■掲示板に戻る■ ■過去ログ 倉庫一覧■
【ガル鉄】オルガ「機甲道の王になる」
-
ガル鉄SS注意。
鉄血は二期準拠。
各校ガンダムキャラの配置は他SSから。
継続高校 学園艦 訓練場
キギン、バゴォン
昭弘『っ……三日月、もう一度だ!』ズズン
三日月『いいよ。……この武器、扱いやすくていいな』ブンブォン
シノ『おう、歳星の連中にゃ感謝しねぇとな!』
ガタガタガタ……ヴヴヴォン
ハッシュ「……あ、あれ?どうした!動かねぇぞ!」ガチャガチャ
ミッコ「ハッシュ!またエンストしてるぞ!しっかりしろー!」
ザック「向きじゃねぇよなぁハッシュ……ぶほっ!?」バゴン
アキ「こらザック!よそ見しないの!」
オルガ「気合い入ってんなみんな。この分なら来週のプラウダ戦、うまくやれそうだ」
ミカ「戻ったよ、オルガ」
オルガ「おおミカ。ユージンもご苦労だったな。それで、首尾はどうだ」
-
ミカ「うん……あまり芳しい結果にはならなかったよ。ユージン」
ユージン「悪りぃオルガ……しくじった」スッ
オルガ「どれ……ロケーションはプラウダ管轄の雪原、試合形式は殲滅戦か。狙ったようにウチに不利なことしか書いてねぇな」
ユージン「くそっ!ビスケットがいりゃ、少なくとも一つはウチに有利なセッティングに出来たってのに……情けねぇ!」
ミカ「落ち着いて、ユージン。思えば今の鉄華団が出来る前から継続とプラウダには少なからず確執があったんだ。初めから交渉は上手くいかなかったかもしれない」
オルガ「そうだぜユージン。決まっちまったことにあやつけたって仕方ねぇ。お前らはよくやってくれたよ」
ユージン「けどよ……」
オルガ「それに、かえって好都合かもしれねぇ。俺たちが成り上がる為にはな」
ユージン「はぁ?そりゃどういう……」
-
オルガ「ウチとプラウダの戦力差は周知の事実だ。試合形式は物量がものを言う殲滅戦。おまけに戦場は向こうのホームときた」
オルガ「誰も彼もが強豪プラウダの勝利を疑わねぇこのシチュエーション……それを俺らが食い破る。世間に、機甲道界に、継続の本当の強さを見せつけてやるんだ」
オルガ「そいつはこれ以上ない、俺たちのアガリじゃねぇのか?」ニヤリ
ユージン「お前っ、それ本気で言ってんのか?」
ミカ「今度の試合は世界大会前のエキシビションとして注目度も高い。そこでプラウダを下すことが出来れば……面白いことになるかもね。私は乗ったよ」ポロロン
オルガ「そう来なくっちゃな。……ミカ、みんなを集めてくれ!」
ミカ「了解。ほら、副団長も。行くよ」
ユージン「はぁ、分かったよ。ったく、お前らは……」
-
プラウダ高校
ノンナ「どうぞ、ダージリンさん。……こちらでよろしかったのですか?」スッ
ダージリン「ええ。今日は酷くそういう気分なの」カチャ
ノンナ「……そちらの方は」
ダージリン「ありがとう。けど、一皿で結構よ」カチャカチャ
カチューシャ「なぁに?あなた、カチューシャのブリヌイが食べられないっていうの!?」
ヴィダール「…………」シュコー
カチューシャ「ちょっと!カチューシャが話してるのよ!なんとか言いなさいよ!」
ヴィダール「…………」ペカー
カチューシャ「ひっ!?……目、目が、光ってる……!」ガタガタ
ダージリン「ヴィダール、威嚇するのはやめなさい」
ヴィダール「……かの地吹雪のカチューシャを前に非礼は百も承知だが、訳あってこの仮面は外せない」
カチューシャ「……ふ、ふん!どうやら、カチューシャのすごさを分かってはいるようね!それなら無礼の一つや二つ、許してあげなくもないわ!」
-
カチューシャ「それで、そのサイボーグ忍者があの小うるさいガエリオの代わり?例の一件で大怪我したって聞いたけど、彼は息災かしら?」
ダージリン「……お陰様でね。ところでカチューシャ。プラウダは最近、モンターク商会なる商社からグレイズ・フレームを買い付けているという話を耳にしたのだけど」
カチューシャ「っ!……そ、それがどうしたの!?いいでしょ、ウチだってロディ・フレームだけじゃ厳しいのよ!それに、あそこはカチューシャの実家も懇意にしてる由緒正しい……」
ダージリン「……出来ればギャラルホルン社から直接購入して頂けないかしら。ご存知の通り、我が校の経済は件の内乱で少なからず疲弊しているわ。私たちが暇を出されるまでにはね」
ダージリン「火の車……というほどじゃないけれど。正直、虚勢を張る余裕もないの。たとえ藁でも手当たり次第すがりたい思いなのよ」
カチューシャ「ウチを藁呼ばわりなんていい度胸ね!それだって聖グロの自治力に問題があったんでしょ?ペンキ塗り立て、河西健吾が聞いて呆れるわね!」
ヴィダール「……面壁九年、堅牢堅固だ」
カチューシャ「う、うっさいわね王蛇モドキ!とにかくあなたたちはウチを見習いなさい。いい?小市民にはね、偉大なるカリスマが必要なの!」
ノンナ「我が校は荒くれ者も多いですが、皆カチューシャに導かれ、正しく学園を運営しています」
カチューシャ「ふふん!分かった?カチューシャの目が黒い内は、ボリシェヴィキなんて存在し得ないのよ!」
-
カチューシャ「まぁ、でもそうね。こんなことであなたたちに潰れられてもつまらないし?いいわ、買ってあげる。ノンナ!」
ノンナ「はい」スッ
ダージリン「……商談に来たのではないのだけど、感謝するわ。けれど、これほどの発注だと来週の継続戦には間に合わないわよ」
カチューシャ「そんなこと分かってるわ。大体こっちのホームで、しかも殲滅戦よ?二回戦負けの弱小校なんて現存戦力で余裕よ余裕。ただ聖グロに貸しを作っておきたかっただけ」
ヴィダール「……奴らを甘く見ない方がいい」
カチューシャ「言われるまでもないわ。カチューシャだってあいつらに煮え湯を飲まされたんだから!……というわけで、これから訓練なの。あなた達はそろそろ帰りなさい」
ダージリン「ええ。美味しいコーヒーをごちそうさま」カチャ
ヴィダール「……健闘を祈る」
カチューシャ「もちろんよ!あの宇宙ネズミ共、今度こそツンドラの大地に首まで埋めてやるわ!ノンナ、グレイズの準備をしておきなさい!」
ノンナ「Поняла!」
-
聖グロリアーナ所属 スキップジャック級戦艦
イオク「ダージリン様!いかがでしたか、プラウダは」スッ
ダージリン「ありがとう。……将自ら認めたわ。モンターク商会との蜜月をね」カチャ
ジュリエッタ「ではやはり、奴らはプラウダに……!」
ダージリン「十中八九、ね。二人はエリオン理事長にこの件を報告して頂戴」
イオク・ジュリエッタ「「はっ!」」
ヴィダール「……君の思った通りだったな」
ダージリン「ええ、そうね。……ペコ、アッサム、アイン。あなたたちの無念は必ず晴らす。無論、機甲道でね」
ダージリン「その為に特進クラスに尻尾も振った。……今はだけは、どんな屈辱でも呑み込んでみせるわ」カチャ
ヴィダール「アリアンロッドの協力を得られるとは思わなかったが……今まで通り、君の道は俺が切り開こう」
ダージリン「……ありがとう。今回ほどあなたを心強く思ったことはないわ。……そう、これはあくまで私たちのけじめ」
ヴィダール「……待っていろ……マクギリス……」ペカー
ヤマジン(また光ってるよあの仮面……気味悪いなぁ)
-
試合当日 継続高校 学園艦
オルガ「……冷えてきたな」
ミカ「そうだね……」ピトッ
オルガ「……おい、ミカ。何やってんだ」
ミカ「試合前だからね。お互い風邪をひかないように温め合うなんてのはどうかな」
オルガ「それはいいけどよ。スカートの下、何か履いたらどうだ。生足じゃ寒いってより痛いだろ」
ミカ「女の子にそれを言うのは野暮ってもんじゃないかな……」
オルガ「女なら尚更身体冷やしちゃ駄目だろうが……せめて手袋くらいはしとけ。ほれ」ポイ
ミカ「ありがとう。……でも困ったな。カンテレが弾けないよ」
オルガ「どうせ試合が始まったらやるんだろ?だったら今の内に暖を取っとけよ」
ミカ「……君の判断に従おう。ところで、温めてはくれないのかな?」ススッ
オルガ「お、おいミカ!近いって……///」
-
ミカ「いいじゃないか、誰も見てないよ」クイッ
オルガ「そ、そういう問題じゃ///……って、あ?」
ミカ「ネクタイ。ふふっ、曲がってたよ」キュッ
オルガ「っ!……勘弁してくれよミカァ」
ミカ「内々の練習試合じゃないんだ。格好悪いところは見せられないだろう?」
オルガ「……チッ。普通に直しゃいい話だろうが」
ミカ「おや、オルガに温めて欲しいというのは本心なんだけどな」
オルガ「……缶コーヒーでも買ってやろうか」
ミカ「やれやれ、釣れないね」
-
強襲装甲艦イサリビ MSデッキ
オルガ「……ミカ!ルプスの初陣は雪中戦になるが、やれるな?」
三日月「うん。前よりも動かしやすくていい感じだよ」モグモグ
オルガ「阿頼耶識は俺らだけの、他校にはねぇ唯一のアドバンテージだ。こいつをどう活かすかが俺らの戦いのキモになる」
三日月「ああ。俺ならこいつを活かし切れる……早く暴れたいな、こいつと。……アトラ、おかわり」
アトラ「はい。やる気満々だね、三日月」スッ
