■掲示板に戻る■ ■過去ログ 倉庫一覧■
安価でラノベ書くわ
-
そんでそれ新人賞に送って脱ニートするわ。
>>2タイトル
>>3主人公の名前
>>4ヒロインの名前あたりまでとりあえずいこうか
"
"
-
たいよーけん!
-
カムリ
-
ヒロシ
-
主人公とヒロインの名前は入れ替えた方がよさげだな。
タイトルはたいよーけん! で
>>6ジャンル
"
"
-
サスペンスファンタジー
うみねこみたいな
-
主人公の性格>>8
ヒロインの項は長くなるのであとで。
あと、なんか安価しといた方がいい項目ある?
舞台と、固有名詞はのちのち安価、展開はこっちで考えるとして。
-
>>1
-
>>7
じゃあ口癖とか?
-
おう、俺かよ……。
んじゃ、舞台とキーになる固有名詞
>>10と>>11で
-
口癖も追加で↓三個以内で頼む
-
せやかて ふむふむ・・・
-
舞台は電脳空間で
口癖もだったら「やってやる!」
-
口癖書いていいのかな?
爆発しやがれバカヤロー
-
神の国への引導を渡してやる!
-
えーと、舞台は電脳空間で。キーワードは神の国。
主人公の口癖は爆発しやがれバカヤロー。
ヒロインの口癖はせやかて、で。
ちょっとあらすじだけ書くので待っててくれ
-
2〇XX年。人類の舞台は地上から電脳へと変わりつつあった。
しかし、それを快く思わないテロ組織”神の国”は電子太陽を落とすことを計画する。
そこで、高校生女子探偵・カムリはクズニートのヒロシを助手として探偵部隊、太陽研を結成した!
こんなんでどうでしょう。
レスきたらまた安価始める。
-
小学生のノートに書いてありそう
-
マトリックス的なのは好物だ
続けたまえ
-
良くこんな材料でそんなにまとめられたな
-
才能かッ
-
安価↓で第三の仲間
-
ミッキー・マ○す
-
ある意味の死神が仲間とかまさしくサスペンス
-
あの、さすがにまずいんで、ミッキーてあだ名のロボットで。イメージ的にロックマンエグゼのプログラム君的な。
次はカムリさんのもろもろ。
性格・髪型・髪色・貧乳・服装
安価で全部出そろうまで。
-
性格ウルフマン
髪型ジェロニモ
髪色ケビン・マスク
貧乳
服装ターボメン
-
髪色 銀色
-
>>26ごめん、キン肉マンってことはわかるんだけど、読んだことないんだ。
-
服装は和服で
-
ええな。>>26君はちょっと、ごめんなぁ……。
あと、眼の色も追加で。
-
髪型は逆モヒカン
-
>>31
せっかくいい感じだったのに…
瞳は金色
-
>>31わ、わかった……
-
髪型、セミロング
-
じゃあ服装はベジータ達が着てた戦闘服で。
-
>>31すまん、>>34にさせてくれ、orz
あと、性格だけだな。
-
おしとやか
-
ワンポイントアクセサリーとかあったらいいかも
-
け、けっこーやりづらいな。だがOKだ。
安価↓”神の国”ボスと幹部、合計3名の名前。
だれをどこにつけるかは俺が選ぶ。
-
>>38んじゃ、それも
-
雰囲気に合わせて小さい花簪
-
幹部、ロックアウト・ハードネス
幹部2、峅鋳 神柯(くらい しんか)
ボス、 ナサ
-
信玄(戦の神様って言われてたくらいだし)
-
>>42
ロッテの投手・グライシンガーみたいな名前やなw
-
20XX年。人類の舞台は地上から電脳へと変わりつつあった。
二十年前、人類の科学は発展を極め、第二の地球を電脳空間に創りだし、そこに精神を移す実験に成功した。
そして、その数年後、人は電脳において、地上とまったく変わらない生活も送れるようになった。
いや、それどころか、地上ではあり得ぬ物理法則の実現さえ可能になったのだ。
便利なものにとびつくのは人の習性だ。
人類の居住が電脳へと移ったのは必然と言えるだろう。
人間の、いや、あらゆる生命の肉体と精神は逆転した。そう、電脳こそが真実になったのだ。
そんな世界でこの俺、ヒロシはニートをしていた。
安価待ってるときは書き出していきます
-
花かんざし。
幹部シンゲン ロックアウト・ハードネス
ボス ナサで。
ヒロシとカムリちゃんはどこで出会う?
安価↓
あ、あと、展開・見た目的に変になりすぎる安価はご遠慮させていただくことがあります。
-
愛媛県
-
>>45
これなんてマトリックス?
-
世界が変化しようとも、ニートというものはなくならないらしい。
俺の部屋ではアナウンサーの声だけがむなしく木霊する。
「ニュースです。本日、朝六時半に政府にあてて犯行声明が届きました」
テロリストも早起きなことだな。今、何時だ?
特に時間を気にする用件もないのに、俺は部屋の時計を見る。
朝十時だ。確か今日は月曜日。みなさん、とっくに働いてる時間だ。
しかし、俺ときたらどうだろうか。
こんな時間に自室にこもり、部屋中に使用済みのティッシュが散乱している。
怖いんだ。電脳になったこの世でも、能力のない者は淘汰される。
仕事というものに挑戦して、能力がないとわかってしまうことがとても怖いんだ。
だから俺は、自室という鉄檻から出られないままなんだ。
-
>>48しゃーないじゃんよー。もっと別のとこで個性出すしかねーわー。
>>47できれば具体的にお願いします。
-
44その人達にはそれぞれなんとなく由来が有りまして。
ロックアウト・ハードネスは、
山をイメージして着けました
ロッククライミング=山
ハードネス=なんか固そう
合わせて山のように高く硬い決意が合って組織に参加していると思います。
次の峅鋳 神柯(くらい しんか)
暗く深い闇を抱えている。
深海をイメージして着けました。
投手じゃあ有りませんよ
ボスのナサですが
山と深海の2つに覆い被さる事の出来る者=宇宙
宇宙=ナサが由来です
-
>>51え? なんだって?
-
「犯行声明には『電子太陽を落とさねば我ら”神の国”がきさまらの国民を一人一人抹殺していく』
と書かれており……」
電子太陽を落とす、か。面白いことを考えるやつもいたもんだ。
この電脳世界は前の地上を忠実に再現した世界。太陽を落とせば世界も終わるだろうよ。
テロリストの考えることは一味違いうなぁ。悪い方向にだけど……。
「爆発しやがれバカヤロー」
俺の考えられることはテロリストよりもちっぽけなんだ、と。
俺は、自身の抱いた劣等感を隠すようにつぶやいた。
口癖邪魔ぁ!!! そして犯行声明が小学生が考えたやつっぽい。
-
52 要するに
俺
お前ら
母ちゃん
-
え?なんだって??
-
>>54
なる。
-
>>47を詳しくするならば
愛媛県松山市の道後温泉の温泉街で
-
そうだ、こんな時は温泉に行こう。
温泉に入って温まれば、なにか気持ちは進展するんじゃないか?
俺の住んでいる地域は元々、温泉街の近くだ。
幸い、ニートの俺にも、銭湯に入るくらいの金はある。今は両親とも、俺を残して
旅行に行っている。
仕事を探す時は鋼鉄の檻になっている自室も、銭湯に向かう時はたちまちに紙細工に生まれ変わる。
少しの金と銭湯セットを持って、俺は家を飛び出した。
さすがに愛媛県まで入れるとくどいわ。
次の安価項目なににしよっかな。
-
面白い支援
ただ台詞と地文の境だけは間隔開けたほういいかも
-
この>>1できる……………
>>58
温泉に着くまでに起こる出来事を安価にしたら??
-
迂闊だった。
確かに徒歩十分、銭湯にはついたのだ。だが、普段から運動しない俺の足は、産まれたての小鹿のように震えている。
いや、頑張れ俺。あと少しで銭湯という名のオアシスにたどり着けるんだ!
俺が最後(?)の力を振り絞って銭湯の入り口を見やると、そこには一人の少女が立っていた。
少女は俺に背中を向けているため、顔は確認できない。
確認できるのは、銀髪のセミロングということだけだ。
その銀髪は電子太陽から出た光を受け一層輝き、美しかった。
だが、俺は知っている。後ろ姿がいい女はたいてい顔がダメなんだ。
というか俺好みの貧乳ロリっ子(16歳以下)ですらないかもしれん。
そんな欲望まみれの妄想を膨らませていると、少女がその身を翻し、俺の方に向いてくれた。
-
>>59おK
>>60すまん、別ので頼む。もうやってしまった。
-
俺は心の中で思っていたことに対して、また心の中で詫びた。
ドストライクだ。
見た感じの外見年齢は、十五、十六とギリギリ対象内。
顔立ちはおしとやかといった感じだ。
俺好みの貧乳も、彼女が身にまとっている着物にとてもマッチしている。
眼の色は、髪色とは対照的な金色。全体的な風貌も相まって、一際目立っている。
大人しさの中に一筋の活発さがあるようで、そのギャップが俺の欲望をそそりつくす。
また、髪の右の方につけた小さなかんざしは、彼女の愛らしさをさりげなく引き立てている。
こんな美女は、二次元の中でしか出会ったことがない。いや、二次元でさえ出会ったことがないかもしれない。
アニメでも金眼って珍しい気がするな……。
-
今日は3時まで続ける。
-
銀髪金眼ともなると
AB!の天使くらいしか思いつかない
-
俺が少女に見とれていると、今度は少女が俺の方を見てきた。
まずい、じろじろ見過ぎたか?
俺が冷や汗をかいているのをよそにして、少女の口が動いた。
「あの、私と一緒に探偵、やってくれませんか?」
はっ? えーと、ちょっと待って。
探偵……。探偵ってーと、あれだな。バーローとか、じっちゃんの名にかけるやつだよな?
