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【賛美の歌が響き】能力者スレ 置きレス用【氷の世界溶かしてく】

1 : 名無しさん :2018/05/09(水) 13:06:30 JPvz6X4o0
ようこそ、能力者たちの世界へ。
この世界は、数多の能力者たちが住まう世界。

こちらは置きレス用のロールスレです。
リアルタイムの進行が難しい時などにゆっくり使用できます。
混乱を防ぐため、なるべく最初から置きレス進行になる場合のみご活用ください。
時間軸は開始時・終了時など、当人同士で相談し合うとスムーズになります。
次スレは>>950の方が立ててください。


2 : キング ◆/iCzTYjx0Y :2018/05/13(日) 00:42:46 YPBLlEbw0
>>1乙です。



>>1000

【誰だってそうだった。手荷物がいっぱいで、かと言って誰かに"持って"とは、なかなか言えない。】
【そうしている間にも、両手いっぱいの荷物のほかに背中、足、胸と荷物はぶらさがり続けていく―――でも。】
【それだって一つ一つ、どうにか出来ると思っていたらパンク。出来る人間だからこそ、優しい人間だからこそ、そうなる】

【キングはそうやって破裂する人間が居ることを目にしてきた。別に、恥じる必要はないのだ。】
【許容量を把握していない、とか、もっと人を頼る術を身につけろとか、そうやって言う人もいるけれど】
【そんなの、分かっていても荷物は増えていく。何故なら、そういう人間に限って、みんなが荷物を、託すからだ】

【だからその一杯一杯の状況というのは―――それだけ信頼を浴びている証拠、でもあった。】


―――泣きたくても泣けねえんだよな。こういう時って―――泣くことすら許せなくなって。
でも良いんだぜ、幾らだって泣いちまって良いんだ。受け止める人間はいる、オレが居てやる。


【お気に入りのダブルス。黒のライダースジャケットは頑丈だ、ちょっとやそっと握ったところで、潰れはしない。】
【ただ中に着ていたシャツだけはどうにもならず、くしゃくしゃになってしまうけれど―――構うものか。大きなハンカチと思えばいい。】
【もとより、この男の胸は女を受け入れるためだけに存在しているのだから。幾らでも汚せばいい、くちゃくちゃになればいい、それで―――涙が止むなら。】


……オーケイ、オーケイ。
泣き止んだかい、質問は―――あ〜、ちょっと長くなりそうだしな。

その前によ、頼みがあるんだが―――鈴音ちゃん、オレ、昨日の晩から何も食ってなくてそろそろ胃袋が悲鳴上げそうだ。
飯でもどうだい、話は食いながらだって出来る。ホラ、まだ暖かいぞ―――キング様特性の朝食セットが待ってる。キミもおなか、すいただろ?


【頭を撫でてやりながら、再度の提案。栄養の問題もあるが、精神の問題もある。大抵の事はごはん食べれば、なんとかなるのだ。】
【食べても気分がどうにもならないことだってあるけれど―――それは食べてから考えてみてもいい。とにかく、元気は胃袋から。】
【キングは片手でカウンター席を指さす。いつもは鈴音が居る其処に、今度はキングがエプロンして立つ番だ。たまには、それもいい】


3 : 名無しさん :2018/05/13(日) 00:58:44 vNoKwyD60
>>2

【――――それでも、まだ、事態は何にも進んでなかった。今したのは、ほんの始めの、本なら本を開いたくらいで、まだ、目次だって見ていないころ】
【それだってうんと勇気を使った様子の少女は――自分よりうんとおっきな背丈の彼に縋って、そうやってしばらく、していたのだけど。やがて疲れて来る、というか】
【精神がそうであったように、身体も割と、疲れ果てていたものだから。涙を流して、子供みたいに泣いて、それで、ちょっと気がまぎれた。なら、次にすることは】

――――――――――ぅん、

【おなかがすいた……という感覚は、残念ながら、薄かった。だけど、身体中がぼーっとして、重たげで、ぐるぐるって、毛糸玉を詰め込まれたみたいな、様子だった】
【魔力欠乏による口渇と空腹感。だけれどあまりに進んでしまったなら、肉体への認識が朧気になりだしている。頭を撫でられたなら、それでも少し、目を細めた】
【そうしたなら、――こくん、と、頷くのだ。それで――誘われたなら、少女は、ほんとうに数日ぶりに、部屋を出る。はだしのまんま、寝間着のまんま、だけど】

【だからってこれで着替えろとか風呂に入れとか何しろとかあれしろとかは――言わない方が、いいだろう。今はこれで。このままで。ふっと向いた気持ちの方向のままがいい】
【いっぱい泣いてしまった後のなんとなくぼんやりした腫れぼったいような雰囲気で、少女は示された場所……カウンターでも、テーブルでも、どこでもいいけど】
【そこに、ちょん――と、音もなく、腰かけ、】

【――なくって、一緒にカウンターの中までついてきて、運ぶものがあれば、って、尋ねるのだろう。どこか申し訳ないみたいに、引け目があるみたいに】


4 : キング ◆/iCzTYjx0Y :2018/05/13(日) 01:23:01 YPBLlEbw0
>>3

【確かに。まだ何も進んでいない、しかし閉じた本は読むことが出来ないけれど、開けば話は別だ。】
【カギが掛かって読めなかった本をようやっと開いた、それが現状である―――キングはひとつホッとしたようで。】
【尤も、言う通りまさにここからが本当の正念場なのだけれども―――それはともかく。飯の用意をしようと、カウンターに入った】

【……入ったところで、振り返ればそこには鈴音。おいおい、と笑うキング。】


ヘイ、キュートガール。キミの事だよ、他には誰も居ないぜ。
鈴音ちゃんは休んでてもいいんだぜ? カウンターに二人も居たら持て成すのがどっちか分からないじゃないか。

……とは言え。給仕さんとしちゃ、放ってはおけない性分だよな。
それにキミが落ち着くんなら手伝ってもらうのもアリ、かな。オーケイ、それじゃ―――そうだな。


【フライパンから移されていたベーコン・エッグ、冷蔵庫に入っていたサラダ。】
【小さな鍋一杯のお手製コーン・ポタージュにトースト、ウィンナー、それからコーヒーと】
【キッチンにはあれこれ皿やら食器やら並んでいるので―――折角だし、手持無沙汰の彼女に】


お皿、持ってってくれるかな? UTの頼れる給仕、さん!
いや、世界一かわいい給仕さん、とかのほうが合ってるかもな。

カウンター席に運んでくれると助かるよ、オレも食いたいからスプーンとフォークは二つずつ頼む。
それからバター、ジャムあたりも。コーヒーはミルクを? オレはブラック派だけど、鈴音ちゃんはどうする?


【手際よく指示を出して、朝食のそれぞれを運んでもらおうとするだろう。それに、コーヒーの加減も聞いて。】
【自身は後片付けをこなしながら朝食の体制へ。なんとも―――普通の朝、らしくなってきた。少なくとも、今だけは。今くらいは。】


さ―――飯だ! 好きな物好きなだけ食ってくれよ、悪いけどオレマジで腹ペコなんだ。
大量に用意してあるけど全部消費できる予定だから―――早い者勝ちだ、おかわりは急げよ鈴音ちゃん?

ってなわけで! 頂きます―――。


【かぶりつく。コーヒーを流し込む。トーストをあっという間に一枚かじれば二枚目、今度はジャムを塗ったくって。】
【貪るようにして次々口に入れていく―――全くの余談ではあるが、味はかなり美味い筈だ。ホテルのそれ、くらいには。】


ん―――む。トーストの加減がちょいと甘いな……もっと焼いてもよかったか。
ああ、それでね鈴音ちゃん。質問ってのはその―――あれだ、あれ。

……いやさ、オレもそうなんだけど。セリーナも確か、そうだったと思うんだけど―――え、あれ?




カニバディールって敵じゃねえの? あれ? オレさ、アイツの事バイクの前輪で踏みつぶしてグチャグチャにしちゃったんだけど―――、

……聞いちゃまずかったかな、これ?

【ド直球。ちょっと気まずい話題だがもう仕方ない―――突っ込むしかないのだ。突っ込むしか。】


5 : 名無しさん :2018/05/13(日) 01:49:22 vNoKwyD60
>>4

【――――勝手についてきて、勝手に彼の後ろでぽつん、って、立っていた。所在なさげに。バス停の重しに時刻表の代わりに刺されちゃった案山子みたいに】
【自分の服をきゅっと握って、じーっと立っているから。おいおい、なんて、笑われても――、そうしたいってわがままするより消極的に、居残って】

――んん、ん、でも、……。

【ふるふるっと首を揺らす。それこそ本当に手持無沙汰なんだろう、何か手伝いたい気持ちはもちろんあるのだけど――それより、ただ待っているのが、嫌なように見えた】
【何かしていたいのかもしれない、それは引きこもっていた引け目でもあるし、何か動いていないと後ろから"何か"に追いつかれてしまいそうでもあるし、なら】
【任されれば、少しだけ明るい顔をするのだ。満面には程遠いけど、一瞬、たしかに、ちょっぴり笑って――預けられた皿を。これはやはり手慣れていて、上手に運ぶ】
【多種多様な食べ物にバターもジャムも。カトラリーも二セット運んで、ただ、珈琲については一瞬ためらう、――それから、ミルクとお砂糖、どっちもたくさん、って答える】

【それから――机の上に全部の食べ物が並ぶ。飲み物も、ぴかぴかのカトラリーも、なら、やっぱり気分はちょっとだけ、明るくなる】
【ならばやっぱり"食事"に執着があるタイプなのだろう。少しうれしそうにして、カウンター席に座った足をふらふら、血の気が悪い肌色に、ちょっと朱が差した気さえも】

…………――いただきます、

【控えめな声。さぞ大事なものであるかのようにトーストを一枚手に取って、端っこを齧る。さくり、と、軽い音。久方ぶりの食べ物に、うんと身体が喜ぶ感覚が】
【――それを認識したら、もう、そこから先はすごかった。といっても性別も体格も違う彼にはもちろん敵わないのだけど、それに匹敵しそうなくらい、いっぱい食べるから】
【バターとジャムどっちも塗ったトーストを齧る。嬉しそうに表情が綻んで、もう一口、もう一口――ほっぺたにちょっとだけジャムがついてる、けど、気づかないまま】

……カニバディールは、

【咀嚼したのを飲み込むまでの間、沈黙だった。こくんと飲み込んだなら、唇にくっついた細かいパンくずを拭う、わずかに目を細めて】

黒幕と円卓を倒す間、だけ――、

【――いろんな説明をするには複雑すぎるから、とりあえず一番大事なところだけ、っていう、そういう様子だった。だけど。だからこそ】
【相手にはかえって伝わりづらいときもあるかもしれない、――そもそも黒幕、だの、円卓、だの、知らねば知らないのだ、だけど彼女はそれを"知っている"】
【"知っている"どころか"巻き込まれている"――もしかしたらそれ以上に、中心に近いところにさえ、居るかもしれない。そう思わせた、なら、少しだけれど繋がる気もする】

【黒幕と円卓を倒す――それこそ給仕であるとはいえUTに所属する少女と、機関で名をはせるカニバディールが同盟を組むほど、"ヤバい敵"を相手取って】
【だからこそ彼女が"脅された"可能性。――結局彼女はUTの関係者であるけれど、直接の戦闘力ではない。脅す意味は、そう高くないように、思えた。のだけれど、】
【それらに巻き込まれている"白神鈴音"にはその価値があるのかもしれなかった。UTに対しての価値ではない、違うものに対する価値。そして、そのために、UTでしてきたことが利用されている】

【だからこそリーダー不在が刺さってくる。別件と別件であったはずの出来事を敵の手によって繋ぎ合わされて、だけど、頼ることは、出来ないと思ってしまった】
【ずっと避けられていると思っていた。そうなんだって信じてしまっていた。面倒ごとばかり持ち込んでしまうから。ここでさらに面倒ごとを持ち込むのは――できないって】
【セリーナに負担をかけないように。今まで上手にしてこられなかったから。今度くらいは。少しくらい無理してでも――って、頑張ろうと、してしまった】

【――――だから。本当は。いろんなタイミングが悪かっただけ、だった。だけど。だからこそ。最悪はいつだって、そんな瞬間をにたにたしながら、待っているに違いない】


6 : キング ◆/iCzTYjx0Y :2018/05/13(日) 02:13:49 YPBLlEbw0
>>5

ん。召し上がれ! たんと食ってくれ、朝だけは腹いっぱいにしないとな!

【ようやく、少しだが表情に明るさが戻った。やはり、食事は相当に拘るタイプだけあって―――】
【とても嬉しそうにトーストを頬張る姿を見れば、キングも楽しくなってくる。よかった、食べてくれた、笑ってくれた。】
【コーヒーにミルクと砂糖をたっぷり入れて、同じく食卓に並べる。それからはもう、二人してぱくぱくと、ひたすら朝食を食べていた。】

【本当は。だからこそ、こんな素敵な時間だからこそ、邪魔はしたくなかったし。】
【ジャムで口を汚して、ウィンナーをもぐもぐして、ベーコンエッグを口いっぱい放り込みたかったんだけれど】
【それでも、矢張り触れないわけにはいかなくて。カニバディール、セリーナにとっては宿敵と言える彼について―――キングは問うた。】


(歯切れ悪いな―――黒幕。円卓。知らねえ単語だ、"誰の事"を指してる……?)
(で、言葉尻から受け取るに……こいつはセリーナも知らねえ事態なんじゃねえか……?)

……なるほど、あー、わかった。
つまりだ、機関やDRUGSやらよりよっぽどやべえ敵が―――、"黒幕"ってのが現れて。

そのクソッタレをブチのめす為に一時的に協力関係にある―――そういう訳だな?
そいつは仕方ねえ話だ。それで、そのことは―――多分だけど、セリーナは聞いてねえ。そんなところかい。


【鈴音という個人の存在に便りがあった話。舞い込んできた話、巻き込まれてしまった事態。】
【であればこそ、現状セリーナとはうまくいっていなさそうな彼女が、そんな危ない話を―――セリーナにできているのか。】
【キングには疑問だった、そして恐らくはできていないのではないかと、そう踏んで。だから踏み込んだ意見をぶつけるだろう、そしてさらに続ける。】


―――セリーナと、なんかあったのか。黒幕って―――誰の事だい。


【ある意味で核心。二つの質問、これが一番重要であろう事を、聞いて。】


7 : 名無しさん :2018/05/13(日) 02:28:44 vNoKwyD60
>>6

【――さくり、と、少しかりかりになった耳を口の中に追いやる、もぐ、もぐ、考えるだけの時間を稼ぐために、ゆっくり、噛む】
【出てきてしまった時点で彼女も彼女なりに分かっていた。話さないといけない。――どれだけ嫌でも、制服を着ちゃったなら、学校に行かなきゃならないと思うのと同じ】
【それを脱いだら別に家からでなくっていい。別に着たまま家の中で過ごしてもいい。そういうのは――なんでか思いつかないもので、だから】

…………セリーナと喧嘩、……する、より、後のことだった、から、

【ごくん。……飲み込んでしまったなら、仕方なくなって、少女はぽつん、と、答えるだろう。セリーナに話せなかった――ずっと、避けられているからだと思っていた】
【けれど――その実態は、少女が深く巻き込まれたとき、すでに、セリーナは居なかった。うんと甘くしてもらった珈琲のカップを手繰って、少しだけ、すすりこむ】

……セリーナ、は、……知らない、かも、しれない、――、

【ならば、彼女はセリーナが件のことを知っているか、さえ、知らない。分からない。目線を下げて、悲し気な声を出す――そんなことも、知らないのに】
【仕事を代わるから休んでいろ、だなんて、ばかみたいだった。"みたい"じゃなくって本当に馬鹿だとも思う。死んだって治らないくらいの――大馬鹿、だって】
【――核心に踏み込む質問に、少女はまた、少しの間、黙ってしまう。珈琲を無意味にくるくるスプーンで混ぜて、何度も、何度も、混ぜて、でも、答えは見つからないみたいに】

喧嘩、……したの、でも、――わたし、が、わるくって、わたしがっ……、なんにもできないのに、銃も、お金のことも、なんにも、わからない、のに――、
代わる、って、……できるはずない、って、銃も握れないのに、って、でも――休んで、欲しくって、…………わたしじゃ、だめなら、ほかのひとを、呼べって――、

【ぽつ、ぽつ、と、言葉はとぎれとぎれに漏れていく。本当に時々泣いてしまいそうな声を出して、だけどなんとかとどまって】
【カップをぎゅうと握る――力が入ってしまったなら水面がざわざわ揺らいで。ならば少女の心中を仮に映し出しているみたいにも見えた、――でも、救いは、あって】
【――目の前の彼。まさに彼が。彼女の中で、救いだった。自分じゃあ駄目だったことを、出来るひと。自分にはできないと言われたことを――任せて、もらえる、ひと】

【――――――――――安堵した、表情だった。そういうひとが居てくれてよかった、って、心底、思っているみたいに】

黒幕、は……、……。……世界を、征服、するの、機関と、手を組んで……。

【――――知っていることはある、けど、それを、すぐにずらずらって並べるには、時間も労力もかかる。なら。まずは最低限、分かりやすく、必要なことを】
【だけど同時に不完全だとも、分かっている。――なら、一つ一つ、言葉で確かめていけば、いいだろう。幸いにも会話する意思はあるようだった、から】


8 : 名無しさん :2018/05/13(日) 03:26:31 XqQAhkbc0
>>968

――――――っ!!


【相手は能力を発動していた―――『鏡』の能力】
【仮面の中でドラが目をひそめる。ついに使ってきた能力で視界を確保して放たれた弾丸は―――キャットⅢの膝パーツに命中した】
【最も、足技主体のドラに合わせて胴と同じくらい膝パーツは頑丈、キィン!という音とともに大きな火花が舞ったが装甲は砕けない】
【だが弾丸の衝撃でキャットⅢの体勢を大きく崩すことには成功した―――バタァン!とあらぬ方向へと転がっていく……が、転がる勢いを利用して回転しながら起き上がった】

【じぃん、と右足に走った衝撃と、痛みに「いてて……」とぼやきながらキャットⅢはなおも低めの姿勢からカチューシャをまっすぐみる】


……ふふ、うふふ……『Разбитый』、『 Стеклянный』…… 『Синдром』……
『Broken』……『Glass』……『Syndrome』……!ようやく見せてくれたねえ……きみの能力を。そうか……ああ、なるほど

(……やっぱりそうだった。身に付いた能力も『狙撃』の補佐として機能するタイプだ。能力そのものに攻撃力があるなら
今の一手でも、ちょっと前の一手でも多面的な攻撃でぼくを捉えられたはずだ。あくまでも―――攻撃手段はあの『銃』なんだ
だから、多方向からの一斉攻撃などはない。攻撃の予兆を見抜きさえすれば……致死ダメージだけは寸分で躱せる)


【蹴りを止められはしたが、キャットⅢは折れない。もうひとつの狙いをようやく定めることが出来たからだ】
【狙いは彼女の能力の『見極め』だ。系統はどの部類に分類されるか。どれほどの攻撃性能があるか。『一手』でも使用してくれれば推理もできる】
【がん、がん、と右足で地面を踏みしめ、足の様子を確認した後キャットⅢはカチューシャに言葉を投げかけた】


……いいね。≪R.I.P≫のエルヴァレッタ……いや、アルバレスト・ウェルダス戦以来の大勝負だ。燃えるじゃないの
正直ぼくはきみという敵がかなり好きになって来たよ……負けず嫌いっぷりが結構ぼくと似通ってるしね。その筋金入りの『負けず嫌い』っぷりは生まれつきそうなのかい?
気に入った。かくなる上はとことん自分を懸けよう。もしも万が一ぼくに勝利する事があれば……ぼくの事は好きにしてくれてもかまわないぜ

そのかわりきみが負けたら……きみのおっぱいの所有権は今後ぼくの物だ。


【血迷った発言が聞こえた気がする。精神的なゆさぶりのつもりだろうか】
【そんなことはおかまいなしにキャットⅢはびっ、と人差し指を伸ばし、カチューシャの方向に付きつけながら言い放つ】


―――残り『二撃』。二撃できみは詰む。せいぜい自分を守り切れ


【言い切るや否や彼は再び右方向に走り去るように体をぶらし―――直後、方向転換しカチューシャの左手方向へと駆け出した】
【フェイントだ。もう一度右に動き彼女の目線が鏡へと移るように誘導し―――その瞬間に直角に曲がり俊足を生かし距離を詰める!】

【フェイント、そして先の『必殺予告』。どう駆け引きする―――?】


9 : 院長中身 ◆zO7JlnSovk :2018/05/13(日) 11:15:26 ABHv169.0
>>8

【ドラを見下ろしながらカチューシャは、左手で胸元から銃弾を取り出す】
【豊満な胸が揺れる、艶めかしい肌が濡れて大きく震えたなら、はだけたスーツから零れ落ちそうなほど】
【そうして手に握った銃弾を、鏡の中に投げ入れる──銃弾は鏡を経由し、装填されていく】

【能力を用いたリロード。──狙撃手に隙はない】


坊やには刺激が強かったの、直ぐに果ててしまっては詰まらないの
私が素肌を見せたなら、優しく強く抱きしめて、そのまま悦を耽りましょう
そうして夜が耽るまで、蜜垂れる月に濡れてしまえて?

──カチューシャは惨めな負けが嫌いよ、蹂躙されるのは嫌いじゃないけど
でもそれはね、ベッドの上じゃなきゃやなの、天鵞絨のシーツならあんあと啼けど
戦場で啼くには坊や程度じゃ、全く届かないから

ふふ、そうね、なら──私が勝ったら、坊やには私の狗になってもらうの
素膚を濡らして首輪をつけて、囀ることの無いように口には枷を嵌めましょう
素敵な催しでしょう?──坊やにはぴーったり


【ドラのフェイントを交えた疾走。鏡の視界があれど、彼女には左目のハンデがあった】
【一手の遅れ、表情の水面に大きな波紋はなくとも、そこには確かに真剣な眼があって】
【呼吸を静かに吹かす。右手の人差し指は引き金をなぞった】



──口だけは立派ね、下のお口も立派なら良いけど
突かれる悦びも知らない坊やが、一人前の口をきくなんて、お笑い種よ


【銃声が唸る。破裂する銃弾が、空間を引き裂きその尾を伸ばした】
【低い弾道で放たれた其れは呼吸を読んで "置かれた" 銃弾】
【ドラが最高速で接近する限り、必ず頭部を撃ち抜く軌道で放たれた弾丸であった】

【近接戦をも可能にするカチューシャならではの狙撃、回避そのものは難しくないが、その場合一手遅れる】
【それは泥沼の水中戦宜しく、自身の遅れを強引に取り返しはせず、相手も引きずり込もうとする一手】
【両脚を軽く開いて、柔らかな頬で銃身を支えた。甘えるように小さく傾げさせて】


10 : ◆jw.vgDRcAc :2018/05/13(日) 14:31:54 OX.x04tc0
>>989

【さらに、情報が提供される。文書の流出元はなんと機関員だという……。また新たなヒントが、脳内にインプットされる。】

リーク元が機関員。なるほど……か、かにちゃん?なんというか、可愛らしい……
でも……それが本当だとすると、機関の内部にも、今の能力者弾圧の流れが喜ばしくない人が居るという事ですよね。
それが彼一人なのか、他にもっといるのかは分かりませんが……何にせよ、協力できる機関員がいるなら、利用しない手はありません。
他に協力できそうな機関員がいるのか、もっと引き出せる情報はあるのか。これも、我々にとって大きなポイントかもしれません……
また、その彼に会う事があれば……訊いてみるのも、いいかもしれませんね。勿論、鵜呑みにするのは良くないですが……
……でも、あえて反目するのならそれなりの理由があるはず。ある程度信頼は出来るのかも。

【名前から受ける印象は、なんというか可愛らしい。まさか見る者が圧倒されるような大男であるとは、まだ想像できなかった。】
【……もし彼女の言う事が本当なのならば、協力できる機関員の持つ情報は、今まで此方には無かった切り口を齎す可能性がある。】
【もしくは、もっと単純に黒幕と戦う「戦力」にもなるだろう。機関員の個人が持つ力は、それは強力なものだと聞く。】
【課の方針を自分が決める訳にはいかないので、あくまで可能性の提示しかできないが……皐月は、機関を利用する可能性を探っていた。】

……そういう意味では、むしろ円卓の方がその機関員よりきな臭いかもしれません。
お金は、ただ持っているだけでは意味がありません。使ってこそはじめて意味を持つものです。
……ということは、それだけ巨額のお金を集めるには何かそれなりの目的があるはずです。
でも、その目的が見えてこない……世界の通貨コレクター集団なら話は別ですが、そうじゃないなら……一体、何?
鵺ちゃんはトップに会ったことがあるのですね。なら、組織の目的や黒幕を嫌う理由に心当たりはありませんか?

【そして、話は円卓の事へと続く。―――鵺曰く、集金組織らしい。】
【そこで、皐月の頭には疑問が浮かび上がる。一体何のためにお金を集めているのだろう?】
【ただお金を集め、ただ黒幕と対立しているなんてことはあり得ない。そこには必ず目的があるはず。】
【知りたがりな性質は、こういう時にも発揮されるらしい。少し首を傾げながら、浮かんだ疑問を鵺に問いかける。】


11 : @mail :2018/05/13(日) 15:20:42 KFgZS3Io0
前スレ995

配るよ、もちろん
ただ、あれだな。通信用の指輪に拠点移動用の腕輪……このチーム、ちょっと装飾過多だよね
もうちょっとなんとかした方が良かったかなぁ……まぁいいか

【小切手を取り出して代金を加算。その次に携帯端末を取り出して、少し悩む】
【悩んだ結果、以下の文章を送信した】

【From:赤木怜司】
【To:Mチーム(鈴音以外)】

『初めまして。技術者の赤木怜司といいます
 邪禍さんから拠点を借り受けることになりました。僕か邪禍さんから拠点転移用の腕輪を受け取ってください
 邪禍さんは家賃がほしいそうなので、そのあたりは経費担当に任せます。三十六万に一人追加につき四万だそうです
 拠点はこういった物資の引き渡しに使うつもりですが、使い方はご自由に』

【送った後は携帯端末をしまい、一息つく】

……まぁ、これで少しは貢献したかな
えーっと、ブランルの話もしたし、近況の話もしたし、機械人形も渡したよね
人形や兵器はこれからはこの拠点に納入するってことでいい?


12 : 名無しさん :2018/05/13(日) 16:00:41 u1dxVMlM0
>>11

「ククッ、良ォいんじゃアねェーの? 手持ちよォりは楽だ」
「あァ、一応レオーテヴュートにィも配らせる。どォーせメールは未読スルーだァろうから、簡潔に伝えとく」

【――なお、レオーテヴュートはやはりメールを読んでいなかったらしいが】
【それを先読みした邪禍から直接"赤木から拠点移動用の奴貰ったからチームの奴に会ったら渡せ"的なことを言われたとか】
【おかげで無事に一部の方々に配れたとか】

【――、――】

「そォーだな。こォこに放りこォんでおォけば、敵襲でェもねェ限り共有が楽だ。領収書と一緒に置ォいとけ」
「そォれと、敵襲対策に部外者っぽい奴は違う部屋に案内さァせる。……ゲGゲG部屋にィな!」
「まァ、内部的には繋がってるかァら、時間稼ぎ以上の目的はねェけど!」

「そォーいや、機械人形共が外に置ォきっぱなしか。」

【玄関に向けて歩き、その扉……外の風景は見えないそこへ上半身を突っ込めば】
【……そう言えば、1号以外はまだ魂を入れていないので、相変わらずのへたっぴ操作であり】
【下半身の動き的にしばらく悪戦苦闘していたようだが、無事に先程の機械人形たちが拠点へと移動。どこかの部屋にへとそのまま入っていった】

「……こォーんなとォころか? そォれとも、冷蔵庫の中身が邪禍ビールしィかねェ問題の解決か? ククッ」


13 : @mail :2018/05/13(日) 16:20:46 KFgZS3Io0
>>12

あ、よろしく。そうしといて
その時間稼ぎもないよりはマシだろうね。後はそこに邪禍さんが来てくれれば追い出せそうだけど
腕輪はなるべく人に盗られないようにしてね。そっちにセキュリティはないから
つけられないわけじゃないけど、生体認証やら何やら……まぁ、あったって破る方法はいくらでもあるしね

【腕輪は誰でも使えるので盗まれるのは困るとのこと】
【レオーテヴュートへの伝達は邪禍にお任せ。これで大体の仕事は終わったといえる】
【邪禍の下手くそな動かし方には半分諦めが入っていたのか、文句を言う気も失せていた】

なんだいそのご当地ビールは……美味しいの?

【意外と興味が湧いたらしく、冷蔵庫まで移動して中を見てみる】


14 : 名無しさん :2018/05/13(日) 16:35:41 u1dxVMlM0
>>13

「まァ、"悪闇の掘っ立て小屋"の中は"小さな世界"だ。俺様の戦闘力も驚異の1.2倍!」
「ククッ、◯ソック的なシステムで部下かァら侵入者は伝えられるはァず」
「俺様が知ィッてる奴なァら問題ねェが、知ィらねェチームの奴はちょいと危険かァもな?」

【……とりあえず、誰が入ってきたかとかの情報は部下がサボらなければある程度邪禍側に伝わる様子であり】
【見知った顔の味方……写真だけで見た存在も含むそれなら、変な部屋に誘導したりもしないとのこと】

「お前がさァッき拒否しィたビールだ。旨いぞ?」

【出てきたのは、ついさっき見たような気がする黒いアレ。……嫌な予感がするような、しないような――】

「そォーれ、一気、一気!」

【でかい冷蔵庫にぎっしり入っているその邪禍ビールなるものを1本……瓶のサイズはよくあるアレであるそれをとりだし】
【めっちゃ頬に押し付けようとしてくる。冷蔵庫はこの悪魔が言っていたとおり、それ以外のものは……うん、調味料すらない。】
【自炊できそうな設備は揃っているというのに……】


15 : ◆r0cnuegjy. :2018/05/13(日) 16:44:24 KFgZS3Io0
>>14

おー、堅実なセキュリティ……というか、人力?
まぁでも悪くないね…………ちょっと、押し付けないでよ
っていうかうざっ、ノリがうざい!! 分かった分かった、飲めばいいんだろ!

【押し付けられてかなり嫌そうにしていたが、あまり飲まず嫌いも良くないと思って瓶を手に取る】
【キャップを開けて匂いは……かがないようにした。一気飲みは危険過ぎるので、とりあえず一口だけ】


16 : 名無しさん :2018/05/13(日) 16:56:26 u1dxVMlM0
>>15

【―― 一口飲めばわかる、その超高濃度の複合エネルギーっぷり】
【非常に混沌で深淵だ、一気飲みしたら急性アルコール中毒とは別の意味でヤバそう】

【魔力を補給すれば体力も回復するタイプならば非常に有効そうだし】
【いわゆる一時的な魔力増強用としての役割にもよさそうだが……】

【とりあえず言えることは、まあなかなかの悪食向けのお味ということくらいか】

「ククッ、まァーそォーなるな。俺様が取ォり込み中じゃアねェなら俺様が」
「俺様が忙しいなァら、適当な部下が向ゥかう。多分」

【なお、これ以上はいらんと返却されれば、邪禍は普通に一気飲みで飲み干すし、瓶もきっちりとっておく】


17 : !お食事中の方はこのレスNGしてください! ◆S6ROLCWdjI :2018/05/13(日) 21:01:47 WMHqDivw0
『【イル】に会った。あいつ最悪。鈴音いじめてる。殺そう』
『(変なキャラが包丁を構えているスタンプ)』

「ふざけんな。たんぽぽのことだけやっとけつったろ」
「何勝手に動いてんだおまえを殺すぞ」

『(変なキャラがごめんなさいしているスタンプ)』

「あとはおれがやるから」
「おまえはたんぽぽ待機」

『んなこと言ったって』
『あんた最近何してんの』
『最近顔も合わせてくれないじゃん』
『(変なキャラがジト目しているスタンプ)』


…………チッ、

【繁華街の路地裏だった。アルコールを提供するような店ばっかり並ぶ、通り】
【そこで「彼」は、汚い壁に身体を寄りかからせて――ずり、ずり、と、引きずるような足音を立てていた】

【背の高い青年だった。褐色肌に映える明るい銀の髪、加熱した卵みたいな色合いの瞳】
【服装はいかにも若者ぶって、街並みに似合ったような軽々しさ。フォーマルのフの字もなくて】
【手にしたスマホをじっと、食い入るように見つめる――メッセージアプリのトーク画面だった】

【半ば睨み付けるように液晶を見ていた彼は、唐突にそこから視線を引き剥がして――膝をつく】
【見開いた眼が彷徨うように震えている顔からは、血の気が引いていた。暑くもないのに汗すらかいて】

う゛、ぅえ……、〜〜〜〜、ッ、え゛ぅ、……げほっ、げッ……かはっ、

【かぱ、と開いた口から、まっさらな液体を嘔吐した。……何も混ざっていない、おそらく、最近何も食べていない】
【そう予感させる程度には液体ばかりの吐瀉物を撒き散らかして、膝をつく体勢のまま、ぜいぜいと苦し気に呼吸する】
【場所が、場所だ。酔って吐いているものとも取れるくらいの猥雑な街並み。その中で彼は――苦悶の表情を浮かべていた】


//大変失礼いたしました。平日中は日付かわるくらいまで居れるタイプの置きロール募集です


18 : キング ◆/iCzTYjx0Y :2018/05/14(月) 18:33:59 lp4TKcVo0
>>7

【セリーナと喧嘩―――その単語一つで、色んなことに合点がいくのをキングは感じていた。成程、それもまた"原因"か。】
【本来であればこの少女が、非戦闘員である筈の彼女がこんなに危険な状態まで追いつめられる事なんてあってはならないし、異常な事態だ。】
【しかし肝心要のリーダー格が失踪しているのは愚か、それよりも前の段階で決裂してしまって居たのなら、話は別である。事情は入り組んでいたようだった。】

【トーストの耳をとろけたベーコンエッグの黄身につけ、口に運ぶ。美味しい筈の朝食だが、重々しい味がした。】
【居なくなるより前の段階でセリーナとは、互いの関係性についての事で喧嘩をしてしまい、いざ頼りたい段階になれば敵に捕まり。】
【一杯一杯でどうしようもなくなっている所へ仲間を殺せという敵からのアプローチ―――それは精神も摩耗する訳である。キングは珈琲を飲みこんだ。】


――――――んん。喧嘩、ね。


【さて―――どう話したものか。何から話すべきか。ほんの少しの情報ではあるが、―――読めてきたのも事実。】
【セリーナが自分に店番を申し込むとき、なんていうのは大抵良くない時なのだ。本来、キング等頼るべき存在ではないのだから。】
【UTのメンバーでもない、警察や公的組織の人間でもない、ただ昔からの知り合いというだけで―――頼られている。不健全極まりないと言っていい。】


(……ここ数日、テレビの報道でああでもねえこうでもねえと"弾"末魔について騒がれてるのを見た。)
(恐らくは―――……ベクター戦後、ダークスリンガーの力が暴走した時に、民間に被害が出た事についてだろう。)

(此処に来て辞めろってやつも居るわけだ……というよりは。みんな言葉には出さなくとも―――)
(セリーナが武器を手放すかもしれないってビッグニュースに浮かれてるって印象だな。んで"おやすみ"の話をして―――、あ〜……。)


うーん。……うーん。

うーーーーーーーーーーーーん……。

うぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅう〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ん…………・・・・・・・・・。


【こめかみを指で押さえる。抑えつつ、唸る。いっぱいいっぱい唸って、サラダをむしゃむしゃと咀嚼し。】

  
……ま、鈴音ちゃんがどう思うかは別だし、受け止め方は人それぞれかもしれないけど。
気に病む必要はないんじゃねえか、だって親切で優しくしようって思って、「死ぬ前に休め」って言ってやった訳だろう?

気にかけてくれる人間すらそんなに居ない中でよ、そう言ってくれる可愛い妹分が居るにも拘らず……
そういう、"ハートの部分"は受け止めないで、お前に何が出来るんだふざけんな、ってキレたアイツは正直、ガキくせえぜ。

大人に見せ掛けちゃいるがところんガキだ。そこは、「ありがとう、気持ちだけ受け取っておくよ。」とでも
ニッコリ笑いながら返してやるのがな、本来のセリーナに"求められる"資質、だよなぁ。なぁ? そう思わねぇか?



―――なぁ。ほんっとに……。
……。そうやって、アイツに甘えを許さない姿勢をオレもみんなも求めてたから、どっかブッ壊れちまったんだろうな。


【くるくると、ベーコンを巻き取って黄身を絡める。どこか遠くを見つめながら、キングはため息をついた。】


……キミは悪くない。アイツが破裂する瞬間に居合わせちまった、それだけだ。
キミが踏んじまったのは地雷だ。埋めたのはアイツと、オレ達廻りの人間だ。キミじゃない。

鈴音、―――大丈夫だ。壊れたら治しゃ良い。ていうか治る。
恐らくは―――そうだな、無事に帰って来さえすれば。アイツも気づくだろう、自分の立ち位置と、キミを含めた周りの想いにな。


【肉厚のベーコンを口に運ぶ。キングは一口でそれを貪り、鈴音を見て話を続けた。】

オーケー、そこまでは分かった。じゃあ次は黒幕さんについて、だな。
世界征服だって? カノッサと一緒に? 猶更カニバディールがソレに噛みついてる理由が分からねえな。

裏切ったのかアイツ―――まあともあれ。"黒幕"サマってのは一体、何を企んでて、今どんなやばい事をしでかしてるんだ。
存在を感知出来ている以上、何かしらの問題が起きていて、"それを裏で操る誰か"を指して黒幕と呼んでる訳だろう? 事件の事をもうちょい、知りたいな。


19 : ◆r0cnuegjy. :2018/05/14(月) 22:02:58 KFgZS3Io0
>>16

【一口。口に含み、謎の香りが鼻を抜け、未知の味わいが舌を刺激し、飲み込んだ瞬間、不気味な喉越しが訪れる】
【眉根を寄せ、苦虫をダース単位で噛み潰したような表情を浮かべ、何とか飲むという作業を終える】
【言葉を出す前にその瓶を邪禍に押し付けた。何かを言おうと口がもごもご動く。痺れたのか中々言葉が出てこないが】

…………まっっっっっっっっっっっず!!
何これ……生薬でもこんなにまずくないよ…………確かに回復効果はかなりあるみたいだけどさぁ!
うげぇ〜……後で普通のビール、冷蔵庫に入れておくよ。あと、食い物とか…………

【結局、味の感想を堪えることはできなかった】
【邪禍が邪魔しなければ、後日、赤木は人間向けビールといくつかの保存食を自腹で冷蔵庫に放り込んでおくだろう】
【ご丁寧にメモ書きに『好きに飲み食いしてよい』と書いて冷蔵庫にも貼っておく】

うう、今日は本当にひどい目に遭った……
じゃあ、俺はそろそろ帰るよ。何かあったらまた連絡して

【必要なことはやり終えて、余分なこともし終えた。あとは帰るだけだ】
【腕輪を装着し直して効力を発揮させる。魔法陣が足元に現れて、転移。移動拠点の外へと出ていった】


//このへんですかね。お疲れ様です!


20 : 名無しさん :2018/05/14(月) 22:08:15 Nrn4G8mI0
>>18

……――――でも、でもっ、わたし、が。わたしが、面倒なことばっかり、するの、しちゃって……、だから、セリーナのせいじゃ、なくて、
わたしが、悪いの、――だって、警察のひと、怪我させて……、それが誰か、も、ちっともわからなくって。そのひとを探すのだって、セリーナ、じゃないと――、

【少しだけ。声が震えていた、喧嘩――といっても、自分が悪いんだって、そういう言葉を並べていく。パンケーキみたいに積み重ねたって、ちいとも楽しくないのに】
【自分が悪かった。セリーナは悪くない。自分が面倒ごとばかり持ち込むから疲れさせてしまったんだって。そうでなかったとしても――】

【――――ずっと一緒に居たはずなのに、気づけなかった。それだけで、きっと、少女にとってはどうしようもないくらい、罪深くて】

【気づけば少女は椅子の上、膝に手で、しゅんと叱られる子供の顔をしていた。うんうん唸る彼をもう見られないみたいに、目線まで下げてしまったなら】
【ふるふるってかすかに睫毛が震えて――また泣いてしまいそうになる。泣いてしまいそうになって、だけど】

――っ、違うの! ちがうの、……セリーナの言うこと、本当なの、だって、わたし、ほんとに、なんにも、できない、
できないって、分かるの――できないのに。本当にできないことを、だのに、やるから、って、いったの、……できないこと、できる、って、嘘、ついたの、
いまなら……いまなら、分かるよ。そのときもね、……分かってた、はずなの、――だのに、わたし、やるからって、全部……やるから、って、そんなの。

【わずかに声が荒くなる、思わず、という様子で、がたんっと椅子が鳴った。それは違うって、彼が言うことももしかしたら"一理ある"と誰かは言うかもしれないけど】
【彼女の中でそれは違っていて――それでも自分が悪いんだって。だって。――できもしないこと、できるから、って、嘘を吐いた。それで、もし任されていたなら】
【そのときは――結局できなくって、また違った誰かを困らせたり、迷惑を掛けたり、するに違いなかったのだ。言葉は優しかったかもしれないけど。それって結局考えなしで】

【――――小さく首を振る。壊れたら治せばいい。それは少しだけ違うと思って。思うのだけど、――それを説明しきるだけの、言葉は、足りなくて】
【一度壊れてしまったなら。治ったように見えてもそれってきっと違うから。――だからきっと子供みたいに否定の気持ちだけ示して、察してほしい、って、わがままする】

……カニバディール、は。前も。裏切ってる。だから――自分に都合が悪いときに、裏切る、って、分かってた、
ううん、――……利害が一致、しさえすれば。あのひとは味方してくれる、って、分かってたの、だから、……――わたしが。声を、掛けた。
………………――……、ねえ、ね、セリーナ、怒るかな、そんなこと……、わたしがした、って、聞いたら、――また面倒なことした、って、怒る、かなあ……。

【ぽつり、と、冥い声が紡ぐ。カニバディールについてはどうしたって複雑になる、過去にも裏切っていた。だから、利害が一致さえすれば、機関を裏切ってくると知っていた】
【それを見越して。そうであってくれと願って。――少女自身が交渉してきた。"黒幕"に対抗するために。――味方にできたなら、"大きい"って、彼もきっと分かるだろう】
【――だけど。それって。それはたったのそれっぽちの話じゃ、終われない。どうしたってこの少女が機関員に声をかけて……となると、それは、とっても、聞こえが悪いから】

……魔制法。あれは黒幕、が、……出してる。実際にひとの能力を消したりする武装も、持ってて、……。黒幕、の、……曽根上ミチカ。が、ここにも、何度か、来てる、
公安や警察――が、駄目なの、だから、……えっと。――――水の国の公安が、機関と手を組んで、世界を征服しようって、している、
能力者を管理したり、反発する能力者の能力は消しちゃったりして――世界中の全部、自分たちが管理して、平坦な世界、作ろうって、していて……。

【ぽつりぽつりと言葉が続く。ひどく端折ったものだが、――公的な権力を持つ、どころか、治安を維持するためにある者たちが、渾沌の権化である機関と組んで】
【この世界丸ごとを平坦に――ディストピア、みたいなものにしようとしているんだって。それは突拍子のない話、お互い全く知らぬ初対面であったなら、妄言だと思うこと】
【だけど少女はひどく真面目に言っていた。敵と化した公安。その人間はすでにUTに顔を出していて。その人間に、彼女は子供たちを人質に取られて、仲間を売れと指示されている】

【そういう"構図"――細かなことはさておき、そのあたりが伝われば、きっと、今は、困らない】


21 : 院長中身 ◆zO7JlnSovk :2018/05/14(月) 22:23:17 ABHv169.0
>>10

【鵺は皐月の話をうんうんと頷きながら聞いている。餌を待つ仔犬の尻尾みたいにぶんぶん振って】
【湧き水のように次から次へと的確な案を出してくる、皐月の分析力は課内でも随一だろう】
【それはさながら、鍵穴にすとんと鍵がハマるような、心地よい感触でもあった】


そうなりますねっ! まぁ、考えてもみれば機関にだって、能力者はいるんですし、当然ですねっ
ただやーっぱり、鵺ちゃん的には機関員はあんまり関わりたくないです、頭おかしー人もてんこ盛りですから
そうですね、皐月姉の言う通り、今度カニちゃんに会ったら聞いてみます、たまーにメールも来ますしっ

んげ、『円卓』ですか……あんま良い印象ないですよ、ほんとに
おじ様を殺そうとしましたし、口だけーのわるーい連中の集まりってイメージですしっ
お金を集める目的ですか──うーんと


【少し口篭った、続く言葉はやや歯切れが悪い】


『円卓』のトップは、ジルベールっていうこーんな目つきの悪い悪人なんですけど
えらそーで乱暴で、鵺ちゃんも殺されかけて──まぁ、そういうのはどうでも良いんですが
まぁ要するにオラオラ俺様系なんですよね、俺以外全員カスだーっみたいな!

だから裏で牛耳る『黒幕』とか大嫌いだと思います、水と油です
鵺ちゃんが頭でっかちなエリートが嫌いなのと一緒です
あーっ、皐月姉は違いますよ! 皐月姉は鵺ちゃんみたいな子にも優しいので好きです!


【です! と力を入れてふんぐっとポーズをする】


22 : 名無しさん :2018/05/14(月) 22:37:12 u1dxVMlM0
>>19

【――瓶の中身を空にした後、ドヤァとした顔で赤木の方を見れば】

「まァずい? こォれが? ――大正解!」
「良薬口に苦し、と、人間共は言ィうだァろう。……まァ、俺様は大好物だァが」

【わかってて飲ませたらしい。……なおさらタチが悪い気もする】

「ククク、常温保存も問題ねェ。勝手にしィな」
「まァー、隙間があァッたら容赦なァくねェェーーじ込んでやァるがな!」

【――人間向けの食料や飲料などを入れたとしても、撤去はされないだろう】
【ただ、出したはずの邪禍ビールが再び入っていたりとか】
【謎の肉塊(おいしい)が入っていたりとか、……時々見ないとちょっとした罠が増えている】

「お前も、何かあァッたら連絡しィろ」

【――それから再び、奥の方の部屋にへと脚を進めれば】
【そのドアを開けて、どこかにへと消えていった】


//お疲れ様でした!


23 : ◆DqFTH.xnGs :2018/05/14(月) 23:11:08 Z5d63zC.0
>>916
【粗暴な姫の話も、ろくでもない内緒話も、彼女は変わらず愉快そうに語る】
【こんな不気味な医院の中などではなく、昼間のカフェで友人といる時のような表情で】
【「そいつぁ愉快な未来だ」「真似する側から真似される側か」などと冗談も適度に飛ばすのだが】
【やがて話題が黒幕関連のものに移り変わると、多少は真面目そうに口を曲げるのだ】


だよな…………とりあえず特区に囲っておけば、下手にカンナにちょっかいはかけらんねぇ
くくっ、それにしても────婦警の次は看護師ときたか
曽根上のやつ、実はコスプレ好きなのかぁ?次は秘書かなんかの格好してたりしてな!


【たたん、と追加で文章を打つ。『糸目の看護師にも気をつけろ。曽根上の可能性がある』】
【『実際に、協力者が特区の中で曽根上っぽいやつを見てるそうだ』】
【『ヤバそうならとっとと逃げろよ?あんたとメールが出来なくなっちまうのは寂しいからな』】
【────送信。魔石の指輪が赤く光る。その光を、一度だけ指先でなぞって】


フォルケン博士、な…………いや、実はあたしがこう────
黒幕だの何だのってぇのに巻き込まれるきっかけはさぁ、それこそゾーイがきっかけなんだよ
なんか妙な連中に追いかけられてるゾーイを助けてさ
んでもって初瀬麻季音宛の封筒受け取って…………一緒にスシ食って
ぎゃは!ほぉんとさ、あん時はまさかこうなるたぁ思わなかったぜ

…………さて。メールも送ったし、今出来ることはこんなもんかぁ?
ま、もうちょっとだけここであんたの世話にはなるわけだが…………
んー、しっかし────カニバディール、カニバディール…………か
いやな、前々から思ってたんだけど、こう…………名前なげぇよな、あんた
カニバディーーーーール!!って名前叫ぼうとした時にうっかり舌噛みかねねぇ
こう、愛称みたいなのがありゃいいんだが…………なんかねぇかなぁ…………?


【思い出話と、しょうもない雑談と。そんなものを口にしながら、ゆるゆるとベッドに身体を横たえる】
【気付けば随分と時間が経っていた。途中で少し休憩を入れたものの、それでもまだ万全ではない】
【縫い合わせただけの傷はまだ痛むし、そろそろ身体を起こしているのもダルくなってきた頃だ】
【「カニ、ってぇのはなんか締まらねぇし」「なにがいいかな────」】
【ぽそぽそと言葉を紡ぐのは、忍び寄ってきた眠気への精一杯の抵抗だろうか】
【まだ少しだけ、話していたい気持ちはあったが──どうも、体力はそれを許しちゃくれないらしい】
【「あぁ、あたしのことはなんだっていい」「クラァケさんとか、クラァケさんとか…………」】
【これじゃ全部クラァケさんだな、と小さく笑って携帯を枕元に放り投げる】
【ベッドの中でもぞもぞと動き、程よい体勢を確保する。彼女自身はまだ話したい様子ではあったが】
【瞬きの感覚は、次第に長くなっていっていた。「ん、悪い。眠いわ」】
【──最後にそう、一言投げかけた。良くも悪くも、遠慮のない彼女らしい言葉だった】


24 : ◆3inMmyYQUs :2018/05/15(火) 00:43:37 LevMp5MM0
>>991

【飛び込んできた青年は、ごろりと身を裏返して仰向けになった】
【心臓か肺のどちらかが既にはち切れた後なのではないかという程にその表情を歪めていた】

【どれだけ急げばこれほどまでになるのだろう、ひどく荒い息をしたまま】
【彼は懐から何か懐中時計のようなものを取り出して、自身の眼前に掲げた】
【そこに渦巻く様々な針と数字が何を示しているのかはまるで不明だったが、】


────やっと…………間に、……合った…………


【彼女の姿を認めると、大きく長く息を吐き出して──そう呟いた】


【面識は無いはずだ】
【ただその様子からするに、青年は何故か既に彼女──『初瀬麻季音』のことを知っているようだった】

【ひどく乱れていた息が、次第に収まりを見せ始め】
【「すまない」と震える声で言いながら、青年はタオルを受け取った】

【が、それに顔を埋めているような悠長な暇は無いらしく】
【タオルを手に持ったまま、軋む音を立てそうな様子で身を起こし始め】

────もうすぐ、『婦警』が、来る……
時間が無い……とにかく聞いて欲しい…………

【絶え絶えの息で、生唾を飲みながら、言う】
【帯状布がずれ、そこで初めて片眼が覗いた】
【青紫色の、深く透徹した眼差しが、少女を映した】

【──それからふらり、と】

【「急に、不躾なことを言うようで、申し訳ないけれど……」】

【陽炎のように立ち上がった青年は、何か神妙な前置きをして】


どうか、頼む────


【──いつからであろう、その手に自動式の拳銃があったのは】
【その銃口がゆっくりと、しかし躊躇いなく少女の眼前へ据えられて】



────死んでくれ。



【 ──ぱンッ 】


【17時16分31秒】
【その弾丸は、初瀬麻季音の頭蓋を撃ち抜いた】







【────“という記憶”を】

【彼女に植え込ませんとするための、】

【実体のない、純粋な情報構造体としての『弾丸』が、】

【今、少女の頭脳へ迫ろうとしていた】

【当たるかもしれないし当たらないかもしれない】
【命中すればショックでしばらく気絶するかもしれないし、しないかもしれない】
【──彼にとってもこれは、本当の大博打だった】


25 : キング ◆/iCzTYjx0Y :2018/05/15(火) 12:16:12 lp4TKcVo0
>>20

【面倒事ばかり持ち込むから―――そういう言葉を聞いている間のキングは、矢張りどこか不満げな表情だ。】
【それは鈴音に対してでも、セリーナに対してでも、そして自分に対してでもなく―――もっと大きな何か、例えばそう】
【社会だったりとか、世界だったりとか、そういう何かに対しての不満を覚えているかのような、そんな憮然とした物だった。】


―――けどなぁ。「面倒事持ち込んで下さい解決します」って看板ぶら下げて、
実際幾つか熟して、それで満足のいくよう人生を舵切ってきたのは他ならぬアイツ自身だからな。

ソコに関しちゃ……面倒事一杯持ち込む方が悪いとか、それは鈴音ちゃん―――なんていうか。
自分を責めてれば楽、みたいな部分もないかい? 客観的にみれば、アイツにも非なんて腐るほどあると思うぜ。


ま―――それよりはよっぽど、アイツがパンクしそうなのに気づけなかったオレ達全員、
そっちを反省すべきなんだろうけどな。結局のところ、問題ごとを持ち込むから悪いかどうかじゃなくて

アイツのキャパをざっくり見積過ぎてたことが今回の事件を招いてる様にも見えるし……
色々押し付けてきちまってるからな。あのバカ、ひょっとすると戦う事にしか居場所を見出せなくなってたのかもしれねえ。


それにな、……いいじゃねえか。そりゃ無謀な嘘だし、やれっこねえのはそりゃそうだろうよ。
なんたってセリーナ自身も出来てねえんだから、それを無経験のキミが出来る筈ないし、そこは嘘とか本当とか、関係ねえさ。

あのバカだってそんなのは最初から百も承知よ。キミにそう言われて「はいそうですか任せます」とは、言わねえさ。
どんなに元気で仕事が楽になったとしても、だ。だから―――良いんだよ。キミが申し出た事が重要だ。そういう無茶を言ってくれる奴が―――

居るのと居ないのじゃ、大違いなのに。セリーナの野郎は失ったモンばかり見て残ったキミを軽視してた。
「これっぽっちしか残らなかった」のと、「それでも彼女だけは残ってくれた」のじゃ、天と地の差がある。結果は同じでも、な。

だから―――必要以上には自分を責めなくていいんだ。
むしろアイツが帰ってきた時、言ってやれ―――「ほら見ろ、私が残ってるぞ」ってな。

例えそれで、元通りにならなくても。
前とは違う関係になっても。より良い方向に進むことだって、きっとあるんだから。


【朝食を食べ終える。セリーナについての意見はある意味で平行線だ。】
【キングは"ボタンの掛け違い"程度に捉えているし、真面目に反省をするなら"皆足りなかった"が結論だ。】
【しかし鈴音はどうだろう。また違うだろうし、キングの言葉で納得がいくかは分からない。そこについては―――当人でぶつかる必要が、あった。】

【ううん、と伸びをする。そう言えば睡眠も微妙な時間しか取れていない。地上は忙しい物だ。】
【税金の支払いに料理洗濯、書類整理に電話受付、休日はやる事に追われ平日は仕事、そんでもって黒幕は魔制法。】


【ん。魔制法。黒幕。ソネガミミチカ。ソナチネ?ふーん。あの法案が。公安と警察がグルで。なるほど、なるh……】


―――……おいおい。おい、おいおいおいおい、おいおいおいおいおい!
いやいや、いや、タイムアップだ。やめろ鈴音ちゃん、そこまでだ。聞きたくねえ。それ以上は、ストップ。

……勘弁しろよ。セリーナ取り戻すぞ。死んでも取りもどすぞ。オレはごめんだ。いやだ。警察だ公安だ政府だ、いやだいやだ絶対いやだ!
ぜってークソ面倒じゃねえか!! オマケにカニバディールだと!? カノッサが裏で手を引いてて!? 法案まで通してる公権力が相手だって!?

……冗談じゃねえ、ああ、クソッ―――。あのバカ女!! こんなやべえ時にオレに店番なんか押し付けやがって!!!!!!!


【気持ちのいい朝だ。差し込む朝日が目にまぶしい。キングは頭を抱えてため息をつく。】


ジーザス……。

【悪魔はこの日、久しぶりに神に祈った。】


26 : 名無しさん :2018/05/15(火) 13:01:18 Nrn4G8mI0
>>25

【ちっちゃな声。よく分からない音みたいな声をもらして、彼女はふっと黙ってしまうだろう。自分を責めていたら楽――、というのは、きっと、本当なのだと、思う】
【そもそも彼女の場合。普通に生きたいって願えば願うほど、人間でさえない自分が嫌いになる、それを無理やりねじ伏せて振る舞うなら、どこか歪になって】
【そのバランスを取ろうとすれば自分が悪いって思ってしまう、人間でもなくて、何度死んでもいつかまた目覚める自分なら――って、思ってしまう】

【いつか川に流されるって決まっているひな人形みたいなもの、全部自分が負ってしまえたら、と、どうしても、願ってしまって】
【――だって、こんなふうに人間じゃない自分は。いつかいられなくなるから。その時に全部持っていくから、って、考えてしまうから】

【きっとキングの言葉はひどく難しく聞こえるのだろう、もともとの性格はもちろん経験も地力も何もかもが違う、そして何よりきっと違うのは】
【――彼は、自分の存在を彼女ほど嫌いじゃない、はずだった。それはもしかしたら少女の気のせいなのかもしれないけど。勘違いなのかも、しれないけれど】
【頼れる以上に力強くて、暖かい以上に熱くって。それはすごく、すごく、羨ましく思えた、――だけれどその一方で、どこか、追い詰められてしまいそうな気がして】

【――――――言い負かされるのに似て、黙っていた。その裏側にはいろんな不安を抱えたまま、きっと、それが、透けて見える顔をしたまま】
【だけどきっと内容までは分からないだろう。彼女自身だって分からないくらいのたくさんの不安、その中で――本当に自分はこのままここに居ていいのか、って、一つ、鮮やかに】
【思い浮かべてしまう、――それはとある人物に言われて思ってしまったことだった。そして直後に、裏付けられた。自分のせいで――子供たちを巻き込んで、しまったから】

…………円卓、は。……偉いひとたちの集まり、政治家、とか……、社長、とか。……円卓、は、黒幕と敵対、してて、
円卓も機関と手を組んでて――、……そっちは。世界の実効支配、……いっぱい争いを起こして。武器とか売ったり、――――、

【制止を掛けられて、少女は一度口を噤む。噤んでから、"黒幕"の話はやめた。――続けていくのは"円卓"の話、今ある勢力を言うのに、黒幕だけでは足りないなら】
【それだけのことに少女が巻き込まれるより深く組み込まれている証拠でもあるのだけど。泣き出しそうな目、彼の言葉は分かる、……理屈としては、わかるけど】
【自分の中にある相反する気持ちが邪魔をする。それでも理屈の上では分かっているから。ぐるぐるって回るたびにどこかがぢりぢり痛む気がして、無視して、話す】

カニバディールは。どっちも嫌だって言って、仲間になってくれた、……円卓側のひとも、いる、黒幕潰したら、敵になるって、――、

【なんだかわがままみたいにし出した彼を前にして――ぽつりぽつりって変わらぬ声音が続けていく。もうすでに状況は絡み合って、複雑で、糸口も見えないくらいになって】
【機関も円卓も一緒になって、もちろんほかのひとたちもいるんだろう。それで黒幕を潰そうとしている、――それが終わったら、いつか、円卓までも潰すと決まっている】
【彼がそのうち神に祈り出しても――、少女の表情は変わらなかった。陰鬱なまま、一番深いところまで沈んでしまった表情のまま、思い出したみたいに、珈琲を一口】

【――本人が居ない場で平行線の話をするよりか。そっちの方が彼女としても話しやすいのかもしれなかった、彼の言葉は力強くって熱いけれど、だからこそ、たまに痛む】
【それともこの最低限でいいなら――ひどく省略して最小限ではあるが、だいたい"これ"で足りる、ようでもあった。それだって――ひどく絶望的なくらいに聞こえたけれど】


27 : 麻季音など ◆KP.vGoiAyM :2018/05/15(火) 18:20:12 SCt3yqSs0
>>24
【この事務所内に設置されたいくつもの監視カメラは様々な角度からこの様子を見ていることだろう。】
【そのカメラの映す自分の姿を想像して、この事態を俯瞰的に私は眺めていた】
【この謎の人物が次に何を口にするのかを想像するにはまだ推論するほどの情報が無かったから】
【不安なのを誤魔化すためにその場から意識をできるだけ遠ざけたかったのかもしれない】

【黒幕の刺客だとか、そういう事を考えるのは簡単だ。でも、思い込みは真理を遠ざける。】
【この事件に関わって、この世界の…能力者たちの世界の道理がわかってきた。】
【謎の人物の見た目もその言動も懐中時計もひとつひとつは重要じゃないこの世界は全体論で構成されているのだから。】

【ホーリティックな思考に切り替えながらその言葉を聞いた】

婦警…ついに…。わかったわ。

【私は静かにうなずいた。そして、その言葉の続きを待った】
【青紫色の瞳には恐怖なのか焦燥なのかわからないが、何か張り詰めたようなものを感じた】
【それは自分の心象が作り出した己の感情だったのかもしれない】

『どうか、頼む―――』

【その言葉を聞いても、その人物の手に握られた拳銃を注視することしかできなかった】

『―――死んでくれ』

………え?

【とてもスロゥに感じていたのに、体は動かなくて、発することができたのはそんな気の抜けた一言だけ。】
【銃口を見つめているだけで、何一つ考えられなかった】

【17時16分31秒は私の中に存在しない】

【死というものは私の全てを呆気なく終わらせる。】
【眉間を銃弾は貫いて、頭の中身を運動エネルギーがめちゃめちゃにしながら後頭部から抜けていく】
【私の中にある私を司る全てが消え去ってこの世界には単なる有機物としてしか残らない】

【初瀬麻季音は死んだ】

【だかなぜ今ここで死者である私が私の死について考えられるのだろうか】
【死者の私と生きている私は、本当に同じ私で、私だったのだろうか】

《言明行為のパラドクス》

【その答えは17時16分32秒以降の私が知っていのかもしれない】
【ショックで倒れた、少しあとの世界の初瀬麻季音が】


28 : ラベンダァイス ◆auPC5auEAk :2018/05/15(火) 20:26:53 ZCHlt7mo0
>>前993

【「――――それが出来ないからこそ、必要だと言っている! そのための『力』であり、そのための『宝』だ」!】
【合間を縫って、青年の最後の叫びが響き渡る。何に心を預けているのか、そのコアとなる部分は分からない。だが、少なくともかなりの確信を、『魔能制限法』に対する期待として、抱いているのだろう】
【――――風の国は、UTを要するだけあり、基本的に魔能制限法に対する賛成意見は少ない。そのはずが――――既に、芽はしっかりと息づいていたのだろう】

――――良いでしょう。その覚悟があるなら、あなたに――――『兵器』を、教えてあげます
戦う為だけにある――――その命の――――本当の力を、思い知らせてやりますよ――――ッ

【――――心のどこかで、今の事態を喜んでいる自分もいる。ラベンダーはそれを解していた】
【戦いが、己の命を精一杯に輝かせてくれる。傷つき、倒れ、這い上がる。その度に、ラベンダーは自分の本分を全うしている充足感に包まれるのだ】
【――――それに罪悪感を抱きながらも、本質的なその喜びは、目を逸らし切れるものではなかった】

【「――――ぐ、ぅ……ぁ、あ――――! 力を……っ、平和を、宝を……俺は……ッ」解放され、バリバリと自分の顔面を掻き毟りながらも、青年は呻く】
【夢見る未来があったのだろう。恐らくは、その胸中では光り輝いている未来の幻想が。――――それが、偽りの輝きであると知りもせずに】

――――ぐ――――――――

【カニバディールとの衝突を以って、事態は決着した。予想以上に、派手で劇的な演出効果を伴い、カニバディールは倒れる】
【追いすがろうとしたギアも負傷し――――恐らくは、これも見せかけの1つなのだろうが――――ついに静寂は訪れた】
【――――力を使い果たして、ラベンダーは元の少女の姿に戻る。再び頽れそうになるのを、ギアに肩を貸してもらい、何とかフラフラと歩き始めて】

【「――――ぁ、あぁ……こ、こんな……!」】
【「――――こうやって……血を流して、俺たちはいっつも、そういうUTに助けられてたんだ……ッ」】
【「――――なんで、こんな大事な事を忘れてたんだ……俺たちはいつも、あぁいつもだッ、いつもこうして守ってもらってたんじゃないか!」】

【サクラの仕込みは、今しがたの『ドラマ』の後で、水の様に群衆たちに染み込んで行った。一時の感情に流されて、一体なんて見当違いな糾弾をしていたのか――――と】
【――――結局それも『一時の感情』に過ぎないのは、後悔と反省という激情にかられ、涙を流し始める彼らには、分かっていない。所詮群衆とは、そうした流されやすい面々なのかもしれないが――――】

【――――ともあれ、不平不満をぶつけられていたUTの店先は、多少の荒廃を示しつつも、ようやく静寂に包まれることになった――――】



【――――3時間後。とある廃ビルの地下室にて】

「――――だ、大丈夫、ラベンダーちゃん……?」
――――傷は、ようやくまともに、もう1度手当しましたから、問題はありません――――ごめんなさいリベルちゃん。こんな手間まで、掛けさせて
「……良いの、そんな事、私は……ッ」

【複数の足音を連れ立って、ラベンダーは時間ぴったりに約束の場所に姿を現す。わき腹の傷に応急処置を施し、移動その他の補助のための助けを伴って】

【灰色のフード付きパーカーに、さっぱりした色合いのチェック柄の入ったスカートを履いた】
【額に、正三角形の形に、赤・青・緑の点が浮かび、それらを繋ぐ様にぼんやりと光の円環が浮かび上がっている】
【少し癖のあるオレンジ色のショートカットと、緑色の瞳が印象的な、身長140cm前後の少女】

【――――かつてラベンダーとともに遭遇した異世界の多重人格能力者、リベルである】

――――すみません、待たせました――――
「っ……」

【消耗しながらも、静かな様子で切り出すラベンダー。リベルも話は聞いているのだろうが、さすがに怯えた様子で息を飲んだのが伝わるだろう】
【――――そして、足音の数とこの場にいる姿が、合致しないことも、或いは気づくかもしれない――――】


29 : 厳島の中 ◆rZXDD3W69U :2018/05/15(火) 21:27:37 6.kk0qdE0
>>17

「……大丈夫ですか?」

【宵闇の中から声がした】
【少なくとも、手を付き、もたれかかり嘔吐する青年にはそう見えるだろうか?】
【いや、迷彩していたに過ぎない】
【すっと声と共に現れた姿は、付近の学校の物だろうか?セーラー服だった】
【この時間、こんな如何わしい場所には極めて不釣り合いで、見ればある種の犯罪的な何かを感じるような】
【それでいて、見た目は酷く真面目そうな、そんな少女の姿だ】

「呑みすぎちゃったんですか?」
「お水ありますよ?それとも具合が悪いとか?」

【ハンカチとペットボトルの水を差しだして】


//よろしければ、お願いします!


30 : ◆S6ROLCWdjI :2018/05/15(火) 21:36:57 WMHqDivw0
>>29

ッ、

【びくりと肩を震わせた。完全にひとりきり、だと思っていたから】
【ひどくだるそうな軌跡を描いて視線が動く、闇の中からぼうと現れた――少女の白い肌】
【それを捉えると、ああ、と嘆息するような声を漏らして、ふらふら立ち上がる】

……そーだヨ、いやーごめんネ、キタナいトコ見せちゃって。
ありがと、お水、貰うネ、…………

【――うそつきだ。男からアルコールの香りなんてぜんぜんしない】
【年若い少女にそれがわかるかどうかはさておいて。男は顔を真っ青にしたまま】
【ペットボトルだけ受け取って、口を開ければ勢いよく何口か飲み干した】
【ふう、と一息ついてから口元を袖で拭う。ハンカチは借りなかった、汚すのも忍びないと思ったらしい】

……んン、生き返った。ありがとネおじょーちゃん、……どーしてこんなトコにいんの?
ココ、オトナの街だよ? かわいーおじょーちゃんがフラフラしてたら、ワルい人に捕まるよ?

【どこか力弱く、それでも確かにへらへら笑いながら。首を傾げて問うてみた】
【――手にしたスマホの画面はそのままだ。盗み見ることだって簡単】


31 : 厳島の中 ◆rZXDD3W69U :2018/05/15(火) 21:46:55 6.kk0qdE0
>>30

【キンと冷えたミネラルウォーターは、疲弊した身体には存分に染みる事だろう】
【最も、心には……その潤いが染み入るかは不明だが】

「大丈夫ですよ、困ったときはお互い様です」
「……その割にアルコールの匂いはしませんねお兄さん」

【その違和感に気が付く】
【この一見人当たりのいい青年は、泥酔している割には口調も確かで】
【そしてアルコール臭も無い】
【少女がそれに気が付くのは、あくまで彼女の特殊な立場によるものだが】
【眼鏡をかけ直し】

「そうですね〜、えっと、その、夜遊び的な……ハハハ」
「家出とかも……」

【何故このような場所に、と聞かれれば、誤魔化すようにそう嘘をついて】
【とても夜遊びするような身なりには、見えないのだが】
【ただし、家出と言うのはある意味本当かも知れないが】

「……」

【仕事柄の癖か、スマホの画面を覗き込む】
【そして見てしまうのだ、そのやり取りを】

「お兄さん……」
「何者ですか?」

【これは少々真面目な口調で聞いた】


32 : ◆S6ROLCWdjI :2018/05/15(火) 21:56:11 WMHqDivw0
>>31

……、……ヤーだな、ヒトのニオイ嗅がないでよ、えっちぃ……

【冗談めいて口にする、けれど内心には少し焦りが滲んでいて】
【鋭い子だな、と思った。だからこそ、ちょっと面倒だとも思った】
【手にしたままのペットボトルを軽く投げて、空中で一回転させてからもう一度キャッチ】
【……半分閉じた瞼の向こうで、さてどうしようか、なんて考えていた】

おじょーちゃんもウソツキだ。夜遊びすんのにそーんな、制服かっちり着るコがいるかよぉ。
家出? 家出なら、なおさら……んん、

【ふと、少女の視線に気づく。まずいな、と思って電源ボタンを押したときにはもう遅い】
【確りとした少女の表情、ばつの悪そうな顔をして目を逸らして――数秒後に、戻す】

……さあ。何者だと思う? 当てられたらご褒美あげる。
ていうかおじょーちゃんこそ何者ってカンジじゃん、おれのスマホ見て――何か気になるモノあった?

【にや、と。あくどい笑みは半ば演技じみて、わりと下手くそ】
【おそらくは、少女をビビらせて遠ざけようとでも考えているのだろう。でも下手くそなのだ】
【問い返す口調だけは、こちらもいやに真面目。何か引っかかるキーワードでも見つけたのか、って】


33 : 厳島の中 ◆rZXDD3W69U :2018/05/15(火) 22:05:49 6.kk0qdE0
>>32

「エッチじゃありません!」
「そういうの、経験ないですし……」

【冗談めかした言葉には、むっとした顔をして、こう答える】
【空のペットボトルは、空中でふわりと回転し、キャップを重石に手中に落下】
【その様子を眺めつつ】
【青年の薄目に見られている】

「……鋭いですね」
「否定はしませんよ、でも家出みたいなのは、半分本当ですけど」

【今現在は帰る場所は無い】
【それは本当の様で、こう少々淡々と答えた】
【やがて】

「ええ、『たんぽぽ』に『鈴音』……UTの白神鈴音ちゃんですよね?上官が失踪したって言って探してましたよ」
「鈴音ちゃんとは、面識は無いですけど」
「うーん、普通に考えれば、UTの関係者?」
「あるいは……円卓?」

【知る限りの情報を整理し、そう答えて見せた】
【うっかりと『上官』という単語を出しているが】
【周囲の音は、二人には何処か遠く聞こえる】


34 : ◆S6ROLCWdjI :2018/05/15(火) 22:14:11 WMHqDivw0
>>33

経験ナイの? ナイならマジでこんな街うろつかないほーがイイよ、
そーいうキレイなオンナノコ狙ってるクズがいっぱい居るんだよお。

【「かくいうおれもそーかもしんないよ」、なんて言いながらひゃひゃひゃと笑う】
【けれどあからさまに、元気がない。しなびた菜っ葉みたいなオーラのままで】
【体調がよくないのは本当のことかもしれない。ウソばっかり言う得体の知れない男と言えど】

ふーん? その、ジョーカン? のトコから逃げてんのカナ?
……まーいいや、そのヘンのハナシは今は聞かないでおいてあげる。

へえ、リンネちゃんのこと知ってんの。ふんふん……
……70点。当たってるトコもあるし、そーじゃないトコもある。
なかなか高得点だぜおじょーちゃん……じゃあ次の問題。これはわりと簡単だよお、

おれのこと、イイ人に見える? それとも悪者に見える?

【顔から血の気が引いているのもそのまま。脂汗が薄く額に浮いているのも、だ】
【まっすぐ立っているのがつらいのか、壁に寄りかかるようにして、斜めに立って】
【そうしながらも眼を細めて、にいと笑う。そうしながら、次の問いを出し始めた】


35 : 厳島の中 ◆rZXDD3W69U :2018/05/15(火) 22:23:54 6.kk0qdE0
>>34

「色々、事情があるんです……」
「お兄さんは、そうは見えないですよ、と言うか無理でしょ?その状態じゃ」

【顔は真っ青で、足元も危うい】
【明らかに不調な人間】
【どうにも、自分を襲えるとは思えない】

「逃げてるっていうか、何て言うのか……」

【その辺りの事情は、答え難い、と言う顔をする】
【聞かないで居てくれるのは、有り難い話だと内心無い胸を撫で下ろし】

「話しだけですよ、あくまで会ったことは無いので」
「そうなんですね、否定はされてないけど微妙に違うって事ですか?」
「まさか……黒幕?」

【一少女が持ちうるには、あまりに過ぎた知識と単語の数々だ】
【これだけでも、正体はある程度割れそうなものだが】

「……無害な人に見えます、少なくとも今は」

【そう、青年の言葉に答えて】

「悪い人、でしょうね、本当は」
「本当に良い人は、そんな質問しないですよ」

【でも、と先ほど返されたハンカチで、青年の脂汗を拭い】
【やがて、その小さな体を預ける様に肩を貸そうとするだろう】

「やっぱり、今は無害な人です、何も出来ないでしょうから……」


36 : ◆S6ROLCWdjI :2018/05/15(火) 22:40:50 WMHqDivw0
>>35

事情ネー、そんならおれも事情があるってことで。……ダメ?

【それで見逃してくれるならありがたいことだと思ったけど。きっとこの少女はそうしない】
【ハンカチ、結局汚しちゃったなあとぼんやり考えながら――肩を差し出されれば素直に身を任せる】
【素直というか、抗うだけの余力がないのだろう。支えた男の身体は、それなりに、重い】

ぶっぶー。黒幕、その答えはゼロてーん。
むしろおれは「黒幕」のゆーこと聞いてたらまっさきに駆除されるタイプのイキモノでーす。

【少女が知識を持ちすぎているというなら、この男もそうだった】
【ちゃらちゃらした軽そうな見た目に反して、随分深いところまで、ずぶずぶしているらしい】
【はは。と、少女の肩に折り重なるようにして乗っかる頭。少女が歩き出せば、ついていくことだろう】

……そっちのコタエには、まあ、100点あげてもいーよ。
ふふふ、おれはワルいオトコだからネ。……それじゃーご褒美あげようか、

なにか一つだけ、面白いハナシしてあげる。
「ワルいオンナのハナシ」と、「コワいバケモノのハナシ」と、「おれのバカな妹のハナシ」。
このみっつのなかから、ひとつだけ。情報をあげるよ、どれがいい?

【ずる、ずる。脚を引き摺るようにして歩く。そうしながら、へらへらした声色でそう言うのだった】


37 : 厳島の中 ◆rZXDD3W69U :2018/05/15(火) 23:04:29 6.kk0qdE0
>>36

「……お兄さんにも事情が、ですね」
「お互い、探らない方が良いかもしれないですね、最も話せる事までは聞きたいですが」

【身を任せられ、ぐっとその身体を支える】
【何とか、潰れずに支えて、そして歩き出す】
【最も帰る家は無い状況故に、青年の指示に従いながら歩くのだろうが】

「なるほど、ですね」
「じゃあやっぱり円卓か、あるいは黒幕以外の組織?」
「でも……黒幕って言葉は知ってるんですね」

【やはり普通ではない】
【黒幕や円卓、この言葉は一般の人間には通じないだろう】

「お兄さん家はあるんですか?」

【送り届けられる家はあるのだろうか、と】
【やがて】

「当たったみたいですね、ふふふ」
「ありがとうございます……では、悪い女性の話が聞きたいですね」

【うーんと悩む顔をした後、そう答えた】
【青年の言葉は、どれも興味を引かれる話だったが】

「お話聞けたら、私もお礼に何か話しますよ」

【弱めの笑顔で、こう答えて】


38 : キング ◆/iCzTYjx0Y :2018/05/16(水) 00:54:25 YPBLlEbw0
>>26

【恐らくは、セリーナとの一番の違いが此処にあるのだろう。キングは結局、生まれながらの"強者"だった。】
【だから弱者を踏み躙るだとか、気持ちが理解できないだとかそうではないけれど―――入れ込もうとはしない。励ましはしても】
【同じ立場に立って、そこから見える光景を共感し、そして受け入れる事は好めないのだ。自身と他者は決定的に違うと、理解してしまっているからだ】

【その点で言えば、人では無いという理由で何時か居なくなってしまう事をどこか受け入れている鈴音とは】
【ほんの少しだけ似ている節もあるのだが―――キングの場合、その差を然程悲観もしていないし、悲壮な覚悟も無い。】
【楽観的と言えばそれまで。内に秘めたる想いはあれど、それも根を掘れば愛する女への個人的感情だけが残る―――そう、彼は決定的に】

【―――決定的に、自己を認めていた。半魔のクローンで、その劣化品で、魔界で忌み嫌われる存在であったとしても、だ。】
【もしくは。そういった出自を持つからこそ、どうしても自分を自分で認める生き方を、つまりは強く、跳ね返す生き方を歩まなければ】
【彼はここまで来れなかったのかもしれなかった。だから―――そう。残念ながら、本当に残念だが―――鈴音とは決定的に、違ってしまうのだ。】

【セリーナ程、優しくはない。けれど、弱くもない。だから、きっと居心地だって良くない。似ているけれど根本が違う二人だからこその、悲しい結末だった。】



―――……成程。カノッサも一枚岩じゃねえ、って訳だ。ま、それは前々から分かっちゃいた事だけどよ。
問題は明確に二層構造で対立する派閥が出来上がってるって事実だ。しかもブルジョアまで巻き込んでやがる。

抱きこまれた上層階級を孕む円卓一派と、公安や警察が母体の黒幕一派。
公権力と公権力、それぞれがそれぞれ、カノッサに寄生する形で力を得てる―――なるほどなぁ。

確かに、カノッサみてえな悪党共に都合の良い訳の分からんクソ組織が存在する以上、
そういう力を頼りに擦り寄る輩は、当然"普通の人間"側からも出てくるよな。想像できた未来、ではあるのかもしれねえ。

けど、カニバディールは何方にもつかなかった、か……はっ。それも怪しいもんだが。賢い奴なんだろ?
カノッサをてめぇの目標の為に利用する様なタイプだ、なら都合の良い様に何方かに肩入れするのが定石にも思えるが……

なぜアイツはそれをせずどっちにも反旗を翻したのか。宗教上の問題か、"きのこ派"でも"たけのこ派"でもなかったのか。
まあ人肉食いだしな、"切り株"派だったのかもしれねえ。―――……オレはアルフォート派だ。冗談はさておき、事情は呑み込めた。

UTとして……ってよりは、もうちっと隠密に動くのが良さそうだな。丁度いい、オレはそんなにツラも割れてねえ。
セリーナ不在の間はオレも協力するさ、カニバディールに会えたら伝えてくれ、バイクで顔面轢いた事は今だけ謝ってやる、ってよ。


さて―――それじゃ、こっちの話もしないと、だな。
セリーナの事だが……、まあ芳しくないってのが現状だな。暫く帰ってきてないだろ?
それは……アイツが"ある企業"にとっ捕まって大変なことになってるらしい、からだ。その企業ってのが―――、また厄介でな。

【今度はキングの番だった。ぽつり、ぽつりとセリーナを取り巻く現状を話し始めた。】


39 : ◆S6ROLCWdjI :2018/05/16(水) 08:30:27 WMHqDivw0
>>37

知ってるよお。クロマク、エンタク。
おれは一応「円卓」のほうの所属……っていうか、
円卓の「持ちモノ」になんのかナ。あ、これも一応ひみつね。

【「家はネー、あるけど、ないよ」】
【ずるずる、半ば引きずられるように歩きながら、そんなことを言う】
【向かう先はどんどん明かりが少なくなっていく。怪しい、と思うかも、わからないけど】

ワルいオンナのヤツね。おっけーおっけー、
……おじょーちゃんってさ、誰か好きなヒトとか、いる?
ヒトじゃなくてもいいんだけど……とにかく好きなモノ、
「恋」ってヤツかなあ。そーいうの、したことある?

【進みながらの問い。それは、「悪い女」の話をするにしてはどこか場違いな】
【そんな話題だった。……二人の行く先は、やがて閑静な住宅街のほうへ行く】
【その中でもひときわ、安っぽそうな家がまばらに建ち並ぶあたり】
【ボロの平屋とか、アパートとかが点々と存在するあたりまで辿り着いた】
【近くには公園もある。一休みとして、ベンチに座って喋ったっていいだろう】


40 : 名無しさん :2018/05/16(水) 10:31:13 Nrn4G8mI0
>>38

【だから――だから、ほんの少しだけ。似ているけれど、何かが絶対的に違っていた。そしてこの場合、】
【ほんの少しだけでも似ているってことが――現実を余計に一層引き立てる。"もしかしたら彼みたいに強くなれたのかもしれない"なんて、思ってしまいそうになる】
【そのためには少女の生まれはあんまりに当たり前の人間すぎて。その時は神を祀っていた家系だと知りもしないで。当たり前に普通の子供として、育てられ】
【このまま大人になるって、信じてしまって。"それ"をへし折られたときに、いろんな強さも、一緒に、もっていかれてしまったみたいで】

【(――これは、ほんの少しだけ、先のことの話)】
【(この少女はここから数日後に失踪する、「ちょっと水の国に行ってくる」って言い残したまま、書きさしのレシピも全部、そのままで)】
【(周りから見れば、この問題……子供を人質に取られ脅されたこと、その話が進んだ後のようだったから、理由らしい理由も、きっと、思いつかないんだけど)】

【(自分の存在について――人間ではないこと/人間でいられなくなってしまったことについて。何年もかけてゆっくり、少しずつ、人間じゃない自分を育ててきた彼女だからこそ)】
【(そのことそのものを一番底からひっくり返されて、そして、居なくなる。「ほら見ろ――」そう言うことさえ放棄して、ぷつん、って、戻らなくなる未来が、確定している)】

……黒幕と円卓には、それぞれ六罪王も居るの、――それも、カニバディールに聞いた。
機関のことや黒幕と円卓の目標こと、とかは……ほとんどカニバディールから聞いた。……だから、本当、だよ、――カニバディールはどっち側でもない。
黒幕のひとと話して……、味方になるって言った、みたいだけど。それも嘘っぱち、で――、

…………――どっちも嫌だから、なの、だからね、信じられる、よ。

【――もしかしたら不審に思わせるかもしれない、なぜって、少女はいやにあの機関員に肩入れしているようだから】
【どうしてか絶対的に信頼している。利害が一致"さえ"すればと言ってみたり、あくまで普通のひと同士みたいな、平和っぽいものではないのは、確かだけど】
【だからこそ敵同士みたいな温度感のまま、それほどの信頼をしているのが、よく目立った。―少しの間、】

このことが、終わったら……。わたしは、カニバディールを、殺すの、……仕組みも聞いた、うまくやれば――――、たぶん、殺せる、
…………――カニバディールもわたしの仕組みを、知ってる、けど。

【少しの不審さをぬぐい取るみたいに、少女は言葉を続けるだろう。……終わったら殺しに行く。ひどく分かりやすくて、だからこそ、今だけだってよく分かる】
【味方に引き入れる段階で――これもどうしようもなく誰にも言えない約束の中で――彼の仕組みについては聞いている。同時にまた自分の仕組みも伝えているのだけど】
【――だから殺せるし殺されるかもしれない。お互いに"相手を殺す方法"を知っているんだから。見逃されはしないだろうし、そしてきっと、見逃すつもりも、なくって】

……――――――――、うん、……。……あとは。黒幕に、襲撃されてるの。何度か。……多分、ほかのひとも。

【カウンターの下で足をもぞりと動かす。伝えることは、――つまり、敵に、こちらの面子は一部割れている、ということで】
【ならば少女がしたという"怪我"――もしかして、なんて、思わせるのかも、しれなくて】

……企業、

【――そして、それで、話題はセリーナのことに移ろう。少し緊張したみたいに表情をこわばらせた少女は、ぽつん、と、彼の言葉を繰り返し】
【しばらく帰っていない……と言われたなら、少しだけ身体をちぢこめる。まるで自分が悪いことをしたのを責められるとき、みたいに】

……――、……えと、……、――オーウェル、とかじゃ、……ないよね?

【そうして小さな声が、尋ね返すのだ。彼女が漏らす名前は、それはそれで大きな会社――なのだけど、どうして、この場でそれを真っ先に出すのかが、分からない】
【まして口ぶりはそうでないことを祈るような――もちろんどこだって、どんな会社で何を作ってたって、そんなのは願わないのだけど。それでも、そうだとしても】
【――――――「黒幕が関わってるって、聞いたから、」。数秒後に思い当たって説明するまで、彼にとって、きっと何言ってるかなんて、通じなかったとしても】


41 : 厳島の中 ◆rZXDD3W69U :2018/05/16(水) 11:03:31 6.kk0qdE0
>>39

「なら、良かったです」
「やっぱり、知ってるんですねちゃんと……なら隠す理由は無いですね」
「櫻国魔導海軍陸戦隊諜報部、それが私達の所属です」
「今は、円卓と一時的に協力関係にあります、あくまで一時的ですが」

【こう、話を聞いて】
【そしてこの人物になら、話してもいいのだろう、そう考えて】
【自分の所属を明かした】
【足取りはどんどんと、住宅街の、それも人気の薄い方向へと向かう】
【襤褸屋、安賃貸のある地区】
【それでも、この青年に付いていく脚を止めたりはしない】

「同じですね、あるけど無いです」

【こう言って、笑って見せる】
【何処か自虐的な笑みだ】

「す、好きな!?」

【やがて立ち寄る公園での、唐突な話】
【まさかそんな話になるとは、と素っ頓狂な声を上げて】

「そ、それは……いますけど……」
「それが、どうかしたんですか?」

【こう、顔を赤くしながら答え、聞いた】
【夜風が意地悪にも心地良く二人に吹く】


42 : ◆3inMmyYQUs :2018/05/16(水) 19:24:20 LevMp5MM0
>>27


────────………………


【──そうして撃ち抜いた少女を、青年はただ深い沈黙と共に見下ろしていた】
【愛しい者を抹殺するよう指令を受けたエージェントが、ついにそれを完遂したときのように】
【深呼吸と溜息の中間じみた息を吐いて、だらりとその腕を脱力させて】



【──きぃ、と】
【小さく扉が開かれた、そのとき】

【空気を引き裂いたような雷鳴の轟音と、稲光を背に】
【来たるべきその者が、姿を現した】


「──どうも、こんにちは〜っ」


【『婦警』──ただの一言、そう言い表せる容貌の女が】
【この豪雨だというのにただの一滴も濡れた様子もなく】
【その顔に揺るぎない微笑を湛えて、酒場へ足を踏み入れた】

【──のだが】


【「────あれ?」】

【婦警は来るなり、かくんと首を傾げた】
【客がいなかったからではない。何かあるべきでないものがそこに存在していたからであった】

【──床に倒れ伏す少女】
【眉間に銃創】
【そして、かくあるべき血溜まり──】

【首を傾げたまま、数回、瞬きをした】
【それで画面の再読み込みでもされぬかというように】

「あれえ…………
 何で勝手に死んでるんですか?」

「もしもし。もしもーし────」

【婦警は、無人の店内の中を少女へ歩み寄って、屈み込む】
【しかし、やはり惨状は惨状のまま、揺らぐこともなく】
【そこで女は、ポケットから携帯端末を取り出すと】


「──あ、もしもし。
 わたしですけど。はい、お疲れさまです。
 ……あの〜、とっても言いにくいんですけどお……──


 ────『ソラリス』、死んじゃいました」


【「どうしましょ?」──と】
【そのように、『オーウェル社』の担当者へと状況を伝えた】


【 ────── 】


【(──いや、とても無茶なことをしたのは、分かっている)】
【(だから何度も謝ったじゃないか、すまないって……)】
【(ああ、分かってる。分かってるよ。これから順序立てて説明するから、博士、────いや、『初瀬麻季音』さん)】


43 : ◆S6ROLCWdjI :2018/05/16(水) 21:16:10 WMHqDivw0
>>41

ふーん海軍、……軍ン? おじょーちゃんがぁ? うっそだあ……

【ふーん、で流そうとして、失敗。人懐っこく垂れた目の、黄色い瞳がくるっと丸まって】
【ぱちぱちと、信じられないものを見るようにしばたいた。……少しだけ、考え込むような仕草】

……軍人サンなのに、おうちがなくて、家出してるんだ。ふーん。
まーヒトにはいろいろ事情があるってー、けど、さっ、

【辿り着いた公園、少女から離れると多少ふらついた足取りでベンチに向かい】
【どす、と音を立てて勢いよく座り込み、ふたたびペットボトルを開ける】
【だいぶぬるくなっていた。それでも、音を鳴らして嚥下して】

うんうん、好きなヒトいるんだネー、いやあイイコトイイコト。
……うん、それ自体はフツーにイイコトだと思うんだけどネ、

おじょーちゃんはさ。その、好きなヒトのために、なんだって出来るコ?

たとえば――ヒトを傷つけたり、殺したり、世界を滅ぼしたりだって。
好きなヒトのためならそーいうのだって厭わない、みたいなこと、考えたり、する?

【可愛らしくも恥ずかしがる少女を見て、からから笑ってみせながらも】
【――そのままの顔をして、そんなことを、語り始めるのだ】
【まるで、そんなヤツが実際にいるんだって。そうとでも言いたげな口ぶり】


44 : 厳島の中 ◆rZXDD3W69U :2018/05/16(水) 22:33:56 6.kk0qdE0
>>43

「本当ですよっ!」
「ほら!これ!」

【黄色に反射し、綺羅と光る瞳の前に】
【拳銃を取り出しグリップ部分を見せる、木製のグリップには櫻に錨の刻印】
【櫻国魔導海軍の意匠だ】

「そうですよ、その……ちょっと、いえ凄く困った事になっちゃいまして」
「帰れないんです……」

【そう、少々俯きながら答えて】
【やがて、その悪い女性の話だろうか、その話に入り】

「何だって……」

【考えたことも無かった】
【いや、考えたくなかった事なのだろうか】
【風が、妙に冷たく感じた】

「……もし」
「もし、その人を守るためなら、私は……」

【人を害する、それすらも止む無し、そう言えるのだろうか?】
【言い切れてしまう人間だっただろうか?】
【説破に詰まる】

「……答え、られません……」
「解らないんです……私」

【俯いて、少し震えながら】
【こう絞り出すように答えた】


45 : ◆S6ROLCWdjI :2018/05/16(水) 22:57:04 WMHqDivw0
>>44

おーおー。……たしかに玩具ってカンジではないネ。
そう、ちゃんとした軍人さんなのに――帰れないんだ?

【けらけら。何が面白かったのかはよく分からないが、しゅんとした少女の様子がおかしかったらしい】
【「何があったのかナー」。白々しくもそう口にしながら、ようやく空になったペットボトルを投げて】
【きれいに、ゴミ箱にシュート。ふと目を伏せて、口元だけで笑ってみせながら】

……、……迷ったんなら、それでいいよ。
おれが言う「ワルいオンナ」は、そーいうことを、迷わず惑わずやる女なの。
好きなヒトのために、誰かをズタズタに引き裂くことすら厭わない。

それが――「ブラスフェミア」って名前の女。知ってる?

【男が口に出した名は、裏社会で生きる人にはそこそこ、というレベルで知れ渡っているものだ】
【そんな人物のことを、彼はよくよく知っているらしい。それならきっと】
【自称していた「悪い男」という肩書も、よく似合うものだとわかるだろう】

そう、それで――「ブラスフェミア」、最近ナカヨシの人がそこそこ増えて、
そいつらもけっこーワルい人ばっかりだから。よくない玩具ばっかり貸してもらって
これまたワルーい遊びを企ててるらしいんだよネ。そーいうカンジのお話になるけど、

【「おじょーちゃん、今家出中ならべつに、こーいう情報いらなかったり?」】
【首を傾げて、ゆるく息を吐いた】


46 : 厳島の中 ◆rZXDD3W69U :2018/05/16(水) 23:09:27 6.kk0qdE0
>>45

「はい、その……」

【うつむき気味の顔を上げて】
【そして答えだす】

「私、人間じゃ無くなっちゃって……」
「アルターリの、前にレヴォル社が騒動を起こして壊滅した街、その地下に魔界から蟲の魔族が侵攻してきてて」
「どうも、私に埋め込まれてる因子が、蟲の魔族のそれみたいで……私、魔族の尖兵にさせられるみたいで、その、それで……」
「私に因子を埋め込んだ、円卓の研究者の赤崎さんって人も、魔族に囚われてて」

【かなり掻い摘んだ、ある種伝わりにくいであろう説明】
【最も、この少女は間接的ながらこの話が、この青年に若干の関わりがあるとは知らないが】
【どうにも、答えが詰まり詰まりの話だ、顔は俯いたままで、心なしか声が震えている】

「そんな人が……」

【確かに、紛れもなく他人の目線では悪い女なのだろう】
【それは、青年の話もさることながら、だが】
【少し、信じられないほどの愛だ】
【本人は悪いと言う意識は、恐らくだが微塵も無いだろう】
【何故ならば、得てしてそう言う人物にとって、正義とは即ち己の愛に他ならないのだから】

「ブラス、フェミア……」

【正直な所、少女にとっては初耳の名前だった】
【上官でも、恐らく名前だけは知っているのだろうか、と言う存在】
【知り合いとでも言うのだろうか、この青年は少なくとも近しい関係の様子だが】

「良くない玩具?」
「一体、何を企んでるんですか!?」

【思わず、声が大きくなる】
【今は、別の震えが襲う】

「いえ、欲しい、欲しい情報です!」

【そう、最後にはっきり答え】


47 : ◆S6ROLCWdjI :2018/05/16(水) 23:35:19 WMHqDivw0
>>46

【また、ふーんって感じで受け流そうとしていたが……随分重たいハナシが始まっちゃったな、みたいな】
【やっちゃったナーみたいな顔して聞いている。半分くらいも理解できていなさそうな】
【それでも、まあ、とてつもなく面倒なことに巻き込まれているというのは――わかる】

【――――少女の話の中。レヴォルツィオーン、赤崎。それらのワードが出てきたら、僅かな反応を見せて】

……あーそーゆーコトね、だいたい理解した。  【←わかってない】
つまりなんだ、おじょーちゃん、ニンゲンじゃなくなったんだあ。
じゃあもーひとつ、教えておかなきゃいけないコトがあったりなかったりすんナー。

【そう言って、一度区切る。「なんかサービスしてくれたら教えてあげなくもないヨ」】
【へらへら笑いながら付け加えた。でもたぶん、何もしなくても教えてくれそうな雰囲気、ではある】

そっかー欲しいかーじゃあ教えたげる。
おじょーちゃん、さっき「レヴォルツィオーン」っつったネ? あいつだよあいつ。
「ブラスフェミア」のお友達のワルいヤツ。そいつがさー、水の国で大暴れしたのは知ってる?

そこでさ、ここじゃない何処か――「異世界」に繋がるゲートを創ったんだと。
その「異世界」からネ、バケモノ捕まえてきて、それに改造を加えて
さらにやべーバケモノ創ろうとしてんだよ。ネ、やばいっしょ?

【きわめて軽々しい口調。手を首のあたりでひらひらさせながら】
【「じゃあ、この情報を知っちゃったおじょーちゃんは、どーする?」……なんて、訊くのだ】


48 : 厳島の中 ◆rZXDD3W69U :2018/05/16(水) 23:47:13 6.kk0qdE0
>>47

「もう一つ?」

【青年の言葉に、やや鋭くなった眼光を向けて】
【最も、この青年には風に揺れる柳の葉なのだろうが】

「教えてください!何を知ってるんですか!?」

【縋る様に、こう尋ねたのだ】
【感情は、至って平静では居られない】
【その証拠に】

「サービス、ですか……」
「……」
「何を、何をしたらいいんですか?」

【再び顔を俯けて、こうぼそりと聞いたのだ】
【一般的な男性の要求ならば、解る事だ】
【ヘラヘラと冗談めかして言う雰囲気だが、どうにも現状それが通じる心の余裕は無さそうで】

「!?」
「ブランルが、ブラスフェミアと!?」
「それに、異世界の化け物って、まさか魔界の!?」
「私、その場に居ました、戦いました……一体、一体そんな物で、何を……」

【意外に過ぎる話だ】
【意外なつながりだったのだ】
【欠落したピースが、埋まって行く、ゆっくりと】

「ブラスフェミアと、ブランルを、止めないと……」
「行かないと……お兄さん、もしその気があるなら……」
「力を貸して下さい」


49 : ◆S6ROLCWdjI :2018/05/16(水) 23:55:49 WMHqDivw0
>>48

わーったわーった、じゃー教えるネ。
最近ネ、「イル」って言う……悪魔? サキュバス? みてーのがうろついてて、
ニンゲンじゃない存在を集めて、国をつくろーとしてんの。
そんでまた、そいつがワルーいヤツだからさ……
おじょーちゃんも誘惑されないよーに気を付けて、ってハナシ。

ンー? んー……じゃあおじょーちゃんの好きなヒトのハナシしてよ、面白そうだし。

【真剣な様子で突っかかってくる少女に、降参のポーズで両手を挙げながら】
【てきとーに説明をして、それから……見返りに何を要求するのか、って訊かれたら、これだった】
【悪い男を自称するわりには、あんまり極悪なことも考えられないらしい。へらへら、まだ笑っていて】

おー、じゃー話は早いネ。そーいうコトだからまー気ィ付けなよ。・……
……ウン? おれ? おれはネーオテツダイ出来ないんだー、なんでだか、わかる?

ヒントはネ、「なんでおれみたいなヘーボンそうな男がこんなに色々知ってっか」だよ。

【両手を挙げたポーズはそのまま。手のひらだけ、ひらひら振って】
【ごめーんネ。気の抜ける声でそう言った、手伝うことは、できないのだと】
【口にしたヒント。なんでこんな男が、ブラスフェミアのこと、よくよく知っているのか、って】
【――そういえばさっき、男は、自分のことを「モノ」だとも言っていた。そこからなにか、わかることもあるだろうか――】


50 : ◆jw.vgDRcAc :2018/05/17(木) 00:29:42 OX.x04tc0
>>21

……そう、ですよね。それは、私も同感です。あんな連中、出来る事なら関わりたくもない……けれど。
今は、なりふり構っていられない。どんな可能性も、捨ててはいけないから……ええ、宜しくお願いしますね。
で、問題の円卓の方ですが……

【―――関わりたくないというのは同感だ。出来る事ならば、関係を持つなんて事は極力避けたいところだ。】
【何せ、あの悪名高い機関だ。どんな危険思想を持っていても、何ら不思議ではない。一歩間違えば、此方も危ない。】
【個人的にも、正直に言えば許しがたい連中だ。何度か我が子が機関のせいで危ない目に遭ったことがある。】
【だが、そのような個人的な感情を押し込めてでも―――可能性を見つけるのが、今の仕事だ。】
【そこに状況打開の可能性があるのなら、どんな突飛で危険な道筋でも提示する。採択されるかはともかくとして。】
【機関と協力だなんて、頭がくらくらしそうだけれど……】

―――っ。円卓も、殺そうとしたのですか……。そう、ですか……
……そんな目に遭っても、貴女は笑って他人を好きと言えるのですね?……本当に、強い子です。
ふふっ。そんな子に好かれるなんて、私は幸せですね?

……さて。それでは、円卓の情報を纏めましょう。
独善的なトップが統べる、殺しも厭わない集金組織。ならば、お金の使い道は必然的に絞られてきますよね?
公共事業や慈善事業なんて、するはずが無い。当然、トップの個人の欲に従った使い道になるはず……それも、真っ当な物ではない。
で、裏から世界を牛耳られるのは都合が悪い。なら、答えは見えてきます。

―――円卓もまた、世界を手に入れたいのかも。

【自分が殺されかけたことを、どうでもいいと一蹴する。そんな鵺の言葉に、一瞬言葉を詰まらせる。】
【どうでもいい筈なんて無い、己の命は何よりも大切だろうに……忍者であるが故の、命に対する認識の軽さだろうか。】
【だが、それを窘めるのは、きっと彼女の矜持を傷つける事だろうから……そっと、無事を心の中で祈るに留める。】
【きっと、それくらいは許されるだろう。―――そうして、また推論に戻る。円卓の性質も、どうやら良くはなさそうだ。】
【苦い顔で、話を纏める。あくまで乏しい証拠による個人の推測であって、真実であるとはとても断言はできないが】
【もしかしたら今、この世界は世界を支配しようとしているのは一グループに限らないのでは……と。】
【「こんな認識で合ってますか?」と、自分より間違いなく事情に詳しいであろう鵺に尋ねながら】


51 : 院長中身 ◆zO7JlnSovk :2018/05/17(木) 12:08:32 Or5c84EU0
>>50

【"幸せ"の一言が妙に擽ったかった。誤魔化すように曖昧に笑ってみせて、照れた様子を前髪で隠す】
【彼女にとって、人間は何処までも愛すべき存在で、それはどんな目にあってもきっと変わらないのだろう】
【それは無垢な祈りに似て、ある種盲目的な信仰に近いのだけれども、今はそれでよかった】


ほへー……そんなに纏められるですね、鵺ちゃんには皆目けんとーも付きませんです
しっかしまぁ、どちらの勢力にしても世界だなんて手に入れてどうするつもりなんですかねっ
こうして仲の良い人と気ままにおしゃべりして、楽しく過ごすのが一番いいと思うんですけどっ!

まーでも確かに、世界は俺のものだー! 系の人ではありましたし、その可能性は高いかとっ!
気をつけてくださいねっ、めーっちゃ嫌な能力使うんですよ!!
なんかこう、ぐにゃーっとした、人の悪いとこを凝縮したような!


【皐月の推察は正しい。彼女はそれに気づいていないけども、自分の命への執着は薄い】
【声に出さなかったのは貴女の聡明さが故か、だからこそあるいは──】
【特異点になる可能性もあった、近い未来。──あの時こうしておけば、と思う分水嶺】


とまぁこんな感じですかね! えへへ、皐月姉とお話出来て鵺ちゃん、少し賢くなれた気がします!
身体動かすだけじゃないんだぞーって、課の皆に見せつけてやるのですっ!
ありがとうございますっ、他に何か聞きたいこととかあります?


【そんな事も露知らず、彼女は微笑みを向ける】


52 : 麻季音 ◆KP.vGoiAyM :2018/05/17(木) 17:37:25 PqnG4VVY0
>>42
【抜け落ちた時間の中の出来事は私にはわからない。淡々と疎外された世界の中で物語は進んでいた】
【私は死んでいた。どっからどう見ても、誰が見ても死んでいた。この世界の認識ではそれが事実だ。】

【意識ある私は、私が死んだ世界にはこの瞬間には居なくて、別のところにいたのだろう】

一体なにがどうなって―ー――



【婦警のみた光景はそれが完全なる事実として覆しようのない光景だったことだろう】
【何をどう見ても、偽装でもすり替えでもないことがわかるから厄介さは更に深刻だ。】

【婦警からの電話を受けたオーウェル社は、さぞかし慌てただろう。】
【まずは、「殺したのか?」次に「事実か?」、そして沈黙する】

【撃ち込まれた弾丸が頭部だったから更に問題だ】
【これが別の部位だったら脳を取り出して未完成の技術でなんとかソラリスを復元しようとか考えたはずだ】
【しかし、その頭脳こそ失われてしまったのた。追い求めていた理想と共に】

【オーウェル社の中ではソラリスはもはや神聖視されていた。】
【不可能を可能にする新世界への導き手として】

【長い沈黙の後に、『再検討の余地あり。撤収せよ』そんな短い言葉で通話は切られるだろう。】



―――――ほんっとに無茶苦茶ね!まったく…親切にしてくれた人に対する態度じゃ…まぁいいわ。

あーハイハイ。そうですか、ええそうですか!
それなら、自分が死ぬのを納得できるほどの訳を聞かれてもらおうじゃないの


53 : 厳島の中 ◆rZXDD3W69U :2018/05/17(木) 19:18:50 6.kk0qdE0
>>49

「淫魔!?」
「そんな、存在まで……」

【サキュバス、それはあくまで、お伽噺の存在】
【実際に邪禍と言う存在を知っており、そして自分自身がその存在と化した為に】
【現状は信じられるのだが……】

「(人じゃない国、そこにはもしかして、私も……いや、ダメ、きっと悪い事を企んでる)」
「(私は、人間だ、人間で十分だ!)」

【一瞬過った考えは、振り切り、そのまま、青年の話を聞いて】

「好きな人、ですか……」

【余りにも意外な要求だった】
【悪人と言っているが、本当に悪人か、と問われれば答えに窮するほどに】

「え、ええっと……その人は私の上官なんですけど」

【顔を赤く上気させながら、こうゆっくりと話す】

「初めて会ったのは、静ヶ﨑の軍港の式典で」
「凄くカッコいい人で、あまり多く話さない人なんですけど」
「でも内心は優しくて、でも、自分で多くを抱えてしまう人で」
「私は、この人がいたから、海軍に入ろうと思って……それで、その……」

【もはや、顔は茹蛸か茹で甲殻類のように赤い】
【普通ならば、誰も聞きたいとは思えない様な話】
【所謂惚気に近い性質のソレだが、青年はどんな顔で聞いているのだろうか】

「つまり……」

【手伝えない、そう言った青年の顔を少し考える様にじっと見て】

「貴方は、ブラスフェミアかブランルか、あるいはその両方の関係者?」

【少女の口調は一転して淡々と、そしてじっと青年を見据えながら、こう尋ねた】


54 : ◆S6ROLCWdjI :2018/05/17(木) 20:05:49 WMHqDivw0
>>53

【にまにま、にまにま】
【実にたのっっっっしそーーーーな顔をして、少女の話を聞いている】
【さっきまでゲロ吐いて死にそうなくらいに弱っていた男の顔に、僅かの愉悦が混ぜられて】

ほぉ〜〜〜〜〜〜〜んふう〜〜〜〜〜〜〜んへえそーなのお〜〜〜〜〜、
上官かぁーってコトは年上? いくつくらい上のヒトなの?
さわやか系のイケメン? それともコワモテ系? あえてのほわほわ癒し系だったり?
へえ〜〜〜〜ふう〜〜〜〜〜んそっかあ〜〜〜〜〜〜〜、いやーいいネいいネ、

…………そんなに好きなヒトいるんだったらさ、ちゃんと帰ってやんなよ。

【「今は無理かもしれないけどさ、いつかちゃんと、問題解決できたあとにネ」】

【――盛大に茶化したあとに、ちょっとだけ声を低く、ボリュームを小さくして、そう付け加えた】
【そのときの笑みといったら、なぜだかどこか子供を見守る親めいて】
【まるで自転車に乗る練習をしている子をそうしているような、意外にも穏やかなものだった】
【たぶん根は悪くない人物なんだろうけど、兎角いじわる。そんな印象を与えるように】

そーそ。ブラスフェミアの「モノ」なの、おれは。
……はあ、何だかんだで全部ゲロっちまったナー、二重の意味で。
おじょーちゃん、もしかしたら尋問上手だったりする?

【ここまで来たらヘタに隠したって格好良くないだろう。そんな調子で、さらっと】
【自分は人間じゃないのだ、と暗に伝えた。へら、と笑って、小首を傾げて】


55 : 第○○話『深蒼海流』daijirou1021016 :2018/05/17(木) 20:26:56 6.kk0qdE0
>>54

「え、ええっと、そのキリッとした感じで、こうクール系、ですかね?」
「歳は27って言ってました!その私とか全然子供に見えますよね、やっぱり……」
「ああもう!恥ずかしいです!!」

【ニマニマと、こう楽しそうに話す青年に】
【最後は沸騰しそうな勢いで、やがて】

「……」
「帰りたい、です、本当は……」
「全部、終わったら、帰ります!」

【親か兄のような、そんな視線だった】
【決して悪人のソレでは無い、優しい瞳】
【ついつい、そんな本音を話し】

「ブラスフェミアさんの!?」
「物って、そんな、人間ですよね?物みたいに……」

【青年のニュアンスは、伝わらない部分もあってか、奇妙な物に聞こえた】
【ブラスフェミアの仲間ではなく、物】
【それは、少女には想像もつかないような、そんな話で】
【必ずしも、少女の尋問が上手いわけではないが】

「お兄さん、そ言えば家って何処なんですか?」

【本来の目的だったが、思い出したようにそう聞いて】


56 : ◆S6ROLCWdjI :2018/05/17(木) 20:48:03 WMHqDivw0
>>55

へー27なの。おれと同い年だあ、あはは。
そのヒトとおれとどっちがカッコいい? なーんつって。

【童顔×ちゃらい恰好×へらへら大型犬オーラ=「27には到底見えない」。】
【大目に見積もってもサボりまくってダブリまくりの大学生がいいところだ、だけどアラサーなのだという】
【湯気が出そうな勢いの少女を見ながら、手を叩きすらして、大口を開けて笑いながら】

……うん、ちゃあんと帰んなよ。
おじょーちゃんの帰りを待ってんのはきっとそのヒトだけじゃねーさ。

【――それでも最後には、やっぱり肉親めいて穏やかな笑みに戻ってくるのだ】
【きっとこれが素。籠から大空へ巣立っていく鳥を見守るのが好き、みたいな、そういう人物】

そう、モノ。間違ってもニンゲンじゃねーの。
おれの身体はもう、あいつ――ブラスフェミアに好き放題弄られまくっててネ、
さっきゲロってたのもそのせい。今回はちょっと、無茶な弄られ方をしたの。

…………あーうん? 家? ぜんぜんここらへんじゃないヨ。
家っつーか本拠地、「ブラスフェミア」の居場所ってコトだから――それだけは教えらんねーんだよネ!

【「いやもう他のことはほとんどゲロったけどネ! あははは!」】
【……平気な顔してそう宣うのだ。曰く、適当に治安の良さそうな場所を目指して歩いていただけらしい】
【これまでさんざんイイ人オーラを放っていた分、こういうところで急落させるのだ。悪い男、だから】


57 : 厳島の中 ◆zlCN2ONzFo :2018/05/17(木) 21:13:54 6.kk0qdE0
>>56

「え?」
「同い年っ!?中尉と!?」

【かなりの素っ頓狂な声が出ただろう】
【まさかこの青年が、と、同じには到底見えなかった】

「中尉、中尉です!!」

【どちらがカッコいい、その質問には即答で】

「……はい、勿論です」
「全部が終わったら、すぐにでも、帰ります」

【中尉だけではない、他の人達】
【まるで全てを知っているかのように、そう話す青年の眼はやはり優しかった】

「……そんな、酷い……」

【さらりと自分の事を物と言う青年と、そうしているブラスフェミアと言う研究者に】
【ふつふつとした、怒りと悲しみの感情が湧く】

「自分で、帰れます?」

【そうやや心配そうに聞いて】
【先ほど倒れかけていたのもあり、そしてブラスフェミアがこの青年を好きに弄っている】
【そう話したのもあって】
【だが、少なくとも少女には青年が悪い人と言う存在には、到底見えなかった】

「これ……」
「何かあったら、言ってくださいね」

【そうして青年に手渡したのは、自分の連絡先が記載されたメモだ】
【名前は、那須翔子とも】


58 : ◆S6ROLCWdjI :2018/05/17(木) 21:31:17 WMHqDivw0
>>57

あっはははは、まーそうだよネ!
でもおれもけっこーイケメンだと思うんだけどナー、ダメ? あははは。

【げらげら。ベンチの背凭れに背骨を沿わせて、僅かに反らしながら】
【真っ暗い空を見上げてひとしきり笑ったあと――ふ、と息を吐いて】
【戻ってくる。玉子焼き色の目が、多少の元気を取り戻して――きらめいていた】

【帰ります。少女がしっかり口にしたなら、うんとひとつ頷いて】

そーそーおれ可哀想なんだよ、なんだけど、あいつの命令に従って酷いコトしてるのも本当。
だからおれはワルいオトコ。そーやって悲しまなくたってイイんだよ。

うん、何があっても帰らなきゃいけねーし――帰るさ、おれは。
……、……しょーこちゃん? ナスちゃん。……ナスちゃんのほーがイイな、かわいいし。
おれはねえ、おれのことは……「オムレツ」って呼んでよ。かわいい名前でしょ。

【連絡先を受け取って。何を以ってナス=かわいいとしているのかはよくわからないけれど】
【とりあえず、少女のことはナスちゃんと呼ぶことにしたらしい。何度か復唱してから】
【自身の名、……とうてい名前には聞こえない単語を口にした。当然、偽名だろう】

【よ、と声を上げて立ち上がる。多少ふらついてはいるが、初めの時ほど危うさはない】

じゃ、おれは帰るよ――――ナスちゃんも、そのうち、帰れるといいネ。

【そのまま、ひらひら手を振って。公園の出口へ歩いていくことだろう】


59 : 厳島の中 ◆zlCN2ONzFo :2018/05/17(木) 21:50:34 6.kk0qdE0
>>58

「顔は、それはいいと思うんですが……」
「いえ、そのそう言うんじゃなくて!それだけじゃダメです!」

【夜空の星に近い、そんな卵の黄身の色の瞳】
【幾分か、元気の色を取り戻し】

「……悪い事、してるのかもしれないですけど」
「でも、それと悪い人は、無関係ですよね?」
「私は、違うと思います、いえ、そうあって欲しいです」

【やがて……】

「オムレツ、オムレツさん……なんだか、料理みたいな名前ですね」
「うう、自分の苗字可愛いって思った事、無いですよ!」

【妙な名前だった、その名前から連想できるのは、やはりあの卵料理しかなく】
【そして、自分の名前には、子供のころは良く男子に揶揄われた為か、良い思いは無く】

「気を付けて、下さいね」
「はい、帰れる日が来る、来させなきゃいけないですから!」

【そう言って、オムレツを見送るのだった】
【空には、観測し難いが、星が光り】
【夜風は依然心地よく吹き付ける】
【そんな一幕が、あった、あって良かったのだ】


//こんな感じで〆でよろしいでしょうか?
//お疲れ様です!


60 : ◆S6ROLCWdjI :2018/05/17(木) 21:57:00 WMHqDivw0
>>59

//おつかれさまでした、ありがとうございました!


61 : 名無しさん :2018/05/17(木) 22:57:51 5w/a9BZQ0

【市街地】
【大型のトラックが道路の真中で横転し、積み荷をぶちまけていた】
【周りに集まった野次馬が騒ぎ立てる。警察はまだ来ていないようだ】

【その近くの路地裏では、何やら男が2人──揉めている】
【一人は、わざとらしいほどにギラついた金髪に、派手なスーツとアクセサリが目立つホスト風の30歳前後の男】
【もう一人は、作業着を着た同年代程度の男だ】
【ホスト風の男が、作業着の男の胸ぐらを掴み、詰め寄っている】

てめぇ、やってくれたじゃねえか……我が社の車と荷物をめちゃくちゃにしやがってよぉ?

「す、すんません!でも誰も轢かなかったし……」

んなもんタダの偶然だろうが!!他に俺に言うことが有るんじゃねえのか?おい?

「そ、それは……」

ふん。まあいい。テメェがサツに捕まってくだらねえこと吐く前に……死んどけ

「ひいぃ!?」

【作業着の男は横転したトラックのドライバーらしい】
【ホスト風の男の言葉に、青ざめて震えている】
【近くを取り掛かった者、あるいは騒ぎを聞きつけて駆けつけた者がいれば──このやり取りを見ているかもしれない】

//とりあえず明日の24時まで募集いたします。どなたでもどうぞ


62 : ◆jw.vgDRcAc :2018/05/18(金) 00:27:14 OX.x04tc0
>>51

【事実、幸せだった。此処に至るまでずっと、本当にずっと、たった独りで抗い続けていたのだから。】
【誰も信じてくれない、誰もが自分をうそつきと言う。そんな中で、たった一人自分の言葉を信じてくれた。】
【そのたった一つの事実が、皐月にとってどれだけの救いになったか。だからこそ、その想いに偽りはなく】

それは、私も同感です。世界なんて手に入れなくたって、得られる幸せはあるのに。
……それを知らないのは、不幸な事かもしれませんね。許されざる行為とは言え……少し、憐れかも。
世界を手に入れて何とする……なんて、その人に聞くのはナンセンスかもしれませんけど。
だから、鵺ちゃんの言う通り気を付けないといけませんね?そんな考えを持つんですもの……どんなことを考えるか、分かりません。

【そして、そのような想いを抱くことが出来る少女とのささやかなひと時は、久し振りに心から楽しかった。】
【ああ、対峙すべき連中はこの幸せを知っているのだろうか。あるいは、知る機会があったのだろうか。】
【幸せや喜びなんて、案外すぐ傍に転がっている物。世界を牛耳るなんて回りくどい事をしなくたって手に入る。】
【そう思うのは、自分が一般的な価値観しか持ち合わせていないからなのだろうか―――】

ああ、そうでした。最後に一つだけ、鵺ちゃんに頼み事です。
―――どうか、これからも私の味方でいてくださいますか?……わがままなのは、承知です。
でも、今の私を信じてくれるのは貴女だけ。……貴女が私を捨てれば、私はまた独りになってしまう。
だから、どうか……独りにしないで下さい。なんて……。……みっともないけれど、そんな風に思ってしまうのです。

【ほかに何か無いかと問われて、もう質問することは無い筈なのに……口を衝いて、言葉が出てしまった。】
【大人げない。我が子ほどに年齢の違う少女に向かって言う言葉ではない。それは分かっている。……なのに】
【今まで耐えていた分の孤独に対する恐怖が、貴女に出会ったことで容赦なく襲ってきた。だから願う。】
【また独りになるのが嫌だから、独りにしないでほしいと願う。孤独は、決して強くない皐月の心の傷になっていたのかもしれない。】
【大人びていて聡いと見られているであろう皐月が見せた、弱さ。抱えた傷は、そう簡単に癒えるものではなかった。】


63 : 院長中身 ◆zO7JlnSovk :2018/05/18(金) 00:56:37 ABHv169.0
>>62

【掌で収まる幸せで良かった。けれども何時しかその幸福に慣れてしまって】
【より多くを求めようとしたなら、指先から少しずつ溢れていく。──】
【、──後に残るのはきっと、最初よりも少なくなった幸せ】


鵺ちゃんも同じ考えですよっ、えへへーっ、皐月姉と一緒です! うれしーですっ!
まあ大船に乗ったつもりで任せてくださいな! 鵺ちゃんの手にかかれば皐月姉に指一本触れさせませんからっ
忍者は護衛も得意なんですよっ、いざっという時は皐月姉そっくりに変装もできますから!

あっでも、中身は無理無理です、話したら一発で鵺ちゃんってバレてしまいます!
ですのであくまでも見た目だけです、皐月姉みたいなキレイなお姉様に大変身です!
ふふ、鵺ちゃんも大きくなったら、皐月姉みたいなお姉様になりたいです!


【続く言葉に鵺は一瞬、きょとんと首を傾げて── どうしてなんだろうって、少し考えた】
【ぐいってテーブルに乗り出して、小さな手をぐぐーっとのばす】
【そして、母親が幼子にするように、なでなでと頭を撫でようとするだろう】


そんな事、改めて言わなくても勿論ですよ
皐月姉って意外と寂しがり屋さんなんですか? ははーん、さては夜中一人では寝られないタイプですね!
ぬいぐるみを抱いて寝てるタイプと見ました! 間違いないです

今日からはぬいぐるみの代わりに鵺ちゃんが添い寝してあげます! 特別大サービスです!
べ、べつに鵺ちゃんが一人で眠るの寂しいなーと思ってたとか! 丁度良かったですとか! そーゆーのじゃないので!
── 独りになんかしませんよ、私達は仲間です


【そしてそのまま、他愛もない話を続けて、夜が更けるまで時を過ごして】
【心の傷は薬なんかないから、長い時間だけが優しく治癒してくれる】
【少しでも貴方の心に寄り添えたなら、きっと──そこに勝る喜びはない】


/こんなところでしょうか! お疲れ様でした!


64 : キング ◆/iCzTYjx0Y :2018/05/18(金) 14:20:16 lp4TKcVo0
>>40

【カニバディールという男、カノッサ機関の実力者にして凶悪な人物について、キングも聞き届けている部分は多い。】
【何を隠そう、かつての"ベクター・インパクト"―――今は鳴りを潜めているが―――におけるセリーナの幽閉・暴走事件については】
【あの肉屋との決闘こそが、最初の引き金になっていたのだ。セリーナはカニバディールに敗北し、その身を、精神を闇に落とす事になった。】

【セリーナの心をへし折るだけの弁が立ち、悪意と決意と覚悟と暴力とを全て兼ね備えた、本当の強敵―――】
【その凶暴さと強かさは、第二次ベクター攻防戦においてキング自身相対する事で間近に感じていた。コイツは、危険だと。】
【だからこそ―――鈴音の言葉には訝しむ表情をそう簡単には崩せなかった。しかし、こうも聞き及んでいた事を思い出す、セリーナ曰く、】

"―――鈴音ちゃんとカニバディールは、ある種の因縁を持っている"

……セリーナの言葉だ。成程な、今鈴音ちゃんから直接話を聞けて、その意味がよく分かったよ。

ぶつかり続けて、どこかで重なって、すれ違って、そうして続けてきた関係なら―――敵か味方かはともかく。
互いを互いによく知っている、ってワケだな。理解している、と言い換えたって構わない。

鈴音ちゃんはカニバディールを信用してるとか、信頼してるというより―――……"確信している"んだな。
どういう人間で、どういう考えを持っているか、どう動くか。それが分かるから、動向を追える。

そしてそこに関しては"ブレ"ないって事も分かってるから……、オーケイ、分かったよ。それなら俺はキミを信じる。

オレの立場上、アイツをアテにして動くってのはなかなか難しいし、言葉に直接だしてそれを認めるのは出来ねえ。
けど、オレはキミを信じて動く事ならできる。だから―――、まあ、その。なんだ、あー……そういう事だ。難しいな、大人ってのは。

【直接言葉で表現はしないが、つまりは"認める"という事だった。キングは二人の不思議な関係について理解を示した。】
【しかし続く言葉には矢張り、どこか悲し気というか、複雑な表情で応えるだろう。カニバディールを殺す―――互いに、殺し合う。】

……そうだな。ソイツは……聞いちゃいけなかったかもな。いや、聞いておいてよかったのか。
だがな鈴音ちゃん、いいかい? オレの耳に入った、って事は……酔っぱらいホルスタインの知るところでもある、って事だ。
悪いがだんまりってワケにもいかねえ、その時は恐らく"絶対に一騎打ちなんてやめろ"と言われるだろうし
オレも正直なところそれは避けてくれと言いたいんだが……はぁ。キミはなかなかに、"強い"からな。……ううん。

……正面切ってカチ合うのは止めてほしいな。向こうが攻めてきたら護ってやるし、だから―――……、なるべく避けろ、とだけ言っておくぜ。

【絶対に止めろ、とは言えない。キングも万全ではないし、向こうが鈴音を見逃す筈もない状況なのだ。】
【だからこそ、身を護る為の戦いであれば文句は言えないが、殺しに行くのは止めてくれ、とキングは訴えるだろう。尤も】
【その願いが完全に聞き入れられるかは不明だ。それほどに、恐らくだがカニバディールと鈴音とのある種の絆とは、深いのだろうから。】

/すみません、続きます。


65 : キング ◆/iCzTYjx0Y :2018/05/18(金) 14:20:38 lp4TKcVo0
>>40

―――で、黒幕はこっちにちょっかい掛けてる、と。後手後手だな、コイツは。
面が割れてるのは現状仕方ねえが―――となれば、オレは慎重に動かねえとな。はっ、全く……。

困った時期に赴任しちまったよ、だがオレの仲間内に喧嘩売ってタダで済むと思ってるなら
黒幕ってのも大概不運だな。オレはオレの仲間を傷つける奴は全員ブチのめして来た。……上司には勝てなかったが。まあともかくだ。

オーウェル、カノッサ、公安警察とそれぞれネタが割れてるならこっちから仕掛けてやるさ。
鈴音ちゃん、オレもその黒幕と円卓、潰すのは手伝うぜ。というより―――やらざるを得ない。そういう立場なんだ、UTに居なくとも、な。

……人間界がバタつくと、魔界もバタついちまうから、な。

【キングは一息つくと煙草を懐から取り出そうとし、鈴音をちらと見て手を止めた。】
【代わりに珈琲のお替りをカップに入れると、鈴音にも差し出して。砂糖とミルクは、忘れずに。】

ああ、それから……企業ってのはオーウェルじゃねえ。"レボルツィオーン"だ、そこそこ有名な会社だよ。
製薬会社としちゃ名も通ってるし、なんならUTにも製品があるかもしれん。そういう普通の会社の、裏の顔が人体実験万歳のクレイジー集団って訳だ。
順を追って話すと―――ちょっと前だが、UTに駆け込んできた男がいてな。鳴神義勇、セリーナの知り合いだ。
そいつが連れてたのは"脱走者"だった、御察しの通りレボルツィオーンの研究所で人体実験のモルモットにされてた被害者だな。

セリーナはそいつをUTで保護、今も地下で監視下にある。そんでもって鳴神と一緒にレボルツィオーンの研究所に……
突入した。二人だけでだ。そんでもって、めちゃくちゃ強いヤツが出てきちまって義勇を逃がすために一人で残った―――その後は行方知れず。
纏めるとそう言う事だ。セリーナは大企業の裏を知ってとっ捕まった、下手すりゃ実験台にされてるかもしれねえ。
早い所救出したいんだが……それには仲間集めが最優先だ、二の舞は演じられねえからな。そういう訳で、……キミにも伝えたかった、次第さ。
黒幕と、それから円卓―――子供たちについてはオレも動く。キミに脅しをかけたクソッタレのナントカって奴は蜂の巣にして地獄送りにしてやる。
だから鈴音ちゃんには……セリーナを救出する手助けをしてほしい。恐らくだがオレの読みが正しけりゃ、アイツが単独突入なんて下手を撃ったのは―――、

……キミと言い争いになった"環境"が関わってるから、だ。だから、切り札はキミだ。鈴音ちゃんだ。アイツを……助けられるのは、……多分な。


【珈琲を啜る。苦い味が舌に広がった。セリーナと鈴音、そしてキングとを取り巻く環境は複雑に、だが太い糸で繋がれている様だった。】


66 : ドラ :2018/05/18(金) 20:51:56 XqQAhkbc0
>>9

やだなぁ、ぼくはおしゃべりが仕事道具だよ!?口枷くらいで黙らせられると思うのかい?
腹話術なんてお手のモノだしもっと下品なやり方もできる!……女の子の前だからそっちは控えるけどさ!

……ああでも首輪とか鎖はごめんだね、せっかくお勤め終えてムショからおさらばしたのにもう縛られるのはこりごりだ
きみみたいなカワイ子ちゃん相手なら最悪とまでは言わないないけどさぁ〜、うん、やっぱり縛られてなぶられるのは嫌だ!
ぼくの意思で自由に生きて自由に揉みたい。今はまさにきみのを揉みたい!!負けたくないね、ここは!!

(―――さあ、ブランク長すぎてなまったか?もっともっと闘志を燃やせ!
わかってないのか?勝てば……あのたゆんたゆんのムッチムチを今後ぼくが好きに揉めるんだぜーッ!
もっとふるえろよハート!!燃え尽きるほどヒート!!)


【前科者であることをカミングアウトしてきた、こいつ本当に正義サイドの人間か?】
【だがその足さばきは本物だ。長年の鍛錬で培われた俊足は戦場を引っ掻き回すことに関しては本当に適している】
【こいつの足に対処するにはそれ以上の速度か―――『読み』で上回るかだろう】

【少なくとも、彼女のその"置かれた弾丸"に対しての『読み』はドラが上回った】
【引き金を引く手は片方のみ、そちらを警戒していればどこに向かって弾が飛ぶかは彼も頭の回転を速めて即座に読み切れる】
【長年のカンの技。撃たれる前にやや右に接近の軌道を修正するとキャットⅢは前転の動きで見事いなして見せるだろう】

【―――だがそれをやってなお、キャットⅢの仮面の下でドラは苦い顔をしていた】


(遅らされた。今の遅れでなにか仕込まれたな!?何かが来る!!―――いいとも来いよ!!覚悟は決めた!!真っ向から挑んでやる!
『一手』遅れたならば……さらなる『一手』を複合し挑むまでだ!)

―――……そろそろイケナイ経験豊富なのをひけらかすのはやめてもらおうかな!
さっきの言葉で察してよ!突かれる悦びどころか――――突く悦びだってご存じないッ!!

コークスクリュー!!


【カチューシャに向けて突進しながら半身に構え、左の拳をめいっぱい振りかぶる!】
【左手首を回すのを見せ、威力を高めるコークスクリューブローの前兆を見せる―――あえてだ】
【だが、今まさにカチューシャに向けて拳を振るえる射程距離になったところで―――】


…と見せかけてリーバッフオーバードライブ!!


【疾走の速度を全く下げぬまま左手を下げ、手指を開き、―――傷ついているはずの右腕の肘を前に突き出す!】
【振りかぶり叩きつけると思われた左手の平を、ドラ自身に向けられた右手の拳めがけて打ち込み、杭打機のようにカチューシャの鳩尾めがけて】
【足の裏で滑り込みながら半ば突進するように勢いを乗せ打ち込みに行く!―――また騙し技だ!】


67 : 名無しさん :2018/05/18(金) 21:14:21 sooD0fbc0
>>64>>65

【件の機関員については、結局彼女自身がひどく信頼していて、というのが分かるので、今日はきっとこれで精いっぱいだろう】
【殺しに行くな。あっちから来たら護るから。……そう言われて少女は黙っていた、何も答えなかった。視線を逸らすほどではないけれど、どこか、ぼうとした目】
【少しだけ何か考えるように目を細めて――ああ、だから、きっとその態度こそが"それを約束できない"という返答に、きっと、等しくて】

【――彼がこのことに関わってくれる。手伝ってくれると聞いても、けれど少女はあんまり嬉しげには見えないだろう、そういう意味では、もう、折られかけている】
【きっと頑張ったのだと思わせた。それなのに状況はよくなるどころか悪くなる一方なのだと、今までの少女の全部が、そう訴え続けていた。だから、もう、】
【どうしようもなくなって。分からなくなって。ひとまず世界と自分とを隔てたのだと思う、――部屋の中に閉じこもって、誰も彼もを無視するっていう、消極的でも暴力的な方法で】

【彼女にとってはそうするほどの理由があった。自分でやると決めて、頑張ってきたことを、最悪の方法で踏みにじられて。その気持ちを、どうすることもできなくって】
【だからこそ一つ際立つこともある、――そうであってなお、彼女にとって、セリーナという人物が。大切であること。そのためなら、一時、外の世界に出ようという気になったこと】

レボルツィオーン? ……ああ、えと、――お薬の。聞いたこと、ある、――――、……、? ――、ううん、いいや、……。
……鳴神義勇。知ってるよ、――ウェインさんが連れて来たひとだ、……少しの間、お家に泊めていたの。……ウェインさん、て、ひとも、泊めてて……。
…………――ああ、しばらく、帰ってないから。……ウェインさんが、家のこと、してくれているのかな。――……へびさまは、うんと、ぶきっちょだから。

【――なぞった名前を、けれど最近、どこかで字として見た気がした。だけど思い出せなくて、少女は緩く首を傾げる、けれど、どうでもいいと斬り捨てて】
【相手の言葉をなぞっていく。――知った人間なのだと言う、といっても、よほど会話をして親しい、という様子ではない。名前と顔を知っているくらい、のように見え】
【一時家に泊めていたのだという。それからウェイン、という人間も泊めているのだと言って――自嘲めいて笑うのだ、くすくす、って、喉の奥を鳴らすように】

……………………うん、いいよ。

【――小さな吐息を漏らした、それはどこかため息にも似て、だけど。でも。向けられているのはきっと自分自身へ、こんなばかげた自分に向けて、馬鹿にするみたいに】
【行かない、という選択肢はなかった。それはさっきの即答と同じ色合い、――死んでさえいなければ、って、そういう付け足しは、しないけど】


68 : 院長中身 ◆zO7JlnSovk :2018/05/19(土) 04:27:06 ce9ibMps0
>>66

【激流の如き脚さばきであった。土砂降りの後、氾濫間近にまで膨れ上がった河川を思わせて、かと言えばそれは清流の様にしなやかさを持つ】
【流麗な所作はある種の美しさを持っている。絹糸を濡らす、水面に伸びた一陣の纐纈模様。微かな名残すらも強かさに満ちて】
【滔々と流れるその行方を目で追ってしまったのが、彼女の失態。── 嗚呼と思った時には既に遅く】

【肘鉄が腹部を撃ち抜く。── 大きく苦悶の声が漏れて華奢な体躯が宙に舞い、羽織ったコートが零れ落ちた】
【背中から地面に叩きつけられ、細くしなやかな四肢を投げ出す、大きくはだけたスーツ姿が地面に投げ出されて】
【其れはまるで蜘蛛の巣に捉えられた蝶の如く、何処か無惨な美しさを携えていた】


っ……ええ、まさか本当に── 坊やだったなんて……っ
それはイケない事をしてしまったの、坊やにも立派な矜恃があったでしょうに
今更そんなこと言っても仕方ないの、察してあげられなかった私の責任だから

── 坊やの攻撃が、今、私の中に染み込んで、身体の隅々まで行き渡るの
私のその髪の毛の一本まで、坊やが汚してしまうの、貴方の色に私を染め上げて
そうして蹂躙して嗤うの、殿方はみんなそう。── お好きでしょう?


【座り込んでゆっくりと上半身だけを起こす。ふらりと一度大きく身体を揺らして】
【怜悧な目元に涼し気な色合いを残して、その先に浮かぶ貴方の虚像を見つめる】
【虹彩が何度も貪る様に貴方を辿って、口元に静かな笑みを携えた】


私の身体を好きにしたいのかしら、坊やの逞しい腕と脚とで私の全身を貪りたくて
そうして飽くまで抱いて、次は形を変えて、その次は様々な玩具でも使うおつもり?
ねぇ、聞かせて欲しいの── 坊やの考える欲望を、私にさらけ出して

だってそうでしょう? 絵空事で終わる願いを聴き止めるのも曲輪の役目だから
── どうせ本当に愛してなんてくれないの、知ってるから


"Разбитый Стеклянный Синдром"
──"Broken Glass Syndrome"


【先程置かれた銃弾の行方を辿ったなら、── 着弾寸前に出現した鏡に消える。一手送れさせたのはその所作が為】
【カチューシャは右手を放り出す。誘う様に向けた掌に、手のひらサイズの鏡が出現して】
【鏡から放たれる銃弾── 狙いは貴方の股間を撃ち抜く軌道であった】


69 : トライデント&アコーディオン ◆auPC5auEAk :2018/05/19(土) 14:01:06 ZCHlt7mo0
>>前923-927

〔ぐ、あぁぁッ!? ――――っ、何……!?〕

【突如として吹き上がるエネルギー、その奔流に、インフィニティージーンは思わず身を退いて怯む。まるで、破壊衝動の噴火の様な光景】
【消耗しきったその身体が見上げるのは、光の象る人型――――恐らくは、ダリアの最後の力の発現したそれ、そのものなのだろう】
【欠落した左腕の痛みすら、今は意識に入ってこない。ただ、極限の中で、切迫した、ある種の義務感の様なもので体が踏みとどまる、ギリギリの疲労と脱力感だけが、そこに残っていた】

〔――――結局最期まで、「そんな戯言」しか口にできないんだな……生きてもいない死んでもいない、そんな奴が――――ッ、ガ……っ……?〕

【呆れ果てた――――まるでその一言を、仕草で表現するように、インフィニティージーンは、残った右腕で額を抱えつつ、首を振る】
【――――共に、致命的と言っていいほどに違う出発点。ならば、道筋も違っていて――――その果てに、たどり着く答えなど、似通ろうはずもない】
【『命』という命題をどう理解し、何を望むのか。トライデントとアコーディオン、そしてダリア――――その二項対立は、この期に及んで相容れる筈もない】
【――――願いがあるなら罪は雪がれるなど、そんな『悪』が命を握る事は許さない――――その一言を言おうとして】

【唐突に、インフィニティージーンの身体は震え、思わず右手で己の胸を押さえて絶息する】
【顔面の代わりに頭部に埋め込まれた、黄金の半球体の光が、色が揺らぐ。赤、紫、青、黒、灰――――――――そして、蒼黒に定まり、移ろいは止まる】
【そして――――白と黒のまだらと化していた体色が――――濃淡の差こそあれど、蒼黒に埋め尽くされた】






〔――――ほぉ、……ハハハっ、面白いではないか! なんだ貴様……この身体を殺そうと、張り切っているのかね……?〕

【――――同じ声で、違う口調で、壊れかけのインフィニティージーンは顔を上げる。そこから感じられるのは、煮詰められた殺意でも、哀れみ交じりの正義感でもない】
【――――悪意。それも、他者を見下し、それのみか致命的事態にある事を理解しながらも、なおそれを面白がるような――――狂気】

【ユルッと体の構えを解き、右腕、そして腰の副腕部を軽く開閉して調子を確かめる。その様は、そのまま醜悪な意思を伝えるような所作で】
【今度は真っ直ぐに顔を上げる。肩口からの触手の副頭部も一様に、見上げるばかりに膨張した光と化したダリアを見据えて】

〔――――20年、いや50年ほどか? ……どうも感覚に大きなズレがある。が……どうもそれくらいの時間が経っている様じゃないか
 どれ、大仰にこの俺……いや、わし……? ……どうでも良い。ともあれ、この俺に逆らおうと、そういうのか……ッ!?〕

【――――人格が、切り替わっている。それは間違いないだろう。先ほどまでと、全く言動が一致していない。そしてその変化に呼応するように】
【匂い立つ――――悪意と狂気。『無限』を掲げた肉体を埋め尽くす、限りないまでの精神――――悪徳。壊れかけた体が、まるで油を差した様に滑らかに動き出す】
【――――『エターナルトライアングル』の球体が消失する。『リスクストレージ』の光が消えていく。その代わりに――――黒い、黒い闇が、押し寄せる】

〔――――俺にこの身体あれば、もう何もありはせん……後は、もう――――全てを俺の意のままに操るだけよ……!〕

【――――記憶にある雰囲気を感じるかもしれない。だが、それはあり得ない事なのだ。それは本来、既に死人になって久しいはずの『男』の持つものだったのだから――――】

/続きます


70 : トライデント&アコーディオン ◆auPC5auEAk :2018/05/19(土) 14:01:24 ZCHlt7mo0
>>前923-927

〔――――やはり、若く、力みなぎる体というのは良い。頭の中までスッキリするわ! 何者かは知らなんだが……さあ、『そんなオモチャ』でわしを殺せるものかッッ!!〕

【緩慢な動作が一変する――――もはや本質としての無限に到達した光の奔流を前に、蒼黒の魔人は闇を展開する】
【一瞬で、それは周囲の全てを無差別に吸い寄せ、そして閉じ込め――――消滅させていく。もはや存在するだけで全てを握りつぶす天体――――ブラックホールさながらだ】

【ブラックホールの中心に位置するのは、燃え尽きた恒星の『燃えカス』である。巨大な太陽が、己の質量で潰れていき――――星が、バスケットボール程のサイズにまで縮んでしまうのだ】
【そして、その質量、重みは変わらない――――それが、光さえも捻じ曲げてしまう重力の根源――――この世で最も大きな、マイナスのエネルギーの1つなのである】
【――――その『男』は、己の能力をインフィニティージーンを媒介にして発動、その辺の石に己の重力操作の能力を用いて、集積をさせ――――極小の、人工ブラックホールを形成した】
【降り注がれる破壊のエネルギーは、光かの如くブラックホールに吸い込まれていく。致命――――否、存在そのものを焼き払う光も、まるで拭い去られるように】
【散り散りの光は、インフィニティージーンの身体を焼く。だが、かき乱され、減退させられる力は。もう防御を言う域を超え、不完全ながらも『空白』を生み出し、生き永らえさせていた】

〔――――フッハハ、さあ行くぞ! これが俺の……復活の号砲よぉぉぉぉぉ!!〕

【そして――――インフィニティージーンはその人工ブラックホールを発射――――頭上のダリア目がけて】
【――――実態の質量は、飴玉程度のものだが。その力の作用圏は決して小さくない。いわば、直径の2m近い、全てを消滅させる真空の砲弾というべき代物だ】
【それを、光で形成された胴体の――――どこを穿てば致命的かは分からない故にか、中央を捉えようとして、能力を行使、発射したのである】

〔うおおおおおおぉぉぉぉ――――――――〕

【同時に――――そんな質量を放つのであれば、慣性による反発力も大きい。インフィニティージーンの身体は、たまらず吹き飛ばれた。ビルの屋上から――――墜落、否、己も発射されたように】
【力の勢力圏から離脱。同時に最後の反撃を決めて――――切り替わった人格からしてみれば、ただの一撃で――――この戦いを終えたのだろう】

【目で追うのも困難な速度で、『シンアル・タワー』から飛んでいく蒼黒の魔人。その息の根は――――ついに、この戦いで止まる事はなかった】



【――――スラム街。高速で墜落したそれに戦き、住人は逃げ去っていく。それでなくても、墜落の衝撃は、不吉なものを連想させるのに十分だった】
【爆心地に自ら踏み込もうとは、どうやら誰も思わなかった様だ】

が…………、ッ……ぁ……っ!!
「う、ぅうん…………ぐ……っ、は……」

【そこには――――2人の男女が、一糸纏わぬ姿で横たわっていた。とはいえ、その有様は凄惨だ】
【青年の方は――――左腕がちぎれ、両目からはダラダラと血の涙を流し、息も絶え絶え。女の方も、頭蓋が砕け、脳の一部が露出している。そして、爆発したように腹部も臓器を晒して】
【――――これで命が潰えていないのだから、異常という他はない光景――――幸いにして、誰もそれを見ることはなかった】

――――次は…………無い。だが……っ、殺して、やるよ…………ッ

【無意識が、青年――――トライデントに呟かせたのは――――最後まで、歪んだ正義に立脚する、悪への問答無用の、殺意だけだった】

/この辺で……乙でしたー!


71 : 名無しさん :2018/05/20(日) 19:49:55 21d2FRHc0
>>61

そこな御兄さん、少し息を吸って吐いて落ち着きましょうや

【掠れながらもよく通る、篠笛のごとき声が流れる】
【一目しての背格好はそこまで目立つものではない。着物にストールを羽織る装いは、廉価品とは少々異なる縫製という程度であり】
【和モダンな雰囲気の女は、草履をさりと踏んで路地の奥から声をかけた】
【茶の混じる毛先を僅かに覗かせるだけの深く被った頭巾の奥からは、生きた眼差しは窺えない】

今は表の騒ぎで皆気も漫ろでおりますけれども、それも一時
あまり事を荒立てるのは得策ではありゃせんと思いますがねぇ

【気さくな言葉を転がしながら、歩行杖を右手に小さめの歩幅で男たちに歩み寄る】
【足取りに障害は感じさせない】
【代わりに歩くたび杖の先端が2つ地を叩く】
【盲いているのだ、明らかに】
【何もなければ、裏路地の薄暗がりでもその三日月につり上がる口元が見える����そんな距離まで進むだろうか】


/まだよろしければ……無理なら無視してくださって構いませんです


72 : 名無しさん :2018/05/20(日) 21:38:44 5w/a9BZQ0
>>71

【響いた女の声に一瞬身じろぎ、ホスト風の男は視線を移す】
【現れたのは杖をついた女――】
【ホスト風の男は露骨な不快感を表す】

あぁ?なんだアンタは……道に迷ったか?
俺らに関わるんじゃねえよ。その場で回れ右して帰りな

「た、助けて!殺される!」

オイ!テメェは黙ってろ!

【作業着の男は胸ぐらをつかまれたまま必死の形相で叫ぶ】
【おそらく、この場に現れたのが誰であろうと――誰彼構わず助けを求めていただろう】

見世物じゃねえぞ女……何笑ってやがる!
これが最後の警告だ!失せろ!!

【ホスト風の男は近づいてきた女のつり上がった口元に気付き、さらに声を荒げた】
【その声には警戒感も含まれている】
【わざわざ路地裏で自分に絡んでくる人間――普通とは思えないから】

//大丈夫ですよ!お願いします


73 : 名無しさん :2018/05/20(日) 22:01:59 sEJmfICU0
>>72

異なことをおっしゃる。目暗は元々世間の迷いもの
ほれに見世物と申されましても、この役立たずの眼には何も映りませんでなあ

【左の袖でくすりと笑いを押さえ、杖が可笑しみを込めて3つ鳴らされる】
【警告に足は止めたが、恐怖という感覚を忘れて久しいような。袖の隙間から白い歯がこぼれ、桃色の舌が踊る】
【品のあるようで、そうでないような。斬るものに合わぬ、下賤な仕草で】

それとも理由が必要ですかなぁ……はてさて
御兄さんの面子や建前はどうあれ、助けを求められれば応と笑むのが人情じゃあありませんか

【撫で上げるような声音。口の端をちろりと舐めて、足が一つ近付く】
【不用意にーーしかし今度は足音がなく】
【くけけ、と鴉のように喉を鳴らした姿が、霞のように揺らいだ】


74 : ◆DqFTH.xnGs :2018/05/20(日) 23:12:47 wQ25QlZM0
【『すごいな、ゾーイ。スシはあたしのおごりになっちまいそうだ』】
【ぽぉんと気の抜けた音を立て、友人へのメールが電子の海に流れていく】

【次に別のメールを開く。急に受信を示す数字が増えたものだから何事かと思った】
【おまけに知らないアドレスからだ。一瞬スパムかなにかじゃないかと疑ったが】
【一通目の文章を読み終わったところで────部屋の冷蔵庫から炭酸水を取り出した】
【それを少し口に含んで、そこから考える。今日の仕事を休むかどうか】
【答えはすぐに出た。返信の文章を考えるのにも、時間はそうかからなかった】

【『最初に会った路地で待ってる』────それだけの短いメールを、相手に送る】
【夏物の上着を羽織り、廊下に出る。「悪ぃ、ちょっと急用。明日倍働くから」】
【その辺ですれ違った機関員に一声かける。ディーラーの仕事は、今日はサボりだ】


【そして────路地裏。あの時ニュースを報じていた壊れかけのテレビは】
【誰かが拾っていってしまった。代わりに野良猫の声が時折聞こえる】
【姿は見えない。猫なんてそんなものだろうが、一方彼女の姿はよく見えた】
【赤い服に赤い髪、それと金の目。初めて会った時はヒトの姿ですらなかったが】
【今はきっちり、人間の形を真似ていた。彼女はあの時と同じように】
【雑に置かれた木箱に座り、目の色を文字通り変えていた。赤と黒の、色違いの目】
【そこから意味もなく金の目に戻して、また変える。戯れのようなことを何度も続けて】
【待ち人が現れれば──「よぉ」と軽く声をかけるのだ。「元気だったか」】


75 : 名無しさん :2018/05/20(日) 23:14:46 5w/a9BZQ0
>>73

ふん。俺は平等主義者でね……女だろうが子供だろうが障害者だろうが邪魔するやつには容赦しねえ
大体、本当に目が見えてないかも怪しいところだ
こちとら「目のないポリ公」に襲われた経験もあるからな

【女は自ら「目暗」と言ったが――】
【それでこんな所に来たのならば、ますます油断できない】
【ハンディキャップを補う力を持った、即ち能力者である危険性がある】

人情だぁ?だったら、こいつに情けなんていらねえよ!

「がっ……!?」

【ホスト風の男はスーツを捲くり、装着されたホルスターから】
【黒い金属製の、3段の警棒を取り出し作業着の男の首を殴りつける】
【そして、気を失った作業着の男を女の足元に投げ飛ばした】
【作業着の男からは――臭い酒の臭いがする】

鼻はちゃんと使えるか?だったらわかるだろうが……そいつは酒を飲んで運転してやがったんだ
助ける価値なんかねえクソ野郎だぜ

ちっ……やっぱり能力者かよ

【足音が消え、揺らぐ女の姿を見て舌打ち】
【持っている警棒をそのまま構え、出方を伺った】


76 : ◆S6ROLCWdjI :2018/05/20(日) 23:32:50 WMHqDivw0
>>74

【かつ・かつ、と、アスファルトを踏み締める硬質な音】
【着ている服は、すっかり暑くなったから薄手のものになっていた。プリントTシャツの上にパーカーを羽織って】
【下はホットパンツ。伸びる生足、それでも申し訳程度に靴下は履いて、靴はおなじみロッキンホース・バレリーナ】
【そんな出で立ち。夜遊びする若い女としては、十分すぎるくらいの正装で】

【路地裏に現れたのは、あの日自身を「お人形」だと形容して見せた、赤い目の少女だった】
【控え目な歩幅で曲がり角から現れる。そうして、ミラの前に、現れたなら】

……げ、んき……だったよ、まあ色々あったけど。生きてるから、元気。
久しぶり、メール返信くれてありがとう。
……呼び出しといて、ごめん、なんだけど……何から話したらいいのか、ちょっと、整理させて。

【久しぶりに会う知人に対してかける言葉にしてはあんまりにもぎこちない。表情も似たようなもので】
【曖昧に笑ってみせながら――その辺に置いてある空き箱を、蹴って動かして】
【同じように座って見せる。真正面から、向かい合う姿勢になる】

……、……えと、まずは……ありがとう。あたしのこと、ずっと気にかけてくれてた?
鈴音から聞いて、びっくりして……、……そう、鈴音、鈴音だ……あの、あのネ、

あたし、鈴音のこと、助けたいって思うの。でも、どうにもなんなくって――――

【「誰に頼ればいいかわかんなくって、それで……ミラ、さんに」】

【ぽつぽつ話し始める、最初は斜め下に向かって、地面に這いつくばっていた視線も】
【徐々に上に向き始める。そうして、まっすぐ、ミラの金の瞳を見つめるようになって】

【――――あの日、何もかもどうでもいいって言っていたときの。つまんなさそうな表情とは、だいぶ違うものだった】


77 : 柘榴 ◆zuR4sSM1aA :2018/05/20(日) 23:38:53 0jLFl.bY0
前スレ >>973


【まるで人形のような相手だと──不気味に感じていた】
【打ち据えたとしても嗤わず、敵が眼前まで迫ったとしても緊張を見せず】
【もしかしたら、本物の“人形”なのかもしれないのだけど────】


【砂幕の向こうで、女は黒留袖の裾を揺らして駆けていた】
【あの襲撃者がどのような能力を有するかわからない──少なくとも、反応だけは凄まじく良い】
【いくら砂煙が辺りを覆っているとしても、あいつなら撃ってくるだろうと踏んで】

【良い精度で襲いかかってくる鉛玉に、女は舌打ちして】
【2丁拳銃だとすれば、暫くその弾丸は切れないだろう──“ベルト”があるのなら】
【殺るとすれば、一番いいのはリロードのタイミング。その瞬間に接敵できるまでの距離は保っておきたい】


【地面に伏せた婦警の動きを気にする余裕はなかった】
【何か小さく呻いているのは耳に入ったのだけど、その内容までは聞き取れなくて】


78 : “Crimson” ◆zuR4sSM1aA :2018/05/20(日) 23:47:47 0jLFl.bY0
>>937

「ああ、それで十分だ。今度会ってみるさ、機会があればだけどな」


【彼女からいくつかの情報を聞き出す。櫻の諜報員だけど、水の記者を名乗る】
【公安の人間と知り合いなのに、一般人である彼女に“嘘”がバレてしまうのだと】


「お互い死なないように、ってことだな。あの酒の貸しは、それで返してもらえばいいさ」


【今は、今だけは味方──共に生きて、この戦いを生き延びなければならない】
【戦いが終われば、円卓を潰す。それさえできれば、またいつもの関係に戻ってしまうのだろうけれど】
【──後ろ手を振って、女は去っていく。酒の返しは、生存でしてくれと言い残して】


79 : 名無しさん :2018/05/20(日) 23:53:09 qpl18lj20
>>78

【お互い死なないように――その言葉に少女は目を細めた。自分は"そういう"意味では"死にはしないけれど"】
【それを相手に言ってしまうようなことは、ない。なんせとっておきの秘密だ、――だから、この場では言わないし、そもそも、言いたくもない】

【誰も好き好んで自分がばけものなんだ、とは、言いたくはないから――】

――――そうだね、じゃあ、えっと……気を付けて。――かな、

【ふらりと背中側で腕を組む、スカートの裾を揺らして、曖昧な言葉は、それだけこの状況のおかしさを示すよう】
【それこそ正義側の彼女が機関員である彼女へそれを願うのだから。――これが終わったらお終いの関係性、だからこそ、きっぱり願える】
【――言い終えたなら、少女は、ふらりっと歩き出すだろう。「またね」は、ない。そこまでは言う必要がないと思って、細い路地から、出ていくだろう】

【そうしたならば、この夜はおしまい。そのあとのことはお互いに知らない、――知る由もない、連絡先は交換しなかった。していたとしても】
【お互いの話をできるような状況にあるかは、まったく、まったく、分からないから。だから多分、どっちだって、おんなじだったと思う】

/おつかれさまでしたっ!


80 : ◆DqFTH.xnGs :2018/05/21(月) 00:00:09 wQ25QlZM0
>>76
【少し──いや、随分と変わった。まずはそう思った。何も服装だけの話じゃあない】
【真正面から向き合うようになったことも。自分の意思を明確に示すようになったことも】
【何より。一言こちらが何かを言う毎に怯えていた“ビビりちゃん”はすっかりと鳴りを潜めていた】
【ふ、と口元が緩む。何が夕月を変えたのかは知らないが】
【ミラにとっては、彼女の変化は喜ばしく、そして楽しいものだった】


まぁ、気にかけてたっちゃあかけてたな
メールが来るのはもっと後で、もっともっとビビりながらくると思ってたからそこんとこは意外だったが──
ぎゃは!だがいい意味で予想外だ。そのツラ見ちまったらもう“ビビりのお嬢ちゃん”なんて呼べねぇな?

んで…………鈴音、か。事情はちったぁ知ってるつもりだ
イルってぇやつんとこで寝てる、とか…………その辺のことをな


【「話、続けなよ」そう促す。ミラもまた、夕月を真っ直ぐに見つめていた】
【自分を頼って、と言われれば緩く笑う。そう言われて、気を悪くしない奴なんていないだろう】


81 : 俺に勝てる夢でも見たか? :俺に勝てる夢でも見たか?
俺に勝てる夢でも見たか?


82 : ドラ :2018/05/21(月) 02:02:23 XqQAhkbc0
>>68

【二度に及ぶ騙し技の一撃が、みごと入った】
【膝と肘。二度打ち込んでわかるのはやはり女性の体は非常に軽い。羽のように吹き飛ぶのがわかる】
【重火器を扱えるよう技術だけでなく肉体とて多少は磨いているだろうが、それでも一般的な女性に毛が生えたほど、とキャットⅢはそんな手ごたえを感じていた】


はーいそこ余計な同情はいらないからねー、気にしているのはぼくひとりだけで十分だからねー

身体を好きにしたくないと言われれば嘘になるけどねぇ、ぼくはいい奴らの仲間だしぼく自身もそれなりに良心はある
きみがぼくを望まないなら別にとって食おうだなんてしないけど……おっぱいだけは話が別だぞ
いいか、ぼくが口にしたセリフに何一つ嘘偽りはない。ぼくはきみの……


【と、言ったところで、周囲から『鏡』に関する何かの迎撃が来ないか見まわしながら間合いを作ろうとしたところで】
【キャットⅢは見てしまった。今自分が通り過ぎて行ったはずの方向に鏡がある―――軌道はそう、さっき彼女が罠として"置いた"弾丸が通り過ぎた鏡だ】
【……あそこから飛び出す気配はない。というよりも……"さっき"の罠の弾丸が飛ぶのを回収したような、そんな意図を感じた】

【入口があるなら出口がある、どこから来るかと即座に連想してキャットⅢはカチューシャの方向を向いて、見てしまう】
【彼女は攻撃を受け怯み、座り込んでいるが―――その差し出された右手に『鏡』が出現しているのを見た】
【そして、その鏡が向けられてる先は―――】


――――――……お、おまえッ!?まさか!さっきの弾丸の行先はッ!!


【放たれた弾丸が容赦なく飛び出す瞬間を目の当たりにする直前、ドラの脳裏である映像が流れる】
【彼の装備を作ったジンジャー・ユースロットが自警団向けに作った廉価版のアーマースーツを販売し、インタビューを受けていた時の映像】
【椅子に座り得意げな顔をしながらインタビューに応じるジンジャーの質疑応答だ】
/続きます


83 : ドラ :2018/05/21(月) 02:03:07 XqQAhkbc0
>>82続き

――――――――――――――――――――――――――……


"―――自警団向けのアーマースーツ開発、及び販売契約の締結おめでとうございます。"


「いいとも、これで私の懐への収入源がまた一つ増えた。アレの提供によって有事の際の民間人の防衛率も
従来の2,4倍に上がる計算だよ。私も人々も喜びwin-winの関係が結ばれたのは非常に喜ばしいね」


"―――いくつか質問をさせていただこうと思うのですが……
まずは貴方がこれまでの人型武装を作った中で最も苦労した場面はどういうときに訪れましたか?"


「そうだなぁ、今回のトルーパースーツ然り私たちが身に着けているシンクロライダーシステム然り、
これまで何度もそういう装備をつくってきたから手慣れていると思うのだが……機動力と耐久性のバランスを作るのが難しかったかな
機動力を上げすぎて装甲を薄くすると防弾・防刃などの機能がすごく減るし、かといって分厚くしすぎると装着者が一切身動き取れなくなる代物が出来上がるからね」

"―――廉価版ではあっても全てのスーツがオーダーメイドなのはそういう問題を減らすためですか?"

「その通りだね。装備はほぼ同等でもその人間に必要な特性、装備はそれぞれ違う。
まあそれでも共通しているのは……人体における『急所』への攻撃に対しては特に強固に作ったつもりだよ胴体や頭部、首回りとかをね」

【屈託なく笑いながらまるで緊張する素振りもなくインタビューに答えるジンジャー】
【例のろくろ回しなポーズも無意味に取りながら意気揚々としゃべり続ける……】
【そこで、ふと目を見開いて彼はあることを思い出したかのように突如話題を変えた】


「……そうそう、男として一番苦労した場所があることを今思い出した。男の急所である『金的』攻撃だ
今回のスーツにも私たちが使用するライダーシステム同様に特注の『ファールカップ』パーツが搭載されている
ちょっとやそっとの打撃どころか、ピストルの弾が当たってもヒビ一つ入らないだろう。だが……」


【そこで苦い顔をし始めるジンジャー。目元を抑えながら彼は語り始めた】


「……そもそもファールカップというのはね?あまりにも強すぎる衝撃を受けると衝撃によって奥に押し込まれて
普通に睾丸へのダメージが通ってしまう弱点がある物なのだ。私の作った物もそうだ。頑丈だからライフルの弾だってヒビは入らないだろう
だが、私の装備は元々「人体を貫通しかねない攻撃を貫通させない」事に重きを置いていて、普通に殴られるくらいのダメージは入ってしまうんだよ

諸君、私の装備が頑丈だからと言ってわざわざ急所で攻撃を受けに行くようなことはやめるんだぞ。特に骨で守られてすらいない睾丸へのダメージは絶対ダメだ!
遠距離戦タイプならシールドか何かで事前に守る用意をしておきたまえ!近距離戦タイプなら狙われないようとにかく動き回れ!
まあ、格闘戦を得意とするタイプの人間のあまりにも小さい動く的めがけて狙い撃てるような敵はそうそういないとは思うがね……おもうがね……オモウガネ……」

【ドラのうろ覚え回想はここで途切れる……】

――――――――――――――――――――――――――……
/さらに続きます


84 : ドラ :2018/05/21(月) 02:04:18 XqQAhkbc0
>>83
【現実はそううまくはいかなかった】
【敵の狙撃手は本当に『狙った獲物を逃さない』事に関しては本当に長けた女だった!!たとえすばしっこく動く人間の股間さえも!】
【カチューシャの放った時間差の弾丸が無慈悲に飛び出し、キャットⅢの股間へとまっすぐ飛び交い―――】

【着弾と同時  『キンッ』!! という効果音が鳴ったような気がした】


……うわぁぁぁぁぁぁぁっぁぁぁぁぁっぁぁぁ!!!!いた、いたっ、痛ァァァァい!!!!
がっ、あぐっ、いっだあぁぁぁぁっぁぁぁ!!ぼ、ぼくの、『玉』がぁぁぁ!!ぼくの暴れっぱなしのマグナムがァァァァァ!!!!!

あああああっ!!がぁっ!いっだぁァァァァァァァァァァ――――――!!!!!!


【後ろに倒れこみ、股間を抑えながらじったんばったんとのたうち回り始めるキャットⅢ】
【仮面で顔は見えない。だがカチューシャの瞼の裏には多分映り込んでいるだろう、変身前に見せていたあの年若い少年のような顔が】
【今や苦悶に歪んで涙を垂らしながら親に泣きつくようにくしゃくしゃな顔で泣きじゃくってる表情に変わっているのを】

【さっきまでの無駄のない足さばきが嘘のように隙だらけである】
【防御姿勢など一切取っていないのだから、容易く撃ち抜くことだって可能な状態に見えるだろう】
【うまく立ち上がれないままキャットⅢは後ろに少し転がりながら、なんとか膝で立とうとしつつカチューシャに怒鳴りつけるだろう】


ぐっ、ああっ、こっ、このクソ外道の変態北欧痴女―――――!!!な、なんって事をしてくれたんだい!?
これまで何度も殿方のそれを見てきたくせになんでこんなことができるんだ!?話を聞く限りこれを撫でたり口に含んだりそのやわらかいので挟んだりとかしてきたんだろ!?
"ここ"の負傷はぼく達にとって「死」を意味するに等しいんだよ……!?どういう教育受けてたらこんな事できるんだよ!!

バーカ!バーカ!!ノータリン!!!ピンボケピーマンの愛液脳みそ!!
シーツに零れた精液から受精された劣等遺伝子女ァァ!!世間知らずの田舎者!!
お前の母ちゃん不貞尻軽ビッチ!!お前の父ちゃんド低能プアワーカー!!

ロシアじゃ相手の性器を乱暴に扱ってはいけないって事すら教えてくれないのかこの低学歴女!!
……そうだよな!?きみロシア人ってかぼくと同じ世界の人間だよな!?ロシア語喋ってるって事は!!
この世界ではただでさえ日本語ってか共通語で喋らない人が珍しいのに、わざわざロシア語喋ってるって事はロシア出身だよな!?
ロシアの人間がこんな常識のない人間だったなんて本当に知らなかったよクソアマ――――!!!故郷の両親もろとも腹を切れ―――!ぐっ、うう……!!バーカー!!


【……本当に、なんというか……ここからは痛みのあまり錯乱したかのように本当に聞くに堪えない暴言がマシンガンのように飛び交う】
【膝立ちで、股間を抑えぶるぶる震えながら仮面の戦士は恥も外聞もなく構える事もできないままただただカチューシャに暴言を叩き込み続けるだろう】
【なんとも情けなさすぎる行いだが迫力だけは半端じゃなかった……】


85 : ◆S6ROLCWdjI :2018/05/21(月) 19:19:39 WMHqDivw0
>>80

【ビビりと言われたらむっとした顔をする。不満、らしいけど】
【本題――鈴音の話になったら、急に顔色が暗くなった。ぎゅっと眉根を寄せて】
【細く尖らせるように整えた眉はハの字に。そうして、ぽつぽつ語り始めた】

そう、……そう、イル。イル、どんなヤツか知ってる?
最悪中の最悪ってカンジ、鈴音のこと、いじめるし……そうそれで、
イルがね、最近、暴れてるの。異世界のでっかいバケモノだかカミサマだか使って大暴れ。

あたしはその、暴れてる現場に行った。そこには他にも何人も、鈴音のこと探してる人がいて――
……もうこいつに、イルに鈴音のことは任しておけないって。満場一致で結論が出た。
だから取り返すために戦ったの、戦った、ん、だけど――――

【ここで一旦口を閉じて。あー、とかんー、とか、迷うような音を零す】

――――メールの通り。二回目の戦いで、鈴音のこと、取り戻せた。
気絶してたのを拾って帰って、今はあたしのそばにいるんだ、け、ど……、……何しても、起きなくって。
怪我してたのは、治ったの。でも起きない、きっとココロだかタマシイだかが何処かに行っちゃってるんだと思う、

……、……夢を、見るの。鈴音が泣いてる夢。真っ暗なところで、たすけて、って言って……

【「泣いてるの」――そこまで言い切って、硬く目を瞑る。それを思い出すかのように】
【鈴音に近しい人みんなが見る夢、らしいから、きっとミラも見ているかもしれないけど】
【今はまだ、少女はそのことを知らない。だから自分だけがこの夢を見ていて】
【もしかしたら責められているのかも――とも、思うのだ。……だるそうに、瞼をこじ開けて】

今の状況、は、こんな感じ。
……で、この状況になるまでどんなことがあったのか、って言われると――説明し難いんだけど、

【いい? って、自信なさげに訊いてくる。自分でもよくわかっていないから、きっと人に説明するなら猶更】
【わかりにくくなるから――、許しを得たなら、もごもごしながらも続きを喋り出すだろう】


86 : カニバディール中身 ◆ZJHYHqfRdU :2018/05/21(月) 19:37:11 IBKicRNQ0
>>28
宝か……ならば、盗賊として我々はそれを盗み出す!!

【カニバディールは短く叫び返した。青年が信奉するものが何なのかはわからないが、魔制法が彼の信じる世界を実現するのだと】
【青年がそう考えていることは間違いない。となれば、おそらくはその背後に『何か』がいる】
【膝元たる水の国だけでなく、すでに他国にも。それも、UTが本部を置くこの風の国を。敵の手は思った以上に長いらしい】

ふ、はは……!! ああ、たっぷりと味わわせてみせろ!!

【ラベンダァイスの瞳の奥、わずかだが確かなその感情を、盗賊は見て取った。兵器としての自分の在り方に、どうしようもなく抱く喜び】
【あるいは、己の意志で己の邪悪を貫く時の自分にも通ずるものがあるのかもしれない。自分のあるべき姿に忠実でいることへの充足】

【傍らで思想の毒と肉体の毒、双方に蝕まれて叫ぶ青年とは対照的とも言えるだろうか。二つの怪物は、この瞬間のみ】
【場違いな喜悦の中に、激突した。そして、観客が気が付く前に幕を引いた】


[ラベンダァイスさん、しっかり――――]

【ギアはラベンダァイスを支え、店内へと彼女を連れていく。意図して創り出された歓声の中を歩きながら】
【己の魂の中に渦巻く複雑な感情を、この場所を守るという大義で上塗りして。ギアは、この日の役目を終えるだろう】

【再びカニバディールの下へ赴くラベンダァイスたちを見送った後は、また切羽詰まった日常へと戻る】
【滅び失せた自身の肉体のような運命を、UTが辿ることを何としても避けるために】

【サクラとして仕込まれた『スクラップズ』下位構成員たちは、群衆が引いていくのに合わせて姿を消す】
【全ては、流れる川のように。兵器と怪物は演じ切った。台本無しのその場限りの演劇を】
【この〝戦い〟のニュースは、『スクラップズ』が現れなくなったことを裏付けとして、世界へと拡散していくだろう】
【それが、どこまで防波堤となってくれるかは、まだわからない】


【廃ビル地下。埃っぽい空気も、光源があっても拭えない薄暗さも、異形の盗賊にとってはむしろ近しいものだった】
【満身創痍のラベンダァイス。そして、彼女を支えるもう一人を認めると、カニバディールは彼女らに向き直った】

そう待ってはいない。その傷では無理からぬことだろうしな
お前『たち』の方も健在のようで何よりだ。リベル、ランド、ルヴァ。リベルが心配なら、ランドかルヴァを表にしていてくれても構わないぞ?

【一定の距離を保ったまま、重々しい声を送り出す、ラベンダァイスほどではないにしろ、カニバディールもいくつかの傷を負っている】
【先の『ドラマ』によるものだけではない。この異形とて、生傷絶えない生活を送っているのは当然だが、今はそれ以上に追い詰められているが故だ】


……まずは、上手くいったようで何よりだ。その傷でよく頭を回してくれたものだよラベンダァイス
サクラとして私の手下も潜り込ませておいたが、少々やりすぎだったかね

――――本題に入る前に、一つ頼みたいのだが。まだ他にも誰かいるな? 出てきてくれないかね?
何せ私は臆病なものでね。ただでさえ、緊迫した間柄同士での密会だというのに、相手全員の姿が見えないとあっては
舌が震えてしまって、話も出来そうにない

【感じ取れる気配の方に視線をやりながら、異形はそう言葉を送り出した】


87 : ◆D2zUq282Mc :2018/05/21(月) 20:15:00 JY1GydDk0
本スレ>>944


……ふふっ。ありがとう。――…お陰で、少しだけ晴れた気分に、…なれた。

【やさしい子。本当に、思いやりのある子。今は、貴女に救われた。ありがとう】
【人の気遣いに、強張った心身が解れ。次第に落ち着きを取り戻すのであった】


本土の人からすれば確かに聞こえ方は可笑しなものでしょう。
ですが、――……私は、文月さんの話し方は…、好きですよ。
確固たる自分が其処に在って。それに、聞いていると活力を貰える様な気も…するので。

そして、多数が少数を責めるのを嫌うのであれば、…それは希少価値。
加えて、貴女の言葉と行動。――…それだけでも貴女は強い人に思える。


【先程の気遣い一つ取ってもそうだ。文月の言葉は、白桜を元気付けているのだ】
【真摯な眼差しを文月に向けたのち、微かに笑みを零す――けれど、何処かぎこちない】


……人は群れれば、一つの意図に染められる。一人一人が善良であったとしても。
一度、志向性を定められればその方向にしか進めない。…自分の頭で考えている心算であっても。
それ程に群れは恐ろしい。……多勢の前には一人など虫けらと同じ。空しく…蹂躙されるだけ。


【白桜の言葉はまるで自身の体験談の様に、過去にその様な目に遭ったかのような口ぶりだった】
【水の国を取り巻く環境は、かつての自分を取り巻く状況と似通っているのだろう】


――それは…


【難儀な事だ。次の言葉を選んだ矢先、空気を読まず白桜のお腹の虫が鳴き声を上げる】
【シリアスな空気を壊す鳴き声に、しらを切るように言葉を捜すも――見つからない。思わず、赤面】


88 : ラベンダァイス&リベル&アーディン ◆auPC5auEAk :2018/05/21(月) 20:32:58 ZCHlt7mo0
>>86

――――ッ、すみませんギアさん――――すみません、私の、力不足で――――ッ

【肩を借りながら、ラベンダァイスは小さく謝罪の言葉を口にする。それは偽らざる、彼女の本心だった】
【――――もっと、上手く立ち回っていれば、今の苦境はなかっただろうに――――ある程度の過信もあるが、ラベンダァイスは、自分の力をそれだけ信じていた】
【もっと言うなら、より積極的に関わっていたならば――――こんな風に、敵と手を組まなきゃならない事態も、なかったかもしれないのに、と――――】

【傷の手当てを済ませ、一息つくと、ラベンダァイスはリベルと共に、約束の場所へと足を向ける――――もう、休む間すら惜しいというかの如く――――】



【――――その裏で、誰も知らない密か事】

【「――――そうか。分かった…………おい、『導人長老会』を呼んでくれ。少し、話し合わなきゃいけないらしい……」】
【――――ぼんやりと光を受けながら、暗がりの中でその人物は呟いた。デスクに乗せられているのはPC、そして数枚の資料】
【「――――私だ。どうやら若い奴が1人、無茶をしたらしい……活動を、少し考えなければならない。あぁ、分かっている。そんな事をする為に、我々がいるのではない……」】
【モニター越しに会話を交わしながら、その人物は口元に、不愉快気な力を込めていた。深く座り込んだ椅子が、その身体を包みこむ】
【「――――風の国は、UTを抱えているだけあって、魔能制限法には慎重だろう……だからこそ、我々がやらなきゃいかん。下からの火は――――俺に任せろ」】
【――――明かりを跳ね返して、その人物の、琥珀色のサングラスが鈍く輝き続けていた――――】



【――――そして、舞台はビルの地下に戻る】

――――アルターリで、不覚を取りました――――軽くはないですが、いつもの事です――――ッ
「そ、それじゃあ――――」{――――っと、まぁそうよね。まだ『リベル』はあなたにビクビクだもの、しょうがないわぁ……で、2人してこれは、一体何事なのかしら? 分かるように教えてほしいわぁ……}

【カニバディールの言葉を受けて、リベルの瞳は青く染まり、ルヴァの人格が表に出てくる。一番冷徹にスクラップズを切り捨てた彼女は――――言わずもがな、状況が分かっていない】
【ただ、何か容易ならぬ事態が進行していることは分かった。まるで、水が高きに上るような、そんな何かが起こっている――――と】

――――ッ。気づいたのですか――――
〔――――ほぉ、流石だな。話には聞いていたが……俺の気配を気取るとは思わなかったぞ?〕

【隠していた訳ではないのだが――――確かに、この場で疑心暗鬼を作るのは無しだ。ラベンダァイスは頷いて、背後の暗がりを振り返る】
【――――シュッと、マッチのこすれる音と共に、ボウっと明るくなる地下――――そこに照らし出されたのは、意外といえば意外な姿――――】

【短いバイオレットの毛皮で全身を覆い、その上からフード付きのマントと半ズボンを着用している】
【左目へとめり込む様な、人相を歪ませている大きな傷跡、更に頬にも大きな傷跡の目立つ】
【ずんぐりむっくりとした体格の、尾の先が不自然に二つ裂きになっている、右目の眼光の鋭い、身長150cm前後の猫の特徴を宿した獣人】

【口元のパイプに火をつけ、真っ直ぐにカニバディールを見据えたのは、只者らしからぬ気配を湛えた獣人、ワーキャットだった】

〔――――ほんの一時期だが、こいつ、ラベンダァイスの保護者をやっていたものだ。今回は請われてな……話は、『ある程度』聞いている……カニバディールと言ったな?〕

【軽く煙を吐きながら、ワーキャットは物怖じすることなくカニバディールと相対する】
【その強い意志を感じさせる、威圧的な瞳と、傷跡だらけの面容――――ラベンダァイスの仲間というには、どこか裏黒い雰囲気を湛えているのを、感じ取れるだろう】


89 : カニバディール中身 ◆ZJHYHqfRdU :2018/05/21(月) 21:19:08 IBKicRNQ0
>>23
【あるいは、異形たるカニバディールと亜人たるミラにとっては、カフェなどより似合いの環境だったのかもしれない】
【「そういう意味でも洒落が効いているな」とこちらも笑って返す。奇妙なカプセルに囲まれながら】
【しかし、それもひと時のこと。お互いのこのような場所が似合う二人なのだ。油断ならぬ者たちであるのも当然だろう】

私の協力者が目撃したところによると、特区は『黒幕』どもの理想を反映した相当に重大な管理体制のようだ
それだけに、他に先を越される可能性は低いともいえるがな

話を聞く限り、相当なイカれぶりのようだが、それでコスプレ好きとはある意味余計に気味が悪いな
あり得るな。どこぞの議員の横にでも、しれっと立っているということもやりかねない

【魔石が発する光の軌跡を目で追う。潜入しているゾーイを案じるほど、まともではなかった】
【ただ、その成功を祈るのみ。敵に確かな一撃を与えられる好機をただ待つために】


それは何とも……奇妙な縁だな
そこでゾーイに出会わなければ、貴女がこうした事態に関わることはなかったわけか。何がどう転ぶかわからんものだ

敵もその場でゾーイを追っていたばかりに、強敵を増やしたというわけだな
しかし、食事も出来るのかねゾーイとやらは……最初にアンドロイドと聞いていなければ、人間と間違えそうだ


そうだな。知り得る限りの情報は交換した。後は、少しでも早く傷を癒すべきだろう

む……やはりそう思うかね。自分で付けた通名なのだが、あまりウケは良くないんだよ
うちの盗賊団の副首領には、カニバと呼ばれているが……捨てた名だが、本名はカール・ハルズマンという
この辺りで、呼びやすいものを選んでくれて構わない

【血の処断に晒された直後、このような傷でここまで意識を保っていただけでも称賛に値するだろう】
【常人ならば、心が折れていてもおかしくはなかった。やはり、彼女もひとかどの戦士なのだ】

【それでも、彼女はまだ戦意を失わず、ここにいる。その肉体は生存のために睡眠を求める】
【縫った傷が癒えるまでには、先に伝えた通り相応の時間が必要になる。この場のやり取りはここまでとなるだろう】
【「ふ、ふ。ならば、これまで通りクラァケさんと呼ばせてもらおう」と笑いを漏らしながら】

【「ああ、おやすみ。ゆっくり休んでくれ」。眠りに落ちる彼女にそう告げる。もう少し話したかったのはカニバディールも同じだったが】
【これ以上の負担はかけられない。後を睡魔とウィーヴァーに任せ、カニバディールは退室するだろう】

【この繋がりがこの先何をもたらすのか。わかるはずのない未来に少し思いをはせながら】

/この辺りで締めになるでしょうか? 長期間ありがとうございました!!


90 : ロッソ ◆KP.vGoiAyM :2018/05/21(月) 21:56:46 sUnlOEmc0
本スレ>>792 厳島さん宛

俺も完璧にわかってるわけじゃないが…ここから抜け出せれたら…ね

【探偵は笑ってみせたが、その笑みに余裕はあまりなさそうだった】

【銃弾で削れるビルの壁に身を預け、その合間を読んで、両手に構えた2丁のリボルバーを追手に撃ちまくり】
【また合間を縫って、次の物陰に逃げ込む。奴さえ現れなければ、一縷の可能性も見えたはずだったが】

【その路地裏で探偵と、厳島を立ちふさがるように居る、隊長は耳障りな高周波ブレードの出力を更に上げた】
【ブレードの刃が真っ赤に燃えて、物言わぬ猟犬の頭は余裕を醸していた】

【擲弾は真っ直ぐ、隊長へ向かっていった。着弾する前に、隊長の黒いマスクの目の部分が光ったように思われた】
【まるでその顔は骸のようで、その自らの存在が既に死した存在だと言わんばかりに睨んでいた】

【その着弾の瞬間に、人工的な黄色い光が見えた。そしてすぐに擲弾は着弾し、隊長ごとその路地裏を爆発が響き渡った】
【続けて、銃弾が叩き込まれる。狭い路地裏を埋め尽くす弾丸はその隊長を打倒し、脱出路を切り開かんとしたが】

【軍人として経験豊かな厳島ならばその当たる音が聞き慣れないものであると気づくだろうか。まるで、手応えがない音がした】
【擲弾の爆発はアスファルトやコンクリートを砕いた。だがその土煙の中から、厳島が放った弾丸が跳弾して跳ね返り】
【メチャクチャな軌道で幾つかの弾丸が牙を剥く。】

―――――ッッ!!逃げ切れっ――!!

【探偵の肩を銃弾が掠めた。痛みと衝撃で彼はよろめいた】

【そして、立ちはだかる隊長は、ブレードを持たぬ左手の平をこちらに向けていた。その彼の手からはその体全体を覆い隠す程の】
【黄色いガラス様な、雷の壁が彼の手から広げられたような――いわゆるバリアかそれに類する何かのようなものを展開していた】
【原理はわからずともそれが物理的な攻撃を防いだことは間違いない。】

【そのバリアのようなものはすぐに消滅した。そして彼の手のひらからは蒸気のような排熱が行われていた。】
【よく観察すればブレードの出力も弱まっているのか熱された赤色がすこし薄くなっているようだった。つまりは――――】


91 : カニバディール中身 ◆ZJHYHqfRdU :2018/05/21(月) 21:59:28 IBKicRNQ0
>>88
[僕の方こそ、本当に不甲斐ないです……こんな手段しか……すみません……]

【魂に刻まれていく傷。苦し気に作り物の歯を食いしばるのは、ギアも同じだ】
【ラベンダァイスほどの力と自負がなくとも、ギアとて覚悟を持ってUTの門戸を叩いた】
【であるにも関わらず、微力すら尽くせず。宿敵にまで助けを求める事態となった】

【そう、その言葉の裏に滲んでいた。この茶番をスクラップズに依頼したのは、ギア・ボックスであったのだ】
【依頼から帰る途中だったギアは、事務所前での騒ぎを顔見知りの町民から電話で聞きつけ、僅かな逡巡の後にカニバディールに連絡を取った】

【カニバディールは即座に『ドラマ』を仕立てることを提案し、配下を集めてあの一幕を演出したのだ】
【そして、UTに駆け付けると同時に、あの場に加わった。ギアにとっても、苦渋の決断】
【自身が最も憎む怨敵を頼る選択をしたこと。ギアは、自分の選択が正しかったのか、答えを出せなかった】


【世界のどこかで、進行している企みのことは知らず。人形はUT事務所で己の魂を休め、肉屋は約束に赴く】

アルターリ……水の国で起きたあの事件か。『黒幕』のことだけでも手一杯だというのに、随分な事態が起きたものだ

久しぶりだな、ルヴァ。以前も思ったが、同じ顔で随分と雰囲気が変わるものだ
そうだろうとも、リベルの反応も以前のことを考えれば当然だ。お前とランドがきっちり守ってやらねばな?

……話せば長いが、一言でいえば一時休戦だよ。私にとってもUTにとっても都合の悪い、強大な敵が現れてね
それも、表の権力に深く根を張った勢力だ……やむを得ず、呉越同舟を選択したというわけだよ。故に、今UTに潰れてもらっては困る

【そう、まさに事態は水が上るほどの異常事態だ。でなければ、『スクラップズ』とUTが組むなどあり得ない】
【そのあり得ない事態を引き起こすほどの、デタラメな相手を敵に回しているのだと。カニバディールは端的にそう伝えた】


強者の気配には敏感なんだ。だから、ここまで生き延びてこられた
それでも、一瞬掴み損ねそうになったがね……

【言いながら、三つの視線をマッチの灯の主へと送る。いつものような、無遠慮な観察の視線、となるはずだった】
【しかし、異形の三つ目は驚愕に見開かれた。彼が獣人だったからではない。相当の強者だとわかったからでもない】

【カニバディールは、そのワーキャットの特徴的な姿を話に聞いて知っていたからだ】

――――驚いたな。元保護者、とは……ラベンダァイス、どんな半生を送っていたかは知らないが、とんだ大物の下で過ごしていたのだな
ああ、そうだ。私がカニバディールだよ。『ある程度』ということは、私の悪評はご存知というわけかね? ……ミスター・アーディン=プラゴール

裏社会の実力者たちの情報は、可能な限り集めるようにしているが……そうでなくとも水の国で悪党を気取るなら、貴方を知らない奴はモグリと言えるだろう
貴方の名は、機関入りする前にいた犯罪組織でも語り草だったよ

〝水の国で悪さをするなら『Crystal Labyrinth』には近づくな〟。〝あの男のシマでシャブとガキには決して手を出すな。虎の尾を踏むどころじゃあすまない〟
〝死にたくなければ、『仕置きの猫又』に手を出すな〟……当時の上司に、口酸っぱく言われたものだ

まあ、私はもともと薬物とポルノは専門外で、活動していたのは昼の国だ。関わることもなかろうと話半分に聞いていたのだが、まさかこんな形でお会いしようとはな

【自分ほどに穢れ切ってはいなくとも、裏社会に身を置く相手としてある種の敬意を一方的に抱いていた相手】
【地域によっては激しい差別を受けることも珍しくはない獣人の身で、裏社会に勢力を築き上げた男。『ファニー・ゲーム・クラブ』でもその名は聞いていた】

【紫煙をくゆらせるその異様、無数の傷の奥から自身を射抜く視線。全てが、かつてその名を聞いて想像した姿をはるかに上回るものだった】


私が凶行に及ぶ可能性を考えてのことかね? 全く無理もないことだが
小悪党の盗賊相手にこの人選は、鶏を割くに牛刀を持ってくるようなことをしてくれる……

さて、口数が多い私の悪癖はここまでにしよう。だいたい想像はつくが……ここの呼び出した用件を聞かせてもらえるか? ラベンダァイス


92 : ラベンダァイス&リベル&アーディン ◆auPC5auEAk :2018/05/21(月) 22:28:58 ZCHlt7mo0
>>91

――――いいえ、助かりました――――戦う事しか、できないのに、戦えなく、なりかけてたので――――

【大きな貫通傷――――普通ならば、絶対安静だろう。いくら『ケツァル・コアトル』とは言え、不死身ではない】
【それでもこうして矢面に立ったのは――――偏に、責任感によるものだった】
【その思いは、恐らくは非常に近しいものがあるのだろう――――ギアの言葉に、ラベンダァイスはふっと小さく吐息を零す】
【――――仕掛け人が、ギアの方だというのは驚きだったが。今は、手段を選んでいる場合でもない。それはお互い様なのだろう】



――――どれだけの力を、バックにしているのか、考えたくもありません――――でも、目を背けてばかりも、いられません

【――――あの一件が、『黒幕』や『円卓』とどれだけ繋がっているのか、ラベンダァイスには分からない】
【ただ、レボルツィオーン社――――その名前が、まさに行方不明になっているセリーナに繋がるものである事さえ知らなかったのは――――少々迂闊だったのだろう】

{そりゃあそうよ、違う人間だもの……いえ、『だった』というべきかしらぁ?
 ……全くねぇ。もう最近は、元の世界に帰る手段を探す、どころの話じゃなくなっちゃって、こっちも大変なのよ……余裕も、なくなるわよ}

【相変わらず、鷹揚で人を食ったような態度の、緩やかで湿り気を帯びた立ち振る舞い。だが――――その表情は、少しばかりの焦りに汚れていた】
【「良い女は、常に余裕を持つ者」などとうそぶいていた。その余裕を、今のルヴァは失っているのだろう。世界レベルの異邦人として、今の世の中はとかく住みにくくなっている】
【そんな時こそ、戦士の心得のあるランドとルヴァが、ただの子供『だった』リベルを、守ってやらなければならないのだが】

{――――そうみたいね。ラベンダーちゃんまでこんなに余裕がなくなって……私たちも、いつまでもUTに居ていいものかって、そんな事を考えなきゃならなくなってきるんだから、ねぇ……?
 ま……最初に話を聞いた時には、流石に驚いたけどね……}

【保護対象であるところのリベル達は、『事態』には深く噛んではいない。しかし、それでも一応の当事者だ】
【だからこそ、分かる――――今は、こうした異常な事態ですら、未来への希望を掴むために、必要な事なのだと】

〔――――ほぉ。そうして評判を真っ向から聞くのも久しぶりだな……ある程度、名は広まっている自覚はあったが、そうまで徹底して恐れられているとは、流石に思わなかったぞ……?〕

【――――アーディンは、カニバディールの語るその言葉に、少しばかりの驚きを感じていた。確かに、ケチな無法者を踏み込ませないために、色々とやってはいたが】
【機関に身を置くことになる大物にすら、そんな風に情報が伝わり、そしてそれ相応の評価を下されていたとは――――『仕置きの猫又』も、どうやらまだまだ捨てたものではないらしい】

〔まぁ、俺はそこまでお前に詳しい訳ではないが――――カール・ハルズマン、それがお前の本名なんじゃないのか、あるいはな……〕

【軽く、機先を制するといった腹があったのだろう。アーディンはまず、カニバディールの本名を――――恐らく、公にはそう知られていないだろう――――口にする】
【情報を突き詰めて、思索を重ねるに――――人食いの肉屋、カニバディールは、失踪した精肉業者、カール・ハルズマンと同一人物だろうと】
【既に失踪者として忘れられて久しいその名前に、アーディンは行き当たった――――情報屋としての実力を、まずは提示して見せたのだ】

――――そういう意図も、ない訳じゃないですけど――――そうじゃないんです、大きなところは――――私は、私の人脈で、力を借りています――――
〔――――鈴音とやらに、『黒幕』の一件で、対抗するための仲間と接触したいと言っていた……が、どうも間が悪く、そのコネクションに入れない様でな……
 この期に、お前から色々と聞きたいのだそうだ……なんでも、通信網を押さえられて、それを改善されるまで、仲間と連絡を取らない――――そう言っていたら、鈴音が行方不明だ、とね……〕

【確かに、戦力としてアーディンはラベンダァイスと繋がっている。だがその備えは、何もカニバディールに対してではない】
【ようは、ラベンダァイスは『使えるカードの一端』を、カニバディールに見せるために、アーディンをこの場に呼んだのだ。協力を仰げるのだと】
【――――そして、通信網の不備と鈴音の失踪。その間の悪いタイミングの為に、仲間と連絡を取れなかったところでの、渡りに船のカニバディールとの接触を、最大限に活用したい、と――――】


93 : サリードの中身 ◆auPC5auEAk :2018/05/21(月) 23:07:59 ZCHlt7mo0
/>>92一部修正

〔まぁ、俺はそこまでお前に詳しい訳ではないが――――泥の町、どうやら何か物騒なものが眠っている様だが……あれに、お前の息がかかっているんじゃないか?〕

【軽く、機先を制するといった腹があったのだろう。アーディンはまず、カニバディールの手の内を――――恐らく、公にはそう知られていないだろう――――口にする】
【情報を突き詰めて、思索を重ねるに――――あそこはただの吹き溜まりではない。与太話の山の中に、かすかに「『真実』の怪異」の尻尾が垣間見える】
【そして、異形で構成されたカニバディールの一団との繋がりに、アーディンは行き当たった――――情報屋としての実力を、まずは提示して見せたのだ】


94 : カニバディール ◆ZJHYHqfRdU :2018/05/21(月) 23:59:57 IBKicRNQ0
>>92
……そう言っていただけて、少し気が楽になりました

【戦うことしかできない。彼女の言葉に、ギアは踏み込むことはなかった】
【彼女とは仲間だが、その内面まで良く知っているわけではない。彼女もまた、大きなものを抱えているのだろう】
【ならば、自分がすべきはそこに踏み込むことではないのだ。ただ、同じ場所を守ろうという責任感を共有している、それで十分だ】


……ああ、全くだ。無視できる存在ではないだろう。街一つ、作り変えてしまうほどの相手なのだから
『黒幕』にとっても、あれを看過出来るとは思えないが……潰し合いにでもなってくれれば、と思うのは希望的観測かね

(……ブランルさんが何を考えているのかは、さっぱりわからないが……あの分だと、レボルツィオーン社の意思なのかどうかもわからないな)
(彼が『黒幕』と対立してくれるなら、本当にありがたいのだがね……)

【この場でカニバディールは、一つの事実を伏せた。あの事件を起こしたレボルツィオーン社の社員とは知った顔であり】
【その首謀者の誘いを受けて『スクラップズ』もあの日アルターリへ赴き、事の推移を見守っていたのだ】

【目立たない場所に潜んでいたために、ビル内でのラベンダァイスの戦いは知らなかったが。その恐るべき事態は把握していた】
【だが、カニバディールもまた、ブランルがセリーナを拉致し、魔界支配を目論んでいるとまでは知る由もなかった】


ふむ? 詮索する気はないが、お前たちも数奇な人生を送っているらしい
それはそうだろうな。能力者が表を歩くのも憚られるようなご時世だ。まして、探し物など困難極まることだろう

今日の暴動を見てもわかる通り、今のUTはズタボロだからな……UTに留まることを迷うのも仕方あるまい
それだけ今の事態が、この世界の基準に照らしても異常だと言うことだ

この非常時に、セリーナの奴はどこで何をしているのやら……

【かつて一戦交えた時にはあれほど冷静に動いてのけたルヴァですら、動揺を隠せてはいない】
【UTを去ることすら考えているのは、恩人に負担をかけたくないということもあるのかもしれないが】
【世界の裏で蠢く脅威は、リベルにも着実に迫っていると見て間違いはないだろう】


……その名が持つ効力の大きさに、あまり自覚がなかったのかね
まずその実力の高さと、敵対者への苛烈ぶりだ。かつて貴方のシマの目と鼻の先で、子供たちにヤクを使って
ポルノ撮影をしようとした連中がいて、そいつらがどんな末路を辿ったか……我々の間では流行りの怪談だったのだが。あれは本当の話かね?

だがそれ以上に、恐れられていたのは統率力だ。水の国の荒くれどもを、見事に纏め上げるその辣腕
アーディン・プラゴールを敵に回すということは、その膝元にある全てを敵に回すということだと、そう脅かされた
『Crystal Labyrinth』には、相当の腕利きたちが出入りしているという噂もあったことだしな

【饒舌に並べられるセリフは、相も変わらず図体と反比例した小心をごまかすためでもあった】
【事実、『ファニー・ゲーム・クラブ』では幾度も聞いていた。彼のシマに対しては、徹底した不可侵の命令が出されていたほどだ】
【彼の二つ名は確かな実績に裏打ちされて、裏社会では広まっているのだ。昔はもちろん、今もなお】


――――なるほど。情報屋としての腕の方も、相応のものというわけだ
泥の街のアジトは、それなりに情報漏洩には気を遣って建造したのだが……まさか、突き止められていたとはな

【恐れと称賛、隠し切れない二つの色が声音に滲み出ていた。ただでさえ最悪の治安で知られる泥の街の中で】
【異形どもの工場という冗談のような事実。一度は踏み込んできた昼の国警察も返り討ちにし、その後は昼の国警察も手出しを恐れて情報を伏せていたはず】

【そんな手の内が、すでに漏れている。彼の実力のほどを示すには十分だった】

/続きます


95 : カニバディール ◆ZJHYHqfRdU :2018/05/22(火) 00:00:39 IBKicRNQ0
>>92
……私にカードを一枚開示した。そう解釈していいのだな
確かに、鈴音が一連の繋がりの中心だった。一応は、通信網はある程度は確立してはいるが、鈴音の抜けた穴は大きい

ただでさえ、最悪のタイミングでの失踪だと思っていたが、お前にとっても同様だったらしいな……
わかった。ならば、まずはこれを渡しておこう

【彼女の意図を聞いて、カニバディールは頷く。この異形にとっても、『黒幕』に対抗する者が増えるのは願ってもないことだった】
【懐から、指輪を取り出す。相手の人数分、三つ。魔力が込められた光を放っていた】

この指輪を介して、魔力による暗号化したメールで我々はやり取りをしていた
敵はこちらの通信を傍受し、メールの送信先を変更したことさえあるらしいからな。こいつを使わなければ連絡も出来ない

【そういって、彼らに指輪を渡そうとするだろう。使い方も軽く説明する。今までやり取りされたメールの確認も出来るはずだ】
【先に渡しておいたのは正解だと言えるだろう。続くカニバディールの言葉を聞いて、ラベンダァイスが冷静でいられるかは疑問だ】
【カニバディールは、知らなかった。その名が、ラベンダァイスにとってどれほどの意味があるのかを】

さて……では、まず一つ。アーディンのことを開示してもらったことへの返礼として教えよう
鈴音のことだ。すでに、連れていった者の名は割れている。私は会ったことはないがね

何でも、人間を徹底的に見下して人間以外のための国を作り出すと宣っていたそうだ
鈴音も、人ではないものだと認定されたようだ……もしかしたら、あいつの安息はそこにあるのかもしれないがね

だが、水の国の旧市街を根城にしているようなやつだ。どうにも、私は信用が置けない
悪魔の羽根と尻尾を生やした、子供のような外見のやつだそうだ。名は――――イル=ナイトウィッシュ


96 : ラベンダァイス&リベル&アーディン ◆auPC5auEAk :2018/05/22(火) 00:57:08 ZCHlt7mo0
>>94-95

――――真っ向から、対立するものとは思います。でも――――息がかかっていれば、都合よく制限を無かった事にするくらいは――――するでしょう――――

【あれだけ大規模な何事かを行使して、世界にとんでもない穴を空けてしまったのだ――――『黒幕』と対峙した存在ならば、それは宣戦布告にも等しいはずで】
【しかし――――先ほどの彼らの『プロレス』と同じだ。もしも裏で繋がっていたのならば、それは彼らの策謀である事も十分に考えられる】
【先の見世物の事を思い出し、ラベンダァイスは理解不能な敵の目的を、そう考える事もできると、可能性を見出した】

{ま、他に行く当てもない訳だし、今はどうしようもないのだけれどねぇ? ただまぁ……下手をしたら、望まないところで骨を埋めなきゃならなくなるでしょうからねぇ、そりゃ必死よぉ……}

【ふわりとオレンジ色の髪が舞い、ルヴァは眉間に皺を寄せながら額に指を当て、ため息をこぼす】
【今ここで――――UTに後ろ足で砂をかけるような真似もしたくはない。だが、そうは言ったところで、自分たちが大した戦力にもならないのは重々承知だ】

{――――やっぱり、セリーナさんも行方不明、しかも……望ましくない形で、ねぇ……。……本当に、どうなっちゃうのかしら。あたしたち……}
〔――――もしもの時は、俺の元に来ても構わないぞ。仕事と、寝床……多少の金くらいは都合してやれる……〕

【仇敵であるはずのカニバディールでさえ、そこに焦燥を覚える、セリーナの失踪。どうやら、事態は本格的に不味くなっているようだ】
【それを思うと、ため息も零したくなる――――UTもそうだが、自分たちの身の振り方も考えなければならないというルヴァに、アーディンは端的に助力を口にした】

〔――――あぁ、よりによって薬と子供を同時に使おうとしていた、あの一件か……ッ
 どんなうわさ話になるまで、尾ひれがついたのかは知らないが……全員纏めてどてっぱらをぶち抜いて、両目を潰して――――川から首縄でぶら下げて洗ってやったよ……!
 ――――苦労したのは、保護した子供たちだよ。多少なりとも信頼できる大人に預け切るまで、7人を世話するに、3ヵ月は掛かってしまったからな……大人の方の後始末は、2日で済んだというのに……〕

【不愉快気に思い出しながら、アーディンは告げた。カニバディールの言っていた一件がどれだか、割合すぐに思い当たったのだろう】
【――――10人ほどの大人が、まるで出来損ないの鯉のぼりの様に、川から一斉にぶら下げられて、流れの中にたなびいていた――――それをやったのは、まぎれもなくアーディンと手下たちだ】
【――――正に、アーディンにとっての禁忌を犯した面々には、然るべき罰。そういう事なのだろう】
【一方で、子供たちの世話には手を焼いたと言っている――――アーディンも一応、そこのアフターケアは怠らなかったのだ】
【元より、彼らの受ける仕打ちと境遇に対する怒りが原因なのだ。そこを解決しないのは、論外だったのだろう】

〔――――今となっては詮無き事だが、『哲学者の卵』を破壊する手立ても、俺の伝手から完成できていたのさ。もう使う機会もなく、あいつも行方不明だがね……
 それに、このラベンダァイスみたいに、俺に縁のある能力者は……手足になる部下たちとは別に多い……必要とあらば、今この場で呼び出しをかけても構わないぞ……
 恐らく6人……いや、7人くらいは、駆け付けてくれるだろう……信用関係を作るのは、中々に難しいものだが、実利的な意味でも、仲間としても……頼りになるものだ〕

【実際、多少の事なら済ませられる部下は、ある程度の数が居る。最も、『組』や『団』と言えるほどに大げさなものではないが、それでも、一定地域ににらみを利かせるぐらいには】
【だが、一番の武器は、独自の人脈による、能力者への顔の広さ――――それは、カニバディールすら知るところであるくらいに、アーディンの大事なアドバンテージだ】
【何を行うにしても、仲間の助力が得られる。もちろん、金銭などを鎹にした仲だが、アーディンの気質から考えて、それなりの信頼関係も築いているらしく】
【今この場でも、招集をかけてみようかと、冗談めかして口にする――――アーディンが、人望を集めるのはそうした理由によるところも大きいのだろう】

〔――――まぁ、それでも、そこまで名前が大きくなっている事は、知らなかったがね……何せ、店を守りながら、地域を守りながらの副業だ……別に、勢力を拡大する気もなかったからな〕

【いつの間にか、語り草になるほどだというのは、アーディンとしても予想外だったようだが――――】

/続きます


97 : ラベンダァイス&リベル&アーディン ◆auPC5auEAk :2018/05/22(火) 00:57:51 ZCHlt7mo0
>>94-95

〔――――人の口に戸は建てられない。それに、泥の町とて帰ってくる人間が皆無と言う訳でもない。そうすれば、自然と見えては来るさ……まぁ、真偽を確かめるのは、相当に苦労はするがな……〕

【中には、無責任なほら話もあるだろう。だが、何らかの兆しというものは、どこかに必ずあるもので。想像によりながらも、後は過不足なく組み立てるだけ】
【――――直感と言い換えても良いのかもしれないが、モノを見据える力は、相応に自信があるようだった】
【それを以って、アーディンもまた、ちょくちょくと情報を集めているのだろう】

――――はい。もしもの時には、私には私なりの仲間がいる。それを言っておきます――――もう、UTを守るためにはなりふり構っては、いられません――――
〔まぁ、昔のよしみだ。――――っと、これは……?〕
{んっ……なんかこれ、綺麗だけど気になる感じの指輪ねぇ……!}

【いざという時のための仲間がいる――――それを伝えたラベンダァイスは、代わりに指輪を渡される。それは、アーディンにも、そしてラベンダァイスの足として赴いた、リベルにも】
【3人は3人とも、それがただの指輪ではない事に、どうやら気づいたようだが、カニバディールの説明は続く】

――――っ、なるほど、これが改善された連絡手段……!
〔……電子メールを魔力的に暗号化する、とはね……どうやら、チームにもチームなりに、随分な芸達者がいるらしい……!〕
{へぇ、これがねぇ……まぁ、落としちゃうような心配もないし、確かに上手い手だわぁ……}

【ラベンダァイスは、さっそく指にはめる。アーディンは興味深げにその指輪を見回し――――そしてリベル、否ルヴァは、その指輪に唇を寄せる。ようやくいつもの調子が戻ってきたようだ】
【――――ラベンダァイスの、最も求めていた通信手段。これで、ようやく他の『仲間』との連絡が取れる】
【――――鈴音を中心とした繋がり、そしてアーディンを中心とした繋がり。ようやくラベンダァイスは、その双方から力を引き出すコネクションを獲得できたのである】

〔っ、ほぉ……事態はすでに動いていたか……!〕
ッ――――人外の、国――――!? ――――鈴音さんには、何かあるって思ってましたが、まさか、そんな事に巻き込まれたなんて――――ッ

【続くカニバディールの言葉に、一行の表情が変わる。殴られっぱなしでは、どうやら終わらなかった様だ。敵の大まかな正体や、目的まで見えているとの事で】
【ラベンダァイスは、鈴音の事を思い出す。確かに何か抱えている風ではあったが――――そんな事に巻き込まれたのなら、必ず助けなければ】
【意気込んで話の続きを聞こうとして――――人外の国と言う言葉にも、何か嫌なものを感じていたのは――――あるいは、予感めいたものがあったからかもしれない】

――――ッッッッ!! い、イル――――イル! 奴が――――ッ!?
〔な……っ、ら、ラベンダァイス落ち着け! 奴は、奴は関係ない、分かるだろう!〕
わ、分かります――――分かりますが、それでも奴は、あの病の悪魔は――――ッ!!
{え、ちょ……ど、どうしたのよラベンダーちゃん!?}

【イル=ナイトウィッシュ――――その名前を聞いて、ラベンダァイスはカッと目を見開く。体に震えが走り、口元は呼気をザラつかせて】
【それは、程度こそ異なれどアーディンも同じだった。咄嗟にラベンダァイスを諌めに掛かる。自分自身に言い聞かせるように】
【蚊帳の外にいたルヴァは――――恐らく、カニバディールと同じような疑問を抱いているだろう】

――――奴なら、知ってます――――ッ、ギアさんも、知っているはずです――――! 病を操る悪魔、人を見下した悪魔――――ッ!
〔――――偶然の一致だ。だがな……イルと言う名は、この子のマスターにして『父親』の……仇と同じ名前なんだ。俺も、友人付き合いをしていたよ……ッ。その身体を、のっとって、魂を汚して……!〕
それだけじゃあない! ――――鈴音さんを誘拐して、一緒に国を作ろうなんて――――許せない、そんな事は許せない――――ッ!!

【ラベンダァイスの言葉は、冷えながらも的確だった先ほどまでと変わって、感情的に、粗暴になる。その理由を、アーディンは補足した】
【――――『ケツァル・コアトル』にとって、最も大事な人を殺した仇、それとオーバーラップする存在だったのだと】
【人の尊厳を、自分の目的のために汚して、そしてあるべき形から歪めていく――――ラベンダァイスにとっては、トラウマに等しい敵だった】


98 : カニバディール ◆ZJHYHqfRdU :2018/05/22(火) 09:30:17 IBKicRNQ0
>>96-97
……可能性はあるな。『黒幕』どもはどこに繋がっているのかわからん
そうだとしたら、最悪だがな……

【‍そう、事実としてレヴォルツィオーン社は『黒幕』側のパトロンであった。しかし、ブランルの意図はそれと関わりがあるとは限らない】
【今この場で、不確定なことは言えない。ラベンダァイスたちとカニバディールとは本来は敵対しているのだ】
【何より、ブランルの不興を買うことは避けたかった】

自分たちと違う世界でこの状況、大海原に放り出されたようなものだろうな
しかも、このままいけば沈没だ。余裕があるはずもないな

……セリーナの意志の強さと腕前は私も身をもって知っている。そう簡単にどうにかなるとは思えないが……
最悪の事態は考えておくべきだな。彼女無しでも、足掻き続けなければならん。お前たちも私も、全員が

(……アーディンの下にこの三人が加わるとなると、『黒幕』を下したとしてもまた面倒になりそうだが)

【リベルたちは戦力としての自分たちを大したものと考えてはいないようだが、カニバディールは彼女らのポテンシャルを警戒していた】
【故に、この事態ではUTの戦力となることを期待してもいたのだが、元々が異邦人の彼女らにそれを望むのも難しいようだ】
【この上で、彼女がアーディンの下に渡るとなれば戦いの跡もまだまだ予断を許さない。異形の肉屋の、皮算用の悪癖が顔を出す】


……全員腹を穿たれて目を潰され、ダルマにされて股間を潰された上で、生きたまま川にぶら下げられた。私が聞いた話はこうだ
尾ひれというほど歪んで伝わっているわけではなかったな

潰すよりも解決の道を探る方が困難なのは、裏の世界も変わらないということか
子供たちの行く末については、根も葉もない噂だったらしいな。そうして囲った子供が、『仕置きの猫又』の新たな配下となって
さらに巨大になっていくのだろう、と。我々はそう話し合って怯えていたものだよ

【かつて昼の国の裏社会で流布されていた噂を聞いた時のことを思い返す。あの金持ちたちの冷や汗をかいた顔は、レアな表情だった】
【似たようなことをやっていた『ファニー・ゲーム・クラブ』にとっては、気が気ではなかったのだろう】

【同時に、子供についての可能な限りのケアに関しては下衆の勘繰りが働いていたらしい】
【得にならないことをする者もいる、とすぐに考えられないのが裏の人間たちの先入観だ】
【アーディンが子供を犠牲にする者を許さない、という事実を知っていてすら、そのように考える辺り度し難いものである】


……その当時は、私も機関員ではなかったからその辺りのことは感知するところではないが
『哲学者の卵』の恐ろしさは知っているつもりだ。こんなところで名を聞くことになるとはな。つくづく、恐ろしい男だ貴方は

……この上、まだそれだけの力を見せつけられては失禁してしまいそうだ。この場では御免こうむりたいところだな
(すぐに招集をかけられるだけの能力者が7人……全員がラベンダァイスと同等だとすれば、とんでもないことだ)
(手数でいえば私も負けてはいないが、おそらくは一人一人の質は向こうが上……ラベンダァイスめ、とんだ相手をバックにつけていたな……)

【そう、特にコネクションは何より大きな力となる。彼の直属の配下たちのみならず、こうした独自の繋がり】
【事実、ラベンダァイスもその招集可能な戦力の一人に数えられるのだろう。それだけの人脈が彼にはある。それもまた、彼が畏敬を集める理由か】
【その中に、かつて己が喧嘩を売った人の命の輝きを守らんとした青年がいると知れば、流石に顔色を失っていたことだろう】
【カニバディールはそれだけ、このアーディンという獣人の力を正しく脅威と認識している】

悪党というものは、私に限らず臆病者が多い。力のある存在がいれば、自分たちの下にまでその力が及ぶ可能性をすぐに考え出すものだ
貴方にその気がなくとも、勝手に怯えて話を広めるものさ

【自嘲も含めて苦笑しながら、昼の国の暗部を思い起こす。今は全員がカニバディールの腹の中に詰め込まれた者たち】
【己の足元だけを慎ましく守っていたこの男に、勝手に怯えていたようでは自分が手を下さずとも『ファニー・ゲーム・クラブ』は長くなかったのかもしれない】


それはその通りだ。人の噂は千里を走る。だからこそ、私も貴方を知っていた
だが、それを見抜いてかつ裏を取るのは、誰にでもできることではないだろう

【そう、何よりも情報を精査する力。情報屋としての彼の強みはそこなのだろう】
【無数に飛び交う情報の中から、真実のみを抽出する。それが出来る能力が、この獣人にはある】
【この世界で、情報は大きな武器だ。それを正しく扱えるということがそれだけ大きなことか、この異形の盗賊は知っている】

/続きます


99 : カニバディール ◆ZJHYHqfRdU :2018/05/22(火) 09:30:49 IBKicRNQ0
>>96-97
そこに関しては、我々は一致を見る。もはや事態はそれだけ進行している。私もなりふり構ってはいられない
だから、お前たちとも組む。この指輪は、その証も兼ねている

【そう、情報は武器だ。指輪を介した暗号通信は、この戦いにおいて不可欠なものだろう】

UTが保護している初瀬麻季音という、いわゆる天才少女の手によるものだそうだ
直接会ったことはないが、まあ私に関してはその方がいいかもしれないな

【その麻季音もまた、『黒幕』のところに乗り込むという、とんでもない事態に身を置いているのだが、それはこの場の誰も知らないことだろう】


ああ、この指輪を持っている者の一部が接触したそうだ。随分と上から目線のいけ好かない奴だったらしい
ヒトデナシの国……胡散臭い話だと思うのだが――――!?

【その名を聞いて、ラベンダァイスとアーディンが予想を超える反応をした時、カニバディールは驚きに思わず仰け反りかけた】
【なんと怪奇な縁であることか。あの病魔は、その名とその所業、二重の意味でラベンダァイスの憎むべき相手であったのだ】
【そうとは知らないカニバディールは、ただ脳内に疑問符を跳ね回らせるばかりであった】

――――ギアとは、お前たちと同じく本来なら緊張した関係だ。情報のやり取りは、お互いに『黒幕』の件に直接かかわることのみに留めていたのだが
それが裏目に出たらしいな。まさかギアのやつも、イルと会ったことがあったとは……

仇敵と同じ名前……なるほど。ひどい偶然があったものだ。神がいるなら嫌がらせの天才だな……
(もう一つの情報を渡すかどうか、考えた方がいいかもしれんな……ラベンダァイスに受け止め切れるかどうか)
(だが、情報を止めることの方が不利益になる……タイミングを見計らって話すべきだろう)

【イル。その名の通りまさに病。偶然もあってのことだが、ラベンダァイスの運命を蝕むウイルスのような有様だ】
【ラベンダァイスが冷静でいられないのも道理。悪夢のような偶然と因縁。この満身創痍の彼女に話すには、必要とはいえ最悪のタイミングだったのだ】

【もう一つ掴んだ情報。彼女の仲間だった狙撃手についての話も、迂闊に話していい物か迷うほどに】

……私は、旧市街に踏み込むつもりでいる。当然、お前も居ても立っても居られないだろうがな、ラベンダァイス。何せ、その傷だ……
こういう時こそ、その男を見習ってその人脈を活用すべきだと私は思うが……どうだろうか?

【言いながらアーディンへと視線をやる。ラベンダァイスに、アーディンと同じように人脈を活用すべきだと】
【それはラベンダァイスに何よりも傷の治療に専念するように促すと同時に】
【暗に、旧市街の調査、鈴音の捜索に当たってアーディンの助力を期待しての言葉であった】


100 : ラベンダァイス&リベル&アーディン ◆auPC5auEAk :2018/05/22(火) 10:48:40 ZCHlt7mo0
>>98-99

――――やはり、どうにかして――――奴らの情報を、集めなければなりません。――――多分、彼らは、どこかで世界を裏切りながら、牙をむくでしょう
ただ、じわじわとにじり寄るだけ、なんて――――しないはずです。そんなだけの、静かな面々じゃ、ない――――異能封じなんてやるなら、きっと――――

【恐らく、自分の中で考えを整理しながら、なのだろう。ポツポツとラベンダァイスはそれを口にする。レボルツィオーンをどう見るかはともかく、どこかで必ず、 『黒幕』たちはこうした行動を取る事はあるだろうと】
【どこかのタイミングで、必ず『直接的に』動くことになるはずだ、と――――慣れないなりに、敵の動きを推し量ろうとしていた。そして、自分たちがどう動くかも】

{全く、ねぇ。……でも、結局いずれは、こうなってたかもしれないとは、思っていたわよ? 結局は、今を生きていかなきゃ未来もない事だからねぇ?
 いずれは……ある程度、この世界に『居場所』が必要になってたと思う。それが、こんな事では――――もう、黙ってもられないってことかしら?}

【その通りなのだ。いつまでもセリーナの元で甘えている訳にもいかない。もう3年以上、ひたすらに生活の面倒を見てもらいながら、元の世界に帰る手段を模索してきたが】
【それも、もう潮時なのかもしれない――――リベル一行はまた、この世界で自立して生きていく事も、そろそろ考えなければならなくなっていた。そこに来ての世界の危機である】

〔――――随分だな。まぁ……見せしめという意図はあったから、そうした効果も望むところではあったと言えば、そうなのだが……〕

【話の伝わり具合に、わずかにアーディンは苦笑する。どうやら相当にインパクトのある出来事ではあったらしい】
【もちろん、不埒な輩に対する示威行為として、そうした派手な死体の展覧を行ったのだから、恐怖の対象となるのは望ましいのだが――――ある意味で、予想以上の効果だったらしい】

〔――――まだ脛に傷の無い、真っ当に生きていくアテを探す事の出来る子供なら、わざわざそんな風に取り入れる事もしないさ……
 大した資金の当てがある訳でもない。あまり人を抱え込み過ぎると、首が回らなくなるよ……安心して旨い酒を飲める街、それを作れれば、大したことはないのだ……〕

【――――割と、アーディンはそうした無力な子供の類には、1人の大人としての親切心を見せる事が多いのだが、そういう印象は、どうやらほとんど知られていないらしい】
【もちろん、畏怖の対象である事を彼自身も望んでいるのだから、わざわざ知られるような事は望んでいないのだが――――あくまで彼は『基本的には』縄張りの中で完結する活動に終始しているようだ】

〔……こんな風に立ち回っているとな、何故だか知らないが、そういう因果が俺のところに集まってくるんだ。みんながみんな、それぞれに強い意志を持った連中だったよ……
 『哲学者の卵』の破壊も、元々は友人を救いたいって言って、俺に手掛かりを求めてきた奴の力だ。俺に植え付けられて根付いた『卵』まで、綺麗に除去してくれるまでに至った訳だが……
 ――――そんな連中が、今の有様を知れば……黙ってはいまい。恐らくは損得を超えて、力を貸してくれるさ。こちらも――――まぁそれを期待して、ではないんだが、何度か一肌脱いできたからな
 ……結局、この世は最後には人情の様だ。『情けは人の為ならず』だよ……〕

【人を見分けて、多少綺麗ではなくても、明確に力を貸す――――そんな事をしていると、自然と一定の人種たちが集まってくるのだと、アーディンは苦笑する】
【このアーディンの人柄を――――この短い間の語らいだけでも――――推し量るなら、ある種の人間たちには、快い人物像と見られるのも、無理はないだろう】
【――――まるで「偶然に『卵』を受けて、成果を見せてもらった」かのような口ぶりだが、実際には――――「手掛かりとするために、わざと『卵』を植え付けさせた」のだ。心をすら歪めかねないその兵器を】
【あえて分類するならば――――今どきは珍しくなった任侠系。そうした部類の人物だからこそ、自然と仲間たちは引き付けられるのだろう。ドライで、一方で熱く強く――――】

〔――――まぁ、情報というのは、必要とする人間には値千金だからな……苦労したよ、こうした手腕をモノにするのはな。だがおかげで、個人営業でもある程度の事はできるという訳だ……〕

【彼自身、『Crystal Labyrinth』から雇われ、給金を受け取っている身だが、それだけではここまでの行動力は養えない。その元手となるシノギこそ、情報】
【それを自家薬籠中のものとする為、恐らくは研鑽したのだろう。情報収集と分析、活用の技能を――――それが、アーディンを小規模ながらにフィクサーとして振舞わせている基盤となったのだ】

/続きます


101 : ラベンダァイス&リベル&アーディン ◆auPC5auEAk :2018/05/22(火) 10:48:56 ZCHlt7mo0
>>98-99

――――そう、ですか。これ自体が――――仲間の、証――――
{だとしたら、少し取扱注意って奴でもありそうねぇ。迂闊になくしたりしたら、大変だわこれ……まぁ、せっかくの力なんですし、そんな杜撰な扱いをするつもりはないけどね?}
〔……手ごまが、揃いつつある、か……数の力は、個では補えないところを補ってくれる。仲間がいるというのは、心強いぞ――――〕

【組織力――――こういうと、少なくともアーディンには大げさかもしれないが、スクラップズとアーディンのコネクションが一時共闘するなら、少しは希望も見えるだろう】
【この指輪は、そこを繋ぐリングなのだ。象徴として、希望の環として機能するのも、ラベンダァイス達には感じられた】

――――麻季音? ――――すみません、詳しくはなかったので。ここのところ、対外的な行動ばかりしていたもので――――鈴音さんから、話には聞いていましたが。確か――――現状に対する『鍵』だと
――――それと、カチューシャからも、名前だけなら――――

【何度か出てきたキーパーソンの名前――――麻季音。だが、ラベンダァイスは、同じ組織に所属しながら面識を持っていなかった】
【鈴音と邂逅した時にも思ったものだが。ひたすら実働要員として動き続けて、いつの間にか仲間たちから離れた立ち位置にいたらしい】
【――――それが、今回の事態に即応できなかった理由でもあるのだが――――カチューシャと言う名前も、ポツリと口にして】

{ちょ、ちょっとラベンダーちゃん落ち着いて! その、今はもう関係ないんでしょ……!?}
――――お父さんは、お父さんは『奴』のせいで、『悪意』のせいでッ!! っく、ぁ――――っっっぐ!!
〔――――『ケツァル・コアトル』にとって、マスターの死というのは恐ろしいトラウマの様だ。頭で分かっても……そう簡単に整理は、つかないのだろう……〕

【ラベンダァイスの激昂をルヴァが宥めようとするも、大した効果は上がらず。アーディンは、自然に落ち着くまで待つ事に決めたようだった】
【――――歪められて、道具として使い捨てられ、そして死んだ『マスター』にして『父』――――その有様は、まるで『哲学者の卵』の様に、悍ましく、許しがたいもの】
【戦う理由が欲しいと、揺らいでさえもいたラベンダァイスにとっての、明確な『許しがたい敵』の、数少ない明確な定義なのだろう】

〔――――確かに、これ以上ラベンダァイスを酷使させるつもりはない。手掛かりがあるようなら、俺が自分で出向こうと、そう思っていた……
 『黒幕』とやら、いや……『カミスシティ』には、いやなものを感じていたからな……少しは、自分の足で稼いでみなければ……〕

【――――カニバディールの視線の意味は、アーディンにも伝わったようで。挑戦的な笑みを浮かべながら、アーディンはカニバディールの巨躯を見上げる】
【元より、世間の情勢であるところの『黒幕』の動きには、アーディンは外からだけでも嫌なものを感じていた。そしてそれは、どうも『水の国公安』という、相当に根深い闇からの産物であるらしい】
【なら、例えスマートでなくても、手掛かりは総ざらいする必要がある。アーディンも、積極的に介入する腹を、決めていたのだろう】

〔……何より、風の噂では、旧市街地区には、無責任な大人どもに、ゴミの様に捨てられてしまった子供たちも多いと聞くぞ。そういう意味でも、黙ってはいられないな……!〕

【そして、個人的にアーディンも感情の問題を抱えていた――――『カミスシティ』へと逃げ込むために、我が子をそこに振り捨てていく大人たち】
【その実態も、アーディンは掴んでみたいと思っていたのだ。よほどそうした人間の方が「人でなし」だろうと――――要するに、そこに怒りがあった】

〔――――まぁ良いさ。いずれ、他の仲間たちとも顔を合わせる機会もあるだろう。まずは、自らの目と耳で、知る事だ……色々と不確かな現状、全てはそこから始まる……〕
{……ここまで首を突っ込んじゃうとは、思わなかったんだけどねぇ。ま、補欠ぐらいには役に立つつもりよ……こちらの旦那の『仲間』としてね?}
――――私にとっても、明確な『敵』です――――絶対に許さない。必ず――――。――――だから、今は、今だけは――――よろしくお願いしますよ――――

【ようやくラベンダァイスも落ち着きを取り戻し、3人は力強く頷く。長くかかってしまったが、ようやく自分たちは準備が整った、と――――】

〔――――では、早速だが。何か必要なものでもあれば、こちらで請け負っても良い……何か、仲間内で足りてないもの……心当たりはあるか?〕

【アーディンは、カニバディールに問いかける。輪の中にいたのなら分かるだろう。欠けているもの――――それを、自分たちの力で対処してみよう、と】


102 : 院長中身 ◆zO7JlnSovk :2018/05/22(火) 15:35:21 S/DUh6T.0
>>82>>83>>84

【嘘の様に長い睫毛が目尻に溶けて、素足を浸した水辺の如く波紋を頬に投げ掛けていく】
【徒然に覆いかぶさる横髪を右手で軽く書き上げて、少女は悠然と立ち上がる】
【──、否。かくん、とストッキングに包まれた両脚が膝で折れる。内臓へのダメージは大きいのだろう】

【それでもピンヒールが地面を掴み、彼女はその凛々しき身体を貴方へと向ける】
【スーツに包まれた華奢な体躯、その何処にこれ程までに苛烈な精神が閉じ込められているのか、と】
【辿る道先に有る筈の、行方も知らずに── 白詰草の名残をその頬に残して】


── あら、殿方はお好きでしょう? 性器を乱暴に扱われるのも、扱うのも
私には無いから分からないけれども、大切なものを蹂躙されるのはとても悲しいの
だからかしら、机の奥底に閉まっていた宝物を見つけた様に、大事に大事に弄って

秘密は女を美しく飾り立てるから、坊やの質問には静謐を返す事にしましょう
私が何処から来たかなんて、坊やには関係あるのかしら、私が貴方と同じ世界から来ていたなら
── 来ていたなら、貴方は私を救ってくれたのかしら


【少女は微笑む── 否、実際にはその暗示があっただけだった。ほんの僅かにその頬を上げただけ】
【一流のメイドが、長いスカート丈をほんの少しだけ上げて礼をする様な、そんな所作】
【それで充分ドラならば理解出来るはずだ。その微笑みが、とても、とても哀しいものであったなんて】


ねぇ坊や、故郷とは何処の事をさすのかしら。生まれた場所が分からなければ、その魂は何処に還れば良いの
カチューシャは知らないの、思い出す憧憬は、骨すら凍る一面の銀世界
けれどもそこに暖かな感触だけがあるの。不思議ね、一日中太陽も射さない日があるのに

でもね、そこから先は無明── 後に知っているのは、肉と肉が重なる甘ったるい熱の記憶
不思議な坊や、貴方になら何でも曝け出してしまいそうになるけど、も──……
女は一番大事な所に秘め事を残すの、だから殿方は皆、秘所を探すのでしょう?


【狙撃銃の銃口を向ける。── 再びその軌道はドラの股間を狙い撃つ】
【加えて、先程着弾した箇所をもう一度叩く軌跡であった。急所を抑えていたなら、その手ごとダメージを与えようと】
【夜に伸びる一陣の閃光が、振り抜いた剣閃の如き残照を輝かせた】


103 : 院長中身 ◆zO7JlnSovk :2018/05/22(火) 15:47:29 S/DUh6T.0
>>87

【微笑みを確認して、文月は少しだけ安心した様に胸を撫で下ろす】
【── けれども、それがどこか歪な、── 不自然さをその奥に潜んだ笑みだったから】
【それでも彼女は踏み込むことを躊躇った。あなたの優しさに、もう少しだけ浸っていたかったから】


そんな褒められると、うち照れはります……えへへ、でも、嬉しいのはほんまどす
うちも白桜はんに元気上げれたなら、嬉しいなぁって思わはるし
── でも、全然強くなんてあらへんよ、周りの人らに支えられてるだけやさかい

……悲しいけど、白桜はんの言う通りやとも、思います── せやけど、せやけどね
やっぱりまだ信じられる人は多いし、それに……そういう人らも、きっと間違ってるって気づくはずやと
うちはそう思うよ、群れの中にはきっと、きっと、優しい人もいっぱいいはるし


【少女はその表情をストロボの様に切り替えていく。無数の色合いの中に確かな意味を見せて】
【そしてそれは、貴方に向ける優しさが伸びていて──】
【やがて、沈む太陽の様に、その奥にある悲しさに触れようとした】


── ふふ、なんや白桜はんもお腹空いてはったん?
実はうちもぺこぺこでな、良かったら一緒にご飯でも行こっか
にしても白桜はん、意外と可愛いお腹の音してはるなぁ


【彼女は笑った。そうして笑顔を向けて、貴方にそうやって提案すると】
【ちらりと視線の端で、すぐ側の喫茶店に意識を向けるだろう】
【──どうでしょう? というかわりに】


104 : キング ◆/iCzTYjx0Y :2018/05/22(火) 16:48:59 lp4TKcVo0

>>67

【なんとなく、この男にも分かってしまって居たのだが―――矢張り、彼女からの反応は乏しい。】
【ただ精一杯ならなおの事、投げ出して誰かに任せた方がよっぽど身の為だし、そもそもがセリーナに訓練を教わるくらいの】
【そういう"技術"しか持たない彼女が、精神的にとは言えセリーナを打ち破った男を相手取って死闘を―――と言われてよし行ってこいとは言えないのだが。】

【そうして頑張ってきたすべてが踏み躙られたのなら、それこそ頼って安心をしてほしい所ではある物の。】
【所詮、この男はあの女にはなれない。そう、こうして話しただけでもかなりの労力を使ったのだ。こんな―――】
【信用もない男に、全てを曝け出した。それだけでもう、僥倖なのだろう。悲しい事だが、それが揺るがぬ事実だった】


―――まあな。薬の会社だ。尤もこうなってくると、売ってる薬品だってどんな成分が入ってるんだか
信用も信頼も置けねえけどな。ヤクならまだしも人体にモロ影響が出るような悪質なモンが混ざってたりしそうだ。

……なんだよ、引っ掛かるか? ま、そういう事もあるかもな。聞き覚えもある会社だろうし……。
ああ、なんだ義勇の事も知ってるんだな。そいつは良かった。―――……ウェインの野郎。あのスケこましめ。

ウェインってのはオレの知り合いだ、思わぬところでまた一つ繋がりが出来たな。鈴音ちゃんのカバー範囲にはオレもお手上げだぜ。
まあその……なんだ、へびさまってのがどなたかはこの際触れねえでおくけどよ。ウェインの野郎もそんなに家事は……あいや、料理は出来たかな。


【ウェイン。ここでもまた彼の名を聞く羽目になるとは。有難い反面、あちこち顔が利くのが時折恐ろしくもある。】
【相変わらず危険からは遠のけない生活を続けているようだ、安心は出来ないし……"また"があるのでは、と勘繰りたくもなってしまった。】
【だが鈴音がセリーナの救出には前向きな言葉で答えるのを見れば、此処に来てようやくキングはホッ、と一息をつく。これは凄く、良い兆候だと思えたのだ。この時は……。】


……悪いな。けどよ、きっとそれが……オレの為にも、鈴音ちゃんの為にもなるんじゃねえか、って。
オレにはそんな風に思える、先ずはあのバカを再起動するところから始めよう。そんでもってまあ……仲直りでも。

出来るよう取り計らうし、あいつだって……大丈夫だろう、きっと拗ねてるだけだ。みんな意地悪だからな。
そう、きっと今こそキミはセリーナの事をもっと感じられるはずだ。一杯一杯になる気持ちが―――分かるキミなら。

だから……こんな時に、こんなことをキミに頼んじまうオレを恨んでいい。……って言い方も、ズルだよな。
もう何を言っても取り返しはつかねえってのも重々承知だ、それでも鈴音ちゃん……よろしく、頼むぜ。


【女性に不甲斐ない表情を見せる事なんて、一生無いと思っていた。絶対に有ってはいけないと思っていた。】
【困らせる事なんて、天地がひっくり返ってもいけないと、そう心に決めていた―――そんな男の、苦渋の判断。】
【笑ってお願いしたかった。何時もみたいにニヤリと、口角を上げて妖しい笑みを浮かべたかった。でも、出来ない。】

【だからただ、ただ真っすぐに目を見て―――それすら、少女を戒める新たな鎖になるのだと、知ってはいても。】
【男は見つめた。古の大蛇の力を身に宿す、魔力と奇跡とを掛け合わせた美しくも拙い、それでいてどこか切ない少女の瞳を―――見据えた。】


105 : 名無しさん :2018/05/22(火) 18:03:10 IYvbzj5w0
>>104

【ふわりと少女は小さな吐息を漏らす。それはため息にも似て、だけどそれよりも消極的なもの。ただ漏れ出る空気のような】
【ぱんぱんに丸かった風船が何にもしなくても数日後にはなんだか萎んでしまっている――その時に知らないうちに出ていってしまった方の、空気みたいな】
【限界ぎりぎりに積み上げた上にもう一個、もう一個、って積み上げていく。セリーナのこと。その会社の名前。それはどこで見たのだっけ、――思い出せない、けど】

【思い出さなくって、良かったと思う。もし思い出してしまっていたなら、多分――――――いろんなことは全部全部先倒しになって、ここで、"咲いて"しまうから】
【だけれどそれは同時に不幸でもあった。少女にとって彼は一つの希望であり安堵そのもの、自分ではどうにもできなかった、大事なひとに、任されてここにいるのを思えば】
【"ここ"で物事が動いていたなら、――きっと、全く別のことになったのだと思う。彼にはそれをするだけの力が、きっと、あった。――でも、現実は、違ってしまった】

義勇……、……さん、とは、あんまり。お話をしたりは、してないけど――、……、わたしはお仕事で、あんまり、居ないから……。
ウェインさんは。去年の暮れくらいに会ったの、……廃墟に住むっていうから、それなら家に泊まったらって、それで――、――。

…………そう、なんだ。知り合いのひと? ――ウェインさんがね、情報統合ネットワークを見たい、って言って……。

【彼がウェインと知り合いだった――というのには、今の少女も少し驚いたのかもしれない、仕草は瞬き一つでも、ほんの少しだけ、説明してくれるから】
【といっても簡単な経緯だけだ。本当に簡単な――、それで、ちらり、と、沈黙する。――少女はそれを閲覧するための機械を持っていないから、果たせなかったのだけど】
【どこか寂しげにも見えたのかもしれない。あるいは疎外感みたいなもの。"分かってる"けど感じてしまわずにはいられない、一瞬だけ過ぎって】

……ううん、いいの。それにね、全部終わった後に、その時初めて聞かされたんじゃ、……そっちの方が。嫌だから。
セリーナのことは助けに行く、し、……できることならなんだって、する、……――手伝ってくれそうなひとも、探す。……"そう"、でしょ?
黒幕のこととかお話するより、簡単だから。……セリーナを助けに行くってことなら。みんなすぐ分かってくれるし――、

【彼の心中の苦さをきっと彼女は汲んであげられない、それよりも自分のことで精いっぱいで、ただ、終わった後に知るよりは。知ったのが今だっただけ、良かったと思う、なんて】
【慰めるつもりではなく、本当に――全部後から聞いたのでは、本当に、本当に本当に本当に嫌になってしまうって、自分で分かったからだった。それから言うのは】
【そのことについても人員集めをすればいいのかって問いかけ、求められたら、それも、一緒に――するんだと思う】

【――それに、世界ごと取り巻きかねない暗躍の話に巻き込むより、ずっと、少女自身気楽なんだと思わせた。助けて終わり。なんて簡単だろう、――曖昧に目を閉じたなら】
【彼の瞳から逃げたい、わけじゃなかった。だけれど結果として、その時、目は合わなかった。――もらったお代わりの珈琲をちらりと舐めるように、飲んで】


106 : シンクロライダー・キャットⅢ :2018/05/22(火) 19:55:32 XqQAhkbc0
>>102

いっ、ぐぅっ、……くっそぉ……!なんて隙のない女……
血も涙もないとはまさにこのことだ……この期に及んで警戒を一切解こうともしないなぁ……!


【息も絶え絶えに見えた。なんであろうと内臓部位にして男の勲章を攻撃されてしまったのなら肉体的にも精神的にも大ダメージだ】
【やっとの思いで二つの足で立ち上がりながらキャットⅢはカチューシャをにらみつけ続けるだろう……そして彼女の悲しい微笑みから投げかけられた言葉にはこう答える】


……ぼく一人にできる事は限られているだろうが、『ぼく達』ならばきみを救えるかもしれないね
生まれた場所がわからない?当時の記憶でも失ってるのかい。……それはそれは、面白い事を聞いたね
ただの『記憶喪失』ならジンジャー博士が出るまでもなくぼくがどうにかすることも―――

って、うおおっ!?なにやって―――!!


【なんのためらいもなく。カチューシャが再び狙撃銃を向けこちらに射撃を行ってきた】
【抑えていたのは無事だった左手、その人差し指の下らへんに着弾し―――装甲が砕ける】
【両手の装甲が砕け、つぶれた―――もちろん衝撃は相殺出来てはいない!ドラの秘所に再びダメージ!】

【着弾したその衝撃でやや後ろに吹き飛び、キャットⅢは仰向けのまま倒れこんでいた】


ぐわぁぁぁぁぁぁぁ!!!!ぐっ、よせったら!!本当に使い物にならなくなったらどうする!!
なんて女だ!!全く容赦がない!隙が一切見えないッ!!


【絶望的だった―――距離も離れているもはやこの状況では普通に近づいてもその前に撃たれてしまう】
【自分のシステムには遠距離攻撃に適したものがない―――生きて帰れたら新しく作ってくれとねだる事をかんがえながら】
【キャットⅢは上半身をゆっくり起こし、血の滴る右手の平をカチューシャに向けて、さらに話をするだろう】


―――……いいかい、『撃つ』のを……やめるんだ……マジでやめろ
これ以上撃たれたら本気で二度と使い物にならなくなる。というかぼくはもう無抵抗だろう?
ぼくがもうこれ以上戦えるように見えるかい……?攻撃をやめてくれたらぼくももう負けを認めてこの場を去ると約束するよ……

最後にもう一度言う……撃つのは、もう、やめるんだ


【事ここに至って弱弱しい声で攻撃の中止をカチューシャに懇願してくる】
【先ほどまでの自信満々なドラとは違い、男の象徴を攻撃され怯えているようにも見えた】


107 : 厳島の中 ◆zlCN2ONzFo :2018/05/22(火) 20:52:13 6.kk0qdE0
>>90

「ああ、お互いにな……」

【こちらも、恐らくは探偵と同じなのだろう】
【全くに同質の笑みをもって答えた】

「猟犬……いや」
「番犬ではないか、全く」

【そうボヤキにも似た言葉を放ちつつ、恐らくは正確であった筈だ】
【探偵の銃撃と、そして擲弾は着弾した】
【だが……】

「な――ッ!?」
「大丈夫か!?っくッ、なんなのだ、一体……」

【再び、追い詰められた緊迫の表情が浮かぶ】
【命中したと思った弾丸は全て何かに弾かれ】
【そして、跳弾が襲い来るのだ】
【その跳弾は探偵の肩を掠め、音で異変に気が付き回避を試みるも】
【傍らの人物の防衛までは、手が回らなかった】

「防壁か?あれは、全く、どんな理屈だ……」

【観察すれば、ブレードの出力の低下と、そして何より掌を中心とした排熱】
【これは……あるいは、と判じて】

「一撃でダメならば」
「その防御が、何よりの証明だ!」

【スコン、と再び擲弾を装填】
【睨みつける様に、死者のそれにも似たリーダーの男に狙いを定め】
【そして、擲弾を放った】

「弾丸はまだ駄目だ、弾かれる」
「防壁が、限界を迎えるまで、弾が通るまで、根競べだ……」


108 : 白桜 ◆D2zUq282Mc :2018/05/22(火) 21:49:46 JY1GydDk0
>>103


―――……気のせい。恐らく。きっと。
――………いいや、絶対に。……それに、……かわいく、なんて……ない。


【白桜の羞恥心が引き出した言葉は、否定。ただ言葉には筋の通った理屈も説得力も欠落していて】

【群れを見た事による動揺とはまた別種の動揺。反射的にぷいっと文月から顔を背けて天邪鬼な態度を取る】
【顔を背けたのは、偏に羞恥だけでなく。普段見せない弱みをひた隠す様な――照れ隠し】


丁度…よかった。……ちがう、ちがう。否、否。断じて否。
――…まあ、文月さんがお腹を空かせていると言うならば。


【依然として顔は背けたまま。けれど、丁度良い。文月の厚意に甘えよう】
【その序でに先の私の痴態を誤魔化そう。…大丈夫。白桜。私は今、上手く誤魔化せている…筈よ】


……ご一緒に、食事を取るのも、……吝かでは、ありません。
櫻の国の人と……久方ぶりの思い出話もまた、……一興です。


【言葉が紡ぐのは提案に対する返答。言葉で隠そうとしたのは己の素直ではない本音】
【間違ってもお腹が空いたからご飯に行くのではなく、貴女が誘ったからご飯に行くだけだと強がって】

【けれど、身体は正直だ。白桜の熱い視線が向く先は、側にある喫茶店。やはり空腹なのか】
【当人は誤魔化しきっているつもりでも。傍から見れば間違いなく誤魔化せていないだろう】


109 : アイ ◆xgsUYuhzWc :2018/05/22(火) 23:09:43 ZJqp5ySs0
本スレ
>>962

【かわいいと言われて、ロボは首をかしげる。どうやらペット云々ではなく、デザイン性の問題だろうか、と受け取ったらしく】
【ファラエナの散りばめたようにカラフルなそれを眺めて、己のシンプルな機体をちらりと見返して】

アナタの方がたくさん色がアル。
アナタの方が〝カワイイ〟の概念に近いのではないのデショウカ、ファラエナ。
タトゥーもありマス。服に絵も描いテル。

【比較したうえで、あくまで統計的な好みの問題とはいえ、そちらの方が好ましく思うのではとロボは思考した】
【そして己の頰、右側。右目の下を自分で指差す】

──タトゥーは痛いと聞きマス。でも、アナタは年がオサナイ。
シツモン、アナタはオシャレへの〝アイ〟があって、痛いのをガマンしたのデスカ?
──イエ、〝スキ〟の部類デショウカ。

【何故右目に、ふわふわのファッションとアンバランスな刺青をしてるのか、小さい年だというのに、痛くなかったのかと】
【ロボはファッションは全て整えることで成り立つと学習しているため、随分と気になったようだ】

ワタシは厳密には、女の子を想定してデザインされてイマス。
なので、アイちゃんでも構いマセン。
ちなみに、アナタは女の子ですヨネ、ファラエナ?

アナタが怖がらないのでしたら、ワタシはアナタと話せマス
──ソレは、〝アイ〟デスカ?

アト、アナタは人間ではないノデスカ?

【人間の話を逸らされたことに、首を傾げる。そしてデリカシーも無く問いかけた】
【感情はあるものの、モラルには少し欠けているらしく。〝ぎくり〟を見逃さなかった】
【そして何度もしつこく問いかける、スキとアイの定義】
【それは愛している事とはまた別ベクトルのものではある。だが、どうしても気になるらしく】

……

【〝みんなとお友達になるのよ!〟──その言葉に感嘆を受けたように、じっとファラエナを見つめていた】

【〝友好的。笑う。ファラエナはとても優シイ。タクサン話ス。んーと、えっと、をよく言ウ。〟】
【〝少しずつアタタカイ。コレがアイ?……まだ分カラナイ──〟】
【〝もう少し、もう少しだけ話を聞コウ〟】

アナタの〝トモダチ〟は、ワタシもなれマスカ?
〝トモダチ〟は、みんな、タクサン〝だーいすき〟を、持ってマスカ?

【ファラエナが何度も笑いかけてくれる度に、エネルギーが充填されていく】
【胸の核(コア)の奥がなんだか少しほかほかしてきたような、しかし気のせいと判断しながらも】
【あなたのやわらかなほっぺたを見つめながら、問いかける】


110 : 名無しさん :2018/05/22(火) 23:22:52 IYvbzj5w0
>>109

……えっとね、んーと――あのね! かわいいってね、カラフルだったらってね、違うのよっ。
でもね、私はね、この服ってね、好きよっ、かわいいでしょ! ――えっとね、これ? これはね、あのねっ、
お母さんがね、これをしたらいい子だってね、言うのっ! だからね、我慢したのよ――なの!

【相手の言葉に幼子はまたちょっと戸惑ったようになる、色がいっぱいあるからカワイイ、は、ちょっと違うんだけれど】
【それを鮮やかに説明するだけの言葉を持たないように、「あのね」とか「えーっと」とか、しばらく繰り返しているだろう。ただ、話が移れば――】
【――右目の下のタトゥに相手が触れたなら。人間ですよねと尋ねられた時よりはあっさりと。むしろどこか誇らしさすら感じているように、答えてみせる】
【やわらかそうなほっぺたのちょうちょは幼子が笑うたびに羽ばたくように見え――「だからね、私が好きなのはね、お母さんなのよ!」。にい、と、笑ったなら】

――じゃあね、じゃね! あのね、アイちゃんがいいわっ!
そうよっ、私もね、女の子だわ! じゃあね、アイちゃんとおんなじねっ!
――――――え、っと、? 私ね、アイちゃんをね、怖いだなんて思わないわ? あのね、とーってもね、かわいいって思うなって!

だからね、お友達になりたいなーってね、思ぎゃー! 

【やっぱり女の子だった。嬉しそうに笑ってやっぱりそちらがいいなと呼び直す、自分も女の子だ、と、答える――、さっきの質問よりは小さい、けど、また少し動揺した気もした】
【けれどそれは続く相手の言葉に紛れてしまって――"いつも通り"にお友達になろうとした、瞬間】

【――尻尾を踏まれた子猫みたいな声が出た。アニメとかマンガだったなら、きっと、そのふわっふわのツインテールがトゲトゲになって、跳ね上がる瞬間】
【幼子はとっさに相手の口――口っぽいところ――をふさごうと試みるのだ。ひどく慌てる顔、ぎゅうって押さえて、それはダメ!っていうみたいに、ぶんぶん首を振る】

あのね、あのね! お友達になれるわっ、なれるけどっ! あのね!? ――――ちょっと待って! なの!

【ひどい慌てっぷりだと思って仕方ないだろう、ならば"多分そう"なのだけど。それにしたって、ちょっと、びっくりしすぎなようにも見えた】
【幼子はぐいって相手の手を引こうとする、そうして、そのまま、人目に付きづらそうなところまで、相手を引っ張っていこうと、するはずで――理由は、まだ、教えてくれなかった】
【けれど確かであるのは、そこに敵意はないこと。――ただ幼子が一人で勝手にびくびく、少し、怖いような顔をしているのが、どこか目立って見えた】


111 : アイ ◆xgsUYuhzWc :2018/05/22(火) 23:38:53 ZJqp5ySs0
>>110

【──その言葉に、ロボはわずかに首を傾げた。言葉としては少し違和感はあるものの、理論立てれば納得はする】
【母親が教育としてしたのだろうか。よもや虐待ではあるまいに】
【でも、彼女は誇らしげだ。痛かったけどガマンしたことを、ちゃんと自分で褒めているのだ】
【それは承認されているということ。彼女の〝母親〟をファラエナがスキなのなら】

──お母さんが〝スキ〟は、お母さんへの〝アイ〟なのデショウカ
なぜアナタは、お母さんが〝スキ〟なのデスカ?

【母への愛というものを知りたくて、つい問いかける】
【子は母親を〝スキ〟だから、ファラエナの母への〝スキ〟はどんなものなのだろうと】

【ロボは、刺青を見る。象牙のように滑らかではある、でもやわらかくはない。痛みも分からない】
【でもこのファラエナのほっぺたと笑顔のやわらかさは、〝アイ〟は、〝アタタカイ〟につながるはずだ】
【それでも、こんなに柔らかいのだから、きっと痛かったのだろうな、と処理が成された】

──アイちゃん。分かりマシタ。
それでお友達ハ──?

【ファラエナがひどく狼狽し、うやうやとした表現に近くなっていることに、ロボは目を丸く表示した】
【まばたきしながら、どうしてそんなに慌てて怖がっているのだろうと思考し】
【──しかし、繋がれた手にそのまま大人しく付いていく】
【突発的な状況。理解が追いつかない。なぜこうなったのかは、ここまでの会話で──いや】

【〝ニンゲンのハナシ?〟】

【人は慌てたり、まずい話をする時はたしかに情報を漏らさないようにする】
【そこで自動学習し、彼女はきっと何かがあるのだろうと、無言で付いていく】
【ここでようやく、余計なことを問いかけてファラエナをさらにあせらせるリスクを算出】
【さらなる揉め事は控えるために、ひたすら人気のないところまで。そして言葉を待つ】


112 : 名無しさん :2018/05/22(火) 23:48:34 IYvbzj5w0
>>111

【――――そして場面は移ろう。そこはちょっとした広場だった、噴水があって、ベンチがあって、そういうところに、幼子は相手を誘導する】
【そうしてあたりをきょろきょろって何度も確認して誰もいないのを確認した後に、ふやーっとしたため息一つ、噴水のヘリに座るのだ。そうしたなら】
【なんでかちょっと拗ねたような目を相手に向けて――足をぱたぱたする。手はぱって開いた足の間で、お行儀がちょっとだけ、悪くって】

――あのねっ、さっきはね、ごめんね、なの。でもね、えっとね、――あのね、今はね、あんまりね、そういうお話、しないほうがいいの! なの。
アイちゃんね、ロボットのヒトがね、ニュースって見たりするのかな? 私ね、分かんないけど――、いまね、能力者ーとかね、言わない方がいいんだよ!
それでね、……あのねっ? 私ね、アイちゃんとね、お友達になりたいなっ、だからね、アイちゃんにね、約束! してほしいってね、思うの!

【「いーい?」】
【幼子はちょっとだけおしゃまぶっておしゃべりする――といっても。慌てて移動してきたせいか、その息は少しだけ弾んでいて】
【どこか眉の下がった表情は、きっと言葉通りに悪いと思っている。――でも、だからって、人込みの中で出来るような話、では、ないのだ】

あのね、アイちゃんにね、私の秘密! 教えてあげるっ。
それをね、黙っていてくれるってね、約束なの! そしたらね、私たちね、お友達だよ!

【――あどけない顔が、少しだけ、真面目さを帯びる。秘密を教える。その代わりに、黙っていてほしい。それが、彼女からの、お願い】
【それを約束してもらえなかったら、お話できない。そういうことだった――けれど、内容を明かさぬなら必ずだなんて言いきれないかもしれなくて】
【だけどそれを約束できるって言ってあげる/もらうことこそがお友達だよね、って、言うみたいに。――ああでも、無理強いはしない。幼子は、相手に、それを委ねた】


113 : アイ ◆xgsUYuhzWc :2018/05/23(水) 00:08:32 ZJqp5ySs0
>>112

【──トモダチになるための、条件】

【噴水のへりに、もち…と座っている(このように描写し申し訳なく思い侮蔑表現ではない)ファラエナ】
【先程まで楽しそうに、明朗快活に話していた彼女とはまるっきり違う】
【きっと、よほどの事情があるのだと思考】

【アイはニュースは学習しない、──迷惑をかけてしまった。そのため、「そうだったのデスネ」と頷いて、】

謝罪しマス。ごめんなさい、ファラエナ。

──エエ、ファラエナ。
ワタシはアナタと、〝トモダチ〟になって欲しいデス。
だから、それ相応の約束事は守りマス。
ヒトとの関係は、ひとつ約束を破ったら、あっけなく終ワリマス。
ハカセが言ってマシタ。ワタシは秘密、守りマス。

【「きっとアナタはとても困ってるのですカラ」。目の表示は瞬きしか映さぬものの】
【ファラエナへの理解を示し、咀嚼し、ちゃんと秘密を守ると約束する】
【自分と違ってより複雑な多感情の存在は、おそらく色々気を張った思いをして生きてるだろうから】

ワタシの知能CPUをハッキングされようと、コアを破壊されようと、言いマセン。
ファラエナのデータはパンドラのブラックボックスに記憶シマス。

【ふんすと、またえらぶって言ってから──、黙り込んで、】
【なぜなら、幼くて、たくさんあなたが勇気を出して言ってくれるということ自体が、とても大変だったからだ】


114 : 名無しさん :2018/05/23(水) 00:22:27 IYvbzj5w0
>>113

【それでもたしかに"そんな"様子では、あった。巣立ったばかりのすずめのちいちゃいのが、慣れない足取りで細い枝にとまって傾いているような、そんな、あどけない様子】
【とはいえここは平らな噴水のふちだから。ななめったりはしないんだけど――それに、彼女は、そんな様子にちょっと不釣り合いなくらい、真面目な顔をしていた】

……パンドラってね、ご本で読んだことがあるわ! えっとね、いーっぱい、ヤなのが入ってる箱よね?
でもね、私ね! ……あのね? 私ね、えっとね……内緒がいいなあってね、思うの! 思うけど――お友達との思い出はね、楽しいのがいいなって!

だからね、あのね、もっとね、ただの"約束"で大丈夫なのよ! それでね、こういうときね、ヒトはね、――こうやってね、するの!

【相手の言葉をじっと聞いていた幼子は――やがて相手がきちんって約束してくれるらしい、と、思ったなら。ぱっ、と、表情を華やがせるだろう】
【ただ続いた――ハッキング、だの、破壊、だの。パンドラだのブラックボックスだの、という話になってきたなら、――ちょっと、違う風に思えてきたらしい】
【あるいはそこによく分からないなりに不吉さを感じ取ったのかもしれなかった。――ならば、彼女が相手へ伝えるのは、そんなこと。言っていることが、ちょっとだけ、矛盾する】

【内緒にしておいてほしいけど――もっと普通の約束でいいのだと言って。ぴょんと噴水のふちから飛び降りる、それから、相手の近く、近寄ったなら】
【相手の手を大事に取り上げて、そのまま。小指だけぴんと伸ばして、他は握りこぶしの形。作ってあげようとして――作らせてもらったなら、自分も、同じかたち】

"指切り"っていうのよ! 約束するときにね、するの! 鈴音お姉ちゃんがね、教えてくれたんだっ。
これをしたらね、約束なのよ、いーい?

【にっこりと笑って――最後に相手がもう一回頷いてくれたなら、お決まりの文句。「ゆびきりげんまん」「うそついたら」「はりせんぼん」「のーます」「――ゆびきった」】
【それできゃらきゃらって笑って、約束が為される、はずだから】

あのね、あのね、ありがとっ、だからね、私ね、秘密のこと、アイちゃんに教えるわ!
――私ね。ケツァル・コアトルなの! アイちゃんはね、知ってる? あのね、ケツァル・コアトルってね――――あのね、生物兵器なの。

でもね! 私ね、そんなのね、ヤダなって思ったんだ! だからね、そんなにすごい力がね、あるならねっ?
私ね――みーんなとね、お友達になりたいなって思ったの! それでね、みんなとね、お友達になるって、決めたの!

それでねっ、そしたらね、きっとね、世界だって平和になっちゃうってね、思うの! ――だってね、お友達にひどいことね、しないでしょ?

【――それから幼子は。誰もいない場所で、それでもなお、憚るように。相手の耳元――それっぽいとこ――に顔をよせて、こしょこしょ、内緒話のように伝えるのだ】
【曰く自分は生物兵器である。けれど、破壊活動にいそしむつもりは毛頭なく、誰かを傷つけるつもりもない。――そんな力があるのなら、みんなと友達になってみよう】
【そう思ったのだと言う。――そして、もしも叶ったとしたなら。きっとその時世界は平和になっているから、って。――ぱっと離れたなら、ひまわりのように笑って】

だからね、お母さんってね、ほんとはね、違うの! お母さんはね、ご主人様(マスター)なのよ! でもね、お母さんなの――。
ケツァル・コアトルはね、初めて見たヒトをね、お母さんとか、お父さんとか……ってね、思うのよ! 

【そうしてその事実は、さっきの話にも通じて来る。幼子は母親のことが、大好きだ。――けれどそれは、造られたモノに仕組まれる、人工の本能である、と、伝えて】


115 : 院長中身 ◆zO7JlnSovk :2018/05/23(水) 04:42:59 XhR7wdR.0
>>106

【蹲り上半身だけを上げる貴方を見下ろして、しとりと伏せる目蓋の情景。落日に似て睫毛が頬を濡らす】
【耳元に流れ込むのは尊き懇願。── 踵で踏み躙るのならばどれだけ心地良いのだろうか】
【心の奥底を擽る嗜虐心を欠伸の様に咬み殺す、だーめっと自分の中に問い掛ける】

【── ケーキの上の果実は最後までとっておくのが、流儀であったから】


貴方達で私を救えるのかしら、……いいえ、私など救う必要もあるのかしら── そうでしょう?
やっぱり救われるだなんて似合わないの、それはね、鴻鳥を信じる乙女に相応しい言葉だから
夜鷹は一人暗夜を逝くの、降り積もる雪に翼を押し潰され、紙細工の様に憐れに果てて

ええきっと、それがお似合いで、そうきっと、それがお終いだから
記憶を失ったのかしら、それとも元々無かったのか、或いは── 覚えている必要も無いのか
ねぇ坊や。貴方は本当に自分自身の事を覚えているの、生まれた時から今までを、知覚してると言えるの

それは誰かにそう言われたからじゃないの、貴方って昔はこういう子だったのよ── って
そうでしょう、幼い頃の記憶なんて曖昧だもの、もしかしたらもう既に『初めて』を、奪われていたかも
ふふ、全ては胡蝶── それなら、それならね、覚えていないのも良いじゃない


【少女は唄う。── 紡ぐ音律に僅かな躊躇いも見せずに、脚光を浴びて一人観客を魅了する艶めいたアリア】
【そうして貴方を惑わして、拐かす音色にもしかしたら意味なんてないのかもしれない】
【けれども、深読みする事を強いていた。片恋慕の相手の一挙手一投足に意味を見いだそうとする様に】

【貴方はそれを惨めだなんて思うけど、私にはそれが全てだから】


撃つのをやめたら良いの、だったら蹴るのは宜しくて? 踏むのも叩くのもお気に召すまま、坊やの好きにしてあげる
最後には優しく撫でてあげるの。ふふ、そうしたらもう十分元気になるでしょう?
── でもね、カチューシャはもう疲れたわ、疲れたの、退屈は敵で、疲労は仇、美しさの無い生命に意味なんてなくて

良い子は帰って眠る時間。シャワーを浴びて下着を替えて、真っ新なシーツで童の様に眠りましょう
ねぇ、想像出来る? カチューシャのシーツがはだけて、私の淫らが露わになるの
どんな夢を見ているのかしら、その内容によっては、とてもとても、物足りなく思っているのかも

── そんな時、誰か殿方に優しく抱きとめて欲しいって、思っているの

またね、坊や。今度は途中で果てない様に── 最後まで私が、見届けられる様に
貴方の心を全て溶かしてドロドロに練った、深い深い白が、私にまで届くぐらいに
その時は貴方の初めて、貰ってあげてもいいかなって、思っているの


【背を向ける。── 抱き締めたら壊れてしまいそうな、硝子細工で出来た人形の様に華奢な背中】
【その身体には僅かばかりも無駄が無かった。細く、それでいて肉感的な姿は、神様の恣意を感じる】
【何も無ければ、彼女はそのまま立ち去っていくだろう】


116 : 院長中身 ◆zO7JlnSovk :2018/05/23(水) 04:56:13 XhR7wdR.0
>>108

【そんな貴女の様子を文月は頬を綻ばせて見ていた。── 理知的な貴女が見せるその横顔は】
【月が見せる無垢な表情、神々しささえ感じられる流麗な目尻が桃色の慕情を見せて】
【より一層照れた色合いが、朝日を浴びて輝く紫陽花の様な瑞々しさを携えていた】


── そうやね、うちももうお腹ぺこぺこやさかい、優しい白桜はんにお付き合いしてもらいましょう
白桜はんには堪忍やね、うちのワガママに付き合ってもらう形にならはるけど
でも、うちは白桜はんの様な優しくて可愛いお人とご飯出来たらそれだけで嬉しいさかいに

……せやから、是非に付き合ってもらえますか。ふふ、こう見えはってもうちは強引やで
一回そうすると決めはったら殆ど曲げへん、頑固者やさかいに
ささ、行かはるよーっ、もう決めはったさかいに! 止めてもあかんどす


【そうやって文月は貴方の手を取ろうとする、伸ばされた指先は剣士のものじゃなくて】
【一人の年頃の少女のそれ。── しなやかな指先はピアニストが如く、白百合の様な色合いを見せて】
【握ってそのまま喫茶店へと流れ込む、手頃な所に腰を掛けて】


それで白桜はんは何時頃こっち来はったん? そない綺麗にこっちの言葉喋らはるってことは長いと思います
……てかな、これで一年二年とかやったら、うちがショックどす。……不出来なんは分かってるけど
こうもな、頭の出来の差を見せつけられると、辛いってゆーか、なんとゆーか

お母はんももうちょっとうちに賢さを分けてくれはったら良かったのに、って思うんよね
うちお姉はんもおるんやけど、お姉はほんと頭も良くて別嬪さんで──
うん、白桜はんと同じくら別嬪さんやさかい、天は二物も三物も与えはるねんなぁ


【ぺたーんとテーブルにほっぺたをつけていじいじしてる、割とネガティブ】


117 : キング ◆/iCzTYjx0Y :2018/05/23(水) 17:42:14 lp4TKcVo0
>>105

【ここから"現在"に至るまでの、彼女や彼を取り巻く全てが"運命"であったというのならば】
【この二人のすれ違いながらの会話は恐らく、何もかもの"予兆"であったのだろう。不吉なオーメン、不穏なサイン。】
【見逃さず、見落とさず、彼が動けたのなら状況は違ったかもしれない―――だがそう。それすらも、今日すらも、運命であってしまった。】

【そうして渦に居る事をまだ知らぬ男が、チラ、と目をやるのは自身の持っている情報端末―――携帯電話だ。】
【人間世界の最新機種に上手い事偽装されてはいるが、これは彼の出身地でそれこそ"魔"改造を施されたハイテクノロジーの一級品。】
【当然ではあるが、半ばセリーナのW-Phoneに強引な接続をしている為統合ネットワークにはアクセス可能だ。だからこそ―――男は"そこ"には気づけてしまう】


(……オレの考えてる事。セリーナの考えてる事。そう遠くねえらしいんだよな。なにせアイツのデスクには新品の―――、)

……ああ。まあ腐れ縁さ。殴り合いもした、剣と銃を突き付けあった、そんでもって……背中を任せて絶対の信頼を置いた。
そういう……まあ、そういう関係さ。女の子以外でオレが心を許してる数少ない男がアイツだ。オーケー、ネットワークの事はオレがなんとか言っておくよ。


【何か言いかけて。キングは口を噤んだ。恐らくは失踪する前からセリーナのデスクにあったであろう"ソレ"について】
【彼は彼の口から告げるのはどこか間違ってると、そう思ってしまって。いつ頃から計画していたのかは分からないが、きっとそう。】
【そんなに最近の事ではないのだろうと、キングは考える。もしかしたらもっとずっと前から、セリーナは鈴音に何かを、伝えたかったのかもしれない。】

【ただ―――矢張り。それもまた運命。残酷に時が三者を裂いてしまうのだが。】


……そうだな、仲間集め。それも重要だ。
けどその前に、先ずはキミ自身が準備しないとな。敵は強大だ、恐らくは。

鈴音、タイミングはこっちから伝える。キミは備えてくれ。具体的には―――そうだな。
そう遠くない、一週間かそこいらで部隊を編成しよう。そんでもって突撃、奪還。簡単だな、言葉尻だけなら。

ただ何にしろ、―――……。


…………、いや。なんでもねえ。
オレから今日伝えられることはこのくらいだな! 早速だがUTの方の仕事を一旦停止させる必要がある。
それの関係でちょいとこれからまた外に出なくちゃいけないんだが―――これ、オレの電話番号だ。何かあればすぐ連絡くれ。

黒幕の事でも円卓の事でも、何でもいい。ヤバそうな時は頼ってくれ、秒で駆けつけてブチのめしてやる。
それじゃ……鈴音。キツけりゃ給仕さんのバイトは一旦お休みでいい。有給だ。酒場も暫くはオレと他の連中で回せると思うし

―――もちろん、出てくれるなら歓迎するぜ。そこに関しちゃ判断は任せる。なにしろ、皆キミに会いたがってる客ばかりだからな。
けど、そういう連中に会ってまた面倒事ばかり背負い込むのも今は避けたい、だろう? 現実的な話をすれば、今は休むのが一番重要だ。

ただし、部屋に籠れば余計に落ち着かなくなるってんなら……笑顔は見せられなくても、店に出るのはアリだ。
そこはキミの心次第、決定権はキミにあるから……どうしたいかはキミが決めていい。……決められなきゃ、休みだ!