オルガ「……滾ってんな、ミカ。頼りにしてるぜ」
三日月「うん。オルガの、鉄華団の道を阻む奴らは……何処の誰でも叩き潰す」
オルガ「よし、ブリーフィングだ!全員集まれ!」
-
よいぞ。
-
プラウダ高校管轄 雪原地帯
ミカ「綺麗だね……一面銀世界だ」
オルガ「ああ、こりゃすげえな。試合前じゃなきゃ浸っちまいそうだ」
ミカ「この寒さだけは如何ともし難いけどね。……と、来たみたいだよ、オルガ。……おや、彼は確か」
オルガ「……おいおい、なんであいつがプラウダにいんだよ」
カチューシャ「待たせたわね、オルーシャ!ミカーシャも!」
マクギリス「久しいな、継続高校……鉄華団。今日はよろしく頼む」
オルガ「マクギリス・ファリド……なんであんたが」
カチューシャ「マッキーはね、聖グロからプラウダに転校してきたのよ!それにしてもオルーシャを見下ろせる日が来るなんて……ああ、素敵よマッキーの肩車!大変に気分がいいわ!」
マクギリス「カチューシャ……ご機嫌のところ済まないが、前髪を掴むのはよしてくれないか」
-
ミカ「転校……聖グロは件の内乱騒ぎで少なくない生徒が離反したと聞いたが……。まさか、君が……」
マクギリス「おっと、それ以上の追及は無用に願おうか。……君とて島田流との関係を部外者に取り沙汰されたくはないだろう」
ミカ「!……なぜ、君がそれを……!?」
オルガ「?……島田流って言やぁ確か、機甲道の家元じゃねぇか。それがミカと何の……」
ミカ「……そ、それは」
マクギリス「思惑があることは認めよう。私が聖グロリアーナを離れたのはその為だ。……君が実家を出奔したことと、そう違いはあるまい」
ミカ「……っ」
オルガ「…………」
カチューシャ「ちょっと、ミカーシャ!マッキーにちょっかいかけないでくれる?マッキーはカチューシャのマッキーなんだから!」
カチューシャ「今日はもうギッタンギッタンにしてやるから覚悟しなさい!あなたたち全員、冷たい大地に這いつくばらせてやるんだから!じゃあね、ピロシキ〜」
マクギリス「До свидания.」
-
プラウダ陣営
カチューシャ「大変よマッキー。聖グロの連中が来てるみたいだわ。大丈夫なの?」
マクギリス「なに、問題はないさ。今の私は身も心もプラウダの生徒……君だけの騎士だ」
カチューシャ「も、もう!何言ってるのよマッキー///」
マクギリス「ふふっ。時にカチューシャ、先日我らが艦にダージリンが来たと聞いたが」
カチューシャ「ええ、だいぶ参ってるみたいだったわよ。コーヒー飲んでるダージリンなんて初めて見たもの。それに、一度も格言をひけらかさなかったわね」
マクギリス「参っているのではないよ、カチューシャ。彼女は怒っているんだ。自分たちを裏切った、この私にね。……それでいい。怒りの中で生きてきた私には、それ以外の感情など届きはしない」
カチューシャ「……それは、寂しいわ。マッキーには、カチューシャの信頼も、愛も届かないの……?」
マクギリス「君は特別だ……私のカチューシャ。この試合、必ず勝利して君の信頼に応えよう」
カチューシャ「そ、そんな……私のカチューシャだなんて……。困る、困るわマッキー……カチューシャはみんなのカチューシャなのに///」
ノンナ「…………」イライライライラ
石動「副隊長。出撃準備、整いました。……ノンナ副隊長?」
ノンナ「……総員搭乗。作戦通り、ここで敵を迎え撃ちます」
-
継続陣営
オルガ「ミカ……大丈夫か?」
ミカ「……オルガ、私……」
オルガ「落ち着けよ、ミカ」ポン
ミカ「……あ」
オルガ「そんな顔すんなって。俺は何も聞いちゃいねぇからよ」
オルガ「俺たちが目を向けなきゃいけねぇのは過去じゃねぇ。いつだって未来の為に戦ってんだ。……大体、鉄華団には出自がハッキリしねぇ奴だって大勢いる」
オルガ「……ミカ。お前が何処の誰だろうと、俺たちにとっちゃ大切な家族だ。それが変わることなんてねぇ……何があっても俺が守ってやる」
ミカ「オルガ……」
オルガ「だからよ、とっととぶっ倒して帰ろうぜ。温けぇ、俺たちの家によ」
ミカ「……私たちの、家……うん、そうだね」
オルガ「よし、急ぐぞ!試合が始まっちまう!」
ミカ「……ありがとう」ボソッ
-
オルガ「準備出来たな……全員搭乗!手筈通り、まずは流星号とMW隊で突撃をかける。戦車隊は合図があるまで待機だ。ミカ、そっちは任せたぜ!」
ミカ「了解だよ団長。MWの装甲は戦車より薄い。充分に気を付けて」
オルガ「ああ。……ミカ!お前は例の作戦の準備を頼む。上手くいくかは五分五分だが、やってくれるか?」
三日月『いいよ。こういうのは性に合わないけど、こんな機会でもないと試せないしね』
シノ『でもよぉ、本当に全機出すのか?やられちまったら結構な損害だぜ』
ユージン「んなこと言ってられっかよ。相手はベスト4の強豪プラウダ……しかもマクギリスの野郎まで出てくるって話じゃねぇか。出し惜しみなんかしてらんねぇだろ」
オルガ「ああ。おまけにここは連中の庭だ。この気候に慣れきってる奴らは大洗戦の時みてぇに窪地に陣取って長期戦を狙ってくるだろう」
オルガ「火力もダンチなんだ。長引けば長引くほどこっちが不利になる。ここは速攻で畳み掛けるしか手はねぇ」
昭弘『俺たちらしい作戦じゃねぇか……いつも通りやりゃいい』
オルガ「そういうことだ。……いいか。勝つぞ、みんな!!」
鉄華団「「「おう!!」」」
審判『それではこれより継続高校対プラウダ高校のエキシビションマッチを開始します。ルールは殲滅戦。試合……開始!!』
-
オルガ「行くぞぉ!!」グィイン
シノ『おうよ!隊長、気ぃつけてな!』
ミカ「シノも、昭弘もね。……三日月、始めてくれ」
三日月『分かった。上手くいくかは分からないけど、出来るだけやってみる』ガインガイン
観客席
ダージリン「……始まったわね」
イオク「……あの、ダージリン様。よろしければ、観戦のお供にいかがでしょうか」スッ
ダージリン「あら、サンドイッチ?ありがとう、頂くわ」
イオク「……以前、オレンジペコの見舞いに行った折、ダージリン様はサンドイッチのきゅうりが一番美味しいと仰られたと耳にしましたので」
ダージリン「……ペコが、そう。イオク、紅茶を淹れて下さる?」
イオク「……!……は、はっ!只今!」
ジュリエッタ「イオク様の手作りにしては美味しいですけど……肉っ気が足りませんね。50点とさせて頂きます」モグモグ
イオク「話を聞いていなかったのかこの山猿!お前に作ってきたのではないわ!」
ヴィダール「……二人ともそこまでにしろ。奴が出てきたようだ」
-
マクギリス『ようこそ、鉄華団諸君。残念だがMSを通せるのは一機までだ』
オルガ「おいでなすったな。昭弘!」
昭弘『任せろよ……!』ガギン
シノ『マクギリスの奴は強ぇぞ!ガンダム・フレームだからって油断すんなよ!』
オルガ「ここは頼んだぜ昭弘!行くぞお前らぁ!」
昭弘『お前の相手は、この俺だ……!』ジャッキーン
マクギリス『グシオン一機か……妥当な判断だな。お相手しよう』
マクギリス(バルバトスがいないのは気になるな。石動からの報告は……)
昭弘『おら、余所見してんなよ……!』ダダダダダ
マクギリス『おっと、火線が多いな……!』キキキキン
-
オルガ「見えてきたぜ……!ここを下りゃ敵の本陣だ。上手いこと引っ掻き回して時間を稼げよ!」
MW隊「「「おう!!」」」
オルガ「突撃だ!!」
シノ『イヤッッホォォォオオォオウ!!』ビューン
ライザ「カチューシャ隊長!MW十輌、MS一機、来ました!」
カチューシャ「軽戦車以下のMW隊で突撃?死にに来たようなもんじゃない。戦車隊、応戦開始!ノンナはあの赤いのを潰しなさい!」
ノンナ『Поняла!』ビューン
シノ『一機だけか。これならなんとか……!』ガッキィン
ライザ「落ちろ、宇宙ネズミ!……あぁくそっ、素早い!」ドォン
カチューシャ「落ち着きなさいライザ!狙いは多少雑把でもMWは軽いんだから直撃させなくても吹っ飛ぶわ!」ドォン
オルガ「っ!……と、っとぉ、危ねぇ!やるな、あの85型。だが、この戦力配置なら概ね思惑通りだ」
オルガ「残り五輌が何処に隠れてんのかは気になるが……頼むぜ、ミカ!」
-
アキ「……来たよミカ!MS一機、シュヴァルベ・グレイズ!」
ミカ「オルガの読み通りだね。戦車隊、散開しつつ砲撃!MSを誘導して!」
石動『五輌か……予備戦力にしては心許ないな。バルバトスがいないのは好都合だが』
ザック「お、おいおい……!こっち来たぞ、早く逃げろハッシュ!」
ハッシュ「っせーぞ、ビビってねぇで砲塔回せ!」
デイン「……装填完了」ガコン
ザック「いいから撃て、早く!」ドォン
石動『……っ、雑兵め!』バコンズゴン
ミカ「駄目だね……完全にこっちを狙ってる。隊長機だと分かってるみたいだ」
アキ「フラッグ戦じゃないんだけどなぁ……」
ミカ「なに、好機と考えよう。誘導がしやすくて助かる」ポロロン
ミッコ「言ってる場合か!やられちまうよ!」ガクンガクン
ミカ「……くっ!まだ、もう少し持ちこたえて……っ」
ミカ(三日月……!)
