したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | |
レス数が900を超えています。1000を超えると投稿できなくなるよ。

少女「私を忘れないで」

1 ◆WRZsdTgWUI:2018/02/17(土) 23:13:03 ID:SLrOQBwc
(プロローグ)
〜体育館裏・少女さん〜
男子「少女さん、わざわざ来てくれてありがとう!」

少女「……」

男子「えっと、その……明日から冬休みだね」

少女「そうですね」

男子「それでその……クリスマスの日は予定が開いてますか」

少女「クリスマスの予定?」

男子「は、はいっ!」

少女「ひとつ聞きたいのですけど、あなたと私は今日はじめて会いましたよねえ。それなのに、どうして教えないといけないんですか」

男子「それは少女さんのことが好きだからっ!」

少女「……?!」

男子「文化祭のときに笑っている少女さんを見て可愛いなって思って、それで一緒に話が出来たらいいなってずっと思っていたんです。だから、僕と付き合ってくれませんか!」

268以下、名無しが深夜にお送りします:2018/04/16(月) 23:26:27 ID:xArkhchg
今日はここまでにします
レスありがとうございました

269以下、名無しが深夜にお送りします:2018/04/17(火) 20:14:08 ID:ccSemnQg
〜自宅・部屋〜
俺たちは学校を早退し、みんなで俺の部屋に集まることにした。
そして部屋に入ってすぐ、友が話を切り出した。


友「双妹ちゃん、休みの日とか遊びに行くときに身に着けているアクセサリーって、何か持ってない?」

双妹「持ってるけど、何に使うの?」

友「少女さんの姿を見えるようにしてあげようかなと思って。多分、そのほうが話を理解しやすいと思うし」

男「そんなことが出来るのか」

友「まあな。でも、霊感がない人間に浮遊霊の姿を見えるようにするのは、本当は良くないことなんだ」

男「双妹、どうする?」

双妹「姿が見えないと話にならないし、部屋から持ってくる」


双妹はそう言うと、部屋を出て行った。
そしてしばらくして、ブレスレットを持って戻ってきた。

270以下、名無しが深夜にお送りします:2018/04/17(火) 22:07:47 ID:ccSemnQg
双妹「これで良い?」

友「大丈夫、いけると思う。それじゃあ、儀式を始めるから」


友は双妹にブレスレットを持たせ、その上に御札を重ねた。
そして、何やら怪しい言葉を念じ始める。
相変わらず、中二っぽいぞ。


友「我の名は友。我が作り出したるは、幽界の者を見し霊具。この器にて彼の者を捉え、共鳴する力を生み出したるは――」

双妹「な……何これ、すごく胡散臭いんだけど」

男「大丈夫だ。俺もそう思ってる」

友「じゃあ、少女さん。これに触れて、意識を集中させて欲しい」

少女「はい。分かりました」

271以下、名無しが深夜にお送りします:2018/04/17(火) 22:37:17 ID:ccSemnQg
少女さんがブレスレットに触れると、双妹がとっさに手を引いた。
そして、不機嫌そうに友を見詰める。


双妹「今、ビリッとしたんだけど」

友「大丈夫、今ので完成だから。少女さん、ありがとう」

少女「あっ、はい。どういたしまして」

友「それじゃあ、双妹ちゃん。それを着ける前に、この御守りを受け取ってくれるかな」


友は通学鞄から御守りを取り出すと、双妹に手渡した。

272以下、名無しが深夜にお送りします:2018/04/17(火) 22:41:40 ID:LbnPQ3lQ
双妹「これは?」

友「幽霊が見えることを低級霊たちに知られると、面倒なことになる場合があるんだ」

双妹「低級霊?」

友「平たく言うと、四十九日を過ぎても現世に留まっている悪霊のことだ」

双妹「悪霊……」

友「そう。だから、守護霊の力を高めておく必要があるんだ。半年くらいは効果があるから、カバンの中にでも入れっぱなしにしておいてくれるかな」

双妹「別にいいけど、守護霊の力ってこんなことで強くなるものなの?」

友「この御守りはあくまでも補助的なもので、特に大切なことは健康な心身を保つことだ。しっかりと食事を取って、運動をして体力づくりをして、よく寝てストレスを溜めないこと」