それくらいの心持でいいんだぜ、ただでさえキミは"抱えてる"からな。ただよ、今日それはキミだけの荷物じゃなくなった。
これからは、オレも一緒に持ってやれる。どんな荷物でも、だ。それだけは―――忘れないでくれ。


【珈琲を飲み干せば、彼はトレードマークのライダースジャケットを羽織り、時計を確認する。】
【UTとして現状どうなっているのか、対外的にそれを説明する役割もあるのだろう―――最後まで、視線は合わずとも。】
【伝えるべきことは伝え、彼は一瞬視線を伏せ、立ち留まり、振り返りそうになるが―――そのまま、店を出る。からん、ころんとベルが鳴り】

【―――遠く、バイクの音が木霊した。あの日、"手を振り払って出て行った"彼女と何かがオーバーラップする。】
【だが、一つ違うのは彼は戻ってくる、という事。タイヤが路面を蹴る音がどこまでも、どこまでも響いていた。】


118 : 名無しさん :2018/05/23(水) 18:38:53 qpBjEOro0
>>117

【――――少女はほんの一瞬だけためらうかのように目を細めながらも、彼の電話番号を受け取るだろう。そこで一瞬悩んでしまったのは、どうしてだったろう】
【いろんなことに気疲れして億劫なように思ったのかもしれない、だったなら、ひどい重症だった。頼れるひと――頼らせてくれそうなひと相手に、そんな態度をするなんて】
【やがて少女は閉じていた目を片方だけ開く、――透き通る血の赤色をした瞳。ウィンクというには可愛げもやる気もない、そうなっちゃった、みたいな程度の、視線を動かしたなら】

………………キングさん、最近ね、水の国に。孤児の子が増えてるんだって。ほとんどが能力者の子じゃないかって。
――――ううん、なんでもない。――ちょっとね、聞いた、だけだから。

【去りがけの背中に、ぽつり、と、掛けられる言葉があった。それは声量としてもそうでなく、まして、本当にただ呟いた、という様子だったから】
【いくら鈴の音であっても聞き取れないかも、しれなかった。それにもし聞き取っていて、だけどうまく聞こえなかった、って、尋ね返したとしても】
【その全部をきれいに聞き取っていて、その話をしようとしても――なんでもない、って言って、少女は言葉を切ってしまうのだろう。――だから、ドアが閉まる】

【そのあとの少女がどんな風にしたのかは、分からないけど。もし誰かが最近設置されたばっかりの監視カメラの映像を見ることがあったなら】
【出ていたお皿を片付けて。洗って。棚に戻して。机を拭いて――それでまた、さっきまでの部屋の中に、戻っていくのを見ることが出来ただろう】

【――「一週間かそこいらで」と、彼は言った。けれどその日を迎えるときに、少女はすでに、この場所から居なくなっていた】
【その直前、キッチンで何か作っていた少女は――地下に言って麻季音にとあることを伝えてから、どこかへ出かけて行って、そうして戻ってこなかった】

【あるいは。もし、思い立ってから本当に店を出るまでの、ほんの数分の間。彼が、少女と、出会っていたならば】
【彼女はまた彼にも、伝えただろう。――水の国の旧市街と呼ばれる場所に、行ってくると。だけれど、お店の時間までには、帰って来る、と】
【いろいろなものを置きっぱなし、あるいは出しっぱなしのままで出て行ったことからも、それがよく分かった。戻って来る気だった。だけど、夜を過ぎても戻ってこない】
【電話を鳴らしても。メールをしても。何をしても、返事はなくって――――その足取りを追うには、その場所に出向くしかない、って、思わせるくらいには、手掛かりもなくて】

【(――――ひとつひとつ、歯車が零れ落ちるように、壊れていくみたいだった。なら最後まで残るのは何なんだろう、って、きっとそんなの誰にも分からないけれど)】

/おつかれさまでした!


119 : アイ ◆xgsUYuhzWc :2018/05/23(水) 20:35:27 Lxd3YeZA0
>>114

【──】
【──〝ユビキリ〟?】

【アイは初めて聞く言葉に首を傾げた。そんな行為がこの世界にあったのか、と】
【もとより世間知らずのため、ファラエナのその言葉が疑問に思う。質問をしたくなる】
【〝約束〟とは、もっともっと厳しいものではないのか?】
【せっかくの申し出、〝規則〟よりも軽く定義していいものなのか?】

【その前に、ファラエナの手が触れたことに気付き、やんわりと〝ユビキリ〟の形になって、それをモニター越しに確認する】
【それをしてもらった時、アイには触感や熱は分からないものの──】
【とてもコアの部分があったかくなって、CPUの感情表現が弾んでいることに気付いた】
【まるで、キモチがトランポリンか何かのようだ】
【彼女が笑っている。判別的に、それは楽しそうな笑い方だ。──どうして?】
【ファラエナも、知らない時は、こんな風に曖昧な驚きがあったのだろうか】
【〝リンネ〟に教えてもらうまで、ファラエナも知らない事がたくさんあったのだろうか】

【大人しく、無言で黙認しつつ指切りを終え──ファラエナを見る】
【彼女は約束をしたうえで、きちんと全て話してくれた】
【そうして、彼女のかわいいこしょこしょ話。耳元で全て聞いたうえで、】

──……

【ピ、ピ、ピ】
【白い感情模型は考える。生物兵器?】
【ケツァル・コアトルという名前に聞き覚えは無い。学習してきたデータにも無い】
【〝ケツァル・コアトル〟〝ご主人様(マスター)〟〝トモダチ〟──〝平和〟】
【〝では彼女もワタシと同じアンドロイドなのか?危険なのか?いや、彼女は外見は有機生命体に見える〟】
【〝生物〟兵器と言ったとはいえ、アイとしては、兵器は物言わぬ戦争の道具というイメージがあった】

【──〝兵器でも、感情は持てるのか?〟】
【──〝兵器でも、トモダチをたくさん作れるのか?〟】

【〝ファラエナは、優シイ〟〝おおよそ、その表現がぴったりあってイル〟】
【〝胸があったカイ〟〝ドウシテ?〟〝ワタシもファラエナみたいに優しくナリタイ〟】

【〝コレは、ウレシイ?〟】

──ファラエナ。アナタは、スゴイ人デス。

【アイは感情表現らしく、両腕を高く上げ、ファラエナに向かって話す】
【身に余るこの気持ちは、身体とCPUが追いついていないような気がした】

ワタシはアナタと、ずっと一緒にいたいと思いマシタ。
ワタシはアナタに、これからもたくさん会いたいと思いマシタ。

ワタシはアナタを、総合評価的に、危険だと認識しませんデシタ。
アナタを危険だと判断すれば、アナタに会えなくなりマス。
ワタシはそれはイヤだと思いマシタ。

アナタは、タクサンの人と、〝トモダチ〟になりたいと言いマシタ。
世界を平和にするのは、とても大変な事だとワタシは学習してマス。

でも、アナタはそれを、言いマシタ。

【ヒトが──ファラエナには、この定義に当てはまらないのだろうか、それでも、感情を持つ限りヒトは】
【それこそアイたちのように、確実たる有言実行をする生き物ではない】
【とはいえ、彼女たちは色々な思想を考えて、目標を掲げられる】
【コンピュータのように、確実な達成生産数を定めたりしなくても、曖昧でも、生きてる限りたくさんの願いを思いつく】
【幼いあなたは、懸命に、成熟した人間すら言えないようなことをちゃんと言ってのけた】

アナタは厳密にヒト科でなくても、アナタはタクサンのヒトとトモダチになるデショウ。
そうしたら、世界が平和になるのデショウ。

ワタシは、お手伝いをしたいデス。
アナタが世界を平和にするのなら、ワタシのAIは、アナタとそれをしたいと判断シマシタ。

【小難しいことを言いながらも──両腕を下げると、つい、とファラエナに寄る】
【色々な行為あれど、今まである程度の距離を保ち続けたアイが、ファラエナと距離を自ら縮めた】

【あなたはよく笑う。よく学んで、よく育つ。きっと、それは尊い】

シツモン──ワタシは、ファラエナが浮かべた笑顔に、センサーが反応シマス。
でも、ファラエナの笑顔はとくに反応が強いデス。
ワタシはアナタにタクサン笑って欲しいと思いマシタ。
町を歩いてたコドモよりも、アナタの笑顔はひときわ強く写りマシタ。

ワタシは、ハカセ以外にソレを思うのは、ハジメテデシタ。
──どうしてデスカ?

【また、曖昧な問いかけ。わざとそうプラグラミングされてるかのような】
【答えを知りたかった。きっと、何かに近づいた気がした】

【ファラエナ、あなたはその小さな身体に、たくさんの〝愛〟を詰め込んでいる】


120 : 名無しさん :2018/05/23(水) 20:54:18 5Smz1UWg0
>>119

【――――"それ"は幼子にとって、とてもとても重大な秘密だった。迂闊に知られてはいけないことである、と、幼い頭ですら、理解していた】
【だから秘匿する。それに――もしそうだって知れたことで、誰かを怖がらせてしまったなら、それはとっても。とっても。恐ろしくって、悲しくって、寂しくなると思うから】

――えー? 私ね、すごくないよっ? だってね! できないことね、たくさんあるのっ。
でもね! すごいんだよっ、あのね――私が出来ないことでもね、他の誰かにならね、簡単にできちゃったりするの!

――――だからね、みんながお友達になった世界じゃね、出来ないことなんてね、きっと一つもないんだわっ! だってね、みんなでお手伝いしあうの!

【言い終えた彼女は――相手の言葉に、ぱちりと瞬き。少し照れ臭そうにはにかみながら、それでも、ちょっとだけ子供っぽくないけど、謙遜してみせる】
【けれど続くのは。過剰なまでに自尊心を叩き割っていく地獄絵図なんかとは程遠くて。自分にはできないことがいっぱいあるけれど――それをできるヒトもたくさんいるから】
【みんなと友達になったら、最後はきっと世界中から"できないこと"なんて消えてしまうね、と、――笑って、伝えて】

私も! 私もね、あのね、アイちゃんともっとたくさん会ってね、おしゃべりしたいわ! ――――ふふっ!
そーなの! うんとね、大変なのよ! だってね? ヒトってね、たくさんいるの! ヒト以外もね、たくさん居るしっ!
私ねっ、そのみーーーーーーーー…………………………んな! と! っはあ――仲良くなるの! アイちゃんもね、もうお友達なのよ!

【どうにも相手の言っていることはちょっぴり難しい。だけど言っている内容そのものは分かるから、友達ってもしかしたら、そんなもの、なのかもしれない】
【顔がまーっかになるまで息を吐きつくした幼子ははあはあって荒い息で、だけど、ひどく色鮮やかに笑うだろう】

じゃあ――じゃあね、アイちゃんもね、みんなと友達になったらいいわっ! いろんなヒトとね、おしゃべりするの!
すごいんだよっ、お話するとね、いろんなことが分かるの! 知らなかったことね、いーっぱい、分かるの!

……それでね、もしね、良かったら――"ケツァル・コアトル"だって名乗る子が居たらね、私はね、元気だよ!ってね、教えてあげてほしいの!
きっと、"さみしがってる"の! だからね、教えてあげて! ――ファラエナはね、元気だよーって!

【一緒にしたい――そんな風の言葉を投げかけられた幼子は、それはとっても簡単なことだっていうみたいに、得意げな顔をしてみせるだろう】
【そして教えるのだ。――みんなと友達になったらいいよ、って。にぱりとした笑顔の宣言、――けれど続く言葉は少しだけ寂しそうになる、夏の夕暮れのような】
【けれどまた必ず太陽は登って来るって分かる――沈んだっきりなんかじゃいられない子だって、きっと、相手にも伝わるなら】

それはね、私たちね、友達だからだわ! アイちゃんもね、みんなと友達になったらね、きっとね、そうやって思うこと、増えるって思うわっ。
ハカセはね、とっても大事なヒトだからだと思うのっ、でもね、お友達も、大事なんだよ! ――それにね、"大事"ってね、たくさんね、種類があるの!
だからね、あのね、私もね、いっぱいのヒトと会ってね、見つけたいの! 楽しそうでしょ?

【やらかそうなほっぺたをにまーっと笑かす、子供っぽい笑顔、これから先の未来にたくさんすぎるくらいたくさんの、夢と希望を疑わない、きらきらしたもの】
【相手が詰めてくれた距離の分だけ近くなった距離感で幼子は破顔する、――それは到底ヒトを殺すために造られた存在だなんて、信じられない、ほどに】


121 : アイ ◆xgsUYuhzWc :2018/05/23(水) 21:38:03 Lxd3YeZA0
>>120

【──〝ダイジ〟】

──

【〝ダイジ〟。比較ではないが、その人のことを特に、特に労わること】
【〝ダイジ〟は、たくさん、種類がある?】
【──ファラエナはきっと、いろんなことを夢見て、これからもたくさん叶えていく】
【クリーム色の髪の毛を揺らしながら、いろんな所に行くのだろう】
【いろんなものを見て、いろんな食べ物を食べるのだろう】

【〝ワタシも、彼女のダイジに、なれたのだろうか。〟】

【アイはCPUの思考を止めると、じっと彼女を見下ろす】

……ハイ、了解シマシタ。
アナタのソレもまた、〝約束〟シマス。ファラエナ。
同じ〝ケツァル・コアトル〟の方に、〝ファラエナは元気だよ〟ト。
コレも、〝ユビキリ〟のうちに入れると判断シマス。

【出来ない事を、出来る人がいる】
【ヒトは全員完璧ではないと聞く。アイにはそれはまだ少し分からない】
【でもいわゆる、欠点と長所を補っていけば、たしかに世界はそれでやっかみ合うことは無くなるのだろう】
【ファラエナの言葉で、アイはそう判断する。きっと、ソレは〝平和〟と呼称してよいものなのだ】

【色々なヒトとトモダチになる──ヒト以外とも、トモダチになる】
【知らないことを聞いて知るというのは、なるほど、学習するための材料ではなかったのだ】
【ファラエナがひとつずつ伝えてくれた言葉は──どんどんアイの中に吸収されていく】
【ファラエナは、やっぱり、すごいと思う。どうしてそんなに】
【──電気よりもきらきらした、形容しがたいものを、たくさん持ってるのだろう】

ワタシは、アナタと〝トモダチ〟になれて、良かったと思いマシタ。
アナタと話せて、アナタを〝ダイジ〟に思えて、良かったと思いマシタ。

【胸に手を当て、言葉を投げかける】

アナタもガンバッてクダサイ。ファラエナ。
ワタシも〝出会い〟をタクサンシマス。
アナタもタクサン出会ってクダサイ。
ワタシは学習して、〝ダイジ〟を増やしマス。

──そして、アナタの世界平和への貢献をシマショウ。

〝ダイジ〟を増やしたら、またアナタに会いにきても良いデスカ?ファラエナ。

【そして、】

アナタはタクサン笑いマス。悲しくなったら、泣くと思いマス。
どうかその時は、ワタシを呼んでクダサイ。
ワタシはアナタのチカラになりたいから、そう判断シマシタ。

アナタの〝アイ〟を、ワタシは記憶シマス。

アナタと出会えて良カッタ、ファラエナ。
ワタシのAIは、そう判断シマシタ。

【返答すると──ピ、と目のモニターが消え、モニターの中に】
【昔のゲームのようにデフォルメされ、ドット化されたファラエナと】
【これまたその隣に、ドットのハートが浮かび上がった映像が映った】

〝記憶〟。ワタシはアナタの〝アイ〟を登録シマス。

〝アイ〟学習プログラム調査協力ユーザーNo.1。〝ファラエナ〟。

〝世界中の生物とトモダチになり、世界平和を目指すコト〟。
〝ワタシとトモダチになってくれたコト〟。

【ファラエナとハートのドットが徐々に合わさって、それがピコピコと点滅すると、やがてふっと消える】
【再び縦線の目の表示になり、頭を下げると、】

ワタシはアナタが、話しかけてくれたコトに、感謝するべきだと判断シマシタ。
アリガトウ。ファラエナ。

【伝え、ふと何かに気付いたようにぱっと顔を上げる】
【ある一点をじっと見つめたのちに──ファラエナに振り向き、問いかける】

──ハカセに呼ばれマシタ。そろそろ帰らなければなりません。もう行きマス。
アナタはヒトリで帰って大丈夫デスカ。ファラエナ。

【──淡々と合成音で伝えるも、どこか、寂しそうな気配がした】
【そして、ファラエナへの心配をする。幼子は誘拐されたり危ない目に遭いがちだから】


122 : 名無しさん :2018/05/23(水) 22:00:55 5Smz1UWg0
>>121

――――本当? 嬉しいわ! 私たちはね、みんなね、姉妹なのっ! 他の子がどう思ってるかは、わかんないけど……。
私はね、大事な姉妹だって、思ってるの! だからね、それもね、"大事"だわっ! ハカセともね、お母さんともね、お友達ともね、違うでしょ?
でもねっ――違うんだけどね、おんなじくらいね、大事なの! そういう大事がね、きっとね、いっぱいあるから!

【「アイちゃんにもね、きっと見つかるわ」】
【――幼子はそのときふっと大人びた顔をしていた、相手にそういった特別なものが見つかると祈りながら、だけれどいつか必ず見つけ出すと知っているような、表情を浮かべ】
【その"大事"はあんまりに形も大きさも色も触り心地も全部違うから、幼子にできるのはそれが精いっぱいだった。いろいろあるから、って、教えるところまで】

私もね――アイちゃんとお友達になれてよかった! ロボットのお友達だなんてね、初めてよ!
それにアイちゃんだってね――(ケツァル・コアトルのお友達だなんて、めったにね、出来ないんだからねっ)

うんっ、頑張るよ! それにね、アイちゃんがね、応援してくれるならね、もーっと、もっと! 頑張るのっ!

【またこしょりと内緒話する、自分たちは生物兵器だけど――みんな、きっと、アイちゃんと友達になれると思う。そんな風に怖い子は、思い浮かばないから】
【そうしたらにっこり笑う――応援されたなら精一杯頑張る表明、ぎゅっと握りこぶしなんて作って、みせて】

――だからね、アイちゃんも! 困ったことがあったらね、いつだってね、言ってね! これね、私の、電話の番号!
アイちゃんはね、お電話ね、持ってる? ――持ってなくてもね、それね、覚えてて! アイちゃんが困って電話してきたらね、いつだって駆けつけるわ!
だってね、私ね、強いんだからっ! "みくびらないで"ほしいの! ――私ね、誰かを傷つけるのは嫌だけど。大事なお友達を護るためならね――。

――――わあ! すごいっ、なあにそれ? すごーい!

【それで今度は連絡先を渡したりするのだ。といっても紙にさらさらって書いて、渡すだけ。電話番号とメールアドレス、それから、通話アプリのID】
【非通知でも知らない番号でも出るからね!と念押しするのは、ちょっとそれはどうかなって思ったけれど――生物兵器の力。大事な友人のためならば、と、言いかけたところで】
【相手のモニタに表示される映像に釘付けになる、すごいすごいってネコ科動物みたいに騒ぎ立てて】

ううん! あのね、お話するのにね、ありがとうって関係ないよっ! だからね、"またね"なの!
それってね、あのね、バイバイの時に言うんだけど――だからね、最後にね、バイバイ、またね!ってね、それがね、ありがとうと一緒だわっ!

――――? あっ……、そっかあ、分かったなのっ、お家まではね、大丈夫よ! アイちゃんもね、気を付けてねっ!
――あのね、私ね、今度はハカセのお話がね、聞きたいわ!

【――それから、相手の言葉には、そんな風に返していく。ほんとはそれは最後の時に言う言葉なんだけど――だなんて、お姉さんぶって、説明しながら】
【最後にまた会おうねって言うのが、「ありがとう」の代わりなんだよ、と。――それが正しいかはともかくとして、幼子はそう思っているのだろう。自信たっぷりなら】
【相手が帰ると告げたときにはこちらも寂しそうに。――でもそれって、もしかしたら、"またね"を初めて使ってみる機会かもしれない、なんて、思うのかもしれなくって】

【幼子はきらきら笑いながらそんな風におねだりしていた。次はハカセの話をしようって――】


123 : アイ ◆xgsUYuhzWc :2018/05/23(水) 22:48:17 Lxd3YeZA0
>>122
【〝ダイジ〟】

──ワタシの〝ダイジ〟は、見つけられるデショウカ。
もっともっと、タクサン、あるデショウカ。

【この世界は広いと思った。常にリスクも危険もあり、ロボットにもうまくいかないこともある】
【感情のプログラムが、少しだけ〝不安〟を算出したらしく】
【ややうつむきがちだったものの、小さな駆動音とともに、ファラエナの笑顔に向く】

──でも、ファラエナは、タクサン色んなヒトと話しマス。
有言を遂行してイマス。ちゃんと体現してイマス。証明をしてイマス。
アナタは〝ダイジ〟。ハカセとは違う、〝ダイジ〟。──〝トモダチ〟。

【それから電話番号を、色んな連絡先を記したものを渡され──頷いて、メモを受け取る】
【アイには携帯としての役割だとかは無く、アプリケーションの実装も出来ない】
【なので、つどつど連絡を取るために】

あとで、ハカセに頼んで、スマートフォンを貰いマス。
でもハカセも、ファラエナのコトを今日話したら、アナタを知りたがると思いマス。
ハカセにも、アナタの連絡先を教えても良いデスカ?

【と、伝えた。この連絡先をハカセと共有してもよいか、の質問】
【プライバシーに関わることは、気をつけなければならないと学習している】

【ファラエナが〝みくびらないで〟と言う。──助けてくれる、と判断出来る言葉を言ってくれる】
【〝優しさ〟なのだろうか。それは〝トモダチ〟だから?】
【──少し成長したAIで計算すると、たとえ〝トモダチ〟でなくとも、ファラエナは迷わず困ってる人の前に飛び出しそうな気はする】
【でも、それは何故?──じゃあ、ファラエナは、〝ヒト〟への〝アイ〟があるからだろうか】
【ひとまず出た答えに落ち着いてから、ファラエナを見返した】

──では、ケツァル・コアトルであるファラエナは、
ワタシの、ヒトで出来る〝ダイジ〟の、ヒトツ。
さらに特別な〝ダイジ〟だと判断シマス。

【こしょりと話されたそれに、淡々とながらも──事実、特別なのだと返す】
【きっとヒトではなくとも、アナタは、そんなの関係なくて。──むしろ、ヒトではないからこそ】
【とても、〝ダイジ〟に思えるのかもしれないのだ】

【なんと──綺麗なのだろう、どうして、モニターにあなたが眩しく映るのだろう】
【ちかちかと思考するモニター越しのAIは、ファラエナのあたたかさを認識する】
【どうしようもなくまっすくで、色々なものを信じている】

──アナタが強いなら、安心シマシタ。
ワタシは、戦闘システムも搭載してイマス。
ですが、もしワタシが負けそうになったら、アナタを呼びたいと思いマス。

【──ふと、】

──アナタの兵器の〝使い方〟は、〝優しい〟のデスネ。

【──己に積まれた戦闘ガジェットは、おもに〝目の前の暴徒や悪人を鎮圧するためのもの〟】
【大義名分のみだと、義務的なものである】
【実装されている事には、使用するか使用しないかの判断をする程度のもの】
【でも、ファラエナはなんだか、〝護りたい〟という言葉を使う。それはなんだか、冷たい判断ではない気がする】
【アイは疑問に思う。どうして──そう感じるのだろうと】
【そうして、ファラエナは信頼出来る。──〝頼もしく〟見える】

【──〝コレは、〝シンジル〟デショウカ?〟】
【──〝この世界は、まだまだ、分からない事ばかりデス。〟】

では、──それも、学習シマス。
〝マタネ〟、ファラエナ。

アナタに、タクサンの〝マタネ〟が、ありますヨウニ。
アナタに、タクサン笑顔を浮かべる機会がありますヨウニ。
ワタシは、そう思いマス。

次に会う時は、アナタにタクサン、ワタシは、〝アイ〟をあげてみたいデス。
そのために、タクサン学んで来まショウ。

まだ分からないけれど、ワタシもファラエナを、〝ダイスキ〟だと思いマス。

〝マタネ〟。

【そう伝えて、アイは手を振る。さようならの挨拶だと学習していたから】
【そう、初めての〝またね〟だ。でもその手を振るのすらなんだか、AIが拒絶した。いやだった】
【しかしずっと一緒に居続けても、ファラエナは新しい〝ダイジ〟を、〝トモダチ〟を見つけに行けないから】
【だからいまは、次会う時まで、さよならなのだ】

【ファラエナを何度も振り返る。──そのたびに、〝またね〟の代わりに手を振った】
【それは、大事なあなたへの、〝ありがとう〟なのだから】

/続きます


124 : アイ ◆xgsUYuhzWc :2018/05/23(水) 22:50:54 Lxd3YeZA0
>>123

【──】
【──〝次に会う時は、きっと、ハカセの話をしようと思イマス〟】
【──〝ファラエナは、ダイジなトモダチ〟】
【──〝ソレは多分、ひとつの〝アイ〟のカタチ。学びマシタ〟】

【きっとファラエナの〝愛〟は、一体のロボットに確実に何かを残していて】
【アイは帰ると、ひとりの女性に抱き締められ、話しかけられるだろう】

「おかえりー、アイ!!お散歩どうだった!?」
「ハイ、ハカセ」

【するとどこか誇らしげに、ロボットは言うのだ】

「〝トモダチ〟が、出来マシタ」


/これにて〆ます!ありがとうございました!!お疲れ様でした!!


125 : 名無しさん :2018/05/23(水) 23:06:05 5Smz1UWg0
>>123

【「見つかるわ!」――そんな風に幼子は顔を目いっぱいに笑顔に染める、真夏の青空を見上げたら思わず目が眩む、そんなような、無邪気すぎる笑顔】
【あるいは暴力的とまで言われてしまいそうな無垢がそこにあった。――相手がスマートフォンをおねだりするんだって聞けば、「えー!」ってちょっと照れ臭そうに】

じゃあ、私が、アイちゃんと初めてスマホでお話するのね! ――あっ、ううん。アイちゃんはね、ハカセとお話するのかな!
でもね、そしたらね、私は二番目がいいってね、思うわっ! だからね、アイちゃん、私とはね、二番目にお話ししてね、なの! お約束よ!

【もしかしたら自分が初めてなのかもしれないって――にまにましていたのだけど、ふっと気づく。もしかしたら初めてはハカセかもしれないって。それなら】
【自分は二番目がいいなーってわがまま、だのに勝手に相手の手をぎゅうっと掴もうとして――それを許してしまったなら、気づけば、小指が勝手に絡んでいて】
【「――ゆびきった!」だなんて、勝手に、契られてしまうんだから"ずる"だった】

――んーん! 負けそうになる前に、よ! 私ね、アイちゃんがね、お怪我するとこなんて、見たくないわっ!
だからね、危ないな!って思ったら、すぐ呼んで! "ヒーロー"みたいにね、びゅんって、飛んでくるよ! 私ね、お空を飛べるんだから!

そうじゃなくってもね。きれいなお花あったな!って時でもいいし、カワイイ猫が居た!って時でもね、いいよ!
お写真ね、メールで送ってっ! そしたらね、私ね、そのお写真見ながらね、アイちゃんとお話したい! それもね、きっとね、約束だわっ。
でもね――私ね、それをね、次にアイちゃんと会った時にね、一緒におしゃべりしたいなともね、思うの! ――わがままでしょ? ふふっ――。

だからねっ私ね、アイちゃんにたっくさん"アイ"をもらう練習、しとく! ……どーするのかってね、よくね、分かんないけどっ。
……――うん、そうなの! またね、また、お話しようね! ばいばーい!

【――もしかしたら単におしゃべりしたいだけじゃないか、なんて、思わせるかもしれなかった。だけれど同時に分かるのだ、そんな風に、危ない場で呼ばれるより】
【――――そんなのより、何倍も、何倍も、平和なところで、おしゃべりしたい。楽しいことを話して。いろんなアイを共有して。そうしたいから】
【またねって言葉は同時にそれまで相手の無事平穏を願うもの。――何度も何度も振り返る相手に、そのたびに、またねー!って大きな声を、投げかけるから】

【その時になってやっと通りがかった一般人が、何事かって、ちょっとぎょっとしていた。――けれどそんなの気にしないで、相手が見えなくなるまで、ずーっと、そうしていた】
【相手に与えたかもしれない影響に気づいた素振りはなかったけれど。それでも大事なお友達が増えた、って、嬉しそうに、目をきらきらって、きらめかせながら】

/おつかれさまでした!


126 : ◆DqFTH.xnGs :2018/05/23(水) 23:19:41 EOC5vCno0
>>85
【イルを知っているかと問われれば、あぁと小さく頷く。今はただそれだけだ】
【自分が見たイルの印象と、彼らが見たイルの印象。そこには僅かながら差があったが】
【件の病魔のことを気に入らない、といった意味ではきっと意見は一致する】
【故に、無駄口は挟まない。適当な茶々を入れてもよかったが──今はそんな気分でもなかった】


…………、…………その夢なら。…………その夢、なら────あたしも、見る

「わたしは誰」って、泣きそうな声でな。…………ったく、どこで迷子になってるんだか知らねぇが
最初はなんかこう、恨まれてんのかと思ったけどな。なんつぅか────そんな声でもねぇんだよな

っと…………余計な口挟んじまったな
いいぜ、続けてくれよ。その方が…………あんたも、気持ちとか情報の整理がつくだろ


【そうはいったものの、ミラ自身もどうして事態がここまで深刻化してしまったのか】
【完全には分かりきっていなかった。原因の一部を、少し知っているくらい】
【夕月から聞きたいことは山ほどあった。それこそ、今彼女が話しだそうとしていることから】
【鈴音が今、どんな状況にあるかということ。どうして今、鈴音の夢を見てしまうのか】
【だが──やはり今は、夕月に話させるのを第一とした。気になったことは】
【後から。夕月がしっかりと話し終わるまで待とうとそう決めていた】


127 : ◆DqFTH.xnGs :2018/05/23(水) 23:31:04 EOC5vCno0
>>89

議員の横に、か────は、ン
ふとテレビつけたら記者会見のシーンでニコニコ笑ってる光景が目に浮かぶぜ
ま、とにかく…………今はゾーイからの連絡を待つしかねぇな
いくら管理体制がやべぇっつっても…………きっとあいつなら、その穴を見つけちまうだろうからよ

くくっ────いや、あんたもそのうちゾーイと会うだろうけどさぁ
あいつ、ぱっと見マジで人間なんだけど、話せば結構すっとぼけたアンドロイドなんだよ
口を開けば小難しいことばっかりでさぁ。なのにたまぁに、ハジけたこというから面白ぇんだよなぁ────


【そう言っているうちにも、声が次第にふわふわと力のないものへとなっていく】
【一度落ち始めた意識が落ちきってしまうのに、そう時間はかからなさそうだ】

【「ん…………おやすみ、カール」最後にそれだけ告げて、息が深くなる】
【頭部の触腕はだらりと力が抜け、寝息が聞こえてくる。よく喋った分、疲れもたまったのだろう】
【血の処断。────霧の中で行われた惨劇から紡がれた縁が、今後どうなっていくのか】
【それは誰にも分からない。あるいは、“OMERAS”なら────】

/おつかれさまでしたー!


128 : ◆jw.vgDRcAc :2018/05/23(水) 23:41:28 OX.x04tc0
>>62

【撫でられた。小さな手のひらが、怖がりの子をあやすように、優しく。うんと背伸びしないと届かないくらいなのに】
【いつぶりだろう、撫でられるのなんて。大人になって、母親になって、気が付けば撫でる側になって……すっかり、忘れてた。】
【……その温かさと言ったら、言葉にすることが出来ないくらい。ささくれ立った心なんて、たちまち包み込まれてしまう。】
【昔、引っ込み思案で泣き虫だった子供のころ、よくこんな風にされてたっけ。……変わってないのだな、自分も。】
【親子ほどに年の離れている女の子だというのに、まるで自分が子供に還ったみたいで……そして、それを恥ずかしいと感じないのは】
【きっと、あなたの存在が立場だとかメンツだとかそういうの抜きにして考えられるモノだと、認識できたからなのだろう。】
【それは、あなたの言う通りの仲間である証左に他ならず―――】

……ふふっ。そうなんです、私なんて……弱虫で、泣き虫で。
ひとりじゃ、本当は寂しくてたまらなくって。うん、うん。ありがと。……ほんとに、ありがとね。
大の大人がこんなんじゃ、恥ずかしいかもしれないけれど……あなたは、とてもあたたかいから。
きっと、そのあたたかさを感じられると、寂しくなくって、安心できるから……うん。お願い、しますね?

【そのお願いは、添い寝に掛かっているのか、独りにしないに掛かっているのか。きっと、その両方。】
【自分が大人であることも、相手が自分よりも若い事も、すっかり忘れて。十数年ぶりに、誰かに甘えた。】
【今この瞬間は、頑張らなくていいと思えた。それだけで、押しつぶされそうな心の重荷を背負わずに済んだ。】
【深く深く負った心の傷はすぐには癒えない。―――けれど、こんな風に誰かが寄り添ってくれる時間は】
【間違いなく、その傷をいやすための時間となっているはず。やがて眠りに誘われるまで絶えず浮かべていた穏やかな笑みが、その証拠だ。】

//遅くなりましたが、其方こそお疲れさまでした!


129 : ◆S6ROLCWdjI :2018/05/23(水) 23:49:48 WMHqDivw0
>>126

ミラ、……さんも?

【そう聞くと、びっくりしたみたいに眉尻が少しだけ上がったが】
【「……今の鈴音なら、そういうこと、できるのかも」って、勝手に納得した】
【今の鈴音。きっと全く別の何かに変質しているのだと、予感させるような言葉を使って】

……ええと、あたしもよく分かってないんだけどさ。
二回目の戦いのとき――敵のバケモノは、白い蛇だった。
鈴音と同じ色、赤と黒の目をしてて……あたしと、そのほか何人かが、
その蛇の「ナカ」に入ってったの。……そこに、鈴音がいた。

よくわかんない場所だった。大きなサクラの樹があって、黒い蛇がたくさんいて。
その中心に鈴音がいたの、それで、笑いながら言ってたの、あの子――

――――「わたしね、神様だったんだ」って。

【また一拍の休止を取る。自分でも何を言っているのかよくわからない、みたいな顔して】
【疲れたような表情にも見える――眉間に寄った皺を、揉みながら】

……たぶん、それは、本当のことだったんだと思う。
あの場所、蛇の中にいた鈴音は――本当に、カミサマみたいに、
なんでも出来た。何もないところから手品みたいにモノを出してみせたし、
それにあの、蛇の、群れ――――、……鈴音の言うことをよく聞いてた。

……カミサマ? になった鈴音、なんだかすごく、怖かった。
知ってる人にも躊躇なく攻撃してたし、……物言いもなんか、すごく……物騒で、
それからなんか……目からドロドロって。血、みたいなの、流してて……

【寒くもないのに、パーカーの二の腕あたりを軽く握って擦りながら】
【きっと物凄く、この少女にとってはショックなことだったらしい。思い出すにもしんどそうな顔して】
【わけわからないことばっかり言ってる自覚はあるから、ここで一旦小休止。三拍くらい間をあけて、続きを話し始めるだろう】


130 : 白桜 ◆D2zUq282Mc :2018/05/24(木) 00:31:18 JY1GydDk0
>>116

あっ……。そんなに、……急かさなくても。
………私は、逃げない、から。


【握られた手は、何だか暖かくそして柔らかい。人に手を握られるのは何時振りだろうか】
【文月の綻んだ笑みだけではない。文月の可愛らしい仕草と柔和で活発な雰囲気に、目を見開く白桜】
【薄い紅玉の様に染まった頬はそのままで。引かれた手をぎゅっと握った】


(……私の天邪鬼っぷりを理解した上で、彼女は我侭なふりをしてる)
(……何だか、私の方が幼子の様に思える。……なら今日一日は童心に戻るのも良し、ね)


【物思いに耽る暇も無く、文月に引っ張られる形で喫茶店へと足を踏み入れる白桜】
【路地の喧騒とは種を異にする喫茶店の喧騒は、何処か心地よい。まるで外界から切り離された空間である】
【文月が腰掛けるのと同時に、白桜もおずおずと席に腰掛け、周囲を一瞥しながらボンヤリしていると…】

【予告もなしに始まる文月の絶え間無いマシンガントーク。内容は大まかに把握するも右から左へ受け流し】


―――……えい。


【いじけた文月の顔を人差し指で軽く突こうとした。仕返しだ、意趣返しだ。えいえい】
【白桜の伸ばした人差しは"後ろ向きな言葉を連ねるのは、貴女に似合わない"と言う意図を込めたものであった】


言葉なんて通じればいい。それ以上でも、以下でもない。……綺麗に話す事に固執する必要性はない。

そも私は……何時この国に来たのか覚えていない。恐らくこの身体の本来の持ち主なら解るだろうけど。
だから短い年数を数えて比較して。嫌悪に陥らなくても良い。

それに、文月さんには私には無いモノを天から与えられてると思う。逆に私は文月さんの持つ物の方が…羨ましい。
お世辞でもなく……私の、本音。だから、……いじけるのは、およしなさい。

それに……私は、お腹が空きました。……何か食べ物を、…頼んでください。
――……私は、このようなお店に行った事がないので、……勝手がわかりません。


【偽りなき本音を口にして。真摯な眼差しを文月に向ける白桜】
【一通り言葉を紡いだ後。文月と同じ様にテーブルに頬をつけて、ぐでーっと、だらけた状態で告げるのは】
【――カミングアウト。普段フェイの精神で眠りに就いている白桜は、自分だけで飲食店に行った事が無かった】


131 : 名無しさん :2018/05/24(木) 00:42:39 5Smz1UWg0
【――――"それ"は、あんまりに、静かな夢だった】
【いくら夢だってもうちょっとどうにかなるだろう、って、思いたくなるくらいに、静寂――ここは現実、ではないから】
【自分の鼓動も、血流も、聞こえない。だから、静寂だった。そんな静寂がもうずっと、無限かって思えるほど、続いた】

【だからそれは福音のようにすら、思えて】

――――、

【それは小さな吐息のようだった。――"鈴が息をすることがあったなら、きっとこんな風なんだろうなって、思えるような"】

………………――、わたしは。だれ……?

【――暗がりの夢。暗くて。暗くて暗くて暗くって、ただ一筋の明かりもない。ならば何も見えなかった。誰が話しかけているのかも、分からないくらい】
【だけれどそれは間違えようもない。――少なくとも"あなた"は間違えたりなんて、しないだろうから】

【"今宵"の夢はサウンドオンリー。だけれど本当にそうだろうか、暗がりの向こう側には誰かが居るような、そんな気配がするから】
【ならば"願って"みたら"叶う"かもしれなかった。――だって。願われて叶えるのが、神様だから。けれど、それが、そうしたから、いい結果が訪れるとは限らない】
【――それでも時として、願ってみたくなってしまう。そんな気持ちが湧いてしまったとして、誰も――まして神は――それを否定することだなんて、出来るはずがないのだから】

/予約のやつです!


132 : ◆S6ROLCWdjI :2018/05/24(木) 08:48:53 WMHqDivw0
>>131

【「鈴音」の身体を引き取ってから。まず最初に、大きな大きなキャリーケースを買いに行った】
【いつまでも抱っこして連れ歩いていたら怪しまれるから。申し訳ないけど、彼女をそこに入れて】
【胎児みたいに身体をまるく折り畳ませて、持ち運びしていた。「妹」は、だいぶそれに抵抗があるようだったけど】

【泊まり歩いているのはビジネスホテルだった。まだもう少し、金に余裕がある】
【それでも二部屋借りるほどの余裕はないから、ツインルーム。ひとつのベッドは、未だ起きぬ彼女のために使って】
【もう片方のベッドは、彼女の身体を毎日清めて、いつ起きてもいいように整えている「妹」に使わせてやる】
【そうしたら自分は、ソファで寝ていた。それなりの巨躯を横にするにはサイズが足りないから、座った姿勢のまま、寝て】

【――――】

【……またこの夢か、って思った。あの日から毎夜毎夜見るから、もう慣れても来ていた】
【この手の夢、オカルトチックなものに遭遇するのは初めてだった。だけど、】
【「こういうの」には反応しないほうがいいということは知っている。何もせず声も出さず、ただ耐えているだけでいいと】

【――――知っていたけど。「あのコ」の声で泣かれるなら、別の話だ】

【無意識に、声のする方に手を伸ばす。その指先すら見えなくて、闇】
【自分が今どこに立っているかもわからない。けれど、其方に向かって一歩一歩、歩みを進める】
【だって自分は男であって、多少なりとも好いている女のコが泣いているのだ。そうしない理由なんて、ない】


………………、リンネちゃん?

【名前を呼んだ。まだはっきりと、あのコであると判断できないから疑問符付きで】
【それでもはっきり名を呼んだ。壊れそうなものにそっと触れるような音量で】


133 : 名無しさん :2018/05/24(木) 12:04:06 5Smz1UWg0
>>132

【――――こつん、と、やがて彼の足先は硬いものに触れるだろう。けれどそこにたどり着くまで、どれくらいの時間があっただろう】
【一瞬だったかもしれないし何時間も後のように感じたかもしれない、――"夢"の中でならよくあること、時間の感覚がおかしくなって、よくわからなくなる】
【だけれどそれはこの場合夢だから、じゃなくて――ここが神様の場所の名残で。そしてその神様が今にも消えてしまいそうに、幽かなものになっているから、であり】

――――――、

【その暗黒の中、ぶつかった"何か"を見ようとしたなら、世界は彼の望みを叶える。それは言われたことをするだけの機械みたいに】
【もちろんできないことも多い。というより、ほとんどのことが出来ない。けれど――暗がりが晴れて、見えた。そこには、とても繊細に作りこまれた硝子の棺桶】
【蓋はなくって逆さまに伏せて置かれている、――その中に、ぞろぞろって、もう身動きもできないんじゃないかってくらいに、たくさん、たくさんの黒蛇が】
【せまっくるしくて仕方ないみたいに詰め込まれていて。一匹が中に潜り込んでいく。それで追いやられてきた二匹が潜ろうとして、三匹が追い出されて、困ったように身もだえする】
【そういう繰り返しだった。黒色の鱗の表面にはオパールのような艶めきが載っていたから、それが絶えずつやつや、きらきら、って、綺麗に見えたけど】

【――そして"これ"が今のシラカミリンネなんだって、きっと、分かってしまう】
【身体を喪ったならば形を忘れて、存在を否定されたなら、いくつも、いくつも、細片まで裂かれてしまって】
【硝子の棺桶はもはや愛され惜しまれたお姫様を収めるためのものでなく不定形になってしまったものを閉じ込め留めるためでしかなくなって】

――――――――……、オムレツ、さん?

【だからこれは不気味でしかなかった。硝子の棺桶に詰め込まれた無数の蛇、っていう一つの存在が、変わらぬ鈴の音で、話しかけてくるのだから】
【話しかけられた声に少し遅れて"彼女"は反応する、――もう泣きつくしてしまって、涙は出ないのに、それでも泣きたい気持ちの時の声】

――――、わたし、の、からだ……、……どこ? わたしの、かたち――、……わたし、の……。

【棺桶の中の蛇がぞろりと身体をくねらす――無数のオッドアイの瞳が彼へ向けられる、何対も何対も何対も何対も何対も、だけれどたったの一対が、彼へ向いて】
【――あるいは。弱り切った神様の"今の姿"を見てなお、彼がいつかの少女を想起するのなら。その形は少女をかたどるだろう、――少女、自身は、忘れてしまったけれど】
【"それを知っている"彼が来てくれたなら。少女は一時自分の姿を思い出すことだって、きっと、できて。――そう、だから、この世界は、まだ、神様の場所】

――わたし、どこに、いるの……?

【けれどもはや自分でどうにかする力を持たないから。誰か――この場合は彼の、希望に沿う。このちっちゃな神様で叶えられる程度の願いなら、叶ってしまうって】
【それがきっと、分かるから。――それはあるいは餌をもらえない象が必死に芸をしてみせるのに、似ていた。彼の願いを叶えて、(信仰してほしい、と、願うみたいに)】

【――だけれど、同時に、別のことにも気づいておかないと、"よくない"】
【今彼が相対しているのはむきだしの祟り神だって。全く違う形に成り果ててしまったといえ、少なくとも、この場に干渉する力が、あるんだって】
【(だけどその二つに気づいてしまえば。うまくやったならなら、意外と、――そう、割と悪くないんじゃないか、とも、思わせた)】


134 : ◆3inMmyYQUs :2018/05/24(木) 12:41:48 LevMp5MM0
>>52

「──え? いや、わたしじゃないですよお。
 お巡りさんが善良な市民を撃ったりする訳ないじゃないですか、いやだなあ──

 ──ええ、かなり控えめに言っても、死んじゃってますね、これは。写真要ります?
 最近のアプリってすごくて、顔を自動認識して犬耳とか付けてくれますから死体でもかなり可愛く──
 ──あれ、もしもし? もしもーし? ──あ、はあ、そうですか、分かりましたあ」

【ぷつっ】
【つー、つー、つー】

【通話を切った婦警は、ちらりと死体を見て、両手を合わせて拝んで】
【それから何事も無かったかのように出入口へ向かっていき】

【きぃ……ばたん】
【扉が閉じられ、そうして暗澹たる静寂が再び満ちた】



【 ────────── 】


【(……おかしいな、聞いた話ではもっと優しく大人しいタイプだと……)】
【(ああいや、何でもない、こっちの話だ。──ええと、そうだな、まず──)】


────“二つの箱が一箇所にある”、と考えて欲しい。


【青年はおずおずと、空中から言葉を拾ってくるように語り始めた】
【そしてそれは、大きく回りくどく、そしてどこか幾何学的な内容だった】


──αという箱と、βという箱──中身は全く別物なんだけれど、
その二つが同じ位置で重なり合っている、という状態だ。

観測上は一つの箱でも、内容はαであり、βでもある二つの箱ということになる。
けれど通常の三次元的情報空間では、箱一つ分の領域に異なる二つの箱は同時に実存化できない。
だから一部をα、一部をβ、という風に継ぎ接ぎにして、情報量を三次元領域に合わせて再構築する。


 【資料:監視カメラの映像A】
 【──青年が初瀬麻季音に銃を向ける・麻季音倒れる・青年、支える】
 【──青年、麻季音を床に寝かす・拳銃を懐へしまう・床に手を付いて何かを唱える】


そうして出来上がった領域を、仮にXと呼ぶ。

僕らや婦警が今さっき観測したのは、このXの箱なんだ。
この中では、一部がαの内容、また別の一部がβの内容になっている。


 【資料:監視カメラの映像B】
 【──麻季音の周囲に突然、血痕と硝煙が出現する】
 【──青年、立ち上がり、バーカウンターの後ろに隠れる】
 【──濡れた足跡が消える・扉が開く・婦警が現れる】


つまり……
『初瀬麻季音がそこにいる』というα情報、
『初瀬麻季音が死んだ』というβ情報、
それらを組み合わせて、『死んだ初瀬麻季音がそこにいる』というX情報を組成したんだ。


 【資料:監視カメラの映像C】
 【──婦警、麻季音の様子を観察する・どこかへ電話する・酒場を出て行く】
 【──青年、カウンターから出てくる・血痕と硝煙が消える・濡れた足跡が出現】
 【──青年、麻季音をおっかなびっくり覗き込む・肩を叩き、声をかける──】


/つづきます↓


135 : ◆3inMmyYQUs :2018/05/24(木) 12:42:20 LevMp5MM0
>>52


問題なのは、このβ情報がどこから来たのか、ということなんだけれど──

──そう、それが貴女を撃った理由だ。


【学者然としていた眼差しが、そこで唐突に少女を見た】

僕一人では、このβ情報を生み出すことは出来ない。
『死』の主体は当人でなくてはならないし、ああつまり、僕が貴女の死を経験することは出来ないからってことだ。

だから、確かに『初瀬麻季音本人』が『死ぬ』ということを経験──いや正確には『死んだという事実を認識』してもらう必要があったんだ。

僕が貴女に撃ち込んだのは、『致死的な一撃を』『確かに受けた』と、
そう思い込むようになる一種の情報的ウイルス──言い方は悪いけれど──そんなようなものだ。

本来なら芽吹くかどうかも分からない、ちっぽけな種に過ぎないけれど、
貴女の優れた思考能力が瞬く間にそれを膨らませて、『自分が死んだ』という認識を生み出してくれた。
言ってしまえば一種の『夢』のようなものだけれど、まだ夢を夢と認識していないうちに、僕はそれを読み取らせてもらった。

それが、β情報の大まかな素性だ。

そうしてαとβは交差し、Xという像を結んだ──という訳なんだ。


 【資料:監視カメラの映像D】
 【──青年が麻季音に何か怒られている】


【──ふう、と】
【青年はそこで語りを終えた】

【以上が事のあらましだった】
【完全な真実ではないけれど、完全な嘘でもない。まるで人を騙すときの常套のような】
【現実と虚構を組み合わせて作った小さな時空の箱庭──それがこの一連の出来事の正体だったということらしい】


……本当はもっと穏やかに死んでもらおうと思っていたんだけれど、
なにぶん時間が無くて、ああいう無茶苦茶な方法に……いや、本当に面目ない。

どこか具合の悪いところは────


【と、思い出したように彼女の身を案じたところで】


【 「────ッッックション!!!」 】


【と、青年自身がロボットの大破するような大きなくしゃみをした】
【彼は濡れネズミのままであった】


【──この身震いする青年は未だ自身の素性はおろか名前さえも伝えていなかった】
【何故こうして奇妙な時空の絡繰りを仕掛ける必要があったのか、何故麻季音や婦警のことを知っているのか】
【しかしそれらは意図して隠そうというよりは、何かに集中するあまりうっかり失念しているだけ、というような風でもあった】



/変則的ですが、この会話をどこでしてるかはお任せします、どこでも付いていきます。
/中々ごちゃっついているので、???なところはなんでも聞いてください、お手間かけます。


136 : 院長中身 ◆zO7JlnSovk :2018/05/24(木) 16:40:37 N6qnhhu60
>>130

【────、ほっぺたに白桜の指先が沈んで、呆気に取られた彼女の表情が揺れる】
【靡く横髪から透ける横髪に、きょとんとした色合いを浮かべたなら、糸が解れる様に微笑みを向けて】
【春風に似た笑い声を重ねた。唄声は調を合わせて、貴女へと届く飾り見にしてみせる】


そーかな、うちは白桜はんの可愛い声が綺麗な喋り方しはるん好きやで、ほんまに歌ってはるみたいやし
……あはは、言われてしもうたし、大人しく忠告を聞かはります
それに、あんまり暗くするんはうちのキャラじゃないしな

そーれーにっ、今一個白桜はんの弱点見つけてしまいました
ひょっとして白桜はんはお嬢様やったりしはるん? 身のこなしとかもそうっぽいし
なんかもう深窓の令嬢とか、そういう表現ピッタリやもん、別嬪さんやし


【そう言って彼女は同じ体勢になった貴女へと、秋桜の様に爽やかな笑みを向けて──】
【彩る頬の隙間から覗く瞳の淡い色が、その網膜に貴女の虚像を溶かしこんで】
【指先で辿るその体温が、締め付けるように── ぎゅっと徒に手を握って見せた】

【店員が来て、慌ててぱっと手を離すだろう、頬に混じる体温で溶ける紅い色合い】
【そうしてサンドイッチと手頃な飲み物を注文して、ふぅとため息ひとつ】


── それでな、身体のほんとの持ち主って、どうゆうことなん?


【軽く背もたれに身を預けながら彼女は尋ねる】


137 : 院長中身 ◆zO7JlnSovk :2018/05/24(木) 17:33:13 N6qnhhu60
>>25

【よいしょ、と身軽そうに枝の上で一回転、ひらひらとした袂が揺れると舞妓の様に可憐な色合いが溶ける】
【華やかな少女であった。白と黒のコントラストに、蜂蜜色の瞳が甘い高貴さを告げる様に】
【嘘みたいに長い睫毛が乳白色の素肌に浸されて、眩しい残照のような微笑みを向ける】


ふふーんっ、鵺ちゃんの綺麗な髪の毛を見て吃驚しちゃいましたか! お触りは許可しませんよっ
マフラーはこう見えて良い素材で出来てるので暑くないのです、寧ろ夜を渡るのに必須なんです
そこはまぁ、私は一流の忍者ですし? どんな過酷な環境にも眉ひとつ動かさないみたいな!

── んま、質問の多い娘っ子ですね、そんなに鵺ちゃんの個人情報を集めてファンクラブでも作ります?
全ての答えは一つです、鵺ちゃんは、忍者なのです
驚きました!? 驚かせちゃいました!? 驚いてくれました!?


【賑やかな少女であった。矢継ぎ早に紡がれる言葉の雨がしとりと濡れて】
【その後には晴れやかな微笑みを向ける、向日葵の様に屈託の無い笑顔】
【貴女の指摘に少女は目をぱちくりとさせて、ちろっと自分の裾を眺める】


あれまっ、見えちゃいますか? 鵺ちゃんの様なピチピチの娘っ子のパンツは貴重ですけど
こうおじ様とかにただで見られちゃうのはなんと言うか勿体無いよーなっ
ご忠告ありがとうございますっ、よいしょっと


【くいっと貴方に向けてお尻を突き出して、いそいそと履き直す── なんとまあ無防備な様子で】
【女子高生ばりに短い裾、健康的な美脚を顕にしつつも】
【危なっかしい、という印象以外与えないだろうか】


ところで貴女は先程何やら騒ぎを起こしてましたけど、どうしたんですか?
てか、凄い勢いでばーっと登ってましたね! んもうびっくりです!


138 : 兼愛 信生(かねあい のぶき) ◆xgsUYuhzWc :2018/05/24(木) 18:02:42 Lxd3YeZA0
【──水の国。とある街中にて、ガシャ、と機械が大きく弾む音がした】
【ぶしゅー、と煙が立つ音もする。──次いで、女性の困った声】

──……あれぇえ……?
そこで止まるってワタシを困らしたいのかキミは!?
構ってちゃんということか!?可愛いやつめ!!

……うん、こんなところで直すのは普通に嫌なんだけど!

【噴水。その前でああだこうだ喋り、困ったように肩を落とし】
【設定されて時刻通りに湧き上がった水のショーをバックに、】
【作業用バッグを地面に出して、〝それ〟に向けてレンチを捻ったり何だりしている】

【──〝それ〟は、やや大きめの〝ロボット〟だった】
【球体の胴に手足がついたようなそれで──全体的に、黄色地に黒線のボディ】
【球体にはモニターがついており、〝目〟だけが表示されている】
【……というよりも、目と言っていいのか。星が2つ(★ ★)浮かびあがり、それが時折まばたきしていて】
【失礼しましたと言わんばかり、手足でポリポリと頭を掻くような動作をしている】
【それに対して、女は時折話しかけながらネジを締めたり外したり】

【──そのモニターの目の上には、透明なポット。中に見えるのは、〝席〟と〝レバー〟〝ボタン〟】
【完全に乗り込んで運転するデザインであり、おおよそ移動用だけではない雰囲気も感じさせる】

えっと、これどうしようー……
部品足りないじゃん……あー、そうだ!!

ここは心優しい誰かに見張ってもらおう!!
大事な大事なポップ君パクられたらやだからね!!

【──と、高らかに宣言していた】

さあて、そうと決まればここを次に通りかかった人に見てもらうぞ!
さあ、ワタシがネジを買う間にポップ君を見ててくれるヒトは──!

【──黒髪で、肩ほどまでのセミロングで、頭頂部は黒なのだが、髪の中腹から毛先が白く脱色されている若い20ほどの女だった】
【瞳は緑。何か特殊な加工でもしてるのか、瞼の落とす影でほのかに蛍光発色をしていた】
【白衣を羽織って、白のワイシャツの胸ポケットにスマートフォンを刺している】
【くっきりとした色合いのグリーンのスキニーパンツを履いて、足元は黒い革靴だ】
【手には黒い革手袋を履き、最後に、その頭には赤縁の眼鏡が掛けられていた】


139 : 兼愛 信生(けんあい のぶき) ◆xgsUYuhzWc :2018/05/24(木) 18:07:15 Lxd3YeZA0
>>138
/致命的ミスです、キャラ名の読み方を間違えました


140 : 厳島の中 ◆zlCN2ONzFo :2018/05/24(木) 18:22:50 6.kk0qdE0
>>138

【昼日中の街の中だった】
【シンボルマークとも言える噴水が、初夏の日を受けてキラキラと光りそして風を受けて散り】
【涼し気で爽やかな気風を演出している】
【最も、そんな噴水の前にいるのは……】

「何よアレ?」
「ご主人、龍鬼も断じて知らないです?」

【不釣り合いな存在だった】
【何か話に聞くロボットと言う物なのだろうか?】
【そして、その前でロボットに話しかけながら、何事かの作業に没頭する女性】
【異様な、異様とも映る光景】
【対して……】

「ご主人?何をしてるです?」
「見ちゃダメよ、絶対に何かあるわよ」

【ロングの髪を優雅に揺らし、踝までのタイトジーンズ、胸元広めの黒のシャツに白の長いレースカーディガンの】
【オカマだ、そして傍らに居るのは大荷物を抱えた、赤い所謂唐風な服と紫の髪に片目を隠した少女】
【オカマの危惧も空しく、二人は女性と目が合ってしまった】
【即ち、女性の言う所の次に通りかかった人、である】

「あ、なんか私何か起こる予感するわ」
「龍鬼もです……」

【さて、女性はどう出るのか?】


141 : 兼愛 信生(けんあい のぶき) ◆xgsUYuhzWc :2018/05/24(木) 19:08:34 Lxd3YeZA0
>>140

──

【ばっちり目が合う。別に目と目が合う瞬間特に好きだと気付く事は無い】
【そこで女は、思考をフリーズさせたような表情になる。顔が強張ったとも言え】
【──唐突に頭を抱えると、地面に膝をついて思いきり叫んだ】

──シーーーット!!

ワタシとした事が、通りかかるのを一人を想定して喋っていた!
よもやとかまさかとかそんな言葉では、この予想出来た範疇を超えた事象を測りきれない!!
どちらに頼めば良い!?しっかりしてそうなキレイなオカマさんか!?
或いはさらにしっかりしてそうなロリ娘か!?
ワタシはどちらに利益も無いようなクソほどどうでもいい雑務を頼むべきだ──!?

こ、こう、うまい具合にオカマさんとロリっ娘がドッキングして──ああ、もう!!

もう考えるのも面倒くさい!この際ワタシが見ていよう!!

【くるっとロボットに向き直り、ペンチを片手にボーッと突っ立ち始めた】

【二秒ほど経った頃、逃げられては困るので再び向き直り、二人に向かってダッシュするだろう】
【大きなロボットは星を瞬きさせ、そのまま待機しつつも特に何かする訳ではなく】

おーい!そこの優しそうな人々ー!

【ニコニコ笑いつつ、手を振り、逃がさんとばかりに走ってくる】


142 : 厳島の中 ◆zlCN2ONzFo :2018/05/24(木) 19:29:12 6.kk0qdE0
>>141

「ひッ!?」
「いきなりね、いや本当、見てる分には愉快よ」

【ここで女性はまさかの絶叫と独り言】
【そして始まる謎の劇場、女性劇場】
【この二人は確信した、間違いなく、こう残念系に近い人だ、と】

「ご主人?」
「ああ、うん、解ってるわよそろそろね」

【その間にいそいそと退散しようとしたが】
【はい、残念、そうは問屋が卸しません】

「……」
「……」
「……何か御用?」

【間があった、女性が話しかけた後】
【ちょっと間があった】
【その間の間に二人で意味ありげに目を合わせながら】
【オカマは女性にこう、聞いたのだった】
【女性の表情は、なんだかとっても明るい】


143 : 兼愛 信生(けんあい のぶき) ◆xgsUYuhzWc :2018/05/24(木) 19:41:15 Lxd3YeZA0
>>142

なんだなんだ、そう露骨に嫌そうにしないでくれたまえ二人とも
人類みな兄弟と言うじゃあないか、大抵の隣人は常に用事ばかりなのだ

【その、目の前であんなことをしたばかりかつ、当たり前に引かれた反応をしているのに】
【ハハハとあっけらかんと楽しそうに笑い、それに気付かず──否、嘘こけ絶対わざとである】
【気付かないフリをしつつ、オカマが女性に問いかけてくれた事に嬉しそうな表情】

つまり!早急に物申すとだな──いや、お願いをするとだな
違う、キミたちにワタシがお願いをして、それを!了承してもらうと!
キミたちは──あー、──缶ジュースが一本と安いスナック菓子をそれぞれにプレゼントされるという訳だ!

【一瞬視線を逸らして、沈黙。思考していたようで、報酬の提案をする】
【とはいえなんと価値のちゃっちいものか】

どうだ!?悪い提案ではないだろう!?
というわけでワタシがネジを買いに行ってる間、
ポップ君が誰にも盗まれないように見ていて欲しいという事だ!

【オカマの美麗な容姿を眺め、少女のオリエンタルな愛らしい容姿を見て、にこりと微笑む】
【──頼みごとをするにしてもなんだか横柄なような】


144 : 厳島の中 ◆zlCN2ONzFo :2018/05/24(木) 19:55:38 6.kk0qdE0
>>143

「嫌な兄弟ね、常に何か申し付けてくる兄弟って……」
「龍鬼は早くも冷静に考えるのに疲れた?」

【気が付いていないのか、あるいはワザとなのか】
【どちらにしても、間違いなく変人と呼ばれる人間の分類ではあるのだろうが】
【そして申し付けられる、その内容は】

「あら、そんな事?別にいいわよ」

【意外にもオカマはあっさりと了承した】
【留守中の間の、件のあのロボットの監視、らしい】
【だが、ここで……】

「報酬は別にいいわよ、でも……」
「もし私達が悪い人で、あのロボットを貴女が居ないのをいい事に『置き引き』する様な人間だったらどうするの?」
「ご主人、チェーンやハンドルロックをかけて、エンジン切って置いて置けばいいです?わざわざ人に監視させる必要は、断じて無い?」

【二人が二人とも突っ込んではいけない事を口にする】
【少女の方に関しては、ロボットをバイクか何かと勘違いしている節もある】
【一方の女性も、容姿は悪くない筈だが、一体何に惹かれるのだろう】
【そして】

「そもそも、あのロボットは何よ?貴女が作ったの?」
「龍鬼は、断じてあんなの見た事ない?」


145 : ロッソ ◆KP.vGoiAyM :2018/05/24(木) 20:10:35 BIM3.0Rs0
>>107

【探偵は掠めた弾丸で顔をしかめるが、手は休めずに背後からせまる追っての野良犬共に牽制を放ち続けた】

飼い主以外の言うことは聞きやしねぇ、礼儀のなってない犬どもだ

なんでもいい、食い止めてる間に突破口を頼むッ!!

【会ったばかりの奴に背は預けて、背を預かって。追い詰められた即席のブッチアンドキャシディ】
【盗んだものは何だ?でも奪い返さなきゃならないものは一緒のはずだ。なら――――明日に向かって撃つだけだ】


【鬼か、悪魔か、死に損なった骸。野犬、番犬――異名は幾つもあるが、その恐ろしさはどれも共通している】
【テクノドックスは技術力で能力者並の力を有している。能力者も能力を使い続ければ魔力切れを起こす】
【それは逆説的にテクノドックスも同じだろう。特にこの隊長のような強力な存在はプロトタイプ的な存在だ】

【謎のバリアも、ブレードもあの大剣を振り回す力を生む鎧装も何かしらのエネルギー源を必要としているはずだ】
【特に様子から排熱に問題があるようであった。】

【またしても隊長は厳島の擲弾を、謎の防壁を張り巡らし防いだ】
【広げた手だけでなく全身から熱を放出しているのか、蒸気と陽炎のような熱気が放出されていた】
【それだけでなく、隊長機はその状態のままフリーズした】

<DELTAに異常確認 N-34から56がトリップしています。復帰入りませんオーバーヒート中>
<緊急冷却シーケンスに異常。投入されません。C-22から24に異常>

【背後でテクノドックスたちが騒いでいる。】

今なら行けるッ!!立て直される前に行こう

【探偵はそう叫び、路地裏から脱出せんと急いだ】
【そして厳島がその機能を停止した隊長の横を通り過ぎようとした時にその中から声がした】


『…ここは何処だ。俺は…誰なんだ。俺は…何をしているんだ。家族は―――――』

――――急げっ!!奴らが来るッ

【迷う時間も、何もかも存在しない。それが路地裏の在り方だ】


146 : 兼愛 信生(けんあい のぶき) ◆xgsUYuhzWc :2018/05/24(木) 20:19:03 Lxd3YeZA0
>>144

──何だか突っ込まれるタイミングな気がしたからな!ここで質問に答えていこう!
プラス、ワタシは質問に質問を返す愚行をあえて行おう!
ハイ!ドン!お題!「痛風になる料理といえば?」!?

【正味、もうやりたい放題である。まともに会話してくれと言いたくなるような】
【出てきてもいないフリップをひっくり返すようなジェスチャーをして、】
【それをぺっと放り、ふむ、と彼女は顎に手をやって頷いた】

うむ、ふざけるのは終わる。
でも、多分このあともふざけるぞ。

とはいえ、ワタシも不思議なものでな!
ナゼ、可愛い可愛いお嬢ちゃんの方が荷物をたくさん持っているのだね?
そして美しいキミは果たしてムッシュと呼ぶべきか、マドモアゼルと呼ぶべきなのか?

【オカマに対してはそこ聞く?的な問いをする。片目を瞑り、蛍光の緑の瞳をひとつ向け】
【彼女自身、LGBTは結構気をつけなければならない話題、という考えがあるようで】

とはいえ、キミたちはなんて、なんていいヒトたちなのだろう!
本当にお願いを聞いてくれるなど、思いもよらなかったよ!本当!
ワタシはすごくうれ

──!! うかつ……!!

【それこそ、見ていた彼ら本当に失念していたようだった。顔を青ざめ、ショックを受けている】
【「ぬ、盗まないよな!?頼みたいけど本当に盗まないでくれるよな!?一台しか無……あとバイクとかじゃないんだ!」】
【必死に彼らにすがりついて泣きながらお願いをしてから、こほんと息をつく】

よし、ワタシはここの意味わからんタイミングで自己紹介をさせてもらおう!
英断だ!聞いてくれてセンキュー!

ワタシは兼愛 信生!花も恥じらう22歳!独身!好きなモノは世界全般!
あのロボットはワタシの傑作、オペレーション・パッションイエロー〝ポップ〟君!
運転メインの、対暴徒鎮圧用兵器だ!

【ゆらゆら、とおかしな動きをしながら喋っていたが──ふふん!と笑い】
【彼らに向けて、失礼にも指をさすだろう】

さあ、名乗ったんだから、キミたちも名乗りたまえ!
何故キミたちは二人なのだ!そして何故キミはそんなに可愛いのだ!おうちに来い!

【隙あらば誘拐】


147 : ◆S6ROLCWdjI :2018/05/24(木) 20:21:15 WMHqDivw0
>>133

【やっすいスニーカーの爪先が何かを蹴った。見下ろすのも面倒で、しゃがみ込むと】
【スポットライト、……とはまた違うような浮き上がり方をした、棺が目に入る】
【透明の壁を隔てた先、蠢く蛇の群れさえもよく見えた。他のものはなんにも見えない、のに】

……、……そうだヨー、オムレツお兄さんだよお。
やっほ、リンネちゃん――――元気、じゃなさそーだネ。

【こんこん。ノックするみたいに、あるいは卵を割るときみたいに。ガラスをかるーく叩いて】
【ばあ、なんておどけてみせた。ベビーベッドで泣く赤子にそうするみたいに】
【……いっそ叩き割ってやろうかと思ったが、きっとよくないことになるとも思って、やめにした】

【彼はあたりまえのように、「鈴音」を「きちんとヒトの形をした、少女」として思い描く】
【そう願ったとか望んだとかいうよりは、それしか知らなかったからそうしたまでだ】
【シルエットは細くて、肌は白くて、つやつやの黒い髪は肩まで。色違いの瞳はびっくりするほど鮮やか】
【ふわふわした可愛らしいお洋服を着ている、お人形みたいな子なのに。意外なほどに、強い面がある】
【それが、「オムレツ」が勝手に思い描く「白神鈴音」の姿だった。本当に一方的に、思い込んでるだけの】

リンネちゃんはネー、……今ネ、おれのそばにいるよ。

【――――頭を使うのは苦手だしキライだ。難しいし、疲れるし、腹が減る】
【だけどここで使わずしていつ使えと言うのか。というか、使わなかったらたぶん、あっけなく壊れる、何もかも】
【それだけ予感することはできた。できたから――棺のそばにしゃがみ込んだまま、膝に肘を立てて、頭を抱えて】
【覗き込む。ガラスの向こうをじいっと、おなじみ、黄色い瞳で――】


148 : 厳島の中 ◆zlCN2ONzFo :2018/05/24(木) 20:26:59 6.kk0qdE0
>>145

「そちらは頼んだ……すまない!」

【奇しくも探偵に背を預ける形となって】
【こちらは、一対一であのリーダー格に対峙することが出来た】
【能力は使えない、現状頼れるのは手にした火器のみ】
【だが、その恐ろしき番犬達にも突破口はあった】
【どうにも、あの恐ろしい戦闘力は膨大なエネルギーが必要で】
【エネルギーの排熱だろうか?その部分に問題を抱えているらしい】
【ならば、と此方も、続けて先ほどの攻撃を与えたのだが】

「読み通りか……」
「ああ、好機だ、撤退する!」

【背後の番犬達は、隊長のフリーズと共にその統制を失いざわめき始めた】
【熱暴走による緊急停止措置】
【なるほど、切り抜けたと見える】
【探偵に向かいそう答えて、共に、リーダー格の横を通り抜ける様に……】
【すると】

「……」
「……何だって?」

【間際、言葉が聞こえた】
【隊長か?自分が今どういう状況か解っていないのか?】
【家族?家族が居たのか?】
【この男、まさか人間素体を強制的に、するとやはり黒幕の?】

「……すまない」

【それだけ隊長に、決して聞こえる訳も無いだろうが】
【そう告げて、脱出を図る】


149 : 厳島の中 ◆zlCN2ONzFo :2018/05/24(木) 20:50:01 6.kk0qdE0
>>146

「うに、いくら丼」
「煮穴子、鶏レバー煮」

【其々の思う痛風になるメニューを答えた】
【無論、真顔である】
【ここに来て、ようやく話の進む兆しが見えた】
【すまない……いや、見えた気がした、に訂正だ】

「何故って、この子は式神、所謂使い魔と同じ様な存在よ」
「はい、龍鬼はご主人の式神です、なんなら今紙に戻るです?」
「あ、そこ気になる……どっちでもいいわよ、そういうとこ気にする質じゃないわよ」

【女性が魔術に明るければ、理解が出来る話かもしれないが】
【要するにこの少女は、人間ではない、このオカマの使い魔だと言うのだ】
【そして、男性呼称か女性呼称かと聞かれれば、そこは気にしていないから好きに呼んでもいい、と】
【ここに来て、ようやくと、会話が成立し始めた事に、若干の安堵を覚え】

「あんた、本当に気が付いて無かったの?」
「お人好し?それとも天然?」
「安心なさい、盗るなら最初に何も言わずに盗んでいるわよ」

【二人の目線は、ちょっと冷めていた】
【縋りつく女性に、こう言って一先ず落ち着かせて】

「立ち直り早いわね、と言うか切り替えが早いわね……」
「呆れるです、複数の意味で」
「あ、あのデカいのあんたが作ったの?」
「武器みたいです?断じて、機動兵器?」

【どうにも自己紹介によれば、あのロボットポップ君はこの女性兼愛信生氏の製作によるものらしい】
【しかも武器、何処かの研究者なのだろうか?】
【ネーミングセンスも、独特の物がある】

「ああ、22て事はもう立派な大人ね」
「……嫌です、最近龍鬼はよく連れて行かれそうになるです?」
「私は、賀茂宗司よ、見ての通りしがないバーテンダー陰陽師よ」
「式神の龍鬼です、式神の説明は、さっきの通りです?」

【言われて二人も名乗った、尚お持ち帰りは断固として拒む龍鬼だった】

「で、兼愛さんと言ったかしら、作ったって話だったけど、あなた何処かの研究員?」
「ロボットの会社、です?」


150 : 名無しさん :2018/05/24(木) 20:57:29 /hnR5sno0
>>147

【――ぱっ、と、浮かび上がった棺桶は。どれだけ明るい場所で見るよりも、きっと鮮やかに。細部までも見ることが出来るだろう】
【誰かからの視線を手に入れたならそれは余計に映えていた、――ぞろり、と、内側の蛇が這いずる。ぞろぞろって。それは明らかにヒトとは違うモノだったけど】

【こんこん、と、軽い力で棺桶が叩かれる。中の蛇たちはびっくりしてしまったみたいに、一回、ぞぞぞ、と、叩かれた場所から逃げていくのだろう】
【ならば誰かがこんなふうに話しかけて来るだなんて思っていなかったみたい、まして、こんなふうに、近くまで――そうして、自分の姿を、思い浮かべるだなんて】
【"いつから"そうだったのかは、分からないけど。ならば答えはきっと"気づいたときから"。――きっと少女は見慣れた形になっていた、彼の、思い浮かべた通りの】

【ぼうきれみたいに細いシルエット。色素を持たぬ個体のように白い肌。こちらは逆に色素過剰を思わせる黒い瞳、色違いの、鮮やかな両眼】
【ならばそれこそ雪のように白く、血のように赤く、黒檀の窓枠のように黒くあれと願われたお姫様とよく似た姿、――服装、までも、思い浮かべた通りに再現されて】
【――けれど。何かが違うのは。それはどうしたって彼の知っている姿であって。それを意図せず模倣して"しまった"、そいつが、――あの少女と違うモノだから、なのだろう】

…………どうして。どー、して、……わたし。を、信じて、くれなかったの、……、

【――表情が歪んだ、再現された表情を歪めて、少女が、口さえ動かすことなく相手を責めるのだろう、棺桶の中から、じっと、見つめてくるけど】
【本質は多分さっきと全くおんなじで変わっていない。ただ思い浮かべられた形を再現したに過ぎないなら――多分、まだ、ほんとは、棺桶詰めの蛇の形をしている】

わたし、は、ずっと、ずーっと、ずっと、ずっと――ずぅ、と、ずっと、ずっと……。

【真っ暗の世界には硝子の棺桶に詰まった蛇と卵色の瞳をした彼だけ、だから、目を逸らす余地も、耳をふさぐ余地も、きっと、なかった】
【緩やかに持ち上げられた白蛇のように滑らかな指先が彼と自分を隔てる硝子に触れる、――恨みがましいような、声が、呟き続けて】

【そうするたびに模倣された表情は"責める"の濃度を増していくだろう、――怒っているのかもしれなかった、けど、それは、駄々をこねる子供の温度感に似て】
【棺桶に触れる指先が透明をひっかくように動く――音はしなくて。覗き込まれる視線を睨むみたいな気配をするくせに、視線は空虚な方を見たまま、ずれている】
【信じてもらえなかった。持っていかれてしまった。それが口惜しくって仕方なくって、化けて出るしかなかった幽霊みたいに――祟り神、なんだけど】

【なまじっか見慣れた姿を模してしまったから、分かりづらくなるみたいだった。――覗き込まれた先にはあの少女が、きちん、と、収まっていて】


151 : 麻季音 ◆KP.vGoiAyM :2018/05/24(木) 21:23:34 BIM3.0Rs0
>>134 >>135

――――箱…ね。となると私が猫というわけね。全く…観測者と当事者が一緒のようだけど。
情報というものに世界の最小単位を置き換えるなら量子論的な多世界解釈もあてはまりそうなものね。
ただそれよりマクロな存在である我々がその別の"存在しない情報”を認知するのは難しそうなものだけど
…いやまって。待って

この世界と別の要素を持つ世界の間にその区別が曖昧な“ゆらぎ”のようなものが存在しているのかしら
…いや、貴方は三次元的情報空間と行っているから“世界”というものはまたすこし違うのかな…
世界という土台の上に情報という置換可能なものがあって、それのパターン違いが存在している。どの世界も持ちうる情報は
どの箱も情報の配列が違うだけで存在している情報量が同じとしたら……ははーん。なるほど。

ある種のデータ配列の一部だけどここにバイナリよろしく割り込ませて、元のデータに戻せば…可能ね
ただ……… それだと――――


【その話を聞いて、すぐに頭がフル回転した。それぐらい理解不能なことをいわれたからだ。一つ一つ知っていることに置き換えていく】
【それの辻褄があって、教えられたものと同じものを頭なかに理屈として構築しようとブツブツと言葉が漏れる。多分相当不気味だろう】
【誰でもない宙に向かってブツブツ言いながら、何度も何度も指を鳴らした。何処か指先とかを動かしたほうが頭が回る…気がする、単なる癖だ】

【結果、私の中で導かれた答えに私は悲しくなった。いつも考えているような事に近いけれど今回ばかりは違う】
【何故ならば、目の前の男でその答え合わせが出来てしまうのだ】
【世界の】
【全ての】


―――世界は箱だけで中身は0と1でしか無いなんて虚しいものね。


【そこまでして、やっと私はαしかない世界というべきか少なくとも私が死んでいるというβ要素のない世界に戻ってきて】
【ずっとこんな死んだり生きたりしている曖昧な上書き空間で立ち話していことを思い出した。】

【彼も寒そうだった。私はハッとして、慌てて】

…ごめんなさい、気が付かなくて

【と言ったが、どこに連れて行くべきか少し悩んだ】
【UTの地下、私が研究に使っている部屋に連れて行くことにした。暖房もあるし、コーヒーも飲める】
【そのかわり溢れんばかりの参考書や印刷物、ホワイトボードは1人で3枚も使っている次第だが――ちょっとだけ、汚いかも】
【だが、また婦警が来るかもしれないので不用意に上にいるわけにも行かなかった――――】


―――…私の考えた理屈だと、私が死んでいるというβの要素を探すために私をαとβの接点というか…ダシに利用された感があるわね
まあ…でも思っていることが会ってるとも限らないし。…訂正箇所があるなら言って?

【色んなものでいっぱいになった机の上のものを適当によけて、私はいつもの普段遣いのマグカップ(落書きみたいな猫が暴言を吐いているデザイン)で】
【彼には前にオーウェルのアンドロイドであるゾーイが『お茶をしていみたい』と来た時に置いてった高級品と思わしき美しいデザインのコーヒーカップで】
【どちらも同じインスタントのブラックコーヒーを用意した】

それで?貴方の能力なの?それともどこかの天才がまた凄まじい、ありがた迷惑なことを思いついたのかしら?
どちらにせよタイムマシンなんかよりもよっぽど凄いものよ。だって、世界を作り変えられるんだから。今はまだ不確定なことが多いけど
私の理論が正しければ、現在も過去も未来も可能性も、偶然も必然も全てが自由になる。


さあ、それで?なんで私を殺して、助けてくれたのかしら?貴方は…何者?

【全ての答えはそこにあるはずだろう。今の私はニコニコだと思う。もう、撃たれたことなんて忘れて、その科学に夢中になっていた】


152 : ◆S6ROLCWdjI :2018/05/24(木) 21:24:13 WMHqDivw0
>>150

【――――き、と、耳を引っ掻くような金属音。劈くような鋭さはなかったけど】
【きっと耳の穴の中にちっちゃな鈴を詰められて、一斉に揺らされたらこんな音がする】
【そんな気がした、そんなこと実践したことないからわからないけど。きい、きい、と】
【軋む音がしたのはきっと――自分のココロからだ。責められている。それだけ、はっきり、わかる】

【ぐ、と奥歯を噛み締める。意図せず眉間に皺が寄る、苦しい、と思う、けれど】
【ガラス越しに見ている少女のほうがずっとずっと苦しかった。それも、わかるから】
【視線を逸らさない。逸らせないといったほうが正しかろうが、とにかく、逸らしてやらない覚悟を決めた】

……っ、そりゃあ、ねえ……世界に害を為すってわかってるモノを信じられるほど、
おれは、ニンゲン、嫌いになってねーんだもん……、……おれだってずっと、

ずっと、なんで、……キミがこんなことなっちまったのかって思ってるよ。だって、
おれの知ってるキミはさあ、子供がスキっつって、それが幸せになる世界になったらいいねって、
……しあわせを願うコだったでしょ。おれはそんなキミがスキだったよ、ねえ、

【高い背を、まるく折り曲げて。音もなく、ココア色の額をガラスに押し付けた】
【明度の高い銀髪の、長い前髪が、平たい面にへばりつくみたいに。さらりと零れて】
【――――その向こう側の顔が、痛みをこらえるみたいな表情になった。眉と、口の端が歪んで、戦慄く】

(おれだって信じたかったよ。……っつーか、今でも、信じてえよ、白神鈴音のこと)
(信じるよ、今からでも――――キミが、世界の幸せを願うカミサマになるっつーなら、……)

【ひどいことばっかりされて、世界に絶望しきった少女に冀うには、あまりにひどいことを言いそうになったから】
【噛み締めた唇の向こうで言葉を殺す。苦虫と辛酸を沢山混ぜて煮詰めてどろどろにしたみたいな味がする】
【ひどく情けない顔をしていた。ガラスに映っているからわかるけど、きっと映っていなくても自覚できるくらいに】

【ふたりの顔はきっと、びっくりするくらい近付いていることだろう。けれどその間には一枚、透明な隔たりがあって】
【だから、口付けは成らない。お姫様を目覚めさせることはできない、きっと彼じゃ王子様には役者不足だし】
【ただというか、だからこそというか。眼は閉じなかった、瞬きすらも忘れてじいっと、鈴音の顔を見ていた。口付けの際のマナーなんて、必要ないから】


153 : ◆KWGiwP6EW2 :2018/05/24(木) 22:03:20 WMHqDivw0
>>137
【人見知りなど考えたこともないかのようなあなたの様子に、気後れしながら。一度深呼吸】
【先程から何度も繰り返した忍者と言うフレーズが頭の中をぐるぐる回っていたお陰で、ネタバレの一言にはイマイチ驚けず、「お、おう…」みたいな反応になってしまった】
【お触り不可、との言葉にはブンブンと首を振って見せた】

忍者って……自分で言って良いものなんだっけ?

【言われてみれば和風な装いはそれっぽく見えなくもないけれど、頭に浮かんだ忍者のイメージは大体覆面をしていたのでどうもイメージとそぐわない】
【若干胡散臭そうに見てしまったとしても仕方ないだろう】
【ポンポン出て来る言葉に、華が咲くような笑顔。大した距離でもないのに自分との間にははっきりとコントラストが出来ているように思える】
【忠告に対しては、素直に聞いてくれた……のか、分かってやっているのか、変わらず無防備なご様子。そっちのケはないけれど見ていてハラハラしてしまう】

そーだよ、お金取れるよ。
でも、ホントにキレイだね。忍者やってるのはそれこそ勿体なくないの?
アイドルでもやればファンクラブだって作れるよ、きっと。

【軽口のつもり。もしくは話題を逸らしたかったのだろうけど、続く言葉にさっきの現場を見られてしまったのだと知る。眉間に皺が寄って難しい顔】


どうしたって訳じゃ……さっきの奴、大通りで子供蹴っ飛ばして怪我させてたから。
追いかけて、ちょっとガツンとこらしめるつもりだったんだけど。
……上手く、加減、出来なくて。


【尻すぼみになる言葉。子供への振る舞いはなるほど悪いことだけれど、些末と言えば些末な日常の出来事】
【そんなものをわざわざ追い駆けて報復するのは、多分評価の分かれるところ】
【いずれにせよ、少女が発する雰囲気はただひたすらに『不慣れ』の一言】
【能力者としての振る舞いも、正義漢染みた行動も、何なら今こうして会話していることさえ、今日初めてやったかのようなたどたどしさ】

【自覚のない無知な行動力】


最初から木に登ってたあなたに言われたくないけど……身体、ちょっとは鍛えてるから。


【それでも一応能力のことは誤魔化そうと、そんな様すら不調法】


154 : 名無しさん :2018/05/24(木) 22:18:05 /hnR5sno0
>>152

【ずっと空虚を向いていた目線が、動いた。だけどそれは多分イメージが模倣させたものだったのだと思う、彼の視線に、かちあわせてくる】
【色違いの目がじいっと、彼へ向いて、逸れなくなった。それは逸らしてやらないって決めた彼を責めるような、どうしてそんなことを選んでしまったのか、と、謗るように】
【気づけばその手はぺーったりと棺桶の硝子にくっつけられていた。――年頃にはよく似合う大きさの、だけど、彼のものよりうんと小さな、掌】

【――今までいろんな子供に伸ばされてきた、手。料理をしたり、今日のお洋服はどれにしようって選んだり、それから、それから、いろんなことも、たくさんして】
【――――――――それで、きっと、何度も、何度も、"こうなっちゃって"仕方ないくらい、それだけの絶望が積み重なるくらい、誰かに、助けて、って、伸ばしたはずの】

【少女は一時沈黙した。やがて彼がその頭を硝子の棺桶に預けたなら、――ひどい近い距離だった。それこそ、硝子なんてない、って、思わせそうなほど】
【普通なら遠慮だなんてして逸れてしまいそうな視線は、――だけど逸れない。それどころか見開くような様子まであって、じっと、じいっと、彼を見ていたのだけど】

……ねー、ね。ねー、……ねぇ、――――"ねえ"、ねえ……、――ねー、ねぇ、――――、

【「――オムレツさん」】
【ひどく甘たるい声が、彼を呼んだ。何度も何度も何度も繰り返して。見たなら――ううん、きっと、ずっと、彼は見ていて、くれたのだけど】
【きっととっても魅力的に笑んでいる。それはさながら甘え上手の妹、あるいは年下の彼女、それとも、抱かれる前の娼婦のよう、あどけなく、けれどどこか熱っぽく】
【――もし答えてしまったなら。きっと彼は"触れられる"。その頭をそうっと優しく抱きしめる腕に。そして――それから、ぎゅうと抱き寄せられて、引きずり込もうとする】

【「ずっと、なんで、……キミがこんなことなっちまったのかって思ってるよ」】

【この神様はきっともともとは優しかったのだと思う。自分が"祟る神"だって気づくまで、そんなこと、思いもしないで、ずうっと、優しくあろうとしたから】
【だから教えてあげようとする。願われたから。――そのまま硝子の棺桶に引きずりこまれていたなら、彼が感じるのは、きっと、無数の蛇の感覚だ、這いずり回る無限の触感】
【ざらついた鱗が彼の肌を撫でる。だのに視覚では甘く熱ぽく唆る目をした少女が笑っている、――ぎゅうって抱きしめてくる腕が蛇であると分かるのに、信じさせない】
【それはVR空間で猫を見せられたなら、現実で撫でているのが単なるフェイクファーの塊だって気づけないのと似ていた、艶めかしく、いざなうから】

【――――いざなう先は、絶望なんだけど】

【(ほんの一瞬の出来事だった。けれど。強く拒絶したなら、きっと、神様は、それで従って"しまう"から)】
【(だけど。知りたいって本当に思うのなら。――きっとこの少女は教えてくれる、全部、全部、彼女が見てきたもの、感じてきたもの、全部の絶望を)】

【けっして攻撃では、なかった。そういった温度感では、なかった。――だけどそのためにはこの、自分を護るための殻が、邪魔をするから】
【だから、招いた。世界から自分を護る殻の内側――世界に拡散してしまう自分を堰き止めるための殻の内側、に。それこそ自分の内側、粘膜を絡め合うより、近しく】
【身体なんてもうなくなっちゃったみたいに、脳みそ同士を混ぜあってしまおうとするみたいに。――拒絶、しないなら。それこそ本当に、願いは叶えられてしまうって、分かる】


155 : ◆S6ROLCWdjI :2018/05/24(木) 22:40:03 WMHqDivw0
>>154

――――――――、

【ひゅ、と喉が鳴る。息を呑んだ。名前(じゃないけど)を呼ばれたら、はっと反応して】
【……反応して、しまった。甘ったるく笑う顔が目に入る。拒み切れない】
【なんでそうなのかって言われたら、惚れた弱みとかそういう部類に入るんだろうけどまあ、きっとどうでもいいことだった】

【呑み込まれる。蛇は咀嚼をしないでまるのままごくりと餌を呑み込むのだと言う、それを思い出していた】
【ぞるぞる肌を這い回るナニカの感触、拒絶する暇もなく、かといって受け入れる覚悟を決める暇もなく】
【ただ蹂躙されていた。褐色の肌が粟立つ、皮膚が下から上に向かって細かく痙攣する】
【逸らさないって決めた眼が、限界まで見開かれて、震えていた。何度も何度も焦点がぶれて】
【そのたび必死に、少女の色違いの瞳に合わせるよう、戻る。必死だった、視界を保っていなければ、気が狂いそうで】

ぁ、……あ、あ、…………、

【戦慄く唇から意味を成さない音が漏れる。ここから先、踏み出せばもう抜け出せない深みへハマるとわかっている】
【わかっているのに――手が、勝手に、動いていた。少女を抱き締めるみたいに、前に伸びていた】

【絶望の光景なんて、見たいか見たくないかで言われればきっと見たくないに決まってる。誰だってきっとそう】
【だけど願ったのは自分だった。どうしてこんなことになっちゃったの、って問うたのは自分だった】
【だったら拒絶する理由が見当たらない。伸ばされた腕にそのまま引きずり込まれて、入っていくだろう】
【少女のナカへ。抱き留められるなら、抱き締め返そうとしながら、呑み込まれていくだけだ】


156 : 兼愛 信生(けんあい のぶき) ◆xgsUYuhzWc :2018/05/24(木) 23:32:52 Lxd3YeZA0
/更に遅れた…すみません…

>>149

──なるほどなるほど、
キミたちはそうとう膝に爆弾を抱えて生きてきた戦士なのだな!
というか律儀に答えてくれたの嬉しかったぞ!ありがとう!
全くもう二人はいじらしくて可愛いなあ!このこの!

【別に痛風を患ってきた訳ではないのだが、嬉しそうに頷いてうんうんと】
【勝手に感心した様子で急にスマートフォンを取り出して、画面をぽちぽちしている】
【一見するととても失礼なのだが、どうやら、メモしているようだ】

──で、リュウキちゃんは〝シキガミ〟なのだね?
なるほど、コレは何とも神秘的。
ワタシも科学と一緒に、魔術は少しだけ齧っているのでね。

ワタシはそういう、キモノとかシキガミとか好きだぞ!
ロマネスクを抱いてしまうな!

キミたちはつまり、〝櫻の国〟の人間って事かい?

【と、彼らに問いかける。信生は胸に手を当て、演技がかったかのように、不遜に笑いかける】
【そんなに偉ぶっているのも、まあ、見た目だけだが】
【実際、龍鬼がオカマの彼より腕力がある雰囲気が不思議ではあったため、納得はいく】
【信生は理解があるため──〝櫻の国〟の出身なのか?と問いかける】

うむうむ!──では、キミの事はソウジさんと呼ぶことにしよう!
……て、キミは陰陽師なのにバーテンダーなのか?
こう、オカマな陰陽師の時点で相当謎だったが

じゃあいまは、水の国に住んでバーを経営してるのか?

【──あまりにも賀茂の人柄が謎めいていて、想像が

ワタシは独自に、ロボットに〝ココロ〟と〝アイ〟を教える研究をしている者さ。
まあ、フリーの科学者と思ってくれたら嬉しいな!
ワタシはこのロボットの他に、たくさんのロボットを作って世に放とうと思ってるのだよ!

【と、再び自己紹介を伝えたのち、】

で、さ。キミたちはお願いを快く呑んでくれたらソレは良いヒトってことだろ?
キミたちは優しい!ゆえに、ワタシはそういうヒトが大好きなんだ!
だからキミたちを信じたんだ!

だって、ワタシはキミたちが〝スキ〟だからね!

だからさ、キミたちの話も教えてくれよ!
ソウジさん、キミはどういうヒトなんだい!?
あとリュウキちゃんは紙の式神でも女の子なのかい!?カミサマなのかい!?

【彼らが善良な人柄だったからと、ニコニコと受け入れて話し出す】
【もう彼らへの好意を伝えて、彼らにずいっと歩み寄り、蛍光緑をふたつキラキラさせながら】
【なんとも、押し付けがましいというか──】


157 : 名無しさん :2018/05/24(木) 23:41:02 /hnR5sno0
>>155

【ぎゅうと抱きしめられる、けれどそれはひどく朧な感触だった。当たり前だろう、彼が見ている少女は、今ここにないのだから】
【だからたくさんの蛇をいっぺんにまとめて抱きしめたような――文字通り――感じがあって。けれど彼の視界では、少女が、ひどく嬉しそうに笑っている】
【片方の手が彼の頭を優しく撫でる。もう片方の手は彼の腰へ、そっと、回すように。――けれどそれも錯覚だ、彼の感じる限り、たくさんの蛇が身体に触れているなら】

【――ああ、でも、その二つがどうしても手だって思ってしまいそうなくらい、優しくて】
【そしてそれはこれから知ってしまう彼を慈しむように――壊れてしまわないように、って、願うみたいに】

【――――――それは誕生日の朝だった。今年で八歳になった女の子の記憶。その女の子の名前は如月桜花、普通に、普通の、女の子】
【誕生日のプレゼントを買いに行くんだっていって、彼女は、家に近いおもちゃ屋さんに行くところだった。お母さんと、お父さんと、一緒に】
【嬉しかったからついつい走りがちになる。何度か咎められたけれど、それでも我慢できなくて。――――すごく大きな音がしたから、女の子は、びっくりして振り返る】

【さっきまで両親が居たはずのところにおっきな車が突っ込んでいた】

【真っ白な病院。お父さんもお母さんも死んでしまったと告げられた時の記憶。親戚が誰もいないから行く場所がないという話を誰か(よく分からない肩書の)大人と話している記憶】
【今日からここで暮らすんだよといって連れてこられた施設の外見。ちらりって看板が映った、――もし彼女の記憶の中に紛れ込んだ彼が、まだ、彼として考え事をできたなら】
【それは十年と少しくらい前に話題になった名前だった。――身寄りのない子供を集めて、"そういう"趣味の金持ちに売ったり、"そういう"研究のモルモットとして売ったり、していた】

【――そこで女の子は"売れ残った"。理由は簡単で、お客様が来ても何があっても、ずうっと泣いていたからだった。そういう時に、この子は気が強いって、きっと彼は知ってるけど】
【とにかくその子は売れ残った。売れ残って――売れ残りの子らを集める部屋に、連れていかれた。そこでも泣いていたから。少女の扱いは、あっという間に、最悪になった】
【ご飯をもらえず、殴られ、蹴られ。やがて連帯責任だと言って、彼女のせいで他の子が殴られたり食事をもらえなかったりする。子供からも嫌われて、孤立して】
【ひどく飢えと痛みにもうろうとした意識で、それでもまだ泣いて。泣いて――最後に、その子は、浴槽の中。閉じ込められて、水に沈められて、死んだ】

【何より。これらは記憶だったから。――少女の覚えている限りの出来事は、そのときの温度や痛みや感じたこと、苦しみ、までもが、全部、彼の中に伝わっていく、だろう】

/↓


158 : 名無しさん :2018/05/24(木) 23:42:08 /hnR5sno0
>>157

【――――次の女の子の名前は桜花鈴音、真っ白い蛇の神様につけてもらった名前。路地裏で子供同士のけんかに負けてご飯を食べられなくて】
【ごみ箱の一番下までをひっかいて、他の子が絶対食べないような小さな欠片やかびの生えたもの、ぎりぎり腐ってるのと腐ってないのの間くらいのを食べたり】
【そうしながらありふれた暮らしに憧れて――あるとき。あるときに、人間の世界に、勇気を出して、出て行った思い出。けど、それは、なんでだろう、悲しくはないと思えたのに】

【初めて名前を呼ばれたときの嬉しい気持ち。初めてぎゅうって抱きしめられた時のどきどきした気持ち。今までずうっと悲しかった記憶の中に、紛れ込んだなら】
【――そのあとに思い出はがくんっ、と、歪む、それはまるでジェットコースターが脱線したみたい、がくんっ、て、明らかに。何かが。おかしくなった】
【一瞬過ったのは二人の機関員だった。これも彼が知っていたなら、だけど――哲学者の卵。それを植え付けられた瞬間に、少女の何かが歪んでしまった。追体験するなら、なお鮮やかに】

【なんてことないようなことで傷つく。不安になって疑心暗鬼になる。殺してやるって何度も言われている。そのたびに思い出の中はぐるぐるって絡んで真っ黒になって】
【ある日そいつを殺した。自分を殺して家の前にばらまいてやると言われたから。そして、だいすきなひと――までも殺す、と、言われたから】

【そうやって守ったはずの"だいすきなひと"に背中をざっくり骨まで斬られて、桜花鈴音も死んだ】

【――だけど生き返る、ぐちゃぐちゃって絡み合った不安はあっという間に膨らんで。真っ暗な中、歩くみたいになる、何も見えなくなって】
【不安と恐怖と疑心暗鬼とに取り憑かれて――ばけものになってしまった、と、何度も何度も繰り返して恐怖する。それで、もう一回、"彼"と会って】
【――――その時にはもう別の女の子が居た。真っ暗な銃口から飛び出した銃弾に頭を撃ち抜かれて、もう一度、死ぬ】

【そのあとはずうっと泣いていた。また目覚めてしまって。行く場所もなくて。路地裏で泣いていた、――それで、声を掛けられた】
【男の集団。多分十人くらい。でもそんなにいなかった。彼が冷静になって数えたなら、六人くらいだと思う。――いやだ、って、答えていたのに】
【やがて無理やりに腕を掴まれて。嫌がって暴れた分だけ抑え込まれる。記憶の中には少女自身の悲鳴がこびりついていた、嫌だ、助けて、やめて、それから誰かの名前】
【誰か、なんて、今の彼に言う必要はないのだけど。――初めて名前を呼んでくれたひとだった。一緒に暮らして。それで、二回、殺されたひと。何度も求めて、叶わなくて】

【恐怖と痛みと気持ち悪さ、泣いて叫んで暴れても倍以上の力で抑え込まれて、何度も何度も犯される、知らないひとに、むりやり、暴力で押さえつけられて】
【――そうしてもう一度何かが変わる。"この時"から、彼女は神様だったんだ、って、――きっと分かるだろう。次の記憶は、その全員が、あんまりに無惨に死んでいる】

【そこから先の記憶は飛び飛びになる。何度も死にたくなって自殺する。そのたびに生き返って絶望するたびに、祟りが深くなって】
【何人も何人もを殺した、殺して殺して殺してしまっても足りなくて自分まで死んでまた殺す、殺されて死ぬこともあったし、とにかく、何度も、たくさんの死】

/↓


159 : 名無しさん :2018/05/24(木) 23:42:28 /hnR5sno0
>>158

【(どのあたりから、白神鈴音の記憶になったのかは、じつは、けっこう、不明瞭なんだけれど)】

【――であったひとがいた。最初はお父さんと見間違えた。あのとき肉になって死んだ父親と、見間違えて――気づいたら好きになって、全部の憧れになって】
【違う自分になれる気がして。なりたいと思って。――だけれど裏切られる、居なくなるって形で。それで。――ぶつんって破断する感覚は大動脈の張り裂けるのと似る】
【けれどそれは普通のひとにはありえない苦しみだった。魔力を供給されて生きる少女特有の、――魔力の供給をいきなり断たれるときの、痛み】

【その痛みは少し後にもう一度ある。大切なひとを傷つけられた薄暗い気持ちと一緒に。――――また、そこで、記憶が飛んで】

【――これは最近の記憶だ、と、思わせた。何人もの男たちに襲われている、過去とは違う意味合いで。文字通りの意味合いで。ほぼ全員殺して、自分もけがをして】
【眼鏡におさげの看護師。看護師に。子供たちの写真を見せられた時の。――頭がかあっと熱くなりながら氷みたいに冷たくなる気持ち、ぐちゃぐちゃに塗りつぶされる気持ち】
【そしてまた少し飛んで、――その人物を今となっては彼もすぐわかる。初めて名前を呼んでくれたひとだった、――赤木怜司、の記憶。また会っている、何年越しかで】

【「お前のしたこと、間違ってなんかなかった。間違えたのは俺なんだ……!」】
【「あのとき、もっとお前の言うことをちゃんと聞いていれば」「ちゃんと、信じれば良かった」】
【「もう、ど�?��ようもな�??かな。俺にはもう、何も出来な�??かな」――――――――――――――】

【(今までの全部を間違いって言葉で片付けられてしまった、と、少女は思っていた。苦しかったことも。頑張ったことも。全部全部全部全部全部、あんまりに簡単に)】
【(少女の絶望は、それだった。いっぱい頑張ってきた。頑張ってきたけど。――間違いじゃなかった、未来を、どうしても、思い浮かべてしまう自分を止められないから)】
【(両親のことは、どうしようもない。小さな女の子が死ぬことも、防げない。だけど。そのあとのことは。そのたった一つの間違いが、致命的に、全部、歪めてしまったなら)】

【そのあとのことは。少しくらい続くけど。多分おまけみたいなものだろう。人間が焼ける臭いがする工場。蛇の中で、自分のことを否定される、神様の記憶――】

――――、

【――それで、彼は、戻って来る。戻ってこられるだろうか。もうすぐ二十五歳になる少女の、八歳から、今までの、全部の絶望の記憶】
【しかも全部見せられるなら、多分、まだましだった。だのに少女は悲しさと絶望だけをつまみ上げて、彼に見せていた。――祟り神。ならば、どうしても、執着してしまう】
【ひどく優しげな手が彼の頭を撫ぜていた。記憶はさておいて、彼女自身は、――変わらなくって。ただ、ただ、ぎゅうって、彼を、ほどけてしまった身体で、抱き留めていた】


160 : 白桜 ◆D2zUq282Mc :2018/05/25(金) 00:13:25 JY1GydDk0
>>136

【文月の言葉や仕草は、一々可愛らしい。四季の様に様変わりする表情に白桜の口元が緩み、目が細まる】
【万華鏡の様に変化する文月の言葉と仕草は見ていて飽きが来ない。それ所か益々見続けたくなるとさえ思えた】
【それに文月の頬に沈む指先の感触は、一等心地よい。しばらくぷにぷにしたい位だ。飽きが来ない】


あう、―――……歯の浮く様な台詞、……禁止。
(別嬪とか綺麗と評されるのは嬉しいけど)聞いてる私が、……恥ずかしい。

それに私は、……お嬢様じゃない。……ただの島育ち。深窓の令嬢とは無縁…です。
加えて、私には弱点なんて、……無い。……私の弱点を一つ見つける間に、文月さんの弱点は、それ以上に見つかる。


【文月と同じ様な体勢の白桜。必然的に両者の視線と瞳が重なった】

【屈託の無い笑みを真っ直ぐに向ける文月につられて、変化の幅が乏しいながらも柔和な笑みを返す】
【感情を重ね、瞳を重ね。暖かな気持ちが心地よい。そして文月の綺麗な指先が三度、白桜の手を握る】
【心も身体も、暖かい。夢見心地とはこの事か。この夢見心地を何時までも味わいたいが、夢は覚めるものである】

【注文を取りに来た店員によって、夢から覚める事となる。白桜の手に残る温もりは消える事無く】
【けれど、名残惜しげに。白桜の双眸は文月へと向けられたまま。伸ばした指先は、迷子となった】
【文月が料理と飲み物の注文をしてくれている間も、無言の抗議と言わんばかりに顔をテーブルに押し付けていた】

【そして、一通り注文が終わり、零れた溜息を聞き取った後。文月が口にしたのは――疑問】
【詳しく話すのは憚られる。何せ気分のいい話では無いし、この雰囲気を壊したくなかった】
【兎に角、顔をテーブルに押し付けたままの格好で話す事じゃないので、上体を起こし、文月を見据える】


……言葉通りの意味。今は、私が好き勝手使っているけれど。この身体は私本来のものじゃない。
私の本来の身体は、生まれ育った鬼哭の島にも無い。恐らく仄暗い水の底にも無い。疾うに喪われている。


【鬼哭(おになき)の島。その島の名は、櫻の国の人間なら聞いたことがあるかもしれない。
 その島の人は、人に在らず。また鬼と呼ばれ、敢えて近寄らず――そんな言い伝えの忌まわしい流島】

解り易く言えば、この身体には二つの魂が宿ってる。そして私が勝手に住み着いた様なもの。
――…押し入り強盗。いや、居直り強盗。いいや、押しかけ女房。――どれが適切な言葉、…だろうか。

【白桜は自身が魂だけの存在であると遠まわしに告げていて。けれど悲観する様子も無く、選んだ言葉には諧謔さえ含んでいた】


161 : ◆S6ROLCWdjI :2018/05/25(金) 00:27:22 WMHqDivw0
>>157-159

【彼女のナカには、たくさん、たくさん、死があった。理不尽なものばっかりだった】
【けれどそれだけなら、まだマシだった。彼自身、痛みも死の感触も、慣れ親しんだものだったから】
【耐えようと思えば耐えられたかもしれない。それにしちゃあ量が多いような、気もしたけど】

【少女が初めて想った男のことを、知っていた。名前までは知らなかったけど】
【レヴォルツィオーン社。主に連れられていった先、別の人の従者として居た男。二言三言会話もしたんだっけ】
【彼は自分たちが苦しめられているのだと知ったとき、銃に手を掛けようとしていた。それははっきり覚えてる】
【それで――なんだ、こんなところにも、割とマトモな感性持ってる人間いるんだなあ。って。思ったから】
【印象的で。だから覚えていた、そしてその引鉄が、結局引かれなかったことも。それも加味しつつ――追体験して】
【断片だけしか見てないから彼ばっかりが悪いとは断定できなかったけど。少なくとも、ああそういう人間だったんだって】
【落胆するには十分だった。自分がそう思うなら、もっと深く想っていた少女がどう感じるかなんて――想像に難くない】

【――返してよって、少女が泣いていた日の光景がリフレインする。なるほどあの悲鳴は、彼に宛てたものだったんだって】
【いやに冷静になって気付いた。冷静になったというか――あまりのストレスに、解離症状が、始まっていた】
【幽体離脱みたいな感じで、遠く高いところから自分を見下ろしているような感覚、というか】
【自分が自分でなくなるような感覚、実際、彼女になっているようなものだから、きっと正しい】

【それにしては痛かった。どこもかしこも傷ついて――そこからぐずぐず腐って、もう治らない】
【治らない痕が、つかない未来がどこかにあって、それを手にすることができなかった。そういうことか、って、思って】
【――――思うだけだ。なんにもできない、虚無の手応えだけが残る。指先が冷たくなっていく感覚、……震えが止まらない】


……………………、ふ、…………

【戻ってくる、というか、風景が終わりを告げて、もとの暗闇に戻っただけ】
【意識は未だ乖離したまま、いまいち元の所へ戻って来れない。見開いた眼は乾ききって、ぎちぎち傷んでいた】
【少女に抱き留められた肌がひどく汗ばんでいる。褐色だからわかりにくいけど、ひどく青ざめてもいる】
【呼吸はかろうじてできているようだった、吸うときはひどく細く、吐くときは途切れ途切れな不細工な音を鳴らして】

【何度目かの呼吸のあと、……はああああぁ、と、大きく息を吐いた。それと同時に嘔吐しそうになったのは、なんとか堪える】
【そうしてから、抱き締めてくれる少女の胸元に――すがりつくみたいにして、頭を擦りつけるのだ】
【ぐずる子供みたいな動作。大の男がするにはとても、とてもとてもみっともない仕草で】

…………リンネ、ちゃ、は……もう、……しあわせ、……あきらめちゃ、たの?

【すがりついた身体が少女のものではないとわかっている。わかっているのに、抱き締めるのが、留められなかった】
【ここまであって、まだ諦めるな、がんばれ、なんて言うのは何より残酷なことだというのもわかっている、のに】
【そう訊くのが何故か止められなかった。声は途切れ途切れに、嗚咽が混じり、けれど寸でのところで泣いてない】

【叶うことなら幸せにしてあげたい。けれどそれはどうやって――、……考えも、つかなくて】
【こういうとき、あの悪魔――「イル」なら、「幸せにしてあげる」って断言するのだと。今ここで、気付いた】
【そりゃあそんなこと言われたらなびくよな。すがりつくよな、今のおれみたいに――気付いたらもう】
【妬み嫉みが止まらない。なんでそんな、おまえだけそんな能力があるんだよ、って。なんでおれにはそれができないんだって】

【変てこりんな偽名を使う男は、みじめなほどに弱かった。本当になんにもできなくて】
【いろんなものに嘘を吐いて誤魔化し続けてきたツケが回ってきたかなって、思いすら、していた――でもまだ、なんとか、泣くのは堪えている】


162 : 厳島の中 ◆zlCN2ONzFo :2018/05/25(金) 00:29:53 6.kk0qdE0
>>156

「その解釈と答えから、何をどうすれば正解に行きつくのか謎だけどありがとう、正解よ」
「では、痛風の質問の意味は、断じて無意味?」
「そこも、正解よ……行きつくまでに二三周回ってる気がするけど」
「バーテンダー兼経営者、他はバイトです?」
「まあ、如何にしても理解が早いのは助かるわね、こう、話し的に」

【櫻の人間か、と問われればそれが正解だと】
【なるほど、ロボットだけでは無く、魔術にも増資が深かった】
【ともあれば、櫻の人間であると必然的に解ったのも頷ける】
【また、頭は周回するようだがやはり研究者、切れるらしく話は意外にも早かった】

「心と愛?」
「人間の感情って事?随分と変わった研究してるのね、何でそんな事を?」

【研究の細かな部分には、こう感想を言って】
【疑問になるであろう部分を聞いた】
【そして……】

「私等がいい人か悪い人かは置いて置いて、褒められるのは悪い気はしないわ、ありがとう」
「龍鬼は神様では無いです?断じて鬼?精霊みたいなもの?」
「式神ってのは術者側からの呼称よ、実際には精霊とかそれに近い物ね、性別もあると言えばあるしないと言えば無い、概念に近い物ね、神様を式神として使役出来る者がいるならそいつはよっぽどの術者ね」
「私は、そうねさっきも言った通り陰陽師でバーテンダーよ、他に説明のし様もないわね」
「ちなみにこの娘は、そうね私の身の回りの世話やらやってくれるわ、時にはバーの仕事もね」

【そう、自分達の事を詳しく教えてほしいと言われれば】
【こう説明した】
【もっとも肝心の部分に関しては説明していないが、それは出来ない話で】
【またその必要も無いだろう、と】

「信生って言ったわね、中々面白い子ね、いいわ別に善人じゃないけど用事の一つや二つ引き受けるわよ」

【ここに来て、兼愛の人柄が伝わったのか、ようやくと笑顔で】


163 : 名無しさん :2018/05/25(金) 01:41:37 KwRwH74s0
>>161

【――――神様はなんでもできるみたいに見えて、ほんとは、すごくすごく、執着しいで、視野が狭くって、一つのことしか、見てない】
【他の神様は違うのかもしれないけれど――少なくとも少女、は、そういう"神様"だった。出来事のせいで祟るようになったから、かもしれない】
【だから彼女はどうしたって自分の過去のこと。それも、うんと悲しくって辛い記憶に、執着する。もう嫌だって泣いて喚いても、どうしても、思い返してしまう】

【そうして何度も何度も重ねてきた。自覚がないままで育ててきてしまった。――でも、それは、誰も助けてくれなかったとか、そういうのとは、違くって】

【"戻ってきた"彼が気づいたなら、ぎゅうって、抱きしめられるのは、よりいっそう深くなっていた。それこそ睦み合う恋人たちのよう、深く、深くまで、彼を受け入れて】
【といっても感覚はどうしたって無数の蛇だから。楽しいとか。嬉しいとか。あんまりないかもしれないけど――それでも、小さな子供を抱きしめるみたいに、ぎゅうと】
【もはやそれさえ超えて、包み込むみたいに。――狭い空間だった、たくさんの蛇が居て。だけどそれは全部ひとりの少女の中に詰まっていた、祟りが形になったもので】

【だのに、大事な子供を抱き留める母の胎内みたいに優しい。矛盾しているみたいに思えるかもしれないけど。――"気づいていなかった"って、きっと、そういうことだから】
【知らないままだった。ずうと気づかなかった。――気づいてしまわぬように、ずっと頑張っていた。いつだって誰かに責められる気持ち、抱えて、隠していた】
【縋りつかれて、ゆるゆると頭を撫ぜる。泣きたいなら背中を撫ぜてもやる。――これ、は、意図していなかったけど。記憶の共有、それは、何より、強いイメージを齎す】
【まして祟りを生み出した記憶だけを、見せたなら。祟り神としての少女を認知するのに等しい、――甘く震えるような吐息が、彼の耳元に、聞こえた気がして】

――――――――、

【――全部が、過去のことだった。今のことなら。あるいはこれから未来のことなら。一緒に考えたり、出来たのかも、しれないけど】
【人間として生まれた少女が人間でないモノになってから神様になるまでの思い出は、全部、昔のこと。今更どうにかしようにも、間違いだったって、彼女自身が知ってしまった】

――――――――――――――――、人間、に、もどれる?

【だけれど。これは本当にふっと漏れてしまったみたいに。嗚咽交じりの彼の言葉、ぽつりと返したのは、ほんの少しだけ、小さく、小さな、たった一つの希望のような】
【同時に。どうしようもない絶望にも等しい、問いかけだった。死んでしまった人間は生き返らない。それを生き返してしまうのは冒涜で、世界はそれを、良しとしない】
【食べてはいけないものを食べてしまった女の子の末路。楽園から追い出され、まっくらがりの世界で、ただ、ひとり、救われるのを待っている】
【――彼がここへ来られたのは、きっと、彼女が神であると知っていたからだった。そして今では彼女が祟り神になる経緯まで知って、なら、すごく、すごく、特別なひと】

【だけれどキスなんかじゃ足りないって本人が言う。そんなんじゃ起きられないって。キスも****もとっくに知っているのなら】
【返して――それが少女の神様としての執着だった。戻りたくって、戻れない。だから怨む、それを持っている、ひとたちを】
【そしてその原因である人間という存在を祟る、――――だからこその喜悦だった。あの時、蛇の胎の中で出会った時。少女は、ひどく、嬉しそうだった】

/↓


164 : 名無しさん :2018/05/25(金) 01:41:51 KwRwH74s0
>>161>>162

【――――――――自分のいる場所は、ここだったんだ】

【――多分、あの場に居合わせた二人にも、彼女はそれを伝えていたのだろう。その結果、"ああ"なって、いたわけだけど】

大人に……なれる?

【彼が望む通りの表情をした少女が、彼が望む通りの声音が、尋ねて――】
【――ああ、でも、って、小さな呟きが、続く。というよりもそれは熱っぽく惚けて、ぎゅう、と、彼を抱き留める力、少しだけ、強くなって】

――――――――――……、あのね、あのね。わたしのこと……信じて、くれるの、みんなが――、違う名前、で、呼んで、
"ちがうけど"、うれしいの――でも、――ちがう、かみさまが。混ざって――くるの、みんな、が、混ぜるの、わたしのなかに、違う、神様を――、
――でも、きもちぃ、の。きもちい、から――――、

【交わる最中に漏れる譫言のような声が――ふっと漏らした。そしてそれはおかしいって思わせるかも、しれなかった。こんな場に居る彼女を、誰かが信仰している】
【それも――全く違うどこぞの神と彼女を同一視して、"そういうことにして"、この少女へ信仰を集めている。その事実を伝える、けど、――本人に抗う意思は、ないらしい】
【というよりも抗えないのかもしれない。自分の中に、まったく違うものを混ぜ込まれて。無理やりに大きく育てられる、神様として――そんなことをする、誰かが居る】

……ねえ、ね、わたしの、名前、……――なんだっけ、

【夕月とオムレツは、もちろん違う。ならばあの時居合わせた生物兵器の少女だろうか、それとも、軍人の彼だろうか。――そんな風には、思えなくって】
【それなら消去法は全滅する。だけど、もし。知っている誰かがいたとするなら――それは、きっと、もしかして、(あの病魔、なのかもしれない)】


165 : 白桜 ◆D2zUq282Mc :2018/05/25(金) 01:48:43 JY1GydDk0
//修正版です。>>160は無しでお願いします。

>>136

【文月の言葉や仕草は、一々可愛らしい。四季の様に様変わりする表情に白桜の口元が緩み、目が細まる】
【万華鏡の様に変化する文月の言葉と仕草は見ていて飽きが来ない。それ所か益々見続けたくなるとさえ思えた】
【それに文月の頬に沈む指先の感触は、一等心地よい。しばらくぷにぷにしたい位だ。飽きが来ない】


あう、―――……歯の浮く様な台詞、……禁止。
(別嬪とか綺麗と評されるのは嬉しいけど)聞いてる私が、……恥ずかしい。

それに私は、……お嬢様じゃない。……ただの島育ち。深窓の令嬢とは無縁…です。
加えて、私には弱点なんて、……無い。文月さんの弱点は、…いっぱい、あるけれど。


【文月と同じ様な体勢の白桜。必然的に両者の視線と瞳が重なった】

【屈託の無い笑みを真っ直ぐに向ける文月につられて、変化の幅が乏しいながらも柔和な笑みを返す】
【感情を重ね、瞳を重ね。暖かな気持ちが心地よい。そして文月の綺麗な指先が三度、白桜の手を握る】
【心も身体も、暖かい。夢見心地とはこの事か。この夢見心地を何時までも味わいたいが、夢は覚めるものである】

【注文を取りに来た店員によって、夢から覚める事となる。白桜の手に残る温もりは消える事無く】
【けれど、名残惜しげに。白桜の双眸は文月へと向けられたまま。伸ばした指先は、迷子となった】

【文月が料理と飲み物の注文をしてくれている間も、無言の抗議と言わんばかりに顔をテーブルに押し付けていた】
【時にキリっと大人っぽく、時に屁理屈を弄する子供っぽく。白桜もまた万華鏡の様に様々に変化するのだった】

【そして、一通り注文が終わり、零れた溜息を聞き取った後。文月が口にしたのは――疑問】
【詳しく話すのは憚られる。兎に角、不恰好なままで話す事じゃないので、上体を起こし、文月を見据える】


……言葉通りの意味。今は、私が好き勝手使っているけれど。この身体は私本来のものじゃない。
私の本来の身体は、生まれ育った鬼哭の島にも無い。仄暗い水の底にも無い。


【鬼哭(おになき)の島。その島の名は、櫻の国の人間なら聞いたことがあるかもしれない。
 その島の人は、人に在らず。また鬼と呼ばれ、敢えて近寄らず――そんな言い伝えの忌まわしい流島である】

解り易く言えば、この身体には二つの魂が宿ってる。そして私が勝手に住み着いた様なもの。
――…押し入り強盗。いや、居直り強盗。いいや、押しかけ女房。――どれが適切な言葉、…だろうか。
けれど、この身体になったとしても。割と不自由は無くて、……案外、退屈はしない。

【白桜は自身が魂だけの存在であると遠まわしに告げていて。けれど悲観する様子も無く】
【選んだ言葉と表情には諧謔さえ含まれていた。――これが、私だと言わんばかりに】


166 : 院長中身 ◆zO7JlnSovk :2018/05/25(金) 04:34:24 XhR7wdR.0
>>153

【少女の心配なんて何処吹く風、人懐っこい笑顔を向けながら貴女の言葉に耳を傾けるだろう】
【春風に靡く鈴蘭の花、耳を澄ませたならその音色さえ聞こえそうなぐらいに。── 表情の粧は可憐】
【アイドルでもやれば、なんて言葉にふふーんっと調子付いて、すりすりと近寄ってくる】


あれま! 中々見る目のある娘っ子ですね! 鵺ちゃんがアイドルをしたならばそれはそれは国民的なものになります!
テレビにラジオに映画にコマーシャル! 北から南へ行ったり来たりの大道中待ったなしです!
ああ、そして人気の絶頂の最中── 惜しまれながら引退していくのです、ぬえっ!

── とまあそんなサクセスストーリー待ったなしなんですけど、今の私の身は子飼いのワンチャンもかくや
忍者もそれはそれで良いものですよ、こう見えても私自分の仕事に誇りを持ってますから
こう弱みを握りたい相手がいればお任せ下さい! ターゲットのお尻についた蒙古斑の色までばーっちりです


【ぐっと、細い腕で力こぶを作る── ポーズ、ひらひらと長い袂が揺れて見せて】
【万華鏡をからからと回すように、表情の移ろいゆく姿は朝日を浴びて輝くプリズムの如く】
【尻すぼみな言葉に興味を持って、ぐいっと彼女は貴女へと肉薄するだろう、吐息のかかりそうなぐらい近く】

【── ぱっちりと大きな蜂蜜色の瞳が貴方を捉えて、貴方の顔のすぐ側まで顔が寄る】

【そうして、ぎゅーっと、抱き締めようとする】


すっごーい!! すごいです!! すんごいです、素晴らしいです!!
いやーまさか今の世の中にこんな素晴らしい娘っ子がいるだなんて! 渡る世間は魑魅魍魎の怨霊跋扈、七難八苦の艱難辛苦じゃなかったんですねーっ
子供を虐める不届き者、がつーんっとやっちゃえばいいんですよっ! 素晴らしいです!! 感動しました!

なっかなか出来る事じゃありませんよ! んもぅ、出来る子!
── しっかしまぁ、加減出来なかったなんて、まるで能力者の様な口振りですねっ
ひょっとして、ビンゴだったり!?


【そうしてそのまま木の上でぐわんぐわんと前後に揺らそうとする、みしり、と大きな枝が揺れる】
【しかし、そこは流石のバランス感覚と言うべきか、崩れ落ちるような事はなくて】
【意外に安定した体勢を保って揺らそうとされる】


167 : 院長中身 ◆zO7JlnSovk :2018/05/25(金) 05:03:22 XhR7wdR.0
>>165

【── ああ、もう、と心の中で思った。なんと庇護欲を擽る少女であろうか、と】
【店員の元へと彼女が離れたなら無言の抗議で対抗してみせる、大人びた雰囲気と子供っぽさの二面性】
【思わず頬がにやけてしまう、それでも、悟られないように、って】


……ふーん、白桜はんはうちの弱点見つけはったみたいやけど、ほんとやろか── 存外勘違いかもしれへんよ
白桜はんの様に無防備な娘やないさかいに、こう見えても中々腕は立つんよ、鍛えてはるし
生半可な相手やったらうちを捉える事もできはらへんし──


【少しずれている、それでも戦いに自信があるとは事実の様で、ややムキになった響き】
【けれどもそれは一過性── 吹き抜いた木枯らしに寒さを思えど、態々羽織を取り出すまでもなく】
【刹那に溶ける泡沫の残滓、僅か底に残るだけの幸せで十分なのだから】


──……鬼哭の島、うちも小さい頃お母はんに話してもらわはった思い出があります
”ええ子にせんと鬼哭の島から鬼が来て連れてかれるで”、って── ふふ、当時はめっちゃ怖かったんやけど

こんな可愛い鬼はんやったら、うちも喜んでついてかはります

そっか、堪忍な────……いきなり、不躾な事聞いてしまって
白桜はんの身体には、他の魂も宿ってるって事でええんかな、中々奇妙な話やけど
この世界ではざらな出来事なんも、また事実やし


【それに、と彼女は一音節置いた。── 無拍に響くのは永劫に近い旋律、脳内で響く河音の様な音の流れ】
【文月の手が貴女へと伸びる、その頬にひたりと吸い付くように、その手が触れるだろう】
【重なるその温もりと、嵌め込まれた形は── まるでそうある様、に作られた二人静】

【微塵も乱れない優雅な舞を披露するかの様に、彼女の手にぴったりと収まるのだろう】


──……いまうちが触れてるんは、間違いなく白桜はんの身体で
うちが心地ええな、と思ってるのも白桜はんの体温やから──
出会えたのが貴女で良かったって、うちは、そう思とるんよ

例えばな、姉妹とか親子とか、そういう近しい存在でも、一緒におったら喧嘩もするし衝突もするし
……せやさかいに、一つの身体に同居してたら、大変な事も色々あるんちゃうかなって、うちは思うから


────何でも頼ったらええよ、うちに任せてな


【そう言って照れた様に笑った。── 頬に染み入る紅潮の色合いは、差し込む朝焼けに似た眩しさで】
【葉の上に残った夜露に反射して、煌々と輝くその色合いに尊き一瞬を切り取ったなら】
【後はただ名残の様に貴女の横顔を静かに眺めているのだろう】


168 : ◆S6ROLCWdjI :2018/05/25(金) 08:33:22 WMHqDivw0
>>163-164

【人間に戻れる? 大人になれる? ……その問いかけに、答えることができなかった】
【おれなんかにできるわけねーだろって言ってしまえれば、この瞬間、首を刎ねてもらえて、楽になれるだろうか】
【そう思いすらしたけど――彼がショックを受けたのは、解決してやれないことより、もっと別のこと】

【朝。甘いコーヒーを飲んで、トースト齧って目玉焼きつついて、テレビ見て、笑って、おしゃべりして】
【そういったところに、最早、このコの幸せはないのだと。そう気づいた瞬間――があんと頭を殴られたような】
【衝撃に、襲われた。眩暈がする。ひくついた唇から、小さな小さな嗚咽みたいな悲鳴みたいな音を鳴らす】

【そうして呆けていたら――少女の話が続く。抱き締められる力が強くなったのを感じて】

……ちがう、……違う、のに、うれしい、の?
そーなの、……うれしいなら、よかったねえ……それがずっと、続けばいいねえ……

【うわごとのようなトーンで、ぼうっと、鸚鵡みたいに返す。ようやくいつもの、へらっとした笑みを零してみせた】
【これだけ辛い目に遭ってきたなら。ちょっとくらい幸せになってもいいじゃないか】
【たとえそれが間違った方法で齎されたものだったとしても。……そう考えた瞬間に、】

【 暗赤色の瞳の女が笑っているのが想起された。子どもみたいに笑って、僕しあわせ、って笑う 】
【 無量大数の、苦悶の表情を浮かべた屍の、山の頂点で。笑ってる、笑って、笑、―――――― 】


・………………キミは白神鈴音だよ、白神鈴音、それでしかねえよ、
それだけはダメ、それだけは、それだけはっ……おれは、……白神鈴音だけは!

【――抱き締められるのを嫌がるみたいに。この日初めて、拒絶した】
【自身に絡まる細い腕――蛇を、一本一本丁寧に解きほぐしていくように、手を動かして】
【それが叶って、ちょっとだけ離れられたら。腕を伸ばして、少女を押し倒して見下ろすみたいな姿勢に、なろうとする】
【上から降りてくる黄色い瞳は、必死な色を浮かべていた。それだけはどうしてもイヤ、って、冀うように】

【そうしてきちんと少女の顔を見たなら、きっと笑っている顔を、思い浮かべている】
【あの日、少女を助けようとして主に反抗して。罰を受けて苦しんでいたのを、助けてもらって】
【手を伸ばしてくれたときの。助かって、よかったって、心の底から安堵してくれたときの表情を。思い出している】


169 : ◆DqFTH.xnGs :2018/05/25(金) 09:08:56 vWy/ViUQ0
>>129
【貴方も鈴音の夢を見るのか。そう問われれば「まあな」と短く答える。どんな夢か詳しくは語らないが】
【特に何も言わないあたり、夢の性質は夕月の其れと似たものなのだろう】

【そしてやはり────基本的には夕月の喋りに任せるがまま時間は進む】
【聞いていないわけではない。むしろ然りと真剣に彼女の話は聞いていたのだが】
【或る一言で、ついとミラの口元に笑みが宿った。茶化すという雰囲気では、決して無く】


…………く、くっ────神様、…………神様、かぁ

そっか。…………あいつ、神様だったのか────


【何かを納得するような声。何かが腑に落ちた表情だった】
【彼女は笑っていた。友人の結婚の報せでも聞いたかのように。けれど】
【寂しそうでも、あった。その友人が、本当に遠くに──遠く遠くに行ってしまうと知った時のように】
【だがそれきり。またミラは聞き手へと戻る。夕月が具合悪そうにしていれば】
【「ゆっくりでもいいぜ」と声をかけ。それでも尚寒そうにしているのなら】
【夕月の隣に座りなおして、肩でも抱いてやる。話すのにいくら時間を要しても、今は決して急かしたりはしない】


170 : セリーナ・ザ・"キッド" ◆/iCzTYjx0Y :2018/05/25(金) 10:04:17 lp4TKcVo0
本スレ>59

【結果として、痛みは引いた。それだけではなく、肉体に残る内部のダメージは相当に緩和されていく。】
【滅茶苦茶にされているとはいえ―――これもまたあの科学者の性的趣向のせいではあったが、"中身"に後遺症は見られなかった。】
【何方かと言えばあの男が彼女に施しているのは精神を追い詰める為の攻撃が多い。その中には肉体に快楽を植え付ける為の行為があった、というだけだった。】

【であれば―――問題は矢張り骨折。脱出する際にネックになるのはここだろう。だが、これも"よくよく考えれば"】
【彼女の能力があればある程度は打破可能だ―――"弾"末魔。召喚銃を使っての戦闘、パワードスーツたる"アーマー"の呼び出し。】
【それに成功さえすれば、恐らくは鎧に備わったパワー・アシストの性能によって走行に支障は出なくなることが考えられた。つまり、必要なのは"銃"。】


―――……生憎だけど。ギャングとは、……ふっ、わるいつきあいしか、なくてね……。
つぶして、きた―――そしきの数だって、かたてじゃ、かぞえきれ……っ、はぁ……。

うらまれてる、こと、はあっても……たすけ、なんて……?

(―――スペル……? この、呪文ってもしかして―――まさか!)


【取り出された見慣れぬクリスタル。そして、唱えられた"聞き覚えのある"詠唱―――そう、セリーナは"これ"を知っている。】
【そして"それ"は、一朝一夕、記憶を覗き見しただけではそう簡単に再現するのは難しいであろう、体系的に象られてきた長きに渡る魔術の結晶。】
【此処に来てようやくセリーナは理解した。魔法を操るギャング、カエデとも知り合いとなればもう、"あの男"しかおるまいと―――心が、魂が安らぎを覚えていく。】


――――ふぅ……、なるほど、ね。

……"レグルス"くんとアルクくんに、伝えておいて。"手前"のおかげで、助かった、って……ね。


【彼らの口癖である"一人称"を、ようやっと見せた笑みと共に口にして。】
【セリーナはようやく、目の前の"誰か"を信じられるようになるだろう。―――名前はまだ知らないが。】


……おーらい、おーらい。わかった、信用する……けど、早めに逃げた方が良い。まず、これだけは確かだ。
それに……伝えた通り、相手にアタシの情報はすべて、……全て、筒抜けになる。……次に触手をもらえば……。

……アンタとレグルスくんの事は、全部見抜かれる。だから……出来れば、大事な情報は"今"アタシに預けない方が良い。
それこそ、……ここに奇襲を仕掛けるような予定があるなら、絶対に。漏らしちゃだめだ、ここで話すのは―――よくない、と思う。

……だから、キミの名前も。無事にここを出れたらその時に、聞くことにするよ。ともあれ、……助けに来てくれて、ありがとうございます。
ここからは―――最低限、漏れても良い情報の交換をしよう。……アタシがきみに漏らす分には、そこまで問題はない筈だ。

―――……漏らしたことも"知られる"から、……後々酷い目には合うかもしれないけど。
構うもんか、あのクソッタレに一泡吹かせられるなら何でも協力するよ。本当だ。


171 : 名無しさん :2018/05/25(金) 11:26:44 KwRwH74s0
>>168

【――彼の受けた衝撃を、それは気づいているのか、きっと、分からなかった。変わらず、望まれたままの形でそこにあるから】
【あの日のことは、彼女も、覚えている。徹夜明けだったか仮眠明けだったかはどうでもよくって、一緒に朝ごはんを食べたんだって、それが始めてだって】
【親の仇みたいに練乳を入れた珈琲に底がちょっぴり硬い半熟の目玉焼き。いろんな調味料にトースト、――――それから、つまんない、テレビ】

【それは確かに"地味だけど"幸せの一つのはずだった。とびっきりの幸せではないと思うけど。――けれどそれは見えない、執着しいの神様には】
【一番欲しかったものだけがきらきらって光って見えてしまう、それから目が離せなくなって、それ以外のもの、全部、蹴り倒しながら進もうとしてしまう】
【――人間やそれに準ずるひとたちが見たなら、それはうんとひどくって。手段としても悪い手だと思われたとしても。良くも悪くも人間、に、こだわる彼女なら】

【だいたいの神様は二面性を持つんだと言う。恵みとかを齎す方と、祟りとかを齎す方と。祟りが強い神様はうんとうんと丁寧に祀り上げてあげるとよくなる】
【子供のために頑張ろうとしていた面と、人間が嫌いで仕方ない面と。ぞろり――と感覚だけで這う蛇が、彼の肌を、幾重も幾重も、重ねて撫でて】

――――――――うん、……でも、わたし、……、わたし。『アナンタシェーシャ』――? 『へびさま』……ちがくて、『ミルドラ』……、
わたしの、名前……、ウヌクアルハイ、じゃない、――でも、みんなが、そうやっていうの、っそうしたら、わたしは、違っちゃう、――ウヌクアルハイになっちゃう。

…………オムレツ、さん、わたし、だあれ……? わたし、わたしは――――、

【ためらうような小さな声。続いたらいい……か、は、分からなかった。神様として一番欲しいもの、全く別の神様と一緒くたにされても、それは、うんと、快いけど】
【そのたんびに自分が薄められていくような、気もした。生まれたばかりのちいちゃな蛇にはかないっこなかった、昔から信仰されてきた蛇神に、邪神に、どうして敵うすべがあるんだろう】
【違うものにされそうだと訴えたなら声は少しだけ震えて聞こえた。――嬉しいけど。気持ちいいけど。かすかにちらりと覗く不安、自分が自分じゃなくされる、怯えたように】
【尋ねる、求めて――――】

…………そうだった。

【――ふうわり、と、少女は安堵したように、笑む。拒絶したなら、あんまりにあっさりと、その手は離れていた。押し倒されたようになって、見上げて来る】
【あの時とおんなじ顔――ならば、それは救われる瞬間の顔にも、似ていた。見つけてもらえて安堵したように、ふわり、と、ほどけるような笑みを浮かべて】
【それがイメージの模倣だったとしても。だけれどそれ以上に。本当にどこかで安堵しているような、気配がしたように、思えて】

――、「」。

【気づいたときに"変質"してしまったなら――どこか手ごたえがない。何を言ってもしても、ふらふらって、自分の見ている方向に歩いて行って、そのうち居なくなってしまいそう】
【けれど多分全く何にもできない、わけじゃ、ないはずだった。願われたからいつかの形を模倣して、願われたから、自分の中の記憶までも、共有して】
【あるいは。願われるまんまの言葉すら吐き出すのかもしれなかった、願望を映し出す鏡を覗き込んだとして、そこに、何が映っているかなんて、分からないから】

【――鏡よ鏡よ鏡さん、あなたが今一番言われたい言葉はなんですか?】
【(願わないなら、鏡はぽつんって黙ったまんま、いつかの少女を映し出す、ばかりなのだけど)】


172 : ◆KWGiwP6EW2 :2018/05/25(金) 12:07:31 YG3G8CG.0
>>166
【やっぱり忍者をやるには目立ち過ぎるんじゃ……?そんな感想が先に立つ。可愛いとか、羨ましいとか以前に、住む世界が違うと思ってしまうのは陰キャの性か】

や、そこまでの人生プランを聞きたかった訳じゃ……でも、そっか。
お仕事、好きなんだ。
別に弱みを握りたい相手なんていない、けど、そーいうの気軽に引き受けて良いものなの?

【言われてみるとどちらかと言えば自分が探られた時のことを想像してしまう】
【こんなに目立つ子なのに挨拶されるまで気配に気付かなかったし、きっとこっそり尾行されても分からないだろう】
【取り立てて探られて困るような秘密なんて……強いて言うなら今日やったような軽犯罪を、何件かやってきた程度、なのだけど】

え、……えーと、そういう、もの?

【そうかと思えばその軽犯罪を手放しで褒めてくるものだから逆に落ち着かず、腰が引けてしまう】
【何なんだろうこの子。忍者だからカオス属性なのか?】
【あれよと言う間に顔が近付いてい
る。間近で見ても現実感のない美少女ぶり。って、これはハグの体勢!?】

ちょま……!そーいうの抵抗ないヒト!?
私は……、……あ。

【逃げようとしたせいか。それとも揺らされた枝のせいか。
あなたが狙ってやったのかを考える暇もなく、少女の身体は枝から滑り落ちた】

げ……嘘でしょ!?

【多分きっと。ここでの最適解は落ちるに任せて忍者の人に助けて貰うことだったんだろうけど】
【初対面の相手をそこまで信頼できるはずもなく】
【何よりテンパり過ぎて思考が回らない!】

……ッ!こっちは忍者じゃない、のにっ!

【能力を行使……パニックだった頭は一瞬にして冷静に】
【落ちる途中で手近な細枝を掴む。折れた。ごめんなさい!】
【勢いが落ちたところで幹を蹴って軌道修正。ごめんなさい!】
【スマートとはとても言えないながらもどうにか他の枝にしがみつく】

し、心臓に、悪い……色んな意味で!

【ぜーぜー言いながら元いた場所を見上げた。結果としてあなたの最後の質問に、行動で答えてしまった形】


173 : 院長中身 ◆zO7JlnSovk :2018/05/25(金) 12:39:52 XhR7wdR.0
>>172

【 ”お仕事好きなんだ” ──、少しだけその言葉に曖昧な表情をした。例えるならそれは、出したての絵の具に混じる透明色】
【直ぐに筆先に浸したなら分からなくなる。それでも、何処か心の奥底に、刺さる針の痛みを伝えて】
【一瞬よりも短い刹那。けれども、そこに映った波紋は確かに水面を揺らした】


そりゃ限度がありますけど、私が大丈夫と思えば直ぐに実行しちゃいますよっ、私ってばほら、エリート忍者ですし?
古事記にも書いてあるように美少女に悪い人はいないんです、可愛い女の子に言われたらそりゃ張り切っちゃいますから
ですので! 貴女の為なら私は一肌も二肌も脱いで、この健康的な身体の隅っこまで尽くす所存です!

── そーゆーものですっ! 貴女は良い事をしたんです、それはもう飛びっきりの善行です
それだけで天国行き確定なんです、だって── だって、そんな風に力を使える人は、少ないですから
たとえ貴方にとって小さな行いでも、世界にとっては大きな行いだと、鵺ちゃんは思いますよ?


【筆洗に落とした紅が、飛沫と共に広がる様に── 微笑みが柔肌の一面を染め上げて】
【寄木細工の表面に似た、美しい白木の如き頬の色を鮮やかに飾り立てていく──】
【とまぁそんな瞬間、木からぐらりと落ちる貴方の姿】

【スローモーションになる、あれま、と妙に軽い音色が響いて】

【一瞬の出来事、気づけばそこには枝にしがみついた貴方がいて、】
【──、猫さんみたいですね、なんて思ってもみたりした】


わーっ! サーカスもびっくりの身体能力ですね! 上忍顔負けの身体バランス!
ただでこんな超一流のアクロバットが見られるだなんて、鵺ちゃんは幸運な娘っ子ですっ
ふふーんっ、鵺ちゃんの目は誤魔化せませんよっ、それが貴女の能力なんですね!

……いやてゆーか能力であってもらわないと困ります、鵺ちゃんを遥か凌ぐ身体能力!
それが何かしらの加護を受けたものじゃなかったら、鵺ちゃんのあの辛く苦しい修行の日々は何だったのか!
血の1リットルや2リットルにじむようなあの日々── 思い出すだけで冷や汗がさーっとでます


【ぱちぱちーって拍手して、ちょこんと枝に腰掛けた】


174 : 兼愛 信生(けんあい のぶき) ◆xgsUYuhzWc :2018/05/25(金) 13:13:52 Lxd3YeZA0
>>162

……ほう、ほう!?
何故だ、何故そうなる!?キミたちはどうしてそんなに面白いんだ!?
聞けば聞くほど、興味深い話がたくさん出てくる!

【と、彼女は更にきらきらと目を輝かせ──彼らの系譜を聞いてて、どうしても楽しくなってしまったらしい】
【当人の人生は他者には簡単に解けない。だからこそ、色々な話を聞く事で得る知識も得る経験も違う】
【とはいえ、彼らは優しい。しかも中々にまばゆいなにかを抱いている】

【すると唐突にひょい、としゃがみ込んで】
【リュウキちゃんのほっぺを両手で挟もうとする。いたいけな少女をブモとさせようとしていた】
【しかも、完全に何も考えていない笑顔。ともあれ、拒否されれば見ているだけだ】

ソウジさんは、どうしてバーを出店したんだ!?
櫻の国産まれてだし、陰陽師なのだ、本来あちらで仕事は別にありそうなものではないのか?

……いや、当ててみせよう!お酒が好きだった!そうだろう!?
ノーテレフォンでファイナルアンサーだ!ふふん、勝ったな……。

【そもそもの理由として、彼がオカマであることを考慮すると夜の仕事は似合うのだが】
【店を開くというのは中々に根性と資金の要る行為。どうしてそこまでしてバーを開きたかったのか】
【そして、別に本気で当てるつもりは無いので、ただ単にドヤ顔がしたいだけであった】

ワタシはココロは、とても複雑だけど理解は出来るデータだと思うんだ。
よく、ヒトとお喋りするAIってあるだろう?
でもアレは、ヒトの声色や掛ける言葉から、用意されたデータを小出ししてるに過ぎない。

もちろん、それらのAIも学習はしてるけれど……でもそんなの、
ロボットがヒトの顔色を伺ってるみたいで、ワタシは嫌いだったのだよ。

だからワタシは、ワタシの手で、ヒトのココロを理解し、
アイを感じて、いろんなヒトにアイを与えるロボットを作ろうと思ったのだよ!
アイは、そこら中にたーくさん転がってるからね!

【と、己の経緯は説明し感極まって──いきなり両腕を広げて、急にわっと立ち上がる】
【……急に立ち上がったので低血圧気味になったのか、少しぐにゃっと左に傾いた】

ほうほう!つまりリュウキちゃんはウルトラスーパースゴイ精霊という事なのだな!?
手伝いも色々こなしてくれるなんて、まるでバディのようだな!
いや、家族とか、トモダチだろうか?……どのような定義なのだろう?

ともあれ、ともあれだ!信頼出来る存在がそばにいることは良いことだ!
だってその方が……ヒトリで歩くよりも、並んで歩いた方が、うーーんと楽しいからな!

現に二人は、息ぴったりで仲良しなのだから!
……ちなみに、リュウキちゃんは戦う事も出来るのか?他にも色んな式神はいるのだろうか?

【彼女は、彼らは同じ目線で立っていて、傍にいる存在だというかもしれないことをまず尊重し、そのうえで発言する】
【もしそこが賀茂の価値観と違ったとしても、彼女は否定しないだろうが】

そ、そうか?いざそう言われると、なんだか照れるなあ
ワタシもキミたちが通りかかってくれて、とても嬉しかったぞ!……本当だからな!?

ソウジさんは教えてくれて優しいし、リュウキちゃんは時々喋るのが、とーっても可愛いんだ!

【笑顔を向けられると、なんだか気恥ずかしくなったようで頭を掻いて】
【事実、彼らは正面から向き合って話してくれたので、それだけで本当に嬉しかったのだ】

──というわけで、茶柱でも立てながら、のーんびり待っていてくれたまえ!
ここでワンポイントアドバイス!
ワタシは韋駄天の異名は特に持っていないし、しかも嫌いな体力測定は50m走で13秒だった!

うおおー!20mシャトルランはそろそろ測定カリキュラムから滅んでくれー!頼むかァ……!【消え入る声】

【何やら主張しながら、「ネジいっぱい ネジ屋」と書かれた看板の少し遠いくらいの店に突入してくる】
【遅すぎる。その全力ダッシュは常人の全力ダッシュよりは明らかに遅かった】
【走って五分もあればつきそうな場所を、おおよそ8分ほどかけて入店していた】
【──ポップ君がしばらくそのやり取りをみていたらしく、「こんちはー」と言わんばかりに片腕を挙げて二人に挨拶していた】

/すこし時間出来ましたのでレス返します!


175 : ◆KWGiwP6EW2 :2018/05/25(金) 18:45:52 RlSDRsPw0
>>173
【もちろんです!と即答で返ってくると思っていた返答はなく。代わりに流れてくるのは爪の先ほどの違和感】
【しかし顔色を伺うことには慣れていれど空気は読めないこの少女。あなたの機微を読み取ることはできず】
【「そうでもないの?」と迂闊な言葉が出るよりも先に、この有り様でーーー全部頭から吹っ飛んでしまった】

つ、尽くすんだったら、次からは助けてね……

【拍手喝采なあなたの様子に、よじよじとやっとこさ身を起こして一寸恨みがましげな視線。……逆恨みだけれど】
【折ってしまった細枝と幹を見比べると、手を合わせて大樹に拝んで見せてから、木々を伝ってもう一度、あなたの位置まで登り始める】
【褒め殺しされてもイマイチ受け入れられてない風情。眉間には皺が寄ったままだった】

……や、必死にしがみついただけで、そんな大層なものじゃないけど……ハイ、能力です。

……何だか、能力者を見慣れてるみたいな言い方だけど、こんな風に能力使う人、少ないの?
そんなことないでしょ?悪い人もいっぱいいるのに、この国はこんなに平和そうなんだから……きっと、護ってる人がいるんだよ。

誰かが。もしかしたらあなたが。

【また抱き付かれては敵わないから、元の位置に戻っても、少し距離が有った。
大した他意もなく呟いてから、華のような少女を流し見る。キラキラとして見ているだけで落ち着かない】
【猫みたい、と言う感想はある種正しい。正確には、産まれた時から飼われていた猫が急に野良に放り出されたかのような心境。何を警戒したら良いのか分からないとばかりにおっかなびっくり】

あんまり急なスキンシップはびっくりしちゃうから……これくらいで勘弁して。

【そう言って、おずおずと右手を差し出した。
握手くらいなら人種の壁を超えても許されるだろう。多分】


176 : ◆S6ROLCWdjI :2018/05/25(金) 19:28:04 WMHqDivw0
>>169

【最初、あまりにも意味不明だから笑われたんだと思った。まあ仕方ないことだと思って】
【渋い表情で顔を上げたら――思っていたよりずっと、寂しそうな顔をしていたから】
【びっくりした。びっくりして、それで――また視線を伏せる、言い難いこと、言い出す前の仕草】

……そう、なん、だけど。カミサマは、カミサマでも、あれは、……
願い事かなえてあげるとか、恋愛を成就させてあげるとか、……そういうんじゃなくて。
……、……ヒトに、バチをあてるタイプの。……ヤバいヤツ、なんだと、……思う。

【二の腕を握り締める手は離すことができなかった。隣に座ってもらって、ふう、と息を吐いて】
【ちょっとだけ顔色が悪くなっていた。「……ごめん、大丈夫」。言ってから、続き】

それで、……さっき、サクラの樹がどうとか言ってたでしょ。あれ、あの中に、
「元」の鈴音が入ってた。だからそれを、連れて帰れば――全部解決だと思ったの。

でも、……違うみたい、だネ。みんな、鈴音が泣いてる夢を見てるなら、

【「――――カミサマの鈴音は、まだどっか、違うところにいる」】

【そこまで言い終えたら。あとは、メールの通りだと言うのだ】
【サクラの樹から連れ出した鈴音は目を覚まさない。それを匿うのに、途方に暮れている、と】
【定住する家がないとも言っていた。ならきっと、「お人形」状態はまだ、脱せていないともとれる】


177 : ◆S6ROLCWdjI :2018/05/25(金) 19:39:33 WMHqDivw0
>>171

【ほとんど無意識に、少女の身体を掴もうとした。肩でも二の腕でも手首でも、どこでもいい】
【細い躰だから、捕まえるのに苦労はしない。むしろ握り潰すことを危惧するくらいに】
【慎重に、慎重に――できたのはそこまでだ、可愛いお洋服に皺をつけないように、とか】
【そこまでの配慮は、回らなかった。掴めたなら、その――男特有の、筋張った手が、震えている】

……リンネ、ちゃん、リンネちゃん、……鈴音ちゃんっ、

【ばかの一つ覚えみたいに名前を連呼する。そうだよ、君は鈴音だよ、って教え込むみたいに】
【忘れてほしくなかった。それで、顔を見て――自分が望んでいた通りの顔をされてるって、気付く】
【それで、……叶えてくれてるんだってことにも気付いた。ヒトに害を為す神様のはずなのに】
【どうして、自分の望みをわかってくれるんだろうって――乖離した精神がそう思った】


……なあ、おれと、なんでもねえ話して、……笑ってッ!
おれだけじゃねえよ、夕月とか! あとあの、あそこにいた紫のコとか、軍人のおっさんとかっ、
…………セリーナ! セリーナとか、……そのほか誰でもいいよ、本当に、誰でもいいからさあっ、

――――――ニンゲンの世界で! 誰かと接してて、……ちょっとだけ、ほんのちょっとだけでも!
ミジンコか、それ以下、くらいでもいいからさあ――――ちょっとだけでも幸せだったってッ!!


【「……、……、……ウソでもいいから、言ってくれよ」】
【「頼むから、さ、……お願いだからさあッ……」、――――、――、】

【――――願い事なんて、ただのひとつだけでいいと思っていた。そのためだけに、今を生きていた】
【そんな男が、はじめて、ココロの底から祈っていた。今の少女が、ノゾミカナエルだけの機械めいた存在だって】
【知ってるくせに。それっぽい、他人の名前を出してまで。卑怯の限りを尽くして、そう、望んだのだ】

【声は、これ以上ないくらいにみっともなく震えていた。たぶんもうすぐ、泣いてしまう】
【その顔を悟らせないためか、あるいは、それ以外の理由もあってか。男は、真下を向いていた】
【それは正しく首を垂れて、神に祈るための姿勢に似ていた。……願ってしまった、世界一卑怯な願い事を】


178 : 院長中身 ◆zO7JlnSovk :2018/05/25(金) 19:50:43 N6qnhhu60
>>175

【眉間に皺を寄せる貴方とは対照的に、彼女の表情には微塵の陰りも見えないで── 余計に先程の一瞬がおかしく見えるけど】
【能力についての話になると、少しだけ真剣味が増した】


……あー、そうですね、最近はこんな御時世ですし少ないと言いますか
── 最近ですね、『魔制法』なる法律が可決されまして、能力者に対する風当たりが強いと言いますか
こう能力者ってだけで白い目で見られることが増えたんですよねっ

まぁ一般の方からしてみれば、能力というのはとても危険なものですから
……かと言って納得は出来ないんですけどっ


【少女が言った『魔制法』── 能力者の異能の使用を制限する法律、『水の国』に於いて今進められている政策であった】
【日頃からニュースを見ていれば貴方も知っているだろう、或いは知らなければ答えてくれるだろうが】


わーいっ! 握手ですよ、握手! 握手をするのは仲良しの証なんですよ!
そうだ、まだ名前言ってませんでしたね!
鵺っと言います! 私の名前です、可愛いでしょ!


【えっへんと胸を張る、可愛いかは曖昧な名前だが──】


179 : 白桜 ◆D2zUq282Mc :2018/05/25(金) 19:58:49 JY1GydDk0
>>167

その解釈で合ってる。何の因果かは解らないけれど、私達の在り方はそう定義付けられる。

私の魂の他に、この身体の持ち主であるフェイ=エトレーヌという女の魂が宿ってる。
普段はフェイが身体の主導権を握っているけど、今は精神に深手を負って私の精神の奥底で眠りについてるわ。
そのお陰で文月さんとお話したり、ほっぺたを突き合ったり、食事を一緒にする事も出来る。

この身体も決して難儀な事でも無いので、……どうか気に病まないで、…欲しい。


【店内の喧騒に紛れない白桜の声色。それでいて物柔らかな口調は白桜の素であるのだろう】
【表情の変化に乏しいのも、恐らく白桜の素である。そんな白桜の頬に、文月の指が優しく沈む】
【そしてそれだけに留まらない。優しく沈んだ指先はつぅっと流れていき、白桜の手に行き着いた】


―――……だから、……恥ずかしぃ、……台詞。


【"恥ずかしい台詞、…禁止"とは言えなかった。在るべき形に収まるように触れられた手が、言葉を遮る】

【反則級の心地良さ。柔和な言葉も、照れた仕草も、それを纏めた雰囲気も。全てが心地良かった】
【頬を染める薄紅に、右往左往して泳ぐ視線。気持ちが空回り、舌が上手く回らず言葉も出てこない】
【狼狽する白桜の姿は、行きつく先を探すのみ。その先に辿り着くのに手間を労するのだった】


むぅ―――……私の言葉が綺麗と言うならなら。……文月さんの言葉は、暖かい。……それも反則級に。
……可愛い鬼と言ったり、頼もしい言葉を口にしたり。まさに、誑し。女による、……女誑し。

だから、――頼る。それ以上に、…甘える。その暖かさと心遣いと、貴女の触れるその手に。


【静かに白桜を眺める文月と、持て余した感情に振り回されてぷいっと顔を背ける白桜の頬は僅かに膨らんで】
【その姿はまるで拗ねた子供である。大人の雰囲気には似つかわしくない子供の仕草が――とてもミスマッチ】


180 : ◆KWGiwP6EW2 :2018/05/25(金) 20:38:56 UvdvIB1Y0
>>178
【煌々と輝く太陽のようなあなたの様子に対して、相変わらず曇天のようなテンション。こうまでノリが悪ければ一緒に曇りそうなものだが、生憎と熱量がまるで勝負にならない】

えっ、魔法制?そう、なんだ……。
ひょっとしてさっきの見付かったら逮捕されちゃったりする?

【困った、と他人事のように呟く。それからふと気付いたように】

あ、それでさっき感動してたの?
虐げられてるのに能力を良いことに使って偉い、とか?
……だったらごめんなさい。
その法律の話、今初めて知った。

【ちょっとバツが悪そうに頬を掻いてから、今更の自己紹介に、ようやく少女はクスリと笑って見せた】

さっきから何度も聞いてたから覚えちゃったよ。
納得出来ないってことはあなたも能力者なんだね、忍者の鵺さん。

【右手を差し出したまま、さっき少しだけ垣間見えた違和感の正体について、考える。
こんな明るさを絵に描いたような少女でも、悩みは有るらしい。
職業のこと?それとも主人のこと?
当然心当たりなど有る訳がない。
烏滸がましいとは思ってはいるが】

何か悩んでいることが有ったら言ってね。
殴って解決することなら、手伝うから。

【結局そう言うだけに留めた】
【手を掴むなら分かるだろうが、拳に擦り傷、手首を傷めたのか少し庇っている。
言葉とは裏腹に、人を殴り慣れていない証左】

ーー私は、三枝双葉。正義の使者よ。

【目を泳がせて、しばし逡巡の後】
【インドア派ならどうバグっても出てこないようなフレーズを、口にした】


181 : ◆KP.vGoiAyM :2018/05/25(金) 20:48:54 zxReOFhU0
>>148

『…仕事……幸福…世界を…何が…』

【くぐもった声がマスクの下から漏れる。だが厳島の言う通り時間はないかまう暇もない】
【その声が求めるものは自由そして…助けだったが】
【後から猟犬たちは追ってくる。】

<DELTAはもう駄目だ>

【同じ見た目に統率された、同じ様な声で誰かが言った】
【隊長を取り囲む3人の黒いコートのテクノドックスは、同じようにコートの内側から自動拳銃を取り出した】

<コード99>

【路地裏を抜けるその背後から、銃声が幾つも響き渡った。】

<こちらα。DELTAをコード99で処理。回収願う>

――――こっちだ。乗ってくれ

【路地を抜けると、街の裏通りに出た。一台のタクシーがドアを開けて停まっている】
【運転席には先程の探偵がいる。窓を開けて手招きした】
【用意が良いのか、要領がいいのかわからないが彼は厳島を乗せるとその脱出用のイエローキャブを動かすだろう】
【街中ならその街にあった車種、目立たない事が勿論重要だろう。この時間帯、同じ様なタクシーが幾つも走っていた】


182 : 厳島の中 ◆zlCN2ONzFo :2018/05/25(金) 21:17:48 6.kk0qdE0
>>174

「そこは否定しないでおくわ、そうねお酒が好きでこの仕事が好き、とだけ言っておくわ実家も出られたし」
「……」

【妙に聡い】
【内心仕事の事を聞かれ、ドキッとするも】
【妙な方向で納得してくれたため難を逃れた、危ない危ないと】

「うぐ〜……ひゅうひははんじへほんははふはひは……」

【ぐにーっとほっぺを伸ばされ、少々聞き取りが困難な話し方となる】
【なお触感質感は、普通の少女のそれと変わりはない】
【もっとも、ちょっと涙目だが、最近はこういう扱いも多いので、本人も慣れてきている気もしないではない】

「あら、中々いい事言うわね、そうね心は複雑怪奇なデータよ」
「愛もまたしかりね、でもね、人間はもっと複雑なの」
「ロボットなら、もしかしたらその複雑すぎる情報に、プログラムに一石を投じられるのかもね」

【少々物憂げになりつつ、こう答えた】
【そう、人間とはげに複雑な物也や、しかし難解ではあっても解き明かす事は不可能ではない】
【それは、人間がゼロからでも関係性を構築できるのだから】
【そして、まさにここでも、関係性の構築は進んでいるのだから……】
【自分達を善人と言うならば、この女性もやはり善人なのだろう】
【そうでなければ、こういう言葉は出ない】

「龍鬼は戦わないです?」
「この子はあくまで、私の周りの世話役よ、戦うなら他の式神がいるわ」

【それぞれに微妙な役割分担がある様だ】
【少なくともこの龍鬼は、その役目ではない様子で】
【やがて……】

「あーそうね、いってらっしゃい」
「うう、そう言えば部品の買い出しがどうとか、言ってたです?」

【やがて、目的を思い出したのか、そう言ってお店に駆けだす】
【だが、遅い、足は極めて遅い!】

「どう思う?」
「何というか、約束、です?」

【何となくそんな気はしていたが、お約束だろうか】
【少々呆れ気味に、その時……】

「あれ?あんた壊れてたんじゃなかったの?」
「ああ、ご丁寧にどうも?です?断じてあの主人は、大変?」

【こう、ロボットの挨拶に】
【其々の言葉を返す】
【最も、壊れていると言う話だったが、大丈夫なのだろうか?】


183 : 厳島の中 ◆zlCN2ONzFo :2018/05/25(金) 21:22:47 6.kk0qdE0
>>181

「(何を、何を言っているのだ?)」

【走りながら、その散文的な言葉を耳にする】
【この男にも、人生はあったのだろうか】
【そして、直後に聞こえる数発の発砲音】
【何が起こっているかなど、想像には難くない】

「すまない!なるほど……随分手際がいいな」

【ここでようやく、安どからだろうか?】
【タクシーに乗り込むと、口元だけの笑みを浮かべる】
【シートの温もりと、そして一転し慣れた環境からか溜息をこぼし】

「では、探偵さん、話してもらおうか?」
「君は何者で、あいつらは何者だ?」

【そう、小分けに話を始めた】


184 : ヴァルター=アルメクス ◆auPC5auEAk :2018/05/25(金) 21:35:37 ZCHlt7mo0
>>170

――――大丈夫さ。あの男は……今どき珍しく、ギャングにしては義理人情に厚い……だからこそ、古い知り合いのラベンダァイスの、半ば不義理な頼みに応じて、俺をここに送り込んだんだよ……

【『リラクゼーション』の力は正しく発動し、クリスタルはそのリザーブとしての力を失い、ハラハラと瓦解する。どうやら、セリーナに自分を信用させることにも成功したようだ】
【――――どうやらセリーナは、その『ギャング』をレグルスの事だと受け取った様だが――――実際には更にその上、もっと大きな動きを統括している男が、今回の仕掛け人である】
【尤も――――頭の中を覗かれるという事を危惧しているセリーナ相手ならば、むしろその勘違いをそのまま進めようと、男は心算を構築していたのだが――――】

……あぁ、確かに伝えよう。そしてどうやら、気持ちを持ち直してくれたみたいだな……。囚われて、2ヵ月ほどになるのか……よく、持ちこたえていてくれた
……大丈夫だ。俺がここに来たって事は、「ここが疑わしい」って、既にアタリをつけられているって事……遠からず、必ず事態は動く。
(――――負けだよな、やっぱ……これが『本物のヒーロー』だよ……)

【まず、男は己の安堵を素直にセリーナに伝えた――――その姿、そしてこの部屋の状況を見れば、おおよそどんな事があったか――――口にするのも憚られるそれは、容易に見当がつく】
【率直に――――良く2ヵ月程の間、心を維持できたものだと感心する。下手をしたら、1週間も持たない事もあり、そしてそれで全然不思議ではないのである】
【流石は、UTのリーダーという事はあると、改めて眼前の女性の力に感心し――――同時に、わずかな嫉妬を感じる】

――――参ったな。そんな体でも扱えるような『暗器』……隠し武器の類を、渡そうと思っていたんだが……仕方ない、君の言う通りだ。確信に至らない、情報の交換だけを済ませようじゃないか……

【だが、これでは『セリーナに、今後の役に立つだろうアイテムを何とか渡す』という事は、どうやら出来そうもない】
【ならば仕方がないと、そこは見切りをつける。敵地の真ん中での密か事、時間がないのはどうしようもなく、出来る限り、有効活用しなければならないのだ】

――――おっと……『仕事』の合間にさぼって飲むつもりのボトル、うっかり入れっぱなしにしてたよ……『ヒーロー』やってる時は、流石に置いてくるつもりだったのによ……
……少しだけ、飲みなよ……いける口なんだろ? ――――酒ってのは、心身ともにコンディションが良くないと旨くないなんて言うが……どうだ、旨いか?

【わずかに姿勢を正して――――その時、腰に『余計な荷物』がまぎれている事に気づいたのだろう。ヘッドギアで頭を覆われながらも、苦笑しているらしいのが伝わってくる態度で、ミニボトルを取り出す意】
【そのまま――――今度は、手枷ながらもセリーナに渡して、自ら飲ませようとするだろう。中身は『カナディアンウィスキー』――――ややウィスキーの中では弱めで、微かに甘みが出やすいタイプだ】
【時間を浪費するわけにはいかないと言いながら、酒を飲ませようととするのも如何なものかもしれないが、恐らくはこれも、セリーナの気持ちを和らげるための行為なのだろう】
【同時に、自らが口にしたこと――――心身ともにコンディションが良くないと、酒は旨くない。「酒を旨く感じられるかどうか」、それでセリーナの状態を確認しようという面もあるのだろう】

――――確かに、そりゃあ良い。『ヒーロー』は、正体を隠すのがお約束だからな……――――ま、1つだけ言えるなら……俺の他にも、ラベンダァイス入れて、7人の能力者が俺たちのバックについてる……
3人は、まだどこか甘ちゃんかもしれないが、残る4人はガチの戦士だ……

【冗談めかしながら、男はこのまま正体を明かさずにいようと提案する。勿論、情報を読み取られる事を警戒しながらだが、それを『ヒーロー』だからだ、と冗談めかして】
【しかし同時に、男はその『具体的ではないが確実な情報』を口にした――――恐らくは、UTなどの既知の知り合いとは別の、男と行動を共にする戦力】
【うち3人は、ラベンダァイス、レグルス、アルクの事として――――この3人は、先ほどの分類の『ガチな方』に入るだろうが――――更に4人、今回の為に動ける仲間がいるという】
【この男自身を含めれば、8人――――相当な人間たちが、セリーナを助けようという意思を共有しているのだろう】

――――じゃあ、答えてくれ……君が知る限りの、敵の『正体』、『戦力』、そして『目的』――――これさえ分かれば、突破口は確実に開ける筈なんだ……!

【そして男は逆に、セリーナに情報を要求する。恐らく戦う事になるだろう、セリーナを破った敵の情報。最低限それだけは知りたいと――――】


185 : 名無しさん :2018/05/25(金) 22:45:20 MrCbc3r20
>>177

【筋張った手にぎゅうと掴まれる。それはやはり蛇の手触りだった、でも、見る限りでは、それは限りなく少女の細い細い、手首のところ】
【つかみ取られて困ったみたいに掌がぱっ、と、開く、――ならほんとにそこに居る蛇はどんなふうにしているんだろうって思わせた、口でも開けたのか】
【どうでもいいけど――その手が、彼の手を振りほどく温度感ではなく、緩く動いて。そうっと、彼の身体に、触れようとする。頬でも、首筋でも、胸元でも、どこでもいい】
【それで優しく、撫でる。――するり、と、撫ぜられる感触はやはり少しだけざらついて、蛇だから暖かくもないけれど。それがいいなら、きっと、暖かい】

――――――――うん、

【何度も何度も呼ばれた少女は小さく応えた、にっこり笑ったのかもしれないし、ちょっと困ったようだったかもしれないし、でも、多分、嫌な顔はしないと思う】
【どうだろう。彼が望んだなら、憤怒の表情にだってなってしまうんだけれど。ざわざわと蠢く蛇の感覚が彼の身体にいくつも触れる、そうだよ、って、語り掛けるように】
【彼が教えてくれたから――今ならちゃんとわかるよ、って、言うみたいに。けれどそれがずうっと続いたままであるという確証までもは、抱けない】

【神様としての少女にはきっと今でも全く違う神への信仰がいっしょくたに注がれている。そうして出来上がる神様は何なんだろう、本当に、この少女のままだろうか】
【ならば"今できる"一番いいことって、もしかしたら、"それ"なのかもしれなかった。何度も何度も名前を呼んでやって、自分が、何かって、意識させ続ける】
【まして彼女はこの場所から世界に呼びかけていた。なら。――本当に全部全部諦めちゃったわけでは、ないのかもしれない、って思わせて】

………………………………セリーナ、

【――祈るように頭を垂れた彼を前に、少女は、ふつ、と。呟いた、そうしながら手は滑るように動く、泣いてしまいそうな彼を、よいしょ、って、抱き留めるみたいに】
【胸元に――といってもやっぱり蛇なんだけど――彼の頭を抱き寄せようとする。仕草はさっきと似ていて、だけど、今度は、記憶の共有は起こらないから】

……セリーナ、セリーナ――、……そう、だった、わたし、……セリーナ、助けに、いかなくちゃ……。
夕月ちゃんに……、……落書き、ばっかりで、ごめんねって、――、……――カニバディール、と、お話、しなくちゃ、――、

………………――今日は何日? 

【そうしたなら/そうできなくても――少女はぽつぽつ、と、呟く。それは久方ぶりにありふれた世界を、人間の世界を、思い出すような、もので】
【ならばそれは神様じゃない、それを知らなかった、白神鈴音みたいな言葉たちだった。セリーナを助けに行かなくっちゃ、――あの後に、そのこと、知ったんだろうか】
【レシピが落書きだらけだったのも、思い出したみたいだった。夕月に愚痴の一つでも言われてるだろうか、そうじゃなかったら、意味わかんないかもしれないけど】
【カニバディールと――――それについては、きっとオムレツにも、夕月にも、分からない。……それで、尋ねた、今はいつの、何日かって】

/↓


186 : 名無しさん :2018/05/25(金) 22:45:37 MrCbc3r20
>>185

【――――不安そうな顔を、していた。それは彼の願望には関係なく。どうしようって思ってしまったみたいに――ふっと気づいたなら、少女の形が、きちんと、ある】
【ひどく華奢な手は蛇より太いけれどそれだって折れてしまいそう、抱き寄せた胸元はどうしようもないくらいに平坦で、むしろ、骨のほうが標高が高い気すらする】
【ぺったんこのおなか、くっついたなら、腰骨がぐっと浮いているのが感じとれて、足――細い脚がもぞもぞ、って、不安そうに、こすれる】

――――でも、ぁう、……わたし、かえれな、――、かみさま、だから、……できない、…………かみさま、だった、から……。

【あるいは。それも願われたからかも、しれなかった。帰ってくるように。戻ってくるように。蛇の胎の中の、あの時から。何度も、何度も、願われたから】
【帰らなくっちゃいけない――って気になる。なるけど。どうしようもなかった。信仰されたことのない神様はすでに存在としてぼろぼろで、憑いていた身体も、持ち去られて】
【こうやって夢の中で、自分を知っているひとから、自分の欠片を集めている。――なら身体を持ってきたらいい、って、思うかもしれないけど。それだけの力すら、ない】

……――しあわせ、だった、よ、

【信仰の全くない今の彼女では現世に関わることが出来ない。かといって――今まさに彼女が注がれているのは、正しく信仰なんだけれど、別の神様と同一視をされている】
【"神様"として、それは問題ないだろう。だけど。白神鈴音っていう存在を、その人格を、望むなら。――それこそ誰かがうんとうんと名前を呼んであげる、くらいしか、今は】

【「うそじゃないよ」】
【「でも」】

【( ――――――――――――まちがいだった、と、口が動いた。神様っていう種族は、どうしても、その執着から、離れることを赦しては、くれなくて)】


187 : ◆S6ROLCWdjI :2018/05/25(金) 23:34:14 WMHqDivw0
>>185-186

【――――濡れる感触が、蛇には伝わるものだろうか】
【抱き締められた胸元に、決壊して堪えきれなくなった涙がこぼれ落ちていく】
【男だから。泣くのはカッコ悪いから。だからずっと堪えていて、でもやっぱ、だめだった】
【だっせえ。小さな小さな声で――毒づくだろう、自分に対して】

……、……今日、は、5月の――おわりごろ。もうすぐ夏だよ、
……夕月はきっと何してもぶーたれるようなヤツだから、謝んなくてイイ。

セリーナ、……うん、どうせ……仲直りできてないんでしょ?
たすけ、なくちゃ……いけないような、状況にあるんだネ、あのヒト。
カニ、……カニバ。カーニバル? ……知らねーヒトだ、仲良し?

【ぽつ、ぽつ、と。少女の服の、胸元の布地に吸い込ませるように、言葉を零していく】
【こんな状況で。その内容はいたって日常的な、……間抜けなモノだった。何度かそんなやりとりをしてから】
【ふ、と顔を上げる。眼のふちと、鼻が赤くなっていて――でも涙は止まっていた。気合で止めた】

【――――は、と息を呑む。ニンゲンみたいな表情をしているのを、この日初めて、見たから】

……う、ん。今すぐ帰って来いとか、……言えねーっつか、……おれらのせいで帰れねーんだよ、ネ。
ごめんネ、……ありがとう、お願い、聞いてくれて。それ、言ってくれただけで、おれ、……今日のところは。
だいぶ安心した、……うそ、まだめっちゃ不安だわ。……ね、ねえ、鈴音ちゃん、

【「またさ、……『またね』って、言っていい?」】

【これもお願いごとに分類されるだろうか。再会を請うときの、別れの挨拶を選んでいいかって】
【卑怯な聞き方をする。思えばいつもこの男はこうだった、好き放題人の心を荒らして、悪びれもしない】
【悪い男だ。そんなヤツの言うことなんか、聞かなくたっていいって思っても無理はないけど】

【「またね」の挨拶は、この間もしたばっかりのことだった。だからまた、許してくれないかって、訊くのだ】


188 : 名無しさん :2018/05/26(土) 00:04:04 MrCbc3r20
>>187

【泣いちゃだめ、なんて、言うひとは居なかった。男だからとか、格好悪いからとか、そういうの、きっと彼女は気にしないし】
【――今の彼になら分かるだろう。この少女自身、すっごい、すっごい、すーっごい、泣き虫で、本当はいっぱいいっぱい、泣くのを我慢している】

【泣いちゃ駄目だ、と、自分に課した。"たんぽぽ"を始めるって、決めたときに】
【泣いて滲んだ光景の中では、誰かが助けを求めているところ、見逃してしまうかも、しれないから】
【泣いて拭ったびちゃびちゃの手じゃ伸ばしてくれた誰かの手を、するん、って、取り落としてしまうかもしれないから】
【――だから、泣かない。だけど。泣いてしまう誰かを咎めるなんてことは、しない、するはずない、ずーっと、ずっと、泣いてきたから】

【泣いている背中を子供にするみたいにぽんぽんってあやす、とんとん、ぽんぽん、――あさつゆを抱えた葉っぱを叩いてつゆを落とすみたいに、もっと泣いちゃえ、っていうみたいに】
【自分のせいかな、って、思った。他人事みたいな温度感で。だけどそれはなんでか無償に居心地が悪くって――どうしたら笑ってくれるかな、って、思った」

【――五月の終わりごろ。「たんぽぽは?」って、聞くことはできない。全部いきなり押し付けてしまった。それもそうだけど。子供たちは元気だろうか、まだ生きているのか】
【夕月には謝らなくっていいらしい。けどよく分かんないって顔をした。セリーナについては、ぽつん、と、レヴォルツィオーン、だなんて、呟いたけど】
【あんまりに不快そうな顔をした。カニバディールについては、――ふるふるって首を揺らす。仲良しでは、ない。ひどく不穏な意味合いで特別な人間、ではあるけど】

【彼らのせいじゃない、って、言ってあげたかった。けど。言えなかった。ご神体である桜の木の中に依り代である身体を隠して、身体の中には、核が隠れていた】
【ぜーんぶ持ってかれちゃったなら、今ここにあるのは、ほんのちょっとの小さな部分。イルによって蛇だと定義された、白神鈴音って少女の、ごく一部】

オムレツ、……さん、……いいよ、って、言ったら、……危ないお仕事、やめて、くれる?

【――――だけど願われたから。小さな蛇の神様はいつかの少女のように振る舞う。そうしたなら、"あの子"は自分が神様だって、ずうっと、知らなかったから】
【叶えるっていうより、これじゃあ、交換条件。こうかんこしようっていう、――それで、】

――――それで、一緒に、…………………………――――――、

【――それは希望、かもしれなかった。だけど。限りなく、呪いでもあった。「またね」の向こう側のこと、"いつか"、そのとき】
【来るかも分からないときを、思い浮かべて。――誰の願望なのかは、分からなかった。分からないけど。彼女は、確かに、】

【(たんぽぽ、してくれる?)】


189 : ◆S6ROLCWdjI :2018/05/26(土) 00:19:53 WMHqDivw0
>>188

【背中を叩かれると、詰まっていたぶんの涙がぽろっと零れるみたいに】
【カタマリめいて落ちてきて、それでまた、胸元を濡らす。……きっとそれで打ち止め】
【もういい歳した大人だから、涙の容量がそもそも少ないのだ。外見よりずっと長く生きてる、この男は】

【ひとつひとつ反応してくれるのを、周りが赤くなった黄色い目で見て――うん、と】
【頷いた、例の社名でいやそうな顔をするのも、まあわからなくもない。「彼」がそこにいるのを知っている】
【「そう、教えてくれて、ありがと」――ようやく落ち着いたみたいに目を細めてから、――――】

【――――、……危ないお仕事は、しているっていうか、やらされていることだったから】
【これから先、絶対しないなんて確約できない。骨の髄まで刻まれた所有痕が、「あの女」のために働くことを】
【無理矢理にでも命じてくるから、……それでも。あのときはそれでも、「あの女」に反抗したんだった】
【その結果、ひどい目に遭わされたけど――――でも。】


…………そうネ、やってあげようか。夕月だけじゃ不安だし、……知ってる?
アイツピーラーなしじゃ野菜の皮剥けねーの。やべーよ、めっちゃ危なっかしい、……はは、

【それを受けることでこのコが帰ってくるんなら。惜しくはない、そう思える、心の底から】
【今はきっとこう言ったらウソになる。それでもそのうち、それを本当のことにしてやろうって】
【思えた。初めてのことだった。文字通り死人として、あの女に付き従い続けた男が、初めてそう思った】

……んー、そんだけじゃまだ足んねーかな。けっこーすげーお願い事してるもんネ。
これじゃあ釣り合わねー気がするし、あとひとつ約束事してあげるよ、

【「おれの本当の名前教えたげる。帰ってきたら、……オムレツじゃないヤツ、鈴音ちゃんだけにネ」】

【人差し指を唇の前に当てて、内緒、のポーズ。あるいは、もうひとつおまけしてあげる、のポーズだった】


190 : 名無しさん :2018/05/26(土) 00:39:45 MrCbc3r20
>>189

【――――――それなら、って、思えた。全部放り出してきてしまったはずなのに、それを条件にしようとするなんて、とんでもなく、ずるいんだけれど】
【祟る神様としての彼女の執着が"間違い"だったなら。祟らない神様としての彼女の執着は、多分、"子供たち"とか"たんぽぽ"なんだと、思わせた】
【くすくす、って、小さな笑い声がした――聞き間違いじゃ、なかった。夕月のことを聞いて笑っていた、だけど。馬鹿にするんじゃなくて】

【――なら、早く、戻らないと、って、思うみたいに】

【(だけど、まだ、戻れない。結局どうあれ、彼女はここから動けない。いろんなこと、不穏な要素ばっかり、ぴかぴか、って、星座みたいに)】
【(それが一つずつ繋がっていったなら――きっと形を成してしまいそうだった。それがどんな形なのかは分からないけれど。ヒント、は、きっと、あったから)】
【(いろんな名前を彼女は挙げていた。自分に混ぜ込まれる神様たちの名前。自分が、今、なんて呼ばれているのか。――違うって思いながら拒めないなら、彼らにしかできない)】

…………――ほんと?

【――笑った顔。さっきの深層心理まで食い込んで理想を反映する神様としてじゃない、もっと、単なる少女が浮かべるような、見てくれによく似合う、笑顔だった】
【血みどろさえ腐り果てた汚泥から咲いた、桜の花。そんな風な笑顔、――楽しみにしてる、みたいに、また、小さな笑い声】

【――――――ちりちり、って、世界が小さくよじれるような、音を立てた。ならば気づくかもしれない、これは夢の中、なら、目覚めてしまうのが、近いって】
【うんとちっぽけな神様は意識が無防備になる眠りの隙間に自分を差し込んで話しかけていたから。眠りが覚めるときがお別れのとき、ぱちり、と、瞬きが一つ】

――――、

【ふわり、と、彼から手を離す。これで掴んでいたら、多分、自分をいっぱい認識してくれている彼を、神様の自分は、離せなくなってしまうから】
【彼が朝を迎えるんだって気づいて――だからここでお終い。おしまいに、する。おしまいにしよう。だから――彼のするべきは簡単、この場所を、出ていきたいって思えば】

【――この神様はきっとそれも叶えてしまうから】


191 : ◆S6ROLCWdjI :2018/05/26(土) 01:01:38 WMHqDivw0
>>190

ほんとほんとー。こーいうさあ、マジメなハナシしてっときにオムレツって呼ばれんの
だいぶ間抜けだナーって。今更気付いたワケ、だから、……ってわけでもないけど。
教えるよ、おれの名前……まあ楽しみにしててよ、……って。ハードル上げすぎたわ。

【「べつにそんな、変わった名前でもなんでもねーし」――そう言いながら頬を掻いて】
【ちょっとだけそわそわしているみたいに、気恥ずかしそうに笑った。それから、朝焼けの音を聞く】
【自分の身体が揺れている感覚を、ふと、覚えた。きっと現実の世界で揺さぶられている、たぶん妹に】

それじゃあ、……鈴音ちゃん、――――またネ。

【別れの挨拶。結局それを選んだ、……交換条件を出してやったんだから負い目はない】
【自信たっぷりにそう言ってから、ひらっと手を振って――一回目を閉じる。数秒置いてから、また、開いて】


【――――――】


「……、……ねえ、ねえったら! 起きて、起きて、起き……あっ起きた。……よかったあ、
 大丈夫? あんたすっごい魘されてたんですけど。汗もヤバいし、シャワー浴びてきなよ。
 ……夢見、悪かった? ねえあのさ、今日はあたしがソファーで寝るからさ。あんたベッドで」

……、……夢見は上々だわ、心配すんなって。……シャワーの前にアレ、アレだわ、
メモ。ホテルだからメモ帳置いてあるっしょどっかに、……持ってきて、ペンも一緒に。
……スマホでもいーや、とにかくなんか書けるモン持ってきて、……早く、忘れないうちに!

「え? ええ、何いきなり……いきなりそういうこと言い出すの、キモい……」

【ソファーに座って遠慮なしに肩を揺さぶっていたのは案の定、妹だった。じいと覗き込んでくるのを見返して】
【片手で、取って来いのジェスチャー。起き上がるにはまだしんどい。でも、やらなきゃいけないことがある】

【……この空間にはもう一人、未だ起きない姫君がベッドに横になっていた。それをちらり、見て――ぐ、と唇を引き結ぶ】
【そして。ぶーたれた顔した妹が、なんだかんだ言う通りにメモ帳を持ってきたら、それにさらさら、文字を書き始める】
【聞き慣れない、蛇の神様の名前をいくつもいくつも。スペルミスもいくつも。それでも絶対、……忘れてやれなかった、約束、したから】


//ここらへんで大丈夫でしょうか。長い間、お付き合いいただきありがとうございました!


192 : 兼愛 信生(けんあい のぶき) ◆xgsUYuhzWc :2018/05/26(土) 01:10:13 Lxd3YeZA0
>>182

【信生が去った後なので、一度、ポップ君の描写に移る──】
【彼、と断定するならば、それを問いかけられると、モニターにある星の目が】
【急にパッと二重丸に切り替わり、】

【( ◎ )】
【ピンポンピンポン、という、まるでクイズ番組のような音がポップ君から響く】
【龍鬼の問いかけに、「あの人はアホだししごく大変」と答えたかのようだ】
【発話する機能はなくとも、ある程度会話は可能らしく】

【(♡


193 : 兼愛 信生(けんあい のぶき) ◆xgsUYuhzWc :2018/05/26(土) 01:11:19 Lxd3YeZA0
>>182
【信生が去った後なので、一度、ポップ君の描写に移る──】
【彼、と断定するならば、それを問いかけられると、モニターにある星の目が】
【急にパッと二重丸に切り替わり、】

【( ◎ )】
【ピンポンピンポン、という、まるでクイズ番組のような音がポップ君から響く】
【龍鬼の問いかけに、「あの人はアホだししごく大変」と答えたかのようだ】
【発話する機能はなくとも、ある程度会話は可能らしく】

【(♡


194 : 兼愛 信生(けんあい のぶき) ◆xgsUYuhzWc :2018/05/26(土) 01:14:10 Lxd3YeZA0
>>182

【信生が去った後なので、一度、ポップ君の描写に移る──】
【彼、と断定するならば、それを問いかけられると、モニターにある星の目が】
【急にパッと二重丸に切り替わり、】

【〝( ◎ )〟】
【ピンポンピンポン、という、まるでクイズ番組のような音がポップ君から響く】
【龍鬼の問いかけに、「あの人はアホだししごく大変」と答えたかのようだ】
【発話する機能はなくとも、ある程度会話は可能らしく】

【〝(♡ ♡)〟】
【そのあと浮かべた目には、ハートマーク。「それでも大好きなハカセ」だけども、言わんばかりの】
【そのあと彼らに右手で指を指して、ハートが点滅したために、「あなたたちもね」と】
【そのような、記号のコミュニケーション】

【〝(THANKS)〟】
【そのあと、彼らに向けてお礼の単語。待っててくれて「ありがとう」といったもの】
【曖昧なニュアンスながらも、彼は再び星の目になると、ぱちくりと】
【彼らが彼女と仲良くしてくれたことは、ポップ君はとても嬉しかったようだ】

──ぉぉおおーーい!!
おーい!みんなー!!

【と、そのタイミングで、戻ってきたらしく】
【ねじ屋らしい黒い袋。近くの店で買ってきたらしい食べ物が入ってそうな白い袋を、それぞれ両手に持って】
【ニコニコしながら走ってきた。やはり、とても遅いが】
【到着するなり、背中を丸めて呼吸を荒げて俯いている】

ハアッハアッコい゛ハーッハーゲッホま゛……エ゛ッ……よ゛オ゛ッエ゛……ウオ゛ェ……

【着くなり息を整え、むしろゼーゼーヒューヒューしすぎていて何言ってるか分からない】
【それから急いで二人に、満面の笑みでそれらを差し出すだろう】

ハアッ、ハアエホ……さあ、受け取りたまえ!労働の対価にはいつだって報酬だ!
そう!キミたちはワタシが信じた通り、ちゃんと待っていてくれた!
安物だが、存分にアフタヌーンティーのお供にするといい!

【胸に手を当て大言壮語するも、もちろん中は約束通りの、ジュース。缶チューハイ、安っぽいチョコ菓子、スナック菓子だとか】
【しかし、気持ち多めではある。おおよそ第世界で千円分以上は買ったのではないだろうか】
【あまり重くなっても、おそらくだが龍鬼ちゃんの荷物になってしまうので、量は控えた】

ふふふ、いやしかし、リュウキちゃんのほっぺたはとてもやらかかった。
まるでおもちみたいだったぞ。
もはやキミはリュウキちゃんではなく、もちキちゃんだな。

【また訳の分からない事をいい、満足げにニコニコと頷いている】
【龍鬼が慣れているとはいえ、あまりにも扱いがずさん過ぎてひどい】
【そうして彼らに向けて蛍光グリーンの目線を向けると、両腕を前に出して、まるで彼らを称えるように】

そうだな──ソウジさん、キミは善人じゃないけど、なんて言ったけどだな。
大げさだが、やっぱり──ワタシは、ヒトは信じたい!
悪いヒトがいても、そう、キミたちみたいなヒトに会える!
だから、たくさんキミたちに幸せをあげたいなと思う!──コレは、〝アイ〟だ!

少なくとも、キミたちに会えてほんっ……とうに、ワタシは幸せだったよ!嬉しかった!
キミたちをこれからも信じるし、ありがとうってたくさん言いたい!

【──なんとも、少し大げさすぎるような】
【ともあれ、彼女は彼らが大好きであることを笑いながら伝えると】
【スマートフォンが入っていた胸ポケットから、一枚ピ、と紙を出す】

あれだ!ワタシの研究所への住所と、連絡先だ!
名刺というやつだな。
どうぞ、ワタシが知らないところでビジネスシーンに使いたまえ!ヒトの名刺を!

【と、またもアホみたいな事を言っていた。──そこに記されているのは】
【兼愛研究所 水の国××ーTEL×××ー××××ー×××× メール×××@××××】
【と、むろん、彼女の連絡先の情報だった】

困ったコトがあったら、遠慮なく相談してくれたまえ!
ワタシはキミたちに協力出来るのなら、喜んでロボットなりミサイルなんでも作ろう!
──ただし、悪いコトには使っちゃダメだぞ!

【物騒な単語の矛盾。びし、と指をさしてアーユーオーケー?の合図】
【そして彼らに向けて最後に微笑みかけると──やや、瞼をおとす】
【彼らは優しく、慈愛に満ちていた。……本来ならば、そろそろ別れの時なのだろう、それが少し名残惜しいのか】
【あからさまにしょげてはいたが】


195 : 兼愛 信生(けんあい のぶき) ◆xgsUYuhzWc :2018/05/26(土) 01:15:33 Lxd3YeZA0
>>192
>>193はミスです すみません


196 : ◆ROhV0jlpGg :2018/05/26(土) 01:15:51 qpY1SMsA0
>>前931、院長の方へ


…………八つ当たりでも何でも結構だが。

【これだけは言っておく、と前置きして、女は振り返った】

自らが“弱者”であると、そういう自覚があるのならば。尚更、振る舞いには気を付けることだな。
―――後先も考えずに暴れ、却って立場を悪くするような輩の面倒など、いちいち見ていてはキリがない。

何かを変えたいと思うのならば、まずは如何なる時も理性的であれ。そして変化を待つのではなく、自ら動け。
そういう人間には自ずと人が着いてくる。だが、“弱者”の立場に甘んじる人間の味方をする道理は無い。

【最後に、『私はそういう人間だ』と付け足して、言葉を締め括る。】
【それから、吐息を一つ。腕に嵌めた時計を一瞥したなら、また歩き始めようとして、もう一度だけ口を開いた】

―――もう一度言っておく。
貴様が獣ではなく、理性ある人間でいたいのならば――――規律には従え。




/度々お待たせしまして申し訳ない……


197 : 名無しさん :2018/05/26(土) 01:18:53 MrCbc3r20
>>191

【ころころころ、って、笑い声。こんな場所でそんなこと言っている彼がなんだかおもしろかった、だってここは、……祟り神の支配する、場所なのに】
【多分、知ろうと思えば、出来たと思う。けど、しなかった。――それは約束を楽しみにしているみたいに、だから、お別れの言葉は、決まっていて】

…………――うん、またね、

【――ひどい、ひどく、平和な声だった。それで――――――目を開けたなら、世界は、ちゃんと世界の形をしている】
【世界を形作ることもできないちっちゃな神様の場所じゃなくて。色彩と温度と匂い、……とにかくいろいろなものに溢れた、世界で、彼は目覚めて】

【――――ベッドの上の"彼女"は、目覚めない。もし医者に連れてったとしても、なんで、こうなってるのか分かんない、って、お手上げするだろう】
【この少女は今生きていない。だけど、死んでない。――そうやって答えるしかない状態だから。呼吸もない、体温もない、だけど、死んでない。ひどく、変な状態】
【どこかをわざと傷つけたなら血が出て。放っておいたら血が止まって、気づいたら、治っている。よく分かんない――けど。気にするだけ、無駄だと思う】

【あるいは。その少女の身体――真っ新に裸体まで、剥いたなら。そこに刻まれている魔術式、ぞろぞろって、蛇の這うように、無数に、幾重にも】
【一つ。魔力を作り出す。二つ。その魔力を用いて、身体を維持、修復する。三つ。その魔力を用いて、これらの魔術を維持する。――そういう魔術式が、刻まれていて】
【"それ"が、この、生きていないけれど死んでいない状態の、正体だった。内臓がえぐれて頭が爆ぜても生きてしまうほどに強い強い、呪い――"彼"が記憶越しに体験した、呪い】

【それはたとえ"中身"みたいなものが抜けてしまっても、律儀に、律儀に、身体を維持して。――絶対に彼女が死ぬことを、赦して、くれないんだから】

【――――――――はらり、と、少女の形が崩れる。真っ暗な世界で、棺桶の中に、ぞろぞろ、って、無数の蛇が満ちる】
【外の世界のことを思い出してみる。思い出せる。――よかったって安堵する、まだ自分はちゃんと自分だ、って、思い返して】

【滴り落ちて来る信仰の雫、餓えた存在を、潤しながら】

/おつかれさまでした!


198 : 厳島の中 ◆zlCN2ONzFo :2018/05/26(土) 02:14:32 6.kk0qdE0
>>194

「あら?なるほどね……中々愛嬌のある子じゃない」
「お話し、出来るです?」
「あの子が言った心、ちゃんと備わってるじゃない……」
「ポップ君は、断じて苦労してる?でも嫌いじゃない?」

【言葉の無い会話だが、確かに成立していた】
【それはれっきとした、心、感情に他ならず】
【確かに二人に伝わって居た】

「全く、あの子とポップ君、いえ、人間とロボットはここまで心を繋げられるのに、人間と人間はどうして争う事ばかりするのか、あんた解る?」

【ポップ君の金属のボディを撫でながら、そう少し寂し気に尋ねてみた】
【やがて】
「あら、戻ってこれたわね……ん?」
「あんた、まさか、これ?くれるの?」
「むう……龍鬼は断じて、御餅じゃないです?」
「……あんたの方がよっぽど善人じゃない……いいわ、ありがたく頂戴するわよ」
「お酒も、あるです?」

【そう言って、宗司は笑みを浮かべてそのプレゼントを受け取った】
【どうにも、変わり者の女性だが、よっぽど善人で、人がいいのだろう】
【裏表のない、純粋な人間なのだろう、極めて好感の持てる女性】
【それをもって、人は魅力とも、そして人柄とも言うのだろうか】

「……全く……私達も久しぶりに、こんな人間に会えて良かったわ」 
「探せばいるものね、でもね、世の中いい人ばかりじゃないわ、悪い人も同じ位いるの」
「だから、騙されちゃダメよ、そして、見失っちゃダメよ……色々ね」

【やがて、その名刺を受け取って】

「いいわ、でも貰ってばっかなのも悪いわ……これ、近くに来たら寄りなさい」
「御馳走してあげる」

【そう言って自分のポケットから、ショットバー『Cherry blossom』の地図と住所、番号の書かれた名刺を取り出して渡す】

「縁があれば、また会えるわ、世の中はね、そう言う風に出来ているの」
「それじゃ、龍鬼、行くわよ」
「うーん、バイバイです?」

【そう、兼愛信生とポップ君に別れを告げ】
【去って行くのだった】
【確かに変わり者だが不思議と、暖かい気持ちになれる】
【愛を伝える博士と、愛を知ったロボット】
【この世界に、それは、もしかしたら最も必要な物なのかもしれない】
【願わくば……】
【混乱の時代や、嘘と暴力の螺旋が、どうか貴女の未来へと影落とさぬように】

「(研究所ね、暇が出来たら行ってみようかしら……)」


//お疲れさまでした!
//お待たせしてすみませんでした!
//絡み、ありがとうございました!


199 : ◆KP.vGoiAyM :2018/05/26(土) 09:28:53 zxReOFhU0
>>183

【路地裏を置いて、タクシーは街中に混じっていく】
【追手はいるのだろうか?監視されているのだろうか。街中には様々な監視カメラが幾つもあり】
【パトロールの警察車両や自警団がいつもどおり居る。いつもどおりの筈なのに意識してしまうのは】

【追われているという認識が存在しているからだろう。我々が溶け込むように、奴らも溶け込んでいる】
【水面から顔を出した戦いの一部はまた水面下へと潜っている】

…ああなることは想定していた。路地裏で野良犬に噛みつかれるぐらいはな…
だが…あのイレギュラーは想定外だった。改めて礼を言わせてもらうよ

【彼はこの複雑に入り組んだ街の道をよく知っているのか、渋滞が起きがちなメインストリートと避けて、裏道を】
【ジグザグに曲がりながら車を走らせる。ひと目の避け方も知っているかのようだ】
【この男の目は、サングラスをかけていてもいろいろと良く“視えている”ようだ】

奴らはテクノドックス/TECHNO DOGS。オーウェル/ORWELLという企業の警備を担ってるグループ会社と言っているが実体は私兵みたいなもんだ
水の国の一連の“特区”の利権で警察に近い権限を得たもんだから、好き勝手やってやがる。治安維持とか言っているが
実体は汚れ仕事役だ。俺みたいな、反社会的な人間や反対派の連中を…殺す。

【探偵はまず先に後者の質問に答えた。オーウェルの私兵。汚れ仕事を行う、野良犬】
【ここでまた、“黒幕”に巡り合うような結果となってしまった】

【ウィンカーをあげ、ハンドルを切って、立体駐車場にタクシーを滑り込ませた】
【真っ暗な3Fへ、ヘッドライトを頼りに登っていく】

…それで、俺が何者かはさっき言ったとおりさ。しがない探偵で真実を……いや
愛するものの為に世界を変えたい、よくいる奴の一人さ


200 : 院長中身 ◆zO7JlnSovk :2018/05/26(土) 16:06:41 S/DUh6T.0
>>179

【絹糸の様に滑らかな貴女の柔肌、キメ細やかな布地に染み込む藍染の如く── 彼女の皮膚が吸い込まれていって】
【辿るのは貴女の真実、そこに描かれる景色は彼女には到底想像もつかない様な夢囃子】
【けれども写し鏡描く絵画の一葉にも似た、二人の情景はきっとあどけないから】


───……白桜はんがそう言わはるんやったら、うちには何も言えへんどす
せやからね、うちも感謝しなあかんな、白桜はんに会えたからこそうちもほっぺた突っつけるし
……まぁ、恥ずかしいのは恥ずかしいけど……白桜はんみたいな別嬪さんにつつかれるん、嬉しいさかいに

あ、── あかんかな? うちはそう思った事を素直に言ってるだけやけど
白桜はんみたいな照れ屋さんには少し刺激が強かったかな?


【そう言って彼女は不敵に笑った。悪戯っ子の様にそのほっぺたに童心を浮かべて、柑橘の如く爽やかに】
【貴女の幼さは大人びた雰囲気に反して、より一層可憐に映った。お淑やかな水仙が見せるあどけない蕾の様に】
【枝垂れる桜の花弁にも似た無邪気を、一つまた一つと重ねていく】


ふふ、存分に甘えはってええで、うちも大歓迎やから──
なんかな、白桜はんを見てると、うちに妹がおったらこんな感じやったんかなって
……もっと、お姉はんしてあげたら、良かったって、思わはって──


【頬を膨らませる貴女を見ながらそんな風に言った。どこか遠い目をしている】
【瞳の中に映るのは、幼き頃の情景か、或いは果てなき理想の世界】
【微睡みの中で見る白昼夢、音さえはっきりと感じる幻── 憂いを帯びた首筋に洛陽が差し込む】


201 : 院長中身 ◆zO7JlnSovk :2018/05/26(土) 16:18:04 S/DUh6T.0
>>180

【── ある種それは衝動に似ていた。止める気も止まる気も起きない、そんな感情の様に】
【故に彼女は溌剌としていて、それは宛ら、そうであることが基本である様に振る舞うから】
【向日葵が太陽の方向を向く様に、曇ることの無い笑顔を携えて】


──── そうですね、逮捕まではいかないですけど、あんまり良い目は向けられないですっ、世知辛いです
ふふーんっ、一つ賢くなりましたね! 鵺ちゃんいつも教えられる立場なので、教える事が出来てうれしーですよ!
他にも何でも答えますのでじゃんじゃん聞いてくださいね! スリーサイズとかはダメですけどっ

あらっ!? 鵺ちゃんのお名前認知されちゃってました!? それは少しおっかなびっくりですこと!
はい! そうですよ! 鵺ちゃんの超飛びっきりの能力です!
しーかーもっ! 忍術と組み合わせる事で百万馬力ですっ、おっかないですよ!


【楽しそうに彼女は笑って、飴細工の様にとろとろな言葉を流し込んでいく】
【糖衣につつまれた夢のように、飾る言葉の一つ一つが夢見心地にも負けない意味合いで】
【そうして彼女は貴女の傷をなぞる、労わるように優しく】


正義の使者! 聞きましたか!? 正義ですよ! 正義!! なんとまあかっこいい響きでしょう!
鵺ちゃんも正義大好きです、正しい事は素晴らしいです! ふーちゃんは凄いですっ
もう困った事があったらじゃんじゃん、どしどしお伝えします、返品はえぬじーですよ!

でーすーけーどっ! 正義の使者の前にふーちゃんは可愛い可愛い女の子ですから!
こーゆーケガするのダメですよ! お嫁に行けなくなっちゃいますから!
ふーちゃんの様な美人さんがお嫁に行けないだなんて世界の損失ですよ!! 世の中の男性諸君が大不幸全開になります!


【ふーちゃんとは渾名であろうか、何とも安直な付け方である】
【ピンと人差し指を伸ばしてダメですと注意する、じぃっとおっきな瞳が真っ直ぐ向いて】
【泳いだ目が、自分の所に戻ってくるのを待っていた】


202 : 院長中身 ◆zO7JlnSovk :2018/05/26(土) 16:29:01 S/DUh6T.0
>>196

【── 二の句が継げなかった、宙ぶらりんになった気持ちを何処に着地させようか迷って】
【理知的な貴女の言葉に圧倒されて。── もどかしい気持ちをどの様に処理すればいいか分からなくて】
【気が付けば身体が貴女を追っていた。一つに束ねた長い茶色の髪が風に靡いて】


──── 堪忍な、うちもつい頭に血が上ってはって、何か変になってはった
お姉はんの言わはる通りやわ、理性的に規律へ従う
あはは、どっちもうちには足りひんさかい── 耳が痛いのはほんまどす

せやけど動く事は得意やで、何でも思わはったら直ぐ実行するから
だから付いてきてしまわはった。お姉はんこっちに用事あらはるん?
良かったら途中まででも一緒に歩かはらへん?


【らしくないことはしたくなかった。── 自分は、そうきっと普通の自分ならこうしていた】
【珍しいタイプの相手である、だからこそ強く興味が湧いた。それならば止める道理はない】
【通い慣れた通学路を歩く様に、揃えた足取りで貴女の側に並ぶだろう】


……まぁ、お姉はんの言葉には納得しはるけど、こんな女の子捕まえて獣はちょっと酷くない?
自分でも花では無いのは分かっとるけども、獣言われたら流石にショックもあるし
── あーでも、お姉はんみたいな綺麗な人に仔猫ちゃんとか言われたらドキッとしはるかも……

あっ、ごめんな、うちばっか喋って── えっと
文月って言います、和泉 文月──


203 : ◆KWGiwP6EW2 :2018/05/26(土) 19:34:26 WMHqDivw0
>>201
【アクセル全開のテンション。とても真似出来るようなものではない】
【機関銃のように放たれるような言葉には圧倒される一方で、その内容を吟味するだけで精一杯だった】
【でも自分には直視し難い……自然と泳いだ目は合わずに、逸らされ、落ち着いた】

あ、忍術は能力じゃないんだ……でも、そっか、そんな強い能力なら心配要らないかもだけど。
鵺さんこそ、…その、女の子なんだから無茶しないようにね。
あなたみたいな子ならきっと泣いちゃうヒト、いっぱいいるよ。

【その自信たっぷりな様子もきっとブラフではないのだろう】
【だからきっと余計な心配に違いないが、するだけならタダだし】
【自分の手を包む体温と、初対面にも関わらず満面に善意をぶつけられているのが、訳もなく申し訳ない気持ちになる】

これ聞いてそーいう反応したのあなたが初めてよ。
大体噴き出すか、ヤバいもの見る目になるか、二択だったんだけど。
……忍者業界だと、良くいるのかな?正義の人。
えーと、忍者の職場ってどこだ?偉い人のお城とか忍者の里とか……?

【正義が大好きだ、と言うあなたの言葉には苦笑いのようなものを向ける】
【こんな真っ直ぐな子が在籍しているのなら、忍者の居場所とやらもそんな悪い場所ではないと思いたい】

ふーちゃんってひょっとして私のことか?
ケガは……気を付けるよ。嫁に行く予定とかはあんまりないけど。
それに美人とかは……褒めてくれるのは嬉しいけど、ちょい、恥ずかしいな。

【背景に花でも咲きそうな目の前の可憐な少女と比べられると、何とも気後れする】
【地味で、陰気臭い自覚は有ったから】
【男の趣味には敏くないけど、きっと鵺さんはモテるんだろうな、と漠然と思っていた】

【――閑話休題】

【魔法制とやらに関しては、良く分からないような顔になる。ピンと来ていないようだ】


……法律で、決まってるんだよね?
良い目で見られないようなくらいじゃ、抑止にならないと思うけど。
って言うかそんなの――


【能力を悪用する人間は止められなくて、善行をする能力者は減ってしまう】
【そんなの何も治安維持に貢献してない】
【水の国はそんな政策を進めているんだろうか?】
【少しだけ興味を持って、更に質問を続ける】

……具体的に、どういう法律で、何のために作られたの?


204 : 兼愛 信生(けんあい のぶき) ◆xgsUYuhzWc :2018/05/26(土) 20:37:51 Lxd3YeZA0
>>198

【──ポップ君はその問いかけに、胴体ごとやや傾いていて彼を見ていた】
【モニターの星が、まばたきするように点滅。どうやら逡巡しているらしく】

【〝( PERMISSION )〟】

【〝許容〟、と彼は述べた。ある程度の狭量ではなく、相手を受け止める懐の大きさが無いからだと】
【それは、あくまでポップ君自身が辿り着いた結論のため、例えば他のロボットはどうなのか】

【──賀茂と龍鬼は、優しい。彼ら自身が否定したとしても。──あなたたちは相手がどう考え、何を求めたとしても、】
【それをある程度、まずは立ち止まって〝きちんと聞いてくれる〟。それだけで本来は】
【〝誰にだって出来ること〟じゃあないのだ。もちろん、この女性が一回り変だったのはともかく、】
【己の時間を割いてでも、〝一度聞いてあげる〟。──それは、この世界で、ごく限られた人の出来ること】

【賀茂は慈悲を持って話を聞き、会話の中から信生の人柄を見出していた】
【龍鬼はそんな賀茂にずっと付いていて、色々なものに興味を持ち問いかけた】
【広い視野を持つ二人だからこそ、出来たこと】

うむ、ありがとう、……ワタシも、そこは重々承知はしているからな。
悪いやつは、スキだがスキじゃない。
ワタシのロボットプロジェクトの妨げにもなる。
ワタシも出来る限り、そういう存在とは戦いたいと思ってはいるし──。

否。でも、二人も気をつけるのだぞ!
ソウジさんは式神を使うのだ、こう、かっこよく勝つかもしれんが、
勝てないと分かったらすぐに逃げても良いのだからな!

リュウキちゃんは戦えぬのならすぐに逃げるように!──ワタシを呼んでもいいのだぞ!
例え風呂に入っていても、ハダカで家から飛び出してやる!
キミたちのピンチに〝駆けつけられなかった〟という事態に陥るのだけは、ワタシは何より耐え難い!

【と、述べて】
【彼らが最後まで彼女を気にかけてくれたことは──内心、とても嬉しかったから】
【だが彼らのピンチを〝助けられなかった〟〝知る手段を得なかった〟という事になれば、彼女は後悔する】
【エゴだが、〝駆けつけたのに間に合わなかった〟と後悔するよりもきついのだ】

おおなんと、ソウジさんからバーの話を受け取れるとは!
であればぜひ、ワタシもそちらにお酒をかっくらいに行こうではないか!
一番辛くなく苦くないので頼むぞ!泥酔して寝たら警察を呼んでくれ!

……〝Cherry blossom。〟。なるほど、
あちらの国の名花の名前か。
ワタシはまだ、櫻に行った事がないから、あちらで名物として見た事は無いが、
ニュースを見ると、うんと綺麗な花なのは知っているぞ。それこそ二人のような!

夜にぽつんと〝サクラ〟が光っているのは、なんとも如何し難い風情を感じるな。
コレはもはや情緒だぞ!情緒。早くどんな店か見に行きたいから、早く行こう!

【と、想像する。ネオンの中に佇む、彼の店の美しさ。きっと居るだけですごく楽しい】
【綺麗な店な気がしてならないがどのような路線の店なのだろうか。賀茂がカウンターで酒を選ぶのだろうか】
【龍鬼がカウンターから一生懸命ホールを走っているかもしれない。そんな姿を想像すると】
【二人への愛おしさは増して、思わず〝くすくす〟と笑みがこぼれた】

うむ!──縁はそうそうに切れないからな。
とはいえ、そう言ってくれるヒトは、この世界にごく少数しかいないのだ。
キミたちに会えた運命も、キミたちをダイスキになった理由も、
ワタシは大事にしたいし、絶対に消したくない!

だからワタシはキミたちに必ずまた会うと約束するぞ!
そう、次いで問いかけよう。キミたちも生きてくれ!

コレは〝ユビキリ〟だからな!

【と、右手で一人指切りをしたのちに──ばいばーい、と一生懸命手を振って見送る】
【彼女も〝Cherry blossom〟には行きたい。住所をしっかり見て、確認して】
【そこでは、他の式神も見れるのだろうか?そうそうに思いは止められない】
【ポップ君も彼らに手を振る。それから女性は、袋からネジを取り出すと、鼻歌まじりに取り付けにかかった】

/この三日間、とても楽しかったです!!
/ありがとうございました!


205 : 白桜 ◆D2zUq282Mc :2018/05/27(日) 00:04:14 JY1GydDk0
>>200


―――……うそつき。少し刺激が強いだなんて、そんな事……思ってないくせに。
そして、……意地悪。いじわる。解った上で人の悪い笑顔を浮かべてる。

これを…いじわると言わず何て言う。……私には"少々"刺激が強いと言うのも。
――…文月さんと、同じ気持ちだと言うのも……認める。認めるけど、……何だか、悔しい…です。


【ぎゃふんと言わせてやりたい。先程からずっと文月に主導権を握られて】
【お互いの親愛に起因するからかいの笑みと言葉を向けられて――少しだけ芽生える悔しさ】
【尤も。嬉しさと愛おしさが悔しさを遥かに上回っているけれど。それでも少しでも悔しそうな顔をさせたい】

【この時、白桜の大人びた雰囲気は何処かへ消え去って。少女と呼ぶに相応しい振る舞いへと変わる】
【不敵な笑みを浮かべる文月を、やや涙目気味の白桜が抗議交じりに柔らかく睨もうとした矢先――】

【白桜の瞳に映ったのは、情景と憧憬を見遣る黒曜石色の瞳であった】
【芸術と呼ばれる絵画の様に、目を奪われる程の淡さと儚さを滲ませる文月の姿に息を呑む】
【彼女の見遣る情景と憧憬その他諸々に、言葉を挟めない。高天原よりも高い敷居が存在する様な錯覚を抱いた】


―――……なら。私を妹の様に思うのなら。文月さんが……"お姉はん"してあげられる位に。
……甘える。思う存分……甘える。心の赴く儘に………甘える。――文月、…お姉はん。


【苦心して選んだ言葉には、悔しさが薄く滲んでいた。此処では無い何処かを見つめている事に対して】
【苦心して紡いだ言葉は、手探り。手探りの結果、拙い言葉を選ぶのだった――真摯な眼差しを携えて】


206 : 厳島の中 ◆zlCN2ONzFo :2018/05/27(日) 12:03:13 6.kk0qdE0
>>199

【街灯が一つ二つと一定のリズムで車内を照らして行く】
【緊張からは、まだ解放されるには早い】
【車窓から周囲に目配せを忘れずにいる、監視カメラ、自警団に通行人】
【誰もかれもが、こうなれば怪しく見えてくる】

「礼には及ばないさ」
「こちらも危なかった、お互い様と言うやつだ」

【ここで初めて静かな笑顔を見せつつ】
【道は非常に的確なルートを進んでいる物と思える】
【渋滞や検問と言った、車を停止しなければいけない状況を避けつつ】
【裏道を選んで進み、人目も避ける】
【その手腕に感心しつつ】

「テクノドックス……オーウェル、オーウェルだと!?」

【その名前は、良く知っている】
【まさに調べている最中の企業】
【そして協力者、黒野カンナが最後に残したメッセージ】

「特区の利権、と言う事は君は知っているのだな……」
「オーウェルが、特区の事象……黒幕と組んでいる事を」

【興奮にも似た緊迫の感情】
【これを何とか抑えつつ、そう訪ねる様に聞いて】

「ぞっとする話だな、私兵、暗殺集団、実行部隊……それがテクノドックス、奴らなのか」

【やがて車は街の立体駐車場へと入って行く】
【内部の灯りと、そして次に部分的な暗さ、駐車スペースの鉄骨の影が顔に落ち】
【やがて真っ暗な闇となる】

「世界を、愛する者の為に……」
「なるほど、君は十分に信頼に足る人物の様だ」
「櫻国魔導海軍、陸戦隊諜報部中尉厳島命、君の知っている情報が聞きたい」
「手を組ませてほしい、探偵殿」


【車が三階へ到達したらば、手を差し出しこう言うだろう】
【握手は絶対の信頼の証】
【駐車場の暗がりの中で、確かにそれは差し出される】


207 : ◆DqFTH.xnGs :2018/05/27(日) 13:34:23 mE4zXetk0
>>176
【元の鈴音。カミサマの鈴音。分かるのは、鈴音という名の存在がいくつかいるということで】
【細かいところはさっぱり見当がつかなかった。結局のところ、“現場”を見ていないから】
【想像を働かせることしかできない。それが歯痒くもあり、もどかしくもあったが】
【思考を切り替える。今は確実に、出来ることがある。ならば、考えるのは“過去にしなかった”ことではない】


…………鈴音をどうすりゃいいか、なんてあたしには分からねぇ
“カミサマ”とか、“元の”とかさ。見当のケの字もつきやしねぇ

でも…………それでも、目ぇ覚まさねぇ鈴音を安全なとこに連れてくことくらいは出来る
つっても、あたしが今住まわせてもらってるとこだけどな
ちょっとワケ有りな場所だからよぉ、そこがどこかってぇのまでは言えねぇけど────
それでもよけりゃ、ってぇとこだな…………

にしても────随分とカッコよくなっちまったじゃねぇか、なぁ?
まだあんた、自分だって大変な状態なんだろ?その感じ見るとよぉ
それなのに他のヤツを助けたいだなんて、中々言えることじゃねぇよ
くくっ…………もう“お人形ちゃん”とか“お嬢ちゃん”だなんて呼べねぇなぁ────“夕月”?


【そう夕月の名を呼んで、慰めるように頭を撫でようとする。よく頑張ったな、すげぇなと呟いて】
【それから、ポケットから魔石で出来た指輪を取り出して夕月に渡そうとするのだ】
【ミラの左手の薬指にはまっているものと同じ素材の指輪。「あたしに連絡するときはさ」】
【とんとんと自分の指輪を見せて小さく笑う。「これからは、それつけてメールなりしてくれよ」】


208 : ◆S6ROLCWdjI :2018/05/27(日) 15:41:36 WMHqDivw0
>>207

【「そっか。じゃあ悪いけど、そこに、……置かせてやって、って言い方もヘンだネ」】
【何が可笑しいのかよく分からないが、たぶん無理やりにでも笑って気分転換したかった】
【そんな調子で笑っていたら――ふと、頭を撫でられて。目を丸くした後……笑うのを、やめる】

……、……あのネ、鈴音。今よりちょっと前、イルのところにいた時。
ぐちゃぐちゃになってたの、知ってる? コドモみたいにわあわあ泣いて、ずっと泣いてて、
でもネ、そんななってても、さあ……ミラさんが、あたしのこと、心配してたって。
そのことだけは忘れてなかったの。だから、泣き顔で、ぐちゃぐちゃになりながら――言ったんだよ、

「なにか、困ってることがあるなら、わたしが」――――って。あんなにぐちゃぐちゃになってたのにっ、

――――あ、あたしのっ、イッポーテキな? 勝手な、鈴音への思い込みかもしれないけどさ!
あんなになってもまだあたしのこと――助けようとしてくれたの、鈴音、だからっ!
……そんな鈴音が、っ……コワい神様になって、ヒトを呪うところ、……、見たく、ないよぉ……っ

【触れられたら堪えきれなくなったみたいに、ぼろぼろ、涙を零し始める。袖でそれを拭いながら】
【「……だから、勝手に、頑張ってるだけ。すごくなんてないよ」と付け加えて、ぐっと目を瞑った】
【確かな感情がそこにあった。人形の顔じゃない、確かな心を持った、ヒトの顔がそこにあって】

【少しして、落ちついたら。指輪を渡されると、涙で塗れた目をぱちくりさせて。うん、と頷きつつも】
【「……これって、左手薬指につけないといけないヤツ?」なんて、訊いてくる】
【ミラが今どういう状況にあるのかまったく知らない。知らないくせに助けを出したんだった、こいつは】


209 : 院長中身 ◆zO7JlnSovk :2018/05/27(日) 16:56:28 XhR7wdR.0
>>203

【落ち着いた雰囲気の人だなーなんて、鵺は思って。纏う様相は低気圧みたいな陰鬱なものではなくて】
【心地よかった。それは彼女が底抜けに明るい性格をしていたからこそ。溢れんばかりの赤を受け止める補色の様に】
【静かな水面を思わせる貴女の側が鵺は気に入っていた。木陰で過ごす昼下がりの一時に似て】


でしたら、鵺ちゃんが危なくなったらふーちゃんに助けてもらいますっ、正義の使者さんですしっ
持ちつ持たれつと言いますか、一人じゃ上手くいかないことも二人だったら何とかなっちゃいます
えへへーっ、ふーちゃん照れてるーっ! 可愛いものは可愛いというのが私の主義です、ポリシーですね!

えーっ! 凄いことじゃないですか! 正義を貫くのってなっかなか大変なんですから!
そういう反応をする人なんて放っておきましょっ! ぷんぷんです!
── そして、いくらふーちゃんと言えど忍びの主は、そう易易と教える訳にはいきませんから


【ぷーっと頬を膨らませる。貴女の正義を揶揄する人々に対しての不満とか不平とかをそこに貯めて】
【一人でぷんすかと怒っていた。まるできっと、貴女が持った感情を代弁するように】
【そうして話は流転する、より一層深い奥底へと】


『魔制法』ですよ、惜しいです! あ、ふーちゃんっては漢字弱かったりします? 鵺ちゃんと一緒ですねっ
鵺ちゃんも良く漢字読めなかったり字間違えたりして、リーちゃんに口酸っぱくくどくど言われちゃって
── あっ、そうそう、そんな話じゃなかったですよね! えーっと、なんでしたっけ

んーっ、具体的にはと言われると、色々ありますね……一番は『特区』と呼ばれる場所じゃないでしょうか
『カミスシティ』って呼ばれる街で、試験的に能力が使えないもでるけーすをしてるみたいです
── 鵺ちゃんに分かるのは良からぬ企みってことぐらいです、困ったものです

……何のためって言われても── あー、どうでしょう


【最後口ごもる── 何かしらの知ってることがあって、それを躊躇ってる様に】


210 : 院長中身 ◆zO7JlnSovk :2018/05/27(日) 17:29:43 XhR7wdR.0
>>205

【色とりどりの花弁を手のひらサイズのキャンパスに敷き詰めたみたいに、華奢な体躯に一杯の感情を詰めた少女であった】
【白桜が見せるその千紫万紅。超一流の絵画は時間すらもその作品に閉じ込めると言うが、それ以上に】
【夢中で探す四つ葉の足取り、風に靡いてその残像が見えたなら、追いかける指先に迷いはなくて】


さぁどうやろ、白桜はんが言わはる程、うちは悪い人やないかもしれんし
そんな風に意地悪してるつもりもあらへんよ、ほんまほんま、思わはった通りの事しか言ってへんもん
── それで誑かされるって言わはるんやったら、白桜はんの方が誘ってはるんかも

うちはいつの間にか白桜はんの手の上にのって、あれよあれよって踊らされてるんかもな
ああ、可愛ええなぁとか、愛しいなぁって思わせる為の演技やったりするんやろうか
それやったら── お見事どす。ほんま見事に白桜はんの術中にはまってしまわはった


【そう言って彼女は照れた様に笑った。紡ぐ言葉に嘘はなくて、本心から貴女に対して好意を抱いている】
【見事な籠絡であった。大人びた雰囲気と相反する様な少女の仕草、世の男性が尻尾を振って靡くように】
【── だからこそ、貴女の言葉が、余計に、心の奥底まで染み込んで】


────……あかんよ、そんな風に言わはったら。本気にしてしまったらどうするん
そう、あかんよ。うちな、あかんから── そない言われたら……
……白桜はんは悪い人やな、もうこないして、うちの心を掴んでしまわはるんやから

白桜はんみたいな妹いはったら、うち際限なく甘やかしてしまわはるし……
── もぅ、ずるいわ、ほんまに……直視できへんやん……
…………もっかい、お姉はんって、言ってくれへん?


【シーツに朝日が差し込むように、白い頬に紅潮が満ちて── 耳まで真っ赤にして顔を逸らして】
【ぺたんとテーブルに突っ伏したなら、彼女は悶々と感情を揺らす】
【── そしてちょこっと、最後は小声で】


211 : ◆KWGiwP6EW2 :2018/05/27(日) 18:37:53 WMHqDivw0
>>209
【初見からあだ名をつけて顔が触れるほどに踏み込んで来るあなたに対して、少女からは『鵺さん』と距離を保っている】
【日頃パーソナルスペースに踏み込まれることなんてないので、おっかなびっくりなのだ】
【だからと言ってこの子の傍にいることが不愉快なのではなくて、ただ、不愉快さを与えていないかと神経を張っているように】

もちつもたれつ……ああ、うん。それでも良いの、かも。
私もそんなに自信が有る訳じゃないから……

【大見得を切ったところで出来ることは余りにも少ない。能力者でもない小悪党を小突いて回っているようでは】
【多分、きっと、目の前の少女の方が余程多くの体験をしているのだろうと思う。自信とはちょっと違う。修羅場を経験した人間が持つ特有の雰囲気を感じていた】

そんなこと言われても……そんな可愛い格好してる訳じゃないし……可愛いって言うのなら、あなたの方がよっぽど。うん。

【最後まで言うのは恥ずかしかったようで、言葉を濁した。仕事中でもきっちり可愛い格好しているのはすごいとは思う】
【対して自分は近所に散歩に出るくらいの格好だ。意識の差に愕然としていた】
【正義を揶揄することに憤慨しているのは如何にもこの子らしいと、会ったばかりなのにそう思う。でもそこは少し後ろめたくも有って】

あ、はは――まぁ、そうなんだろうね。
でも、良いんだ。私だって最初は笑っちゃったから……

【苦笑いのまま少しばかり申し訳なさそうに、あなたの言い分を聞いている】
【感情がくるくると良く変わって、見ていて飽きないけれど、振り落とされないようにするのが大変だ。自分は感情には愚鈍な方なのかも知れない】


ああ、『魔制法』ね。ごめんなさい、聞き慣れない言葉だったから。
リーちゃんって、お友達?

【頭の中で情報を修正する。出て来た名前も多分あだ名なんだろうと思う。リーちゃんとかふーちゃんとか、友達多いとあだ名被りそうだな、とかどうでも良い方向に逸れそうになる思考を、一旦抑える】
【カミスシティとか、特区とか言う名前も、今知った単語だが、話の腰を折りそうなので聞き流した】

能力を使えないモデルケースって言うと……どういうこと?
中に入ると能力が使えなくなっちゃうとか?

【そんなことが出来るなら、それはそれで良いのではないかと思う。少なくともそれが万全なら、人の法治が及ぶ世界となるだろう。……万全なら、だが】
【しかし、あなたの言葉尻から、そんな簡単な話ではないように感じて】


法律なんでしょ?でもロクに事情を知らない私でも、意味が良く分からない規制、納得できる人も少ないんじゃないの。
まぁ、政治的な理由とか、規制を強くできない事情とか、色々有るのかも知れないけど。

【能力を用いて悪事を働くこと自体は、どこの国だろうと違法だろう】
【法律による規制が、有って無いようなものなら、犯罪を抑制どころか、一般人と能力者の対立煽りにしかなっていない】
【言い難そうにしているあなたに向かって首を傾げて見せる。何か知っているような素振り、では有るけれど。忍者の仕事に関わることなら機密とか有るのだろうか?】


212 : 院長中身 ◆zO7JlnSovk :2018/05/27(日) 19:08:07 XhR7wdR.0
>>211

【じぃーっと鵺は双葉が話している間顔を見続けていて、その表情の移り変わりを見ていた】
【慎ましやかに咲く花に似て、簡素な中に確かな彩りを浮かべているのは確かだから】
【── もっとお洒落すればいいのになぁ、なんて思ったり思わなかったり】


でしたらしょーだんせいりつっ! ですねっ! 鵺ちゃんが窮地の時はびしーっと助けてくださいね!
ふーちゃんもピンチの時は大声で鵺ちゃん呼んでください、地球の裏側からでもぴゅーんと飛んできます!
鵺ちゃんも正義の味方ですしっ、遅れてやってきてもしゃーないで済ませてくださいなっ!

そりゃあ、鵺ちゃんが可愛くて、素敵で、人気者なのは知ってますし? もう言われ過ぎて飽き飽きしてますし?
えへへーっ、でもね、でも、ふーちゃんに言われるとうれしーな! もっかい可愛いって言ってー!
ふーちゃんも可愛いもんっ、だから、もっとこう可愛い格好したらいいのにー


【気を抜いたら話してる内容が休み時間の学生そのもので、へろへろとした言葉】
【ふわふわとろとろの音を奏でながら、彼女はのんびりと二人の時間を過ごして】
【── 双葉の言葉に少し悩んだ。彼女はあまり頭が良い方ではないから】


リーちゃんはお友達ですっ、とーっても賢いんですよ! 鵺ちゃん百人いても適わないですっ
── らしいんですけど、まだその辺は明らかにされてませんねっ、鵺ちゃんも知らないです
ただ、能力者を拒む様な仕組みになってるとは、聞いてるんですけど──

んー……なんと言いますか、能力者に対する風当たりがこの数ヶ月急に強くなったんですよね
それに呼応する様に能力者のテロとかが起こって、どんどん雰囲気が悪くなって
そしたらこの法案が出てきて── デモとかも起きたんですよ、能力者反対って


【くるくると指先で前髪を弄りながら、そう付け加えた】


213 : ◆KP.vGoiAyM :2018/05/27(日) 19:29:27 sJR5oWhg0
>>206

【車は立駐のあるフロアに停められる。こんな外れの深夜の立駐は台数も少ない】
【徐に探偵は車から降りた。ポケットから取り出した、赤マルに火をつけて】

…“ゴーストマン”がこの車を処分してくれる。それまで、待たなきゃならないから
話の続きをしよう。…ああ、ゴーストマンってのはいわば…掃除屋みたいなもんだ

【煙草を吸いながら、薄暗いコンクリートの固まりの中で、ヘッドライトの灯りだけつけて居た】
【錆びた匂いが何処かから漂う。フロアの柵越しに視える街はなんてことのない夜だ】

そういうアクションを取るなら…オーウェルの話を今更する必要はなさそうだな。
さすがは、諜報員様ってわけだ。

【男は鼻で笑ったように皮肉めいた言葉で話す】
【サングラスでかくした目は遠くを向いていたが、探偵は諜報員というものを良くは思っていない様子だ】

…オーウェル社はヘッドハンティングや強引な企業買収で様々な技術を吸収している
単なるITの大企業様ってわけじゃないのさ。おまけにテクノドックスを使って、産業スパイも平気でする
…この一件に至っては技術者の拉致までやってるのさ

知ってる?…知ってるも何も、俺は『第211号事件』…フルフェイスより前から追っていた
ずっと、ずっと前から。ほんの偶然で……まあ、そのときはこうなるとは思ってなかった

【探偵は知っている。多くはないかもしれないが、彼しか知りえない何かがあるかもしれない】
【多分、彼は“M”だ。その1人だ。厳島の持っているこれまでの情報や直感からそれは導き出されるかもしれない】

…櫻の国の軍人が…しかも諜報員が水の国の政治に…それがたとえ黒幕だったとしても
それは立派な内政干渉だ。もし、バレたらな。…単独で探ってる分は問題ないだろう。何処の国もやってることだがな
国外退去と非難声明。…いや、内々で処理される程度さ

だがな…俺と手を組むってことは反政府的な勢力に手を貸すと言っても過言じゃない
“アラビアのロレンス”じゃ済まないぜ。

【煙草を深く吸い込んでから探偵は淡々と話し始めた。そのサングラス越しの眼光は真っ直ぐ厳島に向けられている】

櫻の国の“能力者”の軍人が、テロリストと一緒に水の国の政府にテロ工作を画策。
…そんなニュースが流れたらどう思う?…世論感情は能力者にも櫻の国にもさらにマイナスだ
そうなったら…国はアンタを切り捨てるだろう。祖国を、失うことになる。

【軍人という肩書はアドバンテージでもあり、リスクでもあると彼は説明する。それに探偵の中では桜の国が政治的な思惑で】
【厳島を派遣しているのではないかという疑念があった。単純な正義と悪の構図でない中ですべてが疑心暗鬼に囲われているのだ】
【特に数少ない仲間が減っている中で、敵が増えつつあるそんな状況であるから】
【国なんてものを探偵はなんと意味もないと思っている。そんな意味のないものを守る、軍人というものを彼はよく理解できなかった】
【彼らの正義と自分の正義は別物何じゃないかと――この多角化した正義の乱立の世の中で改めて問う】

まあ、それぐらいのことは重々承知だろう。…色々と言わせてもらったが…否定するわけじゃないんだ
助けがいる。それは間違いないんだ…

【厳島の提案を彼は受け入れた。だが、その手は取らなかった】


214 : ◆KWGiwP6EW2 :2018/05/27(日) 20:10:57 hulaU69k0
>>212
いや、可愛い服とかは……興味ない訳じゃないけど……お金そんなないし、服屋の店員さん怖いし。
あんまり似合わないだろうなって…

【もごもごと定番の文句を口にしながら上目遣いに拗ねた顔をする】
【もっとも、どう着飾ったところで、目の前の少女のようにはなれないだろう】
【こればっかりはもう下地の問題だ】

い、イヤだよ、照れ臭い……言われなれてるんだったら良いでしょ。

【女学生の戯れのようなノリには……しかしてこの少女は全くの未体験】
【基本ボッチだった故にハウツーも理解できず、これで良いのか内心ハラハラしていた】

地球の裏側からでもって、頼もしいね。
って言うか、そこまで言い切れるのって、鵺さんはすごいわ。

【自身の容姿への言もそうだし、助けに来ると、言い張れることにも】
【仮に冗談半分だとしてもそこまで言い張れるのは、確かな強さにも思える】
【真似出来る気は到底しないけれど、どんなことを考えていれば、こう振る舞えるのかは、気になった】

能力者への風当たりが……?
うーん……まあ、能力持ってない人がズルいって思っちゃうのは、分かるけど。
さっき鵺さんも冗談っぽく言ってたけど……すごい努力して得た力を、ただそういう力を持ってるってだけで超えられたら、納得行かないだろうし。

【言葉にはしないがさっき殴り飛ばした大男だってあの体格になるにはそれなりに地道に鍛えたはずなのだ】
【なのに背丈半分の少女に殴り倒されてしまう、理不尽】
【何より単純に……気分次第で自分を殺せる相手と仲良くするのはとても難しいことだろう】

分かるけど、ちょっと落ち着かないね、そう言うの。
世論よりも、もっと上の方で流れが操作されてるみたいで。

【力有るマイノリティは迫害されるのが世の常だ】
【感想としては、良く数ヶ月前まで持ったな、と言うところだけど】
【今まで動かなかったものが急にバランスを崩したのなら、何かしらの思惑は必ず有るだろう】

……特区って言うところ、普通の人でも入れるのかな?

【だったら行ってみようか、なんて即席の考え】


215 : 院長中身 ◆zO7JlnSovk :2018/05/27(日) 20:37:32 XhR7wdR.0
>>214

【拗ねた様子の貴方を、彼女はにまにまと見つめていた】
【ちょこん、と横に座って、えいやと指先でほっぺたをつつこうとする】


ははーんっ、ふーちゃんってば服屋の店員さんのハイテンション付いてけない系女子ですね、さては!
そんな時こそ鵺ちゃんの出番ですよっ、ふーちゃんのピンチに颯爽と駆けつけ店員さんとの交渉も何のその!
十分後にはあら不思議! ふーちゃんの両手には抱えきらない程の服の山が!

似合わないなんて試さないとわかんないですよっ、美少女は美少女なりの格好をしなきゃ!
そーです、よく分かりましたね! 鵺ちゃんは凄いのです、偉いのです
ふっふー! ですので鵺ちゃんに任せていれば何も心配ありませんよ!


【秋風の様な爽やかな風音、微笑む姿に確かな強さを見せた】


あれま、ふーちゃんってば意外と大人ですね! 鵺ちゃんはそんな風に考えたこと全然なかったです
言われてみれば、不公平だなんて感じる人が居てもおかしくないですっ、すっごい能力とかありますしね
んま、だからといって他にわーってぶつける人の気持ちは全然わかんないですけど

── 上の方って言うのは、国の上って感じですか? それはそれは……なーんか凄い話になってきましたねっ
入れるみたいですけど、能力使ったらやばくなるらしいですよ、もうめっちゃわんさか! みたいな
……この辺りは実際に入った人とかなら分かるんでしょうけど


【ほっぺたをぷーっと膨らませて両手の上にちょこんと顎を置いて】


216 : ◆KWGiwP6EW2 :2018/05/27(日) 21:03:03 WMHqDivw0
>>215
ッ!だ、だからそういうのはビックリするから…!
一回行ったこと有るけど、良くわかんない服、たくさん買わされた……何か断りにくいのよ、アレ。
鵺さんは、店員さんとか怖くない方?話すコツとか、知ってる?
……って言うかその服フツーの服屋に売ってんの?

【頬をつつかれると人に慣れてない猫みたいにぐるん、と顔ごとあなたの方へ向けて。目を瞑って口を『〜』の字にしながら頬を撫でる】
【服屋についてはロクな思い出がないらしい。せっかく買った高い服はその後ロクに着る機会もなかったとか】
【無駄に頼り甲斐のある返答には、その内頼むかも、と後ろ向きな呟きを残した】

うん、凄いよ……ちなみに何と言われようと、私は美少女を自称は出来ないから。自称って言うか自傷になっちゃうから。

【この少女くらいの華やかさで有れば、そのフレーズも様になっているものの、自分でやるところは想像もできない】
【いや、理屈抜きで無理なもんは無理です】

ん、そうだね。でも、世の中、鵺さんみたいに考えられない人も多いから……

【全然分からない、と語る少女に曖昧に言葉を濁した。自分は、どちらかと言えば分かってしまうので、この話題は続けない方が良さそうだ】

何だろ……でも分かんないけど、普通の人を守るための法案とかじゃ、ない気がして……
国かどうかは……でも、政策とか作ってるならそうなのかな?
後は、えーと、悪の組織、とか……


【全然大人ではない台詞が出て来た。いや、しかし、この世界ではきっと笑えない話なんだろうけど】
【――思考を止める。馬鹿の考え何とやら。ここで問答しても仕方ない】

わんさかって、捕まえる人とかが……?
んー、いや、別に国の陰謀を暴こう!みたいなノリじゃなくて、ただの野次馬だから。
能力使わなければ捕まらないんだったら、逆に襲われる危険もそんな無いだろうし。


217 : 白桜 ◆D2zUq282Mc :2018/05/27(日) 21:32:10 JY1GydDk0
>>210


……絡め手とか、…演技なんて、大それた事は……出来ない。その心算も、…無い。
貴女と同じで……私も、思った事しか……、口にしていない。もし、そんな事を言うなら……
私も、同じ返しをする。……文月さんの、…"術中に嵌ってしまった"って。


【恐らくその口ぶりは、打ち解けあった者同士のものであるのだろう】
【だが、しかして。思わぬ反撃と連ねられた言葉を前に、照れた顔色が微かに曇る――言葉を間違えた、と】
【今まで口にしたのは自身の本当。在るべき形。己が内から生まれた本音。そこに、虚偽も嘘も無いのである】

―――……

【選んだ言葉は、果たして最適解だったのか。それとも悪手だったのか】
【白色の紙に赤色のペンキをブチ撒けたように、紅に染まる文月の顔。それが白桜から逸れて】
【紅潮した顔を見られたくなかったのか、テーブルに顔を伏せる姿が双眸に映る】

【その光景に白桜の胸に去来する思いは、後悔だろうか。罪悪感だろうか】
【どちらにせよ、文月の心象を害してしまったと思った。けれどそれは思い過ごしであった様で】
【白桜の耳は、消え入る様な小声で紡がれた想いを確りと捉えて。――心からの歓喜を浮かべた】


お姉はん―――文月……お姉はん。……もう一度、……だなんて遠慮は、……しなくても、良い。
何度だって、文月さんの事を……、お姉はんって呼ぶ。何度も、…何度も。……嫌って、……言うまで。


【求められた言葉を見繕い、望む形で口にする行為は間違いなく篭絡である】
【けれど白桜には篭絡する意図など無く。在るならば、心の底から文月を姉と呼びたいという純粋な想い】
【口にする言葉が消え入らぬように、文月の耳朶を震わせるように、透き通った声を通すのだった】


218 : 院長中身 ◆zO7JlnSovk :2018/05/27(日) 21:36:35 XhR7wdR.0
>>216

【鵺の目がぴかーんと光った。どうやら貴女の反応がお気に召したようで、えいや、ともっかい頬をつついてくる】


えーっ、怖くないですよっ! もーそれはそれは長々とお話します、一時間ぐらい? それで気づいたら何も買わず満足しちゃいますね!
店員さんの服可愛かったんですけど、実は働いてるお店のライバルブランドの服だった時は面白かったですよ!
おーっと、この服は鵺ちゃんの正装ですから! 里に居た頃に仕立ててもらったんです

このひらひらーって長い袂と、動きやすい短い裾がお気に入りなんですよっ! しかも可愛いときたもんですっ!
それじゃ私が推薦文書きますよっ! 私が愛情持って育てました、みたいな!
美少女牧場から出荷しましたー! とまあそんなテンションで!


【── 因みに彼女の装束は白である、闇に隠れる忍びとは思えない派手さ】


……悪の組織、ですか── 可能性としては一番高いですね
カノッサ機関、そのエージェントであれば、政策の一つや二つドンとこいでしょうし……

なんか、人とか機械とかが雪崩のように襲ってくるって聞きましたっ、怖いですっ!
……それはそーですけど、心配は心配ですよ、能力者云々関係なく
きな臭いったらありゃしません、関わらない方が吉ですよ、吉!


【鵺にしてはやけに強固に反対してくる。── 忍びの仕事に関わってくる案件であろうか】


219 : 厳島の中 ◆zlCN2ONzFo :2018/05/27(日) 21:37:44 6.kk0qdE0
>>213

「ゴーストマン?なるほど有能な協力者か、頼もしい」

【そう答えつつ、探偵に合わせて車から降りた】
【彼の呼吸に合わせ、その点火した火種が煌々と赤く、暗闇の駐車場ではより目立ち】
【やがて紫煙を纏いながら、ヘッドライトの影になる探偵は、狂おしいほどにこの状況に似合っていた】
【この場には鉄と煙草と排気ガスの臭いだけだ】

「これも仕事でね、色々と『嗅ぎまわらせて』貰った、だが、まだだ、まだ足りない……」

【探偵の皮肉には、こちらも皮肉のニュアンスで答えた】
【紛れもなく正しく諜報員、時勢と命令により所属を、行動を変える姑息な国際犯罪者】
【探偵の嫌悪は、間違いなく正しい物だった】

「そこまで過激な事をやっていたのか……ドローンにアンドロイド、特区の件で技術力も黒幕とのつながりも明らかになったが」
「確か、UTに居たゾーイと名乗ったアンドロイドもオーウェルで作られたと言っていた、すると麻希音も関係者か……」
「フルフェイス事件!?」
「なるほど、筋金入りだ……偶然か、どんな偶然かは聞いてもいい内容か?」
「そして、その事件の名前が出ると言う事は、だ」
「君は、チームMの人間か?カニバディールや、ミラや邪禍や……」
「……鈴音と同じ」

【オーウェルの話は、半分は身をもって知る事となった話で、そしてもう半分は全く知らない話だった】
【実働部隊による過激な活動、それにはただひたすらに、驚愕を隠せずにいて……】
【211号事件、所謂フルフェイス事件は自分が着任する以前の話であり】
【資料で読むだけであった、だが、こうしてその状況を直で知る人物と巡り合えるとは貴重な事だ、と】
【チームMの人間、対オーウェル、黒幕への感情、そして行動】
【何よりフルフェイス事件の関係者、これらを結び付けた予測だった】
【尚、鈴音の名前を出した部分に関しては、少し間を置いた】
【彼女の現状を、知っているからに他ならないのだが】

「元より覚悟の上だ」
「諜報員と言うのは、そう言う物だ、内政干渉必要があればサボタージュに風説流布」
「破壊活動に対抗勢力への支援、植民地への独立援助……枚挙に暇がない」
「この国にはその必要を、俺は感じている、この状況に矛盾はあるまい」
「都合が悪くなれば用済み、か、構わない、いやそれでいい……それで十分だ」
「『異能をもって魔能の理不尽な侵略から国家を防衛する』これが、魔導海軍の是だ」
「ああ、国は俺も部下も全員を切り捨てるだろう」
「国に背き、友好国に背いたテロリストとして」
「それでも、構わない、それが任務だ」

【あくまで、国家の見えざる礎となる】
【それが諜報員の是だ】
【仮に、友好国の支配国家と手を結び独裁者に怯える難民のためのビザを発行し続けようとも】
【仮に、友好関係が危うくなり反抗組織と民間に国家転覆を促そうとも】
【仮に、危険を察知し敵国の侵攻をつかみ本国に打電しようとも】
【それが本国を守る事となるならば、一切厭わず汚名を被る任務】
【探偵の懸念通り、正義は別物だ彼と我とはあくまで別物の正義の中で動いている】
【だが、愛はどうだろうか?彼が人を愛するならば、こちらも同様に国を愛する】
【その愛に、矛盾は無いのではないか、と探偵のサングラスの奥から送られる真っ直ぐな瞳に】
【同じく、真っ直ぐに見据えて、こう答えた】

「ありがたい、十分な……答えだ」

【そう、探偵が握手をせずに答えた言葉と行動の意味を、察してそしてなお、そう言った】


220 : 院長中身 ◆zO7JlnSovk :2018/05/27(日) 21:45:24 XhR7wdR.0
>>217

【── 運命に引かれる様に、彼女は貴方と目を合わせて、そして二人して笑うのだろう】
【きっとその息はぴったりで、それこそ本当の姉妹みたいに狂いも無くて】
【だからきっと、故にぎゅっと、心を締め付ける理由を探して】


うちらが二人とも、出逢ってしまったんは幸運で、それでいて少しだけ失敗やったかもしれんなぁ
白桜はんとやったら、いくらでも喋れてしまうし……もう、うちもペース握られっぱなしやし
そんな可愛らしい顔で、そんなん言われたら── うちに抵抗する術なんてあらへんもん

てか白桜はん、なんでそんなに可愛いん!? うち少し嫉妬しはるで
──……まぁ、こんななりやけど、昔は別嬪さんやな、って言われはったこともあったけど
あかんわー、白桜はんの前やったら霞む霞む、肌めっさ白いし


【拗ねた様にそっぽを向いて、そしてまた元に戻す。たおやかな仕種に一喜一憂して】
【── だから流れ込む旋律から、逃れる術なんてなくて】


── せやったら白桜はん、永遠にお姉はんって言わなあかんで、うちが嫌になる事、ないさかいに
お母はんに自慢せな、こーんな可愛い妹が出来たんやーって
ほんまにうるさいお母はんやねん、そろそろ恋人できひんのって……

そりゃうちもそろそろ、欲しいけど……なかなか相手がおらんくて
白桜はんみたいな別嬪さんやったら、こんな悩みないやろうけど
……選り取りみどりもええところやろうなぁ、羨ましいどす


【どんどん言葉が砕けてくる、まるで本当の、姉妹みたいに】


221 : ◆KWGiwP6EW2 :2018/05/27(日) 21:54:04 WMHqDivw0
>>218
や、やめてってば……
したたかたな……確かにお安い服屋さんでも、店員さんは絶対、ここの服着てないだろうなーってヒトもいるけど。
それなら……今度、助けて貰おうかな。自分で選べるようなセンスもないことだし。
でも、推薦文は謹んで辞退シマス……お願いだから私の自己評価の低さを汲んでください。

【何かの琴線に触れたのか、しきりに頬をつついて来ようとするのを手を振って遮りながら】
【しかしすっかり会話のペースも掴まれている。コミュ障の相手ではなかった】

里の仕立てって……忍者の正装なのそれ!?
……いや、どうだろ。青い服とか、真っ赤な服とかの忍者もいるらしいし……

【世の中は知らないことばかりだ。裾が短いのはどうかと思うけど、くノ一なら、そういうものなのか、とも納得させる】
【女学生のような何気ない会話の中に、何やら物騒な話も混ざって来る】
【どうも、話題の場所には余り行って欲しくなさそうだ】


え”そんな危ないところなの?
だって、特区って言うくらいだし、何かお金持ちの人がいっぱいいたり、区画整理がきっちりされてるようなキレイなとこってイメージなんだけど……

【釈然としないが――元より野次馬根性だったのは事実で。今ここで無理を通す必要も感じない】

だったら、まぁ……今は止めとくよ。


222 : 院長中身 ◆zO7JlnSovk :2018/05/27(日) 22:17:25 XhR7wdR.0
>>221

【忍者の装束に対する貴方の反応にきょとんとしていた、何かおかしい事があったかなって】


鵺ちゃんの為の特製デザインですけどね! 鵺ちゃんの術に大きく関わるのでっ
特に白色は重要なんです、生命線です! 本音を言えばピンクとか好きなんですけどっ
流石に潜入任務にピンクはダメと言われました、良い思い出ですっ

── 全然違います、特区関連はどうしても……もっと危ない場所です
私も少しだけその闇に触れて、決して軽くない深手を負いました
ふーちゃんが本気で何かを探すなら止めはしませんけど……


【今はやめとく、との言葉に安心した様に微笑んだ、── その奥底を探して】


……さてと、そろそろ鵺ちゃんもお仕事に戻りましょうかね!
ふーちゃんとお話するの楽しくて、いつの間にかこんな時間です
また何かあったら呼んでください! いつでも会いに行きますから!


【そう言って鵺は枝の上に立ち上がる、微塵も揺れないのはさすがのバランス感覚か】


223 : ◆KP.vGoiAyM :2018/05/27(日) 22:23:20 sJR5oWhg0
>>219

あまり頼りたくない相手なんだけどさ…

【男の苦笑はそのゴーストマンと呼ぶ相手が相当な厄介者だということを示唆していた】
【トラブルメーカーなのか面倒性格なのか、報酬が高額なのかはたまた…】

もう、知ることはないんだ。…コソコソ嗅ぎ回って得られるものはない
…行動に移さなくちゃならない。だが…

【言い淀む。その背後を知っていればその意味もわかるだろう。Mチームの現状を考えれば】
【何か行動に移せる状態ではない。その中で探偵はまだ1人戦い続けていた】

…そこまで知ってりゃもう話すこともない。訂正するとすれば麻季音は単に賢すぎただけで
本来は何も関わる必要はないんだ。オーウェルが“ソラリス”に仕立て上げた。現状、麻季音が一番の鍵で
あることは間違いないがな…

あと…付け足すとしたら、UTの奴らを巻き込んだのは俺だ。方針もある程度…仕切っていたのは俺と言ってもいいかもしれない
まあ、オレの話をまともに守ってくれてたのは鈴音くらいだったがな…

【フィルターのギリギリまで吸ったマルボロを足元に投げつけると、火が線香花火のように飛び散った】
【そして探偵はまた煙草に火をつけた。手持ち無沙汰でこの気持を紛らわせるにはタバコを吸いながらでないと上手く話せない】

…俺が正しいと思ってることが他のやつにとっても正しいとは限らない。正しいかどうかは俺のことは俺が決める。そいつはそいつだ
この国の黒幕のやってることは、イかれてる。俺もそう思う、だが…
アンタが…アンタの国が正しいと思うことがこの国にとっても正しいかどうかはわからない
それは…この国を愛するやつに決めてもらうことだ。…俺は、ね。そう思うのさ

【愛は特別だ。形も人それぞれだ。だからこそ、愛は守られている。誰の愛も否定はできない】
【自らの愛に躍起になってそれを多くの人は忘れてしまう。愛は不完全なままだと平和とは程遠い。】
【核ミサイルのように大きなエネルギーを持って人を傷つける原動力に不完全な愛は成りうるのではなかろうか】
【だからこそ愛するということは祈りだ。祈りは何の意味もない行動だが、平和の愛はそれでしか手に入れられないと、探偵は恐れている】

…UTや他の奴らの事がわからないんだ。麻季音から断片的に情報をもらっていたが…
だから…仲間を助けたい。俺はそれぐらいしか……知ってるんだろ?なんでもいい。助けに行かないと


224 : 白桜 ◆D2zUq282Mc :2018/05/27(日) 22:27:49 JY1GydDk0
>>220


【姉妹という関係。今までの生で経験した事の無い関係は、枷とも柵とも絆しとも異なっている】
【一言で言えば、絆である。姉妹という心の通じ合う関係、理屈を超えた絆であると思えた】
【だからだろうか。白桜の心の奥底から、とめどなく暖かな感情が湧き出てくるのを実感していた】


……良い、ですよ。……文月お姉はん、なら。永遠にお姉はんって……呼ぶつもり。
それに文月お姉はんに、……念押しされたら……私も抵抗する術が……無い。

もし、……文月お姉はんの母君に。……私を自慢…するなら。
私が、…鬼哭の島生まれって事を、……秘密にして、欲しい…。
……でも、文月お姉はんの母君も、……同じリアクションを取るのでしょうか。
まあ、何かあったら。文月お姉はんが弁護してくれると、……信じてますので。


【先程まで、自身の内に渦巻いていた憂いた感情は何処吹く風か。爽やかな笑いで霧散して】
【そこに照れも憂いも無く。曇りなく、朗らかで自然な笑顔を。心の底からの笑い声を零した】


……きっと、選り取りみどりでは無いと思う。
私自身が、…いやフェイや私を含めた私達"ひとおに"は、そんな事を考えた事が無いので。
もっとも、恋人じゃなくて姉妹の様な関係ならば。……お姉はんのお陰で。

もし、……お姉はんが相手が欲しいと言うなら。……私も、手伝う。
――…ほら、私はお姉はんが嫉妬する程可愛くて、…別嬪だし。


【自画自賛のような言葉を口にした瞬間、ぼんっと爆発したかのように白桜の顔が紅くなる】
【文月に対して人の悪い笑みを浮かべからかう筈が、自爆してしまっていた】


225 : ◆KWGiwP6EW2 :2018/05/27(日) 22:28:22 WMHqDivw0
>>222
そ、そうなんだ……ピンクはダメだよね、多分……
でもよく似合っていると思うよ、その衣装。

【白もどっこいな気がしたが、何か理由は有るらしい】
【少女の語る色の重要性については今一つ分からなかったが、能力に関わるものなのだろうか】
【余り詮索はしないようにして、当たり障りのない誉め言葉でまとめることにした】

深手って……鵺さんが……?

【心配そうに、あなたを見るが、既に怪我らしい怪我は見えない。過去の話なのだろう】
【そして言われるように、確かに無理を押してまで特区に行く理由はなかった】
【今の話を聞くだに、魔制法と言うのも穏やかではない事情が有るのは明白のようだけれど】


ごめんなさい……ありがと。
あんまり大っぴらに言えないことだったんでしょ?無理言わせちゃったね。

【踏み込むことを言い出すまでは、もっと遠回しな言い方だった】
【自分を止めるために言いたくないことを言わせてしまったようで、申し訳ない】


うん……私も、楽しかったよ。
鵺さんにはびっくりさせられっぱなしだったけど。
また今度、服屋さんにでも付き合って。物騒な話は抜きでさ。

【少女が立ち上がっても枝は揺れることはない。さっきのことでまた一つ気を遣ってくれたらしい】
【見送るように、申し訳程度に片手を振って見せた】


226 : 院長中身 ◆zO7JlnSovk :2018/05/27(日) 22:49:58 XhR7wdR.0
>>224

【奇妙な関係性であった。── けれどもそれは、心地良い関係性でもあって】
【可愛らしい妹が出来たこと、今すぐにでも伝えたいぐらいに】


大変な事任せはるなぁ、でも── 大丈夫、お姉はんに任せとき
白桜はんが一番喜ぶ事をしてあげるんが、うちの喜びやさかいに
内緒にしとかはるよ、うちと白桜はんだけの秘密やから

あっ、白桜はんってば顔真っ赤にしはって、もう別嬪さんは何しても似合わはるなぁ
うんうん、その通り、うちが嫉妬するぐらいにえらい別嬪さんやもん
こんな可愛い妹できはって、うちは幸せ者やな──


【新雪に零れ落ちる夕焼けの様に、鮮やかに咲いた紅の花に彼女は心の底から笑みを浮かべて】
【一頻り貴方の照れた反応を堪能したなら、もうこんな時間と時計に目をやって】


っと……そろそろうち、仕事に戻るな── お金は置いとくさかいに
電話番号も置いとくさかいに、何かあったら連絡いれて……あー、何もなくても、欲しいかも
今度また時間作って会おっか、そしたら……二人で住むとかも、出来るかもしれんし

それじゃあ……またね、白桜はん──


【文月は立ち上がる、長い髪をひらりと揺らして、その場を後にしていく】
【── 残る僅かな爽やかな香りが、彼女の喜びを伝えていた】


/長時間お疲れ様でした!


227 : 院長中身 ◆zO7JlnSovk :2018/05/27(日) 23:03:07 XhR7wdR.0
>>225
/お疲れ様でした!


228 : 白桜 ◆D2zUq282Mc :2018/05/27(日) 23:18:37 JY1GydDk0
>>226


――ええ。……何れ、また。……身体には気をつけて。

【"―――……文月お姉はん"】

【喜びには、それに相応しい言葉と眼差しを】
【白桜の声はどこか寂しげでありながら、そしてまた会えると信じていた】
【だから、"何れ、また"という言葉を送るのであった】


――…さて、珈琲とやらを、一口。
……っ!けほっ、けほっ。……苦い。……っわたしには、未だ早い。


【珈琲の苦さにむせ込み、持て余した感情を紛らわせる】
【また会える。また会いたいと決意する白桜はそれとは別に決意を固める】
【――珈琲はもう頼まない。珈琲を好き好んで飲む人間の気が知れないと思った】

/何日にもわたる絡みありがとうございました!