-
オルガ「やっぱり最後のMSは向こうに行ったか。……仕込みが上手くいきゃいいが……」ドォン
カチューシャ「ええい、すばしっこいネズミね!……そこっ!」ドォン
審判『継続高校、TK-53一番、五番、走行不能!』
ユージン「……済まねぇオルガ、やられちまった」
オルガ「ユージン!怪我ねぇのか!」
ユージン「ああ。だがよ、妙な話だ。……どうも数に対して火線が多い。どっかに伏兵がいるのは間違いねぇ」
オルガ「……宇宙ネズミの感覚なら疑う余地はねぇよな。でかしたぞユージン」
シノ『チッ、ユージンが……!ぐっ、この姉ちゃん中々強ぇぞ!』ギギン
ノンナ『Спасибо. 光栄ですね。ノルバ・シノ』シュキィン
オルガ「……持たせろよ、みんな!」
-
BGM : Iron-Blooded Orphans
石動『いい加減に……沈め!』ダダダダダ
ミカ「ミッコ、左!」
ミッコ「あいよ!……っわぁ!?」ズシャズシャン
ミカ「……アキ、繋いで。そろそろ仕掛けるよ」
ザック「今のうちだ!戦車隊、撃ち続けろ……うひぃ!」ズシャシャァ
ハッシュ「危ねぇから中入ってろ!……っ!?ミカさん後ろっ!」
アキ「……!繋がった、ミカ!」
ミカ「よし!……あっ!?」ガクン
ミッコ「やべ、捕まった!」ギギギ
石動『捕らえたぞ隊長機。……これで、終わりだ!』ブォッ
ミカ「……いいや。まだ終わらないさ、そうだろう?」
ミカ「三日月!!」
ズズッ……ボッゴオオン
-
石動『馬鹿な!地面から、モビルス……ぐはぁ!!』メギャン
ミカ「……間一髪、かな。よくやってくれたよ、三日月」ポロロン
審判『プラウダ高校、シュヴァルベ・グレイズ、戦闘不能!』
石動『申し訳ありません。隊長、准将……』ガクッ
三日月『……あー、寒かった』ブシュー
ハッシュ「すげぇ!流石三日月さんだ!」
アキ「し、死ぬかと思ったぁ。ありがとね、三日月」
三日月『俺も死ぬかと思った。面白いと思ったけど、二度目は嫌だな』
ミカ「お疲れのところ済まないが、戦車隊は前線に行軍する。三日月、引き続き護衛をよろしく頼むよ」
三日月『分かった。既に何輌かやられてるみたいだし、急がなきゃ』
-
晩飯食べてきます
-
あく食えよ
-
再開します
昭弘『ぐ、くそっ、このぉ!』ブンッ
マクギリス『鈍いな』ズバァ
昭弘『……チッ、まだまだぁ!』
マクギリス『フッ、腕が四本もあると、便利なものだ。……っ!?』ドォンドォン
昭弘『……今のは、バルバトスか!』ギギギ
三日月『昭弘、お疲れ。助けに来たよ』シュー
マクギリス『ほう、新しいバルバトスには実弾砲もあるのか。空恐ろしい威力だな……』ゾクリ
三日月『へぇ、本当にいたんだ。チョコの人』
マクギリス『久しいな、三日月・オーガス。石動をやったのは君だな?』
三日月『いすず……?知らない、なっ!』ビューン
昭弘『今だ、戦車隊!急げ!』
ミカ「……済まない昭弘。三日月も、後は任せるよ」
ハッシュ「よっし、飛ばすぜぇ!」
マクギリス『二対一か。……少々厳しいが、これ以上MSを通すわけにはいかんのでな……!』
-
観客席
ダージリン「流石ね、マクギリス。グレイズリッターで阿頼耶識を搭載したガンダム・フレーム二機を相手取るなんて」カチャ
イオク「ええい、化け物か……あの男は!」
ダージリン「ええ。味方ならば、彼ほど頼もしい人はいないわね。けどこれは機甲道。いかに個人が強くとも、連携を欠いて勝てるものではなくてよ」
ヴィダール「……早くも圧され始めているな、プラウダは。先の奇襲作戦といい、やはり継続は侮れない」
ジュリエッタ「そうでしょうか?グシオンの方は満身創痍ですし、前線の戦車モドキもロクな反撃すら出来ずにやられてますが」
イオク「そ、そうだ……!このままではプラウダが勝ってしまうぞ!」
ダージリン「……いいから見ていなさい。あなたたちにはこれから、我が校の機甲道チームの一翼を担ってもらうことになるのだから」
-
ライド「……くっ、逃げ回んのもそろそろ限界だぜ。……うわぁ!」バゴォン
ダンテ「ライド……!?く、くっそぉお!!」ズガンゴガン
審判『継続高校、TK-53三番、七番、走行不能!』
カチューシャ「Хорошо! 私、カチューシャが粛清してあげるわ!」ドォン
シノ『くそっ、やられてんじゃねぇか!……オルガ!』ガキィン
オルガ「足を止めるな!持ちこたえろ!」
オルガ(まだか、ミカ……!)
