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【古見さんは、コミュ症です。】 なじみ 「これも秘密です。」

27以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/06(土) 18:07:42 ID:0O24lWYM
………………少し離れた席

只野 「………………」

只野 「……ねえ大丈夫!? 本当に笑介くん怒ってない!?」

古見さん [大丈夫です。楽しそうですよ?]

只野 「ほ、本当ですか……?」

只野 (古見さんの言葉を疑うつもりはないが……)

笑介 「………………」 ムスッ

只野 (うちの妹の言動も相当アレだし、あれ絶対怒ってるでしょ!?)

只野 「ど、どうしよう……。兄として謝りに行った方が……」

古見さん 「!?」

カリカリカリ……

古見さん [邪魔をしてはダメです。]

只野 「へ? 邪魔って……」

28以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/06(土) 18:08:54 ID:0O24lWYM
古見さん [だって……] カリカリカリ…… [笑介と瞳ちゃん、デート中ですよ。邪魔できないでしょ?]

只野 「で、デート!?」

古見さん 「………………」 ニヨニヨニヨ

只野 (古見さん、めちゃくちゃニヤニヤしてる……。めずらしい……)

只野 「古見さんも冗談言うようになったんですね。瞳と笑介くんじゃ全然釣り合わないですよ」

古見さん 「………………」 ガーーーーン

ズーーーン

只野 「え? あれ? 古見さん?」

古見さん 「………………」 ズズズズーン

只野 (沈んでる!? なんかヘンなこと言ったか、僕!?)

只野 「ご、ごめんなさい、古見さん。僕、何か気に障るようなこと言いましたか……?」

古見さん 「………………」 ジーーーッ

古見さん [……笑介は、確かに無口で無愛想でぶっきらぼうです]

古見さん [瞳ちゃんが活発でいい子で、只野くん自慢の妹さんなのは重々承知していますが、]

古見さん [どうか、弟と瞳ちゃんの仲を引き裂かないであげてください。]

29以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/06(土) 18:09:28 ID:0O24lWYM
只野 「………………」

只野 (……どうしよう。古見さんが何を言っているのか分からない)

只野 「いや、逆ですよ!? 瞳なんかじゃ笑介くんには釣り合わないって言ってるんですよ!?」

!?

古見さん 「……!!」 フルフルフル

古見さん [笑介はそんな大した弟じゃありませんよ。]

只野 「いやいやいや、笑介くんめちゃくちゃイケメンですからね!?

只野 「顔だけじゃなくて行動もイケメンだし、無口なのもクールでイケてるし……」

古見さん [瞳ちゃんはとても活発で、弟を引っ張ってくれています。]

古見さん [何より可愛いです!] フンスフンス

古見さん [私は、将来瞳ちゃんが義理の妹になってくれたらとても嬉しいです!]

只野 (古見さんの考えがとんでもないところまで飛躍している!?)

30以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/06(土) 18:10:25 ID:0O24lWYM
………………

ワーワーギャーギャーギャー……

瞳 「……あー、なんかごめんね?」

笑介 「………………」

瞳 「うちのお兄ちゃんさー、細やかで気遣いできるくせに、ときどき周り見えなくなるからさ」

笑介 「………………」

瞳 「少しは笑介くんくらいクールになってくれたらいいんだけど」

瞳 (ほんと、バカな兄だなぁ。私たちのことつけてること忘れて騒いじゃうんだから……)

瞳 (ま、硝子さんみたいな美人さんと一緒なら、テンション上がっちゃうのも無理ないかな)

笑介 「………………」

瞳 「もし将来、うちの兄が笑介くんの義理の兄とかになっちゃったらごめんね?」

笑介 「………………」 フッ

瞳 「!?」

瞳 「笑った!? いま笑ったよね、笑介くん!!」

笑介 「………………」 プイッ

31以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/06(土) 18:11:26 ID:0O24lWYM
瞳 「へぇ〜……なるほどねぇ?」

笑介 「………………」

瞳 「笑介くん的にもアリなんだ? うちのお兄ちゃん」

瞳 「ふーん……?」

笑介 「………………」

瞳 「でもさ、笑介くん」

瞳 「もしも万が一、お兄ちゃんと硝子さんが結婚するようなことになったら、」

笑介 「?」

瞳 「……私たち、義理の姉弟みたいになっちゃうのかな?」

!?

瞳 「そうしたら、今よりもっと一緒にいなくちゃいけないね?」

!?

笑介 「………………」

32以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/06(土) 18:12:30 ID:0O24lWYM
瞳 「あはは、そんなイヤそうな顔しなくてもいいじゃない。傷つくなー」

笑介 「………………」

瞳 「でも、安心してね、笑介くん」

瞳 「笑介くんのコミュ症が治るまでは、私が一緒にいてあげるから」

!?

笑介 「………………」

瞳 「もしそれがイヤならさ、」

ニコッ

瞳 「さっさと、コミュ症治しちゃおうね」

おわり

33以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/06(土) 18:13:20 ID:0O24lWYM
………………幕間1

瞳 「あ、もしずっと私に構ってもらいたいならコミュ症治さなくてもいいけどね?」

笑介 「!?」

瞳 「っていうか、早く代案出さないと本当に笑介くん家行くからね?」

笑介 「!?」

34以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/06(土) 18:14:00 ID:0O24lWYM
………………幕間2

只野 「いや、でもやっぱり、笑介くんみたいなイケメンに妹はもったいないような……」

古見さん [どうしてですか。瞳ちゃん、とても可愛いじゃないですか。]

只野 「………………」 ←議論は平行線だが妹が褒められて少し嬉しい。

古見さん 「………………」 ←弟がイケメンというところが本気で理解できない。

おわり

35以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/06(土) 18:14:59 ID:0O24lWYM
>>1です。読んでくださった方ありがとうございました。

もしまだ書けるようならまたこのスレに投下します。
分かりにくいかもしれません。
申し訳ないことです。

36以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/06(土) 19:24:29 ID:xtSAZljI
雰囲気がよく文章化されていて良いです

37以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/07(日) 04:08:42 ID:joDA48Cc
おつおつ
ぼく勉SS書いてる人かな?
只野君はまじイケメン

38以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/07(日) 06:57:34 ID:9TkonXq6
弟くんと妹ちゃんのコンビも面白いんだよな

39以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/07(日) 10:44:11 ID:eW/yQhq.
>>1です。
書けたので投下します。


【古見さんは、コミュ症です。】 瞳 「兄と姉です。」

40以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/07(日) 10:44:56 ID:eW/yQhq.
………………夏休み 朝

笑介 「………………」

ムクリ

笑介 「………………」 ←ついついいつも通りの時間に起きてしまう。

笑介 「………………」 ←もう少し寝てもいいかと考えている。

ボフッ

笑介 「………………」

ムクリ

笑介 「………………」 ←二度寝したところで益はないと思い直した。

41以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/07(日) 10:45:46 ID:eW/yQhq.
………………居間

瞳 「……ってことがあってー」

秀子 「あら〜、ほんと、笑介ったらいつも瞳ちゃんのお世話になってるのねぇ」

古見さん [瞳ちゃんが笑介のクラスメイトで本当に良かったです。]

秀子 「ほんとねぇ」

笑介 「………………」

秀子 「あら、笑介。おはよう」

笑介 「………………」

ガシッ

瞳 「? 私の腕なんか掴んじゃって、どったの、笑介くん?」

グイッ

瞳 「とととと……何で引っ張るのー?」

秀子 「あらあら」 ニコニコ

古見さん 「………………」 ニヨニヨニヨ

42以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/07(日) 10:46:49 ID:eW/yQhq.
………………廊下

笑介 「………………」 ジーーーッ

瞳 「もー、笑介くん。そんなに見つめられたら照れちゃうよ……」

笑介 「………………」

瞳 「わかった。わかったよ。そう怒らないでよ」

瞳 「何で私がここにいるのかって?」

笑介 「………………」

瞳 「まず、今日は硝子さんとお出かけの約束をしてて」

笑介 「………………」

瞳 「で、待ち合わせをどこにするか、昨日電話で話していたら、」

笑介 「………………」

瞳 「いつの間にか笑介くんのお母さんが通話に入ってきて朝ご飯をいただくことになったんだ」

!?

43以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/07(日) 10:47:21 ID:eW/yQhq.
………………居間

秀子 「あら、戻ってきた戻ってきた」 ニヤニヤ 「笑介も朝ご飯食べちゃいなさい」

古見さん 「………………」 ニヨニヨニヨ

笑介 「………………」

瞳 「いやー、すみません。なんか笑介くん、私と話したかったみたいで」

!?

秀子 「あらあら……あらあらあら……」 ニヤニヤニヤニヤ

古見さん 「………………」 ニヨニヨニヨニヨニヨニヨ

秀子 「……ところで、硝子」

古見さん 「?」

秀子 「今日のお出かけ、只野くんも一緒なのよね?」 ニヤニヤ

古見さん 「!?」 ←急にとばっちりを食らって動揺している。

笑介 「………………」 ←内心いい気味だと思っている。

秀子 「じゃ、笑介も一緒に行って来なさい」

笑介 「!?」

44以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/07(日) 10:47:59 ID:eW/yQhq.
………………駅前

瞳 「あ、お兄ちゃーん! お待たせー!」

只野 「おお、瞳。古見さん家に迷惑かけてないか?」

瞳 「とりあえず朝ご飯めっちゃ美味しかったよ?」

只野 「そ、そうか……」 (うらやましい……)

古見さん [おはようございます。]

只野 「あ、古見さん。おはようございます」

古見さん [瞳ちゃん、迷惑なんてかけてないですよ。]

古見さん [食卓が賑やかになって、母がすごく喜んでいました。]

只野 「なら良かったです。朝から心配でやきもきしちゃって……」

笑介 「………………」

只野 「……って、笑介くん!?」

瞳 「うん。笑介くんも一緒に行きたいって言うから連れてきちゃった」

笑介 「!?」

45以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/07(日) 10:48:35 ID:eW/yQhq.
只野 「そうだったんだ」 ホッコリ (笑介くんと古見さん、仲良し姉弟なんだなぁ……)

笑介 「………………」

瞳 「ほんとお姉ちゃん大好きだよね、笑介くんは。シスコンだねぇ」

笑介 「!?」

古見さん 「……!」 ←そうだったの? という顔。

笑介 「………………」

スタスタスタ……

瞳 「あ、冗談だってばー! 怒らないでよー」

古見さん 「………………」 ホッコリ

只野 「………………」 ホッコリ

只野 「あっ……僕たちも行きましょうか」

古見さん 「………………」 コクリ

46以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/07(日) 10:49:11 ID:eW/yQhq.
………………

笑介 「………………」

瞳 「笑介くーん、コレ! コレ試着してみてよ!!」

瞳 「絶対似合うよ!!」

笑介 「………………」

瞳 「いいから着て? 早く。ハリーアップ」

笑介 「………………」

瞳 「……ふーん。反抗するんだ? へぇー?」

瞳 「じゃあ、明日から毎朝、笑介くん家に朝ご飯いただきにいっちゃおうかな」

!?

笑介 「………………」 ガシッ

シャッ

瞳 「うんうん。わかればいいんだよ着替え終わったら出てきてねー」

47以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/07(日) 10:50:07 ID:eW/yQhq.
瞳 「………………」

瞳 「………………」

瞳 「………………」

シャッ

笑介 「!?」

瞳 「やっぱり。着替えず中で籠城してようと思ってたんでしょ。お見通しだよ」

瞳 「次同じことしたら、私が試着室入ってお着替えさせてあげるからね?」

!?

只野 (うーん、さすがにアレはやり過ぎだろ……)

只野 (ここは兄として瞳を止めないと……)

只野 (そもそも今日は、古見さんの服を瞳が見繕う約束だったのに……)

48以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/07(日) 10:51:01 ID:eW/yQhq.
古見さん 「………………」 ブルブルブルブル……

只野 (古見さんも瞳を怖がって震えているし……)

只野 「……あ、ちょっと妹止めてきますね。さすがに笑介くんがかわいそ――」

――――ガシッ

只野 「!?」 (こ、古見さんに腕をつかま……つかれた……!?)

