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みちしらべ

1名無しの権兵衛殿:2016/04/15(金) 20:38:46 ID:QHSXvp.2
『間違えることは、よくないことだ』




通りから一本外れた、いわゆる"裏道"は、人通りがほとんどない。
私は、その裏道にある喫茶店に入った。

中に入ると、コーヒー豆の香りが鼻孔を刺激する。
特にコーヒーが好きな訳ではないけど、コーヒーが飲みたくなるような、そんな香り。

適当なところに腰をかけ、量と値段が丁度いいものを注文する。
一回、高いものを頼んでみたいけれど、大学生になったばかりの私にとっては、千円以上の出費は痛かった。


視線を窓の外に向ける。
待ち合わせしている友人は、そろそろ来るだろうか。

時計を見ると、11時を過ぎた辺りだ。待ち合わせ時刻は12時半。

早く来すぎた。

そう思った矢先に、ドアが"カラコロ"と音をたてて開く。





「……?あれ、早くない?」

2名無しの権兵衛殿:2016/04/16(土) 19:20:25 ID:Y1D9As8o
「こっちのセリフでもあるぞ?久後。」
「いや、ボクは元々だから。ボクのが感染した?」


ー感染。
久後はいちいち可笑しい言葉の使い回しをするのが好きなやつだ。
かといって"ひねくれもの"という解釈はしっくりこない。


「久しぶりなのに、久しぶりな気がしない。一ノ瀬、見た目全然変わってないね。あ、良い意味で、ね。」

クゴ ユウキ
久後結城は私の親友であり、幼馴染みだ。
お互いに何でも言い合える仲。
…とまでは言わないけれど、それに近い仲ではある。


「久後も変わってないな。悪い意味で。」
「…あ、身長?いいよ、身長はもう。高1で諦めたし」


久後は、女の私より2cmほど低い164cm。
女性で164cmというと、平均か、少し上。だけど、男性の世界では、平均以下。

3名無しの権兵衛殿:2016/04/17(日) 09:31:49 ID:r5E4U.oQ
「ボクが低いんじゃなくて、高いんだよ、みんなが」
「低い者は、口を揃えてそう言うぞ」
「あれ?ボクの背の低さを責めるために待ち合わせてたんだっけ?」


二人で目を合わせ、苦笑する。


くだらない会話に一段落がつくと、久後がコーヒーを頼んだ。
どうやら、この店で一番安いものを頼んだようだった。


「昔から変わらないな」
「え、身長の話、まだつづいてた?」
「違う。安いものを頼むってところが、だ」


久後は、"ああ"と頷き、メニューをちらりと眺めた。


「まあ、ボクはご存知のとおり、ケチですから。それに、食べたいものがあるわけでもないし」
「お前のケチ加減は、別に嫌いじゃないよ、私」


ケチ加減。
私も、こいつの面白い言い回しが"感染"したみたいだ。


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