苗木「僕の名前は苗木誠。超高校級の幸運の女の子」 - 1440313608

1： ◆3d5Y/t1QHs：2015/08/23(日) 16:06:48 ID:hzM0yJZA0: 僕は今、希望々峰学園の前に立っている。
あの超高校級の才能を持つ高校生しか入れないという超エリート高だ。
そして僕も今日からこの学園の一生徒として暮らしていくことになる。
とは言っても僕は超高校級の幸運といって、全国の高校生から無作為に選ばれた一人の生徒というだけで、
僕自身は何かがすごいという訳じゃない、精々前向きなのが自慢な何処にでもいる普通の高校生だ。

……いやちょっと変わっている所もあるか。
僕は視線を自分の胸に移す。今はサラシで巻かれていて分からないが、取れば膨らみが分かるサイズの胸だ。
そう、僕は女の子だ。ただし、女の子歴は一年にも満たない程度だけど。
半陰陽という男であり、女でもある状態の僕は生まれ、だけど男性器があったために男として育った。
半陰陽と分かったのは中学三年の夏に、突如股から血が出たからだ。
慌てて病院に行けば、自分が半陰陽であること、ホルモンの関係で男のままでは長生きはできない、
生きていくためには女にならないといけない、と宣告された。
僕は家族と相談し、悩んで悩んで悩みながらも、女の子として生きることを選んだのだ。
2： ◆3d5Y/t1QHs：2015/08/23(日) 16:08:12 ID:hzM0yJZA0: まあ、色々と衝撃的な出来事ではあったけれど、幸い食べ物や趣味の変化は起きず、
体つきが女の子になった事以外はそのままだったので、そこまでショックではなかった。
リハビリの関係でクラスの皆と一緒に卒業できなかったことが一番ショックだったくらいか。

とにかく、ちょっと変わった過去はあるけれど能力的に見れば平凡であることは間違いない。
上手くやっていけるだろうか、という不安は確かにある。
けれど、それ以上にこの学園での生活は素晴らしいものになるだろうと予感がする。
そんな希望を抱きながら、僕は学園の中に足を踏み入れた。
そして……

　　　　　　　　・

　　　　　　　　・

　　　　　　　　・

.
3： ◆3d5Y/t1QHs：2015/08/23(日) 16:09:50 ID:???0: ？？？「……、………！」ﾕｯｻﾕｯｻ
苗木「……ん、ここは？」

誰かに肩を揺さぶられ、僕は目覚めた。

？？？「やっと目覚めたかね。まったく、君は入学式を寝過す所だったぞ！」

入学式。その単語を聞き、慌ててこの部屋──どうやら食堂らしい──の時計を見ると８時１５分を差していた。
たしか式は８時からだったはずだ……もしかしなくても遅刻？

？？？「他の者は皆体育館に向かっている。僕達も急いで向かうとしよう」

そう言って彼は僕をつかみ、歩き出した。
強引だなぁ、思わない所も無い訳じゃないが、寝むっていたのは事実なので文句のいいようが無かった。
4： ◆3d5Y/t1QHs：2015/08/23(日) 16:11:05 ID:???0: 廊下を走ってはいけない！との彼の意見により僕達は早歩きで進んでいく。
人の気配が無いせいだろうか、校舎の中は薄気味悪い雰囲気が漂っていた。

苗木（でも本当にそれだけか？）

校舎の照明は紫色だったり緑色だったりしているし、チラッとしか見ていないが、
教室の窓が有る部分に鉄板らしき物が打ち貼られていたように見えた。
テープで貼られていて出入りが出来ないようになっている部屋もある。

苗木（照明やテープはまだいいとして、鉄板はおかしいような……）

普通では考えられない光景を見ていて、少しずつ心の隅に不安がよぎる。
だが、そんな不安をよそに僕達は体育館の前にたどり着いた。
5： ◆KXypfHy07s：2016/03/11(金) 16:04:05 ID:???0: ドリップ忘れたので今後このドリップを使います
6： ◆KXypfHy07s：2016/03/11(金) 16:23:06 ID:???0: 「……流石に緊張するな」

僕は扉の前で立ちすくむ。
だって首相や政治家が参加すると言われている入学式で遅刻をしてしまったのだ。
それも抽選で選ばれたただの高校生がである。
きっと全員の視線を物凄く集めることになるだろう、もちろん悪い意味で。
無論誰が悪いかと言えば、眠ってしまっていた僕が悪い。
開けたら来るであろうプレッシャーに、覚悟をしつつ扉を開けようとする。
7： ◆KXypfHy07s：2016/03/11(金) 17:05:03 ID:???0: 「少し待ちたまえ」

それを止めたのは、意外にも僕の横にいた彼だった。

「多くの人々に見られるのだから、身だしなみは整えたまえ！
　今回は時間が無いから最低限で構わないが……」

彼に言われ自分の体を見るとシャツがズボンから出ていたり、
口元から涎の跡が出来ていた。
危うくこの姿で皆の前に出る所だった……
素早く整えながら彼に礼を言う。

「ははは、危ない所だったよ。ありがとう、えーと」
「おっと、名前を言うのを忘れていたな。僕の名前は石丸清多夏だ。
　なに、風紀委員として当たり前の事をしたまでにすぎない。
　次回からは寝過ごさないように気をつけてくれたまえ！」
8： ◆KXypfHy07s：2016/03/11(金) 17:11:07 ID:???0: >>6訂正

苗木「……流石に緊張するな」

僕は扉の前で立ちすくむ。
だって首相や政治家が参加すると言われている入学式で遅刻をしてしまったのだ。
それも抽選で選ばれたただの高校生がである。
きっと全員の視線を物凄く集めることになるだろう、もちろん悪い意味で。
無論誰が悪いかと言えば、眠ってしまっていた僕が悪い。
開けたら来るであろうプレッシャーに、覚悟をしつつ扉を開けようとする。
9： ◆KXypfHy07s：2016/03/11(金) 17:12:27 ID:???0: >>7訂正

？？？「少し待ちたまえ」

それを止めたのは、意外にも僕の横にいた彼だった。

？？？「多くの人々に見られるのだから、身だしなみは整えたまえ！
　今回は時間が無いから最低限で構わないが……」

彼に言われ自分の体を見るとシャツがズボンから出ていたり、
口元から涎の跡が出来ていた。
危うくこの姿で皆の前に出る所だった……
素早く整えながら彼に礼を言う。

苗木「ははは、危ない所だったよ。ありがとう、えーと」
？？？「おっと、名前を言うのを忘れていたな。僕の名前は石丸清多夏だ。
　なに、風紀委員として当たり前の事をしたまでにすぎない。
　次回からは寝過ごさないように気をつけてくれたまえ！」
10： ◆KXypfHy07s：2016/03/11(金) 17:35:17 ID:???0: 石丸君の事は僕も知っている。
事前に調べていた新入生の中で来ることが判明している内の一人だ。
彼は超高校生級の風紀委員と呼ばれており、彼のいた高校は風紀がしっかりしているという。

苗木「僕の名前は苗木誠。よろしくね
　　　寝過ごすなんてもうしたくないし、次からは気を付けるよ」
石丸「うむ、わかればよろしい！」

石丸君は僕の言葉に満足したように頷く。
時間が無いので会話もそこそこにして身だしなみを整え、
今度こそ扉をあけた。