俺が探偵?
深く考えようが浅く考えようが意味はわからなかった。
しばし、俺の思考はフリーズした。
-
>>65まぁ、そこんとこはかぶっても大丈夫やろ
-
いったんフリーズした思考を正常に引き戻す。
状況を整理するんだ。
返事がもらえず、困惑している少女には申し訳ないが、少し待ってくれ。俺たちニートという人種は、考えてからじゃないと動けないんだ。
えーと、あれだ。まとめるとこうだ。
俺は少女に仕事の依頼をされている。
そして、ここで重要なのは”少女”と”仕事”という、二つのワードだ。
”少女”というプラスと、仕事というマイナス。ここではそれらが足し算となっている。
つまりは、仕事に対するマイナスを少女のプラスが上回れば、俺はイエスと答える。
少女の顔をちらちらと、少しずつ見る。意識して真正面から見るなど、俺には到底できない。
しばらくして、結論は決まった。
「イエス」
この瞬間こそが、小さな運命の始まりだった。
サスペンスって、犯人が見えてるミステリーだっけ?
-
すまん、眠い。再開は今日の夜十時くらいになると思われ。
-
誰かおるか?
安価↓で警部の名前。金田一の剣持的な。
あと、まだ先の話だけどややグロ描写あり。
-
なんて、しゃれたことを思ったりしたが、よく考えたらおかしくね?
なんだよ。なんで「イエス」で即答すんだよ。まず内容聞けよ。
まるっきり変な人じゃん。
「あ、ありがとうございます!」
あ、向こうも変だったわ。
えーと、まぁ、なんだ。
詳しく事情を聞いて情報を整理するか。
そして銭湯に入りたい。つーか、それが当初の目的だったろ。
-
多摩 忠 (たま ただし)
-
途中すっげーどもりながら少女との会話を試みた。
とりあえず決まったのは、事情は銭湯に入ったあとに聞くということ。
いや、俺の中では、その場で全部聞いちゃえよという意見も浮かんだんだよ。
でもさ、脇から腐ったヨーグルトみてーな臭いがしてんだもん。そりゃあ、銭湯を優先したくもなるだろ。
と、まぁ、こんな感じだ。
で、今わかってることは彼女の名前がカムリということだけ。
後の事情は、さっぱりしてからじっくり聞くってことだ。
-
>>72 おK ただ、雰囲気に合わせてカタカナ表記にさせていただく。
なにか安価にする項目思いついたら書いてってくれ。俺はその間、本編書いてるから。できればレスくれ。
-
なにかを期待した紳士諸君には申し訳ないが、混浴というものはこの銭湯に存在しない。
とゆーか、あったとしてもチキン童貞な俺には色々ムリだ。
ただ、こんな時間帯だからか、他には誰もいない。貸切状態だ。なかなかに解放感がある。
……このシチュエーションだと、あれがしたくなるな。
……。
-
「いやっほぉー!!」
全裸だ、全裸のニートがお通りだぁ!!
そうさ、誰もいないということは誰も見ていない、つまりはフル〇ンでも大丈夫ということ!
世界はもう、俺一人さ!
生まれたてニートの独壇場(?)!!
「……」
見られた。
-
見られたといっても、人じゃない。
たしか正式名称は、多目的型汎用ロボットだかそんなだった気がする。
だいたいみんな、マルチロボって言ってるけど。
白い球体に、一つ目のごとく生えるレンズがやつらの外見的特徴。
一つの命令コマンドを入力するだけで、それに適した形・能力に変形するのがやつらの売り所だ。
そんな便利なやつらだが、電脳世界だからこそ実現が可能になっている。
いわゆる、電脳世界のメリットの一つだ。
……確か銭湯のは、覗き防止用だったな。チキンハートな俺には関係ないことだ。
-
探偵事務所の場所とか?
-
>>78ではそれで
-
「へへへ、ええのぉ、ええのぉ」
ん? ここには今、俺とマルチロボしかいないし、俺の喋り方はこんなんじゃない。
マルチロボもこんな変な声出さないぞ?
いや……。
声の主はマルチロボだ。二体目の。
一体どこから侵入してきたのか、どういった命令が下されているのかはわからない。
だが、マルチロボは確かに覗きをしている。
もう一体のマルチロボも、同族だからか無反応だ。
なんなんだ、こいつは?
-
銭湯の二階
-
>>81おK
「ん? なんや、兄ちゃん、わいになんかようかいな?」
変態マルチロボが変な口調で突っかかってっきた。面倒なことになりそうだ。
まぁ、マルチロボ相手なら話しやすいな。人じゃないし……。
「いや、用ってゆーか、お前みたいなマルチロボは珍しいからな」
珍しいというか、少なくとも俺は初めて見た。
マルチロボの声は、こいつ以外全て、無感情な機械音声なんだ。
-
「ほっほ〜? 兄ちゃん、見る目あるやんけ、わいのレア度に気づくとは」
なぜか調子づくマルチロボ。
それにしても、マルチロボとか関係なしに、それとなく腹立つなこいつ。
しかし、本当にこいつの命令コマンドはなんなんだろうか。
まさか、覗きじゃないよな?
でも覗いてるし……。
-
「あれや、気分ええわ。特別にアンタも覗きに誘ったる!」
超上機嫌で舞い上がるマルチロボ。
いや、お前はいいかもしれんが、俺はもう一体に通報される恐れがあるんだ。
そんなリスキーなことはしたくない。
「マルチロボに通報されるようなリスキーなことはしたくない、って考えてるやろ?」
「!?」
-
心を読んだ!?
って、んなわけないか。一般論だもんな。
それを推測してこいつは動いたに過ぎないんだ。
「どや、心読まれた思うたやろ? そこんとこどーなん、自分?」
だが、マルチロボは自信満々だ。一点の曇りもない、満足声。
なぜだろう、表情がないはずのこいつのドヤ顔が浮かぶのは。
改めて声の偉大さを思い知らされた気がする。
できればこんなことで思い知らされたくなかった。
-
今日はもう寝る。明日も明後日もこんな感じ。その次からは数日時間とれる日が続く。
-
乙
そういえば主人公のほうの容姿とかは特に決まってなかったな
-
十時になったら書き始める。
安価はカムリさんが探偵になった理由で
-
幼い頃に両親が何者かに見るも無惨な姿で殺された
犯人は未だ分からず、その正体を追うため
-
>>重いな……
「ま、よー見とけや」
なにを見ればいいのかはよくわからんが、しばらく待つことする。
そして、数秒後にアクションは起こった。
ボトッ。
変態じゃない方のマルチロボが、唐突に地面に落ちたのだ。
「ふふーん、わいはなんでもできるんや」
俺がそれを見て呆けていると、また変態マルチロボのドヤ声が聞こえてきた。
これは、こいつがやったのか?
だとしたらこいつの命令コマンドは……。
-
「ハッキングか?」
言うまでもないが、ハッキングは違法だ。
マルチロボにそんな命令コマンドを下す馬鹿は見たことがない。
だが……もしかしたらこいつは、バグってるんじゃないか?
「あ〜、おしいなぁ、いや、惜しくもないなぁ」
マルチロボはまた、なぜか人をいらつかせるような声をあげる。
こいつ、後でスクラップにしてやろうか?
-
「わいなぁ……真の意味での多目的やねん。命令コマンドを入れ替えられるんよ」
命令コマンドを入れ替える。これのどこが特別かわからない人もいるだろう。
――命令コマンドというのは、本来一回しか下せないのだ。
そして、命令コマンドを受信し終わったマルチロボはひたすらその役目を全うするのだ。
もし、この変態の言うことが本当だとしたら、ますますこいつがわからない。
どこかの企業の新型か?
-
「ま、わいのレア度の説明はこのへんにして……。わいの名はミッキー。デラックスミッキーでもいいで」
なんだその、今にも怒られそうな名前は。
そしてデラックスの意味がわからない。
確かにお前はレアかもしれないが、デラックスってほど凄そうには見えない。
「あ、わいの名前の由来、気になるんか? 気になるんやろ? ほら、わいの側面見ーや」
すっかりまいあがっているのか、変態マルチロボ・ミッキーは、その側面を俺に見せつける。
そこには、DXMといいうロゴが書かれていた。
こいつの型番か? いや、数字がないし、製造会社か。
しかし、聞いたこともないな。
-
色々、こちら側で決まったことがあるんだが、ネタバレにならないところは書いてった方がいいかな?
安価は第一章の敵の名前
最初の敵で”神の国”の下っ端
-
ギラクス
-
「DXMって書いてあるやろ? それはデラックスミッキーの略称に違いないんや。ま、こうせーのーなわいらしい、イカした名前やな」
いや、それはないだろ。デラックスは万歩譲るとして、ミッキーの根拠はなんだよ。
敵を増やすんじゃねーよ。
しかし、ほんとにこいつからは、嫌な予感しかしないな……。
そしてまた、ミッキーから感情の乗った機械音が放たれる。
-
全体構成は1章約2万字の4章+数千字のエピローグになります。
で、章構成は日常パートと事件パートが半々。
敵はギラクス、シンゲン、ロックアウト、ナサの順。
シンゲン、ナサ、ミッキーのキャラづけはもう決まった。
特にシンゲンは心臓が弱い人だとサムライ・リアリティ・ショックを起こすかもしれん。
-
「んで、覗くんやろ? 覗きたいんやろ?」
「いや……別に……」
俺はそんな犯罪を犯す気はない。お前だけで勝手にやってろ。
お前と違って万が一ばれたら、ブタ箱行きなんだよ、人間は。
「けっ、しけてんのぉ〜。もうええわ、お前は今度からへっぽこや」
「なんだと!? なら、お前はポンコツだ!」
ああ、機械相手に何熱くなってんだよ、俺は。
というか機械相手にしか熱くなれないのかよ、爆発しろ、バカヤロー。
-
再び、男湯と女湯の隙間にレンズを押し付けるミッキー。
穴が開いてるんだろうか?