ミカ「待たせたね、オルガ。……トゥータ!」ドォン
ザック「撃てぇーっ!」ドォン
ライザ「ぐわぁあ!!」ズドン
審判『プラウダ高校、IS-2、走行不能!』
カチューシャ「何なの!?」
オルガ「戦車隊……!いいタイミングだぜ!」
-
デイン「高台は狙いやすくていいな……」ガコン
ミカ「のんびりはしてられないよ、デイン。さて、私たちも突撃だ」ポロロン
ザック「パンツァー・フォー!なんつってな!」
ハッシュ「はしゃいでんじゃねぇ!行くぞおらぁ!」
カチューシャ「来たわね、本命が!散開!」
ミカ「逃がさないよ。戦車隊、砲撃用意……トゥータ!」ドォンドォンドォン
審判『プラウダ高校、T34-76四番、T34-85十一番、走行不能!』
ノンナ『くっ、あの傾斜を降りながら二輌も……!』
シノ『余所見してんなよぉ!』ゴッ
ノンナ『くぅ……っ!』ギギン
-
ギギン、ガン、バキィン
三日月『……!昭弘、合図だ。頼める?』ピピッピピッ
昭弘『はぁ、はぁ……ああ、行ってこい。こいつは、俺が!』ビューン
マクギリス『ふ、血迷ったか……!な、なに……!?』ギギギ
昭弘『……捕まえたぜ。……四本もあると、便利だろ?』ギギギ
昭弘『三日月!行けぇ!』
三日月『っ!』ビューン
マクギリス『くっ、済まないノンナ!バルバトスがそちらへ向かった!』
昭弘『……この距離なら、使えるかもな!』ジャギン
マクギリス『なんだそれは……鋏だと!?』
昭弘『へへ、その首……もらうぜ!』バキバキバキ
-
ノンナ『……っ!?カチューシャ、准将から緊急連絡!バルバトスが来ます!』
カチューシャ「嘘でしょ!マッキーを抜いたっていうの!?ああもう、挟撃部隊出撃!バルたんが来る前に戦車隊を潰すわよ!」
オルガ「ぴったり五輌……上手く誘き寄せられたな!ミカ、真後ろから来るぞ。気を付けろ!」
ミカ「……挟み撃ちか。なに、こちらとしても好都合さ。ね、三日月?」ポロロン
三日月『……せぇ……のっっ!!』ビョーン
ニーナ「カ、カチューシャ隊長!上空にバルバトス!」
三日月『えっと……ここと、こっちと……』ガコンガコン
三日月『……この辺り、かな?』ドォンドォンドォン
ズゴゴゴゴゴ
アリーナ「……は?え、ええぇっ!?うそ、な、雪崩ぇ!!?」
カチューシャ「ば、馬鹿じゃないの!?めちゃくちゃよ、こんなの!挟撃部隊、急いで逃げて!早くっ!!」
ミカ「……さて、こちらも全速前進だ」ポロロン
-
ザック「うっひゃー派手だねぇ!……って、おいハッシュ?止まってんぞ!」ヴヴンガタガタ
ハッシュ「……あ?お、おいまたかよ!くそっ、動け、動けよ!」ガチャガチャ
デイン「……エンスト」
ザック「嘘だろ……う、うわぁあああぁぁ!!」ザバー
審判『プラウダ高校、T34-76六番、七番、T34-85十二番、十三番、KV-2……継続高校、IV号戦車J型、走行不能!』
ミカ「う、嘘……ハッシュ!?まさか、こんなここ一番で……」ポロデェン
ミッコ「……はぁ、あの馬鹿。帰ったらしごき直してやる」
アキ「三人とも聞こえる!?回収車が来るまで暖かくしててね!」
ノンナ『そ、そんな……傾斜に砲撃して雪崩を起こすなんて……っ!?バルバトスはっ!』
三日月『……ねぇ、何処見てんの?』ブォッ
ノンナ『なっ、早……うぁああっ!!?』ゴギャアン
審判『プラウダ高校、グレイズリッター、戦闘不能!』
-
シノ『うひー、おっかねぇな三日月!でもまぁ、助かったぜ!』
三日月『うん。それじゃ俺はチョコを始末してくるから。後お願いね』
ミカ「……勝負あったかな?」ポロロン
カチューシャ「まだ、まだよ!こっちにはまだマッキーがいるんだから!」
マクギリス『その通りだ、カチューシャ』ザン
審判『継続高校、ガンダム・グシオンリベイクフルシティ、戦闘不能!』
カチューシャ「マッキー!来てくれたのね!」
昭弘『……済まねぇ団長。……隊長も。三日月、後は任せたぜ』ガクン
ミカ「昭弘、お疲れ様。ここまでの時間稼ぎをありがとう。……シノ!残り七輌、一気に潰すよ」
シノ『おうよ!燃えてんな、隊長!』
オルガ「ありがとな、昭弘。……ミカァ!!」
三日月『分かった』ビューン
-
BGM : Crescent Moon
マクギリス『来るか、バルバトス……!』
マクギリス『……ふん!』バキィン
マクギリス『君たちの阿頼耶識は解析済みだ。なればこそ、二機を相手に遅れを取ることもない……!』ギィン
三日月『それ、何か意味あんの?』ガキン
マクギリス『無論だ。可動域と反応速度さえ正確に弾き出せれば、たとえガンダム・フレームと言えど……ぐぁ!?』ズドン
三日月『もういいよ。興味ないから』
マクギリス『ば、馬鹿な!急に動きが……ぐはっ!』ボッゴォ
三日月『昭弘には悪いんだけど、加減してたんだ。さっき』
マクギリス『何……だと……!?』ギギギ
三日月『あんまり早く着いちゃうと、作戦バレるかもしれなかったし。だからようやく……』
三日月『全力が出せる……っ!』ドヒューン
-
マクギリス『くっ、追いきれん!……がぁ!?』ズゴン
三日月『……そこっ』ブォッ
マクギリス『……っ!ナイトブレードが!』キーン
三日月『終わりだよ』ガン
マクギリス『……ぐ、ここまで、か……。済まない、カチューシャ……』ギギギ
三日月『…………』バキィ
マクギリス(バルバトスルプス……まるで……)
審判『プラウダ高校、グレイズリッター指揮官機、戦闘不能!』
マクギリス(……白い、悪魔だ)
三日月『……あぁ、疲れた』ブシュー
カチューシャ「そ、そんな!マッキーをやったの!?信じられない、こんな……っ!」
ミカ「……ここまでだよ、カチューシャ。……トゥータ!」ドォン
審判『プラウダ高校、T34-85十番、走行不能!全機行動不能により継続高校の勝利!』
-
継続陣営
オルガ「やられたのはMWが四輌と……IV号のJ型が一輌か。何れも大した損害じゃねぇ。この悪条件下じゃ上出来だな」
ミカ「上出来どころか大金星だよ、オルガ」スッ
オルガ「おお、ミカ……ん?」スッ
コツン
ミカ「これ、鉄華団で流行ってるだろう?一度やってみたかったんだ」
オルガ「なんだよ、アキやミッコとでもやりゃよかったじゃねぇか」
ミカ「初めての相手は君がよかったんだよ、オルガ」ポロロン
オルガ「……っ!こ、これくらい特別なことでもねぇだろ。……えっと、ミカも。よくやってくれたな」
ミカ「オルガこそ。それに、今日のMVPは満場一致で三日月だろう。MSを三機もやったんだ」
オルガ「まぁ、そりゃな。……っと、ミカ!よくやったな!」
三日月「まぁね。と言ってもオルガとミカの指示に従っただけだけど」スッ
オルガ「やっぱりすげぇよミカは」スッ
コツン
ミカ「……この二人の方が様になってるね。全く、妬けちゃうな」
三日月「ミカも」スッ
ミカ「……え?あ、うん」スッ
コツン
-
プラウダ陣営
マクギリス「済まない、カチューシャ。君の信頼に応えることが出来なかった」
カチューシャ「……いいえ、違うわ。カチューシャが継続を舐めきっていたの。大洗に通じなかった戦法を使い回したんだから」
カチューシャ「ちゃんと攻めを考えた作戦を立てていれば、あんなふざけた手を打たれることもなかった。バルたんだって、最初から三機でかかれば……」
マクギリス「……カチューシャ、続きは帰ってからにしよう。ここは寒い。温かいボルシチを食べて、心を癒してから改めて振り返ろう」ギュッ
カチューシャ「マッキー……そうね、ありがとう。ここじゃ弱気なことばかり考えてしまうわ。おうちに帰って、ノンナのボルシチを食べながら反省会よ!」
マクギリス「それでこそだ、地吹雪のカチューシャ。君は強い女の子だ」ヒョイ
カチューシャ「わっ……も、もうマッキー!褒めたって駄目なんだから!みんなと同じだけの刑は受けてもらうんだからね!///」
マクギリス「構わないさ。次があるなら今度こそ、君に勝利を捧げることを誓おう」
ノンナ「…………」イライライライラ
マクギリス「ノンナ。君にも悪いことをした。重ね重ね申し訳ないがカチューシャの肩車を代わってくれるか」
ノンナ「……えっ?……えっと、はい。カチューシャ、こちらへ」
