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【ウマ娘SS】輝ける旅路【捏造あり】
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・これはウマ娘プリティダービーのSSです
・主人公がモブです。そのため性格からセリフから展開から全て妄想です
・これマジ?元ネタの馬に対して文章力が貧弱すぎるだろ……
・うまぴょいから逃げるな
それでもよろしければ読んでいただけると幸いです
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タッ、タッ、タタッ、タタタッ、ダダダダダッ
「ハッ、ハッ、ハッ……」
タタタッ、タタッ、タッ、タッ、タッ
「…………」
「オイ、そこのお前。それで隠れたつもりか?」
「……私の走りを見ていた?……なるほど」
ドガッ、ガンッ!
「さっきから目ざわりなんだよ。視界の端でうろちょろと動き回って……」
「走りが見たいか、体のいい盗撮理由もあったものだ。私の蹴りの味はどうかな?」
ガッ!ガッ!ガッ!ガッ!
「さっさと失せろ、このっ……ん?この名刺……」
「……ふん、そういうことか。つまりお前は私の新しいトレーナーというワケだ」
「それなら話は別だな。……ご機嫌麗しゅう、トレーナー殿。これからどうかよろしく頼む」
「キミに求めることは一つだけだ。つまり……私の邪魔をするんじゃない」
「下らないお話もコロコロ変わる指図も聞くだけは聞いてやる。だが、やるかどうかを決めるのは私だ」
「心配されなくとも走る時は走るし歌うときは歌う。それがウマ娘だからな」
「もう一度だけ言ってやる。私がルールだ、これは私の道でお前のものじゃない」
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コンコン、ガチャ
「ああ、トレーナーか。何の用だ?」
「……緊張?別にしていないよ」
「練習用コースだろうが海外だろうが北の果てだろうが、走りたいように走るだけだ」
「肌寒いのはあまり得意ではないが、走れば温まるさ」
「……それで?何か言いたげだな、トレーナー」
「……前回どうしてあんな走りをしたか?なるほどな……」
ダンッ、ドガッ!
「お前はトレーナーとしては優秀だが……なぁ、何度教えれば下らん質問をしなくなるんだ?」
「ターフで走るのは私だ、お前じゃない。レースではお前はただの傍観者に過ぎない」
「……そんなヤツに理由を話して何になる?お前が代わりに走って一位を取ってくるとでも?」
「私の邪魔をしないでくれ。私を苛立たせないでくれ」
ドサッ
「……明日もいつも通りに走る。そして勝つ、それだけだ」
「トレーナーはただ黙って後ろで見ていればいい、余計な声を出すな」
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「いーち、にー……んー?何の用だ、トレーナー」
「明日の作戦ならもう決めただろう?トレーナーの意見も取り入れてやった。それをまた崩す気か?」
「それなら……待て、どうしてここに来たのか分かったぞ。明日の天皇賞に今更怖気づいてきたんだろ?」
「ん、違うって?素直に認めれば可愛げのあるものを……」
「……ななー、はーち。ふーっ、クールダウン終わりっと」
「なんだ、まだいたのか。トレーナーっていうのはいつも時間に追われてるイメージだったんだがな」
「ホントになんとなく来ただけ?……よくわからんヤツだ」
「普通のトレーナーなら世辞の一つ言うぞ?これだけずっと二位だったんだから今度こそ一位を取れますよーとかな」
「ま、そういうことを言わないのが長所ということにしておこう」
「あとは……そうだな、私のことを小さいからと言って必要以上に気を遣わないこともまあ気に入っている」
「これでもう少し顔がよければよかったんだが、それは高望みかな?」
「……冷えてきたな、そろそろもど……くっ、ひゅんっ!」
「っ!……ふん、恰好つけたがりめ。上着を脱いだせいで風邪をひいても知らんぞ?」
「……周りがどうあろうが、私は変わらんよ。相手がバケモノじみた快速馬だとしても、ただ前に走るだけだ」
「だから、ただ見てくれていればいい。いつも通りにな」
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「…………あぁ、お前か」
「……ライブは中止?……だろうな、あんなことがあって盛り上がるわけがない」
「皮肉なものだ。トップ間違いなしと皆が口を揃えたスズカが故障して、私はいつも通り……」
「クハッ……ははっ、はははははははっ!」
「ははっ、どうした、トレーナー。笑えばいいじゃないか。最有力馬が悪夢に見舞われた中でまたしても二位だった私のことをな」
「さんざん大口を叩いておきながら、結局勝ちきれない、そんなウマ娘を思う存分嘲笑えばいいじゃないか」
「……その目は、なんだ……?」
バァンッ!