「ふひひ! ええ! ええなぁ、未成熟な胸!!」
こいつ、俺と同じ嗜好を持っていやがる!
只者じゃねぇ……。
ん? おいおい、のめりこみすぎだろ……。
物理的に。
-
ミッキーの体はどんどん壁にのめりこんでいく。
ミッキー自身はマルチロボだからか、それとも興奮してだけなのかはわからないが、まったく気にしている様子はない。
そして、メリメリ、ミシミシと壁に亀裂が入っていく。
この時、俺はなんとなく悟っていた。
――ああ、ろくなことにならないんだ、と。
-
そして、ろくなことにならない瞬間は直後だった。
女と男の境界は、一体の変態ロボにより決壊。
俺の視界の奥にはカムリちゃんという名の桃源郷。
ミッキーの言った通り、未成熟な果実、毛の生えていないデルタ。
俺の小さな大砲(リトル・ビッグ・マグナム)は一瞬でMAXサイズとなった。
「きゃぁぁぁぁ!!」
ガスっ。
俺の意識は剛速で投げられた桶により、刈り取られた。
ブタ箱……か。
……。
-
今日はここまで、寝る寝る寝るね。
-
乙
-
新人賞に送るなら毛についての記述は控えた方が良いかと
-
乙
-
堕天使は真言を待つために再び悠久とも思える束の間に身を預ける(訳:また十時から書き始めます。それまでは安価にしといた方がいい項目があったら書いてってください)
>>104おK。おっぱいだけにしておくわ。
-
目が覚めると、俺の前に見慣れぬ景色が広がった。
整然としてシンプルな部屋。その簡素さもあってか、中央に置かれた書類の乗っている机が目立っている。
俺はあたりを見回す。
見慣れぬ景色の中にも、見慣れたというか、さきほど見知った存在、つまりはカムリちゃんとミッキーがいた。
「よかった……目が覚めたんですね」
「いや〜、ほんま心配したわ〜」
カムリちゃんは覗き魔の俺を本気で心配してくれたらしい。
見た目以上の心の美しさに、俺は心の中で泣いた。
だが、その優しさが、俺の存在の卑小さを際立て、俺を苦しめる。
ミッキー、お前はとっとと爆発してスクラップになれ、バカヤロー。
誰か見てる?
-
やれ
-
>>108おK
カムリちゃんのやさしさでブタ箱行きを免れた俺は、事情を聞くことにした。
が、その前にミッキーに後始末をさせねばなるまい。
「ああ、壁なら直しといたで」
「……そうか」
俺の思考を先回りしたかのように、ミッキーが答える。
「マルチロ……」
「直した」
「つうほ……」
「されへん」
あらかじめ予測でもついてるのか、即答で答えるミッキー。
それにしても、認めたくはないが、こいつは本当に高性能だな。
もう全部こいつ一体でいいんじゃないかな?
-
そういえば、カムリちゃんはこいつがいても平然としてるな。
俺が寝てる間に自己紹介でも済ませたんだろうか。
「なぁ、カムリちゃん、こいつは……」
「ああ、それなぁ、わいとカムリはもう、昔からの友人やねん。ほら、マブダチって感じや。な?」
「う、うん。ま、マブダチです……」
俺の言葉を遮るなポンコツ。
カムリちゃんは無理してポンコツに合わせなくてもいいんだぞ?
可愛いけどさ。
……なんて、心の中で言っても意味はない、か。
-
ともかく、ポンコツの邪魔は入ったがなんとか事情は聞けた。
カムリちゃんの両親は、カムリちゃんが幼いころ見るも無惨な姿で遺体となって発見されたらしい。
そして、その犯人は未だ逮捕されておらず、そいつを捕まえるためにカムリちゃんは探偵になったということだ。
だが、やはり女手一つで探偵というのも厳しいので、ミッキーが助手を探してこいと言ったらしい。
時間帯的に暇なやつを狙ってたっぽいが、そこは気にしないことにした。
まぁ、ここまではいい。だが、面倒なのはその次だ。
カムリちゃんの両親が殺された犯人の現場に、”神の国”と書かれた布が置かれていたらしい。
あのテレビでやっていた馬鹿みたいなテロ組織だ。
なにか、とてもやっかいなことになる気がする……。
-
もし待ってる間ひまでしたら、したにある女勇者のSSでも見ててください(ステマ)
「いや〜、ほんまなぁ、偉いやん、この子。わいは感動したんや」
「そ、そんなたいしたことじゃ……」
べた褒めのミッキーの言葉に気恥ずかしそうに顔を赤らめるカムリちゃん。
いや、偉いと思うぞ。それに強い。
ニートの俺なんかより、数百倍。
「義を見てせざるは勇無きなり、なんて言うやろ? 一人の漢として、わいはこの子に手を貸す、と決めたんよ」
興奮して力説するミッキー。
お前は漢だったのか、とか、手ついてないだろ、とか、突っ込みどころは色々ある。
だが、まぁ、言わんとしていることはわかるし、共感できる。
……ほんの少ししか力になれないかもしれない。けど、俺も男の端くれだ。
「あ、改めて、俺をカムリちゃんの助手にしてくれ」
「……は、はい! こちらこそ!」
お互いに動きの固い挨拶を終え、、俺はニートから探偵の助手にランクアップした。
-
探偵の仕事は、翌日だった。
俺にしては珍しく朝早く起きて、銭湯の二階にあった昨日の探偵事務所に来ていた。
なんでも、カムリちゃんの両親はトウキョウで殺されたらしい。
しかし、俺たちの住んでいる地域はエヒメだ。
なぜトウキョウに事務所をかまえないのかと聞いたところ、金が足りないということらしい。
それで、まずはここで探偵をやって金を稼ぐということだ。
現在の依頼は一件。簡単な依頼が来ているらしい。
安価↓
なんか軽い依頼で
-
公園でパンを食べてると鳩が襲ってくるんです
-
浮気調査(レズ)
-
>>114どういう……ことだ?
>>115にします。
-
浮気調査。ありがちではあるが、だからこそ初仕事ではやりやすいか。
やっぱり、のちのち大きな事件を解決するには、こういう下地をつくっておいた方がいいよな。
あと数時間後に依頼人がくるらしい。
それまでは事務所でカムリちゃんと、そのオマケでミッキーと雑談しながら待つことにした。
-
やばす、ガチねむす。明日は一日ひまなんで、みんな開いてる時間帯教えてください。
一番多い時間帯にまた書き始めます。というか朝から書いてるかもしれん。
かなり速いけど、今日はもう寝ます。
-
乙
しかし結構重いはずの過去をなんなく晒したのかヒロイン
-
おつ〜
ま、いいんでね
展開重視で
-
誰かいたら書いてく
-
今いるでー
-
>>122じゃあ書くやでー
雑談内容はカムリちゃんとミッキーとの出会い。
結論から言うと、このポンコツの正体はカムリちゃんにもわかっていないらしい。
というか本人の記憶メモリにも情報が残っていないそうだ。
ではなぜ、二人が知り合ったのかというと、それは俺の時のように偶然だったとのことだ。
副業として銭湯のお手伝いをしていたカムリちゃんが、その前に打ち捨てられていたこいつを発見。
すぐに業者に頼んで直してもらったらしい。
カムリちゃんが和服を着ているのは、その時の名残ということだ。
-
そんで、ミッキーはカムリちゃんから色々事情を聴き、お礼も兼ねて探偵の手伝いをしているということだ。
ミッキーは腹は立つが、悪いやつ、というかロボではなさそうだ。
しかし、それにしてもこいつはほんとに人間みたいだな。
もしかしたら俺より感情豊かなんじゃないか?
-
「ま、そういうこっちゃな。んで、カムリは当初、わいに対して敬語で話してたんやが、わいはそれが性に合わんでな、ふつうにタメでいいことにしたんや」
もはやカンサイなまりすらかも危うい口調で饒舌に喋るミッキー。
ほんとに喋るの好きだな。
そのあとはお互いの軽い自己紹介。
とはいっても、俺がニートなのをカミングアウトしただけなのだが……。
カムリちゃんは、気を遣った対応をしてくれた。ミッキーは大爆笑した。
お前はあとでやっぱり爆発しやがれバカヤロー。
-
「ひっはははは! まじっ、まじ受けるわ! 今のご時世、ニートやって! ひははは! 腹痛いわぁ!」
「み、ミッキー、失礼だよ……」
もはや笑いを隠す気すらないミッキー。それに対して俺にフォローしてくれるカムリちゃん。
カムリちゃん、フォローは嬉しいが、時としてそれは、人を傷つけることもあるんだよ?
そんな感じで俺が傷心していた時、助け舟が来た。
事務所のインターホンが鳴ったのだ。
つまりは、依頼主が来たということだ。
信じられないかもしれんが、もう全体の8分の1切ってるんやで、これ。
-
安価↓
依頼主の女はどんな性格?
そして午前中はここまで。
-
引きこもり気味の根暗
-
>>おK
続きは六時あたりから!
-
>>1が帰ってきたぞー!