友「そんな健康的な生活を送ることで、守護霊は強くなるんだ」

双妹「それって、もう守護霊とか関係ないような気が……」

友「あと、守護霊がいるって信じることも重要な」

双妹「何だか信じられないなあ」

男「大丈夫だ。俺もそう思ったから」

273以下、名無しが深夜にお送りします:2018/04/17(火) 22:47:42 ID:yk1xbTBc
友「それじゃあ、双妹ちゃん。そのブレスレットを着けてみて」

双妹「う……うん」


双妹は恐る恐る、ブレスレットを右腕にはめた。
そして、緊張した面持ちで顔を上げる。


双妹「……!」

双妹「見える。見えるよ、本当にっ!!」

男「マジかよ! すげえな!!」

少女「わわっ! えっと、双妹さん。はじめまして」ペコリ

双妹「は、はじめまして」アセアセ

友「ふふん、成功だな」

双妹「友くん、ありがとう。えっと……男から少女さんの気配を感じるんだけど、それは何なの?」

友「少女さんは憑依霊だから、男の身体を共有している状態なんだ。双妹ちゃんが感じているものは根っこみたいなものだよ」

双妹「ふうん、そうなんだ」

274以下、名無しが深夜にお送りします:2018/04/18(水) 00:05:08 ID:Omd.hWJw
双妹「それで、これは外しても大丈夫なの?」

友「ああ、霊力が馴染めば3週間くらいは効果が持続すると思う。霊具として使えるのは少女さんが成仏するまでだから、理論上は4月の半ばくらいまで使える計算になるかな」

双妹「効果があるのは3週間で、使えるのは4月半ばまで――か」

友「もちろん、少女さんが身体に戻れたらすぐに使えなくなるけどね」

双妹「ふうん、そうなんだ」

双妹「でも、びっくりしたあ! まさか、本当に見えるようになるとは思わなかったわ」

友「俺のこと、ちょっとは尊敬しただろ」どやぁ

双妹「あはは。霊能力があるって、絶対に冗談だと思ってた」

友「これを機に惚れてもいいんだぜ」キリッ

双妹「ごめん、それはあり得ないから。いつも女の子の幽霊の裸ばっかり見ていそうだし」

少女「それってもしかして、双妹さんには私のことが裸のように見えているんですか?」

双妹「そうだけど、違うの?」

少女「違うに決まっているじゃないですか。私はちゃんと服を着ていますから」

275以下、名無しが深夜にお送りします:2018/04/18(水) 22:53:54 ID:Omd.hWJw
双妹「ねえ、男。少女さんって、本当に服を着ているの?」

男「当たり前だろ。何言ってるんだよ」

双妹「もしかして、裸だと思っているのは私だけ?!」

男「なあ、友。そのブレスレット、失敗じゃないのか」

友「あのさあ、常識で考えて、幽霊が服を着ているほうがおかしいじゃないか。だって、生身の体がないんだぞ」

少女「はいぃぃっ?!」

男「ちょっと待て! 少女さんが服を着ていると思っているのは、もしかして俺だけなのか?!」

友「逆に聞きたいんだけど、男には少女さんがどんな服を着ているように見えるんだ?」

男「どんなって、少女さんは今、俺たちの学校の制服を着ているじゃないか」

双妹「……どう見ても裸でしょ」

友「ああ、そういうことか! 男は少女さんの姿が見えているんじゃなくて、少女さんが見せている姿が見えているんだ」

276以下、名無しが深夜にお送りします:2018/04/18(水) 23:38:38 ID:mXX5xWPQ
男「おい、ちょっと待て。そうなると、友は今まで少女さんの裸を見続けていたことになるよなあ。かなり気に入らないんだけど――」