只野 「あっ……/// あの……?」

古見さん 「………………」 ジッ

只野 「えっ? 邪魔しちゃ、ダメ?」

古見さん 「………………」 コクリ

只野 「笑介くんがすごく楽しそう、だから……?」

古見さん 「………………」 コクコクコク

只野 (あれが楽しそうに見えるのか……。まぁ、古見さんがいいならいいか……)

只野 「……じゃ、瞳の気が済むまで向こうのベンチで待ってましょうか」

古見さん 「………………」 ジーーーーッ

瞳 「………………」 フンフフンフンフーン♪

49以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/07(日) 10:51:53 ID:eW/yQhq.
只野 「古見さん? 瞳を見つめて、どうしたんですか?」

ハッ

古見さん 「………………」 カァアアアア……

只野 「……? 瞳がうらやましい?」

古見さん 「………………」 コクリ……

只野 「うらやましいって、えっと……」

古見さん 「………………」

カリカリカリ……

古見さん [もし、只野くんがよければなのですが、]

只野 「?」

古見さん [私に、只野くんの服を選ばせてもらえませんか?]

只野 「へ……?」

只野 「………………」

只野 「ええっ!?」

50以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/07(日) 10:52:33 ID:eW/yQhq.
古見さん 「!?」 フルフルフル!!!

古見さん [変な意味はなくて、ただ、]

古見さん [一年前、只野くんに選んでもらったワンピース、今でもお気に入りで、]

古見さん [だから、私も、私のセンスじゃ、満足してもらえないかもしれないけど、]

古見さん 「………………」


古見さん 「……只野くんの服、選びたい、です……」


只野 「えっ……あっ……いや……///」

只野 「う、嬉しいです! ぜ、ぜぜぜぜぜひ、お願い、します……///」 プシュー

古見さん 「………………」 コクリ

只野 (ど、どうしよう……。幸せすぎて僕、今日中にしぬんじゃなかろうか……)

瞳 「………………」 フッ (……青春してるなー)

瞳 「……おーい、笑介くん、あと十秒で出てこないと試着室乱入するよー?」

笑介 「!?」

51以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/07(日) 10:53:12 ID:eW/yQhq.
………………

古見さん 「………………」

ムムムムムムム……

只野 (古見さん、すごく悩んでる……)

只野 (自分の服は選べないのに、人の服は選べるんだな……)

古見さん 「………………」

ピョコッ

只野 (あっ、ネコミミ……)

スッスッスッ……

古見さん 「………………」 ムフーッ

只野 (ご満悦顔だ……)

古見さん [只野くん。これ、試着室で着てみてください。]

只野 「あ、はい! 分かりました。着てきますね」

シャッ

52以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/07(日) 10:54:16 ID:eW/yQhq.
古見さん 「………………」 ピョコピョコピョコ ←期待でネコミミが動いている。

古見さん 「………………」 ハッ ←今さらすごく恥ずかしいことをしたと気づいた。

古見さん 「………………」 カァアアアア…… ←恥ずかしくて顔を隠している。

古見さん 「………………」 ハッ ←というか、迷惑だったのでは?

古見さん 「………………」 ズーーーーン ←とんでもない大きなお世話をしてしまったのでは?

古見さん 「………………」 ズズズズーンン ←自分のセンスが良くないとバレてしまうのでは?

古見さん 「………………」 ←でも、自分が着てもらいたい服を只野くんに着てもらえるのは、

古見さん 「………………」

古見さん 「……///」 ←すごく嬉しい。

シャッ

古見さん 「!?」

只野 「あっ……///」

只野 「着てみましたけど、どうですか、ね……?」

古見さん 「………………」

只野 「古見さん……?」

53以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/07(日) 10:55:20 ID:eW/yQhq.
古見さん 「………………」 ハッ

カリカリカリ……シャッ カリカリカリカリカリ……シャッ カリカリカリ……カリカリカリ……シャッ

只野 (書いては消してを繰り返している……)

只野 (ひ、ひょっとして……あまりにも似合わなすぎて……)

只野 (コメントに窮しておられる……!?)

只野 (な、なんてことだ……。せっかく古見さんに選んでもらった服なのに……)

只野 (僕のガワが良くなさ過ぎるせいで、古見さんを苦しめてしまうなんて……!!)

古見さん 「………………」

カリカリ……スッ

古見さん [よく、似合っています。]

古見さん [格好良いと思います。]

只野 「あっ……///」 カァアアアア…… 「ありがとう、ございます……///」

古見さん 「……///」

 [服はもちろん買いました。その後、瞳ちゃんたちと合流して、古見さんの服も買いました。]

おわり

54以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/07(日) 10:56:33 ID:eW/yQhq.
………………幕間1

只野 「………………」 ←古見さんと瞳の買い物を眺めながら待っている。

笑介 「………………」 ←同上

只野 (……気まずい)

只野 「え……えっと、笑介くん。いつも瞳がごめんね。迷惑だったら言ってね」

笑介 「………………」 ジッ

只野 「あ……そ、そうだよね。迷惑じゃないわけないよね」

笑介 「!?」 ←言外の意志が正確に伝わって珍しく動揺している。

只野 「……あ、多分、古見さんとよく一緒にいるから、分かるんだと思う」

笑介 「!?」 ←珍しくかなり動揺している。

笑介 「………………」 ←この人ある意味妹よりやべーなと思っている。

只野 「や、やだなぁ、瞳ほどヤバくはないよ。僕は普通だよ」

笑介 「!?」

55以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/07(日) 10:57:05 ID:eW/yQhq.
………………幕間1

瞳 「ところでさっき消した部分はなんて書いてあったんスか〜?」 ニヤリ

古見さん 「!?」 ←見られてた!?

おわり

56以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/07(日) 10:58:08 ID:eW/yQhq.
>>1です。読んでくださった方ありがとうございました。

感想、乙等とても嬉しいです。励みになります。
またもし書けたらここに投下します。

57以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/07(日) 11:32:02 ID:gzRsB0iA
おつあつ
何気にハイスペ只野兄妹

58以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/07(日) 12:56:26 ID:joDA48Cc
おつ
こいつらさっさと結婚しろ

59以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/07(日) 15:08:46 ID:6t9ClInA
兄と弟、姉と妹の組合わせも好き
ホッコリ

60以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/07(日) 16:10:46 ID:eW/yQhq.
>>1です。投下します。


【古見さんは、コミュ症です。】 なじみ 「からかい上手の古見さんです。」

61以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/07(日) 16:11:28 ID:eW/yQhq.
………………

なじみ 「ねぇ、只野。勝負しよっ」

只野 「勝負? 今日は何でするの?」

なじみ 「そうだねぇ。じゃあ、ポッキーゲームとかどう?」

只野 「えっ……」 ドキッ

只野 「そ、そんなの、学校じゃできないだろ……」

なじみ 「………………」 ニィ 「……へー。学校じゃなければいいんだ?」

只野 「!? い、いや……」

なじみ 「ふーん……」

スッ……

なじみ 「只野のえっち」 ボソッ

只野 「っ……///」

………………

62以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/07(日) 16:12:21 ID:eW/yQhq.
………………

なじみ 「……っていうのやらない? 『からかい上手の長名さん』 的な?」

只野 「お前は何を言っているんだ?」

片居 「………………」 ゴゴゴゴゴゴゴゴ……!!!!!!

片居 (い、いいなぁ。僕も 『からかい上手の片居くん』 やりたい……)

古見さん 「???」 ←事態が良く飲み込めていない。

なじみ 「ねーねー! 只野くーん! いいからやってみようよー!」

只野 「あーもう、うるさいな。分かったよ。じゃあちょっとやってみろよ」

なじみ 「ほいきた」

オホン

なじみ 「……うーん、うーん。開かないなぁ」

只野 「………………」 (どこから箱を出した……?)

なじみ 「ねぇ、只野、この箱が開かないの。開けて?」

只野 「………………」

只野 (あからさますぎる……!!)

63以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/07(日) 16:14:17 ID:eW/yQhq.
只野 「……わかった。貸してみろ」

なじみ 「サンキュー、只野」

只野 「………………」 (そもそも何の箱なんだこれは……)

只野 (どうせ開けた瞬間に何かが飛び出してくるとかそういう奴なんだろうけど……)

只野 (そんなの、警戒してればどうってことはないしな)

スッ……パカッ

只野 (ん? 紙……?)

 [ところでキャンプの夜ふたりでどこかに出かけてたんだってー?]

 [詳しく教えてほしいなぁ〜]

只野 「!?」

なじみ 「……おやぁ?」 ニヤリ 「何が入ってたのかなぁ?」

只野 「………………」

只野 (唐突にガチからかい入れてくるななじみー!!)

64以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/07(日) 16:14:58 ID:eW/yQhq.
古見さん 「………………」 オロオロオロ

古見さん [あまり、からかうのはよくないと思います。]

なじみ 「え? ああ、もちろん冗談だから大丈夫だよ。ね、只野くん」

只野 (内容はあんまり冗談で済まなかったけどな……)

なじみ 「中学生くらいのときって、ついつい好きな子をからかったりしたくなるじゃない?」

古見さん 「……?」

なじみ 「……あー、うん。古見さんには分からないかも」

古見さん 「!?」 ガーーーーン

古見さん 「………………」

古見さん 「………………」 フルフルフル

なじみ 「古見さん?」

古見さん 「………………」 カリカリカリ……

古見さん [私にも分かります。やらせてください。]

65以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/07(日) 16:15:38 ID:eW/yQhq.
………………

古見さん 「………………」 フンスフンス ←はりきっている。

只野 (古見さんが僕をからかうのか……)

只野 (なんだかからかうって言葉の意味がよくわからなくなってきたな……)

只野 (……でも、なじみと違ってまともで優しい古見さんにそんなことできるのかな)

古見さん 「………………」

スクッ……トトトトト……

只野 「?」 (僕の後ろに回り込んで……)

只野 (何をするつもりなんだ?)

トントン

只野 「? はい、何ですか――」

――――プニッ……

只野 「……へ?」

古見さん 「………………」 ムフー

66以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/07(日) 16:16:09 ID:eW/yQhq.
古見さん 「………………」

只野 「あっ……///」

只野 (古見さんの指が、僕のほっぺに……)

只野 (こ、これ、どうしたらいいんだろ。顔前に戻したほうがいいのかな……)

只野 (でも……)

古見さん 「………………」 ムフームフー

只野 (古見さんめちゃくちゃ嬉しそうだしな……)

古見さん 「………………」

ハッ

古見さん 「……///」 ←クラス中に注目されていることに気づいた。

2年1組一同 『全然からかえてないと思うけど……』

古見さん 「………………」 カァアアアア……

2年1組一同 『……かわいいから良し!』

おわり

67以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/07(日) 16:17:09 ID:eW/yQhq.
………………幕間1

留美子 「………………」 ジーーーーッ

只野 「? 万場木さん、どうかしました?」

留美子 「!? べ、べつにあーしもからかいたいとか思ってねーよ! うっせーな!」

只野 「!?」

68以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/07(日) 16:17:39 ID:eW/yQhq.
………………幕間2

なじみ 「じゃあ次阿瀬ちゃんやってみよっか?」

阿瀬 「へ!? わ、私もですか!?」

なじみ 「ほらほら、今只野くん油断してるからチャンスだよ」

阿瀬 「………………」

阿瀬 「じ、じゃあ……」

トトトトト……

阿瀬 「だっ……だーれだっ?」

ビチョッ

只野 「………………」

只野 (この手のいたずらで、手汗で誰か分かる経験って初めてだな……)

おわり

69以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/07(日) 16:18:16 ID:eW/yQhq.
>>1です。読んでくださった方ありがとうございました。

またもし書けたら投下します。

70以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/08(月) 01:06:53 ID:JvwVK0Nk
>>1です。投下します。

が、長くなってしまったので小分けで投下します。
完成はしています。


【古見さんは、コミュ症です。】 只野 「妹の体育祭です。」

71以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/08(月) 01:07:30 ID:JvwVK0Nk
………………「体育祭前です。」

瞳 「では、今から体育祭の種目決めを行います」

オオオーーーー!!!

笑介 「………………」

瞳 「……と、その前に、副級長の笑介くんから一言があります」

!?

