朝……」

ピン…ポ-ン

久「…………」

ピン…ポ-ン

久「…………」

シン…

久「…………」

カチッ カチッ

カチッ カチッ カチッ

カチッ カチッ カチッ カチッ カチッ カチッ……












カチッ カチッ カチッ カチッ カチッ カチッ

カチッ カチッ カチッ

カチッ カチッ……

久「――……」

クゥ

久(……なにか、食べなきゃ)

久「…………」

久(なにもない……)

久「…………」フラ…フラ…

カチャッ バタンッ

久(ああ、まぶしい――)ドンッ

「きゃっ」

久「えっ、ごめんなさ……!」

久「……美穂子?」

美穂子「こんにちは、上埜さん。よそ見は危ないですよ」

久「そう、ね……ごめんなさい……」

美穂子「偶然ですね、こんな場所で会うなんて」

久「……ええ」

美穂子「もしかして、お昼ご飯の買い出しですか?」

久「そうだけど……」

美穂子「せっかく会えたんだから、どうせなら今から外で食事しませんか?」

久「え……」

美穂子「お誘いするのは私ですから、なんなら支払いも私が持ちますよ」

久「……ふふ、奢りなの? 今日はツイてるわね」

美穂子「奢るのは食事だけですよ? さ、行きましょう」


108 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2019/06/26(水) 23:12:44 ipWtdQO6
久「いいお店知ってるのね」

美穂子「華菜に、部活の後輩に教えてもらったんです。私も来るのは初めてで」

久「あらそう。ははーん、旅は道連れってこと?」

美穂子「そこまでは言いませんけど、飲食店なんかに一人で入るのは気が引けちゃって……」

久「わかるわ〜。特にこういうカウンターのないお店だとなんかね」

美穂子「意外です。上埜さんは平気そうなイメージがあったから」

久「そお? なーんか私の事を度胸があるとかサバサバしてるとか言う人多いんだけど、私は至って普通の乙女よ?」

美穂子「普通の人は、あんな悪い待ちしないと思います」

久「麻雀は別よ、別。そんなこと言い出したら阿知賀のドラ爆っ娘なんて普段どんだけ豪運なのよ」

美穂子「あはは……」

久「さぁて、奢りだから心置きなく高いの頼んじゃおうかしらね〜」

美穂子「う、上埜さん、なるべく抑えてくださいね?」

久「冗談よ、冗談。おっ、ツナトマトパスタっていいわね」

美穂子「海鮮ものが沢山……ンニ丼……?」

久「私きーめた」

美穂子「えぇっ!? ち、ちょっと待ってください!」

久「ごゆっくり〜」

美穂子「うーん……」


109 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2019/06/26(水) 23:13:26 ipWtdQO6
久「いや〜〜満足だわ。まさかこんなに美味しいなんてね」

美穂子「本当に。あの子にはお礼言っておかないと」

久「いい仲間に恵まれてるわね〜」

美穂子「――上埜さんも」

久「……」

美穂子「……少しは調子が戻ったみたいで安心しました」

久「ええ……」

美穂子「朝はチャイムを鳴らしても反応がなかったので、もしこのまま会えなかったらって悩んでたんです」

久「……それからお昼までずっと私の家を張ってたの?」

美穂子「はい」

久「あなたも、お人好しなのね」

久「偶然だなんて……はっ。あなたが私の家を知ってるはずもないし、風越のあなたがあの辺を用もなくブラついてるはずがない」

久「……どうして、美穂子なのよ」

美穂子「須賀くんも悩んでいるんです」

久「他人の事よ?」

美穂子「他人事じゃないからですよ、彼にとっては」

久「……」

美穂子「もちろん私にとっても、です」

久「そんなの嘘よ」

美穂子「嘘じゃありません。いえ、私の事は信じてくれなくても構いません」

美穂子「でも、須賀くんはどうですか?」

美穂子「上埜さんのためにあれこれ行動した彼は」

久「……男なんて、女がか弱く振る舞えば構ってくれるわよ」

久「須賀くんくらいお人好しならなんでも……一緒のベッドに入るのなんて、普段でも喜んで引き受けてくれるでしょ」

美穂子「えっ」

久「え?」

美穂子「あ……えと、ごめんなさい……深い話までは聞いてなかったので……」

美穂子「ふ、二人がそもそもそういう仲だったなんて……///」

久「はぁ……勘違いしないで。ただ彼は……私を慰めてくれただけなの。一人で寝れなくて……いえ」


110 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2019/06/26(水) 23:13:57 ipWtdQO6
美穂子「やっぱり……それくらい、辛かったんですね」

