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( ^ω^)ブーン系小説練習&イラスト総合案内所のようです

123同志名無しさん:2016/05/15(日) 23:41:18 ID:rFSYwL4.0

うなずいたものの、正直なところ逃げ出す気はなかった。
けれども今くるうを見失ったら永遠に見失ってしまいそうな気がしたのだ。

頷いたのは口実を作るために他ならなかった。
わからなくもない、というのは本心だけれど。
しかし凡人の私は、逃げ出そうなんて欠片も思ったことがなかった。


しかしくるうはそんな思惑には気づいていないらしく、
鼻唄なんか歌いながらブランコから軽やかに飛び上がって着地する。

主を失ったブランコがぎぃこ、と揺れた。
ゆらゆら。ぎぃこ、ぎぃこ。ブランコが揺れている。
街灯がつくる影も揺れている。前に。後ろに。ゆらゆらと。


くるうに呼び掛けられて、はっと我に返る。
足取り軽く歩き出した彼女の後を着いていく。

妙に寒い夜だった。私は上着の前のボタンを上までしめる。
そういえばくるうは馬鹿に薄着だ。寒くないんだろうか。

ふと、公園を出る前に一度だけ振り返れば、ブランコはまだかすかに揺れていた。


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