そーいや、依頼主とその恋人の名前決めてなかった。
というわけで安価
-
依頼人、草薙 カトリ
恋人、中井 キムラ
-
依頼主はミレイ
-
依頼主は少し暗めな雰囲気を持った女性。
俺がなにをすればいいかわからずそわそわしていると、カムリちゃんがお茶を持ってきた。
そうか、これは、あれだな。
客をもてなす接待の基本作法だな。
ニートの俺には勉強になるぜ。
「あなたが依頼主のミレイさんで間違いありませんね?」
「ええ……」
カムリちゃんの念押しに、依頼主が女性も静かにうなずく。
どうやら間違いはないようだ。
ミッキーはなぜか黙って浮遊している。
それともこいつは空気を読むということができるのだろうか。
-
さて、依頼自体は浮気調査で間違いないが、ここからは詳細を聞く必要がある。
俺はカムリちゃんの事情聴取を所在なく見つめていた。
「私の恋人のキムラが、最近、他のやつと一緒にいることが多いの。私、飽きられちゃったのかしら? そうよね、引きこもり気質のある私なんて……」
「お、落ち着いてください。あなたは魅力あると思います、私」
陰鬱にぐちぐちとつぶやくミレイさん。
なんかこの人、俺に似てる気がするなぁ。
そしてフォローするカムリちゃんのやさしさに泣けてくる。
ミッキーもミレイさんに悟られないよう、すすり泣きのようなノイズを引き起こしている。
-
「ありがと……それで、仕事の内容ね。私の恋人はここよりちょっと離れたところに住んでるの。住所を教えるから、色々調べていてほしいわ。あ、それとこれ、写真ね」
「はい、わかりました」
ミレイさんが取り出したのは、二人の男女の写真。
俺たちはこの男を調べればいいわけか……。
「じゃあ、お願いね」
ミレイさんはどこか後ろめたそうに事務所から去っていく。
うーむ、どこまでも哀愁漂う。
だが、そのおかげで彼女に俺の挙動不審な態度が見られなかったのは救いか。
いや、そもそも俺の存在に気づいていたのだろうか?
……さて、仕事とやらが始まるのか。
-
色々準備をして、その恋人とやらの住所まで行って、調査開始。
……の、前に宿をとることに。
俺はニートだし、カムリちゃんの探偵業はあまり儲かっていないので、取るのは安宿。
まぁ、俺の部屋よりはマシなところなのだろう。
……ミッキーは金とられないよな?
ともかく、俺たちは安い宿を探し始めた。
身辺調査は明日からだ。
-
飯くったり、風呂入ったり、仮眠したり、色々してくる。
一応、安価で決めたやつの性格は全部決まってます。
最後までの大まかな展開も決まってます。
でも、安価は途中途中で挟んでいきます。
-
二人の男女じゃなくて一組や……。
宿では一応、男女分かれるということで、俺とミッキーが同部屋になった。
カムリちゃんはその隣だ。
まぁとにかく、明日から仕事が本格的に始まるので、俺たちは変なことはせずに眠りについた。
-
朝だ。
吸血鬼とニートの弱点・太陽の陽ざしが俺の肌を焼き尽くす。
ミッキーからはなぜかラジオ体操第一が流れている。
お前な、空気読めよ。
なんかその……、あの時は取り戻せない的な気分になってくるだろうが。
「おはようございま〜す」
「あ、ああ、おはよう」
寝ぼけたカムリちゃんの丁寧なあいさつ。
ほんとどこぞのぽんこつと違ってこの子はええ子やなぁ〜。
あ、ミッキーのが感染(うつ)った。
キルミーベイベーは神。現在の作業用BGMにしている。
-
現在の性格な時刻は午前四時。かなり早い時間だ。
ニートの俺にはキツイものがあるが、調査相手より遅く起きてちゃ仕事はできないということなのだろう。
ともかく、俺とカムリちゃん、そしてもう一体は軽い身支度を終え、キムラとやらの自宅付近へ向かうことにした。
明日には一章終わるぞ〜!! ……たぶん。
-
宿から十数分。キムラの自宅前にたどり着く。
そこでミッキーがステルス機能を使って俺たちの姿を隠してくれた。
もはや便利の粋を越えすぎている。
それでもお前は爆発しやがれバカヤロー。
と、そういうのは置いとくとして、後はひたすらやつらが出てくるのを待つだけだな。
便利すぎるけど、大丈夫だよな?
-
待つこと約二十分。玄関からミレイさんの写真に写っていた男女が出てきた。
リア充どもめ、爆発しやがれバカヤロー。
いや……、まだそうと決まったわけじゃない。
確かに男女が一組だけど家からでてくるとか、そういうことですみたいな感じがするが、先入観にとらわれてはいけないのだ。
まだ慌てる時間じゃないのだ。尾行を続けよう。
「追いましょう」
「ああ」
カムリちゃんが小さく俺に呼びかける。
それに対する俺の返事は、珍しくすんなり喉奥から出てきた。
これは幸先いいかもしれん。
-
十一時までちょっと休憩する。
-
すまぬ寝落ちった。
-
尾行を続けること三十分。
クソが。朝っぱらから働きもせずにオシャレなカフェとか行きやがって。爆発しやがれリア充ども。
もうクロだろ、こいつら。
だってさ、そういう関係じゃないとさ、こんなことしないじゃん?
もはや確定だろ、確定。
「なぁカムリちゃん、もういいんじゃないか?」
「いえ……まだわかりません」
もうクロだと確信した俺はカムリちゃんに呼びかけるが、カムリちゃんの中ではまだ確定ではないらしい。
まぁ俺に決定権などないので従うしかないか。
しかし……会話でも拾えればなぁ……。
「拾えるで?」
心を読むなエロポンコツ。
え? ……でも、拾えるの?
-
「ほな繋げるでぇ」
ややノイズ混じりだが、ミッキーからあの男女のものと思われる会話が聞こえてくる。
「いや〜、今日は嬉しいなぁ。あなたとデートできるなんて」
「いえ……こちらこそ。でも、デートで森に行くなんて変わってますね」
「はは、珍しい方が君に忘れられないだろ?」
俺は近場の壁を思いきり蹴った。
が、ろくに鍛えていない俺の足はものすごい痛みに包まれた。
と、ともかく、爆発しやがれバカヤローども。
特に男。キザッたらしいんだよクソが。
「森ですか……」
おや、カムリさん、真剣な眼ですね。俺の失態を見られずに済みましたけどね。
なんだか探偵って感じがぷんぷんします。
「真相は、森で確かめましょう」
ええ〜? いいじゃん、もう。あいつらクロだよ、クロ。
もうさ、ミレイさんに報告しようよ。
なんて心の中では言うが、別に口には出さない。
やつらを森まで尾行することに。
-
しかしよく動くなぁ……。
探偵……ていうか仕事って大変なんだね。
ニート、仕事なめてた。ごめんなさい。
もともとマルチロボのミッキーはもとより、カムリちゃんも息切れひとつしてない。
やはり銭湯で鍛えてたりするのだろうか?
……ええぃ! 俺も学生の頃は剣道部だったんだ! 余裕だ、これくらい!
-
起きてる人はおるのかの?
第一章終了まであと少しや。ようやくサスペンスが起こるで。
-
「ぜぇーはー、ぜぇーはー」
「あの……大丈夫ですか?」
尾行を続けること三十分。俺は虫の息だった。
カムリちゃんが心配そうにこちらを見る。
あんまり女の子に心配かけちゃいけないって、昔おばあちゃんが言ってた。
「ああ、大丈夫だ」
「ならいいんですけど……」
「ほんまに大丈夫かいな、へっぽこ」
「お前の変態度よりは大丈夫だ」
ともかく、持ち直す。
ミッキーも口調自体は馬鹿にしているが、心配はしてくれているようだ。
さて、ようやく森についたな。
カフェから森までの尾行中、二人の会話は世間話。特に重要な証言はなし。
カムリちゃんの言うとおり、真相は森でということなのだろう。
-
やや離れたところでミッキーから二人の会話を聞く。
「ほんとにこんな山で……なにかあるんですか?」
「いや……なにもない方がいいだろ。その方が邪魔されない」
「そうですか……」
「そうそう」
「……ねぇ、ギラクスさん。本名を教えてくれないんですか?」
「俺の気持ち、聞いてくれるか?」
「返事をしてくださいよ」
いちゃつきやがって、この野郎。爆発しやがれバカヤロー。
しかし、変な会話内容だな。
……ん? でも、ギラクス?
男の名前はキムラじゃないのか? 本名を教えろっていうのも引っかかる。
午前中はここまでや。続きが見たいか〜!?
-
くくっ、ほんとにさ、笑っちまうよな……」
「……なにがですか?」
「キムラ、ほんとに俺がお前のこと好きだとでも思っているの?」
「……別に、そんなことは思ってませんけど」
「あっそ」
うん?
なにやら不穏な空気の会話。
そして男が女に対して呼びかけた言葉はキムラ。
……ああ、なるほど、そういうことか。
はかりやがったな、ミレイさん。
「ほ〜う、ミレイちゃん、そっちやったか〜」
「え? そっちってどういうこと?」
いいんだ。まだ君が知る必要はないんだ、カムリちゃん。
-
「え〜と、でもキムラさんは女の人で……あっ、そっちってそういう……」
カムリちゃんも気づいてしまったか。
つまりは、そういうことなのだ。
「今バイトやっててさ、結構給料いいんだよね」
「そうですか……」
「どんなバイトか聞かないの?」
「教えたいんですか?」
「うん、すっごく」
しかし、一ファクターを解決しても、不穏な空気は解決されない。
なんだ? この胸のざわめきは?
しかし、答えのわかってる叙述トリックほどつまらんものはないな。
-
「じゃあ、なんなんですか?」
「人を殺すお仕事」
浮気相手の男・ギラクスは爽やかな笑顔とは正反対の言動をキムラさんに向ける。
ここにきて、初めてキムラさんの顔が絶望に染まった。
そして、ギラクスはキムラさんの首を絞め始める。
その流れまでの時間は俺にとって、恐ろしく、長いものだった。
なにが起こったか、心が理解していないのだ。
-
そんな俺をよそに、カムリちゃんは駆け出していた。
そして、そのあとにミッキーが続く。
俺の体はわけがわからぬまま、二人の後を追っていた。
その間にもミッキーからギラクスの声が響く。
「いやー、俺さぁ、昔から虫とか殺すの好きでさぁ。で、そうなると次は人間だ〜、ってなるじゃない?」
なんの罪悪感もなく、子供がおもちゃで遊んでいるかのような目をしているギラクス。
間違いない、こいつは異常者だ。
-
「待ちなさい!」
「ん〜?」
カムリちゃんの呼びかけを受けて、特になんの感情も起こさずギラクスが顔を向ける。
反応したということは、ミッキーのステルス機能は解かれているのか?
