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【俺能世界】俺が能力授けるからこの世界で戦え【新世界】Part46

56【マニュピレイズ】:2020/07/20(月) 19:46:32 ID:8QJC7ce6
>>55
「くふ……ふふっ。"つまらない"………
つまら…ないってんですよ……お兄さん………♪やっぱりグズ……零点です…ふふ…」

酒を取り込み遅鈍極まった痛覚とてやはり、胸を、腹を裂かれれば痛い物だと、生から隔たんと歩みを進める鬼を前に心中にて独白を零す。
自身でも驚く程に平静を取り戻した精神状態はきっと、何もかもがどうでも良くなったが故の、一種の諦めのようなものなのだろう。

救済など最初から期待して居なかったさ、同情?ああ下らない、悪を断つとのたまいながら、それらと何ら違わぬ羅刹蛇蝎へと堕ちた男の言葉に何の意味があると言う?。
禄な答えが帰って来ないと知っていながら、自らで見付けられなかった難題を押し付けたのは。
ああきっと、『どうしてヒトを殺してはいけないの?』そんな子供の屁理屈じみた物言いで自分を正当化して、逃げる事が出来ると思ったから。

「くふ……気付いてるんでしょう?自分の抱えた矛盾に………それとも……自分を剣と言って律しているのは………ふ…
笑わせるなってんですよぉ……アンタは人間でぇ……唯の人殺し……えへ……悪を斬る……って…ッ!言うなら……先ずは自分の……首でも掻っ捌いて………みたらどうだってんですかぁ
それかぁあれ…ですかぁ……?……その身体が……朽ちるまで代行者か何かを……気取って殺し続けるつもりですか………?」

こうして嘲り囀る事で、真に恥ずべき己の姿から、目を逸らせる気がしたからなのだろう。
返答等聞くつもりの無い只々悪辣で、楚々たる顔立ちに似つかわしくも無い詰問を虚空に綴る。

『エミリーは凄いなぁ』 『当然だってんですよ!私に掛かれば朝飯前です!』 『悩みでもあるんですか?えへ…お兄さんの為なら何だってできますよぉっ』 『新薬の副作用の改善……効能の増強、勝手にですけど……私なりに手を加えてみました』 『大発見だってんですよぉ…!これをまたお兄さんの名前で発表すれば、一躍時の人になりますよ!』 『お兄さんの約に立てるなら……私はどうだってイイってんです……だから私と……ずっと……』

血溜まりを踏み締めた敵の足はもう眼前、裾から伸びたマニピュレータが心の機微を感じ取って微かな反撃の予兆を滲ませる。
肉体とは隔絶された動力を備えたこれならば、考えるだけで、思っただけで、今なら即座に穿ける、手負いの獣を一息に音よりも疾く切り分けられる。

「(ハ……これが走馬灯ってヤツですか………
あーあ……なんだ……)」

けれどそれをしなかったのは、死の淵に至って今更脳裏に泡沫めいた記憶が去来したからだ。
愚直に、一途に、考え無しに、恋した誰かに全てを尽くして。憎いはずであった男の顔が、血溜まりに映った白刃よりも強く私を魅せた………嗚呼……気が付いてしまったのだ。
何があろうと尊ぶべき存在を、私自ら壊してしまった事に。

「(業腹ですけど、確かに言う通りだってんです…………あのヒトにとって私は都合が良いだけの女だったって分かってて全部差し出したのに……)」

ならばもう、我が人生に生きる価値なんて無く。
下される刃の審判を逃れる理由がある訳も無く。

「それがアンタの生き方だってんなら………精々死ぬ迄続ければ良いです…………
………ハ……酷い有様ですねぇ………アンタも……私も」

濡れた紅玉を瞼の奥に隠して、今際の際に歪な二人の生き様を嗤った。
心の蔵が刺し貫かれ、丸く小ぶりな宝石がまろびでた。
大地を汚した赤とは正反対の、清く、美しく、幽き青が____


//お返しが不定期になってすみません!日を跨いでのロールお疲れ様です、お相手ありがとうございましたー!


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