229 : 厳島の中 ◆zlCN2ONzFo :2018/05/28(月) 00:01:24 6.kk0qdE0
>>223

【ゴーストマンに関しては、探偵の表情から様々な事が考えられるが】
【この表情は、随分と手を焼いている顔だ、その相手には極力近づかない方が利口かもしれない】

「……現状のMでは、身動きが取れない……」
「なるほど、君が切っ掛けだったのか、通りで円卓側であるMとUTの繋がりが見えなかったが……そうか、そういう事だったか」
「……鈴音」

【探偵の言い淀んだ部分、その部分にはMチーム個々の事情があり】
【そして、其れにより稼働できなくなっている、行動できなくなっている】
【また、探偵の言葉から、長らく疑問であったUTとMの不明瞭な繋がりも、見えて来た】
【鈴音の名前が出た時には、思わず顔を強張らせてしまった、あまりにも突飛であり、そして暗すぎる現実があったからだ】

「賢過ぎた?鍵?」
「それに、ソラリスとは何だ?」
「それは知らない、知らない話だ……教えてほしい」

【ここで再び、情報に無い話が出てきた】
【初瀬麻希音は、一体どうしたと言うのか、また謎の単語ソラリスとは何か】
【麻希音やゾーイの身に、何かあったと言うのだろうか……】
【投げ捨てられた煙草は、地面に当たりパアと火の粉を散らし、消えてゆく】
【悪寒が走る、再び火をつけて紫煙を立ち昇らせる探偵の顔は、その部分のみ赤い光に照らされて】

「その考えは極めて同意だ、むしろ正しい事の方が、少ないのかもしれない」
「ならば、もし俺や俺の仲間達が間違っていると思うなら、その時は……」
「大人しく殺されるとしよう、全員で、幸いにもこの国を愛する人物なら何人か心当たりも出来た事だ」

【諜報の過程で知り合い手を組むに至った、自警団特殊部隊団長ディミーア、公安ゼロ所属黒野カンナ】
【水国陸軍大尉アヤ、同水国陸軍少佐ロロケルム、公安三課所属鵺、幸いにも自分や仲間達を罰する権利のある者は多く居る】
【国を愛する、と言うのは非常に解りやすい例えなのかもしれない】
【愛は暴走を招き、そして他者の愛をいとも簡単に軽んずる】
【結果、多くの悲劇を生む、兵器となんら変わりは無い】
【だが……】

「惨劇を食い止めるのも、また愛ではないか?」
「それが、祈りではないか?」
「祈りのそれは、無力で不確定な要素かも知れないが、集めれば民意だ」
「……だから、信じたいこの国の善なる民意を、諜報員としては甘い考えかもしれないが、最近は俺もそう考えるようになったのだ」

【探偵の言う不完全な愛の暴走、それをエゴと言う】
【あるいはこれをそのまま、正義と置き換えてもいいのかもしれない】
【愛の名のもとに、正義の名のもとに、人は人を傷つける事を厭わなくなる】
【だが、それを止めるのも、やはり愛であり、祈りではないか、と】
【かくして平和とは、成立し得るのではないか、と】
【最も、結果、言って居る事はただの理想論だ、不確定で不安定この上ない】
【しかし、信じる事もまた、一つの道ではないか、そう考えて真に愛する者は居るのだから】

//すみません、分割します


230 : 厳島の中 ◆zlCN2ONzFo :2018/05/28(月) 00:01:42 6.kk0qdE0
【そして……】

「解った、俺が知る限りのUTと、チームMの現状を伝える」
「先ず、現在のUTだが、動いているのはチームMでもあるユウトと、先ほども話に出た麻希音、そしてラベンダァイスと名乗った少女が確認できる」
「残念ながら、他のメンバーは面識が無く、また俺が接触した時には既に機能不全に片足を突っ込んでいる状況だった」
「原因は、リーダーであるセリーナがその身柄を拘束された事による物だ」
「拘束したのは、レヴォルツィオーンと言う企業の開発主任ブランルと言う男だ」
「彼は手強い魔術師だった、俺も俺の部下も交戦したが結局倒すには至らなかった」
「レヴォル社は人間を生きたままゾンビの様な、不死の兵士として開発し、売り出す計画を立てていた……」
「セリーナも何かを掴んだのか、仲間を引き連れて潜入し捕まった様だ、こちらにその情報を伝えてくれたのは鳴神と言うセリーナと共に潜入した者だった」
「そして……鈴音の事だが……」

【ここに来て、やや間を置いて】
【そして、確認するかのように探偵の顔を見据え、そして】

「端的に言うならば、死んでいる状態だ」
「いや、魂が肉体と離れている状態とでも言うべきか」
「鈴音が行方を眩ませたと言う情報を、UTに身を置く協力者から得た」
「直ちにチームMにこの情報を伝え、鈴音は異世界の悪神の一柱イル・ナイトウィッシュに囚われている事が判明した」
「俺とカニバディール、そしてユウト、ラベンダァイスらは、これを追跡、その存在と接触二度にわたり交戦した」
「その際に鈴音と直接の接触をしたのは、俺とラベンダァイス、そして鈴音の関係者であると思われる夕月と言う赤い髪の少女と銀色の髪の青年のみだ」
「交渉と戦闘の後、鈴音は魂と肉体が乖離した状態となった、肉体は現状その夕月と青年が引き取った」
「現在UTには、俺の協力者である少女が居るが、他のメンバーに関しては残念ながら不明だ」
「チームMに関しては現状の進展は、俺と部下の一人、そして先ほども挙げたディミーアが加入した」

【ここで一泊置いて】

「掻い摘んで話したが、ここまでで何か質問はあるか?」

【再び探偵に向き直り、こう聞いた】


231 : カニバディール ◆ZJHYHqfRdU :2018/05/28(月) 04:20:22 IBKicRNQ0
>>100-101
……事実、『特区』制定も予想以上の速さではあったからな
それに指輪を持つメンバーの一部は、一度は敵の罠に嵌められてこっぴどく痛めつけられた。我々が処置に当たったが、ひどい傷だったよ

そうした直接的な手に打って出る手段も敵にはある。静かなだけの連中じゃあないのは確かだな

【ラベンダァイスの見解には、肯定を示す。事実、血の処断事件やカチューシャの行動など】
【敵は実力行使の手段にも多く打って出ているのだ。それに対し、自分たちは何ができるだろうか】


ままならんものだな。だが良いことを言ってくれた。私もこの通り、外道の盗賊が『黒幕』と敵対したばかりにこの有様だが……
その現在を生き延びれば、少なくとも未来は来る
(この連中が、この世界に腰を落ち着けることそのものは、私にとってはあまり都合が良くないが……今それを思っても仕方のないことだ)

【元の世界に彼女たちが帰る手段は果たしてあるのか。この世界で今起きている戦いとは、残念ながら別の問題なのだろうが】
【骨を埋めるには、この世界には障害が多いのも確かである】

脛に傷があると、枯れ尾花も怨霊に見えるものだ。噂を伝えた連中は、そいつらの死体が川にたなびくのを見て
生きたまま苦痛にのたうち回っているように見えたんだろうさ。あるいは、魂がその場に留まって間違いなく苦鳴をあげていたのかもしれないがね

この世界では真っ当でいられることは贅沢だ。その安心して旨い酒が飲める街を築くのに、『仕置きの猫又』などと物騒な二つ名が必要な程度には
その点、貴方に行き会ったその子供らは強運の部類に入るだろう

(……この世界を真っ当でなくしている筆頭格の一人たる、私によくこんなセリフを吐かせるものだよ、『黒幕』どもめ……)

【子供に対しては親切。それもまた、アーディンが仕切り役として信頼される所以の一つか】
【人を抱えすぎる余裕がない、その上で彼が一勢力を築いているならそれだけ質の高い集団であることも伺えて】

【まさに自分自身が、噂を流布した者と同じような恐怖を抱いていることと、自分の如き外道が『悪道』の方を外したセリフを並べていること】
【双方に対して微かな苦笑を漏らしながら、カニバディールはアーディンを見やる。彼がいずれ敵に戻った時、どうすべきかを考えながら】


因果応報、とは何も悪い意味だけじゃあない、ということか。『哲学者の卵』も含め、相応の実績ある者たちなのだろう
その助力があるなら、『黒幕』に対抗することも不可能じゃあないだろう

【人を集める因果。カニバディールもまた多くの配下を従えているが、それとはまったく別種のもの】
【上下も何もなく、情によって行動し、それがゆえに人を惹き付ける。厳格さと熱さ、双方を兼ね備えた人格者】
【まさか、『卵』を自ら植えたなどとは知る由もなかったが、それを知っていればさらに慄いていただろう】
【同じ裏の世界にいながら、彼らは自分たち醜悪な盗賊の群体にはない力を持っているのだ】

……全くだ。情報こそは全ての要だよ。それを制するものがあらゆるものを制する
貴方が今その立場にあるように

【情報。まさにそれこそが、自分たちが『黒幕』に苦戦を強いられている大きな要素だ】
【一瞬、苦虫を嚙み潰したような表情がよぎるが、すぐに持ち直す。だからこそ、このアーディンの存在は大きい】
【彼の情報屋としての手腕は、対『黒幕』への大きな助けとなるだろう】

/続きます


232 : カニバディール ◆ZJHYHqfRdU :2018/05/28(月) 04:21:25 IBKicRNQ0
>>100-101
そういうことだ。立場も思想も何もかも違う者たち同士を、この一時のみ結び付ける証だ
取り扱いに注意がいることは言うまでもないな

【三者三様の感想に、肉屋も大きく頷く。敵は強大、一人で出来ることは限られている】
【だからこそ、今自分はここにいるのだ。一度は殺し合った相手とプロレスまで演じて】
【本来なら決して相容れないだろう二つの裏組織が、こうして共闘するこの状況のために】

私も、そこに関しては詳しいわけじゃあないが……『黒幕』がいずれ支配に用いるつもりの洗脳技術の開発に、彼女の技術が必要らしい
……カチューシャ。お前も会っていたのか

【カニバディールもまた、事態の中心の一人である初瀬麻季音とは未だ出会ってはいなかった】
【事態は予想以上に大きく、カニバディールもラベンダァイスもまだその全貌を知り得るにはあまりに遠いのだ】
【ゆえに、カニバディールはその名の方に意識が向いた。が、すぐには言及はせず】


(これはよろしくないな……イル=ナイトウィッシュに関わる事態において、ラベンダァイスが冷静でいられることには到底期待出来んぞ)
(鈴音の状況によっては……鈴音もろともに……。いずれ殺し合う相手とはいえ……)

【近しい間柄たるアーディンやルヴァですら無理である以上、本来は敵の自分に何が出来ようはずもない。そもそも、彼女を追い詰めたのは自分なのだ】
【重苦しい表情で押し黙るカニバディールは、この場にあっては無力であった】
【兵器であることをアイデンティティとする彼女にとって、そのマスターの死に伴う因縁はあまりに深いことだろう】
【己が関わることのなかった過去の因縁、その歴史は未だここに紡がれている、その事実を恐れるばかりだ】


それがいいだろう。『黒幕』の企みが進行すれば、まず間違いなく貴方のシマにも大きな影響が及ぶ
何せこの世全てを管理下に置こうという連中だ。『カミスシティ』には、ギアのやつが一度潜入したのだが
その徹底したディストピアぶりを聞けば、胸糞悪くなること請け合いだぞ

ああ、そうらしいな。旧市街の治安は以前にも増して、加速度的に悪化しているようだ
だからこそ、ナイトウィッシュのような付け込む存在も出て来たのだろう

【今だけは、その不敵な笑みを頼もしく思いながら新たな参戦者に三つの視線を合わせる】
【『黒幕』の野望が、こうして無限に敵を作り出していく。同時に、それはカニバディール自身が己の邪悪が故に敵を作り続けたのと同じでもあったのだが】

【本来、まさに人でなしであろうカニバディールですら、眉を顰める実態を『黒幕』は作り出しているのだ】


その通りだ。結局は己の五体で行動する他ない。どれだけ絶望的な道のりであろうとな
ああ、こちらこそ。今だけはよろしく頼むよ。その期間を、なるべく短く出来るように、お互いに力を尽くそうじゃあないか

【カニバディールも頷きを返す。新たに構築された、この奇妙な共同戦線に】


……まさに、貴方の専門だ。すなわち、情報が足りない
『黒幕』側に対してこちらが掴んでいることは思った以上に少ないんだ。わからないことが多すぎる
故に具体的な指針が立て辛く、せっかく構築したこの輪も、今一つ統制が取れず連携を活かしきれていない
元より、あまりにバラバラな者たち同士の一時の徒党ではあるが……それでも、情報がなければ動きようがない

『黒幕』側の中枢に近い人物や、その行動。敵がこれから何をしようとしているのか
そういった情報が全く足りない状況だ……それがために、これまで対応は後手後手に回り、こちらは幾度となく煮え湯を飲まされている

【表情を歪めて、カニバディールは語った。ここまで『黒幕』たちにしてやられ続けた記憶を蘇らせながら】

/もう一つ続きます


233 : カニバディール ◆ZJHYHqfRdU :2018/05/28(月) 04:23:33 IBKicRNQ0
>>100-101
……そちらに、情報収集を頼むうえで、まずは現在に至るまでで私が知り得た情報を提供したい
このUSBに纏めてある。端末で、今この場で確認も可能だ。だが、電波には乗せてくれるなよ。敵に傍受される恐れがあるからな

【そういって、懐からいくつかのUSBメモリを取り出す。それぞれにラベルが貼られている】


【〝N2文書〟。カノッサ機関と『黒幕』との密約と、それに伴った『黒幕』の世界支配計画の一端が記されたもの】


【〝『黒幕』派名簿〟。カニバディールが知り得た、『黒幕』に与する者たちのデータ。敵の中心と思しき、六罪王〝計劃者〟ロジェクトを始めとし】
【前線の実行役『婦警』曽根上ミチカ。敵対者の暗殺を請け負っている〝第五列 / インフォーマー〟ことケイ】
【〝N2文書〟にもその名が記されていた水の国公安部長セリザワ。公安部特別配属課の『調停官』、嵯峨野 鳴海】
【そして、機関No.3カチューシャ。曽根上、ケイ、鳴海、カチューシャについてはその外見的特徴も記されている】


【〝特区潜入記録〟。ギア・ボックスが『カミスシティ』に潜入し、同行した少女・初と共に目撃した『特区』の様子と地下病院の異様、そして恐るべき看護師】


【〝血の処断〟。協力者のうち四名が『黒幕』の罠にかけられ、凄絶な拷問を受けたことについての詳細】
【それを実行した集団の指揮者の特徴について。そして――――ここでカニバディールは一つのミスを犯す】

【この一件で、拉致された女性の名を記したままであったのだ。腕利きの情報屋が眼前に現れたことゆえの焦りか】
【彼女と、アーディンたちが知り合っていた可能性を考慮せずに。『円卓』のリストに繋がる手がかりとなるその名を、記してしまっていた。黒野カンナが拉致されたという事実を】


【その反応に関わらず、カニバディールは最後のメモリをかざす。ラベンダァイスに視線を注いで】

もう一つ。鈴音の件だけでも十分にショックだろうから、一呼吸置くが……これはカチューシャに
ソニアの身に起きたことに繋がる情報だ。聞くまでもないとは思うが、一応聞いておこう。知る覚悟はいいかね?

【メモリに貼られたラベルにはこうあった。<harmony/plan>】


234 : カニバディール ◆ZJHYHqfRdU :2018/05/28(月) 04:42:36 IBKicRNQ0
前スレ>>872
ああ、ここまでの見学でもこの世界が退屈とは無縁なことはよくわかるとも

【元より彼も悪魔。元凶であろうと気にしない様子に、カニバディールも何か言うことはない】
【チェーザレが身を震わせていることについても、何も言いはしない。ただ、流石に落ち込んだ気配をわずかに滲ませるのみである】


なるほど、マサジさんはこの世界をゲームのように例えていたが、召喚にもコストがかかるというのもその表現に近いものがあるな
逆に言えば、貴方がたが召喚されるほどの事態となると、余程のものということなのだろう

対天使……そちらとの戦争も継続状態となると、無理からぬことだろう
しかし、精神的には正義寄りとは。悪魔も本当にいろいろなのだな

(断る理由が完全に私事……邪禍さんの性質をそのまま反映したかのような体制だ。自由過ぎる……)

【ここに来るまでに会った悪魔たちや、彼らの様子を見ていると邪禍の支配体制の特殊さがうかがい知れる】
【自由奔放で我の強い悪魔たち。その上で、闇沌が言っていたように決して彼らを制御できないわけでもないのだ】
【つくづく、邪禍と敵対していないことに安堵するばかりである】


ほう、それは初耳だ。確かに貴方がたの姿なら、人に紛れても違和感はないだろう
向こうで今後もし会うことがあれば、ご挨拶くらいはさせてもらいたいものだ

マサジさんやザクトルさんも、出てきていたりするのだろうか……ディルメルさんは流石にないだろうが
そういえば、宮殿の時はもうお一人おられたようだが。あの方も、あまり召喚されることのないタイプかね?

【ここに来るまでの光景を思い返しつつ、言葉を紡いでいく。悪魔がゲーセン巡りしているなどと、人々は夢にも思わないだろうと想像しつつ】
【チェーザレがカーテンを閉めたことには、肉屋も無言の感謝を示した。寄せばいいのに、軽く一礼をしたがために】
【不毛の大地が二人の方を向いて、余計面白い有様になっていたが】


235 : 兼愛 信生(けんあい のぶき) ◆xgsUYuhzWc :2018/05/28(月) 06:12:45 Lxd3YeZA0
【──覗き込んでぱちくり、と瞬きをする蛍光の緑の双眸】

ううん?

【水の国。その賑やかな街中では、双眼鏡を覗く女が居た】
【女性本人は、通行の邪魔にはならないよう、端っこでそれを覗いてはいるものの】
【どうしてそれを用いているのか、何を監視しているのか、果たして謎めいていて】

……ようし、なんだかんだ、散歩はゴキゲンに好調のようだ。
アイにも、へんなヒトに絡まれたら逃げろと教えているからな!
自由に育てたくとも我が子には、最低限は迅速な教育をせねばな。

……しかし、親心は常に不安の波だ。今度は、防犯ブザーでも持たせてみようか……。

【と、双眼鏡をずっと覗いたまま独り言を言っている。──その声は、かなり大きい】
【周囲は稀有なもの、不審者を見る視線そのもの】
【はっきり言って、不気味以外の何物でもなく】

しかし、観察しているとジブンから声を掛ける事が随分少ないな……。
もう少し、その辺りの社交性を教えてみよう。
……しかし、この辺りは楽しそうなヒトが沢山いるな!

【──その女性の後ろには、黄色と黒のデザインの大きなロボットが居た】

【球体の胴に手足がついていて、全体的に黄色地に黒線のボディ】
【胴にはモニター、目が黄色い光で表示されている】
【……果たしてそれは目と呼んでいいのだろうか、(★ ★)このように星が2つ浮かんでいて】
【それが、時折まばたきしている】
【頑丈で太いアーム。手先は五本指になっている】
【足も大きく、踵にマフラーがついている】

【……女性はともかくとして、もうこちらの大きさは完全にはた迷惑である】

はっ!! ボ……、

──ボルタリングがしたい……!

【──そこで急に突拍子も無く言い出して、女はわなわなと震えていた】
【そこで双眼鏡を外す、周囲を見渡し、手頃な壁のようなものを探していた】

【それは頭頂部付近は黒髪で、肩ほどまでのセミロング。髪の中腹から毛先が白く脱色されている若い20ほどの女だった】
【瞳は緑。何か特殊な加工でもしてるのか、たまに瞼の落とす影でほのかに蛍光発色をしていた】
【白衣を羽織って、白のワイシャツの胸ポケットにスマートフォンを刺している】
【くっきりとした色合いのグリーンのスキニーパンツを履いて、足元は黒い革靴だ】
【手には黒い革手袋を履き、最後に、その頭には赤縁の眼鏡が掛けられていた】

/本スレに投下したのを流用させて頂きます!
/戦闘でも日常でも大丈夫です!


236 : ◆DqFTH.xnGs :2018/05/28(月) 19:29:52 rkL.QcCg0
>>208
【鈴音がどういう状態だったのか。それも詳しく知っているわけではない】
【いなくなる前に鈴音に会った時は、随分と追い詰められていた。それでも、泣くことも休むこともせずに】
【ひたすら働いて────いなくなってから、一度だけ電話があった】
【その時のことは、よく覚えている。『あなただけは、幸せになって』あの言葉は、呪いのように】
【耳の奥にこびりついていた。夕月の言葉で、鈴音の呪詛めいた祝詞がリフレインする】


……………………っ、は。ったく、よぉ────
あいつはいつもいつも、頑張りすぎなんだよ、なぁ
長い付き合い、ってぇワケじゃあねぇが…………それでも無理しすぎだっつぅの

あいつもあいつで、なんかこう溜め込んでたのかもしんねぇけど…………
そうだよ、なぁ────あいつが怖いカミサマになっちまうのは、寂しいよなぁ…………


【それから少しだけ、悩む。自分が鈴音に抱いている感情を、言うかどうか】
【言ってしまえば、薄情者とでも言われるかもはしれないが──噤んだ口を、また開く】


…………あのな。鈴音がカミサマ、それも呪いとか振りまくようなカミサマになっちまった、って聞いた時よぉ
ちょっとだけ────「そりゃそっか」って思っちまったんだ
だって、よぉ…………あいつ、全然泣かねぇんだよ。どんなに辛くても、しんどくってもよ
なりたくってなれなかった自分とか、憧れとか、ぜぇんぶ我慢して、よぉ

そんなの────普通なら、もっと当り散らしたっていいのにさぁ
あいつったら、ニコニコふわふわと人の心配ばっかしてやがる
…………今まで隠してた恨み事も、怒りも、劣等感も罪悪感も全部全部ブチまけちまったら────
────そりゃあ、祟るカミサマにでも何にでもなっちまうさ

だから…………あたしはさ。鈴音がカミサマになろうと、ふわふわの鈴音であろうとどっちだっていいと思ってる
“元の”鈴音がいいなんて…………そりゃ、またあいつに我慢させちまうことになるんじゃねぇかって────
そう思っちまうんだ。…………でも、そうだよ、なぁ。…………やっぱ、寂しいよなぁ


【「まぁ、あいつの身体のことは任せとけ。な?」そう言って。夕月が泣きじゃくっている間は】
【ゆるゆると頭を撫でている。泣き止んで、しっかりと此方を見れば】
【ぽんと一度だけ軽く頭を叩き、手を離すのだ。──寂しげな笑みは、今もまだ浮かんだまま】
【我慢しているのは、ミラも同じなのかもしれない。鈴音とまたお茶でも飲むより】
【それよりも、鈴音の思うがままに振舞わせたいという、少し捻じ曲がった我慢】


く、くっ…………いや、分かってねぇなぁ夕月
頑張るってぇそのこと自体が偉くてすげぇんだって
世の中、頑張れねぇやつだっていっぱいいるんだぜ?
ダチのために頑張って身体張れる、なんて…………もう相当すげぇよ

んで、その指輪はどこにつけたっていいぜ。何も薬指って決まってるワケじゃあねぇ
ちょいと今、めんどくせぇ連中があたしのファンになっちまいやがってよぉ
ご丁寧なことに、電話だのメールだのを覗き見してこようとしやがる
そのための対策だな、指輪は。あんたを巻き込むつもりはねぇけど…………ほら、万が一ってぇやつだ


【厄介ごとの渦中にいることは、隠さなかった。それでも、出来る範囲で夕月を】
【巻き込まないようにしていることは伝わるだろうか。夕月も“円卓”という組織の末席にいることは知っていたが】
【それでも可能な限り、危険から遠ざけようとしていた。つい最近殺されかけただなんて】
【そんなことはもちろん、伝える気すらなく────「あんたはあたしが攫っちまうから、よぉ」】
【「それまでは、ちゃんと元気でいてもらわねぇとな」ぎゃは、と。最後の最後、ようやっとそう笑う】


237 : ◆S6ROLCWdjI :2018/05/28(月) 20:55:28 WMHqDivw0
>>236

【ミラの、鈴音への思いを聞いて――ちょっとだけぽかんとした顔をした】
【それから「そっか」と零して、責めはしない。思い当たる節が、彼女にも、あったから】
【あんなにひどく泣いていたのだ。なら、それまでどんな、ひどい目に遭っていたのか】
【何も聞かされなくてもなんとなくはわかったから。でも、寂しいし怖いという気持ちに嘘はない】

……ん、うん……そっか、……そう、でも、ある……ネ、
鈴音が、……今まで自分を虐めてきたもの、赦すことができなくても……、
……、……仕方ないか。そこはもう、鈴音が……決めるしかないことだネ、

……でもやっぱダメ、最終的に、鈴音がぜんぶを赦さないことを選んだとしても。
あたしは、鈴音のこと、しょうがないなって思ってあきらめることができても――――
――――あいつだけは赦さない。イル。イルの手の中で、鈴音が、世界を滅ぼすための装置になるのだけは、

【「それだけは赦せない」。惑うように低く、地べたを這いずるみたいな声色が】
【そこだけしっかり芯を持って、前を向いた。……それくらい、彼女は嫌っているらしい、「イル」のこと】
【なんでそんなに怒るのかって訊かれたら、はっきりこう答えるだろう】

【「ニンゲンとして生きてた鈴音が、大切にしてたもの、これ以上ないくらいバカにしたから」。】


【――――】

……、……すごいかな? すごいなら……へへ、……褒められて悪い気はしないや。
じゃあそのすごいのを、もっとすごくできるよう……ほどほどに頑張るから、見ててよ。

フーン、じゃあなんでミラさんはソコにつけてんの。ナンパ避け?
……覗き見、覗き見防止指輪? なにそれ、ヘンなの……でも、ありがと。

【涙の最後のひとしずくを袖口で拭い取って、指輪をくるくる、いろんな角度から観察しながら】
【「もうとっくに巻き込まれてるよ、いろんなことに」。そう言って笑い返す、間違いではなかったけど】
【少なくともミラたちみたいに誰かに追われる生活をしてるわけでもなかった。指輪、左手の人差し指につけて】

……そーいえばそーいう約束だった。ミラさんはさ、あたしのこと攫ったあと――そのあとどうすんの?

【「綺麗な服着せて飾っといてくれる? お家とか、お友達とか買ってきてくれる? それとも、」】
【笑われれば笑い返す、ふちの赤く染まった目を、ちょっとだけ悪戯っぽく歪めて】
【ビビりじゃないほうの少女の素はこんな感じ、のようだった。そういえばもう、ミラのことを「お化けさん」とも呼ばない】


238 : ラベンダァイス&アーディン&リベル ◆auPC5auEAk :2018/05/28(月) 21:41:33 ZCHlt7mo0
>>231-233

っ――――もうそんな事が――――ッ!
〔……やはり、具体的な行動も視野に入っていたか。まぁ、そうだろうとは思ったが……予想以上に、猶予はない様だな、こうして話を聞く限り……〕

【連絡のネットワークから長らくはぐれていた彼らにとって、その情報は衝撃だった。敵は既に、水面下の活動だけではとどまらなくなっている】
【大きく水をあけられている状態で、そうして本腰を入れられれば、こちらはとうとう、押し切られてしまうだろう。より具体的な危機感が募りだす】

{……全く、なんて事かしらね。この混沌ぶりは……まさか、私とあなたたちが、轡を並べる事になるなんて……
 ……多分同じような事を、このネットワークの仲間たちは、何度も思ったんでしょうけど……めちゃくちゃだわぁ、世界を裏から抑えられるっていう、この独特の焦燥感……}

【今まで、このネットワークの元に結束した仲間たちも、何度となく思った事なのだろう。その感慨を、ルヴァもまた感じているようだ】
【そして、同じ危機感を抱いているからこそ、こうしてかつての遺恨を一時水に流してでも、同じ旗のもとに集結したのだ】

〔……なるほど、宗教の類が、人に「正しく生きろ」と説く理由が、まさにそれという事だな……
 後ろめたい思いを抱えている者こそ、脅威を実情以上に拡大して見てしまう……結局人はみんな、因果応報という奴の感情からは、逃げられないという事かもしれんな
 ……確かに、守りの姿勢に居る筈の俺に、こんな二つ名が通るというのは……少し、異常なのかもしれん。気づかなかったよ……〕

【必要以上に怯えるのは、結局は脛に傷があるからなのだ――――カニバディールのその言葉に、アーディンは妙に腑に落ちるものを感じていた】
【「次は自分だ」という恐怖を抱くのは、無関係な一般人よりも、何か後ろ暗い人間に、より多く見受けられる事――――それは、より深くそうした世界を知っているからで】
【同時に、どこかで「自分の行いを裁かれる事」を、思っているから――――それを思えば、陳腐なモラルの、その重みを再確認する事もできる】
【決して大きな勢力ではない自分が、ある種の人間たちからは恐怖の代名詞かの如く語られるのも、今の世界が如何に業を孕んでいるか、という事の裏返しなのだろう】

〔……同じ思いを抱ければ、自然と人はついてきてくれるさ。殊、今回の出来事に関しては、積極的な協力を引っ張り出せるとは思うぞ……
 奴らの力を束ねれば、百人力だ……まぁ、異能封じの前にどこまで粘れるかは分からんが……応えてくれるだろう、そんな危険の中でも、あいつらは……〕

【もし、今の世界の事を詳らかに説明すれば、その仲間たちもついてきてくれるだろうと、アーディンは確信しているようだ。例え、ただの荒事より遥かに危険であることが分かっていても――――】
【――――『絆』。そのただの一文字が、彼らを動かすのだ】

〔……あぁ、事が済むまで外さない心算で行くさ……お前らも、良いな?〕
――――勿論です
{そりゃあ、ね? ……残り2人も聞いてるから、うっかりなんて事はないはずよ。そこは安心してねぇ?}

【思いを込めるように、ゆっくりとその指にはめていく3人。今の世界を――――沈もうとしている世界を良しとしない仲間たちを思いながら】
【いずれ、直接に見えて、その力となれるように願いながら――――】

っ、洗脳術――――!? ――――この技術力を、逆用すれば、と――――そういう訳ですか――――
――――会いました。ブラックハートさんと一緒に、戦闘になって――――彼女は、まだその戦いの傷の為に、まともに動けません――――ッ

【キーパーソンである『麻季音』が、コアであるという話――――それ自体は、以前に鈴音から聞いていたが。まさかそういう形だとは思わなかった】
【だが、妙に納得される事でもあって――――この力が失われれば、今度こそ自分たちは後手から抜け出せなくなるだろうというのは、言われずともに分かっていた】
【――――カチューシャとは、ラベンダァイスばかりか、ブラックハートとも戦闘したという。そしてついに、ブラックハートにガタが来てしまったのだ、とも――――】

/続きます


239 : ラベンダァイス&アーディン&リベル ◆auPC5auEAk :2018/05/28(月) 21:41:45 ZCHlt7mo0
>>231-233

――――っ、っ――――すみません――――取り乱しました――――ッ
{……人間では、ケツァル・コアトルの心を、完全に理解してあげる事は出来ない……そう言ったわよね、旦那?}
〔……あぁ。結局、ここまで歪ませてしまったのは……俺たちの責任でもあるからな……〕
{……でも、人間だって、他人の心を完全に理解してやれないんなら、結局は同じ事じゃないかしら……?}
――――もう、大丈夫ですから――――。鈴音さんは、なんとしても、助け出す――――それだけ考えれば良いんです。それだけ考えれば――――

【何とか、落ち着いた様子を見せるラベンダァイスに、ようやくアーディンとルヴァもほっと胸を撫で下ろす――――同時に、そこにある断絶もまた、コントラストを描いて】
【――――恐らくは誰も思っていなかっただろう。当のラベンダァイス自身が「もう諦める。鈴音は殺すしかない」と言い出す事になるなどと――――】

〔……その間、ラベンダァイスには休息をとらせる。消耗をカバーし合えるのも、チームの利点だろう
 ……やはり、『カミスシティ』は……実態としては、そんな事だったか。ディストピアを実現するに、一覧楽な方法は、恐怖統治か洗脳か、だからな……
 むざむざ足を踏み入れていった連中は、さぞ幸せなんだろう――――そんな幸せのために、我々の生活が壊されるなら、もろとも殺す事を選ぶしか、無いがな……〕

【ラベンダァイスのわき腹の大きな傷。それを横目にアーディンは頷いてみせた。自ら足を踏み入れるのは危険だと判断したのは、ただの勘なのだが――――どうやら、正確に働いてくれたようだ】
【ちょっと立ち止まって冷静に考えれば、不自然さには気づけるはずなのに――――気づけなかった人間の迂闊と、同じ人間の愚かさを、アーディンは卑下する】
【もう、カミスシティに取り込まれた人間たちなど、黒幕もろともに死ぬという事になろうとも、なんとも思わないとでも言いたげに】

{……そしてその挙句が、人間じゃない連中の跳梁跋扈、ねぇ? ……誰かが叱ってやらなきゃいけないんでしょうねぇ……いいえ、キレてあげなきゃ、ね……}

【こうして状況を俯瞰してみると、もうこの世界は半ば以上混沌に沈んでいるも同然と、ルヴァは呆れた調子でため息を吐いた】
【――――下手に今の均衡を崩せば、こうなる事は分かっていたはずなのに――――流石に、この規模は予想外だが――――そんなにも、世界を支配など、したがるものなのだろうか】
【もしも、この事態をすら『黒幕』が望んでいたというならば、それはもう、ディストピア信奉者とも呼べない。破滅主義者と言うべきだろう】

〔――――実はな。レボルツィオーンに関して言えば、今度近いうちに探りを入れようと思っている……
 素人芸の延長のようなものだが……潜入捜査に覚えのある仲間が、例の7人のうち、2人ほどいる……そのうちの片方に、腹を探らせるつもりだ
 アルターリの一件……どうも、俺には何らかの作意があるような気がするんだ。レボルツィオーンの動きが、まるで「アルターリの壊滅を事前に想定していた」様な、な……〕

【――――カニバディールの言葉を受けて、1つの予定をアーディンは口にする。アルターリの惨劇、その中心地となった企業、レボルツィオーン社】
【即座に、復興とその支援を表明したその動きに、アーディンは臭いものを感じていた。普通なら、あれだけの惨事に対して、もう少しは慎重になるのではないか、と】
【その違和感の答えを得るべく、アーディンは後に伝手を使って威力偵察を行う事になる――――まさか、そこで行方不明のセリーナを発見するとは、この時は思っていなかった様だが――――】

――――分かりました、見せて下さい――――!
〔……ありがたいな。それでは確認させてもらうぞ……!
{勿論、そんなおまぬけな事はしないわよ……そこはね?}〕

【カニバディールの説明に、耳をそばだてる3人。ようやく、自分たちにもまともな情報が入ってくる事になった】
【〔まるで、陰謀論の様な、こんな馬鹿な事が現実にあるとはな――――〕『N2文書』に、アーディンは苦笑しながらもその実在に顔を顰め】
【「――――ミチカ、とかいう敵の他にも、これだけの敵が――――」又聞き状態だったラベンダァイスは、そのリストの人数に表情をこわばらせ】
【{来るべき世界に向けた準備、ってところかしらね? 神経疑うわ――――}潜入記録の内容に、ルヴァは内心の黒い感情を、何とかシャレのめして見せ】
【〔ラベンダァイスの危惧通りだな。異能を封じられれば、能力者もただのヒトか――――〕血の処断と呼ばれるその出来事に、素の身体能力の優れたところを買われたアーディンは憂慮した】

/続きます


240 : ラベンダァイス&アーディン&リベル ◆auPC5auEAk :2018/05/28(月) 21:41:55 ZCHlt7mo0
>>231-233

あ、あれ――――?
〔……どうした、ラベンダァイス〕
――――黒野、カンナ――――この名前――――どこかで――――どこか、で――――ッ?

【――――その名前を見た瞬間、ラベンダァイスは頭を捻り始めた】
【黒野 カンナ。その名前に見覚えがある。しかも、ただ見覚えがあるだけじゃない――――なんとも言い様のない、懐かしさの様なものを感じるのだ】
【何だったか、一体何だったか――――答えは靄の奥に隠れて、中々につかめない】
【何故だか「敵の手に墜ちた」という事実についても――――ただネガティブな感情を想起されるだけでは済まない、妙な感慨があったのだが】
【――――いずれにせよ、それだけではラベンダァイスは思い出し切れなかった様だ】

――――ッッ、それって――――!
〔ソニアの……ッ? それは、俺にとってはぜひ聞かなければならない事なのだが――――ラベンダァイス〕

【最後のファイル――――それを提示する前の前置きに、ラベンダァイスとアーディンの表情が固まる】
【彼らはそれぞれに、そのファイルの内容――――「彼女の身に何が起きたのか」については、強い関心を抱いていた】
【が――――カニバディールの念押しに、嫌なものを感じたのだ。言うまでも無く、その念押しはラベンダァイスに向けられている】
【半ば、それだけで予想はついてしまったのだが――――】

――――知らなきゃ、ならないんです――――直接の面識こそありませんでしたが、UTの一メンバーとして――――!
〔……ソニアとやらに、所縁のある仲間を知っていてな。俺にも、伝えなきゃならない義務がある――――聞かせてもらおうか〕
{(……はぁ、これ……まぁた面倒な事になる流れよね。そろそろ勘弁して欲しいけど、そういう訳にもいかない訳ね……)}

【覚悟は、固まったようだった。躊躇を押し返す、強力な意欲が、それぞれの胸の奥に湧き上がっていた――――】


241 : ◆DqFTH.xnGs :2018/05/28(月) 22:59:30 rkL.QcCg0
>>237
【「そいつは────…………」イルを嫌っている原因。それを聞いてしまえば】
【ぎり、と奥歯を噛みしめる音がした。ざわざわと、風もないのに赤い髪が騒ぐ】
【ミラの髪が見た目通りのものでないことは、夕月も知っているはず。怒っていた】
【どれだけ鈴音がヒトであったことを大事に思っているか。大事にしたかったか。その未練も悲哀も】
【そして──ヒトでありたかった可能性の輝きを大切に抱えていたかを、知っていたから】

   【「────鼻っ柱ブチ折っても、まだ気がすまねぇな」】


【──────】
【────】
【──】


ぎゃは、ほんと言うようになっちまったじゃあねぇか
おうよ。てめぇの頑張りはしっかり見とくから、さ
だから…………あんま無茶しすぎんじゃねぇぞ?
巻き込まれるにしたって、そりゃ色々とあんたも巻き込まれてんだろうけど、よぉ
こう、ほら。死んじまったら、元も子もねぇだろ?

んで…………あぁ、これか?これな、あぁ、えっと────
まぁ、その…………、…………お、おう、…………ナンパ避け、っつぅか、よぉ…………
……………………。………………………………こ、婚約、指輪、的な?


【ぼそぼそぼそぼそぼそぼそぼそ。最後の方はもう、何を言っているか】
【分からないくらいに誤魔化しに誤魔化して。けれど、頭を撫でることができるくらいに近くにいる】
【声はいくら小さくしたって、まったく聞こえないなんてことはないのだろう。そして】
【もしも夕月がミラの方を見れば、これまでにないくらいそっぽを向いて】
【なんとしてでも目を合わせないようにしているのだ。嘘が下手、というか】
【呆れるくらいにあからさま過ぎた。指輪の素材は2つとも同じものなのに、サイズはばらばら】
【けれどミラの赤い指輪は、まるでオーダーメイドのようにぴたりと薬指にはまっているのだ】


えっ、あぁ…………攫ったら?攫ったらどぉしよっかなぁ
まずはうまい飯屋に連れてってよぉ。酒とかは────ん、飲めるのか?まぁいいや
そんでもって、あたしも頑張って仕事増やして…………金ができりゃ一緒に買い物行くか
アウトレットの型落ち品とかじゃなくて、きっちり流行り物の服買うのも悪くねぇかもな
腕いっぱいにショッピングバッグ抱えてよ、疲れた後はカフェにでも行って…………
後はそうだなぁ…………あぁ、映画も悪くねぇなぁ
ピザ頼んで、後はポテチとかドーナツを思いっきりテーブルいっぱいに広げて
そんでもってバカみたいなB級映画とか、クールなヤクザ映画とか、そんなのを一晩中観るんだ

…………そん時は────鈴音も一緒だと、いいなぁって思うけど、なぁ


【いっぱい楽しいことをしよう。今までできなかった分、思い切り】
【楽しいことだったら、いくらでも知っている。それを教えてやることくらいは、簡単だから】
【────最後に呟いた小さな言葉は。彼女には珍しい、後悔の言葉だったけれど】


242 : トキ ◆M7/rNiM4/U :2018/05/28(月) 23:11:25 qZmqDFpo0
>>235

─────ふん。なんともまあ、醜い。
この一時に、似つかわしくない。

【壁を探す女へ投げかけられる声】
【その声の主は、季節にそぐわない灰色の外套を身に纏ったやせぎすの男】
【丸眼鏡の奥から注がれる視線は、手元の懐中時計と女性の後ろへ聳えるロボットへと交互へ注がれる】
【丁寧に懐中時計の表面を柔らかな布で拭ったのち、神経質そうに懐に仕舞って】

2018年5月28日14時48分45秒。
時の下において、その歪みを正す。

【背後へ直径2m程の大時計が出現し、男の両手に短剣と長剣が握られる】
【時計の針に似た形状のそれには、時の重みを感じさせるような荘厳な彫刻が施されている】
【そしてゆっくりと、女へ長剣の切っ先を向けた】


243 : 院長中身 ◆zO7JlnSovk :2018/05/28(月) 23:51:12 XhR7wdR.0
>>177

【女性らしい丸みを帯びた曲線と、豊満な身体の創り上げる結晶は、神が気まぐれに映した自分の姿みたいに】
【羞花閉月の如く、愛らしい童顔はあまりにも不釣り合いで、愛される為に作られたと錯覚する程】
【肉感的な唇は蠱惑的な吐息を零すと、月に傅く蜜の様に尊く甘く煌めいてみせる】


あははは♪ 少しは賢いかななんて思ったけど、所詮家畜は家畜かぁ
獣に智慧はいらないよね、刃物持たせりゃ番犬の替りにもなるかななんて思ったけど
誰に口聞いてんだよニンゲン風情が、その脳みそまで腐り落ちて悶えてるのかな?

理解しなきゃ、理解出来なくても、それが道理なんだから、ニンゲンは殺せば死ぬって習わなかった?
ピーチクパーチク煩いんだよね、羽虫みたいな音を立てて、みすぼらしい見た目してないだけ虫の方がマシかな
── ごめん、前言撤回、虫もうじゃうじゃ気持ち悪い奴いたわ、アルターリで出会ったの


【白百合の様な頬に好奇の色に似た紅細工を透かして、そこに彩られる淡やかな残り香】
【擽ったそうに片目を閉じて、白妙の首筋に夜空の様な横髪を添える様に散りばめた】
【真紅の双眸は椿よりも深く紅く、或いはきっと百日紅よりも儚く見えた】


へぇ、そんなボロ雑巾に魂かけてるんだ、やっぱりニンゲンって愚かで間抜けで愚図で醜いよね
キミみたいな蛆虫がボクの下に蠢いてる事が、何よりもボクに対する冒涜で
何よりも── 鈴ちゃんに対する、背徳なんだよね

それじゃお望み通りぶっ殺してあげるよ、過ぎた真似する狗を放っておく程ボクは寛容じゃなくて
ほら最期の言葉は何にする? いい声で啼けよ、無様に這い蹲って不躾に踊れよ
── ボクは "オフィウクス" が一柱ラサルハグェ、またの名を "虚神" スナーク

そして、"病魔" イル=ナイトウィシュ、全てがボクで、全てを示すのさ


【巻き起こる憎悪、可憐な表層を割いてみたなら溢れんばかりの殺意を撒き散らして】
【── 怯懦するのであろうか、強大な力を持つが、その内面は子どものそれに近い】
【貴方の対応如何ではどうとでもなろうが──】


244 : 兼愛 信生(けんあい のぶき) ◆xgsUYuhzWc :2018/05/28(月) 23:55:01 Lxd3YeZA0
>>242

【――その言葉に驚いて振り返る。何を言ってるんだ?とでも言いたげな顔を浮かべていた】
【とはいえ、その切っ先が向けられた瞬間、まずするべきことは周囲に視線を向けること】
【町を行く人々は徐々に事態を把握し、悲鳴をあげて逃げていく】

だっ……あ、あの!キミ、おい、やめっ――

【――武力には武力をもってして制さなければならない。その思想がよぎる。汗が垂れる】
【ロボットにじりじりと近づき、彼女を受け入れるためにポットのカプセルが開かれる】

た、頼む!何か気に入らなかったコトがあるのなら謝る!
だから剣を――

【それでも、明確な目標はジブン。言葉が通じるのなら、まだ話し合えるだろうかと】
【長剣の先が鋭く、ひえきった思いになる。殺されたくないと考える】
【――背後のロボット、〝ポップ君〟に片手をひっかけるかまだ思案する】

【そのような甘っちょろい考えの女だ。少なくとも現時点で彼女は、仕掛けるタイミングの先手は完全に取れないろう】
【するとすれば、防衛くらいのものだが――】


245 : ◆S6ROLCWdjI :2018/05/28(月) 23:56:39 WMHqDivw0
>>241

【「……でしょ」。吐き捨てるように言い切って、ここらへんで怨み言はおしまい】
【ここにいないイルへの怒りはきっと、いつか、絶対晴らしてやる。その覚悟だけ再確認するように】
【「鼻だけでいいの?」なんて物騒なこと言いながら、ちょっとニヒルに笑って見せた】


【――――】

ん。もともと頑張り屋じゃないもん、辛くなったら逃げる子だよ、あたしは。
だからその辺は大丈夫……大丈夫っていいのかなコレ?

うん、うんうん………………えっ婚約? は? カレシいたの?
マジかぁ、……そんじゃあ巻き込まれないようどうたらってのは、
あたしよりよっぽどミラさんのほうが注意しなきゃいけないんじゃない?

【「よくあるじゃん。全部終わったらケッコンしよーつって、片っぽ死ぬヤツ」】
【あまりにも、縁起でもなさすぎる台詞をのたまいながらも――だいぶ驚いたらしい】
【とはいえその「カレシ」が、昨今世界を取り巻く渦のほぼ中心にいることなんて、知る由もなく】
【いいじゃんオメデトー、なんて気楽で気軽なお祝い。それから、カレシさん泣かせちゃダメだよ、とか】
【それっぽい口を利く。ここらへんのノリは流石若者というべきか、恋に恋するティーンっぽさを残して】

ごはん。お酒……はまだダメだネ、……一杯くらいこっそり飲んでもいいかも。
仕事、……そーいやあたし最近、バイト? 始めたよ。だからあたしもお金出せるし。
カフェ! そういや前、綺麗なおねーさんによさげなとこ連れてってもらえたからそこ行こうよ、
映画かぁ、あたしけっこうゾンビとか出てくるヤツ好きだよ。こないだゾンビとコマンドーが戦うヤツ見た。
いいネいいネー、コーラ絶対外さないで! ポップコーンは塩もキャラメルもどっちも用意すんの!

【巡らせる、楽しい未来の想像図。ひとつひとつ返していって、きゃっきゃと声を上げながら】
【それでも――ふと、最後に付け加えられた言葉。紡がれた瞬間口を閉じて、瞼を半分伏せる】


…………神様でもジャンクフード食べられるかな?
こう、なんだろ、カスミ? とか、なんかすっごい高いお酒とかお米とか、
そーいうのしか食べらんなくなってたらどうしよう、鈴音。

……なあんて、うん。…………一緒が、いいネ。

【絶対一緒に見ようね。そんな約束すらできない現状、……冗談で吹っ飛ばすには、まだ力不足だった】


246 : カニバディール ◆ZJHYHqfRdU :2018/05/29(火) 06:04:21 IBKicRNQ0
>>238-240
【確かに、彼らは後れを取っていた。しかし、今こうして確かな危機感を抱いている】
【重要なのはこの先であり、そのために何をすべきかだ。この情報で彼らがそれを思ったのなら、御の字である】

ああ、皮肉なことに今この時は前代未聞と言っていいレベルの混沌だ
『黒幕』どもに消されかかっている混沌の炎が、消える寸前の蝋燭のごとく燃え盛っている
そのめちゃくちゃをやってのけるだけの相手だ。その焦燥を抱き続けるのも難儀だとは思うが、どうかその焦りを忘れてくれるな

【そう、全ては危機意識ゆえ。それだけ多くの相手を『黒幕』が相手取り、その上で目的を成就できるだけの力を持っているということだ】
【それだけの相手を前にしては、このような異常事態も起こり得る。この普通では成し得ない共同戦線も】


そういうことだろうな。結局は人はそう強くはなく、その弱い自分からは逃れられない
自分は平然と悪行を行える、と信じている者ほど、実は心を蝕まれているということもよくあるものだ

だろう? 守勢に回るにこれだけの有様になるんだ。この世界に煮詰められた業の深さたるや、推して知るべしだよ

【裏社会に身を置くからこそ、灯台下暗しというべきか。そうした悪党たちも、邪悪であれど人であることからは逃れられない】
【カニバディール自身、幾度も揺れ動く己の脆さに辟易してきたからこその認識だった】
【そんな世界で、ちっぽけでも己のモラルを守り生き抜く、アーディンのような人物こそ傑物と、そう呼ぶのだろう】

……絆、というやつかね。普段は私のような人種には縁遠い言葉だが、その恩恵を間接的に被ることになるとは、つくづく奇妙なものだ

一つ一つは小さくとも束ねれば大きな力になる、とはよく聞く話だが。この場合、その一つ一つも相応に強力なのだろうな
それが貴方の名の下に集まるとなれば、『黒幕』にも対抗しうるだろう。まして、『黒幕』の目的が目的だ
同じ思いを抱くやつは、そう少なくもなさそうだな?

【そう、あまりに危険だ。だが、躊躇っていては破滅だ。この世界そのものが、自分たちの足元がひっくり返される】
【だが、その差し迫った状況のみでは、ここまでの勢力とはならなかっただろう。そこにアーディンの積み重ねて来たものがあってこそだ】


頼んだよ。これが我々の命綱だ

……そう、歯向かう能力者を洗脳し、自分たちの手駒とする。彼奴等が唱える、力の結集のための手段だ
世に散らばるあらゆる力を、一つにまとめることで統一の足掛かりとする。絵空事のようなことを、彼奴等は実際にやろうとしている

この技術に深く携わっていると思われるのが、『ルハニア社』と『オーウェル社』という二企業だ。『特区』の管理体制にも、この二社の技術が用いられているらしい
特に『オーウェル社』の方は、初瀬麻季音に関わりがあるらしく、洗脳技術の開発についてはこちらが主導と睨んでいる
この二社に関しては、現在協力者たちが情報収集に当たっているところだ

……ブラックハートが。あれほどの戦闘能力を持つサイボーグを、戦闘不能に追いやったのか
つくづく、恐ろしい女だカチューシャめ……

そのような事態では杞憂かもしれないが、一応頼んでおこう。ブラックハートにも、我々『スクラップズ』が一時協力していることは伝えておいて欲しい
彼女から聞いたかもしれないが、あれからもう一度彼女とは派手にやり合ったものでね。次に会うことがあれば、即刻殺し合いになって然るべきだろう
向こうも私の面は見たくないだろうから、お前から伝えてもらいたいんだ

【恐るべき敵の技術。ブラックハートをも下したカチューシャの戦闘技能。どれ一つとっても、強大な〝力〟】
【戦慄しつつ、リスク回避には余念がなく。ブラックハートとトライデントとの壮絶な戦いを思い起こしながら異形はラベンダァイスにそう頼んだ】

/続きます


247 : カニバディール ◆ZJHYHqfRdU :2018/05/29(火) 06:05:09 IBKicRNQ0
>>238-240
【落ち着きを取り戻したラベンダァイスに対しては、やはり沈黙を守る。彼女の歪みの原因の一端が、彼らにあったとしても】
【それを決定的なものにしたカニバディールが、何を言えようか。ルヴァの言う通り、人同士でも理解し合うことなど出来ないというのに】

【ただ、鈴音を取り戻すという宣言にのみ頷く。それが他ならないラベンダァイス自身の殺意と諦めによって覆されるとは流石に知る由もなく】


その通りだ。数の力は、そうして庇い合うことにも直結する。そうして、次に備えられる

だいたい予想はしていたがね。あのような形で強引に制定した排斥のための地区が、まともな手段で機能するはずもない
いずれ全世界を『カミスシティ』にするための予行演習、巨大な実験場と言っても過言ではないだろう

そんなところでモルモットにされている連中だ。殺してやるのは、むしろ親切かもしれないぞ?
少なくとも、己の幸福を信じて逝けるのだから

そうだとも、ルヴァ。彼らが幸福によって停滞し、そのまま凍り付こうというのならば
こちらは、怒りを原動力として動き、それを溶かす。今は、その怒りこそが重要だ

【冷徹とすら思えるアーディンの言葉にも、ルヴァのあきれた様子にも、カニバディールは頷く】
【彼自身が狂気の悪党であり、人々の迂闊さや愚かさを慮るような人格ではないがゆえ】
【そして、その上で『黒幕』の破滅的平和思想を憎む者であるがゆえだ】


――――ほう。アルターリの事件にいち早く介入したあの企業か
確かに、あの事件が『黒幕』に関わるものであったならば、必要な一手となるだろうな

【アーディンが口にした計画に対しては、カニバディールはどうにも言葉少なであった。無理もあるまい。カニバディールはまさにあの場にいたのだ】
【そのレボルツィオーン社の社員と知り合い、その誘いを受けてあの場に見学に行っていたのだ】
【故に、知っている。あの惨劇を誰が引き起こしたのかを。だが、それが『黒幕』の望むところなのかは、知らなかった】

【この調査が、その謎を解く手がかりになるだろうか。それとも、この脆い共同戦線の亀裂となるだろうか】
【それはまだわからない。セリーナが、拉致の張本人たるブランルから自分の名を聞いていたことなど、カニバディールは知らないのだから】
【この一件に関しての影響は、また別のどこかで出てくることになるだろうか】


【彼らが渡したメモリの情報を吟味していく間、カニバディールは控えめに相槌を打ちつつそれを見守る】
【掴めてくる敵の輪郭。だが、つかめて来たからこそわかる巨大さ。アーディンたちの前にもかかわらず、こめかみを伝う冷や汗を隠せない】

【その汗がさらに量を増したのは、ラベンダァイスの反応を見た時であった】

(……!! しまった……黒野 カンナの名をそのまま……!! 『円卓』のリストのためには、先にこちらが確保せねばならないと言うのに……)
(いや、しかし……現状、こちらが取り戻せるかどうかもわからない。ならば、多少のリスクは負ってでも情報は拡散すべきか……)

(どのみち、今更だ。それにあの反応……どうやら、心当たりはあれど核心にはいたっていないらしい)

【ラベンダァイスにひそやかな観察の視線を送りつつ、カニバディールは心中でつぶやく】
【彼女らの重ねて来た歴史を知らず、彼女が掴み損ねた答えも知らない異形には、それが精一杯だ】


……いいだろう。ならば話すとしよう。ラベンダァイス
アーディン、貴方の顔の広さがさっそく出て来たな。ソニアの縁者を知っているとは。ならば、なおさら私の『危惧』は聞いてもらいたい
悪いなルヴァ、だが乗り掛かった舟だろう?

【そういってカニバディールはメモリを端末に差し込むと、彼らの前で起動させた。表示されたのは画像データだ】
【ある計画についてのプレゼン向け資料を撮影したものらしい。そこに記された技術とその使用法。そこに秘められたおぞましさ】

/続きます


248 : カニバディール ◆ZJHYHqfRdU :2018/05/29(火) 06:06:22 IBKicRNQ0
>>238-240
……人間の遺伝子から、悪性因子を取り除く。それがこの技術の、本来の用途だ
受精卵に対してこれを用いれば、誕生前に胎児が背負うはずだった病気や障害のリスクを取り払うことが出来る

だが……これを転用して、すでに生まれている人間を遺伝子にまで分解し、再構築する。一人の人間を別の存在にする
それを可能とすると言ってのけた男がいる。先の名簿にも記した一人、公安の『調停官』、嵯峨野 鳴海だ


――――カチューシャは、間違いなくソニアだ。肉の専門家たる私が断言する、〝あの肉体〟は確かにソニア〝だった〟ものだ
それが、まるで別人。その上、自分がソニアであることを頑なに否定する姿勢。『黒幕』に対する盲信的協力

私は、こう考えている。ソニアは、この技術の被験者にされ……人為的に〝生まれ変わらせられた〟のだと


それも、ただ分解と再構築をしただけとは思えない。カチューシャのあの目、私は泥の街で似たような目を見たことがある
逆らえない状況で、徹底的に悪意を叩き込まれた子供……自分にそれを教え込んだ相手にただ従い、どんなこともする少年兵。あれは、そんな目だ

先に渡した『血の処断』と同種の、〝教育〟が施された結果、ソニアの戦闘技術と敵対者への無慈悲さを併せ持った
完成された狙撃手となった。そんなところじゃあないだろうか

【それは、絶望的な事実。遺伝子単位にまで砕かれ、組み替えられたという、あまりに惨たらしい仕打ち】
【紛れもなく彼女の身体なのに。そこから彼女が消し去られたということ。セーブデータを書き換えたように】


……正直なところを言うが。私にとってソニアもカチューシャも敵だ。その安否には、大して興味はない
だが、そこで私が先に挙げた『危惧』が出てくる……

私が言うのも何だが、ソニアは魅力的な女だと言えるだろう。あの儚げな容姿に、戦いを好まない優しさ
恐らくは、好感を抱くものはUTを中心に多くいただろうと思う。アーディン、貴方の知るソニアの縁者も、入れ込んでいたのじゃあないかね?


対して、カチューシャはソニアの持つ魅力をそのままに、それを意識的に使って敵味方、老若男女問わず、あらゆる人物に粉をかけて回っている
私の知る限りでも、この指輪を持つ者のうち二人はカチューシャに想いを抱いているようだ……そう、〝カチューシャの方に〟だ

わかってもらえるかね? ソニアを取り戻そうとする者。カチューシャのみを知り彼女を想う者
たった一人の女を巡って、事態とは関係のない対立構造が生まれかねない爆弾がここにある


そんなことになって、ソニア派とカチューシャ派に分かれて争うことにでもなってみろ……
喜ぶのは『黒幕』だけだ。頑丈さに自負のある私の胃壁にも穴が空くよ

いっそカチューシャを殺してしまえればとも思ったが、そうすればソニアやカチューシャを想う者たちの火に油を注ぐだろうし
何より、カチューシャ自身がとんでもない強者だ。簡単にはいくまい


だからこそ、こうしてカチューシャをソニアに引き戻す手がかりを探していたのだが、見つかったのはこの事実だ
遺伝子にまで砕き潰された人間を、どうやって戻せばいい? 私には見当もつかない

それが出来そうな技術と、ソニアのために労苦を惜しまない意思を持った人間……私の知る限り、その条件に当てはまるとすれば
『財団X』のジンジャー・ユースロットくらいだが……彼の消息はまるで掴めない。はっきり言って、八方塞がりだ

【深く息をつくと、カニバディールは端的にそう締めくくった】


249 : ラベンダァイス&アーディン&リベル ◆auPC5auEAk :2018/05/29(火) 11:50:24 ZCHlt7mo0
>>246-248

{――――「ありのままであり続けない世界」って奴の、なんて罪深い事か……って事よねぇ
 善と悪とが……あたしらが本当に『善』なのかは知らないけど、あなたたちは間違いなく『悪』じゃない? ……それが、真っ青な顔してくっつくって言うんだもの
 道を曲げれば、混ざってはならないものが混ざって、混ざるべきものが混ざらない……本当、ユートピアもディストピアも御免被るわ……}

【――――本来的な意味で言えば、ユートピアは須らくディストピアにたどり着く、と言うべきなのだが――――ともあれ、ルヴァはこの世界の有様に頭を抱える】

〔だからこそ、強さがなければならない。そして強くないのであれば、正しさがなければならない……
 俺は、自分の領域で、自分の強さで正しさを保証してやっていたつもりだが……さて、世界相手にこのチンピラ風情が、どこまで通用するか、だな……〕

【普遍的な事実と言うものは、規模の大小の問わず、環境の如何を問わず、通用するものである。個々人のモラルの規範は、彼らの生きる社会に、そして世界全体に俯瞰できる】
【正しさを捨て去った世界は、もう機械や獣の類に堕していくしかない。これは謂わば――――人間が人間であるための戦いなのだ】

〔ありがたい事に、な……「世界は美しい。それが好きだ」と言う奴もいたし、「人間は輝くべきだ」と言う奴もいた……「人間は権力などに縛られずに、自由に力強くあるべきだ」と言う奴も……
 こんな連中が、『黒幕』の世界に「仕方がない」などと言って迎合するとは思えない……
 ――――趣は違えど、お前さんの手勢もまた、『黒幕』のやり口が許せないんじゃないのか? ……きっと、ただ「気に入らない」ってだけではなく、その理由があるはずだ〕

【そこに至る理由は様々だ。だが全ては「『今』を守りたい」と言う結論に収束する。アーディンはその例をいくつか挙げながら、カニバディールに問い返した】
【『善』と『悪』。全く対極の出発点から同じ目的に至った者同士――――そこにも、その理由があるはずだと】

〔……洗脳の為の、技術開発か……なるほど、その麻季音とやらが、キーパーソンになる訳だ……これは、是が非でも敵に渡す訳にはいかないようだな……
 『ルハニア社』と『オーウェル社』……覚えておこう。そしてそちらにも、俺たちからある程度の探りは入れていく……可能性がありそうなところは、徹底的にな……〕
――――分かりました。今は――――そう軽々に、UTの地下から出れない状態になってるはずですが、確実とは言えませんからね――――気を付けます

【更に飛び出してきた、2つの組織の名前に、アーディンは深く思索を重ねる。当たり前の話だが――――世界を相手取るだけあって、敵の勢力は強大だ】
【レボルツィオーン社と並んで、注意すべき最重要ポイントとなるだろう。そこを糸口とすれば、何らかの突破口が開けるチャンスにもなるはずだ】
【そしてラベンダァイスは――――ブラックハートの事について、カニバディールに対して首肯する。今後戦士として、もはや戦えるのか疑わしい状態になってしまったが】
【それでも、情報の共有はしておかなければならない――――今は1人でも戦力が惜しいのだ。特に『異能の全く絡まない』ブラックハートの様な人物は――――】

〔……なんだかな。噂に聞く、雷の国の『セードムシティ』の様な状況だ……もしや、グラトンのやろうとしていた事は……近いものがあるんじゃないのか?
 そして、その手から解放されたあの街は、ひどい有様になってしまったと聞く……さて、雷の国はあそこを責任もって管理しているが、水の国はどうかな……〕
{……人間はお行儀良くしなきゃいけないものでしょうけど、それが行き過ぎるとこうなるっていう、好例よねぇ……もし、上手くやり過ごせたら……「こんなことは許されない」って、歴史書に書いてあげなきゃ……}

【ふとアーディンは、グラトンの事を思い出した。世界を、恐怖統治していくための実験場と喧伝されていた『セードムシティ』――――今のカミスシティの本質は、アレに近しいものがあるのではないかと】
【だとしたら――――残されたセードムシティの存在が難しいものである事を考慮して、そしてセードムシティとは異なり、自ら人がそれを求めた事を考えて】
【――――もろとも、殺してしまうのも『アリ』かもしれない――――と。そうした身勝手を嫌うアーディンも、そこには嫌悪の情を隠さなかった】
【そしてルヴァは――――以前の、カニバディールたちとの戦闘を思い返しているのだろう。「世の真理が高尚だったら高尚だったで、それでもお前たちは悪事をやめないのだろう」と――――】
【逆方向に、極端に振り切れた世界の有様を覗いて、良く分かった――――いずれにしろ、極端に極まるという事は、許しがたい事なのだ、と――――】

/続きます


250 : ラベンダァイス&アーディン&リベル ◆auPC5auEAk :2018/05/29(火) 11:50:47 ZCHlt7mo0
>>246-248

〔――――まぁ、何かしらの情報は得られるとは思う。もしも黒幕と対峙するなら、儲けものだろう……あれだけの事をやらかした以上、許されはしないだろうが、二虎競食ぐらいはな……〕

【少なくとも、現状に対して何らかのアプローチをしようとしているのは、間違いないだろうとアーディンは踏んでいる】
【後は結果を待つばかりなのだが――――閑話休題】

――――昔――――Justice? ――――でも、流石に全部を、覚えてる訳では――――ダメだ。思い出せません――――
〔――――だが、少なくとも、覚えておいて損はなさそうな名前だな。注意しておこう……黒野 カンナ……お前たちも、良いな?〕
{はいはい。3人分の注意で、忘れはしませんって……}

【その記憶の懐かしさが、昔に起因するなら――――ラベンダァイスは、Justice時代に何らかの関わりがあったはずだと考える】
【が――――なにせJusticeは巨大な組織だった。直接関わったメンツなど、半分もいない――――それは、UTに身を置いても同じ事だったが――――】
【結局は、何かがある名前だから注意しておこうという、3人――――5人――――の、意識共有にとどまったようだ】

【――――――――そして、続くカチューシャの真実に、全員の耳は晒される】

――――――――っ、ぐ――――!!
{っ、ラベンダーちゃん――――}「ラベンダーちゃん! しっかり……しっかりして!!」
〔…………ッ〕

【――――ごぼ、と。ラベンダァイスの喉から、くぐもった噴出音が響く。慌てて口に手をやると、部屋の片隅へとヨロヨロ歩み去って】
【その背後を、ルヴァ――――否、無理やりに肉体の主導権を取り戻したのだろう。緑の瞳――――リベルが追いかけて、背中をさする。どうなるか――――分かったのだろう】

ぅ――――ぐぉ、エ――――ッッ、ぁ――――うボ、ごぼぉッ!! ――――は、ぐっ――――!!
「き、傷が……!」
〔……………………〕

【――――正に「人が悪意で歪められる」。そんな事が、ニアミスしていた仲間に起こった――――その認識に、ラベンダァイスは耐えきれなかった】
【廃墟とは言え、暗い部屋の隅にまで身を退いたのは、最後の配慮だったのだろう。そこに――――縮こまった消化器の中身を、血と涙と共に吐き出して】
【そんな発作に晒されれば、処置したばかりの傷口が再び開く――――わき腹から、またも血がジクジクとあふれ出す。リベルは己も泣きそうな顔で、ひたすらにラベンダァイスの背中をさすり続ける】
【――――ただ1人、アーディンだけが冷徹にその有様を見守り続けて――――やがて、落ち着いたラベンダァイスは、ヨロヨロと戻ってくる。血の跡と、饐えた匂いを口元に残して】

――――――――ありがとうございます。おかげで今、ハッキリと分かりました――――――――
私は、あなたと「仕方なく手を組む」んじゃない。「絶対に手を組まなきゃならなかったんだ」と、今――――ハッキリと分かりました――――――――
あなたなどとは比べ物にならない、生き物である以上、絶対に許してはならない敵がいるんだと――――思い知らされました――――

【――――真っ直ぐにカニバディールと相対したラベンダァイスは――――あろう事か、その情報に対して、カニバディールに対して、謝礼の態度を見せる】
【傷と嘔吐の相乗効果で、相当に苦しかったはずなのに――――そんな事、もう気にもならないという態度で、ラベンダァイスは凛とした態度を見せる。そこに「知らなきゃよかった」などと言う弱い態度はない】
【やや、棘の含んだ皮肉に思うかもしれないが――――人の心を見るに敏なカニバディールなら分かるだろう。そこに揶揄はない。本心からの言葉だ】
【――――そして、そんな本心からの言葉を口にさせるほどに、ラベンダァイスは心の底に『渦』を抱えてた――――全身の金色のラインが、ハッキリと明るく輝く】

/続きます


251 : ラベンダァイス&アーディン&リベル ◆auPC5auEAk :2018/05/29(火) 11:50:58 ZCHlt7mo0
>>246-248

――――「殺します」。必ず「殺します」。『人間』として『倒す』のでもなく、『兵器』として『討つ』のでもなく――――『命』として――――『殺す』のです――――ッッッ!!
こんなもの、許してはならない――――許されざるもの、全て、全て、全て――――ッッッ!!
尊厳を汚し、あるべき正道を踏みにじる連中は――――この世に己が身を置いている事を血の一滴まで後悔する程に殺しつくすのですッッ!!
人を書き換える悪魔も命を弄ぶ悪魔も、みんなみんなみんな――――ッッッ!!

【――――プシュッと、包帯を押しのけるようにして、その傷跡から血が噴き出る。内心のラベンダァイスの怒りを代弁するように】
【徐々にその口調もアクセルを踏むように加速していき――――あの日からずっと虚ろだった瞳が、怒りに満たされていく】
【――――許せない。この世界は許せないものだらけだ。そんな醜悪な、唾棄すべき敵がいるなら――――この命に代えても、許しはしない――――そう、言っている様だった】

〔――――なるほど……お前さんの危惧するところは良く分かった、カニバディール……
 直接には縁のない俺でさえ……いや、俺だからこそ、か……その憂慮は分かる。元より「『黒幕』の好きにはさせない」と言う一時だけで寄り合った集団だ……その内実は、密に連携、とも行きづらい、か……
 ……その通りだよ。奴はハッキリと、カチューシャに対して宣言したそうだ……「俺はソニアを愛する。お前など消し去って、ソニアを必ず取り戻して見せる」とな……
 ……どうやら、元よりいわゆる「友達以上恋人未満」の関係だったそうだ……奴の証言だけだから、なんとも言えないがな……〕

【カニバディールの言葉に、アーディンは冷静に悩んでいた。確かに――――その「知り合い」は、ソニアに対して半端で済まないほどに入れ込んでいる】
【それこそ――――今、生活のほとんどを放り出して「ソニアを助けるために」全てをささげている――――元より、そうした「熱くなりやすい」タイプなのもあるが】
【それだけ、ソニアの存在が大きいという事なのだろう――――それが、事態をより一層に混沌とさせている】

〔……まぁ、個人の扱いについては――――大事の前の小事だと、そういうしかあるまい。決して『小事』ではないが……ここに、あまりソースを割きすぎると、不毛な事になると思う……
 ――――だが、少なくとも俺は、奴には必ず伝えるよ……「原因さえ分かれば、それだけでもう、どうにでもなるようにしてある」などと叫んでいたからな……
 奴の一本気が、事態を動かすかもしれないと、そうとだけ思っておこう……――――これ以上は、俺は言わないでおこう……〕

【――――戦いの中において、個人の事を念頭に置いて戦力を発揮できないというのは、正直に言えば馬鹿馬鹿しいと、アーディンは思っている】
【だが、もちろんそれは「第三者」だからこそ言える事だ。当人たちにとっては、深刻な問題なのだろう――――これについては、今は結論を出せない】
【だが、その中にあっても事態は進んでいく――――カチューシャは、カチューシャとして動き続けるのだ】

〔――――殺してしまえば、か……最悪、確かにそれも手なのかもしれない――――そうすれば、双方ともに諦めるだろう……正直、その有様を知ってしまうと、気は進まないがな……
 ――――どうしてもそれをやるなら、その時には言え。そういう汚れ役も、憎まれ役も……俺がやるべき事だろう……この事態に踏み込むときに、そういう覚悟は固めてきたよ〕

【もしも、事態の混迷が極まって「ゴルディアスの結び目を切る」事になったなら――――それは、自分のやる事だとアーディンは宣言した】
【――――正に、ラベンダァイスに対してそうした覚悟を固めているのだ。それがもう1人増えても、今更何でもない――――それは「汚い大人のやらなければならない事」なのだ、と――――】


252 : ドープ ◆xgsUYuhzWc :2018/05/29(火) 13:19:55 6IkAZGKg0
>>243

【──ぞ、と。背筋が泡立つ思いがした。ただならぬ殺気を見出す】
【幹部ウサルハグェ。病魔。虚神。──終焉の体現のようにも思える】
【至極、当然の結果だ。興味本位の挑発は猫をも殺すのだし、彼女は明らかに〝格上〟】
【淡く美しい絵画のようなこの少女は、そもそもとして己より〝強い〟のだから。単純明解な話なのである】
【──当たり前に、死のフラッグは回避するのが吉だ。それは、そもそもヒト以前に──動物としての生存本能なのだ】

(……おいおい……。本気半分冗談半分とはいえ、オレだって死にたくねえ)
(ココで死んだらアホだな……、よし、謝ろう。こういうのは恥も外分も捨てて即断が大事だ)

【あんなにからかったくせに戦闘する意識は無かったので、ひとまず睨みつけ】
【──歯を食いしばって汗を垂らし、そのままくっ殺せと言わんばかりの悔しそうな表情を──捨てた】

……だああーッ、わーッたわーッた!!
カミサマウヌクアルハイサマラサルハグェサマの御心のままに!
オレは調子に乗りすぎた!!はい!!ゴメンナサイ!!ソーリーソーリー!!土下座っ!!

【小学生かと思うようなクソ謝罪をかまし、流れるように土下座した】
【──命乞いの為には、わざとらしいくらい、下手下手に出て盛り上げた方が良い】
【この場で無様に媚びる事で、なんとかうやむやにする算段である】
【──上手くいったら、調子に乗って色々喋ってくれるだろうか、とも甘く思考する】

まァ待てよ、……あー……イル? ディス・リリックってのはアイなんだ。
敢えて相手を貶すコトで伝えられるアイもあるのさ。まァ、お前さんは気持ち悪がるかもしれんが。

お前さんは明らか節々でニンゲンを見下してるようだが、
オマエがオレをキライでも、オレはオマエにアイを持って接してる。ラブ。ピース。
だからまあ、オレも穏便に話そう。そうだ、穏やかに行こうぜ。
オレだってあんたに忠誠心が無いワケじゃ無いんだ。エール一杯掛けられる。嘘じゃあない。

【地面に顔をくっつけたまま、再びペラペラと調子の良いことを喋り──】

(──鈴ちゃんって誰だよ。スクールの友達か?)
(……まあ、この宗教だ。幹部ってのはヤバイ連中ばっかだとは思ってたが)
(とはいえ、なんで人外なんだ?……単純に気になる。も少し掘り下げたいところだ)

まあよ、オレぁ信仰心だけは人一倍だぜ。
ウヌクアルハイ受肉の為にせっせこらせっせこらとこうして死体を作ってんだ。

オレだってウヌクアルハイと一つになるコトにだけは熱心でね。こうしてスタディは欠かさねえのさ。
オレはアンタにそこの坊主を褒められて嬉しかったんだぜ。

アンタは幹部、オレはサーバント。
そう、ココが重要だ。お詫びと言っちゃあなんだが、オレに、死ね以外何でも命令してくれて構わないぜ。

【──ココはかなりの駆け引きだったが、機嫌を直してもらうためにはへりくだる、とことんへりくだる】
【自業自得というか、普通にヒトとして失礼だったのだが】


253 : 院長中身 ◆zO7JlnSovk :2018/05/29(火) 14:47:00 zd.sFs4.0
>>252

【睨めつける視線の色、そこに僅かばかりの無垢さも無く、只只残忍な興味を浮かべて。── 或いは幾許かの友禅にも似て】
【故も知らない幽世の存在がある如く、童にも似た愛らしい瞳に深く深く血の色を沈めたなら、きっとこんな色合い】
【彩る睫毛は冗談の様に長くて、柔肌に染み込む纐纈模様が如く、彼女を飾り立てる】

【── イルはゆっくりとさらけ出した素足を伸ばす。灰被りの姫だって裸足で逃げ出す彫刻の様なライン、硝子の靴を探して】
【"思い切り" ── 躊躇なんて僅かばかりもなく、── 土下座した貴方の後頭部を踏みつけようとする】
【そしてそのまま、貴方の顔を雑巾代わりに地面を拭くかの様に、力一杯蹂躙する流れ】


言ったでしょう、お望み通りぶっ殺してあげるって──、あは♪ ボクってばやさしーんだから
キミ達みたいなニンゲンの言う事を聞いてあげる神様なんて、ボク以外に居ないし
虫は虫らしく地面に這い蹲ってろよ、きったねぇ顔面をボクに見せないで欲しいな♪

ほらほら、お仲間さんが一杯じゃん、近寄ってきた近寄ってきた♪ 虫同士仲良くしなって
大丈夫大丈夫、キミの事はね、しーっかり嬲って殺してあげるから♪ 腸掻き分けて、脳髄を磨り潰して
── 骨の髄まで雑音に変えてあげるから


【それを駆け引きと言うのなら、貴方は最初の一手からし損じたと評さなければならない、彼女は嵐であった──】
【一片の容赦もなく、一縷の望みもなく、唯ひたすらに殺戮を振り撒く天使の様に】
【降り注ぐ苦痛の雨の中彼女は笑っていた。頬を綻ばせて、デザートを前にした少女の様に無邪気な笑みを】


ウヌクアルハイ "様" だろ、ほんと学習しない虫だよね、糸くずみたいな脳味噌しか詰まってないの?
いいよ、分かった、今すぐその頭蓋をかっ捌いてボクが直々にキミの脳味噌見てあげる♪
おそらくきっと、たぶんぜーったい、これっぽちしか入ってないだろうけどさぁ♪


【── 言葉の間に、何度も何度も体重を掛けて後頭部を踏みつけるだろう、タップダンスでもしているかの様に】
【組んだ両手の先端を軽く顎において、艶やかな頬の線を強調したなら、柔らかな唇が瑞々しい質感を残して】
【ふぅん、と一音節、確かに紡いだ】


何でも聞くんだ、── それはちょっと、気になるな♪


254 : ◆DqFTH.xnGs :2018/05/29(火) 23:42:33 Y3P4zwoE0
>>245

辛くなったら逃げるっつぅのは大事だな、いやマジで
案外それが出来ねぇ不器用なやつもいるもんだ
もうちょっと、もうちょっとって我慢してたらどうしようもないとこまで来ちまって、みたいなよぉ
だから────いいんじゃねぇの?少なくともあたしは、悪いこととは思わねぇなぁ

んで…………か、カレシ…………、カレ────あぁ、まぁ、その…………うん
いやなんつぅか…………?あ、あいつもあいつであたしが色々としてるの承知の上、っつぅか、よぉ
えぇと、お、おう…………なんだ。その。ちゃんと、帰るってぇのはきっちり約束してっから、さ
“例えどんな形になっても、絶対帰る”────、って…………よ

く、くくっ…………、それに…………あいつは泣くよーなタマじゃねぇよ
背は高ぇし力もそれなりだし、腹たつったらありゃしねぇ!
あいつがピーピー泣くよぉなことがありゃ、それこそ世界がひっくり返っちまうっつぅの!


【「あ、そうそう。結婚式さ、そのうちするから」「そん時は来いよな」】
【────なんて。さっきとはまるきり違って、本当に幸せそうに笑う。写真屋のショウケースか】
【それかゴールイン手前のカップルが読みそうな雑誌の表紙を飾っていそうな表情】
【その“お相手”が誰か、までは語らなかったが──互いに信頼しているのだろう。そうでなければ】
【危険を承知で、なんて言葉は出てこない。口の端を歪めて、照れを隠しながら】
【“彼”のことを語ること自体が嬉しいとばかりに、さわさわと髪が踊るのだ】

【そして────ポップコーンにコーラ、行きたいカフェに見たい映画】
【愉快なことを語りに語って、それから。少しの沈黙が訪れる。それを破るのは】
【小さな小さな、笑いだった。喉を鳴らして、夢の続きを話すように笑っていた】


…………金なら心配すんなって。仕事の給料は割といいし────なんだったら、借りるアテだってある
もし高い酒とか米しか食えなくなってたら、それを買えばいいだけだし…………
それに、もしかしたらポップコーンを気にいるかもしんねぇだろ?

いいんだよ。余計なことは心配しなくったって
前だけ見て、とりあえず突っ走るのがあたし流ってな
でも────そうだなぁ。うん。鈴音と一緒に楽しいことできるように…………
それこそ、カミサマにでもお願いしてみるしかねぇなぁ────


【それは、ちょっとした祈りだった。どこかの部族の、名も知れぬ神に向けた──】
【あるいは、鈴音に向けた祈り。友人の鈴音と、また一緒に過ごせるようにという】
【それこそニューイヤーの瞬間にしか願わないようなこと。届くかどうかも分かりはしないけれど】
【また会えたら。また話せたら。遊べれば。祈りにしてはささやか過ぎるかもしれない】
【願い事の作法もやり方もろくすっぽ知らなくて、ただ気持ちを込めて強く強く想っただけにすぎない】
【それでも────どこかで気持ちが繋がればいいと。確かにこの時、そう想ったのだ】


255 : ◆S6ROLCWdjI :2018/05/29(火) 23:45:48 WMHqDivw0
本スレ>>206

【鈴音と話をしてみる、とアルクが言うなら。うんと頷いて、それがいいと思うのだ、けど】
【……帰ってきてくれるかどうか。鈴音が。それがまだわからない、それを言うかどうか、迷って】
【また渋い顔をして、視線を濁した。それも不自然に見えるだろうか】

命、……まではわかんないけど、本当にぜんぜん帰ってこないの、セリーナ。
……あたし何度か、ここの厨房で料理の練習させてもらうため、色んなとこ出入りしたことあるけど
未だに顔も見たことないんだよ。いくら忙しくってもさあ、ちょっと顔出すくらいはするんじゃない、って思って……

セリーナがどうなってるかは、ごめん、よく知らないんだけど……鈴音の方の事情は知ってるよ。
……イル、っていう淫魔だか悪魔だかの名前、聞いたことがある?
そいつが今、どっかの世界の神様だかバケモノだか、この世界に連れてきて大暴れしてるの。
それでそいつに、……連れて行かれちゃった、鈴音。

【もう少し踏み込んで訊けば、少女がそのバケモノと戦ったことがあると言う】
【イルの目的は、人間を淘汰することである、ということも。それなら何故鈴音が連れて行かれたか】
【少女は、言い難そうにそこら辺を濁したが――聡い二人ならなんとなくわかるだろうか】
【鈴音が、人間嫌いのイルにとって好ましい種類の存在であること。そうであるなら彼女は、――】

……じゃあその、ギャングって人にさ。情報伝えといてくれないかな。
鈴音が今いるところの、手掛かりになりそうなキーワード、知ってるから……

【彼らの頼りにするギャングの正体。知らないけど、見ず知らずの自分を助けてくれた二人だから】
【二人が信頼するなら、自分も信頼する。少女はそう思って、情報を伝えようと決心した】
【「ちょっと待ってね」。そう言いながらスマホをポケットから取り出す、メモアプリを開いて】

『アナンタシェーシャ』『へびさま』『ミルドラ』、――『ウヌクアルハイ』。
こーいう、神様の名前……? が関係してるところに、鈴音はいる、……多分だけど。

【並び立てる、色んな国の言葉。その全てが蛇神の名前であること、知っているだろうか】
【とにかくこれらが「キーワード」だと言う。それらの居所を訊かれれば、また少し渋い顔をして】
【「……予知夢? みたいなヤツに鈴音が出てきて、それで、鈴音の口から直接聞いた……って、言ってる人がいる」】
【そんなことを言う。説明の難しいことばっかりだったし、そもそも少女はこういうのを分かりやすく説明するのが苦手だ】
【首をひねることになるだろうが、とにかくこれが今のところの鍵なんだって。それだけはっきり、伝えようとするだろう】


256 : ◆S6ROLCWdjI :2018/05/30(水) 00:10:18 WMHqDivw0
>>254

……っひゅ〜う、アツいじゃんそれ! じゃあカレシじゃなくて婚約者じゃん!?
へーっいいなーっ、なんだかんだ言いながらめっちゃ仲いいんじゃん。
じゃあマジで約束破んないようにしなきゃネ、……ひっくり返るよきっと、世界なんて簡単に。

【若い。若いから、そのテの話は大好物。興奮した様子で口笛を吹いてから】
【「ミラさんが、いなくなったら。その人だってきっと泣いちゃうよ」。だから本当に気を付けてね、って】
【幸せそうな顔を見て、こちらもそれが感染したみたいに――笑んだ、それから】

【「式? 式ってやっぱ教会でやるヤツ?」「……んー、あー、じゃあ二次会から呼んで」】
【「あたし、……教会入れないから」。そう言って、笑みにちょっとだけ寂しそうな色を混ぜる】
【教会に入れない。ならばこの少女は他の宗教に入れ込んでいるのか。……きっと違う】
【それなら、「そういう」種族のイキモノであることが察せられるだろう。吸血鬼とか、あるいは、――ゾンビとか】


借りるの? 借金? ヤダよそーいうの怖いんでしょ、
こう、めっちゃ怖いグラサンスーツのおっさんが金返せーって怒鳴りこんでくるんでしょ。

【ミラ(とその恋人)の職業、まったく知らないから。金貸しのイメージ像を挙げてみて】
【……笑われるだろうか、今時そんなステレオタイプなやつ、いないって】
【そしたらまた笑うのだ、愉しそうに。ずっとこういうのが続けばいいと思って、それで】

……そっか、そうだネ、あたしからもお願いしとく。
二倍でお願いしときゃどっかのカミサマが拾ってくれるでしょ、たぶん。
なんならカミサマじゃなくても、流れ星とか探して――なんでもするよ。
このお願い事、叶えてくれるナニカがあるなら――――、

【ミラと自分で二人、祈るだけでどうにかなるならとっくにどうにかなっている――けど】
【想い続ければきっと、叶えるための行動にだって踏み出せる。そう信じていた、ひとりじゃないから大丈夫、って】


【――――和やかな夢物語のタネも、ここらへんで尽きるだろうか。そうしたら話は、本題に戻る】
【動かなくなった鈴音の身体の話。「どうしよう、今からでもそこに連れて行く?」とか、訊き始める】


257 : ◆S6ROLCWdjI :2018/05/30(水) 00:19:25 WMHqDivw0
>>255
//ぐえー誤字?的なのを見つけたので。下から4行目、「それらの居所」じゃなくて「それらの出所」ですね。すみません……


258 : トキ ◆M7/rNiM4/U :2018/05/30(水) 12:58:13 c7Bsb7jM0
>>244

謝る必要はない。ただ消えてもらうだけ。
君がこの時間軸に存在することは許されない事なのだから。

【対する男は、余りにも冷静、冷淡、冷酷。】
【蜘蛛の子を散らすように逃げ惑う民衆には目もくれず、一歩一歩進む】
【それは裁きの時を刻む秒針のように】
【能力者、オーバーテクノロジー、魔術師といった、『時を冒涜する存在』を消し去るべく産み出されたリーサルウェポン】【その役割は揺るがない。故に話し合いの余地はなく】

━━━━裁きは迅速でなければならない。
 
【躊躇いを、男の瞳は見逃さない】
【瞬間、右手の長剣が煌めく】
【ビデオの早送りでもしたかのように、10m程の間合いは、戸惑いの一瞬で一刀のそれへ縮んで】
【躊躇うことなく、その首へ刃を振り下ろそうとする】


259 : セリーナ・ザ・"キッド" ◆/iCzTYjx0Y :2018/05/30(水) 14:31:07 lp4TKcVo0
>>184

【アクション、という意味では―――セリーナは一緒に居た人間を一人、逃がしている。】
【つまりは情報が洩れず何時までもこのまま、という事は無いと思っていたが、それでも矢張り不安は残る。】
【今回の場合、相手が相手であるだけに迂闊に動けないメンバーも多い。頼みの綱のUTは戦力半減、そして自分はと言えば―――……】


(……、そうか。助けようって人も、居るんだ……。)


【ちら、と思い浮かべていた。もう誰も、自分を助けになんて来ないかもしれない。】
【世情を考えればUTなんて解散してもおかしくない状況、セリーナが銃を捨てるのが先か、奪われるのが先か。】
【それ程までに追い込まれていた状況を鑑みて、セリーナはもう自分が必要とされていないことまで考えていたのだが―――、どうやら。】


(……ま。それもこれも、とにかくは此処から出れたら考えればいい。)


【浮かんだ皮肉を頭から追い出し、セリーナは目の前の状況に集中した。差し出された酒には思わず苦笑い。】
【このセリーナを捕縛してる男―――あの科学者に関して言えば、"酷い仕打ち"をする癖に、"世話"という点ではかなり丁重な扱いをするのだ。】
【食事だってもらえる、何度かは机に座って偉く豪勢な夕食を食べさせられた。―――拒否してナイフで襲い掛かったら、その場でテーブルに押し倒されて酷い目にあったが。】


―――……こんなときに、のむのは……きがひけるくらい、……"おいしい"よ。
ありがとう、……"Mr.ノーバディ"さん。 けど、一口でやめておく……"出れた時"の、楽しみがなくなる、でしょ?

【気丈にそう返す辺り、矢張り完全に折れている訳ではない。だが、心に巣食う闇の深さは、まだ彼の知るところではなかった。】
【酒を一口含んでから返せば、彼の話を注意深く聞いて。戦力について―――あまり聞きたくない情報だ。漏れれば対策を取られてしまう。】

……8人、か。……ごめんね、あたしなんかの為に、そんなに……っ、……。
大勢の、ちからを―――、くっ、んっ……、かり、ちゃって……。

……戦力。―――……戦力、か。

【さて、どこまで"漏らす"か。話したところで、"漏らした情報"についてバレてしまうのであれば】
【救出班がどう動くかをレボルツィオーン側が把握できるという事にもなり兼ねない。戦力―――分かっている事も少ない。】
【セリーナは慎重に言葉を選び始める。目的、正体……そうして頭に思い浮かんだ最初の言葉は、きっと彼にとっては予想外、想定外の物だっただろう。】


……よく、わからない。……わからない、んだ……。


【たっぷり時間をかけて、セリーナの口から出てきたのはまさかの―――"わからない"という返答だった。】

/遅くなってしまい、申し訳御座いません。
お返しさせて頂きます。


260 : シャッテン=シュティンゲル&アルク=ワードナール ◆auPC5auEAk :2018/05/30(水) 20:52:32 ZCHlt7mo0
>>255

――――失踪、行方不明……しかも、どうやら好ましくない形で、だねぇ……
「ッ……ただでさえ、こう色々と厄介事が起こってる中で、一体どうなっているんだ……ッ。できればソニアの事も、確かめたかったんだが……」

【確かに、セリーナの長期的な未帰還、そしてそれを、誰も留守を預かっていないというのは変だ】
【夕月の言葉に、シャッテンは考え込み、そしてアルクは頭を抱える。ただでさえ、様々な異常事態が起こっている中で、恐らくは最大の希望であろうセリーナが、行方不明――――生死も然り】
【世界の混迷は、どうやら彼らの予想以上に深刻なものとなっているようだった】

……いや、初めて聞く名前だねぇ……コーネリアスの時みたいに、また人の輝きを踏みにじる奴が、現れたっていうのかい……ッ
「……バケモノに、さらわれた……? あいつが、一体どうして……?」

【イルの存在を耳にして、シャッテンの表情に怒気が混じる。異世界の神格が、この世界で破壊活動を行っている――――そんな話は、彼にとって不愉快極まりないものだったのだ】
【以前に戦死した、機関の六罪王――――コーネリアスの名を引き合いに出して、そのイルと言う存在に対する敵意を高めていく】
【一方で――――アルクはまだ冷静な様子だった。恐らく、まだ「鈴音の危機」に対して、感情をかき乱されるだけのものを、感じていないのだろう】
【それでも、そうした確執とは別に、疑問は尽きず、それを夕月に対して問いかけた――――踏み入った話を耳にして、アルクはため息をこぼす】

「――――人間の淘汰を謳うバケモノが、鈴音は殺さずに確保しようとするのか……」
……人間を舐めているねぇ。人の輝きを、命の輝きを、汚すような奴は――――僕は許さないよ、絶対にだ……!

【どうやら――――アルクはその『真意』に、おぼろげながらもたどり着いたようだった。うんざりした様子のため息だった】
【これでは――――鈴音はそのイルとやらと、同胞に近い存在になろうとしているのではないか――――やや感情交じりだが、そんな推論も成り立つと、胸中で思索して】
【シャッテンは、そこを知ってか知らずか、ただただ怒りを口にする。――――精一杯に生きて、命を輝かせている人間たち。それを淘汰するなど、許せない――――と】
【冷たいお茶を一気に喉へと流し込み、空いたグラスを握りしめる手が――――ギュッと音を立てていた】

あ、あな――――『アナンタシェーシャ』?
「シャッテン……それって、アーディンさんが言っていた……?」
――――間違いないよ。夕月……その『アナンタシェーシャ』とやらは、僕たちの言うところのその『旦那』が、既に仲間たちと殺している……!
そいつも、神の一種だとか言っていたが……そうか、使役しているような悪魔の子供って……そいつが、イルって訳だ……!

【アナンタシェーシャ――――その言葉は、既に彼らの記憶の中に存在していた。件の旦那を介して】
【既に、討伐された後だという。その神は――――異界の神格。まさにイルと同類と言うべき怪物だったようで】
【どうやらそこにも、イルが結びついている様だった】

しかし――――蛇の神、かぁ……
「……?」
いや……昔から、蛇と言うのは悪魔の一種として、色んな伝承で忌まれてきたものだからねぇ……
人に害をなす、荒れた水源や荒れ川の隠喩だったり、人の心を惑わして外道をさせる、奸佞邪智の象徴だったり……嫌な予感がするねぇ正直……

【こう見えて――――夕月は当然知らないだろう――――元はと言えば学者の卵だったシャッテンは、嫌なものを感じて、表情を顰めさせる】
【蛇の神とばかりに因縁が深いと言えば――――その先には、もう「忌むべき邪悪」と言う言葉しか繋がらない】
【どんな形であれ――――それが良い事であるはずがない。『鈴音』の状態は、現在非常にまずいのではないか――――と】


261 : ◆S6ROLCWdjI :2018/05/30(水) 21:19:16 WMHqDivw0
>>260

【ソニア。その名前には聞き覚えがないのか、首をひねったけど、深く追求はしない】
【今はセリーナと鈴音の、知っていることを全部吐き出しちゃう方が先決だと思ったから】
【アルクに問われれば、渋い顔がますます濃くなって。……ちょっとまごついてから、答えた】

……、……魅入られちゃったみたい。それで鈴音、今ちょっと、おかしくなってて……

【……たぶん、これならウソにならない。そんな感じの綱渡り、選びに選んだ言葉】
【それを返しながらも、イルに対して怒る二人に同調するように。眉間に皺を寄せた】
【彼女もイルのことは気に入らないらしい、相当。頷いてから話の続き】

そっか、知ってたんなら話が早いや。そう、蛇の神様――異世界の。
……、蛇の神様って、そういうことするの? 水、……荒れた……

【少女もその蛇神を知っているようだった。ようだけど――どういう動き方をするのかは、実は知らない】
【「内部」に潜っていたから。外から見たら、どんなふうに暴れていたのか知らなくて――だから】
【氾濫を起こしていたことも知らないのだ。ぞ、と顔色を悪くして――それから鈴音のことを思い浮かべて】

……ヤな予感っていうか。あたしも実際に見てるんだよ、さっき言った「鈴音の夢」。
そこでさ、鈴音、「わたしはだれ」とか「わたしどこにいるの」とか、……言うんだよ、泣きながら……

【「……ねえ、もしかして、その蛇の神様に、飲まれたりしてるのかな?」】
【予感が線を結んで、強烈にイヤな形を描いた。悪寒に身を震わせて、少女は自身の体を掻き抱く】


262 : ◆KP.vGoiAyM :2018/05/30(水) 21:50:21 Hc2J5SUw0
>>229

麻季音の父親が人間違いでテクノドックスに拉致されたのが俺たちの事の始まりだ
それから俺が古い知り合いであるUTに協力を依頼した。
同時期に、円卓側のミラはゾーイと知り合った。それがMチームの事の始まりだ。
後のメンツは鈴音がかき集めたと言っていい。だから俺も会ったことないメンバーが多い

【探偵は2本目の煙草に火をつける。タクシーをドアにもたれかかりながら何処か遠くを見つめて】
【その眼前に浮かび上がる蜃気楼のような過去を見ているかのように語りだした】

オーウェル社が何をしようとしているかはわかっていることだろう。そしてどれほどの技術を持っているかも。
…その理論を構築し、実現させたフォルケンという科学者が居た。アンドロイドであるゾーイを作った生みの親でもある。
オーウェル社にいた彼は突如、失踪した。…いや、俺の見立てではオーウェルに消されたんだろう。
だが、フォルケンはいちばん重要なプログラムか装置かなにかを残さなかったんだ。『ソラリス』と名付けたまま。
 
オーウェルはその時すでに黒幕と手を組んでいたんだろう。計画が動き出してから、肝心な技術が使えないという訳にはいかない。
…そんなとき、渡りに船で麻季音が偶然にも学会に出した論文がその技術に合致する内容だった。オーウェルは彼女を欲した。
もはや、彼らからすれば麻季音単なる技術者の域を超えた、不可能を可能にする存在なんだよ。“ソラリス”の如くね。
オーウェルはずっと初期の段階で拉致計画を立てたが失敗した…まさか天才科学者の“初瀬”は父親の方では無く、娘の方とは思わなかったんだろう。

だから彼女は鍵なんだ。奴らからすれば新しい世界への。我々からすれば奴らを内側から切り崩す…

…“惑星ソラリス”を見たことあるか?タルコフスキーの映画だよ。…退屈な映画だけど、演出は見ものだよ。テーマもね
ただ、フォルケン氏の求めていた“ソラリス”とは別の意味を孕んでしまっているみたいだがね…

【煙草をくわえて、煙を吐き出す。世の中は忙しなく、我々の生き方では同じ日はもう二度と訪れるほうが少ない】
【そんな夜でもどんな地獄でもマルボロはいつだって、辛くて…当たり前の顔をしている】
【もし探偵に祖国があるとすれば、マルボロの煙の揺蕩うその場所だろう。火を灯せばそこは日常になる】

俺は、愛するあいつにもう一度愛してると言いたいだけさ。

【笑いながら、彼は言った。結局そんなもんさ、俺なんて、と】

【そして打って変わってこれからのこととなれば、頭をクシャクシャに掻いて彼は悩んでいた】

セリーナが…クソッタレ。だが、アイツは別枠にしていたからまだよかったが…クソ。まずいな。
レヴォル社はアルターリでクソッタレだってのは知っていた。クソ…なんとかしないと
そして…


………質問しようにも話がでか過ぎてな。鈴音の話は…俺には…どうすることも出来ない。
古い付き合いではあるけどな。出来てハートとボディをバラバラにしたクソッタレを殺すぐらいなもんさ
ああ、クソ…こんなときに

【アイツが居たらなというのがここのところの口癖だ。今の俺は新しい煙草に火をつけることと】
【気に入らねえやつの頭に銃弾を撃ち込むくらいしかできない。どちらも何も答えにはつながらないことを探偵は知っている】


263 : ヴァルター=アルメクス ◆auPC5auEAk :2018/05/30(水) 21:56:30 ZCHlt7mo0
>>259

(――――改めて、ひどい有様だ……いくらなんだって、女に対してやるべき扱いじゃねぇな……シャワーすら浴びさせず、吐瀉物も放置かよ……
 ……ま、こんなもの着せて喜んでるような奴なんだ。その辺、気にも留めてなくて当然かよ……)

【会話を重ねながらも、男は室内の様子、そしてセリーナ自身の様子を、油断なく、順繰りに観察していく】
【勿論それは、必要な情報を収集するための行動なのだが――――これ以上、新しい情報が入ってくることもない】
【畢竟、男の胸中に浮かんでくるのは、感情的な憂慮や怒りばかりだった】
【――――その、行き過ぎたまでの扇情的な服装は、こんな状況でもなければ、彼だって良からぬ事を想起してしまいかねないが】
【今の状況に照らして、そしてセリーナの劣悪なコンディションを重ねてみると、もうそこには痛ましさしか感じない】
【これをやった下手人は、喜んでいるのだろうか? ――――もしそうだとしたら、そいつはセリーナが、死のうが生きようがどうでも良い、最後までモノとして扱うつもりなのだろうと】
【――――『扱い』とは別に、相応の『世話』をしているとは露知らず。ヘッドギアの奥で男は、表情を歪めていた】

――――おーし、よく言った。その意気だよ……! ……へっ、『Mr.ノーバディ』か……今度から、そう名乗ろうかね……!

【本気なのか、それともこの状況で彼女なりにひねり出したジョークなのか。ともあれその言葉に、男はサムズアップして、返されたボトルを受け取った】
【どちらにしても、有り得る事だろう。心の支えを、敢えてもう少し先へと託す事も、或いは自分の健在ぶりを、やせ我慢と言う形に乗せて笑い飛ばしてみるのも】
【このセリーナと言う人物を見ていると、どちらの可能性もあり得るのだ。そしてどちらであっても――――彼女の心は、復調してきているはずだ】
【――――『ヒーロー』として、なのか。『Mr.ノーバディ』と言う仮名には、大分琴線が触れた様で。どこか満足げに顎に手をやって、首をひねっていた】

そういうのは……俺じゃなくて、ラベンダァイスか、そのギャングに言ってやりなよ
――――ぱっと見じゃ、何を考えているのか分からないが……ラベンダァイスは、あんたを心配している。それは間違いないだろうよ……わざわざ「力を貸してください」だからな……
……まぁ、今の状態じゃな……もう、日常を生きるなんて事自体も、危ない世界になってきた……その協力者たちも、半ば在野の連中ばかりだったが……流石に、団結しないと不味いって、みんな思ってるんだろうさ……

【どこか、セリーナは自責の念――――と言うよりも、もう少し卑屈な自嘲だろうか――――にかられているようだ】
【そこは、初対面の自分がどうこう言うべき場面ではない。それこそ、今回のクライアントに当たる『ギャング』や、きっかけであるラベンダァイスに言いなよ、とやんわりと受け流す】
【ただ――――どうやら、セリーナの失踪以外にも、近頃世の中は荒れてきているらしい】

……この2ヵ月だけで、水の国じゃ百万単位の死者が出てしまった。それで……思い出し始めてるのさ。結局、力ってのは必要なんだってな
……自分勝手な話だよ、全く――――俺なんて、こういう本気の荒事は、もう7年近く前に引退したはずだったのに、引っ張り出されてしまったからな……

【詳細には触れず――――流石に、そこを詳しく話している暇はない――――水の国の惨状を仄めかし、同時に今の世相に男はわずかな毒を吐く】
【英雄を――――セリーナをここまで追いつめておいて、こんな事態を招いたのだから、勝手なものだ――――と。その勝手に、自分も振り回され始めているのだ、と】
【しかし同時に――――だからこそ、力を結集しなくては、と。彼らの集まりはそれを『元手』に今回集結したらしい】
【間接的に――――ではあるが、セリーナの以前話していた「UTの旗は、人にそれぞれの在り方があって、その上で集う象徴になる」と言う真意が、果たされていると言っても、良いのかもしれない】

――――オーケー、「分からない」か。良いさ……そんな事もある。なら……「何故分からない」のか、それを教えてくれ
よっぽど不可解な事でもあったのか……――――でも、世の中には『岡目八目』なんて素敵な言葉があるじゃないか。整理していけば、糸口ぐらいは掴めるはずだ、そうじゃないか?

【分からないという答え――――そこに一瞬の間をおいて、男は変わらぬ調子で、セリーナに続きを――――今度は「分からない」の中身を問いかける】
【まるでヒーローと言うよりは、スパイか何かの様な思考法だろう。例え断片でも良いから、そこを当たってみようと、努めて柔らかいアタリの口調を使いながら、男は問う】


264 : シャッテン=シュティンゲル&アルク=ワードナール ◆auPC5auEAk :2018/05/30(水) 22:20:39 ZCHlt7mo0
>>261

「――――思えばあの時も、精神的にはひどく不安定な様子だった……元々、そういう気質だったんだろうな……
 しかし――――どうも手前と彼女は、巡り合わせが悪いらしい。単に馬が合わない、で……済ませられる話かどうか……」

【おかしいと言えば、あの頃の鈴音も、どこかおかしかった――――妙に情緒不安定で、不必要な攻撃性が先鋭化していたように思う】
【元々、何かを抱えていて、精神的に不安定になりやすい人物だったのかもしれないと、アルクはアタリを付けた――――ただの適当な考察なのだが、それが正鵠を得ている事は知らずに】
【しかしそれでは――――自分と鈴音は、どうも『合わない』のだろうなと、アルクは苦笑した】

僕らは、そのやり合った『旦那』から聞いただけの話だけどねぇ……『時間』、いや『因果』って言うべきなのかな?
……それを繋ぎ直して、回避したはずの攻撃を『同時に修正』して、強烈な体当たりや噛みつきをかましてきたって、そういう話さ……
「なんでも、良く分からない概念的な存在だったというよ……相手をしていて気味が悪い、頭がおかしくなりそうだった――――ってね
 おまけに、忘却の水――――そう呼ばれる湖での戦いだったそうだけど、その水の呪い? ……ともあれ、何らかの霊的な力を吸い上げて、傷を癒しもしたらしい
 ……一度は、本気で死を覚悟したとも言っていたね……」

【『アナンタシェーシャ』に所縁がある人物が、こんな形でニアミスしているとは露知らず、又聞きの話を夕月に伝えるシャッテンとアルク】
【相当の激戦だったのだろう。概念的な要素に加えて、供給される『念』による回復――――勝てたのは、それこそ奇跡に近い偉業かもしれない】
【――――この2人はあずかり知らぬ話、まるで『レッド・ヘリング』を彷彿とさせるような、そんな戦いだったのだろう】

――――蛇と言うのは細長いだろう? だから、人は川を蛇に見立てたんだ……一度荒れて、決壊でもしようものなら、何人もの人間を『飲み込んで』しまう
……その様を、自分より大きな獲物を丸のみにする、蛇に準えたんだねぇ……
「蛇を退治した僧侶」なんて話は大抵、橋を架けたり堤防を工事したり……そういう事実が逸話化していったものだって言われているのさ
そして、別な文化圏では、それこそどこかの聖典にも乗ってるじゃないか「人を唆し、最初の罪を犯させた蛇」……昔から、人間は蛇を忌々しい存在だと見ていたんだよ

【蛇に関する歴史文化の話を、シャッテンは続けた。悪い意味での『水』の象徴であり、『欺瞞』や『罪』の象徴である事を】
【そんなものが神格化されるなら、それは邪神と相場が決まっているのだ――――ヤマタノオロチやヒュドラの様に】

「――――シャッテン」
……可能性は、あるねぇ……
「――――忠告するよ。その夢……君はハッキリと夢の中で「これは夢だ」って気づけるかい? 専門用語で『明晰夢』と言うんだが……
 もしそうなら、その『問いかけ』には、可能な限り応えないようにするんだ。無視して、対応しちゃいけない……」

【夕月の続く言葉に、2人の顔色が変わる。お互いに頷き合うと――――夕月に、その夢に意識を向けるな、と忠告して】

「今の話と合わせて考えると――――危険だ。その夢は、その『イル』とやらが仕込んでいる可能性がある
 アナンタシェーシャが霊的な力に立脚した、概念的な邪神だっていうなら――――それは、認識させることで力を発揮させるものである可能性が高い……
 つまり……その夢を通じて、力を集めている可能性がある。その夢の中の鈴音は、本当は――――イルなのかもしれない」

【認識し、それに応える事――――それは、イルの描いた図に当たる、利敵行為の可能性があると、アルクは推察した。それに、シャッテンも同意する様だ】
【神は――――信仰こそが力なのだ。それはどんな世界規模の神格でも、他愛ない土着のほら穴の神でも、変わらない――――誰も信じない、畏れない神に意味はない】
【しかしこの場合――――その信仰は、『レッド・ヘリング』や『アナンタシェーシャ』に繋がる可能性があると、それを危惧したようで――――】


265 : ◆S6ROLCWdjI :2018/05/30(水) 23:48:41 WMHqDivw0
>>264

合わない、……かぁ。まあ仕方のないことかもしれないけど……

【知っている人同士が仲良くしていてくれたら嬉しい。自分によくしてくれる人なら、なおさら】
【そういう子供じみた考え方をするのが止められない、だから、そう言われるとちょっと寂しい】
【「……少しでもお話できたらいいネ」。これまた幼稚な願望を付け加えて、この話はここで打ち切るだろう】

【続く、「アナンタシェーシャ」の脅威の話。げ、と呻きながら聞いていて】
【自分が実際に戦った「レッド・ヘリング」、それに勝るとも劣らない面倒臭さ。想像しただけで嫌気が差す】
【そんなのがまだあと何体か残っているというなら、本当に、気が遠くなってくる。……でももう、退けない】

呑み込む、……忌々しい、……そっか、蛇って、そういうものなんだ。
……、……途中から、気付ける。毎晩毎晩見るから、……、……、
…………イルが? そんな、の……考えたこともなかった、そっか……
鈴音が泣いてるからなんとかしなくちゃって、あたし、それだけ思ってて……

【夢について話が及んで、忠告されればさらに顔を青くして。うそでしょ、と呟いた】
【でも、納得もできた。あいつなら、イルならそういうことだって平気でやる。そういうやつだって】
【知っていたから――だから、もう反応してしまったヤツがいるとは、言い出せなかった】
【うかつだった、と後悔する。それで、もっと他人に頼らなきゃって思考する、なら】

……じゃあ、どうすればいいかな。無視してそれで……泣いてるの、ずっと、見とくだけってのも、
辛いよ、……。あの鈴音が本当はイルだったとして、それでも……本物の鈴音も泣いてるかもしれない。
そう考えたら、あたし本当に、……ほっとけないよ。友達だもん。

【目の前の二人、絶対に自分よりは賢い彼らに、つらいことをぶちまける。我慢をしない】
【痩せ我慢して、し続けて、その先に何があるか――いやというほど知っている】
【今話題にしている鈴音が「そう」なったから。一人で何でも抱え込んで――潰れてしまったなら】
【もう今度こそ鈴音を助けられなくなる。だからその前に、二人に助けを求めた。今此処で解決できなくても】
【彼らの伝手でどんどん協力してくれる人が増えるかもって、信じていた。一縷だけでも、希望は希望だ】


266 : ◆KWGiwP6EW2 :2018/05/31(木) 01:33:20 WMHqDivw0
本スレ >>239
【まだ立ち上がるとクラクラとするが、一応輸血も施されたらしく、まとに動けるようにはなった】
【結んでいた髪は解かれており、余り手入れのされていない黒髪が背に広がっている】
【傷跡、どれくらい残るんだろう、とか今になってそんなことが気になってしまいながら、包帯だらけの病院着のまま、廊下をウロウロとする】
【幸いにして、男はすぐに見付かった】
【先の出来事ははっきりと覚えていた訳ではなかったが……】

あ、あの……!!

【声を掛けようと思ったが、二言目以降の言葉を飲み込んだのは、男の機嫌が大分悪そうだったからだ】
【わざわざこんなところまで運んでくれたのは善意だとは思うものの、好きで面倒に巻き込まれたい者もいないだろう】
【気後れするように、病院着の裾を掴んで】

え、ええと……ごめんなさい。結局、運んで貰っちゃって……。

【口を突いて出たのはお礼ではなく謝罪になってしまった】
【元よりコミュニケーションが得意な性質ではない】
【怒らせてしまっていたらどうしよう】

本当に動けなくて、あのまま死ぬかも……って思っちゃったから……

【しどろもどろに言い訳染みた言葉が口を突く】
【倒れていた男はどうなったのだろう?気になったが、流石に聞くことは憚られた】


267 : ◆XLNm0nfgzs :2018/05/31(木) 03:03:36 BRNVt/Aw0
>>266

【今後見舞いに行くか、行かざるか?ぐるぐると考え込んで】
【そんな時に不意に聞こえたのは先程聞いた声】
【顔を上げれば其処にいるのは本来ならまだ眠っているであろう筈の少女で】
【驚愕に何で、どうしてとばかりに目を見開く青年をよそに少女は着せられた病院着の裾をきゅっと掴んで】

【紡がれるのは謝罪の言葉。迷惑はかけないなどと言いながら結局運んで貰ってしまった、と】
【しどろもどろに続けられるのは言い訳じみた言葉で】

……いーよ、別に……俺が勝手にした事だし……
【少しばかり拗ねた表情になって青年は返す】
【少女に会ったら文句を言おうと思っていた。やれ「面倒事に巻き込ませやがって」とか「人助け気取って別の他人に迷惑かけんな」とか、そんな感じの事】
【しかし、開口一番謝られた事で何というかそんな気も失せてしまって】

何ていうか、さぁ……助け起こしちまった手前ほっぽって死んじまったらさ……胸糞悪ぃじゃん……だから、だよ
【少し歯切れ悪くこの場所に連れてきた理由を付け足して】

【そうして少しの間、視線をさ迷わせるのだが】

……お前さ、親は?
【やはり治療費の件でごたついた事で気になったのか、言いづらそうに尋ねる】


268 : アレクサンデル・タルコフ ◆ZJHYHqfRdU :2018/05/31(木) 05:30:04 IBKicRNQ0
【サーペント・カルト本部施設】

【薄暗く広い建物の壁は、過去どれほどの贄とされた犠牲者の叫び、壮絶な修行に臨むサーバントたちの呻き、あらゆる苦悶の声を吸ったことだろう】
【だが、その日その時にこの呪わしき空間において声が交錯していたのはある一室のみであった】

【すなわち、祭壇をいただく大広間。彼らの最高神たる蛇神に、捧げ物をするための場所】
【まともな場所などどこにもありはしない、この施設の中にあってその広間はなお異様であった】

【床に敷かれた赤いカーペットには蛇の鱗を模した模様が織り込まれ。並ぶ松明の灯りに照らし出される石壁には、這いまわる蛇のレリーフが幾重にも連なって彫られ】
【高い天井の頂点、広間へと差し込む光を毒々しい色合いに変えてしまうステンドグラスには、己の尾を咥える輪のような蛇が描かれていた】
【四方八方、広間のどこを見回したとしても目に飛び込んでくるいくつもの蛇、蛇、蛇】


【広間の突き当り、一番奥の壁の前にはさらに異様な物があった。その皮膚に蛇の入れ墨を隙間なく掘られた人間の腕】
【それが何本も、掌を上に向けた状態で組み合わされていた。恐らくは、生きた人間から切断してきたもの】

【その奇怪な腕の祭壇に、腕たちが掲げ持つかのように乗せられているのは、やはり蛇の紋様をあしらわれた黄金の盃】
【その盃の上には、一見するとクリスタルか何かで出来ているのかと思われる、巨大な半透明の大蛇の像が口を開けていた】
【大蛇像の長い身体は、まるでとぐろを巻くように広い部屋の壁に這っていた。半透明ゆえに、その内部が見える】

【大蛇像の中には、いくつもの〝死体〟が詰め込まれていた。いずれも、あまりに異様であった】
【まるで、一度ならず幾度も幾度も殺されたかのような。本来は一度きりの死を、無数に詰め込まれたような。そうとしか形容出来ないものであった】

【盃と大蛇像の前、赤いカーペットの上に跪く幾十人ものサーバントたち。その先頭、盃の前にはこの空間においてもさらに異様な人物が『浮かんで』いた】


【歳は壮年かと思われるその男には、四肢がなかった。耳も、鼻もなかった。両目は、縦長の瞳孔をかたどった、夜行性の蛇を思わせる義眼であった】
【義眼は怪しく発光し、男の姿をさらに不気味に照らし出す。四肢なき胴体を包むは赤い祭服。首から掛けられた帯には、またも蛇の模様】

【頭髪のない頭には、這いずる蛇のタトゥーが刻み込まれ、タトゥーの蛇の頭部が男の額にかかるような位置にある】
【松明の灯りに照らし出されるタトゥーは、今にも男の傷だらけの顔に這い降りようとしているかのようだった】

【そんなダルマのような男を空中に『浮かばせて』いるのは、男の両足の断面からにじみ出る、半透明の靄であった】
【空中に漂うように揺れる姿は、靄に乗っているようにも見え。似たような半透明の何かが男の両腕の断面からも伸びている】
【それすらも、蛇だった。両腕代わりに、半透明の蛇が生えていた。霧のように。靄のように。だが、その蛇が確かに実体を伴っていると主張するがごとく】
【男の腕の代わりとなって、その身を儀式用の杖に巻き付け、掲げさせていた】


――――始めましょう。蛇神様に、供物を

【ダルマ男が杖をかざして厳かにそう言うと、壁際に居並んでいたサーバントたちが手にした太鼓をたたき始めた。その太鼓と撥にすら、蛇のレリーフ】
【同時に、サーバントたちが両手を伸ばしながら上体を起こし、また地に這うように伏せる、儀礼動作を繰り返し始める。彼らの口から漏れるは、蛇神を讃える歌】

【狂った宗教音楽が響く中、ダルマ男が掲げた杖を下ろして合図する。すると、頭上の大蛇像の中に、液体が流し込まれた】
【詰め込まれた死体が溶けていく。酸性液体。大蛇像は特殊な加工が施されているのか、傷一つつかず】
【やがて、溶かし尽くされた無惨な死体たちが、大蛇像の口から流れ出し、その下の黄金盃へと注ぎ込まれ始める】

【太鼓のリズムが速まり、サーバントたちの歌が激しくなる中、真剣に眉根を寄せてダルマ男が両腕代わりの蛇を頭上に掲げる】

/続きます


269 : アレクサンデル・タルコフ ◆ZJHYHqfRdU :2018/05/31(木) 05:30:20 IBKicRNQ0
……蛇と和解せよ

『『『『『蛇と和解せよ』』』』』

全ては、あるべき場所に

『『『『『あるべき場所に』』』』』

我ら皆、蛇神様へ還る

『『『『『蛇神様へ還る』』』』』

ウヌクアルハイ様と、一つとならん

『『『『『一つとならん』』』』』

【ダルマ男の言葉にサーバントたちが続く。全ては、定められた手順の通りに厳格に】
【やがて、死体溶液は一滴余さず盃に流し込まれた。明らかに盃の容量を超えていたにも関わらず、それが溢れることはなく】
【ダルマ男が盃を覗き込めば、それはすでに空であった】


……蛇神様は、供物を受け取ってくださいました。我々が、蛇神様と一体化するための尊い一歩が、また成されたのです
蛇神様の歓喜が、サーバントの皆さま方と共に

『『『『『また司祭と共に』』』』』

【締めくくりの言葉と共に、儀式は終わる。サーバントたちが立ち上がり、祭具を片付け、退室していく】
【そのうちの一人、まだ若いサーバントがダルマ男に語り掛ける】

「司祭様……なぜ、生きた贄を捧げられなかったのですか? 蛇神様は、新鮮な生き餌をお好みになられるものと……」

その疑問はもっともです。確かに、多くの場合供物はより生命の漲る生きた状態で捧げられるものだと考えられるでしょう
しかし、我らが奉ずる蛇神様は、輪廻を巡り生死すらも飲み込む、我々の生きる次元の遥か彼方におられるのです

蛇神様にとり、生死などは些末な問題なのです。重要なのは、その儀式によって何が成されるのか。そのために何をすればよいのか
贄が生きているか死んでいるかなどということは、単なる手段に過ぎません

何より、先ほど我々が捧げた供物は我らが同志、敬虔なるムリフェン殿が、その身にお受けになられた〝奇跡〟によって作られたもの
生きた贄より高次の、蛇神様が何よりお望みになる供物なのですよ

そう、あまねく輪廻と再生を司られる蛇神様の前に、我々の命などは微かな残滓に過ぎない……ですが、そんな我々にすら、蛇神様は役割を与えてくださった
我々は恐れ多くも、その聖なる職務に邁進し、蛇神様と一つとなるお許しをいただく権利をいただいたのです
貴方も、これから多くの試練に直面することでしょう。しかし、どうかその職務を全うして欲しいと思います。私も、微力ながら貴方と共にそれを果たしましょう

【冒涜的な異形の容姿からは考えられない、穏やかで安心感のある声音。若いサーバントは得心したような笑顔になり、ダルマ男に一礼して去った】


【それを見届け終えて一人残ったダルマ男は、腕の祭壇と盃に向き直ると、四肢の断面から靄と蛇を消し去り】
【その身を床に投げ出した。這いつくばる蛇のように】

ウヌクアルハイ様……今しばし、今しばしお待ちくださいませ
受肉の時は、すぐそこにございます……

【そこにはサーバントたちに見られた狂熱も感動もなく、ただ真摯に誠実に、己の役割に向き合おうという真剣さのみがあった】

/院長さんの方、よろしくお願いします


270 : 院長中身 ◆zO7JlnSovk :2018/05/31(木) 10:57:16 zd.sFs4.0
>>268>>269

【 、── 信者はその場を "祭祀場" と呼んでいた。蛇の中枢部とも言える神秘的かつ神聖なその場、踏み入れる事が名誉である、と】
【故に管理し取り仕切る "タルコフ" はサーバント各位から尊敬の念で見られる事も屡々であった。その異形の体と共に。】
【深い信仰は尊き精神を示し、それと同時に絶え間ない苦行を乗り越えてきた証であった。】

【だからこそ、"マルフィク" "司祭様" と称されるその存在は、カルトの中でも飛び切りの重要人物とも言える】

【そして、吃音が時に嘲笑を持って迎えられる様に、異形であるというだけでその歴史を辿る意味合いを示す】
【天網恢恢の幻想に似て、勧善懲悪の不貞を為す。故にその踏破に迷いは無く、倒錯に耽る喜びを示して】
【──、祭祀場に踏み入れる男が一つ。物質的な欲を顕にしながら】


お勤めご苦労様、"マルフィク" 君の献身には常々驚かされる。私達の想像の遥か上を行き、その身を捧げるのだから。
今日で何日寝ていない、サーバントからは君の身を案じる言葉をよく聞くよ。それこそ類まれなる信徒の素質、君だけが持つ一等級の光。
それを私は賞賛しよう、賛美し賛辞を加えよう。須らく人は、確かな誇りを持って生きなければならないのだから。

"久しぶり"── 君と最後にあったのは、君自身の儀式をこの場で執り行った時以来か、君の身体をその様に高めあげたあの日以来
素晴らしい儀式だったと記憶しているよ、我々の設立以来あれ程までに凄惨な儀式を耐え抜き、正気を保っているなど
── だからこそ我々は君を讃えなければならない、無辜の信徒として、我らの偉大なる司祭として。

痛みの記憶は円環の後も受け継がれる、と── それこそが "ウヌクアルハイ様" の思し召しであるのだから。
我々はその意思を汲み取り痛みを享受せねばならない、"蛇" との一体化の為には心の奥深くにまで痛みを刻み込ませよう。
それは魂の失墜すらも厭わない、深い深い痛苦でなければ許されない、と。


【白いシャツを着た、長い黒髪の男であった。── まるで最初からそこに居たかの様に現れ、貴方へと声をかける】
【男の名は "ケバルライ" ──、或いはそして "ジャ=ロ" と呼ばれる存在であったが】
【彼は悠然と歩みを進め、投地をする貴方へとゆっくりと近付いていく。処刑人の歩みに似ていた】


──、そして私は気づいてしまった。我等が最良の同志であるマルフィクをより強固な存在にする術を。
この術には痛みが伴う。苦難に身を捩らなければならない。それでも君は然りと言うだろう、是と言うだろう。
諸手を挙げて苦難を享受し、感受する全てを痛苦と為す── それが故に信徒のあるべき姿と伝える為に。

慄然たる意思を以て、敢然と我々は行わなければならない。今ここに円環が巡り、永劫が生まれ、因果は逆流する。
さあ始めよう、新たな世界の幕開けは、旧き世界を尊ぶことから生まれる。かつての輪廻を巻き戻し




── 今一度、我らの為に飛んでくれるな?


271 : 院長中身 ◆zO7JlnSovk :2018/05/31(木) 11:57:38 S/DUh6T.0
/残酷な描写が多いです、気をつけてください!

>>268>>269


【──、否が応でも貴方の意識は別の部分へと引き戻される。現実から浮遊し自分自身を客観視している感覚】
【ふわりと浮き上がった自身の精神が肉体から乖離し、その肉体を俯瞰している様な感触に囚われる】
【そして感覚のみになった意識は時間の流れを感知する。それは巡るめく星々の動きの様でもあったし、氾濫する激流の様でもあった】


今君は再び舞い戻る、君がその神格を得た日へと。


【絹に染料が染み込むように、マルフィクの感覚が肉体へと戻って来たなら、わずかな間瞑目する】
【四肢があった。再び目覚めた時、マルフィクは己の四肢が繋がっている事に気付くだろう。体も幾分か若返っている】
【四肢は付け根で台へと固定され、身動ぎ一つ出来ない状態であった。拘束されたマルフィクを見下ろすケバルライが居て】

【── 何から何まであの日の儀式と同一である、とマルフィクは思うのだろうか】


"右腕" の記憶。磨耗される肉体の記憶。


【 "右腕" に充てがわれるのは巨大な卸し金。鉄板の表面に菱形の棘がみっしりと付いた卸し金は大根卸し器を思わせて、何処か歪なアンバランスさ】
【伸ばされた指先から、肉も骨も神経すらも纏めて摩り下ろしていく。血飛沫が周囲に撒き散らされて】
【往復する擦り金は無限を思わせる。何度も何度も、肉片と骨片がばら撒かれる姿は、右腕からシャワーを噴き出しているかの如く】


"左腕" の記憶。侵蝕される肉体の記憶。


【 "左腕" に充てがわれるのは巨大な水槽。骨まで溶かす強酸が並々と注ぎ込まれた透明の檻】
【根元まで左腕が沈みこんだなら皮膚を溶かし肉を焼き、骨を蝕む。神経そのものを抉り取る痛みの坩堝】
【水面に広がる赤い残照、何もかもを粉微塵に消し尽くす酸の慕情を僅かに感じさせる程】


"右脚" の記憶。凌遅される肉体の記憶。


【 "右脚" に充てがわれるのは抜き身の刃。敢えて刃こぼれさせたなまくら刀であった。】
【刃は振り下ろされる度に皮膚を削ぎ、肉を抉る。けれども切れ味の悪い刀は傷を深くするだけで中々身体を切り裂かない】
【身体を少しずつ肉片へと変える凌遅刑。それを右脚の根元まで繰り返し行っていく】


"左脚" の記憶。滅却される肉体の記憶。


【 "左脚" に充てがわれるのは高温のバーナー。足の裏から重点的に焼いていく】
【皮膚が溶け、脂肪が燃えても炎は止まない。神経が燃え尽き骨が消し炭になるまで炎は燃える】
【左脚がまるまる一本炭化し消え去るまで燃えていくのだろう】


"舌先" の記憶。割断される肉体の記憶。


【そうして男は右手に小刀を握り、勢いよくマルフィクの口内へと突き立てる】
【一刀の下に舌先を割断する工程であった。舌先以外に傷を付けないのは彼の技量が故か】
【── 儀式が再び行われた。以前と同じ様に、マルフィクの身体を切り刻む】


272 : ドープ ◆xgsUYuhzWc :2018/05/31(木) 19:11:40 Lxd3YeZA0
>>253

【──すっかり油断しきっていた彼は、がしゅ、と思いっきり踏まれてン゛ーッ!!と大声を上げた】
【いや、分かっていてもこの場面では踏まれていただろう、ただ、ある程度緊張していたとはいえ】
【思いの外めちゃくちゃ踏まれまくるので、「あ、これはマズイな」と静かに焦った】

ムーッ!ンー、ンンンン、ンンンングッ、ンンン゛ッ

【げしげしげし。何度サディスティックに踏まれても何か喋っている】
【口を押さえつけられても、あいも変わらず、口が減らないようだが】
【とはいえ調子からして、恐らく「分かりました!分かりました!」的な言葉を発しているのだろう】
【彼女も、いかに小悪魔的な容姿とはいえ実際中身も小悪魔なのであれば、──いや、〝邪神〟なのであれば】
【これは更に更にへりくだるしかない。目標はとりあえず生きる。この場を切り抜けるに変更】

(やべえ、やべえやべえやべえ、アーこれ選択肢間違えたらホントに死ぬぞオイ)
(ていうか踏み過ぎで苦しいから鼻折れる鼻折れる)
(クソ、結局気に入らなけりゃ使い捨てか!!いやどう考えても舐めた口聞いたオレが悪いけどよォ!!)

【──最後の踏み抜きのところで、ぐぐ、となんとか踏ん張って、たとえ彼女の足が体重をかけられたとしても喋るために耐え抜く】
【顔は砂だらけだし、みっともない。だが言うしかない。彼女は現状ここに興味を抱いてくれた気はした】
【毒を食らわば皿までとも言える。もしこれがバッドコミュニケーションだったとしても最早構わない】
【もうめちゃくちゃだ。あそこまで啖呵を切っておいていまさら命乞いなど自分でも】

(──どうすりゃいい! もっともっとみっともなく行くか!?汚い路線嫌いそうな嬢ちゃんだが!!)
(とりあえず──とりあえず泣き真似する!!めちゃくちゃ泣いて謝る!!正直泣きてェしなァ!!)


……ウ゛ッ……、うぐぅ゛……ゆ、……ゆ゛るして゛……ください゛……
……ングッ……オレァ……ア゛、オ、レ、が、悪かった……です゛……


【──自分でもみっともないくらい、とりあえず泣いてみる】
【見せないながらもえぐ、えぐとしゃくりあげ、子供のように涙と鼻水で顔面をいっぱいにして】
【ぶるぶると震え、嗚咽をあげる。地面にぼたぼた水が垂れて、じんわり跡が広がって行く】

なッ……な゛ん゛でもします゛……くる゛しいのと……死ぬいがい゛……

【要求さりげないな】

【ちゃっかりしながらも、例えもし悟られても、下手下手に出ていこうと】
【彼女の性格的にも、どこまでもどこまでもフナムシレベルに己を落とし込み、媚びる路線は行けるだろうかとも考える】
【我ながら、甘い考えだとは思う。とはいえこれに賭けるしか無く】


273 : 厳島の中 ◆zlCN2ONzFo :2018/05/31(木) 19:28:46 6.kk0qdE0
>>262
【マールボロの紫煙の中、探偵との話は続く】
【その白と赤のパッケージは、さながら皮肉めいて見えた】

「なるほど、経緯は解ったが……謎が多く残るな」
「フォルケン博士の名前は、かつてゾーイから聞いた事がある」
「オーウェルの、優秀な科学者と言う位の話だったが、そんな裏の話があったとはな……」
「最も、俺も全部は知らないさ、オーウェルの目的やその理論、実態、全ては解らない」
「俺がオーウェルに行き付いたのは、特区での事があったためだ、特区で使用されているドローンを仲間と共に奪取し、公安内の別の協力者の元に送った、その仲間が解析した結果がオーウェル社の関与だった、だがその仲間はその後直ぐに……黒幕により身柄を拉致されてしまった」
「ソラリスの陽のもとに……不可能を可能にする存在、か、すまない……映画にはどうも疎くてな、もっとも君が言うなら見てみよう」
「……麻希音の発表した論文の内容は知っているか?あるいは、何処かで見られるのか?」

【彼の握るパッケージの赤は、この世界の日昇を意味するか、あるいは皮肉なのだろうか?】
【味は、少なくとも、辛く適度にずっしりとした煙が肺に落ちるのだろう】
【それは、この孤高の探偵の気持ちの具現なのか】
【やがて、この諜報員はらしくない事を言う】

「そうか、愛する人へ……それが誰なのかは、聞かない方がいいか?」
「……すまない、一本貰えないか?」

【探偵が吸っている煙草の事だ、どうにも全く吸わないと言う訳でも無いようで】
【嗜む程度はするようだが、今は赤いマルボロが吸いたい気分だった】

「アルターリ?君はあの場に居たのか?」

【部下二人がその場に居た、あの惨劇、この探偵もその場に居合わせたと言うのか?】

「セリーナと鈴音の失踪により、UTはほぼ完全に活動を停止している状態だ」
「セリーナの救出は、無論、我々諜報部も考えたが、開発主任ブランル、この男があまりに危険すぎた」
「加えて、我々も公安の協力者、黒野カンナを黒幕に抑えられている……手が封じられている状況だ」
「鈴音が健在ならば、カニバディールや邪禍達と共に黒幕の『婦警』の拘束あるいは……暗殺の算段をしていた、これはジルベールも乗り気だったが、現状それも手が回らない状況だ」

「参考になるかは解らないが、鈴音を誘惑し、そしてこの現状を作ったのは、異世界の神だ」
「本人は病魔と名乗ったが……どうも、仲間を引き連れて此方の世界へと侵攻している様子だ」
「そして、鈴音がその状態になった時に、神になったと本人は言っていた、鈴音の過去もその時に聞いた」
「加えて、その際に出現した……巨大な蛇の姿をした神の姿も目撃されている」
「所で……」

【ここで再び、一呼吸おいて】
【そして探偵の顔を見やり】

「最近『サーペント・カルト』と名乗る、蛇の神を崇める邪教集団の活動が活発になっているようだ」
「無関係……とは、到底思えない……」


274 : 兼愛 信生(けんあい のぶき) ◆xgsUYuhzWc :2018/05/31(木) 19:32:03 Lxd3YeZA0
>>258

【──ガキ゛ンッ!!と、剣に火花が散るだろう】
【要因は──〝後ろのロボット〟だった。右手で彼女の首を覆うように防いだらしく、】
【剣の刃先が軽く食い込み、バチバチ、と電気が軽くショートして損傷している】
【その右手は、あともう少し動かしたならば使い物にならないのは明白であり】

──、

【その間、怯えた表情をしているかと思いきや──】


──かっ、かっこいいいいいいい!!


【嬉しそうに目をめちゃくちゃキラキラさせていた】

【普通の状況ならば、どうしてだ、何故だ、と思わせる表情を浮かべていた】
【否、彼は〝冷徹〟の存在。もしかすればこのような態度にも驚きはしないかもしれないが──】

な、なんてカッコイイんだ!!
時計!?長剣!?短剣だと!?──なんてスタイリッシュで強くてカッコいいんだ!!
ワタシはキミが気に入ってしまった!!いや、キミだってヒトなのだ、最初から嫌いになるはずは無い!!
目的遂行のための真剣さ!危険だと分かっていても、なんて素晴らしいのだ!!

──困った事に、どうやら、ワタシはキミが〝スキ〟になってしまった!!

否、キミが怖いことをしている以上、ここは正々堂々戦うほかあるまい!!
受けてたとう──ワタシは兼愛 信生!!花も恥じらう科学者なのだよ!!


【──どうやら相当のトンチンカンのようで、頭のおかしい博愛主義のようで
【その間に〝ロボット〟の手に足を乗せ、急いで飛び乗ろうとする】
【──もしその際に攻撃が来たとしても、ロボットが再び右手で防ぐ】


キミも良ければ、名乗りたまっ──え!!


【笑顔を浮かべ、無事ロボットの目元モニターより上、頭部付近の搭乗席に乗り込む】
【やがてそこに蓋がされ、ロボットは起動スイッチを押され──、一種目元が光り、先ほどより精密に体勢を整えるだろう】
【とはいえ、ここまでで一瞬の時間は使い果たしているはずで】
【ロボットは信生が搭乗して、しっかり構えるまでの所作を行う】
【──しかし気付くだろうか、両手がいつでも殴る事が出来る体勢だ。ファイティング・ポーズ】


275 : ◆KWGiwP6EW2 :2018/05/31(木) 20:11:44 l2974WKs0
>>267
あ、体……結構丈夫だし、ここの治療も、凄かったから。

【少女が来るとは思っていなかったらしい。意外そうな彼の様子に言い訳のついでに短く付け足した】

【よしんば彼が予定通りに文句を口にしたとして、ぐぅの音も出ない少女は俯く以外には出来なかっただろう】
【拗ねたような表情だけでもある程度言いたいことは悟ったらしく言い訳も大した弾数なく止まってしまった】
【気まずい空気が流れる】

うん……でも、お陰で生きて帰れました。

【少女は深々頭を下げる。ただの気紛れだったとしても命拾いした側からすればそれ以上のことはない】
【たっぷり一分は下げたままでいて】

あんな状況だったし、まだ敵だって傍にいたかもなのに、助けてくれたから。

【少し眩しそうに、あなたの顔を見る。多分だけど、いい人なんだね、とでも続ければ思いっきり渋面になりそうだったから、そこまでは続けなかった】
【不意に親について聞かれたので、唇に指を当てて首を傾げる】

…親?いや、いないよ。

【声には悲壮感はない。死んだのか逃げたのかは知らないが昔のことなのだろう】
【何でそんなことを聞くのかと言う風情。入院費を立て替えて貰ったことを、少女はまだ知らない】


276 : シャッテン=シュティンゲル&アルク=ワードナール ◆auPC5auEAk :2018/05/31(木) 20:30:53 ZCHlt7mo0
>>265

「――――確かに、詮無き事だね……」

【第三者――――鈴音と友人ではあるが――――の夕月に、こうした事を述べていても仕方がない。それで何かが変わる訳でもないのだ】
【アルクとしても、それは不毛なだけに終わるだろうと、それ以上の追及を避ける】

「……話を聞いているだけでも、手前はそんな超常の存在と、事を構えるなんて……ぞっとしないよ
 でも……その『旦那』には……やらなきゃいけない理由が、多分あったんだろうね……」
確かに、人の手に余るものではあるのかもしれない……でも、それでも、今まで2回も屠られてきたんだ……無理じゃないと、僕は思うねぇ
……まぁそれも、当事者じゃないからこその、気楽さなのかもしれないけどね。でも、僕ぁそんな存在にひれ伏すなんて、御免だね……!

【確かに、その怪異はこれで打ち止め、という事でもないのだろう――――と言うよりも、まだ始まりに過ぎないとすら思われるところが、恐ろしいのだ】
【人は、神を殺せるのだ――――過去2回の勝利は、それを証明している。だが、それが何度も続くとは、限らないのだ】
【或いは――――次の戦いでは、今度こそ神が人間を裁く事になるのかもしれず。できる事はただ、最後まで人間の意志を叩きつける事、だけなのだろう】

――――よくは分からないけど、人間に普遍の、イメージなんだろうね、蛇は邪悪だ、と……こういうの『集合的無意識』と言うんだったかな……?

【時に、全く関係のないはずの出自を持つ事物が、全く同じイメージを被せる現象がある】
【恐らく、人間は『人間』と言うだけで、蛇を『不吉』や『邪悪』のイメージを想起する、何らかの理由があるのだろう】
【そのイメージを投影された『神』――――推測の段階でも、そこにはうすら寒いものを想起させられる。それこそ――――「人間だから」とでも言う様な、曖昧模糊とした理由で】

「――――これは、覚えておいた方がいいよ。「問いには、答えを強制する力がある」んだ……
 問われたからには、応えないといけない――――そう思う事は、実は……問いに悪意を乗せている人間には、既にこれ以上ない『隙』になるんだ……
 その夢とやら……手前はそれを見た訳じゃないから、なんとも言えないが……要するに、「こうだ」と答えたら、本当に「そう」なりうる……そんな事も、有り得る……」

【流石に、自身が体験した話でもなく、また抽象的な話でもあるからか、アルクの歯切れは悪い。だが、それでもそれなりに、思考のヒントとなりそうな知識を口にする】
【問いに答えるという事は、既に質問者の望みを叶える事と直結しているのだ。だから時には、問いに対して問い返したり、回答を拒否する事は、必要になってくる】
【例えば、yesかnoかの2択の質問を向けられれば、応えようとした瞬間に、その2択以外の回答は封じられてしまう――――問いとは、突き詰めると恐ろしいものなのである】

「――――それが本当に『鈴音』なのか……まぁ、夢の話だからなんとでも言える、なんて濁しちゃうこともできるけど……これはそうはいかない
 間違いなく、何らかの霊的な作用が働いている、人為的な出来事なんだ……。だから……そうだね、手前なら……逆に問い返すかな……
 「なんでそんな事を聞くのか?」「お前はどう思うのか?」と……そうすれば、もう少し真意を見抜く事に、近づくことができると思うよ……」

【アルクの出した案は、問い返すというものだった。そもそも、そうして問いを向ける夢を、何者かが――――必ずしも鈴音本人とは限らない――――見せている状況自体が、不可解だ】
【なら、それを理解しなければならない。その為の手段として、逆に揺さぶりをかける事。恐らくそれが有効な手段になると踏んだのである】

「(……悪いけど、どうしてもドライになっちゃうね……鈴音の事となると、手前じゃ親身になり切れない……やっぱり、引きずってるんだな……)」

【どこか、クールでネガティブな回答と言えばそうなのかもしれない。実際アルクは――――あまり乗り気じゃない自分に気が付いていた】
【鈴音の真偽を疑い、鈴音の真意を疑い、そして嘆き悲しんでいる鈴音のビジョンを無視しろと言う―――無論、真剣に「どうしたらいいか」を思考した答えなのだが】
【もしかしたら――――夕月には、アルクが冷たいと映るかもしれない】


277 : ◆S6ROLCWdjI :2018/05/31(木) 20:51:21 WMHqDivw0
>>276

やらなきゃ、いけない……やらなきゃいけないんだよ。だってこのままじゃ、イルが、
……人間を滅ぼしちゃうから、とか、そんな理由だけじゃなくて。あたし、あいつのこと――大っ嫌いなんだよ。
絶対絶対殺してやんなきゃ気が済まない。倒す、じゃなくて、……殺す。

【呻きはしたけど、退く気はない。滾る様子を見せるシャッテンに同調するように、眉尻を吊り上げて】
【どうやらこの少女は、個人的に「イル」のことが嫌いなようだった。そんな奴に鈴音を、世界を、渡してやれない】
【ひどく意志の固そうなまなざしをしていた。それくらい、強い感情を抱いている】

……答えを、強制させる、……。そっか、じゃあ、迂闊なこと言ったら本当に、……ヤバいんだ。
問い返す? ……なるほど、そういうやり方もあるんだ。ううん、……

【アルクの案に、ふむふむ頷いてみせながら――すごく親身になってくれている、と思う、けど】
【……ちょっと他人事っぽく聞こえるのも、実際感じていることだった。でもそれを責めたりしない】
【原因はさっき聞いたから。それだけのこと言われたんなら、自分だって多少むっとするだろうし】
【でも本当に――アルクの話の中の鈴音と自分の知っている鈴音。乖離し過ぎていて、混乱すらしてくるのだ】

【――――数瞬、迷って。次に出したお願い事は、こうだった】

……ねえ、アルクさんはさ、鈴音のこと、まだ……あんまりよく思ってないみたいだからさ。
だから「鈴音を助けるの手伝って」ってお願いは、しないよ。
……実は、どんなに手伝ってもらっても、助けらんないかもしれないし。
鈴音が自分でイルから離れなきゃ、どうにもなんないことだから――

でも、でもネ。ひとつだけ手伝ってほしいことがあるとするなら――それは「イルを殺す」ことだよ。
あいつだけは、あいつだけは絶対赦せないから。……アルクさんにも、シャッテンさんにも。

【「できれば、でいいから、手伝ってくれたら嬉しいんだけど……」と結んで。話題はさっき話したことと似たような内容になる】
【少女はイルのことをひどく嫌っている。殺したい。だけど一人じゃどうにもなんない、……だから助けを求める】
【なんでそんなに殺意を持っているのか。訊かれたら、ぽつぽつ、喋り始めるだろう】


278 : シャッテン=シュティンゲル&アルク=ワードナール ◆auPC5auEAk :2018/05/31(木) 21:20:40 ZCHlt7mo0
>>277

なるほど……確かに、やらなきゃいけないねぇ……ッ
僕も、正直を言えば許しがたく思ってるのさ……神の傲慢で人を殺すなんて、囀りが鬱陶しいから鳥の翼をもぐ、みたいなふざけた行為だ……!
そうやって、人の命の輝きを踏みにじるような奴は……僕らが、踏みにじってやらなきゃいけない……!
「……『大っ嫌い』か……個人的に、何かあったんだね……何が、あったんだ……? ……答えたくなきゃ、別に構わないけど……気にはなってね……」

【人の命の輝き、未来への可能性――――それは、シャッテンが何よりも大切にするものだった】
【その為に――――その輝きを守るために、かつては逆説的に、殺戮の道に走った事もある。全ては、許せない存在を、許さないために――――】
【だからこそ、話に聞く、イルを始めとした神々には、シャッテンも怒りを滾らせていたのだが――――そこに、アルクが問いを挟み込んだ】
【それだけじゃない、と言う夕月に――――「では、何があるのか」と】
【勿論、先ほどの自分の言葉――――問いには、答えを強制する力がある――――を踏まえて、言いたくないなら構わないと予防線は張るのだが】

「そうだね……例えば「あなたは神を信じますか?」……今まで、一度はこんな問いかけを聞いた事があるんじゃないかな?
 でも、この場合……イエスかノーかで答えるものだけど、もうこの問いかけに前提がある事に、気づくかい?
 ……ここでいう『神』っていうのは、具体的になんなのか、言葉の中には入ってないのに、既に「質問者の想定で定義された『神』について聞いている」って事になるんだ
 だから……「はい、私は風の神を信じます」って答えて「違う、私が聞いているのは水の神だ」なんて事になったら「あなたは質問に答える事も出来ないのか」って、ねじ込まれてしまう……
 だから、「あなたの言う神とは何ですか?」って問い返す事……これが、相手の真意を読み解くに、大事な事なんだよ……。そうすれば、相手はこちらをハメにくくなる……」

【例えを用いて、アルクは説明しようとした――――少々長くなってしまったきらいはあるが、ニュアンスは詰め込めたのだろう】
【夢の中のその問いが、純粋な問いかけなのか、それとも悪意を持った誘導なのか――――それを見極めるのは大事だと、そして、その為に問い返すという手段を用いるのは、大事だと】
【問いと言うのは、どうしても問う側にイニシアティブが存在する。だからこそ、こちらから仕掛けられるアクションは、大事なのだ】

「……確かに。1度会っただけの相手だし、その1度の邂逅が……まぁ、アレだったからね……」

【流石にそこは否定しても仕方がない。取り繕う事なく、アルクはハッキリと肯定した。夕月に対して気を回す事も出来なくはないが――――もう、見抜かれているのだから仕方がないだろう】

「(――――実際、そう簡単に離れられるかと言うと……無理がある気がする。「『誰だか』の所有物で、自分は十分だ」とか、言っていた……)」

【その取り込まれた悪魔とやらの事を思い出して、そしてかつての鈴音本人の言葉を思い出して――――そこには、あまり楽観視はできないと、アルクは胸中で呟いた】

――――僕なら、構わないよ……話に聞いているだけで、僕もそのイルとやらが、鼻についてたまらないんだ……!
「……手前らの頼りにしている『旦那』も、イルには敵意を向けていた。だから……手前らなら構わない。可能な範囲で、そこは力になるよ……約束する」

【アルクの、先の疑問――――何故「大っ嫌い」と言うほどに、イルに入れ込んでいるのか――――とは別に、2人はその頼みには快諾の姿勢を見せた】
【シャッテンは、既に怒りを同じく抱いていたのだし、アルクは自分の仲間たちが、既にイルと敵対している――――断る理由が、無かったのだ】
【鈴音に対しては、少々のしこりを見せていたが、イルとの敵対に関しては、2人の協力は取り付けられたと言っていいだろう】


279 : ◆S6ROLCWdjI :2018/05/31(木) 21:43:56 WMHqDivw0
>>278

最初。イルに会ったときね、……ここに来る子供たちみたいな、子たちが、たくさんたくさん殺されるのを見せられた。
それもモノみたいに、ひっどいやり方でさあ……それを、あたしたちに見せつけて。あいつは言ったんだよ、
「バカみたいで愉快でしょ」って。……この時点でまずありえないでしょ? 当然あたしは怒ったよ、そんで、
……鈴音がこういう子供たちを救う仕事。やってたの知ってるくせに、鈴音の味方してるあんたがなんでそんなこと言うのって訊いた。

【「したら、……なんて言ったと思う?」肩が震えていた。想起するだけでひどく悔しく、苦しくなる】
【それでもまあ、人の死を馬鹿にする悪者。いくらでもいるだろう、でも、イルにはその続きがあるって】
【怒りに満ちた声が言う。……ぽつりぽつり、熱した板に雫を零して、じゅうと焦げ付かせるように。続きを紡ぐ】

――――「鈴音もおんなじように、バカみたいって笑うに決まってる」とか抜かしやがったんだよ、あいつっ!!
するわけないじゃん、鈴音がっ、……ねえ二人とも、今日、たんぽぽ……すっごく忙しかったでしょ!?
それをずっと一人でやって、それでも全然苦じゃないって思ってた鈴音が、そんなことするって!!

アルクさんに、ちょっと、……いやだいぶ酷いこと言ってた鈴音がだよ!? こんなきっついこと、自分からするようになったのに!
きっとすっごい心変わりして、それで、きっとすっごい覚悟を決めたんだと思う、のに、……なのにっ、
イルはそれをバカにしたんだ、侮辱したんだっ、……これ以上ないってくらいひどい言い方でッ!!!

【「ッ、……ごめん、ちょっと、興奮しちゃった」。言い終えたら、ぜえ、と息を吐いて。すごい勢いで言ったもんだから、顔が真っ赤だ】
【目には涙すら滲ませていた。それくらい悔しかった、赦せなかった。あきらかな感情を、訴えて】
【もうひとつ深呼吸をして――唇を噛んで、項垂れた。嗚咽を漏らす。腕で乱雑に涙を拭ってから】

……うん、わかった。次、夢、見たら……やってみるよ。
何から何までありがとう、……そだ、どうやってお礼しよう。今日、手伝ってくれた分と、……これから手伝ってくれる分も。
ねえ、なんか、あたしにできることってあるかな? ……料理はダメだよ、今日見せたとおりだから……

【えへへ、と笑う。泣いたせいで真っ赤になった目元と鼻はそのままに、でも、嬉しそうに】
【協力を約束してくれた二人に、心からの信頼を寄せる。そして、何か自分にもできることはないかって、訊くのだ】


280 : ◆jw.vgDRcAc :2018/05/31(木) 21:57:30 OX.x04tc0
【―――風の国。】

【季節によって吹く風の向きを変え、四季によって移り変わる色が美しい国。少し前は、そんな評価が妥当だっただろう。】
【しかし、今は違う。織りなす四季の美しさは今も変わらないが……そんな美しさを安心して楽しんではいられない程に】
【異変が次々と起こっている国だった。――――ああ。異変と言えば、“此処”もか。】

【“UNITED TRIGGER”。正義の旗手となり、様々な窮地に立ち向かい、そして切り抜けてきた組織。此処は、その本拠地。】
【酒場兼事務所である建物は、同国の中心部の大きな通りというよく人が通る場所に存在している。(……中の人の記憶が正しければ。)】
【以前は、此処には主がいた。しかし……今、その主は居ない。正義の旗手の不在は、この国の混迷の様相を象徴するようでもあり】
【しかし、主がいない間にも、昼間は店が開いている。―――名前を変えて、レストラン「たんぽぽ」として。】
【それは、とある少女のひとつの想いから始まった取り組み。明日を生きるのに困った子供たちに、見返りを求めずに料理を振舞う場所。】
【風に乗って種が飛んでいって、どこか別の場所で花開くように、此処から優しさが広がって欲しいという願いを込めて】
【冬の終わりの温かくなる頃に、春を告げるように咲く黄色い花のように、これからどんどん心を温かくしていきたいという願いを込めて】
【―――「たんぽぽ」と名付けられた場所。】

【扉が開く音と、舞い込む外の空気が、来客を告げる。】
【裾の長い白いワンピースを纏って柔らかい曲線を描く、嫋やかな体躯。一瞥しただけでも、その人が子供ではない事はすぐに判るか。】
【穏やかな、マリンブルーの瞳。さらりと、白金色の長い髪を後ろに流して……受ける印象は、少なくとも危険人物ではないだろう。】
【店のどこかにいるあなたを見れば、頭を下げて「こんにちは」と一言。優しげな微笑みを添えて……それから】

お忙しい中、すみません。久しぶりに、お店の様子を見に来ようと思って……えっと、あなたはお手伝いの人……?

【―――ずっと前からこの店のことを知っているとような素振り。だからだろうか、あなたがいる事を不思議に思っているようだった。】

//予約ですっ


281 : ◆S6ROLCWdjI :2018/05/31(木) 22:18:26 WMHqDivw0
>>280

【わあわあ、って、子供たちのはしゃぎ声。マリアなら聞き慣れた音色だろうか】
【その中心にいる人物。真っ赤な髪をポニーテールに纏めて、まだ新しさを残すエプロンを身につけた】
【赤い瞳と、厚底靴の少女。……当然、初対面。お互い顔も知らない同士だったけど】

あーっもう、わかったわかったから、邪魔しないでよっお皿片付けたいのっ!
あと5分! 5分でいいから待っててよ、ユッキーは忙しいんだから、
……えっウソまた新しい子が来たの!? もうだいたいみんな食べちゃったのに、……、

……、……あ、えと、こんにち……は? えっと、久しぶりってことは……

【「……もしかして前からココのこと知ってる人?」――両手に大量の皿を持ったまま、首を傾げる】
【マリアの言葉で、なんとなく察しはついたようだった。ぱちぱち、ツリ目を瞬きさせて】
【しばしじーっとマリアの顔を見つめていたら――ぐい、とエプロンの裾を子供に引っ張られる】

ぎゃっ、ちょっと待ってって言ってんのに! お皿持ってんのにそんなことしちゃ危ないでしょ!?
ええっと、えっと、ごめんっおねーさんちょっと待って! あと、片付けるだけだから、
ちょっと座って待ってて、すぐ戻るから……あ゛ーっだから引っ張んないでってばあ!

【ぎゃんぎゃん。煩いのは子供とさして変わらない、ていうかたぶん同レベル】
【子供たちの食事はあらかた終わっているらしい。あとは皿を下げて、洗うのは後でもいいだろう】
【でも、少女の周りには遊びたい盛りの子供がいっぱいいっぱい居て。それだけするにも苦労している】
【早く少女と会話がしたいとか、それ以前に見てられないと思うなら――手伝ってくれても、いいんですよ、みたいな】

【――――りん。りん。少女の首には黒いリボンのチョーカーが巻かれていて】
【そこには銀の鈴がついていた。ひとつ動くたびに鳴いている、その音色】
【マリアもきっと聞き覚えのある音だ。……白神鈴音の声によく似てる、なら、この少女はきっと鈴音の知り合い】


282 : シャッテン=シュティンゲル&アルク=ワードナール ◆auPC5auEAk :2018/05/31(木) 22:38:02 ZCHlt7mo0
>>279

――――――――ッッ

【パリンと、ガラスが砕ける鋭い音が響いた。――――シャッテンが、グラスを握り潰してしまったのだ】
【怒りの為に、力を込めていたのだろう。割れたガラス片は掌を切り裂き、深く突き立って――――シャッテンは、表情一つ変えない】
【如何にも面白げに子供たちを屠殺していたという。それだけでもう既に、許しがたい事なのだ。が――――】

「…………!!」

【夕月が語る――――否、叫ぶ、その続きの言葉に、アルクも表情を歪めさせた】
【かつて、自分が自分の命を生きる事の出来なかった頃、そこから救い出してくれた『先生』の事を思い出していたのだ】
【子供の相手をするというのは、彼らを育んでいく事――――それが、今日のこの一時だけでも垣間見えた】
【確かに、鈴音の人となりには信用は置けない。だが、そこにあるこの行為は良く分かる。そして、子供たちが寄せていた信頼も――――】
【それを――――神だか悪魔だか知らないが、そんな傲慢な言葉で、侮辱するというのは――――端的に言って、許しがたい行為だった】

【――――だが、そこに言葉をかけてやる前に、アルクには――――やっておくべき事があった】

「――――スー(水)・ログ(浸食)・ラー(心)・ビン(レベル2)――――『リラクゼーション』……2人とも、悪いけどまずは落ち着く事が必要だと思うよ……」
ぅ……ぁ、悪いねぇアルク…………っく、ぁいた……ってぇ……ッ

【――――スペルを構築し、魔術を発動――――2人に、青い光を照射して、その心を落ち着かせる】
【――――どちらかと言えば理性派なアルクは、感情の高ぶりを見せる2人をなだめに掛かったのだ。このままでは、真っ当に話が出来ないだろうと――――】
【実際、シャッテンは落ち着いたようで、怒りに押し流されていた「手にガラスが突き刺さって痛い」という感覚が、ようやく戻ってきたようだった】

「――――夕月、良く分かったよ……そのイルとやら、人の心を踏みにじり、そして歪める事もいとわないだろう。当然、尊厳なんて尊重するはずがない……
 だから……鈴音の言葉をどう騙っても、鈴音をどう扱っても、信用しちゃいけない――――確かに手前には鈴音は信用ならないが……ここの子供たちの態度は、信用できる……!」

【そう――――なんだかんだ言って、アルクもそのやり様に怒りを禁じ得なかったのだ。自分の行いを、さも仲間達との総意であるかのように言って見せるその態度が】
【よくも気軽に殺してくれるものだ――――1人を守り導いていくだけでも精一杯だというのに】
【鈴音のことはともかく、やはりアルクもまた、イルには抑えがたい怒りを抱いた。ただ、その為に自分を見失ってはいけない。その為の『リラクゼーション』なのだろう】

【――――だが、不幸にも彼らは知らない。既に鈴音は『自己は人間ではない』と言うアイデンティティの元「人間なんていらない、滅びれば良い」と宣言してしまった事を】
【そして――――これは完全に余談だが――――それを受けて、同じく人間ではないとある少女が「もはや鈴音はイルごと殺す」と誓ってしまった事を――――】

――――礼なんて良いさ。僕らは「僕らがそうしたいから協力する」んだからさぁ……
「……まずは、ここが落ち着いたらだね。君だっていっぱいいっぱいなんだろう? 先の事は……その時に考えれば良いよ
 まぁ、君は……君も「力がある」様だし、何かあったら、改めて……手前らから、何かをお願いするかもしれないな……」

【シャッテンは、完全に返礼を当てにしていない様だった。元より、一緒にイルを始末できれば、それで良いと思っているのだろう】
【世捨て人の様なその恰好は――――どうやら、嘘ではないようだった】
【一方のアルクは――――何か、憂慮したような表情を見せながらも、それを保留とする。やはり――――彼らは彼らで、抱えている事はあるのだろうが】
【そこは、この「たんぽぽ」に、一区切りがついてからでいいと――――恐らく、アルクも夕月の申し出に悩んでいるのだろう――――そう言って】


283 : ◆S6ROLCWdjI :2018/05/31(木) 23:01:04 WMHqDivw0
>>282

【ぼうと照らされる、青い光。反射的に目を細めれば――すう、と冷える感覚がした】
【顔の火照りが引いていく。「うん、ごめん」って返す余裕も、できた】
【それで――はっと気づいて、救急箱を取りに行く。怪我をしたシャッテンの前に、それを置いて】

……ありがと、聞いてくれて。そんで、一緒に……怒ってくれて。
あいつだけは絶対赦しちゃいけない、んだよ……絶対絶対、殺そう。

【あまりにも物騒な言葉、呟いてる自覚はあった。でも打倒するとか、それだけじゃ絶対ダメだって】
【そう思っている。存在を許さない。それくらいに――嫌いだった、イルのことが】

【たとえ鈴音のことが嫌いなままでも。イルを打倒する、それだけ協力してくれるだけでも十分】
【そう言ったのは彼女のほうだったけど――でも、知ってしまったら、その先できっと道が別たれる】
【そのとききっと、少女はひどく悲しむだろう。協力してくれて、感情を分かち合ってくれた彼ら】
【敵同士になりたいなんて思うはずなかった、けど、――彼女は鈴音がどうしてそういうこと言うか、知ってるから】
【きっと鈴音を庇う側に回るだろう。……まだ、不確定な未来、誰にも見えはしないけど】

そう? じゃあアレだ、……出世払いってヤツ?
いつかきっとお返しするよ、約束。――ブチ抜くのと撃ち落とすのは得意だよ、あたし。

【何を、とは言わない。けれど何かしら自信はあるから、いつでも頼ってほしいって】
【ちょっとだけ笑いながら言った。それから右手を差し出す――握手を求めている】
【この手に誓って約束する、って言ってるけど――未来は見えないままだった、暗く暗く、闇が立ち込めている】


284 : ◆XLNm0nfgzs :2018/05/31(木) 23:28:00 BRNVt/Aw0
>>275

いや、身体が結構丈夫って言ってもだな……
【すぐ動けるようになるもんなのか?と青年はさらっと答える少女にため息混じりに突っ込む】

【そうして流れる気まずい空気。】
【深々と頭を下げて、またお礼を述べて】
【自分が言い訳っぽく付け足した「助けた手前死なれたら胸糞悪い」なんて言葉に、それでもあんな状況だったし、などと返して眩しげに顔を見られれば】

……やめろって、俺そんな目で見られる程善い人間なんかじゃねぇよ……
【照れ臭い、というよりは辛そうなというか居たたまれないといった表情で顔を反らす】

【だが、親についての質問の答えを聞けば青年は勢いよく顔を戻し相手の顔をじっと見る】
【そうではないかというのは彼女の保護者に連絡がつかなかった時から何となく察してはいた。保護者がいないか、それか滅茶苦茶折り合いが悪いか勘当されたか】
【けれども】

……何でそんなにヘラヘラしてられんだ、お前……
【まさかここまであっけらかんと答えられるとは思ってもみなかったのか、青年は渋い顔で呟く】

まあ……そうじゃねぇかとは思ってたけど、さ……


285 : ◆KWGiwP6EW2 :2018/05/31(木) 23:56:29 WMHqDivw0
>>284
傷、多かったけど、一つ一つは致命傷ってほど深くなかったから……

【実際のところ、少女はまだ完治した訳ではないのだろう】
【病院服の隙間にはびっしりと包帯が巻かれており、少女自身の動きもぎこちない】
【治癒術と輸血によってどうにか倒れるようなことは無くなったが、顔色は良くはなかった】

【居た堪れないとばかりに顔を反らす彼に、ようやく少女は頭を上げた】
【目の前の男の人は、多分、自分よりもずっと殺伐とした世界を生きているような、そんな雰囲気を感じる】
【だから、自分の中にさえ、善意を信じることは出来ないのか】
【少女には想像出来得るはずもない】

――うん、でも、これも私がやりたかっただけだから。

【先程の彼の言葉を返すように、フ……と、吐息だけ笑って見せた】
【親はいない。その事実が彼には意外だったのか?少し不思議だった。彼こそ当然のように親の庇護などない世界で生きていそうなのに】

うーん、だって昔のことだから。
親の顔、あんまり覚えてないんだ。
他に家族もいないし。

【困ったように頬を掻いている】
【病院が身元特定のために荷物を調べた時、彼女の学生証は見付かり、学校には通っているようだった】
【しかし、保護者らしい誰かの連絡先はなく】


独り身が珍しい……って訳じゃないよね?
あなただって……

【違っていたら失礼だから、言葉は途切れてしまった】
【しかし、どう見ても両親が健在で一緒に暮らしている、と言う空気ではなかった】
【むしろ彼の見ている景色には、そうでない人間の方が多いのではないかと、勝手な想像までしてしまう】

……まぁ、そういうことで、私が死んでも誰かが困るって訳じゃないんだけど……

【困る人間がいないから、無謀な行動でも平気で取ってしまうのか】
【しかし、事実として目の前の名前も知らない彼を困らせてしまった訳だから、何だか無闇に申し訳なくなる】
【やや沈黙してから視線を泳がせ、最終的に地面へと落ちた】

……ええと、助け甲斐、なかったかな?
そうだったら、ごめんなさい。

【自分でも意味不明な理屈では有ったが、最終的にもう一度謝罪を口にしたのだった】


286 : ◆XLNm0nfgzs :2018/06/01(金) 00:50:43 BRNVt/Aw0
>>285

【居たたまれないといった表情で顔を反らす青年。その目は何処か悲しげで】
【実際、恨まれる事は多くとも感謝などされた覚えなんてないような半生だった、と思っている】
【今の自分を造った"切っ掛け"となる決断ですら本当に良かったのかすらまだ解っていないのに】
【それでも少女は純粋に自分の中にある"何か"を信じている】
【それがひどく、痛い──】


……ああ、昔の事だからか……それだったらさらっと言うのも分かるな
【納得したように頷いて】
【昔の事だからあんま覚えてねぇ、かぁ……などと呟き】

……忘れるの、得意なんだな
【そうしてぽつ、と口にするがすぐにハッとして慌てたように「悪い、今のは忘れろ!」と口早に言う】

【独り身が珍しい訳でもないだろうと言われれば彼は何処か遠くを見つめて、んー……と声を発する】

珍しくはねーよ?確かに俺だってそうだし……でも"きっちりとした所"でそーゆーの見掛けるの久々な気ぃしたし?

……でも考えればそうだよなぁ……"彼処"の生まれじゃなくてもいるよなそんな奴……俺もだし……"あのガキ"だっ……て……
【珍しくはないのだが治安の良い場所で孤児を見るのは久し振りだ、と語る青年】
【けれども考えてみれば確かに治安の良い場所にも孤児くらいいるだろう、と納得して自分もだし、などと例をあげるがふと誰かの事を思い出したのか言葉が止まる】
【ふと、脳裏に浮かんだのだ。自分が以前"古巣"で気紛れに話しかけた子供──能力があるからと、自分達は『特区』に行くからと親に棄てられた子。つい先日また"古巣"を訪れたら姿が見えなかったからその辺りにいた奴に訊いたら"工場"に向かうのを見たと言っていて】
【だとすればその子の末路なんて自ずと想像がついて】

【酷く青褪めた顔で俯く青年。じっと黙りこくって】


……お前が死んでも誰も困らない、か……
【少女の言葉にようやくぽつりと返す青年】
【ゆっくりと顔を上げて】

……だったら俺だって同じだよ
どーせ俺の事なんざ誰も信じちゃいねぇし愛しちゃくれねぇ
大事なのは『使える』か『使えねぇ』か、だ
【さっきまでのナーバスな雰囲気は何処へやら、からりと笑う青年】

……使えるか使えねーか、なんだけど、な……
【しかし、不意に困ったような表情をしてため息を吐く】
【それもそうだ。有益か無益かを信条としてる癖に見返りを無視して一人の女の子を助けてしまったのだから】

【そうして助け甲斐云々で相手に謝られれば青年は更に困惑したような表情で、や、別に助けようとかそんなん考えてやった訳じゃ……と口ごもる】


287 : ◆KWGiwP6EW2 :2018/06/01(金) 01:22:00 WMHqDivw0
>>286
【男の態度は悲しげで、同時にどこか自嘲的でもあった】
【自分を――と言うよりも、その後ろに別の想い出を重ねているようでもあって】
【ともあれ、自分の評価が彼を苛んでいるのだとしたら、この話は続けない方が良さそうだった】

【次いで、両親の話――】

ん……そう、なのかな?
物心つく前でも、案外覚えてたりするのかな。

【学校では両親のいない同級生は多分いないし、いたとしてもそんな会話を交わせるほど仲良くはない】
【だから、一般的にどうなのか判断は出来なかったが、少なくとも少女は、顔も朧げな両親に対して特別な想いは抱けなかった】
【それはひょっとしたら寂しいか、冷たい話なのかも知れない】
【もう少し意見を聞きたかったが、忘れろ、とそう言われるから、口を噤んだ】

私は、最近こっちの方に来たから……
前のところも、でもきっちりしてた気はするけど。
……あのガキ、って?他にも孤児のお友達が……いた……、の?

【彼の言葉の端が気になって問い返す。……が、その言葉は段々と小さく途切れてしまう】
【青褪めた彼の表情から、決して陽気に話すような内容ではないと知れたからだ】
【コミュ障故なのだろうか。先程から何だか会話の地雷ばかり踏んでいる気がしたが……そうかと思えば、急に男の声が乾くのを感じる】
【語る言葉は、何だか一層自虐的では、有ったのだけれど】


……えぇ……いや、そんなことは、無いんじゃない?
勝手なこと、言っちゃうけど。
家族はいなくても、さ。お友達とか、恋人とか……

【あと、師弟とか、と小さく呟いて】

後から作れる関係だって、有るんだし。
……有るんだし。

【そう言えば友達も恋人もいなかった少女は自分で言っていてヘコみかけたが、今はその時ではない】
【拳を握って目を閉じると出来るだけ語気を強めた】

それに私のことだって、使えるから助けてくれた訳じゃ、ないんでしょ。

【正に男が今気にしていることを、言い募るのだった】


288 : ドラ :2018/06/01(金) 02:01:03 XqQAhkbc0
>>115


……貴方って昔はこういう子だったのよ、ねぇ
なるほどなるほど確かにそうだ。記憶を一度失った赤ん坊同然の脳みそならなおの事そうなりかねないよねぇ
自分で答え言ってるように聞こえるけど……それが『夜鷹は一人暗夜を』、ねぇ

根拠もないのにずいぶん自分のハートに自信があるみたいだけど
それならぼくの質問に自信に満ちたセリフで返してぼくを唸らせてみな!
―――きみは引き金を引く時誰を思う?撃ち抜く相手?自分自身?……それとも、撃ち抜いた相手が死んで喜ぶ誰か?


【この期に及んで憎まれ口が飛び出してくるドラ、急所を撃たれ、許しを乞うても次の瞬間には悪態が飛び出してくる】
【なんておしゃべりな奴だろうか。あるいは自分でも意図してはいないのかもしれないが】
【本当に子供じみた悪口が染み付いた若者だ。見た目が幼い分精神の成長も遅いのではなかろうか】

【だが、悪態を付きながらも彼は冷徹にこれから打つべき一手を必死に考える。『逃走』か『反撃』か】


(……しかし、腕だけは確かだったな……これでは完全にぼくの負けだ……しかも見逃す気かぼくを?めちゃくちゃ腹立つ
どうする?反撃するか?あと一撃くらいだったら不意打ちで叩き込めそうだし……その一撃で『必ず殺せ』ば命を取られる前に勝利できる……かも

……いや、それこそ『ぼくら』の品位を下げるな……なによりあんな素敵なおっぱいの子が死ぬのは世の損失。
殺められなきゃ勝てなかったなど敗北も同然だ。ウェルダスの時の二の舞はゴメンだね。負けを認めて……『逃走』!これだな!)


【ふぅ、とため息をつきながらドラがベルトを外すと……最初に見せていた年若い少年のようなの顔が再び露わになった】
【やはり金的攻撃は効いていたのか、苦悶の表情を浮かべながら、しかし明朗な声色ではやし立て続ける】


へえきみに勝てばぼくの初夜の相手を務めると!そりゃあうれしいねえ!
……いやありがたいがひとまずはきみへの勝利とおっぱいを揉む事しか考えられないね
生憎とまだ……5年くらい引きずった『未練』があってね。そのころの自分と決着を付けるまではきみとベッドインは考えられないかな!

だがいいんだね!今ここでぼくにとどめを刺さない事を選択して!
―――ぼくが届けちゃうかもしれないよ!きみの情報を……『本当』にきみに敗北をもたらす人に!……来い!『オルトロスⅢ』!!


【背を向けてすぐ、カチューシャの前方から、大きな音を立てながら速度をつけて勢いよく突っ込んでくる物があった―――赤いバイク!】
【バイクがカチューシャの横を通り過ぎると……ドラがひらりとそのバイクに飛び乗り、カチューシャの反対方向へ勢いよく走り去っていく】


また会おう"カーチャ"!ぼくを殺さず背を向けた事を後悔しないようにな!!次は揉むだけじゃなく……挟む所までやるかもしれないぞ!!


【訳の分からない負け惜しみなのかどうか?というセリフを言い残してエンジン音も高らかに走り去っていく……】

/忙しくって少しづつかかざるを得ませんでしたがようやく決着です!
/軽く何かを言い返していただきまして、次のレスで終わりにしようと思います、本当に待たせてすみません……!


289 : ◆XLNm0nfgzs :2018/06/01(金) 02:31:48 BRNVt/Aw0
>>287

物心つく前か……それだったらあまり覚えてはねぇよな……
俺は……確か六つ位だったからな……まあ……
【忘れろなどと言いつつちゃんと返してはくれる青年。ふと嘗て亡くした女(ひと)の死に顔が頭に過り表情を曇らせる】
【天からぶらりと揺れるあの女(ひと)の──】
【青年の片手は無意識にかその首元に伸び、二、三程軽く掻かれる】

【次に、孤児の話。最近こちらに来たのだと少女は語り、彼が話した人物について尋ねかける】
【だが青年はそれに答える事なくなくただ青い顔をしているだけで】
【それでも脳裏に思い浮かべるのはその孤児の死に様。どういう風に死んだのだろうか?大火に巻かれてしまったのか?それとも過労だったのだろうか?それならまだしも──】

【そして、自分だって死んでも誰も困らない人間なんだという話題には少女は困惑したような顔で否定して】
【友人、恋人、師弟などと信じてくれそうな人、死んだ時に困ってくれそうな人をあげて】
【後から作れる関係だって、などと口にするが】

……それだったらお前もそうだろう?まだ子供なんだし未来がある
でも、俺に未来なんてないからな……そんなん作ったって仕方ない
【青年は笑顔を張り付けたまま答える】
【分かりきっているのだ。自分なんかどうせ■■■だから遅かれ早かれ死ぬんだって、■■されるんだって】
【そうして目の前の少女を見てふと思うのだ】
【ああ、此奴は"俺"だ、と。まだ全てを諦めきってなかった頃の──自分を信じてくれる人が、愛してくれる人がその内見つかるんだと信じていた頃の、幼い頃の"俺"だと】
【だったら全て合点がいった。周囲の人々に手も差し伸べて貰えないで、生き(て)るから帰らないでとその手を必死に伸ばして──】
【重ねていたのだ、誰一人手を差し伸べてくれなかった、それでも必死に「愛して」と声なき声をあげて手を伸ばしていたあの頃の自分と】
【だとしたら放っておけなかったのも無理はない】
【無理はない、けれどもそれでもやはり分からない】

【それだけの理由で有益でもない人間を助けるものだろうか?と──】

【そんな疑問が浮かんだ時に投げかけられた言葉】
【使えるから助けた訳じゃないのだろう、と】
【男の顔から張り付けた笑顔が消える】

そう……だけどさ……俺だって分かんねーよ……
【昔の自分とダブっててほっとけなかったから、とか……有り得ねぇだろ?と青年は聞こえるか聞こえないかの声で呟く】


290 : 院長中身 ◆zO7JlnSovk :2018/06/01(金) 06:06:41 XhR7wdR.0
>>272

【 ──、深い暴力の雨は晨夜に吹き荒ぶ暴風の如く、宿世に交わらぬ愛を慟哭するのに似て】
【彼女が浮かべる嗜虐的な笑みは、宛ら実験動物を見つめるいたいけな瞳、科学者然とした興味の様に】
【どれだけの負荷をかければ死ぬのか、それを粛々と確かめる試みの様でもあった】


そんな豚みたいに鳴かれてもさぁ、何て言ってるのかわかんないよ? もっとして欲しいのかなぁ?
あは、きっとそうだよね、だってこのボクに喧嘩売ったんだもん、正気の沙汰とは思えないから
きっとね、きっと、無残に哀れに残酷にぶっ殺して欲しいって気持ちの現れなんでしょ?

だから優しい僕は一片の躊躇なく、微塵の躊躇いなく、微かな戸惑いなくキミをぶっ殺してあげるから
安心して殺されるといいよ、痛みに身を捩って、苦しみに苦しみ抜いて、キミは死ぬんだ
このまま地面と足の狭間で磨耗し、哀れな肉塊に変わるまでさぁ♪


【死刑宣告の様に彼女は言い放って、踏み締める足に力を入れた。頭蓋骨ごと踏み抜く様な勢いで】
【硬い踵の骨で後頭部を打ち砕く様な、そんな深い勢いを以て──】
【やがてその暴力が、不意に凪を見せて── 静寂に包まれた】


……ふぅん、なーんだ、このまま死ぬのは嫌なんだね、── 期待して損した
結局キミも弱っちいニンゲンの一種なんでしょ? 死ぬ事を恐れて、痛い事を嫌う様な
──、まぁでも、すこーしだけ雰囲気違うし、有象無象よりは役に立つかなぁ

ねぇ、名前なんていうの──、あぁ別に覚えないから、言いたくなきゃいいんだけど
なんでも言う事聞くんでしょ? だったらキミの最期は決定だ、ボクの言う事に背いたら、その時は
自分の手で腸引きずり出して、死んでもらうから。臓器を一つずつ、丁寧に自分の手で解体して

──、だから心してボクのお願い聞いてよね、そうだよ、贄が必要なんだ、生きている贄が


【イルは貴方の後頭部から足を離し、大きく顔を下げた。── 這い蹲る貴方のすぐ側へ】
【白百合の様な可憐な頬に恍惚の笑みを浮かべて、波縫いの様に淡やかな睫毛を擽ったそうに】
【そうして紡ぐのは生贄を集めて来いという願い、それも、生きたまま、であった】


291 : 院長中身 ◆zO7JlnSovk :2018/06/01(金) 06:23:58 XhR7wdR.0
>>288

【──、向けた背中の幽世越しに、浮かぶ表情は憂世を離れ、白銀の髪にしとりと濡れる少女の慕情】
【目尻を尊く海青に浸して、一つ二つと瞑目し数える童歌の様に、肉感的な唇を惑わせて】
【吐息を艶が孕んだ。── 滴る呼吸は飴玉の如く、舌先で転がして煌々と舞って】


引き金を誰かに委ねるなんて、私は信じないの。── 私はいつだって、自分の為に引き金を引くの、
愛撫される時もね、包まれる時もね、接吻する時も、私の身体は骨の髄まで私のもの
だからね、生きるその意味すらも私に委ねなきゃ、それはきっと生きてはいけないの

──、坊やが終焉を運ぶのなら、それはそういう運命だから、受け入れるのが私に与えられた役割
でもね、それを抗うのもまた、舞台の上で課せられた宿命なの、例えそれが操り人形の細工でも
その糸が千切れるまで私は、踊ってみせるから


【──『微笑む』──、否、実際はその暗示があっただけだった。僅かに口元を上げて、瞼を浸して】
【けれどもそれは確かな微笑みであった。尊き関係性の中にわずか魅せる、永劫の様な一瞬に似て】
【そうして次の瞬間には消え失せる。雪夜が幾重にも新雪の層を作るのに似ていた。新しい白銀は旧き白銀をかき消す】


ならば私は果てるまで、坊やの筆遣いを堪能する事に致しましょう──、でもね、きーっと私の頂きには程遠くて
それでも青色吐息で、懸命に腰を振る坊やを、私は穏やかに見守るの、坊やが頑張って尽くすのですもの
私は其れを手伝いましょう、曲輪に与えられた使命だなんて、無粋な事は言わないで

でしたら坊やは、私が殺さなかった事を満足させるぐらい、胸いっぱいの愛を
──、ええ、カチューシャの淫らな胸が、いーっぱいになるぐらい、熱く滾る愛を
どうか、私に、心ゆくまで、──


【視線を向けたならそこにはもういない、カーテンの隙間から見た新雪は、朝焼けと共に消え果てて】
【夜の間降り積もった雪の痕。幻と見間違うぐらいに呆気なく消えていく】
【──、だからこそ私達は、残った水溜りに指先を浸し、その温度を確かめるのだから】


/いえいえ! 長期間お付き合い頂きありがとうございました!


292 : ◆3inMmyYQUs :2018/06/01(金) 20:23:25 LevMp5MM0
>>77

【──索敵、照準、砲火】

【索敵、照準、砲火──】

【索敵】

【照準】

【砲火】

【一切慈悲のない銃撃が連続した】
【炸薬の破裂する銃声が怒濤の勢いで空気を震わせ】
【次々と排出される空薬莢が地を叩き、金属琴のような澄んだ音を合間に挟ませる】

【最中、銃口で瞬く発火炎が照らす砲撃手の白い顔貌は、一ミクロンも変動しなかった】
【予め組み込まれたプログラムを延々と実行し続けているような──まさしく人の形をした機械の如きだった】


【きン──】

【最後の一発を吐き出した空薬莢が宙を舞い、地に落ち、】
【激奏を終えたオーケストラのような余韻をそこに響かせる】

【──が】

【通常であれば、そこで演目が途切れるはずだった】
【しかし拍手の一つも許さぬ次の刹那に、新たな前奏が始まっていた】

【人形のすぐ傍らの空間が歪み、そこから何か重厚な金属塊がせり出して──】
【いくつもの砲身を束ねたようなその造形は、紛うこと無く重ガトリング砲のそれだった】

【二丁の拳銃を空にするまで撃ち尽くして(それを背後に放って)おきながら、それでもまだ十全とは認識していないらしく】
【人間一人を殺害するにしては大仰で、常人の携行できる範疇を軽く超えたその重兵器を、細い体躯が軽々しく構えようとし──】


【──ぎシり】

【人形の動きが唐突に止まったのはそのときだった】
【不可視の鎖によって捕縛されたかの如く、明らかに不自然なタイミングで】


────────………………………………


【婦警が、いつの間にか立ち上がり、幽鬼さながらにそこへ佇んでいた】

【潰された両の眼はしかし、一直線に人形の元へ据えられていて】
【両者の体躯の回りに、何か濃密な陽炎の如きものが揺らいでいた】


────い〜ま〜で〜す〜よお〜…………


【婦警の発した何らかの制止力と、それを破ろうとする人形の怪力が鬩ぎ合ってか、】
【巨大な歯車が軋むような異音が響く。それはごく限られた間の膠着だというような切迫感を伴っていて──】


293 : ◆KWGiwP6EW2 :2018/06/01(金) 21:01:19 WMHqDivw0
>>289
【青年は自分よりは幾分親のことを覚えているようだ】
【しかし、多くを語られないそれは彼に取って良い想い出であるようには思えない】
【……と言うより、悪い想い出が多過ぎたのだろうか。彼の言葉にどうしようもない諦観を感じるのは】


【子供の件についてもそうだ。何か言おうと、話題を探したに過ぎないそれは、残念ながらまたしても彼の胸を抉っているようで】
【だからその話題もここで切る。初対面の青年。コミュ障の少女には早々共通の話題など早々有る訳もなく】
【また沈黙が訪れない内にと残った話題に飛びつくのだった】


や。勿論……私も、そうだよ。
これから友達ができる可能性だって――

【今は友達いないことを自分でバラしていた】
【いやいや、それでこそ男に共感できるはずだからむしろ良かったのだ】
【……そうなのだ】

つまり、私ですら友達作れるかも知れないんだからあなただって――
……え?未来無いの?何か、こう、不治の病とか?

【前提を覆されてオロオロとまた藪をつついてしまう少女】
【人生経験の浅さが露呈しているようで顔が赤くなりそうだった】
【どこか思いつめたような青年の笑顔を見て、息が詰まる】


【言えることなど、何かあるんだろうか?】
【しばし黙りこくったままでいる】
【男は何か、呟いたようだ。それは掠れたような声で……良く聞こえなかった】
【迷いのような、苦悩のような……ひょっとしてまた困らせているのだろうか?】

いや、だから……だからね。そう……だから……

【話すの下手くそか】
【何か言うべきだと考えこんでも頭は煙を吹く一方で。やがて開き直ったように】


あなた死ぬと私困る!すごい困る!
助けて貰ったお礼まだしてないし!
そう、これは借り!借りを返すまで死なないで!

【――病院内ではお静かに】


294 : ◆jw.vgDRcAc :2018/06/01(金) 21:01:22 OX.x04tc0
>>281

【にぎやかな、子供たちの声。人によっては騒々しいと受け取る人もいるだろうけど、自分にとっては慣れたもの。】
【目の前で繰り広げられるどたばた劇に、どこか懐かしささえも覚える。自分も昔はこんな感じだったかなー、って】
【子供たちの予測不能な行動に、店を任されている少女は翻弄されている。……この子も賑やかな子だなぁ、なんて】
【奮闘しつつも悪戦苦闘する彼女に、「いえいえ、お構いなく!忙しい時に押しかけてすみません。」と一言掛けて】
【空いている席に座って待つことにした。が―――勿論、貴女をこのまま見て見ぬふりをするような人間ではない。】

【子供の性格は千差万別。我の強い子もいるけれど、中には一人くらい、素直で聞き分けのいい子もいるわけで……】
【……この場では、女の子が一人、ちゃんという事を聞いて椅子に座って待っていた。近付いたのは、その子の隣。】
【「お姉さんも、此処に座っていいですか?」と、その少女に一言掛けてから……そっと椅子を引いて、横に座る。】

……あなたは、お姉さんの傍に行かないで、待ってるのですか?
『……うん。……まってて、って、いわれたから。まってる。』

【尋ねる。すると、少女は初めて見る人に少し緊張したのか、伏し目がちになりながらも……そう、答えてくれた。】
【その答えを聞いて、マリアは穏やかで優しい笑顔を見せる。作り笑いではない、わざとらしさの一切ない微笑みは】
【子供心に、この人はちゃんと本心で笑っているのだと言外に伝えられるものだった。】

そっかそっか。ふふっ、偉いですね!ちゃんと、あのお姉さんがしてほしいって言った事、してあげたのですね?
それは、とてもいいことです。……いい子には、ご褒美です。はい、これ。おいしいお菓子です!

【頭を撫でて褒めてあげながら、鞄から飴を取り出す。少女の小さな手に、可愛らしいピンクのいちご味のものを握らせて】
【……その様子はまるで、我が子を褒める母親のよう。堂に入っているというか、何年もそんな風に子供と対しているように見える。】


【そして、これがポイントでもあった。理屈ではなく、行動で「言う事を聞くと褒められる、ご褒美が貰える」と子供に示すことで】
【言葉で「言う事を聞きなさい!」と言うよりも、ずっと子供たちは理解してくれる。―――それは、この場でも例外ではなく】
【少女が褒められている姿を見た子供たちが、次々と貴方の傍を離れて椅子に座っていく。きっと、褒められたい、ご褒美が欲しいの一心だろうけれど】
【その度にマリアは子供の傍に歩み寄って、撫でてあげて、飴を手渡してあげた。勿論、笑顔は絶やさないまま】

―――ふふっ。みんな、いい子ですね。

【そしてついに、魔法が掛かったみたいに貴女の傍から子供がみんな離れた。―――マリアは貴女に向けて「さ、今のうちです!」と目配せする。】
【これがマリアの狙いだったのだろう。決して頭ごなしに叱ったり、命令したりはせず、あくまで子供が自主的に行動するのを促す手法だった。】


295 : 『INSTITUTE MELTING PROTOCOL』 ◆zuR4sSM1aA :2018/06/01(金) 22:48:37 SD5ZXnH60
【──セラフ研究施設は、防戦を強いられていた。蟲の攻勢に押され、じりじりと戦線を押し下げられて】
【蟲の狙いは「リアクター」であると理解していた故に、「人類の叡智の揺り籠」の矜持を保つために】
【彼らは施設への侵入を未だに許しては居なかった──だけど、その戦線はすでに崩壊寸前であった】


【水の国軍へ救援要請を出して2日経った日のこと。セラフ近郊の小高い丘】
【そこを救援要請に応じた者の集合場所としていた──仮設テントに行けば、受付が設けてあり】
【貴方/貴女の名前を尋ねると共に、名標へその名前を刻んでいくことだろう。同時に装備の希望についても聞かれることになる】

【自動小銃や拳銃、手榴弾といった、その程度の武器しかないものの】
【貴方/貴女が要求したのなら、喜んで手渡すだろう──同じく戦闘をする一員として】


「受付を完了された方は、中央ホワイトボードの前にお集まりください」


【──野太い声をした、厳つい顔の男が拡声器でそう伝える】
【ホワイトボードには赤と青のマグネットがいくつも付けられ、施設の図面も貼ってある】
【恐らく作戦を貴方/貴女達に伝えるためのものであろうと──そう考えられるだろう】


「どうせ相手は唯の異形さ、俺たちが負ける筈ねぇさ」
『ははっ、そうだな。セラフを襲ったアイツラを、こてんぱんにしてやろうぜ』


【辺りの空間はそのような会話で満たされていた】
【蟲は唯の異形だ、人類に勝てるはずもない──そうした内容のものが殆どで】
【作戦前にも関わらず談笑している者の多さに、拡声器を握る男の厳つい顔はさらにその厳しさを増した】


【────】


【鉛玉が飛び交っていた。セラフの殆どを占領したものの、狙いのリアクターを保有する施設を陥落出来ておらず】
【一匹、また一匹とミガ・ヴァリアスが突撃していく──その何れもが、単眼に鉛玉を喰らって散っていった】
【その後方に、ワームシンガーは陣地を造っていた。施設の戦闘状況を見ながら、蟲達に行動を伝えていたのだけど】


「──そろそろ、行こうか。『ドク』、皆、行くよ」


【錆びたパイプ椅子から勢い良く立ち上がれば、軍勢の方へと顔を向ける】
【そこには蟲に与した貴方/貴女も居ることだろう。ゆっくりとした足取りで、施設へと向かっていく】
【しかし『ドク』だけは、一匹で施設へと突入していった──何らかの目的が、あるのだろうか】

【施設を占拠し、■■■へと魔力の贄を捧げる──その目標を達するための第一歩を踏み出した】
【間もなく人類の叡智を守るための、戦いが始まるのであろう────】

// 招集レスになります。参加を希望する方はこれにレスを下さるとありがたいです。
// 6月3日18時を以て参加を締め切る予定です。できればレスの最後にキャラ名と参加陣営をお書きください。
// それではよろしくおねがいします。


296 : ◆XLNm0nfgzs :2018/06/01(金) 23:06:27 BRNVt/Aw0
>>293

【考えて、考えて、試行錯誤を繰り返して。そうしてようやく飛びつけそうな話にやっとの思いで乗った少女】
【今は友人がいないんだ、なんて事もさりげなく打ち明けてしまって】
【けれどもその言葉に返ってきたのは「未来がないんだ」という言葉。おろおろと慌ててしまって】
【不治の病か、なんて尋ねられた青年はその問いに思わず目を丸くして】
【……ははっ、なんて短く笑うと瞼を閉じて】
【そのままたっぷり数分間。そうしてから目を開けて】

【そうしたら、ぐっとばかりに此方を見据えられて投げ掛けられた言葉】
【これは借りだから返すまで死なれたら困る!って】
【声を張り上げて言われて】
【青年はまた目を瞠る。何度か目を瞬かせて】

……ははっ、借り、借りか
借りならしょうがねーな!
ま、何だ……気ぃ使わせちまったみてーで悪かった
【クスクスと笑いながら少女に返す】

……でもなぁ、あんまり俺に関わっちゃいけねぇぞー?
【そう言ってからひどく真面目な顔で、重大な事を打ち明けるかのように小声で】

……実はな、俺、殺人犯なんだ
【そう、口にして】













……なーんてなっ!
【それからじっくりと相手の反応を伺ってからまた破顔。そんなん冗談に決まってんだろ?みたいな顔をして】


297 : ◆KWGiwP6EW2 :2018/06/01(金) 23:48:43 WMHqDivw0
>>296
【日頃から、ひたすら街を徘徊している少女はこんな風に長時間誰かと話すことすら稀だった】
【友達果たしてできるのだろーか】
【だいぶげんなりとした表情になりそうなのをキリッと引き締めて】

いや、でも本当に借りだから、ちゃんと返すから……それまでは、死なないでね。

【不治の病でも。と無茶振りをしながら】
【彼が一体どこに驚いたのか――ひょっとしたら少女の大声にだったのかも知れないが、分からないまま、捲し立てた】

また、そんなこと――

【言いかけて、ぽつりと呟いた青年の言葉に、息が止まる】
【――思考は上へ下へとフリーフォール中で、考えが中々まとまらない】


それは、だって――能力者だったら、そういうことも――

【戦いの中で命を奪ってしまうことも有るだろう】
【でも、青年のニュアンスはそういったものとも違う気がする】
【再び混乱の思索に入ろうとしたところ、明るい声に遮られた】


「……冗談……なんだ。何だ……」

【分からない。分からないけれど、ひとまずそういうことにしておこう。追及して得るもののない話題だろうから】
【どっと疲れが出た気がする。――そろそろ病室に戻るべきかも知れない】
【そう言えば、とふと気が付いて】


……三枝双葉。私の名前。
あなたは?


【名前を尋ねる】
【今の話を聞いても、少なくとも関りを絶つつもりはなさそうだった】


298 : Neun ◆D2zUq282Mc :2018/06/02(土) 00:08:00 JY1GydDk0
>>295
【ワームシンガーに追従せしは、精神安定剤の名を冠した白い人型】

【まず最初に目に付くのは白色。病人を連想させる青白い肌。色素が全て抜けた様な白い長髪】
【男にも女にも見える程に中世的な容姿であり、全てを抑圧する様な白は印象に残りやすいであろう】
【背負われている重苦しい鈍色の"剣"も、精神安定剤と呼ばれたノインの異質さを強く印象付けていた】

【セラフの殆どを占領する最中、視界に入ったのは夥しい数の死。耳朶を震わせるのは幾千の断末魔】
【蟲達が引き起こした惨状に加担しながら、人知れず――懐述するのであった】

(人の子よ、一等勢力を伸ばしているお前達が私の知る限りの最悪だった)
(お前達にはおぞましい事に『知性』があった。それも狂った『知性』だ)

(破壊と更なる破壊を重ねて。破滅に向かうと理解していて尚、破壊を止めない狂った『知性』よ)
(醜悪な世界に、醜悪な生き物。同属を殺し、生存領域を汚し、意味も無くエントロピーを増幅させる狂った『知性』よ)

【忌むべきは、私を構成する肉体のベースが醜悪な生き物と同じである事】
【寿ぐべきは、私を構成する精神は醜悪で狂った『知性』から解脱している事】

【物思いに耽っているとワームシンガーから号令が掛かり、思考と意識は現実へと引き戻される】


――……了解した。……精々、役目を……果たすと、……しようか。


// ノイン/Tranquilizer 蟲側にて参戦します。


299 : ◆XLNm0nfgzs :2018/06/02(土) 00:47:57 BRNVt/Aw0
>>297

【げんなりした顔になりかけて、また顔を引き締めて、勢いよく捲し立てて、コロコロと表情を変えていく少女】
【不治の病だろうとも借りを返すまで死ぬな、なんて無茶振りまでして】
【自分の言葉に呆れ返った表情になりかけて】
【そうして、打ち明けた"冗談"に顔色を蒼白くさせる】

【しどろもどろになりながら紡がれた言葉】
【青年は一瞬、ほんの一瞬だけ能面のような無感情な表情になって、そうしてにこりと笑って冗談だと口にする】

【少女の呆けたような安心したような表情を見て、青年は「あははっ、からかって悪かったな!」なんてけらけら笑って】

【三枝双葉という名前を告げられれば】

……リューシオ。リューシオ・エスクリオスだ
【そういってまた笑って】
【相手が病室に戻るのであればそれを軽く手を振りながら見送るのだろう】


【──それから先はちょっとした後日談】
【もし治療費の事で医師に尋ねたのならば件の青年が立て替えてくれたと聞くのだが】
【その名前は全く別の名前で】

【また、彼の名前と"冗談"が気になって彼の名を何かしらの検索エンジンに入れたのであれば数ヵ月前に水の国で起きたとある事件のニュースにたどり着くかもしれない】
【何でも、漢方薬局の店主一家が殺害された挙げ句店が燃やされた、近隣住宅にも放火されたという代物で】
【被害者一家の名字は「エスクリオス」、加害者は店主の夫の前子で名字こそ違えど名前は「リューシオ」という青年】
【けど、その犯人は現在服役中みたいなのでもしかして彼の名前は偽名かもしれなくて】
【それでもあるいは、本人なのかもしれないが──】


/こんな感じでしょうか!
/数日間の絡みありがとうございました!


300 : ◆KWGiwP6EW2 :2018/06/02(土) 00:57:42 WMHqDivw0
>>299
【彼の表情の変化は何かを訴えようとしているようにも見えて――】
【しかし人の感情の機微に疎い少女には、その意味を悟ることは出来なかっただろう】


うん、それじゃあ、また。リューシオさん。

【最後に名前を名乗り合って、また、と再会の挨拶。それでその場の会話は終わった】

【病室に戻ると、緊張と残っていた傷の痛みでその場にへたり込んでしまう】
【あんなもので良かったのか。上手く話すことが出来たか、全く自信はなかったけれど】


……今度は借りも、返せたら良いな……


【しかし退院する際、少女は借りが一つでなかったことを知ることになる】
【加えて支払った金額がかなりの額であることを知ると、慌てて彼の身元を調べようとするが――】


【そこから先、彼女がどこまでを知ったのかは定かではない】



//拙筆失礼!
//長らくお付き合いありがとうございました!


301 : ロッソ ◆KP.vGoiAyM :2018/06/02(土) 10:36:44 ofey9bsM0
>>273

【探偵は悩んだように髪を掻いた手を頭にあてがったまま手だけ止めて話し続ける】

奴らだって馬鹿じゃない、本当のところ…その程度に納まるような奴らじゃないと思うんだ
もっと…強大な何か…本当の思惑が…探偵の勘ってやつかな。女の第六感よりよっぽど精度は悪いけどね

博士の残したテーマは難しすぎる。ある種、ゾーイはその回答そのものだ。だからといってそれでQEDともいかない
…論文自体はどっかの学会に出したものだって聞いている…探せば容易に出るだろう。
俺もよくわからないが…人の“意識”はどう存在しているかの解説らしい。そしてそれをデジタルで表す方法…みたいな
…本人が居たらこんな曖昧な回答をしたら怒られるところだ。

要は…オーウェルは洗脳装置だか意識の共同体だかわからないが、一つのAIを通して人類の考えを統制するってやり方をしたいらしい
となると人の脳の構造を完璧にシミュレーションする必要があって…麻季音につながったんじゃないかと思う…

【そうしてまた探偵は遠くを見た。過去に置いてきたものを懐かしむように。もはやそれは記憶を通り過ぎて思い出になってしまっていた】

あれは何処の飲み屋だったかな。赤い髪の悪そうな笑い方をする女がいて…死にたがってた。偶然横に座った俺にそんな話するんだぜ?
元機関のナンバーズだったとか戦えねえと生きてる意味がねえとか…
そんとき俺も…もっとクソみたいな生き方をしていたから、なんか気が合った。死にたかった。だけど、アイツには生きていてほしかった。
次の瞬間にはバイクに乗って、星を見にいったんだ。今思えばベタすぎるが…でもまあ、思い返せばアイツは妙に子供っぽいところがあった

【何年も前の、ほんの数時間の出来事を昨日のことのように彼はゆっくりと語っていた】

…そいつはUTでバーテンをしていた。どうしてか?それは知らねえ。でも、それでいいじゃないか。
鈴音やセリーナと一緒に居て、俺はたまに飲みに行って…


//続きます


302 : ロッソ ◆KP.vGoiAyM :2018/06/02(土) 10:36:57 ofey9bsM0
>>273

【彼はひしゃげた赤マルのソフトケースから一本差し出した。合わせてライターを彼のもとに火をつけてかざす】

だが、機関はそれを受け入れるほどヤワじゃなくてね。ヒットマンが来たんだ。…俺はそれを知ったのは襲撃されたって聞いてからだ
それから、逃げるためか…彼女は姿を消した。…案外引きずるのってのは男の方でさ…それで俺は探偵になった。アイツを探すために
幾つかの噂は聞いた…まあ、元気でやってるらしい。それなら…今の俺は忘れてもらったほうがいい
今の状況をみたら、くだらない揉め事に巻き込むような真似はしたくない…男ならわかってくれるだろ?

…こんな話したら鈴音も、ミラも説教しやがって…かっこつけてないで会いに行くなりしろってよ。…女ってのは全く。

【彼は苦笑しながら、短くなった煙草を捨てて。靴底でもみ消した。思い出はその一本で煙のように消えてしまう】
【だが火をつけるたびに何度でも思い出すことができる。それは幸か不幸か…】

ああ…水の国の特区に向かう途中だった。偶然と言っていい。俺もグランドゼロには居たがその下のフロア止まりだ
共闘した2人が重症で、逃げる方を優先したから…あれがどういう訳かさっぱり知らない。

【「ろくでもないってことは知ってる」と彼はいつもの語り口で付け足した】

黒野カンナについては何かわかるかもしれない。ゾーイが今特区に潜入している。それも肩書はオーウェル社員
既に公安とも接触しているみたいだ。…婦警についても調べはつくかもしれない

クソッタレ…どれもこれも。だが…考えろ。セリーナの救出はまだ、可能性がある。どれほど危険なやつが居ても
“盗み出せばいい”。戦わずして勝つのがベストだ。

…蛇、邪教それに異世界の神ときたか。そのつながりは間違いない。『サーペントカルト』とやらを追ってみよう
まだ情報があるなら頼む。まあ、俺はしがない探偵で…能力者と言っても大したもんはもっちゃいない
俺にできることはリボルバーの引き金を引くぐらいなもんさ。だけど、それが何かを動かすトリガーになったらいい

…あの日を取り返すんだ。

【過去にとらわれるという言葉は大体、いい意味では使われない。前に進めなくなった人間の形容詞だ】
【だが時としてその過去が、未来へ背中を押してくれるのかもしれない。探偵の向くその先はそんな明日だ】


303 : ◆S6ROLCWdjI :2018/06/02(土) 12:11:57 WMHqDivw0
>>294

【マリアの洗練された、しかし柔らかく優しく、うつくしい手際によって】
【子供たちの波が引かれていく。自分が溺れていないことにようやく気がついた少女は】
【ぽかーーーーーんとした顔をしていた。そして子供たちと戯れるマリアを見て】

【ぱっと思いついた、率直な感想――――「なんかこういう宗教画見たことある」。】

【女神だか天使だか聖母だか聖女だかわからないけど、なんかそういう、ぼやーっと光るきれいな人が】
【群がる人々に慈悲の手を向けて、やわらかく微笑む絵。そーいうの、そーいうのを、見たことある気がして】
【……実際、彼女が聖母と同じ名前をしているとは、この時点ではまだ知らなかったのだけど】
【とにかくそう思っていて――アイコンタクトではっと我に返る。がちゃがちゃ、慌てて皿を運んで】
【水をためたところにだーーーーっと洗剤を流し込んで、そこに浸けておく。洗うのは後。そういうことにした】


【――――そうこうしていたら。一通り、飴を貰い終わって満足した子供たちが、帰っていく】
【「おねえさん、アメ、ありがとー!」とか、「次来たときはもっとお料理上手になっててね、ユッキー!」とか】
【めいめい別れの挨拶を残して去っていく彼らに、厨房から身を乗り出している少女はひらひら手を振って――】

……すっごいネ、おねえさん。すっごい手練れ。保母さんとかやってんの?
とにかくありがと。助かったよ、……ええと、コーヒーと紅茶どっちがいい?

【エプロンで手を拭きながら、お茶の準備。「お菓子、クッキーの缶があったからそれでいい?」って訊きながら】
【そう訊いたということは――きっと長い話をするつもりなのだろう。予感させるように、表情はあんまり、晴れていない】
【わるーいテストの点数を親に報告しなきゃいけないとき、みたいな表情。でも現実は、……もっと深刻】
【とにかく座っているマリアがどちらか選択したなら、それを淹れて戻ってくるだろう。エプロン、つけたまんま】


304 : 厳島の中 ◆zlCN2ONzFo :2018/06/02(土) 13:56:13 6.kk0qdE0
>>302

「……すまない」

【差し出された煙草に灯が灯る時、探偵の手と、そして自らの隻眼の顔がぼうっと浮かぶ】
【重く辛い煙が肺に満ち、吐き出される】

「そうだったのか、機関に襲われて……」
「そして探偵に……全く、俺は色恋沙汰は残念ながらあまり興味も縁も無くてね」
「だが……その矜持は、解ってしまうがね」

【探偵の話に、こうようやく全貌を掴めた顔で】
【そして最後の部分は、少々苦めの口元の笑みで答えて】

「鈴音もミラも、全く怖い物だな……女と言う物は、解らないよ色々と」

【脳裏に浮かぶのは、果たして誰の顔だろうか?】

「部下からの報告によれば、あのアルターリでの件でブランルは魔界への門を開いたらしい」
「レヴォル社の屋上で、謎の祭壇に見たことも無い銃を触媒にして、儀式を行っていた様だ」
「銃が何なのか、あるいはその目的さえも……今は謎だ」
「最も、間違いなく、ああ『ろくでも無い事』ではあるが」

【深くマルボロを吸って、そして再び吐き出して】
【紫煙の中で、こうその件の話をして】

【やがて……】

「カンナ!?本当か?!」
「だが……公安と言えば、黒幕……ゾーイの身の安全は?」

【いかな高性能なアンドロイド、それも彼らにとっては身内であるオーウェル製の】
【だが、それをもってしても、黒幕の、婦警の、特区のその魔の手から身を守り切れるのだろうか、と】

「セリーナの救出、レヴォル社の打倒はこちらにとっても急務だ」
「手は貸そう、惜しまない」
「そして、鈴音……蛇の教団に関してはチームMとも情報を共有しつつ、鈴音を奪還する」
「そして、UTを、力なき者の為の銃を……蘇らせる」

【非常に淡々と、だが何かに燃えるような】
【あるいは探偵の、静かな怒りが燃え移ったかのような】
【そんな声色と眼差しで、こう話した】

「サーペントカルト、に関しては一般的な知識しか現状は無い」
「だが、鈴音を『神』とした張本人、異世界の神に関しての情報は物理的な資料として入手している」
「読みたいならば、こちらの拠点に来てもらう必要があるが……」

【そこで一旦、言葉を切って】

「話を聞く限り、君にとっては恐らく……全てを『奪還』するべく戦いとなる」
「それは、君の身ばかりか、あるいは心すらも切り刻むかもしれない」 


「この先に進む、覚悟は……あるか?」

【吸い終わったマルボロを投げ捨て、そしてこう静かに、探偵の眼を見据えて聞いた】


305 : 厳島の中 ◆zlCN2ONzFo :2018/06/02(土) 14:15:55 6.kk0qdE0
//>>304の前に下記を追記でお願いします、すみません

>>301

「ゾーイが、その解答?」
「意識を……デジタルで?」
「それは、つまり……特区での、いや、黒幕の狙いである……能力者の統制」
「人間の意識の統一……」

【嫌な、嫌な音がした】
【それは、歯車がかみ合って行く音】
【ピースが埋まって行く音だ、繋がって行くのだ】

「麻希音の論文だったな……ありがとう、探し出す……」

【嫌な汗が、顔を伝うのを感じた】

「(……赤い髪、ミラ、いや、まさか……)」
「星か、タンデムでの星空とは、随分と良い趣味だ……」
「いや、他人の色恋を深く詮索する物ではなかったか……」
「そうならば、UTは、君にとって……」

【この探偵にとって、UTとは】
【無くては成らない、協力関係以上の拠り所ではなかったのだろうか?】
【だとすれば、この一連の事態は】

「(この男にとっては、黒幕と戦う以上の意味を持つ……)」


306 : 厳島の中 ◆zlCN2ONzFo :2018/06/02(土) 14:25:56 6.kk0qdE0
>>295

「……」

【俯いている少女だった】
【指示を下し、的確に作戦を進行し、行軍を、進撃を行うのは蟲の歌い手】
【その傍らに控え、俯いているのは人間に見える少女だった】

「(もう、止められないんだ……)」
「(私も、もう抗えないんだ)」

【まるでその戦闘の状況を、現実感の無いような、剥離した目で】
【そして唇を噛みしめながら】
【どうしようもない現実に、身を焦がし精神を摩耗させながらその場に身を置き】

「(なら、誰かに、誰かに止めて貰うしか、ない……)」
「(誰か……誰か……)」

【やがて、ワームシンガーより指示が下され】
【彼女に随伴し、施設へと足を向ける】
【その足取りは非常に重く】

「はい、ワームシンガー様……」

「(誰か私を……)」




「(殺して――助けて――)」

【彼女の仲間達へのメッセージを、心の中で唱えるばかりだった】


//那須翔子で蟲側での参加希望です


307 : ドープ ◆xgsUYuhzWc :2018/06/02(土) 16:31:22 Lxd3YeZA0
>>290

【──全く持って恐ろしい少女だ、と思った。そもそも、達観した雰囲気ながらも麗しい容姿で】
【そのような、耳も塞ぎたくなるような言葉を紡ぐ時点で大分〝怖い〟と言って良いのだが】
【ともあれ、〝それを実行出来るほどの実力〟を伴っている、それが伝わる恐怖感】
【そもそもこんな組織で、更に上の人間ともなるとおおよそ〝慈悲〟とはかけ離れた存在であることは考えずとも分かる事なのだが】

(……こんな性格だと最早、ウヌクアルハイとか本当はどうでもいいんじゃないのかこいつ……)
(なんつーか……まあ、ここまで力と容姿を得たら分かるけどよお……)
(言動からして自分が一番ってタイプだろこの悪魔……自分が祀られた方が嬉しいんじゃねえか……?)
(こんなんでも〝神〟を信仰するもんなのか……俺よりも随分と熱心な様子ではあるが)

(まあ、オレも此処に居続けるためにゃ──)
(ここは従うしかないなァ!!全く、ゴキゲンじゃねえか!!なァ!!無性にキレるぜ!!)
(オレァ、腸で愉快にコサックダンスなんざ無理だからな!!ヘイマザファッカー!!いつか羽千切ってや……)

【どことなく皮肉めいて、びきびき怒りマークを浮かべながらこっそり内心の悪態を吐いた】
【完全なる自業自得の上、完膚なきまで叩き潰された挙句こんなことを考えるのは小物根性過ぎるというか】
【実際彼女はめちゃくちゃ怖い。というか本気で生きたまま苦しい思いはさしもの彼も無理だ】
【言葉にはせずとも一瞬の黙り込みで思考する。その後、はっと顔を上げて】
【そうして許された事を喜ぶ──(実際とても安心はしていた)】


──あ、あっ、ありがとうございます!!


オレはドープ・ラブ・ライクと申します!!
オレァ、贄を捧げる以外何もできませんが……精一杯努めます!!慈悲をありがとうございますッ!!

──い、生きたまま、ですかい……?

【そりゃまた、そのような要求で済んだとは信じられず、はたとサングラスの奥で見えない目元が瞬きする】
【それもまた余計な墓穴を掘ったような気が、しないでもないが】
【生きたまま──サーペント・カルトに生きたままの贄を持ってくる】
【無論、至難ではある。普段の仕事の難度が上がったくらいか】
【しかしこの場で今すぐウヌクアルハイの贄になるよりはマシである。記念すべき生き贄は自分以外がいい】

……そりゃあ、モチロン、〝能力者〟の方が良いって訳ですかい、ラサルハグェ様

【さきほど煽った際はイルと呼んでしまったものの、次は慎重に名前を呼んで】
【へりくだった姿勢のまま、問いかける】


308 : ロッソ ◆KP.vGoiAyM :2018/06/02(土) 16:53:52 ofey9bsM0
>>304 >>305

【厳島の感じた恐ろしさはパズルが完成してしまった。それはその恐怖が現実であるという証拠だ】
【能力を奪う、それですら危険なのに。思考も意識も記憶さえも…奴らは奪おうとしていた】
【そしてその悪夢への最後のピースが、『ソラリス』だった】

…だから麻季音が内側から奴らを切り崩す。危険な賭けだったがそういう作戦を考えていたんだ
だが、今の状況だとアイツが内側から鍵を開けたとしても…ドアを蹴り破る力が足りない。

【探偵はまた少し笑った。口元を少しだけ上げて、癖のようにそのとき下を必ず向いて笑う】
【照れくさいのだろうか。しかし何処か哀切を帯びた笑みでいつも笑っていた】

俺じゃないさ。愛した奴が愛していた場所だ。…でも命をかけるには十分な理由だろ?
俺みたいなもんが口を出せるような簡単な場所じゃないさ。彼処は…

…だろ?彼奴らも少しは…まあ、いいさ。男ってもんはそれぐらいが丁度いい

【過去に囚われた男の放つ弾丸はそれを振り切るほどのスピードを持って明日を切り開こうとする】
【それでもいつまでも今日のままだ。幾度の夜を越えても今日ばかりが繰り返されている】

まて…セリーナを攫ったのもそのブランルって奴だったな?…銃、か。そして魔界…
セリーナは、救えるかもしれない。奴がセリーナを攫った理由がアイツの銃だったなら…
俺にわかるのはそれぐらいだ。

ゾーイは定期的に連絡を送ってるが今のところは動きはないみたいだ。嵯峨野という人物と接触したが
婦警や黒野カンナに関しては別の管轄らしく調査できないらしい。任せるしかない危険も…承知の上だ

【探偵は左腕に巻いた黒い革ベルトの腕時計を見た。そろそろ噂のゴーストマンと落ち合う予定なんだろうか】

俺も…そろそろ事件を解決して、報酬をもらわないと。…最初は簡単な浮気調査の仕事だったんだが
…まあこれは次のときにでも話すさ

詳細な話はいい。要点さえわかれば。諜報員の秘密基地ってのは興味あるけどね

…覚悟なんて、決めようが何しようが
走り出したもんはあとは転がり続けるしかないのさ。 Train Kept A Rollin'…つってね
そういう、堅苦しいもんは俺には似合わない。…やるだけさ
理由は何であれ、やることは単なる人殺し。何年もやってきたことに変わりはない


309 : 院長中身 ◆zO7JlnSovk :2018/06/02(土) 17:39:15 XhR7wdR.0
>>307

【、── 剥落する表層の衣手に、一房垂れた恋慕の如く、僅かばかりの興味をそこに浮かべる】
【聡明なドープならば理解出来るだろう、さんざっぱらニンゲンを馬鹿にしつつも利用価値を見出したなら】
【骨の髄まで搾り尽くすと言わんばかりに、ふぅんと小さく感嘆の声を漏らして】


あは♪ それが一番大切な仕事なんだよ、別にニンゲンの千匹や二千匹嬲り殺そうが虐め殺そうが知らないけど
贄は大切なんだよね、特に『生贄』はさ♪ ボク達 "虚神" にとって、信仰こそが糧になるんだから
愚かで弱っちいニンゲンの最も優れた所は信仰を持つことなんだよね、ありもしない神に縋り、祈りを捧げる

──、けれどその空想ってのも案外馬鹿に出来なくて、過度の畏怖は時に現実を歪曲するのさ
その最たる例がボク達であり、このカルトなんだよね? 言ってる意味、分かる?
まぁ分からなくてもいいよ、キミ達はおっかなびっくりボクの言いつけに従ってればいいから

使えるウチは殺さないよ、キミ、少しは出来そうだし


【そう言って少女は細くしなやかな指先を自身の口元に添える。──、ぷくりと弛んだ唇が艶やかに濡れて】
【微笑みの色が深くなる、大きな真紅の瞳を細めたなら、三日月の様な可憐な眉が笑って】
【舌先で湿らせた指を貴方の頬へと添える、冷たい体温は蝋人形の様に──、静かな湖畔に指先を浸したのに似て】


悪くない頭の回転だね、そーいうとこ、ボク嫌いじゃないよ、ほめてつかわすぞっ♪ なーんちゃって♪
そうだね、『能力者』はピッタリ、どうしてかって分かるかな? 彼らはね、とても豊かなんだよ
発想力、理解力、想像力──、常識の枠組みを超えて、世界の真理を知っても尚、正気で居られる狂人達

彼らは自らの力が『常識外れ』という事を知ってるから、だからこそボク達の超常を現象として捉えてしまう
要するに騙しやすい愚か者達ってこと♪ 飛びっきりの生贄に相応しいから
だからキミに頼むんだよね、生かしたまま『正気』で、連れてこなきゃいけないから

凡人を生かすも殺すも薬次第。──、期待してるよ、ドープ・ラブ・ライク


【それは恋人が寝床で睦言を紡ぐ様に、夜伽の合間に曲輪が傅く様に、神経を誑かす愛の囁きに似て】
【彼女は口元を貴方の耳へそっと寄せて、紡いだ音律は乾いたスポンジに勢い良く染み込ませた様に響く】
【歌う様なソプラノに、仄かな蜜月に寄り添う艶音、淡く切なく心を揺らそうと】


310 : ドープ ◆xgsUYuhzWc :2018/06/02(土) 19:59:16 Lxd3YeZA0
>>309

【──その説明で、彼の中で合点がいった】
【生贄。生きたまま、とは。まさしくぴったりの言葉だ】
【たしかに、そもそも信仰の上に成り立つものは、ヒトが其処から居なくなれば消えてしまう】
【蛇教は大衆に布教されずど〝illuminati〟ではない。しっかりと信者が居て、その想像の上にきっとウヌクアルハイは居る】

【──己もウヌクアルハイを強く信じては居る。きっとそれは下手なセックスやドラッグより強い快感と悟りをもたらす筈】
【ただ、蛇教に対してほかの信者よりは少しばかり〝宗教〟として俯瞰して思考していたために、】
【なるほど、と客観的に理解した】

(……流石、エーグい事考えやがる)


【──〝だからこそ、より期待した〟】
【──〝より面白くなるはずだ〟】
【見えないところで、口角が吊り上がった。楽しく感じられた】


【それはまるで新作のおもちゃが出た子供のような、新しいアトラクションのCMを見たような気持ち】
【──この男だって、斜視しながらもこの神にのめり込んでいるのだ。彼女ほか、上位幹部にとっては〝妄信的な利用価値〟のひとつなのだ】

【信仰が強くあれば、想像が強くあるほど】
【それは、彼の考えの根幹でもある。理解以上の合点が強まる】
【その考えも嫌いではない。やはり蛇教の幹部ともウマが合う、と彼は思う】

【単純ながらも、その瞬間からは、彼女の事は嫌いでは無くなった。むしろ尊敬の念すら抱いた】


【そして微々ながらも有効活用を見出されているのなら、この務めにしがみつかなれければならない】
【彼も此処を居場所にしていたい以上、彼女の睨みがあるうちはそこを努力しておくべきだ】

【──ヒトとは、至極単純な生き物で】
【価値を少しでも見出される扱いを受けると、多少は、嬉しく思ってしまうのだ】
【感じ方は人それぞれではあるが。それが例え、彼のようなヒトを舐めた皮肉屋だとしても】
【なおかつ、そこに居たいのなら、少しくらいは張り切らせて貰っても良いのだろうくらいに】
【愛らしく、蠱惑的な少女に期待されてるなら、少しくらいモチベーションも上がる】
【──まあ、嬉しいよりも、怖いから従うの気持ちの方が圧倒的に強いのだが】
【と、思考し返答しようとして、囁かれるなりぞわわーっと恥ずかしさで耳を押さえた】

──だぁあいッ!!くすぐってなァッ!!

【……ここでクールに了承したら良かったものを、あまりにも締まらなすぎた】
【思わず体勢を変えて、急いでがばっと離れ、片手で耳を押さえたまま尻餅をつくように座り込んで見上げる】
【恐怖に媚びてるとはいえ、セクシーな少女に囁かれたのだ。妙に恥ずかしくもなるらしく】
【気恥ずかしさから真っ赤な顔(ただの黒人の為何も可愛くない)のままこほん、と咳払いすると】

──とはいえ、承知しやした。
オレァ、期待を裏切るのは余りスキじゃ無いですからね。
ウヌクアルハイ様への協力も惜しみませんよ。
折角置かせてもらってる身なんだ、能力者の〝生贄〟、連れて来ましょうよ。

【──サイケデリック・ムーブメントは一般周知されずとも、この宗教でなら実現可能なのだ】

【たとえその奥にあるココロが見えずとも、目の前の少女には出来る限り付いて行こう】
【彼女に従い、敬愛し続ける限りは、少なくとも間違いは無いのだから】

/続きます……!


311 : ドープ ◆xgsUYuhzWc :2018/06/02(土) 19:59:50 Lxd3YeZA0
>>309

……数々の失礼、申し訳ありませんね。
育ちが悪いのを言い訳にしたくはありませんが、どうにもヒトを勘ぐっちまう性分でして。
ただアンタには心を入れ替えて付き従いますよ。死ぬ以外は。

せめて、期待以上の仕事は出来るように頑張ります。……んじゃあ、オレぁ、そろそろ。

【頭を下げると、そこから立ち去ろうとする。──ぶっきらぼうに謝って別れようとしていても】
【言われた命令だけはこなす雰囲気は出していた】
【──ふと立ち止まると、くるりと振り返って、伝える】

……アンタも寝首かかれんように気をつけた方が良いですよ。
アンタもひとりの神なら、分かるでしょう。虚神サマよ。さっきの話と同じだ。
神に殺されるのも、或いは神を殺すのも、いつだって人間ですから。

【彼女はヒトを嫌う。彼女はヒトを醜悪に思い、侮蔑している】
【きっと、その有り余る力を持ってして上に立ち、暗躍しているのだ】
【いつだって彼女はヒトからの恨みを買う。──そんな気がしてならない】
【──彼女の容姿から、態度から、言葉から、色々なものを連想する】
【のさばる〝悪魔〟を神は自由に鉄槌出来ない。だが、〝ヒト〟の力を介して彼らは消滅させられる】
【〝淫魔〟は〝ヒト〟を自由に食えど、それにだって〝ヒト〟は対抗策を打ち出した。悪しき精霊はいつだって逸話の中で倒された】

【──〝神〟ですら】


【──〝虚神〟は、果たして】
【ヒトの渦の中で、絶えず生きるのだろうか】


(……生きてもらわにゃあ、困るがな)

【彼女は強いのだから、心配は無用だけれども】


312 : シャッテン=シュティンゲル&アルク=ワードナール ◆auPC5auEAk :2018/06/02(土) 20:51:43 ZCHlt7mo0
>>283

――――ぁ、あぁ……すまないねぇ……っぐ……――――ぅうッ!!
「全く……ガラスは抜く。少しばかり、歯を食いしばりなよ……もう少し、上手くコントロールできなかったのか……?」

【救急箱を前に、シャッテンは流石に己の行為を恥じたのだろう。少し苦笑交じりに頭を下げる】
【そんなシャッテンには構わず、アルクはその手から突き刺さったガラス片を手際よく抜き取った】
【当然の様に、痛みにシャッテンは呻くが、アルクは淡々とこなす――――下手に躊躇したら、その分抜き取り方が歪になって、更に痛むし、状態も悪化するのだ】
【消毒、ガーゼ、そして包帯――――なんでこんな世話をする事になるのかと、アルクは呆れかえっていた】

あ、あぁ……良く分かったよ。コーネリアスの時と同じだ……その思いを集結させれば、神の一匹や二匹、殺せないはずはないんだ……ッ
誓うよ……この、命にかけて――――ッ!
「……これが対等の『戦い』なら、勝手にすればいいと、そういうつもりではあった……でも、そんな暴虐、許せるほど手前は心は広くはないよ……
 後悔、させてやろう……後悔を抱えながら死ねば、行き着く先は、確実な地獄だ……!」

【――――かつて、六罪王コーネリアスを討伐したメンツの一員でもあるシャッテンは、ハッキリと夕月の言葉に頷く】
【人の命の尊厳を守るために――――もう1度、命がけの戦いに身を投じる。命の輝きに心を打たれた彼の瞳は、再び熱く燃え滾っていた】
【アルクも――――そのドライな言葉の裏に、怒りを抱えていた。時には、善悪を超えて人の行いを『道理』と片付けてしまうところもあるが】
【今回ばかりは、そんな事は言っていられない。静かに、確かに、アルクの怒りはその決意を後押ししていた】

「(……アーディンさん、それにラベンダァイス……彼らは、どう思うんだろうか……?
  彼らだって、この事態には絡んでいたはず。鈴音の事……知ってるんだろう……?)」

【――――自分たちの仲間が、既にこの一件に噛んでいるらしい事を思い出し、アルクは思索する】
【特にラベンダァイスは、鈴音とはこうした近い環境にいるのだから、何らかの面識もあったはずだ】
【詳しく言葉を交わしてみた訳ではないが――――状況から考えて、アルクはその可能性が高いと踏んでいた】
【今度、会って話をしてみなければならないな――――関わるためには、詳しく知る事が必要だと、アルクはそう結論する】

【――――その時に、自分たちの馴染みの仲間であるラベンダァイスは、恐らくは普段の冷徹に似合わない怒りをぶちまけるだろうとは、知らぬまま――――】

「――――手前らは、セリーナとカチューシャの問題を抱えている。そしてそちらは、鈴音の問題を抱えている……
 互いに、それぞれの問題で、必要な時に助力するという事にしよう……そして、一段落ついたら、相手の問題に注力して参加する、という事で……
 つまり――――手前らも、セリーナの事に関して、助けが欲しいとは思っていたんだ。ただ、キャパシティオーバーになるといけないから、無理はしないように、ね……」

【出世払いと言うのも悪くないかもしれない。アルクは微笑しながら、何らかの助けを融通し合えればいいだろうと答えた】
【勿論、片方の問題が片付けば、もう片方にもより大きく余力を割けるだろうと――――あまり当面の問題を増やし過ぎると、共倒れになってしまう。それを憂慮したのだろう】

「――――よろしく頼むよ、夕月」
うん……僕も、ね……

【すっと立ち上がって、夕月と握手を交わすアルク。横で、包帯を巻いた手をかばいながらも、シャッテンも頷く】
【――――その盟約が、いつまで有効かは、まだ誰にも分からない――――全ては、ここにはいない救出対象――――鈴音次第、なのだろう】


313 : ◆wEoK9CQdXQ :2018/06/02(土) 21:21:36 fiITcnjI0
/2〜3レスに分けますっ
>>70

「……――――――――」

【“正義”を求めた者が、真に憎む“悪”に喰らわれる。結局は、それだけの結末だったのだろう】
【物理法則を蹂躙することで存在し続ける焔の魔人は、一切の思考を漏らさず異形の変容を見届けてゆく。人類種の倫理で推し量れぬ領域の知覚と意志が、不気味なまでに沈黙を守り】
【構わず嗤い、命を繋いだ者が放つ、必滅の運命とばかりに荒れ狂う重力を――――、】

「――――――――ああ、だから?」

【残忍に、悪辣に殺意の眼光が掻き消した。小動すらせず真っ向から向き合う姿に侮蔑と悪意が満ち、億の星を貪り喰らう闇が躍る】
【零れる火の粉一つで黒球を相殺――――羽ばたき一つなく叩き潰して、太陽に墜ちる彗星を見る様に、けれど限りなく怨嗟じみた視線を蒼黒に注ぐ】
【“有限”である限り、力比べでは宇宙規模の現象でさえ問題にもならない。人間大の“怪物”は、真なる災厄としてその性質を顕現させていた】

【元より其は対・世界を極限まで追求した破壊原理の主神――――その一構成要素に過ぎない天体で斃そうなど、土台無理があったというだけの話だった】
【意識を絶てたなら、そこで勝ち。その弱点を知ればこそ、突くことなど許さず蹂躙し尽くす。それがこの悪鬼の新たな定石で】
【ならば必要だったのは、真に無限たる“力”に迫ろうとあるだけ“力”を跳ね上げることではなく、必要十分な力を意識の外から叩き込むための技量――――、】


「……奴と同じ奪うことしか知らない塵屑が、悪意で私に及ぶとでも思ったか。
 理想諸共惨めに潰えた分際で、見苦しく贄の腐肉になど縋りつくな――――なぁ、グラトン?

 ……そして、心底失望したよ
 過去に喰い潰されたお前如き、もはや私の敵ではありえない――――――――
 所詮――本当にその程度の弱者だったというだけの、ことか……ッ‼」

【だから、あの老科学者では届かない。研究者としての数十年は、多種多様な“力”を己が異能一つで薙ぎ倒してきた執念と技量を前に、力を誇ればこそ確実に押し切られる。 】
【こんなモノをこそ4つ喰い殺してきたのだから、残る3つと同じく地獄に押し込めてやるのみ――】
【世界そのものを蹂躙する絶対域の暴威と殺意の格差からくるその結論が、何処まで正しかったのか識る術はないが。ひとつだけ、確かなこともまたあった】

【〝殺意の投影〟。発動直前での、次なる殺戮現象の把握――――起こり得るものだったその現象もまた、あの男を利することはありえないであろうこと】

【――――“世界を壊す悪魔”の、この世界における唯一の天敵。その性質は肉体ではなく、ダリアと記憶を共有した“彼ら”の精神にこそ宿らんとしたのだから】
【……ゆえあの傲慢な残骸が知ることはないのだ。】
【強いられた苦難を受け入れ、狂える断罪と真実の追求を求めた彼らこそが。本来はこの世界の誰より、この悪魔の滅びに近づくことが出来たなど――――。】

【どこか惜しむ様な声は、その闘争をこそ望んだ証の様でもあり】
【どの道、あの力はじきに永遠に失われるだろう。ならば――因果を重んじながら、向き合うことすらできなかった。“悪”に血肉を譲り渡し、逃避めいてこの結末を許した】
【それがトライデントの限界で、“正義”が世界の軛を砕くこともまたないのだと。だから、そんなものを信じず進み続けるほか道はなく――】


314 : ダリア・レオンフィールド ◆wEoK9CQdXQ :2018/06/02(土) 21:22:23 fiITcnjI0
>>70
【〝安全な場所など、この世界にもう存在しない〟】
【己のあった地獄と、加速度的に混沌へと転げ落ちてゆく世界とが導いたその確信は、突き進むことへの動機を一分の揺るぎすらなく保った】
【……けれど。】

「…………ッ、……――――――――?」

【殺意が絶えれば息絶えるその存在は、斯様に攻性の存在でなくばあまりに儚く、世界を灼き尽くすだけの大火ともなり得た死の焔。】
【“だから、生存を優先する機構は遷移を齎した”。闘争の先の制約を報せた、奇妙な確信が答えに到る】

【金に紅に耀く獄焔の翼が数多の羽根を散らして、己が空を黄昏に染めた】
【……片翼をも虚空に溶かす様に。ダリア・レオンフィールドが再誕する】
【意識が絶えれば命までもが消え去る獄焔の化身ではなく。汲み上げるエネルギーを再構成に回すことで降り来る、人にして魔である一個の命として――――。】
【あの少年の願いが破壊の極致を追いやり、彼には“人”でしかなかったこの女を取り戻していた。発動の鍵となったことが、この現象をも導いていた】
【〝帰天魂唄〟は彼方へと格納され、再びの顕現を待つだろう。確かにこの悪魔と完全に結びついたまま、再び発動条件を満たすその時に餓える様に】
【それが誰かの勝利を意味するのか、或いは絶望を意味するのかは定まらぬまま。桁外れの脅威は、今は果てなき夜の帳を落とし――されど、】

「……終わらせるつもりで選んだことが、ただの始まりに堕したか。
 けれど、それもいつもの事だ――――当たり前に踏み砕いてやれたなら、この結末も――――
 越えるべきものを越える、その過程に成り果てるだけだ。……なんだ、結論まで存外あっけないものなんだな――――。」

【真なるカリ・ユガは訪れり。混沌と破壊を約束する死滅の虚空(ソラ)は、一切の躊躇いを赦さず、静かに世界を灼き始める】
【絶望を喰らい、害するものすべての喉笛を食い破れ。救うモノなど何処にもないこの世界を、その爪牙もて引き裂き尽くせ――。】
【その暁にこそ、邪悪と絶望のある余地を残さぬ闘争の野は訪れる――――ありえざる結末をあらしめるための実無限、その根源たる精神もまた】
【何処までも目的のため爆燃を続ける、絶えざる暗黒の焔そのものだったのだろう】

【……それを見る者の心に、時に拭えぬ恐怖を、時に使命感を覚えさせながら。】
【巨大な獄焔の翼が延び、周辺人口の大半を放心させていた。街の支配者であった組織の鏖殺を彼らが知るのは、もう少し先の事――――】
【文字通り次元の違う怪物を目にして、不思議と冷静さを保てたのは傍らにある者ゆえのことか。サングラスと薄手のコートほか、日常の装いに飾られた男は、小さな“もう一人”へと口を開く】

……行くぞ、アル。防壁の展開を頼む――――。

『……うん』

【頷く少年を安心させる様に軽く腕に力を込めて。重心を下ろし、これより遂げるべき役目に備え、思考は純化されてゆく】
【空気抵抗を軽減し、灰色の街に溶け込む異能の薄壁が展開され。己が子を抱きかかえて疾駆する肉体は、銃弾もかくやという速度でこの街を離れ、事前に通達された距離の先で、人の徒歩へと戻る】
【肉体の変容――――ヒトと馬蛙の形質を使い分け、馬蛙を取り込む形で元の肉体にさらなる柔軟性と膂力、瞬発力を加えて操る。脳だけから実子と同様のプロセスを以て発現させた、彼の力だった】
【〝RL〟の人員を用いずに辿り着いた自己救済は、我が子を救うために用いられ】
【やがて雑踏へと消え行く姿は、暗色の何者かの行先でなく、自分たちの命運――この日遭った様な怪物たちでなく、人間としてあることを願う、どこか穏やかな願いのままの歩みをあった】

/長期間お疲れ様でした。ありがとうございましたっ……!


315 : ◆S6ROLCWdjI :2018/06/02(土) 21:48:11 WMHqDivw0
>>312

……シャッテンさんって結構熱血キャラだったりすんの?
わりと意外、見た目だけならクールって感じすんのに。

【「なんか、二人、兄弟みたい」。ちょっと笑いながらそんなことを言う】
【どっちが兄でどっちが弟か、までは言わなかったけど――まあそんな印象を抱いたらしくて】
【その思考の端っこで、自身の「兄」のことを思いだしたりもしていた。最近ちょっと、顔つきが変わった、兄】

ありがと。二人と、そのお仲間さんが手伝ってくれるんなら百人力だ。
あたしも怠けてはいらんない! まずは、……うん、たんぽぽ。もっと上手く回せるようにしまーす。

……で、ううん……セリーナ。そっちはさすがにあたしでも名前知ってるけどさ、
カチューシャ? ってのは知らないな。UTの人で、アルクさんたちの知り合い、なのかな?
おっけーおっけー任せてよ、借りは返すのがイイ女の条件ってヤツだもんネ!

【握った手をかるく振って、それから放して。まずは、今日みたいな失態を何度も続けないようにすることを目標に】
【それから――アルクが出したふたつの名前。そのうち一つに首を傾げた】
【知らないヒト。だけど彼らが、セリーナと並べて口にするなら相当重要な人なんだろうと判断して】
【ぐっと親指を立てる。無理はしないけど出来ることなら全力でやる、覚悟を決めた】

よしよし、じゃー今後連絡とり合わないとだよネ! ってことでアドレス教えて――
……ほしいと思ったんだけど、ふたりって、……スマホとかこう、そういうの持ってる?

【当たり前のように自分のスマホを取り出して、連絡先交換。しようとして、ふと】
【二人の格好を見て、率直に思った。アルクはいかにも魔術師、シャッテンはいかにも世捨て人】
【そんな出で立ちだったから――「もしかして、持ってなかったり、する?」 ……恐る恐る、訊いてみた】


316 : ◆qijkYF5k5g :2018/06/03(日) 01:15:35 5w/a9BZQ0
>>295

【仮設テント──】

【白いパンツスタイルのセーラー服の少女が受付を済ませる】
【空色の瞳に、白みがかった金髪を真ん中で分けた短めのツインテール】
【10代中頃〜後半の少女だが、背中には大きなリュックを背負い、ボルトアクション式の小銃を携行している】
【その装備と、両肩口の階級章と部隊章から一応軍人であることはわかる】

櫻の国、魔導海軍陸戦隊……リオシア・ステロヴァニエ二等兵
あ、そういえば報奨金はいらないから他の事に使ってね

【名前と報奨金の辞退を告げ、指示された場所に集まる】

【いつか、リオシアに届いた翔子からのメールに記載されていた「蟲」そして「助けて」】
【そして今回、水の国軍を通じて得た情報】

【――来ないという選択肢はなかった】


//リオシア 施設側で参加希望です。よろしくお願いします


317 : ギア・ボックス ◆ZJHYHqfRdU :2018/06/03(日) 04:50:22 IBKicRNQ0
>>295
ギア・ボックスです。装備は、拳銃と手榴弾を

【救援要請を受けてその場に集った者の中には、人ならざるものもいた】
【それはひとりでに動く生きた人形であった。UT所属者として活動し、大会に出場した記録もある生き人形】

【普段のカジュアルな服装ではなく、国軍の作戦に参加することに合わせて支給を受けた軍服姿だ】
【人とは違う質感の肌と無機質な青い瞳、そして軍服の上からでも存在を主張する四肢の球体関節】
【そんな人形はしかし、その目に確かな人の魂と意志の色を宿していた】


(蟲……アルターリの事件……驚異は『黒幕』だけじゃない、とわかってはいたけど……)

【この世界を覆い尽くすいくつもの驚異。その膨大さと恐ろしさに辟易する思いすら抱いて】
【されど、ホワイトボードの前で談笑する者たちの中には、流石に入っていない。真剣な顔で、ボードに貼られた図面を頭に叩き込む】

【この地獄の先に何があるのか。それを知るには戦い、そして生き残ることだ――――】

/ギア・ボックス、施設側で参加希望させていただきます。よろしくお願いいたします


318 : 院長中身 ◆zO7JlnSovk :2018/06/03(日) 09:33:47 S/DUh6T.0
>>310>>311

【──、去り際の言葉、何の気無い忠告だったのかもしれない。或いは──、呼吸に似た曖昧な吐息の様】
【背中越しに感じる気配が大きく変容する。剥落した現実感は、宛ら銃口を突きつけられたが如く】
【歪む、ノイズ──、鼓動が耳元で聞こえそうなぐらい、大きく、深く】




─────誰に口利いてんの?




【笑が傾く。倒錯する瞳の真紅が絶え間なく渦巻き、蜜の様な粘度を保ってピッタリと張り付く】
【目尻が頬の白に溶けて、長い睫毛が水面に漣を写す──、それは何処までも幽世の一葉】
【寓話よりも憐れな惨事を期待させる、そんな、そんな表情であった】


キミ達ニンゲンがどう思ってるか知らないし、興味も無いけど、── ニンゲン如きにどうこうできるのかな?
キミ達はいつもそう言うよね、神を殺すのもニンゲンだって、馬鹿の一つ覚えみたいにさ
あの時もそうだったよ、キミ達の現実をぶっ壊した時もねっ

啓蒙してあげるから良く聞けよ、矮小な脳味噌で何処まで理解出来るか知らねーけど、今日のボクは気分がいーし

キミ達はボク達を同じ次元の存在と認識してるけど、それが根底から間違いなんだよね、文字通り次元が違うってゆーか
そもそも存在のレベルそのものが違うんだよ、ボク達も、そして── "ウヌクアルハイ様" もね

だからキミ達が幾ら跳ねた所で世界は変わらない、隔離された生簀の中で喚いても、波紋は海を濁らさないから
ボク達は "虚神" ── 1と0の狭間で生きる虚ろなる存在、
故に理は無く、条理は無い。然れどその存在に限りも無いから

──、ボク達を殺すには、まだまだ神話が足りないかな♪


【次に目を向けたならそこに姿は無く、茫漠の中に消えた名残だけがその場に鎮座している】
【それは僅かばかりの凪に似ていた、雨と雲の隙間にほんの一瞬差し込む瞬きの様な日差し】
【けれどもそれを信仰することを希望と呼ぶのなら、どれほど現実は残酷であろうか】

【── ドープは重宝されるだろう、生贄を集めるという役割は中々カルト内でも重要視されているから】
【しかしそれは病の進行に似ていた。深く蛇に関わるという事は、自分自身が蛇と同一化していくことに他ならず】
【苦悩を示すオレンジ、狂気に満ちるブルー、塗り潰されていく二色の現実の狭間を、生きていくのだから──】


/こんな所でしょうか! お疲れ様でした!


319 : 院長中身 ◆zO7JlnSovk :2018/06/03(日) 15:27:22 S/DUh6T.0
>>295

【歩みを進める "唄い手" の後方、歩調を合わせて付き添う人影が一つ】

【腰まである蒼銀色の長髪を大きく二つに結ってオフショルの白いロングワンピースを纏う】
【スリットから零れる両足を黒いニーソで包んで、黒い編み上げブーツを履く】
【蠱惑的な雰囲気を持った、黒と赤のオッドアイの褐色肌の少女であった】


──ええ、序曲はこれでお終い。後に残るのは叙事詩に詠われる高らかな交響曲
ならば私は "唄い手" に付き従い、指揮者としての本懐を果たす事に致しましょう。


── "Conducter" 準備は出来ていて


【 "蝶" の指揮者、"Conductor" はそっと声を添えた】


/蟲側、"Conducter" で参加希望です


320 : ◆S6ROLCWdjI :2018/06/03(日) 16:23:18 WMHqDivw0
>>295

【朗らかに嗤う女が居た。「そうだね、蟲なんて。きっと僕らにとっては障害にもならないさ」】
【淡い桜色で彩った薄い唇、ゆるく開いたその向こうから溢れるアルトボイス】
【じい、と暗赤色の瞳が、ホワイトボードを眺めて。それもまた、笑みの形に、歪められた】

――――トモダチだもの、ねえ。
たすけて、って言われたんなら、そうしてやんなきゃ……

【「ねえ、桐子――――」 ――いまここに居ない誰かへ向けられた言葉】
【けれどその音色は、言葉とは裏腹にどうしたって心配をしているようには聞こえない】
【寧ろ、面白いことになったなあ。なんて――隠しきれない喜色を溢れさせるように、軽やか】

【白衣を着た黒髪の女だった。裏社会でそこそこ名の知れた人物である、ということに気付く人、いるだろうか】
【その傍らには褐色の男が控えている、というのも有名だったけど――今日は彼の姿はなく】
【代わりに。白い、薄手のワンピースを纏っただけ――靴も履いていない、金髪碧眼の少女】
【それが居て、他に持ち物はなにもなさそう。だと言うのに、武装が必要かと訊かれると、断るのだ】

【「いいの。この子もまた、“ただの”人でなしだから――」 そう言って、女はやっぱり、笑んでいた】


//“ブラスフェミア”+少女“レプリカ”、施設側にて参加希望です!


321 : テレサ :2018/06/03(日) 16:43:30 XqQAhkbc0
>>295

【仮設テントの受付にまたひとり救援要請を受けてきた作戦志願者が現れる】
【ざっ、ざっ、と荒地を踏みしめる足元の音にすら現れる迷いのなさと勇猛さ……だが迷いなく現れたその人物は細身の女性だった】
【否、普通の女性にしてはあまりにも、身なりが変わりすぎているが……】


……救援要請を受けてまいりました。私の事は……テレサとお呼びください
洗礼名と同時に、作戦中のコードネームになります。本日、みなさんと共にこの作戦に同行させていただきます


【銀色のセミショートヘアの頭を上からすっぽりと黒いフードで覆い、二房の長い前髪をはみ出させ、さらにその眼元には重厚な機械製のヘッドギアを取り付けている】
【荒事に備え動きやすいようスカート丈を短くした修道服を纏い、足元は黒の二―ソックスとガーターベルトの上からさらに薄手の黒いタイツで覆われていた】
【腰のベルトにはぎっしりと弾薬を備えており、左腰には何か丸い物を入れたホルスター、さらに背中には四角い形の黒いケースを背負っている】

【さらに特徴的なのは、首元に巻かれた複数色のホイッスルと……右腕を小手のようにすっぽり覆った銀色の機械】
【否、もしかすると……右腕そのものが失われ、機械の腕に置き換えているのかもしれない。そう思わせるほどに……服の襟や左手の袖からはいくつもの傷が見え隠れしていた】


(……ジンジャーは開発作業中、ドラはなんだかよくわからないですが悔し泣きしながら善太郎を巻き添えにして修行に出て連絡取れず
『財団W』戦闘員、残りの戦力はは私と剛太郎……異形の者が相手であるならばここは『異端狩り』を生業とするこの私が出るのが一番でしょう……)

装備は自前で持ってきてはいますが……そうですね
手榴弾とスタングレネードの在庫に余裕があるのであればそれぞれ2,3個程いただいてよろしいでしょうか?
撤退用の一手は持ってて損はないかと思われますので

作戦参加者の集合場所はあちらでしょうか?ではあちらで待機を。作戦開始時刻までコンディションを整えておきます
皆さま、本日はどうぞよろしくおねがいいたします


【ヘッドギアのせいで表情もまともに見えないが……異端狩りの女性は淡々と必要事項だけをそれぞれ受付に確認を取り終わると】
【そのままさっさと集合場所に行き、今回の作戦参加者に挨拶を済ませるとそのまま武装の手入れを開始時間まで行うだろう】

/施設側、異端狩りのシスター・テレサ!参加希望です


322 : ◆wEoK9CQdXQ :2018/06/03(日) 17:31:27 8Rgjd7cY0
>>295
【“歩み”に加わるのは、地上をゆく者だけではなかった。陸と空をもろともに領域とすればこそ、節もつかの種族は最も繁栄した種のひとつとなったのだから】

【僅かに紫がかった黒髪をボーイッシュなセミショートに切り整え、枯れた泉を思わせる薄青の双眸をした人物】
【少年とも、少女ともとれる姿形だった。砂漠の旅に向くものであろうライトグレーの外套は体型を隠して、比較的小柄な身を品よく飾る】
【そして虚無と灰色の雲を同居させた様な不定形の熱を奥底に湛える瞳は、吹き荒ぶ風を受ける様に人の砦へと向けられている】

【双翅目を思わす安定した滞空のさなか、〝蟲の唄い手〟の声が届く。纏う風は嗤う様に唸り、大気を幾重にも解れさせながら応えた】


――――――――さあ宴もたけなわ。最後に残る釜に哀れな魔女を詰めて、凌辱劇のクライマックスの始まりだ。
貪られるは人類種(ヒト)の希望、地を這うべきはあくまでキミたちだと知るがいい――。

……少し殺しすぎるかもしれないけど、ここにいる奴らから蒐めるのはみんな死体でいいよね?ねえ、蟲のお姫様――――――――

【着衣ごと肉体を突き破りながら伸びる鱗片状の組織は、その黒い外殻を刃とするが如く鋭く光を穢して】
【嵐を凝縮したかの如き風を受け、血煙を纏う硬組織が切り離され、発射される。狙うは、リアクターを格納するかの施設の外壁】

【地を這う二足の群れの安寧を破り、その城を砂上の楼閣と知らしめることはどれだけ胸がすくことだろう――――暗色の喜びに亀裂めいて笑みを浮かべる人影は、抱く期待を加虐に添えた】
【指示を待つことなく攻撃を放つのは、それだけ他者を刈り取ることに飢えていた様で。】

【視線が他者を捉えれば悪意が向き。初撃が阻まれたならば代わりとばかりに――阻んだ“誰か”へと風穴を空けようとするが如く惜しみなく、その邪心を顕わにするのだろう】
【何人死ぬか、何人がなお凄惨な道を辿るか。禍を楽しむ悪意が、使命を帯びて兵器群を睥睨する――――。】

/蟲側、初運用となる二グル・アグラウロスで参加希望ですっ


323 : アリア ◆1miRGmvwjU :2018/06/03(日) 17:54:45 eByHy9JQ0
>>295
【先日の偵察の後に下された「軍」上層部の決定は「介入の余地あり」だった。】
【潜在的な危険性を認識し、また予め自国の兵力を派遣しておくことで、事後報告としての外交カードを確保しておく──まあ、そんな所。】
【とはいえそのような御偉方の目論見など彼女には余り関係のない話だった。いつも通り殺して、いつも通り帰る。それだけの任務。】

【どこか楽観的な人混みの中、ひとりの女が立ち尽くしていた。雑踏の中にあり頭一つ抜けて背の高い彼女は、腰まで伸びた白銀の髪が異様に目立ち】
【物憂げで端正な顔立ちを何処へともなく向けながら、上下を昏い黒の外套に包んで、それでもなお軋むような音がするのは、隠し持っている得物が物騒であるからなのだろう。】
【 ── とうに装備の確認は終わっていた。大口径オートひとつ、マシンピストルひとつ。予備マグはそれぞれ10個ずつ。手榴弾8つ、そして〝自傷用〟のナイフを幾ばくか】


「 ── 始まるわね。」


【空を仰いで、ひとり、呟く。曇天の薄暗ささえ、彼女は厭っているようだった。】


324 : 『INSTITUTE MELTING PROTOCOL』 ◆zuR4sSM1aA :2018/06/03(日) 18:03:53 SD5ZXnH60
>>316-317,>>329-321
(リオシア)
「リオシア・ステロヴァニエ二等兵、ですね」
「えっ、報奨金はよろしいんですか……」

【なんて聞こうとしている間に、貴女は指定された場所にいってしまった】
【受付がキョトンとした顔をしながらも、名標に貴女の名前を記入していく】
【厳つい顔の男は貴女の軍装に気づき、肩口の階級章と部隊章をちらりと見ていた】

(ギア・ボックス)
「了解しました、拳銃と手榴弾ですね」

【名標に貴方の名前を記入した後、補給係に一枚の紙を手渡した】
【コンテナから数個の手榴弾と一丁の拳銃を取りだすと、テントの外で貴方に手渡すだろう】
【軍属に支給される品であるため何れも一級品のもの、不発することはないだろう】

(“ブラスフェミア”)
【貴女がしれっとホワイトボードの前に佇んでいたとしても、受付は気づくこともない】
【来る者来る者の処理を続け、必要な物資を支給し続けている為に目を離す暇もなく】
【ただ、壇上に居る男は貴女の顔を見て顎に手を当てて考える──何処かで、見たことはないかと】

【しかしこの度の作戦の協力者には変わりない、此処で尋問するのも気が引ける】
【そのため一人の軍属に使いに行かせ、何か支給品は必要かと問わせるのであるが】
【“ただの”人でなしだから、という回答に違和感と疑問を抱きながら戻っていった】

(テレサ)
「テレサ様、ですね……。支給品の方、お持ちします」


【歴戦を感じさせるその姿と気迫に、受付係は少しだけ驚いたものの】
【貴女に支給品を要求されれば、支給係にそれを持ち出させるだろう】
【数個の手榴弾とスタングレネード、貴女の要求通りの品を持ち出させた】

【壇上に立つ男ですら、貴女が纏う歴戦の気に驚きを隠せなかったらしく】
【それに加えてシスターの服装をしているのだ、どれだけの戦士なのかと──】

(ALL)
「本日はお集まりいただきありがとうございます、只今より作戦の説明を──」

【壇上の男は腕時計で時間を確かめれば、作戦の説明を始めることだろう】
【以下にその要点を纏める──】

【・リアクターへの侵入を防ぐため、地下施設入り口より施設へ突入する】
【・水の国軍は陽動部隊として蟲の注意を引きつける。その間に突入を完了させること】
【・リアクターの制御は全て中央制御室にて行われる。そのため中央制御室を始めに占拠すること】

【説明を終えたのなら、道順の説明がなされる。眼下に見える施設の左手から突入するようで】
【そこには地下へとつながる通路があるらしい。すでに扉の鍵は解錠されているらしく】
【──蟲が入り込んでいても可笑しくはない。警戒を解かないように促した後】


【男の号令とともに、一団は入り口へと向け歩みを進めていく──】


325 : 『INSTITUTE MELTING PROTOCOL』 ◆zuR4sSM1aA :2018/06/03(日) 18:26:07 SD5ZXnH60
>>298,>>306,>>319,>>322
(那須翔子)
【ワームシンガーは貴女の足取りが非常に重いと気づいた】
【何か心配でもあるのだろうか、目も非常に虚ろとしていて生気がない】

「翔子、どうしたの?心配することはないさ」
「それとも、まだ“私達”以外のことが気がかりなの?」

【すっと貴女の横によれば、顔を覗き込むようにして声を掛ける】
【まだ“人類”のことが気がかりなのかと──核心を突くように聞いてみる】
【多分、まだ“受け容れる”ことが出来てないのだ。痛みだけではどうしようもないと、分かっているのだけど】

「ふふっ、大丈夫大丈夫。君は、僕たちと同じ種族なんだから、さ」

【暗澹とした笑みを顔に浮かべれば、安らかな唄声を響かせる】
【子守唄のような、安心を齎す唄──貴女のその疑念を、違和感を晴らすかのように】
【兎に角今は起こるであろう戦闘に集中して欲しい。それが貴女への、初めの要求であった】

(ノイン)
【色白な貴方の肌は、人類でないことを想起させるには十分だった】
【“造られた”存在として、人類を憎んでいるであろうことも──十分に想像できた】
【物思いに耽るその姿を眺め、魔界に残る同胞を思い出した後、貴方に声をかけた】

「今日はよろしくね、ノイン。頑張って役目を果たしてほしいな」

【ニコリ、と貴方に微笑みかける。指導者として、貴方の存在は不可欠で】
【この度の襲撃に協力してくれた貴方のことを、とてもありがたく思っているらしい】

(“Conductor”)
【オッドアイの褐色肌──貴女と共に動くのはどのくらい久しぶりであろうか】
【蟲の“指揮”を委ねられた羽化体。“神”に認められた、英雄の証】
【口角を僅かに吊り上げて、ワームシンガーは貴女の顔を見る】

「“Conductor”、君と行動を共にするのはいつぶりだろうね?」
「僕は歌唱者、君は指揮者。期待してるよ、此処を劇場に仕立て上げてやろうじゃないか」

【“蝶”の指揮者に、ワームシンガーは信頼を寄せているようだった】
【人理世界へ共に旅立ち、敗北を味わったあの日から──数千年の時を超えて】
【また貴女と行動できることに、まるで子供のように喜びを顕にしていた】

(ニグル・アグラウロス)
【枯れた泉を想起させるその瞳は、蟲の眷属としての貴女を象徴していた】
【自然の怒りを体現したようなその暴風は、ワームシンガーも憶えていて】
【貴女の問いに口角を吊り上げたのなら、喜んで答えを言うことだろう】

「勿論、そのとおりさ。死体さえ残さないようにしてやれば、余計良いかもね」

【人類は死した者に対して特別な思いを持つ──それさえも、出来ないようにしてやろうと】
【黒々とした感情が脳裏に流れる。人類にどのようにして絶望を齎してやろうか、と】
【凄惨を超えた、その先までも赦す。“蟲の神”の名の元に、それは赦されるのだ】

(ALL)
【一行が歩みを進めれば、幾多もの死が齎されるのだろう】
【抵抗を進めていた職員たちの首が、胴が、腹が吹き飛んでいく──】
【それはまるで台風の通過のよう──その目にしか、生存は齎されないのだから】

【先行していた「ドク」は、細い鋼線を捩ってできたかのような細い体躯をしていた】
【蟷螂にもにたその外見だが、鎌だけは非常に鋭さを帯びているのが分かるだろうか】
【首を狩る、その目的だけを持った蟲──急所を突いて殺すのに適していた】

【鉛玉をドクに向けて放っていた男の視界から、その存在が消える】
【そして辺りを見回そうとすれば、自然に視界が下へと下がっていくのだ】
【不思議に思ったそのときには──首が切り落とされ、地面へ向けて落ちていた】

【このようにして、入り口における抵抗勢力は全て潰えるのだろう】
【ワームシンガーとその一行は、中へと踏み入っていく──目指すはリアクターを制御している中央制御室】
【そこを掌握するために、相変わらず死を齎しつつ歩みを進めていた】


326 : ◆S6ROLCWdjI :2018/06/03(日) 18:37:23 WMHqDivw0
>>324 >>施設側の皆様

ふうん、地下。わかりやすぅい。
……もういっそのこと火を放っちゃえばすぐ終わる話なんじゃない?

【なあんちゃって。……先程の口振りから言うなら、誰かを助けに来たとも取れる女、なのに】
【もう何もかも無差別に火を放って地下で蒸し焼きにしてしまえばいいんじゃないか。なんて】
【そんなことを宣った。当然、冗句ではあったようだけど……くつ、くつ、くつ、って】
【肩を震わせるその様子、どう考えても正義感を持って誰かを助けようとしている人には、見えない】

【それも一時だけのことだった。身体を震わすようにして笑うのはすぐやめて、くる、と振り向く】
【白衣の裾を棚引かせて。同行者たちににっこり笑いかけ、自己紹介】

はじめまして、同行者のみなさま――みんな味方ってことでいいんだよね?
僕はしがない研究者、……そうだな、「ミア」って呼んでくださいな。
突如現れた「蟲」に興味を惹かれてね、サンプルの一部だけでも採取できればと思って、来たんだけど――

――――はじめに言っておくとね、僕自身には、戦闘能力ないから。
「この子」にぜえんぶお任せしてるけど、……できればみなさまにも、僕のこと守ってほしいなあって!

【「できれば、でいいよ。余裕があれば僕のこと守ってくれるとうれしいな、お礼はもちろん、するから」】
【そう言ってひとつ頭を下げる。それから、隣に立つ少女――「この子」の肩を抱いて、前に出す】
【きれいな金髪を腰まで伸ばした少女だった。植わっている青い瞳は、どこか体温を感じさせない、硝子玉のような質感】
【それで、ひたすら前だけをじーっと見つめて……無表情。言葉も発さない、人形のような娘だった】


327 : ◆wEoK9CQdXQ :2018/06/03(日) 18:56:57 8Rgjd7cY0
>>325

……御意に――――――――そして“蟲の神”の御心のままに。
ああ、想像よりもずっといい気分で鏖に出来そうだ――――あなたの唄は、とてもとても快くボクの〝颪蟲〟に響いている……‼
ヒトの世界がどれだけ脆いのか、すぐにご覧に入れてみよう、かッ――――!

【くすくすと、燻る悪意を湛えた瞳のまま思わず笑みが零れる。〝蟲の唄い手〟の内奥にある暗黒が、あまりに心地よく響いたから】
【己が一族は数百年を、この時を待ち侘びてあったのだと。そう確信させてくれるだけの“世界を壊す者”が、自らの思いのままに力を揮っている――――。】
【湧き上がる歓喜と快楽は、翅持たぬ身をいっそうに強く駆り立てて脅威を促した】

ラ、ラ、ラ、ラ、ラ、ラ……あはははッ、急に蒼褪めてどうしたんだろうね?
ヒトの世界は綺麗なままだと――――信じられなくなったのが恐ろしくて、堪らず震えてでもいるのかな――――――――‼

【ワームシンガーの唄とは違う、ただ楽しげに奏でられるヒトじみた肉声。澄んだ音としか聞こえぬそれは、けれど、空を覆う蟲の羽音にも等しく悍ましいものとなっていた】
【アグラウロスが“風”を操る。機動力をふりかざし、好きなように命を食い散らしていく。】
【それはまさに、嵐が街並みを根こそぎに吹き散らす様な暴威だった。人体が散らかされ、血飛沫さえ風に呑み込まれて】
【運悪く生き残ってしまったひとりの軍人が――――愉しげに歪み、細められる薄蒼の視線に映る】

【風の刃にその身が腑分けられ、腱と骨格とをまずは裁断される。抗し得る戦力となることのできない、“能力者未満”のギリギリの力が潰される。】
【残る兵たちは既に、他の蟲たちの餌食となっているだろう。だから、嗜虐を楽しむこともこの侵略者には当然だった】
【眼球と脳髄と、数十秒の生存に要する幾許かの臓腑と――――それだけ残した人間の残骸を、飛行型の蟲の一匹に投げ渡してやる。受け取れば、蟲たちは群がって】
【凄惨な捕食と、叫びすら許されない骸の終わりが。蟲たちに優越と勝利を確信させるが如く、ワームシンガーの言葉に応えるカタチで戦場を飾った】

【進撃は続く。ヴァニタスのごとく劇的に、そして億倍も残忍に無惨に凄惨に。もしも転調を迎えるのなら、それは、如何なるヒトとかちあってのことか――――、】


328 : 『INSTITUTE MELTING PROTOCOL』 ◆zuR4sSM1aA :2018/06/03(日) 19:40:43 SD5ZXnH60
>>323

【貴女の白銀の髪は雑踏の中でよく目立っていた】
【壇上の男もその姿は見えていたが、気になったのは貴女の体を覆う黒い外套】
【恐らくその中に貴女の得物が入っているのだろうと──その様に想像をしていた】

【貴女の端正で、静かな顔立ちにどこか安心できる気分を憶えた】
【──辺りの喧騒の中に於いても、冷静を保てる。そのような人物がいると、確信できたのであろう】

//見落としてて申し訳ないです……!