なに考えてんだよ、ミッキー。
だが、このままだと危険だと判断したのか、ギラクスはキムラさんから手を離す。
緊迫した空気に木霊するのは、キムラさんの咳き込みただ一つ。
-
「しかしいいよなぁ、人殺してさ、金もらえるなんてさ……」
「なにをいって……?」
「まぁ、要するにだ、ここで全員死ぬってことだよ、お嬢ちゃん」
俺たちの介入など意にも留めていないといった態度のギラクスが、懐から斧状のマルチロボを取り出す。
言葉通り、ここで俺たちを殺すらしい。
「へっぽこ! わいを使え!」
「なに……?」
なにを言っているんだ? ミッキー。
使えってどうやって……あ!
「わかった! ……剣になれ!」
そうだ。こいつは命令を入れ替えられるんだ。
なら武器になることも可能なはすだ。
予想通り、一度ミッキーの電脳体は再構築され、一つの球体を中心部として剣の形に再構築される。
「カムリちゃんは下がっててくれ!」
「は……はい!」
ともかく、あまり勝つ自信はないが、万が一の時はカムリちゃんだけでも逃がしたい。
-
おおう、間違えた、ミッキーの電脳体は分解され、や。
「なんで……来てくれないのよ」
「え?」
「……なんでもないわ」
キムラさんがなにかをつぶやいている。
しかし、それをあまり気にかけている時でもない。
敵はマジなんだ。全力でやらないと、死ぬんだ。
-
「ひゅー、いいねいいね、そういうの好きだよ、俺。ん……でも待てよ? ……ま、いっか!」
ギラクスは一瞬なにか戸惑っていたが、すぐに斧で俺に斬りかかった。
生存本能ゆえか、俺はなんとかそれをかわし続ける。
「へっぽこぉ! わいはこうせーのーやから、お前のへっぽこさがくらい帳消しにしてやれるで! だから臆せず立ち向かえや!」
ミッキーの喝。
わかっている。わかっているが怖いのだ、死ぬのが、痛いのが。
……でも待てよ。
ニートをやっていても痛いし、そう遠くないうちに死んでしまうぞ?
え……でもそれって……。
あ〜! わけわからん! こうなりゃやけだ!
「あああああああ!!」
姿勢も、構えもなってない。
それでも俺は、渾身の力を込めてやつに撃ち込んだ。
-
結果は意外なものだった。
やつの斧を、剣となったミッキーが両断したのだ。
ギラクスも信じられないといったような表情をしている。
「今や!」
ミッキーが俺の手元を離れ、その姿をロープへと変化させる。
そして、ロープとなったミッキーはギラクスの隙をつき、その体を拘束した。
勝った……のか?
-
「やりましたね、ヒロシさん!」
「……」
カムリちゃんの反応を見るに勝ったらしい。
俺が勝ったのか?
今こんなことを考えているときではないが嬉しい。
それほどまでに、俺にとって勝利というものは衝撃的だった。
「へっ……」
「待って! そいつまだ!」
キムラさんの呼びかけで我に返る俺。
ギラクスが拘束されていても動ける範囲のポケットに手をかける。
なにをするつもりだ!?
-
しかし、ギラクスがアクションを起こす前に、それは阻まれる。
なぜなら、ミレイさんがギラクスの後頭部に強烈な蹴りを入れたからだ。
え? ミレイさん?
「キムラ、大丈夫!?」
「ミレイ……やっぱり来てくれた!」
「むふふ、むふふ!」
「よ、よくわかりませんけど、事件は解決したといったところでしょうか。……せやかて。あっ」
お互いに抱き合う女二人。それを見て興奮するエロロボ。
地が出たのか、カンサイなまりなカムリちゃん。
色々思うところはあるし、仕事内容も変わってしまったが、俺の初仕事は成功に終わったようだった。
第一章安価↓ 完
第二章をお待ちください……。
-
誰か見ておるか?
-
見てるが…安価↓って第一章のタイトルか?
-
>>163
うむ。なんかいい感じのにいてくれ
-
一目ぼれして脱ニート!
やっぱ俺文才ないからいいタイトル思い浮かばん…
ダメなら他のにしてくだせえ
-
>>165
いや、あんまタイトルって重要じゃないんでそれでいーわ。
-
第二章は六時から〜。
-
2章
「あとのことは俺たちに任せな、カムリちゃん」
とりあえずギラクスはカムリちゃんの知り合いの警部、タマ警部に預けることに。
いかついおっさんではあるが、それだけ真面目な人ということなのだろう。
手錠をつけ、連行されるギラクスはなにか物事への関心を失ったような、そんな嘲笑ともとれる笑いをあげた。
「ふふふ、俺は組織の下っ端なんだよ、俺を捕まえてもどうにもならんぜ?」
「なにかっこつけてやがる、犯罪者が!」
「ぐぁっ!」
なんだか意味深なことを言うギラクスの頭にタマ警部の拳骨が舞い降りる。
このおっさん、すげぇな。
「あの……その組織というものについて詳しく教えてくれませんか?」
お? カムリちゃんがくいついたぞ。
しかしなぁ、あんまこういうやつに関わるとなぁ……。
「……神の国」
「えっ……」
「なんだと!?」
ギラクスの発言にタマ警部もカムリちゃんも驚愕している。無論、俺もだ。
これはカムリちゃんの目標に一歩近づいたのかもしれない。
こいつからなにか情報を聞き出せれば、カムリちゃんの両親のことについても進展するだろう。
-
ちょっと休憩するぜ! つーか飯とか食ってくるぜ!
-
待ってるでー
-
誰も見ていなくても書け
-
>>171
いや、書くけどさみしいやん?
「じゃあ、てめぇのとこの組織は、なんだって電子太陽を落としたいんだ?」
「さぁな。俺ら下っ端はリーダーの顔も知らねえ。与えられた命令はただ一つ。適度に殺せさ」
尋問するのはタマ警部。
やはりこういった場合は本職に頼るのが正解だろう。
……しかし、徹底した秘密主義らしいな、神の国っていうのは。
「けっ、それじゃあただの殺人集団じゃねぇか」
「実際そうだぜ? リーダーの考えは幹部にもわからないらしい」
幹部がいるのか……。
しかし、こいつこんなにベラベラ喋って大丈夫なのか?
-
「ああ、そうそう。幹部と言えば、このエヒメにも一人いるらしいぜ」
「なんだと!?」
「……俺から伝えられる情報はここまでだ」
最後に爆弾発言をして、沈黙するギラクス。
俺たちの住んでいる地域に、そんな危険なのがいるっていうのかよ……。
あとはカムリちゃんが両親のことを聞いたが、ギラクスの答えは「知らない」だった。
そして、俺たちはその場を後にして、外に待たせてあるミレイさんとキムラさんの話を聞くことにした。
-
事務所に戻って話を聞いたところ、別にキムラさんは浮気していなかったということだ。
まぁ、ギラクスに対する態度を見てればわかる。
ではなぜ、ギラクスと恋人ごっこをしていたかとうと、ミレイさんが引きこもり気味なため、なかなか会う機会が増えなかったという。
そこで、他のやつと付き合っているフリをして、ミレイさんの気を引こうとしていたということだそうだ。
事務所の隅からはすすり泣きノイズが聞こえてくる。
ともかく、この件は無事解決し、報酬金がカムリちゃんに支払われた。
-
「では、ヒロシさん、お給料です。受け取ってください」
「え……?」
お給料。耳慣れない言葉に困惑する。
俺がその意味を理解するのには、数十秒を要した。
「あ、ああ」
「働いたらお金がもらえるんやで? 知らんかったのか、ニート?」
うるせぇポンコツ。
ともかく俺はカムリちゃんから給与を受け取った。
万札がある……。探偵ってそんな儲かるの?
あ、いや、依頼がこなけりゃ儲からないのか……。
「では、今日はここまでで。ありがとうございました」
「ああ、こちらこそ」
「明日は……」
俺は明日の出勤時間を聞いてから、夕暮れの中、自宅へと帰っていった。
-
孤独の中で戦い続ける者が評価される。
-
その後ほどなくして、自宅へ到着。
ネットサーフィンやアニメ鑑賞などに時間を費やす。
少し前までは、今の電脳もアニメの中の世界だと思ってたんだがなぁ。
まぁ、すごく子供の頃の話だが。
うわっ、けっこう、撮りためてたアニメあるなぁ……。
最近はアニメも見ずにネット漬けだったからな……。
……しかし、あれだな。探偵の助手としては地元のニュースくらいは見てた方がいいよな。
そういうわけで俺はテレビの電源を入れ、この時間帯にやっている地方ニュースを見ることにした。
-
「……で男性の遺体が発見されました。男性の遺体からは手の指が全て切断されており、これは最近続いている連続殺人事件の一貫として調査が進められています」
む、途中からか。
しかし、それにしてもショッキングなニュースだ。
しかも連続かぁ……。
うわっ、うちの近くじゃん、ここ。
俺も気をつけねば……。
いや、俺に殺される価値なんてあるのか?
殺人鬼にすら相手にされないかもしれない?