カチューシャ「なんか久しぶりね、ノンナの肩車は。高度じゃマッキーに敵わないけど、座り心地ならやっぱりこっちね!」スリスリ
ノンナ「あっ……そう、ですか。……あの、ありがとうございます。准将……いえ、マクギリス」
マクギリス「礼には及ばない。我々は既に同志なのだからね。……私は搬入を手伝ってくる。石動、君も頼む」
石動「はっ!」
-
観客席
ダージリン「ヴィダールの言った通りでしょう?」
ジュリエッタ「何なのです、あのMSは!あれでは、まるでっ……」
イオク「あのマクギリス・ファリドがこうも一方的に……あ、悪魔だ……」
ヴィダール「……怖じ気付いたか?」
イオク・ジュリエッタ「「!」」
ダージリン「ふふ……楽しいでしょう、機甲道は。その震えは武者震いだと受け取ってもよろしくて?特進クラス、アリアンロッドの精鋭さん」カチャ
ジュリエッタ「……当然でしょう。元よりその為に、私たちは遣わされたのですから。アリアンロッドと……聖グロリアーナの為に」
イオク「このイオク、我がクジャン家と聖グロリアーナの誇りにかけて、誠心誠意、機甲道を履修することを誓います!つきましては、ご指導ご鞭撻のほどよろしくお願い申し上げます!」
ダージリン「……よろしくてよ。それでは、お肉でも食べて帰りましょうか」
ジュリエッタ「お肉ですか!私は大好きです!」
イオク「あっ……わ、私もっ!」
ヴィダール「……この地域は羊肉が美味いと聞く」ペカー
-
リポーター「下馬評を覆し、見事勝利を飾ったのは継続高校!全国大会でベスト4の成績を修めた強豪、プラウダ高校をまさかまさかのジャイアントキリング!今のお気持ちを聞かせて下さい!」
オルガ「とにかく勝つことしか考えてなかったから、当然です」
リポーター「ほほう、勝つべくして勝った、と!しかし圧倒的に不利な状況だったのもまた事実!ズバリ、今度の勝利の秘訣とは!?」
オルガ「立ち止まらねぇこと……どんな劣勢に立たされても、考えることをやめねぇこと……です」
リポーター「なるほど、諦めずに戦い続けることが逆境を覆す秘訣なのですね!月並みながら、それを実現した人が言うと重みがありますねー!」
オルガ「長ぇ……」ボソッ
ミカ「……カメラ回ってるんだから。シャキッとして」ボソッ
リポーター「それでは最後に全国の機甲道履修生のみなさん、また、これから機甲道を志すみなさんにメッセージをお願いします!」
オルガ「……待ってたぜ」ニヤリ
-
オルガ「俺は継続高校機甲道チーム、鉄華団団長、オルガ・イツカだ!」
オルガ「先の第63回機甲道全国大会、継続は二回戦で敗退したが……今日の試合、同大会ベスト4のプラウダのホームで俺たちが圧勝した」
オルガ「何処のどいつでも分かるだろ。継続は強くなった!そして、これからももっと強くなる!」
オルガ「俺たちより強ぇって自信がある奴らはいつでもかかって来い!大洗だろうが、黒森峰だろうが、どんな強豪でも相手になってやる!」
オルガ「俺たちは止まらねぇからよ。立ちはだかる奴らは何処の誰だろうと叩き潰す!そして、俺たちが……」
オルガ「機甲道の王になる!」
EDテーマ : RAGE OF DUST / SPYAIR
-
黒森峰学園
グラハム「ハハハハハ、これは傑作だ!我々を差し置いて機甲道の王とはな!」
エリカ「馬鹿笑いしてんじゃないわよ!……全く、二回戦負けの雑兵風情がまぐれ勝ちしたくらいで調子に乗って。大体この前ウチに負けたばっかりじゃない、こいつら!」
グラハム「お言葉だが副隊長殿。我々も昨年はプラウダに敗退した身だ。彼らはそのプラウダをホームで下したようだが」
エリカ「……そ、それは!そもそも去年のアレは副隊長があんな真似したからで!」
グラハム「どのような理由を付けても負けは負けだ。その上今年は大洗にも遅れを取り、王者黒森峰の名声は地に堕ちた。今みほ殿を糾弾すれば恥に恥を上塗りすることになるが……副隊長殿はそれをお望みか?」
エリカ「……うぅっ、なによ!じゃああんたは悔しくないって言うの!?」
グラハム「無論悔しいとも。黒森峰の名を汚してしまった自分が不甲斐なくてならない。しかし、だからこそだ。汚名を雪ぐ機会がやって来てくれたことに、これほどまでに歓喜しているのだよ……!」
エリカ「グラハム……あんた」
グラハム「ありがたいことに彼らは黒森峰を指名してくれたのだ。これは我々に対する挑戦と受け取った。継続高校……鉄華団には王者黒森峰復活の足掛かりとなって頂こうではないか」
エリカ「……そう、そうね、もう一度よ。今度は二度と立ち上がれないくらい、完膚なきまでに叩きのめしてやるわ!」
グラハム「その意気だ、副隊長殿。では早速試合の申し込みをしてくるとしよう」
エリカ「ちょ、ちょっと!せめて隊長に話してからにしなさいってば!……こら、グラハム!」
-
アンツィオ高校
アンチョビ「決めたぞローラ!次の相手は継続高校に今決めた!」
ロラン「待って下さいよ千代美お嬢さん!ホワイトドールだって、ナノスキンがまだなんですから」
アンチョビ「アンチョビだ、ローラ!」
ロラン「僕はロランです!」
サンダース大学付属高校
ケイ「Oh, That's crazy! こういうのが現れるんだから、機甲道はやめられない!」
ベルリ「えぇー、これとやり合うっての……?やだなぁ怖い人たちで」ポリポリ
アイーダ「こらベル!お行儀が悪いですよ。隊長の前なんですから」ヒョイ
ベルリ「あぁ姉さん!母さんのクッキー!」
-
プラウダ高校
カチューシャ「あ、あ、あいつら……カチューシャたちを踏み台にしたぁ!?ええい、最初からこれが目的だったのね!!」
マクギリス「どうやら美味しいところを持っていかれてしまったようだな。流石の強かさだ、鉄華団」
カチューシャ「感心してないでマッキー!今度こそあいつら全員シベリア送りにしてやるんだから!」
島田家
愛里寿「…………」
キラ「……愛里寿、千代さんが話があるって……ふふっ。またボコ見てるの?」
愛里寿「あ、キラ……。違うの、これ……」
キラ「機甲道エキシビションマッチ……へぇ、継続が勝ったんだ。ここのMS、どれも強いよね」
愛里寿「うん……。だから、ちょっと気になってて」
キラ「……!そっか。じゃあ、千代さんにお願いしてみる?」
愛里寿「……うん!」
愛里寿(お姉ちゃん……)
-
聖グロリアーナ学院
ダージリン「しかし、羊肉は匂いが強くていけないわ。ヴィダール、ハーブティーを淹れて頂戴」
ヴィダール「……コーヒーブームはもう終わりか?」
ダージリン「ええ。慣れないことをしてみたけれど、私の口には合わなかったわ」
ヴィダール「……そうか。やはり、君は自然体が一番だ」スッ
ダージリン「……ありがとう。けど、今のあなたがそれを言うのかしら」カチャ
ヴィダール「……この部屋も、寂しくなったものだな」
ダージリン「そうね。けどそれもマクギリスを討って、皆が退院するまでの話よ。……時に、私たちがジンギスカンを楽しんでいる間に大変な騒ぎがあったみたいね」
ヴィダール「……継続高校……鉄華団……」
-
ダージリン「……正直、彼らがここまで愚かだとは思いもしなかったけれど」
ヴィダール「……しかし、その愚昧さこそが彼らの力。彼らは敢えて困難な道を行き、逆境の中で牙を研ぐ獣の群れだ」
ダージリン「ええ。今度の戦いからは私も学ばせてもらったわ。豊かさと平和は臆病者を作るの。苦難こそが強さの母だということね」
ヴィダール「……ウィリアム・シェイクスピアか。君の蘊蓄は久しく聞いてなかったな」
ダージリン「あら、そうだったかしら?てっきり、流されていただけだと思っていたけど」
ヴィダール「……覚えの限りでは、俺がこの仮面を被ってから初めてだ。少し余裕を取り戻したのだろう」
ダージリン「言われてみればそんな気もするわね。……思えば、あなたには苦労をかけてばかりね、ヴィダール」
ヴィダール「……お互いにな」
-
ダージリン「さて、エリオン理事長はマクギリスよりも鉄華団を潰したいみたいだけど。あなたはどちらの狼が好みかしら?」
ヴィダール「……どちらも狼には変わりない。舵を取るのは君だ」