329 : 院長中身 ◆zO7JlnSovk :2018/06/03(日) 20:24:01 ziPcAcsk0
>>325

【、── Conducterの指先が虚空を撫でる。ふわりと揺れた一葉に、残る僅かな残照】
【美しい蝶であった。夜を閉じ込めた様な羽根が羽ばたく度に、星空の様な鱗粉が舞って】
【無数の蝶が飛び交う度に周囲の人々が切り刻まれていく。その光景の中を彼女は歩いていった】


そうですね、とても、とても長い──、ええきっと、宿世よりも長い幽世の旅路
こうして貴女に添える喜びを、貴女の歌を聴ける悦びを、私は全身で甘受しましょう
貴女の歌を届けましょう、深く深く染み入るその旋律を

──届けてちょうだい"Amadeus"──その蝶/調の彼方へ


【"Amadeus"── 彼女の用いる蝶、現世の理をその羽根に閉じ込めた世界線を渡る蟲】
【静かな微笑みを向けて、彼女は追従するだろう、傅く喜びをそこに残して】


330 : Neun ◆D2zUq282Mc :2018/06/03(日) 21:04:35 JY1GydDk0
>>325


【"ワームシンガー"の微笑に一瞥をくれた後、自分以外の蟲に属する人型達を見遣る】

【一つは"指揮者"。微かな笑みを湛えながら歌劇の様に歩みを進める姿】
【一つは"狂信者"。己が内から湧き出る愉悦と兵隊達の阿鼻叫喚による喜びの唄を奏でる姿】
【一つは"異端者"。蟲に属しながら、蟲である事を受け入れていない歪な姿】


(―――……その振る舞いは狂った『知性』と変わらないな。
 だが、しかして。私達は狂った『知性』と違う。群集だ。一は全、全は一、か。)


【惨劇を彩るのは、喜びの歌と歌劇の様な台詞】
【惨劇を生み出すのは、殺戮の具風と、切裂く旋律と――抑圧の無色】

【蟲達との進軍を行う間に襲い掛かる抵抗勢力の肉体と精神の悉くを"抑圧"していた】
【抵抗勢力たちは、"抑圧"の性質を持つ水溜りに倒れたまま身動き一つしていなかった】
【そんな絶好の餌を蟲達が見逃す道理は無い。蟲達は餌場へと我先にと飛び出し、血肉を喰らっていた】


私は……、エージェント/Agent。唯々、……お前達の意志を代理するモノ。
それ以上でも、……以下でもない。……単なる、エージェント。
……お前が、お前達が。――…それを、……望むなら。……そうするだけ、だ。


【その在り方は――正しくエージェント/代理人。故に喜びに打ち震える事も無く。恐怖に震えることも無く】
【蟲達の進軍についていくだけ。ワームシンガー達に追従するのみである】


331 : ドープ ◆xgsUYuhzWc :2018/06/03(日) 22:44:35 Lxd3YeZA0
>>318

──、

【その言葉を聞き届け、汗を垂らし──眉を顰める。何とも如何し難い身震いを押さえる】
【神は人間臭いと主張する者が居る。神は神話の中で不倫をしたり、面白おかしく酒で騒ぐ】
【神は人間ではないと主張する者が居る。遠く人間には理解の出来ぬ思想を持つとする】
【神はいつだって人間に都合よく扱われて来た。神話は偶像の為の物語。故に、信仰とは体のいい利害の一致でしかないのかもしれない】
【神自身の考えは、それこそ根本的には人間には推し量れないものかもしれない】
【同じ思考能力を持ち、人間より上位の力と知性を併せ持つのなら】

【少女スナークという神性は、おおよそその思考は神のものとして多少理解出来る】
【だが彼の一般常識面において、それは彼ら人間として理解し得ぬ】
【だからこの少女は、きっと。人間そのものとは、分かり合えないとドープは考える】
【この少女は世界の悪を拾い集めて──積み重ねた悪意の塔のうえで足を組んで、いつまでも笑って居る】
【そんな気がする。──いつか変わるのだろうか。それも、分からない】

【中をのぞくと伽藍の同。虚の中には、果たして本当に何も無いのだろうか】
【もっとよく、隅々まで確認したか?見落としは無いか?誰がそれを見た?】
【虚を殺すためには何をすればいいのだろう?──足せばいいのか?】
【じゃあ、何を足すべきだ?】

【己には関係ない。関係のない話だ。死なれたら困る】
【とはいえ──らしくもなく考えてしまう。青臭い事だと頭を掻く】
【己だとしても、殺される時は足し算だとか、そういう概念な気さえしてくる】
【ヒトとヒトの物語の積み重ねは、いつだってどこかで奇跡を起こしたり、いつだって悪意の足元を滑らせる】

【神を殺すのは、いつだって積み重ねの奇跡だ】
【まだこれは神話に至る物語ではない。荘厳な善性は果たして募るだろうか】
【この、尾を齧ってとぐろを巻いた宗教は、いつか終わるのだろうか】


──終わって欲しくはねえんだよなあ……


【ドラッグはビジネスになる。ドラッグはサブカルチャーを担いだってする】
【ドラッグは危険視されるも、人間の脳を開き快楽を与えてくれる】
【だが蛇教はなおさら──快楽が欲しい。薬物による快楽。こんなにめったにいいチャンスは無いんだ】
【彼女だって、もし死にかけるのなら守ろう。ウヌクアルハイが消滅するよりはマシだ】
【自分を投与する。病魔を増進させてやろう】

……。やってやるよ、ラサルハグェ

【頑張るしかないな、と自分に言い聞かせた】
【おおよそ、一般的に前向きにハッピーなものではないのだけど】

/本当にありがとうございました……!
お疲れ様でした!


332 : リオシア ◆qijkYF5k5g :2018/06/03(日) 22:49:53 5w/a9BZQ0
>>324

【集合場所で壇上の男の話を聞く】
【その作戦の危険度については──質問するまでもないだろう】
【誰もが簡単な任務じゃないとわかって集まっているはず】

陽動、陽動ね……そこまでしないと突入できないくらい圧倒されてるのね

【聞こえるか聞こえないかの声量でリオシアは呟く】

陽動部隊の人たちは、任務の為に死ぬつもりなのかな?
それとも、陽動だって知らずに戦わされてるのかな?

【顔も知らぬ、名も知らぬ──兵士たちに何を想ったか】
【──作戦に関して反対するというわけではなく】

じゃ、みんなよろしく。リオシアだよ。

【他に集まった、個性豊かな面々をきょろきょろと興味深そうに見渡しながら】
【小銃を構え、共に進んでいくだろう】


333 : テレサ :2018/06/04(月) 03:03:32 XqQAhkbc0
>>324

【待機の間、テレサは黙々と用意してきた装備の手入れを行っていた】
【背負っていたケースの中にあった大型杭打ち砲『パイルシューター』、拳型装備『テレサフィスト』、両腰のホルスターにつけていた二つの緑色の『鉄球』】
【―――そして、自分自身の右腕。やはり右腕は機械の義手であるらしく、テレサはこれの整備を片腕で行っていた】

【招集される頃には彼女は整備を完了させ、服のポケットの左右に手榴弾とスタングレネードをそれぞれしまい、残りを武器ごとケースの中に入れた】
【そして作戦の要点がまとめられた所で彼女は淡々とこう告げた】


なるほど。リアクターに指一本触れさせない事が目的である以上、我々は突入後迅速かつ着実に
中央制御室を占拠することを最優先すればいいのですね。作戦の方針さえしっかり決まっていれば後は殲滅するだけ……
了解いたしました。では作戦開始です……行きましょうか


【突入開始時刻になるや否や、テレサは一行の先陣を切り、行動を開始する】
【まずは懐に手を伸ばすと、赤色の丸いアイテムを取り出しボタンを押して地面に放った……すると中から緑色の機械型の狼が出現する】
【エッグロイド『リョクオオカミ』、音や匂いに反応し感知した気配を使用者に教える役割を持っている】

【『リョクオオカミ』は召喚されるや否やワン!と一声吠え、テレサのすぐ前で気配を探りながら進む手助けをするだろう】
【そこまでの動作にも一切の無駄がない。異端狩りシスター・テレサ……やる事なす事遊びが少なく、簡潔すぎる。生真面目さが行動ににじみ出た女性のようだ】


334 : 厳島の中 ◆zlCN2ONzFo :2018/06/04(月) 04:38:31 6.kk0qdE0
>>308

「思考さえも奪うと言うのか……人間達から、いや人間全てを意の中に収めるために」

【意識の統一、思想の強制的な統合】
【民意の完全なる統制】
【その、最後のピース『ソラリス』のシステムと理論】
【これが、黒幕の考えの行き着く場所、探偵の話はそれを意味していて、同時にそれらが意味する絶望と恐怖が襲い来る】

「麻希音が、内部から、スパイ活動か……」
「扉をこじ開けるのは、外部の我々の行動だと?UTや、Mチームの……」

【それ故に、現状ではこじ開ける力が無い、と】
【動きを止めているUTや、個別に動く呉越同舟の集団であるMチーム】
【鈴音も居ない、セリーナも居ない、現状では敵に抗う力と成れない……】
【だが、それでも……】

「……」
「……ああ、十分だ」
「十分過ぎる、理由だ」

【愛した者の愛した場所】
【それ故に、UTは守らなければならない】
【守り通さなければ、ならないのだろう、それがこの孤高の探偵の矜持ならば】

「セリーナの銃?」
「何の話だ?一体、何を知っているんだ?」

【祭壇の話を聞けば、探偵ははっとした表情で、こう言った】
【まだ、自分の知らない何かを知っている】
【それはセリーナの銃に何か秘密がある様だが、しかし次の言葉で表情を変えたのは】
【自分の方であった】

「嵯峨野!?公安の、調停官の嵯峨野か!?」
「やはり、奴は黒幕だったのか!?人体実験は!?」

【その言葉を聞くや、表情は一変】
【こう、勢いをつけて、探偵に聞き】
【最も、この嵯峨野と言う人物を厳島は知らない、切欠があり名前と存在を知っているに過ぎない相手】

「そろそろ、時間か?」

【腕時計で時刻を気にしだす探偵を見て、こう聞いて】
【そして】

「転がり出した、か、確かに落ちるカップを止める事は、誰にも出来ない」
「いい答えだ、ああ、極上の答えだ……」

【何やら手持ちのペンで、そこに手描きを加え】
【やがてそれを差し出すだろう】
【それは名刺だった、あくまで偽装身分の新聞記者の名刺】
【名前と連絡先、そして裏に手描きされた住所】

「何か新しく解ったら、何か行動を起こすなら、連絡が欲しい」
「此方も、そうする」

【そう告げて、そして特に止めることも無ければ、そのまま闇の中へと去って行くだろう】
【オーウェルに、黒幕、そこに居る麻希音とゾーイ、チームMの事、UTの事】
【やるべきは、非常に多く混迷としている……転がってしまった運命を、落ちるカップを止める事は、誰にも出来ないのだから……】


//この辺りで〆でしょうか?
//お疲れ様です!


335 : 厳島の中 ◆zlCN2ONzFo :2018/06/04(月) 05:12:44 6.kk0qdE0
>>325

「わ、ワームシンガー様……」
「いえ、その……」

【唐突ではあったが、考えを見透かされた様に】
【歌唱者たる女性に声を掛けられて、上記の様に上擦った答えになるも】

「……」

【非常に心地の良い、ゆりかごの様な安堵感すら感じる歌声に、うっとりと】
【思わずうっとりと、心を委ねると】

「(ああ、そうだ……)」
「(戦わなければ、いけない)」
「(死ぬためには、戦わなければいけない)」
「(ならば、鬼になろう)」
「(余計な事は何も見ない鬼になればいいんだ、戦い尽くす鬼になって、果てよう)」
「(どうせ、もう、人間じゃないのだから)」
「(そうすれば、自分一人に攻撃が集中すれば……)」
「(死ねるんだから……何も考えずに鬼になって戦おう)」
「(私は鬼だ、今から鬼だ、ワームシンガー様に仕える蟲の鬼なんだ、戦い以外は何も見えない鬼になるんだ)」

【此方の顔をじっと見据えるワームシンガーに、そう目を開けて】
【その目には、一筋の光も消え失せ】
【狂戦士、彼らの眼がそうであるように】
【一筋の光も無い目は、そう表情の笑顔だけを絶やさずに】

「目が覚めました、身命を尽くしましょうワームシンガー様……」

【そこに、先ほどまでの少女は、もう居なかった】
【いつしか、誰かが言っていた、落ちるカップを止める事は、誰にも出来ない】

>>ALL

【やがて、リアクターを目指し、蟲の軍勢は侵入して行く】
【手には、着剣したアサルトライフル様の短機関銃、腰には拳銃をそして切り札である武器はポケットの中に小型化して収納され】
【服装は真白の詰襟の軍服、櫻国海軍士官制服】

「……」

【その瞳は、光無く周囲を見渡す、此方の仲間と言える存在は】
【ワームシンガーと、オッドアイの少女、少年とも少女とも解らぬ空中の存在、異様な程に真白なこちらも性別不祥な存在】

「……」
「皆さん、よろしくお願いしますね」

【狂った、淡々と狂った屈託のない笑顔】
【その光無い瞳で、口元と目元の笑みで、そして軽やかで楽し気な声で、なんとも親し気にその場の全員にこう挨拶し】

【やがて、ドクにより屠られた人間だった物へは、一瞥もくれずに】
【その死体が、もし自分の脚元へと転がっているならば、何の迷いも無くごく自然に、ぐしゃりと踏みつぶして歩き】
【そうして、ワームシンガーの傍ら、短機関銃を構えながら、進軍して行く】


336 : セリーナ・ザ・"キッド" ◆/iCzTYjx0Y :2018/06/04(月) 12:10:27 lp4TKcVo0

>>263

【―――逆に言えば。その吐瀉物、"今日の分より以前の物"は、見受けられなかった。】
【つまりそれは、"定期的に片付け、及び清掃が為されている"という事を意味していた。―――或いは。】


(……あの男の"滅茶苦茶"さ加減を、どこまで漏らしていい物か……)
(今日の"コレ"だって……たまたまこういう場所に幽閉しただけで、別の日は別の場所で"閉じ込め"られてたし……。)


【逆に片さない事で"そういう空間"を演出している、とも捉えられるだろう。淫靡で醜悪な欲と熱の籠った部屋。】
【そういう場所にわざと"仕立てあげ"、その上で"放置"するという気持ちの悪さこそが現状―――それもこれも、貶める為の物だった。】


(はぁ……偶然のタイミングだったとはいえ、結構嫌なところ見られちゃっ―――……)




……、……っ、ぁ……、あれ……。



(いや、いや―――待てよ。待って、待った待った、ちょっと―――ちょっと待って!?)

(この人レボル側でもないし、明らかに味方だし、レグルス君の知り合いで、カエデちゃんの仲間で―――つまりは……っ!)



―――――――――――――――〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ!


【慌てて、露になっていた自分の両胸と下腹部をそれぞれ片手ずつ隠す様にして押さえ―――いや、まあ。】
【もう手遅れと言えば手遅れだし、隠そうにも隠しようが無いし、そもそも助けに来てもらってる身なんだしちょっとくらいは―――。】
【とかいろいろ頭に浮かぶけれど、それは遅れてきた羞恥心の到着。定刻通りとは行かなかったが、長い遅刻の後にセリーナは恥ずかしそうに身体をかき抱いた。】


―――……っ、あ、ぁ、の……、えっと。ちがうの、ちが―――……///
はずかしいとか、みられるのがいやだとか、触るなとか……そういうんじゃないの!
来てもらえてうれしいって思ってるし、こんなことでいちいち恥じらう程若くもないんだけどえっと、その……っ。

―――……できれば、あんまり……ま、まじまじとは……。うぅ……/// ご、ごめんなさい、ほんとに……。

【すっかり丸まって。背中を見せるように後ろを向いてしまうだろう。尤も、裸に近い状態を見られている、という点について】
【特に変化はないのだが。背中だって滅茶苦茶に切り取られた様な煽情的な下着のせいで妙に艶やかな印象だったし、まあともあれ。】
【男に身体を見られて恥ずかしいと思う程度には、回復しているようだ。精神的に、という事だが。―――セリーナは言葉を続けるだろう。】


……、でも。水の国で……死者が? ―――それはちょっと……放っておけないかな。
……自分勝手なんて言っちゃだめだよ。アタシはどこまで行っても人殺しだ。……罪のない人を殺した。

顔を出して、居場所を晒して……ふっ、肌まで晒しちゃってさ。……そうやって、"名乗る"以上は。
英雄じゃないんだ、もう―――ヒーローではない。アタシにできるのは……責を負う事だけ。……英雄を、支える場を与える事だけ。

なのに、いつからかアタシ自身が英雄になる事を望んでた。……昔から憧れてたから。
本当は、そうありたいのなら―――UTなんて場所は作っちゃいけなかった。……全部アタシのミスさ。

だから不釣り合いな願いまで抱いちゃった……みんなに、必要とされていたい、って。
……この"研究所"の存在を暴いて。アタシの力で、みんなに―――……。


【セリーナはそこで言葉を止める。かぶりを振って、これ以上は続けても仕方がないとため息をついた。】
【UNITED TRIGGERという場所に、セリーナが込めた思い。それとは別に、セリーナ自身がなりたかった自分への、理想―――。】
【この女はもう若くない。それだけに、夢を追うのに時効が来ている事が分かりかけていたのだろう。―――話を、ブランルという男について、戻す。】


……でも、本当に分からないんだ。全貌は掴めない……ただ、無敵だ。
攻撃はまず通用しない。いや、当たりはする。けれど端から端から全部再生できる、"粉々に消し飛ばしても"だ。

その力の根源は恐らく奴が戦闘に用いる触手―――"意識の集合体"と接続されたソレにあるとみていい。
空間か、或いはそれ其の物がそうなのか、分からないけれど……奴は研究所に捉えた人間の意識を、奴自身の肉体を構成する"触手"に、接続させてる。

触れれば何千男百という人間の"叫び"が精神を蝕む……同時に、此方の心根もむこうに接続される。いわば―――同化。一体化、意識の混濁。
記憶も個性も奪われて、皆で一つになれる空間―――それがヤツの力の、恐らくは根源。だから……わからない。どうやって対処して、どう倒せばいいのか……。


337 : カニバディール ◆ZJHYHqfRdU :2018/06/04(月) 17:23:22 IBKicRNQ0
>>249-251
まったくだ。自然にあるがままの姿を無理に捻じ曲げようとすれば、この通り水と油が融合するような異常事態すら起こる
間違いのない『悪』たる我々が、今や悪の道を踏み外す有様だ。我ながら、気味の悪さすら覚えるよ

【畢竟、この世界の本質は混沌であり、そこに理想など築くことは出来ないのかもしれない】
【しかし、だからこそ彼らは戦うのだ。それぞれの理由、それぞれの意志で】

強くなければ生きていけない、優しくなければ生きる資格がない、というやつか? 私としては耳が痛い話だがな
何、トップクラスの実力を誇るチンピラを相手取っては、世界も相応に手こずることだろうさ

貴方がその強さで正しさを保証できる範囲内を、貴方の領域とそう呼ぶだろう?
なら、貴方が正しさを証明できるうちは、それがどこだろうと貴方の領域だ。たとえそれが世界そのものでもな

【そう、逆に言えば普遍的な事実が通用する場所は、きっと人間が人間として生きられる領分が残っている世界なのだ】
【彼らが歩みを止めない限り。意志を持って戦い続ける限りは、彼らが機械でも獣でもない】


聞けば聞くほど、『黒幕』のやろうとしていることの歪さがわかるというものだ
それだけ色の違う信念全てに、まとめて喧嘩を売っているのだからな

……ああ、方向性は全く違うが。我々も、そうだ。本来なら、私は彼奴等に与していてもおかしくない立場だが
彼奴等のやり口には、反吐が出た。我々は自分の意志で悪として生きている。それを彼奴等は、悪党でいることすら許そうとしない

結局のところ、私は今この世界が嫌いじゃあないんだ。いくつもの『意志』が無限にぶつかり合い続ける、この混沌の世界が

【要するに、ラベンダァイスがかつて鈴音に語った通り、自由に悪事が出来なくなる世界になることを嫌った。それは確かだ】
【だが同時に『スクラップズ』は、美しさや人の輝き、自由といったものとは別の形でこの世界を愛していた。その混沌がゆえの、生気と活気を】

(人間は輝くべきだ……もしや、シャッテンか? あの男までが、アーディンの下に……)
(ああ、いかん。『黒幕』どもの不味い肉ばかり食っていたせいで、彼奴の肉を思い出すと食欲が……『黒幕』との決着がつくまでは抑え込まねば)
(だが……今思っても美味そうだった。彼奴の肉……ああ、また会いたいものだ……)

【そのうちに、やはりどうしようもなく醜悪な欲望をひた隠しにしながら。どこか同じ空の下で、あの青年の背筋に悪寒でも走っている頃だろうか】

頼んだよ。手はいくらあっても足りない。打てる手段は全て使わなければ
もし何か情報を掴んだら、また指輪の連絡網に乗せてくれ

すまないな。だが彼女にとっても切迫した事態だ。無理やりにでも表に出てくる可能性もなくはあるまい

【情報をばらまくことに懸念もあるが、こうも『黒幕』に押し込まれている現状では手段を選んでもいられない】
【少しでも多くの人手を。少しでも多くの糸口を。歩みを止めれば飲み込まれる】

【今や動くことすらままならない、ブラックハートにすら期待をかけねばならない、それほどの状況であるのだから】

/続きます


338 : カニバディール ◆ZJHYHqfRdU :2018/06/04(月) 17:23:57 IBKicRNQ0
>>249-251
――――ウルバヌス博士には、機関員として世話になったこともある。確かに彼がセードムシティでやったことは、この事態と似ているかもな
だが、博士は絶対的な力のみを筋金として世界に通そうとしていたように思える。それを持って、自分の正しさを新たに世界に打ち立てようと

『黒幕』も力を結集するという点は近いが、それに加えて今あるものを歪めて作り替えようとしている
新たな筋金ではなく、歪に歪み切ったバランスを。もう一つ性質が悪いと思うがね
抑圧の反動で荒れたセードムシティと違って、ディストピアにしがみつこうとする者たち相手では、果たして水の国もどこまで対処できるかどうか

そうなったとして、後世の歴史家がこの時代を何と称するか見てみたいものだ。暗黒時代というにも、まだ足りなさそうだな

【そう、確かにかのグラトンも力が生む恐怖を持ってこの世界を支配し、それによる絶対秩序の構築を目指していた】
【方向性としては近いものがあるのだろう。だが、そこに洗脳や世論誘導、自分たちの権力まで用いる『黒幕』はさらに悪質だと異形は漏らす】
【身内のひいき目もあるのだろうが、それでもグラトンは己の頭脳と邪悪のみで世界に立ち向かったのだと】

【カニバディールもまた、ルヴァと同じことを思い返す。確かにあの言葉通り。自分たちは悪事をやめなかった】
【まさか、このような形でとは思ってもいなかったが。行き過ぎた高尚さは自分たち以上の毒ともなり得るのだと】


それに関しては、期待しないで願う程度にしておこうかね
【レヴォルツィオーン社が、ブランルが敵に回ることは避けたいカニバディールとしては二虎競食となるなら願ってもないが、希望的観測なのだろう】

【黒野カンナの名を意識から探るラベンダァイスの口から、Justiceの名が出た時には流石にわずかに巨躯が強張ったが】
【彼女が黒野カンナと直接の関わりがなかったことが、果たして自分にとって吉と出るか凶と出るか】


【ともあれ、そんな不確定の未来よりも眼前の危機。それは間違いないだろう】
【自身が告げた真実に、文字通り吐き気を催すラベンダァイスがルヴァ、いやリベルに添われて部屋の隅に向かう光景から】
【カニバディールは、静かに三つ目を逸らした。自分に出来るのはそのくらいだ】

【嘔吐と出血。彼女の精神が蝕まれていく。やがて彼女がひとまずの落ち着きを取り戻すまで、カニバディールは手持無沙汰に廃墟の壁を眺めていた】


――――そう言ってくれるなら、私としても情報収集に努めた甲斐があったというものだ
追われる身となってまで『黒幕』に背いたことも、お前たちとの一時休戦を決断したことも、無意味ではなかった
こうして、また一人『黒幕』どもを絶対の敵とする者が立ち上がったのだから

そうとも、殺さねばならない。彼奴等がこの世に存在した痕跡すら、消し去るつもりでやらねば
(私との戦いで人を捨てて兵器として目覚め、私のもたらした情報でこうして憤怒を取り戻した)
(この女とも、また妙な縁となったものだ……)

【彼女から謝意を受ければ、重々しい頷きを返す。激しい怒り、吐くほどの嫌悪、全てを内包してなお、彼女は怒りを失わなかった】
【今、純粋なまでの殺意を持って立ち上がり、許すまじき悪を殺す覚悟を固めた。ならば、己の行動にも大いに意味はあった】

【皮肉にも聞こえるその言葉も、カニバディールの三つ目には確かな本心であると映る】
【彼女が人でも兵器でもなく、新世界に生きる一つの命として、己を意志の渦の中に、その奔流に放り込むのだと】
【その身から発せられ、廃墟の暗闇を切り裂く光に身を細めつつ、カニバディールは確信した】

/続きます


339 : カニバディール ◆ZJHYHqfRdU :2018/06/04(月) 17:24:18 IBKicRNQ0
>>249-251
残念ながら、な。それぞれの意志を強固に持つがゆえに『黒幕』に相対し、同時にその意思が故にこのような事態にもなる。ままならないものだ

……やはりソニアにはそういう関係の相手がいたのだな。明確に恋人でなかったのなら、他にもいる可能性すらありそうだ
苛烈なことだ。愛情というやつは、裏を返せば排他性・攻撃性か……

【誰かを愛するということは、他の誰かを愛さないということ。その当人の言葉だが、まさにそれが愛という感情の恐ろしさでもある】
【時として、愛情の対象以外にどこまでも人を残虐に駆り立てることすらあり得る。カニバディール自身も見て来たことだ】

このままいけば、個人も何もかも飲み込んでおしまいだからな。そうでなくても、ソニアに入れ込む連中が全力で動いてくれるだろうが
伝えるのを止めるつもりはないとも。その男が、ソニアの件をどうにかしてくれるなら結果としては我々にもありがたいことだ

【そう、これは戦争だ。巨大な戦いだ。その中で、誰もが一人一人を気にして戦い抜けるほど甘くはない】
【当事者にとっては、それどころではないのもわかってはいる。しかしそれでも時は進み、事態は動き続ける】
【それが冷然たる事実である以上は、相応の覚悟も必要なのだろう】

わかった。もしいよいよ他に手がないとなれば、貴方にも助力を願うとしよう
憎まれ役なら私ほどの適任もそうはいまいが、残念ながら単独でこの役柄を遂行するには実力が足りない

【汚い大人というなら、カニバディールはまさにそのものであるが、『スクラップズ』を束にしても勝てるかどうかわからない】
【それだけの相手だ。アーディンがそれだけの覚悟を固めているなら、それに乗っからせてもらおうと。これすらも、汚い大人の判断と言うべきか】


……これで、私の現時点での手持ちの情報は全てだ
お互いに続報があれば、指輪で連絡を取り合うとしよう

また、これ以上面倒ごとが起きなければいいが……

【指輪をかざしながら、カニバディールは呟く。その言葉がこの少し後に、グランギニョルの神々の出現と】
【彼らがバックにつく邪教、サーペント・カルトの台頭という形で現実となった時、カニバディールはまた頭を抱えることになるのだが】


340 : アレクサンデル・タルコフ ◆ZJHYHqfRdU :2018/06/04(月) 18:13:42 IBKicRNQ0
>>270-271
【祭祀場のおぞましき装飾、それに反した厳かな雰囲気。そのすべてを上塗りするが如き存在感が、入り込んできた】
【その足音を、その声を耳にしたダルマ男はゆっくりと身を上げ、再び靄を現出させてその男に向き直った。異形の顔に笑顔を湛えて】

おお……ケバルライ殿……!! ご無沙汰をしておりました。またこうしてお目にかかれたこと、心より嬉しく思います

なんと勿体ないお言葉でしょう。私は、ただ己に与えられた職務を全うするために当然のことをしているに過ぎないというのに……

何、ほんの10日ほどです。サーバントの皆様方にも、そのような心配をおかけしてしまっていたとは……わが身の未熟に恥じ入るばかりにございます
誇り……仰る通りにございましょう。我ら皆、ウヌクアルハイ様の輪廻の内側にいる泡沫に過ぎませぬが
それが故に、確かな誇りなくして立っておられぬ弱さも内包しています。だからこそ、我々は蛇神様の下に誇りある職務に従事せねばならないのです

ありがたき幸せです。ケバルライ殿に、そこまでの……
あの儀式の日のことは昨日のことのように思い出せます。この一信徒のために、ケバルライ殿にまでお立合いいただけて
こうして、今聖なる職務をお与えいただいた。あの日こそは、私の福音でありました

誠にもって。全ては、ウヌクアルハイ様の円環のうちに抱かれ、己が身をその輪の中に浸すことこそ我らの務めにございます
恐れ多くも、ウヌクアルハイ様と一つとなろうというのです。永遠の円環の如き痛苦なくして、何故それが成せましょうか

【傍から見れば刑の執行を待つ囚人さながらだろう"マルフィク" は、当の昔に消えたはずの諸手を掲げてその訪問を喜び】
【恐るべき "ジャ=ロ" の歩みを受け入れる。あの儀式の日のように】


――――これ以上の光栄はありません。この身に余る職位のみならず、そのような……
無論です。無論の事です。それこそが私が成すべき努め、それこそが私が受け止めるべき宿命……

始めましょう。あの日のように粛々と。いつものように決然と
儀式は常に、厳然たる手順と確固たる遂行の意志によって行なわれねばなりません

【その光栄に浴しながら、驕ることも倦むこともなく。表情を引き締めて司祭は臨む。更なる境地への一歩を。更なる狂気への一歩を】


【気が付いた時には、〝あの日〟の中に彼はいた。浮かぶ意識とその意識を飲み込む流れ。そのうちに抱かれ、一瞬のうちに】
【そうして久方ぶりの肉体の感覚を得た時。司祭アレクサンデルは気が付いた。何もかもあの日のままであると】

【ならば、今再びこの身を捧げよう。魂に苦痛の贈り物をしよう。円環のごとく。輪廻のごとく】


――――――

【その苦痛は、人の身が耐え切れぬものではなかった】
【かの"ムリフェン"ですら、その精神は乗り越えても肉体は乗り越えられなかったほどの究極にして至高の苦痛】


【卸し金の緩くカーブした棘は、絶妙にもどかしく肉体を抉り、破壊し、細かく摩り下ろしていく】
【流れ落ちる血の感覚など知覚する間もなく。摩耗されていく苦痛を、魂に刻み込まれた】


【自身が取り仕切る儀式でも用いられた強酸。透明な水槽は、その腕が消えていく一部始終を映像として焼き付ける】
【皮膚が、骨が、神経が、むしり取られるようにこの世からなくなっていく。浸蝕されていく苦痛を、魂に染み付かせられた】


【刃を潰された刃物は、最も残虐な拷問具の一つだ。殺さずに痛みを与え続けるにはうってつけ。それを、肉の量が多い足に】
【幾度も幾度も、もはや数えるのも馬鹿らしくなるほどに叩きつけられ。凌遅されていく苦痛を、魂に落とし込まれた】


【火は文明の原初。正しく扱えば繁栄を、狂気が扱えば地獄を。皮膚はあっという間に燃え尽き、剥き出しとなった神経組織が直に熱に晒される】
【噴き出す炎はどこまでも無慈悲にその肉体を舐め尽くし。滅却されていく苦痛を、魂に焼き付けられた】


【そして、彼の持つ小刀が祝福のごとく光を反射しながら振り下ろされ。恐るべき正確さで舌の先端を割った】
【四肢の痛みに比べれば小さいはずなのに、その熱さは同じくらいに大きく感じられ。割断される苦痛を、魂に張り付けられた】


【全ての痛苦が回転し、激流となって押し寄せる。あの日のように。そうして、アレクサンデル・タルコフという一人の狂人は死す。あの日のように】
【その身に再び、意識が下りてくる。蛇神のそれに比べればあまりにも矮小な、存在すらも危ういほど小さく、それでも確かに一つの円環を回ってきたかのように】

【全身の苦痛がもたらした異常か、両の眼球が煮え爆ぜて飛び散り、空となった眼窩を見開いて】


341 : ギア・ボックス ◆ZJHYHqfRdU :2018/06/04(月) 18:24:57 IBKicRNQ0
>>324
ありがとうございます

【手短な礼は、緊張がゆえか。軍用の拳銃と手榴弾は、いつもの玩具武器とは比べ物にならない重さだ】
【その重みが、否応なしに伝えてくる。もはや戻れぬ戦いに、再び身を投じることを】


【壇上の男性の言葉を受けて、生き人形は彼へと向き直る】

軍の方々が注意を引いている間に地下の入り口から突入。中央制御室を占拠し、リアクターの制御を確保
了解しました。敵がこちらに気が付くまでに、早さが重要になりそうですね。やり遂げて見せます

【作戦を聞き、真剣な顔で頷くと、道順と見取り図を今再び魂に覚え込ませていく】
【内部で蟲との戦闘もあり得る。いや、あると思って臨むべきだろう。決して油断はできない】

【男性が号令をかければ、カシャカシャと軽い足音を軍服の内側に隠してギアはそれに続く】
【蟲たちが蠢く、地獄に向かって】


>>326
……はじめまして、ギア・ボックスです。よろしくお願いします
ええ、少なくともこの戦いの間は、味方でいいでしょう

……可能な限り努力はしますが、保証は出来かねます。あまり前に出過ぎないでくださいね、ミアさん
(隣の護衛の子……どうも妙だ。この人も、何か胡散臭いような……後ろも油断できそうにないな)

【自分以上に人形的な少女。それを連れて、研究者の好奇心とはいえこの危険地帯に自ら乗り込もうという意思】
【先の言葉も併せて、どうにも油断ならない人物に思えてならず。表面上は真剣な様子で挨拶と忠告をしながらも】
【生き人形は、すでにこの女性を完全には信頼しないことを決めていた】


342 : アリア ◆1miRGmvwjU :2018/06/04(月) 18:44:23 yT9GylJ20
>>328>>324

【実際問題、彼女は冷静だった。というよりかは、冷徹と呼ぶのさえ相応しかった。何故なら彼女は鋼の女であったから。】
【きっと躊躇いはないのだろう。たとえ蟲でなかろうとも、その撃鉄と銃声に。 ── 彼女もまた、蠱毒の壺へ、踏み入って行く】

>>326


【 ── ちら、と青い隻眼が、軽薄な声音の主に向けられる。それは瞥見に終わらず、暫し少女を見つめていた。】
【然して、真一文字に唇を結んだ無表情のまま ── こくん、と首肯した。そうしてまた、宜しくの言葉もなかったのだけれど】
【けれど無言のうちに、銀髪の女は2人の少女の傍に立ち、付き随うように動くだろう。守る、というほど、身を呈している訳でもないが】
【例えるならそう、死なれてほしくはないと言いたげな動きだった。 ── 女もまた、決して義憤の為に立ち上がった闘士ではないのだが】
【それでも幼い少女が目の前で傷付くのは寝覚めが悪いのだろうか、或いはひとえに、似た気質の人間と動いた方がやりやすいだけなのか。】
【ともあれ彼女が臨戦の構えにあるのは間違いのないことだった。腰に提げたホルスターに、所在無く手が伸びていたから】


343 : 院長中身 ◆zO7JlnSovk :2018/06/04(月) 18:54:08 ziPcAcsk0
>>340



【────、君にとっての祭祀場とはどの様な場所であろう。】



【苦痛の海に漂う貴方へと男は声を向けた。返答を期待しない僅かな悪戯心を持って】
【再びタルコフは芋虫か肉塊か、その辺の臓物の詰まった肉袋へと舞い戻った、それが道理だと言わんばかりに】
【ケバルライは歩み寄る。未だ四肢の付け根を拘束されたタルコフの頬に手を伸ばす】



そう今君はあの日の儀式の事を "つい先程" の様に思い出せる様になった。素晴らしい事と言えよう、昨日では足りない。
時間はどんなに優れた経験も、言葉も、体験も、全てを忘却の海に沈めてしう、それは嘆かわしい事だから
私達はそれを常に感じていなければならない。苦痛は隣人で死は同居人、それでこそ信仰は意味を持つ。

──、忌むべき事に、私達がこの様に会話をしている間にも、君の美しい経験は過去の海に沈んでいく
だからこそ私は私の誇りを持って、君にこの祭祀場を与える事にしよう
"Triumphus Serpentis Magni"── 我らが蛇の術、その禁術の一つを



【頬に伸ばされた手から流れ込むのはイメージ、力をどのように行使すれば良いのかのロジック】
【それはウヌクアルハイの化身の一つをその身に宿す行為に等しかった。四肢に感じる痛みをそのままに】
【──、それは朦朧とする景色の中で見る幻に似て、僅かな希望を残していた】



祭祀場の名は "Magh Slé


344 : 院長中身 ◆zO7JlnSovk :2018/06/04(月) 19:05:29 ziPcAcsk0
>>340



【────、君にとっての祭祀場とはどの様な場所であろう。】



【苦痛の海に漂う貴方へと男は声を向けた。返答を期待しない僅かな悪戯心を持って】
【再びタルコフは芋虫か肉塊か、その辺の臓物の詰まった肉袋へと舞い戻った、それが道理だと言わんばかりに】
【ケバルライは歩み寄る。未だ四肢の付け根を拘束されたタルコフの頬に手を伸ばす】



そう今君はあの日の儀式の事を "つい先程" の様に思い出せる様になった。素晴らしい事と言えよう、昨日では足りない。
時間はどんなに優れた経験も、言葉も、体験も、全てを忘却の海に沈めてしう、それは嘆かわしい事だから
私達はそれを常に感じていなければならない。苦痛は隣人で死は同居人、それでこそ信仰は意味を持つ。

──、忌むべき事に、私達がこの様に会話をしている間にも、君の美しい経験は過去の海に沈んでいく
だからこそ私は私の誇りを持って、君にこの祭祀場を与える事にしよう
"Triumphus Serpentis Magni"── 我らが蛇の術、その禁術の一つを



【頬に伸ばされた手から流れ込むのはイメージ、力をどのように行使すれば良いのかのロジック】
【それはウヌクアルハイの化身の一つをその身に宿す行為に等しかった。四肢に感じる痛みをそのままに】
【──、それは朦朧とする景色の中で見る幻に似て、僅かな希望を残していた】



祭祀場の名は "マグ・シュレーフト" 君が念じたならば、その祭祀場が現実を塗りつぶす。
心象風景の具現化と言った方がわかりやすいかな、君の身体に刻まれた深い痛みの記憶
そこに残った景色が周囲の現実を改変し、思うがままに祭祀場を作り出せる

そしてその場では記憶こそが現実となる。これが "因果を逆流させる術" ── "Crom Cruach"
君は祭祀場に於いて尊ばれるべき司祭として、全ての贄に君が戴いた痛みを再現できる
摩り下ろし、溶かし、刻み、焼く事ができる。── その四肢の様に、朽ち果てるまで

──尤も、祭祀場が消えたなら傷は元に戻るが、それでも刻まれた痛みは消えないだろう


【与えられた術、"Crom Cruach" 発動と同時に "マグ・シュレーフト" と呼ばれる祭祀場を展開する】
【現実の風景を塗りつぶす形で出現する祭祀場に於いて、タルコフは能力で触れた相手へと痛みを与えるのだ】
【右手ならば右手が受けた、左脚ならば左脚が受けた痛みを──、その深さによっては腕や脚が消えるまで行使できる】

【受けた傷や欠落した四肢は祭祀場が消えたなら元に戻るが、心にダメージを与えるには十分だろう】
【ケバルライはそう語り終えると、タルコフへと微笑みを向け、タルコフは話せる余裕ができるだろう】
【──四肢は付け根から拘束され、祭祀場はそのままの様子であったが】


345 : 『INSTITUTE MELTING PROTOCOL』 ◆zuR4sSM1aA :2018/06/04(月) 20:16:24 SD5ZXnH60
>>施設側の皆様

【作戦参加者はそれぞれで話をしているようだった】
【過度な緊張がないのは良いことなのだけど、あまりにも欠如しては事態への対処が遅れることになる】
【故に多少の心配はしていたのだけど──特に問題は、なさそうに見えた】


【数分ほど歩いたのなら、裏口へと繋がる通路にたどり着くだろう】
【いかつい顔の男が参加者を施設の壁の側に並べさせる。一列で突入を掛けるためだろう】
【貴方/貴女たちは隊列の中側に位置している。先頭から凡そ10名目からといった感じだろうか】


「よし、突入の準備は整った。合図したら、突入してくれ」


【男が扉にグレネードを取り付ければ、先頭に位置する男へとそう言って】
【その男が頷いて小銃を構えたのなら、厳つい男の顔は少しばかり緊張で強張って見えて】
【3、2、1、と秒読みをする────そして、爆破。それと同時に、地下へと繋がる隧道へ飛び込む──】

【その筈、だった】


「うわぁっ!?」


【隧道の下側、施設の方から一斉に中型の蟲が飛び出して襲いかかる】
【先頭の男の頭部を喰い千切ったのなら、後続の男/女へも喰い掛かっていき】
【一瞬にしてその場は血の臭い/匂いに塗れた戦場と化す。その匂いにつられて蟲達も群がり始めて】

【統率が取れなくなり、隊列はすでに崩壊。散り散りになって、その蟲と戦闘を開始する】
【しかし蟲の数は貴方/貴女達の数十倍とかなり多勢であり、次々を身体を食いちぎられていき】
【断末魔とともに、戦場から“食事場”へと変貌を遂げる。貴方/貴女達は生き延びねばならない】


【厳つい顔の男は貴方/貴女達に数百メートル離れた所に施設の搬入口があることを告げる】
【そこに辿り着き、内部へと入ることが出来たのなら──建物図面が1つ床に転がっていることだろう】
【それを手に取り、地下リアクターへと辿り着け──初めの試練は、そこから始まっていた】


346 : アレクサンデル・タルコフ ◆ZJHYHqfRdU :2018/06/04(月) 20:21:59 IBKicRNQ0
>>344
――――我々の神聖なる職務を果たすための、尊い空間です

【返答はあった。醜い芋虫、傷だらけの肉塊、糞尿と血液と臓物の詰まった肉の袋は、喋った】
【冒涜的で醜悪な姿で、それでも厳かに】

……人の身の、なんと小さきことでしょうか。その通りです、これほどの鮮烈な体験ですらも
時の流れに蝕まれて、忘却のうちに消えていってしまう。ウヌクアルハイ様にとっては、ほんのわずかな時間のうちに

苦痛を隣に。死を共に。この記憶を、魂の奥底に
それこそが、信仰を確かなものにするための、意味を持たせるための手順であり形式……

【ジャ=ロの言葉を、己なりの解釈で落とし込んでいく。その信仰をより強固に狂的に育て上げるために】
【時の流れすら輪廻のうちに内包する蛇神と一つにならんがため。異形の司祭は、異界の神の一柱からその術を受け取った】

【魂のうちに直接流し込まれる、力の使用法。水が砂に染み入るがごとく、それを理解していく】
【カルトの最高神の化身が一つ、それを身に宿すということはカルトにおいてこの上ない栄誉であり】
【この世界にとっては、忌むべき絶望であった。永遠の苦痛の中、パンドラの箱の底に眠っていた最後の一つが如く】


"Crom Cruach"…… "マグ・シュレーフト" ……この尊い記憶を、衆生に説くことが出来る力
なんと恐れ多いことでしょう。この卑賎の身で、聖なる祭祀場をその場に現す礎となれるなどと

しかし、私は全身全霊でこれをお受けいたしますぞ、ケバルライ殿……!!
全てはウヌクアルハイ様受肉を果たすため……その職責を果たすために……!!

【ケバルライの言葉の一つ一つを痛苦と共に魂に刻み、狂った司祭は手にした。おぞましき禁忌の術を】
【相手の精神を侵し、彼らの神へ捧げるための力。ダルマの司祭が持つ、固有の結界。この世界に出来たドス黒い染みのように】

【そうして、己の責務を語る間にもタルコフは自らその力を発動させた。拘束されたままの己の四肢へ向けて】
【再び開始されるあの日の苦痛を、己の魂から決して逃がすまいとするかのように】

【術によって生み出された "マグ・シュレーフト"と祭祀場が重なり合って、その悍ましきはより濃密であった】


347 : ◆S6ROLCWdjI :2018/06/04(月) 20:25:38 WMHqDivw0
>>332 (リオシアちゃん)

【女が少女に目を向けた。そうしたら、暗赤色の瞳が、輝いた】
【明らかな喜悦の色。何を見てそうなったのか、……当然、外見だけしか見えてない】
【金色の髪。青い瞳。愛らしい少女の姿。すべてが彼女の理想通りだったから――】
【――――声を、かけようとして】


>>333 (テレサさん)

(……っげ。聖職者、しかも異端狩りときた、おまけに超絶強い、絶対強い)
(こりゃーあんまりヤンチャ出来ないな。大人しくしとこ、大人しく……)

【ひっこめた。テレサの、一縷の隙もない佇まいを見て】
【無言のまま、最後尾。足音も立てずに、自身の従者の背後をついていく】


>>341 (ギアさん)

うん。出来る限りでいいんだ、ありがとう。ミスタ・ギア――――

【そんな彼の内心を知ってか知らずか。女は人懐こく笑んでみせた】
【無垢な童女めいて明るい笑顔、陰鬱な姿形に似合わず。声色だって警戒や、嘲りの色も何もなく】
【ただ――それがひどくアンバランスにも見える。とりあえず今はきっと、敵に回るこたあないだろうが】


>>342 (アリアさん)

わ、……ありがとう、ふふ。
ねえミス、お名前伺っても? きっとそっちの方がやり易いと思うし……

【「僕はさっき言った通り、ミア、と」。にこやかにそう言う女であるが】
【発言、少し不自然だと思わなくもないかもしれない。傍にいる少女には名乗らせようとしないのだから】
【訊かれれば答えるだろうけど、そうでないなら、「それ」として扱う。そんな気配を漂わせて】


>>345

――――早速おいでなすった。じゃ、出番だよ。
思う存分戯れておいで、“レプリカ”――――≪種別:劍天使/タイプ:シュヴァリエル≫。

【飛びかかってくる蟲の群れ。女はなおも嗤いながら、其方を指差して】
【少女――“レプリカ”に号令をかける。するとレプリカも、同じように腕を上げる、無音】

【――――だったのも束の間。みちみちみち、と肉を割り開くような音がして】
【少女の白く細い腕、肉を裂いて何かが「生える」。――「翼」だった、白銀色、無機質な輝きを放つ】
【そう大きくもないそれは、避けた皮膚から迸る血液を撒き散らしながら、一度ばかり羽搏いて】

【――――――ざン、と、空気を切り裂く音。斬撃波が一閃、放たれる】
【前方に蔓延る蟲共を纏めて切り裂かんと奔るそれは、どうやら羽搏くごとにひとつ生まれるものらしい】
【……まだ、翼は腕から生えた一枚しかないけれど。肉の蠢くような音は絶えず、少女レプリカの内側から、響いている――】


348 : 『INSTITUTE MELTING PROTOCOL』 ◆zuR4sSM1aA :2018/06/04(月) 20:27:42 SD5ZXnH60
>>蟲側の皆様

【暴風のごとく、死は齎される。異形により、その身体を貪られる】
【“ヒト”の世界は美しい──誰がそう定義しただろうか?然るべき姿が、此処に投影されているだけで】
【愉悦に満ちた、神の名の元に捧げられる贄は着々と積み重ねられていた──】


「さて、施設にご到着だ。お目当てのリアクターを獲りに行くとしようか」


【ニコリと貴方/貴女達に微笑みかければ、非常用階段と標榜された扉を開く】
【何百段もある長い長い鉄の階段を、小気味よく音を鳴らしながら降りていく】
【流石に地下に潜っている人間は少ないのか、凡そその姿を見ることはなかった】

【──地下20階で、その階段は途切れていた。内部から膨大な魔力を感じる】
【此処に、狙いのリアクターがあるのだ──暗にそう教えてくれているようで】
【鉄扉に手をかけ、開いたのなら────技師や職員が十数名、避難……いや、リアクターを破壊しようとしていた】


「ふふっ、僕たちが来るって思ってなかったのかな?」
「それにしても勿体無いよ。“人類の叡智の揺り籠”を壊しちゃうなんて、ねぇ?」


【嗜虐に満ちた笑みを浮かべて、恐怖に震えるヒトを見下す】
【セラフ研究施設は、“人類の叡智の揺り籠”と自称していた筈なのに】
【自らその“揺り籠”に手を掛けようとするとは──何たる滑稽な事だろうか】


「それじゃ、始めよっか。まず手始めに──こいつら全員、蟲に喰わせてやろう」


【ワームシンガーがダガーナイフを右手に掴み、一人の職員の前に立ったなら──】
【一気に振り下ろし、その首を“斬り落とした”。恐怖に満ちた表情そのまま、重力に従って床面へと落ちていく】
【吐き気を催し床に吐瀉物を散らすもの、失神するもの──その反応は様々だった】

【如何なものだろうと、死の運命から逃れることは出来ない】
【“蟲の神”に捧げられる贄として──それほど幸せな死に方も、そうそうないのだから】


349 : ◆jw.vgDRcAc :2018/06/04(月) 21:45:00 OX.x04tc0
>>303

【実際のところ、聖母だなんて大それたものではない。彼女だってたった一人の小さな人間に過ぎず、出来ることをしているだけ。】
【奇跡なんて起こせないし、万人を救う力だって無い。ほんの少し、他人の幸せを願い、誰かの力になりたいと願うだけの……普通の、人間だ。】

【去り行く子供たちに小さく手を振る。貧しく苦しい生活の中でも、ちゃんと礼が言えるように育っているのだから大したものだ。】
【衣食足りて礼節を知るという言葉があるが、本来その通りで、生活が満ち足りていないと生きることに必死で礼儀なんて言ってられない。】
【……礼が言えるようになったのは、少なくとも食べることが、この場所で保証されるようになったからなのかもしれない。そう思えば】
【きっと、この活動は間違いではない。最初に掲げた思いは、ちゃんと実を結びつつあるのだ。そう確信出来る、光景だった。】
【子供たちの後姿を見送れば、また適当な座席に座る。どうもこの場所は、来れば必ずお茶をしている気がする……。】

ふふっ。保母というか……母親ですっ。こう見えて、お母さんなんですよ?子供の扱いなら、お手の物です!
……嘘です、たまに手を焼きます。きっとあの子たちがいい子だったから、言う事を聞いてくれたんです。
そうでは、紅茶をお願いします!私、ここの紅茶が美味しいって知ってるんですよ。

【「何度か来たことがありますからね!」とにこやかに返事をする。先ほどの久しぶりという言葉もだが、やっぱり何度か訪れたことがあるらしい。】
【そして、彼女は子供がいるらしい。道理で子供の扱いに慣れていたわけだ。撫でてあげたり褒めてあげたりする姿が自然だったのは、そういう理由だろう。】
【もっとも、本人は謙遜して、言う事を聞いてくれたのは自分ではなく子供のおかげだと言うけれど。】

【……こうして会話をしている間も、彼女は微笑みを絶やさなかった。貴女の表情が晴れないのは、感じ取っていた。】
【何か深刻なことが起きているのは薄々だが悟っている。……だからこそ、必要以上に貴女の心が暗くならないように、自分は穏やかでいなければいけない、と。】
【可能な限りその深刻な内容を、話しやすいように。それがどんな話であろうと、受け止めてあげられるように。……彼女は、ずっと待っていた。】


350 : シャッテン=シュティンゲル&アルク=ワードナール ◆auPC5auEAk :2018/06/04(月) 22:06:03 ZCHlt7mo0
>>315

――――さあ、どうだろうねぇ……
「……『彼女』の為に生きたいとか、叫んだそうじゃないか。安心すればいい……君は、立派な熱血キャラだよ……」
……ま、まぁ……お前ほどクールじゃないねぇ……

【キャラ――――自分がどんなものなのか、流石にシャッテンは言い淀み、困った様子で苦笑する】
【だが、そんなシャッテンに、容赦なくアルクは断言する――――怒りの為にグラスを握りつぶすような奴が、熱血キャラでなくてなんなのか――――と】
【――――気づかぬうちに、同じ女性に縁を結び、それぞれに窮地を救われた縁もあり、彼らもまた、形容しがたい『腐れ縁』と化している所があった】
【余談だが――――年で言えば、シャッテンの方が6歳ほど年上なのである】

正直に言えば、今は色んな事が起こり過ぎてて、手一杯だからねぇ……何でもいいから、状況は好転させたいのさ……
「……その為には、ともあれ誰かの、何かの問題を片付けて、互いに協力しなければならない……多分、それが正解なんだ……
 ……まぁ、料理に関しては、流石に……練習するしかないよね。まずは自分の食事を料理してみるところから、初めてみるんだね」

【混沌としているこの状況、どこから解決すれば良いのかさえ、彼らには見えてない。先のビジョンが、完全に不透明なのだ】
【ならば、とにかく眼前の問題に集中する――――短絡的でも、この場合それが1つの正解だろうと。たまたま知り合いとなった夕月の問題に、首を突っ込む気になったのだろう】
【尤も、たんぽぽについては――――今回みたいな助力は、流石に何回も出来たものではないのだが――――】

「……カチューシャは、本名をソニアと言ってね……元々UTのメンバーだったのに、洗脳されたのか、それとも強制されてるのか……機関に身を投じてしまったんだ
 それで、手前の相棒が……『こいつ』とは別だよ、その相棒が……今、必死になって、彼女を元に戻す手段を模索している……文字通りに、血反吐を吐きながら、ね……
 でも、元に戻るか戻らないか以前に……カチューシャは、今も破壊活動を重ねているはずだ……だから、彼女の行動を最低限に収めるために、協力してほしいんだ……
 ――――もし、どうしようもならなくなれば、その時には――――彼女も、殺すしかなくなるだろう……相棒も、認めたがらなかったが、腹の底では分かっている様だった……」

【具体的な事態を知らないらしい夕月に、アルクは手を放しながらも概略を説明する――――悪の道に墜ちた、かつての仲間】
【それを、心底から止めたいと、取り戻したいと願っている『相棒』がいて、しかし現実に「取り戻せる」かどうかは、分からない事】
【ともあれ、彼女を止めなければならず、どうしようもない時には、殺さなければならない――――既に、決して看過できない被害が、彼女によって生み出されているのだ――――事】
【先がどうなるかは分からないが、止めるにしろ殺すにしろ、その戦いはアルクと、その『相棒』にとって、大切な事なのだろう】
【――――「文字通りに血反吐を吐くほど」に、彼女の事を大事に思っているというその『相棒』は――――きっとそれだけ、個人的な思い入れを抱いている】
【それが、最終的には「殺さなければならないかもしれない」――――彼らもまた、過酷な戦いを背負っているのである】

……………………
「……………………」

【ごそごそと、それぞれに通信端末を取り出して、提示して見せる――――なんだか2人とも、若干ジト目で夕月を見つめながら】
【恐らく――――何を危惧しているのか、伝わったのだろう】

「……なんで魔術師は、文明の利器に疎いと思われるのか……ちょっと、手前には分からないな……」
昔は、本当に持ってなかったけどね……一応、仲間同士で仕事の融通とかするのに、使うようにはなったさ……

【――――『相棒』はかつて「伝書鳩とか使ってるイメージだった」などと言われたりしたらしい。呆れたように首をかしげるアルク】
【シャッテンの方は、事実世捨て人だった時代が長い以上、持っている事をそう自慢できる訳ではないと、自覚しているらしいが――――】


351 : ドープ ◆xgsUYuhzWc :2018/06/04(月) 22:09:45 Lxd3YeZA0
【──路地裏。開いたドアから入れる廃墟は、暗闇の中で光がいくらか射し込んでいた】
【それぞれの一筋には、微細な埃がラメのように美しく、】
【しかし埃と苔で、肺がじめじめとしてむせ返りそうだ】

【家具は腐っておんぼろで、何をするにも固まった埃が転がる】
【窓はバッテン印の木の打ち付け。──机には、何かの家族写真】
【そんな寂しげな家屋から、外に漏れ出て聞こえるのは大きな音。二人の男の声】

「た、助け……ッ!!」

……お前、能力者か?

「ち、違うッ!!俺は……!!」

……じゃハズレか。ポケット・ティッシュくらいの利用価値だな。
て訳で、生きたまま連行だ。アーユーオーケー?
何も心配は無用だぜ、ポアと救済に塗れたハッピースネークライフ。
どっかの偉いやつも言ってたぜ、宗教はアヘンなんだとよ。きっと病みつ……。

【──物騒なやりとりが響き、もう一方が悲鳴をあげて、家屋の奥に逃げようとしている】
【それを見ている男は──サングラスを指で掛け直し、独りごちた】

……逃げるよな。まあアニメみてえな逃げ足だこと。

【男は、蛇教の人間だった】

【髪型は、前面が刈り上げ頭に、後頭部の中腹から多量ぎみのドレッドヘアーになっている】
【その刈り上げには、大きめに真正面からの構図で蛇が口を開けた顔のラインアートが剃られていた】
【肌は黒気味の褐色。目元はサンバイザーで隠し、唇は分厚い。首には常にヘッドホンを掛けていて、】
【全体的に大柄で筋肉質。袖無しブルーグリーンのダウンに、カラフルなマリファナリーフマークがあしらわれた黒いシャツを着たていた】
【だぶついたズボンと、サイズの大きなスニーカーを履いた、まるで夜のクラブにでも居そうな黒人の男だった】
【しかしその右腕には、蛇のタトゥーが彫られている】

しっかしよお、奥に逃げても意味ねえだろうがよお……ちーっと可哀想になっちまうな。
まあ、別に捕まえるだけだけどよお……。

【ぶつくさと言いながら──奥に向かおうと】


352 : ◆S6ROLCWdjI :2018/06/04(月) 22:12:58 WMHqDivw0
>>349

【トレイひとつ、両手で抱えて戻ってくる。片手で持てるほどの技術、まだ、育っていないから】
【ソーサーを相手と自分の座る位置に置いて、それからカップ、ポットから一杯ずつ注いで――中央に置く】
【その隣にありふれたクッキーの缶。それと、ミルクの入った小瓶とレモンスライスの乗った皿】
【どっちがいいか聞きそびれたから両方持ってきて、……おしまい。ようやく少女も、椅子に座る】

おかーさん、かぁ。半分くらいは納得できるよ、……もう半分はめっちゃ若く見えるから、うそだーって思ってる。
えへへ、イイ子なのは同意だなー……まだ数回しか顔合わせしてないんだけど。
でももう綽名つけてくれたの、聞いてた? ユッキー。あたしユッキーなんて呼ばれてる、

…………夕月。って、名前。鈴音の……えと、友達。

【りん、りん。チョーカーの鈴を鳴らしながら自己紹介、「おねーさんのお名前も教えて」、って訊きながら】
【指先で転がす銀の鈴は、確かに――白神鈴音その人の、声と同じ音色をしていた】
【だからって、それが明確な証拠になるかと言われれば――そうでもないけど。とりあえず、そうしてみせて】

【紅茶のカップを両手で包むようにして持つ。そうして飲まないまま――数瞬、言い難そうに間を置いて】


……あの、知り合ってそうそう、ゴメンなんだけど……物騒なハナシ、するネ。
なんで鈴音がここにいなくて、代わりに知らない、UTの人員でもないあたしが居るの? って思ったでしょ。
鈴音は、……いま、いないの。ここ――「たんぽぽ」に、じゃなくて。

――――、……この世界にいないって言ったほうが早くて、近いかもしれない。


【一言一言、重苦しく。紅茶が立てる白い湯気を、そろそろと崩していくように――話し始めた】
【それで――「おねーさんは、鈴音のこと、どれくらい知ってる?」という、なんだかふわっとした質問をし始めた】
【まるで鈴音が何か途轍もなく大きな隠し事、それも相当な人数にしていた、と言いたげな問いだった。……視線が斜め下に向く】


353 : ◆S6ROLCWdjI :2018/06/04(月) 22:30:58 WMHqDivw0
>>350

カノジョ? 彼女ってなに、ひゅーっやるう〜っ。
めっちゃアツいじゃんソレ! あはは、ヒトは見かけによらないよネーっ

【わりとめっちゃ勘違いかもしれない。でも、その手の話は大好きみたい、年頃の少女らしく】
【ちょっと打ち解けられたかな、とか内心思って、嬉しくなった。からかうような笑み方も】
【続く話題の前にはさすがにちょっと曇らされて――目を細める。カウンターに肘をついて、頬を乗せて】

……ほんとに。色々イロイロありすぎだよ、どーなってんだろーネこの世界。
カチューシャ、……ソニア。……UTから、機関、に?
それ、は……、……たしかに、おかしい、なんてハナシじゃないネ……洗脳っつか、
そんな……存在ごとまるまる造り替えられちゃったみたいな……、

……そっか、その相棒さん。ソニアさん? のこと、本当に大切に思ってるんだ、
戻ってくると、……いいネ。あたしも祈るし、……祈るだけじゃなくて、できることならするから。

【さあと顔から色彩が抜けていく、ような錯覚。話を聞くだに、洗脳――なんて文字だけで収まるような話に、思えなくて】
【憶測でものを言う。だって本当に、洗脳されただけなら――そんな、血反吐を吐くまで苦しんでも、直らないものだろうかと】
【……具体的に洗脳されたヒトを見たことないから。勝手なイメージだったけど、そう、考えたのだ】
【そうしつつ、ソニアのこと、協力すると改めて宣言して。……自分が鈴音に対して想っているのと似ている、なんて、考えたり】

【――――まったくの偶然だったけど。彼らの言う「カチューシャ」とこの少女、全く同じ施術を受けていて】
【それによって「身体を造り替えられていた」。少女は足首から先だけだった、けど、カチューシャことソニアは、――――】
【今はまだそれに、気付く段階ではない。けれど思考の端にしこりを残して、……それが確信に至る日は、来るだろうか】

【――――話題転換。二人に端末を見せられると、ぱちくり、目を丸くして】

……あ、えっ、……あ。な、なーんだ、てっきり持ってないかと、だって二人そんなカッコしてるし……
……、……、ごめんなさーい! まったくのヘンケンでしたーっ! うう、じゃ、アドレス、それとこれ……

【ジト目で睨まれればあたふたして、それから頭を下げて。アドレスと、それから】
【先述の――「蛇神」の名が連ねてあるテキストデータもついでに渡しておく。それを辿ればひとつの団体に、きっと、ぶち当たる】
【「サーペント・カルト」――蛇を信仰する、邪教中の邪教。二人と、その仲間たちならきっとすぐその答えに行き着くだろうか】


354 : リオシア ◆qijkYF5k5g :2018/06/04(月) 22:42:39 5w/a9BZQ0
>>347

【視線を感じた──気がした】
【女と、連れている人形のような少女を見て首を傾げたが】
【すぐに前を向き直す。この世界において、戦闘力と外見の相関などは些細なものなのだ】
【そう、学んでいた】

>>345

【一行は無数の虫に襲われ、すぐに多数の死傷者が出始める】
【腹に深い傷を負った男性兵士に寄り添い、傷に手を当てていた】

あ、あなたは生きてるね
待ってて……ちょっと重いけど、我慢してね

【リオシアが手を当てると、男性兵士の傷口の血液が「金属化」し、止血される】
【これが彼女の能力、「水のタングステン化」なのだが】

じゃ、出口まで頑張って歩いてね

【男性兵士に逃げるように促し、次の負傷者のもとへ】
【こうして何人かの応急処置を終えると、次第に死者の割合が増えて行き、止血でなんとかなるレベルの負傷者は居なくなった】

あとは生き残ったみんなで、もっと深くへ……

【搬入口のルートを確保するために】
【小銃を構え、道を塞ぐ虫を一体一体、手堅く射撃して行く】


355 : ロッソ ◆KP.vGoiAyM :2018/06/04(月) 22:52:41 Ty26k7V20
>>334

だが、時間はある。麻季音抜きでそれを完成させることが出来ないんだ
…今は、他のことに目を向けるべきだ。俺たちは

ああ…だろ?だから俺はやるんだ…

【そういう彼は笑っていたが、何処かまた影を帯びているようにも見えた。もう逢えないかもしれない愛した者の為に】
【命を賭けて、戦い続けて、全身を血に染めても、状況は悪い方向に転がり続けるばかり。】
【道化師にも満たない滑稽な存在に、自分が見える時があった】

いや…憶測だ。調べるにしても本人に聴かなきゃわからないだろうしな…

【セリーナのことは探偵の想像だ。彼女の銃は確か、魔銃だったはず。もしそれが関係しているなら…と思ったが】
【その説を話すには情報は不確かすぎた。】

嵯峨野のことはゾーイからの報告に一部合っただけだ。黒幕ということには間違いないだろう。
harmony社と深い関わりがあるらしい。…今は黒幕との唯一の繋がりだ。下手は打たず、泳がせたほうがいい

【彼は厳島の差し出した名刺を受け取った。探偵もポケットから名刺を取り出した】
【赤い目の鷹のイラストが書かれている。連絡先らしいものは住所だけだ】

探偵に、ブン屋か。…骨董品の個人貿易業もなかなか使える肩書だぜ。
公衆電話から非通知でかける。…俺になにかあるときはそこのBARのマスターに言伝を。

【闇に消えるその背中を見届けて、もう一本煙草に火をつけたところで一台の真っ赤なスポーツカーがやって来る】
【彼はそれに乗り込んで、同じく街の中に消えていった。ゴーストマンに消されて、今日はなにもない一日で終る】
【タクシーはプレス工場で鉄の塊になり、吸い殻も灰となって海に消え、誰も今日のことを口にしない】

【ゴーストマンの長い黒髪だけが最後のこの場所、この夜に靡いた】

/ということで〆です!!お疲れ様でした!!


356 : 院長中身 ◆zO7JlnSovk :2018/06/04(月) 22:57:55 XhR7wdR.0
>>346

【、── "ジャ=ロ" は初めて言葉を止めた。静止した空間の様に、その表情が固まる】
【本来なら自分が施す筈、── 再びタルコフに四肢をもがれる苦痛を与え、その痛みをより強固なものにしようと】
【永劫に近しき時間繰り返しても尚、精神が繋ぎ止められる──ほんの僅かな可能性を信じて】

【しかし、タルコフ── "マルフィク" は自らその責苦を選び取る。自分で自分を縊り殺す様な真似を】
【正気にて信奉は能わず、信仰のその本質こそが狂気なり、と──】
【ジャ=ロは内心にそう思う。── 虚構の果てに消えた彼方なる現実を思って】


君ならば必ず、尊き世界を実現できるだろう。その禁術を以てすれば、世界に限りなき苦痛を齎す事が出来る、
その本質は心を殺める事にあるから、身体は生きたまま、痛みから放心する事を求めて
後に残るのは多大な畏怖心だけならば、その怯懦の中にこそ真実はある、と

ウヌクアルハイ様の受肉には生きた心が必要です、死した存在等存在するのに能わず
唯ひたすらに無垢で無辜な存在こそが、その降臨に必要なのですから
──期待しています、君ならばきっと、その役目を果たせるから


【ジャ=ロの身体が消えていく。実数と実数の狭間にその存在を溶かし込んだように、影も形もなく】
【マルフィクはどれほどの間刻まれ続けるのだろうか、その度に術式は強さを増す】
【狂気を書き連ねたその先に、救いは果たしてあるのだろうか】


/こんな所でしょうか! お疲れ様でした!


357 : ◆KWGiwP6EW2 :2018/06/04(月) 23:17:08 WMHqDivw0
>>351
【打ち捨てられたに等しい路地裏の廃墟――】
【正式に住居の手続きなどしているはずもないだろうそこは、当然官憲の手が及ぶはずもない】
【故に逃げ惑うこの哀れな男が救われることなど全く期待はできないだろう】
【当然、このカルト宗教とドラッグに執心した男の目論見もそれのはず】


【――しかし、それはこの一般人の救出を目的としていた場合】
【目的が、"蛇教の男"なのだとしたら――例え、この暗がりだろうと、こんなにも目立つ位置に彫られた蛇の刺青を見逃すはずがない】
【それが知った顔で有れば尚更なことだ】



【逃げ道のない袋小路へと逃げ出した一般人の君は、自分で打ち付けたであろう窓の木枠をどうにか破ろうと必死になっている】
【慌て過ぎて真っ当な思考もできず、爪が剥がれて真っ赤になった手で悠然と追い駆けて来る恐怖の使者を振り返る】
【大したやる気も感じない彼のテンションとは裏腹に、待ち受ける男にはそれは蛇の這いずる音へと聞こえたに違いない】
【奥の部屋へと入り込んだあなたを、男が振り返った瞬間――】


バンッッッ!!


【と、耳を劈く炸裂音とガラスの割れる音――】
【同時にその男の頭がトマトのように弾け飛んだ】
【木の打ち付けごと、吹き飛ばされた窓枠の外では――大口径のリボルバーを片手に構えた男が立っていた】


ハロー、バブルヘッド。ボクです!!愉快な髪型ごと土台が吹っ飛んで余計にゴキゲンにィ――……アァ?


【立っていた男は、アーティスティックな男のファッションとは対極の、面白味もないモノクロの装いだった】
【いや、面白いと言うのならば、そろそろ夜でさえも蒸し暑さを感じるような気候に、真冬のようなロングコートとスーツ姿の男はある意味面白いのかも知れない】
【当人に言えば立派な挑発になろうが、蛇よりも蛇のような細い目付きをあなたへと向け直して、男は窓へと近付いて来た】
【ひょっとしたら銃弾はあなたを狙っていたのかも知れないが、吹き飛ばしたのが名も無き一般人と知って、つまらなそうに鼻を鳴らすのだった】

ン、ン、ン……ハズレだったかな?
お友達の方を飛ばしちまった。


おい、おいおい、バブルヘッド。
罪無き一般人を盾にしてんじゃねェよ!
爬虫類どもには暖かい心ってのがねぇってかァ!?


358 : アリア ◆1miRGmvwjU :2018/06/04(月) 23:21:04 o6XMS57s0
>>347


「アリア。」


【視線も合わせずに、ほとんど独白のように呟いて、そうして歩みを止めることもなく、】
【ただ銀色の長い髪が煌びやかにたなびいていた。戦場には不似合いだった。けれど戦士の表情をしていた。】
【それでも決して2人、あるいは「ひとつ」と1人に、無関心ではないようで。こんな問いも、投げ掛けようとするけれど ── 】


「随分と精巧な人形ね。貴方が作っている、の ── 」


【 ── そこで、前方、悲鳴。】

>>345

「 ── お出ましね」

【おぞましい数の蟲どもが瞬く間に前線へと食らいつき、戦列歩兵の哀れなる崩壊、しかしアリアは冷淡であって、】
【やはり起伏なく呟いて、待ちかねていたように彼女は銃を抜く。コック&ロックしていた左手のマシンピストルを無造作に持ち上げ、親指でセフティを弾き、】
【 ── セレクターはフルオート、照準もそこそこに、バレルを虚空に横たえて放たれるのは強装弾の馬賊撃ち。】
【遮る蟲々を薙ぎ払うように弾幕を張りつつ、それでも近寄ろうとする蟲がいるのならば、向けるのは右手のマグナム・オート。】
【至近距離から放たれる運動エネルギーの暴力にて、造作もなく寄る波すべてを迎撃しようとする、だろう】


359 : 院長中身 ◆zO7JlnSovk :2018/06/04(月) 23:33:07 XhR7wdR.0
>>335

【── 赤い視線の切れ端で、染まる少女の思考を見ていたなら】
【彼女はきっとその歌に、どんな悲しいリリックを付け加えるのだろうか、──】
【辿られる事の無い三文芝居、エチュードには相応の、取って置きの題材を映して】


──、それでも尚、それを尚、喜劇と呼ぶのなら、なんと悲しい槿なのだろう
人知れず去ることを空華と呼び、それならば──人ならず散ることを空虚とでもしようか
貴女を見ていると、私は──、とても悲しい少女を思い出すよ


【 "Conductor" はそう言って優しく微笑んだ。友達に向けるような、妹に向けるような優しい音で】


>>348

【──、何時だって彼女はそうであった。先陣を切り戦場を支配する。任せた戦いは幾千を越え、その殆どを無傷で踏破する】
【懐かしさに "Conductor" は目を細めた。綻ぶ頬の色合いは、凄惨な殺戮の現場には全く相応しくないけども】
【その奇妙な不一致はある種確かな調和を生み、ディミニッシュが如く不完全な合致を示す】


君が歌い出したのなら、最早私が揮を握る必要性も薄いのだけれども、── 君がそう言うのなら、些か私も高揚して
不思議だね、君との戦いは何時でもそうだった。私は君に釣られて指揮を取っていた、そして
──、それはとても心地の良いテンポだったから、寄り添うようにぴたりと、私の指先に張り付いて

だから私は私の喜びを以て、君に付いていこうと思っていた


【彼女が軽く指先を振るうと蝶が舞う、その鱗粉が触れる度に近くの死体が増えていく】


360 : ◆jw.vgDRcAc :2018/06/05(火) 00:15:53 OX.x04tc0
>>352

【ミルクかレモンかなんてどちらでも構わなかったのに、わざわざ気を使って両方持ってきてくれた。】
【こういう小さな所にまで気を配ることが出来るあたり、きっと彼女は細やかで優しい人なのだろうな、と】
【だからこそ、鈴音が居ない時にこの店を任されてるのかなぁ、なんて。少し、背景を想像してみる。】
【これで、お話をする準備は出来たか。……さて、いったいどんな話を聞かされることになるのだろう。】

夕月……、はい、覚えました。夕月さんですね。
ふふっ、だからユッキーですか。可愛らしいニックネームですね、貴女が気に入ってるのがよくわかりますっ。

私は、マリア。マリア・シャリエールと申します。私も、鈴音さんのお友達で……
あとは、このたんぽぽに出資している者です。お金くらいしか協力出来てないのが、心苦しいですが……

【名乗るとともに、自身もこのレストランの関係者であるという事も打ち明ける。自分はスポンサーだ、と。】
【もし貴女が経済面も鈴音に任されているのなら、毎月一定の額が送金されているのに気づいていただろうか。】
【その送り主が、彼女らしい。本人は、本当はもっと色々協力したいらしいが……自分も忙しいため、そこまでは出来ず】
【やむなく、資金協力だけをしているのが現状。それでも、食材費としては十分な額になっているはずだ。】

【と、お互いの立場が知れたところで……話は本題に入る。切り出すのが躊躇われている様子が、よく分かる。】
【一緒にするのは失礼かもしれないが、子供が言いづらい秘密を打ち明ける時と様子が似ている気がして……】
【……ああ。よもやそんな事だとは、その瞬間までは思ってもいなかった】

――――っ!

【最初は、何か所用でもあって鈴音が離れないといけなくなった、みたいな話かと思った。けれど、事態はその遥か上を行って】
【……絶句した。表情が、一変した。今何と言ったか。この世から居なくなった?話が呑み込めない。死去した?いや、だとすると】
【「今いない」という表現にはならないはず。一体どういう事だ。まとまらない考えが、戸惑いと共に頭をぐるぐると駆け巡って】

……知っている事。……
鈴音は……優しい。……とても、優しい人だという事を、よく知っています。

彼女は、その……孤児として、小さな頃に苦しい目に遭ったと、本人から聞きました。
食べるのにも困った、と。……だから、このレストランを開いた。同じ痛みを、味わってほしくないから。
痛みを知るからこそ、その痛みを無くそうとする……そんな人だという事を、私は知っています。

【考えがまとまらないまま、言葉だけが口を衝いて出る。まだ信じられない気分で、とにかく知っている事だけ全部】

その優しさは、本物でした。鈴音は、まだ救えていないと悩んでいたんです。
食べ物だけ満たしても、救ったことにはならないって……本気で、悩んでいました。
そんな風に悩めるのは、本当に優しい人だけだって……。私は、そう思っています。

だから、きっと大変なことが起こっているのでしょう?……私には、分かります。
鈴音が、このレストランを放り出すような人じゃないって、知っているから。
一体何が起こったのですか……!

【―――真実を知っているのなら、どうか教えてほしい。半ば縋るような目線で、唇をぎゅっと噛みながら……】


361 : ギア・ボックス ◆ZJHYHqfRdU :2018/06/05(火) 05:48:04 IBKicRNQ0
>>347
あまり期待はしないでくださいね。相手の数を思えば、どこまで余裕があるかわかりませんし

【彼女が人懐っこい笑みに、ぎこちない笑顔を返す。その笑顔が明るいほど、その声色が美しいほど】
【ますますギアの疑念は膨らんでいく。かつて旧友であったカニバディールとて、正体がわかるまでこんな笑顔で接してきたものだ】

【とはいえ、戦力には変わりない。それに蟲たちは、この疑念だけにかまけていられるほど甘い相手でもなさそうだ】


>>345
【本職の軍人のように規則正しく、生き人形はその列に並ぶ。拳銃と手榴弾を腰に下げ、体内のサーベルをいつでも抜けるように意識し】
【いざ、地獄へ。そう考えたこと自体が、甘かった。ここはすでに地獄だったのだ】

な――――

【血しぶきと悲鳴、それへの驚愕はどうにか一瞬で抑え込み。人形の瞳が、戦闘者のそれへと変わる】
【まずは中型蟲が湧き出る隧道の下側へ向けてピンを引き抜いた手榴弾を、少しの間をおいて放る】

【続いて、厳つい男性の声を受けて搬入口へと向かうべく、軽い足音をもはや隠さずに走り出す】
【腰の拳銃を引き抜いて、蟲たちを次々に銃撃する。自分に向かってくる蟲、逃げる者の背を追う蟲】
【約束は守って、>>347のミアを襲おうとする蟲、>>354のリオシアが治療に当たる隙を狙おうとする蟲】

【更には、能力で隠し持っていたサーベルを抜き放ち、近寄ってきていた蟲たちを切り捨てようとする】

【とにかく、まずは図面の確保を。生身であれば血走っていただろう両目で、ギアは床の図面を探し、見つければそれを拾い上げようとするだろう】


362 : アレクサンデル・タルコフ ◆ZJHYHqfRdU :2018/06/05(火) 05:53:35 IBKicRNQ0
>>356
【まさに狂気の沙汰、人ならざる神の領域へ無理に近づこうとするがゆえの歪】
【幾度も幾度も。その苦痛を己が職務と信じ。果たすべき義務と信じて、"マルフィク"は遂行する】

【信仰の本質が狂気であるなら、救いとはどこにあるのか。そんな疑念を発する者は、ここにはいない】


はい……この力、余すところなく……尊き世界の為、ウヌクアルハイ様の為、我が役目の為に――――

【返す言葉は少なく。自らに課した地獄の中でなお、狂った司祭は信仰に殉じ続けていた】
【消えていくジャ=ロを尻目に、自身に課した修行をやり続け。そして、それをいつしか終えた司祭の義眼は】
【以前にも増して、不気味な光を強めていた】

/ありがとうございました! お疲れ様でした!


363 : ◆S6ROLCWdjI :2018/06/05(火) 08:41:29 WMHqDivw0
>>360

【「そう、マリアさん……マリアさん!?」 驚きの色。どうやら名前は、ちゃんと知っていたらしい】
【目を丸くしながらも、続く、マリアの中の鈴音のイメージについて。やっぱり晴れない顔で聞き続けていた】
【優しい人。痛みを知る。悩んでいた。ひとつひとつの言葉に、うん、うん、と呟いて】
【少女もまた、似たようなイメージを抱えているようだった。それで――片手で頭を押さえて】

【――「そこまで」知らないなら、言葉を選ぶ必要が出てくると思った。数瞬、舌を口の中でもごもごさせて】

……悩んでた、そう、それ。それをずっと抱え続けてた。
ずっとひとりで、……誰にも、言わずに。秘密にしてることがあった。
それでも頑張って、笑って、たんぽぽやってたの。やってた、……のに、

…………鈴音、ここ最近……、いやもっと前から、かも。
すごくすごく辛いことが、たくさんたくさん、重なった。
そうやってグラグラしてたところに――つけ込んでくるヤツがいたの、悪魔、みたいな……

――――――鈴音はその悪魔に誑かされて、連れてかれて、……ここから、いなくなっちゃった。

【そう、続ける。ひどく悔しげな、苦々しい顔。……悪魔がつけ入る隙を、作ってしまったということは】
【周囲の人たち、……この少女でさえ。鈴音の苦しみに、きちんと寄り添えてやれなかったということ】
【それを何より悔やんでいるようだった、もちろん、悪魔への怒りも抱いているだろうが】

その悪魔、……淫魔だか病魔だか、……神だかっても名乗ってたかも。そいつの名前は「イル」。
異世界のカミサマでもあるらしくって、この世界の――人間を駆逐しようと目論んでる。
鈴音はそいつの側に付いて、今――――人間を滅ぼすこわい神様の役を、やらされ、……やってんだよ。

【カップを持ち直す。思い返すだけで苦しくなる、……ミルクで落ち着くべきか、レモンで頭をさっぱりさせるべきか】
【迷って――結局ストレートのままで紅茶を一口、呑み込んだ。ひとく渋い味がする、紅茶の淹れ方も、まだへたっぴで】
【吐息と共に吐き出す言葉もまた、苦々しいものだった。鈴音を取り巻く現状は、さらにそれよりも、苦くて辛くて渋い味】


364 : ヴァルター=アルメクス ◆auPC5auEAk :2018/06/05(火) 15:40:58 ZCHlt7mo0
>>336

(……さて、どうしたものかな。確認は取れたが、あまり本チャンのアタックまで間を置いたら、情報の意味がなくなる。できれば、そう時間を置かずにすぐに攻め入りたいところなんだが――――――――ッ?)

【――――今回の潜入、可能な限りバレないように配慮はしてきたつもりだが。こうも腹黒い事を、厳重に行っている敵となると、恐らく完璧な隠匿は不可能だろう】
【そもそも、当のセリーナ本人が「心を覗かれる」のだ。接触の事実はどうやったって消せない。そしてそれが知られれば、敵も対処を取ってくる】
【情報は、新鮮さが命だ――――仕入れたこの現状認識が、通用する間にセリーナは助け出さなければならない――――そうした事をあれこれと思考していた、そんな時だった】

ぇ――――――――お、おいおいおいバカバカ! 素に戻ってんじゃねぇ! 恥じらうんじゃねぇッそんなリアクションするんじゃねぇよ!
その……その、なんだ……俺に悪い、俺に悪いからよ……ッ!

【急に何かに呆けた様なセリーナ、何事かと視線を向けると――――今さら、思い出したように自分の格好に恥じらいを見せる】
【今まで、半ば当たり前のこととして受け入れていたからこそ、そこに余計な意識を割かずに済んだのだが――――そうした振る舞いをされると、もう意識しない訳にもいかない】
【慌てて明後日の方向を向くと、無駄に体を緊張させて、訳の分からない事を口走ってしまう。きっと、ヘッドギアの中ではその目を閉じているのだろう】
【――――しゃがみ込んだ姿勢のまま、妙に下半身をモゾモゾとさせている。きっと、たまらなくなってしまったのだろう――――『何』が、とは敢えて言わないが……】

……全く、おっさんを揶揄うんじゃないっての……俺にいわせりゃ「若いっていいねぇ」って言いたくもなるくらいなんだよ……

【とは言え――――割合早く、男は自分のペースを取り戻した様だった。恐らく――――長らくそうした感情を持て余すほどには、若くないのだろう】
【まだ30過ぎていないセリーナの事は、正直男にとっては十分に「まぶしい」レベルだったようだ――――逆に言うのなら、男の方はそれ相応に落ち着いている年の頃らしく】

――――恐らくはちょっと違う意味だろうが、ヒーローに憧れた人間として、だ……そんな事は言うもんじゃねぇと、俺は思うぞ?

【続くセリーナの言葉を聞き届けると、改めて男は真っ直ぐにセリーナに向き合い、そして首を振る】
【真摯に、真っ直ぐにセリーナの顔を見つめ――――決して、その服装に視線を泳がせてはいけない、などと意識している訳ではない……恐らく――――自らの言葉を選びだした】

――――戦場で、間違え続けないなんて、できるもんかよ。俺たちはヒーローだ、だがそれ以前に、人間だ……
……むしろ俺は、君が羨ましかった……ヒーローに、ボランティアや神の使いみたいなイメージをタブらせてたから、俺は行き詰ってしまった……
……現実に、しっかりと折衷し立脚しながら、ヒーローをやれてた君の事を……正直に言えばな、俺は引退した後で知って、羨ましく、そして妬ましくも思ったもんさ……
――――聞くべきは、同じ世界に生きる人間だぜ? UTの仲間たちに聞いてみな「UTを作った事は、間違いだったんじゃないか?」ってな……みんな、身びいきを超えても「そんな事ない」って言うさ
それは、敵も同じだろう……命がけで戦う奴の事は、命がけで戦う奴にしか、理解できないんだ。残念ながらな……殺し合う敵の方が、世間様より……なんて事は、そう珍しい事じゃない

【――――男には、何らかの確信めいたものがあるのだろう。ハッキリとそう告げる。まるで「同じ道を通ってきたんだ」と言わんばかりに】
【ヒーローである事を諦めてしまった――――その7年間の空白の中で、彼はセリーナに、一方的な憧憬を抱いていたと言い、そしてその活動を、肯定した】
【善や悪を以って、垂直的にこの世界に理解を求めても無駄だと、無辜か戦士かと言う、水平的な視線こそが、人に対する真の理解には必要なのだとすら説いて。何か、彼の人生の上で確信じみたことがあったのかもしれない】

/続きます


365 : ヴァルター=アルメクス ◆auPC5auEAk :2018/06/05(火) 15:41:15 ZCHlt7mo0
>>336

…………!

【そして、続く『ブランル』なる敵の説明を聞き――――男は思わず息を飲む。脅威としか言いようのない存在だろう――――だが、彼には1つの手掛かりがあった】
【そして、点と点とが線で結ばれる――――その感覚が、脳内に光った。性質は違えど、そんな敵には覚えがある。そして、恐らくは――――】

……やっぱり『岡目八目』ってのは大事だな。ありがとう……おかげで良い感じの仮説が出来たよ。なるほど、な……そりゃ、あんな派手な殺しをする訳だ……多分、間違いない……!
……確かに、正面切って力押ししても、ダメなんだろう。だが、奴は不滅の存在でも何でもない。それが分かったよ……!
それに、この会社……レヴォルツィオーン社のやらかした、最近のでかい動きについてもな……ひょっとしたら、被ってくる可能性がある……!

【セリーナに対して、礼を口にしながら頭を下げる。何事かは分からないが――――男の中に、確かな考えが浮かんだようだった】
【何か、セリーナの持たない情報を照らし合わせて、彼には糸口らしきものが掴めたのだろう】
【――――異世界の邪神との戦い、そして先の『アルターリ』の惨劇、これらを照らして――――男は、不気味と言うだけでは終わらない何かを、確かにその先に見出したのだ】

――――――――さて、そしたらそろそろ……俺も失礼する時間かな
今回の情報はありがたい。そして――――君の無事を確認出来て、本当に良かった。忘れないでくれ……遠からず、君への救助のアプローチは、必ず来る……!

【――――潜入して、セリーナの存命も確認できた。そして、レヴォルツィオーン社に関する、有力な推測の手掛かりも手に入れた】
【そろそろ――――潮時だろう。男は立ち上がる。この場にセリーナを置いていく事は、後ろ髪引かれるのは事実だが――――救助なら、より確実にしなければならない】
【せめてもの励ましとなれば、と。その言葉を残して。男は両手の調子を確かめるように、グッ、グッ、と握りしめた】

それじゃあ最後にもう1つだけ――――何か、伝えたい言葉とか、希望したい行動とか、あるか……?
あるなら……責任もって届けるよ。ほんのついでだ、今思い当たる何かがあるなら……遠慮せず、伝えてくれ

【残していくセリーナに、男は最後の確認をする。何か、外に対して望むアクションがあるなら、自分が代行すると――――】


366 : 名無しさん :2018/06/05(火) 16:29:51 XhR7wdR.0
>>319

【無骨な戦士然とした貴方から漏れる変な声、その風変わりな様相に彼女は頬を綻ばせて】
【それを悟られない様に無表情を取り繕ったら、ハムスターみたいにほっぺたがふくらんでしまう】
【けほっけほっと少し咳き込んでしまった、忙しい少女である】


最近こそ活発化しましたけど、それまでは結構マイナー宗教だったんですよ、蛇教って
ですからそれを知らずに刺青を入れる人も、居るじゃないですか、それが私です
可愛くないですか? こう見えてもスタイルにはとても気を遣ってるんです、可愛いでしょう?

『Freak Fes』っていう食堂ですよ、何勘違いされてるんですか? 仕事の時はちゃんと着替えますし
それとも、いかがわしい仕事をしていて欲しいんですか、まぁ殿方ってば皆様ほんとお好きですね
そんな発情期の獣であるまいし、そんな事ばっかり言わないで下さいまし


【近づいてきたテイワズに見せつけるように、右の手が胸の下辺りからするりと降りていく】
【なめらかな腹部の曲線、抱きしめたら砕けそうな華奢なトルソー、陶器のように艶やかな質感で】
【羽毛の様な柔らかさと、絹糸の様な肌触り、そうして指先で示す刺青】

【──、そんな誘うような事をしておきながら、言ってる言葉はそんな音律だもんで】

【賢明なテイワズな気付くかもしれない。彼女に刻まれた刺青は、真新しい質感があった】
【蛇が活発化するより前に入れたにしては、随分と瑞々しくて】
【嘘をついている、と感じるかもしれない】


367 : ラベンダァイス&アーディン&リベル ◆auPC5auEAk :2018/06/05(火) 19:51:00 ZCHlt7mo0
>>337-339

〔――――負うた子に教えられ、と言う奴かな……いや、別に背負った覚えはないが……確かにそうだ
 俺が折られはしない限り……確かに、奴らの領域など、許しはしないさ……許している、場合ではない……!〕

【自分の弱気を、カニバディールの言葉は思わず払拭してくれた。しかも、自分の言葉を引用する形で。思わず苦笑しながら、アーディンはなお力強く頷く】
【後ろ暗い社会に身を置きながら、思えば自分の戦いは、常に何かを守るものだった――――なら、それが世界になったって良いだろう】
【そこに、物怖じする必要はない――――確かに、その通りなのである】

――――愛の形も、人それぞれですね――――こうして、全部が塗りつぶされようとしてる状況で――――皮肉なんでしょうけど、良く分かります――――
{そうねぇ……少なくとも、こんな事を白々しくやろうとしている連中より、あなたたちの方が可愛げがあるのは、確かよね……}
〔悪である事の自由、か……普段なら、何事かとも思うが――――2人の言う通りだな。そんなものさえ保証されなくなれば、今のこの事態に行き着く――――鏡写しの破滅だな……〕

【悪には悪の矜持がある。以前なら、それを戯言だと切り捨てていたのがラベンダァイスとルヴァだろうが――――ついにカニバディールは、それを行動に表して見せたのだ】
【そして、そうしなければ――――彼ら『黒幕』の1人勝ちは揺るぎ無いものになってしまう。ならば、自分たちもそれに応えなければならない】
【ここにはもう、善も悪も無い。ただ敵と味方があるだけだ】

〔――――心得た。確かに伝えよう……そして、こいつらもこいつらで、何かを掴めたら連絡を入れるだろう……そうだな、ラベンダァイス、ルヴァ?〕
――――勿論です。UTは守ります。そして、その先に活路を開きます――――
{後方支援気味になっちゃうでしょうけど……まぁ、頭数には数えててもらって結構よ?}

【情報と人脈――――アーディンの強みが最大限に発揮される場面は、今こそ正念場という事なのだろう。ラベンダァイスとルヴァも同調して】
【以前――――「公安相手には、流石に情報は難しい」と言っていたアーディンだが、糸口があるなら別だ。確実に自分の役目を果たそうと約束する】

〔……お前さんから見たら、あの街以下か。つくづく……吸い寄せられた連中に、怒りが沸くと言うものだ……冷静になれば、少なくとも異臭ぐらいには気づけただろうに……ッ
 正直を言えば……奴らには、死んでもらいたいな……夢に酔ったまま、幸せに、な……〕
{そうねぇ……でもダメよぉ、暗黒時代の到来を、阻止しなきゃならないんだから……来ちゃったら、その時はお終いなのよね……}

【確かにその通りかもしれない――――アーディンも頷いた。少なくともグラトンは、正面切って戦っていた】
【その事実を、今の『黒幕』のやり方と合わせて考えれば――――そこには、まだ「潔い」とでも言うべき評価は残るだろう】
【そして、そこに吸い寄せられていく短絡的な民衆に、アーディンは冷酷なため息をこぼす――――理想と共に、死ねばよいと】
【――――後世から見た世界。そこで「暗黒時代」と言われたらお終いだと、ルヴァは挑発的な笑みと共にリプライする。それをさせない事が肝要だと】

〔……1つの勢力の為に、何百万と言う犠牲者が出たのも……考えてみればとんでもない話だな。かつてのヴェイスグループでさえ、そしてグラトンでさえ……せいぜい4万人ほどじゃなかったか?〕

【地獄のような光景が繰り広げられた過去――――それは何度かある。だが、その規模が桁違いだ。アーディンは記憶の中の騒乱を思い返してみる】
【水の国、ホウオウシティ。そして雷の国、セードムシティとブレザシティ。前者は32000人弱、後者は約30000人。無論甚大な被害だが、それでも「その程度」なのだ】
【桁が2つも乗って人が死んだ、アルターリの惨劇――――それを思うと、ため息しか出てこない】

/続きます


368 : ラベンダァイス&アーディン&リベル ◆auPC5auEAk :2018/06/05(火) 19:51:14 ZCHlt7mo0
>>337-339

――――私も、私も尽力します。私を戦力として迎い入れて、良かったのだと――――そう、言わせて見せます――――ッ!
奴らは、必ず殺す――――必ず、必ず――――ッ!!
私は『ソニア』を知りません。でもそのやり様は許しません――――許せない、許せるはずがない――――『存在』ならば、許せるはずがない――――ッ!!
「ら、ラベンダーちゃん落ち着いて! そんなに叫んだら、またお腹の傷がッ」
リベルちゃん――――傷なんてどうでも良い。まだ私は生きているッ! そして私と奴らが生きてる限り、この気持ちは消えたりしないんだッ!
〔……止めておくんだ、リベル……そうやって叫ぶのも、吐き出すという行為だ……今は、好きにさせてやれ……〕
「っ……は……はい……ッ」

【ラベンダァイスの怒りは――――際限なく、そう言ってしまいたいほどに燃え上がっている。虚しいはずの瞳が怒りに燃える――――それは、忌々しい輝きとなって】
【止めようとするリベルの声も、静観するアーディンの姿も、ラベンダァイスの念頭には入っていない。ただ、カニバディールに対して、怒りと態度表明をする事しか――――】

【――――端的に言えば、それは「危うい」ものだった。そもそもが、嘔吐しながら謝礼の態度を見せるという時点で歪だ】
【その激しい怒りが、徐々に無軌道なものになっていかないか――――そんな不安を抱かせるほどの姿だろう】
【そう、それこそトライデントを彷彿とさせるような――――そして、こんな不安定なラベンダァイスに、トライデントの様な狂気的な制御ができるとは思えないのだ――――】

〔……思想を言うなら、それは受け入れるしかないだろう……そこの否定をすれば――――それこそ、『黒幕』の鏡写しだ……
 そこに、どう折り合いをつけていくのか……世界に対してだけじゃない、我々が、我々自身に対して、課されている試練だとでも、思うほかない……〕
{うーん……そんな破廉恥な子なのかしら……まぁ、そこまで入れ込む人がいるくらいなら、さぞ可愛い子なんでしょうけどねぇ……}

【ソニアとカチューシャの綱引き――――確かに頭の痛い問題だが、明確な答えを、周りの人間が用意する事はできないだろう】
【それは、妥協して、衝突して、そうして解決していくしかない――――でなければ、『黒幕』と同根の行いにしかならないのだ】
【何気なく、ルヴァの呟いた言葉には――――誰も反応はしなかったが】

〔……奴の力に期待しよう。あんな、女なんて知らないようなヤンチャ青年が、ああも愛を叫ぶとは……何か、起こせるかもしれん
 ……甘い夢に酔えるわけではないが、あの若々しいパワーがな……何か、期待させられてしまう――――答えが出れば、最高なのだが……〕

【もし、その『知り合い』がカチューシャをソニアに戻せるのなら、問題にも答えは出るだろう。まさか「カチューシャに戻せ」とまでは言えないはずだ】
【奇跡が、こんな場面で都合よく起こるとは思えないが――――その『奇跡の元手』のようなものならあるのだろう。どこかまぶしそうにアーディンは思い出す】

〔……適材適所だ。勿論最適はお前さんなんだろうが……俺だって、十分に役に立って見せるさ。恨みや憎しみなら、俺だってもう慣れている……それに、スナイパーには俺みたいなタイプが一番だ……〕

【ソニア――――もとい、カチューシャはスナイパーライフルで持って戦う相手と聞いている。なら、スピードとアジリティで攻める自分こそ、最適な相性だろうと】
【いずれにせよ、一番望ましいのは――――そんな決着をつける必要のない事なのだが】

〔――――よし、良いなラベンダァイス……リベル、ランド、ルヴァ?〕
――――勿論です
「はい……」

【指輪をはめた手を、カツンと互いに打ち鳴らして、3人は団結を誓う。そして視線を向けて――――カニバディールにもそうしろと催促しているのだろう】
【――――異界の神々の出現。鈴音との関係崩壊、そしてそれらを結ぶカルトの台頭――――難題はさらに山積していくが、少なくともこの時、彼らは気概に満ちていた――――】


369 : シャッテン=シュティンゲル&アルク=ワードナール ◆auPC5auEAk :2018/06/05(火) 20:19:34 ZCHlt7mo0
>>353

……付き合ってる女性って意味じゃないさ。そういう人は……いたけど、死んじゃったからね……
「……手前も、シャッテンも、すごく世話になった人がいるんだよ。八攫 柊と言ってね……シャッテンは、自身の命を、手前は、その『相棒』の命を、助けられたんだ……
 ……でもシャッテン、君は本当に『彼女』の事を、思慕していないのか……?」
さあ……どうなんだろうねぇ。大切な人だと思うのは確かだよ……でも、それが恋愛感情なのかなんなのかは……
「――――手前の『相棒』も、同じ事を言っていた。そして今じゃ、「必ずソニアを取り戻すんだ」だよ……ひょっとしたら君も――――」
ッ――――良いから、そこのところはどうでも良いだろう!?

【女性に対する代名詞ではなく、交際関係にある女性の事かと夕月に聞かれれば、シャッテンは首を振る】
【それを、アルクが補強する。シャッテンには、力を尽くして支えになりたい、自分と同じ恩人がいるのだと】
【――――まぁ、そっくりな事情が色恋沙汰になった例を、アルクは知っているので、シャッテンには同じく揶揄いを入れて、シャッテンは照れながら無理やり話題を打ち切った】
【――――かつて、恋人の死を経験したと口にしたが、それを笑いで無理やりに流すように。恐らく、夕月に対して気を回したのだろう】

――――洗脳、存在を作り替えられた、か……ふざけた話だよ。そこに人の命の輝きなんて、尊厳なんて、無いじゃないか……!
「……作り、替えられた……か……いや、どうだろうか……あり得ない話ではないかもしれないが……できるのか、そんな事が――――?」

【いずれにせよ、シャッテンにとっては許せない話だ。それは、人の命に対する最大級の冒涜で、シャッテンは、それを憎む事を土台に、戦いに身を置いているのだ】
【一方のアルクは、ふと考え込んでしまう――――突飛な話だとは思うが、常識が通用しないのがこうした陰の荒事である】
【或いはその可能性を、真剣に検討してみるべきではないか、と】

「――――豹変して、ハッキリと分かったそうだよ。「俺は彼女を愛していたんだ」とね……だからこそ、つらい様だった……
 そして、だからこそ火がついてしまったんだろうね……必ず元に戻して、その時には、自分の思いを必ず伝えるって、ね……」
――――色恋沙汰云々はともかく、僕もそうだ……できる範囲で、協力はさせてもらうよ……

【無くせばこそ、価値の分かるものがある。アルクは物憂げに、『相棒』とカチューシャ――――ソニアの事を夕月に話す】
【その彼女の為になら、何をしても――――そんな事を愛の文句にする人間は多いが、彼は、まだ伝えていない愛の為に、本気で命をかけているのだろう】
【――――それが、実を結ぶかどうかは分からない。それを分かっているからこそ、アルクの表情は暗い。それが滑れば『相棒』の気持ちも折れてしまいかねないと、憂慮しているのだろう】

「……この格好のまま、パソコンでも使ってみようか……そうすれば、思い込みも減るんじゃないかな……」
まぁ、仕方ないねぇ。でも……確かに受け取ったよ。アドレスと、情報……

【なおも「魔術師は文明の利器に疎い」と言うステレオタイプに首をひねるアルクをなだめながら、シャッテンは受け取ったそれを整理する】
【重要な指針となる――――それを、彼らの思考と知識、そして仲間達との繋がりを以ってすれば――――ある程度の真実まで、たどり着くのはそう難しくないのだろう】


370 : ◆S6ROLCWdjI :2018/06/05(火) 21:36:48 WMHqDivw0
>>369

【「死んじゃったからね」――その言葉で、あっやべっ、みたいな顔をして】
【それからフォローされているのに気付く。まだまだ修行が足りないな、と内省反省しながら】
【アルクが、聞きようによってはシャッテンをからかっているみたいにも見えるのにケラケラ笑っていた】
【こういう話がいつまでも続けばいいのに。……続けるためにも、いっぱい頑張らなくちゃ。そう、決意して】

……、でき、るよ。そーいう、技術ばっかり発達させて――ヒトのココロを持ってない、
最悪なヤツらはごまんといるの。その中にきっと、ソニアさんに手を出したヤツがいるかもしれないし――

【できるのか、と言われれば、何故かそこだけははっきりと肯定する。心当たりがある素振りを見せて】
【しかも、そういう手合いの輩はこの世にいくらでもいると。暗い瞳でそう語るのだ】
【まるで当事者であるかのように。実際、そうなんだけど。……あんまり言いたくないことだった、嫌なことばかり、思い出すから】

…………うん、うん。わかるよ、……あたしも今、鈴音に対してそう思ってる真っ最中だし。
それが愛だろうが恋だろうがそうじゃなかろうがどうだっていいよ、感情だよ、感情。
強く強く想ってるなら、……あたしはそれの応援がしたい。ね、アルクさん、その相棒さんに伝えといてよ。

【「応援、してるって。それとあと協力もするって」――冷静に、理性的に思考する能力が欠けている分】
【感情による行動に対する理解は、人一倍強かった。夕月は、そういう少女だ】
【あるいは年頃の少女なんてみんなそんなものかもしれない。恋愛、甘酸っぱくてキラキラが大好きな年頃】
【だからこそ。それをバカにする輩は誰だって許さない、その誓いだけは、しっかり保って】

ご、ごめんってばあ……そっそーだ、魔法使えるスマホとか開発してみれば!?
こう、アプリひとつで転移魔術が起動できます! みたいな! ファンタジーと科学の融合的な!?
……はい、調子乗りすぎましたゴメンナサイ。ん、じゃあそれ、周知よろしくネ。

【相っ変わらず思い付きだけでことばを口にするばっかり。ははは、と苦笑いを顔に貼り付けつつ】
【――これで互いの持ち得るもの、交換っこは終わったろうか。既に日は落ちて久しい時間帯、じき酒場の夜も始まるだろう】


371 : ◆D2zUq282Mc :2018/06/05(火) 23:08:30 JY1GydDk0
>>348

【カツ、カツと規則正しく音を鳴らせるのは小気味良い。何時までも途切れることが無ければ良いのに】
【しかして、何事にも終わりは訪れる。途切れた階段。鉄の扉の向こうから、尋常ではない魔力を感じる】

【扉を開いたその先には狙いのリアクター。そしてリアクターを破壊しようとする人間達の姿】
【護れぬならば壊すのか―――実に、愚かしい。やはり、狂った『知性』だ。それも度し難い程に】
【嗜虐に歪む指導者の笑み。愉悦に染まる指揮者の笑み。そんな中、抑圧者が滲ませるのは不快感】
【起伏に乏しい表情。その表情に微かな険しさが眉間の皺となって現れた】


―――……それが、人間だ。自分達で、…作っておきながら、……自らの手で壊す。
その思考を導き出し、行動に移すのが狂った『知性』。愚かさの……象徴だ。
……狂った『知性』が創ったにしては、上等なものであるのに。狂気……ここに極まれり、だ。


故に壊すならば。――…貰い受ける。お前達には、……過ぎた代物だ。


【リアクターを破壊しようとした人間達に向けて"抑圧"の性質を持った水を浴びせる】
【すると、リアクターを壊そうと腐心していた人間達の動きが鈍くなり、次第に身動ぎ一つ取れなくなった】

【ノインの能力に直接的な殺傷能力はないものの、この場での行動不能は致命的だ】
【蟲達に食われるか。それとも蟲に恭順する自分以外の人型の餌食となるかの二者択一】
【死に至るのが速いか遅いかの違いしかない。どちらにせよ死は逃れられない定めである】


372 : 厳島の中 ◆zlCN2ONzFo :2018/06/06(水) 02:34:58 6.kk0qdE0
>>348

「ワームシンガー様……心のままに……ご命じ下さい」

【他数名の蟲の使徒達と共に、階段を降りてゆく】
【非常階段と称されたそこを、彼女に従い延々と下って行く】
【是までに積み上げられた死も、死体も、最早心を動かすことは無かった】
【鬼の様に、修羅の様に、もはや贄作りと称される殺戮行動にジェノサイドに、もはや迷い等無かった】

「ここが……」

【やがて一行の歩みは地下20階をもって停止する】
【リアクター、間違いなくそれはそこにあり、そして魔力の膨大な流れがそれを証明している】

「……」

【やがて、扉の先には数多くの職員や技術者がリアクターの破壊を試みようとしている】
【最も、ワームシンガーの言う様に、愚かとは感じなかった】
【軍事的に見れば、極めて正しい選択であり行動だったからだ】

「大人しく、していれば……」
「死ぬことも無かったのに……」

【一筋の光も無い瞳を向けたまま、感情を動かさずに引き金を引く】
【その場リアクター周囲の職員、技師に向けて、短機関銃を無差別に放つだろう】

「ワームシンガー様の御手を煩わせる必要など、ありませんよ」


373 : ◆3inMmyYQUs :2018/06/06(水) 08:35:25 LevMp5MM0
>>151

【アルファがベータでイプシロンで──】
【そこに交錯する二人の言語は、傍目には意思疎通というよりは】
【全く異なる宗教の信者がそれぞれの経典を没頭して唱えているようにも映ったかもしれない】

【それでも両者の間にある程度の共通認識が生まれたのは違いなかった】


【──世界という、箱】
【麻季音の零したその呟きは、青年の身震いと重なって、折悪く彼の耳元へは届かなかった】
【丁度、放たれた電子がスリットの間を通り抜けたかのように】
【しかしその分だけ、彼女の言葉は意味深な含みを場に刻んだようでもあった】


【──────】

【「ックし……すまない」】

【地下へと向かう道中、彼は人跡未踏の遺跡へ踏み込む探検家のように、】
【神妙さと好奇心のない交ぜになった様子で周囲を忙しなく見回していた】

【やがて現れた本殿、一見無軌道に書物やらの散逸した空間の中に、】
【彼はしかし何らかの情報的な統一性を感じ取って、ほ、と間の抜けた感嘆の息を漏らした】

──これは……なるほど、そうか……

【何に納得したのかは知れないが、そこでややぼうと見とれてから】
【出されたコーヒーを、礼を言うと共に両手で包むように受け取って、一口啜った】
【少しだけ顔を顰める。──苦い。飲み慣れぬ飲み物。だがその香ばしさは嫌いではなさそうで】

【彼は麻季音の語りを受けると、静かにマグカップをテーブルに置いて言った】

──おおよそ、貴女の思考している通りで間違いは無い。
まあその、利用したことは事実だ──

【それ以上、弁解も何もない】
【ただ決まり悪そうに頭の後ろを掻いて】
【そうしてから投げられた様々の問いに、彼はようやく思い出したようにハッとした】

あ……そうか。
こちら側では、まだ名乗っていなかったか。

【何か特殊な事情を伺わせる呟きと共に、】
【彼は新製品のラッピングを剥がすようにして眼部の布を取り去った】
【そうしてある種の愚直さすら滲ませる程に澄んだ両の眼差しが、少女を見据えた】


僕は……──エヌだ。
今はとりあえず、そう呼んで欲しい。

それで、僕が何者かというのは…………
…………──すまない、僕にはまだ全てを開示する権限がないんだ。


【彼は駒を盤上へ指す棋士のように、一つひとつ言葉を選んで、少し長い話を始めた】

──僕には貴女に伝えなければならない情報が沢山あるけれど、
でもそれと同じか、それ以上に、“話してはならない”ことも多すぎるんだ。

……僕は今、ある『組織』の下で行動している。
けれどその存在も、それが何であるかも、今はまだ、明かすことが出来ない……

【それが何とも歯痒いというように、彼は眉根を寄せてやや視線を逸らす】
【余白を設けるように数瞬、間を入れてから、再び麻季音へと眼差しを戻し】


──今、貴女に伝えられるのは、僕と僕たちは、
とある事件の〈黒幕〉を追っているということ。

その解決のために、貴女をどうしても〈黒幕〉から匿わなければならなかったということ、
そして、ある『重要な手段』のために、貴女の協力が欠かせないということ、だ────


【それが最も大事であると示すように、一区切り一区切り、歯切れ良く言った】
【のだが、そうしてからすぐに、また何か困ったように眉尻を下げ、やや低くこうも呟いた】

ただ、その……そうは言っても、
貴女が僕を信用するのに十分な情報を、こちらから提示できないというか……

僕は、決して怪しい者ではないんだ。

……いや、でも客観的に考えるとこれは怪しいのだろうか……
何も素性を明かせない訳だし……参ったな、何と言えばいいんだ……
その、怪しくても、敵、ではないというか──

【「いや、しかし、君を銃で撃った訳だから信憑性が──」】
【しどろ、もどろ。先の滔々とした解説とは打って変わり、】
【伝えたいことに熱が籠もる余り、口先から出てくる言葉が自身でも気付かぬうちに拗れていく】

【のだが、そこでふと思い付いたように言うだろう】


──ああ、そうだ! 僕は、鈴音の友人なんだ。
会えば分かる。きっと僕の身元は彼女が保証してくれるはずだ。
鈴音がいれば、話はずっとシンプルになるはずで──

──そういえば、鈴音は? 今日はいないのかい?


374 : ドープ ◆xgsUYuhzWc :2018/06/06(水) 19:04:22 Lxd3YeZA0
>>357

【ふと、──気配は感じ取った。しかしそれが〝誰なのか〟までは分からなかった】
【とはいえ、彼は目の前で獲物が〝爆ぜた〟映像を──眉を顰めて見つめていた】
【思わず呟いた。──何故なら、会いたくなかった相手】
【ドープにとっては、猛烈に会えたことが〝ラッキー〟であると同時に、〝バッド〟】
【それはドープが〝悪〟であるから?──しょうみ、それ以前に、普通に怖かったからだ】


──〝ツイてねえ〟……。


【ああ、くそ。〝今日はツイてなかった〟。何故なら彼は個人的に最恐最悪の相手】
【胸いっぱいの嫌な気分。まるで相手の色彩とは正反対な、カラフルなポッピングアイスのようなハッピーな皮肉】
【ただひとつ〝ツイていた〟とすれば──ズボンの尻ポケット、そこに「注射器セット」が入っていた事か】

(……今キメとかねぇと、マズイなこりゃあ)

あーあー……、オマエは学校のチャイムより規則正しく喧しいぜ。お決まりだな。
オレァ不機嫌だよ全く、全く持って。スゲー怒ってる。
何だってテメーみてえなイカレトンチキと出会わなきゃならねえんだ。
どうせなら可愛い女……、……いや、……もう女はしばらくいい……。

だとしても、だ!!何だってテメーが此処にいやがる!!
オレをバブルヘッドだの何だの、コレはオレのチョーイカしたファッション!!ファッションなの!!分かる!?
テメーの方がある種派手なんだよ!悪趣味なデスサイズみてーなツラで悪趣味な死神の格好しやがってよお!!

【流石に前回、とある小悪魔氏にめちゃくちゃ言われていた事がだいぶ響いていたらしく】
【さまざまな回想を想起し、青い顔で首を振って。何やら服装に関して必死に弁解してから──】
【彼に向けて指をさす。──蛇教その他、さまざまな悪に対して悪名を轟かせている相手】
【彼も数度、会ったことがある。──名前を告げずに居ると不名誉なアダ名を付けられた相手】

ともあれ、ともあれだ!!──オレの獲物何殺してんだ、このイカレ白髪野郎ッ!!
リコリスのマッズイグミ食った気分だクソッタレ──いやハズレだったから良いけどよお!


……グレイヘアー。テメーいつまでオレ達ストーキングしてるつもりだ?


【あえて名前は、言わず。──髪型の事を言われたので、お返しに〝白髪〟と揶揄する】
【彼に向けて露骨に苛立ちをぶつけ、左手でサングラスをかけ直す】
【彼がつまらなそうに鼻を鳴らすのを見て──ドープも一般的価値観を抱いている為に、少々眉をひそめる】
【〝クレイジー〟だと思う。言葉にするのなら──世間一般から見るような、〝シンプルな正義〟ではない】

【動揺に頭がぐらつきながらも、喋りながらも】
【ここまで時間を掛け、ゆっくりと右腕を後ろへ動かしている──その動作は気付かれそうなものだが】
【……右手の指先が注射器に触れる。そのままクン、と引っ掛けて引き上げようと】


375 : ◆KWGiwP6EW2 :2018/06/06(水) 22:27:46 WMHqDivw0
>>374
【頭を失った男は――そのままぐらりと、その場に倒れ――ない】
【その身はまるで内側から、虫に食われるかのように、飲み込まれ、その場から消え去ってしまう】
【彼へと跳ねた返り血さえ、残ることはない】
【そんな男など初めからいなかったと言いたげに】


【そして事実――男はもう視線すら向けなくなった】
【生きていても死んでいてもその身を活用する"彼ら"のような宗教団体にとって、嫌がらせのために身に着けたと語るその力】
【だからこそ、男の場違いないでたちの中でも一際奇妙なのは、全身で堅気ではない空気を出していると言うのに】
【男には死臭は愚か、血の臭いさえしないのだ】


――"ツイてる"な。
今日はもうお前で――ン、何人目だっけ?
ダメだ覚えらんねェよ。どこで勧誘してんだか、増え過ぎだぜ。
そんなに上等な洗剤でも配ってんのか?

それともオタクの蒲焼の神様はそんなに香ばしいんですかァ?


【彼が先に何を体験したのか知る由もないが、女はいい、と語る様子にもう一度、今度は多少愉快そうに鼻を鳴らした】

【この男が多少でも会話を試みる相手は多くない】
【大抵の場合は、話しかけることもなく見敵必殺】
【――喋るは喋るのだが、ただの独り言なのだ】
【会話が通じないと言う意味では、今もどれほどの違いが有るのかは分からないが】

ク、ク、ク……ッ、どこぞの女に踏まれて鳴きでもしたのかい?
構わんだろ、宗教にハマる奴なんざ、どいつも暴力亭主に尽くす雌みてぇなもんだろうが。


【いつまで追うのかそんな言葉を聞いているのかいないのか】
【一拍だけ置いて、男は空いた片手で自分の髪を引っ掻く。彼が揶揄した白い髪を。ガリガリ、ガリガリと】

だから、ナァ?臭くて眠れやしねぇんだよ。
そのイカレたファッションセンスを生み出す脳味噌ごと、キレイさっぱりこの世から消え去っちまってくれよ、バブルヘッド。
人間モドキの乱造品ども。お前らは"間違い"だ。この世にいる意味が分からん。
そーいうの、気持ち悪いだろう……ナ?

【ガリガリ、ガリガリ、頭を掻き、皮膚を破り、白い髪は半ば赤くなる】
【そして肩を竦めるように、同意を求めるように、そう呟き――呟いている最中に唐突に右肩目掛けて発砲した】
【あなたの動きを読んでいた?定かではない。単に会話の途中で普通に撃つ気になっただけかも知れない】


だからッ!お前らは打ち切り御免ッ!!蒲焼先生の次回作にご期待くださいッ!!


376 : シャッテン=シュティンゲル&アルク=ワードナール ◆auPC5auEAk :2018/06/06(水) 22:51:39 ZCHlt7mo0
>>370

(――――気にしなくて、良いのさ。もう、10年近いくらい時が、経ってしまったんだからねぇ……)
「(まぁ……あまり、気を遣わせるような事じゃ、ないよね……)」

【夕月が、内心で自分の言葉を地雷だったと焦っている事は、彼らにも伝わったのだろう。だからこその、他愛ない言葉の応酬だ】
【実際――――既に、遠い過去となりかかっている程の、昔の話なのだ。それをいつまでも引きずるつもりはない】
【が、それをそうと言って見せたところで、恐らく夕月には気を使われてしまうだろう。それ故の、笑いだった】
【――――実際には、結構シャッテンはアルクの言葉に焦っていたのだが】

「――――1つだけ言えるのは、もしもそれが本当で、それを行った人間を見つけたなら……手前は、許しはしないという事だね
 ソニア……だけじゃない、手前の相棒の心まで、ああもボロボロにさせられたんだ。死の際の絶望を救う、じゃない――――最大級の絶望と一緒に、地獄に叩き落してやるよ……!」
「(……知っているんだな。間違いなく――――見聞きしている、或いは……――――ともかく、聞き出すにはきついか……)」

【――――魔術師とは、時に禁忌に触れる事もある類の人間だ。そんなアルクをして、その技術は「忌まわしい」と思わせるものがあった】
【そして、それを悪事に使っている――――ましてや、自分の知人たちが苦しめられた――――人間がいるなら、アルクは『魔術師として』許さないと、宣言する】
【死の苦しみを救うために――――逆説的に、死について追及し続けてきた魔術師である彼の怒りは――――苦痛に満ちた死を相手に与えることだって、出来るのだろう】

【――――そうした怒りの言葉を吐きながら、一方で心の冷めた部分は、夕月の妙な言葉について、考え続けていた】
【言い淀んでいるような口調。その割に、言葉自体は確信を持っているような断定的な響き。つまり――――良く知っているが、詳しく口にしたくない、という事になる】
【恐らく夕月は、直接的にそれを知っている。誰か、近しい人間でもその被害にあったのかもしれない――――】

「……そうだね。人にそれだけ思われるっていう事は、大事だ。……そして、そうやって思われている人間を侵す事は、許せない……」
そうだねぇ……僕だって、柊の事はやっぱり、今も思っているさ、力になりたいって……こんな命の冒涜、許せるもんじゃない――――!
「……確かに。八攫だって、そう思うだろう……」

【当事者として、その感情に共感し、また関係者として、その態度に共感した。大切な人の為に戦う――――かつてなら、陳腐だとも思っただろうが】
【それに苦しむ知人を見ると、良く分かるのだ。それを解決してやりたいと思う心が――――アルクも、そんな自分の変化を知り、しかし戸惑う事はなく】
【同時に、そんな誰かの支えになりたいというのは、シャッテンにとって同じだった。自分の命を救い、全ての命を慈しみ、苛烈に守る八攫 柊の姿を知って】
【その支えになりたい、助けになりたいと――――見失っていた自分の命に、再び意味を見出したのだから】

「……いや、手前こそ済まない。少し可愛げなく拗ね過ぎたみたいだ……ともあれ、通信は大丈夫。そちらも何かあれば、連絡をくれれば良い」
――――何だったかなぁ……前にどこかで聞いたような……。まぁ、それはどうでも良いかな……

【あまり夕月を困らせても仕方がない。アルクもようやく平常の態度を取り戻し、夕月に謝りながら、自分もアドレスや情報のインプットにとりかかった】
【そんなアルクの横で――――夕月の口から出まかせのアイディアを聞いたシャッテンは、妙に首をかしげている。どこかで似たような話を聞いたのだが――――閑話休題】

――――あぁ、もうこんな時間だよ……
「っ、そうか……そうだね。今日はそろそろ失礼しよう……夕月、今日はありがとう……そっちに何かあったら、言ってくれ
 逆に、こっちに何かあったら……その時は、お願いするよ」
じゃあ、料理頑張るんだねぇ……!

【頃合いを見て、席を立つ2人。改めて呼び止める事がなければ、そのまま店を後にするのだろう――――】


377 : 名無しさん :2018/06/06(水) 23:13:13 lUF8U5QI0
【蛇教――――、図書室、のような部屋】
【壁一面の書架が窮屈な圧迫感を与えてくる場所、その代わりに欲すれば世界中の知識さえ、掌の中に納められそうな空間だった、多種多様な本が収められて】
【その書物の一つを真っ白な指先がついと選んで抜き取ったなら、――まるで生娘が犯されたみたいに、ぽっかり、空いた穴がどこかわびしくて】

…………――あれ、読みましたね、これ。

【聞こえたのはぱらぱらっとページをめくっていく音、それからふっと気づいたような呟き声はスズランの香りみたいに甘く冷たい気配がした、ささめく声が紡いだなら】
【――けれど、それこそ壁いっぱいの本棚と無数の本が、彼女の囁き声を吸い取っていってしまう。――しゅんと声が消えてしまったみたいにも思えた、錯覚だけど】
【ううんと小さく漏れた声――ぽっかり空いた悲し気な穴にぴったりと本が戻される、そうしているのは――少しだけ背の高い少女だった】

【透き通るように淡いウィステリア色のロングヘアはポニーテールから派生させたお団子に似た形に結われて、ゆるん、と、細い毛が今にも髪ゴムから溢れてしまいそうであり】
【真っ白な肌によく映える鮮やかなマゼンタ色の瞳は何か読んでいない中で興味の惹かれる本はないかと探す――だけれどあらかた読んでいるのか、視線は移ろうばかりで】
【どこか風呂上りのような恰好だった、少しサイズの大きなTシャツにホットパンツ――といっても部屋着の――、となれば真っ白な素足、惜しげもなくさらけ出して】
【――だけれど有名でもあった、この少女はよくそういう恰好で出歩いていると。かといって露出趣味があるわけでもなくって、単に、無頓着、あるいは楽なのが好き】

片っ端から読めばよかったですね、それこそ左上から全部……とか。
正直どの本も背表紙に見覚えがあって――、

【すこし退屈げに背中で手を組んだなら。右手の真っ白と左手に刻まれた精巧な蛇の入れ墨が対比になってよく映えた、視線を本棚に向けたまま、ひた、ひた、歩くなら】
【独り言のトーンが部屋の中に漏れていく、――眠る前に読む本を見繕いに来たんだった、これもこれである意味日常の光景、よく、遅い時間にこの部屋に出入りしていると】
【噂っていうよりもずっと身近にみんな知っていたから。――それにしたって無防備すぎた。安心できる家で過ごすかのようであったなら、――きっと彼女にとっては、文字通り】

【ゆらり揺れる髪から透けて見えるうなじの白さ、真っ白な肌は化粧をせずとも血色を透かして頬を赤く見せて、緩めのTシャツ越しにも分かる、ふっくらした胸元に】
【きちん、とくびれた腰からお尻までのラインが続いて、まーっしろな足元、本当にほとんど全部見せているから――思春期らしい拗れた無垢さが見当たらなくって】
【ならばどこか大人のようにも見えた――だけれど、それは何度確かめたって大人ではない、少女らしさであって。そういう不完全な一瞬を切り取ったみたいに、朧気な刹那を】
【けれどその左手の蛇が何より色鮮やかに引き立てた。――とにかく部屋は当然無施錠であった、誰が来たっておかしくない、ていうか、勉強熱心だって、褒められるんじゃないかって】

/予約のやつです!


378 : ドープ ◆xgsUYuhzWc :2018/06/06(水) 23:17:36 Lxd3YeZA0
>>375


──だああッ!!ああ゛……ッ!!い゛……ッ!!


【右肩に向けて発砲、──現状、能力を使用していない状態であり、】
【相手の所作を見抜き、危険察知からの反射行動。急いで体を捻るも、右肩の肉がビッ、と抉られる】
【とはいえ貫通は免れた。右肩がじわじわと痛みと熱を帯び、血を流す】

(……オレも、あんな風になるのか……?)

【──過ぎる思考。先ほど消滅した男。ドープは、彼の異能のその存在だけは知っている】
【殺した人間が跡形もなく消滅する能力。この世に残るものは、己の遺物のみ】
【先ほどの善良な隣人は残念としか言えないが──自分自身がそうなると思うと、ぞっとする】

【動かすのにも支障は無いが──怪我は怪我。痛みに歯ぎしりし、それでもなお】

……、よォ、グレイ。オレァ、カバヤキ神って言われても怒られねえ性分じゃあるが
ほかの信仰者にソレ言ってみな。一発でリンチ、ついでに〝マトリョシカ〟だぜ。
オマエのカッチョいー肉体が哀れにもがくサマを見たいもんだなぁ……!!

【注射器を持つ。左腕の注射に刺す。この瞬間、そのシンプルな動作に心血を注ぐ】
【この最高にハイな相手から出し抜く為には、自分も同じくらいゴキゲンになる必要がある】
【──彼はドープにとって、〝危険〟。自分が言うのも何だが、〝イカれてる〟】
【その上で、彼が出した結論。蛇教が喜び、要注意人物の敵も殲滅出来る〝理想論〟】

だからよぉ、グレイ──オレァ、テメーを連れてく……!!
オマエをプレゼントボックスに詰めてカバヤキにプレゼントしてやるよお!!
その頭テッペンにロウソク立ててやるッ!!ショートケーキ野郎ッ!!

【さきほどよりも勢いよく喋り出している印象を受ける。脳の中がスッキリして、体の感覚がハッキリと動き出す】
【一方の相手は、撃鉄を。悪を屠り、そのカタチを滅し、哄笑する】
【一方の相手は、祈りを。悪に縋り、そのカタチを写し、そして】


──〝Divine〟──ッ!!


【ぐらりと酩酊した。己の背後に信仰が忍び寄る音がした】
【両腕を勢いよく突き出し、まるで蛇のカタチになるかのように重ね、その両手を向ける】
【その際にドープの纏う〝オーラ〟が見え始めるだろう──それが集約し、小型の蛇が5体ほど彼に向けて発射される】
【それら一体一体は、それぞれ銃弾で搔き消える】
【もしパグロームに着弾したならば、噛み付いて傷を作って消えるだろう】

【その間に──既にドープは駆け出していた。次のアクションを起こす為に】

(蛇に戸惑ってる間に〝Moments〟で一発殴りたいところだが──)
(だがアッチはイカれたトリガーハッピーだ、銃弾受けまくっちゃタマんねえ……!!)

【攻撃と防御。その策を走りながら練る】
【迫り来る蛇、そして敵。パグロームの次の行動は──】


379 : ドープ ◆xgsUYuhzWc :2018/06/06(水) 23:19:39 Lxd3YeZA0
>>378
/バグった……
/それぞれ銃弾でかき消える】です!


380 : 院長中身 ◆zO7JlnSovk :2018/06/06(水) 23:20:38 XhR7wdR.0
>>377

【 ──『彼女』は苛立っていた。近くに儀式の日を備えながらも、計画の準備は順調と言い難い】
【焦れば焦る程に空回りする様相はある種喜劇じみていて、それだって彼女の気に入らない所】
【そして何よりの不満点は──、多くの人間が、自分の側に居ることだから】


あのさ、何仕事もしないでボーッとしてんの? それでよく信者名乗れるよねぇ
仮にも"オフィウクス"の一人ならさっ、こーんなとこで油売ってる場合なの?
ほんっとニンゲンって少し甘くしてやると、すーぐつけあがるよねっ、学ばないったらありゃしない

なんか言い訳でもすんの? するならどうぞ御自由に、キミの信仰心なんてその程度なんだろうけど
ひょっとしてボクの事知らないとかないよね? 鈴ちゃんに一番近いボクの事
あぁ、ほんとイライラするなぁ、ニンゲンの臭いが辺り一面にぷんぷんしてるし


【小柄ながら豊満な身体を大きく露出した、ホルターネックのビスチェ調の黒いビキニ】
【同色のローライズのショーツ以外は、白く肉感的な素肌を晒している少女が背後から声をかける】
【セミロングの藍色の髪の毛にはアホ毛が一本だけ揺れて、真紅の瞳を濡らす】

【背中には悪魔羽根が揺れて、彼女が人間でないことを伝えるのだろう】
【ピッタリとお尻に張り付くショーツから飛び出した、悪魔の尻尾がキュートに揺れたなら】
【長い睫毛がこれでもかと言うぐらいに、愛らしい雰囲気を創りだす】

【──、彼女の事を知っているかは分からない、初対面である事は確か、だが顔と名前ぐらいは知っていないとおかしくない】
【貴女が今日まで殆ど不眠不休で贄を集めていたのは事実であった、今この時間は束の間の休息で】
【間が悪いと、言わざるを得ない状況であったが──】


381 : 名無しさん :2018/06/06(水) 23:47:21 lUF8U5QI0
>>380

【――――彼女にはそういう気があった。入れ込むときはすごく入れ込むのだけど、一日の中でどれだけ短くたって絶対的に自分だけの時間がないといけないタイプ】
【それはほとんどの場合こうやって本を選んで自室で眠るまでの短い間に読む、それが別に昼間のどっかのカフェとかだって、いいんだけど。――ただ"それ以外"のこととなれば】
【最低限に生きるため以外のことはほとんどウヌクアルハイのため捧げていると言って不足はない、――マゼンタが一つ瞬いた、それから相手へ向いたなら】

【その瞬間にきっと瞳にあるのは訝る色合い、自分にこんな口の利き方をするのは、まあ、同格であるはずなのだけど。そうでなかったら、これどころでは済まない】
【ならば果たしてその視線の先に居るのは見覚えのある人物であって。けれど明確に顔を合わせるのは初めてなのだろう、少なくとも、お互いがお互いを理解するほどの距離感は】

……あれ、ラサルハグェさん。

【――それはあるいは相手の様子を伺うのに似ているかもしれなかった、ぱちりと瞬き一つ二つ重ねて、相手のことを呼んだなら】
【相手が誰であるかは理解して、けれど、その熾烈さには少し面食らったように見えた。それでも全く気付かないほど、冷静じゃないわけじゃなく、むしろ、褪めていたなら】

――――――学びもまた一つの励む術だと思いますよ、芥のような我が身であれど――あればこそ、知識や教養なくてはより高みに至るには遠いですし。
至上たるウヌクアルハイ様を信仰するにあたって、くだらない人間のままでは不足です――私こそがそれを許さないでしょう。そしてウヌクアルハイ様も赦してくださらない。
それであれば、限られた命のうち、ほんの一時を勉学に費やすことをお許しいただけないでしょうか? ――もちろんこの命、そのすべてを捧げる腹積もりですから。

【だけれどそれは怯えだとか躊躇うなんて仕草とは違っていた、一瞬言葉が途切れたのはやはり驚きに似て、状況を整理するのに似ている刹那】
【蛇染めの左手、ひどく華奢な指先が自身の口元へと添えられたなら、鮮やかな蛇と接吻する様に似通っていた、それならひんやりした温度まで分かるよう、唇の色合いだけ目立たせて】
【ひどく初心な無垢の色合い、化粧をしていないのに――だからこそ少女性が浮き彫りになるみたいで。相手の完成されたかわいらしさに比べたなら、物足りないけど】

ええと、私に何かご用命でしょうか? すみません、今日は朝から出ていたので、連絡があったりしたならば、気づきませんでした。

【――どこか冷たく見える造形の顔を少しだけ申し訳なさそうにしてみせた、言葉は本当の色合い、そして実際、彼女はほんの一時間しないころまで、外に出ていた】
【そうして戻ってきて、ひとまず入浴を済ませて、軽い食事、それから、眠る前に、本を見繕いに――ならば、情報は遮断されていたに近く、そうでなかったとしても、】
【落ち着いた場でじっくり読み解くような時間はなかったのだろう、少なくとも今このいっとき、心当たりはないです――って顔をする、程度には】


382 : 院長中身 ◆zO7JlnSovk :2018/06/06(水) 23:59:20 XhR7wdR.0
>>381

【この世界は理で満ちている。全てが法則に従い、それは明日も明後日も限りなく変わって行かないものだから】
【明日もまた太陽は上り、朝が訪れ、当たり前に夜がくる、そんな理が──、】
【通じないからこそ不条理と人は言い、理不尽と呼び、其れを無常なるものと蔑んだ】


は? 当たり前じゃん、家畜に智慧なんていらないでしょ、キミ達は信仰を集める獣なのにさぁ
それが厄介な知識でも付けたらどうすんの? ねぇ知ってる? 賢くなった愚民は何奴も此奴も反抗するんだよ
偉大なる神の存在を疑って、挙げ句の果てには馬鹿みたいな言葉で煽動する訳なんだけど

それともキミはそれを狙ってるのかな? その媚びへつらう様な顔の下に野心を隠して
狙いは金? 人? 地位? ニンゲンなんて皆んな皆んな欲に塗れた俗物だもんね
何か言ったらどう? そう思われたくなかったら、馬車馬の様に働けよ豚


【──、その事すらも許さないと彼女は言ってのける、余りにも暴力的な言葉が踊る】
【怜悧な目元に冷たい色を浮かべたなら、肉感的な唇から柘榴の様に真っ赤な舌を覗かせて】
【言い放つ言葉は余りにも厳しく、僅かさえも寄り付く隙を見せずに】


──、最近さぁ、贄を生きたまま持ってこいって言ってんのに、殺して連れてくる愚か者が居るんだよね
言ったことをそのままやるのが二流のやり方だけど、言ったことすら出来ないのはどうすればいいと思う?
ねぇ? 勉強して賢い賢いキミなら分かるんじゃないの? ねぇ、教えてよっ


【そっと顔を近づけて、貴方の耳元へとその小さな顔をちょこんと置いて、そう言葉を告げた】
【──、贄を殺して連れてくる、貴方には心当たりがあるか、或いは貴方の部下がそうしたか】
【何れにせよその内容は詰問であった、僅かばかりの言い逃れも許さない】


383 : ◆XLNm0nfgzs :2018/06/06(水) 23:59:32 BRNVt/Aw0

【繁華街から少しばかりずれた路地裏。月明かりしかない暗い路】

【がしゃん──】

【何かの音が響いた】


【それはあまりにも恐ろしげな鬼事】
【ふらつく足を文字通り懸命に動かして走る赤ら顔】
【背後に迫り来るは不気味な"鬼"】

【等身大の鉄の骨組み、だった】
【辛うじて判る部分から推測するに恐らく機械製の人形──所謂アニマトロニクスで】
【とはいっても原形が何だったのかまでは分からないが】
【そんな骨格しかないそれが血のこびりついた身体を動かして酔っ払いの男に迫っている】

【──切っ掛けは些細な事だった】
【暗い路地を歩いていて、ぶつかった幼子をどやして】
【ただ、それだけだったのに】
【何で、と思案した刹那酔っ払いの男はつんのめり汚ならしい地面に転がる】

……ねぇ、どうして逃げるの?
【不意に聞こえる小鳥のような幼い声】
【その声の主はアニマトロニクス、ではなくその傍らに立つ一人の女の子】

【アッシュブロンドの腰まで伸ばした髪に、血にまみれた入院着。半ば虚ろな桃色の瞳が見開かれて】


折角"パレード"に"ご招待"してあげてるのに、ね?
【不満げな声色】
【アニマトロニクスは斧を携えた腕を高く掲げ、男の身体へと降り下ろそうとする】


384 : 院長中身 ◆zO7JlnSovk :2018/06/07(木) 00:10:51 XhR7wdR.0
>>383

【── 束の間の春を謳歌し、雨が降りしきる。誰かがそっと梅雨入りを告げたなら、曇天が当たり前になって】
【皆きっと忘れてしまう。厚手のコートはクローゼットにしまい、透けたワンピースを取り出して】
【忘却は果てなく、時はあどけなく、それでもきっと、気を許したのなら】



【──── 吐く雪は瞬く間に、世界を覆い尽くす様に】



      【" 少女 "が降り立つ、振り下ろされる斧の背に立つ様に】



【男の首が斧で絶たれるだろう。少女は爪先に体重をかけて、貴方の持つ斧に力を加える】
【そうして遊具から降りるように斧から飛び降りたなら、振り向き加減に横顔を向けて】


【プラチナブロンドの長い髪、朱が差したマリンブルーの瞳、白銀のロザリオを首筋に垂らして】
【零れ落ちそうな豊満な胸を、大きくはだけさせた黒いスーツと短いタイトスカート】
【スラリと伸びた両脚をストッキングで包む】
【白いコートを袖を通さず羽織り、高いピンヒールを履いた、どこか儚げな横顔が印象的な少女がそこに居た】



──、素敵な最期、と思わない? 可愛らしい子猫ちゃん、不相応な玩具を持って夜のお散歩?
だったらね、カチューシャは注意しなきゃいけないの、一人で出歩くにはもうすっかり遅い時間
悪い狼が群れを組んで、子猫ちゃんの首筋を狙ってるの、細くて真っ白で、柔らかな首筋を

狼は乱暴に貴女を倒して、そして思うがままに欲望を向けて、無惨に散るのがその運命
でもね、被虐の中に悦びがある様に、弄ばれる事にこそ本懐があると、貴方は言うの
──、だから私は笑ったの、こうして初めて、喜んでもらえるって気づいたから

首を落とされた殿方は何を思って、それはさながら中世の処刑に似て、革命の信徒でも、あったのかしら
或いは唯の偶然に、不運に巻き込まれ死んだのなら、それはさぞかし後悔があったのでしょう
それなら私は貴方にとっての、不運かしら、── 子猫ちゃん



カノッサ機関 "No.3" ──、カチューシャ

貴方の可愛い声と口で、私の名前をどうぞ舐って


【彼女はそう言って無表情の水面に僅かばかりの漣を零す、指先を浸した様な僅かな波紋】
【それを誰が微笑みと見抜けるだろうか、ほんの少しだけ傾いた口元に】
【──、絵画を思わせる一瞬、永遠を閉じ込めたようにゆっくりと】


385 : ◆KWGiwP6EW2 :2018/06/07(木) 00:23:26 WMHqDivw0
>>378
【拳銃とは言え、大口径――直撃すれば肩ごと吹っ飛んでいたかも知れないが――しかして彼の咄嗟の判断により、そのダメージは致命とは行かなかった】
【苦痛に身悶えするあなたの様子に、男は唇の端をニィと釣り上げた】
【そう、彼らの神を侮辱しようものなら、それこそ"お話にならない"】
【狂信者達は、怒り狂って男を抹殺し、神に捧げようといきり立つだろう】
【だが、彼はそうはならない――男が、彼に対して多少なりとも会話をする気になるのは、そこだ】

【――彼は"狂って"はいない。少なくとも今の時点では】


いいや、"いなかった"ぜ。
そんなに短気な奴ァ、一人として"いなかった"。


【そして男の視界に入った狂信者達は片っ端から消して来た。男に取って、それらはもう存在しないことになっている】
【銃弾で撃たれた彼は、それでも自らの身体に注射を打つ――傍目で観ればそれは蛇神の加護だとでも言うように、彼の周囲に奇妙な空気が流れ始めた】
【挑発を繰り返す男だが、決して目の前の"能力者"を侮ってはいない。男の小さな眼はギョロリと動いて、その動向を捉えている】
【纏っているオーラから勢い良く射出された蛇は五体――】

お前は痛がりだよなァ、バブルヘッド。
知ってるかい?お前らに限らず、狂信者ってのは痛いのも、怖いのも、そこまで気にしないんだぜ。
目の端ピクピクさせて、筋肉もキュッとしてやがるのに、やせ我慢しててな……可愛いだろう?ク、ヒ、ヒヒヒ……

【銃をぶっ放した直後でも、戦闘に入った最中でも、世間話は継続しているらしい】
【飛び掛かる蛇は、恐らく撒き餌――こちらの弾と動きを制限させるように配置されている】
【その攻撃の破壊力に絶対の自信が有るのなら、恐らく彼自身は接近してくるまい――ならば本命は】

さァ、どこに連れて行ってくれるってんだバブルヘッドォ!!
ブァァアアアァァカ!!いる訳ねーだろそんな神様!!


【男は徹底して自分しか信じていない。サーペント・カルトの絶対的な象徴、"ウヌクアルハイ"――その実在が信者達の妄想であれ、或いは確かにこの世に顕現せしめるものであれ】
【そんなことは関係ない。男は信じていない。だから存在しない。理屈はそこで完結しているのだ】
【舌を出して更なる侮辱を行いながら、男はズカズカと接近して行く】
【接近する蛇達が一斉に噛みついて来る。腕に脚にと、肉を裂き、牙を食い込ませて来る。一匹――二匹、三匹、四匹……五匹目は喉笛を狙ってきたので、それは金属製の義手で、薙ぎ払った】
【隙が有るとしたら、その瞬間――】
【しかして、迂闊ではいけないだろう。男の片腕に握られた銃は、フリーなのだから】


386 : 名無しさん :2018/06/07(木) 00:43:50 lUF8U5QI0
>>382

【――ざわりと肌の粟立つような感覚があった、それは果たして恐怖だったのか、怒りだったのか、よくは分からないのだけど】
【ラサルハグェの言葉は一つ一つが並大抵の人間が聞いたこともないような鋭さを持って、ならばそれは血みたいに赤い、だけど澄んだ、けれどえぐみのある、柘榴の果実のよう】
【宝石か硝子のビーズのように美しいのに口に含んだならえぐみと種に悩まされる。そういう温度感に似ているみたいだった、――マゼンタ色が相手を見つめる、一瞬】

――――――――それ、はっ、

【その瞬間に彼女のどこか冷たい様子で整ったバランスは崩れた、マゼンタ色をぐっと細めて、睨むような色合いになる、かぁ、と、頭の中が熱くなった錯覚がして】
【心当たりは、あった。それも、嫌というほどに。――賜った力を、彼女はまだ使いこなせていなかった。それは修練/習練が足りぬせいなのか、挙句の果てに殺してしまう】
【生きたままを探ろうにも加減を扱いきれない、そうしてそうであれば、――少し前までの彼女みたいに、ただ、ただ、生きたまま、持ち帰って来る方がよっぽど"よかった"】
【――そう言われてしまって仕方ないかもしれなかった、それくらいに最近の彼女は殺してしまう。ならば無様だった、賜った力を使いこなせず、徒に振るうだけなら】

【顔が――というよりは、身体までもが、強張る。それは底知れぬ谷を覗き込んでしまった時みたい、何も見えない深淵の方が、よほど慈愛に満ちているって思わせるよう】
【そしてその様相はどこかあのケバルライにも似通う気がして――睨むような目を中空に向けてぎゅうと歯を噛むならば言い訳も言い逃れもしない、しようがないときの表情】
【そんな顔をしたなら、彼女は少女でしかなかった。どうあがいても十七年しか生きたことのない人間の顔、――少しだけ強いのは、それが、ひどく悔し気であったこと】

――ウヌクアルハイ様の存在を疑るはずなどありません、っ、その存在を与太だと嘯く無知蒙昧な人間こそ、最上位の教育が必要でしょうっ――、
金も人も地位も私には必要ありません――! ウヌクアルハイ様の御許に行くこと、それ以外でこの命を消費するつもりだなんてありません!

…………――もう、すぐにでも、"再び"、生きた贄を用意します、出来るように――なってみせます、絶対に――っ、

【真っ白な肌が無色の水面だったなら、食紅を一つまみ落とされたかのようだった。その顔がぱーっと赤くなって、吐息と言葉を喉に詰まらせたよう、つっかえつっかえ、返す】
【それでも相手の言葉に弾かれたような強さがあった、心底そう思っているんだと"普通"ならば思わすような。その指先がぎゅうと自分の服の布地を掴んだなら、それは、奇しくも】
【――――――"あの少女"が不安に駆られてやるのと、同じ仕草。この少女の場合は、どうしようもない怒り、に似たものを、そこにぎちぎちに詰め込んでいるのだけど】

【それは肯定だった。自分が贄を殺して"しまって"いる。それは故意でなくとも結果は同じだった、なら言い訳はしなくって、ううん、きっと、それをする気もなくて】
【すぐにでも――という言葉は、だけど、今じゃどうしたって出来ない、という言葉でもあった。すぐにでも。――いつまでに、と、具体的な数字を出せないくらい、その程度には】
【けれど同時にそれができるまで自分を許さないのだろうとも思わせた――ああでも。それでもきっと。まだ。そうだとしても。――彼女はまだ人間の域を超えては、しまわなくて】


387 : 院長中身 ◆zO7JlnSovk :2018/06/07(木) 00:53:18 XhR7wdR.0
>>386

【──、とん、と貴女の身体を押し倒す。きっと羽毛の様に軽く倒れてしまうのだろうけど】
【懐かしさが込み上げてくる、かつての日々を彼女は噛み締めて、そう言えばいつもこんな風にしていた、と】
【押し倒したなら鼠径部の辺りにちょこんと腰掛ける、こうやって見下ろすのは何時ぶりだろう、なんて】


へぇ、待たせるんだ、自分の失態で散々迷惑かけておきながら、まだ待ってほしいだなんて言うの?
あはははっ、どーこまでオメでたい脳味噌してんの? 呆れて何も言えないよっ
ひょっとしてさぁ、オフィウクスの一つに選ばれたから私は特別だなんて思っちゃってるワケ?

私はこんなに尽くしてるんだから、少しは許して貰えるだなんて思ってるの?
ねぇ、キミが信じてる、心の底から信じてるウヌクアルハイ様はそんな生温い存在でいいの?
信者が仕出かしたミスをなあなあで許す様な、そんな曖昧な二流の神様でいいの?

──、良くないよねっ、正しき神様は、正しく信仰されなきゃいけないよね?
だったらさぁ、キミみたいな不敬者は罰されても仕方ないよね?
何とか言ったらどうなの? これでもまだ惨めったらしく言い訳でもするの?


【まるで接吻でもするかの様に顔を近づけて、何処までも神経を嬲る言葉を重ねる】
【尖った刃で少しずつ心を抉るように、何度も──】


ばぁーか、キミに次がある訳ないじゃん、罰としてキミは此処で散々虐め抜かれて殺されるんだよ
ケバルライも何考えてるんだろうね、こんな無能に禁術二つも渡してさ
ほら、分かったなら、── とっとと処刑される準備しなよ

──私はウヌクアルハイ様を裏切った背徳者ですって、言いなよ


388 : ◆XLNm0nfgzs :2018/06/07(木) 01:01:20 BRNVt/Aw0
>>384

【斧が降りる刹那、その背に降りた影。それは機械人形の手元を狂わすには十分で】
【落ち行く軌道、それはギロチンの如く赤ら顔の首を落とす】
【酒の所為か、はたまた駆けた為か。緋色は勢いよく地面と斧の刃を濡らして】

【こてり、と少女の首は傾げられる】
【月明かりに照らされたプラチナブロンド。白いコートの袖が揺れるのも手伝って】

【てんしさま、みたい──】

【少女の口はぽかりと空いて、ため息が漏れ出して】

【声をかけられれば少女ははたと気付いたようにアニマトロニクスとその手元を見やり、最早肉のホースか悪趣味な噴水かといった様で緋色を噴き続ける物体に不満げに「あーあ」と声をあげる】

お散歩、ではないのよ
私はただこのおじさんを"パレード"に"御招待"してあげようって思ってただけなの
でもこれじゃあ"お歌"も歌ってはくれないわね
【もう喉がないのだもの、と少女は少しだけ頬を膨らませて】

カチュー……シャ……?
てんしさまはカチューシャってお名前なのね
カノッサ機関……ふふっ、聞いた事はあるわ
お外にはそんなこわーいわるーい人達がいて、言う事を聞かない悪い子は連れてかれてバラバラにされちゃうの!
【貴女が名乗れば少女はその名を囀ずる。そうして、機関員である事を聞けばくすくすと笑いながら何処かで聞いたらしきお話──恐らく親が子供をしつける時の脅し文句なのだろう、を語って】

……でも全く怖くはないのよ?
私は化け物なんですもの
そんな人だって"パレード"に"招待"しちゃえばいっぱい"楽しんで"くれるんだから
【ねえ、そうでしょう?と少女は傍らのアニマトロニクスに声をかけて】


389 : 院長中身 ◆zO7JlnSovk :2018/06/07(木) 01:16:35 XhR7wdR.0
>>388

【──、ピンヒールの踵が鳴り響いて。叩く音律は夜露がアスファルトを鳴らす様に】
【彼女は貴女を見つめる。ふわふわとした天使の羽根の様に、歌う声は賛美歌に似て】
【プラチナブロンドの前髪をそっとかきあげて、呼吸をする様に瞬きをした】


そう、パレード、──それはとても、素敵な調べなの。カチューシャも何処か遠くで、聞いたことがあるの
子猫ちゃんはパレードがお好きなの? 招待だもの、そうあって然るべきとも思うわ
可愛い可愛い子猫ちゃん、貴方なら、羽毛を敷き詰めた椅子の上、ちょこんと座ってお姫様気分

ええ、そうね、きっと──、そんな景色を描いていたのでしょう、とてもお似合いなの
そう、お外にはね、悪い人が沢山いるの、子猫ちゃんは幾らまで数字が数えられるの?
貴女の小さく可憐な両手の指を全部使っても、いいえ、ぷくりと膨らんだ足の指を使っても、まだ、足りない──


【そう、それほど多くの。と彼女は言葉を置いた。紅茶色した唇に潤んだ色合いは蜜の慕情、とろりと零れる乳白色】
【目尻が蕩けるマリンブルーの果てに、純白雪の頬を擽る長い長い睫毛の旋律】
【悪い人に自分を重ねてか、或いは──、悪い人が重なる自分を、思い出してか】


化け物の子猫ちゃん、本当かしら、カチューシャの目には可愛い可愛いお人形さんしか映らないから
ふふ、もし子猫ちゃんが化け物というのなら、カチューシャは妖になってしまうの、それはそれで仲良くなれるけど
ねぇ子猫ちゃんはどんなパレードをするの? 明るく煌びやかな、お姫様の様なパレード?

それとも夜の様に大人びた、ゴシックのパレードかしら。それだったなら十分に飾り立てなくちゃ
今の子猫ちゃんの格好は、慌てて飛び出してきたおてんば娘さんだもの、可愛いほっぺたに紅を付けなくちゃ
そうして貴女を飾り立てて、漸くパレードは完成するの、世界をご覧じて、見せましょうなんて──


【カチューシャは唄う。何処までも甘い、心地の良い音律を、垂らす愛を惜しげも無く重ねて】
【向き直ったまま立ち止まる。軽く腕を組んだなら、零れ落ちそうな膨らみを強調して】
【小首を傾げて、指先を唇に沈める。何度かその指先を舐るように──】


390 : 名無しさん :2018/06/07(木) 01:35:26 lUF8U5QI0
>>387

【――ああでも、彼女は、違った。あんまりに違いすぎた。とろりと滴るみたいに薄い藤色の髪も、冴えた紅紫色も、全部が違って】
【おんなじであったのは、相手のしぐさに敵わず床に転がされていることだけ、真っ白な肌だけは、少しだけ、似ているようにも見えたんだけれど】
【あの少女よりも背が高くって、身体付きも整っている。大人になれない身体を見つめて涙することもないだろう、――だって、彼女は、当たり前に大人になれるから】

【"誰か"が欲しくって欲しくって仕方がなかったものを、彼女は持っているから。――彼女だけじゃない、生きとし生けるもの、ありふれた命は、みんな、持っているもの】
【――――だからそれを間違いで壊されてしまった彼女は、芽吹いた瞬間の祟りに呑み込まれて、今では、自分が何であったかさえ、分からなくなりかけて】

【ラサルハグェ――イル=ナイトウィッシュ、あるいは、"イルちゃん"にはきっと今も聞こえてるのだと思う、鈴の音の声が、ずっとずっと、ずっと、泣いている】
【はじめは自分がどうなってしまったのかもわからないみたいだった。そのうちに"ここ"がどこなのかと怯えるようになって、自分の身体がないことに気づいて――】
【自分の形が少しずつ分からなくなって。そしてイルが"そのため"に動くようになってからは、――今度は、少しずつ、少しずつ、自分そのものが、分からなくなりだしている】
【――譫言みたいな声が、聞こえているんだと思う。永く存在する神々を混ぜ込まれて、生まれたばっかりの、萌え出たばかりの小さな神様には、かないっこなくって】

――――――――ッ、あなたこそっ――、数多の宇宙を呑み干し、新たなる宇宙を創世される、ウヌクアルハイ様が――、
そのように不寛容な神だと思われているのですか、――それこそウヌクアルハイ様への侮蔑にほかなりません、っ、
"生ぬるい"のではなく、――――っ、

【それこそ恋人同士のように顔同士が近くなる。そうしたら少女は息を詰まらせてしまって、――けれど、負けないから、よっぽど気が強いらしい】
【――それでも"それ"を呼ぶのなら、あるいは、"命知らず"だなんて言えるのかもしれない言葉が連なっていく、何より少女は、"二人"のことを知らないし】
【ラサルハグェのことはもとより、――白神鈴音についても、簡単なデータを見ただけに過ぎない。それがもともと何であろうと、蜜姫かえでという人間には、あんまり関係がないから】

私は力不足でありました。であればこそ、より一層の忠義を尽くすほかありません、――罰で死ぬ不名誉に私の魂は耐えきれませんから。

【――――だからこそ、なのかもしれなかった。知らないから、知っていないから、相手の言葉の劇烈さを辿ることが出来なくて】
【――あの神を"鈴ちゃん"と呼ぶ意味を、せめてもう少し考える余裕があったなら、何か違っただろうか。――多分あんまり変わらなかった、かもしれないけど】

………………――――――お断りします。そのような言葉に従うくらいならば、私はここであなたを殺します。ラサルハグェ……いえ、イル=ナイトウィッシュ。

【凄惨なまでに鮮やかなマゼンタが瞬いて相手を睨みつけた、――本当にそうしかねないくらいの色合いはあって、色素の薄い彼女だからこそ、そのコントラストが鮮烈に映えて】
【スズランみたいに冷たげで甘いような声は、だけど、どうしようもない猛毒を秘めて。――押し倒されたときにほどけてしまった髪が床に広がっていた、その温度差が、どこか不思議で】


391 : ◆XLNm0nfgzs :2018/06/07(木) 02:04:00 BRNVt/Aw0
>>389

【此方を見つめる『てんしさま』、パレードが好きなのかと謳って】
【少女は、うーん、と小さく声をあげるとまたくすくすと笑う】

パレードは好きよ、でもね、絵本で見ただけで本物は一度も見た事がないのよ?
けれどもそれはとてもとても素敵なものだって事はちゃあんと知ってるわ
パレードはね、歌うの
それで──とても素敵な音色で、きらきらしていて
怒ってる人だって悪い人だって、パレードの仲間になったらみんな笑顔で歌うのよ?
【内緒の話みたいに少し小さな声で言って、またくつりと笑って】
【そうしていたかと思えば本で読んだらしきパレードの様子を語って、ぽおっと夢見心地の表情になって】
【背丈は低いもののそこまで幼くはない筈の少女──精々十歳か其処らだろう】
【それなのに語る本の内容らしきものといい夢見心地の様子といい随分と幼い感じで】
【──それでも幾つまで数えられるのなどと問われれば少し気には障ったようで、私少し前に12になったばかりなのよ?などとむくれてみせるのだが】

まあ、お人形さん?そう見えるのなら嬉しいわ
こんなに細くて注射の跡だらけの娘でも?
【お人形といわれればすぐに気を良くしてまた笑う】

お母さんやお医者様が言ったのだもの、化け物って
でもきっと苛々していただけよね?"パレード"に"御招待"してあげたら『死ぬ程』歓んでくれたもの
さっきも言ったけれども、私が好きなのはきらきらしていて"愉しく歌う"パレードなの
大人みたいなそれは知らないし──
ああ、でも飾りたてるのは素敵だと思うわ
本で見た人達みたいで
【きらきらとしたそれについて話す姿はまるで普通の子供のようで】
【けれども、やはり何処か歪んでいる。彼女の傍らにいるグロテスクな鉄の骨格からも読み取れるように】


392 : テレサ :2018/06/07(木) 03:05:50 XqQAhkbc0
>>326>>347

……戦場ですので。何があるかわからない状況で命を守り切る確約はできません
可能な限り自分の身は自分で守りなさい。無論、護衛をつけてでも付いてくる事自体は構いません
こちらの行動を乱す行いさえしなければ私からは何も。よろしく、ミア

(……彼女、大丈夫でしょうか。今回の任務に求められる事がなんであるかを本当に理解しているのかどうか
護衛の少女は……足さばきは戦闘者の動きには見えない。異能特化型の戦力という事でしょうか
そうでもなければ、無力なまま死地に赴く状況で……信頼できる戦力もなしに付いてくるはずはない)

【言動はもとより、そもそもブラスフェミアがこの作戦に『ついてくる』事そのものに疑問を持っているテレサ】
【当然ではあるが、すでにテレサの目はすでにブラスフェミアという女が一人間として信用におけるか否か、の判断に置いても信用を置いてなかった】
【屈託なくこちら側の者達に笑いかけてはいるものの……その笑顔に、裏があるのではとしか考えられない。最後尾に回しながらも……テレサは彼女を警戒していた】


>>332>>334

……リオシア、ですね
私はテレサ。異端狩りのシスターです。仕事柄対人戦よりも対怪物戦のほうに特化しています
手が足りなくなった時などは、人間以外の敵は基本的に私に対応を任せてください

(海軍陸戦隊の出……心身共に練度は申し分ないはず。常時、冷静な判断ができる人材がいると後ろを任せやすいですね)

【簡潔に得意分野を手短にリオシアに伝え終わると、テレサは一度だけ軽く頭を下げると、さっさと前に出てしまう】
【やはりというか、任務の場では必要最低限の会話しか行わないようにしているらしい】

>>317>>341>>361

……生き人形の、ギア・ボックス……貴方が
お噂はかねがね。以前より各地の戦場で戦ってきたと"WILD"達から知らされています
よって貴方の心配はしていません。そちらもお気遣いなく

(……科学ではなく魔導の、意思を持つ人形。ジャンクちゃんとは似て非なる存在……か)

【ヘッドギアで表情が隠れた顔ではなおの事無機質に受け取ってしまうほどに淡々と告げるテレサ】
【数々の戦闘で戦ってきた噂くらいはすでに耳に入っているらしい。戦力としては期待されているようだ】

>>342>>358

【口数はむしろテレサよりも少ないのでは、と判断するほどに感情の薄い同行者】
【無駄がない事はむしろよいとばかりにテレサは気にも留めない】


異端狩りのテレサと申します。本日はよろしくお願いします。アリア


【負けず劣らず簡潔な挨拶だけを交わし、そのまま彼女は背を向けて歩き出してしまうだろう】
【一目見ればすぐにわかる。彼女もまた戦闘経験においては信頼がおける。戦士として正しい判断をしてくれるだろう事はすでに理解していた】


393 : テレサ :2018/06/07(木) 03:06:58 XqQAhkbc0
>>345

【一通りの挨拶を交わし終えたテレサは、自班の先陣を切って行動を開始していた】
【先頭隊との伝令も即座に行える位置。すぐ斜め後ろにはあらかじめ言葉を交わしておいた同行者たちがいる】
【異常がないのであればまずは付かず離れずの位置で他の者達とある程度の距離を保ちながら歩き続ける】

【途中の扉をグレネードで破壊し、突入を開始する、はずだった】
【爆破と同時に前進開始、といくはずだったが―――穴が開いた瞬間、付けていた『リョクオオカミ』が匂いを感知しワン!ワン!と吠え始める!】
【即座に敵の攻撃が始まる――合図を受けた時点ですでに、コォォォォ、と独特の呼吸音で彼女は戦闘態勢に入っていた】


(ギリギリの所まで気配を遮断し奇襲の用意をしていたか―――この蟲どもなかなかに侮れない)


―――突破します。援護をよろしく


【簡潔にそう告げるなり、テレサは呼吸を整えながら己のベルトのバックルを注視しつつ、機械の右手の甲、中央部にある球状のパーツを回し始める】
【続いてそのベルトにくっついている弾薬の一つを肘からガチャン、とはめ込むと―――ポコ、ポコ、ポコ、とこちらに向かってくる蟲の数だけ複数の『シャボン玉』を発射する事だろう】
【ほぼ至近距離でカウンター気味に放たれるシャボン玉、人並の知能がないのであればそのまま当たる、と踏んでいた】

【そのシャボン玉を注視した味方ならば気が付いたかもしれないが、シャボン玉は皆表面をバチバチと何かのエネルギーが流れているうえに―――綺麗に『回転』しているのがわかる】
【手の甲のパーツはシャボン玉に回転を加えた状態で発射するためのギミックだったのか―――いずれにせよこの回転するシャボン玉に蟲サイズの生物がまともに頭から飛び込んだならば】

【グシャリ!グシャッ!と音を立てて回転のエネルギーが蟲の体のほうに移り、その五体をねじ切り始めるだろう!】

【ある程度大きなサイズの蟲ならば回転のエネルギーに抵抗し自壊を免れるだろうが、その結果身動きが一切取れなくなる】
【その隙をついて、後続の同行者たちが次々と蟲たちを精密に撃ち抜いていくだろう―――事実テレサは横目で彼女たちの射撃の腕前を瞬間的に目を通している】
【そしてサーベルで蟲を切り裂きながら先陣を切り、図面を手に取るだろうギアにそのまま付き従うように、搬入口まで入り込む】


……それが図面ですか。ギア……リアクターまでのルートはわかりますか?


【問いながらテレサは、図面を広げるであろうギアの横に立ち、同時に目的地までのルートを視認しようとするだろう】


394 : 院長中身 ◆zO7JlnSovk :2018/06/07(木) 16:19:30 hYu/By.60
>>390

【──、それでも尚面影を重ねて、実像から目を背ける行為を妄執と呼び、何処までも人間臭い心の働きであった】
【故に病魔はその表層に苛立ちを映す。怒りと悲しみの摩擦で擦り切れてしまいそうな心の拠り所を探して】
【大人になる事を奪われたあの子と、当たり前に大人になる貴女と、比べる度に少し違う、その少しが腹立たしく】

【ならば、と──、育ち過ぎた枝葉を剪定する様に、貴女をトリミングすれば良いのでは、と考える】
【大き過ぎる背丈を切り詰め、整った顔つきを歪に歪めて、心象の中の虚像を塗りたくって】
【残忍な笑みが表情に浮かぶ、── もうすぐだよ、鈴ちゃんなんて口に出してみて】


支配者を一番苛立たせる方法って分かるかな? それはね、知った様な口で語る事なんだよおバカさん
ウヌクアルハイ様は不寛容な神様なんだよ。なんで、わざわざ宇宙を創っては消して、また創るのか分かる?
それはね、完璧主義者なんだよ。キミたちが原罪を抱かないたった一つの冴えた理想郷を探す

だからこそ僅かなミスも許さない。ダメだった世界を救うだなんてみみっちい事をしないんだよね
故にキミは許されない、よってキミは極刑になって、なのでキミは呆気なく死ぬ訳さ
信者なんて掃いて捨てるほど居るんだよ、キミ程度の狂信者居ても居なくても同じだから


【解釈の違いで論争する信者そのものであった。答えなんてないのに、自分の言い分が正しいと信じきる様に】
【童の口喧嘩に毛が生えた様なものでも、それに力が加わるから余計にタチが悪いのだろう】
【近づく距離は吐息が触れ合う蜜月の様に、重なる影と影、互いの呼気が混じり合い、より一層深い熱を持つ】


あはは、冗談は顔だけにしてよね、── 見れば見る程片違いの瞳以外そっくりだけど、さ
ボクを殺すだなんて、ムリフェンなら絶対に言ってはいけない言葉なんだよね、その意味分かる?
だとすれば今の発言は矮小なニンゲンの一人である、蜜姫かえでが喚いたって事でいいかな?

──、だったら何も問題ないよ、大丈夫、問題なくぶち殺せるから
屠殺ですら無くて、ただのニンゲンをただ殺すっていうだけの話だし
辞世の句なんて良いよね? 分かったらとっとと──……


【イルの左手が貴女の華奢な首筋を捉えようとする、触れたら折れてしまいそうな首筋は、彼女の指先でも十分で】
【心の中のわだかまりを振り払うが如く、強くそのまま指に力を込めるのだろうか──】
【けれどもそれは何処まで行っても、恋人どうしの手慰みに似た、そんな飯事の様な光景であった】


395 : 院長中身 ◆zO7JlnSovk :2018/06/07(木) 16:41:14 hYu/By.60
>>391

【初夜に抱かれる様な夢見心地で、語る少女の音律は、秘め事を捉え切れていない初心な乙女そのもの】
【故に彼女はその細く長い眉を少しだけ傾ける。──、真実を伝える事に躊躇いを持つ様な】
【それは暖かい陽だまりから連れ出す様相に似た。いつまでも木漏れ日で転寝を続ける貴女の、手を引いて】


知っているのね、パレードの事。素敵な素敵なパレードだとカチューシャも思うの。そうでなきゃ子猫ちゃんが、
綺麗なお目目をぱっちりと開けて、遠足の前みたいにワクワクして語ってくれないもの
──、そうね、間違いは無いの、パレードの日には男も女も、老いも若いもすべてが笑顔になるのだから

注射の跡はそれだけ大事にされてるって証拠なの、大切な人形に手入れは欠かせないの
だからねカチューシャは思うの、お人形さんみたいな子猫ちゃんが、慌てて飛び出した格好をするなんて
──、それは物語の最初しか許されないの。エチュードが終わったなら、幕間の中綺麗なドレスで着飾って


【緩やかな歌声であった。無邪気な声色に合わせて、少しおどける様な旋律を載せて、流麗な目元を解いた】
【それは妹を見守る姉の様な雰囲気で、海色模様の瞳が目尻を優しく靡かせたなら、そこには恐怖などなく】
【鈴蘭の様に柔らかそうな頬がしんしんと降り積もり、あどけない色合いを鮮やかに染める】


でもカチューシャは思わないわ、カチューシャにとって、子猫ちゃんは子猫ちゃんだもの
だから貴方はお家にいて、ちょこんと寝床で横たわって、おやすみのお話を聞きましょう
カチューシャはこう見えてもお話が得意なの、子守唄だって歌ってあげるから

──、帰りましょう、子猫ちゃん、貴女のお家は何処でしょう


【彼女は理解する。貴女が目蓋の裏で見る夢は、どうしようも無く残酷な現実なのだと】
【それを揺り起こして理解させるのは、あまりにも酷な事実だと知っているから】
【だから彼女は道化の様に笑い、白衣の天使の様に優しくするのだろう、自分がされなかった扱いを、自分がして欲しかった扱いを】

【虚空に手を伸ばした、硝子細工の魔方陣から取り出す、細くて長い狙撃銃】
【徒に向ける銃口は、少女の側に立ち尽くす金属塊に向けられて】
【──、銃声が響く、確かな音律を重ねて】


396 : 名無しさん :2018/06/07(木) 18:07:58 FtgB62ZE0
>>394

【身体の内側に不愉快を詰め込まれてしまったみたいだった、愛しい人の鮮血をすべて飲み干した時よりも、きっと、その胸中は惑って】
【向けられる目に本能的に恐怖する、――させられる。それは誰も風邪なんてひきたくないのに大事な時に風邪をひいて駄目にしてしまうみたいに、ありふれた現象】
【――イルから漏れた言葉を彼女は理解できない。それをできるほどの知識を、彼女は持たないから。ただ一つ分かるのは、相手が、自分を見ながら他者を見ていることだけで】

【そしてそれで充分だった。相手にとって自分がどれほどまでにちっぽけであるのかを理解するには、十分すぎて、十分すぎるから】

――――っ、あなたは支配者でなどありません、知ったような口で……ならば、あなたは何を知っているのでしょう、
鈴ちゃん……、白神鈴音、の、ことですか。だったらあなたこそ、こんな場所で油を売っている場合じゃなくって、やることがあると分かりますよね?
知ったような口で語るよりも何も考えない無知は罪ではありませんか? 白神鈴音の仲間、を名乗る人間が、辺りを嗅ぎまわっている、と――。

【だけれどそれは正しくも思えた。全部をやり直す、たった一つの奇跡を探して、なら、それは果てしない苦行にも似て】
【しかしそれに思いを馳せるほどの状況でも、ない。近い距離は冷静さを欠かせる、考えるより先に言葉が口から出てしまうのなら、ようやく仕草が追い付いてくる】
【退いてくれと求めるように相手の身体に触れた、それは優し気なものじゃなくって、だけど、相手が居座ろうと思ったなら居座れる、些細な人間の抵抗一つ】

……誰を思い浮かべているのか知りませんが。いい加減に不愉快です、サーバントのほとんどですらまぐわう女を床になど転がしませんよ。
ウヌクアルハイ様の化身のおひとつと、どのような関係だったか、私は知りませんが――っ、

【――もう一度、もう少しだけ強い力で、彼女は相手を押し退かそうとした。整った顔を言葉通りの色合いに染め上げたなら】
【きっと相手がその言葉通りに自分のことを容易く殺すことができるのだろうって理解しながらも――、それに恐怖し続けるのに、疲れて飽きてしまったみたいに】
【相手の連ねる言葉は苛立つ子供みたいにも感じられた、――自分がどう、というのは、とりあえず、一時棚に上げてしまって。とにかく合わない、そんなのは予感ですらなく】

――――やめてください。私にご用命であれば聞きましょう。私の力不足についての話ででしたら――今後努めましょう。
"これ"こそ時間の無駄ではありませんか? 

【――――――ぎゅう、と、伸ばされた左手を強く掴もうとするだろう。ならば恋人のようであったのはイルだけ、彼女はそれを鮮烈なくらいに"阻害"するから】
【能力の発動はない。けれどおんなじくらいに鮮やかな声音が相手を拒絶していた。相手の脳裏にどんな計画が練り上げられていても、それを読み上げるための力はなくって】


397 : 院長中身 ◆zO7JlnSovk :2018/06/07(木) 18:46:26 hYu/By.60
>>396

【何処までも神経を逆撫ですると、彼女は思う。貴女が彼女を否定する度に、記憶の中のあの子が否定される様で】
【──、きっと彼女は分かっていない。自分のこの感情が醜いヒステリックだなんて、誰も教えてくれなかったから】
【歪な信仰は歪な神を生み、それ故に生まれた歪さを彼女は整数であると認識しているから】

【自分の身体に触れる貴女の指先が、どうしようもなく程遠くて、有り得ない程近かった】


何もかも知ってるよ、あの子の身体に刻まれた、見るも無残な傷も、心に刻まれた、聞くも無残な傷も、──
あの子がどれだけ生きたかったか分かる? どれだけ死にたくなかったか分かる? 盲目的に信じてるのが一番ムカつくんだよ!
そんなあの子が泣いてるんだ、だからボクは助けなきゃいけないって──、思って……!!

無知はどっちだよ! ボクがどれだけ悩んで、考えて、──、鈴ちゃんをどうやって助けようとしてるかわかんないくせに!!
キミたちは言われた事を馬鹿みたいにしてればいいのに……っ、家畜が智慧を持つなよっ、そんな顔で喋るなよ……っ
っ……そんな目で、否定しないでよ────っ


【感情が爆発する、彼女は、神の座を名乗るには余りにも幼く、それでいて、──余りにも淡く】
【自分勝手な言葉であった、自分から因縁を振りかけて、それで自分で勝手に氾濫して】
【、けれども、そこにあるのは、貴女も私も変わらぬ、── 同じ相手への思慕】

【弾き飛ばされ尻餅をつく、ペタンと座り込んできゅっと丸いお尻を地面に着けたなら】
【真紅の瞳から雫が零れる。紫陽花の花弁から夜露が滴り落ちるみたいに、その赤色を一杯に溶かして】
【嗚咽が漏れた。そうしたならとめどなく、溢れ出す涙の音色──】


……っ、そうだ、よ──、何をしても無駄なんだ、その日になるまで、何も出来ないっ……し
準備するだけ、だもん──、それが上手くいくかも、分からなくて……っ、でも、これしか無くて
だからさ、ボクも──、これでいいかな、って……不安になって、鈴ちゃんも毎日、泣いてて……っ

あーもぅ……だっさいなぁ、なんでニンゲンの前で、こんな姿、見せなきゃいけないの……
寂しいよ、寂しい……っ、早く会いたいよ──、鈴ちゃん……っ


【掌で涙を拭う、決壊した感情は何処までも果てなく──、目の前の貴方に向けて流れていく】
【華奢な背中を震わせて、小柄な体躯を一杯に丸めて、それでいて言葉は意地っ張りで】
【──、自分勝手でわがままで、何処までもその所作は、人間臭くて】


398 : 名無しさん :2018/06/07(木) 19:41:53 FtgB62ZE0
>>397

【どうしようもないやり取りだった。この場に"彼女"はいなくて、居ないからこそ、話は拗れていくよう】
【どうあっても結局ここに居るのはイル=ナイトウィッシュと蜜姫かえででしかなく。ならば白神鈴音はどこにもいなかった、――この世界にさえも】
【どことも知れぬ空間に閉じ込められてしまった。そこから出て来るだけの力すらなくて。この現実世界で存在を保つほどの信仰も、そのための依り代さえもなく】
【どうしたらいいのかを誰も分からないんだけれど――だからこそいろいろな方法が思い浮かんでしまって、どれが正解なのかを、きっと、分からなくて】

――――――それはウヌクアルハイ様のことではありません、白神鈴音のことではないですか?
私が信奉しているのはウヌクアルハイ様であらせられます、――いいえ、知っています。データを読みました。"ですけど"。

知りませんよ、知り合いじゃないので。恋人か何かですか? であれど、それは、ウヌクアルハイ様のことではありませんよ、――。
――ウヌクアルハイ様はすべての蛇神の真のお姿であり、最も偉大な神であらせられます。

ですから――あなたの言葉はすべてウヌクアルハイ様に向けられているとは思えません、不適切です。

【ならそれもまた一つのどうしようもないことだった。蜜姫かえでという人間が信仰しているのはウヌクアルハイ、という存在であって】
【すべてでこそないが、本当のことをいくらかは知っている。――そのうえでこそ、"それ"を"果たす"ために自分を削り取っていける、そういう人間】
【だからこそ、相手の様子の変化に惑いながらも――言い切ってしまえた。八岐大蛇もニーズホッグもリントヴルムもケツァルコアトルも、――白神鈴音、さえも】
【この人間にとっては、全部が全く同じ意味合いを持って。最後に祈るのは全部をひっくるめた、ウヌクアルハイという神だって。――相手の言葉はあんまりにも人間らしくて】

【――だけど分かってあげられない。本当はおんなじ相手を想っていても存在にはいろんな面があるから。表と裏ならそれだけで変わってしまう、それでも】
【相手の言葉は心底から来ているものだって思わせた。――ぞろりと長い髪を引き摺って身体を起こしたなら、向ける目線はどこか憐れむもの、可哀想な子を見るのに似て】
【それを可哀想だと思ってしまう程度の気持ちは、まだ残っていたから。――だけれど、それを慰めるすべなど思いつかない、ううん、ただ一つ以外は】

【――――――そして、多分。相手を慰めるための行為はすなわちウヌクアルハイが受肉を迎えることにもつながる、と、分かるなら】

であればこそ準備するほかないのではないですか、……贄は必ず生きて持ち帰れるように習練に励みましょう、あとは……、そうですね、
何か必要なものが他にあれば集めてきますよ、どうせ外にはよく行きますから。――それでよろしいですか、ラサルハグェ?
そのように泣かれても困りますよ、――――私、そういうのは専門外なので。

【毒気、というか。怒りみたいなものが抜き取られてしまったみたいになる、ちょっと気まずい感じ、思ってないところで思ってない人が泣いてしまった時の、温度感】
【それはさながら教室の真ん中で泣いてしまったクラスで一番気の強い女の子を見ているみたいな気持ちにさせた、誰もそんなつもりなかったのに、って、みんなで言い訳したくなる】
【怒鳴りこんでくる先生もいなかったならば、状況は変わらなくて。わずかにひそめた眉、マゼンタの瞳がそれでも少し冷めた目線を向けて、ただ、どこかで少し譲歩する】
【――譲歩、なのかは、よく分かんないのだけど。泣いてしまった相手を気まずい中でどこか気遣う温度ではあったのかもしれない、目を逸らしながら、ハンカチを差し出すような】

【――――ならば思わせた。データで読んだだけでしかない白神鈴音、という存在が、データに決して記されることのない、一人一人との関係の中で、どんな風であったか】
【こんなに熾烈な相手にこうまで言わせるんなら"相当"だったのではないかと。――猛獣使いみたいなイメージ、データの印象と違うなあ、と、こっそり考えるのこそ不敬なんだけど】


399 : ◆S6ROLCWdjI :2018/06/07(木) 20:06:32 WMHqDivw0
>>376

【夕月は、精神的にめっぽう弱い少女であった。だから嫌なことからはすぐに逃げちゃう悪癖を持つ】
【だから今回、言わなかったし言えなかった。思い出したくない嫌な記憶、蓋をして鍵をかけて厳重に仕舞いこんで】
【けれどいつかそれを解き開かなきゃいけない時が、絶対来るってわかってもいる。わかっているから――】
【――鈴音のことに対しては真正面から向き合っている、し、アルクの怒りにも同調する】

うん。約束する、あたしもそいつを許さないし、アルクさんたちのお手伝いする。
だから、……だから勝とうネ、絶対。負けちゃいけない戦いだよ、これは。

【頷く。ヤツカとやらのことは知らないけれど、きっと彼女にも同意できる。自分が信頼する彼らがそう言うのなら】
【ならば自分は一人じゃないって思えた、そうしたら安心できた。それだけのことで、ずいぶん気持ちがラクになる】
【それがいつまで続くかはわからないけど――少なくとも今この瞬間は。彼らと自分は仲間だって、胸を張って、言えた】

ん! そろそろ夜の営業も始まるしネ、あたしも片付けして夜の人とバトンタッチ。
はーい、がんばりまーすっ……お互いに! こっちこそありがと、――――またネっ!

【席を立つ二人にウインクを飛ばす。少女はまだカウンターの中、まだちょっと後片付けが残ってる】
【その位置から二人を見送るだろう、安心しきった顔をして。――これから先のこと、なんにも、わかってないのに】


//ながーーーーいことお付き合いいただきありがとうございました、おつかれさまでしたっ!


400 : シャッテン=シュティンゲル&アルク=ードナール ◆auPC5auEAk :2018/06/07(木) 20:21:56 ZCHlt7mo0
>>399

「……分かっているよ。尽力する……これは、人間が人間である以上、許してはいけない話であるし、勝たなくてはいけない戦いだ……」
――――安心していいと思うよぉ……僕らの仲間達だって、きっと同じく怒りを燃やしてくれる……大船に乗ったつもりでいてくれれば、さぁ……

【彼らには、彼らの繋がりがある――――それも、彼らと同じ目的意識を共有できるだろうと、シャッテンとアルクは胸を張る】
【夕月の感情は、彼らにも共有された。勿論、アルクは引っかかるものを感じてはいるのだろう。だが、それ以上の義務感と怒りが、彼らの背中を押す】
【同じ敵を抱いているのなら、手を取り合わなければならない――――奇しくも、彼らの言うところの『旦那』も、同じような状況にあるとは知らないまま】

あぁ、それじゃあ失礼するよぉ……料理、頑張る事だねぇ!
「確かに――――それは言えてそうだ……ッ、また、連絡する。気を付けて……!」

【背中越しに、夕月の見送りを受けてシャッテンとアルクは店を後にする】
【――――対処しなければならない問題は増えた。だがそれ以上に、大事な繋がりを再確認できた。後は、それに対してどう対処するかである――――】







【――――水の国『Crystal Labyrinth』】

――――という事があったのさぁ、旦那……
「どうやら、あなたの言っていた、異界の神々の他にも問題は山積の様だ……」
<――――まさかとは思ったが、な……物事は、繋がっているというべきか……>

「どういう、事ですか……?」

【彼らの繋がりは、その店の中の密か事を進める。――――塵が積もり、今大きな山になろうとしていた】

<そのカルトの問題、そして鈴音とやら……イルの奴の率いる、異界の神々……全部は、同じ問題に結実しそうだという事だ……>
「っ、何か……分かったんですか!?」
<……あぁ、最近派手に動き出しているという……『サーペント・カルト』――――残念だが、とんでもない敵になりそうだ……>

【彼らは進み続ける。たとえその先が、光明のない暗黒の道であろうとも――――】

/乙でしたー!


401 : ドープ ◆xgsUYuhzWc :2018/06/07(木) 20:23:05 Lxd3YeZA0
>>385


──あー、あぁあーあーあ゛ッ!!


だからオマエ嫌いなんだよオレァ!!四方八方おっかないったらありゃしねえ!!
監禁ババアでももう少し可愛げあるだろクレイジーグレイがァアッ!!

【蛇に構わず噛み付かれても前に来る彼──銃はいつでも、こちらを向く。〝大口径〟】
【手の中の凶器が核弾頭を向けられたような気分になる。余りにも恐ろしい】
【それは〝パグローム〟という男の溢れ出す狂気、そして正気に交わったからこそ〝こわい〟のだ】
【だとしても今は向かうしかない。恐怖以上に覚悟も怒りもあるのだ──嫌悪もあるのだ】
【せめて、悪らしく誇りを持って。邪魔立ても払うしかない】
【せめて上への露払いくらいはしないと──面子も立てられない】

マイプレーーイスッ!!テメェ殺しすぎだマジでッ!!
こちとら信奉者殺されまくっちゃたまんねぇんだよッ!!
いくら上が強いとはいえ、下がポンスカ消えたら意味ねぇだろぉがッ!!


テメェに見せてやるよ──〝スネークの加護〟ってやつをなァ!!
ピクピク瞼にケチャップ塗りたくってホットドッグにしてやるからよおおおっ!!


【──アッパーが入っているために、テンションも高い。威勢良く、本当に大丈夫なのか疑わしいくらい吠えまくり】
【次に蛇の気配がするそれは──全体的に薄く、体を包むように纏われる】

【強化の開始】


──〝Moments〟ッ!!


【──彼自身、先ほどの右肩のダメージは響いていた】
【動くとはいえ──まともに利き手の右手で殴るなどの行為をしたとしても、中途半端なダメージにしかならない】
【一気に駆け出した。だからこそ、シンプルに〝タックル〟した。彼の銃を持つ腕に。体を全て】
【残っている体を一度彼の銃を持つ腕に、全て向けた。そのうえで、彼の腕を一本、〝へし折る〟ことを狙いとした】
【勿論、銃を腹に向けられたら終わり──そのため、出来る限り。せめて己の太ももから足までを狙えるくらいまで腕を下げようと】
【もし抱きつけたのなら、恐らくミシミシと音を立てはじめ──その攻防が始まり、同時に、勢いよく地面に〝共に〟押し倒そうとする】

(──上に乗って首絞めりゃオチるか……ッ!?)

【焦燥に駆られながら、なんとかマウントを取れないか狙うが、そこまでの狙いはやはり難しい】
【腕に抱き着いて折るために取っ掛かるので時間がかなり掛かるはずだ。──そして、あなたの行動は】

【──彼が次なる策を持っているであろうことも分かっている。だが今は、確実たる大ダメージを与える方法はこれしか思いつかなかった】


402 : ◆KWGiwP6EW2 :2018/06/07(木) 21:26:35 WMHqDivw0
>>401
ク、ヒ、ヒ――そう言わずに楽しめよ。そのためのおクスリなんだろうが!

【――この奇抜なファッションセンスの――そして狂信者の群れに混じるには些か賢し過ぎる男と出会うのはこれで三度目だ】
【男に取って、出会った相手を二度も殺し損ねるなんて言うのは、早々ない失態だったのだ】
【傷付いた身体で突撃を仕掛ける彼から何を感じる?義憤?プライド?打算?】
【それは異質だ。このサーペント・カルトと言う組織において】
【男が思う狂信者とは、底の見えない奈落に楽園が有ると信じて自ら身を投げる愚か者だ】
【だが、こいつは――】

あァン???ダイエットをするなら要らない脂肪を落とすのが最も近道なんですゥ!
これは慈善事業だ。愛溢るるエコ活動なんだよ。
ラブ&ピィィィイイイスッ!

【威勢良く――しかし事実勢いはついている】
【先程から散々見せてやった銃の威力に怯えるでもなく、そのスピードとパワーは流石に強化能力】
【鍛えているとは言え、ただの人間の力よりも何枚かは上手だ】
【狙いは明確――銃を持った腕。あぁ――まただ】

【ここまで彼らの神を侮辱したのだから、イカれたフォロワーどもなら、間違いなく真っ直ぐ首を狙ってくる】
【なのに、男は腕を狙った。知性がある。腹を撃たれないように庇った。技術がある】
【こいつは――信じちゃあいない。奈落の底にある楽園なんて】
【だから腕を抑えられ、今正にへし折られようと軋みを上げている中で】

スネークの加護ォ…?

【今までで最も平静な声が聞こえた】


――なァ、オマエは本気で信じてるのか?
シラフのままでも言えるのかい、『神は偉大なり』ってよ。

【"コレ"が信仰の証であるのならば】
【蛇神の加護であると言うのならば】
【クスリを入れなければ発動できない、その条件の意味は――?】
【珍しく、至極真面目な声音で問いかけながらも、しがみついたその身体を引き剥がそうともがく】
【或いは無様な時間稼ぎに見えただろう、男のトリッキーな動きに対応できず、叶わない腕力で抵抗する様は】


なぁ、どうなんだよバブルヘッド。
穴倉の底に楽園は有るのかい?
どうなんだァ?ドープ  ラブ  ライク?

【一つ一つ区切るように口にする言葉に混じって】
【彼は気付くだろうか、ほんの微かに、空気を流れる――弾丸の、装填される音】
【男が握る大口径の拳銃の方ではなく、もがきながら引き剥がそうと、彼の頭に添えられている、義手の方――!】


403 : エーリカ ◆D2zUq282Mc :2018/06/07(木) 23:19:03 JY1GydDk0
本スレ>>357


404 : エーリカ ◆D2zUq282Mc :2018/06/07(木) 23:19:58 JY1GydDk0
本スレ>>357


へぇ…そう思うとウヌクアルハイ様って寛容なカミサマなんスねー。
カミサマって欲望を否定して、清く正しく生きましょうねーって押し付けるヤツばかりだと思ってたから。
結構親近感沸いちゃうなー。それに、既に教えを実践してるとなると悪い気はしないっす。


【ヤバい…。このペースは不味い。自身の心にスッと染み入る言葉と妙な心地よさは宜しくない】
【注意しないといつの間にかミイラ取りがミイラになりかねないと、警鐘を大音量で鳴らしていた】

【エスコートされた先は、清潔感のある室内。その清潔感と大きさに思わず息を呑む】
【嘆息交じりに"こりゃまた綺麗な場所だねー"と言う感想をそのまま口にしていた】


――…んー、そりゃそうだね。基本的に人って自分が体験したものしか信じないんじゃん。

カミサマを引き合いにするなら、十字架背負った聖人君子が最たる例だよね。十字架背負った聖人君子を模した偶像なら幾らでも目にする。
だけどさ、そのカミサマ自体は見たことが無い。誰も見た事が無いんだよ。精々想像で描かれた絵と文字で残されてるくらいでさ。


【洪水の様に流れ込む理屈に、思わず身動ぎしそうになった。理路整然な理屈を前に思わず息を飲む】
【そして、その言葉の羅列に押し流されそうになるのを堪えるので精一杯だ。――押し込まれる】


つーか随分と哲学的な話になってると思う。学の無い私には、ちょいと厳しいね。
最初に言ったとおり私は頭が悪い。拙い事を言うかも知れないから先ず謝っとくよ。

空気や時間、与えられた無形の知識を信じる癖に、形の無いカミサマを頭ごなしに否定するのは理屈に合わないって事なら。
であるなら私個人の考えなんだけど、見る事は出来なくても空気や時間は知覚できる。
――…ってなると知識云々の所の反論が出来ないや。まあ其処は"無いものを在る"とする信仰と同じだって事で。

まあつまり――私が言いたいのは、可視化出来ずとも知覚する事が出来れば信じるって事。
つーか私達の生活の中での奇跡や導きの類を偶然と断じる事が、信仰に対する裏切りってのは大袈裟すぎじゃないかな。


【ケバルライの言葉に、エーリカが忌み嫌う棕櫚の言葉が脳裏を過ぎる――"無いものばかりが在り、在る筈のものが無い"】
【宗教的で哲学的な問いかけに対して、拙い思考で答えを導き出すのは困難に過ぎる。これも"何言ってるかわかんねー"で通せば良かったが】
【そうも言ってられない。ほとほと困った表情を浮かべ、やれやれと肩を竦めながら言葉を選んで、繋いでいった】


405 : ◆XLNm0nfgzs :2018/06/07(木) 23:29:23 BRNVt/Aw0
>>395

【話の途中、眉を少しばかりひそませたカチューシャに少女は小さく首を傾げ、どうしたのかしら?と一瞬だけ考える】

ええ、ええ!知っているわ!
パレードは皆を幸せにするものなの!少なくとも絵本にはそう描いてあったわ!

えぇ、注射は大切なものよ
何度もお医者様に言い聞かせられてきたもの
早く病気を治したいのならばって──
そんなのとっくの昔に治ってたっていうのにね?
素敵なお洋服なんかもう何年も着てないわ、いつもこんな服ばっかり
【少女は不満げに呟くと入院着の裾をつまんでみせて】

……お家に帰る、ですって?
もう何年も帰ってないから何処にあるのかも忘れちゃった
けど病院に帰るのも嫌だわ、私
ずっと消毒液臭いベッドで一人で本を読んだりしていたのだもの
あんなつまんない日々、もううんざり
【ふわりと笑って、白衣の天使の如く優しく振る舞う彼女に少女はむすっとしたように答え、足元にじっと目を向ける】

【折角お外に出たのだもの、もっと──と言い掛けた瞬間】
【数発の銃声が響く】

────!?

【少女がその眼を傍らに控えるアニマトロニクスに向けた刹那、それの骨格から硝煙があがって】
【ゆらりと揺らぐアニマトロニクスの身体。銃弾は確かに心臓部にあたる装置を貫いていて】
【反撃とばかりにアニマトロニクスはカチューシャの左腕を目掛けて斧を降り下ろそうとして】
【当たるか当たらないかに関わらずその動作の後に軋む音と共に崩壊し、消滅していく】
【降り下ろす、といっても動作は緩慢なもの。避けようと思えば避けられるだろう】


406 : ◆jw.vgDRcAc :2018/06/07(木) 23:40:47 OX.x04tc0
>>363

【思わず、息を飲んだ。―――だって、伝えられた事態が、自分が想像したよりもずっとずっと、あまりにも深刻だったから】
【辛いことがあった。それも、ちょっとやそっとではなく。そして、その辛さを一人で抱えた挙句、何者かに付け込まれた。】
【―――どこかで誰かが辛さを背負うことが出来たなら、違うシナリオがあったのだろうか。けれど、現実は残酷で】
【後悔だけを残し、最悪の事態に進んでしまった。突き付けられた現実を前に、マリアは沈痛な面持ちで下を向く。】

そんな、っ……そんなのって……!
人間を滅ぼす?鈴音が?まさか……。そんなのって、ないです……
だって、鈴音は……人が大好きなのに……誰かの傷に、すぐに気づいてあげられるのに!
そうじゃなきゃ、こんな風に誰かの為のお店なんて開かないでしょうに……
……っ。……

【もはや、先程までの微笑みは消え失せた。子供が生まれてから、自分の事が大変で忙しかったとはいえ】
【鈴音の苦しみに気づいてやれなかったのは、自分も同じだ。ほんの少し、気を付けていれば……気づいていたかもしれない。】
【……カップに、手を付ける気にもならなかった。何を口にしても、渋く感じてしまいそうだったから。】

……私が最後に会ったのは二か月ほど前です。その時は一年以上、久しぶりの再会だったのですが……
その時の鈴音は、変わりがないように見えました。……むしろ、明るいくらいで。
このたんぽぽの仕事に揺るぎないやりがいと使命感を持ってて。……だから、信じていたんです。
この不安定な世の中でも、きっと彼女は揺るぎなくいてくれるだろう、って。

もしその時に既に、悩みを抱いていたとしたら―――私に、出来る事は無かったのか。そう思うだけで……

【―――悔しい。その言葉を紡がず下を向いたのは、「悔しい」という一言だけでは到底今の気持ちを表現しきれないから。】
【抱く思いは恐らくマリアとて同じ。紡ぐ言葉を失って黙ってしまうと、暫く重く沈痛な空気が流れる。】
【数秒。その沈黙を破ったのも、マリアだった。―――顔を上げると、貴方を見据えて。……悔いはある。けれど】

―――これ以上後悔したくないならば、今すぐにでも行動を起こすしかありません。
もう間に合わないかもしれない。けれど……もっと遅くなるよりは、マシです。
ただ悔いるよりは、せめて私たちに出来る事をしましょう。―――それが、鈴音へのせめてもの償いにもなるはず。

【このまま後悔しているだけでは、また後悔することになる。聡明な貴女なら、きっともう分かっているはず。】
【「何か、きっかけとなる情報はありませんか。」そう尋ねる彼女の瞳からは、既に後悔の念は消えていた。】
【今は悔やんでいる暇はない。だから、本当は後悔は消えてなんていないけれど、心の内に仕舞っておくのだ。】
【――――悔いるのは、手を尽くして為すべき事を全て終えてからでも遅くはないだろうから。】


407 : ドープ ◆xgsUYuhzWc :2018/06/08(金) 00:29:12 Lxd3YeZA0
>>402


──


【動きが止まった。静止は即ち、押し倒す行為も中断された事を意味した】
【ひュ、と呼吸が止まった。〝ヤバイ〟という警告の言葉だけが過ぎる】
【──この、悪にとっての死神のような男は、悪にとっての消毒液のような男は】
【いや、消毒液など生ぬるい。火炎放射器だの、酸だの、〝徹底的〟なものに似たこの男は】
【──そうだ、こいつはいつだって〝徹底的〟だ。遊んでるようで狂ってるようで】
【周りを囲んで跳ねて遊びながらも、確実に〝喉笛〟を狙って殺しにかかるのだ】

【……〝パグローム〟という存在は、事象は、まるで悪い冗談だ。悪夢のようだ】
【いや、眠れば殺しに来る殺人鬼の方が優しい。もっと、もっと、彼は悪に対して鬼畜なのだ】
【敵を消滅させ、跡も残さない能力。彼は〝最期〟まで悪意そのものを許さない】

……オマエよォ……

【殺すだけじゃない──いつだってこいつは、〝揺さぶる〟】


【〝楽園〟?──〝バカ言うなよグレイヘアー。オレはいつだってそれを待ち望んでる〟】
【〝クスリと宗教は密接だ。神ってのは目の中のマンダラの中にあるってオレァ聞いたんだ〟】
【〝クスリ使ってチャクラの開発にご熱心な奴もいる。オレはヤクの可能性に触れたいだけだ〟】
【〝だからオレは、ハッパ使って、誤魔化し誤魔化し、やって来たんだろうが〟】


【──おい】

【糞、クソ、クソ】【何なんだよ】
【やめてくれ、最悪な気分だ】【やめてくれグレイ。何で今更そんな事聞くんだ】
【オレが、どんな思いで、コレに縋ってるのか】
【オマエは】【オマエは最悪の死神だグレイ】【黙れグレイ】
【お返しにオマエのマッドヘッドも掻き乱してやる】
【オマエが泣き叫ぶまで殴るのをやめなければいいのか】

【──くそったれ】


……、


【油断したら死ぬ。じゃあ今更命乞いをするのか?】
【〝次の行動はどうするべきだ?こいつは、腕を一本捧げたうえでオレのドタマ撃つ権利を得た〟】
【〝オレが捧げるものは何だ?……こんな時こそウヌクアルハイにでも祈るのか?〟】

【……〝知性〟が邪魔をした】


……オマエも大概〝悪〟だよなァ……パグローム



【汗を垂らし、歯を食いしばった】
【彼の義手を、ドープは咄嗟に両腕を離し、まず右手で掴もうとする。義手──〝銃口〟を。右の手のひらで覆うように】
【次いで、左腕で勢いよく上に上げようと──この間、彼は以下のようにやや錯乱していた】

いい加減にしろよパグロームッ!!いい加減にしろォッ!!
もう蛇なんて関係ねェんだよッ!!!テメーが個人的に気に入らねェんだよパグロォオオム!!
──右手くれてやるよォッ!!その代わり──!!


【──その上でのこの行為。そもそもパグロームが理性的な反撃をしたならば、この行動は失敗に終わるだろう】
【──その間に、彼は口を開け、パグロームに飛び込もうとする】
【──狙っているのは、彼の顔。咄嗟のことで、首に噛み付くほど体は捻られず】
【こちらももし、成功したのなら。顔の一部を──齧りとろうと】

【突如激昂していた。それはまるで。彼の狂気に、蛇のように呑まれたかのように】
【彼はパグロームという男を敬愛する。ここまでヒトに踏み込み、悪を滅さんとする人間を】


408 : ◆KWGiwP6EW2 :2018/06/08(金) 01:31:03 WMHqDivw0
>>407
そう、混乱した貌するんじゃあねェぜ。
ただ確かめただけだろうがよォ?

オマエは奈落の底の楽園なんざ欠片も信じちゃいねぇ――
落ちればただくたばると知ってるのに崖の淵で踊るのが楽しくて仕方ないって言う……
正真正銘のゴキゲン頭《バブルヘッド》なのかってなァ!

【男は悪を許さない。――このドープ・ラブ・ライクは最後まで、男をそんな風に評しただろう】
【それは一部誤りだ。男は蛇神教を嫌悪する。男のポリシーに反するからだ】
【だが、それは断じて正義の意志なんかではない。悪を赦さぬ心ではない】
【男はただ――今、目の前にいる彼のように。信仰を奪われた者の顔がハチャメチャに好きなだけなのだ】

イ〜イ顔してるじゃあないか。まるでオマエの方こそ――正義の味方みたいなツラだ。
だが――それでも判決は死刑!そのままのツラでデスマスク決・定ッ!!


【義手に仕込まれた文字通りの"奥の手"――もう一つの銃口から吐き出されたRIP弾が男の頭蓋を破砕する――はずだった】
【彼の最後のアクションはある意味で正気とは思えない】
【だから見誤った。発射された弾丸は彼の言の通りに右手を直撃し――至近距離での対人弾は肉体が強化されていようがただでは済むまいが】
【果たして――彼の決死の反撃は狙い通りに男の顔面を抉り取っただろう】
【逃げるならば、或いは自身の能力を使えば、可能だったのかも知れない】
【しかし――】


【グチャ、リ―ー粘っこく肉を裂く音が聞こえて、肉と血の味がする】
【彼のグシャグシャの感情を宿した貌を、焼き付けたままの片目ごと、側頭部に掛けて肉を食い千切った】
【男は初めて――"こいつ蛇みたいだな"と、そんな感想を浮かべるのだった】

ギィィィイイイイ…、イ、イ、ハ、ハハハッ!シャハハハハッ!!

【絶叫と哄笑の入り混じった獣声を上げ、顔からしとどに血を流しながら、男は今度こそ彼の身体を蹴り飛ばすように振りほどく】
【ただでさえ人相の悪い顔が更に凄惨に赤く染まり、最早グレイヘアーと呼ばれるような色ですら無くなって】
【――男は嗤う。だって、これが生き甲斐だからだ】


ク、ヒヒヒッヒハッ!!証明したぞ!正しいのは俺!
オマエは最後の最後で!ヤク漬けになって生きるか死ぬかの鉄火場の中でそれでもッ!"祈らなかった"!
シャ、ハ、ハハハッハハハハハハッ!!

ハッピーバースデーだドープ君……さァ、次のドライブでも神様に酔えるかな?

【男の姿は、ゆっくりと消えていく。この場はお開きと言うことなのか。或いは――】
【結果を見れば"痛み分け"であっても――男はきっと、勝ち逃げのつもりなのだろう】


409 : カニバディール ◆ZJHYHqfRdU :2018/06/08(金) 04:31:31 IBKicRNQ0
>>367-368
ふ、ふ。私など背負っては川を渡る前に沈んでしまうだろうからな
そうだとも、ここにいる誰にとっても彼奴等の領域は許せるものじゃあない。

【向いている方向は全くの真逆でも、カニバディールもまた同じだった。自分たちの邪悪が及ぶ範囲は自分たちの領域だという意識】
【だからこそ、同じ闇の中にあって何かを守ろうとするアーディンの姿は眩しく。それゆえに、このような言葉も吐けたのかもしれない】

歪んだ愛だという自覚はあるがね。こうして行動に移す原動力となっているのも確かだ
まったく、正義面をして悪行をする連中は悪党としても三流以下だよ
そんな奴らに、ここまで押し込まれていることを思うと笑えないが

【そう、本来なら戯言と言ってしまってもいいだろう。しかし、今の混沌はそれにすら一理を与えるほどのものなのだ】
【恐るべきは、そのような異常事態を生み出した『黒幕』たち。彼らなら本当にやってのけるだろう。この世界そのものを歪めることですら】

ああそうだ。それに当たってもう一つ。この件に関わっている一人で、ロッソという探偵の男がいる
そのロッソが、この指輪とは別に合言葉を決めている。『ヨハンは639号室の隣人である』
ヨハンと639の二つが符牒になっている。指輪の暗号通信と併せて利用すれば、この件で組んでいる者を見分けることが出来るはずだ

【情報と人脈、それを生かすうえでもう一つの要素をカニバディールは明かす。どうにも奇妙な腐れ縁の元強盗の探偵の合言葉】
【あの酒場で別れた後、カニバディールは暗闘に突入せざるを得なくなったが。彼はまだ生き延びているだろうかと、柄にもない思いが頭をかすめた】


喜び勇んで『特区』に入っていった奴らの愚かさには、私も辟易するが……同時に『黒幕』の大衆扇動の腕前も感じ取れるな
愚かな大衆が好むところの夢を、異臭を可能な限り隠して見事に用意したわけだ
このままいけば彼奴等なら実現させる。暗黒時代を打ち立てる

――――扇動といえば、先ほどの戦いでも妙な男がいたな。ラベンダァイス、お前は見たかね?
混乱の中で私に向かって発砲した男だ。「英雄はもういらない。人自らで未来を掴み取る。それが先生の教えだ」
「光を、未来を、導きを。力を、平和を、宝を」。まるでカルト教団の狂信者のような物言いだったが……

その〝先生〟とやらが『黒幕』に関わる何者かだったとするなら。すでに彼奴等の手は、UTを擁するこの風の国にも迫っているのかもな……

【グラトンとの邂逅を思い返す。狂気的なまでの信念。悪に矜持などというものがあるのなら、きっとああいうものをいうのだ】
【そんな物思いを、自分自身の口から洩れた言葉が破る。あの青年、つい先ほどのUT事務所前の暴動の中にいた若者】

【彼の言葉はまさに、『特区』に入っていった民衆のごとく、何者かに煽られ操られているようなものだった】
【ならば、その背後にいるのはなんなのか。この場で答えは出るはずもないが】

/続きます


410 : カニバディール ◆ZJHYHqfRdU :2018/06/08(金) 04:31:52 IBKicRNQ0
>>367-368
ヴェイスグループ……ホウオウシティの一件か
機関のデータベースで見た覚えはあるな。確か実働部隊の名が暴蜂、だったか? 今では噂を聞かなくなったがな
当時のJusticeの本拠地に、殴り込みをかけたことすらあると聞いている……なるほど、そう考えると確かに文字通りの桁違いだ

暴蜂とRAGNAROK LABORATORY、双方合わせても及ばないとは……

【機関員として知り得る情報は、可能な限り集めているカニバディールはその組織と起こした事件についても覚えがあった】
【当時、世界の脅威の一つとして確かな存在感があった二つの勢力。それら以上の地獄を実現した存在が、今この空の下にいる】
【この混沌をこそ愛したカニバディールすら、戦慄せざるを得なかった】


……頼もしい限りだ。彼奴等か我々か、どちらかが滅びるまで続くこの戦いは、戦争というより殺し合いといえる
そんな戦いにおいては、その重傷すら意識に入らないほどの、その燃え続ける怒りこそが武器となるだろう

(……トライデントさながらだな。だが、彼奴にはそれを支える同じ呪われた血を引いた相棒と、それを御する意思があった)
(主を失った生物兵器に、そんな器用な真似が出来るとは思えない……これが吉と出るか凶と出るか)

【彼女の決意表明に重々しく頷いて見せつつも、カニバディールですら懸念した。彼女の、あまりにも抜き身の憎悪に】
【確かに強力な武器ではあるが、それはいわば諸刃の剣。この怒りが何をもたらすことになるか、今は誰にもわからない】

まったく、その通りだ。各々の思想・意志を奪わせないために手を組んだというのに、そこを否定してはおしまいだな
難儀なことだが、その試練こそ『黒幕』には出来ないこちらの強みでもあるだろう

【そう、それでも折り合いをつけて進まねばならない。戦わねばならない。『黒幕』の側に落ちてはならない】
【相変わらずのルヴァの言葉は脇に置いて、カニバディールも悪党としては全く似合わないその試練に立ち向かわんとする】

……時に、命すら惜しまない若者というのは現状を打ち砕く途方もない力を発揮することがある
少なくとも、ソニアに対する想いが本物なら……やってくれるかもしれないな

【顔も名も知らない相手だが、アーディンが自分が敵にそうするような眩しさをこらえる表情を通して】
【その青年が確かな思いとエネルギーを秘めていることは感じ取れた。後は、その青年が成す物語なのだろう】

ありがたいことだ。そういった汚れ役を厭わない者は案外といないものだからな
スナイパーとの相性についても、我々と比べて貴方の方がいいらしい。いざとなれば、頼むよ

【機動力の低いカニバディールは、スナイパーにかかってはいい的だ。その点、アーディンなら対抗しうるだろう】
【その『いざという時』が来るのかどうか、それはまだわかりはしないけれど】


【三人の視線を受けて、カニバディールも重い足音を響かせて踏み出す。まだ少しその場に置いてあった、多少の距離を縮めて】
【指輪を嵌めた武骨な指を、彼らのそれと合わせて打ち鳴らす。歪で一時的なれど、今は確かにある団結】
【異形の肉屋もまた、悪意と殺意に彩られた気概を巨躯に満たしていく。必ず、敵の全てを自分よりも先に地獄の業火に放り込んでやるのだと】

【きっと、それらの難題が現れた後でも彼らは立ち向かう意思を捨てないはずだから】


411 : アリア ◆1miRGmvwjU :2018/06/08(金) 19:17:38 o6XMS57s0
本スレ≫367

【奇妙な均衡。お互いのことを疑りつつも、それ以上に踏み込んで詰問することは決してない、冷たい戦争に似た対峙。然してそれは、対立にあらず。】
【表面だけを攫うように、けれどそう見せかけて裏のあるような、他愛もない言葉を交わす時間。「ぼろ」を出さない限り、いや出していたとしても、殊更にそれを指摘もせずに。】
【だから少女の言い分を、女が疑うことはなかった。疑ってなんになるというのだろう。こちらから助けておいて、しかも平穏の主導権を握っているのだから、藪を突いてそれを壊しても誰も幸福にはならない。】
【酒にもクスリにも手は出さず、身の回りに不便のなさそうな家出少女。それを拾ったお人好しは、懐に拳銃を差している。そういう関係のまま。「汚れてたようだし、少しは綺麗にしておいたの。」】
【 ─── けれど。個人的な興味として、少女の素性が気にならないと言えば、嘘になった。ゆえに言葉の上っ面はごく穏やかに、だが少しばかりの含意を添えて。】
【窓の外を覗くなら、眼下に広がるのは湾岸の都市帯。埋立地を繋ぐ幾つか橋々と、高速道路と、高層ビル群が見えるだろう。】
【話題を逸らすように少女が切り出せば、ふっと笑って戯けたように、こんな台詞も口にして。青白く照らし上げられて微笑む横顔は、うつくしくも、冷たい。】



「実は武器商人なの。」「 ── こうも争いが絶えないと、私も大儲けできるわけ。」
「カノッサにカルト集団、能力規制法なんてのも有ったかしら。抵抗には武器と金が必要なのよ。」
「私にとっての"世界"は、このチェスの盤上みたいなものよ。 ── 中々うまい打ち手も、いないのだけれどね。」


【 ── そこまで言い終えたのなら、しばらく口を閉ざす。くい、とまたコニャックを呷る。からん、氷の崩れる音。盤上から取ったクイーンを、彼女は片手で弄ぶ。】
【その一口を飲み終えるか、少女がなにか言葉にするか、 ── そうしたら、種明かし。どこか、郷愁に似ていた。長い睫毛が憂いを帯びて、夜露に濡れてさえいるように見えた。】


「冗談よ。軍事企業って、実はさして儲からないって知ってた?」
「単に高給取りで、福利厚生を毟ってるだけよ。」「 ── その分、外せない首輪を付けられて、ずっとだけれど。」
「少なくとも私は、プレーヤーにはなれなかった。盤上の駒。」「ポーンに産まれたつもりはないけれど、所詮それだけ。」


「将棋崩しの方が、まだきっと面白い生き方ができたでしょうに、 ── 。」「貴女がやっているように、ね。」



【少女を見つめる瞳はひとつだけ。彼女の長い銀髪は、顔の右半分を覆い隠していた。彼女の肌も、髪も、顔立ちも、少女と同じように、ひどく白い。】
【家出少女と名乗ったその偽りの経歴を羨むような口ぶりだった。似た者同士なのに、どうして私は自由になれないのかしら、とでも言いたげな。】


412 : ◆S6ROLCWdjI :2018/06/08(金) 20:17:03 WMHqDivw0
>>406

【マリアの言うこと、ひとつひとつ。わかってる、わかってるって顔をしているのに】
【険しい色合いは取れないままだった。ここまで言ってなお、まだ言いづらいことがある、そう言いたげに】
【渋くて不味い液体で濡れた唇が重たく動く。言葉とともに漏れだす吐息、きっと苦々しい香り】

……鈴音はヒトが、大好き。あたしもそう思うよ、思ってたよ、……でもさ、
それすら……あたしたちが勝手に思い込んで、そうであれって、鈴音に押し付けてた。
そういうことでもあるんだよ、マリアさん……あたしたちみんなそうだったの。

……、……だから、そんなに、……落ち込まないでっていうのもヘンだけど。
みんながみんな、ちょっとずつ悪かったの、だからさ、……ええと、

【結局一口しか飲まないで、ちっともかさの減らないカップを置く。少女も、それ以上飲む気が起きないらしい】
【そうして放置される紅茶、どんどん温度が冷えていくばかり。まるで今ここにいる二人の心のうちを表すように】
【俯くマリアを見やる、自分もそうしようかと考えて――やめた。それより先に、マリアが言を発したから】
【コンマ一秒にも満たない瞬間。ちょっとだけ吃驚した顔をした、すぐに立ち直る貴女の強い姿、見惚れたから】
【それからはっと我に返って――「情報、そうだ」。思い当たる節がある、みたいなことを言い出して】

そう、情報……あるよ、うん。断片的なヤツしかないけど、なんもないよりは――――

「――――やっほーユッキー。今日は上手くやれたぁ? ……あれ、誰かいるじゃん」

【何かを言おうとした少女の声、遮るようにして来訪者。かるーい口当たりの青年の声だった】
【見れば、背の高い――明るい銀髪、褐色肌の男が、ドアを開けてベルをちりんと鳴らす姿が見えるだろう】
【彼は黄色い目をぱちくりさせて。「キレーなオネーサンだぁ。お客さん?」、そんなことを呟いている】

なに、もう! 今大事なハナシしてんのっ、邪魔しないで、帰って!
「あっそう。おれも大事なハナシあるから来ただけなんだけどナー、先客いるなら仕方ねーか。
 じゃー後で話すから終わったら連絡して、鈴音ちゃんのハナシ。めっちゃ重要だからぜってー忘れて帰ったりすんなよ」

【どうやら彼は、少女の知り合いであるらしい。それと同時に――鈴音の知り合いでもあるらしかった】
【そう言い残してさっさと帰っていこうとする背中、少女は「えっちょっと、」とか言いながら必死に留めようとするけれど】
【やる気に満ち溢れたマリアが引き留めるほうが早いだろうか。そうしたら、青年は、首を傾げながら振り向くのだ】


413 : 名無しさん :2018/06/08(金) 20:27:58 3YX5utz.0
>>411

【そうして少女はうんと高い位置から街を見渡す。人がごみのようだとか言い出しはしなかったけど、似たようなことくらいは思ったのかもしれない】
【「すごいですねえ、大地震が来たら一発ですよ」――褒めてるのか褒めてないのかは、分かんないんだけど。どうあれ立地にそうやって感想を述べたなら】

……へえ、そうなんですか。武器商人。カノッサにカルトですか、大変ですね。魔制法――大変ですよね。ニュース中そればっかりで。
最近はカノッサよりも有名ですよね? カルト――というのは、よく分からないですけど。新興宗教とかですか? 大変ですねえ。

【――彼女は相手の言葉をまずあっさりと受け入れた。よく分かんないですけどって感じの声、冗談を聞いたみたいにころころって喉の奥で小さく笑って】
【まず真っ先に反応したのが、魔制法についてであった。それからカノッサ。最後に、カルト――、――少し考えてみるように目線を下げて、すぐ相手へ視線を戻すなら】
【瞳以外色彩の薄い顔をそっと笑わせる、――その裏側で何考えているのかはよく分からなかった。愁いて女王を弄ぶ仕草を、じいと追いかけていた】

………………あれ、そうなんですか? 信じちゃいましたよ、でも、まあ、そうですよね。今って、そんなにおっきい戦いってないじゃないですか?
何年か前とかはテロとか、すごかったですよね。私、子供だったんで結構ビビってたんですよ、子供って感受性豊かだもんで、いろいろ考えたりするじゃないですか。
ベッドの中でいろいろ考えちゃって眠れなくなるんですよ――だけど、変にプレイヤーになると、辛くないですか? ほら、現実って、駒自体が生きてますし。

戦争中の偉い人の死因の何割かは"誤射"らしいですからね。将棋崩しですか? まあ、楽しいですけど。クラスに一人は天才的にうまい奴がいるんですよね。

【相手のネタバラし。それでもあんまり態度は変わらなかった、どこか落胆するようなそぶりは、ただ、ありふれた少女の感情の動くのに似て】
【あはは、なんて、簡単な笑い声。よっぽど深く考えていないのか、それとも、もはやそんなことに動じないのか。――お互いにお互いを牽制するよな距離感ならちょうどいい】
【簡単なノリでくっちゃべるのはそれこそ少女同士の語らいに似ていた――深いところまで追求しないで、上っ面だけを撫でていく。どこか羨むような、声を知りながら】

チェスってなんかないんですか? なんか、そういう――邪道みたいな遊び方。指の間に挟んで殴るとかですかね。ナックルダスターみたいに。

【「ビショップとか痛そうですよね」】
【――ほんとにどうでもいいような声で、そんな風に、紡いでいくから】


414 : アリア ◆1miRGmvwjU :2018/06/08(金) 21:14:33 o6XMS57s0
>>413
【最近の制震技術は馬鹿にならないわよ、震度7でも罅1つ入らないって専らの評判だわ ── そんなことも、言ってみる。】
【やはり遣り取りは世間話にもならない他愛のなさだった。ただ少し、カルトと聞いて物憂げな、少女の俯きは仄かに気になり】
【表情こそ変わらなかったが、記憶の片隅には留めておくことにした。若気の至り。そういうところに、組することもあるのかもしれない、と。】
【クイーンの行く末はやはり盤上だった。手持ち無沙汰にポーンを小突いて、こつんと倒す。そうして盤面がまた進む。片手に握るのは棋譜の本だった。】



「 ── 本当に恐ろしい出来事というのは、世間沙汰には出てこないわ。」「テロリズムも、人工災害も、多くの人が死ぬものだけれど。」
「政策、社会制度、独裁的統治機構。恐ろしい人間が好むのは、前触れのない死よりも、緩やかな搾取の末の死。自分が死んだことを、人々に気付かせないような殺し方。」

「だから、駒を駒として扱えないようなプレイヤーに能がないだけよ。」「 ── 変な言い方だけど、自信はあるわ。」
「駒さえ貰えたら、誰よりも上手くチェスを打ってやる自信がある。そうしなきゃいけないって、誰かに命じられてる気がするの。」



【それは矢張り物憂げであったのだけれど、節々で何故か使命感を秘めて、何処かで深い信仰にさえ似ていた。】
【どうして自分がこんな話を、およそ下らない上っ面の言葉を交わし合うに過ぎない少女に吐き出しているのか、彼女には分からなかった。】
【徐に、女は顔を上げるだろう。陶器のような肌には罅割れすら入っていておかしくなかった。 ── 髪に隠れた顔の隙間から、微かに垣間見える、醜い火傷の痕。】
【はたして酔っているのだろうか、女はその手を少女に伸ばした。拒まれなければ、頬をそっと片掌で包むだろう。拒まれても、困ったように笑うのみ、だけれど。】


「 ── 貴女、もしかして義体(サイボーグ)だったりする?」「肌も顔も、つくりものみたいに綺麗。」



【 ── 拒まなければ、その掌は柔らかい。絹のようにすべやかで、クリィムのようにふんわりとして、指の先までが純白で。】


415 : ◆jw.vgDRcAc :2018/06/08(金) 21:25:03 OX.x04tc0
>>412

あるのですか!では……――――?

【依然重かった空気を打ち破るように、突然にドアが開く音。誰が来たのかと、振り向けば……またまた、知らない顔。】
【第一印象は、飄々とした感じだった。若い人らしい……なんて、自分も大概若いのにそう表現するのはおかしいかもしれないけれど】
【親しいのだろうか、交わされた会話は兄妹か何かのようなやりとりだった。距離感の近さが、そう見えさせてるのだろう。】
【とりあえず、少なくとも知り合い同士であることは間違いなさそうだ。「お邪魔してます」と、軽く頭を下げて】
【暫くやり取りが終わるのを待っているつもりだった――――が。】

―――――っ!

【鈴音の情報という言葉が耳に入れば、ぴくりと眉を上げる。―――今彼は、確かに言った。重要な話、鈴音にかかわる情報だと】
【ほんの少し、ほんの僅かの情報でも構わないから、欲しい。そう思っていた矢先の一言だ。聞き漏らすはずがない。】
【自己紹介さえまだなのに、彼女は半ば食って掛かるくらいの勢いで、呼び止める。思わずガタンと椅子から立ち上がりながら】

待って!―――待って、下さい!行かないで!

……今、確かに鈴音の話と言いましたよね?
っ、私にも、どうか……聞かせてくださいませんか?
今は、ほんの些細な情報さえも惜しいのです……!手がかりを、切っ掛けを掴まないと。
私は、彼女に会わなければいけない……会って、話をしなければならないのです、っ……。

【考えるより先に、言葉が口を衝いて出る。なりふり構わないとは、このことだろう。】
【それでも出ていくのなら、首根っこ捕まえてでも聞く……なんて、口には出さないけれどそのつもりでいた。】
【射貫くように、淡青の瞳が貴方をじっと見詰める。呼びかけに応えてくれるか、心の中で願いながら……】


416 : 名無しさん :2018/06/08(金) 21:31:00 3YX5utz.0
>>414

【「へえ、そうなんですか」「でも、ニュースで見ましたよ。大きい地震のとき、こういう高層ビルは、何十分とか揺れるんですって」「大変ですよねえ」】
【「ほかにも液状化とかありそうですし」「マンホールが生えて来るようですよ」「大人しく地面に埋まっててください、って感じですよね――」】

【ありふれた声音。ありふれた音階。お互いに普通を取り繕う、少女からすれば、万全でない状態で、アウェーな場で、不利な状況で踊りたくはない】
【ならば相手にそうさせる理由はなんだったろうか。――決して透けないロンググローブの布地みたいに、いろんなもの、いろんなことが、覆い隠されていたなら】

――そうなんですね? なら、あなたが欲しい駒ってどんなものでしょう、……ほら、駒にもいろいろあるじゃないですか。
将棋の駒、チェスの駒、楽器にもありますし、櫻の玩具にもありますよね。異世界から持ち込まれたっていう独楽、知ってますか?
なんかモノクロなんですけど、回すと色が見えるんですよ。面白いですよね。

【相手のその様子は不思議に美しく見えた、どこか神に頭垂れ祈るようでありながら、――どこかに現実味が残るのは、やはり、上っ面でしかない会話だから、なのだろうか】
【お互いに本当のことを言わないまま、ないふりをしたまま、話すから。――だけれどその様相は否定するには惜しかった、冷たい相貌を見ながら、こちらはもう少し俗っぽい】
【そうやって話していると普通の女の子であるみたいに思わせる――「名前忘れましたけどね」とか言っている、もういっそ字も違ってしまっていたけれど】

…………――いえ、生身ですよ? 酒もクスリもヤッたら酔いますし、ヤることヤッたら濡れますし、失敗ヤッたら血の気も引きますね、生きてるんで。
そしたらあなたはもしかして義体(サイボーグ)ですか? 

【――頬に触れられるのを少女は拒まなかった。一度はたりと瞬きこそしたが、どこかからかうように言葉を紡ぐ、ならば自分は限りなく生身であると、強調するよう】
【ゆるりと持ち上げられた手が、そっと、相手の手に触れる。――素肌の方であれば同じくきめ細かな、よく手入れされた肌。手袋の方であれば、そのまま、布の質感で】
【冗談めかすような声と表情が尋ね返した、――マゼンタがじっとじっと相手を見つめている、それは相手が彼女に抱く興味に似ているのかもしれなくて】


417 : ラベンダァイス&アーディン&リベル ◆auPC5auEAk :2018/06/08(金) 21:34:45 ZCHlt7mo0
>>409-410

〔……混沌と言う言葉の、その重みが分かるというものだな……自己を確立しなければ、……本当に、何を信じていいものか、分からなくなるものだな……〕
――――昔の『教会』もそうです。世界に対して面従腹背をする――――許しません、必ず砕きます――――!

【「混沌とした状況」と、そう言い表すのは簡単だろう。だが、その只中にいると、それが如何に危険で重大な事態にあるのかを、思い知らされる】
【必要なのはわかっている。違和感は封じえないが、そうでもしないと戦えない。しかし――――と、迷妄は永遠に続く事になる。それとの戦いでもあるのだ】

〔……探偵? なるほど……そういう伝手もあるという事か。合言葉……今の状況では、こんなアナログな手段も馬鹿にはできないな……〕
{問題は、どうそのカードを切っていくかよねぇ。無駄に使い過ぎて、敵に割れでもしたら面白くない訳だし、ねぇ?}
――――探偵、ですか――――

【そうした捜査のプロ――――アーディンの伝手にも仲間はいるが、それとは別に盟約の中にもいるらしいと聞き、少しは明るい材料だと表情を緩める】
【実際、顔見知り以外に誰を信用していいのかわからず、そしてこの面々には、カニバディールと鈴音以外に面識のある仲間がいないと言って過言ではない】
【その情報もまた、彼らにはありがたかった――――ラベンダァイスは、ふとアルターリで共闘した男の事を、脈絡なく思い出したのだが――――】

{――――それだけ、世間って奴が恐れてたんでしょうねぇ……『異能』って奴を、ね? ……恐怖を増幅させて、蹴っ飛ばしてやれば、簡単な話よ……意外と}
〔だからこそ、身を改めて統率する事は必要だったのだが……自分たちが力を欲し始めたら、もうどうしようもないと言う事だな……〕
〔(……お前さんらにも、その一端はあるような気もするが……まぁ、そこは今論じるところではない……)〕

【結局、今回の動きの根源にあるのは『恐怖』なのだ。人はみな、自分たちにはない力を恐れている】
【そこに付け込めば、今回みたいな事態は、いつでも起こり得る素地が出来上がっていたのだろうと、アーディンとルヴァはため息をついた】

――――あれだけでは、なんとも言えません。しかし――――この国でも、そういう動きが起こっているのは、確かなんでしょう――――
結局、どこかで流れを変えなきゃいけない。人の情勢っていうのは――――何かのきっかけがないと、押し返せるものじゃないみたいですね――――

【ラベンダァイスも、先ほどのその声は記憶していたのだろう。伏し目がちに思うところを口にする】
【――――明らかにあの青年の言葉は、風の国にも『魔能制限法』を望む、と言うニュアンスだった。英雄――――つまり『UT』の存在を否定されて】
【それが、流れの一時的な要因であれ、あるいは二次的な要因であれ――――確かに大衆を扇動しているのは間違いないだろう】
【風の国は、まだ『魔能制限法』に消極的だが――――その時流も、もはや潮目なのかもしれない】

〔――――テロ集団となり、表立った企業は軒並み廃業。その後は聞かんな……奴らの本拠地、例の『特別区』に、今も息を潜めているんだろうか……
 ……まぁ、結局は何年も前から、動かなくなった話だ……奴らの事は、今は忘れていいのだろう……〕
――――あんな戦いを、今の状況でもう1度やれ、なんて言われたら――――自信がありません――――
みんな――――無事でしょうか――――
〔……今さら言っても、詮無き事だ……〕

【ヴェイスグループ――――資産家ヴェイス家の率いる、一大多企業グループであり、そしてそして暴蜂としての本性を露にし、世間から姿を消した存在である】
【今は、水の国政府に圧力をかけ、存在を秘匿していた『秘密都市』で、沈黙しているのだろう――――かつての戦いを、ラベンダァイスとアーディンは追憶する】

/続きます


418 : ラベンダァイス&アーディン&リベル ◆auPC5auEAk :2018/06/08(金) 21:35:31 ZCHlt7mo0
>>409-410

――――そうです。もうこれだけが武器です――――ッ。これで自分を塗りつぶさなきゃ、奴らを許してしまうかもしれない――――ッ!
止まる事も、怯む事も、躊躇する事も許せない、だったら――――許さないと、自分に許さないと言い続けなきゃならないんです――――ッッ!!
「…………ッ」
〔…………〕

【アルターリの敗戦が、想像以上にラベンダァイスの心を追い詰めていたのだろう。血のにじみ出す包帯を押さえつけ、掌を汚したその血を睨みつけ、そして握りつぶす】
【――――鈴音を誑かした悪魔、世界を塗り替えんとする悪魔、ソニアを侵した悪魔――――その全てを、その血汚れの様に撲滅せんと、宣言して】
【――――そんなラベンダァイスの様子に、リベルは思わず口元を覆い、目から涙をこぼし、そしてアーディンは、冷たい瞳でラベンダァイスを見据えていた――――】

〔とは言え……まさかの、色恋沙汰が足を引っ張るとは、な……正直頭の痛い思いだ……〕
――――歪められた本質に、価値なんてありません。私は――――それ以上、何も言うつもりはありません
{ま、実物に会ってからって話よねぇ……私だって、部外者みたいなもので、意見なんてできないわぁ……}

【アーディンとルヴァは、頭を抱える事しかできなかった。アーディンは傍観者として、ルヴァは――――恐らく、半ば野次馬精神なのだろう】
【ただ、ラベンダァイスだけが――――『兵器』としての『本質』に固執する彼女だけが、ソニアとカチューシャの問題には難色を示す】
【――――或いはこれも、後に鈴音に対して、怒りを爆発させた理由の1つなのかもしれない――――】

〔……我々には届かなかった希望を掴めと、そう次の世代に言ってやるのが、俺たち大人の役目だ……その為なら、泥にも塗れるさ……
 まぁ、敵の技量次第だな。一撃で脳天を撃ち抜かれて終わり、と言うのは勘弁してもらいたいが……な〕

【ソニアの――――カチューシャのスナイパーとしての技量は、どうやら相当に高いらしい。ラベンダァイスや、その『友達以上恋人未満』の証言を聞くに、そう評価せざるを得ない】
【ただ、それでも――――やらねばならないのなら、やらねばならない。アーディンは苦笑しながら、ハッキリと頷いた】



【――――カツン、と。誓いの指輪は打ち鳴らされる。これから、彼らは同盟者となるのだ――――世界を覆さんとする敵と、命を懸けて戦う盟約を結んだ者同士】
【まだ見ぬ仲間達、そして正体の見えない敵に思いを馳せながら。心の結びつきを、より一層に求め、確かめ、そして誓って――――】

〔――――では、そろそろ失礼しよう。俺たちも俺たちで、情報を収集し、そして動き出さなければならない……
 ラベンダァイス。お前はとにかく、傷を癒す事だ。まず、動けなければどうにもならない……〕
――――分かりました。それでは――――すみませんが調査は、よろしくお願いします――――
〔リベル、ランド、ルヴァ。お前たちはUTの事と、ラベンダァイスのバックアップを、今は頼む……その後、何かあれば俺の店に来い〕
「は、はい……」<もしもの時は、俺だった一発ぶん殴ってやるさ……!>{無茶はしないわよ。流石に、今回ばかりは二線級の戦力だって、自覚はある訳だし、ねぇ?}

〔――――では、カニバディール……何かあれば、連絡する。これから……頼んだぞ、互いにな……〕

【今後の方針をすばやく確認して、3人はその集会を後にする。時間は、今のこの瞬間も動いているのだ】
【――――ついに、ラベンダァイスと、背後の仲間たちは、まだ見ぬ仲間たちとのコネクションを獲得するに至った。彼らの戦いは――――ここから、始まる】

/長らく、お疲れ様でしたー!


419 : ◆S6ROLCWdjI :2018/06/08(金) 21:42:59 WMHqDivw0
>>415

【くるり振り向いてゆるく頭を垂れた男は、目を丸くしてその場に立ち止まった】
【加熱した卵の色によく似た瞳。二度三度しばたいて――それから「ああ」と、合点がいったと言うように】
【声を漏らして。それから、マリアと同じように立ち上がった夕月を見やって、身体の向きを変える】

「……なあーんだ、おまえのお客さんじゃなくて、鈴音ちゃんのお客さんだったの。
 そーいうの早く言ってよ、ホーレンソウ、大事だよ。ホーレンソウ、わかる?」

言う前にあんたが帰ろうとしたんじゃん! もー、そーいうのいいからっ!
さっさとこっち来てそれ喋ってっ、あたしはともかくマリアさんのこと待たせないでっ!!

【「へいへい」――ぷりぷり怒る夕月にうんざりしてます、みたいな顔しながら、男は歩いて近寄ってくる】
【適当な椅子を引き摺って、二人のいるテーブルに寄せながら。無遠慮にどかっと座り込んだ、なら】
【「オネーサンはマリアさんって言うんだネ。おれのことはオムレツって呼んで、卵色の瞳のオムレツくん」】
【簡単で、妙ちきりんな自己紹介。どう考えても人名に使わない単語を名乗る。それにマリアがどんな反応を返そうと】
【てきとーに流して、あるいは無視するようにして。ポケットからスマホを取り出して、テーブルの上に置く】

「オネーサンはさ、鈴音ちゃんのお友達? ……なら見たことあるかもしんないネ。
 夢。鈴音ちゃんが出てくるヤツ、見たことない? ワタシはダーレ、って泣いてる夢。
 そこでさあ、おれ、鈴音ちゃんとお話したの。したら教えてくれたわけ、今わたし(鈴音)はこう呼ばれてるんだけど、って」

【スワイプ。フリック入力、文字を打っていく。「へびさま」「ミルドラ」「アナンタシェーシャ」】
【――――「ウヌクアルハイ」。そのどれもが、蛇の神様をあらわす単語であった。それを検索欄に打ち込んだなら】
【仕上げにたんっ、とサーチボタンをタップする。数秒の読み込み時間のあと、表示される結果といえば】

「…………どー考えてもイイ呼ばれ方じゃ、ねーよなあ。なあコレ、……やばたにえん、じゃね?」

【――――『危険! 残虐行為を繰り返すカルト宗教にご注意!!』】
【そういった、警告文をトップに出してくるサイトが引っかかるのだ。それも相当な数】
【けれどその、宗教とやらのホームページが直接引っ掛かるわけでもない。ならばその団体は――秘密結社のようなものでもあると、わかる】


420 : アリア ◆1miRGmvwjU :2018/06/08(金) 21:51:27 o6XMS57s0
>>416

【女は黒いスーツ姿だった。初夏の暑さもそこまで迫っているというのに、手先と顔しか肌を見せていなかった。おまけに少女を拾った時は、冬に着るようなロングコートまで羽織っていた。】
【互いに、隠したいものが多すぎるのだろう。それはきっと、目の前の女/少女にだけねなく、己れを取り囲む世界すべてに。近付けるようで近付けない、磁石のような距離感。】


「 ── そうね。」「将棋、チェス、ソリティア」「歴史のページの一コマ、」「いっそベンサムの独楽でも、悪くはないけれど。」
「強い駒が欲しいわ。それこそ暗器代わりに、思い切り叩きつけても壊れないような、誰かに傷を刻めるような。」
「私を殺そうと思ってくるくらいの駒でもいい。そのくらいには対等でいてほしいわね。無論、殺されるつもりはないけれど。」


【対して女は何方かと言えば、幼い少女に何故か神性が与えられているような、 ── そんな印象を抱いていた。】
【まるで、何処にでもいるありふれた少女が、何かの間違いで崇められているような、浄められているような。】
【穢れを穢れと断じる人間は、本当に清らかなものなのだろうか。彼女が「穢れ」と断じられ捨ててきたものは、果たしてなんなのだろうか?】
【 ── 下らない妄想であると、女は内心での邪推をやめた。上っ面の会話に吐き出すべきものではなかった。けれど、】


「あら、失礼。」「 ── ええ、そうよ。随分前に、色々とあって。結局、ほとんど全身を機械化して、ね。」
「残ってる肉体は、脳と脊髄と骨髄の幾らか、」「 ── それと、顔の皮膚組織が、少しだけ。」
「それ以外は皆んな、飼い主の持ち物よ。」「酷いものよね。私の身体なのに、私の自由に使えやしないんですから。」


【 ── 自身の身の上を語るのならば、不思議と饒舌になるのだ。少女の頬は柔らかくて、少女の掌はすべらかで、】
【やはり彼女は家出娘などではないのだろうなと知っていながら、こんな質問だってしてみせるのだろう。】
【切れ長の左眼が、青く澄んだ瞳が、じっとマゼンタ色を覗き返した。空いた片手で、顔にかかった髪をかき上げる。】
【 ── その半分を覆う火傷の跡。目の位置にあるのは眼帯のような義眼で、増加した光量を調節するためか、機械的にレンズを収縮させていた。】


「根無し草の貴女が羨ましいわ。 ── 誰に縛られることもなく、身一つで、どこにだって行けるなんて。」


421 : ドープ ◆xgsUYuhzWc :2018/06/08(金) 21:58:49 Lxd3YeZA0
>>408


【その刹那は、ドープにとってスローモーションのようにも思えた。狂人は佇むようにソコで嗤っていた】
【〝パグローム〟。──彼はきっと、いつだってソコに居てくれてる筈だ】
【仄暗い深淵の淵で、こちらに銃口を突きつけて待っている】
【……きっとロシアンルーレットみたいに、それに弾は〝一発〟しか入ってないのだ】
【タイミングだ。いつか殺されるし、いつかその銃の先を引っ掴んで殺す事だって出来るのだ】
【それは安心感に思えた。同時に〝オレが殺すまでそうしていろ〟と思考した。何故なら──】

【──いつだって、好意の反対は無関心だからだ】
【パグロームという男は、一見何でも気にしてないように振る舞うドープという男に】
【嫌悪と侮蔑と最悪の絶え間ない連続性を抱かせた。真意をちらりと、ギミックで暴いた】

【彼はハッキリと〝殺したい〟と思った。心の奥底の〝 〟を見せてしまったから】
【きっとパグロームという男は、〝蛇〟ですら簡単に食えない男なのだろう】
【明日もきっと、彼は片目を治して、いたずらに引き金をちらつかせ、他の悪を暴きながら生きて行くのだ】
【己が己を信ずる意思と共に。イカれた言葉を吐き、鬱を差し向け、満足げに悦を浮かべ】

【恨めしい。恨めしい恨めしい恨めしい恨めしい恨めしい】


(──オレは、〝羨ましい〟よ、オマエが)


【ぱん、と右手が散った。それは暗い花火のように、水風船のように、利き手の骨も肉も全て吹き飛ばした】
【高威力の弾丸は手を散らすに収まらない。腕──肘の手前の部分にまで及んだ】
【蛇のタトゥーは、手に向けてその顔を向けていた。尾から半分だけ残った。なんだかマヌケだった】

【パグロームの在り方に、思想に、きっと不動の日々に】
【どうしようもなく、ドープは、妬ましく思った】
【それは他から見て暗黒のような存在証明だとしても、はっきりと〝生きてる〟と思えるから】

……、

【足で蹴飛ばされた。肉の味やら、ぶよぶよとした感触やら、血の味やらで口内が満たされる】
【──壁に叩きつけられる。大音を立て、ほこりと木材と共に地面に尻餅を着くと、】
【座り込んだ姿勢のまま、痛みに呻いて。ぼそりと声を出した】

……だァ゛、……黙、れよ、クソッタレ

【ドープの顔が右腕がグチャグチャになった。それはパグロームの血肉も、ドープの血肉でもあった】
【サングラスが先程の衝撃で吹き飛んだ。ツリ目気味の細い三白眼で、彼を睨んでいた】

良い……か。次、……会っ゛たら……殺してやる……
絶対、……殺してやる゛……痛゛ッ……テメーだけは、絶対に、追い続けてやる……
オマエ……を゛……殺す、のは、オレだ、……オレの、恥、見せたからにゃ、……子ガモ゛みてェに゛追っかけてやる……

【信仰へのプライドがズタボロだったからこそ、余裕のない本音をぶつけた】
【真の意味で言葉を差し向ける。ドープという男は、素のソレをヒトに向けた】
【──ドープという男を真に暴いたのは、恐らくパグロームが初めてだっただろう】
【それを許せないままでは生きていけない。生かしておけない】

……だから生きてろ。それまで、死ぬんじゃねェぞ
分かったか〝クレイジーグレイ〟。オレが、頭パーの〝バブルヘッド〟じゃねェ事を、
オマエが……頭パーの〝クレイジーグレイ〟じゃねェ事を、よォ……
思い、知らせて、やる、……テメーだって……オレが暴いて、やる……

【──そうだ。これは最早、パグロームの勝利だ】
【しかも、何者にも耐え難い形での勝利だ。ただ喧嘩しただけで終わった問題ではない】
【中途半端でもプライドが高い人間にとって、屈辱というのは、晴らす対象となる】

【そうして彼は、パグロームを見送った】
【脳裏に刻みつけるように、じっと見つめてから──】


──覚えとけェ!!クソッタレのFU×K野郎ォオッ!!


【家にわん、わんと震えて響くくらいの罵倒をプレゼントしたのちに】
【ふと、自分が脂汗まみれであったことに気付いて──意識が遠のいた】


/お疲れ様でした!


422 : 名無しさん :2018/06/08(金) 22:26:07 dKrkgANM0
>>420

【なら――この少女は、わりに季節に見合った格好をしていた。そういうところはどこか対極的なよう、だけど、隠し方がきっと違うから】
【真っ白い色はどんな色にも犯されて染まってしまう代わりに、何色にも揺らがず聳える黒色を犯して染め上げることができた、――そして、きっとそうして、染めてきた】
【相手がもしも彼女に神性を覚えることがあったとしたなら。――それはきっと一つのことにだけ視野を意図的に狭めた結果の、妄執の別名なんだと思う】

【――神様は意外と執着しいだから。一つのことばっかり気にしてしまうから。深く深く入れ込んだなら、人間さえも、そういう風に見えてしまうのかもしれない】
【神託を齎す巫女がやがて信仰を得てしまうように。神の命に従ってのみ動く少女の行いはある意味では神の意思の写しであると。だけど、多分、彼女はそう言われたら怒るけど】
【思春期だなんてそんなものだと思う、きいきいすぐ怒る癖に、今が一番人生で自分が強いときだって分かっているみたいな顔して、その強さを振りかざすことに、躊躇いがなくて――】

じゃ、もっと大きいのがいいですね。4コマ漫画でもなんでもいいですけど、小さいし、不確かすぎません?
――でも、ちっちゃくっても弱くっても、最悪体内に埋めたら人間くらいは殺せますよ、チェスの駒、喉に詰めたら割と致命的だと思いますし。

だけど、それを対等とは言わないし思わないですよね? ……あれ、なんの話でしたっけ。そうですね、2mくらいのチェスの駒なら強いと思いますよ。
ほら、石とかで造ってあったら、実質墓石みたいなものじゃないですか。罰当たりですけど、墓石叩きつけられたらだいたいの人間、多分死にます。
暗器にしては大きすぎますけど――――。

【多分なんにも考えてないもののしゃべり方だった。脳を半分くらい停止させたまんまで話しているみたいな温度感、だらりって寝転んだまま、首をかしげて】
【あははって笑い声。――とんだ家出娘だった、お前みたいな家出娘が居てたまるかって感じの。――よしんばそうだったとして、ろくなものが食べられなくて倒れる、なんてなさそうで】
【適度に悪い男を引っ掛けて貢がせるだけ貢がせてポイポイ捨てていくタイプっぽかったから。適当な言葉を並べてみせて、何の話だったかは、よく覚えてないから】

――――そうなんですか? 大変ですね、でも……、腕だけとか足だけとかより、情緒的じゃないですか?
いくら四肢があなたのものであっても、結局思考したりあなたがあなただと一番判断しやすいの、脳とか、顔ですし。
脊髄と骨髄については――まあ、脊髄反射したり造血頑張ってくださいって感じですけどね。

【あるいは他人事みたいだって思わせるかもしれなかった。彼女にとっては実質本当に"そう"なんだけど】
【表情さえもあんまり変わらない。頬を触れられるまま好きにさせて、いっそ助けてもらった分くらいは胸でも揉みますか、みたいな顔、きっとしているから】

身一つにも限度がありますよ? 10キロくらいなら頑張りますけど、20キロとかは歩きたくないですしね。
お抱えの運転手と乗り心地のいい車くらいは欲しいです。あと根っこも欲しいですね、タンブルウィードみたいなの、私、あんまり向いてないかと。
出先で種ばらまくにしても女ですからね、播種される方ですし、一か所に十月十日暮らしたら、それってかなり根っこ張ってないですか?

【義眼のレンズと目を合わせる、そうして笑うなら――全く根っこのない人じゃないどころか、全然抜けてこない雑草みたいに、本当は、ひどいんだけど】
【けろっと後腐れない人みたいに見えた。――どうでもいいことをおしゃべりするのは女の子の得意技、ありもしない仮説で駄弁っていられる、でも、全部までもは嘘じゃない】


423 : アリア ◆1miRGmvwjU :2018/06/08(金) 22:55:35 o6XMS57s0
>>422

【少女が何を見ているのかを女は知らない。知ることもできない。イデアは観測者の数だけ存在する。辛うじて組み上がった検証性のない共通認識だけが、仮の名として「世界」と呼ばれる。】
【上っ面だけの会話が、どこかで微妙に噛み合わないように。少女の人生と、女の人生は、似ているようで鏡写し、そして何処かで致命的に食い違っていた。】
【いや人の生命など皆な似たようなものなのかもしれない。違っていると思いたいだけに過ぎずに。思春期の子女が、自分だけは違うという全能感に満ち、それでいて苦悩の遣り場を持たぬように。】
【「 ── ふうむ。墓石。悪くないわ。」「たとえ死んだとしたって、そのまま捨て置かれても恨まないような、」「けれど信頼の上に成り立つような。そんな駒が、欲しいかしら。」だから、女は呟く。】
【およそ真面目に考えていなさそうな少女の言葉に、あえて真剣に取り組んでみれば、違う世界線へチャンネルできるかもしれないと。】


「そうね。顔だけは遺しておいたの。張り替えることもできたし、何より顔の形なんて、脂肪と骨格の比重が大きいのだけど。」
「せめて私が、私であった証拠、私と認めてもらえる痕跡 ── そういうの、欲しかったのよね。」「だから火傷の跡にも、それなりに愛着はあるの。」


【ひたり、と。かき上げた片手で、傷痕に触れた。醜いケロイドの凹凸をなぞる。なにかを思い出そうとするように。】
【 ── 少女がそのようなことを口にせず、あくまで面構えだけあっけらかんとしていたのは正解であったかもしれない。】
【弁えてこそいたが、女の性的嗜好は少しばかり特殊でもあった。骨の髄まで ── とは言わずとも、貰える物は限界まで貰う性分でも、あったし。或いはそれさえ、彼女のアイデンティティであるのか。】



「あら、随分とわがまま。貴女なら、それくらいは調達できてしまえそうな面構えではあるけれど。」
「その点、義体は良いものよ。メンテこそ必要だけれど、いくら歩いても疲れないし ── 」「よしんば豆でも出来たとして、痛覚を切れば血まみれになっても歩ける」
「 ── そうかもね。逆に私も、そこまで長く生きてる訳じゃなし」「張り切った根も、誰かに引き抜いて欲しいわ。」


【レンズに映り込む少女の顔は、塩を撒いても平気の平左で生えてきそうな顔をしていた。対して女の顔は、およそ植物のそれには譬うるに相応しくなく】
【 ── 硝子細工の造花と呼ぶのが、強いてまともな結論だった。偽りの花。けれどそ」は、少女もまた、同じことであり。】
【だからこそ少しだけ、踏み入った冗談も口にするのだ。ぼやけきって分からない嘘と誠の境目を、少しでも確かめたくて。】


「にしても、少し驚いたわ。」「この顔の傷痕を見ても、ぜんぜん何でもないような顔してるんですもの。」
「 ── 貴女、何者なのかしら? なんて、ね。」


【冗談めかして。目だって笑っている。どう答えたって、今更女は訝しむこともないだろう。少女がどう感じるかは、別の話だが。】


424 : 兼愛 信生(けんあい のぶき) ◆xgsUYuhzWc :2018/06/08(金) 23:05:05 Lxd3YeZA0
【──水の国、ミール・シュタイン。高層ビルが立ち並ぶその都市は】
【ランチタイムを少し過ぎた15時。オフィス街ならではの、狭い立地のレジとキッチンしか無いカフェの目の前】
【大衆用ベンチ席があるのだが、そこもあらかたヒトで少し埋まっており】

──いやはや!たまにはフルーソから出て買い物も良いものだ!
面白い機材や基盤なんかも買えるし、技術面でも勉強にもなる!
しかもこんなビジネス街。つまり、今ワタシはデキるハカセ!……デキている!

【大きな独り言を言って悦に浸る、二十代前半ほどの女が座っていた】
【黒髪で、肩ほどまでのセミロング。ときどき髪の中腹から毛先が白に脱色されたそれが靡いて】
【瞳は緑。何か特殊な加工でもしてるのか、瞼の落とす影でほのかに蛍光発色をしていた】
【白衣を羽織って、白のワイシャツの胸ポケットにスマートフォンを刺している】
【くっきりとした色合いのグリーンのスキニーパンツを履いて、足元は黒い革靴だ】
【手には黒い革手袋を履き、最後に、その頭には赤縁の眼鏡が掛けられていた】

【傍らには、大きめのキャンバス地のトートバッグ。カフェの店名が入った紙袋を膝に乗せ】
【片手の中のプディング味に見えるフラペチーノを啜って、頭の赤縁の眼鏡を下ろし、掛ける】

……さて!ワタシは、ここで買ったものの資料を見返すとしよう!
何故か!ティーチャー信生!スタディ諸君!
この席で資料を見返していると更にデキる感じがするからだ!
ハカセの定義としていつも白衣を着ているからな、こういう時に活かすべきなのだよ!

【すごく頭が悪い発言だった。誰に向けるともなくそれを向けるが、周囲は訝しげに彼女を見るだけだ】
【トートバッグにもうひとつの片手を突っ込み、ファイルに包まれていた紙の束を出した】
【怪我をしたばかりらしく、時々あいて、と呻いてはいたが】
【実際目を通さなければならないものではあったので、段々と集中してくる】

【ランチを過ぎたとはいえ、ヒトの密度は少し薄まった頃合いで】
【座る客は立ち代わり、入れ替わり。ちょうど彼女の隣席が空いた】


425 : 名無しさん :2018/06/08(金) 23:24:07 dKrkgANM0
>>423

【自分だけは違う。そんな万能感は小さな子供と、思春期の頃にのみ許されるおまじないであり呪文であった、それ以外の人間には、与えられず、振るうことを許されないもの】
【真面目に墓石がどうと考え出した相手には愉快げに目を細める。けれどその思考ゲームを無意味だとは言ってしまわない、それが時として無意味じゃないと知っているし】
【――こんな場なのだもの、無駄と嘘ばっかり積み重ねているから。それで何か見つかるきっかけになったらいいですよねって、思う。ほんとのことは言わないから】

いいと思いますよ。まるで全部焼け焦げたり潰れない限り、だいたい分かると思いますし。

【そのケロイドのありさまに少女はわずかに目を細めた。と言っても、睫毛がかすかに揺れる程度、そう動揺はしないが、――生きてる人間として、多少気持ちは動く】
【女だのにそんな傷、とか、言うはずもないけど。それでもどこかで何かを思ったんだった、――いろんなこと聞いたりはしないから、内容までは探れずとも】
【――それにしたって。彼女は別にそうなったとしても構わなかったのだけど。かえって恩人とかそういう関係性を剥がせて、楽だったかもしれない、とか、思いかねない】

【――――――どんな理屈だって、動物としての本能の前には、だいたい敵わないから。そしたら後から理由は作れる、あるいは、こじつけられる】
【拾っちゃった理由も、拾われちゃった理由も、だいたいそれで"かた"が付く。――だけどそうじゃないなら、それはそれで、健全っぽくて、いいのかもしれないけど】

そうですかね。私、これでもアクセルぶっちぎっちゃうタイプなんです。それに運転しちゃうと運転しなきゃなんないじゃないですか。
――なんで、誰か来てくれたら嬉しいですね。エスコートしてほしいです、オープンカーとかスポーツカーは要らないですけど。

白馬の王子様なんて信じてるわけじゃないですけどね。ていうか、要らないですけど。かといって死ぬまで一人っていうのも、ちょっとどうかと?
でも私、片思いなんです。そのためなら命の二つとか三つくらいは余裕かなって。ううん、それっくらいじゃ足りないですね、ありえたかもしれない過去も未来も、全部かな。

【お抱えの運転手が欲しい。あとは車も。だけどそんなに高いのは要らない、乗れればいいって、顔をする】
【まして白馬に乗ってる必要もない。――年頃らしいことを言ってみたかと思えば、すぐに撤回する。撤回、というよりか、付け加えていくというべきなのか】
【――片思いなのだと言う。何もかも捧げてしまうことをためらわないくらいの。――その時の少女の目はひどく陶然としたもの、なら、少女もまた手を伸ばすのだろう】

……私の家、医学系なんですよ。なんで、親からのプレッシャーがすごくって。医者になれなれって感じで。英才教育されました、なんで、多少は見慣れてて。
でも実際に見るのは初めてです。すっごい失礼なんて言わなかったんですけど、――へーって感じでした、これが噂のって感じですね。気を悪くしないでくださいね。

だから家出したんです。悪いことに一人っ子で。母の身体の都合で、一人しか産めなくて。だから余計にすごかったんですよ、プレッシャー。
不良娘です、今の私を父や母が見たら悲鳴あげて顔面蒼白、卒倒したついでに後頭部叩きつけてそのまま、即、あの世逝きって感じかと。

だから――――良かったです。あなたみたいな人が見つけてくれて。病院に運ばれたり警察に保護されるわけには、いかなかったんです。
ありがとうございます。あなたのおかげで私の両親は死なずに済みました。そのお礼をしなくちゃいけませんよね、――でも、私、持ち合わせがなくて。

【――――そうして許されるなら、相手の顔のケロイドに触れようとするのだ。指先はとてもとても繊細なレース編みに触れるよう、その凹凸を、撫ぜようとして】
【瞳を細めた、――漏れた吐息はどこか甘いもの。ならばそれは一般人の反応とは違う、どこか美しいものを見るように、クラック入りのクォーツを、いろんな角度で確かめるように】
【当たり前に嘘を塗り重ねた、――それでもよっぽど慣れているのだろう、話はよっぽどおかしいわけでもない。よくあるような話だった、少し大げさに言っているのは分かったろうけど】

【それで――少女は相手に尋ねるのだろう、「何かお礼になるようなことが、私にできますか?」と。スズランの声音を、甘く、甘くて、まるで蜜みたいに、蕩かして】


426 : ◆S6ROLCWdjI :2018/06/08(金) 23:34:53 WMHqDivw0
>>424

――――――――だぁ〜れ、だっ!

【突然だ。突然、あなたの眼鏡の上から覆い隠すようにして、誰かの手が後ろから回される】
【拒むことをしないならそのまま視界を塞いで。レンズに指紋が着くとか、そういうこと】
【まったく考えてなさそうな、悪戯めいて愉しげな声が響くのだ。当然、あなたの知らないヒトの声】

【吃驚されるか、あるいは非難されたらその手はやすやす放される】
【ごめんねえ、なんて。これっぽっちも申し訳なさそうな、笑い声混じりのアルトボイス】
【投げかけながらくすくすって。実に愉快そうな足取りで、隣席に座り込む、そいつは小柄な女だった】

【あまり手入れのされてなさそうな黒髪は首の中程までの長さ。その下の肌は白っぽい、通り越して青白く】
【植わっている二つの眼球も彩度の低い暗赤色であったなら、その印象は陰鬱そうなものであることを思わせ】
【おまけにその目の下、くっきりクマまでついているのだから。相当不健康で不摂生、それは間違いないんだけど】

……えへへ、ごめんごめん。
こおんな街中で「同業者」見つけちゃったからさ、つい、テンション上がっちゃって。
だってさ、運命的だと思わない!? こんなところでこんな格好してる人なんて、そうそういないでしょ――

【――いやに明るく弾む声。感情を隠すことができないって言うように、子供っぽく満面の笑み】
【見た目に反してずいぶんテンションの高い人物であるらしかった、にこにこ、ぶらぶら。座った脚、膝から下を遊ばせて】
【レンズの向こうの緑色、じいっと見つめていた。ねえね、何しているの、と視線で訊くように】

【――――あなたと同じく、白衣姿。喪服めいて黒いワンピースの上から。たしかにこんな格好のヒト、そうそう、いないけど】


427 : アリア ◆1miRGmvwjU :2018/06/09(土) 00:00:19 o6XMS57s0
>>425

【少女の様子と反応を試金石にしている節はあった。あるいは、単に吐き出したかったのかもしれない。思春期をとうに終えてなお、自分が何者であるかなどと、大人になっても悩んでいるような類は】
【システムとしての社会に組み込まれる上で支障をきたす。女が明日を過ごすような世界もまた、いずれ無駄と嘘ばかりなのだから。 ── 一刹那の救済が、あったとしても。】
【だから殊更に傷痕の話などしない。過去など幾らでも偽れてしまうから。にもかかわらず、女がやたらに、少女の生きた証に詮索的であるのは ── 郷愁、だろうか。】


「 ── ふ。」「情熱的な恋愛は子女の特権ね。」「愛情なんて汚いものだと、分かったような面をするのも子供だけれど。」
「恋をしている間は、誰だってそう思うわ。」「自分にはあの人しかいない。あの人以上の出会いなんて二度とない、って。」
「まあ、釈迦に説法かも、しれないけれど。」「気を付けなさい? 恋も、愛も、信仰も、夢みたいなものなのだから。」「 ── それが醒めた時、自分で注いできた分の熱量で、火傷を被るのもまた自分よ。」


【 ── 自分もいつか、こんな目をしていた時があったろうか。そんなことを思いながら、伸ばされる手を拒む道理もない。】
【火傷の跡は存外になめらかな手触りで、けれど縮れ上がるような無数の凹凸ゆえに、やはりそれは醜い傷痕なのだろう。】
【それでもどこか愛おしげに、恍惚に満ちた視線を、いつしか彼女は己れに向けているのだと、女が気付いた時には】
【少女の語る嘘の/真の経歴に随分と聞き入ってしまっていて、「それは、お気の毒様ね ── 。」と呟く言葉も、どこか上の空であって。そして、】


「 ……… 。」「なあに?」「別に、私は、構わないけれど。もしも遠慮があると思ったら、とんだ思い違いよ?  ── それに」
「片想いの相手がいるのなら、」「夜を過ごすベッドには、一人で入るべきではなくて、 ── ?」


【 ── 呆れたように、青い目を眇める。けれど瞳はどこか潤んでいるようであって、少女の甘い声音を、随分吸い過ぎてしまったらしい。】
【溜め息のように漏れ出た呼吸からは微かにブランデーの匂いがした。アルコールのきつさはなく、熟成した葡萄の心地いい甘さ、バニラエッセンスの切なさ、恋い焦がれるようなオーク材の薫り高さが重なって、】
【それはひとつの香水でさえあった。 ── けれどもその奥に、女自身の薫りもした。単なる機械に過ぎないはずの、汗ひとつかかない体組織から、しかし静かに湧き上がる、甘ったるさ。】
【誘われるように女もまた、もはや髪を支える必要もなくなった片手で、そっと少女の背き触れて ── ゆるりゆるりと、擽るように、なぞり下げていき】
【かすかに腰を抱くような指先のまま、その肩口にて微かに囁くのだ。 ── 「いいの?」と。】


428 : ◆KWGiwP6EW2 :2018/06/09(土) 00:13:27 WMHqDivw0
>>421
【恐らく、きっと。今日まで柳のように世間の波を乗り越えて来た男が、喉から絞り出すような声を上げる】
【怨嗟、嫉妬、嫌悪――そして、殺意。どれもこれも、なるほど人間らしい感情で】
【オマエはやっと人間になれたんだぜ、とそう語る様が目に見えそうではあるが、既に男の姿はその場にはなく】
【死体は消えて、人殺しも消えて、残ったのはただ殺気を漲らせた彼の姿のみ】

【だが――】
【男の方もその心中には穏やかならぬものが有った】
【久し振りに楽しめた時間だった――殺し合いの最中にここまで喋るとは】
【そして地獄の窯の如き強い憎悪――奴はきっと蛇神様のことなんて、頭にはなかったに違いない】
【それは愉快――だが、同時に、酷く不愉快】

【よもや三度目の正直まで逃すとは思わなかった】
【己と鉢合わせて、三度目が有った奴など初めてだ】
【間違ったモノがこの世界に存在しているのは息苦しい】
【だから奴も早く消さねばならない。あの思ったよりも険しい目付きが脳裏に残っていることが耐え難い】
【顔も、名前も、歴史も遺さずに、この世界のどこにも奴の居場所など作れないように――】
【彼が宣言したように、徹頭徹尾自らのことしか頭にないこの男の腹を裂いて、その中身を暴けるのだとしたら】
【中から果たして何が出てくるのやら……自分ですら分からない】


【彼の予想が一つ外れるとしたら、男は食い破られた片目をまだ治すことはないだろう】
【これは間違ったモノにつけられた傷だ】
【それまだこの世から消えていないのだから――傷もまた消えることはないのだ】


【そしてもう一つの予想も外れる。腹の虫が収まらない男は、もう少しスッキリしたかったから――】
【明日からではなく、今日すぐにでも――他の狂信者を追い始めるのだった】


何がキミぃのシーッアッワッセー♪なーにをしィ―てヨーロコブゥ?