「爆発しやがれバカヤロー」
俺は降った湧いた得体の知れない不安を拭うかのように呟いた。
-
ニュースが終わり、俺は再びアニメ鑑賞に戻る。
だが、なにかがおかしい。
俺の中に沸いた悲し気な感覚。
初めて感じるものではない。だが、最近は感じたことのない感情。
それはさみしさ。
確かに探偵の助手をやっていた時、俺は孤独ではなかった。
それから急に一転して、一人に戻ってしまったんだ。
そのギャップが俺を傷つけるんだ。
そうか……こういう弊害もあるのか。
俺はその日、細々と泣いた。
-
朝だ。前は憎たらしかった朝が、今日は清々しく思えてくる。
カムリちゃん、それとまぁ、ミッキーに早く会いたいんだ。
俺はせわしなく身支度を終え、急ぎ足で事務所へと向かった。
朝の陽ざしが自然と気にならない。いや、気にする必要がないということなのだろう。
俺の体は前よりも軽快に、事務所へと向かっていく。
-
「おはよう」
「おはようございます」
「おう、おはようなぁ、へっぽこ」
話しかけたら返事が来る。
そんなあたり前なことが、俺にとってはものすごく新鮮なものに思えた。
だが、ポンコツ、お前はダメだ。爆発しやがれバカヤロー。
「今日も依頼が来てますよ」
「ええと、内容は?」
-
依頼内容は、町の外れに倉庫があり、どうやっても開かないので開ける方法を調べてほしいとのこと。
また、それに付随して、その倉庫に人が出入りしている可能性があるため、それも調べてほしいとのこと。
開かないのか、開くのかはっきりしろ。
「たぶん、これは、その人が倉庫を管理しているんだと思うんです」
おお、名探偵カムリちゃんの推理が始まったぞ。
そしてポンコツ、お前はそれらしいBGMを流さなくてもよろしい。
-
「でも、出入りするとなると、人に見つからないように倉庫までたどりつかなきゃいけないですよね?」
「せやなぁ……。うーむ、ってなると、人のいない深夜とか?」
「ううん、違うわ。たぶん、深夜は倉庫から出る時間帯だと思う。他の時間帯だと出入りできるのは昼頃になっちゃうの」
「なるほどなぁ」
ええと、つまりこういうことか。
もし犯人がいると仮定するなら、そいつは深夜に倉庫から出て、昼に倉庫に戻るということか。
ふーむ、となると、相当ひまな人物……って俺じゃん。
「も、もしかして、俺を疑ってるのか、カムリちゃん?」
「え!? ち、違いますよ! それに、倉庫で暮らすならそれなりのお金は調達しないといけませんよ?」
「カムリ、意外とひどいなぁ……」
あの、推理については大目に見てください。そういうの苦手なんで他のとこで頑張ります。
-
「え、ええと、ともかく! 仕事をしていて、昼の時間帯にそれが終わる人だと思います……」
「それ、思いっきりカムリやん……」
「ち、違うよ! 私は探偵だから基本的には事務所にいないといけないし……」
おお、カムリちゃんの取り乱し方が珍しい。
新鮮で可愛らしいなぁ。
カムリちゃんは年のわりにしっかりとしているところがあるが、年相応な部分も持っているということか。
-
カムリちゃんはさっそくタマ警部に掛け合い、近隣の店のシフトを調べてもらうことに。
町中を調べるのだ。
けっこうな時間がかかる。
調査開始は、数日後になるということだった。
それまでは他の小さな依頼をこなしていくことになる。
行方不明の猫を探せ、だとかそんなんだ。
しかし、倉庫の件は長くなりそうだなぁ……。
-
数日後、倉庫の件の調査を開始。
その間の仕事も、それなりに順調だった。
とりあえず、怪しい候補は三人。
一人はコンビニ勤めの男性。次に時計店で働くこれまた男性。最後に、クリーニング屋の女性。
この人たちに一日ずつ、その仕事が終わるときを見計らって声をかけることに。
より確実性を求めるため、ターゲットは一人に絞りたいところ。
そこらへんは探偵・カムリちゃんに任せることにする。
というわけで、まずはコンビニからだ。
-
コンビニ。
ターゲットは柄の悪そうな男だ。
探偵アニメではこういうキャラは真っ先に死ぬという法則があるが、こいつは果たして……。
「あの、少しお話し聞かせてもらってもいいですか?」
「ああ? 俺は今、忙しいんだよ」
悪そうなではなかった。
もはや被害者第一候補なみの柄の悪さだ。
「たくっ、俺は早く帰んねぇといけねぇんだよ」
やはり時間が気になるのか、ちらちらと腕時計を見ている。
気になる点は、腕時計を右腕につけているということか。
「あの、右腕に腕時計をつけているようですが……」
「ああ!? 俺は左利きなんだよ、根暗!」
「は、はい、失礼しました……」
-
男の威圧感に身がすくむ。
根暗って俺のことかよ。つーか、こえーよ……。
だが落ち着けなんとか平静を装うんだ。
「ありがとうございました」
「あれ? もういいの、カムリちゃん?」
「はい……」
「とっとと帰れ」
不快感は残るものの、やけにすんなりと、コンビニの調査は終わった。
ふ〜む。なにか気づいたことでもあるのだろうか。
俺にはよくわからんがなにか見るべき点があるのだろう。
とりあえず今日は帰宅。明日は時計店だ。
-
時計店。
今回のターゲットは少し特殊だった。
「あら? カップルさん?」
女性口調の男性。俗に言う、オカマというやつだ。
嬉しいような、気恥ずかしいような、事実でないことを言ってくれる。
彼(彼女?)も腕時計をしている。
不自然な点は腕時計の時計部分を手のひら側にしていることだ。
カムリちゃんの対応も、コンビニの男と変わらない。
そして、オカマの反応も、その男と変わらない。
案外、調査っていうのはこういう単純なものなんだろうか……。
-
最後、クリーニング店だ。
彼女については他の二人のような不自然さがなかった。
あえて挙げるとすれば、その自然さが不自然かもしれないということか。
ともかく、驚くほどあっさりした調査は、一時的な終わりを告げた。
さて、誰が怪しいのか。
その辺は明日、カムリちゃんから事務所で聞くことに……。
ううむ。現実とアニメは違うし、やっぱコンビニの男か?
ともかく明日を待とう。
-
今日はここまで、次の展開はけっこうエネルギー使うので……。
-
自宅。
明日は何が起こるかわからない。
その緊張感でなかなか落ち着かない。
だが、さみしさを紛らわせていられるのはいい傾向か。
荒事になったらおそらく、俺とミッキーで解決することになるだろう。
やはり、カムリちゃんにそういうことはやらせたくない。
その日俺は、やや早めの時間から布団につき、長い時間をかけて眠りに落ちた。
-
そして、運命の朝が来た。
事務所にはみんなそろっている。
とはいっても、俺とカムリちゃん、ミッキーだけだが。
さて、真相はいかに。
「……今日尾行するのは、あの女の人みたいな男の人です」
え〜。
そりゃあ、怪しさ全開だったよ、あいつは。
でもさ、人を見た目で判断しちゃいけないよ、カムリちゃん?
やっぱりさ、カムリちゃんでもそういうのはダメだよ。
-
「カムリ〜、人を見た目で判断しちゃあかんやろ〜」
「ち、違うよ!」
ナイスフォローだミッキー、と思ったが、どうやらそういうことではないらしい。
では、その根拠とはいかに?
私、気になります。
「あの人だけは、視線が違ったんです」
「そりゃあ、ねっとりしてたからなぁ」
「そういうことじゃなくて、あの人は時計の部分を見ていなかったんです」
え?
しっかり見ていたじゃないか。
何度も何度も確認していたじゃないか、あのオカマは。
カムリちゃん、そういう言いがかりはやめよーよ。今日は調子悪いんじゃないの?
「あの人は、他の二人より時計を見ている時間が二倍近くあった。そして、その視線は時計というよりはもっと前の方、つまり、指に向いてたんです」
「ほう……。なるほど、そりゃぁあやしいなぁ……」
-
「ともかく、昼にあの時計店に行ってみましょう」
「ああ!」
あれ? 前よりでかい声が出せるようになってきてる。
だんだん、ここにいることにも慣れてきたのか、俺は。
……俺は嬉しくて、でもそれを悟られたくなくて、二人から隠れて、少しだけ笑った。
-
昼だ。
ミッキーの便利すぎるステルス機能を使ってオカマを追跡する。
現在、オカマは急ぎ足でどこかに向かっている。
今のところは倉庫の方に向かっているな……。
「ん〜む。しかし、倉庫ゆうても、なにが入ってるんやろうかなぁ……?」
「それは、私もわからないよ」
倉庫……指……指? まさか!
昨日のニュースでやっていた、指が切断されている連続殺人。それに関係があるのか?
いや……考えたくはないが……、もしかしたらということも……。
-
そしてオカマは着実に倉庫の方に向かっていく。
オカマの外見自体は男性そのものなので、誰も気に留めているような様子はない。
ますます怪しくなってきた。
オカマのクロが確定したのは、数分後だった。
やつが倉庫にたどり着いたのだ。
しかし、どうやって入るんだ?
-
「ん〜ふふふ」
オカマが鼻歌を歌いながら倉庫の裏側に回っていく。
そういえば、聞いたことがある。
極めて高い技術力を用いれば、パスワードの入力装置も隠すことができると。
つまりは今のミッキーのような能力だ。
オカマの様子も、なにかを入力しているようだった。
-
「カムリちゃん、ここで待っててくれ」
「え? でも……」
「この先なにが起こるかわからないし、給料分は働きたいんだ」
俺は、まっすぐにカムリちゃんの目を見つめる。
本当はすぐにでも視線を逸らしてしまいたい。
だけど、俺は今、ここで逃げるわけにはいかないんだ。
理屈じゃない、そういう予感がするんだ。
「わいもついてくで」
もとよりそのつもりだ。
情けない話だが、俺はミッキーがいないと荒事は解決できないだろう。
……オカマが入力の動作を終えると、倉庫の一部がくり抜かれたかのように開いた。
俺とミッキーは、それが閉まり終わる前にオカマとともに倉庫に入り込む。
どうやら、表の入り口はフェイクのようだ。内側に扉がない。
-
「もう、あなたは最高ねぇ……ふふ、エレクトしちゃうわぁ……」
オカマが倉庫の奥を見て、恍惚とした声をあげる。
なんだ、なにを見ている?