ダージリン「そうね。けどその前にイオクとジュリエッタのことも考えてあげないといけないわ。プラウダに卸すグレイズ・フレームのこともあるし……」
ヴィダール「……どのみち暫くは動けないわけか。まぁいい。やるべきことがある内は、胸の内の闘志も消えることはないだろう」
ダージリン「頼もしい限りね。……ねぇ、ヴィダール。あなたにこの言葉を贈らせて頂戴」
ダージリン「『ありがとう』……万国共通の、感謝と親愛を伝える言葉よ。これからも私の道を切り開いてくれるかしら」カチャ
ヴィダール「……無論だ」
-
継続高校 学園艦
オルガ「……ついにやっちまった。もう後戻りは出来ねぇ」
オルガ「勝ちゃめでたく王様だ。だが負ければ俺たちは……いや、継続高校は白眼視に晒される」
オルガ「そうだ。だったら勝ち上がってくしかねぇじゃねぇか」
ミカ「オルガ」
オルガ「……っ!ミ、ミカか。驚かすなよ」
ミカ「震えてるよ、大丈夫かい?」
オルガ「悪かったな。……寒いんだよ、まだ」
ミカ「それじゃ、私が温めてあげようかな」ギュッ
オルガ「……!わ、悪りぃミカ。……今、そんな気分じゃ」
ミカ「後悔してる?」
オルガ「っ!」
-
ミカ「あれだけのことを言ってのけたんだ。気持ちの整理もつけたいだろうけど……君は一人にするとあれこれ抱え込み過ぎるからね」
オルガ「う、うるせぇ……」
ミカ「どうせ、負けた時のことを考えてプレッシャーを感じてるんだろう?私たちを嫌な目に遭わせてしまうんじゃないか……ってね」
オルガ「……何でもお見通しかよ。お前には隠し事出来ねぇな」
ミカ「当たり前だろう。……何年一緒にいると思ってるんだ」
オルガ「……ん、だな。けど、後悔してるわけじゃねぇ」
ミカ「だったら……私にも背負わせてくれないかな」
オルガ「ミカ……」
ミカ「私だけじゃない。三日月も、ユージンもいる。鉄華団は大きくなったよ。だから、これからはみんなで背負っていこう」
オルガ「……そうだな。ビスケットにも言われたんだった。もっとみんなを頼れって……」
ミカ「うん。粋がってるオルガは格好いいけど、そればかりじゃ疲れるだろう?もっと寄り掛かって欲しいな」グイ
-
オルガ「お、おいミカ……!寄り掛かるって、物理的にかよ……///」
ミカ「さっきのお返しだ。寒いんだろう?」ピトッ
オルガ「……あ、あったけぇよ。ミカ」
ミカ「……オルガが辛い時は、私が守るよ。大切な家族だからね」ギュッ
オルガ「……やっぱりすげぇよミカは。俺もミカを、家族を守りてぇ」
ミカ「だったら進むしかないんじゃないかな。私たちに出来ることなんてそれくらいだ。いつだって、自分たちの居場所を守る為に戦ってきた」
オルガ「そうだな、何も変わっちゃいねぇ。辿り着く場所が見えてきたってだけだ」
オルガ「後戻りは出来ねぇ。……なら、辿り着くしかねぇ」
ミカ「ああ。辿り着こう。私たち、みんなで」ポロロン
-
強襲装甲艦イサリビ
アキ「ああもう!何処行ってたの、二人とも!」
オルガ「どした、アキ」
ミカ「穏やかじゃないね」
ユージン「どうしたじゃねぇ馬鹿!てめぇがめちゃくちゃ言ったお陰でさっきから練習試合の申し込みが殺到してんだ!」
ミカ「なんだ、そんなことか」ポロロン
オルガ「ユージン、全部受けとけ。片っ端からぶっ潰してやる」
ユージン「は、はぁ!?酔っぱらってんのかてめぇら!」
昭弘「……少し落ち着けよ、副団長。やることは決まってんだろ」
シノ「そーそ。機甲道の王になるんだろ?」
三日月「そこにあるの?俺たちの居場所」モグモグ
オルガ「ああ。そうだ、ミカ。機甲道の王。それが俺らの辿り着く場所だ」
三日月「分かった。オルガ、次は何処を潰せばいい?」
-
ユージン「お、おい!無茶言ってんじゃねぇ!大体そんな連戦出来る戦力なんてウチにゃ……」
オルガ「先日継続艦の森ん中から新しいガンダム・フレームが見つかった。今頃歳星でレストアの最中だ」
ユージン「ガンダム・フレームだと?いつの間にそんな……」
ミカ「プラウダにも大差で勝てたんだ。その上損害は最小限。バルバトスの強化プランの算段もついてるよ。勝算は充分にある」ポロロン
オルガ「そうだな。全国大会での借りもある、差し当たっては黒森峰を叩こうと思うが、どうだ?」
昭弘「異論はねぇな」
シノ「賛成だ!オルガ、そのガンダム俺にくれよ!」
ユージン「……ったく、そういうことはちゃんと相談しろってんだ」
ミカ「ごめんね、ユージン。今日の試合が控えていたから、まずはそっちに集中して欲しかったんだ」
ユージン「はぁ、そりゃもういいけどよ……。ミカは知ってたのかよ?その、機甲道の王ってのも……」
ミカ「うん、まぁ。聞いていたわけではないけどね。オルガの考えていることなら概ねお見通しさ」ポロロン
ユージン「それはそれで気味悪りぃな……」
-
三日月「ミカはオルガのこといつも見てるもんね。俺よりオルガのこと分かってるんじゃないかな」
ミカ「……み、三日月。あまり不確かなことは口にするべきじゃない。みんなの誤解を招いてしまうからね」ポロデェン
三日月「バレバレだけどね」モグモグ
ミカ「……うぅ……///」
オルガ「や、やっぱりすげぇよミカは……///」
アキ「もー!そういうのは二人きりの時にやってっていつも言ってるでしょ!」
オルガ「……う、ゴホン!と、とにかく話は決まったな。……いいかみんな。もう後戻りは出来ねぇ。進み続けるしかねぇんだ!」
オルガ「そんでもって笑いてぇ。辿り着いた場所で馬鹿笑いしてぇんだ。みんなで一緒に」
オルガ「……だからよ、辿り着く為に、機甲道の王になる為に……お前らの全部を賭けてくれ!!」
鉄華団「「「おう!!」」」
ミカ「こうして鉄華団は進み始めたのでした。あの日への道を」ポロロン
アキ「不吉なナレーションで締めないで!」
-
次回予告 BGM : Crescent Moon
ダージリン「次回、ガールズ&パンツァー 鉄血のオルフェンズ『狩人』」
ダージリン「ヴィダール。あなたにこの言葉を贈るわ。『追い込まれた狐はジャッカルより凶暴だ』……そう、グレイ・フォックスよ」
ダージリン「二足歩行の戦車というのも面白いと思わない?……あら、ひょっしてあなたの仮面って……ちょっと待ちなさい、ガエッ……ヴィダール!」
おしまい
-
誰か黒森峰戦書いて
-
おっつおっつ
お前が書くんだよ!
-
はえ〜すっごい
良いSS書かれるんすねぇ
-
後日談。戦闘はなしです。
オルミカメイン注意。
継続高校 学園艦
オルガ「おう、ミカ。ノブリスのおっさんがサウナの割引券くれたぞ!暫く寒かったからな、アキやミッコと一緒に行ってこいよ」ピラ
ミカ「…………」ボー
オルガ「おい、どうしたミカ」
ミカ「……あ、オルガ。おはよう。今日は何処か行くかい?」
オルガ「馬鹿野郎、もう昼だぞ。俺は昨日の件で謝罪行脚中だ。今のところ笑って許してくれたのはノブリスのおっさんとジャスレイの兄貴だけだな……」
ミカ「……そう。やっぱり、簡単に許してもらえそうにはないみたいだね」
オルガ「ああ、さっきなんかもう大変でよ。マクマード校長にゃ刃物みてぇな目で睨まれるわ、名瀬の兄貴と生徒会長にゃ怒鳴り散らされるわで……って、おいミカ。大丈夫か?」
ミカ「……え?ああ、うん。ちょっと寝ぼけてるだけで……あ、あれ?」スカッ
オルガ「……カンテレか?最初から持ってなかったぞ。部屋に置き忘れたんじゃねぇか」
ミカ「……どうも調子が出ないね。昨日の疲れが抜け切ってないみたいだ。本当なら私も隊長として、君と一緒に頭を下げなきゃいけないんだろうけど……」
オルガ「気にすんな。この件でけじめつけなきゃなんねぇのは俺だけだ。お前らに責任が及ぶようなことには絶対させねぇからよ」
ミカ「……ごめんね、オルガ。役に立てなくて」
オルガ「な、何弱気になってんだ。らしくねぇぞ。とにかく今日はよく休んどけ。明日からまた登校日なんだから、しっかり頼むぜ」
ミカ「……うん」
-
翌日 継続高校 教室
オルガ「……ん、そういやミカがいねぇな。もうHR始まっちまうぞ」
三日月「ミカは今日お休み。風邪ひいたんだって」モグモグ
