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モバP「雪美様がゆく」
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このスレは膝神様に監視されています
あと、雑談以前の世間話などで構成されています
なお、このスレのカウントを引き継いでいます
モバP「雪美さんといっしょ」
http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/internet/14562/1539405266/
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♪ ♪ ♪
モバP「例えば朝、タイマー起動したラジオで目覚める」
モバP「流れてくるのはこの、静けさの中で・遙かなるタクラマカン砂漠」
雪美「……」
モバP「……雪美さん、イヤホンで聴き入っているな」
ちひろ「346プロ広しと言えど、喜多郎を知っているのは私を除くとプロデューサーさんくらいでしょう」
モバP「シンセサイザーが好きって子はなかなか……ピアノは音葉や久美子や亜里沙がいますが」
ちひろ「では雪美ちゃんをシンセサイザーの世界にでも誘うつもりで?」
モバP「雪美さんがシンセサイザー奏者……かっこよさが限界突破しそう」
雪美「…………」
モバP「……目を閉じてじっと聴き続ける雪美さんが美しい」
モバP「しかし、喜多郎は音だけでもどこかオリエンタルで悠久の空気が伝わってくるようで耳が潤いますね」
ちひろ「その空気は乾いてそうですけど……シルクロードやユートピアも良いですねえ」
千秋「雪美さんに上質な音楽を聴かせていると聞いてやって来たわ!」 ア、イイトコロニ
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モバP「日常の一枚絵」
モバP「玄関にて、制服姿で片足を後ろに上げて靴を履きかけの雪美さん」
ちひろ「爽やかで良い写真ですねこれは」
雪美「……片足……バランス……難しい……。……ほっ」
モバP「おお、ここでもやってくれるのか。再現良いですぞー」
雪美「んっ……」フラフラ
モバP「片足立ちは目を閉じると難易度が上がるよな」
雪美「んんんっ……」⊂(´-`)⊃
モバP「その場で実行するか。何か靴を履くか脱ぐかというより飛行機ブーンしているようなポーズですね」
ちひろ「アラレちゃん走りとかである……あっ、倒れそう」
パシッ
雪美「……ありがとう……」
モバP「どういたしまして。……じゃあ今度はアブドミナルアンドサイのポーズで写真を撮ろうか」
ちひろ「その名称はボディビルなんだよなあ」
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モバP「……」ゴゴゴゴゴ
ちひろ「……」
雪美「……」
モバP「何ですか? 二人して僕のこと見つめて」
ちひろ「いえ、何か超サイヤ人みたいなので」
雪美「……髪が……逆立ってる……」
モバP「あ、これ? 寝癖です」
ちひろ「ポマードで固めたのかってくらい重力に逆らってますけど」
雪美「……P」
モバP「触ってみたいのか? どうぞ」シャキーン
ちひろ「頭を傾けても垂れないゴワゴワな剛毛……しんべヱかな」
雪美「……ふふっ」ナデナデ
モバP「たまにやたらアクロバティックで手強い寝癖ができるのは何が原因なんでしょうね」
ちひろ「破滅的に寝相が悪いんじゃないですかね」
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雪美「……(憧れの眼差し)」キラキラ
モバP「雪美もこうなりたいか? ニューヨークに行きたいか?」
ちひろ「こんな風になっちゃダメですよ? あとアメリカ横断ウルトラクイズもしないです」
雪美「……ボタンを押すと……帽子がピンポン……ってなる……」
モバP「あれはユニークだよな。解答ボタンを押すとパトランプが鳴るのは定番だが」
ちひろ「そんなことよりプロデューサーさん、その頭のまま仕事に出るんですか?」
雪美「……みんな……びっくり……する……」
モバP「とにかく男の朝の生理現象は一筋縄では収まらん。雪美にもう少し撫でてもらえば柔らかくなるかも」
ちひろ「女の子に朝の生理現象の世話をさせるんじゃない」
雪美「大丈夫……。……P……気持ちよく……なって……」ナデリナデリ
モバP「……はふぅ……」ヘナッ
ちひろ「」
雪美「……うまく……(力)抜けた……?」
モバP「おかげさまで、とても良かったよ。助かった。ありがとう」
ちひろ「私は一体何を見せられているんだ」
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モバP「猫じゃらし(植物)のふわふわって良いよな」
雪美「良い……!」 イイニャコレ
モバP「正式な名前はエノコログサと言うんだが、場所によっては未だによく見かける」
モバP「食用になることはあまり認識されていないかもしれない」
ペロ「……フンギャ」
雪美「……あれは……おいしくはない……って言ってる……」
モバP「猫は毛玉を吐いたりするために猫草を食べることがあるが、同じイネ科なんだな」
モバP「猫じゃらし(植物)と形が似ているものだとガマの穂というものもある」
雪美「……ソーセージ……みたい」
ペロ「……フミー」
雪美「……あれは……食べる気にならない……って言ってる……」
モバP「ペロが食べて安全か保証はないが、人の手にかかればガマから薬ができるし、若い芽なら食用にもなるとか」 ヘー
モバP「ちなみに蒲の薬は蝦蟇の油とは関係ないぞ。知ったかすると俺のように恥をかくかもしれないから気を付けよう」 ニャー
ちひろ「猫と普通に話をしていますけどこれが日常です」
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モバP「お寺で法事などがあると長時間座敷で正座――これって大変ですよね?」
ちひろ「そのテレビショッピングの実演販売士的な切り出しは何ですか」
モバP「何か特別なアイデアやアイテムを紹介するわけではないので身構えなくても良いですよ」
ちひろ「それは良かった。まずそこまで正座のことで深刻に悩んではいませんし」
雪美「……正座……足が……しびれる……」
モバP「足の痺れって様々だよな。くすぐったいものと痛いもの、麻酔みたいに感覚が無くなるものとか」
雪美「……P……私のために……いつも……しびれてる……?」
モバP「腕枕とか膝の上に乗ったりするからな。それについては大したことはないぞ。鍛えているからな」
ちひろ「神経や血管を圧迫するのを鍛えてどうにかできるものなのでしょうか」
モバP「くすぐったい時とそうでない時があるのは足の裏や脇をくすぐった時もですね」
雪美「……」コチョコチョ
モバP「ひひゃはははは、ちょやめ、くくっ……まあこういうことだ。自分でやってもくすぐったくないのに」
ちひろ「また、くすぐりは親しい人にされないと不愉快なだけで笑えないって言いますね」
ちひろ「笑ってくすぐり合えるお二人が親密だと分かります」 チヒロサンモドウデス? エンリョシマス
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モバP「この時期まで来てまた雪が降るかもしれないようだが、本格的な寒の戻りももうこれが最後かなあ」
雪美「……この冬は……暖かかった……ね」
モバP「今季は雪美と身を寄せ合って体を温めるということはあまりしなかったな」
ちひろ「しなかった……? 聞き違いでしょうか?」
モバP「あまりしなかった」
雪美「うん……。あまり……しなかった……」
ちひろ「頻繁に膝の上にいるのはノーカンですか」
モバP「いつも抱き締めているわけじゃないですからね。ただ座っているだけの時はノーカウント」
雪美「……ただ……座っているだけ……。……ここが……意外と……大事……」
ちひろ「特に目的とか無く乗っていたりもするんですね」
モバP「これから春夏へと季節が移行し、みんなの服も段々と薄着に変わって行くと思うと嬉しいような残念なようなむず痒さに纏われます」
ちひろ「プロデューサーさんの性癖のことはともかく、衣替えの季節ですねえ」
雪美「学校では……席替えの……時期……」
モバP「俺も雪美というマドンナの隣の席になりてえなあ」 ガクエンテンゴク……
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杏「プロデューサーってさ」
モバP「おう」
杏「アイドルより自分が表に、前に出たいタイプだよね」
モバP「……」
杏「アイドルを送り出す時に見せるあの目……代わってあげようか?」
モバP「いや、杏を見に来ているお客さんの前に何で事もあろうに俺が代役で出ないといけない」
モバP「まあ、裏方をやっていて表に憧れるというのは自然なことではあろうて」
杏「脚光を浴びたいんだろう?」
モバP「学生の頃は一時、演劇クラブに所属していたくらい目立つのは好きだ」
モバP「だが、俺が何か番組に呼ばれたりするとしても、ギャラはかなり安いぞ?」
杏「そうなの?」
モバP「業界ではよく言われるだろ? “文化人枠はギャラが安い”。コメンテーターとかな」
杏「プロデューサーは文化人枠なのか……」
雪美「この前……Pが出ていた番組……しっかり、録画してある……ふふ」
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『ざーこ、ざこ雑魚、ザーコっ!』
『小学四年生相手にこのザマなんて恥ずかしいと思わないんですか?』
モバP「雪美さんにそんな風に罵られて、というか煽られてみたい僕です」
ちひろ「何がそこまでプロデューサーさんを駆り立てるんでしょうか」
モバP「すいません持病が暴走してしまいました」
モバP「しかし、雪美様は心優しいおぜうさまですのでそんなことは言わないのです」
ちひろ「お嬢様じゃなくて敢えておぜうさまなのはちょっと馬鹿にしてますよね?」
雪美「……」ムッ
モバP「目は口ほどに物を言う……馬鹿にしてなどいませんよ」
雪美「……ならいい。……私は……口より先に……手が出る……タイプ」
モバP「肝に銘じておきます」
雪美「……よろしい」ニコッ
ちひろ「……上下関係の上にいる雪美ちゃんも割とそそりますねえ」
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今日はここまで
今回でおわらない
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おつおつ
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モバP「こらっ! と叱ると一番心に来るしょんぼり顔をしそうなアイドルと言えば」
雪美「……?」
モバP「割と真面目にライラな気がした」
ライラ「プロデューサー殿はライラさんを叱りますですかー?」
モバP「……ライラ」
ライラ「はいー」
モバP「……ライラを叱るなんて、俺には出来ん。怯えた目を向けられるなんて想像したくない」
雪美「……メンタルが……弱い……」
ライラ「でも、厳しく言ってもらいたいとも思うのですよー」
モバP「親を重ねるようなその寂しげな笑顔にも弱い」
モバP「ライラさんのただただ良い子な感じが尊くて、なるべくそのままでいてほしいのです」ナデナデ
雪美「……私からも……」ナデナデ
ライラ「……ぽかぽかでございますねー」
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モバP「アイドルの子たちも着けているが、最近はいろいろなマスクがあるな」
雪美「……?」
モバP「小学校の頃は給食当番で着けたガーゼマスクが一般的だと思っていたら」
モバP「大人になると使い捨てのサージカルマスク、更には黒いマスクなんかも見かける」
雪美「……くちばしのついた……マスクも……」
モバP「あれはオサレよな。更には口元に吸収缶という丸い出っ張りがあるガスマスクも味がある」
雪美「……結構……かっこいい……」
モバP「鳥山明の影響か、何か憎めない形だよな」
ちひろ「いやあ、みんながペストマスクやガスマスク着けて歩いていたら只事ではありませんよ?」
雪美「……ハロウィンでは……ありがち……」 ソウデショウカ?
モバP「マスクを着けることによってミステリアスな雰囲気を出し、外した時の素顔の端麗さが際立つのがたまらん」
雪美「……Pは……マスク……たくさん……持ってる……ね」
モバP「「ガイ・フォークス、ゴーストフェイス、ブギーマン――アイドルたちに着けてもらおうと思って」
ちひろ「どうしてそう不穏なのを気に入るんですか」
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モバP「雪美、あーん」
雪美「……んっ」
雪美「……ん……」コクン
雪美「……小さな……シュークリーム……」
モバP「良い顔いただき。一口サイズのシュークリームも今や売っていることが珍しくないな」
モバP「俺はシュークリームを見るとな、クレヨンしんちゃんを思い出すんだよ」
ちひろ「それずいぶん初期の頃のネタじゃないですかね」
雪美「……どんな……ネタ……?」
モバP「蚊の格好をしたしんのすけが、みさえが置いていたシュークリームにストローをぶっ刺して中のクリームだけ吸ってしまうという」
雪美「…………その発想は……なかった……」
ちひろ「感心しないでくださいね?」
モバP「何気ないシーンをずっと覚えているもんだな、とシュークリームを見るたびに苦笑い」
モバP「それと、シュークリームの横にエクレアが置いてあるとエクレアを選んでしまうのは宿命」
雪美「……シュークリームの方が……大きさでは……お得……」
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ちひろ「どっちのケーキが大きいで争うような話ですね」
モバP「そんな全国346万人のシュークリーム意外と好き勢の自分でも食べてみたいものがありまして」
ちひろ「エクレアに浮気しといてですか? 普通に好きで行きましょうよそこは」
モバP「専門ブログを立ち上げるくらい好きかというとそこは本気な人に失礼かと」
雪美「……P……こう見えて……浅く広く……が、持ち味……」
ちひろ「一時期はドーナツやパンでしたしね。で、食べてみたいものというのは?」
モバP「クロカンブッシュですね。ただプチシューを積んでみましたというものじゃなく、本格的なやつを」
ちひろ「こういうモンテール(直球)じゃなくて、パーティーとかで出てくるタワー状の?」
モバP「はい。ケーキと違ってどこまで行っても基本シュークリームの群体であることに変わりはないんでしょうが」
雪美「……クロカンブッシュ……バベルの塔……みたいで……好き」
ちひろ「雪美ちゃんほどになると想起する物のスケールも違いますね……」 マッタクデス
モバP「バベ――クロカンブッシュは溶かしたカラメルや飴をかけてシュークリーム同士をくっつけるわけで」
モバP「建築と似た工作的な要素があるのも魅力ですね」
雪美「でも……崩したくなくて……食べられない……」 ワカルワ ワカリマス
モバP「ちなみにたこ焼きでクロカンブッシュもどきなら作ったんだがな」 チャレンジャーダナ
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紗南「Pさんは褐色の子を見る目が違うよね」
モバP「ほう? どんな目で見ていると言うのか」
紗南「恋する乙女のような」
雪美「……それは……興味深い……」
モバP「恋……か。ナターリアやライラを自然と目で追ってしまうのは、心配なのもあるが」
モバP「もしかすると俺の前世は褐色だったのかもな。憧れがあるのかもしれない」
紗南「へえ。ゲームでもやっぱり褐色系は好き?」
モバP「俺がイラストだけで一目惚れしたキャラクターは風来のシレン4のエドナが最後だからなあ」
紗南「キャラクターに一目惚れまでいくのは稀だけど、そういう時はあるよね」
モバP「ティンと来るんだよな。通常のおっこれはとなるのとは異なる、他と違う根源的な魅力というか」
モバP「そういえば昔からオセアニア、ポリネシアの小さな島国が何故か気になる性質だし、前世、もとい先祖がその辺りの人だったりして」
雪美「……そういえば……P……大きくて……筋肉質……」
モバP「サモアとかの人はフィジカルが凄いからな。その血が混ざっている可能性も微粒子レベルで存在する……?」
茜「でもプロデューサーは本場のラガーマン体型とは違いますね!」 ソラソウヤ
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モバP「商業施設にあると、特に買いはしないのに安心する自販機がある」
雪美「……?」
モバP「グリコのセブンティーンアイスだよ。種類が多くてデザインも良く、見ていて面白い」
ちひろ「アイスだけに冷やかしですね。買えば良いじゃないですか」
モバP「大人の男一人でキャッキャしながら自販機アイス買っていたら浮きませんか?」
ちひろ「そりゃあ地上346cmくらいは浮きましょうとも」
雪美「……舞空術……」
ちひろ「というかキャッキャするほど買いたいんですか」
モバP「あれがなかなか美味しいんですもん。値段・量と、一日一個食べるのにちょうど良いくらいの絶妙なバランスで心を掴みます」
モバP「それと食べ終わった後のスティックの形ですね。これがなかなか市販アイスにはないおしゃぶりの様な独特な形状で」
ちひろ「買ってるじゃないですか」
モバP「まあそれが子どもの頃の話で、今は誰か連れがいる時に見かければ買って食べさせ合うこともある程度です」
雪美「……二人で……二種類の味……楽しめる……」
ちひろ「外でそんなことをやられると私の肝が冷えますよ」
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ガチャ
モバP「戻りました」
ちひろ「お疲れ様です、プロデューサーさん」
モバP「いやあ、今日のアイドルたちのロケはなかなか面白くて、ミニ四駆対決でしたよ」
ちひろ「90年代に一大ブームになったやつですね」
モバP「あれを見ていてふと思ったんですが、現実の車にもローラーって付けられないものなんでしょうかね」
ちひろ「横が邪魔になると思いますよ?」
モバP「ですよねえ。あのホイールのようなリングが壁に接して回る姿に、風車のような風流を感じます」
ちひろ「あれは何も雅やかさを出すために取り付けてある物じゃないですけどね」
雪美「……P……回るのが……好き……?」
モバP「おお、雪美さん。そうだね……って、何をする気かな?」
雪美「……私も……Pのそばで……回る……」ピトッ クルクル
モバP「お、ルーレットか。よし、上手く対面で止めてみせるぞ〜」
ちひろ「二秒後には抱き合う二人」
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モバP「こんな雪美どうでしょう」
モバP「補助倒立をする雪美」
雪美「……いきます……」
ヒュッ パシッ
モバP「結んであるとはいえ雪美の長い髪がマットに(1、2、3、4、5)」
雪美「……逆……」
モバP「雪美様のおみ足も大変美しゅうございます(6、7、8、9、10!)。はい、戻すよ」
スタッ
雪美「……もう。……ふざけないで……支えて……」プンスコ
モバP「はい。ごめんなさい」ペッコリン
雪美「……ふふ……、調子が……狂う……」
雪美「P……私だから……許す……。でも……みんなにしたら……ダメ……」
モバP「ん、おかのした」
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モバP「それにしても、倒立をしていても本当に姿勢が綺麗だな」
モバP「逆立ち状態はしんどくなかったか?」
雪美「……ううん……楽勝……」v
モバP「どや! という顔も素敵ですぞ」
モバP「俺も昔は逆立ちなんて余裕のよしのんだったんだがなあ」
イマジナリー芳乃(わたくしの名を呼んだのはー、そなたでー?)
モバP「失礼、よっちゃんにしとく」
イマジナリー芳乃(むー?)
雪美「……?」
モバP「何でもないさ。……逆立ちだがな、昔は余裕だったというのは主に頭だ」
モバP「体が大きくなると圧で、同じ逆立ちでも頭に血が上るようになって辛い」
雪美「……」ホー
モバP「でも適度な逆立ちで頭への血液の流れが良くなるそうだから、若いなら毎日やって慣れさせるのも良いか」
モバP「頭皮にも良い影響を与えて、俺の髪も雪美さんのように艶々伸び盛りになるかもしれない」
雪美「……直感で……それはない……気がする……」 ソンナー
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今日はここまで
苔の生すまで
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乙
逆立ちにしても鉄棒にしても艶々の長い髪が逆さになってるのを見るの好き(ゲス顔)
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モバP「ふう……また俺ばかり喋ってしまったな」
雪美「……楽しかった」
モバP「雪美さんに聞き手に回ってもらってばかりで何かすまない」
雪美「……すまなくない……。Pの……話……聞いてるの……好きだから……」
モバP「雪美さんは聞き上手だなあ。いつも俺に気持ち良く喋らせてくれるというか」
雪美「……そういう……テクニック……、杏に……教わったり……する」
モバP「その安心感は杏由来の成分が含まれていたというのか」
モバP「でも、雪美さんに相槌役ばかりさせるのは勿体無い気がする。もっと君の声を聞きたいのだ」
雪美「……でも……ゆっくり……話すから……焦れない……?」
モバP「スローテンポでも良いんだ。その言葉を噛み締めて、味わえる」
雪美「あまり……味わわれると……恥ずかしい……///」
モバP「こやつ……ああもう何とこやつなこやつよ……!」
ちひろ「語彙力喪失が起きてますよ」
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モバP「学校の夢を見たんだが、自分の下駄箱の場所が分からない」
モバP「そんな内容を何度か見ていることを覚えている」
朋「場所が不鮮明なのは今の自分の在り方に迷いがあるんじゃない?」
モバP「速やかに診断してくれたな」
朋「割と見やすい夢みたいね。学校は規律と制約に縛られる場所で、下駄箱はそこから解放される出入り口みたいなもの」
モバP「それか、過去に下駄箱関連でトラウマがあってフラッシュバックしているのかもな。靴を隠されたり画鋲を入れられてみたり」
朋「P、そんなことあったの?」
モバP「そういう物語を読んで現実と重ね合わせて感情移入することはあった」
朋「なんだ。それは感受性が強いというか、被害妄想まで行ってない?」
朋「それで、どんなことで迷っているの?」
モバP「いやね、自分のキャラがこれで良いのかと」
朋「良いわよ別に」
モバP「答えも速いなおい」
雪美「……これで……いいのだ……♪」
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モバP「雪美さんはラブレターを貰ったことはあるかい?」
雪美「……」フルフル
ちひろ「小学校まではLIKEはあってもあまりLOVEの感情のやりとりは起こらない印象です」
モバP「分かりませんよ? 今は進んでいますからね」
雪美「……直接……告白されたことは……ある……」
ちひろ「レベル高かった」
モバP「今の雪美さんほどになると仕方のないことだな、うんうん」
雪美「幼稚園の……ころに……」
モバP「想定より前だった」
モバP「だがまあ、雪美さんはその頃から非凡な雰囲気があったのでしょう」
雪美「……」キラキラ
モバP「光っているなあ。ある時は太陽光のように眩しく、またある時は月光のように朧で儚げに」
ちひろ「幼稚園や保育園での人間関係って、結構その後のコミュ力や人格形成に影響したりしますよね」
モバP「自分は近くにボス園児がいたせいか、内向的でしたね。親友もいましたが」 ボス……
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モバP「その頃から誰かの手を引っ張ってあげられる子になっていけたら良かったんでしょうが、おかげでシャイですね」
雪美「……Pは……私の手を……引っ張れる……。だから……大丈夫……」
モバP「それは、雪美さんが先に手を差し伸べてくれるからだよ。良い意味での強引さ図々しさが、俺には欠けているかもな」
雪美「……そんなこと……ない……。……P……」
モバP「まあ、好きな子の手は引っ張りたいよな。そういう風に変えてくれたのは雪美さんってことで」
雪美「……ん」コク
モバP「しかし、雪美さんがかぐや姫みたいにたくさんの人から求婚されたらどうしましょ」
雪美「……好きな人が……いる……と、言う……?」
ちひろ「それで引き下がるなら良いですが、世の中にはそれでも諦めない人も多いでしょうね」
モバP「火鼠の衣、蓬莱の玉の枝、仏の御石の鉢、龍の首の玉、燕の子安貝を取って来れば結婚して貰えるんですね?」
雪美「その時は……月から……迎えが……来そう……」
モバP「そんなぁ。……あれは翁たちを巻き込んだ挙句、こちらに馴染んだ姫様を勝手に引き取っていくから幼心に合点がいかなかった」
ちひろ「それはそうとして、プロデューサーさんはラブレターなどは?」
モバP「学生の時分には下駄箱にラブレターが入っていることに憧れていました。それだけです」
雪美「……ラブレターを……靴といっしょは……」 クサイカナ?
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モバP「光り物が好きな私ですが」
ちひろ「あらら、実は意外と面食いで自分をよく見せたくてブランド志向だったりします?」
モバP「いや、宝石じゃなくて文字通り電灯とかです」
ちひろ「そういう光り物ですか」
モバP「子どもの時は信号機のおもちゃを欲しがっていましたね。電池で光るやつです」
雪美「……ライトは……宝石より……きれいかも……ね」
モバP「思春期くらいになると今度はトラックのカラフルなサイドマーカーランプを欲しくなりまして」
雪美「トラックを……買うの……?」
モバP「いえ、ランプだけ自分の部屋にたくさん並べて光らせて、それをずっと眺めていられれば良かった」
ちひろ「……プロデューサーさんの思春期とは」
モバP「それで気づいたんですが、原色三色の信号機ってカラーバランスが良いですね。青は緑寄りですが」
モバP「セネガル、ギニア、マリ、ルーマニア国旗のような配色の縦三色旗も靡き映えするってもんです」
ちひろ「光の三原色は黄色が緑に置き換わりますけどね」
雪美「……白と赤、だけだと……物足りない……?」 オカズガホシイネ ヒノマルベントウ?
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モバP「想像してみよう、横断歩道を渡る雪美」
――
歩行者信号「青やで」
雪美「……、……」サユウカクニン
スッ
トコトコ
――
モバP「ええなあ」
ちひろ「平和な光景ではありますけど、そんなにですか?」
モバP「小学校も後半になれば通学帽なんてほとんど被りませんし、わざわざ手を挙げて渡ることも珍しくなりますからね」
モバP「では何故手を挙げるのか。例えば、後ろに低学年の子たちがいるから模範として手を挙げている?」
ちひろ「運転教本のイラストの危険予測問題みたいですね」
モバP「そういう一部の情報からバックグラウンドのストーリーまで想像することで、脳の活性化もできて良いと思います」
ちひろ「頭の中雪美ちゃんでいっぱい過ぎやしませんか?」
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583
雪美「……」
モバP「……」
雪美「……」ギュッ
モバP「よくよく考えると怖くなるのも分からなくもないが」
モバP「月が赤いなあ」
雪美「……それは……告白に……なる……?」
モバP「“月が赤いですね”と言うと、何だかこれから血の雨が降りますよと警告・宣戦布告でもしているように聞こえなくもない」
モバP「しかしスーパームーンでブラッドムーン――不気味だね」
雪美「……うん」
モバP「結膜が黒で瞳が赤と化したexeキャラクターみたいだ」
モバP「まあそういう正体不明で不吉に感じたり危険を感じるものも、欠点や俗っぽさを見つけて生暖かく見つめると怖さは和らぐ。物は考えようだな」
雪美「……怖くない……怖くない……」ジッ
モバP「しかしこう大きい月はじっと見つめていると段々近づいてくるような……あっ、ごめん」
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584
雪美「……Pの手……」ギュッ
モバP「ん?」
雪美「……」ニギニギ
モバP「……雪美の握力がマッサージのような刺激をくれて気持ちが良い」
雪美「……」
雪美「猫の……にくきゅうと……少し……似てる」
モバP「そうかなあ。俺の手は硬い方だと思うぞ」
雪美「……」グニグニ
モバP「心なしか母指球の所を重点的に攻めているように感じるが、そこの感触が好きなのか?」
雪美「……ふふっ」グニ
モバP「俺は他人の体にこんなに興味を持って触ることなんて出来なかったなあ。普通は嫌がられるものだし自分も嫌だ」
モバP「それをこうして雪美に許してしまうのが、改めて何だか新鮮」
雪美「Pは……嫌がらない……。……私も……こうするのは……Pだけ……。……特別……」
ちひろ「今は純粋でもこれいつ間違いに発展するか分かったもんじゃありませんね」
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モバP「……」パラパラ
雪美「……」ピョコッ
雪美「……P……読書中……?」
モバP「……そうどす」
雪美「……」スタスタ
モバP「あっ、行ってしもた……。ほな……」パラパラ
雪美「……」スーッ
モバP「いやいや、雪美はん。ソファの後ろから覗き込むんはすこいわぁ」
雪美「……!」
モバP「なんや気を引くてんごな子猫みたいやん。そないな回りくどいことせんと、ここ」ポンポン
雪美「……良いの……?」
モバP「かましまへん――なんてな。どうぞおいでやす」
雪美「……うん……おおきに」
ちひろ「雪美ちゃんから何とかして京言葉を引き出そうの会」
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今日はここまで
だれか かわってくんない
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乙
小さい頃は月が大きく見えるのが妙に恐ろしく感じるよな
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蘭子「我輩、暁の出陣には盛大なるファンファーレで送られたい」(私も登場BGMが欲しいです)
モバP「ああ、自分の入場テーマ曲があると燃えるよな。噺家さんにおける出囃子も粋で捨てがたいが」
モバP「スタン・ハンセンのテーマsunriseなんて乱入乱闘を促されるようでテンションが上がる」
雪美「うん……」キラキラ
奈緒「雪美が知っていることに驚きだよ……」 ナオモナ
モバP「しかし蘭子でそれをやると、例えばクッパ姫コスチュームで女子プロレスとか始めそうだから無しとして」 オイ
モバP「……そうだな、“思春期を殺した少年の翼”なんて良いんじゃない? この端末で聴けるぞ」ハイ
雪美「……もう……タイトルから……中二病……!」
奈緒「いや、それヒイロのテーマじゃないか! 自爆しそうだよ!」
蘭子「うむ、早速我が耳に入れてみようではないか!」ポチッポチポチッ
テレレテレレテレレテレレテレレテーレン! テーテテテテーテテテテー
蘭子「……おお!」キラキラ
モバP「ちなみに第二候補が“ナラク・ウィズイン”」 ワロックカヨ!
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モバP「ホールケーキってなかなか食べる機会がないよな」
雪美「……うん……大きすぎる」
モバP「人が多く集まる時に用意して、切り分けて食べるような物だからな。普段は手が出ない」
ちひろ「プロデューサーさんはマジパンの人形やチョコレートのネームプレートを取り合うタイプですよね」
モバP「そこがある意味楽しいところですからね」
モバP「ウェディングケーキのようにそのホールを何段も積んだような物を自分で買い上げるとなると一生に一度あるかないか」
ちひろ「結婚式のケーキは入刀用のイミテーションの場合も多いですね」
雪美「……食べられないの……?」
モバP「食べられません。その分、経費を安くできたり巨大なケーキにすることも出来るんだろうがな」
雪美「……それだと……ちょっと……がっかり……」
モバP「食べられる方が夢はあるよなあ」 ウン
モバP「しかし最近はケーキでもお菓子でもアソートタイプが台頭したなと思います」
ちひろ「いろんな種類を少しずつ食べる方が飽きませんからね」
雪美「……Pも……いろんな種類……いた方が……良いのかも……?」 ソンナコトナイヨー
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モバP「このご時世、手洗いうがい乳酸菌は大切ですね」
雪美「……ん……乳酸菌……」
ちひろ「手洗い♪ うがい♪」
モバP・雪美「乳酸菌」
ちひろ「ヤクルトは」
モバP「今後NHKに呼ばれるかもしれないのでぽろっと商品名を出さないように意識付けです」
雪美「バンドエイドは……絆創膏……」
ちひろ「あらまあ賢い(棒)」
モバP「あと、平時から気を付けることですが、目薬を差す時は手と顔を洗って清潔にすることを、今はより心掛けます」
雪美「……手……指……思ったよりも……汚れる……」
ちひろ「粘膜は気を付けないといけませんね」
モバP「それと市販の目薬は使用期限が書いてありますが、あれはあくまで未開封の場合で、使い始めたら一ヶ月くらいで使いきるべきだとか」
モバP「……頻繁に点眼しないとその期間で使いきるのは無理ですよね」
ちひろ「何ちょっとタメになるかもしれない話を始めているんですか」
-
モバP「目薬といえば、雪美は目が痒くなったりはしていないか?」
モバP「或いは鼻水が止まらなくなってティッシュが大量消費されてしまったり」
雪美「……大丈夫……」
ちひろ「他の話題に押し退けられていますけど今は花粉症のシーズンですよねえ」
モバP「人体は花粉をずっと蓄積していって、ある許容量を超えると一気に症状が出始める。厄介です」
ちひろ「鼻炎の症状が出るという意味では猫アレルギーも地味に辛いところですね」
雪美「……留美……」
モバP「ジレンマを抱えながらも猫を好きでたまらない留美さんを見ていると、人間ってまだまだ捨てたもんじゃないなと思います」
ちひろ「何の立場からの感想ですかそれは」
モバP「しかし、猫は仕方ないとして花粉症は、木が問題ですね」
ちひろ「杉や桧は材木用にたくさん植林されてそれを切り余しているので人の自業自得な所もありますからね」
モバP「最近の木造家屋再評価路線も悪くありませんが、やっぱり防火防災的には昔ほど多くはならないでしょうし」
モバP「これからはリンゴやみかんの木のような広葉樹を増やさないといけませんかね? 食料問題を補う為にも」
雪美「……針葉樹も……美味しかったら……良いのに……ね」
ちひろ「果実も人が手入れをしないとなかなか美味しいまでにはならないでしょうけどね」
-
589
モバP「……すまない」
雪美「……」
モバP「しばらく俺たちは距離を置かなくてはならないんだ」
雪美「……」
モバP「関係を解消しようという訳ではない。あくまで離れて接するということだ」
雪美「手……繋げない……。ひざにも……座れない……」
モバP「俺も苦しいが今しばらく我慢しなくてはならない。分かってくれるか?」
雪美「……」ツー
モバP「……!」
モバP「……雪美!」バッ
ギューッ
雪美「……P……、我慢……できなかった……ね……」グスッ
モバP「……言ったことを守れない大人で悪い。だが」
モバP「雪美が泣いている――我慢しないのにこれ以上の理由が要るのかい」
-
――
ちひろ「ジョニーとヨサクみたいなこと言ってんな」
モバP「あの二人のちょっと変わった形状の刀が好きです。菜斬り刀という菜切り包丁のような」
ちひろ「とにかく、そんなやり取りがあったか無かったか、今日もお二人は無事密接です」
モバP「膝に乗せる私」ナデ
雪美「……乗る私」チョコン
ちひろ「遠慮がありませんねえ」
モバP「ちひろさんも我々の仲の良さが段々と分かってきたようですね」
雪美「……」コクコク
ちひろ「ここ346でも流行りウイルスとかの感染対策はしていますけど、そのイチャつき具合は目に猛毒です」
モバP「親公認ですからね」
雪美「ただし……Pの親……」
ちひろ「雪美ちゃんの親の方じゃないのか。というかこの様を普通認めていたらおかしいんですけどね」
雪美「私たち……家族……みたいなもの……。Pも……みんなも……」
ちひろ「アットホームな職場過ぎて涙が出ますよ」
-
モバP「しかしこうしていられるのも例えば晶葉が特製のエアシャワーを作り」
晶葉「このくらいは私もしないとな。入室が少し面倒になるが」
モバP「志希が薬を作り」
志希「今の進捗状況だと副作用無しには難しいかな〜。でも大丈夫、一時的に若返って記憶喪失になって半分獣化するだけなら……」
モバP「ちひろさんが抵抗力を付けるドリンクを作り」
ちひろ「いや、そんな凄いドリンクではありませんけど。というか志希ちゃん」
モバP「と、他にも何人ものアイドルたちがみんなの為に努力してくれているおかげです。感謝ですよ」
ちひろ「みんな私や晶葉ちゃんや志希ちゃんの腕を信頼していますけど、やっていることは人体実験かもしれませんね……」
モバP「倫理面は難しい壁ですね」
志希「倫理を無視するなら、現実改変性のあるキミのP細胞を取り込むって手もあるよー」ハスハス
モバP「それをやるとみんなが家族というより眷属になってしまうよ」 イイジャン? イイノカ?
――
日菜子「むふふ」
モバP「お、日菜子が幸せそうに日向ぼっこをしている。春だなあ」
日菜子「……ここまで全部日菜子の妄想……むふ」
-
590
柑奈「プロデューサーさん! 今日のステージ、ラブがしっかり伝わって来ました!」
モバP「おお、それは良かった。ギターで弾き語りなんて貴重な体験をさせてもらった」
ちひろ「おやおや、プロデューサーさんったら遂に歌まで歌い始めたんですか」
モバP「アイドルたちを元気づけようとテレワークのテストを兼ねてやりました」
モバP「ギターは高校の音楽の授業で習った以来ですが、その時の経験が役に立ちましたよ」
ちひろ「それで弾けるのも凄いな。どんな曲を披露されたんですか?」
モバP「雨やどり、関白宣言、関白失脚、恋愛症候群とかですかね」
ちひろ「さだまさしづくしとはたまげたなぁ」
柑奈「プロデューサーさんはコミックソングが意外とお好きなようで」
モバP「ネタとしても好きだし、以前学校の先生がフリーの時間でこれをやってくれて感動した影響もある」
柑奈「そういう先生、どの学校にも大抵一人はいますよね」 イマスカネ?
雪美「……P……ギター、良かった……。でも……笑い声……ないから……少し……さみしい……」
モバP「確かにな。たださすがにドラマのフルハウスみたいなラフトラックを入れるのは遠慮した」
ちひろ「フルハウスを例えに出すだけでラフトラックの意味が想像できる不思議」
-
591
雪美「……」スヤスヤ
モバP「雪美様が寝ておられる……無防備な格好で」
モバP「……」ジーッ
ポンッ!
悪魔(これは……誘ってる……手を出して……良い……)
天使(そんなことしたら……ダメ……。しっかり……添い寝……してあげて……)
モバP(結構五十歩百歩だな君たちは)
悪魔・天使((……?))
モバP(というか俺の脳内葛藤を表す天使と悪魔が何故雪美モデルなんだ。住み着いてるのか?)
モバP(それも天使のバブルスカートの白ワンピースもあれだが、悪魔はボンデージか? 際どい格好をしやがって)
悪魔(……///)
天使(……)ムッ
……! ……! ……!
ちひろ「プロデューサーさん、そこに上の空で突っ立ってると邪魔ですよ?」
-
592
モバP「ファッションとは時に理解しがたく、格好良さとヘンテコさは紙一重だと思います」
ちひろ「具体的には?」
モバP「本日はここにモデルを用意しました。雪美さんです」
雪美「……」キラキラ
ちひろ「……なるほど、ダメージジーンズですか」
モバP「はい。雪美さんが穿くと意外な感じがしますよね。キャップも被って少しボーイッシュスタイルです」
雪美「……これ……きずがあって……使い古し……みたい……」
モバP「でも古着ではないんだよな」
ちひろ「こういうのは人によっては新品にわざと傷を入れたりして穿きこなすようですね」
モバP「元々鉱夫の作業着として作られた丈夫なのが良さであるジーンズを、ボロボロにして穿くというのは何かいただけなくもありますが」
雪美「……?」
モバP「所々で擦り切れから覗く肌がなかなかワイルドで……おほん、ストリート系です」
雪美「……ドキドキ……する……? ……ふふっ……そう……」
ちひろ「どうせならワッペンを縫い付けたりした方が合いそうなんですけど」
-
593
モバP「紗南と“Good Job!”で遊んでいたらもうこんな時間だ」
ちひろ「平然と職場で遊ぶ豪傑」
紗南「配信のためのロケハンに付き合ってもらったら盛り上がっちゃいました」
モバP「いやあ、オフィスで壁や物を壊して暴れ回る陽気で爽快なゲームだったな」
紗南「そういうゲームじゃ……そういうゲームか!」
ちひろ「街中でロケランぶっ放して手配度上げて楽しむような破壊願望を溜め込んでいたりしませんよね?」
モバP「いや、さすがに現実で同じことはしませんよ。ゲームでは破壊も好奇心をくすぐるギミックにしてあるから楽しいんです」
モバP「ただ、暴れること自体に楽しさを感じる場合、それは少し病んでいるのかもしれませんね。社畜的な意味で」
ちひろ「闇が深そうで笑えませんね」
紗南「PさんはDEEEER Simulatorなんかも凄く楽しそうにプレイするよね」
ちひろ「あっ……」
――
ありす「これが、ピクトグラムのキャラクターが面白物理で会社で雑用をするパズルゲームですか」
雪美「……雑用(破壊)……」
-
594
雪美「……」スゥッ
テー テー テー
パチパチパチパチ
モバP「おう、これは……単音だが“お辞儀の和音”じゃな?」
モバP「それもハーモニカの素朴な音色と間がとても懐かしい」
雪美「……起立、……礼、……着席……」
モバP「はい、それでは授業を始めます。教科書の346ページを開いてください」
雪美「ふふっ……。そういう……イメージ」
モバP「実際の授業は普通はキンコンカンコンのチャイムがあるからこれで始めることはないが」
モバP「何故か授業や出し物が始まる時に聴くイメージが強いな」モウイッカイ
雪美「うん……」〜♪
モバP「ああ、ハーモニカを吹く雪美さん――未来に残したいこの光景」
ちひろ「中学以降になるとハーモニカって吹かなくなりますからねえ」
-
595
雪美「……」スリスリ
モバP「怖い夢を見たか」
雪美「……うん。……でも……よく覚えて……ない……」
モバP「歳を重ねれば長年の情報の蓄積が増えて複雑怪奇な夢を見るようになるが、まだ雪美さんの記憶の引き出しは総量が多くないはずだ」
モバP「だから、最近印象に強く残った出来事などを反映した夢を繰り返し見たりもするだろう」
雪美「……怖いことの方が……印象に……残る……」
モバP「そこで、効くか分からないが、安心材料として一つアイデアをあげよう」
モバP「夢は五感に影響される。例えば睡眠状態に入っていても耳に入ってきた音・情報が夢と混ざり合うことがある」
雪美「……」
モバP「寝ている横でテレビやラジオの音声を聞くと、その内容が夢に出る」
雪美「……」ホー
モバP「面白いよな。枕の下に本を置いて眠るとその内容の夢を見られるという迷信よりは再現性がある」
雪美「……迷信……なの……?」
モバP「何度かやってみたことがあるが、それで夢が見られた記憶が無いな。忘れているだけかもしれないが」
-
モバP「まあ、迷信というかおまじないみたいなものだな」
雪美「ペロを……抱いて……眠ると……ペロの夢……見る……よ……?」
モバP「それはペロだと分かっているからだよ。本に関しては記憶と願望で見るものなんだと思う」
モバP「例えば表紙だけで中身を読んだことのない本を枕元に忍ばせて、その本の夢が見られるだろうか」
雪美「知らない夢は……見られない……ね」
モバP「既知の情報があるから夢を見られる。無いのに見られたらそれは予言者だ」
雪美「……でも……見たい夢を……見られたら……すごい……」
モバP「儀式とかするとしても、だな。望んで好きな夢を作り出せる人は想像力と創造力がよほど豊かなんだろう」
雪美「……私も……イチゴの夢……見たい……」
モバP「今度雪美がお昼寝をする時に、俺が耳元でイチゴのことについて朗読してみようか」
雪美「……イチゴより……Pの声を……意識して……しまうかも……」
モバP「聞き慣れている声のはずだろう? 大丈夫、心地良い眠りに誘ってあげるよ」
雪美「……じゃあ……お願い……する……」
ちひろ「プロデューサーさんのASMRがアイドルたちに大人気になるとは、この時誰も思わなかった」
-
596
モバP「車載動画ってたまに見ると惹き込まれてつい追ってしまいますよね」
ちひろ「私はそうでもないですけど、今はそういう動画多いようですね」
モバP「車に限らず登山やドローン、電車の全面展望――それらも勿論好きです」
ちひろ「旅行気分に浸れるからでしょうか? そういう意味では某ストリートビューとか凄いと思います」
モバP「人の計り知れないポテンシャル、というかアクティビティの賜物ですね」
雪美「Pも……そういうの……撮って……みたら……?」
モバP「プライベートなら様々な所を回れるんだが、仕事が絡むとどうしても同じ所を行き来しがちだ」
モバP「いつかランボルギーニにでも乗ってシチリアの海沿いの道を走りつつ、撮ってみたいなあ」
ちひろ「結構な野望をお持ちですねえ」
モバP「ただ自分の力では無理そうだからこの夢はアイドルに託すことにします」
ちひろ「他力本願かよ」
モバP「雪美さん頼んだぜ」
雪美「……ランボルギーニ……、……がんばる」
ちひろ「頑張らすな」
-
雪美「Pは……高級スポーツカー……好き……、……なぜ……?」
モバP「何故だろうな。高級だから好きというつもりじゃないんだよ」
モバP「ただテールの赤色、橙色のランプがくりっとしている車って数が少なくて高級なイメージがあります」
ちひろ「丸目が少ないのって何か意味があるんでしたっけね?」
モバP「分かりませんが、それに当てはまるもので行くとランボルギーニはディアブロが好きです」
雪美「……ディアブロ……。……強そう……」
ちひろ「ランボルギーニはイタリアのメーカーですが、ディアブロはスペイン語で悪魔ですね」
ちひろ「ランボルギーニムルシエラゴ、スペイン語でコウモリなんてのもあります」 オオ……
モバP「ムルシエラゴの丸っこいボディを見て、それまでのどちらかと言うとロボットのようなそれから動物に進化したように感じたものです」
モバP「あ、テールランプは丸も良いですがイオタやカウンタックみたいな四角いのも外せません」
モバP「あのキュービィロップのようなポップな感じ……美味しそうです」
ちひろ「美味しそうときたか」
モバP「日産のスカイラインなんかも色はともかくドーナツへの食欲を触発させる形ですよね」
ちひろ「……そうやってあまり(車体の)お尻ばかり追いかけてるのもどうですかね」
卯月「お尻と聞いてやって来ました」 ナゼソレデクル
-
597
モバP「……」
雪美「……」
雪美「……」ノ スッ
モバP「……」コク
雪美「……」ポイッ
コロンッ コロコロコロ
雪美「……1と……4」
モバP「おっ、5枚リーチだな」
ちひろ「何をやっているんですか」
モバP「サイコロを使ったポーカーにビンゴをかけ合わせたような遊びです」
ちひろ「何かいろんなものを全部乗せして個性が迷子になった感が」
モバP「昔、グランディア3というゲームがありまして、その中に登場したカジノ的施設のカードゲームです」
ちひろ「……道理で見たことがないなと」
-
モバP「さあ、最後の五投目……振るが良い」
雪美「……」コク
雪美「……!」ポイッ
コロンッ コロコロコロ
雪美「……6と……6」
モバP「残念……ドボンだ」
雪美「」
ちひろ「大富豪8切りのような一見では分からないルールがあるようで」
モバP「まあ、欲しかった綺麗なクリアカラーのサイコロが手に入ったので、とりあえず何か遊んでみたかったんですね」
モバP「さて、賭けは俺の勝ちのようだ」
雪美「……む……、もう一回……だけ……」
ちひろ「賭けって、そこに何かコインらしきものが積んでありますけど」
モバP「最近の金貨チョコは精巧に作られていましてね。ムードを出すために使っているだけで賭博なんてせず、後でしっかり山分けしますよ」スパー
雪美「じゃらじゃら……お金持ち……。ココアシガレットも……ある」
ちひろ「もう少し健康的な遊びはできませんかねえ?」
-
598
ブウゥゥーン
――
モバP「おかえり」
雪美「……」ニコ
モバP「ヘルメットを被った雪美さん……素敵だ」
雪美「……そんなこと……ないと思う……」
モバP「いや、保証するよ。フルフェイスでなくストリートスポーツ系のヘルメットにすっかり魅せられた」
モバP「もっとも、フルフェイスのヘルメットを脱いで頭を振ったら、長い髪がふわっと広がる様も映画の美女のようで捨て難いが」
雪美「……」フムフム
モバP「ふふ、この前の収録のゴーカート対決企画で運転もすっかり慣れたものだな」
雪美「……でも……本物の車だと……足が……アクセルに……届かない……」
モバP「きっと届くようになるさ。ならなければ……俺がずっと運転席か」
雪美「頼りにしてる……あなた」
モバP「……完落ちさせる気か。ええい、今度は二人乗りで俺も乗るぞ!」
-
599
モバP「んっ……んん」モグモグ
雪美「……」ハムハム
ちひろ「また私に内緒でお菓子を食べてますね。晩御飯食べられなくなりますよ?」
モバP「注意の仕方がもう母親そのものですねえ」
ちひろ「は?」
モバP「我々はハードなレッスンをやるので大丈夫ですよ。ちひろさんも食べます?」
ちひろ「……これは?」
モバP「広島銘菓ぷよまんです」
ちひろ「冗談言っちゃダメですよ。何年前に製造終了したやつですか」
モバP「……18年前?」
巴「形が違うだけで、もみじ饅頭みたいな味じゃの。お茶に合うわ」パクパク ズズー
ちひろ「巴ちゃん、スケルトンTみたいに座布団に正座してる……。18年前の遺物がどうしてここにあるんでしょう」
モバP「そこは企業秘密ですね。ヒントは晶葉・タイムマシン。古すぎて食中毒などはないですから、まあまあクリーム入りでもどうぞ」
ちひろ「自作したくらい言うと思ったらファンタジーだったよ……大丈夫ですよね?」
-
600
モバP「資源ってのは取り過ぎると無くなってしまう」
雪美「……」チョコン
モバP「この上質なユキミニウムもいつか枯渇するんだろうか」ダキッ
ちひろ「ユキミニウムって雪美ちゃんからしか採れないとすればレアメタルみたいですね」
雪美「……」キラキラ ←SSRな存在
モバP「減っても雪美さんの中で作られて補充されていくものなら良いですね。秘伝スープのように」
雪美「……私を……何だと……思ってるの……。……ん?」グイグイ
モバP「そう小突くない。そういうことだから無くならないように大切にしないといけない、ということさ」ナデナデ
雪美「……」ムフー
モバP「目に見えて無くなっていくものって怖いからな。有名なアラル海の衛星画像なんて小学校の僕には軽くホラーでした」
ちひろ「妙な所で感受性が強いですね……。カラー資料集みたいな教科書に載っていましたね」
モバP「あの真っ青な水の色だけでも不気味ですが、それが嘘のように減少する深刻さ」
ちひろ「それは単に衛星画像が怖いだけで面積縮小はあまり関係なさそうですね」
雪美「P……存外に……トラウマ……多い……?」 ニンゲンデスカラネ
-
今日はここまで
うん、「また」なんだ。済まない。
-
乙
フルフェイスのヘルメットを脱いだ時に長い髪が出てくるシーン良いよね分かる
-
601
雪美「……♪」
モバP「ご機嫌ですね、雪美様」
雪美「……Pに……執事服……着てもらった……から……」
モバP「……」キラキラ
雪美「……ふふっ……とても……似合ってる……」
モバP「……素で嬉しい。褒められるアイドルの気持ちが分かるなあ」
ちひろ「普段と逆の立場ですね」
モバP「我々は役割は違いますが力関係は基本的に対等ですからね。“与えよ、さらば与えられん”です」
ちひろ「聖書を引用するにはちょっと締まらない場面ですね」
モバP「聖書――世界で最も売れた本とか言われますよね。真偽の程は知りませんが」
モバP「あ、ちなみに執事が着るものって燕尾服とは言わないらしいですね。よく知りませんでした」
ちひろ「正直な告白」
雪美「……P……お茶に……しよう……」ワクワク
モバP「かしこまりました、お嬢様」ニコ
-
602
モバP「良い値段する、とまでは言いませんが少しグレードが上がったお菓子ってやっぱり味が違いますね」
ちひろ「それはそうでしょう」
モバP「例えばデュック・ドールのダークトリュフ。普段食べる国産チョコレート菓子より美味しく感じます」
ちひろ「ベルギーのチョコレートですか。確かに、箱のちょっとした高級感相応の美味しさはあると思います」
ちひろ「あとは単に輸入菓子なので、味が新鮮なのもあるかと」
モバP「甘さ苦さ等のバランスの好みは国々によって変わるでしょうからね」
モバP「輸入菓子と言えば、逆に信じられないくらい不味いのもあったりします。サルミアッキやシュネッケン……」
雪美「……カッチェスカッチェン……カティンヒェン……」
ちひろ「いわゆるリコリス菓子というものですか。雪美ちゃんのはどちらも袋の黒猫が目印ですね」
モバP「二人でシャノワールのような外国の黒猫商品を漁っていたら見つけたので、買って食べてみたことがあります」
雪美「…………ドイツ……こわい……」ブルブル
ちひろ「相当不味かったんですね……無理もありません」
モバP「漢方的で多分体には良いんだと思って、責任を持って食べきりました。もう二度とやりたくない」
ちひろ「ファイターだなあ」
-
603
モバP「ファンタジー系ゲームとコラボするの、良いよなあ。こういう時、アイドルが羨ましい」
杏「そうかなあ」
モバP「杏は某コラボでレイジーフェアリーというバニーホップなキャラクターをやったが」
杏「バニーっぽかったけどさ、バニホはしないよ」
モバP「丸腰も良いが、やっぱり異世界INするなら特有の得物が欲しいよな。魔法使いタイプにしても杖とか」
杏「杏は武器なんて重くて物々しいものは装備できないからね。平和主義者なんだよ」
モバP「と、口では言いつつ後列からエグいデバフ魔法とかぶち込んできそうだよな」
杏「間接的にでも圧力を持たずして平和は成し得ないからね」
モバP「アイドルらしからぬ現実主義者よ」
杏「プロデューサーならFF7クラウドのバスターソードでも振り回しそうだよ」
モバP「あれを背負って街中歩きたくねえなあ……」
モバP「穴が空いていてビー玉みたいなマテリアをはめ込めるのは好きだがな」
杏「形と色はほぼビー玉だよねえ。ただ、大きさは……」
モバP「リアル化以降は何かテニスボールとゴルフボールの中間くらいはあるよな」
-
モバP「思えばビー玉みたいな球体ってちょうど良い穴があるとはめ込みたくなるな」
杏「あーん」
モバP「ほい、飴ちゃん」つ○
杏「んっ、サンキュー。……これははめ込んだって言わないか」コロコロ
モバP「心理学ではこういうのをゲシュタルトの穴、と呼んだりするとかしないとか。完璧主義なのかな」
モバP「まあ良い。それより他のアイドルも武器を持つなら何が良いか考えてみたぞ」
杏「……?」
モバP「まず法子は燐火円礫刀だな」
杏「え、何それ」
モバP「雪美さんお願いします」
雪美「はい……、参考……画像……」つ□
杏「……フラフープじゃん」
モバP「かっこいいでしょう? チャクラム、戦輪、円月輪、輪刀の類……」
雪美「うん……。独特の……強者感……好き……」
杏「……法子の目が据わった立ち絵になりそう」コロコロ
-
604
モバP「ウィスパーボイスの使い手、雪美さん」
雪美「……ウィスパー……? 私が……使ってる……?」
モバP「そうそう、その声よ。ささやくような吐息のような」
雪美「……P……こういうの……?」スッ
モバP「おうっ」ブルッ
ちひろ「相手の耳元に寄って囁く――艶めいていますねえ」
モバP「ウィルオウィスプ、及びその派生があるせいか、ウィスパーボイスというと幽霊のような希薄な声、なんてイメージがありませんか?」
ちひろ「無いですね」
モバP「あっ、ない」
雪美「私は……ウィスパーで……キャスパーを……連想……する……」
モバP「結構昔のゴーストコメディ映画だな。これは雪美と見た記憶が無いが」
雪美「……仁奈や……みりあたちと……見た……」
モバP「良いなあ。アダムス・ファミリー2の2年後のクリスティーナ・リッチがまた上手くハマっていたな」
ちひろ「ウィスパーで真っ先に生理用品が思い浮かぶ私は汚れていますかね?」
-
605
モバP「こんにちはペロさん。相変わらずお元気そうで何よりです」
ペロ「ニャッ、ミギャ」
雪美「……目上の人への……あいさつか……って言ってる……」
モバP「毛艶も良いし、まだまだご健啖なようですな」
ペロ「……フー!」
雪美「引っかくぞ……」
モバP「やん。……ところでペロはこれからの猫生、目標とかは? 俺たちの仲だ、出来ることなら協力するぞ」
ペロ「……ミニャー……アーウ」
雪美「早く……姪の顔が……見たい……だって」
モバP「姪とは、ペロに兄弟姉妹がいるのか?」
ペロ「ニャニャニャ」
雪美「……雪美と……Pの……子ども……死ぬまでに……見せろ……って、ペロったら……」
モバP「君たち疑似姉妹の関係だったのか……とりあえずあと10年以上は長生きしてください」
ちひろ「猫の1年に歳を取るスピードは人間のおよそ4倍だとか」
-
606
モバP「戻りました」
雪美「……ました」
ちひろ「お疲れ様です」
ちひろ「……プロデューサーさんは雪美ちゃんをよく迎えに行きますよね」
モバP「時間がある時に限りますがね。場合によっては他の子を優先させることもありますよ?」
ちひろ「溺愛が高じているわけではないんですね」
モバP「雪美さんを迎えに行くのは、雪美さんが迎えに来てくれるからでもあるんですよ」
ちひろ「ちょっと何言ってるか」
モバP「普段何気ない場面で自分を待ってくれていて、一緒に帰ろう、とか言ってくれる――」
モバP「それって例えこことレッスンルームのような短い距離であっても、何だか家庭的で人の理想を表しているような気がします」
雪美「パパを……迎えに行って……いっしょに帰る……、たまにしかない……けど……とても……安心する……」
雪美「……手を繋いで……歩きながら……いろんなことを……話しているだけで……幸せ……」
モバP「泣けるぜ」
ちひろ「月明かりがふんわり落ちてきそう」
-
607
ライラ「ライラさんは聞きたいことがあるのですよー」
モバP「おう、何だい」
ライラ「チョコバリとブラックモンブラン、見た目が同じなのに違う会社が作っていますです」
ライラ「どちらを買うのが良いのでございますか?」
モバP「直感で選べば良いのです」
ライラ「直感ですかー」
モバP「両方を取り扱っている所は珍しいと思うが、チョコとクランチがかかったオーソドックスなアイスバーはそれだけ定番の売れ筋ということだろう」
モバP「どちらを選んでも誰もライラを責めないよ。味はそんなに違わないはずだ」
ライラ「でも、不思議なもので、プロデューサー殿が選んでくれましたアイスを、プロデューサー殿と一緒に食べる時が、一番美味しいのでございます」
モバP「それは……恋じゃな」
ライラ「恋ですかー」
モバP「そんな恋の熱冷ましにクランチシュガーコーンかヨーロピアンシュガーコーンでも買いに行くかな。あれはコーンに厚みがあって美味い」
ライラ「おー、ではわたくしもおともしましょう」
雪美「恋は甘い……アイスのよう……」
-
608
モバP「夏のセーラー服(上)ってたまにやたら丈が短いものがありますよね」
ちひろ「見つけるの結構大変でしたよ?」
雪美「……こういうの」キラキラ
モバP「少し伸びをしてみてください雪美さん」
雪美「……んんっ……」
モバP「雪美さんのへそチラ……これは表彰ものですよちひろさん」
ちひろ「私は一体何をしてるんだって自覚させるための表彰ですか?」
ちひろ「しかし伸びをするとか仰け反るとかすることで自然なチラリズムを見せるのは上級者ですね」
モバP「へそ、お腹が露出している衣装はそう珍しくないんですがね」
雪美「……私のおへそ……お腹……変じゃない……?」
モバP「健康的だぞ。だが、そうやって見せてこられると目のやり場を失ってしまうよ」
雪美「……見たいなら……ちゃんと……見て……」
モバP「相手の胸や腹を下心を出して見つめては失礼だからな。うん、見せて?」キリッ
ちひろ「意外でもなく早く堕ちたな」
-
609
モバP「春もすっかり進み、日は長くなり、街路樹はもう青々とした葉を付けている」
モバP「そうか、もうすぐみどりの日なんだなあ」
ちひろ「ゴールデンウィークでは無くみどりの日に何か特別な思いでも?」
モバP「良いですよね、自然色で和やかなグリーンカラーが何となく溢れる日。またの名をちひろさんヤッホーの日」
ちひろ「勝手な記念日を作らないでください。世にやたら何かの記念日は多いですけど」
モバP「ちひろさんヤッホーの日はちひろさんをお祝いする予定ですからお楽しみに」
ちひろ「私の誕生日か何かと誤解していませんよね? そういうのは11月28日にしてください」
モバP「良いなあちひろさんは一年に二度もお祝いされて」
ちひろ「人の話を聞けい」
モバP「しかし13年前までは4月29日がみどりの日だったんですよね。今は昭和の日」
モバP「当時以前の記憶が微かにでも残っていると、あれ? 今日何の日だっけ? となったりするものですかね? 自分はしませんが」
ちひろ「菜々さんがそういうことを言ってましたね。私にとっては4.29だと」
モバP「……まあ、幼い頃の記憶が鮮明な人も稀にいますからね」
雪美「……私も……ずっと前に……Pと会っていた気が……」 ナニソレキニナル
-
610
りあむ「うー、くっそ! 仕事ある日に寝坊するなんてぼくはクズだよ!」
りあむ「遅刻したら炎上する! タクシー呼ぶぞ!」
モバP「お呼びですか」 デスカ……
りあむ「えっ……Pサマ、何その黄色い車は。というかまだ呼んでないのに」
モバP「急がれるんでしょう? どちらまで」ガチャ
りあむ「わーもうっ! ○△□スタジオまでお願い!」パタン
モバP「分かりました。急行します」 カチャン キュイイイィイ
雪美「BGM……スタート」
ヤーヤーヤーヤーヤー!
りあむ「」
ブロロロロロ
りあむ「ちょっと待って、明らかに安全運転糞喰らえBGMじゃないか! やめてよ!」
雪美「……大丈夫……安全……」
モバP「一日100万円稼ぐタクシードライバーを舐めんなよください」 イジョウダヨ!
-
りあむ「はー、そもそも雪美ちゃんも一緒なの何でどうして?」
雪美「……一日助手……」b
りあむ「目立つなー良いなーぼくもチヤホヤされたいけど!」
モバP「じゃあ今からちょっと裏の坂道行きますんでしっかり掴まっていてね」
りあむ「どんな悪路を走る気!? さすがにやむよ!」
モバP「青色のハリネズミも駆け下りたような道をジャンプするだけですので」
りあむ「嘘だよ! 日本のどこにサンフランシスコがあるのさ!」
ガクンッ
りあむ「ひえーっ!」エーッ エーッ エーッ
――
モバP「お客さん、○△□スタジオに着きましたよ」
りあむ「えっ!?」ガタッ
雪美「りあむ……意識……飛んでた……?」
りあむ「ここどこ――って外、本当に着いてるじゃん。しかも時計は1分しか経ってないし、何これワープ? ……もうやむ」
モバP「料金346円になります」 ジョウダンダトイッテヨウ!
-
611
モバP「いちごミルク味のプリンを食べる雪美さん」
雪美「……」パクッ
雪美「……とろける……」
モバP「味は牛乳プリンの系統に似たものだが、層はしっかり二層あって味が楽しめる」
雪美「……食べる……?」
モバP「いや、一番美味しく食べてくれる人に食べてもらうのが良いよ」
雪美「Pは……いちごプリン……美味しく……食べられない……?」
モバP「俺実はイチゴよりリンゴ派なんだ。ついでに猫より犬派で」
雪美「……」
モバP「冗談です、はい」
雪美「……一人より……いろんな人に……美味しく食べてもらえた方が……きっと良い……」
モバP「……雪美さん、良いことを言いますね。俺の言い分は好き嫌いを聞こえ良く正当化しようとしているだけだった」
モバP「さっき雪美さんを待てずについ手が出てプリンを二つ食べたばかりだが、貰おうか」
雪美「それを……早く言おう……」
-
612
モバP「水族館はいつ来ても静かで涼しくて薄暗い空間なのが心地良いな」
雪美「不思議で……落ち着く……」
モバP「海の底のような異次元のような世界を自分の足で歩いて回れる――素敵じゃないか」
飛鳥「……」
モバP「おっ、どうした飛鳥。大水槽をじっと見つめて」
飛鳥「広い海と違って、このアクアリウムはとても狭いなと思ってね」
モバP「……小魚一匹だけなら充分広いだろうが、ここは大小様々にひしめいているからなあ」
雪美「魚にも……パーソナルスペース……ソーシャルディスタンスは……ある……?」
飛鳥「あるだろうね。そして、こうして境界線に近づいてくる魚がいるのは、そんな閉じられたセカイから解放されたがっているのかもしれない」
雪美「魚と……目が……合う……ね」
飛鳥「水槽の魚は透明な壁を隔てた向こう側、つまりこちらのセカイを認識しているはずなんだ」
飛鳥「でもこちらに来ることはできない。ボクたちの飽きるほど広い空と陸のセカイでは泳げない上に、溺れてしまうのさ」
モバP「地球に住む人と宇宙もそんな距離感かもな。目の前に見えるのに遠く、広いが過酷な世界」
七海「何か活き活きしているように見えるのは、暗闇効果なんれすかね〜?」カエッテコーイ
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613
モバP「雪美さんの頭、ほんま丸くて撫で応えあるわ」ナデナデ
雪美「……そんなに……丸い……?」
モバP「ヘッドドレスや帽子をしているとそうでもないが、普段はこれを見るとついふら〜っと体が向かってしまう」
雪美「……」ツヤツヤ
モバP「雪美さんは秩序だな。目に入れるだけで心が穏やかになる形をしている」
雪美「……形だけ……じゃなくて……中も……見て……」
モバP「中も、人を安心させるような包容力があるよ」
モバP「俺が他の女の子に二人でのデートに誘われても、それを快く送り出してくれるのだから」
雪美「……最後に……私の……横に居れば……それでいい……」
モバP「そんなラオウ並の器の広さを見せられると、浮気する気も起こりません」
ちひろ「齢十にして達観しすぎやしませんか」
雪美「惚れなきゃ、だめ……。心底惚れないと……Pの……本当の良さは……分からない」
雪美「私が……命賭けで……惚れたのは……P……たった一人……」ニコ
ちひろ「男らしすぎやしませんか。こっちが惚れるんですけど」
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614
モバP「大神や風のタクトみたいなゲームがまた出てこないものでしょうか」
ちひろ「接点がないようで少し似たような所がありますねその二つ。エフェクトとか胴長なところとか」
モバP「キャラクターのデフォルメの仕方に最初は癖を感じるんですが、世界に触れているとこれが良い味と感じてくる」
ちひろ「実際に生活してみたい世界だなって思わせますね」
モバP「それでいてどこかロストワールド感があってシリアスな重みを所々挟んでくるのも良い」
雪美「……P……また……何かのお話……?」
モバP「ああ……」ジッ
雪美「……?」
モバP「猫目リンクならぬ猫目雪美――いても良さそうだなあ」
雪美「……!?」
ちひろ「猫目はみくちゃんの領分なんですよね」
モバP「……いや、雪美はやっぱりこの顔かな。猫目はあまりイメージできない」
雪美「……」ホッ
ちひろ「えっ、そこって安心する所だったんですか?」
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615
モバP「最近、小さい方のマスクを見かけると眼帯ビキニを思い出して萎えてしまう僕です」
ちひろ「普通逆では? というかプロデューサーさんもそういうものに興味を持たれる男性ですか」
モバP「普通の水着の方が好きですがね。おかしな形をしていると印象には残ります」
ちひろ「アイドルにそんなものを着けさせたりしてませんよね?」
モバP「……」チラッ
雪美「……」コク
モバP「……してません」
ちひろ「二人の間に一体どういう了解が交わされているんですか」
モバP「しかしまた夏にはアイドルの水着と、海で楽しむ姿を眺めるべく、346のプライベートビーチに行きたいですね」
モバP「あそこをザキントス島のナヴァイオ海岸みたいにDIYすれば、みんな驚くだろうなあ」
ちひろ「DIYを地形変更ツールか何かと思っていませんか?」
雪美「……ナヴァイオ海岸……紅の豚……」ポチポチ
ちひろ「雪美ちゃんもタブレットでささっと調べものをするんですねえ」
雪美「あと……眼帯ビキニ……画像……」 ソレハフィルターカカリソウ
-
今日はここまで
2/22飛ばした分の増刊号です
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616
モバP「雪美に壁ドンされたい。もちろん異性に迫られる意味の壁ドンです」
ちひろ「あいさんや輝子ちゃんにされたいならまだ分からなくもないですけど」
モバP「そっちだったら分かるんですか……。自分、アイドルからしてくれとはよく言われるのに、させてくれとは言われないんですよね」
雪美「……」フム
雪美「……P……壁を背に……床に……座って……」
モバP「分かった」
雪美「足は……開いて……伸ばす……」
モバP「オーケーよ」
雪美「……私が……片足を……跨ぐ……」
ちひろ「……膝立ちだ」
雪美「……」ドンッ
モバP「」キュン
モバP・雪美「……」ドキドキ
ちひろ「本来の意味の壁ドンしたくなります」
-
617
モバP「たまにこう思うことがあります。もしも僕の家にソースポットがあったなら」
ちひろ「もしもピアノが弾けたならみたいに言いますね」
モバP「手作りカレーを食べるのにテーブルクロスを敷いてそこにソースポットがあって――想像すると食卓がエレガントな雰囲気に」
ちひろ「否定はしませんけど、一般家庭には基本的に置かれない食器ですね」
雪美「……魔法のランプ……みたい……」
モバP「ステンレスとかならともかく、銀製はたまに手入れで磨いたりしないといけなくて、そこがランプを擦る感があるな」
モバP「自分は銀用と銅・真鍮用の二色のトゥインクルを使い分けています」
ちひろ「プロデューサーさんはいつの間にかレストランでも経営されているんですか?」
モバP「いえ、知り合いの櫻井さんや西園寺さんや黒埼さんの家の手伝いで」
雪美「……全部……知ってる……名字……」
ちひろ「何で食器磨きをしに人の家に出入りしているんでしょうかねえ……」
モバP「そんな磨くのも好きな私ですが、逆に自身は雪美さんに擦られ磨かれたいとも思います」 ヤカマシイ
雪美「……こうすると……Pから……煙の魔人……出てくる……かも……」キュッキュ
ちひろ「あまり人の体から出ないような音が聞こえるんですけど」
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618
モバP「恋愛映画は焦れるな。そこが良いんだが」
伊吹「二転三転ないとね」パク
モバP「映画を見ながらポップコーンを食べる伊吹――真剣な横顔」
伊吹「……?」
モバP「ふと横目で見つめてしまう」
伊吹「な、何?」
モバP「暗くした部屋で映画を見ていると、画面の光が反射して伊吹の目が青く輝いて、綺麗だなあと」
伊吹「……///」
モバP「……失礼、映画を見ている最中によそ見をしたらダメだな」ハグッ
モバP「うん、ホットドッグも美味いわ」
伊吹「自分で作ったんでしょ? ……どうしてアタシと見ようと思ったの?」
モバP「伊吹と二人で実況気分を味わいたかったからかな。黙って見たい派には悪いが」
伊吹「Pはみんなと楽しい気分を共有して盛り上がりたいタイプなんだね」
伊吹「アタシも似てるかも。映画を見ていると自分も何かしなきゃ、と体が疼いてくるっていうかさ」
-
モバP「普通に顔を突き合わせて話をするのがコミュニケーションかもしれないが、こう横に並んで時間を共有するのも満たされるものだ」 ソウダネ
モバP「あっ、キスした」
伊吹「……!」
伊吹「わわ、これっていよいよ……そういうシーンなの?」
アンアン
伊吹「……始まっちゃった……///」
伊吹「……P?」チラッ
モバP「……」
伊吹(ポーカーフェイス……! やっぱりこういうの見慣れてるとかそういう……?)
モバP「気まずいな」
伊吹「顔に出ないだけかあ」
モバP「伊吹より年下の子とは見れんわこれ」
伊吹(……ちょっぴり優越感……って何考えてんのアタシ!)
モバP「しかし裸体を映すカメラワークがねっとりしてんなあ。定点だと少し芸術っぽくなるのに」
雪美のテレパシー(ちなみに……Pの部屋には……定点カメラ……ある……) エッウソ
-
619
雪美「……Pと……一狩り……楽しかった……」
モバP「いやあ、雪美と組んでドスファンゴ討伐ができるなんてな」
ちひろ「モンハンでもしていたんですか?」
モバP「いえ、どうぶつの森です」
ちひろ「どうぶつの森に狩り対象の猪が出てきたら驚きだわ」
雪美「……バーチャルで……Pと……狩り……良いかも……」
モバP「ナルガ装備の雪美さんとご一緒とかした日には、網ビキニが気になって討伐に身が入らないことは確かだな」
ちひろ「やっぱりモンハンじゃないか」
雪美「……実際に……着るわけじゃ……ない……」
モバP「だが雪美があの格好をしていると脳内変換するだけで動悸が」 ハイソコマデ
雪美「……どうぶつの森の……話なので……セーフ」 ドウブツノモリッテナンデスカ
モバP「それにしても、一世代新しいゲームだと雪美さんとかの方が上手いというか、反応や飲み込みが早いなあ」
モバP「これでもちょっとゲーム上手いお兄さんくらいの自負はあったんだよな。紗南には負けるが」
ちひろ「お兄さんの名が泣きますね」
-
ちひろ「あら、雪美ちゃんのアバターはあまり雪美ちゃんっぽくないですね」
雪美「うん……。……誰でもない……架空の存在だから……良い……」
モバP「自分に似せたアバターが攻撃を受けて痛そうにしたり負けて悲しそうにしたりしていると、複雑な気分になるな」
雪美「うん……。……私のようで……私じゃない……。混乱……する」
モバP「それで、番組の企画とかでは分かりやすく本人っぽく作るが、個人的に作ったこれは陽気な南国系という」
ちひろ「人それぞれで良いんじゃないですかね。RPGで勇者一行の名前に自分や友達の名前を付ける付けないがあるように」
モバP「ただ、通信・オンラインゲームでアイドルと遊ぶ時、アバターが本人と似ている子はやっぱり少なくて」
モバP「誰だか分からないことがあるので、少しは似ていた方が安心して話しかけられる気はします」
ちひろ「顔の特徴ワンポイントだけ似せるとかがちょうど良いのかもしれませんね」
雪美「……Pも……アバターが……アフロで……サングラス……。……同じ……陽気」
ちひろ「まずはあなたが自分に似せるところからでは?」
モバP「一理ある。見た目もですがチャットとかも結構言葉足らずになったり上手く喋れなかったりして、別人格みたいだと言われたり」
ちひろ「言葉でなく文字のやり取りだと普段無口な人がおしゃべりになったり、その逆とかも割とありますね」
モバP「雪美さんもゲームでは意外に饒舌でリーダーシップを発揮して、頼もしいお姉さんになります」
雪美「……///」
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620
モバP「何かいろいろと落ち着いたら橋を見に行きたい。それも観光名所」
雪美「……橋……?」
モバP「ああ。山口の錦帯橋、熊本の通潤橋、ウェールズのポントカサステ水路橋……とかね」
雪美「それが……Pの……三大橋……?」
モバP「他にも魅力的な橋はたくさんあると思うが、今の気分ではこの辺かなと」
雪美「……じゃあ……連れてって……くれる……?」
モバP「行きてえなあ」チラッ
ちひろ「そういうお仕事を取ってきてください。三つめは外国で世界遺産ですからかなり大変でしょうけど」
雪美「世界遺産……」キラキラ
モバP「ポントカサステは橋の上に狭いが水路があってボートがそこを渡れるんだ。その眺めは空飛ぶ舟に乗っているようだとか……良いねえ」
モバP「錦帯橋は特殊なアーチ構造で、幼い頃に絵本で見た虹の橋を渡るってこういう感覚なのだろうかと教えてくれる」
ちひろ「ロマンチストですね」
モバP「そして通潤橋は、橋の中に水路が通っていて中心に開いた穴から放水をするのが名物です」ドレモイイゾ
雪美「……でも……まずは身近に……宇治橋……行こう……」 ニホンバシハ?
-
621
モバP「昔学校かテレビかのアンケートでこういう質問をされた気がする」
雪美「……?」
モバP「“家族といっしょに日の入りや日の出をこれまで何回見たことがありますか?”」
雪美「……そんなに……ない……」
モバP「よな? でも確か回数の選択肢があって、多い方が良いような尋ね方だった」
モバP「日の入り、日の出なんてそんなに頻繁に見る機会は無いでしょ、と思ったよ」
雪美「……家から……見える人……なら……いつも……見られる……」
モバP「海を臨む家とか、見える地平線が建物に遮られていない家ならそうだな」
モバP「ただ明け方夕方に、美しく見えるポイントまでわざわざみんなで見に行くことは稀です」
雪美「……Pは……あった……?」
モバP「年に一回くらいは、な。その都度、太陽って意外と動くのが速いんだなと感じる」
モバP「さーて着いたぞ、展望台だ。上まで急ごう、夕日が沈み始める前に」
雪美「……うん……」ギュッ
事務所のちひろ「夕日が綺麗ですねえ」ズズー
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622
サッサッサ
ジワーッ
モバP「……では、いただきます」パンッ
カツカツカツカツ カリカリカリ カツカツ
ハフウ
サラサラサラ
コトッ
モバP「ほああ……ごちそうさまでした。やはりお茶漬けは美味いな! 日本に居るって気分になる」
雪美「……お粗末様……でした」
モバP「俺はずっとお茶漬けの素って緑茶をかけるのが正しくて、手間が惜しい時はお湯でも良い、だと思っていた。違ったんだな」
雪美「ふふ……落ち着いて……。お茶も……飲む……?」 イタダクヨ
雪美「待っていて……ね」ニコ
モバP「良いお茶椀に急須、そして小皿にちょっとした浅漬け。何よりたすき掛けした着物姿の雪美さんがそこにいる――贅沢極まれりだよ」
雪美「……P……喜んでくれるから……好き……」
-
今日はここまで
ちょうしがわるいぜ
-
623
モバP「不思議な夢を見た」
モバP「俺と雪美さんが霧に包まれた湖の真ん中で、舟に乗っている」
雪美「……二人きり……?」
モバP「いや、船頭さんがいたな。蜻蛉笠を被っていたが、全身体毛で黒く、長い尾があった」
モバP「俺は雪美に問いかけるんだ――“どこまでもいっしょだよな?”と」
雪美「……うん」
モバP「しかし船頭さんが、貴方の乗船券は他の人とは違う特別なものです、と言うんだ」
モバP「そして、霧の中に時々浮かぶ走馬灯のような景色を見ていたら、いつの間にか雪美も船頭さんもいなくなっていた」
雪美「……P……ひとりぼっち……」
モバP「孤独って怖いなあと思うわけです。……まあその後、湖から肌が青白くなって尻尾の生えた雪美さんが顔を出してきたんですがね」
ちひろ「他人の夢の話を詳細に聞くと本当に意味不明ですし、ウンディーネ化した雪美ちゃんとはまたマニアックな」
雪美「……三途の川……銀河鉄道……? と思ったら……」
モバP「とりあえず分かったのは、細野晴臣のTemo De La Adiauoは名曲ということと、雪美さんモンスター娘化路線は確実に性癖が歪みそうってことですかね」
ちひろ「そんな夢を見る時点でもう、ルト姫メドリミドナとか好きそう」
-
624
モバP「雪美さんは川渡り問題やうそつき村問題、水汲み問題なんかをやったことはあるかい?」
雪美「……多分……ある……」
モバP「少し時間があるから、やってみようか」
雪美「……」コク
――
雪美「……! ……もう……こんな……時間……」
モバP「狼と山羊とキャベツ、三人の内誰か一人が嘘をついている、二つの容器と水だけで量を測る――こういう論理パズルは没頭すると止められなくなる」
雪美「石取りゲームや……マッチ棒パズル……とかも……ね」
モバP「学校の授業とかはたまに息抜きでこういうのをやってくれる先生が良いよな」
雪美「……Pは……先生……?」
モバP「俺は息抜きしかしていないからな」
ちひろ「仕事しろ」
モバP「あっ、学年主任の千川先生。……彼女少しお堅いんだよ」ボソ ソウナノ……?
ちひろ「そんなわけあるかい」
-
625
モバP「しっとりしていて具のボリュームがあるお菓子ってな〜んだ?」
モバP「うん、そうだね。月餅だね。激氣じゃないよ」
ちひろ「どこのギンコだ。……しっとりお菓子って他にもいろいろありそうなものですけど」
菲菲「というわけで、おやつの手作り月餅ダヨー」
「「「わーい!」」」
雪美「……おもち……っぽくはない……。……でも……おいしい……」モグモグ
モバP「月餅は中国のお菓子なんだよな。表面の模様が立体的で艶々で、アップルパイの網目と似ている」
菲菲「今流行りのたべるんごのうたには負けたくないネ!」
ちひろ「対抗意識を燃やす方向そっちですか……」モグモグ
モバP「まあ人生何で火が付くか分からないものです」モグ
モバP「ん、こいつは上等な味に出来たな。中華街に寄ったお土産で買う物にも劣りはしない」
菲菲「多謝茄子! 私も、プロデューサーさんとお菓子作るの楽しいヨー!」
ちひろ「茄子はダメです」
モバP「まあこの月餅自体はほとんど菲菲作で、自分は模様作りで力尽きたヨ」 オイ
-
ちひろ「それにしても本当、みんなで何でも作ってみるようになってますね」
雪美「誰か……いっしょに……食べてくれる人……いるから……」
モバP「独り生活だと食事なんて手を抜きがちになると思うんで張り合いが必要です」
菲菲「練習を怠ると体が振付を忘れちゃうように、料理も作らないと手が忘れちゃうからネ」
モバP「しかし何だ、こうして見ると大判焼きみたいな和焼き菓子も模様が入ると良いのにな」
菲菲「寄木細工の幾何学模様とか良いかもネー。フードプリントだと立体感までは出ないけどネ」
雪美「ふぇいふぇい……寄木細工……好き……?」
菲菲「木の温もりがあって好きネ。日本の物、いろいろ温もり――ううん、熱盛アル!」
ちひろ「熱盛……?」
菲菲「中でも袴は面白いヨ。チャイナドレスと逆のスリット!」
モバP「逆スリット……言われてみればな」
菲菲「アヤメの衣装や、砕蜂の衣装は凄いネ! 日本恐るべし!」
ちひろ「あれは“袴のような何か”ですからね?」
モバP「スカートならスケベスカートなどとも言われ、見せ紐なんかと組み合わせて見る男性を骨抜きにしますね」
雪美「……P……それを着たら……喜ぶ……?」 マダハヤイデスヨ
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626
パクパク
モバP(変装)「あー、屋外で食べる三色団子はどうしてこうも美味いのか」
雪美(変装)「……食べっぷり……良い……」クス
モバP「時代劇で侍さんなんかがこういう茶屋で団子を頬張る様に憧れたからかな」
雪美「……ここ……雰囲気……良いから……ね」
モバP「そうよ。華麗なくのいちでお馴染み、緋毛氈の座席に野点傘――これが寛ぐことこの上ない」
雪美「京都に……よくある……」
モバP「古き日本を感じられるな。ああ、お茶も美味い」ズズー
凛「少しは外出気分に浸れた?」
モバP「おう、何でも屋のおりんじゃねえか。どうした」
凛「時代劇っぽく言わない。……こういうセットだから気持ちは分かるけど」
モバP「お忍びデート気分で忘れそうになるが、ここ自社スタジオなのよね」
凛「あと、二人は変装していてもすぐ分かるよ。本当に街中に紛れ込むなら、スキャンダルとか気をつけないと」
雪美「……私……そんなに……アイドルに……見える……?」 ミエルヨ
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モバP「……」
雪美「……P……どうしたの……?」
モバP「ん? ああ、少し頭がぼーっとするというか」
ちひろ「体調不良ならすぐ言ってくださいよ? 何かあってからでは遅いんです」
モバP「ごめんなさい」
ちひろ「そう真面目なトーンで謝りますか」
雪美「……P」ナデナデ
モバP「……?」
サラッ コツン
モバP「」
雪美「……ママは……こうして……私の熱を……測る……」
雪美「……熱は……なさそう……だね……」
モバP「……雪美ママ……」
ちひろ「これは相当心が弱っていますかね」
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628
ちひろ「プロデューサーさんは最近方向性が迷子ですよね」
モバP「……はい?」
ちひろ「はいじゃない。大丈夫ですかね? 雪美ちゃんとか影響されやすいお年頃なのに」
モバP「……迷子、ですか」
モバP「確かに、迷い過ぎて出られない森の中で、開き直って小屋を建てて住んでいるようなものですが」
乃々「もりくぼも森の中で静かに暮らしたいんですけど……」
モバP「同志かな? まあ、気軽に言うが実際やる場合、インフラが無いとかなりサバイバルな生活になるだろうな」
モバP「森でなくとも、例えば船や飛行機の事故で無人島に流れ着いてそこで助けを待つシチュエーションなんてな」
乃々「……救出される頃には、もりくぼとプロデューサーさんの、子どもが、たくさん……///」
ちひろ「乃々ちゃんは普段どんな読み物を読んでいるのか少し検閲させていただいても?」
モバP「まあまあ、若いんですから。だが、半分ギャグやご都合主義なのは置いといても、野生生活は相当の体力とメンタルがいるだろう」
モバP「乃々、万一そうなっても失意の中で息絶えたりしないために、今の内に体力だけでも付けておこうな」
乃々「あうぅ……頑張ります」 ガンバルンカイ
雪美「……乃々……いっしょに……体力(意味深)……付けよう……」 ナニヲスルキデスカ
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629
モバP「犬夜叉の続編アニメが出るとか出ないとか」
菜々「犬夜叉や殺生丸の娘? がメインだとか言われてますね。時間が経つのは早いものですねぇ〜」
菜々(殺生丸とりんちゃん、ちょうどプロデューサーと雪美ちゃんが子どもを作るようなイメージですか……)ジーッ
モバP・雪美「……?」
菜々「……///」ボッ
モバP「どうして赤面するんですかね?」
菜々「あっ、何でもありませんよ! キャハッ☆」
モバP「気になるな……しかし犬夜叉というと序盤の頃の話が印象深いですね。逆髪の結羅の存在感」
菜々「最初のボスには惜しいくらいの強敵の風格がありましたねぇ。しかも妖艶で」
モバP「後は奈落が絡まない寄り道エピソード的なものとして桃華――ではなく桃果人の話とか」
菜々「寄り道良いですよね。一話完結の山あり谷ありの妖怪退治道中という感じが伝わってきますから」
モバP「また、たまには現代パートも挟まれて、そこの段々眼を開いていくタタリモッケや人を次々喰らっていく呪いの能面なんかはよく覚えています」
菜々「……能面はトラウマ回でしたよ、本当に」 ネー
雪美「……よく知らない……でも……家の能面は……夜に見れない……」 ブキミナンダヨナ
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630
モバP「最近、杏は精力的に仕事をこなしているよな」
杏「……何さ」
モバP「いや、極力働きたくないみたいなスタンスだったのが、一体どういう風の吹き回しかと」
杏「リモート出演とかの在宅の仕事が浸透してきたからね。楽な分、頑張ってやってるだけ」
モバP「本当にそうだろうか?」
モバP「昨今のやる気は、実際は仕事しないで良いとなるとそれはそれで落ち着かないから、だったりしない?」
杏「認めたくないなー。嫌いだった仕事のことが気になっちまうなんて」
モバP「険悪な関係から始まるラブコメみたいだな」
杏「でも、他の子もこういう時だからこそ打ち込めるものを探しているみたいだよ」
モバP「アイドルたちは各々でいろんなインドア部活動を立ち上げてやっているようだな」
モバP「ネコ部、科学部、料理部、飲酒部、キノコ部、コミュ障部、ゲーム部、りんご部、サメ部……中には限界集落的な所もあるようだが」
杏「この前あきらとRAFTってゲームをプレイしたけど、あれってサメ部だったのかあ」
雪美「……Pも……部活……入ろう……。私が……いろいろ……招待する……」
モバP「ちなみに雪美さんはかなり多くの部活を掛け持ちしている」 スゴイナァ
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今日はここまで
せっしゃにはむかぬ
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631
モバP「このモバP、今でこそ普通の人間ですが」
ちひろ「何を言っとるんだね君は。昔は普通じゃなかったみたいに」
雪美「……Pは……今も……昔も……変わらない……。知ってる……」
ちひろ「雪美ちゃん、よくご存じですね」
雪美「うん……。私と……ちひろさん……どちらも……Pと……幼馴染、みたい……」
モバP「赤ん坊の頃の雪美に指をしゃぶられたとか、小学校の頃家が近所だった年上のちひろさんに懐いていたなんてエピソードはありませんが?」
ちひろ「何ですかその具体的な作り話は」
モバP「普通の人間ですが! 昔は何と! 超能力があったんですよ」
モバP「適当に土を掘ると貝とか芋とかをピンポイントで掘り当ててしまう能力です」
ちひろ「……割と現実的なようなそうでないような」
モバP「個人差あれど、科学では説明できないような変な力って確かにある気がするんです。特に幼い頃は」
ちひろ「今は街にフラッと歩いて行ってアイドルの卵を見つけてくる能力があるでしょう」
モバP「……能力もそれが当たり前だと違和感が無いものですね。失って初めて気づくのかもしれません」
雪美「……普通じゃないのが……普通……」
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632
雪美「……お腹……空いた……ね」
モバP「……そうだな」
モバP「……あー」
雪美「……?」
モバP「あのさ……おにぎり、作ってきたんだが……良かったら……食べるか?」
雪美「……食べる……」
モバP「……改めて聞くのも何だが、手作りは大丈夫か? 一応ちひろさんには先に食べてもらっている」
雪美「……? 変な具でも……入れたの……?」
モバP「いや。ラップ越しとはいえ他人が握ったおにぎりはちょっとなって人も世の中にはいると聞いて」
雪美「……Pと……私……今更……そんなこと、気にする……関係じゃない……」
モバP「それなら良かった。はい、竹の皮に包んだ塩おにぎり、沢庵付」
雪美「! ……これ……とても……良い匂い……」
モバP「ついでに買ったばかりの糖質カット中蓋を使って炊いたお米だ」
ちひろ「それをとりあえず使ってみたかっただけか……悪くないですね」モグモグ
-
633
ガタガタ
モバP「ううむ、この部屋の引き戸は建て付けが良くないのか動きが悪いな」
雪美「……学校の……教室……みたい……」
モバP「日本では引き戸は結構馴染み深いものだろうな。和室の襖や障子の印象が強い」
モバP「また、開き戸はドアの可動域が人の出入りや通行の邪魔になることがあるからな」
雪美「……突然、開いて……歩いている人に……当たると……危ない……ね」
モバP「そうだな。ドアに“ドアの反対側に人がいるかもしれないからゆっくり開けてね”なんて表示がしてあることもよくある」
モバP「あとはまあ、引き戸の良い所? は古いイタズラだが黒板消し落としがやれるところか」
雪美「……?」
モバP「やったことはないか。じゃあ俺の財布でやってみよう」
モバP「……こうやって挟んで固定して、あとは誰かが戸を開けるのを待つだけ」
ガラッ
ポロッ
雪美「……っ」パシッ
-
雪美「……Pのお財布……ゲット……」
雪美「……はい」
モバP「ありがとう。もし俺の財布でハンドボールを始めたらどうしようかと一瞬思った」
雪美「……そんな意地悪……しない……」
モバP「へいパース」ヒュッ
雪美「っ!」パシッ
雪美「……もう……自分の財布……雑に扱ったら……ダメ……」ハイ
モバP「何てことだ、雪美さんの方が俺より全然精神的に大人じゃないか……参ったな」
雪美「Pの物は……私も、守るべき……物だから……大事にして……?」
モバP「しかも逃げられない」
モバP「……まあこれが黒板消しの場合、頭にピンポイントに落ちることこそそう無いだろうが、やられると不愉快だ」
モバP「それをどこで着想を得たのかクラスの誰かがやり始める。そしてくだらないことだと判明してやめてしまう」
雪美「……その前に……先生から……怒られそう……」
モバP「それでも一度は試してみたがる仕掛け人精神の持ち主がいるんだよな。どうせなら手紙とかにしとけよと思うが」
隠れた麗奈(……早く入って来なさいよッ! 仕掛けた風船が割れないでしょ!)
-
634
雪美「……」
雪美「……」トコトコ
スタッ
雪美「……あまり……怖くは……ない……」
モバP「雪美さんは平均台を渡るのも苦になさらないんですのね」
雪美「高所の……綱渡りは……無理……」
モバP「それは普通やらないエクストリームの類だ。しかし体育用具や公園の遊具なんかでよく遊ぶことになるアスレチックは楽しいよな」
雪美「……」コク
モバP「まして大きい運動公園のような所だと、木とロープで作られた様々な種類があって、遊び尽くすのに夢中になる」
モバP「家族を連れてそういう所に行って、遊ぶ子どもたちを少しハラハラしながら眺めていられたら、親としても素晴らしい思い出の一日になりそうだ」
雪美「……きっと……幸せな時間……ね……」
雪美「……でも……子どもたち……ということは……、Pは……子ども……二人以上は……欲しい……の……?」
モバP「賑やかだろうし、まずアスレチックはやっぱり仲の良い団体で遊ぶからより楽しいというか」
雪美「分かった……私も……たくさん……欲しいから……がんばる……」 エ?
-
635
コツコツ
グシャッ
モバP「……」
――
モバP「ああ……どうして上手く行かないんだ……!」
ちひろ「プロデューサーさんが珍しく真剣に悩んでいるように見えますけど」
雪美「P……一体どうしたの……? お仕事……? アイドルのこと……?」
モバP「俺は……どうしても片手で生卵を綺麗に割れないんだ」
「「……」」
ちひろ「それ今悩む必要があることですかね」
モバP「周りの人がみんなできるのに自分だけできないのが何か格好悪く感じてしまって」
雪美「でも……私は……Pのように……リンゴの皮……上手く剥けない……」
雪美「みんな得意不得意……あって良い……」キラキラ
ちひろ「金子みすゞのようなことを言いますね」
-
ちひろ「でも雪美ちゃんは、片手で卵は割れるんですか?」
雪美「……割れる」
モバP「雪美さんでも割れるのに俺は両手を使ってテンポ悪く割るしかないなんて……」
ちひろ「コツを教われば良いじゃないですか」
モバP「それはさすがにいかんでしょう。マジシャンにお金を払ってタネを教えてもらうようなものです」
ちひろ「大袈裟ですよ。面倒臭いですねえ」
モバP「でもただ頑張ってもどうしようもないことというのはありますね」
モバP「縫い針の穴に糸が通らないこととか、お盆がやけに滑ることとか」
ちひろ「頑張れば何とかなることだと思うんですけど。というかトレーは滑り止めしましょう」
モバP「長く使っているせいか効かなくなっているんですかね。油断するとバランスを崩してどんがらがっしゃんしそうになります」
モバP「思えば、765の天海春香ちゃんがよく転ぶらしいのは靴がツルツルだからなのかもしれませんね」
ちひろ「或いは歩く床がことごとく濡れているか――ってないない」
モバP「はぁ……俺って自分が思っている以上にがさつで不器用なのかなあ」
雪美「……こういう……少し……人間臭い所が……良い……」ダキッ
ちひろ「ジビエみたいに臭みの抜けない人ではありますよね」
-
636
シーブーゴージーシキシッシー シーブーゴージーシキシッシー
モバP「……」ボーッ
雪美「……」ウツラウツラ
ペロ「……」ウトウト
ポーンポーンポーン デレンデレン! デレンデレン!
「「「っ!!」」」ビクゥ
キンキュウジシンソクホウデス ツヨイユレニケイカイシテクダサイ
カタカタカタカタカタカタカタカタ
モバP(作業用ヘルメット)「………………」
モバP「おうふ、収まった……? ヨシ! あまりこの近辺の震度は大きくなかったようだな」
モバP「さすがは東京、上京してきた子がこっちはよく揺れるねと言うだけのことはある」
モバP「……あれ? 雪美? ペロ?」
雪美&ペロ「……」 ←テーブルの下に隠れている
モバP「よく訓練されているようで何よりだ。三角スポットが良いという説もあるが」
-
モバP「それにしてもあの音は心臓に悪いなあ」
雪美「……びっくりする……」ノソノソ
ペロ「フニャー」
オサマリマシタネェ フヒ……キノコハブジカ カンベンシテホシインデスケド
モバP「あいつら俺の机の下に屯してよく身動きが取れるなあ」
モバP「速報だが、スマホとかの方だと南国の鳥の威嚇声みたいでまだ良いんだがな」
雪美「でも……いきなり……くる……」
モバP「それはあるな。緊急放送チャイムやエリアメール・緊急速報メールは事後に鳴るからそんなに危機感を煽らない」
ペロ「ミャミャミャミャミャーン♪ ミャミャミャミャミャーン♪」
雪美「……上手……」 ペロッテホントウニネコナノカ?
モバP「音的にも機械的で不安にはなるもののマイルドで寿命は縮まらずに済む」
モバP「というか、不協和音は好きになれない。国民保護サイレンも苦手だ。被災してなくてもトラウマになる」
モバP「ついでに目覚まし時計もジリリリよりはピピピピの方が――あっ、ちひろさん」
ちひろ「席を外している間に少し揺れましたね……大丈夫でした?」 ハイ! ニャーン!
雪美「ちひろさんが……戻ってくると……みんな……安心する……」
-
637
加蓮「Pさん! 私のこといつも見ていてくれて、ありがとう」
モバP「加蓮……大きくなったなあ」シミジミ
加蓮「あなたの加蓮ちゃんは大きくなりました――ってそれはちょっとまゆっぽいか」
モバP「ハハハ、でも本当に、簡単には消えない力強い火になったと思う」
加蓮「夢を叶えて、そのレッドカーペットの上を歩いている途中だもの。病気とかしていられないよ」
モバP「そう、その意気だ。そして、それでも弱気になる時や闇に囚われそうな時に何らかの形で拠り所になるのが俺の仕事――いや、務めだ」
加蓮「ありがたいけど、Pさんも一緒に歩いているんだからね?」
加蓮「アタシも……私たちも、Pさんが落ち込んでいる時は助けて、慰めてあげるってことを忘れないで?」
モバP「ああ。年上年下、成年未成年関係なく、そこは素直に享受させてもらうとしよう」
モバP「……しかしこうして間近に見ると大きくなった気がする。155cmが160cmくらいになっていないか?」
加蓮「成長期かな? じゃあ、少しはPさんに近づいたってこと?」
モバP「少しはな。まあ俺もまだ伸びるぞ? 加蓮が俺の今現在の位置まで着く頃には俺は更にその先にいる」
加蓮「いやー、身長に限ってはPさんに追いつくことはさすがに無理だと思ってるけどね」
雪美「……アキレスと……亀……?」
-
今日はここまで
座興は此にてお仕舞
-
638
ピンポーン
モバP「んぁ…………あ、はぁい! 今出ます!」
パタパタ ガチャ
シーン
モバP「あれぇ……? 誰もいない」
モバP「……??」
まゆ「うふふ……そうやってぼんやりしている姿も可愛いですねぇ」
モバP「ん……まゆか? いつの間に入ってきた」
まゆ「今入ってきたわけじゃありませんよ? でも、その油断している隙間から泥棒猫さんが入ってくるかもしれませんね」
モバP「……戸締りはしているのにどこから……いいや、寝直すか。目が覚めてきたが」
まゆ「……もしかして、夢の中で鳴ったインターホンを聞いて、玄関に出たんでしょうか?」
モバ「夢の続きが見られますように」ファサ
雪美「……」スヤスヤ
モバP「またお隣失礼します」ギシッ マユハホウチプレイデスカ?
-
639
モバP「うーむ」
晴「……」トッ トッ トッ
モバP「リフティングをする晴、実に滑らかで華麗な足捌きだ」
モバP「そしてキャップとクォーターパンツがこれだけ似合うアイドルもそういねえや」
晴「……」トッ バシュッ
ゴッ
モバP「いてえ」
晴「アハハ、オレを変な目で見ているからだぜ」
モバP「むっ……よし、野球しようぜ! お前ドームな!」
晴「ボールより酷いだろそれ」
モバP「しかし晴、利き足ではない方で正確に俺に当ててくるとはやるやんけ」
晴「どちらからでも打てる練習はするからな」
モバP「キック力は軸足の踏ん張りで生まれる。晴はスイッチの素質があるかもな」 ネーヨ
雪美「……私は……左手を……よく上げる……。千客万来……」 マネキネコダッタカ
-
640
ちひろ「プロデューサーさん、と輝子ちゃんと雪美ちゃんはネットで何を見ているんですか」
モバP「水着ですね」
輝子・雪美「……」コクコク
ちひろ「それはプロデューサーさんの趣味でしょうか?」
モバP「いえ。夏に向けて予習みたいなもので、こういうの欲しいなと早めに目星を付けておくんですよ」
モバP「そうすれば買い物で待ち時間が減って自由行動の幅が広がります」
輝子「……あっ、これ、いいな……」
モバP「おう、濃紺のフリルビキニか。ラウラ・ボーデヴィッヒみたいになりそうだな」
雪美「ツインテールと……片目眼帯……。蘭子と……ペアに……なれそう」
輝子「ら、蘭子とリアルで、“煩わしい太陽ね”ができるとか、楽しそうだ……」
輝子「でも、ぼっちで行動する時は、こんなの絶対着れないぞ……」
モバP「ナンパされそうだな」
輝子「ナ、ナンパか……フヒヒ、そんなのリア充みたいだ……。でも私は、Pとジメジメリア充したい……」
モバP「じゃあ俺が随伴すればこの水着を着ていただけるんですね?」 クイギミダナ
-
雪美「……私は……これ……」
モバP「……ビーチバレーで着るようなビキニだな」
ちひろ「もう少し露出少なめなのは無いですかね?」
モバP「ミリオンシアターの子たちは超ビーチバレーやっていましたし多少はね?」
雪美「Pは……どういう水着が……好き……?」
モバP「せやなぁ……縁のラインと内側のツートンカラー、バイカラーはどうだろう。立体感が出るぞ」
モバP「単色や柄物、模様も良いが、これが合う人は他の何よりスポーティーでスタイリッシュに映る」
ちひろ「……いろんな子の水着を見てきた立場特有の意見でしょうか」
モバP「或いはビキニの上にショートパンツも結構男には効きますぞ。泳ぐ時にだけ脱いだりしてな」
雪美「……弱点を……教えてくれるP……優しい……」
モバP「まあ新しいものなら何を着てもがっかりはしないさ。それを言うと何でも良いのかよと思われそうだが、とりあえずあまり過激なやつでなければ良い」
モバP「過激な水着は俺がくたばってしまうのでこういう場では控えてほしい。いつかプライベートでナイトプールにでも行く時なら構わないので」
ちひろ「さらっととんでもないこと企むな」
輝子「あ、敢えて、去年の水着じゃ、ダメか……?」
モバP「……成長してきつくなってたりしたらそれはそれで」b オイ
-
641
モバP「ちひろさん、突然ですがこの右手を見てください」
雪美(人形サイズ)「……右手が恋人……佐城雪美……です」
ちひろ「なんですかこれわ」
モバP「……上半身だけですが雪美です。結合部がどうなっているかは考えないでください」
ちひろ「……え? 本物?」
雪美「……私は……本物……」フンス
ちひろ「いやいや、周子ちゃんが黒髪になって雪美ちゃんが銀髪になるくらい異常な事態ですよ」
モバP「雪美が僕のことを片思いし過ぎてこうなってしまったようです。何か元より結構ぐいぐい来る性格でして」
雪美「してない……でも……幽体離脱で……Pに……乗り移ったら……こうなった……」
モバP「それで、これはもういっそ僕は左手にカエルくんのパペットを着けて黒子になっても良いですかね?」
雪美「私が……焼肉に……なって……発見……されそう……。違うのに……して……」
――
ちひろ「美鳥の日々なのかパペットマペットなのかどっちかにしろ!」ガタッ エッ? チヒロサン?
ちひろ「あっ夢……失礼。……誰ですか私に怪電波を送り込んだ人は」
-
642
きらり「Pちゃん! 雪美ちゃん! おはようございます!」
モバP「おっすおっす」 オハヨウ……
きらり「おにゃーしゃー! うぇへへー、そいじゃ今日も行くよー☆ きらりーん、スペシャルクリーンチ!」
ガバッ
モバP「……」ニコニコ
雪美「……迫力……ある……」
きらり「うきゃー☆ こうやってハグハグするとはぴはぴだにぃ!」パッ
モバP「……いやあ、ここまでの力加減で抱き締めてくれる人は他にいないから気持ちが良いな! スタンしてしまうが」
きらり「きらりの100%ぱぅわーを受け止めてくれゆのはPちゃんくらいだよぉ☆ うれすぃ!」
モバP「臂力や斥力など様々な力がぶつかり合って良い勝負しているからな」
雪美「物理法則が……行方不明……」
雪美「私も……がんばる……!」メラメラ ガバッ
モバP「何もきらりに対抗しなくても良いんだぞ? こうされるのは嬉しいが」
きらり「雪美ちゃんのクリンチもきゅんきゅんするにぃ☆」
-
643
ゴクゴクゴク
モバP「プハーッ!」
雪美「……P……お酒……?」
モバP「おう雪美よ上がったか。いや、日のある内に自分から酒は飲まないよ。これはオロナミンCとポカリスエットを混ぜたドリンクだ」
雪美「ジョッキいっぱい……甘そう……」
モバP「水分が失われたサウナの後はこれが美味しい」
雪美「P……サウナ……入るの……?」
モバP「ああ、痩せる訳ではないが新陳代謝が良くなったら良いなという目的で入る」
モバP「以前は結構疲労感が来るし、冷水に浸かるのが嫌であまりやりたいと思わなかったが、人間変わるものよな」
雪美「……Pも……大人になったの……ね」
モバP「雪美はサウナはどうだい? さすがに混浴混サウナは無いから一緒に入ることは出来んが」
雪美「……サウナは……まだ……。でも……ジェットバス……好き……」
モバP「雪美さんも充分大人やなあ」
ちひろ「私のスタドリエナドリも冷やして氷入れてジョッキだともっと美味しいんでしょうか……」
-
644
モバP「雪美さん、いーってしてごらん」
雪美「……いーっ」
モバP「……疑問に思わなかったか? そんなことをさせることに」
雪美「……?」キョトン
モバP「……雪美さんがそんな表情も出来るということに胸がいっぱいになった。結婚しろ」
雪美「……もう……してると……思ってた……」
モバP「その発想は持ち合わせていなかった。確かに、もう俺たちは家族か」
ちひろ「架空結婚とは無敵も良いところだなあ」
モバP「しかし雪美さん、歯が綺麗ですね。キラキラしている」
雪美「……ほめられると……嬉しい……。……Pが……もっと……磨いてくれる……?」
モバP「歯石を取ったりは出来ないが、やりたいならやってみるか」
ちひろ「阿良々木火憐かな? プロデューサーさん、ダメですよ?」
ちひろ「私とのお約束条項第3条、“年少アイドルと歯磨きプレイをやってはいけない”に抵触しますからね」
モバP「年長なら良いのか……というかその条項は初耳なんですが」
-
645
雪美「……P……今……こんなのが……流行っている……」
モバP「……おっ、これかあ。俺も最近知ったが……自宅での生活感が出るな」
雪美「りあむが……興味津々……。私も……気になる」
モバP「そうか……頭ごなしにやるなとは言えないし、じゃあとりあえず公開はせずにまず俺に見せてもらえるか? そこで検討します」
雪美「……それは……良いの……? いろんな子が……やるかも……」
ちひろ「一体何の悪巧みですか」
モバP「これです」スマホキジ
ちひろ「……」
ちひろ「私とのお約束条項第346条、“ピローチャレンジ等いかがわしい自撮りのやり取りは禁止”」
モバP「秒単位で追加されていませんかね……」
ちひろ「だってこれ、裸を枕やぬいぐるみで隠して撮るようなそれに近いでしょう」
モバP「ある程度隠れているからセーフだと思いますが……いえ、アイドルの枕隠し姿が見たいなんて下心は微塵も」
ちひろ「あるでしょう? というかプロデューサーさんが変なこと言うと、一部のアイドルの子たちは多分乗ってきますよそれ」
雪美「……」キラキラ ホラスデニ1メイ
-
今日はここまで
京都産業大前
-
乙
夢とはいえちっひがヘンテコなネタに巻き込まれるとは珍しい
-
646
モバP「アイアムハングリースパイダー」
雪美「……」
モバP「巣ごもりして獲物が引っかかるのをじっと待っている」
雪美「……」(つ゜-゜)つ
ヒョイ ポスン
モバP「そこにあなたのような美しい蝶々が自ら捕まえられに来るとは。養分を吸い尽くしてやろうか」
雪美「……Pになら……食べられても……いい……」
モバP「ほほう……死にたいから僕を食べてと言ってくるマフィンやアヒルの子みたいだな」
モバP「だが食べられない。俺は雪美さんに恋をしてしまっているからだ」
雪美「……」
モバP「あらしのよるに、というアニメがあったがああいう捕食者が本来の捕食対象に恋をしたり情を抱いてジレンマに葛藤する物語は多い」
モバP「そんな表現に感動する人間というのも独特な生物だと思う。俺と雪美も……」
雪美「……本当は……住む世界が……違う……の……?」 ドウダロウナ
ちひろ「二人だけの世界にはなっていますよね」
-
647
モバP「畳に座布団、そしてちゃぶ台にお茶――寛ぐね」
雪美「……うん」
モバP「時期的にはもう暑くなってきているので、こうして通気性が良い、い草の座布団は好きよ」
芳乃「幼き頃はー、これより大きな茣蓙の上でー、よくコロコロと転がったものでしてー」
モバP「転がる芳乃とか見る側には究極の癒しになりそうだ」
モバP「もっとも、今の君たちはそんなことをしてはいけないがな」
芳乃・雪美「……?」キラキラ
モバP「姉妹のようにお揃いを着るのはともかく、何でりあむTなんだ。何があった」
芳乃「時にはずぼらになるのも良きものと、そなたが申したのではありませぬかー」
モバP「言ったかなあ? 二人とも普段私服から整然としているからギャップが凄い」
モバP「しかしその格好は俺のリビドーを必要以上に刺激するから、せめて杏のようにスパッツくらいは穿いてください」
雪美「……はいてる……短いの……」
モバP「それとそのハートロックのチョーカーも、何か俺の物だと隷属させているような感じがして興奮いや何でもない」
雪美「Pも……着けてみる……? ……いっしょに……堕ちよう……」 オチマセン!