笑介 「………………」

瞳 「………………」

シーーーーーン

「何を言うんだ……」 ゴクリ 「いや、笑介くんのことだ。きっとすごいことを言ってくれるんだろう……」 ゴクリ

笑介 「………………」

瞳 「……みんな、体育祭がんばって優勝目指そうぜ(イケボ腹話術)」

笑介 「!?」

ウオォォオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!!!

「俺、笑介くんのためにがんばるよ!」  「私も!」  「僕も!」

72以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/08(月) 01:08:31 ID:JvwVK0Nk
………………

瞳 「……さてさて、大体決まったね。まだ一種目も入ってない人いるー?」

シーーーン

笑介 「………………」

瞳 「うん。まぁあとは笑介くんだけだよね。どうする? やりたい種目ある?」

笑介 「………………」

瞳 「まぁ、笑介くんはシャイだからね。あんまり目立つのは嫌だよね」

瞳 「……じゃ、私とふたりで二人三脚やろっか」

笑介 「!?」

笑介 「………………」

カツカツカツ……

瞳 「……うんうん。順当に楽そうな奴を選んだね。玉入れね。オッケーオッケー」

瞳 「ま、せっかく運動神経すごいのに、もったいないと思うけどね」

笑介 「………………」

73以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/08(月) 01:10:24 ID:JvwVK0Nk
………………

瞳 「めでたく全種目が決まりました。ご協力ありがとうございます」

瞳 「当日の選手変更は可能だけど、一人一種目は出ないと失格になっちゃうから注意してね」

瞳 「じゃ、今日から早速放課後練習があるから、はりきっていこー!」

オオオーーーー!!!

男子 「笑介くん玉入れだけかぁ。足速くて何でもできるのに、もったいないなぁ」

瞳 「いいのいいの。笑介くんはいざっていうときのピンチヒッターだから」

屈強な男子 「なるほどなぁ。しかし、只野は女子の種目ほぼすべてに出るんだな。大丈夫か?」

瞳 「私? 私は大丈夫だよ。こういうの大好きだからさ」

笑介 「………………」

瞳 「……? どったの、笑介くん?」

笑介 「………………」

74以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/08(月) 01:11:27 ID:JvwVK0Nk
瞳 「? ああ、もっと色々な種目をやらされると思った?」

笑介 「………………」

瞳 「笑介くん、あんまり体育祭とか好きじゃないでしょ?」

瞳 「好きじゃないことを無理にさせたりはしないよ」

瞳 「玉入れだけだったら放課後練習はしないし、楽でしょ?」

笑介 「………………」

瞳 「だから、当日休んだりしないでよ? あと、玉入れだけは絶対出てよ? 約束だよ?」

笑介 「………………」 プイッ

笑介 「………………」 スタスタスタスタ……

瞳 「笑介くん!」

笑介 「………………」 ……ピタッ

瞳 「……体育祭、楽しもうね!」

笑介 「………………」

笑介 「………………」 スタスタスタスタ……

75以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/08(月) 01:12:08 ID:JvwVK0Nk
………………放課後

笑介 「………………」

ワーワーワーワーーー

笑介 「……?」

瞳 「よーし! 女子リレー次行くよ次ー!!」

瞳 「バトンパスは素早くね! バトンゾーンから出たらアウトだからねー!」

瞳 「男子もがんばってるし、私たちもがんばって点数稼ぐよー!」

笑介 「………………」

笑介 「………………」 スタスタスタスタ……

瞳 「……ん?」

笑介 「………………」

瞳 「笑介くん……?」

瞳 「………………」 クスッ

瞳 (少しは周りに興味出てきてくれたのかな……)

76以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/08(月) 01:12:54 ID:JvwVK0Nk
………………数日後 古見家

古見さん 「………………」 ノンビーーリ

秀子 「ねえ、硝子。明日、笑介の学校の体育祭なのよ」

古見さん 「?」

秀子 「あの学校の体育祭は父兄が見に行くのが普通みたいなの」

秀子 「でね、お父さんとお母さん、応援に行くんだけど、アンタも一緒に行く?」

古見さん 「!?」

フルフルフル……!!!

古見さん 「………………」 ←他校の体育祭に行くなんて恐ろしいという顔。

古見さん 「………………」 ←加えて弟の体育祭を両親と見に行くなんて恥ずかしいと言う顔。

秀子 「あらそう? 残念ね」

古見さん 「……?」

77以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/08(月) 01:13:45 ID:JvwVK0Nk
秀子 「ほら、笑介と只野さん家の瞳ちゃん、同じクラスじゃない」

秀子 「だから、只野さんご一家と一緒に行こうって約束したのよ」

秀子 「……そしたら、只野くんも来るんですって。だから、残念ね、って」

!?

古見さん 「………………」 ←考えている。

古見さん 「………………」 ←葛藤している。

古見さん 「………………」 ←只野くんも来るなら、

古見さん 「………………」 ←行ってもいいかな。

古見さん 「………………」 ←むしろ、行きた――

古見さん 「――!?」 ブンブンブンブン

秀子 (無口だけどせわしない子よねぇ……)

古見さん 「………………」

秀子 「……行く?」

古見さん 「………………」 コクリ……

78以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/08(月) 01:14:23 ID:JvwVK0Nk
………………幕間

只野母 「仁ちゃーん、明日瞳の体育祭の応援に行くんだけど一緒に行かない?」

只野 「!? いやいや、妹の体育祭とか応援に行くわけないでしょ!」

只野母 「あら残念。古見さん家と一緒に行く約束してるのに」

只野 「……へ?」

只野母 「硝子さんも一緒に行くそうなのに」

只野 「………………」

只野 「……行く」

只野母 「あら、そう? じゃあお弁当たくさん用意しないとね」

只野母 (古見さんの奥様に聞いたとおりの台詞を言ったらすぐなびいたわね……)

只野母 (さすがコミュ力お化けだわ……)

79以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/08(月) 01:16:03 ID:JvwVK0Nk
>>1です。
続きはまた明日投下します。
読んでくれたら嬉しいです。

80以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/08(月) 01:17:36 ID:tzbSIWVw
おつおつ

81以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/08(月) 01:54:09 ID:/9yUdkZk
おつ
楽しみにしてる

82以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/08(月) 19:34:16 ID:JvwVK0Nk
………………「体育祭です。」

男子 「うおおおおおお!? ふ、父兄席にすごい美人さんがいらっしゃるぞ!?」

屈強な男子 「何!? どこだ……って探すまでもないな!? そこだけ光り輝いているぞ!?」

古見さん 「………………」 ←注目されていて落ち着かない。

瞳 「? ああ、硝子さんのこと? 笑介くんのお姉さんだよ?」

!?

「さすが笑介くんのお姉さん……」 「笑介くんに勝るとも劣らない美しさ……」

男子 「……ん? いや、でも、その隣になんか冴えない男もいるぞ?」

屈強な男子 「話しているから知り合いのようだが、なんか不釣り合いな人だな……」

只野 「………………」 (……視線がいつもより痛い気がする)

瞳 「? ああ、あの人? 私のお兄ちゃんだよ?」

!?

男子 (……ああ、なるほど)

屈強な男子 (なんか納得だな)

 [みんな納得した。]

83以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/08(月) 19:34:51 ID:JvwVK0Nk
………………

瞳 「よっしみんな行くぞー!!」

オオオオオオーーーーーー!!!!!

ドドドドドドドド……!!!!!

只野 「うわぁ……」 (よく統制の取れた軍隊みたいになってる……)

只野 (ときどき思うけど、うちの妹はやっぱりただ者じゃないよな……)

古見さん 「………………」

カリカリカリ……

古見さん [瞳ちゃん、すごいですね。抜群のリーダーシップです。]

只野 「ん……まぁ……」 テレッ 「そういうところは、本当にすごいんですよ、あいつ」

古見さん [それに比べて……]

キョロキョロキョロキョロキョロ

古見さん [うちの笑介はまたどこかでサボっているんだと思います。]

古見さん [少し、瞳ちゃんを見習ってほしいです。]

只野 (たしかに、笑介くん見当たらないな。どこ行ったんだろ……?)

84以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/08(月) 19:35:33 ID:JvwVK0Nk
………………木陰

笑介 「………………」

笑介 「………………」

笑介 「………………」

アナウンス 『続いての競技は、玉入れです。出場選手は、入場門に集合してください』

笑介 「………………」

笑介 「………………」


―――― 『だから、当日休んだりしないでよ? あと、玉入れだけは絶対出てよ? 約束だよ?』


笑介 「………………」

笑介 「………………」 ムクリ

スタスタスタスタスタ……

85以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/08(月) 19:36:21 ID:JvwVK0Nk
………………

笑介 「………………」

瞳 「お、来た来た」 ニコッ

瞳 「よかったよ。サボるんじゃないかと心配してたんだ」

笑介 「………………」

瞳 「ふふっ……」

瞳 「そうだよね。約束したもんね」

笑介 「………………」 プイッ

瞳 「……そろそろ入場だよ、笑介くん」

クスッ

瞳 「がんばってくれないと、怒るからねっ」

笑介 「………………」

86以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/08(月) 19:36:54 ID:JvwVK0Nk
………………

古見さん 「………………」 クスッ

秀子 「あらあら、笑介、なんか今までと違って少し楽しそうじゃない?」

古見さん 「………………」 コクリ

秀子 「瞳ちゃんのおかげね」

古見さん 「………………」 コクコクコク

秀子 「で、硝子が楽しそうなのは、」

古見さん 「……?」

秀子 「カレのおかげかしら?」

古見さん 「……!!」

只野 「ん……?」 (あれ、なんか僕のほう指さしてる……?)

只野 (な、なんかやっちゃったかな、僕……) ドキドキドキ……

87以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/08(月) 19:37:30 ID:JvwVK0Nk
秀子 「ふふふ、顔真っ赤よー? 硝子?」

古見さん 「〜〜〜〜〜!!!」

ポカポカポカポカ

秀子 「ふふふふ……」

只野 (何をしているんだろう。謝った方がいいんだろうか……) ドキドキドキ……

只野 (ん……?)

将賀 「………………」 ゴゴゴゴゴゴゴゴ……!!!!!!

!?

将賀 「………………」 グヌヌヌヌ……!!!!

只野 (古見さんのお父さんまで!? 僕何しちゃったんだろ!?)

88以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/08(月) 19:38:11 ID:JvwVK0Nk
………………

瞳 「よっしゃー! 玉入れもなんとか勝ったぞー!」

瞳 「このまま行けば、私たち優勝間違いなしだよ!」

瞳 「みんな、残りもがんばろーねー!」

ウォォォオオオオオオ!!!!

瞳 (……うんうん。笑介くんもちゃんと参加してくれたし、みんな楽しそうだし)

瞳 (このまま優勝できたら、みんなにとって良い思い出になるよね)

ガクッ

瞳 「……あ、あれ?」

ペタン

女子 「? 只野さん、大丈夫? 疲れた?」

瞳 「え? あ、あはは、平気平気。ちょっと気が抜けただけだよ」

瞳 「さー、次の種目もがんばろー!」

笑介 「………………」

笑介 「………………」 プイッ……スタスタスタ……

89以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/08(月) 19:38:43 ID:JvwVK0Nk
………………幕間 玉入れの様子

笑介 「………………」

ワーワーワーワー

笑介 「………………」

男子 「し、笑介くんも、玉、入れない?」 オソルオソル

笑介 「………………」


―――― 『がんばってくれないと、怒るからねっ』


瞳 「……玉集め班! 急いでー! 玉投げ班! 準備はいいー!? せーの!」

笑介 「………………」

スッ……ポイッ……スポッ スッ……ポイッ……スポッ……スポッスポッスポッ

男子 「!?」 (す、すごい! そこら辺にある玉を適当に放っているようにしか見えないのに……)

男子 (全部カゴの中に入っている……!)

笑介 「………………」 ←あくまで怒られては敵わないと思っているだけ。

笑介 「………………」 ←あの面倒な女に怒られたくないだけだと自分に言い聞かせている。

90以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/08(月) 19:39:15 ID:JvwVK0Nk
>>1です。
続きはまた明日投下します。

91以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/09(火) 01:17:02 ID:KqGKqGQ.
おつ

92以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/10(水) 00:12:43 ID:5Eqcd.BQ
………………「二人三脚です。」

アナウンス 『続いての種目は、保護者の皆様による二人三脚レースです』

アナウンス 『保護者の皆様、振るってご参加ください』

古見さん 「!」 ピョコン

只野 (あっ、ネコミミ。古見さん、二人三脚に興味あるのか……)

古見さん 「………………」 ピョコピョコピョコ

只野 (出たいのかな……?)