友「安心しろ。浮遊霊の裸には興味ないから」キリッ

男「はあ?! それはそれで微妙に気に入らないんだけど」

少女「二人とも喧嘩はやめてください。こうすればいいんですよねえ」ポンッ

友「マジかよっ! 少女さんって、そういうことも出来るのか?!」

少女「ふふん、すごいでしょ〜!」ドヤッ


少女さんは得意げに言うと、ドヤ顔になった。
友もかなり驚いているし、一体何をしたのだろうか。


男「俺にはよく分からなかったんだけど、少女さんが何かしたのか?」

双妹「今、少女さんがうちの学校の制服姿に変身したの」

男「……変身?」

男「つまり、俺が見ている姿と同じ姿が見えるようになったってことか」

双妹「多分、そうだと思う」

277以下、名無しが深夜にお送りします:2018/04/18(水) 23:46:16 ID:Omd.hWJw
少女「男くん、その……今まで気付かなくてごめんなさい」

友「俺も悪かった。てっきり、男も同じように見えているものだとばかり思っていたから」

男「まあ、今まで助けられてばっかりだったし、今回だけだからな」

友「分かってるって」

友「ところで、少女さん。それは幽体の見た目を変えたってことだよね」

少女「ああ……はい、そうです。だから、この制服も私の身体の一部で――」

少女「……?!」

少女「それって結局、私は裸のままって事じゃないですか!」

男「……!!」

友「いやいやいや! 制服を着ているように見えている時点で、裸じゃないから!」

少女「そ……そうですかねえ」

友「そうだから! あまり変なことを言うと、男と双妹ちゃんからの心象が悪くなるからっ!」

278以下、名無しが深夜にお送りします:2018/04/19(木) 07:21:20 ID:Y4iuq9Tk
面白い

279以下、名無しが深夜にお送りします:2018/04/21(土) 19:19:12 ID:uaLdt28o
双妹「あまり時間もないし、そろそろ本題に入ろうよ」

男「そうだな」

双妹「それじゃあ聞くけど、少女さんは入院しているはずでしょ。それなのに幽霊とか浮遊霊とか、どういうことなの?」

男「実は――」


俺たちは双妹にこれまでの経緯を説明した。
その要所要所で思い当たる節があるらしく、双妹はときどき小さく頷いていた。


双妹「ふうん、そういうことがあったんだ。それで、これからどうするの?」

友「少女さんの魂を身体に戻せないか試そうと思ってる」

双妹「そんなことが出来るの?」

友「やってみないと分からないけど、勝算がないわけでもない」

280以下、名無しが深夜にお送りします:2018/04/21(土) 19:30:29 ID:ns7zdREs
少女「私、本当に生き返ることが出来るんですか?!」

友「少女さんは英語の授業中、胸を押さえながら倒れてしまっただろ。それで気になって詳しく霊視をしてみたんだけど、少女さんは普通の浮遊霊よりも幽体が少ないことが分かったんだ」

少女「幽体が少ない?」

双妹「ねえ、友くん。幽体とか魂って、結局何なの?」

友「そう聞かれると超ひも理論の説明をしないといけなくなるんだけど、イメージ的にはこんな感じかな」


肉体:現世の体、死んだときに脱ぎ捨てる。
幽体:肉体と霊魂を繋ぎとめる役割がある。死後の世界で体として利用し、成仏をするときに脱ぎ捨てる。
霊体:成仏をした後の体。
魂:人間の本質で霊波動という波を発している。


友「――つまり、魂は三つの体を重ね着しているんだ」

双妹「何となく分かったかも」

281以下、名無しが深夜にお送りします:2018/04/21(土) 20:07:05 ID:52C9RiiE
友「それで話を戻すけど、少女さんの幽体が少ないのは肉体に幽体が残されているからだと思うんだ。病院で幽体離脱をしたとき、頭に銀色の線がつながっていなかった?」

少女「あっ……ありました! でも、自分で切ってしまったんです」

友「なるほどな。少女さんは幽体が肉体から完全に離れてしまう前に霊子線を切ってしまったから、普通の浮遊霊よりも幽体が少ないんだ」

男「つまり、少女さんが授業中に倒れてしまったのは、幽体が少なくて霊的に不安定だったからなのか」


もしそうだとするならば、一刻も早く自分の身体に戻ったほうが良いだろう。
そう考えていると、友が少女さんを一瞥して思案めいた。

282以下、名無しが深夜にお送りします:2018/04/21(土) 20:30:14 ID:52C9RiiE
友「いや、むしろ幽体が少ないから、少女さんは普通の浮遊霊では考えられないほど霊的な力が強いんだ」