-
648
ガチャ
モバP「おはようございます」
ちひろ「あっ、おはようございます」
――
モバP「お疲れ様でした」
ちひろ「もうこんな時間ですか。お疲れ様でした」
パタン
ちひろ「……」
――
ちひろ「……プロデューサーさん、最近淡泊じゃありませんか?」
モバP「アイドルたちとは大したことは無くても接して話す機会を作っていますよ」
ちひろ「じゃあ、私には挨拶や事務的なこと以外では特に話をしなくても良いと?」
モバP「おっと、思わぬ所でデレ期入りましたか。ちひろさんも寂しいんですね」ニヤ
ちひろ「アシスタントへの気遣いが少し足りないのは相変わらずですね」
-
モバP「でもこういう雑談的なことをこちらから振ってばかりだと迷惑だったりしませんか?」
ちひろ「いいえ。……何だか慣れてしまって、やらなくなるとリズムが狂ってしまうというか」
モバP「……すいません。今後はもっと構いますので」
ちひろ「過度にならない程度にお願いしますね」
モバP「はい。自分もちひろさんに構ってもらうためだけにログインだってしますよ」
ちひろ「謎の専門用語を使わないでください。ログボと称していろいろ配ったりしますけども」
モバP「でもせっかくログインしたなら、ちひろさんからいろいろな話題で話しかけられたいものです」
ちひろ「フリートークはそんなに得意じゃないんですよね……声をかけるよりかけられたい、でないと寂しくなる結構面倒な性格です」
モバP「寂しくて夜中一人でノートに“プロデューサーさん”とびっしり書き込んでいたりしませんよね?」
ちひろ「どんな深刻な精神状態に追い詰められているんですかそれは」
雪美「……」ヒョコッ
ちひろ「あっ、雪美ちゃん。そこにいたんですか。聞かれていたとは気づかずに少し情けない所を」
雪美「……ちひろさん……一人で……悩まないで……」ギュッ
ちひろ「そんなに心配してもらうようなことでは……。でも、はい。ありがとうございます」
モバP「雪美は心理的距離の隙間をちょうど埋めてくれるなあ」
-
649
モバP「ちひろさんと言えば皆さん、どんなポーズを思い浮かべます?」
雪美「……ポーズ……?」
モバP「私はね、あのいつもの両手を合わせる姿を思い浮かべます」
雪美「……南無……」
モバP「お仏壇に手を合わせるのとは違うぞ。言うならあれはおねんねのポーズだ」
雪美「……おねんね……なるほど……」
ちひろ「はーい! みんな、おねんねしましょうねー、ってちゃうわ!」
モバP「言うこと聞かないとおねんね(昏倒)させられそうです」
ちひろ「そんなことしませんよ」ニッコリ
モバP「あっ、私が悪かったので拳骨を見せるのはやめてください」
モバP「ところでちひろさん、あのポーズってどんな意味があるんですか?」
ちひろ「えっ? 意味……と言われましても」
モバP「もしかして媚び……というやつですか? 営業スマイル、ぶりっ子ポーズ的な」
ちひろ「言い方が気に食わないですけど否定もできませんね……」
-
ちひろ「プロデューサーさんはある意味で顧客ですからね。媚びも売りましょう」
モバP「あとはコスプレ趣味の効果で、無意識の内にサービス精神や承認欲求で体が動いてしまうとか?」
ちひろ「……微妙に見透かしたようなことを言うのはその辺にしておいてもらえます?」
モバP「それと、手を合わせるのは手もみの意味もあって、何かお願いしたい時の態度とか」
ちひろ「わかった、この話はやめよう。はいさい、やめやめ」
雪美「私も……やってみる……」ポンッ ←おねんねのポーズ
モバP「……いい」
ちひろ「良いですねえ。というか、このくらいのジェスチャーは意味とかを一々考えなくたって誰でも自然とやるものじゃないですか?」
雪美「……幼稚園……くらいの……時とか……ね」
モバP「はい。ただそこで少々イタくなってしまうかどうかは年齢に依るでしょうね」
ちひろ「イタくないもん! ……うわキツ」
モバP「自分で言わないでくださいよ。我々は今のありのままのちひろさんが好きですので」
雪美「……うん」
ちひろ「まあ、変に優しかったり運営の手先だったりする私もいますからねえ」
雪美「……うん?」
-
650
モバP「雪美さんよ、事務所に教科書を忘れた子がいるのでちょっとひとっ走り届けてくらぁ」
モバP「留守をお願いできるかい?」
雪美「……分かった」
モバP「頼みましたよ。俺のイスに座っていてくれるだけで良いから」
ちひろ「私がいるんですけど」
――
prrrr prrrr
ガチャ
雪美「……はい……こちら……346プロダクション……」
ちひろ「えっ、電話応対するんですか?」
雪美「……? ……ん……分かった……。“エリアFelix”に、転送する……日が落ちるまでに……帰って……」ピッ
ちひろ「……誰ですか?」
雪美「……ペロ……。集会が……あるって……」
ちひろ「猫から電話がかかってくるとは……普通だな!(錯乱)」
-
651
モバP「いちっ、にっ、さんっ、しっ」
雪美「……っ、……っ、……っ」
慶「アイドルのみんなと一緒に、プロデューサーさんもトレーニングやるんですね」
モバP「ふぅ……プロデューサーとして、離れた場所から見ているだけではやっぱり嫌でしてね」
モバP「アイドルと対等に向き合い、理解し絆を深めるにはやっぱり同じメニューくらいはこなせないといけません」
慶「素敵ですね! でもデスクワークとかは後回しで良いんですか?」
モバP「自分の場合、適度な運動もしないと結局仕事の効率が落ちてしまうのでこれで良いんです。……嘘です。良くはない」
雪美「ふぅ……P……腹筋……速い……。……腕立て伏せも……やる……?」
モバP「ああ。乗るか?」 ウン
慶「えっ、乗せるんですか? 背中に?」
モバP「慶さんもどうです? なかなか良い負荷になりますよ」クイッ
慶「そんな……不覚にも、かっこいいって思っちゃいます……///」
雪美「……男らしい……背中……堪能……しよう……」
モバP「こちらからすれば女性の背中だって魅力です。乗りたいとか変な意味ではなく」
-
652
ちとせ「ねぇ、あなたの血が飲みたい」
モバP「ちとせよ、それは戯れでなく? ……君の臓物が食べたい的なベストセラーが以前あったが」
千夜「それは君の膵臓をたべたい、です。馬鹿め」
モバP「あっ……何故に臓物で覚えているのか……面目ない」
モバP「それはそうと、血か……せやな、他ならぬちとせの頼みなら仕方ない。一思いに吸ってくれ」
千夜「お前の血など飲んだらお嬢様が食中毒を起こしてしまう」
ちとせ「……これだけの精気の塊だもの。吸えば、私の寿命を延ばすことだってできるかもしれないよ?」ガシッ
モバP「そうだと良いが……両手で真正面から俺を捕まえて、顔を寄せる――キスならロマンチックだな」
ちとせ「直接狙える距離だね。でもしない。簡単に手に入ってはつまらない――と、誘い受けしてみたり」
千夜「近いですお嬢様。とりあえず経口はやめましょう」
雪美「……私の……Pに……手を出すのは……誰……?」ゴゴゴゴ
モバP「雪美さん!?」
ちとせ「……! ……ふふ」ゴッ
雪美「……」ゴゴゴゴゴ
-
千夜「あ、あの……」
雪美「……私も……手伝う……。押さえておけば……良い……?」
ちとせ「……ふふふ。そうだね、このまま脱がしてしまおっか」
モバP「いや、ちとせの頼みは聞きたいが、ここで放送できない展開をやるのはダメだぞ」
千夜「……これは放送ではない。それにどんないかがわしいことを想定した?」
モバP「この口から言わせる気か? とりあえずハグくらいで良しとしとくれ」
千夜「はぁ……。そして一触即発と思いきや……お前の周囲はおかしなことだらけです」
モバP「それは俺も思う。案外気が合うな」
千夜「お前に言われたくありません。……全く、何を考えているのだか」
ちとせ「じゃあ千夜ちゃんがまずハグしてもらったら? そうすれば少しは理解できるかも? その後は私ね。効能を期待するよ?」
雪美「……Pの存在は……天然温泉……のようなもの……。浸かれば……極楽……」
千夜「不要です。仮初めの理解なんてできたところで……」
モバP「大したことじゃない」ギューッ ナデナデ
千夜「……力加減がなっていない。これをお嬢様にさせる訳にはいきません。やり直し!」エー
ちとせ「うーん、私の番が来る前に浄化されてしまいそう」
-
今日はここまで
通販共和国
-
653
ヒラヒラ
雪美「……!」
モバP「お、てふてふ――ちょうちょちょうちょ菜の葉に止まれが飛んでいるな」
ヒラヒラ ヒラヒラ
雪美「……」ジッ
モバP「ここの家の庭の花壇とかが住処かな」
ヒラヒラ スッ
モバP「フェンスの向こうに隠れてしまった」
雪美「……P……?」
モバP「おう、いきなりこっちに向き直られると、不意に目が合って恋に落ちるわ」
雪美「……Pと……見つめ合うたび……新しく……恋に……落ちる……」
モバP「常に新鮮だな。……しかし、雪美は何でもじっと見つめる所が猫っぽいなと思う」
モバP「対して俺は結構顔を動かしてあちらこちら見るから鳥っぽいのかもしれない」
雪美「……Pが……カラスで……私が……黒猫……かも」 ニアウナ
-
654
\キュルルルル/ \ギュイーン/ \パン! パン! パン!/
モバP「画面分割動画って良いよな。一回を何度も見直す楽しみがあるし、画面が賑やかだ」
紗南「そういうものかな? あたしは一度で全体的に把握するよ」
ありす「観戦だと、こういう時にどこを見て良いか分からなくなります。視野と処理能力を大きくしたいです」
雪美「……あ……シャッターが……開いた……」
モバP「よっしゃ、もろたで工藤!」
ありす「工藤って誰ですか。忍さんですか?」 マジメカ
紗南「でもあたしの方が近いー。……ってチャージか。普通」
モバP「エビ天そばよりは良いじゃないか。しゃーない、切り替えて行く」
雪美「……オールなら……最高……だったね……あっ(ハイドラパーツが手に入る音)」
モバP「おっ? しかしシャッターでオールに遭遇した日にはドーパミンフィーバーだな。出たことが無いが」
ありす「数あるイベントの中からシャッターを引いて、そこでまた数あるアイテムの内のレアを引ける確率は1%もあるかどうか……」
紗南「うわっ! こんな絶妙な所に地雷置いたの誰!?」 イイエ ……チガウ オレカモ Pサンカ!
ちひろ「プロデューサーさんにもやっとシティトライアルで遊ぶ友達ができたんですね」 マエカライマシタヨ!
-
655
雪美「……」
モバP「おや? 今日は何だか距離を感じるな」
ちひろ「何をしでかしたんですか? 白状しなさいな」
モバP「雪美と特に何かをしていた訳ではないですが」
雪美「……P……昨日……男の人と……仲良さそうに……歩いていた……」
由里子「」ガタッ
ちひろ「アイドルの子たちをとっかえひっかえするだけでは飽き足らず、一般人それも男子に手を出しましたか」
モバP「男友達の一人や二人いたって良いでしょう?」
雪美「……年下に……見えた……。ちょっと……かっこいい……人……」
由里子「うーむ、プロデューサーさん、思ったよりもやり手だじぇ」
ちひろ「雪美ちゃんが言うくらいですからよほどイチャイチャしていたんですかね?」
雪美「……兄弟みたいにも……見えた……。でも……変な感じ……」
モバP「確かに男の子に、アイドルの素質的な意味で良いな、という興味を抱くことはあるが、普段から接している俺がオトコスキーに走るように見える?」
雪美・由里子・ちひろ「……」 ヒテイシテクレヨ
-
由里子「まあ、分からないじぇ? 自分は違うと思っていても素質があったり」
モバP「由里子はまずナマモノは守備範囲から外れていたはずでは?」
由里子「プロデューサーさんに関しては違うって。それに、普通の男同士の友情・信頼関係だって美しいものだじぇ」
雪美「……私や……みんなには……見せない……表情……だった……」
モバP「あー、変な誤解が拡大する前に白状しますが、昨日は新田くんの所用に付き合っていたんです」
ちひろ「新田って……美波ちゃんの?」
モバP「はい。美波の繋がりで仲良くなったというか。他のアイドルの兄弟姉妹たちともそういうことはよくあります」
雪美「……そうだったの……P……取られたかと……思った……」
モバP「何人たりとも俺の心までは奪えんさ」
ちひろ「体だけでも堕ちてしまったら問題ですけどね」
由里子「しかし、くん呼びとは男性アイドル同士みたい……にゅふふ」
モバP「新田くん、雪美が言うようにかっこいいからな。それでいて少年的というか、弟っぽさもあるというか」
ちひろ「揺らいでませんよね? しかし、伊達に美波ちゃんがお姉さんやってないですし、一緒に帰ったら噂とかされそうな感じは分かります」
モバP「藤崎詩織ばりの意見。まあ、打ち解けた男同士でないと出来ない話もあるので特別ではあるかもしれないですね」
雪美「私が……もし……男の子だったら……Pは……」 イイッスヨ? イイノカヨ
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656
モバP「いつか今の状態から発展して、千夜にお前様と呼ばれてみたい僕です」
ちひろ「どう親密になればそんなルートに入れるんだっていう」
ちひろ「しかし、お前様って何だか貴様やお前よりは格式が高い語感がありますよね」
雪美「……ねーねー……おまえさまー……」
モバP「……!」
雪美「……おまえさま……?」ピトッ
モバP「その微妙に芳乃的な馴れ馴れしさのあるお前様――ちょっとEXボイスにさせてもらって良いですか?」タラー
ちひろ「涎を垂らしながら言わないでください」
雪美「……そんなに……良かった……?」
モバP「すまん……雪美にお前様と呼ばれるシチュエーションがありありとイメージされてしまって」フキフキ
モバP「では目を閉じているから、そのまま自由に続けてみてくれないか」 ワカッタ……
雪美「……おまえさま…………夜伽に……参りました……」
モバP「うんうん、良いぞ……夜伽な……夜伽!?」
ちひろ「夜伽なんて一般の小学生が使う言葉じゃないです」
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657
モバP「まだ六月だというのに真夏のように暑いねい。梅雨入りが遅れて文字通り水無月にならないで良かったよ」
雪美「……」ボーッ
モバP「雪美、大丈夫か?」
雪美「……」コク
モバP「うーん、虚ろな表情が何だかクール。つい見惚れて顔を凝視してしまうぞ」
雪美「……」コク
モバP「反応も虚ろか。暑さで体力を消耗しないように低電力モードになっているみたいだ」
雪美「……」コク
モバP「……この流れで何か凄いお願いをしても頷いてくれるだろうか」
モバP「今日一日水着で過ごしてみるってのはどうだ?」
雪美「……」コク
モバP「良いのか……やったぜ」
モバP「まあ水に入るんでもなければ水着より通気性の良い薄着で過ごす方が良いんだがな」
雪美「……」コク
-
モバP「しかしこれはこれで面白いな。いたずらするぞー?」
雪美「……」コク
ムニッ
雪美「……」ピクッ
モバP「…………おお……雪美のもちもちした頬」
雪美「……(抗議の目)」
モバP「おでこちゃん」サラッ
雪美「……♪」
モバP「額は良いのか」
雪美「……Pの手……ひんやり……気持ちいい……」
モバP「クールタオルを解禁したからな。持ち歩いて時々こうやって触るから」
雪美「……私にも……貸して……?」
モバP「どうぞ。まだ下ろし立てだから肌触りも良いぞ」
雪美「……♪」
ちひろ「クーラーをもっと利かせても良いのでは?(裕福な発想)」
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658
モバP「よくあるハプニング」
モバP「健全DVDだと思って再生したらディスクがR-18の物と入れ替わっていた」
ちひろ「ないでしょう(直球)」
モバP「ないですかね?」
ちひろ「プロデューサーさんはそういうことしばしばやっているんですか?」
モバP「自分はないですね。ケースと中身が一致していないと何となく気持ちが悪いので、見たり貸したりする際は確認します」
ちひろ「ないのによくあるとか言う……まず、混ざらないはずですからね」
モバP「いたずらですり替えられることはあっても再生前に完封するので、一度そういう定番ドッキリ的場面に出くわしてみたいです」
ちひろ「プロデューサーさんの場合、仕掛ける側のような……というかそういう物をお持ちなんですか?」
モバP「水着グラビアくらいのマイルドなものか、小梅が持ち込んだホラーとかだけですね」
モバP「未成年や小学生だって家に来ますから変な物が見つかったら怒られます」
雪美「……P……今日は……何を見る……?」
モバP「今日はアイドルのグラビア鑑賞会でもしようか。今後のお仕事の参考として」
ちひろ「それでも充分常軌を逸しているような気はします」
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659
モバP「買い物に行くと種類豊富なサラダに目が行く」
モバP「女性は男性に比べてサラダが好きなイメージがあるがどうだろう」
みく「健康志向で食べるには良いと思うけど、好きかと言われると、ぼちぼちだにゃ」
雪美「……野菜にも……よる……」
モバP「俺はポテトサラダならいくらでも食べられるんだがな」
みく「じゃがいもはどちらかと言うと炭水化物でご飯の方に近いからね」
モバP「野菜らしい野菜の栄養が必要、それは分かってはいるが日頃つい手を抜きがちだ」
モバP「特に春菊とかセロリとか独特の苦みや食感がある野菜は、親離れして自炊し始めると食べなくなる」
みく「Pチャンは偏るもんね」 サカナハ? サカナノハナシハヤメルニャ
モバP「で、その代わりにニラをよく買うようになった。葉物では悪くない風味だし調理も簡単で」
雪美「スタミナ……付きそう……」
モバP「困ったらニラ玉、豚ニラ、餃子、麻婆豆腐、鍋――と、食欲の湧く料理にしやすい」
みく「ほうれん草でバターソテーとか、ピーマンで青椒肉絲も簡単だよ?」
モバP「それでもニラを使う料理の引き出し・レパートリーの方が多いなあ」
-
雪美「ピーマン……トマト……今は……いろんな色……ある」
みく「ピーマンの色違いはパプリカだね。サラダにもよく入ってるにゃ」
モバP「パプリカな、ピーマンだと思って食べると甘みがあって驚いたのを覚えている」
雪美「……甘い野菜も……多い……ね」
モバP「そうだな。昔はピーマンが嫌いという子が多かったそうだ。今よりも苦かったから」
雪美「……良薬……口に苦し……?」
モバP「美味しい物は体に良くないとか言われるし、苦い方が体には良いのかしら」
モバP「……考えれば考えるほど食事管理って大変だよな。体を見せるモデルやアイドルは余計にだろう」
みく「でも、ヘルシーでストイックな野菜だけのサラダより、ささみくらいは入ってる方が喜べるよ」
モバP「野菜の中にちょっとした肉、良いよな」
モバP「しかしやっぱり料理は何でも、誰かに作ってもらうか、作ってあげるのが良い」
みく「それはあるよね」
モバP「上げ膳据え膳が楽、と言うと嫌味だが、人のための料理って大抵何でも美味しくなる」
雪美「……おいしかった……とか……また食べたい……って一言が……うれしい……」
みく「雪美チャンは将来有望な嫁さんになりそうだにゃあ……」
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660
モバP「……」ポチポチ
モバP「ん、こんなもんかな」
奈緒「おっ、Pさんの壁紙、桐須真冬になっているんだな」
モバP「うぃっ!? 何だにゃおか……失礼、噛みました」
奈緒「自分から言う時点でわざとらしいんだけど?」
モバP「うふふ、良いじゃあないですか、にゃおにゃお……じゃなくて、にゃおは一目で分かるんだな」
奈緒「奈緒に戻せ。……ぼくたちは勉強ができないの美人先生だろ?」
モバP「そ。で、おめめぱっちりでデフォルトが仏頂面で、でもポンコツ属性なところがなかなか新しくて」
奈緒「Pさんはいろんなタイプの女性に興味を持つよな」
モバP「持たなかったら俺の頭にPは付いてないぜ」
奈緒「だろうな。でもそんな移り気で雪美一筋だって言えるのか?」
モバP「俺と雪美はソウルメイトだからね。それはそれ、これはこれで片付くのさ」
奈緒「でも、そっちで桐須真冬のように目をぱっちり開けようとしているぞ?」 エッ
雪美「……んん……目を丸くするの……難しい……」
-
今日はここまで
見ざる言わざるてっぺんの天ざる
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661
みく「……」
モバP「……」
みく「みく……言ったよね?」
みく「カレーの隠し味にケチャップは邪道だと」
モバP「言いました。それを黙って味見までさせました」
モバP「でもカレーにデミグラスソースは好相性。そのデミと似たような成分だから合うと思って試しているんだが」
みく「カレーが勿体無いよ。そんなに元が一味足りないの?」
モバP「上等なものじゃないからな。そのまま食べるのに飽きたら手を加えてナンボの味だろう」
みく「でもそこにピクルスまで入れるってどうなの」
モバP「カレーはちょっとトマトっ気と酸味が入った方が美味しいんだもん」
みく「……ちょっとPチャンはいい大人として残念というか、貫禄が保てるか不安になるにゃ」
モバP「そこまで言うことないだろ。みくが食わず嫌いのサバカレーだって食べてみればきっと美味いんだから」
モバP・みく「……」グググググ
雪美「Pとみく……また組み合ってる……」
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662
幸子「ふぅ……」
モバP「おや、幸子」
雪美「……おはよう」
幸子「プロデューサーさんに雪美さん、おはようございます。相変わらずツーマンセルで行動ですか?」
モバP「二人でとてもいい汗をかいたので、シャワーでも浴びようかとね」
雪美「……幸子……さわやか……」スンスン
幸子「ボクが先にシャワーをいただきましたよ」
モバP「……ジャージ姿に首タオル、ほんのり上気した顔――美人だね」
幸子「なっ……! そんなカワイイなんて……」
モバP「自主トレも朝一でアスリートみたいだな。見たぞ? 低酸素マスクまで着けて」
幸子「そ、それは見間違いかと。ボクはそこまで追い込むトレーニングは(あまり)しませんからね?」
モバP「ん? 今、あまりって聞こえたような」
雪美「……幸子……マッターホルンにでも……登るの……?」 ノボリマセンヨ
モバP「幸子には既にサッチーホルンが二つそびえているからな」 ……ツノ?
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663
モバP「……」ビリッ
ザザーッ
モバP「……」モッシャモッシャ
ちひろ「豪快……というか行儀を放り投げたような食べ方しますね」
モバP「……見たな……!」
ちひろ「見られてないとでも?」
雪美「……」モクモク
ちひろ「雪美ちゃんはあんなに慎ましく食べているのに。……それはそうと、餅太郎ですか」
モバP「はい。揚げ餅の小さいのがゴロゴロ、そこにピーナッツが一粒入ってたった10円の小袋駄菓子です」
ちひろ「駄菓子好きですねえ本当に」
雪美「……意味深な……一粒の……ピーナッツ」
モバP「何かレアな感じがして意味も無く最後まで残しておきたくなったりもするな」
ちひろ「お茶漬けのあられと同じで、食べられる乾燥剤的な役割なんでしょうね」
雪美「……ピーナッツ……すごい……」ポリポリ
-
ちひろ「それにしても、キャラメルコーンや柿の種でもピーナッツはしっかり脇を固めてくれますね」
モバP「その柿の種のピーナッツは量が減るんですよね……まあ自分はそんなに気になりませんが」
ちひろ「私はあれが黄金比だと思ってたので残念ですよ」
雪美「ちひろさんは……ナッツ……好き……?」
ちひろ「お酒のおつまみにちょうど良くて好きですね」
モバP「ピスタチオやジャイアントコーン、アーモンド、カシューナッツ、マカダミアナッツ」
ちひろ「食べたくなってきます」
雪美「……Pは……豆菓子……好き……」
モバP「雀の卵とかいか豆とか、あとは味ごのみの海苔醤油豆。勿論えびせんやピーナッツあられや揚げ餅も好きですが」
ちひろ「こっちはお酒よりお茶請けに合う印象ですよね」
モバP「そして雪美は歌舞伎揚げが好きだな? またの名をぼんち揚げや亀せんやどんど揚げ」
雪美「……地域によって……名前……違う……」
ちひろ「何だか雪美ちゃんの好みは本来よりプロデューサーさんの影響が出てきてそうですね」
モバP「家の、親の味を覚えるのは将来の糧になりますが、それを自分が阻害していないかはちと不安です」
雪美「……Pの味は……深い……」ウットリ ナンノアジデスカネエ
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664
モバP「片手で生卵を割ろうと思えば割れるようになったがやっぱり綺麗には行かない僕です」
ちひろ「まだやってたんですか」
モバP「気づけば最近、家ではホットケーキばかり作っている気がします」
ちひろ「Oh! hot cake!」
モバP「ホットケーキって和製英語とは言いきれませんが外国ではあまり使われないようですね」
雪美「パンケーキ……」
ちひろ「冷静なツッコミをありがとうございます。しかし何故にまたホットケーキなんですか?」
モバP「魔女の宅急便のキキの気持ちになるですよしてみたかったとです」
モバP「というか卵を買い過ぎました。意外と保存が利きますし、たんぱく質が取れるので良いんですがね」
雪美「……ホットケーキ……好き。……焦げてなければ……」
モバP「俺って気楽ね。今にホットケーキみたいに真ん丸くなったらどうしよう」
ちひろ「その前に飽きるんじゃないですかね……」
モバP「しかし、子どもの頃は卵って、生物の命を直接的に奪わない至高の食品だと思っていました」
ちひろ「無精卵、命になるはずの物をいただく、ですか。変わった思考ですね」
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665
モバP「たまには思春期男子の妄想でも」
モバP「学校の美術部……良いですよね」
ちひろ「部室は放課後の美術室とかになるんでしょうか? 画材とかの独特のにおいがしそうです」
モバP「そこでたまにヌードデッサン会が開かれるという噂」
ちひろ「一気に現実味がログアウトしましたね」
モバP「ここでそんなことをやっているのか、と思うと悶々として授業で絵筆がちっとも進みませんでした」
ちひろ「早く課題を提出してあげないと先生が困りそう」
雪美「……絵画の授業……時間に……追われる……」
ちひろ「細かくじっくり作業しようとすると時間が足りなく感じるんですよね、わかりみです」
モバP「やあ雪美、ヌードデッサンに興味はあるかい?」
雪美「……描きたい……?」
ちひろ「そんな全力で逮捕されに行くことないんじゃないですかね」
モバP「芸術ですので。まあ、書こうと思えば実物を見なくても想像で書けますが」 ダメデスカラネ?
雪美「……P……何でも……抽象画に……しがち……」 ソレモソレデドウカト
-
666
モバP「……」
雪美「……」チョコン
モバP「……」
雪美「……?」
モバP「……」
雪美「……P……いつもと……違う……?」
モバP「……ん? そうかな?」
雪美「……」
雪美「……気のせい……かも……」
モバP「きっとそうだと思うよ」
雪美「……」
――ザザッ
雪美「……!?」
――ザーッ
-
ちひろ「雪美ちゃん雪美ちゃん」
雪美「……ん……ちひろ……さん……?」
ちひろ「こんな所で寝ていると体調を悪くするかもしれませんよ?」
雪美「えっ……あれ……? P……は……?」
ちひろ「……」
雪美「……ひざ……借りていたのに……」
ちひろ「……気持ちは分かりますけど……いえ、仕方がありませんよね」
ちひろ「プロデューサーさんは急なお仕事が入ったので、少しの間ここを留守にするそうです」
雪美「……急な話……本当……?」
ちひろ「はい」
雪美「……ありがとう……」ピョン トコトコ
キィ パタン
ちひろ「……雪美ちゃん」
――
雪美「……」
-
ガチャ
マキノ「……はぁ……憂鬱ね」
雪美「……あっ」
マキノ「……あら、雪美」
雪美「……マキノ……」
マキノ「プロデューサーのことは残念だったわね」
雪美「……え……?」
マキノ「ここに来たということは、これ――渡しても良いのでしょう?」チャリッ
雪美「……666号室の……カギ……?」
雪美「……!」ゾワッ
マキノ「私はこの件については何も関知しないわ。ただこれを“預かって”いただけ」
マキノ「真実を知りたければ……自分でその扉を開けなさい」ハイ
雪美「……」ギュッ
マキノ「……世界は情報で出来ている。例え答えに後悔しても、その先の受け止め方が大切よ」
雪美「……」コク
-
――
ガチャガチャ キィ
雪美「……っ」
雪美「赤い……部屋……」
――ザザッ
雪美「……Pの……気配……」
雪美「……違う……!」
雪美「……ここに……Pの……頭……いっぱい……積まれてる……」
――ザーッ
雪美「……これ……まだ……新しい……」
雪美「……P……壊れた……の……?」ジワッ
雪美「……うう……P……」ポロポロ
――ザーーーーーーーーッ
プツン
――
-
モバP「うーむ、最近少し頭痛がするというか、頭がざわつく気がするんですよね」
ちひろ「年季が入っていますからね」
モバP「まだ若いですよ。しかし急なメンテナンス作業とは」
ガチャ
雪美「……」
モバP「お! おはよう雪美ちゃん」
雪美「……」ジッ
モバP「……どうしたの? 心なしか、目が赤いね?」
雪美「……おはよう……」タラッ
モバP「!!」
――ザザザッ
雪美「……どうしたの……?」
モバP「……え? いや、何でもないよ? 気のせいかな、何か目から血が流れたような……」
雪美「……そんなこと……あるわけ……ない……」 ソウダヨネ!
ちひろ「……何ですかね、この不吉な締めは」
-
667
モバP「何かお腹に入れないとって時にとりあえず買うもの」
雪美「……」ハムハム
モバP「雪美さんはランチパックのいちごジャム」
ちひろ「ランチパックはいちごシリーズだけでもかなり種類があるんですよねえ」
みちる「フジパンのスナックサンドとヤマザキのランチパック、両方売っていたらどちらを買うか迷いますね!」
雪美「……Pは……ふっくらバーガー……」
モバP「……」ガブッ
ちひろ「これも種類が多いですし、他の包み紙のバーガーよりボリュームがあるんですよね」
みちる「豪快に齧りつくのがこれほど幸せな食べ物はなかなかないと思いますね!」
雪美「……このサイズは……口が……大きくないと……難しい……」
ちひろ「プロデューサーさんはリンゴくらいのサイズなら丸ごと口に入りますから良いですよね」
モバP「一般的なイメージのリンゴの大きさだとさすがに顎が外れかねないんですが」
あかり「……プロデューサーさん、本当はすごい人だったんご……!」
モバP「いや、凄いの基準そこなのか?」
-
おまけ13
ちひろ「プロデューサーさんは絵は“描く”んじゃなくて“書く”タイプなんですね」
モバP「そうなんですよ。僕にとっては絵画とは文字みたいなものでして。……冗談ですけどね」
雪美「……描く……という漢字は……猫に……似ている……」
モバP「昔から写生対象として一番ポピュラーなものが猫だったのかもな」
雪美「……本当……?」 シンジチャダメデスヨ
おまけ14
モバP「666は獣の数字と言いますね」
ちひろ「ラッキーナンバーは7、末広がりな8、久と似て縁起の良い9」
モバP「寿限無の長“久”命の長助も演技の良い言葉の羅列でしたっけね」
雪美「三つ揃うと……良いことが……」
ちひろ「ジャンジャンバリバリなお店に三つ揃えに行くことはあまり良くはありませんね」
モバP「とにかく奇数が確変なんで666よりは逆さの999の方が嬉しいですね」
ちひろ「行きもしないのに知ってるんですね。よくあります」 ハイ
ちひろ「で、それはさておき、さっきのホラー茶番は何だったんです?」 オモイツキデス
-
今日はここまで
ここまでにしといたるわ
-
668
雪美「……♪」
モバP「……雪美様、気分は如何でしょうか」
雪美「……良好……」
モバP「本日の膝をあなたは評価しますか? 1.大いに評価する。2.ある程度評価する。3.――」
雪美「……2……」
ちひろ「世論調査の聞き方ですね……」
ちひろ「しかし、相変わらず尻に敷かれていますね、文字通り」
モバP「雪美がそんな恐妻家な風に見えますかね?」
ちひろ「そうは言いませんけど、プロデューサーさんが結構頼りなくて雪美ちゃんがしっかりしているように見えるので」
雪美「……ダメな人ほど……私でないと……ってなる……」
モバP「雪美は意外と頼られたい性格で母性が強いタイプなのかな。りあむが言っていて妙に納得したが」
ちひろ「ダメな男に捕まらないようにしないといけませんね。現在進行形で」
雪美「……たまに……かっこいい所……見つけると……捕まえられて……いたくなる……」
ちひろ「懐の中にいるのに懐が大きいなあ」
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669
ペロ「ふにゃぐー」スリスリゴロゴロ
モバP「あっ、ちょっとペロさんいけないわ雪美さんが見ているのにっ」ナデナデ
雪美「……ふふ……お腹に乗って……嬉しそう……」
ペロ「んぎゃあ」
モバP「おお、腹が減ったか? お魚でもくわえてきてあげようか?」
雪美「……泥棒は……ダメ……」
モバP「きちんと買ってからくわえてくるよ」
雪美「……くわえる動作は……必要……?」
モバP「やっぱりどら猫はお魚くわえないとね」
ペロ「……にゃうー」
雪美「……悪い噂が立つから……そんな行儀の悪いこと……しないで……って」
モバP「咎められた。まあどら猫とは手癖の悪い猫のことらしいしな。いや、足癖……口癖と言うべきか」
雪美「ペロ……、お水……飲む……? それとも……昔のように……ミルク……?」 ミャ!
モバP「俺も幼きペロにミルクを飲ませてみたかったなあ」
-
670
雪美「……かゆい」
モバP「雪美さん、蚊にでも食われたんですかね?」
モバP「我が家の秘薬を塗ってあげるから患部を見せなさい」
雪美「……ムヒが……秘薬……?」
モバP「ひんやりして良いぞ」
雪美「ん……お願い……」ヌギヌギ パサッ
モバP「……」
雪美「……ここ」
モバP「ちょっと赤く腫れているな。よし、こうして……」チョン ススッ
雪美「……本当……ひんやり……」
モバP「雪美さんの血を吸う不届き者を退治するために蚊取り線香でも付けておくか。敢えてアナログ路線だ」
雪美「……ぐるぐる……渦巻き……」
モバP「或いは蚊帳でも張ってみるか。蚊帳付きハンモックで昼寝なんて最高だぞ」
雪美「……アウトドア……気持ち良さそう……」
-
モバP「……それにしても雪美さん、暑いから違和感ないとはいえ、キャミソールですか」
雪美「……まだ……新しい……」キラキラ
モバP「エッッッッッ」
雪美「……ふふ……Pは……こういう私に……慣れない……?」
モバP「ぐいぐい来る雪美さんに慣れる頃にはもう何も怖いものは無くなっていそうだよ」
雪美「……じゃあ……今の内に……もっと……誘惑……しておく……」スッ
モバP「肩紐を下ろすのは待ってくれ。まだこちらに覚悟が……そうだ、これをどうぞ」
雪美「はむっ……、……?」
モバP「ホームランバーのいちご味だぞ」
雪美「……♪」
モバP「俺の好感度は“○三塁打(3ポイント)”くらいかな?」
――
モバP「そんな夏のライフプランを提案したいのですが」
雪美「……」コクコク
ちひろ「却下。誰がそんな野放図で惚気させると思いますか」
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671
モバP「……雪美さん」
雪美「……なぁに……? P……」
モバP「前髪が伸びたね。少し目にかかるくらいになってきたか」
雪美「……」
モバP「うほっ、少し頭を下げると目隠れになるな。……イイ……」
雪美「口……開けっ放し……」
モバP「これが短髪男子ならモブ感全開だが、雪美だと見惚れてしまう」
雪美「……私が……何を、考えているか……分かる……?」
モバP「人はパッと見の表情だけでなく、目を見ることで相手の感情を推察する」
モバP「だから目が隠れていると分かり辛いかもな。じっと見れば楽勝だ」
雪美「……私……Pに……見られている……」ドキドキ
モバP「雪美のような親しい関係なら口元を見ただけでもおおよそは分かる」
モバP「ちなみに雪美マスターの俺なら、声が聞こえなくても読唇術で何を喋っているか分かるぞ」
ちひろ「とんでもない観察眼というか変態の熱意というか」
-
雪美「……」ポーッ
モバP「……」ニコ
雪美「……あっ」ササッ
雪美「……」
ちひろ「よしよし、怖いことされませんでした?」
モバP「微笑みかけただけなのに……雪美さんのキャラまで変わって見えてしまう」ゴソゴソ
モバP「少し惜しいが、このmyハサミで髪を元の長さまでカットしてあげよう」
ちひろ「プロデューサーさんがアイドルのヘアスタイリストまでやるなんて聞いたことがないですけど」
モバP「一応この仕事をするにあたって最悪全部ワンマンでも何とかなるような心得はあるので」
ちひろ「個人事務所かな? ……でも、髪って伸びるものなんですね」
モバP「市松人形じゃないんですからそりゃあ伸びますし、肉人形のように巨大化も」 トラウマヤメイ
ちひろ「それとふと思いましたけど、プロデューサーさんの身長の割にお仕事のカメラ目線って結構視点低いですよね」
モバP「カメラさんが撮っているか、もしくは膝立ちやしゃがみで撮ったりしますからね」
モバP「俯瞰構図ばかりだとアイドルの魅力は引き出しきれないのです……さあ雪美、やろうか?」
雪美「……うん……痛くしないで……?」 グハッ
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672
ポツポツ ザー
雪美「……あっ……雨……。……降る前に……戻れて……良かった……」
ちひろ「買い物に行って来たんですね」
モバP「はい。レジが新しいセミセルフ精算機に入れ替わっていました」
ちひろ「自分で支払い方法を入力して入金するんですね」
モバP「そうです。家の近くのスーパーもそうなった時に最初は戸惑いましたがもう慣れてきて」
モバP「今はどれだけスピーディーに格好良く精算を終わらせられるか、自分の中で競技のようになっていますねえ」
ちひろ「自分ルールですか」
モバP「子どもっぽいと思われるかもしれませんが、スムーズに行くとこれが気持ちが良い」
ちひろ「子どもっぽいですね」
雪美「でも……人生……楽しんだ者……勝ち……」
ちひろ「雪美ちゃんは達観していますねえ」
雪美「……Pの……そういう所を……見ているの……好き……」
ちひろ「プロデューサーさん、誰かと関わっていない時はきりっとしたポーカーフェイスで何を考えているのか読みにくいですからね」
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雪美「……真面目な顔、して……変なこと……考えている……そういう所」
ちひろ「そういうとこだぞ」
モバP「笑えば良いのかい?」
ちひろ「……プロデューサーさんって昔、車窓から動く景色に忍者を走らせる妄想とかしていたタイプですか?」
モバP「え? 何で知っているんですか?」
ちひろ「していたんですか……」
雪美「……それは……私も……たまに……///」
モバP「まあ、大抵の人はやりますよね」
ちひろ「えっ?」
モバP「話を戻しまして、精算で小銭の計算間違いをした時はテンションサゲサゲですよね」
ちひろ「たまに呆けていてお釣り計算を間違ってテンパるんですね、分かりません」
ちひろ「というか現金支払いなんですか?」
モバP「アイドルたちはカードを使っていることが多い中、私は現金ですね」
モバP「カードだとつい使い過ぎる。それと予算を決めて買い物をするのが楽しいものですから」
雪美「……Pの小銭入れ……がまぐち……かわいい……」 イイダロ?
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673
ザー
モバP「雨だなあ」
雪美「……うん」
モバP「春雨のような落ち着いた雨と違って、土砂降りが多くてもう夏だなと感じる」
雪美「勢い……強い……」
モバP「この時期の雨を五月雨と言うんだよな」
雪美「六月なのに……五月の雨……?」
モバP「五月雨という言葉が出来たのが陰暦の時だから今と少しずれがあるんだ」
モバP「今言葉を作るなら、皐月の雨がさみだれだから、水無月の雨は……みなだれ?」
雪美「……漢字の……部首、みたい……」
モバP「ともかく、今年の夏も厳しい暑さだそうだから、水不足にならない程度に降っておいてほしいものだ」
モバP「集中的に振り過ぎて豪雨災害が起きてはもちろん良くないがな」 ……ウン
モバP「それと注意すべきは、六月は晴れた場合一番紫外線がきつい月だってことだ。曇ってくれていた方が良いのだ」
ちひろ「六月も終わりかけになってそんなこと言うんですか」
-
674
ザーーーーー
雪美「……」
パラパラパラッ パラパラパラッ
雪美「……」
ポチャッ チャポッ チャポチャポチャポッ ピチャッ
雪美「……」
カンッ カンッカンッ
雪美「……?」(゜-゜ )
ブゥゥゥウウウウウゥゥゥン ザァァアアアァァン ビシャーッ
雪美「…………」( ゜-゜)
ピーッ カッチッカッチッ
雪美「……!」
ガチャッ
雪美「……♪」
-
675
モバP「……雪美は今日は膝の上からあまり動かないな」
雪美「……」
モバP「卵でも温めているのかな」
ちひろ「鳥じゃないんですから」
モバP「昔やってみようと思ったことはありますが、体温的にヒトが温めても孵らないですよね」
雪美「……」
モバP「でも雪美バードのヒナが孵ったら……?」
ちひろ「一羽欲しいですね」
雪美「……ん……生まれそう……」
モバP・ちひろ「えっ」
雪美「……冗談」
モバP「何だ、雪美ラーミアに乗って世界を飛び回れるかと思ったのに」
雪美「……あつい……、だから……もっと……密着……する……」
ちひろ「意地になってませんか?」
-
おまけ15
モバP「演技の良い言葉〜」
雪美「……?」
モバP「ウボアアアアア! また間違えたああ!」
雪美「」ビクッ
ちひろ「プロデューサーさんは割と間違いだらけなんで大丈夫です」
モバP「じゃあ安心ですね」 ソウデスネ オチツイテ……
おまけ16
モバP「雪美さん、ガラガラポンを回してみないかい? 三びきのやぎのがらがらどんじゃないぞ?」
ちひろ「それを混同できる人はいませんから安心してください」
雪美「……知ってる……。福引……回す……」キラキラ
ガラガラガラ コロッ
モバP「何と! 金の玉! 一等ペア温泉旅行券です!」カランカランカラン!
雪美「おお……じゃあ……Pと……行く……」
ちひろ「……これは新しいデートの誘い方か何かですか?」
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今日はここまで
Microsoft Edgeが使い辛いので初投稿です
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676
モバP「戦うコックさんってかっこいいよな」
雪美「……」コクコク
ちひろ「料理も作れるし戦闘もこなせるみたいな人ですか?」
モバP「そうです。自分もそんな風になりたいです」
雪美「P……スティーブン・セガール……お気に入り……」
モバP「ああ。セガールは良いよな。暴走特急の黒づくめの服の強者感。流れるように極まる間接」
ちひろ「雪美ちゃんから出てくる戦うコックさんの第一候補がセガールとは……サンジくんとかじゃなくてそっちですか」
モバP「サンジくんの手は使わないポリシーも好きです。食材にだけ包丁を使ったり」
雪美「なろうと思えば……剣士にも……なれそうな……包丁捌き……」
モバP「あれも列車内の戦闘だったな。コックさんは列車で光る」
ちひろ「船でも光りますけどね」
ちひろ「しかし、プロデューサーさんがもし背丈は似ているセガールそのものだったらと思うと……巻き込まれ体質になりそうですね」
雪美「でも……みんなとは……仲良くやれそう……」
モバP「セガールでも普通に溶け込める346プロダクション」
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677
モバP「……」スッ
雪美「……」サッサッサ
モバP「……?」
雪美「……」ササッ ササッ
モバP「……!」ポン
雪美「……」コクコク
ちひろ「またボディーランゲージで会話をしていますね」
モバP「あ、ちひろさん。これはですね、手話です」
モバP「タフなウイルスが流行っていますから、声を出さないで意思疎通をすることも役に立つはずと思って」
ちひろ「手話にしてはオーバーアクションですね。他の人が見て理解できるでしょうか」
モバP「これは主に雪美にだけ通じる暗号手話です。鹿児島弁のようなものですね」
ちひろ「日常会話を暗号化するってどんな監視社会に備えているんですかねえ」
モバP「まあテレパシーでも会話できる我々なんですが、雪美の言わばちょっとしたダンスを見られるのが眼福で」
雪美「……」(゜-゜ 三 ゜-゜)ヒュンヒュン
-
678
モバP「本日はアイドルたちの匿名での要望や質問を読み上げたいと思う」
雪美「……箱に……いっぱい」
モバP「目安箱というやつだな。早速行ってみよう」
ガサガサ
モバP「ん……まずは一人目」
『プロデューサーはお腹の中に金魚を飼ってるって本当?』
雪美「……私も……気になってた……」
モバP「どこでそんな奇抜で突拍子もない噂が発生したのか知らないが、飼ってません」
モバP「俺は天才えりちゃんではないし、胃袋がガラスの金魚鉢で出来ているわけでもないし」
雪美「……」ジーッ
モバP「何で疑うのかな? 普通あり得ないからね?」
雪美「……次」ガサガサ
『プロデューサー、たまには敬語で話してほしいかな』
モバP「敬語……ですか」
-
雪美「……たまに……年下でも……敬語に……なる……」
モバP「何だろう。寡黙で無表情で、時々『笑顔です』なんて言ってくる感じをご所望ですかね」
雪美「……どこかに……いそう……」
モバP「でもそんな大人しめだと雪美さんと相性は良さそうだな。普段は放送事故くらい言葉のやり取りが途絶えそうな気もするが」
モバP「まあ、今度抜き打ちでやってみるので俺より年下のアイドルたちは楽しみにしておいてください」
雪美「年上は……いつも通り……? ……次」ガサガサ
モバP「こちらは雪美さん宛てですね」
『佐城さんのウーバーイーツが見たいわ』
雪美「……ウーバー……?」
モバP「デリバリー代行サービスだな。やりたい時にやりたい人がやる、という自由な仕事のようだ」
モバP「この場合、雪美さんにお届け物を持ってきてほしいということだろう。働く雪美さんシリーズはファンが多いからな」
雪美「……私で良ければ……やる……」
モバP「ウーバーじゃないが敷地内配達とかなら良いか? でも何かそのまま寮の部屋に連れ込まれたりしないか不安だな」
雪美「……それも……サービスの……うち……?」
ちひろ「配達員指定でオプション行使とか高くつきますよ〜」
-
679
モバP「ツイストキャンディーって美味しそうですよね」
ちひろ「クリスマスに見かける赤白ストライプの、キャンディーケインでしたっけ? あんな感じの?」
モバP「あれも良いんですが、もっとねじってある――」
ちひろ「ああ、イメージビデオで女の子がよく舐めている例のアメ」
モバP「何か言いました?」
ちひろ「いえ別に」
ちひろ「しかし渦巻いた大きなロリポップキャンディーとか特にそうですが、食べきるのに一苦労だろうなって」
モバP「一度食べてみたいんですが、大食いチャレンジと同じで一度やったらもういいわってなるんでしょうかね?」
ちひろ「舐める度に味が変わる粋な計らいでもあれば良いんでしょうけど」
雪美「……♪」モゴモゴ
モバP「雪美さんの舐めてるチュッパチャプスのいちご味くらいがちょうど良いんですかね」
ちひろ「あれでも溶けきるまで2、30分くらいかかるそうですし不二家のポップキャンディくらいが手頃でしょう」
モバP「あれだけ薄いと最後の方は噛み砕いてしまいますね。せっかちじゃないつもりですが」
杏「勿体無いなあ。飴はゆっくり舐めないとね」
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680
雪美「P……来て……」
モバP「その短いセリフだけですごく官能的に聞こえるのが雪美さんクオリティ」
雪美「今日は……これ……」
モバP「……これは……ポッキーじゃな?」
雪美「……そう……。ポッキーゲーム……しよう……」
モバP「ポッキーゲームか……」
┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ←これを一本だけ動かして野菜を作りなさい
モバP「みたいなことをやるのか」
雪美「……それは……ポッキーじゃなくて……マッチ棒……」
モバP「いや、冗談だよ。分かってる。本当のポッキーゲームは……ポッキーゲームは……」
雪美「……キス」
モバP「まずどちらがチョコレート側を咥えるのかが問題だ」
ちひろ「食い意地か」
ちひろ「というか、やるなら寸止めまでにしてくださいね? でないとアウトですよ?」
-
雪美「……どうする……?」
モバP「……ポッキーじゃなくてフランにすればキスまで行ってもセーフかな?」
ちひろ「フランでもプリッツでもトッポでもダメです」
雪美「……」
パクッ
雪美「……」ンー
モバP「……」
パクッ
ちひろ「……」ジッ
サクサクサク サクッ
モバP「…………」ジーッ
雪美「………………」ジーッ
ちひろ「途中で止まって真顔で見つめ合ってる……折れるのか? 折れるのか?」
ポキッ
モバP「ズキュウウウン」 ソコ、ツケタサナイ
-
681
モバP「今日は俺、上手く笑えただろうか。好きなあの人と上手く話せただろうか――なあ千夜」
千夜「私は杏さんのように聞き上手ではありません。その手の人生相談には応じかねます」
モバP「杏を聞き上手と評するとは千夜もなかなか分かってきたな」
モバP「ちなみに好きな人とは大体ご想像の通りです」
千夜「油断ならない環境だと理解が進んでいるところです。それとその追加情報は不要です」
モバP「で、本来逆の立場であろうことは承知で聞くんだが、最近の俺はどこか変だと思ったりとか、ない?」
千夜「私はお前の都合のいい話し相手ではない……ですが、まあいいでしょう」
千夜「そうですね、ないです。お前の品と屈託のない笑いは良くも悪くも変わりなし」
千夜「時刻を合わせずに動かしている時計のようなものです」
モバP「なら良かった。俺が俺のままであるなら多分上手く笑えているし、よし、楽しく話せたな、なはずだ」
千夜「しかしそんな時計……誰かに迷惑をかける前に止めておいた方が良いのでしょうか」スチャッ
モバP「まあまあ。しかし一定であれば良いが、狂いが進行して行っている場合はちと問題なんだよな」コキッ
千夜「あっ、首が」
雪美「Pは……割とアンティーク……」
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682
テレレテッテレ テレレテッテレ テレレテッテレ テッ テン!
ちひろ「何ですかこのこれから詐欺師がギャングをハメる仕込みでもするかのようなBGMは」
モバP「ジ・エンターテイナーですね」
モバP「最近は何も良い企画アイデアが思いつかないので、気分だけでも軽快に」
ちひろ「枯れましたか」
モバP「ストレートに枯れた言われるとズシンと来るので」
雪美「……この曲……ペロが……好き……みたい……」
ペロ「んにゃあ」
モバP「リズムが良くてシンプルな曲だからな。ねこふんじまったみたいに」
ちひろ「GTAのミッション失敗みたいに言わないでください」
雪美「P……早くお仕事……片づけて……The Sting……見よう」 ニャア
ちひろ「雪美ちゃんの興味がどんどん歳相応からかけ離れた方向に行ってますけど、諸悪の根源さん?」 ハイ
ちひろ「あなたは雪美ちゃんを一体どんなティーンに育て上げようとしているんですか?」
モバP「うーん……芯がしっかりした女の子、ですかね……?」 アナタモシッカリシマショウ
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今日はここまで
しとやかサワデー
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683
モバP「クラスに転校生がやって来るというのはよくある話」
雪美「……うん」
モバP「それで早速授業を受けるんだが、体育で使う学校指定の体操服がまだ届いていない」
モバP「そんな時、普通はどうします?」
礼子「前の学校で使っていた体操服でとりあえず出るわね」
モバP「そう。なので周りはクォーターパンツなのに一人だけブルマを履いている――そんなシチュエーション、経験ありませんか?」
志乃「……あるある」
菜々「ありましたねえ!」
ちひろ「えぇ……」
雪美「……つい……見つめて……しまいそう……」
モバP「当人には悪いが男子なんて意識しないはずがないわな」
ちひろ「プロデューサーさん絶対三十代でしょう? 年齢詐称はいけませんよ」
モバP「でも結構強力なアクセントだと思います。例えば2Pカラーのピンク雪美を体操服で選択するとブルマになったり」
ちひろ「袴田ひなたかな?」
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684
モバP「七夕も過ぎたが梅雨はまだ明けず、大雨だ」
雪美「……」ドンヨリ
モバP「雨じゃなくて飴が降れば良いのに、と一度は思う少年時代」 イタソウ……
モバP「だが雨はいつかは止み、空に虹がかかる」
モバP「或いは静寂の中でカエルが鳴き始める」
グワグワグワグワグワグワグワグワ
雪美「……!」
雪美「アマガエル……?」
モバP「だな。雨が止んで静まり返ったところを見計らうように合唱を始める」
モバP「ちょっとうるさいかもしれないが遠くから聞く分には何だか心が落ち着く」
雪美「……そういえば……カエルといえば……梅雨……」
モバP「雨蛙は夏の季語だからな。その割に他の動物より忘れられやすい気がするのは、デフォルメし辛いからかな?」
雪美「よく見ると……かわいいのに……ね」
ちひろ「……この都会の真ん中のどこで鳴いてるんでしょうかね?」
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685
雪美「……大きな……かぶりもの……。これ……何……?」
モバP「これはVRゴーグルだな。ものによっては一人称視点で疑似的に360度、見渡すことができる」
モバP「平面のディスプレイを見るのと違って、まるで実際にその場に立ち会っているかのような体験ができるというわけだ」
雪美「……おお……この前の……お仕事の……」
モバP「そうだ。これで画面の中の雪美さんと触れ合ったり、雪美さんのライブを見たり」
雪美「本物のような……私が……どんどん……増えていく……」
モバP「まあその雪美さんは何かを演じている雪美さんの映像の再生なんですがね」
モバP「素の雪美さんは多分今ここだけに一人しか居ない」
雪美「……」スッ (゜-゜)(゜-゜)(゜-゜)
モバP「三人くらい居たな」
雪美「……晶葉も……作っていた……。サングラスくらい……薄いのを……」
モバP「そっちは何というか、3Dメガネみたいに透けるんだよな。立体感が出る」
モバP「他にもウサちゃんドローンとかいろいろ凄いの作っているからこれくらいではもはや驚かない自分がいるが」
雪美「昨日……室内実験……していた……」
-
モバP「あ、あれは実験か。ドローンの編隊に囲まれた時は生きた心地がしなかったよ」
モバP「それにしても青赤の3Dメガネなら、昔はかっこいいと勘違いしてよく頭に乗せていたなあ」
雪美「……それも……良さそう……だけど……」
雪美「……せっかくだから、はい……着けてみて……」
モバP「え、俺が着けるの? ……こんなものかな」スチャッ
雪美「……ん、かっこいい」
モバP「パワードスーツの頭部っぽくはあるのかな? これで体もアイアンマンなら完璧か」
モバP「っと、映像が始まった。……お、雪美じゃないか。どうした? こっちに来るのか? ほーら来い」
雪美「……分かった……」ポスン
モバP「まるで本物のような重みまで感じるぞ……」ナデナデ
雪美「……♪」
モバP「本当に撫でているかのようだあ……これはまだ開発中のデモ映像だったはずだが技術が高いな」
モバP「ふぅ……これがリリースされたら『うちの雪美が今日も甘えん坊でつらい』みたいな日常会話が各方面で繰り広げられそうだ」カパッ
雪美「……ハロー」 エッユキミ!?
ちひろ「プロデューサーさんレベルだと分かっててやってるのかないのか判断が難しいですね……」
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686
雪美「……P」
モバP「ん? 何だい雪美」
雪美「……好き」
モバP「えっ」
雪美「……?」
モバP「……えっ、えっ? 本当に? 夢じゃなくて?」
ちひろ「あなたは普段どうやって過ごしているんですかね」
モバP「いや、まあ日頃から仲は良いつもりですが、面と向かって好きと言われるまでとは」
ちひろ「鈍感すぎるだろ、常識的に考えて」
雪美「……Pは……?」
モバP「好きに決まっているじゃないか。そう何度も口にはしないが、な」
モバP・雪美「……ふふふ」
ちひろ「何だ、いつもの予定調和なイチャイチャですか。他所でやれ」
モバP「よしんば見せつけているだけだとしたらどうです?」 ヨケイニタチワルイデス
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687
モバP「ふう、やっと家まで着きましたよ」
あかり「プロデューサーさん! おかえりんご!」
モバP・雪美「……」
あかり「おかえりんご?」
モバP「いや、言わねえよ?」
雪美「……続けない方が……良い気が……した……」
あかり「ここはただいマンゴーですよ? 何もおかしくないです」
モバP「まあマンゴーだったり君たちキュウリ、パエリヤ、マンボウだねならセーフか」
七海「悪食にもほどがあるのれすよ」
モバP「今日は七海とあかりが来ていたか。ただいま」
七海「おかえりなさい。お風呂にします? ご飯にします? それとも……」ニコ
雪美「……七海……新妻……みたい……」エプロン……イイ
七海「新妻って言葉が妙に生々しいれす」アリガトウレス
七海「あっ、プロデューサー、少し濡れてるじゃないれすか」
-
モバP「肩幅が広いからな。仕方ないさ」
モバP「雨で傘を差していてもさ、濡れるものは濡れるんだよな」
あかり「それは確かにありますね。無いよりはあった方が全然良いですけどっ」
雪美「Pと……相合傘……してみたい……」
モバP「相合傘かあ……青春っぽくて良いもんだな」
モバP「しかし体格差があるから今日のような斜め降りの雨だと雪美はノーガードになる」
七海「プロデューサーがアイドルと相合傘すると、アイドルにスペースを譲り過ぎてずぶ濡れになりそうれすね〜」
モバP「葉っぱを傘にしているトトロ並に雨ざらしになるだろうな」
モバP「ちゅーことでお風呂、というかシャワーでも浴びようかな」
雪美「……じゃあ……私も……いっしょに……」
あかり「一緒にシャワーを浴びるんですか? 都会の女の子は進んでるな〜」
七海「あまり普通じゃないれすから真に受けてはいけないれすよ?」
あかり「わかったんご! では、手作りりんごジャムを用意して待ってますね!」
モバP「今は高いが、イチゴ・ブルーベリー・マーマレード慣れすると恋しくなる味だな」
雪美「……夕食に……りんごジャム……?」
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688
モバP「比奈はゾンビものは好きかい?」
比奈「特には……。小梅ちゃんにでも影響されたっスか?」
モバP「せやね。昨今のインドアタイムでそういう物に触れる機会を得て」
モバP「パニック系や終末系が多かったが俺は異端でもほのぼの系が好きということが分かった」
比奈「ゾンビとほのぼの、ですか。殺伐ばかりよりは良いかもしれないっスね」
モバP「まあ殺伐が無いと安易な属性付けで終わりそうな危険性は孕んでいるのかな」
比奈「はら……ところでゾンビって孕むんでスか?」
モバP「おや、そっちの方に興味が?」
比奈「はい。プロデューサーはそういうことであまりからかわないので、抵抗なく聞けるっス」
モバP「でも適度にからかってくれることを望む子もいるから難しいんだよな」
モバP「女性経験に精通していればもっと理解できるのだろうか」
比奈「みんなはプロデューサーには処女性を求めていると思うんで、そこは無しで」
モバP「俺は女かい」
モバP「それと、ゾンビって多分基本的には無代謝だと思うから、孕めないんじゃないんかなあ」
-
比奈「ある意味でより完全な生命体と言えるんでスかね?」
モバP「生物的に不老不死に近ければ生殖機能は無くても良いようになるだろうし、そうかもな」
モバP「ヒトって不完全でそれを自覚しているから、半人半モンスターのような強くて便利で長寿そうな属性に憧れを抱くような面はあると思うんだわ」
比奈「……人の姿をした神様とかも?」
モバP「ああ。ちなみに俺は多脚のアルケニーになってみたい願望があります」 ソレハキモイッス エッ
比奈「……でも確かに、プロデューサーもみんなが真っ直ぐ成長できるように、悪い道に落ちないためになら何でもしまスから」
モバP「何でもはしないが」
比奈「そんな超人性にみんな惹かれてるとは思うっス。そしてみんなを超人化させていくから、ゾンビの親玉みたいっスね」
モバP「俺は女でゾンビかい」
比奈「それでも私は良いっスよ? 腐りかけは困るので肌が青いくらいの理性的なゾンビさんで」
モバP「滅茶苦茶言いおる。俺がゾンビなら買い物に付き添って食玩とか食べてやらないぞ?」
比奈「あんなに嬉しそうに消費してくれるのに」
モバP「カードやシール入りのウエハースなんて美味しいんだからな。あまりたくさんは食べられないが」
比奈「……仮に代謝が無くても美味しいから食べるって発想はヒトっぽいっスね」 ヒトダヨ!
雪美「……P……属性……てんこ盛り……」
-
689
モバP「中華のデザートはマンゴープリンと杏仁豆腐どちらにするか迷う人手を挙げて」
雪美「……」ノ
ちひろ「私は胡麻団子ですかね。お茶に合いますから」
モバP「ちひろさんはもっと意外に大学芋とか好きそうなイメージでした」
ちひろ「私に偏見持ってませんよね?」
モバP「いえ? 最近密かに流行りじゃないですか。大学芋もしくは抜絲地瓜」
ちひろ「まあそうですけど。それで、マンゴープリンと杏仁豆腐なら、杏仁豆腐です」
雪美「不思議な味……癖になる……。よく乗ってる……赤い実……含めて……」
モバP「クコの実か。あれも和洋食では馴染みが薄くて中華の珍しみがあるよな」
モバP「あたしゃ最初は味はともかく長靴いっぱい食べたいようなナッツ系かと思ってたよ」
ちひろ「プロデューサーよ、それはチコの実である」
雪美「……流砂に……落ちた先で……食べたい……実だね……」
ちひろ「ともかく、黄色いのか白いのか、迷うならどちらも食べれば良いだけです」
モバP「ちひろさんは中華は結構食べますからね。この前も炒飯追加とかしていたら会計が予想以上に高く――」 コラ
-
690
モバP「遊佐こずえに着せてはいけない服シリーズー」
こずえ「えー……?」
ちひろ「こずえちゃんでやるんですか」
ちひろ「いけないと口で言いつつその実はやっぱり着せてみたいんでしょう?」
モバP「……えーと、今回はですね」
雪美「目が泳いでる……?」
ちひろ「誤魔化し下手だなあ」
モバP「美少女戦士セーラームーンRのあやかしの四姉妹、ベルチェです」つ画像
こずえ「……せくしーだねー……。こずえも、これをきせてもらえるのー?」
ちひろ「着せてはいけないんですけどね。コスプレ的にはこずえちゃんが大人になったら似合うかもしれません」
モバP「セラムンは悪役幹部が個性的で憎めなくて良いですよね。格好はレオタードやスケバンの時代背景を感じますが」
雪美「……ペンデュラム……武器なのは……かっこいい」
こずえ「――ふりこ(ぺんでゅらむ)もなしで……だうじんぐをするなんて……じゃどうだわ」キリッ
ちひろ「やだ精悍……ちなみに私はアマゾネスカルテットのジュンジュンが好きです」 ミドリ……
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今日はここまで
一体どこまで
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691
ザザーン
モバP「海だなあ」
雪美「……うん」
モバP「撮影の合間にやってきたが、風が強い」
モバP「日本海側の海は波が荒くて砂浜があっても離岸流で遊泳禁止だったり、泳ぐのに適した所が少ないイメージだが」
雪美「……砂浜を……歩くだけなら……良い……」
モバP「……ん? 何かが漂着しているようだ」
雪美「……ビン……?」
モバP「栓がしてあって中に……ボトルシップではないが巻いた紙が入っているようだな。大陸から海流に乗って冒険してきたのだろうか」
雪美「誰かがここに……置いたのかも……」
モバP「可能性としてはそれもあるが、一瞬でもこれは宝の地図だとか期待してみたいじゃない?」
モバP「……見せてもらいますよっと。……何々、『海の向こうの誰かへ。お友達になりませんか?』か」
雪美「……日本語……だね……」
モバP「……これも一つの海の向こうではあるさ。湾曲した向こう側だが」
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692
モバP「今日のお仕事、よく頑張ったな。偉いぞ」
雪美「……えらいの……?」
モバP「……偉いさ。連続すると感覚が麻痺してきがちだが」ナデナデ
雪美「……♪」ナデラレナデラレ
モバP「アイドルになる前だったら考えられないくらい毎日頑張っているんだ。偉くないはずがない」
雪美「……じゃあ……Pも……」
モバP「俺も良いの?」
雪美「うん……。……よく……頑張りました……」ナデナデ
モバP「……良いな。凄く良いと思う」ナデラレナデラレ
雪美「……ほめられると……元気になる……ね」
モバP「ああ。親元を離れてみるとよく分かるようになった。家族愛に飢えてくるというか」
雪美「……今は……大丈夫……?」
モバP「ああ。雪美さんがいるからな。そしてみんなも」
ちひろ「でもさすがに撫で合いは馴れ合いだと思うんですけど」
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693
モバP「んんっ……あぁっ……! ……あはぁー……」
ちひろ「おやおや、デスクワークが一段落して背伸びですか。よくある光景ですね」
モバP「すいません、こんな色気もない男がセクシーポーズみたいにやっちゃって」
まゆ「……いい」●REC
ちひろ「好きな人はいるようなので良いんじゃないですか?」
モバP「同じ体勢のままだと体が硬くなりますから、柔軟にしないと」
雪美「……体操でも……する……?」
モバP「雪美が体操のお姉さんか……紳士になれそうだ」
ちひろ「真摯にはなるべきですね」
モバP「運動会で児童代表の子が朝礼台に立って、ラジオ体操の模範役を務めるの、良いと思います」
雪美「……あれは……やってみたい……」
モバP「経験として一度は志願してやってみるべきなんだろうな」
モバP「俺は結局そんなのや選手宣誓やスターターピストルを撃つ役なんかはやらずじまいで来て、やや心残りがあるから」
まゆ「よーいドンでピストルを撃つのは、慣れていないと自分がびっくりしそうですね」
-
モバP「空に向けた銃でも怖いんだ。いくら覚悟しても俺はペルソナを出すのは無理だろうな」
ちひろ「プロデューサーさんは運が悪ければこめかみを撃ち抜くようなロシアンルーレットの勝負も切り抜けて来た男でしょう?」
モバP「そんな命を軽んじる綱渡りスカウトや営業はしていませんよ。もしそういうことを迫られたら惨めに泣くと思います」
まゆ「惨めに泣くプロデューサーさん……見てみたい好奇心に負けそうなまゆがいます」
雪美「その後……Pを助けて……よしよしして……ずっとそばにいて……安心させる……」
モバP「無事依存まっしぐらじゃないか。怖い怖い」
モバP「それはそうと、月火水木金が平日で土日が休みという日常感覚がもう懐かしい」
ちひろ「今は月月火水木金金みたいなものですからね」
モバP「戦時中ですか。まあ残業が月300時間とか行かないだけ良いですね」
ちひろ「無休で毎日10時間残業とか人ってそんなにしなきゃいけないことがありますかっていう」
モバP「……休日の終わりを告げるサザエさんで憂鬱になる症候群が何てことなく見えます」
ちひろ「プロデューサーさんは一週間で一番精神的にきついと思うのは何曜日です? やっぱり水・木ですか?」
モバP「週の真ん中は中弛みしますね。ただ業界的には週末が詰めですから金曜、いや土曜が一番……」
ちひろ「山場ですね。月曜から一日一日と週末に進むたびに追い詰められるような焦りが強くなって……」
まゆ「……まゆが家に監禁しましょうか?」 イイッスネ ヨクナイ
-
694
モバP「独り暮らしだとよくあること」
モバP「サラダボウルでご飯を食べる」
ちひろ「丼と間違って買って来たんですかね?」
モバP「ちょうど良いサイズなもので。普通のお茶碗もあるんですがこれ一杯ではなかなか満足できず」テヘ
ちひろ「食べ過ぎないように敢えて小さめの器で細かく食べる意識付けが必要な気がしますね」
モバP「……それだと結局後でエネルギーが持たないんですよね」
ちひろ「そんなに肉体的に過酷な重労働していますかねえ?」
モバP「あと、前日のシチューの残りをご飯にかけてチーズを乗せて温めてグラタンにする」
ちひろ「独り暮らしなのにシチューを作り置きするんですか。というかオンライスしますか」
モバP「しっかり野菜を取るためです。オンライス良いじゃないですか。カレーだってライスでしょう?」
ちひろ「ご飯の甘さにシチューの甘さが乗って結構ウッとなりませんか?」
モバP「……いいえ? ガツガツいけますよ」
ちひろ「プロデューサーさんは未だに食べ盛りのようですね」
モバP「食べることが日々の楽しみでもありますからね」
-
ちひろ「……いつか太りそう。みくちゃんにしっかり言っておかないと」
モバP「みくに管理栄養士的な役割を任せるのはどうなんですか」
雪美「……私は……肉じゃが……好き……」
モバP「雪美さんだ。肉じゃが良いよな、和風シチュー。あれもごはんにかけても美味しい」
ちひろ「雪美ちゃんが小食だとはいえ、プロデューサーさんと結構一緒になって食べるんですから気を付けてくださいね」
モバP「まあアイドルがよく立ち寄るようになってかなりまともになりましたから……」
雪美「……」コクコク
ちひろ「みくちゃん以外からも結構管理されている節はありますね」
モバP「でも楓さんや早苗さんが来ると代わりにお酒が入ったりするので緩いものですよ。ああ、でも久しぶりにグラタンが食べたい気分」
雪美「……グラタンと……ドリア……違いが……よく分からない……」
モバP「ドリアは下がライス、グラタンは下はマカロニ。まあマカロニじゃなくても良いようだが分かりやすく言うとそうなるな」
雪美「……なるほど……。ライス……マカロニ……おいしさでは……甲乙……つけがたい……」
モバP「雪美はお好み焼きも関西風と焼きそばの入った広島モダン風、どちらも好きだよな」
雪美「……この前……いっしょに食べたのは……ソースが濃かった……ね」 ソウスカ?
ちひろ「淡味が分かる雪美ちゃんはなかなか舌が成熟していますよね」 ……テレル
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695
ちひろ「今朝は途中で直帰していましたけど、何かあったんですか?」
モバP「着替えと荷物を置く目的で。それと、新田くんに頼まれてお弁当作りを」
ちひろ「ライブ感のあるスケジュールですねえ。しかし何故弁当」
モバP「以前作ってあげたおにぎりがとても気に入ったらしく、他に作れる人がいないからと」
ちひろ「作れる人がいない……?」
モバP「ある日、家に二人でいる時に、お腹が空いたのでおにぎりを作って食べようということになったんですが」
モバP「ちょっと悪ふざけのつもりでいつもよりぎゅっと固く握ったんですよ。それがツボにはまったというかウケたようで」
ちひろ「圧縮おにぎりってやつですか。プロデューサーさんは握力が強いですから質量がありそう」
雪美「……P……私には……それ……、食べさせて……くれたこと……ない……」
モバP「そりゃあ、普通に軽めに握ったおにぎりの方が美味しいからな? ただ新田くんはそれが好きだとさ」
雪美「……」ジーッ
モバP「大した代物じゃないが、そう催促するなら今度作るよ」
雪美「……うん……」キラキラ
ちひろ「プロデューサーさん家の炊飯器は良いやつなんでそっちは羨ましいんですけどねえ」
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696
モバP「当たり付きお菓子やアイスにもいろいろありますが、ホームランバーはなかなかいやらしいですよね」
ちひろ「そうですか?」
モバP「漏れなく賞品が貰えるホームランはまず出ないものとして、抽選は4塁打分集まったら1口なんですが」
モバP「なかなかピタリ4の倍数で止まらず残塁が出てしまって応募を出せません」
雪美「ヒットは……結構……出やすい……」
ちひろ「チョコボールは銀のエンゼルですらそう当たらないですからね」
モバP「当たったら五枚揃うまで買いまくると思います。とにかく応募券とかが余るのが勿体無いんです」
ちひろ「そういう意味のいやらしさですか……庶民的ですね」
モバP「この心境を見透かされて次を次をと買わされる……メイトーの策略にまんまと乗せられている気がします。悔しい(ガチャガチャ)」
ちひろ「んな大袈裟な。どさくさ紛れにガチャを回してくれるのは良いんですけどね」
ライラ「でも、ホームランバー、小さくて食べやすいのですね」
雪美「……銀紙に……包まれていると……よりおいしく感じる……不思議……」
モバP「家に来るアイドルたちは、そんな俺を見て協力したいみたいで、よくホームランバーを食べています」
ちひろ「もうビッグイニングになってそうですね」
-
ライラ「みんなでたくさんたくさん集めて、Tシャツを当てますのですよー」
モバP「気づけばアイドルたちの方が盛り上がっているようです」
ちひろ「Tシャツなんて買えば良い気もしますけど」
モバP「これは最初の一塁打を引いてしまった時から始まった因縁……当てられるもんなら当ててみやがれ、という挑戦状みたいなものですから受けて立たねば武士の名折れ」
雪美「……ただし……一人で戦うとは……言ってない……。私が……いる……」
ライラ「ライラさんもー」
ちひろ「芸能事務所の人から大口の応募が来たら担当者困りそう……大人組も参加していたりします?」
モバP「しますね。ペアルック狙いの人もいれば、単純に面白そうだからって人もいます」
モバP「中途半端な数が当たった場合、誰が着るか公開じゃんけん大会で決めることになるかもです」
ちひろ「もはやそういう企画かな」
モバP「そんな当たり棒が台所の一スペースに並べてあるんですが、あれはリーチ棒を連想させますね」
ちひろ「麻雀かい」
モバP「最近は早苗さんとかと麻雀を少しやってみているんですが、絶好調なんですよ」
モバP「信じてもらえないかもしれませんが、脳内に雪美さんが現れて和了への手順が見えるようになるんです」
ちひろ「枕神怜ちゃんかな? いつもの膝乗せはそういうフラグか……」
-
697
モバP「PCを使っているとたまに思わぬ広告が表示されたりする。こんなのとか」
雪美「……冷凍……ビーツ……?」
モバP「ターゲティング広告なのだろうが、俺はビーツに関して検索したり購入しようとしたりした覚えがない」
モバP「イチゴとかなら分かるが……それでビーツってのも最初は冷凍イチゴ関連なのかと思ってたらそれが違って」
雪美「……ビーツって……何……?」
モバP「果物のように見えなくもないが野菜です」
雪美「……野菜……。見た目は……カブや……ラディッシュ……」
モバP「食感も蕪に近いらしいが、ほうれん草や甜菜の仲間だそうな。何でも甘くて、食べる輸血と言われるくらい栄養も充分」
雪美「……野菜なのに……甘くて……カブなのに……ほうれん草……色は……赤紫……???」
モバP「雪美さんが混乱している貴重な姿が……しかし本当に、これは何に伴って出てきた広告だろう?」
ちひろ「あ、プロデューサーさん。業務、ではない連絡ですけどね」
ちひろ「アーニャちゃんが『今度ボルシチ食べませんか』と言ってましたよ? 良い食材が手に入ったそうで」
モバP「ボルシチですか。……アーニャかなあ? 確かにこの前PCを貸してあげたっけ」
雪美「борщ……、……хорошо」キラキラ タベタイミタイデスネ
-
今日はここまで
魚肉キャラメル
-
698
モバP「何事もいつまでと期限が設定された方が覚悟が決まることってありますよね」
ちひろ「それはそうですね」
モバP「例えば346日後に死ぬとか」
ちひろ「長丁場すぎて緊張感が無いです」
モバP「やっぱり100日が長すぎず短すぎずちょうど良いんですかね」
ちひろ「ワニにでもなるおつもりですか」
モバP「ワニと言えば、アリゲーターとクロコダイルの違いって顔の形らしいですね」
モバP「某ワニはそれでいくと先が丸いのでアリゲーターなんでしょうか。言及されているのか知りませんが」
ちひろ「知らんのかい」
雪美「……P……この……カウントダウン……日めくりは……何……?」
モバP「それか。実は何をするか決めずにめくりながら考えているんだ」
雪美「……本当?」
モバP「ああ。別にそれが0になったら試験があるとか、プロデューサーを退職するとかそういうことはない」
雪美「……思わせぶりが……好きな人……ね」
-
699
雪美「……」テクテク
モバP「雪美様がゆく」
雪美「……」テクテク
モバP「その姿、実に泰然自若なり」
雪美「……」ピタッ
モバP「おや、壁だ」
雪美「……」
モバP「目の前に立ちはだかる壁をじっと観察する雪美様」
雪美「……」テクテク
モバP「?」
トプン
モバP「……」
モバP「9と3/4番線かウォーターランドか――臆することなく壁に吸い込まれていった」
晶葉「それは液体型ドアだ」 アキハッテスゴイヨナ イマゴロキヅイタカ
-
700
娘「……パパ……おはよう」
モバP「おはよう。今朝も早いな」
娘「ラジオ体操……行ってくる……」
モバP「夏休みの定番だな。ほい、気を付けてな」
娘「ん……」
パタパタ キィ パタン
雪美「……まだ涼しい……この時間だから……良い……」
モバP「夏場は日が昇ると朝でももう暑いからな」
雪美「……私……相変わらず……暑いのは……苦手……」
モバP「暑くなる前に我々二人も家で軽く体操でもします?」
雪美「…………///」
モバP「体操とまでしか言ってないが……雪美さんは意外とむっつりなところあるよね」
雪美「……むっつりじゃ……ない……///」プンスカ
モバP「だがそんな雪美さんだから良いんだ」ナデナデ
-
雪美「……とにかく……朝食の準備……しよう……?」
モバP「そうだな。パンに卵に牛乳に……そして果物はスモモなんてどうだろう」
雪美「……P……スモモ……プラム……好き……ね」
モバP「ラジオ体操から帰ってきて、ちょうど少し喉が渇いた時に食べるスモモが美味いんだ」
モバP「夏休みのとある一日の始まりを感じられてとても良い。それにこの――」
シャンシャンシャンシャンシャンシャンシャンシャン
モバP「クマゼミの鳴き声、これもまた夏の朝を感じさせてくれる」
雪美「……今年も……何度でも、思い出せる……いろんな経験を……しよう……」
雪美「家族三人で……ね」
モバP「ああ。……ん、東日が眩しい」
――
モバP「そんな未来の夢を見せて惑わしてくる妖怪がいたら自分は魂を渡してしまうかもしれません」
ちひろ「ぬ〜べ〜のチャブクロみたいですね。あれは過去改変を誘ってきますけど」
雪美「P……知らない妖怪に……ついて行っちゃ……ダメ……」 ワカッタヨ
ちひろ「まあ、あなたの魂は売約済みですから妖怪風情に手を出させはしませんけどね」 エッ
-
701
モバP「事務所のロビースペースにはテレビが置いてある」
モバP「来客が来た時は、ここのソファで待ち時間の間にテレビを見ていてもらったり」
ちひろ「或いは誰も来ない時はアイドルが使ったり、プロデューサーさんとアイドルがイチャついたり」
雪美「……」チョコン
モバP「温泉とか銀行でよくある、シックな空間で居心地が良いですよね。テレビは大体NHKとか流していたりして」
ちひろ「温泉とか銀行でもそうやって雪美ちゃんを膝に乗せてみたりしていませんよね?」
モバP「こんなことを公然とやるとお思いですか?」
ちひろ「はい」
モバP「そんなぁ」
雪美「……Pは……こういう所のテレビが……目に留まる……?」
モバP「そうだね。特に高校野球中継や大相撲中継とかをやっているとまったりと見入ってしまいがち」
モバP「……相撲といえば、雪美の好きな力士は確か宝富士だったな。刃牙みたいな足の筋肉が良いとかで」
雪美「……刃牙は……言い過ぎ……。でも……良いと……思う」
ちひろ「お二人は普段、周囲の人と話が合うんでしょうか」
-
702
モバP(ん……?)
モバP(体に違和感。そして世界が大きく見える)
モバP(俺はまた、猫になってしまったのだろうか)
ペロ(……P)
モバP(ペロ)
モバP(……君とこうして話をするのは初めてかもしれないな)
ペロ(……そうだね)
モバP(おお、まさか本当に意思疎通ができるようになるとは。念願叶えり)
ペロ(ぼくもだよ)
モバP(意外とボーイッシュな口調だったんだな)
ペロ(口調という定まった形はないんだ。Pが思い描いたぼくの声で伝わっているだけ)
モバP「ニャー」
ペロ「ンギャア」
モバP(何となく分かったこととする)
-
モバP(しかし、猫の知り合いがいると心強いな。このまま街へ繰り出そうか)
ペロ(……浮かれているようだけど、気を付けた方が良いよ)
ペロ(Pが猫に変身するたびに、尻尾の数が増えている)
モバP(えっ? 本当?)
ペロ(それが9本まで増えると……二度と猫にはなれなくなるんだ)
モバP(何ですと!? 俺ってグリマルキンの魔女だったのか?)
ペロ(……なんてね。冗談だよ。怒ったかい?)
モバP(何だ冗談か、びっくりしたじゃないか。むきー! だよ)
ペロ(ふふふ、Pは猫になっても相変わらずだ)
ペロ(ごめんね。……街へ、か。天気が良くないのが難点だね)
ペロ(ねえ、P。来年さ、“ヴァルプルギスの夜”にいっしょに行こうよ)
モバP(5月1日のヨーロッパの魔女の集いじゃないか。どうやって行くのさ)
ペロ(どうって、それは飛ぶに決まってるでしょ?)
モバP(飛ぶって猫特有のゲート的な? ……行きたいが俺も人として忙しい身だしどうかなあ)
雪美「……」ウットリ ←ペロと猫Pのツーショットを幸せそうに見つめている
-
703
雪美「……」モミモミ
モバP「……」
雪美「……」モミモミ モミモミ モミモミ
モバP「……」
雪美「……何も……感じない……?」
モバP「……いや、雪美さんの手で俺の太ももを揉まれて何かを感じてしまうのはまずいと思って心を無にして後でじっくり悶えますが」
ちひろ「何周りを巻き込んだ苦行チャレンジやってるんですか」
雪美「……P……競輪の……選手のような……足、じゃない……」
モバP「ああ、あれは一度触ってみたいと思うことはあるよな」
モバP「俺も下半身を相当トレーニングすればなれるかもしれないが、このスーツが入らなくなるのはな」
モバP「それとやっぱりスキニージーンズとかも穿きたいし」
雪美「……じゃあ……これでも……良い……」スリスリ
モバP「うっ。腹に力を入れておかないと、スーツの上だから良いが下着の時とかにやられたら俺は純潔を失いそうだ」
ちひろ「もう既に充分不純の領域に入ってませんかね」
-
704
モバP「……チョコボールのピーチ味、結構美味いっすね」
雪美「……モモの……味……」
モバP「それからパチパチキャンディのような口の中で弾ける感じが懐かしい。最近食べていなかった」
雪美「……あっ……もう、空……」
モバP「普段はこのまま捨ててしまうところだが、今日は少し展開してみようか」
雪美「展開……?」
モバP「雪美は学校の授業で、厚紙でサイコロを作ったことはないか? 立方体、正六面体ともいうが」
雪美「……ある」
モバP「お菓子の箱も糊代の部分を剥がしていくと、元は平べったい紙なんだよな」
雪美「……本当……でも……複雑な……構造……」
モバP「これを展開図として、真似して厚紙を切って折り目を付けて折って貼り合わせると、自作チョコボール箱もできる」
雪美「……くちばしの……部分は……こんな風に……出来ていたの……ね」
モバP「発見があるだろ? もし空間認識に苦手意識を持っているのなら、こういう身近なもので馴染んでおくと多少は良いのかもしれないな」
ちひろ「箱の内側から桃の匂いがしそう」
-
705
ガラガラ
雪美「……♪」
モバP「雪美は猫車に乗せても結構収まりが良いよな」
雪美「……猫車……?」
モバP「こういう手押し運搬台車をそう呼ぶらしいな」
雪美「……じゃあ……猫気分だ……にゃー」
モバP「俺が少年で雪美が妹だったら、こんな風に雪美と猫でも乗せたまま田舎道をくたびれるまですっ飛ばしていくことだろう」
モバP「……少々悪ガキの発想かもしれないがな」
雪美「……押す人力車も……あれば良いのに……ね」
モバP「大人用の乳母車なんて無いからな。雪美を大五郎にして子連れ狼をやるのは難しい」
雪美「……マシンガン……付きそう」
モバP「世の中には手押しキャリーワゴンとかあるにはあるが、何か悔しい気がするのでもう一周するぞ」
雪美「次は……もう少し……速く……」 ヨシキタ!
ちひろ「サービス精神がお父さん並ですよね」
-
今日はここまで
やっとここまで来たというのに
-
乙
液体型ドアとかいう謎技術がサラッと出てきたけど晶葉なら仕方ないな
-
706
モバP「口に巻物とか竹とか咥えている系女子って今流行りですよね」
ちひろ「竈門禰豆子ですか。あれは咥えているというか噛ませているんですけども」
雪美「……無口な……女の子……いい……」
モバP「雪美さんは気になりますか?」
雪美「……」コク
モバP「……俺もしばらく無口路線で行こうかな」
ちひろ「この期に及んでミラーリング効果でも期待しているんですか?」
ちひろ「それにしても、雪美ちゃんは撮影で忍者の格好で巻物を咥えてみるポーズはやってましたよね」
雪美「……口が……疲れた……」
モバP「歯の治療で歯医者に行った時に口を開けた状態で固定されるから辛いのに近いものがあるな」
モバP「あれは雪美が頑張っただけあって動画が凄い再生回数になっていた」
ちひろ「普段の雪美ちゃんは口を開けているカット自体が多くないですから、それ見たさもあるんでしょうかね」
雪美「……Pには……よく見せるのに……ね。開けた口……」アー
モバP「自然に口の開いた雪美さんも美味そうやなホンマ」 ソノクチヲトジロ
-
707
雪美「……」ジーッ
モバP「本棚の高い所をじっと見上げる雪美さん」
雪美「……」ジーッ
モバP「……こんな時、取ってほしいと言われたい、頼られたいんだよなあ」チラッ
雪美「……」フイッ スタスタ
モバP「あれ、どこかに行ってしまった」
雪美「……」スタスタ
モバP「と思ったら帰って来た」
雪美「……」(つ゜-゜)つ□ トンッ
モバP「足場になる踏み台を置いて……乗った」
雪美「……ん」
モバP「一生懸命に手を伸ばす雪美……がんばれもう少し」
雪美「ん……! ……取れた……。……ほら……P……」キラキラ
モバP「頼ってほしい反面、自分で何とかしようとするのを見守るのも良いな(親心)」
-
708
ニャー
みく「あっ、可愛いねこチャン!」
みく「ペロチャンとは違う子かにゃ? どうして事務所内に? ……そういえば」
芳乃『最近はP殿が猫化する体質になっているのでしてー』
みく「なんてことを言っていたけど……君はPチャン?」
ニャー?
みく「ふふ、そんなことないよね」
雪美「……あ……黒猫メンバーズ……おつかれ、にゃー」 ニャー
みく「ヤマト運輸かにゃ? でもペロチャンの黒猫の友達は多いみたいだね」
雪美「……うん」
みく「良いにゃあ……」
スリスリ
みく「ふふ、結構人懐こいんだね。よしよし」ナデナデ
雪美「……気持ちいい……みたい」
-
みく「抱っこしてみても良い?」
雪美「……大丈夫」
みく「おいでー。よし、そのままにゃ……にゃふふ」
雪美「……みく……良い笑顔……」
みく「照れるにゃ。……それにしても君は大人しいにゃあ」
雪美「照れているだけ……かも……?」
みく「君は照れなくて良いにゃ」ギュッ
雪美「胸が……当たってる……から……」
みく「……? この子、普通のねこチャンだよね?」
雪美「……名前は……ペロと同じ……Pから始まる……普通の……猫……」
みく「……ん?」
ニャー
雪美「……蘭姉ちゃんと……お風呂に入った……コナンの気持ちが……少し、分かった……って、言ってる……」
みく「Pチャンだったー!?」ガビーン
みく「……まあ、嫌じゃないからしばらく抱かせるにゃ」 ヤサシイ……
-
709
雪美「……」グデー
モバP「梅雨が明けて本格的な暑さ到来で雪美の目が死んでいる」
モバP「ビニールプールでも出してみようか」
雪美「……!」ピクッ
――
チャプチャプ
雪美「……♪」
モバP「水分を得て生き返ったように元気な雪美様よ」
雪美「……Pも……入る……?」
モバP「いや、俺はせっかくなので足だけ浸かりつつ撮影をしていますよ」
雪美「……いけず」パシャッ
モバP「あはは、遊ばれて俺の脛が喜んでいる。そして今の雪美の表情で一枚」パシャッ
モバP「アメリカのドラマに出て来るような白い家と緑の芝生と庭の屋外プールはさすがにないが」
モバP「大きめのビニールプールにビーチチェアにサイドテーブル、カクテル風のジュース……ばっちし☆」
-
雪美「……ふぅ」
モバP「そして本日の雪美の水着も素晴らしい。ラップタオルを巻いて着替えて登場したのはこのセーラー水着」
雪美「……ちょっと……大胆……?」
モバP「大胆でも良いじゃない。青と白基調のミニスカートのビキニで布地は少なめ、動きやすそうだ」
モバP「いやあ、ライブで皆さんにお見せ出来ないのが本当に残念です」
雪美「誰にも見せない……なら……P……もっと……寄って」
モバP「……アップで撮ります?」
雪美「カメラも置いて……二人で……濡れて……繋がろう……」グイッ
モバP「あっ、雪美――」
――
モバP「いけない雪美、気分が乗ったからって俺たちは……あああ」ムニャムニャ
雪美「……P……私と……いい夢……見ている……?」
ちひろ「あーあ勿体無いですね。今すごい水着を着た雪美ちゃんが目の前にいるのになあ」
モバP「それは本当ですか!?」ガバッ
雪美「……Pは……自分に素直に……生きてる……ね」 ナンダイツモノユキミサンカ
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710
友紀「くはあぁぁぁーっ! ビールが美味いねいっ♪」
モバP「キャッツが勝ったな(確信)」
友紀「好調だよ! 野球を見られるのがありがたいし強いのがまたありがたい!」
雪美「野球……」
モバP「雪美はあまり野球には詳しくないか」
雪美「ルールは……まだ……曖昧……。バット……三つ折られたら……KO負け……?」
モバP「そんなマリオテニヌエースみたいなルールはないぞ」
モバP「でもそれはそれで面白そうよな。お気に入りの装備を試合に合わせて持ち込んで」
友紀「コルクとか入ってないと良いけどね?」
モバP「それはそうと、ビールサーバーの売り子って諸々20kgくらいを背負って客席を行き来しているんだと思うと凄いよな」
雪美「20kg……ひえぇ……」
モバP「雪美さんから聞き慣れぬ鳴き声が。以前友紀の前で背負った時は俺はそんなでも無かったが」
友紀「球場に注ぎたての冷たいビールは欠かせないものだし、重い仕事だよね」 ダナ
友紀「サーバーからじゃないけどさ、プロデューサーもそんな重みのある一杯、どう?」 マダシゴトチュウナノデ
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711
パンパン! パシン!
雪美「……」
モバP「今度は朝乃山に見入っているのかな?」
雪美「……背中に……気合を入れてる……」
モバP「ああ、花道の奥から送り出す時にな」
雪美「羽が生えた……みたい……」
モバP「雪美はあの手形を羽と形容するか。……羽か……不覚にもかっこいい表現だと思った」
雪美「……」キラキラ
モバP「あれを貰うと引き締まるだろうな。退きそうになったり倒れそうになっても背中を押して支えてくれる気がしそう」
雪美「……」ジーッ
モバP「いや、やらないぞ? ステージに出る前とかにあれで送り出されてみたい気もちっとは分かるが」
モバP「あんな赤く残るくらい強く叩くと痛いし、まず背中の開いた衣装を着なきゃいけないし」
雪美「……でも……想像すると……熱い……」
ちひろ「アイドルは背中を大事にしましょう」
-
712
雪美「……」コロコロ
ちひろ「雪美ちゃんがプロデューサーさんの膝で小さなパンジャンドラムを転がしていますね」
モバP「これはパンジャンドラムではなく砲身を外した砲車――ということにしたマッサージローラーです」
ちひろ「えらく車輪のデカい二輪砲車ですね」
モバP「こういう形の縦プロペラのドローンってないんですかね?」カチャカチャ
ちひろ「力学は分かりませんけど絶対に真っ直ぐ飛ばないと思うんですよ」
ちひろ「ところでPCの方では何をしているんですか」
モバP「これは音声合成ソフトで作った簡易の雪美roidです」
雪美roid『……あ、い、う、え、お……』
ちひろ「雪美ちゃんの声ですね。アクセントが変ですけど」
モバP「雪美のいろんな声を集めれば集めるほど流暢に本人っぽく喋るようになるんですよ」
ちひろ「本人の許可は取ってます? ……そうですか。まあ、今はそういう技術も進歩しましたね」
モバP「はい。それと同時に声の扱いも気を付けないといけませんね。例えばみくにチーにゃポンにゃ言わせたらどうなるか」
ちひろ「言わないと思いますけど?」
-
今日はここまで
ここはまずい早く逃げろ
-
713
モバP「徐に空を見上げると、そこには満月から少し欠けたお月様」
モバP「自然と目に入ってきたその姿に、晴れの日々を実感する」
雪美「……」
モバP「そしてそれをただじっと、切なそうに見つめて見える雪美さんもまた味がある」
雪美「……切なそうに……見える……?」
モバP「遠い故郷を思うような佇まいに見えて……こちらが勝手に想像を膨らましているだけだが」
雪美「……きれいな……オレンジだから……つい……見とれて……」
モバP「昇ったばかりの月は赤く見えることがあるな。うさぎがお餅をついているような模様もしっかり見える」
雪美「……月も……ずっと……こっちを……見てる」
モバP「月が追いかけてくるように感じた経験は誰でもありそうだ。面が同じだから余計に」
モバP「そして、平面的に見える」
雪美「……もっと……近くにあったら……球体に……見えた……?」
モバP「どうだろうな。惑星が月と同じ距離にあったり地球に土星のような環があったら、地球からどう見えるんだろうな」
ちひろ「……そういう系の動画を漁っていたら寝られなくなりそう」
-
714
雪美「……」ボーッ
モバP「……雪美を背後から見ていると思うんですが、ストレートロングの女の子って背中が隠れますよね」
ちひろ「……どうしたんですか? たまにはショートカットの雪美ちゃんが見たいとか?」
モバP「そういう訳じゃないです。雪美は雪美であの後ろ姿で安定感がありますから」
モバP「でも、背中が見える子にはその子なりの良さが出ますねと」
ちひろ「見返りポーズとかありますけど、人の背中をじっと見ることってそんなにないですよね」
モバP「正面の方が多いですね。だからこそ、例えば吊りスカート幸子の後ろ姿について誰かとじっくり語ったりしてみたい」
ちひろ「えぇ……。まあ、華奢で女の子だなあって感じはしますね。もう少し優しく扱ってあげてください」
モバP「優しく、ですか。……たまに幸子の背中は哀愁を醸し出したりもしますからねえ。気を付けます」
ちひろ「どれだけ人の背中を凝視していたらそんなことが分かり始めるんですか」
モバP「それでなくてもアイドルの後ろ側には気を配りますね。たまにスカートがカバンやリュックに引っかかって捲れることもあるので」
ちひろ「すぐ注意してもらえると助かりはしますけど、普段からそんな所見てるの? って思われそうです」
モバP「男はつらい」
雪美「……P……私も……見てるだけ……?」 ア、ゴメン
-
715
凛「プロデューサー」
モバP「どうしたー、凛?」
凛「プロデューサーってさ、レアキャラだよね」
モバP「俺が?」
凛「うん」
モバP「そんなことはないよ」
凛「最近自然遭遇できていなかったしさ」
モバP「お仕事で合流することはあるじゃないか」
凛「ダメだよ。オフに“あっ、プロデューサーじゃん。偶然だね”みたいな会い方をしたいんだ」
モバP「偶然ってのはただぶつかってくるのを待つだけじゃなかなか起こらないと思うぞ」
モバP「相手の行動・習慣を調べて偶然を装って自分から仕掛けるものじゃないかな」
凛「なるほど。じゃあ率直に、会いに行っても良いかな?」
モバP「偶然でなくても会いに来てくれて良いぞ」
凛「わーい」
-
モバP「しかし凛やアイドルたちなら分かるが俺はそんなにレアかね?」
凛「たまに偶然会えると嬉しいというか、ラッキー! って気持ちになるよ」
モバP「週一の水泳教室でたまにとても綺麗な女の子と一緒になるような感じか」
凛「それは私には分からない」
モバP「あらぁ……まあそりゃそうだ」
凛「プロデューサーは行動が読みにくいタイプだよね。あくまで常識的な範囲でだけど」
モバP「頭が良くはないから誰でも想像できること以上の行動は出来ないつもりだ」
モバP「あ、そうだ。凛、今度二人で植物園にでも行かないか」
凛「えっ?」
モバP「夏場にアレだが温室とか巡りながら凛の花言葉解説を聞いて過ごしたい気分でさ」
凛「突然すごい気分になるんだね? ふふっ、別に良いけど?」
モバP「よし、ではこの辺の日でどうでしょう」つ□
凛「OK。……始めてじゃないのに少し緊張するかも」
モバP「おっと、あまり店で話し込んじゃいかんな。じゃあ、この俺と似たデンドロビウムを買っていこう。家の手伝い、頑張れ」 ニテルカナ?
雪美「デンドロビウムの……花言葉……わがままな美人……?」
-
716
ナターリア「んん〜♪」パクパク
雪美「……」パクパク
モバP「余ったチョコスプレーをスマートにスイートに使いきるのにチョコバナナは正解だったな」
ナターリア「おいしいゾ! まるでお祭り気分ダ!」
モバP「ホイップクリームにイチゴにバナナにチョコと全部乗せ出来るクレープと迷ったんだがな」
雪美「クレープは……都会……のイメージ……」
モバP「一応、お祭りシリーズで別にいちご串も作ってありますので」
雪美「……Pは……最高の……プロデューサー」キラキラ
ナターリア「りんご飴もそうだケド、お祭りにフルーツは何でもあるナ!」
モバP「本当よね。シンプルなチョコバナナにしても家ではそう作らない気がするから特別な感じだな」
ナターリア「作れば良いんダヨ!」
モバP「たくさん作って売ったりあげたりするには良いが、少人数用に作るのは面倒なんだよな」
ナターリア「そんナ!?」
雪美「P……素は……面倒くさがり……」
-
モバP「でもチョコレートとチョコスプレーが無くても、冷凍バナナというだけでも美味いのは良いよな」
ナターリア「そこは否定できないナ!」
雪美「夏は……冷たい方が……良いかも……」
モバP「柔らかいそのままのバナナより噛み応えがあるから満腹感も得られる気がするし」
モバP「また、バナナの良いところはカリウムによって余計な塩分を排出してくれることだ」
ナターリア「知ってたんダ? それを聞くト、意識して食べたくなるでショ?」
モバP「なるね。寿司で醤油の塩分を取り過ぎたと思ったらバナナで中和、みたいな」
雪美「……お寿司の、デザートに……バナナは……」
モバP「糖分の方が心配か」
モバP「何にしてもナターリアが喜んでくれたなら作った甲斐があった」
ナターリア「Pも、ナターリアと同じバナナ好きで良かったヨ」ハム
モバP「……バナナを食べるナターリア、良い顔をしているよなあ」
ナターリア「あっ、もっと優しく食べてほしいカ?」
モバP「いや、食べ物を口元で弄ぶのは失礼なので普通にどうぞ。そういうグラビア? あれはな……」
雪美「……普通に……食べていても……ナターリアは……魅力的……」
-
717
モバP「雪美さんに着せてはいけない服」ヒソヒソ
ちひろ「密やかにやるのか」
雪美「……三人で……悪巧み……みたい……」
モバP「今回は、咲-Saki-の国広一の私服ですね」
雪美「……実物は……ある……?」
モバP「今回も画像で」つ□
ちひろ「うわあ……何だこの痴女は」
雪美「……涼しそう……。どこに行けば……こんな服……買える……?」
モバP「これをしまむらやユニクロで売っていたら世紀末を疑うから、コスプレ専門の所かな。ちひろさんなら持っているはず」
ちひろ「私は持ってません。……いや、本当に無いですからね?」
雪美「……こっちには……着崩しすぎた……巫女も……いる……」
モバP「はっちゃんの格好をされるとさすがに失血死しそうなのでこちらからストップ」
ちひろ「どっちもどっちですよー」
モバP「しかしこの永水、芳乃が居ても違和感ないな。もしくは九州赤山」 マージャンツヨソウデスヨネ
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718
雪美「P……私……ここにいる……」
モバP「そうだな。俺の膝の上、目の前にいるからな」
――
雪美「P……私……ここにいる……」
モバP「近くの物陰に隠れたって見えるぞ」
――
雪美「P……私……ここにいる……」
モバP「事務所のドアの隙間から覗き見とは、なかなか遠ざかるね」
――
雪美「P……私……ここにいる……」
モバP「中庭まで下りたのか。手を振らなくても分かるがさ」
――
雪美「P……私……ここにいる……」
モバP「ゆきみーーー? どこまで行ったんやゆきみーーー?」
-
719
モバP「今はもう夏は空調がないと命に関わる、なんて時代なんですね」
ちひろ「毎年猛暑かもっと猛暑かですからね」
モバP「扇風機だけで過ごせていられるなら電気代的にも環境的にもその方が良いんでしょうが」
ちひろ「今は他にもサーキュレーターとか冷風機とかハンディファンとかいろいろありますけど」
ちひろ「とりあえずヒートアイランドの悪循環の中で自分だけ痩せ我慢とかしても体に良いことはなさそうです」
雪美「……」ソヨソヨ
モバP「こんな中、雪美さんをお外に連れ出さないといけないのは心苦しい」
ちひろ「快適な温度になっている室内から出たくないのは分かりますけど、頑張って。温度差で自律神経をやられないように気を付けて」
モバP「ふぁい。それにしてもこの気温でノースリーブとはいえゴスロリ系の格好で大丈夫だろうか」
雪美「……暑くなったら……Pに……冷ましてもらう……。何度でも……」
雪美「さあ……行こう……」
ちひろ「出たがらないと思ったら意外とやる気ですね」
モバP「そういえば最近買ったパゴダ傘があるんだったな。それのお披露目というわけか?」
雪美「うん……。蘭子みたいに……マダムっぽく……歩きたい……」
-
720
モバP「この時期に聴いていたい環境音ベスト3」
モバP「鴎の鳴き声が混じる港の波の音、コオロギが鳴いている音、バスがバス停に停まっている時のアイドリングやスイングドアが開閉する音」
ちひろ「最初の二つは良いとして最後のは何ですか、バス好きなんですか」
モバP「ノスタルジーに浸れるので好きですね」
ちひろ「お父さんが乗って帰ってくるバスをバス停で今か今かと思いながら待っていた記憶でもあるんでしょうか」
モバP「そんな綺麗な思い出が欲しかったですねえ」
モバP「そうそう、我々のこうした雑談も実は環境音として聴取されているそうですよ」
ちひろ「何ですかそれは聞いてないんですけど。というか誰需要のコンテンツですか」
モバP「ラジオみたいなものと思えば良いんじゃないですか? アイドルが密かに楽しんでいるとか」
ちひろ「それもしかしてただの盗聴なんじゃないですかね」
雪美「……トークは……BGM……ある方が……良い……」
モバP「お、雪美さんが来てくれました。……確かに声&声だけじゃ少し寂しいと感じる時もあるな」
ちひろ「雪美ちゃんはこういうBGMが欲しいなってのはあります?」
雪美「……ししおどし……?」 シブイデスネ
-
今日はここまで
俺を置いて先に行け
-
721
モバP「雪美はカリオストロの城が好きだよな」
雪美「……うん」
ちひろ「何度でも見てしまうほどお気に入りというわけですか」
雪美「……見直すと……発見が……ある」
モバP「先の展開が分かっていても飽きない面白さなんですよね」
モバP「個人的に名シーンだと思うのは、レストランでミートボールスパゲティを食べる場面と、廃墟できつねうどんを食べる場面と、怪我を治すためにおじいさんが持ってきてくれたパンやチキンやソーセージをドカ食いする場面ですね。あのフィアスコのようなボトルのワインで流し込んだら幸せで満たされそう」
ちひろ「大切な物を盗んでいきました、の場面じゃないんですか」
モバP「そこはもう名シーンとして扱われすぎて改めて挙げるのも芸がないかなと」
雪美「……私も……心を……盗みたい……」
ちひろ「盗む方ですかい」
ちひろ「でも宮崎駿アニメの飯テロ、というか食事シーンは本当に美味しそうに見えますし、美味しそうに食べるんですよね」
モバP「味わって食べるのも良いですが、がっついている方が見ていてこちらの食欲も湧くという」
雪美「今度……二人で……あのミートボールスパゲティ……食べたい……ね」
ちひろ「東京で食べられる所いくつかありますけど、かなり量多いですよ?」
-
722
モバP「ちひろさんって版権キャラクターもののコスチュームも結構持っている方ですか?」
ちひろ「そりゃあ業界最大手ですからね」
雪美「……業界……とは……」
モバP「中には際どい衣装も?」
ちひろ「雪美ちゃんに着せるのはどうかという物もありますね」
モバP「良いなあ。ちひろさんの能力、四次元鍵付きクローゼット」
ちひろ「私にそんな能力はないです」
モバP「しかしそうですか。あんな衣装やこんな衣装もあるんですか?」
ちひろ「ええ。たまに雪美ちゃんを招待して好きな服を試着してもらいます」
モバP「……は?」
ちひろ「貴重な黒髪のBMGになってもらったりしましたね?」
雪美「……ブラック……マジシャン……ガール……」キラキラ
モバP「ズルいですよ! 雪美さんのBMGを独り占めとか……そんな……そんな……っ! ううっ」
ちひろ「泣くほどですか」
-
723
モバP「……や」ノ
雪美「……」ノ
ちひろ「何ですかその挨拶」
モバP「コンパクトコミュです」
ちひろ「え?」
モバP「最近話が長くなりがちでしたから」
モバP「もっと端的に行こうかと」
ちひろ「始終業式の校長先生みたいな悩み」
モバP「エネルギーを使いますからね」
雪美「……無口にも……やさしい……」
ちひろ「……」
モバP「……」
雪美「……」
ちひろ「さすがにこれでは」
-
モバP「では雪美さん、遊ぼう」
雪美「……何をして……?」
モバP「そうだな、マリオカートはどうだ」
ちひろ「事務所に来てゲームするんか」
モバP「ただ罰ゲームは基本よね」
モバP「負ける度に一枚脱いでいこうか」
ちひろ「こら」
雪美「……Pも……脱ぐ……?」
モバP「俺だけ脱がんわけにはいかん」
雪美「……じゃあ、やる……」
雪美「ちひろさんは……?」
ちひろ「事務所に来て脱衣ゲームするんか」
モバP「レア度が上がるたび、露出が増えるね」
ちひろ「美少女ソシャゲかな?」
雪美「P……悪いこと……しないって……信頼してる……」 ウレシイネ
-
724
モバP「御晩です」
ちひろ「北日本のこんばんわ的な挨拶ですか」
モバP「失礼、間違いました。お盆です」
ちひろ「お盆ですね。大体13日から15日の三日間」
モバP「お墓参りをして、親戚と食事をしてね」
雪美「……お盆が……温度……一番……暑く……感じる……」
モバP「出かけるも迎え入れるも準備の忙しさがあるからな」
モバP「だらっとした休日と違って、残暑を実感しますね」
雪美「……P……ナスとキュウリ……買う……?」
モバP「お、忘れないように買っとかないとな」
ちひろ「精霊馬にでもするんですか?」
モバP「いえ、家のお漬物が切れていたので糠漬け用に」
ちひろ「プロデューサーさんは平常運転ですか」
雪美「……Pのぬか漬け……懐かしい味で……好き……」 キョウトフウ?
-
725
モバP「346プロには多くの施設が入っている」
モバP「だがこのおばけ屋敷は何のためにあるのか」
??「……」
モバP「ん? 今何か動いた? しかし中は薄暗くてひんやり」
??「うー……らー……めー……しー……やー……」ピトッ
モバP「冷たっ!? って雪美さん」
雪美「……私は……幽霊……」
モバP「いや、雪美さんでしょ」
雪美「……」ピトッ
モバP「冷たっ!? クールバブバブのゲルフォームかそれ」
モバP「……しかし、こんな幽霊なら喜んで取り憑かれたい」
雪美「……もっと……怖がって……」
モバP「白い着物越しにボディラインが出るのは怖いかも。太ももが柔らかそう」
雪美「……」ピトッ ツメタッ
-
726
モバP「スイカが一番美味しい季節だな」
雪美「……でも……食べ飽きる……ね」
ちひろ「味・食べ方にバリエーションを持たせにくいですからね」
モバP「素麺や冷麦と同様に夏の思考停止連投メニューに挙げられがち」
雪美「塩でも……振る……?」
モバP「スイカに塩か。塩麹とか塩何々ってある時から急増した印象」
ちひろ「甘くはなりますよね」
モバP「生ハムメロンのような感覚ですかね」
雪美「スイカに……生ハムは……合う……?」
モバP「スイカも“ウォーター”メロンだからな。でもまるで合わなかった時に後悔しそう」
ちひろ「化学反応を試すのは楽しいんですけどね」
モバP「食べ合わせは大抵は実験して結果を出している先人がいますから」
雪美「天ぷらにスイカ……プリンにしょうゆ……」
ちひろ「まあその辺は興味本位で試そうとは思わないですね」
-
モバP「そういえば生ハムメロンって特に食べた記憶がない」
雪美「……美味しい……の?」
ちひろ「飽きるくらい食べてますけど、普通ですよ」
モバP「良いなあ。生ハムもメロンも庶民には高級ですが」
ちひろ「今はそうでもないでしょう。安いのもあります」
モバP「……たまには少し贅沢してメロンとか食べようかなあ」
雪美「……P……甜瓜は……食べるのに……」
モバP「何故か甜瓜は実家の方から送られてきたりするからな」
ちひろ「甜瓜もメロンの仲間なので実質メロン食べてると思えば良いんです」
モバP「やだい! おいらはオシャレでリッチなメロンを食べたいんだい!」
ちひろ「結構見栄っ張りですね」
雪美「スイカも、メロンも……皮を食べられて……種もチョコレートだったら……良いのに」
ちひろ「スイカバーかな?」
モバP「でもスロットマシンでスイカシンボルが多いのは少し誇らしいです」
ちひろ「結局スイカも好きなんですね」
-
727
モバP「ちひろさんはまた一週間ほど休暇を取るんですね」
ちひろ「その辺は会社が応相談ということにしていますからね」
モバP「寂しくなります。これ、花束です」
ちひろ「私は定年退職する先輩か何か?」
雪美「……夏場は……お花……枯れやすい……から」
ちひろ「何か含みとかありませんよね?」
ちひろ「じゃあ、テーブルフラワーとして使わせてもらいます」
モバP・雪美「……ちひろさん……」
ちひろ「別れのムードを演出しないでください」
ちひろ「プロデューサーさんは私がいなくても大丈夫でしょうか……」
モバP「アシスタント代理が来るので。アイドルですが」
雪美「……今度は……誰が来る……?」
モバP「誰だろうな」
ちひろ「というかプロデューサーさんは年中無休で大丈夫なんでしょうか?」
-
おまけ17
凛「初めてじゃないのに少し緊張するかも」
モバP「訂正乙」
凛「そういえばプロデューサーと植物園に行くの初めてじゃないんだよね」
モバP「凛がアイドルになったばかりの頃に行ったな。そして、仕事だがバンクーバーのバンデューセンバーゲン? にも行ったっけ?」
凛「バンデューセンガーデンだよ。早口言葉噛んだみたいになってる」
モバP「……凛との思い出の場所を言い間違える俺は情けねえ……」
凛「また行こうね? そうすれば間違わないはずだよ」ヨシヨシ
おまけ18
モバP「ラニーニャ現象発生の可能性が高まる、か」
ちひろ「夏は暑く、冬は寒くなるんですね。早く影響が出れば残暑がきつく長引くかもしれません」
雪美「……ずっと……暑い……。……にゃー」
モバP「雪美が先のことを考えるのを拒否している」
モバP「まあ、あと何週間暑さに耐えなきゃいけないのかと思うとめげるよな」
ちひろ「猫になって顔を洗っていいお湿りでも来るのなら良いんですけどねえ」
-
今日はここまで
それは嘘だったのか
-
728
モバP「おはようございます」
留美「おはよう、P君」
モバP「……!」
留美「あら、私だと意外だったかしら?」
モバP「いえ。アシスタントからプロデューサーさん、ではなくしっとり君付けされるのが何か新鮮で」
留美「そう? でも、プロデューサーさん、と呼んだ方が仕事上は適切ではあるわね」
モバP「いえ、もう少し君付けを堪能させてください」
留美「ふふ……今日から一週間、アシスタント代理を務めさせていただくわ」
留美「改めて、自己紹介は必要ないかしら?」
モバP「はい。よろしくお願いします、和久井留美さん」
モバP「元秘書の留美さんなら心強いです。前回は脱線が多く結構仕事が滞ったので」
留美「前回……? 誰だったの?」
雪美「 心 か 」
モバP「心先輩でした。というかそれなんてウルキオラ?」
-
729
留美「P君、この後18時から打ち合わせが入っているわ」
留美「それと食事が取れていないようだから、お弁当よ」
モバP「サラダにスープまで……助かります。まだ少し時間があるので食べていこうかな」
留美「私は書類の整理をしておくわね」
モバP「あっ、ありがとうございます」
雪美「……できる……アシスタント……」ピョコッ
モバP「ああ。ちひろさんも気が回る方だが、留美さんは何かこう、頼もしい」
雪美「……分かる」
モバP「そんな留美さんのために自分も頑張らずにはいられない」
モバP「頼もしさとは時に孤独なもの。そんな留美さんの隣に堂々と立って、頼られるようにもなりたい」
雪美「……もう……留美は……Pのこと……頼りに……してる……と思う」
モバP「既にそうだと良いな。にしては普段、物理的な距離を感じる時もあるが」
雪美「……それは……Pが……少し、猫体質だから……」 エッ?