いや、なにかある。暗くてよくわからないが、なにかあるのだ。
暗闇に目が慣れてきたころ、”それ”ははっきりと俺の眼に映し出された。
午前中はここまで。この後は閲覧注意の自己責任だ。OK?
-
オッケイ!(ズドン)
-
食事中だったら申し訳ない。
それはまさに異形と呼ぶにふさわしかった。
それほどまでの狂気を感じさせる。
まるで、ここだけが現実から切り離され、たちの悪いホラー映画の中に吸い込まれたようだった。
人型だ。針金を骨格とした、人間大の物体。
そして、その肉付けには、人の手の指。それがびっしりと使われていた。
あのオカマが隠していたもの。それは、指で形作られたもの。
つまり、あのオカマは殺害した人たちの指を、あの悪趣味な人形に使用したのだ。
俺は寒気や嫌悪感を通り越した恐怖を感じた。
-
「やつを……ここでやつを捕まえるんや」
「……なに?」
ミッキーの言葉で、少しだけ俺の意識が正常に引き戻された。
しかし、俺に挑めというのか? あの狂人に。
無理だ。できるわけがない。
「あいつがまた殺人起こし続ければ、カムリが死ぬかもしれないんやで?」
「あっ……」
そうだ。カムリちゃんの身に、危険が迫るかもしれない。
俺が居場所を手に入れられる機会なんて、人生の内でいくつある?
もう、これを逃したらこないかもしれない。
なら、俺は戦わなきゃいけないんだ。初めて手に入れた居場所を守るために。
そうはわかっているのに、足がすくむ。前に出たいのに、恐怖で動けない。
どうすりゃいいんだよ。
-
いくらミッキーが高性能とはいえ、一度に二つの命令は実行できない。
ならば、捨てる機能を解いて、あのオカマに立ち向かうしかない。
十数秒。その間に俺は覚悟を決め、ミッキーに命令コマンドを下した。
「剣になれ」
「おう」
俺の手に剣となったミッキーが舞い降りる。
そして俺は、オカマの正面に立っていた。
-
「あら? 機能の探偵さんたち? どうしたのかしら?」
「とぼけんなや。あんたのそれを見て、疑わんやつはおらんやろ」
「まぁ……そうねぇ」
ミッキーに言われ、オカマは人形を見つめる。
その姿はまさしく男に惚れこむ女といった風情だった。
「んふふ、美しいわぁ」
「その化物のどこが美しいっていうんや!!」
-
>>203と>>204の間に入れてください。ミスった……。
「なぁ、へっぽこ、探偵の助手の、いや……、男のすることは相手にびびって震えていることか?」
「……」
「なぁ、違うやろ? 探偵に、女の子にやらせたくない荒事解決するんが、男の仕事やろうが! とっとと立ち向かわんかい! お前はニートでへっぽこやけど、男なんや!」
そうか。そうだよな。
俺はどうしようもなくダメで、クズだけど、たぶん、まだダメになってない部分があるかもしれない。
いや、これ以上ダメになりたくない!
だから、俺は立ち向かって、男になるんだ!
-
>>204
捨てる機能じゃなくてステルス機能です……。
う〜む……。
-
>>205機能でも昨日でもなく、一昨日だよぉ!! うわぁぁぁ!!
「あら、残念。やっぱり、リーダーが探してたとはいえ、所詮マルチロボはマルチロボねぇ」
「リーダー?」
「あら、ついうっかり。やだわ、あたしったら。ま、いいわ。どうせお兄さんもすぐに死ぬんだし、教えてあげる」
オカマは倉庫の奥から、白い手袋を取り出し、それを手にはめていく。
そして、もう一つ、武器を、刀型のマルチロボを取り出した。
-
証拠を残す気はないということか。
「あたしは”神の国”幹部のシンゲン」
「なんやて!?」
そうか……やつがギラクスの言っていた、エヒメに潜む幹部!
”神の国”っていうのは異常殺人者の集団なのか?
しかし、幹部というからにはかなりの実力を持っているのだろう。
もとからの話だが、絶対に油断はできない。
-
「まぁ、なんでかはわかんないけど、リーダーがあなたを欲しがってるのよねぇ。性能は高そうだけどねぇ」
「へっ、そこんとこは否定せんわ」
皮肉混じりに返すミッキー。だが、その声からは焦りが感じられる。
それほどやばい相手ってことか。
でも、行くしかねーだろ、ここまで来たら。
「ああ、そうそう。私のこの、『指人形』が気になるのね?」
-
ちょっと休憩
-
気にならない、というか思考の片隅にも入れたくない。
そんな俺の思いを無視し、シンゲンは嬉々として話始める。
「人間の体で一番重要なのって、指だと思うの。機能美っていうの?」
「……」
くそっ、隙がない。
まともにやりあったら負ける。どうにかして、虚を突かなければ。
幸い、やつはあの人形の自慢に忙しくて攻撃する意志はないらしい。
その間に考えるんだ。
-
「ものをつくるときも、なにか作業をするときも、必要なのは指なのよ? ほんと、人類で最も偉大な進化よねぇ。この電脳世界をつくったのだって指の力。それで、あたし思ったの。人間の体が全部指でできてたらいいのにって」
「それが、お前がそれをつくった理由なんか?」
「ま、そういうことよ。だから、お兄さんの指も、この人の一部にしてあげるわ」
冗談ではない。
あんなおぞましいもののパーツにされたくない。
だが、可能性は低いが勝ち目が出てきた。
あとはあいつに悟られないようにするだけだ。
「ミッキー、適度にな」
「ん? なんや、へっぽこ?」
「んふふ、無駄話はおしまいよ、死んでちょうだい」
そして、戦闘が始まった。
-
やつの方が実力で勝っているのは、すぐにわかった。
シンゲンの太刀筋は、速く、重い。
俺は殺されないようにするのが精一杯だった。
だが、これでいい。一瞬だけ、一回だけでいいんだ。
やつにミッキーが触れさえすれば。
-
「うふふ、あたしには遠く及ばないけど、わりといい動きしてるじゃない?」
「ま、わいのおかげやな」
「
ミッキーも俺の計画を知っているのかはわからないが、会話で奴の気を乱してくれている。
そのおかげで、ギリギリながら俺も避け続けることができている。
俺の体力が尽きるのが先か、やつが隙を見せるのが先か。
ともかく一片の油断もしてはならないといった状況だ。
-
「あ〜、まだるっこしいわねぇ……」
「ふふん、わいの性能なめたらあかんで。このへっぽこじゃなかったらお前なんぞズッタンバッタンのヘロヘロや!」
「あらそうっ!」
思ってたより俺が死なないのが気に食わないのか、シンゲンの顔に苛立ちが走っている。
これは、チャンスかもしれない。
「ああ!? もうとっととくたばれやヒョロガキガラクタメカ!!」
「んなっ!?」
素が出たのか、ドスの利いた声で叫ぶシンゲン。
だが、それが俺にとっての勝機だった。
まっすぐに振り下ろされる刀の致命傷を避け、ミッキーをやつの額部分に当てる。
そして俺はミッキーに、命令を下した。
「爆発しやがれバカヤロー!」
-
「へっぽこぉ!!」
ミッキーの俺を恨むような声。
悪いな、俺にはこうするしかなかったんだ。
でも、最初に、適度にって言っといたから、壊れはしないと思うぞ。
……俺と、気絶したシンゲンは吹き飛ばされていた。
俺だけ意識があるのは、命令した時点でミッキーから少し離れていたのと、向こうほどあたりどころが悪くなかったためだ。
ともかく、俺は幹部に勝ったんだ。
俺は安堵して、へなへなとその場に崩れ落ちた。
-
ミッキーも見た目ほどはダメージを負っていないのか、ギラクスの時と同じくロープになってシンゲンを拘束する。
あとはここから出て、このオカマをタマ警部に提供するだけだ。
俺は、入ってきた本当の入り口に立つ。
……まではいいのだが、最悪だ。
ここ、内側からもロックがかかってやがる。
知ってるのはこのオカマのみ。
そして、こいつが喋るとは思えない。
やべーな、どうするんだ?
-
だが、その問題はすぐに解決した。
どうやってパスワードをクリアしたかはわからないが、呼んだのはカムリちゃんだろう。
タマ警部他数名が、倉庫に入ってきてくれた。
ともかく、出られる。
また俺が安堵している時、タマ警部の声がかかる。
「おう、無事か、坊主。……。ふっ、男、見せたようだな」
タマ警部の視線の先には、シンゲンの姿。
なんだかよくわからないが、人から認められた。
それは俺にとってたまらなくうれしいことだった。
だが、タマ警部は倉庫を見回し、”あれ”を見て顔をしかめる。
「ちっ、ああいうのはカムリちゃんには見せられないな」
同感だ。
あんなグロテスクな物体は、女の子が見ていいものじゃない。
タマ警部の部下と思われるものたちによって、『指人形』は覆い隠された。
-
「そういえば、なんでここを開けられたんですか?」
「へっ、警察ナメんな。そういうツテくらいあるってことだよ。それより、そいつに事情聴取したいんだろ、そっちも」
「タマちゃん、それはこのへっぽこやなくて、カムリのすることやで」
「ふっ、そうだったな」
なんだか失礼なことを言われた気がしたが、今回の話は無事解決したようだ。
残るのは、カムリちゃんの両親についての情報。
それは、警察署でタマ警部と聞くことになった。
それにしても、タマちゃん?