少女「えっ、そうなんですか?!」

男「少女さんの霊的な力が強いのは、うるう年の影響とか特殊な死因だからじゃなかったっけ」

友「それも関係あるんだけど、特に幽体の少なさが影響しているみたいだ。例えば、ホースの先を摘むと水が勢いよく出るようになるだろ。霊的な力もそれと同じような原理で強くなるんだ」

男「へえ、そういうものなのか」

少女「それで、どうすれば生き返ることが出来るんですか?」

友「それなんだけど、少女さんは幽体の状態を変化させることが出来るだろ。だから、自分の身体に憑依して肉体に残されている幽体を変化させれば、霊子線をつなぎ直すことが出来るはずだ」

283以下、名無しが深夜にお送りします:2018/04/21(土) 20:32:52 ID:uaLdt28o
少女「銀色の紐をつなぎ直せば、私は生き返ることが出来るんですね!」

友「まあそうなんだけど、実は一度切れた霊子線は二度と繋がらないんだ」

少女「……!」

友「でも、自分で霊子線を切ってしまった浮遊霊なんて聞いたことがないから、少女さんならば奇跡を起こすことが出来るかもしれない。いや、起こせるはずだ」

男「少女さん、俺と双妹がすでに奇跡みたいなものだから――。だから、諦めなければ絶対に大丈夫だ」

少女「うん、そうだよね。私は絶対に生き返るんだ!」


きっと、少女さんはたくさんの不安を感じているだろう。
それでも、彼女の言葉にはそれを感じさせないほどの力が込められていた。

284以下、名無しが深夜にお送りします:2018/04/21(土) 20:41:17 ID:uaLdt28o
今日はここまでにします
レスありがとうございました

285以下、名無しが深夜にお送りします:2018/04/21(土) 23:03:53 ID:9wU12fzk
よし
生き返れ

286以下、名無しが深夜にお送りします:2018/04/23(月) 20:07:18 ID:kjv3n51I
〜北倉駅前・バス停〜
お昼になり、俺たちは友香さんとの待ち合わせ場所に向かった。
少し早く着いたらしく、北倉駅に併設されているバス停にはそれらしい人の姿はない。


双妹「ねえねえ、友くん。このブレスレットを使えば、友香さんも少女さんの姿が見えるようになるの?」

友「いや、見えるようにはならないよ。その霊具は双妹ちゃんの魂の力を利用して作っているから、他の人では使えないんだ」

双妹「……ふうん、私と同じ魂じゃないと使えないのか」

男「それじゃあ、友香さんも少女さんの姿が見えるように出来ないかな。そのほうが説明しやすくなると思うし」

友「確かにそうかもしれないけど、友香さんは少女さんが目を覚ます望みを捨てていないんだろ。だったら、今の時点で浮遊霊の少女さんと対面させるのは慎重になったほうがいいと思う」

少女「私も友くんの意見に賛成です。今の私が友香ちゃんに会うと、不必要につらい思いをさせてしまうことになると思うんです」

男「言われてみれば、そうかもしれないな」

友「少女さんが自分の身体に戻れれば良いだけだし、今は友香さんには内緒にしておこう」

男「分かった」

双妹「そうだね」

287以下、名無しが深夜にお送りします:2018/04/23(月) 20:14:56 ID:kjv3n51I
少女「あっ! 友香ちゃんが来ましたよ!!」


自分の姿は見えないというのに、少女さんが手を振って呼びかけた。
どうやら、こちらに歩いてくる学生服姿の女子が友香さんらしい。
さすが看護師を目指しているだけあって、とても清楚な感じがする外見だ。
そう思っていると、俺たちに気付いたらしく慌てた様子で駆け寄ってきた。