オルガ「ミカが、風邪?……そうなのか?」
アキ「あー、団長はジャス兄……ジャスレイ先生のとこで晩ご飯食べてたんだっけ。ミカね、昨夜部屋から出てこなかったの。食欲ないって」
アキ「私たちよく一緒に登校してるんだけど、今朝になって呼びに行ったら結構熱があるって話で、今日は休むって。寒かったもんね、一昨日のプラウダ戦」
三日月「ドア越しだったけど少し苦しそうだったかな。イサリビにはおやっさんがいるから大丈夫だと思うけど」
オルガ「いやいや大丈夫じゃねぇだろ!こういう時はちゃんと医者に見せなきゃ駄目だろうが!」
アキ「うっ。で、でも私たち授業あるし……。イサリビにも風邪薬くらいあるだろうから……」
オルガ「風邪かどうかもまだはっきりしてねぇだろ!なんかやべぇ病気だったらどうすんだ!……授業どころじゃねぇ!!」ダッ
アキ「ちょっと団長!もう、HR始まっちゃ……オルガ!!」
三日月「ほっといていいよ、アキ。それよりオルガとミカの分もノート取っておこう」
アキ「……え、あ、うん。……三日月ってちゃんと二人のこと分かってるよね」
三日月「アキのこともね」モグモグ
名瀬「よぉしお前ら、授業始めっぞー」ガララ
-
ミカの部屋
オルガ「ミカァ!!」ガシャー
ミカ「うわぁ!?……オ、オルガ?どうしたの……授業は?」ドキドキ
オルガ「……顔が赤いこと以外は、特に変わりねぇな。メリビットさん呼ぶぞ、いいな?」
ミカ「え?あ、もしかして……風邪のこと、心配して来てくれたの?」
オルガ「風邪かどうかもまだ分かっちゃねぇんだろ。なんかマズいモン食っちまったとかねぇか?……何処か痛かったり、苦しかったりしねぇか?」
ミカ「……オルガ。落ち着いて。この通り私は大丈夫だよ。ちょっと元気が出ないだけさ」ポロロン
オルガ「……あ、ああ。悪い、見苦しいとこ見せちまったな。ただその、昨夜も留守にしちまってたし……気付いてやれなくて済まねぇ」
ミカ「ふふ、でも私のことを心配してくれたのは嬉しいな。ありがとうね、オルガ。メリビット先生を呼んでくれるかい?」
オルガ「……っ!あ、ああ!待ってろ!」ピポパ
-
メリビット「風邪ですね」
ミカ「やっぱりね。オルガ、言った通りだろう?」
オルガ「……はぁ、よかった、ミカ。メリビットさんも保健室空けてまで、わざわざありがとうございます」
メリビット「いいですよ。私たちの団長さんと、隊長さんの一大事なんですから。……でも、ここじゃメリビット先生よ。オルガ・イツカくん?」
オルガ「う、い、いいじゃねぇかよ……。ここはイサリビなんだから」
メリビット「よくありません。大体今は授業中でしょう?団長さんは早く教室に戻って下さい」
オルガ「あ、いや俺は……そうだ、ミカ。何か欲しいモンとかねぇか?」
ミカ「オルガ。私は大丈夫だから、授業に出て。ただでさえ今の君は心象がよくないんだから」
オルガ「っ!……済まねぇ。そうだな、ミカ……」
ミカ「気持ちは嬉しいけど、ごめんね。……でも、来てくれて嬉しかった」
オルガ「いや、気にすんな。昼休みに何か買ってきてやる」
ミカ「うん。待ってるよ」ポロロン
-
継続高校 教室
三日月「お帰り。ミカ、どうだった?」
オルガ「あ、ああ。ただの風邪だってよ」
アキ「ほら、言った通りじゃない。オルガはミカのことになると過保護っていうか、大げさっていうか……」ヤレヤレ
オルガ「さっきは悪かった、アキ。……その、取り乱しちまってよ」
アキ「ちょ、ちょっとやめて!私は感謝してるんだよ!?ミカのこと心配してくれてたし……私なんて、ほら。長い付き合いなのに、ちょっと冷たかったかなって」
オルガ「あ、いや……。ミカにも呆れられちまってよ……」
三日月「でも、ミカも嬉しかったんじゃない?オルガが来てくれて喜んでると思う。まぁ、本人じゃないから断言出来ないけど」モグモグ
アキ「そ、そうだよね三日月!それは間違いないと思う!だってミカ、オルガのこと……」
オルガ「……俺のこと?」
アキ「い、いや何でもない……ハハ。あ!そうだ、これ。一限目のノート、取っておいたから使って」スッ
オルガ「お、おお……ありがとな、アキ」
アキ「えへ、言い出しっぺは三日月なんだけどね……」
オルガ「そうか……やっぱりすげぇよミカは……」パラパラ
-
授業中
ジャスレイ「いいか。ここで彼はな、個人的な感情を吐き出すこと が事態を突破する上で一番重要なことではないのかと……」カッカッ
オルガ「…………」カリカリ
オルガ「…………」チラッ
オルガ「…………」ハァ
オルガ(隣の席にミカがいねぇと、どうも落ち着かねぇな……)
オルガ(今頃何やってんだろうな、ミカは。病人らしく寝てんのか、いつもみてぇにカンテレ弾いてんのか……)
オルガ(熱、上がってねぇよな。ちゃんと水分取ってるのか?ああもう、授業に集中出来ねぇ……ん?)ヴーヴーッ
オルガ(ミカからメールが……なになに?)ピッ
ミカ『お腹空いた( ´Д`)』
オルガ「まだ10時じゃねぇか……」
ジャスレイ「おい、オルガ。何か言ったか?」
オルガ「あ、いえ!何でもないっす!」
オルガ(……朝食ってなかったのかよ。ったく……)ピッ
-
強襲装甲艦イサリビ 居住区 廊下
オルガ「結局昼まで待たせちまったな。……ミカ、来たぞ。起きてるか?」コンコン
ミカ「……!オルガかい?開いてるよ」
オルガ「入るぞ。具合はどうだ」ガシャー
ミカ「来るのが遅い」ポロロン
オルガ「……開口一番それかよ。これでもフライングしてきたんだぜ」
ミカ「ふふっ、冗談だよ。……あ、いい匂いがするね」クンクン
オルガ「ああ、調理場で粥を作ってみたんだ。ビスケットが送ってくれた野菜をたっぷり使ったから、栄養はばっちりだぜ!」
ミカ「オルガの手料理かい?……レアだね。これを食べられるだけでも風邪をひいた甲斐があったというものさ」
オルガ「……滅多なこと言うもんじゃねぇ。こんなモンでよけりゃいつでも作ってやるからよ。ほ、ほら……冷めない内に食ってくれ」スッ
ミカ「……食べさせて」
オルガ「は、はぁ!?な、な、何言ってんだっ……お前っ!」
-
ミカ「病人らしく振る舞ったつもりだけど……駄目、かな?///」チラッ
オルガ「だ、だだ、駄目ってことはねぇ、けど……///」
ミカ「オルガ、頼むよ……」
オルガ「……っ!ああ、分かったよ!食わせてやるよ!食わせりゃいいんだろ!」カチャ
オルガ「……ふ、ふー。ふー。……ほら。あ、熱いから気ぃつけろよ」スッ
ミカ「……んっ」パクッ
オルガ「……ど、どうだ?」
ミカ「…………」モグモグ
オルガ「…………」ドキドキ
ミカ「塩味濃すぎ。これが病人食とは思えない」ポロデェン
オルガ「」
ミカ「……けど、うん。野菜は食べやすい大きさと固さだし、オルガが私の為に作ってくれたというのは伝わってきたよ」
-
オルガ「ま、まぁな。汗かいてると思って、塩分多目に入れたんだ」
ミカ「だからって、とにかく塩を振ればいいってものでもないんじゃないかな。どうせ味見もしてないんだろう?」パクッ
オルガ「……うっ。相変わらずお見通しかよ」ギクッ
ミカ「……でも、そこまで考えて作ってくれたんだね。ありがとう。美味しいよ」
オルガ「……う、嬉しいけどよ、あんまり無理すんなよ。別に残したって俺が始末するからいいんだぞ」
ミカ「……ごちそうさまでした」カチャ
オルガ「く、食ったのかよ。喉乾いたろ。ほら、薬だ」スッ
ミカ「ありがとう。……別に不味いとは一言も言ってないよ?病人向きじゃないとは言ったけど、お陰で元気が出てきそうなくらいだ」
オルガ「……そりゃ願ったり叶ったりだ。じゃ、俺はそろそろ行くから大人しく寝とけよ」
-
クイ
オルガ「……あ?お、おいミカ?」
ミカ「……まだ、昼休みだろう。もう少し、ここにいてくれないかな」
オルガ「うっ……し、仕方ねぇな」
ミカ「…………」
オルガ「…………」
オルガ(な、何だよ……いるだけでいいのか?それとも、俺から何か……)
ミカ「……オルガ」
オルガ「……!な、ど、どうした?」ドキッ
ミカ「お手洗い、行きたいんだけど……着いてきてくれる?」
オルガ「……な、何言ってんだよ。まだ昼間だぞ?」
