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ハンジ「みんなの贈り物」

37 ◆uSEt4QqJNo :2018/09/30(日) 19:57:19 ID:K/9dguUM


「そういえば兵長には先立つものを出していただきましたが、他に何かあげたりするんですか?」


リヴァイが何か返事をする前に続けてサシャが質問をする。
その質問に104期の面々は興味を持った。贈り物をあげるとするなら兵長はどんなものを贈るのだろう。


「……酒だな」


それにすりゃ良かった! なんで俺は奇をてらったんだ……。
そうジャンは心の中で叫び、頭を抱えた。

38 ◆uSEt4QqJNo :2018/09/30(日) 19:58:03 ID:K/9dguUM


「それで、手が空いてる者はいるか?」


話を切り上げ、ここに来た目的を果たすべくリヴァイが104期達を見回しながら訊ねる。

なんの用事だろうか? もしやどこかの掃除がなっていなかったのだろうか?
と思い悩んでる間に料理が早めに終わった所為で手持無沙汰だったコニーが元気良く声をあげた。


「はいはい! 俺手ぇ空いてます! なんスか?」


それに続いてエレンやジャン、アルミンが手を上げる。
人数は充分とサシャとミカサは料理の番をすることになった。

39 ◆uSEt4QqJNo :2018/09/30(日) 19:58:45 ID:K/9dguUM



「もう海で祝いの品は貰ったってのにこんなにしてくれて……ありがとうね」


嬉しそうに優しく微笑みながらハンジは礼を言った。
大したものではありませんが、と料理を運び終えると皆席に着く。


「そういえば、兵長も贈り物があるんですよね?」

「え? そうなのかい? 何かな? 楽しみだな」


サシャがそう言うとハンジはわくわくしたように笑いながらリヴァイに向き直る。

40 ◆uSEt4QqJNo :2018/09/30(日) 19:59:42 ID:K/9dguUM


「……ただの酒だ」


そう言ってコニー、エレン、ジャン、アルミンを見やって首を縦に振る。
リヴァイが立ち上がると四人はそれを合図に席を立ち食堂の奥に行くと手に酒を持って現れた。

料理の皿を避けたハンジの机の周りにそれらを並べる。数は20は下らないだろう。
高級なものから珍しいもの、少し値の張るものと様々だ。


「これまた盛大な贈り物だね。数が多すぎやしないかい?」


面白そうに笑いながら近くにあった酒瓶を軽く指で弾くとキンッと音が響いた。
リヴァイは一つの酒瓶の天辺に指を置き、ほんの少し傾ける。

41 ◆uSEt4QqJNo :2018/09/30(日) 20:00:28 ID:K/9dguUM


「こいつはゲルガーの酒だ」


低くも耳に届く声が食堂を静寂にさせた。
特にコニーとジャンは身を固くする。その名には聞き覚えがあった。

ウトガルド城で自分達を守って亡くなった兵士の内の一人だ。


「空瓶がえらく転がってやがったがこいつは寝床の近くに隠してあった。こっちはナナバのだ」


青みがかった瓶のそれは果実酒のようだ。
なかなか手に入りにくい物で取って置きだったのかもしれない。

42 ◆uSEt4QqJNo :2018/09/30(日) 20:01:43 ID:K/9dguUM


「これはミケ、香りの良いものをよく飲んでやがったな」


スンッと鼻を鳴らしている姿が目に浮かぶ。
調査兵団でも特に背が高く、寡黙で少々妙な癖を持った男だった。

淡々とその他の酒も誰の物だったのかを告げていく。
そして、残りもあと2つ。リヴァイはその内の一つの天辺に指をかけた。


「こいつは……モブリットの物だ」


ハンジの視線が……残った右目がその酒を見つめる。彼が、守ってくれた目だ。


「あいつはよく呑む奴だったな。うちで一番飲んでやがった。
 ……まぁ、いろいろと大変だったんだろうが」


ちらりとハンジを見やる。その視線に気付いて思い当たる節がいろいろとあったハンジはすぐさま目を逸らした。

43 ◆uSEt4QqJNo :2018/09/30(日) 20:02:36 ID:K/9dguUM


「そして…………エルヴィンの物だ」


沢山並べられている中で一際高そうな酒。
リヴァイがどの酒が誰の物かを言い始めた時からハンジは恐らくこれがそうであろうと思っていた。

きっと、みんなも。

その酒に皆が釘付けになる。
しんとした食堂で今やあちこちで使われているあの光る鉱石の明かりが酒瓶を照らしている。


「……勝手に持ってきちゃったのかい?」


静寂を打ち破るように、しかし微笑みを湛(たた)えてハンジが訊ねる。

44 ◆uSEt4QqJNo :2018/09/30(日) 20:03:59 ID:K/9dguUM


「祝い事だ。文句言わねぇだろ」

「そうだね。何かしら理由を付けては飲むための口実にしてたね」


そうして在りし日を思い出すかのように目を細めた。
その時の光景を今此処に重ね合わせているのかもしれない。


「ああ、あいつらもどうせ持ち出して飲んでいただろうよ」

「確かに。でもこんなに飲めないよ」

「一気に飲む必要もねぇだろ。泥酔されても困る」

「そりゃそうだ」


そう言ってハンジは肩をすくめた。
リヴァイが酒瓶に手を伸ばし、少し迷って一つの酒瓶を手にする。

45 ◆uSEt4QqJNo :2018/09/30(日) 20:05:57 ID:K/9dguUM

それはモブリットの物だった。

もう一つ、迷った酒瓶はエルヴィンの高そうな酒だ。
最初に飲んでしまっては他の物を楽しめないだろうと思ったのかもしれない。


「そう来たか」


ハンジは楽しそうに、頬杖をついて酒の栓が開けられるのを眺めている。
次に何を飲むかもあなたが決めてよ、と選択を全てリヴァイに任せた。

リヴァイは無言だったがハンジはそれを了承と捉えたようだ。

46 ◆uSEt4QqJNo :2018/09/30(日) 20:06:48 ID:K/9dguUM


「待たせてごめんよ。さ、食べようか」


一部始終を黙って見ていた104期はハンジのその言葉にハッとし、
みんなで言うはずだった祝いの言葉をサシャがフライング気味に言うことで食堂に騒がしさが戻った。

わいわいと賑わう食堂をハンジは嬉しげに優しく、どこか懐かしむように見つめる。
ふと光に反射したグラスの中身に目をやると軽く揺らした。

全てを飲み干すにはどれくらいかかるだろうか?
どうせ飲むのならツマミはこの子たちが作ったものがいいな。

騒がしさを増す食堂で、そんなことを思いながらハンジはグラスを傾けた。






47 ◆uSEt4QqJNo :2018/09/30(日) 20:08:32 ID:K/9dguUM
ハンジさんの誕生日は9月5日です

なんとか9月内に投下できたから良し……なわけがないな
間に合わなかったどころの話じゃないwwどうしてもやりたかっただけなんす……

読んでくれた人ありがとうございました

48 以下、名無しが深夜にお送りします :2018/10/01(月) 08:20:28 ID:L8V7tOs2
今回は事情が事情だししゃーない
にしても予想の斜め上をいくサプライズに喜んじゃうハンジさん流石w
乙でした

49 以下、名無しが深夜にお送りします :2019/01/05(土) 00:48:36 ID:pv88HJMI
遺品…泣ける


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