友香「すみません。お待たせしました」

双妹「ううん、私たちも今着いたところだから」

友香「……うん、ごめんね。それでこちらの男子が――」

双妹「えっと、紹介するわね。こちらが私のお兄ちゃんで、そっちが友くん」

男「はじめまして、男です」

友「友です」

友香「こんにちは、友香です。今日は来てくれて、本当にありがとうございます!」

男「こちらこそ、会ってくれてありがとう」

288以下、名無しが深夜にお送りします:2018/04/23(月) 20:17:57 ID:Ogk2A2Qk
友香「一応確認しておきたいのですけど、男くんが少女に会いたがっているという話は間違いないですか」


友香さんは真剣な眼差しを向けてきた。
俺もそれに倣って、言葉を返す。


男「はい、俺はそのために来たんです」

友香「双妹さんから聞いていると思うけど、少女は今、病院のICUで寝たきりになっています。もう意識が戻る見込みがないそうです」

男「……」

友香「でも、男くんが会ってくれれば少女は目を覚ますかもしれない。そう思うんです」

男「俺もそう思う。ICUには面会制限があるみたいだし、まずは会えることを祈らないとな」

友香「そうですね!」

289以下、名無しが深夜にお送りします:2018/04/23(月) 20:26:37 ID:Ogk2A2Qk
男「そういえば、少女さんが入院している北倉総合病院にはどれくらい掛かるのかな」

双妹「バスに乗って10分くらいだよ」

男「10分も掛かるのか」

双妹「でも、バスを降りたら目の前だから」

男「そっか、早く来ないかなあ」


俺は待ち遠しく感じて、道路の向こう側を見やった。
しかし、バスの姿はない。


友香「あのっ、失礼ですけどひとつ聞いてもいいですか」

男「えっと、俺に?」

友香「はい。男くんと双妹さんは一卵性双生児なんですよねえ」

290以下、名無しが深夜にお送りします:2018/04/23(月) 20:37:52 ID:Ogk2A2Qk
男「あ……ああ、そういう話か。確かに、俺と双妹は一卵性双生児ですよ」

友香「えっとね! 昨日も双妹さんに言ったのですけど、ずっと会ってみたいと思っていたんです」

男「俺たちに?」

友香「はいっ!」

友香「お二人は雰囲気がすごく似ているけど、身長や体格がまったく違いますよね。性染色体がたった1本違うだけなのに、すごく興味深いです」

男「性別が違うんだから、体格が違うのは当然のことだと思うんだけど」

友香「それってつまり、従性遺伝と限性遺伝の影響が大きいってことですよね」

291以下、名無しが深夜にお送りします:2018/04/23(月) 20:43:33 ID:BANKwkBM
友香さんの口から、唐突に生物用語が飛び出してきた。
従性遺伝は常染色体上の遺伝子の優劣関係が雌雄で異なる遺伝のことで、限性遺伝はY染色体上の遺伝子による遺伝のことだ。

他にも双妹にはライオニゼーションの影響があり、2本あるX染色体のうち1本がランダムで不活性化されている。
そのことは伴性遺伝の発現にも関係しているし、一卵性双生児だとはいっても違いがあるのは当然だ。


男「詳しいことは分からないけど、そうだと思うよ」

友香「――ですよね。だから発生や遺伝って面白いし、生命はとても神秘的だなって思うんです」

292以下、名無しが深夜にお送りします:2018/04/23(月) 20:52:34 ID:kjv3n51I
双妹「こんな反応を示す人、初めて見た」

男「ああ、そうだよな」


ほとんどの人は異性の一卵性双生児は絶対に生まれないと主張してくるし、中には人格まで否定してくる人もいる。
そうでなくても、興味本位で迂闊なことを言ってくる人が多い。
しかし、友香さんは生命の誕生や遺伝子のほうに興味があるらしい。
とりあえず、生物の授業が好きなんだろうなということは分かった。