ミカ「そうじゃなくて……。足元、覚束ないと困るから」
オルガ「あ、ああ。そういうことか。……いいぜ。ほら、捕まれ」
-
ミカ「……じゃあ。腕、借りるね」ギュッ
オルガ「……っ!」ムニュ
オルガ(……あ、あ、当たってる!こ、この感触、ノーブラじゃねぇか!……ミカの、む、む、む……///)ドキドキ
ミカ「すぐ戻るから、待っててね」
オルガ「お、お、おう……!あ、慌てなくていいからな……///」
オルガ「……何なんだよ、くそっ。病人の世話してる俺の方が体温上がってんじゃねぇか」
オルガ「そうだ、ミカは病人なんだ。あんまり変なこと考えるんじゃ……」
オルガ「ん……何か今日のミカ、少し変じゃねぇか?変に素直というか、気弱というか」
ミカ「お待たせ、オルガ。歩くのには慣れたけど、ちょっと冷えたかも」ブルッ
オルガ「あ、ああ。汗かいて湿った服が冷えたんだろ。ほら、部屋までこれ羽織っとけ」バサッ
ミカ「あ……ありがとう……///」
オルガ「歩くのには慣れたっつったな?じゃあほら、身体冷える前に戻るぞ」
ミカ「う、うん……///」
ミカ(オルガの、上着……う、オルガの匂い、する……///)クラッ
-
オルガ「……ここで待ってるから。それ、着替えとけ」
ミカ「うん。あとこれ、上着。ありがとう……」スッ
オルガ「おう。……っ!?」バサッ
オルガ(こ、これ、ミカの匂いだよ、な。……う、移ってるじゃねぇか……///)
ミカ「……オルガ?顔が赤いけど、もしかして風邪、うつしちゃったかな……?」
オルガ「いや、何もうつっちゃいねぇ!大丈夫だ、そんなヤワじゃねぇから!いいからとっとと着替えてこい……っ」
ミカ「……?分かった。少し待ってて」ガシャー
オルガ(ああもう、昼休み終わっちまう。というか、まともにミカの顔見れねぇよ……///)ブシュー
-
ミカ「いいよ、オルガ」
オルガ「お、おう……。入るぞ」ガシャー
オルガ(頼むから……あんまり、こっち見ないでくれよ)フイ
ミカ「……そろそろ、昼休みが終わってしまうね」
オルガ「……ああ。俺も戻んねぇと」
ミカ「……ねぇ、オルガ。この後も、側にいて欲しいって言ったら……どうする?」
オルガ「……!」
ミカ「……あの、ね。オルガにはあの時、ちゃんと授業に出てって言ったけど……実は、一人で寂しかったんだ。だから、その……」クイ
オルガ「……そういうことか」
オルガ「……実は俺も、授業に出たはいいものの、お前のことばっかり気になって全然集中出来なかった」
オルガ「多分、このままお前を残して授業受けても、チョークの的になるだけかもしれねぇな」
ミカ「……それは困るね。オルガのイカした前髪が真っ白になってしまいそうだ」クスッ
オルガ「……白いのは元からだ、馬鹿」クスッ
-
ミカ「オルガ。ここ、座って」ポンポン
オルガ「……いいけど、ちゃんと寝ないと治るモンも治んねぇぞ」ギシッ
ミカ「分かってるよ。だから……手。握っててくれないかな」
オルガ「……何だよ。今日はいつになく甘えん坊じゃねぇか」
ミカ「病人だからね。それに……何があっても、守ってくれるんだろう?」
オルガ「う……仕方ねぇな。こ、これでいいのか……///」グッ
ミカ「……ん。大きな手だね。これなら、ぐっすり……寝れ、そ……」ピトッ
オルガ「なっ!お、おい、ミカ……?」
ミカ「……くぅ……」カクン
オルガ「……もう寝たのか?」
-
ミカ「……すぅ……」
オルガ(な、何だよ……本当に寝ちまったのか。無防備過ぎんだろ)
オルガ(それにしても……綺麗な寝顔だな。そういや、帽子かぶってねぇミカは久々に見た気がするが……こ、こんな美人だったか?)ドキッ
オルガ(ね、寝苦しくねぇかな……髪が首筋に、張り付いて……っ!ああくそ、すげぇいい匂いする……っ///)クラッ
オルガ(……あ、頭でも撫でてやるか?それとも、肩を抱き寄せる、とか?)ドキドキ
ミカ「…………」
オルガ「…………〜っ///」ソロソロ
ミカ「……何もしないのかい?」パチッ
オルガ「うひゃあぁ!!?」
-
ミカ「何だ、女の子みたいな悲鳴上げて。いい男が台無しだよ?」
オルガ「て……てめっ、寝てたんじゃねぇのかよ!」ドキドキ
ミカ「……真横からこんな熱い視線を向けられたらね。気になって眠れるわけないじゃないか」
オルガ「……っ!///」カアァ
ミカ「……待ってるんだけどな……///」
オルガ「っ……恥ずかしいからよ、顔見んじゃねぇぞ。絶対」グイッ
ミカ「……ん、うっ。温かいよ、オルガ。心拍も……やっぱり、うつしちゃったの、かな?」ギュッ
オルガ「かもな。けど、もうそれでもいいや。お前が元気になってくれんならよ」
ミカ「ふふっ、嬉しいよ。けど、どうせならもっと早く……して欲しかったな」ボソッ
オルガ「……ミカはいつもすげぇから、弱ってるのにもなかなか気付いてやれなかったんだ。悪かったな」
ミカ「いいよ。その分こうして甘えさせてもらってるんだからね。でも……これからはすごいところ以外も、ちゃんと見てて欲しいな」
オルガ「ああ。約束する」ギュッ
ミカ「……うん。今度こそ、ぐっすり眠れそうだ。おやすみ、オルガ」
オルガ「……ああ。おやすみ、ミカ」
-
翌日 継続高校 教室
アキ「あれ、団長来てなくない?」
ミカ「オルガは今日はお休みだよ。どうやら風邪をひいてしまったらしいね」ポロロン
アキ「あ、ミカ。今日は早いんだね。じゃあなに、オルガったらミカの看病して逆にもらっちゃったの?」
ミカ「さて、どうかな?この前のプラウダ戦はとても寒かったからね。ウチのMWは装甲が薄い上に通気性も抜群だ。無理もない」ポロロン
三日月「おはよう、ミカ。風邪はもういいの?」モグモグ
ミカ「おはよう三日月。君にも心配をかけたね。私はもう大丈……」
三日月「で、うつしたの?」
ミカ「え、えっと、それは私にも……」
三日月「オルガに、風邪を、うつしたの?」ギリギリ
ミカ「い、痛い、痛いよ三日月……!ごめん、ごめんなさい!」
アキ「み、三日月!実力行使は駄目だってば!ミカの腕折れちゃうから!」
-
オルガの部屋
三日月「オルガ。入るよ」ガシャー
オルガ「うぅ……おお、ミカ。どうした?」
三日月「ご飯。アトラが作ってくれたから持ってきたよ」スッ
オルガ「そっか。わざわざありがとな」カチャ
オルガ「……やっぱすげぇよアトラは」モグモグ
三日月「アトラがどうかしたの?」
オルガ「……こっちの話だ」
三日月「あとこれ。ミカから」スッ
オルガ「ん?カセットテープか。何だってこんな前時代的なモン……」
三日月「オルガの為に何曲か弾いたって言ってたよ」
オルガ「っ!そ、そうか……。何だよ、直接聞かせてくれりゃいいのに……///」
-
三日月「治るまで直接会わせるなって言われた。無限ループになるからって、アキが」
オルガ「……何だそりゃ?」
三日月「さぁ?とにかくミカのお見舞いはないから。オルガは大人しく養生しててね」
オルガ「お、おう、分かった……。何か怒ってねぇか、ミカ……?」
三日月「別に。じゃあ、俺ももう行くから。何かあったら呼んでね」ガシャー
オルガ「おう。ありがとな、ミカ」
オルガ「…………」
オルガ「……ミカが、俺の為に、か」ガチャコ
オルガ「……へへっ///」ポチ
EDテーマ : Tärkeintä elämässä 〜人生の大切なこと / ミカ(CV.能登麻美子)
-
次回予告 BGM : Crescent Moon
ミカ「次回、ガールズ&パンツァー 鉄血のオルフェンズ『魔術師覚醒』」
ミカ「鉄華団に新しいMSが来たよ。なんでも、おやっさんの同郷のムクレドさんが格安で譲ってくれたモノらしいけど……」
ミカ「機体名、ゼダスM……私のイニシャルかな?ふふっ、何だか不思議な縁を感じるMSだね。せっかくだから、一度乗せてもらおうかな?」
おしまい
-
ミカのキャラソン好き
RAGE OF DUSTとは真反対な歌詞だけど
ガル鉄もっと流行って
-
これは...いいSSだな
-
ガル鉄最近復活していいゾ〜これ
-
すげぇよ、>>1は
-
今これ知った
-
ガル鉄スレってまだ有るんですね
■掲示板に戻る■ ■過去ログ倉庫一覧■