久「なによ、なにを聞いたって言うのよ」

美穂子「上埜さんの家族のことだけ」

久「ああ……そう」

久「いいのよ、もう。解決したんだから。終わったの、全部」

久「話を聞いてお節介焼きに来てくれたんでしょ? ありがとう、大丈夫よ」

美穂子「そうやって自棄になっている内は見過ごせません」

久「人のデリケートな部分に上がりこまないで。他人の家庭環境に物申せるほどの間柄じゃないでしょう」

久「……もう、放っておいて……お願い……」

美穂子「……上埜さん、一つだけ聞いてください」

美穂子「私は上埜さんのお家の事情とか、上埜さんの状態について特別何かを言うつもりじゃありません」

美穂子「お説教するような立場でもありませんし、私が知ったところで何も解決しない事も分かってます」

美穂子「ただ――自分に嘘はつかないで欲しいだけなんです」

久「…………」

美穂子「赤裸々っていうほど正直になんてなれないと思います」

美穂子「誤魔化したり、はぐらかしたり。そうしないと自分の見せたくないところを見られちゃいますし」

美穂子「自分を守るために自分に嘘をつくっていうのはあると思うんです」

美穂子「けど、自分につく嘘でも相手につく嘘でも、気持ちを騙すようになったらダメになります」

久「……黙って」

美穂子「自分でも自分の気持ちがわからなくなって、自分を受け入れてくれる相手でも偽り続けるような」

久「黙りなさいよ!」

美穂子「久」グッ

久「!?」

美穂子「怖がらないで」ジッ

久「っ……」


111 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2019/06/26(水) 23:14:31 ipWtdQO6
美穂子「私の眼を見て」

美穂子「あなたが『綺麗だ』って言ってくれた、私の眼を」

久「……」

美穂子「ずっと好きになれなかった。左右で色が違うから、それだけで謂れのない言葉を吐かれたり変な視線で見られたりもした」

美穂子「だからなるべく隠して生きてた。なぜだか麻雀に役立つから、それ以外ではひっそり閉じて、生きてきたの」

美穂子「綺麗だって言われるなんて……思いもよらなかった」

久「……だから、なに」

美穂子「過ぎた話かもしれないけど、あなただけじゃなかったかもしれない」

美穂子「どうして眼を閉じてるのって聞かれた時に、私が理由を話して見せていれば、もしかしたら同じようにこの眼を気にしない人に会えてたかもしれない」

美穂子「実際に後輩たちは、私を笑ったりはしなかった」

美穂子「でもそれ以前の……あなたの言葉があったから、自分を騙さないでいられたから、あの子たちにも眼を見せることができたんです」

美穂子「他の誰でもない。あの時、あの場所で、あなたがああ言ってくれたから」

久「………………」

美穂子「どんな形であっても、自分の事を受け入れてくれる人はいます」

美穂子「それが分かっているのに、自分を偽ってまで逃げ出してしまう臆病があってはいけません」

美穂子「これ以上、悪待ちをする必要はないでしょう? 久の上がりはすぐそこです」

美穂子「一手を打つ、勇気さえあれば」

久「……私が……」

美穂子「…………結局、お説教みたいになってしまいましたね」

美穂子「一つどころか二つも三つも話して、こんなんだからコーチに叱られちゃうんだわ、ふふふ」

久「美穂子……私……」

美穂子「そろそろ帰ります。あまり長居すると帰り着く頃には夕方になっちゃいますから」

美穂子「今度は、一緒にお買い物に行きたいです」

美穂子「久しぶりに会えて良かった」

カランカラン

久(……………………)