【調子外れの歌を響かせながら、男は血塗れのまま別の路地裏へと消えて行く】




【――だが、安心して欲しい】
【彼に取って重要な予想は外れてはいない】
【彼らが次に出会う時は――二人は即殺し合いを始めるに違いない】



//長らくお付き合いありがとうございました!


429 : 名無しさん :2018/06/09(土) 00:28:29 dKrkgANM0
>>427

――――そうですね、でも、どうせ、死んだときも焼かれるじゃないですか? 生きたまま焼かれるのと死んで焼かれるのは結果として同じですし、
むしろ焼かれる感覚を味わっていられるだけ――情動じゃないでしょうか。私はそう思うんですけど。

……でも、大丈夫ですよ。ご心配ありがとうございます。

【――あるいはそれは今宵で一番真実を言っているのかもしれなかった、恋も愛も信仰までも、夢と同じであったなら】
【醒めて残るものはなんだろう、――今まで注いできたものが、ひるがえって、自分を焼き尽くすんだと言うのなら。――ああ、でも、それは、きっととても気持ちいいから】
【死んだ後に焼かれるくらいなら、生きたままで焼かれたい。それはどんな気持ちなんだろう、思春期って名前の熱病のせいなら、それはあんまりに無慈悲すぎて】
【大丈夫の意味さえよく分からなくさせる。――あんまりに深くのめりこみすぎていた。上っ面で激昂してこないのは、深く深く根を張っている証拠でしかなくって】

【――――――きれいだな、と、少しだけ、思った。その傷は"蛇"に関係ないと分かりながら、それでもどこか、美しく思えた】
【いろんなものが贋物になってしまったうえで、あえて残された、本当のところ。替えがあると言いながらも残しているのは、どこか、他人事に思えなくて】
【けれどその不安を彼女は思考に上げない。――――自分が何者でもない、替えの利くものだって。それに気づいてしまうときが、きっと、大人になるってことだから】

……あれ、そういうタイプに見えますか? 遠慮はいらないですよ、ただ一つだけ。着物に針は刺さないでください。
明け方に糸を手繰ってこないって約束してくださるなら、――それにしたって、拾った未成年相手に何てこと言うんですか、警察呼びますよ?

【お礼――特別に"そんな"つもりはなかったのだけど。それとも相手が男であったなら、あっさりと、提示したかもしれないんだけれど】
【相手の呼気に含まれるアルコールにすら酔ってしまいそうだった、酒はほんとうに弱くて。それでも嫌には感じない、どれだけ高価な香水にも勝るだろう香り、気づいたなら】
【少女もまたどんな香水にも負けない香りを纏っていた、――それはきっと彼女の持つ少女性そのもの。蜜のように甘くって、だけれどどこかで酸い、思春期の香り】
【擽るような指のしぐさに小さな笑い声を漏らす、――彼女が求めたのはそれだけだった。今宵が終わったら出ていく。その時に、帰してくれさえすれば】

【――相手がそれを知っていたなら、"それ"は蛇のエピソードであった。よくある民話をなぞらえたように、けれど、限りなく少女の本心であったなら】
【冗談めかして笑う、肩口にて囁かれたなら、彼女もまた、相手の耳元に囁くように。――警察呼びますよ、なんて、そんなことはするはずないから】

はい、どうぞ。処女(おとめ)じゃないですけど、いいですか?

【――――案外ムードもなんもない口ぶり、なら彼女にとっては日常の一つであるのかもしれなかった。家出娘、とんでもなく爛れてしまっているみたいで】
【あるいは相手の火傷にも似通う、――ずるずるって爛れ切った在り様をどこか透かして。けど、薄く笑う口元から、きっと、うんとうんと甘い蜜漬けの声で、ささめくから】
【どこか潤んだような目がじいと相手へ向けられるのだろう、――そうやって至近距離で聞いてしまえば、スズランの毒に中てられるみたいに、きっと本当に、甘くって】


430 : 兼愛 信生(けんあい のぶき) ◆xgsUYuhzWc :2018/06/09(土) 00:50:37 Lxd3YeZA0
>>426

【勢いも交えて声も掛ける事こそが、だーれだ!でヒトを驚かせる時の鉄則である】

──おひゃああっ!?

【体が、一瞬筋肉が凍ったみたいにバウンド】
【手から資料がバサバサと滑り落ちる。無意識でフラペチーノは死守したものの】
【酩酊したかのように驚愕でチカチカした視界のまま、慌てそちらを向いた】
【そこで彼女を捉える。──瞳の下の隈は心配になるものの、それを信生は〝努力の証〟として捉えた】
【髪の毛はぽさぽさではあるものの、同じく白衣で黒のワンピースを着込んでいる事に衝撃を受ける】

(……デ……デキる女のヒト……!)

【ごくり、と息を飲んだ。──〝ワンピース〟。ここが重要である】
【女性が惜しげも無くワンピースを着ているのは、特に理由は無いが社会的得点も高い】
【なおかつシャープで影のある美しさを抱かせる。笑顔も素敵】
【更に惜しげも無く発揮されるコミュニケーション能力】
【どうしようもない〝敗北感〟。先程までイキリを発揮していた為の恥ずかしさ〟に襲われたものの】

──はっ……

いや、その、そうだな。ワタシも嬉しいぞ!
いかにもキミは白衣が眩しく美しく……!
……ワタシは兼愛 信生!花も恥じらう22歳!

そうだな、白衣着のヒトとこうして会えたのは嬉しい!
ワタシはロボット工学専門の科学者でな、キミのことも是非教えて欲しいのだ!

【微妙に間を空けてから、急いで落ちた資料をかき集め、トートバッグに突っ込んで】
【ばっ、と彼女に向けて両腕を広げ、コンマ0秒で急速に懐いた笑顔を向ける】
【切り替えた態度は抱き、向けるのは明らかに彼女への〝好意〟】
【彼女が明るく接して来た事が嬉しかった為であるが、少々距離感が近しすぎるような】
【そこから、にこっと表情いっぱいに笑いかけて】

──しかして先程の驚かし、中々にエキセントリックだったぞ!
衝撃的で可憐、キミはワタシにトキメキを与えてくれた!

どうやらワタシはキミの事が──〝ダイスキ〟になってしまったようだ!

【と、唐突に大胆な言葉を吐いた。それはシンプルに友好の意味合いで】
【相反する色合いで、少し楽しかった。アンダンテのような、妖しくも安心感を感じる暗の赤色】
【対して、激しく瞬く、人工的な蛍光の緑色】


431 : 名無しさん :2018/06/09(土) 01:09:27 dKrkgANM0
【街はずれ――裏町】
【特にさびれたエリアだった、近郊にできたショッピングモールに逆を取られた商店街の亡骸が寂しく残るばかりで、歩く人もいないのに】
【――だからこそ、"それ"は目立っていた。特に目立ったところのないありふれたバンなんだけれど――だあれもいないのに停まっているから、ちょっとだけ、おかしくて】
【そうやって思って見たなら。車内が見えないようにされているのもあって、急に怪しく思えてくるんだった、――ひらひらと窓の外に揺れるのが幽霊じゃないかと疑るみたいに】

…………はい、お疲れさまです。誰も来なかったですか? まあ、そうじゃないと困るんですけど。
最近は物騒ですからね、――ほら、早く積んじゃってください。入らないですか? そんなことないと思うんですけど。
詰めこんじゃって大丈夫ですよ、――まあ、吐かれないくらいにどうぞ。窒息されても困りますし、窓開けらんないですからね、開けてもいいですけど。

私は窓開いてる方が好きですよ、高速で窓全部開けるんです、暴風域みたいで楽しいですよ?

【――――やがてそこにぞろぞろっと人が集まってくる。さびれた裏町でありながら、さらに、もっと、さびれた道、人目に付かない道を選んできたかのように】
【体格のいい男たちだった、――それぞれがちょうど人間の入りそうな大きさの袋とかを抱えて。バンの後ろの方、どすんどすんって、乱暴に、それらを積んでいく】
【だけれど、そんな彼らの後を追いかけるように最後に姿を現したのは、――ありふれたような少女だったから。そのまま歩いた少女は助手席の方へ、窓を開けさせたなら】
【――後ろで詰め込まれる"荷物"とそれを積み込む男達のことはあんまり興味もないみたいに、それでも一応は車を背にして、運転手と話をしていて――】

【――透き通るように薄いウィステリア色のロングヘアは一つに結わえられたポニーテール、真っ白な素肌に、嫌になるほど映える瞳は鮮やかすぎるマゼンタの色合いで】
【セーター襟のワンピースは真っ白な色合い、車に背中を預けて腕を組んだなら、ふっくらと柔らかそうな胸元が、うんとうんと強調されて。腰の細さが付いてきたなら】
【背中ついでに片足も預けてスカートが持ち上がれば、真っ白な太ももが露わになって。ぞろりと枝垂れたワンピースの布地、裏布が白いのまでよく見えて】
【あんまりかかとの高くないサンダルを履いていた。――それでも身長は少女にしてはわりに高く、大人びて見えて。――だけれど、それはどこまでいっても少女の色合いをして】

ま――だいたい嫌がられますけどね。ママに。弟は好きでしたよ、あいつバカなんで。
あれ? 言ってませんでしたっけ、私、弟が居たんですよ。三つ下。超バカでした、マジでバカだったんで、将来心配してたんです。

【――――車の中からの声は聞こえないから。少女の声だけが聞こえて来ていた、スズランみたいに冷たげで甘い特徴的な声、やる気なさそうなポーズはそのままで】
【ただし分かる人が見たなら、辺りにずっと気を向けていると、分かるのだ。なら――"彼女"が"見張り役"だと、理解させて】

――あ、この言い方だと私もバカになりますね。それはヤダなあ。
………………あと何人くらいですか? 早くしてくださいね。

【くすくすって笑い声がひどく平穏な様子で揺れていた、――けど】

【その車には変わらず、明らかに不審な荷物が積み込まれていて。あといくつか積んだなら、きっと、この車はどこかに向かうのだろう】
【それを裏付けるみたいに、運転手と雑談しているみたいだった少女が男たちに尋ねて――手持無沙汰に、右手の爪先を見やる、もう片っ方の左手には、長い手袋を嵌めていたから】
【見られる爪は合計5枚だけ。――すぐに飽きたみたいに、また、どうでもいい雑談をし始めた温度感が、さびれた街に、この状況に、ひどく異質だった】

/予約のやつです!


432 : ◆S6ROLCWdjI :2018/06/09(土) 01:15:32 WMHqDivw0
>>430

【けらけら笑いながら資料が散らばっていくのを見てる、そうすれば脚もまた、ばたばたって】
【サーカスの紙吹雪でも眺めているみたいな、あまりにも他人事感ただよう様子で、楽しんで】
【ならばちっとも自分が悪いことしたなんて思っていないと、相手にわからせるのだ】
【一通り笑い続けたら、満足したようにふうと息を吐いて。数呼吸おいてもう一度、にこっと】

22歳? へえ、じゃあ僕のみっつ下。若いっていいねえ。
これでも僕25歳なんだよお、アラウンドサーティ。

へえ、ケン、アイ、ノブキ……ノブって呼んでいい?
櫻の国のヒトかな、けっこう変わった響きの名前だね。

【「僕のことは――そうだね、ミアとでも呼んでほしいかな」。初手、フルネームを教えずに】
【代わりに愛称で呼べと宣う。それを親愛からくるものと取るか、はたまた逆】
【なにかしらバリアを張っているものと取るかは信生しだい。だけれども】
【どっちでもいいでしょう、って、誤魔化すみたいに笑顔をキープし続けるんだから――たぶん後者、かもしれない】

ロボット。へえ、ロボットかあ……じゃあサイエンティストじゃなくてメカニックかな。
僕はどっちかってとナマモノ扱う系だから、あんまり話は合わないかもだけど――

…………いきなり情熱的だね。いや、いきなりなのは僕もだったけど。
ふふ、僕もたぶんノブのこと好きになったよ。だってこうしてお話してて、イヤじゃないもの。

【ナマモノ。生物って書いてそう読むやつ、「いきもの」とは読まない、やつ。そこはかとなく不穏】
【けどそれも誤魔化すみたいに、目を細めて、口角を吊り上げて】
【ずっと笑ってる、それしか顔の作り方を知らないみたいに。それでもオーラは人懐こくて】
【言葉に嘘は混ぜていないと思わせるだけの力はあった。実際、嫌なことなんて何一つされてないから】
【嫌いになる要素なんてない。だから好き。メイビーを付け加えて。あなたと私、補色の瞳が親しげに交わった】


……ね、それ、なんの資料? 僕が読んでもわけわかんないだろうけどさ、
おんなじ研究者だもの。なんでも気になっちゃうの、わかるでしょ?
たとえ好奇心に殺される運命だったとして、最期にはなにやら満足げな顔して瞼を閉じるの。
そういうイキモノでしょ? 僕たちって。

【おんなじ格好してるあなたなら、抑えきれない好奇心。わかってくれるでしょう?】
【要約すればそういうことを、わかりやすいんだかそうでもないんだか、微妙な比喩で表現しながら】
【今しがた、こいつのせいで散らばった紙束を指差しながら、訊くのだ。それなあに、の5文字でこと足りるってのに】


433 : アリア ◆1miRGmvwjU :2018/06/09(土) 01:19:25 tIl6GYgo0
>>429

【けれど夢から醒めた先が同じ夢でないという保証など果たして何処にあるのだろう。身を焼かれる想いが夢でないと誰が教えてくれるのだろう。】
【畢竟そんな役割を担ってくれるのは神でしかないのだ。玉ねぎを何度も剥き続けて、無くなるまでそうしてしまったら、蝶々の佃煮か粟粥一炊へ放り込んでしまうしかない。】
【儚い幻想に縋るだけの生を、虚実に分けようとするのが愚かしいのだろうか。 ── その時、己れは、どう生きればいい?】
【そんな下らない苦悩は、皆んな劣情と欲望にぶつけてしまえばいい。獣みたいに貪って、切ない呼吸に偽りを重ねたなら、次の目覚めが全て忘れさせてくれる。】

【無論のこと女に下劣な感情はなかった。その姿を、仕草を、愛らしいとは思ったけれど、それだけでしかない。】
【であれば矢張りそれは中毒に近かったのだろう。揮発性の毒にあてられて換気を怠ったから。 ── しかし、それだけであるとは、どうしても思えずにもいて】
【その理由が一つ、きっと少女のすべては偽物だろうと思っていた。だから、ともすれば、この心は ── 少女の隠す「真実」を、知りたくなってしまったのだろうか。】


「……よく言ったものね。思い切り人に色目使っておいて、私が恥ずかしくなるじゃない。」「まったく、家出娘で生計が立つ訳かしら。」
「意識してやってるなら、大したものよ。」「そうでないなら、稀代の悪女ね。」「いずれにせよ、もっと人間らしい不潔さを自覚した方がいいわ。」


【やはり呆れたように吹き出して、無意識のうちに代替不可能性を語るのだろう。全能感から目覚めた子供が次に抱くのは、現実に対する行き過ぎた諦観。】
【悟りを開いたようでいて、その実あこがれずにはいられない。自分だけが自分であることに、世界を回すありふれた歯車の一枚でないことに。】
【 ── ともあれ、こんなに幼い少女を抱くのは久しぶりだった。甘酸っぱく、切なく、けれど焼き焦がれるように煮詰まった、カラメルのようなにおい。】
【啜れと命じられている気がした。そうされるのが一番の幸福であると、全体主義的な残酷さに横車を押されていた。】


「その辺のナヨついて未練がましい男とは違うの。」「後ろ髪を引かれる痛さも苛立ちも、よおく知ってるから、ご安心なさい。」


【女はその御伽噺を知らなかった。そのままに夜伽を過ごすつもりだった。ただ、絡み付くような声音ばかり、聴覚素子の奥にキャッシュを残し】
【そのデータをクリアする気にもまた、なれなかった。ダブルベッドの上に片膝を付き、きしりとスプリングを軋ませて、ジャケットを脱ぎ】
【 ── ひどく背の高いその躯体を刹那月光に晒し、そのまま押し倒すようにのし掛かって、背中と腰を抱き締めるのなら、女の身体の柔らかさ、ことさら胸元のそれが執拗であって。】
【そのまま片腕をベッドへと、少女の頭のすぐ横に突き立てて、しっとりと潤んだ青い瞳で見つめる。慈母のような微笑みだった。穢れひとつない白銀の髪が、ヴェールのように影を作っていた。】


「 ─── 私は"ひとでなし"よ。」「選り好みするような悪趣味はないわ。」





                【そうして、深く深く、唇を奪ったのなら。】





【 ── やがて水平線より暁光が差し込み、高く太陽が登ったとして。肌を晒したままの女は、静かにシーツへと沈んだまま。穏やかな寝息。】
【たとえ少女の膚に身体にどんなものを見たとして、女は咎めも躊躇いもしないだろう。きっとそれは、夜明けまで続くような爛れたものであって。】
【だから女は目覚めない。見送るつもりもなかった。ひとりで勝手にシャワーでも浴びて、出て行きなさいと ── どこまでも、ムードなんて知ったことでなく。】
【ただ、ひとつ。2021号室の表札には、朝日に照らされたエングレービングが、「Aria」の名前を、光らせていた ──── 。】



/遅くなってしまいましたが、このような形で〆で、いかがでしょうか ── ?


434 : ◆XLNm0nfgzs :2018/06/09(土) 01:54:26 BRNVt/Aw0
>>431

【うら寂れた街並み、人っ子一人いない筈のシャッター通り】
【その中に紛れ込んだ異質なバンと、異質な男達と、それから一人の少女】

……あっ、あぁ──
【作業と会話に集中していたのならあまりよく聞こえなかったかもしれない、が】
【小さな声はその街並みに幽かに混じった】

【突如姿を消した二人の"少女"】
【片方はとある廃墟の街にいるかもしれないという話はあるものの、もう一人の行方は全くもって掴めなくて】
【そんな中で見つけた、全く別の──本来捜していた"モノ"に関する手がかり】
【当然、それにも飛びついた訳で】
【"彼等"がいそうな場所を探してみたりもしたのだが──】
【だから"それ"はきっと偶々、だった】
【別の目的の為に偶然訪れた街で、偶然目についたその人々が、夢に見る"彼女"を擁する輩だなんて全く知りもしなくて──】

【月白色の肩まで伸ばした髪の少女だった】
【頭には目深に被った生成色の大きめのキャスケット。ノースリーブのデニム地のワンピースに紺色のローヒールのストラップパンプス】
【慌ててつばに手をやって、金色の瞳でバンを一瞥して】

【目についた時は、ただ「人がいないと思って油断してたな」くらいにしか思っていなかった。少女には人目についてはいけない秘密があったから】
【けれども少しバンの方へ近付いてみて、何かが変だと思った。少女は"人より"鼻が利くから】
【それでもその違和感の正体が掴めなくて、ただ「何か怪しいな、何積んでんだろ?」くらいにしか思わなくて】

【やがてその金色の目は車の傍らの少女をとらえる。自分と同じくらいの年頃の少女】
【あー、綺麗なコだな。ああいう服もかわいいって思うんだけどなー……やっぱりあーいう服ってすたいる?が良くないと駄目だよなー……色々おっきいし】
【なんて年相応な女の子らしい事を考えて、小柄な背丈と平らな上半身の事を思えば自然とため息が出てしまって】
【そのマゼンタと少し目があってしまった気がして】
【あ、やばい目があっちゃったかも、なんてちょっと気まずそうに目をそらしながらバンの近くを足早に通り過ぎようとする】


435 : 名無しさん :2018/06/09(土) 01:56:48 dKrkgANM0
>>433

【ずっと寝転んでいたから、どうにも、相手との身長差を測りかねていた。背の高い女性だなとは思っていたのだけど、それが、ベッドの上という同じ世界を共にしたなら】
【うんと狭い世界であったから、余計に――分からせた。自分だけが転がっていたときよりベッドが深く深く沈み込んで、それならば、一人きりじゃないと分からせる】
【ある意味では歪みに似ていたのかもしれない。――いや、きっと、それは歪みだった。幹をばっさり切り倒されてしまった切り株から芽吹く、一つの芽みたいに】
【精一杯に生きようとする――人間らしく生き物らしく生にしがみつくさまが。あんまりに強いなら、生きたいって強く願うなら、それはもう歪みにすら変貌ってしまって】

…………不潔ですか? そうですかね、あんまり気にしないので――、ですけど初めてですよ? "こういうの"は。
でも――そうですね、それなら、ちょっと、女の子っぽいこと、言ってみますか? 私、結構、痛いのとか大丈夫なんですけど――。

【そのうちに自分の全部がすっぽりと相手の影へ隠されてしまう。そろりと枝垂れる純白の髪色のカーテンに遮られるなら、視界すらも、相手に奪われて】
【ひどく鮮やかなマゼンタ色の瞳が楽しそうに笑っていた、――「やさしくしてくださいね」。寸前の言葉とすら矛盾する一言、二人きりのカーテンの中、囁いたなら】
【自分の頭のすぐ横に付きたてられた腕を横目でちらと見やる。――淡い藤の上に純白が柔らかく重なっていくのが見えた。それならすぐに混ざり合うだろう、と予感させ】
【――ぞく、と、した。ほんの少しだけ。ならば言葉通りだ、同姓との経験は、まだない。だから。互いの髪が絡まってしまいそうな予感、だなんて、初めてで】

【――――――ルールと礼儀とマナーに則って、その瞬間に瞼を閉じた。ふっくら膨らんだ瞼に寄り添う藤色の長い睫毛が触れてしまいそうな距離なら、吐息まで交じり合って】
【それで少女は全部を相手に委ねた。それなら――白い服の下、整った肢体を暴くことはもちろん、左手だけの左右非対称を暴くことさえ、相手には許されるのだろうから】
【隠されていたのは蛇だった。指先を揃えて伸ばしたなら生きているとすら錯覚させそうなほどに精巧な、蛇の入れ墨。ならば彼女の所属はただ一つ、全ての嘘が暴かれて】
【あるいは腹部に残る手術痕も気づくのだろう。何度も何度も胎を開けられたように。そしてよっぽど上手な施術ではなかったんだと分からせる、旧い傷】
【ほかにも細かな傷がいくつもあった。けれど特筆すべきはその二つが主だろう。――――そしてそれだけで十分であった、はずだから】

【――そして月が傾いて、高層の窓から見える地平線の向こうが、少しずつ、少しずつ、白んできたなら】
【少女は人知れぬ方法で迎えを要請する、そうしてから、一人、勝手に浴室を借りるのだろう、声を掛けることはなかった。その必要はなくって】
【ならば残していったのは、きっと、彼女が居たというわずかな痕跡のみ。すなわち風呂上りについでに借りて、多分それっぽいところに置いておいた、濡れたバスタオル】
【名前を名乗ることもなかったままで――――それなら帰りは呼びつけた"サーバント"が運転する車の中、まだうんと低い位置から照らされる街並みを、眺めて】

…………シャンプー変えたり、人んちでお風呂入ると、自分から知らない女の匂いがしてビビりませんか?
男の人には分かんないですかね、……まあいいです、私徹夜なんで、寝てないんで。寝てていいですか? ネズミ捕りは避けてくださいね。

まあ、こんな朝っぱらからやってませんよね――、朝チュンもとい朝チューですね。笑っていいですよ。

【運転しているやつに話しかける、――くすくすと笑ったなら窓に頭を預けてあくびを一つ、そのまま、緩く目を閉じて】
【それでそのまま眠ってしまうから自分勝手だった――くだらないギャグをぶっこまれた方は困った顔をしていたけど、そんなの気にするほどは子供じゃないから】

/おつかれさまでした!


436 : 兼愛 信生(けんあい のぶき) ◆xgsUYuhzWc :2018/06/09(土) 01:56:50 Lxd3YeZA0
>>432

……や、やめたまえ!25を四捨五入するのは死活問題だ!
アラサーは恐ろしい数字なのだ……
個人差あれどイエローシグナル、つまりはまだ20代であることを誇る方が精神衛生上よろしいぞ!

【資料が散らばる様子にすら、けらけらと笑う彼女に、思わず汗を垂らすものも】
【とはいえその様子もまた愛らしく思う、思わず笑みが零れる】
【身長が低いとはいえ、優雅な佇まいとは裏腹に、随分と愛らしいヒトだと】

否、正確には櫻の出身ではないな
祖父母が櫻の人間だったのだ。血縁的に漢字を用いたコドモになったのだよ
純然たる水の国生まれ、アーンド現在も水の国生活者だ!

そう──そうだよ、ミア!
キミはどんなヒトなのだい?
研究職なら、現在どこかに個人的研究所があるのではないか?
それとも、どこかの団体や企業に所属しているのかね?

【──彼女は教わったままにミア、と呼び、にこりと笑った】
【そこで、勘ぐるという行為自体行わない。盲目的にブラスフェミアを信じている】
【現状、相手の表情や仕草に毒気を感じられないのもあるからだろう】
【嬉しいから、笑顔で好奇心のままに問いかける】

ほほう!ナマモノ……ナマモノか。
キミは生体系の研究という事か?……ようはホムンクルスなどかな?
遺伝子だとか、合成獣の分野だろうか?機密であれば大丈夫なのだが……
ワタシはカタいモノ専門ではあるが、ヤワいものももちろん興味はあるぞ!

……う、うむ、そうだな、研究者は死ぬまで
猫すら殺す好奇心に駆られ、そして猫を殺すモノにあっけなく殺される!
だから、だ!ワタシとてキミに開示しない訳にはいくまい

──お恥ずかしいが、コレがワタシの研究物だな!
今しがた落とした資料にも記してあるのだ、是非お見せしよう!

【と、自分は問いかけたのだから、もう少し詳しく伝えようと】
【そしてトートバッグの資料を引っ張り出せば──設計図が記してあった】
【美少女型のものではない、つるりとしたフォルムの少女型ロボットのイラスト】
【他にも、人工知能の設定やら、数式やプログラム式。多くの情報量の書き込みをなされている】

この子はアイ。
通名はオートマチック・ピュアホワイトアイ。
ワタシの自信作だ!ワタシはこの子にアイを教える学習プログラムを組んだのだよ!

【──アイ。曖昧な定義のものを伝えた】
【その後続けるのは、ようは愛情を教える為のふれあいコミュニケーション】
【ロボット、そしてその人工知能にアイを抱かせる事が出来るかの研究】
【人間に近い思考に設定して、他者と話したりすることで、ロボットも人間らしくあれる結果を出す──というもの】


437 : 名無しさん :2018/06/09(土) 02:15:31 dKrkgANM0
>>434

【――――その袋の中からは、"人間"の匂いがした】
【それはもちろん車にすでに積まれたものからも等しく人間たちの匂いがして、ならば、この辺りには、目で見える以上に人間の匂いがしすぎる】
【煙草の臭いだけでもいくつかの銘柄に分かれている。それから酒の臭い。個人個人で違う体臭。シャンプーだかリンスだか、ボディソープの匂いも全部違って】
【ざっと見繕って、十数人くらいは居ないと、おかしかった。――でも、そこには、数人の男と、少女。そして、運転手のもう一人くらいしか、居ないなら】

それで――――、……………………。

【――相手が通り過ぎるのに、少女はいくらも前に気づいていた。荷物を積み込む男達もだ。けれど相手が気づいた様子を見せないなら、かえって、わざとらしくしない】
【もとよりあといくつかであったなら。むしろそのまま運び込むのを続行する、早く終えれば、あとは数人の男と少女を乗せるだけで、車はすぐに出せるし】
【車に寄り掛かって片足をドアにえいって突き立てたポーズ。文字であらわすなら「女」の下半分みたいな姿勢の少女は、ある程度相手が近づいてきたなら、言葉を区切り】

【相手が目が合ったと認識した瞬間――確かに、目は合っていた。人当りの良さそうな笑みで目礼する、それだけなら、どこかの雑誌のモデルでもやっていそうであり】
【だけれど視線を逸らしたなら、ちょうど、男たちが最後の荷物を積んだところだった。――ばん、と、扉が閉められる音、それから、ぞろぞろっと男たちが乗り込み】
【少し遅れて――というよりもそれを確認して――少女もまた、車に乗り込もうとするのだ。ならばチャンスはほんの一瞬だけ、そして、きっと、一度だけ】

【――――――――いましがた車に載せていた荷物は、なんですか?】

【なんて】

【――尋ねるのはすっごく勇気が要るかもしれないけど。きっと相手の嗅覚なら、それを確信してしまう。相手が嗅ぎ取ったものは、間違いなく、人間の匂いであった】
【恐ろしいのはその手口が慣れていたこと。相手が通りすがってもなお、変に取り繕うより続けて、足早に立ち去ろうとしていること。だから、予感させる。ううん、確信させる】

【――――この一瞬を逃したなら、この車は、決して徒歩じゃ追いつけないような遠くまで、行ってしまうって】


438 : ドープ ◆xgsUYuhzWc :2018/06/09(土) 08:40:31 Lxd3YeZA0
【〝痛みを押さえきれないくらい、思いっきり泣いて良い〟】
【〝感情くらいは激しく剥き出してもいいのだ〟】
【〝どうしてオマエは耐えるのだ。周囲に期待しないのだ〟】

【遠い夢を見た気がした。丁度このくらい、ソレは夏の時期の夢だった】
【少なくとも、そのような夢をあばら家で見てるようでは、〝昼寝からの爽快な目覚め〟では無い】
【路地裏の廃屋はまだ静かだった。ネズミ、ゴキブリ一匹の気配すら無い】

……

【腕をちらりと見た。剥き出しの尖った骨や、肉のぐちゃぐちゃしたのやら、絶えず溢れ出る血液】
【よくもまあ、気絶中に失血死だのしなかったなと思う】
【……しかしこの悪衛生の環境下で、〝放置〟はマズい。かといって自分で動くのはダルい】
【こんな時は、病院に行くよりも〝組織〟に助けを乞う方が効率が良いのだが──】


【……用済みだと、殺されないだろうか?】


【縋ってはいる、蛇を。しかし〝信仰心が薄い〟という目を背け続けた現実をハッキリと自覚した】
【自信が喪失した今、弱っていた。先ほどの摂取の影響で精神状態も不安定だ】
【頭を叩いて、左手で額から顎に掛けて顔を拭い、己の気持ちを改める】
【もし心中を読まれたら?蛇とヒトツになる事は恐れないものの、今の瞬間に殺されるのは嫌だ】

……そうじゃねェ……とは……思い、てェ、
……ファンキーだよなァ……ホント。アイツらも、オレも……

【大丈夫だ、と自分を律する。そこまで非情な組織ではないはずだ】
【そうだ。当たり前だが、ソレを露見しなければいいのだ】
【焼けるような痛みがあまりにも激しすぎて、目の前がチカチカしてきた】
【尻ポケットのスマホは画面が割れていたが、問題なく立ち上がりタップ出来た】

……もし、もし……オレだ……

〝ドープ・ラブ・ライク〟……

【おぼつかない左手で連絡し、投げ掛けたSOS。今己は路地裏の廃墟に居ると】
【きっとこのあと、誰かが助けに来てくれるはずだ、と信じた】
【──切った直後は、来なかったら来なかったで、という諦めの波が襲った】
【同時に、嫌だ助けてくれ、という懇願の波も襲った。ソレが交互に来る辺り、だいぶ自分は参ってるなと笑った】

/かえでちゃんの方、お願いします!


439 : 名無しさん :2018/06/09(土) 10:15:40 VYZBfh7A0
>>438

【それは相手が救難信号を出してから数分後のことだった。あるいは、彼からすれば、それは数十分にも、数時間にも、感じられたのかもしれないけど】
【電話を受けたのはありふれたサーバントの一人だったんだろう、いくらかの会話をして、電話は切れる。――――そうして、それで、"数分後"】

【「私、近くに居るんで、行きますね。それまで頑張って生きててください」】

【電子機器を使わない連絡方法――蛇念と呼ばれるもの。それが明確に彼に向って投げかけられるのだ。それが誰か、までは、今の彼に判別をつけるのは難しいかもしれないけど】
【一つ言えたのは、それは限りなく高い優先度を持っていた。――よっぽど魔力の扱いに長けた人間がようやく拒否できるくらい。すなわち"幹部"クラスからの、連絡】

――――――――お勤めご苦労様です、まだ生きてますか?

【果たしてそれが何分後かまでは、分からないのだけど。いくらかの時間の後、廃屋に声が響くのだろう、しゃんと涼しげでも、どこかうんと甘い、スズランの声】
【あるいは彼も知っている声かもしれなかった。特別にかかわったことはなかったはずだが、(それは彼女からの印象であり、彼からしたらどうか、は分からないけれども)】
【やがて見せる姿。――そこまでくれば、彼も、分かるだろう。少なくとも、噂くらいは聞いたことがあるはずだった。――藤色の髪に紅紫色の瞳、左手に施された、蛇の入れ墨】

【――――――ムリフェン/蜜姫かえで】
【ひょこりと、お買い物帰りみたいに顔を出してきたのは、間違いなくその少女であって】

……あ、居ました、もう一回聞いておきますね。生きてますか? ごめんなさい、医療班までは近くに居なかったので、一人なんですけど。
来がけに要請しておいたので、後で来ますよ。"それまで"頑張ってくださいね。――――私が来たからには大丈夫ですよ、ご安心ください。

【薄く透き通るような色合いの髪だった。そろりと長いのを丁寧におろして、真っ白の肌と、それだけ鮮やかすぎるくらいの、目の色】
【肩を大きく出したオフショルダーのワンピースに足元はサンダルだったならありふれた少女の装い、けれど――手負いの彼を警戒させないようにか、手袋はすでに取り払われて】
【真っ白な肌に、赤と黄色と黒色の、蛇。……ヤマカガシの入れ墨がむき出しにされていた。あんまりに精巧な、ともすれば生きているかとすら思わせるほどの】

会話はできますか? 私が誰だか、分かりますか? 分からぬなら名乗っておきます、分かってても名乗りますけどね、別に。
ムリフェン――お分かりですか。ところであなたの名前はなんですか? 薄っすら見覚えはあるんですけど。ごめんなさいね、名前までは。

【ひどく整った顔の少女だった、やがて彼を目視したならば歩いてきて、そのまま、彼のすぐ目の前の地面に――とすん、と、座り込む。胸元がやらかそうに揺れて】
【そうして目線を合わせたのなら、少女はまず相手に話しかけるのだろう。――自分の名前を伝えて、それから、彼の名前を尋ねる。言葉は、秘匿された邪教ならではのややこしさ】
【要請を受けた時点で彼女も「サーバントからの救助要請」としか聞かされていない。――それで相手の名前を聞きだせたなら、よし。錯乱して会話にならぬようなら、】

飲みさしでよければ、お茶でも飲みますか? 買ったのだいぶ前なんでヌルいですけどね。起き抜けにカフェオレよりいいかと思いますよ。

【――その凄惨な傷を認めてなお、少女は特に顔色を変えなかった。だくだく漏れ出る傷よりも前に、どれくらい生きているかの確認、飲み物を欲しがるなら、それも渡して】
【本当に生ぬるいお茶だった、カフェインゼロのやつ。はとむぎとか入ってる方の――ためらいなく地べたに膝をついたまま、少女はそんな風、ひとまずは相手の様子を伺うだろう】


440 : 麻季音 ◆KP.vGoiAyM :2018/06/09(土) 10:41:30 Ty26k7V20
>>373

【世界は箱である―――――】

【そんな仮説を立てた私は、何かの本に書いてあった事を思い出していた】
【人類は家というものに住むようになってから、世界を長方形のくくりで見るようになった。という話】
【いわゆる窓、だ。ドアでもいい。人工物は直線の構造体で、そのほうが整理しやすい。集団社会のなかで】
【我々も画一的なものが求められる。芸術も自由を求めても、絵画は長方形の枠組みの中に収められた箱庭だ】

【我々は窓越しに世界を観察する存在なのだ。長い歴史がそうした】
【箱の中に収められた存在としてはそれはなんだか因果的なものに感じる】

【言葉は届かなくてよかったのかもしれない。そうしてしまえば、ありもしない仮説に悲しむ人間がもうひとり増えてしまう】
【まあ…もう十分、絶望しているのかもしれないが。不必要に希望まで奪うことはないだろう】

いや、いいのよ…まあこんな部屋で。ちょっと片付けか…あの、立て込んでいたし、手伝ってくれる人も…

【別に言い訳する必要なんてないのだが、口をついて出ることばは、それを自分が恥じている証拠だろう】
【しどろもどろになりながら、はたと気がついて私はもとの話にハンドルを切り直した】

なにが、『そう』なのよ…

―――エヌ?…そう、エヌね。

【最初はあまりにも予想外で聞き返したが、それはすんなり受け入れた。名前なんて個人を識別できれば】
【必要条件は満たしているんだから。わかればいいというものでもないことは理解してるが】

……権限がないというのは『監視者がいて言った場合処罰されるから言えない』のか
それとも『何かしらのプロテクトがかけられていて、そもそも言う事自体ができない』のかしら。

【後者だと彼はゾーイのようなアンドロイドなのかそれとも―――“新しい思考者”であるのか】
【実際に奴らの技術を知っているからそれを思いつくのは容易だ。しかし―――それは未完成なのでは?】

【私は、彼のその網の目を縫うような言葉の選び方で、難しい状況にあることは推測できた】
【だから今はそこを追求するのはやめた。時間は有限だ―――特に彼はそうだろう】

組織ね…。それを言うということは私にとってポジティヴな話と捉えていいみたいね。
驕る訳じゃないけど、私がなんだか重要人物だってことは重々承知しているわ。
……なんでも、『ソラリス』なんでしょ?貴方もそう呼ぶのかしら。

【歯抜けの話は一切のことが伝わらなくでもどかしくてイライラしそうになっていたときに】
【彼女の名前が、出た。】
【私はすぐに答えられなかった。わざとらしく、目をそらしたことだろう。それだけ、相手にも伝わるはずだ】

…鈴音さんは………居ないわ。…ずっと。…よくわからないけど、サーペントカルトっていう
カルト団体に捕まったって…

【胸が痛んだ。後ろめたい気持ちは言葉にすることができなかった。都合のいいところだけ言葉にした】
【口の中に広がる嫌な感じを押し流そうと、コーヒーを一口だけ飲んだ。カップを握ったままずっとそれを見つめてしまった】


441 : 院長中身 ◆zO7JlnSovk :2018/06/09(土) 10:53:06 XhR7wdR.0
>>398

【──、平行線は交わらない、地平の果てまであなたを想っても、そこに届く道理がないから】
【ならばそれを作ればいいと、彼女は思っているのだけれども。──、それは果てなき慟哭に似て】
【出来る所以も憑代も、今の彼女には見つけられていなくて】

【立ち上がったなら背を向ける。同じ志を持つ信徒に向ける態度ではなかった、寧ろそれはより根源的な】
【届かないからこそ思う所作を願いと呼ぶのなら、叶う事の無い願いを祈りと呼ぶのなら】
【── 多分きっと、恐らくそれは、其の様相を呈していた】


……っ、別にいいし……キミはさっきも言った様に、生け贄を集めてきて──っ
このボクに、そんな態度とったんだから……生半可な結果じゃ、絶対許さないし
精々地べた這いずり回って、ひいひい言いながら頑張る事だね──

キミ達は何処までも、ボクらの飼い犬で、── 家畜なんだから
言われた事に従って、言われる侭に寄り添って行けばいいんだよ
言ってる意味、分かんないでしょ? 結局キミも、その程度だから


【最後に残すのは侮蔑の言葉、言い捨てたなら背中を向けたまま扉に向けて歩いて】
【──外に出る一歩手前、外界へと旅立つその刹那に】
【ポツリと、本当に微かに、── 紛れもなくそれは量子の一粒よりも微かな】


…………信仰なんだよ。必要なのは、── 信じてもらわなきゃ、ボクもあの子も存在できない
なくなってしまった工場に変わる、拠り所を作らないといけないから



【それは僅かな憐憫で、確かな情念であったから】
【──、次の瞬間にはもう居ない、少しばかりの憂いも残さず】
【一人残して、去っていった】


/こんな所でしょうか! お疲れ様です!


442 : 院長中身 ◆zO7JlnSovk :2018/06/09(土) 11:33:05 XhR7wdR.0
>>404

【──、二人は延々と廊下を歩いていた。喋りに支障を来さない程度の速度で】
【アンダンテとは言い得て妙で、小刻みに触れる歩幅が響く音律のリズムを整え貴女とワルツを踊る】
【靴音の刻むBPMは83、夜の散歩を続けるカップルの様に、貴女の歩幅に合わせて】


不必要な卑下は感心しませんね、お話を聞く限り決して私は貴女の頭が悪いとは思いませんよ

──、仰る通りです。人は皆須らく体験したものしか信じない。しかし、裏を返せば体験したものを"信じざるを得ない"のです
根拠の無い出来事や、説明の付かない現象を人は忌避します。それ故に、体験した不可解を何かしらの理由を以て正当化する心の働きこそが信仰なのではないでしょうか。

この現実の我々は、そういう"不可解"をより正確に認識しやすいのです。── 能力こそがその最たる例であるから、
そうです、能力という体系が存在し、能力者という存在が跋扈する。故に我々は日常に於ける"不可解"を受け入れやすいのです。
端的に言えば、天使も悪魔も神様も、この世界であったなら、全て許容するのではないか、と


【分岐点を曲がる。角を左に曲がり緩やかな直線を進む】
【少し下り坂になっている様だ、男の歩調がほんの少しだけ急かす様に前のめりになって】
【それでもエスコートする手は離さないから、必然として貴方はより一層深く進むのだろう】


そうですね、信仰に対する裏切りとは流石に言葉が過ぎました。申し訳ありません、熱が入ると周りが見えなくなるものでして
──、ふむ、興味深い。知覚という着眼点は非常に秀逸です。我々の精神活動の発端はこの知覚にあると私も思います。
貴女の言を借りるのであれば、知覚する事と信じる事は密接に関係ある、と── そこに私も異論はありません。

逆説的に言えば、今の貴女が我々の教えに対して懐疑的なのは、単にウヌクアルハイ様を知覚されていないからでしょう。
それは責められる事でも、詰問される事でもありません。
原初、どの様な知識人であっても、知らぬ事は知らぬ、とその因果からは逃れられないのです。

──、ではもう一つお聞きしましょう。この世に知覚出来ないことは、あると思いますか?
あるいは、そうですね──、知覚してはならないもの、……ああ、いいえ、これは、知るには早すぎる
言い換えましょう、我々の知覚していない意識の作用について、貴女の意見をお聞きしたい。

つまりは無意識下の作用について、ですね。知覚する事が信じる事の始まりなら、
貴女の知覚の底にある無意識は、何を一体信じているのだと思いますか?


443 : ドープ ◆xgsUYuhzWc :2018/06/09(土) 11:45:12 Lxd3YeZA0
>>439

【──聞こえて来た〝蛇念〟に驚く】
【気分が苦しくなってきた頃合いにそれが耳に届いたために、尚更驚愕する】
【思わぬ告知に返答をするタイミングを逃す。嫌な予感に汗が吹き出る】
【〝どういう事だ?何故上位クラスの女が来る、そんな風に部下に思いやりを抱く奴が居たのか?〟】
【ドープ・ラブ・ライクは基本的に、幹部の名や存在を〝見聞きで知っている〟程度】
【この宗教ではその実態は探る事も避けていた。面倒や余計な死に方を回避するため】
【生意気な口は叩きつつも、比較的穏やかに行動することに準じていた】

【……もしや、本当に殺されるのか?用済みだと処理されるのではないか?】
【そうだ、一人のサーバントを助けるくらいに幹部が時間と力を割く筈がない】
【この後幹部が来るとうそぶいて、サーバントの一人が拳銃片手に現れるのだ】
【蛇教において人材はコストパフォーマンス。この場で希望的観測を抱かせた方が場に留まるだろう】
【──ドープは、もっと深く考えば結論も出せるだろうに、極めてナンセンスな思考を巡らせる】

【薬物のストックは手元に無い。しかしカウンターするならば、此処で行くしかあるまい】

(──来るッ!!)

【右腕をかばい、焦ってそちらを向けば、まるで夏のかげろうのように儚く美しい少女が居た】


……は?


【本当に来てしまった。幹部が。……名前と容姿くらいは聞いたことがある】
【同僚や後輩から聞けば、〝まるで、日常の風景に溶け込み居るような少女〟】
【女性幹部の存在は耳にするも、まだわりと正気である方の仲のいい同僚たちは】
【その時、その場にて、誰が好ましいかなどやや低俗な会話もしていた。面白半分、雑談程度に聞き】
【ファン層の派閥として〝ラサルハグェ〟派、〝シャーデンフロイデ〟派、──あとは】

【〝ムリフェン〟】

【あまりにも非日常的に感じてしまい、そんな他愛ない光景を思い出す】

──あ〜っ、と……

【思わず壁にたじろぎ、どう答えるべきか迷い、困惑していた】
【次々と出てくる気遣いの言葉に、ぽかんと口を開けて聞いてしまった】
【サングラスが吹き飛んでいたために、ツリ目の三白眼にじわりと涙を浮かべる】

──エ、エンジェルッ!!オマエやっさしいなァ!!
何でそんな……いや、迷惑を掛けました!!
いやホント……!うッ、ウグ!オレ……オレァ……迷惑……

【疑心まみれであった為に、素で驚いてしまい、なおさら安心してしまった】
【〝ラサルハグェ〟という少女に後頭部でタップダンスされた恐ろしい記憶が蘇り、更にむせび泣く】
【あの時は怖かった。自業自得でもあるのだが】

う、ぐゥう……あのっ……ぐ……オレ……ッ
迷惑じゃ……ないか……不安で……ッ
ど、ドオプ。ドープ、ラブ、ぐううううッ

【──彼女から見たら、知っていた印象よりもメンタルが弱りすぎているというか】
【見た目がガタイのいい黒人なだけに、こんな風に泣き漏らしているのはあまりにも情けない】


……あ゛……だァ……あの。ムリフェン様
オレァ、随分とお手数お掛け……しました
……オレァ、おっかねェサタンは見た事ありますが、ゴッデスはこの宗教で初めて見ましたよ
神は唯一神、ウヌクアルハイ様ですがねェ

【──ひとしきり泣いてから、落ちついたらしく、ぽつぽつと話し始める】
【まずは敬語。ついこのあいだ肉体言語で目上の者には敬語と一般教養を教えられた為に】
【腕の痛みもあって、喋りの調子はそこそこ悪いのだが】

ベッピンなオンナの飲みさしなんざ、オトコのオレが受けとる訳にゃ行きァせんよ
オレァ、場末のションベンみてェなエールで十分です

恐れ多い。それァ、冷蔵庫で冷やして残り飲んじまってください

【ややうつらうつらながらも、目の前に座ってくれた少女に微笑み掛ける】
【やはり薬物の抜けもあって、気分は最高潮に悪いのだが、笑う余裕くらいは出てきた】
【彼女への多少の気の許しもあるのだろう。もっとも、幹部という存在への畏怖はきちんとあるのだが】

……アンタ、大丈夫なんですかい?
忙しくなかったンじゃないですかね。真夏の真昼間だ、幹部に野暮用させたなんざ
オレの仲間内でこっぴどく怒られちまう

【と、気も遣ってみる。──この男にしては、大変珍しく】


444 : 院長中身 ◆zO7JlnSovk :2018/06/09(土) 11:58:56 XhR7wdR.0
>>405

【振り下ろされる斧を受け止める様に、狙撃銃の銃身を左手で支えて】
【丁度十字に交差させたなら、そのままひらりと、受け流すのだろう】
【浮浪雲の様に流麗な所作、斧は地面に突き立てられ、彼女は狙撃銃を軽く回した】


──、帰る場所なんて無いのね、カチューシャも子猫ちゃんと一緒、私の逝く場所も、きっと仮初
だからね、それなら、不確かな場所でも、不揃いの私達でも、寄り添えば存在できるの
行く宛が無いのならどうぞこちら、私に手を引かれて、滴る蜜の重なる月を甘受するの

可愛い子猫ちゃんに、可愛い格好をさせないのは罪なの、女の子は何時でも飛び切りのお姫様だから
私は罪を許さないの、貴方に与えられる筈だった施しを、与えられるべきでなかった傷の代わりに
──、この身が果てるまで飛び切りの愛を、貴方に


【ピンヒールの踵を鳴らし、響く音は徒に。歩む一音が確かに奏でられる度に長い髪が揺れる】
【一本一本が丹念に編まれた絹糸細工の如く、豪華絢爛な纐纈模様を施してもまだ足りない】
【プラチナブロンドの髪は穢れなき彼女を証明する様で、尊き少女の一瞬を閉じ込める様でもあった】

【──、近づこうとする。貴方のすぐ側まで、ゆっくりと】


445 : 『INSTITUTE MELTING PROTOCOL』 ◆zuR4sSM1aA :2018/06/09(土) 12:18:31 SD5ZXnH60
>>347,354,358,361,393

【貴方/貴女達の正確無比な攻撃に、蟲は叶うところを知らなかった】
【空中で翼を広げる“天使”に切り裂かれ、鉛弾の雨が無慈悲に躰を貫いていき】
【何よりテレサのシャボン玉の効果は抜群だった──唯の泡だと思って突入した蟲の全てを、そのエネルギーで粉砕して】

【隧道の中に投げ込まれた手榴弾だが、爆発した音は聞こえないことだろう】
【それなりに深い、ということなのだ。何せ巨大なリアクターを格納している場所であるが故】
【相当な地下にそのリアクターがあるということなのだろう。兎に角、湧き出る蟲にその被害は確認できない筈だ】


【ギアが手にとった図面を広げれば、搬入口は地下1階に位置していることが分かる】
【そして倉庫の奥のドアには「緊急時自動解錠」と朱で注釈が添えられていて】
【そのドアが開いていると判断できれば、そちらに駆けつけることだろう】

【地下へと繋がるエレベーターは電源系の遮断によってすでにその動作を止めており】
【使用中止の橙色のランプが灯っている──即ち階段を突かて降りるしかない】

【図面には地下20階に「魔力駆動系/発電室」と書かれており】
【その階こそ、リアクターが位置しているのだと──そのように理解できれば】
【あとは階段を下っていくだけ。急がなければ、陽動部隊も長くは保たない】


【しかしどれだけ急いで降りたとしても、漂う鉄の臭いはその先を予見させるのに十分なはずで】
【20階、そう標榜された扉の前に立ったならば──最も濃い、一般人なら吐き気を催すほどの血の臭いが漂っている】
【────既に、“蟲”に蹂躙された後だったのだ】


446 : ◆S6ROLCWdjI :2018/06/09(土) 13:29:02 WMHqDivw0
>>436

うふふ、ゲンジツ見るのは大事なことだよ?
残された時間、もうあんまりないんだって思って――
そしたら必死に頑張れるじゃない。頑張らなきゃ、夢は、叶わないでしょう?

【とのこと。何かしら夢があって、そのため、頑張っている、らしい】
【残された時間とも言った。四半世紀生きたとはいえ、まだまだ若い部類に入るだろうに】
【――よほど、その「夢」とやらを叶えること、焦っているともとれる。それも誤魔化す、きゃらきゃら】

ふうん水。いいよね、お仕事でよく来るけど程よく都会で、
かと言って自然が全然ないかって言われればそうでもなくて。
川も湖も海もあって――僕は湖が好きだなあ、静かだから。

僕? 僕はねえ――氷の国でソロ活動! そうそ、合成獣とかよく造る、あと肉体改造とか。
氷はね、寒い寒いアンド寒いみたいな国だけど、僕みたいのには都合のいい国なんだよ。

【「ほら、今の季節だとナマモノ、すぐ悪くなっちゃうもの。天然冷蔵庫の国にいればその点安心」】
【さらさら、流れる水のように不穏な単語――お仕事とかどうとか、出てくる】
【けれど依然、表情は幼い子供じみてイノセント。軽快に、警戒の糸に触れないような】

【――そして。覗き込む、信生の「レシピ」。ふーんと口にするあたり、やっぱり細かいことはよくわかってなさそう】

アイ。アイちゃんっていうの、へえ……
……人間のココロを持たせようとしているの?
そのわりに、フォルムはさほど、人間っぽくはないけど――

――――ねえノブ、あなたはアイちゃんを創って。そこにどんな「願い」を籠めてるの?

【訊ねるのはそんなこと。なんのためにこの子を制作したのかって、わりとありふれた質問】


447 : ◆S6ROLCWdjI :2018/06/09(土) 13:35:50 WMHqDivw0
>>445
//わりと絡みにくいレスばっかしてますので無視していただいて構いません!


>>354 (リオシアちゃん)

【女はなおもリオシアの背中をじいっと見つめていた。本来目を見張るべき蟲なんて見向きもせずに】
【そうして何やら、愛おしげに目を細めたりもして――ふと、何かに気がついたらしい】

(……牢電竜。路地裏に放しておいて、ブッ壊されたアレ)
(アレをやったのもあれくらいの歳の女の子だって聞いたな。金髪碧眼、の)
(……、……血を、金属に。それと銃を持ってて、……うーん、判断材料が足りないから、なんとも!)

【けれど確信には至らない。それに、彼女に何をしようという気概も見せていないし】
【無視していたっていいだろう、というかそうするべき。敵である蟲は、まだまだ湧いて出てくるのだから】


>>358 (アリアさん)

そう、アリア――――独唱の女王。
せっかくだしデュエットしようよ、するのは僕じゃなくてその子だけど――

【「……人形に見える?」――アリアが戦場に似合う顔をしているなら、この女はまったく逆】
【楽しそうに、世間話でもするように。普遍的な笑みを浮かべているのだ。護ってくれる背中を見つめながら】
【指を振る。そうすると、従の少女がアリアの死角をカバーするように動く。此方はやっぱり無表情、無言のままで】


>>361 (ギアさん)

【聞こえたろうか。人形のように佇んでいた少女の肉が裂けて、そこから人体には有り得ないパーツが生えてくる音】
【女は笑みを湛えたままそれを見守っているのだから、きっとギアの疑念は正しい】
【だからといってこの場でそれを追求する余裕――あるかどうかで言えばきっとない。多分】
【とりあえず、この場で敵対することはないだろうとは思わせる。彼女のほうにもそんな余裕はないだろうし】
【だから放っておいても、いいけれど――それはきっと今だけだ。そう予感させる程度には、不穏】


>>392 (テレサさん)

(いやーヤンチャどころの話じゃねえな。目立てない。あの女の目に付いたらダメなヤツだ、これ)
(弱ったなー僕そういうの苦手なんだよな、どうしても。戦場においては「異物」にしか、なれないし……)

【「承知したよ、シスターテレサ。よろしく」口調こそ軽快に、口当たりよく発声するけど】
【内心ダラッダラに冷や汗をかいていた。そして、この戦場では絶対ヘタなことしないようにって】
【誓ってもいた。好奇心が服着て歩いてるみたいな女ですらそう決断するほどに、テレサのこと、脅威とみなしたようだった】


>>445

【散らばった蟲の残骸、かけらを摘まみ上げて硝子の管に収めながら】
【それだけだ。それ以外のことにはなんの関心も抱かない。素知らぬ顔して最後尾】
【無言のまま全員について行くけど――「げ、階段ン?」そこら辺には文句を言った。研究者だもの。体力、ないし】

【そうしてようやくたどり着いた地下。上がるより降りるほうが楽とはいえ、20階もそうしたなら、めっちゃ疲れた】
【それでもついて行くと決めたのは彼女自身だったから。はあー、と大きな息を吐くのみに留めて、悪態は吐かない】
【対して。腕に翼を生やしたままの少女、そこから諾々と血を流しながらも――やはり無言・無表情。痛みも、感じないのだろうか】

……はあ。これもうダメなヤツ? 帰って――いいわきゃないよねえ。
なんだっけえ、この扉をくぐるモノは一切の――ナニ? 希望? そーいうのを捨てろってヤツだったよね、
ソレ系のヤツじゃん。あー、しんどいね……ね、誰か開けてくださらない?

【女は此処でも最後尾。誰かが扉を開けたなら、一番最後にそれをくぐろうとする、当たり前のように】


448 : 兼愛 信生(けんあい のぶき) ◆xgsUYuhzWc :2018/06/09(土) 14:12:00 Lxd3YeZA0
>>446

……少々気にはなってしまった。何やら、含むような言い方であるな。
もしや病気なのか?ミア、キミは体が弱いのか?

それとも、その歳で終わりきれない研究なのか?
わ、ワタシが手伝える事は何か無いのか?

【──まだ25歳。何でもないような話し方とはいえ、その焦るように受け取れる語り口は気になった】
【何か事情があるようにも思える。無理に聞き出すつもりは無かったが、結果的に思わずつんのめってしまう】
【彼女の事がスキだからこそ、心配そうに、鬼気迫った表情で問いかける】

ふむ、ミアは静かなイメージだからな!
しかし水も似合うが、氷もミアらしいからな!
そうだ!今度自然の中の湖を案内しよう!池ぽいのだが、とてもキレイで……

……ほう、ソレはまたもや面白い研究だな──!
あの近辺は人道的な部分に触れてしまう分野ではあるが、
ワタシは研究対象へのメンタルケアやメンテナンスがしっかり施されているのなら、大丈夫だと思う派なのだ

ミアは良いヒトだからな!きっとその辺りも慎重なのだろう?
今度キミの研究も見せてくれたまえよ!

【と、〝決めつけた〟。彼女を盲目的に好むからこそ】
【それは勝手な期待にも近い。
【より〝イノチ〟の分野に近しいもの。それを取り扱うのならば】
【この優しい女性なら──〝大丈夫〟なのだろうと】

フォルムは趣味──というか、ヒトに近いとあまり意味は無いと思っているのだよ
ワタシが目指すのは、〝キカイ〟と〝ヒト〟との共存なのだ
ロボットらしいロボットでも、〝ココロ〟と〝アイ〟を知ってヒトと触れ合ったら──

きっと、すごく、すごーく平和になる!そう思わないかね!?
ヒトは手を取り合えるのだから、ロボットもヒトを理解すれば、手を取り合える筈だ!
ワタシはソコを〝願っている〟!──〝アイ〟を、色んなヒトと、ロボットと、共有したいんだよ!

だって、ワタシはヒトが、すごくすごーく、スキなんだ!

【両腕をわっと大きく広げ、またもや楽しげに、にこっと笑いかける】
【それは子供の夢物語だ。諦めを拒み、妥協せず、そのまま育ってしまったワガママな希望】
【目をキラキラと輝かせ、──それは、諦めて成長を受け入れた大人のようなヒトが聞けば】
【苦笑いを浮かべ、あるいは叱咤するようなモノ】
【惜しげも無く、全てのヒトを愛していると語る】

しかし、ミアの研究物は有機的な存在なのだろう?
きっと〝ココロ〟は繋がりやすいのだろうなぁ
たとえ赤ちゃんのキメラでも、〝アイ〟を知る段階はとても早そうだ!

【〝そこがやはり、無機物と有機物の大きな違いでな〟と、笑顔で邪気無く、羨ましそうに話す】
【〝ココロ〟をプログラミングされるのと、すでに機能として〝備わっている〟という違い】
【──〝ブラスフェミア〟。彼女はまるで母親のようにその子と触れ合っているのだろうと】


449 : ◆jw.vgDRcAc :2018/06/09(土) 14:39:34 OX.x04tc0
>>419

【妙な自己紹介。軽い雰囲気の彼だから、冗談のつもりなのかもしれない……と思ったけれど、いつまでたっても訂正の言葉は無くて】
【きょとんとしていると、勝手に話を進められる。……えっと、そのまま真に受けてオムレツと呼んでいいのだろうか。なんて】
【思っていると、話を進められる。慌てて注視すると―――そこに示された情報は、目を疑うものだった。】
【残虐行為。カルト。……断片的ではあるが、示される内容はどれもそのようなものばかり。ということは】
【鈴音が神様役になっている宗教が、このようなことをしている……としか、推測のしようがない。マリアは、また数秒黙って】
【―――少し考えを纏めたのだろう。静かに、語り出した。】

夕月さん。……もしこれが本当の彼女の望みならば、私は鈴音を討たなければなりません。助けるのではなく、倒さねば。
でも……やはり私は、鈴音がこんな事を望んでいるとは到底思えないのです。
貴女の言う通り、勝手な思い込みかもしれない。私がそうあれかしと願っているだけなのかもしれない。
けれど。今まで鈴音が私に見せてくれた、伝えてくれた、想いや願いが……全て作り物で。
これが、残虐な行為が、本当に望んでいる事だなんて。

【まだ迷っている。本当はそうじゃないのかもしれない、と不安を感じている。けれど……自分の感じた想いを、伝える。】
【もしかしたら、夕月の知らない事実かもしれない。だったら、不安でも、確証が無くても、伝える必要がある。】

……最後に私が鈴音と会った時の話です。
夕月さんも経験があるでしょうが……ここに来る子供たちの中には、感謝どころか酷い事を言う子もいますよね。
それ自体は仕方のない事です。恵まれない環境で、荒んでしまった心では……感謝を知らない子供だっているでしょう。
でも……言われると、傷つきますよね。普通は、「どうして作ってやってるのにそんなこと言われなきゃいけないんだ!」って思いますよね。

だから私は、「どうして酷い事を言われたりしても、このたんぽぽの活動を続けられるのか。辞めたくはならないか」って尋ねたんです。
……すると彼女は―――「感謝されたいから始めたんじゃない、私がしたいから始めたんだ」、って。そう、答えました。
誰かが望むからそうしているんじゃない、自分がそうしたいからそうするんだ、って。
そこには報酬も、感謝さえも必要なくて……ただ自分の望みの為に、するんだ、って。

他人がそうあって欲しいと押し付けられて、仕方なくやっていたのなら……そんな言葉には、なるでしょうか?
―――私は、少なくともこのたんぽぽは本心だったと思うのです。

【鈴音から店を引き継いだ夕月にも、何度か経験はあるだろう。本当に恵まれなかった子供が放つ、心を抉るような暴言。】
【無償でやっているにもかかわらず、理不尽に傷つけられる。継続する気を失いかねないような、言葉の数々。】
【「そうあれかし」どころか、行動や人格さえも全否定するような言葉。―――それでも、鈴音は店を続けていた。】
【その意志の強ささえも、他人が望んで押し付けられたものだとは……到底、思えなくて。】

……もし、鈴音が残虐行為を望んでいるというのなら、私はそれを止めなければなりません。友ではなく、敵として。討つべき悪として。
でも、それが本当に鈴音の望みなのか……私は、分からない。だって、それ以上にたんぽぽの活動を強く望む姿を見てきたから。
二人は、どう思いますか。―――友として助けるべきなのか、敵として討つべきなのか。私は……まだ、助けたいと思っています。

【漸く紅茶を口につけて、一息。―――心は迷い、揺らぐ。けれど、今まで積み重なった想いを、どうしても疑えなかった。】


450 : ◆S6ROLCWdjI :2018/06/09(土) 14:40:42 WMHqDivw0
>>448

んー? 見ての通り不健康ではあるけどね、病気はないよ。大丈夫!
ただちょっとね――焦ってるだけ。「早く会いたい」って思ってるだけだよ、

……ノブはさ、僕みたいな人にもすーぐスキスキ言っちゃうような人だからさ。
博愛のヒトなんだろうね。それじゃあこの気持ち、あんまりわかんないかもしれないね。

――――恋をしてるの。愛じゃなくって、恋。ノブは、したことある?
会えない日が続いたらお腹がキリキリして、何でもないようなことが不安になっちゃって、
急に涙が出てきちゃったりして、何もかもカラカラ空回って上手くいかなくなっちゃうの。

でもそれも――――一目会えた瞬間に、ぜんぶぜんぶどうでもよくなっちゃう。一瞬で最高に幸せになれちゃうの。

【「そういう気持ち、抱いたこと、ないかなあ。……ないかもね」】
【変わらぬ笑顔に、ちょっとだけ寂しそうな色を混ぜた。気持ちを分かち合えない、なら悲しくて当たり前】
【恋をしている。ただ、その対象が何であるかは言わないでいる】
【会話の脈を辿っていく限り、「研究結果」にそうしている、そういう比喩表現ともとれるが――】

……ほんとう? 嬉しい、じゃあその湖でピクニックしようよ。
大きな水筒とお弁当。持ってきてさあ、……おにぎりとサンドイッチならどっち派?

ふふ。じゃあ今度「連れてくる」ね、ちゃんと会話できるヒト型のやつがいるから――
アイちゃんとお話させるのも面白いかも、……ああでもあいつら口も行儀も悪いからな。
悪影響与えちゃうかも、ふふふ……

【思い描く未来予想図、使う色はきれいなパステルカラーばっかり】
【抜けるような空色、それよりちょっと冷たい水色。それを囲むようにして濃かったり薄かったりする緑色】
【ところどころ雲とか、輝く水面のアクセントに白を使って。キラキラ平和な風景を描く】
【――――今は。全部呑み込んで塗り潰しちゃう黒色も、こびりつくような臭いの赤色も、使わない、けど】

へえ――――ココロを持った、アイを知ってるロボットかあ。
素敵だと思うよ、ヒトもロボットも、そうじゃないイキモノも、イキモノじゃないモノも。

ぜんぶぜんぶ、スキの気持ちで繋がれたら――――それはとても素敵なことだよね。

【ぱあと花咲くように。信生の描く理想に拍手、送るような笑顔。……貼り付けて、嘘だ。全部嘘】
【ヒト、ロボット、そうじゃないイキモノ、イキモノじゃないモノ。それらすべて、同じものとして扱うのは本当のことだけど】
【この女の場合、そのどれもが等しく「無価値」であるから。そうしているだけにすぎないのだった】
【今ここで、目の前で瞳を輝かせる信生と。足元に転がってる石ころ、あるいは誰かが捨てたゴミ】
【「同じモノ」だと思ってる、この女は。とんでもない冒涜者、――――だけどそれは表に出さず】

【「そうだね。とても、感情豊かなヤツばっかりだよ――――」 嗤って、言った。自身の<被造物>、語る際に】


451 : ◆S6ROLCWdjI :2018/06/09(土) 14:59:29 WMHqDivw0
>>449

【鈴音を倒す。その言葉を聞いた瞬間、夕月はひゅ、と息を呑んだ】
【――自分だってそういうこと、考えなかったわけじゃない。だけど実際、人にそう言われると】
【胃をぎりっと掴まれたみたいに、身体のナカが、冷たくなるような感覚を覚える。そのまま黙ってしまって】

「――――そーね、おれもだいたい同意見。さっきおれ、夢の鈴音ちゃんとお話したっつったっしょ?
 そんときね、セリーナ……鈴音ちゃんとナカヨシの人の名前出したらさ、たしかに反応したんだよ。
 戻らなきゃって。そう思ってるみたいだった、そんで――今日は何日? とも聞かれたの。
 ねえ、本当にこのまま世界が滅びてしまえばいいって思うだけのカミサマがさ、そんなこと聞きっこないって思わない?」

【代わりに青年、オムレツが答えた。マリアが鈴音に、まだ一縷の希望を見出しているなら】
【それは彼も同じことであるらしかった。いくら世界に絶望しきっていたって、幸せなこと、何一つなかったって】
【決してそうは言わなかったのだ。だったらまだ、よすがは残っている。限りなく細い細い線であろうと】
【まだ繋がっているはずだって。そう言って――夕月が飲み残した紅茶、勝手に飲む。「まっず!」って叫ぶ】

……、……うん、うん……鈴音が、したいから……。あたしも、それは……わかるよ、わかるから……わかるもん。
あたし自身も、鈴音に、助けられたことあるんだ。……未遂だったけど。
……こんなになる前、もう限界って、ぐちゃぐちゃになってるときでさえ。あたしのこと助けようとして、

――――助けたいよ! 敵、だなんて……思いたくないっ、そんなわけないじゃんっ……

【少女、夕月はマリアの問いかけに、喰ってかかるような勢いで答えた。回答なんてそれしか用意してない】
【最初っからそうだった。鈴音のイメージ、一方的に思い込んでて、それを押し付けているだけだとわかっていながら】
【それを捨てきれない自分が何より嫌だった。だからずっと言い淀んでいて、隠していた思い】
【堪えきれずにぶちまけた。涙と共に、ぼろりぼろりと零れ落ちて、テーブルに染みを作っていく】
【不揃い、不恰好な水玉模様。けれどひとつひとつの粒はしっかりと正円形。それだけは揺るぎない】

……マリアさん、……マリアさん、協力して。鈴音を、……連れ戻して、なんて言えないけど。
鈴音の本心、聞きだすの……そのお手伝い。お願いしてもイイかな。
だってあたしたちより、ずっと長く長く――――鈴音のトモダチ、やってたんでしょ?

【ちりん。顔を上げれば鈴が鳴く。濁りのない、うつくしい音――かつて鈴音がマリアの名を呼んだときと、同じ音色】


452 : ◆DqFTH.xnGs :2018/06/09(土) 15:29:04 UwoAfFVs0
>>256
【世界なんて簡単にひっくり返る。確かにそうだ】
【ひとりのアンドロイドとの出会いが、ミラの今を大きく変えた。彼女との出会いがなければ】
【たった今縁が繋がっている誰とも会うことはなかっただろう。あるいは】
【件の“法案”が世論を動かしているように──判子ひとつですら、世界は動き変わる】

【「肝に命じとくぜ」は、と小さく笑う。あの男の泣き顔は、出来れば見たくはなかった】
【結婚式に関しては、今度は少し寂しそうにしながらも「分かった」というのだ】
【色々と察したのだろう。ヒトの社会に紛れる異物──他ならぬミラ自身がそうなのだから】
【察せないことなどあり得ない。「二次会はじゃあ、派手なパーティでもすっかなぁ」などと続けて言ってから】
【勝手な金貸し像については、これまた愉快そうに喉を鳴らして笑うのだ】
【「そうそう、怖いお化けが金返せーってな」「それか、紫のスーツ着てメガクルーザーに乗ったヤクザっぽいの」】
【ちょっとイタズラ心が湧く。怖い金貸しのイメージを否定せず、むしろ悪化させるように】
【だが嘘は言っちゃいなかった。紫のスーツもメガクルーザーだって、全部本当のことだ】

【────そして、小さな2人だけの願い事については。叶うさ、なんて軽いことは言えなかった】
【これからどうなるかなんて、それこそ神にだって分かりはしない。出来るのは】
【ただ動いて、とりあえず走ってみるだけ。その先に崖っぷちがあるのか、スイートルームが待ってるのかは】
【これまた分かりっこなかったけれど──ここまで来てしまったのだ。投げ出すのには、積み重ねたものが惜しすぎた】


…………ん、そうだな。身体、移すんなら早ぇ方がいいだろ
車借りてきたからよ。近くじゃねぇってんなら、乗ってけよ


【──最初から、鈴音の身体を引き取るという意思は固まっていた。だから身軽なバイクじゃなく】
【アジトにいる機関員から借りた車でここまで来た。目立たないような平凡な車。護身のために】
【銃器の類は多少積んではみたが──使わないに越したことはなかった。夕月が車を必要とするのであれば】
【丸っこいフォルムの、信号待ちの間に1台は見るようなデザインの車が止まった駐車場へと向かう】
【あるいはこの路地近くのホテルに、というのであれば──とりあえずそちらに向かうことになる】


453 : ◆S6ROLCWdjI :2018/06/09(土) 15:51:01 WMHqDivw0
>>452

【ひっくり返った世界の上で、誰も彼もが踊ってる】
【ミラもそう、夕月もそう、そうじゃない人もそう。誰も彼もが阿呆だから】
【踊らないほうが損なのだ、どうせなら踊り踊れ、灰色になりきる前に】
【誰がそう命じたかはわからないけど――少なくとも今の世界は、そんなもの】

【結婚式、二次会の話。闇金ジルミラくんの話。ひとつひとつ面白そうに笑ったり】
【あるいはいつかのように、ビビりながら。聞いて、返して、そうしていれば楽しい、けれど】
【そればっかりではいられない。わかっている、わかっているから――ここでひとつ、区切りにした】
【先の見えない道を進む作業に戻る。もはや道と言っていいのかもわからないような、道を】
【それでも進まなきゃいけない。怖い。けどもう一人じゃないってわかってるなら、多少はマシだった】


……車。車持ってんだ、ならよかった。
最近ね、鈴音の身体――でっかいキャリーケースに入れて持ち運びしてたの。
ずっと抱っことかおんぶとか、してたら目立つから、仕方なく――――
……つってもイヤなものはイヤだったんだよネ。誘拐犯になった気分で、……いや実際誘拐したんだけど。

【駐車場についたら、素直に乗り込む、助手席。座ったらまずはシートベルト、それからスマホを取り出して】
【あ、と気付いたように、指輪をはめた手に持ち替えてから。通話を始める】
【「もしもし、今まだホテルいる? おっけー、車出してくれるって言うから、――――」】
【その向こうに誰かがいるらしかった。たしかに、少女一人で鈴音をどうこうできるとは思えないから】
【仲間が居て当然、ではあるだろう。それにしては無遠慮な物言いで喋る、血縁関係すら思わせるような】

【夕月のナビで車を走らせれば、なんてことはないふつうのビジネスホテルに到着するだろう】
【そこの地下駐車場、男が一人、立っていた。銀髪。褐色の肌。黄色い目。それなりの長身】
【――夕月と似通った点は、少なくとも外見には見当たらないから。きっと血のつながりはないだろうが】

「やっほー。あんたが“ミラさん”? いつもイモートがお世話になっておりまーす。
 兄、みたいなものでーす。オムレツって呼んでくださーい。卵色の瞳のオムレツくんでーすっ」

【いかにも軽薄そうな表情と声色。それで、夕月の兄であると名乗る男は、妙ちきりんな名を名乗った】
【絶対、てきとーに決めた偽名。そう確信させるには十分なセンスを披露してから、がらがら、何かを引っ張ってくる】
【夕月が言っていた「キャリーケース」。中に鈴音が入ってるだろう、それ。持ったまま、車の中に乗り込むだろう】
【防犯カメラがどこについているかもわからない、だから、外で鈴音の身体を曝け出せない】
【だから。後部座席に乗せてもらえたら、ようやくケースのファスナーを開けるのだ】

【――――中には、鈴音が居た。人形のように目を閉じて、動かない。胎児みたいなポーズで折り畳まれて、ケースに、詰まっている】


454 : 兼愛 信生(けんあい のぶき) ◆xgsUYuhzWc :2018/06/09(土) 16:32:45 Lxd3YeZA0
>>450

【──】

【──〝恋〟】

【突如、ぽっ、と真っ赤になると、頰に手を当て俯く】
【恥ずかしそうに困惑して笑い、汗を垂らして俯いた】
【──彼女の事は年上なのも相まって、同じ20代とはいえ大人びたお姉さんに見えたが】
【ますます人生経験豊富な女性に見える。科学に没頭してスキニー履いて街をうろついてる女とは大違いだ】
【きっと色香や、恋慕だの。そういうモノに強く絡まってるからこそ、何処か影のある美しさを抱くのかもしれない】

【だから、彼女は綺麗に感じるのだ】
【何故なら、片思いをすれば、女は輝き出すと聞くから】

こ、恋というのはアレだな、甘酸っぱくてもどかしくて
そのヒトが特別で……どうのこうの?

ワタシは、その、お恥ずかしながらだ。
22歳にしてその感情を未だ抱いたコトは無くてな……そう、みんなダイスキなのでな。
ただ、そう。そうだ、その症状。例えるなら──

【顔をあげて、照れ臭そうに笑いかける】

〝苦しい〟だ──恋とは、そのように、とっても苦しいのだろう?
ワクワクして楽しいとも聞くが、している間は焦ってしまうとも聞く。
そして胸が張り裂けそうとも聞く。
親友ポジションのキャラがいつの間にかカップルになっているとも聞く。

ワタシはよく分からないが、その調子だと、実験中もきっと手元が狂ってしまいそうだ。

きっと、毎日ミアは大変な思いをしてるに違いない
研究とどう恋愛が絡んで、そうなってるのか気にはなるが──
しかし、ワタシはキミを応援しよう!キミの恋を!チアリーディンーング、ユア、ラーブッ!

【──ばん!と胸を張って嬉しそうに伝える】
【初対面なのに、気持ちは親愛なる友を応援するソレだ】
【だってダイスキなミアの事だから、〝研究結果〟に行き着くのなら、いくらだって力を貸そう】
【ハートマークが出そうなほどのテンションで、彼女と顔をちょっと近づけ──つんのめる】


【──〝どう思われてるのか、知らないからこそ〟】


どうせなら恋は叶った方が楽しいに決まってるのだよ!
ワタシはキミの恋が成就する日まで、キミが困ったら協力しようミア!資材でも何でも!
不謹慎にも、ちょっと楽しくなってきたぞう──いつでも連絡をくれたまえよ!名刺もあげよう!

【フラペチーノを置くと、胸ポケットのスマホを指でよかし、名刺を取り出す】
【そこには〝兼愛研究所〟の住所と地図──電話番号とSNS、通話アプリのIDなど、あらゆる連絡先が記されている】
【悪意0の振る舞いで、ソレを差し出す】


うむ、ピクニックをしよう!その時はワタシのアイも連れて行こう!
ワタシはサンドイッチがスキだな!しっかりトーストしたやつじゃないとやだぞ!

──ふむ、キミの〝ナマモノ〟?は、結構達者に喋るのだな?
例え口が悪くとも、きっとキミが親の生体物なのだから、根っこは良い子なのだろう!
学校中のガラスを割り回るような子達でもあるまい。ワタシはキミを信じるよミア!

【……またしても、またしても。例えばある程度悟ったヒトならば苛つかせそうなほどの馴れ馴れしい態度】
【懐こく彼女に笑いかけ、描く明るい未来に嬉しそうに思いをはせる】
【──何が始まるのかを、彼女はまだ理解していない。愚かにも警戒を知らないから、予期出来ないのだ】

……!
う、嬉しいなあ!たまにバカにされるから……!

ありがとう、ミア!
キミの研究、こ、〝恋〟……だろうか?その研究の意思力もまた美しいとワタシは思うよ!
ミアこそ、キミが目指す、ソコに至るための設計図なんかはまだ無いのかい?
いつか世界に公開するのだろう?ヒミツにしたかったらいいのだが……

【頭を掻いて照れ笑い。彼女が聞いて、返事をしてくれた事が嬉しかったから】
【彼女もそういう資料は無いのだろうか?と問いかけて】
【見たところ荷物も無いために、今すぐこの場で教えてもらうというのは出来ないだろうが──】

/続きます……!


455 : 兼愛 信生(けんあい のぶき) ◆xgsUYuhzWc :2018/06/09(土) 16:33:05 Lxd3YeZA0
……ミア、実は聴きたい事があってだな、

【そして信生は──こそり、と急に声色を変えた】

……最近、よくない動きが始まっているだろう?斜めになったり、縦になったり横になったりだ。
噂に聞くと、蛇──ワタシは大衆からの都市伝説めいたモノで、〝邪教〟の存在などを聞いている。

過去にも色んな組織があるというのは良くニュースで聞いていたが
ワタシはアイの教育や安全に悪いモノは、出来る限り取り除きたい方針なのだよ

キミは何か知ってるかい?──あるいは、
キミは〝自分の実験体の安全のために、どんなコトをしてるんだい?〟
参考のために聞きたいんだ。お願いしてもよいだろうか?

【と、問いかけた。──きっと彼女の事だから、己の手元の世界は絶対に守る筈だと】
【その赤色のうちに秘めた意思は、きっと、ひたむきで光あるモノなのだと】


456 : ◆S6ROLCWdjI :2018/06/09(土) 17:22:28 WMHqDivw0
>>454

そう、特別な人が、ひとりだけ。
やっぱないかー、なんとなくわかってたけど!
ノブってそういうタイプだと思うもの、誰も彼もを好きになるから――

【「――――実質誰のことも好きになれない。かわいそうな人だよね」】
【このセリフは口に出さなかった。けれど心の中でそう、嘲笑すらしていた。ひどい女】

うん。そう、苦しくて、ドキドキ、ハラハラ、イライラ、キリキリ――
いろんな感情に襲われちゃう。とっても大変、でもね、

好きなヒトの笑顔見た瞬間、それらすべてが愛おしくって尊いモノに変わるんだよ。
それってすごく幸せなことだから、だから――ノブにもできるといいね、好きなヒト。

【「応援、こっちも、してるからね」。キラキラの笑顔でそう返す】
【恋バナとなると、屈託のない笑顔にさらに――隠しきれない幸福さが、上乗せされる】
【そういうタチであるらしかった。つまりは、恋愛脳。陰鬱そうな外見からはぜんぜん連想できない、女の一面】

うふふ、ありがとう。じゃあ僕も名刺あげるね、これ――

【ダミーの名刺と交換こ。嘘の名前と嘘の住所と適当な捨てアドレスが書いてあるそれと】
【信生の、きちんとしたやつとは釣り合うわけもない、嘘の情報ばっか書いてある軽薄な紙を、渡したなら】

じゃあそのピクニック、連れて行くよ、うちの子。それでアイちゃんとお話させてあげよう。
トーストしたサンドイッチ。今の時期だと飲み物は冷たい方がいいな、
アイスの――コーヒーがいいね、サンドイッチなら。大きな水筒になみなみ入れて、
それで木陰にシート広げて、持ってきたものぜんぶ広げて、お話しよう。日が落ちるまで!

……見たい? 見たいんなら、じつは、見せてやれるけど。
といっても「レシピ」は書いてなくってね、現物を見せてやることになっちゃうけど、さ――――

【「じゃーん。ここに転移スクロールがあって、なんと今日、偶然二枚分持ってきちゃってます」】
【そう言いながら見せるのは――きょうびどこでも手に入れることができる、転移魔術の陣が描かれた紙】
【一回きりの使い捨て。指定した場所へのみの一方通行。だけどそれ一枚で、どんなに遠いところでも一瞬で辿り着ける】
【そういうやつ。多分、適当なマジックショップで買えるヤツ――それで、氷の国、行ってみる? みたいな】
【そんなこと唐突に言い始めるんだから、この女も相当に――他人との距離感を築くの、ヘタクソだ】

【ただ、今日、スクロールを二枚。二人分持ってきていたのは本当に偶然だったから】
【偶然出会えた結果、偶然こんな話ができたから。見せてやってもいいだろうって気持ちが、生まれたのかもしれない】


【――――】

……うん、物騒だよね、最近。魔制法? そんなものもあった。
そんな中で、僕が「ヤツら」にしてやってることか……ううん。

――――「覚悟」は決めてるよ。悪いモノに染まっちゃうかどうかは、「彼ら」次第でしかないから。
だから僕らが出来ることといったら、せいぜいアドバイス、くらいしかなくて――

【「それも聞いてくれなくて。悪いこと、し続けるようなんだったら。僕がこの手で、“止めて”やる」】
【「そういう覚悟。たとえ、厳しい罰をあたえて、傷付けてしまう結果になっても――そういう覚悟、してるんだ」】

【――――つまるところ。彼女は、「手に負えなくなったらばっさり処分しちゃいます」と言っているのだけど】
【聞こえのいい言葉で装飾ばかりして、それっぽく、それっぽく。整えて言った、――真っ暗い瞳、笑みの形のままで】


457 : 兼愛 信生(けんあい のぶき) ◆xgsUYuhzWc :2018/06/09(土) 21:39:08 Lxd3YeZA0
>>456

──ミアがそんな風になってしまうだと……!?
ふむ、〝研究結果〟……はともかく、〝相手〟と言えば良いのか?
なんて罪なオトコななのだ。オア、オンナなのだ。
現時点でマブマブなのに、ミアも振り向いてもらうためにはもっと相当な練度と研究が必要か……?

【そこまでして恋の魔法に掛かってしまっているミアに、真っ赤に顔を染めて目をまるく、口元を隠してしまう】
【ミアは良い子だから──明るくて、少し科学者気質の、普通の女の子だから】
【あちらはオトナで、気付きながらも言葉巧みにかわされているのかもしれない】
【或いはあまりにも鈍感すぎて、毎日変えるネイルの色にすら気づかない】
【だからこそミアは努力しているのかも。そんな少女漫画のようなストーリーを脳内で組み上げる】

わ、ワタシに出来ない出来ない、出来る気がしないというか……
もー22だぞ22、自活とか貯金とか、オンナ友達同士で老人ホームに行くかがチョー瀬戸際だ!

それなら色恋がちょっとでも絡んでるトモダチを送り出した方が生産的というハナシさ!
25で片思い段階は婚期的に激アツだと思う訳だ!

人生のマリッジゴールは全女子の憧れ……!
式は絶対6月で──ミアは白無垢よりやはりドレスが似合いそうだとワタシは思うのだよ!
是非ミアの式には呼んでくれたまえ、バージンロードでライスシャワーをショベルカーで浴びせよう!

【20代女子独身の現実的な話をして、冗談めかしてケラケラと笑い飛ばし】
【実際オトコっ気(オンナっ気)が完全に無い事は自覚していて、パートナーなど出来るはずも無く】
【恋愛感情を理解していないことも分かっている。えっへんと微笑んで誤魔化しながらも、しかしそれは】
【──〝ブラスフェミア〟という女性は、〝兼愛 信生〟を真の意味で看破している】
【──彼女は本当に〝特別な気持ち〟が分からない。真の意味で全てのヒトを〝 〟を理解しておらず、ヒトを〝 〟ではないのだ】

【──さりげなく、勝手に彼女を、トモダチと呼んで。呼んでから、「……と、トモダチになってくれるか?」と】
【少し心配そうに問いかけた】

【ミア、あなたは気高く、剣のように鋭く、明朗に聡く】
【そして懐こい笑みの向こう側に黒々としたものを内に秘めている】
【あなたの恋心は尊く、それはどれだけ──酷な現実だとしても、きっとガラスのように澄んでいて美しい】

【名刺を受け取り、やったー!とその場で思わず立ち上がって嬉しそうに抱き締める】
【ダイスキな親愛なる女の子から貰ったのだ、そうとう大事そうにトートバッグに入れる】
【──それは、赤い赤い偽りで。嘘が書かれていると知らずに】

な、なんだか嬉しくてこそばゆくなってしまうなあ……!
そうそう、ボードゲームやトランプなんかも持ってきて
たまーに市販のお菓子をつまもう!
ポテトチップスやチョコプレッツェルなんか持ってきて!
きっと絶対楽しいに決まってるのだよ!

な、なんと……ほ、本当かッ!?
転移魔術式の紙を使わせてもらうなんて──ぜ、是非お礼をさせて欲しいのだ!
めちゃくちゃに行きたいしな!是非見せてくれたまえ!
──めちゃーんこ嬉しいのだよ!ありがとうミア!

【彼女の話す未来予想図が、あまりにもまぶしくて──嬉しくなる】
【きっとその時ミアは今日みたいに、綺麗な格好をしてくるのだ】
【ミアの人工生物達もオシャレをする筈だから、アイにも気になるオシャレを聞いてみよう】
【ワクワクする、──〝実現出来るかもしれない〟モノとして、楽しく考える】

【そして次いで聞いた言葉に、わあ、と嬉しそうな声を出すも】
【とはいえ、転移魔術も無料ではないのだ。その紙代の運賃くらい、お金や相応のお礼はしたいと申し出るだろう】
【目を輝かせ、思わず嬉しすぎて、アナタに抱き着こうとする。米国の軽いハグのノリだ】

/続きます…!


458 : 兼愛 信生(けんあい のぶき) ◆xgsUYuhzWc :2018/06/09(土) 21:39:29 Lxd3YeZA0
そうか……うむ、なるほど。
有機生物は成長するモノ。いずれは放して育て、我が子という枠からは離れなければならないからな
故に……


【──ん?】

【ミアの己の印象から喋っていて、ふと、違和感を覚えて瞳が見開かれる】


(……だが、良き〝親〟は〝コドモ〟を見捨てないものではないのか?)


【──手放して育て、好きに育てというような話し方は、まるでその代償のバックファイアを放置するかのような】
【自由を尊重しても己が創(う)んだのならば、時にはかばい、盾になることもあるのではないのか?】

(た、たまたまだ。──ミアがそのような方針というだけなのだよ)

【心中で首を振る。ワタシがミアの話し口の受け取りを間違えただけで、きっと生き物達を大事にするはずだ】
【もし〝傷ついた〟彼らを本当に放置するとしたとしても、それは己がミアに思う所が出来る、それだけだ】
【ヒトは良い面、悪い面どちらも持っている。持っているからこそ、信生はヒトが好きだ】

……のだな!

【会話が尻切れとんぼになってしまった。誤魔化すようににこーっと笑いかけ、汗を掻く】


459 : ◆S6ROLCWdjI :2018/06/09(土) 22:19:03 WMHqDivw0
>>457

できるよきっと、女の子なら誰でも――っていうか、ココロがあるなら誰でも?
ノブなら絶対できるって、相手が男だか女だかニンゲンだかそうじゃないかはわかんないけどさ。
誰でも出来ること。だから、ね、

【「自信もって――」 ――――、最大級の、侮辱であった】
【ココロがあるなら誰だって恋ができる。そう宣うんなら、心中で恋心を持たないと断じた、信生のこと】
【「おまえにはココロがない」って言っているようなものだ、というか、言っている。】
【そうしながら――ころころ笑うのだ、ありがとう、なんて言いながら】

【「白いドレスは僕が着るから、ノブは白以外のドレス着なきゃなんだよ。何色がいいかな?」】
【「瞳と同じ、緑色とか。それか敢えて、その補色の――――真っ赤、なんかも似合うかもね」】

【楽しげに、愉しげに。言うのだ、そして確信している、自身が幸せになれるって】
【それは何よりの冒涜だった。非道なる人でなしが、そんな確信抱くなんて、悍ましいにもほどがある】

ふふふ。じゃあ、さっそく行っちゃう? 帰りのぶんのスクロールは、あっちにストックしてあるから。
そーいうのは気にしないで、……おっと。びっくりしちゃうなあもう!
あ、でも……今日は先にびっくりさせたのは僕だった。じゃあお互い、両成敗? ってことで!

【ハグされたらけらけら笑う。そうして腕を信生の背中に回して、ぽんぽん、軽く叩いて】
【お礼なんかいいよって。はした金で買えるものだから、そう言いながら思い出す、ファーストアプローチ】

【(――いきなりだーれだ! なんてしちゃったの、……なんでだったっけ)】
【(そもそもなんで、「根城」に誘おうと思ったんだっけ。桐子もブランルもミス・ウィッチも女王も)】
【(だーーーーれも誘ったことない、というか誘おうと思ったことすらなかったのに。……なんで?)】

【 のちに彼女は、「あの時は本当にどうかしてた」って、笑いながら今日のこと、語るのだけど 】
【 「どうかしてた」理由。それはきっといつまでもわからないまま、――人でなしに、人の心が芽生えるなんて、そんな 】
【 那由多にひとつもありえないはずだから。だからきっと、これから先、―――― 】


………………まあそんなこと、したくないけどね。
創った以上はそういう責任も、取らなきゃいけないし?

【「創造主が被造物の運命の手綱、握り続けてやるの、あたりまえのことじゃない」。】
【そう言って、不穏な気配を断ち切るみたいに。「どうする、もう行く?」って、スクロール――紙をひらひら振るのだ】
【表情は依然として笑顔。汗を掻く信生、気付いているのかいないのか――どっちだっていいと思っている、きっと】


460 : ◆S6ROLCWdjI :2018/06/09(土) 22:22:35 WMHqDivw0
>>459
//ギョオアーッ一番大事なところ抜かしてましたすみません。
//最初の【】のところ、「自信もって、僕のトモダチなんだから」って言ったことにしといてやってください。申し訳なし……


461 : ◆XLNm0nfgzs :2018/06/09(土) 22:44:20 BRNVt/Aw0
>>437

【段々とバンの方へと近付いていく足。それと共に段々と臭いも強くなっていって】
【すれ違った瞬間にはたと気付いた。常日頃嗅ぐ臭いだって】
【様々な情報や噂を得る為に歩き回るいつもの街並み。そこで感じている──つまり、人間の臭い】
【寂れた街で、車の周囲にぽつりと男達と少女がいるくらいで。それなのに感知出来る"人の臭い"はざっと十数はあって】
【ならば、袋の中身は──】

【ばれないように注意深く臭いを探ってみる】
【死者特有のすえたそれは感じられない。ならばそれらは恐らく気絶している、と仮定出来て】

【つい先程、ほんの数秒前の事を思い起こす。目があって、車に寄り掛かった少女は優雅に笑って目礼して】
【それが本当に、若者向けのタウン紙の表紙の女の子みたいだったから、それも相俟って目をそらしてしまったけど】

【その瞬間に聞こえた車の後ろが閉まる音と、気付いてしまった"ひとのにおい"と、ザッザッという人が車に乗り込むような音と──】
【頭が混乱しそうになる。振り返るのがとても怖くて】
【それよりも怖かったのは、この車がもうすぐ行ってしまうのだろうという事だった】
【もし行ってしまったのならば、袋の中にいるだろう人々はどうなる?】
【"人間"はあまり好きではなくなった。『異端』に対して優しくはないから。けれども──】


……ま、て……っ!
【少女は振り返り、出来る限りの大声で相手を呼び止めようとする】

い、ま……今、車に何を積んでいたんですか!?
中身を、改めさせて貰います!
【つっかえながらも少女は謎の集団に呼び掛ける】
【心の中で念じながら】
【お母さん、ケイさん、厳島さん、ユウトさん、鈴音ちゃん、お願いです。私に勇気を下さい、と】

【──私に正義を行使する勇気を下さい、と】

事と次第によっては、警察に通報させて貰います!


462 : ◆XLNm0nfgzs :2018/06/09(土) 22:45:51 BRNVt/Aw0
>>444

【受け流され、地面へと突き刺さる斧。それが急激に黒ずみ塵と化し、消え去った時、少女はふと我に返り何が起きたのかを理解する】
【不意を突かれて、攻撃されて、反撃すら叶わず能力で編み出したモノが消滅、した?】
【少女は思わず狼狽える。だって今まで"それ"に歯向かってきた者なんかいなかったし、況してや攻撃する者などいなかったのだから】

『ランブルジャック』──
私の、鋼のお友達……
壊れるなんて……そんなの……っ
【呆然としたように少女は呟く。紡ぐのは恐らく先程までいたアニマトロニクスの名前、だろうか】
【壊れる事なんてあり得ないのに、と動く口許。虚ろな桃色の瞳には恐らく血に塗れ朽ちかけた身体など映っていなかったのだろう。その双眸が映していたのはきっと、偽りの『邪魔者をも寄せ付けない鋼の身体』──】

【かつりと響く音。少女は身じろぎして】

させない……させないさせないさせない!
私の邪魔なんかさせない!
私はただ皆を"パレード"に"連れていきたい"だけなの!"幸せ"に"歌って"欲しいだけなのっ!
【少女は震える声で叫ぶ。彼女の中では理解出来ない事を確認した思考回路は美しき銃使いを『恐るべきもの』と判断したようで】

『ファニー・パレード』、私の素敵なお友達──

……お願い、出てきて!『フラッフィー』でも『スプリング』でも……どっちでも良いから!
【少女は叫ぶ。声の限りに喚ぶ】
【けれども、能力は応えない。誰も喚ばれる事はない】
【少女の恐怖に満ちた瞳が、歩み寄るカチューシャの姿をとらえて】


463 : 名無しさん :2018/06/09(土) 22:51:57 wdTzMiiA0
>>441

【白神鈴音は確かに神だった。自覚がないまま、ずっと、それに気づかないままで、存在し続けてしまった。信仰さえ集めることなく、宙ぶらりんのまま】
【自分はヒトではない。だからってヘビではない。それなら、――それなら、自分は何なんだろう、って、ずっと。思っていた、不安だった、それが分からないから】
【人間が好きだと思っていた――それさえも、単なる思い込みでしかなかった。――だって、白神鈴音、という神様は、人間を怨んで憎んで嫌いで嫌いで嫌いで産まれた神だから】

【――それは病気と病院の関係に似ていた。どれだけおかしいなって思っても、具合が悪いなって思っても、病院に行かなければ、健康であるみたいに】
【だけどそれは病院にかかってしまった瞬間に、病気になってしまうから。――――白神鈴音という少女は診断を受けてしまった。だから、神様になってしまった】

【そしてそれは強い安堵を齎した。そうだったんだって。ナニでもない自分を呼んであげる単語を見つけて。――嬉しかった、ほんとは、すごく、とっても、嬉しかったのに】
【(なのにみんなが喜んでくれないから、悲しくって。悲しくなって。ずたぼろになった霊体に知らない神様が入って来るなら、――少しずつ、少しずつ、その気持ちさえも朧げに)】

…………、別にあなたに赦されずとも私は構やしませんけどね、私が信じているのはウヌクアルハイ様であって、あなたでもなければ、白神鈴音でもないですよ。
ですけど――そうですね、あなたの家畜であった記憶がないんですけど、――まあ、目標は同じ、ようなので。

【いやにふわついた、変な気持ちだった。相手のその様子は、きっと、誰より、――自分でさえ遠く及ばないほどに、その神を求めているから】
【その背中は思わず何か慰めの声をかけてしまいそうに小さく見えてしまって、わずかに惑う。――ならばくしゃりと長い髪をかき上げて、ため息を一つ】

――。

【返事は、しなかった。だけれど相手の零した小さなひとかけら、きっと少女の記憶には残って、――それが何かになるのかは、分からないけど】

【――――だけど、白神鈴音は人間が大嫌いなくせに、同じくらい、ほんとにおんなじくらい、人間が好きだった、いっぱい憧れて、その近くに居たいって願い続けた】
【どっちも本当のこと、どっちも両立して、なら、どっちが本当なんて論じるだけ無駄なこと、真逆だって対極だって、執着はおんなじ、――"人間"に心奪われる神様だったなら】

【「――――――――イルちゃん」】
【ぽつり、と、小さな声が。呼びかけた。憐憫で飾り立てた美しい背中を優しく抱きしめるように、相手のこと、呼んだなら】
【だけどそれに続く言葉は待ってみても、ない。眠ってしまったように穏やかな沈黙を重ねて――少しずつ、少しずつ、時計の針が進んでいくみたいに、出来事は進んでいくから】

/おつかれさまでした!


464 : 名無しさん :2018/06/09(土) 23:28:35 wdTzMiiA0
>>443

【だけれどそれは時として善い意味ではなかった。――日常に混じりこむ異質、さながら魑魅魍魎のたぐいみたいに語られることもあり】
【それはもちろん気心の知れた仲間内だけでの内輪話。幹部のくせにわりと気軽に共用スペースに出てきてご飯食べたりサーバントと談笑したりするものだから】
【そのなかでうっかり口を滑らせた結果、次の日の朝にはもうそいつの存在はどこにもなかった。とか。――そういう噂、というか、多分、真実の話、も、出回ったりしていて】

【あるいは――誘い方やその時の彼女の気分次第では割と"ヤれる"なんて噂もあったかもしれない。――――――それも、割と、そんなに、噂では、きっと、ないんだけど】

…………そうですね、負傷者ですから、大目に見ますけど。あなたは普段もそのように目上の人間を"お前"などとお呼びですか?
それとも錯乱していますか、意外と元気そうだから、そうは見えないんですけど。天使ですか? ――そのようなものになった覚えはありませんよ。
ウヌクアルハイ様に付き従うものという意味であれば、まあ、構いやしませんが。……ああ、思い出しました、ドープ・ラブ・ライクですね。

特に迷惑ではありませんよ。近くに居ましたからね。どうせ医療班が来るにしたって、それまでに処置をできる人間が居た方が良いでしょうから。
なので、私が繋ぎますよ。――といっても、治療系の能力者ではありませんから、いくらか"粗暴"ですが、構いませんね? ひとまず生存することを目的としましょう。
無意味に人員をロスするのは好ましくありません。――私は使わないんですけど、クスリ、使う人は使いますからね。ほら、再教育とかで。

【"しれっと"した目だった。わざと強調するような物言いは、つまり、それは相応しくないと言う警告に似て。ただ、今すぐ、どうこうする、という脅しでは、まだない】
【多分相手が五体満足で健康体であったなら、"怖い目"を見るはめになっていたかもしれない、と予感させて。地べたに跪いたまま、とりあえずは相手の様子を確かめる】
【それで――ひとまずは宣言するのだ、生存しましょうねって、とっても優しい声……には、特に、聞こえないんだけれど。相手を助ける意思はあると伝えて】

【――再教育で使う、とは、まあ、文字通りだった。それは例えば依存させて蛇教から離れられないようにするだの、トリップさせて、それを、ウヌクアルハイ様のお力であると示すだの】
【少女はあんまり好まないのか使わない。もちろん自分自身で使うこともなく。――だからこそあまり彼とは関係がなかったのかもしれない、必要がないから】

そうですか? 今酒飲んだら多分死にますよ。まあ、欲しくなったら言ってくださいね。
別に忙しくなかったですよ、まあ、忙しかったですけど。逃走経路とかを確認してました、大所帯で結構な荷物担いで、ぞろぞろ歩くので。
車停めておけそうな場所とか。警察だとかに出会った時、どういうルートで逃げるかとか、大事ですからね。

――ただ、そうですね、じゃ、後で、頼まれてくださいね。ちょっと気になることがあるんです。それでチャラにしましょう。

【それでも――どうやら自分と話していること、それ自体で多少は意識がはっきり、というか、彼の方にも余裕が出てきたように見えたなら】
【よっぽど忙しくはなかったが、――それでも全く暇ではなかったらしい。別に怒っているわけじゃないから、あまり、気にするべきでもないのだろうけど】
【――そうですね、と、ひと呼吸。終わったら頼みごとをするから、それを"やれ"。――チャラというか、実質拒否権はないから、命令と変わりはないんだけど――】

――――じゃ、ちょっと、なんかあったらごめんなさいね。まだよく慣れてないんです。
ひとまず、その傷の痛みを私が引き受けましょう、それから、あなたのいろいろなものを阻害します。簡単に言えば止血とかです。血流、止めます。
あとは傷がなんかになったりするのも止めます。その後治療班に丸投げします。死ぬ予感がしたら言ってくださいね、延命しましょう。じゃ、行きますよ。

/ごめんなさい分割します!


465 : 名無しさん :2018/06/09(土) 23:28:54 wdTzMiiA0
>>443>>464

【――――そうしたなら、話を急に進めてしまうから。跪いた姿勢から、ぺたん、と、あひる座りになる。そうして意識を向けたなら、するり、と――その左腕から蛇が剥離する】
【そうして、彼の右腕――ぐちゃぐちゃになった腕へ噛みつこうとするのだ。まるで何かを食むように。――そうしてそれは、間違いなく、その傷が齎す痛み、そのものであり】
【彼からしたなら、まるで嘘みたいに痛みが引いていく――のだろう。見た目は変わらず弾けたみたいなまま、それこそ死ぬ寸前みたいに、感覚が、嘘みたいに、鈍くなって】

――――、く、ぅ、――、……ァ、

【――小さな吐息が漏れる。それはさながら何か痛みをこらえるみたいな、吐息。少女の無傷であるはずの腕が、びぐりと、痛みに慄くみたいに、跳ね上がって】
【さあとその元から真っ白い顔が、蒼褪める。――お尻を浮かしたなら、元みたいに、膝立ちの姿勢。そのまま、少女は、いろんなこと気にしないまま――相手を抱きしめようとする】

……ッ、では、いろんなもの、阻害していきます。……すっごい、気持ち悪い、……ですけど、我慢してください。
近くって、ごめんなさいね。――う、あ、……っ、――、ひ、……――、丁寧にやるので許してください、じゃあ、……いきますね。

【ならば少女は耐えがたい甘い香りを纏っていた。思春期の少女のみが纏うことを赦される香り、甘くて、どこか酸い、限りなく強気で、だけど、何より弱気な、生き物の香り】
【真っ白で体温の少し低い肌が、――秒速でじとりと濡れていくみたいだった。ならばそれは冷や汗と呼ぶのではないか。――まるで、どこかが、ひどく、ひどく、痛むように】

【――だけれど、それを指摘することを、彼女は彼に許さないから】
【ならば、彼はそのまま彼女の能力に曝されることになるだろう。――すなわち、血流だの、なんだの、かんだの、いろいろを"阻害"される】
【それはすなわち止血だの衛生を保つだのそういう意味合いなんだけど。――治療系でもない能力で行うならば、やはりどうしても荒々しさは拭えず、そして何より】
【能力によって介入される、という感覚は。――きっといろんな言葉を使ってもなお表すのに苦労するような、不愉快さであるに、違いなくって】


466 : 名無しさん :2018/06/09(土) 23:41:19 wdTzMiiA0
>>461

【――――――それは、少女が、がちゃん、と、助手席の扉を開けた瞬間のこと、だった】
【さびれた街に相手の声が響くのだろう、ならばそれはどんな福音より美しいもの、朝露に光る朝顔の花の青さよりも、尊いもの】

【だったんだけど】

【――ばたん、と、扉が閉まる。少女自身の手によって。けれど少女は変わらずそこに立っていた、先ほどと同じ色合いの笑みを映して】

先に行っていいですよ。

【――甘くて冷たいスズランの声が、或いは、絶望を伝えるように。そして実際に"車"は彼女の言葉に従った、エンジンをかける音、それから、すぐに走りだろうとする】
【ならば相手は追いかけるべきだったのかもしれない。それとも、今すぐナンバーを確認して、警察に電話をすべきだったかもしれない。あるいは、ほかにも、何か――】
【できることがあったのかもしれない。けど。それを簡単にさせてくれるほど、この世界は優しくなくって、そして、何より、眼前の少女が、優しくなかった】

何……と言っても、荷物ですよ。ほら、ここ、シャッター街じゃないですか? でも、意外とやってる店はあるんです。
店舗としてはこんなですけどね、店としては――特定の業者とかとだけやりとりしたりするんですよ。超マニアックな専門店とか、そういうやりかたするんですよね。
そっから仕入れてる"私たち"も、まあ、――超マイナーなところ攻めてるなっていうのは、分かってるんですけど。意外と独占できるんで、儲かるんですよ。

【――――ほんの数秒。ついさっきもそんな選択を迫ったくせに、もう一度。相手が意識を向けるのはどっちなのだろう、走り去る車なのか、それとも、そこに残った少女なのか】
【自ら残ったのを見れば、――見張り役であったのも相まって、なにか、不穏なものを感じさせる。少なくとも、――能力者だろう、と、予測させ】
【ならば必然的に、車を追いかけることを、許さないために残ったようでもあった。実際彼女はそこに残って、相手に言葉をかけた、――こつん、と、距離まで詰めようとして】

警察……ですか、では、あなたは、どなた様でしょう? どういった権限で荷物を改めるとおっしゃられたのですか?

【――自分に目を向けさせようとする。車のことを見てる場合じゃないでしょう、って、優しく囁くように。――少女はひどく甘い香りがした、それこそ、蜜のように】


467 : 兼愛 信生(けんあい のぶき) ◆xgsUYuhzWc :2018/06/09(土) 23:44:49 Lxd3YeZA0
>>459

──う、ううむ?照れる、だーっ、恥ずかしくなってしまうだろう!?
あんまり、その、乗らせるのはやめたまえよ!
し、しかしてだ。ありがとう。ワタシも人生のパートナーというヤツを、だな、そう……うむ。

ミアも幸せになってくれたまえよ!キミにはその権利があるのだから!

【──恋バナはやはり楽しい、へらへらと笑いながら答えて】
【──〝心中〟がどのようなモノか知らない。自分を後押ししてくれる彼女をそのまま受け取る】
【どのような事にせよ、すごくすごく嬉しかったから。そのために勝手に浮き足立つ】

【ウエディングドレスを着たミアを想像する。可愛くて綺麗で、女性の幸せの理想像みたいだ】
【きっと式当日は、隈を隠すために化粧もするのだろう。唇にも淡いリップを添えて。それもまた幸せの感覚──ひとりクスクスと笑う】
【言われるがまま、自分の姿も想像して──思い浮かばず、恥ずかしくて、想像のページを閉じてしまった】

【何にせよ──信生の見解としても、ミアの恋の成就の方が確実だと思うのだ】

ううむ!ワタシはミアがやっぱり〝ダイスキ〟だッ!
だいだいだいだい、ダーーーイスキだ!
いっぱいいっぱい、こーのくらいっ!ダイスキのスキスキなんだッ!……と、友達としてな!

う、ううむ、ソレは申し訳ない……!
しかして両成敗であれば、ワタシはキミに意趣返しをしたという訳だ!
つまり相打ち。油断しないように構えたまえ。ワタシからの次なる一手はすーぐ来てしまうからな!

【抱き締め返された事に再びにっこりと微笑み、離れると、両腕を大きくいっぱいに広げてアピール】
【じゃれつく犬のようにダイスキダイスキと懐いて】
【それから指を立て──本当に。本当に、信生という女の愚かさを露見する】

【「うむ……では行こう!」──その後彼女に着いて行く意思を返し、トートバッグに紙袋を入れ】
【フラペチーノも片手に準備する。彼女の前に立ち、待機する】

【〝トモダチ〟だと聞いて──すごく、すごく、ほっとした】
【歓喜によって花が撒き散らされたような対応で、その場でくるくると回り出す】

やったやった!やったぞー!
ミア!これからよろしくなのだよ!

【嬉しくてたまらないから、ずっとずっと一緒に居たいと願う】
【その祈りを、ミアにひたむきに向ける。──その〝覚悟〟が出来ているかも、分からないのに】

【そうして、その言葉に、ようやく〝真の意味〟でホッと安堵したような表情を見せた】
【そうだ、ミアは〝優しい〟から。──きっと、そんなにひどいことなんてしないんだ】
【そうやってまた、〝決めつけて〟──まさしく、ミアの〝思う通り〟に表情を、感情を変えて行く】


【──そうして、〝ブラスフェミア〟として、誰も招いた事の無い領域へ】
【氷の城に囲まれた、深淵への研究。そこへ一歩踏み入れようとする】


468 : ◆S6ROLCWdjI :2018/06/09(土) 23:57:34 WMHqDivw0
【――――「闇市」】

【それは様々な場所で唐突に開かれては閉じるものだから、掴めない蜃気楼のようなものでもあった】
【禁止だとか違法だとか、そういった冠詞が付くものが売り買いされる場所。薬物だったり兵器だったり】
【薬液に浸かっている誰かの臓器や保護されているはずの生物とか、果ては生きている人の命でさえ】
【本当に、なんでも。金さえあればなんだって遣り取りできる、非道の市が、今日もどこかで開かれていて】

…………あぁ、……うーん。何買おうとしてたのか、忘れちゃったな……。

【売り手がいるなら買い手もいる。あたりまえのことだった、だけどその資格を手に入れられるのは】
【相当な手段を経て相当な情報を得、相当な実力を持ってこの地に訪れることができる人、のみ】
【そんな中にひとりの女が居た。黒髪、暗赤色の瞳の「研究者」。裏社会ではそこそこ名の知れた】

買い物メモ、いっつもオムに持たせてるからな……。
くっそ、あいつ今頃どこをほっつき歩いてんだか! この忙しいときにっ、
ちくしょー帰ってきたらしつけ直してやる、クソ、あの駄犬っ……本当最近、反抗的で腹立つ!

【――――通名「ブラスフェミア」。「冒涜者」を意味する単語を名前に使う女であって】
【金さえ払えばなんでもするのが評判のヒトだった。他の「同業者」ならまず間違いなく断る依頼】
【たとえば違法な肉体改造の施術とか。希少種のイキモノをふんだんに使いまくった合成獣作成とか】
【そういうのを二つ返事で引き受ける、報酬さえ支払ったなら。そうして名を売っている女だった、けど】

【……その日、市を歩く彼女はひどく不機嫌そうだった。がつんがつんとヒールを鳴らして、大股で歩き】
【どこを向いても「コワイヒト」ばっかりいるようなこの場所で、誰かにぶつかったとしても。不機嫌を隠さない声色で】
【「失敬」とだけ言って去っていこうとするのだから、目立つ。目立っている、悪い意味で】
【彼女にぶつかられた、黒いスーツの「如何にも」な人。サングラスの向こうで視線を尖らせ、彼女の細い肩を掴み】
【次の瞬間には引き留めて――それ以上の暴力を、はたらこうとするだろう。そういうのが見て見ぬふりされる場所だった、ここは】

//ごよやくでーす


469 : ◆S6ROLCWdjI :2018/06/10(日) 00:14:40 WMHqDivw0
>>467

恥ずかしいのを乗り越えてこその恋ってやつだよぉ。
まあ、がんばんなって――

【先輩面。けらけら笑いながら、此方も式の妄想に浸っていたのだが】
【――――当たり前のように、そこに信生の姿を描かない。ていうか誰のことも描かないのだ】
【自分が居て、「恋人」が居て。それだけでいいって本気で思ってる】
【だって二人を残してなんにも要らない、本気の本気でそう考えるヤツだったから、――】

ふふ、トモダチとして? いいよ別に、僕に恋しちゃっても!
……なあんて、ね。フッちゃうからダーメ。あなたとはいつまでも仲良しでいたい、し……

――――おやまだ何かされちゃうの? へへ、楽しみにしちゃうぜ。

【言いながら、スクロールを振って。行使するのはなんてことない、店で普通に売られてるレベルの】
【簡単な簡単な転移術式であるから、あるいは体験したことがあるかもしれない】
【ぱっと周囲が暗くなって、それからぱっと風景が切り替わる。瞬きの間に終わってしまう、ちゃっちいやつ】
【そうして移動してしまえば――きっと、寒い。氷の国は常冬の国であるから】
【水の国、初夏の空気からマイナス何十度。それくらい切り替わるのだ、寒気が肌を襲うだろう】


【――――】


……しまったな、温度変化のこと考えてなかった。僕の白衣はちょっと細工してあるから……。
ごめんねノブ、大丈夫? 寒いよね、今なにか上着、……毛布のほうが手っ取り早いかな。
持ってくるからちょっと待ってて、それとなにか、あたたかい飲み物でも――――

【――――転移後。寒気と同時に襲い来るものがある。嗅覚を脅かす、鉄錆の香り】
【血。血の匂い、……まあここらへんは「ナマモノ」を扱っているという女なら。そういう妥協も、できるだろうが】
【畳みかけるようにして信生の視界を脅かすものもあった。……単純に、薄暗いってだけだけど】
【照明が少ない。ならば窓、カーテンを開ければよかろうが――それがひとつもないのだ】
【なら、ここは「地下」であるとわかる。なんでこんなところに、とも思うかもしれない】

【そんな場所に信生ひとり残して、女はどこかの部屋へ行ってしまって】
【不安を感じて追いかけようとしたなら。あるいは、暗闇に目が慣れてしまったなら。「それら」が見えてしまうだろう、――――】


//すみません、分割させてください。次のレスは演出のために使います、読み飛ばしてもらって大丈夫です!


470 : お使いのPC・スマホは正常です! ◆S6ROLCWdjI :2018/06/10(日) 00:16:55 WMHqDivw0
>>467 >>469

【金髪碧眼の少女の身体が、人形のように転がされていた。】【金髪碧眼の少女の身体が、人形のように転がされていた。】
【金髪碧眼の少女の身体が、人形のように転がされていた。】【金髪碧眼の少女の身体が、人形のように転がされていた。】
【金髪碧眼の少女の身体が、人形のように転がされていた。】【金髪碧眼の少女の身体が、人形のように転がされていた。】
【金髪碧眼の少女の身体が、人形のように転がされていた。】【金髪碧眼の少女の身体が、人形のように転がされていた。】
【金髪碧眼の少女の身体が、人形のように転がされていた。】【金髪碧眼の少女の身体が、人形のように転がされていた。】
【金髪碧眼の少女の身体が、人形のように転がされていた。】【金髪碧眼の少女の身体が、人形のように転がされていた。】
【金髪碧眼の少女の身体が、人形のように転がされていた。】【金髪碧眼の少女の身体が、人形のように転がされていた。】
【金髪碧眼の少女の身体が、人形のように転がされていた。】【金髪碧眼の少女の身体が、人形のように転がされていた。】
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【金髪碧眼の少女の身体が、人形のように転がされていた。】【金髪碧眼の少女の身体が、人形のように転がされていた。】
【金髪碧眼の少女の身体が、人形のように転がされていた。】【金髪碧眼の少女の身体が、人形のように転がされていた。】
【金髪碧眼の少女の身体が、人形のように転がされていた。】【金髪碧眼の少女の身体が、人形のように転がされていた。】
【金髪碧眼の少女の身体が、人形のように転がされていた。】【金髪碧眼の少女の身体が、人形のように転がされていた。】
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【金髪碧眼の少女の身体が、人形のように転がされていた。】【金髪碧眼の少女の身体が、人形のように転がされていた。】
【金髪碧眼の少女の身体が、人形のように転がされていた。】【金髪碧眼の少女の身体が、人形のように転がされていた。】
【金髪碧眼の少女の身体が、人形のように転がされていた。】【金髪碧眼の少女の身体が、人形のように転がされていた。】
【金髪碧眼の少女の身体が、人形のように転がされていた。】【金髪碧眼の少女の身体が、人形のように転がされていた。】


471 : ◆D2zUq282Mc :2018/06/10(日) 00:17:38 JY1GydDk0
>>442


【どうやらエスコートは未だ終わっていないらしい。現に身体から離れない手と足取りは目的地はまだ先であると主張していた】
【一般信者達に対して教義を説いた大広間から大分離れている。えも言えぬ、纏わり付く様な嫌な予感が体中を巡る】
【――尤も、ここで立ち止まれば怪しまれる。虎穴に入らねば虎子は得られないのだ。故に、歩幅は乱さないままであった】


あはっ。……シューイツなんて言われたらくすぐったくなるじゃん。褒められるなんて久方ぶりだよー。
つーか、その口ぶりはまるで教師とか牧師みたい。いや科学者とか研究者みたいだよケバルライさん。


【ケバルライの問いはエーリカにとって考えた事も無いものばかりで、渋い顔をするのも二度となる】
【唇を横一文字に引き締め、んんーっと唸りながら頭を軽く捻り。足りない頭脳で問いに対する解を構築し始める】
【解けない数学の問題に挑んでいる様な気分に陥ったエーリカ。彼女は軽く頭がショートしそうになっていた】


……んんんーーー、めっちゃ難しい事聞きますね。
無意識が何を信じているかって?考えた事も無いっす。ソクラテスとかの哲学者になったような気分。
チンプンカンプンっす――……まあ、取り合えず答えられるモノから答えるよ。

ひとつ。知覚出来ない事があるか否か。――そんなの無いんじゃないかな、って。
誰かの受け売りなんスけどね、世界ってのは相互の認識で成り立ってる。だから知覚・認識できないものは存在しない。
最初から存在しないし、知覚・認識出来るものだけが存在を許される。その意味でこの世に知覚出来ないモノはないってのが私の答えっす。

ふたつ。私の知覚の底にある無意識が何を信じるか――はっきり言って考えた事も無いのでスルーさせてもらっても良いっすか。

【両手で大きくバンザイをして、お手上げです。何にも解んないといわんばかりの立ち振る舞い】
【悪戯がばれた子供の様にややおどけた笑いを目と口に宿して尚――出来る限りの答えを口にするのだった】


まぁそんな事言ってたら始まらないんで、今さっきの戯言は聞き流してくださいっす。
無意識が信じるもの……多分っすけど、正しいと思うもの。自分の内に潜む本当、あるべき姿……かな?

ここまで難しい問いをされ続けると、寧ろ私が逆に問いたい。
どんな術を用いたらアンタ達はそのカミサマを知覚、いや認識できるんすか?
そして、知覚・認識出来たカミサマがどんなものなのか聞きたいっす。


【好奇心旺盛な子供の様に捲くし立てる質問。その質問が意図するものは、この教団の根本的な部分の把握】


472 : ◆S6ROLCWdjI :2018/06/10(日) 00:23:47 WMHqDivw0
>>467 >>469 >>470

――――――おまたせ、ノブ! 毛布持ってきた、とりあえずこれに包まっててよ――

【――――女は、なんでもないみたいな顔して。何の変哲もない毛布を持って戻ってくる】
【それから――信生にそれを渡して。「これこれ、これなんだ」って。屈託のない笑顔で話しかけてくるだろう】
【さっきまで、日の下にあったものとまったく同じ顔で。嬉しそうに、いとおしそうに、】
【金髪碧眼の少女が無数に転がる床を指差して。ちょっとだけ恥ずかしそうに、言う、のだ】


これね、……全部失敗作。お恥ずかしながら!
ええっとね、僕――――「好きなヒト」を創ろうとしているの。
ずっと前。八年前に死んじゃった、「クーラ」って名前の女の子なんだけど――――


【「なんでかね、これだけやっても成功しないの。彼女を、蘇生させる、術」】
【「ほかの検体で試してみたら成功してるのに。何故か彼女だけ成功しないの、……クーラだけ」】

【――――蒼白い頬に僅かの赤みが混じる。間違いなく、想い人のハナシをしている】
【恋する少女、それもとびきり無垢なやつ――の顔をしているのに】
【差した人差し指の先にはモノ言わぬヒトの肉細工、その山がある。乱雑に、放置されている】

【……この女、たしかに、「ほかの検体」と宣った。ならばそういうことだ、――――「犠牲者」はこの山を創っている数より、多い】


//すみませんこれで全部です!


473 : ◆XLNm0nfgzs :2018/06/10(日) 00:29:23 BRNVt/Aw0
>>466

【閉じた助手席の扉。振り向く少女】
【何とか、何とか止められたと思った。少しだけでも時間を稼げれば強引にでもバンの後ろをこじ開けて、それで──】
【などと考えた刹那に響いた、先に行けと示唆する言葉。走り去ろうとする車】

──しまっ……
【少女は慌てて踏み出そうとする】
【エンジンがかかって動き出したばかりの車。自分なら或いは、と判断して】
【だがそれは叶わなかった。相手が言葉と共に此方に距離を詰めようとしてきたから】

【注意は一瞬、そちらにそれてしまって】

【糖蜜のような甘い甘い声がすらすらと言葉を紡ぐ。けれどもそれを上手く変換出来ない】
【人の臭いがしていた時点で怪しいって疑っていたから、嘘なんだろうと脳が判断していて。そこから言葉をシャットアウトして】
【出来る事はないかと考える。何か手立てはないかと】
【何を企てるにもこの少女が問題で、ならば何故彼女は残ったのか、とそちらに脳のリソースを割いて】

【もしかしたら、能力者なのかも、と──】

【気付いてからは早かった。車の向きを思い出して】
【もしかしたらもう届かないかもしれないけれども、やらないで悔しい思いをするくらいなら、と思い成して】

警察、じゃないし、権限なんか……ないけど……
【キャスケットの少女のぶらりと下げた左手の周囲。空気が一瞬冷たくなった気がして】
【その手の中、直径数cm程度の氷の円錐が生成される】

──だからって目の前で人間拉致されて黙ってるなんて、出来ない!
【少女は左の手首を返すと、車が走り去るだろう方向、そのタイヤの位置だろう場所を目掛けて氷柱を投げる】
【間に合ったのかどうなのかは、分からないけれど】


474 : 名無しさん :2018/06/10(日) 00:39:19 wdTzMiiA0
>>473

【――――――きらり、と、眩い光が瞬いた。そうして、それは、――目の前に立つ、藤色の髪の少女の目と、同じ色をしていた】
【鮮やかなマゼンタ色。それがちょうど相手と車の間を遮るように煌めいて――ごく一瞬の刹那に、ぱっと、薄いけれど、確かな壁として聳えるなら】
【あんまりにあっさりと貫けそうにも、思えた。だって、それくらいに薄っぺらかった。――だのに、拒まれる。相手の攻撃を"阻害"してしまうから――届かない】

…………――言いがかりはやめてくださいますか? 人間……ですか、そんなもの、運び入れませんよ。
そりゃ乗ってるのは人間ですけど。自動運転の車とかじゃないですし、最低限、運転手くらいは居てくれないと困りますからね。

拉致ですか? 何を根拠にそうやって思うんでしょう。

【――振り返ったなら、少女がそこで笑っている。さっきと同じような笑みでありながら、その温度は、さっきとは明らかに違っていて】
【鮮やかな色合いの瞳を細めて――あくまでしらを切る。と、相手には思わすだろう。この少女は変わらず嘘を吐いている。――そう思うしかないくらい、あれはヒトの匂いだった】
【ゆえに。相手は間違えていない。間違えているのは、この少女らであった。――だからって、それをあっさり認めるような人間であれば、きっと、こんなことはしないから】

それに、何のためにですか? 人間拉致して喜ぶ人達なんて、それこそドマイナーだと思いますよ。人身売買ですか? ("世界の")闇市に売るとか?
……――まーっさか! ふふっ、もしかして、最近そういう映画とか見ましたか? よく分かんないんですけど、こう、カッコいい系の――――。

【きゃらら、と、少女が笑い声をはじけさせた。世界の闇、と、闇市、掛けてみたなら、多分そんなに面白くないんだけど、楽し気に目を細めて】
【それで相手を映画に影響された人みたいに決めつける。「――空想とリアルは区別しないと駄目ですよ」「迷惑がかかりますからね」――そんな風に、お姉さんぶって、忠告までして】

【――――態度を変える気は、ないみたいだった。なら相手はどうするんだろう、どうするのが正しいって、判断するんだろう。……でもそれを咎める人はいないから】
【相手は相手の思う正義を振るえば、いいはずだった。誰が勇気をくれるのか、それは、分からないけど――相手の脳裏に思い浮かぶ人。それが、きっと、勇気に変わるから】


475 : ドープ ◆xgsUYuhzWc :2018/06/10(日) 00:57:22 Lxd3YeZA0
>>464

……だ、だああああっ、だーッ、ノーッ!!ソーリー!!すみませんすみませんすみませんんッ!!
オマエなんて口聞いてすみません!!アナタですね、アナタ!!オーケーイエスアイノウッ!!

……あー、いや。オレァダメなんですよホント、そういうの。
ちゃんと一回で学びますんで、どうか勘弁してください。この通り……。
アナタがオレの敬うべき幹部って事を、今ハートで理解したんで。
そう、そうです。胸に……アイキャンドゥイット。

【そう、そうだ。彼女は〝幹部〟だ。サーバントよりも異質なのだ。不要な失念は避けるべきだ】
【──改めて認識する。さまざまな噂を聞いた上で、目の前で座っている少女を見る】
【例えば気分次第で抱けるだの、そういうことを聞いても。ドープ自身が何だかんだ女性下手なのも相まってだが】
【〝何も沸いてこない〟くらい。むしろそんな噂を流されて大丈夫なのかと心配するくらい──】
【胸に左手の指をトントンする動作。そしてやや頭の悪い発言】

(──やっぱコイツ、〝異質〟だ。まあ幹部なんて社会から爪弾きの異端揃いだがよォ)
(そりゃあ、オマエ。ハープだって指先で弾いてたら急に変な音出たらン?てなるだろ)

【……そのくらいの異端だ。あからさまに〝ヤバイ〟のは分かっていても】
【怖いくらい常識的。一番普通に振舞っていて、容姿からも態度からも一番まともそうな顔をしている】
【ただ、明らかにバッドな選択肢は避けるべきだ。……そもそもわりかし優しいし、まともだし】
【もしセクシー小悪魔と対峙していたら、めちゃくちゃ罵倒されていた気がする】

【やや感激で再びウルッとしつつも、はたと三白眼を向ける】

だァ……〝繋げる〟?い、いや。幹部のお力をお借りするなど恐れ多い。
その、おー……オウ、オレは、オレはですね。ヒトに迷惑かけんの基本ニガテなんですよ。
オレは基本的にソウルメイト大事にするチョーいい奴ですからね。
オレってば自分が誕生日のチョコプレートだってダチにあげちゃうんですよ。

ってのはまあ冗談で、コレバレたらほかの幹部に殺されやせんかね。部下とか。
マジに嬉しいんで、そいつァありがたいんですが……
オレァ、余計な揉め事は怖いんですよ。
ムリフェン様、アナタはお優しいし麗しいしビッグな器に見えますが、どうにもこうにも。

……こういうのって許してもらえますかね……。

【注意深いどころか、ほぼ胃も精神も病むのではないかという勢いで幹部が怖いこの男】
【生贄使命を負ってるとはいえ、末端に対して力を割かせるのは本当に申し訳なく】

だけどまあ、……一刻争うのはオレもだ。
……ひとまずお願いしますよ、お願いします。
星の評価は5つけときますが、リピんないんで。二度とこんなマネしない事は約束しますから。
多少しんどくても耐えられます。オレもアナタのサーバントのヒトリだ、注射怖いガキじゃあるめェ。

……で、クスリのハナシはノーセンキュー。怖いから。
オレだってボディボロッボロでキメてんすよ。バッドがおっかねーのは知ってます……。

【しかし、しのごの言ってられないのは自覚している。あとはどうにかなってくれ、と】
【拷問目的でヤクをキメさせるのは、ドラックラバーな彼としてもあまり気持ちのいい使い方ではない】
【用法容量を守って(?)の目的意識ではないのは正直快いとは言えず】


【そう、そしてやっぱりめちゃくちゃ怖いなと思った。何故蛇教幹部の女性は怖いのか】
【このままだと女性恐怖症になりかねない。どういうことだ全く、と勝手に内心キレた】
【〝オレはいたってノーマルなんだ、もっとこう、外でおとなしめのレディと深い交流を──】


【〝──ただ、そうですね、じゃ、後で、頼まれてくださいね。ちょっと気になることがあるんです。それでチャラにしましょう。〟】

分かりましたよ。

(また頼まれてしまった……)

【また頼まれてしまった】
【幹部から任務を負うことの誉れやら、嬉しさややりがいも、もちろんある。むしろ無いより嬉しい。此処が彼の居場所だと思っているのだから】
【しかし仕事はともかくとしてメンタル的に辛い。今回はムリフェンに怪我を治させたのでなおさら失敗しづらそうというか……】
【汗が少し吹き出た。なんだか中間管理職になった気分だった。まあこの男が勝手に緊張しているのだが】
【やはり蛇ゴッド。気持ちの落ち着きどころが無さすぎる】

(──ダメだ。さりげなすぎるだろこの女。幹部怖いな。女怖いな。まあエンジェルなんて居ないよなこの宗教)
(アットホームな職場だなァおい、愉快だ……オレも乾いた笑いが絶えねぇ)

【もう一生その意識は脳髄に書き込んで忘れない方がいいなと思った】
【それでもまだホント、めちゃくちゃ優しいのだが。この対応は】


476 : ドープ ◆xgsUYuhzWc :2018/06/10(日) 00:57:45 Lxd3YeZA0
──で、ああ……?

【──少女が開始したその行動に、思わず身をたじろがせた】
【一体何が起こっているのか?──まるで、これでは、〝少女が痛みを肩代わりしているかのような〟】
【幹部クラスの能力を今この場で見ているという事象、それ自体が凄いのだが】
【彼としても、少女が痛みを代わりに得るような真似は──視覚的にも、心情的にもやや絶え難く】

お、おい、おいッ!!何やってん──、いや、コイツはいけませんって!!
待ちなッ!!嬢ちゃんが耐える痛みじゃ──

【──幹部への侮辱にすら繋がりそうな言葉ではあるが、彼としても本気で心配していた】
【腕が吹き飛んだ大男を治癒するのに、彼女の左腕を犠牲にする道理は無いと主張したかった】
【──それから抱き締められ、「ぬおッ!?」とか妙に緊張した声張り上げていたが】

──

【柔らかい。暖かい。鼻を擽られる。甘い香りがする。なんだか変な気分だ、少々男として惑うような──よくない傾向だ】
【治療中の、しかもこんなにも年下の少女にドギマギしてしまった自分に罪悪感を覚える。情けないとすら感じる】
【だが、それ以上に彼女が苦しんでいるのだ。……口をひき結んで耐える。喉がひりついて、脳が焼けるように、知覚が過敏に】


【……丁寧も何も──許すも、何も】

……、いや、


【少し──泣き出しそうになってしまった。己がひどく情けなかった】
【こんな少女に怪我を治させているのか?それは本当に相手が上位の位置でもいいのか?部下の失態の責任を背負う行為なのか?】
【……生意気であるし斜に構えている自覚はあるが、自分はだいぶ義だとか、曖昧なモノは好ましい男だとは感じている】

【せめて、これが終わったら──たくさん礼を言って、なんでもしてやろうと】
【彼女がウヌクアルハイ以外に何が欲しいのか分からないが、好きなものだって買ってやりたいと】
【どんな依頼だってこなしてやろうと。そんな気持ちになった。嬉しくなどなかった、酷く苦しかった】

【……右腕の、〝阻害〟による不愉快さが増していく。──阻害、と言った】
【彼女の能力の本質なのだろう──それだけは、やたらと耳に残った】


477 : 兼愛 信生(けんあい のぶき) ◆xgsUYuhzWc :2018/06/10(日) 01:06:22 Lxd3YeZA0
>>476
/すみません書き忘れてました、>>475の続きです!


478 : ◆XLNm0nfgzs :2018/06/10(日) 01:32:07 BRNVt/Aw0
>>474

【瞬いたマゼンタの光。少女に目を向けていたからよくは分からなかったが、恐らくそう】
【その光の壁に"阻害"されれば氷柱は乾いた音と共に地面に転がって】
【じわり、と初夏の熱を持った地面に融けて染み込んでいって】

【人間なんて運んでない、などと笑う少女。確かに人間の臭いがした(気がする)からその言葉はやはり何だか上滑りに聞こえて】

【かといって「人間の臭いがしたんです」なんて言ったら変な奴だと思われる。正体なんて現した日には気味悪がられる。化け物なんて言われかねない。幾ら相手が悪者だとしてもそれは相当堪える】
【故に、根拠を示す事なんか出来なくて】

何の為、何の為、ね……
確かに人身売買やってる奴とかならやりかねないかも……
ま、確かに「まさか」って感じだよね
【きゃららと笑う少女。その様子を見て彼女は考える】
【この子は何の組織の人間なんだろうって】
【人身売買組織にしては何というか違い過ぎるし】

あ、でもカノッサ機関もそういうのやりそうな気がするよね、普通の人拉致って能力者にしてやるぞー、的な?

後は、ほら何だっけ?
……さーぺんとかると……だっけ?
何か生け贄集めてるって噂聞いた事あるよー?
【ほーんと、世の中変な噂ばっかで物騒だよねー、と少女もけらけらと笑う】
【これは一種の賭けだった。人間を拉致しそうな組織の名をあげて、何かしらの反応を示したならば黒だと】
【本命は機関、なのだが最近噂を集める際に何処かで聞いたサーペント・カルトの名前もあげて】
【確かそちらも生け贄を集めて何かしてるとか聞いた気がするから】
【けれども、目の前の人物がそうだとかは結び付かない】
【あくまでブラフのおまけみたいなもの】
【況してや、横文字が苦手な彼女は『サーペント』が蛇である事なんか微塵も分からなくて】


479 : 名無しさん :2018/06/10(日) 01:34:28 wdTzMiiA0
>>475

【――――恋人同士が睦み合うよりも深く深い行為は、けれど、そう長くは続かない。時間で言えばほんの数分ほどだろうか。だからこそ、恐ろしくもある】
【彼にしてみれば――(それについてはまた別の力なのだけど)痛みを肩代わりされたような無痛感、そして続く、少しずつ、少しずつ、感覚を、現象を、阻害されていく気持ち】
【その全部を、敵意ではなく味方への情として向けられて、それにのみ集中して、いられる。――だからこそ、分かる。"この少女は簡単に人を殺すことができる"】

【――血流を阻害すると言ったか。それを殺すために使ったとしたなら。たとえば脳への血流をゼロにしたら、人は死ぬし】
【そうでなくとも。重要な臓器はいくつもある。血が廻らなかったら、人間は死ぬ。間違いなく。――彼女はそれを、今、彼を生かすために使っている】
【過剰に血が出ていかないように――それでいて腕が腐って落ちてしまわぬように。それでいて、同時に、汚れや菌から守ってやる、――だからこその、丁寧な作業であり】

ん、う、――っ、ぅ、あ、――――、……っ、う、別に……、腰とか抱いてて、いいですよ? ほら、……言うじゃあ、ないですか。
"大丈夫? おっぱい揉む?"ってやつです、……――はっ、つ、……、

【相手の足元を跨ぐように。それでいて傷には触れないように。気づけば左腕の蛇の入れ墨は彼女の腕に戻っていた、――その手が、その先の痛みを阻害された腕に触れて】
【阻害の力を流し込んでいく。そしてそれはその内側に菌糸を満たした果物がふわふわ黴を生やすみたいに、やがてするすると包帯のよう、マゼンタのリボンを巻き付けて】
【――そこまで行けば、もう、痛みも、出血も、ほとんどなくなっているはずだった。あんまりの歯痛に痛み止めを飲んだ時みたいに、ぼんやりと、感覚が遠くなるみたいになって】

【多分途中で耳元に囁いていたのは、彼女なりの――なんか、気の使い方、だったんだと思う。よく分からないけど】

【やがて、処置を終える。そうしたなら少女は、彼から身体を離して――そうしたら、彼にも、よく見える。じっとりと汗を浮かべて蒼褪めた、少女の顔が】
【整った顔を苦痛で染め上げるのは真っ新の布地を染料に浸した瞬間のよう、閉じた目下で長い睫毛が小さく震えて、荒い吐息、――ぎゅう、と、自分の腕を抑えて】

…………どう、ですかね、大丈夫そう、ですか? とりあえず。痛くなくって、血が止まって、壊死しなきゃいいんですよ。……ですので。
ちゃんとした、治療は――後で受けてください。……ていうか、受けないで済むような、処置。私には無理ですからね。……。

【――きっと少女の脳裏には、彼がさっきまで感じていた痛みが、ずきずきじりじり突き立っている。けれど、――あんまりに熱病みたいに鮮やかに笑うから】
【傷を消してやることはできない。それを治すのは彼がしないといけないから。――だけれど医療なんてそんなものだった。いろんな方法で苦しみを取り除いて、あとは、自力】
【それなら彼女が施したのも、或いは、――まっとうな治療だったのかもしれない。――長い長い息を吐く、わずかに震える語尾を、ぎゅっと喉の奥に呑み込んだなら】

――すっごいですね、腕が弾けると、"こんなに"痛いんですか? 正直、私、弾けたこと……ないので、
ああでも――死ぬ痛み、というのは、知ってますよ、――ウヌクアルハイ様が、手ずから。教えてくださったのです、ですから……。
まるで乙女の破瓜のようでは、ないのですが。……ねえねえ、見てください、――あなたがさっきまで感じていた痛み。今では、私の中に、あるのです。

…………――どうですか? "これ"もまた、ウヌクアルハイ様の奇跡のおひとつですよ。
あなたは今、ウヌクアルハイ様のお力によって、痛苦より解放され。私は、今、――ウヌクアルハイ様のお力により、他者、あなたの痛みをわが身に感じています。
――ウヌクアルハイ様は、輪廻の蛇としての一面も持たれます。すなわち、全ての死。その苦しみと、痛みをその身の内に宿しておられるのです。

であるからこそ、こうして他者の痛みを引き受けること、それそのものが、ウヌクアルハイ様のおそばに行くための、修行の一つであるのです。……――。

【――――ならばそれはひどく煽情的な表情だった。蒼褪めてじっとりと汗をかいているのに、浮かべる表情は、どうしようもなく艶めかしいもの、生/性を感じさせ】
【掠れた喉で笑ってみせた、こんなに……って言って腕を撫でたなら。見た目だけでは何とも分からない。けど。今この瞬間の相手には、どうしようもなく理解させるのだろう】
【さっきまでの痛み――今は感じることない痛みが、まるごと、そっくり、彼女の中に移動してしまったのだと。――そして、それもまた、ウヌクアルハイの力の一つなのだと笑う】

/ぶんかつで!


480 : 名無しさん :2018/06/10(日) 01:34:38 wdTzMiiA0
>>479

ところで……嬢ちゃんと呼びましたか? ダメですね、後で私の部屋に来てください。いいですか?
時間は……そうですね、処置が終わったら蛇念飛ばしてください。寝てたら、無視するんで。明日来てください。

【――――――――だけれど、聞き逃してはなかった。にっこりと笑う、それで、すらり、と、立ち上がったなら――ちょうど、医療班だろうか、数人がやってくる】
【全員が見える場所に蛇の入れ墨を入れていた。――それで彼は回収されるんだろう、そして少女も。――怪我こそないが、冷静ではない。そのまま、一緒に送られることになり】
【だけれど本部に戻ってからまで一緒ではない。なら――彼には適切な処置が施されて。解放される。本来なら入院とかすべきはずだが、あいにく様、ここは病院ではないから】

【――――"命令"された通りに蛇念を飛ばせば、少女からはきちんと返事がある。「鍵空いてるんで、そのまま入ってきていいですよ」、そう、付け加えて】


481 : 名無しさん :2018/06/10(日) 01:50:07 wdTzMiiA0
>>478

――――そうですよ。まあ、確かに、物騒な世の中だとは思いますけど。そこらへんで拉致って人身売買、ちょっと効率が悪いと思いますよ。
映画でうまくいくのは、"映画だから"ですからね。ていうか、創作物は、割とご都合主義ですからね。リアリティで詰まんなくしたら、意味ないですし。
そもそも、現実で出来ないようなことやるための創作物ですよ。なんで、クッソみたいなマフィアとか、居まくって最高だと思います。

【相手の思考など全く気にしていないみたいだった。煙に巻く自信がありすぎるのか、それとも、――"正当防衛"で勝てる、自信があるのか】
【片手にだけつけた真っ白のドレスグローブ。アシンメトリーの様相。自分の頬へ触れさせる、――その白さと白さが交じり合う隙間に、ふっと、影が落ちて】

そうですか? 最近カノッサ、大人しくって、いいですよね? なんで、そういうのやめてほしいなーって思いますよ。
それに、ほら――なんでしたっけ。魔制法? とか、ありますし。本当に肩身が狭いんです、私も一応、能力者なので……。

……で、サーペン・トカルトですか? 生贄って――物騒ですねえ、この辺りに出るんですか?

【――素知らぬ顔で、薄く笑んだ。相手があまり慣れていないのだろう横文字の発音を少し揶揄うみたいに、ちょっとだけ変な抑揚、返したなら】
【それは本当に年頃の少女同士が駄弁り合うみたい。相手の言葉に動揺したら真似なゲームなんて、女の子はとっても得意、嘘つきは呼吸するみたいに、密やかで】
【なんかもう熊とか鹿とか猪みたいな扱いをしていた。――その心中まではうかがえないのだろう、マゼンタの瞳、笑った仕草で細めてみせて】

でも――どれも違いますよ。さっきはごめんなさいね。ちょっと人に見られると憚るもの、取り扱ってるんです。
……ほら、そこ、人形店って書いてありますよね? あそこ、昔は、櫻の人形。取り扱ってたんですけど、やっぱり売れないみたいで。

その……こう。品ぞろえを変えたんですよ。人形は人形なんですけどね。あなた、何歳ですか? 18禁な方の人形なんです。
穴に入れる系ですね、最近は女用もあるんですよ。穴に入れる系ですね。言葉って難しいんですけど――、
――なんで、ちょっと通りで出せなくって。ね? ちょっとびっくりしたんで、先行ってもらっちゃいましたけど。

【真っ白の肌。恥じらうような表情が良く似合っていた、それは新雪に刻む一つ目の足跡みたい、それよりうんとかすかに、子供が始めた見た雪に、掌を埋めるように】
【その――と言葉を探すようなそぶり。だけれどすっごい真顔だった、すっごい真面目に、すーっごい真面目に、なんか、言っているなら。それはかえってどうなんだろう】
【つい、と、申し訳なさげに目線が逸れる。――ラブドール専門店とかドマイナーであるのは、確かなんだけど。街中の人形店が鞍替えするには、夢がなさすぎるんだけど】

【――――それでも、やっぱり、相手が感じたのは、生きた人間の匂いであったから】


482 : 兼愛 信生(けんあい のぶき) ◆xgsUYuhzWc :2018/06/10(日) 02:06:53 Lxd3YeZA0
>>469 >>470 >>472

【──そうして、舞台は、此処へ。氷の研究所へ】
【生きとし生けるモノの環境下がやや厳しいこの国は、やはり気温は驚くほど寒い】
【初めて来国したために慣れず、さっそくくしゃみをしてしまった】

【──そこで、ふと鼻腔をくすぐる謎の匂いに気付く】
【鉄?──否、施設内の鉄錆か何かの匂いではない。血液の匂い】
【何かの治療中なのだろうか、それとも開発途中の合成獣から血が出てしまった?】
【ともあれあまり気にせず──】

うむ!しかしやはり国柄なのも相まって──
い、いや!お気遣いは申し訳ないのだぞ!……ううむ、受け取ろう……

【……甘んじて受け取るべきだと判断し、恥ずかしさで唸ってしまった】
【彼女が去ってから、嬉しそうに笑って独りごちる】

だが、ミアの研究室は中々にカッチョいーなあ!
ワタシもこんな地下っぽい研究所を……

【と、辺りを楽しく見渡して──そこで、硬直した】

【今、何を見た?】
【骸だ】

【死体だ。動かない。金髪の少女だ】
【何故死体がある?いや何、多分。一体だけだ。もしかしたら何かの間違いだ】
【きっと積み重なって側で二体見えたのも。たくさんたくさんたくさんたーくさん、】


【──?】

【──〝山だ〟】



──



【まず最初に、呼吸が止まった】
【目の前いっぱいに広がった、死者への背徳の山。いのちの亡骸の山。まるで金髪がさらりと流れたような山】
【殺した数の証。量産した証。〝ヒト〟を作っては失敗し作っては失敗した証】


──ッんぐ、ア、
……い、イヤッ、嫌、何ッ?このッ──い、嫌ッ!!イヤアアアッ!!やだ!!!

嫌、嫌だッ!!嫌だぁああああァアアアアァアあああッ!!!!!!!!!



【息を飲んで。それが食道に入りかけて噎せる】
【その後絶叫だった。女性らしい金切りの悲鳴をあげ、その場にぺたんと座り込む】
【それは余りにも凄惨な光景。下手なホラー映画よりも恐ろしい現実】
【尻餅から、光景から遠ざかろうとする。しかしそれで目の前の景色が変わった訳でもあるまい】
【悪い夢のような惨たらしさ。蛍光の網膜に張り付くソレは全否定出来ない】

【フラペチーノが撒き散らされた。トートバッグも転がった】

【そうして現れた彼女に──そのギャップに、思わずびくりと体が跳ねる】
【毛布を持ってきた彼女。どこまでも優しい彼女、でも今は──】

──ヒッ──ひ、ひいいっ!!

【恐ろしさから急いで彼女からも離れてしまった。そこで体が再びびくん、と痙攣する】

う、ゥぐ……ぐぼえぇ゛ええっ


【吐いた。精神が苛烈なストレスを受け驚いた為に、胃が反動で逆流した】
【今日食べたモノも、プティング味のドリンクスイーツも全て散らばる。床がすっかり汚くなってしまった】
【慌てて挙動不審な瞳で顔をあげ、更にミアからも、座った姿勢のまま離れる】


【?】【何を言っているんだ】
【恋って、そんな】【ダメだよミア】
【死んだヒトを作ろうしてるなんて──それは、確かに、〝キレイ〟な気持ちだろうけれど】
【こんな──たくさんの】【たくさんの】

【言っていることが】
【わからないよ、ミア】


み、ミア、床、ごめ、あの、ミア……
そ、そうじ。……あの、あの……

……待って、嘘だ、こんなの。キミ、……キミは、だって、優しくて、だって……
ちがうんだ、ワタシは……キミは……

【そうだ、そうだ。あの語り口、よくよく考えれば気付くはずだ】
【だって普通に考えろ。〝生きた状態〟を保つのなら、こんなに冷えすぎる国はおかしいだろう】
【あの、創造物への方針。まるで手放すような口ぶり】
【首を横に振る。目が爛々としてしまって、瞳孔が開かれる。ここまで来たら動揺をしてしまったことを隠しきれない──】


483 : 兼愛 信生(けんあい のぶき) ◆xgsUYuhzWc :2018/06/10(日) 02:07:24 Lxd3YeZA0
嘘だって、……お願いだよ……ちがう、て……冗談だって……、言って、くれ゛よ
……こんなコト……こんな……コト……やだよお……!

【最初に驚かしてきたミア。書類を落としたのを見て笑ったミア。陽の光の下で笑っていたミア】
【嬉しそうに好きなヒトの話をしていたミア。ピクニックしようと提案したミア】
【ひらりとしたスカートが似合って、目の下の隈がちょっと心配で、髪の毛はちょっとぽさついてて】

【暗い赤い色をした瞳が──】


【ミア、ミア、ミア、ミア、ミア】【キミは】



ミア……キミ、は゛……キミはぁああッ!!!!!



【──彼女の中の〝押し付け〟のミアは、あっけなくひび割れた。壊れてしまった】
【盲目の親愛が消えてしまった。あとは、目の前の女性を震えて見上げる女が残った】
【相対する、暗闇で仄暗く光る反対色から、ぼろぼろと涙が溢れていた】


【ソレは人道を越え、生と死の与奪を超越し】
【遠き理想を叶える為の、歪んだ恋の魔力】



【其処に立っているのは
──〝Blasphemia〟】


484 : ◆XLNm0nfgzs :2018/06/10(日) 03:48:26 BRNVt/Aw0
>>481

【この辺りで拉致して人身売買、なんて効率が悪い、などという相手の言葉に少女は、まあそれもそうか、と納得する】

現実じゃ出来ないような事をするのが創作かぁ……
でも現実も結構突飛な事起きてない?豪華客船は凍りつくわ政治家の演説中に襲撃は起きるわ平和な町に異形がわんさか現れるわで……
【新聞とかニュース見てるのに突っ込みが追い付かなくなる時とかってたまにない?と少女はクスリと笑って】
【その金色の瞳に映るのは相手が片方にだけ着けた白いドレスグローブ。何かあるのだろうか?と少し疑問に思えて】
【『そういう癖』でもあるのだろうかと手首の辺りをちらりと観察して見るけれども汚れた感じはなくて】
【ならば何かを隠している、とすれば何を?などと疑ってしまい】

【話はいよいよ本題。カノッサは最近大人しいからそういうのやめて欲しいなぁ、とか生け贄とか物騒だなぁ、とかそんな普通の答えが返ってきて】
【あれ、と少女は内心首を傾げる。何だかどちらでもないようで】
【何だろう、外れなのかな?だとすると何だろう?なんて少しばかり不安にもなってくる】

……ほんと、最近大人しいよねぇカノッサ機関
いつだったか水の国でテロやってからはめっきり……
これも魔能制限法のお陰なのかなぁ、能力者としては肩身狭いけど

んー、サーペント・カルト?私もよくは知らないんだけどね
この辺りに出るかも、まあ分かんないんだけど
【それでも不安を気取られぬように話して。まるで本当に普通の女の子が二人でお喋りしている感じで】
【その水面下ではお互いに腹の探り合い、なんだけれども】

……へ?どれも違うって何が?
【そんな中相手が発した言葉。少女はきょとん、と目を丸くして首を傾げて】
【あくまでも人身売買を行いそうな組織の話をしていただけですよ、別に貴女を疑ってなんかいなかったんだけど急にどうしたの?みたいなニュアンスの声をあげて】
【続いた言葉、理解したように、あ、あー……なんて声を発して】

いや、それについては私もごめんね?人が入りそうな大きさの袋が身入りでごろごろしてたもんだから何かビビっちゃって
【そう言って相手が指した店を見やる】
【そうすれば相手が言葉を続けて。曰く櫻の人形を売っていた店が品揃えを変えて、所謂『そういう人形』を扱い始めて】
【自分達はそういうのを取り扱ってる人間で、つまりそんな話なんだって】

櫻の人形かー、確かに傍目から見ても不気味だもんねあれ。此方の人からすれば結構怖いだろうね

うん?私は16だよ
でも、顔付きとかさっきの抑揚とかで分かったかもしれないけど出身は櫻なの、それもうんと田舎の方
あっちの女の子って結婚出来る年齢が早いし、田舎だともっと早くに結婚しちゃう娘だっているから
だからね、まあそういうお話も大丈夫っちゃ大丈夫、なんだけど……
【そういうの恥ずかしくなっちゃうよねー、なんて少女は軽く笑う】

そっか、こっちってやっぱり技術とか進んでるんだねー
車とすれ違った時さ、洗髪料か香水の匂いが微かにしたの
それも違う香りのが何種類か混ざった感じの?
そうやって一体ずつ個性つけてるんだろうね
【凄いよね、髪の部分に洗髪料使ったり身体の部分に香水着けたりしても大丈夫って!と少女は無邪気に笑って】
【けれどもそれだって試しているのだ】
【そういう用途の人形の材質は知らないが、櫻人形の材質ならよく知っている】
【桐塑か、或いは木彫りかが主な製法だ】
【また、此方の(ごく普通の)人形だって布とか焼き物とか、或いはセルロイドとか、そんな物で造られてるって事は一応分かってはいる】
【仮にそういう人形がそれら普通の人形と同じ材質だと仮定すれば自ずと不自然な点は浮かび上がる】
【そういう既知の材質から成る人形だったとしたら洗髪料や香水は人形を傷めるだけ。つまりこの話題に同意してしまえば人形の扱いについて詳しくない事が露見してしまう、筈で】


485 : ◆3inMmyYQUs :2018/06/10(日) 09:00:48 LevMp5MM0
>>440

【青年──エヌは、麻季音から当然返ってきて然るべきその疑問たちに、】
【再び慎重に言葉を選択しながら、回答を始めた】

──いや、処罰も、プロテクトもない。
これは例えるなら、そうだな……

ある種の実験が、
自然の生態系にどんな影響を及ぼすか分からないために、
極めて慎重にならざるを得ないような……そういう状況なんだ。

【精一杯、伝えようとして、崖の淵ギリギリまで歩んできたような】
【緊張と、それ以上進めないことのもどかしさを同居させて言った】


……けれど、貴女ならじきに理解できると思う。

こんなことを言うとまた混乱させるかもしれないけれど……
僕は、貴女がそれだけ道を拓くのに十分な可能性を持っていると、知っ──信じている。

だから僕は、貴女に会いに来た。
『ソラリス』としてではなく、──初瀬麻季音という個人として。


【何かの張り詰めた糸のようなものを背後に隠しながらも、】
【それを語るときだけは、愚直な程に真っ直ぐな熱を帯びていた】


【──ところが】
【それが『彼女』の現状の話になると、一転】


────捕まっ、た……? 鈴音が……?


【視界と意識の外から一撃されたような】
【並ならぬ驚愕と衝撃が青年の表情を塗り替えた】

【全く想定外の事象────】
【どういうことなんだ、と麻季音から言葉が継がれるのを期待して彼女の顔を見たが】
【その視線が相対することはなく──代わりに訪れた沈黙で、その事態の深刻さを悟った】

…………なんてことだ……
せっかく……ここまで辿り付いた、のに……鈴音が……──

【それは透明な何かに打ちのめされたしまったような声色だった】
【そうして譫言のような呟きをいくつか漏らしつつ、彼もまた床の一転を見つめたまま硬直した】


【「……“天秤は両方へは傾かない”──そういうことなのか……」】


【そこでふと、何か意味深な一言を、誰に聞かせようとするでもない様子で一つ落とすと】
【極めて深い苦悩と向き合うように、張り詰めた表情のまま、しばらく押し黙ったが】
【「初瀬麻季音さん──」 やがて淀みを区切るように、顔を上げて、彼女の名を呼んだ】


僕は……いや、『僕たち』は、思っていたよりも早く、貴女に情報を開示する必要があるようだ。


【──────】


「────やられましたね〜」

「わたし達は、『お化け』を見せられたんですよ。
 『死んでるお化け』ってのも、オカシイですけどね。あはは」

「だから安心してください、『ソラリス』はまだきっと息をしています。
 わたし達以外にも、『ソラリス』を欲しがる人達がいたってことですね」

「え? それはまだちょっと分からないですけど──」

「あ、そういえば終わりました? 〈CERN〉の修理。
 ──ああ、そうですか。じゃあ蛇さん達も、そこに放り込んじゃいましょうか」

「汚れたミームは、綺麗さっぱり、浄化浄化で〜す」


【──────】



────僕たちは、〈図書館〉だ。
時空を歪めようとする因果律犯罪者達を、追っている。


【そうして彼は徐々に情報の開示を始めていく】
【しかしその前に、彼はこのような前置きをしただろう】


【──これから明かす話を聞けば、後戻りは出来なくなる】
【──大きな情報のうねりが起きて、どんな危険が発生するかも分からない】
【──だから、これ以上は、と貴女が感じたら、その時点で話を拒否してもいい】

【「──貴女の運命は貴女自身が選択するべきだし」】

【「──、僕ももうこれ以上、友人を失いたくはないから」】


486 : 三枝双葉 ◆KWGiwP6EW2 :2018/06/10(日) 13:37:58 WMHqDivw0
本スレ >>408

【促されるままに、大きく深呼吸をする。やはり良い人なのだ、きっと】
【気を遣わせてしまったようで、何だか申し訳ないが、お陰で石のようになっていた体は多少マシになっただろう】
【軽く頭を下げると、ゆっくりとカップの麦茶を飲み込んだ】
【能力に関して言及されると、慌てたように首を振って見せた】

そんなに、危険だとは知らなかった、から。

【無謀であったのは間違いなかったから】
【それは知ったところで止める気はないけれど、警戒心はより強めた方が良いのだろう】
【あれこれと聞かれ続けて、少々落ち着かなくなったのか逆に尋ねる】

その、シスターさんの、方も……?

【彼女も外を出歩いていたのに、武器の類は持っていなかった】
【自分の能力にすぐに察しがつかなかったと言うことは彼女の力は身体強化ではないのだろう】
【何より、素手で跳ね回るような格好には見えない】
【自分以外の人がどうやって戦っているのか、落ち着いて聞く機会は少なかったので、好奇心】


【こんな程度の情報でも、彼女は得心行ったように振舞っている】
【何か思い当たる節でも有ったのだろうか】
【少しばかり難しい顔をしているあなたの様子を横目で見て】


蛇の刺青の人が……何か有るの?
何か良くないことが起こってるって言うのは分かるんだけど、全然、調べる当てがなくて。


【ただ手当たり次第に悪党を成敗していたら知らない内に地雷原、と言うことになりかねないし、既になっているのかも知れない】
【動くための指針が欲しくて、縋るように情報を求めるのだった】


――人を守ることに?


【唐突に尋ねられた言葉に目を白黒させる】
【――『いや、別に』と唇が動き掛けるも、声は出なかった】
【何かを逡巡するように顎に手を当てて、数秒】

興味って言うか……そう在るべきだとは、思ってるけど……何で、そんなことを?


【ここに来て、すわ宗教のお誘いか?とビビった】
【興味ない?から始まる宗教勧誘、と言うラノベのタイトルみたいなフレーズが頭に浮かぶ】
【いやいや、多分違うだろう。……何かのお誘いでは、有るのかも知れないけれど】


// お待たせしました


487 : ゴトウ ◆1miRGmvwjU :2018/06/10(日) 14:03:16 o6XMS57s0
>>468


「おやおや。」「よくないねえ。そういうのは、よくない。」


【 大男の後ろから、気の抜けたような声がした。男の声だった。あまりやる気のなさそうな、恐らくは、中年ほどの。】
【そしてまた、背広の背後より肩に手をかけていた。サングラスをギラつかせて、巨躯がゆっくりと振り向こうとした瞬間、】
【 ── 風を切る音、鈍くも痛烈な打撃。大男の腹に、拳の一撃。続いて膝を尖らせた蹴り上げが金的を潰せば。】
【ずしん、と大仰な音を立てて、大男は倒れ伏した。 ── 鬱陶しげに手をはたく、ひとりの男がそこにいた。そして、】


「おっと、これは奇遇だなぁ。」「 ── 探し人に、こんなところで出会えてしまうとは。」


【歓迎するように両腕を広げて、どこか芝居がかった仕草と声音で、その男は彼女へと声をかけるだろう。】
【身長175cmほど。ごくフォーマルなスーツ姿。しかしシャツだけは色褪せたような黄色。ややメラニンの抜けた黒髪をオールバックに纏めて、しかし生え際から幾らかの癖毛がハネている。】
【 ── 少しばかり頬のこけて、気だるげな三白眼は黒く濁り、しかし何処か据わりきっているようだった。】


「ブラスフェミアさン、だよね?」「はじめまして。あンたと会いたかった。」
「このまんま立ち話も何だし、ちょっと、お時間いいかな? いいよね。」


【もしも本人その人と答えたのなら問答無用である。有無の前に言葉を畳み掛けて、気安く触るような事こそしなかったから、逃げようと思えば逃げられなくもないけれど、】
【男の胡散臭い面構えは、なんとなく女と同類であるかのように思えるかもしれないし、ともすれば仕事のオファーかもしれない。】
【 ── 彼が連れ往く先は、闇市には有りがちな中華風の露天喫茶。小汚いテラス席に、都合よく空いているテーブルを使って。】


488 : ◆S6ROLCWdjI :2018/06/10(日) 14:18:00 WMHqDivw0
>>482

【毛布、持ってくる途中。ずうっと考え事をしていた、なんで信生を、ここに連れてきちゃったんだか】

【 桐子だったら。ちょっとびっくりしてくれるかな、……しないかも。それで「君らしい」って笑ってくれそう 】
【 ブランルだったら。爆笑してくれそうだな、「それでこそお前だ」とか言って。それでまた褒めてくれて 】
【 ミス・ウィッチは……どうだろ、「レディをこんな雑に扱うなんて!」って怒られちゃうかもしれないな 】
【 ジルベールは、まあ。底の知れない人だからビビったりはしないだろうけど、ちょっとヒくくらいはするかも 】
【 我が女王。……絶対こういうの趣味じゃなさそうだしなー。契約解除されちゃうかも、それはやだなあ! 】


【  ――――だからそれで、なんでノブを此処に呼んだんだっけ? ぜったい、■■れるってわかってるのに  】



――――――ぇ、あ、……えぇ…………?

【この場合。一方的な被害者はどう考えても信生だろう、そしたら加害者は、この女】
【嘘ばっかりついて心の中で馬鹿にしてこんなところに連れてきてこんなもの見せて】
【100パーセントこの女が悪いのに。なんでだか、ひどく、傷付いたみたいな顔するのだ、この女は】

【びちゃら、びちゃり。さまざまなモノが床にぶちまけられる音。それはきっと】
【さっきまで描いていたキラキラのパステルカラー、ばかりで構築される未来予想図に】
【冒涜的な赤と黒が、残酷なまでの量、ぶちまけられる音にも似ていた。それで全部台無しになった】

【女――――ブラスフェミアは。何が起こってるのかよくわかりません、みたいな顔して】
【座り込んだ信生を見下ろしている。ぽかんとした表情、丸くなった、暗赤色の瞳】
【それはどこまでも澄んでいた、冒涜的なことに。濁ってもいなかったし翳ってもいなかった】
【ただただ――――なんで? って訊くみたいな、色合い。そう訊きたいのは信生のほうだろうに】

【そうして硬直したまま。信生の望む通りの言葉、勿論吐かない。うそだよー、とか、ドッキリ! びっくりした!? とか】
【ほんっとうに、なんにも、言わないのだ、突っ立ったまま、信生を見つめるばかりで】


【――――ひらり。汚れた床に、一枚の紙が落ちてくる。来たときに使ったやつと同じ、転移スクロールだ】
【毛布と共に持ってきたものらしい。じゃあ、帰りの分もきちんと用意してるから安心して、って言葉も】
【嘘ではなかった。見られたからには生きて帰さないとか、お前もこの山の一部にしてやるとか】
【そういうつもりはミジンコほども、本当に、なくって――――だから】

【 この紙をひったくって使えば、いますぐにでも元の、日の光の下。あたたかい国へ、帰れる、ん、だけど 】


489 : ◆S6ROLCWdjI :2018/06/10(日) 14:31:45 WMHqDivw0
>>487

【殴られるのも犯されるのも嫌われるのも罵られるのも恨まれるのも呪われるのも全部、慣れたことだったから】
【肩を掴まれても「ああそう」くらいの気持ちしか抱いてなかった。その先の暴力も、甘んじて受けるつもりだった】
【死ななきゃ安い。殺される前にどうにかこうにかして逃げりゃいい。そう思って、何もかも、あきらめていたから】

……………………、えっ?

【来るとわかっていたはずのそれ(暴力)が来なかったことに、驚いた。目を丸くして、まずは倒れ伏した男を見て】
【それから――「助けてくれた」男を見る。数度ぱちぱち瞬きして、それで。「ええと、」と口ごもる】
【お礼を言うべきだと思う、のに、「こんな場所」で「こんなこと」、有り得るのかって混乱のほうが先に来たから】

【名前、呼ばれて。それで理解する。――この男が助けたのは「殴られそうになっていた女」ではなく】
【「冒涜者」であるんだ、と。そういうことなら話は早い、ふう、と息を吐いて。着ている白衣の裾、ぱんぱんと払って】

僕のこと、知っててくれたんだ。ありがとうミスタ、……助かったよ、痛いのはキライだし。
ええ勿論。立ち話がイヤってのもそうだし、……目立ちすぎちゃったみたい。

【「だから、早く行こ?」 ――女の言の通り、二人――と倒れ伏した男を加えれば、三人。その周りには】
【決してそう少なくはないギャラリーが出来上がっていた。流石にこんな場所とはいえ、暴力沙汰が続くなら】
【「排除」されてもおかしくはない。だから早くトンズラしましょうって、女は言って】

【――――男の腕に、するり、自分の腕を回そうとするのだ。恋人かなにかにそうするみたいに】
【勿論嫌がられればすぐほどく。しないならそのまま。歩いて行って、腰かけるだろう】
【注文を訊かれれば、なんだかよくわからないお茶を一杯だけ。別になんでもよかったけど、アルコールだけはまずい】
【弱いし。「ナニされる」か、わかんないし――それで頬杖をついて、男の顔をじいと観察、し始めるのだ】


490 : ゴトウ ◆1miRGmvwjU :2018/06/10(日) 15:12:06 o6XMS57s0
>>489

【「例には及ばないさ。下心あってのことだからね。」まったく躊躇わず魂胆を教えるのは、やはり胡散臭い笑顔である。】
【「 ── 勿論、変な趣味って意味じゃあないけれど。」甘えるように腕を組まれたのなら、やや驚いたようでもあり、注釈する。】
【けれど嫌がる様子ではなかった。恋人同士と言うには男の顔は老けていて、親子のそれに近く見えはした、が。】
【露天席に設けられた折り畳み式の椅子に腰を下ろし、「ジャスミン茶、あと小籠包も2つ」手近な店員に、声かけて。】



「やはり飲茶はいいもんだ。お話するならもう少し小洒落たところでもよかったんだが、」「 ── ま、どうせだから。」
「色々と噂は伺ってるよ。」「腕のいい研究者さン、だとか。」「それに最近、なかなか金回りが良くなった、なんてのも。」



【やがて席に届くのは、急須と小籠包が2人分。卓の小脇に置かれるのは、交わされる言葉を遮らないためだろうか。】
【机上にゆるく手を組んだまま、淡々と男は言葉を紡ぐ。どこか迂遠に、本心を隠すように。】



「おれもヤバい仕事をやってた時期はあるけど、とかく要り用なのは金とコネだ。」
「どっちが足りなくても大変に苦労する。」「 ── 素晴らしいパトロンがいるのは、とても貴重なことだよ。」



【自分の茶を注ぐ手元に視線を落としつつ、男はそう言うだろう。「 ── 違うかい?」やたらに、親しげに。】


491 : ◆S6ROLCWdjI :2018/06/10(日) 15:33:16 WMHqDivw0
>>490

【女、四半世紀生きてるけど。150センチにも満たない低身長、すこぶる発育の悪い躰、童顔なのも相まって】
【とてもそうは見えない、ヘタしたら二十歳にも見えないくらいに幼く見えた。それにしては随分顔色が悪いんだけど】
【だから――恋人、あるいは親子というよりも――まるで援助交際の「パパ」と「娘」であるようにも見えたかもしれない】
【けれどここには、それを咎める人なんかいやしないから。当たり前の風景として流れていく、――――】

【小脇に置かれる品々。じっと見て――ここであまり、食事したこと、ないらしい。珍しいものを見るような顔】
【「買い物」ばっかりする人種だったから。目的のモノを買ったら、あるいは「客」との話がまとまったなら】
【さっさと帰るだけ。こうしてのんびり、座っておしゃべり――ってことは、あまりしたことなかったのだ】

……金回りが良くなったのは僕だけじゃないよ、「同業者」ならみいんなそう。
「魔制法」、聞いたことあるでしょう? あれでいろいろ焦ってる人たちがさ、
いろんなものを注文してくるの。「番犬」造ってくれだの、あるいは暴徒に負けないくらい強くしてくれだの。

だから、そうね――――注文、満員御礼。僕はもう手一杯なの、新規のお客様はキャンセル状態。
そういうことだから、申し訳ないんだけど――僕に何か造ってほしいとかそういうんだったら、
ヨソを当たってくんないかな。ここらへん歩いてれば「同業者」捕まるだろうし、きっとその中に手の空いてる人もいるよ――

【少ない知識を総動員して、蓮華を手に取る。その上に小籠包を乗せて、お箸で割って】
【中から汁が溢れ出てきたのに、わっと小声で驚いて見せて。二度三度、ふーふーと息を吹きかけてから】
【ちょっとだけかじる。……蓮華を置く。猫舌。まだ熱かったから食べられない、らしい】

――――それともなあに? 用があるのは僕じゃなくて、僕の「お客様」のほうだったりする?

【そういう、子供っぽい仕草ばかり続ける女だったけど、ふと。斬り込んでくる、初手からわりとばっさりと】
【だって目の前の男、「お客様」になりそうな人じゃなかったから。大男をあしらう華麗な手管、きちんとこの目で見ていたから】
【わざわざ他に自分の身を守るための何かを用意しておきたい、とか、そういうこと言い出すとは思えなかった】

【うすく口を開いて、笑う。その向こうに見える舌の先――、やけどで赤くなっていた。ちょっと締まらない。】


492 : ゴトウ ◆1miRGmvwjU :2018/06/10(日) 17:00:01 o6XMS57s0
>>491

【対して男の背筋はやや丸まっていて、まっすぐ立てばもう少し威厳あるようにも見えるのだろうが、ともかく意外にも女の身長とそこまで違いはなかった。】
【ただ余りにも顔が胡散臭く年季の入った面構えをしていたから、幼く見えるかと言えば全くそんなことはないのだが ── 閑話休題。】
【「好きに頼むといいよ。」すっぱりと言ってのける。場所代食事代は男持ち、らしい。それだけの話ではあるらしい。】
【蓮華の上で皮を割れば、じんわりと溢れ出る肉汁。あむ、と一口に食べてしまう。そうして、お茶を飲む。「 ── 包子もひとつ」そう、オーダーして】

【やんわりと「おことわり」の前置きを告げる女に対して、然し男は動じなかった。それでもいいのさ、とでも言いたげに】
【およそ落ち着いてもう一口、小籠包を食べる。またお茶を飲む。 ── そうして続いた言葉を聞けば、男は満足そうに頷いた。】


「話が早くて助かるよ。 ── あんたの研究してるものに、興味がないってワケじゃないんだけどね。」
「ご名答。今お聞きした通り、ずいぶん面白そうなことやってるって、小耳に挟んでさ。」


【蓮華を皿に置き、指を組んで、少しだけ体ごと乗り出す。竹籠に入った包子がやってくる。男はそれを視線で卓脇に置かせる。】
【 ── 耳がよければ、気付くかもしれない。雑踏のすぐ前に面している席なのに、その煩さはどこか遠のいたよう。それでいて男の声だけは明朗に聞こえ、かといって外に響く様子もない。】



「こう見えてもケーサツの人間さ。汚職警官、ってヤツ。」「手を汚すのは簡単だが、汚し続けるには金が要る。」
「あんたの『お客様』も、色々と引っ掻き回してるみたいだし ── 今のコネクションじゃあ、やや不安になってきていて、ね。」

「単刀直入に言おうか。おれも一枚噛ませてほしいんだ。」「もちろん、タダでとは言わないがね。」
「親切の押し売りとお茶2杯、それに点心食べ放題で手を打とう ── なんて、ケチな提案をするつもりもない。」



【にや、と笑う。唇の隙間から、歯を見せる。組んだ片手をほどいて、人差し指と親指で、まるいジェスチャーを作りながら。】


493 : ◆S6ROLCWdjI :2018/06/10(日) 17:35:30 WMHqDivw0
>>492

【注いだお茶と小籠包。湯気が細くなってゆくのを待っている間】
【女はじいっと、男の話を聞いていた。時折しばたく睫毛は長いが、斜め下向き】
【若々しさに満ちて上を向き、さらにマスカラで補強して、ぴんと天を衝くような勢いは、ない】
【それで――――柔らかく目を細めた。「商談」に入ったと理解する。くつくつ、笑い声を零して】

は、……ふふ、ケーサツと来たか! あはははっ、べつに見たことがないとは言わないけどさあ、
「キタナいことやってます」って自称するヒトは、さすがに、さすがに! ……初めて見たよ、おっもしれえ、……

……はあ。ふうん、それで……噛みにきちゃったの、わざわざ! ふっふふふ、……失敬。
そうだなあ……「いいよ」って言ってあげたいのはヤマヤマなんだけど。実際僕、「飼われてる」だけに過ぎなくって。
そんでもって今の「飼い主」――の中でもいっとう偉い人、「王様」。ケーサツ、毛嫌いしてる人なんだよねえ。
だから僕が言ってやっても、首を縦に振ってくれるかはわかんないの、ごめんね――

【曰く。彼女が属するコミュニティの「王」は、正義を毛嫌いしているらしく】
【たとえその本質が汚らわしいものであったとて、納得してその内に入れてくれるかどうかはわからない、とのこと】
【だいたい、彼女自身、ヒエラルキーの高い位置にいるわけでもないという。だからちょっと、どうしようかなって顔をして】

……んん、逆に訊こうかな。「どこまで知ってる」? そうね、例えば――――

――――「円卓」、「黒幕」。このあたりの単語は、ご存知?

【無駄な探り合いをする必要がないように思えた。こんなことに噛みたいってんなら、相当なイカレ頭なんだろうし】
【そういう手合いは放っておいてもズブズブに脚を浸して、うっかり深みに嵌って抜け出せなくなって、沈んで死ぬのが定石だ】
【そう思っていたから――単刀直入、されたなら、此方も抜き身の刃で返す。手を繋ぐだけのダンスなんかじゃ物足りない】
【もっと深いところまで挿し合おうぜ。誘うみたいに、男の指が描く円に――立てた人差し指を突っ込もうとした、笑い返しながら】

【「点心よりスイーツのほうが好きだよ。女の子だから」 ――仕草はどこまでも下品なくせに、言葉はこんな、生娘みたいな】


494 : ゴトウ ◆1miRGmvwjU :2018/06/10(日) 18:10:32 o6XMS57s0
>>493

【 ── 至極愉しげに笑う女。だからこそ、男も喉からの笑いを零す。にぃ、と唇の端を吊り上げて。嬉しそうな顔をしていた。だが何故か、下衆なものではなかった。】
【どこか並々ならぬ威容を秘めているような、有りがちな小悪党ではなさそうな、 ── きっと確かに、頭のイカれた人間ではあるのだろうけれど】
【では単なる狂人かと問われたのなら、必ずしも首肯はできぬような。腹の底で、何を考えているのか、分からないような。そういう笑い方の男だった。包子をつまんで、口に放る。】



「よく聞かせてもらってるよ。おれのように幾ら汚ねえ人間とは言え、中々に疑ぐりをかけられるかもしれない。」
「スパイ扱いでもされたら堪ったもんじゃないからね。」「 ── 手土産は必要だろうねえ。」
「なあに、少し紹介して貰えればいいだけさ。あんたみたいな美人さんに、手前ェの尻拭いさせるつもりはないよ。」



【〝六罪王〟の人となり。The Cursed One.正義の名前を標榜する人間すべてを嫌う王道の悪漢。】
【だが少しばかりの口利きで十分であると男は言った。あとは自分でどうにかしてみせると。はったりだけの口先か、それとも口先が何よりの武器なのか。】


「勿論、その『名前』と知っている。」「彼らの思想や、目的や、潰したい相手についても。」
「こう見えても情報網は広いつもりさ。」「一介の警察官に掴めることなんて、大したことじゃないと思われるかもしれないが ……。」
「然し、少し踏み入った所の話も聞かせてもらってるよ。たとえば ── 。」


    「 ── 『リスト』の、話とか。」


【こうも躊躇いなく刺し合えるのなら本望だ。──そう言いたげな顔をしていた。突っ込まれた指先を、きゅっと締めてやった。】
【「じゃあ、そうだね。月餅なんて、いかがかな?」手をほどき、店員に手を振る。「餡饅なんかも、悪くないかもな ── 。」】


495 : ◆S6ROLCWdjI :2018/06/10(日) 18:26:11 WMHqDivw0
>>494

【きゅうと締め付けられる指の感覚。他人の体温。受け取って恥ずかしがるような処女性はすでになく】
【ただ、その力の強さに――ぴくりと眉のはしっこが、戦慄いた。無意識のうちの運動】
【イヤな予感もした。けれども――もう掴まれちゃったから。ああ、ハマっちゃったの、僕のほうかな。なんても考えて】

そう、……知ってるんなら話は早いや。ジルベール・デュボン。
とっても頭のいい大悪党さまさま、さ。上手いことアピールしたらきっと、
「いい使いよう」を考えてくれるよ。そこらへんはまあ、ミスタ、あなた自身が頑張って――――

【「最近忙しいみたいだから、すぐ会ってくれるかどうかはわかんないけどね」。付け加えておきながら】
【ほどかれた指の付け根を擦る、指輪を外したあとそうするみたいに――人差し指につける意味はなんだったっけ】
【インデックス・リング。“願望、夢、コミュニケーション”に関する意味を持つ。だったらまあ、今の状況にはお似合いか】

【そんなことをぼんやり考えていたけど。……次の瞬間に、】


…………………おいおいおいおい、それさあ、……そんなもの。
そんっっなジョーカー持っておきながら……なんで「僕ごとき」に近付いた?

それこそ、ジルに直接投げてやってもいい――キラーカードじゃん、ねえ。


【笑みの形が変わった。苦笑い、あるいは引き攣り笑い。冗談じゃねえぞ、とでも言わんばかりに】
【本当に、ヒエラルキーの底辺にいるようなこの女に――そんなもの持っておきながら、近付いてくる意図】
【わからなさすぎて。ハッタリかと思う、けど、……そうじゃなかったら。臓腑がまるごと冷えていくような感覚がする】

【「…………マンゴープリン食べたい。ないなら杏仁豆腐でもいいよ」 それでも注文だけは図々しく、つけておく】


496 : ゴトウ ◆1miRGmvwjU :2018/06/10(日) 18:47:23 o6XMS57s0
>>495

【 ── 男とて、決して詳しいわけではない。ただ、そう呼ばれる書類を止まれぬ理由により彼らが求めていて、或いは消し去ろうとしていて、】
【水の国の警察において窓際部署に追いやられ、ひたすらに各部署や外部との関係書類管理をしているという男の職務上、少しばかりの心当たりがある、というだけ。】
【然し偏にそれだけの情報で、どれだけ人を動かせるか、 ── 或いは、出し抜けるか。少なくとも男にとっては、きっと十分であると言うのだろう。】



「なあに、将を射んと欲すればまず馬を射よ。」「充実したセックスがしたいなら、十分な前戯は必要だろう?」
「警察官としての経験上 ── どれだけ良いカードを持っていたとして、まずは末端から話を通していった方が、説得はしやすい。」
「直接に対話するのは一番最後だ。覚えておくといいよ。」


【対して男の笑いは変わらなかった。濁った茶色の瞳で、こけた頬で、にんまりと胡散臭げに笑う。何のことはない、ポーカーフェイスだった。】
【きっと人を殺す時でさえ、この男はこんな顔をしているのだろう。 ── 懐に差したリボルバーが、鈍い光を放っていた。】


「それで、お願いしてもいいかな?」「 ── プリンでも足りないくらいなら、まだ"なにか"、するつもりだけど。」


【立地に似合わず割合カジュアルな店のようで、マンゴープリンも杏仁豆腐も、 ── 節操もなくケーキだのクッキーだの、】
【意外にもスイーツは充実しているらしかった。「 ── 俺も、アイスでも食うかね。歳を食うと胃もたれがひどくて。」そんな、世間話。】


497 : ◆S6ROLCWdjI :2018/06/10(日) 19:19:26 WMHqDivw0
>>496

【――――「リスト」。それを暴かれることはすなわち円卓の死を意味しているのだけど】
【それ以前に、もっと直接的に――女の生死に関わるものであった、それは】
【女の太客。よからぬことばっかり考える、表の世界ではまっとうなニンゲンの顔した偉い人たち】
【そういう手合いばっかりだったから。恐らくそういう人たち、まるまる「リスト」に載っている】
【それが暴かれたなら。……女に報酬を渡すものがいなくなる、いや、それ以前の問題かもしれない】


…………っはは、馬? 馬どころかそれ以下だと思うよ、僕、そうだな……
犬か猫でもまだ上等。 ネズミかな、あるいはそれ以下、虫とかそんなんかもしんないよ、

―――――――――それでいいなら、いいけど、っ


【今度浮かべた笑みの形は、自虐。自分は王が乗るような、うつくしい白い馬なんかじゃない、当然】
【ならばもっともっと程度の低い――その足元、地面に這う虫。餌にもならない塵芥】
【その程度でしかないんだって、はしっこが震える声で、……答えた。そんな虫でも使いたいならどうぞ、って】

【女は完全に負けていた。勝ち負け、というか――――ハメられた、と思う】
【調子に乗って突っ込みすぎた、実際、突っ込んだ。相手はどうせ沼に嵌って死ぬタイプの人間だって】
【嘲笑していた、逆に自分が沼の真っただ中にいることに気付きすらせず。……あんまりにも滑稽だった】
【嗤う口元、怨嗟に満ちた「畜生」の台詞を噛み殺して。すっかり冷めた茶で飲み下す――そうしたら、表情、戻って】

………………あーあ。わかったわかった、と言ってもメール入れとくくらいしかできないけど。
聞いてあげるよ。ちぇっ、……こんなに悪いヒトだと思わなかった。ねえ、

【「お名前教えてよ、どうせだし」 ――――最早遠慮のかけらも見せずに何でもかんでも注文しながら】
【女はそんなことを訊くのだった。ただ、女は自分が「ブラスフェミア」であることしか伝えていないのだから】
【それに倣って偽名を伝えても、何ら問題ないだろう。むしろそっちのほうを望んでいるような節もあった】

【――――大量の甘味が並ぶ卓。女はいつまでも、子供っぽくむくれて――それでも全部平らげてしまうだろう】
【これが報酬なんだからって言うように。それ以上は望まなかった、――これ以上「ハマっちゃう」のが、恐ろしくて】


//こんな感じで〆、っぽく……? お付き合いくださりありがとうございました!


498 : ゴトウ ◆1miRGmvwjU :2018/06/10(日) 19:43:01 o6XMS57s0
>>497

【随分と怖がらせてしまったな ── という顔の苦笑いを、男は浮かべた。実際それは本心からのことで、いま彼の握っている情報で何ができるというわけでもない。】
【然し嘘とハッタリと外連味の準備だけはできていた。幸いなことに男は狂人であったから、どれだけ口先をガセネタで塗り固めたとして、変わらぬ笑顔でいられた。】



「結構なことさ。」「英雄を殺すのはいつだって人間だ。」「基礎工事なくしてヒエラルキーというピラミッドは有り得ない。」
「だから、是非とも宜しく頼むよ。おれも、折角の楼閣を根元からブチ壊したかない。」



【 ── 果たしてそれは男の本心であったろうか。なにか、「やってはいけないこと」をやってしまいそうな。】
【男の笑顔が微かに歪んで、そのような形へ、刹那、変質したように。 ── けれど、すぐに彼はお茶に口をつけたから、その変化は判然としなかった。そして、】


「 ── そうだね。『マニュアル・シェーバー』とでも、呼んでくれたらいい。」「昔、おれをそう言って怖がる奴がいた。」
「T字カミソリなんてジジ臭い呼び名、あまり好きじゃあないんだがね。」「ま、自分で言うのもナンだが、根はいい奴さ。宜しく頼むよ、ブラスフェミアさん。」



【名前を問われたなら、そうやって答えるだろう。自棄っぱちじみたスィーツの大量注文にも、特に困ったような顔もせず。】
【ただ会計の時に彼が取り出したのは使い古された折りたたみ財布で、懐はだいぶ、寒くなっているようだった。】
【そうして店先で「じゃあね。」と告げて別れたのなら、次の刹那に彼は居なくなっているだろう。人混みに紛れて、名もなきパブリック・エネミーのひとりと化して。】

/絡みありがとうございました&おつかれさまでした!


499 : リオシア ◆qijkYF5k5g :2018/06/10(日) 21:38:24 5w/a9BZQ0
>>445

【リオシアも足早に階段を駆け下りる】

【先程の戦闘で、他のメンバーへの興味はさらに増していた】
【ミアと名乗る女と、レプリカと呼ばれた天使のような少女の不思議なコンビ──】
【自らも銃を使うからこそわかる、凄腕の銃捌きを見せるアリア──】
【戦場でもリオシアの援護をしてくれるような気遣いをもった人形?ギア・ボックス──】
【対怪物を得意と自称し、実際に恐るべき活躍をしたシスター、テレサ──】

【本当なら、ひとりひとりとおしゃべりしたい】
【好奇心旺盛な少女の目は、戦いながらも輝きを取り戻していた】

ね、ねー!戦いが終わったら、ここにいるみんなで打ち上げしない?
ほら、えっと、お食事会?みたいな

【駆け下りながら、皆に語りかけた】
【尤も、状況が状況。聞こえていなくてもおかしくはないが】

【そして階下まで辿り着き、血の匂いに顔をしかめる】


>>447

それなら、わたしが開けようか?
防御力なら自信あるからいきなりなにか来ても多分大丈夫、だと思う

みんなすごい技持ってるし、その時はよろしくね

【ミアに応じて、扉を開けようとするだろう】
【後ろの面々が、何かあったらすぐ攻撃できるように身を低くしながら──】


500 : ◆wEoK9CQdXQ :2018/06/10(日) 22:01:55 x7GM72VQ0
>>348

【繰り広げられる殺戮には、人間達が追い込まれた状況を味わおうとする意向も影響したのだろう。或る者には滋養として、或る者には歓喜の素材として】
【風の刃もまた新たな命を裂き、嗤い、謡う音色が飛沫く紅い残照に飾られる。ぼとりぼとりと、ヒトを構成していた臓腑や器官が転げ落ちてゆく】

【――――たとえ蟲の神にすべて委ねようと、震える腕で銃を取ろうと。如何なる手を尽くそうと、もはや救われることのない贄の群れ】

【祈りが届く前に彼らは息絶えるし、届いたとて救いの糸が垂れる訳でもない。それ以前に、今まさに絶命しようとする者が多すぎる】
【けれどごく一部は、きっと死に方ぐらいは選べたはずで――――ならば天使を思わす造形の何者かが抱擁めいて笑むことも、可能性の一つではあったのだろう】

怖かったですね、想像もできなかったんですよね。あなたたちは、人間同士で殺しあうための人員だもの。
こんな目に遭うようなことなんて、何一つしていなかったのに。悲しいのも、苦しいのも……ボクには、あの仲間たちの誰よりよく分かってしまう――――、

……だから

【得物も、殺戮自体も兵たちに理解させなかったからこそ。その口元に浮かぶのは、きっと悪魔の爪にも似た亀裂の笑み】
【硬質の物体が幾度も虚空を裂いたのちに倒れ臥すのは、元は人間のカタチをしていた、“3人”のただの残骸だった】
【四肢を潰され、のたうつための腱さえ引き裂かれた有り様は人型の芋虫の様でもある。兵隊アリに躰中を噛み裂かれて、あとは巣穴へと運び込まれるだけの――――。】


……“精いっぱい、苦しんで死ぬといい”――――誰よりもその最期を愛してあげるから、出来るだけ無惨に哭いてくれないかな
ほら、どうなってるかならよく見えるよ?
キミも、もうすぐああなれる――だけど運が悪いよね。……キミだけは、他のふたりより長く生きてしまいそうだもの――――。

【――――〝気が向けば、ボクらの仲間になれるかもよ?〟】

【自分以外が虫に貪られる様を見つめ続けながら、自身の肉体の状態を、光景から想像せよという生き地獄。その中で、不意に三人のうちの“誰か”へと声が向く】
【誰への言葉かを知らせないことで、3者の全員に、極限状況下で縋り得る僅かな希望を提示するものだった】
【けれどそれは、純粋に悪意を凝縮したものでしかなかっただろう】
【……この地にある人間など、一人として。端から蟲たちは生かすつもりなどなかったから】

【同じ呼称の器官から成る躰を持った、まるで違う生き物を千切り殺すだけの過程を以て。昏い悦びに口角を歪めるその者は、整った容貌にひどく歪んだ魔性を帯びて、いっそうに邪悪としての姿を顕した】
【やがて最後の一人となる者の心に残ったのは、迎え入れられることへの希望だろうか。それとも、心折れた末の虚無だろうか】
【どうあれ絶命しているものとアグラウロスが思う3つの肉塊を背に、主目的たるリアクターの奪取を、蟲宿す一個の悪意は待とうとする】


501 : 名無しさん :2018/06/10(日) 22:14:57 wdTzMiiA0
>>484

――そうですね、事実は小説よりなんとやら、ともいいますし。でも、考えたら面白くないですか?
奇跡も魔法もない世界とか。ほら、異世界ファンタジーってやつとか、あるじゃないですか。機関員に殺されて目覚めたら、そういうのが全くない世界に転生してた!とか。
面白いですよねえ、私、割とそういう本読むんですよ。ラノベとか。いわゆる本、も読みますよ。ていうか。文字が好きなんですよね。かわいいので。

かわいくないですか? これ、並べると、意味を持つんですよ? 面白いなあって、思いますけど――。

【くすりと笑って少女は言葉を続ける。最近はやりの異世界転生。事実は……というけれど、わりに何でもありな世界なら、そんな場所こそが異なる世界、であり】
【――ただ途中からは多分彼女の趣味だった。本当に楽しそうに、子猫でも撫でくりまわすみたいに目を細めて、声を弾ませて、話すから。――活字好き。どうでもいいけど】

はい、でも、その方が私は助かりますよ。怖いですからね、巻き込まれたりしたら……。パパとか、ママとか、巻き込まれちゃったらどうしようって。
家が水の国にあるんです。弟も居て。だから、ほんとに、怖くって……。……サーペント・カルトも。よく知らないんです。なんか、ネットで話題ですよね。
でも――都市伝説。じゃないんですか? だって、――ほら、書き込んだら"おいやめろ"って言われる事件、みたいな。その……なんか。オカルト掲示板が好きそうな。

そういう感じだって、思いましたけど――。

【――機関については、ひどく一般人みたいなそぶりをする。何もかも嘘でないのがかえって面倒だった。水の国に家がある。――ううん、"あった"】
【家族構成はパパとママと弟。――それも、"居た"というのが適切。話がやがて蛇教へ向かえば、――心中にあった苦々しい気持ちは伏せておく。不愉快だったから】
【インターネットで面白半分みたいに取り扱われているのだ。悔しいから特定してやって贄にしたこともあるけど、思ったより手間だったのでやめた。なんて余談だけど】
【読書趣味でネットもいじる年頃の少女。ついでに性的な人形を取り扱ってる。――めっちゃくちゃ情報が多い上にサブカル寄りすぎるように、思えて】

――――そうですよ、最近のはすごくて。化繊ウィッグでも普通にシャンプーリンスくらいはできますよ、ていうか、するんです。
そっちのが"ソソる"じゃないですか? お高いのだと人毛ウィッグとかもありますよ。モヘアとかもありますし……、素材、についても。
医療用シリコンの物が多いんですけど、最近だと新素材とか。エラストマー素材のやつとかあるんですよ。最近はローションとか香水も体臭風のがあって……。
なんで、割と、使いますよ? ていうか一緒にお風呂入ったりしますしね。実際汚れますし――、

――いわゆる櫻の人形とかだと駄目だと思いますけどね。あれ、陶器とか布ですか? いちまさんとか――割と好きですよ。

【――――あるいは。問題なのは守備範囲の広さかもしれなかった。わりになんでも手を出すタイプ、面白そうだなって思ったら調べ倒してしまうから、雑学ばかり増えていく】
【それでしれっと連ねていけるから。――そういう意味で言ったなら才能なのかもしれなかった。知っていることを適当に繋げていって、それっぽく、仕上げる才能】
【自分の時間はあんまりないけれど金にはまったく困らない生活。ちょっと気になったら形から入りまくって、飽きたら、そのまま捨てちゃう。そういう人だから】

それにしても――、すごいですね、分かるんですか? お鼻が利くんですね、私のお昼ご飯とかも、バレちゃいますか――?

【――くすくすって笑って少女は首をかしげる。ながーい髪が、さらり、と、揺れて。マゼンタ色の瞳が、相手のこと、確かめるように、ずっと、逸れなくて】


502 : アリア ◆1miRGmvwjU :2018/06/10(日) 22:38:31 o6XMS57s0
>>392>>499
【血風吹き荒れる中、頬にかかる色々な体液の生臭さと生温かさに、アリアは静かに顔をしかめて】
【然し嗅覚も触覚も切ってしまえば、不意打ちへの対応も遅れることになる。それは好ましからざることであった。】
【マガジンをリリースし、両袖に隠したマグホルダーより、手を交差させて再装填。そうして、一頻りの殺戮を終えたあと ── 周囲を見渡し。】


よろしく、シスター。それと、リオシア。


【およそ事務的ではあったが、挨拶ひとつ。顔色ひとつ変えずに、澄んだ声で。軽く会釈。】
【他の探索者と共に階段を降りていくことだろう。足裏にへばりついた不愉快な肉塊の感触を物ともせずに。】

>>447>>445


「それは面白そうね。 ── あら、人形じゃないのかしら?」「まあ何れにせよ、上手な二重奏だったわ。ありがとう。」


【落ち着くような息をひとつ吐きながら、改めて声をかける。指の動きひとつで命令に従うのなら、優秀な自動人形かと思っていたけれど】
【ともあれそれなりに興味はあるらしい。背中を庇って貰ったことを感謝してもいるようだった。やはり表情は、変わらぬ仏頂面であったのだが。】
【 ── 隔壁の前に辿り着けば、自身の爪先により、軽く手の甲へ傷を付けた。そうして滲む血を、手近な壁になすり付け】
【掌大の円を血で塗り潰せば、それは昏い光を放って、 ── 「銃身」が生まれでて、やがては機関銃の末端までが現出し】
【そうして呼び出したベルトリンク付きの重機関銃を、女ふたりの横で腰だめに構えている。狙うのは、扉の先。】


503 : ◆XLNm0nfgzs :2018/06/10(日) 23:36:53 BRNVt/Aw0
>>501

【くすくすと笑いながら話を続ける目の前の少女。奇跡も魔法もない世界なんて面白そう、そういう異世界転生物とか好きだ、なんて語って】
【ただのラノベのストーリー、なのかもしれないが『"そういうもの"が存在しない』という言葉が少女を疑ってかかっている自分にはどうも引っ掛かって思えて】
【魔法──能力も、だろうがなんかない世界?それを無くする為にはどうすれば良い?消してしまう?】
【──能力を、消す?】
【あれ?何処かで聞いたような……何の時だったっけ?】
【少女の脳が変な方向にフル回転を始める。相手を疑っているせいでそういう悪いものの事に繋げてしまう】
【だから、話を半分くらい聞いてなくて】

……ぇ、文字かわいい?
【文字ってかわいくない?なんて振られて大分ぽかんとした顔になって】

そっか、貴女も水の国の出身なんだ……
知り合いにそういう人結構いるんだよねー、だから心配になっちゃうなぁ私も
ほら、機関じゃなくてもこの間"アルターリ"で変な事件あったし……
そうそう、都市伝説というか……噂?
でも私此方の言葉詳しくないからあれなんだけど『サーペント』って単語どういう意味なんだろ?"蟲"とか?
【感心したように言ってため息。それでも、まあないだろうなぁと思いつつもまた別のキーワードを織り混ぜて】
【まあ、実際『サーペント』の意味は知らないのだが】

化繊ウィッグ……あ、あー!あれかぁ!一瞬出てこなかった!
あれちゃんと洗えるんだ……エクステとかでもそういうのあったり?
えー、でも人毛のウィッグなんてのもあるんだぁ……そういうの何か死体から出来てそうだなぁー……知らない?櫻の小説にね、そういう話あるの。昔の桜桃が舞台でねー、門の上で老婆が死体の髪抜いてんの
新素材はともかく体臭風の香水とかって何かやだなー、そっちの方よく分かんないけど

櫻人形?大体木とか粘土かなー、素体だけそういうので作って服は普通に布の端切れとかで作って着せたりするの
髪の毛は……まあやっぱり人毛とかだったりだけどちゃんと切ったやつだよ?でも植え込んだ時の糊付けが弱くなったりすると髪が伸びるみたいになっちゃって……それで怖がられたりもあるみたい
【相手の話に合わせながらあれ、と思う。何だかそれっぽい事を言われている。もへや?えすとらまー?ろーしょん?なにそれおいしいの?みたいな。流石にウィッグは分かったけれど。年頃の女の子だし】
【やっぱりはずれかなぁ、と不安になる。まだ虫の魔族とか能力を消してくる何かの可能性は否めないが】

んー、分かるっていうか……他人(ヒト)よりちょっとだけ、ね?
流石に他の人のお昼とかは分からないけど
【そう言ってクスッと笑う。それでも脳内ではこれで誤魔化せただろうか?そうでないならどのように誤魔化そうか、なんて考えて】


504 : 院長中身 ◆zO7JlnSovk :2018/06/10(日) 23:54:19 XhR7wdR.0
>>462

【──、マリンブルーが、消え去る玩具を見下ろして、口元に浮かべる僅かな笑みを修飾する】
【飾り細工に織られた網目に似て、吹雪く欠片の僅か一片すらも分からないぐらい】
【潤いに満ちた素肌をふわりと解く姿は、水浴びをする前の女神に似た様相であったから】


ねえ、子猫ちゃん、── 子猫ちゃんの世界では、皆幸せに歌うのかしら、皆幸せに戯れるのかしら
幸せはとても繊細で、脆くて、壊れやすいから、── だからね、皆、手の届く不幸に縋ってしまうの
手を引いて、お家に運んで、もてなすだけじゃダメなの。それじゃ殿方は喜んで下さらない

──、それなら淫らに身体を委ねるなんて、そんな在り来り、もう何遍だって歌われたのだから
子猫ちゃんのパレードは、私の弾頭に撃ち抜かれて。それなら貴女の果ては何処へ?
行くも帰るも唯能わず、舞台に立ち尽くす戯曲なんてお呼びじゃないの

脚本家は縛り首。その細い白首を、縊り殺しても、まだ、── 足りなくて


【狙撃銃を握らない右の手が貴方に伸びる。白い手袋に包まれた、華奢な指先】
【白鍵の上を蝶の様に羽ばたく、ピアニストの如き白指が、貴方の頬に沈み込むのだろう】
【まだ熟れていない、瑞々しい果実の如き柔らかな頬、その弾力性を確かめる様にゆっくりと】

【頬から顎に降りて、そのまま涙が落ちる様に、首筋をなぞって、鎖骨にまで降りていく】


──、真っ平御免なの、パレードなんて。賑やかな偽りの光なんてカチューシャには合わないの
私は夜に抱かれて、宵月に晒されて、その爪先の果てまでも、甘苦い黒に染められたいから
……ふふ、大人になったら、分かるの。──、大人にしてあげても、いいけど

カチューシャは可愛い子猫ちゃんが好きよ、ついうっかり、愛玩してしまう事も多くて
同性だから分かるの、何をして欲しいかなんて、お気に召すままに、願うままに貪る事だって
──、ごめんなさい、少し話し過ぎたの


【そう言って彼女は、新雪の上に差し込む日差しの様な、少しだけの眩さを綻ばせて】
【目元に僅かばかりの朱を借りてくる、朝焼けの様な紅潮は、少し気取ったチークの如く】
【悪戯心に貴方をたぶらかす、心の底から支配しようだなんて──】


505 : 名無しさん :2018/06/11(月) 00:02:43 wdTzMiiA0
>>503

可愛いですよね? ほら、並べると意味が出来るんですよ。一つ一つだとよく分かんないですけど。
まあでも、形もかわいいですよね。ほら、――なんていうか、ツノゼミ見てる気分にならないですか? なんないですかね。

割と趣味が独特って言われるんですよね、私。

【相手がもちろん彼女の心を読めないように、彼女もまた、相手の心を読むことはできなかった。ただ――ころころと笑う声が、なんだかほんとに楽し気で】
【変人気質を指摘されても自覚はしていないみたいだった。――そもそも指摘してくるのはみんな格下だから、めっちゃオブラート、気を使われていたりするんだけど】

サーペントですか? 蛇ですよ。蟲じゃあないですね。五行だと鱗虫とか呼びますから、ま、言うほど外れちゃないのかもしれないですが。
あれだと魚とかも鱗虫なんで、割と別物だと思いますよ。ちなみに裸虫だと人間です。よくある毛むくじゃらの獣は毛虫ですね。もはやガチの毛虫しか思い浮かばないですよね?
――あ、でも、私、専門じゃないんで。よく知らないです。厨二病のころって、そういうの調べないですか? 謎の横文字、サイコーですよね。これ縦文字ですけど。

縦文字って言いますっけ? ……ノートいっぱいになんかカッコイイ系の単語並べてみたり。あなたはちゃんと黒歴史ノート、処分しましたか? まだなら早い方がいいですよ。

【――笑っていた、ご存知ないですか?って感じの声音、つらっと並べ立てる言葉に淀みはなく、なら――さっき(無駄な)雑学を並べたのとよく似る声、小さく首を傾げたなら】
【付け焼刃に付け睫毛するみたいにどうでもいい言葉も並べていく、蛇と蟲って単語から黒歴史ノートまで話題を逸らして、――顔はばかりはひどく人懐こいから】

出てこないですか? ウィッグなんてほぼ化繊ですよ。エクステも洗えないと困ると思います。
人毛ウィッグも、まあ、医療用とかありますし。死体から集めるの、――効率悪くないですか? めっちゃ悪い上に、印象最悪だと思いますよ。
――だって、ほら、生きている人間なら勝手に伸びますし。髪。生きてる人たちにもらった方が、効率いいと思うんですよね。路地裏原産のヅラって割と――、

――――――嫌度高くないですか? 98パーセントくらい嫌ですよね。とりあえず私は嫌です。臭そうだし呪われそうで。

読んだことはありますよ、あらかた忘れましたけど。そうですね、髪はどうしても消耗品ですし……人間もハゲますからね、人形もハゲるでしょう。

【自身の長い髪をついと持ち上げて揺らす、まるで透き通るような色合いは光を抱いたなら、不思議な光沢を宿す、つやつやと、よく手入れされていて】
【それをぱっと散らすように払ったなら。――ざあと一瞬開けた藤色の髪が、ちらちら、きらきら、ダイアモンドダストの煌めきみたいに、艶めくのだろう】
【「私もだいぶ伸びちゃって。そろそろ切らないと駄目ですね」――なんてことない日常を話す声が。知っていたら上っ面ばっかり取り繕って、けれど知らねば、難しい】

へえ、体質ですか? なんか、たまに居ますよね。五感が敏感な人。

【――私はよく分かんないんですけど】
【そういうような声が続いた、――――なんだかめっちゃ釣り合ってしまっているって思わせる用だった。このまま話していても、適当な嘘を重ねてきそうだって】
【ひとまず彼女は車を護る行動をした。車に乗らず、一人だけここに残った。人間の匂い。怪しいところはいくつもあるのに、――なかなか尻尾を出しては、くれなくて】


506 : 院長中身 ◆zO7JlnSovk :2018/06/11(月) 00:11:20 XhR7wdR.0
>>471

【──、特異点を渡る、再び次の角を左に曲がったなら、長い廊下が続くのだろうか】
【休憩しますか? なんて声を掛けてくるけども、それは決して肯定を期待してなくて】
【事実彼は、緩やかな足取りを止めない。滴り落ちる水滴が止まらない様相に似ていた】



いいえ、私は唯の信徒ですよ。ただ、貴方より長くこの場所に存在しているだけの、ね

私は正しく答えを聞く事を要求しているのではありません、貴女の考えをお聞きしたいのです
その中で貴女が考えた内容、道筋、仮定、── その全てが貴女の信仰心を形作る拠り所なのですから
どんな目的の為に死ぬのではなく、目的の為にどう死ぬのかがより大切なのです

──、それを踏まえて私は、素晴らしい答えだと返しましょう。ええ、その通りです
この世界に知覚出来ないモノなど無いのです。素晴らしい、本当に素晴らしいと私は思います
それを理解しているのなら、無意識の質問に対する答えなど不必要です、何方も一緒ですから


【それこそ、教師が生徒を賛辞する様な口ぶりであった。向ける微笑みは擽ったい様なアルカイックスマイル】
【──社会に出てから、長く味わってないような、慈しみに満ちた微笑みの様子】
【それは安心感を与えるものであった、貴女の疑心を解くに至るかは分からないけども】


術など大層なものではありませんよ、唯信じるだけです。── ええ、信じる事が認識に繋がるのです
また或いは、認識する事で初めて信じる事が出来ると、信仰心と認識は同一視されるべきものですから
死の淵から奇跡の生還を果たした人間が、唐突に神の存在を信じ出す様な、そんな大層な例は必要ありません。

──、身の回りにある偶然や、或いは奇跡。それらを神の恩寵だと認識する事が、我々の神を知覚する術です。
全てを一つに結びつけましょう、貴方をここまで見守ってきてくださったのは、守護霊や先祖といったまやかしでは無いのです
神です。神が、神の意志を以てこの混迷の世界で、貴方を祝福してきたのです

一人暮らしの部屋、シャワールームで、一人髪を洗っている時、後から視線を感じた事は?
振り向いた扉に、誰も居なくても──、鏡にはちゃんと、写っているのです
貴方の心の隙間に、僅かな風が吹いたなら、その影から彼らは侵入してくるのです

──、私の答えは一つです。神は居ます、現に貴方はもう見えているではありませんか。







【彼は唐突に立ち止まる。つられて貴方も立ち止まる。】









                  【──、コツン】







【一つ、足音が多い】


507 : ◆XLNm0nfgzs :2018/06/11(月) 01:19:57 BRNVt/Aw0
>>504

【消え去った斧、微笑む女性。対する少女は逆にとても狼狽えた表情で】
【声を掛けられれば彼女は弾かれたように体を震わせ】

幸せ、に……っ
歌うわ!笑うわ!
だって、本に描いてあった!
パレードはそういうものじゃなきゃ駄目なの!
壊れやすくなんかないの!ずっとずっと……皆、笑ってられるんだもん……
ずっと、しあわせに、くらしましたって……
【描いてあったの、と少女は目に涙を溜めて俯く】

何処へ、なんて分からない
私はただ"皆"と一緒に歩いて……"幸せじゃない人"を"パレード"に"ご招待"して……っ、それだけで……

──ひッ……
【口ごもる少女。その頬はカチューシャの手に触れられて、小さく悲鳴をあげる】
【消えるのだ、と思った。自分もあの『鋼のお友達』のように消されてしまうのだ、と】
【その手はそのまま鎖骨へと降りていって】
【ああ、やはりそうなのだろうか、という恐れが頭の中を支配する】

……お姉さんは、パレードが、嫌い、なの……?
【だから、私をなくしちゃうの?と少女は怯えながらもようやくそれだけを口にして】


508 : ◆XLNm0nfgzs :2018/06/11(月) 01:22:53 BRNVt/Aw0
>>505

かわいい、かぁ……
うーん、此方の文字は書体次第って感じかな?斜めのはなんか大人っぽい感じがして
櫻のだと平仮名っていうのはそれっぽいかなあ、なんかね、どんな書体で書いてもまるっこいの
【半分くらい聞いてなかったから慌てて話を合わせてみる。平仮名は丸っこくて可愛いよ、なんて笑って】
【それでも片隅ではやっぱり】
【特区?特区の話だっけ?】
【あれ、婦警の話だったかもしれない】
【あー、でもまさか……ないよねぇ?そっちとか】
【なんて考えていた、のだが】

……蛇。
【サーペントは蛇だと聞いて思わずおうむ返しになる】
【目の前では少女が相変わらず笑って何事か話しているんだけれども】
【その話が理解出来ない。否、本当なら理解出来る筈なんだけれども何だか、わかんない】
【頭の中がへんにごちゃついてくる】
【サーペントは、蛇。カルトっていうのはこう、宗教みたいなあれで】
【蛇、宗教、宗教に要るのは神様?】
【──へびのかみさま】
【蛇の神様、そういえば"あの子"は蛇神様の末裔って】
【サーペント・カルト、多分蛇の神を祀る宗教団体】
【蛇の神様……蛇の神様?なんの神様?】
【大丈夫、きっと本土にいるそういうものだ、違うものだ】
【ごちゃごちゃした頭をなんとか落ち着けようと考えて】
【それでも駆り立てられた不安はおさまらなくて、別の不安材料を連れてくる】
【神様って祀る時には"御神体"が必要だよね?って】
【御神体?何を祀る?祀っているのは蛇の神様】
【あの子──白神鈴音は蛇神の末裔】
【末裔といえども神の欠片くらいならある訳で】
【つまり、聖遺物としての素質は十分にあるって事だから】
【だとすれば、もしかして彼女は──】

【少女の中で歯車が噛み合っていく気がした】
【ほんの少しズレた観点からの噛み合い方、だったけど】
【見つけられるべき解答は見つかった】
【多分、丸じゃなくて部分解答が合ってる三角だろうけど】

【──白神鈴音は、多分だけどサーペント・カルトにいるのかもって】

【多分相手からすればそれは分からないのだろう】
【蛇って言葉を発したっきりフリーズしてしまって】
【黒歴史ノートの話とかウィッグの話とか、何だかもうすっかり飛んでしまった感じで】
【ただぽかっと口を開けてちょっと泣きそうな顔をしているだけ】
【何らかの声をかければハッとして謝るのだろうけど】
【なんというか此方の方が怪しい人みたいで】


509 : 院長中身 ◆zO7JlnSovk :2018/06/11(月) 17:50:53 OndcjDkU0
>>507

【小動物然とした貴女の様子、愛くるしい瞳に浮かぶ怯懦の色合いが、彼女の嗜虐心を艶やかに擽って】
【豊満に実った果実の薄皮に爪を立ててしまいたくなる衝動に似ている、丁寧に作られた硝子細工を】
【その無邪気な指先を以て、粉々に砕いてしまいたくなる様な、残酷な心地に──】


── 言ったはずなの、それは偽りの光なのって、カチューシャにとって、偽りはまやかしなの
子猫ちゃんがパレードを追うのなら、カチューシャはそれを否定するの、
子猫ちゃんは子猫ちゃんの正しい生き方をしなきゃいけないって、思うの

── 私はパレードになんて行っても、幸せになれないから


【指先は入院着へと辿り着く。血に塗れたその服を、彼女は尊いものであるかの様に撫でるのだろう】
【母親の慈愛に似ていた。娘の涎だって、喜んで処理してしまう、そんな深い母性に近く】
【マリンブルーの目尻が蕩けるのは、その奥に映る慕情に誰かを重ねていたから】


ねぇ、子猫ちゃん。── 貴女のお家は何処なの?
病院に戻るのかしら、それとも行き先なんて、もう何処にもなくて
それならカチューシャの元へ連れてかれるのも、悪くは無いの

── そして愛しい、数字を貴女に、なーんて、思ってしまうから


510 : エーリカ ◆D2zUq282Mc :2018/06/11(月) 22:10:53 JY1GydDk0
>>442

(――…じゃあ、思考回路が焼き付くような事を質問するんじゃないよ)
(宗教家って本当に性質が悪い。慈しむような面も、褒める言葉も。より一層性質が悪い)


【"そりゃこんな得体の知れない異界にどっぷり浸かって長居してたらそうなるよ"】
【言葉に変換されそうになる本音を飲み込むも、エーリカの顔色にはやや陰りが見えていた】
【難しい問いに対する答えを用意するのに気力を削がれ、未だ辿り着かぬ"談話室"とやらに気が滅入る】


うへぇー、だったら無意識に関する質問なんて無意味じゃんか。
折角足りない頭をフル活用して捻り出した答えなのにさぁー。
まあ、その微笑に免じて駄々を捏ねるのはここまでにするけど、さ。


【やや棘の含む言葉に、殺しきれなかった僅かな感情を含んだ口調】
【それらに含まれた棘や感情は、ケバルライが安堵を齎す様な笑顔を向けた瞬間に殆どが掻き消された】

【禅門問の様な遣り取りに、洪水の如く流れ込む言葉。辿り着かぬ目的地に、歩みを止めさせないエスコート】
【それらは確実に精神を削いでいた。潜入捜査官で無ければ、ただの頭の悪い一般人ならカルトの洗脳じみた毒牙に掛かっているのだろう】


(――うーわ、言うに事欠いて奇跡ときましたか。それに神の意志って馬鹿馬鹿しい)
(どれもこれも錯覚と幻覚と妄執じゃないのかねー?それを真顔で言えるとかある意味凄いね…)

偶然とか奇跡、ひいては今までの生をカミサマの恩寵って認識する事かぁ。
そう考えるとカミサマの意志と言う名のお導きのお蔭で今まで生きられて、ここに辿り着いたのかなあ。

(まるで糸で操られた人形じゃないか。カミサマの操り人形。そんなの認めな、…じゃなくて)
そう思うと生きてるだけでカミサマ、いや"ウヌクアルハイ様"のお導きってあるかもしんないねー。
生きることを祝福するカミサマが"ウヌクアルハイ様"しかいないなら猶更そう思えるっす。


【本心はカミサマやそれに纏わる全てを否定すれど、言葉は偽る。言葉と振る舞いは虚偽を装う】
【垂れ流される言葉を鵜呑みにし、世界の真実に気づかされたと言わんばかりの馬鹿娘を装っていた折――】


―――……ッ!!?


【何故か、二人は立ち止まる。立ち止まっていたのだ。なのに、足音が一つ増えていた】
【二人しかいない世界に音もなく付いてくる事に飽いたと告げる様なコツンという足音】

【"得体の知れない何か"に馬鹿娘の容貌は崩れ、鋭い眼光を携えて背後を振り向いた――目に見える何かなど居ないのに】
【"神は現に見えている"――そんな馬鹿な。そんな都合よく現れる訳がないだろうと言う焦りの色も浮き彫りとなっていた】


511 : 麻季音 ◆KP.vGoiAyM :2018/06/11(月) 22:15:59 Ty26k7V20
>>485

【私はその回答をもとに考えを構築し直す。スクラップ・アンド・ビルド。それが真理にたどり着く手段だ】

…まるで民俗学者ね。貴方はオーバーロードとでも言うのかしら。それとも…
貴方の言う理論に基づくなら、不用意な発言は所謂…タイムパラドクスに近い状態を引き起こす。
貴方は何らかの目的でβの世界から来たからαであるこの世界に干渉することができない。
いや…してしまったらβに因果が収束してしまう。…貴方の望まない世界の方に

…この理論はいささか飛躍しすぎてるわね。SFマニアが怒り出しそう。



――私…個人。



【なんだかその言葉に恥ずかしくなった。また、別の理由で目をそらしてうつむいてしまう】
【言葉の情熱が伝搬したかのようだ。それでも…彼女の話では】

サーペント・カルトとかいう新興宗教みたいなのに捕まったって。肉体と魂が切り離された状態で…
魔界の悪魔だかが信者を従えてて…詳しくはわからない。でも、彼女が危険な状態なのは事実よ。

【彼は何でも、すでに知っているようだった。でも、だからこそ予想外の事態だったのだろう】
【このことが知り得ていなかったのはその態度からすぐに読み取れた】

【彼は呟いた。その言葉の真意は今は知りえない。けれどそれは最も真理に近い響きだったことだろう】

【私は名前を呼ばれて、顔を上げた。そして次に続く言葉を待っていた――――――】



――――時空、ね。…それに因果律。


【私は釘を刺す彼の言葉に「今更、何を言うの」と食い気味に言い返しただろう】

私の運命は貴方に心配されるほど単純じゃないわ。どうせ話すなら、もう出し惜しみはしないことね。

【自信満々に、いつもの調子で私は返す。よく可愛げがないと言われるその態度で】


どんな運命も私の意志には抗えないわ。世界も仲間も見捨てはしない。


512 : ◆XLNm0nfgzs :2018/06/11(月) 23:20:53 BRNVt/Aw0
>>509

……偽り……
じゃあ本にあった事は嘘なの?皆幸せにはなれないの?
だったら……だったら私のした事は何なの!?
皆……あんなに"歌って"くれてたのに……

──正しい生き方って、なんなの?

【ぽろぽろと涙を溢しながら尋ねる少女】
【お姉さんはどうしたら幸せなの?と言葉を続けて】
【さらり、と布の擦れる音と少女のすすり泣く声だけが路地裏に聞こえる】

……お家は、もう帰れないわ
だって、場所だって忘れてしまったもの
私はあの薬臭い灰色の塔に永く居過ぎたから……
だからね、行く所なんかないの
けどね!全然平気よ!私は……
【言いかけて少女は口をつぐむ】
【不幸な人達をパレードに招待する為に歩き回ろうとしていた。だから帰る場所なんかなくても良かった。けれどもそれは否定されようとしていて】
【ただただ、私は……とだけ呟いていて、また泣き出しそうな顔になって】
【そんな中で放たれた貴女の言葉】

お姉さん……の……?
【少女はおずおずと顔をあげて】


513 : 名無しさん :2018/06/11(月) 23:22:33 wdTzMiiA0
>>508

――――いえ、形ではなくてですね。なんていうんでしょう、文字って概念がかわいいっていうか……。
この、一見するとまあよく分からない形が並ぶと言葉が出来上がるじゃないですか。なんかどっかの原始的な民族の文字とか見ても意味分かんないですけど。
彼らにとっては意味があるって思うと、なんかソソらないですか? まあ、それは、私が無知というだけなんですが――さすがに異国の原始な民族までは。

なんていうか、理解って知識なんですよね。知ってりゃ読めますけど、知らなきゃ読むのかなり無理くないですか? かわいいなあって。

【相手が話半分というか上の空で聞いていると分かっているのか、居ないのか。分かっていたとしてもそうやってしゃべりそうな人間であるようにも見えたから】
【その判別はきっと難しかった。にこにこつらつら言葉を並べ立てて、なんか子猫は三毛がいいとか黒がいいとか白が好きとか語っているみたいな、表情を重ねていけば】
【最終的にはなんかよく分からない言葉で終わる。要するにちょっとだけ変な趣味、――なんだけど】

そうですよ、蛇はお嫌いですか? いろいろな神話に出てきますよね。民話でもよく見受けられます。
知ってますか? 蛇は人間が大好きなんですよ、なんかやたらと結婚したがりますからね。たぶん――――犬とかよりも、好きでしょうね。

【お父さんの靴下を嗅いだ猫みたいになっちゃった相手に少女はわずかばかりの怪訝そうな顔をする。――まさか何かを気取られたか、と、不審がる顔】
【それでもまだ言葉を連ねて――その裏側で、相手の集中が自分から途切れるほんの一瞬、それがチャンスだとも、思うなら。どうしようかなと思う刹那、長居する気はないから】
【――そっと脳裏で"念じる"。それで少なくとも誰か一人は従うだろうから、問題なかった。――少女の荷物から、無感情な、電子音がして】

……あれ、ごめんなさい。――――もしもーし、どうかしたんですか? ああ、鍵? そうですね、私持ってますよ。はいはい、
今から持ってきますね、ちょっと……待っててくれますか? うーんと、そうですね、三十分くらい? だと思いますけど。

大丈夫ですか? じゃ、はい、向かいますね。

【――――電話の着信。相手に断ってから繋げた少女は相手から半分振り返るみたいに身体の向きを変えて話す、声は絶妙にひそめて、ただ、内容は聞こえて来る】
【電話の向こう側までは、よっぽど耳がよくっても、聞き取れないだろう。――だって相手は話していなかった。彼女だけが、ただ、虚空に話しているみたいに】

…………うーんと、ごめんなさい。さっきの人達、私が鍵持ってて、建物は入れないみたいなんですよね。
可哀想なんで、もういいですか? ごめんなさいね、――じゃ、失礼します。

【やがて通話を終えた――通話自体はずっと繋がっていた――彼女は相手に振り返るだろう。そうしていましがた"できた"用事を強調して】
【そのまま立ち去ろうとする――んだろう。誰かが困っているって口ぶり、早く行ってあげなくちゃ、と、優しいような顔をしたなら】

【――――全く悪びれて、いなかった。相手の気づきは果たしてそのまま彼女を帰らせるだけの納得を生むだろうか、放っておいたなら、彼女はほんとうに姿を消すと、分かる】


514 : ◆XLNm0nfgzs :2018/06/12(火) 00:45:12 BRNVt/Aw0
>>513

文字って概念そのもの……
んー、よく分かんない物の羅列が言葉だって分かると私は「あー、成程ー!」みたく感心しちゃうだけで終わるなぁ……
知ってたら読めるけど知らなかったら読めないってのは何となく分かるかな?此方来た時それでちょっと苦労したし……でもかわいいまではなー……
【にこにこと語る相手の言葉に少女は頭にはてなを浮かべつつ返す】
【相手の話をスパッと切らない辺り人は良いようで。まあ別の事を考えていて半分くらい聞いてない時点で駄目なのだが】

──へっ!?あ、ああ……蛇、蛇ね……
うん、蛇って確かに色んな民話に出てくるよね
神話……色んな神話にも出てくるんだ……
蛇が人間と……異類婚譚、だね
蛇以外だと狐とか鶴が有名だよね……大体は、失敗して追われちゃうんだけど……
【蛇は嫌いなのか、と問われ少女はハッとしたように言葉を返す】
【相手の怪訝な顔付きに、怪しまれたかなぁ、なんて危惧しながらふと自分が言った『異類婚譚』なんて言葉で出自の事を思い出してまた表情を曇らせて】
【そうしてまた我に返って、あーまた怪しまれたかもなんて思考して】

【そんな時に相手方に掛かってきた電話。何事だろう、と相手の話を聞いてみるが】
【どうやら鍵がないとかそんなニュアンスの話。ごく普通の通話みたいで】

【探し人の足掛かりというか疑惑になるものは見つけた。そちらは何れ彼らないし彼女らに"訊いて"みれば良いだろう、なんて判断して】
【となると残る問題は一つ】

【この少女とあの車の奴らは結局何だったのだろうか?と】
【確かにあの袋からは人間の臭いがした。した筈、なのだ】
【けれども彼女は人形だと主張する。そうだとしてもあんな生々しい臭いをつけられるだろうか?】
【疑問ばかりが浮かんでくる。けれども彼女を引き留める手立ては何も思い付かなくて】
【何か、何かある筈だと気持ちが焦る。何か、何かせめて相手の所属の手がかりになる何かを、と】

……うん、大変なら仕方ないよね
何か色々ごめんね?疑っちゃったり引き留めちゃったりで……

……リスカしちゃうくらい大変なのに……ホント……
【最後にぽつんと呟く言葉。これは最後の賭け。もし相手がこの言葉を聞き咎めたとしたらその長手袋の下を見せるかもしれない。そこに何か手がかりが──数字でも何でも、あるかもしれないと考えて】


515 : 名無しさん :2018/06/12(火) 01:12:35 wdTzMiiA0
【都心部――路地裏】
【そこはさながら何か巨大な生き物の体内のようであった、決まった土地の中に限界ぎりぎりまでビルディングを乱立させても飽き足らないなら】
【いつか神に激怒されると分かりながらも天を目指す摩天楼の群れ、――だけれどそこは最下層であった、天を目指すことさえ許されぬ生き物たちが這いずり回る、地面であって】
【ならば、ガラン、グシャリと。――汚らしい水っぽい音、くぐもる男の声はねばついて掠れて、口汚い罵声を誰かに浴びせかけていた、曰く、**、**、**――検閲済み】

……あれ、まだ、そんな元気がおありですか? ですけど……しつっこいのは、嫌われますよ。私、今、忙しいんで。
ていうか、私より年上ですよね? 年上だと思うんで、そのていで話を進めますけど――"こんな場所"歩いてる女ナンパしたら7割くらいは多分"こう"なりますよ。
あと3割は究極に訳ありですね。どっちみちやめた方がいいと思いますよ。来世のあなたが賢く物事を判断することができる頭を持っていることをお祈りします。

【腹を蹴られ壁に叩きつけられた男が呻く、けれど、もはや起き上がることも出来ないらしい。だけれど口元はかろうじて元気――というよりも、虚勢を張るのなら】
【それは消える一瞬前の灯のようでもあった、その瞬間にひときわ強く美しく輝く、その刹那。――敵わないと/叶わないと思い知ったからこそ、せめて、強い自分であれと】
【――ううん、本当はもっと違くって、自分の人生が無意味で馬鹿げてて何の必要性も必然性もなかったんだって理解したくないから、必死に、演じるばかりで】

ごめんなさいね、今日は生かしたまま持ち帰る準備がないんです、ていうか、ただの、道の偵察なんで。
お散歩ですよ、お・さ・ん・ぽ、――あなたはお散歩途中の未成年にナンパした結果死ぬんです、だーっさい、ですね?

【――――ならば彼が最後に見たのは、嘘みたいに冷たい、だのに、どこか美しい、スズランの温度感の笑顔で。マゼンタの煌めきが視界に映り込んで、そして、終わった】

【ひゅるりと生ぬるい風が、天高く聳えるビルを伝ってきたように、上から、降ってきた。そうして少女の透き通る藤色の髪を、スカートの裾を揺らしたなら】
【真っ白な肌に映える紅紫色の瞳。数秒ほど"残骸"を見つめていたのだけど、そのうちに飽きたように逸れた。――こつんと歩き出したなら、服装のシルエットが翻って】
【堂々と肩を露出したオフショルダーのワンピースは細かくギャザーの入ったもの、ふっくら豊かな胸元さえ簡単に収めるならば、その裾は布地が余ったように膨らみ】
【けれどその腰元でぎゅうと絞ったなら、よほどだぶついても見えなくて。足元はサンダルだった、あんまりかかとの高くない。――それでも女としては少し、背が高い】

……――ウヌクアルハイ様がまもなく受肉されるのですから。こんな無駄な時間、使っている場合ではなかったのですけど。
はあ、やっぱり偵察って、めっちゃゴツい男とかにやらせた方がいいんですかね。身長2Mくらいあるような。ゴリマッチョみたいな。……逆にウケるかなぁ。

【そんな少女の足元に横たわるのはどうしようもなく亡骸であった、――物理的に痛めつけられ、架空の痛みを流し込まれ、ほんの最後の小さな灯を"阻害"されて、死んでいた】
【――だけれど少女は少しの間、その場所に留まろうとした。仰ぎ見ようにも空は遥か遥か遠く、けれど、誰の思し召しか、その小さな隙間に月が覗いて見えたなら】
【冗談めかし呟く声とは裏腹に――少女は目を細めて月を見つめるのだ、それから。――するり、と、その、片方だけのドレスグローブを抜き取って】

もうすぐ――、もうすぐ。もうすぐ。――――――――もうすぐ。

【――――――そこに刻まれた蛇を月明りにかざして溢れる声は甘く甘く蕩けてしまいそう、たっぷり回した蜂蜜分離器の様相、どろどろに甘くして、酔いしれるなら】
【誰かがもしも彼女を見つけたとして――その瞬間、ひどく、ひどく、ひどく、無防備に、見えるはずだった。熱に浮かされるように、微睡むように、笑っていたから――】

/よやくですっ


516 : 名無しさん :2018/06/12(火) 01:23:31 wdTzMiiA0
>>514

――――リスカですか? そうですね、ちょっと出来心だったんですよね、そんな病んだりしてたわけじゃないんですけど。
ほら――なんだか、興味湧いたりする瞬間ってないですか? カッターマットに新品のカッター、手元ではなんか……なんでもいいんですけど、紙とか切ってて。

「あっこれイケるんじゃないかな?」ってよく分かんない謎の自信とか湧いちゃって。でもやっぱりあれって慣れなんで、かるーくやんないほうが、いいですよ。

【じゃあ――と、立ち去ろうとした。その少女の足取りがふっと止まるのだろう、ならばそれは相手の言葉につられて。思わず、という様子だった】
【ならばそれは予想外だったのかもしれないって思わせる、――怪訝そうに目を細めるのは数秒のこと、少し黙れば、少女はまた、同じ声音で話しだすから】
【それでもしかしたら分からせるかもしれなかった。――というよりも、きっと、分からせるだろう。この少女はずっとずっと、適当なこと、並べていただけなんだと】

【その時々で知っていることを混ぜ込んでくるから、曖昧になる。けれどずっと本当ではないことをしゃべっていたのだと、この瞬間に――きっと、】

【――――それでも、その手袋の下までは、見せない。そこにあるのが果たして数字であるのか、それとも、全く別のものであるのか。意味なんてないのかも分からせずに】
【――今度こそ少女は歩き出す。こつこつとそう目立たない足音、歩いて行かせるなら、そのまま、ごく自然な辺りで曲がって、姿を消してしまおうと、するはずで】
【その瞬間に追いかけていなければ、角を曲がったところで少女は上手に姿を消すだろう。追いかけていたなら――あるいは、角を曲がったすぐで、"待っている"】


517 : アリア ◆1miRGmvwjU :2018/06/12(火) 01:34:45 ekRwln9M0
>>515



        「お久しぶりね。」



【 ──── 怜悧な声音が、路地裏に響く。】



【少女の眼前からだった。コンクリートの壁を背にして、ひとりの女が壁に寄りかかっていた。半ばまで焼けた煙草を吸っていた。】
【その体躯は、女性としては其れなりに身長の高い筈の少女でさえ、きっと見上げる程だった。否、少女はそれを「見上げたことがあった」。】
【腰まで伸びる長い白銀の髪。じっとりとした不快な温度の殺意に身を浸し、尚も汗一つ流さない異様なるロングコートの出で立ち。】
【 ── 横顔だけ見せる顔が、人形のように白く端正な顔が、少女を瞥した。きっと少女はそれを見たことがなかった。冷酷で、冷淡で、冷徹な、なれど澄み渡る青い瞳。】



「ずいぶん上機嫌そうじゃない。」「人殺しはお好き? いいえ咎めてる訳じゃあないわ。」
「私も似たようなものよ。人殺しを生業にする人間。」「 ── でも、だから、殺さなきゃならない。貴女のこと。」



【ふぅ ── と紫煙を流して、指に摘んだ煙草を造作もなく落として、微かに口紅の跡を残すそれを、革靴の底で躙って消した。燃え滓だけが残った。】
【少女が手にかけた男にはおよそ目もくれていないようだった。まだ煙草の吸殻の方が有意義であるとでも言いたげな表情をしていた。】
【懐のホルスターを両手が探る。 ── 引き抜かれる二挺の拳銃。勿体ぶるように体の前で、構える腕を交差させて、当然のようにセフティを外す。】



「 ── 最後に、名前だけ聞いておくわ。」「私も、名前だけ教えておいてあげる。」
「アリア。アリア・ケーニギン=デァナハト。」「夜の女王の独唱。けれど、一人で唄うのは寂しいものなの。」


「唄いましょう。」「踊りましょう。」「殺したり、殺されたりしましょう。」
「 ── きっと私たち、素晴らしいデュエットを奏でられるわ。そうでしょう? 甘く、身体を重ねるみたいに。」



【 ── 皮肉めいて、女は薄い唇を笑みに歪めた。摩天楼の遠い残光と残響が、月明かりと共にふたりを照らしていた。】


518 : ◆XLNm0nfgzs :2018/06/12(火) 01:59:17 BRNVt/Aw0
>>516

【自分の呟いた言葉に反応して足を止めた少女。少しだけ目を細めて】
【そこから、ついさっきみたいにぺらぺらと喋り出す。ちょっとした出来心だって、安易にやるのはやめた方が良いよって】
【彼女にとってこれは予想外だった】
【だって、そういうの普通誤魔化すとか下手したら語気を強めて否定するんじゃないかって】
【けれども少女はそれを明け透けに話して──致した痕は見せもしないんだけど、それだってやったって言うくらいだったら逆に見せてしまうとか包帯巻くとかだと思うし】
【どう考えても怪しい、というか】

【──人って嘘吐いてる時の方が雄弁になるんだったっけ?】

【それはふと思い出した事。気付いてしまえば後は簡単で】

【なぁんだ、はじめっから"そう"だったんじゃないか】
【少女はフッと笑みを溢す】
【私、何も間違ってなかったんだなって】
【金色の瞳は一瞬だけ灯をともして】

……ん、そっか
やんでるとかじゃないんならまぁ良かった
じゃあね
【にこ、と笑って少女は手を振る】

【そうして、相手がある程度距離をとり始めた辺りからそっと歩き出す】
【所謂、尾行というやつで】
【彼女の全てが嘘と分かった今、その所属だけでも何としても明らかにしなければ】
【そんな正義感めいたものを抱きながら】

【曲がり角を曲がるウィスタリアの少女】
【その後ろをこっそりとついていくキャスケットの少女】
【その角を曲がった先にあるのは──】


519 : 名無しさん :2018/06/12(火) 02:07:08 wdTzMiiA0
>>517

【――緩い、けれど、冷たい風が吹き降りて来る。ぼうと月と自身の左手を見つめていた少女は、いつの間にか右手に握っていたロンググローブが攫われたのも気づかず】
【ずいぶん久方ぶりに思える間の後に、この現在に意識を戻した。――すなわち、聞き覚えのある怜悧さをみとめて、瞬き一つ、向ける視線の高さは、ちょうど誂えたよう】
【相手へ向いて――どこか冷たげな造形をそれでも甘く笑ませるのだろう、それは中学生時代に恋していた先輩に十数年ぶりに会うような哀愁にも似て、】

――そんなに久しぶりじゃあ、ないですよ? 困ったな、お願いしたんですけど。――追いかけてこないでくださいって。
あれ、永続のつもりだったんですよ。だって、あなた、強そうなんで。私、戦闘要員じゃないんですよ? ホントです、専門じゃないので。

【――――――きっと同時に、わずかな情にも似ていたのだろう、目を細めたならば、暗がりの中、マゼンタの色合いはよく映えて】
【冷たいのに甘い特徴的な声が簡単に笑う、冗談めかすように。――笑った口元に沿えるのは左手。あの夜に絡めた、その指先まで、ぞろりと蛇が植え付けられて】

特に好きじゃないですよ。嫌いじゃないですけど。ウヌクアルハイ様は血の滴るだけでは満ちません、悲鳴すら滴るものでないと。
――生業ですか、怖いですね。私、未成年なんですけど……執行猶予じゃダメですか? 情状酌量が欲しいです、実名報道も3年ばかし、早いかなって。

今日は"やさしく"してくれないんですか? ――これだから大人は嘘つきだって言われるんですよ。

…………――ねえ、ほら、どきどきしてるんです、もう一度抱いてはくれないんですか? こんな場所で。こんな場所じゃないと出来ないように。
――――ふふっ、あははっ、――――ま、駄目ですよね、だいじょーぶですよ、わきまえてますからね。ところで、あなた、どこのワンちゃんなんですか?
こんな場所で見つかるとは思ってませんでした。ほら、もっと、――なんか、堂々とした場所とかだと思ってましたよ。鼻が良すぎるのも、困りますね。

【きちんと整えられた細い眉を悩ましげに下げる、視線も伏せたなら、長い睫毛がマゼンタ色を透かしながら、かすかに、震えて見えて】
【甘く蕩けてしまいそうな蜜漬けの声が、ささめいた。――そしてそれは情事の最中の嬌声混じりに似ていた、うんと甘たるく、どこか掠れる、声が】

【――けれど、次の刹那には、ぱっと褪めているから。やがてのポーズは腰に手、威圧するでもないし、まして、恰好で言えば相手の方がよっぽど"怖い"】
【それでも銃を二つも向けられてなお、彼女は笑っていた。――それだけである程度は分かる、自分の力に自信があり、そして、それを振るう方法を、熟知している】

――あれ、今日も名前は教えてくれないんだと思ってました。私、礼儀かなあと思って、家探しもしないし、表札も郵便受けも何にも確かめなかったんですよ?
ほら、一回ヤっただけで彼女ヅラするの、ウザいじゃないですか。お互い何にも知らないぐらいがちょうどいいって――じゃあ、そのお礼になるかは分からないですけど。

――――――――――サーペント・カルトが幹部、オフィウクスの一人――、ムリフェン。あるいは蜜姫かえで。

【「かえでちゃんとかで、いいですよ?」】

――そうですね、蛇教(ここ)に来てからカラオケとか行ってないんで、たまにはそういうのも、楽しいかもしれないです。

【――そうしたなら、少女もまた、薄く笑う。睦み合ったとは思えないくらいに冷たくて。けれど他人同士ではありえないくらいに甘くて。奇妙な温度感、ほんの刹那、満ちるのだろう】
【それでいて――きらり、と、幽かに瞬く色合いがあった。マゼンタ色の魔力の煌めき。当然のように、能力者――魔術師のそれにしては、もう少しだけ、無秩序なように、見えたから】


520 : 名無しさん :2018/06/12(火) 02:18:30 wdTzMiiA0
>>518

【――先を歩く少女は、特に、急いで場を離れるとか。そういう様子は見せなかった、さも、普通に、家に帰るだけです、って足取りで、歩くから】
【その角を曲がるときまで、彼女はそれを保つのだろう。――――そして、曲がる。それに合わせて相手もまた、そこを、曲がるなら】

――――――――――あのね、駄目ですよ? 見逃して"あげてる"んですから。悪い子ですね、お仕置きをしないと、いけないですか?

【――――――そこで"少女"は笑って立っているだろう。進行方向ではなく、明確に相手の方を向いて。ポーズは腰に手、威圧するようでありながらも、どこかでは】
【駄目な弟を叱るみたいな、そういう温度感もあって。――その笑みがひどくありふれたものだったのが、どこか違和感だった。でもそれは、これが彼女にとって日常という証拠に似て】

知らないふり、気づかないふりをしているのが、"正解"でした。ですけど、駄目ですね。ここまで来たら、真っ赤なばってんを付けてあげないと。
でないと長生きできませんよ、女の子は嘘を吐くのが上手じゃなくっちゃ。気持ちよくなくっても気持ちいいふりをして、気持ち悪くても、気持ちよくさせるんですよ。

なのでイエローカードを差し上げます、1回だけ、見逃してあげますよ。まだ若い女の子ですからね、可哀想ですから。

【――こつん、と、足音が一つ。少女は相手との距離を詰めようとするだろう、そうして右手をかざしたなら、そこには、ゆらりと。マゼンタ色の魔力が揺らいで】
【触れようとした。相手に。けれどそれは明らかに"よくない"動作であった。――けれどそう素早いものではない。あくまでありふれた速度で、相手に、触れようとするだけ】
【避けることは、たやすいはずだった。けれど――どんな理由であれ、"触れられれば"。少女はためらいなく相手の身体に"阻害"の力、流し込もうとする】

【それはよほどの苦しみや痛み、まして死をもたらすことは、ない。――よっぽど特異な理由がない限り、それはわずかなしびれ、足止めみたいな効果しかもたらさないはずであり】
【ならば言葉通り。――であれど、つまり。相手がこれを避けるなどして、戦闘の意欲を見せるようなら――真っ赤なカード、叩きつけてくるって、脅しでもあった】


521 : アリア ◆1miRGmvwjU :2018/06/12(火) 02:37:14 ekRwln9M0
>>519

【まったく人を蠱惑へ誘う笑顔をしていた。困ったように女は笑った。我ながら、ひどく誑かされてしまったものだと。】
【そんな振る舞いは不潔であるからと咎めた筈なのに、数日で何が変わることもあろうとは思うけれど、だからこそ其れは本能なのだろう。】
【変えようのない気質。変えようのない本性。馬鹿は死ななきゃ治らない。何もそれは馬鹿に限った話でもない。】
【くす ── と息を漏らして、女は微笑みかけた。冷たい横顔を微かに綻ばせていた。然し畢竟それはどこまでも冷たかった。お互い、かけ合う情は残っているらしい。】



「なにも追いかけて来た訳じゃあないのだけれどね。見逃す ── なんて言うと、偉そうだから、言わないけれど。」
「貴女がいけないのよ?」「出会わなければ、幸せな想い出のままであったかもしれないのに。」「 ── 貴女がどうだったかは、知らないけどね。」


【対して女の声は冷たく澄み渡るもの。強いて例えるとするなら ── 厳冬の早朝、辛うじて凍らない湖に、故もなく生じる朝焼けの波紋。】
【火傷の痕は隠れたまま。白銀の髪は気安く触ろうものなら、きっと指先から凍らせてしまう。じっとりと湿る不気味な大気の中、どこか迂遠な甘ったるさの中にいて、その存在は截然としていた。】



「かえで。 ── 随分、愛らしい響き。ああでも、名を伏せてほしいのなら、関係はないかしら。」
「面と向かって呼ばわるなら、せめて狼と呼んでほしいものね。甘く切なく笑われても、にべもなく喰い千切ってしまうような長に従っているの。」


【名前を呼ぶ。優しい声で。相手の言葉を繰り返して。切ない想いを打つける時に、そのままの声音で呼びかけたって構わないくらい。】
【然しふたりの世界は冷酷であった。其れへ合意を重ねてもいた。相反するはずの感覚が独り歩きする感覚は、凍傷に滲む血に似ていた。】


「抱いてほしいならお望みどおりに。ただし、 」
「 ── 無理矢理に犯して、きっと綺麗な歌声鳴らす、その細い喉が張り裂けるのは悲しいから。」


【 ── 甘い言葉に呼びかける薄い唇を開き、右手の甲を歯噛みする。少女を抱きしめた手に傷を刻んで、白い肌に真っ赤な血を浮かばせる。】
【そのまま左腕を擡げた。引き金に指をかける。仰々しく物々しく、芝居がかった告解と共に。】


「だからそれは、まだ、おあずけ。物言わぬ屍に変えてから、存分に、また愛してあげる。 ── ね?」


【 ── 引き絞られるトリガー。セレクターはフルオート。左手に握られた機関拳銃が、乾いた発砲音を流れるように響かせる。銃口よりの発炎が、女の顔を刹那に照らす。】
【当たる期待はしていなかった。何より予備動作が大きすぎた。序奏。牽制。小手調べ。オードブル。そういう類の攻撃。】


522 : ◆XLNm0nfgzs :2018/06/12(火) 03:12:18 BRNVt/Aw0
>>520

【前を歩く少女と一定の距離を保って尾ける】
【バレているか否かは不明だ。もしバレているとしても、ならば──なんて考えて】


……なーんだ、やっぱりバレちゃってたか
見逃して"あげてる"……か
ならやっぱり後ろ暗い事してたって事だよね?ふふっ、言葉質取っちゃったー、なーんてね
【そして訪れた曲がり角。腰に手を当てて待っていた少女にキャスケットの少女は笑い返す。そんなのとっくにご存じでしたよ、とでも言うように】


"ワルイコト"して知らんぷりなんて出来ない……ってさっきも言ったよね?
女の子には確かに嘘を吐く技能は必要……だけど貴女はちょっと嘘(オシロイ)重ね(ヌリ)過ぎじゃない?
それじゃあ素っぴん(ホンショウ)がバレた時が大変だよ?男の人がドン引きしちゃう

ふふっ、若いなんて言ってもそう年変わんない気がするんだけどなー?
【片手の人差し指を顎の辺りに当てて、こてん、と可愛らしく首を傾げて見せれば吐き出すのは相手を挑発するような言葉】
【相手に距離を詰められそうになれば少女は一歩後退して】
【右手にマゼンタの魔力が揺らいだのを見れば先程の事象を思い起こす】
【恐らく障壁に関する能力か、と考察して】

……いきなり裁断とかタチ悪いんですけど!?
【その右手を、纏わりついたマゼンタの光を避ける】

【それは恐らく戦いの合図であって】

【少女の周囲の気温が冷たく冴える】

……こっちも退く訳にはいかないから
せめて何処のヒトかだけでも教えて欲しいなぁ、オネーサン?
【言い終わると同時に少女の両方のすぐ脇に直径数cmの氷柱が生成される】


523 : 名無しさん :2018/06/12(火) 03:17:05 wdTzMiiA0
>>521

【染め上げられてしまった色合いは抜けることがない、もしも――ほんの数日でそれが抜けきってしまったなら、それは、それこそが、洗脳であるから】
【脳を洗うとは言い得て妙、今までの人生全部を洗いつくしてしまうくらいの出来事であるから、人間が変わる。――なら彼女が塗り替えられること、きっと、もうない】

【蛇こそが彼女を染め上げていた。いつか存在したありふれた少女が見えなくなってしまうまで。――そして彼女はそれを幸福だと感じたなら】

――ほんとですかね? 信じらんないです、――早すぎます。ですけど、今でよかったとも思ってるんですよ。
ウヌクアルハイ様の受肉は刻一刻と近づいているのですから。――その直前で盤面をひっくり返されるより、よっぽどいいでしょう。

えっと……本物は、どこでしたっけ? 骨髄と、脊髄と、顔でしたっけ。どれか一つ、新しく贋物にするのを目標にしようかな。

【冷たい、甘い、笑い顔。けれどどこかに年相応のあどけなさが混じって、だからこそ、堪えがたく蠱惑的な色合いを、透き通る藤色が艶やかに飾り立てる】
【思わず凍り付いてしまいたくなると思った。その純白の髪に指先を絡めたいと思った。――あの夜みたいに、もう一度。どうでもいい嘘を吐いて、みたいと】
【――けれどそうでありながら彼女の指先は品定めするように虚空を移ろう、「顔は好きなんで、それ以外がいいなあ」。冗談めかす声】

ウヌクアルハイ様のために存在する証拠である名前の方が、好きなんですけど。
――でも、どちらでも、いいですよ? あなたが出会ったのは家族のプレッシャーに押しつぶされた少女でした。その娘は、蛇の入れ墨をしていて。

――――――それでもあなたは抱いたんですから。だから、どっちでもいいんです。どうぞ、呼びたい方で呼んでください。

狼ですか? なら赤い服を着てきたらよかった。私ね、赤いのはあんまり持ってないんです。教えてくれてたら、買っておいたんですけど――。
サプライズも困ったものですね。女の子はデートの時にいっとう可愛く着飾りたいんです、それでね、その服を大事に大事に一つずつ剥いでほしいんですよ。

――その時に上下で下着がズレてたら、気が気じゃないじゃないですか。楽だけどヨレてるブラとかだったら、泣いて帰りますよ?

男は狼だって言いますけど、サイボーグも狼なんですね。知らなかったです。女の子の気持ち、分かっていてほしかったなあ――、

【ひどく優しい声、――ベッドの中で聞いたならば泣いてしまうように潤むだろう声に、彼女は柔らかく目を細めた。ならば呼ぶ名はどちらでもいい、伏せたって、きっと】
【それでいて冗談めかす言葉は変わらずに並べていくのだ、――いきなり登場した相手へ大して責めるようでありながら、どこか惜しいような、不思議な楽譜を描くように】

あっはは! 無理やりも、結構好きですよ? ――主観的には100パーセントの出来事も、客観的には0パーセントたりうる。
抵抗さえも押しつぶして泣いて叫んでも果てる瞬間まで――可哀想だなんて言っている間に、足元救われちゃっても、知らないですよ?

――――それに、私、まだ死ぬわけにはいかないんです。残念ですけど。

言葉って、難しいですよね? 果てるでも逝くでも、どっちの意味だか分かんない。それくらいに生と性はおんなじで、私たちはそのたびに少しずつ死ぬんです。
でも、ウヌクアルハイ様が迎えられる最上の刻を迎えずして死ぬことはできませんよ。――ベッドの上で果てるのと、言葉は似てても、違いますから。

【――いくら彼女でも、銃弾を肉眼では見切れない。ならばそれは相手が撃ってくるというのを分かり切ったうえでの、反応速度であったのだろう】
【まず少女の目の前に網目状に編まれたマゼンタ色の魔力が現れて。それが、ペイントソフトでいじったみたいに、広がって――最後に薄い壁を成したなら】
【それは果たして阻害を実体化させたものであったから。――銃弾を"阻害"する。けれど急ごしらえであったなら、いくらかの銃弾を浴びたのちに、パリンと砕け】

/分割で……


524 : 名無しさん :2018/06/12(火) 03:17:22 wdTzMiiA0
>>521>>523

――狼は可哀想ですね、いろんなお話で、悪役にされるから。新しいお話を作ったら、どうでしょう? 著者はアリア・ケーニギン=デァナハトで――。
――――ウヌクアルハイ様に祈り、そして、救われる狼のお話とか、どうですか? ベストセラー待ったなしだと思いますよ? 私買います。

【その破片がキラキラと舞い散った、――その向こう側に少女の笑顔が。指先が指し示す先は相手であって、そうだったなら】
【中空に漂う欠片がくるりとそのいっとう尖った向きで相手を示し――撃ちだされた。数はいくつも、けれど、元が割れ砕けたものであったなら】
【傷を作れるほどに大きなものは、4、5、――10には絶対届かない。薄ぺらいものであるから、それは、肌に触れたとて角度が合わねば切れない紙のようであり】

【――それでいてその傷口からは幽かでも阻害の力が相手の中へ混じりこもうとする。量は少なく指示もないなら、自覚するほどの症状は、現れないだろうけれど――】


525 : 名無しさん :2018/06/12(火) 03:32:58 wdTzMiiA0
>>522

――そうですか? 男の人がすっぴんがいいっていうのは、すっぴんに見える化粧が好きってことですよ。
ナチュラルメイクに3時間ってやつです、――信じてほんとにすっぴんで行ったら、デートだって全部割り勘になっちゃいますよ?

女の子は嘘で塗り重ねて男の人を気持ちよくしてあげるんです、言葉で立てて手で立ててあげなくちゃ。接するって字は、女が手で立たせるんですからね。

【きゃらきゃらした笑い声は少女らしさをどこかに匂わす、――挑発に激昂した様子もないなら言葉を並べる様子はさっきまでとおんなじ、なら、これが素であるらしい】
【よく喋る娘だった、――なんてことない場所で、お互いにただの少女として出会ったなら。それは楽しいお話の時間になったのかもしれない、と、どこか思わせるみたいに】

【だけれど現実はそうじゃなかったから】

いきなりだなんて。ついてきたのはあなたですよ、裏切りです、鶴の部屋は覗いてはいけないし、夜な夜な尋ねて来るイケメンの着物に針を刺してもいけません。
それがルールだったんですから。ルールを破ったら罰ゲームがあるのが普通です。――その罰ゲームも上手にできない悪い子には、とっておきのお仕置きをしなくっちゃ。

【差し出した右手。――避けられて、けれど、勢いもなかった仕草なら。つんのめるということもない、ただ一度――残念そうに、自身の右手を見やってから】

勝気なのは結構ですけど、特殊型じゃなかったら猫に小判ですよ? ――――どこの人かって? あははっ、ルールも守らないのに、欲しがりさんですね!
――――いいですよ、特別に教えてあげます。サーペント・カルトがオフィウクスの一人。ムリフェンと呼んでくださいな、子猫ちゃん?

【名乗るのだろう、自分の名前。――というよりは、役職のようなものであると推測できた。そして何より――相手の予想は合っていた、と、証明されて】
【右手に湛えたマゼンタ色をこぼすように――あるいはそれで絵を描くように、少女は虚空に線を引くのだろう、するりと揺蕩ったなら、それはリボンの在り様に似る】
【――その瞬間からは、警告ではなかった。しゅんと空気を裂くような音さえ引き連れて、一筋のリボンは相手の足元へ向かうのだろう。右も左も区別せず、どちらでもよく】

【ぐるぐるっと巻き付こうとするのだ。――相手の機動力を殺ごうとする攻撃。巻き付かれてしまえば、"阻害"されてしまうから】
【――――けれどその動きはひどく単純だった。速度はあれど、相手にはおそらく見切ること、容易くて――少女自身は動かない。得物を持っている素振りも、なくて】


526 : アリア ◆1miRGmvwjU :2018/06/12(火) 04:09:23 ekRwln9M0
>>523>>524



「生憎と神に祈る趣味はないの。」「自分の存在さえ確かめあぐねているのに、居るかも判らない神になんて頼れないし ── 。」
「なにより其れこそ足元を掬(救)われる。何処かの誰かに運命を委ねるような真似をしては、ね。」



【フルセンシングの駆動系が反動の総計より残弾数を直接に通達し、薬室内の1発を残してトリガーから指を離す。マグリリースのボタンを押して、造作無く空の弾倉を捨て】
【右の袖口から現れるマガジンを挿入し、次なる射撃準備。けれど戦術的思考の冷静さが振る舞うより先、相手は鮮やかな防壁を以って9×19mm強装弾の嵐を受け止めていて】
【 ── 砕ける虹色の硝子片へと敢えてアリアは吶喊する。幾ばくかの切っ先が白い肌を割いて、赤い蕾が咲いて、然し確かに距離を詰める。】
【両腕に構えた拳銃ふたつを牽制に乱れ撃ちながら。たとえ変わらず拒絶の壁を築かれたとしても、それさえ砕いて懐に潜り込んでしまおうと ── 。】




「かえでも疑ったことはないかしら?」「自分は本当に自分であるのか。」「何が贋物で、何が本物か。」「テセウスの船。」「自我同一性のありふれた命題。」
「けれど自分はいつも一人だけ。」「ありふれてなんか、いないのに ── 。」「だからこそ、精神と肉体、変わって果てる瞬間。」
「貴女なら判るでしょう。」「名前も、身体も、心も命も抛って、故にその場所に逝ってしまったのだから。」


「 ── 其れとも愚直に信じていれば、恐れずに済むのかしらね。」 「変わり逝く自分も、変わり果てる自分も。」



【もしも肉薄できたのなら、ひらり身体を翻らせて、屈んで、舞い踊るように白銀の髪は散り、青い瞳/光学レンズ、静かに微笑む目線によりかえでを見上げ】
【 ── 微かに甘いにおいがした。きっと彼女のにおい。香水のにおい。煙草のにおい。硝煙のにおい。血のにおい。臓物のにおい。鉄のにおい。孕んでいた。それら全て。】
【歌うように言葉を紡いでいく。愛情を確かめるのにも似ていた。けれどそれよりずっと野蛮で、高貴で、酷薄だった。】




「安心なさい。女の子らしい我儘なお願いだからって、嘆くことじゃないわ。」「ふたりで綺麗に染めてしまいましょう。真っ赤になるまで。」
「 ── 貴女の血で。私の血で。少しくらい、おべべが上手でなくたって、判らなくしてしまうの。それでいいでしょう?」



【腕を振りつつ、迫る銃口。ふたつ。直撃を狙って。お互いの肌触れるような、キスさえ交わせてしまうような、そんな至近距離。】
【引き金を絞ろうとする ── アイアンサイトの向く方向は土手っ腹。かえでの纏う薄い布地、その奥へと。】


「それと。あとひとつ、言っておくなら。」「 ── 私の身体に、『贋物』なんて有りはしないわ。」
「ただ別物になっただけ。」「ただ変わり果ててしまっただけ。」「かえでのこころと同じように ── ね。」


527 : カニバディール ◆ZJHYHqfRdU :2018/06/12(火) 04:09:51 IBKicRNQ0
>>417
ああ、幸運なことにな。裏の社会にも精通した腕利きだよ
相手は権力に根を張って金も技術も豊富に使える怪物たちだ。案外、そういう相手にはアナログな手口が有効にもなるだろう

……ただでさえ、こちらの持ち札は多いとは言い難いからな。ロッソも情報のやり取りは最低限に、という意見だった

【ラベンダァイスの反応の意味と、アルターリでのニアミスは双方とも気が付かず。あの元強盗の顔を思い出す】
【同時に、この場のテーブルで己が切らなかったカード、『円卓』の王との密約も。本来なら、彼らは敵でありこの同盟は一時的である】

【最大の敵である『黒幕』が消えた後、己を守るものは己の力しかない。臆病な盗賊は、やはり打算からは逃れられなかった】
【鈴音の件もあり、カニバディール自身が動きの少ない『円卓』よりも『黒幕』の方の意識が向いていたのも事実だが】
【これがどういう結果に転ぶかは、まだ誰にもわからないだろう】


恐怖は、人の最も根源的な感情だ。刺激されれば、抗いがたいだろうな。事実、そこを突かれて今この状況があるのだから
自分たちの未来の為、命の為、そういった大義名分を与えられれば人はたやすく私のような者のいる領域にまで堕すというわけだ

【アーヴィンの思うところは、カニバディールにも自覚はあるのだろう。その一端を担っていたという事実を、今回は逆手にとって】
【UTへ向いた矛先を逸らすことに成功したのだから。それを想えば、今の行動は自らの尻ぬぐいとして必然的なものだったのかもしれない】


まあ、それはそうだ。あの男個人が暴走していただけということもあり得る
……『黒幕』のもっとも恐るべきは、その流れを握っているという点なのだろうな

先の演技程度では、その流れを覆すには至らないだろう……相応の大きなきっかけでなければ

【事態の裏に、流れの裏に、どれほどの敵が潜んでいるのか。現状では何もわからないのだ】
【だが、流れが出来ていることは確かである。それを止めなければならないことも】

ふむ……壊滅が確認されたわけではないのか。まあ、引きこもっていてくれるなら、わざわざ関わる必要もないが……
話を聞く限り、『黒幕』に賛同するような組織には思えないからな

【自身の知らない歴史。そこにも多くの戦いが、意思と意志のぶつかり合いがあった。それが、今この時に関わってくるとは限らないが】
【いずれは、過去が追いかけてくる、そんなこともあるかもしれない。カニバディールはかの組織のことを頭の片隅に留めた】

/続きます


528 : カニバディール ◆ZJHYHqfRdU :2018/06/12(火) 04:10:29 IBKicRNQ0
>>418
……一刻も早く、その本懐が遂げられるように。怒りの炎が燃え盛るうちに、彼奴等を殺せるように。互いに全力を尽くすとしよう

【己の血すら睨みつけるその激烈な怒りと、涙を流すリベル、そして冷徹にも見える目でラベンダァイスを見つめるアーディン】
【部外者であり、何より本質的にが敵であるカニバディールは言葉少なにならざるを得なかった。後は、敵を殺すという行動と結果で示すのみだと】
【かくも世界は無慈悲であり、自分は所詮ただの悪党である】

まったくだよ……これ以上なく厄介な問題だ。色恋というやつは、時にあらゆる利害を超えた行動を人に取らせる……
少なくとも、私はラベンダァイスと同意見だがね。あれは、作り出されたまがい物だ

【ソニアの縁者との距離感もあるのだろうアーディンは当然として、こういう時でもブレないルヴァにある意味感心しつつ】
【この件における自身の立ち位置は、三頭会戦のことを踏まえてラベンダァイスと同じだと語る】
【自身が治療したディミーアには悪いが、やはりカチューシャはこの異形にとっては敵であるのだ】

【ラベンダァイスの言葉の真意、本質にこだわるがゆえの危うさには流石に気が付くことは出来なかったが】

……重ね重ね、耳が痛い。その泥の中で生きている私としてはな
彼奴の技量は相当なものだ。以前やり合った時には、櫻の国海軍の榴弾を空中で撃ち落としたほどだよ
油断すれば、そんな末路も十分にあり得る

【カニバディールはその技量の程をその身で体験して知っている。脳裏に浮かぶ、あの死闘の記憶】
【もちろん、相手が強いからといって退ける戦いではない。それゆえに、カニバディールはやはり戦わずしての解決を祈った】


【そう、同盟者だ。命を懸けて共に戦う者。薄氷の上のような信頼を持って】
【それでも、戦わねばならない。動き続ければならない。指輪を打ち鳴らした感覚は軽く、それでいてあまりに重かった】

わかった。後は、それぞれの行動で示すとしよう
こちらこそ、よろしく頼む。何か掴んだら、私からも連絡を入れよう

【深く頷くと、異形は三つの目玉で三人を見送った。時間は出血し続けている。少しでも早く動くのは当然だ】
【わずかの間を置いて、カニバディールもその場を後にする。演技の後であるがゆえ、いつも以上に人目を避けながら】

【数時間をかけてアジトにたどり着き。配下たちと情報を交換すると、保存してあった食料をたいらげて次の戦いに備える】
【――――アーディンと再び会うことになるのは、旧市街の工場で。そこで、カニバディールは新たな敵を見出すことになる】

/長期間のお付き合い、ありがとうございました!!