友香「……!」

友香「すみません。初対面なのに一人で舞い上がってしまって……。私のこと、変な女子だと思いましたよね」アセアセ

双妹「いえ、友香さんって優等生タイプだなって思っただけです」

男「少女さんもそんな感じだったし、別におかしくないですよ」

友香「……あれっ? 少女はお二人が双子だと知っているんですか」

男「そうだけど、それがどうかした?」

友香「それはおかしいです。少女は双妹さんのことを知らないはずなんです。いつ話したんですか」

293以下、名無しが深夜にお送りします:2018/04/23(月) 20:56:00 ID:BANKwkBM
……しまった!
俺が少女さんに双子の妹がいることを話したのは、先週の月曜日だ。
しかし自殺未遂をしたのはその前の土曜日なので、友香さんの視点では辻褄が合わないことになってしまう。
本当のことは言えないし、一体どうやって答えればいいのだろう。


少女「はあ、仕方ないですね。12日の夜に私が電話をしたことにしましょう」

男「えっと、12日の夜に少女さんから電話が掛かってきたんだ」

友香「12日の夜に?」

男「それでそのときに聞かれたから教えたんだけど、何かおかしいですか」

友香「いえ、おかしくないです。でも、そうだとすると少女は――」

少女「ねえ、男くん。バスが来ましたよ!」

男「ほんとだ。ようやくバスが来たみたいだ」

双妹「友香さん、行きましょうか」

友香「そ……そうですね」

294以下、名無しが深夜にお送りします:2018/04/23(月) 21:11:03 ID:Ogk2A2Qk
今日はここまでにします
レスありがとうございました

295以下、名無しが深夜にお送りします:2018/04/23(月) 22:22:46 ID:iBAgHl9w
よし
頑張れ

296以下、名無しが深夜にお送りします:2018/04/24(火) 20:13:05 ID:dGBrRWQE
〜総合病院・入院患者病棟〜
バスで揺られること10分。
ようやく少女さんが入院している総合病院に到着した。


少女「いよいよですね。何だか緊張してきました」

男「俺も緊張してきたかも。ちゃんと中に入れるかなあ」

双妹「どうなんだろ」

友「まあ、いざというときは少女さんだけでもどうにかしてみるから」


俺たちは不安に思いつつ、面会者用の出入り口から中に入った。
すると、すぐ脇に窓口があった。
どうやら、ここで受付を済ませないと面会することが出来ないようだ。


友香「あのー、すみません」

受付「こんにちは。いかがされましたか」

友香「少女さんに面会したいのですけど、よろしいですか?」

297以下、名無しが深夜にお送りします:2018/04/24(火) 21:15:06 ID:DLGSxhXw
受付「少女さんですか。その女性でしたら、申し訳ありませんが本日、退院なさいました」

少女「えっ?!」

友香「それって、どういうことなんですか! 少女はとても退院出来るような状態ではなかったですよねえ」

受付「そう言われましても――」

男「だったら、少女さんはどこの病院に転院したんですか? それだけでも教えてください。どうしても会いたいんです!」

友香「お願いします!」


俺たちが強く訴えると、受付の女性がどこかに電話を掛け始めた。
そして俺たちのことを話し、険しい表情で受話器を置いた。

298以下、名無しが深夜にお送りします:2018/04/24(火) 21:16:10 ID:WZJjxK8k
どうなんだ?

299以下、名無しが深夜にお送りします:2018/04/24(火) 21:20:45 ID:voB9GsOM
受付「皆さんは少女さんのご友人ですか?」

友香「はいっ!」

受付「そうですか……」

受付「個人情報が含まれるので詳しいことはお伝え出来ませんが、少女さんは2月20日にお亡くなりになられました。申し訳ありませんが、ご家族の方以外はお引取りください」

友香「亡くなったって、少女が……死んだ?」

少女「そんな! うそでしょ?!」

男「本当に、少女さんは――」

受付「申し訳ありません」

友「ちょっと待て! 2月20日って、一昨日だよな。おかしくないか?」

男「……!」

友香「そ、そうよ! 昨日、私たちはおばさんに許可を頂いて面会することが出来たんですよ!」

双妹「そうですよね。一昨日に少女さんが亡くなっていたのなら、どうして昨日は面会することが出来たんですか?」

受付「それは個人情報ですので、お答えすることは出来ません」


新着レスの表示


名前: E-mail(省略可)

※書き込む際の注意事項はこちら

※画像アップローダーはこちら

(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)

掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板