ガタッ


112 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2019/06/26(水) 23:15:02 ipWtdQO6
京太郎(福路さんから連絡はない……)

京太郎(居ても立ってもいられなくなって、気がついたら部長の家まで来ちゃったけど……)

京太郎(ダメだな……今は大人しく福路さんの連絡を待とう)

京太郎(昨日の今日で部長が誰かに会うとも思えない。逆に、今会ったってどうしようもないだろ……俺の馬鹿)

京太郎(帰ろう――)クルッ

京太郎「――えっ」

久「……」

京太郎「ぶ、ちょう……」

久「……」チャリ

ガチャッ キィ…

京太郎「…………」

久「……入らないの?」

京太郎「……! お邪魔、します」

久「…………」

京太郎「…………」

久「どうして来たの」

京太郎「……部長が心配で」

久「なんで?」

京太郎「それは――」

久「言ったじゃない、須賀くんは都合がよかっただけだって」

久「いまさら親が出ていったからって年甲斐もなく取り乱したりしないわよ」

久「試しにか弱い女の子をやって、結果に満足できたからそれで終わりなの」

京太郎「はい」

久「――――」

久「それだけ?」

京太郎「部長が平気だったっていうなら……安心しました」

京太郎「俺は普段から部長らしい部長しか見てなかったんで、最初は本当にビックリしたんです」

京太郎「『この人がこんなになるなんて余程の事に違いない』って」

京太郎「実際、理由聞いたらそうなるのも当たり前だよなって思って」

京太郎「ほら、俺って全然麻雀強くないじゃないですか。面子を考えても麻雀部で活動する意味ってそんなにないですし」

京太郎「でも部長は雑用をやらせてくれる」

京太郎「多分、周りにはそれ以外で役に立つ事がないからって言う人ばっかじゃないすかね」

京太郎「むしろ、それって雑用っていう役割なら役に立つってことじゃないすか」

久「雑用なんて誰だってできるわ」


113 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2019/06/26(水) 23:15:30 ipWtdQO6
京太郎「誰だって出来るのに他のみんなにはやらせないんですか?」

久「みんなは……練習で……」

京太郎「そうっすね、練習で打ってたら雑用なんてする暇ないかもしれませんね」

久「そうよ。みんなが集中して練習するのにちょうどいいから、あなたを雑用として使ってる」

京太郎「だったらどうしてみんなが俺に麻雀教えるのを止めないんですか」

久「…………どうせ、無駄だから」

京太郎「だったらなおさら止めなきゃいけないんじゃないんですか? 時間の無駄っすよね?」

久「……息抜き――」

京太郎「休憩はいつも別にちゃんと取ってますよね。毎日部活ってわけじゃなくて休日もあるじゃないすか」

京太郎「……染谷先輩が貰ってる牌譜、明らかに初心者向けのやつが混ざってるらしいんですよ」

久「……!」

京太郎「不思議っすよね。お陰で染谷先輩は『京太郎に見せるにはちょうどええわ』って、ニコニコしながら解説してくれるんですけど」

京太郎「部室の本棚に初心者向けの本が増えてたり」

京太郎「練習用点数計算帳、使うのは優希だけのはずなのに予備が多すぎるくらいあったり」

京太郎「他にも色々……まぁ、今は置いときましょう」

久「…………」

京太郎「とにかく、俺が言いたかったのはですね、手持ち無沙汰な俺に役割をくれた上で気にかけてくれてるであろう人が」

京太郎「どういう訳かぶっ倒れそうってくらいヤバイ状況で自分を頼ってきたんだから、だったら存分に役に立ってみせようって」

京太郎「そう、思ったんです」

久「っ……」

京太郎「別にいいんです。もし、俺が雑用なのは追い出すと見栄が悪いから、建前上は仕事を振って在籍する大義名分を作ってあげてるとかそういうのでも」

京太郎「部長が本当に大したダメージが無くて俺を振り回してみただけだったとしても」

京太郎「部長の思惑通りに役立ったなら、俺は本望です」


114 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2019/06/26(水) 23:15:44 mdAs5Ur.
これは風越のキャプテン福路美穂子さん