529 : ギア・ボックス ◆ZJHYHqfRdU :2018/06/12(火) 04:52:53 IBKicRNQ0
>>392
えっ……と。テレサさん、僕のことを誰かから聞かれてたんですか?
"WILD"さん……『財団W』の……!! ……わかりました。あの"WILD"さんのお仲間さんなら、心配無用ですね
ええ、僕の方も自分のことは自分でどうにかします。共に生き残りましょう

【一瞬驚いた顔をしたが、その名を聞けばすぐに得心する。UTのリーダー、セリーナと親交の深い『財団W』の博士】
【頭脳・技術・ルックス・戦闘能力・女性への手の早さ。どれをとっても一級品だと聞いている。そんな男の仲間となれば、相当に頼もしい】

【だが、それとは別に。ギアには、彼女に用事が出来た。かつての旧友、一時の同盟者たる肉屋からの伝言が】

――――戦いが終わったら。少し、お時間をもらえませんか? "WILD"さんに渡していただきたいものがあるんです

【挨拶の後、他の誰かに聞かれることのないよう、生き人形はそう彼女に囁こうとするだろう】


>>445
【淡々と銃撃を続ける生き人形。行商人をやっていた頃に比べて、慣れたものだ】
【周りに目を配れば、他の仲間たちの尽力も目に入る。さっそく、見事な活躍を見せるテレサの実力に舌を巻き】
【リオシアの能力による手早い治療と流れるような射撃への移行に驚き。アリアの暴力的なまでの広範囲銃撃に目を見張り】


>>447
【その目がミアと“レプリカ”と呼ばれた少女を捉えた時は、困惑と疑念の表情を押し隠すのに苦労した】
【耳を塞ぎたくなる音と共に、身体を引き裂いて現れる翼。一瞬で蟲たちを切り払う威力。それを戯れと言い捨てる彼女】
【自ら手掛けた道具を武器にしているギアは、彼女の目と、その笑みを見て直感した。ミアが“レプリカ”を道具として扱っているらしいということを】

(――――やっぱあの人、ほぼ間違いなく、ろくな人じゃないぞこれは。腹の底は、多分この蟲たちとそう変わらないレベルかも……)
(いっそ、戦闘にかこつけて後ろから撃っておいた方が……いやいや、何を考えているんだ)

(今は余計なことを気にしてる暇はない……。手榴弾の爆発音はしなかった。つまり、相応の広さの空間がある……)
(そこから、蟲が湧き出しているということは……最悪、その広い空間が完全に蟲の巣に……)

【我ながら物騒なことを考えるようになったと、心中で自嘲しつつこれから向かう地下を想像する】
【嫌な予感は、口にしなかった。多分、みんなそのくらいは悟っている。図面を素早く打ち広げて確認すると、テレサを振り返りつつ全員に告げようとする】

>>393
リアクターは地下20階の「魔力駆動系/発電室」にあるようです
搬入口は地下1階、倉庫の奥のドアは緊急時に自動で鍵が開くみたいです

でも、この状況ではエレベーターは多分使えないでしょう……階段を下りて向かうしかなさそうです
急ぎましょう、陽動もそう長くは続けられない

【そう言うと、20階まで続く長い階段を駆け下りていく。ミアの不平は完全に聞き流す。ついさっきの笑みを見た後で、彼女に背負っていきましょうかなどと提案する度胸はなかった】
【だが、下に近づくごとに濃くなるこの臭い。人形の身体となっても、魂が感じ取ってしまう臭い。今や、慣れてしまった臭い】


>>499
【階段を下りる足は止めず、声だけで人形は彼女に返す。恐怖に呑まれないように】

いいですね!! ご迷惑でないのなら、僕もご一緒させてください!!
(飲食は出来ない身体だけど、味はわかるし……たまにはいいだろう。後で身体の中掃除しなきゃだけど)

【それでも、この惨劇の気配はごまかせない】


……お願いします、リオシアさん

【いつでも撃てるように銃を構えて。緊迫した面持ちと声音で、しかし確かな意志を持ってギアは扉が開くのを待った】


530 : 名無しさん :2018/06/12(火) 05:14:31 smGhObkI0
>>526

――――――であればこそ、ウヌクアルハイ様はあなたにいっとう優しく微笑むでしょう。
ところで、ウヌクアルハイ様は蛇の神様であらせられますから、足元から来るのは割と道理かと?

【――パリンと砕けた音の後。それはいくつもの皿を地面に叩きつけて遊ぶみたいだった、そこから先は目視と反射神経のもぐらたたきで、自分に当たるラインのみを阻害する】
【といっても、やはりそれは常人には早すぎる。ましてこの距離では、――ならば必然的に下がらせられる。一つ距離を置いた瞬間に、眼前に迫る銃弾を見とめたなら】

――ありませんよ。蜜姫かえでは生まれたときから今この瞬間まで、地続きの、蜜姫かえででしかないですから。
蜜姫かえでは間違いなく自分の意思でここに来ました。ウヌクアルハイ様に赦され、そして救いを得るために。――今もそれは変わりません。ですけれど。

それ以上に、ウヌクアルハイ様にお仕えすることが幸福であると気づいたのです。

名前も、身体も、心も命も、全て、自らの意思で捧げたのですよ。――そうですね、怖くないです。何も。
であればこそ、ウヌクアルハイ様を知る前の、蛇に怯えた私を、ウヌクアルハイ様が救ってくださったという証拠に他ならないのですよ。

…………ところで、私、改名とかはしてないですよ? 検索すると出ちゃうんですよね。私、行方不明者なんで。捜索願出まくってるんで。
なんで地元の近く行くときとかビビりますよね。ていうか同級生とかも、つまり同い年なんで、都会出て来てたりしたらどうしようって――。

親戚のおばさんには悪いことしたって思ってるんですよ。家族が全員死んでから不登校から引きこもりからの失踪って数え役満だし。
でも――ほら。未練があるわけじゃないですよね。あのおばさん、遊びに行ってもお小遣いあんまくれなくて。引き取ってくれたのビックリでした。

……医者の家で重圧掛けられて破断した女の子はね、居なかったんです。家族が全員焼け死んだ女の子なら、ここに居ますけど。

【がきり、と、ひどく硬質の音がした。――見たならば少女が自身の右手を眼前にかざしている。その手には蛇の鱗がぞろりと生えそろい、その上をマゼンタで補強され】
【懐に入りこまれる――それを目でかろうじて追いかけている。慣れすぎていると今更ながら理解した、ぶんと腕を振るったならマゼンタごと鱗が剥落】

くそっ――、ガンマンが動き回らないでください、よ! ――――もお、じゃあ、血だまり作って、そこで染めないとですね?
血で染めた真っ赤な"べべ"が乾くまでは何をしようかな、――ううん、乾かしすぎて真っ黒になってしまうまで、時間も分からないくらい、ずーっと、――っ、

【――ひゅ、と、短い呼吸の音がした。少し首を傾げたならばキスすら叶う距離感で、彼女の視界は少女自身好きだと、美しいと評した顔に遮られるから】
【見えない、と思った時には、きっと遅い。ならばできることは限られて――がっ、と、少女はもはや避けることを選択から外して、相手の身体、掴もうとする】
【そうしてもし掴めたなら右手からは阻害の力を流し込み、急ごしらえの麻酔薬のように相手の動きを"阻害"しようとする――左手からは賜った蛇神の奇跡、相手へ、流し込もうとする】

【――――――その瞬間に腹を撃ち抜かれる。もはや悲鳴にさえならない聞き苦しい音がその喉から溢れて、けれど、その口元は強く強く笑みに歪んでいくのを、見るのだろうか】

/分割でっ」


531 : 名無しさん :2018/06/12(火) 05:15:06 smGhObkI0
>>526>>530

――――――――あは、あははっ、"あげます"。おんなじの。――――。

【――その瞬間。彼女の左手に触れられていたなら、きっと相手は感じるのだ。それはまるで腹を撃ち抜かれたような痛みだった。どこにも傷は存在しないのに】
【腹についたわずかな脂肪と肉を引き裂いて内臓をいくつも傷つけられる痛み――破瓜よりずっと色鮮やかに、鮮烈に死を意識させる痛み】
【まさしくこの瞬間に彼女が感じた痛みを、そっくりそのまま、相手にも。――感じさせようとする。あんまりに鮮やかに笑うのは、サプライズプレゼントの色合いに似て】

……ははっ、あはは、いったぁ……――、――でも。でも、ぉ……――、

【阻害の力はほんの一時のこと。避けていたならもちろん関係なく、掴まれていたとしても――少女は直後に大きく体勢を崩す。その時に抜け出せたなら、効果はすぐに薄れて】
【左手も、同じようなものだった。掴まれていたならば――問答無用に。けれど、避けた、或いは抜け出した、なら、効果はなく、或いは薄れ。だけれど、もう一つ】

――――私、ね、――慣れてるん、ですよ、ふふっ、ぅふ、死なない練習。してて、ですね、ていうか、その、実験。みたいな。なんですけど……、
"死"は私の能力で追いやれるかって、やつです。――意外とイケるんですよ? まあ、結局、そのあとの医療の、問題なんですけど――。

【――ぱきり、と、小さな音。見たなら、彼女の華奢なお腹に開いた穴ぼこ、マゼンタの魔力が満たして。――阻害する、いろんなもの。ひっくるめて。"死"すらも】

ああ痛……、もう、手加減、してくださいよう、――――そうですね。でも、私、――好きですよ? 
ふふっ、そんなにたくさん呼んでくれるなら。この前教えておけばよかったかな――、――――――っふ、う、――、

【普通の人間であったなら。ただちに死ぬかはおいておいて、よっぽどでもない限り、まっとうには動けないような傷だった。――傷であるはず、だった】
【けれど少女はまだ立っていた――それでも身体を安定させるために開いた足元、マゼンタからわずかに漏れた赤色が、ぴたんぴたんと、滴っていて】


532 : スクラップズ ◆ZJHYHqfRdU :2018/06/12(火) 05:48:38 IBKicRNQ0
【裏町】

【先ほどから続いていた明らかな戦闘音と、その後の絶叫や呻きは間違いなく響き渡っているはずだが】
【外に出てきたり、通報したりしようとする者はいなかった。住民たちは知っている。治安の悪い裏町で、余計なことに関われば死ぬのみだと】


【苦鳴の主は、汚れた地面に倒れ伏す5人の男たちだった。程度の差はあれ屈強な体格をしていることと】
【その身体のどこかに蛇のタトゥーが刻まれていることが、彼らの共通点だった】

【そのうちの一人、四肢を銃で撃ち抜かれて血を流す男の右腕の銃創を、残虐にも黒いゴム長靴を履いた足で、容赦なく踏みにじっている男がいた】
【身長は2メートルを軽く超えているだろう大男だ。薄汚れた灰色の作業着と黒いラバー地のエプロン。角ばった顔つきに短い黒髪。右顔面には皮膚が引き攣ったような醜い傷跡】

【昏い光を湛えた黒い瞳の両目の上には、額を埋める第三の目が存在していた】
【そんな異形の男は、強い口調で踏みつけている男に何かを問い質しているようだったが。やがて男が動かなくなると溜息を共に足を離した】


――――ダメだ。くたばった。スカーベッジ、ポイゾニック、そっちはどうだ?

「すいやせん、こっちもダメでしたボス……指や耳を切り落とそうが、目を抉ろうが、ワイヤーで締め上げようが、まるで吐きやしませんで……」
『こっちもダメです……どれだけ毒浴びせても、神様の名前だか何だか似たようなことばかり繰り返して。自白剤、使いきっちゃいましたよ……』

【大男の声に答えたのは、その背後でそれぞれ二人の男を痛めつけていた者たちだった】
【一人は、両耳と口元、唇から覗く舌の外周とあちこちに鉛色のピアスを付けた男だ。カーキ色のジャケットの上に黒いベストを着用し】
【迷彩柄のズボンと黒い軍用ブーツを着用している。その手に握った血塗れのナイフが、後ろで死んでいる男たちの身体を削いでいたのだろう】

【もう一人は、地味な黒スーツに革靴、細いフレームの茶色の眼鏡。髪を丁寧に撫で付けた、ビジネスマン風の男】
【その姿にアンバランスなことに、腰には赤い刀身の蛮刀を吊り下げており。手には空になった注射器を握っていた】
【彼のそばで事切れている男たちは、双方とも見えている皮膚が全て無惨に赤く爛れており、身体の至るところに注射痕があった】

……3グループを襲撃し、17人も責め殺したというのに、未だ有益な情報はほぼなしか
下っ端信者には何も知らされていないのか、連中の狂信の成せる業か、その両方か……いずれにせよ、このまま続けていてもあまり効果はなさそうだな

『割と強いですしね、この人たち!! 暗闇でも平気でこっち見つけてくるし、いきなり身体硬くなるし、変な蛇出してくるし!!』
『この前襲ったグループの人なんて、僕の腕握り潰してきましたもんね!! 死ぬほど痛かったですよ!!』

「ボスのお力がなけりゃお前、本来ならまだ病院のベッドだぞ……」
「ともあれ、埒が明きませんなあぁ。こりゃ連中がでかい動きをするまで待ち構えるしかないんじゃ?」

消極的だが、致し方ないか。彼奴等の口ぶりだと、どのみちこのままチマチマと拉致を繰り返すだけには終わらんだろうからな

【言いつつ、大男は殺害した5人から少しずつ死肉を切り取り、1個1個口に放り込んで味わった】

……やはり不味い。修行と称して己を痛めつけるような奴らの肉だ、わかってはいたがそれにしても不味い……
『黒幕』どもといい、蛇教どもといい、こうも敵の肉が不味いものばかりだと気が滅入る……
ああ、アーディンに頼んだら、ちょっとだけでもシャッテンの肉をかじらせてくれないだろうか……

『頼んだ時点でぶっ飛ばされるんじゃないですかね!』「仕置きの猫又のパンチ食らったら、流石のボスもだいぶきついでしょうなあぁ」

……ああ、美味い肉が食いたい。蛇教に肉の柔らかそうな若い女でもいれば、少しはやる気も出そうなんだがな……
いや、この際男でも若ければいい。10代の肉が食いたい……。ステーキにしたい……ハンバーグでもいい……

【くだらない問答の間にも、男たちは動き続けていた。殺害した5人の死体を、彼らが乗ってきたらしい車両に手早く放り込むと】
【ピアス男が慣れた手つきでガソリンを漏れ出させて火をつけた。たちまち、車が爆発炎上する】

【それを尻目に、3人の悪漢はその場を立ち去ろうとする。今誰かが来れば、間違いなく目に入るだろう】


533 : ドープ ◆xgsUYuhzWc :2018/06/12(火) 08:25:57 Lxd3YeZA0
>>479 >>480

──ぬぁああぁあああッ!!揉まんッ!!

【真っ赤も真っ赤、それを聞いただけで瞬時にガーッと吠えた。先ほどのノスタルジックでエモい思考は何処へやら】
【ただでさえ淫靡な雰囲気で困惑しているのだ、やめろ、変に意識させるな!と言わんばかりに首を振った】
【……このような年下の娘にすらからかわれて困らされている。無性に恥ずかしかった。もう少し女遊びしとけば】
【そんか思考が過ぎっているうちにも、ふと眉を潜める。治療が終わったようで──リボンが巻かれた事に気付いた】

【……ついでに、〝Itzamna〟による今の術が〝阻害〟のものと勘違いしたままで】
【とはいえ確定的なものにはしないように──とは思ったものの、】

(……何だろうな。何だかんだ気ィ遣いッつーか)
(気まぐれか?……)

【リボンを眺め、それに対し悪い気はする筈なかった。とはいえ、中々にムリフェンという少女を測りきれないと感じる】
【それでも、稀に見た〝優しさ〟と解釈した。──自分は何だかんだ、この少女を嫌いになれない予感はした】
【店員に、レジで小銭を貰う時に笑顔も浮かべて貰うのとは訳が違うのだ。そうしておいた方が彼の精神衛生上もよろしい】
【痛みがすっかり引いた──〝引き受けてもらった〟腕に、やはり感傷的な気持ちになった】

──まあ、その、何だ。ありがとうございます。ムリフェン様。

【ひとまず、素直にお礼を言った。ありがたかったから、なおかつ
【……それでも、やはり彼女は辛そうだ。思わず口ごもって、目を背けたくなるものの】
【己を治してくれたのだ、それは失礼だと──汗ばんだ姿が艶かしかったので大変恥ずかしくはなったが】

【しかし、耳に飛び込んでくるその言葉たちには、咄嗟に浮かべた表情は】
【なんとも言えない、苦々しいものだった。──これが蛇としての〝リアル〟なのだと、思い出す】

……いやなぁ……だぁ……ああ

【〝ウヌクアルハイの奇跡〟──その言葉を聞き、一瞬たじろいでしまった】
【信者が苦痛によってステージを高めているのは分かる、己も時々見よう見まねくらいでやってはいるが】
【痛いものは痛いし、苦しいし──今まではその言葉も雰囲気も、〝当たり前〟として受け入れていたのに】

【〝お前は痛がりだよなァ、バブルヘッド〟】

(……クソッ……)

【ああ、全くその通りだ、イカれたグレイ。信者なんてみんな痛がりじゃないんだ】

【かと言って、己が引き起こした失敗の苦痛まで肩代わりをして──と、やはり感じてしまう】
【彼女はまだ年端もいかぬ少女で、愛らしく、容姿によく似合うワンピースがとてもキュートだ】
【そんな少女が、好きで苦痛を受けるならまだしも。自分の痛みがこの子の中に入っているのは──少々耐え難い】
【少女という造形がそう思わせるのか?……それ以前に心を痛める要素はたくさんあるのだが】

……そうですね、ウヌクアルハイ様は全能ですから
オレァ、かのお方の奇跡って奴は待ってますよ。ええ……
そいつはきっと世界をちゃぶ台みたいにひっくり返すだろうし……アー、ええと

苦痛の修行、オレももう少し受けてみないとですね。量を増やしてみるとか
アレだ……ええ、そもそもとして例えば、基礎トレーニングの方が
通販のインチキマッスルサポート家電より気持ち的に良いッつーか……
コツコツ真面目にやっといて損は無いですよね、ヒトは、うん、……はい
修行しときます、オレも、ちゃんと……

【焦りから喋りが滞る。その反応が適当な取り繕いになってしまったのが明らかに伝わりそうで】
【汗を垂らして、〝やってしまった〟とは思ったものの──ここまで来たら、いつもの面倒癖やら斜に構えたのが発動して】
【心配していない自分を演じる事の方が誇らしくはないし、多少折檻されても良いか──くらいに思考してしまった】

/続きます!


534 : ドープ ◆xgsUYuhzWc :2018/06/12(火) 08:26:44 Lxd3YeZA0
>>533

……なんつーか……失敗してすみませんでした
アン……ムリフェン様がオレの尻拭いする事は、本来無かった事ですから

ありがとうございます、ホントそうですよねーってよりも
ムリフェン様にオレの痛みを引き受けて貰ったのは、オレァ罪悪感しか無いですし……
痛み、とか。……誰かがスゲー痛がってんのも、ホントは結構イヤなんですよ、オレは
腕痛いって嬉しそうに言われても単純に悲しいです
だからオレは感動ッてよりも、反省しかァ無いです。今のとこ

……生意気な口まで聞いちまいましたね
すみませんでした。……以後、身の振り方にゃ、気をつけます

【──落胆ついでに言ってしまった。ああ、ヤバいのが来る気がする】
【いくら彼女が〝優しい〟とはいえ、〝狂信〟が裏に孕んでいるのに対して。……思わず声が震えてしまっていることに気付いた】
【とはいえ、もう慣れた。全ての責任は当たり前に自分だ。この場所に身を置いてる以上、こんな挑発行動をしたのが悪い】

【余計なお世話ではあった。自覚してる。きっと〝怒られる〟だろうに】

……分かりましたよ。オレが死より苦しい目に遭うだの生贄になるって相談は今のうちノーって言っときますが
まあ、もうこの際、オレの処遇なんざお好きに。今のでヤな思いさせちまったでしょうし

オレも手っ取り早く治してもらうんで、早急に事は済ませるように努めます
ムリフェン様も、どうかゆっくり休んでください

【妙なことに利用されたって構わない。それこそ、生きた夢想装置になっても】
【多分、少し無理をしてきた反動が来たのだろう。良いやつぶるつもりこそ無いけれど】
【〝夢〟こそ潰えてない。みんなとひとつになりたい。ただ余計に苦しまなくともいいのにと思う】
【この場所で悪業は続けていくつもりではあるものの、心を折らされたばかりなので、もうどうにでもなれという状態だった】


【──翌日。そして、右腕が欠損した男が、部屋の前に立っていた】

【……〝思えば昔から馬鹿だった。何となく飛ばすのは苦手なんだよな、蛇念(コレ)。アナログ人間だからか〟】
【〝受ける分には全く構わんが、オレからの連絡だのは気がひけるッつーか……便利だから使っちまうけど〟】
【……〝いや、多分SNSだので発信すんのもキライだからだな。……距離が近いモンだから?ホワイ。謎だ〟】

(……どうしてオレァ、ハンパ野郎のファッキンサーバントなんだろうな)

【蛇に関する術も教わってはいる。……ただ、戦闘中は〝気が引けて〟使用を控えていて】
【……思えば己の信仰心を見てもらうために、証明するために、いつもヤク漬けで戦っている気がする】
【善人ぶりたい訳ではない。ただ手段を選ばない事が、何となく〝道理〟に反する気がする】
【手段?……別にそれは問われる事は無い、蛇教徒ならば持ちうる限りの手札で良いのに】

【……息を吐いて、蛇念を飛ばす】
【「ドープ・ラブ・ライクですよ。言われた通り来ました」】
【昨日との違いは、早速新調したらしい、同じ型のサングラスを掛けてる事くらいだろうか】

【そうして彼はかしこまったまま、入室した】


535 : 兼愛 信生(けんあい のぶき) ◆xgsUYuhzWc :2018/06/12(火) 08:29:21 Lxd3YeZA0
>>488

【──目の前に花弁のような落ちた転移魔術の紙を見つけると、凍りつく】
【過激な映画の演出みたいに、部屋がチカチカしたような錯覚に囚われた】

【思考の順次として、信生は、それだけ怯えていたとしても、〝すぐに逃げる〟という発想は無かった】
【分かってしまったからだ。彼女が何の悪意も、ひとかけらも無かった事が】
【ただ、何となく気まぐれに、〝お返し〟として信生に見せてみようと思ったのだ。罠も何も無く】
【表情からも見て取れる。傷つけてしまったことも、信生の動揺に呆然としてしまっていることも】

【だからこそ改めて、悪意が、他意が無くとも】
【〝価値観の相違〟を感じた。〝感受性の相違〟を抱いた】
【だからこそ、ミアの〝歪みと冒涜〟を認識した】
【だが──そんな〝枠〟にばかり当て嵌まるような女性じゃない事は、分かっていた】

【その〝冒涜〟は──余りにも無垢で、美しかった】
【ただひとつの想いだけで、ひたむきに続けて来たのだ。この狂気的な作業を】
【事情こそ深く分からない、けれど──あの時は少女のように可憐だった。そして深淵のように暗黒だった】


【その二面性が余りにも苦しすぎて、胸が詰まり】


……う、うぐッ、う
……うああ、ああ゛、ああぁ゛あああああん、わああああ゛ッ!!!
わああああ、ンぐ、ぅうううあああっ!!!

【号泣した。その場で頭を抱え、蹲り、咽び泣いた】
【子供のようにある程度叫んで泣いてから、それでも少しずつ、少しずつ落ち着いて】

【泣いた理由として、〝どうすればいいか分からなかった。〟それこそ子供のような感情だった】
【パニック状態だった。次にどんな言葉を、どんな事を伝えればいいのか、分からない】
【恐ろしい行いとはいえ──これからもミアが罪を重ね続けるとはいえ】
【早々に「やめて」と言える筈もなかった。だって、ずっと彼女は、恋の為に〝頑張って〟来た筈だから】

【〝トモダチ〝として。同じ〝研究者〟として】
【それを全否定する真似は出来なかった】

……

【何をもって、何を答えれば良いのだろう】
【何を】

……ワタシは……

【──ただ、今この瞬間。とにかく、〝嘘じゃないこと〟を言えばいいと思った】

……それでも……

ワタシは、キミの事がダイスキで、トモダチだと……思ったんだ
ワタシは……キミがスキなんだ。ダイスキなままなんだ
キミとみんなで、ピクニックしたいんだ……

いまは……分からないけれど……
帰りたくない……許されるんなら……キミの側にいたいよ……邪魔なら、よいのだが……

……おかしいかな……迷惑、かな……


【その言葉は、信生の〝ヒトを嫌いにならない〟どうこうに関わらずだった】
【今この場で何を見ても、悪意が無い以上、彼女の事は現状〝ダイスキ〟だと思っているままだった】
【彼女の中で深く刻まれた〝Mia〟は、ずっとずっとトモダチでいたい対象だった】

吐いちゃって……怖がってしまって……
傷つけてしまった……ごめん……だが……

わかんない、わかんないけど……このキモチは嘘じゃないんだよ、ミア……

【──追い出されたって構わなかった】
【見上げて、やや緊張した面持ちを向ける。蛍光グリーンがビクビクしていて】
【涙を浮かべる。その後俯いて、また啜り泣き始める。声を上げ始める】
【拒まれても構わなくて、だがそこに、自分の何を犠牲にしてでも、何を為し得てでも側にいたいと願う〝覚悟〟はあった】

【実際、〝傷つけてしまった〟ことは、耐え難く申し訳ないが、】

【〝住む世界が違う〟ことは】
【〝トモダチ〟で居られない理由としては、明らかにハッキリとしていて、十分で】
【自分はそれでもよかった。だが彼女は?──だから、自信は無かった】


536 : アリア ◆1miRGmvwjU :2018/06/12(火) 10:52:10 ekRwln9M0
>>530>>531

【おかしなことを言うものだと思った。自分が自分であるかどうかなんて、おとなになるまでに誰だって悩む馬鹿馬鹿しい命題なのに。】
【なのに自分は変わらず其処に在り続けているのだと、悩むことなど無かったと、かえではそう告解するから。それは信仰の為せる業なのか、或いは、ともすれば ──。】
【それにつけても何と羨ましいことだろう! なにかを唯に信じていれば、自分が自分でない猜疑からも、自分が消えゆく恐怖からも、自由でいられるというのだから。】

【鮮烈な色合いの中に入り混じる文字通りの鱗片が不確定性原理的な残光を閃かせて、それは乱れ舞う藤色の絹糸に良く調和するから、】
【儚い触媒として白銀は重なる。成る程それは舞踏に似ていた。 ── 誘うように、引き摺り込むように、手を握られたのなら尚のこと。】

【 ── 微かに目を見開く。指先の感覚がぼやける。「なにかされた」と悟る。けれど握り込まれるかえでの指先だけは鮮明である。蛇を名乗るには随分と温かかった。】
【脳幹からの信号を最大限まで増幅するのに、膝の力が抜けそうになる。それでも2つ、引き金を絞り込む。】
【ライフル弾クラスの弾速が生み出す致命的な衝撃波と運動エネルギーをゼロ距離で喰らえば、まともな人間なら立っていられない。 ── 手の中で、炸裂の感覚。】
【"殺った"。手応えこそないから、確信はせずとも、顔を見上げる。 ── そうして、青い瞳の中に映り込む歪んだ笑みに、乙女らしく全く残忍な笑みに、戦慄して。転瞬。】



     「あ゛、かは、 ──── ッ。」



【 ── "なんだこれは"。理解が追いつかなかった。ただ、腹の灼けて裂ける感覚、筋肉も内臓も僅かな脂肪も滅茶苦茶に掻き混ぜられて引き千切られる感覚。】
【よろめいて、アリアは数歩後ろに退がる。間違いなくそれは"死に至る"感覚だった。序でに、柔らかな左手から与えられた甘美な痺れが今更堰を切って、片膝をつく。】
【反射的に腹部の痛覚神経をカットする。なのに痛みは止まない。なんだ、これは。困惑と、微かな恐怖、 ── に、よく似た震えを、瞳の中に宿しながら、かえでを見上げた。】
【酷く手酷く咳き込みながら。こんな感覚はとうに忘れた筈だった。脂肪も筋肉も内臓もとうに彼女は喪っている。数瞬のうちに痛みは止んだけれど、それでも苦悶は堪えられずに。】
【半ば嘔吐じみて、まっさらな唾液で喉を濡らし、力なく垂れ下がった両手の先から、ぼたりぼたりと淀んだ血溜まりが産まれた。】



「 ッッ ──── げほ、っ。ぃ゛っ。……なに、を、した、のよ …… !!」
「しか、も。それで、まだ、 それを受け止めてまだ、── 生きてる、なんて。大概な淫売ね、貴女 …… ッッ!!」



【それでも気丈であるのだろうか、それでいいとばかりにアリアは色素の薄い顔立ちを笑みに歪ませ、口汚い悪態を吐く。げほッ、と腹部の痙攣から来る生煮えの呼吸も吐く。】
【余りにも大きな隙を晒していた。両手の銃は降りて、片膝をつき、喘ぐ呼吸は漸く幻の痛みから解放されたばかりで、直ぐに動けるはずもない。それを罠と捉えることも、またできるのだろうけれど ──。】


537 : ◆XLNm0nfgzs :2018/06/12(火) 11:57:49 BRNVt/Aw0
>>525

【挑発にも乗る事なく、寧ろ楽しそうに言葉を返す少女。ぽんぽんと返される言葉は嘘で飾り立てるの為の物ではなさそうで、ならばそうして延々と話す事で本心だとかを隠しているようにも思えて】
【少女はこの言葉には答えない。ただ彼女が話すのを聞いているだけだ】

見てはいけない部屋を覗く、美男子の衣に針を刺す、ね……
人の好奇心は際限ないもの、だけれども
黄泉路で振り向いて女神と憎み合う結末となった神様がいるんだもの
神様だって好奇心には勝てないものなんだよ

──Curiosity killed the cat.

……なんて貴女は言うんだろうけど、御生憎様
私は難なく生き延びてみせる


……サーペント・カルト……!?
やっぱり噂は本当だったんだ……!
【余裕綽々、といった様子で笑っていた少女の目の色が、相手の名乗りを聞いて変わる】

【虚空に舞うマゼンタのリボン。それが足元に向かって伸びたのなら、少女は後方へ跳びそれを回避しようとして】
【着地と同時に肩の隣に設置していた氷柱を一本、相手の右肩へと飛ばそうとする】

……蛇神の末裔の少女を貴女は知ってる?知ってるなら何処にやった!?
【ぎり、と相手を睨んで】


538 : ◆S6ROLCWdjI :2018/06/12(火) 12:00:20 tXf90rts0
>>535

【おそらくだけど。一種の、試し行為だったんだと思う】
【無茶苦茶なことやって、相手がどこまでついて来てくれるかを計るやつ】
【幸いなのかそうじゃないのか。彼女の周りには、狂気に呑まれた人ばかりいて】
【こんな彼女でも一緒にいてやるって笑ってくれる人が多かった】

【そうでないなら――お前は間違ってるって、敵意を向けてくる人】
【それでも別に、何ら問題はなかった。その人の言っていることは何もかも正しいと思う】
【どう考えても彼女は、人の心を持った人間ならまずやらないことばかりやるから】
【だから別にそれに憤ったりすることはなかった、まあ当たり前のこと言われてるよね、って】

【――ぶっちゃけ信生は後者だと思っていた。当たり前に、平和を愛する人だと思ったから】
【だからこそなんで――否定されて傷ついてしまったのかは、わからないけど】


【 それでも、信生は。そのどちらでもないって言う 】




…………好きなの、クーラのことが。いつからか……これからも、きっと。
好きで好きで好きで好きで、ずっと一緒にいたいと思ってて。
でも死んじゃったの、八年前、あんまりにもあっさり、……僕の前からいなくなった。

だからね、もう一度逢いたいって思うの。そのためならなんでもやるって決めたの。
お金が、たくさん、必要だから。材料とかいろいろ買うために。だからね、
本当になんでもやってるよ、非道いこと、たくさん……
人を殺したり。正しい生き物を間違ったバケモノにしたり。それでも足りないなら、
好きでもなんでもない人と■■■■することだって平気でやるよ。

だからね、ノブ――――僕の名前は「ミア」じゃなくて「ブラスフェミア」。
「冒涜者」って意味なんだよ、――――知ってる? 知らなくても、いいけど。

【泣き喚く信生、見下ろして。ずっとそれを見守って、黙っていた】
【数十秒、あるいは数分、もしかしたら数時間。永い永い沈黙のあとに】
【永い永い、独白をはじめて。その最後に、改めての自己紹介】
【自分はひどい人間なんだってアピールする、それはきっと、信生を突き放すための】

【止まっていた足が動き出す。ゆっくり歩く。信生に近づいて、しゃがみ込み】
【信生が手にしなかった紙をつまみ上げる。ひらり、振って、――術式が作動し始める】


「ミア」なんていなかった。「ブラスフェミア」っていう、悪い悪い人でなしが、
あなたに悪夢を見せたんだ。だから、ノブ――――――ゆっくりおやすみ。


【――――許容できない。受け入れられない。それでも友達でいていいか、って、信生の問い】
【それに対する「冒涜者」のアンサーは――――――「忘れてくれ」。そういうもの、だった】
【何もかも悪い夢だった。だから早くここから出てって、……光の中で、目を、覚まして。】


【転移術式が作動する。ぱっと瞬きするみたいにまた風景が移り変わるだろう、元居た場所、水の国へ】
【寒い国の光景が途切れる瞬間、「冒涜者」が最後に見せた表情は――笑顔だった】
【さようならの五文字を無言のうちに籠めて。それは、人でなしが、最後の最後に見せてみた】

【――――なけなしの、とうに亡くして久しかったはずの。人のココロだったのかもしれない】

【そうして、それから。「冒涜者」は追ってこない――なら。残滓も何も残らずに。今日の出来事は、きれいさっぱり消えていく】


539 : 名無しさん :2018/06/12(火) 13:15:27 smGhObkI0
>>533>534

――――――あ、待ってください。今全裸なんで。お風呂上りなんで。ちょっと。5分くらい。

【――翌日だった。ならば彼女からの一番最初の反応は、これ。昨日は待っていたけど気づいたら眠ってしまっていて】
【別に待たずに入っても何も問題はないんだけど――そしたら言葉通りの光景を見るだけ。けれどきっと彼は慌てて出ていったり、してくれそうで】
【それとも聞いた瞬間開けかけたドアを閉じたりするのだろう。――しれっと入室してなければ、そこから少し数分後に、室内からドアが開けられて――】

どうぞ、髪びっしゃびしゃなんですけど、ごめんなさいね。乾かすのまで待ってもらうとなると、まあ、30分くらいはかかるんで。
ドライヤーしながらしゃべっていいですか? 

【今度こそ、招き入れられる。――ならばそこはわりに広い部屋であった。サーバントたちに与えられる部屋の、なんていうか、そう質の良くない寮みたいなのに比べたら】
【――もちろん、その部屋にも多少のランクみたいなものがあって。きっと彼はありふれたサーバントよりよっぽどいい部屋をもらっているのだろう、けれど、それよりも】
【ちょっとした都会にあるちょっとしたホテルの、ちょっとした一番いい部屋。そういう感じだった、――なんとかホテルのなんとかスイートとかでは、絶対にないけれど】

【いろんなものがあると感じるのかもしれなかった。それは様々な趣味の道具、縫物にプラモデル、天体望遠鏡に画材に、折り紙、フィギュアや人形に、カメラ――】
【たっぷりの本を詰め込んだ書架。それも中身はちぐはぐで、手あたり次第に見えるラインナップ、模造刀に作りさしのちりめん細工。フルートが箱ごと床にほかしてあって】
【無貞操なあり様、けれど広い部屋であるから、よほど散らかっているとは思わせず。よく日差しの入る部屋だった、そういう意味では、女の子らしい部屋に似る】

――あれ、腕。駄目だったんですか。でも、善かったですね。ウヌクアルハイ様のお姿に近づくため、にしては不完全が過ぎますが。
新しく蛇神の印を入れ直さないといけないですね、手配してあげますよ。――それにしても、蛇教の人間の、よりによって蛇神の印を狙う不届きものが居るんですね。
一体前世にどんな悪いことをしたなら、そんな風なことを思いつき、実行に移せるのでしょう。――"善い事"にまだ気づかれていないのですね。

【――Tシャツだった。緩いTシャツに、下着をつけていないのだろう。元から柔らかそうな胸元が余計に柔らかく揺れて、足をほとんど露出するホットパンツ、それが服装】
【頭にすっぽりかぶったバスタオルで髪の水気を吸わせながら。自分は自分のベッドに腰かけている、それから相手には――「まあどうぞその辺」とあんまりに適当な薦め方】
【ひとまずテーブルと椅子はある。それともクッションが転がされているラグマットの上でもいい。フローリングに正座、は、多分楽じゃないからオススメしないけれど】

"誰"ですか? 必要であれば、"教え"に行かねばなりません。

【そうして少女は"誰か"を憐れむように目を細めた。――あるいはその名を聞けば、"名前だけは"知っているのだろうが】

/ぶんかつです


540 : 名無しさん :2018/06/12(火) 13:15:51 smGhObkI0
>>533>>534>>539

それで――――今日は、どうも。お加減はどうですか? 死んでないなら上出来です。一晩あったので調べておきました、最近生贄集めてるんですか?
誘ってくれたら一緒に行ったのに。今度よかったら一緒に行きましょうね、――――で、早めに本題の方がいいですか? そうですね、それなら、頼まれて欲しいことなんですけど。

……最近、ちょっと、正義組織が私たちのこと、探ってるかもしれないみたいなんですよね。正義かは知らないですけど、エンカウントもしました。
なんだっけ……ガードレールとキスしてたおじさんなんですけど。――白神鈴音の仲間だと名乗ったんですね。それで、白神鈴音を取り戻すと。知ってますか? 白神鈴音。

UNITED TRIGGERに所属する人間らしいんですよね。ですけど、これは誓って言います、――蛇教に白神鈴音という人間は"いません"。
そういう人間は、幹部はもちろん、サーバントにもいません。つまり、完全に言いがかりです。勘違いです。正義性妄執です。すなわち厄介なんですよ。

あいつら、妄想甚だしく、行動力は人一倍ですからね。――つまりね、居もしない仲間を"取り戻す"ために、行動すると予想されるんですよね。
白神鈴音を取り戻すなどと言っていましたからね、多分やりますよ。――ていうか、もうやってるのかな。よりによって、ウヌクアルハイ様の受肉が間近に迫る今。
最悪のタイミングです、いつ乗り込んでくるか分かんないんです。分かんないので――ちょっとお願いがあって。私はですね、会っちゃったので、共有されてるかもなので。

【ベッドの淵で足を組んだなら、お風呂上りの鮮やかな色彩の白肌が惜しげもなく見せつけられる――素足。その指先の、小指の、うんと小さな爪までも】
【手元では気にせずバスタオルでわしゃわしゃ髪をやっている、「――なので、お願いっていうのは」】

ちょっと探って来てくれないですか? ――なんでしょう、探る、というか、威力偵察というか。内容は"お任せします"。

【――にこりと微笑んだ。花嫁のベールより俗っぽいバスタオルのベールをかぶったまま。マゼンタの鮮やかな瞳に、パイル地の影を落として】

――やらない善よりやる偽善という言葉があります。すなわち、やる善に偽善は敵いっこないんです。そして、当然、我らの行動のみが"善"であります。
くだらない偽善の行いによって、正しく善である我らの行動が妨害されてはなりません。善を害する悪は――そうですね、なるだけ、取り除いてくれたら嬉しいなあ。

【ごそりとバスタオルからから顔を出す、首元にかけたなら、くちゃくちゃの髪をそのまま飾りみたいにしてしまって、はにかむのだろう、優し気に】
【それは"お願い"の体をしていた。誕生日や記念日の前にブランドもののネックレスがほしいなあ、って、恋人の腕をつーっと撫でながら甘えるときの、声をしていた】

ウヌクアルハイ様が受肉され、向かう先が露で濡れていたら、そのお身体が濡れてしまいますよ。――払ってください、一滴残らず。

【――――だけれど彼であったなら、何か、気づくのかもしれない。たとえば、そう、ラサルハグェが言っていた言葉。――"鈴ちゃん"】
【櫻の方の言葉について分かっていたなら、共通の一文字を導き出せる。だからって確実ではない、気のせいかもしれない、でも、わずかな引っ掛かりがあって】
【露払いをしろと求める、――今度は、かわいらしい少女の声を、していなかった。彼より上の人間として命令する。方法は問わない、けれど、邪魔をさせるな、と】


541 : 兼愛 信生(けんあい のぶき) ◆xgsUYuhzWc :2018/06/12(火) 13:41:09 0X1akVLk0
>>538

【彼女の独白に、涙が浮かぶ。声を押し殺して、嗚咽を漏らして、また泣く】
【〝そんな、やめてよ〟〝お金は私が、いくらでも貸すよ、お願いだよ〟】

【──クーラが好きなのに】
【──そんなこと、しちゃ、だめだよ】

【苦しいよ、ミア。悲しいことはやめて。自分を傷つけるのはやめて、追い詰めるのはやめて】
【言葉に出したいけど届かない。八年間の冒涜はこの場でひっくり返らない事は知ってるから】
【彼女が生き続ける限り費やされる。実験が終わらない限り──五線譜のようにこの先も、続く】

【愛は分かるけど、恋は分からない。でも、】
【苦しかったと思う。そんな月並みの言葉以上に】

【だって死んだら】【残されたら、何も出来ない】
【どれだけ愛を紡いでも】【どれだけ抱き締めようとしても】
【お出かけしようと約束も出来ない】【ご飯を食べようと思っても居ない】
【手を繋ごうと思っても】【一緒に靴を履こうと思っても】【今日何を食べたいのか聞こうと思っても】
【チャイムを鳴らしても】【窓を眺めても】【大好きな公園に行っても】

【そこに居ない】
【どこにもいない】
【──君がいない】

【彼女の愛する〝クーラ〟は、戻らない】
【だから彼女は執着した。置いていかれる怖さを、彼女は体験してるから】
【大好きな人を、創ろうと、思ったのだ】


【彼女は、さびしいと思ったんだ】


【遠退いて行く。景色が。どれだけ手を伸ばしても届かない】
【最後に見えたのは〝笑顔〟。積み上げた死体の側で、彼女は綺麗に笑った】

【何でキミは笑ったんだ、ブラスフェミア】

──

【口をしばらく開閉し、再びその場にうずくまった。どうしようもない喪失感が襲った】
【やがて大声を上げて泣き始めた。涙と鼻水でぐちゃぐちゃになりながら、わき目も振らずに衝動を叫んだ】
【街行く人々が驚いた。スーツ姿のサラリーマンや、街の整備士まで、怪訝な顔をして彼女を見た】



──ワ、タシ、はッ……あき、諦めないッ、からな……ッ!!
キミ、のッ、キミの、トモダチで、居たいよ……ブラスフェミア……ッ!!
また──また、会いに、いくから……!!

何年経っても!!──おばあちゃんになってもッ!!
絶対、また、会うから!!嫌だって、言ったって、絶対、絶対ぃい……ッ!!

【呼吸を荒げながら泣く。そうして、虚空に向けて伝える】
【のどが裂けるんじゃないかという声量で外で叫ぶ。今も寒い何処かにいる、アナタに伝えるために】

……

【ひとしきり落ち着いたら、白衣にぐいっとでろでろになった顔を押し付ける】
【──答えなんて考えても出なかった。自分がブラスフェミアを止めたいのか、見届けたいのか】
【でもひとまず、〝会いたい〟という気持ちはあった。──クーラの事を思うと、少し胸が苦しくなった】

【ただひとつ言えるなら、分かる事がある】
【少し俯いて、彼女は呟いた】




──それは冒涜なんかじゃなくて、多分、恋だよ




/凄いロールありがとうございます…
/お疲れ様でした…!!


542 : 名無しさん :2018/06/12(火) 13:43:33 smGhObkI0
>>536

【――少女は笑った。マゼンタを極限まで蕩かすように、――きっと同じ感覚を"共有"した相手を、慈しむように、愛おしく思うように】
【それはうんと大きなホールでピアノの発表会。オオトリで一番難しい曲を演奏し終えた我が子を抱き留めときの色合い、よくできたねって、頑張ったねって、言うように】
【ならば――――限りなく善でコーティングされていた。どれだけ苦い薬も糖衣で囲ったなら甘く感じるみたいに、善意、祝福する色合いだけが、そこにあって】

――――あははっ、それが、それこそが、……ウヌクアルハイ様、の。くだすった奇跡の一つです、あなたは今――ウヌクアルハイ様の奇跡を"知った"んです。
――"Itzamna"。すべての蛇神はウヌクアルハイ様の化身であり、――まさにその欠片の一つを、ウヌクアルハイ様は授けてくださった。

その奇跡を体感して、であれば、心変わりは、しませんか? ――下らぬ首輪など振り切ってしまうの、悪くないと、思うんですけどぉ――、――。

【だけれどそれはだからと言って少女が負ったダメージのあんまりな大きさをごまかしきれない。ぐうと穴をあけられた腹部を手で抑える、指先が埋めた阻害を撫でて】
【麻酔を施されたような感覚であった、――あんまり好きではない。いっそ少し気持ち悪いとすら思うのだが。――よろめいた相手との距離を生めるように、歩むなら】

――"もっと"。教えて差し上げましょうか? ふふ、っ、――痛いのは苦手ですか? でも、痛くするのはお好きですよね?
なら私が教えて差し上げます。優しく。脳髄が狂おしい甘さに焼き切れそうになったら、教えてくださいね。――私が阻害してあげますから。

自分で撃ち抜いた痛みに悶えるのはどのような気持ちですか? 自分で自分を撃ち抜くのとは違いますよね、撃ち抜いた他者の痛みを。――神の奇跡によって知るのは。
――――ねえねえ、その顔、すっごく好きです。もっと虐めたくなっちゃう。だから、もうちょっとだけ、いいですか? 先っぽだけ。意志薄弱な男みたいに。

根っこまで挿しこんじゃいますけど、誤差ですよね?

【――それでも覚束なかった。当然だろう、本来なら即死しても違和感のない傷を負って、服にしみ込んだ服が足を伝って、つう、と、真っ赤な一筋を描くから】
【ならば執念なのかもしれなかった。――それが罠なのかもしれないと疑うことはできない、あるいは、しない。ふらりと歩み寄る、なら、今度は――】

――――――――――淫売だなんて、ひどいです。それに。――そしたらあなたも、言い逃れ出来ないですよね?

【――今度は少女が相手を下に敷こうとする、――といっても、彼女は結局どうあれ少女であるから、力は特別に強くはない。ならば、相手の隙、極限まで利用するほかなく】
【――――罠であったなら、もう戻れない場所まで踏み込んでしまう。がっ、と、体重全部、かけるみたいに、押し倒そうとして】


543 : 名無しさん :2018/06/12(火) 14:11:51 smGhObkI0
>>537

――――そうですね、死んだ人間を生かすには想像以外に方法はないんですよ。
そこに居るのが間違いなくその人であると。自分の知るままの姿であると。――想像することが出来たなら、救われたでしょう。

なので、それは、好奇心ではないですよ。信頼関係の欠如です。疑いが芽吹いてしまったんです。だので、確かめないと、いけなくなった――。
不信とは恐怖です。そして裏切りを導く松明になります。その結果にすべては焼け落ちる。――であるからこそ、私たちは正しく善を貫くのです。すなわち、

――ウヌクアルハイ様を信じる。

…………噂ですか? なんでしょう。入信すると豪華粗品がもらえるとかですか? ネットに書いてありました。割と嘘ですよ。

【相手の表情が変わる。その瞬間を、それでも少女は微笑んで見ていた。好奇心は猫を――でも。神話の神様が侵してしまったルールは、それは、好奇心とは違うから】
【我らはそんな風に失敗しない。神を疑り振り返る愚を犯しはしない。口元に沿えた左の指先、その先っぽを噛んで、ずる、と、引き抜いたなら。――脱皮を模倣するように】

誰ですか? 完全に知らないです。そんな珍妙な経歴のサーバント、居たかな。幹部には居ないと思いますよ。

【そんな彼女の表情がわずかに陰った、――というよりは、また、予想外だった、ような顔をする。回避されたリボンがぐるりと中空で翻ったなら】
【その背後から――今度は、その側面を鋭いナイフのように煌めかせて、迫るだろう、――死角からの一条。狙いは肩口、その利き腕側を切りつけようとして】

【――もしもその光景に目を取られていたなら、気づくのはなお難しいのかもしれなかった。だって、そこには、鮮やかに"蛇"が居たから】
【指先までをそろえて伸ばしたならば、まるで本当に生きているように見える。それほどまでに鮮烈に精巧な蛇がそこに居た。――当然、自傷の痕もなく】

――――――どこにやった、も、何も。その方が自分自身で"善い事"に気づいたのであれば、それは、祝福すべきではありませんか?
他者の。あなたの。物差しに則って、その方の行いを否定するのであれば、下品であると言うしかないでしょう。原始的です。理解と共感は別物ですよ?

理解するけど共感はしない。共感するけど理解できない。――理解も共感もしないで喚くだけだなんて、赤子と何が違うのでしょう、イヤイヤ期ですかね。

……ていうか、そもそも、そんな人がいるのかも私は知らないです。偉いからって、全部知ってると思わないでください。新参ものなんで。
立場も権限もあっても、なお、人間ってめんどくさいんですよ。どっからどう見て考えても格下なのに気を使わないといけないことって、あるじゃないですか?

【そんな顔がかすかに醒める、――この前もこんなこと聞いたなと思うし、言ったなと思う。なんでそういうことを聞く人間はくだらないことを言うのか、よく分からない】
【共感できない。取り戻そうとする正義感を理解はできるけど。――そのために他者の思いを無視していいと思う気持ちは、あんまりに野蛮に思うなら】

ま、ほんとにムカついたら消すんでいいんですけど。あっちも分かってますからね。最後の一線は超えてこなくて。

【――――それでもなお、その言葉は蛇教の中にある歪さを浮かす。当たり前に人が死ぬ場所。だからこそ彼女が間違えていた、歪んでいた、でも、揺らがない】


544 : 名無しさん :2018/06/12(火) 14:39:25 smGhObkI0
【――――――"それ"は夢だった】
【その場所において、彼は、ありふれた一般人の一人だった。朝起きて、会社に行って、仕事して、少し遅い夜に家に帰りつくような】
【時刻は朝。ワンルームのアパートの一室にまだ新しい朝日が差し込んで。彼の目の前にはいましがた彼が自分で用意した朝食が並んでいるのだろう】
【それをほとんど意識しないで食べながら、彼の目は手元の新聞を見ている。その向こう側にはテレビがついていて、眼鏡にスーツの男がニュースを読み上げている】

【――「先日お伝えした蛇の大移動についての続報が入ってきました。蛇たちは、とある一か所を目指して移動しているようです」】
【――「目的は不明ですが、近隣の住人達は、この珍しい蛇たちの行動を優しく見守るつもりだと、インタビューに答えました」】

【画面に映し出されているのは地図。どこかの地図だった。そしてとある地点に蛇たちが向かっているといるのだという矢印マーク。一か所を指差して】

【――「続いて、先日発見された新種の蛇神の名前が発表されました」】
【――「*******と名付けられた蛇神は――――――――――――」】

【そんなニュースを聞き流しながら、彼は、新聞の一ページを捲るのだろう。――見開き一面に一つのニュースが書かれていた、それはちょうど、ニュースと同じ】
【ついこの間発見された新種の蛇神の名前が決まったのだという。おっきく掲載された写真は色のないものだったが、それでもなお、美しい蛇であるのが分かり――いや】

――――――――――見つけた、

【――その紙面から、ぞろり、と、何かが這い出た。這い出て、そして、彼の頭を掻き抱くように、伸びてきて】
【"鈴の音"によく似た声だった。けれど"彼"はそれを知らない。知らないはずなんだけど。――その瞬間に理解するだろう、これが、夢であること】

【そうして"何か"は、もはや"彼"でなくなった"あなた"を新聞紙の中に引きずりこむのだろう。がさりがさりと耳障りな音が並べ立てられる、堕ちるような感覚の中】
【たっぷりお茶会も出来そうなくらいの時間感覚の後に、"あなた"は、"カニバディール"は、気づくだろう。無限かと思うほどの暗闇の中であった、そしてその眼前に】
【がさがさした。それこそ蛇が脱皮した抜け殻のような。そういうカーテンのような、ベールのようなものが、張り巡らされて。――けれど、触れようとしたなら】

……――触らないで! ――やめて、触らないで、ほしいの、えっと、……、ううん、えと、――わたしを、見ないで、
――わたし、いま、ちがうかたち、してるから。見られたら、……上書き、されちゃうの。だから、みないままで、――、わたしを、見ないままで。
名乗られないままで。わたしが、わたしで、わたしが何か、いわない、ままで、……――あなたの中にある、わたしを、使って、しゃべるから。

……だから。わたしに。わたしは誰かを。聞かないで。……それだけ。それだけ、約束、してほしいの、――――おねがい。

【その向こう側から、張り裂けそうなまでに鮮烈な鈴の音の声が、それを、制止する。あるいは拒絶する。――すぐに言葉が続くなら、怒ってごめん、と、謝るみたいに】
【どこかためらうような、困惑するような、声だった。――最後には懇願するようになって、でも、その姿はうかがえないし、見てはいけない。声以外を、認識してはいけない】

【――それが、この場所でのルールだった。確かめてはいけない。想像し続けないといけない。現状を知ってはいけない。過去から地続きのイメージを持ち続けないといけない】
【尋ねてはいけない。確認してはいけない。そこにいるのが――白神鈴音、という存在であると、あるはずだと、想像し、それを信じていなければ、この場所は消えてしまうから】

………………――。

【相手の答えを聞かねば、それ以上は話せない。話すことができなくなる。そういう様子で以って、彼女は、一度言葉を区切るのだろう】
【がさがさした薄皮が幾重にも重なった向こうには確かに誰かの気配があった。だけど。――それを確かめてしまったなら、現実は記憶を上書き、してしまうから】

/予約のやつですっ


545 : アリア ◆1miRGmvwjU :2018/06/12(火) 15:10:19 plDFHdWU0
>>542


【対してアリアもまた笑っていた。それは虚勢であるかのように見えるかもしれないけれど、 ── 本質としては、もっと、悍ましいものだ。】
【真っ直ぐな善意が上辺を包むなら、きっと女は噛み砕いてしまうのだろう。ぎり、と歯噛みをするのは、知れぬ何かを堪えてのこと。】
【なれど吐き戻した唾を垂らす唇は歪んで、愛おしげな笑顔を向ける。青い瞳が潤むのは、はたして痛みの涙ゆえだろうか?】



「 ── ッ、ふふ。結構なことね。」「嫌いなんかじゃないわ。血以外の、まっとうな身体は、とうの昔に捨ててしまったから。」「ずいぶんと、懐かしいものだった。」
「ねえ、分かる?  ── 自分が『生きてる』って感覚。」「あと少しで死んでしまいそうだからこそ、初めて際立つの。自分が、ここにいるって、実感 ── 。」



【何のことはない、女もまた狂人である。生身の体を棄てたから、死地に赴かずにはいられない。自分の命を剥き出しの悪意に晒さなければ、ぼやけた夢に沈んだままで。】
【或いは人殺しを標榜する理由もそこにあるのだろう。自分を殺してくれるような人間と出会いたい。その時に初めて生きていると思える。 ── 失くした痛みを思い出させてくれる其の"共感"は、何より甘美な毒で。】

【 ── 己れを押し倒さんとする少女を、あろうことかアリアは「抱き返そう」とするだろう。両の腕に握った銃を、かしゃん、と固い地面に落としながら。】
【細い指先が背筋を擽り、歪んだ傷口を咎めるように撫ぜて抉って、二の腕に力を込めれば、華奢な躯体は軋んでしまうだろうか。】
【そのまま、組み敷かれるがまま、血まみれの地面に背中を預ける。およそ女体として理想的な、柔らかい肉体が執拗に、かえでへと絡もうとする。 】
【崩れた白銀の前髪、その裏にある傷跡は、なによりの至近で見つめ合い。夢見るように蕩けた青い瞳と、どこまでも無機的な望遠レンズの義眼。】
【 ── 細く、けれど潤んだ唇が、そっと耳打ちする。湿った声で、囁く。白い喉を甘く鳴らしながら、愛し合うように。】



「ええ。だから、もっと、教えて頂戴。」「痛いのは、貴女もお好きでしょう。」「カミサマのお陰だなんて、微塵も思いやしないけれど、」
「ならば感じましょう。ふたりで。」「痛いのも、苦しいのも、 死んでしまいそうなのも ── 其れが有って初めて、解るものがあるから。」

「ね、 ── どちらが先に気を遣るか、でしょう?」「かえで。」



【 ── 名前を呼べば、きっとそれが合図になるだろう。明らさまな陥穽を、かえでが拒まず全て受け入れていたのなら。】
【戦闘用義体の馬鹿げた駆動出力を以って、細い両腕は万力に似て、しなやかな肢体の中、かえでの身体を締め上げようとするだろう。】
【骨は砕けるかもしれない。臓腑が潰れるかもしれない。 ── そうして動きを封じたのなら、アリアの流した血溜まりが、昏く燃える輝きを宿す。】
【処刑人の血潮。彼女の持つ異能。己れの血から、あらゆる凶器を産み出す力。飛び散るように散らされた無数の血痕より、 ── 現れる幾多もの「レイピア」が、】
【「ふたりを」貫こうとするだろう。痛覚も傷跡も厭わずに。その感覚を分かち与えられると知りながら ── それはきっと、甘く爛れた███に似ていた。】

【根競べであるなら、痛覚の阻害が効くかえでに分があるだろうか。堪え難い苦痛の中であれば、何処かで折と隙を見て、拘束から抜け出すことも可能だろう ── 。】


546 : 名無しさん :2018/06/12(火) 15:58:15 smGhObkI0
>>545

【阻害された痛みが――けれど、どこかにあるのは、理解している。その鋭く無視していられれない感覚を遮断したなら、思考回路は、その分勝手に目減りして】
【――がつ、と、相手の身体を押し倒す刹那に、抱き返された。――マゼンタの瞳が見開かれる、その向こう側に、がしゃん、と、銃が落ちる音を聞いていたなら】
【倒れこむ相手の勢いに巻き込まれて、彼女もまた地面に引き倒される。そして何よりその時には相手に抱き留められているから、逃げることも叶わぬはずであり、】

――っ、っ! もう、――駄目ですね、我慢しないと、駄目ですよ? 兎とかじゃあ、ないんだから――! ――くそっ、! 離っ――、

【嵌められたと気づいた。それなのに、相手は――やはりどうしてか好ましかった。このまま抱き留められていたいと願ってしまいそうになる、あの夜のように】
【ぐっと力を入れて逃れようとしても――おそらく万全であったとしても、敵わないはずだ。ならばそれは子供の戯れにさえ見えた。それくらいの、力の差があって】
【――――それでもなお、耳元で囁かれる声に、ぞくりとしてしまうから。それはやっぱり、"おかしい"ってことなんだと、思う。――刹那、抵抗が緩んだ、時だった】

――――――――――――――――ッア、

【ぎちり、と。機械に巻き込まれてしまった哀れな人間みたいに、彼女は小さく潰れる吐息を漏らした、締め上げられた胴が不自然に抱き寄せられて、身体が反ったように】
【なったなら――それでも彼女は新たな痛みが脳内を犯して回るスパークが弾ける瞬間に、相手を再び掴み上げようとしていた。蛇を動かすだけの意識もなく、無理やりに】
【リアルタイムで感じる痛みをまた相手へ伝えようとするのだ、――けれど、それは、分が悪い。彼女が与えられる痛み壮絶ではあったが、実体を伴わないから】
【痛みだけでなく傷を負う彼女のほうが、被害が大きかった。当然だろう。それでもなお、おんなじ痛みを相手に伝えると言う奇跡は、恐ろしいものではあったけれど】

――――、

【――――次の瞬間に、彼女はもう吐息すら漏らせない。ばきりとどこかの骨が弾ける音がして、だけど肺を押しつぶされて、息さえできない】
【その瞬間を無数のレイピアが貫くのだろう。アリアごと。であればそのいくつかはアリアを貫いた切っ先で以って少女を貫く、――出来の悪い昆虫標本みたいに】
【マゼンタ色の焦点がぶれる。――吐息の代わりに血反吐を吐いた、ごぼり、と、整った歯列の隙間から溢れさせて。けれどそれは、それだけは、執念であるかのように】
【ぎゅうっと掴んでいるなら、――その手は、離さない。恋人同士がそうするみたいに、縋り付くみたいに。左手を。絡ませようとしたなら。すなわち、痛みはリアルタイムで】

【――骨がいくつも破断している。身体じゅうを突き上げたレイピアは肉はもちろん、いくつもの内臓を刺し貫いて、傷つけて、その背中から生えている】
【それはきっと常人であれば耐えられるはずない痛みだった。少なくとも、腹を撃ち抜かれてなお、堪え切れる痛みでは、ないはずだった。――相手もおんなじ、痛みを知るなら】
【どうしようもなく歪んでしまった人間同士が縫い付けられているさまは誰かが見たならばどんな風に思うのだろう、泣いて縋るだろうか。神に。救ってやってくれと】

――くぁ、ア、――っ、ふ、い、――、――ひどっ、い、よお、――アリア、さん、……、こん゛なのっ、……、しんじゃう、じゃ、ない、――です、か、ァ、
痛いよ――、でもっ――、ふふ、あは――っ 、 ――"おんなじ"ですよね? ――――――――だから、いいや、

【勝手に出て来る血を吐き戻す、相手の胸の中であるのを気にはしなかった。しばらく溺れたような吐息を繰り返して、やがて、息も絶え絶え――物理的にも――声を絞り出す】
【ひどいよって言って、けれど、笑っていた。痛いと言って嘆く、――だけれど最後には、些事であるかのよう。興味をなくしてしまう、その胸元で】
【唯一縫い付けられずに済んだ頭だけをかすかに動かしたなら。――甘いシャンプーの香りがする。血の匂いを添えたなら、世界中どこにだって存在しない、香水になって】

――――――――ねー、ぇ、しんじゃい、ますよぉ? こんなの……、こわれ、ちゃいますよう、――うぇ、げ、っ……、……――、

【こんなふうに話せる傷では、ないはずだった。甘く蕩かすような目元、震える吐息は血腥さを纏っているはずだのに、情事の最中に似るようなら】
【――なんとなく分からせるようだった。その身体の中で彼女は自分自身の異能を巡らせている、いろいろなもの、生き物らしさを阻害して、ただ、相手と話そうとする】
【それでいて時々血を吐き出して、ひどく苦しいように身じろぎするのだ。――その時のじりじりした痛みまで、あるいは、相手に伝わるのだろうか、掴まれたままであるなら】


547 : アリア ◆1miRGmvwjU :2018/06/12(火) 17:31:16 plDFHdWU0
>>546

【鷲掴みにするような左手は然し恋人を愛でるような優しさと柔らかさを持っていた。全ての感覚は其処からアリアに伝わっていた。】
【肋骨ごと肺腑を潰される苦しさ。骨が砕けて肉を抉る痛み。はらわたの銃創が引き摺り出されるみたいに痛む。息苦しくて、呼吸もできやしない。】
【 ── そして刺剣が全身を貫く。脚も腕も胸も腹も首も縫い付けられて、血潮が流れ出る喪失感に、ふたりぶんの痛烈さが重なって、ああ駄目よ果ててしまいそう。】
【けれど吐き出される血が愛おしかった。時折かえでが悶えれば、傷を抉るような痛みさえ引き受けた。咳き込んで唇から流れ出る紅色を啜ってあげたかった。】
【アンモニアと、鉄と、その他幾ばくかの腥い臭いでしかないはずなのに、 ── ふたりのあいだを包むとなれば、どうしてこんなに甘ったるいのだろう。】
【けれど呼吸ができない。もっと貴女の吐き出す息を吸いたいのに。穏やかな温もりが凡ゆる疵口を照り付けているみたいに痛んだ。この時間がいつまでも続けばいいと思った。】
【痛覚の阻害など出来やしないアリアは、蕩けるような囁きに返事など出来ず、ただ苦しそうに微笑むだけ。青い瞳に、涙が滲んで ── そして、気付く。】


「 っ、あ ──── しま、っ。」


【 ── 意識を取り戻すように、目を見開く。義体の定格出力を超えた駆動を、しかも手酷い外傷を負った上で続けたのなら、限界が来るのは遠からぬ事態でもあった。】
【ぶちり、ぶちり。上腕の人工筋肉が次々と破断していく感覚。それは神経と動脈の失血にも繋がる。少しずつかえでを締め付ける拘束は緩んでいき、それでもアリアは無理を推して、】
【けして離れようとしなかったから ── 刹那、腕が弾けた。アリアの左腕は肩から先、ほとんど千切れてしまって、きっと2人の身体を、真っ赤な血染めとするのだろう。】
【右腕も同じようなものだった。関節でない場所で、明らかにおかしな方向に曲がっていた。辛うじて此方は、指先ぐらいなら動かせて、少女の体重くらいなら支えられる、ようだったけれど。】

【口惜しそうに顔を歪めて、けれど何処か諦念のように、歓喜のように、口許だけを微笑ませたのなら、】
【ずるり ── あまり直視したくない類の音を立てて、アリアは立ち上がろうとするだろう。かえでは腕の中にいるまま、支えるように、或いは抱き上げるように。呼び出された刺剣が血溜まりに溶けていく。】



「あぁ、 ……。 くそ、くそ、くそ、 ── ッッ。」「か、ふふ、でも、」「離して欲しく、ない、かも、なぁ ── 。」



【深く、深く、嘆息する。どうしてこうなったのだろう、と言いたげに。げほ、ッ ── と咳き込めば、アリアもまた血を吐いて、其れはきっとかえでに振りかかる。】
【熱の冷めゆくような冷たい視線。見下ろしながら、独白のように、呟く。白い喉筋は真っ赤に染まって、そしてまた月光に青ざめていた。】



「 ………。情が移った、訳じゃ、ないのよ。」「殺し合うのに、あんまりにも、甘ったる過ぎるわ。こんなの。」
「もっと過酷に、残酷に、冷酷に、」「気色の悪い声なんて出さずに。」「そういうものじゃなくて?」



【どうであれ最早そこに殺意はなかった。 ── 正確に言うなら、今は収まっていた。命令であるとか、軍務であるとか、個人的感情であるとか、】
【それ以前の何かがアリアを突き動かしていた。そうして、こんな言葉さえかけるのだろう ── かえでの心は知らないままに、けらど、その左手を指と絡めて。】


「 ── まだ、"死ねない"のでしょう?」「貴女の拠点か、私の家か。選びなさい。届けてあげる。」「 …… 死なない程度には、治してあげられるわ。次こそちゃんと、殺せるように。」


548 : ◆XLNm0nfgzs :2018/06/12(火) 18:02:24 BRNVt/Aw0
>>543

……そうだね、でも死んだモノは戻ってこない
心の中で生きてる〜なんて暗示して思い出を閉じ込めておくしか出来ない
そんなの、ずっと前から解ってる
【少女はまっすぐにムリフェンを見据える】
【生きたものを殺し、殺したものをまた生かす"それ"を少女は知らない。死んだら終わりなのだと、想像で生かしておく事しか出来ないのだと、そう決めつけている。だから二人の話はどこまでも噛み合わなくて】

……ウヌクアルハイ、それが貴女達の神の名前……

(そして、鈴音ちゃんを捕らえた邪神の──)


……ふざけないでよ!
あの娘は……"鈴音"ちゃんは使い魔(servant)なんかじゃないッ!
命じられなくても自分で物を考えられる存在なんだ!
【その金色の瞳が怒りで見開かれる。ちょっとした言葉の違い、なのだが探していた人物を愚弄されたのだと思って】

【だから、気付かなかった。避ける事が出来なかった】
【死角から迫ったマゼンタのリボン。そのナイフのような側面は確かに少女の右腕の肩口を斬り裂いて】

──ぐ、あっ
【肩口を押さえたたらを踏む少女。その弾みにキャスケットがぱさりと落ちて】
【露になる頭部。そこには髪と同じ色の猫の耳が生えている】
【異能、ではない。彼女は『妖』だ】


……"善い事"に気付いた……?
ははっ、全然わッかんない!
知らない内に姿を消して、ずっと連絡つかなくて、何処に行っちゃったのかも分かんなくて
夢の中で泣いてるんだよ!?
善いも悪いも知らないっての!
【猫の少女は吼える。それこそ虫の居所が悪過ぎる猫の仔のように】
【それもその筈。彼女は本当に何も知らなかった、から】
【旧市街の悲劇も、レテ湖での別離も、白神鈴音が神となってしまった事実すらも】
【ただ『気にかけてる行方不明の女性が夢の中で泣いてる。姿は見えないけれども苦しそうに泣いてる』という事しか分かっていないから】

【それでも、まだ泣いてはいない。吼えはするけどまだ泣いてなんかいない】

……消す?鈴音ちゃんを……?
そんな事はさせない!
【そして、まだ折れない。残ったもう一つの氷柱を浮遊させたまま機を狙っていて】


549 : 名無しさん :2018/06/12(火) 18:18:15 smGhObkI0
>>547

【――組み敷いたよりも誘われるままに相手を下にした彼女は、けれど、今、それ以上のことはしなかったし、出来なかった】
【身体じゅうを縫いとめられてなお動くのならば化け物でしかないだろう。そして少女はまだ辛うじて人間であった、生ぬるい血をしとどに垂らして、秒速で死んでいく】
【くだらない話をするのに能力を使ったのを少しだけ後悔しかけた――いくらか遅れて止血に回すから。すぐにでも出血は減っていくんだろう、でも、それは健康と程遠く】
【気管に血液が入り込んでいるような濁った音で何度目もの吐血をする、――――感覚の阻害は、してなかった。相手にすべてを伝えるために。彼女もすべてを負っているから】

【――――――痛くない、はずなんてない。それでも。相手と話したいがために無駄遣いした。それを言い表す言葉を探すには、膨大な時間が必要で】

――――っ、

【びちゃ、と、弾けた左腕から迸った血液が少女の真っ白なワンピースを染めあげた、何より彼女自身の出血もあるのなら、赤すら越して、黒く、黒く、染まりつつあり】
【布地のテクスチャさえ塗りつぶしてしまう乗算の加工、赤に紅と朱とを重ねていったなら、他の色も要らなくって、三原色はたった一つでも最期に黒くなるから】
【生き延びるために能力を回した少女はそこから急にしゃべらなくなる。――というよりは、それに使う分の頭の容量を使い切ってしまうのだ、だから、しゃべれない】

【――執念に似て相手を掴んでいた左手が血にぬめったように滑り落ちた。ゆえに相手はこの地獄に似た痛覚の共有から解放される、再び掴むだけの力は残っていない故】
【それどころか――引き摺り上げられても、自分で立とうとすら、しなかった。つま先は脱力しきって地面をこするだけになって。あるいは時々、自力でを試みるのだけど】
【ぬるぬるした血に滑って、立つことが出来ない。――けれどそれで死ぬ気はないのだと分かった。ごくごく弱い力ではあったが、相手に縋るように、力を向けるから】

――――――――――――もぉ、ひど、――、……、

【――――顔に他人の吐血を浴びる。小さな呻き声が漏れた、――そうしたなら意識して一つ呼吸をする。うんざりした、今すぐ横になって眠りたいと思う】
【今から歩いて帰るのか。無理だ。――サーバントを呼びつけるにも、その間に生きていられるかが分からない。ううん。生き延びる自信は、あった。なら、この気持ちは】
【くだらない感傷に似ているのかもしれなかった、――終わらせられなかったことを悔いるように。殺し損ない、殺され損なっている現状に。相手にその気がないともう理解ってる】
【真っ白な肌に他人の血液が朱を添えた、マゼンタの瞳にまとわりついて、やがて涙みたいになって一筋垂れるのだろう、穴ぼこの身体に対して、顔ばかりは、まだ綺麗なら】

【――ホラー映画のために造られた大道具のお人形さん、みたいに見えた。リアルすぎるお人形。けれど決して生きた人間とは思えないほどに、破損していたから】

【その裏でわずかに残った思考できるだけの領域を使って考える。拠点。本部。――そこにこの女を連れ込むわけにはいかない、それはあまりに悪い手であるとは考えられる】
【けれど相手の拠点に連れ込まれる、というのも、善くはない。その後を保証されない。かといって病院は無理。ここに置き捨てて行けと言うには――でも、あんまりに、寂しかった】
【きっとそれは病人の心寂しさに似ていた。弱っているときに一人で居たくないと思うのは本能に似ていて。――全身麻酔に似た無感動が意識を浸す、眠ってしまいそうになる】

…………――――んど、は、ちゃんと――、……おみず、出して、――――、くれますか?

【――――――――眠ってしまったら能力が途切れると知っているから。ずり、と、頭を相手に擦り付けるように動かした、せめて、触覚で意識を確かめるように】
【わざと回りくどいものの言い方をするのは素直じゃなかった。助けてなんて言わない。一人は嫌だと泣くこともない。それでも、相手に、縋ろうとするのは】
【その脳裏の思考結果を後から誰かに覗き込まれたとしても――結局寂しかったんだなと思われてしまいそうな、そんな、ちっぽけな、でもありふれた、当たり前の本能の結果で】


550 : ドープ ◆xgsUYuhzWc :2018/06/12(火) 18:32:41 Lxd3YeZA0
>>539 >>540

服着ろーーーーーッ!!!!

【普通に油断して入ったので一瞬肌色が見えたものの、即座に手で視界を覆った】
【耳まで真っ赤っかになってから、めっちゃ怒鳴ってすぐに再び廊下に出た】
【何でこの娘は貞操観念が薄いのだ、いやまああんな噂流れてるけど】
【〝誰かもう少し男に対して警戒心を教えてやってくれ、こう、もっと年上の奴たくさん居るだろココ〟】
【頭を抱えてしゃがみこみ、うずくまって廊下でうんうん唸っていた黒人が居たとか】
【もしサーバントに見かけられていたら、ドープがムリフェンの部屋の前で執拗に匂いを嗅いでるという噂でも立てられかねない光景であった】

【色々あって】

……

【頭からグチャグチャのモノを出して聞いていた。現在進行形で精神的な体力がだいぶ削られている】
【まず頼むから下着を着けてくれ……と願っていた。左手で困った赤ら顔を覆い隠す】
【余計な意識をしないように悟りを開かなければ、と顔を拭い、とりあえず目だけ見るようにした。目だけ】
【まあそれでも、顔立ちは本当整ってるよなぁ、とか余計な事は考えたが】

【否、ラサルハグェもとても可愛いかった。……表計算の相対的に可愛い女子ほど怖い気がする】
【というかビスチェもセクシーではあったが、あれはあくまで水着なのであって】
【いや、彼女も肌色が多過ぎて正直目のやり場に困っていたけど。何故こうもここの美人達はきわどいのだ】

【と、考えていると──自然とフローリングに正座していた。何となくあの時の記憶がひしひしと蘇った】

【気持ちを整理し、改めて周囲を見渡すと──案外女の子らしい部屋で。他の幹部がどうなってるかは想像もつかないが】
【やはり普通だ。妙にリアルな雑然とした感じ。好きなものも途中のものも混じってる感じ】
【なんというか、ある程度不思議と想像出来たような。……やはりムリフェンはちぐはぐだ。もちろん鬼の目にも涙とは言うが】
【……彼女の中にも、あるのだろう。なにかを可愛いと思ったり、ちりめん細工を楽しい趣味とする感性が】

……アー……

……申し出は嬉しいが……いや、言います。言います。まあ、名も通ってる奴ですよ
まあ蛇教なら知ってますよ、〝パグローム〟、ムリフェン様もご存知でしょう
異教徒狩りのファジーでクレイジーなファック野郎です。……まあ、はい

ヤツは必ずオレが殺します。他のサーバントもまあ被害にゃ遭うでしょうが……
……ムリフェン様も襲われたら是非ですね、教えてください、何処でどう会ったとか

【ある程度吹っ切れてきたので、〝いっそ断ってしまおうか?〟とも思考した】
【とはいえグループ全体に関わる事ならば、義務的に伝えておくべきだ。それは非常識だ】
【最終的な問いかけはあくまで己の目的であって、意図せぬ気遣いのようにはなってしまったが】

──腕なんですけど、自分からってやったって言ったら怒りますか?

【腕に関しては、案外あっさりと言ってしまった。黙っておくべきかも迷ったが】
【〝まあ、言い訳すると。必死だったんですよ、銃口ドタマに向けられてたんで、とっさの利き手で〟】
【〝だから新しく掘り直そうとは思いますよ、なんかイカすアイデアください。ムリフェン様年頃でしょ、そういうの〟】
【〝墨入れんのは好きですが、蛇教の関係じゃねェ仲間内からだとセンス最悪ってよく言われるんですよね〟】
【そんな風に続けたのだ。そして反応を伺う】

【──気を緩めると、この男、試し行動が続く。命取りになり兼ねない発言のラインというのを彼女にぶつけてみる】
【男の予想では、軽く怒られるか、仕方ないと言われるか。しょうみ自分の扱いに関して少しずつ自信が無くなってきているから】
【いつもの癖でヒトを挑発するように掘り下げる。あの小悪魔に行ったように】

/続きます!


551 : ドープ ◆xgsUYuhzWc :2018/06/12(火) 18:33:54 Lxd3YeZA0
>>550

【座り方をあぐらに変える。そこから続けて】
【一緒に行きましょう、という提案のあまりの気安さに、思わず緊張を解いてほけっと驚いた】
【余りにも軽いな、と冷や汗を垂らしつつ──】

……その時ァ、オレなんざパシっていいですよ。スムージーだろうがハンバーガーだろうが買って来ますし
意味なくストローにドーナツ差したいだの
それでギトギト生クリームのカロリーボムシェイク飲みたいだの……太りますかね

【なんだか軟派な態度になってしまった気がするが、女の子には優しくというのは彼の中でしっかりあるので】
【ムリフェンはフランクだからこそ、サーバントにこうして距離を近いようにするからこそ、その分の人気や支持がある気がする】
【なんとも、〝慈悲〟担当という感じだ。幹部の横暴さや恐ろしさはこういう場面だと無いというか】

【そして本題を彼は聞こえてきた単語に、素っ頓狂な声を出した】
【〝その組織〟が唐突に出てくる理由が謎めき過ぎていた】

──UNITED TRIGGER?

【確かそれは正義組織の名前だ】

……

(おい、待て。待て待て。コイツは一体全体、何の話だ?)
(白神鈴音って誰だよ、──あ)


【〝鈴ちゃんに対する、背徳なんだよね〟】


(おい、おいおいおい。──キナ臭すぎるだろ)

【口を押さえかけるも、ぐっとこらえる。今ここで

【……こんな案件受けて良いのか?裏っ側があるような組織の、秘められていたかもしれない部分】
【これはもしや、サーバントとして、蛇教の〝何か〟に触れる事になるのでは】
【……ダメだ。ダメだ、ダメだ。たとえ己の居場所がどんな正体であったとしても】

【──〝気になる〟】

……ひとつ、いやふたつ、良いですかい?
その件に関してオレは動きます。それの動き方に関しての相談ですね
それは後でって事で。建設的なもの話は終わり際の方がしやすいでしょう
まずオレがしたいのはくだらない方の話ですよ、深く考えずホームドラマだとかコメディアンジョークショーくらいお気軽に構えて

んで、聴きたいことがあるんですよ。はい、ドンだ。〝白神鈴音〟
まあオレもよく分からない存在だとは思います。現状なんとも言えない
その居るか居ないかの娘が正義側の奴等が、ガードレールにフレンチかますほどの──必死こいてオレたちに絡んで来る〝理由〟なり得るもんなのかも
オレにとっちゃ櫻の国生まれの女の子ってとこですかね、頭の中じゃアンノウンガール

〝白神鈴音〟。この名前は初めて聴きましたが
オレァ、〝鈴ちゃん〟って言葉は聞いてんですよ、それを言ってたのもサーペント・カルト関係者でして

【分かります?と問いかけた。──同じ幹部同士であった会話なら、するりと喋ってくれるだろうかと】
【ムリフェンはそうとう白神鈴音の存在に対しておかんむり──というか、全否定なようなのは見て取れる】
【そこの情報は欲しい。ラサルハグェは何故、その少女を知っていたんだ?】


(で、だ。──オレはどうやら、UTに関わった方が、〝白神鈴音〟を掘り下げられる可能性が出て来たな)


【逃せない】
【ここの仲間内で聞き出す分には危険だ。リスクも高いし、何より思想が尖り過ぎていて嗅ぎ回る事すら出来ない】
【絶対に──どんな嘘をついても、どんなことをしても、彼等に聴き出さなければ】
【それは誰なのか。──この狂った組織の、何の〝要素〟なのか】


552 : ドープ ◆xgsUYuhzWc :2018/06/12(火) 18:35:21 Lxd3YeZA0

>>551
/抜け落ちすみません!
/【口を押さえかけるも、ぐっとこらえる。今ここで変に動揺したら──でも】 です!


553 : 名無しさん :2018/06/12(火) 18:38:42 smGhObkI0
>>548

【激昂する相手の様子を見ていた。見開かれる金色の瞳を、マゼンタ色の瞳が、じっと見据えて】
【どこかうんざりするような吐息が一つあったのに相手は気づくだろうか。気づいても何かが変わるってことはないけれど。――――またか。と。思案する】

――あの、お言葉ですけど。鈴音という名前の人間は"居ません"。それこそサーバントにも、幹部にもね。
始めっから誰を探しているのか聞くべきでした。UTの白神鈴音ですよね? 有名人だから知ってますよ。なのでこれは誓って、――違うと。

そんな人間は蛇教(うち)に居ませんよ。本当です。ウヌクアルハイ様に誓って。――ですので、落ち着いていただけないですか?

【――それで少女はわずかに困ったような顔をした。するのだろう。そうして言葉を投げかけていく、――そんな人間はいない。その人間を知っているけど】
【それはあくまで"白神鈴音"が多少なりとも有名人だからであって。それ以上の意味はなく。――神の名すら挙げて誓う意味を、相手は汲んでくれるのかは分からないものの】
【だけれど同時に嘘でもあった。――ムリフェンと名乗った少女は白神鈴音を知っている。UTの給仕であったという情報も含めて、最低限のデータのみを見たことがある】

【――――――そんな"人間"は居ない。"サーバント"でもなければ"幹部"でもない】

【だって】

――――――なんですか、それ? 夢?

【――少女は白神鈴音とウヌクアルハイの関係性を知っていた。それでなお、存在全部をすり減らすように信奉していた。そのうえで、知らないことはいくつかあった】
【"夢"。それは少女が知らない出来事の一つに違いなかった。夢の中で泣いている――その言葉に怪訝そうにする、というよりも、どこか睨むようにさえ見えるだろうか】
【そのしぐさは少し不自然だ。相手が話している人間は蛇教に居ないと宣言した少女が、それでもなお居ないはずの存在について、こうまで、訝しむ顔をするのは】

だから――そんな人間は居ませんよ。こんな場所でやり合う気ですか? 本気で?

【――――けれど、それをよほど追及は、しないのだ。彼女としてもここでやり合うのは不本意であると言うように。切り裂いた傷、わずかに目を細めたなら】
【「本気で?」――とは、どこか嘲るような意味合いすら持っているようだった。こんな場所で能力者同士が本気でやり合うのはばかげていますよね、と、問いかけるよう】

【――相手としては、どうだろう。ほんのわずかではあったが、情報はあった。それを持ち帰ることを選ぶのか、これ以上の情報を、探るのか】
【彼女はすでに一度不完全なことをしていた。――探偵、相手に、知っているということを言ってしまっていた。だからそれらをつき合わせたなら、きっと、何か、分かるんだけど】
【ほんの少しでも情報は貴重に思えた。――でも、たしかに、今彼女の目の前に居る少女は、それ以上のこと、何か知っているって、きっと、確実でもあって】


554 : ◆S6ROLCWdjI :2018/06/12(火) 18:58:10 WMHqDivw0
>>541

【――――だあれもいなくなった部屋。寒い部屋。死体だけうず高く積んである、地下室】
【ひとりぽつんと取り残された女、強制的に追い出した信生の気配が完全に消え去るの、見届けたら】
【立ち上がってくるっと踵を返して部屋から出ていく。無言。無表情。気温に見合った氷のかんばせ】

【……それで、移動するのは寝室だった。いくつかある部屋のうちのひとつ】
【申し訳程度に用意してある生活スペース。ベッドとデスクと収納家具が置いてあるだけの殺風景な】
【そこの、デスクに座って。一冊のノートを取り出した――――日記帳。使い古したヤツ】
【それをぺらっと捲ったなら、頬杖をついて、ペンを取って、――――――】

【「きみに会えなくてさびしい」】【「きみに会えなくてさびしい」】【「きみに会えなくてさびしい」】
【「きみに会えなくてさびしい」】【「きみに会えなくてさびしい」】【「きみに会えなくてさびしい」】
【「きみに会えなくてさびしい」】【「きみに会えなくてさびしい」】【「きみに会えなくてさびしい」】
【「きみに会えなくてさびしい」】【「きみに会えなくてさびしい」】【「きみに会えなくてさびしい」】
【「きみに会えなくてさびしい」】【「きみに会えなくてさびしい」】【「きみに会えなくてさびしい」】
【「きみに会えなくてさびしい」】【「きみに会えなくてさびしい」】【「きみに会えなくてさびしい」】
【「きみに会えなくてさびしい」】【「きみに会えなくてさびしい」】【「きみに会えなくてさびしい」】
【「きみに会えなくてさびしい」】【「きみに会えなくてさびしい」】【「きみに会えなくてさびしい」】
【「きみに会えなくてさびしい」】【「きみに会えなくてさびしい」】【「きみに会えなくてさびしい」】

【……そればっかり書いてある、というかそれしか書いてない、最早日記として機能していない、落書き帳みたいな】
【それがきっと八年間分溜まってる。それはどうでもいいことだけど、とりあえず今日のぶんを書こうとして】


【 はじめて、それ以外のことを書こうと思った。 】


【……、……、……けどやっぱやめる。代わりに、ぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃ。ペン先を狂わせて踊らせて】
【一頁まるまる塗り潰して、それでお終い。乱暴にばたんと閉じたら直しもしないで、ペンを放り投げて、ベッドへ向かう】
【寝っ転がったらスマートフォン、取り出して。胡乱な手つきで探る――――『発信:オムレツ』】

【(コール音)】【(コール音)】【(コール音)】【(コール音)】【(コール音)】【(コール音)】【(コール音)】
【『――――こちらは留守番電話サービスセンターです。ピーという発信音のあと、――――』】



………………もしもし、「兄さん」? どこにいるの、ねえ、帰ってきて、
部屋が汚れちゃったの。床にいろいろぶちまけちゃって、……掃除してほしいの。
だから帰ってきて、掃除しに来て、それだけでいいから…………兄さん、兄さん、兄さん、



【 ごめんなさいも言わないし、涙も流さない。だって彼女は冒涜者 】
【 明日にはきっとけろっとした顔で人を不幸にするだろう。次の日も、その次の日も、彼女が終わるまで、永遠に 】
【 その理由がどんなにキラキラした美しい感情によるものだったとして。赦されていいはずなかった 】
【 だって誰かがかわいそうになる。この女のせいで。この女のせいで。この女のせいで。この女のせいで 】


//ありがとうございました!


555 : 名無しさん :2018/06/12(火) 19:28:11 smGhObkI0
>>550

【立派な体格をした男を床に正座させて、一人ベッドで髪の毛をバスタオルで挟んで叩いている、そういう少女の光景は、誰かが見たらどう思うだろう】
【ベッドの近くのちっちゃい机の上にはリードディフューザーが置かれて甘い香りをさせていた。透けるカーテンの近くに観葉植物一個。そこらへんにも一個】
【ぼす、ぼす、そんな音が響いていた。そうして彼の話を聞いたなら――否。告げられる名前を聞いたなら。目を細める、――"なるほど"。そういう、顔だったのだろう】

……パグローム。知ってますよ、まあ、知らないはずがないですね。うちのサーバントも何人か殺されました。あれに。
それで――そうですねえ、あなたがやると。因縁ですか? 別に、それは、いいんですけど。ドラマティックで。善処したいです。……ですけど。

…………――"今"がどのような状況であるのか、お分かりですか? もうすぐウヌクアルハイ様が受肉される。そんなときに。
分かり切った間違いない障害物が出張ってきたら、――困るんですよ。因縁も結構。ですが、もっとよく考えてください。

我らの最重要事項を見誤らぬように。賢い行動をオススメします。――私個人としては好きですけどね。そういうの。
"他のサーバントもまあ被害にゃ遭う"――? 分かっているのに、あなたが、やると? だったら今すぐ翻って殺してきてください。それならいいですよ。

他のサーバントに損害を出す予定があるなら許容できません。最優先で戦力揃えて殺すべきでは、ないですか?

【――けれど。相手の言葉に少女の表情は晴れなかった。それどころか余計に険しい顔をするのだろう、真っ白な足をよいしょって組んで、見下ろすように、足に頬杖ついたなら】
【何を言っているのか分かっているんですか、と、――何度も重ねて確認する。あくまで自分で好きですけど、と、言葉を並べるのもまた脅すようであった。共感するけど、理解しない】
【あらかたタオルに水を吸わせたなら櫛を通す。普段から手入れしてあるのなら、絡むこともなくって、そのまま、するする、抜けて行って――】

――――――――――――――は?

【――――すたん、と、小さな音がした。それは少女が立ちあがる音――そのしぐさで首にかけていたタオルが落ちて。すた、すた、足音、静かに並べたなら】
【少女は彼のそばに佇むのだろう、そうして、――――そのまま、あんまりに必然的に、彼の頭を蹴り飛ばそうとするのだ。横から、或いは、頭ごと踏みつぶそうとするように】
【どちらでもよかった。どちらにせよ本気だった。――そして、きっと、変に避けそうとしたり受け身を取らない方が、いい。それは本能的に、分かるかもしれなくて】

ご自分でやられたと? そうですか。ウヌクアルハイ様に忠誠を誓う証を、ご自分で? 本来であればその右腕以外は消し飛んでも、蛇神の印だけは護るべきでは?
死してなお気高く蛇に仕えた証として、その証左として、残るよう振る舞うべきではないですか? ありふれた死体に成り果てたいと? ――ありえない。

【怒っていた。それも鮮烈に。これで怒鳴り散らして暴力に訴えるタイプだったなら、あるいは楽だった。――でも】
【最初の蹴りがどんな結果であったとしても。少女はその場所に佇んだまま相手を見下ろして連ねるのだ、ひどく冷たい声、過冷却水をコップに流したように】
【ぎらぎらした目が相手のことを睨みつけていた。目線だけで射殺そうとするかのように。――「再教育が必要ですね」「手配しておきましょう」】

【――あんまりにあっさりとした言葉は。けれど。この敷地の中。ましてこの部屋の中では、絶対に、逆らわない方がいいから】

/分けますっ


556 : 名無しさん :2018/06/12(火) 19:28:30 smGhObkI0
>>550>>555

――――――へえ、そうですか。奇遇ですね。で? ――ああ、そうですね。私が間違えました。ちょうどいいかなって思ったんですけど。
別の人員にやらしたほうが、いいかなぁ。――分かってないですか? あなたはサーバントです。私はオフィウクスです。あなたの興味とか、関係なくって。
さっきもそうでしたね。あなたの因縁とかあなたの興味は関係ないんです。集団に属するんだから、そのために動いてもらわないと、困るんですよね。
……ていうか、その幹部。検討は付きますけど。あんまりそういうの、どうかと思いますよ。これは警告です。私は優しいので。

あー、うん、あんまり上手じゃないんだけど。いいかな。"ちょっとくらい"いいですよね? でないと、あなた、消されちゃいそうだし。
無駄な好奇心は猫も殺すんですよ。あなたは人間ですよね? であればこそ、もっと賢く行動してくださいね。――――分かりますよね?

【――――ならば彼は間違えたと言わざるを得ない。冷凍庫に三年くらい放置した抜き身の刀みたいに冷たい目をしたなら、すとん、と、彼の横に膝をついて座るだろう】
【ただ従えと命令する。そこに意思も考えも関係ないと。ただ都合のいい駒であれと。――けれどもはや彼は自分の意識を持ちすぎた。興味を持ってしまった。だから】
【"これはあなたを護るためだから"そんな風に囁いて――少女は地面に片手をついて身を乗り出すのだろう、――それで、相手の頬へ、優しく、手を伸ばすなら】

【――触れたならば、阻害の力。流し込もうとするのだ。けれど今度は治療のためじゃない。彼を、"従わせる"ために】
【それは彼がたった今抱いた好奇心にアクセスする脳の回路の"阻害"。興味のために動けなくするための"阻害"。どこか洗脳に似て、それより、荒っぽい】
【施されてしまえば――彼は今抱いていた気持ちを薄皮に閉ざされたみたいに見失ってしまう、はずだった。そうして頼まれたことだけしてこいと、彼女は命ずるから】

ホームドラマもコメディアンジョークも不必要です。身分を弁えなさい。私は動けないので代わりにやれと言っているんです。

【(――けれど、それは、完璧なものではなかった。苦手だと言っていたなら、言葉通りだ。今この瞬間では、確かに"そう"なるのかもしれないけれど)】
【(それが明日も明後日もそうであるかは、分からない。あるいは一生そうであるのかもしれない。分からなかった。分からないながらに、分かるのは)】
【(――彼女の行為は、確かに、彼の感情の一つをどうあれ奪い取るためのもので。そこに彼をまっとうに対等な人間として扱おうとする意志は、きっと、なかった)】


557 : ドープ ◆xgsUYuhzWc :2018/06/12(火) 20:25:41 Lxd3YeZA0
>>555 >>556

【彼女がその言葉で立ち上がり、此方に歩み寄る様子に肩が震えた】
【〝ああ、怒ったのだ〟と思った。否、〝怒った〟なんてもので片付ける方が生易しいというか──】
【〝やっぱオレ馬鹿だったな。ヒトがどんな風に返すとか、どんな風に思うとか〟】
【〝何かをいちいち気にするってよ。こんな時にしちゃあダメなんだよな、当たり前に〟】
【そこで来た足を──受けた。やや呆然としていたために、回避する事も出来なかった】

──ぐ、う゛……ッ!!

【思いっきり踏み抜かれた。──ああ、また頭が床とキスだよ、今度は後頭部かよと思いながら】
【ただコレは、やっぱり己の自業自得で。その上、なんとなく自分は後悔していない】

(ああ、オレァ、)

【目測を誤った。今後どう使いパシられるのか──そもそも不要と殺されるのか】
【かと思っていたが、何やら別の──〝予想して居なかった〟ものが与えられるようだった】

【そうだ、──蛇らしく、それは、与えられるべきだ】

(……どれだけ悪に転じたって、こういうトコクサレヤンキーなのは変わんねェよな)


【目的があったからこそ此処に居たかった。己の〝夢〟に近かったから此処に入った】
【きちんとそれなりに信仰していた、ただ──結局は〝神より己〟なのだと気付いてしまった】
【問いかける。じゃあ、蛇教を抜けたいのか?違う。善になりたいのか?別に】
【ムリフェンの事を言えない。一番、一番ちぐはぐなのは彼だ。どうしてだろうと思考する】

【〝──昼の休憩で、思想がスネークでもお調子者が数人いた。そいつらはオレに誰が美人かランキングだの言ってきて、馬鹿言ってんなと何人かで笑った〟】
【〝数日後消えて居た。多分消されたのだろうなと思った。消したのは誰だろうな。分からなかったが、仕方ないと思いこんだ〟】
【〝痛いのだって我慢した。エラいだろ?別にエラくないか。生贄探しだってそれなりに頑張ったし〟】
【〝何故って、オレは此処の人間だ。試すような行いも、余計な詮索は避けたいし、……あれ〟】
【〝話が違うな。じゃあ何故オレは──あんなに挑発するみたいに、詮索を好き好んでいたんだ?〟】


【〝……ああ、そっか〟】


(……やっぱりオレは、〝バブルヘッド〟のままで居たかったんだなぁ)


【〝多分、そいつらの無念の意趣返しだったのかもしれない〟】



【サーペント・カルトは──もう少しくらい、みんな、自由に生きれば良いのにと、思ってしまってたから】
【だからあの白髪の男が羨ましくなったんだ。だから優しくされて泣いたんだ】


【彼女の手が重なる。無力さに打ちひしがれた男には、もはや拒む意思も無かった】
【──阻害の力が流れ込む。自分が書き換えられていくのが──】


【……どうか届くなら、マゼンタと、苦痛の女王に。少女と狂気の同居する、深淵よりも深淵に近いヒトに】
【その黒い黒い輝きはそれこそ濃赤よりも濃く、それでも部屋の玩具はまぎれもない嘘ではない】
【だから最後に思ったのは、〝ムリフェンも、もっと楽しい形で救われると良いなぁ〟という、日和った考えだった】


……分かりました

【一分、それより気持ち十秒増して。生まれ変わった彼はようやく口を開いた】
【先ほどよりも淡々と答えた。表情筋ひとつ、口の端もぴくりとも動かない】
【思いの外、この場では、確実たる〝成功〟をしたようで──それこそ彼女をトレースしたかのように、冷え切っている】
【……暖色に関する感情がひとつ欠落した。それだけでここまで変わった。先ほどまでの、無理にふざけようとする雰囲気も無い】

……で、オレは、……どうすれば良いですかね
捜査次第、すぐに情報は伝達しますが
ソイツらに聞き込みなり、以上にですかね。潜入調査ってのも良いかと思いますよ

【と、端的に伝える。──何故なら、今までの減らず口も全て、意図したものだったのだから】
【彼女を見上げ、頭を掻いて。……のそり、と早速行くために、おもむろに立ち上がった】


558 : ◆XLNm0nfgzs :2018/06/12(火) 20:26:46 BRNVt/Aw0
>>553

【ぎりり、と歯軋りをする】
【肩口の傷には押さえる指が食い込んで、指先を赤く染めている】

UTの……白神鈴音は……サーペント・カルトにいない……?


ふふっ……ふふふっ……あっははははははは!
あはははははははははははははは!!!
【相手の言葉に固まる少女。俯き、小刻みに震え始め】
【そうしたかと思うと顔をあげ、寧ろ天を仰いでけたけたと狂ったように笑い始める】


それはそうだ!そうだよね!サーバントにも幹部にもそんな人はいない!
だって"構成員"じゃないんだもんね!
神に誓って嘘ではない!じゃあ何だ!言葉のアヤっていうやつだ!

……『依り代』、なんでしょう?彼女は
だって、あの娘は蛇の神様の末裔だから
神様に近いからきっとあの娘は……!
【少女はある意味白神鈴音という女性を神聖視していた】
【あの人は善い人だからきっと進んで敵の側へ行く事はないだろうと】
【そんな彼女が敵の手元にいるのだとしたら構成員ではなく消費される存在にされるのだろう、と】
【先程サーペントが蛇という意味だと聞いた時からずっと危惧していた】
【それが、先程からのムリフェンに対する不信感、というか生け贄の件をはぐらかされた事象と相俟って】


夢、だよ……ずっと泣いてるんだ
「私は誰」「私は何処」って……!
【怪訝な目で睨まれ、少女は少しだけ不審に思いながらも頷く】
【苦しそうに叫んで、肩口を押さえる手に無意識にだがいっそう力を込めて】

本気で……?
そうだね、私としてはもうどうなっても構わない
馬鹿だと思われようとも化け物だと目撃者から罵られようとも構わない
絶対に手がかりを見つけ出すし……
やっぱり、悪事は見逃せないから……!
【肩口から血が溢れて地面に落ちる。少女は苦しそうに顔をしかめる】
【それでも相手を見据え直して】


559 : 院長中身 ◆zO7JlnSovk :2018/06/12(火) 20:27:51 XhR7wdR.0
>>510


──どうかしましたか? まるで、何かに気づかれた様な面持ちですが。
顔色もお悪い。私は先程までの、愛らしい貴女の方が好ましいと思いますが
いえ、──だからと言って、今の貴女を審問に掛けようだなんて思いません、大切な信徒の一人ですから。

先に進みましょう、貴女と話していると時間が経つのを忘れます、之は恐らく、貴女との語らいを私が好んでいる証拠です。
それとも、元の世界に帰りたくなりましたか? 何も無い平穏な毎日こそが、貴女の生きる世界だと
そんなそんな、まさか、──まだ貴女の平穏な世界が残っているだなんて、妄想はお止しなさい、





【──廊下の突き当たり、再び、『左』に曲がる】





【これで三度、角を左に曲がった。──それならば、廊下の先には、元いた大広間が無ければならない】




【けれども、廊下の先は、また、曲がり角しか無かった。左に曲がる為の角しか】






何度も申し上げましょう。この世界はウヌクアルハイ様の円環の中に囚われているのです
洞窟の中で我々が何を為しても、それは外の現実には何ら影響を与えません。この宇宙の果ては決まっているのですから
残された道は一つだけです。果てを受け入れ、ウヌクアルハイ様と一つになる、それこそが唯一の救いです、そして

──、この無限の円環から一時的にでも救われる、術なのです。




【その廊下の先には再び廊下があって、左に曲がったなら、まだ廊下が続くのだろう】
【円環とは言い得て妙で、この廊下は宛ら、輪廻の体現とでも言うべきなのだろうか】
【──ケバルライは再び歩みを進める、取るべき選択肢は提示したと、言いたげに】


560 : アリア ◆1miRGmvwjU :2018/06/12(火) 20:31:28 ekRwln9M0
>>549

【縋る手の小さな力はもはや幼子に似ていて、けれど解かれて解き放たれたというのなら、 ── あらゆる感覚が、急激にぼやけていくような。】
【確かに痛みは随分と収まった。手傷そのものは、自ら少女ごと刺し貫いた傷痕と、刻まれた両手のそれぐらいだった。 ── 改めて、随分と非道いことをしてしまったな、と】
【そんな感傷にも似た感情が、喪失感を否定できない胸裏に沸き起こるのは、きっと少女に与えられた感覚が、あまりに生々しくて、現実味を帯びていたから。】


「 ……… 。」「アルコール消毒くらいは、するかもしれないけれど。」「精々、口でも濯ぎなさい。」


【赤黒い血に染まったゆびさきで、いつかの夜のように、そっと頬に触れながら ── 今にも途切れてしまいそうな儚い鼓動を、腕の中に、留めて】
【何処か寂しげなかえでの振る舞いに答えるように、紅色の露宿す長い睫毛は、なにもかも憂うように揺れるから ── 確かに其れは、涙を流す人形に似ていた。】
【軋む躯体に力を込めて、摩天楼の影を縫いながら、女は歩み行くことだろう。淀みきった血腥さの中にあって、ひどく截然と際立っていた。】


「自分の痛み、他人に押し付けたりできないのかしら?」「 ── 辛いようなら、引き受けたっていいわ。」


【 ── そっと、左手に、抱きしめる右手を絡めて。視線も合わせずに、呟くことだろう。】


/ひと段落はつきましたので、どのあたりまで続けるかは、お任せ致します ── 。


561 : 院長中身 ◆zO7JlnSovk :2018/06/12(火) 20:37:26 XhR7wdR.0
>>512

【不意に手が貴女の頭に伸びて、片手で握っていた狙撃銃を消し去る】
【そしてそのまま、貴女の頭を撫でようとするのだろう。寵愛を示すかの様に】
【慈しむ指先は絹糸を手繰る乙女に似て、僅かばかりの淀みもなく】


カチューシャはね、愛する事が正しい生き方だと思うの。それはね、とても、とても、尊い心の働きなの
愛が故に誰かを助け、愛を故に誰かを守る。そんな美しい心の所作を、カチューシャは大切にしたいから
子猫ちゃんのパレードは、子猫ちゃんの愛があるのかしら。それとも、まだ分からないのかしら

──、ごめんなさい、さっきは否定したけど、子猫ちゃんが本当に思うのなら、そのパレードにも意味があるのかもしれない
子猫ちゃんが心の底から、そのパレードを大切にして、愛に溢れさせたなら
その時は皆、喜んで、心からパレードに迎え入れられるの





【だからね、────】




私が子猫ちゃんに『愛』を教えてあげるの、それで子猫ちゃんは、より正しくパレードに導けるから
ええ、素敵よ。──とても素敵。そんなパレードなら、私も喜んでお邪魔するの
ねぇ、素敵でしょう? 子猫ちゃん、貴女のお家はどーこ?




【頭を撫でる手がするりと降りて、貴女の背中に回ったなら、そのまま強く抱き寄せて】
【その淫らな身体を以て、全身で貴女を抱きつつもうとするのだろうか】
【香る彼女の芳香。──何処までも優しくて、それでいて少しだけ甘い様な】



私の側が、貴女の居場所。──ねぇ子猫ちゃん、そうでしょう?


562 : 名無しさん :2018/06/12(火) 21:00:37 smGhObkI0
>>557

【踏み抜いた足に体重を掛ける。――素足の感触が額どころか鼻くらいまであるのだろう、お風呂上りであったならどこか少しだけしっとりと】
【だけれどそれは年若い女だから気を使っているだけなのかもしれなかった。――目線を上げたならホットパンツの布地の隙間に下着が見えていたんだけど】
【それを気にするのはきっと人生の無駄でしかなくて。かかとでぐっと額を床にめり込まそうとするくらいの勢いで踏みつける、すらりと長い脚。現実味すらないほど整って】

――――――――はい、お上手です。良かったあ、"そういうやつ"。もう2度とやったら駄目ですよ?
ヒヤヒヤしました。――ほら、"ここ"って、そういうの。厳しいじゃないですか。人員は貴重なんですけど、それとは別ですからね。
お行儀の悪い子はどうしたってお仕置きをしないといけないですから。

【――――やがて。自身の阻害の力が彼にきちんと"作用"しただろうことを確認した少女は花の綻ぶように、笑うのだろう】
【それはさながら社会的に危ういことを口走りだした引きこもりの息子が更生施設から帰ってきたら明るくハキハキした若者になっていて喜ぶような】
【その人そのものに人格があることを全く欠片も考慮していなくって、あくまで自分の都合のいいように変貌ってくれたことを、ただ、喜ぶような】

【そういう暴力性の極みみたいなもので色付いた、花を咲かせて】

そうですね。白神鈴音という人間は"居ない"ので。そういう人を探しに来られて、サーバントを殺されたり、邪魔されたりすると困るんですよね。
ですので――うーん、私はそういうの、専門じゃないんで。お任せしますよ。――まあ"うまくやれ"ってやつです。

"今の"あなたを信用してあげますよ。もう1回だけチャンスをあげますよ。頑張ってくださいね?

【――ぺたん、と、足音いくつかで、少女は元のベッドに戻っていく。濡れたタオルをつまみ上げたら、もう一度、頭にかぶって】

――で。"動き方に関しての相談"についてはこれでいいですか? 完全にお任せします。臨機応変に、どうぞ。
刺青は早いうちに入れなおした方がいいですよ。定着に時間かかりますからね。デザインは、まあ、好きにしてもらって――。

きちんと情報は送ってくださいね。もちろん我々の不利益になるようなことは慎むように。パグロームについてもです。
――――――じゃあ、期待していますよ、ドープ・ラブ・ライク? 善き報せを持って帰ってきてください。

【そうしてぼすん、と、座りこむのだ。きしきしとはねっかえりの発条の音、あはは、と、笑った声が、いやに平穏じみていたから】
【――きっと彼女は、気づかなかったのだろう。彼が感情の一つを阻害されるその間際に、自分の身を案じてくれていたこと。気づいたとしても、きっと、怒ったんだけど】
【そんな風に歪んでしまった。彼女がここに来てからの3年はあんまり長くなくって、だけど、あんまりに無慈悲すぎて。人間一人歪めてしまうには、十分すぎたから】
【もしかしたら、それは、救われるチャンスだったのかもしれない。蛇ではなく。人によって救われる可能性。どこかにあったかも、しれないんだけど。――見失ってしまった】

【――――彼女は彼に任せると言った。そしてそれは本当に最後のチャンスであると言う意味合いを孕んでいた。どこぞへ行くと言うのなら、そのまま、見送るはずで――】


563 : 名無しさん :2018/06/12(火) 21:33:50 uACNF8Aw0
>>558

【――――"職業柄"。彼女はそういった言動に走る人間を見慣れていた、それでもなお、街中というありふれた景色で、少女が、"そう"なるのは、どこかで悲しく】
【本当にそう思うわけじゃあないんだけれど、感傷に似た気持ちが湧きあがってくるのをとどめておけるほどは、少女はあくまで少女でしかないから】

………………――あれ、うーん、違いますね。ていうか、大丈夫ですか?
妄想甚だしいのは結構ですけど――作家とか目指された方がいいかしんないですね、意外とイケたりして! どうですか?

【それでも一瞬彼女は目を細めていた。違うけれど遠くはない。――ていうかいきなり出してくるたたき台にしては、それは、あんまりに上手すぎたから】
【だけれどさっきまでみたいに彼女は軽口をそこに重ねた。言葉にあった一瞬の温度感を隠しこむように。けれど――その態度は「その通りです」とは言っておらず】
【古今東西ウサギさんが好きな食べ物はパクチーだよね!って言われてセリ科なのは同じだけど、と、思案するような。そういう温度感だった、ひどく曖昧なもの】

ふうん、面白いですね。ですけど、それがあなたの脳内にのみ生じる幻覚でないという確証はありますか?
例えば他の人間にはそんな現象全くないということなら、それはあくまであなたの妄想にほかなりません、自責の念とかが見せる幻です。
自責の念も何も、私、あなたのことも白神鈴音のことも知らないんで、ほんと、分かんないですけど。――それは妄想ではないですか? あなたの。

【――なんだそれ。知らない。少女は変わらぬ表情の裏側で思考していた、――白神鈴音は知っている。ヒトとして生きようとしていた少女として、ではなく】
【神話のない真っ新な神としての、白神鈴音を知っている。そしてサーペント・カルトはその神にウヌクアルハイという名前とエピソードを与えて、信仰を集める】
【ならば白神鈴音はあくまでウヌクアルハイの中にある材料の一つだ、と。少女は考えているから。――それにしても、知らない。そのような出来事を】

【――――――ああ、でも、そういえば。ラサルハグェもそれらしいことを言っていたな、と、思い当たるなら。だいたいの見当は付ける、口にはしないけど】

――――じゃあ、目撃者が来る前に、終わらしましょうか。本当に残念です。そんなにも"そんな"だと、お話も通じないですね。

【「――よいしょ」】
【と、あんまり覇気のない声がした。だけれどその声に合わせて、少女の身体から、――というよりか、それに肉薄する空間から、ぞろり、と魔力が湧き上がる】
【そうして先ほどと同じリボンが幾条もあふれ出してくるのだ、きらきら、ひらひら、――見様によっては蛇にも見えるだろうか。鮮やかに、鮮やかに、笑うように】
【"阻害"――例えるならそれは麻酔薬に似ていた。その意味合いをたっぷり湛えた"毒蛇"たちが、その切っ先を鋭く尖らせたなら――無秩序に、突き立つように、迫るのだろう】

【――――けれど、どれもが、直線的な軌道であった。なら、後ろに飛びずさりでもすれば、避けられるような――でも、もう一つ、もう一手】

――可哀想なあなたに、ウヌクアルハイ様の奇跡を一つ、見せて差し上げましょう。刮目してください、心の準備はできてますか?

【その攻撃が終わる瞬間に、かぶせるように。――少女が笑った、そうしてみたなら、その左手に刻まれていたはずの蛇が、ずるりと腕から抜け出て、相手へ迫る】
【――もしも噛みつかれたなら。この少女が今まで経験した様々な痛苦を相手もまた追体験することになるのだろう。これもまた、直線的な一手ではあったけれども】

【幼少期に自転車で転んで、コンクリートの塀で頬っぺた中をかさぶたにしたような痛みから】
【学校、体育の授業でサッカーボールをゴールしようとしたら思ったより上すぎて、ゴールに当たって、跳ね返って顔に当たった時の痛みとか】
【それはまるで何人もの男たちに押さえつけられて様々な責め苦、拷問のような行為を繰り返し繰り返し何度も重ねられる痛みとか】
【これは修行の一つだからと言って不完全な麻酔だけで胎を開けられるような、痛みだとか――】

【――――――それは実際の身体に影響を齎さない、毒だった】


564 : エーリカ ◆D2zUq282Mc :2018/06/12(火) 22:15:28 JY1GydDk0
>>559

(馬鹿言うんじゃないよ。私との語らいを好んでるだって?時間の経過が早いだって?
 私はそうじゃない。こっちは時が流れるのが遅すぎて気が狂いそうだよ…!)

ねえ、談話室とやらは未だ着かないんすか?何か同じところをぐるぐる回ってる気しかしないっす。
……もしかすると今回ってるところが談話室ってオチっすか?


【ぐるぐる。ぐーるぐる。回る、廻る。廊下の先は、また廊下。これは輪廻を表しているとでも言うのか】
【己が尾を噛む蛇。ウロボロス。永遠の象徴。輪廻の証。現世と言う抜け出せぬ地獄を自覚する哀れな子羊】
【正常な思考を奪って、今まで築いた価値観を初期化して。そうして敬虔な子羊に仕立てようと言うのか】

【終わりの見えない廊下を歩み続ける。先の見えない暗闇を灯し火無しで彷徨う感覚】
【冷や汗をかいているのは確か。平常心を欠いているのも確か。そして声が震えているのも確か】


ははっ、言うに事欠いて"平穏な世界"だなんて。可笑しな事を言うもんだね。そんなものはとうの昔に壊されてる。
平穏なんて過去に置き去りにしたんだから、それを妄想だと断じるのは止してよ。私は今生きているし。
なにより"コギト・エルト・スム――我思う、故に我在り"。元の世界に帰るもクソも無い。


【今いる此処が、…私の世界。その筈だ。カミサマの操り人形だとか、カミサマの掌の上で踊っている筈がない】
【はははっ、藁にも縋る思いだ。よりにもよって小難しい事を宣って悦に入る哲学者の戯言に縋るだなんてどうかしてる】

【尤もらしい事を言われて、タイミング良く足音が鳴っただけで此処まで動揺するとか私は此処まで心が弱かったか?】
【現に私はやや俯きがちになって、右手で頭をガジガジと掻き毟っていた。身に触れる毒を根こそぎ削ぎ落す様に】


唯一の救いって言ってるくせに、結局は根本的な救いじゃないのはどういう理屈なんだい?
身も心もここの教義に染まりきってないかし、"多少の"不躾なら不問に付してくれるアンタだから問える。

結末が決まっているから、カミサマと一つになってカミサマ気取りで目を逸らすのが救いには思えないな。
カミサマの輪廻に囚われてるってんなら、それをブチ壊そうとか思わないのかい?いいや、アンタ達にとってブチ壊すのは禁忌か。

囚われた輪廻をブチ壊すんじゃなくて、ウヌクアルハイ様に囚われる方が都合がよいんだろうね。


【取るべき選択肢を提示されど。――その提示は願い下げだ。蛇の差し出す選択肢など往々にして碌なものじゃない】
【連ねる言葉に宿るのは多量の棘とカミサマへの冒涜。浮かべる表情に宿るのは、不敵な笑みと奉る者と思想に対する冒涜】
【潜入捜査官と思えぬ程の下手を打っている。けれど、下手を打たざるを得なかった。そうしなければ――蛇の思想に呑まれる気がしたから】


565 : 名無しさん :2018/06/12(火) 22:20:56 uACNF8Aw0
>>560

【――――えほ、と、くぐもった声で少女はまたひと固まりに見える血を吐いた。地面にびちゃりと弾けたなら、少しずつ、少しずつ、命が目減りしていく】
【とどめを刺されなかった現状に感謝することはない。かといって悔しがって殺してくれと懇願することもない。ただ小さな吐息で漏れる声が、何かに悪態をついて】
【耳を澄ましたとしても、よく聞こえてこないのだろう。ただ――ニュアンスで辿ったなら、きっと、それは、自分へ向けられていると、それくらいは。伝わるのかもしれず】

――――――――――――ありぁ、さん、元気、ですねえ、――。

【目を閉じていた。目を閉じて身体を預けて。――そうやって少しでも消耗を抑えようとしていたのだろう、だけれど頬に触れられたなら、マゼンタ色、薄く見せて】
【馬鹿にするとかではなく、単純に、そう思ったと言うような声だった。苦痛と衰弱に喘いで阻害に意識を削り取られる中でなら、ひどく目立つ、煌めく生の色合い】
【蒼褪めた顔を少しだけ笑わすのだろう、――どうしてそう思ったのかは定かではなかった。相手だってひどい怪我をしていて、ならば少女の方が、あるいは】
【能力で以って様々なものを阻害して生き残ろうとする彼女の方が――まし、かもしれないのに。あはは、と、掠れた笑い声。直後に血交じりの唾液を溢れさせる、地面に吐き捨て】

――嫌ですよ。これは私のものです。

【前のように担いでくれるなら、委ねる。ある程度引きずるような形でも文句は言わないだろう、なにより――アリア自体も、負傷しているのだから】
【――そうでないと移動すら出来ないほどでありながら。けれど彼女は相手の言葉を拒否した。元から、丸ごと移してしまうことは、出来ないんだけれど】
【――――それでも、もしも。あるいは。そんなことが出来たとしても。――きっと彼女は首を縦には振らないと、予感させる。かすかな首の動きは、明確に、横向きで】

【それから先のことは、ほとんど相手に任せることになるだろう。彼女の問題は腹を大きく抉られた傷に無秩序な刺突の傷、どちらもが少なくない内臓を傷つけて】
【致命傷であっておかしくなかった。――否。致命傷であるべきだった。ならばその時点で彼女は異能によって化け物のように生きていた。――と、言うしかないほどに】
【死に至るまでの要因をただ愚直に阻害する。ゆえに死なない。ゆえに――そこから先の出来事は、アリアの手腕次第、だろうか。あるいは他の人物かもしれないけれど】
【適切な治療を施せば、――まあ、きっと、悪くはなかった。元が致命傷レベルであったから、生きているだけで、奇跡みたいなものだって、医者のほとんどは証言するだろう】

【――――――――そこから数日、彼女はきっとその場所で世話になる。けれど、最低限だけだ。少しでも自分で動けるようになったら、すぐに、居なくなってしまうから】
【疲れてしまったのか眠っていることが多かった。それでも長い睫毛のかすかに揺れるさまや胸元が規則正しく動くのを見れば生きていると分かる。――もし起きていたなら】
【簡単な会話をすることもあるのだろうか。――といっても重大なことは何も話してくれない。命を助けてもらったと言うのに薄情だ、と、言われて仕方ない振る舞い】
【拾われた恩など気にせぬ野良猫のようだった。食事をもらって。怪我の手当てをしてもらって。相手が生活するのを見ている。そんなの、初めて見るものであるかのように】
【そして夜になったなら――眠りの中で、傷の痛みに魘される。半覚醒のはざまに落ち込んだのなら、細い喉をびくびく強張らせて、泣いてしまうのだろう】
【だけれどそれに同情してはいけないし、同情されるべき人物では、決してない。してきたことは重すぎて、許される理屈は存在しなくて。それでも――それでも】

【――とある朝。この前もそうだったように、彼女は全くの礼もなく、数日世話になった以外の痕跡を残さないで、居なくなっているんだろう、書き置きすら、残さずに】
【――それでも、"それ"と"これ"は全くの別問題であるはずだった。ならば正しく返すべき礼は、くだらない手紙ではない。いつかの時、今度は間違いなく、殺し合うことだから】

/ひとまずこんな感じにしてみました、もしまだあるようでしたら、喜んでっ
/これでということでしたら、おつかれさまでしたっ!


566 : 院長中身 ◆zO7JlnSovk :2018/06/12(火) 22:40:38 XhR7wdR.0
>>564



【──、深淵を覗く時とは誰の言であったか。往々にして、潜入捜査官は気を付けなければならない】
【何故ならその職は、捜査対象との距離が近すぎるから。── 無補給で潜水する事と似ていた】
【深く、深く潜り込む程に、不安は身を締め付け、恐怖はそのすぐ側まで近づく、から】



もう直ぐですよ、何なら目の前にまで来ています。それを貴女が気付いていないだけなのですから
それは暗示に似ています、確かに示されているのに、言われなければ気づかない。巧妙な擬態とも言いましょうか
ブルーは狂気、オレンジは苦悩、──ファンドールンの絵はご存じですか?

──貴女はとても頭が良いと私は思っています、事実、そうなのでしょう
ならば分かっているはずです、神が人間を救うだなんて妄想を、本当に信じてはいない事を
ええ、そうです。──だから同一化するしかないのですから


【返すのは肯定。結局は藁にも縋る様に、神様に縋るのがこの宗教の実態なのだから】
【妄想と断じた。神が人を救うという、その確かな教義を、彼は踏みにじる】



【──、何故なら神は、神は、、、、







神───────神はははははははははははははははははははは】















             【あなたをみている】













【──もう一度足音がする。ケバルライの顔色が変わった。二人は立ち止まっているのに、足音がしたから。】




【彼は無言で貴方の手を取った。そしてそのまま、逆走する。廊下を疾走し、角を右に曲がって】
【何度か角を曲がったなら、元の大広間へ戻ってきた、ケバルライは強ばった表情のまま、肩で大きく息をするだろう】


567 : エーリカ ◆D2zUq282Mc :2018/06/12(火) 23:18:26 JY1GydDk0
>>566


【毒の絡み付く言葉を吐きつくした直後に去来する己の失態に対する悔い】
【潜入捜査官にあるまじき振る舞いによってエーリカは自身の任務の失敗を確信――する迄には至らない】
【何せ、宗教家たる人物が神様の救いと教義を妄想と断じていたから。何より――】


ファンドールン?知らないっすね。そもブルーは鎮静、オレンジは楽しさじゃなかったかい。
それに今その絵を引き合いに出すのはどういう理由があってのことなんだい?

そして"カミサマが人間を救うなんて事はない"って旨の言葉をアンタの口から聞けるとは思わなかった。
そうだよ、その通り。人を救うのは、人だけ。さらに言えば自分を救えるのは、自分だけなんだと思う。

(――うへぇ、カミサマが人を救わないってのは信じてるけどカミサマの存在は否定してない
 それどころかカミサマと同一化するしかないって宣うのは完全に狂ってるとしか――)って、ちょ、ちょっとッ!?



【二度、足音が響く。二人しかいない輪廻を模した世界で、響くはずのない音色が響く】
【変貌する顔色から無言で握られた手に引っ張られて。エーリカは素っ頓狂な、間の抜けた声を漏らし】
【引っ張られるままに廊下を逆走するのであった。――蛇の信奉者である筈の男の険しい面持ちと偽りのない行動】
【それはエーリカが自身の身分が露見していないと判断するのに十分に思えた。――果たして、本当にそうなのかは定かではないが】



(――あの怖いくらいの面構えはきっとブラフじゃない。てーか、何なんだ、あの足音。
 さっきはあの足音を聞いても教師然とした態度を崩していなかったじゃないか)

(……別にカミサマを認めたわけじゃないけど。けど、あの足音は得体が知れない。
 なんだろ、ゾワゾワする。背筋だけじゃなく首から足まで全体が総毛立つ。――うえっ、訳がワカンナイ)


【疾走と表現するに相応しい速さで逆走した先に辿り着いた先は、最初にいた大広間】
【本当にあの大広間に戻ったのか?"あの足音"を無事に撒く事は出来たのか?何より身バレしていないか?】
【疑問は尽きない。疑問は己が内から湧き出し、己が外から降りかかるのであった】


――……はぁっ、はぁ、はぁッ。……ちょっとぉ、はぁはぁっ、いきなりなんなのさぁ……
あの足音を聞いた瞬間、急に手を取って走り出すなんて。説明が欲しいよ。



【神はエーリカを見ているのだろう。――だが、この期に及んでエーリカは神様に対して見て見ぬふりをしていた】
【下位存在たるエーリカが上位存在たる神様を認識したら――きっと、カルトに潜入するする前の彼女には戻れないだろうから】


568 : ◆XLNm0nfgzs :2018/06/12(火) 23:25:27 BRNVt/Aw0
>>561

【不意に伸ばされた貴女の手。少女は小さな悲鳴を短くあげて目をギュッと瞑って】
【その頭を撫でられれば恐る恐る目を開けて、おずおずといった様子で相手を見やる】


……あいする、こと……?
それが正しい事なの?

私の、パレード……
分からないわ……私は皆を幸せにしたいけどそれに愛があるのかどうか……
【少女は俯きながら答え、ギュッと服の裾を握り締める】

ねぇ、愛するって、何なのかしら?
病弱だからって病室に入れて、それであれは駄目、これは駄目って病弱だからって色々やらせないで
でも、お勉強は教えてくれるし本だって買ってくれる
……それは愛なんだって、お姉さんは思う?
【少女は遠慮がちにカチューシャを見上げて】

……お姉さんが、愛を?
そうしたら皆幸せに笑ってくれるパレードにご招待出来る?

私のお家、は……
【何処だか、と言いかけた瞬間。少女は優しく抱き寄せられる】

【続くのは、自分が側にいる、という暖かい言葉で】


──メリー……

【少女はぽつりと呟く】

メリー・アン・ロゼット……
私の名前……

ねえ、呼んで?メリーって……
ギュッてして、頭を撫でて?
【切実な目をして、彼女は訴える】


569 : ◆XLNm0nfgzs :2018/06/12(火) 23:26:46 BRNVt/Aw0
>>563

【それは、きっと焦燥】
【捜すべき人は捜しても見つからない。そうしている内に父親のように思う人は傷付いて、また誰かがいなくなって、肉親の敵ともいえる相手を見掛けて】
【東奔西走の合間に捜していた人物の夢をよく見るようになって。彼女は泣いていて、早く助けたいと思っているのに何の情報も入らなくて】
【やっと見つけただろう手掛かりは否定されて、そうでなくとも相手には一杯喰わされかけていて】
【結構なキャパオーバー、なんだが持ち前の負けず嫌いがそれを認めてはくれなくて】

【狂戦士一歩手前というかもう既になっている感じがする】
【そんな自分を見て相手は軽口を飛ばしてきて、それが更に火をつける】

違く、なんか……っ!
そうやってまた嘘を重ねて……!
【また、少女の周囲の空気が冴える】
【先程生成した残りの一つに加え、もう数本氷柱を追加して生成し】
【切っ先を相手に向けて自分の周囲に漂わす】

【しかし、その夢が自責の念による幻ではと言われれば少女は虚を突かれたように相手の言葉を反芻する】

──がう……!

違う違う違う違う違う!
幻覚なんかじゃない!自責の念なんかじゃない!
だって、そのままで良いよって言ってくれた!任せてって言ってくれた!
もしそうなら……私が悪い子みたいじゃない!
私は……私は!偉い子って誉めて貰ったんだ!妄想なんかじゃない!
妄想、なんかじゃッ!
【そうしてまた叫ぶ。幻覚なんかじゃないんだと否定する。まるでそう分かっているのに認めたくないって駄々をこねるみたいに】

【そうして、さっさと終わらせようと言われればハッとしたようにムリフェンを見る】
【相手の体から沸き上がった魔力】
【阻害のリボンが幾条も此方に向かい】

──う、あぁぁぁぁぁぁ!!!!
【少女は吼える】

【傷付いた腕を振るい、氷柱を幾つものリボンへと向かわせる】
【そうして左の手の中に直径1cm程の小さな氷柱を生成し、ムリフェンの方へと踏み出す】

【せめて、一矢だけでもと振りかぶった手】

【しかし、その手が届く事はなかった】


【ムリフェンの手にあった蛇の顎は、既に少女の体を捉えていて】

【流れ込む、痛み】


/続きます!


570 : ◆XLNm0nfgzs :2018/06/12(火) 23:28:19 BRNVt/Aw0
>>563 >>569


【擦れる】  【切れる】  【噛まれる】  【焼ける】  【割れる】  【潰れる】  【千切れる】  【噎せる】  【刺さる】  【剥がれる】  【痺れる】  【凍る】  【割ける】
【裂ける】 【嗄れる】 【壊れる】 【溺れる】  【溶ける】 【融ける】  【熔ける】 【滲みる】
【裂ける】  【壊れる】  【痛い】  【気持ち悪い】  【苦しい】 【はやくおわれ】  【おわれ】  【おわって】  【おねがい】  【気持ち悪い】 【蕩ける】  【じぶんがじぶんでなくなる】

【きもちわるいきもちわるいきもちわるいきもちわるいきもちわるいきもちいいきもちわるいきもちわるいきもちわるいきもちわるいきもちわるいきもちわるいきもちわるい】
【痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛いいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイ】





────ぎッ……ぃ、あ……
【少女の体はその場に崩れるように膝をつき】


あ゙ああ゙あぁぁぁアぁあァぁぁああァアぁァアぁあ──
【喉も避けんばかりに咆哮する】


571 : アリア ◆1miRGmvwjU :2018/06/12(火) 23:32:50 ekRwln9M0
>>565

【元気か ── と問われれば、全くそんなことはなかった。全身を殆ど機械化しているとはいえ、その動力のリソースとなっているのは血液であり】
【どれだけ痛覚神経を遮断しても傷ついた四肢が治るわけでもないから、一歩ごとにフレームと人工筋肉が軋んだ。ただ、なにもかも置き換えてしまった機械の体には】
【どれほどの苦しみであっても、其れなりに誤魔化せてしまうというだけ。 ── それでも、青褪めた微笑みが、そこにあるのなら】
【宥めるように指で頬を撫ぜるのだろう。わからなかった。少なくとも、アリアには。どうして自分がこんなことをしているのか。】


「 ── なら、口は閉じていなさい。傷が開くわ。」


【それは少女なりの悲壮なる覚悟であったのかもしれないけれど、にべもなくアリアはそう告げて、けれど横に振られた首だけは、確かに視界へ収めていて】
【幸いながらセーフハウスからは程近い位置での殺し合いだった。本来なら数分で辿り着く筈の距離に数十分をかけて、節操もななく血痕を遺し、ようやく棲家の扉を閉じたのなら ── 。】
【内臓を抉った鉛弾の破片を摘出し、傷ついた主要な動脈を止血すれば、其れなりに甲斐甲斐しく看病はするだろう。広々としたベッドの上で眠らせて、自分はソファにてシーツを被り】
【朝がくれば、時折彼女はどこかに出かける。挨拶なんてする筈もない。そうして夜になると帰ってくる。確かな血の匂いを、微かに纏わせながら。】
【そうでない日は、一日中ソファで仰向けになって、何かしらの本を読むこともあるけれど、然し主立ってはずっと天井を眺めていた。何も言わず。】
【料理の腕は悪くない。卵粥だの、色々な病人食を2人分だけ。朝昼晩。ベッドサイドのテーブルに置いて、口にするならそれでよし、そうでないなら自分で食べてしまう。】
【 ── 思い出したように声をかける時もあった。他愛もない会話を、時として一方的に。吐き出すことが目的であるようだった。だから少女が黙っていても、咎めることはなかった。】
【そうしてまた、夜な夜な響く呻きをアリアは聞いた。少しだけ驚いた。あれだけ信心深い少女が、堪え難い痛みには苦しみ悶えるのだろうかと。其れさえも神の与えたもう試練と喜ぶのではないかと。】
【だとしても声をかけることはなかった。その左手を握ることも、もうなかった。自分が傷付けたのであるから。自分が殺そうとしたのだから。自分が殺すのだから。】
【憐れみだとか、同情だとか、そういう安っぽい感情を投げかけてやるつもりもなかった。苦しんで当然だ ── なんて、傲慢なことは、言わないけれど】
【「そうなる」覚悟を腹に括って、生きているのだ。説教じみた口出しはできなかった。 ── ただ、だとしても、惜しかった。邪な衝動が胸に宿るのを感じていた。】

【数日が経った朝、少女は忽然と姿を消していた。だから何だと言うこともなかった。精々、野垂れ死なれては困るな、という程度の情念。】
【次に会った時は、必ず殺す。この手で殺す。そう覚悟を決めていた。血に濡れた愛銃をオーバーホールしながら、昼下がりの太陽が眩しかった。】
【 ── それでも、終ぞ分からなかった。自分が、こうまでして、かえでに執着する感情。分からないままで良いのだろうとも、アリアは思った。儚い横顔は、いつまでも儚いままに。】


/では、わたしからも、こんな風に。おつかれさまでした&ありがとうございました…!


572 : 名無しさん :2018/06/12(火) 23:45:05 uACNF8Aw0
>>569

【――少女はくすりと笑うのだろう。透き通るような藤色の髪が身体に雪崩れて、真っ白な肌を引き立てる。マゼンタの瞳が、慈しむ色合いを抱いたなら】

――でもね、残念です。違うんですよ。"そうじゃない"んです。だからね、違うって。違うとしか、私には言えません。
――――そうなんですね? そのままでいいよって。任せてって。偉い子って褒めてもらったんですか。良かったですね――、私には分かんないんです。

その名前も顔も声も知っていますけど。それはデータとしてです。白神鈴音って人物が出てたCMとか見ただけなんですよ。そういうこと、言うんですね。
優しいんですか? ――まあ、推察するにそうだったんだとは思います、ボランティアとかしてたみたいですね。なので、"嘘つき"とは言いません。

……だけど、本当に優しい人だったんですか? まあ、私、知らないんですけど。知らないんで、知ってるっぽいあなたに、聞いてるんですけど――。
私が思うに、違うっぽくないですか? だって。今のあなたを見る限り、到底"そのまま"じゃヤバイですし。任せるっていうのは、まあ、パスするんですけど。

偉い子……ですか? これが?

【地べたに膝をついた彼女のすぐそば――といっても、腕の届かない程度の、距離感。そこで少女はすらりとしゃがみ込んだ、スカートの裾を、整えて】
【ならばそれは仕返しとか八つ当たりに似ていたのかもしれない。――適当にばらまいた嘘をかいくぐってきた少女を出迎える。その向こう側で。善意の笑みを以てして】
【だのに並べる言葉は相手を傷つけようと言う意図が満ち溢れていた。スズランのように冷たく甘い声。囁くように――「これが?」。明確に、相手の、目を見据えるだろう】

……では、ごきげんよう。大丈夫ですよ。私が離れたら、効果、消えますからね。それまで――大人しくしていてください。
"それ"はウヌクアルハイ様の奇跡の力のおひとつですよ。ウヌクアルハイ様はすべての輪廻を統べる蛇神様であらせられます、全ての死の痛苦を知っておられる。

ですが――私があなたに教えて差し上げられるのは、私の知る限りの痛みのみ。いつか。あなたが。本当のウヌクアルハイ様の奇跡を目の当たりにする日を、お祈りしております。

【そうして少女は立ち上がる、よいしょって膝に手、ならば、長い髪がぞろりと枝垂れて、いっとき表情を隠しこむ】
【垂れた毛先を指でついと持ち上げたなら――涼し気な声。"だって自分は痛くも痒くもないから"】

【――少し距離を取ってから、背中を向けた。ならばひどく無防備に見えた。痛みだって。怒りに任せたなら突き破れそうに思えて。でも。――でも、】
【そのまま立ち去っていくのだろう。――今はまだ全部教えるには早いかのように。きっと最後に見せた表情は、慈愛の笑み、善意に、彩られて】

/おつかれさまでした……!


573 : ◆XLNm0nfgzs :2018/06/13(水) 00:00:34 BRNVt/Aw0
>>572

【地べたに膝をつき、虚ろな目をしてぶつぶつと呟く少女】
【しゃがみ込んだ相手の笑みを含んだ声は幸いといって良かったのか全く届かなくて】
【貴女が明確に目を見据えたのならばそのマゼンタの瞳が映すのは金色の虚ろな瞳】

【水の中にいるようにぼんやりと聞こえてくる相手の声。壊れそうな痛苦は未だ彼女を苛み】
【相手が去り、痛苦から解放された瞬間、少女は糸が切れてしまったかのように地面に倒れ伏すのだった】



/お疲れさまでしたー!


574 : ドープ ◆xgsUYuhzWc :2018/06/13(水) 21:56:45 IJyV69f20
>>562

【その言葉に、ぼー、と半ば心を閉ざしたまま彼女に対して肯定の返事を、義務的に返していく】
【心を閉ざすというよりも、それは〝興味〟〝好奇心〟〝疑問〟が沸いても〝阻害〟を受けるといった表現だろうか】
【それを思考しても思考しても、まるで見えない壁に阻まれて、ぼやけた磨りガラス越しに在るような】
【それに対して〝何故その意思が見えず遠い感覚があるのか〟という小さな疑問は覚えるのだが】
【やがて思考する事すら──薄れていく】

【下着が見えた、……とはいえ、性欲というのも湧き上がって来なかった】
【彼女のセクシーな姿を見てももとから一般常識的並みに理性ある禁欲ではあったが】
【性に対する気持ちも、ある種好奇心や興味からの浮かび上がり。……ただただ、踏み抜かれて痛いな、とぼんやり思考した】

【足を上げてもらってから──むくり、と、起き上がった】

──ええ、そうですね。……〝白神鈴音〟は、いません
……外部からのイチャモンは……全て蹴散らします……

【存在を否定されたって傷つかない。彼女が今の自分を評価しても悲しく思わない】
【だが、〝今の自分が、この場所で求められている〟そのニュアンスには──少し、嬉しさを覚えたのだ】


【……透き通った髪の色が見える。サングラスを取ると、よりはっきりと聞こえた】
【その目は、まるで眼球が口を開けて空虚を飲み込んだかのようだ】

……オレは、ドープ・ラブ・ライク。……ええ、そうです

ありがとうございました、ご迷惑おかけしましたね
全ての動き方については把握しましたよ
ひとまずオレァ──行ってみます、生贄探しも兼ねて

刺青も早めに彫り直します。そうですね、顔で良い
見えやすい場所でいいです、オレは……

【無気力ながらも固い表情のまま全てを頭に叩き込んで、立ち上がって、頭を下げる】
【まずは関係者探しだ、──とはいえ、白神鈴音に対しての価値観は彼の中でもはや無に等しく】
【彼女の言う通り、邪魔立てされる理由であるならば、早急に生け捕りにして供物に捧げるくらいの気持ちであった】

失礼します、このままオレは外回り行きますね
夏ですけど、風邪引かないようにしてくださいね。……では

【〝最後に与えられた機会〟を、無駄には出来ない】

【──そこで、唐突に、】
【その機会すら無下にしかねない言葉を吐いた】


──あと、小うるさいようでなんですが
肌とか下着は、オシャレじゃない限り、隠した方がいいと思います
そういうのは、ムリフェン様が好きになった人の前じゃないとダメだと思いますから

多分居るでしょう。居なくてもいつか出来るでしょう、異性でも同性でも
そういうヒトと一緒に居る時以外、きちんと隠さないと

【──告げてから、んじゃあ、と間抜けな声をあげて、早めにドアを開けて出た】

【最後に伝えたのは、まるで鬱陶しい親のような口聞きだった】
【根っこのヒトへの気遣いみたいなものは、前よりよほど薄いものの、少しは残っているようで】
【ただドープは、社会的に、という義務感から伝えた。何故か、なんとなくヒトが嫌な想いをするかもしれないのは】
【少しだけ悲しい気がした。その気持ちがぼやけているからか、声音は事務連絡のように淡々としていたが】
【今度こそ殺されかねないのだが──〝好奇心〟抜きで、伝えた。──その辺りは完全に変われなかった】

【廊下に出て、言われた指令を遂行するために、いつもの水の国の路地裏に小走りで向かう】
【サングラスごと踏み抜かれたせいで、折れたかな、と少し外して眺めてから、ホッと安堵した。無事だ】
【〝割れて、彼女の足が怪我をしなかったのは良かったな〟と思考した】
【〝きっとそうなったら、彼女も歩きにくかったろうし、〟──〝さあ、仕事だ。何からするかな〟】

【──次に会う奴は誰だろう。そんな他愛ない疑問すら今の彼には思い浮かばない】
【ただ、受動的に任務を遂行するだけではないようで。最低限、元気や、威圧はなくとも】
【ほかのサーバントに、挨拶程度に頭を下げるくらいは──するのだ】

【──マゼンタの記憶は、阻害は、彼の中でまだまだ残っていく】
【あの色は、正確には違うのかもしれないが、ニュアンス的に】
【まるで、空が夕暮れの時に橙と藍がまざりあうみたいで綺麗だったなあ、と思った】


/この辺りかな…?お疲れ様でした…!!


575 : 名無しさん :2018/06/13(水) 22:53:05 PVW1yFDM0
>>574

【少女はきっと冷たい目で彼を見ていた。鮮やかな紅紫色は鮮やかだからこそ人間らしい感情を見えなくするよう、伏しているのではなく、見下ろして】
【人が変わってしまったかのような――物理的に彼女が"そう"した――彼に口元だけの笑みを向ける。それは満足気にも見えただろうか、だけれど、分かっている】
【――他人の感情を阻害するだなんて芸当は、長続きしない。相手の魔的対抗力に関わりなく、いつか必ずその影響は剥落するだろう。――遅かれ早かれ】

【――――――だけれど、それまで、望むように動いてくれたなら、よかった】

――――はい、では、"頑張ってきて"くださいね? 

……――、――――――、

【部屋を出ていこうとする彼を少女はベッドの上のままで見送る。よいしょ、と、しまってあったドライヤーを引っ張りだしながら、彼に目もやらないまま】
【ちょこっとだけ横着して目いっぱい手を伸ばしたなら、背中がちらりと見えていた。――ちょうどそのタイミングだったのだ。彼が、彼女に、そう告げるのは】
【事務的な口調。――まして、興味とか、そういった。"不都合"な部分を阻害した直後であったなら。影響が弱かったのか、と、疑る前に、ふと思う】

【――――ああ、この人、本当は割と"良い人"なのかなって】
【――だけれどそれはあくまで外の価値観であって。それはこの場所に要らなくって。求められるのは善き行いをする人物、"それとこれは違うから"】
【ならば振り返るときの表情は、どこか褪めたようなもの。――興ざめ、みたいな、様子に似るなら】

好きな人ですか? 居ないですよ。――人間、という意味でなら、ですけど。……まあ、この前、ちょっと好みの女の人は居ましたけど。
顔がいいんですよね。あとおっぱい大きくって。――まあ、でも、どうでもよくないですか? 減るもんじゃなければ殖えることもないですからね。
そういうの気にするの、童貞ですか? 早いとこ卒業しといたほうがいいですよ。中退でもいいですけど。

【ようやく届いたドライヤーをコンセントに繋いだなら、がー、と、無機質な音。濡れて重たい髪が毛束で持ち上がる、それを指先でざらざらといなして】
【ならばあんまり興味がないような、声だった。――相手の思った以上のいい人っぷりに呆れてしまったような素振りであったなら、あるいは、父親の話に耳を貸さぬ思春期みたい】
【――彼の言葉を受け入れない、という選択肢を、彼女は自分自身で選んだ。選んでしまったから。だから、一方通行の一本道。よそ見してはいけないと張り紙に強いられたように】

【――――――――ばたん、と、扉が閉まって。それで、今日は、終わるから】

/おつかれさまでした!


576 : テレサ :2018/06/14(木) 16:13:19 XqQAhkbc0
>>529

……"WILD"に?渡したいものですか

【戦闘前にギアから持ち掛けられた提案、伝言と渡してほしい物がある事を知らされる】
【一言聞いてまず腕を組むテレサだったが、そこで思い返すのは二日前、とある『霊山』にて承っていた用事だった】


―――――……

『二日後には来月分のカラクリの嬢ちゃんの”電池”が用意できる。
承ってる『仕事』とやらを片付けたら受け取ってUT本部にいる若造に届けといてくれるかのう、修道女の嬢ちゃん』


――――――――…

(……そういえば大山翁に使いを頼まれてましたね。
ジンジャーにジャンクちゃんの”電池”を送るついでに渡しておきますか)

構いません。仕事が終わり次第そちらの要件を済ませましょう


【元より"WILD"には会う用事があったのを思い返しシスター・テレサは快く承る事にした】
【ひとまずは仕事に専念するも、この一件は脳裏に押しとどめておくことにしたようだが】

【ギアのナビゲートを受けてエレベーターは使用不可と判断したところですでにテレサは階段の入口に足を運んでいた】
【陽動が長くはもたない事は彼女もすでに理解しており、迅速に階段による移動を始める】

>>447
【階段を駆ける最中、彼女に対してはこれといって反応はしない―――"レプリカ"の少女の異様な動作を見て一瞬だけヘッドギアに隠れてない口元がひきつった以外は】
【もちろん証拠がないから同行者にいちいち何かを発言して輪を乱す行動は、作戦行動中においては危険だと判断したためやらないだけである】
【ただのオートマトンの可能性だってある……だがもしも今ここで彼女の所業が罪にまみれている証拠を見せようものならその時点で頭部を吹き飛ばすことにしていた】

>>499>>502>>445

食事ですか。生き延びたならば特に構いません。
どの道消耗するのはほぼ間違いないとは見ていますので

……防御能力をお持ちのようですね。ではリオシアは相手の初撃の防御をお願いします。
私、ギア、アリアはそれぞれ正面、右、左の警戒を。
敵性反応だと確信したその時点で速やかに引き金を引いてください


【リオシアには防御に関してかなり自信のある能力を持っているらしい事を確認した時点で扉を開けた瞬間の不意の初撃は彼女に任せることにした】
【すでに独自の能力を持って次の武装を準備していたアリアを横目で見たならば、それぞれの方向の遠距離攻撃は任せてよいと判断】
【彼女はケースからパイルショットを取り出すと、銃身に取り付けられた真球部位をバックルを注視しながら回し始める―――すると、取り付けられた木杭が連動して回転を始めた】

【続けて左腰のホルスターに用意している『鉄球』を取り出し、その手で同様に回転させると、彼女はリオシアのすぐ背後に立ち】


……リオシア、カウントゼロと同時に開け放ってください……3、2、1……ゼロ


【カウントを数え切ったその段階で両腕の武器を前に構え、前進しながら扉の先を視認しようとする―――即座に敵がいないかを確認するために】


577 : カニバディール ◆ZJHYHqfRdU :2018/06/14(木) 19:40:52 IBKicRNQ0
>>544
【初めは何の違和感もなかった。何の疑いもなく、その人生を歩んできたのだと思っていた】
【いつもの朝食。いつものひと時。新聞を片手にニュースを聞きながら、朝飯を適当に齧る】

【地表そのものが這いずっているかのような蛇の大移動。そして、『新種の蛇神』】
【聞き流す程度の、ありふれたニュース。そう、ありふれたニュースだ】
【紙面を捲り、大きく掲載されたその写真を見て。「今度はまたずいぶんと綺麗だな」などとつぶやいて】
【次の瞬間、全てがひっくり返った】


何――――?

【思わずつぶやいたその時には、すでに気が付いた。これがしょっちゅう移動させるアジトに簡易に設置した組み立て式ベッドの上で】
【三つの目玉を閉じて眠る、自分の肉体を置き去りにしてやってきた、夢の中であるのだと】

【先ほどのニュースや新聞の違和感を置き去りに、新聞から伸びた蛇に絡め取られるように】
【カニバディールは落ちていった。上下左右もわからない闇の中、奇妙に長い時間を置いて】
【はたと気が付けば、慣れた三つの視界。周囲は夜目の効く己の額の目玉ですら見通せない濃密な闇】

【唯一見えるのは、目の前のカーテンのようなベールのような、脱ぎ捨てられた蛇の残滓のような、何か】
【思わず、手を伸ばしかけて。制止の声にぴたりと動きを止めた】


…………。――――私は、お前に触らない。姿を見ることもしない
こちらから指摘もしないし、その正体を聞くこともしない。約束しよう

【ゆっくりと手を下ろすと、視線をベールから外す。その先には、ただ闇があるばかりだったが夢であることを想えばむしろ自然か】
【無論、困惑はあった。しかし、その鈴の音に対してある種の確信もあった】

【そのルールを全て理解したわけではない。しかし、異形の肉屋はあの奇妙な縁を結び、断ち切り、再び一時的に結び直したあの女性が】
【そこにいるのだと、己の中でそう決定した。疑うことはなく、確かめもせず、指摘することもない】
【ただ想像し、それを信じた。己自身がそう決めた。それで十分だ】

【人の気配を感じつつも、それを己の決定の捕捉以外に使わない。この時を逃すわけにはいかないと、何故かわかっていたからだ】


……先を聞いても構わないか?

【彼女の言葉に誓いを立てれば、後は先を促すだけだ。その名を決して呼ぶことのないまま】


578 : 名無しさん :2018/06/14(木) 20:50:07 PVW1yFDM0
>>577

【――――ざらり、あるいは、ずろり、と、そういう音がした。まるでその向こう側に"なにか"が擦れ合うような音、「――ええと」と、困ったような声】
【ならば伝わるのかもしれない。――彼女自身何をどうしたらいいのか分からないでいるのだろう、それくらいに事態が込み合っているということ、なのか】
【それとも。言えないことが多すぎるのか。――現状を伝えれば"上書き"されてしまう。そうしたら、ようやく見つけだしてこさえたこの時間が、早くも終わってしまう】

【(――そして、これが最後だという予感に似た確信が、彼女の中にあったなら)】

………………ん。――と、……ありがとう。……ああ、でもね、いいよ、あなたは名前呼んで、いいよ――わたしは、言えない、けど。
……あ、あー、――んん。いいのかな、その方が、――いいの、かなあ、……分かんないや。……でも、多分、大丈夫、だから。

【ひどく探り探りに似た声だった。目隠ししたままで歩かされるときみたい、足元を必死にまさぐりながら進むように。結局結論は出なかった。でも、彼はきっと大丈夫】
【呼ばれるだけならば。――自分から今の名前を伝えなければ、いいはず。――けれどそれはもうどうしようもない情報として彼は"見て"いた。新聞の紙面、示されていた名前】
【――ウヌクアルハイ、という、名前。ならば予感させるようだった。――その名前で呼ぶことだけは絶対に避けなければいけないと。少女の名を呼ぶだけなら、構わないらしいと】

えっと……、……。……その先。えっと……。聞きたいことは、何か、ある? ……聞きたくないことは聞かないで。勝手に答えちゃいそう、だから……。それで。
……――ううん、わたしが、先に話した方が、いいのかなぁ。……、……――あー、ううん、ちがくて、――、えっと。……ごめんね、ごめんなさい。いろんな、こと、

わたしから話すね。

【また困ったような声。それはちょっとした違和感。使い慣れぬ道具を手繰るように、当たり障りない行動を模索するように、ひとつ、ひとつ、並べていく言葉を】
【一度広げかけて、――けれど自らしまい込んだ。ならば個人的な話みたいなものは謝罪が一つ。――急に居なくなったこと。それは、先に、言ってしまいたかったように】

…………白神鈴音はね、神様だったの。でもね。それをね。ずーっと……、知らなかったの。気づかなかったの。病気とおんなじなの。
……おかしいなって思っても。絶対におかしいなって思っても。病気なんじゃないかって思っても。――病院に行かなかったら、病気にはね、ならないんだよ。
あなたは病気ですって病院で言われたときに、はじめて病気になるの。……だから、白神鈴音、は、神様になったの。ほんとうは、ずっと、そうだった、んだ、けど……。

【沈黙は数分にも感じられた、きっと本当には数十秒ほどだっただろう。あるいは夢の中であったなら、三年と四か月掛けていたっておかしくはない】
【四十二日目に沈黙を破った瞬間だったのかもしれない。分からないけど。分からないなら数十秒と等しい時間の後に、彼女は、意を決したように。話すのだろう】

――――――――病気の、名前? えっと、違うな、――病原菌? 可哀想かな。――――神様に変貌(な)った原因。
女の子がね、死んじゃったの。一人。普通に生きられるって思ってた、大人になって、当たり前に結婚とかして、……そういう風に思ってた、子が。
でもね、その子はね、死んじゃったの。うんとひどい目に遭って。最後には、神様になっちゃっておかしくないくらい、みんな、全部、嫌いで…………。

――うん、なっちゃった、んだけど。それが白神鈴音。そうやって出来たの。だから、神様だった。神様、なんだけど……えっと。

【――だからって話していることが明瞭かどうかは別の話だった。声がふらふら揺れるならば考えながら。他人事みたいに話している。あるいはわざとそう意識して】

/分割で!


579 : 名無しさん :2018/06/14(木) 20:50:21 PVW1yFDM0
>>578

だから、ね、……助けてあげてほしい子がね、いるんだ、……わたしにはどうしようも、できなくて。
わたしとその子は、よく似ているけど、違ってて、……ねえ、ね、わかる、かな。あなたに、双子の子がいたとして。

ひどいことされたのはね、その子なの。弟でもお兄さんでもいいよ。――――――あなたが、その子の代わりに何かを勝手に赦してあげちゃうことはできないし、しちゃいけない。

……その子がね、納得しないと、いけないんだ、……そういう。おまじないなの。紐と櫛と林檎、じゃ、ないけど、
それがね、必要なの、それをね、しないと、いけないの。……だから、お願い、聞いてくれる? ――神様がお願いって、きっと、すっごく、変だけど。……。

【もし――もし。もしも、彼女が、あの少女が、目の前に居たなら。きっとちょっと険しい顔をしているんだろうなって予感させた、そういう、声だった】
【がさがさのカーテンの向こう側には何も透けてこない。それでも、――その向こう側で、初めて彼女が相手へと振り返った、ような、気配だけがして】

その子をね、桜花鈴音をね、助けてあげてほしいの、……何年も前に死んじゃった子だけど。まだ。ずっとね。怒ってるの。あの時から。ずっと。
――それを終わらせてこなかった、終わらせようともしなかった、……気づいてなかった、わたしが悪かったの。だけど、もう、わたしは、ここから出られないから――。

――――――ううん、もう少しで、出られる、……と、思う。……でも、その時、きっと、わたしは、……自分のこと、誰だか分からないから、――。
…………だけどね、よかった。ずっと探してたんだよ。オムレツさんがお話しに来てくれた時から。……オムレツさん。知ってる――? 知らない、かなぁ、

【――――――そうやって伝える。声は。今日初めて少しだけ明瞭で、明確に相手へ向けられる、――それで申し訳ないように語尾が揺らいで、また、視線が反れる気配がする】
【じゃらじゃらとこすれ合う音。声のトーンが落ちて、吐息がちになる。どこか悔いるようだった、何もできなくなってから気づく無力感に似て。あるいは、寂しさに似て】
【もはや自分では何もできないから、彼に、頼る。――そういう宣言だった、良かったって、間に合ったって、わざとらしく明るい声、笑い声まで続けたなら】

……――方法はね、わたしも、よく分かんないの。今更なんだよ。欲しかったものは手に入らないの。もう遅いの。神様になっちゃったの。
ほんとに欲しかったものは絶対に手に入らなくって。……だけどね、何かをしてあげないといけないの。……――、だから、ね、その子の一番、大切にしてたもの……。

持ってるひとがいるの。そのひとからもらってきてくれる?

【くすくすした笑い声のあとに、はぁ、と、ため息。――それで声が褪めた。なんでこんなところにいるんだろう、って、言外に示すように。――帰りたい、と、思ってしまったように】
【――"わざと"聞いてないことがあった。確認したい。怖い。――もしも自分が居ない間に、たんぽぽの子供たちが殺されてしまっていたら。どうしよう。聞きたくない。聞かない】
【聞いてしまったら――きっと自分まで怒ってしまって、分からなくなるから。聞かないまんまで、確認しないまんまで、話を進める、――それで、結局、頼んでいるのなんて】

【――――お使い、だった。自分より一回り以上は年上だろうひとに頼むにはちょっと簡単すぎるような、お願い。ミッションは簡単、とあるものをもらってきてくれって】
【――真剣な、声だった。だから冗談は言っていない。――この場できっと彼女は冗談だなんて言わない。焦るみたいに、要件だけ一度に言ってしまいたい、みたいだったなら】
【確認なんだけれど、同時に、ひどく急かすようでもあった。――何か、を、伝えないといけない。だけど。読み上げるだけ読み上げて終わり、じゃ、無感動すぎる】


580 : 院長中身 ◆zO7JlnSovk :2018/06/15(金) 17:41:56 rUVeW7120
>>567

【二度、ケバルライは舌打ちをする。沈痛な面持ちは頑固にこびり付いた穢れの様で】
【──、視界の端に佇む貴女を視認したなら、表情が和らいで、呼吸を整える】
【少し間合いを置いた。言葉を選ぶ様なそんな間合いで】


ウヌクアルハイ様が受肉されるまで、まだ時間があるのです。── それ故に、今あの方をお呼びしてはいけない
我々は深奥部に近付き過ぎました、── あの方にとっては、きっと戯れなのでしょう
けれども私達にとってすれば、それを認識したならば、我々の世界が終わる事に同義なのです。

それは勢いよく杯に、許容量を遥か超える知識を流し込む様なものですから
すいません、何もかも後手後手の説明になってしまい、── しかし、我々の信じる神について理解出来たでしょう。
ウヌクアルハイ様は今は、盲目にして白痴なのです、この状態で顕現されたなら、どうなるか


【──、お分かりでしょう、とケバルライは続ける。その言葉の真意はわからずとも】
【だから受肉は果たされなければならない、と彼は締めくくる。確固たる決意で】
【ちらりと大広間の時計に視線をやった。もう大分時間が経ったのだろう】


僅かな時間でしたが、貴重な体験が出来たでしょう?
──、直ぐに全てを理解する必要はありません、ゆっくりと進めればいいのですから


【そう言ってケバルライは背中を向ける、何もなければそのまま立ち去るだろうか】


581 : 院長中身 ◆zO7JlnSovk :2018/06/15(金) 18:08:18 rUVeW7120
>>568


【、──頭を撫でる指先が涙の様に頬を伝い、微風の様に背中へと回る、そうして雲を掴むみたいに抱き寄せて】
【彼女の両腕が抱き留める。華奢な貴女に寄り重なる、影はきっと手向けの様に捧げられて】
【沫雪の瑣末を見届ける心地に似て、頬の白が何処までも淡く解けてゆく】


メリー、それが貴女の名前なの。素敵な素敵な、子猫ちゃんの名前。
愛する最初の一葉は、誰よりも愛しく尊く名前を呼んで、その舌先で、舐るように、滑らかな響きを蕩かすの。
それは夜を鬻ぐ曲輪でも、春を貢ぐ乙女でも、蜜の滴る新妻でも、変わらないから

メリー、今まで貴女を呼んだ、どんな人よりも、私は愛しく、貴女の名前を呼ぶから


【右の手で抱き寄せて、左の手で頭を撫でる。繊細な硝子細工で出来た編み物に、触れるかの如く】


愛は与えるものでは無いの、奪うものでも無いの。──それはね、心の作用だから
誰かを思って行う全ては愛で、時にはそれを理解出来ないかもしれないの、すれ違いもまた、愛の形だから
──ふふ、でもね、でーも、こーんなかわいい子猫ちゃんなら、カチューシャは甘やかしてしまうの

ねぇ、呼んでくれる? カチューシャの名前、いっぱい、いっぱい、声が果てるまで


582 : エーリカ ◆D2zUq282Mc :2018/06/15(金) 20:53:04 JY1GydDk0
>>580

【得体の知れない"何か"。ケバルライが神様と崇める"存在"。自身が蓄えた言葉を総動員しても当て嵌めきれない】
【人は得体の知れない恐怖に対して言葉を当て嵌める事で対処してきた――しかし、言葉を当て嵌められない恐怖は】
【何と呼ぶべきなのか。それをこそ神と呼ぶべきなのだろうか――畏怖し奉られる存在をこそ】

―――……確かに貴重な体験が出来たよ。あれを神と呼ぶならば。少しは理解できたかもしんない。
まあ尤も。今日の出来事は私にゃ十分に許容を超えてる。もう頭が沸騰しすぎて頭が湧いてる気分だね。

(――…神と呼ばれるアレは、絶対に表に出しちゃいけない代物だ。勝てる勝てないの次元じゃない)
(思い出すだに恐ろしいよ……。神様を崇拝してるケバルライでさえご覧の有様なんだから…)
(尚更、コイツらの全貌を暴く必要がある。そして火急速やかに――)


【"壊滅させなきゃ"――出来るのか?否。言葉にも嵌めれない位相の異なる恐怖(カミサマ)に対して】
【倒すだの、壊すだの、殺すだの。用意できる言葉の全てが不適格に思える。人の形をした信者ならば殺せる】
【だが、形の無いもの、知覚しか出来ない上位存在に対して用意するべき言葉(しゅだん)を今は持ち得なかった】


【強がりを装う言葉。装いを剥がすのは、上ずった声色。無自覚に細かく震える身体。戦慄して凍りつきそうな精神】
【エーリカを辛うじて支えているのは、自身が潜入捜査官であるという自覚。逃げ場があると言う錯覚めいた安堵】
【自身に背を向け立ち去ろうとするケバルライに対して、なけなしの精神力を総動員して言葉を投げかける】


最期に一つ聞きたいんだけどさ。この教団に属する信者は…幹部のアンタ含めて一枚岩なのかい?
みぃんなアンタと同じ向きで、ウヌクアルハイ様に対して同じ思想を持ってんのかい。


【愚問にも取られかねない問い。この問いに「YES」と言う解が返って来れば――エーリカの戦慄は更に加速するのだろう】


583 : 棕櫚 ◆D2zUq282Mc :2018/06/15(金) 20:53:38 JY1GydDk0
本スレ>>495

【アリアが着地した瞬間に地面に罅が入ったのを棕櫚は見逃さない】
【罅の入った地面は、女性が人から外れた存在であると暗に語り。より一層の警戒を強めるのであった】


キヒヒヒッ、どうしたよ?急に飛び退きやがって。目に毒でも入ったかぁ?
――だとすりゃ天罰覿面だなァ、オイ。"目には目を。歯には歯を"ってな。よく出来た理屈だとは思わねえか。
ンで、どうだ。俺のご尊顔をよーくご覧じてみろや。テメエと同じ顔してるかも知れないぜぇ?


【"キヒヒヒッ、見える訳無えよ。俺の瞳術に嵌って目が暗くなっちまってんだからな"】
【人の悪い笑みと嘲りの言葉。両方とも今のアリアには見えまいとタカを括ってアリアの神経を逆撫でる】
【棕櫚はアリアの視界を遮ったものと判断している故のリアクション。完全に優位に立ったと過信さえしていた】
【髪で隠された目には効果が薄い事を忘れているかのように。迂闊や軽率の類からの過信であった】

【アリアの舌打ちの直後に飛来するナイフ。それと同時に棕櫚は疾走しアリアの投擲したナイフを回避する】
【棕櫚は彼我の距離を詰めていき、アリアの胴体目掛けて右足からの鋭い蹴りを繰り出すのであった】
【その蹴りは風を切るように鋭く、そして切れ味の悪い斧を無理矢理叩き付ける様な強引さを持っていた】


584 : アリア ◆1miRGmvwjU :2018/06/15(金) 21:17:23 o6XMS57s0
>>583


「 ── ぐ、うッ …… !!」


【どうやら投擲したナイフは男の体を掠めてもいないらしい。当たらなくてもよかつた。"飛び散らせること"が目的だったから。】
【ぱりん、 ── 硝子の砕ける音。それでいい。風切って何かが迫るのを感じる。ならば腹部への蹴撃は、甘んじて受け止める。爪先が腹に深く食い込む。】
【男が「こういう蹴り」に慣れているなら、少しばかり、感じる手応えも違うだろう。幾ら全身義体のサイボーグでも、堪えるものは堪える。痩躯が、ぐらつく。】
【強烈かつ急速な外圧に腹筋が呻く。微かに唸る。口許から涎を零しそうになる。ぎり、と歯軋りをするのは、 ── 恐らく、悔しさからではない。】


「 ……… いいこと?」「獲物の前で舌舐めずりするような輩は、三流よ。」


【今度は確かに"憤怒"の色合いを込めていた。冷たい声は冷酷な声だった。 ── カメラアイの状態を確認する。幾らか明度が暗くなっているが、"いける"。】
【然し、まだだ。まだ、左眼は見せない。こうして態々、近付いてきてくれたのだから。お礼参りはせねばならない。】
【 ── もしも男が迂闊な蹴りをしていたのなら、彼女はそれを受け止めつ、右手でスーツの脛をホールドしようとするだろう。自分の右膝を、尖らせつつ】


「本当は"こういう所"で、使いたくなんかないけれど ── 」「ゲバ棒を振り回す相手は、よく選ぶ事、ね …… !!」


【早急に振り解かなければ、太腿に痛烈な膝蹴りを食らうだろう。幸いなことに視力を封じられている現状では力点にも迷いがあるようで、逃れることは不可能ではないだろうけれど。】
【 ── 同時に、男の後方で、"なにかが光る"。闇の中にあって輝きさえ産まないような、昏い光。それに気付くのなら、尚更ここから逃れねばなるまい。】


585 : ◆XLNm0nfgzs :2018/06/15(金) 22:52:50 BRNVt/Aw0
>>581

【抱き締めて、名前を呼んで。】
【そうすると彼女は桃色の瞳を大きく見開いて大粒の涙をぼろぼろと溢し始める】

そっか……そうだったのだわ
私はずっと、こうして欲しかったのだわ
ギュッてしてもらって、名前を呼んでもらって……
お母さんもお父さんも、きっととってもいい人だったの
でも本当に小さい時しかギュッてしてくれなかった
優しい声で名前を呼んでくれた事だってもうずいぶんとなかったわ

お姉さん、私のお名前、本当に素敵?
これからも優しく呼んでくれる?

愛は、与えるものでも奪うものでもないの?
誰かを思ってするのが愛?
ならばお母さんやお医者様が私を小鳥みたいに灰色の塔に閉じ込めて、病弱だって決めつけてお外に出してくれなかったのも愛、だったのね。きっと
【それが本当にそうだったのかなんてもう二度と分かりはしないけど、とメリーは自嘲気味に呟くのだが】

ええ、ええ!
何度でも呼ぶわ!お姉さんの名前を呼ぶわ!
カチューシャお姉さん……ううん、カチューシャお姉様!
【少女は花が綻ぶような笑顔を貴女に向け、その名を呼ぶ】


586 : 棕櫚 ◆D2zUq282Mc :2018/06/15(金) 23:11:29 JY1GydDk0
>>584

――ひゅう♪直撃したなぁ。クヒヒヒッ、良い声して鳴くじゃねえかよ。やーべぇッ、超ウケる。
その面ァ、たまんねえなぁ…!ゾクゾクしてきたぜェ…!オラ、もっと大きな声で鳴いてみせがれ…よッ、と!


【"会心の一撃"――アリアの胴を深く抉る様な先の蹴りを評するならば、その言葉が相応しかった】
【振り抜いた際の感触は、異質。普段蹴り慣れている肉の弾力とは異なる手応えに微かな嫌疑を抱く】
【だがしかして。それならば目の前の女が"黙るまで"蹴り続ければいい。思う存分蹴り壊せば良いのだ】
【故に棕櫚は下衆の愉悦に勝利を確信して。如何にしてアリアを嬲るかを思案し始めた。その瞬間――】


【冷酷な声色で空気を震わせるアリアの言葉に、僅かばかりであるが気圧された】
【アリアを甚振る事にのみ関心の向いた右足は振り抜かれなかった。それどころか押し留められていた】
【隠していた牙を向けられる感覚。今にも蛇に丸呑みされる贄の気分。――つまり、窮地に追いやられている】


――…ッ!随分と狡いマネしてくれてんじゃねえか、クカカッ。
舐めてんじゃねえぞ、クソアマ。テメエの理屈はお呼びじゃねえんだよ――ッ!!


【鋭い眼光と歯軋りを携えて、ホールドされた右足を振り解くべく足掻く。もがく。足掻き、もがき続ける】
【徐々に弱まる瞳術の効果であるが、この場面においては未だ有用だったようで。棕櫚の足掻きは一応の成果を出す】
【自身の太腿に痛烈な一撃を見舞われる事は免れたが、危機は依然として去っておらず。背後から嫌な気配を察するのであった】


(―――チッ、碌でもない予感しかしねえ)


【棕櫚は足を振り解いた後、アリアと背後の光から距離を取る。そしてアリアが甚振っていた蛇教徒の男女へと】
【駆け込んで行きその一人を力の限り蹴り飛ばした――アリアと得体の知れない光へと向けて】


587 : アリア ◆1miRGmvwjU :2018/06/15(金) 23:33:40 o6XMS57s0
>>586


「あらそう。」「小悪党に言われるのだから悪い気はしないわね。」
「では如何にかしてみることね。貴方の理屈、とやらで。」



【冷淡にも彼女はそう告げた。焦燥、慢心、 ── そういった類の感情を、およそ彼女は持ち合わせていないらしい。確かに男へと怒りを向けつつも、】
【追い詰めるのは一手ずつ。一歩ずつ。手抜かりも勇み足もなく。何方かと言えば女は、頭に来るほど冷静になれるタイプだった。】
【少しずつ視界が晴れてくる。黒い靄のかかったようなボヤけ方はまだ治ってはいないが、どうやら時間の経過と共に収まる類の幻術ではあるらしい。 ── なれば。】

【自身に向かってくる哀れな信徒の体躯を、 ── アリアは体で受け止めて、多少よろめいて、隙を見せるも】
【それで近付かれるなら又構わない。鬱陶しげに無造作に打ち捨てて、可哀想なうめき声。同時に ── 輝きを放つ昏い光より、呼び出されるのは。】

【黒い銃身を六つに束ね、複雑怪奇な機関部とベルトリンクを備えた、「ガトリングガン」。トライポッドが路地裏のコンクリートに脚を下ろす。】
【XM214。歩兵向けの重機関銃。口径は5.56×45mm ── 然し弾頭は、せめてもの慈悲だろうか、非殺傷性のゴム弾。】
【ジャムを防ぐ為に回転数と装薬量も落とされてはいる。もしも当たっても「死ぬほど痛い」で済むだろうけど、それを男は知り得るだろうか。】



「いいこと?」「そのクソ垂れる口を噤みなさい。舌ァ噛んでも知らないわよ。」



【 ── およそ不気味な唸りを上げながら、銃身が回り始める。彼女の手さえ触れることなく。彼女は「そういう」能力者だった。】
【転瞬、 ── 電鋸のような連続的射撃音と、プロップガンもかくやという凄まじいマズルフラッシュの嵐を添え、放たれるのは弾丸の嵐。ただし、非殺傷性。】
【しかも狙っているのは男の脚元。逃げるならそれでよし。逃げぬのならそれもよし。 ── あくまでこれは、牽制である。】
【聡明な男であれば気づくかもしれない。彼女は距離を詰めようとしている。発射炎を後光のようにして、煌めく銀髪が夜闇を撫ぜ、アリアは男へと駆け寄ろうとするだろう。】


588 : 棕櫚 ◆D2zUq282Mc :2018/06/16(土) 00:13:11 JY1GydDk0
>>587

【往々にして嫌な予感と言うものは的中するものだ】

【昏い光から出でるは殺戮の象徴。一個人へ向けるには過ぎた力。ジャイアントキリングそのものだった】
【慢心や驕慢を強者の特権として是とする棕櫚でさえ、自身に向けられた過剰な殺戮を理解し顔を歪ませる】
【嗜虐に歪んだ愉悦の面構えは急転し。反転して。今や焦燥一色に染められつつあった】


――…厭な渡世だなァ。たかがしがない公安にガトリングガンが向けられるなんざ、よ。
降参だ、降参。あー、テメエにゃ"サレンダー"って言った方が――良いかって問うと思うか?
命乞いするとでも思ってんのか?だとすりゃそりゃ間違いだ。大間違いだ。


【けれど自身を強者と嘯く在り方は変わらず。足元に転がる蛇教徒の女性を拾い上げ、それを盾に見立てる】
【徐々に焦燥は傲慢と驕慢と悪辣へと塗り替えられていき。アリアの不興を買う言葉を選び続けるのだった】


しかもテメエも"能力者"か。一等性質の悪い"鬼"風情が。この国じゃ"能力者"って"鬼"は人間じゃねえんだ。
それにその舌は余程脂が乗ってるみてえだな。旨そうだ。だからよ、逆にテメエの舌が噛み千切られる事を心配しやがれ――ッ!


【ガトリングガンが唸りを上げるのと同時に棕櫚は人間という名の肉の盾を用いてアリアへと突貫する】
【尻尾を巻いて逃げるという選択肢は無い。そしてアリアに屈服する理屈も用意していない。故に、用意するのは棕櫚自身の望む理屈】
【肉の盾がガトリングガンの弾幕を受ける度に声にならない呻き声を上げているが気にも留めない】
【肉の盾が盾の役割を果たさなくなったとしても、棕櫚は突貫するのみ。盾ごとアリアへと体当たりを仕掛けるのだった】

【その上で棕櫚の専心は唯一つ。アリアへと肉薄し、再度瞳術に嵌めた上でアリアの心と身体を壊すこと】
【もはやアリアに掛かった瞳術も効果を無くす頃合であるため、距離を詰めるほか無くなったのである】


589 : アリア ◆1miRGmvwjU :2018/06/16(土) 00:40:01 o6XMS57s0
>>588

【 ── きた。】
【挑発に乗ったのか、或いは自ら其れを選んだのか、然し女にすればどうだっていいこと。戦況は極めて望ましく推移している。】
【「血を媒体とした武器の召喚」 ── それが彼女の能力。フルーツナイフから弾道ミサイルまで、およそ凡ゆる兵器を自身の血液から呼び出す異能。】
【それゆえに得意とするのは遠距離戦 ── ではない。最初に血液をバラ撒く以上そこにはタイムラグという回避の余地があるし、近距離の方が出血も多い。】
【彼女の真骨頂は格闘戦にこそある。随所に散らした自分の血と、サイボーグ故の優れた身体能力が織り成す高速多角攻撃。半径10mは彼女のキルゾーン。】


「 ── 口と度胸は一人前ね。頭が回るとは言わないけれど、いいネゴシエーターになれるわ、貴方。」
「腐れた公務員を遣らせるには勿体ないくらいの有能さかしら。権限さえ有れば、私の部下にしたいくらい、だけれど …… ッ!!」


【 ── ガトリングガンが唐突に沈黙する。過熱した銃身が白煙を上げる。幸い、散々に打ちのめされた女性は死んではいないらしい。】
【何のことはない弾切れである。分間3000発近いファイアリング・レートに対して、多くのガトリングガンは多くて1000発ほどしか装弾数を持たない。】
【弾幕は20秒持てばよかった。それを含めての牽制でもあった。だから女もまた踏み込む。その突進の中、確かに男の瞳、視線が交錯して、】
【 ── けれど再び視界が奪われたのなら、彼女は呻きつつも「左眼」を露わにする。白銀の髪の下に隠されていたのは、醜く焼け爛れた顔の半面。そして、】
【眼帯のような望遠レンズを持つ、「義眼」。人のものではなく、故に彼女の正体も、推し量られるのだろう。】


「 ……… せェ、」「やッ!!」



【 ── そうして肉薄したのなら、体当たりを半ばほど受けつつ、しかし半ばほど受け流しつつ、】
【哀れな女の体ごと、男の体に取っ組みかかって、 ── そのまま、一本背負いに、投げ捨てようとするだろう。】


590 : 名無しさん :2018/06/16(土) 02:43:21 sKDUT42Y0
【街中――――時刻は朝を少し通り過ぎたころだった。昼にはまだ足りなくて、けれど、おあいにくの曇り空】
【どんよりした空に、蒸した湿度。風は冷たくて、ならば、もうそろそろ雨が降ってきそうな温度感に、街路樹がざわめいている】
【それは何か不吉な出来事を予感させるように。――――そして一つの木の下、"それ"こそが、不吉の序章であったなら】


【――少女たちだった。何人かの少女がきゃあきゃあと話している。年頃はみな同じころならば同級生とか、だろうか。めいめいがかわいらしく着飾って】
【聞こえて来る会話に耳を澄ます人間がもしも居たなら――久しぶりに会った友達同士なのかな、と思わせる。そういう鮮やかな温度感に、けれど、一つだけ、わずかに褪めている】
【そしてその人物こそが、数人の少女に囲まれ、話しかけられている人物であった。「――かえで、ほんとに、元気そうでよかった!」「みんな心配してたんだよ」】

……あはは、ごめんなさい。自殺とかしてたわけじゃないんですよ、ほんとに――どっか、行きたくなっちゃって。自分探しの旅、してたんです。
おばさんとか、心配してますよね? ……え、そんなに? そうなんですね、……悪いことしちゃった。みんなにも、心配かけましたよね?

ほんとにごめんなさい。……ねえねえ、せっかく会えたんです、こんな場所じゃなくって。よかったら、どこか、移動しませんか。
――――そうですね、そこの路地の奥に、ちょっと、オシャレなお店あるんですよ。隠れ家すぎる感じの、隠れ家的、お店――。

【――薄く透き通るようなウィステリア色のロングヘア。真っ白な肌に映えるマゼンタの瞳がにっこりと笑う、表情までも華やかにしたなら、声音まで明るくなって】
【口元に沿える左手には片方だけのロンググローブ。少女たちの一人が見咎めて尋ねる、「――ちょっと肌荒れしちゃってて」。マゼンタの瞳の少女が答えて、解決する】
【白いワンピース。胸元にゆとりのあるデザインにロング丈のスカート。ふっくら豊かな胸元が、腕にきゅうと押しつぶされて、退屈そう、少し形を変えたなら】
【足元のサンダルのかかとがころころと地面を転がる音がする。――指差したのはありふれた路地の一つであった。少女たちは少しの間そうして話していたのだけど】

【――――やがてやがて場所を移動することに決めた、らしかった。ならば少女らしい姦しさ、きゃらきゃらとした声が、路地裏に消えて行こうとして】
【幾人かの集団の中で年相応のあどけない表情をしている"彼女"。――蜜姫かえでという少女の現在を多少なりとも知っている"彼"が見たならば。その光景は、どう映るのだろう】

【あるいは――その路地の先は行き止まりであると、知っていたなら? 他の幹部の情報を抜き取った際にでも、彼女が、捜索願を出されていることを知っていたなら?】
【彼女の地元は正直そう遠くはなかった。知り合いと偶然行き合うこともあり得ない話ではなかった。――そう、まるで、今みたいに。だから。これが現実で】

【「それにしても自分探しの旅とか早くない?」「でもかえでっぽいじゃんー」「確かに!」「そういうとこあるよね」「授業いつも聞いてないしさー」」
【――あんまりに自然に少女は集団から少し遅れて、一番後ろを歩いていた。誰もそれに気づかなかった。気づかないから、きっと、帰り道を見失うんだけど】

/よやくのやつですっ


591 : ◆S6ROLCWdjI :2018/06/16(土) 16:11:44 1lzhQECo0
>>590

【――――少年、破崎雨竜には友達がいなかった。】

【まあ当然のことでもあった、当人に作ろうという気概がなかったのだから】
【教団の中でも外でも。誰彼かまわず見下しまくるだけの少年に、そんなもの、できるわけもなくて】
【だから――その光景を見たときは。また少しだけ苛立ってしまったのだ】

【「またアイツだ。ボクにないもの持ってる、また、アイツが、あの女が」 ――――】


(…………にしても、やかましいなあ女子って。ボクんとこのクラスメイトと同じだ)
(高校生になったらちょっとは大人しくなるもんかと思ってたけど――あんま変わんないや)
(むしろもっと煩くなってる気もする。なんで女ってそんなのばっかなんだろ、……、)

(――――――アイツ、どうするつもりだ。「ああいうの」すら、贄に、する気……?)


【こつん。――――13センチのピンヒールが微かに鳴った。そこから伸びる脚は、黒タイツに包まれて】
【短い短い丈のショートパンツ、上に羽織るブレザーは皺ひとつなく、威厳をまとってグレー】
【インナーに選択したのはありふれた白いシャツじゃなくて、黒のハイネック。とても暑そう、なのに】
【汗ひとつ掻いていないのは、きっとそれを着慣れているから。顔以外の肌を、徹底的に隠して】

【金髪碧眼の少年、ウリューこと――“サーペント・カルト”の幹部が一柱、“サビク”は】
【怪訝そうな顔を隠すこともなく、少女たちの尾行を始めた。……正確には少女たちの、ではなく】
【“ムリフェン”――蜜姫かえでの。素性を探るような行動。それを開始した――あんまり上手くはない。足音が、隠しきれてない】


592 : 棕櫚 ◆D2zUq282Mc :2018/06/16(土) 17:27:04 JY1GydDk0
>>589
>>589

【交錯する刹那の攻防。肉の盾は盾としての本懐を果たして。瞳術はニ度、アリアの視界を遮った】
【自身の思惑がほぼ現実となり、にやりと口を歪ませる。だが愉悦と過信によって棕櫚の歪んだ表情は直ぐに掻き消される】

【アリアの左目は前髪で隠されており。それが意味するものは――自身の瞳術が不完全に掛かっていると言う事】
【故に瞳術に嵌っていない機械仕掛けの左目は。美貌を損なう程に焼け爛れた半分は――棕櫚にとって忌々しいものとなる】


ぐっ、テメエッ!!――ぐっ、ぉおおおおおおおおッッッ!!!


【肉の盾ごと棕櫚は一本背負いを喰らい、勢い良く投げ飛ばされる。自身の動きすらも利用した一撃】
【呪詛の言葉。憎憎しげな表情。棕櫚は己の過信を悔やんでなど居ない。終始アリアの一挙手一投足に毒づくだけだった】
【ただ。いつまでも悠長に毒づいてる訳にも行かない。棕櫚は肉の盾を手放し、地面に勢い良く衝突する折に】
【頭を保護するために顎を引いて体を丸め、前方へと前転する事で衝撃を緩和しようとしたが――それでも体中に鈍い痛みが駆け巡った】


ぐっ、ぁあああっっッ!……ッづっでえええええッッ!!


【駆け巡る痛みにのた打ち回りながら。聞くに堪えない叫びを伴いながら幽鬼の如くフラフラと立ち上がる】
【先程までの下衆の愉悦に染まった面構えはかき消されて。アリアを自身よりも格上の強敵と認識し、今までに無い真剣な面持ちとなる】


―――……ハッ、そりゃどうも。…お世辞は有り難く受け取っとくぜェ。
だがよう。人を選ぶ権利ってもんがあってなァ。テメエみたいな機械仕掛けに使われるのは真っ平御免だ。
それにな、俺は人の数ならぬ身、人の形をした"鬼"だからよ。腐れ公務員以外の生き方は出来ねえのさ――ッ!


【棕櫚の言葉は自身が能力者であり、社会的に死んでいる人間であると暗に告げて】
【その言葉を紡いだのち、棕櫚は再度反撃を試みる。彼我の距離は十分に離れてしまっているのは却って僥倖だった】
【両膝を曲げた半身の姿勢を取り、重力に身を任せ前方に倒れ込み、落下の速度に渾身の脚力を上乗せした突進力を以ってアリアへと接近する】

【もし接近が相成ったのであれば――棕櫚は下段から振り上げる形で、アリアの腹部目掛けて捻じ込むように穿つ掌底を放つだろう】


593 : アリア ◆1miRGmvwjU :2018/06/16(土) 20:58:49 o6XMS57s0
>>592

【ダメージは着実に蓄積している。元からなのか、冷静さを欠いているのか、驕り高ぶり故なのか ── 男の攻め手は直線的で、単調なものになりつつある。そう、女は感じた】
【然し世辞を言った覚えはなかった。激情屋で慢心気味、直ぐに自身の優勢と踏みがち、然し口先も度胸も単なる"やくざもの"と切って捨てるには余りにも惜しい。】
【まだ能力頼みとは言え、アンブッシュの容赦なさ。必要とあらば人身さえ躊躇わずモノとして扱う判断力。おまけに下衆い喧嘩に慣れている。】


「生身のまま腐るよりは、歯車仕掛でも朽ちずに生きる方が幾分かマシというモノでしょう。 そうしたいと願っているのは、」
「他ならぬ貴方じゃあないかしら。その本心と向き合えないから、誰かに責められるのが恐ろしいから、自ら先に否定してしまう。 ── 酷く、拙いわね?」


【淡々と、しかし挑発するような意趣返し。走り来る男。またも突進 ── 。ならば、女の選ぶ手も決まる。】
【腰を微かに落として構える。向こうの姿勢も低い。狙って来るのは、恐らく上向きの殴打 ── そして、会敵するのなら】


「まあ何れ私には、無関係なことだけれ、ど ── ッ、くふ、ぅ …… ッッ !!」


【 ── 2発目の打撃を腹に貰う。微かに呻く。だが1発目とは違い、どこから来るかは見切っている。故に微かに身体反らして、"浅い"入り方に留めながら】
【構えていた片手で突き出された袖を掴もうとする。そうして、懐に男を捕まえたのならば、引きずりこむ動きと共に】
【もう一度、痛烈な膝蹴りを、今度は男の顎骨目指して、突き刺すように。 ── まともに喰らうのなら、脳震盪による失神も、あり得るだろうか。】


594 : 名無しさん :2018/06/16(土) 22:32:49 sKDUT42Y0
>>591

【後を追いかけていくなら、きっと彼はいろんな話を聞くだろう。あるいは、この少女が唐突に姿を消した日のこと、みんなも一緒に探したんだ、とか】
【彼女のおばさんがすごくすごく心配して探していたとか。それでも見つからなくて。だけどみんな、どこかで、この少女なら絶対平気だと分かっていた、と誰かが言って】
【その誰かを責める声が連なる。だけど全部が親し気で。何より――嬉しそう、に聞こえるんだろう。居なくなっていた友達が、すぐ隣で元気そうにしている】

【――――そういう明るさの中で、少女。蜜姫かえで。が。一人だけ、横目で振り返った。目を細めて笑うんだろう、"彼がついてきているの、知っているみたいに"】
【そして正しく"そう"であった。その直後に蛇念が送られてくる。ピンポイントで彼に向けて――「車と人手呼んでおいてもらえないですか?」「知り合いなんで」】

【「地元で話回されたら間違いなく警察に話が行って、ウザいんで」――――】

――――、私ですか? 私はねぇ、――そうですね、とっても"良い人"を見つけて。今ね、その人のところに居るんです。
そこでの暮らしも、やっと、落ち着いてきたんで――。ちょっとね、顔を出してみようかなって。でも、見つかっちゃうなんて――。
ほんとはね、もっとこっそりするつもりだったんです。――だって、ほら、恥ずかしいじゃないですか。

……会いたい、ですか? うん、その"お方"も、喜ぶと思います。そうですね、それが善いです。そうしましょうか。

【やがて彼女らの話は、蜜姫かえでが行方をくらましていた間、どこで何をしていたのか、というのに移ろう。そこには優しい気遣いがあった、悪くなく生ぬるい温度があって】
【ぱちりと瞬いて少女は話すけど。――後ろで聞く彼には分かるのだろう、彼女はどこぞの男の家に転がり込んでいたみたいな顔して、まったく、違う意味で話すから】
【――えー、いいなあ、どんな人? ――カッコいい人? ――会いたい! ――会ってみたいよね! ――きゃらきゃら、くるくる、笑い声が細い路地に響いていくなら】

【――――行き当たりであった。少女らの一人がそれに気づいて不思議そうにする。「道間違えた?」――誰かの声、「もう、かえでったら――」】

――あれ、間違ってないですよ? ウヌクアルハイ様にお会いするのですよね? ならば、これ以上の正しい道などありませんよ。
見つかるつもりはなかったのですが、見つかってしまったなら致し方ありません、……本当に残念です、ですが、これより先の出来事は。

…………その残念さを補って余りあるほどに、とても、とても。素晴らしいことですから――ね?

【――それで、きっと、静寂が降りた。ならばその光景は彼にとっても見覚えがあるものであったかも、しれない。阻害の力で編まれたマゼンタのリボンに巻かれた、人間たち】
【それは彼女がいつも持ち帰って来る生贄の姿であった。本当に一瞬の出来事。少女たちは友人である蜜姫かえでを疑わず、そして、蜜姫かえでは、友人である少女たちを憐れまず】
【むしろそれはとても素晴らしいことだから、と。――蕩けるような声で告げるのだ。甘く甘く蕩かしたスズランの音色の声音が、そして直後に、寸分たがわず振り返るなら】

ストーキングは趣味が悪いですよ? サーバントだったら許さないところでした。

【――――きっと少女はいつも通りの顔をしていた。だからこそ、どうかしていた。つい数十秒前まで楽し気に仲睦まじく語らっていた"友人"を、簀巻きの如くラッピングして】
【相手へ求めたのは車と人手の手配。――"やる"気だった。間違いなく。そしてあんまりに慣れた鮮やかな手口は、どうしたって彼女が生贄を集めて来る係であるのを思い出させ】

【ほぼ並ぶ身長の彼女が微笑んだ。どこか甘くってどこか冷たい。それでいて年相応のあどけなさを孕んだ、綱渡りみたいに鮮烈な、少女のみが浮かべるのを許される、色合いが】
【あんまりに明確に彼に向くから。――もう逃げ道はないみたいだった。手伝ってくれるんですよね、って、当たり前に、言うみたいに】


595 : 棕櫚 ◆D2zUq282Mc :2018/06/16(土) 22:33:07 JY1GydDk0
>>593

【アリアの推測は的を射ている。奪う側の人間であるという傲慢。逆上している故の冷静さの欠如】
【単調な動きとなるのに十分な要素が備わっていた。戦う事を生業とする格上が相手ならば尚更の事その様に映るだろう】


――…黙れやブリキ野郎。ブリキ風情が知った風な口を利くんじゃネェよ。



【アリアの腹部に棕櫚の掌底が捻り込む。その手応えは浅く、鈍く。単調な一撃は致命の一撃には程遠い】
【アリアの言葉が棕櫚の心を鋭く抉る。その手応えは深く、鋭く、的確に。粗雑な言動に紛らせた本心に触れる】

【体勢も相まって棕櫚の目付きは羨むような目付き。常に嫉妬を持つ者の特有の見上げた目付きになっていた】
【だが棕櫚はその目付きになっている事を知らない。頭の中はひた隠しにした傷口に触れられて狂乱していたから】

【そして、攻守は入れ替わる。棕櫚は袖口を掴まれグイっと引き込まれる――引き込まれた先はアリアの膝先】
【ぎりっと歯が軋む。躊躇している暇は無い。覚悟を決める必要がある。最早無傷では済まないならば行き着く所まで――】


―――……だっらぁああああああああああッッッ!!!!


【痛烈な膝蹴りが避けられないならば、せめて一矢報いてやる。半ば破れ被れの足掻きの如き頭突き】
【当然頭部に強い衝撃を与えれば失神も大いにありうる。それでも唯倒される訳のは許容出来なかったのである】
【膝蹴りと頭突きが衝突した先にあるのは果たして―――】


596 : ◆S6ROLCWdjI :2018/06/16(土) 23:02:25 WMHqDivw0
>>594

【飛んでくる蛇念。思わず顔を顰めて受け取る、側頭部に手を当てて――ぐしゃり】
【まっすぐ下に落ちる流れの金糸を掻き乱すようにして。「了解」とだけ】
【返しながらも、まじかよ、と言いたげに表情を歪めて――でも、笑っていた】
【その表情には、咎めようとか止めようとか、そういう感情はまったく混じっていなくて】

【かつん、と最後の足音。行き止まりの場所に辿り着く、縛られた少女たちを見下ろして】

……、……いいの? トモダチ、だったんじゃないの。
それとも逆かな、トモダチだからこそ――蛇神様に差し出してやるの?

だったらアナタはイイ人だね、ムリフェン――――怪我はもう大丈夫?

【助けを乞うような視線、向けられるだろうか。けれど少年はそれに笑みしか返さない】
【ここで少女たちを解放してやろうとするほど「真人間」でもなかった。腐っても蛇教の幹部】
【誰がどういうつもりで誰をどうしようと何も、なんにも思わないから。きっと彼女らはもう助からない】

えへへ、ごめんごめん。偶然見かけたからつい追いかけてきちゃった。
アナタがいない間、ボク、代わりに贄集めしてたけど……こんなに上手くできなかったや。
やっぱり、ええと、……こういうときなんて言うんだっけ? 餅は餅屋?

【「プロフェッショナルに任せるのが一番だよね」 ――――言って、それで、かえでの姿を見てから】
【また、縛られた少女たちに視線を落として。目を細める、珍しいものを見るような目をして】

……この人たちは、どういうオトモダチだったの? やめちゃったって言ってた、学校の?
どれくらい仲良かったの、ええと――――特別仲のいいトモダチのことは、親友って呼ぶんだっけ。

【そのくらいかな、なんて言いながら。聞きたがるのはかえでが、彼女らのことどんな風に思っていたのか】
【友達のいない少年にとって、それは未知だったから。だからと言ってこんなところで聞きたがるのも、変な話だけど】


597 : 名無しさん :2018/06/16(土) 23:25:05 sKDUT42Y0
>>596

…………はい? 駄目な要素がありますかね、……はい、友達ですけど。そうですね、お友達ですよ。みんな――。
――それも、特に関係ないですね。というか……この人達放っておくと、地元に話、流されるので。警察が来ちゃうじゃないですか。困りますし。

それに――ほら、この子。この子能力者なんですよ。ちょうどよくないですか? ――ウヌクアルハイ様もお喜びになられるでしょう! 

【――そうして彼女は当たり前に、これらの少女らと自分は間違いなく友達であると。友人であるのだと。認めるんだろう、ありふれた少女の笑みで彩って】
【友達だからといってためらう理由はない。友達だからといって捧げる理由もない。――友達でありながら、彼女にとって"少女ら"は単なる人間と変わりなかった、しいて言うならば】
【行方不明である自分のことを知っていて。その話を言って回る可能性がある。――というか、100パーセントだろう、と、考慮したときに。一石二鳥ですよね――と言うよう】

【地面にしゃがみ込んだなら、転がされた少女の一人のかんばせを撫ぜた。相手に見せるようにして。くちゃくちゃになった髪の毛を整えてあげる、――ひどく怯えて泣いていた】

怪我は大丈夫ですよ。ご心配ありがとうございます。アルジャーノンにナンパされました。だいぶ頭良かったですよ。

【であれば、少女はにこりと甘く冷たく笑うのだ。アルジャーノン――相手は"あれ"をどう思っているんだろう、明らかな異形でありながら、腕は確かであり】
【けれどその見てくれから、割と、サーバントでさえ近づきたがらない者が多い。――けれど少女は全く平気であるらしかった、多分、関わることが多いから】
【――この少女は能力の特異性から様々な人体実験、……もとい、多種多様な修行や儀式を受けていて。データ上にも残っている。割と死にかけて、割と、世話になっている】

…………ああ、そうだ、聞きましたよ。ありがとうございます。おかげさまで、この通りです。まあ、まだ、完治ではないですが――。
――そうですね、だいたいそれで合ってると思います。プロフェッショナルというよりか、私がやるのが都合がいいですからね。騒がれないので。

別にやるだけなら、ブッチャー君とか、ほら、10人くらい連れてきたら、割といいと思いますよ? 

【――――自分が動けなかった間のこと。と言っても数日ほどだろうか、――それでも、きっと、彼女のなかではとんでもない】
【ならば礼は丁寧なものだった。この通りです、――といっても、服の上からではよく分からないのだが。出歩いている以上、わりに、マシにはなったのだろう】
【そうしながら提案するやりぐちというのは割と乱暴だったから、ちょっとした冗談みたいなつもり、なのかもしれないんだけれど】

そうですね――中学んときの友達ですよ。といっても、地元、ちょい田舎なんで。小学校とかも一緒でした。ほら、この子、家が近くて――。
うちの犬と遊んだりして。言いましたっけ? 家(うち)、犬飼ってたんですよ。でっかいゴールデンレトリバー。親戚の家で生まれたの、もらったんですけど。
もらってきたときに毛がごちゃごちゃしてたんで、ごちゃ。最終的にごたって呼んでましたけど。命名したの? 弟ですよ、私ならもっといい名前考えます。

親友、そうですね、まあ親友でも、いいのかな。よく分かんないんですよね、親友って。何したら親友になるんでしょう?

【それはあんまりにありふれた温度感だった。相手がもしすぐに車と人手を手配してくれたなら、――本部からも、わりに近い場所であった。もうそろそろ、来るだろうか】
【彼女らにとっては日常の出来事。一方で"彼女ら"にとっては、全てが終わるまでの、カウントダウン。うずめられない温度差が満ちて――けれどマイノリティは黙殺されるから】


598 : アリア ◆1miRGmvwjU :2018/06/16(土) 23:27:13 o6XMS57s0
>>595


【怒りは人を育てるものだろうか。少なくとも女はそう信じていた。自身が其処から這い上がったことがあったから。】
【まだ青臭さの残る精神性はともかくとして、"よい気質をしていた"。心折れずに、それを信念へ変えられる強さ。中々に体得できるものではない。】
【 ── 窮鼠と例えるには余りに勇猛で狡猾だった。最後に食い縛り、食い下がり、食い破ろうとする其の姿勢に、】


「 ──── ッ、あ。」


【頭突きを食らう。決して強烈なものではなかったけど、それはアリアの不意を打ったものだったし、だから彼女はよろめいた。】
【惜しみない賞賛を与えたいほどだった。それでも容赦をするつもりはなかった。完全に倒れ込んでしまう前、だンッ ── と地面を踏み抜いて、そして】
【跳ね上がるように繰り出された膝蹴りが矢張り男の顎を抉るだろう。きっと、それが決着になる。】


「 ………。」「威勢の良さどころか、根性まであるじゃない、貴方。」
「気に入ったわ。 …… またいずれ、会いましょう。」「今度は、同輩として逢えたなら ── なんて、ね。」


【どうあれ女は"笑う"だろう。痛つつ ── と、散々狙われた腹周りを掌になぞりながら、然し大したものであると。一度決めたウィークポイントを徹底的に狙う執拗さに。】
【随分と機嫌よく立ち上がって、右腕がまだ治りきっていないことを今更思い出して、けれど益々なにかを気に入ったような、冷たい顔を微かに微笑ませて。】
【目的こそ何一つ達せてはいないが、まあ、よかった。 ── 散らかした哀れな信徒たちと、機関砲と、空薬莢の始末は、男にツケておくことにして。】


/このあたりで〆で、いかがでしょうか ── ?


599 : ◆S6ROLCWdjI :2018/06/16(土) 23:42:20 WMHqDivw0
>>597

誰かにバレると困るのに見つかっちゃったの? ふふ、ムリフェンも結構うっかりやさん?
そっか、能力者はいい贄になるんだ。そういうの考えてやったことなかったな、――――

【思う。ムリフェン――蜜姫かえでの世界には、ふたつの存在しかないんじゃないかって】
【ウヌクアルハイとそれ以外。その二つしか存在しないから――こんなことが平気で出来るんだ】
【……と、思いかけたけど。「こんなこと」っていったいどういうつもりで考えちゃったのか。……考えるのをやめる】

……アルジャーノンってあの、頭ぐちゃぐちゃの看護婦?
アイツ頭いいときとかあるんだ、ボクが前、世話ンなったときは会話もできなかったけど――
いくらか死んだから頭よくなったのかな? やだねえ、不届き者の、多いこと……

【「彼女」の名前を聞いた途端、少年はあからさまに嫌そうに顔を歪めた。彼が当たった「ヤツ」は、はずれだったらしい】
【もはや言葉もしゃべらない異形が、しかし作業だけはしっかりこなすその姿。相当気色悪いと思っていた】
【――思えばこの少年の感性は、蛇教の人間にしては随分一般的なものと言えるくらい。「異質」であった】
【たとえば同じオフィウクスのひとり、司祭マルフィクの異形と化した姿でさえ。悪態を吐いていたの、見たことあるだろうか、かえでは】
【ブッチャー君。その名が出ても同じように嫌そうな顔をした。「不気味なんだもん、ヤだ!」とかなんとか言って】

【「別にいいよ。怪我もよくなったんなら、よかったよ」――心にもない台詞口にしながら、かえでのトモダチをじっと見る】
【かわいそうに、とは思わない。だってこれから蛇神様の一部になる。むしろ幸福なことじゃないかって――思って、】

――――イヌ。おりこうだった? ボクペット飼ったこととかないから、よくわかんない。
じゃあその人はムリフェンのおうちまで来て遊んだこともあったんだね。……それは、楽しかった?

さあ――――ボク友達できたことないからわかんない。聞いてみれば?
その人に、「かえでさん」のこと、どういう人だと思ってたのか、とか。

【それは戯れのつもりで口にしたことだったろうか。拘束の一部を解いて、何かしら言わせてあげればいいんじゃない、って】
【あるいは、少女たちにあげられる最後の希望だったのかもしれない。遺言聞いてあげようか、みたいなノリ】
【いずれにせよ少年はにこやかに笑って。「さっき呼んだからもうすぐ来ると思う」とか言いながら――長い睫毛を、伏せさせた】


600 : 棕櫚 ◆D2zUq282Mc :2018/06/16(土) 23:57:39 JY1GydDk0
>>598

【――暗転。視界は黒く染まり、意識は暗闇の奥底へと叩き落された】
【顎を打ち抜かれ、倒れ込む刹那に。途切れそうな意識が捉えたのは何だっただろうか】
【賞賛。賛辞。感傷。何れも勝者特有の上から投げかけられる言葉――棕櫚は最期に口にする】

【"――…戯言をほざきやがって"、と】
【最期に言葉を残し、地べたに這い蹲る棕櫚は意識を手放した――完敗である】

【―――】

【目を覚ました時にはアリアは姿を消していた。代わりに部署の違う警官達がそこにいた】

【目を覚ました際に去来する思いは、己への際限の無い激情】
【目を覚ました折に問い詰められるは、己を取り巻く状況とその説明】

【ふらふらと立ち上がると棕櫚は横たわっていた蛇教の信者の一人に八つ当たる】
【湧き出る苛立ちと不甲斐なさを掻き消すように、幾度も幾度も蹴りを入れ続けていた】


(―――……ぶっ殺す、ぶっ殺すっ!、ぶっ殺すッ!!あのブリキ野郎がッッ!!!)


//そうですね、ここで〆と言う事で。お疲れ様でしたー!


601 : 名無しさん :2018/06/16(土) 23:59:22 sKDUT42Y0
>>599

うっかり、と言いますか。――――まあ、いいんですけど。話しかけてくれてよかったです。この辺り、よくうろつくんで。
……あれ、そうですよ。おいしいんでしょうか、私はウヌクアルハイ様のために集めて来るばかりですから、その味わいまでは知らないのです。

【――この辺りは本部にもわりに近い場所であった。そして彼女の地元とも、近い。都会ではあった。それゆえに、消えてもよく分からない人、というのも一定数存在する】
【彼女はそれを狙って攫って行く。見様を変えれば路地裏の害悪を掃除するのにも似ていた。――流石に、表を歩く人間を、というのは。あまり、やらないのだけど】
【ならばこれはレアケースでもあった。どうしようもなく"そうせざるを得ない理由"があった。自分が出歩いているのがバレたら――警察が動く可能性が高いから】

そうですよ、なんか数が少ないと頭良くなるみたいです。馬鹿な時でも言ってることは理解するみたいですけど。
……お料理とか、結構うまいんですよ。食べたことあります? ……なさそうですね。

…………そうですね、そうだと言っていました。全くこんな時に――、もうすぐウヌクアルハイ様だって、受肉されるのに。
その時に医療班が欠けていても困ります、……はあ。

【馬鹿とかなんだとか、ヒドイ言いようだった。――だけれど仕方ないのだろう、"あれら"は、蛇教において"備品"であるのだから。意識を認めているだけ、譲歩だろう】
【料理が上手――とか意外すぎる事実かもしれなかった。あるいは聞きたくないかもしれないけど。あの見た目から出て来る料理がおいしい、とは、あんまり思えなくって】
【実際彼女も速攻で食べたことなさそう、と、判断してちょっとだけ揶揄うように笑うのだ、「結構おいしいですよ、作ってもらったらどうですか」とか、だろうか。無意味に薦め】

犬ですか? ……まー、割と、馬鹿でしたね。人の鞄、齧るんですよね。スクールバッグとか。弟に似たんですかね――、
まあ、楽しかったと言えば。ゲームとかしましたよね。パズルゲームとか。あとは……まあいろいろですね、……――ヤですよ、悲鳴上げられたらどうするんですか?
幹部二人並んでそうそうやられることはないでしょうけど。――ほら、正義な方々って、面倒くさいじゃないですか。なんで。ヤです。それに、興味ないですよ。

【――あはは、と、軽い笑い声がした。そして簡単な言葉で、彼女は、彼の提案を斬り捨てた。――そんなこと許可して、叫ばれたりでもしたら、面倒だと】
【それっぽちの理由だった。――そして、それだけで十分すぎるくらいに、彼女の中では、理由たりえた。それで充分だった、んだけれど】

……それとも、お話したいんですか? 

【ちょっと訝るように。――というより、なんだか、軽く、からかうみたいに。少女はそんな風に尋ねるのだ、――街中であるのにひどく静かだった。残酷なくらい】


602 : ◆S6ROLCWdjI :2018/06/17(日) 00:16:18 WMHqDivw0
>>601

なんだったかな、ファンタジーの物語か何かで。
人を食べる竜がさ、「勇者の肉ほどおいしいんだ」って言ってた気がするんだけど――

【「蛇神様もそうなのかな」、言いかけて、やめる。物語の中の竜は、悪者として勇者の剣に貫かれて死んだから】
【きっとここまで口にすれば、ムリフェンは十中八九怒るって。こないだちょっとしただけの会話で学んだんだった】
【そこらへんで曖昧に濁して会話を打ち切る。ヒールを履いた脚、一歩近寄ってみて。かつんと音を鳴らす】

……はあ? 料理イ? するの、あれが!?
衛生的に問題あるんじゃないのそれ――っていうか口ぶりからして、食べたことあるんだ。
どうでもいいこと知っちゃったなあ…………ま、いいけどさ。ボクは食べない。

誰がやったんだろうね。最近うるさい「パグローム」?
それとも――ムリフェン、アナタをやった人がやったのかもしれないよ。ね、どんなヤツだった?

【サビクこと、破崎雨竜は潔癖症。わりと有名なことであったから、知っているかもしれないけど】
【だからこそ、アルジャーノンの料理なんかは絶対口にしたくないとか言うのだった。あからさまに嫌そうな顔して】
【備品の話はなあなあで流しつつも――それを壊した犯人捜しに話題が切り替わる。まずは教団内での有名人の名を上げて】
【それから――貴女を傷つけた人こそがそれなんじゃないかとも言う。なら、どんなヤツだったかを訊こうとするのも、おかしくはないか】

大きい犬って賢いって聞いたことあるけど、そうでもないんだあ。……そんなに弟くんはバカだったの?
こないだも言ってたよね、弟はバカって――――きらいだった?

……、……ううん、お話したくないっていったらウソになるな。ちょっとだけしてみたい。
ね、じゃあ声出せないままにしてていいから――首だけ動かせるようにさせてやれない?
それだったら首を縦か横に振るかで意思疎通できるでしょ。ねえちょっとだけ、やってみたいんだけど……ダメ?

【家族も。友達も。少年にとっては手にしたことのないものだったから――興味がないかどうかで言えば、もちろんあって】
【この機会にいろいろ聞いてみたいな、なんて気持ちが湧いてきたらしい。顎を引いて、上目遣いにお願いしてみるけど】
【それはかえでの、弟がやったことのある仕草に似ていただろうか。それともその子はそんな、媚びるようなことしなかったろうか】
【知らなかったけど。精一杯のそれっぽいポーズで、……我儘。言ってみたりする、年下の特権をめいっぱい使って】


603 : 名無しさん :2018/06/17(日) 00:32:02 sKDUT42Y0
>>602

ふうん、そうなんですね。アニメかなんかですか? あんまり本は読まないのかなって、この前、思ったんですけど――。

【へぇと小さな声で少女は返す。前の様子からして、あんまり、本は読まないタイプなのだろうと。――判断していたらしかった、彼が区切った言葉の先など知らずに】
【少しだけ近くなった距離。それでも目線の高さはあまり変わらないだろう。――おんなじくらいの背丈だった。靴を含めて、同じくらい。マゼンタ色が相手の海色を見たなら】

作りますよ。なんか作れって言うと作っといてくれます。たまに食べますよ。料理するのに問題あるほど汚い人には内臓任せないですし――。
かといって、そのレベルで滅菌されても料理にゃもったいないですけどね。適材適所ですよ、家のご飯くらいならそこらへんの石鹸で充分ですって。
ウリューさんはお料理しないですか? 結構楽しいですよ、ゴボウの乱切りとか――。

……――そうですね、この間も、サーバントですけど。パグロームに襲われたと言っていましたよ。それで、使いに出したんですが。
ウリューさんて、調べものとか好きですか? 私あんまり興味なかったんで、調べてなかったんですよね。白神鈴音って知ってますか? ――ああいや。

それこそこんな場所でする話じゃ、ないですかね。……あの人は違うと思いますよ、まあ、敵ですが。

【――割と権力を活用しているみたいだった。衛生的には大丈夫だろうと言う判断――けれどきっと相手は絶対嫌がるだろうなと分かっていた。から、からかう様子だけ】
【お料理とかするんですかと尋ねるのは一人暮らし同士の会話みたいな温度感。――というわりに彼女は割と買ってきたお弁当とか、よく食べているのだけど。なんて、余談】

【――――そうして話は移ろう。パグロームの名前には苦い顔。長年暴れ続けているくせに、長年、仕留め損なってきている。早急に潰したいけど、難しい】
【証拠を残さぬ上に、よしんば拘束までこぎつけた逃げられる。難しい話だった。――それで思い出したように一つ、話そうとするんだけど。――話が途切れて】
【自分を"やった"人間については――違うだろう、と、判断しているらしかった。「パグロームの方が納得いきますけど」――と、付け加えたなら】

ていうか……犬って、割と、馬鹿じゃないですか? 全体的に。ていうか、小学生の男児なんか99割馬鹿ですよ、馬鹿以外居ないですもん。
嫌いとは違うんですけど――こいつこんな馬鹿でどうやって生きてくんだろうな、って、感じです。最悪ダンゴムシとかのが賢いんじゃないかって疑っちゃう感じですね。

…………別に、いいですけど。よく分かんないですね、じゃ、私、車の方迎えに行ってくるんで。どうぞ、楽しくしててください。

【結構辛辣な様子の言葉。――けれどそれはどうしようもなく優しげでもあった。"死んでしまった"弟について話すとき、どこか、彼女は、ありふれたお姉ちゃんみたいで】
【犬についても――まあ、多分めっちゃ可愛がっていたんだと思う。もし彼がこの少女の名前、検索とかしていたなら。出て来るHPがある。この少女を探すための】
【そこにいくつか掲載されている写真。――中学校の入学式の写真。体育祭の写真。でっかい犬と並んでピースしている写真。いっぱい出て来る。――多分、その犬だ】

【――最終的に少女はよく分かんないというような顔をして、彼と少女らを一時置いて、席を外すだろう。言葉通りだ、ほんのわずかに――阻害を緩めつつも】
【決して逃げたり暴れたりできない程度に"調整"して。かつこつ、と、足音が、遠くなっていったなら――あわれな少女らは、きっと、一様に、助けを求める目をしていた】


604 : ◆S6ROLCWdjI :2018/06/17(日) 00:54:11 WMHqDivw0
>>603

【「読書感想文とか感想画って書かなきゃいけないじゃん、あれ、あれのために読んだんだけど」】
【そういう話題を出していれば、本当にただの少年少女がなんでもない会話をしているようにも見えたろうけど】
【それは、地面に転がる少女たちにはどう映っただろうか――自分たちにこんなことしといて】
【なんでもないみたいな顔してそんな話してるの、おかしいって、思うだろうか。それも全部無視される、残酷なまでに】

……そう? ボクはやだな、徹底的に消毒してくれる人の料理じゃないと安心できない。
あれだよあれ――人が握ったおにぎりとか絶対食べられないタイプ。考えただけでうげーってなっちゃう!
料理、……ごぼうってアレだよね、土まみれのヤツ? 絶対ムリ、触るの考えただけで、ぞわぞわしちゃう――

白神、……ってアレでしょ、蛇神様が人間ゴッコしてたときに使ってた名前。
ざーっと資料読んだだけだけど、けっこう酷いことされてたんだなあって。思って――――

……敵なのに、違うって、わかるんだ。へええ。

【白神鈴音。その名が上がると、ふっと何か思い出したみたいな顔して――でも話題が切り替わったなら】
【違うって言い切るかえでに、疑念を抱いたようだった。本当は敵じゃなかったりして。思ったけど言いはしなかった】
【こじれる話はあんまりしたくない、と、この時点では思っていた。内心に留めておくばかりにしておいて】

そう? ボク、動画でみたことあるイヌは賢いヤツばっかだったよ。
……嫌いじゃないけど、ばか、とか言うんだ。ふうん、……家族って、そういうものなんだ――――

【口ではバカバカ言いつつも、キライとは思わない。少年はそういうものを知らなかった】
【スキなら徹底的に褒めなきゃいけない。キライならその逆。それしかなかったから、……】
【(この女。またボクの持ってないものを、持ってるって言うんだ) ――抱いた気持ちはきっと嫉妬と呼ぶものだ。けどそれは、自覚せず】

【そうして。遠ざかっていく足音、投げやりな行ってらっしゃいの声で見送ったなら。少女たちに近付いて】
【しゃがみ込む。視線を下げてじいっと、怯える顔を覗くみたいに――その眸は何故だかやわらかく細められていた】

……ね、おねえさんたち。今からボク質問するからね、首を縦か横に振ってこたえてね。
「かえでさんのこと、親友だと、思ってた?」 ……それから、「親友に、こんなことされて、悲しい?」

【少女たちを見下ろす少年の躰は、うすーくうすーくぼんやり光っている。異能の力によるものだったけど】
【もしかしたら。今この状況から助けてくれそうな「良い人」のオーラ――後光みたいな感じにも見えるだろうか】
【顔だけ見たら天使っぽくも見える少年のことだ。そう思われても仕方のないことだろうけど、――――】


605 : 名無しさん :2018/06/17(日) 01:12:55 sKDUT42Y0
>>604

そうですか? 手荒れしてた方がよっぽど汚いですよ、黄色ブドウ球菌とか……。あれ人死にますからね。
あれ、根菜類駄目ですか? 大変ですね、水耕栽培の技術、もっと、発達するといいんですけど。やっすいラブホみたいな色しますけどね、あの機械。

――人間ごっこ、というより。ウヌクアルハイ様の化身のおひとつだった、というだけでは? ……まあ、いいです。地獄耳の正義野郎に聞きつけられても困ります。
多分……来るなら、いきなり本部来ますよ。ちまちましたの嫌いそうなんで。ゴリラみたいな人なんで気を付けてください。

【平行線だった、――というか、多分、彼女はそういうの、あんまり気にしないのだろう。地べたに座れるし机にクッキー置けるし、菓子パンも入ってた袋に乗っけられる】
【――ならば温度感を違えるのは、その話について。彼女はわりに妙な解釈をしていた、というか、彼女が信仰しているのはどこまでいっても"ウヌクアルハイ"であったなら】
【件の人物というのも、あくまで原材料の一つくらいにしか考えていない節があった。――とはいえ、サーバント一般が知る"ウヌクアルハイ"はきっと彼女の信ずるものに近いから】
【幹部として彼女がわりに変人、であるらしい。――本当に鬱陶し気に呟いた、何か心当たりがあるみたいに。前髪をかき上げたなら、マゼンタ色がどこか不機嫌そうに】

【――――自分を"やった"人物については、そういう、評価。褒めてない。ただ――何か考えている顔をしていた。彼の疑念、どこかで裏付けるように】

川に突っ込むと喜んでました。弟も喜んでましたけど。まあ、家、結構普通だったんで。

【暖かい表情と、声。けれど同時に、どうでもよさそうでもあった。大事な思い出。だけど。そんなに大切にしまうほどではない。――それは、友達たちもそう】
【判断基準は、きっと、彼の思い浮かべた通りだ。けれど強いて言うなら、どうでもいい/ほんとにどうでもいい/大切だけどどうでもいい/とか、そういう、分類があるんだろう】
【それがどれだけ他人にとっては分からない基準であったとしても、彼女の中で意味があるのなら、彼女はその通りに動くから】

【――――――それで、居なくなる。空間には静かさが満ちるだろう。動いて声を発することが出来るのは、彼だけ】

【まず少女の一人が首をわずかに縦に揺らした。何人かはそうしていた。――嫌われていたわけではないと分かるのだろう、後の何人かは、もう、それどころじゃなかった】
【次いだ質問には――悲しい、とか、よりも。分からない、という目をするのだろう。なんで。なんでこうなっているのか分からない。なんでだろう。なんで――? 尋ねるように】
【助けてほしいと目が懇願していた。それこそ神に祈るように。後光を背負う彼は尊く見えた。――助けてください。彼女らは年下である彼に祈った、赦しを、乞うみたいに】

【――きっとまだ理解してなかった。これからあること。予感はあって、けれど、確信はなくて。それよりも、信じたくない、みたいに】


606 : ◆S6ROLCWdjI :2018/06/17(日) 01:33:32 WMHqDivw0
>>605

根菜がダメっていうか、――――ううん。ま、これはいいや。
化身のひとつ……って言うにしてはさ、なんかこう……わりと普通の人間っぽくなかった? 画像見ただけだけど、
ふつーの女の子って感じで……いや決して不細工ではなかったけどさ、むしろ可愛らしかった。
けど。神様の化身として使うには、――――

【――ここまで、言って、あっと言うように。口を噤んだ。言い過ぎちゃったかな、みたいな】
【たぶんこれ怒られる、かも、しれない。思ったけど、発した言葉は喉に戻らない、零した水はコップに戻せない】
【なら……。恐る恐るかえでに視線を移して。不機嫌そうな顔してたから、やべ、って思ったみたい】
【実際別のことに苛立っているようだったけど。どっちにしたって怒られる気がした、気まずそうに顔をゆがませて】

【普通の家。「ふうんそう」で流したけど――彼にとっては喉から手が出るほど欲しいものだったから】
【嫉妬の炎がさらに強くなっていく。音を漏らさないようつとめて奥歯を噛み締める。それで、見送って】


…………そっか、そっか。トモダチにこういうことされるのは、……そういうものなんだ。
なんとなくわかった、……なんとなく。ありがとうねえ、おねえさんたち。

大丈夫だよ、アナタたちはね、蛇神様の御許に行けるから。そしたらね、
――――――ちょっと待ってたらかえでさん「も」そこに来てくれるよ。その時また、改めてトモダチやればいいって。

【彼女らを安心させるような声色、作りに作って。天使みたいな微笑も添えて、与えた言葉は――「助けてやらない」。】
【きっぱりそう言い切って――おまけに、フォローになってるんだかなってないんだか。たぶん後者の言葉を掛けた】
【彼は、蜜姫かえでは絶対そのうち死ぬだろうと思ってる。嫌いだからそう思っているのもあったけど】
【信仰のために命を燃やす女だから。どうしたってそうなる結果は目に見えている。だから確信の音色で、そう言った】
【「安心して」なんて言うけど、これっぽちもそうはできないだろう。だってこんなことした「友達」、まだ友達だと思えるだろうか】

【そして。彼は自分はそうならない――死なないとまで思っていた、根拠のない自信】
【蛇神様ならきっとボクをいつまでも傍に置いていてくださるだろうって。傲慢にもそう思っていて――満ち足りた顔してまた笑うのだ】


607 : 名無しさん :2018/06/17(日) 01:55:02 sKDUT42Y0
>>606

【――――ぽつん、と、小さな冷たい雫が落ちた。それは彼女たちの涙、なんて、ありふれて、くだらない、感情の発露ではなく】
【雨が降り始めていた。冷たい雨が。はた、はた、と、天さえ泣いているかのように、落ち始めて。あっという間に、さぁ、と、雨の音になるのだろう】
【それから少し遅れて少女が戻ってきた、――数人のサーバントを引き連れて。急ごしらえであるのか彼女が普段囲っているような、体格のいいやつらではないんだけど】

――あっちに車ありますよ、先行きませんか? 濡れちゃいますよ、……ああ、濡れないんでしたっけ。
私は濡れちゃうので、先戻っていていいですか? ――なんかあったら運転してあげますよ、私運転できますし。事故っても大丈夫です、護りますよ。

【そいつらが、いもむしみたいに転がされた少女らを担ぎ出す。それを横目に、少女はすでに違うことを気にしているみたいだった、すなわち、濡れたくないんだと言って、】
【自分たちはさっさと車で待ってましょう、なんて、提案するのだ。――もし何かあったら運転するからとも言って。ただ、すごい、不穏だった。事故前提】
【なら噂に聞いたことがあるかもしれない――この少女、めちゃくちゃ運転が荒いと。とりあえずアクセルぶっぱするらしい。サーバントからの評判は割と最悪】

まあ、10分くらいとか、かかりそうですし。話したいことあるんです。さっきの話の、続きなんですけど――――。

【どの"さっき"を指しているのやら。彼にしてみたらよくない類のお誘いであるのかもしれなかった。――けれど、雨は本当に降っていて、きっと彼には関係ないんだけど】
【目の前でぽたぽた濡れ始めている少女には何の種も仕掛けもなくって。――雨が鬱陶しいと言うのは本音であるらしかった。友人たちには――もうあんまり興味もなくて】
【ただ強いて言うならば。――一度彼女たちに向けた視線があった、どこか悲し気に、理解できないと言うみたいに、数秒押し黙ったなら】

…………――どうしてそんな顔をするんですか? ウヌクアルハイ様と一体化するのは、我らの悲願なんですよ。"我ら"よりも先にその権利を得たのです。
それはとても、とても、とても、――喜ばしいこと、なんですよ? それとも、どこか痛かったですかね。まあ、気持ち悪いのは、認めますけど――――――。

【――そうやって少女たちに語り掛けるのだ。本当に悲しそうな声であった、最後に気遣う声までも。そのどれもが本物で。本物だから、気味が悪い】
【明確に嘘を吐いているとき以外、彼女はほとんど本当の言葉を使ってしゃべるって、きっと、彼なら知っていた。思ったことを言うタイプ、だって――だから】


608 : ◆9VoJCcNhSw :2018/06/17(日) 02:04:21 wn2rqSVw0
>>ttp://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/internet/14029/1522574827/936


【「自分が思っているよりずっと魅力的」「元が素敵なんだから」】
【普段から"綺麗"という言葉の基準そのものになっている母にそう言われれば】
【仄かに頬を染めて、恥ずかしそうに瞳を伏せるものの】

【そうまで言われて、わからないから選べないとも言えない】

【幸いにして――というよりは、其処が自分の母の良い所だが】
【困難にぶつかった時は直接手を差し伸べるのではなく】
【ほのめかす程度にアドバイスをし、自分に考える機会を与えてくれる】
【今回もそれは同じ。貰ったヒントを元に、店内を改めて歩いてみる】



             【数十分後】


【そこそこに広い店内を色々と興味深げに見て回りながら】
【時に母だけではなく、店員にもアドバイスを貰いながら】
【ようやく一揃え。特別に試着した状態で歩かせて貰ったらしく、母の前に姿を見せ】


えっと……どう、かな?動きやすい、ってのと……
……あとは、よく分かんないけど、スタイル……とか……。

……俺としては結構……良い、感じっていうか……


【今までにない体験と選択をした自信のなさと】
【実の母であるというのに、意中の人にそういう姿を見せるような気恥ずかしさと】

【要は今までは、奔放に訓練に打ち込むだけだった自分が】
【全く違う姿を大事な人に見られるという状況に緊張しているだけ、なのだが】

【衣服は、白のノースリーブシャツに黒のタイトジーンズ】
【いずれも体の線をごまかすことのないピッタリとしたものであり】
【足元は少しのワイルドさと動きやすさを兼ねた焦げ茶のブーツ】

【そんな中で唯一と言えるアクセントは、赤いリボンだろう】
【左の横髪を、紐を結ぶ形で作ったリボンで軽くまとめてあって】
【少し長いその端末が髪色に混じって鮮やかに紅を散らしている】


【未だ少女、という年頃ではあったけれども】
【精一杯のお洒落――愛らしさよりも綺麗さという点では、悪くないかもしれず】
【けれど結局、判断は母にしてほしいのだろう。伏せた瞳は、時折彼女に向いていた】


609 : ◆9VoJCcNhSw :2018/06/17(日) 02:05:23 wn2rqSVw0
>>ttp://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/internet/14029/1522574827/943


まあ、そうだよな……確かに化物って意味じゃ
ダグラスは"使える"んだが。……気紛れだし、アンタが言うように
すっかり毒気も抜けちまってるからな。

今じゃ物理的に困る事のない、無敵の風来坊だ……頭数からは外しとくか


【言うなればそれは「無辜の怪物」だ。男の実態は誰にも掴めない】
【人の良い画家か。情け容赦のない六罪王か。正義か、悪か】

【そこがハッキリとしない、しかも現状は平和主義の人物を引きずり込むのはよろしくない】
【結局話は振り出しに戻る。それなら、一体誰が"セリーナ相当"の力を持ち】
【そして彼女の救出に手を貸してくれるのか。「実家」という言葉を聞いて】
【「お前の家は能力者まみれのビックリファミリーか何かかよ」】

【なんて、下らない冗談を飛ばしたりもするのだが】
【互いに口を濁す"ある存在"。強力な能力を持つ、セリーナと友好的な存在】
【――ただし絶対に関わり合いになりたくない、そういう存在に行き当たり】


……、…………よし、分かった。
アイツを知ってるってんなら話が早い。それは良いんだ、其れは……

色々……問題は、あるわけだが。性格とか、ことが済んだ後にどうやって止めるんだとか……
……つーか、そもそもアイツって今、違う世界で捕まってんだろ?
どっかの悪魔の城で常時監視されてるって話だったと思うが……
連れ出すにしても、あっち側までの行き来とツテと……お前、なんか案があるのか?


【言い切ってから「待てよ」と、そこでようやく1つの事実に気付く】
【先程キングが口にした「オレの実家の近くに"とっ捕まってて"」というフレーズ】
【実家。その近く。「――魔界が実家?」と、怪訝そうに視線を向けるのだった】


【――互いに、名を出すことすら憚られるようなその存在】
【〝リリア〟という名の半魔。六罪王、魔族に生まれ魔族を鏖殺しようとした"少女"】
【人類を下等な存在と見做す自信家、それを正当化出来るだけの力を持った淫蕩な人外】

【それを味方として引き込むという、妙案。空になったジョッキをカウンターに置きながら】
【そんな物が本当にあるのかと、改めてキングへと問いを投げ掛けた】


610 : ◆S6ROLCWdjI :2018/06/17(日) 15:17:49 WMHqDivw0
>>607

【雨。それを弾くのが彼の異能であったから、当然彼の肌には濡れもしないで】
【衣服すら湿らない、そのまま、ぼうと光る輝きを保ったまま――ずぶ濡れになっていく少女たちを】
【変わらず、見下ろして。――――車に行こうって言われたら、「わかった」とだけ返した】
【異能で防げるとは言えずっと雨の中突っ立っている趣味なんてない。歩き出せば】
【水溜りを踏みつけるのは不吉な数字のヒールと、わずかな面積しかないつま先部分だけだった】
【それくらい徹底している。何にも触れたくない、触れられたくない――言う割に、自分のほうから少女たちへ近付いていったけど】

【――――かつての「トモダチ」に声をかけるかえで、その言葉の内容に何かを言うことはなく】
【何も思うこともなかった。だからじいっとそれを見ているばかりだった――けれど】
【何故かその目は。長い睫毛は、あまり目の前の光景を直視したくないとでも言うように、伏せられていた】
【それもほんの少しだけの間、のことだった。すぐに少年少女は車へ向かうことだろう】


【――――】


……濡れちゃったね、ムリフェン。ハンカチとかタオルとか持ってる?
ボクは持ってるけど、要る……? あ、使ったらもう返さなくていいよ、洗わなくてもいいし、そのまま捨てて。

…………、……で。「さっきの話」って、なに?

【車内。ガラス一枚隔てた向こうの外の世界、雨音はすっかりうるさくなって、ざあざあ】
【ひとでなしと、かわいそうな少女たちを閉じ込めるそれを、責め立てるように雨粒が車体を打ち付けていた】
【だからといって中にいる彼らに、何の影響も、ないけど。せいぜい外の風景が見え難くなるくらいの話】

【当たり前のように助手席に乗った。だったらムリフェンは、運転席に乗るだろうか】
【運転の評判はあんまり聞いたことなかった、聞いたとしてあんまり想像がつかなかったらしい。車に乗ること自体が少ない】
【そこで、シートベルトを締めながら――かちん。これで容易に逃げられなくなった、そういう音が響き渡る】

【「パグロームのこと? それともなんだっけ、メスゴリラ? の話?」 ……心当たりがないようだった、さっきの話、とやら】


611 : 名無しさん :2018/06/17(日) 21:49:43 ISdjoRkA0
>>610

ハンカチですか? 持ってないですよ。だって、あれ、不潔じゃないですか。私嫌いです。タオルもないですよ。夏のスポーツ少年じゃないので。
くれんならもらいます、捨てていいなら後で捨てときます。――――まあ別に、そんな簡単に風邪とか引かないんで、どっちでもいいですよ。

【――車は二台あった。いきなり幹部に呼びつけられて、慌てて出てきたのだろう。その時にダブってしまったのか、狭い路地の入口のところ、不自然に寄り添って】
【「勝手に帰っちゃって良さそうですよね?」「先帰りましょうよ」「「――――あ、そうそう」】

私、無免許だけど、大丈夫ですよね? 運転自体はできるんで問題ないですよ。ネズミ捕りしてたら言ってください、大人のふりするんで。
まあ近いですし、やってないですよね。じゃ、行きましょうか。幹部二人でちんたら待ってる必要、ないですよね? 

【――かちゃんっ、と、シートベルトの音。一台に普通に乗り込んだ少女はサーバント他、少女たちを置いていくつもりであるらしかった】
【車も二台あるし――と自分も勝手に運転席へ。慌てて飛んできたサーバントであればとりあえず免許持ちだったんだろう。ただ少女、待つつもり、全くなくって】
【自分の荷物から出した眼鏡をするりとかけたなら心持大人びたように見える、――見えるだけ。彼がハンカチを貸してくれていたなら、簡単に、顔とかだけ拭くのだろう】

【――――17歳だった。17歳。免許、取れない。まあこんな世界だから、そんな人も、割と、居るのかもしれないけれど】
【――――それが目の前でじゃあ運転しますねって感じで座っていると、どうだろう。そして今更なんか言ったとしても、あんまり意味はなくって】

パグロームは分かり切ってるんで、大丈夫ですよ。ひとまずは把握してます。メスゴリラ――私メスだって言いましたっけ? 女ですけど。
そっちじゃないです。白神鈴音の方。――なんか、白神鈴音の仲間を名乗るやつが私たちのこと、嗅ぎまわっているみたいで。取り戻すとか言ってましたよ。
それで――なんか、夢に出て来るらしいんですよね。白神鈴音が。――――仲間を呼んでる、わけでも、なさそうなんですけど。聞く限りですけどね。

――念のため聞いておきますけど、"そういう夢"見たことあります? 私、ないです。皆無。そもそも夢、あんまり見ないんですけど――。覚えてないだけですかね。
まあいいや、――とにかく、UTに動かれるの、面倒かなと思って。サビクさん、どう思います? 先に潰したら潰れますかね――。

【容赦ない発車だったし、その時点でなんかもう荒っぽいと分かるんだろう、車酔いするタイプだったなら1分で酔えそうな感じ、走り出すなら】
【相手の様子はあんまり気にしないで話しかけて来る――"さっきの"とは、"それ"のことであったらしい。ひとまず把握しているパグロームではなく、謎の人物、でもなく】
【――彼女が優先したのは"その"話であった。曰く、その仲間を名乗る人物が嗅ぎまわっているのだと。それ以外にも謎の夢を見ると訴える人物が居たのだと】

【――――運転中であるなら、視線は彼へ向かない。けれど。ほんの少しだけ訝るような声をしていた。彼もそんな夢を見ているのか、と、どこか、疑るように】
【そうであったならそのままとりあえず壁に突っ込みそうな声をしていた。――とは冗談だけれど、どこかで、そういう色合いはきっと確かに感じられて】
【白神鈴音――UTの給仕。となれば、その仲間を名乗る人間。すなわち正義側の人間であるだろうと。そしてそれは最終的にUTそのものが動くんじゃないかと、危惧するなら】

タンクローリーでも突っ込ませてみます? 建物だけなら壊せそうですけど。無理かな。

【冗談めかすような言葉。けれど声音は本気の色合い。――どこまでも真剣に彼に意見を求めていた、窓ガラスの向こうで、ざあざあ雨が、世界を隠して】
【さすがに信号無視まではしないから、赤信号で停車する。そうしたなら――やっと視線が向くのだ。だけれど、それより、彼、ちゃんと元気だといいんだけど――】


612 : ◆jw.vgDRcAc :2018/06/17(日) 22:18:34 OX.x04tc0
>>451

【「『倒す』。その言葉は、脅しや有り得ない仮定ではない。それは紛れもなく本気の言葉だった。】
【勿論、自分だってそうするのは苦しいし辛いに決まっている。断腸の思いとはまさにこの事だ。けれど】
【どれだけ辛かろうと、苦しかろうと……自分には、そうしなければならない理由があるのだから。」】

【―――なんて、心の中で覚悟を決めていたつもりでいても。やっぱり、変えられない想いはある。】

……他人の心を分かる事なんて出来ないから、断定はできません。でも……
―――ええ。私も、そう思うのです。鈴音は、果たして世界を滅ぼしたい「だけ」なのか、って。

……「鈴音が世界を滅ぼしたいと思っている」というのだって、決めつけかもしれない。
別の、「世界を滅ぼしたい誰か」が、それを鈴音に押し付けているのかも。
押し付けて、祀り上げて……こう、なってしまったのかも。

【青年の言葉に、さらに踏み込む。夕月が、自分たちが鈴音に印象を押し付けていたと言うのと同様に】
【現状も、誰かが鈴音にその役目を押し付けているのかもしれない、と。あくまで推測に過ぎないが。】
【希望も絶望も、幸せも不幸も、両方持っているのが当たり前。絶望を持っているからと言って希望を持っていない訳ではないのに】
【その一部の絶望を、まるで全部みたいに言って……人間に絶望した神様の役目を押し付けられているのかもしれない。】
【ならばそれは、自分たちが犯していたかもしれない愚行と同じ轍に他ならなくて】

―――ええ、ええ。そうですよね。
どれだけ、鈴音が悪だと思おうとしても……鈴音自身の行動が、それを否定してくる。
思い込みなんかじゃない、紛れもない事実で……鈴音は決して、この世界や人々を好きじゃなかったわけじゃないって。
……純粋な嫌悪しか抱いていなかったなんて、そんなはずが無いって……それだけは、どうしても、私も否定できないのです。

【夕月の言葉を、頷きながら受け止める。涙こそ流さなかったものの、絞り出すような言葉には葛藤の色が宿る。】
【……やっぱり、どうしても、鈴音の優しさを疑う事は出来なかった。だって、否定するにはあまりに積み重なったものが大きすぎる。】
【優しいというイメージは思い込みかもしれない。押し付けかもしれない。けれど、彼女が過去に起こした数々の行動は、紛れもない事実で】
【それは、どんなに口の上手い人でも否定できない。彼女自身の積み重ねた優しい行動は、それだけ揺るぎないものだった。だから】

……ええ、勿論。
長く付き合ってても、鈴音の苦しみに気付いてあげられなかった、情けないトモダチだけれど。
だからこそ、せめて鈴音の本当の気持ちを理解しないと―――もう、友とさえ言えなくなってしまう。

【本当の気持ちを、確かめないと。その想いは、貴女に言われるまでも無く……海色の瞳で貴女を見つめて、深く頷いた。】


613 : ◆S6ROLCWdjI :2018/06/17(日) 22:30:12 WMHqDivw0
>>611

不潔ったら不潔だけど――まあボクがキレイ好きなの知ってるでしょ?
だから一回使ったらそれっきりで捨ててるから、安心して使って。はいこれ――

…………えっうそ、無免許。む、めん、……ううん、うん。

【言葉の通り一回も使っていない新品のハンカチを差し出しながら、……】
【……おいそれ大丈夫なのかよ、みたいな顔したのは、シートベルトをしてしまってからだ】
【もう遅い。逃げられない。仕方ないかって思って、はあと溜息――それなりに覚悟は決めたけど、どうなることやら】

【それで。車の外、ぼんやり眺めていたけど――ふと「白神鈴音」のワードが出てくると】
【びく、と肩が震えた。やべ、やっぱさっきのヤツ、アウトだったんじゃん。そう思ったらしく】
【このままどっか連れて行かれてボコられるヤツかな――と、内心、焦っていたけど】

……、……夢? なにそれ、……予知夢、的な?
それとも明晰夢っていうんだっけ、……ボクは知らない。見たことない、そんなの。

UTかあ、動くかなあ。なんか最近あそこのリーダー、表舞台に出てこないっぽいじゃん。
意外と休業状態だったりし――――てッ!?

【ふつうに受け答えしようとして、……舌を噛みかけた。がっくん、ってなったから】
【目を白黒させてから、すぐにその視線を恨めし気に尖らせて、かえでを見ようとして――また、がっくん】
【これ普通に会話できないじゃん! って訴えようとして、がっくん。……シートベルトを握り締めるようにして】
【なんとかかんとか揺れを押さえようと、頑張っている。頑張って、頑張って、――――】

え゛、……、……ちょ、ま、……かえでさんッ、スピード、スピードおとし、て……

【――――だめでした。赤信号で止まった時にはすでに彼の肌には青みが差しており】
【俯いて、口元を押さえていた。……ゲロだけは嫌だ、嫌だ、嫌だ。その気持ちだけで、気合いで、吐かないようにはしているが】


614 : ◆S6ROLCWdjI :2018/06/17(日) 22:40:27 WMHqDivw0
>>612

【鈴音の破壊衝動だって、誰かの決めつけなのかも。そう言われた瞬間、夕月は目を丸くして】
【「……そっか」、と。それだけ零した。そういう考え方はしたことなかった】
【そしてそれを決めつけるヤツの心当たり。――――一人しかいない、大ッ嫌いな、あいつ。】

…………イルだ、イル=ナイトウィッシュ。
さっき言ってた、鈴音を誑かしたヤツの名前――そういう名前の、悪魔だか、病魔だか。

あたしたちが「人間に優しい鈴音」を信じてるなら。「人間を呪う鈴音」を信じてるのは、
――――間違いなくそいつしかいない。ね、マリアさん、……そいつなんだよ。
そいつがさ、言ってたの、あたしだけが聞いたんだ――――
「今の鈴音はきっと、子供が死んでるところを見たってバカみたいって言うに決まってる」とか、ほざいたのっ!

マリアさん、あたし、そいつのことだけは赦せないって思う。だからこれから先、
鈴音が人間を好きなキモチ、取り戻せなくっても――鈴音がここに返ってこなくても、
あたしはそいつを絶対殺すって決めたの。だから、「イル」のことは――あたしがやるからっ、

【涙に塗れた瞳を上げる。その赤色には、明確な怒りが滲んでいて】
【倒すとかやっつけるとか、そういう言葉でおさめなかった。はっきりした言葉で「殺意」を表明して】


……お願いします、マリアさん。
あたしはイルを殺す、「人間を好きになろうと努力してた」鈴音を、バカにしたあいつを。
だからマリアさんは――――鈴音に、声を、かけてあげて。……そっちを任せちゃって、……いいかな。


【そこから先は、明確な「依頼」だった。鈴音の友で居続けてほしいって、――――きちっと頭を下げた】


615 : ◆XLNm0nfgzs :2018/06/17(日) 23:12:13 BRNVt/Aw0

【風の国・UT】

【昼下がりの店内。本来ならまだ開店していない筈のそこに響くのは包丁とまな板の音】
【しかしそのリズムは軽快、というよりかはぎこちないもので】
【その音の出所である厨房には一つの人影があって】

【二十にも満たない少女だ】
【月白色の肩まで伸ばした髪に金色の瞳。紺色のキャミソールワンピースの上にオフショルダー気味の白いTシャツ。足元は素足に紺色のローヒールのストラップパンプスで】
【頭には髪の毛が入るのを防ぐ為か水色のバンダナを被っている】

【そんな女の子が何というか、ぽへーっとした何か考え込んでいるといった表情で野菜をぎこちなく切っている】
【素人目から見ても物凄く危なっかしい】

【少女は、んー……などと唸りながら野菜を切っていたが】
【案の定、といおうか】
【野菜を支える左手に包丁をそれはもうざっくりと入れてしまう】
【だが少女は痛くないのか「……うん?」と首を傾げながらもう二、三度包丁を押し込み、ようやく手元を見る】

……あーれぇー?
【包丁を手から抜いて、またこてーん、と首を傾げる少女】

【包丁を抜いた途端に左手から飛び散る血、これまた血だらけのまな板と飛び散った血で染まった厨房の一部】
【そして、自分の返り血でシャツに真っ赤な斑点を付け、右手に血の付いた包丁を握り締め、左手からダラッダラと血を流しながらぬぼーっと突っ立っている明らかにここの給仕ではない少女】
【殺人現場か何かかといったスプラッターな状況である】


616 : ◆S6ROLCWdjI :2018/06/17(日) 23:30:44 WMHqDivw0
>>615

【からんからーん。そんな惨状を知らないで、お気楽に鳴り響くドアベルの音】
【入ってきたのは――でっかい紙袋だった。その向こうの、持ってる人が見えないくらいでっかいやつ】
【紙袋はよろよろ歩きながらも、ひとつのテーブルのところへ辿り着いたら。どすんと重たい音を立てて】
【それでようやく動きが止まる。ふう、って一息ついて――その向こうの人の顔が、ようやく見えた】

【赤髪赤眼の少女だった。暑いんだろう。髪の毛はポニーテールに纏めて】
【着ている服もカジュアルだった、プリントTシャツにデニムのホットパンツのみ】
【ただ、靴だけはきちんとしてるというか、なんというか、……厚底靴。真っ赤でピカピカ、歩き辛そうなやつ】

ふう〜っ重かったあ、買い出しってのも大変だなー。
でもこっからも大変なんだよなー、これ全部冷蔵庫に仕舞わなきゃ、っと。

――――くーろーまぐろがとんでくる〜、あしたのひーるすぎ〜、……♪

【なんだかよくわからない歌を口ずさみながら。袋の中身をごそごそ取り出して】
【ひとつひとつ確認してから、それを冷蔵庫に仕舞いに行く。つまり厨房に行こうとする、――――】

あー、ぼくらをめがけてふってくる、まぐろ〜、

【最初は、気付いていないようだった。白い少女のこと、まったく視界にも入れてなくて】
【それでようやく気付いたのは、こつんと靴底が厨房のタイルを叩いたときだった】
【……あれ、誰? 最初はそう思っただけだった、けど、――――】


…………殺されるぅうううううッッ!!?


【鮮血。鮮血。鮮血――――それを見てしまえばもう、もう。手にしていたモノぜーんぶぼたっと落として】
【甲高い悲鳴をあげた、きゃーなんて可愛いものではなくて。濁音たっぷり混じってる、うるっせーやつを、発した。】


617 : ロッソ ◆KP.vGoiAyM :2018/06/17(日) 23:44:59 Ty26k7V20

【街中―――廃ビルの6階で】

【24時。オフィス街から10分程歩いて、空き家と書かれたシャッターの降りた店が3件に2件になる頃】
【3階のアパートの窓にも鉄格子がついて光が漏れ、走る車の型式も古くなる】
【要はうらびれた、老いた街。ここに何十年と住んでいる住人だって出て行きたがってるのにもかかわらず】
【態々他所から来るのは、なにかろくでもない理由があってのことだろう】
【乾いたホコリまみれの風の冷たい夜の話】

【この廃ビルに用事があるのは多分、噂が理由だ。もともとはオフィスだったらしいが今はもぬけの殻のはずだ】
【しかし、ここ数週間人の出入りがあったそうだ。日中や問わずひっきりなしに。――サーペント・カルトの連中だ】
【それがカルトの連中だとは噂では言っていなかった。それでもその『這いずる跡を追う者』は察するはずだ】

【入口のドアはチェーンが切られていて、鍵も無理やり壊されていた。中に入っても明かりは少ない】
【物音も、人けもなく、前のオフィスの残りと思われるデスクや、ファイルがホコリまみれで少し残されていて】
【金目のものは地元の不良が無理やり持っていったのだろう。時折、壁にはグラフティアートが描かれていた】

【そして最上階―6階のフロア。ただ広いフロアに、ボロボロのブラインド揺れる窓の下でタバコをくわえた一人の男が居た】

―――“奴ら”は居ないぜ。

【窓の外を眺めがなら、彼は振り返りもせずに言った。しゃがれた声は吐いた言葉がすべてブルースになるみたいだった】
【トレンチコートがはためいて、乾いた赤マルの匂いがした。


618 : 名無しさん :2018/06/18(月) 00:03:21 A6eAhZ920
>>613

――――そうですよね。知らないですよね? よかったあ、私も知らないです。"見ない"ですよね? じゃ、あの子の妄想ですかね。
なんかちょっとヤバい感じの女の子でしたよ、名前……は、聞いた覚えないですね。聞いたかなぁ。――まあ、割と普通っぽい感じの見た目でした。

そうですね、最近全く聞かなくて。そもそも――正義組織、とかいうやつらが全体的に静かじゃないですか? なんなんでしょう。
死に絶えたのかな。それだと相当最高なんですけど。……やつら、ウザいじゃないですか。正義的妄執に駆られてるっていうか。病気ですよね。ビョウキ。

……でも、放っておくには、少し、嫌じゃないですか?

【――という会話があった。数分前に。そこまでは真面目だった。相手が一生懸命に耐えているというのにも、気づかないくらい、真剣だった、皮肉なくらいであったなら】
【赤信号。停車する。――あれ、と、小さな声が呟くのだろう。ひどく他人事みたいな声と顔、――ぱちくり、瞬いたなら】

………………あれ、車酔いするタイプですか? 窓開けますか? 雨ですけど。
吐きます? 気にしないから大丈夫ですよ。後ろの方になんか袋とかあるんじゃないでしょうか、ほら、頭陀袋とかかもしれないですけど。
なんにもないよりは多分マシかと。

【だなんて言って首をかしげるのだろう。自分の運転がどんなもんかを分かってないらしい。だからこそ、サーバントにも嫌がられる……のだけど】
【綺麗好きな彼にしてみたらとんでもない話だろう。――気にしないからどうぞだなんていうのだ、悪い意味で慣れすぎている、というのだろうか。指先でちょいと後ろ示したなら】
【ぱっと青信号に変わる、――けれど今度は一応さっきより大人しめな速度、運転を心がけては、くれているらしくって】

酔い止めは多分ないですよね――たまにいますよね。めっちゃ酔う人。私が見た中で最高はドア開けた瞬間に酔った友達がいますよ。
……――って、あ、その人さっき居ましたね。ほら、赤毛の――、

【「飴でも舐めます?」】
【訪ねた声が、緩く靡いて。指先が眼鏡をちょいと整えるのだろう、――彼がそんな様子では真面目な風合いも一度途切れて。本部施設までは、あと、30分くらい――】


619 : アリア ◆1miRGmvwjU :2018/06/18(月) 00:03:48 o6XMS57s0
>>617

【 ── ビルの階段より、足音がした。一歩ずつ、ゆっくりと上る音。少しずつ男に近付く音。冷たい夜に良く似合う音。】
【それは通路を幾ばくか歩き、 ── 部屋の前で止んで、黒革の擦れる音、セフティが降りる音、】
【そうして外れた扉を足蹴にして、その影は部屋へと踏み込むだろう。撃針のような殺気。右腕に構えた拳銃のバレルが微かに輝く。】
【だがその銃口はは、男の声を聞いたのなら、ゆっくりと降り行くことだろう。再び、革靴の底が歩み寄る音。男に近付く音。】



「 ── あら、そ。」「だったら、とんだ無駄足かしら。それとも、 ……… 。」



【女の声である。冷ややかな声だった。然し在り来たりなオフィスレディのそれではなかった。もっと冒涜的な殺意に浸されてきた声だった。】
【振り向けば矢張り女である。目測で190cmはあろうかという、痩躯の女。顔の半面の銀髪で隠して、それは腰まで伸びている。冷たく濁った青い瞳。】
【上下はフォーマルなスーツ姿。そして真っ黒なチェスターコート。およそ堅気の人間ではなかった。手近な壁に寄りかかって、視線も向けずに、独白のように言葉を紡ぐ。】



「マルボロはお好き?」「 ── だったら、気が合いそうね。」
「連中、何処に行ったのかしらね。まさか、貴方が片付けた訳でもないでしょう?」



【懐からシガレットとライターを探って、躊躇いなく吹かす。薄い唇は然し何処か瑞々しくもあった。】


620 : ユウトの人 ◆Heckemet8M :2018/06/18(月) 00:08:46 u1dxVMlM0
>>234

「邪禍の奴はそのうち元の世界にこの世界ごと戻るつもりでいるしなァ、そっちの世界ばっかりに構ってらんないってことだな。多分」
『……ただ単に、俺たちが召喚蹴りすぎててアテにしてないだけかもです、……けど』

「まァー、色々事情があってな」
「正義の心を持った俺たちが、邪な魔の存在の下に自ら付いた理由はナイショ」
「マサジとほんのちょっとだけ似てる……まァ、聞いてねェーならわからんと思うけど……ってだけ言っとく」
『…………そうですね。内緒ということで』

【一瞬、ほんの一瞬だけ2人は互いの目線を合わせた。】
【おそらくは、二人の間に何かあった結果が――今の状況。あまり言いたくないのだろうか、それとも……】


「イケメン2人で歩いてると目立つから、もし近くに来たらわかると思うぜー」
「こいつしょっちゅうナンパしてるし」

「ディルメルはわかんねェーけど、ザクトルは何か自称ゲテモノ店開いてるみたいだぜ」
「醤油風味のコーラ……と言う名の、微炭酸醤油とか」 『味見したことありますが、それはもう……酷い』

「マサジは元々そっちの世界のゴブリンだしな、ただゴブリンだと目立つからちゃんと人間の姿になってるけど」
「トレードマークの帽子がねーとよ、あいつフツーのおっさん過ぎて見失う」
『おいおい、帽子だけが識別要素じゃあないだろう。……珍しい生き物を見つけた時のテンションとか…………すみません、駄目です。帽子が手っ取り早いです』


『……うくッ、もう我慢できん! 太陽のエネルギー!』

【カーテンを閉めて振り向いた先、……そろそろ腹筋が辛くなってきたのだろう】
【両手に溜められるは太陽のエネルギーだ、それで構成された球をカニバディールに向けて1つ発射する】
【なんとなく回復系の雰囲気を放つそれ、もし当たったとしてもダメージを受けることはない】

【それは簡単な治癒術のようなものである。とりあえず、不毛の大地をどうにかできる程度の効果はあるはず】
【……効き過ぎないか? それはわからない。】


621 : ◆XLNm0nfgzs :2018/06/18(月) 00:14:36 Ef0o7fIM0
>>616

【軽快なベルの音。白い少女はどーしたもんかと考えつつも頭の隅っこで誰か来たのを察知する】
【そうして女の子の声がしたのを聞くと、ふと我にかえり】

えっ?あれ?もうそんな時間ですか?
すみませーん!今ちょっと厨房散らかっちゃってるんで片付けちゃいますねー!
【ちらっと店内を確認して赤い少女を視認し、何故か包丁を持ったまままな板だのその上の野菜を片付けようとするのだが】
【右手に包丁を持ったままだし左手は怪我しているしでままならず】
【しかも相手は歌っていたのでどうやら声が聞こえなかったらしく】

【当然、厨房で鉢合わせる】
【右手に血塗れの包丁、左手には血塗れの野菜(しかも左手そのものから血がボタボタ垂れている)、顔と白いシャツには微量の返り血】
【少女は、あちゃあ……みたいな表情をするが】

【相手の手から滑り落ちていく様々な物。そして相手の叫び声を聞けば】
【え?何?あれっ?とそれはもうきょとんとした顔になって】

えっ?ころっ?うぇ──




あ゙ぁぁぁぁぁ!!!違うんですこれ違うんです私のなんですぅぅぅぅ
っていうか殺すとかそんなじゃないしそもそもこれめっちゃ血ィ出てるけど見た目に反してそんな深くないですからぁぁぁ!
【ハッと自分の現状に気付くと慌てて包丁をまな板に置いて弁明。何というかこっちも滅茶苦茶叫んでいる】
【見た目に反して傷は深くない、と言って左手を掲げて見せるがどう見てもざっくりいっているしはっきり言ってエグい。ぶつ切りになった野菜の成れの果てみたいな物なんて持っていたせいで血塗れのそれが引っ付いてしまっているし】
【というか痛くないのだろうか?】

【ともかく、なんか絶叫の二重奏が発生してしまっている】


622 : ロッソ ◆KP.vGoiAyM :2018/06/18(月) 00:35:37 Ty26k7V20
>>619

【階下では、EDMを垂れ流す古臭いセダンが走り去っていった。若者の笑い声と苦しそうなエンジンの音がした】
【何処かで犬が吠える。向かいのビルの窓からテレビがチカチカとしているのが見える。ここにも生きている人が居る。】

【彼もまた背は高くてほぼ同じぐらいと言っていいだろう。痩せていて、黒髪は耳が隠れて、前髪は鼻先までありそうだった】
【そしてこんな夜でもサングラスをかけていた、人目をはばかるように。黒地の花がらのシャツを着て、トレンチコートはだいぶ着古していた】

【銃口を向けられても、女が歩み寄っても振り向かずに、片手をポケットに入れたまま、窓の外を眺めつつ煙草を吸っていた】

そう…奴らは居ない。一足遅かった

奥の柱の下の床。何かを引きずったあとがあった。それと、3階は一度掃除している。2階にもペンキを塗り直したような跡があったそれも最近。
それだけじゃない。

【指先で叩いた灰が、足元に落ちる。ふぅ、と長く吐き出した煙が風に煽られて消えていく】

……右利きだが、右目を隠すのか。確かに、利き目ってのは逆だが…銃を撃つのになれるのには時間がかかっただろう。
銃は、一丁じゃないな?ずいぶんと重い銃を使ってるんだな。――専門的な訓練を受けている。軍人か…諜報員ではないな。
それにその香水は……着飾るためじゃない。

【男は見ていない。見えていないはずだった。それでも、目の前に立ってジロジロと眺めるかのように話していた】
【まるで見えているかのように――いや、視えているとでも言おうか。】

ああ、好きだね。…何処にでも売っているところが。
…まさか。…ここに居るのが最後の一人かもしれないぜ。

【指先で弾いた吸い殻が、床を吸って、火種が弾ける。履いたブーツの靴底でもみ消して】
【ようやく彼は振り向いた。ニヤリと不敵な笑みを浮かべながら】


623 : アリア ◆1miRGmvwjU :2018/06/18(月) 01:36:50 x9fdzUY.0
>>622

【どこか垢抜けない街の喧騒を遠くに聞きながら、女は男と対峙した。随分と高い背丈だった。女としては高すぎるくらいの自分と並ぶのだから。】
【夏も程近いというのに纏うコートは彼の拘りなのだろう。女は生身ではなかった。だから蒸し暑い空気感の中、汗ひとつかいていなかった。】
【 ── シャツのセンスは好みでなかった。ただ、悠々と煙草を吸うのみの男が滔々と語った言葉には、微かに驚いているようでもあって。】


「生憎と両利きよ。」「ジェリコ941の櫻国生産バリアント。41口径のマグナムは其れなりに手に来るわ」
「序でに言うなら、左に納めてるのはバックアップじゃないわ。 ── 全身義体(サイボーグ)なの」


【あくまで振り向かないまま男は物を語っていた。それでいて致命的な食い違いはなかった。語らずとも解る人間が女は嫌いではなかった。】
【或いはそれが彼の異能であろうか。 ── Channelの5番を纏うのは、勿体ぶってシガレットを吸うのは、染み付いた血の匂いを隠すため。】


「探偵かしら?」「洞察力は結構なことだし、得物を語るに吝かではないけれど、プライベートを詮索すると嫌われるわよ。」
「 ……… 。」「まあ、目的は同じでしょう?」「それだけで十分よ。貴方が何者であっても。」


【振り向いた笑みは不遜だった。面白いと言わんばかりに、微かに女は頬を緩めた。それでもまだ、右手の銃をホルスターに納めることはなかった。】
【冷たい、白い顔をした女だった。氷像から彫り上げたような、どこか芸術品のような容貌をしていた。切れ長の青い眼は躊躇わず男を見据えていた。】
【「どうかしら?  ── お互い、腹を割って。目論見でも話してみない?」微かに首を傾げたなら、肩に伸びた白銀の髪が大気を擽って、ひどく眩しく煌めいた。】


624 : アリア ◆1miRGmvwjU :2018/06/18(月) 18:37:23 x9fdzUY.0
本スレ≫549

【抜けた返事。いくら話しても、分かり合えたようで、どこかで分かり合えていないような。そんな気分にもなる。けれど其れはきっと、他者と交わす言葉なら当たり前の事で】
【神に愛されるのが真実の世界というのなら、そうでない此の世は夢なのだろうか。然し何時だか、愛情も信心も夢に似ていると、アリアは語ったから】
【 ── ただ、生きている実感が持てないだけなのかもしれない。いや、よしておこう。自分の境遇を無闇に他者へと当てはめて、よいことがある筈もない。】

【「祟られるわよ。本物の生首に。」まったく戯けた様子のかえでに、子供を叱る母親のような声をして、ため息交じり、くすくす笑って。】
【確かに怖くはないのだろう。人間が恐れるのは、理解できない存在。そしてまた、人間が憧れるのも、理解できない存在。自分はきっと、首だけで生きていて当たり前。】
【 ── 甘く青春を駆ける少女の匂いと、やさしい布地と柔らかさに包まれたのなら、確かに其れは朝に似ているのだろう。深い眠りから静かに浮かび上がるひととき。】
【夢と現に明確な境目はない。けれど目覚めの時に見つめる手は、自分が自分であることを自覚させてくれる。アリアにとって、かえではそういう存在だった。手も身体もない今となっては、なおのこと。】
【雨に濡れそぼった足音の中、気紛れな言葉を紡ぐなら、黙々と聴き入っているのだろう。 鈴蘭の声音と、楽しそうな微笑み、遠くに聞こえる血潮の流れ、己とひとつになってしまいそうな鼓動。】
【愛しさが其処にある感覚。目を閉じているのに、夢から醒めたような、けれど幸せな微睡みの中。自分は生きているのだと、彼女は生きているのだと。】
【 ── いつしか目を閉じていた。殺すと決めた相手の腕に抱かれて、どうしてこんなに安らかな心地になれるのだろう。分からない。でも幸せだった。だから。】


「 ──── そう。」


【問いの答えは、腑に落ちたようで。然し赦しを乞うのならば、名に負いたるは原罪なのだろう。 ── そんなもの、本当にあるのかなんて、思いながら。】
【そして柔らかなブラインドが降ろされるのなら、促される訳でもなく目を閉じる。いつかの日に重ねた口付けのように。そうして、日常に溶ける音を聴いて、 ── 】
【他人の住む家に沁みた、ほのかな匂いを感じる。甘かった。居心地よい場所と思った。ふかふかの何処かに降ろされたのなら、静かに瞼を開ける。】
【長い睫毛が夜露を愁いていた。涙にも似ていた。けれど其んな弱味を彼女は見せぬと、少女なら知っているだろう。それでも、】



「 ── ありがとう。かえで。」



【こんな言葉だけ、残して。或いは、およそ冷たさなんて知らないような優しげな声音で、然し動かない唇で、綴るのだろう。】



「インテリアの趣味は良いみたいね。」「かえでの匂いがするわ。 ── なんて言うと、厭らしいかしら?」
「 ……… 助けて貰った身で、余り我が儘は言えないけれど」「髪も顔も、随分と汚れてしまったから。洗ってくれると、嬉しいかしら。」
「私が強いてしまった事だけれど ── かえでも、風邪を引いてしまうわ。そのままでは。」


【そうして、部屋をぐるりと見回した後 ── 眼球しか動かせなかったから、その範囲はあまり広くはなかったけれど ── 落ち着いた声で、そのように請う。】
【何せ、手入れの丁寧な藤色の髪も、吸い込まれるくらい真白な肌も、可哀想なくらいに濡れていた。それに、自分からは少なからず、血の匂いがするから】
【こんな"それらしい"部屋の中を汚したくはなかった。 ── 奇妙な矜持にも似ていた。洗濯機の中に放り込まれたら困るな、などと、思いつつも。】


625 : ロッソ ◆KP.vGoiAyM :2018/06/18(月) 19:34:13 Ty26k7V20
>>623

【同じような背丈でもだいぶ対象的な2人だ。女は物怖じしない自信に満ちた気丈な面持ちに思えた、武人に相応しいそれは】
【どんな闇も切り裂くような雰囲気だったが、彼はどちらかというと夕闇の街頭の下で伸びる誰かの影法師のように覇気はなく】
【吹けは消えてしまいそうな哀切がその背中に取り付いている。】

両利きか…俺もまだまだ、だな。
まるで“ダーティ・ハリー”…機能的だが、色気がないな。

【それは銃についてのコメントか、女を評したのかは――あえて言わないでおこう】

義体/サイボーグ?…アンドロイドやら魔物やら、悪魔とハーフやらいろんなやつと出会ってきたが
遂に全身義体と来たか。まだまだ世界は広いな

【男は殺すように笑い、大げさに頭を掻いた。はためいたトレンチコートが翻ったときに腰に2丁のリボルバーをズボンのベルトに】
【雑に挿して携帯しているのが見えた。形状とサイズからそれなりに口径とバレル長はある。そしてその位置にあるということは】
【早撃ちを目的とした挿し方であるときっと彼女ならばわかるだろう】

ああ…しがない探偵さ。今は…ね。
職業病ってやつさ。人よりいろんなもんが………“視えちまう”もんでね。
だが…女性の秘密を探るような真似をしたことは謝る。Don't Bother to Knockとはいかないってか

【CHANELの5番に引っ掛けて、彼は満足げに笑っていた。しかしどこか、虚しそうで――――】


単刀直入に済まそう。アンタはなにもんで、何が目的だ。
カルトを追っているのはわかる。信者でも入信希望でもないことも
…今こう思ってるはずだ。“アンタこそナニモンだ”ってな。


626 : ◆D2zUq282Mc :2018/06/18(月) 20:17:39 j4zHnS/c0
本スレ>>541
【チンピラの一人は背後からのフランケンシュタイナーによって沈黙させられた】
【少女の鮮やかで流れるような一連の動きに白桜は嘆息を洩らし、瞠目さえしていた】


――…お見事。大した身のこなし。私には出来ない芸当を見せてもらった。
まるで雑技団みたい。……もしかして大道芸人?