「なぜ、そんな目で私を見る……?哀れみのつもりか?それとも同情か?」
「お前も、私が真剣に走っていないと、手を抜いているとそう言いたいのか」
「マジメにやっていないから一位が取れない、気持ちが入っていないからいつも負ける……お前までもがそう言うのか」
「…………もういい、もう十分だ」
「元々、私は独りでも走れる。……私の道は私自身で決める」
「今まで、ご苦労だった。さらばだ」
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「ハァ……ハァ……ッ」
「……また、勝てなかった……。あと少しが、どうして……ッ!」
コンコン、ガチャ
「…………!」
「お前!?……満を持して私を笑いに来たか?」
「違う?ならサインでも貰いに来たか?残念だったがな、1位のスペシャルウィークは向こうの控え室だ」
「ここにいるのは、ソイツに0.1秒差で先んじられた……ただの敗残者だ」
「そんな私に……今更何の用だ?」
「…………私が何故走り続けるのか、だと……っ!?」
ダンッ!
「お前っ……どこまで私をコケにする気だっ……!」
「そんなもの決まっている、私はウマ娘で、だから……!」
「……違う!いやいや走っているつもりなどないっ!私は……私は……っ!」
「ぐっ、うううぅぅぅ…………っ!……はぁっ、はぁっ!」
「……走るのは、好きだ。走るのが嫌になったことは、一度もない」
「ただ、いつからか……走ってると、聞こえるんだ。"なぜ私は走っているのか"って」
「いつも答えに困るんだ……"楽しい"でも"勝ちたい"でも正しくない、そんな気がする……」
「そうやって考えている内にいつの間にかゴールしているんだ。トップのすぐ後ろでな」
「今のレースも、最後の直線で声が聞こえたんだ。私は……また答えられなかった」
「……お前に分かるか?自分の存在価値を問われる気分が、それに答えられない、納得できない気持ちが……!」
「分からないだろう?分かってたまるか。世の中の誰にもっ、この気持ちは分かるはずがない……!」
「これは……私の道なんだ……っ、私だけの……」
ズッ……ドサッ
「……こんなことを言うのはお前が初めてで最後だ」
「ハハハ……案外スッキリした気分だよ」
「……そうだな。お前の力なら借りてやらんこともない」
「一人でのトレーニングもやり尽くして退屈していたところだったからな」
「簡単に答えが見つかるわけがないが……その日は必ず来る」
「それまでまたよろしく頼む、トレーナー」
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「……やぁ、トレーナー。なんとなく来るんじゃないかと思っていたところだ」
「その顔を見る限り、アイツらはまだ騒いでるのか?……随分飲まされたみたいだな」
「ふっ、まぁここで夜風に当たっていれば酔いも冷めるさ」
「……そういえばあの夜も風が冷たかったな。ここよりもずっと北、それも湖畔だから当然か」
「あれから随分かかってしまったが、二回目の勝利だ」
「……ああ、今までで一番の歓声だった。目をつぶればいつだって思い出せるだろう」
「忘れていたよ、私の走りを見てくれる人があんなにもいたんだな」
「このレースは超一流のレースとは呼べない。それに結局この走りでも答えは見つからなかった」
「それでも、私はこのレースで一着を取れたことを誇りに思う」
「無論勝利したのは私の力だ。だがこの勝利は私の努力だけではなしえなかった」
「トレーナー殿の特訓のおかげかな?……気恥ずかしいが、チームメンバーに良い影響を受けたのもある」
「……本人たちには言うなよ?調子に乗るのが目に見えてるからな」
「私が離れていた間にスカウトしたやつらが三人ともあんなに癖の強いウマ娘だったのは流石に驚いたぞ」
「その変人たちがやたら私には懐いてくるのはよくわからんが……ん?なんだその目は?何かおかしなことを言ったか?」
「……ああ、分かってるさ。これがゴールじゃない。私はまだ走り続けられる」