留美「はくちゅんっ!」
-
730
留美「聞きたいことがあるのだけれど、良いかしら?」
モバP「何でも聞いてください」
雪美「ん……? 今……何でも……って」
モバP「雪美さんは膝にお座り」
雪美「……」ポスン
雪美「……Pが、何でもするって……言ったら……婚姻届も……書いてくれそう……」
留美「そうなの?」
モバP「書きませんよ」
留美「社会人は何でもハイハイと二つ返事で署名捺印したらダメよね」
モバP「書類によっては取り返しのつかないことになりますからね」
留美「それで、聞きたいことだけど……P君って年中無休なの?」
モバP「……それはありませんね」
留美「ちひろさんが心配してたわ。いつ休暇を取っているのだろうって」
雪美「それは……私も……思う……」
-
モバP「とりあえず、まとまった休暇は無いですね」
モバP「休日も一応来て資料に目を通したりアイドルと遊んだりしますし」
雪美「半分……遊びに来ている……?」
モバP「言い逃れしにくいところだね。で、サービス出勤なので給料は出ません」
留美「……労基的に大丈夫かしら。ちひろさんが気にするのも分かるわ」
モバP「苦では無いですし、ドリンクや栄養剤を貰っていますから大丈夫です」
モバP「それからアイドルの笑顔を見られたりスキンシップをされたりといった現物支給もありますし」
雪美「……自宅……兼……職場……みたい」
留美「P君は今の環境が快適に感じ過ぎて、転職とか出来ないタイプね」
モバP「転職ですか。これまで考えたことも無かったです」
留美「それで良いのよ」
モバP「それに、学校の午前中授業じゃないですが、半ドンで帰宅したらその日の残りは実質休日感覚です」
雪美「……午前は学校……午後は休み……わくわくする……」
モバP「下手に休みか出勤かよりその方が楽しいよな」
留美「趣味は仕事……そんな風に思っていたことが私にもあったわね」
-
731
モバP「プールで泳いでいると暑さや悩みを忘れられる気がするなあ」プカプカ
雪美「……」プカプカ
留美「こうして見ると親子みたいに似たような動きをしていて面白いわね」
モバP「……視界の端に映る留美さんの水着……ビーチパラダイスを思い出す。クールだ」
留美「……私には少し大胆過ぎる気がしないでもないわ」
モバP「そうですか?」
留美「こんな歳になると、もっと落ち着いた装いにすべきじゃないかしら」
モバP「その水着が似合っていますよ。日頃の努力と鍛錬のボディ、見せないと勿体無いです」
留美「そうやって年上をあまり煽てたらだめよ? 勘違いするかもしれないわ」
ザブン
スーッ
モバP「留美さんは泳ぎまでクールだなあ」
雪美「……む……私も……クールの……端くれ……。負けない……」
モバP「雪美さんが端くれだと、クールを極めたら一体どうなるのか」
-
――
モバP「泳いでいると時間があっという間に過ぎるな」
雪美「うん……」
留美「良い運動とリフレッシュになったわ」
モバP「水に浸かったり浴びたりするのは悪いものを洗い流してもらえる感じがして好きですね」
雪美「すっきり……した……?」
モバP「でも、こうして雪美や留美さんが服に着替え直してしまうと、プールで見せた一時の水着姿が名残惜しい」
留美「煩悩が残っているわね」
雪美「私も……Pの水着……見られたから……おあいこ」
留美「あの引き締まった体……P君も陰ではジムで努力しているの?」
モバP「……まあ、見られても恥ずかしくないようにはしておかないとですね」
モバP「アイドルのプロデューサーでありながら自分だけ肌を晒すのが嫌、なんてことは言えませんから」
モバP「しかしプール上がりに当たる風もまた気持ち良い」
雪美「濡れた、部分は……風が当たると……冷たく……感じる……」
モバP「気化熱か。……ああ、良いねえ……」ソヨソヨ
-
732
カナカナカナカナカナ
雪美「……P……この音は……何……?」
モバP「これはひぐらしの鳴き声だね」
雪美「ひぐらし……」
モバP「文字通り日暮れ時の山林でよく鳴いているセミだ」
カナカナカナカナカナ
雪美「……」
モバP「……」
雪美「……」ギュッ
モバP「夏の終わりの切なさみたいなものを感じさせてくれる声だな」
雪美「……私の……最初の……ひぐらしの思い出……Pとに……なった……ね」
モバP「今後雪美さんはどこかでひぐらしの声を聞くと、今日のことを思い出すのか」
雪美「……その時は……また……隣に……いて……? 寂しく……ならない……ように」 アア
カナカナカナカナカナ
-
733
モバP「くかー……くかー……」
雪美「……よく……眠ってる……」
留美「疲れたのかしら? ……ふふっ」ナデナデ
雪美「……留美……ママ……みたい……。優しい……顔……」
留美「そんなにお母さんっぽい? でも、油断しきった寝顔が、何だか良いわ」
雪美「寝ている時は……みんな……無防備……」
留美「まるで猫が寝ているような愛らしさね」ナデナデ
留美「……くしゅんっ!」
雪美「留美……?」
留美「ふー……おかしなことに、P君を猫として意識しだしちゃうと症状が出てくるの」
留美「……いえ、これは気持ちの問題。P君は猫じゃない。こうして近づいても大丈夫――」
モバP「ん……留美さん? とても距離が近」
留美「にゃんっ!?」
雪美「P……いきなり起きたら……ダメ……」 スイマセン
-
734
モバP「最近、日焼けサロンのチラシをよく見かける気がするな」
雪美「……P……焼くの……?」
モバP「自分で言うのも何だが白い方だし、焼いたら? とたまに言われることはあるな」
モバP「でも想像してみてくれ、黒い俺を。黒光りする俺を」 ヒカルノ?
雪美「……」
雪美「…………」
雪美「そのままが……良い……」キリッ
モバP「じゃあそのままでいます」
モバP「まず、高校の時に海で遊んで真っ黒に日焼けしたことがあったんだが」
モバP「その時は体色だけで威圧感が増して、しばらくみんなから距離を置かれたからなあ」
雪美「……お気の毒様……」
モバP「当時は日焼け止めを塗っていたんだが、泳いでいたら落ちてしまったんだろうな」
モバP「塗るなら泳ぐな、泳ぐなら塗るなってことかなあ。環境にも悪そうだし」
雪美「私と……塗るか、泳ぐかなら……どっち……?」 キュウキョクダナ
-
735
雪美「……今日の撮影……終わった……」
留美「お疲れさま。見ただけで分かる、頑張った顔ね」ナデナデ
雪美「……ありがとう……」キラキラ
雪美「……Pも……」(つ゜-゜)つ
モバP「はいよ」ヒョイ ポスン
雪美「……」シャキーン
雪美「……」ツヤツヤ
留美「さっきまでくたびれていた雪美ちゃんが完全再生したわね」
雪美「ふふ……もう一頑張り……できそう……」ピョン
モバP「歩く天然温泉とは私のこと。留美さんも乗ってみます?」 エ? イイノ?
――
モバP「……お二人が元気いっぱいになって何よりです」ゲッソリ
留美「……えっと、エネルギー切れを起こしたらスタミナドリンクを補充するように、とちひろさんのメモに書いてあるわね」ツヤツヤ
雪美「スタドリ……持って来た……」 タスカルワ
-
今日はここまで
そう告げたはずだぞ
-
736
モバP「雪美さんは本日は何と二部構成。前半はゴスロリの黒ドレス、そして後半は」
雪美「……」キラキラ
モバP「まさか真逆のような白ワンピースに着替えるとは」
雪美「……どう……?」
モバP「グッド。黒猫から白猫になるというストーリーがそそる」
モバP「ふぅ……おんし、ウチのタマ取りに来とるのう?」
雪美「……巴?」
モバP「感動のあまり広島の方の方言が出ただけじゃけえ」
雪美「P……広島の出身……だった……?」
モバP「冗談じゃ。あ、タマと言ってもうちのタマ知りゃあせんか? のタマではない」
雪美「言い方……。……でも……猫の名前……タマは……あまり、いない……ね」
モバP「昔は定番の名前が犬・猫でポチタマだったんだがな。しかし目に毒だあ」
雪美「……くっついてしまえば……毒じゃない……?」ポスン
モバP「でも上から見る膝上雪美の短いスカートから伸びる足も……いい」
-
737
モバP「……ふふふ……くく」
雪美「……ここ……すき……」
菜々「あっ、プロデューサーに雪美ちゃん」
菜々「お二人とも、な〜にを読んでいるんですかっ?」
雪美「……菜々……? これは……猫の……漫画……」
菜々「こっちに複数巻積んでありますね。って、これは……!」
菜々「ホワッツマイケルじゃないですか! しかも全巻ありますね♪」
モバP「……あっ、つい文香モードになっていて菜々さんに気付くのが遅れた」
菜々「そんなに熱中しちゃいますか? 」
モバP「黒じゃなくて茶トラですがやっぱり猫好きとしては。初出1984年ですってね」
菜々「もうそんなに昔ですか……いえ、生まれてませんけどね? 永遠のセブンティーンなので☆」
モバP「さすがにか……いえ、なんでもないです。菜々さんもどうです?」
雪美「P……次のページ……」 ア、ハイ
菜々「……普通は回し読みになるんですけどねぇ。二人で同じ漫画を読むとは」
-
738
舞「でね……今日は……」
雪美「……私も……うん……」
モバP「ふう……。……ん?」
舞・雪美「……?」
舞「あ、プロデューサー!」
雪美「P……やっほ」(゜-゜)ノ
モバP「やっほ」ノ
舞「気さくな挨拶良いですね!」
雪美「9月からの……リニューアル版を……先行使用……」
モバP「いや、思いつきだよな?」
雪美「……?」キョトン
モバP「くぅー、こやつめ、すましおる。舞もやっほ」ノ
舞「やっほ!」ノ
モバP「二人は意外と一緒にいることが多いが、そういえば唯一の同い年だったな」
-
舞「授業で習ってる箇所がちょうど同じで、雪美ちゃんとはよく学校の話をするんです」
モバP「へえ、そうだったのか」
モバP「しかしこうして見ると、俺も学校帰りに友達と一緒に歩きながら喋くっていたのを思い出した」
雪美「……Pも……誰かと……?」
モバP「ああ。楽しくて、いつまでもこんな時間が続けば良いのにと思う瞬間だな」
モバP「ただ、行きは一緒に行くことがあまりなかった」
舞「道すがらお友だちと会ったら一緒に行きませんか?」
モバP「それはあるが、予め待ち合わせてまでは行かないなと」
舞「確かにですね。でも、たまに遊びに行く時とかはしっかり待ち合わせします」
雪美「おしゃれして……噴水で、待ち合わせて……デートも……良い……」
モバP「でもまあ、仲の良い幼馴染だったら、毎日のように迎えに行って学校まで同行しても苦じゃないのかもしれないな」
雪美「……うん。……私……また……Pと……朝に会って……途中まで……一緒に行きたい……」
モバP「油断すると気づくとそのまま学校まで付いて行ってしまってそうで怖いや」
仁奈「雪美ちゃんは偶然会うまでもなく通い妻でごぜーますね」
モバP「お、一輪車トリオ集結。それはそうと仁奈は通い妻なんて言葉どこで覚えて」
-
739
モバP「……猫が美味しそうにスティック状のおやつを食べるCMを見て思うが」
モバP「あれ、美味しいのかな? ヒト感覚だと味は薄そうだが」
雪美「……P……猫化……進んでる……?」
モバP「えっ? いや、ただの興味だよ。あれが最近美味しそうに見えてきたとかそんなんじゃない」
モバP「中にクリームが入ったカリカリのドライフードとか高級そうな猫缶・ウェットフードとか全然美味しそうだなんて」
雪美「……(疑いの眼差し)」
鈴帆「時にPしゃん。“ぎんのすぷーん”という言葉で何ば連想すんね?」
モバP「キャットフード」
比奈「漫画」
鈴帆「そこは洋菓子店ばい」
モバP「いや、福岡県民でないと“銀のすぷーん”は馴染みがないのでは?」
鈴帆「そげんことなかよー。現にPしゃんは知っとーもん」
雪美「少し……誘導っぽい……」
鈴帆「でも迷わずキャットフードが出てくる、そげなPしゃんも好きやけん」 ドンナオレダヨ
-
比奈「あー、プロデューサーは最近はよくシリアル系を食べてるそうっスね」
モバP「ハーシーチョコビッツがな。なかなか絶妙な二層の舌触りでドライフード感……あっ」
モバP「雪美、どうしよう。俺、猫化しているのかもしれない」
比奈「そこで気づくんスか」
鈴帆「なーんか、Pしゃんがもし猫になってもそのままプロデューサーやっとー気がするとよ」
比奈「猫プロデューサー……猫駅長さんみたいなマスコット的存在になりそう」
鈴帆「そん時はウチが専用の半纏ば作って着せちゃるけんね」
モバP「猫になりきってしまう前提で話を進めないでおくれよ……」
モバP「CIAOちゅ〜るじゃないが、スティックゼリーでも食べて気を紛らわせるか」
比奈「持ち歩いてるんスか」
雪美「……」(゜o゜)
モバP「……はい、どうぞ」
雪美「……♪」ハム
鈴帆「負けじとこっちも猫っぽかね」
比奈「……女の子にスティックゼリーを食べさせる絵面は結構際どいっスね」
-
740
モバP「はー、なー。スイカ食べないか?」
颯「食べるー♪」
凪「はーちゃんに寄せた呼び方に驚きの木です」
モバP「では持ってきましたこのどこを見ても普通のスイカ」
モバP「これを……」シャキーン
凪「包丁やハサミの逆手持ちは危ないですよ、と、小学校の男子に先生がよく言っていました」
雪美「P……傘を……逆手持ち、しているのも……見たことある……」
颯「Pちゃんったらヤンチャだねー」
モバP「手遊び癖が出るのは僕の悪い癖です」
モバP「では真面目に、切ります」スパッ
パカッ
雪美・颯「……!!」
凪「わお、まさかの果肉が黄色いスイカでしたか」
モバP「一般的にはクリームスイカと呼ばれていたりする」
-
――
雪美「……おいしい」
凪「スプーンの提供感謝です。これで若干お淑やかに食べることができます」
モバP「味はほぼ想定内のスイカの味なんだよな」
モバP「クリームと名がついているからとろっとしていて生クリームの味がする、わけではない」
凪「ところがミニトマトと同じく、色が違うと栄養成分も違うそうで。ふしぎふしぎ」
モバP「あ、そこも俺が言おうとしたのに。なーは賢いなあ……ところで、はー?」
颯「……♪」パクパク
雪美「颯……夢中」
凪「はーちゃんはクールなのです。これが真理か……」
モバP「ところで、はーとなーは一日だけ入れ替わりとかしたことあるか? 偏見かもしれないが創作の双子がよくやるイメージ」
凪「御多分に洩れず、ですね。きちんと見抜いてもらわねば凪のPへの好感度はこっそりダウンします」
モバP「まさか時々入れ替わっているのか? ……当てる自信がないとは言わないが、そういう減点方式はお互い得しないな」
凪「それはわかりみです」
颯「……♪」パクパク
-
741
モバP「……自分一人でもやれるが、雪美がしてくれるのか?」
雪美「……」コク
モバP「分かった、頼むよ」
バフッ
モバP(ソファに横になる俺)
モバP(馬乗りになってくる雪美)
ガチャ
美波「こんにちはー。プロデューサーさん、います? ――って」
美波「……お、お取込み中のところを失礼しました///」
モバP「待てい、目薬を差してもらおうとしているだけだから」
雪美「……P……怖くない……よ? 大人しく……して……」
モバP「それは分かるんだが、目に直接来ると思うとどうしても反射的に白目になるんだよ」
雪美「……ふふ……面白い……顔……。もっと……見せて……」
美波「雪美ちゃん……恐ろしい子!」 ミナミガシロメニナルンカイ
-
742
雪美「……P」
モバP「何だい」 ピヨピヨ
雪美「……何でもない」
モバP「そうかい」
雪美「………………P」
モバP「何だい」 ピヨ
雪美「…………やっぱり……何でもない」
モバP「そうかい」
雪美「……怒らない……の?」
モバP「俺はせっかちなところもあるがそのくらいでは動じない」
モバP「雪美の決心がついた時に言えば良い」 ピヨピヨ
雪美「……分かった……。……P……頭に……鳥……飼ってるの……?」
モバP「最近は頭に黄色い鳥を乗せたトンファー持ちがモテると聞いてな」 ソウ……
帰ってきたばかりのちひろ「ツッコミ不在のまま進めるな」
-
今日はここまで
私にはもう何も聞こえぬ、見えぬ……
-
台風によりしばらくお休みです
-
743
モバP「もう9月か」
雪美「……残暑が……厳しい……ざんしょ?」
モバP「……くっ」プルプル
雪美「……私……楓を……インストール……」
モバP「いやんもう、雪美さんったら俺を和ませないでくれ」
雪美「……寒く……ならなかった……?」
モバP「まあ駄洒落は駄洒落だ。それに普通はオヤジギャグを言うのは逆で、俺の方だろう」
モバP「でもそんなくだらないやり取りで笑い合えることが、何だか仲の良い家族みたいで良いな」ナデナデ
雪美「……んっ……」
モバP「それにしても、もうこんな暑苦しい日々は二度と御免だ、なんて毎年思うのに、喉元過ぎれば熱さを忘れる、と言うのかね」
モバP「一年経ってまた夏が来れば、今年は涼しくなるはずだとか根拠のない期待をしている俺がいる」
雪美「……そして……やっぱり暑い……の、繰り返し……」
モバP「実際はいつの夏も暑いものなんだよな。観念して生活作りをするしかない」
ちひろ「観念した結果の距離感がこちらですか」
-
744
モバP「雪美力を鍛えよう(提案)」
ちひろ「ほう、感心感心――って何ですかその聞き慣れない力は」
モバP「女子力の一つの形のようなものです」
モバP「雪美さんのようになりたいなら、雪美さんに近づけば良い」ダキッ
雪美「……」(゜-゜)
ちひろ「近付き過ぎだと思いますよ」
モバP「雪美さんの行動を自分に合った形で上手く取り入れて、自然体で真似る」
モバP「……」(゜-゜)
雪美「……P……スイッチ……入った……」
モバP「……うん」
ちひろ「何か雰囲気が雪美ちゃんっぽくはなりましたね」
モバP「……本当?」
ちひろ「でも率直に言って不自然なので戻してください」
雪美・モバP「……不自然……?」 ハイ
-
745
モバP「食レポの番組って最近多い気がしますね」
ちひろ「アイドルが出ているものだけでもそれなりに数がありますからね」
モバP「食レポは飯テロ。見る度にお腹が空きます」グー
雪美「!」ビクッ
モバP「おう、すまない雪美」
雪美「急に……お腹が……鳴ったから……びっくりした……だけ」
ちひろ「QON」
ちひろ「というかプロデューサーさんのお腹に耳をつけて何をやっているんですか」
雪美「……聴診……?」
モバP「昔、小児科とかにある聴診器、自分も着けてみたいなと思っていました」
ちひろ「ああいう検査されるのって子ども心には未知の恐怖がありますね」
モバP「舌圧子なんてアイスの棒みたいなのを口に突っ込んだりしますからね」
雪美「……Pの、体の音……落ち着く……」
ちひろ「服を捲らないとそんな大した音は聞こえないと思いますけど」
-
モバP「しかし、チェストピースを当てるのに服を捲ってもらうとか上半身の前面を曝け出してもらうってなかなかですよね」
ちひろ「医療行為ですからね」
雪美「……Pも……私の音……聴く……?」
モバP「そうだな。これは雪美の体に異常が無いか確かめるためだ。じゃあ脱いでもらおうか」
ちひろ「戯けが」
モバP「はい。……世に言うお医者さんごっこ(意味深)ってそういうことをするんでしょうかね?」
モバP「あ、話を戻しまして、食レポですよ」
モバP「今は中にクリームのたっぷり詰まったロールケーキが食べたい気分です」
雪美「ロールケーキ……イチゴやキウイ……モモが入って……ふわふわ……」
モバP「フルーツロールケーキは芸術の域っすよね。他にも最近はチーズクリームとかハチミツレモンとか見かける」
雪美「ハチミツレモン……甘酸っぱくて……すき。チーズは……濃厚……」
モバP「というか乳製品全般が大体好き」 ……ウン
ちひろ「随分広く出ましたね。プロデューサーさんは甘党のようで」
モバP「小学生の頃は辛いもの好きだったのが、最近段々……親離れした反動でしょうかね?」
ちひろ「周りに女の子だらけな環境なのも影響はしてそうです」
-
746
晶葉「できたぞ! ハイライトを消せる眼鏡だ!」
モバP「ほほう」
モバP「見たところ普通の眼鏡だな。薄くて軽い、かけても良し」スチャッ
晶葉「使い方は簡単で、右の丁番部分のツマミを回すとハイライトカットモードになる」
モバP「これか……ん」
晶葉「……どうだ?」
モバP「……晶葉の目が笑ってなく見える」
晶葉「……Pの視線が熱いな」
モバP「失礼、見つめ過ぎた。面白い発明だと思うが……スランプか?」
晶葉「そういう時もあるさ」
雪美「……P……? あ……眼鏡……かけてる……」
モバP「……雪美。ハイライトを消した状態で見つめられると何だか申し訳なくなるな」
雪美「……」ポーッ
晶葉「Pは意外と裸眼より眼鏡をかけている方が男前じゃないか?」 デザインノオカゲデスヨ
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747
モバP「ちひろさんは財布の色って気にします?」
ちひろ「いいえ? 特には」
モバP「金運の黄色い財布とか、以前はよく新聞の広告に載っていたそうですよね」
ちひろ「これを持っていると宝くじが当たりました、とか?」
モバP「はい。当時のものを閲覧する機会があったんですが、率直に騙されそうになりました」
ちひろ「そんなのでお金が儲かるなら誰も苦労はしないんですけど、困窮して視野が狭くなったりすると信じてしまうんですかね」
モバP「でもよく考えると黄色い財布なんてそこらへんに売っている気がします」
ちひろ「色の問題ですか」
モバP「今使っている財布が結構くたびれてきているので新しいのが欲しいと思っているんですが」
モバP「黄色はどうかなーとちょっと聞きたかったんです。もしくは自分のパーソナルカラーを意識して緑」
ちひろ「それは私と被るのでやめてください。というかプロデューサーさんのパーソナルカラー緑色じゃないでしょ」
モバP「おや、ちひろさんの財布は緑色ですか。黄色よりは落ち着いた色ですが、緑も風水的には良いらしいですよね」
ちひろ「そんなちょっとした下心ありで緑財布使ってるわけじゃないです」
雪美「P……小銭入れは……既に、緑色……ね」 ガマグチデスネ
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748
モバP「キャンピングカーはロマンだなあ」カチカチ
雪美「……あ……これ……いい……」
モバP「軽トラックを改造したやつか。馬力がやや心配だが、リーズナブルだな」
ちひろ「買うんですか?」
モバP「見ているだけです」
ちひろ「賢明だと思います」
モバP「住所不定の渡り鳥生活は憧れますが現実的には難しいんだろうなと」
モバP「後は大型クルーザーを買って海の上で生活してみるのも夢です」
ちひろ「で、それらを経て、地に足が付いた、というか地に根差した家がやっぱり一番だ、と回帰するんですね」
モバP「そういうものですかねえ。移民宇宙船やメガフロート海上都市や地下都市にも憧れはありますが」
ちひろ「そこまで行くと個人レベルではない上にSFの世界ですね」
雪美「……P……全部……自分で……作れそう……」
モバP「キャンピング軽トラなら作ってみたいな。後ろを金の神輿のような装飾にしたりしてな」
ちひろ「宮型霊柩車かな?」
-
749
モバP「9月といえば」
雪美「……9月といえば……?」
モバP「雪美の誕生日がある月か」
ちひろ「そこかい。というかプロデューサーさんはアイドルの誕生日を全部覚えていますよね」
モバP「はい。一年は365日、そこにアイドルが200人近くもいると2日に1日は誰かの誕生日という」
ちひろ「その都度、裏でお祝いしているんですからほぼ毎日何かあるようなものですね」
雪美「……Pの誕生日は……いつ……?」
モバP「俺は初期ロットと誕生日が違うからなあ。何日と言うべきなのか」
ちひろ「さらっと非人間アピールしないでください」
モバP「閑話休題、9月といえば9月入学の話なんてありましたよね」
ちひろ「海外ではポピュラーですね。季節や気候の違いもあるので日本に合うかは微妙ですけど」
雪美「……夏休み……終わって……入学式……」
モバP「社会全体も引っ張られるように8月が年度末になったら大変だろうな」
雪美「私も……Pも……今月から……新しい一年生……」 ソウハナランヤロ
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750
ちひろ「プロデューサーさん」
モバP「……あい?」
ちひろ「これはえらくまた脱力していますけど、どうかしたんですか?」
モバP「いやあ、雪美がね」
モバP「鼻歌を歌っていたんですよ。フンフンフーンって感じで」
ちひろ「分かりました」
モバP「分かりましたか。いやあ、あの雪美が嬉しそうに鼻歌なんて歌っているところを見ることができたらさすがにこうなりますよね」
ちひろ「否定はしないですけどプロデューサーさんは反動がオーバー過ぎます」
ちひろ「この前も眠い目を擦る仕草の雪美ちゃんを見てからしばらく放心していましたよね」
モバP「あぁ……思い出すとまた……天に召されるような」
mobaP「」グデー
雪美「……P……いっしょに……お散歩、しよう……」
モバP「行きます」シャキッ
ちひろ「また雪美ちゃんの新しい表情を発見して来そうですね」
-
今日はここまで
※sageが外れていて2回もageてしまい申し訳ない。以後気を付けます
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751
モバP「少年時代、テレビのバラエティ番組で顔にパイ投げやケーキ投げにシーンを見ていてずっと思っていたことですが」
モバP「あれって美味しいんでしょうか」
ちひろ「味がないとか聞いたことがありますね」
雪美「味のない……パイ……ケーキ……」
モバP「砂糖が入っていない、ただホイップしただけの生クリームか……」
ちひろ「どこかの国のトマト祭りでは熟れて潰れやすくなったトマトを投げつけるって言いますしね」
モバP「まあ普通に食べられる物を使ったら勿体無いですよね」
ちひろ「服に付いたり床に落ちたものをスタッフが後で美味しくいただくわけにもいきませんし」
雪美「でも……ケーキ……食べられるようには……作ってある……?」
モバP「それはそうさ。まともに食べないからって例えば洗剤で作ったケーキを用意して、それが間違って口に入ったら病院行きだからな」
ちひろ「洗剤ケーキを作って許されるのはマリオストーリーの中だけですね」
雪美「でも……せっかくなら……甘いケーキが……いい……」
モバP「雪美さんはそこまで体を張る覚悟はしなくて良いです。そんな仕事はさすがに受けませんので」
雪美「……」(゜-゜) ←ほんの少し残念そう
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752
モバP「ここ数年思うことなんですが」
ちひろ「一応聞いてあげましょうか」
モバP「夏のピーク時があまりに暑いせいか、9月なのに気温が少し下がるだけでやたら涼しく感じません?」
雪美「……」コクコク
ちひろ「実際に涼しいんだと思いますよ? 熱帯夜続きだったのが夜は20℃を切ったりし始めますから」
モバP「感覚が狂っているのではなく、涼しいのは確かですか」
ちひろ「四季が無くなりつつあるとか言いますけど、これで充分秋の始まりかもしれませんね」
モバP「でも日本には志希がいるし」
志希「にゃっははー、季節感のように失踪するかもしれないけどねー」
雪美「気まぐれ……ね……」
志希「あたしは気まぐれレインメーカー、雨上がりの匂いが好きだから♪」
モバP「オカダ・カズチカかな? 今は地域によっては雨で冷やされている感はあるな」
ちひろ「今後初夏と初秋は四季に加えて雨季と呼ばれるようになるかもしれません」
モバP「季節が五つで……ちょっと口に出したくない読み方に」
-
753
雪美「……」ジーッ
モバP「……」ジーッ
雪美「……P……相変わらず……高い……ね」
モバP「……」スッ
雪美「しゃがむと……ちょうど良い……」
モバP「……」ナデナデ
雪美「……んっ」
モバP「……」ニコニコ
雪美「……私も……」ナデナデ
モバP「……気持ちが良い」
雪美「……こうしないと……届かない……」
モバP「雪美さんに撫でてもらえるのならいくらでもしゃがむぞ」
雪美「……しゃがまなくても……なでなで……できるように……なりたい……」
雪美「でも……身長……伸びない……」
-
モバP「諦めるのは早い。11歳や12歳で急に伸び始めるかもしれない」
ちひろ「11歳や12歳になる日はいつ来るんですかね……」
モバP「そういうことを言うのはやめましょう」
モバP「でも現実的に、現在10歳で137cmのここから180cmを超えるくらいまで伸びるものなのか……?」
ちひろ「世の長身の女性はどういう成長曲線を描いてきたのか気になりますね」
モバP「妄想ではきらりは小学校中盤くらいまでは小さかったタイプです」
ちひろ「妄想かい。アルバムとか見せてもらえば確認できるのでは?」
雪美「Pは……早くから……高かった……?」
モバP「小学校の頃には身長順で一番後ろの方だったな」
モバP「しかし早熟、というのかな? ある程度まで達すると成長期でも全然伸びなくなる子もいたぞ」
雪美「……まさか……ずっと……このまま……」
モバP「ハハハ、心配性だな。俺の身長を分けてあげられるならそうするんだがな」
ちひろ「柱のきずが一昨年のより低くなるんですね」
モバP「親の遺伝もあるだろうが、伸びる人と一緒に生活すれば伸びるんじゃないかな」
雪美「……なるほど……」ピトッ
-
754
モバP「人間ってのは弱いものですね」
ちひろ「あなた人間でしたっけ」
モバP「私は人間です」
ちひろ「人間じゃないと主張されたらどうしようかと思いました。それでどうかしたんですか?」
モバP「自分の身に影響がありそうな範囲で大きな災害が差し迫ったり起きたりすると、テレビなどで情報を得て、不備はないかとか心配と不安で落ち着かなくなるんです」
ちひろ「テレビは誇張や煽りもありますからね」
モバP「そう考えて開き直ってポジティブになればその場は楽になるんですが、ついまた考えすぎてしまって」
モバP「それで仕事が手に付かなくなったり、好物が喉を通らなくなったりして……」
ちひろ「プロデューサーさんは正常性バイアスを恐れて必要以上にネガティブを保とうとするタイプかもしれませんね」
モバP「自分だけは大丈夫と思っていてはいけない、とは思っています」
ちひろ「でも、世の中完璧な人ばかりじゃないと思います。根拠に基づいて精神的にタフな人も稀にいますけど」
ちひろ「身と身の回りを守る対策はある程度やって、あとは来てみないことには分からない、くらいの姿勢でも良いんじゃないんですかね?」
雪美「……いざという時は……体が……動く……。……自分を……信じて……」
ちひろ「美味しい所を持っていかれたような」
-
755
雪美「……ん……」パチッ
雪美「……あれ……P……?」キョロキョロ
雪美「Pが……いない……」
→探す
泣く
雪美「……」スクッ
雪美「……深呼吸……集中……」スー ハー
雪美「……!」カッ
――
モバP「ふう、雪美と添い寝をしていたのに、保管庫に資料を取りに行ってくれなんてちひろさん」
モバP「改めて言われると迷う挙句に探すのが大変です……ん、誰だ?」
雪美「……」クンクン
雪美「……P……ここにいたの……。……探した……」ダキッ
モバP「途中で抜け出してすまない。……しかし警察犬みたいな追跡だ」 ……エッ? エッ?
-
756
雪美「……ん……」パチッ
雪美「……あれ……P……?」キョロキョロ
雪美「Pが……いない……」
探す
→泣く
雪美「……」ジワッ
雪美「……P……私を……ひとりに……しないで……」グスッ
光「おや、そこにいるのは雪美ちゃんか?」
――
モバP「急な呼び出しで来てみたらキャンセルだなんて……まあこれは仕方ないか」
モバP「雪美はまだ寝ていてくれているかな? ……ん、誰だ?」
雪美「……P……!」ダキッ
光「……良かったな雪美ちゃん。P、もう彼女の手を離しちゃいけないぞ?」
モバP「はい。雪美ごめんよ……しかし子猫みたいだな」ヨシヨシ ……モット
-
757
雪美「……」 コンッ
コロコロコロ カコンッ
雪美「……入った……!」
モバP「社長、お上手で」
雪美「むっ……そうかね……?」
ちひろ「……室内にパターマットを置いて遊ぶとかちょっと良い家のお父さんですかね」
モバP「屋外のパットゴルフも楽しいですよね。あとカービィボウル」
ちひろ「カービィボウルはコピー能力で荒らし回るんでゴルフというよりはゴノレフくらいですけどね」
モバP「あれをやると斜面のカップに入れるのが難しいって分かります」
ちひろ「ストーンやニードルでピタッと落とす旗つつみみたいなことができますけどね」
雪美「次は……P……。ホールインワン……狙って……」
モバP「ようし、一発で入ったら雪美にはミニスカートのゴルフウェアを着てもらおうかな」
ちひろ「おい。その前にプロデューサーさんは私がゴルフ場で相手をしましょうか」
モバP「ちひろさんは行き慣れている口ぶりですよね」 ワルイデスカ?
-
758
ちひろ「今日は何かやけに三白眼なプロデューサーさんですね」
モバP「日によって白目の面積が変わるみたいに言いますね」
ちひろ「それとも、寝不足ですか? 目つきが良くはないですよ」
モバP「寝不足……はありますね。疲れでしょうかねえ。雪美さんは目つきをどう思う?」
雪美「……ニヒルで……セクシー」
モバP「そうかい……? 一部の子には怖がられそうだが」
雪美「……怖くないよ……?」
ちひろ「目つきが怖い人って意図したものじゃなくて、目が悪いからってことがありますよね」
モバP「相手をよく見ようとして目を凝らしてじっと睨むようになってしまうとかですか?」
モバP「自分の場合、目は悪くないですが疲れていると半目になりがちです」
ちひろ「そんなにお疲れならエナジードリンクでもいかがです?」
モバP「お砂糖を取りすぎる気がするので今はやめておきます」
ちひろ「砂糖なんて一般的なものがこれに入ってると思っています?」
モバP「じゃあ代用甘味料が入っているのかな? ……え? 何怖い」
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759
モバP「はぁー」
雪美「どうしたの……? 私を……ひざに乗せて……」
モバP「雪美さんを膝に乗せること自体は普段通りのことに過ぎないのだが」
モバP「パソコンのキーの位置が滅茶苦茶にされる悪夢を見たので癒されようと」ギュッ
雪美「……これだけで……いやしに……なる……?」
モバP「なるともよ」
ちひろ「気分を晴らすのにエナジードリンクでもいかがです?」
モバP「エナジードリンクを推しますね。謹んで遠慮しておきます」
ちひろ「えー」
モバP「市販の栄養ドリンク系は炭酸ものが多くて、道理で糖分が気になるわけですよ」
モバP「無糖の炭酸水一本を甘くしようと思ったらスティックシュガーをドバドバ入れないといけませんからね」
ちひろ「まずそんなことをしたら吹き零れると思うんですけどね」
雪美「ソーダ……サイダー……スカッシュ……。炭酸水も……いろいろ……ある」
モバP「たまに、炭酸じゃない方が美味しそうに見える物もあるよな」
-
760
モバP「雪美さんは膝に座ると大人しいタイプだよなあ」
雪美「……」チョコン
みく「Pチャンのお膝の上でじっとしている雪美チャンを見ると、福の神みたいに見えるにゃ」
モバP「大黒帽子でも被せてみようか」
雪美「……給食当番で……かぶる……ような……?」
モバP「似てるな。そんなのあったなあ……ついでに着物とちゃんちゃんこはどうです?」
みく「長寿のお祝いかな?」
モバP「雪美の頭に丸い帽子って、フェアリーフィーストでのベレー帽でも思ったが実に合うんだよな」
雪美「……ありがとう……。……うれしい」
モバP「ど、どうイタ飯まして」
みく「どういう噛み方したらそうなるにゃ」
モバP「いや、たまにこう不意を突くようにストレートに、“ありがとう”と“嬉しい”を言ってもらえるのが一番グッとくるんすよ」
雪美「……難しい言葉は……いらない……」
みく「良い嫁さんだにゃあ……」
-
モバP「しかし福の神か。こんな世の中、そういう存在に縋りたくなるな」
雪美「福の神……といえば……七福神……」
みく「Pチャンは七福神、全員パッと出てくる?」
モバP「名称だけはな。まず乙姫のような姿の弁財天が唯一の女性」
雪美「……」
モバP「そして釣り好きの恵比寿、武士のような毘沙門天、お金の神様大黒天」
みく「……」
モバP「ふくよかな布袋、地味な方のおじいちゃんが寿老人で、頭が長いおじいちゃんが福禄寿」
みく「最後の二人が適当過ぎるよ!」
モバP「すまない、適当で」
モバP「ちなみに四獣とかも玄武が蛇亀で朱雀が鳥で白虎が虎で青龍が龍ということは分かる」
雪美「……黄龍と……麒麟は……?」
モバP「黄龍も龍だし麒麟はキリーンと鳴く動物でしょ」
モバP「すまない、適当で」
みく「突っ込む前に締め切るのやめるにゃ」
-
761
モバP「今日は期せずして猫の里親探しをすることになった一日だった」
雪美「……充実感……」
ちひろ「プロデューサーさんのお仕事って何でしたっけ……?」
モバP「しかし少しの間でも情が移るものだ」
雪美「……」コクコク
モバP「彼女たち、飼い主さんにどんな名前を付けてもらうんだろうな」
ちひろ「プロデューサーさんなら野良とかでも自分の中で勝手に名前を付けたりしそうですね」
モバP「はい。今日の双子は鬼面夜叉と蘭陵王、と心の中で呼んでいました」
ちひろ「画鋲丸といいどうしてそう物々しい名前にしたがるんですか」 カッコイイジャナイデスカ エエ……
雪美「……桔梗……スターアニス……元気でね……」
ちひろ「雪美ちゃんもですか。しかしこちらは可愛いネーミングですね」
モバP「植物の名前を引用すると大抵無難にはなりますからね」
雪美「二匹とも……背中に……星みたいな模様……あったから……」
ちひろ「センスの差の割にお二人の気が合うのが不思議です」
-
762
モバP「雪美よ、イチゴでも食べないか?」
雪美「……食べる……!」キラキラ
モバP「雪美の目がしいたけみたいに輝いている」
ちひろ「ビームとか撃ちそうなグランドクロス」
雪美「……でも……秋に……イチゴ……?」
モバP「まあ食べてみると良い」
雪美「……いただきます……。……ん……甘い……イチゴ……」
モバP「冬から育てて春に食べられるのが一季成りの一般的なイチゴ。これは夏秋イチゴという四季成り」
モバP「自然の摂理に反して本来育たない季節に育てるのでなかなか美味しくできないのだそうだ」
雪美「……秋に……おいしいイチゴが……食べられる……幸せ……」
モバP「しかし何だ、イチゴはやっぱりまずは練乳とか塩とかはかけないでそのまま食べたいよな」
ちひろ「塩はかけないと思うんです、常識的に考えて」
モバP「かける人もいるそうですよ? 我々はしませんがね」
雪美「……ありすにも……食べさせたい……」 ヤサシイ
-
763
モバP「……」スタスタ
野良猫「……」ジーッ
モバP「……?」
モバP「うぉっ!?」ギョッ
野良猫「」ビクッ
――
モバP「いやあ、道を歩いていて物陰に猫がいると気づかずにかなり接近していることってたまにあるよな」
モバP「で至近距離で急にその存在に気づいてびっくりして、それを見て猫もびっくりする」
雪美「……ふふ……かわいい……」
モバP「何だか滑稽で他人事のように自分も笑えてきてしまう」
雪美「P……私や……ペロなら……すぐ見つけるのに……」
モバP「集中してアンテナを張っていれば気配はすぐ察知できるんだよ」
モバP「だが考え事をしていたり油断していたりするとダメだな」
ちひろ「今度プロデューサーさんの不意を突いて驚かせてみようと思う雪美ちゃんであった」
-
764
モバP「撮影も終わって後は帰るだけか」
杏「そうだねー」
雪美「ん……」
モバP「……キャラメルでも食べるかい?」スッ
杏「飴じゃないのか……でも貰おう」
雪美「貰おう……」
パクッ パクッ
モバP「キャラメルは漢字で書くと軍粮精――これは戦時中に敵性言語を使わないための言い換えだそうだが」
モバP「そんな昔からあるお菓子で、非常食というか行動食としてポケットにあるとホッとする存在だ」
杏「……まあ暑い中で持ち歩くと溶けるけどね。飴も袋にくっついたりするしさ」
雪美「……キャラメルの箱って……独特……」
モバP「外箱から内箱をスライドさせる形だな。マッチ箱やキャラメル箱には昭和情緒がある気がする」
モバP「あとはオブラートに包まれたボンタンアメも印象に残るんだよな。そっちも食べてみる?」スッ
杏「どれだけ隠し持ってんのさ」
-
765
モバP「765プロって凄いですよね」
ちひろ「藪から棒ですね。偉大な存在であることに疑う余地はないですけど」
モバP「何というかライブや生放送でも団結力が違う……よくここまでまとめられるなって」
ちひろ「プロデューサーさんや社長さんや事務員さんの力ですかね?」
モバP「ちひろさんだけに言いますが、あちらの社長さんは普段は昼行燈の振りをしていると思います」
ちひろ「見抜いているようないないような」
モバP「またプロデューサーとも付き合いがありますが、会って話す限りだととっても普通です」
ちひろ「普通じゃない見た目で優秀な人は嫌でも目立ってしまいますからね」
モバP「……」 ←割と普通じゃない
モバP「ちょっと待ってください、普通じゃないですかどう見ても」
ちひろ「え? 何だって?」
モバP「こりゃ参った、アシスタントに普通の人だと思われていないなんて」
雪美「普通とは……なんじゃろな……」
ちひろ「ためらわないことさ」 ギャバンデスカ チャバンデス
-
今日はここまで
雨漏りの午前二時
-
乙
Pヘッドの人間(?)なんて嫌でも目立っちゃうからね仕方ないね
-
766
モバP「雪美も家に来るようになってずいぶんと経つなあ」
雪美「……♪」
モバP「同棲というわけではないが家事、特に料理とかを抜かりなくやってくれる」
雪美「……Pといたら……上手になる……」
モバP「またまたぁ。雪美さんは最初から随分と上手かったじゃないか」
雪美「そう……?」
モバP「ああ。逆に紙一重の違いで下手な子が居着く世界線ならどうなっていただろうな」
モバP「家事とか全然できない子が居候させてと転がり込んできて、共同生活なんてシチュエーションになって」
モバP「部屋が無いので仕方なく押し入れに住ませて長い期間面倒を見て、でもある日出て行くことになって、最後に夕食を作ってくれるんだ」
モバP「ふわっと炊けたお米、香りの飛んでいないしっかり味噌の溶けたお味噌汁、そして綺麗に焼き目が付いて火も通っている焼き魚」
モバP「お前も魚を焦がさず焼けるようになったんだなあ、なんて言いながらしみじみと思い出を振り返って、思わず泣けてきてしまう――なんて」
雪美「……」
モバP「……すまない、妄想をベラベラと喋り過ぎたな」
雪美「……で……それから……どうなるの……? ……続き……聞きたい……」 エ、イイノ?
-
767
雪美「……」ハグハグ
モバP「美味しそうだなあ」
ちひろ「ですね」
モバP「メロンパンを食べる雪美さんを見るとメロンパンが大きく見える」
ちひろ「我々も食べましょうか」
モバP「はい。最近少し豪遊しちゃったので節約ですね。ヨーグルッペどうぞ」
ちひろ「ありがとうございます。……って張り込みの食事みたいですね。普通はコーヒー牛乳な気もしますけど」
モバP「しかしこのメロンパンは良いですね。皮がサクサクしていて」
ちひろ「たまにガムガムしいメロンパンがありますからね」
モバP「ちなみに個人的なメロンパンの格付けはチョコチップ入りは普通、生クリーム入りは大当たりです」
モバP「意外と少ないんですよね、クリームが挟んであるやつ」
ちひろ「私はクリームは邪道、とは言いませんけどやっぱりシンプルな方が好きですね」
雪美「……P……。メロンパンに……どうしてメロンは……入ってない……の……?」
モバP「……そこに気づいてしまったか……」 ダレデモギモンニハオモイマスヨ?
-
768
モバP「……またここに来てしまった」
雪美「……意外と……早かったね……」
モバP「あ、そのセリフ良いな。黄泉比良坂や六道の辻で死別したはずの親しい人が待っていたみたいで」
雪美「私……生きてる……」ギュッ
モバP「本当だ……安心した」
雪美「……」ニコ
モバP「来ちゃったね……自分が壊れそうなのに、ね。きっと良いことだよ」
モバP「質問。どうして来たのかな?」
雪美「……?」
モバP「まあエアリスの真似をするような場面でもない」
モバP「ちひろさんがいないから俺が説明に回るが、ここは街の夜景が見える展望台の上だ」
雪美「……何度来ても……良い……」
モバP「先日の誕生日にここに来たばかりだからな。興奮冷めやらぬ内にもう一度だが」
モバP「前回見落としたかもしれない、今しか見られない景色を見納めようじゃないか」
-
雪美「……P」
モバP「……ん?」
雪美「……」ジッ
モバP「……」コク
チュ
雪美「……」
モバP「……」
雪美「……///」
モバP「今のはとてもしっとりとして良い雰囲気だった」
雪美「……さあ……景色も……見ないと……ね……。Pばかり……見そうに……なるから……」
モバP「……ああ、そうだな」
雪美「……夜景……キラキラ……してる……」
モバP「光の少ない場所で夜空を眺めるのも良いが、地上の銀河のような夜景を眺めるのも良いよな」
雪美「……うん」
一方のちひろ「デートのお二人も今頃私と同じ街の明かりを見ているんでしょうかね」
-
769
雪美「P……不可逆って……何……?」
モバP「難しい言葉だな。そうだな、例えで良いか?」
モバP「トマトを絞るとトマトジュースができるよな」
雪美「……うん」
モバP「だが、そのトマトジュースをトマトに戻すことはできない」
モバP「それが不可逆だ」
雪美「……哲学……みたい」
モバP「雪美は晶葉の助手をしているが、トマトジュースをトマトに戻す研究なんてやっていたりしないか?」
雪美「……それは……しない……」
モバP「そうか……いや、個人的にトマトジュースは喉がイガイガするから少し苦手でね。そうならない物もあるんだが」
モバP「で、実家から送られてきたケースのトマトジュースをどう捌くか困っているんだ」
ちひろ「料理にでも使えば良いじゃないですか」
モバP「塩入りだとちょっと使い辛くないですか?」
雪美「……トマトジュースを……トマトに戻せたら……ノーベル賞も……夢じゃない……?」
-
770
モバP「雪美さんに着せてはいけない服シリーズ」
ちひろ「シリーズ化してもそれは流行らないです」
モバP「今日ご紹介するのはかなり大まかな括りになるんですが……」
雪美「……?」
モバP「…………」ジッ
雪美「…………」ドキドキ
モバP「…………」ニコ
雪美「…………」エッ
ちひろ「ミリオネアかい。早く発表してください」
モバP「レースクイーンですね」
雪美「……いけない……?」
ちひろ「ドライブRQ美世ちゃんやバーニングハート茜ちゃんがそれっぽいのを着ましたけど、普段のライブ衣装との線引きが難しいところです」
モバP「物にもよるんですが露出が激しいのは本当に煽情的過ぎますからね」
モバP「でもあのビーチボールのような柄の傘を差した雪美さんは見たい」 タシカニ
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771
モバP「夏の思い出捏造コーナー」
モバP「水源の近い山の中の沢で、雪美と二人で水遊び」
雪美「……楽しかったね……」
ちひろ「存在しない思い出を語るのはどうかと思うんですけど」
モバP「水が冷たくて気持ち良かったよなあ。水着の雪美も……むふふ」 オイ
雪美「木陰で……薄暗くて……隠れ家みたい……だった……」
モバP「海やプール、開けていて日が差す河原とは別の良さがあるよな」
雪美「……」ウンウン
モバP「まあそういう所でタープテントとか立てて、大勢で賑いながらバーベキューも楽しいんだが」
ちひろ「そっちはみんなでやりましたよね」
モバP「雪美と誰にも見られない所で二人きりで自然を感じながら涼むのもまた格別だ」
モバP「あのスポット、もう水遊びはさすがに季節外れとして、今度紅葉狩りに寄ってみようか」
雪美「……うん……行きたい……」
ちひろ「え、捏造ですよね? 本当に行ってません?」 ……イッテナイ ホントカナア
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772
モバP「……」
モバP「今宵は雪美と月見と洒落込みたいところだったが……曇っておるなあ」
雪美「……そんな年も……ある……」
モバP「そうだな。日食だって場所によっては曇って見えなかったり全部欠けなかったりするし」
雪美「……皆既日食は……少し……怖い……」
モバP「昼は明るいのが当たり前だから、それが暗くなると凶事のように感じるのはある」
雪美「……暗いままだったら……どうしよう……」
モバP「その時は天照様に天岩戸から出てきてもらうために、雪美さんに一肌脱いでもらわないと」
雪美「……ん……みんなのためなら……!」
ちひろ「天鈿女命かな? そしたら猿田彦のあなたは高天原(社会)から追放ですよ?」
モバP「それは真っ当なオチですな」
雪美「P……お月様に……ウサギは……住んでいると……思う……?」
モバP「ウサギか……科学的に無理だろうが、住んでいてほしいな。スクリーマーズみたいなのは住んでいてほしくない」
ちひろ「将来的にはウサちゃんロボが住んでいそうですけど」
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773
モバP「雪美さん、また美しくなったな」
雪美「……」キラキラ
モバP「恋をすると美しくなる、なんて言うが、あながち嘘とも言えないかな。恋なのかは不明だが」
雪美「……」
モバP「もしくは自信と自覚の賜物か」
雪美「……」ソワソワ
モバP「……」
雪美「……」
モバP「……下に何か見られると恥ずかしいものを穿いていたり?」
雪美「……///」
モバP「えっ、何それ興奮するんですが」
雪美「……この前……貰った……黒い、下着……着けてる……だけ……だから……」
モバP「雪美が……! 黒い……! 下着……! だと……!?」ビターン!
雪美「! …………し……死んでる……(誇張表現)」
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774
モバP「マスカットが美味い季節だが、それ以外の岡山の魅力を今ホットな君たちに聞きたい」
紗南「あたしに聞くの? んー……やっぱ桃太郎ランドかな」
モバP「桃鉄をやっていると錯覚する可能性が微粒子レベルで存在するかもしれないが、岡山に桃太郎ランドは無いぞ」
紗南「じゃあドバ」
モバP「やめとけ」
肇「岡山と言えば、私はやっぱり備前長船長光ですね」
モバP「肇なら備前焼を推してくると思ったらまさかの刀工か」
肇「形は違いますけど、刀もまた長く伝えられる美しい表現方法の一つだと思います」
モバP「肇自身にも時々刀のような切れ味があるからな」
悠貴「私はベネッセですねっ!」
モバP「ベネッセかあ……あ、これ進研ゼミでやったところだ的な?」
悠貴「進研ゼミはやってませんけど、あの漫画は面白いですよねっ!」
雪美「……あれは……ドキュメンタリーと、見せかけた……健康食品CMと……似てる……」
モバP「分かる。分かるがそれが分かる雪美さんとは」 ママガイッテタ……
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775
モバP「ちひろさん、果物でも一口いかがですか?」
ちひろ「プロデューサーさんが持ってくるとは、何か変わった物ですか」
モバP「定番物はちひろさんがいつも出してくれますからね」
雪美「こっちが……P担当……」
モバP「というわけで、はいどうぞ」
ちひろ「おお、これは……何でしょうね。白い果実に黒い種?」
モバP「ドラゴンフルーツですよ」
雪美「ドラゴン……フルーツ……!」シャキーン
ちひろ「その謎のポーズは何ですか可愛い」
ちひろ「なるほど、ドラゴンフルーツでしたか。いただきます」パクッ
雪美「……火……吹く……?」ワクワク
モバP「動物系幻獣種の悪魔の実かな?」
ちひろ「それを私に食べさせる意図は何ですかね?」
ちひろ「……あ、こんな味でしたね」オイシイ
-
モバP「食べたことがあったんですか。初めての一口の感想を聞きたかったのに残念」
ちひろ「こう見えても大抵の物は食べたことがありますよ?」
雪美「……ちひろさん……手ごわい……」
モバP「次はミラクルフルーツかポポーの実くらいは用意しないといけないか」
ちひろ「対抗意識燃やさなくて良いですから」
雪美「ミラクルフルーツなら……ちひろさん……驚く……?」
ちひろ「どういうものかは知っていますよ? 後でレモンとか食べさせられるんですよね?」
雪美「……P」
モバP「……市場に流通しないようなすっごい珍しい物を探すしかないな」
ちひろ「はあ……」
モバP「それにしてもこれ、なかなか果物とは想像しにくい見た目ですよね。強いて言えば芋に見えます」
ちひろ「鱗みたいな皮が鮮やかな紅や黄色で中身が白や紅や紫……毒々しくすら見えて、名前負けしませんよね」
モバP「食べた感じは瑞々しい甘さがあって、例えるなら酸っぱくないキウイのようで、想像よりはあっさりなんですがね」
ちひろ「果物はそういうものだと思います。あまり過激な味になるのは珍しいというか」
ありす「ドラゴンフルーツは意外にもサボテンの仲間だそうですね。あ、この前はイチゴをありがとうございます」 ドウイタシマシテ
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776
雪美「P……何しているの……?」
モバP「ん、これか? これはパソコンで遊べるピンボールゲームだな」
雪美「……」ジーッ
モバP「よし、やってみようか。膝の上に来ると良い」
雪美「……」(つ゜-゜)つ
ヒョイ ポスン
ギュイイイイイイイイイイーン キーン ガッシャン
雪美「……」ワクワク
モバP「このキーでフリッパーを動かしたりライトの点灯場所を変えたりする。そしてこっちを長押しするとボールの発射だな」
雪美「……分かった……」
ちひろ「おやおや……ピンボールで遊ぶくらい暇してるんなら仕事しましょうよ」
ちひろ「って、それスペースキャデットじゃないですか」
モバP「よくご存じで。――あ、そしてこのキーで台パン(揺らし)が出来るよ」
ちひろ「台パンって……やり過ぎるとティルトで反則終了になるので気を付けてくださいね?」
-
ちひろ「しかしプロデューサーさんのパソコンってWindowsXPだったんですか……」
モバP「そんな旧OSなんてセキュリティーブラックホールは恐ろしくて使えませんよ」
モバP「昔遊んで懐かしかったのでこのPCでも遊べるように入れただけです」
ちひろ「趣味になるとこだわりますね。そのこだわりを本業の方にも」
モバP「リトルウイングのクリスタルカリバーンなんかも入れていますよ」
ちひろ「好きな人にはたまらなさそう」
モバP「しかしこの3Dピンボール、BGMのオンオフがあるんですが」
モバP「BGMがかかっていた方が何故かノリノリになって良いスコアが出ます」
ちひろ「音楽を聴くと作業をする際の効率が上がる人っていますよね」
モバP「体がリズムに乗るんですかねやっぱり」
ちひろ「まあ作業の性質と合った曲を聴かないと逆に集中が乱されるかもしれません」
雪美「……」カコッ ガッチャコン
モバP「雪美さんは我々の雑談の中でも全然ペースを乱しませんね」
ちひろ「あっ、中央のターゲットに引っかかってエクストラ量産し始めた」 ビビビビビューン
モバP「さらっと行われる高度なテクニックに嫉妬」
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777
雪美「……」マッタリ
モバP「ああ、膝の上の雪美さんのフィット感。そんな雪美さんを彼女にしたかった」
ちひろ「今更何を言っているんですかこの人は」
モバP「雪美さんがアイドルである以上、自分がどんな立場でも“彼女”は難しい」
ちひろ「彼女どころの関係性じゃないんですからそれくらい我慢しましょう」
ちひろ「まずプロデューサーさんに彼女とかいらっしゃらなかったんですか?」
モバP「青春時代に彼氏彼女的な距離感でお付き合いした人はいなかったですね」
モバP「彼女に、“私の好きな所を1000個挙げてみて”なんて一度言われてみたかったです」
ちひろ「1000個はおかしい。好きと100回言って、ならまだ分かりますけど」
モバP「1000個ほどになると途中で被っても女の子の方は気づかないから水増しは出来そう」
ちひろ「意外と気づきますよ? でも人間、途方もない数に見えても千羽鶴は折りますからねえ」
モバP「まあ千羽鶴感覚で毎日一つずつ挙げていっても346個か777個目くらいには彼女の方が飽きそうです」
モバP「だから、こうして時々関係ない話も混ぜつつ、僕は雪美と未踏の境地を目指していきますよ」
雪美「……ご覧のSSは……『モバP「雪美様がゆく」』……です……」
-
778
雪美「……P……これは……?」
モバP「ああ、このゲームはマインスイーパと言ってな」
ちひろ「3Dピンボールやソリティアとかと一緒にパソコンに入っていたゲームですね」
モバP「まずどこか適当な枠をクリックしてごらん」
雪美「……ん」カチッ
雪美「……1」
モバP「数字はその周りの枠のどこかに一つだけ爆弾があるということを示している」
モバP「その爆弾の枠を開けてしまったらゲームオーバーというわけだ」
ちひろ「どかーん!」
モバP「あ、右クリックで怪しいと思った箇所に旗印を付けることができるよ」
雪美「……運頼み……?」
モバP「開き方次第で運ゲーにも論理ゲーにもなる。なおこれは最初の一手は確実に爆弾にはならない」
ちひろ「ちょっ、スルーしないでくださいよー」ユサユサ
雪美(……かわいい)
-
779
モバP「……」
モバP「よっ……」ヒュッ
バシッ
モバP「あらあ、外したわ」
渚「プロデューサー、惜しいよッ!」
モバP「よし、次は入れちゃる」
雪美「……リング……高い……」
モバP「小学校の体育館のリングまでは結構低かったんだがなあ」
渚「でもこういうストリートコートも良いでしょ?」
モバP「ああ、何か都会の公園って感じがするな。しっかりラインの引かれたアスファルトのコート」
渚「ここから成り上がってやるんだ! って、気持ちになる場所だね」
モバP「バスケなあ……中学の新入生の頃は身長が高い方だったからバスケ部に勧誘されたっけ」
雪美「Pなら……ダンクとか……できそう……ね」ヒュッ スポッ
渚「ナイッシュー! 雪美ちゃん上手いねッ!」 ヤルナァ
-
780
モバP「ふう……」
ちひろ「また何か見ていますね」
モバP「こういうの、実際に見てみたいよなあ」
雪美「……」コク
ちひろ「へえ、夕焼けと参道ですね」
モバP「福岡県にある宮地嶽神社の光の道です」
雪美「……これ……ポストカードに……なりそう……」
モバP「こんなの見たら行きたくなるやん? それも年に二度しか見られなくてその一度がこの10月らしい」
ちひろ「へえ……行こうとしていますね?」
モバP「こういう観光情報とか見ていると綺麗な景色には滅法弱いなと我ながら思うのです」
ちひろ「プロデューサーさんの場合はそれもちょっと素朴な綺麗さが好きですよね」
雪美「……これも……良いけど……もう少し……近い所……」
モバP「そうだなあ……あ、これはどうだろう」カチカチ
ちひろ「これは家族旅行計画を立てているお父さんですねえ」
-
今日はここまで
ルマンドの神様
-
781
モバP「……Abre los ojos」パチッ
雪美「……?」
雪美「……Tranquilo」パチッ
ちひろ「プロデューサーさんは雪美ちゃんに何を真似させているんですか」
モバP「人差し指と親指で片目を開くポーズです」
モバP「内藤哲也ですね」
雪美「……」キラキラ
モバP「もう片方の目を細めて強調してみせるのも何だかコミカル」
ちひろ「あのポーズはプロレスラーがやるから際立つ部分もありますけどね」
雪美「体……大きくて……良いなって……思う……」
モバP「まあ雪美さんは既に懐が深くて人物が大きいからな」
りあむ「まさにヒール! 癒しだよ! 年上のぼくがいつもお世話になってます!」
モバP「プロレスの話中にヒール言い出すと悪役みたいになるな」
りあむ「そっちの意味で言ったんじゃないよう!」 ワカッテルヨ
-
782
カチャカチャ
モバP「ん……ちょっと休憩」
紗南「どうしたの? まだまだここからだよ?」PAUSE
モバP「ああ、少し画面酔いして疲れたみたいだ」
紗南「画面酔いって、一人称視点3Dゲームで上下左右に振られるなら分かるけどさ」
紗南「これクインティだよ?」
モバP「ワープみたいなパネルを見ていると目が回ってくるんだよなあ」
紗南「えぇ……」
雪美「じゃあ……バトンタッチ」
モバP「任せたぞ。しかしさすがポケモンを生み出したゲームフリークの原点。面白くて創作意欲が湧くな」
紗南「Pさんは自分でゲームを作ろうと思ったりするの?」
モバP「そりゃあするとも。宝箱をコレクションするゲームとか作ってみたいと思っている」
紗南「宝箱はその中身にワクワクするものだと思うけど、器の方に惹かれちゃうのかー」
雪美「宝飾……されていると……高そう……」
-
783
モバP「幽霊はりんごを食べるか?」
ちひろ「何ですかその“アンドロイドは電気羊の夢を見るか?”みたいな問いかけは」
モバP「ふと疑問に思いまして」
あかり「透明人間がりんごを食べてもりんごは透明にはならないんご」
モバP「じゃあ幽霊がりんごを食べたとしたらりんごはどこに消えるのか」
モバP「アストラルに変換されて見えなくなるのだろうか」
ちひろ「まるで透明人間は見たことあるような言い方……そもそも何故りんご?」
雪美「死神は……りんごが好き……。幽霊も……?」
ちひろ「リュークかな? そうでなくても禁断の知恵の実的なアイテムにされがちですけど」
モバP「というわけで小梅に頼んであの子に来てもらっています」
あかり「えっ、どの子ですか?」
雪美「あの子は……あの子……」
あかり「???」
ちひろ「霊感無いのに来てもらっても分からないんじゃないですかね……」
-
モバP「恐らくお近くにいらっしゃると思うので、このりんごをプレゼントしたいと思うのです」サッ
ちひろ「唐突に取り出しましたけどどこから持って来たんですか」
あかり「私にとって近所のような山形県朝日町のりんご温泉でのお仕事があったので、そのお土産です!」
雪美「りんごが浮かぶ……温泉……私も……行きたい……」
ちひろ「ああ、あの有名な」
モバP「さて、あの子はこれを食べてくれるのでしょうか。フルーツキャップを外しまして――」
ツルッ
ちひろ「手から滑り落ちましたよ?」
モバP「わわ、急にワックスがかかったように滑って……どこに転がった?」
「「「???」」」
――
モバP「探してもりんごは見つからなかった。忽然と消えてしまった……神隠しかな?」
ちひろ「小さな物を無くす時ってこんな感じですけど、りんごですからね……机の下や隙間にも無いですし」
ピロリーン
モバP「あ、小梅からだ。何? りんごありがとう?」 ンゴゴ……
-
784
モバP「アクティブな女性に似合うなと思うアイテムを雪美さんに差し上げよう」
雪美「……これは……スカーフ……?」
モバP「バンダナだな。区別が分かり辛いものではある」
雪美「……バンダナ……」
モバP「本当は違うが頭に巻くのがバンダナ、首に巻くのがスカーフという印象」
モバP「さて、これを巻いてあげよう」
クルッ キュッ
モバP「鏡はこちらです」
雪美「……おお……海賊……みたい……」キラン
モバP「雪美さんはバンダナを巻くイメージが無いから試してみたが……これは行けるな」
雪美「……P……お揃い……しよう……」
モバP「何か照れるな。しかしバンダナって便利でね。こうして――」キュッ
モバP「顔の下半分を隠したりするのにも使えるぞ」 マスク……ネ
ちひろ「銀行強盗に見えますね」
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785
モバP「家に帰ると幼馴染が出迎えてくれるシチュエーションって良いですよね」
モバP「どうやって入ったのか聞いたら、植木鉢の下の合鍵を使って開けた、とか言って」
ちひろ「ポストとか植木鉢って定番の隠し場所ですけど防犯的にアウトですよ?」
雪美「……でも……知ってると……優越感……」
モバP「自分は特別に出入りを許されている感じがね」
ちひろ「プロデューサーさんの家はアイドルが入り放題なんでしたっけ」
モバP「まあそうですね。代表者としてまゆに合鍵を渡したら複製されて配られていたので」
ちひろ「……そこに突っ込むのはやめるとして、そんな大人数共有の鍵、誰かが無くしたりしたら大変ですね」
雪美「……私も……カギ……持ってる……。……大事な……もの……」
モバP「でもおかげで家には大抵常に誰かが居るため、少し安全ではあります」
モバP「その時々で暇が出来たアイドルが漫画を読みに来たり宅飲みをしに来たりしますからね」
ちひろ「これが現代の鍵っ子か……」
モバP「古めかしい響きの言葉ですね、鍵っ子。かぎばあさんの絵本を図書館でよく読んだものです」
雪美「……パイナップルハンバーグ……」 ミタコトアルンデスネ
-
ちひろ「しかしそうまでしてプロデューサーさんの家に入る魅力って一体」
モバP「やたらと広いですからね。それと漫画喫茶や図書館並に本とかありますし、時間を潰すには困りませんよ」
ちひろ「あまり入り浸るのに居心地が良い空間を率先して構築しないでくださいよ?」
モバP「善処します。……と言いつつリクエストカードに目を配る」
ちひろ「図書館ですねこれは」
モバP「しかし、どうせなら鍵より、アリババと40人の盗賊の合言葉のようなシステムで家に入れたら更に面白いのに」
雪美「……オープン……セサミ……」
モバP「または、ひらけゴマ(直球)! だな。それを認識して自動で開く扉も高度科学技術並だが」
ちひろ「現代の声紋や指紋でロックを解除するなんて、昔の人からすれば魔法みたいなものでしょう」
モバP「そんな感じで秘密の暗号と森へのパスポートで入れる隠れ家なんてあれば、誰でも憧れを禁じ得ないと思います」
ちひろ「素敵な冒険が始まりそう」
雪美「……Pの家……冒険するの……楽しい……」
モバP「でも雪美さんくらいになるともう冒険し尽くして、俺より俺の家のことに詳しいよな」
雪美「……どこに……何が……あるか……大体、分かる……。……でも……飽きない……」
ちひろ「自宅がレクリエーション施設と化すなんて私なら御免ですね」 タノシイデスヨ?
-
786
モバP「昔のバスって耳が生えていたんだよな」
雪美「……そんなわけ……ない……」
モバP「小さい耳だがな、車両のフロントとリアのルーフに、マーカーランプとしてね」
ちひろ「あれを耳と言って良いのかはさておき、まだモノコックとかが走っていた頃ですか」
ちひろ「トラックにも昔は速度表示灯という緑の三つのランプがありましたね」
モバP「失われしロマンですねえ。これを見てみると良い」カチカチッ
雪美「……本当……、今と……違う……。……耳……かも……?」
モバP「となりのトトロのネコバスにもこのマーカーランプがあるんだよな。ネズミだが」
ちひろ「あのふかふかで少し生暖かそうな座席のボンネットバスが再現されたら乗りたいです」
雪美「……乗り心地……猫の背中を……触ったみたい……なのかな……?」
モバP「ネコバスは白と赤だったと思うが、この画像にある西鉄バスの青いマーカーランプとかカッコいいと思う」
雪美「でも……青いランプ……今は……バスの後ろに……ある……」
モバP「あれは知らずに見たら何のためにあるのか分からないが、バスジャック等の異常事態発生時に点灯するランプらしいな」
雪美「……光っては……いけない……ランプ……。そう言われると……見たい……気も……」 コウキシンダナ
-
787
モバP「生活の凡知識#346。値引きされたキムチは酸っぱい」
みく「発酵が進んでいるからね」
モバP「いくら賞味期限は切れていないと言っても発酵食品の衝動買いには注意しないとなあ」
みく「そういういるいらないの判断力も空腹だと鈍るから、事前にキャンディとか舐めておくと良いかも」
モバP「賢いな。それとまるごとバナナも割引品はバナナがべちゃべちゃになっていることがある」
モバP「外れを引かないと分からないことって世の中には多いな」
みく「べちゃべちゃバナナは嫌だにゃあ。Pチャンはやっぱり誰かと食事をした方が良いにゃ」
モバP「かもな。独りの時の食事は残り物を上手く片づけることに執着してしまいがちだし」
みく「Pチャン、みんなが帰った後、無気力になるタイプでしょ?」
モバP「そりゃ直前まで賑やかだった静かな部屋を見たら、何もやる気が起きなくなるし寂しくてしょうがないよ」 (゜-゜)!
雪美「……じゃあ……今日は……私が……ずっと……いる……」
みく「お泊りはダメだにゃ。いくら仲が良くても親御さんが心配するにゃ」
雪美「……夕ご飯は……サンマで……良い……?」
みく「今日はお暇するので雪美チャン後は任せたにゃ」 オイマテ
-
今日はここまで
しかし 何も 見つからなかった。
-
788
モバP「戻りました」
愛海「はなしてよー」ジタバタ
雪美「……!」
モバP「ほんま、オイタはあかんよー?」
愛海「きちんと許可は得てやったから!」
モバP「それは本当に許可なのかね?」
愛海「……了解は得たと思う」
モバP「自信が無いのならそれは許可になっていないぞ」
愛海「でもそこに山がある以上、あたしは登りたいんだ!」
モバP「……まあ、俺がいない所だとその悪癖をほとんど出さない部分だけは助かるが」
雪美「……愛海……Pに、構ってほしくて……やってるのかも……」
モバP「確かにわざと俺に捕まるような、というか見せつけるように犯行に及んでいるような」
愛海「……えっ、そ、そんなわけ……///」 オイオイ
ちひろ「今日も346プロは平和です」
-
789
モバP「古いVHSを再生しているとありがちなこと」
モバP「本編終わって少ししてからの品質管理用の信号画面」
プーーーーー
菜々「ひえぇっ……早く止めてください……!」ガクガクブルブル
雪美「……不安になる……音……ね……」
モバP「この反応の差は何や」
モバP「でも菜々さんが震えて雪美さんに抱き着くという光景には賞レベルの価値がある」
雪美「……でも……異常ではありません……だから……大丈夫」
モバP「しばらくしたらこの画面は消えるので。それにしても枠がお花でキレイダナー」
菜々「今すぐ消してくださいよぉ!」ヒシッ
モバP「まあまあ。しかし改めて聞くと深夜のカラーバー画面の音とはまた少し違う気がしますね」
菜々「あ、あれも局によって音が違いますよね。千葉の踏切も場所によってかなり不気味な音に聞こえたり……」
モバP「そういうトラウマって意外と思い出補正が大きくて、今遭遇するとそうでもなかったりしません?」
菜々「しません! ……あっ、雑談をしていたら消えた」 ダレカイッショダト……コワクナイ
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790
雪美「……P……今日も……楽しかった……」
モバP「それは何よりだよ。俺も楽しかった」
雪美「……次は……いつ……会える……?」
モバP「……」プルプル
雪美「……?」
モバP「次はいつ会える、か。そんなこと言われたら離したくなくなるんだが」ギュッ
雪美「……あっ」
雪美「……もう……P……ずるい……」
雪美「……ふふっ……もっと……」
イチャイチャ
ちひろ「これをいつか思い出した時に、あの時何て恥ずかしいことをやっていたんだろうと後悔しないようにしてくださいね?」
モバP「ヒトは時々バカになるものです、とても」ナデナデ
雪美「……♪」ムフー
ちひろ「まあ、次を期待されるって嬉しいですよね」 ハイ
-
モバP「しかし雪美は髪型のせいかあまり耳が露出しないよな」サラッ
雪美「……うん」
雪美「……直に……触られると……弱い……」
モバP「自分から弱点を明かしてくるとは……ごくり」
ちひろ「いけませんよお客様その辺にしておいてもらわねば」
モバP「専用おやつを買いますから、もう少しだけ雪美さんと触れ合いたい」
ちひろ「ここは猫カフェじゃないです」
モバP「猫カフェとはキャバクラに似ている、とどこかの偉い人が言ったそうですね。じゃあ雪美さんにこのパイナップルの主張が激しいやつを」
ちひろ「余計にダメです。未成年ですから。それにフルーツ盛り合わせ頼もうとしない」
雪美「……フルーツ……食べたい……にゃー」
モバP「買って来て作ってみるか。キャバクラに行ったことはないがテレビとかで見るあれは憧れるんだよな」
雪美「うん……約束……ね?」
モバP「お刺身の舟盛りみたいに、フルーツも舟に盛ってみるかな?」
ちひろ「よくそう次から次へと奇抜なことを考えますね。というか器用の舟あるんですか?」
雪美「……Pの家には……ある……」 ナナミニモライマシタ エェ……
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791
モバP「のあさんは猫語が分かるんですか?」
のあ「ええ。ほら、あそこで日向ぼっこしている白黒がいるわ。話しかけてみましょう」
のあ「にゃーお」
ピクッ スタコラサッ
のあ「あっ……」シュン
雪美「のあ……猫は……距離感に……聡い……」
雪美「心を……無にして……。そうすれば……自然に……近づける……かも……」
のあ「分かったわ。交流さえできれば言葉は分かる」スタスタ
モバP「あ、追いかけて行ってしまった。失敗してもクールな表情を崩さないのあさんは気丈夫だな」
雪美「のあなら……きっと……上手くいく……」
モバP「そういえば女性のパーソナルスペースは自分中心に真円。男性は前に細長い円なんだそうだね。猫はどうなんだろうな」
雪美「猫も……似ている……。私と、Pのように……ゼロ距離? ……じゃない……」
モバP「雪美にとっての俺はもはやパーソナルスペースの一部でもあるんだな」 ウン
のあ「にゃー、ふにゃにゃにゃにゃー?」 ノアサンッ!?
-
792
雪美「……」
モバP「……」
ちひろ「二人が膝上の距離から見つめ合っている……」
雪美「……」スッ
モバP「あっ」
ちひろ「片手を頬に……?」
雪美「……」スッ
ちひろ「両方……これは……もしかして……?」
モバP「……」ドキドキ
雪美「……(そっと目を閉じながら顔を寄せる)」
ムニムニ
モバP「……!?」
雪美「……ふふ……変な顔……」ホッペムギュー
ちひろ「……せっかくホイッスルを吹こうと思って取り出したのに」
-
793
ブロロロ
モバP「久々に通る道だが、新しいバイパスが出来ているな」
雪美「きれいな……道路……。高速道路……みたいに……広い……」
モバP「本当だな。しかしこうなると以前使っていた道は旧道という感覚になってしまうわけか」
雪美「旧道も……建物が、続いていて……好き……」
モバP「道沿いにな。こういう道路だと防音壁で仕切られているからなあ」
モバP「しかし見てごらんよ。道がそびえ立つようだよ」
雪美「……本当……」
モバP「下り道の先に上り道が続くような場所は、坂道が崖のように見えることってあるよな」
モバP「高低差のある住宅街の道路とかを見ると、ダイナミックだなと感じずにはいられない」
雪美「……でも……こうして走ると……普通の道……」
モバP「錯視の一種なんだろうがジェットコースターみたいで面白いな」 ……ウン
モバP「ちなみに俺は高速に等間隔に設置してある非常電話を見ると、何故か落ち着くタイプです」
雪美「……事故……起こさないで……ね……」 モチロンヨ
-
794
モバP「この前自宅にあった知らない漫画を読んでいたら面白いシチュエーションがあった」
雪美「……?」
ちひろ「自宅に知らない漫画が置いてある怖さ」
モバP「誰かが持って来たんでしょう。で、内容は主人公が事故で両手を骨折してしまうというもので」
モバP「それで仲の良い女の子にいろいろと生活の介護をしてもらうんです」
ちひろ「ごはんをあーんしてもらったり、お風呂で体を拭いてもらったりですか」
モバP「ああいうことも一度はされてみたいものですよね」
ちひろ「如何わしい期待をしているように思えてなりませんけど」
雪美「Pが……もし……両手骨折……したら……、みんなで……交代で……お世話(意味深)……する」
モバP「その気持ちだけでも嬉しい」
雪美「気持ちだけ……じゃない……。みんなで、前もって……決めている……こと……」
雪美「……私は……こずえと……二人で……Pを……助ける……」
モバP「雪美とこずえにお世話されるとか……まあ両手骨折なんてアクシデントはそう起きまいが」
ちひろ「プロデューサーさんを骨折させないようにしないと……」
-
795
モバP「たまには雪美さんにこんな格好させたって良いじゃないシリーズ」
モバP「ロックマン風の雪美さん」
雪美「……」キラキラ
ちひろ「精巧に作られていますけど自分で作ったんですか?」
モバP「晶葉との共同開発ですね」
雪美「……」ジャキンッ
モバP「片手をロックバスターにすることもできますし、色も変わります」
ちひろ「その機能凄いですけどどこで使うんですか」
モバP「まあ飾って眺める分冊百科的な感じの自己満足ですね」
ちひろ「はあ……でも、女性の水着のようなカラーリングのスーツに、ポニテ穴のあるヘルメットと、ロックマン風というかロッコちゃん風ですね。髪は黒で姉妹キャラ的ですけど」
雪美「……ロッコちゃん……もう……遊べない……」シミジミ
モバP「FLASHゲームよ安らかに……」
モバP「しかしロッコちゃんやシエルみたいなタイプのポニーテールって良いですよね。ボディはレヴィアタンのデザインと迷いました」
ちひろ「レヴィアタンは露出度がね……いやロボットスキンなんですけども」
-
今日はここまで
まりもサラダでございます
-
乙
構ってほしさに愛海がオイタをするなら、モバP以外に折檻してもらうようにすれば万事解決だな!
-
796
モバP「……」カタカタ
??「……」トコトコ
モバP「……」カタカタ
??「……」チラッ
モバP「……」カタカタ
??「……」
モバP「……誰?」
??「……私……」
モバP「いや、分かっていたがな。紙袋を被った雪美さん――敢えて顔を隠すのも……良いよね」
雪美「……本当に……分かってた……?」
モバP「俺は雪美を顔や髪型だけで認識している訳じゃないから安心して」
雪美「ん……。……トリック、オア……トリート……」
モバP「おお、ハロウィンか。良いだろう、この飴とついでにゆで卵と花火も持って行け」
ちひろ「イースターや独立記念日まで混ざっていませんか?」
-
797
モバP「ソファーに深々と腰を下ろし、新聞を読む――厳格な父親の朝って感じだ」
雪美「……」
ちひろ「雪美ちゃんが隣で覗き込んでいるのは良いんですか?」
モバP「若い内から活字に興味を持つのは大事なことです。あ、この寸評枠は二周年か……」
モバP「しかし、新聞の漫画って凄いですよね。毎日よくネタが尽きないと思います」
ちひろ「大体テレビ番組欄の裏の左上にある印象ですね」
雪美「……これ……2500話も……描き続けるの……すごい……」
モバP「単純計算でここまで行くのに毎日一本休み無しで約7年かかるのか。日々どんなペースで書いていらっしゃるのが知らないが」
ちひろ「一日一本という時もあれば、数話書き溜めてまとまった休みを作って旅行に行く時もあるんでしょうかね?」
モバP「モチベーションとクオリティーの維持を考えても、定期のお仕事は心の逃げ場が無さそう」
ちひろ「それはそうとプロデューサーさんは雪美ちゃんと長年連れ添ったように仲が良いですよね」
モバP「実質9年くらい一緒にいる感覚なのでもう幼馴染みたいなものですね」
ちひろ「その感覚はおかしい。……まあいつの間にかシンデレラガールが9人もいますけど」
雪美「生まれながらの……幼馴染まで……もう少し……?」
-
798
モバP「出先の喫茶店とかでメニューにあるといつもつい頼んでしまうものがある」
雪美「……?」
モバP「これだよ。グレープフルーツジュース。紙パックだが」
モバP「いつもと違う特別な日には、何故かこれが飲みたくなるんだ」
雪美「……P……グレープフルーツ……好き……?」
モバP「この甘さと酸っぱさと苦みの加減が好きだな」チュー
モバP「ん、デリシャス」
雪美「……一口……」
モバP「どうぞ」
雪美「……」チュー
ちひろ「同じストローに口を付けることに抵抗ないんですね」
雪美「……少し……大人な……味……」
モバP「これを好きになったのは背伸び感覚でもあったかもしれないが、きちんとした? 理由もあるんだ」
雪美「……?」
-
モバP「雪美は普通のジュースが少し甘すぎると感じることはないか?」
雪美「……」フルフル
モバP「例えば、喉が渇く夏にココアってあまり飲まないだろ? ホットは勿論だがアイスでもそんなに」
雪美「……」コク
モバP「まあアイスココアも嫌いじゃないんだ。まず作るのが手間というのはあるが」
ちひろ「冷たいとパウダーはよく溶けないんですよね」
モバP「それ以上に甘いものやドロっとしたものは、飲んでも割とすぐにまた喉が渇くんだよな。それが煩わしい」
雪美「……確かに……」
モバP「だから水分補給には基本はお茶や水。ただせっかくの外食時には、ということで甘さ控えめのグレープフルーツジュースが好きだ」
モバP「ちなみにファミレスとかのドリンクバーでポピュラーな物だけでなく、そういうジュースの種類がやたら充実しているお店はこだわりを感じちゃうね」
ちひろ「プロデューサーさんはドリンクバーがあったら適当に混ぜそうなタイプですよね」
モバP「飲み放題ならその前にまずは一通り味見しようとおかわりしてそこでギブアップです」
雪美「……Pは……レモネードや……りんご酢も……好き……ね」
ちひろ「酸いのが好きなんですね。適度に唾液が出そうで良いですけど」
雪美「そして……キスは……レモン飴の……味……」 ナゼシッテルンダ
-
799
モバP「へくしっ! ……さあ、寒くなって参りました」
雪美「Bless you. ……P……風邪……引かないように……ね」
モバP「Thank you. ああ、体調には気を使って寝られる時は早めに寝るよ」
雪美「いつも……しっかり寝ないと……」
モバP「まあ伊達にこの仕事を務めてないから、そう簡単にはくたばらんよ」
雪美「……心配」
モバP「雪美さんに心配してもらえるなんて俺は幸せ者だなあ」
雪美「もう……、……は……くちゅんっ!」
モバP「雪美っ! 大丈夫か? 具合が悪いのか? 今日の仕事は切り上げようか?」
雪美「……空気が……少しひんやり……感じただけ……。大丈夫……」
モバP「こっちおいで」
雪美「……!」
雪美「……///」ダキッ
ちひろ「“こっちおいで”は言われるとキュンとする言葉だとか」
-
800
モバP「夢はいつか覚めるもの、魔法はいつか解けるもの」
モバP「……ある朝目が覚めたら、それまでの幸せは全て泡沫と消えているのではないか――いつもそんな不安が付きまとう」
雪美「……ん……おはよう……P」
モバP「おはよう! 良かった……今日も正しい現実に帰還することができた」
雪美「……できないことも……あるの……?」
モバP「違う世界に迷い込んで帰って来られなくなったコピーの自分はたくさんいるかもな」
モバP「この自分は相変わらずどうにか耳は聞こえるし、言葉も理解できる。大切な人も変わらずにいる」
モバP「でも雪美さん、お泊りを許可したっけ? それも大人なローライズの下着姿だし……あ、これはまだ夢かな?」
雪美「シンデレラの……過ごした舞踏会は……夢じゃない……。……奇跡も、魔法も、ある……」
モバP「救いはあるんですね? ……その下着は新しいやつか? とても似合ってるぞ」
雪美「! ……うれしい……。……Pに……見せたかった……から」ギシッ
――
モバP「……今朝のは夢で良かった。いや、良くないな。何を考えているんだ俺は」
雪美「P……今日は……Pに……見せたいものが……ある……」 マテオチツケ ……?
-
801
モバP「卒業祝いや成人祝いに万年筆を貰うことがありますよね」
ちひろ「万年筆ですか。あまり印象が……」
モバP「個人的にはあまり使わないんですよね。良いものなんでしょうが」
ちひろ「ボールペンやシャープペンシルなら使いますかね?」
モバP「ですね。ただ、電子化であまり字を書かずに入力で済ます機会も増えてきて」
モバP「何か立派な箱に入っていて勿体無いので大抵はそのままです」
ちひろ「安い使い捨ての物ばかり先に使ってしまうタイプですか」
雪美「……ラストエリクサー……症候群……」
モバP「そういえばゲームでも貴重消耗品とかを温存してそのまま使わないことが多いな」
雪美「宝物……大事に……しまっておきたいのは……分かる」
モバP「やっぱり良い物はここぞという時に使いたいんだよな。待てど暮らせどその時が来ないんだが」
ちひろ「で、持ち腐れちゃうんですね」
モバP「ドーピングアイテムなんか、いつか絶好の機会が来るはずだと思っていたらクリアしてしまい拍子抜け」
ちひろ「時間経過で腐るとかなら仕方なく使うんでしょうけどね。ゲームの食品は防腐剤でもかけてあるんでしょうか」
-
モバP「ちなみにアイテムを、町人も食べたり使ったりして効果を実感しているような会話があると、ゲームの世界の生活感がしてテンションが上がります」
ちひろ「ドーピングされてやたら強い一般人とかいても面白そうです」
雪美「命の木の実……イラストでは……おいしそう」
モバP「ドラクエの木の実か。他のゲームでも大抵こういうのは美味しそうなんだよな」
ちひろ「そういえば以前はリアルポーションが売られていましたっけ。私のドリンクに比べたら効果は……」
モバP「ちひろさんのドリンクは買えるエリクサーですからね。インフレした最終盤ダンジョンみたいで却って恐縮して買えません」
ちひろ「いや買えよ」
モバP「しかし木の実も使い惜しんでいたら奴隷にされて10年経過するかもしれない。そうなるともう発芽とかしてそうですよね」
ちひろ「じゃがいもみたいに言いますね。でもドーピングアイテムを栽培できたら楽しいでしょうね」
モバP「まあ、現実では10年も経つといろいろ劣化するのがオチですね。ボールペンなんてインクが固まって書けなくなる」
雪美「……時間が経つのは……こわい……」
ちひろ「大人みたいなことを……プロデューサーさんは余分なボールペンを持ち過ぎでは?」 デスカネ
モバP「話を最初まで戻しまして、他にもお祝いで貰うものと言えば腕時計ですが、携帯スマホの普及からか、Apple Watch以外あまり着けている人を見なくなりました」
モバP「……将来、雪美さんの卒業・成人祝いには何をあげようか。永遠の悩みです」
ちひろ「文字通り永遠に悩めそうなのが何とも……」
-
802
モバP「作業の進捗が思わしくない。うーむ……」
くるみ「ぷろでゅーしゃー……?」
モバP「おう、俺の初恋の人に雰囲気が似ている大沼くるみよ、どうした?」
くるみ「ふぇっ!?」
モバP「おっと失礼、マスクデータが漏れてしまった」
くるみ「……くるみ、ぷろでゅーしゃーの、初恋の人に、似てるの?」
モバP「ああ、似てる……と思う。接触が切れて結構経つから、本当に似ているのか精度はかなり怪しいものだが」
くるみ「……ぷろでゅーしゃーの、初恋のお話……」
モバP「……そうだな。休憩がてら、少し吐き出してみるとするよ」
モバP「えっと、中学生の時かな。その初恋の人は部活の先輩で、前髪アップのツインテールがチャームポイントで、いつも笑顔でフレンドリーだった」
モバP「俺が1年生の時の3年生だったから仲良くなりきる前にすぐ卒業で会えなくなって――」
――
くるみ「……(真剣に聞いている)」
モバP「――それから先輩と面影が似た人と出会う度に、異性として気になることが続いた……もう元の顔をはっきりは思い出せないのに」
-
モバP「先輩、今頃どこかで幸せに暮らしているのかな……? すまんな、個人的な思い出とくるみを比べるようなことを言って」
くるみ「ううん。ぷろでゅーしゃー、ティッシュ……使う?」
モバP「ありがとう。どうもくるみの顔を見ていると当時の記憶がどんどん引き出されてくる。懐かしいな……ぐすっ」
くるみ「ぷろでゅーしゃー、くるみもいっしょに、泣くよぉ……ぐすっ」
雪美「……まさかの……貰い泣き……」
モバP「あ、雪美さん」スン
雪美「Pは……頼りない所もある……。だから……身近に……感じる……」
モバP「ははは……頼りないのは堪忍な」
雪美「……豆乳……持って来た……。くるみも……いっしょに……飲もう……」
くるみ「いいの? ……えへへ、豆乳、好きぃ」
雪美「……いい笑顔です……」
モバP「くるみの笑顔が強いのは写真写りの良さからも覗えるな」
モバP「普段は泣き顔も多いが、いざという時は自然体のように、でもしっかり決めてくる才能がある」
くるみ「才能……ぷろでゅーしゃーが言ってくれるなら……信じてみる!」
ちひろ「くるみちゃんが部活の先輩とか胸が厚くなるな」
-
今日はここまで
今日は一日後の昨日
-
803
モバP「……」グテー
ちひろ「どうしたんですか? 大型イベントが終わった後のような燃え尽きようですけどそんなのありませんでしたよね?」
モバP「そりゃもう、大型イベント。終わりましたよ……ドラフト会議」
ちひろ「ああ、一年の総決算的な……というか本業関係ないことですか」
モバP「いえ、“アイドルドラフト会議”のことです」
ちひろ「私の知らないドラフト会議ですね……アイドルや声優や食べ物のドラフト会議はバラエティ番組とかで見なくもないですけど」
モバP「ウチの場合は、年一でプロデューサー同士で寄り集まって、各々がパワプロで作った渾身のアイドルを集めて1位から順に指名していくんです。重複したらクジで」
モバP「そして指名した選手でトーナメント戦をして盛り上がる感じですね。毎年層が厚くなっていって、編成が楽しい」
ちひろ「思ったよりも野球要素入っていましたね。というか仲良いな」
モバP「やっぱり一年溜めてからのお祭りですから楽しくて、終わった後の虚無感……」
雪美「……私も……ゲストで……参加した……」
モバP「そうそう。独自ルールで過去に指名したアイドルを実際に連れて来ても良いんですよ」
モバP「雪美は第一回のドラフト3位でした……346プロはアイドルの数が多い分、他所のPに指名されるリスクが高いのが難点で、駆け引きが捗って仕方ありません」
ちひろ「妙にリアルな順位付けるんですね。敢えて1位じゃない所とか」
-
804
雪美「……」ピトッ
モバP「……」ダキッ
ちひろ「ニホンザルの猿団子のように身を寄せ合っていますね」
モバP「最近少し二人の関係にマンネリが出てきたので、距離感を見直そうと」
ちひろ「距離を置くどころか余計に近づいているんですけどそれは」
雪美「……温かい……」
モバP「嫌なことがあったからくっつく、というのは慰めとしてよくありますが」
モバP「良いことがあったからくっつく、幸せを分かち合うというのも良いものですね」
雪美「……とりあえず……くっつきたい……だけ……?」
ちひろ「雪美ちゃんもそれで堂々としていますよねえ」
雪美「……これが……普通……」(゜-゜)キリッ
モバP「しかしニホンザルと言えば温泉ですね。雪美と温泉にも入りに行きたいな」
雪美「……その時は……背中……しっかり……洗って……あげる……」 ハハハ、イウネエ
ちひろ「当然のことと言わんばかりに混浴する気か」
-
805
モバP「これは天保五両判金か」サクサク
雪美「……波のような……模様……。これは……削頭千……?」サクサク
ちひろ「一見では何の会話か分かりませんね」
雪美「……ちひろさんも……どうぞ……」
ちひろ「ありがとうございます。……じゃあこれ」
ちひろ「……これは寛永通宝ですね」
モバP「袋にあるリストを見なくても分かるとか凄いですね」
ちひろ「字を見れば分かりますし」サクサク
モバP「普通のお菓子は形なんて全部同じだったりそうでなかったりしますが、このエースコインはそうでない方で」
モバP「一枚一枚、食べる前にどんなコインを模してあるのか自然と確認してしまう」
雪美「ゆっくり食べられて……良い……」
モバP「そうだな。アルフォートとかもついどんどん食べてしまうから、手を止めて見られるように絵の種類がいくつかあったら良いのに」
ちひろ「その製造の手間の代償で値上げしたり内容量が減ったとしても?」
モバP「それはちょっと困ります」
-
ちひろ「それにしても、ビスケット単体を久々に食べた気がします。味はシンプルですけど美味しい」
モバP「クッキー、ビスケット、サブレ――昔は区別出来ませんでしたね」
ちひろ「作り方とかに違いがあることは分かっていましたけど、曖昧でしたね」
雪美「アイスクリーム……アイスミルク……ラクトアイス……」
モバP「そんなのあまり考えずに食べていたよな」
雪美「アシカ……アザラシ……オットセイ……トド……セイウチ……」
モバP「それもよく分からずに似たような動物という括りで見ていたな」
ちひろ「似たような動物扱いは酷いと思いますけど」
雪美「……あまり……接点が……ないから……。猫なら……詳しい……」
モバP「雪美さんは猫のことには詳しいよな。交尾が凄く痛いこととかを知っている」
雪美「……排卵誘発のため……ね……」
ちひろ「お菓子食べながら交尾の話をするのはお二人の時だけにしてくださいよ?」
モバP「失礼、少し品を損なってしまいました。……これは和同開珎か」サクサク
ちひろ「こういうお菓子とか新聞広告とか、最近古銭ブームなんですかね?」
モバP「どうでしょうね? お札の印刷番号キリ番くらいなら自分も探しますが」 キリバン……?
-
806
モバP「金剛杵ってありますよね」
ちひろ「はい」
モバP「あれって武器としては凄く性能的に微妙そうに見えませんか?」
ちひろ「刃物としてはあまりリーチがありませんからね。まあダブルセイバーみたいに長くても扱いにくそうですが――って何の話ですか」
雪美「……んっ……んっ……」
モバP「雪美がダンベルを持って上腕二頭筋を鍛えている姿を見ると何となくそんなことを考えるのです」
ちひろ「ダンベル女子……流行りそうな気配がなくもない」
雪美「……ふっ……ふっ……」
モバP「……」ポーッ
ちひろ「何熱い視線を送っているんですか」
モバP「いや、真剣な表情が神々しく見えてしまって」
雪美「……! ……」ニコ
モバP「こっちに気づいて笑顔を見せる雪美さん、控えめに言って最高やな」
ちひろ「……おもちゃのダンベルですよね?」
-
807
むつみ「私、実はずっと、Pさんのデスクの下がどんな空間になっているのか興味がありました」
むつみ「いざ往かん、小さな冒険へ!」
輝子「フヒ……冒険家さん、この先に行きたいのか?」
むつみ「あ、あなたがこの入り口を守るというキノコの門番ですね!」
輝子「え、えっと……そうとも! ここを通してほしくば、証を示せ」
むつみ「証……ですか」
むつみ「そうだ! 以前の冒険で喋るキノコ、マ・ピニョンから友達の証として貰った、この○きのこバッジ○をあげましょう」
輝子「と、トモダチの証……! い、良いのか? そんな物を貰って」
むつみ「たくさん貰いましたから! ほら、サファリジャケットにいっぱい」
輝子「トモダチいっぱい……羨ましいな……」ノソノソ
輝子「よし……さあ、通れ」
むつみ「入口は小さいですね。四つん這いでないと通れないかも……でも、こんな所で引き返しません」
むつみ「では、行ってきます!」
――
-
むつみ「広い空間に出たと思ったら、ここは……草原? みんなで遊べそうなほど広い! 事務所の地下がこんなになっていたなんて!」
――
むつみ「何か墓石らしき台から更に地下へと続く階段を見つけ、下りてみた所、貯蔵庫らしき場所に来ました。……ちょっとかび臭いですけど、こういう空間ってロマンですね」
――
むつみ「この崖下に広がって見えるのは地下帝国ですか。たくさんの労働者が建設作業をしていますね。あの千川のマークは見なかったことに……」
――
むつみ「監視の人に見つかって慌てて隠れたトイレが迷宮に繋がっているなんて。それも襖で仕切られていて変な感じ……でももう少し奥まで逃げましょう」
――
むつみ「ここは地下水脈でしょうか、人の手の入ったような洞窟に水の流れる音……もう随分降りてきましたけど、私ここからどうやって脱出すれば……」
――
むつみ「梯子を下りたら突然病院か研究所のような空間が……。何だか息苦しい……こんなに地下に来たら当たり前ですね」
むつみ「……はぁ……はぁ……。まずい、意識が遠く……。……ん? あ、あなたは……」
雪美「……お帰りは……こちらになります……」 エッ ユキミチャン!?
(゜-゜) <……
モバP「――むつみ、俺の机の下で熟睡か?」 エッ ワタシイッタイナニヲ?
-
808
モバP「♪」
雪美「……♪」
紗南「Pさんと雪美ちゃんのコンビプレイでどんどん進むねー」
ありす「あ、ゴールですね。みなさんスターは取りましたね、行きますよ?」
テレレレッテ テレレレッテッテ yahoo!
モバP「いやあ、スーパーマリオ3Dワールドで複数プレイは未だ現役を張れる楽しさだな」
紗南「確かnewスーパーマリオブラザーズwiiからだね、4人同時にプレイ出来るのって」
モバP「マリオブラザーズ2やマリオワールドの頃は交代制だったからな」
モバP「しかしカジノ街のようなライトアップされたテーマパークの雰囲気が好物だ。ジャズBGMも心地良く夜の華やかさに没入する」
ありす「本場のカジノには行ったことがありませんけどね。いつか行ってみたいです」
モバP「俺もだ。カジノとは違うがマリオカートのワルイージピンボールもコースの中で一番くらい好きかも」
紗南「Pさんはセガのソニックシリーズとかも好きそうだね」
ちひろ「プロデューサーさんにもやっとマリオで遊ぶ友達が以下略」 マエカラ(ry
雪美「……ふふ……にゃーお……」 ←ネコマリオお気に入り
-
809
モバP「ちひろさん、ロックって何でしょうね」
ちひろ「李衣菜ちゃんに惑わされでもしましたか」
モバP「中らずと雖も遠からず。李衣菜をどう導くべきか自信が無くなりつつあります」
ちひろ「プロデューサーさんがそれだと困りますね」
モバP「とりあえずThrough the Fire and Flamesを弾けるようになれ、とは言っておきましたが」
ちひろ「獅子は我が子を千尋の谷に落とす的なスパルタですかそれは」
モバP「でも、ああ見えて育ちが良くて、優等生なんですよね。舐めてかかると頭脳で負けます。みくと合いそうなタイプなんですがね」
ちひろ「……李衣菜ちゃんがと言うつもりは無いですけど、一番好きなものが一番不得意、という人は稀にいますよね」
モバP「スポーツとかで、はい。やっぱり険しい道ほど燃えるものがあるんですかね……ん?」 ガヤガヤ
チガウニャ! イイジャン! ココハコウダカラ! ソレアナタノカンソウデスヨネ?
みく・李衣菜「「もう! 解散にゃ(だ)!」」
雪美「……ケンカ……しない……!」メッ
みく・李衣菜「「はい……」」
モバP「母は強し、ですねえ」 ハハ……?
-
810
モバP「雪美さんに着せてはいけない服シリーズー(不定期)」
ちひろ「まだやるんですか」
雪美「……」コクコク
モバP「そんなにネタがある訳じゃないのでいつか消滅します。いつかはね」
雪美「……着せたい服……そんなに……ないの……?」
モバP「着せてはいけない服であって着せたい服じゃないんだ、建前は」
ちひろ「アウトな衣装でもいくつも挙げれば大抵は被りが出てきますからね」
モバP「えっと、今回は、これは完全に狙ったような格好になりますが、スクール水着の上にセーラー服ですね」
ちひろ「某潜水艦娘みたいですね」
モバP「スカートを穿いていないのがアンバランスな感じがしますが、穿くとスクール水着要素が見えなくなるという」
雪美「これだと……着衣水泳……みたいに……貼りつきそう……」
ちひろ「泳ぐ時はさすがにセーラー服は脱ぐと思いますけどね」
モバP「半脱ぎみたいな姿が無垢な少女感を引き立てますが、よく考えれば着せてはいけないって程じゃなかったかも」
雪美「……じゃあ……着てみたい……」キラキラ ドウシマスコレ?
-
今日はここまで
ありがとウサギ
-
811
モバP「人生は選択の連続である」
モバP「どちらか一つしか、その一度きりしか選べない運命の選択」
モバP「そんな機会が多々訪れると言って良い」
雪美「進路……とか……?」
ちひろ「雪美ちゃんの歳で進路のことなんて考えたくないですねえ」
モバP「そして今ここで俺も、雪美にある選択を課すことになる」
雪美「えっ……」
モバP「よく考えて選んでくれ」
雪美「……」ドキドキ
モバP「今日のおやつはクイニーアマンとじゃりパン、どっちを食べたい?」
ちひろ「」ズルッ
雪美「……むむむ……」
ちひろ「悩みますか」
みちる「ブルターニュか宮崎か、これは迷いますよ!」 ナンデソノフタツナノ?
-
812
テレビ<ダイヤモンドカーラーユーメーヲハナツペールセーウースー
モバP「野球選手がオールドスタイルの格好をしていると、足が締まって見えるなあ」
友紀「ストッキングを外に出して見せる格好だね。クラシックスタイルとも言う」
法子「オールドファッション?」
モバP「そらドーナツや。ミスドの定番だとフレンチクルーラーの方が人気らしいな」
法子「フレンチクルーラーの類似品はオールドファッションに比べるとそんなに無いからね」
雪美「……でも……ポンデリング……強い……」
モバP「こほん。しかし裾を出さないのって何かメリケンスタイルって感じがするよな」
友紀「シャツ入れデニムショートパンツとかアメリカのティーンエージャーって感じだね」
モバP「何故かガタイが良い子がイメージされる」
雪美「……私が……やったら……?」
モバP「似合わなくはないが、それで髪もおかっぱボブくらい短かったら中性的で男子と見間違うかもな」
友紀「今時男の子でもショートパンツはなかなかいないよね。ハーフパンツならともかくだよ」
モバP「でも小学校には学年に一人は年中短パンの児童がいると聞くがな」 ……トシデンセツ?
-
813
モバP「こういう仕事をしていると旅館に泊まったりホテルに泊まったりする機会が増えていく」
ちひろ「経費で落ちますからね」
雪美「でも……あまり……忙しいと……満喫できない……」
モバP「せっかく泊まっても忙しかったり疲れて爆睡したりして楽しみ所を逃すと勿体無いよな」
ちひろ「ただ泊まるだけなら簡素な所でも良いですからね」
モバP「まあビジネスホテルやカプセルホテルだと疲れすら取れないこともありますが」
モバP「……想像してみてください、和室のある旅館に泊まる光景を」
雪美「……広くて……良い匂い……しそう……」
モバP「ですな。まずはチェックインして独特の四角柱が付いたキーで部屋に入ったら荷物を置いて、畳に思いきり大の字になりたい」
モバP「洋室のベッドと違っていくら転がっても落ちないので安心です」
ちひろ「はしゃぎ過ぎです」
モバP「そして給湯器でお茶を入れて、備えてあるゴーフレットと共にいただきます」
ちひろ「お着き菓子ですか。入浴前に血糖値を上げた方が良いとかで置いてあるそうですね」
モバP「そして、テーブルに置かれた木で出来たタングラムパズルで遊びます」 アソブノカヨ
-
雪美「あれ……意外と……難しい……」
モバP「そこが良いんだよな。で、後は、温泉! 夕食! 温泉! 温泉! って感じで」
ちひろ「温泉入るなあ」
モバP「温泉は何度でも入れるなら入らないと損な気がします」
ちひろ「それは一理ある」
モバP「そしてしっかり浴衣にも着替えて、緩い雰囲気でのんびり夜更かしですかね」
雪美「……泊まりは……なかなか……眠れない……ね」
モバP「枕が変わると、か。非日常で興奮して目が冴えてしまうのはよく分かる」
モバP「で、あまり寝た気にならないままモーニングコールと」
雪美「そして……朝風呂……」
モバP「最高だね朝風呂。気持ち良く目が覚めるね」
ちひろ「寝不足は大丈夫ですか?」
モバP「大丈夫です。でも、一度は一泊二日のところを一日延長して、間の一日は部屋でテレビを見たり、有線放送を聴いたり、ブラブラしたり、何の予定も無く過ごしてみたいものです」
ちひろ「ホテル暮らしとかに憧れていそうですね」
雪美「……ホテルで……暮らすと……いろいろ……ダメに、なりそう……」 ソコナンダヨナ
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814
モバP「あっ、幸子だ」スタスタ
幸子「あっ、プロデューサーさん。どうも」テクテク
モバP(このままだとぶつかるな、右に避けよう)
幸子(このままだとぶつかりますね。左に避けましょう)
モバP・幸子「……っ!」50%
モバP(おっと。じゃあ今度は左に)
幸子(右に避けましょう)
モバP・幸子「……っ!」25%
モバP(ここは敢えてまた左だ!)
幸子(もう右に行きますからね!)
モバP・幸子「……っ!!」12.5%
モバP・幸子「ぐぬぬぬぬ」6.25% 3.12% 1.56% 0.78% 0.39%
雪美「……P……幸子……廊下で……見つめ合って……どうしたの……?」
ちひろ「息が合ってますねえ」
-
815
モバP「果物と名が付きながら常識的に甘くないと分かる物ってあるよな」
雪美「……レモン……とか」
モバP「それもあるし、これもそうだ。そろそろ熟れてきたころ」
雪美「……これは……アボカド……?」
モバP「正解。雪美はアボカドは食べたことはある?」
雪美「……うん」
モバP「そうか。これがなかなかハマると美味いのよな」
雪美「わさび醤油で……食べると……おいしい……」
モバP「お、知っているじゃない。別名“森のバター”は大袈裟かと思ったら本当にバターっぽいという」
雪美「……これも……果物……」
モバP「ドリアンやライチと並んでトロピカルフルーツとしてよく名前が挙がるから、最初は甘い物だと勘違いしていたなあ」
雪美「牡蠣は……海のミルク……、大豆は……畑の肉……。……じゃあ……私は……?」
モバP「雪美は……雪美は……何だろうな? 陸のアイドル?」
ちひろ「そのまんまやないか」
-
816
雪美「……P……スーツに……毛が、付いてる……」スッ
モバP「おう、目敏いな。ありがとう」
雪美「……」
モバP「……」
雪美「……ドキドキ……しないの……?」
モバP「このくらいのスキンシップで狼狽えていたら体が持たないよ」
雪美「……私に……飽きた……?」
モバP「飽きてはいない。雪美に触れられるのは好きだ。だが、慣れてきている」
雪美「……もう少し……深い繋がりを……持つべき時が……来た……?」
モバP「雪美とは既に充分深い関係だと思っていたんだが」
雪美「……でも……まだ……出来ていないことも……ある……///」
モバP「意味深に顔を赤らめないでくれ。そういうの、ドキドキしてくるから」
雪美「……ふふふ……。Pも……まだまだ……ね」
ちひろ「こんなプチ・マドモアゼルもいつかはマダムになるんでしょうかね」
-
817
モバP「童心に返って鬼ごっこをやりたい気分だな」
雪美「……やる?」
モバP「やろうか」
ちひろ「今は真面目に仕事してください。でないと私が自動的に鬼になりますよ」
モバP「はい」
雪美「……残念……また今度……」
モバP「まあ、あまり頭を使う作業ではないから話だけなら出来るぞ」
雪美「……鬼ごっこ……好き……?」
モバP「好きだが、なかなか難しいよな」
ちひろ「と言いますと?」
モバP「シンプルな追い追われだと持久戦になりがちなので」
ちひろ「そこに追加のルールやハンデを組み込んで楽しくするんでしょう。特定の場所で何をしろ的な指令をしたり」
雪美「色鬼……とか……」
モバP「じゃあ金色! とかね」 ムチャイウナ
-
モバP「しかしあまり煩雑になり過ぎても遊びとして楽しめなくなりますし、バランス調整がシビアです」
モバP「見るだけならバラエティの逃走中とかVS100人刑事とかとても面白そうなんですがね」
雪美「……うん」
ちひろ「広い土地を貸切で鬼ごっこみたいなことをするって発想が凄いですよね。出来ますけど」
モバP「出来るんですか……。個人的にはプロデューサーVS200人アイドル的な遊びをいつかやってみたいです」
モバP「まあ逃げきる自信があるので目に見えた勝負でつまらないかもしれませんね」フフン
雪美「……P……1人で逃げる……の……?」
モバP「サバゲーで鍛えているから余裕」
ちひろ「プロデューサーさんが鬼で制限時間内にアイドル全員捕まえる、とかの方が面白いかと」
雪美「……私は……Pには……捕まらないから……楽勝」フフン
ちひろ「お互いに大した自信ですね」
モバP「実は広範囲鬼ごっこは以前、一度やったことがあります。ルールをよく理解できずに雰囲気だけで年長者に付き合っていた形ですがね」
モバP「遊びの分かりやすさと公平さと面白さを三点両立させるのはとても大変なんですよね。あと地域住人の理解と、試合としてのガチ感」
ちひろ「バラエティも例えばビーコン演出とかは良いとして、カメラマンが随伴して位置がバレる不自然さはいつも気になります」
雪美「……Pと……ちひろさんの……本気の鬼ごっこも……見てみたい……」 コダワリマスヨ?
-
今日はここまで
じっくりダシを取りません
-
乙
”陸のアイドル”というフレーズを見た瞬間なぜか北沢陸くんが浮かんで脳が混乱した
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818
紗南「よし、ステーションとドッキング完了」
モバP「緑くんが活き活きしているな。この探査が片道切符となるとは知らずに」
紗南「いや、ちゃんと帰って来られるから」
ちひろ「おや、それはカーバルスペースプログラムですか」
雪美「……英語と……数字が……いっぱい……。難しそうな……ゲーム」
モバP「現実の国際宇宙ステーションもこのくらい大きくしていけないんでしょうかね?」
ちひろ「無重力で天井とかもスペースとして使えるとは言え、狭いは狭いですからね」
モバP「自分が勝手に思っているだけですが、宇宙進出への中継基地的なものとするには規模が物足りないというか」
雪美「……衛星みたいに……大きかったら……良いかも……ね」
モバP「SFに出てくるスペースコロニーとか巨大だからな」
ちひろ「あんな質量のある物、少しずつ地球から打ち上げて組み立てるのにはとてつもない時間と費用がかかるでしょう」
モバP「地球は重力と大気から手厚く守られている反面、脱出するのも一苦労ですからね。ましてや有人では」
モバP「……しかしこのゲームを遊びこなせる人は理系適性がある気がします、何となく」
紗南「この中で理系のイメージと言えば、ちひろさんだね」 ワタシ? ソリャネ?
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819
モバP「……ああ、いつもと変わらぬ日常だねえ」
桃華「……///」
ちひろ「膝の上に乗っているのが桃華ちゃんであることを除けばですね」
モバP「あれ? それは結構大きな変化じゃないですか?」
雪美「……私だと……思ってた……?」
桃華「だ、誰でも良かったんですの?」
モバP「冗談さね。桃華のことはしっかり感じ取っているよ」
モバP「まだ少し硬い感じが伝わってくる。この席には慣れていないようだな」
桃華「わ、わたくしはレディですから、すぐに馴染んでみせますわ!」
モバP「桃華ならそれも早いことだろう。しかし俺の膝上に乗せてもらいたがるとは」
桃華「子どものようなおねだりをして、はしたなかったかしら?」
モバP「いや、桃華がこういうお願いをしてくれることが嬉しかったよ。頼れる年上らしいことの一つもなかなかしてやれないことが多いし」
桃華「……Pちゃま。……では、もう少し肩の力を抜いて、甘えさせていただきますわ」 ギュッ
雪美「……Pの……父性が……高まっていく……」
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820
雪美「……P……お茶にしよう……」
モバP「おう、そうだな」
コポコポコポ
雪美「……はい」
ゴクゴク
モバP「苦いねえ。シンプルな水筒から注がれた……ハーブティーか? いつもこれを持ち歩いて?」
雪美「……いつもは……普通の……お茶……」
モバP「良かった。『あのーもりくぼ犯人分かっちゃったんですけど』とか言い始めるタイプじゃないか」
ちひろ「乃々ちゃんはそんなこと言いません」
モバP「外見の割に赤のレースのパンツしか穿かないとか」
ちひろ「絶対それ10代のセンスじゃないですから。……最近はケイゾクの再放送でも見ていたんですか?」
モバP「はい。あれは何度見ても飽きませんね。古畑任三郎や相棒もですが」
ちひろ「それと床にシート広げて座っているのもツッコミ待ちですか?」
雪美「……冷えないように……座布団も……ある……」 ヨウイガイイデスネ
-
モバP「やっぱりほら、気分的には水筒でお茶するならレジャーシートの上がしっくり来ませんか?」
ちひろ「でもここ事務所ですからね?」
モバP「ついでにお弁当箱におにぎりといなりと唐揚げと肉団子・うずらの玉子・ミニトマトの串刺しとかも欲しいね」
ちひろ「運動会かな?」
雪美「……今度……作ってくる……!」
ちひろ「作らすな。……プロデューサーさんは運動会お花見ピクニック等の行楽欠乏症ですね」
モバP「子どもの頃は休日は親によく行楽に連れられたもので、頭と体と胃が覚えていて、今禁断症状が出かかっています」
ちひろ「記憶力の良い胃だなあ」
雪美「……P……道理で……シートの上が……馴染んでる……」
モバP「……そうかい? しかし事あるごとに弁当を作っていた親は偉大だな」
モバP「俺も今度アイドルたちとピクニックに行く時は早起きして大きな三段箱くらいの弁当を作ってみようかな」
ちひろ「親子じゃないんですから仕事外であまりはりきりすぎないでくださいよ?」
雪美「……じゃあ……その時は……手伝う……」
モバP「よろしくな。まずちょうど疲れたところに甘い油揚げと酢飯が染みるいなりは最高だし、おにぎりの海苔がしっとりした独特の状態もたまらんよなあ……」
ちひろ「この人シートに座るだけでお腹が空いてきたようですね」
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821
雪美「……P」
モバP「ん?」
雪美「……私……喋るの……遅い……?」
モバP「ゆっくりめではあるが、俺はそのスピードで良いと思う。……何か言われたりしたのか?」
雪美「……違う。……でも……速い方が……伝えたいこと……より多く……伝わる……と、思って……」
モバP「かもな。でも、ゆっくり丁寧に綺麗に言葉を発する人も、魅力的に感じるよ」
雪美「……そう……?」
モバP「以前、免許取得の為に自動車教習所に通っていた時、そこの受付のお姉さんが台湾出身でね」
モバP「ゆっくりした、ジャズシンガーのような色っぽいスモーキーボイスと喋り方だった」
モバP「見た目は普通の社会人の黒髪美人さんって感じだったから、電話で話す時のイメージを良い意味で裏切られたな」
雪美「……色っぽい……。……じゃあ……私も……?」
モバP「スモーキーよりはウィスパーのそれだが、雪美さんも、です。当たり前だよなあ?」
雪美「……そう言われると……少し……うれしい……」
早苗「P君って試験場飛び込み一発合格してるイメージだったから意外ね」 ソンナチョウジンジャナインデスカラ
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822
モバP「11月11日はポッキー&プリッツの日!」
モバP「……だった」
雪美「……忘れてた……ね」
モバP「まあ日常において別に覚えておかないといけないことではないからな」
ちひろ「関連のお仕事でもあれば別ですけどね」
モバP「というわけでヤンヤンつけボーが食べたくなってきました」
雪美「……それなら……ここに……」スッ デカシタ!