只野 「………………」

只野 (……誘った方がいいのかな)

!?

只野 (い、いやいやいや!!!! 二人三脚って言ったらアレだぞ!? めっちゃ身体くっつくぞ!?)

只野 (そんなの、僕なんかとじゃ嫌だろ!? うんうんうん!!)

古見さん 「………………」 ピョコピョコピョコ……

只野 「………………」

93以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/10(水) 00:13:44 ID:5Eqcd.BQ
只野 「……あ、えっと、古見さん?」

古見さん 「……?」

只野 「……で、でで……出ます? 二人三脚……」

古見さん 「!!」

古見さん 「………………」 カァアアアア…… 「………………」 コクリ

只野 「あっ……じ、じゃあ……行きましょうか」

古見さん 「………………」 コクリ……

只野 (……ど、どうしよう……本当に行くことになってしまったぞ)

只野 (こ、こうなったら、できるだけ古見さんに不快感をもたれないように乗り切るしかない……)

只野 (そして、絶対古見さんにケガをさせたりしないように、細心の注意を払って……――)

教員 「あ、父兄の参加者ですね? では、女性はこっち、男性はこっちへお願いします!」

只野 「………………」

只野 (……いやそりゃそうだよな!!) ←自分で自分にツッコんでいる。

古見さん 「!?」 ←唐突に一人になって混乱している。

94以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/10(水) 00:14:17 ID:5Eqcd.BQ
………………

只野母 「あっ……硝子さん?」

古見さん 「!?」

只野母 「どうも、私たちがペアみたいね……ですね」 ←つい丁寧語になってしまう母。

古見さん 「……!!!」 ←少なくとも知り合いとペアになれて嬉しい。

只野母 (だ、大丈夫かしら? 嫌じゃないかしら……?) ←思考が息子と似ている母。

古見さん 「………………」 ←レースが始まるまで話題がなくて気まずい

只野母 「………………」 ←同上

只野母 「あっ……えっと、息子といつも一緒にいてくれて、ありがとう……ございます」 ←つい丁寧語になってしまう。

古見さん 「……!!」 アタフタアタフタ ←ノートがなくて混乱している。

只野母 「息子みたいな没個性な男の子、一緒にいても面白くないでしょう?」

古見さん 「……!」 フルフルフル!!!

95以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/10(水) 00:15:08 ID:5Eqcd.BQ
只野母 「そもそも、硝子さんみたいな素敵な女の子が、どうしてうちの息子なんかと……」

古見さん 「………………」 フルフルフル!!!

只野母 「………………」 ←自分の言葉を反すうしている。

只野母 「………………」 ←全くその通りだと思っている。

只野母 「………………」 ←まさか、息子が良からぬことをして硝子さんを脅してるのでは?

只野母 「………………」

古見さん 「………………」

只野母 「……あ、あの、硝子さん? つかぬことを伺うのだけど、」

古見さん 「?」

只野母 「うちの仁人に、脅されていたりしませんか?」

!?

96以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/10(水) 00:15:48 ID:5Eqcd.BQ
………………

古見さん [只野くんは、入学式で私に話しかけてくれて、] ←手近にあった小さな枝で地面に書いている。

古見さん [それで、私の友達になってくれたんです。]

古見さん [脅されるなんて、そんなこと全くありません。]

只野母 「そ、そうだったんですね……」 ホッ

古見さん [私は、本当に只野――仁人くんに感謝しています]

古見さん [だから、仁人くんのお母さんにも、感謝しています]

只野母 「そんな、私なんて……」

古見さん 「………………」 ←どう感謝したらいいか考えている。

古見さん 「………………」 ←考えている。

古見さん 「……!」

カリカリカリ……

古見さん [仁人くんを産んでくれてありがとうございます。]

!?

只野母 (……あの子を産んで感謝されたのは、あの子が生まれたとき以来のことだわ)

97以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/10(水) 00:16:20 ID:5Eqcd.BQ
………………

只野 「………………」

将賀 「………………」

ゴゴゴゴゴゴゴゴ……!!!!!!

只野 (よ、よりによって、古見さんのお父さんとペアとは……)

只野 (ぼ、僕は生きて保護者席に戻れるのだろうか……)

将賀 「………………」

只野 (いやいやいや、あんまりネガティブになるな。まずはコミュニケーションだ……)

将賀 「………………」 ゴゴゴゴゴゴゴゴ……!!!!!!

只野 (いや無理だよ怖いよ)

98以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/10(水) 00:17:06 ID:5Eqcd.BQ
将賀 「………………」 ←娘の学校での様子を聞きたい。

将賀 「………………」 ←娘との関係を聞きたい。

将賀 「………………」 ←娘のことをどう思っているのか聞きたい。

将賀 「………………」 ←バレンタインデーに何をもらって、

将賀 「………………」 ←ホワイトデーに何を返したのか聞きたい。

将賀 「………………」

将賀 「っ……あ……」

只野 「……ひっ!?」 ビクッ

将賀 「………………」 ビクッ

只野 (あ、あれ? ひょっとして今、僕に話しかけようとしてくれた……?)

99以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/10(水) 00:17:51 ID:5Eqcd.BQ
………………幕間 二人三脚後

只野父 「いやー、がんばって一位取ってきたよ」

只野父 「活躍見ててくれたか?」

只野母 「………………」 ←心労でそれどころじゃなかった。

只野 「………………」 ←同上

只野父 「何で二人ともそんなに疲れ果ててるんだ……?」

将賀 「………………」 ←自分も結構がんばったつもり。

秀子 「……あら」

ニコッ

秀子 「あなた、カッコ良かったわよ」

将賀 「……///」

100以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/10(水) 00:19:07 ID:5Eqcd.BQ
>>1です。
続きはまた明日投下します。

101以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/10(水) 08:44:14 ID:qxPmj9Uo
おつおつ

102以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/10(水) 22:43:04 ID:5Eqcd.BQ
………………「お昼のお弁当です。」

秀子 「只野くんも瞳ちゃんもいるから、たくさん作ってきたわ」

秀子 「みんないっぱい食べてね!」

只野母 (ひぇっ……!! オシャレで色とりどりのお弁当……!!)

只野母 (うちはいつも通り真っ茶色のオカズしか詰めてきてないわ……)

古見さん 「………………」 ジーーーッ

只野母 「あっ……もしよかったら、どうぞ?」

古見さん 「!」 パァアアアアアア……!!!

古見さん [いただきます。]

ヒョイッ……パクッ

只野母 (だ、大丈夫かしら。お口に合うかしら……) ドキドキドキドキ……

103以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/10(水) 22:43:54 ID:5Eqcd.BQ
古見さん 「!!!」 パァアアアアアア……!!!

カリカリカリ……

古見さん [この煮物、とても美味しいです。]

只野母 「!?」

古見さん [おにぎりもいただいてもいいですか?]

只野母 「も、もちろん、どうぞ」

古見さん 「………………」 モグモグモグ……

古見さん 「!!!!!」 パァアアアアアア……!!!

古見さん [炊き込みご飯のおにぎりですね。これもすごく美味しいです。]

只野母 「………………」

ダキシメッ

古見さん 「!?」

只野母 (本気で娘にしたい……)

古見さん 「!? !? !?」

只野 「母さん、古見さんが混乱してるから放してあげて」

104以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/10(水) 22:44:25 ID:5Eqcd.BQ
笑介 「………………」

モグモグモグ……

瞳 「笑介くん、運動した後のお弁当は美味しいねぇ?」

笑介 「………………」 モグモグ……

瞳 「ん、それサバの塩焼き? 本当に好きなんだね、サバ」

笑介 「………………」

瞳 「………………」

瞳 「……あのさ、ありがとね」

笑介 「………………」

瞳 「ちゃんと玉入れ出てくれて。嬉しかったよ」

瞳 「しかも結構がんばってくれてたじゃん? やるときはやるね、笑介くん」

笑介 「………………」

瞳 「午後もがんばって優勝狙うからさ」

瞳 「たまにでいいから、応援してよ?」

笑介 「………………」 プイッ

105以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/10(水) 22:45:02 ID:5Eqcd.BQ
古見さん 「………………」 ニヨニヨニヨニヨニヨニヨ

只野 (また古見さんめちゃくちゃニヤニヤしてる……)

古見さん 「………………」 ピョコン

只野 (あ、何か思いついたな?)

古見さん 「………………」 ピッ

只野 (携帯電話を取りだして、カメラを起動して……)

カシャッ

只野 (撮った……)

只野 (瞳と笑介くんを撮ったのか……?)

ピロリン♪

只野 「?」 (古見さんからメール?)

只野 「あっ……」

  [いい写真が撮れました。]

古見さん 「………………」 クスッ

只野 「……ほんと、良い写真ですね」 クスッ 「いい、ツーショットです」

106以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/10(水) 22:45:40 ID:5Eqcd.BQ
………………幕間

古見さん 「………………」 ニヨニヨニヨニヨニヨニヨ

ピッ

古見さん 「………………」 ムフー ←笑介にも写真を送って満足げ。

只野 「古見さん……」

只野 「………………」

ピッ……ピピッ……

只野 「………………」 ムフー ←自分も瞳に写真を送った。

107以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/10(水) 22:46:37 ID:5Eqcd.BQ
>>1です。続きはまた明日投下します。

乙や感想いつもありがとうございます。励みになります。

108以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/11(木) 01:11:06 ID:KYaKQiG.
おつお

109以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/11(木) 21:06:33 ID:OjoH8.BU
………………「午後です。」

瞳 「………………」

ゼェゼェゼェ……

瞳 (あー、さすがに出る種目数増やしすぎたかなー……)

瞳 (もう少し他の子に振れば良かった……)

瞳 (でも、あと少しだもんね。大丈夫、大丈夫……)

瞳 (笑介くんだって最低限自分の種目には出てくれたわけだし……)

瞳 (ここで私がへばるわけにはいかないよね)

男子 「すごいな、うちのクラス。結構な点差で単独一位だぞ」

屈強な男子 「うむ。残りの種目、棄権無しでゴールさえすれば、逃げ切れる点数だ」

男子 「おお! もう優勝したようなもんだな!」

「只野級長のおかげだー!」  「終わったら胴上げだー!」

瞳 「あはは……。ま、優勝したらお願いしちゃおっかな」

「あと笑介くんのおかげだー!」  「笑介くんも胴上げだー!」

笑介 「!?」

110以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/11(木) 21:07:31 ID:OjoH8.BU
………………

瞳 (あとは、この女子の選抜リレーのアンカーだけ……)

瞳 (さすがに、陸上部とかの女子もいるから、一位なんて取れないだろうけど……)

瞳 (ま、とにかく完走だけ目指してがんばろう)

女子 「只野さーん!」

瞳 (お、来た来た。よし、じゃ、がんばって走りきりますかね)

パシッ……タタタタ……

111以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/11(木) 21:08:03 ID:OjoH8.BU
………………

笑介 「………………」

笑介 「………………」


―――― 『午後もしっかりやって優勝狙うからさ』

―――― 『たまにでいいから、応援してよ?』


笑介 「………………」

笑介 「………………」

ムクリ……スタスタスタスタ……

笑介 「………………」

112以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/11(木) 21:08:47 ID:OjoH8.BU
………………

古見さん [瞳ちゃん、アンカーなんですね。]

只野 「はい。運動は苦手ではないですけど、そこまで早くはないと思うんですけど……」

只野 「まぁ、あいつああいうの好きですからね」

只野 「あっ、瞳にバトンが回った……」

古見さん 「!!」

古見さん 「………………」 ジーーッ

只野 「えっ……」

只野 「いやいや! さすがに恥ずかしいですよ!!

古見さん 「………………」 ジーーーッ

只野 「……わ、わかりました」

只野 「………………」

只野 「ひ……瞳ーーー!!! がんばれー!!!」

113以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/11(木) 21:09:44 ID:OjoH8.BU
………………

瞳 (……うわぁ)

ガンバレーーーーーーー!!!