「もっと大きな舞台で今以上の走りを披露してみせる。楽しみにしているといい」
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「ふーっ…………あぁ、トレーナーか」
「別に何もしてないよ……ただ空を眺めていたのさ」
「……こっちの空は日本より深い青をしている」
「ん、コースの感触は悪くない。砂漠のド真ん中とは思えない程よい芝だ」
「いつも通り、万全の走りができるな。期待しているといい」
「……なんだ、その顔は?…………ああ、分かったぞ。人気のことを気にしているんだな?」
「はぁ……トレーナーはそういう繊細な感性をもっと他のところに向けるべきだな」
「……シャツのボタン、一つ外れているぞ?」
「どれ、動くな……よし、これで私の隣に立っても恥ずかしくないな」
「いいか、トレーナー。日本から来た、大したレースに勝ってもいないウマ娘が期待されていないのは当たり前のことだ」
「まして、去年のワールドシリーズ王者が出走するなら尚更な」
「……だがお前も知っての通り、レース本番にそんなことは関係がない」
「人気も実績も何の意味も持たない。一瞬でも早くゴールラインを越えた者が勝者だ」
「私はいつも通り、ただ前を見て走るだけさ。トレーナー、お前と一緒に積み上げてきた練習通りにな」
「他のヤツには好き勝手言わせておけ。お前は私の走りだけ見ていればいいさ」
「結果はおのずと、私の後についてくる。そうだろう?」
「……ふっ、ようやくいい顔になったな。それでこそ私のトレーナーだ」
「私たちのこれまでの旅の成果を世界に見せつけてやろうじゃないか」
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ワー!ワー!
「……ふふっ。やぁ、トレーナー」
「この前の海外よりはマシだが、それでも青い顔だな。こんな観客席だと逆に目立つぞ」
「ちょっとはアイツらを見習ったらどうだ?」
ネンダーネンヲオクレー! ウオオォォォッ! ブルァァァッ!
「やれやれ……有馬を勝ったウマ娘が三人揃って何やっているんだか」
「しかも最前列に陣取って手作りの法被まで着ているんだぞ?私より目立つ気じゃないか?」
「まったくもって私たちのチームは賑やかだな、トレーナー?」
「そのチームを一つにまとめて、個々を育て上げたのは紛れもないお前の実力だ」
「だからしゃんとしろ。レース勝者のトレーナーだと紹介された時に堂々と拍手を浴びれるようにな」
「……ああ、勝つさ。勝ってみせる。必ずな」
「この前のレースの時も考え詰めだったんだがね、"何故走るか"なんて何度レースを走っても答えは出ないんだろう」
「あえて言うなら……次のレースを走るために今のレースを走っているんだ」
「レースだけじゃないな。今を懸命に走ることが未来を創る。自分だけではなく、周りも巻き込んでな」
「前に伸びる道は一本だけだ。何本も分かれ道があって、坂があって、穴があって、他の道とつながって……その中で私はこの道を選んだ」
「だから……見ていてくれ、トレーナー。お前と一緒に走ってきた私の旅路だ」
「かつての私に、観客たちに、ライバルたちに、後輩に……そしてお前に輝く勝利を届けよう」
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蛇足と補足
ウマ娘プリティダービーに登場した妙に存在感のあるモブウマ娘"キンイロリョテイ"。
元ネタとなった馬は"ステイゴールド"、なかなか一位をとれず善戦マンと揶揄されながらも生涯50戦を走りぬいた競走馬です。
時代としてはスペシャルウィークをはじめ、サイレンスズカ、グラスワンダー、エルコンドルパサー、テイエムオペラオーらウマ娘にも登場した名馬たちと同じ世代です。
父は言わずと知れたサンデーサイレンス、母はサッカーボーイの妹ゴールデンサッシュ。競走馬としては小柄な体格でしたが能力は高く評価されていました。