ちひろ「ポッキー何の関係も無いじゃないですか」
モバP「僕はねえ、昔からこういう知育菓子の類がたまらなく好きなんですよ」
雪美「知育……。……お菓子の……家とかも……そう……?」
モバP「あれはちと高いが最近の物は本格的よな。崩すのが惜しくて食べられなくなるくらい」
ちひろ「お菓子で家を作るという発想って、大抵はヘンゼルとグレーテルから得ますよね」
雪美「……お話は……怖い……。でも……お菓子の……家は……夢……」
モバP「グリム童話の食べ物描写って食欲を煽るよな」 ワカル……
-
823
モバP「最近は寒くなってきたね」
雪美「……」コク
モバP「秋が深まってきたのを実感する」
モバP「そうなれば鍋……のシーズンにはまだ少し早いか」
晴「……Pと鍋したら闇鍋になりそうだな」
モバP「それはせんよ、さすがに。みんなで好きな材料を持ち寄ってぶち込むのは好きだがな」
晴「本当か? ふざけてイチゴとか入れたりしないよな?」
モバP「ありすでもさすがにそこまではやらないぞ。思いつくまではいくだろうが」
雪美「……鍋……作ると……何日分も……できそう……」
モバP「鍋はみんなで食べる時に作りたい物ではあるよな」
モバP「今はお一人様向けの外食もあれば個食鍋の種類も豊富だから、余分になってでも作ろうとはあまり思わない」
雪美「あとは……おでん……」
モバP「ああ、良いね。俺は昔おでんの匂いと練り物が苦手だったが今は好物だ」
晴「ご飯のおかずにあまり合わないからなー」
-
モバP「そんなおでんと言えばやはり餅巾着だな。これぞおでんである必要がある一品」
晴「いや、そこは普通大根だぜ大根」
雪美「私は……玉子……」
モバP「好みが割れたなあ。大根は定番だが何かからしがしっくりこない時があるんだよな。あと玉子は熱い」
晴「何だよその澤もドリブルが上手い、みたいな適当なあしらいは」
雪美「口の中……火傷でも……した……?」
モバP「経験あります。でも美味しいよなどちらも。……ちなみに好きなネタ二番手は?」
晴「牛すじかな」
雪美「……こんにゃく」
モバP「あれれー、おかしいぞー? 全然合わないな。俺はじゃがいもだ」
晴「じゃがいもで合わすのは難しいと思うぜ?」
モバP「自分の好きな物はなかなか譲れないんよ。で、今日の夕飯は何を食べたい?」
雪美「そこはP……譲るの……?」
モバP「好きなことだけで世の中は生きて行けないからね。悲しいけど」
晴「そんなこと言うなよ……。じゃあ、何かスタミナが付くやつとか」
-
モバP「回鍋肉とか作ってみるか? キャベツと豚肉でシンプル中華だが食欲湧くぞ!」
晴「おっ、ご飯に合うやつを持って来たな。シンプルはシンプルだけどさ」
モバP「人間、シングルタスクよりシンプルタスクだよ」
晴「何言ってんだか」
モバP「普段も白菜と豚肉のミルフィーユとかアサリの酒蒸しみたいなおかずをよく作るからな」
雪美「シンプルでも美味しい……これ……大事……」
モバP「さあ、それと決まればこのまま仕事返りにスーパーに寄って帰るか」
晴「……」
雪美「……」
モバP「どうした? 二人とも外に出たら突然静かになって」
晴「……まだ6時になってないのにもう真っ暗だな」
モバP「……そうだな。宵闇の薄暗さが物寂しく感じる」
雪美「……」コク
晴「夏ならもう少し外で遊んでいられるのにな」
モバP「日が沈んだら家に帰らなきゃって本能的に思うよな」サ、カエロウ
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824
雪美「……」チョコン
モバP「……こうして雪美を乗せていると時々手の行き場が余る感じがする」
雪美「……じゃあ……手遊び……しよう……」ワチャワチャ
モバP「……雪美に自分の手を良いようにされるのは快感」
ちひろ「はぁ……プロデューサーさんの手、雪美ちゃんと絡むと本当に大きく見えますね」
雪美「……大きな手……。でも……私に……よく、馴染む……そんな……存在……」
モバP「……この手をしっかり利用して、雪美さんを抱き締めても良いんだ」
雪美「……大胆……!」
モバP「でも、間違って変な所を触ったりしたらいけないからなあ」
ちひろ「プロデューサーさんは女性を抱き慣れていないんですね」
モバP「ちひろさんに抱き慣れるなんて言われると不覚にもドキドキしますね。はいそうです」
雪美「P……シャイだから……ふふっ……」
モバP「おかげで女の子に触れるだけでも勇気が要るんですよこう見えて」
ちひろ「おまえは何を言っているんだ」
-
825
モバP「我々、我慢の限界で遂にやっちゃいました」
雪美「……」コクコク
ちひろ「二人並んで何ですか、大人の階段でも上っちゃった訳じゃありませんよね?」
モバP「家にこたつを出したんです」
ちひろ「それは別に我慢する必要はないと思うんですけどね」
モバP「しかしあれがあるとやっぱり動くのが億劫になってしまいますね」
雪美「……きっと……今も……誰かの……ねぐら……」
ちひろ「気づかずに足を突っ込んだら杏ちゃんとかがいるんですかね」
モバP「ウチのこたつは皆が押しかけても良いように大きいのをいくつか置いてありますからね」
モバP「それにしても部屋が暖かいと冷たい物が美味しいです。アイスとか」
ちひろ「贅沢ですねえ。今週は食欲の秋真っ盛りなようで」
モバP「楽しい食事タイムがあるから前後の運動も捗るというものです。元々自分は動いていないと落ち着かないマグロみたいなものですからちょうど良いですよ」
雪美「……Pは……回遊魚……だった……?」
通りすがりの美優「前後運動……? Pさんは……マグロ……?」
-
今日はここまで
紅は園生に植えても隠れなし
-
826
モバP「ここにあったビル、いつの間にか無くなっているんだな」
雪美「……本当……」
モバP「更地に変わった場所を見ていると、土地というのは建物が無いと何だか狭く感じる」
雪美「周りが……高い……建物……ばかり……だから……」
モバP「それはあるな。景色が開けていれば違って見えそうだ」
雪美「……こうして……形ある、物は……いつか……無くなる……」
モバP「人が集まり留まる都会も少しずつ姿を変えていく。ずっと同じままではいられない」
モバP「ここにどんなお店があったとか、思い出とか、少しずつ忘れられていくのかな」
雪美「……切ない……」
モバP「自分がもしいつも通りの感覚で朝起きたのに50年後だったらどうしよう。周りは知らない人に知らない建物ばかり」
雪美「……浦島太郎……みたい……。……考えたく……ない……」
モバP「浦島太郎か……俺にとっては346プロが竜宮城みたいなものかもしれないな。人生のメタファー的な」
雪美「……もし……そうだとしたら……最後は……玉手箱……開ける……?」
モバP「……開ける、と思う。というか開けないとあれはどうなるんだろうな?」
-
827
杏「プロデューサーってさ」
モバP「何かね?」
杏「何も無い休みの日って何やってるの?」
モバP「俺に休みの日があると思うか?」
杏「あっ……ごめん」
モバP「あるに決まっているだろ。何当然のようにやっぱり無いんだと納得しかけているのよ」
杏「……まあその代わり、普段からあまり根を詰めて働いている感じはしないよね」
モバP「やかましいわ。休みの日でも無給で事務所に来て残っている仕事を消化したりアイドルと遊んだりするんだから」
杏「暇潰しに来てるのかな?」
モバP「運動会の観戦者側の余裕ってやつだな。俺は今日休みだけどー? って立場で悠々」
杏「うっわー、いい性格してるよ……。どこかに出かけたりはしないの?」
モバP「346プロが閉まっているような時は、図書館で本を読んだりDVDを見たりして午前を過ごし」
モバP「お腹が空いたら近くの洋食店で食事をして、午後はぶらぶらってところか。優雅な休日だろ?」
雪美「……憧れる……!」キラキラ ユキミチャン……
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828
モバP「……」ソワソワ
ちひろ「落ち着かないですね」
モバP「雪美が来ないかなあと」
ちひろ「プロデューサーさんってそこまで雪美ちゃんがいないとダメでしたっけ?」
モバP「依存症というわけではないと思いますが、口寂しいならぬ膝寂しいというか」
ちひろ「雪美ちゃんを嗜好品のように認識しているのはどうかと」
ちひろ「雪美ちゃんには雪美ちゃんの生活がありますし、プロデューサーさんは他のアイドルにとってもプロデューサーさんなんですからね?」
モバP「心得ております。……よし! 気持ちを切り替えよう」
パタン
雪美「……」ソーッ
モバP「……さて、全集中の呼吸も済んだし早速仕事にとりかかろうと思ったら」
雪美「……」ピクッ
モバP「俺のここは、いつでも空いてますよ? あ、いつでもじゃないか」
雪美「……」クスッ
-
――
モバP「雪美さん捕まえた」
雪美「……捕まった……♪」
ちひろ「捕まえたというか食虫植物のように誘き寄せましたけどね」
モバP「雪美は捕まえようと思えばイチゴや黒猫グッズですぐ捕まえられますよ」
ちひろ「そんなことしちゃあ、ダメでしょ?」
モバP「……もしかして、嫌だったか?」
雪美「……」フルフル
モバP「本人許可が出ているので大丈夫です。雪美さんは誰にでもそうする訳じゃありませんし」
雪美「……千秋にも……よく……捕まりに……行く……」
ちひろ「雪美ちゃんはプロデューサーさんが絡まなくても割とこんな感じですか」
ちひろ「……まあ、同じような人は多いと思いますけど、私は雪美ちゃんを好きなプロデューサーさんを好きな自分が好きな気はします」
モバP「だって私、あの人を追いかけてる私が好きなんだもの――という千年女優のセリフを連想しますね」
雪美「黄金の月……草の露に……♪」
ちひろ「でも平沢進を歌う雪美ちゃんはもはやなんでもありが過ぎると思います」 デスカネ?
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829
雪美A「……」ヒソヒソ
雪美B「……」コクコク
雪美C「……散」 シュンッ
モバP「雪美たちが集まる光景ってシュールだよな。最上級の目の保養だが」
あやめ「分身の術とは近代化の波で失われた特殊な歩法が元になっているのです」
あやめ「今で言うダンスがそれに近いのでしょうな」
モバP「ほう……よくそんなことを知っているな」
あやめ「……想像です」
モバP「想像か」
あやめ「はい」
モバP「いやいや……まあ案外そういうものなような気はする」
あやめ「プロデューサー殿は納得が早いですな。あやめもそうやって分身の術を会得したいのです」
モバP「……しかし、例えば自分のコピーが自分として周りの子からチヤホヤされていたら、嫉妬しそうなものだよな」
あやめ「自分は何人いても自分でありますから、良いのです」
-
モバP「そういえば以前読んだ小説に、青年の主人公が病気で死にかけの悪人と意識だけ入れ替わるという話があったな」
あやめ「なんと……」
モバP「肝心のタイトルを思い出せないが、なかなか理不尽な展開を忘れられずにいる」
モバP「最終的に自分の体を取り戻すことができるんだが、そこで可哀想な結末が待っていて」
あやめ「……どうなるのでしょうか?」
モバP「悪人の意識が消滅して、記憶を持ったまま体に戻った自分と、そのまま病人の体に残された自分の二人になってしまうんだ」
あやめ「同じ記憶を持った主人公が二人に……」
モバP「そして病人の方の主人公は何で僕は死ななきゃいけないんだ? と言いながら死んでいく。最期まで理解者の女性が一人付き添ったことが僅かな救いだったが」
あやめ「……そのお話、読んでみたいものであります」
モバP「そういう視点を知ると、自分が複数いるって事実は想像以上に酷なことかもしれない、と思うなあ」 ガタッ
あやめ「物音? 何者かが潜んでいるのでしょうか」
モバP「ハムスターの集団が雨樋を滑り降りているのかもな」 カモネ……?
あやめ「ご冗談を――って、雪美殿いつの間に!?」
雪美「……秘密の……通り道……から……参上……」
あやめ「忍者屋敷か猫の通り道のような事務所ですなあ」
-
830
ハナコ「ワンワン!」
モバP「ばう?」
ハナコ「ワン!」
モバP「わうわう」
ハナコ「ハフーン」
モバP「なるほどわからん」
凛「プロデューサーは最近やっと猫の考えていることが少し分かるようになった、って言うけど、犬のことはまだまだだね」
モバP「声を聞く感覚がなかなか難しいって知り合いの動物好きの我那覇さんも言っていたよ」
凛「……大物アイドルと知り合いなんて、やるじゃん」
モバP「でもまあせっかく渋谷家に来たからにはハナコにも挨拶をしておかないとな。昔実家にヨークシャー・テリアがいたから親近感がある」
凛「ふーん……ハナコ、おいで」 ワンッ!
モバP「俺にはこんなにじゃれつかないんだよな。好かれてはいると思うんだが」
雪美のテレパシー(……Pは……今は……猫と……同調率が……高いから……)
凛「……何か雪美の声が聞こえた」 リンモキコエルンダナ エッ
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831
モバP「最近女の子とかの輝いている姿を見ると胸が高鳴るんですよね。恋でしょうか?」
ちひろ「この期に及んでどんだけピュアなんですか」
モバP「この感覚に任せてスカウトしたのが今のアイドルたちの一部ですが、どうも少しアンテナが敏感になっているような」
ちひろ「そういえばそんな機能を持っていましたね。……機能って人としておかしいですけど」
雪美「アンテナマーク……3本くらい……絶好調……?」
モバP「やだ雪美さんじゃないですか。何だか恥ずかしくて目を合わせ辛いなあ」スッ
雪美「……」ササッ ジッ
モバP「……」プイッ
雪美「……」ササッ ジッ
ちひろ「目を逸らした方向に回り込んで見つめるとは良いアピールですね」
モバP「降参です。雪美さんには敵わない……」
雪美「……ふふっ」キラキラ
モバP「ああ〜、俺の感度がビンビンになるぜ」
ちひろ「変態みたいに聞こえますからやめて」
-
832
ちひろ「……けほっ」
モバP・雪美「……!」
ちひろ「失礼しました。乾燥して少し咳が」
モバP「大丈夫ですか? 加湿器を置きましょうか? 飲み物持って来ます」
雪美「ボイスケア……キャンディ……食べる……?」
ちひろ「大袈裟ですねえ。大丈夫ですよ」
モバP「お茶をどうぞ。あとネブライザーとか要ります?」
ちひろ「はやっ!? ストップストップ! 何喘息治療するような物持ち出そうとしているんですか」
モバP「大事なちひろさんにもしものことがあったらと思うと……みんな心配なんです」
雪美「……ちひろさん……」
ちひろ「プロデューサーさん……雪美ちゃんも……」
モバP「よし雪美、とりあえずちひろさんの周りにこのアロマディフューザーを並べよう」
ちひろ「……私を蒸す気ですか、そうですか」ニコニコ
モバP(ちひろさんのスマイルは結構圧を感じる時がある) ナニカ? イエナニモ
-
今日はここまで
今夜が山田
-
833
モバP「先日、プロデューサー友達と話をしていて聞き出したんですが」
モバP「何でも幼馴染がアイドルとして所属しているそうです。世間は広いようで狭い」
ちひろ「周りと少し違った距離感の関係になりそうですね」
雪美「……」コク
モバP「それが仲も良いようで、惚気ていましたよ」
モバP「他のアイドルたちとも上手く行くように働きかけてくれるそうで」
ちひろ「健気ですね。それでいつの間にか隠していた性癖とか意外な一面が知れ渡っていたり……」
モバP「その通りで結構硬派を気取っていたのが今では弄られるようになったそうです」
雪美「……Pも……怖そうに……見えて……面白い……人……」
モバP「子どもの当時アニメで目つきが悪い朴念仁系主人公が流行っていたのに影響を受けてこうなった」
ちひろ「そういうのにはよく幼馴染系負けヒロインがセットになるんですよね……」
モバP「でも幼馴染、現実には一緒に過ごした時間が長い分、情が移るというと何ですが、くっつきやすいイメージです」
雪美「……じゃあ……今からでも……私も……幼馴染……やる……」
モバP「みりあもやるー! みたいに言うなあ。こちらこそお願いします」 オネガイスルンカイ
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834
ギャー!
紗南「」ビクッ!
雪美「」ビビクッ!
モバP「……(ここで来ることは)知ってた」
紗南「……ふぁー、突然全画面大声で来られると心臓に悪いってー」
雪美「……」ドキドキ
モバP「でも大袈裟過ぎず自然な感じで二人の反応は大変良かった」
モバP「ホラーゲームでこういうのはジャンプスケアと言うんだよな」
紗南「そうそう。不意打ちでこれをやられたら大抵の人はそりゃ驚くって」
モバP「これでビビりとか怖がりとか言われるのはちょっと不本意だよな」
雪美「P……知ってたなら……教えて……」
モバP「まあそれはね? 見ている側としては実況者の景気の良い反応を楽しみたいものでさ」
モバP「……しかしこういうゲームは初見でついよそ見とかして演出の瞬間を見逃すと遣る瀬無い気持ちになるよな」
紗南「経験者かな?」 ソウダヨ
-
835
モバP「女騎士というと上は鎧で固めて下はミニスカにレガースという格好のデザインを見かけたりする」
雪美「……おしゃれ……」
モバP「戦闘用としては足がむき出しなのはどうかと思ったりもするが、とにかく上半身下半身で露出度が大きく違う服って何か良い」
モバP「ということで雪美さんにタンクトップとサロペットを合わせてもらいました」
雪美「……どう……?」キラキラ
モバP「君の肩から二の腕、良い形しているよね」
ちひろ「おさわりは許しまへんで」
モバP「ダメですか」
雪美「……いつも……触れて……もらうのに……」
ちひろ「日常的に女の子の肩や上腕を直にベタベタ触るのはNG」
モバP「でもどことなく隙がある感じが大変刺さります。何か自由に動くかポーズでもしてみてくれ」
雪美「……」(/゜-゜)/バンザーイ
モバP「雪美の……脇…………いい」
ちひろ「お前は厨房で働くシータに見惚れるルイか」
-
ちひろ「というか女騎士の話をしておいて関係ないサロペットを持ってきますか」
ヒョイ ポスン
雪美「……」(*゜-゜*)
モバP「手の甲に触れた雪美の二の腕……なんて柔らかいんだろう……いい」
ちひろ「もう分かりましたから」
モバP「……上比下貧、だと違う意味になりそうですがそういう女騎士的な格好は千秋の方が堂に入った感じですよね」
ちひろ「堂に入るものでもないと思いますけど」
モバP「なので雪美には新しく、ビキニアーマーみたいな保護面積が少ないトップスに」コチョコチョ
雪美「……ふふふふ」
モバP「太ももまで見えるようなスリットロングスカートを組み合わせたりしてみたいですね」
ちひろ「羽の付いた帽子を被せたらナムコのワルキューレですね。また妙にセクシーな」
ちひろ「というか何でもないような顔して雪美ちゃんをくすぐらない! イチャハラしやがって」
雪美「……Pに……いろんな格好……させられて……遊ばれるの……すき……」
モバP「おいおい、女騎士の素質もありそうじゃないか」
ちひろ「もうめんどうみきれよう」
-
836
モバP「幸子はカワイイなあ」
幸子「うふふ、そうでしょうそうでしょう! もーっと褒めてくださいね!」
モバP「遠回しに言わずストレートに“褒めろ”ってのが威勢が良い」
幸子「言わぬが花、という諺もありますけど、ボクのカワイさの前に遠慮はいりません!」
モバP「いやはや、幸子のカワイイはもはや固有スキルだよ」
幸子「悪い気はしませんね♪」
幸子「でも、プロデューサーさんはボクばかりでなく、雪美さんとかをカワイイと褒めても良いのですよ?」
モバP「確かにな。言われて嫌な顔をする子はあまりいないだろう」
モバP「ただ、その言葉を口にしようとするたびに幸子の顔が浮かんできて、それは相手に失礼かなと思ったりするんだよ」
幸子「プロデューサーさんの頭の中はもう、カワイイ=ボクでいっぱいなんですね」
モバP「鳥のヒナが初めて見たものを親と認識するが如く、そうインプリンティングされているのかもな」
雪美「……つまり……可愛い……以外の、言葉なら……早い者勝ち……」
モバP「インプリンティングは永久では無いから、その気になればカワイイ自体も誰かに上書きされるかも」
幸子「プロデューサーさんのカワイイはやっぱりボクが支配することにします(天下無双)」
-
837
友紀「……」ドヨーン
雪美「……友紀……よしよし」ナデナデ
ちひろ「日本シリーズでキャッツがスイープされましたからね……心中察します」
――
紗南「……」ドヨーン
雪美「……紗南……よしよし」ナデナデ
ちひろ「マリオ35で凡ミスして連勝が止まってしまったらしょうがないかもしれませんね」
――
モバP「……ドヨーン」
雪美「……Pも……よしよし」 ドヨーン
ちひろ「プロデューサーさんはどうして落ち込んでいるんです?」
モバP「……まほうのビキニ装備の雪美さんを引けなかったからです」
雪美「……!?」
ちひろ「そんな限定ガチャはやっとらんわ」
-
838
カコーン
雪美「……やった……ストライク……」
輝子「フヒヒ、ハイタッチ……」パシッ
留美「ナイスボール」パシッ
モバP「……前に立つ姿が何だかステージみたいだな。いえいっ」パシッ
雪美「……」キラキラ
モバP「ボウリング用のお靴を履いている雪美さん、良いと思います」
留美「バンパーが無くてもとても上手だわ」
雪美「……Pが……教えてくれた……おかげ……///」
輝子「P……私にも、手取り足取り教えてくれても、良いぞ? 良いですよ?」
モバP「そうしても良いのだが、留美さんも輝子もサウスポーだからなあ」
モバP「でもこういう時に左投げって凄く格好良く見えるよ」
輝子「ほ、本当か? ……よ、よし。次は、もっと良い所を、見せる、ぞ……」
モバP「施設全体貸切撮影の後にボウリングをやろうとなったが、ちょうど1レーンに四人登録できるのが良かったな」
-
モバP「今の所、ボールが重かったりしないか?」
雪美「ん……大丈夫……」
モバP「よし。……留美さんに輝子に雪美と一緒だと周りからだと家族に見えそうだ。他の客はいないが」
留美「ふふ、次はあなたの番よ?」
モバP「照れますね……行ってきます」
――
モバP「ふう、しかしこうなるとアイドルが揃ってボウリングやるのに私服なのが惜しいな」
雪美「……?」
モバP「プロが着けている競技用のウェアとかあればね――いや、ミニスカートが見たいとかじゃないぞ?」
留美「どうかしらね? 食い気味に聞こえたわ」
モバP「いやあ……たまにボウリング場に来ると上手そうな人がよくそんな格好で、リスタイも着けてプレイしていて、様になっているんですよね」
雪美「千夜……みたいな……グローブ」
モバP「千夜は何か知らんがボウリングが上手そうなイメージがあるのはグローブのせいなのか……」
輝子「並んだピン、よく見ると、キノコみたいに、見えなくもないな……いくゼーッ!」 カコンッ
輝子「あっ、一つ残った……ボッチノコ……」
-
――
モバP「ボウリングの点数計算って知らないと謎だよなあ」
雪美「……」コク
留美「そこは分かっていた方が楽しめると思うわよ?」
輝子「点数、最下位は、フヒ……罰ゲームだぞ」
モバP「何だそれは聞いていないんだが。まあ俺は簡単に負けんがな」
モバP「あ、また俺の番だ。行ってきます」
雪美「頑張って……でも……程々に……」
留美「負けたら一枚脱ぐんだもの。私たちは下に水着を着ているとは言え、ね」
モバP「」ズルッ
輝子「あっ……P、大丈夫か? 盛大に、ガーターしたな……」
モバP「まさかの脱衣ボウリングだったんですかこれ?」
留美「冗談よ。ちょっとP君にプレッシャーをかけてみただけ」
モバP「何ですか、期待してしまったじゃないですかーあはは」
雪美「よし……次回から……検討……」 ホンキニスルナ
-
839
モバP「346プロには何でもある」
モバP「例えばゲームセンターに置いてあるお菓子のクレーンゲーム。スウィートランド系だな」 デレレレレレレレ
雪美「……ベルトコンベア……流れて……飴が……取れた……」キラキラ
モバP「思えばミルキーのキャンディはゲームセンターで取って食べたのが初めてで」
モバP「あれがとても美味しかったんよね。思い出補正かな」
雪美「Pにも……あげる……」 アリガトウ
モバP「……あ〜、気づいた時に飴を補充する立場の俺が言うのも何だが、雪美に取って貰ったミルキーはまた格別の味だ」
雪美「今度は……お菓子タワー……作ろう……!」
モバP「おお、ロマンを追い求めるか。ならこっちのプッシャー型にしようか。だが簡単に崩させないぞ?」
ちひろ「いやいやいや、いつのまにこんなの搬入したんですか。346内にゲームセンターでも作る気ですか?」
モバP「馴染みのしまむらが店じまいするにあたって、ゲームコーナーの筐体を処分するからタダで持って行って良いよと言われたので、つい」
晶葉「ロボでなくてもこういうメカを修理改造してみるのは面白いものだな? 助手よ」 アア!
ちひろ「元々は晶葉ちゃん用に持って来たというわけですか」
ちひろ「……あ、ジャンケンマンもありますね。それも上に青いランプが乗っているタイプ……」
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840
雪美「……今日……外は……風が……強い……ね」
モバP「ああ。より寒く感じるなあ……」ジロ
雪美「P……私を……見て……何を……考えている……の……?」
モバP「んー、イソップ童話の北風と太陽、かな」
モバP「北風と太陽はどちらが強いか勝負をすることになって、地上を歩く旅人の服を脱がした方が勝ちにしようと決めた」
雪美「北風は……強い風で……旅人の服を……吹き飛ばそうと……した……」
モバP「でも逆に着込まれてしまって失敗。一方、太陽は日差しを浴びせた」
雪美「……すると……暑くなった……旅人は……簡単に……服を……脱いだ……」
モバP「というお話だったとさ」
モバP「もし今、俺が雪美さんに寄り添って暖めてあげたら、雪美さんも服を脱ぐかなあ――なんて考えた」
雪美「……P……時々……変なこと……考える……ね」
モバP「天才とは99%のどうでもいいことの中に紛れ込む1%の閃きである、って言うし」
雪美「……ぼーっと……していると……先に……行く……よ……?」 アッマッテクダサイヨ
事務所のちひろ「ここは冬でも暖かくて快適だなあ」
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今日はここまで
終わりのないのが尾張
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841
モバP「……俺は少し大きくなり過ぎたかもな」
雪美「……俺もこっちで……強くなりすぎた……みたい……」
モバP「どこで覚えたその言葉」
モバP「いや、もし俺が150cm台だったら、雪美に背中を預けて寄りかかれたりしたんじゃないかと」
雪美「……149cm以下の……アイドルを……担当……してそう……」
雪美「……私は……Pが……双子の……お姉ちゃん……だったら……良いなって……」
モバP「……雪美にお姉ちゃん呼びされるなんて絶対妹に過保護でデレッデレの姉になりますわよ」
雪美「Pが……少し……頼りない……でも……優しい……お姉ちゃん……」
モバP「そしてしっかり者の妹雪美か。日常を想像するだけでほっこりしてくる」
モバP「血を分けていても男と女だと成長するにつれ結構世界が違ってくるから、女同士の親愛って俺には一つの憧れだ」
雪美「でも……今は……今で……良い……でしょ……?」ナデナデ
モバP「ああ。この膝枕は心が洗われるというか、聖母の抱擁を受けているような心地です」
雪美「Pだって……甘えたい時……ある……。だから……私が……全部……受け止める……」
ちひろ「男同士だったら兄弟仁義になりそう」 アニジャ…… オトウトヨ
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842
ペラッ
モバP「今年もカレンダーの終点がやって来たなあ」
雪美「12月……」
モバP「これより先はない」
雪美「でも……来年は……やって来る……」
モバP「今年も一年、お世話になりました」
雪美「……こちらこそ」
ちひろ「何か早くないですかね」
モバP「思いついた時に言っておかないと後で素で忘れるかもしれないですし」
ちひろ「納会で言うでしょ」
モバP「しかし先がないカレンダーって怖いです。マヤ暦の終わりの人類滅亡説を思い出します」
ちひろ「ノストラダムスの大予言の時は信じる人も多かったそうですけど、今時終末思想はさすがに……」
雪美「オオカミ少年……みたいに……なってきてる……?」
モバP「でも、はいはい、と思いつつ次はいつだ? って追っちゃうんですよねえ」
-
843
モバP「この時期になると南国に行きたくなるな」
雪美「……南……」
ちひろ「本能? で南の方角を向く雪美ちゃん」
モバP「ビーチでクリスマスパーティーって一度やってみたいんですよね」
ちひろ「やれば良いじゃないですか。焚き火を囲んで一晩語り合うとか」
モバP「凍えますよ」
モバP「言いたいのは、南半球なんかの真夏のクリスマスです」
雪美「真夏なのに……クリスマス……不思議な……感じ……」
ちひろ「この忙しい時期に南の国で優雅にクリスマスを満喫は諦めましょう」
モバP「よし、アーリーリタイアして若い内に行けるようにお金を稼ごう」
雪美「P……以前に……七海と……行った……。今度は……私を……連れ去って……?」
モバP「雪美は結構“犬は人に付き猫は家に付く”家猫気質かと思っていたが、遠出もしたいか」
ちひろ「駆け落ちみたいなことはやめてくださいね? 14歳がレッドカード退場だとすれば10歳はブラックリスト出禁です」
モバP「手は出しませんよ?」 ダサナイノ……? ソウイウモンダイジャナイ
-
モバP「しかし南に行き過ぎるとまたこれが寒くなる」
ちひろ「私は南アメリカ大陸の南端とかに一度行ってみたいとは思っています」
モバP「パタゴニアのあたりですか」
雪美「パタゴニアの……ピューマ……見てみたい……」
ちひろ「雪美ちゃんはネコ科に惹かれますねえ。氷河とかもスケール大きそうで好奇心を刺激します」
モバP「チリの南端で海を臨んだら、この先にはもう南極大陸しか無いんだなと何か切ない気持ちになりそうですね」
ちひろ「ゲーム終盤の氷ステージで長い旅の思い出を振り返って感傷的になる冒険家か何か?」
雪美「レインボーリゾート(夢と寒冷地の面)……が、BGMで……流れそう……」
モバP「夢の泉の物語はグレープガーデン(セレクト)とかも聴いていると泣きたくなってくる」
ちひろ「どうでも良いですけどキャンディとキャンディーってどちらが正しいという訳でもないのに、カービィってカービィーだと間違いなんですよね」
雪美「伸ばしたく、なる時と……そうでない時……ある……ね」
モバP「……南国に行きたいって話がすっかり飛んでしまいましたが、とにかく暖かい所で開放的になりたい」
ちひろ「無人島貸切なんてプロデューサーさんは好きそうですね。不便さと紙一重でしょうけど」
雪美「……私は……無人島に……何か一つだけ……持って行ける、としたら……Pにする……」
モバP「それは寂しくないパートナーとして? それとも歩く十徳ナイフ的な意味で?」
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844
イーシヤーキイモー
雪美「……」
雪美「いーしやーきーいーもー……(小声)」
雪美「……」
モバP「……」
雪美「……!」
雪美「……聞いた……?」
モバP「俺がいないと思って油断したな。ばっちり聞こえましたよ」
雪美「……忘れて」
モバP「嫌だよ。あんな雪美さんを見られたら今生の名シーンとしてあの世まで持って行く」
雪美「忘れなさい……」ガバッ
モバP「押し倒し方が激しいぜ。良いじゃないか減るもんじゃなし」
美波「こんにちはー。プロデューサーさん、います? ――って」
美波「……またお取込み中のところを失礼しました///」
-
モバP「待ってくれ美波、誤解だって……雪美とプロレスごっこでじゃれ合うのも程々が良いか」
美波「プロレスごっこ(意味深)」
モバP「……それより石焼き芋が食べたくなったな」
雪美「……P……焼き芋……好き……?」
モバP「好きだとも。さつまいも、またの名を甘薯やスイートポテト。栽培量産が比較的簡単で戦時中はこれが主食だったりした人もいた」
モバP「でも俺は少年時代、おやつでふかし芋が出てくると今日は芋かぁ……なんてがっかりしていたっけ」
美波「お菓子とか食べたいお年頃だったんですね」
モバP「現代っ子だからな。ねっとり美味しい安納芋とか甘さの強い紅はるかを食べた時は感動したが」
モバP「そして、幼稚園の頃って何をしていたかあまり覚えていないんだが、何故か芋掘りをやったことは忘れていない」
美波「見えない土の中から思った以上の量が取れてやり応えがあるんですよね」
雪美「……スコップで……割っちゃうと……がっかり……」
モバP「二人もよく覚えているんだな。で、持ち帰ったさつまいもをアイスクリームに混ぜ込んで、それがまたモンブランのような味で忘れられない」 オイシソウデスネ
雪美「……ふふ……でも……外で食べる……焼き芋も……とても……おいしい……」
モバP「焼いてあるとこれまた違うよな。アルミホイルや新聞紙、紙袋に包まれていると手に持つのにちょうど良い温かさになって――」
美波「あ、トラックが行ってしまいますよ?」 オイカケヨウカナ
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845
??「P……あなたは……今年一年……良い子に……していた……」
モバP「いえいえそんな(謙遜)」
??「ご褒美として……クリスマスプレゼントを……あげる……」
モバP「ええっ、まだ12月の一週目じゃないか? クリスマスには早いよ」
??「……いらないの?」
モバP「いりますいります。暗闇に声だけ聞こえて誰かは存じませんが、この声は雪美――」
??「……サンタ」
モバP「サンタさんですね。はい」
??「あなたには……ウイルスが……見えるように……なる……眼鏡を……あげる……」
??「ウイルスが……漂っている……場所は……赤く……見える……から……」
――
モバP「仮眠から起きたら耳元に本当にメガネが置いてあった。どれどれ……」スチャッ
モバP「……視界が真っ赤で何も見えないぞ」
ちひろ「この物語はフィクションです」
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846
モバP「この時期になると賑わいますが、宝くじって当たりませんよねえ」
ちひろ「そりゃあ還元率が低い最たるギャンブルですからね」
モバP「堅実なことを言いますね」
ちひろ「株に手を出す時もそうですけど欲張って一獲千金を狙うと大抵失敗しますよ」
ちひろ「知識やコツが介入する余地のあるものは、まずは少額から始めましょう」
モバP「言うことがそれっぽいですね。でもそれを言うと宝くじなんて運頼みです」
ちひろ「買うとすれば、自分が特別である、奇跡を信じられる人が買えば良いと思います」
モバP「買うな、とは言わないんですね」
ちひろ「そんなことは言いませんよ。買うか買わないかはあなた次第です」
モバP「まあ人は時には奇跡も信じきれないと後悔しますからね」
モバP「でも、天文学的な確率もいい所でしょうから当たったら何かしらの陰謀を疑いそうです」
ちひろ「もし当たるようなことがあれば私に忘れずに報告してくださいね?」
モバP「えっ」
ちひろ「?」
-
雪美「P……真顔で……どうしたの……?」
モバP「雪美? いや、何だかちょっとした恐怖というか嫌な予感がしたというか」
ちひろ「予感というのは何かしら心当たりがあるから生まれるものです。お金の話は複雑ですね」
雪美「! ……P……お金に……困ってる……?」
モバP「心配しないでくれ、それは大丈夫だ」
雪美「私の……今ある……おこづかい……Pに……あげる……」つ346円
モバP「……こんな……雪美の大切なお小遣いを……俺に……」プルプル
モバP「許してくれ、俺が悪かった! もうギャンブルはしない、しないよ!」(´;ω;`)
ちひろ「なぁにやってるんですかねえ」
モバP「しかし宝くじ以外にも、自分が実は資産家の子で突然莫大な遺産を相続することに! といったコメディとかは定番ですが面白いんですよね」
雪美「……最終的には……破産……、でも……本当の……幸せを……見つける……ような……?」
ちひろ「雪美ちゃんも結構好きですね?」
モバP「ただ実際そういう状況に置かれても疑心暗鬼にはなりそうです。これはトゥルーマン・ショーか何かじゃないかと」
ちひろ「周りの態度が変わって人間関係が壊れるかも、とかは心配じゃないんです?」
雪美「……そこは……私たち……信頼……されてる……」 ミンナケッコウオカネモチダカラネ
-
847
雪美「……」テクテク
モバP「おっ」
雪美「……P……?」
モバP「おっと、こんにちは雪美」
雪美「……こんにちは……?」
モバP「辞書……いや、国語辞典を持った姿がとても目に留まったよ」
雪美「……これ……? 使う……?」
モバP「いや、そのまま持っていてくれ」
モバP「本や資料といった道具をバッグ等に入れて持ち歩くのは良いんだが、そういう小脇に抱えて来られるのには弱いんだ」
雪美「……片手で……本を読む……とかも……?」
モバP「カッコいいよね。そうか、雪美さんも分かるか」
雪美「……でもそれは……Pが……やった方が……似合う……」
モバP「そんなイケメンムーブはちょっとこれ見よがしには出来ないなあ」
ちひろ「プロデューサーさんがやると残念イケメンムーブになりそう」
-
今日はここまで
ネタが被っても編集不可
-
乙
アニジャ…… オトウトヨ を見たらなぜかオペラセリア・煌輝座の”お兄様”を連想した
-
848
雪美「……」チョコン
モバP「……」ギュッ
ちひろ「……」ズズー
モバP「ああ……膝の上の雪美の体温が気持ち良い」
雪美「……人間……カイロ……」
モバP「これは発見だとは考えられませんか?」
ちひろ「どこに出しても恥ずかしい発見だと思います」
モバP「……少しは自覚があります。我ながら凄いことをしているなと」
雪美「……Pの……体温は……私より……少し……冷たい……気がする……」
ちひろ「幼い子特有の高めの体温を独り占めするのは、懐炉としては正しいのかもしれませんね」
モバP「まあ、やんわり暖房が入っている事務所で懐炉が要るかというと……」
雪美「……私……いらない……?」
モバP「要りますね。必需品です」キリッ
ちひろ「甘い二人を見ていると、私は熱くて苦いお茶で充分です」ズズー
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849
雪美「……」チョコン
モバP「……あー……ここはこっちにするか……」カタカタ
カタカタカタ カチッ カタカタ カタッ カタカタ――
雪美「……」
雪美「……」ウトウト
雪美「……」カクッ
雪美「……っ!」ビクッ
雪美「……」パッチリ
雪美「……」
雪美「…………」
雪美「………………?」ポカーン
ちひろ「プロデューサーさん、雪美ちゃんが宇宙の真理を悟りかけた猫みたいになってました」
モバP「えっ……ああ、よくあることですね」
雪美「……何を見たのか……忘れた……」
-
850
モバP「クラウンが生産終了するかもという話があるな」
美世「Pさんはクラウンに興味があるんだ?」
モバP「まあ俺が好きなのはブレーキランプが丸目四灯のクラウンアスリートとかだが」
美世「ちひろさんも言ってたけど丸目好きだね」
モバP「そりゃあフェラーリとかスカイラインみたいな丸目が高級でスタイリッシュな車という印象で育ってきたからかな」
モバP「丸ければ何でも良いってわけじゃないが、いつか買いたい車の系譜が途絶えていくのは悲しい」
美世「そうだね。セダンタイプの宿命なのかな」
モバP「今後は温室効果ガスゼロに向けても古いデザインの車はどんどん消えていくかもな」
美世「えー、複雑だなあ……アイドリングの時のエンジン音とか好きなのに」 ワカルワ
雪美「……クラウン……王冠の……エンブレム……分かりやすくて……好き……」
モバP「クラウンのクラウンマークは、例えるなら雪美が雪の結晶のペンダントやバッジを付けているようなものだからな」
美世「でも、雪乃さんや雪菜ちゃんが同じペンダントを付けていたら……?」
モバP「……杏が杏のペンダントやバッジを付けているようなもの、としよう」
雪美「……それか……Pが……Pの……ヘッドを……」 ワカリヤススギル
-
モバP「しかしクラウンを無くすなら代わりに一時的にでもアルテッツァとか復活すれば良いのにな」
美世「2005年で販売終了してるクルマだね。あれは結構デザイン的に好きだよ!」
モバP「スープラだって復活したし無いとは言えないはず……無いか」
美世「諦めないで!」
モバP「おう!」
雪美「……素直……」
モバP「美世の真ん丸な目が愛車のライトみたいに見えてつい反射的に」 エッ
モバP「それかいっそ、PCのように欲しいデザインやスペックの物はカスタムを学んで自作するのも手だな」
美世「Pさんだとデコトラとかモンスタートラックみたいなのを作りそうだけど、車検通るかなあ……」 ソコマデハシナイヨ
雪美「……P……トラックも……運転……できる……?」
モバP「一応な。大型免許は上からとりあえず持っとけと言われたから一通り取ったぞ」
美世「上……?」
モバP「あとは重機やフォークリフトなんかもついでにな。ふじりなにびっくりされたよ」
美世「重機アイドルならともかく重機プロデューサーって聞いたことないよ」
雪美「……じゃあ……消防車……戦闘機……戦車も……?」 ア、ソレハネェ……
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851
モバP「雪美と絵本を読んでいて思ったんですが、灯台って良いですよね」
ちひろ「絵になりますよね」
モバP「特に夜の往復する灯台の光。飽きずに見ていられます」
雪美「……行ったり……来たり……」
ちひろ「ただ灯っているより回転灯のように動く方が何だか灯台らしい気がしますね」
雪美「本物……見たく……なった……」
モバP「それもできれば海外のシチュエーションが特に立派な灯台が良いね」
ちひろ「シチュエーションですか?」
モバP「人里離れた断崖絶壁に孤独に寡黙に佇むような日本の灯台も哀愁があって良いですが」
モバP「やっぱり男なら大きくて居住施設もある基地のような灯台で灯台守をすることに憧れるわけです」
雪美「……私は……灯台の……ライトに……照らされて……みたい……」
モバP「きっと眩し過ぎるだろうな。まあ今はそういう所に行く予定は無いが」
モバP「代わりに壁に追い詰められたルパンにスポットライトが当たる真似くらいなら346のスタジオで試せるぞ」 サスガ……ミシロプロ……
ちひろ「ライトに当たりたいなんてアイドルですねえ」
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852
雪美「……?」
スッ
モバP「ん、何だ雪美。袖口が気になるのか」
雪美「……何か……黒いものが……」
雪美「……!」
モバP「あ、見られちゃったか」
雪美「P……タトゥー……入れたの……?」
モバP「ああ、友人にやってみないかと言われてな」
雪美「……」ジワァ
モバP「えっ」
雪美「……」ポロポロ
モバP「あああ、違う違う。大丈夫だ、これは版画のように転写してすぐ消えるやつだから」
雪美「……」ポロポロ
ちひろ「プロデューサーさん、何雪美ちゃんを泣かせているんですか……」ゴゴゴゴゴ
-
――
モバP「本当にすまん。驚かせる気は無かったんだ。そんなにショックを受けるとは」
雪美「……何故か……分からない……。……悲しいのが……込み上げて……きて……」
モバP「ごめんな」ナデナデ
雪美「……ん……少し……落ち着いて……きた」
ちひろ「しかしこれはリストバンドみたいな感じですね。蘭子ちゃんが喜びそう」
モバP「ハワイのオアフ島にポリネシアカルチャーセンターという所があるんですが、そこでこれと似たようなのを入れてもらえた記憶があります」
ちひろ「そんな所に行っているんですね」
モバP「結構昔のことですがね」
雪美「……」サワサワ
モバP「これな、水で洗うと消えてしまうそうで、何か勿体無くて洗えないんだ」
雪美「……」ニギニギ
モバP「そして雪美と握手しちゃうと手も洗えないな」
ちひろ「握手会のファンか」
雪美「……Pの手……変わらなくて……安心……」スリスリ
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853
モバP「仕事が終わった時にはやっぱり心が晴れやかになるBGMが良いよな」
雪美「……」コク
ちひろ「それには同意ですけどどういう心境からその答えを導き出したんですか」
モバP「例えばこれが流れてきたらどうです?」
雪美「はい……ヘッドホン……」 スチャッ
♪真実の翼(解決したが、やるせない)
ちひろ「……相棒で悲しい結末になった時に流れてくるやつですね」
モバP「行きつけの小料理屋で小粋に締めるのとは温度が違うというか」
ちひろ「これも余韻があって良いですけど、空気は沈みますよね」
雪美「……」コク
モバP「では、我々は行きましょうか、佐城くん」
雪美「……はい」
パタン
ちひろ「……ってちょっと、私にヘッドホン付けたまま帰らないでくださいよ」
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854
雪美「……P……あそぼ……」
モバP「おう、俺の膝に顎乗せしてくるんじゃない。わんこみたいじゃないかもっとやれ」
雪美「……」グリグリ アッアッアッ
紗南「……何か悔しいのであたしもやる」グリグリ
ちひろ「何やってんだあいつら……」
紗南「でもさー、二人とも本当仲良いねえ(左の太もも)」
雪美「それほどでも……ない……(右の太もも)」
モバP「膝に顔を乗せて会話するのかよ……まあ、仲は良いがどんな時そう感じるんだ?」
紗南「マリオパーティ3のたたいてドラムでやたらと競る時とかにそう感じる」
モバP「似た者同士化している感じか? 記憶力しりとり系は強い奴は強いだけだと思うがな」
モバP「だがフィクションのキャラクターなんかは記憶力良すぎるとはよく思う」
モバP「推理ものとか何でそんな細かい証拠とか思い出まで詳細に思い出せるのかと」
紗南「瞬間記憶能力を持ってる人も稀にいるらしいけど、ゲームでもちょっと都合が良い展開はあるよね」
ちひろ「いや、プロデューサーさんも充分記憶力が良いというか都合の産物的な存在ですけど」
-
855
コロコロ
雪美「……ビー玉……光を……反射して……綺麗……」
モバP「プラスチックのおもちゃの宝石なんかも侮れないが、こんな綺麗なものが砂から作られるなんて意外だよな」
雪美「……ガラス……ね……」
モバP「ああ。ラムネの瓶のビー玉をどうにか取り出せないか頭を捻るのはみんなやることだろう」
ちひろ「やらないと思います」
雪美「……知恵の輪……みたいに……取り出せる……?」
モバP「物にもよるが割った方が早いかな」
ちひろ「力技で解決するのか……」
モバP「俺、ビー玉を集めておいていつか宇宙人がやってきたらこれをあげて友好関係を結ぶんだ」
ちひろ「ドラえもんかな?」
モバP「砂には負けるが石英、水晶も日本では採りやすい鉱石で綺麗だと思うな」
雪美「……うん。……私は……岩に隠れて……輝く……原石も……好き……」
ちひろ「母岩付き原石の良さが分かるとは素人じゃないですね?」
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おまけ19
ちひろ「ところでTemo De La Adiauoって何ですか」
モバP「別離のテーマですね。今更こっそり日本語に訂正しておきます」
ちひろ「素直に訂正するのは大事ですからね」
モバP「ここだけの話、銀河鉄道の夜は細野晴臣より久石譲の方が聴いた回数が多いです」
ちひろ「微妙にレアなタイプの人ですね」
雪美「……こっちの……銀河鉄道の夜も……好き……」 〜♪
おまけ20
モバP「雪美は歴代ゼルダ姫でどれが一番好きだ?」
雪美「……大地の……汽笛……」
モバP「ほう、分かっているね。一緒に冒険できて丁寧口調から結構グイグイきたりして愛着が凄く湧くよな」
雪美「……」コクコク
ちひろ「まず歴代ゼルダ姫を把握している時点でどんだけゲームやりこんでるんですか」
モバP「何を今更。分身ループ何でもありじゃないですか我々」
ちひろ「開き直りおった」
-
今日はここまで
猫はこたつでバターになる
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856
モバP「寒波で寒さの段階が上がった最近、皆さんいかがお過ごしでしょうか」
モバP「今日も今日とて社内の一室からアイドルの皆さんにお送りしております」
雪美「……」ヌクヌク
こずえ「ゆかだんぼう……おしりが……あったかいねー」
モバP「炬燵やストーブやヒーターやホットカーペットも良いのだが、床暖房は範囲が広く暖まるから良いな」
モバP「ガス温水式床暖房なんかは洗面所の赤い蛇口から温水を出すシステムの応用という印象だ」
こずえ「しってるよー。……あったまるまで……じかんがかかるのー」
モバP「だから結局あまり使わないという……ああ、それにしてもそんなに足を投げ出して」
モバP「冬場なのにこずえの裸足、しかも足の裏まで見られるとはね。良いあんよだ」
こずえ「あんよー……? こずえ、あかちゃんじゃないよー」
雪美「こずえ……スカート……」
こずえ「だいじょうぶ……ゆきみも……たいつ、ぬいじゃえー」
雪美「あっ……だめ……///」
モバP「平常心が早速壊れそうで何よりです」
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857
モバP「こんにちは、西暦と元号の使い分けに時々混乱する私です」
ちひろ「同じ食品でも西暦下二桁表示と元号表示があったりしますよね」
雪美「……と……二人いっしょだと……年上のように……見られる……私……です」
モバP「……俺と?」
雪美「……こずえと」
モバP「何だ一瞬焦ったぞ」
雪美「Pは……さすがに……私より……どう見ても……年上」
ちひろ「プロデューサーさんがホムンクルスだとしたら雪美ちゃんより年下説もあります」
モバP「それもう違う生き物じゃないですかやだー」
ちひろ「しかもこずえちゃんって早生まれですから2学年違いなんですよね」
雪美「……こずえ……プライベートでは……割と……お姉ちゃん……してたりする……」
モバP「何それ見たい……さて、そんな今年もそろそろ終わりですね」
モバP「今年末、自分にもし一日休みがあったなら家に閉じこもって買ったきり未消化のハクスラに熱中してみたいです」
ちひろ「尚、他のアイドルが既にセーブデータを作っていて空きが無い模様」 アタラシイノカワナキャ……
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858
モバP「たまには大人数で車に乗ってドライブに行きたい気分です」
ちひろ「普段からやっていることですね。仕事でですけど」
雪美「……兄弟とか……友だちが……居た方が……良い……」
モバP「そうだよな。例えば父母二人に一人っ子の3人編成とかだと何か子どもの立場としては車内が退屈に感じるというか」
ちひろ「子ども同士二人以上の賑やかな感じを知ってしまうと物足りなくなるんですかね」
モバP「ですね。たまたま雪美と二人きりになった時の無言で通じ合うデートも好きですが」
ちひろ「運転の方に集中は出来ていますかね?」
モバP「していますよ」
モバP「それにしても、休日の朝に遠出をする前にみんなとコンビニでおにぎりとかを買い込んだりしたいな」
雪美「……パンでも……良い……」
モバP「そんな時間が幸せだったんだな、と思える日がいつか来ることでしょう」
ちひろ「でも車内って結構暇ではあるものですよね」
雪美「……テレビ……見られる……」
モバP「昔だとそんなの無かったりもしたからな。じゃあ何をするかと言うとしりとりや山手線ゲームとかで」
-
モバP「我々も唐突に少ししりとりでもやってみましょうか。最初はメロンから」
ちひろ「いきなり終わってますけど?」
雪美「ンジャメナ……」
ちひろ「気にせず続けるんですか」
モバP「次はちひろさんですよ」
ちひろ「しかも私もやるんですか。な、な……梨」
モバP「し……渋谷凛」
ちひろ「そこは渋谷までで良かったのに何故勢い余って凛ちゃんまで」
雪美「……ん……どうしよう……?」
ちひろ「真面目に付き合わなくて良いですから。んはアウトにしましょう」
――
雪美「……私の……勝ち……」
モバP「雪美は言葉の引き出しが多いな。これはエンターテイナーの素質かもしれない」
ちひろ「その前にプロデューサーさんは一々奇を衒おうとするの止めた方が良いと思います」
雪美「……次は……脳内3人将棋……やる……?」 プロノキシカナ?
-
859
雪美「……?」
雪美「P……これは……工具箱……?」
モバP「ああ、紛れもない俺のだ。開けて見てみるか?」
雪美「……」コク
パカッ
雪美「……段々に……なってる……」
雪美「あ……このハンマー……おしゃれ……」
モバP「プラスチックハンマーだな。ヘッドの両端が赤透明でまるで散光式警光灯みたいな所が気に入っている」
雪美「……散光……?」
モバP「パトロールカーのルーフに乗っている横長のランプのことだな」
雪美「……そう言われると……似てる……?」
モバP「まあ残念ながら光ったりはしないが、この色合いのやつが欲しくてわざわざ探したっけな」
雪美「……私は……青の方が……好き……かも……。……落ち着く……」
モバP「人によって好みが出るから面白いな」
-
雪美「赤は……少し……怖い……」
モバP「赤は主に信号機がそうだが、警告色として浸透している部分があるからな」
雪美「……キュートも……警告色……?」
モバP「信号機カラーにはなっているが実は一番やべーのがキュートとかそういうんではない」
モバP「というかカラーとしてはキュートは赤よリはピンクと思ってもらいたい」
卯月「私は赤でも大丈夫です! 頑張ります!」
モバP「どこから出てきたキュートのリーダー格。頑張り過ぎるなよ」
卯月「適度に手を抜くことに手抜きしないように頑張ります!」
モバP「こやつ、意外と言いおるな」
モバP「それはともかく、海外のパトロールカーは片方が赤で片方が青、みたいなものもあるが」
雪美「……ハリウッド映画で……よく見る……」
モバP「日本で青ランプを付けているのは地域の防犯パトロールカーとかだな」
モバP「赤は警察のパトカーや消防車、救急車とかに使われる。黄色は……」
雪美「道路作業……している時に……見る……」
モバP「車に乗って移動することも少なくない中で、よく外を観察しているな」
-
雪美「……他の色は……ない……?」
モバP「緑や紫もあるようだが普通だとなかなか見かけないな」
卯月「はたらくくるま、良いですよね。いろんな車やお仕事があるんだなって」
雪美「……ポンキッキが……開きそう……」
モバP「今何か二人が三十路のような話をしていた気がする」
モバP「個人的にはクイズ番組の早押し回転灯は全部赤だと手抜きに見える。色違いの方が好きだな」
卯月「その方がカラフルで楽しいですよね。私、いつかアタック25に出てみたいんです」
モバP「卯月は選べるならどの色の席に座りたいとかある?」
卯月「うーん……白、かなぁ? やっぱりいつも身に着ける色が良いと思いますっ」
モバP「いつも身に着ける色……ね」 アッ
雪美「……卯月の顔が……赤に変わる……」 ウゥゥ///
モバP「こほん。世紀の大脱線を元に戻しまして、結局このハンマーも、ふざけて振り回したり間違って指を叩いたりすると危ないよという意味でこの色なんだろうな」
雪美「……Pは……こんなにたくさんの……工具……使うの……?」
モバP「あまり使わない。だが、今回はペロへのクリスマスプレゼントとして、キャットタワーでも作ってあげようかとは思っている」
卯月「キャットタワーを作れるプロデューサーさん、家にも欲しいです」
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860
モバP「いつまでも声の感じが変わらない人っているよなあ」
雪美「……」コク
ちひろ「……実際は少しずつ変化しているんでしょうけどね」
モバP「歳を取るとどうしてもそこはですね。ただ、そういう変わらない声優さんとかの声って耳が覚えるんでしょうか」
モバP「変わらずに聴き続けられることに安心するんですよね」
ちひろ「昔からやっているアニメの声優さんが交代するとかなり話題になりますからね」
モバP「歌手もそうですが、売れっ子にもなるような人は大抵唯一無二の、どこで聴いてもあ、あの人だって特徴的な声を持っている気がします」
モバP「それが失われていくと思うと何とも残念な、そんな気持ちになったりして」
雪美「……私の声も……変わっていく……?」
モバP「……」
ちひろ「プロデューサーさん?」
モバP「……! やだ、想像したら怖くなっちゃった」
モバP「いや、今日まで大丈夫だったんだから明日もきっと大丈夫だよね!」
ちひろ「そんなこと言うと大丈夫でも大丈夫で無くなりそうだからやめれ」
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861
杏「杏ってさ、よくみんなの悩みを聞いたりするけど、時々、報われないことをしているんじゃないかって思うんだ」
杏「こういう、自分で言うのもなんだけどさ、信頼はしても信用はしちゃいけないようなタイプだからね」
雪美「……そんなこと……ない……。……純露……どうぞ」
杏「あっ、これ好き」
雪美「私も……Pや杏に……悩み相談……されるくらい……頼れる存在に……なりたい」
雪美「……背伸びかも……しれなくても……」
モバP「そんなことはないさ。雪美は黄金糖でもどうだい?」
雪美「……あっ……大きい……。でも……食べる……」
モバP「じゃあ一つ聞いてほしいんだが、俺、このままで良いのかあ」
モバP「何か最近、間違った方向に突き進んでいる気がするんだよなあ」
杏「そんなことないって。あ、プロデューサーもニッキアメ一つ食べる?」
モバP「俺のだけ少し形が違くないか? 貰うが」
モバP・雪美・杏「……」マッタリ
ちひろ「何この何か解決した訳じゃないけどユルいから許されるような空間」
-
862
モバP「ちひろさんは柿アンサンブルって食べたことあります?」
ちひろ「ありますよ」
モバP「この前楓さんと一緒に食べたんですが、まず柿とバターの色合いが良いなと思ったんですが」
雪美「……牡蠣と……バター?」
モバP「オイスターのバターソテーじゃないぞ? パーシモンの方だ」
ちひろ「パーシモンと言われて柿のことだと分かる人ってそんなにいない気がしますね」
雪美「柿とバター……どんな味か……イメージしにくい……」
モバP「実際見るとバターの層が結構あってくどそうな味を想像するんだが、これが意外に美味い」
ちひろ「何でしょうね、最初に考えた人はよくこれをやろうと思ったなと」
モバP「こう言うと失礼かもしれませんが、バニラアイスに少し醤油をかけてみるような冒険ですよね」
ライラ「アイスにしょうゆは、生卵をご飯にかけるくらい衝撃でございましたね」
モバP「ライラがそう言うなら余程のことか」
ちひろ「卵かけご飯は国外から来た人あるあるですね。後は納豆とかも無理って人は多いかと」
ライラ「納豆は、よく混ぜれば筋トレになりそうですねー」 ウデガイタクナリソウ
-
今日はここまで
お茶でも飲んで一旦落ち着きましょう
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863
雪美「……」ポヨンポヨン
モバP「……」ボインボイン
里美「……」タプンタプン
モバP「さっきから変な擬音語が聞こえる気がするな」
雪美「……気のせい……」
里美「バランスボールは楽しいです〜。ほわぁっ! っとぉ」
モバP「最初は乗りこなしに苦戦していた里美も慣れたものだなあ」
里美「気を付けないと、そっちに転がっていきますよぉ〜」
モバP「予告するな。な〜ぜ〜か〜、追尾するように俺の方に転がってくるから困るんだよなあ」
里美「偏差射撃もできるようになりました〜」 ワザトカ!? ワザトナノカ!?
雪美「……これ……楽しい……」キラキラ
モバP「雪美とボールは相性が良いのかな。さすがは猫属性」
モバP「それにしても三人で向かい合ってやると、つい普段以上に見つめてしまうな」
雪美「……それも……顔より……体の方……」 ドキッ
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864
モバP「年末年始は帰省のシーズンですねえ」
ちひろ「我々は特に帰ることもないですね」
モバP「幸い、親や実家がそこまで行事に厳格でないですからね。仕事をするには良いです」
ちひろ「でもオンライン帰省くらいはするんでしょう?」
モバP「少しでも顔は見せないとですね」
雪美「……P……私と……帰省……する……? パパも……ママも……喜ぶ……」
モバP「雪美さんちにお持ち帰りされちゃうんですか? 悪い話じゃないな」
ちひろ「今回は雪美ちゃんに付いて行く帰省編とかやるつもりですか? ダメですよ?」
雪美「……残念」
モバP「……結局今年もちひろさんと二人で大人のお正月ですか。体力付けておかないとなあ」
ちひろ「何を意味深なことを……。私だけ帰省しようかな……」
雪美「……ちひろさん……私が……いない間に……Pに、思いきり……甘えたり……するの……?」
ちひろ「しませんよ」キッパリ
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865
モバP「寒い冬や暑い夏の辛さは、そうでない年よりも印象に残る」
モバP「今シーズンの冬は寒いが、何年後でも忘れないような冬になるのだろうか」
雪美「……」ノシ
モバP「いや、忘れられるわけがない。こんな雪美さんを見せられてはな」オイデオイデ
雪美「……」コク
シャーッ シャーッ
スーッ ピタッ
雪美「……P……いっしょに……滑ろう……?」
モバP「せっかくのスケートリンクだしな。しかし雪美さん、滑るのが上手だこと」
雪美「……怖くて……あまり……スピードは……出せない……」
モバP「充分よ。氷上の妖精みたいでとても美しくて、見惚れて身動きを忘れていたよ」
雪美「……」
雪美「……///」
モバP「やめてくれ雪美、その俯いて照れる仕草は俺に効く」
-
雪美「Pなら……ペアスケート……みたいなこと……できる……?」
モバP「俺を買い被り過ぎちゃいけないよ。……少し練習すれば……」
雪美「……!」キラキラ
モバP「だが怪我をさせない保証は無いんだ。体格差もあるしな」
雪美「……Pとだったら……怖くない……」
モバP「……普通に滑りましょうね」
モバP「それにしても雪美さん……ミニスカートなのが良いなあ」
雪美「……タイツ……穿いてる……」
モバP「それでも不思議とパンツルックよりスケートが上手そうな子に見えるぞ」
雪美「……本当?」 ホントウ
モバP「しかし同時に、もし雪美さんがフィギュアスケートの衣装を着たら、とかまで想像してしまうなあ」
雪美「……P……そこまで……見たいの……? ……どうしてもと……言うなら……」モジ
モバP「着たければ作るぞ? スパンコールとか付けて……ふぅ、想像だけで体が温まってきた」
雪美「……ふふ……冗談……。……はー」ホワッ
モバP「おっ、雪美の白い息……俺の野望のように空気に溶けて、儚く消えていく……」
-
866
モバP「毎度のことながら、賑やかなクリスマスの二日間も終わってしまえば呆気ないものよな」
雪美「……」コク
モバP「祭りの後はつい余韻、あの幸せな残り香をいつまでも探してしまう」
雪美「私……しあわせウサギ……。しあわせさがして30年……」
ちひろ「クマのプー太郎ですか」 ヨクワカリマスネ
雪美「Pの……胸に……耳を擦りつけると……しあわせ……」スリスリ
ちひろ「そして雪美ちゃんを変な意味での上級者にさすな」
モバP「でも、346日くらいは薄れ行くクリスマスの余韻に浸っていたいものです」
ちひろ「そこまで行くともう次の新しいクリスマスが迫って来るじゃないですか」
雪美「今年のイベントも……楽しかった……ね」
モバP「ああ。でも我々は結局こういうイベントの時はお店側だからな」
モバP「お客側としてなかなか楽しむ時間が無い」
ちひろ「それはありますね」
モバP「仕事が終わってから楽しもうとしても祭りの後なんですよね」
-
モバP「で、持って来ちゃいました。クリスマスの残り香がするものを」
雪美「……!」
モバP「まずはこれ。金色の松ぼっくりです」
ちひろ「ああ、クリスマスリースとかによく使いますね。銀色をスプレーしたりもして」
雪美「……作ったこと……ある……」
モバP「幼稚園や小学校や町内会の行事で作ったりすることはあるかもしれないな」
雪美「……金色は……ゴージャス……」
モバP「だな。もしこれが純金製だったらどのくらいの値段になるんだろうかと想像も膨らんで楽しい」
ちひろ「考えることが現実的」
モバP「そしてこのスノードーム。小さな物語がここには詰まっていますね」
雪美「……この中に……小さくなって……入ってみたい……ね」
モバP「そうだな。……ついでにボタン操作で中の雪を飛ばしてカゴに入れたりするミニゲームができると面白いんだが」
ちひろ「100円均一に売っているウォーターゲームか何か?」
モバP「そして最後にやっぱりこれですかね、見切りのクリスマスケーキ」
ちひろ「それは早く食べましょうね?」ナマモノデスカラ
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867
モバP「……座ったりして合わせている時は良いのだが」
雪美「……」チョコン
モバP「二人で立って並ぶとどうしても身長の差を痛感する」
雪美「……この差だから……収まりが……良い」
モバP「そう言われると嬉しいが、な」
ちひろ「何か物足りないことでもあるんですか? これ以上に」
モバP「二人マフラーが出来んのですよ」
ちひろ「……は?」
モバP「カップルがやるようなアレです」
ちひろ「いや、そこは分かります。……あなたたちはカップルだったんですか」
雪美「……?」
ちひろ「ああ、カップルでしたね。当たり前のことを……いや、おかしいですけどね」
モバP「相当に長いマフラーなら出来なくもないんですが、何かカップルというより先にけん玉になったような気分になってしまいます」
ちひろ「やめろ雪美ちゃんを頭にぶっ刺す気か」
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868
モバP「……」
雪美「……」チョコン
ナデッ
雪美「……」ピクンッ
雪美「……」トロン
モバP「たった一撫でするだけで雪美に猫耳でも生えたように見えてくる」
モバP「……実際は生えていないが」
ちひろ「何が雪美ちゃんは生えていないですって?」
モバP「猫耳ですよ。何ですか、アブノーマルな答えでもお望みでしたか?」
ちひろ「そんなわけがないでしょう」
ちひろ「でも創作での動物耳の人間や擬人化キャラって大抵は人間の耳も別に付いていますよね」
雪美「……耳が……全部で……四つに……なる……」
モバP「四つもあれば単純に聴力は強化されそうだし、本来聞こえるはずの無い音域まで感知できるようになりそう」
ちひろ「耳がたくさんある動物って現実では聞きませんよねえ」 タシカニ
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869
モバP「激動の一年を終える前に今年お世話になったアイドル何人かを呼んでみた」
モバP「まずは紗南」
紗南「あたしが呼ばれるの?」
モバP「今年ね、この枠では推定70人くらいのアイドルと絡んだんだが回数では多分紗南がトップだ」
紗南「あたしがトップ! やったね!」
紗南「って、結構適当なカウントしてない?」
モバP「まあな。それに何か賞品とかある訳でもないが、来年も宜しくと言いたかった」
紗南「こちらこそ! 来年はeスポーツもたくさんやろうよ!」
モバP「紗南、来年も活躍しそうだな。……えー、続きましては杏」
杏「特に用がないんだったら帰るぞ」
モバP「まあまあ。杏もよく俺と飴を食べる仲じゃないか」ハイ、アメ
杏「これ、年間アワードとかじゃないんでしょ?」アリガト
モバP「そんな固くやっちゃうと次からもそうしないといけなくなるから、あくまでその場の気分だ」
杏「どうだかなぁ……あ、来年はもっと楽させてね。じゃ」
-
モバP「杏め、風のように消えおった。……次は留美さんです」
留美「P君。今年も一年、ありがとう」
モバP「いえ、こちらこそちひろさんの代役時にはお世話になりました」
留美「来年もやっても良いのよ? というかもっと大人組とも絡んで良いんじゃない?」
モバP「皆さんと飲みながら管を巻くのなんて良さそうですが、いつも以上に会話にならなくなりそうで」
留美「ふふっ、私はもっと押しの強いP君も見たいわ……あら、もう行かなきゃ」
モバP「また来年。……俺はどうも年上に遠慮してしまう性質がな……ちひろさんは除くとして」
モバP「えー、続いてライラも確保しました」
ライラ「今年はプロデューサー殿とよくアイスを食べた年でございましたねー」
モバP「結構食べたよなあ。アイスの袋を開ける時のライラの顔が好きで」
ライラ「そんなにおかしな顔をしておりますですか?」
モバP「いい顔をしているんだよ。ここぞというアイスのCMオファーが来たら迷わず出したいくらいの」
ライラ「それは楽しみでございますねー。来年が待ち遠しくなってきますです」
ライラ「おっと、これからチヅルとアキハさんとで鍋パがあるので、全速力で行って参りますねー」
モバP「気を付けてなー。……ライラさんは前に進む力をみんなにくれる気がする」
-
モバP「では菜々さん」
菜々「はい! こんにちは」
モバP「菜々さんも今年はイジらせてもらったりしまして」
菜々「いえいえ何の。ウサミン星では通過儀礼のようなものですから」
モバP「来年も、頼りにしています」
菜々「はい! プロデューサーもしっかりナナを見ていてくださいね」ペコリ
モバP「ああ、お辞儀までして……本当に礼儀正しいというか、メイド長のような貫禄を感じます」
菜々「メイド長というとイザベラママのようなイメージですねえ……ママ!?」
モバP「さてさて菜々さんから最近の流行りワードが出た所で、次はまゆ」
まゆ「プロデューサーさん、まゆも呼んでもらえて嬉しいです」
モバP「そんな大層なものじゃないからな。……今年もお疲れ様、まゆ」
まゆ「うふふ……今の音声、しっかり録音させてもらいました」
モバP「悪いことにさえ使わないでくれるなら俺は別に良いんだが、普段もお疲れ様は言っているような」
まゆ「一日の労いと一年の労いでは重みが違いますよ? それをまゆだけに向けて言ってくれたんですから……うふふ……」
モバP「来年もよろしくな――って聞こえていない? こっちは録音しなくて良いのか?」
-
モバP「そして今年頑張ったあかり」
あかり「頑張った……と言えるんご? 何だか違和感あるの私だけでしょうか?」
モバP「まあ予想外の所からバズったことは抜きにしても、あかりの大切さを再認識した年だったかもな」
あかり「大切だなんて、照れるんご。私はまだまだですから!」
モバP「まだまだか。じゃあもっと行けるな?」
あかり「えっ、何かめんどくさくなりそうなんで程々が良いかなって」
モバP「おい。……しゃーない、伸びしろにも期待して、今からりんご温泉にでも行こうか」 エエッ!?
雪美「……七海の次は……まさかの……あかり……?」
モバP「最後に雪美もだな」
雪美「……せっかくだから……来た……。去年はこれ……やってない……ね」
モバP「そういやそうだな。いつか埋め合わせしようかな。固くやらないとは言ったが」
雪美「……P……今年も……いろんなこと……あった……」
モバP「ああ。雪美も大変なことだってあっただろうが、一年一緒にいてくれてありがとう」 ……ウン
モバP「ということで今回もお開き。また来年」
雪美「……てんててててれて……てんてん……(笑点)」
-
870
モバP「今年も一年おつかれっしたー」
雪美「……あざしたー」
ちひろ「軽いなあ」
雪美「今年も……イチゴ大福……置いて行く……」
モバP「あらまあ、いつもありがとうねえ」
ちひろ「せっかくですし、今いただきましょうか」 イイデスネ
――
モバP「……お、今回はいつもと違うな。白あんのイチゴ大福か」
ちひろ「私のは生クリームイチゴ大福ですか。今はアイスとか、イチゴ大福にもいろいろありますね」
モバP「あぁ、うめえ……うめえのに、食べたら無くなってしまうし、雪美と別れなくちゃいけないし、辛い」
雪美「……私は……もう少し……ここに……いるから……」
ちひろ「食べたら無くなるのは当たり前として、そんなに寂しいんですねえ」
雪美「……また……来年……みんなで……イチゴ大福が……食べられますように……」
ちひろ「では、良いお年をお迎えください。……これ、毎年言ってますね」
-
今日はここまで
気分は上場
-
871
モバP「面白いものを面白いと伝えるってセンスが要りますよね」
モバP「映画とか小説とか、ネタバレは控えながら言葉で相手の興味を惹くのが意外と難しい」
ちひろ「まあ、そうですね」
モバP「自分の場合、ついあらすじを喋って台無しにしてしまいがちなタイプです」
ちひろ「いけませんね。予備知識がついちゃうと楽しみが半減するものだってありますし」
モバP「さすがに叙述トリック系とかを種明かしするのはアカンと経験から分かっていますが」
ちひろ「誰かに言いたくなる気持ちは分からなくもないです」
モバP「で、百聞は一見に如かずということで直球で、映画でも見ませんか? ちひろさん」
ちひろ「ここでですか? ……まあ、誰もいませんしね」
モバP「伝えるセンスは無くても選ぶセンスはそれなりにあると自負しているんですよ」
ちひろ「じゃあもしその自信が期待外れだったら、今日のお昼ご飯でも奢っていただけます?」
モバP「寧ろ大作に感動して打ちひしがれて仕事にならなくなるかもしれませんよ?」
ちひろ「それはちょっと……。我々はやはりこういう時はB級や凡作を見て安心してナンボです」
雪美のテレパシー(私が……いなくても……割と……エンジョイ……してる……?)
-
872
モバP「好きな曲って周期的に聞きたくなりますよね」
ちひろ「……周期的、ですか?」
モバP「ループするんですよね。それも関連した複数の曲をまとめて」
ちひろ「頭の中にプレイリストが出来上がっているんですね」
モバP「消せない罪とか聴き始めると扉の向こうへとか語り継ぐこととかツキアカリも探して聴いてしまいます」
ちひろ「どういう関連性か不明ですけど、鋼の錬金術師は良いですね」
モバP「エンディングでエドとアルが組手をするアニメーションが印象的です」
モバP「あの二人の身長差がちょうど自分と雪美くらいなので、いつかあんな組手をやってみたいものですね」
ちひろ「若干10歳の女の子に無茶を強いらないでくださいね。あんな動きはちょっと」
モバP「ウチの雪美ですよ? 見損なっちゃいけません」
ちひろ「見損なわれるのはプロデューサーさんの方ですから」
モバP「こう見えても本気を出すと雪美の方が強いので大丈夫かと」
ちひろ「それはそれで情けないな」
雪美のテレパシー(私の方が……強い……。主に……寝技的な……意味で……)
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873
モバP「いやあ、しかし新年ですねえ。目出度き哉」
ちひろ「今年もよろしくお願いしますね。あと期待はしていませんけど、惚気は程々にお願いします」
モバP「ではこっそり惚気ます」
ちひろ「プロデューサーさんのこっそりって私にはバレバレなんですよね」
モバP「何ですか、エスパーですか」
ちひろ「私が鋭いだけという可能性もありますけどまず隠す気無いでしょうあなた」
ちひろ「それとエスパーって、普段オンラインテレパシー会話している人が言いますか」
モバP「逆にオフラインのテレパシーって何ですか」
ちひろ「脳内会話?」
モバP「それはもうテレパシーは関係無くないですかね?」
ちひろ「そういえば、そんなものがあれば不要かもしれませんけど、みんなに年賀状は出したんですか?」
モバP「今言われても忘れていたらもう手遅れですよ……アイドル一人一人にきちんと出しましたよ、元日に届くように」
ちひろ「その辺は抜かりがないですね」
モバP「お年玉くじを見て郵便局に末等の切手を貰いに行くまでが年始ですからね」
-
ちひろ「あれって切手しか当たらないんですよね……」
ちひろ「あ、まだ聞いてませんでしたけど、プロデューサーさんは今年の目標とか決めました?」
モバP「雪美と2681個の思い出を作りたいですね」
ちひろ「未曾有の無謀な挑戦ですねそれは」
ちひろ「というか2681ってまず何の数字ですかね。規模はともかく346や2021なら分かりますけど」
モバP「皇紀ですよ。神武天皇即位紀元、もっと知られても良い第三の暦だと思います」
ちひろ「何故それを持ち出してくるのか意味不明です」
モバP「ちなみに年内に達成しないといけない訳じゃないので、何年かかけてゆっくり達成したいです」
ちひろ「今年の目標なんですから今年に収まるやつを頼みますよ。思いつかないなら願い事でも」
モバP「じゃあ、そうですね――」
モバP「私の大切な全ての人たちがよく笑いよく涙ぐみ、もしかしたら恋をして、生き生きと生きていけますように……」
ちひろ「良いことを言っているようで欲張りな……何ですか黄金のコンドルでも飛んでいるんですか?」
モバP「そういうちひろさんの今年の目標も聞きたいですね」
ちひろ「私ですか? 私は……ちょっと待ってくださいね。……うーん……」
雪美のテレパシー(一年の目標……なかなか……決まらない……もの……)
-
874
カラカラ クルクル
モバP「……」
ちひろ「……」
ちひろ「おっと、つい見とれてしまいましたけど何ですかこのマニ車は」
モバP「これ、マニ車って言うんですね。一回回すだけでお経を全部読んだことになるとかいうものだと聞いていますが」
ちひろ「紛れもないマニ車ですね」
モバP「ちひろさんはチベット仏教にも詳しいんですねえ」
ちひろ「分かってて言ってますね?」
モバP「自分は最初、セーブポイントのレプリカかと思っていたんですよ」
ちひろ「真・女神転生ⅢのHDリマスターでもやっていたのかという」
モバP「少しだけ。でも、あんな程よいカオスな廃墟世界、ちょっと行ってみたいものですよね」
ちひろ「そんなこと言って神話の悪魔とかが闊歩している所にいきなり放り出されたら後悔すると思いますけど」
モバP「まあ、自衛用にマガタマと、あと凶鳥モー・ショボーと魔人アリスと女神ハトホルと妖精シルキーと龍王ヴィーヴルと怨霊エリカと死神チェルノボグと霊鳥ヤタガラスを味方に欲しいですね」
ちひろ「少しどころでない詳しさですね」
-
モバP「人間、事故や病気などで体の一部を欠損すると、その部分がまるでまだあるような感覚になったりするとか」
ちひろ「幻肢というやつですか」
モバP「自分もあの主人公のように元々あるはずのない背びれがあるような気がするんですよねえ」
ちひろ「確かに主人公、首の後ろ側が何か尖っていますけどあれは背びれじゃないと思います」
モバP「ついでに肩甲骨の先の翼も時々幻肢します」
ちひろ「人を鳥に置き換えた場合、翼は腕の部分になるので違うのでは」
モバP「夢が無い……」
ちひろ「というかハーレムかと思いきやキノコとカラス入ってるのはギャグですか?」
モバP「やっぱりパーティにお姉さんと剣士と肩乗り動物は欲しいかなと」
ちひろ「欲張りさんめ」
モバP「いやあ、照れますね」
ちひろ「それはそうと、こんなマニ車どこで手に入れたんですか?」
モバP「アジア旅行に行きたかったんですが行けず、行ったつもりのお土産として取り寄せました」
ちひろ「それはまた……」
モバP「年末年始の帰省から戻ったアイドルからお土産とか貰うのに、自分からは何も無いんじゃ良くないですしね」
-
ちひろ「それはまあ……でもこんなのあげるんですか?」
モバP「これはあくまでいくつかの内の一つですよ」
ちひろ「修学旅行で木刀買うどころじゃないとんでもない物がまだありそうだなあ」
モバP「ちひろさんも何かどうです?」
モバP「例えば家で簡単に作れるギャコック(鍋)とモモ(餃子)のセットとかもありますよ」
ちひろ「お歳暮ギフトみたいな物もあるのか……ちょっと欲しくなりましたよ」
カラカラ キラキラ
モバP「あれ? 何かマニ車が光り始めましたね」
ちひろ「えっ」
ピカーン
モバP・ちひろ「!?」
モバP「……何だ、とても眩しかった……って、雪美?」
雪美「……ここは……事務所……?」
ちひろ「」
モバP「何だこのマニ車、転送機能があるのか」
-
雪美「Pに……貰っていた……これと……同じ物で……」
モバP「あ、帰省前に雪美にあげたなあ。……アマラ経絡に落ちないで良かった」
雪美「……会いたかった……。でも……すぐ……帰らないと……心配される……」
モバP「俺もさ。じゃあ、少しの間だけ……な」
雪美「……うん」(つ゜-゜)つ
ちひろ「……そ」
ちひろ「そんなファンタジーあり得ません!」
――
ガバッ
ちひろ「……あっ」
ちひろ「……ふう……こんな酷い初夢を見るとは思いませんでしたよ……ん?」
カラカラ クルクル
ちひろ「」
モバP「あ、ちひろさん。これマニ車って言うんですよ」
ちひろ「寝起きに変な物を見せないでください……あぁ」
-
875
ちひろ「ちひから始まるリズムに合わせて」
ちひろ「(パンパン)P3」
モバP「P、P、P」
モバP「(パンパン)ちひ4」
ちひろ「ちひちひちひちひ」
ちひろ「待て」
モバP「はい?」
ちひろ「ちひは言いにくいです。というかこれいつのリズム遊びですか。いえ、まずみんな出払っているからとこれを二人でやるのがそもそも……」
モバP「落ち着いてください。この最後の一個の笹餅は逃げませんからどちらが食べるかじっくり決めましょうよ」
ちひろ「……こんなバカらしいこと、我に返る前に決めたいんですけどね」
モバP「じゃあこれで決着を付けますか? たけのこたけのこニョッキッキ!」
「…………」
モバP・ちひろ「1ニョッキ!」
雪美のテレパシー(楽しそう……)
-
876
モバP「はあ……今日の仕事もこんなもんかな」
ちひろ「お疲れ様です」
モバP「発作みたいなものですが、旅行に行きたくてうづうづします」
ちひろ「卯月ちゃんじゃないんですから、それを言うならうずうずでしょうが」
ちひろ「旅行ですか……今は時期的に難しいでしょうね」
モバP「崖のように見える坂の話を雪美としていたことがあって、それで今思い出したんですが」
モバP「境港の江島大橋を見に行ってみたいですね」
ちひろ「季節感あまり考えてないですね」
モバP「それと海に大鳥居が立つ安芸の宮島や、自然の奇跡で海に細長い砂の道が通る天橋立、伏見稲荷や元乃隅神社の千本鳥居」
ちひろ「圧倒されるのは同じかもしれませんけど江島大橋とそれらとは属性が違い過ぎませんか?」
ちひろ「しかし全体的に西日本ですねえ」
モバP「天橋立とはまた違った、トンボロ現象が見られる地形とかは東日本にもありますよね」
ちひろ「潮が引いた時だけ陸地が現れるってロマンチックですよね。リアルなモーセの海割りって感じで」
雪美のテレパシー(天橋立……伏見稲荷……一緒に来れば……見られたのに……) イキタカッタッス
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877
モバP「こういう新年という時だからこそ、何でしょうね」
モバP「とても暗くて沈む歌とか歌いたい気分になるんです」
ちひろ「周りから引かれる、というか心配されそうですね。仕事疲れで病んだんじゃないかと」
モバP「これは昔からですよ」
ちひろ「ではあれですか、おせちも良いけどカレーもね的な?」
モバP「年末年始にどっしりした物ばかり食べた後の七草粥と言う方が適切かもしれません」
ちひろ「そっちだと健康に良さそうなことのように聞こえますねえ」
モバP「というかこういう時こそセンシティブで不謹慎なこととか、してみたくなりませんか?」
ちひろ「カリギュラ効果じゃないんですからやめてくださいね?」
モバP「勿論、しませんがね」
ちひろ「……おや、外は雪ですねえ」
モバP「……雪中で“おれは決してお前を撃たねェ!!!!”したらどうなるだろうと一瞬」
ちひろ「縁切りますよ?」
雪美のテレパシー(Pの……全裸……///) ユキミソッチハダイジョウブカ? ……ウン
-
今日はここまで
バナナライズのお時間です
-
878
ガチャ
ちひろ「ただいま戻りました」
モバP「あっ……なんだ、ちひろさんですか」
ちひろ「なんだとは何ですか。どうしました?」
モバP「どうも妙に落ち着かないというか緊張して、窓の外の景色を見ているんです」
ちひろ「大袈裟ですね」
ピトッ
モバP「!」ビクッ
??「だーれ……だ……」
モバP「雪美さん! ……お、お帰り……」
雪美「……背中に……ただいま……。……P……?」
モバP「……はぁ……久々に好きな子と会うと、照れ臭くて顔を合わせ辛いなあ」
雪美「ふふ……こっち向いて……?」
ちひろ「プロデューサーさんは思春期」
-
879
モバP「最近の忙しい日々を回顧すると、久々に例の釣り堀に行きたくなったなあ」
雪美「……例の……?」
ちひろ「知る人ぞ知る、といったものですか?」
モバP「いいえ、例のプールとか並に誰でも見たことがありそうな」
ちひろ「プールの方は見たことあったらあまり良くないですけどね」
雪美「……そんなに……有名……?」
モバP「ドラマとかの撮影でよく使われる場所で、行ったことは無くても知っているという感じだな」
モバP「自分が釣り堀でイメージする場所はまず、市ヶ谷フィッシュセンター」
ちひろ「確かにそこは例の釣り堀、で通じかねないくらいドラマで見ますね。逆さにしたケースに座って」
雪美「駅の……目の前……。知ってる……Pと……行った……ね」
ちひろ「行ってるのか……」
モバP「あそこで釣りに没頭すると良い気分転換になるんだよな」
雪美「じっと……待つのが……楽しい……」
ちひろ「大人の趣味に出会うのが早いですねえ」
-
880
モバP「……ふぅ、ちょっと疲れたな」
ナターリア「お疲れのPにナターリアチャンスをあげるゾ!」ヒョコッ
モバP「ひゃわっ!? ……ナターリア、急に出てくるとビックリするぞ」
ナターリア「驚いタ? ナターリアはPに会いたかったんダ!」
モバP「俺に会いに来てくれたなら歓迎さ。それでナターリアチャンスって?」
ナターリア「AとB、どちらか好きな方を選ぶんダ!」
モバP「選んでみてのお楽しみってやつか。じゃあBだ」
ナターリア「B! ファイナルアンサー?」
モバP「それでお願いします」
ナターリア「Bは……ナターリア特製のバナナジュースだゾ! ハイ!」
モバP「お、サンキュー」
ゴクゴク
モバP「……なかなかスムージーな感じだな。ヨーグルトも入っているのかな?」
ナターリア「ウン! お腹がすっきりするゾ!」
-
モバP「お腹すっきりか……俺もナターリアみたいなボディになれるかもな」
ナターリア「なれるヨ! Pなラ!」
モバP「えっ……じゃあお腹を見せるようなナターリアの衣装も着れるかな」
ナターリア「それは無理かモ」
モバP「良かった、そこで止めてくれて」ゴクゴク
モバP「これ、ミキサーが無いと自分では作れないんだよな。美味いなあ……!」
ナターリア「クゥー……!」グッ
モバP「ちなみにAを選んだら何が待っていたんだ?」
ナターリア「……ヒミツ……///」
モバP「……俺はもしかしたら人生の大きなチャンスで間違った選択をしたのでは……。バナナジュースは美味しいが」
雪美「……」
ちひろ「……」
雪美「……ちひろさん……Aって……何だと……思う……?」
ちひろ「そこは敢えて秘密にしておくから想像の余地があって良いんじゃないですかね」
雪美「……Bがバナナなら……Aは……アップル……?」 ピュアデスネエ
-
881
モバP「雪美はこの世に妖怪っていると思うかい?」
雪美「……」キョトン
雪美「……思う……」
モバP「幅広い意味ではいそうだが、実際に俺はいると思っているんだ」
雪美「……Pも……妖怪……?」
ちひろ「妖怪ですね」
雪美「……妖怪……だったの……」
モバP「人を何だと思っているんだ。まあ、よく言われることだが」
モバP「それよりも今現に妖怪がいるんだ。リモコン隠しという妖怪が」
ちひろ「妖怪のせいにすな。ポケットに入ってたりしませんか?」
モバP「あっ……あ、あと眼鏡隠しもいるんだよ」
雪美「……眼鏡……頭の上……。……P……眼鏡……してたの……?」
モバP「あっ……いや、春菜に貰った度無しの眼鏡が結構洒落乙なものだからつい着けっ放しに」
ちひろ「ベタすぎる……」
-
882
モバP「さて、今日は七草粥を作ろうと思っていたんだが、ご飯を既に普通に炊いてしまった」
雪美「はづきさんの……おかゆ……」
モバP「そういう意味の七草粥も是非賞味してみたいところだが」
モバP「とりあえず水を足してみようか。しかしどんな割合で作るのが良いか……」
雪美「……調べれば……分かるかも……しれない……。でも……」
モバP「せっかくなのでチャットでアイドルたちに教示を乞うてみるか」 ……ウン
――
モバP「お、早速いろんな子から来たな。どれどれ……ふむふむ」
雪美「……意見が……分かれる……ね……」
――
モバP・雪美「……」
モバP「結局いろんな割合で作ってみてしまったな」
雪美「左から……軟飯……全がゆ……七倍……十倍……二十倍……重湯……」
モバP「界王拳みたい。しかし茶碗を並べて実験でもするのかって様相だ」 ズラッ
-
883
雪美「P……」
モバP「何だい雪美さん」
雪美「……言ってなかった……から……」
雪美「……あけまして……おめでとう……ございます……」ペコリ
モバP「こちらこそ、あけましておめでとうございます」ペコリ
雪美「今年も……よろしく……お願い……します……」
モバP「今年もよろしくお願いします」
ちひろ「もう七草粥も食べ終わった時分だと言うのに今やるんですか」
モバP「通信で新年の挨拶は既にしていたんですが、こうして面と向かってはやっていなかったので」
モバP「それに正月気分も薄らいで気が緩んでいる所ですし、ここで引き締め直すのも良いでしょう」
ちひろ「正月こそ気が緩むもののような気がしますけど」
雪美「P……今日は……おみくじの箱……持って来た……」
モバP「おお、六角形のおみくじ筒か。どれどれ、引いてみようか……それっ」シャカッ
雪美「小吉……。……吉と……どっちが……上……?」 イロイロダナ
-
884
モバP「最近、少し離れた所にある雰囲気の良かったスーパーが内装を新しくしたんだよ」ズズー
雪美「……」ズズー
モバP「綺麗にはなったんだが、装飾とかがほとんど無くなって棚とか整然として、温かみの無い空間になった気がする」
雪美「……複雑……?」
モバP「ちょっとな。時代の流れなのかもしれないが」
モバP「そこで買って来たお煎餅だが、良かったらお茶と一緒にどうぞ」スッ
雪美「……器……何だか……落ち着く……」キラキラ
モバP「木の菓子器だな。親がよく使っていた物と同じ型をいつの間にか自分も持っていた」
雪美「……おせんべい……いただきます……」ビリッ
サクッ
雪美「……ぱりぱり……してなくて……やわらかい……!」サクサク
モバP「三幸製菓のからり庵だな。この柔らかさはそこそこ上等なお煎餅って感じがして良いだろ?」
雪美「うん……。お茶が……おいしい……」ズズー
ちひろ「茶飲み友達か」
-
885
雪美「……」キリッ
モバP「斜め後ろから見る雪美さんの顔、良いよ!」パシャッ
ちひろ「その角度で撮るんですか」
モバP「普通の撮影だと顔は正面を向かせて撮ることが多いですが」
モバP「自分は敢えて横顔とか目隠れとか、見えない部分を残して撮るのが好きですね」
雪美「……隠すと……いつもと……違う……私が……見られて……面白い……」
モバP「帽子で影を作ったり、黒マスクをしてみたり、目線を入れてみたり……するだけで何か色気が増した一枚になりますよ」
ちひろ「いかがわしい写真感が出てしまいますから目線はちょっと」
雪美「……P……今の……見せて……」
モバP「はいよ」
雪美「……。……Pが……撮ると……きれいに……見える……」
モバP「それは被写体との相性が良いってことなんじゃないか」
雪美「……分からない……から……もっと……私を……撮って……ね……?」
モバP「ああ。では次はオフショルダーを着てアップショット気味に行こう」 ハダカニミエルデショソレ
-
今日はここまで
もう街中雪まみれや
-
886
モバP「Извините、アーニャ」
アナスタシア「Привет! Что? プロデューサー」
モバP「アーニャの好きな星と違うんだが、お月様があるだろう?」
アナスタシア「Лунаですね」
モバP「ああ、ルナー。ラテン語の月と同じで分かりやすい」
モバP「で、そのお月様なんだが、上弦と下弦ってどう見分ければ良いと思う?」
雪美「……鬼が……出てきそう……」
モバP「そっちちゃう。たまに夜空に月が見えた時、これは今から満ちていく月なのか欠けていく月なのか、分からなくなるんだ」
アナスタシア「月は一番高い時によく見えます。それが夕方なら上弦、明け方なら下弦です」
モバP「なるほど。それは分かりやすいかも」
モバP「沈む時に弓矢で例えると弦が上を向いていると上限、下なら下弦とか聞くが、沈み時をあまり見かけないんだよな」
雪美「右側が……明るいと……上……、左側が……明るいと……下……だと……何だか……覚えにくい……」
モバP「小学校の授業で習うイラストは分かりにくくて忘れてしまう。ダメだな俺は」
アナスタシア「Нет、知り直そうとする貴方はマジメですよ。今度は忘れないです、きっと」
-
887
モバP「おっとり系お姉さんの魅力に最近心を動かされつつある吾輩」
雪美「……!」
雪美「……どうしよう……」アタフタ
ちひろ「いつもの症状ですから軽く聞き流すようにしましょう」
雪美「……」コク
ちひろ「で、今度は具体的にどんなキャラにハマったんですか?」
モバP「ピーク・フィンガーですね」
ちひろ「車力の巨人か」
比奈「分かる気がするっス。掴み所がなくて、でも見ていて安心感があるというか」
モバP「346で言うと比奈が一番それに近いかもな。他の成人組はあまりダウナー感は無くてパリッとしているし」
比奈「何で私っスか」
雪美「P……もっと……気だるげな……私の方が……好き……?」
モバP「大人のお姉さんは今は無理だからとせめてそこだけでも目指そうとか考えないで良いからな」
杏「杏の仲間になる? 歓迎するよ?」 ヒキコムナ
-
888
モバP「今日、買い物をしたらちょうど合計888円になったんですよ」
ちひろ「たまにありますよねそういうの」
モバP「8という字は横に倒すと∞(インフィニティ)になる」
雪美「……無限の……可能性……」
ちひろ「しかし瓢箪型の起き上がり小法師みたいに倒しても起き上がって結局8は8になりそうです」
雪美「はじけた……コインに……運命を……託して……迷いを……断ち切る……それも……悪くないだろう」
モバP「まさかのロスト・ユニバース……時を戻そう」
モバP「その買い物というのが一つは漫画でな」
雪美「……あれ……買って来た……の……?」
モバP「そらもうあれよ。待ち切れないだろうが、後でじっくり……な?」
雪美「うん……! 続き……早く……見たかった……!」キラキラ
ちひろ「自然にシェアしていますね」
ちひろ「プロデューサーさんはスマホとかでも漫画を読むようですけど、やっぱり形が残る物の方が好きなんですか?」
モバP「そうですね。データのデジタル化が便利なのは否定しませんが、アナログ式の方がかかる手間の分だけ愛着が湧くといいますか……」
-
モバP「ゲームなんかも最近はパッケージ版よりダウンロード版、更にサブスクで期間が終わったらもう遊べないとかまであって、ドライな感じがします」
雪美「Pは……カセット……ふーっ……って、する頃が……好き……みたい……」
ちひろ「あれ端子に悪いそうですけどね。というか90年代だなあ」
ちひろ「それはそうとお二人はアレで通じているようですけど、何の漫画なんですかそれは」
モバP「“妻、小学生になる。”です」
ちひろ「そりゃあまた……雪美ちゃんもそれを楽しみに?」
雪美「……うん。……読んでいて……共感……できる……」
ちひろ「確かに雪美ちゃんも小学生の妻みたいな一面を覗かせる時はありますけど……共感ですか」
モバP「……雪美が、妻……か」チラッ
雪美「……?」キラキラ
ちひろ「共感できないなあ」
モバP「とにかく、読む前は“秋日子かく語りき”や“庭はみどり川はブルー”のオマージュ的な物をイメージしていたんですが、まあちひろさんも後で読んでみてくださいよ。貸しますから」
ちひろ「90年代どころか80年代じゃないですか」
モバP「あ、その頃の大島弓子の作風が好きなんですよ。綿の国星とか猫のサバとか」
雪美「……それ……全部……読んだ……」 モハヤワタシノテニオエン
-
889
モバP「……」
芳乃「おやー、そなたはまた難しい顔をしておられるー」
モバP「おお芳乃か。いや何、もし俺が女性だったらと考えていてな」
芳乃「そなたは女性になりたいのでー?」
モバP「何だろうな、転生願望とでもいうのかな。自分でもよく分からないが」
芳乃「それは誰でもみな、僅かには持っているものでしてー」
モバP「出来れば長身で、星条旗・虎柄・牛柄等のビキニが映えそうな金髪巨乳の女性になってみたい」
芳乃「……ほー、わたくしを前にしてそのようなー」
モバP「まあ逆の体型でそういうビキニを着けてみるというのも別ベクトルで映えるのかもしれないが」
モバP「あ、あくまで自分が着けることへの興味だからな。芳乃に似合う似合わない着せたいとか言いたい訳じゃない」
芳乃「……そなたからは少々清らかさが失われているようでー、滝行が必要かもしれませぬー」
モバP「この時期に水垢離の苦行はさすがにな。それに白装束が透けた芳乃は目に毒だわい」
芳乃「そなたとは以前より、ともに滝に打たれたいと、思ってましてー」ムンズ アッ、マッテ
雪美「P……骨は……拾いに行く……多分……」
-
890
雪美「……」ジーッ
モバP「……」
雪美「……どうしたの……?」
モバP「いや雪美さん、よくよく考えるとなんだがさ」
雪美「……うん」
モバP「いくら俺の家だからって俺の着替えを見守るのはどうなんです?」
雪美「Pの家は……私の家……、Pの着替えは……私の洗濯物……」
モバP「プライバシーを侵害されているような気がするが……まあ気のせいかな」
雪美「……Pの下着……今日は……これに……しよう……」
モバP「俺の下着を何故か雪美さんが決め……ても良い」
モバP「って、褌ですかそれは。買った覚えがないが一体どこから発生したんだ」
雪美「……ここに……あった……」
モバP「アイドルの誰かが俺に、と置いて行ったのか……いや、この前寝惚けて食事している時にスパゲティがこっそり自然にいちごパスタに差し替えられたのに気づかず完食した俺だが、さすがにはいそうですかと褌までは締めないぞ?」
雪美「……これで……寒中水泳……できる……」 モウミソギハカンベンシテ
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891
雪美「……」ヒュンヒュン
雪美「……」スッ スッ
モバP「雪美さんは交差跳びも難なくこなしますなあ」
雪美「……♪」
モバP「縄跳びが楽しい時期真っ盛りか。何でも楽しめるのが一番だな」
雪美「……」コク
モバP「小学生以降は全く触れない人もいるようだが、大人でもトレーニングやダンスパフォーマンスで使うこともある――それが縄跳び」
モバP「俺も久々に縄跳びといふものをしてみむとするなり」
雪美「……Pの……持ち手が……木で……縄も……白……」
モバP「雪美の物は鮮やかな色をしたポピュラーなビニール縄跳びだが、こちらは綿ロープとなっている」
モバP「そちらと比べると重みがあって回しにくい。代わりに足に当たってもあまり痛くはないから良いぞ」
ヒュンッ ヒュンッ ヒュンッ
雪美「……おお……軽やか……」
モバP「まあビニール縄跳びの痛みも嫌いじゃないんだがな。時子のおかげで」 チョウキョウ……サレテル……?
-
892
モバP「――はー、可笑しいね。笑った笑った」
雪美「……ふふふ……うん」
モバP「テレビ番組で普通に大笑いする姿を見られて、気恥ずかしいな」
雪美「良い……。私も……楽しく……なった……から……」
モバP「……」
雪美「……」
モバP「……くふっ」
雪美「ふふふっ……」
モバP「たまにこう、息が苦しくなるくらい笑えることがあるのって幸せだな」
雪美「Pは……よく……笑う……ね」
モバP「そうかなあ? ま、爆笑に釣られたりちょっとした言い回しがツボに入ったりと、沸点が低いのかな」
雪美「……理由……分からないのに……笑ってしまうこと……ある……」
雪美「……Pと会って……そんなこと……増えた……かも……?」
モバP「そういうのは親とか友人とか、身近で大切な人に影響されそうだ」
-
雪美「……大切に……してくれて……ありがとう……」
モバP「……そう言ってくれるか。俺は素の自分を公開しているだけなんだがな」
雪美「……私は……まだ……分からないこと……多い……」
雪美「無口で……感情を……たくさんの……言葉では……表現……できない……」
雪美「だから……Pを通して……楽しい、とか……うれしい、とか……教えて……もらってる……」
モバP「雪美が積極的に吸収しにきてくれるからな」
モバP「世界には何もしてなくてもフィーリングが合う人、というのがいるものだが、雪美の場合はフィーリングがチューニングされてきている感じだな」
雪美「……」
ヒョイ ポスン
雪美「……もう……言わなくても……分かるくらい……ね……」(*゜-゜*)
モバP「今、目すら見ずに何となく求めていることが理解できてしまった」
雪美「……これで……また……チューニング……されたね……。ふふふっ……」
モバP「あはははっ、くすぐったいなあ」
モバP「しかし俺、自力で人を笑わせるのは不得意なんだよな。アイドルたちには笑わせてもらうことの方が多いかもしれない」
雪美「……意外と……自己評価……低い……?」 ソンナモンデショ
-
今日はここまで
ここらが年貢の納め時
-
893
巴「P、ウチと盃を交わさんか?」
モバP「えっ、遂に? 俺も覚悟を決める時が来たのか」
巴「遂にって何じゃ。深い意味はのうてな、見てみい」
モバP「お、これは……平盃じゃないか、やべえよやべえよ……朝飯食ったかな……?」
巴「黒塗りの高級車に追突したみたいに言うなや」
巴「これな、気に入ったから買うたんじゃ。うちはまだ未成年で酒は飲めんがの」
モバP「でもせっかくなんでこれで何か飲んでみたいってところか」
巴「そうじゃ。楽しみは後に取っておくっちゅうんもええが、7年はちぃと長いわ」
モバP「まあ、俺もお猪口でジュースを飲んだりするし酒専用でなくても良いだろう」
モバP「しかし巴の髪色と合った緋色の漆器だなあ。無色透明の飲み物が合いそうだ」
雪美「……金髪なら……金の盃が……似合う……?」
モバP「優勝カップとか……あれは体に悪い成分が溶け出しそうだな」
巴「あれで勝利の美酒を味おうてみたいもんじゃが、作り方を知っとると出来んな」
雪美「……ところで……何飲む……? こどもののみもの……?」 ソレハグラスデノミタイ
-
894
モバP「……」ピリッ
モバP「……」パクッ
モバP「……」モグモグ
モバP「……」ゴクン
雪美「P……また……チョコレート……食べてる……」
モバP「つい甘い物に手が出てしまうんだよな。……うーん」
雪美「……あまり……おいしくなかった……顔……?」
モバP「いや、美味しいは美味しいんだが、お菓子って大体こうだろうと食感を予想して齧るだろ?」
モバP「それがこのボノボンは自分の経験にないタイプの食感で不思議なんだよな」
モバP「例えばアイスをサンドしたクッキーやビスケットはしっとりが好きな派とサクサクが好きな派がいるらしいが、どちらも想像はつくから分かる」
雪美「……アイスで……湿った……ビスケットは……独特……」
モバP「雪美もお菓子の食感がイメージと違う体験をしてみないか? あーん」
雪美「あ……、大きくて……一口じゃ……食べにくい……」
モバP「ボノボン意外と大きかった」
-
895
モバP「時間がない時に食べるスーパーとかの弁当の唐揚げ」
モバP「何かあまり凸凹していないんだよな。勿論揚げたてではないので歯ごたえは柔らかい」
ちひろ「そんな唐揚げ、あまり見ませんけどね」
モバP「それも嫌いじゃないんだが、これを食べた後は実家の唐揚げが食べたくなります」
モバP「カーチャンがよく作ってくれていた……あの味」
雪美「レシピは……?」
モバP「新聞の切り抜きとかを貼って集めた手作りのレシピノートを見て作っていたそうだが」
ちひろ「それは家庭の宝物ですね。大切にしましょう」
モバP「実家に問い合わせるとそれがどこに行ったか分からないそうで」
雪美「……それは……残念……」
モバP「今は新しい料理本のレシピを見て作っているそうだ。味は以前と違うが美味しいから気にしないとか」
ちひろ「割り切ってますね」
モバP「まず新し物好きの親ですから、過去に縛られるよりどんどん新料理に挑戦する方が好きなようです。当時は自分がまたこの唐揚げを食べたい、というから作っていたようで」
ちひろ「お子さんの“また作ってね”は親としては本当に嬉しいでしょうからね」 ワカリマス? ナントナクデス
-
ちひろ「しかし、私の場合は自分で唐揚げを作ることがまずそんなにないですね」
雪美「Pは……よく作る……。そして……よく食べる……」
ちひろ「太りそうだなあ」
モバP「でも唐揚げ大好きな大分県の人が特に太っている印象はないです」
ちひろ「高カロリーで箸が進むおかずって結構どこにでも何かしらありますからね」
雪美「……P……唐揚げ……だけじゃない……。……チキン南蛮も……作れる……」
モバP「チキンそのものに味がついていながらそこにタルタルソースがたっぷりかかる贅沢よ」
モバP「まあ、それでも酢の力で内臓脂肪を減らせそうだからセーフ」
ちひろ「こうして心の贅肉が付いていくんでしょうか」
ちひろ「頻度を抑えれば問題ないと思いますけど、毎日鶏三昧とかじゃないですよね」
モバP「そういえば最近はタンドリーチキンやチキンカツ、親子丼や博多水炊きも作ります」
雪美「……葵風唐揚げ……礼風チキン南蛮……鈴帆風水炊き……おいしい」
雪美「そして……ペロと……Pと……私……いっしょに……食べられる……ささみ」
モバP「ささみ美味いよなあ。……あれ? 割と毎日鶏?」
ちひろ「プロデューサーさんの実家は養鶏場でも営んでいるんですか? 食べ過ぎです」
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896
モバP「人間は空腹を感じる時間というのが必要だと思う」
モバP「お腹が空く暇がない食事の取り方をしていると、太る」
みく「Pチャンは経験者のように言うね」
モバP「昔はちょっと太っていたんだよ」
みく「あまり想像できないにゃ」
雪美「……」コクコク
みく「動物園のライオンは週一くらいで絶食するっていうけど、Pチャンもそういうことするの?」
モバP「それはしないな。だが内臓とかを休ませるために何も食べない日を作るというのは結構説得力がある」
モバP「人間も酒を飲まない休肝日を作ったり、18時間断食をしようとしたりするからな」
雪美「……ライオンって……ストイック……」
モバP「お客さんにサービスで吠えて見せるのが日課だったのに喉が枯れて苦悩していたら、隣のクロヒョウくんが『今日だけだぜ』とか言って代わりに吠えてくれたから、感謝しつつうがいをする所とかストイックだよな」
みく「それはクロヒョウくんがカッコいいにゃ」
雪美「……」コクコク
ちひろ「どこかで読んだ話ですね」
-
897
モバP「この時期は牡蠣とか美味しいよな」
雪美「……海のミルク……」
ちひろ「でも牡蠣にあたった経験のある人って結構な割合でいますよね」
モバP「そこが何となく怖くて牡蠣小屋とかまだ行ったことがないですね」
ちひろ「プロデューサーさんはそういうの効かない体質だから気にせず行くのかと思っていました」
モバP「効かないとは言ってません。効くかどうか不明なだけです」
雪美「……それは……危ない……」
モバP「牡蠣に限らず貝類を食べるのは無理ですという人は少なくないですよね」
ちひろ「アレルギーで小学校の給食で貝の入った献立を食べられない担任の先生とかいましたね」
雪美「……アレルギー……気を付けないと……ね」
モバP「アレルギーの有無は自分も周りもよく知っておかないと大変なことにもなりかねない」
モバP「例えば留美さんが猫アレルギーなのを知っていながら猫と触れ合うお仕事を取ってきて、留美さんが病院に運ばれるようなことになった場合、自分は過失傷害罪に問われるんでしょうかね?」
ちひろ「いや私に聞かれても」
雪美「……Pの責任……大変そう……」 200ニンヲカンリシマスカラネ
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898
モバP「……この荷物を研修棟に持って行ったら上がりか」
モバP「しかし346プロは広いや。普段来ない未知のエリアもまだこんなにあるんだな」
モバP「ラジオブースなんかもあるし、やりたいことは何でもやれるというのも過言ではない」
ニャーン
モバP「おや、こんな所に黒猫が。どこに行くんだーい……ん?」
雪美「……」キラキラ
モバP「ゆっ……!?」
雪美「……いらっしゃい……P……。ここは……ピュアな心を……持った人だけ……来れる店……」
モバP「いや、犯罪ですよ犯罪! こんな所に店を出して雪美さんにクロスストラップドレスを着せて働かせるなんて! 誰だ!」
雪美「……猫も……いっぱい……いるよ……?」
ニャーニャーニャーニャー
モバP「ちょっくら寄って行くか!」
雪美「一名様……ご案内……」
ちひろ「そしてプロデューサーさんが帰ってくることは無かった」
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899
雪美「袋に……黒い粒……いっぱい……」
モバP「これはブラックペッパーホールだな」
雪美「これを削って……コショウにする……?」
モバP「ああ。ミル付きの容器に入れてな」
雪美「……」ホー
モバP「普通の胡椒はブラックペッパー以外にもいろいろブレンドされて挽かれた物のようだが」
モバP「これをたくさん持って、もし中世ヨーロッパ大航海時代にタイムトラベルができたなら、大金持ちになれるな」
雪美「……?」
モバP「肉を長期保存するのに役に立つ胡椒は当時、欧州ではとても貴重で同じ重さの金と取引されたりしていたとか」
雪美「……船とか……手に入りそう……?」
モバP「ポルトガの王様か。……それはオーバーだが、どうせならそのくらいのスケールでわらしべ長者をやりたいものだな」
雪美「……このブラックペッパーも……もしかしたら……」
モバP「今はただの胡椒だが、いつかまた莫大な富を生み出すポテンシャルを宿しているのかもしれないなあ」
ちひろ「まあ航時法違反なんですけどね」
-
900
雪美「……P……今日……学校で……身体測定……あった……」
モバP「身体測定か。懐かしいな」
雪美「……身長……伸びなかった……」
雪美「大きくなって……Pを……喜ばせたかったのに……」
モバP「……なに、気を落とすことはないさ。成長前の溜めの時期なんだろう」
雪美「……本当……?」
モバP「ああ。というかつい最近事務所でもやったばかりだし、そんなにすぐには変化は出ないよ」
雪美「……みんな……大きくなって……私だけ……取り残されてる……気がする……」
モバP「数値は自分の成長を実感するのに一番分かりやすい基準だからな。気持ちは分かる」
モバP「だが焦ってはいけないし、俺は今のありのままのいろんな雪美をもっと見せてほしいな。成長はその後でも良いさ」
雪美「……成長は……後回し……って……Pが言ったら……いけない……気が……」
モバP「俺、こう見えてもそこそこには偉いんだからな? 俺が許すと言っているんだから良い――なんてな」
雪美「……ふふっ、……強引……ね」
ちひろ「(偉く)ないです」
-
今日はここまで
パナシーア出しっ放しや
-
901
モバP「奈緒、あけましておめでとう」
奈緒「遅いよ!?」
モバP「誤差だよ誤差」
奈緒「時差ボケどころの話じゃないだろ」
奈緒「そういえば今更だけど、年末年始はあかりと温泉に行ったんだって?」
モバP「ああ、りんご温泉に入ってきたよ。あとは道の駅巡りだな」
奈緒「相変わらず好き勝手だなあ。でも、営業していたのか?」
モバP「大晦日三が日なら店休日もあったかもしれないが、それより早く行ったからな」
モバP「道の駅巡りはいいぞ。それだけで一日は潰せる」
雪美「……温泉……ハプニングは……あった……?」
あかり「んごぉ……思い出すと少し照れるんご」
奈緒「また現地妻を作ったのか……いや、連れて行ってそれも変だけど、そこでオトしたというか」
モバP「恋愛ゲームや異世界転生の主人公かよ。あかりがちょろい子みたいになるだろ」
あかり「ちょろい……何だかよく分からないけど都会で流行ってそうで良い響きですね」 ヒビクナ
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902
モバP「暖かくなったり寒くなったりな冬だな」
雪美「……」コク
モバP「水浴びが心地良い季節になったらインフィニティプールにでも行きたい気分だ」
雪美「……インフィニティ……?」
モバP「プールの先がそのまま海とかの景色と水面一つで繋がっているように見える設計をされたプールだ」
ちひろ「水が外に溢れる寸前のように見えて見えない角度の側溝に流れ落ちる仕組みになっているんですよね」
雪美「……何それ……とても……興味ある……」キラキラ
ちひろ「ハワイ、スリランカ、シンガポールあたりに有名なものがありますよ」
雪美「でも……海の見える……プール…………お値段……高そう」
モバP「そこは手頃な所があればだな。予算は頑張るが」
ちひろ「ここの屋上にでも作ってみますか? なに、プロデューサーさんがドリンク購入を少し頑張ってくれれば」
モバP「何百万本買わせる気ですか。難工事確実」
モバP「自分は南大東島の海軍棒プールでも充分インフィニティプール感は出ると思うので、候補にしとります」
ちひろ「プロデューサーさんのセンスは初心者向けではないですね」
-
903
雪美「……♪」セッセカセッセカ
モバP「今日は雪美さんが俺の部屋を掃除してくれている」
みく「お母さんみたいだにゃ」
モバP「本当だよなあ」
みく「Pチャンは感心しないの。自分の部屋は自分で掃除しないと」
モバP「雪美さんがやりたいようだったので」
みく「やりたいからって普通やらせるかにゃ」
モバP「ご厚意有り難いと思っているよ。それに一言断ってからやってくれるから心臓にも良い」
みく「ステレオタイプなお母さんだと無断でやるイメージだもんね。それで……」
みく「あ、見られると困る私物とかあるでしょ?」
モバP「あたしも男子ですからそりゃあありますよ、いろいろとねフフフ……エッチな本とか?」
みく「何堂々と言ってるの! 雪美チャンが見つけて読んでしまったらどうするにゃ!」
モバP「そのリアクションは見てみたいが、さすがにそんな物だけは事前に片づけてあるよ」
雪美「……これ……捨てても……良いの……?」 アア、ゴミニダシトイテイイゾ
-
みく「勝手に捨てられると困る物とかもあるよね」
モバP「夫の趣味の鉄道模型とかね」
みく「それは洒落にならないにゃ」
モバP「逆に子どもの頃に授業で描いた絵や100点のテスト答案なんかはね」
モバP「自分は要らないと思っていても親や祖父母の方がいつまでも捨てずに取っておきたがる」
みく「大事な我が子我が孫の一番可愛い時の成長の証だもん。捨てられないよ」
モバP「親心が分かっていますな」
みく「そんなこんなで考え出すと身の回りの物って一つ一つ思い出とかあるし、捨てにくいのにゃ」
モバP「そうしてミニマリストに憧れだすんだよな」
みく「Pチャンは断捨離ボーイになりたいの?」
モバP「今が割とそうだしな。物がない部屋ならルンバがスムーズに仕事をしてくれそう」
みく「Pチャンの場合、家にいる時間が長くないからにゃあ。というかルンバ飼ってるの?」
モバP「晶葉から貰ったルンバがあるんだが、あいつ賢くて俺のことを下に見てくるんだよな」
雪美「……そこ……掃除の……邪魔……」
モバP・みく「はい退きます」
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904
みちる「プロデューサーさん、パンはいかがですか?」
モバP「おっ、それは菓子パンの定番、コロネじゃないか。いや、言うほど定番か知らないが」
雪美「勢い任せで……言う……」
みちる「今日はキッチンルームで作って来たのでお裾分けです!」
モバP「みちるの手作りか! ふーん、美味しそうじゃん」
雪美「チョコレートクリーム……たっぷり……」
モバP「……調理実習で作った料理を持ってきてもらった担任の先生の気持ちになるですよ」
みちる「あはは! 授業ではパンはあまり作ったことないですけどね」
雪美「……巻き貝の……形……かわいい……」
モバP「貝の形のお菓子はマドレーヌもそうだが、感性を刺激するな。早速食べよう」
みちる「はい、どうぞ! 雪美ちゃんにも」
雪美「……ありがとう……」
モバP「いただくよ。ん、やっぱりこの艶々した色。様式美があるな」
アム……ン、ウマイ!
