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ノスタルジア

1名無しの権兵衛殿:2014/02/01(土) 23:48:57 ID:elClFZFk
その日、僕はいつものように新作のゲームソフトを探しながらゲームショップの中をぶらぶらとしていた。

22名無しの権兵衛殿:2016/05/04(水) 20:56:05 ID:/EB5ZDbI

「うわっ!!!」

思わず、距離をとる。黒コゲの肉体は相変わらず、静かにそこにたたずんでいる。
よく耳を済ませていると、小さな呼吸音と、鼻を啜る音が聞こえる。

「…魔物か?」

「いヤ。匂イが違う」

相棒が、スタスタとその死体に近づく。
勇敢であるのか、無謀であるのか、そのどちらともみえる。

「おい。やめておけよ。何が起きるかわからないぞ」

「そりゃたのしみダナ」

そういって、相棒はその死体を蹴り上げた。

23名無しの権兵衛殿:2016/05/04(水) 20:56:57 ID:/EB5ZDbI
相棒の小さな足が力強く死体をふっとばす。
いくつかの肉片と、ハエどもが、空中に舞い上がる。

「んー。すとらいク」

「おい!何してるんだよ!」

「ザンネン。さすがに生きたにんげんハ喰えないナ」

「え?」

その死体のあった場所。正確にはその死体の影にいたのは、小さな金髪の髪をした少女だった。



「どうスル?」

「どうするって言っても…」

「このままほおって置いたら、きっと肉になるゾ」

「……」

「任せるヨ」

そういうと、相棒はテクテクと行ってしまった。

24名無しの権兵衛殿:2016/05/04(水) 20:57:38 ID:/EB5ZDbI
「おい!っちょっと待ってって!」

「たす…けて…」

「っ」

少女は、まだ息がある。
しかし、どう考えても厄介ごとでしかない。
ゴミ置き場に捨てられた少女。その傍らにあった死体。
厄介ごとは沢山だ。しかし。

「水を、ください…」

「ったく!少し待ってろ!」

先ほど落とした水筒を探しに戻る。もう少しで日が暮れる。
日が暮れると野犬が出る。
そうすると、俺まで危険が及ぶかもしれない。

25名無しの権兵衛殿:2016/05/04(水) 21:07:02 ID:/EB5ZDbI
無駄なことだ。
彼女だってどうせもう少しで死んでしまうのだから、無駄になってしまうカも知れない。
しかし。しかし。

「あぁ!!めんどうくさい!!どこだよ!!」

ゴミ山を必死に漁る。

「どこだってば!くそ!」

ない。ない。ゴミしかない。
なぜ、こんなにも焦っているのだろうか。見ず知らずの少女に対して、なぜ俺はこんなに苛立ちを覚えているのだろうか。
少女に欲情した?同情した?それとも死体を見て焦っている?犬に怯えている?
それとも、俺はあの少女に自分の姿を重ね合わせている?

26名無しの権兵衛殿:2016/05/04(水) 21:08:02 ID:/EB5ZDbI
いつか死んでしまう瞬間に、寄り添ってくれる誰かを望んでいたのだろうか。

「わっかんねぇよ!そんなこと!」



「しかたないサ。そういう時もアルさ」

「…ヘッド」

「いいかげんその言い方はやめろっテ」

「お前も探してくれよ」

「なにヲ?」

「だから…」

「お探しものはコレだロ?」



相棒の右手には、汚れた水筒が握られていた。
そして、その右手も同じくらい汚れていた。

「俺の水筒・・・!!」

「肉。おごれヨ」

「さすがだゼ。相棒」

「話し方を、真似するんじャネェ」



もう少しで、日が暮れる。

27名無しの権兵衛殿:2016/05/11(水) 19:31:34 ID:akk5WQrQ
期待


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