【眼前にチンピラの片割れが迫ってなお、白桜の関心は少女とその格闘技術へと向けられていた】
【口にする言葉は場違いそのもの。雑技団の華麗な動きを見て感心する客のような言葉】
【拍手の一つでも送ろうかと思案した矢先に向けられた少女の猜疑に満ちた視線を受けて】
【漸く白桜は眼前のチンピラに視線と意識を向けるのであった――少女への返答と言わんばかりに】


面倒だけれど、……仕方がないから答えてあげる。


【億劫な感情を言葉にし終えたのと同時に、白桜は腰に差したホルスターから黒い拳銃を取り出し】
【チンピラの足元目掛けて、一回、二回、三回と引き金を引き。そうして銃口から魔力弾が放たれた】
【少女の向けた猜疑の視線に"さあ、どうでしょうね?”と言う含みのある眼差しを送るも。行動は少女の言葉に確かな回答をしていた】

【結果、チンピラの片割れは沈黙し。もう一方は太腿を撃ち抜かれた痛みに悶えるのであった】


627 : アリア ◆1miRGmvwjU :2018/06/18(月) 20:28:09 o6XMS57s0
>>625
【気丈な女だった。闇の中にあって尚も截然とする黒は、白銀のロングヘアに縁取られていた。 ── 対して男は、】
【乾いた背中をしていた。ベージュのトレンチコートが砂色を思わせるからだろうか。或いは煙草に嗄れた声が、なにかの渇きに呻くからだろうか。】


「其方こそ、随分な堅茹で卵ね。"フィリップ・マーロウ"かしら?」「── 左手は、義体化してから矯正したの。だから半分、当たり。」
「けれど初活力じゃフォーティー・フォーの比じゃないわ。色香で殺すのは、趣味じゃないの。」



【少なからず皮肉屋の気質はあるようだった。無沙汰な左手がホルスターに残された9mmに伸びて、きっと無意識のうちに撫ぜていた。】
【ズボンに挿さった二丁のリボルバーは ── バックアップか、或いは己と同じデュアル・ウィールドか。スナブノーズでも小口径でもない。コンシールドと呼ぶには厳つすぎる】
【少なくとも、クイックドローに自信はあるのだろう。頭を吹き飛ばされる距離ではあった。 ── 殺気にごく似通って、けれど微かに違うものが、張り詰めた。】



「まあ何れ、痛くもない腹を探り合うのは私も好かない。 ── 私立探偵であれ、サイコメトラーであれ、私の邪魔でなければそれでいい。」
「恩も怨も無いけれど、私もあまり作法のない人間よ。個人的に追い掛け回してる子がいてね。 ……… もし御存知なら、是非ともお話を伺いたいところ。」



【左手を咥えていたシガレットに添えて、深く吸い込んだ。微かに横を向いて、紫煙を吐き出す。垣間見える、口紅の跡。】



 「知っている?」「サーペント・カルトの幹部。猊下、ムリフェン。」
  「 ── 蜜姫かえで、について。」


628 : 名無しさん :2018/06/18(月) 20:28:39 A6eAhZ920
>>624

――――――そうですか? ありがとうございます。といっても、大したもの、ないですよ。
なんか欲しいものがあったら持っていったらいいです、ルール違反には問わないでおいてあげますよ、不要物ですからね。

まあ、それも――身体とくっついたら、でしょうけど。心待ちにでもしていたらいいです。

……あれ、どっか痛いです? 

【――ぴた、ぴた、と、雫が落ちていく。それは時として毛先から、或いは、服の布地から。真っ新の足を伝い落ちて、足跡以上に床を濡らすものもあり】
【自分のタオルや着替えよりも先に相手を優先したのだと視覚的に分からせるのだろう、いくらも遅れて――礼を述べた相手の声音、に引っ掛かりを覚えたらしかった】
【その優し気な温度感がそうさせたのか。それとも、表情のせいだったろうか。あるいは――泣いているように、見えたのかもしれない。それで、少しだけ、気になったなら】

【ベッドの傍らに膝をつく。相手の首の下に敷いたタオルを一つ取り上げたなら、その顔を拭ってやろうとするのだろう、――生首の接待の仕方なんてやはり分からないから】

お風呂ですか? まあご自由にどうぞ、と言いたいところですけど。――じゃ、待っててください。一人じゃ無理ですよね?
それとも洗濯機にでも入りますか? 乾燥機もありますし。――お湯貯めてきますね、私も入ろうかな。

一人がいいですか? シャワーで滝行みたいな――。

【相手の顔を拭ったタオルでそのまま自分の顔と、髪をぐしゃりと乱雑に拭う。そうして立ち上がるなら、風呂の用意をしてくる、と伝えて】
【相手の危惧したのは、あくまで冗談として消費された。そこにさらに冗談を重ねるのだ、風呂場の床に安置、のち、シャワーで放置、なんて、無感動すぎるなら】
【自分も一緒に入る――からその代わりに、お湯が溜まるくらいまでは待っていろ、と、求めて。――そして立ち去る間際、相手の傍らに、気が向いたように置いていく】

【部屋の傍らに放っておかれていたサンドピクチャー。ひっくり返して置いていったなら、さぁ、と、音もなく。いろいろな色が付けられた砂が落ちて、積みあがれば層になる】
【それは様々な人の情念にもどこか似ていた。いろいろな色であるのに、ひとところに重なったなら、最後にいっとう大きな山をなす。生きて来た軌跡を見せつけられるように】
【であればこそ、きっと最後に出来上がる砂絵の光景は誰かの人生の写しであるのかもしれない。――まあ、つまり、相手がそういうのを好きなタイプであったなら】
【割と楽しく過ごせるのではなかろうか。――そうでなければ、よっぽど部屋でも見てた方が、楽しいのかもしれないけど】


629 : ロッソ ◆KP.vGoiAyM :2018/06/18(月) 20:52:40 Ty26k7V20
>>627

…いいや、“ジョー・ストラマー”さ。…ま、探偵ってもんでボギーは意識させてもらったけどね。形から入るタイプなんだ
教科書が“ロング・グッドバイ”ぐらいか無かったのさ

44口径じゃ聞かない相手にはキスのほうがいいかもしれないけどね。…まあ、いいさ

【どちらも皮肉を交えた言葉のゲーム。どちらもセーフティがかけられたまま銃弾よりも激しく飛び交う】
【でもそれは嫌な気分じゃなかった。直接的な言葉よりもよっぽど相手を探れる気がして。】

【男はまるで銃なんて持っていないかと言うぐらいに自然体で、殺気のようなものはなかった。しかし、不思議な雰囲気をまとっていた】
【まるで相容れない白と黒が無理やり混在しているような歪さが彼から発せられていた】

マナーがなってないのはこちらも同じでね。手癖が悪いからさ…先に断っとくぜ。

【そしてまた、彼はタバコに火をつけた。次の話に進むためのワンクッションと言ったところだろう】
【次に吹く火はオイルライターではなく、互いのマズルからにならないことを祈る】


俺は奴らの神を殺す。どんな邪魔するやつも皆殺しにする。そして神を奪う。白神鈴音を取り返す。

【言葉を重ねるように彼は言い放った。】

どちらも、わからない。…正確には出会ったやつが“そう”なのかまだわからない――続けてくれ。


630 : アリア ◆1miRGmvwjU :2018/06/18(月) 20:58:13 o6XMS57s0
>>628

【そう言えば最後に泣いたのは何時のことだったろうか。思い出せない。誰かの人生に干渉することは意図的に避けてきた。自分の人生を過ごすのに精一杯であったから。】
【 ── だったら何故、こんな距離で過ごしているのだろう。どこか愛しいと思いつつ、けれど義務感のような殺意に駆り立てられ、自分に嘘をついている心持ちさえして】
【決して幼くはなかった。どういう風に他者と関われば、どういう結末を迎えるのか、其れなりに知っていた。 ── 経験からして、きっとこれは、一番傷付く距離感だった。】
【そうしてまた、何か持っていってもいいと言われたのなら、既に品定めをしている自分に驚いた。自分が自分でなくなるような感覚がした。】

【なんとなく膝をついてほしくなかった。止めようとしたけど、憚られた。自分より貴女の事を先んじてほしいと。濡れっぱなしの藤色に泣いてしまいそうだった。】
【 ── けれど顔を拭われたのなら、表情も分からなくなって、もしも涙が流れていたとしても、仄かに血の香る雨雫に紛れてしまうのだろう。】



「 ………。」「溺れちゃうわよ?」「今の私は、赤ん坊くらいには何もできないわ。」
「洗濯機になんて入れたら、髪の毛が絡まってしまいそうね。先にドラムが止まってしまうかも。」



【だから返されるのも冗句に過ぎない。「 ── 一緒に入ってくれるのでしょう?」確かめるような言葉。どこか寂しげな、アリアの言葉。】
【待つのには慣れていた。そうでなくっても、何もなくたって待つしかなかった。けれど、少しだけ沁みる目に映るのは、 ── 流れ行く、サンドピクチャー。】



「 ………。」「 ────………… 。」



【口を噤んだまま ── 開けてどうこうなるものでもないけれど ── 女は、ぼおっとそれを見つめることにした。砂粒が擦れ合い溢れ行く、寂しげな世界の終わりみたいな音】
【いや確かにそれは世界の終わりだったに違いない。砂が描き出す、世界の中の世界。ひっくり返してしまえば、それで消えてなくなる世界。】
【 ── この世界もこんな風に、あっさりと消えて無くなってしまえばいいと、思わなかった事がないわけではない。であれば、少女が神に祈るのは】
【描かれた砂絵がばらばらになる瞬間を希求して止まないから、だろうか。 …… どうしようもない物思い。それに、きっとこの絵にも、かえでは興味がないのだから。】
【ともあれ神妙そうな顔をして待っているのだろう。どこか寂しげでもあった。首から下がないのならば、誰だって心細いものだから。】


631 : アリア ◆1miRGmvwjU :2018/06/18(月) 21:11:34 o6XMS57s0
>>629


「あらそう。確かに、"三つ数えろ" ──なんて悠長なことは、言ってくれそうにないものね?」
「結構。むしろ上等ね。銃のカスタムには拘る主義なの。ことにトリガープルは軽いから、ご容赦願うわ。」


【紙巻きが半ばほど焼けて、形だけ残す灰になったから、女はそれを指から落とした。靴底で踏んで揉み消した。】
【「あまり迂闊な事があるなら、貴方も殺すかもしれない」 ── そう、前置きした、上で。然し、その言葉を聞くのなら】
【 ── およそ感情など表に出さないような容貌と態度であるのに、重ねられた言葉はどこか感情的だった。白い眉が微かに動いた】


「 ── 白神鈴音?」「初めて聞く名ね。教祖かしら。それとも、 …… 案外、御神体?」
「ならば私は貴方を殺すかもしれない。かえでは私の手で殺さなくちゃいけないの。もしも其処で、邪魔立てするようなら ── 」


【自分の獲物を横取りはさせない。そこだけだった。女が蛇教を追う理由はそこだけにあった。】
【 ── だから其れ以上、殺意を示すことはなかった。寧ろ、初めて聞く名のことを知りたかった。】
【そして続きを促されたのなら、 ── 少しばかり、感傷のような色合いを示して、呟く。細い唇が、ささめくように。】


「何処にでも居そうな女の子よ。藤色の髪の毛。仄赤い瞳。何を言うにも、するにも、危なっかしく見える子。」
「随分とえげつない事もやってるらしいわ。私が見たわけではないから、分からないけれどね。」


632 : 名無しさん :2018/06/18(月) 21:17:04 A6eAhZ920
>>630

【――――彼女が戻って来るのは数分後だった。さすがに簡単に服を着替えてきた……というよりか、濡れた服を脱いできた、というべきか】
【ごくごく簡単な、しいて言えばいくらかサイズの大きなTシャツ。それでいて、入浴後には脱ぎ捨てられると決まっている、それが分かり切っているなら】
【「お湯溜まるまで待ってくださいね」と伝えて、さっきと同じタオルで髪の毛をわしゃわしゃと拭う、それから、絡まってしまいそうな毛先を指先で丁寧にばらして】

あはは、こんなにしゃべる赤ちゃん嫌ですよ。生まれた瞬間7歩歩いて宣言するみたいなの。
――だから入れませんよ。そもそもどうやって説明するんですか? 拾ってきた生首洗おうとして壊したとか、経理に怒られます。

心配ですか? ――大丈夫ですよ、一緒に入ったげます。髪も洗ってあげますよ。ところで切断面は濡れたりしない方がいいんですかね。
それだとちょっと手間なんですけど、――。

【「私の能力でいいなら水くらい防げない道理はないですが」】
【冗談めかした声が――けれど、どこかで真剣みを帯びている。それは相手に対して積み上げてしまった情の重たさだった、こんな場所で、死んでほしくないと】
【思ってしまう自分を馬鹿げているって思いながらも、阻害しつくしてしまえない。――やろうと思えばできるのに、だ】
【他人に向けるのと違って、自分自身に対してであれば、ほぼ完全に行うことが出来る。そのことを忘れることさえできる。理論上、一生忘れてしまえるのにも、関わらず】

――――もう、そんな顔されたら困ります。ただでさえホラーなんですから、もうちょっと楽しげな顔してくださいよ。
この部屋には誰も来ませんよ。来るけど、サーバントが勝手に入ってきたら許さないですし。オフィウクスも、まあ、勝手には入ってこないかと。
さっきサーバントに命令したんで、身体もじきに届くでしょう。へまをするような人たちではないです。私が育てた人たちなので。

……髪の毛、絡まってますね。ほぐしてあげましょう。どうせお湯が溜まるのにもう少しくらいは掛かるんですよ、まあそれで油断してると、溢れるんですけど。

【彼女は床に座っていた。さっきびたびたにした床を、さっきは相手を拭いて、それから自分も拭いたタオルで、最後に拭って】
【ベッドに肘をつくみたいにして――それでいて、相手の目の前ではない。相手の少し横のところ、寄り掛かるみたいに、しなだれかかるみたいに、座っていた】
【語り掛ける声は相手の神妙さを慰めるように優しげに聞こえるのだろう、甘く煮詰めたジャムをホットミルクに溶かしたように、薄らと色付いて】
【――だから安心してほしい、と、祈るのに似ていた。そうしたなら、そうっと手を伸ばすのだろう。叶うならばそのまま相手の髪先に触れて、そのわだかまりをほどこうとする】

【そうやってしていたら、あるいは、この気持ちにも片が付くような、気がして。その指先がかえってどうしようもないものを紡いでいくのには、見ないふりを、するしかなくて】


633 : 三枝双葉 ◆KWGiwP6EW2 :2018/06/18(月) 21:30:15 WMHqDivw0
>>626
【投げ落とした相手からパッと離れる、立ち上がる。何だか感心されてしまったようで気恥ずかしい】


い、いや――この前、テレビで見て……見様見真似、だけど。


【正直に答えた。カッコ良かったにでちょっとやってみたかったとか、そんな雑な習熟でも再現できてしまうのは、ひとえに能力のお陰なのだが】
【私にはできない、と言われるとそりゃあ、こんな令嬢めいた雰囲気の人がいきなりジャンプして投げ技キメたらビビるだろう、と思ってはいた】
【いやいや、チンピラとは言え、相手は強面の男。それに睨まれても涼風の如く流していると言うことは――】
【この少女も多分……】


って銃!?


【別方向で予想もしないものが出て来て逆に驚いた――うっかり煽ってしまったが、これで額をブチ抜かれた死体が出来てしまったら流石に寝覚めが悪い】
【しかし、今更止めるのも間に合わず、咄嗟に目を瞑って……】

【放たれたのは、弾丸ではなく魔力弾――それにどの程度の威力が篭っていたのかは、少女には分からなかったが】
【少なくとも痛みに悶える片方のチンピラを見るに、どう少なく見ても実銃と大差ない威力は有りそうだった】
【沈黙したもう片方のチンピラに視線をつい、と向けて】


え、ええと……殺し、ちゃった……?


【目を瞑ってしまったのでどこを撃ったのか見えていなかった。少女とチンピラとを交互に見て、冷や汗】
【鮮やかと言うなら、その銃捌きの方が。助けは別に要らなかった……その解答だけは、はっきり受け取ってしまったけれど】


634 : アリア ◆1miRGmvwjU :2018/06/18(月) 21:48:50 o6XMS57s0
>>632

【 ── 戻りくる少女の足音を聞いて、視線を向ければ、まったく何を着ても様になる子なのね、なんて思って】
【それでいて当たり前だけれど、何気なくも女の子らしい仕草に少しだけ驚いていた。美しくあるということは、自分への心遣いなくしては有り得ない事だけど】
【およそ神様しか見えていないだろう彼女が、自分の姿を気にしているのかと、今更になって実感した。理解した。】

【 ── 一緒に入ってくれると聞いて、ない足を浮き立たせている自分がいる事に気付いた。これだって、当たり前の事である筈なのに。】
【聞かなくたって、分かっている事なのに。なのに、かえでから伝えられるのなら、どこか嬉しかった。溜息を吐きたかった。けれど何度も言う通り、それを許す肺はなかった。】
【孤独という劇毒に蝕まれているな、と思った。寂しさが、心細さが、私をおかしくさせている。癒えるのは、きっと身体が帰ってきた時だけ。そう思いたかった。】



「血流は遮断しているから、少し濡れるくらいなら平気よ。 ── 濡らさないことに、越したことはないけれど。」
「でも、それくらいで貴女の手を煩わせるのは忍びないわ。」「神様から貰った力、なのでしょう?」



【 ── 篠突く雨に濡れた肌を拭ってなお、かえでの顔はどこか憂いに満ちていて、思い詰めたような色合いでしかなかった。】
【初めて彼女を路地裏で拾い上げた時は、家に誘い込んで看病をした時には、もっと何かに酔い痴れたような顔をして頻りだったというのに。】
【然しアリアは気付いていないのだ。自分も同じような顔をしている事実。馬鹿げた事をしていると知りながら、 ── 或いは、自分にそう言い聞かせているのかもしれないと、】
【気付きたくないから、思考の迷路に引きこもる。答えを出すのを保留する。時間が過ぎる度、情が積み重なる度、全てどうしようもなくなっていくのを知りながら。】
【だから。 ── かけられた言葉に、はっとしたような顔をして。そして次に吐いた言葉に、自分でも酷く驚いた。】



「 ………。 」「 …… ごめん、なさい。」「折角、優しくしてもらっているのに。」


【ごめんなさい。ごめんなさい? ごめんなさい! 自分が誰かに謝るなんて。しかも、しおらしい顔をして。いけない。わからなくなってきている。】
【自分って何者なのだろうか。冷血者の仮面を被ってきた自分は本物だったのだろうか。いやよしておけ、こんな時に思い詰めて真面な答えが出る筈もない】
【 ── けれど、肌重ねて、言葉を深める私たちの関係に、思案は止まらず、マゼンタは愛おしく、家路/癒時は何処にも有りはしない。】
【細い体の体重がわずかに寄せられるのを感じて、ホットミルクみたいに穏やかな眠気を誘うかえでの声に皆な任せてしまいたくて、白銀の髪を指が梳く、のなら。】
【 ── それはかえでの指を悴ませたり、まして凍らせたりはしなかった。かえでと同じくらいに大切にしてきたであろうロングヘアは、生糸に似て、絡み重なって、玉鬘ほどく度に手に纏わり付くようで。】



        「 ── あたたかいわね。かえでは。」「蛇って、こんなに温かいのかしら。」



【零す言葉は、自分でも、何を言ってるのだか分からない。ただ、 ── 寂しそうな顔は、していない気がした。】


635 : 名無しさん :2018/06/18(月) 22:16:22 A6eAhZ920
>>634

【纏っているのはTシャツと下の下着だけであるのだろう。歩いたならばふっくらと豊かな胸元がかすかに揺れる、体重を示して、生きている証拠を見せつける】
【彼女の胸元を揺らす衝撃はきっと彼女のありのままの重みから来るのだった――すなわち、内臓、皮膚、骨、筋肉、血液、人工物に代替されていない、本当の、生身】
【真っ白な肌とTシャツにマゼンタ色とhぢありての蛇だけ鮮やかすぎるほどの色彩を誇っていた】

――――そうですね、厳密には違うのですが。生まれついての能力者です。ですが、ウヌクアルハイ様が私をここまで導いてくだすった。
であるならば、それはウヌクアルハイ様より賜ったお力と言ってしまっても――ううん、ウヌクアルハイ様より賜ったものは二つッきりです、それですら身に余る。
だからこそ励むのです、――まもなく受肉の日を迎えられるウヌクアルハイ様のために。

……ですので、気にしなくって大丈夫ですよ。"これ"は私の力です。

【――相手の言葉は少しだけ間違えていた。間違えていたけれど、この力のほとんどは、ここに来てから開花した。だから、それでも、間違えてはいないと思った】
【うんと近しい距離。濡れた髪は閉じ込めていた甘さが溶け出てしまったように、蕩けてしまいそうな艶を抱く。そうして甘い甘い香りがする、部屋じゅうにある香りを集めたように】
【それならば。部屋の中にあるものは彼女の欠片なのかもしれない。それが、全く見当もつかないちぐはぐな趣味の寄せ集めであったなら。(――あるいは、と、思わせて)】

…………だからと言って、謝られても困りますよ。なんですかね? もっと、こう――当たり前みたいにしててください。気を遣うので。
頭も"冷える"んですかね? 頭冷やして来いって意味じゃなくって。濡れると冷えるじゃないですか。身体は。――お風呂でも入ったら気が紛れますよ。多分ですけど。
紛れなかったらそれはそのとき考えましょう、――そろそろですかね。

【――――ごめんなさい。その言葉に相手が自分自身ながらもどれくらい驚いているのか。彼女はそれを気づきもしないで、ちょっとだけ、困った顔をする】
【当たり前にしていろと言う言葉はどこかで暴力性も秘めていた。出してもらったカフェオレに文句つけるくらいのこと、してくれたっていいのにと】
【まあカフェオレは出してないんだけど――言いながら少女は視線を伏せて、黙々とその髪先をほどいている。絡まった刺繍糸をほぐすみたいに、気持ちを整理するように】

【――そうしておもむろに、立ち上がるのだ。そうしたなら再び相手のことを抱き上げる、無意味に広い室内をぺたぺたと歩いて行ったなら、備え付けの風呂にたどりつく】
【一人ではもったいないような浴室だった、一人と頭一つでも、まだ物足りない。それだったなら身体はすぐにでも持って来ればよかったな、と、どこか後悔しそうになって】

――残念ですけど、それは私が未熟だからでしょう。ウヌクアルハイ様はすべての痛苦を知っておられる。全部の輪廻の向こう側にいらっしゃられる。
そして最後に宇宙を呑み込んで、新たな宇宙を創世される。そして私たちはウヌクアルハイ様の下を目指すのです、――生は死より膨大にはなり得ません、生きる以上に死ななければ。
世界は成り立たなくなりますからね。――そしてもちろんどのような結果も、ウヌクアルハイ様の中で永遠に揺蕩うのです、それはとても、――素晴らしいことですから。

【ただ着ただけのTシャツを脱いでそのまま洗濯機に放り込む。見たならさっきのカーディガンも放り込んであった。床まで拭いたタオルも、投げ込んで】
【浴室の扉を開けたなら――さあ、と、暖かな蒸気があふれ出してくる。じゃあじゃあした音、わずかな湯煙は彼女が歩くたびに揺らいで、きゅう、と、蛇口を閉めたなら、静寂】
【相手がそうしてほしいようなら、切断面――を鮮やかなマゼンタ色の阻害で覆ってやるだろう。要らないなら、それでいい。抱き留めたままで浸かるんだろう】

【――もちろん水没はしないように努める。そのためなのか、単純に待つのが面倒なのか。お湯の量は少な目であった、少女が体育すわりで沈んで、膝の頭が出るくらい】
【その膝のところと胸元で転がり落としてしまわぬように相手のことを抱きしめている。真っ白な肌はあの日見た時と同じ色合いをしていて、けれど、あの日よりも傷が多かった】
【それはまるで銃で胎を撃ち抜かれたような傷であり、そして、身体じゅうを串刺しにされたような、傷であった。――あの日からさらに治療を受けた形跡があったなら、】

【――――それは真っ白な浴室の壁に貼り付けられた防水のシールに似ていた。一方は美しく楽しさを彩っても、一方は、少女の生の色合いで死を彩って、だからこそ、美しく】


636 : アリア ◆1miRGmvwjU :2018/06/18(月) 23:00:03 o6XMS57s0
>>635

【誰かの生身を羨んだ事は、少なくとも記憶にはなかった。大本として、己れは戦うために生きている。片手で銃を撃てなかったり、頭部への狙撃で即死したり、欠損した四肢が再生しない ── というのは】
【言うまでもなく不便だ。其れに、いつか少女に語った事もあるだろうが、アリアは元より自分の体を「贋物」とは考えていない。細胞の代謝が体組織を丸ごと入れ替えてしまうように、】
【自分の身体も、瑣末な外的要因により人為的に代謝され、置き換えられてしまったに過ぎないと。身長は伸びたし、体格は良くなったし、何をするにも理想的な肉体を手に入れた。そこに後悔がないのは真実。】



「 ── そう。 ………。 頑張るのね。私も、そんな風に誰かに慕われる神様だったら良かったのに。 」



【他者の人生には踏み入ってはならない部分があると。そうアリアは信じていた。きっと主神への信仰は、かえでをかえで足らしめるファクターの一つであるから。】
【そこに口出しをしても、私も貴女も幸せになれない。そういう経験が多すぎた。まだ殺し合う方が幸せだった。自分の生を感じられるから。】
【 ── けれど。湿った藤色から香り立つのを、彼女の全てと言うのなら。成る程、彼女が魅せられた信仰とは、こんなにも甘美なものなのだろうかと。】
【何回目かの溜息を吐こうとした。やはり肺はなかった。甘く蕩ける芳しさを吸い込んで納める器官を、今のアリアは有していなかった。】


「 ………。そうかもね。」「体温、低いでしょう? 35度で保温されてるから、きっと普段より冷たいわ。」
「でも、首だけになるのは、思っていたより辛いものよ。」「貴女も、なってみれば分かるかもしれないけど。」
「無いものであると分かっていても、脳は呼吸をしようとして、下手に喉で発話なんてしようとしたら、途端に息苦しくなってしまう。」
「自分が自分であるための部品って、考えるよりも遥かに多いわ。それは何も、身体そのものに限った話、じゃなくって。」



【身体を失う時、けれど失うものは身体に限らない。全身の感覚を失い、主体性を以って動く自由を失い、何者にも屈しない力を失う。】
【幾らでも肉体に換えの効く全身義体のサイボーグとは言え、脳と顔だけが残っていれば、変わらぬ態度でいられるというわけではない。】
【出してくれるならカフェオレでも飲みたい気分だった。それを収めておく胃さえも、今の自分にはないのだけれど。】
【 ── ただ、僅かに残った感覚器官のうち、かえでに触れる比率が多いのは事実だった。だから、こうして髪を梳く時間だって、いつまでも続けばいいと願いそうになる。】


「 ── あ、っ。」


【やおら立ち上がるのなら少しだけ驚いて、手だけでも縋ろうとするけど、手がないことに気付く。 ── 結局、抱きとめられることになるから、悪くはないのだけれど】
【だだっ広い間取りを今一かえでは使い尽くせていないようだった。殺風景と言うわけではないけれど、まるで空虚さから目を背けるみたいに、】
【思い付いたインテリアを片端から並べて、心の隙間を埋めようとしているような ── そんな、感想。】


「より高次の悟りを開けば、肌も冷たくなるのだろう、と?」「 ── なんだか少し、寂しいわね。蛇になれば、手足も無くなってしまうのでしょう?」
「肌が冷たくて、手足もないと、今の私みたいな気分になるわ。存外に神様って、さみしがりなのかもしれないわ。」「きっと、心の準備が必要ね ── 。」


【浴室の扉が開く。肌に触れる蒸気は、まるで別世界の温もりみたいだった。湯煙が左眼のアイカメラを結露させないよう、内蔵のカバーを起動させる。】
【 ── これだけ大きな傷跡だと、痛覚神経を遮断しきれているか気になった。何のことはない。傷が沁みるのは、ちょっとだけ恐ろしかった。およそ恐怖なんて何処にもない、かえでの腕中に抱かれていたら、尚の事。】
【「身体が届くまで、覆っていて頂戴。」 ── だから、そう請う。多少の雑菌は問題ではなかったけど、それでも、一応。】
【そうして護るように抱きしめられたら、かえでの柔らかさで「全身」を包まれることになる。「 ── ふ、ぁ。」そんな声が、漏れた。】

/分割、です


637 : アリア ◆1miRGmvwjU :2018/06/18(月) 23:00:13 o6XMS57s0
【長い銀髪がお湯に溶けて広がる。丁寧に指で梳いて貰ったおかげ。 ── シャンプーもしてほしくなる。わがままなことに。】
【交わす言葉を失えば、少女のからだが目に入る。自分と同じくらいに真っ白な肌。けれど其処には痛ましい傷跡。幾つも、幾つも。そして少女は、それを誇っているようでもいて。】
【 ── 同情なんてしない。それはきっと彼女への侮辱だ。自分で傷付けたのだ。自分で殺そうとしたのだ。自分で殺すのだ。それはかえでも同じこと。】
【だからきっと、 ── 女の顔も、丸くなるように首を抱きとめるかえでの瞳に、映るだろうか。あの日と変わらない、醜く焼け爛れた半面。氷像から彫り上げたような端整な顔立ち。けれど切れ長の青い瞳に宿っていた濁りは、お湯に溶けてしまったのだろうか。】


638 : 名無しさん :2018/06/18(月) 23:30:50 A6eAhZ920
>>636

【――ならば、それは、一つの考え方の違いなのだろう。少女はあくまで、――いや、もしかしたら、知らないから。そうなったことがないから、分からないだけなのかもしれないけど】
【生身しか知らないから。どうしたって相手とは、義体に対する認識が違う。ずれている、変人だから、というわけではなくって。――単純に、知らないから】

――そうですね、だったとしても、私はあなたを信仰することは、ありませんし、ありえませんが。
アリアさんの方がこっちに来てくれる分には大歓迎ですよ、一緒にウヌクアルハイ様のために努めませんか? 上等の部屋を一つ差し上げます。

……――それに、まもなくウヌクアルハイ様が受肉されるのだから。その時を一緒に迎える、というのも、悪くはないと思うんですけど。

【――――デートのお誘いにしては、近しすぎた。けれど、プロポーズにしては、きっと、遠すぎた。それは譲れないところ、相手がそうであるように、彼女も譲らないところ】
【だから少女は結局未熟だった。相手のように大人びて振る舞うすべをまだ全部は知らなくて。あるいは知っていても、上手にはできなくて】
【ほんの少しだけ声音に寂しそうなものが混じる。――気のせい、だと思う。それはきっと気のせいだった。寂しげな気持ちになってしまった、相手の気のせいだって】

…………"もらって"あげましょうか? そうしたら楽になれますかね。それとも殺してあげましょうか。
"これ"は確かにお礼ですけれど。私たちは敵ですよ。それが嫌なら――私のところに来てください。

【首だけの感覚を彼女は知らない。知りようもない。彼女が引き受けられる痛苦の中に、それは含まれているのだろうか。分からないのだけれど】
【相手が望むなら、同じ苦しみを知ってもいいと思った。そしてそれをきっとウヌクアルハイも喜ぶだろうと、思った。――奇妙な感情に信仰が掛け合わされば、気持ちが潤むから】
【相手を抱きしめる仕草にわずかに感情がこもる――力、ではなく。力は籠めないままで、どうしようもない気持ちが、指先に、きっと宿っているのが、バレてしまう】

【――そうして相手の傷口は阻害の力に護られることになった。雑菌だとかなんだとかも"ついで"に阻害されるのだろう。付着してしまっていた分まで、消し去るように】
【便利だと思えば便利な能力だった。生存することに長けている。――あの傷から数日しか経っていない今を、こんなふうに、ありふれた表情で過ごせる程度には】
【そうしてお湯に浸かるのは十数分ほどだろうか。その間彼女は指先で優しく相手の肌を拭ってやるだろう。柔らかいお湯で、丹念に、傷一つ増やしてしまわぬように】

――私と同じシャンプーで、いいですよね? この前の私と同じ気分にでもなっててください。自分から別の女の匂いがすると、結構ビビるんですよね。ふとした時に。
石鹸でもいいですけど、ギシギシになりますよ。多分。――なので、まあ、嫌だって言っても、シャンプーは一つしかないんですけど。

【それに満足したならやがてまた立ち上がる。尋ねていた言葉があるなら、洗ってやる気なのだと分からせた。椅子に座ったなら膝枕みたいにする、身体がないけど】
【相手の髪はやはり綺麗だった。新雪が一度少しだけ溶けて、固まったみたいに。つるりとした氷に覆われる内側は、上等のかき氷みたいにふわふわしているみたいに】
【少女の纏う甘さとよく似たシャンプーをお湯で少しだけ伸ばして、それから、相手の髪を優しく洗っていくのだろう、――美容師には程遠い、けれど、どこか愛おしげな指先で】

――――――――やっぱり、綺麗ですね。残念です、せっかく手も足も出せないのに、キスしかできないんですもん。

【あはは、と、軽い笑い声――シャンプーの泡が目に入ってしまわないように気にしていた、長い前髪を勝手に退かしてしまったなら、マゼンタ色が、じっと見下ろして】
【泡のついた指先でその肌を撫ぜる。――残念さは口惜しさに似通った、やっぱりどうにかしてでも身体ごと持ち帰って来ればよかった。しきりに後悔する自分に気づくなら】
【――やっぱり馬鹿げてると思わずにはいられない。ウヌクアルハイに失望されるだろうか、と、怯む。――それでも、35度の体温が、ひどく愛おしくって、消えたい】


639 : アリア ◆1miRGmvwjU :2018/06/19(火) 00:17:24 o6XMS57s0
>>638

【「悪いけれど、神様には頼れないのよ。貴女が住むには少し広い、あの部屋を宛がって貰ったとしてもね。」 ── それを何かしらの告白とするなら、アリアの答えはハートブレイクだった。】
【自分が何者であるのかを、神の権威付けに保証されたくはないと。其れは自分で探すべきものであると。例え、答えの見つからない無為の旅路だったとしても。】
【口先ばかり聞けばにべもない断り方だったけれど、アリアはきっと申し訳なさそうにしていた。真白い眉根を悲しげに寄せて、諦念のような笑みを浮かべて。】



「軍用義体のメンテナンス費用、一月で幾らかかるか知ってる?」「前にも言ったでしょう。私の身体は私のものではないの。」
「 ── 貴女たちの神を信じるつもりにもなれないしね。」「ただ飼い犬であれというのなら、それもまた、構わなかったかもしれないけれど ── 。」
「変な話、貴女に迷惑は掛けたくないわ。きっと本部の連中は、飼い主の手を噛む裏切り者を許さないから。」



【 ── いつか少女が偽ったように、自分も根無し草であれば如何ほど良かっただろう。彼女を彼女たらしめる肉体は、同時に呪われた枷でもあった。】
【さんざ少女には迷惑をかけてきただろうけれど、其れは敵同士だったからというもの。もしも仮に、彼女の腹心として鞍替えをするなら】
【金食い虫の疫病神と、きっと罵られてしまうから。彼女の大切な仲間からも。 ── そんな風に生きるのは、真っ平御免だった。】


「だから、私が殺してあげるわ。私のものにしてあげる。貴女のものにしてあげる。痛みも、喜びも、愛しさも。」
「 ── 受肉の日には、私もここに来るでしょう。その時、すべて、投げ打ったっていいから。」


【あたたかいお湯に浸ったかえでの指先へ、お風呂に入れられる仔犬のように甘えながら、けれど口にするのは余りに歪みきった、それでいて真っ当な感情の発露。】
【縋るような指先がぎこちなく、そして丁寧に頬を撫でるのを感じていた。どういう想いをしているのか、解らない訳じゃなかった。わけもなく泣きそうになる。然し湯煙の中、全ては判然としない。】
【薄紅色をした、輝石のようなかえでの瞳を、じいっと見守(まぼ)っていた。感傷に濡れた、色相反転の青い隻眼が。】

【マゼンタ色の加護を受けながら、ふたりは暫くお湯に浸かっていた。 ── ほとんど膝までしか温まっていないかえでを見ていて、湯冷めしないだろうか、と、少し心配で】
【その異能が本当に神からの授かり物なら大したものだと改めて思った。単純にそれは、感嘆に似ていた。】


【「あら、そうね。かえでと同じ匂いになるのも、素敵なことかしら。ふふ。」 ── 太ももに横たわる。顔だけで。そうしたら、そこはきっと、子を宿す場所に近くて】
【けれどもう彼女はそんな願いを抱かないと知っていた。語らずとも分かった。古い傷痕が、もう新しく刻まれない傷痕が、これ見よがしに語っていた。】
【目を閉じて鼓動を感じる。指先を感じる。シャンプーの甘い匂いは果たして確かにかえでのそれに似ていた。然し其れを自分が纏うなら、少しだけ/決定的に違う匂いになると、そんな予感がした。】
【仄かに血に濡れていた銀髪は、かえでの指の中で溶けていく。溶けていくように解けて、絡んで、すべらかで、 ── 矢張りそれは、優しく誰かを冱つる物なのかもしれない。】

【だから、きっと。湯煙に紛れて、乾いた笑いが溢れるなら。涙が溢れる前に、こんな台詞を吐くのだろう。】
【膝下から見上げる青い瞳は、輪郭を忘れたみたいに目尻を丸めて、睫毛は湯煙に愛されていて、】
【呟くように。囁くように。愛しく求めるように。その果てが、小さな悲劇でしか有り得ないとしても。】





「 ── だったら。」「今夜はずっと、キスしていましょう。」
「そして、身体が戻ったら。」「 ── 去る前の夜。ううん、朝からずっと、だって。」

    「も一度、抱いてあげるから。」「 ── ね? かえで。」




【或いはそれは共感に似ていた。35度の体温に、少しずつ熱が染み渡って、禁じられた氷の箍を、砕こうと。】


640 : 名無しさん :2018/06/19(火) 00:45:39 A6eAhZ920
>>639

【――――振られた。少女もまたそれを理解したならば相手とどこかで似るような顔をするのだろう。惜しむような/悲しむような。でも。分かっていたから】
【断られると分かりながら伝える気持ちはどこからくるのだろう。どこから湧いてしまうのだろう。嫌だと思った、そのひび割れを塞いでしまわないといけないと思うのに】
【もう少し。もう少しだけ。そのひび割れから漏れて来る愛しい気持ちを指先でなぞっていたかった。その結果ひび割れが擦り切れて、もっと、大きくなってしまったとしても】

――――分かんないです。分かんないですよ。私は違うから。そんなの分からないです。
何度も死にかけましたけど。そのたびに、それでも私の身体は全部、全部、私のままです、私の――、

…………――じゃあ、その本部ごと、私が滅ぼしてやります。ウヌクアルハイ様のために捧げてやりましょう。背徳と背信の民に、正しく、善い道を、

【泣いてしまいそうになった、理由なんて分からなかったけど。――愛しい、と、思って、でも、その気持ちをどうにかできるだけ、彼女は大人ではなくて】
【もしかしたらこの気持ちは肝臓で処理されるのかもしれない。だったらほんの少しの酒に酔ってしまう弱弱しい肝臓が憎らしかった、もっと気高くあれ、と、意識しても】
【こんなふうなことを口走ってしまう程度には、混乱していた。くだらない駆け落ちをしようと誘うくだらない男みたいだった。こんな言葉では、決して、潤みやしないのに】

――そうですね。本部がバレてるのに、あなたが来ないはず、ないです。分かってますよ、――分かってました。
だから次は殺します。これで最後ですよ、――本当に。最後です。明日か、明後日か、――あなたがここから誰にも何も言わないで、出て行ったなら。

その次はね、たとえどんな場所であったとしても。――あなたを殺します。ウヌクアルハイ様に、誓って。

【だからこれは一時の熱病だと判断する。疲れているのかもしれない。最近めまいがすることが増えた。薄い頭痛がいつも続いている。吐き気がして、眠たくなる】
【けれどそれは同時に果てない悦びの入り口でもあった。ウヌクアルハイの少しでも近くに行きたい、と、彼女たちは願うから。ならばそれは、ひどく――ひどく、喜ばしく】
【女と寝る快楽はきっとこんな気持ちに似ていた。果てて、果てて、死んでしまいそうで、それでも終わらなくって。そういう――終わりのない、場所に、落ち込んでいくから】

【――ざあ、と、相手の髪を流してやる。泡が少しだって残らないように。丁寧に、丁寧に、流したのなら】
【続けてトリートメントに、コンディショナー。髪の手入れを一通り。――であるならば、それは普段の彼女もすることなのだろう。どれも、これも、彼女と同じ甘い匂いがした】

――――――――あはは、だから、もう、――私未成年ですって。警察、呼びますよ? ……こんなとこまで、来ますかね。
警察より性質の悪い奴がいるのは、――確かですけど。これ以上に来られても、困ります、――アリアさんだけだって、とんでもないのに。

【優しく心臓を撫でられるみたいだった、きゅうと鼓動がひきつって、止まりそうにすらなって。一瞬息すら忘れてしまいそうになる、あんまりに見とれてしまいそうで】
【数秒のあとにようやく呼吸することを思い出したなら――不完全な吐息交じりの笑い声が漏れ出る、――いつか言ったのと似る言葉。似ているのに、もっと甘い蜜漬けの声】
【限界までシロップを含ませたホットケーキの様相。ぽたぽた、甘たるい蜜が溢れてしまうのを止めることのできないのは不貞の証明じゃなくて、多分、きっと、好きなだけなんだと思う】


641 : アリア ◆1miRGmvwjU :2018/06/19(火) 01:32:00 x9fdzUY.0
>>640

【自分の心境に整理がつかなかった。なのにこうも倩(つらつら)と歯の浮くような文句を言えるのは可笑しなことだった。それでも不思議と、どうにかなってしまう気がした。】
【瘡蓋を爪の先で引き剥がすのに似ていたかもしれない。そこにあるのがどうしたって気になって、弄んでいるうちに剥げてしまって、傷付けるつもりのなかった治りかけの皮膚まで裂いてしまう。】
【なら最後まで剥ぎ取ってしまいたいと思った。痛みを怖がって中途半端に遺すんじゃなくて、もう剥けなくなるまで、蹂躙のように。】
【たとえ其れが、傷付いてもいない他の膚地を抉ることになり、流してはいけない血まで流してしまい、消せない傷痕を遺すことになっても。破れ被れの使命感に似ていた。】

【果たして私たちは、もう何回ほど互いを「殺す」と言っただろう。まるで口先ばかりの情けないギャングみたい。鼓舞なんだろう。迷える心を叱咤して、口にして、取り返しの付かない場所に踏み込むための。】
【だからアリアも言い返した。「ええ。殺すわ。貴女を。 ── ふふ。誓うモノなんて、私にはないけれど。」悲壮な覚悟を聞いたのに、締まらない返事。】
【けれど変わらず本当に、殺してやりたいと思うのだ。何も憎い訳じゃない。まして恨めしい訳じゃない。かと言って義務感でもない。 ── かえでの死を、誰かに横取りされたくなくて】
【そしてまた、望ましき手段で逝かせてやりたいとも願うのだった。それこそ果てて果てて死が垣間見えたとして、無理矢理にその先に押し出して事切れさせてしまうような、そんな殺し方で。】

【降り注ぐシャワーが、馴染むリンスとコンディショナーが、いけないものを流す。罅割れた氷の軛が砕けていく。代わりにそこを封じるのは、うら若い少女の甘い香り。】
【それで果たして何が封じられるというのだろう。何も止まりやしない。精々が戦慄のような震えで、かえでの心臓を縛り上げることくらい。】
【だからそこから搾り出されるのは、甘い甘いメープルシロップ。ホットケーキは愚図愚図で、放っておくだけで自分の重さに耐えきれず、潰れてしまうのだろう。】



「安心なさい。助けは来ないわ。貴女が封じてくれたんでしょう?」「 ── 誰も邪魔のないように、って。」
「御伽噺は残酷よ。可哀想な赤頭巾は、本当は狼に食べられてしまうの。 だれにも助けてもらえないまま、暗い森の中で ── 」
「ああけれど、お腹の中に揺られて、生温かい愛撫の中、どろどろに蕩けてしまうのって、案外しあわせな死に方じゃない?」



【 ── そうして、やがてシャワールームから出たのならば、ドライヤーもして、そろそろ「身体」も届く頃合いだろうか。】
【きっとアリアは、服を裂いて脱がせても構わない、というのだろうけれど ──】


642 : 名無しさん :2018/06/19(火) 01:54:50 A6eAhZ920
>>641

【――泣いてしまえたらどんなにか楽になれるだろう、と、思った。あるいはこんな気持ち、たやすく捨てされてしまえたなら】
【できる。できるはずでしょう。できるはずなのに。なんで。――何度も自分に恨み言を重ねるのに、それでもなぜだか"そう"しようと思えなかった、もう少しだけでいいから】
【せめて相手がどうしようもなく無力である間くらいは。結局いつでも殺せるっていう優位を保っていられる、間くらいは。眼を縁取る藤色がかすかに震えた、湯気の水滴を抱くよう】

【かさぶただけじゃ物足りなかった。真っ白な肌まで持って行ってしまってほしい。そうしたなら――その肌の痛みに踏ん切りも付くんじゃないかと、どこかで、期待して】

【次は、次は、次は、と、重ねるのは依存症に似ていた。ならば多分間違えていないんだと思う、やめられないから依存であって、そして実際この気持ちはやめられない】
【だったら。殺すしかなかった。あるいは殺されるしかなかった。けれどどうしたって願ってしまう、相手のことを終わらせるのは、自分でありたいと】
【最期に見るものが相手であることにためらいはない。だけど、それ以上に――相手の最期に見るものが自分であれ、と、願ってしまうなら】

――――――――そうですね。誰も来ませんよ。アリアさんの"ほとんど"が届いたなら。誰も……誰も、来ません、
アリアさんだって、……きっと、誰も呼ばないですよね? そんなこと――しないですよね。ねぇ――、

【それは迷子の子供のようだった。自分のしてしまったことが今更恐ろしくなってしまったように。相手のこと信じるしか、自分を許せないみたいに】
【ここで相手が"裏切った"なら、自分はどうしたらいいのか、分からない。それがどれだけ相手にとって正当なことであったとしても、蜜姫かえでという人間にとっては裏切りだから】
【裏切られたくないと希求するのはどうしようもない裏切りの証、蛇を裏切ってしまったんじゃないかという恐怖と、それでも自分を止められない恐怖と、理解不能の気持ちの形】
【だからきっと泣いてしまいそうな目をしていた。だけど、泣かなかった。それだけは最後の一線――それはいつかにしよう、もっとふさわしいときのために】

――――残念ですね、私はウヌクアルハイ様の胎の中に行きたいのです。真っ白い狼さんに食べられてしまうには、まだ早くって。
狼の中で果てるよりもウヌクアルハイ様に抱き留められて果てたいのです、――そのために私は生きていますから。

【だからひどくどうしようもない表情(かお)をするのに、留めた。そうしたなら――彼女もざっくりではあるが自らを清めるだろう。といっても雨に濡れただけ、大したものではなく】
【そうして浴室を出る。ドライヤーをして、二人しっかり乾かして。部屋に戻ったその時、果たして、その部屋に見覚えのないものがあるだろう。頭陀袋、だった、いっとう大きな】
【死体とか入れたらちょうど良さそうな感じの――そうであるなら、相手には分かるだろう。一方で少女はわずかに複雑そうな顔をしていた、仕事が早すぎるのも、少し、風情がない】

【頭を抱えたままで少しだけ彼女はためらってしまう。――それでも求められたならば、従うのだろう。それしか知らぬ子供のよう、神の声に従う巫女のよう】
【到底抗えぬ神聖さに頭を垂れるように、――背徳のなかへ、一歩一歩、自らの足で沈み込んでいくんだろう。――「これで終わりだから」と、囁き声は、きっと、無意識のもの】
【必死に自分に言い聞かせる声が漏れてしまって、気づかないほど、――それくらいに相手に心奪われていた。このままうっかり殺してしまいそうな、ほどに】


643 : アリア ◆1miRGmvwjU :2018/06/19(火) 02:32:13 x9fdzUY.0
>>642


「誰も呼ばないわ。約束よ。貴女も、私との約束、守ってくれたんですから。だから、 ── ね?」
「ならば今宵は殺さずにいてあげる。 ── けれど、知りなさい。狼の牙は何時だって、貴女の影に潜んでいるから。」


【甘く囁くのは悪魔の声に似ていた。神に見染められた始祖の人間に、知ってはいけない知恵の果実を齧らせる。然しそれは蛇の担う役であった筈で】
【壊れた舞台の上はミスキャストで一杯になり、今にも軋んで崩れてしまいそう。そういう世界。砂の上に築いたような、どうしようもなく脆くて儚い世界。】
【 ── だからアリアは、言葉で少女を絡め取る。抱き留める。崩れ行く世界の中、切ない藤色が奈落に足を滑らせぬよう。裏切りなど其処にはないと伝え、例えそれが欺瞞であるとしても。】
【指があればきっと目元に手を伸ばしただろう。そうして「泣いていた」ことにしてしまっただろう。ああ然し全てはずれ込んだ歯車の様に】
【それでも。その隙間に挟まれて、なお踠くのが人なのだろう。機械仕掛けの人形は、ここにこうして魂を宿している。】
【腕の中で髪を乾かされる。もうどうにでもなってしまえばよかった。懊悩とか、矛盾とか、不貞とか、そういうのを考えるのはもう止めればいい。】
【 ── 皆んな打つけてしまえばいいの。幻肢に疼く欲望に。相喰らい合う蛇と狼として、掻きむしった傷が癒えるまで。】



「 ── ええ。これで終わり、だから。」「お願い、かえで。私から、願うことは、もうないの。」
「苦しいこと、辛いこと、みんな忘れましょう。そうして、変わらぬ朝を、また迎えるの。」



【心赴くままにそう囁く人形の首は酷い詐称者だった。忘れられるわけがない。自分も、相手も。】
【そう知っていて、促すのだから。黒に染まって、白に染め直されて、自分が何色かも解らない、可哀想な聖女を。】
【今のアリアには、どんな非道だって出来る自信があった。どこまでも冷酷になれる威勢があった。だからきっと、こんなことをするのだろう。】



【 ── 頭陀袋を開いて、血腥い匂いを放つ"ほとんど"の死体が現れたのなら、アリアは自分を其処に戻して欲しいと願うのだろう。】
【その死体まで清めるか、あるいは此の儘もっと深い夜を迎えるかは、 ── きっと、かえでに委ねられる。アリアは無責任だった。】


644 : カニバディール ◆ZJHYHqfRdU :2018/06/19(火) 05:22:11 IBKicRNQ0
>>578-579
【蛇が地を這うような音。聞きなれた、されど困惑した色の鈴の音】
【カニバディールは彼女の現状が切迫していることを悟る。先の言葉の真意はわからないが、それだけの〝枷〟を嵌められているのだとも】
【ならば、今この時は今後来るかもわからない好機だ。彼女と直接、言葉を交わすことが出来る機会】

【それが一度のみのチャンスであることも、異形も察していた。それが今生の別れになるのかどうかは、まだわからないけれど】

そうか。お前自身でも、手探りな状況なわけだ……
ならば、まずは私から一歩踏み出してみるとしよう――――鈴音

【蛇神の名。あの新聞で〝自分〟が先ほど見たその名が、絶対のタブーであることを、臆病な盗賊の勘は察知していた】
【この暗闇の中で彷徨っているのは彼女も同じ。ならば、歩幅の大きい自分が踏み出してみるのは道理だろうと】
【彼女の名を、自分の知る彼女の名を口にする。しばしの間。「一歩目は成功したらしいな」と重々しく呟く】


……さあて。聞きたいことは、それは山ほどあるが……この状況では、悠長にその全てを質問するわけにもいくまいな
そちらは、聞かれてしまえば答えたくなくても答えてしまうというわけかね? ずいぶんと、ままならない状況に置かれたものだ

……ああ、そちらから頼む

【暗闇の中を手探りするような、不安定な違和感。一つ間違えば引きずり込まれると言わんばかりの焦燥感】
【聞き慣れたはずの鈴の音は、また違った色で耳に響く】

――…………。半魔に悪魔に妖怪にと、人外とはそれなりに出会ってきたはずだったが
まさか、こんな身近に神様がいたとは。自覚症状のない神格。まさか、お前が……

……自覚がない間は、どんなに違和感があっても神として覚醒することはない、と
それを、指摘されて後から神となった。引き金を引いたのが、あの病魔めといったところか……

【沈黙には、ただ待つ。それが数十秒でも、数分でも、三年と四カ月でも、四十二日目でも】
【カニバディールは待った。彼女の言葉を。彼女がそうすると決める、その時まで】

……最初は誰かであり。それが、理不尽にも惨たらしく殺された。その理不尽を振りまいてきた、私が言うのもなんだがな
そうして……全てを憎んだ末に、人間を止めて神になった

【カニバディールは一つ一つ、ヴェールの向こうの言葉を拾い集めていく。不明瞭な鈴の音を、暗闇の中でパズルを組み立てるように】
【それがヴェールの向こうの鈴の音のことなのか、別の誰かのことなのか。それは、自分には知り得ない物語だ】

……その、双子を。半身を。理不尽に踏みにじられたもう一人を、どうにかして欲しいと。そういうわけかね
だろうな。誰かの代わりに何かを許すなど、どこの誰にも出来ないしすべきじゃあない。当然のことだ

それを納得させねばならない。困難なことだろうな
――――神が盗賊に願掛けか。確かに、奇妙な話だ。お前との縁は、最初からずっと奇妙だがな

【向こう側の彼女からも見えていないのだろうか。普段なら苦笑して見せただろう異形の盗賊は、笑わなかった】
【ずっと背を向けていたように思えた彼女が、こちらを振り向いたと盗賊はそう思った。だから、彼女の方を目を合わせずに向いた】

/続きます


645 : カニバディール ◆ZJHYHqfRdU :2018/06/19(火) 05:22:29 IBKicRNQ0
>>578-579
桜花鈴音……。名は覚えた
心底からの怒り、憎悪というものはどれほど時が経とうが色あせないものだ。私が誰より知っている
私が食った連中の憎悪は、今この時ですら私を責め立てているのだからな。終わらせるのも簡単じゃあない

……肉体に戻った時には、記憶は消えてただの鈴音になる、といったところかね
オムレツ? 人名か? またずいぶん愉快な仲間が増えたのだな……残念ながら、知らない名だ。聞いていたら忘れまい

【神が。カルト教団から絶対の主神と崇められる神が、己の無力を悔い、視線と声音を揺らし、寂寥感に捉われている】
【信者たちがこれを見たら、ただでさえ狂気的な彼らが更に発狂するかもしれない。神が、人を。それも、このような悪党を頼るなどと】
【無理をしているような、明るい笑い声さえ交えて】


本質的には、もはや手遅れか。何年来の憎悪か知らないが、過去を変えることなど出来ないからな。そこは仕方あるまい
だが、見込みはあるというわけだな? まだ、残っている。現世に置き去りにした重要な何かが

……ふ。つまり、お使いというわけか

【今度は、思わず笑いが漏れた。桜花鈴音の身に起きたことと同系統かはわからないが、過去幾度も悲劇を産み落としてきた盗賊が】
【神を慰めるために、子供の使い。いったい何の冗談か。だが、それを真剣にやらねばならない】

【――――たんぽぽの子供らは、まだスクラップズとギアが張っている。全員が無事だ。今は、まだ】
【あえて、カニバディールもそれを伝えなかった。もう、彼女の器はこの状況でいっぱいいっぱいだろうから】
【彼女が異形を見ていたのなら、あるいは察せられたかもしれないが】

いいだろう。だが目的地がわからなければ、使いも難しい。尋ねる相手は誰だ?

【今更、これを冗談と切り捨てるようなことはなく。彼女の焦燥を受けて、まずは肯定する】
【まだ、何か伝えなければと焦っているのはわかるが、ひとまずはそれを聞いた】
【大切な物が何で、誰がそれを持っているのかを】


646 : アレクサンデル・タルコフ ◆ZJHYHqfRdU :2018/06/19(火) 05:31:05 IBKicRNQ0
【サーペント・カルト 支部】

【長い歴史を持つ蛇教は、各地に秘匿された施設を有する】
【生贄を使った本儀式は、本部施設でしか行わないものの。各地との連携や情報収集など、支部の存在は教団運営に欠かせない】

【そのうちの一つ、それなりの広さを有する中規模の施設。どこかの街の郊外に、ひっそりとそこはあった】
【一見して廃屋のように偽装された建物の中には、いくつもの蛇の紋様が刻まれ。幾人ものサーバントたちが集まっている】


【整列する彼らの正面には、一人の異形が浮かんでいた。両手足が根元から欠損した、壮年の男だ】
【男は、宙に浮かんでいた。足の断面から漏れ出す、靄のような半透明のエネルギーがそうさせていた】

【頭部はスキンヘッド。頭皮に、顔に這い降りるような形で彫られている蛇のタトゥー。不気味に光る、蛇のそれのような縦の瞳孔の義眼】
【胴体を赤い祭服で包み、蛇の模様が刺繍された帯を首からかけている。口から覗く舌は、蛇のように二つに裂けていた】


――――予定は以上です。皆さま方には本当にご苦労をおかけしますが
これもすべて、蛇神様のため。どうか皆さまのお力をお貸しください

【服装を見るに司祭らしく、サーバントたちの畏まった様子を見るにそれなりの地位にあると判断できるだろうか】
【一見して異形の見た目に反する礼儀正しい振る舞いだが、その内面は狂信に歪んでいた】

【彼ならば、この場を見つけるだろう。そして、居並ぶ狂信者どもと、それをまとめる狂った司祭を見出すだろう】
【彼自身が何度も何度も破壊してきた、いつもの光景とさして代わり映えはしないだろうから】

/パグロームさんの方、お願いいたします!


647 : 名無しさん :2018/06/19(火) 09:41:06 A6eAhZ920
>>643

【だけどきっとそれは前提の些細なズレでしかないのだろう。舞台の上が困惑する人々に溢れようと、そういった演目ならば問題はない】
【蛇に祈る少女を唆すのに蛇では不足。蛇は唆すのでなく視えざる腕でこちらにおいでと手招きするもの。なら、誰かが、その役割を担わないと物語が成立しないから】

……当たり前です。

【――それなら。少しだけ安堵したような声も、きっと、ズレた前提の中にひっくるめてしまえるんだろう、今度こそわずかに指先に力が入って】
【悪い狼のささやきに必死に耳を塞ぐ。そうして自分を最後の本当にわずかなところで護る。抱き留められてなお、最後に目を閉じる権利だけは、自分にあると言い張るように】
【これは背徳ではないから、と。ほんの少しの気の迷い。それ以上の間違えた結果のまろび出ることさえなければ――何も問題はない。大丈夫だから、と】

――――――――ひどい嘘吐きですね。そんな言葉で誤魔化されませんよ。そんなので騙されるのは少女だけでしょう。
いい歳して10代と付き合ってる男はいっとう魅力があるのではなくて――馬鹿な女を騙すことが出来ると言うだけです、非道いことをためらわず言えるだけです。
その結果に何があるのかも分かってるのに、戻れぬうちに教えてあげることは決してないのです。

【甘く冷たいスズランの声がささめいた。深い後悔にも悦びにも似る感情が語尾を揺らして、室内の中明らかな異物である頭陀袋を見下ろして】
【求められたなら――床に膝をついて硬く縛られた口を開けるのだ。事務的な手付きだった、今更文句に似た言葉を並べ立てても、戻る気がないと違いを探すみたいに】
【分かって言ってついていく。それでなお、最後に生き残るのは自分だと誇示するかのように。――大人ぶって見せるのだ、自分はそんなに幼くはないと、強がったなら】
【はじめは相手を抱いたまま片手――だけど結び目があんまりに硬くて、一度相手のことは申し訳ないながらに床に置くのだろう、そうして数分、ようやく解けば、】

――アリアさんは、男ではないだけです。ひどいです。嘘吐き――。嘘吐き。知ってるんですよ。分かってるんだから。

【――室内に溢れるのは血腥い匂い。戻して――と願われれば、少女は相手の頭を何度目だか抱き上げて、けれど、】
【それが仕返し。最後の抵抗。自分が優位に立っているアピールを今更するように口付けるのだろう、柔らかな唇をめいっぱいに教え込むみたいに、――数秒】

【それを終えれば、言われたままに相手の首をその身体に戻すのだろう。"ほとんど"に"残り"が加わったならきっと完全な形になる、だからって、すぐ動けるのかは知らないけど】
【もし尋ねたとしても――多分、きっと、おそらく、「お風呂はあとでもう一度入ったらいいですよ」とでも答えるのだろう。そういう態度だった。"だから"】


648 : 名無しさん :2018/06/19(火) 10:18:15 A6eAhZ920
>>644>>645

――――――分かんない。分かんない、よ、それで、どうなるのか。どうにもならないのか。もっと、悪く、なっちゃうのか、――。
――だけど、あれが、大事だったの。初めて……生まれて初めて……、生まれて初めて。もらったの。生まれて初めて、自分だけのものだったの。

【泣いてしまいそうに声が震えた。囁く声がもっと曖昧に乱れて――見込みがあるのか、と、尋ね返した彼には。ほかでもない彼女が否定した。全く、分からないと】
【だけど何かの意味があるはずだから、と、乞う。――それはもっと悪いものを導くのかもしれないとも思いながら、それでも、望みを懸けるなら、道筋は少なく】
【であればきっと"必死"という単語が似合っていた。そうでなかったなら――いつかにこの場に訪れた"彼"にしたように、自分の姿、見せられたはずであって】

【もはやそれさえできずに。――それでも彼の笑い声には。その声の温度感には。わずかに安堵したような、そんな気配、するのだろう】
【(それは断られるときの温度感ではないと思ったから。良かった、と、少女はその時点で安堵している。そして、彼なら、きっと、してくれるって、信頼があって)】
【(ただのこれだけでわずかに報われた気にすらなれてしまいそうだった。――それが気のせいだと知っている。今の自分は彼からのイメージにこびりつく自意識に依存しているから)】

……赤木怜司。指輪も持ってる。赤色の、硝子の、髪飾り……、そんなに、大きくなくって。――――、

【ぞろり、と、這いずる音。ベールのすぐそばに気配がして、だけど、やはり何も透けてこない。暗がりの中では、ほんの少しの情報も】
【唯一あるのは聴覚情報のみ。そしてそれだけで何より"彼女"だと証明されるんだから、簡単だった。――そうして伝える、"どうなるかは分からないけど"】
【きっと何か意味があるものだから、と、――そうやって言うしかなかった。本当に分かっていない。その結果に訪れるのが今度こそ世界の破滅ではないと、否定できずに】

…………ううん、わたしはね、ここからさきの、わたしは、――ずっと、神様、だよ、神様じゃ、なかったと、しても――蛇なの。
……オムレツさんはね、ここに。来てくれた。おはなししてくれた……。……イルちゃんに会いたい、イルちゃん、――会いたいよ、聞かせてほしいの、
どうしたらいいのか教えてほしいの、――わたしの神話(おはなし)、……なんにも、ない、なんにも――、わたしが、きえちゃう、――消えちゃいそう、なの、今にも。

【――このことが終わっても。少女は決してヒトには戻れない。ヒトの形にはなれるかもしれない、今までみたいに。でも、本質は違うから】
【だけれど、そのことには彼女自身が納得しているようでもあった。それどころか、自分がナニカでない蛇だと分かったという安堵に似る、温度があって】
【ずっと不安がっていたこと、彼ならきっと覚えているから。"そういう意味では"――なら、やはり、こうまで歪んでしまったのは、きっかけが報われず全部祟った少女であるからなのか】
【それともこれこそが"病気"なのか。――だけれど彼女は彼に縋ったみたいに、病魔にも縋った。泣いてしまいそうな――ううん、きっと、声を押し殺して泣くような、声をして】

………………聞きたいことは、なあに? 山ほど全部は、きっと、時間が足りないけど……。
少しだけならね、いいよ、――答えてあげる。ううん。答えちゃうの。……神様、だから、そうやって言われたなら。

【――――名前は、いくつか。なら彼女にとっては十分だったのだろう。すん、と、涙をなだめるような小さな声を繰り返しながらも、彼に尋ねるなら】
【無駄な話をしている時間はないと言う彼女の認識を裏付ける、――要件は伝えた。きっと彼ならしてくれる。そのうえで、何か、分からないことがあるのなら】
【きっと誰もがいろんなことを分からないで奔走しているんだろうけど、――お使いの礼くらいには、なると、いいんだけれど】


649 : 名無しさん :2018/06/19(火) 11:00:38 A6eAhZ920
>>647
/ごめんなさい、誤字ありましたので一か所だけ修正しますっ

その結果に何があるのかも分かってるのに、戻れぬうちに教えてあげることは決してないのです。

その結果に何があるのかも分かってるのに、戻れるうちに教えてあげることは決してないのです。


650 : 名無しさん :2018/06/19(火) 12:08:49 S/DUh6T.0
>>582

【ケバルライは立ち止まり、静かに言葉を重ねた】


原初、私たちは暗闇を恐れました。闇に怯え、暗がりを避けて、身を寄せ合って暮らしていたのです
けれども、知らなければならないのです、その闇が神そのものであり、闇を生み出す火すらも神の賜である、と
それならば受け入れるのです、神の行いを──いつしかそれが真実と、思うがままに

その問いに対する答えは、貴女ならもう知っているでしょう?
貴女はもう知ってしまった。それならば私と見る方向も、進む方向も違わない
それが私達全てと同種であることは、最早自明の理なのですから




全ては、神の源へ───



ようこそ、サーペント・カルトへ。私は貴女を歓迎します。



【消える背中に答えは残らず、ただ、彼はその場を後にした】


/長々とお待たせしました! お疲れ様でした!


651 : 名無しさん :2018/06/19(火) 12:16:41 S/DUh6T.0
>>585

【無限の砂漠に夜露が染み入る様に、深く溶けていく感触を誰が記憶と呼ぶのだろうか】
【夕焼けは果てた、朝焼けを迎える前に、きっとこの戯曲も終幕を迎える】
【彼女は手を取る、禿を率いる曲輪にも似た、その先の獄を知って尚、微笑む様に】


──、それじゃあ行きましょう、メリー。貴女の住むべき場所へ、唄うべき幕間へ
カチューシャは何時でもそばに居るの、どんな時も、貴女へと愛を向けるから
だからね、これから愛を育みましょう、なんて、閨言の一つも教えてあげるの

私は貴女を制限しないから、好きな場所へ、好きな時に行っていいの
──でもね、きっと、暗くなったら帰ってきて欲しいの、夜に伝える事は沢山あって
カチューシャは寂しい夜が嫌いよ、満たされてなきゃ、それが夜とは思えないから

貴女に教える事は、沢山あるから──、手を取って足を取って、絡める様に舐る様に



素敵な夜に抱かれましょう



【辿る道先は分からなくて、無垢白の雪に導かれる様に、】
【カチューシャは貴女を自分の部屋へと連れて行くだろう、拒否したなら人気のある場所へ解放するが】
【──、その後のことはきっと、二人しか知らないから】


/この辺りでしょうか! お疲れ様でした!


652 : アリア ◆1miRGmvwjU :2018/06/19(火) 15:50:36 GMNTYnpo0
>>647>>649


「貴女や私が思っているほど、嘘と真に截然たる違いはないわ。この世界と同じように。私たちの関係と同じように。」
「愛しさに浮ついた言葉など、みんな夢みたいなもの、なのよ ── 。」



【自分たちは何を護っているのやら。抱き留め守ると心に決めた相手を然し殺したくて仕方がない。背徳でないと己れに言い聞かせながら、体を委ねる願いを止められない。】
【ごとん、と首は床に降ろされたまま、平坦に言葉を紡いでいく。大人びた声は然し鈴蘭の蜜に似ていて、どこか大人になりきれぬ、ような。】
【 ── だから。やさしい掌に抱き上げられて、潤む瞳に強請られて、けれど唇を奪うとするなら、驚きはしなかった。どこか呆れるような、けれど嬉しそうな笑い。】



    「 ──── 馬鹿ね。忘れられなくなるじゃない。」



【重ねるならば、瑞々しく、どこまでも沈んでいきそうだった。底のない蜂蜜に溺れるように。】


【 ── 戻るべき場所に首先が戻ったのなら、先ずは破断した神経がナノマシンにより再接続される。幸いなことに"腕のいい"相手だったから、切断面は綺麗なもので、然程時間はかからない。── 身体に、手足に感覚が戻ってくる。けれど未だ呼吸はできない。】
【脳殻からの信号が途切れた時点で義体は緊急保存のスリープモードに入っていた。出力系統を全て自己再生のリソースに回せば、修復複合体が肉体組織を再接合していく。】
【気道の密閉、動静脈の結合、冷たい血液が頭に戻ってくる。 ── くらっ、と頭痛がした。冷たいかき氷を思い切り頬張ったような感覚に似ていた。】
【 ── ゆっくり、ゆっくり、息をする。淀み切った肺から吐き出される、血腥い呼吸。マウスウォッシュでも借りようかな、なんて思う。口付けには野蛮で無礼に過ぎる。】

【肉体として最低限の機能を復旧させるのに、1時間ほどはかかるだろうか。その間、アリアは何もできない。発声機能はおろか、神経の伝達、補助電脳の電力さえ肉体の再生に回していたから。】
【けれど暫くの後、きっと藪から棒に、彼女は起き上がる事だろう。傷口も治りきらない内に浴室へと、床を軋ませながら歩いていき】
【コートもジャケットもスーツもシャツもその下も、少しくらいはネットに入れたけれど、結局みんな洗濯機に放り込んでしまう。 ── 乾かしてもらった髪を、適当に纏めて、もう濡れないように】
【暫しシャワーの音が響くのだろう。めいっぱいにボディソープを使って、どこにも汚い匂いなんて残らないように。 ── そうしてまた、再び、かえでの前に姿を晒すなら】



「気付いたけれど、着るものがないの。 ── なにか貸してくれるのなら、その限りではないけれど。」
「 ………。 」「乾くまでは、この格好でも構わないでしょう?」    「どうせ、 ── 、するのだから。」



【 ── 首筋に一筋の傷跡を残すだけの、穢れ一つない真白く背の高い身体が、少女の部屋に戻ってくる。およそ理想に熟した肢体は然し撓みなくしなやかで、微かに腹筋が浮き出て、隠す事もなく肉感的で】
【切れ長の青い隻眼が優しい一瞥をくれるなら、きっと有無を言わさぬまま、かえでの隣に腰を下げて、絡みつくように背へと手を伸ばす。見つめ返されたのなら、されなくたって、囁くように耳朶に笑って。熱い呼吸。】


653 : ◆S6ROLCWdjI :2018/06/19(火) 17:00:56 WMHqDivw0
>>618

【「ヤバい感じの女ってなんだよオマエにそうそう敵うようなヤバ女見たことねえよちょっと気になるから連れて来いよ」】
【「放っておくのがイヤったってオマエこれからカチコミかけるとかそういうこと言わないよね? ね? まさかとは思うけど」】
【……、……全部、全部、言えないまま、口を手で押さえて――その隙間から苦しそうな呼吸を漏らしていた】
【吐くのだけはどうしても、イヤだった。吐いて何かを汚してしまうことより、吐くことそのものがイヤでイヤで仕方なくて】
【だってあんな汚いものが自分の中から出てくるのなんて想像するだけで本当に、イヤ。だから必死に耐えていて】

【袋がどうとか言われてもふるふる首を振って拒否する。大丈夫、我慢する、みたいな顔して】
【その皮膚の色は哀れなほどに真っ青になっていた。彼の瞳の色、と同じくらいとまでは言わないが】
【それにしたって尋常じゃない肌色。晒しながら――目いっぱい開いた眼球に、大量の涙を浮かばせて】
【アメ。差し出されれば即座に口に放って舐めるどころかガリガリ噛み砕くのだ、ミントっぽい味だったら、よかったけど】


【――――――】


………………ぶはああぁっ、はあっ、はあ゛――――ッ、……ッ、
も゛、もうヤダっ……もうっ、アナタの運転する車、絶対ィ、乗らない゛ッ…………

【着いた。ら、転げ落ちるような勢いで車から降りる。深呼吸する。そこでなおも嘔吐を我慢して】
【数十秒、あるいは数分間――――そうしていたらようやく落ち着いたらしい。落ち着いただけのレベルであって】
【チアノーゼを疑えるほどに青くなった皮膚だけはすぐには戻らなかったけど。悪態を吐ける程度には、余裕、戻った】

【――――そうして。姿勢を整えたなら、次に向かうは何処だろう。攫った少女たちの行く末でも、見守るだろうか】


654 : ◆S6ROLCWdjI :2018/06/19(火) 17:10:16 WMHqDivw0
>>621

【少女、夕月は――――残念なことに死ぬほどビビリであった。ホラー映画はパッケージでアウト】
【お化け屋敷も外観でアウト。そんなレベルだったかもしれない、……けれども】
【ヘンなところで最低限の常識は持っているコだったから。チャラついた若者そのものの容姿してるくせに】
【次の行動へ移るまでのスピードは、とにかくそこそこ速かった。そこそこ。】


――――ン゛ぁああぁぁあああぁあああッッ!??!?


【初手。落っことしたもの全部拾い上げて適当なところに纏めておいておく】


ぎィにゃあぁぁああぁああ゛ぁああああァあ!!?!?


【次。ぴゃっと走ってバックヤードへ。同じスピードで救急箱を抱えて戻ってくる】


あ゛ーーーーーッッあ゛ーーーーーーッッッあ゛ァあーーーーーーーーーッッッッッ!!!!!


【その次。救急箱の中から消毒液を引っ張り出すと、有無を言わさず白い少女の手を掴んで】
【怪我してる方。傷に直接触れないようにしながらもがっと掴み取った(確定描写)なら】
【そこにだばーーーーーーーっと消毒液をぶっかける。かけるっていうか垂れ流す】
【無論滅茶苦茶しみるだろうけど、手は掴んだまま放さない。どっかに行くこと、許さないというように】


い゛ぁああぁぁーーーー、……ああア゛ぁ、あぁ、………………。


【そこまで済んだら、清潔なガーゼだかなんだかで、未だ迸っているだろう血を。吸い取ろうとする】
【叶うならぎゅっと押し付けるようにして。止血してるつもりだろうか。とりあえずそこらへんまで来たあたりで】
【叫ぶ元気がなくなったらしい、声がどんどん小さくなって――――やっと静かになった。けど】
【一方的に治療(???)を受けているほうの、白い少女はどうだろう。まだ痛むなら叫んでいるだろうけど】


655 : ◆jw.vgDRcAc :2018/06/19(火) 20:25:21 OX.x04tc0
>>614

【明確な強い怒りと共に伝えられる、もう一つの事実。鈴音を現状に導いた元凶の発した言葉。確かに、看過出来ない言葉だ。】
【もし鈴音がそんな心しか持ち合わせていないのなら……間違いなく、自分は彼女と親しくなんてなっていないだろうに。】
【許せないという感情は理解できる。殺意に至るまでは振り切れないものの、自分だってその言葉は到底受け入れられない。】
【けれど……激情に逸る彼女が、自分にはどこか危うく見えた。ともすれば、鈴音への想いさえも殺意でかき消えてしまいそうで】

……ええ。それは、任せて下さい。
たとえどうなろうとも、私は鈴音の友。それは、変わりありませんから。
いつか戻りたくなった時に、安心して戻れるように。……その時まで、私は彼女の友を止めるつもりはありませんよ。

【静かに頷いて、そのお願いを受け入れた。もとより自分もそのつもり、鈴音のために為すべき事を為す。それが自分のすべき事だと】
【穏やかな微笑みと共に、伝える。それが、貴女を安心させられる最も良い方法だと信じて。……そして、もう一つ。これも、自分の為すべき事。】

でも、どうか……夕月さん。あなたも、その悪魔への怒りに飲み込まれませんように。
怒りは、とてもよく理解できます。でも……許せないと思うのは、鈴音の想いを踏みにじられたから。そうでしょう?
ならば、どうか、鈴音のために怒って下さい。鈴音のために、戦って下さい。―――悪魔が憎いからではなく、自分の憎しみのためではなく。

【これだけは、伝えなければいけないと思った。夕月が今怒っているのは、鈴音が大切だからなんだ、と。】
【鈴音への想いがあるからこそ、怒りを覚えているのだ、と。それを、どうか忘れないで欲しくて。】
【憎しみと殺意は、時に他の感情を熔かし尽くしてしまう。鈴音への想いさえ熔けて、憎しみだけが残るようなことが無いように】
【貴女と対照的な青が、激情を受け止めて穏やかな色を湛える。】

……貴女だって、鈴音にとって大切な人なんですもの。

【結局、言いたい事はこの一言に集約される。―――大切な人が、怒りに支配されて傷つくのは、とても辛い事だから。】


656 : ◆jw.vgDRcAc :2018/06/19(火) 21:49:17 OX.x04tc0
>>608

【アドバイスだけ与えて、考えさせて、じっくり気長に待つ。実は、この「待つ」というのがなかなか難しい。】
【成長の為にはそうするのが一番とは思っていても……まあ、実際の所は、愛娘には色々とお節介をしてあげたいわけで】
【母親らしく、そわそわせずに娘が戻ってくるのをどーんと構えて気長に待っている……ように見えて】
【内心では、早く着替えた姿を見せてくれないかと、一日千秋の思いで待っているのであった。】

【そして、ようやく娘が戻ってきた。数十分がこんなに長いと感じた事は、人生の中でそうそう無いだろう。】

―――うん、いい感じですよ。初めてなのに、よく出来ましたね!

【……なかなか大人っぽいチョイスだとか、クールなのに女性らしさも捨ててないとか】
【具体的な事を言おうと思えば色々と言えるのだろうけれど、そんな事よりも何よりも】
【まず最初に、自分で出来た事を褒めてあげる。彼女の頑張りそのものに、価値があるのだと】
【頭を撫でて、言葉で伝えて。浮かべた微笑みは、心底娘の考えた成果を喜んでいるようだった。】
【実際の所、余程おかしな物ではない限り、どんな選択をしてもそれを否定するつもりは無かった。】
【娘が精一杯考えて出した成果。それは、そのまま、自分の喜びでもあるのだから。手を加えるなんて勿体ない。】

ふふ、本当に似合ってます!こうやってお洒落をすると、自分が素敵に見えるでしょ?
選んで、着てみて、どうでしたか?いつもの自分の姿と比べて……どう、感じましたか?

【とはいえ、親心抜きにしてもよく似合っている。活発さを失うことなく、女性らしさも引き出せていて】
【手を加える必要もないだろう。見違えるように素敵になった。こうやって自分で自分の姿を魅せるという経験は】
【彼女の心にはどう感じただろうか。強くなるのも勿論良い事だが……彼女の人生に、お洒落という彩りも加わって】
【もっと豊かになれば、それは親としてとても嬉しい事。】


657 : ◆S6ROLCWdjI :2018/06/19(火) 22:00:35 WMHqDivw0
>>655

【見ればわかるだろうけど、少女の全体的なカラーリングは赤がほとんどを占めている】
【髪が。瞳が。服のところどころに使われるポイントが。そして、特殊な形状の靴が】
【そのどれもが燃え盛るような赤色――激情を示す色合いであったなら】
【――こんな風に、感情的になることも多いと、なんとなく予感させるように】

……、……っあ、うん……。わかった、……ごめん、ありがと。
ごめんネ、なんだか……この話になると、頭カーっとなっちゃってさ……

【しかしそれも、穏やかな――凪の海を思わせるマリアの声によって、幾分落ち着きを取り戻す】
【鈴音のため。鈴音のため。鈴音のため――それを、忘れないようにと】
【……息を吐く。それから吸う。深呼吸を何度かしたなら、燃え盛る心も平常を取り戻したらしい】

…………うん。あたしだって……鈴音のトモダチ。忘れない。
今日はほんとにありがとネ、マリアさん――そだ、連絡先! 交換、……あ。

そだ、マリアさん……あのネ、最近――メールとかそういうの、「盗み見」されることがあるらしいの。
だから普通のやり方で連絡してたら、「誰」に見られるかもわかんなくて、……

【しよう、と誘ったところで気がつく。先日貰った「指輪」の話。自分の分はあっても、マリアにあげる分はない】
【だからどうしよう、って困った顔をする。「盗み見」するのは件のカルト団体ではないけど】
【けれど「誰」が悪用してくるかどうかも、わからない。うーん、と唸るように、また顔を伏せてしまって】


658 : ◆XLNm0nfgzs :2018/06/19(火) 22:11:00 BRNVt/Aw0
>>651

【手を取り、微笑む女性。つられたようににこりと笑う少女】
【それはきっと一枚の絵のようで──少女が病院着であるという事と場所が血の池が広がる路地裏であるという事を除いては、だが】

ええ、連れていって。お姉様
そうして私に愛をいっぱい教えて頂戴?
私に教えてくれたのならきっと応えてみせるから
貴女の行くところについていくし、遠いところなら頑張って追い付いてみせるの
そしたらたくさん誉めて頂戴?

夜になったら寝床でたくさんお話をして、朝には笑っておはようって言って

そうして、私は造ってみせるのだわ!
私の素敵で倖せなパレードを!
【歌うように言って微笑む少女】
【彼女に与えられるものは一体何なのだろうか?】
【きっとそれは暖かくてふかふかしたベッドとヒラヒラの可愛らしいドレスと寝る前の素敵なお話と】
【それと──"お姉様"のような素敵な"数字"も】

【少女はこれからの生活に胸を弾ませながら暗い道を歩き始めるのだった】




/長時間の絡みお疲れさまでした!


659 : ◆XLNm0nfgzs :2018/06/19(火) 22:13:33 BRNVt/Aw0
>>654

【絶叫する二人の少女。わたわたしている白いのに対して赤い少女は絶叫しつつも落とした物を拾って】
【それでもって今度は叫びながらどっかに引っ込んでいく】
【白い方の少女はそれにまたビクッとして】

あ゙ぁぁぁぁぁごめんなさいごめんなさい待って通報しないでぇぇぇぇ
怪しい者ではないんですぅぅぅぅ……いやどー見ても不審者ですけどぉぉぉぉ!
お願いま゙っ──


……へっ?
【少女は血塗れの左手をブンブン振りながら待ってくれと叫ぶ。当然また血が飛び散るわけなのだがもうお構いなしといった様子で】
【それはもう必死のアピール。そうしていたかと思えば相手は救急箱を抱えて戻ってきて】
【少女は思いきりきょとんとした顔になって】


ぇ、ちょっ……大丈夫だってばー!
【左手を掴まれて患部にそれはもう豪快にぶっかけられる消毒液。漂うアルコール臭。物凄い臭いするー、とか何か勿体ないなー、とかそんな事を思って眉毛を八の字にして困惑して】
【いつの間にか声は通常ボリューム。多分赤い少女の叫ぶ声にそれもかき消されてしまったかもしれないけれども】


……だ、大丈夫だよー?派手だけど全然痛くないやつだから落ち着いてー?
【それでもドップラー効果みたく段々小さくなっているとはいえ叫ぶ少女に諭すように言うのだ】
【実際、傷は結構深い。本当ならきっと痛いやつ、それも激しい痛みを伴うやつに決まっていて】
【それなのに白い少女は何でもないかのようにへにゃぁっと笑っている。ちょっと困った様子だけれども】
【まるで、痛みなんか感じてないみたいに】

【そうして赤い少女が自分の手を止血しつつも大人しくなったのなら白い少女は、えーっと……と呟いて】

驚かせてごめんね?此処の給仕さん……だよね?
勝手に厨房使っちゃってごめんなさい
大分汚しちゃったし……
【開店までには綺麗にしとくし今日だけだから、なんて笑う】


660 : 名無しさん :2018/06/19(火) 22:28:47 ir/hUDp20
>>652

【――――その空白の間、彼女はきっと本を読んでいた。一人で寝るには大きすぎるキングサイズに寄り掛かって、小難しい本を読んでいる】
【けれどその指先は全くはかどっていないようだった。もっというならば目もはかどってなんていなくって、それなら、小難しいにしても、時間をかけすぎる】
【キスした瞬間の初々しく瑞々しい唇の感触も嘘だったんじゃないかと思うほどに表情を凍らせて、ただ、じっと、じっと、何も言わずに気分ばかり逸らしているから】

【相手が立ち上がった時、きっと少女は睨むような一瞥をくれていた。それはどこか諦めにも似る、自分の優位が損なわれた証拠、生娘が傷物になった時の感傷に似て】
【ならばもう戻ることはできない。殺しておくべきだった。今更ながらに後悔する。殺しておけばよかった。殺しておけば。そうしたなら。こんな気持ちも一緒に死んでくれたはず】

――――――服を貸してもいいですけど、アリアさんに合うようなものはないですよ。つんつるてんもいいところです、成長期の小学生みたいになるおつもりですか?
自分が身長めっちゃデカいこと忘れてないですか、――私も平均以上ですけど、アリアさんは規格外です。男物の服とか、もっとないですよ。
それにその胸じゃ男物も入らないですよね。特注ですか? そんに高い服洗うような洗濯機じゃないですよ、あれ。無駄に容量多すぎて。もっと小さいのが欲しいです。

【――結局相手が戻って来るまで、少女はその位置から動いていなかった。まだ本を読んでいたふりをしていて、無駄に饒舌なのは、いつも通りでもどこか焦りを隠して】
【嘘みたいに綺麗な身体をしていると思った。それこそ作り物めいていると思った。男でさえ大きすぎる2m近い身長が全くおかしくないどころか、そうでないと完成されてない】
【まだ睨む目をしていた。切羽詰まったような目。やがて"諦めたように"真正面から睨んでくるんだろう、――ここにきて機嫌を損ねたのかもしれない、と、思われそうなほど】

……アリアさんが男だったなら、良かったのに。そうしたら孕んだって胎を開けて掻き出せばよくて。
アリアさんが、男だったなら――、こんなふうに。こんな気持ち。どうやって堕ろしたらいいんですか、――――ひどいです、こんなの、

【――――喉の奥が張り付いてしまったような声だった、無理やりに吐き出すような吐息は言葉とは裏腹に甘く溶けている。責める口ぶりはそれでも猫の喉を撫でるように柔らかで】
【時としてその口のキワを優しく掻いてやるような温度感も含まれた。伏した目線、髪と同じ薄い色合いの睫毛はあんまりにあっさりとマゼンタ色を透かして、微かな震えを強調して】

…………いいですよ、別に誰も来ませんから。洋服全部引き裂いたら帰れなくなりますかね? 羽衣を隠された天女みたいに――。

【――そうして笑うのだろう、甘い甘い蜜に戻されたドライフルーツのよう、うんと甘く滴るほどに潤むなら、さっきまでの不機嫌、どこかに置き去りにしたみたいに】


661 : パグローム ◆KWGiwP6EW2 :2018/06/19(火) 22:28:52 WMHqDivw0
>>646
【サーペント・カルトはそれなりに長い歴史を持つ組織――パグロームが彼らと関わるようになったのは、然程過去ではなく、彼らの活動が目に余るようになってきてからだ】
【近年の活動範囲の拡大とそれに伴う信者の増加については、幹部の半数を占める、年若く、見目麗しい幹部達の功績が強いだろう】
【さながら彼ら自身が偶像であるかのように――そのカリスマ性は大いに役立ったことだろう】

【しかし――長らくこのカルト教団に身を置き、多くの秘術や技術に見識の有るサーバント達。彼らの求心力に限って言うならば、"マルフィク"に勝る者はいないだろう】
【言わば彼こそが、巨大な教団を支える、最大の屋台骨なのだと、男は認識していた】

【そのマルフィクが単独で、支部を訪れ会合を開く――近く大きな動きが有ると聞いたその最中で、これは千載一遇のチャンスであると言えた】
【ここで奴を排除すれば、サーペント・カルトの統率を大きく揺るがすことになるだろうから】


【――が、少々都合が良過ぎる予定ではないか?】
【サーペント・カルトの中核を担う重役が、この時期に単独行動を?】
【そして、その行動がサーバント達に筒抜けになっているとは】


【もしも、仮に――"その時"までに排除しておきたい、と言う目論見が向こうも同じだとしたら?】



――クッヒッヒ……よもやとは思うが――"誘われてる"って訳か?


【司祭の男が信者達に向け、最後の挨拶を交わした刹那――風切音と共に、一発の弾丸が放たれた】
【それは寸分違わずに、異形の男へと頭蓋目掛けて突き進んで来る】


間抜け過ぎるぜェ、マルフィク。信者達の目の前で脳漿の花を咲かせるんだなァ!


【男の哄笑めいた声が、彼らの耳に届くよりも速く、非情の弾丸は司祭を撃ち抜こうと突き進む】
【まさかこれだけの人数を相手に狂戦士のように突っ込むはずもなく】
【それなりの規模を持つ施設内は、外からの監視や狙撃を妨げるだろうが――その分隠れる場所も多い】
【男の能力での侵入に、適した場所だった】

【銃弾が放たれたのは施設の内部――高所に有る窓に取り付けられた古びたカーテンの裏側から】
【ここで司祭を仕留めれば、信者達が殺到する前に十分脱出できると言う目論見か――】


662 : 棕櫚 ◆D2zUq282Mc :2018/06/19(火) 22:45:07 JY1GydDk0
>>633

……殺しても良かったけれど、面倒だし、何より億劫だったから。
私は、…"粗暴な知り合い"とは違って無闇矢鱈に命を奪うのは趣味じゃない。


【太腿を打ち抜かれて苦悶の表情を浮かべ蹲るチンピラをちらりと一瞥した後】
【興味の無い玩具を見ている様な感情の篭らない声で少女の問いかけに答えるのだった】
【それと反比例するのは少女へ向けた興味と感謝の視線。―――それが意味するのは。
 "貴女の身軽な動きはもう一度見てみたい"と"貴女の助けは有り難かった"というもの】

【冷淡で、冷酷。それで居て泰然自若に過ぎる。先程までの白桜に対する印象はそんなものだろう】
【だが、この瞬間の白桜が見せたのは交友的な表情。それも令嬢を思わせる柔和ながらも品の在る振る舞いで】


――…もし、貴女が殺したいって言うのなら。……ご自由にどうぞ。私は止めない。
元より私は彼らへの関心が皆無に等しいのだし。そも彼らの用件は私じゃなくて"この体の持ち主"。
ああ、そうだ。貴女には"粗暴な知り合い"とでも言った方が解りやすい……かも。


【少女へと歩み寄る白桜。歩みを進める間の言葉は自身が暗に唯の人間ではないと告げ。その先の少女の動向を伺う】
【拒絶するも良し。拒絶せざるも良し。拒絶されたとしても逆上する訳でもなく、成すがままを受け入れるだけだった】

【そんな白桜の背後。太腿を打ち抜かれ悶絶するチンピラはもぞもぞと怪しげな動きを見せる。――悪い兆し。凶兆】
【もしチンピラの怪しげな動きを見逃すのであれば、更なる面倒事が二人のいる公園に降りかかる】


663 : ◆S6ROLCWdjI :2018/06/19(火) 22:52:03 WMHqDivw0
>>659

【だいぶ大人しくなった赤い少女。俯きがちにずっと白い少女の傷口をおさえていたが】
【ややあって、顔を上げた。眉はハの字、瞳には少量の涙が滲んでいて】

……、……痛くないの?

【あんまりにも、白い少女が平然とした顔をしているから。気になったらしい】
【それでも心配そうな声色は変わらない。血が止まった頃合い、ようやく手を離して】
【新しいガーゼに取り換える。そうしたらテープで固定して、包帯をぐるぐる巻きに】

……ううん、あたし、ここの人じゃない。
ただのピンチヒッター、代打だよ。もともとここに居た人じゃなくって……
……あんたのほうがそうだったんじゃないの? 勝手に使って、ってことは……

【「……もしかして、あんたも鈴音の代打?」 問いかける彼女の喉には黒いリボンのチョーカーがあって】
【そこに一粒、鈴が結わえてあった。ちりん、と微かに鳴るそれは】
【たしかにあの少女――白神鈴音の声色とおなじ音色をしていたから。何かしら気がつくかもしれない】


664 : 三枝双葉 ◆KWGiwP6EW2 :2018/06/19(火) 23:11:54 WMHqDivw0
>>662
……そ、そっか……ありがと

【ふひー、と大きく息を吐いた。殺したいなら、と言う言葉にはブンブンと首を振って否定を示す】
【何故お礼の言葉が出たのか、自分でも良く分からないのか、あれ?と言う顔をしていた】
【改めて、自分と同じ歳の頃であろう少女を見遣る】

【マジなのかこれは。先日の忍者の少女もそうだったが到底同じ人間と思えない】
【真っ白い髪にきめ細かい白い肌。ほとんどどこぞの令嬢のような佇まいだった】
【そんな少女がいきなり銃をブッパしたのだからビックリしたなんてものではないが――】
【目が合った。どうやら相手も自分を見ていたらしい。好奇心めいた視線に慣れていないのか窮屈そうな身動ぎをしている】
【思いがけず友好的な表情にこちらも何とか笑顔を返し――】


い、いや、分かり易くないです。
どういうこと?双子の姉妹とか――


【そこまで言ってから体の持ち主、と言う言葉にピンと来るものが有った。指をピンと立てて】


ひょっとして、多重人格って奴?


【ほとんど当て推量のようなものだが、当たりでしょ?と言う具合にちょっとだけ得意な様子】
【少なくとも忌避や拒絶と言うところまで行くほど、意識は追いついていないようだった】
【或いは自分に理解できる単語に落とし込んだから根拠もなく安心しているのかも知れない】
【そんな話に集中していたからか――少女は、足元で動くチンピラの動きに気付いていなかった】


665 : 名無しさん :2018/06/19(火) 23:15:43 ir/hUDp20
>>653

【飴その1――特濃ミルクキャンディ。めっちゃ濃厚】
【飴その2――ティラミス味の飴。もちろん濃厚】
【飴その3――抹茶ミルク。他のに比べたら、ちょっとは】
【飴その4――キャラメル。飴?】
【飴その5――ガム。飴じゃない】
【飴その6――ソフトキャンディ。ママの味】

【――確実なのはミント味はなかった。ミントっぽいものもなかった。スースーどころかスーもない。ひどい話だった、まるで嫌がらせみたいに】
【そうしてドライブは続く。――さっきよりはだいぶマシな運転をしてくれているのだけど。一回酔ったらならもう関係ないだろう、どっちみちブレーキは割と荒いから】
【あんまり関係ないのかもしれないけど――車そのものがひどい臭いでなかっただけマシだろうか。灰皿のところにテープがバッテンされてて「禁煙」って書いてある】

――――サビクさん、大丈夫ですか? めっちゃ顔色悪いですよ、なんか病気ですかね。吐いた方がよかったんじゃないですか?
私の運転、そんなヤバイですかね。割と普通だとは思うんですけど――。おかげでいつも誰かに運転してもらえるんですよ。

【絶対的にヤバい体調である彼を見下ろして少女はあっけらかんと話しかけているのだろう、背中でもさすった方が良さそうならそうしようかな、とは思うんだけれど】
【多分嫌がるから、やめておく。――自覚はないが理解はしているらしかった、いつも誰かが運転してくれるから楽だと言って。――そりゃあ、誰もこんなのは乗りたくない】
【本人がしれっとしているのが恐ろしかった、なんてもうきっと彼にそれを気にする余裕は、ないのだろうけども】

【――――そうしていくらか遅れて、拉致った少女たちを乗せた車も、到着する。到着して――サーバントの一人が憐れむ目で彼を見ていた、「うわぁ、乗ったのか」という目】
【もちろんすぐに不敬に気づいて仕事に戻っていくんだけど――少女はそれを追いかけるつもり、とくにないらしいなら】

――サビクさん、聞きたいことがあって。ラサルハグェと会ったこと、ありますか? ――――あの人、多分、白神鈴音とデキてますよ。
多分っていうか……絶対、ですかね。女子高生の勘です。学校行ってないですけど。サーバントからも聞いてます、少なくともただの知り合い、とかではないかと。
泣かれちゃったんでそれ以上は分かんないです。だからって――――、

――――何というわけでは、ないんですけど。――そうですね、まあ、私にはあんまり関係がないです。雑談だと思っといてください。
お部屋まで送りましょうか? 気合入れたら多分負ぶってあげられますよ、――嫌ですかね。まあ横で見守っておいたげますよ、ぶっ倒れたらアルジャーノン呼びます。

【視線はどこぞにあった。であれば本当に雑談らしい重さしかなかったんだろう、――何かを思ったんだとしても、それは、星々を繋げて正座にするには幽かすぎて】
【素性の知れぬ同僚に対する噂話、の一つでしかなかったから。いまだに具合悪そうな彼にわずかに心配するような目を向けたなら、今になって、やっと、提案する】
【身長は大して違いやしないけれど、それでも目線を合わせるようにして――向ける目がどこかお姉さんぶった平穏なものであるのが、なんだか、違和感に似ていた】


666 : アリア ◆1miRGmvwjU :2018/06/19(火) 23:23:21 x9fdzUY.0
>>660

【そう言えば、私に合う服も無さそうね。 ── 思い出したように苦笑する。普段は胸元の釦を開けているだけとも答えておく。】
【 ── 殺されるのも悪くはなかっただろう。かえでに息の根を止められるなら、きっと不幸な結末ではない。けれど其んなことは出来やしないって、2人とも知っていた。】
【もう、そういう所に踏み込んでいた。愚かしい事に、こんなに痛く苦しい目に遭っているのに、もっと踏み込めば変えられるんじゃないかって思っていた。】
【無理矢理に犯された聖女みたいな声と目線をして、それでいて吐息は蕩けている。だからアリアは嗤っていた。嘲笑のように。けれど何処までも妖艶に。】

【見つめるのなら、否応無くアリアの顔を瞳に映すだろう。口付けるなら、きっと頤を上向かせなければならないような、そんな位置。】
【つくりものでない筈なのに、恐ろしく端正に映るのだろう。およそ人間離れした女体に相応しい、冷たくも慈悲に満ちた目鼻立ちだった。透き通るような肌に宿る感情は、白でも黒でもない。】
【嬉しそうなかえでを、眇められた隻眼の青さに取り込んで、そうして穏やかに笑うのだろう。細い唇が嗜虐と愛情に歪む。 ── ちろ、と、真っ赤な舌先、微かに舐め擦って。】



「You're gonna carry that weight. ──── 背負っていきなさい。何時迄も。」「それが、私たちの咎よ。」



【 ── そこがベッドならば、きっとそのまま押し倒してしまう。深く深く抱き締めて、嘘みたいに柔らかい肢体で絡め取って、どんなに暴れたって児戯になるくらい。】
【部屋の明かりを決して、ベッドサイドのランプを消して、すべては黒く包まれる。其処に人と闇との境目はなく、なにもかも溶け合ってしまうみたいに。】
【けれど白銀のヴェールが2人を護ってくれた。2人だけの世界を、護ってくれた。あの夜と似て、突き立てた片腕、そっと迫る唇、熱病に魘された絶望的な吐息。】




「気持ちいい?」「ゾクゾクする?」「それでいいのよ。」「あは、 ── 」「可愛い。」「好きよ。」「愛してるわ。」「ほら、呼んで?」「もっと、」「もっと。」「嬲ってあげる。」「キスはお好き?」「 ── 弱いわよね。」
「甘えたっていいの。」「あら、もう?」「でも、だぁめ。」「ほら、 ── っ、ふふ。」「 ……… 美味しい。」「躾けて欲しい?」「教えてあげたいわ。」「私の、全部。」

「かえで。」「かえで。」「かえで。」「かえで。」「かえで。」「かえで。」「かえで。」「かえで。」「かえで。」「かえで。」
「かえで。」「かえで。」「かえで。」「かえで。」「かえで。」「かえで。」「かえで。」「かえで。」「かえで。」「かえで。」



              「 ────── かえで。」






【いつまで続くのかは分からない。夜が明けても続くのかもしれない。カーテンとブラインドは閉まっていたのかもしれない。全ては闇の中にあり、2人だけが享受すべきこと。】
【然し少なくとも首筋の傷が癒え切る暁には、アリアは姿を消しているのだろう。着てきたものを全て纏い直して、影も形も音もなく部屋を後にする。 】
【ただ最後に吸ったのであろう、マールボロの煙たさだけが残されていた。 ── それこそ煙みたいに消えた、サンドピクチャーと引き換えに。】


/ その、もしも怒られたら、ごめんなさい …… 。こんな感じで〆、ということで、いかがでしょう ── ?


667 : ◆XLNm0nfgzs :2018/06/19(火) 23:30:07 BRNVt/Aw0
>>663

【俯き加減に白い少女の傷を押さえていた赤い少女。上げた顔には少しだけ涙が浮かんでいて】
【そんなビックリさせちゃったのか、なんて白い少女は苦笑する】
【痛くないのか、と遠慮がちに聞かれれば、少女は相変わらず苦笑しながら首を横に振る】

……んーん
こんなのかすり傷みたいなもんだし、へーきへーき!
【そう答えながら少女はふと何事か考えているようで】

あー……けど確かにこれ、酷いかもなぁ……全然気付かなかった
【ぽつ、と呟く】

【そうして、ガーゼを換え包帯を巻かれている間彼女は大人しくされるがままになっているのだが、やはり何処か上の空、といった感じで】

【けれども相手がピンチヒッターだと聞けば、目を丸くして、そうなの?と尋ねる】

私も此処の人じゃないよ?
ピンチヒッター……が何だかはよく分からないけれども……
【少女はそう言うと少しだけ口ごもり】

えーと……ちょっと考え事してて……気分転換に料理の練習でもって思って……
それで、此処に侵入、っていうのかな?しちゃったんだけど……

でも……鈴音ちゃんのピンチヒッター?
彼女、今……えーっと、連絡がつかない筈、なんだけど……
【少女は何処か言葉を選ぶようにして相手に尋ねる】
【彼女がもし鈴音の"代打"なのだとしたら何らかの接触があったのだろう。しかし白神鈴音は現在行方不明、な筈で】
【だとしたらいつそういうやり取りがあったのだろう?と少女は訝しむ】
【じーっと相手を見る目が何やら猫みたいなそれになって】
【何というか不躾に身体をなめ回すように見ている、というか】


668 : ◆S6ROLCWdjI :2018/06/19(火) 23:35:44 WMHqDivw0
>>665

【その6つのうちどれかって言われたら真っ先にガムを選んだ】
【唾液を分泌し続けることによってなんたらかんたら、うんたらかんたら、みたいな話、聞いたことがあったので】
【吐き出すという行為をしなければいけないのがまずちょっとアレなんだけど。そこはもう我慢することにした】

【「そんなヤバいですかね」――――「やべえどころの話じゃねえよ」。返したかったけど、口を開くと出る。アレが出る】
【ので、口は閉じたまま。地獄のドライブを耐えていた、耐えて――ああようやく解放されるって時の表情たるや】
【蛇神様ほんとうにボクを選んでくれてありがとう。そういう、晴れ晴れしたものだったらしいけど。……どうでもいい】


……ラサルハグェ? 一目会っただけだけど、なんかすっごいバカにされた、視線だけで。
聞いたハナシではアレなんだっけ……病魔? かなんか言う、人じゃないイキモノなんでしょ?
それでニンゲン嫌いだって。そんなのがなんでニンゲンのやる宗教なんか、に、…………、デキ、デキ、って、……。

………………じゃあそういうコト? ラサルハグェは、……蛇神様を。
ウヌクアルハイ様を、「白神鈴音」にするために、……ここに来たってことだったり、する?

【先日、マルフィクとも会話していた彼女のこと。「なんだって魔物がこんな宗教で神を信仰するんだろうね」って】
【不思議に思っていた「ラサルハグェ」のこと――聞かされたなら、かちり、パズルのピースだか歯車だか】
【なんでもいいけど、なにかが。ハマっちゃった、みたいな音を立てる。そしてそれは、決してあんまりよくない図形を描いていて】
【もはや女子高生の勘とやらの信憑性に突っ込む気力もなくて。それより。出来上がってしまった図のいびつさに、また顔を青くする】

【「…………ボクらの信仰の行先は、どこに向かってるっていうの、それなら」。ぽつり呟いた言葉は、震えを纏って】

……うん。まだ気分悪いや、よかったら運んでくれないかな――「かえでさん」。

【そのままのトーンで紡がれた言葉、ムリフェンのことを名前で呼んだ。それは怯えから来るものだったろうか、それとも、甘えって呼ぶんだろうか】
【とにかくそんな調子で。……あまりにも珍しく、彼は異能を解いてしまった。そうすれば誰でも触れられるようになる】
【平時だったら絶対にしないような「お願い」、してしまったのはきっと、アルジャーノンがイヤだから。それだけの理由ではなかった】


669 : ◆S6ROLCWdjI :2018/06/19(火) 23:42:27 WMHqDivw0
>>667

いや掠ってねえっしょ、ざっくりだよざっくり。
ダメだよ、自分の身体ちゃんと管理しとかないと……オンナノコなんだし。

【包帯のはしっこをおさめ終えたなら、一度軽く撫でて。それでおしまい】
【心配そうな表情は相変わらずだった。「血ィまた出てきたら次は病院だよ、縫わなきゃかも」】
【言い含めてからようやく手を離す。そして顔を上げて――ちりん、また鈴が鳴った】

気分転換に、わざわざここのキッチン使う? ……あはは、変なの。
連絡? 連絡、そう、今はつくはずないんだけど――――一時前にね。
つくときがあったの、その時に、「たんぽぽはあたしがやっとくから安心して」って、

…………言って、その時に……別れちゃったから。こんなことなっちゃったんだ、……

【「無理矢理にでも連れて帰ればよかった」。ひどく痛ましそうな顔をしてそんなこと言うから】
【この少女、鈴音と何かしらあったらしいと思わせるには十分すぎた。……また顔を伏せて】

……ね、あんた、名前なんて言う? あたしは夕月ってんだけど、
あんたにも協力してもらいたい。鈴音を助ける――っていうか、あたしのこと助けてほしいっていうか。

【もう一度顔を上げる。その時には、何か覚悟を決めたみたいな。強い視線を放っていた】


670 : 白桜 ◆D2zUq282Mc :2018/06/19(火) 23:43:30 JY1GydDk0
>>664

【得意げな表情の少女に"その表現は違う――…落第"と機械的に断じて切り捨てるには少々胸が痛む】
【起伏の乏しい表情はそのままに、頭の中で思案を巡らせる。如何にか角の立たない言葉は無いかと】
【故あって。白桜は少しの時間だけ沈黙していた。そして、選んだ言葉を繋いで行けばそれは―――】


多重人格。―――……その言葉を選んだ貴女は、及第点。
百点満点はあげられない。けれど、いい線を行っている。


【歩み寄るその足は止まる事は無く。次第に少女との物理的な距離が近づいていく】
【歩み寄りがてら白桜は言葉を連ねる。その仕草は教室で教鞭を振るう教師の様に】
【部分点なら与えられる解答に対しての解説と本来の解答を述べ始めるのだった】

【歩みを止めなかった白桜と少女との距離はいつの間にか肉薄と言っても過言ではない程となり】
【視界に写るのは半分以上がお互いの顔。景色はいつの間にか大多数が捨象されていた】

【そうした状態で自分達の在り方を教えようとした、そんな折だった】
【少女と白桜が居る公園の近くで怒号が飛んで来た。先ほどよりも何倍も大きなうねりの様な怒号】
【どうやら先程怪しげな動きを見せていたチンピラが呼んだ増援であるようだ】

【その気配を察した白桜は一瞬だけ意識を失った様に呆けて――Let's Rock!と口ずさむ】
【白桜の口から出た言葉。それは白桜の口から出たとは思えない柄の悪い声と口調であった】

【多重人格と言う言葉が少女の目の前で証明された様な一瞬の後、我に返った白桜は少女の手を握ろうとする】
【もし少女の手を握ったならば、白桜は少女と共に走り出す。何人も相手にするのは得策じゃないと缶上げたのだろう】


671 : 白桜 ◆D2zUq282Mc :2018/06/19(火) 23:47:22 JY1GydDk0
>>670
//最後の一文ですが、少々修正をば…
 【何人も相手にするのは得策じゃないと缶上げたのだろう】
→【何人も相手にするのは得策じゃないと考えたのだろう】


672 : 三枝双葉 ◆KWGiwP6EW2 :2018/06/19(火) 23:57:21 WMHqDivw0
>>670
【どこか浮世離れした、そんな少女の心の中の葛藤に気付くことはなく、及第点と言われれば、おお、と言う顔になった】
【多重人格の人って、漫画やドラマではチラホラ見るけど、実際に目の当たりにするのは初めてだった】
【満点でない、その理由は気にかかったけれど――】

え……?ちょっと近くない?

【急に接近する少女――黒髪の少女と、その白糸の髪が交わるほどに近付けば】
【まさかキスでもされるのかと身構えてしまう。コミュ障少女には刺激が強過ぎる距離だった】
【そうした勘違いをしている少女が、少々釣り上がった目付きを、不安げに半眼にしたところで】

【荒々しい音と共に殴りこんで来るのは、チンピラのお代わり――やっぱりフォーマルスタイルがあるんじゃないだろうかこの人種】
【金太郎飴みたいにどこを切り取っても大差ない彼らの様子に、げんなりした表情を見せた】


うええ〜〜人数多い。ちょっとアレどうしたら……ヒャッ!!


【悲鳴染みた声が上がるのは、急に手を引かれたからと――いきなり口に出された横文字の言葉が、ちょっとばかり信じられないものだったからだ】
【多重人格と言う概念は余りにも有名だが。勿論間近で"替わる"のを見る人はそうはいないだろう】
【曰く、演技なんかでは到底できないような変化を見せるらしいが――正にそんな感じだった】
【歩き易さのみを重視したようなスニーカーで蹈鞴を踏みながら、数瞬遅れて少女も走り出す。逃げようと言うプランには何となく賛成だったけど】


え、えーと……さっきの子が言ってた、"粗暴な友人"さん?


【何か言ったら怒られそうな単語だったが、自分が言い出した訳じゃないから勘弁して欲しい】
【そう言えばさっきの子にも名前聞いてない!】
【グルグル頭の中が混乱しながら、少女と一緒に走る、走る――能力を使えば脚力は常人よりは上だろう】
【一緒に走りながら、不意に少女の背を支えて――】


壁の上、行こう――追いかけっこよりは楽だと思うから!


【そう言って、抵抗されなければ、その背を抱え上げたまま、路地の建物と建物の隙間を跳ねるように飛び、屋根の上へと飛び乗るだろう】
【先日助けてくれた人がやっていた跳躍の、見様見真似――あそこまで、鮮やかには出来ないんだろうけれど】


673 : カニバディール ◆ZJHYHqfRdU :2018/06/20(水) 00:32:57 IBKicRNQ0
>>648
……そうか。お前自身ではない、というのなら、断言できないのは当然だな
だが、やるしかない。他に取れる手段も見つかりそうにない。放っておけばろくなことにならない
ならば、賭けるしかないだろう。それだけ重要なものならば、少なくとも影響は大いにある

【震える鈴の音に対して、重々しい声音。いつもの調子と同じものであった】
【あるいは、事態は悪化するかもしれない。何も解決しないかもしれない】
【しかし、それでも何かは起こせる。ならば、それでやるには十分だ。こんな時ばかりは、まともとはかけ離れた人格が武器となる】

【彼女の必死の訴えは、確かに聞き届けられるだろう。その安堵に、見合うものかは判断できる者はいないが】
【その狂った盗賊の意識に、憑りつくようにそこにあるのなら。それを間違いなく遂行すると、異形が己に命じたのだから】
【報われたということが錯覚だとは、言い切れない。きっと、そのはずだ】


――――赤木怜司。赤いガラス製の髪飾り……確かに心得た

【ヴェールに異形から近づくことはない。ただ聴覚に意識を集中して、僅かな情報を逃すまいとする】
【怜司。いつか、彼女から聞いた名。そこにどんな因縁があったのか、詳しく聞こうとは思わない。いつだったか。路地裏で聞いたもので十分だ】
【元より敵である自分に、そこに入り込む資格はない。ただ、己のすることを見据える】
【その結果、何が起こるとしても。それがために、世界が滅ぶとしても。この男は遂行する。自身がそうと決めた以上は】


……一度なったものは、戻りようがないか。これだけふざけた力の溢れ返った世界でも、時間を巻き戻すことは出来ないらしい
ここにまでやってきたということは、そのオムレツとやらも只者じゃあないらしいな

……おはなし。神話か。それなくして存在できない。案外とままならないようだな、神の業界も
(イル……彼奴への依存も、きっちりあるわけか……)

【割れた器は直らない。零れた水は戻らない。神になったら、後戻りできない。だが、元々そういうものかもしれない。我々は一秒だって時を遡れない】
【だが、追憶は出来る。ゆえに、異形は察する。足元がなくなるような、不安定な存在だった彼女が今、それをどう思っているかを】
【それをこうしてしまったのは、彼女をあんな存在にした過ちの主か、彼女の隣にいながら無力だった仲間たちか、彼女と相対して来た自分たちか】

【それとも、全ては〝病〟のせいか。押し殺した涙は、答えてはくれない】


……ここに立っているのが、私のような悪党でなければお前を気遣うような、お前をどうにかできるようなことを聞いたのだろうがな
幸か不幸か、私はそうじゃあない。私自身がやることのために時間を使う
そも、神頼みはまず自分の為にやるものだ

……イルは。彼奴は、これからどこで何をするつもりなのか
人外の国とやらのために、カルト教団まで使って何を企んでいるのかを聞きたい

お前が、イルにどういう感情を抱いているのかは、あえて聞かないでおこうか。答えがどうあれ、我々は彼奴と相容れない

後は、そうだな……戻れなくなる前の最後の機会というなら、お使いついでだ
言い残したいことがある者はいるか?

【己の都合を通すために、異形は進む。最後の一言は、珍しく己の利からは浮いた内容であったようだけれど】


674 : 名無しさん :2018/06/20(水) 00:44:03 ir/hUDp20
>>666

【ボタンでどうこうできる問題だと相手が言い張りさえすれば、少女は割といろんな服を貸し出してくれるだろう、とは、余談だったんだけど】
【それが入るか閉まるかは全く別の問題として。彼女自身割と豊かな方であったなら、そのための服は多い。それでも――きゅうと細い腰はともかく、背が違いすぎる】

【それでもよく似ていた。その白色が。――細部は全く違っても、どこかで、きっと、似ていたから。だから、多分、ベッドの中なら、なんにも分からなくなって】

【――それでもなお、マゼンタの瞳はきっと映えていた。肌の真っ白なのが闇に覆われても、きっと。どこか泣いてしまいそうなマゼンタ色が、期待と不安に打ち震えたなら】
【白銀のヴェールの中できっと見つめ合う。誰も花嫁じゃないなら持ち上げてくれる人なんていなくて、だから、それが、終わりの瞬間を予感させない、延々続くかのように錯覚させ】
【落とされる口付けにぎゅっと目をつぶった、もはやその時には身体を絡め取られて自由は失われていたから。ならば蹂躙と戯れは紙一重だった、紙の代わりに皮膚を挟んで】
【観測する人間によって意味合いが変わる。――だから相手にとってこれは戯れだった、怯えて身体を震わす少女にとっては、それは、蹂躙に等しくても】

【だけれどきっとバレてしまうから。背徳の甘さを知ってしまった蝶は決して戻れなくって。スズランの毒に中てられたなら、ここで息絶えるしかなくって】
【泣きじゃくるような声だった。何度も何度も相手の名前を呼んで、けれど、そのたびに何かに打ちのめされるように息を詰まらす、――震える吐息が赦しを乞うた、狼に頭垂れて】
【それでありながら同時に母に甘える子供のようでもあった。細い指先が必死に相手のせなをまさぐって時々爪さえ立てて縋る、――好き、とは、言わなかった。言おうとしなかった】

【――けれど首筋に縋りついて何度も何度もその名前を呼ぶのはきっと愛の告白に等しくて】

――――――――ウヌクアルハイ様、

【――――――やがてきっと彼女は泣きだしてしまうのだろう、真っ白な右手と蛇の左手で顔を覆い隠して。いやいやと首を揺らしながら、それでも、相手を限りなく求めながら】
【必死になって祈る、こんな背徳を赦してほしいと乞うように。引き攣るような喉から嬌声と呼ぶには悲鳴に近い絶望的な声が上がって、涙が頬を転がって、でも、止めないでほしい】
【気持ちがいろんな方向に張り裂けてばらばらになってしまいそうになって恐怖する、祈るために組んだ指を無理やり解かれて押さえつけられる、それで、相手の名前を呼ぶ】
【そんな繰り返しだった。――だから最後の方はきっと全うな思考回路なんか使い切ってしまって。ならばそれは譫言に似て。ひ、ひ、と、引き攣るような呼吸のはざまで】

――アリア、さんっ、ありあ、さん、すき、――すきっ、すき、、――っ、

【――――涙と汗でくちゃくちゃになった顔に藤色と純白の髪がそれぞれ張り付いていた。めいっぱいに涙を溜めた目元に反して口元は引きつって笑っていたのだろう、大好きだから】
【そしてきっとやがて疲れ果てて眠ってしまう。なら――室内はうんと静かで、よく分からない祈りの声も聞こえないなら、"それ"さえ真実か、疑りそうになる】
【それでも、もし、相手が立ち去る間際にでも――それこそ品定めの時にでも、もしかしたら気づくかもしれない。本棚。――1つだけ、分厚いファイルが紛れ込んでいて】

【――そこに記されていたのは、蜜姫かえで、その人に今まで蛇教が施してきた修行や儀式のすべてであった。人体実験よりも尊重されないなら、その扱いは実験動物にも劣る】
【最後に苦しまぬよう薬で屠られることがどれだけ幸せであるのか――それほどのすべてが記されているから、ここは、間違いなく、蛇を崇める場所であって】
【そして間違いなく彼女はその信徒であり、何人もを従える幹部であった。――だから、やっぱり、次は、次こそは、殺し合う。深淵に御座す、蛇に誓って】

【(二つくらい持って行ったって誤差かもしれなかった。もしかしたら彼女も気づかないかもしれない。――ううん、きっと、そんなはずは、ないんだけども)】

/おつかれさまでした!


675 : ◆XLNm0nfgzs :2018/06/20(水) 00:52:33 BRNVt/Aw0
>>669

【かすってないと相手に言われると少女はかすってるだけだって!と笑う】

かすり傷だよ、そんなん。死ぬ事以外はかすり傷!ってね!
【そう笑いながらも相手が病院と口に出すと彼女は「病院かぁ……」と相手の言葉を繰り返しながらまた苦笑いして】
【そうして手当てしてもらった左手をちらっと翳して見てから惨状の後片付けを始める】

……んー、いずれ使うし慣れといた方が良いかなーってのもあっ……否、なんでもない!
【少女は言い掛けるが不意に気付いたように誤魔化して】
【ヤバい、今の絶対聞かれたよね、なんて呟きながら相手の様子をちらちらと伺いつつ作業に戻るのだが】

……え?それいつ頃?
っていうか……たんぽぽ?
【相手の言葉を聞き咎めたのか洗った包丁とまな板を拭く手を止めて】

……つまり貴女"も"『たんぽぽ』の?
【相手に向き直って尋ねるのだが】
【相手がひどく辛そうな顔をしているのを見て何か察したのか「……ごめんなさい」と一言謝って】


私、は……銀ヶ峰つがる(シラガミネ──)っていうんだけど……
【少女は何処か戸惑ったように名前を告げる。響きからいって櫻の名前なのだろうか?】

……鈴音ちゃんを助ける?
その……あの人……やっぱり何かに巻き込まれて……?
【相手の言葉を反復して、そうして遠慮がちに尋ねると少女は再び包丁とまな板を片付ける作業に戻って】
【自分を見据える相手の視線を見ないふりして、ちょっと走って布巾を取ってきて水で濡らして。血が少し散った壁を拭って】
【そうしたら今度はあたりをつけて掃除用具がありそうな場所まで駆けていって。モップとバケツを持ってくると水を汲んでバケツに注いで】

鈴音ちゃん、なんだけどさ──

まさかサーペント・カルトにいるんじゃないよね?
しかも蛇の神様の依り代にされてたりなんかして!
【あはは、まさかねー!そんな事ある訳……と少女は明るい声で笑う】
【モップをバケツに入れて、絞って、汚してしまった厨房の床を拭いて】
【顔は見えないが、その声は少し震えていて】


676 : 名無しさん :2018/06/20(水) 00:56:14 ir/hUDp20
>>668

――――――――さあ。分からないです。

【――そうやって答えるときの彼女はきっと冷たかった。ならば、どうでもいい、という態度は、不適切だったのだと、分かる】
【このことを判断する情報を彼女は持っていないのだろう。だからこそ、――それを導くための情報を持たないがゆえに。誰かに言いたくなって、けれど、答えは分からない】
【あるいは彼女もどこかで不安に感じたのかもしれない。――ウヌクアルハイ/白神鈴音のこと。ラサルハグェが何を企んでいるのか。あるいは、何を信じたらいいのかも】

【――――その表現もきっと不適切だった。だって彼女は誰よりもウヌクアルハイを信じているから。不安であれ、不確定であれ、それはきっと変わらなくて】
【でも――小さくないわだかまりのようなものが、見えてしまう。それは目についたなら無視してしまえないほどの存在感があって、だから、惑う】

――分からないですよ。ですけど、私は、ウヌクアルハイ様を信じていますから。

【ならばそれは祈りに似ていたのだろう。――「あなたもですよね?」と尋ねる声は真剣みを帯びて。――そうであれ、と、求める。普段の意味合い以上に】
【気づいてしまった不穏さを見つめながらも祈るしかない、と、――分からすように。――あるいは彼女にはそれ以外できないと、白状、あるいは、独白するよう】

……もう、仕方ないですね。はい、おんぶしてあげます。体重どれくらいですか? ――まあ、落とさないように頑張ります。
大人しくしていてくださいね。あと吐かないでくださいね。後で冷たいお水でも持っていきますよ。不本意ながら私のせいみたいですからね。

【――けれどその顔が、ふ、と、綻ぶのだろう。笑うのではなく安堵――に似る色合いに和らぐ。そうしたなら、あんまりに気の抜けたようにようやく笑んで、相手の前にしゃがみ込む】
【長い髪を全部前に垂らして、はいどうぞ、と、――おぶさるなら、いろいろ言いながらもわりにきちんと背負いあげてくれるだろう。きっと暖かかった、そして、甘い香りがする】
【甘いだけじゃなくって、どこか冷たいような、どこか酸いような。思春期の少女のみが纏うのを許される一等品のフレグランス、「よいしょ」って気の抜けた声で】

【こちらは安全運転。特別揺れることもないままで相手の部屋まで行くのだろう、きっと】


677 : アレクサンデル・タルコフ ◆ZJHYHqfRdU :2018/06/20(水) 00:58:10 IBKicRNQ0
>>661
【そう、確かに近年のサーペント・カルトの凶悪化の原因たる幹部・オフィウクスたちは】
【その多くが、彼ら彼女ら自身が信仰を集めんばかりの存在である】

【ラサルハグェ、プリオル、サビク、ムリフェン。いずれ劣らぬ美しさで、濃密な狂気を覆った男女】
【ケバルライ、ポステリオル。底すら見えぬ深淵の如き力を秘めた者たち】

【そうそうたる面々の中にあって、唯一の醜悪な異形。何の特筆すべき過去もなく。ある意味では、オフィウクスの中でも浮いた存在】
【マルフィク。その男が幹部を名乗ることを許されるは。重ねた年月と信仰で手にした、司祭という立場ゆえのもの】
【ただ、職務として。己の成すべき使命として、それを正しく執行するために。それが、この男の狂信の形だ】


――――!!

【義眼の光が、ひと際強くなり。死を運んできた銃弾がマルフィクの脳髄を撃ち抜こうとした、その直前】
【足の断面から洩れていた靄が消え、その身体が床に落ちた。弾道から頭部が外れ、背後の蛇の装飾を破壊するだろう】
【そう、備えていたがゆえだ。きっと、やってくると。これを見逃すはずがないと。その存在そのものが、数多の邪教を葬り去った銀の弾丸たる彼が】

……全く、間の抜けたやり口で誠に申し訳ありません。しかしながら、どうしても貴方に直接お会いしておきたかったのです
ようこそ、パグローム殿。きっと来て下さると、信じておりました

【言葉の上では余裕のように見えて、それでもやはり額を伝う冷や汗は隠せない】
【射撃の正確さや潜入の手際、有する能力といった技術や力のみならず、今しがた自身の上を通り過ぎたその一弾から感じた、抜き身の殺意ゆえに】


数多くの秘教・邪教を打ち滅ぼしたという、恐るべき戦士。貴方は我々にとってあまりに危険すぎる
儀式の円滑な遂行のために、環境を整えるのも司祭の職務ですのでな

【言葉が終わらないうちに、足の断面から再び靄が生まれ出で、マルフィクが空中に浮かび上がり】
【次の瞬間、靄は凄まじい量のエネルギーの奔流となって噴き出し、異形の司祭をロケットのように推進させた】

【向かう先は、飛んできた銃弾の先。施設に光を差し入れる、高窓へ】
【パグロームを逃がさず、かつ攻撃に転じるべく、そのまま突進をしかける腹積もり。司祭は全く速度を緩めず、空中を突き進んだ】

【眼下のサーバントたちは未だ状況が把握し切れていないのか、ざわめくばかりだ。だが、それもあと少しの間だけだろう】


678 : 名無しさん :2018/06/20(水) 01:24:40 ir/hUDp20
>>673

【――――いっしょにいればいるほど。いっしょにいたいと思えば思うほど。"それ"は彼女を苛んで蝕んだ、――自分は人間ではないという現実が】
【自分がそうでないと分かりながらその群れに紛れ込む。そうしたいから、そうする。だけど、それは、魚が憧れのあまりダチョウの群れに混じるような、苦しみを伴って】
【それでもそうでいたかった。――あるいはそれさえもきっかけの一つ。ほかでもない彼女が自分に課した呪いが。間違いなく他人にさえ触れさせない心のどこかを絶えず抉り取るなら】

…………イルちゃん、は、……わから、ない、――泣いてる、イルちゃん、泣いてるの、……泣いて、る、やだって、思うのに、
カルト……? ――わかんない、――みんなが、わたしのこと、呼んでる、……わたしのこと、呼んで、――混ぜる。まぜる、の、神様、知らない……、かみさま、
わたしじゃ、ない、……わたしじゃ。ないのに。わたしだ、って、みんなが、いうから、――だから、もう、わたし、なの、わたし……、……わたし、だれ、?

言い残す――――――?

【きゅう、と、涙を無理やり呑み込む声。一瞬だけ黙ってしまった少女はやがて言葉を吐き出してゆくんだろう、話しかけるよりも、ただ、答えるだけの様子は】
【どこか録音の音声にも似ていた。ひとつひとつと答えていく、言葉を並べ、――並べていくのに、どんどん、不確定になっていく。声音がにじんだ、ノイズの気配がして】
【――ぽつり、と、尋ね返した。そうしてたっぷり数秒は意味合いを考えるように、黙り込んで、黙り込んだなら】

……セリーナ、セリーナに、会いたい、セリーナ、セリーナ、どこ? セリーナ……、どこ、会いたい、セリーナ、セリーナ。セリーナ――、
会いたい、会いた――、……、お外、行きたい、お外。お外に、行きたい、お外行きたい、お外、――出たい、お外。出たい、お外に出たい、――セリーナ、

――――わたし、どうして、ここに居るの……? お外、いきたい、……お外、出たい、行きたい。行きたい、お外出たい、お外出たい、お外出たい、お外――!

お外出たい、お外出たい、お外出たい、お外出たい、お外出たい、お外出たい、お外出たい、お外出たい、お外出たい、お外出たい、お外出たい、、お外、

【――――――――ごつん、と、音がした。ごつん。ごつん。ごつん。繰り返される音は否が応でも嫌な予感を加速させるのだろうか、ごつん、ごつん、に、】
【そのうちがりがりとひっかくような音が混じり出す。ごつん、がり、がり、ごつん、――と繰り返したなら、ある瞬間に、"目が合う"ような感覚、訪うのやもしれず】
【幻覚や幻聴のたぐいに近かった。ならばその耐性があれば効果は最小限に抑えられるだろう。――そしてきっと彼なら退けられた、無数の声に苛まれ続ける彼であれば】
【"彼女"の抱くものも怨嗟による祟りであった。だから。耐えられる。絶対に。少なくとも、この場では。――それでも目が合った瞬間は少なくない悍ましさがあるのは、否定できなくて】

お外行きたい、――行きたい、行きたい、行きたい、出して、出して――、ここから出して、出して、お外、行きたい、出たい、出たい――。

【――人間と神様の境界線。本来であれば越えることすら奇跡に等しい場所を、彼女は、逆さまに越えようとしていた。一時繋がったわずかな縁を逆さまに遡って】
【それこそ彼を足掛かりにして現世に舞い戻ろうとしていた。――すぐそばにいる彼を"使えば"外に出られる、と、理解してしまったなら。もうそれを留めるだけの自制はなく】
【なら――――どうしようもない、時間切れだった。神様の世界に近づきすぎてしまったのだろう、だから、今すぐにでも意識を人間の側へ戻す必要がある、目覚めないといけなくて】

【――――それでも、何もないより、よっぽどよかった。覚えているだろうか、ニュースで流されていた地図は実在のものだった。蛇は確かにそこに向かうなら】
【ウヌクアルハイという名前も、信徒がみな口にする。シラカミリンネという名前をだいたいの信徒は知らないのだけど、この少女と共に得た情報なら、間違いない】
【がりがりという音が少しずつ大きくなりだしていた。ごつんごつんという音に、時々、くぐもるこすれ合うような音が、混じり出していた。――だから、今日は、ここまで】

【――次があるかは分からないけれど。それでもみんなが信じるなら、(あるいは?)】

/こういったかんじで大丈夫そうでしょうか!? 問題あるようなら言っていただけたらと思います、おつかれさまでしたっ


679 : パグローム ◆KWGiwP6EW2 :2018/06/20(水) 01:38:36 WMHqDivw0
>>677
【そう――男と男の所属する組織はサーペント・カルト以前にもいくつもの歪な宗教団体を弾圧し、叩き潰して来た】
【その経験からすれば、多く、宗教団体と言うモノは上に行くほどに俗物が仕切り、私欲に富んだ者こそが崇められてきた】
【だが、その点について言えば、この蛇神教は――少なくとも、この男は違う】
【鬼才とも呼ぶべきオフィウクス達の中で、或いは最も平凡な――しかし、それでいてこの異形の様相を生み出すほどの狂信を宿した男】


――……


【舌打ちした。だが、驚きはしない。この男は待っていたのだろうと、その予見が男にも有ったからだ。ならば次の手だとばかりに、銃弾は天井の照明を破砕する――】
【サーバントの中でも手練れ揃い――パニックになっている時間は長くはない。取り分けこの司祭が冷静で有るならば】
【落下した照明とガラスが地面に降り注ぎ、眼下の足止めをするも――しかし、悪手】
【読み手を違えたのは、まさかこの司祭が、手足の代わりであるサーバントも使わず、自ら突進して来るとは想定しなかったが故】


――ガッハッ!!


【回避――するには余りにも速い。咄嗟に狙撃銃を手放し、その身体を抑え込もうと手を伸ばすも極熱のエネルギーの奔流を防ぎ切れず、呆気なく、男は弾き飛ばされた】
【高所から落下するも足場もなく、辛うじて地面に身を打たせながら転がるようにして立ち上がる――血を吐き出しながら顔を上げれば、地に落ちた彼を待つのは、混乱も収まって来たであろうサーバント達】
【良いポジションだと思ったんだが――僅か一手で形勢逆転?男の戦術眼の成せる技?否――これは紛れもなく、信念の成した結果だろう】


クッ……ヒャハッ…!ヒッハハハハッハ!!
ご招待に預かりましたァ!爬虫類ファンの皆さあん!!

仲良くなろうと、蛇革のベルトでキメて来たってェのに皆さん目が血走っていらっしゃる。
せっかく自作したって言うのによォ?蛇革の鞣し方、ご存知でない?教えてあげましょうかァ?


【目に見えた挑発。飛び出し掛けたサーバントの一人に向け、地面に落ちたガラス片を掴んで一閃――それで十分牽制になっただろう】
【もっとも司祭の指示が有ればそれこそ命を捨ててでも襲い掛かって来るのだろうが】


オマエみたいに真っ当に狂ってる奴は遊び甲斐がない。
カルト宗教の幹部なんぞやってる癖にサラーリマンみたいなツラしてよォ。
偉いんだから高みの見物で、「やれ!お前ら!」くらいのことは言っても良いだろう?


【男は幽鬼のように立ち上がり、周囲を視線で舐め回す。取り囲まれ、少なくないダメージを内臓に受けた今でもなお、殺意は僅かばかりも揺らいでいなかった】

噂通りの朴念仁だ、マルフィク殿――だが、解せんね。
その火傷しそうなくらいの信仰心で、どうしてこんなママゴトに付き合ってる?


680 : カニバディール ◆ZJHYHqfRdU :2018/06/20(水) 02:23:16 IBKicRNQ0
>>678
【人手はない。彼女の切実な思いは、最早動かすことの出来ないその事実に、重く囚われて】
【あるべき場所にいないからこその苦しみなら。彼女のあるべき場所はどこにあるのだろう】
【己の意志と悪意を頼りに、この世界に澱み留まってきた悪党ごときには、あまりに重すぎる問いであった】

泣いている……? あの病魔が……?
呼んでいる……混ぜる。お前ではない何かと、混ぜる……あのカルトは、お前を再定義するための……

……おい、鈴音――――!!?
(まずい……これは……!!)

【何故、そんなことを聞いたのか。義理立てのつもりか。利用するつもりだったか。そんなことを考える余裕すら、打ち砕かれる】
【弾ける。渦巻く。闇が、広がる。鈴の音が消えて、代わりに入り込んだのはなんだ】
【人と神。近しくて、どこまでも遠い存在に混沌のエッセンスが、病の香りが、混じり合ったら、何が起きる】


(セリーナへの想い……いや、妄執か。そのために、ここから出るには鈴音は何をする? 何かを依り代にする……何を。誰を)
(しくじった……盛大に地雷を踏んだな。慣れないことはするものじゃあない……)

【異形は歯噛みをした。そうするだけの精神は、まだ保っていた。会いたい。ここから出たい。何故ここにいる】
【そんな嘆きは、願いは、怨嗟は。カニバディールの常に隣にあるのだから。祟りに関しては、人にしてはそれなりの年季がある】

【だが、それでも。腹の底に響く異音の群れと、その一瞬の視線、気配の交錯に感じた底冷えのするような感覚は】
【到底、抑えきれるものではなかった。異形だろうと、邪悪だろうと、所詮カニバディールは人の世の悪意の範疇を出られないのだ】


――――時間切れだ。ごきげんよう、鈴音。縁があったら……いずれ、また

【いつだったか、こんなセリフで別れを告げただろうか。あの頃考えていたよりも、縁は嫌と言うほどあったものだ】
【臆病な盗賊の感覚は、意識をこの場から退かせた。このままいけば、三つ目の腐れ外道が蛇神の依り代などという、誰一人として得をしない展開になりかねない】
【夢の中の腕を上げて、自分自身の顔面の殴打を食らわせる。この場から自分を弾き出して、自身の肉体を叩き起こすために】


――――ぐ、うぅ……!!

【汗に塗れた巨躯を起こす。脳裏には、忘れようもない記憶が情報と共に焼き付いている】
【地図。蛇神の名。更なる地獄への道行。目覚めたはずなのに、まだ音が聞こえているような気がした】

【人は皆、何かを信じて縋って生きている。神であったり、絆であったり、力であったり】
【信じる者は、救われるのか? 当たり前に次が巡ってくるとそう言えるのか?】
【最早、神のみぞ知るとすら言えないだろう。そんな暗澹たる気持ちで三つ目を細めながら、異形は指輪を取り出した】

……行動しろ。行動は、結果を生み出す。良きにせよ悪しきにせよ……

【まずはお使いを。赤木怜司へ連絡を。そして、この儚く脆い唯一の同盟に情報を】
【成すべきことをせよ。皮肉にもそれは、何かの宗教の教えのような思考であったのかもしれない】

/大丈夫です、ありがとうございました!!


681 : 名無しさん :2018/06/20(水) 02:37:08 ir/hUDp20
>>580

【――――にこり、と、少女はひどく安定した温度の笑みを浮かべていた。それはきっと優しい反面生ぬるい、火傷するほど熱くなく、凍てつくほど冷たくないなら】
【だいたいの人間に対して好意的な色合いを示しているのだろう。相手がメニューを決めたなら自分も決める。生絞りのレモンスカッシュ。――どうしようもなく普通のメニュー】

――あはは、そんなこと。言ってはいけませんよ、信生さんはとてもお美しいです。そしてお優しい、――私にすら、それが分かるのですから。
では記念にお写真でも撮ったら如何ですか、特別に大した店ではありませんが、――あ、ううん、雰囲気が気に入っているんです。たまに来るんですよ、私。

【ずいぶんと褒めちぎる。――だからこそ怪しくはあった、というよりも、怪しかった。明確に。何かを狙っている目をしていた、けど、それを明らかにはしてこない】
【――やがて、というか、わりに早く注文の品は届くんだろう。たしかに店主と少女は知り合い同士であるようだった。なじみの客――常連までは、行かないけれど】

【「――失礼……ですか。構いませんよ」】
【それが少女の答えであった。本題に切り込んだ相手の様子にわずかに目を丸くしてから、けれど、人当りよく微笑む。藤色の長い睫毛が、マゼンタを笑みの形で隠しこんで】
【しかして尋ねられるのはあるいは本当に失礼なものであった。――それに対してはいそうですと答える悪意ある人物もいないように見えた。けれど、彼女は、】

――――――いいえ、そのようなことはしていませんよ。そうですね、ですが、強いていうならば――我らこそ表であり、その他すべてが裏だと、言い換えられます。
我らは明確に善であります。なので、その問いかけには、"否"と答えます。――……ブラスフェミアさん、ですか。残念ですが、知りません。
〝冒涜者〟〝裏社会〟〝研究者〟 ――そんな方を、どうしてあなたが探しているのでしょうか? 私が思うに、あなたは、とても、――対極におられる。

であればこそ、関わろうとする意味はどこにあるのでしょうか。"失礼"だと前置きしながら、他者に求める意味は?

【――あんまりにあっさりと否を答えるのだ。そうだとしても、あっさりすぎるほどに。そして続けた言葉は――限りない異質でもあった。それは、良くない言葉の並べ方】
【だけれど知らないというのは本当の答えであるようだった。――ならば尋ねるのは好奇心故なのだろうか、猫を殺す好奇心も、蛇を信ずる猫ならきっと赦してくださる】

――ですが、我らの中には、そのような事柄に精通している人物もおります。"もしかしたら"――知っている人物がいるかもしれません。
けれど、――我らにとって今はとても重要な時期であるのです。その時にやすやすと第三者の方を招くわけにはいきません、そうですね――、


――――――――信生さん、あなたは神様を信じますか?

【――――にこり、と、いっとう上手に整えられた笑顔が綻んだ。咲いていた。これからとても素晴らしいことを話すんだという予感、匂わせて】
【それはきっと甘い香りをしていた。甘くって、どこかで冷たい香り。胸いっぱいに吸い込んだならしびれてしまいそうな――どこかに毒を宿すような、甘さが】


682 : アレクサンデル・タルコフ ◆ZJHYHqfRdU :2018/06/20(水) 02:51:40 IBKicRNQ0
>>679
【宗教は人の歴史と営みを語る上で避けては通れないものだが、それゆえに人の負の面を大いに内包する】
【欲望。怖れ。そして、狂気。救いを求める心そのものが、混沌の呼び水であるかの如く】

【ならば、それを専門に狩る者たちは何と呼ぶべきなのか。ただひたすらに鋭い刃のような、その鋼鉄の意志持つ者たちを】
【その答えを出せる者は、少なくともこの場にはいないだろう。相対しているのが、当の狂気の体現者たる、サーペント・カルトとなれば】

『なんだ!?』 『照明が落ちたぞ!!』 『司祭様!!』

【サーバントたちにとっては、予期せぬ襲撃となり。混乱の声が降って湧いた薄闇の中に轟く】
【しかし、パグロームの漏らした苦鳴を聞いたなら、サーバントたちは状況を理解する。信仰の敵の訪れを】


……あの高さから落ちても、なお微塵も戦意を失われてはおられない
聞きしに勝るお方だ……やはり、直接お会いしておいてよかった

ベルトは貴方手ずから作られたのですか……
憎む信徒たちを踏みにじるためなら、手段を選ばないとも聞き及んでおりましたが
流石は、かの御高名なパグローム殿……貴方ほどのお方をお招き出来て、光栄に思います

【最初にガラス片で切りつけられ、鮮血をまき散らして後退するサーバントの前に降り立つと】
【司祭もまた、突進の余波で受けたガラス片による切り傷から血を滴らせながら、パグロームと相対する】


……貴方にそう評して頂けるとは、信徒としては光栄に思うべきなのやもしれませんな
あらゆる類の狂信の徒を、遊びで〝壊す〟……殺すのみならず、根本から覆すその腕前
貴方ほどのお方を相手に、信徒らの数でかかったところで悪手にしかなりますまい

【睨みつけるその視線に、義眼が放つ気味の悪い光が交錯する】
【他のサーバントらも、手を出してはこない。司祭の統制が効いている、というよりはサーバントにもわかるのだ】
【パグロームの実力のほどが。数えきれない狂気を、歪んだ信心を、虚数の彼方にまき散らしてきた、彼の恐ろしさが】

……大きな声では申せませんが、耳の痛いお言葉です
確かに……今、我々がやろうとしていることは、客観視すれば〝ママゴト〟としか見えぬものでございましょう

【狂信の司祭にあるまじき言葉と聞こえるかもしれない。しかし、司祭の義眼に揺らぎはない】

ですが、私はこれを成すべき『職務』だと信じたのです。他ならない、私自身がこれを成すべきだと決めているのです
真実は、人の数だけ存在します。それが現実です。私は、私の信仰に基づいた、私の真実に殉じます

……この考えは、他のオフィウクスの方々よりもむしろ貴方にこそ、一定のご理解を戴けるような気さえしていますよ。パグローム殿
貴方の目は、貴方の中にある絶対の価値観をどこまでも貫き続ける……そんな人間のそれに見えますぞ

【言いつつ、両腕の断面から半透明のエネルギーが滲みだし、それが一対の蛇の形をとる】
【向く方向は真逆なれど、マルフィクとパグロームはある意味では似ているのかもしれない】
【すなわち、きっと双方とも――――言葉は通じても、話は通じない人種なのだ】


683 : 兼愛 信生(けんあい のぶき) ◆xgsUYuhzWc :2018/06/20(水) 10:20:40 47LIaZ2Q0
>>681

【かえでからの褒め言葉に、「そ、そんなことはない!」と首を振ってヘニャヘニャと照れている】
【というよりも、実際、かえでの方が明らかにオシャレに気を配っているし年頃めいて愛らしい】
【ともあれ、そのやり取りを行なって──聞いた返答に、】


……キミも、やはり、そうなのだな。
──分かった。そして知らないのであれば、ワタシは──

【と、そこで、耳に届いたセリフに】

【──神?】


──


【察しが悪い訳ではない。悪であり、或いは善であり、そういった行いをする宗教】
【つまりは妄信的な信者がいる場所。そして最近の過激なカルトに当てはまるモノと言えば──】
【──地に絡みついてとぐろを巻く、細身の獣】


……もしや、キミは、まさか


【瞳が見開かれ、思わず腰が浮き立ち上がりかけたが、息を整えて座る】
【胸を撫でて、己を落ち着かせる。──大丈夫だ、と自分に言い聞かせて】
【言葉をやんわりとオブラートに包んで、少し怯えるように微笑んで断る】

……すまない。……ワタシは、明確には……何かに属さない、とは……決めていて。
それは〝ブラスフェミア〟と〝ワタシ〟が、〝対極〟であるからこそ、きっと意味があるのだ。
ワタシ自身、誰かを手負わせるコトにあまり向いていなくて。

だから、そう……せっかくの申し出なのだが……。

【ヒトを殺して来てくれと頼まれた。技術力を売ってくれと交渉された。体を売らないかと誘われた】
【それらはすべて断って来た。完全な悪に手を付けないままに彼女と会いに行く事で、トモダチだと証明したいから】
【だが──そこには、蛍光グリーンの瞳の〝迷いの震え〟がうかがえた】

……しかし今の言葉は──きっと、キミの善意だ。
もし理由がどうあれど、キミはワタシを案じて聞いてくれたのだろう?……ありがとう。
やはり、ワタシはカエデちゃんがダイスキだ!優しい子なのだよ!

烏滸がましいが、打算抜きで──ワタシはキミと、是非トモダチになりたい!
そういうのは──

【とはいえ、声は震えている。自分が今まで相手にしていたのは、ゴロツキやそこそこ裏に踏み入った組織】
【都市伝説的、噂。そういった曖昧な偶像ながらも、最近世間を騒がせているサーペント・カルトの人間を】
【初めて相手取り、話すコトになったから。──しかし、かえで自身の人柄がスキである為に、信生は】
【それを否定出来ない。だからこそ〝善意〟として受け入れ、普通にトモダチになりたい、とお願いした】
【〝知らない〟から。相手が、〝オフィウクス〟と呼ばれる立ち位置の人間だと】

【だから、右手で握手を求めて。にこっと、微笑みかけた】


684 : セアン中身 :2018/06/20(水) 13:56:28 8blO4Or20
本スレ570

ハァーーッ!?馬鹿って言う奴が馬鹿なんだからなー!
我慢したって言うんだったらもうちょっと我慢して情報を引き出すとかあっただろうが!!
後、お仕事って何の仕事してんだよ。まさかっ!?ニート?ニートなのか?うっわー俺でさえ働いてるのにニートとか無いわーマジ無いわー

仕方なくねーよ!!俺は、平和的なお話しをしようぜ。って言ったじゃねぇかよー!
何が哀れだっ!被害者はこっちだっ!!この眼帯ヤローめ……後男女っていうんじゃねーよ!

【ハーー俺今日マジ災難だわぁと言い再度深い溜息をつき】
【気を紛らわす様に周りをキョロキョロと見る】

こんなトコ信仰する方がよっぽどカルマ値下がるだろ?絶対によぅ?ほら邪教は[編集済]みたいな事をしてたんだろ?
おっ、そんな部屋が在んのか。じゃぁ後でこわーい錬金術師がそこで2〜3人見繕うかな?

【知らんのかーいとツッコミを入れまぁいいあとで行こうその部屋と付け加える】
【ふむふむ。完璧に悪者ではないかもしれんなこいつ、なら目的は何だ?邪教の壊滅か?と思う】

(戦うとなると情報が足りなさ過ぎるなココは穏便に行こうか、まぁ、元よりそのつもりだが)

ホントにご近所迷惑だぞー?何せご近所さんである俺が言うからな、間違いないっ!
アァ?こいつら蛇神教って言うのか、ほーう知んなかったわ。ありがとなっ!
生憎だが俺はそういうものを使って何ぼだと思ってるから、消耗品を節約したこと無かったわ。

そうだぜ?力が有り余ってんだよ。だからよお前の目的に協力さしてくれや、
だから、この提案をしたんだよ。分かってねぇなーこれだから眼帯ヤローは

【あちらも戦意は無いらしいからこちらの思い通りになったなと内心ほっとする】

クッソ遅れてすいませんでしたー!!言い訳はしません、ですけど許して下さい何でもしますから


685 : セアン中身 :2018/06/20(水) 14:06:20 8blO4Or20
>>684
//これ入れるの忘れてました


686 : ◆S6ROLCWdjI :2018/06/20(水) 21:05:50 WMHqDivw0
>>675

……今はそうじゃなくてもこの傷が膿んで腐って、死ぬことだってあるんだから。
だから……あ〜もう、そーいうのは今はおいとくけど! 次血ィ出たら病院!!

【「それは絶対だからネ、わかった!?」 強い口調で言い残して、救急箱を直しに行く】
【何か不穏なことを言ったのも聞き逃さなかった。けど、ぎろりと睨んで、それっきり】
【どうあれ傷を適当に処理することはお気に召さないらしい。ふん、と鼻を鳴らしながら歩いて、帰ってくる】

いつだったかな、……もう一か月以上前のことだよ、たぶん。
そ、だよ……「たんぽぽ」。鈴音がやってた大切なモノ、守るためにあたしはここにいる。

つがる。つがるちゃ……つがるん。ふうん、結構深いとこまで知ってんだネ。
そうだよ、鈴音が今いるところはそこ――――「サーペント・カルト」。
つがるんの言ってる通りのことが起こってんの、だから、

【「手伝ってほしいって言ってンだけど」――――ざあざあ流れる水の音を聞きながら】
【しれーっと、ほんとにしれっと。返していく、さりげなく綽名までつけて】
【見ている間――そのうち立ち上がる。血を流す作業、手伝い始めた。手持無沙汰でヒマらしい】


――――ねえつがるん。戦うコトのお手伝いは他のいろんな人にも任せたけど。
これは多分、他の人にはそうそう頼めない――だからあんたに言うんだよ、

「たんぽぽ」。回すの手伝って、あたしひとりじゃ到底無理だから。
……料理の練習なんかしてたんだもん、つがるんだって多少はその気あったんじゃないの?


【そうこうしながら。またもしれっと――――わりと重要、いやとてつもなく重要なこと、言い始めた】
【曰く、ここの切り盛りは今、夕月ひとりでやっていることだから。……手伝え、とか。いきなり言いだすのだった】


687 : ◆S6ROLCWdjI :2018/06/20(水) 21:20:27 WMHqDivw0
>>676

【わからないって言われると、顔を引き攣らせた。じゃあなんて言ってほしかったのかというと】
【――――「つべこべ言わずに信仰しろ」って言われたかったのかもしれない。彼の中で、】
【蜜姫かえでは誰より強い狂信者だったから。それくらい断言されたかった、のかも、しれなくて】

………………あたり、まえじゃん、……それしかないんだもの。

【それ以外を返されるともう、どうしようもなくなった、みたいな気分になった。かえでですら――揺らいでる】
【その事実は彼にとって衝撃的なことだった。忌まわしいくらいに強烈な女の、弱いところなんか見たくなかった】
【って思うけど。それはただの押し付けでしかないんだって、飲み込むしかなかった。「あなたもですよね」、そう問われれば】
【弱々しい声で肯定を返す。……ひどく喉が渇いた気がして、けほ、と咳が出た】

【目の前に広がる白い背中、少しだけ躊躇してから――触れる、白絹の生地の感触が、少女の肌へ】
【こうして誰かに触れたこと、おそらく数年ぶり、くらいの勢いかもしれない。それくらい、彼はずっとひとりであろうとした】
【やがておずおずと体重全体を彼女の背に預け始める。「……40キロとちょっと」、言うころには頭が、首筋にうずもれる】
【……かおりがする。知らないかおりだった、それをひとつ吸うと――ひどく眠くなってきた、らしい】
【呼吸がだんだんまばらになっていく。んん、と、眠るのを我慢するようなむずむずした声を上げながら】

【――――運ばれていく先、サビクに与えられた部屋。そこは病室とか、無菌室に似て】
【全体的に白が多いけど、そればっかりだと気が狂うので適当に色彩を散らしてみました。みたいなノリの部屋】
【ただ、毎日専門業者――並のスキルを身につけさせられたサーバントによって徹底的に掃除・消毒されているから】
【カルキの香りがするだろう。生に満ち溢れた少女の香りを掻き消そうとするくらいの、ケガレを殺すためのにおい】

【ぽつんと置いてあるベッド。敷かれているシーツには皺のひとつも見当たらなかった、そしてやっぱり消毒液のかおり】
【そこに少年を転がしたなら。……先に靴を脱がしたほうがいいだろうか、女でも履くのをためらうほどのハイヒール】
【それはいやに重かった。戦闘用の改造をしてあるから、やたら金属が仕込まれている。放り投げたらごんって音がする】

………………こわいよう、

【脱がされたなら、少年の背丈は一気に縮む。13センチマイナスで、150センチ代なかばほど】
【そうして小さくなった彼は、ベッドの上で縮こまって――そんなことを口にした。譫言みたいな震えと音量を纏って】
【……仮にもオフィウクスがそんなことを言うんじゃない、って、叱ってもいい内容。ひどい泣き言だった、本当に今更、こんなこと】


688 : 名無しさん :2018/06/20(水) 22:07:56 ir/hUDp20
>>683

――――――――まさか、"なんでしょうか?"
この間も言われましたよ。我らも有名になったものですね。――不本意です。とても。ですが致し方ありません。
まもなく我らが悲願が叶うのです、であれば多少の障害物さえも、ウヌクアルハイ様の配してくだすった試練に違いない。

ですから――そうですね、改めて名乗りましょう、サーペント・カルト。ムリフェン――蜜姫かえでです。

……私たちとて、何も、無意味なことはしません。無意味に人を傷つけることはないと、ウヌクアルハイ様に誓いましょう。
ゆえに、誰かを傷つけることが不得手であることに問題はありません。我らも心が痛いのです、――ですが、それこそが本来であれば、正しいのですから。
心苦しいと思うことそのものが間違った善に毒された証拠に相違ありません、であれば、そのような間違えた認識に満ち溢れた世界は、どうして廻ってゆくのでしょう。

――我らの行動はすべて正しい善に基づいて行われています。すなわち――我らこそ善の最先端であるとも言えるのです、正義組織ですか、あれは、まやかしの善です。
ウヌクアルハイ様はお優しい神様であらせられます、いくつもの宇宙を創世なさるたびに我ら人間に期待し、愛をくださり、――そしていつか失意に宇宙を呑み込まれるのです。
今までの人類には足りなかったのです。間違えた善に支配され、本当にあるべき正しさに気づかず、ウヌクアルハイ様を信ずることも、正しく善を積むことも、なかった。

――――今度の我らこそ、ウヌクアルハイ様のために努めねばなりません。そのご期待に沿えるため、全てを捧げねばなりません。そのために生まれてきたのです。
――……――、そうですか、それは、とても、残念です。

ですが、何も、我らに属さねばウヌクアルハイ様に祈ることを許されないわけではありません。
大多数の人間が自らは何を信仰しているか分からないままで、困ったときに神様仏様と祈るように。お稲荷さんの祠の前では信号無視をしづらいように。
――我らに属さぬとて、ふっとしたときに、ウヌクアルハイ様を感じ、そして祈ることを、誰が咎められましょうか。

確かに、あなたのように"良い"方が、本当に正しく"善い"ことに気づいていない、というのは、私としてもとても残念ですが――。

【――――ことん、と、店員が注文の品を持ってきた。それが居なくなるのを見計らって、彼女は話出すのだろう。にこりとした笑顔、変わらぬ色合いは】
【何百年もそこにある藤の花の満開を見上げるようにも思えた、――この藤棚から先の世界はもうどこにもないんだからと語り掛けるように、しっとりと、覆いつくして】
【話しながら、笑いながら、からからとレモンスカッシュのストローで中身を混ぜていた。上に乗っていたミントが下に沈んでいく、氷に巻き込まれて、二度と戻れなくなる】

――――――――そうですか。であれば、それもまたウヌクアルハイ様のおかげですよ。お友達になる……というのは、全く構いません。
ううん。むしろね。大歓迎です。……それで、あなたは、どうして――その方を探しているんですか? お友達なんでしょうか。どういったお友達ですか?

信生さんがそんなにも探される方なのです、ありふれた方。……というわけでは、ないのでしょう?

【握手を求められたなら――彼女はいっとう綻んで応じるのだろう。それに何の悪意もなかった、もちろん、敵意もない】
【よって何事もなく遂行されるのだろう、――そうしたなら、彼女は、件のブラスフェミアという人物について、尋ねるのだ】


689 : パグローム ◆KWGiwP6EW2 :2018/06/20(水) 22:11:09 WMHqDivw0
>>682
【一触即発――しかし男を取り囲めども、信者達はピクリとも動かずにこちらの動向を注視している】
【舌打ちしたくなるくらいに教育が行き届いている。実際のところ、信者達が一斉に襲い掛かって来て乱戦に持ち込んだ方が殺り易かった】
【パグロームの本懐は、1対多の戦闘の中で可能な限り多くの被害を与えながら自身は逃げ果せると言うスタイルに尽きるのだから】


なるほど、なるほど、なぁるほど?
狡兎死して走狗烹らる――
"良いように使われている"とそう知っていながらも、続けるワケだ……


【言葉を重ねながら、周囲を見回す。だが、愚にもつかぬ行為だ】
【信者達の誰にも動揺は走っていない。流石は、教団の重鎮、マルフィクの取り巻き】
【なるほど、認めざるを得ない。どうしようもないくらいにこいつらは狂信者だ】
【人智の及ばぬ狂集団サーペント・カルト。しかし、そこに所属する信者達は誰もが狂っている訳ではない】
【皆、神に都合の良い自己を――或いは他者を投影し、"そうであれ"と願い掛けて信仰と成す。それは苛烈であっても同時に脆く、この男に取っては餌でしかない】

【この男は静かだ――挑発を受け、我らが神の実在を小馬鹿にされて尚、目の前の男は敬意すら向けて対峙している】
【認めざるを得ない――"理解できる"と言うその放言を】

【"関係ない"のだ。誰にどう使われようが、誰にどう思われようが。この男の信仰は、この男の内側で完全に完結している】
【それは恐らく己の在り方と酷似していたから】

【だから、そう、追撃を目論み、能力を放つ司祭を前に――男はまるで降伏するみたいに両手を上げて見せた】


お手上げだ。こいつァお手上げだ。
ああ、そうだな。そうだとも。俺はオマエを理解できる。
その信仰は紛れもなく"ホンモノ"だ。

……だから分かるだろ?もう殺すしかない!
このどうしようもない間違いを、この世界から消すしかない!
オマエのようなモノが存在する世界を俺ァ認められないってなァ!!


さぁさ!お手を拝借!一本締めと行こうかァ!!


【ゴトッ、ゴトッ、ドサッと幾つも重たいものが落ちる音――男のコートの中から、落ちた金属物】
【それは、持ち歩いていると言うだけでも正気疑うほど大量の――爆発物!】
【ともすれば先程の体当たりで諸共に自爆していたのではないかと言うくらいに、無造作にそれが地面に落ちて行く】
【会話の間にでもセットしたのか、見る者が見れば、それが今にも破裂しそうになっていることを察せれるだろう】


線香代わりだ――葬式から告別式までフルコースで彩ってやるよ、バケモノがァ!!


【男は大仰に舌を出して"バケモノ"と、司祭を罵った。それは無論、見た目の異形のことではない】
【――その埒外の信仰に捧げる言葉だ】


【数秒の間を置いて、数多の閃光と爆風を伴い、男の足元の火薬の海が――吹き散らされた】


690 : 白桜 ◆D2zUq282Mc :2018/06/20(水) 22:19:03 JY1GydDk0
>>672


【逃げる選択肢を取ったのは白桜。それに賛同するのは少女。それに毒づくのは"粗暴な友人"】

【少女の手を握る力は、儚げで朧げな雰囲気の白桜からは連想し難い程に力強く】
【加えて目に見える異変は白桜の頭髪にも。雪の様な白く綺麗な髪に、痛んだ茶色が疎らに表れる】
【痛んだ茶色の髪。乱暴者特有の汚い言葉遣いと声色。浮世離れした白色は土が混じるが如くに汚く染まる】


「……ハッ、ご挨拶だなチビスケ。初対面に対して粗暴とは礼儀がなってねェよ。
 せめて"銃を持たせりゃ天下無双のカイ姉さん"って言っとけよな――なあ、"白桜/はくら"。
 加えて寝起きから乱交パーティなんて流石のアタイでもちょいとヘヴィだぜェ?」
【"それにいつも言ってるだろ?身に降る火の粉は払うだけじゃなくてキッチリ消しとけってよ"】


【"粗暴な友人"こともう一人・フェイ=エトレーヌが表出したのは、ほんの僅かな時間の出来事だった】
【最後の言葉を口にする前に"粗暴な友人"ことフェイの人格は精神の奥に押し退けられ、痛んだ茶色は徐々に消えつつあった】
【そして白桜が体の主導権を取り戻した直後に目の当たりにするのは、壁を蹴り伝って屋根の上に上る自分達の姿】

【翼を得た錯覚を覚えるほどの爽快感と経験した事の無い自由を前に、白桜は振り落とされまいと少女の身体にぎゅっとしがみ付く】
【建物と建物の隙間を飛び跳ねる少女の身体能力と未経験の爽快感に、二度目の瞠目。そして初のささやかな興奮】
【チンピラ集団と自分達。彼我の距離が大きく離れていくのを、お姫様抱っこされたまま見遣るのだった】


――…やっぱり、雑技団か何か?こんな形で私のアンコールに応えてくれるとは思わなかった。
まるで何かの演目みたい。観客も脚本も無いけれど。貴女だけは、…別。千両役者。

この窮地を脱したら、お礼に何か一つ聞いてもいい。

【柔らかく笑み。たおやかな眼差し。まだ窮地を脱していないのに、白桜は場違いな表情を浮かべる】
【―――まるでチンピラ集団から逃げ切れると確信しているかのように】


691 : 名無しさん :2018/06/20(水) 22:24:58 ir/hUDp20
>>687

【それでも――それでも。分からないなりに、彼女は、きっと、その程度にはいつもと同じだった】
【不審を知って、けれど、それで舞い戻れる人間であったなら、ここまで来ていないだろう。それでもなおアクセルを踏み込んでしまったから、ここに居る】
【そういう意味では彼女はきっと彼とは違った。――彼女はありふれた普通の家に生まれた。ありふれた生活があった。ふっとしたボタンの掛け違いで、そこから転がり落ち】
【――――それで、ここまで、一人で。信じるものだけ信じて、来たのだから。――だからこそ、彼も彼女を"いつか必ず死ぬ"と思うのだろう、そういうあり方だから】

【彼を背負ったなら少女は一時黙り込む。話しかけても良かったのだけれど、耳元にかかる吐息がどこか眠たげだと気づいたなら、放っておくことにした】
【そうしてやがてたどり着く、――とうてい人間が暮らしているとは思えないような、部屋。この少女が与えられている部屋とは真逆の様相、けれど躊躇わない】
【めっちゃ普通にドア開けるしめっちゃ普通に締めるしめっちゃ普通に入っていくだろう、――彼の暮らす中での"ルール"、まるで無視して、ベッドに彼を降ろしたなら】

…………ほら、靴脱ぎますよ。どんだけ重いの履いてるんですか? 体重測定前の女子高生が泣きますよ。
もう、ほら――、――やっぱりなんか病気じゃないですか? 風邪とかですかね。大事な時に何しているんですか? 自己管理してください。

【ごとん、――ご、とん。両足分の靴を脱がしてやったなら床に転がす、そうするために少女は床に座っていた、であれば、彼をうんと見上げるようになって】
【あーもうと漏れる声がひどく平和だった。――なら、それは、きっと、"姉"らしい振る舞い。下の方からじっと見上げて来る、じとりと目を伏せた、なら――、】

――――――――大丈夫ですよ、怖くないです。
ラサルハグェさんが何企んでんだか分かんないですし、ケバルライさんも何してんだか分かんないですし、プリオルさんもポステリオルさんも分かりません。
ていうかほとんど会ったことないですしね。私、だいたい、外に居るので。――ですけど、私たちは正しいんです。だから、大丈夫です。

【――――ぎゅう、と、抱きしめようとするのだ。勝手に。嫌いだって分かっているはずなのに。相手のことを、問答無用に。――それこそ、お姉ちゃんみたいな顔して】
【それが叶ったなら、頭まで撫でようとしてくるからひどい話だった。――それでも耳元で囁くように話しかけるスズラン色の声は優しい色合い、大丈夫だと諭すなら】
【根拠は多分あんまりない。――分からないことが多すぎる。それでも信じているなら、そのまま、そのまま、ずっと、行け。――あんまりに今更だった、求められた答えを返すのは】

【――ひどく少女らしい柔らかさだった。温かくて、柔らかくって、甘い匂いがする。頭を撫でてやる指先はうんと細く絹のように整って、洋服さえ羽衣のように整って】
【それでも――嫌がられたなら、その段階で彼女は行為を中断するだろう。もしそうだったなら。――告げる言葉の色合いは少し違って、いくらか、鋭く、言い聞かすようになるけど】


692 : パグローム ◆KWGiwP6EW2 :2018/06/20(水) 22:27:23 WMHqDivw0
>>684
【機関銃のように掛けられる言葉に、男はより眉を顰めた】
【目の前の男の存在は、まるで喉につっかえた異物のように、この場にそぐわない】
【それはともすれば軽薄にも見えるほどに、落ち着かない様子を見せていた】
【どうにも、言動が読めない――読めない上に力が在りそうと言うのはとにもかくにもタチが悪い】

ニートは仕事じゃねぇよ。
槍ブン回して平和主義を気取ってんじゃアリマセン。
オマエ、だって俺から獲物を掻っ攫うつもりだったろう?

大した理由なんざなくても、そうするつもりだったんだろう?

"面白ければ"――そういう退屈そうなツラ構えだぜオマエ。


【だから、その姿を一目見た瞬間に、男は拉致した者達を撃ち殺した】
【目の前の気紛れな男が、例えばそう、狂信者の血とやらを回収するために】
【襲い掛かって来れば、目論見はご破算だ。あろうことかこいつらを守る、なんて立場でこの男と戦わなければいけなかった】
【そんな茶番に興じるつもりは更々になく、果たして今の状況を作ることで、"平和的な話し合い"ができている】


知る訳がねぇさ。俺は錬金術師とやらじゃあないんでね。
まぁ、今なら殺したところで、蛇神教のせいにできる。他の組織に睨まれずに使うなら打ってつけだろうよ。


【肩を竦める。目の前の男が無辜の人々を実験に使うような相手なのかは知らないが】
【仮にそうだとしてもどうでも良いこと。逆に開放したとしても、然程目的と違わない】


知らんのに来たってのは本気で野次馬かよ。
まぁ、構わんがこんな場所から出て行くところを連中に見られたら、お前も目をつけられるんじゃあないカネ?


【わざわざ脅すようなことを言う。目の前の男ならばかえって喜びそうなものだが】


693 : 三枝双葉 ◆KWGiwP6EW2 :2018/06/20(水) 22:41:54 WMHqDivw0
>>690
【なるほど、粗暴な友人!確かに!】
【ほんの何度かの言葉を聞いただけで、納得してしまうくらいに雰囲気が異なる】


ち、チビスケって……


【そんな変わらないじゃん、と毒づく前に、一瞬だけ現れたアウトローの女は消えてしまった】
【二人の少女が壁を蹴って、屋上へと辿り着く頃には、既に白磁の少女はその姿を取り戻している】
【しがみつかれると、何だかドキドキする――ヘンな趣味はないのだが、この少女の様子が儚過ぎるのが、きっと原因】
【ひとまず距離を取った。チンピラ達もこれで諦める訳でもないのだろうが、高所を取っただけでも十分有利に立ち回れるだろう】


……ホントにお口の悪いお友達だったね。
アクロバットとか習ったことないけど、これも真似っこって言うか。
何か、力を使ってる時は色々思い切りが良くなって、できるような気になっちゃうんだ。

【失敗しなくて良かった。今になってハラハラとした気持ちを抑えるように胸をなでおろした】
【ひたすらに感心されているようで、いつも綱渡りばかりなので、気後れする――少女は余り自分に自信が無さそうだった】


役者って言うならあなたの方がよっぽど似合ってると思うよ。見た目にも華が有るしさ。
さっきの友達も含めて。


【さっきの友達は演劇って言うか、ゾンビ映画の主人公染みていた。そんなこと言ったらまた怒られてしまうだろうか】


何か一つって――

【そんなの良いのに、と呟き掛けてから、唇に指を当てて、少し思案した。いや、そんな場合じゃないんだけど】


じゃあ、さっきのお姉さんと、もう1回挨拶させて。
さっき一瞬しか見えなかったからさ。

【そう言って、今度はどこに逃げるべきか思案する。ビルからビルに飛び移るか、それとも――】
【ちらりと、意見を求めるように少女を横目に見る】


694 : ◆S6ROLCWdjI :2018/06/20(水) 22:51:33 WMHqDivw0
>>691

【入るためのルールっていうか、もう他人を「入れる」ことがほとんどない部屋だったから】
【なにもかも無視されていくなら、白いキャンバスの上にびーっと、無責任に線を曳いていくような】
【ある種の快感が伴ったかもしれない。そういう趣味がないならなくていい。……シーツに皺がよっていく】

…………かえでさんのせいだよ。車酔い、……まだクラクラするの。
車乗るまではぜんぜん元気だったもん……ひどいよ、アナタの運転。このさいだから言っとくけど。

【皺の中心で彼は少しだけ笑っていた。口は悪態ばっかりついているのに】
【何故か「ムリフェン」って呼ばなくなった。なんとなくそういう気分だったから――咎められたら、直すだろうけど】
【そばに居てくれたらなんとなく安心できるような気がした、らしい。ばかばかしい。……こんな場所で、そんなこと】

大丈夫、かなあ……うん、大丈夫か、大丈夫かも。
……大丈夫だよね。だってボクたち、選ばれたんだもん。蛇神様に。

【「きっとしあわせになれるよ」 ――抱き締められたら、何故か今日は拒まなかった。肌のふれあいを何より嫌うこの少年が】
【それどころか、縋りつくみたいにして少女の服の胸元を握る。皺をつけるように――これも怒られたら、やめる】
【そうしているうち、彼はちょっとずつ息をなだらかにしていくだろう。眠たい。それに負けちゃう、こんなにも簡単に】
【――――寝顔だけは。黙っていれば、とことん愛らしい少年だったけど。目を覚まして口を開けばまたなにか悪態を吐く】
【そういうイキモノだった、破崎雨竜は。……でも寝ている間はとても大人しいから、本当に今のうち、なんでもできる】


695 : ◆XLNm0nfgzs :2018/06/20(水) 23:08:10 BRNVt/Aw0
>>686

【作業をしながら相手の話を聞いて、整理していく】
【相手が鈴音からたんぽぽを任されたのが一ヶ月以上前。姿を消す本当に少し前、なのだろうか?】


あはは、つがるん、かぁ……そういえばあだ名とかつけられたの初めてかも

──へぇ、じゃあサーペント・カルト……

……えっ!?
【そうして相手が鈴音の居場所を告げれば作業に集中していたのかさらっと聞き流しかけて】
【その直後に驚いてモップの柄を離しかけて慌てて掴む】

サーペント・カルト……
……やっぱり、私の予想はあながち間違ってなかったんだ……

結構深いところ、ね……夕月ちゃんは鈴音ちゃんが『何』なのかっていうのは?
【はぁ、と深くため息を吐くと彼女はモップをかける手を止め、夕月をじっと見る。白神鈴音は何者であるのか、それを知っているか、と尋ねて】


……たんぽぽを手伝ってくれ?


うん、いいよ
【そうして相手がたんぽぽを手伝って欲しいのだと切り出せば少女はすぐに頷く】

……というより元々そのつもりだったんだよね
鈴音ちゃんがまだ此処にいる時にね、色々片付いたらたんぽぽを手伝わないかって言われたの
まあ料理なんて下拵えくらいしか出来ないからもう少しだけでも色々出来るようになっとこうかなって思って……そうしたらいざたんぽぽを手伝う時に鈴音ちゃんも助かるかなって
だから此処で料理の練習してたの
【……まあ、色々と考え事しちゃってて気分転換に料理の練習でもしようって思ったのもあるけどね、と笑って】


696 : ◆S6ROLCWdjI :2018/06/20(水) 23:30:22 WMHqDivw0
>>695

……鈴音はね。神様だよ、……祝福するほうのじゃなくて、祟るほうの神様。
なにもかも嫌になっちゃったんだって、……ニンゲンのこと。嫌いになっちゃったって。
それくらいたくさん、……ひどいことがあった。この世界に。だから……

【「鈴音、帰ってきてくれるかどうか、わかんない」。項垂れてそう言うけれど】
【次の瞬間にはぐっと顔を上げて。つがるの顔をしっかり見て、はっきり言うのだ】

……だから。あたしはここを潰さないって決めたの、鈴音のために。
どれだけひどいことされたって、つらいことあったって、それでもここだけはって。
想ってた、鈴音の気持ちだけは誰にもバカにさせない、潰させない、絶対ここに残しておくの――

――――そのためにだよ。つがるん、手伝って……って、いいんかい!

【あまりにもあっさり承諾されたから。ちょっとずこーってなりながらも】
【頷いてくれるならそれ以上に嬉しいことはない。ん、って頷いて、手を差し出す】
【握手を求めるポーズだ。……怪我した方の手でやらせないよう、気遣って】

なーんだ、そんなら話は早いや。あたしも料理ほとんどできないけど、
なんとかなるって多分。大丈夫大丈夫、……だから、ネ。

あたしは鈴音がきっと帰ってくる、ってほうに賭けてるから。
それが叶ったときにここがボロボロになってたら可哀想でしょ? だから、一緒にやろ。
やろ、っていうか……助け合おうよ、お互いにさ、……鈴音のためにも。


697 : 名無しさん :2018/06/20(水) 23:47:58 ir/hUDp20
>>694

【真っ新なものを穢す感覚。それは処女に娼婦の服装をさせるのに似通う背徳、けど、――少なくとも今そういう気分では、なかった。それに、そもそも多分あんまり好みじゃない】
【それでも張り詰めるようなシーツがくちゃりと歪むのは何か取り返しの使いことをしてしまったような気持ちにさせる、かすかな罪悪感、――に似たもの、感じさせ】

そうですか? 分かんないです、私はかなり元気ですよ、三半規管が激よわなのでは?
……まあ、いいです。サーバントなら吊るしてました。じゃあ次は気を付けますね。とりあえず法定速度守ればいいですか?

後ろから煽られそうなんで、嫌なんですけど――――。

【いつものような覇気のない彼は。なんだか濡れてしまった猫みたいだった、気高い血統書付きの猫。いっとう気が強くて、つんと澄ましていたのに、お風呂に入れちゃったみたいに】
【名前で呼ばれることに彼女は怒ったりしなかった。そうして言っているのは多分本音に近いのだろう、それより問題はブレーキの荒さである気がしたんだけど】
【――それでも。もしも次があったなら。割と安全運転してくれるはずだった。多分彼の意識がある限り二度目は、なさそうだけれど――多分無いと思う。けど、一応】

――――そうですよ。我らこそが正しく善い行いをしているのです。白神鈴音、のことは、正直よく知りませんが。あのCMの服ヤバくないですか?
予算切れのAVかよって感じでしたけど。――私たちだけが正しいんです。だからね、大丈夫ですよ。……まもなくウヌクアルハイ様が受肉されます、もうすぐです。
その日を共に迎えましょう、雨竜さん。眠りますか? もう、仕方ないですね――。

【ゆるりと撫でる指先はきっとひたすらに優しかった。背中を撫でおろすようにしてやって、時々、とんとん、と、あやすようにもする】
【胸元をぎゅうと掴まれても文句は言わなかった、――何も言わない。けど、きっとひどく暖かくて慈しむように柔らかいのだろう、埋もれたなら何もかもうやむやにされるよう】
【"求め"られるなら別に構いやしなかったけど、とは余談ながら、相手が眠ってしまうのを彼女は邪魔しない。かえって寝かしつけようとするみたいに、吐息すら合わせて】
【他人の体温に包まれて、他人が呼吸するときの揺らぎさえ、気づけば重なって。きっとどこまで純粋な優しさからくるもの、やがて眠ってしまえば、そのままベッドに横たえ】

【――――起きたなら、きっと、机。……っぽいところに、いくつかのもの、置いてあるだろう】
【個包装されている菓子パンとペットボトルの飲料だった、――どちらもどれにするか迷ったのか数種類ずつ置いてあったなら、なんだかごっちゃりと】
【それ以外にもパウチタイプのゼリーとか。とにかくメッセージを探るとしたなら、たぶん、"なんか食え"。おかゆとか、手料理は、――きっと嫌がる、だろうから】

【本人はもう居なかった。なら――部屋は、うんと、うんと、うんと、静寂が満ちて】

【(もしそのあとにでも、彼の、気が向いたなら。――気が向いて、運び込まれたはずの少女たちのその後を、確かめたなら)】
【(――――ひどいありさまだった。**され、*を*がれ。*を*され。**を*り*され。**を*り*とされ。それを*に*め*まれ――)】
【(――特にひどいのは少女が"能力者"だと言っていた少女であった。生きたまま――(検閲済み))】

/おつかれさまでした!


698 : ◆XLNm0nfgzs :2018/06/20(水) 23:56:28 BRNVt/Aw0
>>696

神様、かぁ……
末裔なんだって聞いてはいたんだけど──
【本当の神様になっちゃったんだ、とつがるは呟いて】

人間が嫌になった、ね……
それだけ辛かったんだよね、きっと……
不穏な奴に目をつけられていて、そいつにたんぽぽの子供達を人質に取られていたって聞いた……他にも色々あったのかもしれないけれど……

でも、祟る神様、か……
【つがるは俯いて、ぽつりと呟いて】
【そうしてから再び前を向く】


【告げられる夕月の意思。帰ってこられるかは分からない、けれども彼女の作ったたんぽぽだけはって】
【真面目にそう話して、それで不意に相手に水を差された形になってずっこけて】
【それでも、手を差し伸べる。協力して、と】

うん、一緒に頑張ろう!
そういうの、一人より二人の方が絶対良いんだから!
料理も……ちょっとずつ覚えてけば良いし、うん

──鈴音ちゃんが帰って来てくれるかは私にも分かんない
でも、私や夕月ちゃんやたんぽぽの子達以外にもあの人を待ってる人はいるから
だから、信じなきゃいけないよね、帰ってくるって!
その為にも此処は残しておかなきゃいけないし──
【つがるは夕月の手をとる。そうして握手して】

──それに、そうじゃなくても私達がたんぽぽの子供達の事守らなきゃいけないし


699 : ◆S6ROLCWdjI :2018/06/21(木) 00:02:00 WMHqDivw0
>>697

【すう、と眠った夢の中――――誰か大人の女が出てくる夢を見ていた】
【笑ってくれる。嘲笑ではないやつで。それで此方に手を伸べてくれるから】
【嬉しくなって此方からも手を伸ばす、――――そこで気付く、手袋、してないってことに】
【それどころか上半身、半袖のTシャツ姿だってことにも気付けば。なんでボクこんな格好、って思ったけど】

【 伸ばされた手の柔らかさがとても心地よかったから。もうなんかどうでもいいやって、思って 】


――――――――お願い、■■■■て……。


【これは寝言だった。途中がむにゃむにゃって濁る聞きづらい音で、……それでも何かをお願いしていた】
【何を、誰に。蛇神様に? 蜜姫かえでに? それとも、…………それらすべて何もわからないまま、一時は過ぎて】



【――――起きた。机の上に置いてあるもの、見てそれで――思いっきり眉間に皺を寄せる】
【あの女を部屋に入れてしまった。それでさらに中で好き勝手させてしまった。さらには、触れてしまった】
【そこらへんまるっとひっくるめて後悔しているようだったけど――手袋、ちゃんとしているのを確認したら】
【ペットボトルに手を伸ばす。口を開けて、二口三口飲み込んで、吐息が漏れた。……まだ生きてる、生きてるから】

【(かえでのトモダチの行く末は、……見なかった。見たらなんだか、「異端」の言葉を吐いてしまいそうな気がして)】


//長いことありがとうございました、おつかれさまでした!


700 : ◆S6ROLCWdjI :2018/06/21(木) 00:09:27 WMHqDivw0
>>698

……ちょっと待って、人質? それ初耳なんだけど。
やだ、それ……聞いてない、誰にそんなことされたの。……カルト? 違うか、
じゃあなら……「円卓」か、「黒幕」? ……ふざけたことしてくれんじゃん、クソ。

【それを聞けばぎょっとした顔をする。「たんぽぽ」に出入りしている割に、それは知らなかったらしい】
【険しい顔で犯人の目星を付けようとして――新しい単語がふたつ出てくる。つがるも知っているものだろうか】
【ち、と舌打ちして、それから――――頭を振った、わからないこと考え続けても仕方ないって判断】

ん。そのとーり、……マジで一人じゃ回せないよこんなの。
鈴音は今までどうやってたんだろうね……こんなの、ひとりで。
ずっとずっとひとりでやってたんだ、……もっと早く、気付いてやればよかった。

守るってのも――うん、了解。てゆーかそれマジで寝耳に水だったんだけど。
そんなヤバいことなってたんだ……ね、つがるん。その子供を人質に取ってくるってヤツ。
他にそれを知ってる人っていないの? あたしたちだけで守れるかどうか、わかんないし――

【「そこらへんの協力も誰かにしてもらわなきゃじゃん」。またちょっと険しい顔をして、聞く】
【手伝ってくれる人のアテは、ないわけではないけど――忙しそうだったし。承諾してくれるかはわからない】
【ちょっとだけ渋い顔になった。せめてどんなヤツが敵なのか、わかればいいけど――そんな顔して】


701 : ◆XLNm0nfgzs :2018/06/21(木) 01:01:50 BRNVt/Aw0
>>700


【相手がぎょっとした顔つきになれば彼女は、頷いて】
【話している間に掃除も粗方済んだようでバケツやらを片付けに行って】
【戻ってきたならホールの方へ。カウンター席について、夕月ちゃんもこっちおいでよ、とばかりに目で合図して】
【ついでに頭に被りっぱなしだった水色のバンダナに手をやって、考える事数秒。えいやとばかりにそれを取れば】
【その下から出てきたのは彼女の髪と同じ色の猫の耳。どうやら着けているのではなく生えているようで】


……うん、人質
『円卓』と『黒幕』は何なのかは分からないけど……
そうだね、情報をくれた人は

──『婦警』って言ってた
【はっきりと告げられた言葉。婦警、そう言われて思い浮かぶ人物がもしかしたらいるかもしれない】
【とはいえつがるはそれを知る筈もないので、見かけたら分かるような奴だって聞いたけどどんな姿かは教えてもらってないんだよね、なんて呟いて】

【たんぽぽの話になれば、そんなに大変なの!?と目を丸くする】
あー……でも相手は子供だもんね……大人しく待ってらんないもんなー……こう、自分がもっとちっちゃい時の事思い出しても……
【けれどもすぐに納得したように苦笑して、頑張ろ……なんて呟く】


その事実を知ってる人か……
私にそれを教えてくれた人がいるにはいるんだけど他に誰が知ってるかまでは……
【肝心な所頼りになんなくてごめんね?とつがるはすまなそうに頭を下げて】


702 : ◆S6ROLCWdjI :2018/06/21(木) 01:28:13 WMHqDivw0
>>701

【促されて座るカウンター。そこでつがるが「耳」を晒したなら】
【一瞬だけびっくりした、みたいな顔するだろうが――それだけだ。「ひとでなし」などいくらでも見てきた】
【ついでに言えば彼女自身、そうだし。……そういう話は置いておくことにして】

…………はァん、「婦警」。ならそれは――「黒幕」だ。
そーいうことやるんだあいつら……ふざけてる。……ほんっと、ふざけたことばっか……

【噛み締めるように言うのは、怨嗟の言葉。彼女自身が直接被害に遭ったことはないが】
【近しい人が何人か、「黒幕」の餌食になっている。ひどい怒りを覚えた。完全なる敵対を決めるくらいに】
【でもそこらへんの話はここらで終わるだろう。たんぽぽの話になれば、うん、と頷いて】

超大変。ヤバいんだよネ、子供たちなんっも言うこと聞いてくんないし……
こないだ本当にヤバかったときは二人手伝ってくれた人もいたけど、それでもすごかったもん。
……鈴音、すごいよネ。ほんと今、そう思う――――

【頑張ろう、という呟きには頷きを返して。頬杖をついて、ちょっとだるそうな顔をする】

……んーじゃあ、教えてくれた人ってのは誰? その人伝いになにか連絡してもらえるかも――


703 : ◆XLNm0nfgzs :2018/06/21(木) 01:56:12 BRNVt/Aw0
>>702

【耳を晒してみせた自分に一瞬だけ驚く夕月。そりゃあ驚よなぁ、とため息を吐きかけるが、ただそれだけ。ちょっと驚かれたくらいで終わったのに気付くと目を瞬かせて】
【あれー……?なんて小さく呟くのだが、すぐに「まあ鈴音ちゃんの"事"も知ってるし、大丈夫なのかな」と納得して】


『婦警』……が、『黒幕』ね
つまり、えぇと……その陣営が鈴音ちゃんを狙っていた?
その辺り大分疎いから分かんなくて……
【ある程度は情報を集めとこうとはしてるけど、とつがるはため息を吐く】
【思い返せば『黒幕』だの『円卓』だの、そういう真相に迫るような陣営の事など知らなくて】
【ただ闇雲に『パトロン』だとか『機関』だとか『特区』だとかの噂を集めるばかりな気がする】
【私ってば何も分かってないんだなぁ、とまた呟いて】

えぇ……やっぱりいう事とか聞いてくれないんだ……もっと早くにUT行ってれば良かった……
【そしたらもっと早く夕月ちゃんの事手伝えたのに、と言って】

教えてくれた人、かぁ……
厳島さんって人
えっとね……水の国の記者さん、だったかなぁ
【宙を少し睨むようにしてから答えるのは一人の名前。奇しくも夕月が鈴音が神に成ってしまったのを垣間見た際に同じ場にいた人物の名前で】
【少し言葉を選びながら続けるのは恐らく彼の職業、なのだろうか?】


704 : アレクサンデル・タルコフ ◆ZJHYHqfRdU :2018/06/21(木) 03:36:55 IBKicRNQ0
>>689
【情報を知らなかったわけではない。可能な限り調査した範疇では、パグロームは基本的に単独で活動しており】
【そうでありながら、人数を集めたカルトをいくつも壊滅させている】
【ならば、集団相手に一人で戦うことに慣れている。そう考えるのは自明であった】

【だが、それ以上に。司祭の能力で形作った視覚には映るのだ】
【『泥の街』で彷徨っていた頃に、培った危機意識が叫ぶのだ。この男は強い。数で挑んでも歯が立たないと】


ええ、その通りです。あくまで私の、そして我々の信仰の問題です
平たく言えば、やりたくてやっているのですよ。誰かに利用されていようと、その誰かが我々を使い捨てるつもりだろうと
そんなことは、些末な問題です

私としましては、貴方がそこまで蛇教のことを見抜いていることの方に驚嘆致しますよ
蛇教の秘匿性も、貴方の目にかかってはガラス張り同然のようですなパグローム殿

貴方の所属する組織の力なのか、数多くのカルトと戦ってきた貴方の経験がそうさせたのか、その両方か
それはわかりませんが……やはり、貴方は恐ろしいお方だ

【狂信者の弱みは、縋っていること。自分以外の誰かに、一番肝心なところを委ねてしまっていることだ】
【ゆえに、その核となり得る依存先を潰されれば、あっけなく崩壊する。恐らくは、パグロームと言う男はその専門家というべき手腕の持ち主だ】

【だからこそ、蛇教の孕む欺瞞を見抜き。司祭とその配下たちの在り方をも見抜くのだろう】
【確かな狂信を抱きながら、その行動、その精神においては己自身を頼みにするという、ある種矛盾した、それゆえに厄介な本質を】

【そうであるがゆえに、マルフィクは敵であるパグロームに敬意を払う。同じ己を核とする者として。強固な自我を持つ者として】
【この新世界でぶつかり合う、一人の戦士として】


貴方から、信仰を本物だと認めていただける。信徒として、この上ない栄誉ですな

……私も貴方を理解できます。よくわかりますとも
お互いの譲れない真実が、絶対の価値観が同時にある時、決して避けられない事態です

ああ、本懐ですぞパグローム殿……ぶつけ合おうではありませんか、譲れぬもの同士を――――!!

【統制が効いたサーバントたちとはいえ、流石に眼前に現れた大量の爆発物を見て顔色が変わる】
【動じていないのはマルフィクのみ。司祭は、右手の蛇を掲げてサーバントたちに合図を送る】

葬儀屋も兼務されているとは、多才なお方だ! 私サイズの棺桶の特注が間に合えばよろしいのですが!!

【似た者同士の戦いが高揚をもたらしたか、普段は私情を表に出さない司祭が呵々と笑う】
【その身を、足から噴き出した大量のエネルギーが覆い隠す。幾人かのサーバントは間に合わずに吹き飛ばされるが】
【司祭の合図を受けて、いち早く退避した者たちは司祭の防御の恩恵に預かる】

ぬぐ――――!!!
『ぐあああああああ!!!』 『がふっ――――!!』

【が、無傷で済むはずもない。抑えきれない爆風と破片が施設の壁際にまで狂信者どもを叩きつける】
【絶命した者、倒れ伏す者、負傷した者、数々いたがまだ生き残りのサーバントたちもいる】
【先ほどよりも多くの血を流しながら、なおも浮かび上がる司祭が、それら残ったサーバントらに号令を下す】

【サーバントたちは一斉に取り出した銃を構え、爆風立ち込める施設内に所かまわず乱射した】
【閃光と爆風、それが巻き起こした粉塵と煙幕により、パグロームの居場所はわからない。ゆえに、弾幕を張る】

【これで当たるならよし。それが無理でも、何らかの音や気配があれば逃さない。あぶり出すための銃撃だ】
【司祭は、じっと施設内に目を凝らし、神経を研ぎ澄ます。パグロームを感知すれば、即座に反撃に移れるよう、備えながら】


705 : セアン中身 :2018/06/21(木) 09:09:59 8blO4Or20
>>692

【男に凄い勢いで言葉を掛けると元々険しかった眉間が更に険しくなった】
【改めて観察するとこの男、思ったよりもやり手と言う事が分かる】
【しかも今は辛うじて言葉遣い以外は穏やかだが敵に回ったら何をしてでもこっちを仕留めてきそうで大変怖い】

ニートが仕事じゃねえのは知ってるぞ?幾ら世間知らずの俺でもな。
いいじゃねぇかよー!だってココ壊れても困る奴なんか居ねぇだろ?
そっ…そんなことねーし!!人聞き悪いぞーー?初っ端からニート呼ばわりした俺も大概だがよ。

何でわかるのかねぇ?折角大袈裟な反応をして紛らわそうとしてたのによ。
あぁ、お前が言った通りに俺は面白い事が大好きだよ。

【悪いか?と付け足しニヤニヤと笑う】
【目の前の男が何かを考えている間は退屈なのか槍を創ったり消したりして遊んでいた】
(自分で言うのもなんだが俺は大分気紛れだぞ。さぁて俺の気まぐれに付き合ってもらおうかな)
【心の中でニヤリと笑う】

まぁ、見たところ同業者じゃねぇってのは一目で分かるぞ、だってあんた如何にも殺し屋って風貌してんじゃん。
そうだな、最近は材料仕入れて無かったからな。思い付きで言ったけどやっぱいいじゃんアジト潰し!!

【可愛い顔してこの男。実は結構な外道である、だが目の前の男はその様な事は気にしなさそうだ】
【無意識のうちに外道な発言をしている時も、考えてる事は今日の晩飯何にしようかな。とか考えてるのであろう】

野次馬じゃねぇし、横取りと言う明確な目的を持ってココに来たんだよ。
目をつけられるって事は、材料が彼方さんから来るって事だろ?

【ニヤニヤと気持の悪い笑みを浮かべる】


706 : 兼愛 信生(けんあい のぶき) ◆xgsUYuhzWc :2018/06/21(木) 09:23:56 Lxd3YeZA0
>>688

【次々と流れるように耳に入ってくる、その祈り。信生は驚く】
【──サーペント・カルトの〝ムリフェン〟。彼女がそのようなポジションである事を理解して】
【それは名称?別の立場だという事?──と、推測していたところで】

【無論、この場でふざけてる場合ではないのだが──頭の中に思い浮かぶのは果てないカルマと曼荼羅】
【少し顔が強張って来てしまう、慌てて口元を押さえ咳をするフリをして、笑い直して誤魔化した】
【目がグルグルと渦を巻き、何か返答しなくてはと絞り出した返事は】


──す……すごいのだな。ウヌクアルハイ様は


【「舐めとんのか」と言われてもおかしくないようなシンプルすぎるものであった】
【反射的に小学生並みの感想を伝えてしまってから、渦巻き思考から復帰。我に帰る】
【……思想の違いを、ひしひしと感じた。真面目な語り口といえど、信生は──理解出来なかった】

【彼女達の中で抱いた偶像、ウヌクアルハイ〟。その為に殺人や誘拐を犯すのは頂けないのだが】
【ウヌクアルハイは彼女達が救われると思ってる慈悲。優しさ、……夢中になる相手、忠信する相手】
【──まるで】


【──】

(……いや、〝恋〟と〝崇拝〟は、違うんじゃないかな)

【──頭を冷やしてから、人懐こい笑みで微笑みかけた】
【かえでは──やはり、母親が作ってくれた、出来立ての柔らかなお菓子みたいな暖かさを信生は感じる】

(──愛、か)

【この目の前の少女も、普通に笑うと、愛らしい少女も】
【きっと陽の光の下に居たら、友達と笑いあってたかもしれない、薄い色素の髪が太陽に透かされたかもしれない〝蜜姫かえで〟も】
【非道な行いを繰り返している。祈る為に、──それは余りにも儚くて、少し、悲しくなった】

【それも、ウヌクアルハイから信者へ】
【信者からウヌクアルハイへ】
【返し返される、愛だ】


……カエデちゃんは毎日、ウヌクアルハイ様の為に頑張っているのだろう?
それはきっと、ウヌクアルハイ様は見守ってくれてるのだろうから、……で、それはホントすごいコトなのだ

……ワタシは自分の特性を理解していて、そう、結構移り気なのでね
ひとつ思いつくと、もうその瞬間に新しいコトがしたくてたまらなくなってしまうのだよ
期限ギリの案件をぜーんぶ放ったらかして、突拍子も無くバカンス行ってスキューバダイビングとか!
その辺りは結構アウトドアでね、講習時点で1cmも潜れなかったが

だからこそワタシは科学者になったし、多分ひとつのコトに対して真面目にひたむきに出来ない
でも、ワタシはそのワタシもスキで、変える気持ちもあまり無くて
──そんなのすごく、何よりワタシ自身が、ウヌクアルハイ様に失礼だと思う

最初から入信しない、という選択肢を選ぶからこそ、
──すごい神様なのだから、ワタシもまた、そうやってウヌクアルハイ様を大事にしたいと思うのだ

でも、ワタシもせっかくだし、ちょっとした時に、ウヌクアルハイ様を感じたいと思う!
キミが伝えてくれなければ、ワタシはその知見を得なかった!ありがとう!

【と、入れなくても良いのだが──また断りを入れる】
【誰が聞いても詭弁だった。とはいえ一度理解してもらってる為に、信生自身は話しやすかった】
【閑談程度に自分のコトもまじえて、それでも否定はせず、「自分もいつか頼るコトになるかもしれない」と笑いかけた】
【意味の無い補足ではあるが、無論本当にやりたいコトはきちんと一貫している。しかしそれは伏せる】

/続きます


707 : 兼愛 信生(けんあい のぶき) ◆xgsUYuhzWc :2018/06/21(木) 09:24:27 Lxd3YeZA0
想いや祈りはカタチになる、と良く言うだろう?
きっとみんなが幸せになる日も、短距離走級の駆け足で来るのではないだろうか!?
ウヌクアルハイ様はきっとカエデちゃんを見てくれてるし、カエデちゃんはその為に頑張ってて偉いのだ!

それは──それは、とても大事な神様なのだから
ワタシは否定しないから、キミは自分の思うままに、スキなコトをするべきだ

【──サーペント・カルトがしている行為は壮絶なモノだ。とはいえ、
【無責任な後押しをする。それがどうなるかは、──どうなったとしても、信生はやはり責任を取れない】
【本当の意味の無責任のモノ。──ただ、そうするコトが】
【立場の違うお互いがある程度理解しあって、歩み寄る為の一歩だと思ったから】

【──そっと手を伸ばして、無論悪意無く、彼女の頭を撫でようとする】
【「偉いなあ」って嬉しそうに、にこにこと微笑みかけて、もし拒否されたとしてもおとなしく離す筈で】

──

【そしてその問いかけに、目を伏せた】
【やや惑ってから──話し始める。先ほどとは打って変わった、暗い面持ちで】

……そう、そうなんだ、……しばらく裏の世界に半歩だけ突っ込んで分かったのは
彼女はそれなりの知名度の、悪業をする、研究者であったコトで
……ワタシの、トモダチなんだ、また会いたいから──

──ワタシが彼女の〝研究〟に驚いてしまったばかりに、その態度で否定したばかりに、彼女を傷つけてしまった
……どのような研究だったかは……言えない……


……謝りたいんだ。どうしても。ダイスキだから、許して欲しいんだ
また一緒に居たいよ、て言いたいだけなんだ

移り気な筈のワタシが、こんなにヒトを探したいって思ったのは、

【「初めてなんだ」と呟いた。そこでかえでの美しい瞳に対して、目と目で見つめあった。そして続ける】
【「その為なら、ワタシの顔も、立場も、体も、どうなっても構わない」──守るべきモノ以外、周囲の命以外】
【誰かに迷惑を掛けず、己を犠牲として払い、それでも自らは堕ちず、清廉潔白なまま】
【会いたかった。ワガママでも】

【かえでのように、信じていればいつか】

──カエデちゃん、ワタシは、
また会えるかな。ミアと……

【ふと、弱音を漏らした、──カエデに縋っても意味が無いのに、迷惑なだけであるのに】
【少々自信を失っていたために──問いかけた。その執着を】


708 : ◆jw.vgDRcAc :2018/06/21(木) 14:59:45 5HmmWNbk0
>>657

ううん、いいのです。気持ちはよく分かりますもの。……それに。
……自分の事以外でそうやって怒ることが出来るのは、きっと貴女の心が優しいからなのでしょう。
必要以上に熱くなることはありません。でも……その、誰かを強く想う心は、とっても尊い物です。
その心は捨てずに、大切にして下さったら、私も嬉しいですっ。

【一言添えて、落ち着いてくれたのを見ると……もう一度、そっと微笑む。抱いた怒り自体は悪い事ではないと、伝えたくて。】
【感情的になってしまって判断力が鈍るのは、良くはない。良くはない……が、他人の為にそれだけ熱くなれるのは】
【彼女がそれだけ他人の事を想える人であるという事に他ならない。自己中心的で傍若無人な人ならば、こうはならない。】
【必要以上の怒りは要らない。けれど……その、他人を想える心自体は、きっと彼女に欠かせない物だろうから。】

【そして、せっかくこうして繋がった縁だからと、連絡先を交換……するところで、何か不具合があるらしい。】
【聞けば、盗み見される可能性があるのだと。全く、プライバシーも何もあったもんじゃない。どうなっているのだ、最近の世の中は。】
【確かに、それはとても困る。事が事だけに、メールを盗み見する気でいるような悪意ある外部に、連絡が漏れては危険だ。】

うーん……。という事は、普通ではないやり方で、連絡をしなければいけないという事ですね……?
……そうだ!少しお待ちくださいな。

【そう言うと、自分のメモ帳と手ごろな新品のメモ帳をカバンから取り出して……何かしらの魔術を掛け始める。】
【他人には解読できない言語を呟きながら、同じく他人には読めない文字を、両方のメモ帳の表紙裏に書いて。数分後、全ての作業が終わったらしく】

……これでよし、と。
夕月さん、このメモ帳を貴女にお渡しします。連絡したい事があれば、これに書いて下さい!
これに文字を書けば、同じ文字が私のメモ帳にも書かれるようになっています。……ほら、こんな感じに。

【分かり易く見せるように、二つのメモ帳を机の上で開いて、片方に「てすと」と書く。丸っこくて可愛らしい筆跡。】
【すると、もう片方の頁に、同じ筆跡で同じ文字が浮かび上がる。難しい操作は要らず、ただ書くだけでいいらしい。】

詳しい説明は省きますが……えっと、転移魔術の応用的なアレで、このメモ帳と私のメモ帳をリンクさせたんです。
私独自の暗号化を用いてるので、解読されることはほぼ無いかと思います。何かあれば、活用してください!なくさないで下さいね?

【意外と器用な一芸を見せたところで、その仕掛けを施したメモ帳を手渡す。アナログな手段だが、連絡には事足りるだろう。】


709 : 名無しさん :2018/06/21(木) 18:26:22 qGkZLyE60
>>706>>707

――――――はい、それはもう、もちろんです。
ウヌクアルハイ様はとても素晴らしい神様であらせられます、――蛇神というものはだいたいの神話に存在します。
それだけ蛇という生き物は人間の暮らしに近く、そして神秘的で、時として恐ろしく、美しく、気高い――、ウヌクアルハイ様はそれらすべての蛇神を統べておられる。

……ううん、ウヌクアルハイ様はすべての蛇神の本当の姿なのです。すべての蛇のお姿をした神様は、ウヌクアルハイ様がそれぞれかたどった形の一つ一つに他ならないのです。
だから――"すごい"という言葉は間違いなく正しいのです。その素晴らしさをすべて理解するにとても長い時間、正しく学ぶ必要があるかとは思いますが――。
私にもまだ及びません。であればこそ我らは励むのです、少しでも、少しでも、その素晴らしさを知りたいと願うのは、円周率の続きを探し続けるのと似ているでしょうか。

【小学生みたいな感想に、けれど少女は人懐こく笑うのだろう。むしろそれでいいんだと言うように、子供の日記帳を読んだ時にふっと出て来る、笑みのように】
【相手の言葉を聞いた彼女は嬉しそうであった。とても大事なものを褒めてもらった時の顔をしていた。――それはどこか恋慕にも似て、だから、純粋すぎてしまう】

…………そうですか、であれば、無理強いはできません。我らとて嫌がる人間の頭を踏みつけ祈らせるつもりはないのです、それではあんまりに不躾に過ぎる。
自ら頭垂れ祈らねば意味はありませんからね、――はい、ぜひ、そうしてください。あなたが祈ることでウヌクアルハイ様もきっとお喜びになられる。
その祈りが正しく善のもとにあるのでしたら――それはきっといっとうお喜びになられるに違いありません。あなたはきっと正しい善を見つけだすことが出来ます。

その時でも、構わないのです。我らはいつだってあなたを歓迎しますよ、兼愛 信生さん――。

【頭を踏みつけて強いることはないけれど。もしかしたら、その後頭部に拳銃でも押し付けて強いることはあるかもしれないれど。だけどそれも結局自主性に結び付くから】
【――きっかけなんてどうでもよかった。ならばそれはあっさり引いたように見えて本当は全くそうではない、マゼンタ色は変わらず相手をじっと見つめていたなら】

――ふふっ、ありがとうございます。ですが、私の"スキなコト"というのは、ウヌクアルハイ様がお喜びになられる行い、すなわち、ウヌクアルハイ様の"スキ"に左右されます。
そうですね――強いていうのなら、私のスキなコト、は、ウヌクアルハイ様がお喜びになられるコトです。――あなたが私のスキを祈ってくださったように。
私はウヌクアルハイ様のスキを叶えるために生きています。――――ですから、お分かりですか? あなたは。正しい善に。とても近い場所に。おられる。

【――――からん、と、レモンスカッシュの氷がぶつかり合って涼し気な音。それからストローで一口。ミントはもうどこか氷と氷の間でもみくちゃにされてしまって】
【頭を撫でられたなら一瞬わずかに驚いたと思わせるかもしれなかった。それでも藤色の髪は麗しく艶やかで、とてもとてもよく手入れされていると分かり】

――――――――――――――――そうですね、それは、とても、罪深いです。信生さん、あなたは到底許されぬことをしてしまった。
であればその方に謝るだけで本当に足りるでしょうか? 謝ったところで、その方はあなたを許してくださるでしょうか。許してもらえなかったら? 許してもらえたとしても――。
あなたの心はあなた自身を許してあげられるでしょうか。"分かります"。とても不安ですよね? であれば、そういった時こそ、我らが神は救ってくださる。
ウヌクアルハイ様はいっとうお優しい神様であらせられます、全ての輪廻の果ての無上の深淵に居られて、この世界を見ておられます。だから――。

あなたのこともきちんと見ていて、知ってくださっている。どうですか、本来祈りに作法など関係がありません、大事なのは心で、信仰する気持ちなのですよ。
その気持ちがあなたがたを引き合わせるに見合う、相応しいものだとウヌクアルハイ様がお思いになられたら、きっと。――再びまみえることを許されるのでしょう。

【涼しげな声が余計に冷たくなった、絶望的なことを伝えるように、石板に刻み込まれた旧い旧い聖書の一節を読み上げるように、いつかの神を祀るかのように】
【――その声音がそのうちに柔らかくほどけたのなら、表情もまた綻んで。祈るのに作法は要らない。だから、多分、祈れって言っていた】
【――――そうして出会えたなら、心が満ちていたと言える。出会えぬなら、心が足りぬからだと言える。そういう道筋へ誘うかのように、柔らかく、優しい声のまま】


710 : ◆S6ROLCWdjI :2018/06/21(木) 19:41:49 WMHqDivw0
>>703

んんー……そのあたりの話、めっちゃ長くなるからネ、知りたいならちょっと時間貰うけどいっかな。
……そも、あたしに上手く説明できるかもわかんないけど。

【それくらい壮大な話になるらしい。げんなりした顔をして、それでも説明を求められるなら】
【きちんと話すよって表明する。同時にそれは、つがるを巻き込んでしまうことにもなる】
【……だから話すとしたら、すごくしんどそうな顔をして、重大な前置きから始めるだろう】
【「今日までみたいな生活、送れなくなっちゃうかも。それでも知りたい?」って】


いーよいーよ、その代わり今日からめっちゃ手伝ってもらうかんネ。
そだ、鈴音の書いたレシピ集とかあるけど、見とく? ……あんまレシピって感じじゃなかったけど。

……イツクシマ。イツクシマ? んん、なんかどっかで聞いたことあるな……
記者ぁ? ……じゃああたしの知ってる人とは違うかも。うーん、誰だそれ……

【知ってる人、だったけど。彼女の中で彼は「軍人」だった、だから違う職業名を挙げられれば】
【違うなーって思ってポイしちゃう。そこらへんはまあ、仕方のないことかもしれないけど】
【「わかった。とりあえず、記者のイツクシマさんが言ってたのネ。覚えとく」とだけは言っておく】


711 : ◆S6ROLCWdjI :2018/06/21(木) 19:49:44 WMHqDivw0
>>708

……やさ、しいのかな? それは初めて言われたな。
うん、赦さないのは絶対赦さないけど――頭は冷やすようにする。ありがとネ。

【思えば、落ち着くよう諭されたのも二回目だ。奇しくも一回目にそうしてくれた人が】
【マリアと深い仲にある人だった、とは知らないけど。ちょっとした偶然だった、ちょっとした】
【奇妙な縁。自覚には至らずとも、心のうちに留めておくようにして――うなずく】

【それから。マリアがメモ帳に何やら細工し始めたのを見れば――目を丸くして】
【魔術とか、そういうのには疎かったから。ぽかーんと見守ることしかできないけど】
【それは隣に座っている青年も同じみたいだった。二人して、似たような顔晒して、見続けて】

…………えっ? え、うわっ! 字が出てきた!
すごーい、何これっ、魔法? えーっすごい、マリアさんこういうのもできるんだ……
……てんい? りんく……んー、よくわかんないけど多分わかった。書けばいいんだよネ。

【ありがと、と言いながらメモ帳を受け取って。ちょっとだけ、いろんな角度に傾けたり】
【光に透かしてみたりして――わーって感嘆の声を上げたりしていたけれど】
【それも満足したら、ポケットに直す。……あとでちゃんとしたところに直すから、と付け加えたりして】

んん、じゃあこれで連絡網はおっけー。あと何か必要なモノあるかな……
……覚悟はもう、しちゃったもんネ。そこらへんはお互い、――死なない程度にがんばろ。

【最後に、約束。死なない。鈴音のためにも。そういう確認を、取ろうとする】


712 : パグローム ◆KWGiwP6EW2 :2018/06/21(木) 20:19:42 WMHqDivw0
>>704
【異端弾圧部隊■■■■】
【名前も表に出てこないその小さな組織はしかし、全員が異端狩りのエキスパートであった】
【"親"は、どこか大きな母体を持っているのだろうが、この組織の余りに非人道的なやり口に、繋がりを公には出来ず】
【降りて来るのは、装備、資金、情報のみ。主義も思想もバラバラで、ほとんどが単独行動の彼らは組織の中ですら制御しきれていない】
【しかし、それでも彼らは必要とされた】
【神が信仰を創るのではなく、信仰が神を創ることは看過し難い故に――】


【虚数渡りの男、パグロームもまた、その内の一人。狂信者を狩る、狂人】
【故に、もう語り合うことは何もない。ただ、決して交わることのない事実を確かめた後、当然のように殺し合うだけ】


【"マルフィク"――オフィウクスの中に有って、この男は事務方だと思っていた】
【だが、今見せる顔は紛れもなく戦いに身を置く者――生粋の戦士の貌】
【知らず、舌なめずりする。これは少しばかりハードそうだ】


【爆風、炎、鉄の破片が撒き散らされ、周辺のサーバント達を吹き飛ばす】
【これで大半を殺る目論みであったが、当てが外れた。必要以上に近付かなかったことが奏功し、爆風の殺傷圏は十分ではなかった】
【マルフィクは元より、信者達もまだ戦意を失っていない】


【経験の成せる技か――マルフィクの能力は見る限りでは弱点らしい弱点がない。少なくともそれを探る暇はなさそうだ】
【対して男の能力は直接戦闘には向かず、まともな殴り合いになれば、恐らく勝負になるまい】

【だが――この爆風と混乱の渦中こそが、男のホームグラウンド】
【自らの足元で放たれた火薬で爆死したと言う間抜けな結末など想定もしておらず、動きを封じるために弾幕を張るのは見事】
【されど、男の気配は、数秒の間、完全に途絶えている。……潜り込んだのだ。実世界とは異なるもう一つの世界へ】


シィィィィイィイィィィィイィッ!!


【また数秒の後、気配を探っていた司祭は気付くだろう。未だ立ち込める硝煙の中、弾き飛ばされたサーバントの内の一人が、動きを止めた。ゴキリと言う、鈍い音と共に】
【そしてその気配は打って変わって司祭へと接近し始め――】
【信者達の弾幕が集中しようと、お構いなしに突っ込んできた】


棺桶なんざ要らねぇよ――


【徐々に晴れ始めた煙を引き裂いて、投げ飛ばされた信者の身体が司祭の視界を塞ぐように、飛来して来た】

【激突する――?刹那の合間に司祭はどこまでを気付けるだろう?】
【飛んできた死体――否、まだ死体ではない。"消えていないから"】
【だが、首が折られている。銃弾の盾代わりにも使われ、もうすぐにでも死ぬだろう】
【そう、そして――"死ねば消える"。正しくその義眼の写す視界の目前で】
【司祭の異形の身体をすり抜けるように、消える】
【その向こうには――】


デッドエンドだ、マルフィク。


【片手の銃口に仕込んだ対人破壊用の弾丸――それが発射される瞬間が見えていた】
【先程同じ避け方はさせない。狙いは、頭蓋ではなく、手足の無い異形の、中心】


713 : 白桜 ◆D2zUq282Mc :2018/06/21(木) 21:17:10 JY1GydDk0
>>693

【活発に生き生きと動き回っている時の姿と自信無さげな自虐めいた姿が同一の人物の振る舞いに思えず】
【くすり、と笑いを零して表情に柔らかく崩す。華があると評されて悪い気がしなかったのもきっと関係している】

【屋上から自分達を追いかけてきたチンピラたちの姿を見遣ると、思わぬ頼み事に耳を疑うのであった】
【少女の頼み事を耳にして、微かに目を見開き白桜は思う"――…変わった子。そして物好きな子"、と】


……貴女が望むのであれば。けれど、きっと私が振り回した以上にフェイに振り回される事になる。
だからフェイを拒みたいなら、その時は言ってくれて構わないから。


【言うが早く。白桜はこの身体本来の持ち主であるフェイに身体を引き渡す】
【白い髪は見る見るうちに痛んだ茶色に染まり、目付きも雰囲気も刺々しいモノへと変貌していく】
【白桜からフェイに代わるまでそんなに時間は掛からず。少女の問いにはフェイが答える事となる】


おやおや、どういう風の吹き回しだ。このアタイにラブコールとは嬉しいねェ。
もしかして一目惚れしちまったのか?ククッ、このマセガキめ。


【犬歯を覗かせて。人の悪いケタケタとした笑みを介して。からかい交じりの言葉を投げかけながら上着を脱ぎ捨てる】
【すると両腕のトライバルタトゥーが露となり。腰に挿したホルスターから二挺の拳銃を引き抜いて、グリップを握る】
【フェイの一連の行動は、横目から見る少女に自分がどんな人種かを示すように大袈裟に行われた】


屋上にはアタイら。地べたには発情盛んなクソ豚共が。何時までも見下ろすか、どっかに雲隠れするか悩んでんのか?
だったら―――愉しまなきゃ損だろうが。一匹残らず天国までイかせてやるぜ。病み上がりのリハビリにゃ丁度いい。


【フェイの意見はチンピラ達を血祭りにあげると言う気が触れたとしか思えないものだった】
【逃げる場所を探す少女にしてみれば、青天の霹靂とも言うべき事であると思われる。そんな事を平然と言ってのけたのだ】


714 : ◆jw.vgDRcAc :2018/06/21(木) 21:26:49 OX.x04tc0
>>711

【彼女はびっくりしたような、感動したような、そんな反応を見せてくれた。百点満点の、嬉しくなる反応だ。】
【手品を見せたりしたら、いいお客さんになるだろうなぁ……なんて、少しくすぐったそうな表情で微笑みながら】
【まあ、これはタネも仕掛けもありまくりの魔術だけれど。とにかく、これで連絡手段は大丈夫だろう。】
【そうして、自分のメモ帳もカバンの中に仕舞い込んで。これで、大方すべき事は完了したか。】

ええ、勿論。……自分だけの命ではないという事は、誰よりも知っているつもりです。
私も、勿論貴女も。生きている限り、必ず誰かと繋がっていて……死ねば、遺された人も傷つくのですから。

特に、鈴音に「自分のせいで私たちが死んだ」だなんて……思わせたくないですもんね。

【勿論、それは確認されるまでも無く分かっていた。鈴音は勿論、自分には他にも大切な人が沢山いて】
【自分が死ねば、大切な人も傷つく。結婚して娘もいる今、その自覚は以前にも増して強くなっていた。】
【そして、何より―――鈴音を悲しませるわけにはいかない。それは、きっと二人とも同じだろう。】

さ、そろそろ帰りませんと。貴女も私もこなすべき日常がありますし、ね。
お二方、今日はありがとうございました。何かあったら、連絡してくださいな。

……何とか出来るかどうかは、分かりませんが。死なない程度に、頑張りましょう。

【さて。話は長く、そして重要なものになったが……そろそろ、帰らねば。】
【神だとか、カルトだとか。何か現実離れしたような話だったが、そろそろこなすべき現実の日常に戻らなければいけない。】
【席を立って、丁寧に椅子を戻して。ぺこりとお辞儀して……―――貴女から送られた言葉を、そのまま返す。】


715 : ロッソ ◆KP.vGoiAyM :2018/06/21(木) 21:34:46 Ty26k7V20
>>631

ぬるい夜に溺れたファルセットを切り裂くのに3秒も要らないぜ

そいつはいい…ただ、俺の目は誤魔化せない。覚えておいてくれると嬉しいね

【煙草の煙が混ざり合う。同じ香り。小さな火種は其処にたどり着く道筋も、その煙とともに想う出来事も】
【マルボロに対する幻想も異なった2人の今の所数少ない共通点】

「貴方を殺すかもしれない。」

【その言葉に男はまた少しうつむきながら、笑った】
【きっと思っていた答えとは違う答えを彼は口にしただろう】

殺してくれて構わない。

【自殺志願者でも、悲観論者でも権威主義者でもなさそうだったが小さな声でそういった】

鈴音は俺の古い――友人だ。……教祖に近いんだろう。奴らは器だか…そんなような表現をしている。
実際のところは彼女の持った“力”を利用したいだけに過ぎない…

【それについては彼の憶測もあった。そのためすこし言いよどんだ曖昧な様子がわかるだろう】

なんの敵か、痴情のもつれかしったこっちゃあないが、殺すなら殺せ。だが、そっちこそ

「余計な真似はするな」

【しゃがれたブルースは単純なBのコードで言葉を放つ。38口径のように小さくて、それでも凶暴だ】

単純にカルトを潰してやればいいって話じゃない。仲間を助けなきゃならない。…わかってくれ。

…そんなようなカルトの奴には、前に一度あった。…根っこまで蛇に咽まれてるようなガキだったがな。
だが、俺に取っても重要な手がかりだ。

【そうして、彼は一歩、また一歩と前へ歩き出した。貴女の居る、その方向へだ】

【翻るコートのポケットに両手を無造作に入れて、10ホールのラバーソウルのブーツの底を鳴らす】
【歩くたびにパンク・ロックが聞こえてきそうだった。そして―――ふと貴女の横を過ぎ去って】

――――下に降りよう。奴らを追ってきたんだろ?…目指すべきは上じゃなくて、下だ。


716 : パグローム ◆KWGiwP6EW2 :2018/06/21(木) 21:53:22 WMHqDivw0
>>705
【こういう時、煙草でも吸えば少しは気がまぎれるのかも知れないが――生憎喫煙する習慣はない】
【酒も飲まない。男の趣味は仕事だけのようなものだった】
【大した気負いもなく目論見を話す男に、鼻を鳴らして見せる。俺は面白くはない、そういう意図だったのかも知れないが】

ガキじゃアないんだ、人様に迷惑を掛けないようにやるべきだね。
錬金術師が、そんな野蛮な職業だってのを初めて知ったよ。
素材集めに人狩り行こうぜってかァ?


【肩を竦めて見せる。まぁ、実際。最近は魔術師でも武闘派は決して珍しくはないらしいが】
【表情を見るに、集められた一般人に同情するようなハラではなさそうだ】
【別に知ったことではないのだが――】


……まぁ俺としても暴れる奴が他にいるってなァ歓迎だ。
戦力は分かれてる方がやり易いからな。
そんなに力が有り余ってるなら、食い残しなく潰して置いてくれよ。


【男の内心の様子に気付いている風ではない。もう用事は済んだのだから長居する意味もないだろう】
【横取りが目的だったと言われれば余計に渋面になって】


見たことか。殺っといて正解だろう?
今度は邪魔するんじゃねぇぞ。手をつけてないアジトの方が実入りは有るだろうからな。


【両手を上げて見せて、歩み始める。立ち話はもう終わり、と言う意思表示か】


717 : ◆S6ROLCWdjI :2018/06/21(木) 22:01:53 WMHqDivw0
>>714

……うん。鈴音のことだもん、絶対そーいうこと言うよネ。
「わたしのせいで」みたいなの……あーいうのやめさせなきゃ、……戻ってきたら。

【戻ってくることを信じているからこういうことが言えた。ちょっとだけ、笑ってから】
【マリアに追従して、二人とも立ち上がって。きっちり頭を下げることだろう】
【見た目どおりチャラチャラしている子たちだったけど――こういうところはなんだかんだで、ちゃんとしているみたい】

ん! お互いに、ネ。……本当にありがとう、マリアさん。
次会うときは鈴音も一緒、……みんなで、ネ。
そのときは、紅茶、もっとうまく淹れられるよう――練習しとくからさっ!

【言ってる間に、青年がドアの方へ歩いていく。そして、ちょっとしたり顔みたいな笑い方して――ドアを開ける】
【エスコートのつもりらしい。とにかくそれで、お見送り――――少女はまだ、皿洗い、やんなきゃいけないし】
【それでみんな、日常へ戻っていくだろう。当たり前のように次の約束をして。……守るために、これから戦う】


//こんなところでしょうか、長いことありがとうございました!


718 : アリア ◆1miRGmvwjU :2018/06/21(木) 22:02:29 o6XMS57s0
>>715


【 ── 腹の据わった返事だな、と思った。上等だった。自分としても、「殺して貰って」構わないのだから。殺されるつもりなんて、毛頭なかったけど。】
【けれどきっと同じように、相手もまた「死ねない」のだろうとも思った。ことに、その"友人"を救い出すまでは。】
【うだるほどにハードボイルドだった。ご丁寧にも釘まで刺してくる。くつくつと白い喉を鳴らして笑った。ひどく愉しそうに見えた。】
【 ── 白銀に流れる髪の下から、青く冱つる視線が男を射抜く。笑いながら、しかし睨め付けるように。ホローポイントの9mmみたいに】


「結構、結構。引けと言われて引く腰じゃあないけれど、無為に貴方の邪魔立てをする積もりもないわ。」
「クールに行きましょう? 私立探偵(オペレーティヴ)。」「6発分のホット・ロードより、1発だけのフィフティ・キャル。HMGはお好き?」
「けれどドアガンナーじゃあるまいし、9ヤード全部撃つ必要はないわ。トリガーは1回だけ、カルロス・ハスコックで必要十分 ── そうでしょう?」



【くるり踵を返して階下へと向かう。銀のロングヘアが煌めいた。当たりもしない強装弾を気取ったリボルバーで撃つよりも ── 】
【ロングバレルの重機関銃にスコープでも取り付けて、よおく狙って当てる方がいい。海兵隊のエース・スナイパーよろしく】
【言うなればスマートに行こうと言っていた。合理的に、無駄弾なく、けれど必要ならば躊躇なく撃とうと。】
【だから躊躇わずこう尋ねる。男のチラつかせた話の続き。階段を降りながら、視線も合わせずに。】



「鈴音って子、助けるんでしょう。私も、かえでとケリをつけなきゃいけない。」
「 ── 利害も取るべき行動も、一致しているのではなくて?」


「必要ならば手を貸すわ。今すぐにでも、 ── ね。」


【 ── 左手がホルスターに触れる。今度は確かにグリップを握る。引き抜いて、セレクターは3点射へ。もしも"下"に、連中がいるというのなら。】


719 : 三枝双葉 ◆KWGiwP6EW2 :2018/06/21(木) 22:38:12 WMHqDivw0
>>713
【今まで固い表情をしていた少女が、笑顔を見せれば、こちらも釣られるように笑う】
【物好きだと言われても、さっきチラッと話したばかりでちゃんと見ていなかったからの好奇心であったか】

えっ、いや、ちょっと心の準備が――

【チンピラをまだやり過ごしていない。いきなりシフトチェンジされて、少女はわたわたと慌ててしまう】
【茶色の髪と鋭い目付き――本当に、同じ身体とは思えない。……って言うか髪の色変わってる?】
【振り回されるかも、と言われると若干後悔しそうになるが、気を遣ってくれているのは分かるから、苦笑いして頷くのだった】


そ、そーいう趣味はっ、ないから!
えーと、初めまして……いや、初めましてって言うか、さっきの子とも初めましてだけど。
名前、さっきから3つ聞いたけど、3人いるの?


【断片的に聞いた程度だが、耳にした名前は3つ。白桜、フェイ、そしてカイ】
【文脈からすればフェイがカイと名乗っていたようにも見えるが、話が見えなくて首を傾げてみせる】


【と、下から怒号が聞こえた】


わ、そうだった!さっさと逃げて……ええええええ!!


【逃げようと言うことで、少女と白桜は合意していた気がしたのだが、女の言で一気に方針がひっくり返った】
【しかも明確に殺る気満々に見える。怖い】
【上着を脱いだことで見えた刺青に、それ白桜さんの時もついてたの?と場違いな現実逃避をするのだった】


や、やっぱりこれ、一段落してから変わって貰った方が良かったかも……


【時既に遅し。チンピラ達は屋上の二人を見咎めて、既にビルの入り口を壊そうとしている】


720 : ◆XLNm0nfgzs :2018/06/21(木) 23:08:26 BRNVt/Aw0
>>710

長くなる、かー……
お店の開店の事もあるだろうしそこは時間をみて、だね
……後、取りあえず物も仕舞わなきゃだろうし
【そこは私も手伝うけど、と言いつがるは夕月が買ってきた荷物をチラリと見る】

【そうして再び本題に戻り、夕月に今までのような生活は送れなくなるかもしれないが、と念押しされれば】

──良いよ、此処まで何も知らずに来ちゃったんだもん
大切な人達がどんな事に立ち向かっているのか知りたい
【ひどく真剣な表情で夕月を見据える】


……うん、きりきりと働かせて貰います
鈴音ちゃんが書いたレシピ?あー……一応見とこうかな、見ていた方が作り方分かるかもしれないし


厳島って名前は知ってるけど職業が……
あー!じゃあもしかして軍人って言ってた?櫻の国の!
厳島命さん!
【相手の言葉に少しだけ考え、ポンと手を打つと彼女はそう問いかけて】
【もしそうだと答えたのなら彼女は、ごめんねー?軍人である事おいそれと口に出すなって言われてたから、とすまなそうに笑うだろう】


721 : フェイ/白桜 ◆D2zUq282Mc :2018/06/21(木) 23:26:04 JY1GydDk0
>>719

きゃはははっ、初心なリアクションしてんじゃねーよ。誘ってんのか?だったら――喰っちまうぜ?
おめえみたいな貧相な小娘じゃ物足りねえが我慢しといてやる――…ってな!冗談だよ。冗談。

まぁアタイらの名前に関する事は面倒だから簡潔に言ってやる。まず、この体には二人しか居ない。三人もいねえよ。
この身体にはアタイと白桜、二人分の魂が宿ってるって話だ。加えてカイって名前はアタイと白桜の共通の通り名さ。

【方針を反転させた所為で臆病風に吹かれている少女を、フェイなりの荒っぽい言葉と仕草で和ませようとする】
【そして色々と少女が混乱している様なので、フェイは自分達に関する事をザックリと説明するのであった】

【"カイ":それはフェイ=エトレーヌと白桜が対外的に名乗る共通の通り名。裏社会で通っている名前。彼女達の在り方を示す名前】

【説明を終えた後、少女の叫びが夜空に木霊した。尤も、少女の叫びはチンピラ達の熱気の篭った怒号で掻き消されたが】

つーかアレ見てみろよ。クククッ、大の大人が挙って死に物狂いだ!股座をいきり立たせて必死こいて。
そこまでガッつくなよ、みっとも無くて腹筋が死んじまうぜ。アタイらにテメエらの粗末なモンをぶち込みたいのかねえ。ケラケラ。

【腹を抱えて馬鹿笑いをするフェイの笑い声は一言で言えば異質に見える】
【身の危険が目に見えて迫っているのに、気分はさながら玩具を与えられてはしゃぐ子供のようだった】

おい、チビスケ。もしかしてオメエ――ブルっちまってんのかい?だったら胎ァ括れ。
スパイダーマンよろしく壁を伝うだけの超人的な動きが出来るんだから、戦う力くらいあんだろう?

【フェイの意識は既に戦闘態勢を整えて。未だ戦闘を躊躇う少女に対して背後から突き落とすような強さを持つ言葉を投げかける】
【逃げるか戦うか。仮に少女が戦わず一人で逃げたとしても、それはそれで構わなかったけれど】

ならソレを信じてみろ。自分の力をカミサマに見立てて祈るんだな。
知ってるか?祈りと、祈りと、祈りの果てに――カミサマは下りてくるんだぜ。

【チンピラ達が時期に扉を壊すだろう。そうしたら雪崩れ込むように屋上めがけて突撃をするのだろう】


722 : セアン中身 :2018/06/21(木) 23:43:12 8blO4Or20
>>716

【懐から煙草を一本取り出し火を付けて、銜え紫煙を吐き出す】
【19歳ぐらいに見えるセアンが、煙草を吸っている所を見たら目の前の男が正常な大人だったら注意するだろう】
【セアンは、紫煙を吐出しながらココに酒が有れば最高なんだけどなぁ…と言った】

元より他人様に迷惑かけた事は無いぞ?あっ因みにココに酒を持って来てくれたら俺の気分が良くなります
自分で言うのも何だが俺は大分異端だ、そんなこと他の錬金術師に言ったらめんどくせえ事になるからやめとけ、
どっかで聞いた事の有るフレーズだな、上手に焼けましたー、ってか。

【まぁ、無いだろうな、と思いながら冗談を言う】
【あの時は大変だったなぁ…と思い出しながら言う】
【誰かが俺の頭の中に語りかけて来る、それ以上はヤメロォ、と】

おっ、それは遠回しに組んでも良いと言う事かね、眼帯ヤロー。
まぁ、それは同感だな。戦力も上がるし効率も良い、何よりも、眼帯ヤローの弾とか作れるぞ?
大丈夫、大丈夫、食べ残しはラップで包んで冷凍庫にぽいっ、が節約の基本だろうが。

【自分は消耗品を節約しないと言って置きながら節約が何たるかを長々と語っている】

いいじゃねぇかよー!どうせ殺すんだから一匹位くれたって。
えー!!2人で行った方がいいじゃねぇかよー!俺も自慢する訳では無いが強いと自負してるぞ?

【男が両手を上げて歩き始めるこれは立ち話はもう終わりと言う事だろうか?】


723 : 三枝双葉 ◆KWGiwP6EW2 :2018/06/22(金) 00:09:31 WMHqDivw0
>>721
あ、そういうこと。つまりフェイさんがカイで、白桜さんもカイで――あ、私の方は何て呼べば……

【当然だが、裏事情どころか表の事情にすら詳しくない少女は、カイの通り名は初耳であった】
【呑気に話している暇もなく、チンピラ達は今にも上がって来そうだった】
【対して、臆することもなく笑っている女の声は――】

ふぇ、フェイさん!女の人がそーいうのは!ちょっと!下品です!!

【そのファンキー過ぎる物言いに普通に真っ赤になっていた。聞いているこっちが恥ずかしくなる】
【しかし意味は分かってしまっている辺り、むっつりになったみたいで勝手に自己嫌悪してしまう】
【先程の白い少女も泰然としてはいたけれど、こちらの方はもう全然遊ぶくらいの気概でいる】
【えー、果たして生き残れますかね、自分】

【仕方なく、少女も能力を発揮する――条件は満たしていないから、そんなに強力な力は出せないのだけれど】


が、頑張る……頑張るからフェイさん!
あなた多分強いでしょ?とっても強いよね?あの人達あっさりあしらえるでしょ?

【畳み掛けるように念を押してから、気後れしそうになるのを振り払って女の人の目を見る】


――なるべく、殺さないで。私もいっぱい手伝うから。


【そう言うと女の前に立つ。銃使いなのだから、当然支援は前衛になるはずだ】
【ドタドタと荒々しい音が響き――そう幾許もない内に、チンピラ達が雪崩れ込んで来るだろう】

【――大丈夫、恐怖は感じない。だから】


先手必勝――!!


【と、大声で叫びながら、先んじて飛び出して行った】


724 : 三枝双葉 ◆KWGiwP6EW2 :2018/06/22(金) 00:24:46 WMHqDivw0
>>722
【男は煙草を吸う趣味はないが――未成年の煙草は止めましょうなんてわざわざ注意するほどの常識人でもない】

酒が飲みたいならこんなところに来てないでバーに行けよ。
まぁ、信者どもが飲んでた酒とかを火事場泥棒したいなら止めねェがよ。

【他人に迷惑を掛けたことがないと言う男の言には疑わし気な目を向ける】
【正に俺が迷惑を被っているとでも言いたげだった】
【錬金術師に関しては、この男が異端だと言うのは、まぁ納得が行く】
【こんなのばっかり学舎に揃ってたら研究にならないだろう】


俺は誰とも組む気はねェよ。
一人の方がやり易い能力なんでな。
オマエみたいな派手なのが近くでうろついてたら落ち着かなくて仕方ねェ。


【男の能力は徹底的に単独行動に特化している。何より――誰かに合わせるようなつもりは更々ないのだ】


オマエだって、誰かの言うこと聞くようなタマにゃ到底見えんね。
言うこと聞かない奴が頭並べりゃ逆に効率良いなんて思ってるなら早々に考えを改めるべきだな。

俺は勝手に暴れる。オマエも勝手に暴れる。それで十分WIN-WINだろう?


【この男を肩を並べて戦ったりしようものなら、敵より先に撃つだろうと言う確信が有った】
【一緒に行く気はないと、にべもなく、男は答え、再び歩を進める】


725 : 兼愛 信生(けんあい のぶき) ◆xgsUYuhzWc :2018/06/22(金) 01:21:51 Lxd3YeZA0
>>709

【その言葉を聞いて──ぐ、と下唇を噛んだ。俯いて、しおらしく背を丸める】
【取り返しのつかないコト。謝り足りないコト、……神からの代弁なのかもしれない】
【ただその言葉を──〝反省〟として、受け取った。〝叱咤〟として、受け取った】

(──ごめんなさい)
(でも、それは、違うんだ)

【──〝それでもワタシは、誰かのチカラを借りて何かを正すのは──それは、違う〟】

(ワタシは、神様に頼るんじゃなくて、ジブンの力で、ミアに会いたいんだ)
(そうじゃないと意味が無いんだ。──ワタシは、)


【はたして、コレが自分自身〝やりたいコト〟でのワガママなのか、彼女の言葉が本来正しい思想なのか】
【信生には少し、分からなくなっていた。諦めて何かに縋るか──利己的にも、サーペント・カルトに入れば】
【ブラスフェミアを知る者が居るかもしれない、そして救われるかもしれない、でも】

──カエデちゃん

ありがとう、すごく、すごく──嬉しかった
ワタシはキミと会えて、こうして話せて、幸せだ
いつだって、誰に会ったって、ワタシは

【幸せなんだ。本当に幸せなんだ、と続ける。それからたくさんのお礼を言った】
【話してくれたこと、叱ってくれたこと、──それを美談にするなんて、烏滸がましいけれど】
【でも、自分が〝ウヌクアルハイ〟を信じるコトへの〝逃げ〟だけは確認出来た】
【それは立場の違うかえでが居たからこそ、たくさん問いかけてくれたからこそ、分かった。自分の指針を学んだ】
【かえで達を否定しているのではない、──思想の違い】

……ワタシはキミがスキだ、ダイスキだ、カエデちゃん
何かあった時は──もしかしたら、ウヌクアルハイ様に、ワタシはお祈りすると思う
その時は一緒に、キミがここで、ワタシとお茶を飲んでくれたってコトを思い出しても良いかな


綺麗な色の瞳を、髪をしていて、春風みたいに、穏やかに笑っていたコト

【キャラメルマキアートは溶け出してる。アイスがてろりと一筋、グラスから流れる】

ワタシは──そう、キミの言う通りだ、酷いコトをして、もしかしたら許されないのだ
ブラスフェミアを傷つけた時点で、ワタシは

でも、だからこそ、たとえウヌクアルハイ様が許してくれても、ワタシに奇跡を起こしてくれても
ワタシ自身の手で、彼女に赦しを乞うて仲直りさせてもらえない限り、ワタシは納得出来ない

ワタシは、そういうワタシ自身をスキなまま、ヒトと一緒に居たいから
何かを間違えて、間違え続けても──そういうワタシでも良いよ、て。ワガママだけど
また前を向いて、ワタシなりに間違えを正して生きてるんだよ、て、ワタシにも、みんなにも言いたい

ワタシは、ワタシの力で、もう一回だけ頑張るよ

でも、ウヌクアルハイ様も──きっと、このやり取りを見守ってくれてるのだろうか
……頑張れって、言ってくれてるかな

【話してるうちに、段々と開き直ってきた。結局自分が納得したまま押し通したいのなら】
【どうせならワガママで居続けようと思った。意思を貫いた先で、きっと彼女が待ってる】

/続きます…!


726 : 兼愛 信生(けんあい のぶき) ◆xgsUYuhzWc :2018/06/22(金) 01:22:09 Lxd3YeZA0

色んなコト、言ってくれてありがとう。教えてくれて
それもひとつの愛だ──ウヌクアルハイ様が、ワタシ達を見守ってる愛もあって
そして何よりキミがくれた愛だと、ワタシは思ってるのだよ

ねえ、カエデちゃん
キミが教えてくれなかったら、ワタシはホントにしたいコトに気づけなかった
それこそ、すごく奇跡みたいだろう!

でもそれは、ウヌクアルハイ様も関わってくれただろうけれど
キミが起こした奇跡なんだよ、カエデちゃん

キミが考えて、ウヌクアルハイ様の凄いところを伝えなきゃ、代弁しなきゃ、て
一生懸命、ワタシに教えてくれた。キミ自身の言葉で
キミがワタシに発してくれた言葉が、そういう奇跡を産んだんだ

──そういう言い方は、もしかしたら嫌かな
でもキミも、ウヌクアルハイ様と同じくらい、
すごい奇跡を起こせるヒトだって、ワタシは言うよ、何度でも


ありがとう。だからワタシはキミが、ダイスキなんだ


【──怒らせてしまうだろうか、とも思った。ウヌクアルハイ
【でも〝ウヌクアルハイ〟だけじゃなく、〝蜜姫かえで〟としてキミは立派な人間なんだよ、と伝えたかった】
【──ウヌクアルハイがすごいってばかりじゃ、言わないが、少しだけ寂しかったから】
【かえで自身がすごいって、ヒトとして頑張って考えて生きてるんだよ、と伝えたかった】
【所業にも、属する場所も関係無く。──それでも、かえでは謙遜してしまうのかもしれないけれど、何度でも言おうと思った】

聴きたいんだ

カエデちゃんは、こんなワタシは、受け入れてくれるかな
それでも──トモダチで、居てくれるかな

【終わりぎわに、ぽつりと問いかけた。彼女に対して、ここまで思想を押し付けてはしまったから】
【せっかくの好意も無下にしてしまっているのだ、ここまで来て──まだ、トモダチで、居てくれるかと】


727 : アレクサンデル・タルコフ ◆ZJHYHqfRdU :2018/06/22(金) 02:31:13 IBKicRNQ0
>>712
【異端を狩る異端。その部隊の詳細は、当然マルフィクも知らない】
【母体にすら忌避され、部隊内は制御の効かない者たちばかりであり、なおかつ凄腕揃いという】
【敵にとっては悪夢のような、その集団の実態を知らない】

【ただ、眼前のパグロームが嫌と言うほど伝えてきてくれる。彼らは、狂信の徒を許さない】


【互いに、言うべき言葉はぶつけた。少ないやり取りで十分だった。似た者同士ゆえに、それがわかる】
【そして、もう一つ。『泥の街』で過ごした時代に培った、戦闘者としてのアレクサンデルが顔を出す】
【これもまた、常に命のやり取りの中に身を置くパグロームと、奇しくも近い方向性を持つ一面なのだろう】

【彼の舌なめずりは見えずとも、同じタイミングでダルマ男は笑みを深くした】


【パグロームの能力の詳細を、マルフィクは知らない。カルトのメンバーとの戦闘を洗っても、今のような銃火器・爆薬を用いたもののことしかわからず】
【故に、警戒を強めた。その時点で、すでに狂信者どもはパグロームと言う男の領域に誘い込まれていたのだろう】

【無論、自爆したなどとは考えていなかった。そんな男なら、数多くの恐るべき戦績は残せない】
【だが、それでもやはり甘い見積もりだったのだ。爆風と混乱をもたらされた時点で】
【この場所はすでに、パグロームのもの。放たれる銃弾の嵐は、虚数の向こう側に身を潜めたパグロームには届かない】

【確かに、戦闘向きではない能力だろう。だが、全ては使いようだ】
【この能力は、パグロームという一人の狂人にして戦士が使うことによって、何より恐ろしい武器となる】


な――――

【ついに、司祭の顔が驚愕に歪んだ。気配を隠すなどという生易しいものではなく、この世から一時的に消失するなどと】
【そのような力は全く想像も出来ず、『待ち』の姿勢に入っていたことが完全に災いした】

【その声と気配を認識した時には、サーバントの一人が声もあげられずに瀕死に追い込まれ】
【慌てて他のサーバントが銃口を向けるものの、動揺に揺れる照準は到底目標をとらえきれない】


【マルフィクの視界が、塞がれた。爆煙ではなく、明確な質量によって】
【人間一人を死ぬギリギリのところで致命傷を与え、動けなくしたうえで軽々と投げ飛ばし、接近の手段として使う】
【膂力、速さ、判断力、能力以上のパグロームの強み。それが、この状況を生み出した】

【その質力が、消失する。能力をフルに活用し、命が消えるタイミングすらも計算に入れた技巧は】
【見事、狂信者どもの隙を作り出し、司祭へ死を突きつけた】


がっ――――

【くぐもった声は短かった。自身を砕く死神の一弾を目にした、次の瞬間】
【四肢無き肉体のど真ん中に、人の肉体を破壊するためだけに作られた、鋼鉄がぶち込まれていた】

【――――死に際に見る走馬灯とは、過去の記憶の中から生き残る術を見つけ出そうとする生存本能であるという】
【本来ならば、それは一番古い記憶から再生されるもののはずだが。司祭の脳裏に映し出されたのは、そう古いものではなかった】

/すみません、続きます


728 : アレクサンデル・タルコフ ◆ZJHYHqfRdU :2018/06/22(金) 02:31:27 IBKicRNQ0
>>712
【〝……では、これが代金です。お納めくだされ。おお……こうして眼前に置いてあるだけで、威圧されるようですな〟】

【“気圧されているようには見えないがな。全く、随分と久しぶりに連絡を取ってきたかと思えば、いきなり『これ』を売れだなどと……”】
【“昔に比べて、随分と押しが強くなったじゃあないかアレクサンデル。今は何をしているのかは知らないが”】
【“手足はないわ、目はないわ、舌は泣き別れしているわ……最初に会った時は悲鳴をあげそうになったぞ……”】

【〝変わったのは貴方も同じでしょう、カニバディール殿。素敵な目玉を額に埋め込んで、どこの妖怪かと思いましたよ〟】
【〝何、ただ自分の成すべきことを見出しただけです。貴方と同じようにね〟】

【“ふん……まあいいさ。私の利益の邪魔にならないなら、商売は歓迎だ。これによって混沌がまき散らされることもな】
【性質は先に説明した通り。用法を間違えて被害を被っても、責任は負いかねる”】

【〝承知しておりますとも。では、これにて――――〟】


――――ふ、ふふっ……やはり備えておいて正解でしたな……

【口から血を吐きながら、司祭は笑った。どてっぱらに穴が空いているというのに】
【いや、その傷をよく見てみれば。腹の内側から黒い何かが顔を出している。――――キノコだ】
【混沌を糧に育ち、土地を侵食するキノコ・マーディケリウム。司祭は異形の盗賊団からこれを買い付け、自身の体内に栽培し】
【腹の内側に細長い菌糸を張り巡らせることで、体内への致命ダメージを軽減する防具と成していたのだ】

さあ、今です!! 『はっ! 司祭様!!』

【それでもダメージは抑え切れず、腹からの血は止まらない。浮かぶ胴体が不安定に揺れる】
【だが司祭は叫んだ。両腕の蛇を伸ばして、眼前のパグロームに巻き付けようとし】
【それと同時に、司祭の背後からナックルダスターを装備した屈強なサーバントが現れ、右腕を振りかぶってパグロームに全力の殴打を叩きつけようとする】

【重傷を負っているためマルフィクの掴みかかりは遅く、力もそう強くない。しかし、タイミングを誤れば】
【動きを止められたところに、鉄の拳の一撃に見舞われることだろう。これをしのぎ切れば、司令塔たるマルフィクが大ダメージを負った敵集団の隙を捉えられるはずだ】


729 : セアン中身 :2018/06/22(金) 02:43:42 8blO4Or20
>>724

【煙草を吸っていると、煙草の先が燃え尽きて来たので、新しい煙草を取り出し火を付ける】

馬鹿だなぁ…こういう所で飲むのがいいんだぜ?少なくとも俺はそう思うぞ、
俺は酒好きだが、安い酒はあんまり好きじゃねぇんだよなぁ……
んだよ…その目は、まるで俺が嘘を付いているみたいじゃねぇか

【後ココに死体が有れば最高だな!!お前のせいでないけどよ…と、愚痴を吐く】
【見よ、この男を物凄く生意気だろう。有ろうことかこいつが不老の薬に依って千年の時を生きた錬金術師である】
【全く心外だ、と言わんばかりの態度である。信じられますか?これ無意識でございます。】

まぁ、元々ダメもとで言ったからよ。
それもそうかお前はそう言う性格だよな、見たら分かるわ。
えー俺そんな派手かー?そんなつもりないんだけどな。

【体を動かして自分の服装を確認する、客観的に見たら物凄く笑える絵面である】

そりゃそうだ!!何で他人に指示されにゃならんのだ。
いやまぁ、それはね……マイナスにマイナスをかけるとプラスになるだろ…?

まぁ、どっかでバッタリ会ったらご愛嬌って事で、俺も好きに暴れるさ。

【どっちかっていうと2人の相性は良くないだろう】
【セアンが男と一緒に並ぶと宝具クラスの武器一斉掃射に巻き込んでしまうと思う】


730 : パグローム ◆KWGiwP6EW2 :2018/06/22(金) 03:23:37 WMHqDivw0
>>727
【――ここまで概ね、予定通りに進んでいた】
【元より無傷の戦いなど想定していない。ましてや幹部を仕留めるのであれば――段取りに自身のダメージすら加味するのは当然のこと】
【いくつかの予定外、いくつかの軌道修正を余儀なくはされたが、それでもここまでは"予定通り"】

【見事自分の描いた青写真の通り、司祭の肉体に弾丸を埋め込むことに成功した】
【能力者殺しとも言える対人破砕弾は、例え多少の肉体強化を行っていたとしても無傷でいられるようなものではなく】
【弾頭は炸裂と同時に広がり内臓をズタズタに破壊する――はずだった】


――な、にィ!?


【狂騒の笑みを顔に貼り付けていた男が、ここに来て初めて浮かべる驚愕の声】
【生きている――?何故耐えた?】
【男の能力がそこまで強固な防御能力を?】
【否――"それ"に気付いた時、男の眉根は大きく歪んだ】
【慢心していた?違う。こんなものは想定できるはずがないだろう。罠を準備するにしたところで、"ここまでやる"なんて】
【狂気の度合いに置いて、男は一歩、司祭に上を行かれたのだ】


イカれただけにってなァ!!

狂ってるたァこのことか!いや、信仰とかそんな話じゃねぇぇぇよ!
オマエのそれ、もう素だろうが!


【裏社会に名だたるカニバディールとその盗賊団――】
【そこから買い付けたキノコの詳細など知るはずもないが、ただ一目見ただけで間違っても人体に使うような代物ではないと分かる】


用法容量守ってるたァ、信じられねェ……な!


【軽口を叩く暇もない。司祭の蛇は、動きこそ鈍っているが、それでも先程の姿を見たが故に、どうしても意識は気を取られる】
【屈強のサーバントへの意識が散漫になれば、その強烈な拳を、避けきれない――】


チィ――!!残り物の有象無象が――

【男の能力は接近戦では扱いにくい――何より隠すもののないこの状況でこの司祭にこれ以上の詳細を見られるのはまずい】
【なれば非能力者の戦力でも十分脅威で有ったか。拳を腕で防ぐも、ミシリと軋みを上げる――そうかと思えば、その隙に再び司祭の蛇が迫る】
【厄介な連携だ。彼以外のサーバントも、そう何秒と持たずに、加勢に入るだろう】

【劣勢――認めざるを得ない。だが、司祭に大ダメージを与えたこの機会を、ここで逃す訳には行かない】
【冷静さを掻いていた。否――剥ぎ取られたのだと、そう悟れば、男は再び思考を巡らせる】
【手札に有った爆発物も――虎の子の対人弾も、既に見せている。この司祭ならば二度同じ手には掛かるまい】


【それならば――】
【思考の最中、司祭の蛇が、遂に男の身体を捉え、巻き付けることに成功する】
【こうなればパグロームとて俎上の鯉――だが、それが唯一の勝機だった】


【蛇神教の中で流れるパグロームの噂にはこんな言葉がある】
【パグロームは逃げ足が早い――それをもう少し掘り下げて聞いていれば知れたこと】
【今まで幾度となくパグロームを捕縛したことは有るが、その都度に逃げられていること】
【パグロームは"捕らえられない"】
【彼を仕留めるのならば、一息に殺す以外に方法はないのだと】


アァ――決戦前にここまで見せるとは――ヤキが回ったなァ


【口にして、男はその場から消えて失せる。拘束を、逃れる】
【しかし、次いで現れたのは――司祭の傍ではない。数m離れた位置】
【男はこの場を逃れる代わりに――致命になりかねない、男の能力の情報を、渡してしまった】

【拘束の中から消えるまでに、数秒の時間を要したこと――】
【自在に空間を移動できるならば、司祭を殺しに接近して現れれば良いのに、そうしなかった意味】
【聡い司祭ならば、パグロームの能力の欠陥を読み取り兼ねない】

【だから殺す――この場で確実に殺す】
【その場で疾駆し、まだ怪我を負って動けないサーバントを蹴りつけると、持っているマシンガンを奪う】
【すかさずにそれを掃射――先程の屈強のサーバントごと、深手を負った司祭に風穴を開けようとし――】


731 : パグローム ◆KWGiwP6EW2 :2018/06/22(金) 21:12:41 WMHqDivw0
>>729
死体と一緒に酒飲む趣味はねぇな……臭いがキツそうだ。
いや、俺ァ下戸だからどっちにしても飲まないんだがね。

【人のことは言えないが、かなり偏った趣向を持っているのか】
【それとも性質の悪い冗談なのか。まぁどちらだったとしても反応に然したる違いはないだろう】
【全く生意気な盛りだと見えてはいても、男からすれば、実年齢の通りにしか映っていない】
【そんな年頃なのだろうと思えば、そう愚痴が出て来る訳でもなさそうだった】


見た目も派手で、派手にやるのもお好みとあっちゃあどうやったら地味に済むのか聞いてみたいもんだ。
俺ァ、本来はこそこそやる方が性に合ってるんだ。
派手好きのオマエとは戦い方も、音楽の趣味も合いそうにゃねェよ。


【マイナスにマイナスを足したら、余計でかいマイナスになるだろうが、と付け足すように呟くと、男は段々とその場から遠ざかって行く】
【話はこれで終わり、と言うことらしい】


だろう?俺だって他人に足並み揃えるつもりなんざ、全くない。
そういうのは、一人でやるのが一番効率が良いのさ。


【片手をヒラヒラと振って、男はその場を立ち去って行くだろう】
【ふと、立ち止まって、後ろを振り返った】


――ああ、長話し過ぎたなァ。
アジトに爆薬を仕掛けて置いたからもうすぐ崩れるぞ。
生贄を探すんだったらさっさと行くんだな。


【無責任にそんなことを口にして、男はスッと姿を消してしまった】
【それからそう間を置くこともなく、アジトのあちこちで轟音が響くことだろう――】


732 : ◆S6ROLCWdjI :2018/06/22(金) 21:32:11 WMHqDivw0
>>720

【言われてやっと気づいたらしい。あ、って口にして、それから慌てて駆け出して】
【一通り片付けて戻ってきたときには――メモ帳とペン。持ってきていた】
【それを広げて。円をみっつ書いてから、テーブルに置いて、座り直す】

…………んーとネ。まず、みっつ。勢力があるの。
まずひとつ――――こことか、フツーの能力者。世界がそのままであればいいって思ってる人たち。
たぶん鈴音もここにいて、それで……ほかのふたつと、戦ってた。

【ひとつめの円。なんて書くか迷って――斜線で塗り潰すことにした。そして隣の円にペン先を動かして】

ふたつめ。「円卓」って呼ばれてる、……なんだろ、すっごい分かりやすい悪い人たち。
悪い人たちだけど……とにかく権力を持ってる、汚職政治家とか、そんなのの集まり。

【ふたつめの円に「円」と書く。お金のマークを周りにちらつかせて】

みっつめ、これがさっき言った――「黒幕」。「婦警」がいるのもここ、らしい。
こいつらがどーいう人たちの集まりなのかはわからないけど、ただひとつわかることがあって。
――――簡単に言えば「世界征服」しようとしてる。一番ヤバいの、たぶんここ。

【みっつめの円に「黒」と書いたら――隣に小さくドクロマーク。強調するように】

そんで、今のところ――あたしたちも、円卓も、黒幕を倒さなきゃヤバいってことだけは共通してるから。
今のところだけネ、円卓と共同戦線――でもって黒幕を倒すのが最優先。そーいうことにしてる。
で、倒し終わったらこんどは……円卓も倒さなきゃダメ。そーいう感じかな、今は。

【塗り潰した円と、「円」と書いた円から矢印を引っ張って、「黒」に向ける】
【そのあと、点線の矢印で――塗り潰しから「円」へ。引っ張る、切っ先を「円」に向けて】
【ここまで理解してもらえたなら、黒幕のやり口とか、目的について触れるだろう】
【異能を持つ人を弾圧しようとしていること。彼らは、異能を封じる謎の機械を所持していること、など】

【……そんな感じで説明していくけど。夕月は言わなかった、……本当は自分は、「円卓」にいるんだってこと】


……こぉんな感じ。どう、……なかなか現実味なくてヤバいでしょ。
あたしも最初聞いたとき、なんの映画のハナシだよって思ったけど――ほんとのことなの。

【ここまで話したら、ちょっと疲れたみたいな顔して。一息つく、それでつがるの話を聞く方に集中して】
【軍人、と言われたら「そうそう、それそれ!」と。ようやく合点がいったように手を叩くのだ】
【思っていたより、味方は多いらしい。そう考えるとちょっと気が楽になったようで――ふう、と息を吐いた】


733 : フェイ/白桜 ◆D2zUq282Mc :2018/06/22(金) 22:09:52 Ps8W865U0
>>723

あたぼうよ、アタイを誰だと思ってんだ。銃を持たせりゃ天下無双のフェイ姉さんだぜ?
オメエみたいなモヤシや鼻息荒くして殺到するブタ共とは鍛え方が違うんのさ。


【フェイは二挺の拳銃を握る。すると昏い光が双眸を照らす。口元が半月に裂けて――口ずさむ】

【―――Goat,jihad,Rock'n Roooollッ!!と軽やかに、楽し気に、侮蔑交じりに】
【その口ぶりは。少女の懇願など聞き入れないと言い放ち。それが証拠に銃口は扉をこじ開けたチンピラ達の致命へと向けられる】


Ha、乱交パーティの始まりだ。どいつもこいつも踊れや騒げや狂いやがれ。
先陣切って突っ込んでったノリの良いチビスケも血走った眼付きのクソ豚共もよ。

――アタイもそうする。天国の扉はすぐに開けてやるから、逝きてえ奴から前に出ろッ!