似合わねーだろ、この頑固で生真面目そうなオヤジには。
-
警察署。
タマ警部を交えた事情聴取が始まった。
カムリちゃんが聞くのはやはり、両親のこと。
それに対するシンゲンの反応は……。
「心当たり……あるわよ?」
「ほんとですか!?」
「ええ」
幹部だからなのだろうか。
どうやら当たりを引き当てたようだ。
「あたしの他に、もう一人幹部がいるんだけど、そいつの仕業かもしれないわね」
「その人はどこにいるんですか!?」
「まぁ、慌てないの。……そいつは、リーダーと同じ地域。トウキョウにいるわ」
両親のことになると、カムリちゃんは熱くなる。
それほど彼女の中で両親は大事なものだったのだろう。
……やはり、カムリちゃんの両親が殺された地域に潜伏しているようだ。
だが、リーダーもいるのか?
また、やっかいなことになりそうな予感がするな……。
……あまり言いたくはないが、そこで調査するための金も必要になってくるだろう。
-
「そのリーダーってやつは、電子太陽を落としたあと、どうするつもりなんだ? それと、お前はそんなにベラベラ喋って大丈夫なのか」
「あぁん。警部さん、そんなに質問責めしないでよ。……そうねぇ。リーダーの考えること、っていうか言ってることは誰にも理解できないは。ああいうの電波っていうらしいわね」
リーダーが電波って、大丈夫なのか、”神の国”。
いや……あんまりそういうのは関係ないのか、組織ってのは。
ともかく、まだシンゲンの話は終わっていない。
最後まで聞こう。
「でもねぇ、リーダーは放任主義……っていうのも違うわね。幹部にも真意を話さないから、別に、あたしたちが裏切っても、なんのデメリットもないのよ」
「……なるほど」
「ま、大人しくお縄につくわ。外にいる間は楽しかったしね……」
こうして、開かずの倉庫と、エヒメ連続殺人事件の幕は降りた。
後で聞いた話ではあるが、シンゲンは刑務所の中で自殺したらしい。
その動機は、指が少ししか見られなくなったから。
シンゲンは最後まで、狂気を貫いていた。
そして……。
-
「私は、トウキョウに行きます。今回の件で、お金も、十分になりました」
「わいもついてくで。へっぽこはどうするんや?」
「……俺も連れていってくれ」
「……いいんですか?」
「いや、お願いしてるのはこっちだ。金も、少しくらいならなんとかなる。まだ俺は、カムリちゃんのことを手伝いたいんだ」
「……わかりました! ありがとうございます!」
そう、探偵事務所はトウキョウへ、一時的に出張することになった。
俺のかすかな貯金と給料を合わせれば、一か月くらいは生活できるだろう。
仕事がほしい、そして、孤独に戻りたくない。
そんな想いが、俺の意志を固めた。
「そや、太陽研なんてどうや?」
「え? ミッキー、なにが?」
「あれやろ? わいらは”神の国”に立ち向かうんやろ? なら『太陽を守るための研究会』、略して太陽研って名乗らなあかんやろ」
「ぽんこつ、お前もそこまでぽんこつになったか。守るはどっからきた? なにを研究するんだ?」
「揚げ足とんなや、へっぽこ! そんなんだからいつまでたってもへっぽこなんや!」
「なんだと!?」
「あ……あの……」
口論を続ける俺とぽんこつ。
それをどうしたら止められるか戸惑っているカムリちゃん。
ああ、俺は今、幸せなんだな。
『太陽研』は、二日後、トウキョウへ出発することになった。
第二章(安価↓でタイトルを入れてください) 完
-
第三章
二日後、俺は旅支度を、カムリさんはそれに加えてご近所への対応を終え、空港にたどり着いていた。
ミッキーも、どうやら飛行機に乗せても大丈夫らしい。
しかし、俺は高いとこ苦手なんだよなぁ。
というより、危険地帯にいるのに、他のものに身を任せているって感覚がいやだ。
とりあえず、何事もないのを祈ろうか。
-
「へっぽこ、飛行機は初めてかぁ?」
「ああ、そういやそうだった。あと、へっぽこ、っていうな。カムリちゃんは?」
「昔、カンサイからエヒメに行く時に乗りました」
ああ、やっぱりカムリちゃんはカンサイ出身だったのか。
しかし、あれだなぁ。
ご近所付き合いっていうのも大変なんだろうな。
俺は半引きこもり状態のニートだったから、そこんとこはわからん。
でも楽しいこともあるんだろうなぁ。
-
「ふひひ……あの子いいなぁ……」
少し目を離した隙にミッキーが空港にいる幼女を物色している。
気持ちはわからんでもないが、やめろ捕まる。
俺は強引にミッキーと向かいあう。
ああ、なんだこの構図。
ロボとニートが向かい合うって誰得だよ、マジで。
「もう、なんやねん。わいにそんな趣味ないで」
俺にもねーよ。
お前がうらやま……犯罪を起こしそうだったから止めただけだ。
そういえば、こいつの性別っていうか、人格は男だよな……。
そもそもそういう区切りはあるのか?
-
「ふ、二人とも、そういう関係だったんですか?」
違う。違うんだ、カムリちゃん。
ああ、あれだな、ミレイさんたちの悪影響だな?
ダメじゃないか、いたいけな少女にそんな変な影響与えちゃ。
まったく、けしからん。
まぁ、あれはあれで眼福だったけど……ってそうじゃねーよ!
「いや、カムリちゃん、誤解だから」
「で、でも、そういうのも有りだと思いますよ!?」
うん、人の話聞こうか、カムリちゃん。
それからそれはどういう意味でだい?
カムリちゃんは純粋だから、認めるって感じの意味だと思いたい。
いや、別の意味はないだろ、たぶん。
-
あ、あの子可愛い。
……っていやいやいや。
ぽんこつと同じことしてどうすんだ。
それにカムリちゃんもいるだろ。
あれ? 俺にとってカムリちゃんってなに? 雇い主? 友達?
その答えはわからんが、今、幼女を見るのは色々とまずい気がする。
幸い、飛行機はもうすぐくるようだしな。
我慢しよう。
-
ともかく、飛行機が来たようだ。
諸々の準備はすでに済ませてある。
あとは乗り込むだけだ。
だけだったんだが。
「……」
「だ、大丈夫ですか?」
「ああ、うん、ヘイキ」
酔った。
侮っていた。この浮遊感。体がイスへと押し付けられる感覚。
う〜む、しばらくは大人しくしてるしかないか。
ミッキーも混乱を避けるため、今は黙ってカムリちゃんの膝元だし。
くそぅ、うらやまけしからん。
うっ、吐き気が、アメとかないかな?
-
「REC」
なにをやってる、このぽんこつは。
え? 前に幼女でもいるの? 電波使ってないの?
そういや電脳内部ってどうなってんだ。
自分の血は見たことあるけどなぁ……。
俺ってあんまり世間のシステム知らないんだなぁ。
あ、ちょっと気が紛れた。
-
ようし、周りの景色を見ればいいんだ。
左隣りにはカムリちゃん。その奥には、雲の見える窓。
そして右には、銃を持った男。
……ん?
いや待て、なにかおかしいな、なんだ?
左。カムリちゃんよし。右。銃を持った男よし。
……よし、じゃねーよ。
-
「動くな」
おい、まるっきりピンチじゃないか。
おもっくそハイジャックやないか、このおっさん。
ええと、どうするん、マジで。
今動いたら確実にやられるで。
あ、でも乗務員さんがなんとか……。
「他の奴らも動くな! 動けばこのガキを殺す!」
あ、こういう場合、俺って人質なのね。
しかし、まじでどうすんべ?
勝ち目ねーやん。奇跡にでも頼るん?
……いや、一つだけある。
ミッキーだ。あいつはミッキーの存在が頭に入っていない。
そこを利用する。
-
ものすごく慎重に、ばれないように。ミッキーに視線を送る。
レンズがそれを捉えてくれたか、ほんのかすかにミッキーの体が揺れる。
あとはもう、時の運だ。
なんで産まれて初めての飛行機でこんなベッタベタなハイジャック被害に遭わないかんのだ。
ミッキー、勝負は一瞬だぞ?
わかってるか?
-
「そりゃぁ!」
ミッキー渾身の体当たりがハイジャック犯に激突。
頭だ。ものすごく痛そうだ。なにかが割れる音がした気さえしてきた。
頭蓋骨大丈夫なんだろうか……。
しかし……ハイジャック犯って一人なん?
「か、神の国……万歳……」
あ、一人だった。
というかまた、神の国かよ。追っている身とはいえ、本当によく会うな。
う〜む、こいつは下っ端か?
ともかく、ミッキーがいつも通りロープに変形する。
あれ? でもこれってまずくない?
-
「そ……その……変わったマルチロボなんですね……」
やっぱり。こんなマルチロボ、他にいねぇ。
注目が集まるのも無理はない。
でも、変わったで済んでるのはそれはそれでどうかと思うけどな……。
「ふふん。デートのお誘いなら乗らんで」
「え? あの?」
お前は調子づくな。立場わかってんのか、ぽんこつ。
話しかけてきたCAのお姉さん混乱してるだろ。
あ、でもお姉さん手際良い。
もう”神の国”の下っ端から銃を奪い取っている。
慣れた動きだ。ベテランさんだろうか。
-
周りが少しざわついているが、ことなきを得たようだ。
とりあえず、この下っ端には後で事情聴取をするか。
あ、でもタマ警部がいねぇな。
「俺を探しているのか?」
後ろの席からひょっこり顔を出すタマ警部。
いや、ちょうどいいけど、なんでいるんだよ、あんたは。
仕事はどうした、仕事は。
「休暇だ」
俺の考えを知ってか知らずかタマ警部は俺の疑問に答えてくれた。
休暇なら仕方ない。
でも、いるならハイジャック犯に対してなんらかのアクションを起こしてほしかったなぁ。
"
"
■掲示板に戻る■ ■過去ログ倉庫一覧■