瞳 (お兄ちゃん、恥ずかしいってば……)

瞳 (まったくもう……)

クスッ

瞳 (でも、なんか元気出た気がする。もうちょっと早く走れるかな……っと)

グラッ

瞳 (とと……?)

フラフラ……

瞳 (あれ……?)

瞳 「……あ、あれ?」

ズサァアアアアア……!!!!!

114以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/11(木) 21:11:43 ID:OjoH8.BU
………………

古見さん 「!?」

只野 「ひ……瞳!?」

只野 (それは、唐突なことだった)

只野 (フラついたと思った次の瞬間には、瞳はもう倒れていた)

只野 (ただ、そのこけた様子から、間違いなく言えることは、)


只野 (瞳がゴールすることは、もう不可能だろうということだ)

115以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/11(木) 21:12:30 ID:OjoH8.BU
………………幕間

笑介 「………………」

笑介 「………………」

笑介 「………………」

笑介 「………………」

笑介 「………………」

笑介 「………………」

クルッ……スタスタスタスタ……

笑介 「………………」

116以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/11(木) 21:13:21 ID:OjoH8.BU
>>1です。
明日でこの話は最後にします。

117以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/11(木) 21:14:33 ID:KYaKQiG.
おつ

118以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/13(土) 01:07:25 ID:znc07UPI
………………「最後のリレーです。」救護テント

瞳 「いやー、ミスったミスった!」

瞳 「みんなごめんねー。ちょっとバランス崩しちゃってさー」

瞳 「立ってゴールだけでもできたら良かったんだけど、足ひねっちゃったからさ」

瞳 「……女子選抜リレーの点数、0かぁ。こりゃ痛いねぇ。私のせいだ」

男子 「いやいや、点数のことなんか気にしなくていいよ」

屈強な男子 「そうだそうだ。只野のケガのほうが心配だ」

女子 「只野さん、大丈夫? 痛いよね」

瞳 「はは、大丈夫だよ。それよりほら、そろそろ男子の選抜リレーでしょ」

瞳 「出場する人もいるんだから、行った方がいいよ」

瞳 「他の子たちも、応援しにいきなって」

119以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/13(土) 01:07:56 ID:znc07UPI
………………テント外

男子 「はぁ……優勝はなくなっちゃったか。残念だな……」

屈強な男子 「いいじゃないか。只野のケガが大したことなかっただけで良かったと言うべきだ」

女子 「それに、まだ分からないよ。男子の選抜リレーで一位を取れば優勝だよ!」

男子 「いや、無茶言うなよ。俺アンカーだぜ? 周りは陸上部ばっかりなのに……」

屈強な男子 「始まる前から諦めてどうする!」

120以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/13(土) 01:08:40 ID:znc07UPI
………………救護テント

瞳 「………………」

瞳 「……はぁ」

瞳 「まずったなぁ……」

瞳 「がんばりすぎちゃったかな。自業自得だね……」

瞳 「自分で疲れて自分でケガしちゃってるんだから、世話はないよね」

瞳 「………………」

瞳 「……ねぇ、笑介くん?」

!?

笑介 「………………」

瞳 「何で外にいるのが分かったかって? そりゃ分かるよ」

笑介 「………………」

121以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/13(土) 01:09:18 ID:znc07UPI
瞳 「で、何しに来たの? 笑いに来た?」

瞳 「ま、笑えるよね。一番はしゃいで楽しんでた奴がケガしてるんだからさ」

瞳 「笑ってくれていいよ?」

笑介 「………………」

瞳 「……って言って笑えるようだったら、コミュ症やってないよね。はは」

笑介 「………………」

瞳 「……はぁ。ほんと、何やってんだろね、私」

瞳 「めずらしく落ち込んでるんだ。恥ずかしいんだ」

笑介 「………………」

瞳 「……こういうときくらい何とか言ってくれたら嬉しいんだけどなぁ」

笑介 「………………」

瞳 「ま、無理か……――」


笑介 「――……優勝したいのか?」


瞳 「へ……?」

122以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/13(土) 01:09:52 ID:znc07UPI
瞳 「………………」

笑介 「………………」

瞳 「………………」

瞳 「……そ、そんなの……」

瞳 「そりゃ、優勝したいよ。だって、せっかく、みんなと……笑介くんと、がんばったんだからっ」

瞳 「でも……」

笑介 「………………」

笑介 「………………」

コクッ

笑介 「………………」

スタスタスタスタ……

瞳 「……笑介、くん……?」

123以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/13(土) 01:10:24 ID:znc07UPI
………………入場門

男子 「………………」

ドキドキドキドキ……

男子 (うぅ……緊張してきた……)

男子 (一位なんか無理だよ……うぅ〜……)

トントン

男子 「ん?」

笑介 「………………」

男子 「!? し、ししししし、笑介くん!?」

笑介 「………………」

グイッ……スッ……

男子 「へ? そ、それ、アンカーのたすきだよ?」

笑介 「………………」

男子 「ひ、ひょっとして……」 ゴクリ 「笑介くん、俺の代わりに、アンカー走ってくれるの!?」

笑介 「………………」 コクリ

124以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/13(土) 01:10:54 ID:znc07UPI
………………

古見さん [瞳ちゃん、大丈夫でしたか?]

只野 「ええ。いつも通り元気でしたよ」

只野 (まぁ、ちょっと落ち込んでたけど……)

只野 「松葉杖を借りれば歩けるみたいですし、体育祭が終わったら病院に連れて行くので大丈夫です」

古見さん [それなら良かったです。私も後でお見舞いに行ってもいいですか?]

只野 「もちろんですよ。瞳も喜ぶと思います」

古見さん [はい。]

只野 「……ん?」

古見さん 「?」

只野 「次、最後の種目……男子の選抜リレーみたいですけど……」

只野 「あの、アンカーの位置にいるのって……笑介くんじゃないですか?」

古見さん 「!?」

秀子 「あれ? おかしいわね。あの子、玉入れにしか出ないって言ってたのに……」

125以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/13(土) 01:11:41 ID:znc07UPI
………………

笑介 「………………」

アンカー陸上部1 「ふふ、さすがは古見笑介くん。すさまじいオーラだ……」

アンカー陸上部2 「しかし所詮は帰宅部。我々には勝てんさ……」

アンカー陸上部3 「ふふ……」

笑介 「………………」

1&2&3 (((り、リレーが終わった後電話番号とか聞いたら嫌がられるかな……?)))

笑介 「………………」

ゴゴゴゴゴゴゴゴ……!!!!!!

笑介 「………………」

126以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/13(土) 01:12:19 ID:znc07UPI
笑介 「………………」


―――― 『うん。まぁあとは笑介くんだけだよね。どうする? やりたい種目ある?』

―――― 『じゃ、今日から早速放課後練習があるから、はりきっていこー!』

―――― 『だから、当日休んだりしないでよ? あと、玉入れだけは絶対出てよ? 約束だよ?』

―――― 『……体育祭、楽しもうね!』

―――― 『バトンパスは素早くね! バトンゾーンから出たらアウトだからねー!』

―――― 『がんばってくれないと、怒るからねっ』

―――― 『ちゃんと玉入れ出てくれて。嬉しかったよ』


笑介 「………………」


―――― 『ま、笑えるよね。一番はしゃいで楽しんでた奴がケガしてるんだからさ』

―――― 『そりゃ、優勝したいよ。だって、せっかく、みんなと……笑介くんと、がんばったんだからっ』


笑介 「………………」

ゴゴゴゴゴゴゴゴ……!!!!!!

127以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/13(土) 01:13:01 ID:znc07UPI
………………

パーーーーン!!!!

只野 「あっ……は、始まりました!」

古見さん 「………………」 ジーーーーッ

只野 「瞳のクラスは……三番手につけてますね。まずますです」

古見さん 「………………」

只野 「……はい。一位じゃないと、優勝はないそうです」

古見さん 「………………」

古見さん 「が…………ん……」

古見さん 「…………ば……って……」

只野 「………………」

128以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/13(土) 01:13:43 ID:znc07UPI
只野 (……古見さんが、がんばって応援しようとしてる)

只野 (だったら……)

只野 「が……がんばれーーー!!!!」

只野 「………………」 ハッ ←これでは誰を応援しているか分からない。

只野 「………………」 ←しかし妹のクラスメイトの名前なんてしらない。

只野 「………………」

只野 「……が、がんばれーーー!!! 瞳のクラスメイトの人ーーー!!」

!?

古見さん 「………………」

只野 「あ、やっぱり変ですかね……?」

古見さん 「………………」 フルフルフル

古見さん [すごいです。さすがは、お兄ちゃんですね。] ニコッ

只野 「あっ……///」

只野 「……が、がんばれーーーー!!! 瞳のクラスメイトーーーー!」 ←恥ずかしいので応援に戻った。

129以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/13(土) 01:14:22 ID:znc07UPI
………………

笑介 「………………」

パシッ……

アンカー陸上部1 「ふふふ。では、古見笑介くん。先に行かせてもらうぞ」 タタタタ……

パシッ……

アンカー陸上部2 「ふふ、悪く思うなよ、古見笑介くん!」 タタタタタ……

パシッ……

アンカー陸上部3 「これは勝負! 手加減はしないぞ!」 タタタタタ……

笑介 「………………」

屈強な男子 「……っ……はっ……」 タタタタ……

屈強な男子 「し、笑介くん! バトンを……――」

――――……パシッ……ズドン!!!!!

屈強な男子 「……!?」

笑介 「………………」 トトトトトトトトトト……!!!!

屈強な男子 「ば、バトンを渡して、間もないのに……もうあんなところに……!?」

130以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/13(土) 01:15:28 ID:znc07UPI
………………

只野 「す……すごっ……」

只野 (な、なんだ、あれ……?)

只野 (笑介くん、めちゃくちゃ速いぞ……!?)

古見さん 「………………」 スッ

只野 (……あっ、古見さんが口に手を添えて……)

古見さん 「……ば……れ」

只野 (応援しようとしている!!)

只野 (……がんばれ! がんばれ古見さん! あと少しで大きな声が出そうだ!)

古見さん 「し……笑介……がんば……――」


秀子 「――――笑介ーーーーー!!! がんばってーーーー!!」


!?

131以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/13(土) 01:16:03 ID:znc07UPI
………………

瞳 「………………」

瞳 「……へー。すごいじゃん、笑介くん」

瞳 「あんなに足速いなら、もっと色んな種目出てもらえば良かったかな」


―――― 『……優勝したいのか?』


瞳 「……っ」

カァアアアア……

瞳 (あ、あれ? おかしいな……)

瞳 (何で、顔が熱いんだろ……)

132以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/13(土) 01:16:38 ID:znc07UPI
………………ゴール後

笑介 「………………」

男子 「す、すごいよ笑介くん! 3人ぶち抜きで一位だよ! 優勝だよ!」

笑介 「………………」

屈強な男子 「さすがだ、笑介くん! 笑介くんを胴上げだ!」

笑介 「………………」

屈強な男子 「あ、えっと……」


  「お手柔らかに頼むぜ(イケボ)」


笑介 「!?」

瞳 「……軽くやってあげたら?(フツボ)」

男子 「只野! ケガは大丈夫なのか?」

瞳 「大丈夫大丈夫。松葉杖あれば歩けるから」

ニヤリ

瞳 「……ほら、本人もやってほしいみたいだし、笑介くんの胴上げ、してあげなよ」

133以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/13(土) 01:17:56 ID:znc07UPI
………………

ワーッショイ

笑介 「………………」

ワーッショイ

笑介 「………………」

ワーッショイ

古見さん 「………………」

笑介 「!?」

古見さん 「………………」 ニヨニヨニヨ

古見さん 「………………」 スッ ←無言で携帯電話を取り出した。

古見さん 「………………」 スッ ←無言で動画を撮り始めた。

笑介 「!?」

134以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/13(土) 01:18:37 ID:znc07UPI
………………

笑介 「………………」

瞳 「……や、おつかれ」

笑介 「………………」

瞳 「そう恨みがましい目で見ないでよ。今日のヒーローは笑介くんなんだから」

笑介 「………………」

瞳 「……あのさ、笑介くんがアンカー走ってるの、見てたよ」

笑介 「………………」

瞳 「……ありがとね」

笑介 「………………」

笑介 「………………」 プイッ

古見さん 「………………」 ニヨニヨニヨニヨニヨニヨ ←まだ動画を撮っていた。

!?