115 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2019/06/26(水) 23:16:02 ipWtdQO6
久「…………なに、それ」

久「あなた馬鹿じゃないの」

久「自分のこと散々好き勝手にしてきた相手を……許すの? 本望ですって?」

久「だいたい……っ! そんな、あなたの為に色々やってたとして、それをしっかり話して、伝えてないならそれはただの自己満足じゃない!」

久「挙句の果てにはお礼も無しに突き放してるのよ!? 罵声の一つや二つ、あるでしょ!?」ドンッ

京太郎「っ」

ドサッ

久「怒ってよ……怒りなさいよぉ!!」

京太郎「…………」

久「あなたにはなんの落ち度もないじゃない! それなのに、馬鹿みたいじゃない!」

久「いいの!? 甘い態度のままで、またこんな風に騙されて!!」

久「あなた……本当にそれで満足なの……?」

京太郎「……満足では、ないです」

久「だったら……!」

京太郎「本当に……心の底から部長が笑えるのなら、それで満足です」

京太郎「部長が苦しんでるままなら、満足はできないです」

久「まだ、そんなこと言うの……」ポロ…

久「どうして……? 怒ってよ、須賀くん……私を、叱って……」ボロボロ

京太郎「……部長はどうしてあんな悪態をついてまで俺を引き離したんですか?」

久「だって……っ、私あのままじゃ、ずっとあなたに甘えちゃう……!」

久「このまま……っ……ずっと、須賀くんに、迷惑、っだけ……かけながら、すごしちゃうから……!」

久「ぅっ……すがく、やさしいから……パパじゃないのに、あまえっ、てたくなって……ぇ……っ!」

久「……ひっ……すきなのとわかんなくなっちゃったよぉ……!」

ポタッ ポタッ

京太郎「…………部長」ギュ…

久「っ〜〜〜〜〜〜!」ブワッ

久「ゔぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁぁぁぁ……っ!!」ギュゥ-ッ

久「ごめ゙んな゙さぃ……っ、やだぁっ! ぅえっ……すがくん、とばなれたぐないよぉ……っ!」

久「え゙ぐ……っ……ごめ、なさぃ゙っ゙……! ぐじゅっ……ごべん゙な゙ざい゙……!」

京太郎「いいんです、離れなくて。大丈夫ですよ、大丈夫――」ポンポン


116 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2019/06/26(水) 23:16:30 ipWtdQO6
リ-ン リリリリ……

京太郎「…………」サワ…

久(――――くらい……)

久「……あ、れ…………?」

京太郎「起きました?」

久「すが、くん? え……わたし……」

京太郎「泣き疲れて、少し寝ちゃってたみたいです」

久「……――――!」

京太郎「何時間も女の子に乗っかられたままっていうのは経験なかったんですけど……はは、意外とキツイっすね」

久「……ごめんなさい」

京太郎「どいてくれないんすか?」

久「ええ、起きたばかりで動きたくないの」

京太郎「たはー、参りましたね」

久「もう慣れたでしょう? 私が寄りかかるのも」

京太郎「寄りかかるどころか全体重負担してます」

久「重たいって言うの、禁句よ」

京太郎「滅相もない」

久「ふふ…………」

京太郎「はは…………」

久「…………」

京太郎「…………」


リ-ンリン リリリリリ……


久「……須賀くん」

京太郎「なんですか?」

久「すき」

京太郎「――――へ」

久「好きなの、あなたのこと」

京太郎「あ、えっ………………はい」

久「最初は勘違いしてるのかなって思ってた」

京太郎「勘違い?」

久「須賀くんが甘やかしてくれて、気持ちが緩んで……そこを、須賀くんに対する好意と取り違えてるんだって」

京太郎「……ああ、そういうことだったんですか」

久「でも――」

京太郎「待ってください、部長」


117 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2019/06/26(水) 23:17:02 ipWtdQO6
久「なに?」