-
みちる「パンは裏切りませんからね! 次はメロンパンの皮コロネを作りたいです!」
モバP「チャレンジ精神旺盛だなぁ。メロネは若干パンくずが落ちやすい気がするが、良いとこどりパンだよな」
みちる「良いとこどりを目指しますよ! ではみんなにもコロネを配ってきますね!」
モバP「おう、気を付けてな」
モバP「……見な、季節外れのサンタクロースだよ。コロネのたくさん入った大きな袋を背負って」
雪美「……パワフル……」
モバP「……しかしこのコロネ、気づいたら穴の方から食べていた」
雪美「……どっちから……食べるのが……正しい……?」
モバP「巷では作法らしきもの種々雑多あるが、たい焼きと同じでどっちからでも間違いではない」
雪美「じゃあ……こっち……」ハム
雪美「……おいしい……。でも……クリームが……垂れると……負けた気がする……」
モバP「そこを気にすると結構食べ方が難しいパンではあるよな。垂れないようにクリームは固めになっていることが多いが」
モバP「……ふと思ったが、芳乃だと法螺貝に似ているコロネも先端から口を付けそう」
雪美「……芳乃……パン……好きだから……ね……。でも……クリームが……吹き飛びそう……」
モバP「そんな光景を見た日にはこっちも盛大に吹き出しそうだ」
-
905
モバP「小腹が空いた。石焼き芋のトラックが近くに来ないかなあ」
ちひろ「今はスーパーに専用の焼き芋機が置いてある所も多いですよ」
モバP「軽トラックの通りかかりに上手く合わせて買わなくても良い時代ですか……」
雪美「焼き芋……よく……見かける……」
雪美「……でも……じゃがいもは……焼かないの……?」
モバP「さつまいもは焼くことで甘く一番美味しくなる、というのが他には無い特別として扱われているんだろうな」
雪美「……じゃがいもは……焼いても……甘くならない……」
モバP「だがホイルに包んで焼いたじゃがバターもこの時期手軽に食べたいとはつい考えるよな」
雪美「……じゃがバター……ほくほく……」
ちひろ「馬鈴薯の方は屋台やキャンプやバーベキューと、野外で食べるのが格別ですね」
雪美「……あとは……焼きトウモロコシ……」
モバP「良いねえ。あの匂いが本当にお腹を減らしてくれるんだ。食べたくなってきた……」
葵「プロデューサー、里芋の煮っ転がしを作って来たんよ! 食べんね?」
モバP「食べる。やっぱり里芋が至高だな」 サッキマデノハナシハ?
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906
雪美「P……ガンダム……作れる……?」
モバP「それはプラモデル的なもの? それとも等身大をご所望?」
雪美「……大きいの……」
モバP「缶コーヒーのCMみたいなことをしてみたいのか……晶葉に頼んでみよう」
ちひろ「頼んで出てくるものなんですかね?」
モバP「あの足の細さでは体重を支えられないみたいな説がありますが、ガンタンクなら行けるかもしれない」
ちひろ「それは注文と違う品なような気がするんですけど」
雪美「……ガンダム……でなくても……いい……」
雪美「……いつか……巨大ロボットの……操縦席に……乗ってみたい……」
モバP「ほーう。先日、お仕事でフライトシミュレーター体験をして触発されたんだな」 ……ウン
モバP「しかし、ということは、実現すればシナジェティックスーツを着た雪美を見られる可能性も? そして俺は死ぬ」
ちひろ「プラグスーツよりある意味で変態ですねあれを求むのは」
モバP「ちなみにガンダムはよく知らないんですよね。サンドロックのヒートショーテル二刀流がクロスクラッシャーになる所が男心に火を付けるくらいで(早口)」
ちひろ「よく知らない(大嘘)」
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907
紗南「Pさん、何やってるの?」
モバP「ああ、紗南のオリガミキング実況を見て折り紙に目覚めちゃって」
紗南「マリオのやつか。オリビアがヒロインしていたよね」
モバP「スーパーペーパーマリオのアンナはクールだったが今回は結構対照的な性格だったな」
紗南「プレイし終わってしばらくオリビアロスになったよ……」
モバP「そんな名前の人がどこかにいそうだな。ダイアナロスみたいな」
雪美「……マリオと……オリビア……ベンチで……休む所……すき……」
モバP「良きパートナーよな。幕間パートが無いからピーチ姫の影はいつも以上に薄かったし」
紗南「シール2作の相棒はフェアリン型だったけど、あたしはオリビアタイプの方が好きかも」
モバP「ほのぼのした対クッパ軍団回とシリアスなオリジナル敵回があって後者だからってのもあるのかな――はい折れた、雪美さん」
雪美「……おお……」キラキラ
紗南「雪美ちゃんだ! よく折れるねー。というかゲームを見て折り紙を極めようとするPさん……」
モバP「実際に折り方が公開されていることだし、それをちょいとアレンジしているだけだよ。紗南も折ってあげようか?」
紗南「あたしの心まで折られそうだよ」
-
今日はここまで
首から下は峰不二子
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908
みく「Pチャンまたインスタントラーメン買ってる」
モバP「たまには良いじゃないか」
みく「ホント、好きなんだね」ガサ
みく「ふーん、緑色の袋にゃ。それにタイ語が書いてあるにゃ」
モバP「YumYumグリーンカレーヌードルだな。スパイスが効いていていかにもエスニックな風味だ」
モバP「というか見てタイ語と分かるもんだね」
みく「ラベルに書いてあるの」
モバP「何だ、みくはタイ語を読めるのかと思ったよ」
雪美「……」コクコク
みく「15歳でタイ語すらすらならそっちで軽く話題になってるにゃ」
モバP「今は芸能界の美人さんって南アジア系がルーツの人とかも増えたからな。実はみくもそういうアレかと」 ンナワケアルカニャ
雪美「ラーメン……これも……貴……こほん、……四条さんと……共同購入……?」
モバP「ああ、実名は控えような? やや少量ですが美味しいのでP殿も食べてみてはいかがです? と言われてな」
みく「隠す気ないでしょ」
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909
モバP「うーん……」
雪美「……?」
モバP「もう出ないよぉ……」
雪美「P……寝言……?」
ちひろ「寝言に答えてはいけないって言いますけど、何が出ないのやら」
ピクッ
モバP「……みゆき……」
雪美「……!」
モバP「………………んっ? ……あぁ……つい寝てしまっていたようだ。つくづく眠気には抗えん」
雪美「……P……浮気……」
モバP「えっ? 寝言で変なことを言っていたか? 女性の名前とか?」
雪美「……みゆき……って」
モバP「ああ、みゆき。何故かそんな名前の猫を飼っていたら俺の口から竹輪が出てきてそれをみゆきがどんどん食べて巨大化していく夢だったなあ」
ちひろ「もう少し寝ていた方が良いんじゃないですか?」
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910
モバP「節分の日も終わったな」
雪美「……」コク
モバP「鬼のお面を付けて、全身タイツを着て、虎パンツを穿いて」
雪美「アフロと……角も……ね」
モバP「いやあ、楽しいが大変だった」
ちひろ「手の込んだことをしますね」
モバP「定番ですからね。丑寅の方角が鬼門なんで牛の角と虎のパンツなんでしたっけ」
モバP「鬼になりきってアイドルのみんなを合法的に追い回すのはなかなか爽快ですよ」
ちひろ「合法的って、それがそもそもの目的みたいに言う」
モバP「あとはみんなに豆鉄砲を当てられるのも不覚にも気持ち良くて」
ちひろ「待て待て。気持ち良いって何ですかあなた」
雪美「……受け……攻め……どっちもできる……P」
雪美「でも……鬼の金棒は……軽そうだった……」
モバP「重そうな金棒は今の日本においてはただの凶器だろうから用意するのが難しそうだ」
-
モバP「だからってビニール金棒は少しあからさま過ぎたとは思っているが」
ちひろ「浮いてそう」
モバP「ただ鬼になるにあたってショー的な演技はしても、年少組とかを必要以上に怖がらせて楽しんではいけないと思っています」
モバP「別に釘バットとかを持参することも出来たんですがね?」
ちひろ「私物でも釘バットなんて持つな」
モバP「昔、絵本か何かで見たやっとこを持った牛頭馬頭がやたら怖かったんですよね」
雪美「……地獄の……鬼……」
モバP「だから拷問を連想させたり、見るからに痛そうだったり、という武器を持ち出すのはやめとこうと」
ちひろ「節分の鬼がやっとこを持って現れたら確かに嫌ですけど」
雪美「……歯を……抜かれそう……」
モバP「で、何だかんだあってその後、雪美には筋肉プリントシャツを着てもらいまして」
ちひろ「重要そうな過程を大きくすっ飛ばすな」
雪美「Pだけ……タイツ……だったから……私も……思いきって……刺激的に……」
モバP「分かっていても一瞬裸かと錯覚しますね。危うく興奮する所でした」
ちひろ「裸が筋肉モリモリであってたまるか」
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911
モバP「雪美さんに質問」
雪美「……?」
モバP「夜の食事はお風呂に入った後にする? それともお風呂の前にする?」
雪美「……後……」
モバP「大体は寝る少し前という人が多いかもな。湯冷めするかもしれないし」
雪美「……」コク
モバP「俺の家でも基本、食事の後に時間を置いてお風呂だった」
ちひろ「子どもの頃からの家庭の習慣はそれが世間の当たり前のように思ってしまうことがありますね」
雪美「……後だと……間違い……?」
モバP「一概に間違いと言うべきではなかろうが、前が間違いだと思っていたら実はそうでもなさそうだと後になってから知った」
ちひろ「前の方が健康に良いとは言いますね」
モバP「思い出すと何度かだけ食前入浴をやっているんですが、その時はご飯が美味しかった気がします。偶然かな?」
ちひろ「他の人はどうか知りませんけど、私はパジャマで夕食というのが何か背徳感あるんですよね」
雪美「……今度……三人で……パジャマディナー……やろう……(無茶な提案)」
-
912
モバP「ちひろさんはサロンバスって知っています?」
ちひろ「ああ、あれでしょう? 肩や腰に貼るやつ」
雪美「それは……サロンパス……」
モバP「センターテーブルがあって空間が広く豪華な感じがするバスですよ」
ちひろ「分かってますよ。バラエティ番組のロケで映ったりしますよね」
モバP「あれ、一台欲しいと思いません?」
ちひろ「自前で持つんですか? どんな大手芸能事務所ですか」
雪美「……充分……大手……」
モバP「346プロと言えば敷地が端から端まで歩いて三日はかかるとかいうほど広いじゃないですか」
ちひろ「落語のほら吹き並のことを言いますね」
雪美「……そんなに……広かったの……?」
ちひろ「仮にも東京のど真ん中ですよ? そんな訳ありませんって」
モバP「でも、自分は経験がないんで、一度あのサロンの座席に座ってみたいです」
ちひろ「それならリムジンにでも乗る方がもっと快適ですよ?」 カンタンニイイマスネ
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913
モバP「さっきですね、防犯パトロールで歩いている人を見かけまして」
雪美「あいさつ……した……」
ちひろ「登山以外ですれ違う人に挨拶なんてなかなかすることないですよね。されたら返しますけど」
モバP「されました」
ちひろ「プロデューサーさんと雪美ちゃんが並んで歩いていると、念のため声かけとこ、と思うのかもしれませんね」
雪美「……?」
モバP「パトロールって毎回同じ人がやっているとは限りませんからね」
モバP「雪美と二人でよく近所に出没しているんですが、まだ“あ、あの人たちか”と覚えられていないのかも」
ちひろ「それで、不審者じゃないか、と」
モバP「不審者と言わないでください。慣れてはいますがこれでも傷つきやすいので」
雪美「……」ヨシヨシ
モバP「こう見えても以前、自分も防犯パトロールに参加したことがあるんですがね」
ちひろ「へえ」
モバP「実家の町内会――あれ、学級当番のようにいつか自分の番が回ってくるんですよね」
-
雪美「……私は……出たこと……ない……」
モバP「雪美が学校やお仕事でスタンバイできない時間だと仕方ないさ」
モバP「パトロールには帽子、安全ベスト、腕章、誘導棒、懐中電灯、ホイッスルなどいろいろ持って行くんですよ」
雪美「……安全ベスト……体育でも……使ってる……?」
モバP「ビブスか。まあ広義ではその仲間だな。あとは交通整理の人が着ている反射材の付いたチョッキとかもそう」
ちひろ「貸し出されるんですね。それで指定のルートを回って戻ってくる感じで」
モバP「はい。それで必ず複数人で行きましょうねというのがあります」
雪美「……人数……集めるの……大変そう……」
モバP「俺もそう思う」
モバP「だがいつか雪美さんとパトロールをしてみたいな。安全ベストと誘導棒を装備して勇ましく佇む雪美さんが見たいだけだが」
雪美「……Pとだと……チャンバラが……始まりそう」
ちひろ「ヤンチャな年頃の小学生の男子とプロデューサーさんくらいだったらやりそうですねチャンバラごっこ」
モバP「ヤンチャな年頃の小学生の男子と並列に見ないでほしいですね」
モバP「……まあ誘導棒はライトセーバーと似ていなくもないですから気持ちは分かるんですが」
ちひろ「パトロールそっちのけでチャンバラパフォーマンスやりかねない人には任せられませんねえ」
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914
乃々「もりくぼですけど……、あれ、プロデューサーさんは留守ですか……帰ります」
杏「やあ乃々、よく来たね。一緒に休んでいかない?」
雪美「……」ノシ
乃々「杏さんと雪美さんがおるすばんですか……」
乃々「あの……幸子さんって今は外出しているんですか……?」
杏「幸子なら急な仕事で北海道に行ったみたいだよ」
雪美「……」コク
乃々「えっ、一体何をしに」
杏「何でも山に家を建てるらしいよ」
乃々「……???」
雪美「家を建てるのに……幸子が……必要……?」
乃々「応援団長とか、ですかね……?」
杏「いや、命のスープを作ったりビス打ちしたりするってプロデューサーが」
乃々「プロデューサーさんは一体どこへ……?」
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915
雪美「P……これ見て……」
モバP「僕は今企画書作りの実験で手が離せない」
ちひろ「いや、企画書作るのに実験って何」
雪美「私が……奏……千夜……梨沙……比奈と……、制服……着た……」 ピクッ
モバP「これが……君の制服姿か」
雪美「……どう……? ありえない……?」
モバP「ありえない? それは違う。確かに雪美の制服姿は本来今は見られないものであるが、しっかりと女学生に見える」
モバP「全ての現象には必ず理由がある……実に面白い」カッ
ちひろ「理由も何もプロデューサーさんがこの衣装にしたんでしょう」
ちひろ「それとフレミングの左手然の三本指で顔をカッ! やるのは何ですか、湯川先生ですか?」
雪美「ふふ……Pが意識して出す……低音……良い声……」
モバP「何となくやってみたくなっただけですはい。しかし制服は最高だな」
ちひろ「今更素に戻っても遅いですよ。雪美ちゃんの話が全く頭に入ってきません。何ですかこれ」
モバP「はっはっはっは……なるほどさっぱり分からん」 スニモドレ
-
今日はここまで
さもありなん
-
916
モバP「世の中には数多の料理がありますが、自分がどうも苦手と感じる物を最近発見しました」
ちひろ「プロデューサーさんは何でも喜んで食べるイメージですが」
モバP「ちひろさんは、トムヤンクンや酸辣湯ってどうです?」
ちひろ「あっ……そういう」
雪美「……?」
モバP「はい。酸っぱ辛いタイプの料理が結構きついと感じるんですよ」
雪美「……酸っぱくて……辛い……」
ちひろ「甘酸っぱいのや甘辛いのだったら全然平気なんですよね?」
モバP「はい。それに酸っぱい、辛いの単体も、程度によりますが大丈夫です」
モバP「ただ酸っぱいと辛いの連携となると、特にあんやスープ系を飲むのは胃が嫌がるような感覚が来ます」
雪美「……今度……やさしい味で……作ってみたら……食べる……?」
モバP「マイルドな酸っぱ辛さだったらいけるかもな。お願いするよ」
ちひろ「程度というのはあるでしょうね。激辛料理を平気な顔して食べきれる人は私の知る限りでも珍しいと思います」
モバP「好きか平気なだけかでも違いますからね」 ソレヲイッタラネ……
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917
雪美「P……新歓に……行ってくる」
モバP「大丈夫か? 変なサークルには行かないと思うが不安だ」
雪美「P……イベントの……打ち上げに……行ってくる」
モバP「飲むと判断力と抵抗力が落ちるから程々にな? 迎えに行こうか?」
雪美「P……同窓会に……行ってくる」
モバP「男に付いて行っちゃダメだぞ? お持ち帰りなんてされたら俺は泣くぞ?」
雪美「……Pに……泣かれるのは……困る……」
ちひろ「束縛系男子ですねえ」
モバP「行くことに断固反対まではしていませんから……」
雪美「……こういう所には……行かない方が……良い……?」
モバP「何事もなく終われば楽しいと思うが、悪い男の毒牙にかかる話は新歓打ち上げ同窓会が多いからな」
モバP「しかし、行くな! 俺のそばにいろ! ……とは言えんよなあ」
雪美「……ふふっ、……言ってくれるなら……そばにいる……」
ちひろ「というかまだ先の話を何彼氏気取りでシミュレーションしてるんですか」
-
918
モバP「雪美さんってよくよく考えると比較的口数が少ない方じゃない?」
雪美「……そう……?」
ちひろ「プロデューサーさんは普段どんなことを考えて雪美ちゃんと接していたんですか?」
モバP「そらもう……」ジッ
雪美「……?」
雪美「…………ふふっ」ニコ
モバP「……!」
「エラーが発生しました。イジェクトボタンを押してディスクを取り出してから、本体の電源ボタンを押して電源をOFFにして、本体の取扱説明書の指示に従ってください。」
――
モバP「……ふう、思考が止まってしまっていたようだ」
ちひろ「プロデューサーさんはWiiだったのか」
雪美「……Switchに……アップグレード……しないと……」
モバP「それで五等分の鬼嫁の話ですが」
ちひろ「それ30分前にした話ですね。最後に保存した記憶がそこですか」
-
――
モバP「ああ、そうだそうだ。雪美さんは意外と無口でミステリアスな美少女だって話です」
雪美「……///」
ちひろ「最初と違う」
モバP「しかしそう感じさせて実は、喋るのは好きな方。心の中ではもっと声を出している」
雪美「……まる」
モバP「雪美は学校ではどうだ? たまに環境によってキャラを使い分ける前川さんみたいな子もいるが」
雪美「……私は……私……。変わらないと……思う……」
雪美「私が……話す時は……みんな……静かに……聞いてくれる……」
モバP「良いな。俺は声は大きいが字が小さいとよく言われたが、周りが気を配って合わせてくれるか」
雪美「Pの字……今でも……かわいい……から……ね」
ちひろ「男性にしては丸いんですよね。いろいろ性格診断が出来なくもなさそうです」
モバP「まあその辺は追々。……じゃあ授業で手を挙げるとか、グループディスカッションとかにも消極的というわけではないんだな?」
雪美「……うん。……でも……気を付けないと……みんなのテンポが……段々ゆっくりに……なる……」
ちひろ「メトロノームの同期現象みたいですね」
-
919
モバP「今年もバレンタインデーがやってきましたね」ガラガラ
ちひろ「事務所にリアカーで乗り入れないでください」
モバP「まあまあ。これでひとつ勘弁してくださいな」
ちひろ「……チョコレートですか」
モバP「346年に一度の自信作ですよ」
ちひろ「ボジョレー・ヌーボーのキャッチコピーより誇大すぎてもはやギャグか」
モバP「とりあえず創作意欲に任せて12種類の味のアソートにしましたので鬼が出るか蛇が出るか分かりません」
ちひろ「そんなこと言って、どうせ美味しいんでしょう? 市販品みたいな包装ですし」
モバP「カカオ100%がどこかに混入しているかもしれない点はご留意を」
ちひろ「プレゼントで遊ぶな」
ちひろ「というかナチュラルにあげる側に溶け込んでいるのはどうかと」
モバP「ホワイトデーではどうせチョコ以外をあげることが多いですし、でもチョコもチョコで作りたいじゃないですか」
ちひろ「ちょっと何言ってるかイマイチ分からないですね」
モバP「変なんであれば、謎の女プロデューサーXが作った友チョコと思えばアリです?」 ナイヨ
-
かな子「Pさん……」
モバP「おお、かな子。どうだった?」
かな子「すっごくおいしかったです。つい手が伸びて全部……」
モバP「欲望解放させちゃったか」
ちひろ「アソートは全種類食べたくなってしまいますからね」
モバP「バレンタインのチョコレートを渡す側って、自分の分も買うか作るかする人もいるかもしれませんが」
モバP「そうでない人にも美味しいチョコレートを食べさせたい、という考えで作りました」
かな子「自分のチョコレートに自信が無くなりそうです……」
モバP「えっ、それは困るな。俺もチョコ食べたいよ」
ちひろ「肝心の自分の分は作ってなかったんですか」
モバP「自分で食べると、もっとこうすれば良かったとか後悔しそうなんで」
ちひろ「レストランのメニュー開発者じゃないんですから」
雪美「Pの……チョコレート……おいしい……。ほら……あーん……」
モバP「んっ……これは――! いや、これは雪美効果が大きいと思う」
ちひろ「バレンタインってそういうものだと思いますよ?」
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920
ちひろ「プロデューサーさんはまたたくさんのチョコレートを貰ったようで」
モバP「今年は日曜だったからですかね? 学校がある平日ならまだこの時間は落ち着いているんですが」
ちひろ「それを全部食べきってお礼状まで出すとか私だったらとても無理だと思います」
モバP「おかげで毎年2月後半は少し太ったねと言われます」
ちひろ「少しで済むんですか? これだけ食べたら顔のパーツが全体的に内側に寄るまで行きそうですけど」
モバP「地獄のミサワ絵みたいにはなりたくないですね」
モバP「でもこれらを何回にも分けて食べていればしばらくは食費がかからなくて済みそうですよ」
ちひろ「貰ったチョコレートだけで生活をするのは何か違うと思いますけどね」
モバP「チョコレートは命を繋ぐのに頼れる非常食でもあるんですよ? 暑さには弱いですが」
ちひろ「縦走中の遭難じゃないんですから」
ちひろ「万が一それで体調を崩したりすると、みんなが責任を感じるでしょうから無茶はしないでください」
モバP「分かりました」
モバP「……しかしこのスティックチョコレートは食べても食べても無くならないなあ」モグモグ
雪美「それは……晶葉と開発した……魔法のチョコ……」 マキノウドンカナ?
-
921
愛海「プロデューサーはさー」モミュモミュ
モバP「どんな心境の変化か知る由もないが俺の頬をもみゅるな」
愛海「お山を登れない手が疼くのを慰めるためにやってるんだよ」
モバP「山を登るのは足だろうが普通は」
愛海「プロデューサーはさー?」グニグニ
モバP「乱暴に扱うでない。女の子の……それをあれする時もそんななんじゃあるまいな」
愛海「プロデューサーだから遠慮しないだけだよ♪」
モバP「くぬやろ……それで、何が聞きたい?」
愛海「初めて独り暮らしするってなった時、どんな気持ちだった?」
モバP「俺は自由なんだって楽しみで浮かれていたよ。学校や親にあれこれ管理されなくて良いのは大きいよな」
愛海「でも悪いことしても注意してもらえないのが時々物足りなくなったりしない?」
モバP「そうだな。この環境を元に戻せるかと言われると難しいが、ふと寂しくはなる」 ダヨネ!
モバP「いくらアイドルが周りにいてくれても、やっぱり親兄弟とは違うからなあ」
雪美「……でも……兄妹みたいには……見える……」ドチラモ……サビシガリヤ……
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922
雪美「……P……ここ」
モバP「ん?」
モバP「おっ、テントウムシだな」
雪美「……ナナホシ……かわいい……」
モバP「まだ2月だが春のような陽気に誘われて出てきたのか」
雪美「最近……暖かいから……」
モバP「花粉も飛ぶとか飛ばないとか……これからまた冷え込むようだがな」
モバP「しかし、テントウムシは見かけると何だかほのぼのするな。他の虫は、“げっ、虫じゃん”となりがちなのに」
雪美「……昆虫図鑑で……馴染み……ある……。それに……小さくて……大人しい……」
雪美「……どこに……行くの……? 迷っている……みたい……」ジーッ
モバP「枝のような高い、先の尖ったものがあるとその先端まで登ってから飛び立つことがあるな」
雪美「……指に……乗せてみる……」スッ
……ヨジヨジ フワッ
モバP「おお、飛んだ飛んだ」 バイバイ……
-
今日はここまで
麓の蕎麦屋まで
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923
モバP「……これは」
モバP「うん、杏が強いなあ」
雪美「……そう……?」
モバP「ああ。これはこれで良いんだが、少し杏の主張が強い」
杏「ねえ」
モバP「おや、杏か」
杏「二人だけで何、杏の話してるのさ」
杏「……杏、そんなにお仕事で主張が強い?」
モバP「いや、このヤマザキのバナナクリームサンドは杏ジャムの主張が強いなと」
杏「……何だよ紛らわしいなあ」
モバP「あまりバナナバナナし過ぎているのよりは適度な酸味がマッチする杏が好きだが」
雪美「私も……。杏……好き……」
杏「二人とも杏の目を見ながら言うのやめてもらえる? 杏ジャムの話だよね?」
ちひろ「また東日本じゃ買えないパンを普通に食べていますね……」
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924
モバP「俺は市販品から自作、かな子や愛梨が作ってきてくれる物まで、様々なお菓子を食べてきたと思う」
雪美「……P……みんなから……餌付け……されてる……」
ちひろ「しかもスタドリやエナドリも飲みますし、そろそろ臓器の一つ二つイカれるかもしれませんね」
モバP「冷静に恐ろしいことを言うのはやめてください。自分でも少し気にはしているんですから」
モバP「というかドリンク類はちひろさんの提供でしょう?」
ちひろ「ノルマがね……ありますからね」
モバP「何の営業ですか。……この前もダマンドレザンというケーキを買って食べたんですが、しっとりしたりざくざくしたりで美味しかったんですよ」
雪美「……ダマンドは……クレームダマンドの略で……アーモンドクリーム……。レザンは……レーズン」 ユキミチャンクワシイ
モバP「アルコールが入っていたので雪美と半分こはできませんでしたが、ブレンデーケーキを少し寝かせて酒の風味を落ち着かせたような感じで食べやすかったです」
ちひろ「でも、いろんなものを食べていると、たまに食べたことを忘れるお菓子とかありません?」
モバP「ありますね。例えばミルクレープとかどこかで食べているはずなんですが、どんな味だったか記憶が……」
千夜「覚えていないのはお前が良い物を食べていないからです」
千夜「明日、私に付き合ってもらいます。お前に本物のミルクレープを食べさせてあげますよ」
ちひろ「千夜ちゃんもいつの間にか山岡士郎ばりのことを言うようになって……」
-
925
モバP「……」ギュッ
雪美「……」ヌクヌク
ちひろ「一緒にブランケットに包まるとはまた見せつけますね」
モバP「冬場の屋外スポーツ観戦でよくありますよ」
ちひろ「ここ屋内ですし。それに人前でカップルでやる度胸のある人まではなかなか」
モバP「ちひろさんは我々が親子ではなくカップルに見えるんですね」
雪美「……照れる……」
ちひろ「どちらにせよ容認はしませんけども」
モバP「ですが、寒い日はこうして丸まると気分が高揚してきませんか?」
雪美「……寒くても……ぽかぽか……ひゃっはー……」
ちひろ「暖房が足りていないようなら温度を上げますけど」
モバP「いえ、そういう訳ではないです。今も割と熱い」
ちひろ「何やってるんですか」
雪美「でも……気持ち良い……」
-
モバP「毛布の肌触りって気持ち良いですよね」
ちひろ「包まれている感じが安心するんでしょうかね」
雪美「Pと……毛布……二重に……包まれて……幸せ……」
ちひろ「プロデューサーさんは体が大きいので保護面積も広いですからね」
モバP「巨大化は的が大きくなるだけだと言いますがこういうメリットもあったんですね」
ちひろ「何か的にされるようなバトルでもしようというんじゃあるまいし」
モバP「例えばドッジボールとかをやる時です」
ちひろ「ドッジボールはまあ……巨大化という言い方はオーバーですけどね」
雪美「ドッジボール……キャッチするのが……難しい……」
モバP「あとは勢いよく投げるのもな。俺は体力測定であのくらいのサイズのボール投げが苦手だった」
ちひろ「体力測定は懸垂とかもですけど普段からやらないと体の使い方が分からないことがありますね」
モバP「慣れれば野球のボールみたいに投げられそうなんですが……ただドッジボール、避けるのは得意だった」
雪美「……私も……避けるのは……上手い……」フンス
ちひろ「残念ながらドッジボールで“避けるのが上手い”はあまり褒め言葉にはならないようです」
モバP・雪美「えっ……」
-
926
モバP「地震って怖いよな」
雪美「……怖かった……」
ちひろ「また絶妙に油断、というか忘れた頃にやってくるんですよねえ」
ちひろ「でも何か2月3月4月とこの辺の時期に集中する印象はありますね」
モバP「某サイトの地震履歴を見ると最大震度6以上が41回あってその内23回がその3ヶ月ですね」
雪美「……注意すべき……時期……?」
ちひろ「まあ一つ大きな地震があるとその余震がしばらく重なるのが理由でしょうけども」
モバP「自然災害は断水や停電も嫌ですね。台風なんかはお風呂に水を溜めるといった事前の備えができますが地震は自信がないとできない」
ちひろ「何か言いました?」
モバP「いえ。……しかしこうなると本来キャンプなんかで使うようなポータブル電源を持っておいても良いかもしれませんね」
ちひろ「非常用としては良さそうですけど、容量が大きくなればそれだけ重くなりそうですね」
モバP「あとは発電機の修理もできるようになっておけば急にエンティティに招かれても生き残れそうです」
ちひろ「非常時にDead by Daylightやるな」
雪美「モンスターエナジーに……線を二本……足すと……dbd……」 ニテルヨナ
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927
颯「なー、こっちこっちー」
凪「はーちゃん待っておくんなまし。凪というヨットは波任せでしか動けないのです」
颯「じゃあはーがタグボートになってあげるよー。あははっ」ズリズリ
凪「はーちゃん意外にも力が強いですね」
モバP「……」
雪美「P……颯と……凪……見て……どうしたの……?」
モバP「いやあ、双子のアイドルって改めて見ても結構珍しいよな」
雪美「普通の……姉妹でも……両方……アイドルは……珍しい……」
モバP「ウチでも城ヶ崎と久川だけだからな」
モバP「そうなるとだ。三つ子なんてもっと珍しいんじゃないか?」
雪美「……三つ子……一度も……会ったこと……ない……」
モバP「かの有名な人形のリカちゃんには双子の妹と三つ子の妹弟がいるという結構現実離れした設定があるが」
モバP「いつか、三つ子のアイドルの卵も見つけてみたいものだ」
雪美「……パッション……クール……キュートで……きれいに……分けられる……ね」
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928
〜♪
モバP「ああ、やっぱりFMラジオは良いな」
雪美「……♪」
ちひろ「radikoで聴いているんですか」
モバP「はい。家にCDラジカセがあるんですがもうボタンがいうことを聞かなくて」
ちひろ「CDラジカセって懐かしいワードですね。自動で合わせてくれるシンセチューニングですか?」
モバP「はい。95年くらい製の物を貰って使っていたんですが、今はボタンを押すと隣のボタンが誤作動します」
モバP「ツマミを合わせるアナログチューニングのポータブルラジオの方がまだ現役なくらいですよ」
雪美「Pの家……Victorの……Hi-Fiビデオデッキとかも……ある」
モバP「いろんなボタンが配置されてライトが点いて、小さなコックピットみたいでロマンですよねえ」
ちひろ「物持ちが良すぎる」
ちひろ「しかしラジオですか。昼間にガソリンスタンドに寄るとFMラジオを流していることがありますけど」
モバP「個人的には、ローカル局によくありましたが、ほとんど英語と洋楽だけの異国情緒を醸し出しているラジオ番組が好きです」
ちひろ「海外の番組を聴くんじゃなくて海外風の日本の番組を聴くのがお好きなようで」 ハイ
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929
雪美「……」ナデナデ
ペロ「……」ウットリ
モバP「雪美がペロを撫でている。これ自体は珍しい光景ではない」
モバP「だが膝丈ほどのスカートでしゃがんでいる――その姿」
雪美「……」スクッ
雪美「また……後で……」
ペロ「……」トコトコ
雪美「……P……どうしたの……? ぼうっと……して……」
モバP「いや、雪美がしゃがんでいるのって、何か良いなって」
雪美「……こう……?」スッ
モバP「さっきより丸まったな。写真で残しておきたいところだがカメラが無い」
モバP「この前のグラウンドから立ち上がって軽くお尻の砂を払う仕草と甲乙つけがたいな……」
雪美「……P……お仕事モードに……入った……?」
ちひろ「こんなお仕事モードは嫌ですねえ」
-
930
モバP「雪美もアイドルの仕事をして結構長くなるな」
雪美「……」コク
モバP「そろそろオルタ化も検討して良いかもな」
雪美「……あの……オルタ化を……?」ゴクリ
モバP「そう、あのオルタ化だ」
ちひろ「露骨に他所のネタをパクるのはどうかと」
モバP「もしくは内なる虚?」
ちひろ「黒化も漂白反転もダメです」
モバP「白い髪の雪美とか強そうなんですがねえ」
ちひろ「何と戦わせる気ですか」
モバP「しかし、よく創作とかである、過度なストレスやショックにより一晩で髪が真っ白になる表現」
モバP「あれは結構ゾクゾクしますよね。実際にはああはなり得ないと聞きますが」
雪美「……Pは……大丈夫……? 白く……ならない……?」
ちひろ「プロデューサーさんは寧ろたまには全身真っ白に燃え尽きるくらい頑張ってください」
-
今日はここまで
脳みそアワー
-
931
ちひろ「みんなと一緒に写った写真が、全部プロデューサーさんの顔だけ骸骨になっていた――」
雪美「……」コク
ちひろ「それは怖い夢を見ましたね」
雪美「……」
ちひろ「プロデューサーさんは今ちょうどいないんですよね。直に帰って来ると思いますけど」
雪美「……」ソワソワ
ちひろ「胸騒ぎがします?」
雪美「…………」コク
ちひろ「夢を何かの暗示だと捉えてしまうのはよくあることですね」
ちひろ「夢に見たことが現実で一部再現されることもごく稀にありますけど、それは偶然だと思います」
雪美「……」コク
ちひろ「大丈夫ですよ。それに、もし例えどんな姿になったとしても、プロデューサーさんはプロデューサーさんでしょうし」
雪美「……」
ちひろ「ここだけの話ですけど、私は初代のプロデューサーさんが一番好きでした」 ……!?
-
932
モバP「765プロでは特別な時のご褒美にゴージャスセレブプリンというのがあるそうな」
杏「あるそうな――って、どこで聞いたのさ」
モバP「プロデューサーネットワークで。なかなか人気の品で簡単に買えないらしくて」
杏「そう言われると食べてみたくなるのが人の性」
モバP「どんな感じなんだろうな? ドンレミーのプリンアラモード系なのか、それともトーラクの神戸シェフクラブロイヤルカスタードプリンのようなものか」
杏「具体的に名前出しすぎだってば」
モバP「……RCP(ロイヤルカスタードプリン)はPCNP(プッチンプリン)とかに慣れているとやっぱり違うんだよな」
モバP「カラメル後がけで、更に茶碗蒸しのような柔らかさに思わず舌鼓を打つってもので」
杏「何で例えが茶碗蒸しなのさ……それになかなか買えないほどの物じゃないよね?」
雪美「……」トントン
モバP「お、調べてくれたのか」
雪美「……」ヒソヒソ
モバP「……へぇ、GCP(ゴージャスセレブプリン)はPALM(プリンアラモード)系らしいな?」
杏「もうわけがわからないよ」
-
933
モバP「……ここをこうして、そっちをああして」カタカタ
雪美「……」パラッ
モバP「でもってここで鍵を運んでチケットを集めてビームを撃つ」カタカタ
ちひろ「仕事してるかと思ったらゲームしてません?」
モバP「いえ、企画書を」
ちひろ「どんな企画書だとビームを撃つことになるんですか。Pony Islandでもやってるのかと」
モバP「……仕事中にそんなことはしませんよ」
雪美「……」パラッ
ちひろ「……はぁ。雪美ちゃんは大人しく本を読んでいるというのに」
モバP「こちらの気を散らせないようにしてくれるのが良いですね」
モバP「まあさり気なく近くにいるだけで、もうこちらは構いたくて仕方ありませんが」
ちひろ「目がチラチラ雪美ちゃんの方に行ってますからね」
モバP「雪美さんって用が無い時でもふらりとやって来て、こちらの用が終わるまで待っていてくれますから」
ちひろ「愛されてますね(棒)」
-
モバP「だから仕事を早く一区切りつけないといけない」
雪美「……」チラ
モバP「本当は多少邪魔をしてきても良いんですがね」
ちひろ「邪魔をされたいとは変わっていますね」
モバP「普段はモフろうとしてもつれない態度の飼い猫が、何かに集中している時に限って寄ってくることがありますよね?」
ちひろ「猫は気まぐれでツンデレだとか言われますからね」
モバP「雪美さんも多少はそんな猫らしさを出してふてぶてしくなっても良いと思います」
雪美「……!」
ちひろ「結局仕事が捗らなくなると思うんですけど」
モバP「しかしこんなあからさまに誘っていては猫もちょっかいを出す気が起きませんかな?」
モバP「真面目に仕事していましょう」カタカタ
ちひろ「切り替えが早いですね」
雪美「……」ソーッ
モバP「……」ワクワク
ちひろ「私も猫を飼ってるとこんな風に毎日楽しいんでしょうか」
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934
モバP「今年の春一番は早かったですよね」
ちひろ「結構な風が吹いていましたね。まあ暦の上では春なんですけど」
モバP「立春の翌日でしたからね。虎落笛の音と共に転がるタンブルウィードが哀愁を誘っていました」
ちひろ「そんな共演はあり得ません。ここは荒野のウエスタンサルーンじゃないんですから」
雪美「……?」
モバP「そう、西部劇で出てくるアレだな。日本にも牧草ロールという類似物があるが」
ちひろ「牧場で決闘でもする時にコロコロ転がってくるんですか、あれが」
雪美「……」クスッ
モバP「それはそうと、防災センターに行くと強風を体験できる施設があったりしますよね」
ちひろ「小学生の頃に社会科見学で行きましたねえ。地震や消火訓練もした記憶があります」
雪美「……?」
モバP「雪美はまだ行ったことがないんだったか。テレビの台風中継をやっているアナウンサーの気持ちになれるぞ」
雪美「……!」キラキラ
モバP「おお、やりたいか。ただ髪がすごいことになりそう」 マトメルデショ
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935
モバP「誰でも使わなくなるものというのはある」
モバP「家の掃除をしていたら出てきたこの初心者マークがそうだ」
雪美「……」 ペタ
モバP「……これを貼ることで初心者ドライバーならぬ初心者フリーザーの完成か」
雪美「……」フフッ
モバP「何となく冷蔵庫に貼ってみるのは俺もやったことがある気がする」
モバP「免許を取ったら一年間は必ず車に着けておかないといけないものだが」
雪美「……」 ペタ
モバP「これこれ、俺に貼るんじゃない。俺が初心者みたいじゃないか。何の初心者か知らないが」
雪美「……」フフフッ
モバP「しかし、一年経過後は使い道が無くなるんだよな」
雪美「……?」
モバP「買ったのかって? いや、俺の場合は確か教習所を卒業する時に貰ったな」
モバP「まあ入学の時に払うお金にその分も含まれていたんだろうが」
-
雪美「……」
モバP「勿論、そうでない学校もあるかもしれないし、吸着が弱い初心者マークは高速道路を走っていると飛んでしまって紛失なんてこともある」
モバP「だからそういう時に買い直せるように100均とかでも普通に売っている」
雪美「……」マジマジ
モバP「もし欲しいんだったらあげるぞ? 雪美なら万が一にもいたずらとかに使ったりはしないだろうしな」
雪美「……」
雪美「……」ヒソヒソ
モバP「……ふむ」
モバP「……雪美が免許を取った時に、か。……分かった、その時にこれをあげると約束しよう」
雪美「……」ユビキリ
モバP「また小さな約束が増えてしまったな。これでこいつもいよいよ捨てられなくなっちまった」
モバP「まあ再利用してもらえるならこいつも本望かな?」
雪美「……」(*゜-゜*)
モバP「……あ、貼るのは車体の前後にそれぞれ一枚で良いんだからな? たくさん集めて貼りまくっても異様なだけだからそこは」
モバP「あ、そんなことはしない? そりゃそうか……」
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936
モバP「フフフフ〜ンフフフフ〜ンフフフフ〜フ〜フ〜フ〜♪」
雪美「……」
モバP「フ〜フフフフ〜フフフフフフ〜フ〜フフフフ〜フフフフフフ〜♪♪」
雪美「……〜♪」
雪美「……??」
モバP「おや、雪美さんが鼻歌を……真似している」
ちひろ「プロデューサーさんの鼻歌のレパートリーが結構多い上に良い曲――というか耳に残る曲が多いですからね」
雪美「……?」
モバP「この曲か? この曲はな、イース3のバレスタイン城だな。それもトンキンハウス版」
ちひろ「フレデリカちゃんでもやらないパペパプーバージョン」
モバP「とりあえず自分が口ずさみたい曲のタイトルを知らないのは嫌なので、そこは聞かれたら答えられるように調べていますね」
雪美「……!」キリッ
ちひろ「プロデューサーさんのボイスがちょうど楽器みたいで聴き心地が良いそうです」
モバP「雪美も俺と楽器にならないか?」 ドンナコロシモンクデスカ
-
937
モバP「2月が過ぎるのはあっという間だった」
雪美「……」コク
モバP「それもそのはずか。普通の月より日数が少ないのだからな」
雪美「……?」
モバP「他の月は30日か31日あるのに2月だけ2日3日少ないからな」
モバP「たった2日3日少ないだけでそんなに変わるか? とお思いでしょうが」
ちひろ「こうして月末になると、そういえば今月は2月だったか、って実感するんですよね」
ちひろ「さて、何か今週は雪美ちゃんがあまり喋らなかった気がするのは私だけですか?」
雪美「………………」
モバP「ちひろさん、もしかして雪美の声が聞こえないんですか? 2月病ですか?」
ちひろ「何ですかそれは。雪美ちゃんとは普通に会話できているんですけど……セリフが省略されているというか」
雪美「……、……?」
モバP「ドラクエとかの主人公みたいですね。……つまり雪美さんはこの物語の主人公だった……!? これはお前の物語だ」
雪美「これが……私の……物語……」 ア、キコエタ
-
今日はここまで
完全胞子宣言
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938
雪美「はっ……はっ……はっ……」
――
雪美「……ふぅ……」
モバP「お疲れ様。こうして走ってみると、毎朝欠かさずランニングをしている人が立派に見える」
雪美「……体が……ぽかぽか……する」
モバP「俺もだ。これで全身にエンジンがかかった気がする」
モバP「体の部分に負担をかけるデスクワークと違って、心地良い疲れが均等に来るというのかな」
雪美「Pに……見ていてもらう……より……いっしょに……運動するのも……楽しい……」
モバP「アイドルのお仕事なんかも俺が一緒に踊ったりすれば……いや、見る側には異物だからダメか」
モバP「しかし、走っている雪美さんってよく見るといつもと違う感じが出るよな」
雪美「……私……変な顔……してる……?」
モバP「いや、走る風圧で雪美のぱっつんが捲れ上がっておでこが見えることについて」
雪美「……見たら……ダメ……///」
モバP「雪美さんのおでこを見る機会が無さすぎる件について」
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939
グビグビ
モバP「ふぅ……午後ティーってさ」
雪美「……?」
モバP「割と甘いよな」
雪美「……うん。……でも……無糖も……ある」
モバP「無糖がやっぱり紅茶らしさがあるな。もう少し甘さが薄いものはないものかね」
モバP「レモンティーなんてレモンジュース並、ミルクティーは甘いカフェオレ並に甘い」
雪美「と言いながら……おいしそうに飲む……Pであった……」
モバP「俺も随分甘党になってしまったかな。この前はリプトンのレモンティーを普通に飲み干してしまったし」
モバP「スーパーで売っているのは安いと税抜きで自販機の半額くらいだったりするから、つい飲み試ししてみようと買ってしまうんだよな」
雪美「……自販機も……たまに……謎のジュース……出てくる……」
モバP「あの?マークが付いていてちょっと安いやつか」
雪美「P……ああいうの……好き……ね……。私も……好き……」
モバP「なら、雪美もそこから出てきたこっちのスイカジュースを飲んでみない?」 ……ソレハ……エンリョ
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940
若葉「Pさんに〜」
ネネ「群馬のことをもっと知ってもらいたいです!」
モバP「おうどうした藪から棒に」
若葉「栃木なら日光、茨城なら鉾田メロン、でもPさんは私たちの出身地、群馬にはあまり行くことがないでしょう〜?」
モバP「いや、行くぞ?」
ネネ「えっ」
モバP「寧ろ俺の中では今密かにホットスポットだぞ?」
若葉「そ、そうなんですか〜?」
雪美「……そう……。私も……ついて行ったこと……ある……」
若葉・ネネ「え〜……」
モバP「二人して意外そうな顔だな」
ネネ「私たちが言うのもなんですけど、群馬にそんなに夢中になる場所があるんですか?」
モバP「二人は行かないかもしれないな。でも俺は個人的に好き」
若葉「それは一体……」
-
モバP「それについては雪美が教えてくれる」
雪美「群馬の……ホットスポット……。……それは……自販機……食堂……」キリッ
若葉・ネネ「!?」
モバP「自販機食堂だ」
ネネ「大事なことなので二回言いましたね?」
モバP「いやあ、あのレトロ自販機&レトロゲームが並んだ空間はたまらんよ」
モバP「それもテーブルと椅子があってその場で買ったトーストサンドやうどんを食べるスペースまである」
雪美「……誰もいない時間……あの場所を……独り占め……。……至高の……贅沢……」
若葉「伊勢崎にありますね〜♪ それとレトロ自販機なら他にもドライブイン七輿とか」
ネネ「さすが若葉さんは詳しいですね」
若葉「でも、B級スポットだけじゃなくて、メジャーな群馬も知ってくださいね〜」
モバP「じゃあ、今度若葉とネネに群馬ガイドツアーをやってもらいたいな」
若葉・ネネ「……!」
雪美「若葉が……運転手で……ネネが……バスガイド……みたいに……」ワクワク
モバP「さらっと若葉が運転側に割り当てられたな」 メンキョモッテマスカラネ〜
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941
モバP「雪美は中学で部活に入るとしたら何部に入りたい?」
雪美「……」ウーン
モバP「俺がその心を当てて見せよう」
モバP「……薙刀だな?」
雪美「……テニス……思い浮かべてた……」
モバP「まあテニスだよな。雪美さんの足にスコートがよく似合うことだろう」キリッ
ちひろ「5秒前と言ってることが全然ちゃいますやん」
雪美「薙刀部は……中学校に……ある……?」
ちひろ「中学の部活動はそんなに種類が豊富じゃないですね。生徒数や私立公立にもよるでしょうけど」
モバP「軟式はあるのに硬式テニス部が無い、とかプールはあるのに水泳部が無い、とかありますね」
ちひろ「それにしてもどうして薙刀なんですか?」
モバP「単純に薙刀って黒長髪お嬢様の部活感があるので」
雪美「P……もしかして……薙刀部……興味あったけど……男子だから……入り辛かった……?」 ソレハアル
ちひろ「そんなプロデューサーさんも今では女子高の王子様みたいになって」 オトコデスヨ!
-
942
モバP「もし今の記憶を持ったまま過去の自分に戻ることができたら」
雪美「……!」
モバP「……」
雪美「……P」
モバP「もしもの話だからな」
晶葉「もしもその装置が作られたとして、Pはみんなを置き去りにして行けるだろうか」
雪美「……」
モバP「……過ぎ去りし時を求める覚悟は今のところ俺にはないな。魔王を倒せるサラサラロン毛にでもならない限り」
雪美「……」ホッ
晶葉「だが、Pが過去の自分に入って何をしたいのかは知りたいな」
モバP「そうだな、やりたい放題やってみて良いのなら、当時気になっていた女の子を片っ端からナンパするとか?」
雪美「……P」ジト
モバP「今を捨てたい訳じゃないが、人生のたらればが叶ったとしてその世界線ではどういう道を歩むのか大雑把に知りたい好奇心だけはある」
晶葉「好奇心は猫を……いや、これは科学者が言うべき言葉ではないか」
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943
雪美「……P」
モバP「おや、雪美」
モバP「……今日の雪美は少し身長が高いな」
雪美「……」プルプル ペタン
モバP「と思ったらつま先立ちをしていたのか。人間、朝と背伸びで身長が伸びるからな」
モバP「ところでもしかして新体操やバレエに目覚めたか? 雪美のレオタードを直視する覚悟が必要か」
雪美「……違う……。……こうすれば……Pに……追いつけないかって……」
モバP「なんだ……厚底靴や竹馬や缶下駄を履いてもそう簡単に並べる身長じゃないからなあ」
雪美「……缶下駄……学校で……遊んだこと……ある……」
モバP「今でもあるのか。竹馬は乗りこなしがややテクニカルだから缶下駄の方が好きだったな」
モバP「それはそれとして、身長か……俺は小さかった頃に戻りたい気持ちも少しある」
雪美「……大きいと……便利そう……なのに……?」
モバP「大は小を兼ねるというが、狭いスペースにコンパクトに収まらなくなるんだよな、体が」
ちひろ「プロデューサーさんって時々ストームトルーパーみたいに頭をぶつけますよね」
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944
モバP「スポーツ選手ってよく低酸素環境で体力を鍛えるよな」
雪美「高地トレーニング……ね」
モバP「よく知っているな」
雪美「慶と……そんな話……する……」
モバP「トレーナーさん方と仲良くしているんだな」
雪美「……筋肉の話で……盛り上がる……」
モバP「雪美さんが筋肉好きに……これは誰の影響なのかな? 俺じゃないよな?」
ちひろ「プロデューサーさんだと思いますけど」
雪美「……Pの筋肉……ちょうど良くて……好き……」
モバP「……好きならしょうがないな」
モバP「しかし俺も、もし子どもの頃から何千メートルの山の上とかで育っていたら、今以上の持久力を得ていたんだろうか」
ちひろ「どうなんでしょうね。でも、とりあえず高所恐怖症にはなっていなかったかもしれませんね」
モバP「ですかねえ。あ、高い所と言っても高層マンション育ちなんかは逆に高所平気症というものになったりするそうで」
雪美「Pも……高い所で……暮らしたら……慣れるかも……」 イヤーキツイッス
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945
モバP「あと数年するとお札の顔が変わるのかあ」
ちひろ「北里柴三郎、津田梅子、渋沢栄一ですね。しばらくは慣れないでしょうね」
モバP「さすがお金の話は食いつきが早い……いえ。で、聖徳太子だった時代がつい先日のように思い出されますね」
ちひろ「かなり遠い先日ですねそれは。というか戦後生まれですか」
モバP「菜々さんにこの話をしたら千円札と言えば伊藤博文だとか言っていましたがそっちの方が何故か印象にないという」
ちひろ「菜々さんにわざと昭和の話を振るのはやめましょう」
雪美「……千円札……野口英世……しか……知らない……」
モバP「夏目漱石の千円札をご存じないか。発行は2007年までだから、そうなるか……」
ちひろ「この前私見かけましたよ? 夏目千円。ATMにも普通に入りました」
モバP「まだ流通しているんですね。幻の二千円札は沖縄に行くとたくさんあるとか聞きますが」
ちひろ「夏目千円、野口千円と比べると全体的に緑色ですよね。そこが良い」
モバP「緑色が好きですね。関係ないですが美術のテストで色相環12色について出た時、青緑と緑青の順番を間違えたのを唐突に思い出しました」
ちひろ「文字だけ見ると緑→緑青→青緑→青になるような気がしますけど、これは青みの“緑”と緑みの“青”ですから緑→青緑→緑青→青が正しいんですよね」キラキラ
雪美「ちひろさんが……キラキラしている……」
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今日はここまで
価格はコミコミ
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946
モバP「昨日の奏の出ていたドラマ、最高だったな」
雪美「……」コク
ちひろ「放送の反響は結構大きかったみたいですねえ」
奏「少年っぽい表情を出すのが難しかったわ」
モバP「大人っぽさだけが奏の魅力じゃないからな」
奏「だからって……ずいぶんと大胆な起用をしたものね」
モバP「そして大胆に演じたな。あの奏を見るためだけにじっくり一時間視聴する価値はあった」
モバP「今回、周りが実力派の役者揃いでどうなるかと思ったら、見事に引き立っていたじゃないか」
奏「それは、プロデューサーとしてと個人として、どちらの意向が強い感想?」 サア、ドッチデショウ?
ちひろ「しっかり溜めてからのあのシーンに、狙ったように繋がる所が良かったですねえ」
雪美「……Pも……ちひろさんも……ドラマ……好き……ね」 タショウハ、ネ?
モバP「しかしああいった顔を普段はそう簡単に見せてくれないのが奏よ。そこがまた良いんだが」
奏「不意にキスでもしてくれたら、見せるかもしれないわね。……近すぎて見えないか」
ちひろ「……そもそもキスは目を開けてする派ですか?」 バアイニヨリマスネ
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947
モバP「アイドルの髪型にはみんなの個性が出ます」
モバP「被りもいない訳ではないですが、髪型だけでも判別できる子は多い」
ちひろ「みんな結構オーソドックスな髪型にしているとは思うんですけどね」
モバP「真似しにくい髪型はそんなにいませんかね。色は分かりませんが」 イロハネ……
モバP「たまに街を歩いていると後ろ姿がアイドルとそっくりな人がいますが、大抵はまず髪型が似ていて」
ちひろ「それで肩に手をかけて、おうこんな所で何やってんだーなんて声をかけて」
モバP「振り返るその顔は赤の他人で赤っ恥」
雪美「……事案……発生……」
モバP「よく聞く話だ。俺は相手をよく確認もしないでそんなことはやらんがな」
モバP「ただ追い越しざまにちらっと顔を見るくらいはするが、思っていたのと違うどころか男だったなんてことはある」
ちひろ「後ろ姿が女の子に見える男性っていますよね」
雪美「そういえば……P……、髪型の……流行りも……当てるの……上手……だった……ね」
モバP「業界に精通しているとな。次は提灯鮟鱇のような一つ触覚が来ると予言しておこう」
ちひろ「それはさすがに流行らない」
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948
モバP「……エレファント。象」
モバP「……」サクサク
雪美「……ライオン」
雪美「……」サクサク
ちひろ「……動物ビスケットですか」
モバP「もっと美味しい物はありますが、この素朴さが味わいたくてこうしてたまに」
ちひろ「チョコ付きでもない、元祖のやつですね」
雪美「……アスパラガスも……同じくらい……シンプル……」
ちひろ「どちらもギンビスですね」
モバP「この飾らずにほんのりした甘さで軽く満足させてくれる感じに安心を覚えるのかもしれません」
雪美「……パサパサ……してない所も……いい……」
モバP「甘食とか上司の愛娘が焼いたクッキーって口の中パッサパサになるからな」
ちひろ「随分古いネタですね。詩のような文章と何故かミッフィーみたいなAAがツボるという」
モバP「……キャット。猫」サクサク ……アッ……ネコトラレタ
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ちひろ「しかし、人が動物ビスケットを食べる姿って失礼かもしれませんけど哀愁がありますよね」
モバP「何か貧乏臭く見えますか?」
ちひろ「そういう訳ではないんですけども……」
モバP「もしくは遠足のおやつで持って行くのはダサい感じですか?」
ちひろ「まるで持って行ったかのような口ぶり」
雪美「……遠足のおやつ……センスが問われる……」
モバP「分かる。10円20円とかの細々した駄菓子をとにかくたくさん揃えてくるのが周りでは主流だったな」
ちひろ「それで交換とかするんですよね」
モバP「甘納豆とか寒天ゼリーとか一口最中のような和菓子系を持って行ったら鼻で笑われたような」
ちひろ「ちびまる子ちゃんかな? 甘納豆はさすがにウケないでしょうねえ」
雪美「……芳乃……おすすめの……カレーせんべいは……セーフ……?」
モバP「俺ならその遠足で親友になるな。近所で買えないようなレアな物はポイントが高い」
雪美「今度……機会があったら……持って行って……みる……」
ちひろ「お菓子何を持って行くかで戦略会議が出来そうですね」
雪美「あ……ビスケット……これは……ラクーン……たぬき……?」 ソレハアライグマヤデ
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949
モバP「最近はウマ娘のCMをよく見かけますね。ほら、ステージで踊っていますよ。アイドルみたいですね」
ちひろ「こういうのってとりあえず踊らせとけ的な風潮があるんでしょうかね」
雪美「……私も……よく踊る……」 ユキミサンハアイドルナノデ
ちひろ「何年か前にもアニメをやっていましたけど、プロデューサーさんは見ていたんですか?」
モバP「いえ。それに競馬のこともそんなに分かりませんもので」
モバP「ただ……馬の命名センス的に唸るのはやっぱりシンボリクリスエスですかね」
ちひろ「やっぱりでそこに着地するんですか」
モバP「だってシンボリにクリスエスですよ? 一見言いにくいようで絶妙な語呂の良さがある名前です」
雪美「……クリスマス……?」
モバP「クリスマスに近い有馬で連覇したが、クリスエスだな」
ちひろ「頭に引っかかって忘れにくい名前なんでしょうかね」
モバP「それとまあ、単純に好きなのはハリボテエレジーですね」
ちひろ「第三コーナー曲がれなさそうな非実在の馬ですか。充分競馬(らしい何か)好きだと思います」
雪美「……スキージャンプ……ペアも……好き……」 イロイロミテマスネ
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950
雪美「……今年の冬……最初は……寒かったのが……嘘みたい……」
モバP「ラニーニャが早めに退き始めたからか寒さが緩んだな。雪美さんも季節外れの暖かさで活発になっている」
モバP「そんな雪美さんとの雪にまつわる思い出でも回想しよう」
雪美「たくさん……積もった時は……いっしょに……雪だるま……作った……ね」
モバP「ああ、あの大雪の翌日か。大きいのが作れたよな」
雪美「あんなサイズは……私だけだと……作れない……」
モバP「大きくしすぎて上に乗せられなかったがな」
雪美「……ふふふ」
モバP「あははは」
ちひろ「それもう雪だるまじゃなくて雪玉ですよね」
モバP「横倒ししたようにくっつけて仕上げにしておきましたから雪だるまと言えば雪だるまです」
ちひろ「そこまでするなら頑張って乗せられなかったんですか?」
モバP「雪の玉って大きくなると想像以上に重くなるんですよね。密度がありますし」
ちひろ「……どんだけ大きなものを作ったんですか」 デカカッタヨナ? ……ウン
-
951
モバP「お行儀は良くないがよくやること」
雪美「……」ポイッ
スポッ
モバP「おお、上手いね」
ちひろ「何をやっているんです?」
モバP「丸めた紙をゴミ箱にシュートする練習です」
ちひろ「そんなことをここで練習しないでくださいよ」
雪美「……」ポイポイポイッ
スポッスポッスポッ
モバP「テニスでもボールをカゴに投げ入れるってのをやりますが、結構手元が狂って外したりするんですよね」
モバP「――って、雪美さんはよくシュートが入るな。投げるフォームも安定しているし、力加減も良い」
雪美「いい……? 姿勢は……こうして……腕は……こう……。……この高さ……」
雪美「……あとは……入れ……と……念じながら……投げれば……入る……」
ちひろ「フォーム指導のボディタッチですらイチャイチャしているようにしか見えない」
-
952
モバP「うーん……」
モバP「ラングドシャにするかなあ……でもありきたりか」
雪美「……ダックワーズは……どう……?」
モバP「あの楕円形が良いよな。メレンゲ系だとカラフルなマカロンにしても見た目が映える」
雪美「……洋菓子に……対抗して……和菓子も……何か……ない……?」
モバP「和菓子なあ。例えば餡子を使ったものはやや人を選ぶところがあるからな」
雪美「……アルコールも……人を選ぶ……」
モバP「年少アイドルたちにはなかなか食べさせにくいな」
ちひろ「お二人して何を悩んでいらっしゃるんですか」
モバP「ホワイトデーの手作りお菓子を何にするかが決まらないんです」
ちひろ「手作りなのは前提なんですね?」
モバP「やっぱり自分が食べて、これは美味しい! と思った物を渡したいじゃないですか」キラキラ
雪美「……P……かっこいい……」
ちひろ「食べたことのない物を買ってそのまま受け流すように渡して終わりよりは、味見くらいはする方が良いんですかね?」
-
ちひろ「ところで渡される側であろう雪美ちゃんと一緒に考えているのは良いんですか?」
モバP「ある年はサプライズ、またある年は共同作業にしようと。飽きさせない工夫のつもりです」
雪美「初めての……共同作業……」
ちひろ「結婚式のケーキ入刀かい」
モバP「ところでちひろさんは何か食べたいお菓子とかあります?」
ちひろ「私も巻き込むんですか? ……珍しいお菓子なんかはほとんど食べましたし……」
モバP「ちひろさんはグルメだからなあ」
雪美「ちひろさんを……唸らせるお菓子……作りたい……ね」
ちひろ「私基準にしなくて良いのでアイドルのみんな向けに作ってください」
モバP「うむむ……ボツにした案を再考してみるか。日を置くとこれが意外に妙案に化けたりするし」
雪美「……敢えて……アート羊羹……行く……?」
モバP「結構自己満足に振ることになりそうだが、挑戦してみたいよなあ」
ちひろ「羊羹ファンタジアか何かに触発されてますねこれは」
ちひろ「というかホワイトデーは明日ですけど制作時間足りるんですか?」
モバP「間に合わない時の補欠用のお菓子は既に仕込んであるので」 ソコマデシマスカ
-
今日はここまで
あんた飲みすぎだよ
-
953
雪美「……」
雪美「……」クアー
雪美「……あふぅ……」
モバP「……(観察中)」
雪美「……P……」
モバP「ん?」
雪美「……きて……」
モバP「……眠そうなのに切なそうな声を出すね。今参りまする」
モバP「……隣? それとも膝? ――よし、少し眠ると良い」
雪美「……ん………………」Zzz……
ちひろ「……プロデューサーさんは雪美ちゃんには本当に優しいですね」
モバP「まだ片方は空いてますから、ちひろさんも寄りかかってお昼寝したければどうぞ?」 スルカ
モバP「それにしても雪美が欠伸を見せるってかなりレアじゃありませんか? ……って」
ちひろ「ふあぁ……すいません、欠伸が遅れて伝染ったようで」 コッチモレアデスネ
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954
モバP「〜♪」
雪美「P……今日も……会いに来た……」
モバP「それは嬉しいな。どうぞ、仕事中だが座ってくれ」
雪美「……うん」
雪美「あ……P……、アイマスク……してる……。かっこいい……」
モバP「最近少し目を酷使してしまったから休ませようと思ってな」
モバP「だから今日は視覚を使わずに仕事をしてみようと」
ちひろ「五条先生かな?」
モバP「感覚を研ぎ澄ませてみたら意外と視えますよ。頭の中で再現CGのようにイメージができる」
雪美「……目隠し……すると……音が……よく分かるように……なる気が……する……ね……」
ちひろ「なにそれこわい」
モバP「視力が退化した動物はその分、他の感覚が優れるようになると言いますが、そういう意味では失うことも進化なのかもしれません」
ちひろ「真昼間から妙に深夜テンションですね。しかしそれで見えるのなら凄いことで」
モバP「では雪美の位置を当ててみせ――あう」ガツッ ミエテナイデスヤン
-
955
モバP「……ふう、何だろう。刺激が足りない」
雪美「……刺激……欲しい……?」
モバP「雪美さんが刺激をくれるのか。どんな?」
雪美「…………人間すごろく……とか……?」
モバP「小学校でやったな。サイコロの代わりにランキングクイズで出目を決めると面白いか」
ちひろ「罰ゲームで箱の中身を当てさせられそう」
モバP「俺なら普段はまず出来ないようなことを提案したい」
モバP「例えば敷き詰めたブルーシートに大量のローションをぶちまけて、その上で滑って転んで遊ぶ企画とか」
ちひろ「PTAからの苦情不可避」
雪美「……あれ……少し……やってみたい……」
ちひろ「発想が若干超えちゃいけないラインの方に暴走していますけど、そんなに刺激が足りないんですか?」
モバP「はい。退屈とまでは言いませんが、また街に飛び出してスカウトとかやりたいですね」
雪美「……? 女の子を……アイドルに……誘うの……?」
モバP「ああ。新規勧誘が一時期から打ち止めになっているからな」
-
ちひろ「今の人数をどうにかこうにか捌いておいてまだ足りないと仰る?」
モバP「うーん、例えるなら外勤がせっかく板に付いてきた所で内勤に回されたようなものでしょうか」
モバP「少し肩の荷は軽くなったんですが、どこかに不完全燃焼感があるんですよね。もっとやれた、やれるんじゃないかという」
ちひろ「初めての仕事は配置転換になっても忘れられない、ということはあるかもしれません」
ちひろ「でも、そういうのは今いるアイドルの魅力を充分に引き出してからお願いします」
雪美「P……私たちのこと……飽きた……?(悲しそうな目)」
モバP「!」
モバP「スカウトなんて滅相もない。今みんなをプロデュースすることこそが一番大事だ」ケロッ
雪美「……ふふ……それでいい……」
ちひろ「釣った魚に餌をやらないような性格じゃないのは分かっていますけど、情緒不安定ですね」
ちひろ「まず、ここまで多彩なアイドルを揃えておいて、更に新しくどんな子が欲しいと言うんです?」
モバP「強いて言えばチェンソーマンのパワーみたいな子とか刺激的ですよね」
ちひろ「そんなの一体どこに探しに行く気ですか。魔界ですか」
雪美「……P……ちゃんとお世話……できる……?」 チャントオセワスル!
ちひろ「飼わせませんよ?」
-
956
ちひろ「プロデューサーさん、そして雪美ちゃん」
モバP「はい?」
雪美「……?」
ちひろ「ホワイトデーに頂いたゼリー、とても美味しかったですよ?」
モバP「本当ですか?」グッ
雪美「……やった……!」グッ
グッ
ちひろ「お二人がフィストバンプをすると手のサイズ差を感じますね」
モバP「いわゆるグータッチに近いものですね。サムズアップでやることもありますが場合によっては良くないジェスチャーなので基本はこうして握りで」
雪美「……これ……気持ち良い……」
ちひろ「それにしても、層のゼリーは珍しくないですけどフラワーゼリーとは恐れ入りましたよ」
モバP「まだ初心者で難しい物は作れなかったですが、楽しかったな?」
雪美「うん……。……最初は……テッセラクトと……迷っていた……。でも……フラワーにして……良かった……」
ちひろ「どういう経緯でハイパーキューブをゼリーで作ろうという発想に」
-
957
モバP「はい、8切りで3からな」
雪美「4……」
紗南「乗ってあげるよ。5」
ありす「とくれば6ですね」
モバP「おお、それじゃあ7だ」
雪美「…………10」
紗南「うーん、どうしようかな。温存するか……パスで」
ありす「ブラフの可能性もありますよね。ジャック」
モバP「……2。……まさかここでジョーカーは出してきまい」
紗南「もう2を出すとは……良い手札持ってる余裕かな?」
ちひろ「大富豪ですか。UNOはUNO用という印象ですけどトランプはいろんなカードゲームが出来て良いですね」
モバP「麻雀とかと同様にローカルルールが多いので、認識合わせをしておかないと不満が出ることもありますがね。……じゃあ3を2枚とかどうだ?」
雪美「……2枚の8切り……からの……革命……」パサッ
モバP・紗南・ありす「えっ……!」 ミンナイイカオシテマスネ
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958
雪美「鏡よ……鏡……」
雪美「世界で……一番……美しいのは……誰……?」
モバP「……それはあなたが一番よくご存じかと」
雪美「……千秋……?」
モバP「千秋様も美しいですが、一番とは申し上げられません」
雪美「……ちひろさん……?」
モバP「ちひろ様も美しいですが、一番とは申し上げられません」
モバP「それは、あなた自身ですよ。雪美様」
雪美「……私は……美しい……?」
モバP「はい。驕ってはなりませんが、自らの美しさに自信を持っているあなたが、世界で一番美しいのです」
雪美「……ありがとう……」ニコ
ちひろ「他のアイドルが尋ねても、それぞれあなたが一番美しいって答えそうですね」
モバP「……誰が一番美しいと感じるかは人それぞれですからね。ポジショントークになってしまうかもしれませんが」
ちひろ「そして、私も一応美しいとは思っているんですね」 ポジショントークデス オイ
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959
モバP「紗南がやっているゲームが面白そうだな」
紗南「……女の子が可愛くて興味を引く?」
モバP「それも否定はしないが、ノスタルジックなBGMと夜景が良い雰囲気だ」
紗南「これでファミコンソフトだよ」
モバP「キラキラスターナイトDXか……システム自体はかなりシンプルなアクションだな」
紗南「星を集めるだけだからね。更にいろんな敵やボスやアイテムが出て、会話イベントとかまであったらオーバースペックになりそう」
モバP「SFCのドラクエFFの5と6でのグラフィックの進化を見ると性能の引き出し方もあるんだろうが、昔のゲームは容量が限られているからな」
紗南「そうそう。初代のシャンティとかGBCにしてはクオリティ凄いと思ったもん」
モバP「リアルタイムで無くてもそういうのは感じるよな。というか素人にはGBCでGBソフトをやる時に適当なカラーがしっかり割り当てられるのだけでも凄く感じる」
紗南「っと、ステージクリア。リザルト画面のブラックバックがファミコンって感じだね」
雪美「この子……スカートが……短い……」
モバP「デフォルメが強いとこういうのはよくあるよな。個人的には裾がギザギザのスカートはユニークで好き」
雪美「……P……イレギュラーヘムスカート……とかも……好き……ね」 アノフキソクカンガナ
紗南「くっ、あたしの普段着力だとファッションの話は……後でそんなゲームでも探してみよう」
-
960
モバP「スーパーのお菓子コーナーの一角を陣取る玩具付きのお菓子は昔から尽きないが」
モバP「そんな中でシンプルなおまけで定番になっているものといえば、大体二つ思い浮かぶ」
ちひろ「二つ……シールやカード系は無しですか」
モバP「それもたくさん買いましたが無しで。……まずはグリコ。1粒で2度美味しい」
雪美「それは……アーモンドの……方」
ちひろ「おまけ付きの方は一粒300メートルですね」
モバP「キャッチーですよね。そしてフエラムネ」ドウゾ
雪美「……」ピー!
ちひろ「音が出るんですよね、これ」
モバP「どちらもミニチュアの動物や車や家具などの玩具が付いてきて、この箱のサイズ感がちょうど良い」
ちひろ「玩具のおまけのお菓子、じゃなくてしっかりお菓子のおまけの玩具、という感じですからね」
モバP「玩具メインの食玩に付いてくるミルク味のタブレットのとりあえず入れた感がですね……味は結構好きですが」
雪美「……ちなみに……Pの家には……セボンスターの……ペンダントが……たくさんある……。ちひろさんも……見に来よう……?」ポリポリ
ちひろ「プロデューサーやってるだけあってコレクション要素に弱いようで」 ハハハ……
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今日はここまで
世をこめて浜の真砂は尽きるとも世に逢坂の関は許さじ
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961
ちひろ「プロデューサーさんはいつからこうなったんでしょう」
モバP「いきなりダメ出しですか?」
ちひろ「だって机の上、以前はもっと片付いていましたよね?」
モバP「……あっ、いつの間にかダメな会社員の机みたいになっていますね」
ちひろ「こうなる前におかしいなとは思わなかったんですか?」
モバP「少しずつ変化していく写真クイズみたいな感じで違和感が無かったです」
モバP「人は少しずつ変わっていくものですね。細胞は三か月で入れ替わるなんて言いますし」
ちひろ「何言ってるんですか。というか仕事に必要な物ならまだ良いんですけど、関係ない物が……」
モバP「何かみんなが置いて行くんですよね。例えばこの読みかけの本や、動物のマスコット」
モバP「預けているだけなのかくれるつもりなのか知りませんが、何かアイドルから託された物だと思うと片づけ辛くてこうして並べて、たまにジオラマとか作ったり」
ちひろ「後部座席にこんな風にぬいぐるみぎっしりな車を時々見かけますね」
雪美「……P……これ……あげる……。私だと……思って……大事に……して……?」
モバP「お、黒猫のぬいぐるみか……ありがとう。また机の上の友達が増えたな!」 ……ウン
ちひろ「アイドルに足跡を残されまくってますけど、少しは整理しましょうよ」 エー エージャナイ
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962
雪美「……P……」
モバP「どうした?」
雪美「たまに……前に……黄色いランプが……付いてる車……ある……。あれは……どういう……意味……?」
モバP「あれはフォグランプだな。名前通り霧とかで視界が見え辛い時に点ける前照灯の補助的なランプというか」
雪美「……少し……カラフルに……なるね……」
モバP「そうだな。ただ大抵は統一感の為にか、わざわざ黄色にしたがる人は少ないみたいだ」
美世「前照灯の方は白にしなさいと決まっているから変えられないし、フォグランプも白か黄色と決まっているからね」
雪美「青や緑は……ダメ……?」
モバP「だな。遠目から見たら信号機とかと区別がつかなくなりそうだし。知らんけど」
モバP「しかしフォグランプもあれだな、黄色が似合う丸目のシールドビームをほとんど見かけなくなったな」
美世「丸目ってハロゲンと、HIDやLEDとで別物な感じになるよねー」
モバP「LEDの細目とか、あれで果たして前方が明るくなるんだろうかと思わなくもない。LEDバックライトで七色に光るゲーミングキーボードなんかはオサレだがなあ」
雪美「車も……それくらい……ピカピカ……光ると……夜とか……かっこいいのに……」
美世「室内にアンビエントライトを付けるとかなら良いかも」 コウキュウカンアルナ
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963
モバP「あ、そういえば卵が切れていたっけ。今日は帰りにスーパーに買いに行くのを忘れないようにしよう」
ちひろ「仕事中に唐突な」
雪美「P……卵……好き……」
モバP「いろいろな料理に使いやすくて安い時なんかについたくさん買ってしまう」
雪美「冷蔵庫に……多い時は……5パックくらい……入ってる……」
ちひろ「まとめて買っていくとするなら業者かよほどの大家族か何かと思われてそうですね」
雪美「アイドルが……よく……立ち寄る……から……大家族……間違っては……ない……」
モバP「そのアイドルたちと一緒に買いに行くこともあるので、家族のお兄さんと思われている節はあります」
ちひろ「よくアイドルだとバレませんね。それも取っ替え引っ替えするようにいろんな子と一緒に」
モバP「まあ行きつけは他にも目立つお客さんが多いので相対的には普通に見えるんじゃないですか?」
ちひろ「プロデューサーさんたちが相対的に普通に見えるって怪獣でも歩いているんですかね?」
モバP「それにお一人様一個限り、の時とかに3人連れで行って別々に買うとか、バーゲンで洋服に群がるといったことはまだしていませんし」
ちひろ「昔ながらの逞しい主婦のおばちゃん力は磨かなくて良いと思います」
雪美「……P……おばちゃん……結構……似合う……かも……」 ソンナッ
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ちひろ「しかし卵パックって見た目通り、そんなに衝撃に強くはないので、ぶつけると簡単に卵が割れたりしますよね」
モバP「しますね」
雪美「割ったこと……ある……?」
モバP「ああ。結構前にな。スーパーにはサッカー台があるだろ?」
??「何々? サッカー?」
雪美「挑戦者が……現れました……」
モバP「晴がスマブラ的な登場の仕方をするのは初めて見たな。……袋詰めをする台のことをそう言う」
晴「スーパーでサッカーをするのかと思ったぜ。あれってそんな名前なんだな」
モバP「ああ。で、ロール型ポリ袋がサッカー台の微妙に出っ張った位置に新しく設置されていたのを」
モバP「見えているのに気づかずにいつもの感覚で袋詰めしようとしたら角にぶつけて一個割れたという」
雪美「……全部割れなくて……良かった……ね」
モバP「そうなったらお店の台所とフライパンを借りて玉子焼きにして帰るわ」
ちひろ「ブラックジャックのピノコかな?」
晴「……そういやPって見る度に違うマイバッグを持ってるけど、いくつあんの?」
モバP「家用と会社用を複数で使い分けてもまだ余るほどだな。途中で数えるのはやめた」 オオスギマス
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964
雪美「……」サラサラキュッキュ
雪美「……ん……よくできた……」
雪美「はい……これは……Pに……あげる……」
モバP「ありがとう。俺、雪美のファンだからとても嬉しい」
雪美「……何枚も……持ってるのに……?」
モバP「ファンは何枚貰っても嬉しいものさ。そして、同じように書いていても一枚一枚微かに違う性格の雪美が宿っていると思う」
モバP「今は始めた頃のサイン練習にはない柔らかさがあるな」
ちひろ「本当ですね。雪美ちゃんのサイン、滑らかでより楽しそうな感じが」
雪美「……上手……?」
ちひろ「はい。とても上手ですよ?」
雪美「……///」ポッ
ちひろ「しかし著名人はサイン会とかで何百とサインを書いたりしますけど、こういうお仕事ならでは苦労ですよね」
モバP「あまり手が痛くなるような量とか、自分なら書きたくないですね」
雪美「Pも……サイン……書こう……? 私も……やったんだから……ね……?」 オレモ?
-
965
モバP「あっ」
雪美「あっ……」
モバP「……カツ丼食べたいな」
雪美「……私も今……そう思った……」
ちひろ「今、テレビにカツ丼が映りましたからね」
モバP「丼物でも家で簡単に作りにくい方で、好きなのにそんなに食べる機会がないカツ丼」
雪美「玉子でとじた……少し甘めの豚カツは……ボリュームがあるのに……ご飯がすすむ……」
モバP「お茶椀のご飯と網に乗った豚カツと味噌汁で独立している豚カツ定食も良いのだが」
モバP「やっぱり丼の中でご飯とカツが一体となった、食べる大衆芸術と言えばカツ丼であるように思う」
ちひろ「雪美ちゃんがカツ丼を食べている姿がイメージ出来ないですね」
雪美「……大きいのは……食べきれない……。……でも……食べると……元気が……出る……」
モバP「アイドルがカツ丼を食べる姿って確かに想像しにくいかもしれませんね」
ちひろ「プロデューサーさんが取調室でカツ丼を美味しそうに食べる姿は想像に難くないんですけどね」
モバP「勝手に容疑者にして自白しそうなイメージを作らないでください」
-
モバP「ちひろさんはカツ丼は食べない方ですか?」
ちひろ「そうですね。結構重たい感じがしますし」
雪美「カツカレーとかも……食べない……?」
ちひろ「カレーに揚げ物をトッピングするのはあまり……」
モバP「……ちひろさんって意外と……いえ何でもないです」
ちひろ「何も意外に思うようなことは言ってないと思うんですけど」
モバP「しかし、今食べたいこの気持ちは大事にしたい。人間の欲は気まぐれで、時間が経つと別の物に関心が移る」
雪美「もうすぐ……お昼……」
モバP「……たまにはちひろさんもどうです? 一緒にカツ丼を食べに行きません?」
ちひろ「行くとしたら私はうどんかおそばを注文すると思います」
モバP「カツ丼がある店にはありますね。和風ファストフードが一通り揃っている感じで」
ちひろ「チェーン店でなく個人のお店らしく入口横にメニューのサンプルケースがあって」
モバP「古民家みたいな軒をしていて、中もそんなにスペースが広くはない店とかが美味しかったりしますよね」
雪美「……行こうとしているお店……同じ……?」
ちひろ「どうしても行ける所は近場に……というか出前で良いのでは?」
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966
雪美「……」
モバP「雪美の目が俺を見ている」
雪美「……」
モバP「……私とダンスを踊りませんか?」
雪美「……スタンダード……? それとも……ラテン……?」
モバP「比較的優雅でお姫様のようなスタンダードも良いがセクシーで情熱的なラテンも良いな。ドレス的な意味で」
ちひろ「ダンスはダンスでも社交ダンスですか」
モバP「まあダンスは冗談です」
雪美「……冗談……」
モバP「雪美さんはこういう時も、落ち着いた目をしているよな」
モバP「他の女の子はこういう時にデフォルメ白目になったりするが、そうならない」
ちひろ「南向春風の白目とかいうやつですか。というか二次元じゃないんですからなったらおかしい」
モバP「でもいつも見上げられてばかりなので、たまには上を見上げる雪美さんを水平アングルで見たりしてみたい」
雪美「……Pより……上を見上げること……なかなかない……」
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967
モバP「桜の季節だな」
さくら「わたしの季節ですかぁ?」
モバP「いや、山桜。もしくは染井吉野」
さくら「わたしの季節じゃなかったですかぁ」
モバP「村松桜や依田芳乃という桜があれば良かったんだがな」
モバP「まあ満開から一週間くらいで散ってしまう桜のように、村松さくらの季節が春のこの一瞬だけでは勿体無い」
さくら「春、夏、秋、冬! いつでも笑顔満開咲きのわたしでいたいなっ♪」
モバP「良いな。常に咲いていて見頃なさくらがここにあり」
モバP「それにしても春が来るたびにさくらとはこのやり取りをしているようなしていないような」
さくら「えへへ、今年も変わらずこのやり取りが出来たと思うと、良いことだと思いまぁす!」
雪美「……フラクタル……フラクタル……」クルクル
さくら「雪美ちゃんはどうしたんですかぁ?」
モバP「さっき門前町の土産屋で買った万華鏡に熱中しているようだ。花見で桜ばかり堪能し過ぎたから気分転換にってところか」
雪美「……あっ……この模様……良い……」
-
今日はここまで
シュークリームサンダー
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968
紗南「Pさん」
モバP「ん?」
紗南「今、キャラクタークリエイトで四大元素のどの加護を受けたいか決めなきゃいけないんだけど」
紗南「Pさんは地水火風どれが良いと思う?」
モバP「エレメントか……ドラクエ3の性格診断のように、いくつかの質問と実践の結果を踏まえてゲーム側が決めてくれたら良いんだがな」
雪美「人任せ……。でも……いきなり……どれが良いか……言われても……難しいね……」
モバP「スリランカのアーユルヴェーダなら風属性のヴェータ(緑)、火属性のピッタ(赤)、水属性のカパ(青)の3つ」
モバP「陰陽五行なら火水木金土と5つで、こういうのは火と水とその他自然で大体3つに分けられそうだ」
紗南「実質三択……じゃあその他自然で風かなあ?」
雪美「風使いの紗南……だね……」
紗南「お、主人公っぽいかも」
モバP「風か地かだと風を選ぶのか。地は四天王の中でも最弱……なポジションにされがちだな」
紗南「それは偏見だと思うけど、でも風の方が自由な感じがする」
雪美「……どうせなら……人と被らない……レアな属性に……なりたい……」 ワカルワ
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969
モバP「春の昼下がり」
モバP「仕事の手を止めてボサノバに聴き入ることに小さな幸せを感じる」
雪美「……ボサノバ……」
モバP「南国の、陽気で非日常の雰囲気を抽出したような音楽が心地良い」
ちひろ「ラウンジミュージックは聴く所で聴けばムード満点で素晴らしいですけど」
ちひろ「事務所で流しても何か場違い感がなくもないですね」
モバP「確かにこれを聴いているとこんな所に留まらずに海外旅行に飛び出したくなります」
ちひろ「こんな所って」
モバP「ここはここで好きなんですがね。でもすっかり日常空間です」
モバP「……」
雪美「……P……少し……元気がない……?」
モバP「どうかなあ。どうやらどこかでやる気を紛失してしまったのかもしれないな」
雪美「……それは……大変……。再発行……しないと……」
ちひろ「パスポートのようなやる気ですね」
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970
モバP「今、俺が住んでいる家は社宅である」
モバP「アイドルが大勢押し寄せて来ても大丈夫なように部屋数が多い。その中の一つが自室だ」
モバP「そこは畳部屋であり、襖の押し入れがある」
ガラッ
雪美「……」
モバP「……」
ピシャッ
モバP「……」
ガラッ
雪美「……Pの部屋の……押し入れ……良い感じ……」
モバP「隠れたつもりはないんだろうがそこに隠れておられますとビビりますのよ?」
雪美「Pも……入る……? そこ……閉めて……真っ暗に……して……」
モバP「雪美からお誘い……だと……? 断る理由が無いな」
ノソノソ ピシャッ
-
雪美「……」ピトッ
モバP「雪美が近い……しかし狭いし真っ暗だな」
モバP「アマガミみたいに蛍光塗料で周りに星でも描いてみたい」
雪美「……それ……良いアイデア……かも……」
雪美「小さな……プラネタリウム……二人きりで……見れたら……きっと……すてき……」
モバP「まあそういう落書きをするといつか退去する時に修繕費を取られそうだがな」
雪美「P……絵が上手……だから……大丈夫……」
モバP「この家にある日、見知らぬ旅人が泊めてくださいと訪ねてきて、快く応じる主人」
モバP「翌朝、旅人は一宿一飯の恩返しにと押し入れに絵を描いてから去って行く」
モバP「そして後々それが有名な画家であったことが判明し、芸術的な価値から押し入れはそのまま保存されることに――なるくらい絵が上手ければ良いんだがなあ」
雪美「……わざわざ……押し入れに……描く……?」
モバP「バンクシーみたいに壁にアートを描く人もいるからな。押し入れアートもアリではないか」
雪美「でも……鶴の恩返し……みたい……。……私も……恩返し……しなきゃ……」
モバP「作業中の姿を覗いてしまったら雪美は飛んで行ってしまうのか。それは嫌だな」
モバP「あ、そういえばこんな時用に家庭用プラネタリウムを持っていた」 ミセテ……?
-
971
雪美「P……見て……」キラキラ
モバP「お、今日の雪美はマントで体を隠しているな」
雪美「……♪」
ちひろ「雪美ちゃんはゆったりとした、結構カジュアルな装いが似合うんですよね」
モバP「もうすっかり春シーズンですが良いもん見れたわ」
雪美「……強そう……?」
モバP「ああ。マントは体を大きく見せる効果があると思う」
モバP「雪美ならソフトハットとポンチョの組み合わせとかも似合うかもしれない」
雪美「……でも……服が……見えないのが……難点……」バサッ
ちひろ「マントはやっぱり翻してナンボですよね」
モバP「中に着ているのはさすがに普通の服か」
雪美「……違うのを……期待した……?」
モバP「マントの種類にも依るが、本気を出す前に威勢よく脱ぎ捨てた時に映えるのは、やや露出度高めの服かな」
ちひろ「ああいうマント、後で回収していると思うと……」
-
972
モバP「……蒸しパンが食べたい」
雪美「……虫……パン……?」
モバP「インセクトではなくスチームの方だ」
雪美「……蒸した……パン……」ホッ
モバP「よく母におやつに作ってもらったんだよな。レーズンが入ったとてもシンプルな――」
モバP「今では蒸しパンなんて、売っているチーズ蒸しパンくらいしか食べないなと思ったら久々に自分で作りたくなった」
雪美「チーズ蒸しパン……ふわふわで……好き……」
モバP「しかし、蒸しパンという言葉を始めて聞いた時は俺も虫のパンかと思った気がする」
みちる「実際に虫のパンって存在するようですね! コオロギのパンが一時話題に……」
雪美「ひぇっ……、コオロギ……食べられるの……?」
モバP「らしいな。でも個人的には幼虫なら許容出来るが成虫は食べる勇気がまだ無いな」
みちる「入っているのは粉末だそうなのでプロデューサーなら楽勝でしょう」
みちる「それとご安心を! こう言いながらもあたしは虫のパンよりは蒸しパンの方が好きです!」
モバP「ああ良かった。その当たり前のような感性に安心する」
-
973
モバP「深い海の画像や映像を見ていると、よく思うことだが」
モバP「青って怖いよな」
雪美「……」コク
ちひろ「瑠璃色って言うんですかね。水面が深いほど色が濃くなって」
モバP「浅瀬の水色とのグラデーションで不気味にすら見えてくるんですよね」
雪美「……きれい……でも……吸い込まれそうに……見える」
モバP「そもそも何故青く見えるのかと言うと、水の分子が太陽の光の内、赤色の光を吸収してしまうからとか」
ちひろ「鮮やかに青に見える時って晴れている時ですよね」
モバP「曇っていると海は青いというより黒く見えますね。場所に依るでしょうが」
雪美「もし……海の真ん中に……取り残されたら……。……想像するだけで……恐怖……」
モバP「プールと違って手すりも端壁も無いしな」
モバP「ところで雪美の髪も青に感じたり黒に感じたりするが……そうか、今膝の上にいる雪美も実は海だったのか」
雪美「……じゃあ……Pは……海を抱く……男……」
ちひろ「元々はコップの水のように無色透明ってことになるんですかねそれは」
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974
モバP「90年代くらいからすると今ってもう結構未来だと思うんですよね」
ちひろ「それはそうでしょう」
モバP「今でも歴史の教科書とかに21世紀の未来予想図が載っていて目にすることがありますが」
モバP「車は空を飛ぶし、ロボットが闊歩してるし、透明チューブ内の動く歩道で海を越えるし」
ちひろ「今になってみるとどれもそこまでではないですね」
雪美「空中の……トンネルみたいな……動く歩道……。……乗ってみたい……」
モバP「でも海を渡る時は辺り一面が海しか見えないという」
雪美「……もし……故障で……止まったら……困るね……」
モバP「ルート66でガス欠するに等しい絶望感を味わえそうだな」
ちひろ「……近くに休憩所でもあればそこに駆け込めば良いんでしょうけど」
モバP「あ、ちなみにこれがそれが載っている教科書ですね。捨てられなくてまだ持っています」
ちひろ「後で機会があったら読み直そうと思っているんでしょうけど、普通に過ごしていたらそんな機会多分来ないでしょうね」
モバP「見透かされてますね……なので機会を作ることにしました」
雪美「……あっ……教科書の……余白に……落書き……」 フマジメデスネ
-
975
モバP「オア〜〜〜〜〜」
雪美「なぁ〜〜〜〜〜……」
ペロ「……」
ちひろ「ペロが何してんだこいつらって顔で見てますよ」
モバP「長い声のネコですね」 モクモク
雪美「……その……真似……。あ……煙……良い匂い……」
ペロ「……」
ちひろ「だからそれを何してんだと。そのネコの土台みたいなコーン型お香を炊いてることも含めて」
モバP「この前のお仕事、アイドルたちはかなり気合いが入っていて無事成功したんですが」
モバP「その後も余韻でみんなにシンデレラの魔法がかかりっ放しな気がするので、ここは一つフロアに魔法無効フィールドを展開しようと」
雪美「……Pの声……緊張感を……和らげる……から」
ペロ「……ンギャア」
ちひろ「鳴き声役くらいはぼくがやるよって言ってますよ?」
モバP「ふむふむ、魔法が無効化されるとちひろさんはペロの言葉が分かるようになるんですね」 ……ハッケン
-
おまけ21
ちひろ「私、後部座席にぬいぐるみと言いましたけど、言いたかったのはリアウィンドウの所ですね」
モバP「後ろを走っていると見えるのはそこですからね」
モバP「ダッシュボードにも置いたりする人がいますが、運転の邪魔になりそうです」
雪美「……車内に……置きっ放しは……可哀想……」
モバP「ぬいぐるみはインテリアにもなるが、やっぱり触れたいものではあるな」
ちひろ「プロデューサーさんの机のもインテリアみたいになりつつありますけどね」
雪美「……Pは……時々でも……可愛がってくれるから……ぬいぐるみも……嬉しい……」
おまけ22
モバP「雪美の目は白丸の目にはならないが、ジト目にはなる気がするな」
雪美「……じとじと……してる……?」
モバP「ハイライトもあるし湿気った感じはしない。見ていて実に落ち着く目だよ」
雪美「……そう……?」(゜-゜)ジーッ
モバP「いや、白目にもなっているのかな……?」
ちひろ「二次元じゃないんですから」
-
今日はここまで
あの子をスタンドマイクにオーバーソウル
-
976
モバP「今日はお仕事で珍しい物を見て来ましたよ」
雪美「……」コクコク
ちひろ「珍しい物、ですか」
モバP「ずばり、ループ橋ですね」
ちひろ「珍しいかなあ」
雪美「思ったよりも……ぐるぐる回る……」
モバP「自走式の立体駐車場とかも螺旋状になっているものがありますが」
モバP「道路ではあまり見かけないもので、通った時には少しテンションが上がりました」
雪美「山道と……違って……一気に……高くなる……感じ……」
モバP「間近で見るとダイナミックで良いよな」
ちひろ「お二人は道路大好きですねえ。ところで雪美ちゃんは車に乗る時ってそのままなんですか?」
モバP「座高を上げるためのジュニアシートや、シートベルトの高さを調整するスマートキッズベルトは常備していますよ」
雪美「……ジュニアシート……圧迫感……あるけど……景色が……よく見える……」
ちひろ「あれって杏ちゃんにもさせてるんですか?」 キワドイコトヲキキマスネ
-
977
バシッ バシッ
雪美「……っ!」ガッ
雪美「……ふぅ……」
モバP「真剣な表情でスタンディングバッグと格闘する雪美さんが格好良い」
雪美「……少し……攻撃的……過ぎる……?」
モバP「体を動かすのが楽しいのは良いことさ」
モバP「しかしジャブも良かったが雪美さんの後ろ蹴りは力強いな」
雪美「……猫のように……しなやかに……アクロバティックに……」
モバP「猫のように、か。確かに猫じゃらしと遊ぶ猫のようにも少し見えた」
雪美「にゃーお……(招き猫ポーズ)」
モバP「! ……ふぅ、レッスンウェアで助かったぜ。ハーフトップだったら理性の線が切れたかも」
モバP「あとは普段着のスカートでローリングソバットとかも……ダメだぞ?」
ちひろ「もはや自分が見たいだけでしょうが」
雪美「普段着で……足技……いろいろ……やると……破れそう……」
-
978
モバP「はい、雪美」
雪美「……」アーン
パクッ
雪美「……♪」
モバP「どうだ?」
雪美「……」コク
モバP「ゆっくりじっくり味わっている感じだな」
モバP「346の庭のプランターで育てたイチゴだからなあ」
雪美「……おいしかった……!」キラキラ
モバP「摘み立てのイチゴはやっぱり違うな」
雪美「……次は……もっと……作ろう……」
モバP「その内、庭がイチゴ農家みたいになったりしてな」
雪美「……それ……良いかも……」
ちひろ「ハウスで埋め尽くすようなことはやめてくださいね」
-
モバP「でもプランターをこうして並べると見た目は良いので、あとはもう少しスペースが欲しいですね」
ちひろ「学校の敷地の隅で活動している少数部員の園芸部の哀愁みたいな」
ちひろ「というかプロデューサーさんが管理するならこれくらいが限度でしょう」
モバP「アイドルのプロデュースの他にイチゴもプロデュースするのは大変ですからね」
雪美「……二足の……わらじ……」
ちひろ「他にもいろいろやるとすれば八面六臂も良いところです」
モバP「それにしてもこう、大地に足の着いた所でイチゴを育てるのも良いですが」
モバP「最近は屋上緑化が流行っていますから、そこでミツバチなどと一緒に……」
ちひろ「プール作りたいんじゃなかったんですか? マリーナベイ・サンズのような」
モバP「ドリンクを何億本買わせる気ですか。三つのビルの屋上に跨る空中庭園は夢がありますが」
雪美「……あの建築は……すごい……」
モバP「あの見ていて不安定そうな形で不安になる俺は高所恐怖症」
ちひろ「高いビルの屋上って時期によっては風も強いでしょうね」
モバP「やっぱりイチゴは下で、少しずつ生産することにしましょう」
雪美「……貴重な……346イチゴ……食べるのが……勿体無い……」
-
979
モバP「雪美さんはルービックキューブはやったことがあるかい?」
雪美「……ルー……?」
モバP「……これだ。見たことくらいはあるかもしれないが、スタイリッシュなパズルだ」
雪美「遊び方は……6面の……色を……揃える……」
モバP「そう。これを……こんな風に回転させて……」カチャカチャ
モバP「……っ!」カチャカチャカチャカチャカチャカチャッ
雪美「……」ジーッ
カチャッ
モバP「……ふっ、ちょろいもんだぜ」
雪美「……色が……バラバラ……?」
ちひろ「凄い上手い人風の高速指使いと回し方は何だったんですか。貸してください」
モバP「はい。……個人的に、このルービックキューブをクリアするのは苦手ですが、複数色のモザイクは好きなんです」
モバP「タイルと違って繋ぎ目が黒いのがカラフルな色を強調してくれるというか」
ちひろ「知らんがな。はい、揃いましたよ」 ハヤッ!?
-
980
雪美「P……夕食は……何……食べたい……?」
モバP「お、そういえば久々に雪美と夕食か」
雪美「パパとママ……今日は……遅い……から……」
モバP「ああ。ご丁寧に、雪美をお願いしますと連絡を貰っているよ」
雪美「……娘を……よろしく……お願いします……」
モバP「そういうニュアンスで言われたなら俺は腹を括らないといけなくなる」
雪美「……ふふっ」
モバP「ところで何が食べたいかだったな。……豚の生姜焼きなんてどうだい?」
雪美「……以前……お弁当で……作った……?」
モバP「ああ、あれが美味しかったから今度は作り立てを食べたい」
モバP「珍しい料理じゃないが、雪美が作ってくれるなら俺にとっては特別な料理だ」
雪美「……ん……分かった……。腕に……よりをかけて……作る……。待ってて……」
モバP「………………」ソワソワ
雪美「……いっしょに……作る……?」 テツダワセテクダサイ……
-
981
モバP「んめえんめえ」ハグハグ
雪美「……ヤギさん……みたい……」パク
雪美「ん……具がしっかり……していて……口の中で……たこ焼きの味が……再現される……」
雪美「タコは……パンに対して……大きくないから……食べやすい……」
ちひろ「食レポの練習でもしているんですか」
モバP「ちひろさん、今日はタコ揚げパンを買って来たんですよ」
ちひろ「たこ焼きじゃなくて揚げパンをたこ焼き風にしたものですか」
モバP「はい。親が通勤で通る駅にパン屋さんが入っていて、子どもの頃のおやつによく買って帰ってきてくれたのが懐かしくて」
ちひろ「へえ、そんな思い出の一品をよく見つけましたね」
モバP「当時食べたタコ揚げパンじゃなくて偶然見つけた似たようなタコ揚げパンですが、どうぞ」
ちひろ「同じ物じゃないんですね。でも、せっかくなのでいただきますよ」パク
ちひろ「具が結構主張しますね。普通のたこ焼きと比べるとサイズが大きい」
雪美「一つで……お腹……いっぱいに……なるね……」
モバP「目を輝かせたみちるが三つほど持って行きましたが想定済みでした」
-
モバP「ところで、こういうことを言うのは邪道だと思うが、タコの入っていないたこ焼きも美味しいよな」
雪美「…………」
ちひろ「雪美ちゃんはあまり肯定的ではないようですけど」
モバP「え、これって自分だけですか?」
雪美「……タコ……入ってないのに……たこ焼き……?」
モバP「たこ焼きのタコなしだな」
雪美「それは……一体……何焼き……?」
モバP「ラジオ焼き……はタコが入っていないが代わりに牛すじを使っているんだったかな」
モバP「小麦粉にだしと卵を合わせて生地にして、キャベツや紅ショウガやネギや天かすだけを入れて焼いて、青のりと鰹節とソースとマヨネーズをかけたら何になるんだろうな」
雪美「……そこ……少し……気になる……」
ちひろ「まあでもタコを食べる日本人は世界的には珍しいと聞きますね」
ちひろ「それにたこ焼きにおけるタコは、味の決め手というよりは食感のアクセントで、無いと絶対に困る物かというと……」
モバP「美味しいたこ焼きはタコも欠かせないんですが、下手なたこ焼きのタコだと固かったりして調和が取れていなかったりして」
雪美「P……タコ……嫌いじゃ……ないんだね……」 アア、タコサンウィンナーダッテスキダシ ソレハタコジャナイ
雪美「……今日は……耳に……タコな……日……」 ソレデ26カイメダナ
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982
モバP「……ふぅ、パンを買いに来ただけなのに都会の駅は本当に広いな」
雪美「気を抜くと……迷子に……なりそう……」
モバP「この空間に居ると方向感覚が狂ってしまう人の気持ちが分かる」
輝子「私は、もし迷っても……目印になる親友が、いる……」
輝子「動くランドマークだな……フヒ」
モバP「ランドマークが自由気ままに動いたら困ると思うが」
モバP「それに背が高い人を目印にするには自分もそれなりに背が高くないとだな」
輝子「あっ、そうか……」
雪美「……Pが……もし……迷子になったら……私たちは……どうしよう……?」
輝子「……インフォメーションに行って、呼び出しをしてもらうんだ……」
雪美「……Pの名前が……駅中に……知れ渡る……ね……」
モバP「いい大人が連れに迷子扱いされるのはつれぇわ。そりゃ逸れられんな」
モバP「……ところでここはどこだ? 地下通路に出てきてしまったが」
輝子「迷子だな……」
-
今日はここまで
変わる世界と変わらぬ体重
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983
モバP「おや、古いゲームをやっているな」
紗南「Pさんが貸してくれたからね、PSO1&2」
モバP「オフラインでやるだけでも時間がみるみる溶けていくゲームだぞ?」
紗南「まだほとんど最初しかやってないけど、狩りゲーだね」
紗南「ところでさ、キャラメイク後にIDが決まるんだけど、これはどういう意味があるの?」
モバP「全部で10種類の色によってどういうアイテムが出やすいかが違う」
雪美「このSanaの……オレンジは……ダガーが出やすいから……ハンター向き……?」
紗南「あ、そういうのが決まっているんだね。でも色はランダム?」
モバP「いや、sanaにすれば白、SANAにすれば黄緑、S@NAにすれば緑と、使う文字で変わる」
雪美「はい……早見表が……ある……。ちなみにYukimiは……水色」
紗南「文字に対応する数値があって、それを全部足した一の位でIDが決まるんだね。名前で成長タイプが変わるドラクエ1みたい」
モバP「自分の名前を付けるとしても、使いたいクラスや欲しいレアアイテムに応じて表記を少し加工すると良いかもな」
紗南「そこまで詳しいってことは、やり込んだんでしょ?」
モバP「いや、雪美とキャラクターを何人か作るだけで盛り上がって満足しちゃって」 ソコデ!?
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984
モバP「雪美さん、レッスンお疲れ様です」
雪美「……ん」
モバP「じゃあ、頑張ったご褒美!」
雪美「……ん……♪」パクッ
ちひろ「アイドルを餌付けするプロデューサーさん……」
モバP「ちょうど我々も小腹が空く時間でしたからね」
雪美「……おいしい……! これ……タルト……?」
モバP「ああ、木苺のタルトだ」
雪美「もっと……!」
モバP「はい、お口を開けなー」
雪美「ん……」パクッ
雪美「……甘酸っぱさが……たまらない……」
モバP「こういうタルト台やタルトカップを使ったいかにもなキッシュやタルトは見た目もボリュームも豪華で良いよな」
ちひろ「しっとりしたフィリングに対してタルトが少しサクサクしているのが理想ですね」 ワカリマス
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985
モバP「もうお昼だな」
雪美「……」コク
モバP「小、中学校では12時20分くらいで4時間目が終わり、そこから給食だったかな」
モバP「12時20分というのは早すぎず遅すぎない、ちょうどお腹が空く時間だ」
雪美「……給食……懐かしい……?」
モバP「ああ。無くなって分かる有難味ってやつを高校で思い知ったな」
ちひろ「高校に行くと給食は無いことが多いですからね」
モバP「学食に行ってランチを食べるという選択肢もあるんですがね」
雪美「……人が……多そう……」
モバP「満席で座れなかったり、食べたいメニューが売り切れていたりするな」
ちひろ「それと、意外と高い」
モバP「毎日食べるとなると物欲盛んな高校生の身分では結構な出費になります」
ちひろ「私は毎日朝早く起きて自分で弁当を作って持って行きましたね……給食費って安かったんだなと身に染みたものです」
モバP「中学までは親が払ったり持たせたりしてくれるのでその実感すら無く、高校でバイトを始めてようやく少し分かってくるお金の重みです」
-
雪美「……給食……感謝して……食べないと……」
モバP「そうだな。最後の給食の日とか感慨深い。……献立は覚えていないが」
雪美「……本当に……感謝……していた……?」
モバP「感謝はしていたんだが……何故か何を食べたかは印象に残っていないんだよな」 オイ
モバP「しかし高校では学食以外にも、購買でパンを買うことも出来ましたね」
ちひろ「パン一個やランチャブルズみたいな昼食だと侘しいですけども」
モバP「アメリカのお弁当ですね。クラッカーとハムとチーズとお菓子が少しだけ、みたいな感じの」
雪美「……売店のパン……取り合いになる……イメージ……」
モバP「学園アニメでよくある光景だが、パン争奪戦なんかは割と大袈裟でないな。出遅れると何も残っていない」
ちひろ「でも自販機のジュースは意外と買えるんですよね。学校内でないとそんなに見かけない紙パックの」 ソウソウ!