135以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/13(土) 01:19:13 ID:znc07UPI
………………幕間 後日 「完治です。」

男子 「只野、もう足は治ったのか?」

瞳 「え? うん。元々ちょっと捻っただけだったからね」

屈強な男子 「よし、じゃあ……」

屈強な男子 「今日は只野を胴上げだーーーー!!!」

瞳 「えっ。な、何で?」

男子 「只野は体育祭優勝の立役者だからね。ケガが治ったらやろうってみんなで話してたんだ」

瞳 「……ん、じゃあ、お願いしようかな」

笑介 「………………」

瞳 「………………」 ボソッ 「……あー、俺ももう一回胴上げされたいなぁ(イケボ)」

笑介 「!?」

屈強な男子 「笑介くん!? よし、じゃあ只野の後でもう一回笑介くんを胴上げだ!!」

!?

おわり

136以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/13(土) 01:22:41 ID:znc07UPI
>>1です。読んでくださった方ありがとうございました。

本編では絶対にこんな話はないと思います。
ベタベタすぎて書いていて恥ずかしかったですが、 楽しくもありました。
長くなってしまったので細かく分けましたが、あまりわたしの性分に合っていないので、
こういう投下のしかたはもうしないと思います。

毎日細かく投下していたらいくつか書けてしまったので続けて投下します。


古見さん [大切な友達です。]

137以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/13(土) 01:23:16 ID:znc07UPI
【古見さんは、コミュ症です。】 古見さん [大切な友達です。]


………………コミュ163直後

留美子 「いやー、古見さんが選んでくれた水着、海で着るの楽しみ〜!」

留美子 「選んでくれてありがとね、古見さん!」

古見さん 「………………」 フルフルフル

古見さん [こちらこそ、選ばせてくれてありがとうございます。]

古見さん [万場木さんはとてもスタイルがいいので、どれも似合っていました。]

留美子 「えへへ、お世辞でも嬉しいなー」

留美子 「……ね、あのさ、もし良かったらなんだけど、」

古見さん 「?」

留美子 「古見さんの水着も、あーしに選ばせてほしいなー、なんて……」

古見さん 「………………」

古見さん [私は、去年買ったものがあるので、大丈夫です。]

留美子 「あっ……そ、そっか。そうだよね」

138以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/13(土) 01:25:36 ID:znc07UPI
留美子 「………………」

留美子 「……去年は、さ、」

古見さん 「?」

留美子 「去年は、みんなとプールに行ったんだっけ?」


―――― 『ほ、他の人も…… 誘って…… い、いいですか?』

―――― 『去年、みんなでプールへ、行って す、すごく楽しかったんです。』

―――― 『……なので、私はみんなを呼んで、海へ、行きたいの、ですが……』


古見さん 「………………」 コクコク

古見さん [去年のクラスメイトの方々と一緒に行きました。]

古見さん [私は学校指定の水着を持って行ったのですが、それを見かねた友人が水着を見繕ってくれたんです。]

留美子 「ふーん、そっか……」

留美子 「……いい友達だね」

古見さん [はい。とても頼りになる、大切な友人です。]

139以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/13(土) 01:26:26 ID:znc07UPI
留美子 「………………」

留美子 (……当たり前だけど、その “みんな” の中に、あーしはいない)

留美子 (だってあーしはそのとき別のクラスで、古見さんと友達でもなんでもなかったから)

留美子 (……あーし、嫌な奴だ)

留美子 (誰かも分からないその友達に、嫉妬してる)

留美子 (古見さんに、あーしより仲が良い友達がいるなんて、当たり前のことなのに、)

留美子 (……みみっちく、嫉妬なんかしてるんだ)

留美子 (体力測定で知り合った古見さんの友達は、みんないい人だったのに……)

古見さん 「……?」

古見さん [あの、万場木さん、大丈夫ですか? 気分が悪いですか?]

留美子 「へ? いやいや、ヘーキヘーキ! 何でもないよ!」

留美子 「さ、お昼食べ行こー! 食べながら、海の予定でも立てようよ」

古見さん 「………………」

カリカリカリ……

古見さん [はい。よろしくお願いします。]

140以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/13(土) 01:27:21 ID:znc07UPI
………………

留美子 「行く場所はこの海水浴場でいいよね。電車で一本だし」

古見さん [はい。賛成です。]

留美子 「行く日取りはこことして……」

留美子 「……誰誘おっか?」

古見さん 「………………」

古見さん [阿瀬さんを誘ってもいいですか?]

留美子 「あ、いいね。夏休みの話一緒にしたしね」

留美子 「あとは……」

古見さん 「………………」

留美子 「……えっと、あーしらの共通の友達から選ぶだけで、べつに他意はないけど、男子も誘おっか」

古見さん [はい。いいと思います。]

留美子 「……じゃあ、只野、」

古見さん 「!」

留美子 「……誘っても、いい?」

141以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/13(土) 01:28:06 ID:znc07UPI
古見さん 「………………」 コクコクコク!!!!

古見さん [只野くんは、私もぜひ誘いたいです。]

留美子 「ん……。べ、べつに他意はないけどね? なんとなく? 誘ってやるかって程度だけど?」

留美子 「あとは……男子が只野ひとりじゃ可哀想だし、片居くんとか?」

古見さん [片居くんは只野くんと仲良しですから、いいと思います。]

留美子 「片居くん見た目怖いから、変な男が近寄ってこなそうだしね」

留美子 「あと……」

古見さん 「………………」

カリカリカリ……

古見さん [成瀬くんと米谷くんはどうでしょうか?]

留美子 「あ、いいね。誘おう誘おう」

カリカリカリ……

留美子 「……えっと、あとは……」

留美子 「………………」

留美子 「……古見さん、去年のクラスメイトも、誘いたい?」

142以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/13(土) 01:28:59 ID:znc07UPI
古見さん 「……?」

留美子 「いや、ほら、電話でみんなとプールに行って楽しかったって言ってたからさ、」

留美子 「……去年のお友達もいたら、古見さん、もっと楽しいかなって」

古見さん 「………………」

古見さん 「………………」

古見さん 「………………」

フルフルフル

留美子 「へ……?」

古見さん [私は楽しいかもしれません。でも、万場木さんは、よく知らない人がいても楽しいですか?]

古見さん [お恥ずかしい話ですが、以前お話したとおり、私は人とのコミュニケーションが得意ではありません。]

古見さん [だから、もしよく知らない人がいたら、それだけで少し不安になります。]

古見さん [私は、万場木さんが同じような気持ちを抱くのなら、共通の友達だけでいいと思います。]

古見さん [だって私は、万場木さんと一緒に海に行くのが楽しみなんですから。]

留美子 「………………」

143以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/13(土) 01:29:44 ID:znc07UPI
古見さん 「………………」

留美子 「………………」

古見さん 「………………」 アセアセアセ ←変なことを言ってしまったかと心配になっている。

留美子 「………………」

古見さん 「………………」 オロオロオロ ←絶対変なことを言ってしまったと確信した。

留美子 「……ねえ、古見さん」

古見さん 「!?」

古見さん [はい。なんでしょうか。]

留美子 「古見さんって天使の生まれ変わりか何か?」

古見さん 「!?」

留美子 (……あー、あーしって本当に単純だ)

留美子 (さっきまで、少し嫌な気持ちになっていたのに、もうこんなに嬉しくなってる)

留美子 (ニヤける顔が、元に戻んないくらい……)

おわり

144以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/13(土) 01:31:17 ID:znc07UPI
………………幕間

山井 「……!?」 ←大切な友達。

ピキューン

山井 (私の古見さんがどこかのギャルとふたりきりでお出かけをしている気がする!) ←大切? な友達。

山井 (私の! 古見さんを!!) ←友達のはず。

山井 (許さない……) ←多分友達。

山井 (絶対に許さないわよ泥棒猫ぉぉおおおおおおお!!) ←友達?

おわり

145以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/13(土) 01:32:15 ID:znc07UPI
>>1です。
もうひとつ投下します。

【古見さんは、コミュ症です。】 片居 「友達です。」

146以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/13(土) 01:33:22 ID:znc07UPI
………………廊下

片居 「………………」

「か、片居くんだ……」 「相変わらずすごい迫力だな……」 ヒソヒソ

「でもあの筋肉いいよね……」 「うん、憧れる……」 ヒソヒソヒソヒソ……

片居 「………………」

ドキドキドキドキ……

片居 (うぅ、またこっち見て何か言われてる。悪口かな……)

片居 (怖いなぁ……)

片居 (でもいいんだ。僕には友達がいるから……)

片居 (早く教室に戻って只野くんに会いたい)

成瀬 「む」 片居 「あっ……」 バッタリ

片居 (成瀬くん!)

成瀬 「………………」

米谷 「※無言で見つめ合っている」

片居 (……と米谷くん!)

147以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/13(土) 01:33:55 ID:znc07UPI
成瀬 「……片居」

片居 (な、なんだろ) 「……おう」

成瀬 「………………」

ポン

成瀬 「……良い筋肉だ」 グッ

米谷 「※言動がいちいちキザ」

片居 「あ……」

片居 「……ありがと」

成瀬 「俺の引き締まった身体に勝るとも劣らない出来映えだ。はっはっは……」

米谷 「※最後の一言も高笑いも余計」

片居 (……行っちゃった。一体なんだったんだろう)

片居 (でも……)

片居 (廊下ですれ違うとき話しかけてくれるだけで……)

片居 (嬉しい) ポッ

148以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/13(土) 01:34:31 ID:znc07UPI
片居 (……成瀬くんと米谷くんのことも、友達って言ってもいいのかな)

片居 (ふたりが僕のこと、友達って思ってくれてたら嬉しいな……)

片居 (なんて、少し厚かましいかな……)

片居 「………………」

片居 (……海にも一緒に行ったし、ひょっとしたら、)

片居 (師匠も友達、で、いいのかな……)

片居 「………………」

ブルブルブル

周囲 『!?』 (片居くんが武者震いをしている……!?) (今日は抗争か!?)

片居 (お、恐れ多いや。師匠みたいなコミュ充が僕みたいな奴と友達になるわけがない!)


………………教室

古見さん 「………………」 くちゅん

只野 (……かわいい)

149以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/13(土) 01:35:39 ID:znc07UPI
………………

片居 (……あ、でも、)

片居 (万場木さんと阿瀬さんは、友達でもいいのかな……)

片居 「………………」

片居 (さすがに厚かましすぎるかな。でも……)

片居 (ふたりが僕のこと、友達って思ってくれてたら嬉し……――)


「――んでさー、そんときさー」


片居 「!?」 ビクッ

片居 (ろ、廊下の先に……ギャルっぽい人たちが、たむろしてる……) サササッ ←なんとなく隠れてしまう片居くん。

むーたん 「マジー!? ウケるんだけど〜!」

ゆかぽよ 「男と間違われるとかどんだけ声ハスキーだよー」

ゴンザレス 「言うなし! 好きでこんな声じゃねーし!」

留美子 「あーしはゴンザレスの声好きだけどね」

ゴンザレス 「バギコ〜」 ムギュッ 「天使かよ〜」

150以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/13(土) 01:36:13 ID:znc07UPI
片居 (あ、万場木さんもいる……)

片居 (でも、別のクラスのお友達と話してるみたいだから、話しかけたりしない方がいいよね)

片居 (うーん……)

片居 (でもでも、知らんぷりして通り過ぎるのも、なんかアレだし……)

片居 「………………」

片居 (こういうときってどうしたらいいんだ!?)

 [米谷 「※コミュ症あるある:微妙に付き合いがある相手とすれ違うときどうしたらいいか分からない」]

 [米谷 「※特に自分の知らない友達と一緒にいるときなどますますどうしたらいいか分からない]

片居 「………………」

片居 (でもでもでも、あそこ通らないと教室戻れないよ〜)

片居 (どうしよう……)

片居 (……助けて、師匠!!)