京太郎「その、部長が精神的にキてたのってマジじゃないですか」

久「うん」

京太郎「それで偶然俺を頼って、そこで甘え……あー、頼れた部分で好きだって勘違いしてたかもしれないと」

久「そう」

京太郎「なんていうか、まだ待ってみてもいいんじゃないすかね?」

京太郎「頼る……ああもういいや! 甘えるとこと普段のとことは、今の部長の状態だと判別つかないと思うんすよ」

京太郎「さっきは好きだって言ってくれましたけど、もし後々やっぱり勘違いだったってなると部長の方から言い出しにくいでしょうし……」

京太郎「俺は全然、甘えてもらう部分と普段とでキッチリ態度変えてもらっても分かってるんで、好きは好きで別に――」

久「ねえ」

京太郎「は、はいっ」

久「須賀くんは、私に好きって言われたら迷惑?」

京太郎「い、いえそんな! むしろ信じ難いっていうか……」

久「そうよね、嘘つきの言葉なんか信用できないわよね……」

京太郎「いやいやそういう意味じゃないですって! 部長が俺なんかを好きになんて信じられないっていう感じで……」

久「どうして?」

京太郎「ど、どうしてですかね? 釣り合わないからとか」

久「どこが?」

京太郎「えーっと……が、学力?」

久「私ってそんなに勉学で差別してる?」

京太郎「い、いえ……顔?」

久「須賀くんカッコイイじゃない」

京太郎「いやーそれほどでも……」

久「私にお似合いな男って、なに?」

京太郎「それは……」

久「私ね、全然強くないの」

京太郎「……」

久「麻雀負けたら普通に悔しいし、大会に出ようものなら勝ち進む度に緊張で吐きそうになる」

久「生徒会長だなんて全校生徒の前に立つだけですごいプレッシャー」

久「部だって、人数的に誰一人欠けちゃならないから指導内容だって考えて考えて考えぬいて作り上げて、私のせいでみんなの努力が無駄にならないか戦々恐々よ」

久「友達にだって明かせない」

久「聞いてくれる家族も、誰もいない」

久「ずっと……怖かったわ」


118 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2019/06/26(水) 23:17:43 ipWtdQO6
京太郎「そうだったんですね……」

久「ええ。でも、追い込んだのは自分自身なのかも」

久「羞恥心とか性格とか環境とか……何が原因かはわからないけど、ひたすら待ち続けてたんだわ」

京太郎「?」

久「こうしてみれば、人生ずっと悪待ち状態だったのね、私」

京太郎「部長……」

久「――だから、逃がさない」

京太郎「えっ」

久「飛び込んで来たのはあなたよ、須賀くん。私の家から誰もいなくなって、最初に話したのが須賀くんなのも意味があることだったんだわ」

久「捕まえたからには絶対に逃がさないわよ。ううん、絶対に離したくない」

久「もしかしたら、他にもいるのかもしれない。須賀くんみたいに、私の全部を晒せる人が」

久「でも、ダメ」

久「私がここで見つけたのはあなただから。須賀くんじゃなきゃ、嫌」

久「好きよ、須賀くん。私とずっと一緒に居て」

久「じゃないと私、死んじゃうわ」

京太郎「…………」

久「…………」

京太郎「…………」

久「……怒ってる、わよね。都合良すぎるもの……わかってるわ。でもこれは嘘じゃなくて――」

京太郎「部長」

久 ビクッ

久「……な、なに?」

京太郎「これからは普段でも『久さん』って呼んでいいですか?」

久「!!」

久「……須賀くんの好きにして?」

京太郎「……久さん」

久「……須賀くん」

京太郎「久さん」

久「須賀くん」

京太郎「――久さん」

久「! ん、んぅっ…………!」

京太郎「……っ…………」グッ

久「っ…………♥」ギュゥッ

京太郎「……っは!」

久「は……はっ、はっ……♥ すがくん……♥」ギュ-ッ

京太郎「久さん……ずっと、離しませんから」

久「うん……! うん……っ!」

京太郎「久さん……!」

久「すがくんっ……!」

――

――――

――――――


119 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2019/06/26(水) 23:18:15 ipWtdQO6
まこ「どうじゃ、調子は」