非常に気性が荒いことでも知られていて、「肉を与えたら食べそう」「ルールを曲げようとしない」「自分が一番エラいと思っている」「人の顔を見て感情を読むのが上手い」とは関係者の談です。
4歳に"阿寒湖特別"を勝利して以降、G1、G2の舞台で軒並み2位、3位をとり続け、実力はあるのに勝てないウマとして有名でした。その中にはサイレンスズカが散った"天皇賞(秋)"も……。
アニメでスペシャルウィークがスズカの想いを受けて一位をとったレースでもクビ差の2位。ちなみにステゴは12番人気で、この組み合わせのワンツーで万馬券でした。
26戦目、"目黒記念"で再びの勝利を掴むまで実に2年8ヵ月!G2ながら勝利したときには競馬場全体から大きな拍手が巻き起こりました。
その後は海外に遠征。"ドバイシーマクラシック"では前年度王者を僅差で下す大金星を見せます。
最終年も日本では相も変わらず1位はとれませんでしたが、最終50戦目、"香港ヴァーズ"でついにG1を制覇!日本産かつ日本調教馬初の海外G1勝利でした。
生涯50戦7勝(うちG1が1回)、2着12回(うちG1が4回)、3着8回(うちG1が2回)。引退後にはJRA特別賞も受賞されています。
繁殖牡馬としては、春秋グランプリ制覇のドリームジャーニー、クラシック三冠馬オルフェーブル、そしてアニメでもNaNじぇいでも大人気のゴールドシップなどなど彼の高い実力(と気難しい性格)を受け継いだ競走馬を排出しています。
ちょっと変わったところでは障害競馬史上最多勝利であるG1レース5勝のオジュウチョウサンもステイゴールドの子だったりします。ちなみに現役です。
2015年に大動脈破裂によって21歳で亡くなりましたが、ステイゴールドの思い出は今も語り継がれています。
こんな捏造まみれのSSですがステイゴールド、並びに競馬に興味を持ってくれたら嬉しいです。あとサイゲは早くステゴを公式にウマ娘化して……?
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玉も竿もでけぇなお前(称賛)
よかった(語録無視)
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ウマ娘のおかげでネタが先行しちゃってるけど凄いお馬さんよね。
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社台「ダメです。」
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あっ、そうだ(唐突)。W杯の前やハーフタイム中に時間をつぶせるよう動画貼っときますね……
http://www.nicovideo.jp/watch/sm2641172
ステイゴールド、香港ヴァーズで有終の美。この時の現地馬名"黄金旅程"が"キンイロリョテイ"の元ネタ。ちなみに競馬タグ最古の動画だったりする。
http://www.nicovideo.jp/watch/sm33370644
キンイロリョテイあらためステイゴールドの紹介動画。この投稿者はウマ娘解説も上げてるから見て♥
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社台グループはコンテンツの経過次第で許可出すか考え中ってほんとぉ?
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ちゃんと史実のステゴに基づいた性格にしてあるんっすね〜
ステゴ産駒はG1 6勝馬が2頭(片方はクラシック三冠、もう片方もクラシック二冠)やら障害G1 5勝(2018年6月時点)やら化け物揃い草生える
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オルフェはビジュアルだけ出てたんですがいなくなっちゃいましたね…
読み直して後輩の三人が子どもたちって気づいたゾ
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