151以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/13(土) 01:38:21 ID:znc07UPI
………………教室

古見さん 「……!」

ピキューーン

只野 「どうしたの、古見さん?」

古見さん 「………………」

古見さん [すみません。何でもないです。]

只野 「? そうですか」

 [米谷 「※テレパシーは通じなかった」]

152以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/13(土) 01:39:27 ID:znc07UPI
………………

片居 (うーん、できるだけ足早に通り過ぎればいいのかな……?)

片居 (目が合ったりしたら、軽く会釈すれば、感じは悪くないだろうし)

片居 「………………」

片居 (うん。これでいこう。行くしかない)

片居 (……よしっ。行くぞ……――) ザッ

むーたん 「――でさ、バギコに聞きたかったんだ。片居くんのこと」

片居 「……!?」 スススッ

留美子 「片居くんがどうかした?」

ゆかぽよ 「どうかした、じゃないよ! 大丈夫なの? 彼、すっごい不良だって噂だけど」

留美子 「……?」

ゴンザレス 「バギコは変な男にコロッと騙されそうだかんなー」

153以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/13(土) 01:40:06 ID:znc07UPI
片居 「………………」

ドキドキドキドキ……

片居 (あ、あれ、なんだろ……これ……)

片居 (すごい、胸が寒い。冷たい。心臓だけ、すごい音を立ててる……)

片居 (手足の先、痺れる感じがする。なんだろ……)

片居 (……少し、吐き気が、する)

片居 (いやだ……)

片居 (聞いちゃダメだ。これ以上聞いたら、きっと……――)


留美子 「――いや、ないっしょ。何言ってんの、みんな」


片居 (え……?)

ゆかぽよ 「バギコ……?」

留美子 「ねーし。全然、そんなんじゃねーし」

留美子 「片居くん、めっちゃ良い奴だかんね。みんな知らんだろうけど」

154以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/13(土) 01:41:04 ID:znc07UPI
留美子 「片居くん、たしかに身体でかくて、最初は怖かったけど、」

留美子 「話してみると……いや、あんまりまともには話せてないけど、そんでも、」

留美子 「……すごく繊細でさ、良い奴だってわかんだよ。マジで」

留美子 「筋肉触らしてもらったりもしたけど、すげームキムキだしさ、」

留美子 「勉強もけっこーできっしさ、」

留美子 「傍から見てて、友達の只野のことも本当に大事にしててさ、」

留美子 「……見た目はいかちーけど、不良とかじゃねーよ。絶対」

むたーん 「バギコ……」

留美子 「……だからさ、あーしのこと心配してくれんのはわかるけど、」

留美子 「ごめん。あーしの友達のこと悪く言うのは、やめてほしい」

ゴンザレス 「……ご、ごめん。あーしら、余計なこと言っちったね」

むーたん 「ごめん、バギコ。そうだよね、バギコの友達だもんね」

ゆかぽよ 「ごめんな、バギコ」

シューン

留美子 「あっ……」

155以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/13(土) 01:41:38 ID:znc07UPI
留美子 「ご、ごめん。そんな、きつく言うつもりねーんだって」

留美子 「ごめんね。みんな、あーしのこと心配してくれたんだもんね」

留美子 「でも片居くんマジ良い奴だから。今度みんなも一緒にあそぼーぜ」

留美子 「そうそう、海で変なナンパに絡まれたときもさー……」

片居 「………………」

片居 (……そっか)

片居 (えへへ、万場木さん、僕のこと……)

片居 (“友達” って思ってくれてたんだ……)

おわり

156以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/13(土) 01:42:10 ID:znc07UPI
………………幕間 そのときの周囲

(!? 片居くんが物陰で笑ってる! 怖っ!)

(何を企んでいるんだろう……)

おわり

157以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/13(土) 01:43:37 ID:znc07UPI
>>1です。読んでくださった方ありがとうございました。

たぶん、また投下します。

>>37
遅レスですみません。たぶんそうです。

158以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/13(土) 04:23:19 ID:LmC3bRMY

みんな良い子ばっかなんだよなー
仲良く楽しく過ごしてほしい

159以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/13(土) 23:24:14 ID:R3GmDE7g
おつです

160以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/17(水) 13:24:33 ID:iVZuJ8cM
古見さんの二次あんまないから嬉しい

161以下、名無しが深夜にお送りします:2019/05/12(日) 22:55:06 ID:FWj2O0mw
【古見さんは、コミュ症です。】 只野 「母の日です。」

162以下、名無しが深夜にお送りします:2019/05/12(日) 22:56:01 ID:FWj2O0mw
………………

只野 「うーん……」

只野 「んー……」

只野 「……あー」

古見さん 「……?」

なじみ 「………………」

ニコッ

なじみ 「ところで古見さん、この前の体育のときさー」

古見さん 「!?」 ←気にしてあげないの!? という表情。

なじみ 「へ? いや、ほら、なんか只野くん構ってほしそうだからさ」

なじみ 「そういうの、ボク逆にスルーしたくなるタチじゃない」

古見さん 「!?」

163以下、名無しが深夜にお送りします:2019/05/12(日) 22:56:32 ID:FWj2O0mw
古見さん [只野くん、どうかしましたか?]

只野 「へ? あ、ああ、古見さん」

只野 「もうすぐ母の日だから、スマホで色々調べてたんです」

只野 「でも考えてもなかなかいいプレゼントが思いつかなくて……」

古見さん 「………………」

ハッ

古見さん 「………………」 ガタガタガタガタ

只野 「ど、どうかしましたか?」

古見さん 「………………」 カリカリカリ……

古見さん [母の日のことをすっかり忘れていました。]

只野 「ああ……」 クスッ 「古見さんもそういうことあるんですね」

只野 「大丈夫ですよ。僕も昨日妹に言われて思い出しましたから」

164以下、名無しが深夜にお送りします:2019/05/12(日) 22:57:07 ID:FWj2O0mw
なじみ 「なになにー? 母の日のプレゼントー?」

古見さん 「!?」

なじみ 「ボクはもう準備してあるよー。何用意したか聞きたい?」

只野 「お前は発想が小学生だからな。どうせ肩たたき券とかだろ」

なじみ 「ちっちっち、甘いぜ、只野くん」

ニヤァ

なじみ 「川原で拾った綺麗な石! ホラ見て、すっごくピカピカでしょ」

只野 「どっちにしろ小学生低学年レベルなのな」

なじみ 「ほんと、只野くんのボクには容赦がないところ好きだなぁ」

165以下、名無しが深夜にお送りします:2019/05/12(日) 22:57:56 ID:FWj2O0mw
なじみ 「母の日のプレゼントってそんなに悩むようなものかなぁ」

只野 「難しくないか? 母親って言っても異性だから、何がほしいかとか分からないし」

古見さん 「………………」 ヌヌヌヌヌヌ……

古見さん 「………………」 ヌヌヌヌヌヌヌヌヌヌヌヌ……

只野 「……?」 (古見さんどうしたんだろ)

古見さん [あの、只野くん。]

只野 「は、はい」

古見さん [もしよかったらなのですが、] カリカリカリ……

古見さん [今日の放課後、一緒にデパートに行きませんか?]

只野 「へ……へっ!?」

古見さん [母の日のプレゼント、一緒に買いに行きませんか?]

古見さん [女子として、少しはお役に立てるかもしれません。]

只野 「あっ……えっと……」 カァアアアア…… 「ぜ、ぜひ、お願いします……///」

古見さん 「……///」 コクッ

なじみ 「………………」 (青春してんなー……)

166以下、名無しが深夜にお送りします:2019/05/12(日) 22:59:03 ID:FWj2O0mw
………………放課後 デパート前

只野 「………………」

古見さん 「………………」

只野 「えっと……じゃあ、行きましょうか」

古見さん [はい。]

只野 「あっ、催事場で母の日ギフトコーナーなんてやってるみたいですよ」

古見さん 「………………」 フムフムフム

只野 「……行ってみますか?」

古見さん 「………………」 コクッ

古見さん 「………………」 ←今さらふたりきりだということに気づいた。

ドキドキドキドキ……

古見さん 「………………」 カァアアアア…… ←しかも自分から誘ったのだと気づいた。

167以下、名無しが深夜にお送りします:2019/05/12(日) 22:59:38 ID:FWj2O0mw
………………

只野 「おお……!!」

古見さん 「………………」 ピョコピョコッ

只野 「色んなものが置いてありますね。ここなら何でもありそうです」

古見さん 「………………」 コクコクコク

只野 「ちなみに、古見さんはどういうものをプレゼントしようか考えては……」

古見さん 「………………」 ムムムムムム……

只野 「……ない、ですよね。さっき思い出したんですもんね」

只野 「じゃあ、色々と見て回って決めましょうか」

古見さん [はい。そうしましょう。]

168以下、名無しが深夜にお送りします:2019/05/12(日) 23:00:13 ID:FWj2O0mw
………………

只野 「へぇ、美顔パック……」

只野 「色々な模様があって面白いですね。歌舞伎とか、レスラーのマスクとか……」

只野 「へぇ、般若の顔もありますよ。少し怖いですね」

古見さん 「………………」

カリカリカリ……

古見さん [般若の顔を見ると、修学旅行中の佐々木さんを思い出します。]

只野 「!?」 (えっ、どういうこと?)

只野 (修学旅行、古見さんすごく楽しそうだったけど、何かあったのか!?)

169以下、名無しが深夜にお送りします:2019/05/12(日) 23:01:00 ID:FWj2O0mw
………………

古見さん 「………………」 ジーーーーーーーーーッ

只野 「……? ぬいぐるみですか?」

古見さん 「!?」 ブンブンブン

只野 「へ? 違う? 何がですか?」

古見さん 「………………」 カァアアアア……

カリカリカリ……

古見さん [すみません。ねこのぬいぐるみがかわいいなと思って……。]

古見さん [私が欲しくなっていただけです。ごめんなさい。]

只野 「あはは。分かります分かります。人のプレゼント見てると、自分の欲しいものに目が行っちゃうんですよね」

只野 「古見さんへのホワイトデーのプレゼントを買いに来たときも、瞳とふたりで……――」

――――ハッ

只野 「………………」 カァアアアア…… 「す、すみません。何でも、ないです……///」 ←ホワイトデーの色々を思い出した。

古見さん 「……///」 ←ハンドクリームのくだりとかアメのくだりとか思い出した。

170以下、名無しが深夜にお送りします:2019/05/12(日) 23:01:43 ID:FWj2O0mw
………………

只野 「……なかなか、“これだ” っていうプレゼントがありませんね」

古見さん 「………………」 コクッ

只野 「少しスマホで調べてみますね」

只野 「えっと……あっ、母の日に母親がもらって嬉しいプレゼントなんてページがありますよ」

古見さん 「!?」 フンスフンス

只野 「母親がもらって嬉しいもの、第一位は……」

只野 「………………」

古見さん 「?」

只野 「……えっと、その…… “時間” だそうです……」

古見さん 「………………」 ズーン

只野 「あー……」

只野 「……もう少しがんばって、プレゼント探してみましょうか」

古見さん 「………………」

古見さん 「………………」 コクリ

171以下、名無しが深夜にお送りします:2019/05/12(日) 23:02:37 ID:FWj2O0mw
………………数時間後

古見さん 「………………」 ホクホクホク

只野 (古見さん、めっちゃホクホク顔だ)

只野 (時間はかかったけど、プレゼントが無事買えてよかった……)

只野 (僕もまぁ、良さそうなものが買えたし……)

古見さん 「………………」

カリカリカリ……

古見さん [只野くん、今日はありがとうございました。]

只野 「いえいえ、こちらこそありがとうございました」

只野 「……プレゼント、喜んでくれるといいですね」

古見さん 「………………」

ニッ……

古見さん 「………………」 コクッ

只野 「………………」

只野 (……なんだこの綺麗で可愛いすぎる生物は)

172以下、名無しが深夜にお送りします:2019/05/12(日) 23:03:09 ID:FWj2O0mw
………………母の日 古見家

秀子 「まぁ!? これプレゼント!?」

古見さん 「………………」 コクリ

秀子 「ありがとー! すっごく嬉しい!!」

秀子 「……でも、例年のチョイスと少し違うわね」

秀子 「硝子のセンスとは、少し違うような……」

古見さん 「……?」

秀子 「……はっはーん」 キラン

秀子 「さては、只野くんと一緒に買いに行ったわね?」

古見さん 「!?」 ←何で分かったの!?