久「元通りよ。ごめんなさい、まこ、みんな。迷惑かけちゃったわね」

咲「そんな! 私は全然……むしろ力になれなくて……」

優希「だじぇ……」

久「いいのよ。だって私が勝手に自棄になってただけだし?」

和「気を取り直されたなら何よりです……が」チラッ

京太郎「えっ、なに?」

和「い、いえ。なんでも」

京太郎「?」

まこ「あれじゃろ、久がおんしにベタベタしちょったから」

和「ち、違います!」

久「なーに和ったら。普段はツンケンしてるのに意外と須賀くんに気があるの?」

咲「和ちゃん?」

優希「マジかよぉ!?」

和「だから違いますってば!」

京太郎「えー、そっかぁ〜」

咲「なに鼻の下伸ばしてるの……?」ギリギリ

京太郎「いたたたたっ! ちょっ、咲っ!?」

まこ「わははは! 京太郎はモテモテじゃのぅ」

京太郎「笑ってないで助けて下さいっ!」

和「自業自得です」

優希「やれやれだじぇ」

久「ほら咲、そろそろ許してあげなさい」

咲「……」ツ-ン

京太郎「あててて……」

久「あらあら、赤くなってるわね……んっ」ペロッ

優希「…………!??!!?」

京太郎「猫じゃないんですから……」

久「ふふふ、しばらく診ててあげるわ……ん? どうしたのみんな、変な顔して」

咲「えっ、いやっ、いま……」

和「」

まこ「……おんしら、まさか」

久「やんごとなき関係よ」

京太郎「まぁ……はは、そうなります」

咲「どっ、どどどどどういうこと!?」

京太郎「いや、うん……」

優希「犬ぅ!! 部長に何したんだお前ぇ!!」

久「いやー、なにかしらねー」

和「(絶句)」

まこ「はぁ〜……こりゃ、今日はダメかもわからんの……」

ギャ-ギャ-
ヤイノヤイノ……


120 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2019/06/26(水) 23:24:27 ipWtdQO6
京太郎「久さーん、そろそろ足が痺れてきましたよー」

久「ええー」

京太郎「あ、どいてくれるんですね」

久「えいっ」ドンッ

京太郎「うわー倒されたー」ドサッ

久「んふふふふ……♥」スリスリ

京太郎「本当に久さんは甘えん坊ですねぇ」

久「久」

京太郎「……久」

久「えへへ……♥」スリスリスリ

京太郎「明日のお休み、デートにでも行きません?」

久「須賀くんと一緒なら、どこでもいいよ?」

京太郎「とか言って、先週は土日どっちも引きこもってたじゃないですか」

久「だって外だとあんまりぎゅっぎゅできないんだもん……」

京太郎「わがまま言う子は知りません」

久「うぅ〜……わかった……」

京太郎「じゃあ今週はちゃんと約束通り出かける?」

久「うんっ」

京太郎「よしよし、いい子いい子」ナデナデ

久「ん……♥ 須賀くん……だいすき……♥」

京太郎「俺も、好きですよ」

久「ふふふ……ほっぺが真っ赤」

京太郎「やっぱりまだ少し恥ずかしいっす……」

久「ふふっ」

京太郎「てへへ……」

久「須賀くん、今日は泊まってくれる?」

京太郎「はい。先週は日数抑えたんで、大丈夫です」

久「じゃあ今日は私が晩御飯作るわね」

京太郎「いや、前回久さんだったんで今回は俺が――」









END


121 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2019/06/26(水) 23:30:28 2iv/0A5c
うもんうもんうもーもー、うあんうあん、もんもんもー(語彙の消滅)


122 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2019/06/26(水) 23:31:56 ZqTWYxEU
何が日本一やお前
世界一や


123 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2019/06/26(水) 23:32:43 hqYWB65I
はっぴーえんど


124 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2019/06/26(水) 23:32:51 rP/zoen6
こういうのでいいんだよこういうので


125 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2019/06/26(水) 23:36:07 4lvviuF.
やばい(語彙消失)


126 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2019/06/26(水) 23:41:24 szMu2hmI
どうも感動したみたいなんですよ(事後)


127 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2019/06/26(水) 23:41:39 h.GKuDAk
傑作(断言)

でも京太郎呼びするアフター読みたい


128 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2019/06/26(水) 23:42:51 ggdb1zrM
最後までようやった!
それでこそ漢や!!