雪美「……二人は……同じ高校に……いたの……?」
ちひろ「プロデューサーさんは昼休みによく教室で友達と将棋を指していましたね」
モバP「健治の奴がやたら強いんですよね。で、ちひろさんの方は生徒会役員で忙しそうにしていて――」
モバP・ちひろ「ってそんな訳ないじゃないですか」
雪美「私も……Pと……高校……通ってみたかった……」 ダイガクナラマダマニアウカ……
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986
モバP「……」パラパラ
雪美「……」ジーッ
モバP「……肩の後ろから覗き込まなくても良いんじゃないか」
モバP「一緒に見ようか」
雪美「うん……」ストン
モバP「……」パラパラ
雪美「……これ……漫画……?」
モバP「ああ。表紙がこの通り、なかなか肌色な感じで」
モバP「雪美は本に限らず、よく検討せずにパッケージ買い、表紙買いをすることってないか?」
雪美「……ないと……思う……。でも……気になることは……ある」
モバP「しっかりしているんだな。俺は、未成年の時には自由に物を買えなかった反動か、気になるとすぐ手が伸びる」
モバP「そしていわゆるパッケージ詐欺、表紙詐欺に引っかかることがある」
モバP「この本だと、表紙は水着なのに中身に水着シーンが無い、だな。おかしいなと思って今は念の為に二度読みをしているところだ」
ちひろ「二度読みの理由がしょうもなさ過ぎる」
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987
雪美「……♪」キュッキュッ
モバP「ダンスをする雪美」
――
ヒュオオオッ
雪美「……む」パサパサッ
モバP「風に吹かれる雪美」
――
雪美「……P……?」キョトン
モバP「小首を傾げてみせる雪美」
雪美「何……見てるの……?」
モバP「雪美に自然体で首を傾げられるとこっちも首を傾げて見てしまうな」クイッ
雪美「ふふ……面白いの……」
モバP「本題はその髪なんだが……よく見ていると結構触手的な動きをしている時があるよね」
雪美「……そこは……女の子の……秘密……」 オンナノコハフシギナリ
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988
モバP「今日のおやつ、バウムクーヘンは口に入れると密度を感じるお菓子ですよね」
ちひろ「カロリーありますからね」
雪美「……紅茶と……合う……」
モバP「しかしそこにチョコレート、或いはグレーズまでかけたりするのだから人間は業が深い」
モバP「お取り寄せグルメだと穴の部分にシロップりんごやメロン羊羹が詰まっている物もあったなあ」
雪美「……グレーズ……って……何……?」
モバP「表面に艶を出す糖蜜とかのコーティングと言えば良いのかな」
ちひろ「似たようなものにアイシングというのもありますね。卵白を混ぜて……味は大体お砂糖ですけど」
モバP「かな子や愛梨とお菓子を作っているとそんなワードが当たり前に飛び交うようになりますね」
雪美「グレーズ……あの……雪が積もったような感じ……すき……」
モバP「雪美は雪化粧が好きだよな。一緒にブッシュドノエルを作ったことが記憶に新しい。ロールケーキにクリームを塗ってフォークで木目を付けて」
雪美「……あれは……芸術的……だった……」キラキラ
モバP「バウムクーヘンにもクリーム入りとかあって……想像するだけでも甘さのインフレが凄まじい」
ちひろ「いろいろかけて入れて乗せて盛って、悪魔の食べ物に変貌していくんですね」
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989
パチッ パチッ
雪美「……」チョコン
ショリショリ
雪美「……」ジー
モバP「雪美さん、なしてこっちば見とうとね」
雪美「……P……猫が……毛づくろい……してるみたいに……見えるから……」
モバP「そっちも飼い主を見つめる猫みたいだよ。……ここは爪を切らせて頂戴な」
モバP「ああ、まだ幼い頃はこの爪も親に切ってもらっていたが、小学生になった辺りで“もう自分で切りな”と言われてこうなって久しい」
雪美「私も……自分で……する……」
モバP「偉いな。でも、今日は俺がやってあげると言ったら?」
雪美「……そんなに……甘やかさなくても……良い……」
モバP「ピカピカに磨くぞ? ……雪美さんは普段、切るよりは爪やすりで手入れをするのかな?」
モバP「……まさか猫のように爪とぎはしないか。それはそれで面白いが――よし、終わり」
雪美「……じゃあ……遊んで……」(つ゜-゜)つ
-
990
モバP「……どうも今日は耳の聞こえが良くないなあ」
ちひろ「鈍感性難聴ですか」
モバP「……え? 何か言いました?」
ちひろ「いえ。……もしかしたらストレスが原因かもしれませんね」
雪美「P……最近……思い詰めてる……?」
モバP「季節の変わり目で安定しない気温や天気のせいか、知らず知らずのうちに気分に波が出ているかもしれない」
ちひろ「雪美ちゃんの声は聞こえているみたいですね」
モバP「……え……っと……?」
雪美「……! ……P……耳……」
モバP「あっ……! そういうことか……」スポッ
モバP「ん……失礼しました。どうやら耳にバナナが入っていてよく聞こえなかったようで」
ちひろ「いや、それどう見ても耳栓じゃないですか。平然としていますけど」
モバP「これは多分麗奈のイタズラでしょうかね。仮眠室で寝ていた時に」 ……ヨカッタ
ちひろ「というか雪美ちゃんの声は耳栓していても聞こえるんですね」
-
今日はここまで
弱酸性ヴィシュヌ
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991
モバP「最近はボタン目のキャラクターがひっそりと流行っていますね」
ちひろ「いますかね?」
雪美「……ボタン目……?」
モバP「中心に二つ穴や四つ穴が開いているポピュラーな洋服のボタンを目にしたものだ」
雪美「イメージすると……少し……怖い……」
モバP「普通は人形に目を付ける時、裏穴や足つきのボタンを付けた方が見映えしやすいんだよな」
雪美「つぶらな……目になる……」
ちひろ「そこを敢えて四つ穴ボタンを使うと、独特のゴシックな怖さが出ますよね」
モバP「そういうマスコットでも作ってあげるとみんなは喜ぶものなんでしょうか?」
ちひろ「作るんですか? ダークファンタジーよりはホラーコメディっぽい方が良いでしょうね」
モバP「この前、自分の作った物がアイドルの写真で取り上げられて話題になっていたんですよ」
雪美「……私にも……作ってくれたら……うれしい……」
モバP「よし! 昔から集めてきた水牛調とかの綺麗な四つ穴ボタンをこれを機に使ってしまうか」
雪美「……マーブルカラーのボタン……集めたくなるの……分かる……」
-
992
モバP「暖かくなってきたのでこたつを撤去するか」
雪美「……」ゴロン
ペロ「……」ゴロン
モバP「無言の抗議だな」
雪美「片づけるの……?」
モバP「もう5月も近いしな。そんなに未練があるか」
雪美「……」ゴロン
ペロ「……」ゴロン
モバP「電源を入れなくても布団があるだけで気持ち良いのは分かる」
ペロ「……ウウウ」
雪美「……敷き布団……だけでも……って言ってる……」
モバP「猫はラグマットなんかが好きだよな」
モバP「……敷き布団だけ保留にするかなあ」ゴロン
千秋「雪美さんの実家のような素の表情と寛ぎ様、いつまでも見ていられるわね」ウットリ
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993
ポフポフポフ
モバP「ペロも」
ポフポフポフ
モバP「雪美も」
ポフポフポフポフポフポフポフ
モバP「木魚を叩くようなリズムで甘く叩いてくるのは何ですか」
チーン
モバP「何の音!?」
雪美「……?」
モバP「幻聴ですか」
雪美「……P……良い弾力……してるから……」
ペロ「ンギャア」
雪美「それと……体……大きいから……多少のことでは……動じないのも……魅力……」
モバP「動じていない訳じゃないぞ? 力加減がマッサージみたいで心地良い」
-
雪美「……」ポフ
モバP「あぁ……」
ペロ「……」パタパタパタ
モバP「ああ、尻尾で叩かれるのも……快感だな」
雪美「…………私も……頑張って……尻尾……生やそう……」
モバP「ヒトに尻尾が生えたとしても、器用に動かせるかどうか」
モバP「猫の尻尾は尾椎が通っているからそれが出来るんだがな」
雪美「……Pは……尻尾を動かす……感覚……分かる……?」
モバP「ああ。何かヒトには無い物があると変な感じだが、本能的に動くよ」
ペロ「……」スタスタスタ
モバP「あ、飽きたのか行ってしまわれた」
モバP「しかし雪美は肩もみ肩たたきがプロみたいに上手だよな。俺の親も俺にそう言ってくれたが、人にやってもらうとやっぱり違うもんだ」
雪美「Pの方が……上手……。でも……喜んでくれると……嬉しい……」
雪美「……P……最近……肩……凝っている……みたいだから……はい、これ……」つ□
モバP「肩たたき券をくれるのか? ……勿体無くていつまでも使えなさそうだこれ」
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994
モバP「わたくしといふ現象は仮定された有機交流電燈のひとつの青い照明です」
ちひろ「宮沢賢治ですか」
モバP「長すぎず短すぎない、言葉に出して読みたい一節ですよね」
ちひろ「そうでせうか」
モバP「はい、おぜうさま」
ちひろ「私はおぜうさまではありません」
雪美「……いにしへの……奈良の都のやへ桜……けふここのへににほひぬるかな……」
モバP「歴史的仮名遣いは実にレトロだな」
加奈「歴史的加奈遣い、ですか? プロデューサーに呼ばれたような気がしました」
モバP「なるほど、聞こえは変わらないが仮名を加奈に置き換える……そういう考えもアリか」
モバP「旧加奈、現代加奈、平加奈、片加奈、変体加奈、異体加奈……」
加奈「いろんなわたしが出てきますね。後で使うかもしれないアイデアなのでメモっておきます!」
モバP「良さげな発想は活動中や何気ない時に生まれるからメモ癖は役に立つよな」
ちひろ「変体加奈なんて言葉を出してきたのは故意ですか?」 ラブデス
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995
モバP「ちひろさん、元気が出るドリンクを一本お願いします」
ちひろ「はい、どうぞ」
モバP「お代はこれで頼みます」
ちひろ「あ、桃缶」
ちひろ「って物々交換ですか。それも変に高級なやつを」
モバP「風邪など体調不良時に食べる缶詰の桃の美味しいこと」
モバP「具合が悪い時の味方と言えば経口補水液というのもありますが、これは元気な時にはなかなか飲めたものじゃなかったり」
雪美「……味見……したこと……ある……。……あれは……うん……」
ちひろ「それはいいんですけど、ギャグとかでなく本当に桃缶で換えるんですか?」
雪美「……桃缶……Pの家には……いっぱい……ある」
ちひろ「ほう……良い生活しているんですね」
モバP「パントリー、というほどでもない収納棚にいくつかあります」
雪美「……でも……何でもない時でも……食べる……ね」
モバP「缶詰は賞味期限が長く非常食として優秀だが、それでも永久には保たないからな」
-
モバP「古い方から少しずつ消費して新しいのを補充する、ローリングストックというやつだ」
ちひろ「そのストックの余分を私にくれた訳じゃないですよね?」
モバP「……どうして在庫処分だとばれたんだろう」 コラ
モバP「しかし桃と言えば缶詰で見かけるのは黄桃、青果物として見かける機会が多いのは白桃」
雪美「……ただし……すもももももももものうち……ではない……」
モバP「もう一回言って?」
雪美「……すもももももももものうち……ではない……」
モバP「雪美さんが“も”を連続で発音する所、軽快で聞き惚れますね」
雪美「……早口言葉……私だって……言えない、わけではない……」
モバP「では俺も。隣の柿はよく客食う柿だ」
ちひろ「人を襲う柿の木か何か?」
モバP「失礼、噛んだだけです。それにしても雪美さんその通りでスモモは桃の仲間とは違うんだよな」
雪美「……うん。……私は……白桃……好き……。ミックスジュースに……欠かせない……」
モバP「あれが入ると風味が上品になるよな。ネクターなんかも一度飲むと忘れられない味だし」
ちひろ「この桃缶どうしようかな……」
-
996
モバP「今日は近所の家の庭のフェンスにカラスが止まっていて、結構近くまで接近してもじっとしていたんだ」
雪美「……ふんふん」
モバP「普段、自分の目線の高さで全身を近くで見る機会がなかったから、ちょっと観察してやった」
雪美「……ふむふむ」
モバP「そして思ったんだが、よく見ると格好良いよな、カラスって」
ペロ「……」
雪美「……そうね……。ペロは……カラス……いけ好かない奴……って言ってる……けど」
モバP「真っ黒い体同士通じ合うようなことはないか」
モバP「というかペロは人間の話がしっかり理解できるんだな。そして声を発しなくても雪美に伝わる」
ペロ「……ミィ」スッ
モバP「ん、ペロが自分から俺の膝に乗ってくるということは、俺に何かを求めている時だな」
雪美「……ふふ……Pも充分……ペロのこと……分かってきている……」
モバP「何となくで分かってきていると言って良いのかな? 猫の秘密はまだ奥深いと思うが……」ナデナデ
ペロ「ンナーゴ♪」
-
997
モバP「雪美さんはジュークボックスって知っている?」
雪美「……? ……19の……箱……?」
モバP「主にボウリング場とかにある、その場に流す音楽をリクエストできる洒落た自販機――と言えば」
雪美「……ティンと……こない……」
ちひろ「もう無いんじゃないですかね? 古いものは当然ですけど、デジタルの方も」
モバP「……あのちょっとした自己顕示欲を満たせそうな、でも恥ずかしくて手を出せない距離感が好きだったんですが」
ちひろ「プロデューサーさんのような人ばかりだったかは分かりませんけど、使う人がそんなにいなかったと思います」
モバP「確かに……でも古いタイプとか、事務所の片隅に一つくらい置いてみたいですね。ステイタスになりますよ」
ちひろ「何のステイタスやら」
モバP「今は調べると画像がすぐ出てくるのは便利だ。ほれ雪美さん、これですよ」
雪美「……ん、見たことは……ある……。……音楽を……流すもの……だったの……」
モバP「幼心には一見何なのかよく分からないが興味の湧く物ってあるよな」
雪美「……うん。……そして……何だったか……忘れる……」
ちひろ「そしてある時、何かの拍子に急に思い出したりする」 ソシテマタワスレル イヤオボエトケ
-
今日はここまで
エンパイア・オブ・ザ・ペロ
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998
ガチャッ
凛「プロデューサー、おはよう」
雪美(一日プロデューサー)「……凛、おはよう」
凛「って、えっ雪美? 一日プロデューサーって何?」
雪美「P……今日は……ペロと……海外出張……。だから……私が……代理……」
凛「ペロと出張って業務じゃないと思うんだけど……雪美が本当に代理をやるんだ?」
雪美「……」コク
凛「……よく見るとしっかりスーツまで着てる。今の雪美、かっこいいよ」
雪美「……ありがとう……。今日のスケジュール……確認から……」キラキラ
――
凛「しばらく付いて来たけど、応対や付き添いと本格的にやるんだね……手伝おうか?」
雪美「大丈夫……。前に……Pと……中身だけ……入れ替わったこと……あって……そこで……お仕事……体で……理解したから……」
凛「……相変わらずオカルトみたいな関係だね」
ちひろ「あの日は普段開いていない雪美ちゃんのブラウスのボタンが開いていましたよ」 ……ゴクリ
-
999
モバP「……」
ちひろ「プロデューサーさん、魂が抜けていませんか?」
ペロ「……」コツ
モバP「おうっ!? ……そうだ、もう日本に戻って来たんだった」
ちひろ「一日だけ休みを取って海外に行くとか言い出した時は何かと思いましたけど」
モバP「ヴァルプルギスの夜に行ってきましたよ。ペロと共に、猫の抜け道を使って」
モバP「表のパレード、お祭りも賑やかでしたが、何より裏の夜宴ですね。現代にも本物の魔女っているんですよ」
モバP「猫の姿で参加しましたが、現地のウィッチの方と話が弾みまして、何とわたあめを作り出す魔法まで教えてもらいましたよ!」
ちひろ「魔法って……夢オチじゃないですよね?」
モバP「披露したいんですけど残念ですが霧が出ていないと作れないんですよね、フォグキャンディ」
雪美「……クセノファネス……エッセンティア……ドドラ……ゴンゴ……」
ちひろ「それはきりのカーニバルに出てくる呪文ですね」
モバP「あ、そういえば何故かちとせとヘレンも来ていて、普通に居るのを見つけた時は心臓が飛び出るかと思いました」
ちひろ「話を集約すると、本当は一体どこに行っていたんですか? 国内?」 コクガイデスヨ!
-
1000
モバP「雪美さん」
雪美「……?」
モバP「ありがとう」
雪美「……? 私……まだ……何も……してない……」
モバP「いや、これまでのことだよ」
雪美「……P……消えるの……?」
モバP「死亡フラグじゃないです」
雪美「……」ホッ
モバP「一緒にいてくれて、歩いてくれて、いつも感謝しているよ」
雪美「……P……終わるの……?」
モバP「締めの挨拶でもないです」
雪美「……」ホッ
モバP「うん、まあそれだけだ。これからもよろしく」
雪美「……」(つ゜-゜)つ
-
ヒョイ ポスン
モバP「雪美ってもしかしなくても、俺のことが好きなのか?」
雪美「……ん……何……?」
モバP「こうして近くにいてくれるし、膝を要求するからさ」
雪美「…………そうかも……しれない……」
モバP「じゃあ、それを受け入れるまでよ」
雪美「……二人で……そして……ペロや……ちひろさんや……みんなで……いると……」
モバP「おう?」
雪美「……どんなことでも……楽しいだけで……特別に……好きとか……ないんだから……」
モバP「ほうかほうか、こやつ、変わらず愛いのう」ナデナデ
雪美「……ふふ」
ちひろ「こやつらこれからも遊び続けるつもりですね」
-
1001
ペロ「……」ジーッ
モバP「あ、ペロ。来てくれたんだ」
モバP「ん、分かっているよ。ここはこうして片づけて……よし、今行く」
ニャーウ マッテオイテカナイデー
ちひろ「……プロデューサーさんは最近、ペロと仲良くなりましたね」
雪美「……P……引っ張ってくれる……タイプの……仲間に……弱い……から」
雪美「この前も……ピンチの時……ペロに……助けてもらって……段々と……惹かれ始めてる……みたい」
ちひろ「……雪美ちゃんは、ペロに対しても嫉妬とかするものですか?」
雪美「……Pには……誰とでも……仲良くなってほしい……から……しない……」
ちひろ「でも少しは独占欲もあるでしょう? ある一線を超えて手を出されたら何となく嫌だ、とか」
雪美「……その時は……私も……同じように……手を出してもらう……だけ……」
ちひろ「私としては手を出させるのを黙って見過ごすわけにはいきませんけども、腰が据わっていますね」
モバP「おっと忘れ物忘れ物。……では行って来ます」
雪美「……二人とも……あまり……遠くに……行かないように……ねー……」 ホゴシャダコレ
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1002
モバP「以前雪美には太ももにレッグシースを隠してもらったことがあったな」
雪美「……あれは……普段……見えないのが……残念……」
モバP「まあな。スカートの下に武器を隠すのもまず実用性がイマイチに感じられる」
モバP「横スリットとかでないと、ナイフを取り出すのに一々捲らないといけないし」
ちひろ「武器を使う前提の危険な日常が当たり前みたいに言わない」
モバP「そこで、もっと普通にアイドルが衣装で着用するような物を用意しました」
モバP「今回! 何と! 雪美さんが! 着けて……くれた?」
雪美「……///」コク
モバP「おお、ミニスカートだけでも雪美さんの本気な感じがして良いが、そこにガーターリングまで!」
ちひろ「ストッキング留めですね。何かセクシーアイテムみたいに扱われがちですけど」
モバP「これがチラ見えしただけで体温が1℃くらいは上昇します」
雪美「……P……微熱……?」ピトッ アッ、オテテツメタイ
モバP「たまに見かける、手首にシュシュを引っかけている女の子も何か良いなと感じるものがあります」フレンチクルーラータベタイ
ちひろ「何ですか最後の漏れ出た食欲的本音は」
-
1003
雪美「……♪」
ありす「あっ、そんなショートカット方法があるなんて聞いていません――っ」
モバP「楽しそうだな」
紗南「Pさん家でマリオカートしようって提案した甲斐があったよ」
モバP「それも今回はマリオカートライブホームサーキットで家自体がコースだからな」
紗南「これ、やってみたかったんだよね! こういう広い家で!」
モバP「いやあ、大変だったよ。ジオラマとかを作るのにこだわるタイプなもんだから」
モバP「こうして障害物や背景を置いて道を作るセッティングで時間がかかった」
紗南「準備で既に力尽きている感じ? 後であたしともレースするんだから、回復しといてよ?」
モバP「ああ。遊ぶために何度も試走して作ったんだからな」
モバP「しかし、レースゲームで自分でコースを作れるのってなかなかないよな」
紗南「これまでマリオカートメーカーみたいなゲームってありそうで無かったよね」
モバP「これも画期的だが発展途上という感じだな。立体コースが作れるようになったら大したものだが」
雪美「……これ……Pが寝そべったら……背中の上も……走れる……?」 ソレハチョットムリダナ
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1004
モバP「ちひろさん」
ちひろ「はい、プロデューサーさん?」
モバP「……普段あまり意識していなくて、今改めて思ったことがあります」
ちひろ「何でしょう?」
モバP「ちひろさんって154cmと意外と小柄な方なんですよね」
ちひろ「意外とって何ですか。それもアバウトじゃなくてはっきり言うか」
モバP「こうして話しているイメージよりは思ったより開きがないですか?」
ちひろ「プロデューサーさんが大きいんですよ」
モバP「自分の身長が高いのは自覚しています」
雪美「……私には……ちひろさんも……高く見える……」
ちひろ「ほら、おかしくはないんです」
モバP「……そうですね。女性にこんな、身長のことを……失礼しました」
モバP「…………」ホワア
ちひろ「小動物を愛でるような目で見るな」
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1005
モバP「日中は過ごしやすい陽気、なんてものを通り越し」
モバP「もう初夏の暑さが感じられる日もある5月の始め」
雪美「……暑くなるのが……急だと……五月病にも……なれない……」
モバP「過ごしやすい時期が無いと五月病になる暇さえ無いかもしれないな」
ちひろ「どうなんでしょうね」
モバP「そんな最近は、俺は早起きをする」
モバP「早起きをして明け方に少し外に出てみるんだ。まあ早起きはいつもしているんだがな」
モバP「すると都会にいながらも山の朝のような静けさと、澄んだ冷たい空気を感じられてこれ以上なく気持ち良い」
雪美「……薄着で……少し……寒く感じる……朝……。……良いかも……」
ちひろ「寒い季節の最後の名残的な……理想の条件が成り立つ日はそんなにないでしょうけどね」
モバP「今以上に暑くなっても寒くなってもこのちょうど良さには出会えない気がします」
雪美「私も……してみよう……。そして……Pに……おはようって……心で……呼びかける……」
モバP「パジャマ雪美からモーニングコールが来るのなら俺は例え嵐の朝でも外に出るぞ」
ちひろ「それはやめとけ」
-
今日はここまで
今日をどこかに置き忘れ
-
1006
ピッ ガチャコッ
カシュッ
ゴクゴク
モバP「ふう、今日の謎のコラーゲンドリンクは当たりだな。美味い」
雪美「謎……?」
モバP「見たことがなかったメーカーのだな。自販機で珍しい物を見るとつい買う癖が」
雪美「……レトルトカレーや……お弁当の……自販機……とかも……ある……」
モバP「今は無人・自動で何でも売る時代になってきたな。自販機ブームが来るかもだ」
雪美「……P……自販機……好き……ね」
モバP「ああ。俺は引退したらビルを買って、上に住みつつ一階を自販機コーナーに改造するのが夢だ」
雪美「前は……駄菓子屋になりたい……って……」
モバP「駄菓子屋も入れるか。後はアーケードゲームも置きたいし、休憩用のイス・テーブルも……採算が取れるのかは分からないがな」
モバP「そうやって限られたスペースにだが、悩んで夢を詰め込んで、一国一城の主になれたら、世界も変わって見えるだろうか」
晶葉「既にシンデレラの城の主みたいなものじゃないか?」
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1007
モバP「皆さんは買い物時に、買うつもりは無いのにふと足を止めてカップラーメンを見ることがありませんか?」
みく「いや別に? Pチャンは袋ラーメンは好きだけどカップラーメンは食べないなとは思うにゃ」
モバP「ただ一回食べるためだけに容器を使い捨てにするのは勿体無い気がいつもするんだよな」
みく「環境には良くないかもね。一食あたりも高くなるし」
モバP「だがアウトドア、特に山で食べるカップラーメンの美味さたるや家で食べる時とは比ぶべくもない」
雪美「……ラーメン……寒い所で……食べると……おいしくなる……」
モバP「更に見晴らしの良い所で景色を見ながらとか最高だよな」
みく「Pチャン、ソロキャンプに行きたいって顔してるね」
モバP「というかカップラーメンを見ると、『あ、山に行きたいな』と誰しも思うんじゃないか?」
みく「いや別に? 飛躍し過ぎだと思うにゃ」
雪美「低い……チェアに座って……シングルバーナーと……片手鍋で……料理を作るのも……好き……」
みく「雪美チャンも行きたそうだにゃ。でも二人だとソロじゃなくなるね」
モバP「山ではソロとソロで隣人さ」
みく「何か行き慣れてる風だにゃあ?」 ショシンシャデスガナニカ?
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1008
雪美「……P……ここに……座って……?」
モバP「お、何かするつもりか? このマットに胡坐で良いかな?」
雪美「うん……。そのまま……」
ダキッ
モバP「ああ、雪美さんの感触が後頭部に押しつけられる……」
雪美「……もう少し……高め……」
モバP「あぁ〜」
雪美「……」ギュッ
モバP「あっ」
ちひろ「雪美ちゃんは何をやっているんですかね」
雪美「本に乗っていた……胸を……頭に乗せるの……やってみたかった……」
ちひろ「どたぷーんなお姉さんが気のある男性に対してやる(?)スキンシップですね」
モバP「あっあっあっ」
ちひろ「プロデューサーさんがおかしくなっているのは放置するとして」
-
ちひろ「まあ普段から雪美ちゃんは割とその……押しつけていますね」
雪美「……これくらいは……普通……」
ちひろ「プロデューサーさんからするとかなり意識していると思います」
雪美「……P……そうなの……?」
モバP「意識しますよ。というか体が触れると極端な話、男友達でも姉でも親でも猫でも」
ちひろ「そういう言い方されると見境なしに見えてきますね」
雪美「……大きい胸が……当たると……もっと……ドキドキ……する……?」
モバP「どうだろう。以前、寝惚けた姉貴に横からギュッとされたことがあるんだが」
ちひろ「“プロデューサーさんの姉”とかいう存在するらしいのに誰も見たことがない人、もしくは猫」
雪美「P……猫が……お姉さん……だったの……」ヤッパリ……
モバP「違わい。さすがに人だから」
モバP「それで、当たっている弾力の感触は無視できない。これは生物の性だ」
雪美「……ドキドキ……私じゃ……足りない……?」ギュギュッ
モバP「いいや。まず、雪美にぱふぱふされて俺がまともでいられるはずがないだろう」ウットリ
ちひろ「誰かまともな人はいないのか」
-
1009
モバP「俺はアイドルにいろんな呼ばれ方をされている」
モバP「P(名前)、プロデューサー、さん、くん、ちゃん、殿、様付け、あなた、キミなど」
雪美「……私は……Pと……呼ぶ……」
モバP「雪美はそうだな。基本的に俺のことをプロデューサーと呼ぶことがない」
雪美「……Pは……P……」
モバP「……ちょっと試しに呼んでみない?」
雪美「…………プロデューサー……」
雪美「…………何だか……違和感……」
モバP「役職呼びだと少し他人行儀になる感じがするのかもな」
モバP「佐城」
雪美「……雪美……」
モバP「雪美……うん、やっぱり俺も名前で呼び慣れてしまっている」
モバP「それに佐城、と言うと雪美のご両親も同時に呼び捨てしているような気になる」
ちひろ「慣れって怖いものですね」
-
雪美「……P」
モバP「……雪美」
モバP・雪美『……ちひろさん』
ちひろ「声を揃えないでください」
モバP「雪美はちひろさんを呼び捨てにしないんだよな」
雪美「……それは……」
ちひろ「え、何か理由でもあるんですかね?」
雪美「……ちひろさんは……ちひろさん……。……ただ……そう……決まってる……」
ちひろ「……まあ今のままがしっくりは来ますけど」
ちひろ「プロデューサーさんは様々な呼ばれ方をされるのに、私はここだと大抵“ちひろさん”なんですよね」
モバP「ちひろさんを呼び捨てにできるアイドルはナターリアくらいですかね」
ちひろ「……やっぱりみんなと距離があるんでしょうか? それとも怖がられている?」
モバP「初見で直感的に、『あ、この人は怒らせてはいけない人だ』と認識されるタイプなのかもしれません」
ちひろ「実際に怒らせてもないのにそんなことを思われても困ります……」
モバP「まあ呼び捨ては相当親しくないとですし、“千川さん”じゃなくて“ちひろさん”と呼ばれるだけでも充分慕われていると思いますよ」
-
雪美「……ちひろさんは……Pを……名前で……呼ばないの……?」
ちひろ「……呼びませんね」
ちひろ「プロデューサーさんの名前って「」にあなたの好きな名前を入れてください、みたいなものですから」
モバP「由緒正しき名前なんですがねえ」
ちひろ「仮に名前をPではなく新一としましょう。仕事中に新一さんって呼びますかと」
雪美「……新一」
モバP「ん、何だい?」
雪美「……やっぱり……私も……プロデューサーで……良いかも……」
モバP「それは嫌だ」
雪美「……ふふ……冗談……。……これからも……Pと……呼ぶ……」
ちひろ「拒否反応がやたら早かったですね。そんなに名前呼びが気に入っているんですか」
モバP「はい。しかし、名前呼びと役職呼びの両方あるタイプも決して嫌いじゃないです」
ちひろ「そこに更に“あなた”みたいな二人称呼びも入ってきたりして」
モバP「意識して使い分けてくれるのが嬉しいんですよね。あ、雪美には名前と別におじさまと呼ばれてみたい」
雪美「……おじさま」ニコ クラリスカナ?
-
1010
楓「あら……ふふふ」
――
拓海「おっ、Pに雪美。またペアルックか」
――
まゆ「……よくお似合いですねぇ」
――
モバP・雪美「……♪」
ちひろ「今日はお揃いの眼鏡ですか」
モバP「伊達直人ですがね」
ちひろ「孤児院に寄付でもするんですか」
雪美「……みんなに……褒められて……うれしい……」
ちひろ「服装もフレンチカジュアルで良いですね」
モバP「でしょう? いやあ、たまにはイメチェンするものですな」
ちひろ「プロデューサーさんはスーツを着てください」
-
1011
モバP「……」タソガレー
杏「あ、プロデューサーがBOSSおじさんみたいな顔してる」
モバP「そいつァ随分と老けて見られたもんだ」
雪美「目を細めて……ハードボイルド……かっこいい……」
モバP「フッ、雪美にそう言われちゃあ、LINEスタンプにでもするしかねェな」
杏「自分を積極的に商業利用するスタイル」
モバP「……ふーっ」
杏「いや、煙草っぽく見せかけてるけど飴じゃん」
モバP「飴で良いのさ。ココアシガレットや葉巻風シガーチョコは時間をかけて味わうものじゃないからな」
モバP「最近はどうも飴を咥えたり葉っぱを咥えたり魚の骨を咥えたりしないと口寂しいもので」
杏「そういうキャラクターよくいるよね」
モバP「杏もどうだ? この飴は綺麗な鼈甲色をしているんだが、カレー味だ」
杏「またプロデューサーが変な飴食べてる……」
雪美「まP変飴……」 リャクスナ
-
1012
ゴロン
モバP(……今日は何故だか寝付けんな)
モバP(……よし、目を閉じて、頭の中で雪美でも数えてみるか)
モバP(雪美が1人……)
雪美(……P……呼んだ……?) (゜-゜)
モバP(雪美が2人……)
雪美2(P……遊ぼう……。ここなら……何でも……できる……) (゜-゜)(゜-゜)
モバP(雪美が3人……)
雪美3(P……聞いてる……?) (゜-゜)(゜-゜)(゜-゜)
モバP(聞こえています。ちょっと夢に入りきるまで待っていてくれないか?)
雪美たち(((……分かった……)))
――
モバP「……そして最終的に夢の中に346人もの雪美を召喚した俺は、代償として彼女たちが全員満足するまで遊んであげなくてはならなくなったんだ」
雪美「……今日も……お邪魔します……」
-
今日はここまで
約束が違うじゃないか!
-
1013
モバP「さて、少し暇な時間が出来たので、誰にも告げずにプレイルームでこっそりテレビゲームでもしよう」
モバP「何にしようか……やっぱりファミコンかなあ。収納ラックに整列したカセットが実にカラフルで思わず手が伸びてしまうんだよな」
モバP「では今日はこのマリオUSAでもやるか」
ガチャ
雪美「……P……?」
サササッ ストッ
雪美「……隣……座る……」
モバP「駆け寄る雪美さんにほのぼのする暇もないくらい速かったな」
モバP「そんなに一緒にやりたいか? ……ん、見ているだけ? 別に良いが」
雪美「Pが……何かやっているのを……じっと……見ているの……好き……」
モバP「プレイを見に来たんじゃなくて俺を見に来たのか? まあ良い、俺がカメーンや四角い鯨といった昔のトラウマを乗り越える様をじっくり見ておけ」
紗南「Pさんが実況プレイやると聞いて見物に来たよー」 ガヤガヤ
杏「面白そうなことやってるじゃん。あ、杏は窓際の席キープね」 ゾロゾロ
モバP「君たちも君たちでそんなに暇なのか」
-
1014
モバP「346プロはデパートみたいなものである」
モバP「吹き抜けで眺めが良い広場に、これも当然のように置いてある」
雪美「……これ……何……?」
モバP「これはガムボールマシーンだな。つまりこのカラフルなボールはガムだ」
雪美「……」ホー
モバP「光沢のある綺麗な球形をしているが、これは普通のガムの上に糖衣をしてある」
チャリン ガチャガチャ
コロコロコロコロコロ コンッ
雪美「……何か……良い……」
モバP「カプセルトイのようなワクワク感だな。それも欧米の街角にありそうな簡易な物と違ってボールコースターを転がって出てくる演出もニクい」
雪美「……食べて……良いの……?」
モバP「ああ。衛生面は問題ないように設計してある」
モバP「ただ、ガムボールでピンボールをしてターゲットに当てるともう一個貰えるターゲットマシンくらいになると、食べ物で遊び過ぎな気がしてくるが」
雪美「……糖衣が……厚い……」パリパリ
-
1015
雪美「……」トコトコ
雪美「……!」
タッタッタッ
トコトコ トコトコ
モバP「346の連絡通路もとい渡り廊下を歩いていたら、足の音が二重になった」
モバP「雪美さんのステップだな、分かる」
雪美「……見ないでも……分かった……?」
モバP「ああ。気づくと並んで歩いているのがとても自然で違和感が無かった」
雪美「……偶然……Pを……見つけたから……」
モバP「本当に偶然か? そう言って道端に待ち伏せする子も時々いるが」
雪美「……待ち伏せ……するなら……自分から……会いに行く……」
モバP「そりゃそうか。雪美さんは日々行動的になっていくな」
雪美「……でも……P……デスクワーク……していない時は……一つの所に……留まらない……」
モバP「直接の用事がある場合はオフィスで待つ方が確実に会えると思うぞ」
-
雪美「……あっ……未央と……卯月が……見える」
モバP「どれ……あ、あそこにいるな」
……!
モバP「こっちに気づいたようだ」ノシ
雪美「……」ノシ
ノシ
雪美「……手を……振ってくれた……」
モバP「二人とも、良い笑顔をしやがって」
モバP「時々、この渡り廊下で少し立ち止まって、窓から外を眺めてみるのも乙よな」
モバP「商業施設だったら人通りが眼下に見えるし、学校なら中庭が見渡せたりして」
雪美「学校の……形にも……よる……」
雪美「でも……この景色……好きやわあ……」
モバP「良いよな。しかしこう窓が大きいと、ここにいる子を下から見上げたら、短いスカートとかは……今度検証しておこう」
雪美「……P」ペシッ
外の未央「ゆきみんとプロデューサーイチャついてる……今そこに行くからな!」 イクンデスカ?
-
1016
モバP「予告なしに始めます雪美さんに着せてはいけない服シリーズ」
ちひろ「てっきりもう忘れているかと」
モバP「今回は何と、ご本人登場ですよ」
ちひろ「いや、本人は毎回いますよね? ものまね歌合戦のように言わないでください」
モバP「それでは佐城雪美さんです! どうぞ」ガラッ
雪美「……///」キラキラ
モバP「ぐはっ!」
ちひろ「自分で呼んでおいて膝をつきましたよこの人」
ちひろ「さて、それは制服……というにはスカートは短いですし胸元はビキニ? が見えていますし」
モバP「アメスクですね。普通のそれを雪美さんに着せるとアウトになりますのでマイルドにしていますが」
ちひろ「いや、マイルドにしても着せてはいけない物を堂々と着せるようになったらダメでしょ」
雪美「……これ……美嘉に……協力……してもらった……」
モバP「ちなみに美嘉はそこに転がっています」
美嘉「コーデしたのアタシなのにセクシーすぎるっしょ……」
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1017
モバP「346プロの午後――俺の膝の上には毎日様々なアイドルたちが悩みを抱えてやってくる」
モバP「その悩みを解決! は出来ないが聞くことですっきりくらいはさせてあげたいものだ」
美玲「やる気ないな」
モバP「というわけで美玲、何か悩みごと・相談でもあるのか?」
美玲「ないぞ」
モバP「ないんかーい」
美玲「今更オマエにそんなことを求めて来る奴なんていないんじゃないか?」
美玲「ウチはただここが居心地良いと思ったから座ってるだけだ」
モバP「そうやって素で心を掴むようなことを言うのが美玲よな。天然ジゴロが顔を出すというか」
美玲「なんだよッ、ショーコやノノにも似たようなこと言われたぞ!」
美玲「ふん、じゃあ相談、考えてやる……そうだ、仲間の服の色を褒める時、色の名前が分からないから本人に訊くのって良いと思う?」
モバP「良いぞ。人から教えられても、美玲が自分で選んだ言葉で褒めてくれたら、相手は嬉しいと思う」
モバP「まあ相手次第だな」 ソコジュウヨウダロ
雪美「また今日も……解決に導かない……Pであった……」
-
1018
雪美「……P……」
モバP「ん?」
雪美「何か……悩んでいること……ある……? ……顔に……書いてある……気がする……」
モバP「そうだな、例えば今雪美さんが膝の上で対面座位でいることへの心の昂りをどうしようかとか?」
ちひろ「雪美ちゃんの前で使うべき言葉じゃないですよそれ」
モバP「そりゃアイドル雪美さんがこんな間近で密着してしかもほんのり上気したような顔で見つめてくれていたらね?」
モバP「これでも自分の中のオスの部分とか、出さないように抑えている方です」
雪美「……本能に……忠実に……なったら……大変な……ことに……?」ドキドキ
ちひろ「警察に捕まるタイプの本能解放はくれぐれもやめてくださいね」
モバP「ある意味で、オブラートに包まずに言うとエロトークで気兼ねなく盛り上がれる男の友達、同志が欲しいのが悩みですかね」
モバP「そうすれば日頃の溜まった思いもぶつけ合って発散できるのかなと。世代や性格が合う人が周りになかなかいないですが」
ちひろ「ぶつけ合って発散……あっ」
雪美「……P……男性も……攻略対象……みたいに……聞こえる……」
モバP「ちゃうわ。でも新田くんなら良いかも……あ、男の同志的な意味の方だぞ?」
-
1019
雪美「P……今日も……お仕事……おつかれさま……」
モバP「巡業に随伴したり衣装合わせをしたり書類を作ったり大変だったよ」
雪美「……」サスサス
モバP「こっちにもお願いします」
雪美「ふふ……よしよし……」ナデナデ
ちひろ「膝を抱えてしゃがんで、小学生に撫でてもらうって結構参ってます?」
モバP「ガソリンスタンドアイコンが点滅するような所までは行ってないので、まだ余裕はあります」
ちひろ「車か。……働きすぎじゃないかとみんなから心配の声が出ていますからね」
雪美「……」コクコク
ちひろ「でもプロデューサーさんのことですから拘束でもしないと休みませんよね?」
モバP「鎖に繋がれたり鉄格子部屋に入れられる程度の拘束であれば容易く抜け出せますので無駄です」
ちひろ「ケンシロウか」
モバP「まあ休めと言われれば素直に休みますよ。でも休み癖が付くかもしれないのが怖いんですよね。プロデューサーとは車でありケンシロウでありマグロです」 モウワケワカラン
雪美「……こういう癖なら……健全……」ナデナデ
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1020
モバP「……」カタカタ
凛「……プロデューサー」ズイ
モバP「近い近い。凛、どうした」
凛「何でもないよ。顔を見に近くまで寄っただけ」
凛「様子見ついでにネクタイでも直してあげようかって思ってさ」
モバP「悪いな、お願いするよ」
凛「あとこれ、ネクタイピンだけどさ、付けるついでにそのままあげるよ」
モバP「何から何まで……日々の貰い物だけで生活できそうだ」
凛「プロデューサーにはいつも貰ってばかりだからね」
雪美「それに……誕生日……非公開だから……祝ってあげられないのは……悲しい……」
凛「そうだよ。公開してくれればみんなに祝ってもらえるのに」シュルシュル キュッキュ
モバP「決まった誕生日があるとそれ以外の日が特別じゃなくなって損をした気になりそうだ」
凛「変な所で貪欲だよね、プロデューサーって」ハイオワリ
雪美「……凛……あとで……ネクタイの締め方……教えてほしい……」 ユキミモヤルノ?
-
今日はここまで
気になるあの子はお菓子系
-
1021
雪美「……」ジトジト
モバP「ここ数日は降雨と曇天だな」
雪美「……うん」ジトジト
モバP「雪美が湿気でいつも以上にジト目な感じになっている」
ちひろ「ジト目って湿気の指標だったんですか……今年はやたら梅雨入りが早いですね」
モバP「それですよ。気温と湿度が高くて、強い風が吹いても生温くて何だか気持ちが悪い天気です」
ちひろ「5月半ばにして早くも夏の到来といったところですね」
モバP「本当、例えば台所で料理をするだけでも汗がべたついて……」
モバP「もう、一日に3回はお風呂に入らないとやってられませんよ」
ちひろ「しずかちゃんかな?」
モバP「おかげで最近はシャンプーボトルにもこだわるようになってですね」
ちひろ「統一感のあるクリア容器を揃えたりするんですね。中身も?」
モバP「はい。温泉とかにある備え付けのオールインワンは便利に感じて、家でも試してみたくなりますね。温泉のは薄いのがネックですが」
雪美「……P……シャンプー……変えた……?」クンクン
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1022
モバP「ありす」
ありす「はい、何ですか」
モバP「雪美とイチゴジャムサンドクラッカーを食べようとしているのだが、ありすも軽くつまんでいかないか?」
ありす「イチゴですか。はい、糖分補給させてもらいます」
モバP「おお、それでは小規模なティーパーティーの幕開けだ」コポポポポ コトッ
雪美「……ん……紅茶……おいしい……」
ありす「今誘ったのに秒単位でお茶まで出せるんですか……」
モバP「ありすなら来ると思っていたからな」
ありす「Pさんはそういうの、分かるんですね」
モバP「その日の天気とか気温、アイドルのスケジュールで誰が来そうかは予想して用意する」
ありす「仕入れを調整する飲食店みたいですね……私もいただきます」
モバP「ところでありす……何か違和感はない?」
ありす「名前のことですか? 別に、変な呼び方をしなければ普通に受け入れますよ? 私だって子どもじゃないんです」
モバP・雪美「……大人だ……」
-
1023
パラパラシトシト
モバP「雨だな」
雪美「……雨だね……」
モバP「……」
雪美「……」
モバP「静かだな」
雪美「……静かだね……」
モバP「……」
雪美「……」
モバP「小腹が空いたな」
雪美「……空いたね……」
モバP「御座候でも食べるか?」
雪美「……?」
モバP「あ、今川焼きのことだ」
-
雪美「……食べる」
モバP「待ってな。回転焼き、取ってくるけえ」
雪美「……」
モバP「はい、大判焼き、持って来ましたよっと。どうぞ」
雪美「……焼かないの……?」
モバP「普通のおやきは温めて食べる印象だが、このカスタードクリーム入りなんかは冷やして食べても美味いからな」
パクッ
雪美「……本当……。ひんやり……甘い……」
モバP「これからの暑い時期はやっぱり冷たい太鼓焼きだな」
モバP「まあ冷凍のままの二重焼きはさすがにそのままでは固いからこうして解凍しておく必要はある」
雪美「……これの呼び方……安定しない……ね」
モバP「どう呼ぶのが一番良いんだか分かりかねるんだよな」
モバP「さて、この丸いのを食べながらもう少し、窓の外の雨景色でも眺めていようか」
雪美「……」ハムハム
パラパラシトシト
-
1024
プカプカ
雪美「……」
雪美「……泡が……浮かんだり……沈んだり……」
モバP「薄暗い所で見るとより綺麗だよな」
ちひろ「おや、何か輸入雑貨のお店に置いてありそうな……」
ちひろ「これはラバライトっていうんでしたっけね」
モバP「はい。最近まで名称を知りませんでした。インテリアに一華を添えるアイテムだと思います」
雪美「……ラバ……?」
モバP「Lava――溶岩」
雪美「……熱そう……」
モバP「本物の溶岩のような高温ではないが、動きがそうなのだろうな」
モバP「しかし、これを見ているとメディカルマシーン、生命維持カプセルを思い出すな……あっ頭痛が」
ちひろ「346モバP、何かを思い出して死亡」
モバP「サンキューちっひ」
-
雪美「……P……カプセル……苦手……?」
モバP「そうだなあ。根源的な怖さがあって、酸素カプセルとかでもあまり入りたくないな」
ちひろ「閉所恐怖症なんでしょうかね」
モバP「かもしれないですね。特に幼少期に見たアニメか何かの影響でしょうか」
モバP「閉じ込められてじわじわ窒息させられる感じのシチュエーションがトラウマで」
ちひろ「どんなアニメを見ていたんですか……」
雪美「……水槽を……外から見るなら……大丈夫……? 水族館の……トンネルや……テラリウム……」
モバP「ああ。水槽恐怖症ではないし、トンネル水槽は怖いと思う前に圧倒されるよな」
モバP「ただ、もし割れて水が流れ込んで来たら死ぬなぁ、と心のどこかでは常に構えている気がするよ」
ちひろ「妄想逞しいですね」
モバP「何にしてももうあのメディカルマシーンには入れられたくないです」
ちひろ「ちゃんと呼吸器は着けますし、体も治りますから良いじゃないですか」
モバP「でも裸ですよ? それを晶葉とか志希に見られているんですよ? 服を着せてくださいよ」
ちひろ「嫌だった理由は主にそっちだったんですか」
雪美「……今何か……すごいことを……聞いたような……」
-
1025
雪美「……」トコトコ
雪美「……」(つ゜-゜)つ
モバP「……」ヒョイ ポスン
雪美「……」(*゜-゜*)
雪美膝上中……
雪美「……」ツヤツヤ
ストッ
雪美「……」ノシ
モバP「……」ノシ
ちひろ「……プロデューサーさんって雪美ちゃんを軽く抱き上げますよね」
モバP「雪美自身、自分で乗るより抱き上げて乗せてもらう方が好きなようで、そうしています」
モバP「痩せても枯れてもそれくらいは出来ないと自分の存在意義がありません」
ちひろ「私にはそこまでの力がないので、素直に羨ましいですよ」
モバP「ちひろさんに改まって認められると何だか自信が付きますね」 ナニヲイウカ
-
1026
スタスタ トコトコ
モバP「街を歩けばシースルーバングをよく見かけるようになったな」
雪美「……?」
モバP「髪型だな。額にかかる部分の前髪を薄く整える感じ、と言ったら良いのか」
雪美「……私にも……似合う……?」
モバP「どうかな? あまりイメージが湧かないな」
雪美「……前髪……だけなら……そんなに……変わらない……気がする……」
モバP「ところがどっこい、髪型って少し弄っただけで想像以上に変わったりするんだよな」
モバP「お団子にしたり、ハーフツインテールにしたり、三つ編みにしたりしただけで反響が大きかったろう?」
雪美「水着……和風メイド……白猫……覚えがある……」
雪美「……」
雪美「……それは……少しじゃなくて……結構……変えてる……」
モバP「でもシースルーはそれらと違って切らないといけないから、失敗したと思った時に元に戻せないぞ」
雪美「大丈夫……。すぐ……生える……」 ソイツハウラヤマシイナ
-
1027
雪美「Pに……着せたい服……シリーズ……」
ちひろ「誰特」
雪美「鹿児島県……よしのんさんからの……リクエスト……どうぞ……」
バラララララララララララ タタッ
シャッ
モバP「……」キラキラ
ちひろ「これは……学生帽に学ランにマントのバンカラスタイルですね」
モバP「というかこれ、自分に合うサイズを探して借りてくるのが大変でしたよ」
ちひろ「おまけに丸い黒縁眼鏡までかけて、まるで白黒写真の時代の学生のようです」
雪美「P……似合っている……」パシャ
モバP「ありがとう。いつもと逆に雪美に衣装を褒められるのも悪くないな」
雪美「目線……こっちに……。……うん……良い……」パシャパシャ
ちひろ「スマホで撮影して送るんですね。それにしても“よしのんさん”って……」
モバP「そこはあまり詮索しないでおきましょう」 アッハイ
-
今日はここまで
コックカシワギ
-
1028
雪美「P……お酒……好き……?」
モバP「ん、程々に好きだな。粋な飲み物という感じがして」
モバP「それがどうかしたか?」
雪美「……私……Pに……まだ……してあげて……いないこと……ある……」
雪美「……お酒の……お酌……」
モバP「何と! それを俺にもしてくれると言うのか?」
雪美「……」コク
雪美「この前……パパに……お酌……したら……とても……喜んで……くれた……」
モバP「よし、今すぐ飲もうか」
ちひろ「仕事中ですよ」
モバP「仕事中でした……では雪美、後でお願いするよ」
雪美「……お仕事……頑張って……」 オウ!
ちひろ「というかプロデューサーさんってどういうお酒が好きなんです?」
モバP「んー、カンパリオレンジ……ですかね」 オンナノコカ
-
1029
モバP「うーん、久々にやったが難しいなこれ」 プァーン
あきら「今日は電車でGO! をやるんデスか。何故にまたそのチョイス?」
モバP「後でゲーム対決企画をやるからその前に皆に一回だけ練習の機会を設けて、少しでも慣れてもらおうと思ってな」
紗南「あたしはアイドルの中でも慣れてる方かも。ゲームセンターで遊んだことがあるし」
モバP「ちなみに普通にやるのでなく、今回はチーム対抗戦としてリレー形式でやってもらいます」
紗南「停車駅ごとに交代ってこと?」
モバP「そうだ。俺の試運転を見て、担当したい区間を決めると良い」
雪美「……見ているだけでも……容赦ない……」
あきら「初期の電車でGO! はそういう難易度デスね」
ありす「現実のダイヤや停車位置も、当たり前のように正確に守られていて、運転手さんって凄いと思います」
モバP「バスなんかは運転席の後ろに座ると運転時刻表が見えて、大体遅れている気がするなあ」
モバP「それで、今回やってもらうのは嵯峨野線なんだがな」
雪美「……ここ……京都……? 保津峡……絶景……」
モバP「やや初心者向けなのもあるが、正直完全に好みで選んだ」 Pサンラシイネ
-
1030
文香「……」パラッ
文香「……」
文香「……」クスッ
文香「……」
文香「……ふぅ」
パタン
モバP「文香、まだ読書の最中だったか。少し休憩にするか?」
文香「プロデューサーさん……はい」
モバP「その顔は続きが気になるって顔だな」
文香「そうでしょうか?」
モバP「目の輝き方でそう思った。ブックカバーに包まれていてどんなジャンルを読んでいるのか見当はつかないがな」
雪美「……紙の……ブックカバー……おしゃれ……」
文香「これは、叔父の書店の物ですよ」
モバP「あの書店って個人店だったような……。オリジナルのブックカバーまであるのか(驚愕)」
-
文香「……プロデューサーさんに出会う前、手伝いをしている時に、私がデザインしたものです」
雪美「……文香の……ブックカバー……私も……欲しい……」
文香「今度……店に一緒に行きましょうか?」
雪美「うん……!」
モバP「世には革製の物も売っている中、何か素朴な味があって良いな。俺も今度行こうかな」
モバP「それで、本題――というほどのものでもないが、文香にこれを」コト スッ
文香「……これは、ケーキと……栞ですか」
モバP「諸々のお祝いは既にやったが、後日の個人的なおめでとうの気持ちで作った」
雪美「……ドイツ風……生クリームのかかった……プラムケーキで……ございます……」
文香「……大どろぼうホッツェンプロッツですか。その伏線回収を今……?」オイシソウ
モバP「あれを読んだらいつか作らないとと思っていてな」
モバP「あと、その短冊のような栞はおまけだ。まあ大抵の本には栞紐が付いていて必要ないかもしれないが」
文香「いえ……良い物をいただきました。ありがとうございます。大切に……使いますね」
モバP「そう言って貰えると作って良かった。本当はこの二つ以外にロッキングチェアも付けようか悩んだんだが」
文香「……冬に暖炉の前でロッキングチェアに揺られながら本を読む姿が似合いそう、と?」 ハイ
-
1031
モバP・雪美「……」ジーッ
ちひろ「……お二人、真面目な顔でテレビを見ていますね」
モバP「これはオンエアチェックです」
モバP「枠内に収めるために編集は仕方がないことですが、アイドルが収録で活躍したシーンがカットされていると我が事のように凹みますね」
ちひろ「どの子の活躍がカットされていたんです?」
モバP「これは天ヶ瀬冬馬くん(他社)ですね」
ちひろ「一体誰のオンエアチェックをしてるんですか」
雪美「……ミスター……ストイック……勉強になる……」
モバP「それにしても収録放送あるあるなんですが、残り時間で先の展開が読めてしまうことってありますよね」
ちひろ「クイズに正解し続けて賞金獲得、みたいな番組は残り数分だとここで間違えるだろうな、と察せますね」
モバP「逆に生放送で思うのは、視聴者参加型の雑学クイズがほとんど消えたなと」
ちひろ「ネットの普及で大抵のことは検索すればすぐに分かってしまって、解答に不公平感が出るからでしょうね」
雪美「……まだ……誰も知らない……クイズなら……出せる……」
モバP「今日の私の朝食のメニューは何でしょう? とかな」 ソレダレモキョウミナイヤツ
-
1032
〜♪
モバP「……あぁ、落ち着いた気分に浸れるなあ」
雪美「P……何を見てるの……?」
モバP「これはフィラーだな」
雪美「……フィラー……という……番組……?」
モバP「ああ。フィラーとは繋ぎや埋め合わせの意味だ」
モバP「テレビなら主にこういう、深夜に流れている映像散歩的なものとか全般だな」
雪美「……ナレーション……ない……」
モバP「たまに字幕くらいは付くが、大抵は綺麗或いは懐かしい映像とBGMだけがずっと流れ続ける」
モバP「雪美は経験があるか分からないが、歳を取ると深夜にふと目が覚めてしまうことがあってね」
モバP「それで眠れないからテレビでも付けよう、となるんだが、そこで不定期に流れている好みのフィラーに出くわした時の冷静な高揚感が好きなんだ」
雪美「でも……今……昼……」
モバP「フィラー慣れするともう昼でもこれ(録画)だけで良いやってなるんだよな」
ちひろ「業界人としてそれで良いんですかね……」
-
1033
ちひろ「今日もプロデューサーさんはスーツで、雪美ちゃんは清楚系のお洋服……」
ちひろ「お二人って家で過ごしている時はどんな格好をしているんです?」
モバP「……」
雪美「……」
モバP「いえ、ごく一般的な部屋着とか……ですかね。晴の普段着のイメージで」
ちひろ「カットソーとハーフパンツくらいラフな感じと?」
モバP「……」
雪美「……」
モバP「ですね。二人揃ってそんな感じで寛いでいます」
ちひろ「事あるごとに見つめ合うのが憎たらしいですね。というか“揃って”?」
雪美「……? 家と言ったら……Pの家……」
ちひろ「プロデューサーさんの家がもうすっかり雪美ちゃんのホームになってますねこれは」
モバP「お仕事でモデルとかもやる雪美ですが、手を抜く時はしっかり抜きますよ。ナイロンやコットンのショートパンツ姿なんて時もあります」
ちひろ「それ普段やる下手なコスプレより危ない格好では?」
-
1034
モバP「雪美よ、俺って節操無しだろうか」ナデナデ
雪美「ん……割と……」ナデラレナデラレ
モバP「ふと思うんだよ、プロデューサーという仕事柄だとしても……」
モバP「俺って不自然にアイドルたちにモテ過ぎちゃいないだろうかと」
ちひろ「何でこの人がモテるのか分からない、って話はどこでもよく聞きますよね」
モバP「はい」ナデナデ
雪美「あっ……そこ……気持ち良い……」フニャ
ちひろ「大抵そういうのはその人の一面、側面だけしか見ていないからだと思います」
モバP「おお……確かに最初の頃は拓海とかに、もっとビシッとしろなんて言われていましたが」
モバP「それから例え空元気でも堂々と、自信ありげな態度でいるようにしていて……そういうのがプラスに働いているんでしょうかね」
ちひろ「まあプロデューサーさんが自分で自分がモテてるかも、なんて思うのは自惚れか勘違いか鈍感のいずれかの可能性もありますけど」
モバP「(´・ω・`)」 ソレハソウトナデナデ
雪美「……あっ……ん……」ピクンッ
ちひろ「とりあえずその手は止めてもらって良いですかね」
-
1035
モバP「雪美さんのおてては柔らかくて綺麗だなあ」
雪美「……///」
モバP「……」
ちひろ「なぁーに雪美ちゃんの手のひらをキメ顔で見つめているんですか」
モバP「手相を見ていたんですよ」
ちひろ「プロデューサーさんは手相が分かるんですか?」
モバP「いえ、大したことは何も分かりません」
ちひろ「あのさぁ……」
モバP「ただ手のひらに3つある太い線の名前くらいは一般常識(?)として知っていますね」
雪美「……上から……感情線……知能線……生命線……」
モバP「そうそう。そしてついでに縦にまっすぐあるのが運命線――と、朋から教わっただけですが」
雪美「Pは……生命線が……すごく……長い……」
ちひろ「どれ、ちょっと見せてください……あっ、これは財運がありそうな……」
モバP「横線に逸れていかないでくださいよ」
-
今日はここまで
本日のクリティカル
-
1036
「芳乃……」
「たすけて」
――
芳乃「……そなた?」
チュンチュンチュン
芳乃「夢……もしや、そなたの身に、何かが起きたのではー?」
――
芳乃「そなたー」ガチャッ
モバP「おう、今日は早いな芳乃」
芳乃「……!」
モバP「?」
芳乃「うむ、大丈夫ですなー」
モバP「一瞬、幽霊でも見たような顔をしたが」 ハテー?
雪美「……P……辛い時は……みんなに……相談して……」 ユキミモ?
-
1037
雪美「……」
モバP「……」フフッ
雪美「……?」
雪美「……P……いっしょに……読みたいの……?」
モバP「あ、いや。姿勢良く真剣に図鑑を読む雪美に過去の自分を重ね合わせていただけですはい」
モバP「俺はもう少年時代に手垢がつくほど読み込んだからなあ」
雪美「……」シュン
モバP「だが雪美と二人で読んだことは一度もないからな」
モバP「二人なら何か新しい発想が得られるかもしれないので、お隣に失礼しても良いか?」
雪美「……うん……♪」
モバP「ああ、このサイズ、そして全面カラー……懐かしいな」
雪美「写真や……イラスト……多くて……楽しい……」
モバP「大人は文字ばかりの本は読んでも、図鑑とか地図帳なんてほとんど眺めなくなるからな」
ちひろ「大人は図書館の児童書コーナーには立ち入り辛いんですよねえ」
-
1038
テテテテテテテン テテテン テテテン テテテテテテテテ テテテテテー
雪美「この曲……聴いていると……急がないと……って思う……」
モバP「この追い詰められる感じ……」
ちひろ「事務所で“山の魔王の宮殿にて”なんて流してちゃ仕事にならないでしょう」ピッ
モバP「あっ、ここからが盛り上がりどころなのに」
ちひろ「そういう盛り上げ方は結構です」
ちひろ「同じグリーグのペール・ギュントでも“朝”とかにしときませんか? 今昼ですけど」
モバP「“朝”は早朝に流すには最適の心地良さと厳かさがあって、放送局のオープニングによく使われたりしますね」
雪美「……気持ち良く……目覚められる……」
モバP「でも放送休止は日曜の夜が多いからそれを聴くことが多いのは月曜の朝」
モバP「休日が終わり、辛い仕事や学校の一週間の始まりを告げる曲とも言える」
ちひろ「具体的ですね……それにしてもクラシックは普段からよく耳に入ってきますね」
モバP「子どもの頃からよく聴いているという経験と蓄積もあって何かと馴染みますね」
雪美「曲は有名……でも……元を……知らないことも……」
-
モバP「ペール・ギュントは知っていても戯曲を見たことがなかったり、曲だけでも最後まで通して聴いたことがなかったりな」 ……ウン
ちひろ「それまでの人生経験で、よく知らないけどこの曲調は運動会で使うだろうな、と分かるものがありますよね」
モバP「クシコス・ポスト、道化師のギャロップ、ウィリアム・テル序曲……最近の運動会に使われていなくても何故か運動会の曲だという認識が出来る不思議」
雪美「……クシコス……? ……実際に……聴かないと……ティンと……こない……」
モバP「クシコス・ポストはまあ、くにおくんの大運動会だな」
雪美「……それなら……分かる……」
ちひろ「分かるんかい」
雪美「ちひろさんは……熱血……花園……冷峰……連合……どれ……好き……?」
ちひろ「私はやっぱり冷峰ですねえ――って何を言わせるんですか」
モバP「ウィリアム・テル序曲は……パロディウスと言えば分かりやすいか」
ちひろ「パロディウスは運動会に使いそうなクラシック曲大体使ってると思いますけど」
モバP「あと、定番を5つまでに絞るとしたら天国と地獄、剣の舞……トランペット吹きの休日も捨てがたいですねえ」
ちひろ「6つになってますよ……というか徒競走用の曲ばかり挙げてる感じですか?」
モバP「入場行進曲だと星条旗よ永遠なれ、とかもありますが……やっぱり徒競走と棒読みアナウンスが運動会の華」
ちひろ「棒読み言ってあげるな」 アカ……リードシテイマス……
-
1039
モバP「いつか雪美さんに着せてみたいものがあるんだ」
ちひろ「またですか」
モバP「今回は健全です」
雪美「……それは……?」
モバP「それはですね、長ランです」
雪美「……?」
ちひろ「学ランの丈が長い変形学生服ですね」
モバP「画像をどうぞ」つ□
雪美「……押忍」
ちひろ「もう応援団みたいなやり取り」
ちひろ「そういえば、長ランはあいさんが着てましたっけ」
雪美「……あれは……かっこよかった……」
モバP「応援をするなら智香みたいなチアになるのも勿論良いが」
モバP「長ランに鉢巻に腕章を付けてみんなにエールを送る――インパクトがあるぞ」
-
雪美「……でも……大きな声……出せないと……」
モバP「今は声無しの応援団もあるからな。手拍子と太鼓の音だけで表現したり」
ちひろ「そんなこと言いながら、本当は穿いてない格好なんかをしてもらうのが目当てなんじゃないでしょうね?」
モバP「それはさすがに邪道かと」
ちひろ「ほう、プロデューサーさんに邪道の概念があったとは」
雪美「……はいてない……?」
モバP「上に長ランを着て、下はズボンを穿かない……ということですよね?」
ちひろ「確認するまでもなく」
雪美「……それで……みんなの前に……立ったら……ドキドキ……しそう……」
モバP「そんなことを女の子にやらせるような変な趣味はありませんよ」
雪美「Pが……好きなのは……?」
モバP「例えばキャミソールとショートパンツの上にエプロンを着けて、一瞬裸エプロンと錯覚させるとか」
モバP「裸で寝ていると思ったらベアトップを着ていて、絶妙に布団で隠していただけでしたー、といったトラップ的な見せ方は好きだな」
ちひろ「それが変な趣味じゃないと?」
雪美「……私たちの……プロデューサーは……多趣味(意味深)……」
-
1040
雪美「……」チョコン
モバP「……行きますよ」
雪美「……うん」
プシュー
モバP「このくらいの高さはどうだ?」
雪美「なかなか……」
雪美「……でも……もう少し……低くしたのも……感じてみたい……」
モバP「OK」
プシュー
モバP「あっ、これ以上は下がらないな」
モバP「では一回上げてみるか」
スコーッ
雪美「高くなった……。これもこれで……良いね……」キシッ
ちひろ「オフィスチェアのガスシリンダーって最初は楽しいですよね」
-
1041
モバP「テレビを見ているとよく思うことですが」
モバP「歌手のライブコンサートや美術館の何々展のコマーシャルってあるじゃないですか」
ちひろ「ありますね」
モバP「あれって前売りの段階から開催期間中まで、下手すると半年以上やっていますよね」
ちひろ「テレビ局主催や協賛だったりすると、同じチャンネルでしょっちゅう流れるでしょうね」
モバP「イベントごとは仕方ないんですが、もう行ったよ! と突っ込みたくなる時があります」
ちひろ「行ったんですか」
雪美「……デートで……」
ちひろ「デートかあ……そこは仕事とかを口実にしても良いんですよ?」
モバP「こういう所はソロで巡るのも悪いとは思いませんが、やっぱり誰かと一緒に行くと体験を共有出来てずっと残りますね」
モバP「子どもの頃は親に連れられて行く美術館は退屈に感じたんですが、それでも覚えているものです」
雪美「……サンドイッチが……いつまでも……忘れられないくらい……おいしかった……」
モバP「そうそう。併設カフェで鑑賞後の余韻に浸りながら食べるサンドイッチがまたたまらんのですよ」
ちひろ「展示品のことをまず最初に思い出してあげてくださいよ」
-
1042
モバP「アイドルといえば村を作ったり無人島開発をしたりするものですが」
雪美「……そうなの……?」
ちひろ「それが普通みたいに言ってはいけない」
モバP「実際、人生で一度くらいは無人島を買ってそこで暮らしてみたいものですよね」
ちひろ「あつまれどうぶつの森みたいなことをやりたいんですか?」
雪美「……あんな……無人島ライフ……できたら……楽しそう……」
モバP「あつ森は面白いんだが、ちょっと平和過ぎるから周りの海に浮上式防波堤とか作れると良いなあ」
ちひろ「それはもうシミュレーションとかタワーディフェンスの領分では」
雪美「……それもそれで……やってみたい……」
モバP「あとは海賊島みたいに岩礁に居住スペースを作って要塞化するのも憧れます」
ちひろ「実際にやると塩害が酷いことになりそうですね。それと水源をどうするのかとか」
七海「プロデューサー! 岩礁と言えばなんれすが、また磯釣りに行きませんか〜?」
モバP「良いねえ! 今度は沖磯キャンプをやりたいと思っていたところなんだよ」
ちひろ「まあ、プロデューサーさんに限っては岩礁でも磯でも普通に生きていけそうですね」
-
今日はここまで
蝶番こわれる
-
1043
雪美「……P」
モバP「おう」
雪美「P……私の目……しっかり……見てくれる……」
モバP「そうかな」
雪美「……ん」ドキドキ
モバP「意識してくれるなら嬉しいな」
モバP「人によって考え方や恥じらいもあるから、こうすべきと押しつけたりはしないが」
モバP「俺としては真面目な時ほどなるべく相手の目を見て話をしようと思っている」
雪美「……今は……真面目……?」 アア
雪美「でも……ずっとは……見ていられない……」
モバP「雪美の目だったらずっと見ていられる気がするよ」
雪美「……///」
モバP「というか目を見る癖をつけておかないと、相手の格好によっては太ももとか胸とかに視線が流れそうでな」
ちひろ「知らなくて良かった理由」
-
1044
モバP「やっほうペロ、元気そうだな」
ペロ「んぎゃ」パシッ
雪美「ハイタッチ……いいな……」
ちひろ「もうすっかり相棒みたいになって」
ちひろ「プロデューサーさんって普段はペロとどんな意思疎通をしているんですか?」
モバP「やだなあ、猫と意思疎通ができるなんてファンタジーじゃないんですから」
ちひろ「どの口で言う」
雪美「……私も……気になる……」
モバP「雪美はペロから聞いたりしないのか?」
雪美「……二人で……何をしているのか……私からは……聞かない……」
モバP「俺とペロに任せてくれているんだな」
モバP「でも、そうだな……人間の言葉いっぱい教えてニャ〜、とか言われてよく教えるぞ」
モバP「その言葉が会話の変なタイミングで挟まってくるのがツボに入ることがある」
ちひろ「それペロじゃなくてトロじゃないですかね」
-
1045
モバP「せっかく晴れてもこの時期は暑いな」
晴「そーだなー」
モバP「外を出歩く時は熱中症に気を付けような」
晴「大丈夫だぜ、帽子被ってるからな」
モバP「晴と言えばそのスナップバックキャップだよな」
晴「へぇ、これってそんな名前なんだな」
モバP「ああ。俺も以前はそいつをいくつか持っていた」
モバP「手持ち無沙汰な時はその手軽にサイズを調整できるアジャスターを、意味も無く留めたり外したりしていたなあ」
晴「へぇ、これってそんな名前なんだな」
モバP「そんな名前なんよ。俺も知らなかったので今ちょちょいと調べたんだがな」
晴「仕入れたての新鮮な知識か」
モバP「その後ろ向きに被って穴からちょっと前髪を垂らす感じ……晴がやると似合うよな」
晴「そんなことは別にねーよ……たぶん」
モバP「しかし、こういう時は屋内複合スポーツ施設で快適に汗をかきたいな」
-
モバP「晴は以前やった射撃以外にも、スカッシュ、ボルダリング、アスレチック、バブルサッカーとかも楽しめるはずだ」
晴「バブルサッカーって透明なボールの中に入って遊ぶやつか。ラウンドワンにあったな」
晴「でもどうせなら屋内フットサルがいいな。人数集めて……」
晴「あ、そういえば、最近はエアサッカーってのが流行ってるらしいぜ」
モバP「架空のボールを如何に格好良く蹴るか的な?」
晴「エアギターじゃねーよ」
モバP「知っているよ。エアホッケーみたいになるやつだろ? いろんなものがあるよなあ」
ライラ「ユキミさん、どんどん転がしますですよー」キラキラ
雪美「ん……」キラキラ
晴「おっ、ライラと雪美が何かすげー楽しそうにボール遊びしてる。あれは何だろ?」
モバP「ああ」
モバP「あのボールは俺がライラにプレゼントした物だが、今までの何より喜んでくれたな」
晴「えっ、ライラがそんなに喜ぶボールって何だ?」
モバP「あれはアイスクリームボールといって、転がして遊ぶと中でアイスが出来るんだ」
晴「なんか納得」
-
1046
モバP「……お待たせ」
雪美「……P……検査……終わった……?」
モバP「ああ。無事異常なしだ」
雪美「良かった……。……外で待つの……不安……」
モバP「病院のような空間って患者も勿論だがそれに付き添うだけの人も結構心細いんだよな」
モバP「“手術中”の医療表示灯とか無駄に怖さを煽るというか」
雪美「……でも……絵が……飾ってあって……良かった……」
モバP「ああ、ホスピタルアートだな」
モバP「無機質な病院にこれがあるだけで結構気が紛れたり癒されたりする」
雪美「……これとか……すき……」
モバP「おお……これは何と言うか、ホスピタルアートとしては異質な、シンセウェーブな絵だな」
雪美「……夕闇の……紫色に……道路と……ヤシの木……」
モバP「こっちはエッシャーのようなトリックアートか……まるで画廊だが、院長の趣味かな?」
雪美「静かなのに……にぎやか……ふふっ」
-
1047
愛海「プロデュンヌ」
モバP「誰がプロデュンヌだ」
愛海「女装して?」
モバP「嫌です」
愛海「ダメ?」
モバP「何で俺が女装せなあかんのや」
愛海「前にやった時、似合ってたじゃん」
モバP「あれは魔が差しただけだ。それに山登りを本格的に俺で代用しようと考え始めるのはやめろ」
雪美「……P……最初は拒む……。でも……着せてしまうと……ノリノリ……」
愛海「良いこと聞いた」
モバP「俺にも男の尊厳というものがあるんだ。絶対に女装なんて――」
――
モバP(女装)「さあ、矢でも鉄砲でも持って来なさいな」
愛海「ちょろい。でもガードは堅い……」
-
1048
モバP「女子の制服のスカートって大抵ソックスを履きますよね」
ちひろ「或いは黒ストッキングですか」
モバP「それはもはやアイドルの衣装でも見慣れたものです」
雪美「……」 ←見慣れさせた一人
モバP「で、そんな私のメモリーにもあまり無い、更にレアなのが制服×素足」
ちひろ「レア……と言われたらレアなんですかね?」
雪美「……すべすべの……長い足……堪能……できる……」
ちひろ「制服でなくてもスカート、特にミニスカートの下が素足ってだけで何か艶めかしいです」
モバP「それ以上に、開放的で若いなって感心するんですよね」
ちひろ「私も高校までは平気で素足になれましたけど、今はちょっと抵抗感が強いですね」
雪美「……Pも……足……きれいだから……素足に……なろう……?」
モバP「雪美に綺麗だと言われると悪い気はしないが、スカートは穿かないぞ?」
雪美「……」
モバP「ああ分かった、穿けば良いんでしょ?」 イヤ、ハクナヨ
-
1049
モバP「今日の雪美は……ぶほぁっ!」
ちひろ「突然卒倒するのはやめてもらいます?」
雪美「P……大丈夫……?」
モバP「おう、やっぱり雪美は元が良いから少し変則的な着こなしをさせると血圧を上げるなあ」
モバP「ということで、左右の長さが違うソックスです」
雪美「……」キラキラ
ちひろ「アシンメトリー、非対称のファッションは良いものですね」
雪美「……似合う……?」
モバP「ああ。片方が隠れている分、もう片方の肌の出方が引き立つな」
モバP「両方膝下の短めのソックスならそこにソックスガーターを付けてみるとより通のお洒落さんになれそうだ」
ちひろ「ソックスガーターって北欧の少年とかが着けているイメージが強いですけど、女性向けもあるんですよね」
雪美「……Pは……アシンメトリー……お気に入り……」
モバP「だなあ。ファンタジーの防具の肩当てとかも片方だけってのが何か好きなんだよな」
雪美「……私の……ガーターベルトも……?」 プロデューサーサン?
-
1050
モバP「最近食べないから忘れていたんだが、生のパイナップルを食べると舌が痺れてくるよな」
雪美「……うん……。本当は……毒がある……果物……?」
モバP「舌が痺れるのはブロメリンというたんぱく質分解酵素によるもので毒ではない」
モバP「これを利用したのが酢豚で、パインを入れることで肉を柔らかくするんだとか」
雪美「……良かった……毒じゃない……」
モバP「だが他の果物にはない特徴だな。生っている様はエキゾチックだし」
雪美「……パインは……黄色い……ドーナツ型や……扇型の……イメージ……」
モバP「芯を刳り貫いてカットするとそうなるんだよな。スイーツや缶詰とかの加工品に馴染むとそっちの方が当たり前になる」
杏「杏はさ、パインアメのあの形は芸術だと思うんだ」
モバP「いつの間にかスモモとかスイカとかいろんな種類が出ているが、パインがあっての形だよな」
ライラ「ライラさんは日本に住んで、パインそのままのアイスも好きになりましたですねー」
雪美「ただ……凍らせた……だけ……に見えて……おいしい……」 ハイー
菜々「ナナはにゃんたんのゲームブックでパインを食べるかバナナを食べるかで展開が変わったところが印象に残ってますね」
モバP・雪美・杏・ライラ「……??」 エッ? エッ?
-
今日はここまで
どようびどようび〜
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1051
テキパキテキパキ
モバP「これはこれでヨシ! と」
ちひろ「労災が起きそうな指差し確認すな」
ちひろ「今日は特にハイペースにお仕事をこなしていますけど、少し休憩でもしますか?」
モバP「いえ、この後はシンデレラステーションのディレクターさんと会って、それから蘭子と飛鳥の取材と収録に行って、更にトレーナーさんたちとレッスンの打ち合わせも(手帳を見ながら)」
雪美「……」ウットリ
モバP「ふう……」パタン
モバP「雪美」
雪美「……?」
モバP「構ってあげられなくてごめんな。せっかくソファーに座って待ってもらっているのに」
雪美「……うん。……邪魔したら……悪い時は……こっちに……いる」
モバP「代わりに後で時間を作るよ。それでは行ってきます――Bye」チュッ
雪美「投げキッスは……似合わない……」 ソンナー
ちひろ「仕事中の凛々しさが全部砕け散るプロデューサーさん」
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1052
こずえ「ぷろでゅーさー……おきろー……。こずえとあそぼー」
モバP「……んん……おう、こずえ」
モバP「ちょっと待って……システム起動に346秒くらい」
こずえ「……」ユサユサユサ
モバP「おおう待て待て、訓練されている俺だから良いが男の下腹部に跨ってそれは……うっ」
こずえ「つかれてるならげんきにしてあげるー……」ホワホワホワ
モバP「……こずえがやると何もかも元気(健全)になる気がするなあ」
モバP「逆充電ありがとう。さすがにこれ以上は過充電で暴発するかもしれないから起きるよ」
こずえ「ぷろでゅーさー……かでんせいひん……だったのー……?」 イキモノダヨ
モバP「しかし、こずえが最初だったが、最近は他の子も……主にヤングな子が仰向けに寝ている俺に割と平気で乗ってくるようになったな」
雪美「……」
モバP「横に座ってじっと顔を覗き込んでこられる方もいるが」
雪美「Pの寝顔……この方が……近くで……見ていられる……」
モバP「以前近すぎて黒髪のカーテンになったことがあったな」 ……///
-
1053
モバP「雪美さん」ガタッ
雪美「……?」
モバP「所用により少しの間だけ席を外す。机を守っておいてくれるか?」
雪美「……分かった……」
モバP「ありがとう」
バタバタバタ ガチャッ パタン
ちひろ「何用で勝手にどこかに行くんでしょうかね」
雪美「……どこかで……困ってる……誰かを……助けに……行ったのかも……」
ちひろ「授業を抜け出す在学中のヒーローじゃないんですから」
雪美「ベルトの……ボタン……押したら……変身……」
ちひろ「そんなことが出来たら光ちゃんが喜ぶことでしょうね」
雪美「……」キョロキョロ
雪美「……Pの机は……私が守る……」フンス
ちひろ「心配しなくてもそんな所を不法占拠する人はいないでしょう……あ、いました」
-
輝子「フヒ……Pがいない。表に出るなら今のうち」ノソノソ
乃々「やっと娑婆の空気が吸えるんですけど……」ノソノソ
ちひろ「おっかないこと言いますね」
まゆ「……あっ、プロデューサーさん、パソコンを付けっ放しで不用心ですねぇ」
雪美「Pの……個人情報……筒抜け……」
輝子「ちょっと見てしまおうか……?」
ちひろ「他の人の時にこういうの、勝手に覗いちゃダメですからね?」
乃々「プロデューサーさんなら良いんですか……」
雪美「……サイトに……おすすめ商品欄……出てる……」
ちひろ「検索や閲覧データを収集されていますね」
雪美「……ディッシャー……アイスクリームや……ポテトサラダを……丸く盛る……道具……」
輝子「スヌーピーのぬいぐるみ……集めてるのか?」
乃々「……花火セット……? 最近、ホームセンターでよく見かけますけど」
まゆ「そしてこれは……みかんの房の形の飴?」
ちひろ「そういうものなんでしょうけど、反応に困りますね。もっと性癖とか出るのかと」
-
1054
モバP「雪美のこの前の写真集はとても好評だったなぁ」
ちひろ「素敵でしたねえ。思わず手に取ってしまうような表紙も良くて」
雪美「……P……ちひろさん……ほめて……くれるの……? ……ありがとう……」
モバP「何だ雪美、嬉しそうじゃないかふふふふ」ナデナデ
雪美「……♪」ナデラレナデラレ
ちひろ「プロデューサーさんも自分のことのように嬉しそうですね」
モバP「はい。自分はもう実用分の他に保存用と観賞用と布教用と予備用で五冊も持っています」
ちひろ「それ、多すぎ。いつのオタク理論ですか」
モバP「ふっふっふ、これが数種類もある封入特典付きなら何十冊集めないといけないやら想像するだけで冷や汗が」
ちひろ「さらっと業界を皮肉る」
モバP「とにかく雪美、これは良いぞ? 改めて一緒に見てみないか?」
ちひろ「本人に布教するスタイルとは」
雪美「……でも……水着とかに……なったわけじゃ……ない……」
モバP「水着は水着の良さが確かにある。俺も見たいし」 ホンネカクセ
-
モバP「だがこの写真集のコンセプトは雪美さんを中心にしてポストカードみたいなお洒落な一枚を集める、だからな」
モバP「特に気に入っているのはこの写真だ」
雪美「……!」
ちひろ「見切れているのに可愛いですね」
モバP「窓から顔の上半分を覗かせて、外を見つめる雪美さん……」
雪美「……ふふっ……自分で見ても……ちょっと……面白い……」
モバP「ちょっとしたストーリーを読み取れて、優しい気持ちにさせてくれるんですね」
――
パタッ
モバP「……最後のページを閉じた後、満足感と名残惜しさが絶妙なブレンドで来るんだよなあ」
ちひろ「もっと見たい感じですか?」
モバP「はい。続きが欲しくなりますね」
モバP「また、こういう感動をしている時って、何か全く違うジャンルの物を見て、中和というか一旦落ち着きたくなるのもあります」
雪美「……箸休め……みたい……ね」
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1055
ジリリリリリ
モバP「うっ、朝か……今日も仕事だ」
モバP「朝ご飯を食べて」モグモグ
モバP「身支度をして」キュッ
モバP「誰もいない家に、行ってきます、と」ガチャッ
モバP「………………」
モバP「何か、誰もいないや。寂しいな」
モバP「世界ってこんなに空虚で、好きな人を誰も思い出せないものだっただろうか」
ニャア
モバP「おや、黒猫だ。……えらく人懐こいな。よしよし」ナデナデ
??「あなた……猫と……仲良し……」
モバP「? フリルのある黒いロングワンピース……君は……あっ!」
モバP「――知っている。長い黒髪ぱっつんに赤い目、少し寡黙で、でも意外と情熱的で、ロリータ系の服がよく似合っていて、猫を飼っていて……この子の名前はペロだ!」
雪美「……P……おはよう……」ニコ オハヨウユキミ
-
1056
テレビ<センテ サンヨンフ
モバP・雪美「……」
ちひろ「将棋中継を一緒に真剣に見ているプロデューサーと小学生アイドルという絵面」
モバP「将棋、最近は若手ホープの台頭で盛り上がってきていますよ」
モバP「それに、テレビでは以前は無かったシステムが出てきて結構目を惹きますし」
ちひろ「システムですか」
モバP「はい。すっかりお馴染みになりつつある、AI勝率表示のことです」
ちひろ「画面上にどちらが優勢か、パーセントで出てくるものですね」
雪美「綱引き……みたい……」
モバP「レーティングのようなグラフをワイプで出すより、分かりやすくて良いなと思います」
ちひろ「こういう評価って何でもやがてAIがやってくれるようになるんですかね」
雪美「……それはそれで……心配……」
モバP「でも人間はたまにAIの予想を超えることをするからな。そこガ面白イ……あッ雪美サン、ちょっト頭のねじヲ締めテくれナイか?」 ワカッタ……
ちひろ「プロデューサーさんは何なんですかね」
-
1057
モバP「雪美さん」
雪美「……?」
モバP「少し前髪を弄ってみても良いか」
雪美「……」
モバP「大したことはしない。ただヘアピンを付けてみるだけだ」
――
モバP「おお、なかなか新鮮な髪型の雪美さんだ」
雪美「……」キラキラ
ちひろ「前髪が落ちて来ないようにヘアピンを留める子、いますよね」
モバP「山風とか遠藤サヤがそうですね。あのくらい髪色に対して色が濃いとヘアピンの主張が強くなりますが、インパクトは出ます」
雪美「前髪……もっと長かったら……いつも……付けるかも……」
モバP「鏡とか見て自分で確認してみたりしないで良いのか?」
雪美「大丈夫……。Pの瞳が……鏡代わり……」
ちひろ「普段からよく見つめ合ってるのってそういう意味も……」
-
今日はここまで
愛憎の箱舟
-
1058
モバP「雪美」
雪美「……なに……?」
モバP「俺、雪美のことが昔から……雪美のことが好きだったんだよ!」
雪美「……!」
雪美「……私も……前から……あなたのことが……」
モバP「えっ、雪美も? 実は両想いだったってことか……」
モバP「これまで告白する勇気が出なかったが、それならもっと早く告白しておけば良かった」
雪美「……時間……かかった分……いっぱい……繋がろう……」ギシッ
モバP「あっ、雪美さん……いきなりそこは……いけませんわ……」ピクンッ
ちひろ「もしもし早苗さんですか」
モバP「というご都合主義的な展開、たまに見ますが嫌いじゃないです」
雪美「……むしろ……羨ましいくらい……理想……?」
モバP「成就しない恋はいくらでもありそうだからな。だが何かに恋をしている時というのは、モチベーションが上がるものだ」
ちひろ「私のモチベーションもたまには気遣ってくださいよ」
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1059
モバP「今日も良い天気だなあ」
雪美「……雨……降らない……」
モバP「水不足にならないか少し心配だな」
モバP「梅雨入りが思ったよりは遅かったし、雨も思ったより降らないし、手応えがないというか」
ちひろ「局地的には降っていますけどね」
モバP「それでも長雨というよりはスコールのような雨が多い気がします」
ちひろ「日本も熱帯気候になってきているんでしょうかねえ」
モバP「それでも本格的な夏と違って、まだ明け方なんかは涼しくて良いですが」
チリリリン
雪美「……風鈴……いい音……」
モバP「てるてる坊主ならともかくまだ風鈴を吊るすのは時期的に早い気がしなくもないな」
ちひろ「風鈴の音色って聞いていると不思議と感傷的になりますよね」
雪美「……うん……。少し……切なく……なる……」
モバP「お盆とかそういうイベントの演出に使われることが多いからかなあ」
-
1060
志希「はぁ……はぁ……」
カツン カツン
モバP「どうした、早く逃げろよ」
志希「……」ゴクリ
モバP「……」
ドンッ!
志希「!」ビクッ
モバP「――志希」
モバP「捕まえた」ポン
志希「っ!」ゾクゾクッ
モバP「あっ、すまん。ちょっとやりすぎたかな」
志希「……! あー」
志希「んーん。こんなタイプの興奮をしたのは久しぶりだよー」
モバP「志希との鬼ごっこ、楽しかったよ」
-
志希「キミ、真面目で柔らかくて優しいように見えて、サイコにもなりきれるんだねー」
モバP「容赦をしない鬼ごっこがやりたいと言ったのは志希だからな」
モバP「だから情けはかけずねっとりじわじわ追い詰めるプレイを」スッ
志希「あっ、ありがと」ギュッ
志希「よっと」
ニギニギ
モバP「……志希?」
志希「立ち上がるのに手を貸してくれたの、あたし的にポイント高かったよ」
モバP「そうか」
志希「ついでに匂いもいただいちゃおうかな〜♪」バフッ ハスハス
モバP「おい、やりたい放題だな」
志希「むっ……キミ、少し体に異常の兆候があるね」スンスン
モバP「ご主人の潜在的な病気を匂いで探知してくれる犬の嗅覚か」
志希「どーかなー? とりあえずあたしのラボに検査入院してもらおっかー」 マジ?
雪美(ナース服)「……今なら……三食……おやつ付き……」 ナヤムワー
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1061
モバP「おはようございます、雪美さん」
雪美「! ……P……今日は……雰囲気……違う……」
モバP「そうですか?」
クラリス「これはプロデューサー様の贖罪ですわ」
雪美「……?」
モバP「私は昨日、クラリスさんと楓さん同席で喫茶店でコーヒーブレイクをしていたのですが」
モバP「隣に座っていた楓さんが突然渾身のダジャレを思いついて耳打ちしてきたものですから」
雪美「……あっ」
モバP「飲んでいたものを正面に座っていたクラリスさんの顔に思いきり吹いてしまいました」
モバP「神よ、今一度懺悔します。自らへの罰として今日一日クラリスさんモードで生活します」
クラリス「主は貴方をきっとお許しくださるでしょう」
雪美「……だから……今、糸目……なの……? ……違和感……ない……」
モバP「あの……クラリスさんは、もう怒っていませんか?」
クラリス「最初から怒っていませんよ?」
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1062
サッサッサー
比奈「こんなもんっスね。はい」
モバP「比奈は本当に絵が安定しているなあ」
比奈「再現性がなくてコマごとに顔が変わってたらダメっスからね」
モバP「歌って踊れて絵も描けて、ワープロも出来る、レスリングも」
比奈「レスリングはしたことないっス」
モバP「動画を見ていると上手な自作立ち絵とか差し込む人が時々いるが、そういう多才さには正直嫉妬する」
比奈「……私にも嫉妬、するんスか?」
モバP「ああ。俺は別に本格的に絵を描いているわけでもないのに、嫉妬しちゃうのよ」
比奈「えへへ……そうっスかぁ……。私は私でプロデューサーに結構嫉妬してるんスけど」
モバP「俺に? まあ俺は天才だからな。当然よね」
比奈「周りに嫉妬する割には自信家っスよねえ」
モバP「いくら恵まれていても上には上がいたり、隣の芝生は青く見える。人の欲は尽きないな」
雪美「……絵が上手い人……多い……」 ツイッタートカミテルトナ
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1063
モバP「田園風景が広がる道を通ると停まっていたりするトラクター」
雪美「時々……道路も……走ってる……」
モバP「車がそんなに多くない田舎道とかにな」
ちひろ「長閑な光景と言えるんでしょうかね」
モバP「そんなトラクター、タイヤをよく見るとフレンチクルーラーに見えてきません?」
ちひろ「腹ペコキャラか」
法子「プロデューサー、素質あるよ」
モバP「えっ、そうかなあ」テレテレ
ちひろ「そこ照れる所ですか」
雪美「でも……タイヤで……あの形は……何のため……?」
モバP「ああいうハイラグタイヤは土の上とか、悪路を走るのに適している形なんだってな」
法子「あんな大きさのドーナツ、頑張っていつか食べられるようになりたいな!」
モバP「俺もだよ法子くん。それが可能になるくらいビッグになろうじゃないか」
ちひろ「どこか間違ってるような感じのハングリー精神ですね」
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1064
菜々「夏だ! 海だ! ○○だ! って今でもよく使いますよね」
モバP「主にアニメの水着回のサブタイトルを連想します」
菜々「水着回、良いですよね。見ると泳ぎに行きたくなっちゃいます」
モバP「そうですね。もうそんなフレーズが頭を過ぎる季節ですか……」
雪美「海も良いけど……プールも……良い……」
モバP「まあな。海は冷たくて気持ち良いんだが、結構べたつくからなあ」
モバP「それと俺だけ何故かやたらとクラゲに刺されるし」
雪美「……クラゲに……好かれてるのかも……」
菜々「そういえば雪美ちゃん、今って学校ではもうプール開きが済んでいる頃ですよね?」
雪美「うん……授業も……ある……」
菜々「入る前にはやっぱり腰洗い槽に浸かって……」
雪美「……?」
モバP「腰洗い槽、20年前から撤廃が始まって今は素通りか、シャワーしかない学校もあるとかないとか」
菜々「えっ」ガーン
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1065
パクッ
ライラ「んんん……幸せですねー」
ライラ「さすがは魔法使いのスーパーカップでございます」
モバP「魔法使いのアイスって発想は好きだが、一応mageじゃなくてmeijiだからな」
モバP「うむ、こうやってのんびりライラとアイスを食べる時間、良いな」
雪美「うん……」
ライラ「プロデューサー殿とユキミさんはスーパーカップ、どんな味が好みでございますか?」
モバP「む? そうだな……クッキーバニラ、ですかね」
雪美「……イチゴショートケーキ……」
モバP「あれも好きだが、ちょっとお高いスイーツシリーズまで入れるといつものが不利になる」
雪美「確かに……一理ある……」
ライラ「ライラさんはですね……あっ、端が溶けてきていますので待ってくださいです」パクパク
モバP「ライラはカップアイスを周りから食べて行くタイプなんだな」ホッコリ
ちひろ「夏はアイスのように、楽しい時間もあっという間に溶けて行くものですね」
-
今日はここまで
おねむガラガラ
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1066
七海「〜♪」
ちひろ「あら、七海ちゃんは上機嫌といった感じですね」
七海「プロデューサーと海に行って来たのれすよ〜」
モバP「お仕事が海際のロケだったので空いた時間で」
雪美「……泳いで……きた……?」
モバP「海開きの7月だが、泳ぐのに適温になるのはもう少し後かな。その分、今は人が少なくて良いのかもしれないが」
モバP「それにしても七海のキス、美味しかったなあ。柔らかくて」
雪美「……!」ピクッ
七海「キスはちょろいのれす♪」
七海「……あ、違いますよ? 釣った鱚を天ぷらにして食べたのれすよ」
ちひろ「古典的も古典的なミスリードですね」
雪美「……私も……Pの……柔らかい……キス……欲しい……」
モバP「……雪美、ちょっと別室に行くぞ」グイッ キャー……
七海「このあと滅茶苦茶……って何のキスを貪る気れすか!」
-
1067
パキッ ポリッポリッ
モバP「いやあ、やっぱり水でしっかり冷やしたキュウリをそのまま齧るのは良いな」
雪美「……トマトも……そのままでも……おいしい……」
ちひろ「ワイルドですね」
モバP「テレビで誰かが夏野菜をそのまま齧っているのを見ると真似したくなるのです」
ちひろ「キュウリは浅漬けか、甘めの酢の物にでもした方が美味しく食べられると思いますけど」
雪美「これ……庭の……もぎたて……。ちひろさんも……ぜひ……」
ちひろ「346プロってキュウリやトマトを栽培しているんですね……あとでいただきます」
雪美「大きい……オクラも……生る……」
ちひろ「ここの土地ってそんなに肥沃なんですかね?」
モバP「そりゃもう。346プロ緑化計画は順調に進行中です」
ちひろ「数年後、ビルがバーティカルフォレストになってたらどうしよう……」
モバP「それはそうと雪美、最近はトマトをよく食べるな」
雪美「今は……酸っぱいものが……食べたいから……」 マサカ……オメデタ……!? タイホデスネコレハ
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1068
モバP「夏、甘味処の座敷で食べたくなるちょっとした冷たい和菓子ってあるよな」
雪美「……あんみつ……」
モバP「そう餡蜜……響きからもう甘いですって感じに誘われる」
ちひろ「冷やしぜんざいやかき氷も良いですけどねえ」
雪美「かき氷……パフェみたいに……トッピング……見たことある……」
モバP「昔のようにただシロップをかけるだけじゃ若い子のハートは掴めないのかもな」
ちひろ「シロップをかけるだけじゃないと言えば練乳をかけた宇治金時」
雪美「抹茶シロップ……あんこに……白玉……練乳まで……」
モバP「他より渋いように見えて一段豪華という」
モバP「練乳を初めて食べた時は衝撃だったな、キャラメルくらい濃ゆい甘さで」
ちひろ「ただ融通が利かないんですよね。チューブ練乳とか買うと持て余します」
雪美「……かき氷……以外は……イチゴに……かける……くらい……」
モバP「ただイチゴも最近の改良が進んだ物だと練乳をかけなくても美味しいからな」
雪美「……その点……Pは……チューブから……そのまま、食べる……から……大丈夫……ね」
-
モバP「おいおい、練乳だろうとマヨネーズだろうとチューブ直飲みはさすがにしないって」
ちひろ「一度はしたことがありそう」
モバP「さて、抹茶かき氷にパフェと言えば、緑基調の抹茶パフェなんかも甘味処で出ても違和感がないですね」
雪美「抹茶パフェ……そっちも……良い……」
ちひろ「抹茶アイスが盛られていたり、完全な和の甘味ではないですけど私は好きですね」
モバP「ファミレスに行ってメニューを開くと、パフェは大体3種類あるイメージです」
モバP「一つはイチゴ、一つはチョコバナナ或いはマンゴー、一つは宇治抹茶」
ちひろ「スイーツの味のバリエーションを赤・黄・緑に分けると大体緑って抹茶風味になりがちですね」
モバP「マスカットやメロンにすると高いからでしょうか。キウイはちょっとマイナーですし」
雪美「……あっ……このみつまめ……フルーツ大福……わらびもちも……おいしそう……」
モバP「どれどれ? ……本当だ。でも俺はこっちが良いかな」
ちひろ「夏柑糖ですか。こういう中身をくりぬいて皮を器に使うのって何か良いですよね」
雪美「……食べてみたい……ね」
モバP「ああ。食べたことがない物を人に贈るのって何か変な気がするからな」
ちひろ「……ところで何故私たちは中元ギフトカタログを見ているんでしたっけ?」
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1069
モバP「所属アイドルにドラマの出演依頼が来たら嬉しいものだ」
雪美「……Pも……嬉しい……?」
モバP「ああ。それだけ知名度が上がって、期待もされているんだなと分かるからな」
モバP「しかしそれがもし、『雪美に』『悪役の』オファーだったら……?」
ちひろ「来るんですかねそれ」
雪美「……悪役……難しそう……」
モバP「興味自体はある?」
雪美「……今は……何でも……やってみたい……」
モバP「今何でもするって」
ちひろ「何させる気ですか」
雪美「……///」
ちひろ「何させられると思ったんですか」
モバP「演技の幅を広げるのに様々な立場の役をやってみるのは良いと思う」
モバP「万能にはなれなくても、自分に合うもの合わないものが分かるだけで違ってくる」
-
ちひろ「ただ、それを大手のドラマで試験させてもらえる機会なんて、そう都合良く貰えないものです」
モバP「それにたった一度の出演でも、今後の雪美の役者としてのイメージを決定づけてしまいかねませんし」
ちひろ「失敗しても簡単に黒歴史になんか出来ませんからねえ」
雪美「……もしかして……二人とも……経験者……?」
モバP「いんや。ただエキストラくらいは以前から何度か。何だったら現在でも撮影中に欠員が出た時は急遽入る」
ちひろ「この前、美優さん出演のドラマにプロデューサーさんが映ってたのはそれか」
雪美「……P……芸達者……ね」
モバP「それほどでも。あとは悪役以上に損な役として、死体役もやったことがあるが、あれも大変でね」
モバP「瞬きをしたり呼吸で胸を膨らませたり出来ないのがきつい」
ちひろ「例えば十何秒とかでも、微動だにせず目を開けっ放しに出来たら結構な技能ですよね」
雪美「……小梅……死体ごっこ……上手い……」
ちひろ「でも小中学生に死体役させるのはテレビじゃ放送できないでしょうね」
モバP「特撮とかの悪堕ちを想定して際どい衣装を着る練習くらいだったらここでも出来るんですがね」
モバP「ということで雪美さん、このハイレグのボディスーツとロングパンツの組み合わせなんていかがです?」 ……カッコイイ
ちひろ「着させませんよ? ……しかし悪コスって何でこうタイトなのが多いんでしょうかね?」
-
1070
モバP「収集車を見かける度に思うが、ゴミ収集の作業員って大変そうだよなあ」
雪美「……うん」
モバP「いろんな所を回って家庭ごみを放り込んでプレスするわけだが、そこでもしゴミ袋が破裂したらと思うとさ」
雪美「……」
モバP「……」
雪美「……ばん!」
モバP「ひゅい!?」
雪美「……ふふっ」
ちひろ「河童のような悲鳴ですねプロデューサーさん」
モバP「で、可能性としては爆発物なんて入れる輩がいないとも限らないわけで」
ちひろ「さすがにそんなことを考えていたら作業員も仕事にならないでしょう」
ちひろ「それよりはステップ乗車の方が危ないですね。振り落とされたら怪我します」
モバP「戦後の買いだし列車のように外に掴まって立ち乗りするアレですね」
雪美「……曲芸……みたいな乗り方……気持ち良さそう……」 チョットソウオモウヨナ
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1071
モバP「今日の夕食はチャチャッと俺が作るわ」
雪美「ラーメンでも……作るの……?」
モバP「小麦粉製の何かが入るスープなのは当たっているかな」
――
モバP「というわけで、野菜とマカロニのコンソメスープです」
雪美「……!」
雪美「……これは……アルファベットの……マカロニ……」
モバP「学校給食でこれが入っているものはABCスープ、なんて呼ばれたりもするな」
雪美「……給食……以外で……見たの……初めて……」
モバP「なかなか一般流通しているとは言い難いからな」
雪美「……ん……。……おいしい」
モバP「よし、次回はミネストローネにも入れるとするか」
雪美「……ふふ……“P”……見つけた……♪」
モバP「じゃあ、俺もYUKIMIを探しながら食べるとするかな」
-
1072
モバP・法子「……」
雪美「……」
パクッ
雪美「……おいしい……」
法子「良かった! 雪美ちゃんのお墨付きは権威があるからねっ」
モバP「そんなことを俺は聞いたことがないぞ。まあ、ありそうだがな」
雪美「……あまり……ドーナツ……し過ぎてない……ね」
法子「あたしも最初はエンゼルクリームに似ているなって思ったこれ、マラサダって言うんだよ♪」
モバP「ハワイ名物のドーナツだってな。ブームになるまであまり聞いたことがなかった」
雪美「少し……飲み物が……欲しくなる……」チュー
雪美「……おお……こっちは……牛乳が……イチゴ味に……」
モバP「それはマラサダのついでに買って来たクイックミルクストロベリーフレーバーだな」
モバP「ミルメークと違って、ストローを通った分だけ味が変わる」
法子「これ、時子さんにも持って行ってあげよっ!」 トキコノカオガメニウカブ
-
今日はここまで
こんな夜更けにクラムチャウダーかよ
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1073
モバP「七夕が終わりましたね」
ちひろ「七夕いつも終わってんな」
モバP「気づいたら終わっているんですよね、七夕って」
ちひろ「同日は瑛梨華ちゃんとあずきちゃんの誕生日でもありますからね」
モバP「何か他のことに気を取られて七夕そのものはそんなに印象に残らずに過ぎて行くイベントという感じですねえ」
ちひろ「でも今年も短冊とか書いて飾ったじゃないですか」
モバP「描きましたね」
雪美「たくさん……描いた……」
ちひろ「ああ、今年は願い事を字ではなく絵で描いて表すなんて、お二人は本当にやることが自由ですよ」
モバP「そんなこともありましたね」
モバP「でも他には七夕ゼリーを作ってみんなで食べたくらいしかないですし」
雪美「マリンブルーの……ゼリー……、見た目も味も……清涼感……」
モバP「でも年一で学校給食で出てきたあの七夕ゼリーの美味さには敵わんのよなー」
ちひろ「充分楽しんでいるじゃないですか。織姫と彦星はそっちのけだとしても」
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1074
雪美「……」チョコン
モバP「……」
雪美「……P」
モバP「ん?」
雪美「……元気……ない……?」
モバP「…………あー、いつも通りにしているようでも座り心地の微妙な変化で分かるかー」
ちひろ「膝上の座り心地って変わるんですかね?」
雪美「……疲れて……しまった……の……?」
モバP「やる気の高低を0から100までで表して平常値を50とすると最近は20の辺りで上下している感じだな」
ちひろ「平常時が随分高いんですね」
モバP「最近、例えるなら、見逃したくない放送が以前は30分だったのが3時間に拡大して、視聴を切るか他の時間を削らなきゃいけないジレンマに陥っているという感じです」
雪美「それは……私も……悩む……」
モバP「圧縮してどうにか一日のタイムスケジュールに収めているんですが、何か時間に追われているようで……どうして一日って34.6時間じゃないんでしょうね?」
ちひろ「例えが事実としてあと8時間近くは何に使うと言うんですか」
-
1075
パクッ
かな子「……どうです?」
モバP「ん……これは……美味いな」
雪美「……♪」モクモク
かな子「いつもよりヘルシーにと、シンプルなカップケーキにしてみたんですけど」
モバP「ペロリと平らげられてちょうど良いな。甘さも控えめで優しい」
雪美「……ママの……味……」
かな子「えっ」
モバP「母が自分のためにと焼いてくれたケーキの味は何物にも代え難いが」
雪美「そんな……味がする……」
かな子「///」ポッ
モバP「かな子のケーキは売り物では味わえない愛情と温かみがある」
かな子「えへへ……嬉しいなあ」
かな子「嬉しいから……私も食べようっと。いただきます」
-
パクッ
かな子「……うん、うん」
かな子「やっぱり褒めてもらったケーキは特別おいしく感じちゃいます」
モバP「かな子は作る側も食べる側も両方やれるから強いよな」
雪美「とても……おいしそうに……食べる……」
かな子「ほうれふか?」
雪美「……うん……素敵……」
モバP「今は夏バテで食欲がないって人も出てくる季節だが」
モバP「そういう時に見ているだけでも元気を貰えるのがかな子の食べっぷりかも」
かな子「ん……それでもちょっと、食べ過ぎが気になるんですよ」
モバP「だからいつもよりヘルシーに、か」
モバP「もし、のっぴきならない状況に追い込まれたと思ったら過酷なダイエットもやるのか?」
かな子「う〜ん、考えたくはないですけど、何か口に入れさえできるなら……」
雪美「……干し椎茸……口に含んで……ぺっ……するとか……」
かな子「ボクサーの減量みたいなことはさすがにしないよ?」
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1076
モバP「古くからあるお寺なんかに行ったり映像を見たりすると、長い木造の廊下が目に入りますよね?」
モバP「すると美しいとか趣があるとか思う前に、ここを雑巾がけしたらさぞ清々しいだろうなと思う自分は変でしょうか?」
ちひろ「プロデューサーさんだけではないと思いますよ?」
ちひろ「しかし雑巾がけってまた懐かしいですね」
雪美「学校では……やるのに……家では……フローリング……ワイパー……」
モバP「そうそう。学校を卒業すると床の雑巾がけをする場面にほとんど出くわすことがない」
ちひろ「床を吹くくらいならあるんですけど、日常であの姿勢で疾走することはないですね」
モバP「現役の雪美は学校では雑巾がけ、速い方か?」
雪美「……普通……。……箒……モップ……の方が……みんなに……人気……」
モバP「ああ、そうだ。そういうのが教室の後ろ端のロッカーに入っているんだよな」
モバP「小学生に戻って雪美と雑巾がけで競争してみたいなあ」
雪美「……Pには……負けない……」メラッ
モバP「それとついでに雪美と二人でロッカーに隠れてみたい」 ……ナニ……スルキ……?
ちひろ「そういうシチュエーション、実際やると掃除用具の臭いがきつそう」
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1077
モバP「何か、7月前半は大雨というのが毎年のようになってきましたね」
ちひろ「本当ですね」
ちひろ「かと言って梅雨が短い年は酷暑になりますし、それもそれで辛いですけども」
モバP「2018年でしたっけ、とてつもなく暑い日が何日も続いたのは」
ちひろ「あの時は早く7月8月が過ぎ去ってほしいと思いましたね」
モバP「今年は7月に入っている割には暑さに関してはマシですが」
モバP「それも梅雨が明けて深夜の最低気温が25℃を下回らなくなってくるといよいよ終わりの見えない忍耐の日々の始まりです」
雪美「……逃げ場が……ない……」
ちひろ「熱帯夜ですね。何日も続けば熱は溜まりますし体感温度は30℃以上だったり」
雪美「……大切なものまで……溶け出しそう……」
モバP「羞恥心とかな」
ちひろ「羞恥心が溶け出すとどうなるんです?」
モバP「自宅にアイドルが来ていてもお構いなしに裸族化します。愛梨みたいに」
ちひろ「至急クーラーを入れてください」
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1078
モバP「この時期に着るものではあまりないが、ふと雪美に似合うと思ったカジュアルな服がある」
雪美「……?」
モバP「パーカーだな。それも前開きのジップパーカーではなく、被るタイプの」
ちひろ「冬場の服という感じですね」
モバP「更にお腹の部分にカンガルーポケットが付いていたら……」
雪美「……カンガルー……ポケット……?」
モバP「実際のカンガルーのポケットと違って、こう左右から手を入れられるポケットだな」
モバP「これに両手を突っ込んで路地裏の壁に寄りかかって誰かを待っている雪美さん――」
雪美「……ちょっとダークな……かっこよさ……」
ちひろ「トンネルのように貫通しているポケットって案外他にないですよねえ」
雪美「……でも……夏なら……水着の上に、着る……薄いパーカーも……好き……」
モバP「それは同意だがそこはほら、俺が露骨に言うと変態みたいになっちゃうからな」
モバP「海が近い所に泊まって水着に軽くパーカーを羽織っただけの格好で街を出歩く若い女の子なんて夏の開放感全開でたまんねえなと思うがこれは誰にも言うつもりはない」
ちひろ「ばっちし言ってますけども」
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1079
モバP「雪美の長い髪」ナデナデ
雪美「Pの……長くない髪……」ヨシヨシ
モバP・雪美「……いい……」
ちひろ「まーたイチャついてやがりますよ」
モバP「髪はボサボサでも撫で応えがあって良いし、フワフワでボリュームがあるものも良いが」
モバP「やっぱりこう、サラサラな雪美の髪は手触りが優しい」
雪美「……もっと……♪」
モバP「……でも、いつかボブにした雪美さんも見てみたい。収まりが良さそう」
雪美「Pも……もっと短くしても……良いかも……」
モバP「今より短く、って坊主寄りの短髪くらいか……」
ちひろ「お二人が親になった時は、それまでは髪を伸ばしてきたとしても短くするかもしれませんね」
ちひろ「私なんかはこのサイド編み込みを除くと最初から結構短めに見られる方ですけど」
モバP「……そこはちょっと髪を解いた差分などたまに入れてみては?」
ちひろ「嫌です。誰? とか言われそうですし」 イイマセンヨ
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1080
モバP「雪美の今日のお仕事は刺激が強くて参ったよ」
雪美「……?」
モバP「上は体育ジャージで下は制服スカートの場面があっただろう」
雪美「……うん。……小学校では……しない格好……」
モバP「そうだな。スポーツ部活動の女子マネとかが着る」
モバP「あの制服特有のプリーツスカートがジャージと妙にマッチするんだよな」
雪美「……不思議な……組み合わせ……」
モバP「俺にはどうしてマネージャーの雪美に“先輩、頑張ってください!”ってドリンクを渡される青春が無かったのか」
ちひろ「難易度高いですね……ジャージコーデはちょっとしたアンバランス感が良いですよね」
ちひろ「特に雪美ちゃんみたいなお嬢様系のルックスの子が着ていると目を惹きます」
モバP「スカートの下にジャージを履く埴輪ルックだとこれが一転、何だか芋な感じが出てしまうんですがね」
ちひろ「プロデューサーさんは単に生の腿、膝、脛とかを見たいだけなような」
雪美「芋ジャージ……結構……カラフルで……好き……」
モバP「でもこういう時の色って大抵臙脂を着させられるイメージ」
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今日はここまで
サラダマリネベーグル
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1081
モバP「……」カチャカチャカチャ
雪美「……P……待ち時間でも……お仕事……?」
モバP「事務所の外でも少し間がある時にやりたくなるんだよ」
雪美「……やらなくても……良い時に……?」
モバP「そう。気分的にやりたいからやる」
雪美「……気分……」
モバP「ビジネスバッグにノートパソコンを入れて持ち歩くことって少し憧れない?」
雪美「……私には……まだ……大きい……」
モバP「あ、まずそこか」
モバP「それにこういう場でやるのは正直見せびらかしの意識があるのかもしれないな」
雪美「……でも……Pだから……かっこよく……見える……」
モバP「雪美さんに格好良いと言われると自信になるよ」
雪美「……私も……となりで……手伝ったら……かっこよく……見える……?」
モバP「格好良いというよりはイチャイチャしているように見えると思うぞ」
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1082
雪美「……こんにちは……」
モバP「……」モサッ
雪美「……さようなら……」
モバP「待ってくれ」
雪美「……P……いつの間に……おひげ……伸びた……?」
モバP「寝ている間に一気に」
雪美「……また……投薬実験……された……?」
モバP「冗談ですよ? これは付け髭です」
雪美「……良かった……少しだけ……知らない人に……見えた……」
モバP「反応を見たくて付け髭をしてみたとはいえ驚かせてごめんな」
モバP「髭を蓄えると人相なんて一変するから男ってのは怖い」
雪美「……もさもさ……ね」サワサワ
モバP「たまに無精髭のチクチク感が好きという人もいるが、雪美はこっち派か」 ……ウン
ちひろ「スポーツ選手みたいに験担ぎで本当に伸ばしたりはしないんですか?」 シマセンネ
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1083
モバP「夏だね」
雪美「……うん」
モバP「雪美さんが薄着の私服姿を見せてくれる待望の季節だ」
雪美「……今日も……」
モバP「そんな格好で居られると気になってしまうな」
モバP「ノースリーブのブラウスにキュロットスカートときたか」
雪美「……」キラキラ
モバP「それを見せてくれるだけでなく、膝の上に乗って直に触れさせてくれるなんてな」
雪美「……いい……感じ……?」
モバP「ああ。デフォルトに無い雪美の姿を隅々まで味わえる」
ちひろ「……相手は女子小学生ですからね?」
モバP「またまた〜、こんな美人さんがそうそう小学生4年生であろうはずがございません」
ちひろ「疑う余地もないと思うんですけど」
雪美「……実は……20歳……だったり……するかも……?」
-
ちひろ「もし雪美ちゃんが20歳だったとしたら私は一体何歳に見られてしまうことやら」
モバP「でも実際、雪美の年頃の小学生って、主に当時の男子目線で言いますと」
モバP「もっと欲望に正直で腕白盛りな奴ばかりだったと思うんですよね」
雪美「……そう……?」
モバP「今の子は全体的に大人びてきているようにも見えますが」
モバP「雪美くらい落ち着きのある輝きを放っている人物となるとそうはいません」
ちひろ「どうも宝石に使うような表現ですね」
雪美「……私……そんなに……落ち着いて……いる……?」
モバP「現にその服で俺の膝の上に座るような大胆さを持ち合わせていながら」
モバP「それをぎこちなく感じさせない所が小学生のレベルを超えたクールさを感じる」
雪美「……これは……Pにも……たくさん……おしゃれを……楽しんで、もらいたい……から……」
モバP「なるほどな。自宅では私服でご一緒することもあるが、仕事時は原則スーツだからな」
モバP「ここで雪美と一緒になることで服も一緒に着ている気分になってもらえればという粋な計らいなのか」
雪美「……うん……。もっと……いっしょに……着よう……」
モバP「……何か不覚にも興奮してきた」 ジチョウシナサイ
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1084
モバP「クーラーの利いている空間は実に快適だねえ」
雪美「……中と外で……境目が……できる……」
モバP「外に出て行く時のあのもわっとした暖気に包まれる感じがな」
雪美「……思わず……振り返って……戻りそうに……なる……」
モバP「なるだけなら良いが、実際Uターンして帰ってくる人もいる」
ちひろ「しかもその間、何事もなかったかのように真顔」
モバP「勇ましく出陣していったのにすぐ退却してくるのは恥ずかしいですからね」
雪美「……暑いなら……仕方ない……」
ちひろ「最近はそんな外でも作業をしやすいような空調服とかあるんですってね」
モバP「両脇腹の部分とかに扇風機、もといファンが付いているんですよね」
雪美「……あれ……涼しいのか……気になる……」
モバP「デザインとしては近代的で好きだが、作業でないならハンディファンを持ち歩くくらいで充分な気はするな」
ちひろ「本当に暑い時って扇風機は意味がないですからねえ」
モバP「気化熱がどうこう以前の猛暑日昼間とかになると……想像するだけでおお、もう……」
-
雪美「……夏は……始まったばかり……」
ちひろ「そうですね」
モバP「任天堂の楽しみも始まったばかり」
ちひろ「何ですかそれは」
モバP「言葉の連想ですね。Anti Piracy Screenというスーパーマリオ64の創作ホラーです」
ちひろ「ああ、エラー画面で恐怖を煽る感じの」
雪美「……怖いもの……見ると……少し……涼しくなる……」
ちひろ「雪美ちゃんと見るホラーの空気が気になりますけど、とりあえずプロデューサーさんってそういう海外ミーム的なもの好きですね」
モバP「夏の在宅肝試しに良いですからね。海外は少し日本とはホラーの感性が違うので飽きません」
ちひろ「在宅肝試しという新ジャンル」
モバP「ただ、これに日本語の朗読が入っている物は怖さよりも先に気が抜ける感じが何とも」
雪美「……英語なら……英語だけ……なのが……怖さの……一つ……」
モバP「ゲームから外れるがLocal 58とか、日本語でもNNN臨時放送みたいなのは不気味で良いよな」
雪美「うん……。見た後……Pと……考察したら……怖く……なくなる……」
ちひろ「トラウマを残さないプロデューサーの鑑にしてそもそもそんなものを見せる屑」
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1085
モバP「この前、夢に智絵里が出てきたんだ」
智絵里「私……ですか?」
モバP「まあ、内容を忘れたんだがな。ただとても目覚めの余韻は良かった」
智絵里「私も、素敵な夢を見ても、忘れちゃうことがあります……」
モバP「何となく“良い夢を見た”ということしか覚えていなくて残念なんだよな」
モバP「でも、少し幸せな気持ちになれる」
智絵里「はい。……誰が出てきたかくらいは、思い出したかったですけど……」
モバP「その人に会ったら急に思い出すこともあるからな」
智絵里「じゃあ、夢の主はPさんじゃないんでしょうか……。それもなんだか残念です……」
モバP「智絵里。それなら現実にて、久しぶりに四つ葉のクローバーでも探しに行かないか?」
智絵里「私に、夢の続きを見せてくれるんですか? 行きたいです」
モバP「よし、今日こそは四つ葉のクローバーの声を聞いてやろうぜ」
智絵里「そんな名人さん、どこかにいるらしいですね。ふふ」
雪美「こずえや……芳乃は……できそう……」 ソノリティアダカラネ
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1086
モバP「家には来客用のカップが軽く100個以上はある」
雪美「……ほとんど……専用の……myカップ……」
モバP「雪美の黒いマグカップはなかなか目立つよな」
雪美「白い……線の……黒猫……好き……」
モバP「ただ他にも個性的なのが、ステンレス製や銅製のタンブラー」
雪美「……キラキラ……してる……」
モバP「陶器と違ってメタリックな光沢があるよな」
モバP「ステンレスはサーモスが有名になってアウトドアではお馴染み感あるが」
雪美「銅……」
モバP「新品の10円玉のような色だな」
雪美「……きれい……」
モバP「これで冷えたお酒とか飲むと美味しいんだろうなあ。だからってウチにまで持ち込むかという」
楓「copperなカップは“どう”でしょう? ……うふふふ」
雪美「……カッパ……?」 マズハブロンズトノチガイカラダナ……
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1087
モバP「雪美さんに着せてはいけない服シリーズー」
ちひろ「これ、パウダーが思った以上に強いですね」
雪美「ぶどうの……わらびもち……自体は……とても……きれい……」
モバP「ちひろさん、パウダーは塗すのを少なくしたら良いと思いますよ」
ちひろ「普通のわらびもちのきな粉もそうですけど、つい使いきろうと思って付け過ぎちゃうんですよね」チョイチョイ
ちひろ「……あむ」
ちひろ「あっ、本当ですね。ちょうど良くなりました」
モバP「さて、今回ご紹介する雪着せはずばり、お祭りの華(?)、法被と褌です」
ちひろ「ゲホッ!」
雪美「ちひろさん……大丈夫……? 落ち着いて……食べて……」サスサス
ちひろ「は、はい……ちょっとプロデューサーさん、黙って聞いていれば何てことを」
モバP「まあ上はサラシ、下は半股引とかなら普通に良いと思うので問題は褌ですね」
ちひろ「その内、雪美ちゃんに失望されても知りませんよ?」
雪美「……P……そんなに……いっしょに……ふんどし……締めたいの……?」 イヤオレハベツニ オイ
-
今日はここまで
ゾーマの休日
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すいみん不足で頭がちっとも働かないので今週はお休みです
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SSを書けない状況下にあるのでしばらくお休みです
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やっと追いついた
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1088
モバP「よし、行ってきます」
ちひろ「これから出られるんですね」
雪美「行って……らっしゃい……」
モバP「はい、トライアドプリムスの苦労人を迎えに」
雪美「……?」
モバP「彼女は常識人枠というかツッコミ役というか、これまで苦労しているから」
ちひろ「一体誰のことですかね?」
モバP「クールな方です」
ちひろ「……」
雪美「……」
ちひろ「だから誰ですか」
雪美「……三人とも……クール……」
モバP「トラプリって奈緒がいじられキャラと思われがちですが、意外と似た者同士で、一転攻勢で凛や加蓮がいじられる方に回ったりもするから面白い」
ちひろ「だからってまさか区別がついていないことはないですよね?」
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1089
李衣菜「なつきちー。アイドルバンド結成しない?」
夏樹「バンドか。いいねぇ。メンバーは4人くらい欲しいな」
モバP「夏樹がギターで李衣菜はボーカルか?」
李衣菜「ボーカル! バンドの花形! でもギターもやりたい……」
モバP「ギターボーカルか。でも歌に専念するのも良いと思うぞ」
モバP「想像してみよう、マイク両手持ちでバラードをしっとり歌う李衣菜」
李衣菜「両手……ちょっとしっくり来ない」
夏樹「だりーのバラード、演奏にも熱が入るだろうな」
モバP「あとはベースとドラムに誰を誘うかだな」
雪美「……私が……頑張って……ドラム……叩く……」
モバP「雪美さんはまさかのドラム志望」
夏樹「ドラムは体力いるぞ? やってくれる子はなかなか少ないんだ」
モバP「重労働の割には光を浴びにくい、野球で言うキャッチャーみたいなポジションだな」
モバP「でもドラムの雪美、想像すると格好良すぎる」 ……ホントウ?