将賀 「!?」 ←何だと!?

173以下、名無しが深夜にお送りします:2019/05/12(日) 23:03:52 ID:FWj2O0mw
………………只野家

只野母 「仁ちゃんも瞳もありがとねー! とっても嬉しいわ!!」

瞳 「……?」 (お兄ちゃんにしてはプレゼントのセンスがいい……)

キラン

瞳 「……お兄ちゃん、さては硝子さんと一緒にプレゼント買いに行ったね?」

只野 「!? い、いや、そんな、全然……!!」

瞳 「………………」 ジーーーッ

只野 「……まぁ、そう、だけど……」

只野母 「!? 古見さんとこのお嬢さんと!? そ、それは大変だわ……」

只野母 「うちの凡庸な息子がご迷惑をおかけして誠に申し訳ありませんって電話しなくちゃ……」

只野 「母さん的に息子ってどういう存在なの?」

おわり

174以下、名無しが深夜にお送りします:2019/05/12(日) 23:04:28 ID:FWj2O0mw
………………幕間

笑介 「………………」

スッ

秀子 「え? あら、笑介も用意してくれたの? ありがとう」

秀子 「……?」 (こっちも笑介らしくないチョイスね……)


………………只野家

只野母 「瞳まで!? 古見さんとこのお坊ちゃんと一緒にプレゼント買いに行ったの!?」

瞳 「うん。笑介くんほっといたら何も用意しないんじゃないかと思ったからね」

只野母 「ど、どうしたらいいかしら!? また土下座で大丈夫かしら!?」

只野母 「お父さんが帰ってきたら急いでお詫びをしに行かないと!!」

只野 「いやほんと母さんは息子と娘のことなんだと思ってるの?」

おわり

175以下、名無しが深夜にお送りします:2019/05/12(日) 23:05:09 ID:FWj2O0mw
>>1です。
滑り込みですが投下できて良かったです。
読んでくださった方ありがとうございました。

176以下、名無しが深夜にお送りします:2019/05/12(日) 23:10:55 ID:mueI5tdg
おつつつつつ

177以下、名無しが深夜にお送りします:2019/05/13(月) 09:11:49 ID:BF0oVDFI
最高

178以下、名無しが深夜にお送りします:2019/05/14(火) 08:09:48 ID:lk98i3E2
おつーもっとだ

179以下、名無しが深夜にお送りします:2019/05/14(火) 12:00:08 ID:rP3Yir1Y
おつ

180以下、名無しが深夜にお送りします:2019/06/02(日) 22:26:07 ID:E5xYJByg
【古見さんは、コミュ症です。】 なじみ 「滑るやつです。」

181以下、名無しが深夜にお送りします:2019/06/02(日) 22:26:57 ID:E5xYJByg
………………コミュ143

なじみ 「じゃあアスレチックも攻略したことだし!」

バーン!!!!

なじみ 「次はアレ行くよアレ!」

只野 「アレって……ああ、あの滑るやつか」

只野 (ターザンみたいに滑るやつだけど、すごく高い……)

只野 (近所のちょっと大きな公園に似たようなやつあるけど、規模が全然違うな)

古見さん 「………………」

只野 「あ、古見さん、高いところとか大丈夫ですか? もし無理だったら……」

古見さん 「………………」

ピョコッピョコッ

古見さん 「………………」 フンスフンス

只野 (ああ、行きたいんだ……)

瞳 「そんなこと言っちゃってさ、お兄ちゃん、自分が怖いだけなんじゃないの?」

只野 「!?」

182以下、名無しが深夜にお送りします:2019/06/02(日) 22:27:27 ID:E5xYJByg
只野 「そ、そそそ、そんなわけないだろ。怖いなんて、そんな……」

シャーーーーーーッ!!!! キャーーーー!!!

只野 「!?」

只野 (ず、頭上を滑っていった……た、高い……!!)

瞳 「………………」 ニヨニヨニヨ

只野 「い、いや、べつに怖くはないよ! ま、まぁ、せっかくだし行こうか」

なじみ 「よっしゃー! じゃあまずは山登りだ行くぞー!」

ドドドドドドド……!!!

只野 (あいつアスレチック登ったばっかりなのに元気だな……)

古見さん 「………………」

タタタタタ……!!!

只野 「!?」

183以下、名無しが深夜にお送りします:2019/06/02(日) 22:28:00 ID:E5xYJByg
笑介 「………………」

フラッ……ガシッ

笑介 「!?」

瞳 「ほら、笑介くんも行くよ」

ニコッ

瞳 「まさか笑介くん、怖いなんて言わないよね?」

笑介 「………………」

瞳 「うん。じゃあ行こう」

ズルズルズルズル……

只野 「………………」

只野 (……僕も行こう)

184以下、名無しが深夜にお送りします:2019/06/02(日) 22:28:48 ID:E5xYJByg
………………滑るやつスタート地点

只野 (ヘルメットとかハーネスつけるんだな。本格的だ……)

ドキドキドキドキ……

只野 (す、少し怖いな……)

なじみ 「じゃあ行ってくるよ! もし死んだら骨は拾ってくれよ!」

なじみ 「ヒャッハー!!!」

シャーーーーッ……

只野 (知り合いだと思われたくない……)

古見さん 「………………」 ワクワクワクワク……

係員 「では、次の方どうぞ」

古見さん 「!!」 ピョコッ

185以下、名無しが深夜にお送りします:2019/06/02(日) 22:29:19 ID:E5xYJByg
古見さん 「………………」

古見さん 「………………」 ジーーーーッ

只野 「?」

只野 「……ああ、はい。いってらっしゃい、古見さん」

古見さん 「………………」 コクッ

シャーーーッ……

瞳 「………………」

笑介 「………………」

瞳 「……私たちも目と目で通じ合ってみる?」

笑介 「!?」

186以下、名無しが深夜にお送りします:2019/06/02(日) 22:30:03 ID:E5xYJByg
………………

只野 (ああ、とうとう僕の番だ……)

ドキドキドキドキ……

係員 「では、楽しんできてくださいね」

只野 「は、はい……」

只野 (た、高い……)

只野 (ええい、ままよ……!!)

トンッ……

只野 (わっ……わわっ……わわわ……)

只野 (た、高い! それに思ってたよりずっと……)

只野 (スピードが遅い!!!!)

只野 (た、滞空時間が……とてつもなく長い!!)

只野 「………………」

只野 (普通に怖いぞこれ!!!)

187以下、名無しが深夜にお送りします:2019/06/02(日) 22:31:00 ID:E5xYJByg
………………

只野 「………………」

ゼェゼェゼェ……

只野 (お、終わった……)

只野 (想像通り怖かったけど……)

只野 (終わってみれば、爽快で気持ちよかったな……)

只野 (……? あれ? でも、みんないないな。どこに行ったんだろう)

係員 「はい、では、復路の方にどうぞ。固定しますね」

カチャカチャカチャ……

只野 「へ……?」

只野 (ふ、復路!? わっ、よく見たら別のコースがある!?)

只野 (この足場はただの中間地点なのか!?)

係員 「では、いってらっしゃい!」

只野 「………………」

アアアァアアアーーーー…………

188以下、名無しが深夜にお送りします:2019/06/02(日) 22:31:31 ID:E5xYJByg
………………

只野 「………………」 チーーーン

なじみ 「おおう、見事に死にかけてるね、只野くん」

瞳 「まったく、お兄ちゃんはお兄ちゃんだなー」

古見さん 「………………」 アセアセアセ……

古見さん [只野くん、大丈夫ですか?]

只野 「あ、はい……。ちょっと、疲れただけなので……」

只野 「みんな、僕はここで休んでるから遊んできていいよ……」

なじみ 「っしゃー!! 許可が出たところで次はゴーカートだー!!」

瞳 「おー!!」

笑介 「………………」

瞳 「ん? どうしたの、笑介くん。ほら、笑介くんも私たちとラップタイム競うんだから」 グイッ

瞳 「おいで?」 ニコッ

笑介 「………………」

ズルズルズル……

189以下、名無しが深夜にお送りします:2019/06/02(日) 22:32:21 ID:E5xYJByg
なじみ 「……あっ、でも、只野くんひとり残しておくのも心配だなぁ」

なじみ 「ってことで、古見さん、只野くんのことお願いしてもいいかい?」

古見さん 「!?」

只野 「!?」

只野 「い、いやいやいや! そんな申し訳ないことさせられないよ!」

只野 「古見さんも、みんなと一緒に遊んできてください。僕も落ち着いたら合流しますから……」

古見さん 「………………」 フルフル

只野 「古見さん……?」

なじみ 「………………」 ニヨニヨ 「……じゃっ、よっろしっくねー!」

ダダダダダ……

只野 「あ、おい! なじみ! 瞳! ……行っちゃったよ」

古見さん 「………………」

只野 「あ、古見さん、無理してここで待ってなくていいですからね」

只野 「あそびにいっていいですからね」

古見さん 「………………」 フルフルフル

190以下、名無しが深夜にお送りします:2019/06/02(日) 22:33:19 ID:E5xYJByg
カリカリカリ……

古見さん [ここにいます。]

只野 「いや、でも……」

古見さん 「………………」

ズイッ

古見さん [ここにいます。]

只野 「わ、わかりましたから、ノートを押しつけないでください……」

古見さん 「………………」 フンスフンス

只野 「……すみません、せっかく楽しんでたのに……」

古見さん 「………………」 カリカリカリ……

古見さん [私も少し休みたかったので、ちょうどよかったです。]

只野 「でも……」

古見さん [気にしないでください。]

古見さん [プールのときの、お返しですから。]

191以下、名無しが深夜にお送りします:2019/06/02(日) 22:33:57 ID:E5xYJByg
只野 「へ……プールのとき……?」

古見さん 「!?」

ハッ

古見さん 「………………」 ←何を書いてしまったのだろうと思っている。

古見さん 「………………」 ガリガリガリ ←慌てて消している。

古見さん 「………………」 フゥ ←一息ついている。

カリカリカリ……

古見さん [なんでもないです。]

只野 「あ……はい……」

只野 (古見さん、何もなかったかのような顔をしている……)

只野 (プールのときって……)


―――― 『あ、いや、僕も疲れちゃったんで、ちょっと休憩に。』

―――― 『立てますか?』


只野 「あっ……///」 カァアアアア…… (あのときのことか……)

192以下、名無しが深夜にお送りします:2019/06/02(日) 22:34:28 ID:E5xYJByg
古見さん 「………………」

只野 「………………」

ドキドキドキドキ……

古見さん 「………………」

カリカリカリ……

古見さん [何か飲み物でも買ってきます。]

タタタタタ……

只野 「あ……」

只野 「………………」

只野 (……あっ、もう、あれだ)

只野 (気分悪いのとか吹っ飛んじゃったな……)

※この後なじみたちと合流して夕暮れまでたっぷり遊んだ。

おわり

193以下、名無しが深夜にお送りします:2019/06/02(日) 22:35:04 ID:E5xYJByg
………………幕間

秀子 「5人だけで滑るやつ行っちゃったの!?」

只野 「あ、はい……」

秀子 「むーー……」

只野母 (さすが古見さん。美人さんだからむくれる顔も絵になるわ……)

秀子 「……よしっ」

ニコッ

秀子 「じゃあ、今から主婦同士ふたりで行きましょうか、只野さん!」

只野母 「!?」

おわり

194以下、名無しが深夜にお送りします:2019/06/02(日) 22:36:41 ID:E5xYJByg
>>1です。
読んでくださった方ありがとうございました。
キャンプ回が好きすぎてツインリンクもてぎにあそびにいってきました。
只野くんの感想はほぼわたしの感想です。

195以下、名無しが深夜にお送りします:2019/06/02(日) 23:09:12 ID:kzK89wus
乙ーもっとだ

196以下、名無しが深夜にお送りします:2019/06/02(日) 23:15:59 ID:fkCkqtjE
おつあつ
取材しにいったのか!脱帽

197以下、名無しが深夜にお送りします:2019/06/03(月) 00:33:59 ID:yE.YaVhs

ここに書くことじゃないかもしれないけどなじみが大久保瑠美で再生される俺

198以下、名無しが深夜にお送りします:2019/06/03(月) 17:56:46 ID:eFjtB7t2
おつです


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