129 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2019/06/26(水) 23:45:38 usxFEZQ6
こんな素晴らしいSSをありがとう…それしか言葉が見つからない…


130 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2019/06/26(水) 23:59:00 b7ckgxgg
よし、今度はマンガ化だな…


131 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2019/06/27(木) 00:07:09 NcF7sBc2
これは令和の終わりまで語り継がれるスレ(確信
アフターも書いてほらほら


132 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2019/06/27(木) 00:10:10 g.IbXQMk
抱けー!抱いたー!


133 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2019/06/27(木) 00:10:14 7U3At66I
ああ……尊い……


134 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2019/06/27(木) 01:29:30 f/eMfBnQ
あー最高


135 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2019/06/27(木) 02:06:51 Z4cIHB5s
華奈ちゃん感動したし!


136 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2019/06/27(木) 02:07:38 69zrt2Z6
久ちゃんはいい嫁さんになれるかなぁ


137 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2019/06/27(木) 05:02:49 lI/7hGfU
ヌゥン!ヘッ!ヘッ!

ア゛ア゛ア゛ア゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛
ア゛↑ア゛↑ア゛↑ア゛↑ア゛ア゛ア゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛!!!!
ウ゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ!!!!!
フ ウ゛ウ゛ウ゛ゥ゛ゥ゛ゥ゛ン!!!!
フ ウ゛ゥ゛ゥ゛ゥン!!!!


138 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2019/06/27(木) 07:44:41 vbWMo5JY
胸の奥にスゥーッと効くすばらな京久


139 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2019/06/27(木) 10:33:29 jUHK7h3M
マジでヤバない?(語彙力喪失)


140 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2019/06/27(木) 10:45:18 KVuAufZE
これはスゴイですよ


141 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2019/06/27(木) 12:19:04 hqfljOQY
咲さん哀れすぎないこれ


142 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2019/06/27(木) 17:05:37 HkrId59s
何気に中〜長編の京久イチャラヴハッピーエンドって初では?
これは歴史的快挙ですよ


143 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2019/06/27(木) 19:14:04 ZaU46Xr.
とても良かった、それしか言葉が出ない
また他のキャラでも書いてほしい


144 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2019/06/27(木) 19:49:55 lMVJu5ZY
京太郎「悪女」


145 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2019/06/27(木) 20:17:33 DSPw2y6.
>>144
すき


146 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2019/06/27(木) 20:19:52 VOHsgCCM
>>144
本当に好き
京久ものの最高傑作だと思う


147 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2019/06/27(木) 20:30:30 SA9QmTPo
なんで他のSSの紹介するかね(呆れ)
同じ作者ならともかく


148 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2019/06/27(木) 20:37:47 jUHK7h3M
馬鹿どもが……


149 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2019/06/27(木) 20:42:26 1dqwuahM
パワポケのグッドエンド思い出しますね





バッドエンドならどうなってたんだろう・・・


150 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2019/06/27(木) 23:17:04 ABFKhE0c
8の茜みたくなるんじゃないですかね…


151 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2019/06/28(金) 12:14:18 BZV/RB56
京太郎「顔を上げた?じゃあ・・・」


152 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2019/07/01(月) 22:44:55 5lmMWV.g
続きはどこ…ここ…?


153 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2019/07/02(火) 01:39:53 Pe3zFL8g
お前が書くんやで


154 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2019/07/02(火) 19:05:29 Qpq39Ows
俺は続きより新作が見たい


155 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2019/08/13(火) 08:04:18 fY4Jn2O2
今更読んだけどマジで凄いですねこれ(語録無視)
マスターピースですよクォレハ…


156 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2019/08/22(木) 00:25:01 s7GGUvcw
なぜ絵師兄貴は現れないんだ


157 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2020/07/05(日) 19:21:57 TzRTfSxk
すっげー良かった


158 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2020/07/06(月) 00:20:05 RyvTD8zs
隠れた名作


159 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2020/07/06(月) 00:30:01 SN2FxTSI
急に名作を掘り起こすな


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