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1090
モバP「……うむむ」
ちひろ「どうしました?」
モバP「うむむむむ……」
モバP「ダメだ、やっぱり雪美分が無いとアイデアがまとまらない」
ちひろ「と言ってもまだ雪美ちゃん来ていませんけど」
ガチャ
雪美「P……新鮮な……私が……来た……」
モバP「おお! 早速頼む!」
雪美「今行く……」タタタッ
雪美「ほっ……」ピョンッ
ポスンッ
モバP「よし、元気百倍!」ジャキーン
雪美「……」(*゜-゜*)
ちひろ「焼き立ての新しい顔に差し替えてもらったアンパンマンかな?」
-
モバP「♪」カタカタ
雪美「……♪」
モバP「♪」クリッククリック
雪美「……♪」
モバP「♪」タタタタターン
雪美「……♪」
ちひろ「凄い勢いで書類が仕上がっていく……」
モバP「いやあ、雪美さんに乗り込んでもらうと違うね」
雪美「……やっぱり……ここ(膝上)が……一番……」
モバP「しかし、雪美さんをここに座らせて仕事をしていると、体勢にもよりますが」
モバP「例えばスカートが短い時とかって、アンデスの定位置視点だと……」
ちひろ「パンツが見えるとかそういう話はやめましょう」
雪美「……あまり……足は……開かないように……してる……」
モバP「でもチラっと見えることもあるとすれば、少し羨ましく――いや、何でもないです」
ちひろ「足元で女の子が過ごしていても気にせず仕事をするのがそもそも」
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1091
モバP「エンドレスエイトな季節だね」
雪美「……ハレ晴れ……ユカイ……」
モバP「そうそう。雪美がこの前、菜々やりあむと歌ったあれのネタだな」
ちひろ「あの制服、似合っていましたね!」
モバP「コスプレにおいては第一人者のちひろさんも絶賛」
ちひろ「第一人者は言い過ぎですよ。私も着たことはありますけど」
雪美「……まだ……あるの……? ……見たい……」
ちひろ「着たのは高校生の頃ですからねえ。あれはさすがに若気の至りでした」
モバP「何を仰います、普段からコスプレをするのに抵抗があるならともかく」
ちひろ「失ってから分かるJKの価値ってあるんですよ。あの時と比べてしまうともう着れません」
雪美「……残念……」
モバP「一応、画像で顔を切り抜いて着せた風にするとこんな感じの雑コラになる」ピッ
雪美「……おお……ちひろさん……似合ってる……」
ちひろ「私の顔でチープフェイクやるな」
-
1092
ガチャッ
モバP「ただいま」
モバP「……なーんて、家には誰も居ないのにな」
モバP「……」
雪美「……」
モバP「……まあ、隣に雪美はいるけれども」
雪美「……今日は……ゲスト……いない……」
モバP「ゲストって言うと何か高級な家って感じがするな」
モバP「普段、客間に困らない広い家だが、こうして静かなのもたまには悪くない」
雪美「……P……寂しがり……なのに……」
モバP「そこはさ、雪美がいてくれるし」
モバP「人間、独りの生活が続くと、たまに誰かと話す時間にとても充実感を得たりするものだ」
雪美「……私……今日は……早めに……帰る……よ……?」 エッ
モバP「今夜は俺、独りかぁ……」 デンワ……スル…… ソレハアリガタイ
-
1093
みちる「はむっ」
みちる「美味い!」テーレッテレー
ちひろ「演出とSEが古すぎます」
モバP「ははは、今日のおやつはマリトッツォか」
みちる「はい! ふわっと溢れるようなクリームを皆さんもどうぞご賞味あれ」
雪美「……ん……少し……オレンジ……」
みちる「オレンジピールが入っていますからね。そこがまずはホイップサンドとの分かりやすい違いです」
モバP「しかしクリームのボリュームが凄いな。見た目からもう撮影映えするだろうなと容易に想像がつくが」
ちひろ「マリトッツォって、ハンバーガーのような、どうパクリといこうかという悩ましさがあるんですよね」
ちひろ「ええい、いきます」パクッ
ちひろ「……これ、美味しいですねえ。さすがはみちるちゃんチョイス」
モバP「……フィクションだとこういう物を食べると頬にクリームが付いて、それを拭いたり舐め取ってあげるシチュエーションが定番なんですが……付かないものですね」
雪美「何を……狙ってるの……。……ちょっと……待って……」
ちひろ「そこ、だからって付けようとしない」
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1094
モバP「……」
ポチッ
『イチゴ……食べたい……』
雪美「……?? ……私の……声……?」
モバP「雪美の声だな。少し過去の」
ちひろ「何かと思えばサウンドロップですか」
雪美「……見たこと……ある……」
モバP「卵みたいな形で、真ん中のボタンを押すと何種類かのボイスや効果音が流れる」
ちひろ「2000年代半ばから後半あたりにかけて大ヒットした商品ですね」
モバP「マリオのジャンプやコイン、1UPの音が出るやつが欲しくて探した記憶があります」
雪美「……」ポチッ
『もっと……魔法……教えて……。私……頑張る……』
雪美「……」キラキラ
モバP「自分の声が出るサウンドロップに出くわした気分ってどんなもんだろうな」
-
1095
キーコキーコ
モバP「……あゝ、黄昏の公園。童心に返るってもんだ」
キーコキーコ
モバP「この独特の感覚と眺め……すっかり忘れていた」
モバP「こうしてブランコに乗るのも久しぶりだよ」
雪美「……スーツで……ブランコ……、……とても……哀愁……漂う……・」
モバP「疲れきった社会人みたいに見えるかもしれないな」
雪美「……P……疲れてる……?」
モバP「疲れている自覚はないんだが、でなければこんなことはしていない、かもなあ」
モバP「でもこうして雪美と、ブランコに座って語らうのは一度やってみたいと思っていた」
雪美「……P……何でも……やりたがり……ね」
モバP「しかしこの感覚を思い出したら、今度は絶景ブランコに乗りに行きたいという新たな目標ができた」
モバP「それと雪美にウェディングドレスを着せてガーデンブランコで撮影、というのも良いな」
雪美「……もう……気が早い……」
-
1096
モバP「子どもの活動範囲は決して狭くは無い」
モバP「俺が雪美より少し下くらいの歳の頃は、公園なんて自分の足で遊びに行ける範囲でも10か所はあった気がする」
雪美「……すごい……公園巡り……できる……」
モバP「だが、ブランコや滑り台はあってもこれは何でどこにも無いんだって遊具も結構ある」
モバP「その一つがこのドーム型になっているものだ」
雪美「……中……涼しい……」
雪美「……Pと……二人きり……慣れてるのに……ドキドキ……する……」
モバP「ここは昼でも日陰で程よく暗く、隠れ家とか秘密基地に居る気分だな」
モバP「土管やトンネルの遊具も中で寛げなくもないが、若干狭い」
雪美「……ドーム……子どもの頃に……欲しかった……?」
モバP「そうだな。入り浸ったと思うよ」
雪美「……アウトドアなのに……インドア系……」クスッ
モバP「さて、雨は上がったがまた降り出すかもしれないし、この隙に急いで帰るか」 ……ウン
一方ちひろ「あの人たちはどこで雨宿りしているんでしょうね」
-
1097
モバP「……ここは……こうかな」カチカチッ
雪美「……」ジーッ
モバP「――よし、こんなもんだろう。少し休憩」
雪美「……P」
モバP「ん? ……ほう、マウスに違和感がある?」
雪美「……」コク
モバP「これはな、左利きモードになっているんだよ」
ちひろ「何故そんな面倒なことを」
モバP「左クリックが利きにくくなってきたから、です」
モバP「マウスって大抵右か左のどちらかが壊れるんですよね」
ちひろ「それでよく使う方の左を右に持って来ているんですか」
ちひろ「いや、買い替えろよ」
モバP「ついでに左利きモードを使うことによって都合良く右脳が活性化したりしないかなと」
雪美「でも……マウスを……使ってるのは……右手……」
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1098
モバP「……最近は七海も露出が増えてきたなあ」
七海「プロデューサー。それは肌面積的な意味れすか?」
モバP「夏になるとな。それに脱ぐと結構色っぽいと評判だし」
雪美「……」コクコク
七海「七海は水属性なので、水着とかになるのは好きれすけど〜、そんなに?」
モバP「ウェットスーツやパレオがあれだけ違和感なく様になる14歳は七海くらいだと思うぞ」
雪美「大人っぽい……」
モバP「しかも釣り番組ではフィッシングスーツ姿の七海が、本業で見せる水着姿」
モバP「この差に興奮せずにはいられないね」ムハー
七海「そんなこと言われたら今度から意識するじゃないれすか〜」
雪美「……七海の……隣に……並ぶと……私も……水属性……」ススッ
雪美「……んっ……海の匂い……髪から……」フワッ
七海『あっ……雪美ちゃん、くすぐったいれす』
モバP(そんな二人の水属性的な絡みも興奮する)
-
七海「何か今プロデューサーの妄想が差し込まれたような気が」
モバP「とりあえず今日のお仕事も無事に終わったようで何より」
七海「楽しかったれすよ〜。プロデューサーに感謝れす」
モバP「船で太刀魚ジギングなんてなかなか機会が無いよな」
七海「そうれす! いっぱい釣れました〜。これはお土産れす」
雪美「……クーラーボックス……」カパッ
雪美「! ……太刀魚……銀色で……キラキラ……きれい……」
モバP「名が体を表しているよな。日本刀のようだ」
雪美「……これ……おいしい……?」
モバP「ちょっと骨が多いが美味しい白身魚だと言える。塩焼きとか良いな」
雪美「……」ジーッ
七海「ちなみにこういうルアー、メタルジグで釣るんれすよ」
雪美「……おー……これも……太刀魚や……螺鈿細工……みたいに……きれい……」
モバP「七海は釣りドル枠にしては若い上に結構本格的なのが強みよな」
七海「でも雪美ちゃんが螺鈿を知ってることに驚きれす」 オレガオシエタ ヤッパリ
-
1099
モバP「バケツに水を張ってそこに足を浸ける……暑い夏はそんなこともしたくなる」
雪美「……♪」チャプ
モバP「バケツじゃなくてビニールプールだが、足が気持ち良さそうだな」
雪美「……納涼……」
モバP「全身浸かりに行くとどうしても着替えたり片づけたり手間が増えるが、足だけなら楽というな」
雪美「……水着……見たかった……?」
モバP「雪美の水着はいつでも見たいが、何も家でまで水着になることもないよなって」
モバP「しかし物足りないのでちょっと彩りを追加しようと思う」
――
雪美「……おお……水風船……いっぱい……」
モバP「カラーボールでも浮かべようと思ったらちょうど切らしていたので、代わりにこれにした」
雪美「……夏祭りの……ヨーヨー釣り……みたい……」
モバP「ヨーヨーで遊ぶのに飽きたらお風呂に浮かべてみるのは誰しもやるはず……多分」
雪美「……あ……この色と模様……すき……」
-
1100
モバP「このルームにぴったりな絵画を買ってきましたよ」
ちひろ「ご苦労様です。見せていただいても良いですか?」
モバP「はい」ガサッ
ちひろ「へぇ……これは、チャールズ・ファジーノですか」
モバP「はい。ポップアートの色使いで立体感のある街の表現が素敵だったので」
雪美「奥行きが……ある……絵……」
モバP「雪美はこういうの、好きかな?」
雪美「うん……」
雪美「……飛び出す絵本……思い出す……」
モバP「俺も最初に見た時、それは思った」
ちひろ「懐かしいですね。頁を開くとポップアップして完成するような仕掛けで」
モバP「大人向けだとお城とかが出来る大掛かりなものとかありますよね」
雪美「図書館に……よく……置いてある……」
ちひろ「でも、プロデューサーがファジーノを買って来る芸能事務所ってここだけな気がします」
-
1101
モバP「……」クカーッ
ガチャッ
雪美「……P……仮眠室に……いると聞いて……」
雪美「……? ……まだ……寝ているの……?」
モバP「……んー」
雪美「……」ポスッ ←隣に座る
雪美「……!」 ←こずえみたいに跨って起こしてみようかと思いつく
雪美「……///」 ←やっぱりやめる
雪美「……」
雪美「戦士の……休息……ね」ナデナデ
モバP「……」スヤァ
雪美「いつも……ありがとう……P……。今だから……言える……」
雪美「……」
雪美「……Pの体……頑丈……」ペタペタ ←そして触りまくる
-
モバP「……うーん……雪美ぃ……」
雪美「……? ……寝言……?」
モバP「……そんな、紐ビキニは、ダメだって……」
雪美「……」
モバP「……ああ、でも……雪美のへそ出し、そそるなぁ……」
モバP「……お腹、冷えそうだが……」
雪美「……」
モバP「……おお、チャイナドレスも、良いぞぉ……」
モバP「……でも、スリットが、大胆すぎる……」
モバP「――ふあっ!?」
雪美「あ……起きた……」
モバP「おう雪美、近くにいたんだな。おかげで凄い夢を見たよ」
モバP「全く、紐パンの紐をわざと見せるようなセクシー衣装は反則だ。起きても興奮が冷めん」
雪美「P……紐……好きなの……?」
ちひろ「そんなに紐が好きなら縛ったろか」
-
1102
雪美「……ペロ……」(つ゜-゜)つ
ペロ「にゃーん」
ヒョイ
雪美「……ふふっ」
モバP「……ペロを抱く雪美と、大人しく身を委ねるペロ」
モバP「まるで子を抱く母を思わせる」
ちひろ「小学生にバブみを感じてませんか?」
モバP「少女の然りげ無い仕草に母性を感じるくらいなら誰しもあることだと思うのでセーフです」
モバP「赤ちゃんプレイしたいと思い始めるようにまでなったら生活習慣の改善が必要でしょうが」
雪美「……Pも……ペロ……抱っこする……?」
モバP「良いのか? 何か俺がやるとどうもフォームが定まらないんだが」
ちひろ「たまに、初めてなのに赤ちゃんを抱っこするのが上手い女性っていますよね」
モバP「本能なんでしょうかね? つまり既に猫を抱くのが上手い雪美さんも母親の素質が充分と」
雪美「……ちひろさんは……もっと上手……」 ソウイエバソウダナ オモイダスナ
-
今日はここまで
息も絶え絶えにこんばんは
-
1103
モバP「こんにちは、バトルものでは守備型のキャラが渋いと感じて好きな僕です」
杏「守備ステって結構不遇だよね」
雪美「……私たちの……カードにも……言えること……」
モバP「そういえばカードも攻撃型、守備型、バランス型とかあったな」
モバP「俺はそれよりファイアーエムブレムのアーマーナイトとかをイメージして思う」
雪美「……アーマー……重そう……」
モバP「プレートアーマーなんて25kgくらいあると言われるからな」
杏「軽く杏一人分くらいか」
雪美「……P……攻めるより……守る方が……良いの……?」
モバP「そうとも言いきれないが、杏の言うように不遇な扱いが多いからな」
モバP「それにバトルは攻撃力と相性で押しきって勝つだけじゃつまらない」
杏「守りの人が地道に粘って制する戦いとかたまには良いよね」
モバP「その方が意外とベストバウトに選ばれたりするんだよな」
雪美「……じゃあ……今夜は……私が……攻める……」 ナンノハナシ?
-
1104
テレレレーン
モバP「……」
雪美「……」
モバP「……」
雪美「……」
“!”パァン!
ベシッ
モバP「くっ……俺が……負けた、だと?」
雪美「……」フンス
紗南「お、刹那の見斬りだ」
モバP「この歳で反射神経の衰えを実感することになるなんて」(´・ω・`)
紗南「あたしもあるよ? 物心つく前の方が上手かったと感じること――こんな難しいゲームをどうやってクリアしたり記録出したりしたんだ、って」
モバP「若くして昔の自分に勝てんって何か嫌だよなあ。雪美さん、もう一回お願いします」
雪美「……いつでも……来い……」
-
1105
モバP「森久保ォ!」
乃々「あの……その、呼び方は、心臓に悪いので、やめてほしいんですけど……」
モバP「あ、すまんな。つい心の中の森久保が」
乃々「もりくぼがもりくぼを呼ぶのはおかしいです……」
モバP「やっぱり乃々呼びが安定か」
乃々「乃々で、良いです……」
モバP「だが俺は森久保を信じている」
乃々「いぢめ、良くない……・」
モバP「そうそう、今日は乃々のために、プレゼントを持ってきたのよ」
乃々「もりくぼのため、ですか……?」
モバP「んー、自分で言って何だが“貴方のために”という言葉は押しつけがましくてあまり綺麗じゃないか」
乃々「そんなこと、ないですけど……」
モバP「それでな、昨日の8月27日(金)3時46分17秒の乃々の誕生日会にも軽いプレゼントを渡したが、こっちは渡し損ねてな」
乃々「そんな時間じゃなかったと思うんですけど」
-
モバP「それはともかく、はい」
乃々「これは……りんごですか」
モバP「何だか興味を惹くデザインだろう? りんごのリングケースだ。お店で見かけて乃々の顔を思い出したから買った」
乃々「ウールみたいな手触りです……」パカッ
乃々「! これは、指輪……えっ、つまり、そういう……」
モバP「以前練度が高くなったら指輪が欲しいみたいなことを言っていたからな」
乃々「! あ、そういう…………忘れられてなかったんですか」
モバP「これでお仕事やるくぼモードでまた頑張ってくれないかな、と」
乃々「うぅ……そうやって、逃げ道を無くすの、卑怯なんですけど……」
乃々「でも、ファンシーで、悪くないです……ありがとうございます」テレ
乃々「これ、高かったり……します? 本当はあとで代金請求されます?」
モバP「俺は鬼畜か。仮に鬼畜でも心配するような値打ちのものじゃないよ」
モバP「そのデザインでも一番低いグレードの物なら100均で売っていることもある。それよりはさすがにもう少し高いが」
乃々「あの、プロデューサーさん……指輪の効果を確かめるために、書類一式も……欲しいんですけど……」
雪美「書類……? ……鑑別書……かな……?」
-
1106
モバP「プロデューサー特権」
モバP「海での水着撮影の後に、そのまま自由時間に突入し、アイドルたちと一緒に遊ぶ」
ちひろ「そんなハーレムのような話、9割は嘘です」
モバP「時間停止モノのAVみたいな風に言わないでください」
ちひろ「雪美ちゃんを前にしてAVなんて言う」
雪美「AV……オーディオビジュアル……」
ちひろ「何もおかしくないですね(ヤケクソ)」
モバP「しかし残り1割側ですよね我々」
ちひろ「プール貸切で遊んだりもしていますしねえ。よく許可下りたもんです」
モバP「それで、撮影が終わるとみんな水着を着替えるじゃないですか」
ちひろ「自前のを持って来ていたりしますね」
モバP「その水着を無邪気に見せに来る子がいるんですが、何か自前の方が撮影用水着より露出度が高い――これって誘惑されているんでしょうかね? 主に雪美」
雪美「……うん。……誘惑……してる……。P……喜ぶと……思って……」
ちひろ「露出度上げるのはスカート省くくらいまでにしておいてくださいね?」
-
1107
モバP「雪美」
雪美「……?」クルッ
モバP「……ん?」
雪美「どうしたの……? P……」
モバP「何だろう、雰囲気が変わったな。青い瞳をしているというか」
雪美「……」
モバP「雪美って瞳の色を自在に変えられたっけ?」
雪美「そういうことも……ある……」
モバP「そうか。雪美はあまりカラーコンタクトとかを目に入れたがらないタイプだから、どうしたのかと思ったよ」
雪美「……P」
雪美「……私を……偽者だって……疑わないの……?」
モバP「こういう場合、本人なのに偽者だと疑われてしまうのと、本人じゃないのを見破れないのと、どちらが傷つくんだろうな」
モバP「とりあえず、本物が複数いたらダメなんてルールはないからな。君も雪美で本物さ、多分」
雪美「……ご都合主義……ね」 ソレハイウナッテ
-
1108
モバP「……」
スッ
パカッ サッサッ
パクッ
バリッバリッ
杏「プロデューサーってピルイーターなんだね」
モバP「一連の動きがちょっとクールでロックに見えるかなって」
杏「特に見えないね」
杏「まずそれ、ラムネ菓子じゃん。ジューCじゃん」
モバP「洋画みたいなノリでアスピリンを噛むわけにもいかないからな」
モバP「ピンキーみたいなサイズも良いが、やっぱりピルケースはジューCの細くて透明な筒型が好きだな」
モバP「そこにタブレット状の中身が乱れなく装填されているのも個人的にポイントが高い」
杏「割と変なこだわり多いよね、プロデューサー」
雪美「ラムネは……一錠ずつが……いい……」パリッパリッ
-
1109
雪美「……」カリカリ カリカリ
ちひろ「あら、雪美ちゃんは今日はテーブルで勉強ですか」
ちひろ「いつもならプロデューサーさんと接着しているのに」
モバP「夏休みの宿題に追われる時期ですからね」
モバP「まあ溜め込んでいたのではなく、単に今日の分をここでやるようです」
ちひろ「夏休みの宿題って最初の数日で片づける子と最後の数日で片づける子がいましたね」
ちひろ「プロデューサーさんはどっちでした?」
モバP「……日によって差はありましたが概ね一定のペースで毎日やっていましたよ?」
ちひろ「それが本当なら模範ですね。こういうのは勉強の習慣を付けてもらうために出すものでしょうから」
モバP「そして始業式に宿題を忘れるんですね。やったのになー残念だなー」
ちひろ「実はやってないでしょそれは」
ちひろ「しかし、鉛筆の音、良いですね。小学校ではシャープペンシルが禁止だったのが懐かしいです」
モバP「ですね。おかげでやっとシャープペンシルを使い始めた時は力加減が分からずに芯を何度も折りました」
雪美「……」 ←ちょっと難しい所をPに聞こうか悩んでいる
-
1110
モバP「パラオに旅行に行きたいな」
雪美「……クラゲ……見に行く……の……?」
ちひろ「パラオ=クラゲなんですか」
モバP「刺さないクラゲというだけで安心感が」
ちひろ「そんなにクラゲにトラウマがあるんですか」
モバP「まあ、実際刺さないにしてもあの黄色い大群に囲まれたら何らかの恐怖症を発症するかもしれませんが」
ちひろ「でも、ゴールデンジェリーフィッシュとムーンジェリーフィッシュ、身近で見てみたいですね」
雪美「……うん」
モバP「それにまず、パラオを象徴するあの独特の島の形状も良いですよね」
ちひろ「ロックアイランドと言いますね。石灰岩で出来ていて、世界遺産にもなっているそうで」
雪美「日本には……似た島は……ないの……?」
モバP「そうだなあ……長崎の九十九島とかは似てなくもないかな」
雪美「じゃあ……そこのクラゲも……刺さない……?」
ちひろ「ああいう地形だから刺さないんじゃないと思いますよ?」
-
おまけ23
モバP「今気づいたんですが、自分の名前ってごく稀にモバになることがある」
ちひろ「Pが消えるんですね」
雪美「……レアな……現象……」
モバP「これはつまり猶予1Fで起きるP消失バグという新たなGlitchの可能性が」
ちひろ「不注意ですけどね」
おまけ24
ちひろ「プロデューサーさんって283プロで好きなアイドルって誰です?」
モバP「おや、同業他社からM社と呼ばれて一目置かれるウチが他所のアイドルの誰が好きかなんて」
モバP「杜野凛世ちゃんですね」
ちひろ「ああそういうアレですか」
モバP「何ですか」
ちひろ「青みのある黒髪に赤い瞳……その他省略」
モバP「別に雪美に重ね合わせているわけじゃないですよ」
雪美「……今度……話しかけて……みる……」
-
今日はここまで
土曜日だったものがそこら中に転がる
-
1111
モバP「不安な時、誰かに声をかけてもらうだけでも励ましになる」
モバP「ちひろさんやアイドルたちがいるって恵まれているな、と思う」
雪美「……♪」チョコン
モバP「特に雪美にはいつも、大いなる元気を貰っているなあ」
ちひろ「見ていて分かります」
モバP「言葉を交わしたり、手を繋いだり、膝の上に乗せたりと、一つ一つはちょっとしたことなんですがね」
ちひろ「現役アイドルを日常的に膝の上に乗せるのをちょっとしたことと言い張れる人」
モバP「……」
ちひろ「どうしました?」
モバP「よく考えたら膝の上に乗せるのは結構大それたことですかね……?」
ちひろ「今更気づいたんですか」
モバP「まあ、止めませんがね。互いに合意の上でやっていますし」
雪美「……誓約書も……ある」ピラッ
ちひろ「危険なアトラクションか何か?」
-
1112
〜♪
モバP「夏の終わりに聴く6番目の駅はノスタルジーを感じるな」
雪美「……よく分からない……でも……すき……」
ちひろ「千と千尋の神隠しを見ずに聴いたとしても、良い雰囲気の曲ですよね」
モバP「幻想的で良いんですが、乗り過ごしたらきさらぎ駅みたいな所に着きそうで怖い」
ちひろ「そこまで行くとひぐらしのBGMとかが流れ始めそうですね」
モバP「……さて、9月に入ったらまだ暑くても何か気分はもう秋です」
モバP「そういえば今年は、夏野菜のカレーを一度も作らなかった……」
ちひろ「ナスとかカボチャとか入れてカレーを作るのは夏の風物詩ですね」
モバP「はい。普段はルウのパッケージ裏の作り方に忠実に、肉とメークインと玉ねぎと人参で作るんですが」
雪美「男爵より……荷崩れしにくい……メークイン……」
ちひろ「私は無理して作るくらいならスパイスカレーの店とかに食べに行くくらいでも良いと思いますけど」
モバP「それも検討ですかね。とりあえず夏らしいカレーを食べたい……気分はもう秋だと言いながら」
雪美「夏……もう少し……延長……ね」
-
1113
『コーヒーにスジャータを入れたくなりませんか? 凪はなりません』
『久川凪が何となく午後3時くらいをお知らせします。ぴっぴっぴっ……ぽーん』
ちひろ「おや、もう3時ですか」
モバP「アイドルたちの自由な時報ボイスが流れる事務所、良いですね」
ちひろ「セリフは全部アドリブですからね」
雪美「……ちひろさん……」
ちひろ「どうしました雪美ちゃん?」
雪美「これが……今日のおやつ……。……じゃーん……」
ちひろ「わぁ、綺麗ですねえ」
ちひろ「清涼感があって種類も豊富で……どこで買ったんです?」
雪美「……」フルフル
ちひろ「では、雪美ちゃんの手作りですか?」
雪美「……」コクコク
ちひろ「雪美ちゃんの手作りお菓子……これは早速いただきましょう」
-
――
ちひろ「美味しい……」
ちひろ「ちょうどフルーツが食べたいと思っていたところだったんですよ」
雪美「……これ……何て言うか……知ってる……?」
ちひろ「九龍球ですね」ドヤ
雪美「…………私が……言おうと……思ったのに……」
ちひろ「!?」
雪美「……冗談……。作り方……菲菲に……教えてもらった……」
ちひろ「あはは、冗談ですか……。これ、とても上手ですよ」
ちひろ「ビー玉みたいでありながらアイスじゃなくて柔らかい寒天ゼリーなのが良いですね」
モバP「“溶けないアイスキャンディー”なんかも葛や寒天で作ったりしますからね」
モバP「というか最近はフルーツサンドやフルーツ大福もですが、具材を中に閉じ込めて断面や透かしで美しく見せるスイーツが話題ですね」モグモグ
ちひろ「思えば多いですよね」
雪美「Pヘッドも……断面や……透明で……美しく……見える……?」
ちひろ「それはちょっとグロテスクかと」
-
1114
モバP「8月は終わったとはいえ、まだ通り雨ですごいのが降ったりするな」
雪美「傘は……欠かせない……」
モバP「しかしこういうアンブレラを持ち歩いているとついチャンバラ心が」
雪美「……アバンストラッシュ……?」
モバP「リメイクが放送されているとはいえ、ダイ大なんてよく知っているな」
雪美「……」ザッ
モバP「雪美さんの逆手持ちかっこいいです」
モバP「そうだ、アバンストラッシュって逆手持ちから斬りつける技なんだっけ」
モバP「ラッシュとあるからか、自分の中では何故か連続突きでずっとイメージされていてな」
奈緒「それは秋沙雨だろ」
モバP「なるほど、最初の“あ”しか合ってなかったか。他には……?」
雪美「牙突も……できる……」ザッ
奈緒「じゃああたしは九頭龍閃を……って出来るか!」
モバP「君たちは妙に古い所を突くよな」
-
1115
紗南「Pさんって結構クール系に一目惚れするタイプかな?」
モバP「えー? そうかぁ?」
雪美「……何の話……?」
モバP「あら雪美さん」
モバP「いやね、パワポケのヒロインで一番好きなのは誰かという話で」
モバP「神条紫杏と答えたんだが」
雪美「……生徒会長……キャラ……?」
モバP「というか、パワポケをそんなにやったことがないのでな」
モバP「よく知らない人でもこの子だけは知っているという代表的な存在のしあーんにした」
紗南「あたしの中でも好きなランキング上位だけどさ、言うほど紫杏知られてるかな?」
モバP「まあ結構偏見が入っているかもな……雪美もこっちにおいで。膝に座る?」
雪美「うん……」トコトコ ポフッ
モバP「雪美で思い出したが、見た目は若干千夜で属性はちょっぴり雪美な芹沢真央も好きだな」
紗南「クールにだいぶ毒されているねこれは」
-
1116
モバP「無邪気なとか子がよく口を開けている時に見える尖った一本の歯」
雪美「……よく見る……」
ちひろ「八重歯ですね」
モバP「八重歯……ふむ、癒しが欲しい時の検索ワードがまた増えた」
ちひろ「普段からどんなものに癒しを求めているんですか」
ちひろ「というかみちるちゃんやみくちゃんが八重歯じゃないですか?」
モバP「あっ、確かに。そういえばりあむもでした」
雪美「ユニット……作れそう……」
モバP「それも3人とも名前が平仮名じゃないか……。これは“346で名前が平仮名の子は八重歯”説が浮上しますね」
雪美「そこは……盲点……だった……」
ちひろ「私は八重歯じゃないです」
雪美「……あっ」
モバP「意外と早く沈んだなこの新説」
ちひろ「呼吸しに来ただけの鯨のようでしたね」
-
モバP「……本当はちひろさん、矯正しただけで本来は八重歯だったのでは……」
ちひろ「変なことを根拠にして疑うのはやめましょう」
雪美「……八重歯の……ちひろさん……。……良いかも……」
モバP「しかし八重歯を見ると、ちひろさんも雪美さんも、こうは思いませんか?」
ちひろ「何でしょう?」
モバP「――噛まれてみたい、と」
ちひろ「ちょうどよく尖っていますしね……思わんわ」
雪美「……P……私の歯は……八重歯……?」アーッ
モバP「いや、八重歯には見えないかな」
雪美「……」シュン
モバP「噛まれてみたい、より噛みたかったか」
雪美「……」コク
雪美「……Pの思い……私では……どうしても……叶えられないことも……ある……」
モバP「俺のために何でもしてくれようと……雪美さん、あなたという人は……」
ちひろ「そもそも雪美ちゃんはこんなもん噛んじゃいけませんよ?」
-
1117
モバP「動物番組を見ているとたまに出て来る、青い海を優雅に泳ぐウミガメ」
雪美「いっしょに……泳ぎたく……なるね……」
モバP「なるなる。……実は泳いだことがあるんだがな」
雪美「……本当……?」
モバP「結構前だが、沖縄でスキューバダイビングをやった時にウミガメと泳いだよ」
雪美「……すごい……」キラキラ
モバP「ちなみにマリオに出て来るノコノコを亀と認識してしまうと稀に勘違いしたまま大人になるが」
モバP「亀の甲羅は体の一部だから、着脱はできないんだよな」
ちひろ「そんな人、世の中にどれだけいるんでしょうね」
ちひろ「あ、私もスキューバダイビングはやったことがあります」
雪美「……いいな……。……アイドルにも……経験者……意外と……多い……?」
モバP「そういう体験が出来る仕事がちょうどよく舞い込んで来れば良いが、アイドルで経験者はまだそう多くないと思うぞ」
雪美「……Pと……ちひろさん……、二人が……特に……活動的な……だけ……?」
モバP・ちひろ「言われてみるとそうですね」
-
今日はここまで
われても末に逢はむとぞ思ふ
-
1118
モバP「たまに点滴が欲しくなる時があります」
ちひろ「はい」
モバP「あの有効そうな成分の腕から体に染み渡る感覚」
ちひろ「はい」
モバP「あれを知ってしまうと本当に辛い時は飲み薬より注射の方が効くような気がしてきて」
ちひろ「はい次の方ー」
モバP「あれー?」
ちひろ「吸収効率的なものを考えれば点滴の方が確かに良いのかもしれませんけどね」
ちひろ「というか私にどうしろと? スタドリ点滴でも作ってほしいんですか?」
モバP「あったら利用するでしょうね。ただ点滴依存症になりそうです」
雪美「……」チョコン
モバP「こうして雪美さんを膝に乗せる、というのも充分なセラピー効果があるんですがね。しかも依存性がない」
ちひろ「要出典」
雪美「……P……個人の……感想……です……」 ※効果には個人差があります
-
1119
雪美「……P……夕食……できた……」
モバP「……それは、スパゲティ?」
雪美「……隅っこで……警戒してる……。どうしたの……?」
モバP「……もしかして、辛い? アラビアータ?」
雪美「大丈夫……辛くない……。……至って……普通の……ペスカトーレ……」
モバP「なら、安心だ」
雪美「……スパゲティに……トラウマ……?」
モバP「最近、山わさびのスパゲティソースを試したんだが、匂いの割に口に入れると結構ツンと来てな」
モバP「それで喉が受け付けず盛大にむせてしまって涙目になったくらいかな」
雪美「ふふ……P……わさび……苦手……? 私と……いっしょ……」
モバP「苦手は卒業したと思っていたのにな……それにしても、美味しそうだ」
雪美「……地中海料理は……お皿が……賑やか……」
モバP「ボンゴレロッソやボンゴレビアンコ、パエリアとかもだが、こうして貝を殻ごと盛り付けてあると不思議と食欲をそそられる」
雪美「さあ……いただきます……しよう……」 オカアサンミタイダ
-
1120
モバP「ふぅー……」チャプ
モバP「あぁぁ〜……」
モバP「やっぱり家のお風呂の安心感は違うな」
雪美「……そんなに……気持ち良い……?」
モバP「ああ、ちょうど良いサイズだ」
雪美「広すぎても……ダメ……?」
モバP「例えばホテルの大浴場の大きな湯船なんかはな」
モバP「広くて足を伸ばせるがどうも浸かっていてふわふわするというか」
モバP「何だろう? 利用者気分になってしまって心からリラックスはしにくい」
雪美「……通い慣れたら……お家みたいに……感じられるかも……」
モバP「まあ、風呂は人間が裸という、ある意味一番無防備にされる空間だからな」
モバP「以前、友人の家や親戚の家に泊まりに行った時も、あまり落ち着かなかった」
モバP「独特なタイルの形だったり、足場の高さがいつもと違ったり、もっと言うとバスタブがステンレスだったり檜だったりすると違和感が凄くて」
雪美「檜だと……確かに……落ち着かないと……思う……」
-
モバP「雪美さんはこの家のお風呂にはもう慣れた様子だな」
雪美「……うん」
雪美「……まるで……いっしょに……入っている……みたい……」
モバP「実は一緒じゃないんだよな」
モバP「給湯器リモコンのインターホンで通話をしているだけという」
雪美「……湯加減……どう……?」
モバP「良い塩梅だよ。……この機能、結構前からあるが、便利だよな」
モバP「以前は入浴中の人と話をしようと思ったら一緒に入るか、でなければ脱衣所まで来てドア越しに話しかけるしかなかった」
雪美「……本当に……いっしょに……入ろうか……?」プツッ
モバP「えっ」
モバP「……」ドキドキ
モバP「……まさか、雪美さんが服を脱ぐ影がすりガラスに映……らない」
雪美「……冗談」
モバP「ちょっと期待してしまった自分の愚かさよ」
雪美「ご飯……できるから……そろそろ……上がっておいで……」 オカアサンミタイダ
-
1121
モバP「……」ゴロン
モバP「普段ベッドで寝ていると、たまに畳に布団を敷いて寝そべる感覚が恋しくなる」
雪美「……」トコトコ
モバP「雪美さん? スカートでそんな近くに来たら」
モバP「……みえ」
ポスン
雪美「……」ジッ
モバP「雪美さんの下目遣い、良いよね」
モバP「ダンスのポーズでたまに見られるが、それを直接見るにはこちらの視点を低くしないといけない」
モバP「それかボア・ハンコック並の上体反らしをしてもらうか」
雪美「……見下されるの……好き……?」
モバP「いつもの雪美と違う表情を見られるから好きかな」
雪美「……そう……。……ふふっ……」
モバP「人形じゃないが、角度が違うだけでより恍惚とした表情に見えてくるなあ」
-
1122
雪美「……」ジッ
モバP「……」ドキドキ
ちひろ「雪美ちゃんが膝上に乗ってプロデューサーさんとまた至近距離で見つめ合っている」
雪美「……P」
モバP「はい?」
クイッ
モバP「!」
雪美「……ん、今日も……いい顔……」
ちひろ「顎クイとはやりますね」
雪美「……奏の……得意技……教えてもらった……」
ちひろ「男性アイドルのバク転並にLiPPSではみんな得意そうですけども」
雪美「……P」
モバP「……え?」ポカーン
雪美「……さっきの反応……可愛かった……」b フツウハギャクジャナイカ?
-
1123
雪美「……そういえば……Pは……バク転……できる……?」
モバP「……バク転か。……側転よりかは得意かな」
ちひろ「たまにいますよね、マスターする順序がおかしい人」
モバP「舞空術が使えないのに超サイヤ人になれるみたいな」
モバP「とりあえずやり方を思い出すから体操ができる場所に行こうか」
――
モバP「すー、はー……よし、イメージではばっちし。行くぞ」
シュッ トッ タッ
モバP「――おお、割とすぐ出来た。自分でも意外だった」
雪美「……かっこいい……!」キラキラ
モバP「でも俺だけじゃなくて智香とかも出来るんだよな」
雪美「……もう一回……もう一回……!」キラキラ
モバP「えー、もうしょうがないなー」デレデレ
ちひろ「その後盛大に失敗しましたけど無事でした」
-
1124
モバP「小銭小銭……あっ、これじゃない」
ちひろ「それ、5セント硬貨じゃないですか?」
モバP「目敏いですねちひろさん」
ちひろ「ふふふ、渡米した記念に持ち歩いているとかですか?」
モバP「そんなところですね。あと、お守りになるかなと」
雪美「……お守り……」
モバP「雪美はお財布に何かお守りとか入れているのか?」
雪美「……入れてない……。……みんな……入れるの……?」
モバP「どうだろうな。人の財布の中身を調査する機会なんて無いから……入れるにしても薄くて小さいものでないと嵩張るからなあ」
モバP「ただ金運が上がることを信じて蛇の抜け殻とかコン……コンパチブルなゴムとか入れるという話は結構聞く」
ちひろ「……コンパチブル?」
雪美「……ゴム……? ……髪ゴム……?」
モバP「ああ、まあそういう物だな」(危ない、コンドームとか口に出さなくて良かった)
ちひろ(とか考えているんでしょうね)
-
1125
モバP「テーブルの上に大皿が一つ」
モバP「そこに鎮座するのは一房数千円はするのが当たり前の高級ブドウ」
雪美「……シャインマスカット……」
モバP「こういうのは贈答品やふるさと納税の返礼品とかで貰えたりもするようだが」
モバP「値段が値段だけに食べるのを躊躇してしまうよな」
雪美「……うん」
雪美「イチゴでも……そういうこと……ある……」
モバP「ということで、これを今二人で一緒に食べてしまわないか雪美」
雪美「……良いの……?」
モバP「ああ。このままいつまでもまだその時ではないと避けていたら腐ってしまうし」
モバP「二人で食べれば罪の意識も半分になる……ならない?」
雪美「……それが……目的……?」
唯「あ、おいしそうなブドウ! 一粒貰ってもいーい? ありがとー☆」パクッ
モバP「唯は迷わず行くなぁ……さて、あと何粒ある?(貧乏性)」
-
今日はここまで
なぁに、二回目は慣れるさ
-
お休みが欲しいので今週はお休みです
-
1126
モバP「346プロは広い」
モバP「これだけ広いと蜂にも遭遇する」
雪美「どこかに……巣……ある……?」
ちひろ「蜂も種類によりけりですけど、刺されるかもと思うと怖いですね」
仁奈(着ぐるみ)「ミツバチの気持ちになるですよ!」
モバP「先ほど遭遇した蜂です」
ちひろ「これは安全な蜂ですね」
モバP「しかし、せっかく広い庭があるのでここで養蜂とかやってみたいと思うことはあります」
ちひろ「事務所で養蜂とな?」
モバP「都会のビルで屋上養蜂、なんて最近はよく耳にしますからね」
雪美「裏山とか……ないと……お花の蜜……集めるの……大変そう……」
ちひろ「花の蜜の代わりにこれだとどうなるんでしょうね」ハイ
仁奈「スタドリでやがりますか。ありがとうごぜーます!」ブーン
モバP「スタドリを凝縮して作ったハチミツ……食べてみたいな」
-
1127
リーリーリーリーリー
モバP「……」
雪美「……」
モバP「秋だねえ」
雪美「……良い声……」
モバP「ああ、何か作業をしていても思わず聞き入ってしまうな」
モバP「これはツヅレサセコオロギだな」
雪美「……ツヅレ……?」
モバP「ああ。エンマコオロギのヒヒヒヒヒみたいな音と比べると違いが分かる」
雪美「……ふふ、似てる……。Pも……良い声……」
モバP「それにコオロギの鳴き声のテンポは気温が高いと早くなり、低くなると遅くなるそうだ」
雪美「……コオロギ……小さくても……大きな声……出るね……」
モバP「静かな夜にしっかり響くくらいだからな。虫のポテンシャルは凄い」
雪美「……もう少し……ここで……耳を澄ませて……いよう……」
-
1128
雪美「……」チョコン
モバP「えへへ……雪美さんが膝の上に居るの、猫が乗って来る時みたいな嬉しさがある」
ちひろ「何をニヤニヤしているんですかねえ」
雪美「P……手……借りる……」スッ
モバP「お、何に使うんだ?」
ペタッ
モバP「っ!?」
ちひろ「雪美ちゃんのお腹を……」
雪美「……」モマセモマセ
モバP「ゆ、」雪美さん……?
ちひろ「動揺で変な所から声が出ていますよ」
雪美「……P……私……少し……太ったと……思う……?」
モバP「え? ……うーん……」モミモミ
モバP「いや、そんなことはないな」キリッ
-
ちひろ「自発的に確認するな」
モバP「すぐに手を退かそうと思ったのですが雪美の手が俺に催促するもので」
モバP「……しかしいつまでも触っていたくなる」
雪美「……んっ」
ちひろ「その辺にしといてもらいましょうか」
モバP「はい。……しかし気になってしまうものか?」
雪美「……ん」コク
雪美「……Pの膝……あまり……負担に……ならないように……したい……」
モバP「俺の膝を心配してのことか……感激だなあ」
ちひろ「プロデューサーさんは普段から力石でも乗せていれば良いと思います」
モバP「江戸時代の拷問か何かですかそれは」
モバP「あ、大丈夫だぞ? 俺の膝はそんなに柔じゃないさ」
雪美「……なら……いい……。……ちなみに……お腹……触ってみて……どうだった……?」
モバP「面妖な感触だった。雪美のそれは世に言うイカ腹にあたるのか気になるのでもう一回」
ちひろ「小学生のお腹の感触に夢中になるな」
-
1129
モバP「……Zzz」
ガチャッ
早苗「P君?」
雪美「……P……ここに……、……!」ビクッ
雪美「……」ジロジロ
雪美「……すごい」
早苗「これは……直立姿勢でうつ伏せ寝しているわね。いつも器用と言うか何と言うか」
雪美「……死んでいる……みたい……」
早苗「変死体ね」
早苗「でも、P君って疲れている時はたまにこういう寝方をするのよね。逆に疲れそうだわぁ」
雪美「……早苗……Pと……寝たこと……あるの……?」
早苗「ないわね。寝顔を見る機会なら何度かあったなー」
雪美「それは……心を許している……証……」
早苗「目の前で警戒なく寝られるってちょっぴり複雑なのよね」 ……ソウ?
-
1130
モバP「ちひろさんはピザとピッツァの違いって何だか分かります?」
ちひろ「ピザがアメリカ、ピッツァがイタリアって感じだったかと」
ちひろ「それも確か、イタリアの方は石窯で焼く」
モバP「よくご存じで」
雪美「……正解は……?」
モバP「ちひろさんのが模範解答だと思います。というかそれ以上は知りません」
ちひろ「知らんのかい」
モバP「でも石窯ピッツァ、本場の焼き立てを食べてみたいものです」
ちひろ「イタリア国旗と同じカラーリングのマルゲリータなんて、シンプルにして王道で良いと思いますね」
モバP「まあ自分はペパロニとかどっさり乗っているピザの方が好きですがね」
ちひろ「具材を楽しむのがアメリカ流、生地を楽しむのがイタリア流とも聞きますけど」
雪美「Pは……アメリカ派……」
モバP「いやいや。生地だって好きですよ? ただピザはコーラと一緒にメジャーリーグでも見ながら食べたいくらいで」
ちひろ「骨の髄までアメリカ」
-
1131
モバP「さて、今日も元気に出社ですよ」ウィーン
雪美「……止まりなさい……」
こずえ「とまれー……」
モバP「おや、雪美とこずえ。警察官みたいな格好だな。これは止まってよく見なければ」
雪美「……帽子……おススメ……」
こずえ「てじょうも、あるよー……」
モバP「うん、何だろう? この妙な色っぽさは」
こずえ「ぷろでゅーさー……あぶないものを、もちこもうとしてないか……けんさ、するよー……」
モバP「え、ボディチェックをするのか?」
雪美「……そう。……覚悟……して」
――
雪美「……異常……なし……」ツヤツヤ
こずえ「とおって、いいよー……」ツヤツヤ
モバP「……健全だったがよく考えたらボディチェックはおかしくないか?」
-
1132
グッグン
雪美「……」( ゜-゜)
グッグン
雪美「……」(゜-゜ )
雪美「……?」
雪美「……うん……ワイパー……見ていた……」
雪美「……」( ゜-゜)
雪美「雨……拭いても……拭いても……降ってくる……ね」
雪美「……」(゜-゜ )
雪美「…………運転……大変……?」
雪美「……」( ゜-゜)
雪美「……雨の日でも……車を出して……」
雪美「……」(゜-゜ )
雪美「……Pは……えらいね……」
-
雪美「……」
雪美「……疲れた時は……言って……」
雪美「……うん」
雪美「……私に……運転は……代われない……。でも……」
雪美「……あっ」
雪美「雨……強く……なってきた……」
雪美「……」
雪美「……視界が……悪いね……」
雪美「……?」
雪美「……このままで……いい……」
雪美「……気が散ったり……しないなら……」
雪美「……私は……言葉で……Pを……助ける……」
雪美「……」
雪美「……ふふ……私も……テンション……上がってきた……」
グッグングッグン
-
今日はここまで
山を飛び谷を越え服部さんがやってきた
-
1133
ちひろ「プロデューサーさんってタバコは吸いませんよね」
モバP「すいません」ペコリ
ちひろ「吸わないんですね。何か謝られているような」
モバP「レトロなたばこ屋さんは消えゆく遺産として好きなんですがね」
雪美「……発券所……みたいなスペース……座っていたい……。落ち着きそう……」
ちひろ「吸わない割には本当、妙なものが好きですね」
モバP「もし子どもの頃に身近にいる好きな大人が愛煙家だったりしたら、プルースト現象で煙草好きに目覚めそうです」
雪美「Pは……そういうこと……なかったの……?」
モバP「俺の親は子どもが生まれたのをきっかけに禁煙してそのままらしいから、特にそういう匂いに思い出すものはないな」
雪美「……でも……お香や……お線香は……好き……ね……?」
モバP「それはおばあちゃん子だったからかなあ」
モバP「ちなみに誰に影響されたのかは覚えていませんが、レモンをかじるのも好きです」
雪美「……想像するだけで……酸っぱい……」
ちひろ「東野圭吾の分身みたく生き別れの双子でもいるんですか?」 イマセンシ
-
1134
モバP「やっぱり俺はどうも昔から振り切れないタイプなんだよな」
小梅「そうかな……?」
モバP「人の理解を超えた奇跡はあると思うけど、完全には信じきれないというか」
小梅「じゃあ、幽霊の存在も……?」
モバP「そうだな。知覚できているわけではないし」 ゴソッ
モバP「ん、誰かいるのかな?」
モバP「……って誰もいない。気のせいかなあ」
小梅「……」
モバP「まあいいや。何か変な条件を満たして起きた未知の現象かもしれないしな」
小梅「適当だね……」
モバP「幽霊と言えば、幽霊と話が出来たら聞きたいことがあるんだが、幽霊の寿命が400年って本当なんだろうか」
小梅「最近の噂……かな。うーん……それなら思ったより、長いね……」
モバP「人よりは長いが、存在し続けられる時間には限りがある――って本当なら何だか夢がないというか現実を知らされるというか」
物陰の雪美(……Pに悟られず……接近するの……ドキドキする……)
-
1135
ちひろ「9月28日は雪美ちゃんの誕生日でしたね」
モバP「いかにも」
雪美「たこにも……」
ちひろ「緩いな」
雪美「……ふふ……、今年は……私の……初めて……貰って……もらった……」
ちひろ「へぇ」
モバP「……」
雪美「……」
ちひろ「……」
ちひろ「……えっ」
モバP「何ですか?」
ちひろ「一体初めての何を貰ってもらったんです?」
モバP「それはバージンですよ」
ちひろ「だから何のバージン」
-
モバP「いやだなぁ、比喩か何かで言っている訳じゃないですよ?」
ちひろ「比喩でなければ大問題なんですけど」
雪美「……お泊まりで……Pと……一つに……なった……///」
ちひろ「えぇ……いつかやると思わなくもなかったですけど本当にやるやつがありますか!」
モバP「雪美も20歳になったことですし、初めては……その、自分が良いと」
ちひろ「雪美ちゃんは10歳ですよ!?」
雪美「ちひろさん……どうしたの……? 私は……もう……成人……」
ちひろ「……悪い冗談はやめてくださいよ」
ちひろ「そりゃサービス開始から10年経っているかもしれませんけどそれはあくまで人間界の話で」
雪美「……身長……こんなに……伸びたのに……」ズオッ
ちひろ「うおっ! いつの間に姉帯豊音並に!?」
――
ちひろ「プロデューサーさん、私に悪夢を見せた責任を取ってドリンクを買ってください」
モバP「何で責任を取らなきゃいけないんですかね……」
雪美「……♪」 ←誕生日プレゼントにイチゴクッションを貰ってご機嫌
-
1136
モバP「……いただきます」
モバP「……」
ハムッ
モバP「〜〜〜っ!」
ちひろ「どうしました? 手作り弁当を食べるや否や凄い形相で」
モバP「うあぁ! やっぱり家で浸けた梅干しは酸っぱいわ」
ちひろ「は?」
雪美「P……家で……梅干し……作ってる……」
雪美「ちひろさんも……どう……? とても……酸っぱい……」
ちひろ「いえ、結構です。実家の梅干しってそんな感じですよね。容赦ないというか」
モバP「市販の小粒で上品で下手するとハチミツで甘くなっているような梅干しを食べるのが当たり前になっていると、効きますよーこれは」
ちひろ「というか雪美ちゃんも知っているような酸っぱさなんですか」
モバP「親から教わった作り方を持ち寄って一緒に作っていますからね」
雪美「……Pので……作った方が……酸っぱい……。でも……癖になる……」 ナカイイデスネホント
-
1137
モバP「10月だというのにまだ暑いね」
雪美「……うん」
モバP「どうした? 今日はいつもの膝の上じゃなくて隣から俺の仕事を眺めて」
雪美「……」ジーッ
モバP「……?」
モバP「もしかして、これか?」
雪美「……」コク
ちひろ「雪美ちゃんは何に感動しているんです?」
モバP「ワイシャツの腕まくりが何か男っぽくてカッコいい、だそうです」
雪美「……///」コク
ちひろ「無言からよくそこまで読み取れますね」
モバP「半袖だと特にそうは思わないんだろうな? 前腕をわざと露出させるのが決め手と」
雪美「……私も……腕まくり……似合うように……なりたい……」
モバP「雪美さんの腕まくりか……次の仕事は決まったな」 ナニヲスルキダ
-
1138
モバP「フンフーン♪」
ちひろ「プロデューサーさんが上機嫌ですね……どうしたんでしょう」
モバP「あ、ちひろさん! これ、良かったらどうぞ。お土産です」
ちひろ「? これ、昭栄堂の神戸のクッキーですね。いただいても良いんですか?」
モバP「どうぞどうぞ。今日はとても嬉しい気分なので」
ちひろ「何か祝い事でもありましたっけ?」
モバP「いえ、実は外で男性アイドル事務所からスカウトされまして」コトワリマシタガ
ちひろ「えっ?」
雪美「P……アイドルにならないかって……ね……?」トナリニ……イタ……
ちひろ「ええっ!?」
雪美「……Pの良さ……見抜いてもらえて……鼻が高い……」ムフー
ちひろ「一体どこのプロダクションですかねえ……名刺見せてください」
モバP「はい、ここです」つ□
ちひろ「……実は315のI川さんだったとかそういうオチじゃなくて良かった」
-
1139
モバP「346プロに足りないものがあります」
ちひろ「足りないもの、ですか?」
モバP「はい。それはズバリ、小川ですね」
ちひろ「以前行った765プロが入っていたビルの居酒屋さんの店員さん」
モバP「その小川さんじゃないです」
ちひろ「無理ですよ」
モバP「無理でしょうか」
モバP「夏場の納涼スポット――川床を346に作るというか、再現してみたいんですよね」
雪美「……貴船の……川床……、京都の……名所……」
ちひろ「京都の奥座敷ですか。行ったことがありますけど緑に囲まれて気持ち良い所でしたね」
モバP「貴船神社も緑の中の鳥居の朱が映える良い場所です。というか木も足りないですね」
雪美「いっしょに……川のせせらぎ……聞きながら……流しそうめん……食べたい……」
モバP「こう言われちゃあ作りたくなりませんか?」
ちひろ「どう考えても再現するより直接行った方が早いです」
-
1140
モバP「雪美はドア・イン・ザ・フェイス・テクニックって知っているか?」
雪美「……知らない……。……壁ドン……みたいな……こと……?」
モバP「壁ドンか……今から例を実践するよ」
ドン
モバP「なあ雪美、俺と結婚してくれ」
ちひろ(壁ドンはするんですね)
雪美「! ……いきなり……それは……待って……」
モバP「じゃあまずは友達としてお付き合いから始めませんか」
雪美「…………うん……分かった……」
モバP「……というように最初に法外な要求をして断らせてからハードルを下げることで目的のOKを相手から引き出そうという交渉テクニックです」
雪美「……結婚は……法外……? 私……びっくりした……だけで……ダメとは……言ってない……」
モバP「えっ……いやあ、そう言われてしまってはこのテクニックも形無しですな」
モバP・雪美「……」テレテレ
ちひろ「お二人は好意の返報性の良い例でもある気がします」
-
今日はここまで
私は、にわかです(命乞い)
-
1141
雪美「……にゃー」
モバP「猫やなあ」
雪美「……にゃー」
モバP「……」 ナデナデ
雪美「……ん」
モバP「スイッチが入っていると本当に気持ち良さそうに撫でられるね」
モバP「それにしてもいつもより毛深い猫耳だな」
雪美「……ファー……素材……」
モバP「手が喜ぶ柔らかさだ」
モバP「……だが雪美のふさふさな髪の方もまた良い」
モバP「雪美は時々丸まって寝ていることがあるが、あれを見ると触りたくなる」
雪美「……髪を……?」
モバP「ああ。猫が丸まって毛玉化しているのを触りたくなる感覚に近いのかな」
ちひろ「胎児型の寝相は依存心が強く甘えん坊だと言われるそうな」
-
1142
モバP「ラーメン屋やうどん屋で食事をするのが最近好きになりつつある僕です」
ちひろ「プロデューサーさんってそういう所にも結構行くんですね」
モバP「そんなに行かないイメージです?」
ちひろ「誰かの一緒の時はメニューにバリエーションがあるレストラン」
ちひろ「そうでない時はお腹を空かせながら隠れた良い店とかを探し歩いていると思っていました」
モバP「井之頭五郎みたいなことはしませんよ。憧れますがね」
雪美「P……ごぼ天うどん……好きね……」
モバP「ああ、あのサクサクなごぼうの天ぷらにちょっとつゆを染み込ませて食べるのとかな」
モバP「更にセットで頼むかしわおにぎりもちょうど良い甘さをしていてうどんと合う」
ちひろ「福岡の仕事でふらっと立ち寄った店で食べるようなメニューですね」
モバP「というかたまごふりかけでも塩むすびでも、とにかくおにぎりとのセットが好きでラーメン屋やうどん屋に行くまであります」
モバP「あの小皿に乗ってやってくるおにぎりが何であんなに美味しそうに見えるのか……。照明のせいかな?」
雪美「たまに……お漬物も……付いてる……。あれも……意外と……侮れない……」
ちひろ「サラリーマンみたいな会話」
-
1143
ライラ「〜♪」
モバP「おや、ちょうど良い所にライラさん」
ライラ「おやおやプロデューサー殿。わたくしに用事でございますか?」
モバP「用事というか、アイスでもいかが?」
ライラ「アイス……!」キュピーン
モバP「ほら、ちょうどチョコモナカジャンボとバニラモナカジャンボが一個ずつある」
ライラ「いただいても良いのですか?」
モバP「ああ、今日のお仕事で使う機会があってその余りがちょうどこの二つ」
モバP「せっかくなので保冷剤つきで貰ってきた」
雪美「この場には……三人……」
モバP「俺は良いから二人で食べてくれ」
雪美「……私に……一個は……多いから……Pと……分ける……」
ライラ「やさしさですねー」
モバP「雪美さんは時々優しすぎて甘えてしまう」
-
モバP「それで、この二つ。どちらを食べるか選んでくれ」
ライラ「どちらか……迷いますですねー」
モバP「チョコが入っている分、チョコモナカジャンボにした方がお得だろうか?」
モバP「でも実はバニラモナカジャンボの方にもチョコレートが入っているんだよね」
ライラ「知ってますですよー。端に薄くホワイトチョコレートの層がございます」
雪美「……!」
雪美「……じゃあ……こっちも……本当は……チョコモナカジャンボ……だった……?」
モバP「知らないと、えっそうなの? という事実だな」
モバP「ついでにバニラの方はアイスクリーム、チョコの方はアイスミルクで乳固形分と乳脂肪分の含有率が違う」
ライラ「一度、食べ比べてみたら違いが分かるかもしれませんです。でも、そんな贅沢、なかなかできませんねー」
モバP「……お金のこともだが、アイスを食べたい気分でも一度に2個もとなると最後まで美味しく食べきれない感じだしな」
ライラ「これを半分を割って交換すれば、1つで2つ分の幸せになれますでしょうか」
雪美「……それ……良いアイデア……」
モバP「とりあえず早く食べないと溶け始めそうだな」
ちひろ「事務所に保冷剤がたくさん余ってますね……」
-
1144
モバP「……」パタパタ
雪美「……」パタパタ
ちひろ「おや、扇子ですか」
モバP「センスあるでしょう?」
ちひろ「聞かなかったことにしてあげます」
雪美「……ふふっ」スッ
モバP「扇子で口元を隠す仕草がとても艶やかですねえ、はい」
モバP「これで扇いだからとそう涼しくなるわけじゃないんですが、少し雅やかな気持ちになれますね」
ちひろ「雪美ちゃんでもMy扇子を持っているって良いですね」
雪美「これ……Pと……買った……扇子……」
モバP「雪美はステージで扇子を持つことがありましたが、どうせなら普段から何か持つようにした方が馴染むかなと」
モバP「しかしどれか一つを選んで買おうとしたら、結構悩むんですよね」
雪美「……紗枝でも……悩むって……言ってたから……じっくり……悩んで……決めた……」
紗枝「大事なことどす」 ←悩みだすと結構長い方
-
1145
モバP「ここにボールがあります」
雪美「……」ジーッ
モバP「これにカップを被せます」
雪美「……」ジーッ
モバP「他に二つ、逆さに置いた同じカップを用意します」
シュババババババ
モバP「はぁ……はぁ……さあ! どのカップの下にボールがあるか当ててみよ」
雪美「……右の……これ……」
モバP「……当たり」
モバP「当てずっぽう……ではないよな」
雪美「……うん……目で……追えた……」
モバP「大した動体視力だ。雪美さんはスリーシェルゲームでも負けないんですのね」パチパチ
雪美「Pだって……こういう……ミニゲーム……強い……」
モバP「意識して集中すればな。やる気がない時は全然ダメなタイプだ」 ワカリヤスイ……
-
1146
モバP「こんな雪美さんはイヤじゃない」
モバP「異世界ファンタジー系コスプレをしつつ――」
雪美「……軽装……女騎士……」キラキラ
モバP「得物が大真面目にピコピコハンマー」
雪美「……」ドヤッ
ちひろ「えぇ……笑美ちゃんかな?」
モバP「こういう何か一ヶ所だけ場違いな感じがするものを装備しているとギャップで親しみが湧きません?」
雪美「……」ジーッ
ちひろ「湧きますね」
雪美「……♪」
モバP「こっちの世界ではお馴染みのピコピコハンマーというところがまたポイントを高くする」
ちひろ「可愛いんですけど、もう少し貫禄のあるお馴染みって無いんですかね?」
モバP「ピコピコハンマー、良いじゃありませんか。一部界隈では最強武器の呼び声も高い」
ちひろ「それはギャグでそうなってるだけな気がします」
-
雪美「……普通の、ピコピコハンマーより……強そうに……見える……」
モバP「格好の補正もあるだろうな。ああ、黒タイツミニスカの騎士……実にあざとい!」
雪美「……」ピコッ
モバP「ぐはっ!」
雪美「……あざとくない……」
モバP「……とても似合っています、お嬢様」
雪美「……よし」
ちひろ「それで良いのか君たちは」
モバP「ちなみにこの……マジックハンドに持ち替えても良いかもしれない」
雪美「おお……かっこいい……」カションカション
ちひろ「もう玩具コレクションじゃないですか」
モバP「玩具と侮るなかれ、マジックハンドは通行券や駐車券を取るのにも役に立ちます」
ちひろ「車の窓からね……っていつの時代の発想ですか」
雪美「……マジックハンド……伸びる方だと……思ってた……」ビヨーン……ッテ
ちひろ「そっちの方が更に古いですね」
-
1147
モバP「今日の偏見『桃華の寝間着は透けてそう』」
桃華「うふふ、そう思いまして?」
モバP「着ていても違和感は無いなというか似合いそうだなという、世間知らずの妄想だがな」
桃華「残念ですけれど、透けてはいませんわ。……見たこともあるのではなくて?」
モバP「普段使いはそうでも、そうでない一人の時にだけこっそり着る用とか、別にあるのかなと」
桃華「さあ、どうかしら」
モバP「でも、シンプルなセパレートタイプだけでなくワンピースタイプも一着や二着は持っているだろう?」
桃華「そんなに見たいのでしたら……わたくしの家にこっそり忍び込んでみてもよろしくてよ?」
モバP「えー、ジョジョのスタンドみたいなBGが出てきそう」
桃華「Pちゃまはわたくしを何だと思っていますの? 程々に、手配しておきますわ」
モバP「桃華とランデブーするまでにちょっとした運動もさせてもらえるわけか。燃えてくるね」
桃華「……さて、ベビードールを出しておくよう家の者に連絡を――」
モバP「俺の前でそんな情報を漏らしていくな。サプライズにしろ、そこは」
雪美「Pと……桃華の……やりとり……、時々……本気か……冗談か……分からない……」
-
今日はここまで
特定用途制限千秋
-
1148
モバP「しぶとい高気圧が去って一気に気温が下がるようになってきたな」
雪美「ん……」スリ
こずえ「ふわぁ……」スリ
モバP「こうなると温もりが欲しい女性の皆様が寄ってくる」
ちひろ「女性(女子小学生)」
雪美「……Pは……みんな……レディーとして……扱って……くれる……」
こずえ「こずえもー……れいでぃー……。えへー」
モバP「しかしそんなに熱源として良い塩梅なんだろうか」
雪美「……Pの……スーツ……これが……良い……」
こずえ「くせに……なるねー……」
モバP「俺に寄って来ているのではなくスーツに寄って来ているのか」
雪美「……そうとも……言える……?」
モバP「そんな……まあオーダーメイドの特に良い一着だからな。仕方ないか」
ちひろ「アイドル寄せ効果があるなんて何で出来ているんですかねそのスーツ」
-
1149
雪美「……のど……渇いた……」
モバP「よくお喋りしたからな。お茶でも飲むか?」
雪美「……」コク
モバP「少し待っていてな」
――
モバP「はい、お茶ですよ」
雪美「……ありがとう」スッ
モバP(湯呑を両手で受け取る仕草は良いものだ)
雪美「……」ゴクゴク
モバP「…………」
雪美「………………」
モバP(一頻り喋った後のこのクールダウン的な無言タイムも好きなんだよな)
雪美(……私も……)
ちひろ「急に静かになると調子が狂いますねえ」
-
1150
モバP「藍子って髪を下ろすとゆるふわ度が上がるよな」
雪美「……」コク
藍子「そうですか?」
モバP「ああ、何と言うか普段は女の子として一回変身を残している感じだ」
藍子「その変身を見せること、あまりないですけどね」
パサッ
モバP「と言いつつすぐに見せてくれるサービス精神」
雪美「……かわいい」
藍子「特別ですよ? 代わりに、あとで結び直してくださいね」
モバP「任せろ。Youtubeを見て学習したヘアメイク技術が俺の手にはある」
藍子「元通りにするだけで良いですからね?」
雪美「……P……アレンジ……加えるの……好きだから……」
モバP「しないしない。しっかりデフォルトの藍子に戻すよ」
藍子「ふふっ」
-
モバP「それにしても藍子、普段から髪を下ろしていても充分見映えするよな」
藍子「そうですか? これだと誰だか分からない女の子に見えませんか?」
モバP「そんなことはない。見る側としては新鮮でドキドキするがそれでもしっかり藍子だ」
モバP「オーソドックスな髪型だからって個性が消えるわけじゃないんだよな。むしろ増えるというか」
雪美「……」コクコク
モバP「あと、藍子の髪を下ろした姿は普段から結構想像できる方なんだよ」
モバP「ただ実際に見ると毎度想像以上で驚かされるんだがな」
雪美「……柔らかそう……」
藍子「嬉しいな……未央ちゃんとかからは触りたい髪だってよく言われます」
モバP「絶妙な加減にウェーブした髪が手を誘うのかな。あとは色も優しい」
モバP「だから緑や黄色の入った服や衣装や水着が馴染むのかもな」
雪美「黄色いビキニと……緑のパーカー……」
モバP「髪を下ろした状態でその水着姿を披露というのも……楽しみだな」
藍子「期待されてもそれはさすがにダメですよ? 持って来てないですから」
ちひろ「持って来ていれば着たのだろうか」
-
1151
雪美「……何か……良い香りが……する……」
モバP「……本当だ」
モバP「これは金木犀じゃな?」
雪美「……詳しいの……?」
モバP「植物の知識は正直に言ってそんなにない。素人だ」
凛「またまた。謙遜するね」
夕美「金木犀の花言葉の一つだね、謙遜」
モバP「その辺の引き出しは凛や夕美につい頼ってしまうな」
モバP「以前、凛に貰った鉢のヘデラがゴールデンチャイルドとかいう名前だったのは覚えているんだが」
雪美「何それ……カッコいい……」
凛「当たり。しっかり名前を覚えておいてあげてね」
モバP「金木犀も、これだけ特徴的な匂いを出していると分かる。秋を感じさせる象徴みたいなものだからな」
夕美「それにしてもPさんにヘデラ、か。凛ちゃんらしいかも」
凛「プロデューサー、ちょっとした壁面緑化に憧れているらしくて」 アア、ソウイウ
-
1152
モバP「生活情報番組でよく見かける納豆の効果的な食べ方」
モバP「食べる前に冷蔵庫から出してしばらく置く」
雪美「……」
モバP「タレやカラシはかき混ぜた後に入れる」
雪美「……」シャカシャカ
モバP「ナットウキナーゼが壊れるので熱いご飯の上には乗せない」
雪美「……」 ←元々乗せない派
モバP・雪美「……いただきます」
――
ちひろ「食べ方くらい好きにさせてと思いますけどね」
モバP「まあそうですが、順序次第で味や食感が変わると気分に合わせて使い分けられますから」
ちひろ「食パンにスプレッドを塗って焼くか、焼いてから塗るかみたいなものですか」
モバP「個人的には焼いてから塗った方が風味が出て好きですね」
雪美「……焼く前……パンが柔らかくて……塗りにくい……」
-
1153
モバP「もう食パンはしばらく見たくないなあ」
ちひろ「何があったんです?」
モバP「アイドルたちとカフェで甘い物を食べに行こうという話になって」
雪美「……なった……」
モバP「それでとある有名な店に行って頼んだハニートーストが、多少大きいくらいなら行けるだろうという程度で胃を準備していたらそれよりも大きくてですね」
雪美「ブロック……サイズに……圧倒……!」
ちひろ「ああ、あの一斤ほとんどを使いましたみたいなのを勢いで頼んでしまったんですか」
モバP「はい。運ばれてきた時は盛り上がるんですが食べきるとなると大変です」
ちひろ「スライス一枚分でも結構カロリーがありそうなものですからね」
モバP「あれだけの量だとハチミツの香りも甘ったるくなります」
モバP「その後、これじゃいかんとカロリーを消費しようとなって、皆で入ったのが初めてのパセラ」
モバP「あの部屋に置いてあるメニュー……あれ……初めて見た時……なんていうか……その……満腹なんですが……フフ……グルトーに興味……湧いちゃいましてね」
ちひろ「グルトーはパセラくらいにしかないですから、それはそれでどうしても食べたかったんですね」
雪美「……無茶……しやがって……」 ホントダヨ
-
1154
雪美「……P」
モバP「何だい? 雪美」
モバP「! それは……ウェイトレスの衣装か……!」
雪美「うん……」キラキラ
雪美「……私……コーヒー……淹れた……。飲んで……」
モバP「何、雪美の淹れたコーヒーだと? これは直ちに仕事を中断せざるを得ない」
雪美「……はい」コト
雪美「熱い内に……どうぞ……」
モバP「トレーを胸に抱えて控える雪美さんをじっくり見たいと思いつつも」
モバP「うーん、実に良い香りだ。……いただきます」ズズ
モバP「……見事だよ。雪美の気持ちがこもった一杯……一緒に喫茶店を開かないか?」
ちひろ「何言ってるんですか。……それにしてもこのカリタの陶器ドリッパーに三角形の耐熱ガラスサーバー、様になりますね」
モバP「いろいろ試すんですが、やっぱり自分でやるならこれで淹れるのが一番美味しく出来る気がします」
雪美「ハンドドリップ……やるの……楽しい……」
-
1155
モバP「事務所のアイドルのステージを一番後ろの通路に立って」
モバP「ああ、皆は俺が育てたんだな――と思いながら眺める優越感」
ちひろ「見てください雪美ちゃん、これが後方彼氏面というやつです」
雪美「なるほど……」
モバP「やってみせようとすると恥ずかしくなりますねこれ」
雪美「ふふ……Pは……前の方で……見るタイプ……ね」
モバP「純粋にお客さん側で見るとしたら前過ぎない前が良いかな」
雪美「……そう……?」
モバP「たまに客上げや客弄りがあったりするじゃない? あれに突然選ばれたらアガる自信があるので」
雪美「……それは……私も……緊張……する……」
ちひろ「プロデューサーさんは予期しないことが起こるとエラーを吐きますからね」
モバP「しかし後方彼氏面、ですか。前方後円墳、或いは前門の虎後門の狼なら知っていますが」
モバP「この用語を教えてくれたりあむって物知りなんだなと思うと俺も鼻が高いよ」
りあむ「Pサマ微妙に間違った使い方してる気がするけどまぁいっか」
-
今日はここまで
チョコミントアイス
-
1156
モバP「……」ホー
美世「Pさん、あたしの車に興味津々?」
モバP「ああ。このフロントグリルのデザインが、改めて見るとなかなか好みだ」
美世「おっ、分かるー?」
雪美「……フロントグリル……?」
モバP「ほら、車の正面を見てみよう」
雪美「……こうして……見ると……顔……みたい……」
モバP「ヘッドライトが目でな」
モバP「それはそうとここ、網目の隙間があるだろう? この部分がイカすんですわ」
雪美「……」ウーン
美世「雪美ちゃんの好きな車にもあるんじゃないかな?」
雪美「……私の……好き…………ルパン三世の……フィアット500……」
美世「先代か。あれはフロントグリルないなあ」
ちひろ「そういえば美世ちゃんもグリル、もといメッシュの衣装を着てましたね」
-
1157
モバP「まゆが着けているリボンのカチューシャがふと欲しくなる」
ちひろ「コレクターですか」
モバP「というか着けてみたいんですよね、あの手のカチューシャ」
ちひろ「えぇ……」
モバP「まゆがカチューシャを着けていない場面にそう出くわさないわけですが」
モバP「着け心地が良いからこそ着け続けられると思うんですよ」
雪美「……Pも……カチューシャ……着ける……?」ネコミミ……
モバP「雪美も頻度はそこそこだが着けるよな」
モバP「俺は頭を締め付けられるのはあまり好きじゃないので合うサイズ、ある?」
ちひろ「拘束具じゃないですけど、たまに締め付け感が苦手な人はいますよね」
雪美「はい……これなら……Pも……着けられる……」カポッ
Λ Λ
モバP「おお、なかなかゆったりとして良いフィット感だ」ニアウ? ……ウン
Λ Λ
モバP「でもご主人様に逆らうと自動で締め付けてイテテなことになるような特殊なカチューシャとかも世にはありそう」
ちひろ「カチューシャを緊箍児と一緒にするな」
-
1158
ズズ
モバP「ふぅ」
モバP「……食後の一杯がこんなに嬉しいとは」
雪美「……それ……イチゴの匂い……する……?」
モバP「ああ、強すぎない程度にフルーティーで好みだな」
雪美「……私も……飲もう……かな……?」
モバP「ミルクや砂糖は入れなくて良いかい?」
雪美「……一口は……そのまま……飲んでみる……」
雪美「……」オソルオソル
コク
雪美「……」
モバP「そのままのコーヒーの味はどうだ?」
雪美「……複雑……」
モバP「そうか。俺も実は気取って飲んでいるだけでミルクと砂糖を入れた方が飲みやすいとは思っているんだ」サーッ
-
雪美「……Pったら……ふふ……」サーッ
モバP「しかし香りはすごくイチゴです。よく見つけてきたな」
雪美「……パパから……貰った……」
モバP「へぇ……というかコーヒーを淹れるのが上手いのは」
雪美「……家で……パパとママに……淹れてあげる……から……」
モバP「それで心得があるんだな。コーヒードームを綺麗に作るしタイミングもばっちし」
雪美「……パパとママの……喜ぶ顔……好きだから……」
モバP「娘が上手に淹れてくれるコーヒーなんて喜ばない両親はいないな」
モバP「……今度パパさんに会ったら根掘り葉掘り詳しい話を聞いてみよう」
雪美「……私のこと……根掘り葉掘りは……ダメ……」
モバP「いや、根掘り葉掘りというのはコーヒー豆についてだが」
雪美「……いけず」
モバP「雪美のパパさんも時々混じる京言葉が色っぽいんだよな」
モバP「ええ手つきしてはりますな、とか、よろしおすな、とか、おおきに、とか」
雪美「……P……パパ……狙ってる……?」 ネラッテナイヨ!?
-
1159
モバP「雪美さん」
雪美「P……」
モバP「……いくよ?」
雪美「……来て」
モバP・雪美「……」ダキッ
ちひろ「……」
モバP・雪美「……」ギューッ
ちひろ「……」
モバP・雪美「……」ギューッ
ちひろ「いや、何をやっているんですかね」
モバP(これは競技です)
ちひろ(脳内ジャックしないでください)
ちひろ(……競技って何ですか)
モバP(ずばり、雪美さん抱き締め耐久! 何分照れずにいられるか! です)
-
ちひろ「……」
モバP(ちひろさんが受信拒否モードになった)
ちひろ(あら、また迷惑メールが)
モバP(馬鹿げているとお思いですか?)
ちひろ(一点の曇りもなく馬鹿げていると思います)
まゆ(プロデューサーさん、今日の夕飯はまゆが作りますけど、希望はありますか?)
モバP(お、そうだな……ハンバーグが良いな。パン粉ありのトマト煮込みで)
まゆ(了解です。それと……今度まゆにもしてくださいね? 見ていますから)
モバP(分かったよ。それとお風呂で待ち伏せはするなよ?)
ちひろ(普通にまゆちゃんが割り込んでくるという)
雪美(Pだけ……他のこと……考えているの……ずるい……。これは……一対一の……勝負……)
ちひろ(今度こそブロックしときましょう)
――
雪美「記録……3分46秒……自己ベスト……」ツヤツヤ
ちひろ「プロデューサーさんのコミュニケーションはいろいろとおかしいと思います。今更ですけど」
-
1160
モバP「街路樹の葉が落ちる秋」
雪美「……落ち葉のじゅうたん……もうすぐ……見られる……」
モバP「あれを見ると秋深まれりって感じがするよな」
ちひろ「公園なんかでそういう並木道を一人で歩いているとしみじみとしますね」
雪美「もうすぐ寒い……冬が来る……」
モバP「……」
ちひろ「……」
雪美「……?」
モバP「恋人が欲しいですか?」
ちひろ「何を言う」
モバP「まあ、物寂しさを紛らわせるわけじゃないですが、みんなで並んで、綺麗な並木道をドラマみたいに歩いてみたいですね」
雪美「……HERO……」
ちひろ「懐かしいですね」
モバP「BGMはGメン75が良いですね」 ソレハフルスギ
-
1161
モバP「麻婆豆腐が食べたい」
雪美「……いいね……」
モバP「だが麻婆茄子も捨てがたい」
雪美「ナスも……油に馴染んで……合う……」
モバP「さあどっちを作ろうか。どっちも作ろうか」
雪美「豆腐と……ナス……いっしょに……する……?」
モバP「一緒にしてしまうか。今日のおかずは豪華だ」
ちひろ「ついでに春雨とかまで入れるようになりそう」
モバP「麻婆茄子豆腐春雨なんて思いつくのは自分だけでなく、世の中には結構作る人がいるんですよね」
モバP「自分もものぐさで、一つ一つ別に作るよりまとめられる物はまとめて作っちゃえば良い、ってところはあります」
雪美「昨日も……一つのフライパンで……きんぴらごぼうと……レンコンのきんぴら……作っていた……」
ちひろ「美味しそうですね。私、きんぴらは結構好きですけどそれは特に邪道でもないと思います」
モバP「まあものぐさ過ぎて麻婆豆腐に片栗粉をそのまま投入して失敗したこともありますが」
ちひろ「良い子はちゃんと水で溶いてから入れましょう」
-
1162
モバP「樹木葬……か」
ちひろ「おや、もう終活を考えておいでになるんです?」
モバP「しばらく死ぬ予定はないです」
ちひろ「その割には何か心に響くものでもありそうですけど」
モバP「石のお墓に入れて、ではなくて植物の根元に、というのが素敵だなと」
ちひろ「プロデューサーさんは自分をピラミッドや古墳のような所に葬ってほしいものかと思っていました」
モバP「王族じゃないんですから」
モバP「しかし自分の骨を埋めた地面にはどんな花が咲くんでしょうか」
ちひろ「予め何の花か樹かは決まった場所に埋められるんじゃないんですか?」
モバP「皮肉にも悪人の骨を埋めた土の方が綺麗な花が咲く、なんてことがあると面白いんですが」
ちひろ「蔵馬かな? 不気味でどこか毒々しいような美しさを湛えて咲きそうな気が」
雪美「……P……何の話……してるの……?」
モバP「転生するなら植物になるのも良いかなって話」
ちひろ「Floweyみたいなのが生まれそう」
-
今日はここまで
結果は主催者発表のものと照合してください
-
1163
モバP「雪美さんに着せてはいけない服シリーズー」
奈緒「Pさんの性癖が窺い知れるやつだ」
モバP「たまには羽目を外したい時もあるんだ」
雪美「……この人……外し過ぎ……」ツンツン
モバP「それに後で実際に着せてみました、なんてことはやっていないんだから。想像するだけならフリーだよ」
モバP「奈緒だって例えばアニメ由来の、これはちょっと人前では見せられないって服を着てみたくなる時が全く無いわけではなかろう?」
奈緒「そりゃそうだけど、あくまで自分で着る場合だろ? 着せたい、しかもそれを面と向かって言うとなると話が変わってくるって」
雪美「大丈夫……慣れてる……。それで……今日は……何を……着せたいの……?」
モバP「今日は奈緒もいるし、アニメのキャラを名指しでいこうか」
モバP「ずばり、ジャヒー様」
奈緒「えっ、シャツ一枚かよ」
モバP「いや、それも良いんだが大人姿の方の格好。クロスストリングとショートパンツ的な」
奈緒「あの格好で深夜の良心みたいなコメディアニメやってるのはシュールだよな」
雪美「……そういう衣装……あったら……着てみたい……?」 Pサンノマエデハゼッタイニキナイ
-
1164
モバP「デレぽは見ていて飽きないな」
雪美「うん……」
モバP「雪美も参加しているからな。あの空間に入れるのは少し羨ましい」
雪美「よく……お世話に……なる……」
ちひろ「やり取りを見ているだけで癒されますよね」
モバP「アイコンも名前も本人なので分かりやすいですよね」
モバP「今時一般のSNSだとプロフィール画像、アイコンを自分の顔にしている人なんてあまりいないですから」
ちひろ「ニックネームとかもですけど、その辺は自由で良いと何にするか結構センスが問われますよね」
雪美「……私だったら……ペロの画像に……するかも……」
モバP「ペロか……俺はやるならPヘッドにでもするかな」
雪美「……Pヘッドアイコン……既に……使われてそう……」
ちひろ「世にはアニメアイコンでいろいろ拗らせたことを言う人たちもいますけど、Pヘッドアイコン勢は大丈夫でしょうか」
モバP「ネットだけでなく我々のこうした世間話だって今は発言がしっかり記録として残りますからね」
ちひろ「誰に記録されているんですかね……」
-
1165
モバP「ハロウィンって割とバレンタインデーやホワイトデー並にオサレなお菓子が多いな」
雪美「……」コク
モバP「ということでちひろさんにもお一つ」
ちひろ「ありがとうございます。これはラ・メゾン白金のタブレットショコラですか」
モバP「よくご存じで。それのハロウィン版ですね。ハロウィンタブレットです」
雪美「……お菓子に……見えない……。可愛い……」
モバP「こういうのは食べるのが勿体無くなるな」
雪美「……」パクッ
雪美「……ん……イチゴ味……おいしい……」
ちひろ「私のはピスタチオ……そういえばプロデューサーさんからはアルフォートのピスタチオも頂きましたね」
モバP「好きでしょう?」
ちひろ「いや、ピスタチオ味が好きだなんてことを言った覚えは特にないですよ?」
モバP「でも緑色ですし」
ちひろ「色の問題ですか」
-
雪美「……」
雪美「……!」ピコン
モバP「さて、ブルーベリーとオレンジとマロンとパンプキンのどれにしようかな」
雪美「……P……」
モバP「ん?」
ハムッ
雪美「……」
モバP「雪美が何かを口に咥えている状態ってとてもそそるな」
雪美「……んー」
モバP「えっ、口移し? しょうがねぇなぁ」
パキッ
モバP「美味いじゃん。サンキュー」
雪美「……///」
ちひろ「少しは躊躇というものをですね……止める暇も無かった」
雪美「……ハッピー……ハロウィン……♪」
-
1166
モバP「塩釜焼ってありますよね」
ちひろ「ありますね」
雪美「……あまり……見ない……」
モバP「それもそうだと思うんだ」
モバP「あれって冷静に考えると塩が勿体無いと感じませんか」
ちひろ「叩いて割って中身だけを食べるわけですからね」
雪美「塩……捨てる……?」
モバP「卵白とか混ざっていて再利用も考えにくいからな」
雪美「……勿体無い……ね」
ちひろ「ポットパイやパイの包み焼きなんかはどうです?」
モバP「あれも崩して中身をメインとして食べるもので、出された時の見た目は良いですが……」
ちひろ「でも、そんな頻繁に作る物でもないですし、特別な日の御馳走に、くらいなら良いんじゃないですか?」
モバP「そう言われてしまうと……それまでですよね」
ちひろ「……で、何か良い話のオチは見つかりました?」 ソウイワレテシマウト(ry
-
1167
モバP「個性を出すのって難しいですね」
ちひろ「アイドルのプロデュースのことで悩んでいるんですか?」
モバP「いえ、自分の」
ちひろ「プロデューサーさんが個性を出すことに全力を挙げても仕方ないでしょう」
雪美「P……そもそも……個性……強すぎる……くらい……」
モバP「いや、もう少し分かりやすい、誰が見てもプロデューサーだという個性があった方が仕事にも活きませんかね?」
ちひろ「目立ち過ぎて仕事にならないと思いますよ?」
ちひろ「というかこれ以上個性を出すって、カラーリングを派手にでもするんですか? 金髪赤スーツとか」
モバP「誰の真似ですかそれは……特徴的な語尾でも付けるとかどうです?」
ちひろ「極めて初歩的ですね」
雪美「語尾……何を付ける……? ……なのだ……とか……?」
モバP「僕はプロデューサーなのだ」
ちひろ「ずんだもんかな?」
プロデューサー雪美「……とりあえず……今日一日……それで……行こう……」 ソッケツ!?
-
1168
モバP「タイムトラベルものでよくあること」
モバP「今は亡き家族に会いに過去に行くが、その人にとって未来から来た自分は見知らぬ他人である」
雪美「……それは……とても……切ない……」
モバP「その時代にはその時代の自分がいて、愛を注がれるのはその時代の自分である」
ちひろ「私は未来から来たあなたの子どもですとか言ってもまず信じてもらうのが難しいでしょうね」
モバP「私は信じますがね」
雪美「……でないと……可哀想……」
モバP「しかし、もし未来から例えば未亡人で一児の母親の雪美さんがやってきたとして」
ちひろ「何故そんな設定を盛る」
モバP「その人に世話を焼いて親しくしたら雪美さん的には浮気になると思う?」
雪美「……私は……私……。みんな……平等に……愛してくれれば……良い……」
ちひろ「何を聞いているんですか。……でも、実際は過去を観測することはできても過去に干渉するのは人類には無理なんじゃないですかね」
モバP「宇宙に巨大な鏡を置いたら理論で過去を見ることは出来たとしてもそれはあくまで過去の映像ですからね」
ちひろ「まあ我々のいる世界は別のようですけど」
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1169
モバP「最近、階段の夢をよく見るんだ」
朋「どんな階段?」
モバP「身近な階段だな。そこが崩れていて通れなくなっている夢が多い」
朋「一般的な夢占いの見地では、それは人生の転機を表しているのかもしれないわね」
モバP「それと階段を登っていたと思ったらいつの間にか降りていた、というのもよくある」
朋「ポルナレフか」
雪美「騙し絵……みたいで……面白そう……」
モバP「ポップでシュールな世界観はあるな。やたら速かったりアクロバティックな角度のエスカレーターや歩く歩道も出てくる」
モバP「もしくは手すりがなくて幅が狭い空中歩道……自分視点だとやたら緊迫感があるよ」
朋「Pは寝ている時間も楽しそうね」
モバP「足元が不安な夢は嫌だよ。特に高所恐怖症なんだからそういうのは」
朋「と言いつつ怖いもの見たさでたまにそういう動画とか見ているの知ってるんだから。そりゃあ夢にも出るってもんでしょ」
モバP「うっ、確かに。……とりあえずまとめると、目的地、つまり目標に辿り着けないでやきもきしているような心理の表れかな」
朋「夢の中で困ったらあたしを呼んでみなさいよ。出てくるんじゃない?」 カモナ ワタシハ……ヨクデル
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1170
モバP「こんな世の中、テレビで不意に見かけると安心する番組ってありますよね」
ちひろ「例えば?」
モバP「トムとジェリーですね」
ちひろ「ああ、最近は見かけませんね」
雪美「チキチキマシン猛レースも……」
ちひろ「なかなかハンナ・バーベラ好きですね?」
雪美「……ちひろさんも……?」
ちひろ「はい。以前はホテルとかのラウンジや修学旅行のバスなんかで流れているのを見ていました」
モバP「良いですね。自分は専ら家で、民放の再放送で見かけたら嬉しいタイプです」
ちひろ「カートゥーンネットワークのようなアニメ専門チャンネルでは今でもやるんでしょうけどね」
モバP「何せトムとジェリーは結構容赦ないコミカルな暴力が、日本では作られないテイストで面白いんですよね」
モバP「アウアウオッホホホホゥ! みたいな悲鳴でいつも笑ってしまう」
雪美「ふふふふふ……似てる……」
ちひろ「足の小指でもぶつけたら自然にそういう声が出るんでしょうかね?」 イタイデスカラネアレハ
-
今日はここまで
行くは破壊、来るは破壊、すべて、破壊
-
1171
雪美「……」チョコン
モバP(いつもの膝の上……)
雪美「……」
モバP(……いつも見える雪美の頭)
雪美「……」
モバP(俺、齢二十を超えて頭頂部フェチに目覚めるかもしれないな)
雪美「……顔……見えないの……不安……?」
モバP「へ? 顔?」
雪美「……P……私の頭……見てる……」
モバP「えっ、分かるのか? こっちに顔を向けてくれないかと訴えていたわけではなく、ただ見惚れていただけだが」
雪美「……ん……分かる……。……何となく」
モバP「それは凄い。まるで後ろに目があるかのようだ」
モバP「食わず女房や二口女のように後ろに口がある女性は知っているんだがな」
ちひろ「口が減らない奴め」
-
1172
モバP「今日、近所のとある飲食店の近くを通りかかったんですが、照明が昼光色で何か珍しいなと思ってしまいました」
ちひろ「あまりないですよね。昼光色はオフィス向きだと思います」
雪美「……昼光色……?」
モバP「ああ、照明の色のことだな」
モバP「赤みのある電球色、オーソドックスな昼白色、青白い昼光色」
ちひろ「主にその三つですね」
モバP「電球色と昼白色の間に温白色というのもあるようですがね」
雪美「……ここは……昼光色……?」
ちひろ「中間寄りですかねえ」
モバP「事務所の照明が電球色じゃなくて良かったと思います。センチメンタルな気分になりそう」
ちひろ「そんな事務所もそう無いと思いますけどね」
雪美「赤い明かり……温かい……でも……少し……寂しい感じ……」
モバP「灯火に近いが少し暗めに感じるよな。そういえば以前、真っ暗が怖くて赤い豆球を点けて寝ていた時期があったなあ」
ちひろ「普段夜も明るい都会住みがたまに山の旅館とかに泊まると眠れなくなるやつですね」
-
1173
チーン
モバP「おお、焼けた」
雪美「……開けるね……」
モバP「熱いから気を付けてな? このトースターは赤くならないから熱そうに見えないが」
雪美「……大丈夫……すぐ……お皿に取る……」
モバP「……」ハラハラ
雪美「……ほっ」
雪美「……はい……おいしそう……」
モバP「落ち着いているなあ。頼もしいや」
雪美「じゃこマヨトースト……いっしょに……いただきます」
モバP「いただきます。……事務所でいただく軽食としては何だか家庭的で良いな」
パクッ
モバP「これよこれ」
モバP「このこんがり焼けたちりめんじゃこのカリカリ感と、マヨネーズを乗せて焼くことでしっとりした食パン」
-
雪美「……これが……好き……?」ハムハム
モバP「ああ。忙しい時に親がよく作ってくれて、簡単だから自分でもよく作るようになったのを思い出す」
モバP「でも興味が他に移ったのと、ちりめんじゃこの高騰でめっきり作らなくなった」
パクパク
モバP「……改めて食べたら美味しいや」
雪美「……」ハムハム
モバP(じゃこマヨトーストを食べる姿すらも絵になる雪美さんよ)
モバP「それにしてもせっかくこうして単なる給湯室じゃないオフィスキッチンがあるのだから、もっと本格的な料理を作るべきかな」
雪美「……例えば……?」
モバP「……ふわ玉キャベツトーストとか?」
みちる「いいですね! 是非作りましょう!」ヒョコッ
雪美「みちる……パンの匂いを……嗅ぎつけた……? ……フライパン……必要だね……」
みちる「フライパンが出てくると一気に本格的な料理っぽくなりますからね!」
モバP「あの薔薇のように綺麗な卵を見たら難しくても作りたくなるよなあ」
ちひろ「フライパンってそんな上級向け調理器具だったか、確信が持てない」
-
1174
モバP「俺がどこにいても居場所を特定するまゆ」
モバP「俺の体に発信機みたいなものは付いていないんだが何故分かるのだろうか」
まゆ「運命の赤い糸が……プロデューサーさんと繋がってますから」
モバP「まゆはすごいなあ」
雪美「……赤い糸……そんなに……赤いの……?」
まゆ「そうですねぇ、とても赤いですよ。一目で心を奪われてしまうくらい強い赤です」
モバP「イメージとしては指と指で繋がっているどころではなく、こっちには常にリボンくらい太いのが体にぐるぐると巻き付いている感じかな?」
ちひろ「やたら因果が強そうな赤い糸、いえ、赤いリボンですね」
まゆ「プロデューサーさんに緊縛願望があってもまゆは付いていきますよぉ」
モバP「別にそういうわけじゃない。縛るなら緩めにしてくれ」
雪美「……赤いリボン……お風呂……入る時も……そのまま……?」
まゆ「プロデューサーさんの裸リボン……」ドキドキ
蘭子「赤は紅より出でて紅より赤し」
ちひろ「それはどっちが師匠でどっちが弟子なんでしょうかね?」
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1175
ガチャッ
モバP・雪美「……」
パタン
トコトコトコ
モバP「……今日は先客は誰もいないようだな」
ヒュウウウー
モバP「風が冷たいな。雪美は寒くないか?」
雪美「……平気……」
雪美「……それより……今は……二人きり……」ギュッ
モバP「あら雪美さん、積極的ですこと」
雪美「……今は……このままで……いたい……」
モバP「屋上での逢瀬は初めてじゃないのにいつも心が躍るな」
モバP「……普段から一緒にいるのに逢瀬か? とどこからかツッコミが飛んできそうだな」
雪美「ふふっ……」
-
雪美「……もっと……そっちに行って……いい……?」
モバP「どうぞ」
雪美「……」ススッ
モバP「こんなに密着して、誰かに見られないですかね?」
雪美「大丈夫……。多少は……ね……」
モバP「何が多少なのか気になるな」
雪美「ここは……芳乃が……人避けの結界……張ってるから……何しても、見えない……」
モバP「よくあるご都合主義的な結界か。いや、そんなマジックミラー的なものがよくあっちゃいけないか」
モバP「……しかし、屋上に出られるって良いよな」
雪美「……?」
モバP「フィクションでよくある、学校の屋上で弁当を食べたり女の子と話したりなんかして、ささやかな青春を感じてみたいという夢があったんだが」
モバP「俺は小中高と、一度も屋上に行ったことがない。通じている階段さえどこにあるのか知らなかった。多分知っていても立ち入り禁止だっただろうがな」
雪美「……」
モバP「当時見ることの出来なかった景色が今、やっとここにある」キラキラ
雪美「……P……まだまだ……青春……ね」
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1176
モバP「……これ、なかなか良いな」
雪美「……そう……?」
ちひろ「おや、プロデューサーさん。それはネックピローですか?」
モバP「デスクワークにも良いと聞いたので適当に買ったのを試しに首に巻いてみています」
雪美「……ビーズ……」ツンツン
ちひろ「旅行の時には使う人もいるようですね」
モバP「なかなか快適ですよ、これ」
モバP「デスクにこう置いてうつ伏せ用枕にするのも良さそうですし」
ちひろ「ここで寝る気ですか。あ、カバーは紺色のポリエステルなんですね」
モバP「スクール水着やブルマの素材だと思うと何だか破廉恥なことをしている気分になります」
ちひろ「発想が……その内おしり型まくらとか持って来たりしないでくださいよ?」
モバP「学校にmy枕を持って行こうか本気で悩んでいた時期はありますがそれはさすがに」
ちひろ「そこまでして寝たいか」
雪美「……ちなみに……Pのおしり……枕にちょうどいい……」 ナニサセテンデスカ
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1177
雪美「それで……ここも……いい……」
モバP「結構端の方だからこれをプランに組み込むと大変だが外したくないな」
ちひろ「真剣に何の話をしているんですか?」
モバP「雪美さんと京都旅行に行きたいのでどこを回ろうかという話をしているんですが」
雪美「……」コク
ちひろ「仕事しろ」
モバP「この時間に捌く仕事は先に終わらせました」 ……マシタ
ちひろ「プロデューサーさんっていつ仕事やってるんだろ……」
モバP「それでですね、これまで天橋立、伏見稲荷、保津峡、貴船神社などいろいろ出てきましたが」
モバP「これを忘れる所でしたよ、伊根の舟屋」
ちひろ「忘れる所って、ついさっき閃いたばかりなのでは?」
モバP「まあまあ。それでちひろさんも見に行きたくありませんか? 舟が乗り入れて停まる民家を」
ちひろ「私も連れて行く気ですか? ……ちょっと行きたいですね」
雪美「……旅行のしおりが……厚くなるね……」
-
今日はここまで
ホテル業魔殿
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1178
モバP「山頂レストランとか山頂カフェって良いよな」
雪美「うん……見晴らし……最高……」
奈緒「ロープウェイとセットのイメージだな」
奈緒「一度ロケで行った時は、けものフレンズのジャパリカフェを思い出したなあ」
モバP「懐かしいね。俺はルプ☆さらだの山頂レストランを思い出すよ」
奈緒「何歳だよアンタ」
モバP「けもフレもルプ☆さらだも、気圧の影響で水が低温沸騰するからコーヒーの淹れ方に気を付けないといけない、みたいな話があったのは覚えている」
奈緒「そういう話だったか?」
雪美「圧力鍋は……逆に……沸点が……上がる……」
モバP「というか登るのに一苦労な山の上に下界でも見かけるような大きめの人工建造物があるというのが良い意味で場違いかつロマンで良いよな。山小屋、自販機、展望台くらいならまだ自然だが」
奈緒「確かにな。よくそこに建てたなというか、建てようと考えたなって感心するよ」
雪美「私……いつか……マウナケア天文台群……行ってみたい……」
モバP「ハワイか。森林限界の開けた赤土の山肌の尾根に点々と建つ展望台が勇壮な佇まいだよな」
奈緒「雪美は目指す場所が高いなあ(4,205m)」
-
1179
泉「ウッサミンか……そんなHNのハッカーは私も知らないよ」
雪美「Pの名前まで……知ってたから……ちょっと……気になって……」
泉「心配することはないんじゃない? ライセンスは無事に取れたんだし良かったじゃない」
泉「この346プロ一帯はイントラネットだから、アイドルの誰かがイタズラでもしてるのかもね」
泉「でも、そんなことを気にするなんて雪美ちゃんらしくないような気がするけど……」
泉「いつもこうなの、P?」
→いつもは明るい 意外とセクシー
結構クール
飄々としている 割と人妻属性
――
モバP「さて、ちひろさんならこういう風に聞かれたら何と答えます?」
ちひろ「後の二つは付け足してますね? ……いや、結構クール……なんじゃないですか?」
モバP「それだと氷結と呪殺魔法を主体に覚える雪美になりますね。俗にいう外れ選択肢」
ちひろ「外れ言うな。……明るいアギ雪美ちゃん、セクシーなジオ雪美ちゃん、飄々としたザン雪美ちゃん、人妻なテラ雪美ちゃん――」ゴクリ
雪美「何の話……してるの……」
-
1180
ちひろ「ごちそうさまでした」
雪美「……ごちそうさまでした」
モバP「お粗末様でした」
ちひろ「いや、出前ですけどね」
ちひろ「たまには店屋物で食事を取るのも良いものですね」
モバP「ちひろさん」
ちひろ「はい?」
モバP「これ……良かったら如何ですか?」
ちひろ「取っ手の無い小さな陶器のコップに……ジュース?」
モバP「ちひろさんにはいつもドリンクをいただいていますから、今日はこちらから、雪美印のドリンクを」
ちひろ「雪印じゃなくて雪美ちゃん印なんですか?」
雪美「Pと……いっしょに……開発した……」
モバP「ネーミングライツは雪美さんにしています」
ちひろ「ネーミングライツって……いただきますね」
-
コクッ
ちひろ「あっ……おいしい」
雪美「……良かった……」
ちひろ「お二人のことなんで不真面目な物は出さないと思いましたけど、ミックスジュースですか」
モバP「食後の一杯的にはどうです?」
ちひろ「デザート的な感覚ですけど締めには良いですね。何だかすっきりします」
モバP「実は割烹千ひろのフルーツジュースに憧れて作ってみたんですよ」
ちひろ「ここで千ひろの名前を聞くとは……ちひろですけど。これはどちらかというと千成屋珈琲とかのミックスジュース寄りですね」
ちひろ「ほのかに感じられるバナナのまろやかでありつつもそれと分かる口当たりとか……」
雪美「バナナ……やっぱり……分かる……?」
モバP「ミキサーで作るとどうしてもバナナスムージーを作る時の癖でバナナを入れたくなっちゃうんだよな」
ちひろ「癖かい」
モバP「ミキサーや炭酸水メーカーって家庭の台所に必須ではないですけどあった方がこう、映えますよね」
雪美「……P……通販で……よく買うから……」
ちひろ「まさかの通販好きときたか」モウオナカイッパイデス
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1181
モバP「……」
美優「あの、Pさん……どうしたんですか?」
モバP「! 美優さん」
モバP「いやあ、ノリで変なことをするもんじゃないなと反省している所で」
モバP「セクハラになるかもしれませんがこのカプセル、開けてみます?」
美優「これが何か……あっ……///」
モバP「見ての通り、マイクロビキニですね。立ち寄ったとあるオートレストランにあったクレーンキャッチャーで遊んでみたら一発で取れちゃいまして」
美優「……持って帰って来ちゃったんですか」
モバP「取れたプライズを店にそのまま捨てていくのもマナーとしてあんまりでしょうし」
美優「でも、このままPさんが持っていたらあらぬ誤解を受けそう……」
美優「これ……私が貰っても」ガチャッ ビクッ
雪美「……P……」
モバP「いや、これを君に着てほしいと言わんばかりに雪美にあげてしまったら、俺はその足でまっすぐ早苗さんに自首しに行かないといけなくなる」
ちひろ「堂々とデスクに置いて悩まずに隠しておけば良いと思うんですけど」 バレルデショ?
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1182
モバP「いてっ」
雪美「P……?」
モバP「うわぁ、紙で指を切ってしまうなんて久々だよ」
雪美「……大丈夫……? 見せて……?」
モバP「えっ、見るの? ……はい」
雪美「……」アーン
モバP「ああストップストップ! 舐めなくて良い! 気持ちは嬉しいけど!」
雪美「消毒……」
モバP「雑菌が入るような怪我なら消毒液だし、こういう場合は少し水で洗って絆創膏で充分だ」
雪美「……嬉しいなら……やってあげたい……」
モバP(うぅ……雪美に指舐め……してほしい誘惑に駆られるがここは心を鬼にせねばなるまい)
モバP「傷を舐めるという行為はあまり良くないんだ。それは傷のない時にやろう! また今度、な?」
雪美「……」コク
ちひろ「傷のない時にやろうって何ですか」バンソウコウオイトキマスネ
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1183
モバP「……幼い頃に見た戦闘シーンって結構その後の人格形成に影響しますよね」
ちひろ「戦闘シーンですか」
モバP「例えば服が破けたり、頬に傷が付いたり」
ちひろ「そういうのに興奮すると……なるほどなるほど」
雪美「頬に傷……」
モバP「装備を破壊されたり傷を負いながらも勝つってヒロイックじゃありませんか?」
ちひろ「痕が残るような傷がトレードマークになるキャラクターとかもいますけど、そこはプロデューサーさんと価値観が違う感じがしますね」
モバP「ただし男のキャラだから勲章でありカッコいいのであって、例えば服が破ける方の話になりますが、少年時に霧沢風子対藤丸戦とかを見たら性癖が歪むかなと」
ちひろ「それは存じませんけど詳しく言わないのはプロデューサーさんなりの配慮ですかね」
雪美「P……もし……私の頬に……傷……あったら……」
モバP「それでも雪美は雪美だよ。ただ、例えば今後事務所や仕事で事故に遭い、ずっと残るような傷を作ることになったなら……」
モバP「その時は俺は雪美のご両親に謝り倒して、何なら責任を取って嫁に……は元から貰うつもりだからいいが、そんな怪我をしないように気を付けてくれ」
雪美「……? ……うん……わかった」
ちひろ「聞き捨てならないことをさらっと言うな」
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1184
モバP「雪美さんに着せてはいけない服シリーズー」
ちひろ「はい」
モバP「ちなみにこれ、何回目か知っています?」
ちひろ「知りません」
モバP「自分もです」
ちひろ「適当だな」
モバP「それで今回もざっくりといきましょう。レオタード風バリアジャケット・ISスーツ」
雪美「……?」
ちひろ「ざっくりというかまとまってないというか……レオタード風バリアジャケットというとフェイト・テスタロッサの着ているアレとかですか?」
モバP「さいです。ISスーツはまあ、アメリカンスリーブな上部と旧スク水みたいな下部になっている……要はどちらもワンピースタイプの水着みたいな戦闘服ですね」
雪美「水着で……魔法やファンネル……撃ち合ったら……怪我しそう……」
モバP「軽装にしてももっと覆ってやる所があるだろうって感じのデザインですが、とりあえず雪美さんがこれらを着たら多分衝撃で三日はご飯が食べられないと思います」
雪美「……それは……本当なのか……検証してみたい……」
ちひろ「そんなことのために恥を捨てないでくださいね?」
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1185
モバP「……」モゴモゴ
杏「あっ、飴舐めてる。ずるい」
モバP「ん、杏? 欲しいのか?」
モバP「これは泉に貰ったボイスケアのど飴で、ボイストレーニングをするのに必要だと言うなら一個やるぞ」
杏「んじゃいいや」
モバP「諦め早いなオイ」
杏「杏はさっきの楽屋に置いてあったスターキャンディをいくつか貰ってきたからね」
モバP「ちゃっかりしてんな。しかしアクリルアイスみたいで綺麗だね。形は星たべよみたいに角に丸みがある」
杏「なかなか手に入らないんだよね、これ。大事に食べるよ」
杏「ところでプロデューサーは何で飴なんて舐めてるのさ。風邪気味?」
モバP「風邪気味で喉がやられているならのど飴じゃなくてトローチを転がしているよ」
杏「トローチ……最後にあれを舐めたのっていつだったかな」
モバP「健康そうで何よりだ。アイドルは声の仕事も多いから下手に風邪は引けんわな」
雪美「Pも……ボイスケア……するんだね……」 オレモコエデシゴトシテルヨウナモンダシ ソウナノ?
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今日はここまで
ねむいねむいねずみ
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1186
千秋「きゅう……」
モバP「大丈夫か?」
千秋「くっ……負けたわ……」
ちひろ「プロデューサーさんが千秋ちゃんを膝枕してる……」
モバP「紙一重の勝負だった」
ちひろ「何をしたらそうなったんですか」
モバP「カメラマンになって雪美をモデルに、どちらがより良い絵を撮れるかで勝負したんですよ」
モバP「それで自分のとっておきの一枚がこれです」
ちひろ「……アウトではないですけど何か煽情的に見えるポーズ」
モバP「この、雪美が咥え髪留めしている姿を収めた写真を出したところ」
モバP「千秋がノックアウトされてしまいました」
千秋「雪美さんの……わき……良いわね……」
モバP「千秋の、腰に手を当ててエッヘンする雪美さんやシャフト角度の雪美さんも充分なんだがな」
雪美「……横になりながら……額に手を当てる千秋……かっこいい……」キラキラ
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1187
モバP「昔は若かった」
ちひろ「何を当たり前のことを」
モバP「青かったんです。性格とか発言とか思い返してみると、いろいろ意味不明だったな自分と思うことばかりで」
雪美「……」ウンウン
ちひろ「雪美ちゃんでもあるんですか?」 ……ウン
凛「どんなに若くても昨日の今日で反省や後悔だってある。それでも前を見て進まないといけないけど」
モバP「凛の場合はふーんアンタが的な?」
凛「やめて、思い出しちゃう。……今振り返ると生意気過ぎたよね」
モバP「いや、活きが良くて新鮮だなと思ったよ」
凛「七海が釣った魚みたいに言わないでよ」
モバP「ただ昔の発言を恥ずかしく思えるのは成長している証だ」
凛「だね」
雪美「蒼い歴史は……深い……」
ちひろ「昔は蒼かった、か」
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1188
モバP「チーズとハチミツって結構相性良いですよね」
雪美「……Pと……私……みたい……?」
ちひろ「一見相容れなそうな組み合わせという意味ではそうかもしれませんね」
モバP「相容れなそうですか?」
ちひろ「結構奇天烈なコンビだと思いますよ」
ちひろ「お二人を嫌と言うほど身近で見てきて違和感が鈍っていますけどね」
モバP「年齢も身長も性別も異なりますからね」
雪美「……でも……あまり……そんな気……しないね……」
ちひろ「周りから見える以上に、お互いを近い存在として認識しているようで」
モバP「まあ、同じ地球内生命体であるのは確かです」
雪美「……ふふ……そうだね……」
ちひろ「この何とも鷹揚な所で波長が合っているんでしょうか」
ちひろ「……すいません、出だしから話の腰をサバオリくんしちゃいましたね」
雪美「ふふっ……サバオリくん……すき……」
-
モバP「ちなみに、私はアイドルに鯖折りされてみたい方です」
ちひろ「そんなことは聞いていません」
菜々「ちなみに、で始まる一言を聞くとトリビアの泉を思い出しますね」
雪美「……?」
ちひろ「私が悪かったです。話を戻しましょうか」
モバP「チーズとハチミツのピザ、菜々さんは食べたことあります?」
菜々「ありますよ。17年生きてきて初めて食べた時は、世界はまだ広いんだなって思ったのを鮮明に覚えています」
モバP「結構最近なんですね」
菜々「えっと……はい、割と最近ですねっ」
ちひろ「乳製品にハチミツは合いますけどチーズとハチミツだとピザのイメージですね」
雪美「クリームチーズに……甘いものは……合う……。それに……ピザなら……フルーツピザも……」
ちひろ「ただ普通のチーズにハチミツだと結構甘じょっぱくなりますね。好みが分かれそうです」
モバP「しかしハチミツって危険だから1歳未満に食べさせてはいけないという猛毒のような性質を持っていながら、他の人間にはその毒が効かないのだから面白い」
雪美「人間……すごい……。ウサミン星人は……毒……大丈夫……?」
菜々「偶然にもウサミン星人にもその毒は効かないんですよ」
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1189
モバP「はい、出来たぞ輝子」
輝子「ん……貰っても、良いのか?」
モバP「ああ、あげる」
輝子「フヒ……そ、そうか……」
スッ
輝子「指に、ちょうどよくはまった……」
輝子「うれしいぞ……」ポワァ
モバP・雪美「……」
輝子「あ……ど、どうしたんだ……?」
モバP「いやあ、輝子の口調で幸せそうに笑いながら“うれしいぞ”は惚れるわ」
雪美「……」コクコク
輝子「だってうれしいからな。……リングくん……今日から友達だ……」
モバP「ビーズリングなんだがなあ」
雪美「それにしても……P……どうして……作ろうと……?」
-
モバP「どうしてかな……何かの記念にリングを特別に作ってもらえるってとても憧れないか?」
輝子「手作りは、良いな……世界に一つだけだって思うと、大事だ……」
モバP「これでも、本当はもっと良い物を作りたいんだ」
輝子「どんなリングを、作りたいんだ……?」
モバP「メジャーリーグでワールドチャンピオンになったチームのメンバーが記念に貰えるチャンピオンリングのような物を」
友紀「あの宝石で散りばめられたリングかー」
モバP「豪華だよな、あれ」
友紀「一番になれた時に、形に残る、価値のある物を貰えると嬉しいよね」
モバP「金メダルなんかも勿論名誉ではあるんだが、あのリングは量産をしないだろうからな」
雪美「P……そもそも……キラキラした……ジュエリー……好きね……」
モバP「トプカピの短剣なんかもあのデカいエメラルドが――それはともかく」
モバP「だがこうして輝子が喜んでくれるなら自分なりに工夫を凝らしたビーズリングも悪くないと思うのだ」
友紀「じゃあさ、あたしにも作ってよ? お金とか取らないんでしょ?」
モバP「ああ、構わんぞ? 無料だし……ただ予約10ヶ月待ちになります」
友紀「人気お取り寄せグルメか何か?」 フヒ……ナガカッタ……
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1190
モバP「大きな駅の近くってペデストリアンデッキがありますよね」
ちひろ「ありますね」
モバP「あそこを歩くの楽しい……楽しくないですか?」
ちひろ「楽しい……ですかね?」
雪美「Pといっしょ……楽しい……」
モバP「雪美と一緒にノープランでこれから何をしようかどこに行こうか考えながら歩くペデストリアンデッキは言うまでもなく楽しいですが」
ちひろ「それはペデストリアンデッキ関係なく楽しいだけでしょう」
モバP「オープンスペースにも言えますが車道と接していない歩道って結構心理的安心要素ですよね」
ちひろ「それはあるかもしれませんね」
雪美「……今日も……ノープランで……歩こう……」
モバP「そうだな。あの長い道を端から端まで歩き尽くす勢いで行こう」
ちひろ「そんなに長いんですか? というかあまりそういう所に出没し過ぎるといくら変装していても話題になりますよ」
モバP「……じゃあ今日は346プロ内にしておくか」 ……ウン
ちひろ「あ、それでも別に良いんですね」
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1191
雪美「P……」
モバP「ん?」
雪美「シンデレラガール……目指すのに……どんな目標……立てたら……いい……?」
モバP「目標かあ……そうだなあ……じゃあとりあえず大きめの紙を用意しましょう」
雪美「……うん」パサッ
モバP「その真ん中に3×3の9つの枠を作りましょう」
雪美「……」カキカキ
モバP「この更に中心の枠にシンデレラガールと書き込みます」
雪美「……こう?」
モバP「そして周りの8つの枠にシンデレラガールになるために必要だと思うことを書き込みます」
――
モバP「BINGO!」
雪美「やった……二列揃った……」
ちひろ「マンダラチャート作ってたんじゃないのか」
-
1192
雪美「……」ポチッポチッポチッポチッ
ちひろ「雪美ちゃんが何か9つの光るボタンを押して遊んでいますね」
モバP「あれはゲームロボット50ですね。私物です」
ちひろ「私物か。昭和のおもちゃ屋さんでもギリギリ扱ってそうなくらい、今時ではなかなかレトロな玩具に見えます」
モバP「あのボタンのカラーチェッカー的な配色も惹かれるんですが、押せて光るボタンって好奇心を刺激されますよね」
ちひろ「感性がとても幼い気がするのは気のせいでしょうか」
モバP「というかパイロットランプなんかも好きです」
モバP「某知らない世界でパイロットランプの世界という企画を組んでほしいくらいです」
ちひろ「プロデューサーさんがプレゼンするんですか?」
モバP「いえ、見たいだけです」
ちひろ「人任せな」
雪美「……P……クリアした……」
モバP「さすが雪美、俺の代わりにクリアしてくれるなんてさすがは現役アイドル」
ちひろ「人任せだな!」
-
今日はここまで
うぉおおおおお勉強したくなあああああい!
-
1193
モバP「……さて、雪美を膝に乗せつつ一仕事こなそうか」
雪美「……P……」
モバP「どうした?」
雪美「この上にある丸いの……何……?」
モバP「これか? これはパソコン内蔵カメラだな」
雪美「小さな……レンズ……」
モバP「スマホカメラなんかもそうだが、最近は何にでも付いていて目は小さくても綺麗な映像が出る」
モバP「これでアプリを起動すると……ほら、こんな風に画面いっぱいに俺と雪美が映る」カチ
雪美「……! ///」
モバP「恥ずかしがる姿もしっかり映る」
ちひろ「知らない内に誰かに覗き見されていたりして」
モバP「やだこわい」
モバP「使わない時はレンズカバーでも貼っておくのが良いんでしょうかね。バッテン絆創膏みたいな物で」
雪美「パソコン……お茶目になる……」
-
1194
モバP「良いものばかり食べているとたまにとても、ジャンキーかつ質素な物を食べたくなる」
モバP「今日は誰もいない……よし!」
――
モバP「出来た! いやあ、焦げ具合がちょうど良い!」
雪美「これは……?」
モバP「これは袋焼きそばを焼いたものにごま油と七味と刻みネギと味ポンをかけたものだ」
モバP「ポン酢と味ポンでは味が違うから買う時は注意」
雪美「……香りは……良い……」クンクン
モバP「だろう? 焼きそばと言うとソースか塩という概念が覆される」
モバP「……って、雪美!? 一体いつからそこに!?」
みく『Pチャンが貧乏学生みたいな食事してないか不安だにゃ』
雪美「……って……みくが……言ってたから……様子見に……」
モバP「誰が貧乏学生やねん。お歳暮に湯煎で出来るカレイの煮付け送ったろか……」
雪美「P……ちゃんと……野菜も……食べないと……」 ネギハヤサイダカラ……ダメ? ……ダメ
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1195
モバP「宇宙探査機や人工衛星のデザインって地味に良いよな」
雪美「ソーラーパネルが……翼みたいになってるの……好き……」
ちひろ「太陽電池パドルのことですね。確かに」
モバP「あれが折り畳まれた状態から展開するところが、翼を広げる鳥のようでもあり、変形ロボットのようでもあり」
雪美「かっこいい……ね……」
ちひろ「宇宙に憧れですか」
モバP「地上にいても憧れはしますよ? 男の子の夢的な意味で」
モバP「ただ例えば車にそういう機能を付けるとなると場所を取るので邪魔になるでしょうが」
ちひろ「ガルウィングがそのまま横に広がるように展開したら車線をはみ出して大いに迷惑でしょうね」
モバP「しかしエネルギー供給や温暖化が危ぶまれる昨今、太陽光発電は普及していきそうです」
ちひろ「その結果メガソーラー事業で環境破壊といった問題も出て来ましたけどね」
モバP「ひとまずは建物の屋根に設置して自家発電、くらいが良いんですかね?」
ちひろ「自然災害で破損でもしたら台無しですし、使わない時に自動で、安全に収納出来たりすると良いんでしょうけど」
雪美「……ここにも……ソーラーパネル……ある……?」
-
ちひろ「小さいのでしたら今ここにありますよ」ハイ
雪美「これを……屋根に付けて……こう……雨の日は……ひっくり返るようにしたら……面白そう……」
モバP「忍者屋敷のどんでん返しみたいな仕掛けか。ユニークで良いな」
モバP「それか、もういっそ外で活動する人に直接ソーラーパネルを着けてしまうとかな」
ちひろ「直接……まあバイザー部分がソーラーパネルになっているキャップなんかはあるそうですね」
モバP「東急ハンズとかにありそうなアイデア商品って感じでそういうのは好きです」
モバP「自分も太陽光発電で充電して温まる電熱ジャケットなんてあったら冬場とか便利そうだなというアイデアの卵が」
ちひろ「肝心のこの時期にあまり温まらなさそうですね……」
雪美「……P……私も……充電……して良い……?」
モバP「ん、もうそんな時間か。良いぞ」
ヒョイ ポスン
雪美「……」ピカピカピカ テンテンテレレーン
モバP「おまちどうさまでした! お預かりした雪美はすっかり元気になりましたよ!」
ちひろ「いや、預けてない」
雪美「Pの充電は……早いから……便利……」 ハヤインデスカ
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1196
モバP「あぁ、雪美の抱き心地はどうしてこうも気持ちが良いんだろう。ふかふかで弾力があって――」
ちひろ「気持ちが悪いこと言ってますね」
ちひろ「しかもそれ、雪美ちゃんじゃなくて大きなぴにゃこら太です」
モバP「なっ……!? 雪美は実はぴにゃこら太だったのか!?」
ちひろ「そっち疑うんですか?」
モバP「あ、ただのぴにゃこら太か……焦った。って、いつの間に入れ替わったんだろう」
ちひろ「私の目にはプロデューサーさんが好んでぴにゃこら太を抱えてるようにしか見えないです」
モバP「結構懐にフィットするんですよねこれ」クルッ
ぴにゃこら太「ぴにゃ」クルッ
ちひろ「一緒にこっち向かないでください。しかも腹話術始めない」
モバP「アイドルにやってみせると大抵馬鹿受けなんですがねえ」
モバP「しかし自分はともかく、幼い女の子が大きなぬいぐるみを抱えている様子って良いですよね。ロックマンゼロのアルエットとか」
ちひろ「カラーリングは違いますけど若干雪美ちゃんっぽい子ですか――って、プロデューサーさん、膝に」
雪美「……ただいま」 オヤ、オカエリ
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1197
モバP「なぁ、輝子」
輝子「どうしたんだ? 親友……」
モバP「日本には4、5000種類のキノコが存在するらしいじゃないか」
輝子「ああ。かわいい子が、たくさんいるぞ……」
モバP「その中で食べても良いのは僅か100〜200種類しかないという」
輝子「特にフレンドリーなヤツらだな……山に入って、何でも口にしてはいけない……(戒め)」
モバP「じゃあ、輝子は食べても良いキノコ?」
ちひろ「いかんでしょ」
輝子「私としては、いいぞ? 今、服を脱ぐから、美味しく召し上がれ……」
雪美「……」ドキドキ
ちひろ「雪美ちゃんの前で何をしようとしているんですか。ストップ!」
モバP「輝子はこの前もきのこの山でポッキーゲームを仕掛けてきたり、妙にアプローチが大胆だよな。そこが良いんだが」
ちひろ「良くない。というかきのこの山でポッキーゲームとか理解が追いつきません」
雪美「……かさ側か……柄の方かで……格差……ある……」 ソウイウモンダイデハナイ
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1198
モバP「ほいっ」
スーッ パシッ
雪美「P……投げるの……上手……」
スーッ パシッ
モバP「雪美こそ丁寧に投げてくれるじゃないか。それも嬉しいが」
スーッ パシッ
モバP「俺は多少軌道が逸れてもキャッチするから遠慮せずに投げても良いぞ」
雪美「ふふ……その方が……やりがい……あるの……?」
モバP「さあ、早く早く!」
雪美「P……尻尾振ってる……みたい……。……いくよ……」ブンッ
モバP「おっと!」パシッ
雪美「……ジャンピングキャッチ……お見事……」
モバP「良いね。フリスビーはこうじゃなくちゃね」
ちひろ「相手のことを考えて投げることも大切ですけど、お二人が楽しいなら良いんでしょうか」
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1199
モバP「最近アイドルと相打ちになったプロデューサーとは僕のことです」
ちひろ「何の白状ですか」
モバP「346の温水プールに泳ぎに行ったらまゆがいましてね」
モバP「あの清楚なまゆの競技用といった感じのタイトな競泳水着姿を初めて見たら、何か久々にしどろもどろになってしまって」
ちひろ「見たことなかったんですね。私もあまりイメージが湧きませんけど」
モバP「一方まゆもこっちの水着姿を見てしどろもどろになってしまったようで」
モバP「互いに恥ずかしくて目を合わせられずに突っ立ってしまうという失態を周りに見せてしまいました」
雪美「……P……結構……初々しい……」
モバP「雪美の競泳水着姿は見てもようやく取り乱さない程度にはなったが、今でもテンションはおかしくなる」
雪美「そんなに……?」
モバP「ああ。でも出会う機会は貴重なままが良い、あまり見慣れたくないって気持ちもある」
ちひろ「男心は複雑なのか、プロデューサーさんが変なのか」
まゆ「……プロデューサーさん、あの……えっと……///」 マッ、マユカ? ドド、ドウシタ?
雪美「……後遺症……残ってる……」 デスネ
-
1200
紗南「Pさん、ゲームセンターに行こうよ」
モバP「お、良いね。今日はちょうど時間があるしちょっくら行くか。レトロ巡りじゃなくて最新鋭の所に」
紗南「やっぱりあの空間と興奮は定期的に味わいに行かないとね」
モバP「俺も346プロの空き広間に疑似的なゲームセンターを作ってはいるが」
紗南「どうもデパートのゲームコーナー感は否めないよね」
モバP「それだよ。どうしたらもっと楽市楽座みたいなカジノ感が出るんだろうな」
モバP「まああまりキラキラした夢のような雰囲気を出し過ぎても気後れするんだが」
紗南「前に、ゲームで昔の自分に勝てないことがあるみたいな話をしたけどさ」
紗南「逆に成長した今だからこそ上手くなるゲームってのもあるよね」
モバP「そうだな。そしてそういうのが意外とゲームセンターに行くと思いがけず見つかったりする」
モバP「ちなみに成長するとゲームのボリュームって当時と比較して短く感じられるって知っているか?」
紗南「そうなの? 言われてみればそれも確かにだよね」
モバP「まあ俺が今考えたんだがな。よし、行くか」 ナンダヨソレー アハハハ
雪美(ナレーション)「そうして……街の雑踏に……消えて行く、二人だった……。……第346部完……」
-
今日はここまで
キーマンの呪い
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1201
キュッキュッ
ハァ……ハァ……
モバP(雪美がダンスに打ち込んでいる)
ソロソロヤスム? ユキミチャン
ウウン……モウイチド……ヤル……
モバP(真剣な表情だ)
モバP(芯がしっかりしていて落ち着いていてあまり表情を変えないタイプに見えて)
モバP(情熱的なところもあるんだよなぁ)ウットリ
――
雪美「……P……見ていて……くれたの……?」
モバP「ああ。今日は特に気迫と集中力が凄かったな」
雪美「そう……? ……もう少しで……何かが……つかめそうな……気がしたから……」
モバP「そういう時って納得のいくまでやめたくないものだよな。それで、何か掴めたか?」
雪美「……」キラキラ ワカリヤスカッタナ
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1202
ちひろ「ただいま戻りました」 ……マシタ
モバP「……はぁ、こうなったらさすがにもう使えないよなあ」
モバP「……いいかげん、新しいパートナーを探さないといけないか」ブツブツ
ちひろ「……プロデューサーさん?」
モバP「あっ、ちひろさん! それに雪美も」
ちひろ「今の独り言が聞こえてしまったんですけど、どういう意味ですか?」
雪美「……新しい……パートナー……、……私……もう……いらないの……?」
モバP「え? いや、長年連れ添ったパートナーが複雑骨折で壊れてしまいましてね」
雪美「……!?」
ちひろ「誰ですか、大丈夫なんですかそれは?」
モバP「自分の傘のことなんですが」
ちひろ「新しいの買いましょう」 マギラワシイ…… デスヨネー
――
ちひろ「なお、それを聞きつけたアイドルたちから様々な傘を贈られ、買うことはなくなった模様」
-
1203
モバP「小腹が空きました」
ちひろ「プロデューサーさんは腹ペコキャラなんですかね」
モバP「美人さんでそういうキャラだと味がありますが、自分はただの食いしん坊ですよ」
雪美「……Pも……美人さん……だと……思う……」
モバP「えっ、そ、そうかなあ……」サッ
ちひろ「何でそう自然に手鏡が出てくるんですかね」
モバP「アイドルたちと行動していると顔や外見、スタイルには自然と気を使うようになります」
モバP「自分だけ浮いているのは嫌ですし、みんなと並んで立つのに見合う人でありたい」
ちひろ「見てくれはともかくその独特の存在感はどうしても浮きそうな」
モバP「まずアイドルに囲まれていると何もしなくても自分も染まっていく感覚があります。りあむも言っていましたが」
ちひろ「プロデューサーさんはアイドルをやっているわけでも同じ生活をしているわけでもないんですけどね」
雪美「P……男……。……でも……時々……女の子らしく……見える……不思議……」
モバP「みんなが俺に女装とかさせるせいもあると思うが」
ちひろ「それをノリノリでやっているのはあなたでしょう」
-
モバP「それはそうと、こんな時のために素早くチャージできるものがあるんです」ササッ
ちひろ「スタドリでも飲むんですか?」
モバP「いえ、市販のキウイスムージーです。ビタミン豊富でお肌にも良いんですよね」
ちひろ「えぇ……というか今度はどこから取り出したんです?」
モバP「デスクの下のここに、ほら。小さな1ドアの冷蔵庫があってですね、後払い式です」ハイ、オカネ
亜子「まいどー」ヒョコッ
ちひろ「何でオフィス内にホテルの部屋に置いてあるようなミニバーがあるんですかね。というかこれスタドリいらなくなるんじゃ……」
モバP「ミニバーから飲むジュースが美味しいので、ウチにも試験導入してみようと……それでは失礼して」ゴクゴク
雪美「……それ……おいしい……。知ってる……」
モバP「……雪美も一口、飲む?」
雪美「……いいの……?」
モバP「遠慮しなくて良いよ、ほら」
雪美「ん……」コクコク
亜子「美味しそうやなぁ。アタシも一本買おっかなー……って、ちひろさん?」
ちひろ「……」グスン ア、スタドリモホシイデス!
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1204
モバP「日常系のアニメや漫画でよく見る出来事」
モバP「“うつせば治る風邪回”」
ちひろ「看病役が入れ替わりで倒れる形勢逆転オチはよく見ますね」
モバP「ウイルスとしてはわざわざ次の宿主が来てくれる美味しいシチュエーションですね」
ちひろ「何でウイルス視点なんですか」
雪美「……でも……風邪……ひいたら……誰か……いてくれないと……心細い……」
モバP「体調が悪いと本当に、通常では考えられないくらい弱気になるからなあ」
モバP「ただ看病をする人は場合によっては仕事を休んだりその日の予定を取りやめたりしないといけなくなるのが……」
ちひろ「病人の立場としては申し訳なくなりますよね」
雪美「……」コク
モバP「ちなみに看病しに来た方がケロっとしていて病人が悪化するオチもありますよね」
ちひろ「創作は大抵何事もなく平凡に平和には終わらないものです」
雪美「……実際は……平和が一番……」
モバP「というか周りが誰も風邪を引かないから創作みたいな状況にならない」 ……ウン ソウデスネ
-
1205
モバP「はぁ……」
颯「どうしたのPちゃん? 呼んだ?」
モバP「いや、ため息を吐いてみただけだ。俺の家を根城にするアイドルは多いなって」
凪「そのようで」
モバP「傍観者のように言うが凪もだぞ」
凪「今に始まったことではないのに何故今言うのか理解不能です」
雪美「……Pも……男の子だから……独りになりたい時……あるのかも……」
颯「なるほどね。男の子かあ……ふふっ」チラッ
モバP「えっ、今の流し目……一撃必殺並の威力ない?」
凪「む、はーちゃんの流し目を賜るとはピー助やりおるな」
モバP「誰がピー助じゃ。恐竜か俺は」
凪「ところで男の子だから独りになりたいとは、それはピー(隠語)をやるためですか」
モバP「こら、そこの14歳。ピーピーピーするぞ」
颯・雪美「……///」
-
モバP「いや、二人が赤面するような種類の隠語は言ってないんですが……」
凪「ピピピー、セクハラですねP。退場――あっ、退場したら独りになれますね。やったね」
モバP「やかましいわ。……しかしはーとなーよ」
颯・凪「?」
モバP「双子メイド、実に似合っていると言っておこう」
颯「これ、可愛いでしょっ! Pちゃん!」キラキラ
モバP「ああ。これは貴重ですよ」
凪「これを自分の家で女の子に着せている時点でもう言い逃れが出来ませんね」キラキラ
モバP「いや、確かに衣装部屋にあったが、着てくれと頼んだ覚えはないんだが」
颯「……着ないでほしかった?」
モバP「着てくれて本当にありがとうございます」
颯「よろしい! あははっ」
雪美「……P……独りで何か……したい時……あっても……言ってくれれば……手伝う……」
雪美「今は……メイド……だから……何でも……」キラキラ
モバP「ん? ……いや、健全なご奉仕だけお願いするよ」
-
1206
モバP「勝利の女神、膝神様に芳しき供物を捧げに参りました」
雪美「……?」
モバP「アルフォートミニストロベリーでございます」
雪美「……!」
モバP「では、どうぞお納めください」
雪美「……」
モバP「分かっておりますとも。では、お待ちを……」
モバP「はい、あーん」
雪美「……ん」サクッ
雪美「……♪」
ちひろ「他のイチゴ味のチョコレート菓子と比べると甘さ控えめに感じますね、これ」サクサク
モバP「ささ、膝神様、次をどうぞ」
雪美「……真名で……呼んでほしい……」 ハハッ、ユキミサマ
ちひろ「忙しいこの時期、何か願掛けでもしようとしているんでしょうかねえ」
-
1207
モバP「こう寒くなってくると、温泉に入りに行きたくなるなあ」
雪美「……うん」
ちひろ「もう寒い師走ですからね。霧がかかったような湯気立ち込める露天風呂に浸かりたいものです」
モバP「ですねえ。仕事を少しの間忘れて極楽気分を味わいたい」
雪美「……いっしょに……入りたいね……」
モバP「そうだな」
ちひろ「そこはそうだなじゃない」
モバP「しかし、自分はヌーディストビーチや混浴温泉って作り話だとずっと思っていました」
ちひろ「行く機会が無いだけで在るんですよね」
モバP「というかよく考えたら露天風呂付きの客室や貸切風呂にカップルで入ればそれも混浴ですね」
雪美「……隣に座って……お風呂から……星を見られたら……最高……」
ちひろ「プロデューサーさんと雪美ちゃんの二人で裸の付き合いをしようとするのは作り話に止めておいてくださいよ」
モバP「大丈夫です。タオルは巻きますし破廉恥行為はしませんし、行くならみんなで行きたいですし」
ちひろ「余計に始末に負えんわ」
-
1208
雪美「……」
モバP(雪美が夜の空を見上げている)
雪美「…………」
モバP(遠い故郷を思うかのような、憂いを帯びた横顔が、美しい)
モバP(次の瞬間、急にいなくなってしまうのではないかと不安になるくらいに)
モバP「……」
モバP「俺が動画編集をするならここで何のBGMを流すかな」
モバP「やっぱりファイナのテーマかな」
菜々「あっ、エターナルアルカディアですか」
モバP「菜々さんはレトロゲーに詳しいですよね。夜空を望む切なさに合った曲って他にもたくさんあるんでしょうが、僕は寡聞にしてよく存じません」
菜々「青春時代に楽しみましたよ。発売日がミレニアムの年で、懐かしいですねー……まだ生まれてませんけど」
雪美「……冷えてきたから……帰ろう……」クイッ
モバP「あれ? もしかして何か特に意味はなく空を見上げていた?」 アルト……オモッタ……?
菜々「というか曇っていて星も月も見えませんでしたからねえ」カエリマショウカ
-
1209
モバP「〜♪♪♪」
ちひろ「どうしたんですか、プロデューサーさん。発声練習なんてして」
モバP「忘年会のカラオケ大会でまた雪美とデュエットを披露することになりまして」
ちひろ「またですか。まあ、除夜の鐘みたいな風物詩になっていますからねえ」
モバP「除夜の鐘ですか……最初は一回だけのお遊びのつもりだったんですが、歳を重ねるごとに上手くなっている、なんて言われて止められず」
ちひろ「それで、今年の課題曲は何ですか?」
モバP「今年はマクロスFのライオンにしようかと」
ちひろ「微妙に懐かしい所を攻めるの好きですね」
モバP「懐かしいと同時に難しいんですが」
モバP「それで原曲キーで歌えるようにちょっと特殊なボイストレーニング中です」
ちひろ「高音ですね……楽しみにしてます」
モバP「あ、ちひろさんにもその後、星間飛行を振り付きでやってもらいますから」
ちひろ「何勝手に決めてるんですか。……そのくらいは出来ますけど」 デキルンカーイ
雪美「わたーしねーむーらーないー……♪(転調)」
-
1210
モバP「……あっ、もう朝か」
モバP「うう……寒いな」
ンギャア
モバP「おや、ペロか。どうしてこんな所に」
モバP「ん……あ、この感じは――」ゾワッ
――
モバP(久しぶりに猫になっちまった)
ペロ(……P)
モバP(ペロ……どうした?)
ペロ(お別れの挨拶に来たんだ)
モバP(えっ)
ペロ(ぼくは以前、魔女とある取引をしてね)
モバP(魔女って、5月1日に行った……)
ペロ(それよりも前に一度行っているんだ。そこでPに干渉する能力を得た)
-
モバP(たまに俺の体が黒猫になるのはそういう理由が?)
ペロ(うん。ヴァルプルギスの夜に行こうと誘ったのは、その魔女に報告をするためでもあったんだ)
モバP(それで、お別れって……その魔女の取引と関係があるのか)
ペロ(詳しくは言えないけど、ペロはそのまま残る。でも、今のぼくはぼくでなくなる)
モバP(どうしてそんな……冗談ならやめてくれよ)
ペロ(Pにはよく冗談を言ったね……ふふふ、あの日々は楽しかった)
ペロ(それに、Pになら、これからも雪美を任せられるって分かったから、充分だよ)
ペロ(ありがとう……さよなら。そして……おやすみ)
――
ちひろ「――プロデューサーさん、何をぼうっとしているんですか」
モバP「えっ」
雪美「P……白昼夢でも……見てたの……? ペロも……来てるのに……」 ンギャア
モバP「……」ポロッ
雪美「えっ……! P……泣いてるの……?」オロオロ
ちひろ「そういえば最近、プロデューサーさんは猫にならなくなりましたね」
-
1211
モバP「……」ボーッ
雪美「……」チョコン
ちひろ「何か無気力感が漂っていますけど大丈夫ですか?」
モバP「……はい」
雪美「P……何か……引っかかってるみたい……。でも……教えてくれない……」
モバP「雪美に隠し事をしたいわけじゃないんだ。ただ、自分でも何が詰まっているのかよく分からなくて」
ちひろ「漠然とした不安でスランプ状態になるのは厄介ですね」
モバP「とりあえず最近、何故かショートヘアで半ズボンの、中性的な子が気になるようになって……」
ちひろ「至って問題ないいつものプロデューサーさんのように見えますけど」
雪美「……私……髪……切る……」
ちひろ「ストップ。雪美ちゃんがいきなり髪型をショートにしたら何事かとなります」
モバP「ショートヘアでそれと似合うサイドラインショートパンツのカジュアルな雪美が家にいたら、もう太ももが気になって仕方ないだろうなあ」
雪美「……Pが……望むなら……それで……昨日の夜、みたいに……いっぱい……繋がって……慰めるね……」
ちひろ「この人たちは何かにつけてイチャイチャしたいだけなのでは……?」
-
1212
雪美「……」
ショリショリショリショリ
ガリガリガリガリ
ショーリショーリショーリ
モバP「雪美の大根おろしの音は緩急があって料理中のBGMに良いな」
雪美「……大根……どんな風に……おろしたら……一番……おいしい……?」
モバP「強くやると辛くなるし、優しくやると甘くなるなんて言うよな」
モバP「合わせる料理にもよるが俺は薬味と考えたら少し辛いくらいが好きかな」
雪美「……原理……よく分からない……ふしぎ……」
みく「大根はストレスがかかる冬より夏、葉の方より先端の方が辛いにゃ」
みく「それと優しくおろすと水っぽくなりやすいからそこもお好みだね」
モバP「さて、せっかくの大根おろしなんでやっぱり今日はサンマにしないか?」
みく「断る……あっ、Pチャン葉っぱ捨てちゃダメだにゃ! ちゃんと料理に使えるんだから」
雪美「……大根の葉……使える人……いい奥さん……」ショリショリ テレルニャ
-
1213
モバP・雪美「……」ジックリ
ちひろ「仲良く新聞を読むプロデューサーとアイドルの図がここに」
モバP「最近、ほぼ鉄で出来たGJ346pという惑星が見つかったそうですね」
ちひろ「何がグッジョブ346プロデューサーですか。GJ367bでしょう?」
雪美「大きな……鉄の塊……」
ちひろ「結構前にはダイヤモンドで出来た惑星、蟹座55番星eも話題になりましたね」
雪美「ダイヤモンド……!」
モバP「鉄よりロマンはあるがダイヤモンドは地球内には割とありふれている炭素が元だからなあ」
モバP「宇宙資源として取りに行くにはあまりコスパは良くないのかもしれない」
ちひろ「まず宇宙に繰り出して小惑星の採掘が出来るようになるかどうか」
モバP「ミレニアム・ファルコン号みたいな宇宙船で資源ハンター、宇宙海賊稼業とかやる人がいる時代は来るんでしょうか……」
雪美「……どこかには……黄金で……出来た惑星も……ある……?」
モバP「理論上難しいと思うが、見てみたいよな。金で出来た輝く球体。……双子星だったりしてな」
モバP「……すいません、さらっと下ネタ言いました」 スナオデヨロシイ ……?
-
1214
雪美「……」
モバP「雪美さんは寡黙である」
雪美「……」
モバP「言葉少なで本音を口に出さず、分かってほしい感じを出していた雪美さん」
雪美「……」
モバP「そんな以前よりも角が取れて、スローペースながらよく喋るようになった雪美さん」
雪美「……」
モバP「だが誰が何を言おうと雪美さんは寡黙なんだ……」
ちひろ「これが雪美ちゃんを寡黙だと思い込んでいる一般人ですか」
モバP「プロデューサーですらないというオチですか」
雪美「……」
モバP「にしても雪美さん大人しいな」
雪美「……☀♕♨……♬♡」
ちひろ「雪美ちゃんも雪美ちゃんじゃなかった」
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1215
菜々「ちひろさんはバイクで行くぜってネタを知ってますか?」
ちひろ「えっ、菜々さんがバイク……あ、作文ネタですか」
菜々「小学校の頃、瞬間的に流行りましたよね? 今日のロケでそんな話題になったんですよ」
ちひろ「今日のロケですか……結構平均年齢高い出演者リストだったような――あ、いえ。こっちのことです」
ちひろ「知ってはいるんですけど、小学校の時に流行った記憶は……私の所ではないですね」
菜々「プロデューサーは分かります?」
モバP「自分はバイクじゃなくて、宿題を教えて? でしたね」
モバP「女の子が朝のホームルーム前に隣の席の子に、ここの問題が分からないから答え教えて? って尋ねたら、何であなたに教えなきゃいけないの? って返されて」
モバP「それをそのまま書き込んで提出したら先生から職員室に呼び出されたとかいう」
ちひろ「それは呼び出されますね」
モバP「菜々さんの言うものだと作文で三段階くらいあって、後で職員室に来なさい、と言われたトドメの返しがバイクで行くぜ、ですかね」
菜々「そうですそうです。初めてこれを聞いた時は本当、大笑いしましたねえ」
雪美「……P……ここにいた……。……面白い……作文の書き方……教えてほしい……」
モバP「……あ、後でね?」 コラコラ
-
今日はここまで
私は回遊魚じゃありません
-
1216
モバP「ここが346プロか……」
雪美「……」
モバP「大きいなあ」
雪美「……いつも……見ているのに……今更……?」
モバP「改めて見るとな。それも何か日に日に高くなっている気がする」
雪美「……建設中の……ビル……?」
モバP「不躾なんで独り言だが、ここ、所得と家賃と固定資産税、どのくらいなんだろうな」
雪美「生々しい……話……」
モバP「そんなことを考えながら今日もこの地に足を踏み入れるのである」
モバP・雪美「……えいやっ」 ピピー!
早苗「こらそこ、何普通に手繋ぎ出社してるの」
モバP「昨日と同じ服だったら察するでしょうが、ご覧の通りお泊まりとかそういうやましいことはないです」
早苗「P君の家に着替えいくらでもあるからそれは通用しないのよねぇ」
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1217
モバP「えー、ちひろさんがちょっと遅い夏休みで休暇を取られたので」
早苗「常夏じゃないんだから。遅すぎてもう冬休みが近いのよね」
モバP「ちょうど良い時期を探していたらこうなったんです」
モバP「まあ今年は年末特番の収録が全体的に少し早かったのでこの時期にしては多少楽です」
モバP「――そんな訳で例によって、代わりに大人アイドルの方がアシスタントに入ってくれることになりました」
雪美「早苗……よろしく……」
早苗「はい、よろしくね!」
モバP「よろしくお願いします。いろいろご指導ご鞭撻を」
早苗「この立場だとこっちのセリフよ。まあ頼れるところはお姉さんに頼りなさい」
モバP「心強いです」
早苗「でもあたしなんかで良いの? 雪美ちゃんとイチャイチャしていたら取り締まるわよ?」
モバP「その方が張り合いがあるってもんです」
雪美「……障害があるほど……燃える……?」
早苗「なるほどなかなか問題児じゃない……!」
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1218
『Pくん! 深夜12時まではまだ早いけど、今日はあたしから魔法をかけちゃうよ!』
『ラブリーチカが午後3時くらいをお知らせします! ぴ、ぴ、ぴ、ぽーん!』
JOKE サーティーフォーポイントシックス シンデレラFM
ミシローラジオ(ミシローラジオ) チェッカー! フーローアー♪
モバP「時刻は午後3時を回りました。チェッカーフロアフライデー、DJは私、プロデューサーでお送りしております」
雪美「……佐城雪美です……」
早苗「34.6MHz帯のFMラジオって何なのよ。片桐早苗です」
早苗「P君って結構ラジオ好きよねー。ジングルまで用意して」
モバP「よく聴いていたのは結構前で最近はそんなでもないんですがね」
雪美「P……手元の……レバー……何……?」
モバP「これはカフボックスと言ってマイクのONとOFFを切り替えるんだ」
雪美「……! ……それなら……知ってる……」
モバP「アイドルのお仕事で触れたことがあったか。これは自作だがなかなか洒落てんでしょ?」
早苗「本格的にラジオだわこれ」
-
早苗「それにしても架空だけど、チェッカーフロアって番組名、ちょっと一昔前のセンスって感じで良いわね」
モバP「何も思いつかないので目についた事務所の床の模様から着想を得ました」
雪美「白黒……市松模様……だからね……」
モバP「一昔前のラジオって電話リクエストとかありましたよね」
早苗「電リクね。あたしでもギリギリ知ってるわ」
モバP「それでDJが、出演リスナーやゲストなんかに、最初のお決まりの質問として、“今日のあなたのパンツは何色ですか?”って聞いたりして」
早苗「どこのラジオよそれ」
雪美「……グレー……」
早苗「確かにゲスト相手ならまだしも素人に聞くのはちょっとグレーだわね」
雪美「……違う……下着の……色のこと……」
モバP「ふんふん、雪美さんの下着はグレーか。なかなか大胆な……?」
モバP「……」ガチャッ
早苗「カフを切るの遅い。雪美ちゃんもそんなこと率先して答えちゃダメよー?」
モバP「雪美の歳の子の下着の色を聞くDJがいたらグレーじゃなくてもう黒ですね。……おっと、放送事故になる」ガチャッ
雪美「P……黒の方が……すき……?」 ガチャッ
-
1219
ゴクゴクゴク
早苗「ぷはぁー♪」
早苗「うふふ……P君と久しぶりのサシ飲みね」
モバP「いつもは楓さんや瑞樹さんとトリオですからね」
早苗「今は離れ離れだけど、またいつか……」
モバP「いや、いつでも集まれるでしょうに」
モバP「でも、あの賑やかな空間の中にいると何だか安心するんですよね」
早苗「そう言ってもらえると、お姉さん嬉しいな!」
モバP「例えるなら親戚の集まりのような」
早苗「そういう意味の安心感なの!?」
モバP「あはは、半分冗談です」
早苗「あまり年上をからかっちゃダメよー? まあ、そんなに悪い気はしないけどね」
雪美似の店員「焼き鳥……お持ちしました……」
モバP・早苗「!?」
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1220
雪美「はーっ……」
モバP「白い息が見えるほどになると本格的な寒さだな」
雪美「……うん」
モバP「寒くないか?」
雪美「大丈夫……」キラキラモコモコ
モバP「防寒対策はばっちしか」
雪美「Pこそ……寒くない……?」
モバP「大丈夫だ。雪美を前にするとポカポカして暑いくらいだ」
モバP「今ならこの灰色の空の下、裸になって乾布摩擦だって出来そうだ」
雪美「……」
雪美「P……寒くて……おかしくなってる……?」
モバP「矛盾脱衣ちゃうわ」
モバP「乾布摩擦は大袈裟だったが、大丈夫。本当に寒かったら雪美に温めてもらうよ」
雪美「……うん」
-
モバP「しかしさすがに山の方だけあるな」
雪美「……雪が……降ってきた……」
雪美「……あっ……手のひらに……」
モバP「雪って、いや、雪の結晶か。それって六角形なんだよな」
雪美「……雪……丸い……イメージなのに……丸くない……」
モバP「星は星型で描かれたりするのに実際は丸いのと逆だな」
モバP「実際にこうして本物の雪を見ると、少なくとも丸くはなくて結構ゴツゴツしていると分かるんだが」
雪美「……結晶の形……複雑……ね」
モバP「でもこういう自然が作り上げる整った形って見入るよな。ハニカム構造なんかもそうだが」
雪美「……蜂の巣……ゲルクッション……とても……丈夫……」
モバP「卵を落としても割れないあれか」
雪美「……あっ……もう……帰る時間……。あっという間……だったね……」
モバP「悪いな、こんなちょっとした時間にドライブに誘って、外で散歩まで」
雪美「……ありがとう。……Pと……初雪……見られて……うれしい……」
事務所の早苗「そういえばちひろさんがあの二人はよく突発デートやるって言ってたわねぇ」
-
1221
モバP「雪美がポケモントレーナーだった時に使ってきそうなポケモンといえば」
紗南「何だろ、いろいろありそうだけど」
モバP「やっぱりクチートですかね」
紗南「クチート使ってきそうな人、他にも結構いない? 紗枝さんとか」
モバP「マーシュっぽいという意味で? それはまあね」
雪美「……P……クチート……好きなの……?」
モバP「ポケモンをそんなに知らない俺でも、あっ良いなと思うくらいには」
紗南「クチートって横髪とか目の色とか、ちょっと雪美ちゃんっぽいかもね」
モバP「雪美に懐いてコンビで息が合ったクチートとか見てみたい。尊そう」
紗南「でもどちらかというと雪美ちゃん、イメージに反して大きなポケモンを使ってきそう」
雪美「……Pみたいな……ポケモンなら……相棒に……したい……」
モバP「……雪美がトレーナーで俺がポケモンか」
雪美「Pの……Pは……ポケモンの……P……」
紗南「普段のイメージだね」 ソンナイメージナノ?
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1222
雪美「……おはよう……ございます……。ただいま……朝の……9時です……」ヒソ
雪美「……今日は……仮眠中の……Pの部屋に……こっそり……入りたいと……思います……」ヒソ
カメラ美嘉「良いよ〜★」
雪美「……えっと……」
カメラ美嘉「はい、合鍵だよ」
雪美「……」ニコ
雪美「では……早速……」
早苗「こら、何寝起きドッキリやろうとしてるのよ。懐かしいわね」
雪美「……早苗も……いっしょに……やる……? 」
早苗「……まあ、そろそろ起こしてあげないとと思っていたからいっか」
雪美・早苗・美嘉「……突入」ガチャッ
モバP「まあ起きてるんですがね」
雪美・早苗・美嘉「」ズルッ
モバP「ふぅ、もう少し目が覚めるのが遅かったら歯ブラシを食べたり脱ぎ捨てた服の匂いを嗅いだりされていた」 シナイワヨ
-
1223
雪美「……P」
モバP「ん?」
雪美「……ばーん」
モバP「ぐっ!? あっ……」
モバP「あっ……ああ……」フラッ
モバP「畜生……撃たれちまった……ぜ……」ガタッ
モバP「俺様が……こんな所で……息絶えるとは……」ドサッ
モバP「……あ……ゆ、き、み……」プルプル
モバP「」ガクッ
早苗「撃たれてから長いわね」
雪美「ペロだと……すぐ……パタッと倒れる……」
雪美「……でも……これはこれで……面白い……」
モバP「そういえば幼い頃、親が帰ってくる時間を見計らって死んだふりとかしていたなあ」
雪美「……いたずらっ子……ね……」
-
1224
モバP「ダルい……」ヘタッ
雪美「Pが……虚ろな表情に……」
比奈「ベタ目な感じっスね。修羅場終わった後の顔っていうか」
モバP「雪美……? 比奈……?」
雪美「……何……?」
モバP「おんぶして……」
比奈「無理難題」
雪美「……P……こんな時ほど……イケメン? なの……ずるい……」
比奈「そうっスかね? ……あ、少し分かる気がする」
比奈「ともあれ何か処置を……でもちょうどドリンクが切れているんスよね」
雪美「……仕方ない……。ここにある干し肉を……口移しで……」
雪美「これは……Pを助けるため……。……頑張って……柔らかく……」
モバP「すいません悪ふざけが過ぎました」ムクッ
比奈「雪美ちゃんの脅し方は独特っスねえ……」
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1225
モバP「雪美さん、ちょうどレベルの高いコスプレ衣装が手に入ったんだが、着てみない?」
雪美「……」コク
――着替え中――
モバP「まず大きな帽子の魔女っ子、ファンタジーナイト」
雪美「……魔法使い……ファンタジックエアー……思い出す……」キラキラ
モバP「その時はミニスカートに生足だったが、今回は黒タイツだ」
――着替え中――
モバP「そしてカウガールをイメージさせる、ワイルドウエストキッド」
雪美「テンガロンハット……被らなくて……いいの……?」キラキラ
モバP「ああ。デニムのショートパンツに、チャップスの方は着けるのは初めてか。なかなか派手で良い」
――着替え中――
モバP「来ました。華やかなカラーのくノ一、ミラクルニンジャ」
雪美「これが……ニンジャマフラー……。マッポーの……アトモスフィア……ね」キラキラ
モバP「白のショートパンツが通常衣装と色合い的に対のようになっているのが面白い」
-
――着替え中――
モバP「更に注目。アラビアンな雰囲気漂う、マジンダンサー」
雪美「ダンサーに……なった気分……。Pも……踊ろう……♪」キラキラ
モバP「ヘソ見せの腰回りが妖艶だな。魅了されるぜ」
――着替え中――
モバP「まだまだ行きます。チャイナドレス風なのは、ドラゴンカンフー」
雪美「……スリットじゃ……ないから……安心……?」キラキラ
モバP「雪美でスリットやニーソックススリットをやったら多分捕まりそう」
――着替え中――
モバP「極めつけはこれぞ魔法少女、ゲッチュマン」
雪美「ステージ衣装……みたい……。かわいい……」キラキラ
モバP「これも白タイツで下着は見せないので、際どいアングルで撮られても大丈夫」
――着替え中――
モバP「そして最後はサヤカの通常衣装か。やっぱりスパッツよ――」
早苗「スパッツが何だって? ちょっと教えてくれない?」 ダメデシタ? ダメヨ
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1226
コポコポコポ
フーッ フーッ
ズズッ
モバP「ふう……最近の水筒は保温性能が良いなあ」
雪美「水筒……夏場の……学校は……必需品……」
モバP「だな。俺は結構無計画にがぶ飲みするタイプでよく足りなくなっていたから、大きな水筒を持って行ったりしていたな」
雪美「……Pの家に……2リットル水筒……ある……」
モバP「あのくらいのサイズだな。ただでさえ教科書とかで重い荷物を更に重くして余計に喉が渇くという」
雪美「……だからこんなに……タフになったの……ね……」
モバP「どうだかな。それはそうと、今はプラスチックゴミなんかを削減するためにマイボトル推奨と給水スポット設置が進んでいるな」
モバP「修学旅行のホテルで水筒を預けると朝お茶を入れて渡してくれるサービスなんてあったが、それに時代が追いついて来た感」
雪美「給水……嬉しいね……。いってらっしゃいって……言われてる……気持ちになる……」
モバP「分かる。それと、サービスエリアのスナックコーナーにたまにある、お茶・お湯・水の出る無料給水機なんかもこれが無料サービスだと思うと何だか有り難く感じる」
早苗「そういえばここの寮の食堂も給水自由だって聞いたわね。……寮生活が懐かしいわぁ」
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1227
モバP「早苗さんに着せてはいけない服シリーズー」
早苗「えっ、あたし?」
モバP「雪美さんで意味もなく着せ替えをやりすぎて怒られてしまったので」
雪美「じゃあ……早苗なら……どうだろう……って……」
早苗「どうだろう、って着せてはいけない服なのよね?」
モバP「はい。例えばこういう服とかですね」シリョウヲドウゾ
早苗「何よこれ! こんなの着れ……なくもないか。でもあたしの身長だとねぇ」
モバP「某アズールレーンのシリアスが着ているチャイナドレスですが、これを割と着れそうとはさすがですね」
早苗「こんな資料をわざわざ印刷した紙が勿体無いわよ。シメようか?」
モバP「ちなみにもう一つ、早苗さんとペアでやってみたいのがこれです。青シャツに憧れる」シリョウデス
早苗「今度は何なの――って、警官の制服じゃない」
雪美「……これは……着せては……いけないの……?」
モバP「(軽犯罪法的に)着せてはいけないかもしれない。明らかに本職が着ないようなコスプレならセーフだろうが」
早苗「本職が着ないような(ギルティポリスなど)、ねぇ……」
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1228
モバP「……さて」ガサガサ
バリッ
モバP「ああ……何だろうこの……何とも言い難い……」クンクン
ナターリア「P、ニオイ嗅ぐの好きなノ?」
モバP「わっ!? って、ナターリア。どこに潜んでいたの」
ナターリア「お菓子の棚にPのバナナチップスがあったからナ!」
モバP「開けるのを待っていたのか。一緒に食べるか?」
ナターリア「ウン!」
モバP(食欲旺盛だった子どもの頃の自分やペットを思い出すなあ。袋の音でお菓子だ! って反応して)
ナターリア「ン! 美味しいゾ!」パリパリ
モバP「お腹には溜まるが、これを買うなら普通にバナナを買った方が安上がりだと思いながらも何故か買ってしまうんだよな」パリパリ
ナターリア「何でだろうナ?」パリパリ
雪美「それは……ココナッツオイルが……独特の香ばしさを……出していて……たまに……食べたくなる……味……だから……」パリパリ
モバP「割とその通りなんだが雪美さんも神出鬼没だな」パリパリ
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1229
テロレロリリ♪
雪美「……おお……ムーン……3UP」カチャカチャ
モバP「雪美さんは探索能力があるよなあ。ノーヒントで3UPを見つけるなんて」
モバP「というかこの歳になるまでそんな所にムーンがあるなんて知らなかったぞ……?」
雪美「……♪」
紗南「Pさんはこのスーパーマリオワールド、やりこんだことがあるの?」
モバP「子どもの頃にな。でもスターロードを使っての最短クリアルート以外のステージの記憶があまりない」
モバP「ただ魔王クッパの谷の砦は自力でクリア出来なかったことで軽くトラウマになっていて、今でも見るたびに思い出すな」
紗南「クッパ城の裏口に行くための難関だね。あたしでもあそこはきついくらいだよ」
モバP「凶悪なぶっといアレ(トゲこんぼう)が高速で上下してくるんだよな」
紗南「痛そうだよねー。あんなの突き刺された日には一発で逝っちゃうよ」
雪美「あっ……萎んじゃった……。キノコ……欲しい……」
杏「……何かあっちで危ない話をしているように聞こえるけど気のせいかな」
雪美「っと……ヨッシー……発見……」 デッテイウデシテー ……ナンダイマノ
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1230
モバP「あっ、牛丼が食べたい」
モバP「……今、ちょうど時間は空いているな。よし」
モバP「すいません、外で少しだけ夜食を取ってきます」
――
モバP「――さて。えー、牛丼だ」 ホカホカ
モバP「店に入り注文をしてすぐ出てきて、さぁこの瞬間を待っていた――」
ちひろ「なぁにやってるんですかねぇ」
モバP「ムードから入りたいんですよ、お隣さん」
ちひろ「はいはい。……それにしてもこんな所で知人に出くわすとは」
モバP「いただきます」パンッ パキッ パクパクパク
ちひろ「意外と、ザ・普通の牛丼を頼むんですね」
モバP「……これが腹八分でちょうど良いんです。……」パクパクパク
ちひろ「鯖みそ定食も良いと思うんですけどね。……」パクパク
自宅の雪美「……Zzz」 ←早寝
-
今日はここまで
空っぽにならないと新しい夢は見られないのです
-
1231
ちひろ「クリスマスが近づいてきましたね」
菜々「そうですね。街がキラキラしてます」
早苗「こういう時に聴こえてくるAll I Want for Christmas Is Youが独り身には応えるのよね」
美優「恋人たちのクリスマスですね……幸せそうな雰囲気を傍観するような」
菜々「私は好きですよ? この時期になると英語の先生が授業で流してくれたのを思い出します」
ちひろ「1995年の曲ですから26年もクリスマスの定番として君臨しているという」
早苗「季節ソングってシーズン以外は全然聴かないのに、シーズンになると毎年強い!」
美優「それだけ名曲というのも、あるんでしょうけど……」
モバP・雪美「……♪」
ちひろ「そんな傍らでお二人は仲良く何を聴いているんです?」
モバP「緊急取調室のメインテーマですね。サスペンスのクライマックスシーンのようなシリアスさが、サビで一気に来る感じが気持ち良くて」
早苗「そこはクリスマスソング聴きなさいよ」
モバP「この再生リストにはRobert Milesなんかも入っているので皆さんも聴いてみませんか?」
菜々「緊迫感のあるトランスは、年末のお仕事片づけなきゃって気にさせられますねぇ」 ウッ……!
-
1232
モバP「……」ボーッ
「……」
トトトッ ギュッ
モバP「っ! ……雪美か」
雪美「……つかまえた……」
モバP「……どうした?」
雪美「P……何だか……消えてしまいそう……だったから……」
モバP「華奢な美形とかならまだしも、これがそんなに儚く見えるものか?」
雪美「……うん……。そばに……いてあげたい……気持ちに……なった……」
モバP「俺は世話焼きな雪美お姉ちゃんから姉離れ出来ない弟になってしまいそうだ」
雪美「……私は……雪美だけど……もう……Pの……一部でも……ある……」
雪美「……いつも……私を……感じて……。覚えていて……」
モバP「例え死が二人を分とうとも、雪美さんの心はずっと一緒にいてくれそうだなあ」
ちひろ「そういえば年末はPヘッド電池交換の時期でしたっけ……」
-
1233
モバP「アイスのショーケースって良いですよね」
ちひろ「田舎の駄菓子屋さんの外に出してあるような?」
モバP「あの古いタイプも味があって夏場に見かけると嬉しくなりますが」
モバP「やっぱり31とかのショーケースですよ」
ちひろ「スクープやディッシャーで直接掬う系ですか」
モバP「あのカラフルマーブルなジェラートが容器それぞれに詰まっているのを見ると目がキラキラしてきます」
ちひろ「女の子ですか」
雪美「……Pは……女の子……」
モバP「男性はちょっと入りにくい先入観がありますよね、ああいうお店は」
雪美「……そう……?」
ちひろ「男性1人で入るのは気後れするかもしれませんね」
モバP「なのでアイドルを誘って一緒に入ってみたりして」
雪美「……よく誘うと……思ったら……自分が……食べたいから……だったの……」
モバP「てへへ……」
-
モバP「ちなみに自分はシャーベット・ソルベ系が好きです。特にオレンジ」
ちひろ「オレンジですか。雪美ちゃんはイチゴソルベが好きそうだなって分かりますけど」
雪美「……あれは……何度食べても……おいしい……」
モバP「生まれて初めて食べたジェラート系のコーンアイスがそれだったので、以来オレンジは忘れられなくなりましたね」
モバP「あのシャーベットの口当たりが好きなんですが、意外と氷菓やアイスクリームに比べて売っていない!」
ちひろ「アイスクリームはしっかりしていますし、氷菓は結構ジャリジャリしたりしますからね」
モバP「以前缶詰のシロップを凍らせて食べたことがありましたが、見事にコチコチのジャリッジャリになっていました」
モバP「かき氷系は調子に乗って食べると結構お腹が緩くなっていけない」
ライラ「シロップをシャーベットみたいに出来たら良いのですのにねー」
雪美「甘そう……」
モバP「ライラはこの前ロケで食べた市販のりんごシャーベットに感動していたな」
ライラ「はい、りんごの容器の中にりんごのシャーベットが入っているのでございます」
ライラ「あれは何とも……うまし! また食べさせてくださいませね、P殿」
モバP「あれ、どこの商品だったんだろうな……類似の物が全国にいくつかありそうだが」
ちひろ「……有名なのは井村屋ですかねえ?」
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1234
ちひろ「今更ですけど、プロデューサーさんはオリンピックを見ていました?」
モバP「ああ、あの時期は忙しくてゆっくりと見られなかったですね」
ちひろ「私もです。せっかくの一生に二度あるかどうかの国内開催だったのに、今思うと勿体無いことをしたなという」
モバP「日中に競技をやると仕事と重なってしまうのが……やっぱりオリンピックは時差のある海外開催を、夜更かししながらテレビで見るのが良い」
ちひろ「それはそれで寝不足で仕事に身が入らなくなりそうですけどね」
モバP「あの約2週間分は丸々録画をしたので、いつか暇が出来たら記憶を消して全部見たいです」
ちひろ「任意で記憶を消せたら何度も楽しめるでしょうね……」
モバP「運命が決まっているイベントを一から見るのは楽しみが減りますからね。ハイライトやドキュメントなら良いんですが」
雪美「P……どの競技が……記憶に……残ってる……?」
モバP「女子飛び込みですかね」
ちひろ「スポーツを楽しむ目的じゃないなというのが何となく察せられます」
モバP「そんなことはないですよ。あの入場時のジャージを脱いで戦闘フォームに変身する所が」 オダマリナサイ
雪美「……私は……スケートボード……。私と……変わらないくらいで……金メダル……すごい……」
モバP「あったなあ。低年齢化の波を目の当たりにすると何か少し心配になるんだよな」 ナニヲイウ
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1235
コツコツ ペリペリ ペロンッ
雪美「……」キラキラ
モバP「殻を剥いて薄皮を剥がしたゆで卵のツルツル感」
雪美「……すき……。……でも……上手く……剥けない……時がある……」
モバP「新鮮な卵より少し古い卵の方が茹でた時に殻に身がくっつかないし、美味しいと言うな」
モバP「一応、茹でた後に冷水に浸けたり、気室に穴を開けたりといったテクニックもあるが」
雪美「……せっかくなら……まぁるく……したいね……」
モバP「まあ、今日みたいにタルタルソースを作るために刻んでしまうなら、ある程度形が不格好になっても良いんだがな」
雪美「……それも……そう……かな……?」
モバP「しかし、スーパーに置いてあるパック卵はビタミンEが多いのとかDが多いのとか様々あるが」
モバP「どれが一番美味しいのか、どう調理するのが向いているのか……そういうことまでは俺にも分からん」
雪美「……分かったら……卵博士……ね……」
モバP「どこかにいるのかな、卵博士……ちなみに枝豆もつい薄皮を剥がしたくなるが、あれは食物繊維なので食べて良いらしい」 ホー……
友紀「あたし割と剥いてたなあ」ゴクゴク テツダエユッキ
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1236
モバP「ふんっ! ふんっ! ふんっ! ふんっ! ふんっ!」
雪美「あっ……おっ……あっ……激し……いっ……」
モバP「ラストスパート行くぞ、雪美!」
雪美「んっ……」
ちひろ「事案の響きがするんですけど」
モバP「あ、ちひろさん。……お恥ずかしい所を」
雪美「……P……止めるの……? もっと……」
モバP「この格好を見られるのはちょっとな……ごめんな」
ちひろ「上半身タンクトップで何をやっているんですか」
モバP「最近どうも体が鈍ってスムーズにアイドルを抱き上げられなくなってきた気がするので」
ちひろ「アイドルは抱き上げるものじゃないと思います」
モバP「それではいけないということで雪美を使って筋力トレーニングを」
雪美「……我慢……できなくなったら……いつでも……私を……使って……」
ちひろ「成人男性と女子小学生にあるまじき言葉のやりとりですね」
-
雪美「あ……P……また……筋肉……付いてきた……?」モミモミ
モバP「あまり膨れると窮屈なのでボディービルダーみたいにはしないがな」
ちひろ「窮屈というか暑苦しくなりますからね」
モバP「もしちひろさんのドリンクがプロテイン入りだったら今頃はどうなっていたか」
ちひろ「筆舌に尽くし難いクリーチャーが誕生してそうですね。飲んだ本数からすると」
雪美「ビスケット・オリバ……みたいな……?」キラキラ
ちひろ「目を輝かせないでください」
モバP「さて、この格好をジト目で見られると興奮いや恥ずかしいので、シャワーを浴びて着替えてきます」
雪美「……体……洗ったり……マッサージ……しなくて……いい……?」
モバP「ありがたいが今日は自分でやるよ。雪美は次のお仕事の準備を」
雪美「ん……了解……」
ちひろ「いつもはプロデューサーさんの体を洗ったりマッサージをしたりってそれもう……」
雪美「Pの……体を……管理する……。それも……私の……役目……」
ちひろ「どっちがプロデューサーだか分からないですね」
モバP「雪美は普段からよく膝に座るだけあって感触にこだわるんですよ」 ハヨイケ
-
1237
雪美「……Pは……何がすき……?」
モバP「……ロリ……は好きだな。甘い匂いがするし」
ありす「ロリが好き……!? 甘い匂い……!!?」
モバP「チョコリエール、バームロールと迷うがホワイトロリータはあの縞々の個包装を皿に詰むとリッチな感じがして」
ありす「あっ、お菓子の話ですか……って、ルマンド、エリーゼ、ルーベラはないんですか?」
モバP「その3つはちょっと一本が物足りない感じがするんだよな」
モバP「というかルーベラとエリーゼは場所によっては一緒に置いてなかったりするし――って、何の話だと思ったんだ」
ありす「それはもう、Pさんのことですから?」
雪美「……ちなみに……擬人化だと……?」 チョコリエールカナ……ッテオイ
モバP「しかしそれらも良いが、ブルボンの缶入りのあのクッキーみたいなのが定期的に食べたくなるな」
ありす「あのクッキー(皆さんご存知)ですか。……って何ですか」
モバP「シンプルなバタークッキーの方じゃなくて、チョコリエールを花形にしたようなのが5種類入っている方だ」 アレデスカ
モバP「中心の窪みにチョコレートクリームやジャムの詰まったクッキーって、お洒落な割に珍しいから手作りすると喜ばれるぞ? 主に俺に」
ありす「Pさんにですか……しょうがないですね、今度作ってあげます」 ……ヤサシイ
-
1238
モバP「ん……?」パチリ
モバP「いかん、真夜中に目が覚めてしまった……うぅ、布団の外は寒いな。今日は風も強いし雪か」
??「……」
モバP「誰だ」
??「……私は……雪……女……」ボソッ
モバP「お、雪美か。着崩した白装束の裾から覗く脛が婀娜っぽいな」
??「えっ……あっ……そう……?」
モバP「いや、上半身もなかなかこう、眼福だ。それに……結構背、伸びた?」ナデナデ
??「……///」
モバP「こんな雪美さんにだったら少しくらい精気を吸われても良いかも……ふわぁ……瞼が、重く……」 ……
――
モバP「今日はどうも倦怠感があるんですが、そんな夢でも見たせいでしょうか」
ちひろ「布団をしっかりかけずに寝落ちなんかしたらダメですよ? 雪美ちゃんは大丈夫ですよね?」
雪美「……うん。……いい夢……見られて……元気……」ツヤツヤ
-
1239
モバP「……これは」
雪美「……」キラキラ
モバP「ペンギンやーん!」
仁奈「仁奈がプロデュースした雪美ちゃん用のペンギン着ぐるみでごぜーますよ!」
ちひろ「プロデュース、手伝いました」
雪美「……着ました……」
モバP「ナイス役割分担! おお……!」
モバP「しかもこの黄色い飾り羽とツンツン毛……ミナミイワトビくんやん! これ大好き!」
仁奈「えへへ〜。さあ、存分にモフりやがれください!」
雪美「……抱っこ……」(つ゜-゜)つ
ダキッ ポスン
モバP「そういえばイワトビは赤目なのか。雪美の瞳の色に合わせてこれに?」
仁奈「ですよ!」
雪美「……頭で……うりうり」 アッ クスグッタイ
-
1240
スマホ『もういいよー』
乃々「はい。じゃあ、探しますね……」トコトコ
乃々「……」トコトコ
乃々「あぅ……かくれんぼ、隠れるのは好きですけど、まさかオニになるなんて……」トコトコ
乃々「……」トコトコ
乃々「みんな、どこに隠れてるんでしょうか……。このまま帰るのは、人としてだめくぼです……」トコトコ
乃々「……」トコトコ
乃々「だったらもう、早めにギブアップ……それもみんなをがっかりさせてしまう……」トコトコ
乃々「……!」
【仮眠室】
ガチャッ トコトコ
モバP「……ぐぅ……ぐぅ……」
乃々「プロデューサーさん……ふふ、寝顔、笑ってる……」
乃々「今なら、しっかり、目を見て……」ガサッ
-
乃々「ひっ!? えっ……そういえば、お布団、不自然にこんもりしているような……」
乃々「あ、あの……見つけました……なんて」ボソッ
「……」
輝子「ば、バレたか……」ノソノソ
乃々「輝子ちゃん、そこに隠れるんですか……」
輝子「ふぅ……ドキドキしたぞ……/// 見つけてもらうの、嬉しいな……」ポーッ
乃々「……まだ、いますね? 分かってるので、出てきてほしいんですけど……(憶測)」
「「「「「……」」」」」
まゆ「バレましたねぇ……」ノソノソ
凛「さすがだね、乃々」ノソノソ
美玲「敢えて、同じ場所に隠れる――良いアイデアだと思ったんだけどなッ」ノソノソ
雪美「……あつい……」ノソノソ
乃々「えぇ……(困惑)」
モバP「女の子5人と同時に同衾なんて気が気じゃなかったわ」ムクッ
乃々「ま、待ってください。起きてたんですか……」アワアワ
-
1241
雪美「P……ただいま……」
モバP「おかえりー! 待ってたよー!」
ちひろ「犬のように飛びついて行きおった」
雪美「ふふっ……ただいま……。……はい……これ」
モバP「えっ、なになに? これは、角砂糖?」
雪美「そう……いい子にしていた……ご褒美」
モバP「嬉しい! ……えっ、手のひらから、直に?」
雪美「……」コク
モバP「少しはしたないが……口でいただくね」パクッ
モバP「ん、美味しい……」ボリボリ
ちひろ「犬じゃなかった。馬じゃん」
雪美「Pの……Pは……ポニーの……P……」
ちひろ「まず象徴のPヘッドが既に馬の頭っぽいですよね」
モバP「馬がこんなわけないじゃないですか? まあ調教師は雪美ですが」 ウマジャン
-
1242
ポイッポイッポイッポイッ ラッキー!
ポイッポイッポイッポイッ クリアー!
モバP「うーん……久しぶりにやったが下手になったなあ。潰されすぎた」
雪美「P……新しい……ゲーム……?」
モバP「おう雪美。俺がこれを遊んでいるのを見るのは初めてだったか?」
雪美「……」コク
モバP「これは新しくはない。初代は20年くらい前にでたアクションパズルゲームだ」
モバP「ついでに開発の親会社はウチと同じ系列だ。やってみるか?」
雪美「……」コク
杏「あ、それ、雪歩ちゃんが上手なやつだ」
モバP「ん、杏。それって765の……? ああ、ルミナスで親交を深めたか」
杏「そうそう。一見ゲームなんてしないように見えるんだけど、すごい掘るの速いよ」
モバP「パズル適性が高い人って思いがけない所に隠れていたりするよな」 ウン、ヨクカクレル
雪美「……あっ……」 ドウシタ? ッテ、カンオケ
-
1243
モバP「事務所の窓から見上げるお月様」
雪美「まだ……満月じゃ……ないね……」
モバP「ああ。今年の12月のコールドムーンは19日らしいからもう少しなんだが」
雪美「……6月の……ストロベリームーンは……梅雨で……なかなか……見られない……」
モバP「天気が崩れやすい季節の満月はなかなかレアだよなあ」
モバP「月って開けた所なら良いが、室内だとちょうど良い時期と時間と角度という条件が揃わないと見えない場所もあるからな」
雪美「……P……この、3/4くらいの……月……何て言うの……?」
モバP「十三夜月、下弦だと立待月とか居待月くらいの所だろうが、半月や三日月と比べると知られていないよな」
モバP「アニメやドラマとかでも月が映るシーンって多くは満月、あっても半月や三日月だ」
雪美「……十三夜月……。でも……これも……いい……」
雪美「……満月じゃ……なくても……何かが……起こりそうな夜……」
モバP「洞窟物語のつきのうたが聴きたくなってきた」
モバP「敵の多い険しい外壁を登る時のBGMなんだが、オルガーニャのほのぼのとしていながらも切ないメロディーが、足場にしがみ付いて遠い月を見つめる今の気分にマッチする」
ちひろ「上の階に大農園でもありそうですね」
-
1244
ピッ ピッ
モバP「ふぅむ……もう一週間と少しもするとテレビは年末年始特別編成か」
雪美「いつも見る……番組……お休み……」
ちひろ「事務所なのに自宅で寛ぐようにGガイド見てますね」
モバP「これがあると新聞の番組欄いらずですね」
菜々「便利な時代になったものですねぇ……ふう、お茶が美味しい」
雪美「休日は……スポーツ……多い……」
モバP「そうだな。ゴルフとか、F1とか……両方とも最終日の決勝だけ見がちだが、実はその前から予選をやっているという」
ちひろ「F1は結構前に地上波打ち切りでBSだけになりましたね」
菜々「そんなこともありましたよねー。テーマ曲もT-SQUAREのTRUTHじゃなくなってしまって」
モバP「菜々さんはF1も見ていたんですね」
菜々「小さい頃ですよ? ……そういえば家族でTIME OVERやるのも週末の楽しみでした!」
ちひろ「双方向クイズ番組ですか。15年前くらいでしたっけ」 ……ナナハジュウナナサイデスヨ?
雪美「リモコンが……コントローラーになるの……すき……」
-
1245
雪美「P……ただいま……」
モバP「おかえりー! 待ってたよー!」
ちひろ「何か天丼が始まりましたね」
雪美「ふふっ……ただいま……。……はい……これ」
モバP「えっ、なになに? これは、源氏パイ?」
雪美「そう……Pといっしょに……食べたい……」
モバP「良いね、早速……あっ」
ちひろ「……パイが見事に割れていますね」
雪美「……」ショボン
モバP「……雪美」ピリッ
モバP「これ、持って。……これと、これ……ね、こうして合わせると」
雪美「ハートになった……」
モバP・雪美「……」モグモグ
ちひろ「急に二人とも素に戻らないでください」
-
今日はここまで
罰しよう、 き し た よ!
-
次スレは避難時ですかね?
-
1246
モバP「外は冷えるね」
雪美「……」コク
モバP「どちらかと言えば暑い方が苦手な雪美もさすがにストーブに集う」
ペロ「ンギャア」
モバP「ペロもストーブに集う」
モバP「……しかし見ているとどうも石油ストーブの方が恋しくなる」
雪美「……電気より……温まる……?」
モバP「体感はな。電気は基本コンパクトで灯油を足さなくても良いから楽だが」
モバP「上にやかんを置いてお湯を沸かしたりスルメを焼いたり出来ないのがなあ」
雪美「……スルメ……近くで……焼けると……便利……ね」
ちひろ「酒飲みか。……災害時にも役に立つ石油ストーブですけど、使い方には気を付けないといけませんね」
モバP「不完全燃焼による一酸化炭素中毒なんて怖いですね」
モバP「幼い頃はタンクに灯油の代わりにサラダ油を入れても動くのかな? とか考えたことがありました。実行は勿論していませんが」
ちひろ「軽自動車に軽油を入れたりお米を研ぐのに洗剤を入れたりするような発想ですね」
-
1247
ペロ「ンギャ」
モバP「あ、ペロ」
ピョン ボフッ
ペロ「……」
サッ サッ サッ
モバP「俺の膝座布団の上で毛繕いを始めたな」
雪美「……」ニコニコ
モバP「これは信頼されていると思って良いんだろうか」
雪美「……」コク
ペロ「……」チラッ
モバP「?」
ペロ「ンギャアア〜」
モバP「今のは分かった。お前のことはいつでも殺せるぞ、か。それいいね♦」
ちひろ「信頼のセリフに聞こえないんですけど」
-
1248
モバP「クリスマスと言えば!」
ちひろ「クリスマスと言えば?」
モバP「やっぱり人狼ですよね」
雪美「……」コク
ちひろ「いえ、聞いたことがないです」
モバP「期間限定、クリスマス人狼をご存じない?」
雪美「……夢の……コラボ……」
ちひろ「人狼もクリスマスVer.も人気はあるにはあるんでしょうけど」
ちひろ「クリスマスと言えば、でドドンと出すほどですか」
モバP「アイドルの間でオンライン人狼が今日流行っていまして、自分も今日、空き時間で遊んでみたんですが、楽しいですよ?」
ちひろ「今日って……Among Usか何かですか」
モバP「今ならサンタ貰えます」
ちひろ「サンタ貰ってどうするんですか」
雪美「……そんなことを……言いながら……クリスマスも……お仕事……」
-
モバP「それにしても今日の膝上の雪美には特にドキドキとさせられますな」
雪美「……そう……?」チョコン キラキラ
モバP「何といってもミニスカサンタですから」
モバP「クリスマスと言えばミニスカサンタだね、うん」
ちひろ「言ってることがコロコロ変わるお方だ」
雪美「……衣装のとは……違うけど……良かった……?」
モバP「ああ。ミニスカサンタと言っても丈はいろいろあるが、今日のは長すぎず短すぎない具合だと思う」
モバP「更に色こそ赤だがあまり衣装っぽくないシンプルな普段着風に作ってあるのが良い」
雪美「……確かに……着心地……いい……」
モバP「ついでに黒タイツとの組み合わせもミスマッチなようでいてこれが不思議と上品に見える」
雪美「……これから……Pと……デートだから……気に入って……くれたなら……良かった……」
ちひろ「ミニスカサンタを膝に乗せて仕事なんて既にご褒美みたいなものなのに、デートもするんですか」
モバP「記念日ですからね。記念日を忘れる男はモテないぞ、と千夜先生も仰っている」
千夜「そんなことは言ってない。毎年あの日にブランコに乗るからと、別にお前を待っているわけではない」
ちひろ「記念日多くて大変そうですね」
-
1249
モバP「12月24日9時に、女の子に“このあと時間ある?”なんて言ってみたい僕です」
ちひろ「言ったことないんですか?(無慈悲)」
モバP「この仕事を始めて性の6時間が暇だった時が無かったですからね」
ちひろ「はっきり言うな。というかそんなにクリスマスはいつも夜勤でしたっけ?」
モバP「でなくてもボランティアサンタをやったりイヴの手伝いをしたりありますから」
雪美「……P……せいの……6時間……って……?」
モバP「あっ、ええと……イイことをする時間かな。聖人になるための6時間というか」
雪美「……聖人……。Pは……違うの……?」
モバP「俺は聖人になれたことはないな」
ちひろ「でしょうね」
モバP「クリスマスって、1年間良い子にしていた子どもにはサンタクロースからプレゼントを貰えることがあるのに、大人には何もないと思うだろ?」
モバP「ところが大人だってそのたった6時間でイイことをするだけで、神様から子どもというプレゼントを授けてもらえることがある。ただし届くのは9ヶ月後くらいになるが」
ちひろ「何言ってんですか全く」
雪美「……私なら……Pを……6時間で……聖人に……できる……?」 シュウジンニナリマスヨ
-
1250
モバP「業界からはよく、346プロには何でもある、と言われますよね」
ちひろ「自慢ではないですけど大きいですからね。ただ、何でもはありません」
モバP「そうです。例えばビルに煙突が無い」
雪美「……それに伴って……暖炉も……ない……」
ちひろ「ビルにそれっぽい煙突は難しいですね。一軒家ならともかく」
モバP「特にサンタが通り抜けられるような煉瓦の……」
ちひろ「そんな建物は日本にどれだけあるんでしょうかね」
モバP「小さい煙突だと入って来れないので、代わりにお賽銭やトレビの泉のような感じで金貨を投げ入れるしかない」
ちひろ「それはサンタの元ネタですね」
雪美「プレゼント……まさかの……現金……」
イヴ「コインは靴下に入れるにはちょうど良いですよ〜」
ちひろ「入れたことあるんですね」
モバP「おや、イヴじゃないか。今年のクリスマスもお疲れ様」
イヴ「ふふ、ありがとうございます。ようやく終わりました〜」
-
モバP「ところでイヴは煙突内の昇り降りは得意なのか? 定期訓練があるそうじゃないか」
イヴ「……苦手とは言いませんけど、あまり速い方じゃないです〜」 ヘェ
ちひろ「速さを競うんですか」
イヴ「過酷ですよ〜。タラップが無い煙突ならロープやスパイダーウォークも駆使しないといけないですからね〜」
モバP「道理で一緒にSASUKEを見ていた時はやけに食いつきが良かったんだな」
ちひろ「本場のサンタは消防隊の訓練みたいなことをやっているのか……意外と肉体派なイヴちゃん」
雪美「……すごい……(尊敬の眼差し)」
イヴ「でもそうして苦労して入ったお家に、おいしいミルクとクッキーが用意されていたら、とても嬉しいですねぇ〜」
モバP「日本ではそんなに聞かないよな。お礼の印にミルクとクッキーって」
雪美「そういう……おもてなし……増えると……良いね……」
モバP「ああ。もし間違って勇者が入ってきても、それを見たら己の浅はかさを恥じて何も盗らずに帰ることだろう」
ちひろ「物取りのことを勇者行為と呼ぶのはやめましょう」
モバP「イヴにもう一つ聞きたいんだが、失敗して火が付いた暖炉に落ちたことはないのか? 俺だったらやりそうで」
イヴ「サンタの服は防火服なので大丈夫ですよ〜」
ちひろ「本当かなぁ……」
-
1251
雪美「……Pと……お揃いの……衣装……着たい……」
ちひろ「それは、アイドルの衣装ですか」
雪美「……」コク
モバP「俺の性別が女性なら良かったんだろうがなあ。さすがに似合わないよ」
雪美「……それは……残念……」
モバP「……いつもパンツスーツ姿で色気のないプロデューサーが、どうしてもと頼まれてアイドルと同じ格好をする――」
モバP「それもなかなかグッとくるシチュエーションだが、女性だから成立するんだよな」
雪美「……想像したら……ドキドキ……」
ちひろ「そんなことを言いながらよく女装はしますよね」
モバP「ええ。スカートを穿くのにあまり抵抗感が無くなってしまいました」
モバP「でもあくまで自分は男である上で、こういう格好も一つのあり方としてはありよりのありかなと受け入れています」
ちひろ「女装というかスコットランドの男性がキルトを巻くような感覚でやってるんですかね」
雪美「……P……キルトも……似合う……」
ちひろ「もう既に手を出していたか」
-
1252
モバP「早いもので、もう年末ですね」
ちひろ「そうですね」
モバP「もうすぐイチゴ大福を食べる時が来てしまうと思うと今からもう切ない」
ちひろ「最後の晩餐じゃないんですから」
モバP「ちひろさんは最後の晩餐があるとしたら、何を食べたいです?」
ちひろ「そうですね……急に一つに決めるのは難しいですね」
モバP「ではチョコパイとガトーショコラとエンゼルパイからどれかを選べ、だったら」
ちひろ「そこから選ばされるんですか」
モバP「ほぼケーキなので最後にしては贅沢な方だと思いますが」
ちひろ「プロデューサーさんの贅沢の価値観が下振れしているような……」
ちひろ「……じゃあ、エンゼルパイですかね」
モバP「えっ、エンゼルパイですか? あの賛否両論とされるマシュマロ入りの? 本当に?」
モバP「……やはりちひろさんは天使(エンゼル)か……!」 ナニガヤハリダ
雪美「……あまおう苺ケーキが……ない……」
-
1253
飛鳥「今セカイではクリスマスが持て囃されているけど、つい数日前は冬至だったことをみんな忘れてはいないだろうか」
モバP「一年で最も昼が短く夜が長いとされる日だな」
雪美「……確かに……今は……朝……暗い……」
モバP「ただ極圏の白夜のようなはっきりした変化はなく、徐々に変わり、そして戻っていく」
蘭子「……クックック、私は“極圏”の白夜。常世と狭間の世界を支配する者なり」
モバP「厨二かっこいい通称っぽいなと思ったな?」
雪美「……変化……少しずつだと……なかなか……気づけない……」
モバP「画像の一部が段々変化していくモーフィングクイズみたいだ。そして気づいた時には茹でガエルってわけだ」
モバP「それで雪美たちはゆず湯を食べたりカボチャに入ったりはしたか?」
雪美「……それ……逆……」
蘭子「一体どんな生贄の儀式なのだ……」
飛鳥「カボチャに入る、か……くり抜いて空っぽの空間を、ボクという存在で埋める、と」
モバP「すまないね言葉が縺れた。まあ、俺はどちらもしてないんだが」
雪美「……少し遅いけど……今日……する……?」 カボチャハケッコウデス
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1254
モバP「一人暮らしの人が入居するロフト付きの部屋」
モバP「あれ、テレビ番組とかで見かける度に思うんですが、ちょっと憧れません?」
雪美「……ロフト……」
ちひろ「日本的に言えば部屋の一部が二層式になっている住居ですね」
雪美「……二段ベッドを……一人で使う……感じ……?」
モバP「言ってしまえばそれに近い」
ちひろ「ワンルームと縁がない生活を送っているとプロデューサーさんが言うようなロフトには住む機会が無いでしょうね」
モバP「あの梯子を上がった先にある微妙に狭くて高い空間で寝転がって寝てみたいんですが」
雪美「……落ちそう……」
ちひろ「落ちはしないでしょうけど人によっては地に足が着いた気がしなくて落ち着かないかもしれませんね」
モバP「ついでに梯子が収納できたりすると忍者屋敷みたいで面白そうだなと」
雪美「……間違って……ハシゴ……落としたら……下りられなくなりそう……」
ちひろ「見下ろしはできないですけど、隠れ家的な部屋に住みたいなら地下室や屋根裏の方が良いんじゃないですか?」
モバP「そりゃあもう、白川郷の合掌造りの屋根裏みたいなのは好きですよ」 グタイテキ……
-
1255
モバP「クリスマスと言えば!」
ちひろ「クリスマスと言えば?」
モバP「やっぱりオカルトと冒険ですよね」
雪美「……」コク
ちひろ「クリスマスとは一体……」
モバP「クリスマスにはホーム・アローンやダイ・ハードといった定番ものの雰囲気映画を見るのも良いですが」
モバP「例えばタンタンの冒険。または三つ目がとおる」
モバP「そんな世界、更には宇宙をも巡るような冒険ものを童心に帰って楽しみたい」
雪美「楽しかった……」
ちひろ「事後報告じゃないですか……しかしタンタンと三つ目がとおるってまた何というか……」
モバP「タンタンのオカルト回はそんなに多いわけではないですがね」
雪美「太陽の神殿……インディ・ジョーンズ……思い出す……」
ちひろ「雪美ちゃんがインディ・ジョーンズを普通に知識にしていることに驚きです」
モバP「前にむつみと一緒に見ていましたね。そういえばむつみ、13個集めると世界が滅ぶクリスタル・スカルを個人で2個所有しているとか」 エッナニソレハ
-
モバP「話を戻しますが、タンタンシリーズって日本版の漫画は刊行の順番が海外版と違うんですよ」
ちひろ「ややこしいですね。番号順にすると時系列がバラバラになると聞いたことはありますけど」
モバP「昔図書館で読んだ時は素直にそれで読んだものですからもう訳ワカメでコンコンニャローのバーロー岬です」
雪美「……なんとナントの……難破船……ふふっ」
ちひろ「ハドック船長好きなんですね」
モバP「怖そうな容姿でいながら腕っぷしはタンタンの方が強いというのがまた」
雪美「でも……友だち思いで……やさしい……」
モバP「各々キャラが立っていてその後に同じエンデのクックとプッケシリーズを読むと、何かスケールが小さくてあまり印象に残らないという」
ちひろ「一方、三つ目がとおるは結構オカルトが強めですかね?」
雪美「……うん……不気味なのも……多い……」
モバP「そこに一服の清涼剤・良心として出てくる和登さんが良いんですよね」
モバP「長身でスタイルが良くてショートヘアでセーラー服ボクっ子で男前でサービスシーンもある……」
雪美「……幸子も……裸足で逃げ出す……個性の塊……」 イヤ、サチコモカナリノモンダガ
ちひろ「結構刺激が強いシーンもあったと思うんですけどそこは良いんですか?」
モバP「まあタンタンにしても、図書館に置いてくれるくらいですからセーフかなと」 キジュンソコ?
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1256
ちひろ「クリスマスも終わってみたらあっという間ですね」
雪美「……楽しいことは……早く過ぎる……」
ちひろ「ですね。その分、忙しくもありました」
モバP「……ダメだ、アウトプットが出て来ない。一休みしよう」
雪美「Pも……頑張った……ね」
ちひろ「プロデューサーさんはこの一ヶ月、仕事詰めでしたね。お疲れ様です」
モバP「いえいえ……でも嬉しいです。ちひろさんの半分は優しさでできているんだなって」
ちひろ「もう半分は何ですかね」
モバP「その優しさがプラシーボ効果でないことを祈りながら」 オイ
モバP「今年も忙しい中のスキマ時間を上手く使っていろんな無駄話に講じてきたわけですが」
雪美「……無駄話って……言わないの……」ユキミチョップ
モバP「お二人は今年、やり残したことはございませんか?」
雪美「……Pと……クリスマスも……過ごせたから……そんなに……ない……」
ちひろ「個人的にやり残したことなら来年やれば良いんですよ。仕事はそうもいきませんけど」 ツライナァ
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1257
モバP・雪美「……」ムー
ちひろ「お二人してどんな難題に首を捻っているんです?」
モバP「ちょうど良い所に。ちひろさんに知恵を貸していただけると心強い」
モバP「ここにあなたが定番だと思うホールタイプのケーキを5つ挙げてください、というアンケートがあるんですが」
ちひろ「そんなに真剣なアンケートじゃなさそうですけど」
モバP「5つって意外と難しくないですか? ショート、チョコレート、チーズ、モンブランあたりは良いとしてもう1つが」
ちひろ「フルーツ、レアチーズとかですかね。チョコレートでもガトーショコラとザッハトルテでは見た目が違いますし」
雪美「……他にも……キャラメル……タルト……ムース……ミルフィーユ……ティラミス……シフォン……。どれが……定番……?」
ちひろ「挙げだすとキリが無いので直感で思いつくのを5つ挙げれば良いのでは」
モバP「それにショートケーキと言いながらフルーツがどっさり乗っていたり、フルーツケーキでイメージされるのがパウンド型のバターケーキだったり」
モバP「そう考え出すと自分の回答が正しく受け止められるのか……しっかりどんなケーキと詳細に書くべきですかね?」
ちひろ「変な所で真面目ですねえ」
雪美「……四角いフルーツケーキ……すき……。赤と緑の……ドレンチェリー……」
モバP「あの宝石のような彩りは良いよなあ。アンケートは放って食べに行くか」 フマジメダッタ
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ガチャッ
モバP「こんにちは、アップルパイとバニラアイスが合うと聞くのですが」
モバP「なかなか実践する勇気が出ないのは多分冬のせいだと思うプロデューサーです」
ちひろ「冬は関係ないと思います」
ちひろ「というかどんな入室の仕方ですかそれは」
雪美「……ちひろさん……こんにちは……」
ちひろ「あら、雪美ちゃんも一緒でしたか」
モバP「今日の収録ではそれまで番組のコーナーで作って来たいろはかるたで対決するという企画があったんですが」
モバP「雪美が大活躍でしてねえ」
雪美「……」フンス
ちひろ「よくやりました!」ナデナデ
雪美「……♪」
モバP「いやあ、競技かるたのような袴姿で美しく舞いながら札を取る雪美さんが……ユ゛ッ!」
ちひろ「全く、年の瀬にも来てあなたはまたそうやって変なボキャブラリーを新搭載する」
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1259
モバP「早苗さんが出演したドラマ、度々見直すんですが……格好良いですよねえ」
早苗「そんなに何度も見直されたらお姉さん恥ずかしいわ」
モバP「シューティンググラスを付けて拳銃を構える姿がとても様になっていて」
早苗「でもあれは清良ちゃんもやってたじゃない。あたしより精密よ〜?」
モバP「ご謙遜を」
早苗「あたしは遠くの相手を射抜くより近くの相手を組み伏せる方が性に合ってるから」
モバP「火力支援より近接戦闘が得意なタイプですか」ススッ
早苗「引かないの」グイッ
モバP「早苗さん、リーチは長くないのに吸い込みの間合いが広いですね」
早苗「人をザンギエフみたいに言うわね」
モバP「いえそんな……あ、雪美だ。おーい」ノシ
シュバッ――!!
雪美「……」ダキッ
モバP「こっちは飛びつきのスピードが速いな」
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1260
モバP「というわけでね、良いお年を」
ちひろ「何かいつもより早い気がするんですけどね」
雪美「……駆け足展開……」
モバP「それで、ちゃんと持って来たんだろうな? 例のブツは」 イイカタヨ
雪美「抜かりなく……。……これを」
モバP「おお……これが……丸ごとイチゴのホワイトチョコか。でかした」
ちひろ「大福ですらなくなってるじゃないですか」
モバP「イチゴ大福を食べてしまうと今年は終わりになってしまう……逆に考えれば、食べなければ終わらないのです」
ちひろ「その発想はおかしい」
雪美「……イチゴ大福も……持って来た……いっしょに……どうぞ……」
モバP「気が利くなぁ」クスン
雪美「……P……また来年……ね……?」
モバP「ああ、来年もこの事務所(へや)で会いましょう」
ちひろ「では、良いお年をお迎えください。……最後の不吉な挨拶は聞かなかったことにしますね」
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今日はここまで
長らくご愛顧いただいてきましたこのスレですが1月1日はお休みです
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1261
雪美「……あけまして……おめでとう……」
モバP「あけましておめでとうございます」
ちひろ「今年もよろしくお願いしますね」
雪美「……P……」(つ゜-゜)つ
モバP「ああ。じゃあいくぞ」
ヒョイッ ポスン
雪美「……♪」
モバP「神様がお帰りになった」
ちひろ「出雲にでも行っていたんですかね? 神無月は10月ですけど」
雪美「……私が……いない間……寂しく……なかった……?」
モバP「寂しかったよ。雪美様が帰られる日をペチュニアおばさん並に首を長くして待っておりました」 ハリー・ポッターカ
モバP「それまでは実家が地元とかでちょうど良く事務所に残っていた留守神のアイドルたちに、交替で膝を温めてもらっていた」
りあむ「ついにぼくも神になったよ! 女神じゃないよ!」 リアムモ……カミ……オメデトウ……
ちひろ「ここは神格の多い事務所ですね」
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1262
モバP「さあ、ライブだ。景気良く行こうぜ、Y」
雪美「そうね……今日の私は……絶好調……」
雪美「……Pの方は……どう……? 付いて来れる……?」
モバP「外は生憎のバッドウェザーだが、この直前の高揚感は悪くない」
雪美「……よし……後ろは……任せた……」
モバP「ああ、Yのクールなパフォーマンスに期待しているぜ」
杏「……トレバーとマイケルみたいな呼び合い方してるなあ」
モバP「俺がPと呼ばれるなら雪美をYと呼んでも違和感はないのではないかと思って」
杏「というかさ、Pってイニシャルだったの?」
モバP「いや、プロデューサーのPだぞ。日本人で頭文字Pはいない……いないよな?」
杏「キラキラなネームならあり得るんじゃないかな」
雪美「P……実は……本名……Phoenix……だったり……する……?」キラキラ
モバP「当て字で不死鳥とでも書くのか、それとも外国系か……この顔でフェニックスは名前負けするわ」
杏「キラキラネームが嫌でPを名乗ってる疑惑」 ソンナンチャウワ
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1263
モバP「雪美さん」
雪美「……なぁに……?」
モバP「お年玉をください」
雪美「……えっ」
ちひろ「雪美ちゃんにねだるな」
モバP「桃華ならセーフなんですかね」
ちひろ「桃華ちゃんにもですよ。あなた何歳ですか」
モバP「しかし桃華からは貰ってしまいましてね。これは他の子からも貰うのが筋なのかと思って」
ちひろ「えぇ……」
モバP「勿論、桃華にはこちらからくれとは言っていませんよ?」
ちひろ「桃華ちゃん、気前がいいですね……」
雪美「……私も……あげる……」
ちひろ「張り合わなくても良いんですよ?」
雪美「……元々……あげるつもりだった……。……はい」
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モバP「おおきに。……あらまあ、素敵」
雪美「……このポチ袋……どう……?」
モバP「良いセンスだな。これは雪美のチョイスか?」
雪美「……」コク
モバP「こういうのは一人一人個性が出るな」
ちひろ「小学生が、渡すポチ袋を自分で選ぶってなかなかないと思いますけどね」
モバP「中身は何かな? おっ、これは……」
ちひろ「いくらですか? ちょっと見せてもらっても」
モバP「ダメです。こういうのは中身はおまけ――と言っては逆に失礼ですが、“ほんの気持ち”だから良いんです」
ちひろ「えー」
雪美「……ちひろさんの分も……ある……」ハイ
ちひろ「えっ、それは予想外です。良いんですか?」ドウモ
ちひろ「開けますね……。……!」
ちひろ「……いくらだなんて失礼でした。雪美ちゃん、ありがとうございます」 ……ドウイタシマシテ
モバP「お年玉は現金でなくてはいけない決まりはないですからね」 モウテンデシタ
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1264
モバP「菜々さんとカラオケをすると困ることが一つ」
菜々「えっ、何ですか? まさか懐メロ、歌いすぎ……?」
モバP「それは今に始まったことではないので構わないのですが」
菜々「うぅ……もしかして呆れられています?」
モバP「いえ、最近の曲から懐かしい曲まで、レパートリーが幅広いなといつも感心しています」
雪美「知らない……良い曲……たくさん……知っている……」
菜々「そういえば何故だかよく物知りと言われますねぇ」
モバP「菜々さんをよく知らない人ですら、そういう印象を持っている人は意外と多いようですね」
菜々「私の雰囲気、そんなに物知りそうに見えます?」
モバP「不思議と見えるんですよね。街でやたらと声をかけられて道を聞かれる人っていますが、それと近い感じというか」
菜々「確かによく道も聞かれますね……あれっ?」
モバP「単に詳しそうというよりは親切そう、話しかけやすいオーラみたいなものをひっくるめて物知りのイメージがある感じです」
モバP「そんな菜々さんがカラオケで歌う“Wind Climbing 〜風にあそばれて〜”は何故か心に深く刺さってくるから困ります」
雪美「……歌に……深みが出る……感じ……?」 ソウソウ、セットクリョクガ チョッ、マッテクダサイ!
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1265
ちひろ「一年の計は元旦にあり、と言いますね」
モバP「はい」
ちひろ「プロデューサーさんは今年の目標は立てましたか?」
モバP「現状維持ですね」
ちひろ「それ割と目標としては一番ダメなやつですよね」
モバP「では、問題には高度の柔軟性を維持しつつ、臨機応変に対処する――が目標で」
ちひろ「行き当たりばったりですね」
モバP「では、柔軟剤を使って優しい肌触りを目指す――とかは」
ちひろ「何に対する目標ですか」
雪美「P……目標……まだ……決めてないの……?」
モバP「おや、雪美さん。この寒い中でも元気そうで何より」
ちひろ「こんにちは、雪美ちゃん」
雪美「……今日も……Pと……ちひろさんに……会いに来た……」
モバP「直帰出来る時でもわざわざ来てくれるのがとても嬉しい」
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雪美「……今日は……お仕事……上手くできた……」
雪美「私を……褒める……?(期待の眼差し)」
モバP「褒めます」ナデナデ
雪美「……♪」ムフー
ちひろ「褒めてほしそうにする雪美ちゃんも良いですね」
モバP「何か尻尾を振る子犬を連想しますね」
モバP「そういえば目標……一つは決めているんだよ」
雪美「……?」
モバP「雪美との一年の締めはイチゴ大福だから、一年の幕開けはイチゴ始めをやろうという」
ちひろ「一年の目標というかただ年始にやりたいことじゃないですかそれは」
モバP「まあまあ。ということで、こちらから用意させてもらったよ。はい」
雪美「……これは……幻の……白いイチゴ……淡雪……!」キラキラ
モバP「せっかくだから珍しい物をと思ってな。良かったら一緒に食べてみないか?」
雪美「うん……!」
ちひろ「早めに次の目標を考えることをお勧めしますよ」
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1266
モバP「大晦日にPaのアイドルたちと一緒にアウトレイジでも見て盛り上がりたかった僕です」
ちひろ「アウトレイジはアイドルたちと見るべき映画じゃないと思いますよ」
モバP「もしくはバカンスで南の島に行きたかった」
ちひろ「アウトレイジかバカンスかだったらバカンス一択ですね」
モバP「実際はどちらも無理でした」
モバP「毎年、年末年始は休みを取ってハワイやセーシェルに行きます、なんて言う人が羨ましい」
ちひろ「バカンスって長期休暇ですからね。二泊三日くらいの旅行とは訳が違います」
雪美「……代わりに……事務所で……バカンス……」
ちひろ「まるで休暇を取っている気がしないでしょうね」
モバP「ああ、出社してルームの扉を開けたらそこだけ南国のリゾートビーチみたいに改装されていたりしないかなあ」
モバP「勿論、ちひろさんや雪美や他のアイドルたちは水着姿で過ごしていて……」
ちひろ「しないし着ない――はずなんですけど、何故かかき氷作ってる私がイメージ出来てしまうんですよねえ……」
雪美「……冬なのに……夏の砂浜セットで……過ごす……。考えたら……わくわく……」
モバP「でもそんなのを作ったらいよいよ仕事にならなくなりそうだ」 ゴモットモ
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1267
雪美「……P……」
モバP「おう」
雪美「……今年は……お雑煮……食べた……?」
モバP「食べましたよ。自分で作ったシンプルな物をだがな」
ちひろ「プロデューサーさんは自分で作れますからね」
雪美「……作れるの……?」
モバP「ああ。年始は事務所だったからちひろさんの分とかも一緒に作ったな」
雪美「……私も……Pのお雑煮……食べたかった……」
モバP「そう言われたらまた作らざるを得ないな」
モバP「俺の方としても、佐城家の白味噌仕立ての雑煮は食べてみたいんだがなあ」
雪美「Pのは……おすまし……?」
モバP「そう。こっちは別に家の味というわけではなく、適当なレシピが元だ」
ちひろ「雪美ちゃんは食べなくて良かったかもしれませんよ? 何故かお餅が餡子入りでしたし」
モバP「そこはちょっと香川リスペクトでした」 カガワハシロミソデスヨ
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1268
モバP「雪美さん、お餅が焼けましたよ」
雪美「……おお……お餅……」
モバP「鏡開きはもう少し後だが、正月の料理に使う餅がちょうど残っていた」
雪美「……Pも……いっしょに……食べよう……」
モバP「そうだな。きな粉で食べるか? それとも磯部にするか? 揚げて塩でってのも良いが」
雪美「……3つとも……食べてみたい……」
モバP「おっいくねぇー、欲張りセットか。食べきれるかな〜?」
雪美「……少し……小さくして……」
モバP「了解。そういうちょっとわがままさを出してくれる雪美さんが好きだよ」
雪美「……迷惑……しない……?」
モバP「寧ろやる気が出る。……はいまずはきな粉餅一丁」
雪美「ありがとう……。……いただきます……」ハム
モバP(お餅を食べる雪美さんのもち肌ほっぺ……良いわぁ)ジーッ
雪美(……のどに、詰まらせないように……見守って、くれてる……のかな……?)ミョーン
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1269
雪美「……♪」クルンッ フワッ
モバP「いやあ、お上手です」パチパチパチ
モバP「雪美さんはポールダンスも出来るんだなあ」
雪美「……撮影の時に……教えてもらった……」
雪美「まだ……アクロバティックな……ことはできない……けど……」
モバP「いや、突然予想を超えて曲芸みたいなレベルを披露されると却って怖いからこれで充分だ」
モバP「自分は心得があるわけじゃないが、既に足の動かし方は滑らかだし、遠心力も上手く味方にしていると思うよ」
雪美「Pも……やってみる……? 少しなら……教えられる……」
モバP「……でもここ、公園の登り棒なんだよなあ」
雪美「……登り棒……元々……好き……だから……」
モバP「なるほどな。俺は小学校の頃なんて登り棒に近寄ったこともなかった気がするから、馴染みもないわけだ」
モバP「体育館の肋木と壁の隙間に挟まって遊んでいたことはよくあったが」
雪美「ふふっ……、それ……想像すると……面白い……」
モバP「しかしこうなると雪美のポールダンス衣装を見たいような見たくないような葛藤が」
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1270
モバP「……」パクパクムシャムシャ
ちひろ「プロデューサーさんは今日のお昼はハンバーガーですか」
モバP「ですね」
モバP「ハンバーガーと言っても具材は定番のパティじゃなくてファミチキ――フライドチキンですが」
雪美「紗南と……いっしょに……バーガーバーガー……プレイしてたら……」
ちひろ「食べたくなった、と」
モバP「プレイしたのは結構前ですが、それからよくハンバーガーが食べたくなりまして」
ちひろ「影響を受けやすいタイプですね」
雪美「でも……Pは……バンズと……具材……別々に買う……」
モバP「これもフライドチキンにハチミツをかけたバーガー、アボカドバーガー、ポテトサラダバーガーですからね」
ちひろ「バーガー多いですね。サラダはサラダで良いのでは……」
ちひろ「フライドチキンにハチミツは、コロンビア風の食べ方だとかで少し前に流行りましたね。でも今やるか? っていう」
モバP「今でしょ」
ちひろ「せやろか」
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モバP「ご飯と惣菜を個別に買うより同じ量の弁当を買う方が大抵安くなるように、ハンバーガーもそのまま買う方がいくらか安上がりなんですが」
モバP「自分で好きな物を挟んで食べる、というのも楽しみ方だなと」
雪美「……それは……そう……」
ちひろ「いわゆるMとかMとかLとかはそんなに食べないんですか?」
モバP「Mが2つありますね……食べないですねえ。Sみたいなご当地バーガーは好きですが」
雪美「サイズの話……みたいになってる……」
モバP「Mと言ったらドナとモバで分かるから良いんですがね」
ちひろ「独特な略称を使いますね……それにSって何です」
雪美・モバP『佐世保バーガー』
ちひろ「颯ちゃんと凪ちゃんみたいに綺麗にハモりましたね」
モバP「まあフィッシュバーガーとフライドポテトという好物があるからドナも捨てがたいのですが」
法子「ドナドナドーナードーナーッツ♪ ドナと聞いて参上しました!」
ちひろ「ドーナツじゃないですよ?」
ちひろ「そういえば最近、ポテトは品薄による大きいサイズの販売休止で、加蓮ちゃんが嘆いていましたね」
モバP「代わりに芋けんぴを勧めたらとても悲しい顔をされました」 アタリマエデショ
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1271
「ぴにゃ! ぼく、ぴにゃこら太!! 346プロは、今日も、いい天気!」
「もちろん、きのうも、いい天気だったよ!」
ピコッ
「ぴにゃ〜、たたかないでよ〜」
――
「ぴにゃにゃ〜、ぼくは、ぴにゃこら太……だったかな?」
「なんだか、さいきん、ものわすれが、ひどくなったような気がするんだ」
「今日、あさごはん、たべたっけ?」
――
「ぴ〜にゃにゃぴ〜にゃ、にゃ〜ぴにゃ〜ぴにゃぴ〜ん♪」
――
モバP「……幼い頃は無心で楽しめたモグラ叩きってさ、今思うと結構動物虐待の罪悪感が湧くな」
穂乃香「えっ、突然どうしたんですか? Pさん」
雪美「……コブロンは……叩けない……」 ソレナラ、グサァーッ! ユズチャン!?
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1272
モバP「雪美さんに着せても良いよね? 服シリーズー」
ちひろ「いけないのか着せたいのかはっきりしてください」
モバP「今日は、プチ・マドモアゼルに近いかもしれません。ドリームクラブの魔璃の衣装です」
雪美「……(検索中)」カチカチ
雪美「おお……これが……」
ちひろ「仕事用のPCでギャルゲーの画像検索する膝上アイドルよ」
雪美「左目隠れ……」
モバP「美玲ほどパンクな感じではないが、いつもの感じに一手間を加えて、包帯なんかで目や、或いは頭や付け耳や片腕を装飾するのは好物だ」
雪美「包帯は……ライラが……ミイラで……やってた……ね」
モバP「あの裸包帯みたいなのもどっくーんと来るが、ドレスwith包帯も少し重厚でダークでニヒル」
雪美「……これなら……コスプレ……してみたい……」
ちひろ「まあ、良いんじゃないですか? 体型に結構差異がありますけど」
モバP「では、こっちのるい先生や理保やアイリみたいなスリット紐パンな方は着せても良いですかね?」
ちひろ「そっちが目当てか。許可すると思いますか?」 イイエ? ワカッテルナラキクナ
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1273
モバP「自分がまだ野球のルールを知らなかった頃、親に尋ねたんだ」
モバP「サヨナラって何? と」
友紀「サヨナラはサヨナラだよ」
モバP「それが聞いても分からなくて、何? 選手が引退でもするのか? と思っていた」
雪美「それも……さよなら……」
モバP「まず攻守交替制を理解していないと何で9回表で試合が終わるのかも分からない」
友紀「あたしは物心がついた頃? いつの間にか分かってたなあ」
友紀「今となっては何で分からなかったのかが分からないね! あははは!」
モバP「勉強や仕事の“何が分からないのか分からない”状態みたいだな、それ」
瑞樹「アナウンサーの頃はそういうのは致命的だったわ。正しい知識が無いと説得力のある、わかる伝え方が出来ないもの」
モバP「分かります。野球中継の実況とか相当詳しくないと、もしやれと言われても完遂出来る気がしません」
瑞樹「そんな、わかる女を目指していたのが、アイドルになってからはわか(がえ)る女に」
雪美「……分かる……。瑞樹……どんどん……可愛く……なってる……」 ワカル?
ちひろ「何かよく分からない会話をしていますねえ」
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1274
モバP「雪美さん、いつも俺に付いてきてくれてありがとう」
雪美「……?」
モバP「思えば雪美さんを、俺の一存で振り回してばかりだなと」
雪美「……いいの……」
雪美「あなたの……望み……私が……叶える……。そう、約束……した……」
モバP「それは雪美をトップアイドルにしたい、ということであって、個人的に雪美ともっと親密になりたい、とかそういうことまでは……」
雪美「それも……ひっくるめて……叶えたい……。変……?」
モバP「なら嬉しいんだが……良いのか? 雪美は俺の近くにばかりいることで本当に楽しいのか、時々心配になるんだ」
雪美「……きっと……私が……楽しくなかったら……P……分かる……はず」
雪美「それに……Pが……楽しいから……私も……楽しい……」
モバP「雪美……」
雪美「……Pは……今の……Pで……いて……」
モバP「……ああ! 改めてありがとう。俺はどうやらすっかり雪美の虜だ」 ……ウン
ちひろ「今までは何だったんですかね」
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1275
モバP「雪美様がゆく――そんな時間も、あっという間でしたね」
雪美「私より……Pが……やりたい放題……だった……」
モバP「でも雪美といろんなことをやれて僕は幸せです」
雪美「Pが……幸せなら……それでよし……」
モバP「えへへ」
雪美「ふふふ……」
モバP「さて、新年早々ですがそろそろお別れとなります」
雪美「みんな……ありがとう……さようなら……」
THANK YOU 346
and
GOOD-BYE 346 WORLD!
またどこかで会おうね
モバP「このお話の出演は、モバP、雪美、ちひろ……でした」テーテーテテッ テッ!
雪美「……おやすみなさい……」
ちひろ「民放時代のきかんしゃトーマスかな? というか勝手に346プロを終わらすな」
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おまけ25
モバP「全然関係が無い話なんですが、初夢で橋をかける夢を見まして」
ちひろ「縁起が良さそうな夢ですね」
モバP「それでふと思い出したんですが、大工と鬼六という昔話がありましたよね」
ちひろ「大工にはとても橋をかけられそうにない急流の川に鬼が橋をかけてくれる話でしたっけ」
雪美「……本当の名前……当てないと……目……食べられる……」
モバP「そうです。あれ、途中で鬼の名前は鬼六だってネタバレの歌が聴こえてくるんですよね」
モバP「何というご都合主義で解決してしまうんだ、と子ども心に腑に落ちなかったのを思い出しまして」
雪美「……良い夢……見たのに……モヤモヤ……してるの……ね」
おまけ26
モバP「雪美さん、今日は何でも好きな物を食べさせてあげるよ」
雪美「……ほんま……?」
モバP「ホンマもホンマ、大間の本マグロよ」
雪美「ふふっ……じゃあ……マグロ……食べたい……」
ちひろ「そんな地口に釣られちゃうんですか?」
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今日はここまで
沈没船より愛を込めて
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999
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1000ゲットォ!
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