【本来ならばフェイ自身の能力であるHeaven's Rushを使いたかったが本調子ではない為に】
【白桜の能力であるHell's Rushを発動し、両手に握られた二挺の拳銃に能力を付与して】
【飛び出した少女に当たらぬよう、先陣を切って突撃するチンピラの身体目掛けて二発の弾丸を放った】
【すると二挺の拳銃から放たれた魔力の弾丸達はチンピラの胴体を打ち抜いて。チンピラはバタンと前のめりに倒れた】


おい、チビスケ!アタイは周りを顧みねェから弾除けは自分でやれよッ!


【顧みないと言っておきながらも、フェイは少女に注意を呼び掛けていて】
【口頭で注意を呼び掛けながら先頭の雑魚集団を蹴散らしていくと、チンピラ達を纏めるリーダーの姿が現れるだろう】


734 : 三枝双葉 ◆KWGiwP6EW2 :2018/06/22(金) 22:34:46 WMHqDivw0
>>733
し、失敬なー!これでも腕立て腹筋してるんですよ!

【十把一絡げに扱われて憤慨するモヤシ】
【でもモヤシって安くて美味しくて良いよねって言う正体不明の擁護をしながら】
【頼もしいのは良いことなんだけど、こちらのお願いはどうにも聞いてくれそうにない】

【だったら、彼女の銃弾がチンピラを射殺す前に、一人でも多く地に伏させるしかない】
【いつも以上に張り切って、弾丸のようにチンピラへと殴りかかる。泥臭い戦い方になって、背後で上がる口上の通りの乱戦になってしまうだろう】


うう、だから下品だってー。ロックンローラーって下ネタ言わなくちゃいけないマナーでも有るのー!?


【風評被害。何はともあれの奇妙な共闘――こちらはカラオケではまずロックは選択肢に挙がらない地味系女子】
【やたらとハードコアなテンポに謎のプレッシャーを背負っていた】
【対して、実に愉快そうに銃把を握った女は、いともあっさりとチンピラを撃ち抜いて行く】
【実際のところ、少女の助けなど必要なかったのだろう。一目でわかるくらいの実力差がそこには有った】


ちょ、ちょー!!
背中から撃つのは勘弁してよー!


【焦りながら叫ぶ。それで縮こまったりしないのは、辛うじて能力が効いているからなのだが】
【エコモードな現在は、相手を一気に跳ね飛ばしたりできない。じわじわとボディを殴ったり、足払いをしてからエルボーを落としたりして、一人一人、倒していく】
【こっちが一人倒している間に、背後の女は三人は倒している。志ばかり高くても全然追いつかない】


ぜ、ぇ――ぜぇ……何人、いるのよ……


【息もつかずに殴ったり、蹴ったり、投げたり。少女も膝頭を掴んで呼吸を乱している】
【その段になってか、ようやくチンピラ達のリーダーが現れたらしい】
【すぐに殴り倒せる相手だと良いんだけど――もう搭乗前にやっつけてしまおうかと、拳を振りかぶった】


735 : 名無しさん :2018/06/22(金) 22:39:41 lQXZH2VE0
>>725>>726

――――そうですか。私もあなたに会えて幸いでした、人は誰しも心に迷うことがあります、避け得ぬことです。
けれどその時に正しく善いものに出会うことが出来ねば、人とはあまりに簡単に道を踏み外してしまうのです。
私はその前にあなたに正しく善い道筋をお伝えすることが出来ました、――そのことをきっとウヌクアルハイ様も、お喜びになっているから。

【――相手の言葉に、彼女はそんな風に返すのだろう。けれど、もし、相手が、――信じることを"逃げ"だと口にしていたなら、きっと、刹那、ひどい顔をする】
【激昂をけれど抑え込んだ時の顔に違いなかった。――それを言いさえしなければ、ただ笑っているだけだっただろう。朗らかな色合い、紅茶に溶ける角砂糖のように】

はい、ぜひそうなさってください。ウヌクアルハイ様こそ正しく信仰されるべきであるのです、間違った神を崇めることは不幸につながりますから。
ですが――、その時に私を思い出す必要は、あまりないのでは? ――ううん、ないと思います。感銘を受けた一文が記される本の背表紙が何色かどうか、は関係がなく。
あるいはその本のタイトルすらも関係はありません、――その一文こそが重要であるのです。ですから、私のことよりも、ウヌクアルハイ様のことをその心に留めてください。

肝心な一文を忘れてしまった代わりに背表紙やタイトルだけを覚えているということのないよう、――。ですが、そうですね、

あなたの心の片隅に、ウヌクアルハイ様が座るための椅子を用意するときに、その椅子が藤の花の色をしている必要があるというのなら、構いませんが。

【それは、怒っているからとかでは、きっとなかった。心底そう思っているときっと伝わるのだろう、言葉を伝えた自分に、大した意味なんてなくて】
【であれば大事なのは自分ではない。だから覚える必要はない。――忘れろとは言わない、けど。それを重要視されすぎても困るのだと言って――それなら、譲歩めいて】
【伝えるのはそんなことであった。――机の上でわずかに絡めた指先、浮かべた笑みはやはりしっとりと蜜漬けの風合いで】

――――――――ううん。違いますよ、神様というのはですね、そうやって自分で頑張るときに、ほんの少し、ほんのちょっとの、勇気を下さるのです。
ですから、一番最後に頑張るのはきちんとあなたなのです。そのうえで、そのための勇気を下さる。それは時として叱咤であり、激励であり、恋慕であり、友情、である。
様々な形で神様は我々人類に勇気を下さります。――もちろんウヌクアルハイ様も。きっかけというのは踏み台にほかなりません、塀の向こうの景色を見るのはあなただから。

――――はい、もちろんです。ウヌクアルハイ様は今も見守ってくださっています、そうしてあなたに勇気のきっかけをくださって。
そして定めることが出来たのですよ、あなた自身の力で、もう一回、頑張るって――。

【そうしたならばどうあれ話をそちらに持っていこうとしているっていうのも、きっと、分かるのだろう。何かにつけて神の名を唱えるのなら、連想ゲーム、紐づけさせるように】
【その気づきと勇気さえもウヌクアルハイ様より賜ったものだと言い切ってしまう、――多分どうなっても同じようなこと言ったんだろうから、あるいは聞き流してもよくて】

――それは違いますよ。それでは意味がありません。神託を読み上げる巫女が信仰を集めてしまったなら、本来の神様はどう思われるでしょうか?
それに私は巫女ではありません。ウヌクアルハイ様を信じて仕える信徒の一人に他ならないのですから。――私は奇跡を起こしたいのではなく、奇跡の存在を皆に伝えたいのです。

【――――――声がわずかに冷たくなった、気がした。であればそれは謙遜の色合いではなかった、本当に本当にそう思っているときの表情、困ってしまったように】
【困った――といっても、わりに厄介な方の"困った"顔をしているに違いなかった。だから彼女はその言葉を受け取ろうとしないのだろう、それでも】

友達ですか、まあ、構わないですよ。何が減るわけでもないですし。

【あるいは彼女にとってそれはわりかしどうでもいい事柄みたいに、答えはするのだ。――それを嫌だと思うほどには、否定されていないから、きっと】


736 : フェイ/白桜 ◆D2zUq282Mc :2018/06/22(金) 23:15:49 Ps8W865U0
>>734

ハッハァーッ!良いねえ、良いねえ。血の匂い。遺言めいた断末魔。
しに遅れた奴らの焦燥と嗚咽交じりの纏わりつくような熱気…ぁあ、生きてるって感じがする。
ここは差し詰め地獄のモーテル…いや違う。そうだなァ、――デッドマン・ワンダーランドだッ!


【表に出てこれない裏社会の人間たちによる、そんな人間たちのための遊び場。今この瞬間がまさしくそうだと】
【フェイはそれをデッドマン・ワンダーランドと呼んで憚らない。この場に生きてる少女がいるにも関わらず】

【二挺ある拳銃の一つに付与されたのは追尾の効果。もう一つの拳銃にはマグナム相当の威力の弾丸を放てる効果】

【マグナム相当の威力の弾丸で命を落とす者。追尾する弾丸で心臓や頭を撃ち抜かれる者】
【そして少女が殺さぬように手心を加えられた末に地べたに這いつくばる者。その割合、おおよそ3:1】

【死屍累々――そう評して遜色ない場に残っているのはフェイと少女。それにチンピラを纏めるリーダー格】

「そりゃあそうだよな、〝カイ〟。あんな雑魚共じゃ何の相手にもなりゃしない。
 だが、そろそろオイタが過ぎたんじゃないか?こっちにも面子ってもんがあるんだ。
 年貢の納め時だ。カイ、ここいらで大人しくしてくれ。そうすりゃ全て事も無し、だ」

【スキンヘッドの大男――チンピラ達のリーダー格――は少女の拳を事も無げに払い除ける】
【その瞬間をカイは逃さない。二つの特性を持った弾丸をリーダー格の男に向けて放つがそれは回避され】
【返す刀でリーダー格の男はフェイに突進し、それによってフェイは後方に吹き飛ばされた】


―――ガハッ…!ンのヤロォ。
……アタイに命令するたぁ良い度胸だ。その度胸だけは買っt


【買ってやるよ――そう吐き捨てようとした瞬間。フェイの動きが鈍くなる。その理由は徐々に毛先から染まり始めた白色】
【本調子ではないのか。能力の不備なのか。兎にも角にもフェイはリーダー格の男に対して大きな隙を見せていた】


737 : ◆XLNm0nfgzs :2018/06/22(金) 23:26:17 BRNVt/Aw0
>>732

【気がついたみたいに小さく叫んで慌てて物をしまいに行く夕月。つがるもそれに同行して】
【一通り落ち着いて、それから本題】

【メモ帳に描かれた三つの丸】
【軽い説明を受ける度に彼女は小さく陣営の名を復唱して】
【頭の中で整理する。敵対勢力の事を】
【『円卓』は権力を持つ汚職政治家等の集まりで、『黒幕』は世界を支配しようとしている輩】
【豪華客船のセレンディピター号。あれに乗船していたという『パトロン』達は恐らく『円卓』寄り、なのだろうか?否、案外『黒幕』の側なのかもしれない、なんて思案して】
【現在は円卓と共同戦線を張っているのだと聞くと、何その呉越同舟的な……とボソッと呟くのだが】

えっと……ちょっと質問なんだけど……世界を征服、だったっけ?
何だか目的がカノッサ機関じみてるけど彼奴らも黒幕寄りって事であってるのかな?
【理解したか尋ねられればちょこんと手を上げて質問するのだろう】

【そして話は黒幕のやり口へと移行する】

異能を持つ者の弾圧……つまり魔能制限法、だよね
それでもって特区がその魔制法のモデルケースみたいな物だから……水の国政府には黒幕の息が掛かった者がいるって事かもね
……となると水の国に寄港していたセレンディピター号ってもしかすると黒幕の温床だった可能性もあるのか……
……つまり水の国が擁する軍と櫻国魔導海軍が提携を結んだっていうのは魔導海軍側が水国軍側を牽制する為ってのもある……?否、提携を持ち掛けたのが水国軍側だと仮定すると逆も……ぶつぶつ……

……能力を封じる機械、かぁ……
それは大分厄介だな……私の場合能力だけに留まらなそうだし……

【時折言葉を挟みつつ説明を聞いて、そうして全てを聞き終えれば】

現実味……はない訳じゃないかな
そもそもね、私が厳島さんから鈴音ちゃんの事で情報を得られたのも交流があったからで……情報を収集するバイトみたいな事、やってるから

でも、今世界で何が蠢いているか知る事が出来たのは後悔してないよ
寧ろ知って良かったって思ってる
……鈴音ちゃんや厳島さんや夕月ちゃんが……大切な人達が見ている物がやっと分かったから
【そう言って真面目な表情で相手を見詰めて】
【けれどもすぐに目線を落として】

……本当に、鈴音ちゃんに悪い事しちゃったな……
そんなに大変な案件を抱えていて、黒幕に狙われてもいて……辛い筈なのに……
【人を嫌いになっちゃっても仕方無いよね、なんて悲しそうに呟いたかと思えば】

あ゙ーっ!駄目!そういうの考えてたらまた罪悪感で夢に出ちゃう!妄想!妄想かもしんないけど!わ゙ーっ!
【叫びながらカウンターのテーブルにべしゃーっと伏せる】


738 : 兼愛 信生(けんあい のぶき) ◆xgsUYuhzWc :2018/06/23(土) 00:01:13 Lxd3YeZA0
>>735

【返答の中の言葉を聞いて──歯がゆく思い、表情に出かけたが、ひとまず真摯に聞く】
【その思想を、マゼンタの奥にある想いを、祝詞にも等しい言葉を】
【ウヌクアルハイという存在は──それほどまでに、彼女達の中に存在している】


(……ウヌクアルハイは、果たして本当に居るのだろうか、というのは愚問だが……)
(……ウヌクアルハイは、本当に、彼女達がしてるコトが嬉しいのかなぁ……)
(いや、実際そうなのだから……でも、ううん……なんだろうな)


【きっとさまざまな記録や記憶や。伝承や、事象に、言伝に、身に降りかかった奇跡に】
【きちんと残ってるからこそ、彼女達は確信の中で行動して、日々繰り返しているのだろう、それでも】
【──きちんと、こうして言葉で会話しないと、ヒトは分からないコトだらけなのに】
【ただ感じて、万能の存在なんだよと片付けて。こうかもしれないと考えるだけじゃ──少し寂しいような気がした】

【神は、ヒトを凌駕するのか?本当に万能なのか?】

【でも】
【ヒトをこんなに苦しめて、殺し続けて、それを善いこととして】
【輪廻の回帰のはざまに、その中で身を溶け込ませ、みんなとひとつになりたいという思想は】
【それは最初に誰が考えたのだろう。──やっぱりウヌクアルハイが、そう思ってるのかな】
【……そんな訳はない、恐らく、というか確実にそれを最初に考えたのはヒトだ】

【信生は初めて聞く神様だけれど、ずっと、空に浮いていた何かは、信者からそんな期待を背負って来たのだろうか──】


【──そんなの、少し、いやだ】
【何かくらい、空中で自由に生きたいだろうに】


(……変な想像をしてしまったな)

【勝手にウヌクアルハイにすら憐憫の気持ちになるとは、今日はたくさん話を聞きすぎたからだろうか】
【たくさんの願いを、魂を一気に背負うというのは、ヒトであれば耐えきれないコトだ。大変なプレッシャーだ】
【神様はスゴイ、て言葉だけで──自分で何もしないのは、やっぱり向いてない、と結論づけた】

【居もしないウヌクアルハイに、これ以上期待を背負わせるのは申し訳ないし──ワタシはワタシで頑張ろう】
【そんな風に思った】

……すまなかった
そう、キミの信念を持ってして、ウヌクアルハイのコトを伝えているんだよね。ゴメンね
こんなコトを言うと偉そうなんだけど……きちんとキミが言ってくれたから、ワタシの中で訂正出来た

ありがとう、カエデちゃん

【かえでの言葉に対し、謝罪する。少しでも嫌な想いをさせてしまったのなら──それは謝る必要がある】
【彼女はウヌクアルハイに対して真剣だからこそ、黙っていたなんてコトは無かっただろうけれど】
【ちゃんと伝えてくれたから、しっかりと分かったと伝える】

/続きます…!


739 : 兼愛 信生(けんあい のぶき) ◆xgsUYuhzWc :2018/06/23(土) 00:01:57 Lxd3YeZA0


──うん


【トモダチで良い、という言葉に。──みっともなく、泣いてしまいそうになった】
【例え彼女がヒトを拉致しても、殺しても、想像を絶するようなヒドいコトをしても】
【その場では驚くだろう、それでも──トモダチで居たいって、多分その時も思っただろうから】
【繋がっていたんだ。それこそ、蛇の思想みたいに、──誰かが隣に居てくれるって言葉は、嬉しい】


(──カエデちゃんは、今ここに居るんだ。生きてるんだ)
(何をしていても彼女は彼女だ。ワタシと話してくれる蜜姫カエデでしかないんだ)
(ワタシは、お互いがお互いに踏み入れられなくても、でも──トモダチで、いいって)


【嬉しいのだ】

【どうしようもなく、それは、きっと】
【かえでという人間が此処で生きていてくれたから】
【路地裏で出会って、この場で話してくれたから】
【だから、嬉しいんだ。それだけで】【それだけで良い】

【そしてソレは、ブラスフェミアと、また会えるヒントだ】



……よぉし!では、カエデちゃん!良ければワタシに着いて来たまえ!
このあともし忙しくないのであれば、今晩は盛の大に、焼肉を食べよう!
──いや、この際忙しくても引きずって行く!何故ならワタシが肉を焼きたいからだ!

肉を焼くというのはブンメイジンの証であり、肉を焼くのはいい文化だ!
此処を奢ってくれるのであれば、ワタシはそちらも奢ろう!食べ放題でな!

コレは最早肉ハラスメント!ハラミ的なやつだ!
拒否権は無いと思い、そしてワタシに勝ちたければ法廷で勝ちたまえ!アデュー!

【これまでの会話とは打って変わって、急になんだか頭の悪い言葉が連続してきた】
【脳がゼロになったような笑い方になり、蛍光グリーンの瞳がにたーっと歪む】
【キミの明日の体重が楽しみだな!と余計なコトを追加して、笑いかけた】


──カエデちゃん!さあ行こう!

ダイスキだよ!ワタシはキミが、スキスキスキの、ダーーーーイスキ、だ!愛してるんだよ!
スキスキだ!スキー!スキなんだ!分かれ!理解したまえ!髪アターック!!


【キャラメルマキアートをアイスごと一気にぐいっと煽って、急に立ち上がって彼女の席に行く】
【いっぱいに笑って、一回抱き締めてから──無論、拒否されたらすぐ離れるが──】
【ぎゅむぎゅむとめちゃくちゃに抱き着いた。最早暴れるレベルで抱き着き、笑顔で喚いただろう】
【髪なんかもわざともみくちゃのもしゃもしゃにした。本気で怒られたら恐らくその場で反省したが】

【そこから急に彼女の手を引っ張って、立ち上がらせて、問答無用でチェーン店の焼肉屋に連れて行こうとするだろう】
【というかお会計……は、何だかんだ信生がお金を叩きつけて、喫茶の階段を上がろうとするだろう】
【あるいはそこで、焼肉じゃなくて別のモノがいいと言ったら、そこに変更するだろう】

【ほとんど強制のワガママだった。もちろん彼女が拒否して帰るのならば、その場で見送っただろう】
【分かった、ありがとう!また次にあった時に、絶対に焼肉に行くぞ!と性懲りも無く付け加えて】


【……何故なら、かえでがどんなモノを食べるのか、量は食べられるのか、食べられないのか】
【そもそも肉は余り好きじゃないのかとか、寿司派なのかとか。そういう、些細な日常的なコトを】
【かえでのコトを知りたかったから。せっかくトモダチになったのだから、次にいつ会うかも分からないから】
【真逆の立場だけど、トモダチで居てくれたかえでが──ダイスキだと思ったから】
【ウヌクアルハイのコト以上に、蜜姫かえでというヒトを知るための、はた迷惑イベント】

【もし着いて来てくれたならば、彼女を質問攻めにしたのだろう。ドリンクバーは何を飲みたい?とか】
【最近テレビの集金があって困ったんだ、かえではどう思う?なんて、鬱陶しいくらい話しかけるのだ】

【きっと会話の中で、必ず出たのは】
【だからワタシは、忘れないよ、かえでちゃんのコトずっと、覚えてるから】
【だから、またこうして会いたいね。──そんな言葉】

/ありがとうございます、めちゃくちゃ遅れてすみませんでした…次辺りでシメな感じで…!


740 : ◆S6ROLCWdjI :2018/06/23(土) 00:11:12 WMHqDivw0
>>737

カノッサももちろん噛んでるよ。でも、内部分裂してるみたい。
「円卓」派と「黒幕」派に――――はあ。このゴタゴタで共倒れして
ぜーんぶ潰れてくれちゃえばいいのに、ネー。

【とんとん。二つの円を交互に指差しながら、はあと溜息】
【つまり、カノッサの人間――円卓派のそれらとも手を組む可能性があるのだと】
【そういうことを言うのだった。嫌悪感を覚えるかもしれないけど、まあ、仕方ない】

【それから。ぶつぶつと、自分なりに情報を整理していくつがるの姿を見て】
【――現実味がないわけじゃない、と言われれば。ちょっとびっくりしたようだった】
【思ってたよりぜんぜん肝が据わってるなって。関心したようでもあった、わりと上から目線】

……ま、鈴音に悪いことしちゃったのは、みんな同じだよ。
そか、つがるんも夢見るんだネ。あたしも見るよ、……早く泣き止んでくれるといいのに。

・…………そーそ、そーいうのは今は考えないで。さっき言ってた、鈴音のレシピでも見に行こっか?

【夢の話に移ると――驚くだろうか、夕月もそれを見ていると言う】
【彼女もそれを見るのは心苦しいと思っているらしい。だから、気分転換――みたいな感じで】
【さりげなーく話をちょっと前のものにすり替えてみたり。気分転換、してる場合じゃない気もするけど】


741 : 名無しさん :2018/06/23(土) 00:22:46 lQXZH2VE0
>>738>>739

【――――――もし。もし。この世界に本当の奇跡があるのなら。神様が居るって証拠、どこかにあるなら】
【あるいはそれを一番知りたいのは、きっと、彼女なのかもしれなかった。神様は居る。神様は居るから。見ていてくれるから。いつかきっと、きっと、いつか、――】
【――それはお終いの見えないマラソンに似ているのかもしれなかった。終わることがあったなら走り終わったという証拠。終わらなかったなら、走り足りないからという証明】
【何もかもが終わる瞬間まで報われることは決してない、よしんば報われたとしても、その時に、彼女自身がそれを喜べる状態にあるのかは、きっと、――分からないから】

……はっ? 待ってください、原始人も多分焼いてましたよ肉。山火事とかから火取ってたと思います。すごい気合ですよね。
でも火消えたら次の山火事怒るまで煮炊き出来ないと思ったらそりゃ必死で管理するとは思いますけど。ていうか服着てるだけで十分文明じゃないですか?
こんな梅雨時期に氷浮かんだ飲み物飲んどいてアイスまで食べて肉焼くまでもないと思うんですけど――、服に臭い付くじゃないですか、絶対嫌です。

ていうか――――私食べてもあんまり体重増えないですよ? そりゃ食べた分は増えますけど。気づいたら減りますし。まだ17なんで。若いんで。――――――。

【けれどそんな空気は一瞬に破綻する、相手の言葉に怪訝そうな目をしたなら、それでも、律儀に返してはくれるのだ】
【蛍光グリーンのにったり笑顔にドン引きした様相、めいっぱいに抱きしめられたなら完全にビビった感じに手が変な場所にある、それにしても、胸がおっきくて】
【そのくせにウェストはきゅうっと細くて。だけど細すぎやしなくって。髪の毛をもしゃもしゃにされたなら嫌そうな顔をしたはずだ、「絡むんですけど」なんて、呻いて】
【――しきりに自分の若さをアピールしてくるのはそれが武器になりうるって分かっているからに違いなかった。片手分の年の差、だけど、この位置関係だと充分大きいなら】

【それでもきっと信生の今のテンションなら、押し切れた。服に匂いが付くからいやだとかいろいろ言っていながらも、言葉以上の抵抗はしてこないから】
【まかり間違ってもそのまま贄に捧げられて今夜の焼肉はお前だよ!みたいなことにもなりやしないから。ありふれた焼肉チェーンにでも連れていかれるのだろう、そしたら】
【紙エプロンでももらってやるといいだろう。それでなんかファミリーセットとか頼んだっていいし、単品で注文してもいいし、食えと言われれば彼女も食べるし】
【ドリンクバーはお茶。食事中にジュースは飲みたくない。テレビの集金。うちにはそんなの誰も来ないから知らない。観たなら払えばどうですか。などなど】

【それなり程度には話してくれるんだろう。いくらかなら雑談みたいな温度感でも話すことが出来るに違いなかった、――そうしたなら、それはきっと、ありふれた女の子の温度】
【撫ぜたら柔らかくて。少しだけ肌に吸い付くような感じがあって。嗅いだならきっと甘くて、だけどどこかで酸い。限りない万能感と限りない無力感が同席して、不確かな、思春期の色合い】
【蜂蜜の瓶にたっぷり詰め込まれた大事なものたち。そういうものをきちんと持っている。持っているんだけど。――だけどそれはきっと彼女にとって、あんまり特別ではないから】

【この少女にとっての大事なもの。大切なもの。特別なもの。それは全部全部そっくりそのまま置き換えられてしまって。――だからこその信仰、だった。もう、何もないから】

/おつかれさまでした!


742 : 三枝双葉 ◆KWGiwP6EW2 :2018/06/23(土) 00:39:59 WMHqDivw0
>>736
デッドマンワンダーランドって……そこで生きてる実感するの捻くれ過ぎて……ないっ!


【律儀にツッコミを入れていた少女だが――先んじて倒してしまおうと、打ち込んだ拳はあっさりと払われてしまった】
【流石に、リーダーともなると、他のチンピラよりも強いのか――或いは能力でも持ってる?】

【しかし、自分をいなしたところで、待ってるのはさっきから上機嫌な地獄の三丁目】
【二挺拳銃から放たれた弾丸は、直線ではなく、何故か曲線を描いて、チンピラ達を撃ち抜いている――】

【このリーダーが多少腕が立ったところで相手にはならない。――いやいや、彼女が殺さないように何とか――そんな他力本願を考えそうになって振り返るも】


あ、あれ!?どうしたのフェイさん!?


【髪の色が……戻りかかってる?】
【え、この人格交代って完全に自分で制御できる訳ではないのか】
【とにかく、あんなフラフラでは、いくらなんでも勝負にならない】


ちょ、ちょっと無視しないで、よ!!


【土台、突進しか能がないのが少女だ。能力の出力は上がってない。条件を満たしていない】

ほんっと使いにくい能力――


【愚痴りながら、今度は腰を据えて、リーダー格の男へとハイキックを見舞う。眼中にさえなかったなら、それは背後からの攻撃になる】
【そこまでの肉体強化ではなくとも、それでも鉄板を陥没させるくらいの威力は篭っている】


743 : アレクサンデル・タルコフ ◆ZJHYHqfRdU :2018/06/23(土) 00:55:11 IBKicRNQ0
>>730
【ここまでの戦いの流れを想定内に収めていたパグロームに対し、マルフィクの方は予想の大半を外されていた】
【初手から容赦のない狙撃、だけならまだしも。自身さえ巻き込みかねない爆薬の大盤振る舞いに】
【何より、虚数の空間をフルに利用したその戦い方。彼は狂信者狩りの専門家、その事実を軽く見た代償だ】

【それだけ、相手の恐ろしさを正しく理解したが故に。彼が初めて見せてくれたその表情に、司祭の口角は邪悪に吊り上がる】
【この瞬間のみ、この男はサーペント・カルトの司祭・マルフィクではなく、『泥の街』で鳴らした悪党・アレクサンデル・タルコフであった】


ふ、ふふふ……!! パグローム殿に太鼓判を押していただけるとは、私の狂気も捨てたものではありませんな……!!
おっしゃる通り、これは信仰とはまた別の、いわば昔の習いです
生き残るためにならどんなことでもしていた、あの頃の。危険物の用法容量を逸脱する程度、何でもなかったあの頃の――――

【歳を経た男特有の、昔を懐かしむ表情をこんな状況で浮かべながら。それでも、受けたダメージをごまかしきれてはいない】
【キノコの防御で命は永らえたものの、本来であれば人体を砕き潰す威力の銃弾を至近距離から受けたのだ】
【肋骨は数本折れ、内臓にも衝撃が伝わっており、視界はぼやける。胴体だけの身体が、再び吐血する】



『貴様はその有象無象に殺されて、ここで死ぬのだ!!』

【そんな司祭を庇うように、前に出ながら屈強なサーバントは拳を叩き込んだ】
【手応えはある。だが、動揺しつつも行われたガードが致命打は防ぐ。サーバントの微かな舌打ち】

【だが、司祭の蛇がその身をついに捕らえたのを見れば、流石に口元が歪む。他のサーバントらも同様に】
【ついに、この宿敵を討ち果たすことが出来る――――しかし、マルフィクは教団で聞いた情報を思い出していた】
【捕らえられない男。幾度か追い詰めたこともあるが、そのたびに逃げのびて来た男】

【その言葉を聞いて、その意味を悟った時には、もう遅かった】

――――!!
『な!?』 『消えた!?』

(すぐに拘束を脱しなかった……即接近してこなかった……つまり、発動のタイムラグと連続使用の不可能……)
(しかし、それを差し引いてもこれはあまりに……危険すぎる……!!)

【サーバントたちの動揺の声が走る。慌てて周囲を見回し、離れたところに出現した彼の姿を認めても、その心の揺らぎは収まらない】
【マルフィクは、確かにパグロームの能力の制約を見て取った。しかし、それでも協力極まる力であることに変わりはない】
【何より、その能力を有するパグローム自身の腕前。容赦のなさ。司祭は方針を切り替えた】

【すなわち、情報を持ち帰る。生きてこの場から撤退する――――】


……職務を、果たす時です
『――――!!』

【司祭の言葉を受けて、サーバントたちの表情が変わる。死を決意した者の顔へと】
【パグロームが奪い取った機関銃を掃射した、その瞬間。サーバントたちが司祭の前に出て、盾となった】

【血しぶきをあげて倒れていくサーバントたちの背後で、血反吐を吐き散らしながら司祭は大技を発動させる】

今回はこれにて幕としましょう、パグローム殿!! 我々との決着は、儀式の場にて――――!!

【ダルマのようなその全身から、一度に半透明のエネルギーが放出され。それが大蛇の姿を取った】
【エネルギーの大蛇は、そのまま所かまわず暴れ出そうとするだろう。この支部そのものを倒壊させんばかりの勢いで】

【エネルギーの大半を失った司祭は、大技の成否に関わらずぐったりと倒れ。生き残ったわずかなサーバントがそれを抱えて裏口から脱出を図る】
【これでパグロームが死ぬはずはないとわかっているからだ。大蛇の大暴れも、司祭がこの有様では長く持たない。やがて雲散霧消する】
【パグロームがまだ行動を起こそうとするなら、これが最後のチャンスとなるだろうか】

【今宵は、自分たちの負け越しだ。多くのサーバントを失い、支部を一つ失った。幹部としてあるまじき失態である】
【司祭は歯を食いしばりつつ、それでも己の狂気を芯として進もうとしていた。更なる、破滅への道を――――】


744 : 兼愛 信生(けんあい のぶき) ◆xgsUYuhzWc :2018/06/23(土) 01:13:23 Lxd3YeZA0
>>741

【きっと当たり前の日々の風景が顔を覗かせてきたら、信生は目に見えてはしゃぐのだろう】
【そしたら紙エプロンに一気にタレがついて泣いたり、じゃあお子様新幹線焼肉定食にするぞ!なんてふざけたり】
【サーペント・カルトってテレビ置いてないのだな、なんて当たり前みたいに返答して、そして】

【──きっと、かえでがトイレに立った時、こっそり、泣く】

【彼女が今日まで、ちがう生き方を貰えてたら、ちがう出会い方もしていたかもしれないのに、と】
【それは決してかえでのせいではない。それは】

【──会えたコトが嬉しくても、それはあくまで自分のエゴの話でしかなくて】
【かえでには普通の人生を歩んで欲しかったって思うのが、胸に詰まって悲しくなるのは当たり前だ】
【無い物をねだっても仕方ない。でも、悲しくて泣くくらいは許して貰いたかった】

【──それくらい、ウヌクアルハイだって、許してくれるはずだから】



──ただいま、アイ!

「オカエリナサイ、ハカセ」

【深夜とはいかない時間、信生は研究所に帰宅する。出迎えたのは白い子供ほどのロボット】

「お夕飯は食べマシタカ?」

食べた食べた!焼肉を食べてな!
もーお腹いっぱいだ!アイ、一緒に寝よう!

「了解シマシタ」

【帰りの時間から推測し、予測していた質問に、ベッドメイキングをしておいて良かったと胸を撫で下ろす】
【アイ自身、そろそろ充電の時間であるコトに気付いて、同時に信生の表情が明るかったコトにも気付いた】
【最近元気が無かったような気がしたから、「大丈夫デスカ」「大丈夫」のやりとりを何度も繰り返していた】
【今は──違う】


「──〝アイ〟を見つけたのでショウカ?」


【コテン、と首を傾げる動作と共に、疑問を口にする。まだソレが何かは分からないけれど──学習した気はした】
【〝何にせよ、元気になってくれて嬉しいな〟。そんな思考をしてから書類をまとめて、置き】
【「ファラエナさんに猫の動画を送らなくてはいけマセン」とふと呟いて、そそくさとスマホを手に取った】
【この新世界では──蛇の思惑がありながらも、そんな日常の世界も同居していて】


【きっといつか、悲しいコトも、苦しいコトも】
【流れた血も、落ちた涙も、きっとなんらかの形で救われる。そんな日も来れば──】


【──ただそれだけを、ヒトビトは、何かに祈る】


/お疲れ様でした!ありがとうございました!


745 : フェイ/白桜 ◆D2zUq282Mc :2018/06/23(土) 01:18:54 Qsc4Hznw0
>>742

「どうした、カイ。この期に及んで誘っているのか?若しくは死を受け入れるのか」
「何れにせよ、好機だ。お前が食い散らかした溜まりに溜まったツケーーお前の命を以て清算してもらおう」

【リーダー格の大男の手がフェイに歩み寄りその首に手を掛ける瞬間】
【背後からのハイキックを食らい、前のめりに身体が傾くーーが、踏み留まる】
【痛みに顔をしかめて、アウトロー筋特有の恐怖を想起させる恫喝めいた表情を浮か少女の方へと振り向いた】
【リーダー格の大男は能力者ではないが、鋼鉄のような筋肉のお陰で少女の強烈な蹴りに耐えれたのだろう】

「ーー…ああ、ただの羽虫と思っていたが今の蹴りは効いた。侮って済まなかった。先ずはお前からだ」
「なにーーー苦しいのは僅かな一瞬だけだ。俺に委ねれば比較的楽に逝ける」


【リーダー格の大男は少女の首を掴もうとしてその豪腕を伸ばす】
【無機質ながらも明確な死を連想させる手は、一際大きく感じるかも知れない】
【ただ少女のハイキックは十分に効いているお陰でその動きはやや鈍い】


ーーー……がはっ、ぐっ、ぁぁあッ……
は、……はくら。邪魔、……すんな。
(クソがっ……本調子じゃねえからか。アタイの能力の代わりに白桜の能力を使ったのが失敗だった)
(お陰で、意識が引っ張られる…ヤベエ、ーー意識が、…トんじまう)


【髪を染める白色はその領土を拡大させて、次第にフェイのものである痛んだ茶色の割合が減っていく】
【この間にフェイの身体は言うことを聞かず完全に沈黙していた。こうなると身体の主導権を白桜に完全移行するまでどうしようもない】
【故にフェイの身体は倒れて、髪色が完全に白く染まるのを待つしかない状態となっていた】


746 : ◆XLNm0nfgzs :2018/06/23(土) 01:30:57 BRNVt/Aw0
>>740

【機関も絡んではいるが両方の派閥に別れているのだと聞けば目を丸くして、え、そうなの?と言って】

機関も一枚岩じゃないって事かぁ……どっちも倒しちゃうんだから結局は同じなのかもしれないけど……
まー、確かに共倒れしてくれたら世界がもっと平和に……は、ならないな
【機関が割かし大人しく動いてる間に蟲だー蛇だーってあれだもんね現状、なんて乾いた笑い声をあげて】

【それでもって話は続く。自分なりに解釈を深めて、現実味がない話ではないなどと言って】
【一見肝が据わっているようにも思えるかもしれない、けれども思い返してみるのならば最初に会った時の上の空な様子。ならばそういう風に振る舞っているだけなのかもしれないが】


……世界の事は自分達に任せて貴女は自分の目的を果たして、みたいな事、言わせちゃった
辛いし誰かに任せたかったのは鈴音ちゃんだってそうだったのに……

──え、夕月ちゃんも鈴音ちゃんの夢見るの!?
……そっか、私の妄想じゃなかったんだ……良かった……否、全然良くないけど……
【カウンターに伏せてアンニュイ感じでいたと思えば夕月が鈴音の夢を見るのだと聞いてバッと顔を上げる】
【そして何だかぷるぷると震えながら】

……へへ……へへーぃ……ざまぁ見ろオフィウクスゥ……妄想じゃなかったぞぉ……私以外にもいたぞぉ……集団幻覚とかそういう詭弁は効かないぞぉ……


ざまぁ見ろムリフェンンンン!貴様の言った事は外れてたぞぉぉ!っていうかやっぱり鈴音ちゃんいるじゃん!
嘘は露見したぞぉぉぉ!バーカバーカ!
【呟いていたかと思えば座っていた椅子をガタァンッ!と倒しながら叫んで右手で拳を作って腕を上に突き上げる】
【どうやらオフィウクスという輩だかムリフェンという輩だかと一悶着あったようでその事で相当何か溜まっていたよう、なのだが何というか怖い】

【だが一通り叫ぶと何かスッキリしたらしくけろっとして椅子を元に戻しながら、鈴音ちゃんのレシピだっけ?見る見るー、なんて言うのだ】


747 : パグローム ◆KWGiwP6EW2 :2018/06/23(土) 01:34:42 WMHqDivw0
>>743
【狂信者とは人間としての過去など捨て――信仰に全てを捧げし者】
【その認識は知らず固定観念と化していた。だから奴の――"マルフィク"ではない、"アレクサンデル・タルコフ"の過去を軽視した】
【詰めを誤った敗因は強いて言うならばそんなところ】
【そして戦いの趨勢は再び反転する。マルフィク配下のサーバント達は、今まで男が殺して来た連中とは練度が違う】
【司祭の号令の元、煙幕も晴れた場所で連携を取れば、男を十分に追い詰める技量が有った】
【――"してやられた"。異端狩りの己が、獲物で有るはずの狂信者如きに――それは己で想像していた以上の、屈辱】


ここまで来て逃がすはずが有るかッ!!
グラム100円のクズ肉になるまで細かく刻んでやるよォ!爬虫類ども!!
脳味噌にこびりついた薄汚い信仰ごと――ミンチになァれ!!

【銃弾で、即時に信者達の頭を飛び散らせる――否、飛び散ることもなく、消えて失せる】
【パグロームの能力を前に肉の壁は効果が薄い。故にまだ追いつける――司祭のダメージは大きい】
【今ならば仮に接近しても打ち勝てる――】
【しかし疾駆する彼を待ち受けていたのは――これは】


此奴、俺の真似を――!!


【先に男が仕掛けた、足元からの爆発を再現するかのように、膨れ上がり、暴れまわる大蛇のエネルギーが、周囲を薙ぎ払い始めた】
【爆風とは違う――即座に男を吹き散らす訳ではない】
【しかし、司祭を追えば間違いなく、その波に飲まれることだろう】
【男は歯噛みして――懐から"有り触れた"拳銃を取り出すと、それを司祭に向けて発砲した】
【それは身を挺して庇う、サーバントの一人に命中するも、致命になることもなく――彼らは忠実に司祭を守り、逃げ去っていく】


【襲い来る蛇の波――倒壊し始めた施設の中で、男は苛立ったように、地面を蹴った】
【――彼らがそう思っていたように。男もまた感じていた】
【獲物を殺し損ね、情報を持ち帰られた――】
【襲撃と逃走を繰り返し、自己満足の"勝ち"を奪ってきた男に取って――これは初めて実感する敗北だったのだ】


本物の信仰、ねェ……鼻が曲がるぜ

【先に自身で口にした言葉を揶揄する。男は信仰と言う言葉が嫌いだ】
【どいつもこいつも――本当は、何一つ"信じて"などいない癖に】


【逃走に専念する彼らは気付くだろうか。最後の撃った拳銃の弾丸――サーバントの一人に突き刺さり体内に残ったそれが、発信機になっていることを】
【或いはあの司祭ならば気付いてもおかしくないが、あの状態ならば期待はできるか】
【崩れ行く施設の中、自身の傷の状態を確認しながら、男はその場から消え去った】


【倒壊した施設は、何が起こったらここまで破壊されるのかと言うくらいに、崩れていたが――そこにはただの一つの死体も存在していない】
【この場で演じた凄絶な戦いは、誰に知られることもなく幕引きとなるのだった】


【その続きが有るのだとしたら――それはきっと儀式の日に】


748 : 三枝双葉 ◆KWGiwP6EW2 :2018/06/23(土) 02:12:52 WMHqDivw0
>>745
【蹴りは確かに当たったはずなのに――倒れない!?】
【それは少女の経験の浅さが災いした。効いているのならば立て続けに攻撃すべきなのに】
【動揺で動きが止まってしまう。喧嘩慣れならば、相手の方が遥かに経験が多いに違いない】

ち、チンピラ代表に羽虫って言われた――!
偉そうに――何て言うかその……バーカ!!

【語彙力】
【恐怖を打ち消す、能力が効いてて幸いだった――素の状態だったら、睨まれただけでも竦んで動けなくなってしまっていただろう】
【しかし、その太い腕は、動きが止まっていたが故に、避けられない――首が掴まれて、バタバタと足を動かすことになった】


い"っ……ぐるっ……し――!!


【手を離させようとするが、圧倒的な体格差、筋力差は、今の能力だけでは埋めきれない――】
【どうにか反撃しようと、呼吸を奪われながらも、男を睨みつける】
【細い首は、これも強化されているのか簡単にはへし折れないが――時間の問題】
【視界が霞む中で、"カイ"の方を見る――今はフェイ?白桜?分からないけれど】
【倒せないなら、せめて逃げるだけの時間でも、稼がないと――】


フェ……さ、ん……逃げ……ぎッ………!!


【ミシミシと、男の腕を掴む、少女の手が、握力を込めているが、それでもまだ離れない】
【せめてほんの少し――男の気を逸らしてくれる何かが有れば――】


749 : フェイ/白桜 ◆D2zUq282Mc :2018/06/23(土) 02:55:10 Qsc4Hznw0
>>748

「ほう…まだ折れないのか。小娘の首を折る事と小枝を折る事は等しく容易いと思っていたのだが」
「早く折れろ。苦しみが続くだけだぞ。早く楽になりたいだろう。ーーもしやとは思うが。痛いのも、苦しいのも好みなのか?」

【熱の籠らない声。熱の無い眼光。少女の首を未だに折れぬことに対して怪訝な表情を浮かべつつ】
【ギリギリと首を締める手には力が加わる。時間経過と共に少女の首を締める力が強くなる】
【もう少しで首の折れる音が聞ける。命の終る音が空しく儚く消え入るように。ーーそんな折だった】


ーーー……ごきげんよう、と言えば良い?
いいや、さようならかしら?



【少女は目の当たりにするだろう。完全に白く染まった人の形を。苦悶の表情をうかべた白桜を】
【リーダー格の大男と少女は耳にするだろう。ふらふら立ち上がる白桜の場違いな言葉を】
【そして白桜の令嬢めいた佇まいからかけ離れた黒色の拳銃が銃声を響かせた事を。マグナム相当の威力を誇る弾丸を一発、二発と放っている事を】

【リーダー格の大男はこの瞬間少女へと向けた意識を切り捨て、首を掴む力が緩む。少女の力でも十分に振りほどける程に】
【この瞬間、大男に確かな隙が生まれた。少女と白桜が付け入ることのできる隙が生まれた】


750 : 三枝双葉 ◆KWGiwP6EW2 :2018/06/23(土) 03:20:45 WMHqDivw0
>>749
【或いは、男がそう思うのも無理なからぬことだった――】
【少女の露出した手足には、無数の傷が走っているのだから、自傷癖でも有るのかと疑われたところで仕方ない】
【半眼を開けながらそんなはずないと、視線で抗議するも、声を出すことすら苦しそうだった】
【肉体の強化によって、辛うじて耐えてはいるが――このままでは拙い――危機感と奪われた呼吸で顔が青くなってきた時】


【耳に届いた声――その意味を察するより早く、少女は行動に出ていた】
【力が緩んだ隙に、自分の喉から力ずくで腕を引き離す――】
【ゼエゼエと呼吸をしたいのを堪えて、一度、深く呼吸を吸うと】


さっきから言いたかったけど、あなた――社会不適合者の癖に、偉そうよ!


【一息。柔軟な脚が真上へと上がって、その爪先で、男の顎を蹴り上げた――】
【顎を掠めて、力を奪う――それは力任せの能力による攻撃ではなく、先程まで、少女が練習をしていた、武術の技】
【とにかく、これで隙は作れた。蹴り上げたまま、一回転するように、少女は男から身を離す】

【"カイ"の方は――】


751 : アレクサンデル・タルコフ ◆ZJHYHqfRdU :2018/06/23(土) 05:22:07 IBKicRNQ0
>>747
【人に歴史あり、という。人の命が、当たり前に消費されていくこの世界においても、それは同様だ】
【確かに、パグロームはアレクサンデルの過去を知らず、それを舐めていたのかもしれない】
【だがマルフィクもまた、パグロームという異端狩りの狂戦士の力のほどを、その執念を、侮っていた】

【熟練のサーバントたちを討たれ、支部を失い、自身も瀕死に追い込まれる。誘いをかけておきながら、何たる失態か】

く、はは……!! 罵声の、語彙の豊富さ……ゴフッ……
我が古巣、にも匹敵、しますな……が、は……

【サーバントに抱えられ、エネルギーを使い果たしてなお、そうしてセリフを返すには半ば意地であったのかもしれない】
【パグロームから最後に受けた銃撃に、配下のサーバントが耐えたところまでを見届けて。ついに、司祭は完全に動けなくなる】

【流石に、この状況で撃ち込まれた銃弾が発信機で会ったことまでは気付くことは出来なかった】
【狂戦士と狂信者。互いに、この前哨戦は痛み分けといったところか】


……本部に戻る暇は、ありませんな……
近くの支部で治療を済ませたら、すぐに向かいましょう……儀式の場所へ……

【こうして、因縁は先延ばしになる。その結実は、果たしていかなる結果をもたらすことだろうか】

/改めて、お疲れさまでした!!


752 : セアン中身 :2018/06/23(土) 05:27:10 8blO4Or20
>>731

戦った後の体が火照った時に飲むのが最高何だぜ。
えっ……お前、酒飲めねぇの…?何かぁ…ごめんな。

【あ゛ー酒飲みてぇ、と付け足しソワソワする】
【此奴も此奴で大分変態である。誰かがこう言ったそうな、科学者は皆変態、変態じゃないと科学者になれない、と】
【憐みの目を向けて謝り、気まずそうな顔をする】

そこを突かれるとイテぇんだよな……ほら、俺こんな顔してるから、嫌でも目立つんだよ。
そんなのはつまんねぇだろうが、やるんだったらドカーンと派手に行かないと。
まぁ、良く考えなくてもそうだな。あっ因みに俺はBPMの高いラップ調の曲が好きだぞ。

【そんなこと言うんじゃねーよ、憶分の一の確率でプラスになるかもしれねーじゃん。と小声で返す】
【男が再び歩き出す、恐らくはそろそろ話しは終わり、と言う事だろう】

まぁ、俺達は能力者だから、ほぼ全員が社会不適合者だしな。
そう言うもんかねぇ、生憎俺は力で押し切るタイプだしよ。

【男がヒラヒラと手を振り去っていく、じゃぁな眼帯ヤロー、と言う】
【別れを告げた後にこちらも帰ろうとすると、不意に男が立ち止まり言った、もう少しでココ爆発するから】

ってっめ゛ーーーーー!!ふざけてんの!?超急がなきゃいけねーじゃねぇか!!
マジ後で覚えてろよ!!⦅錬成⦆バイク!ホント次会ったら覚えとけよ!!
もう2人しか連れて行けないだろ!!次会ったら絶対に轢いてやるからな!!

【錬成したバイクで気配の固まった場所にアクセル全開で飛ばす】
【生贄の場所に向かってると恐らく爆発が始まったのであろう轟音が鳴り響く】

//この辺でお終いで宜しいでしょうか


753 : 『INSTITUTE MELTING PROTOCOL』 ◆zuR4sSM1aA :2018/06/23(土) 07:11:58 SD5ZXnH60
>>ALL

【扉一枚を隔てて、殺戮は行われる。濃い血の臭いが、死の気配が階層を支配していて】
【鱗粉で、“水”で、鉛弾で、刃で────どの手段を以てしても、死を齎すことに変わりはなかった】
【惨い死に方をした身体も幾つかあったけれど、すり潰してこねてしまえば外見の差異になど気に留めることもないか】


「ふふっ、君たちは頼もしいなあ。あっという間に片付いちゃった」
「──さて、僕は人間共が来ない内に“儀式”の準備をするよ。君たちはこの場所を守っていてくれ」


【古びた法衣の埃を払うと、粘液のヴェールに包まれた一匹の蟲を取りだす】
【纏う粘液はそれほど粘性が高くないらしく、さらさらと地面に水滴を作っていく】
【それは魔力によって出来ているのか、地面に落ちきった途端に蒸発してしまって──】


「これが神の遣いだ。僕たちにとって強力な抑止力になる、“蟲の遣い”」


【にっ、と口元に厭らしい笑みを浮かべてみせる】
【現時点では唯の蟲にしか見えないが──神の啓示を受けたとしても、羽化できていない為で】
【羽化させるために魔力を贄として、死者を信仰として神に捧ぐのだ】

【────】

【その鉄扉は厚さ十センチにも及ぶ、災害対策用に作られたものだった】
【故に開く際に鈍い音を立てるのであるが──それは蟲の注意を引きつけるのに十分で】
【──真正面に伺えるのは殺戮の痕跡、そして4匹の“従者”とワームシンガーの姿だろう】

【位置的に一番近いのはワームシンガーだ、死体の辺りに従者は集まっており】
【扉の方に自信有り気で不気味な笑みを向けて──彼らと対峙するのだ】
【手にした“蟲”も、外にいたそれとは違う──魔力と、恐ろしい程の信仰が注がれているのだから】

【兎に角“蟲”と人類はここに対峙する】
【護る意志を持つ彼らと、奪う意志を持つ人ならざるものが──】


754 : 三枝双葉 ◆KWGiwP6EW2 :2018/06/23(土) 12:52:32 WMHqDivw0
>>752
// 長らくお付き合いありがとうございました!


755 : ロッソ ◆KP.vGoiAyM :2018/06/23(土) 13:21:59 Ty26k7V20
>>718

【食えない女だ―――だからこそ、理解できる。こういう“同類”は同じルールブックで行動しているから】
【やりやすい。損得と己の善悪。至ってシンプルで、胡散臭い真似はしない。正直な方が長生きできると知っているからだ】

――ディティクティブだ。マーロウだってそう言ってたぜ。だが、どちらかっつーとやってることはピンカートンだけどな
…生憎、アクターとミュージシャン以外の名前は疎くてね。アンタがそのスタイルでいくならそれでいい
俺は――――そうだな。“ワイルドバンチ”、かな。馬鹿みたいにリボルバー撃ちまくるぐらいしか出来なくてね


【男はポケットから手を抜いて、サングラスを外した。真っ赤な目をしていた。鮮やかな赤は、シルバーの杯に注がれた赤ワインのように】
【だがその瞳は黒く、真っ直ぐ夜を見つめていた】

【そして彼が両手に構えたのは、“気取ったリボルバー“】

【右手には白銀、左手には黒色のダブルアクションは美術品のような美しい細やかなエングレービングが施されていた】
【そんなものはなんの戦術的利点は無いと笑うかもしれない。けれど、おもむろに親指で起こした撃鉄によってそれは朱に染まる】
【まるで血管のようにエングレービングを赤が這い回って、拳銃が生き返る。銃の刻印が“sabrina”と名乗っていた】

ああ…ほっといたっておんなじとこに顔を出すなら、丁度いい。俺らの勝手なエゴのついでに、世界も救っちまおう。
なら、差し出したその手を取って、ワルツ…いや、下手なツイストでも踊ろうか

【奴らは揃いの衣装で、揃いの入れ墨で、各々の武器で。蛇の巣穴の奥まで入り込んだ2人を待ち受ける。】
【地下室に詰め込まれた生贄を、神を、世界を守らんと、己のドグマに火をつける】

【階段の上と下から、各々のファルセットが火を吹いて。そんなラストシーンでこの映画は終わる。明日に向かって撃てのようだが】
【この物語はまだ冒頭のプロローグにも満たないだろう。】



/イベント前に終わらせます!なかなか時間が取れずにおまたせしてしまって申し訳ありませんでした。
/もっといろいろやりたかったのですが何かのフラグになれば幸いです。ありがとうございました!


756 : アリア ◆1miRGmvwjU :2018/06/23(土) 13:33:05 o6XMS57s0
>>755
//ひとまずありがとうございました!!お洒落なセリフ回しの応酬ができて楽しかったですっ
//立ててくださったフラグを活かしてうまく大立ち回りできたらなと思います。お疲れ様でした!


757 : フェイ/白桜 ◆D2zUq282Mc :2018/06/23(土) 16:48:32 Ps8W865U0
>>750

【大男の顎を掠めるのは少女の蹴り上げた脚。その爪先。体が言うことを聞かなくなる】
【抜かった、と大男は自身の判断ミスを呪う。少女の罵詈雑言もそれを後押しする様に聞こえる】


「――舐めるなよッ、小娘ぇ……!余程死にたいらしいな……!」


【冷静な口調であったとしても、所詮はチンピラ。頭に血が上ればお約束めいた口上を口にして】
【本命たる"カイ"をそっちのけで覚束ない足取りで少女へと歩みを進めていけば――】


はぁっ、はあッ……はぁ、はあッ……。意識が、混濁する。……けれど、やることは解る。
私は、私の、いいえ"カイ"としてのツケは踏み倒す。――何せ、私たちは"ひとおに/カイ"だから。


【人に鬼と書いて、"カイ"。人に数えられない身であるならば、在りたいように在るだけだ】
【追尾特性のある銃弾を用いて白桜は大男に銃口を向け、引き金を引く。すると銃弾は一発、二発、三発、四発と放たれた】
【少女に当たらぬようにと一応の気遣いはしていたみたいで。両手両足に向けて魔力弾は牙をむくのだった】

【すると大男は四肢を射抜かれて、その場に各坐するのであった――恨み辛み、呪詛の声を伴いながら】


758 : 厳島の中 ◆zlCN2ONzFo :2018/06/24(日) 12:34:15 6.kk0qdE0
>>753

「光栄です、ワームシンガー様……」
「この程度、造作もございません、御手を煩わせる事も無いでしょう」

【ワームシンガーの感嘆の言葉に、感情も抑揚も無い瞳でこう答えた】
【儀式の準備と言う彼女の後ろに恭しく控え】

「解りましたワームシンガー様、仰せのままに……」

【人間が、人の抗う力が、迫っているのだろうか、その扉の向こうに】
【重厚で厚い扉の向こう、かつて自分はその立場だった】
【自分は扉の向こう側だった】
【その記憶を、懐かしい物に感じ、そして再びその光無い瞳でその前に立ち】

「来るなら、来なさい……」
「(殺せるのなら、殺して……)」

【短機関銃に着剣し、構え、そして扉をこじ開けるその人物に対峙するつもりだ】
【誰が来るか、誰が真っ先に乗り込んでくるのか】
【蟲の魔族と人間、この戦いが、神代の戦いの再現か、はたまた違う結果をもたらすのかは、誰も解らない】


759 : 三枝双葉 ◆KWGiwP6EW2 :2018/06/24(日) 14:45:02 WMHqDivw0
>>757
け、ほっ……!けほっ……!そっちの、口調の方が、お似合いよ!


【喉を抑えながら咳き込んで、少女は男を睨みつける】
【戦況は、またイーブンに戻ったが、男の方もだいぶフラついている】
【今なら勝負になるはずだ。何より、未だに意識の覚束ない、彼女からは注意を逸らすことが出来た】
【とは言え、少女の方も、首を絞め続けられて酸欠みたいな状況に陥って、未だにその場にへたり込んでいる】

【拳を握って、立ち上がり様に、反撃しようとするが――】


え――?


【重なる魔力弾。少女が茫然としている間に、放たれた銃撃の軌跡が、少女の目に残る】
【やったのはフェイ?白桜?いや、今はどっちでも良い、"カイ"がやってくれたのだと】
【少女は立ち上がると、悶絶しているであろう大男のところへと駆け寄って】

今度は二人分――いや、"三人分"、ツケといてッ!!

【その顔面にサッカーボールみたいに思い切り蹴りを叩きつけた】
【容赦のない一撃だったが、死ぬよりはマシなのだろう】
【男の意識が落ちたことを今度はちゃんと確認すると、蹲っている少女に駆け寄るだろう】


えーと……今は白桜さんで良いんだよね?
大丈夫?どっか痛い?


760 : ◆S6ROLCWdjI :2018/06/24(日) 14:57:14 WMHqDivw0
>>746

【急にテンションの上がったつがるを見て。ちょっと引いちゃったっぽい、ちょっとだけ】
【夢を見るのかと問われたら、「う、うん……」みたいな返答。もしかしてこの子ソーウツかな、とか】
【自分のことを棚に上げて考えたりするのだった。こいつも似たようなもんだが】

……あ、そだ、うんうん。鈴音のレシピ。持ってくるネ、何冊かあるから――――

【ちょっと落ち着いた頃合いに、わたわた。件のレシピ集を持ってきて、机の上に】
【――何冊も何冊もあるノート。きっとそれは、「白神鈴音」がここで刻んだ歴史のあかし】
【中を見てみると、……わりとレシピって感じではない。思い付きを書き留めておくためのメモ、というか】
【日記帳でもある、そんな感じだった。野菜に虫がついていたとか、誰かと喧嘩しちゃったとか】
【そういうの、ひとつひとつ書いてあって――。……間違いなく、この世界に、「白神鈴音」が】
【神ではなくて。ここで頑張って働いていたひとりの女の子がいたということ。確実に、伝えてくるのだ】


…………ふ、あはは。久しぶりにこれ見たけど、……やっぱレシピじゃなくない? これ。
落書き帳とか日記とか、そんな感じじゃん……あはははっ。……はぁ、ねえ、

鈴音に、この続き。…………ぜったい書かせよう、ここで終わりなんて、絶対させない。


【見ながら、夕月は。少し寂しそうに笑いながら――そう言うのだ、改めて。鈴音を取り戻そう、って】


761 : フェイ/白桜 ◆D2zUq282Mc :2018/06/24(日) 22:34:45 JY1GydDk0
>>759

「なっ……!?お前の分まで……ツケるわk……っ!!!」


【四肢を撃ち抜かれた事による焼ける様な痛みを味わう暇など無く】
【サッカーボールを蹴り抜いた様な、強い力を持った蹴りに沈黙させられる】
【少女と白桜。二人の少女によって、大男の尊厳は著しく損なわれ、深い傷を刻み付けられる】


…その、……とおり。今は、……白桜で、合ってる。
そして、大丈夫。なんとか。……ただ、少しだけ。意識が   飛ぶけれど。


【泰然とした雰囲気と言葉に絡みつくのは安堵と消耗】
【"白色"の意識と"茶色"の意識が断続的に行き来したり、混じったり】

【それらが原因で断続的に意識が途切れ、混濁するもそれは徐々に収まる。攣られて両腕の刺青も次第に薄くなる】
【意識の断続的な途切れと心身の消耗は、白桜にとって負担の大きなものだったらしく。糸が切れたように白桜は】
【ぱたっ、と言う音と共に弱い勢いに身を委ね、少女の体に身を預けるのであった】


―――……格好良かった。……そして、あなたを振り回した事……謝りたい。
危険な目に……遭わせたと思う。……怖かったと思う。その事を……フェイの分まで、謝りたい。


【賞賛する言葉を口にする時から既に消え入るような声色で。】
【少女の身体に身を預けた白桜は、申し訳なさを滲ませた表情で謝罪の言葉を口にしていた。】


762 : ◆XLNm0nfgzs :2018/06/24(日) 23:05:43 BRNVt/Aw0
>>760

【けろっとして鈴音のレシピの事を出せば、相手は何だかちょっとわたわたしながらレシピ集を取りに行って】
【あれー?夕月ちゃんてばどうしたんだろ?なんてこてーんと首を傾げて、どうやら妙なテンションになってしまった事には気付いていない様子】

【テーブルの上に広げられたレシピノートをのぞけば、レシピ以外の事もちょこちょこと書いてあったりなんかして】
【ああ、やっぱり"あの時"はセリーナさんと何かあったんだなぁなんてしみじみ思ったり】

【鈴音ちゃんは此処で本当に色んな事を考えて"生きて"いて、その証がきっとこれなんだって、そう思って】


確かに……ちょっとレシピ集っていうには、ね
ホント日記とかそんなものみたい

……うん、私もそう思う
鈴音ちゃんにはまだ此処に"居て"ほしい
神様のままでも良いから、戻ってきてほしい
【相手の言葉に笑い返して、そうして頷いて】
【けれども自分の言った事にふと何かを思って】


……ねえ、夕月ちゃんは、どう思ってる?
鈴音ちゃんは人間でいなきゃ駄目?
神様の──悪い神様か良い神様かは問わないんだけど……とにかく、神様の鈴音ちゃんは認めたくない?
【おずおずとそう尋ねる】


763 : 三枝双葉 ◆KWGiwP6EW2 :2018/06/24(日) 23:16:58 WMHqDivw0
>>761
【倒れ込んだ男はもう見向きもせず、少女のところに駆け寄って、倒れそうになる背中を支えるのだった】
【もう能力は途切れているから、非力な少女の力でしかないけれど】
【見るからに消耗しているその様子を見れば、相当頑張って出て来てくれたんだろうなって、気付くから】

ううん、ありがとう……助けてくれて。

【髪の色が安定していない。どういう状態なのか尋ねたかったが、それはもう少し落ち着いてからにしよう】

これ……大丈夫なの?
病院行ってもダメそうだし……寝てた方が良いなら、泊まれるところ、探すけど。

【まだ苦しんでいるように見えたから、峠を越えている状態なのかも分からない。少女は謝罪の言葉を告げるが】
【自分を助けるために無茶をさせたのなら、それこそ申し訳ない】

全然……情けないところ見せちゃったし。
楽しかった……とまでは言えないけど。

【そこは正直だった。正直とっても怖かったです】
【とにかく背負うほどの腕力はないから、少女に肩を貸して降りることにした】
【今すぐにでもその辺で横にさせた方が良いのかも知れないけれど】
【ここでまた新手に来られたら対処できないし、一旦この場を離れよう】

と、とにかく、お礼も謝るのも全部後!
体調戻ってからにしよ?

病院か、自分の家か、どっかのホテルか、好きなところまで送ってくよ。


764 : ◆S6ROLCWdjI :2018/06/24(日) 23:22:43 WMHqDivw0
>>762

【訊ねられると、ふと、きゅっと唇を結んで。……視線を落とす、鈴音のレシピ】
【そこに書いてあるものをさらっと読んで――それから、つがるに戻して】


………………正直わかんない。……うそ、本当は、認めたくないんだと思う。
だって言ってた、鈴音が。鈴音本人が、――――「なりたくなかった」って、
人間に戻りたいって言って泣いてたの、聞いちゃったから。……だから、

――――それ、叶えてあげたいって思っちゃったりしたんだ。


【「そんなのどうすればいいのか、ぜんっぜん、……わからないけど」】

【――――無理に等しいことを言った。零しちゃったミルクをコップの中に戻したい】
【割れたお皿をツギハギなしのつるつるに、完全に元のかたちに戻したい】
【砂漠のど真ん中にひとつぶ落としちゃったビーズを取り戻したい。そういった類の】
【輝夜姫が言うよりもひどい、ひどい無理難題。そんなものを願っていると、言う】
【無理だってこと、痛々しいほど自覚しているようだった。けれどどうしても諦めきれないって】
【……横顔が、語る。今にも泣き出しそうな表情、表面張力で零れない涙を、袖で拭って】

【駄々をこねる子供でしかなかった。何もかも実現する力なんて持ってないくせに】
【願望ばっかり高く高く積もらせた、どうしようもない強欲の子。……自覚するたび無力感に襲われる】
【必死に耐えていたけれど――――嗚咽が漏れた。それを皮切りにして、テーブルに伏せてしまうだろう】


765 : ノイン ◆D2zUq282Mc :2018/06/24(日) 23:23:12 JY1GydDk0
>>758

―――……了解した。それがお前の意志ならば。


【抑揚の無い口調で紡ぐ了承の意志表示】
【何も映さない瞳で見遣るのはワームシンガーが手にする蟲の遣い】

【この戦いはこの蟲の遣いを孵化させる為のもの】
【幾千もの贄を我らが蟲の遣いに捧ぐ為のもの】
【ノインにとって、この戦いの意味はそんなもの。それ以上でも以下でもない】


―――……来る、か。『狂った』知性よ。


【重苦しい扉が開かれる時、それは開戦の合図に他ならない】
【"扉を開ける『狂った』知性共よ、覚悟するがいい。その扉を通って帰れるとは思うな"】
【その意味合いを込めてノインは背負った剣の柄を握り、切っ先を扉の向こうへと向ける】


766 : 柘榴 ◆zuR4sSM1aA :2018/06/24(日) 23:43:40 SD5ZXnH60
>>292

【──鉛弾は、卑劣なほど正確に襲いかかってくる】
【どれだけ此方が揺さぶるような動きを掛けたとしても、執拗に追いかけてきて】
【おかげでふくらはぎや二の腕からは地味に出血していた。連続した銃撃は、心の臓をも捉えてしまいそうで──】

【眉間には深い皺が寄っていた。果たしてリロードのタイミングに急接近できるのか】
【およそ十数メートルほどの間隔だろうが、その距離を一気に詰められるとも思えない】
【万が一近づけたとしても、再装填が終わると同時に肉薄したとすれば強撃を喰らうだろう】


【薬莢が跳ねる甲高い音を、何回聞いたことだろうか】
【その音は、急に途絶えることになる──なるほど、再装填だ】
【ちら、と視線の端で動きを見るのだけど────その刹那、目を見開いて】


「くそッ、あんなモンまで出されたら叶うわけねぇだろ……!」


【人一人を殺すには、オーバーパワーであろう、太い銃身を持つ重機関銃──】
【彼奴の近辺の空間が歪んだかと思えば、軽々しくそれを構えんとする】
【女の白い顔もみるみる青褪めていく、あんなもので撃ち抜かれればどうなるか────】


【とそちらを注視していれば、何か靄のようなものが身体を包んでいく】
【唐突にその動きが止まる──好機なのだろうが、演技の可能性も否定できず】
【しかしタイミングは不自然だ、何が起こったのかと周囲を見渡したなら】


「……おっそろしいモン見ちまった気がするなあ」


【一瞬の内に、顔はより青ざめたようだった。潰された両の目で、彼奴を見据えていたのだから】
【しかし作ってくれた好機を潰すわけにも行かない、刀を上段に構えて一直線に走り寄る】
【そして肩から下っ腹に向けて一閃────両断してみせようと、重機関銃ごと切り伏せた】


767 : フェイ/白桜 ◆D2zUq282Mc :2018/06/24(日) 23:46:54 JY1GydDk0
>>763


大丈夫……安静にしていたらの話だけど。あと、送る先は病院やホテル以外で、お願いしたい。

―――……病院やホテルに送られたら、…恐らく警察が遣って来る。……そうなれば二度と日の目を見れなくなる。
この身体の持ち主(=フェイ)が重ねた罪が多すぎる所為で。自業自得と言ってしまえば、それまでだけど。

……そうなったらフェイに顔向け、出来ない。私にとっても、……不都合しか、ない。
加えて、エーリカにも、文月お姉はんにも、……貴女にも会えなくなるから。……そんなの、嫌だから。


【街中に張られている指名手配書の一つ。そこには先程まで共闘していたフェイの顔写真が写っているのだ】
【罪状は数あって。主に傷害罪、窃盗罪、器物損壊罪――そして、殺人罪。泣く子も黙る立派な犯罪者様である】

【それ故に。行き先は自分の家しか有りえなかった。それを少女に告げて、肩を借りながら歩みを進める】


―ー……つくづく思う。物好きな子。そして、心優しい子だと思う。情けなくなんて、ない。
……今は、その好意に甘えさせてもらう。そして、…こちらこそ、……ありがとう。


【肩で息をする程に呼吸は荒く。けれど強がりの様に、繊細で儚げな微笑を少女に向けながら、建物を出るのであった】


768 : マリー ◆zuR4sSM1aA :2018/06/24(日) 23:55:45 SD5ZXnH60
>>486

「ふふっ、分かってくれればいいわ。この辺りも結構荒んでるしね」


【貴女の様態からして無謀なのは明らかだったし】
【これで止めてくれるとも思えなかったけれど、警戒心は持ってもらわないと】
【マリーもゆっくりと腰掛ければ、手にしていた麦茶に口をつける】


「私の能力はね──こんな感じのよ?」


【すっと信者席から立ち上げれば、右手の手のひらを床面に向ける】
【すると、朽ちた木材でできた十字架──杭のように先端が尖り、拘束用の鎖が付けられたそれ】
【が右手に掴まれる。これが、マリーの能力の“一部”だ】


「──それも含めて話すと、最近蛇の刺青を入れた人間による連れ去りが頻発してるの」
「そうされないように、教会を基盤とした自警団を形成してるの」


【人を守ることに興味はないか、と声を掛けたのは自警団への勧誘もあってのことだろう】
【最近頻発する連れ去り事件に、街の不安は増大するばかりで】
【組織的に対策するためにも、教会を基盤としたわけなのだけど】


「理由、ね。近頃能力者が迫害されてるでしょう?」
「悪い能力者ばかりじゃない、っていうのを行動から示したかったのよ」
「街の治安も維持できて、能力者に対するイメージも向上する。一挙両得でしょ?」


【街の治安を維持しつつ、迫害されつつある能力者の立場を向上させる】
【もしこのまま能力者が迫害され続ければ、いつか秩序を乱す組織の一員になるかもしれない】
【それを防ぐために自警団を組織し、街を警邏して回っていたのだ】


769 : 三枝双葉 ◆KWGiwP6EW2 :2018/06/25(月) 00:02:01 WMHqDivw0
>>767

"この身体の持ち主"?
それって……

【彼女自身が犯罪者であろうことは、ある程度容易に想像がついてしまう】
【彼女の分身である、"フェイ"があっさりとチンピラ達を殺して行ったのを、見ていたから】
【それに――少女の言い回しを真に受けるなら、フェイの身体を使っているのは白桜の方、と言うように思えて】


【それでも、それ以上は聞かなかった。詳しい話を聞くにしても今でなくても良いだろう】
【とにかく今は言われた通り、自宅を目指して歩くことにした】
【幸いにして、出て来たチンピラ達は、リーダーを失ったことで手を出す気は無くなったらしく】
【警察に職務質問でも受けなければ、無事に彼女の家にたどり着けるのだろうけれど】

【意識が朦朧としているのか、友人なのか、聞こえたいくつかの名前が有って、そこの最後に自分が付け加えられているのは、少々照れ臭くも有るのだけれど】

はは……それ何度か言われたかも。
優しいってのとは、ちょっと違うと思うんだけど。
すぐに運んでくから、もうちょっと頑張ってね。

【この街に来てから、物好きと、優しい、とは何度も聞いた言葉だった】
【物好きなのは間違いないだろう。優しいかどうかは、自分では分からないけれど】



【結局、その後、室内にまでお邪魔してしまうことになるのだろう】


770 : ◆XLNm0nfgzs :2018/06/25(月) 00:03:52 BRNVt/Aw0
>>764

【さらりと読まれて自分の方へ押しやられたレシピ】
【それを閉じて、少し遠い所にまたやって】

【呟かれるのは、分かんないって言葉】
【告げられるのは、鈴音が本当はそうはなりたくなかった、人間に戻りたいって思って泣いていたという真実】

【叶えてあげたいのだ、と夕月は続ける】


どうすれば、良いのか、なんて──
【わたしにもわかんないし、そんなのむりだよ】
【言おうとして、ぐっと飲み込む。相手が今にも泣きそうな顔をして、それを堪えているから】

【人間だった彼女が生卵だったとして、神様になっちゃった彼女は熱が加えられたそれみたいなもので】
【加熱された卵が生卵には戻らないんだって事は百も承知で】
【それこそ奇蹟が起きなければ無理な話、だけれども】
【どちらかといえば戻りたいと願う彼女自身が奇蹟を起こしてみせる側だし】


でも……でも……っ
鈴音ちゃんは、今は神様で……"彼奴ら"は鈴音ちゃんを信仰しているんだろうけどそれって"ウヌクアルハイ"で鈴音ちゃんそのものじゃなくて……っ
だから……ッ、だから『白神鈴音は居ない』なんて簡単に言えちゃって……
鈴音ちゃん自身も皆も神様の鈴音ちゃんを認めたくなくて……
でも"白神鈴音って神様"そのものを誰一人として認めなかったら……そんなの……可哀想、で……
【声は段々と小さくなっていく。言いたい事があるのに上手く纏まってはくれなくて】

【亡くなったもの、戻す事が出来ないものはもうどうにもならない】
【そんな事はとうの昔に判っているから、そうなってしまった時の彼女は諦めるのが早かった】
【過去を悔やんで戻りたいと泣くくらいなら現状を生き抜いて笑ってやるんだ、というのが信条で】
【だから、夕月や鈴音とはずっと平行線。交わる事がきっとなくて】

【嗚咽が響く中、所在なさげに目を伏せるだけで】


771 : フェイ/白桜 ◆D2zUq282Mc :2018/06/25(月) 00:19:29 JY1GydDk0
>>769

【自宅アパートまでの道のりに障害は何一つ無かった】
【チンピラの残党は戦意を喪失していて、目下最も厄介な警察とは遭遇する事無く】
【重い足取りで、多少時間を労したとしても。無事に"カイ"が住まう部屋へと辿り着く】

【きいぃっ、とドアを開ける音がした。鍵は掛かっていない。酷く無用心である】
【ドアを開けた先に広がるもの――それは床に散乱した酒瓶、灰皿から溢れる程の煙草の吸殻】
【それらに加えて小説や哲学書などの大量の書物、下着を含めた衣服の類が床にベッドに散乱していた】

【一人しか住んでいないはずの部屋に充満するのは、二人分の生活の匂い】
【アウトローな乱暴者にふさわしい汚部屋に混じるのは、理知的な人物の生活風景を思わせる汚部屋】
【どちらにせよ、汚部屋。汚部屋なのである。こんな所に住んでいたらそれこそ病気になりそうな程である】


――…こんな所まで、送ってもらって。本当にありがとう。
………この部屋は、あんまり見られたく無かったけれど。そんな事も言ってられない、か。


【一応白桜には恥じらいと言う感情があるようだ。それでもこの部屋を掃除する気にはならなかったらしい】


772 : 三枝双葉 ◆KWGiwP6EW2 :2018/06/25(月) 02:24:51 WMHqDivw0
>>768
水の国なんて……綺麗な名前なのに、何だか、物騒なんだね……

【どうして?とその幼い目は問いたげだ。それは愚かな質問なのかも知れないが】
【彼女の手に握られた十字架――?武器――?それを見て、目を丸くする】
【この世界には本当に色んな能力者がいるらしい】
【傍目にその一端を見ただけでは、その力のほどは、分からないのだけど】

蛇の刺青の人達って……そういう組織が有るんだね。
自警団って――能力者達で?

【マリーの話を聞きながら、何度か頷いている。水の国で能力者が迫害されているのは、もう何度か聞いたことのある話だ】
【路地の前で倒れて死に掛けていた時も、結局助けてくれたのは別の能力者だった】
【そんな試みを考えている人がいるってことは――本当に能力者への風当たりは強いみたいだ】

何なんだろう、ね……能力者が、あんまり良い目で見られないのは、何となく理屈ではわかるの。
私もちょっと前まで非能力者だったから。

"怖い"、"ズルい"って思っちゃうのは……何となく。


でもさ、そんなの例えば、"生まれつきお金持ちだった"とか、"生まれつき凄い美人だった"とか
そんなのと同じじゃない。
何でこんな風に急に風当たりが強くなるの?

【愚痴ったところで仕方のない差異だと、少女は思っている】
【少なくとも過去の自分はそう思っていた】
【なのに、今は能力者を白眼視する世の中の流れになっている】
【目の前のシスターが危惧する通り、それが行き過ぎれば、能力者と非能力者は完全に対立してしまう】

そんなの――その内、自分達の首を絞めちゃうよ。


773 : 三枝双葉 ◆KWGiwP6EW2 :2018/06/25(月) 02:35:52 WMHqDivw0
>>771
【鍵は――掛かってなかった。不用心な気がするがこの界隈では普通なのだろうか】
【当たりに広がっている生活感のある部屋は、しかし、確かに二人分の色に分けられていた】
【まるで性格の異なる二人がルームシェアをしているかのような、様相】

――き

【それでも少女の口から出た第一声は】

汚なっ!!

【どちらの人格も全く掃除とは縁遠かったらしい】
【乱雑に散らかった衣服――中には下着まである】
【煙草と酒の臭いはむせ返るほどで、埃もしこたまに溜まっている】
【これはひどい】
【鍵を掛けていなくても確かに泥棒も扱いに困る部屋では有りそうだった】

これベッド寝るスペース有る…?
と、取り敢えず横になって。

【勝手知ったる我が家なのだから、ベッドスペースの無さなど心配する必要もないのだろうが】
【少なくとも病人(?)を置いておくには余りにも酷い環境に思える。別の病気になりそうだ】
【取り敢えず少女は窓を開けた】


寝てて。勝手に掃除しちゃうけど。どこにしまうかわかんないものはまとめて置くから。


【今日一番の渋面で、少女は答えた。放っといてくれと言っても聞きそうにはなかった】


774 : 院長中身 ◆zO7JlnSovk :2018/06/25(月) 19:03:26 .qeSlszc0
【── 〈harmony/group〉本社】

【通常の社員は存在すら知らない地下室、実験動物の多くが飼育されているそのスペース】
【清潔を第一としたそのフロアを抜けると、剥き出しの金属で出来た地下牢へと繋がる】
【鉄格子に冷たい床、時代錯誤なその様子はある種の威圧感を以て貴女の目に映るだろう】

【── どれくらいの期間繋がれていただろうか、一人で歩いている最中に、いきなり強い衝撃が襲って】
【気が付いたら貴女は、両手を挙げた状態で壁に固定されていた。金属製の手枷は何処か被虐的で】
【服装は着の身着のまま、ただ両手だけが自由を失っていた】



私は貴方様を深く尊敬しています、ブラスフェミア様、── だからこそ知っていただかなくてはならないのです
私達がどの様な目的と理念を以て、この研究を進めているのかを、しっかりと
──、ブラスフェミア様もブランル様も、稀有な才能の持ち主です、私なぞ及ぶ手段もなく

だからこそ、ええ、だからこそ── 私の苦悩を、苦難を、どうしても分かってくださらない

ブラスフェミア様が何気なく出すアイデアの、その全てをどれだけ私が熱望しているのか
ブランル様が愛の狭間に語ってくださる思いつきの、その全てを私が焦がれているのか
──、故に私は伝えなければならないのです、どれだけの責任を持ってらっしゃるのか、と


【染めたての黒く長い髪に病的な白さの肌、檸檬色の双眸は切れ長の面持ちを耽美に飾る】
【爪先から首までを包む黒のボディストッキング、浮かび上がる身体のラインは煽情的に】
【白のローブをその上から纏うことで漸く、秘所だけが隠される格好であった】


大丈夫です、心配なさらず、── ゆっくりと、意図も理由も、全て痛みと共にお伝えいたします


【"魔女" は微笑む、その目の下の隈が眠れぬ日々を伝えた。── 軽く膝を曲げて貴方と視線を合わせて】
【何日拘束され放置されたままであったのだろうか、憔悴したその頬へ指先を伸ばした】


775 : ◆S6ROLCWdjI :2018/06/25(月) 19:03:43 WMHqDivw0
>>499 (リオシアちゃん)

――――お食事会。ふふ、素敵なことだけど――まずは生きてここから帰らなくっちゃ、だね。
ありがとうリオシア、それじゃあ僕はお言葉に甘えて、うしろで待ってるね――

【やわらかな笑み。そこに殺意だとか悪意だとか、不純物を混ぜることはなかったが】
【扉を開けようとするリオシアの背には、ずーっと視線が注がれていた。不自然なくらいに】
【――熱を帯びた瞳だった、けれど、背中に向けられたものなら気付かない、だろうか】


>>502 (アリアさん)

……んん、面倒臭いから人形ってことにしてもいいけど。
それじゃあ、そういうあなたは「何」なのかなあ。ねえアリア――おっと、

【ふわふわした会話が続く。そしてひとつ問いかけをしようとして――】
【――慌ててささっと後ろの方へ走っていった。巻き込まれたらひとたまりもない、って思ったらしい】
【そうしてまた最後尾、見守る作業に入るだろう、前列に佇む四人の戦士――と、自分の作品の背中を】


>>529 >>576 (ギアさん・テレサさん)

【さすがにもう、女も気付いてはいる。二人に疑念の目を向けられていること】
【だから何も言わなかった。笑うのもやめた。自身を守るように前に立ってくれる二人をじいっと見つめて】
【何もしない。した瞬間に頭が爆ぜて死ぬことを悟っている、この女は。だから最後尾で、大人しい】


>>753 >>施設側のみなさん

【開かれた扉の向こう。その向こうに居る、「彼/彼女ら」を見て。……ふ、と目を細める】

…………わあなんだか、やばいのが勢ぞろいしてるっぽいんだけど。
これあれだね、……うん、やっぱ僕、守ってもらわなくていいよ。

みんなそれぞれ、――――集中しないと死んじゃうヤツだし。

【「今までどうもエスコートありがとう。あとは僕とレプリカでなんとかするよ」】
【「だからどうぞ、皆様せいぜい――――死なないように」。言い残して、女は少し離れた所へ】
【移動するだろう、少女レプリカを伴って。――ここから先は、本当に誰の足も引っ張れないと】
【そう判断した。だからここで、……別れの響きすら含ませた挨拶を残して。また少しだけ、笑った】


776 : ◆S6ROLCWdjI :2018/06/25(月) 19:27:39 WMHqDivw0
>>770

【テーブルに突っ伏して、肩を震わせて、間違いなく泣いていた。嗚咽が止まらない】
【きっともう限界だった。そもそも夕月という娘は、精神がとことん弱いのだ】
【それでも今まで折れずにいられたのはきっと――「泣いてる鈴音を助けたい」】
【その気持ちがあったから。だからなんとか頑張れた、けれど】

【――――助けられないってわかってしまったなら、】


…………わかってる、わかってる、よ……カミサマっていうのは信仰が必要なんでしょう?
それがないと生きてけない、……それ以前に。鈴音が、……自分がカミサマだってこと、納得しちゃった。
だったらもうあたしが言えることなんてなんもない、わかってる、……わかってるよそんなのっ、


【神話でも民話でも物語でも。蛇の存在が出てきたなら、それはきっとよくないものとして描かれる】
【つがるも知っていることだろう。そして夕月だって知ってることだった、それで】
【その蛇に魅入られた存在がどういう末路を迎えるか。それだってよくわかってる――】
【……大抵ろくでもない結果に終わるのだ。だったらもう、……それならば、】


……、……ぁ、わあぁああぁあぁ、あ゛、……ッ、……あぁぁああぁ――――ン、


【ついに大声を上げて泣き始めてしまった。困らせてばっかりだって自覚があるのに止まらなくて】
【辛いと思う、けど鈴音はもっと辛かった、なら泣いてる自分は間違いだ、……らせんを描いて自分を責めて】


【 それならば、いっそもう。「あきらめろ」って言ってしまうのが――優しさのかもしれなかった 】


777 : ◆S6ROLCWdjI :2018/06/25(月) 19:39:03 WMHqDivw0
>>774

【殴られるのも犯されるのも嫌われるのも罵られるのも恨まれるのも呪われるのも全部、慣れたことだったから、】
【――――慣れたことだったけど。流石にこのパターンは未経験すぎて、……女は笑っていた、引き攣った変な笑い方】
【最初目覚めたときは「まーた誰かの報復か。やれやれ……」くらいに思っていたけど。違うってわかったら】
【本当に笑うことしかできなかった、意味不明すぎて笑いがこみ上げてくるというヤツ。あれ。ああいう表情を浮かべて】

【きわめて煽情的な格好をした“魔女”とは対照的に。女は、わりかし禁欲的に見える格好をしていた】
【修道女が着る服を真似て作った詰襟のワンピース。多分そこそこ上物。生地はすべすべしていて、皺がない】
【その下にはシンプルなストッキング――だったけど、倒れた瞬間どこぞに引っ掛けたらしい。所々破けていて】
【靴、は――――履いていたけどどっか行っちゃったみたいだった。探す手段も余裕もなければ――本当に笑えてくる】


…………あ、あーっと、あの……ミス・ウィッチ?
えっとその……か、髪。色変えちゃったの? イメチェン?
僕前のほうが好みだったんだけどな! なんて、……えへ、えへへへ……

【最初に言及したのは、染色した髪のことだった。「ブランルとおそろいじゃーん!」とか言おうとして】
【――――「アッ待て待てそれはダメだ。多分今、ブランルはNGワードっぽい」と気付いて。口を閉じる】
【ブランル。共通の知人。彼が何をしているかっていうのはかるーく耳に挟んでいた、……有名人を捕まえたって言ってたけど】

【その有名人と「ナニ」やってるかまでは勿論知らない。であれば、魔女がこんなになってる理由も勿論、わかんない】

【へへへへ、と。三下が零すみたいな乾いた笑い声、上げながら――がちゃがちゃ、手の拘束具を動かしてみたけど】
【ともすれば魔女の手ですら折ってしまえそうな貧弱なソレでどうこうできるはずもない。ならば誰か周りにいないかと思って――】
【……当然誰もいないのだ、「雛鳥」も、「人形」も。……畜生あいつら今度会ったとき八つ当たりしている、とか、考えながら】

【めっちゃ冷や汗掻いていた。身に覚えのない怒りをぶつけられることほど恐ろしいことはない――】
【――身に覚えのあるタイプの怒りをよくぶつけられる人種であったなら、なおのこと。……暗赤色の瞳が、恐る恐る、上目遣い】


778 : 院長中身 ◆zO7JlnSovk :2018/06/25(月) 19:52:44 .qeSlszc0
>>777

【──、丁寧に整えられた眉がぴくりと揺れた、きっと今日の朝も寸分違わず長さを揃えたのだろう】
【目元のアイシャドウ、頬のチーク、自然色のルージュ──、まるで今日がハレノヒだなんて、伝える様なメイク】
【少し背伸びをした化粧は彼女を少女ではなく女性であると認識させる様に、そして──】

【──、それが乱れていないという事が、何かの示唆であった】


ブラスフェミア様はきっと、知らないでしょう? 此方の色の方が、あの方が好みだって、ええ、言ってくださったんです
長い髪の毛を染めるのは大変でしたけど、美容師の方がとても上手に染めてくださいました

「バッチリですよ、きっと彼氏さんも惚れ直してくれます」──、って

鮮やかなブロンドに及ばない事も、私の身体では届かない事も承知です
足りないのなら補いましょう、煽情的な姿がお好みならば私に躊躇いはなくて──、
でも、それでも、ええ、──、一人で眠る夜は、どれだけ寂しいことか


【徐に魔女の指が伸びた、ブラスフェミアの綺麗な目玉に向けて】
【睫毛に触れるだろう、綺麗に切りそろえられた爪の具合、ヤスリをかけて透明なマニキュアを塗って】
【止まらない、瞼をこじ開けて、その眼球へと、指先を落として】


ブラスフェミア様、私は、私は──、魅力のない女でしょうか、抱く価値もない女でしょうか
私には頼れる相手も、信じる相手も居ないから──、
だから、貴女様だけが頼りです、本気で訊ねたら、答えてくれるでしょう?


【眼球の表層に触れたなら、眼球の奥が焼けるように痛み出すだろう】
【──、比喩ではなく実際に燃やしていた、眼球の奥の視神経、そこに微細な藁を伸ばして】
【火は一瞬で消える、後遺症も、何も無いだろうが】

【焼けた火箸を眼窩に突き刺し、燃やしたかの様な痛み、── それでも全く及ばない程の、激痛】


779 : ◆S6ROLCWdjI :2018/06/25(月) 20:13:10 WMHqDivw0
>>778

【――――――聞いてしまったらもう。「ブランルクソがあの野郎」の感情しか、湧かなくなった】
【全部理解した。この女は恋愛脳であったから。……魔女は嫉妬に燃えている。おそらくそのブロンドとやらに】
【理解したからと言ってどうしようもない、本当に――――猶更「ブランルてめえ今度会ったら覚えとけ」。その気持ちばかり】
【強くなる。だからと言ってどうしようもない、以下、無限ループ。ここにいない誰かへの恨みばかり募らせて】

【魔女に怒りを抱かなかったのは。きっと同じ「女」であるから、……なんとなく気持ちがわかったから、とはいえ】

へっへえ〜っそうなのお、あの人そういうのが好みなの、ふうん、……、
えっえっいや全然! そんなことないと思うんだけど! ねえその姿で会ってみた!? 実際にさ!
それでなんにも言わないんだったら僕からもあの人に文句言ってやるからさっ、ねっ、ねえっ、――――ッ、

【気持ちはわかっても行動の意味はわからない。否、わかってる、八つ当たりだってこと――――】
【――――だからってなんでそれが僕にぶつけられるワケ!? 適当なモルモットでも見繕えよ! なんで僕なの、なんで、】
【思わず口にしそうになった、刹那――びくりと震える。眼球に指を向けられたなら。反射的に身構える】
【ヤバい、抉られる、それはヤダ、治しづらいじゃない――――懇願の台詞を浴びせかけようとした。……次の瞬間】


――――――ッあ、ぎッ!? ……ぅう゛、あ゛づッ、…………ふうぅう、――――ッ、


【灼熱が、神経を焼き尽くす。痛いと思うのも熱いと思うのも置き去りにされるくらい、――――真っ先に悲鳴が出た】
【それは間違いなく言い表せないほどの苦痛を表現していた。けれど魔女なら気付くだろう、――何かを必死に噛み殺している】
【そう、たとえば――この間、この女と一緒に茶でもしばきながら片手間に痛めつけた少女、夕月。……あれとは「違う」】
【あれは何をしてもすぐにぴいぴいと泣いていた。けれどこの女は違う、――――耐えようとしているのだ、愚かなまでに】

【――ならば、きっと「慣れている」のだと感じさせた。ありとあらゆる苦痛、……それを他人から与えられることに】
【当然のことだとも言えた。たかだか四半世紀生きただけの小娘が、裏社会に出入りしていて無傷で居られるはずもなく】
【これまで数え切れないくらいの失態を犯して何度も制裁を受けた。報復も受けた。陵辱も罵倒もなにもかも与えられた】
【……それでもまだ死んでいないというのだから。そこだけはきっと才能だったんだろう、生き抜くための、最低限の能力はあった】

【――――だけれども。多少慣れ親しんだ相手にこうされるのは初めてだから――どうなるかは、わからないのだ】


780 : ゴトウ ◆1miRGmvwjU :2018/06/25(月) 20:22:06 o6XMS57s0

【 ── ひどく、突然の連絡だった。】
【差出人不明の手紙が、貴方の元に届くだろう。体裁は役所のそれに似ている。封を開けたならば、 ── 「神様に挑む話をしよう」と、ごく短い本文。】
【あとは待ち合わせ場所と日時、それに「外務八課」の署名が記されているのみ。 検索エンジンには引っかからないが、それなりの情報網があれば知っているかもしれない。】
【先日執り行われた蛇教の儀式の裏で、きな臭い動きをしている手合いがいた。あるいは同日中、水国の外務省内部に大きな金の流れがあった ── など】
【ともあれ待ち合わせ場所に向かうなら、そこは郊外の古めかしい喫茶店だった。その軒先には、1人の男が待っている。貴方を見つけ次第、茫洋とした笑顔を貼り付けながら】



「 ── まずは、いきなり呼びつけてしまったこと、詫びさせてもらおうかな。すみませんね。でもホラ、兵は拙速を尊ぶ、と言うでしょう?」
「どうも、初めまして。お初にお目にかかります。 ── 後藤って者なんですけどね。いえ、大した所を治めてる訳でもないですよ。」



【へらへら笑いながら、けれど何に怖じることもなく、独特のリズムを以って彼は言葉を紡ぐ。身長175cmほど、上下はくたびれたスーツ姿。ダークブラウンの髪をオールバックにして、余った分を後ろ結び】
【無精髭。細く切れ長、茶色の目。わざと濁って深さを計り知らせないような、 ── それでいて、ギラついた何かを宿している、視線。】



「今回あなたとお会いしたい、 ── って頼んだのは、まあ、わざわざ言わなくても分かりますかね。」
「"アレ"の話で、色々とあってね。立ち話も何ですし ── どうでしょう。こっちで仕事の話、しません?」



【そう言うなり、扉を顎で指す。彼の言葉に乗るのなら ── 窓際のボックスソファー席へに座る運びとなって】
【「好きに頼んでください。」乾いた声音で、淡々と。そう言う彼はカフェオレと、フレンチトーストを頼んでいた。】


781 : 院長中身 ◆zO7JlnSovk :2018/06/25(月) 20:36:43 .qeSlszc0
>>780

【 ──、貴方の前に現れた男は、ひどく困惑していた。まだ若い青年、二十歳に手が届くか、届かないぐらいの】
【言われるがままにはい、はいと頷いて席を移動したなら、キョロキョロと周囲を見渡して】
【意を決して、彼は口を開いた。── 躊躇いがちの、声だった】


「その……いきなりで、何なんですけど──、僕、全然この手紙に心当たりなくって」
「そもそも、外務八課なんて名前聞いたことも……調べても全然出てこないし」
「分からないです、本当に──、でも嘘ついている様にも、見えなくて」


【彼はジャケットの懐から貴方から届いた手紙を差し出す、ゴトウならその手紙の違和感に気づくだろうか】
【宛先が『変わっている』── 確かに貴方が差し出した宛先が、別の誰かへと変わっていた】
【青年はやはり、オドオドした様子で貴方の顔色を伺うだろう】


「──、やっぱり、間違いですか……?」


【そんなことは無い筈だろう、八課のネットワークに例外は無い、最初の宛先は、正しかった筈だ】
【封は空いている、その中身を確かめる事も、出来るだろう】
【──、そこに文字列は無かった、否、──、ただ一言】






     『構わない──、』





【と、書かれていた】


782 : ◆DqFTH.xnGs :2018/06/25(月) 20:37:08 nEWD9wuo0
>>453
【「キャリーケースはガチの誘拐犯じゃねぇか!ぎゃっは!」】
【そう笑いながら車に乗り込み、エンジンをかける。後は夕月のナビに従うだけだ】
【車の色は町に溶け込むシケた銀色。ゆらゆら揺れる花だとかぬいぐるみは一切なし】
【ナンバーもゾロ目やらではなく、本当にありふれ過ぎた外見と内装だった】
【だが、ダッシュボードの中には護身用の銃やらナイフがいくつか】
【とりあえず持ってきたかのようなラインナップだが、ないよりは確実にマシだ】

【────ナビの終着点は地下駐車場。銀色の丸い車は男の前で静かに止まる】
【入りな、と軽くジェスチャをして彼を後部座席に誘導した。映画なんかでは】
【地下駐車場でのドンパチで仲間が一人……なんて展開もよくある。あまり長居はしたくなかった】


…………ぎゃは、随分とコゲたオムレツじゃねぇか。んん?
そん、で…………。……………………は、久しぶりじゃねぇか。鈴音、よぉ


【彼の偽名らしい偽名のことも、恐らくは真に兄妹ではないであろうことも触れず】
【運転席から身を乗り出して、キャリーに収まっている鈴音の頬を少し撫でるのだ】
【その体はまだ暖かいのだろうか。声が出るのなら、それはまだ鈴の声なのだろうか】

【────ミラの金色の目が、黒と赤のオッドアイに染まる。鈴音、鈴音。そう呟く声が】
【不良めいた声から、鈴の声になっていく。目の覚めるような赤髪は、今は塗りたくられた黒色で】
【まるで鏡写しにでもしたかのような『鈴音』が、運転席から鈴音に手を伸ばしていた】
【「ばぁか」──最後にひとつ鈴の声を残し、正面を向く。車がゆっくりと動き出す頃には】
【運転席の『鈴音』は既に幻となって、ミラの貌へと戻っていた】


…………で、こっからどうする?お二人さんよぉ
あたしはもうこのまま隠れ家的なとこに行くつもりだけどよ
せっかく車に乗ってんだ。途中までなら送ってやるぜ?
もちろん、「地の国までよろしく」なんて言われても困っちまうけどな!


【ぎゃはと笑うその声に、鈴の面影は最早ない。けれど気のせいにしては、あまりに実体を持ち過ぎていた】
【ならばアレは、蜃気楼や幽鬼ではなかったのだろう。能力か何かであるのは明白だった】
【だがミラは多くを語らずにハンドルを握っていた。「これからどこへ行くんだ?」】
【ルームミラー越しに問いかける。車は地下駐車場を出ようとしていた】
【ウィンカーは右を示している。恐らくは本人の言った通り、これからアジトなりに戻るのだろう】
【夕月やオムレツに向かう先があるならば、それこそ国を跨ぐとかではない限りは】
【近くまで乗せて行く。短いドライブになるかそうでないかは、彼ら次第だった】


783 : エヌ ◆3inMmyYQUs :2018/06/25(月) 20:40:22 WFKxT5bU0
>>511

【エヌは舌を巻いた】
【当たらずとも遠からず、いやそれはほとんど核心と言っても良かった】
【しかし今はそれを肯定も否定も出来る立場ではなく、曖昧に頷きながら口を噤むしかないのが歯痒かった】

【──今の自分が伝えに来たのは、理論ではなく、意志だ】
【そう固く自覚していたが、伝えられる鈴音の現状がそれを揺さぶる】

(サーペント・カルト……)
(──肉体と、魂? 魔界の、悪魔……?)

【途端に、未知の言語で話しかけられたような表情をした】
【自分の中にある情報では、まるで実像が結ばれなかった】

【──ただ彼女の優しげな横顔と、驚き、笑う顔だけが想起される】
【初めてのともだち。かつて絶望に打ちひしがれた自分に希望の灯火を灯してくれた】
【それが今はどんな顔をしているだろう。何を思い、何を望んでいるのだろうか】

【──あの、迸るような生への愛は、今も君の中にあるのか】

【彼は言葉にこそ出さなかったが、その険しい渋面が内に秘める思いを如実に語っていた】


【しかし、重く苦いものを抱えているのは目の前の少女──麻季音もまた同じように見えた】
【いや、ともすれば、事情を知って尚、動かずにここにいなければならなかった彼女の方が、】
【自分よりもその荷は遙かに重いのではないだろうか────】


──……っ、


【そんな麻季音から、食い気味に言葉を返され、彼はほとんどたじろぐように驚いた】
【華奢な眼差しに通る、硬質な芯。空気抵抗を打ち消すかのような弾ける声】


【──ほんの一瞬】
【彼女の姿が少女のそれではなく、成熟した凜々しい女へ変じたように幻視した】
【曖昧にぶれる光景を貫く、一切の揺らぎを見せない意志──超常的なコントラストが彼の網膜に広がった】


【その全てを受け止めるための余白を設けるかのように、彼はやや間を置いてから言った】


────………………、
……──貴女の言う通りだ、僕も躊躇いを捨てよう。


【そうして彼は語り始める】
【精密機械の外蓋をそっと外すかのような慎重さを伴って】

【────────】


──まず、これからする話を聞くにあたって、
ある一つの重要な『原則』を覚えておいて欲しい。


────〈ノー・パラドクス〉だ。


【『No Paradox/矛盾は無い』】
【それはある種の定理を端的に言い表したような響きを持っていた】


──時空に関する一つの原則だ。
これはある一定条件が成立する情報領域の連続体において、
発生した事象の因果関係は時系列を無視し、巨視的に円環を描き得る、というものなんだけれど

つまり観測上では、例え時空を超えて親を殺しに行ってもその人の存在情報は消えないし、
未来人が過去で結婚して子供を産んでも、そこには何の捻れも生じない、という事態が起こりえる──そういうことだ。


【彼女にとってそれが難解である、とは彼は最早思わなかった】
【故にスポイトで垂らした一滴のような微かな間だけ空けて、彼は言葉を継いだ】


僕が追っている事件は、一次元的な時空論解釈では説明が出来ないんだ。
この原則に関する詳しいことは、後でじっくり話し合うとして──
今はただ、これだけを頭に入れて置いて欲しい。

──過去と未来、原因がどちらに在っても〈ノー・パラドクス〉、だ。


【そこまでが長い前置きであった】
【彼の視線がそこで一度、麻季音の顔に留まる】
【そこにどんな表情があるか、どうしても気になって仕方なくつい、といった風に】


784 : ゴトウ ◆1miRGmvwjU :2018/06/25(月) 20:51:59 o6XMS57s0
>>781

【 ── 落ち着かない青年の様子に、後藤と名乗る男は少しばかり、訝しむような目線を送る。】
【こいつではない。そう言いたげに、少しばかり眉根をひそめて、或いは代役でも立てたのだろうか、ともあれ場の流れるままに】
【そうして青年の言葉に首を傾げる。「 ……… おかしいなぁ。てっきり、直接に話してくれないだけかと、思ってたが」そんな台詞も口にして】
【取り敢えずは差し返された手紙を受け取って、一応は中身を認めておこうと、 ── そこで気付いた。まるで最初からそうであったみたいに、書き換わっている宛先。】

【この分だと此方も、 ── そう思って、中身の手紙を開き直すのならば。】


「 ── ふ。」


【小さく後藤は唇を歪めて、息を漏らすみたいに笑った。いやあ一杯食わされた ── とでも、言いたそうに】
【暫しの間くつくつと笑いながら、もう一度だけ手紙を封筒にしまう。そうして、テーブルの上で指を組み、静かに青年を見つめながら】



「いやぁ、面白いことしてくれるなぁ。」「君を責めるつもりはない。だが、何者だ?」
「本当に無関係な小市民なら、君に用はない。だが、 ── 」「わざわざこんな手の込んだ真似をするんだ。」
「どういうつもりか分からんが、そうする理由があるんだろう。なあ?」



【 ── 誰かに語りかけていた。けれどそれは、青年を相手にしているような、していないような、茫洋としたもので。】


785 : フェイ/白桜 ◆D2zUq282Mc :2018/06/25(月) 21:11:24 JY1GydDk0
>>773

【"――…やっぱり、こうなるか"。白桜は少女の言葉に半ば諦観さえしていた】
【"カイ"共通の友人であるエーリカが来る度に見せる反応とまるっきり一緒だったから】

【覚束ない足取りで衣服と書物が散乱するベッドに強引に身体を預けて】
【ぼふっ、と布団に沈む音が部屋に響く。そして、白桜は掃除に勤しむ少女へと顔を向ける】
【―――……ただ、地球の重力は1Gである筈なのに。それ以上に感じる程、体が重い】


―――……あっ、そのほんは、……さわっちゃ


【"……だめ"と言い切る間も無く。少女はてきぱきと部屋を片付け始める】
【手始めに開けられた窓から入り込む夜風が妙に心地よくて。少女の忙しく動く音を意識の外に弾き出していた】

【白桜が触っては駄目だと言おうとしたのには理由があって】

【一つ。読みかけの本がどれだか解らなくなる事。しかもその数を数えるのに一つや二つでは到底足りない。
 二つ。"マルキ・ド・サド"の『美徳の不幸』と言う書物があった事。サディズムの語源となった人物の書物】

【もんもんと逡巡している内に、部屋は元の綺麗さを取り戻しつつあった。けれど白桜の表情は浮かない】
【――掃除するならフェイの酒瓶や吸殻だけにして欲しかったと、目は口ほどに物を言うのであった】


786 : 麻季音 ◆KP.vGoiAyM :2018/06/25(月) 21:25:15 Ty26k7V20
>>783

【相手の様子からいかに、鈴音さんと親しかったか。若しくは何らかの思いがあったことを】
【そしてこの現状が予想外かつ、彼にとってはあってはならない重要な一つだったことが伺えた】

【だからこそ、私は前を向いていた。なぜならば私は“この時を待っていた”。理由もないのは科学的じゃないと思うけど】
【その理論や実験があっているか、間違っているかは初めは直感なのだ。その直感を紐解いて行くのが私のやり方だ】
【わたしにできること。それは、この世界を解き明かすことだ】


……………ノー・パラドクス。

【私は彼の話を聞いてから、その言葉を繰り返した。頭の中をひっくり返して、彼の言葉を展開する】
【さながらロゼッタ・ストーンを押し込まれたかのようで、まずは分かる言葉に注釈をつけていく作業から手を付けた】

貴方の言う、因果や、時空が所謂、量子論的な解釈で――いえ、まるでライプニッツね。

時空は根源的存在でない。時空のパラメータとして因果作用要素は関連しないということね。
一次元的にこの世界の理を見ずに、多世界のセットで見比べてみる。
ハイデガーのお硬い言葉を借りるなら時間も空間も跳躍して、現存在にとってパラドクスさえなければいいということかしら。

親殺しをしても親を殺したという情報が付加されるだけであって、其処に因果的関連はない。パラドクスを無理やり作るとすれば
親を殺してない自分と殺した自分は同時にはいられない。それがαとβ―――ああ、少し脱線。

オーケー、貴方の世界のルールは把握したつもりよ。非常に全体論的で古典的で、好きじゃないけど。

【あっているかどうかはわからないが、ルールを守るくらいはできそうだ。きっとどんな解釈をしたところでノー・パラドクスなら】
【理由もロジックもあんまり意味がなさそうだ。ちょっとそれは気に入らないけど。】


787 : ◆S6ROLCWdjI :2018/06/25(月) 21:29:45 WMHqDivw0
>>782

【焦げたオムレツ。聞いた瞬間夕月が耐えきれずに噴出した、その後腹を抱えて痙攣して】
【でも肝心の青年、オムレツのほうは怒っていないようだった。どちらかと言うとミラより夕月に怒ってる】
【てめーあとで覚えとけよ、へらへらした眼でそう言っているようだったけど。車に乗り込んだなら】
【その次の行動は迅速なものだった、外から見えないようにさっと鈴音の身体を取り出して】
【後部座席のシートに横にして――ちょっと迷ったような手つきで、膝枕。男のそれに。きっと全然うれしくない】

【――――ミラの姿が変化するさまを、兄妹そろって黙って見ていた。初めてそれを見る男、驚きもせず】
【ならばこいつも妹と同じく「ひとでなし」。そう思う、……余裕、あっただろうか、ミラに】
【鈴音の姿を鏡映しにして。吐いたセリフの意図は問わない、……きっと予想したことのすべてが当てはまっていて】
【それでいてすべてが間違っている。きっとそうだと思っていた、ふたりとも。だからなんにも言わない】


…………ん? んー、……メールでも言った通り、住所不定なの、あたしたち。
だからどこで下ろしてくれても構わないよ、どっか目立たないところにでもほっぽって。


【どこに行くのか。その問いには明確な答えは出さなかった、あるいは、出せなかった】
【あるにはあるけど、住所、遠い遠い極寒の国だし。……そもそも「あれ」に、彼女を会わせたくない】
【だから二人揃ってそこら辺に放っておいてくれって言う。すなわちまだ、「お迎え」はいらないって】
【そういうことだった。……呪縛が解けるのはまだ未来の話であるらしい】

【――――それもあった、けど、それより。長居してしまったら本当に要らないことばかり言いそうになったから】
【だから早くサヨナラしてしまいたい気分でもあった。……少なくとも、夕月はそう思っているらしい】
【兄である男はずっと何も言わなくて、膝に乗せた鈴音の頭を時折撫でていた。……慣れた手つきだった、小さな子供にそうするように】


788 : 三枝双葉 ◆KWGiwP6EW2 :2018/06/25(月) 21:49:16 WMHqDivw0
>>785
【少女の友人が、片付けに来ている事実を知れば、今やっている行いの徒労を知るのだろう】
【来る度に掃除して貰って尚この様であるのかと】
【一応でも収納用の家具が有るのなら、何をどこにしまえば良いのかくらいは勘でわかる】
【脱がした衣服は洗濯すべきなのだろうから、籠の中へ。吸い殻や酒瓶もまとめてゴミとして置いておく】

【時々、少女の様子も横目に見るが、まだ体調は優れないようだ】
【そんな彼女が声を上げたのは本を本棚に整理している最中】

【何も言わなければタイトルなど気にしなかったのかも知れないが。言われるものだからつい視線を落としてしまう】
【『美徳の不幸』――記憶をたどるようにそのタイトルの意味を考えて】

……こういうの、好きなの?

【少女自身も嗜虐嗜好が有ったりするのだろうか。似合うような、似合わないような】
【聞いた本人は、大した意図もなかったのかも知れないが】
【聞かれた少女は何やら物言いたげにしていた。少女はべ、と舌を出して】

勝手に片付けられたくないんだったら、偶には自分で掃除しなよー。
本なんて、本棚に仕舞うだけじゃない。

【などと、持てる者は語る。読み止しらしい本も何冊か有ったから、ポーチからメモ帳を取り出して、そこから紙を千切ると、それを丁寧に折って、栞代わりにして挟んでおく】
【ちゃんと栞が有るのだったら、それを使うのだろうが、数が足りない気もする】


789 : 院長中身 ◆zO7JlnSovk :2018/06/25(月) 22:10:32 a2tLjGHk0
>>779

【──、火は直ぐに鎮火する。彼女は伸ばした指をそっと引いて】
【ちらちらと今燃やした右目の先で揺らすだろう、見えているか確かめる様に】
【反応があったなら小さく頷いて、心配そうに目尻を垂らす】


私はブラスフェミア様のように美しくありません、聡明でもありません、だから、価値を作るしかありません
お化粧も覚えました、服装も変えました、あの人の気に入るように、仕草も変えて
──、夜のお勤めも、不慣れな私をあの人はそれでいいって言ってくれました、けど

……それでもあの人は、ええ、あの人は、きっと、きっと──、強い方が好き、なのでしょう
だから、私は決めたんです、私は心を決めたんです、強くなろうって──
お手伝いしてくださいますよね、ブラスフェミア様、貴女を屈服させる程、強く


【頬を伝う指先、ストッキングに包まれた、柔らかな布地】
【そうして貴女の小さな口元へ、指先が辿り着いて──、嫌な予感がした貴女は、口を思い切り閉じるのだろう】
【でも柔らかな唇に、籠る力なんてほとんど無くて】


──、痛い事は、気持ちいい事──、カチューシャに躾けたのと、同じ様に


【潤んだ唇の中に指先辿り着いたなら、滑らかな歯茎に向けて炎を放つ】
【傷つける炎ではない、神経だけを蝕む──、傷跡も何も残さない、唯ひたすらに痛いだけの炎であった】
【そのままゆっくりと歯茎をなぞるのだろう、触れた側から燃えていく】


790 : フェイ/白桜 ◆D2zUq282Mc :2018/06/25(月) 22:14:14 JY1GydDk0
788


うぅ―――……っぅう。………べつに、好きじゃない。
ただ……そのタイトルに、……興味があっただけ。


【"間違っても好きで選んだわけじゃないのだから"と足をバタバタさせて主張する】
【白桜は『美徳の不幸』の中身を知っている。故にその本について触れられれば。その内容によって齎される】
【新雪の様な白色を染める紅色を見られたくなかったから、枕に顔を埋めて健気に抵抗する】


むしろ、……貴女の方が、それに……興味があるに、……違いない、ちがいない。
……清い水だけじゃ、息が詰まるんでしょう?…そうに違いない。ジュリエットと、いっしょ。


【そして、枕から僅かに顔を上げ、尚も掃除に勤しむ少女をちらりと見遣る――】
【するとそこには小悪魔めいた少女の意地悪な仕草があった。……ちょっと悔しい】
【子供の様な筋の通らない理屈を、否、破綻した拙い理屈を投げかけるのもその証左】

【なお美徳の不幸におけるジュリエットは、自分の美しさと肉体を武器に悪徳の道に足を踏み入れ】
【清さを捨て、自ら悪徳にふける人物として描かれている】


掃除なんて、……しなくても。私には、何処に何があるか把握してる。
それにあの配置は……、私が最も動きやすい様に考えてのもの。
……決して、片付けられない訳じゃない。……ただ、片付けないだけ。

むぅ、……貴女もエーリカと同じ事を言う。本棚にしまったら……取り出すのがめんどう。
私の配置と、……フェイの散らかしとでは。……意味合いが全然、……ちがう。


【体が重くて、精々できるのは――口撃。けれど、叩き落とされそうな程に力が無い。説得力も無い】


791 : フェイ/白桜 ◆D2zUq282Mc :2018/06/25(月) 22:18:57 JY1GydDk0
//安価ミスのため再投下

>>788


うぅ―――……っぅう。………べつに、好きじゃない。
ただ……そのタイトルに、……興味があっただけ。


【"間違っても好きで選んだわけじゃないのだから"と足をバタバタさせて主張する】
【白桜は『美徳の不幸』の中身を知っている。故にその本について触れられれば。その内容によって齎される】
【新雪の様な白色を染める紅色を見られたくなかったから、枕に顔を埋めて健気に抵抗する】


むしろ、……貴女の方が、それに……興味があるに、……違いない、ちがいない。
……清い水だけじゃ、息が詰まるんでしょう?…そうに違いない。ジュリエットと、いっしょ。


【そして、枕から僅かに顔を上げ、尚も掃除に勤しむ少女をちらりと見遣る――】
【するとそこには小悪魔めいた少女の意地悪な仕草があった。……ちょっと悔しい】
【子供の様な筋の通らない理屈を、否、破綻した拙い理屈を投げかけるのもその証左】

【なお美徳の不幸におけるジュリエットは、自分の美しさと肉体を武器に悪徳の道に足を踏み入れ】
【清さを捨て、自ら悪徳にふける人物として描かれている】


掃除なんて、……しなくても。私には、何処に何があるか把握してる。
それにあの配置は……、私が最も動きやすい様に考えてのもの。
……決して、片付けられない訳じゃない。……ただ、片付けないだけ。

むぅ、……貴女もエーリカと同じ事を言う。本棚にしまったら……取り出すのがめんどう。
私の配置と、……フェイの散らかしとでは。……意味合いが全然、……ちがう。


【体が重くて、精々できるのは――口撃。けれど、叩き落とされそうな程に力が無い。説得力も無い】


792 : 院長中身 ◆zO7JlnSovk :2018/06/25(月) 22:22:08 a2tLjGHk0
>>784

【青年はたじろいだ。目の前の中年男性から感じる、そこはかとない圧力に──】
【その目は正しく蛇であった、狡猾に獲物を狙う、獰猛な蛇──、それでいてその牙をひた隠して】
【青年の目が手紙に落ちたなら、驚愕の色を示す、これ──と言って、手紙を指差すだろう】





【文面が変わっていく。瞬きの隙間に、文字列が増殖していく】
【リアルタイムで打ち込まれる弾幕に似ていた、確かな意味合いが踊って】




『──、私の事に辿り着けるニンゲンは、そう多くない。そして同時に、私へとコンタクトを取れる存在など、有り得ない』
『その様に私は、私を定義付けた。存在しない住所、架空の名前、それは届く筈の無い手紙』
『けれども一つだけその術があった、私はそこに魔法をかけた、──、そう』

『神の文字が入った文面だけが、私へと辿り着くように、と』




【青年が、文面とゴトウを見比べる、何が起こっているのか、理解出来ないと言うように】




『偶然か必然かは分からない、散りばめた小さな手掛かりから私に辿り着いたなら、正しい資質の持ち主という訳だ』
『そして、その資質こそが虚構の神々と戦う、最も不可欠な資質とも言えよう』
『可能性を信じ、常識を覆し、虚構に挑む。虚数こそが真で、その道筋を進む』

『ようこそ、INF財団へ、私はエージェント■■、そして──』


『 "外套の男" ── ゴーストライター』



【もしゴトウが『INF財団』に関するレポートを読んでいたなら、外套の文字に注意が向くかもしれない】
【"レッド・ヘリング" "アナンタシェーシャ" その両方に関する書物で、重要な役割を担った存在に】


793 : ◆S6ROLCWdjI :2018/06/25(月) 22:32:39 WMHqDivw0
>>789

(僕が美しいとか聡明とかマジでなんの悪い冗談だよ嫌味かそういうことかこれもプレイの一環かっ)
(夜のお勤め不慣れなの!? ウソでしょ百戦錬磨みたいなオーラ出しといてそれは絶対嘘でしょ)
(てゆーか痛い、痛い痛い痛いマジで痛いこれ無理だって無理無理!! ショックで死ぬ、死んじゃうっ)
(やだ無理ほんとマジで、せっかくジルがっ、お咎めなしで生かしてくれてっ、命拾いできたと思ったのに)――――ア、

【窮地に陥るほどにシナプスが鮮烈に瞬くタイプの人間だった。目まぐるしく働く思考の中で】
【死にたくない、死にたくない、死にたくない、そればっかり考えて。――――ぼろり、涙が零れ落ちた】
【耐えはする。悲鳴も噛み殺せる、けれど、涙を堪えるのだけはできない人種であった。……だから】
【「そそる」のだ、そういうシュミの人に言わせてみれば。そういう人に可愛がられて生きてきたのだろうとも、思わせて】

【唇に触れられたら、魔女の指先に戦慄きを伝える。容易に内部に侵入されて】
【粘膜の湿り気と体温をたしかに教え込む。生きている、摂氏35度の低体温。脈拍も呼吸も確かにあって】
【掻き混ぜれば唾液も正常に分泌される。ならば、――――もっともっと痛めつけて大丈夫だと。伝えてしまう】


――――――ん、ン゛ぅ、……ぅぅう、えぅ……ぐ、ギぅっ…………はあっ、……は、


【漏れる悲鳴はやはり抑えられたものだった。欠片ほども気持ち良くなさそうで、それならもっと教え込まなきゃいけないと思わせる】
【ばかみたいに唾液が湧いて出てくる。炎も消せやしないのに。ぐちゃぐちゃと音を立てて魔女の嫋やかな指先を汚して、肌を伝い】
【惨めッたらしく開きっぱなしの口の端からどんどん零れ落ちていく。拭う術も持たないからそのまま、垂れ流して】
【細い顎の頂点で、未だ零れ続ける涙と混ざり合う。禁欲的に閉じられた襟に滴って、汚らわしい染みを作る】

【もうすでにボロボロに泣いていた。派手な悲鳴は上げないけど――無音でずっと涙を流していた、もうやめてって】
【懇願するみたいに舌が蠢く。魔女の指先に這わせて――必死に訴えかけるように、ちろちろと舐めていた】
【弱い弱い女が、強い男に向けて必死に奉仕するのに似ていた。もう虐めないでって。滑稽なほどに】
【そうしながらずっとくぐもった悲鳴を上げ続けて――時折吐息を零すのだから、生きている証になる。生きているならまだ――甚振れる】


794 : 院長中身 ◆zO7JlnSovk :2018/06/25(月) 22:44:57 a2tLjGHk0
>>793

【指先を舐る貴女の舌先の感触、首筋に濡れる心地を感じながら】
【蕩ける目尻を確かに殺めて、透き通るような肌へ嫉みを向けるのだろうか】
【指先が歯茎を離れて、奥歯──、貴女の奥歯をつんつんとつつくだろう】


ご存知でしょうか、──、ああ、ブラスフェミア様にそんな言葉、出過ぎた真似です、申し訳ありません
私は知識でしか知らないのですが、歯の奥には神経が密集されているそうです
虫歯が痛むのも菌がその神経を蝕むからだそうですね、ある程度したら痛くなくなるのも、神経が麻痺してるのだとか

──、釈迦に説法でしたね、すいません、なんでこんな事言うのか
私は人間の想像力こそ、最も素晴らしく、それでいて残酷な御伽草子と思っています
イメージすること、それが──、効率よく痛みを与える方法なのですから


【──、下顎が弾け飛ぶ、かの様な感触。閉じれない様に強引に口を手で空けて】
【奥歯の中身が "燃える" ──、密集した神経を、鋸で引き裂くような感触だろうか】
【目を閉じて貴女の悲鳴を感じる、強引に開けられ、声にならない音を】


こればかりはカチューシャも泣いて嫌がっていました、だから私は想像もつかないのです
どうですか? ──、少しはブランル様も、認めてくださるかしら


【じっくりと堪能したなら、一度指先を口から離して、自身の唇に触れさせる】
【しとりと唾液が伝う、少しだけ見せた舌先が煌めく琥珀色の吐息を混ぜて】
【舐る貴女の痛みの証、それを少しでも感じ取れる様に】


795 : ゴトウ ◆1miRGmvwjU :2018/06/25(月) 22:46:08 o6XMS57s0
>>792

【狼狽える青年の視線に応じて、ちら、と手元を一瞥する。そうして結局、食い入るように見つめる。】
【 ── 白紙の面上、セル・オートマトンみたいに躍る文字列。それは猿のタイプライターなんかじゃない。】
【有意味なメッセージとして後藤に意志を伝えていた。そこには確かにクオリアがあった。だから、無精髭を歪ませて、いっそう彼は愉しげに笑う。】



「成る程ね。」「職業柄、こういうのには詳しくないが ── 。」
「『直接会えない訳がある』と。」「 ……… 恐らく、あまり俗っぽくない理由で。」


【そっとテーブルの上、伝票入れに手紙を立てかけて、頬杖をつく。笑っていた。思い出したように青年へと視線を戻す。】
【「 ── 今のところ、君に用事は無さそうだ。呼びつけてしまって悪かったね。」「そして、ありがとう。」】
【「とりあえず何か飲み食いして待っていてくれるかな。おれが持つよ。」 ── まだ、一応は引き止めておくつもり、のようで。】



「褒めてくれるのは有難いです。が、ペイシェンス・ワースが相手だからって遠慮はありませんから、ご容赦くださいね。」
「ご機嫌損ねたらすみませんが、手短に行きましょう。なにぶん叩き上げでね、観念的な話は得意じゃない。」


【その名前を知らない訳ではなかった。財団と呼ばれる彼らが何をしてきたか。そうして、どうして此のような紙媒体へと意志を移したのか。 ── 全てを掴み切れた訳ではなかったから、全貌は朧げであったけど】



「ウチの部下から聞きましたよ。ゴーストライターさん。」「蛇の連中、随分とおっかない『遺伝子』を振りまいちゃったそうで。」
「おたくがおれの素性をご存知かは分からんが、一応は『正義の味方』なんでね。放っとくわけには行かないんです。」


【ウェイターが訝しむような顔でカフェオレを届けた。愛想笑いで追い払って、カップへとたっぷり砂糖を入れた。 ── 一口、すする。】


796 : 三枝双葉 ◆KWGiwP6EW2 :2018/06/25(月) 22:50:16 WMHqDivw0
>>791
へー……

【胡乱な目で少女の様子を見る。言葉とは裏腹にばたつかせて脚が全てを主張しているように見えるが】
【何にせよ少し元気になったようで良かったと思う】
【少女が何を思っているのか、その思惑については全然分からないんだけど】

まぁ、読む分には何を読んでようと自由じゃない?

【そういうの理解あるよ私は】
【と、無駄に空気の読めない主張を行って、片付けを続行し始める】
【その片手間に、少女がブツブツ言っている言葉も聞いているのだが】

ん〜〜どうだろ。私は要領悪いから、ジュスティーヌみたいになっちゃうかもね。

【別に自身を美徳に満ちた人物だと言う気はないのだが】
【彼女のあのどうしようもない世渡りの下手さには若干通じるものを感じて――少々憂鬱になる】

掃除できない人の鉄板みたいな台詞言わないの。
どこに何が有るか分かっても埃やカビが立つと身体に悪いし、虫だって沸くんだから。

特に今いっちばんそういうの出易い時期なんだから。


797 : 院長中身 ◆zO7JlnSovk :2018/06/25(月) 23:03:15 a2tLjGHk0
>>795





                【──、めり】






【立ち上がった青年の足が "折れ曲がる" 紙で出来た人形を、上から押し潰す動作に似て】
【そのまま、彼はくしゃくしゃに折れ曲がっていく、えっえっ、と漏れる言葉がどこか滑稽に】
【やがて、パタンと本を閉じたかの様に、青年の姿は消え果てて──、次の刹那には】

【コマ送りで見たなら、そのコマからいきなり付け加えられたように、外套を纏った男がそこには居た】
【深く被ったフードからは無明の闇がある様に、顔の仔細は伺えない】


──、失礼。いつまでも紙の上の付き合いは、宜しくないと思ったが故に
それに見てもらうのが手っ取り早い、私の『能力』に関して
手紙の宛先を『書き換えた』瞬間、彼は生まれた。そこに至るまでの歴史を持って

物語の登場人物には、描写されないだけで生活がある。彼らにも等しく日常の営みがあるのだから
私は彼を生み、彼を殺した。ありもしないルーム335、そこに住む一人の青年を
改めて挨拶を、ゴーストライターと、そう呼ばれている


【ゴーストライターは椅子に腰掛け、ゴトウと相対する。前にいてもなお、フードの中身は見えない】


私は貴方の事を知らない、私の役目は、私達の現実を葬った彼らを滅する事
貴方がこの現実に於いて対応すると言うのなら、私は確かな意思を以て否定するだろう
──、私達は失敗した、貴方達程度ではどうしようもない、と


798 : ◆S6ROLCWdjI :2018/06/25(月) 23:07:28 WMHqDivw0
>>794

【ちょっと待って、その言葉すら形にならない、指を突っ込まれてるせいで物理的にそうできないというのもあったけど】
【それ以前に痛すぎてもう何も考えられなくなっちゃう、それだけの話だった。言葉にする前に全部悲鳴になる】
【aだかuだかoだかわからないけど、とりあえず母音。そういう拙い音ばっかり上げ続けて、それで】


――――――〜〜〜〜〜〜〜〜、〜〜〜〜〜〜〜ッッッ!!!


【これは声にすらならなかった。喉が引き攣れて捩れきった結果出た異音とでも言おうか、そんな感じの】
【とうていまともな知能を持った人間が出す音とは思えない。そんな音が、確かにこの女の細い咽から迸った】
【魔女の指に這わされた舌が大きく波打った。それと同時にがくん、と顎も痙攣して――もしかしたら脱臼したんじゃなかろうか】
【それくらいの勢い。それくらいの、……悲鳴? ……絶叫? なんだかよくわからない音が鳴った、奥歯を弄られた瞬間に】

【指を離されたら――可笑しな話だけど。唾液が線を曳いて、女の口と魔女の指先を繋ぐ架け橋になっていた】
【まるで離れたくないと、未練がましく結びつけるみたいに。実際真逆のことを思っていたのに、現実はそうだった】
【未だ閉じることすらできない口からだらんと舌が零れる。まだ赤い、……ならまだ生きていて、まだ、遊べる】


…………っは、……はあっ、……は、……うぃ、……い、ちぃ…………
ぼく、からっ……僕から、ぶらん、る、に、……言っとく、きつく、言っとくからあ、
妻をたいせつにしろって、……言うからっ、……も、やめに、してよ、……ほんとに死んじゃう、……これっ、


【一旦の休憩。そこで口から漏らされる言葉は「もうやめにしましょう」というものだった。力なく項垂れた頭、上げる気力もなく】
【それでもわりと思考と口調ははっきりしていた。ならまだまだ壊せる余地はあるって教えるようなものなのに】
【……たぶん、こいつ、無意識に「そういう人」を煽るタイプのヤツだった。被虐の趣味はなかろうが、虐められるセンスがある】
【ひどい話だったけど――それもあってここまで生き延びることができたんだろう、「そういう人」に「可愛がられて」】


799 : フェイ/白桜 ◆D2zUq282Mc :2018/06/25(月) 23:15:23 JY1GydDk0
>>796

――そうなる前に、……エーリカが掃除しに来てくれる。
ただ、ここ最近は仕事が忙しそうで、……全然来てくれない。


【"だからこうなった"と開き直る。エーリカや少女を小間使いの様に思っていると取られかねない言葉】
【切れ味の鋭い正論によって白桜は子供の様に拗ねる。精神年齢は少女と言って過言ではないけれど】


そもそも、……私がこの部屋で暮らす時間は短いから。
その言葉は、……フェイに言ってほしい。この身体はフェイのものなんだし。
私は……間借りしてるだけだから。普段は、……フェイの精神の中で眠ってるのだから。


【そうこう言っている内に部屋が本来の綺麗さを取り戻し始める】
【きちんと整理された本棚。床には酒瓶や吸殻は転がっておらず、そして空気は澄んでいた】
【白桜は拗ねていた。けれど、ここまでしてくれた少女に感謝しないほど恩知らずでは無いから】


――…見違えるほどに、さっぱり。冷凍庫に……お礼の品が、……あるから。
好きなのを勝手に……食べればいい。ただし、……冷蔵庫は、開けないで。


【冷凍庫には大量のハーゲン●ッツ。しかも様々な種類のハーゲ●ダッツがぎっしり詰まっている】
【一方冷蔵庫には――フェイが愛飲するハイネケンやバカルディといった多種多様な酒達が所狭しと詰まっている】


800 : 院長中身 ◆zO7JlnSovk :2018/06/25(月) 23:16:31 a2tLjGHk0
>>798

【魔女はきょとんと小首を傾げた、煽っている風でもなくて、ただ、ただ単純に】
【分からない、と言いたげにその表情を向けて──】
【膝を抱えて、座り込む。下から貴方を見上げる体勢で】


ブラスフェミア様は不思議な事を仰られます、私の様な下賎な者でも理解出来る様にしてくださいませ
もしそれでブランル様が私に優しくしてくださったら、ブランル様は私よりブラスフェミア様を大切にされると
私の言葉よりも、態度よりも、振る舞いよりも、ブラスフェミア様の言葉を重視されると

分かってます、ええ、分かっております、それが持たざる者の宿命であると、重々
ですから、これは、"八つ当たり" になってしまいます、分かっていても止められないのです
──、愚者はいつまで経っても、経験から学ぶ事しか出来ませんので


【手が伸びた、貴女の細い首筋に宛てがわれる柔らかな指先】
【その感触を確かめるように、触れるその先は──、頚動脈】
【血管の中が燃えたなら? 皮膚の下の脂肪だけ燃えたなら?】

【その隙間時間は、その思考のために、少しだけ彼女は間を置いた】


愚かな私に断罪を、── ブランル様、お許しください


【喉の奥、── うがいをする際に触れるその位置が、燃え上がるだろう】
【飲み込む呼吸が、まるで溶岩の如く、もがけばもがくほど火の海に沈む様に】
【つけて、すぐ火を消して、貴方が呼吸を再開したなら、再び燃やす、それを、何度か】


801 : ゴトウ ◆1miRGmvwjU :2018/06/25(月) 23:21:02 o6XMS57s0
>>797

【 ──── 流石に、「たじろいだ。」】
【転瞬に細めた目を見開いて、出来損ないの原稿を丸めてしまうみたいに消えた、哀れな青年の末路を見届ける。】
【飲もうとしていたカフェオレのカップを握ったまま、 ── 更に次の瞬間、出来損ないのパラパラ漫画から出てきたみたいに現れた、底知れない影の姿を認めて。】



「 ……… おっかねえなぁ。」


【ず、 ── とカフェオレを啜る。馬鹿みたいに甘かったが、これくらいの方が意識をハッキリさせてくれた。】
【少しばかりの動揺を落ち着けるように、深く深く息を吐いた。すれば、自然と影の言葉を聞く余裕もできた。】



「おれやおれの部下に出来ることなんてない、と?」「 ……… まぁ、見ての通り、所詮はしがない公務員だ。」
「逮捕令状で神様が捕まってくれる訳もないだろうしな。」「 ── しかし、それなら、おれの呼びかけに応える理由もないだろう。」
「単に手を引けと言いにきた風にも見えないしな。」「 ……… それに。"可能性を信じ、常識を覆す"。あんた自身が今さっき言った言葉だ。」



【ふたたび手のひらをテーブルに組んで、シートの背もたれに身を委ねる。ダークブラウンの瞳に、宿る光は変わらないまま。】
【少しばかり嗄れた中年の声で、 ── 物怖じはしていないらしかった。今のところは。】


「まあいずれ、宇宙悪夢を前にして、ニャルラトホテプの手でも借りたいところだ。」
             「 ──── 単刀直入に聞こうか。"どうすればいい"?」


802 : 院長中身 ◆zO7JlnSovk :2018/06/25(月) 23:28:40 a2tLjGHk0
>>801

【── 揺るがない。きちんと文脈まで辿る男で良かったと、彼は内心そう思った】
【荒唐無稽な出来事と、拒絶の言葉を向けたなら、大体の人間は腰を抜かしてきた】
【、故に、その落ち着いた様子は彼を感嘆させる、僅かな表情も見せないが】


──、退かないな、それは無謀か、蛮勇か、── 敵の大きさも測れない愚者では無いとは思うが
それは全てを知った上での事か? 断片を辿っただけでの結論なら、きっと後悔する
……能書きはもういいか、前書きの多い作品に、名作など無いのだから

──、何を示す前に先ず尋ねよう。貴方達は "虚神" について何を知っている?
君達の世界に存在する、体系化された神話の一部とでも思っているのだろうか
そうであるならば私は落胆する、……貴方の解釈を聞きたい


803 : ◆XLNm0nfgzs :2018/06/25(月) 23:31:52 BRNVt/Aw0
>>776

【テーブルに突っ伏して嗚咽を漏らす相手から目を伏せて、悔しげに唇を噛む】
【どうしたら良いのかが分からなかった】
【信じていたらきっと、なんて言葉は簡単に言えるだろう。けれども言ったところでそれはただの詭弁でしかなくて】

【言葉をめいいっぱいぶつけて、そうしてとうとう泣き出してしまう夕月】
【それを困ったように少しの間黙って見ていて、そうしてスッと厨房に行って】
【ガラスのコップを出す。そうして暫くそこで様子を見ていて】

【幾ら足掻いても変えられなくて、どうしようもない事実に直面して、それでとてつもなく絶望してしまって】
【そういう時は思いきり泣いて心情を吐露するのが一番良い】
【それが最善策なんだって知っているから、そうしてまた歩き出せば良いんだって知っているから】
【彼女はじっと待っている。少しでも落ち着くのを】

【そうして少しでも泣き止んだのなら彼女はコップに水を注ぐのだろう。それからうんとたっぷりの氷を入れてそれをうんと冷たくしてあげて】
【それをカウンターに出してあげながら】


夕月ちゃんは、どうあっても鈴音ちゃんを助けてあげたいんだね
元の人間にしてあげたいんだね

……だったら、夕月ちゃんは諦めなくても良いよ
そのまま真っ直ぐ進んでみたら良いよ
もしかしたら本当に奇蹟が起きてくれるかもしれない
信じれば何だって出来ちゃうかもしれない

でもね、私は思うの
人間でも、神様でも鈴音ちゃんは鈴音ちゃんなんじゃないかなって
私は、全てを受け入れる方に行くよ
だからね、そこへは一緒には行ってあげられない
【ごめんね、と小さく笑って】


804 : ◆S6ROLCWdjI :2018/06/25(月) 23:36:12 WMHqDivw0
>>800

【言われた瞬間――胃袋に氷塊を投げ込まれた気になった。やべえ地雷踏んじゃったって】
【顔が引き攣った、それで必死にごめん、やめてって言おうとして――――声が燃やされた】
【そうして出る音ってどんなものだろう。……本当にわからない、描写しようがないくらい】
【きっと途轍もなく間抜けで滑稽で、――――悲痛な声だったんだと思う、きっと】

【――――がづん、と音が鳴った。何処から。……下のほうから。ストッキングに包まれた脚】
【その先っぽ、踵が。ヤケクソみたいに壁を蹴る、がん、がん、がん、がん、何度も何度も】
【無意識に足を動かして逃げようとしていたのかもしれない。あるいはかつて、夕月がやってたみたいに――】
【他の部位に痛みを生じさせて今ある痛みを紛れさせようとしたのかもしれない。そんなことしたって、無駄なのに】
【無論そんなことをし続けていたら、ストッキングなんて容易に破けるし、その下の皮膚だってズタズタに】
【擦り剥けて、血を流す。肉を晒す。それなのに壁を蹴るのを止めない、馬鹿の一つ覚えみたい】
【このまま放っておいたら骨が見えるようになるまでそれを続けるだろう、そんな予感すらさせて】


(――――――あ゛づい、あ゛っづい、……ていうか息できない、ヤバい、これ本当に無理なヤツ)
(死んじゃう死んじゃう死んじゃうってば! 誰に謝ってンだよ僕に謝れクソ■■■、……ああ、)
(ブランルに謝ってるのってそういうこと? 仲間一人これから殺しちゃうからそれを許してって?)

(……………………なんなの本当、じゃあ最初ッから殺せよ、なかよしみたいなマネしてた僕がばかみたいじゃん)


【呼吸ができない、なら、意識も遠のいていく。そうすると何故か思考がクリアになって、……】
【ひどくいじけたみたいな子供っぽいことを考えてしまった。実際、ブランルも魔女も、「同類」だって思ってたくせに】
【そうじゃなかったって相手から言われたら拗ねてしまうのだ、こいつは。本当にどうしようもないヤツだった】

【――――ともあれ。呼吸を阻害する責めを続けていくなら、女は容易く気をやってしまうのだ】
【そこから先、水をひっ被せて起こそうが、そのまま放置しておこうが、……とどめを刺そうが、なんだってできるだろう】


805 : 三枝双葉 ◆KWGiwP6EW2 :2018/06/25(月) 23:42:14 WMHqDivw0
>>799
エーリカさん?お友達?

【そう言えば、先にも誰かの名前を口にしていたような気がする】
【ある程度の片付けが終わると、言われるままに、冷凍庫を開けてみた】

……ストロベリー貰うね。白桜さんはどれにする?

【いきなり居並ぶハーゲンダッツの群れに一寸ビビる】
【どうしてこうこの子達の趣味は偏ってるんだろう】
【冷蔵庫については、嫌な予感がしたので言いつけ通りに触れないでおいた。そこまで天邪鬼ではないし、何か大体想像がついたから】

【言われたアイスを持って行って、ベッドへと腰を掛けるだろう。少女の顔色は少しは良くなっただろうか?】


喋れるようだったら、落ち着いたことだし、少しお話しよっか。
フェイさんがその身体の持ち主だって言ってたけど……じゃあ、白桜さんはどういう存在なの?

【多重人格だとすると、副人格と言う奴なのか?それとも霊体だけ取り憑いてるとか?】
【少女の想像力ではそれが限界だった】

あ、言いにくいことだったら、無理にでも聞きたいって訳じゃないんだけど……


806 : ◆S6ROLCWdjI :2018/06/25(月) 23:43:56 WMHqDivw0
>>803

【――――からん、と氷の揺れる音がして。それでようやく、泣き声を鎮める】
【顔を上げる。……アイメイクが若干溶けている、ぶさいく】
【目の縁と鼻が真っ赤になっていた。それを直そうともしないまま、グラスを手で握って】


…………うん。……ごめんネ、無茶苦茶言って、……あたしも無理だとは思ってるんだけど。
でもどうしてもダメなの、鈴音が泣いてる、声が、……こびりついて離れてくれないよ。
……キセキってさ、起きるものじゃなくて起こすものだって言うじゃない。あれ絶対ウソだよネ、
起こし方が、わからないんだもん。ぜったい適当に言ってるだけだ、あんなの、

……………………だけどまだあたしは信じてる。裏切れない。ごめんネ。


【何に対して謝っているのか自分でもよく分からなくなってきた。さんざ困らせちゃったつがるにか】
【それか――――未だに一方的な願望を押し付け続けて、弱らせている鈴音にか。おそらく両方】
【グラスで手の温度を冷やしてから、ゆっくり持ち上げて、飲み始める。嚥下の音、数回だけ】


……おなじところには行けなくてもさ。ここを守りたいの、それだけは一致してるでしょ?
それだけでいいよ、こんな勝手な願望、抱いてるのはあたしだけでいい。……いいよ、それで。


【手伝ってくれる。それだけで十分すぎるほど安心できるから――大丈夫だって、融けた目尻で、笑う】


807 : 院長中身 ◆zO7JlnSovk :2018/06/25(月) 23:45:14 a2tLjGHk0
>>804

【意識はどこかへ飛んでしまったのだろうか、反応を失くした貴女を彼女は心配そうに見つめて】
【見様見真似で脈をとったなら、気絶しただけだと気づくから】
【──、暫し逡巡した。かつての彼女の愛娘に、どの様にしつけたかを】


──、ふふ、気絶してもブラスフェミア様はお美しい、傷ついた様子も、とても可愛らしくて
それを見る度に私はどうしようもない劣等感と、心の奥底に詰まった嗜虐心を感じます
そうでなかったのに、私は傷つけられ睨めつけられ快楽を貪る、魔女であったのに

──、それはきっとブランル様、貴方様のせいにございます、支配者の側に居たから、私も
ええ、私も、蹂躙する悦びを感じてしまう、誰かを支配する愉しみを得てしまう
それはとても暗い感情、どうしようも無く醜くて汚くて、ええ、だから、だから


……私を見捨てて、しまったのでしょう


【彼女はそっと立ち上がる。手枷で拘束された貴女の両手に手を添えて】
【指と指が交錯したなら、その指先が這い寄るのは貴女の "爪" 】
【──、爪に火を灯すなんて、昔の人はいうけれど】



ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい──、ごめんなさい、ごめんなさい






はしたない、女で、ごめんなさい────



【指と爪の間。神経の交錯地、その内部に、火が灯る】


808 : ゴトウ ◆1miRGmvwjU :2018/06/25(月) 23:55:20 o6XMS57s0
>>802

「職務には忠実でね。」「それに、あんたも良くご存知とは思うけれど ── 」
「正義の味方ってのは、そう名乗るだけで"なれる"ものじゃない。 」
「 …… ここに来るまで色々苦労もしてきたからね。」「いざって時に尻込みするんじゃ、何のための力か分からんよ。」


【 ──── 高説を述べるのは平然とした薄ら笑いだったが、内心に全くの動揺がなかぬたかと言えば、きっと嘘になるだろう。】
【およそ自分や、自分の部下とは、文字通りスケールの違う存在であると。目の前の影も、己れが立ち向かう相手も。】
【奮い立つ、 ── なんて格好をつけた言い方じゃあない。けれどそれでも、覚悟は必要だった。だから、】


「 ─── プレッシャーかけるなぁ。」


【続く言葉には、およそ参ったように苦笑いをして。十数秒ほど、手元のティースプーンを、弄んだのち ── 。】


「 ……… そうだな。安直な比喩には語弊が生じるが ── 。」「それこそ、さっきの青年とアンタみたいなもの、じゃあないかな。」
「交わるはずのない二次元と三次元。おれ達が虚構としてしか認識できない存在。」それが、さっきで言えば手紙という媒体により、 ── 干渉する。」
「結果として、より高位の次元に、おれ達の世界は上書きされる。」「少なくともおれが今追っている"蛇"の神は、他者の認識、信仰、恐怖によって成立していると聞かされてるよ。」


「であるが故に奴らは世界を滅ぼしうるし、奴らが厄介な原因はそこにあるとも思う。…… どうかな?」


809 : ◆S6ROLCWdjI :2018/06/26(火) 00:02:38 WMHqDivw0
>>807

【――――かつてどこかの世界に、頭のイカれた殺人鬼が居たという】
【そいつは度を越したサディストであると同時にマゾヒストでもあって。■■■に針を、たくさん刺したりしてたらしい】
【勿論そいつは死刑になった。当たり前のことだった――――だというのにそいつは笑って言ったらしい、】
【「電気椅子はどんな苦痛が味わえるんだろう、やったことないからわからない」って。ただしく正気の沙汰じゃない】

【――――そんなヤツですら、あまりの痛みに正気に戻ってしまった責めがあったらしくって。それが】

【 「爪と指の間に針を刺すこと」 だったと、言うけれど。 】




――――――――――――――――っア゛!!?


【鋭く短い、それこそ針で穿つような悲鳴。叫びながら女は跳ね起きる】
【無論拘束は解かれないままだったから。がぢ、と音を立てて手枷が喚いて、それだけだったけど】
【痛い。ひどく痛い。そればっかり。脳漿にそれだけが満ちる――スパークが走るみたいに】

【――――起きた。それで、目をひん剥いて……「うそでしょまだ終わんないの」みたいな顔する】
【目が醒めたら全部悪い夢だったことにして、いつも通り、氷の国の地下室のベッドで目覚めたいって】
【そう願っていたのに。ぜんぜんそんなことなくって、……絶望する、あまりにも簡単に】
【呼吸は乱れに乱れていた。ひどく汗もかいて、散り散りになった黒髪が蒼白い肌に張り付いている】
【あまりにもぐっちゃぐちゃな見た目になっていたけど、それでもまだ、魔女はこんな女、美しいって言うんだろうか】

【――――――――言わないでくれ。こんな僕から、もう興味を失ってくれ。全力でそう、願っていた】


810 : 院長中身 ◆zO7JlnSovk :2018/06/26(火) 00:08:30 a2tLjGHk0
>>808

【ゴーストライターは沈黙を育む、ゴトウの言葉を精査する様にその一音を確かめながら】
【それは写植に似ている。言葉一つ一つに当てはまるピースを探す試み】
【巧みな熟練工を思わせた。誰にも邪魔させないという矜持だけを頼りに】


──、かなり近い線まで来ている。やはり貴方は……只者ではない。
……だが、私の知る限りでは有能な人間は、より高い役職に付くのではないのか?
私の現実でもそうであった。大司祭、枢機卿、教皇──、有能な人間の集まりだったが

貴方の格好はそうは見えない、大方、そこいらの教会に務めてる一般神父の程度だ
不思議だ、──、財団では貴方達の様な別現実の奇妙な風習をこう言った
東洋の神秘と、── ふむ、ピッタリの表現だ


【うんうんと、腕を組みゴーストライターは唸った】


その通り、彼らは虚構の存在でありながら、彼ら自身は私達に干渉できる、そして信仰や恐怖を糧とする。
故に多くの人間が、その存在を知る事は会ってはならない、私達は虚構の神話を打ち立て、その矛先を逸らそうとした、が
──結果は知っての通り、私達の現実は跡形もなく消えてしまった

故に私達は精鋭で無ければならない、一部の選ばれた人間のみが、その存在を知る
故に私達は知った一般人を逃さない、彼らには残念ながら即時の抹消が必要とされる
貴方が警察や聖府関連の人間であれば、その情報網を私に一部託して欲しい

──、蛇の事件、その重要な証人などいれば、直ぐに


【その言葉は暗に示していた。蛇の神の事件、彼はそれを知っていると】
【蛇を知る証人とは蜜姫かえでのことか、アリアが保護する、オフィウクス唯一の生き残り】
【──、交渉であった。彼が何処まで知っているか、それがキモか】


811 : フェイ/白桜 ◆D2zUq282Mc :2018/06/26(火) 00:09:45 JY1GydDk0
>>805

そう、数少ないともだち。そして、……私達"カイ"の理解者。
きっと、貴女も……エーリカとは気が合いそうな気がする。
私達と違って良識人だし、……明るくて、強い人。主に精神的に。


【エーリカについて触れられて、起伏に富んでいない声色は何処か嬉しげに弾んで】
【微かに白桜の表情が綻んで。それゆえに口数が何時もより多かったのである】

【冷凍庫を開けた少女が何のハーゲンダッツを欲しいかと問うたので】
【"―――……抹茶。……いや、ストロベリーが良い"と答えた】

【ぎしっと軋む音がした。視線を向けずとも少女の気配がそこに在るのが理解できた】
【ハーゲンダッツが手渡される頃には容態も大分落ち着いて、上体を起こしアイスを貰い】
【"――…ありがとう"と病状に伏せる子供の様な弱い笑みを零すのだった】


―――……簡単に言えば私は魂だけの存在。フェイと言う依り代無しには現世に留まれない亡霊。

本来の私は10年前に死んでいる。鬼哭の島と呼ばれる櫻の国の流刑地で殺されて。一度目の死を迎えて。
けれど私は……魂だけの存在となった挙句に生死流転して。流転輪廻して。紆余曲折あってこの身体に宿っている存在。
在る筈の無い業の魂。人の形をした、人ならぬ鬼。"ひとおに"の"カイ"――それが私。


812 : ◆XLNm0nfgzs :2018/06/26(火) 00:22:18 BRNVt/Aw0
>>806

【暫くして声が静かになっていって、コップの中で氷が揺れて】
【そうして夕月は顔を上げる。メイクが少し溶けてる、けどつがるは笑わなかった】


うん。私も、鈴音ちゃんの泣いている声が離れなかった
だから、一生懸命あの子の事探してて……

謝んなくても良いよ
お互い譲れない事だってあるんだもん
【そこはおあいこ、ね?と微笑んで】

うん、最終的な方向は違うけどたんぽぽを守りたいのは一緒
だから一緒に頑張ってこ?
【にこっと笑って】
【それから、ぱんっと手を打つ】

……さて!何はともあれ問題はサーペント・カルトの事だよね!
夕月ちゃんは構成員とかの詳しい話は知ってる?
【方向性はともかく今は前に進むしかない。奪還、といえば良いのかは定かではないがその為にも敵の内情を知る事は大事だろう、と判断して】
【また、少しでも気分を変えようとつがるはそんな事を口にする】


813 : ゴトウ ◆1miRGmvwjU :2018/06/26(火) 00:32:35 0/KRWVNE0
>>810


「 ── あまり威厳ある格好もできない立場でね。」「だが此れは此れで苦労があるのさ。」
「地味ならいい、ってもんでもない。敵とは異なっていながら、しかも目につきにくい格好というのは難しいものさ。」
「おれの仕事では特にそれが重要でね。 ── まあ、いい。」


【 ── ひっかかるな。ゴトウは、それとなく感じた。恐らくこいつは、俺と同じ世界から来た人間じゃあない。】
【言葉の古めかしさも気になった。今は余り関係のなさそうな要素ではあったが、記憶に留めておくことを彼は選んだ。】
【煙草を吸おうかと思ったが、 ── ここは禁煙だった気がする。緊張を紛らわす為に、幾分か饒舌になりながら。】


「認識汚染の拡大を防ぐために、 ── か?」「だがサーペント・カルトに対する恐怖は、既に十分すぎるくらい広がっちまっている。この国に。あるいは世界中に。」
「蛇教そのものこそ壊滅に近いが、だからといって蛇神への認識が消えるわけじゃない。今から神話を殺すなら、それこそ国の一つや二つ、消えるぜ。」

「証人は、 ── いる。とっておきのやつがな。だが、おれの部下が見初めた優秀な人材だ。」
「我が部隊は編成の真っ最中でね。蛇の手も借りたいくらいだ。 ……… 五体満足に帰してもらいたいが、頼めるか?」


【自身の腹心とした女から、その少女の話は聞かされていた。我が八課の構成員として優れた才覚を持っている、と。】
【ゆえに後藤としては手放したくなかった。 ── 信用はできるが、信頼のおける相手ではない。先ほどの青年よろしく、神隠しに遭わされるのは御免だった。】
【手を組んだまま静かに微笑む。 ── ブラウンの瞳は、あまり笑っていない。】


814 : 三枝双葉 ◆KWGiwP6EW2 :2018/06/26(火) 00:46:32 WMHqDivw0
>>811
そうなんだ。じゃあ今度は私にも紹介して。
この国に来てからまだ日が浅いから、友達少なくて――

【いや、それは何か言い訳で。この国に来る前から友達はほとんどいなかったのだが】
【ちょっと目が泳いだ。今は置いておこう】
【ストロベリーのアイスを二つ、ベッドに並んで食べながら、少女の幼い笑顔を見れば、こちらも柔らかく微笑んで。流石に頭を撫でたりは、しなかったけれど】

【しばし、いつもより饒舌になった白磁の少女の話を聞く】

10年前に――

【櫻の国――双葉にとっても生まれ故郷、とされている国だった。正直記憶はほぼないのだけれど、そんな物騒な流刑地が有ったのか】
【聞き慣れない単語。生死流転?流転輪廻?輪廻と言うと、生まれ変わりのことなのだろうか?】
【しかしそれなら何で、フェイと呼ばれる彼女の身体に宿ったのだろう?】
【話を聞きながらも少女の頭には疑問符がいっぱいに浮かんでいた】


ええっと……じゃあ、幽霊……ってことになるの?


【言い方は直接過ぎたか。気を悪くしてしまうかも知れない。しかし他に表現の仕方もなく】
【そうなるとフェイと言う女性は、白桜に取り憑かれているようなものなのだろうけれど、それにしては――】


フェイさんは……あなたをちゃんと受け入れてくれてるんだね。
仲良さそうだったもの。何だか。


【それは先程の散らかった部屋を見ても分かった。全く正反対の趣味ながら、お互いを尊重しているのがわかる、仕切りのような部屋の在り方】


815 : 院長中身 ◆zO7JlnSovk :2018/06/26(火) 00:53:24 a2tLjGHk0
>>813


国の一つで済むのなら、安いものだ。──、これは現実の問題だと、分かっているだろう?


【言い放った。蛇神の信仰を殺す為には、必要な犠牲だと彼は心の底から信じている様に】
【INF財団は何処までも冷淡であった。右と左天秤に載せて、わずかでも軽い方を切り捨てる】
【続く申し出にも首を振る。── 五体満足で返してくれ、という願いを蹂躙して】


切れ者も身内には甘いな、何故壊死した部位を放置する? 切り落とさなければ、生命が危ないというのに。
一度染まった思想は変わらない、一度汚染された無意識は、何処までも深く染み込んでしまった。
財団はミスを犯した。財団はそれらの人間に記憶処理を施した、だが、だが────甘かった。

奴らは記憶の底に巣食う、私達が知らない意識の底で狡猾に笑っていた──、
故に私は殺さなければならない。それが唯一にして最高の対応策であるから
『間引く』──、そう言えば、貴方にも通じるだろう?


【顔の見えない闇の底で、彼は真っ直ぐに言い放つ】
【──、浮世離れしていた、その発想もスケールも、常人であれば付いていけない】
【或いはこの場に常人など存在せず、狂人しか居ないのかもしれないが】


──しかし、私も──、協力者を失う事は避けたい、こちらも人手不足だからね
蛇の問題を片付ける、その方法さえ見つかれば、良いのだが


816 : ゴトウ ◆1miRGmvwjU :2018/06/26(火) 01:23:01 0/KRWVNE0
>>815


             「 ── まあ、そうなるよな。」



【くく、と喉で笑った。馬鹿にしているのではなかった。彼の行動規範に則るなら、その答えも返って来うるだろう、 ── 予測の範疇でさえあった。】
【きっとそれは後藤と相容れぬ考えだった。いや、ある意味では其れは、彼の考えに似通ってもいた。後藤は必要な犠牲を躊躇わない男だったから。】


「そう急くな。 ── 何も同情心だけで、彼女を守ろうとしているわけじゃあない。」「彼女が蛇神から与えられた"邪眼"は、ただ切り捨てるには惜しい代物だと聞いている。知っているか?」
「 ── 『生きているなら、神様だって殺してみせる』、だそうだ。ホントかどうか、知らんがね。」


「それに、 ── 他者から観測できない無意識にさえ、奴らの力の根元があるのなら」
「殺す事さえもいたちごっこであり、また悪魔の証明だ。 ……… 違うかね。」




【なれば静かに反駁する。いることを証明することは容易い。だが、いないことを証明するのは困難だ。まして其れが、第三者の覗き得ない深層心理にあるのなら。】
【突き詰めれば全ての人類は滅ばなければならなくなる。何故なら「認識」を受け継ぐものが一人でも残れば全ては水泡に帰すからだ。 ── 後藤は、そう言っていた。】



「まあ」「それはそれとして、だ。おれは全くの素人だし、あんたの方が奴らとの付き合いも長いだろう。」
「だから余り迂闊な口出しはしないことにしよう。その代わりと言っちゃなんだが、少し考えていたことはある。」


【それでも一旦、そこで彼は話を切った。今は机上の水掛け論を戦わすべきではないと、そう思っていたから。 】
【そして言葉が続いていく。ひとつひとつ、なにかを選んでいくように。写植よりも、パズルのピースよりも、 ── 精密な、けれど大胆な、なにか。】


「奴らは認識によって力の形を変える。恐れられれば、信じられれば、その通りの力を得る。」
「そして認識の拡散を担うのは文化的遺伝子(ミーム)だ。遺伝子は自己複製を繰り返し、より優れた/適した形に進化する。」
「他ならぬ自己保存のために。そしてまた、他の『弱い認識』を淘汰する。」


「 ── この機序、なーんかに使えたりせんもんかね?」


817 : フェイ/白桜 ◆D2zUq282Mc :2018/06/26(火) 01:31:33 JY1GydDk0
>>814

簡単に言えば、……そうなる。幽霊と言うならば、憑依。
フェイという人間に私が憑依して、共存していると言えば良かったかもしれない。


【言葉を弄しすぎた、と白桜は内心で反省。最初からこう言えば良かったのだ】
【そして恐らく。少女は何かしら一線を引いた立場から何かを言うのだと。そう思っていたら――】


そう、その通りかも………フェイは何だかんだ言って私を受け入れてくれた。
普段は、粗暴で、乱暴者で、品の無い人で、それでいて犯罪者で。
私が憑依した当初は精神内で殺し合った。お互いにこんな最悪な魂に使われたくないと叫んで。

けれど、最後にはお互いがお互いを受け入れていた。まあ、今でも喧嘩をすることもある。
意見の衝突も、相容れない部分もあるけど。結局、私達はお互いに必要とし合っている。

ある意味で私達は同類で――それを含めて二人で一人のひとおに、"カイ"だって名乗れるから。


【他者に言われて気付かされる。仲が良いと言う事に。詰まる所似た者同士だったのかも知れない】
【少女がフェイに対してよい感情を抱いていないと思っていたから余計に、目を見開いて穏やかな笑いを洩らす】


……フェイも下品で口汚い悪人だけれど。貴女の事は悪からず思ってる。
――先陣を切った貴女の姿を好ましいと思ったから、あの時柄にも無く忠告を送ったんだと思う。


【白桜による懐述――内心でフェイが照れくさくなるからそんな事言うなと毒づくけれどしらんぷり】


818 : 三枝双葉 ◆KWGiwP6EW2 :2018/06/26(火) 01:50:43 WMHqDivw0
>>817
あはは……あなた達も紆余曲折有ったんだね。

【フェイのあの性格からすればあっさり受け入れたとは確かに考えにくかった】
【精神の中で殺し合うなんて想像もつかないような話では有ったのだけれど】
【でも、彼女はひたすら相方の悪口を並べ立てるけれど】
【きっと、フェイに聞いても同じようなことを言いそうな気がするけど】
【それでも、聞いていて嫌な気持ちにはならない、変な信頼関係を感じたから】

二人で一人――相棒って、ことなんだね。
ひとおにって、どういうこと?

【その表現がしっくり来た。相棒が登場するような作品をいくつか見たことが有るけれど】
【多分コンビと言うのは似た者同士よりも、正反対の性格くらいの方が、お互いを補えて良いのだろうから】
【とか、思っていたら、そのフェイからの寸評を聞いて、照れ臭そうに頬を掻くのだった】

いやー、もうわたわたっとして必死だったけど、勇敢に、見えてたんだったら、ちょっと嬉しいかも知れない。

【彼女の内側で、フェイがどんな顔をしているのかは、何となく少女にも見えたような気がした】

【と、部屋も片付いたし、少女の調子も戻ったようだ。そろそろ潮時かも知れない】
【今食べたハーゲンダッツの空を、まとめていたゴミ袋に入れた】

ん、じゃあ、そろそろお暇しようかな。
色々お話聞かせてくれて、ありがと。


819 : 院長中身 ◆zO7JlnSovk :2018/06/26(火) 07:49:13 a2tLjGHk0
>>816





──── そうか、カウンターミーム、より善性の強い認識で、上書きすれば良い





【ゴトウの言葉が引き金であった。ゴーストライターは驚愕の色を隠しきれない声色を、そこに響かせる】
【理論上は可能である。模倣子が弱い認識を駆逐するのであれば、より強く善性の認識を広めれば良い】
【無意識に巣食う蛇そのものをどうするのでは無く、蛇に対する無意識を善性に書き換えれば良い】

【──、幸いにもウヌクアルハイは定義されて間も無い神であるが故に、形質が変容する余地は十分にあった】

【同時にゴーストライターは戦慄せずに居られなかった。『虚構現実』の存在である自分だからこそ、此処まで理解出来る】
【否、── いつの間にか自身が啓蒙されている感覚さえある、彼自身が付いていくのがやっとという程に】
【目の前の男の脳内はどれ程迄に聡く明るいのか、その深淵を覗いた時、彼が慄く理由は十全で】


……しかし、現実的ではない。蛇の脅威はもう既に広く拡散してしまった。
サーペント・カルトの名は知られ、その凄惨な儀式や蛇の形態素は悪性を以て認識されている
質の悪い事に、ウヌクアルハイは各神話大系の蛇神を飲み込んでいる、此処から新たな蛇の神話を作るなど──

── やはりジャ=ロ ── 奴はどこまで、私達を嘲笑う……!!


【ゴーストライターは思案する、書物の世界へ潜水する感触に似ていた。深い深海へと身体を預ける】
【彼はライターにして、文字の海を泳ぐダイバーでもあった。呼吸を浅く、それでいて少なくする】
【酸素量の減少は、生き残る為の反作用を産み、時として奇抜な天啓を持ってくる】


一つお聞きしたい、……直観的な返答で、構わない
── いや、直観的な返答でないといけない、それは野生の勘で十分だ
何の虚飾も信仰もない第一印象、その最初の言葉は千の金言を凌駕する

直観的なカウンターミームは最早届かない。ジャ=ロは既に根回しを終えている
それならば発想の転換をしよう、我々のミームを変容させるのではなく、その先、ウヌクアルハイのミームを変容させる
ウヌクアルハイ自身が善性の神を望んだなら、奴自身に集まる信仰は、そっくりそのまま善に代わる



── "蛇と和解する" ── これが私の出した結論だ


820 : ◆D2zUq282Mc :2018/06/26(火) 07:51:52 QGhF.Khc0
>>818

【お暇。そう、ここいらがちょうど良い頃合い】
【振り返ってみればとんでもない1日だった。見知らぬ少女を血みどろの世界に巻き込んで果てには部屋を掃除してもらって】
【……部屋の掃除に関してはいろんな意味で見られたくないものがあったけど。そこは仕方ない、か】

ええ、気をつけて。……今日はありがとう。今度は落ち着いた場所でのんびり出来たら……

【感謝の言葉を口にして、更なる言葉を継ごうとした、その瞬間。フェイが強引に顔を出した】


「Ha、今度会うときにゃモヤシって言われねえ位には鍛えとけよ、ライオンハート」
「子猫みたいなナリをしてやがるくせに、存外勇敢だったからよ。筋は悪くねェし、お前。面白ェ生き物だよ」


【勇敢さをライオンの心に例えて、柄にもない言葉を送るフェイ。皮肉げで意地の悪い、けれど称賛を称えた表情を浮かべていた】

/ここで〆としましょうか。長時間の絡みありがとうございました!


821 : 院長中身 ◆zO7JlnSovk :2018/06/26(火) 08:19:39 a2tLjGHk0
>>809

【──、目覚めた貴女を見て、魔女は優しく微笑みを向ける。幼子を愛でる母に似た】
【慈愛を持った眼差しが貴女へと注がれ、その柔らかい日差しの作用が滔々と問いかける】
【伸ばす手が頬を伝う、汗と涙でくしゃくしゃになった髪を整える様に】


ブラスフェミア様、── 苦しいですか? 私は、私は……傷つける事でしか、自分を保てないのです
そして、もう貴方様も分かってくださったと思います、私がどれだけ、どれだけ真剣なのか
身なりを整え、性格を改善しても、あの方は振り向いてくださらない、それはどうしてか

……分かりません、どうしても私には、あの方の思考が、分からないのです
ブラスフェミア様はとても聡明で、美しい方です──、私などより、一回りも、二回りも
ですからきっと、分かるでしょう? 私の何が、いけないか──

貴方様が望むのなら、料理も覚えます、掃除も欠かさずします
貴方様の好きなナチュラルメイク、香水も柑橘系の爽やかなものを中心に、濃くなりすぎないように
頻繁に連絡もしません、『会いたい』だなんて烏滸がましいメッセージも、もう送りません

夜のお相手も私ばかりが受けるのではなく、少しは貴方様に満足して貰えるように、── 勉強も、しました
記念日は忘れません、それでも無理強いはしないで、貴方様が仰った時だけ御祝いします
私は貞淑な伴侶で居ました、清楚な細君で居ました、純潔な妻で居ました


【再び彼女の手がブラスフェミアの口の中に伸びる、今度は歯を潜り抜け、舌の上に転がり】
【指先で何度か貴女の舌をなぞる、滑らかな感触を指先から全身に確かめて】
【甘い吐息が漏れる、それは若い妻の淫らさに似て】





──、なのに貴方は、あの売女がお気に入りなのね





【口いっぱいに溢れ出る "藁" 口を多い尽くしたならそのまま喉を通り、胃袋まで乗っ取る様に】
【荒々しく尖った藁は口内や喉に張り付く、呼吸なんて以ての外であった、苦しい以外の感情を無くす、異物】
【貴女の細く華奢で小柄な身体を埋め尽くさん程に、大量の藁が流れ込んでくる】


822 : ◆3inMmyYQUs :2018/06/26(火) 10:45:32 6GZhAcLM0
>>766

【柘榴の鋭い疾駆が、硝煙の漂う空気を弾く】
【彼女と『人形』の距離は刹那のうちに詰まり、】

【一閃──斬鉄の残光が薄闇に瞬いた】


「────────────」


【一拍の、無音】
【あたかも何も起こらなかったかのような一瞬の間ののち、】
【がン、と重厚な鋼が地へ墜落する音。唐竹の如く真っ二つに剪断された銃身がそこへ転げていた】

【対して、『人形』の方は】



「──────────……………………」



【その精緻な顔貌を微動だにさせず】
【どしゃり、と爛れ落ちた人工筋肉束の片腕へ目もくれず】
【袈裟掛けに切開された胴体から、有機潤滑油が滴るのも構わず】

【ジジ……バチリ……】
【漏電する体躯を微細に振動させながら、ただ凝然と柘榴の顔を双眸のカメラアイに捕捉し続けていた】

【まるで、上書きも消去も不可能な程に、相手のデータを深くメモリーへ焼き付けようとするかのように】



【が、それも長くは続かず】
【ぶつン、と何かの切れる音がすると同時、その躯体が平衡の制御を失う】
【ゆっくりと傾き、加速度的に引力の中へ飲まれ、いかにも非生物的に崩れ落ち、そして沈黙した】


──────やりましたあ?
ちょっと良く見えないので、あの、わたしの眼鏡──


【そこで婦警が気の抜けた声を掛けた】
【もし目をやれば、おろおろと虚空をまさぐるようにあちらこちらへ彷徨っている】

【『人形』のことは捕捉できたようであったが、どういう訳かすぐ傍らに落ちているレンズの砕けた丸眼鏡は見つけられないらしく】


823 : ゴトウ ◆1miRGmvwjU :2018/06/26(火) 11:22:04 GC3CRi0w0
>>819

【続く言葉は口にせずとも理解された。後藤にとってはありがたい話だった。 ── 掌が少しばかり汗ばんでいる。】
【間違いなく眼前の影の思想は極北に位置するモノであり、それでいて全く理にかなわない訳ではなく、寧ろ合理的でさえある。おまけに彼我の戦力には絶対的な懸絶がある。】
【なれば言葉と理論で語り合えるのは幸いなことだった。 ── だからこそ、影の懸念と思案ももっともなことだ、と唸る。】
【どうやって?  ── そこだけが問題だった。拡散と淘汰において、善性は恐怖に勝り得ない。記憶処理の技術においては既に"失敗"している、という。】



【なればこそゴーストライターの問いと提言には、 ── 細めた双眸を微かに見開いて、驚きと笑い、惜しみない賞賛を零すのだ。】



「 ─── 成る程。」「認識が虚神を規定するなら、虚神もまた認識を規定する。」「"望まれて在る"のでなく、"在るから望まれる"ように仕向ける、わけか。」



【神そのものが変わってしまえば、その認識もまた変わらざるを得ない。無精髭を指先で撫でながら、静かに頷く。】



「賛同しよう。」「幸いなことに奴の中には、其れに応じうる構成要素も残されていると聞いている。」
「白神鈴音と言ったかな。」「 ── 俗な話で申し訳ないが、助ければ恩の売れそうな少女、でもある。」「いろいろとね。」

「奴のミームを変容させるなら、其処にどうにかして呼び掛けるのが手っ取り早い気もするが、 ── どうだろう。」


824 : 院長中身 ◆zO7JlnSovk :2018/06/26(火) 13:36:46 a2tLjGHk0
>>823

【 白神 鈴音 ── と彼は口の中で反芻する。暫しの逡巡、返す言葉のトーンが下がり】
【考えているのか、思い出しているのか、そのどちらかは伺えなくとも】
【──、フードの奥の影が深くなった事は、ゴトウならば分かるだろう】


──── "工場" と "破水" の際に良く耳にした名前だな、ウヌクアルハイの神性の一部と聞いたが
成程、彼女の意思がウヌクアルハイの主格になれば、純然たる善意を以て和解出来るという訳か
となれば或いは方法論の問題になるな、── 神とコンタクトを取る手段、か



【一つ呼吸を置いて、ゴトウに再び主導権を重ねる】



ウヌクアルハイは今、"虚神" として定義されている。" INF-10 "の名を持つ、その一柱。
ジャ=ロの言葉を借りるのは忌々しいが、其方の方が都合が良い。私達も彼奴も、制御する為の策として捉えている。
── 神を野放しにすれば、自分達に与する存在にはなり得ないという判断が故に、……すまない、少し脱線した。

兎角、その "虚神" を有効活用するには、それそのものとコンタクトを取る必要があるだろう。

私にとっての袋小路がそれだ、アクセスする術が、私の手には無い
── 私は "虚神" を信仰していない、信仰心の無い相手に顕現する神など居ないだろう
ウヌクアルハイを信仰し、かつ──、その信仰心は狂信の類に分類される

そんな存在でなければ神と交渉はできまい、得てしてそんな存在を聖女と言うが


【答えが見つからない。ならば、自分より鋭いゴトウにその手綱を託す】
【情報を多く提供し、そこに繋がる切っ掛けがあれば、と思いながら】


825 : ゴトウ ◆1miRGmvwjU :2018/06/26(火) 16:52:13 0/KRWVNE0
>>824


【複雑な成り行きの結果として肉体を失ってしまった少女と聞いていた。血統か、出自か、あるいは宿命であったか。】
【 ──── 後藤椋持は警察官だった。それ以前にひとりの正義漢でもあった。切り捨てねばならない命があると知っていて、それに躊躇いもなく、然し一人でも多く救いたい男だった。】



「 ─── さっき言った"証人"が其れだ。」「元サーペント・カルトの幹部、蜜姫かえで。オフィウクスのひとり。」
「おれも詳しく把握してないが、ウチの部下が彼女を保護していてね。」「なんの巡り合わせやら、随分と懇意らしい。」

「多少なりとも心境の変化はあるかもしれないが ── 。」「今のところで思い当たる節は、それくらいしか無いな。」



【消されるべき"証人"として差し出すことはできないが、ひとりの"呼び水"として利用するには吝かでないと、 ── きっと後藤は、そう言っていた。】
【冷めてしまったカフェオレを一気に吞み下す。彼にとっても余り美味しいものではない。味を楽しむというよりは、思考を研ぎ澄ませるためのもの。】



「他の連中もウヌクアルハイを押さえようとしてるというなら ── 言うまでもないが、動くのは早くあるべきだな。」
「ただし仮にも邪神を崇めていた聖女が、神の善性を願ってくれるかどうかは、やや疑わしくもある。」
「交信でなく顕現であるなら、交渉役は他に用意すべきかもしれない。 …… 許されるなら、な。」


826 : 院長中身 ◆zO7JlnSovk :2018/06/26(火) 17:20:07 .qeSlszc0
>>825

【── ゴトウの心中までは推量らない。否、推量れないと言った方が正しかった】
【ゴーストライターには複雑な心の機敏を察する能力が欠けている、それは記されてない事実を推量出来ないのと同一】
【蜜姫かえで。その名を聞いて彼は何を考えたのだろうか】


── だが今の所、件の彼女以外に私も手立てが見つからないのが本当らしい。
予想以上に状況は切羽詰まっている様だ、全く── 何奴も此奴も
交渉役か、ダブルミーニングに捉えるなら、もう片方には貴方は当たりを付けているはずだ


【彼は此処に来てから何一つ口にしてはいない、根本から興味が無い、と言いたげに】


神との交渉役、今現在に於いては蜜姫かえで以外に適役はいない。彼女が蛇を正しく認識するか否かが、私達の結論で
そして、蜜姫かえでとの交渉役、── 貴方か、私か、その他の第三者
部下が保護しているのなら、その部下に任せてみるのも一つだろう、それだけの大役を任せられるかは、分からないが


【あくまでも冷静に可能性を提示していく。その作用こそが、彼の役割と伝えるかのように】


…………果たして上手くいくだろうか、嫌な予感がして、ならない


827 : ゴトウ ◆1miRGmvwjU :2018/06/26(火) 17:44:27 0/KRWVNE0
>>826


「 ……… おれも、だな。」「こうするしか手段がないと解ってはいるが、 ── 。」
「拙速を尊ぶと言っても、どこかで踏み違えたのなら御仕舞いだ。保険もかけられない。」
「何より彼女が、おれたちにとって都合のいい"認識"をしてくれるか、どうか ── 。 ……… 勇み足は避けたい。」


【 ── 決断としては大きなものに違いなかった。速度の観点から見るならば、間違いなく今すぐに決定すべき問題であり】
【然しもう少しばかり様子を見ること、思案を巡らせること、再検証を試みることが必要に思えた。】
【あるいは何か致命的な見落としをしているように思えてならなかった。少なくとも、己れが蜜姫かえでを直接に観測することは、必要であると。】

【しばらく彼は口を噤む。溜め息を深く吐いて、 ── 窓の外を眺める。あるいは硝子に映った自分の顔と見つめ合うように】
【そうしてなにか、思い出したように呟くのだ。それは遠く、遠く、届かないと知っている独白のように。】


「なあゴーストライターさん。」「一つ、質問をさせてくれ。」
「あんたは『信じさせない』ことが最も有用な遣り口であると言った。おれも、それには同意している。」
「だが、『神を信じない』という選択肢もまた ── 信仰の形のひとつ、であるような気はしないかね。」


828 : 院長中身 ◆zO7JlnSovk :2018/06/26(火) 17:57:32 .qeSlszc0
>>827


【ゴトウの問いかけの答えは是であった。無神論もまた、信仰の形の一つであるから】
【、── 彼は暫し静謐を描く。それは宛ら、何か別の可能性を精査する仕草に似て】
【やがて口を開くその瞬間は、永劫よりも遠くに聞こえたかもしれない】


無神論の神、か── それこそ、全く以て出鱈目な存在とは思わないか?
信仰される事によって顕現する "虚神" が、信仰されない事によって出現する事は無い
有ったとすれば、それは、── それは、思考の袋小路、救いの無い話じゃないか

足掻いて足掻いて足掻いた結果が──、絶望だなんて


【ゴーストライターは言い切って気付いたように、声色を変化させる、小さく頭を振って】


私とした事が、こんな感傷的な事を述べるなんて、な──、聞かなかった事にしてくれ
兎に角、貴方の心配は杞憂と言っておこう、そこまで考えたなら考え過ぎだ、パラノイアじみている


829 : ゴトウ ◆1miRGmvwjU :2018/06/26(火) 18:15:25 pSeFITr60
>>828


「 ─── だよなぁ。」「そうであってくれなければ困る。」
「どうにも観念的な話は苦手でね。学生の頃に哲学の勉強をしておくべきだったよ。」



【 ふ ── と安堵したように、きっと初めて穏やかな笑いを後藤は浮かべて、落ち着いた呼吸を吐くのだろう。】
【そしてまた初めて相手が感情らしきものを示したのを見れば、どこか親近感さえ覚えているようだった。続いて、はは、と乾いた笑いを漏らして。】
【 ── 自分よりも小難しい話に明るい、これが言うのなら間違いはないだろう、と。それでも、どこか自分に言い聞かせるような感覚を、胸の中から拭えなくて】



「今日は貴重な話ができた。 ── ありがとう。」
「蜜姫かえでは、おれと外務八課がマークしておこう。」「おれの担当している部隊だ。」
「彼女が望ましい"認識"を持ってくれたと判断でき次第、決行を狙おう。何かあったら連絡をくれ。」


【そして後藤は名刺を差し出すのだろう。彼の名前と、所属と、住所と、電話番号。その他こまごまとした個人情報。】
【外務八課というのは彼の率いる部隊であった。F.E.N.R.I.L. ── 意味深なバクロニムは、意味を為し得るものだろうか。】


830 : 三枝双葉 ◆KWGiwP6EW2 :2018/06/26(火) 19:34:50 WMHqDivw0
>>820
うん、私もありがとう。
またね――

【短い別れの挨拶を交わして、その場を去って行こうとしたら、不意にもう一人の彼女が声を上げた】
【目を丸くして言葉を聞いていたが、何だか褒められたみたいで、破顔した】
【手を振りながら、二人分の匂いが染み込んだ部屋を後にする――】
【ゴミ袋を持って出たので、格好はつかなかったのだけど、多分置いといたら大変なことになりそうだから】


―――――――――――――――――――――――――


【……ただ、最後まで聞くことはできなかった】
【"そんな風に見えなかった"と言うのが多分一番の理由なのだけれど】
【帰り道に見掛けた、街角の張り紙――彼女の手配書】

【分からない。彼女は――彼女達は、"悪人"なのだろうか】
【マイペースでシニカルな白磁の少女と、その身体の主である口が悪くて、喧嘩っ早いアウトローの女は】


【もしそうなら】
【次に会う時は、敵同士になることだって、有るのだろうから】


// ありがとうございました!


831 : ◆S6ROLCWdjI :2018/06/26(火) 19:46:52 WMHqDivw0
>>812

【グラスの中身が半分ほど減ったところで落ち着きを取り戻したらしい】
【ふうと息を吐いて。一緒にって言われたら、少し安心できたようで】
【うんって言って、笑って頷くだろう。…………だろうけども】

……………………えっ何もぜんぜん知らない。
ごめ、……やっぱ知らないの、ヤバいかな……

【……続く話にはこのザマであった。既にちょっと融けてるメイクがさらにダラッダラに】
【なるくらい、冷や汗をかいている。ここまで深く噛んでおきながら、何も知らないらしい】
【それで――「あーえっと、」とか言い始める。誤魔化すみたいに。実際誤魔化している】


そ、そーだ! さっきつがるん「むりふぇん」とか言ったじゃん!?
アレってそのカルトのヤツのこと!? どんなヤツだった!?
ほらいろいろ知っておきたいじゃん、いずれ戦うかもしれないし……

【地雷とかトラウマとかそういうのを踏むかもってことまったく考慮していない。清々しいまでに】
【それでも、何かしらいいこと思いついた! みたいな顔して言うんだから、ひどい】
【ムリフェン。つがるが嫌っていたっぽい彼女のこと、訊いてみるけど――どうなることやら】


832 : ◆S6ROLCWdjI :2018/06/26(火) 20:07:58 WMHqDivw0
>>821

【苦しい苦しいメッチャ苦しい。だからもうやめて、本当に、死んでしまう】
【そういった懇願の言葉を口にする前に。口が塞がれた、またも魔女の指先で】
【えう、と間抜けな声を出しながら、また唾液が垂れ落ちる。また焼かれる、そう思っていたけど――】


――――――え゛、ッ!? ぐぅエ゛っ、お゛っ、……ふ、あ゛――――ッ


【――その前に。嘔吐感が込み上げてくる、実際胃液がせり上がって来ていたんだろう】
【水っぽい音がした、女の薄ぺらい躰の内部から。ぐりゅん、という逆流の音】
【けれどそれを吐き出すことすら許されない。藁がそこかしこに犇めいているから、――――】

【……すごくどうでもいいことだけど。嘔吐物で窒息して死にかけるの、これで二回目になる】
【一回目は口枷を嵌められたまましこたまお腹を殴られて吐いて、それが詰まって死にかけたんだけど】
【今回のはそれにプラスして藁の感触と味がして、つまり、その時より苦しかった】
【またしても息ができなくなって、意識が遠のいて行って。そうしながら考えていたことと言えば、】



(――――――――クソがブランル絶対許さないかンなぁああぁぁああ、……あっやべっ死ぬっ)



【やっぱり、ここにいない誰かへの怨み言だった。魔女に対してはやっぱりあんまり怒りが湧かない】
【それは同情からくるものだった、……自分も痛いほどよくわかってる、好きなヒトが振り向いてくれない、つらさ】

【…………まあわかったところで苦しみを許容できるかと言われればそんなわけないけど。また、意識をやるだろう、何かしないと】


833 : タマキ ◆KP.vGoiAyM :2018/06/26(火) 20:35:07 Ty26k7V20

【街中―――中華屋「北々軒」】

【少し遅い夕飯時。日もとおに暮れて、メインストートの帰宅ラッシュ渋滞も収まりつつある】
【コンクリートに囲まれた街は人間でギュウギュウで、もう昼間は嫌になるぐらい暑かった】
【ずらりと並ぶ店の前に暖簾と提灯がたくさん出ている光景はこの国ではレアだ。だが誰であっても言うセリフは同じ――――】


――――かぁ〜〜!!この一杯の為に生きてるっっ!!


【赤い年季の入ったカウンターに生中のジョッキをダンッッ!!と置いて、満足げな女性が1人】

【耳が隠れるぐらいのショートカットの黒髪で、化粧っ気はそっけない。左目には黒の眼帯までしてある】
【服装は大分ラフで、マイナーなブラックメタルバンドのロゴTシャツにジーンズ、ハイカットの赤のスニーカー。】
【ただ、右の太もものあたりにホルスターを巻いていて、そこには拳銃が収められている。】

でもこの一杯のための人生ってしょ〜もな〜って思うときもあるけど………

【っとその時、店主がカウンターに置くのは餃子と豚骨ラーメン(チャーシュー増し)。】

きたきたきたぁ!!この瞬間のために生きてるっ!!

【と、頬張ったところで、スマホに着信。】

はいはいー、タマキでーす。あ、ゴトーさん?お疲れ様ですー。ああ、うん。もう着いている着いている。
今?ぺーぺー軒。…えっ、ゴトーさん知らないの?あそこあそこ。駅の北口の。
いや、だって黙ってじっと待ってるのもねえ。…あっ!おんなじのおかわり!
……ええっ?飲んでないのんでないですよ!…いや、ちょーーーっとだけ、ね?

たっぷり“手土産”持ってきたんだから。…じゃ、またあとでねー

【相手の返事も待たずに電話を切って、チャーシューにかぶりつく。】

はぁー、私は後何回この気分に浸れるのかしら……旨っ


/予約です。後藤さんよろしくおねがいします!


834 : ゴトウ ◆1miRGmvwjU :2018/06/26(火) 21:38:25 0/KRWVNE0
>>833


【水国、とある大都市。各社の路線が地下から地上から流れ込み、集約されてターミナルになる駅。その構造は複雑怪奇。】
【11番線のホームを降りて、仕事帰りの一般的労働者の荒波に揉まれながら、 ── 二酸化炭素とアルコールに淀んだ大気の中、ひとりの男が携帯端末を取り出す。】
【人の流れに身を任せつつ歩きながら、どこかの番号にコールする。発車メロディのチャイムが、あまり良くない音質で、電話越しに。】


「 ── もしもし? ああタマキ君、大丈夫そう? 悪いね、なにぶん新設部署なもんで、色々てんやわんやでさ。 …… なに、もう飲んでんの?」
「 ……… まぁ、非番だし、どっちだっていいけどさ。」「そりゃどうも。楽しみにしておこうか。」


【少しばかり恨めしそうに零して踵向けるは北改札へ。踏み出すは安居酒屋と中華料理ばかり並ぶ、なんとなく舗装の薄汚い街。】
【客引き撲滅のメガホンが鳴るなか、軽薄そうな顔をして歓楽街へと誘う客引きを無視しつつ、 ── 地図アプリなんて使わなくても分かる店先、暖簾をくぐって。】



「悪いね、待たせた。」「 ── や、待ってるって感じでもなさそうか。うん。」
「ああ、とりあえず生で。うん。飯は冷やし中華だけでいいや。よろしく。」


【カウンター席にいる女の隣に、座り込むのはスーツの男。中年と壮年の真ん中くらいで草臥れていそうな、オールバックのスーツ姿。】
【オーダーを取りに来た外国人に愛想笑いの注文を頼んで、拭かれているのに脂っぽいテーブルの上に手を組んで、 ── 茶色く濁った瞳を、横目に向ける。】


「さて、と。こんばんは、タマキ君。」「この度は ── まあ、御託で時間を潰さんでもいいわな。」
「早速だが仕事の話をしよう。いいかな?」


【少しばかり嗄れて、間違いなく其れなりに年は食っている声だった。ビールより早く来たお冷やを口にする。 ── あまり清潔でないウォーターサーバーの味がしたから、彼は複雑そうな顔をした。】


835 : ◆XLNm0nfgzs :2018/06/26(火) 21:53:11 BRNVt/Aw0
>>831

【自分の言った言葉に冷汗だらっだらになって誤魔化すようになってしまう相手に、あれ?と首を傾げる】
【鈴音が今何処にいるのかという事を識っていたからてっきりそこら辺の事情も分かっているのだとばかり思っていたのに、と】
【けれどもごめんと言われれば慌てて、ま、まあ大丈夫だよ!私もあんまり詳しくは分からないし!とフォローになってるんだかなってないんだか分からない事を口にして】

まー、さしあたっ……
【誤魔化すように唸る相手を見てとりあえず口を開いて】
【そうして相手の発言と被りかける】
【ムリフェン。あの女について教えてくれって】
【ナイスアイディアみたいな顔付きで言われたものだから、むぐ、と詰まって】

あ……あー……
まずは構成員の軽い説明みたいなものからしておくね?

えーと、構成員には二種類いて……まずは『サーバント』。まあ要するに雑魚……?だね
それから『オフィウクス』。これが幹部。何人いるかは今調べてる所
一人の『オフィウクス』に何人かの『サーバント』がついて行動してる……のかな?多分
【一瞬変な所を突っつかれてまた嫌な事を思い出しかけたのを抑える為にも軽く前置きをする】
【相手の立場が分かりやすいように(建前)と構成員の説明をして】
【何とか平静を保って言うのだけれども】

……で、私がさっき言ってたムリフェン、ね……
【話が件の敵の事に及ぶと一度大きく深呼吸して】

紫の髪で目が赤い。"無駄に"あちこちでかいからまあ分かるとは思う
階級でいえば『オフィウクス』、つまり幹部だね
でもって──
嘘吐きで口から生まれたような売女だよ言う事は九割がた信じない方が良いねつーかあの女(アマ)人気のない路地とはいえ目の前で堂々と人拐いしといて「あれはァいかがわしい人形なんですよゥ〜(精一杯の声真似)」とかぬかすわ「白神鈴音なんてうちにはいませェーん、貴女の妄想じゃないんですかァ〜(精一杯の声真似)」とか平気で言うわ……あー思い出したらまた腹立ってきた今度会ったら絶対ただじゃおかない……
【はじめは何とか平常心で話そうとしていたもののやはり地雷だったらしく途中からノンブレスで喋り始め何やら報復の言葉らしきもので一旦しめる】
【そうして別のコップに水を注いで一気に飲み干すと一息ついて】


836 : ◆S6ROLCWdjI :2018/06/26(火) 22:04:38 WMHqDivw0
>>835

サーバント、オフィウクス……ふーんそーいう階級分けがあるんだ。
まあちっちゃい組織ってワケじゃないんだからあたりまえか。ふんふん、……

【頬杖をついてつがるの話を聞いて。最初こそ厳かに眉を顰めたりしていたけど】
【……だんだんヒートアップしていくにつれ、ちょっとずつ、退いていく。物理的に】
【それでコップの中身を一口飲んで確認する、……酒じゃないよネ? 同じモノ飲んでるよネ?】
【すっごい不安そうな顔になってくる。そしてちょっとだけ引き攣った顔をして】

……えっと、つがるん、イッキ飲みはよくないよ……(たとえ水であっても)。
わかった、ようくわかった、その、むりふぇん? ネ、紫と赤。よーくわかった、
そんでもってソイツが超イヤなヤツってこともよくわかった……のでネ、

…………ヤなこと思い出させてごめん。でも、……そいつになんかされたの?
言われたばっかじゃなくてさ。こう、……喧嘩とか、しちゃったりした?

【――それでも、ほしい情報はもうちょっとあるって言う。たとえばそいつの使う異能であるとか】
【戦法であるとか、そういう。実際に戦場に立つことがある夕月なら、そいつと戦う可能性だって出てくるし】
【知れるだけ知っておきたかった。……あんまり角を立てないように、つとめて、訊きに行く】


837 : ◆XLNm0nfgzs :2018/06/26(火) 22:33:34 BRNVt/Aw0
>>836

【水を一口飲んで、そうしてふと相手の方を見れば相手はこれ以上ないってくらいドン引きしていて】

……え゙……
あー……ごめんごめん……
いや、相手がサーペント・カルトだと分かって追跡しようとしたんだけど交戦にはなったかな
言われた事以外で嫌だったってのはないよ
【慌てて謝ると話を続ける】


えーっと……彼奴の能力、だね
目と同じ色合いの光……もしかしたら可視の魔力なのかな?それをリボン状にして操ってきていた
それに触れたりするとこう……跳ね返される?受け付けない?そういう感じだった

でも、もう一つ能力のようなものを持っていてね
彼奴の左腕には蛇の刺青があるんだけどそれが動くの
で、それに噛まれると……
【そこで少し脅すような低い声色を作り】

決められた時間内にパッと思い付く拷問の数々と凌辱が一気に押し寄せたような痛みが襲ってくるの

……まあちょっと大袈裟かもしれないけど結構痛いから用心するに越した事はないね
【そう言って深いため息を吐いて】


838 : リオシア ◆qijkYF5k5g :2018/06/26(火) 23:07:03 5w/a9BZQ0
>>502
>>529
>>576
>>775

ふふ、じゃあお話はまた今度で……これからは集中だね
おっけー、じゃあ開けるよ

【身を低くしつつ、厚い鉄の扉に手をかける】
【後ろには強者達――安心して任せられる。自分は能力で身体をいつでも"金属化"出来るように気構えつつ】
【扉は、ギイと鈍い音を立てながら開いた】

>>753
>>758

【扉を開ければ、血の匂いは何倍も濃くなって――】
【この場にある惨劇は、ある程度覚悟はしていたが、気持ちの良いものではない】
【そして、確認した敵の姿――】

……!

【接敵することも皆、予想の範囲内だろう。危惧していた扉を開けた瞬間の集中砲火は無かったものの】
【目視した「敵」の中のひとりは、リオシアの知り合い――上官である筈の者】

翔子……ちゃん?

【感動的な再会とは、いかないようで――】


839 : タマキ ◆KP.vGoiAyM :2018/06/26(火) 23:58:15 Ty26k7V20
>>834

【何処に行ってもハイソな水の国からすればここはレアケース。大都市が生み出した異端の歓楽街】
【まあそういう安かろうな娯楽はどこも似たり寄ったりに落ち着くのかもしれない。人の欲望に国境はない】

【ラーメンを食べながら店の、壁の角に据えられたどうみても、厨房側に向けられたテレビ(しかも未だにブラウン管!)で】
【誰が蹴ってるんだかわからない低画質のサッカーを流し見していたら彼はやってきた】

もうちょっと、ゆっくりでもよかったのに。私はおかげさまで、異動のブランクで今日までバカンス。久しぶりに有休使ったわぁ…
昼の国まで行っちゃった。相変わらず、この街はごちゃごちゃして…ラーメンがなけりゃ帰ってこないっての!

【箸をハサミのようにパチパチ動かして、わざとらしい気だるげな表情をした。】

ゴトーさんとはいつ以来?『特定テロ組織事案における国家間共同作戦対策室』のときか…『国際協定に基づくA級異能犯罪者捜査本部』にいたときか
…あ、『特殊要人警護及び安全に関する特別委員会』?、『巨大モルモット捕獲臨時…じゃないか

……まぁーさか、次の異動先に拾ってくれるのがゴトーさんだとは。うまくやりおりましたな。イッシッシ。
さぞかしお給金もあがったことやら。聞けば、課長からドーン!と上がるんだって?

【この女は様々な組織を渡り歩いてきた。どれもこれも現場仕事の最前線。テロや犯罪や要人警護。何かあるときには必ずといっていいほど居たことだろう】
【その結果がこの眼帯だ。『外務の眼帯の魔女』といえば、この女のことだ。魔女は単に彼女が付け足した。自身の魔女鼻が由来だ。】
【だからといって出世することもなく、他の公務員同様異動を繰り返し、現場対応にあたっていた。そこで急に8課などという聞きもしないところに飛ばされることになったのだ】


まあ、そう焦らない。ラーメンぐらいは美味しく食べさせてよ。

【そうして、暫く雑談でつなぎ、ザーサイとメンマをつまみながら話は本題へと移る】

さあて、まずは上長からの御金言賜ることとしましょうか。組織についてはあらかた聞いてはいるけど…ゴトーさんから聞いたほうが早そうだし。
私が呼ばれたってことはそーいう部署だってことなのはわかる。カミソリのゴトーさん?


840 : 院長中身 ◆zO7JlnSovk :2018/06/26(火) 23:58:38 a2tLjGHk0
>>829

【差し出された名刺を一瞥すると、彼は突き返すだろう。── 失礼な行為に受け取られかねない】
【彼はそして、名刺に指先を付随させる。人差し指がなぞる、後藤の文字列】
【それが変容していく。■■■── 現れた文字列は、文字であって文字で無かった、認識出来ない文字化けとも違う、文字列】


── やはり、この現実では私の名前を名乗れないらしい、きっと、そういう仕組みなのだろう。
私は現実を失ったゴースト、それならば、まだ現実を残す貴方達の手助けをするのが、残された使命なのだろう
私に連絡手段は必要無い、貴方が必要ならば、連絡事項を此処に書き込んでくれ


【名刺の内容が上書きされていく。── 『サクリレイジ』 ゴーストライター】
【名刺に残っているのはその二つだけであった。彼は静かに頷くと】
【彼の身体が瓦解していく、無数の文字列に分解していく途中式の様にも見えた】


私からの連絡事項があれば、この名刺にメッセージが出現する。此処に書き込んだ情報は私に届く、
ゴトウ、賢明な貴方なら分かるだろう。私は創作物に住む存在だ、貴方の書いた文字に私は巣食う
また会おう、その時は── 良い報告を、読みたいものだ


【彼の姿は消え失せる。後に残るのは、名前を書き換えられた名刺だけであった】
【此処に情報を書き込めば、手紙の様に彼からのメッセージが返ってくるだろう、創作物に住むとは比喩ではないらしい】
【── 役者は舞台に集まっていく、幕間の物語をどうか、出来る限り長く、続けられる様に】


/お疲れ様でした!


841 : 院長中身 ◆zO7JlnSovk :2018/06/27(水) 00:19:35 a2tLjGHk0
>>832

【魔女が軽く指を離すと、胃袋にまで詰まった藁が、勢い良く逆流してくる】
【それはまるで、内臓を口から全て吐き出すかの様な感触であった。身体が内側から裏返るかの様に】
【口から吐き出され、地面に広がる藁の束。胃液に塗れ、とろとろに濡れていた】

【──、枝垂柳にかかる夜露に似て、薄暗い照明を浴びて煌々と輝いて】


……さぞ、苦しいでしょう? 藁は苦痛の象徴です、永遠に近い責苦と、溢れ出んばかりの苦しさの
火をくべたなら人を焼き、飲み込んだなら人を殺す、それでも生活には必要なのですから
──── だからこそ、私は編み細工の魔女と、呼ばれました。遠い遠い、何処かのお話

ブランル様は私に優しいお言葉を掛けてくださいます。私の足りぬ所をも、肯定して、……くれて……
でも、違うのです。私は── 私は、貴方様と、対等でありたいのです、貴方様の側に、立っていたい。
貴方様に優しくされる度に、私は、深く、深く、深い、劣等感に押し潰されそうで── ねぇ

我侭な私を見て、ブランル様は叱って下さるのでしょうか、それでも、それでも、見捨てないで──


【絹糸の布地に包まれたその細い体躯、それで全てを受け止めるにはあまりにも強大すぎて】
【崩れ落ちる、その身体を、ブラスフェミアに体重を預ける形で支えるのだろう】
【大きく下に引っ張られ枷で拘束された手が痛むだろうけど、きっと些細な事】


ブラスフェミア様、ブラスフェミア様は……火炙りにあった事が、ございますか?
あれは苦しいものです。生半可な火では、中々死ねません。苦しみながら魔女は言うのです


「もっと火を、薪を、藁を、くべて下さい、と」


──、残酷です。途方もなく……自らの死を、自ら助長したくなる程の、苦しみです。
燃え上がる火で、肺が焼けます。喉が焼けます。けれども、最も苦しいものは


『鼻』の粘膜が焼ける事が、最も苦しいのです。焼け爛れた鼻の粘膜と脂肪とが詰まり、吸っても吸っても、空気が入ってこない


……この処置は、私もとても苦手です、集中して、やらないと
どうか、どうか、死なないで、くださいませ──



【魔女の手が『鼻』に伸びる、言葉と合わせて、想像させようとした。その身に刻まれるであろう、飛び切りの痛苦を】
【躊躇いがあった。その火は一瞬で消える、直ぐに治癒魔術の術式を唱え、元の状態に戻すだろう】
【それでも、鼻の内部が爛れる数十秒は、筆舌に尽くし難い苦しみであるから】



【──、火をつけ、少しして、消す。そして治す。── 手順は滞りなく、行われる】


842 : ゴトウ ◆1miRGmvwjU :2018/06/27(水) 00:41:19 o6XMS57s0
>>839


「記憶にある限りでは ── そうだな、『異能力者機械化部隊運用・研究準備会』とか、『WSAF直轄第69夜間警邏戦闘団』あたりでも噛んでた気がするなあ。」
「飛ばされてからは随分と情報網も広がってねね。君の噂も、常々」


【対して後藤は軍にも比較的近いタイプの人間であった。公務員のひとりであるスタンスを崩したことはなかったが ── 彼の手腕が陸軍情報部仕込みのものであるとは、】
【どこかで誰かから聞いたことがあるかもしれない。その後は何故か警察官に転身、そして辺鄙な書類仕事の部署に回され、お次は外務省の新設セクション。】
【タマキが知らぬのも無理はない。八課は後藤の提言あって、ごく先日に成立した組織だった。 ── 基本的には、人材の引き抜きという形で。】


「いや相変わらず"課長"ではあるよ。外務省直属の部隊ではあるが、世間様向けの肩書きは変わらない。俺は哀れな警察官、陸の孤島の主で在り続ける。 ── 表向きは、ね。」
「タマキ君も表向きは民間警備会社の職員ってことになるな。」「 ……… 外務大臣とその周りにうまく取り入ることができてね。運が良かっただけさ。」
「それなりに羽振りは良くなったし、軍用全身義体のサイボーグ1人と強襲ヘリを4機ほど調達して未だ予算は余りあるが、まあぼちぼちだわな。」


【「歳食うと油っこいの入らなくてね。今日暑いしさ。」 ── とりあえずは冷やし中華を啜りながら、やって来たビールを飲み下す。】
【ふは、と溜息をついて、暫しの沈黙。 ── そうして、タマキからの問いに、切れ長の横目を遣ったのなら。】


「ここまで言えば分かるだろうし、何より事前に説明はしてあるし、再三再四されてるだろうが、」
「 ── 『外務八課』は、存在しないセクションだ。まず、それは大前提としてほしい。降りるなら今のうちだぜ。」


【とはいえ後藤にとっても相手がそうしないことは分かっていた。万が一に断ったとして、 ── 恐らくは、彼が引き止める。どうにかして。】


843 : 名無しさん :2018/06/27(水) 01:11:14 N7B6S8ck0
【――そこは病院の一室であった、けれど、ほんの数日前に与えられた部屋とは異なる一室、いくらか狭くなって】
【窓もなければ物も少ない。あるのはベッドと――それでもそれなり程度に悪くはない浴室くらいだろうか、汚職政治家が使うにはとんでもなくても】
【そうじゃない"何らかの事情がある人間"を世間の目から隠したりする程度には、十分すぎるくらいだった。――だから"彼女"はそこに居た】

……………………――、

【つい"昨日"のこと。少女は能力も封じられ/右手と右足は傷によりろくに動かせず/しかしてその状況でありながら室内の備品のいくつかを破壊して、脱走を図ろうとした】
【腕にぴったりはめ込まれた特殊な魔術鍵にのみ開錠することが出来る一時的な能力封じの腕輪――治療用という名目――を破壊しようとしたまま、過度の能力使用の負荷で気絶したため】
【行動そのものは未遂。――けれどそうしようとしたことがすべてにおいて重要であった。であれば処置は早かっただろう、より一層逃げづらい部屋に移されて】
【それでも何も言わなかった。――――その時にはすでに病院側から連絡を受けた"身元引受人"によってたぁぷり"叱られた"あとであったのだから】

……。

【――ゆえに少女は真っ白いベッドの上、入り口に背中を向けるようにして寝転んでいた。タオルケットを肩どころか、顔の途中まで引きずり上げたなら】
【つま先がちょんとはみ出ていた。眠っているわけでないのは呼吸の仕草からきっと見て取れるんだろう。ようく見たなら――、きっと彼女は指を絡めて祈っていた、何かへ】
【けれどそれを分からぬ人はこの場に訪れるはずもないだろう。――であれば少女は間違いなく"蛇"に祈っていた。相手らが掛ける言葉をいくつも無視してでも】

【言葉にしない程度に吐息で蛇のための祈りを囁く。真っ白なタオルケットは聖女の纏う禁欲的なヴェールとは程遠く、けれど、どこかで似通ったなら】
【蜜姫かえで――サーペント・カルトの幹部の生き残りでありながら、明確に居場所の知れている唯一の人物。態度は決して協力的とは言えないものの、反抗的ではない】

【――――はずだった。昨日までは】

/予約のやつです……!


844 : アリア&ゴトウ ◆1miRGmvwjU :2018/06/27(水) 01:34:24 0/KRWVNE0
>>843

【 ── 其処はほとんど隔離病棟と呼んで差し支えのない一室だった。天井も壁も床も、殺風景なまでに清潔な白さで覆われて、ただ穏やかな電灯の光だけが室内を照らす。】
【本当であれば病室は変えたくなかったのだけれど、幾つかの煩雑な入院規定と、やや脚元を見られたという理由から、それは不可抗力でもあって】
【ともあれタングステン合金製の金属扉にかけられた二重のロックを外したのなら、ふたりの男女が、部屋の中へ。】



「 ──── かえで。起きている、かしら?」


【怜悧でありながらも、どこか甘えるように優しいような声で訊ねるのは、きっと少女が余りにも知りすぎたひとり。】
【細長い黒の丈姿、腰まで伸びる白銀の髪、真白い肌、人形のような顔立ちには少しばかりの不安さが満ちた ── アリア。】
【対してもう一人は、やや複雑そうな表情を浮かばす草臥れたスーツの男だった。微かに茶色い髪をオールバックにして、整髪料で固めていた。壮年だった。】
【その指先が入り口でアリアを制止して、訝しげに耳打ちする。きっとそれは、祈りに溺れる彼女には、聞き取れないものだろうけど ── 。】


( ……… 聞いてたのより、随分と危なっかしいね。どしたの?)
( 解らない。 ……… 何かあったのかもしれないけれど、ひどく寂しそうにしていたから、そこに理由があるかもしれない。)


【互いに小さく頷いて、 ── アリアが前を歩き、男がその背後より。そうして、ベッドのそばに辿り着いたのなら】
【そっと少女の背中に腕を回そうとする。絹地のハンケチを慈しむみたいに、手のひらでやさしく、寄り添って。】



「つらくない?  ─── 話してみてほしい人を連れてきたの。貴女と。」
「話せる、かしら?  ……… 難しそうなら、今すぐでなくても、構わないわ。」



【許されるのなら、耳元で囁くだろう。許されずとも、少しだけ距離を取り、悲しそうに唇を歪めて。】


845 : 名無しさん :2018/06/27(水) 01:59:55 N7B6S8ck0
>>844

【――"昨日"。その連絡がアリアのもとに入るまで、彼女の状態は安定していた。ときどきひどく不安そうにそわそわすることはあったし、よく祈ってはいたが】
【この部屋に移されてからの彼女はずうっとこんな様子であった。食事にも手を付けていない、――ときっと聞かされているだろう。飲み物も、ほとんど飲んでいない】
【声を掛けられてもやはりと言うべきか、反応は返らないだろう。タオルケットからちょんとはみ出た指先、ぴくりと動かすこともないまま】

…………――――――、じゃあ、これ、外してください、逃げないですよ。本当です。

【――――けれど相手がそばまで来て、背中に触れるなら。それでも少しもびっくりした様子を見せないまま、声も、ひどく平坦なままで、言葉がようやく返る】
【絡めていた指をほどいたならば、タオルケットの向こう側からそろりと手を伸ばす。――鮮やかな蛇の入れ墨。左手。でれあれば彼女の要求は、ひどく分かりやすかった】
【能力を封じている腕輪を外せ。そうしたら話してやってもいい。――――ううん、嘘だった。彼女は明確に嘘を吐いていた。けれど"昨日"より冷静さを取り戻している】

【――"昨日"はもっと泣き叫ぶような声で、外してくれ、と、何度も求めていた。そして叶わずに。今もそこにはぴったりと嵌め込まれたまま、わずかに艶めいて】
【力なくかざした腕をふらふらと揺らしたなら本当の蛇のしぐさにも似ているようだった。――外したなら、絶対に、絶対に、逃げ出そうとするだろう。その瞬間に】
【そして何より相手にも、そして、もう一人の彼――その名前を彼女は知らない――にも、その権利はない。その鍵は病院専属の魔術師が管理していて、許可が下りるはずもない】

……その人がアリアさんの飼い主の方ですか? ……――要件はだいたい分かります。備品の弁償程度じゃ出てこないでしょうから。
残念ですが情報を吐くつもりはありません。拷問をしても無駄ですよ。あらかたの苦痛には慣らされています。薬にもいくらかの耐性があります。

そこの人(アリア)が証人になってくれるでしょう。私が要求するのはこれの解除です。それ以外の条件であなたの話を聞くつもりはない。

【少し遅れて少女は振り返るのだろう、あんまりに鮮やかなマゼンタの瞳は、けれど、少なくない焦燥を示していた。ひどくストレスを感じている人間の目をしていたなら】
【けれどアリアは証言するだろう。――少なくとも昨日、少女の病室を出たときにこんな目はしていなかった。そして次に少女を見たときには、もう、ひどく、取り乱していた、と】
【朝焼けに光る朝露のように冷たい声音を向けた、――衣擦れの音で身体を起こしたのなら、くしゃくしゃの前髪、それを直すこともないまま、睨むように】

【――であれば、アリアでは話が通じないと言っているみたいだった。そして現に、少なくとも昨日の少女はアリアに対して求めていた、外して、離して、――帰らなきゃ、】
【確かに少女は"帰らなければいけない"と言って喚いていた。それでもひどく錯乱していたから単なるパニックとして片付けることもできそうだった。その予兆は何度もあったけど】
【けれど今こうして見たならば確かに少女は焦っているようにも、見えたのだ。――それこそ"早く帰らなきゃ"とでも、言うように】


846 : カニバディール ◆ZJHYHqfRdU :2018/06/27(水) 03:24:51 IBKicRNQ0
>>620
それは……予想はしていたが、いざ実際に聞くと複雑なものだな
邪禍さんはこちらの世界の存在ではない……わかってはいたつもりだったのだが……

【邪禍という大悪魔とのつながりは、この小悪党にとっては本人が思っていた以上に大きなものだったらしい】
【彼は、そう遠くないうちにこの世界を後にする。その事実は、少なからず衝撃をもたらしていた】
【もっとも、悪党として生きる自分がその時まで生きていられるかどうかも定かではないが】


ふむ……もちろん詮索するようなつもりはないが、本当にいろいろとあるのだなそちらも……
マサジさんからも、そう詳しく話を伺ったわけではないからな

人にも悪魔にも天使にも、それぞれに歴史ありと言ったところか

【彼らが言いたくない雰囲気を出せば、それ以上の好奇は引っ込める。その程度は、わきまえていた】
【言葉の上では無難な締めくくりをしつつ、彼らが正義として自身に刃を向ける姿をつい想像する】
【まず勝ち目はなし。不吉な考えは早めに打ち切った】


お二人が並んで歩いていたら、それはさぞ絵になるだろうな
ナンパのタイミングにはかち合わないように気を付けよう

ザクトルさんの海の家の食事は堪能させてもらったが、そんな店も持っておられたのか
微炭酸醤油……私は悪食だが、それは流石に未知の味だな……


つまりマサジさんは、それだけうまくこちらの世界にも溶け込んでいるわけか……元がこちらの出身というのは大きいだろうが
……確かに、あのテンションは目立ちそうだが……やはり帽子だろうな

【マサジ本人はどこ吹く風なのだろう話題も終わりに差し掛かった頃。救済の光が頭頂部に舞い降りた】

お、おお……!! これは――――

【蓄積された太陽のエネルギー。不毛の大地に降り注ぐ恵みの光】
【降って湧いた不幸を刈り取り、新たな芽吹きを約束する麗しの太陽。それが今まさに、二つの大地へと降り立ち――――】

【ぶわさっ、と効果音が付きそうな勢いで凄まじい量の髪があふれ出し、胸の高さにまで達した】
【異形の顔面は、完全にその中に埋没し。どこかのスプラッタ映画の殺人鬼の身体に、どこかのホラー映画の怨霊の頭をくっつけたような物体がそこに出現した】

……前が見えねえ
いや、先ほどよりはマシか。ありがとう、チェーザレさん。本当に助かった

――――重ね重ね、ご迷惑とは思うのだがハサミか何かは……
そろそろこの世界に居られる時間も限界が近そうな状況で、視界ゼロは少々……

【完全にふさがれた視界の中、肉屋は礼を言いながら頭を下げた。見えないので、ジュゼッペの方を向いていたが】
【無論、シャッターを切りまくられたとしても抵抗は不可能である】


847 : ギア・ボックス ◆ZJHYHqfRdU :2018/06/27(水) 03:44:16 IBKicRNQ0
>>838
ええ、お願いします

【言葉は少なく。彼女の言う通り、集中せねば命に関わる。ここは戦場なのだから】
【開く扉の軋む音に、この期に及んで刺激される恐怖心をそっと胸の奥に隠して】


>>753
――――!!

【ギア・ボックスとてUTに身を置き、それなりに鉄火場は経験してきた】
【それでも、この光景はなかなかお目にかかれないだろう。蟲たちによるバリエーション豊かな殺戮の手法】
【同じ〝死〟という絶対の結果を、これほどまでに多彩に表現する理由は、彼らの能力の方向性によるものか】
【それとも、単なる愉悦からか。自分たちの理屈では、到底わからない理由によるものか】

【こちらを振り返る敵は5.一番近い相手の笑みが、殊更に冷たく魂に刻まれる】
【この距離でも感じ取れる魔力。外の雑兵というべき蟲たちとは格の違う相手たち】

(……やる。戦う。倒す。いや……殺す)

【拳銃を構え、サーベルをそこに沿えるように持ち。ギア・ボックスは蟲たちと相対する】


>>775
【生き人形もまた気が付く。背後で沈黙する彼女が、もう笑うのを止めたことを】
【警戒は解かない。解くことは出来なかった。しかし、それ以上の敵意は向けることなく】
【今は、共闘者だと。己自身の魂に言い聞かせた】

……ですね。この状況で誰かを守って戦えるほど、僕は強くありません
お互い、どうにか生き残りましょう

【彼女の言葉に、ギアもそう返す。このまま、彼女が姿を消すかもしれないことも考えた上で】
【この相手は、到底そんなことを気にしていられるレベルの相手ではない。そう確信を抱いたのだ】


848 : ◆KWGiwP6EW2 :2018/06/27(水) 04:06:46 WMHqDivw0
本スレ >>43

ジャ=ロは虚神の中でも権謀術数に優れるが、同時に一流のペテン師でもある。
それに誑かされたが故に、INF財団はその認識を誤った。

あの"勝利宣言"は、最初から目論んでいた成果のように奴は語っていたが――
実際は、妥協せざるを得なかった着地点であった、と言うことだね。


"INF-10"――並べて語ってはいるけれど、09までのナンバーズとウヌクアルハイは明確に異なる。
それは、ウヌクアルハイは"この基底現実で"創られた神話だと言うことだ。

パグロームの報告書には、こう記されている。
ジャ=ロは"弱かった"、とね。

【パグローム当人は勿論、あれだけの人数の能力者を相手取り、少しも揺らぎを見せることもなかった相手をして尚、そのように評されている】
【それは比較の問題だ。かつて一つの現実を飲み込んだ虚神の絶対的な力と比するならば】
【あの場にいた能力者達は、瞬時に全滅していてもおかしくはなかったのだから】


09以前の虚神達は、この基底現実においては自在に力を振るうことができない。
ジャ=ロがあれだけの能力者を相手に出来たのは、その存在が実体を持っていなかったからに過ぎない。

そして、無敵と万能は異なる。故に、彼は能力者達が生贄を奪還するのを止めることが出来なかった……と言うことさ。

でもウヌクアルハイは違う。これはこの世界で形作られた神話。
それが完成すれば、かつての虚構現実と同じように――この現実もまた、泡沫の夢へと落ちる。


【そして、ここからが本題だ。現状の認識を正しく終えたならば。次は超えるべき課題を定めなければならない】
【"外務八課"――ゴトウの提唱したカウンターミームについての話。そして、ウヌクアルハイに宿った『少女』と、その交渉役について】
【暗闇の中に沈黙が走る――この男が思索に耽るのは珍しいことでも有った】

なるほど、微かな情報のピースだけでそこまでの絵を描けるとは、確かに大した切れ者だ。
――余り敵に回したくはないところだね。

だが、交渉役については、慎重に考える必要がある。
"外務八課"の用意した少女は、元サーペント・カルトの幹部だろう?
交渉できるのが、彼らだけと思わない方が良い。


恐らくは不完全な状態でウヌクアルハイを顕現させた、ジャ=ロもまた、同様のことを画策しているはずだ。
ならば、"交渉役"一人にその役目を背負わせるのは余りにもリスクが高い。


【集合的無意識と一口に言ってもその神話の強度は単純に人数によって定まるものではない】
【ミームは、広さの軸の他に、深さの軸を持つ】

君に倣って物語で例えよう。
一つの物語が何万人もの人間に感銘を与え、善き感想を得たとしても、少数の者達が発した罵声の声が大きければ、それが感想の主流のように認識してしまうことがないかな?

大衆の認知は流動的で容易に印象によって操作される。
現時点では、それは我々寄りに流れている。
ウヌクアルハイをその少女だと認識している者達の感情が強く、たまさか生贄に攫われた者達やそれによって伝搬した噂話と言ったレベルの認知を凌駕している。

ならば、ジャ=ロが次に打つ手は2つ。
1つは、ウヌクアルハイと少女を同一視する者を排除すること。
そしてもう1つは、彼らより尚強い認識として、奴らに取って都合の良いウヌクアルハイを望む者を用意することだ。


――交渉役の少女については、"外務八課"が上手くやることを期待しよう。
しかし、我々は別の対策を立てる必要がある。

ウヌクアルハイについても、ジャ=ロを初めとする他の虚神達についてもだ。

ヴェロニカの扱いについては君の意見を汲もう。
彼女はパグロームにつけて置く。能力を知られた彼は、虚神達に取っては狙い易い相手だろうからね。


849 : 名無しさん :2018/06/27(水) 04:13:28 N7B6S8ck0
【水の国――そこは国の中でも一二を争うほどの大病院であった】
【であれば表の顔はもちろん、少なくない裏の顔を持つ。――それはすなわち、姿を隠す必要のある要人を匿ったり、汚職政治家が入院してみたり、あるいは】

【――――身分を秘され匿われる必要のある犯罪者を隠すために、使われたり】

【けれど、"彼"であれば、その情報にたどりつくことは可能だろう。それが簡単だとは決して言えない。けれど、――"彼ならば"】
【それは例えばあのウヌクアルハイ受肉の儀式の日に舞い降りたヘリコプターの不審さ。その日のうちに水の国の中にあった不審かつ巨額の金の動き】
【ほかにもさまざま情報を手繰り縒り集めならば、きっと彼はその情報にたどりつくことが出来た。――すなわち、"ムリフェン/蜜姫かえでがここに居る"という情報】

【――壊滅したサーペント・カルト。七人居た幹部のうち三人が死亡し、四人が行方不明とされていた。そのうちの一人が、この病院に匿われている】
【本来はそうあるべきながらも警察に引き渡されることなく保護されているならば、それは誰かの意思に他ならなかった。ゆえに、彼女の存在は徹底的に隠されていた】
【"けれど"、彼はたどり着いてしまった。であればこんな余談も知ることが出来たかもしれない。――この少女はつい最近まで、それこそ、要人のための部屋をあてがわれていたのだが】
【脱走未遂を起こしたことにより、より厳重に管理される部屋に移されている。そしてきっと彼はそれをその場所で理解するんだろう、――うんとうんと、うんと、厳重な扉】

【――――それでも。盗賊団を束ねる彼にとっては不可能な障壁では決してなかった。まかり間違えても、簡単に開けられる、とは、言えないんだけれど】

――――――……、

【――そして踏み入ったならば、室内はひどく白かった。のっぺらした壁に床。明かりだけが暖色の色合いを持って、それ以外は、ほとんど、純白で占められていた】
【入口から室内は浴室やその周辺以外全部見渡せた。であれば、壁際のベッドに誰か横たわっているのも、簡単に見つけられただろう。――頭までタオルケットをかぶっていたが】
【わずかに溢れた藤色の毛束に少女らしい体躯のシルエットを見たなら、間違いないと思わせた。――――そもそも間違えているはずがない。彼の掴んだ情報は正しいのだから】

――。……それで、どちら様ですか? 誰も呼びつけていませんよ、サーバントさえ来やしない。ナースコールを押す理由は万に一つもありません。
となれば闖入者は完全に部外者ということになります。――悲鳴でもあげましょうか。でもこの部屋、多分、完全防音なんですよね。ただ、ここのナース、ヤバいですよ。
対能力者訓練ばっちりって動きしてます。多分全員能力者ですね。軍隊上がりか何かかな。――まあいいや、もう一度聞きましょう、誰ですか?

【けれど――少しでも室内に踏み込んだなら、涼しいよりも冷たい声が、掛けられる。明確に、あなたに向けて】
【そうして起き上がるのだろう、真っ白のタオルケットを聖女のヴェールのように被ったまま、引きずったまま、――鮮やかな紅紫色の瞳が、見据える】
【その顔で完全に認識するだろう。やはりそれは"蜜姫かえで"で相違なかった。――その手にはナースコールのボタン、強い強い警戒を示して】

【――透き通る藤色の髪。情報では長いはずだったが、うんと短く切り落とされている。恰好はもはや病院着ですらなくキャミソールと下着だけ】
【右手と右足には厳重に包帯が巻き付けられていて、左手にはまるで生きていると思わせそうなほどに精巧な蛇の入れ墨。そしてその手首には、格好に不釣り合いな腕輪がはめ込まれ】

/分割で……


850 : 名無しさん :2018/06/27(水) 04:13:44 N7B6S8ck0
>>849

それにしても礼儀がなっていらっしゃられない。眠っていたらどうしていたおつもりですか?
夜這いをする文化はこの辺りになかったと思います。閨を共にしたいのならば先に言っておいてもらわねば困りますよ。

ましてそれが初めてお会いする方であればなおさら。――名乗ったら如何ですか。どうせ私の名前はご存知でしょう。

【――――喉の奥がひりつくような感覚がした。能力が封じられている少女に、闖入者を相手取るための力なんて、これぽちもなかった】
【殺そうと思えば――呼びつけた看護師が来るより先に、殺されるだろう。であれば、今から始まるのは、質問でも尋問でも詰問さえも生ぬるいものであると、予感させ】
【それはきっと肉食獣に対峙する兎の様相。――自分の肉を自身の手でへずり落として差し出せと求められ、そして従うしかない、現実を確信させる】

【――人違いや間違いであるはずは、なかった。ここのセキュリティは内側から見ているだけで、よく分かった。だから、――大人しくしているんだから】
【けれどその厳重すぎるセキュリティは外から中を護るためであるのか。中から外を護るためであるのか。――きっとどちらでもよかった、だから、逃げ道はない】

【けれど同時に予感させる。ひりつく緊張感は抱えながらも、彼女は、それ以上に怯えていなかった。――肝が据わっている、とも、言えて】
【そしてそれは自分が受ける言葉に尽くせぬ凌辱や辱めの可能性すら全部ひっくるめて、――それでも、しゃんと冷たく咲き誇ることを選ぶ、気高さと、覚悟を透かして】

/よ、予約のやつです……


851 : カニバディール ◆ZJHYHqfRdU :2018/06/27(水) 04:30:35 IBKicRNQ0
【路地裏】

【その〝店〟がシャッターを上げることはそう多くない。打ち捨てられた路地裏の奥の廃墟、その片隅に】
【ポツンと佇む小さな廃ビル。その裏側の袋小路。それとわかってやってこなければ、まずわからないだろう】
【汚れたビル壁を四角く切り取ったような入り口。外から店内が見通しにくい分厚いガラスで覆われている】
【軋むガラス戸を押し開ければ。意外にも広い空間が来店者を出迎える】


【磨き込まれた床。少し高い天井から吊り下がるアンティーク調のランプシェード】
【空間の中央には、水の国に生息する巨熊、フルーソヒグマの剥製が飾られている】
【両側の壁には長いショーウインドウ。並んでいる商品の量が少なめなのは、来客が限られているからだ】

【その分、ラインナップは希少。並んだ肉の横に備えられた案内札がそれを伝える】
【一般家庭の食卓に並ぶことは稀な最高級の牛肉を先頭とし。魔海や廃の国の現地生物の名が記された札が続く】
【先へ足を延ばせば、人名が記された札。見た目は普通の肉と変わらない】

【さらに先にいくと加工された肉以外も混じり始める。生前の原型を留めた生物たち。解体によって抜き取られた臓物】
【血液を詰めた瓶や、剥ぎ取られた皮、歯や爪、角や牙といった部位まで。全てが希少生物のもの、あるいは人間のもの】
【観賞用・実験用・移植用・食用といった用途別に加工やパッケージが成されているものもある】


【そうした狂気の店構えの最奥。カウンター状になったひと際大きなショーウインドウの向こう側に、店主はいた】
【身長2メートルを超えているであろう大男だった。いつもは薄汚れた灰色の作業着だが、店に出る時は綺麗に洗った衣類を着込む】
【その上に着用するラバー地のエプロンは変わらないが、それも清潔に保たれている。カウンターで見えないが、足には黒いゴム長靴だ】
【角ばった顔つきに短い黒髪。黒い瞳の両目。その額には、面積を埋める第三の目玉がある】


【異形の大男は背の高い椅子に腰かけ、カウンターの上に置いた男の生首を掴んで、眼前に置く】
【断末魔の表情で固まった生首の髪に手をかけて持ち上げる。すると、額の上で水平に断ち切られていたらしく、頭頂部が蓋のように開く】
【大男は露わになった頭蓋の中に、大きなスプーンを突っ込んで中身を掬い取り、口に運ぶとゆっくりと味わった。シャクシャク、と小気味のいい咀嚼音】

【カウンターには、同じような生首がもう二つ。その下に貼られた張り紙には〝暑い季節に氷菓はいかが? 新入荷・蛇教信者の脳みそシャーベット!!〟と書かれている】


【店主の眼下、カウンター兼用のメイン・ショーウインドウに並んでいるのは、全てが蛇の肉だった】
【古今東西、あらゆる種類の蛇・蛇・蛇。そのまま展示されているもの、頭を落とされ皮を剥かれているもの、ぶつ切りにされているもの】
【パッケージされた蛇のから揚げ、蛇の春巻き。ピン詰めにされた蛇の生き血。同じく、ビンに詰められた蛇の毒液】

【店主の傍らでは大きな鍋が煮え立っており、鍋が置かれたテーブルには〝熱々! 蛇スープ〟とある】
【その背後の作業場もガラス張りにされて中が見える。複数の檻の中に生きた蛇が閉じ込められて、とぐろを巻き舌を出し入れしている】
【ひと際目立つ大きな作業台の上には、何故か中型サイズのワニの死体が置かれていた。同じ爬虫類ということで、店主の理不尽な八つ当たりに巻き込まれたのだろうか】

【カウンターの前には、テーブルとイスのセットが二つ。ここで食事も出来るらしい】
【この光景を見て、ここで何かを口にする人間がいるかは別として。ともあれ、誰かが戸を開いて入店してきたなら】
【目が三つある異形の面相で、それでもかつて故郷で店を構えていた時を同じ、営業スマイルを浮かべてこういうのだ】

――――いらっしゃいませ。ようこそ、ハルズマン精肉店へ

/パグロームさんの方、よろしくお願いします!


852 : カニバディール ◆ZJHYHqfRdU :2018/06/27(水) 05:14:08 IBKicRNQ0
>>849-850
【あの戦いの直後。大聖堂から大型車両で走り出たカニバディールは、隠れさせていた配下たちに連絡を取った】
【戦いの舞台となった、忘れられた都市マルタ。そこに残る戦いの痕跡を、可能な限り回収するようにと】

【ゆえに、まずはその配下たちが目撃していた。都市を飛び去るヘリコプターを】
【大型車両で地下通路を走り。手近のアジトに駆け込み。治療担当の配下・ウィーヴァーに臨時ボーナスを入れた封筒と共に】
【サビクとの戦いで重傷を負って意識を失った配下たちを押し付けて。同時に、当のサビクの遺体の管理も丸投げし】
【背中に浴びせられる愚痴の嵐を受け流しながら、三つ目の盗賊は調査を開始した】

【その結果――――そこにたどり着いた。金の動き。人の動き。普段から抱える情報網に、その一端が引っかかる】
【細心の注意を払いつつ、さらに奥へ。もっと奥へ。そうして、その名を見出す。ムリフェン/蜜姫かえで】
【己が手にかけたサビク。罠に嵌めたマルフィク。彼らと同格の、サーペント・カルト幹部の一人】

【それが、このような場所に。彼女の立場を考えれば、不自然ではないかもしれないが】
【少なくとも、表の警察権力や法曹などの意志とは思えなかった。そうだとすれば、即刻監獄送りだろう】
【それらを合わせて、結論を出す。危険を冒してでも、忍び込むだけの価値がある】


(――――とはいったものの。これは流石に無理をしすぎたか)

【カニバディールは、這い進んでいた。己の能力で可能な形態変化の限界に挑むがごとく】
【そう、異形の盗賊は今、換気ダクトの中にいた。なるべく音を立てないよう、慎重に慎重に這いずっていく】
【その巨体を限界まで細長く伸ばして。身に着ける装備は、潜入用の特殊スーツのみ。能力に無理やり突き合わせて、細い身体にスーツをまとわりつかせて】

【想像以上の閉塞感。泥を啜って生きて来た盗賊の精神なくば発狂しかねない状況だった】
【やがて、ダクトの隙間から覗く視界が、目的の部屋の扉を捕らえる。音もなく静かに、天井裏から廊下に降り立つ】
【軽く調べただけでもわかる。今まで破ってきた扉の中でも相当な上位に来るだろうセキュリティ】

(要人用の部屋から移ったとは聞いていたが……これほどまでとは)
(この部屋を選んだ連中は、よほど聖女様にご執心らしい……。過保護にすぎる)

【カニバディールは考えた。どうやって中に踏み込むか。そして、振り向いた。今しがた、自分が下りて来た天井を】


【彼女が、親友を察知して言葉を発するのは、扉が開いたことではなく】
【扉の脇の天井板の一つが、天井裏に引き込まれるように消えたことに対してとなるのだろう】
【扉を開けるのは不可能とは思わなかったが。より確実な方法をとるため、そしてささやかなサプライズのために、そうした】

/続きます


853 : カニバディール ◆ZJHYHqfRdU :2018/06/27(水) 05:14:33 IBKicRNQ0
>>849-850
【今の彼女の内面を象徴するかのように真っ白な部屋。浴室も備わっているのを見ると、完全にここでの生活を余儀なくされているのだろう】
【そんな白の中で、起き上がった彼女の姿。初めて見るその聖女の如き様相を、天井へと向けられているだろう紅紫色を】
【まだ姿は見せないまま、天井裏から盗み見た。手に握られたナースコールのボタン、封じるには相応の速度がいると判断する】

【そして、その顔。間違いない。切られた髪とぐるぐる巻きの包帯以外は情報通り。その入れ墨の精巧さまでも】


……だろうな。今、お前が誰かを呼びつけたとしても、ここに到達する前に取り押さえられるだろうさ
この状況で防音の部屋に閉じ込めておくとは、自傷の心配はしていないのかね? お前を閉じ込めている連中は

そのようだな。ここに来るまでに何度か目撃したが、足運びからでも分かる実力者揃いだ
よくもまあ、あれだけの人材を揃えたものだよ。だが、換気ダクトの中に配置していなかったのは失策だったな

【あられもない姿を前に、その声音に情欲の色は全く浮かんでいなかった。ただどこまでも重苦しい声だった】


それは失礼した。だが、生憎礼儀を気にする人種ではないのでね。眠っていたなら、叩き起こすつもりだったよ
夜這いなどするつもりはない。ただ、少しだけ――――話をしに来たのさ

【そういうと、ついにそれは姿を現した。天井裏から、這い降りるように。黒く細い胴に、不釣り合いな人のサイズの頭部】
【そう、まるで―――――人頭の蛇。を歪に模したような醜悪な異形】

私は蛇神様の遣いだ。汝に啓示を与えん

【厳かに。重々しい声でその怪物はそう言った。わずかの間。その細い身体が急激に膨れ上がると】
【身長2メートルを軽く超える巨躯を、潜入用の黒く分厚いボディスーツに包んだ角ばった顔つきの大男がその場に現れた】

【短い黒髪。黒い瞳の両目。額の第三の目。三つの視線で彼女を睨むと。兎を前にした肉食獣、にしては過ぎた警戒を滲ませながら】

――――なんちゃって

【何のユーモアも含まない悪ふざけを打ち切る。その口が開き、その奥から何かが伸びる】
【舌だった。赤黒く太く長い舌。まるで蛇のようにうねりながら、急激に伸びていって】
【握られたナースコールのボタンを、その手からひったくろうとするだろう。器用に曲がるその触手じみた舌で】

【その成否に関わらず。異形は大股で彼女に近寄り。その眼前に立つだろう】

初めまして、ムリフェン。蛇の聖女様。私はカニバディールという。盗賊紛いの、ケチなゴロツキだ
いろいろと聞きたいことがあってね。無理を承知で、押し入らせてもらった

【気高さ、覚悟。かえでが秘める芯の強さに対して、どこまでも醜く邪悪に】
【その男は彼女に名乗った。三つの瞳に、昏い光を湛えて】

/よろしくお願いします!


854 : ◆zO7JlnSovk :2018/06/27(水) 08:59:42 a2tLjGHk0
>>848

【── ボスの解釈は非常に理路整然としていた。確かな同意を以てゴーストライターは受け入れる】
【同時に思うのはその帰結。この基底現実に於いて立ち向かえる "虚神" 達の所以】
【本当に言葉通りと、彼は考えた。── 何故こんなにも、ジャ=ロは弱かったのか】


──── ああ、奴はその一流のペテンを以て、私達の認識を歪めようとした、
奴にとって想定外であったのは、あの場に集まった能力者は、各々が一騎当千の実力者
ジャ=ロの口車に乗るような者は居なかった、という事だろう。── 往々にして奴らはそうだ

── "虚数渡り" らしい表現だ。頼もしくもあり、恐ろしくもある、私ならば逆立ちしても書かない文章だ。

『ボス』の解釈に私も同意を唱えよう。 "虚構現実" に於けるジャ=ロは実体と虚像とを自在に使い分けていた。
或いは量子的存在の性質をも取り込み、実体を持ちながら実体を持たない、出鱈目な存在でもあった。
──── 『ボス』が虚構現実に居たならば、結果が変わっていたかも知れないが、な


【話が流転し、彼の思考のスイッチも切り替わる。どうしても虚神関連の話は後悔が多くなる】
【貴方の言葉を咀嚼し反芻する。耳に流れ込む音律に、確かな意味が宿るのなら、それは論理】
【或いは倫理であり、理論でもあって、哲学的観念と実数的観念が包括的に巻き戻る】


成程、ノイジーマイノリティは何処の世界でも厄介と言うわけだ。取り分け信仰に関してはな。
強い意見は耳に良く響く、極論は時に正論を蝕む、── その認識には私も同意しよう
反対意見の排除に、自分に都合の良い存在をたてる、フィクサーも吃驚の手腕だ、

──── 私は未だにジャ=ロが何故ここまで、人間の心理に精通しているか、理解できない。
まるで、そう……まるで、奴が人間の心理を理解しているかの様な錯覚にすら陥る。

──、別の対策か。貴方の言葉を借りるなら、ジャ=ロの打つ手を先回りして潰す必要があるだろう。

ウヌクアルハイを少女と認識する者達の保護、……『白神 鈴音』の関係者とコンタクトを取ろう。
之に関しては私は当てがないが、パグロームの報告書の中に、ジャ=ロに向けてその名を呼んだ人物が居た筈だ。
私か、或いは彼かが、その伝手を辿りコンタクトを取るのは悪い手段ではないと考える。

もう一つ、ウヌクアルハイの信奉者だが──、之はかつての蛇教関係者に絞って考えるべきか
……しかし、幹部連中は殆ど居なくなったのだろう、一般の構成員にそれほどの狂信者が残っているか

──── そして、他の虚神連中への対処か……やる事は山積みだな。


【一音節ゴーストライターは呼吸を置いた、ボスの意見を聞きたかった】


855 : 名無しさん :2018/06/27(水) 14:25:32 N7B6S8ck0
>>853

監視カメラがあります。二十四時間体制の。――ご安心くださいな、電源入ってないので。プライバシーも何もあったものじゃない。
――そうですね、失策です。感知系は居ないんですね。参考になります。非番ですかね? まあいいです。――朝でもないのに起こされるほど不愉快なこともありませんね。

…………お話ですか。正式の手続きを踏まずに話しかけられても困惑するだけですよ? 儀式は正しく遂行されるべきです。
不躾である以上に――――――、……。

【それは様々な方向性からの妥協の形であった。内部からでは出口が無いに等しい空間に能力を封じられ幽閉される、その代わりに、この部屋内部は現在監視下にない】
【最初に要人の部屋をあてがわれていた時点で、彼女の扱いは悪いものではなかった。それでも脱走未遂と備品いくつかの破壊という、ほかならぬ彼女自身の行動によって】
【なんかいろいろと偉い人が話し合った形跡があって――――とにかく、この部屋の中は監視こそされていなかった。ただ、病院側の意思で、いつでもそれは行使されるという条件付き】

【――――話す少女の顔が不快さに歪んだ。ぎりと歯を噛み締めて眉を顰める。ごみ箱に集る不快害虫を見るような目をして、ほんの一時、怒りに似た感情に揺れるから】
【それはやはり信徒のあるべき正しい姿であった。――だからこそ彼女は抗えぬ本能に似た気持ちに引きずられて、唯一の機会を喪う。すなわち、助けを呼べる一瞬を】
【その舌先によって奪い取られる――、そうしたなら彼女はよりいっそう表情を歪めるのだろう。どこかに少女らしさを残して、けれど大人びた、少女にのみ許される刹那の奇跡を湛えたなら】

――――クソッ、機関のナンバーズですね。テレビ見ないんで顔までよく知らなかったです。でも名前は知ってますよ。――盗賊"まがい"で"ケチ"なゴロツキですって?
紛いものが入り込める場所じゃないと思います。まして――金銭的価値ある物品だなんて一つもないですよ。タオルケットでも持っていきますか。上等品ではありますけどね。

卑下することも結構ですが、行き過ぎては嫌味にしか聞こえません。よっぽど性欲のあまり換気ダクトにハマるまで拗らした変態です、って名乗られた方が面白みがあるかと。

【その名乗りの瞬間に彼女はいっとう眉を顰めるのだろう。――その名前を知っていた。すぐに分からなかった……のも、冒涜的な形をしていた、というのもあるのだろうけど】
【彼女があんまりありふれたテレビを見ていないのも相まって。――けれど存在を知らぬはずはなかった。ともに裏社会で活動する中で、その盗賊団の気配を感じることは、ある】
【空っぽになってしまった両手を曖昧な位置に置いている。それに何の意味もなかった。強いていうなればまな板の上に乗っけられた魚の恨みがましさ、にどこか似て】

聖女だなんてとんでもない。――ウヌクアルハイ様こそが美しく素晴らしい神様であらせられるのです、我らはみな、その高みを目指すだけであって。
――だのにウヌクアルハイ様はそのありようを歪められてしまった。下らぬ偽善に引きずり降ろされてしまった。我らの崇めた神より変質してしまった。させられてしまった。

………………聞きたいことですか。スリーサイズですか?
上からはちじゅう――――なんちゃって。冗談ですよ。パンツは白です。御覧の通り。

【憎々しく少女は目を細める。それは怒りにも残念さにも似ていた。嫉妬にも執念にも様々な感情に似通う、ひどく複雑なものを浮かべたのなら】
【ぎゅうっと手が真っ白のタオルケットを握りしめる、――怒りを抑えつけるように震える吐息を吐き出す。でれは続ける言葉はそれを誤魔化す様子にも似るのだろうか】
【――少女はこの部屋から自主的に出ていく手段を持たない。能力を封じられ、助けを呼ぶ手段も奪い取られた。それでも弱くなく振る舞うのは、或いは蛇の教えなのかもしれず】

【――――ゆえにこそ、少女は自分の眼前に立つ大男の眼を、あんまりにまっすぐににらみつけるのだ。ひどく鮮やかなマゼンタ色の瞳が、その冥さに相対したなら】
【答えぬことを許されないことを理解しながら、――けれどここでその結果殺されるならば死ぬ気であること、分からせるのだろう】


856 : アリア/ゴトウ ◆1miRGmvwjU :2018/06/27(水) 16:21:45 ZPnxf6SU0
>>845

【 ── 少なくともアリアは、己れが拒まれているのを明瞭に感じ取った。何があったのかは知らないけれど、何を思ったのかは判らないけれど、】
【なにか絞られた"引き金"があった、 ── そう推察していた。単なる郷愁の発作であると呼ぶには、余りに暴力的で衝動的で退廃的に見えたから。】
【そうしてまた少なからず動揺していた。青い瞳が微かに曇っていた。自分と言葉を交わしたのが原因だったのだろうか。そうは思いたくない。だから幾つか仮説は立てていて】
【組織から或る程度離れた時点で、なにかを追想するように仕組まれていたのだろうか。あるいは信徒の用いる念話の応用。"それ以上のなにか"。 ── 話してみなければ、解らない、けれど】



【諦めたように、アリアは肌を離して、ベッドサイドの椅子に腰を下ろした。ゴトウもまた其れに倣った。】
【暫くの沈黙が、白い世界を支配する。ぶうん、 ── 室内灯か、冷蔵庫か、とかく遠く機械の唸る音。】




「かえで君 ── で、いいかな。」「確かにおれは、彼女に命令して君の回収を命じた。ご賢察の通り、そういう関係にある。」
「だが何も取って食おうってわけじゃあない。」「君から引き出したい情報というのも然りだ。」
「異能のことも、組織のことも、あまり興味があるわけじゃない。聞かれたくないだろうしね。」
「我々には、 ── 君を解放する準備がある。信じ難いかもしれないが、君の目的と我々の目的は、偶然にも合致しているからだ。 」




【先に口を開いたのはゴトウだった。 ── その名前を彼は伝えなかったから、形容するならば、スーツの男。奇妙な距離感と言葉のリズムで語る。】
【馴れ馴れしくはないけれど、きっと子供扱いもしていない。あくまで彼女の立場を、経歴を、ともすれば希求を理解して、その上で交渉の余地はないかと、】
【一言ずつ慎重に言葉を選び、詰めていく。結論に欺瞞して、精神の乖離そのものを。至極落ち着いた声をもって。】




「少しだけでもいい。彼女に任せることもできる。話す時間を、くれないか。」


857 : 名無しさん :2018/06/27(水) 18:15:52 N7B6S8ck0
>>856

【"拒まれている"と感じたのは、どこかで正解で、けれど、どこかで不正解であった。厳密に言うのならそれは拒絶、ではなくて】
【より一層権限を持つのだろう人間が出てきたことに彼女の興味が強く向いていたから。――でもどこかで怯えているような素振りがあるのは確かであっただろう】

【"本当の自分であったなら、向けられた言葉に迷うことなく、動揺することなく、受け入れ、そして正しいことをできるはずだったから"】

【――相手によって掛けられた呪いにも等しい言葉の羅列。甘い甘い蜜の温度。それに唆されてしまったこと。恐怖していた、火に怯える獣のよう、水に泣く狂犬病患者のよう】

――名前は。名乗れませんか? ずるいです。私は様々な情報をそちらに握られている。握られていると推察される範囲が大きすぎる。
今だってそうです。身体の状況というのは最大のプライバシーです。それで……監視カメラですか? 二十四時間体制の? 発情期のパンダじゃないんですよ。

壊滅したカルト教団の幹部。――であれど意思ある人間です。丁重でないと思えば不愉快に思うし、その結果にあなた方に不本意な結果をもたらすかもしれない。
名前くらいは名乗っていただきたいものです。可能であれば肩書も。事実かどうかではなく。――異能でも組織でもない。じゃあ、なんですか? スリーサイズですか?

上から……はあ。どうでもいいです。囚われということでもう少し譲歩しましょう。私が要求するのはこれの解除か部屋の監視カメラを切らせてください。
それと併せていくらかの情報と――――あははっ、目的が合致している? "ほんとにそう"ならいいんですけど。

どうして合致していると思ったんですか? 

【だから――努めてアリアを見ないようにしている節は、あった。彼女を認識してしまったら何か、自分が、変質させられてしまいそうで】
【まだ名乗らぬ男性に言葉を返すことにのみ意識を向けた。自嘲めいて自称する肩書は、――――けれど隠せない怒りに似たものによって彩られるから、まだ、抜けていない】
【――であればやがて伝え直す要求はいくらか広くなる。であれば元からそちらの方が"今は"目的であるかのように。そうでなければ――というのは、想像に任して】
【腕輪の解除か監視カメラの無効化。それに併せて、相手方の持っている情報を提示しろ、と、――言ったところで、少女は笑うんだろう、唇の端、薄く釣り上げるように】

――――――――、どちらでも。ただ、結果としてアリアさんは飼い主さんの命令なく動けないのなら、一度で済ました方が得ではないですか?
時間は有効に使わねば解けるように消えていくものですよ、あとついでにワンちゃんのしつけはもうちょっときちんとしてください。私じゃなかったら二回は死んでます。

【――――視線がちらりと動いた。ならば少女は今日初めてアリアに目をやるのだろう、あくまで、彼女は、そのまま彼と話した方が一度で済むと考えている】
【その先になんかいろいろと言っているのは、――まあ仕返しだろう。先生に言ってやろみたいなノリに似ていた。"だからこそ欲しい"と思わせるかもしれない、明確な実力を匂わせ】
【彼女として話す相手がどちらであっても構わない。――ただ、そういう温度は、あった。彼女は決して言葉にすることはなかったけれど、アリアには伝わるのだろう、知りすぎているから】

【――二人きりになったら、また、抉られるから。それに怯えているに違いなかった。このまま"彼"と話すなら、それも、確かに、いいんだろうけど】
【"自分なら"――――あるいはもっと、彼と話す以上の何か影響を与えられる可能性が大きい。それが良いか悪いかは置いておくとして、そういう関係性になってしまったんだから】


858 : ◆S6ROLCWdjI :2018/06/27(水) 19:58:10 WMHqDivw0
>>837

【交戦になったと聞くと眉をしかめる、自分が聞いたくせに】
【「怪我しなかった?」とか聞くけど、それ以外はつとめて静かに。話を聞き続けて】

……はね返す、受け付けない……、……なんだそれ、拒否の概念的な?
それがリボン、……リボンってーとこう、ひらひらで、掴みどころのない動きをするから、
……やだな。けっこう面倒臭そう、あたし飛び道具使うヒトだからこう……はね返す系はイヤ。
でも目に見えるだけまだマシかな。見えない壁に遮られて、とかされると、めっちゃテンション下がるもん……

――――で、動く刺青。……ゴーモン、リョージョク、……、
それで実際に傷はつくの? 痛みだけ? 精神攻撃的な? ……しんどいな。

いやいや、オーゲサどころの話じゃないよ。めっちゃ参考になる、ありがと――――

【……意外といろいろ考える。きっともともと、こういうところで「裏方作業」しているより】
【最前線に立って暴れまくるタイプの人種なんだろう。真面目なお勉強よりはこういうことのほうが】
【頭が回る性質らしい、……比較的といった程度だけど。それで顔を顰めて――はあと息を吐く】

…………変わり種の異能持ちが多いかんじかな、幹部。めんどくさいな……


859 : ◆S6ROLCWdjI :2018/06/27(水) 20:08:02 WMHqDivw0
>>841

【引き摺りだされた藁には胃液やら唾液の他に――血が混じっていた】
【おおかた食道でも傷つけたんだろう、それか喉。濡れたガーゼを飲み込ませて、喉に貼り付け】
【それを引き摺りだすと喉の粘膜も一緒に剥がれてしまって、ひどく痛む。そういう拷問があるという】

【――――げほ、とひとつ咳をした。赤色交じりの液体を吐いて……ぜえ、と吸い込む】
【息をするだけでどこかしらがひどく痛むのに、久方ぶりに与えられた酸素はどうしても吸っておきたかった】
【次、いつ呼吸をさせてもらえるかわからないから。……本当にわからない、このまま永遠に】
【文字通りに息を引き取ってしまう可能性すらあって。――――ぼろ、と新しい涙が零れた】


…………………………は、げほっ。……や、ぁ……、……くーら、


【それと同時に呟いた――誰かの名前。勿論誰かなんてわからないだろうけど――それでも】
【魔女にはわかることがあるはず。貴女がブランルを呼ぶときと同じ温度をしているから】
【恋しい。寂しい。会いたい。助けてほしい。救ってほしい。そんな懇願の、籠った、声が――――】


【――――焼かれる。もう悲鳴すら上がらなかった――のか、上げられなかったのかは定かではない】
【火が灯った瞬間に、女の頭が大きく仰け反って。そしたらがづんと音がする、後頭部が壁にぶつかった音】
【あんまりにも勢いが良すぎたせいで皮膚が裂けたらしい。灰色、モノクロームの壁に、赤色が塗りつけられて】

【同時にがちがちがちがち金属の擦れる音もしていた。手枷。離れようとして暴れ狂って】
【薄い薄い手首の皮膚があまりにも容易く引き裂かれていく。ズタズタに擦り?けて、また血を零し】
【気がつけば、責めとはまったく関係のない要因ばかりで――それでも血溜まりが発生していた、床。そう大きくはないけど】


860 : ◆XLNm0nfgzs :2018/06/27(水) 20:50:10 BRNVt/Aw0
>>858

怪我……?
あー、肩の辺り斬られた……

拒否の概念……多分そんな感じかも
そういうのがついてない普通のリボン状の刃みたいな感じにも出来るみたい……私の肩を斬ったのはそれ
動きはそう早くないかもしれないけど注意するに越した事はないかな

うん、種類は分からないけど赤とか黄色とかの鮮やかな色合いの蛇の刺青
腕は長手袋で隠していたから本当に隠し球とかそんな感じなんだろうね
実際に傷はつかないよ、精神攻撃の一種だと思う
……じゃなきゃ私内臓丸出しで死んでるもん……
【はあ、と深くため息を吐く】
【その一言からするに相当酷い幻覚、なのだろう。それこそ──痛いという概念の判断基準が崩壊してしまうくらいに】
【まあ彼女だけのレアケース、なのかもしれないが】

うん、通常の能力と隠し球があるって仮定しといた方が良いかもね……
【本当に厄介だし話が通じるかってのもあれだね、と此方もまたため息を吐いて】


861 : 厳島の中 ◆zlCN2ONzFo :2018/06/27(水) 21:22:13 6.kk0qdE0
>>858>>860

――ドッドッドッドッ……

【つがるにとっては、恐らく以前にも聞いた事があるのかもしれない】
【重厚な、それでいてリズミカルなオートバイの排気音】

「此処に来るのは、いつ振りか……」
「確か麻希音やゾーイと会った時以来……もうかなり前になる気もするが、鈴音……君は」

【オートバイから降車し、やがてそのネイビーブルーのスーツの影はドアベルを鳴らすだろう】
【今、その機能を顰めてしまっている、力なき人々の力、世界を救う引き金の、その店の扉を】

「君は……」
「つがる、君が居る事は予測していたが、まさか君まで居るとは」
「確か、夕月だったね?」

【暗めのネイビーカラーのスーツ、そして黒い革手を外しながら】

「何か、うん、二人して困り事か?」
「大方、『たんぽぽ』の給食に苦心して居る様に見えるが」
「それとも、情報でも必要になったかあるいは……その両方か?」

【苦笑を浮かべつつ、やや冗談めかして、こう話しかけたのだった】


862 : アリア/ゴトウ ◆1miRGmvwjU :2018/06/27(水) 21:27:36 o6XMS57s0
>>857

【 ── 飴と鞭と呼ぶには余りに容赦がなかった。アリアの瑞々しい唇からささめかれた言葉の数々は間違いなく、一度はかえでの心を折るために与えられたモノだったし】
【みんな其れらが無価値なものになっていたら、アリアにはもう如何しようもなかった。 ── けれど、そうではなくて。自分が刻んだ傷の深さを、合わない視線から感じ取る】
【後藤もそれは同じだった。相手の心の深くまで指を入れて、掻き毟るように何かを抉り出したのは、他ならぬアリアで、 ── 言葉にし難い距離感が、ふたりの所作には感じられたから】

【鬱屈した感情を打つけるような、不満げで焦っているような言葉の数々を受ければ、観念したように後藤は笑った。その聡明さを褒めるように、一本取られたと言いたげに。】



「 ─── 流石に、甘くないね。」「口も良く回る。アリアが惚れ込む訳も理解できたよ。」
「おれのことは、 ── 後藤と呼んでくれればいい。しがない警察官だ。」「カメラの電源は切っておこう。君、自刃するようなタイプじゃないだろう?」
「自分の目的を達するまでは、殺されても死んでやらない、って顔をしてる。」


【薄い微笑みは文字通りに薄いものだった。仮面の一枚裏になにか蠢いていた。侮蔑か、激情か、悲哀か、 ── 後藤には、判じきれなかった、けれど】
【いずれにせよ少女は一度アリアを瞥見した。いつもは無感情な白皙の美貌は、寂しそうな、悲しそうな、どうしてと言いたげな、 ── 彼女も、あまり落ち着いてる様子では、ないようで。】
【それでも後藤は変わらぬ調子で言葉を続ける。少しだけ唇の端を緩めた、けれど薄ら笑いに近い其れ。】



「職務上知り得た秘密、 ── って奴でね。」「我々は、君の信じる神を『正しい形』で呼び出す必要が出てきた。」
「そうでなければ此の世界は滅ぶかもしれない。所詮は警察官といえど、曲がりなりにも正義の味方だからね。」


「君たちは、君たちの神を呼び出そうとしていた。そうして、失敗した。だから君は、もう一度それを試みようとしている。」
                「 ── そこには、我々が協力できる余地がある。おれは、そう思っているよ。」



【 ── ウヌクアルハイの"再定義"。何を意図してのことなのか、後藤はそんな真似をしようとしている、 ── と、言った。彼らが滅んでしまわないように。】
【かえでならば推察もできるかもしれない。ウヌクアルハイの中に混ざった、其れは善性と呼べるのだろうか、 ── そんな存在。】



「こいつは狼みたいなもんでね。命令は言っても聞かないし、おれが首輪を外して噛まれなかったのは奇跡みたいなもんだ。」「ご勘弁願うよ。」
「然しどうだろう。君がおれを怪しむのも無理はない話だ。そこで話がこじれちゃあ、手間数が少なくても意味がない。」
「それに、必要なことはアリアにも伝えてある。仔細な疑問や不平不満は、そっくり彼女にぶつけて欲しい。 ── それじゃ、おれは一旦、席を外させてもらうよ。」



【ともあれ彼は、 ── 言うだけを言って、あまり有無を言わさずに、席を立つ。後のことはアリアに任せる、と。そちらの方が受け入れやすいだろう、と。】
【 ── 本当にそれだけかは、解らないけれど。草臥れたスーツの後ろ姿は乾いていた。そして扉が閉じたのなら、ふたりだけが残される。窓のない部屋の中。】


863 : ◆S6ROLCWdjI :2018/06/27(水) 21:36:20 WMHqDivw0
>>860-861

げ、やっぱケガしたんじゃん! 治療費せいきゅーだよせいきゅー!
ふうん……やっぱみんな二つくらい能力持ってんのがフツーなのかな、今の時代……

【思いっきり眉根を寄せながら。ほぼ愚痴大会みたいになってきた有様】
【そんな中――オートバイの排気音が聞こえてきたから。ん、と振り向いて】
【外を見ようとする。その前に入ってきた男――厳島を見て、わ、と声を上げた】


やだ、さっき話してたところだよ! ひっさしぶり、えっと……厳島さん!
そうそう、夕月だよ夕月、ええっと……鈴音の「ナカ」で会ったきり?

…………うん、そう。両方なんだ、……サーペント・カルト。その話してた。

【「厳島さんも、そーいう話したかったんじゃない?」 言いながら椅子と、新しいグラスを取りに来る】
【少女ふたりいるうち、赤いほう、夕月。……なんだか今しがた泣いちゃったみたいで、目の縁が赤く】
【もう一方、つがる。手を包帯でぐるぐる巻き――なんだか普通っぽくは見えないだろう】
【実際あまり楽しい話はしていなかった。表情はあんまり晴れないまま、座るよう促すだろう】


864 : ◆XLNm0nfgzs :2018/06/27(水) 21:59:58 BRNVt/Aw0
>>861 >>863

治療費請求って……大丈夫だよ!私傷の治り結構早いんだから……否、でも敢えて請求するってのも……

……や、普通は能力二個無いからね!?多分だけど!
【そういうやり取りをしていた最中、彼女の月白色の耳がピクリと動く】

【ややあって聞こえてくるのはオートバイの排気音、ともすれば──】

厳島さん!お久し振りです!
【扉に付けられたベルが軽快な音をたてると同時に月白色の少女は挨拶をする】

【以前とは少し違って夏らしい装いになっていて】
【その中でも少し異様なのは右手に包帯をぐるぐる巻き付けている所とオフショルダー気味の白いTシャツに若干の返り血がついている事】

【困り事でも、と聞かれれば】

サーペント・カルトという組織の事について、です
……厳島さん、単刀直入に──

【酷く真面目な顔で言い掛けるも】

……えっ!?何鈴音ちゃんの中って!
どういう状況なのそれ!?
【夕月の言葉に思わず突っ込みを入れてしまう】


865 : 名無しさん :2018/06/27(水) 22:06:45 xItQXFK.0
>>862

【――だから。少女は"また"執拗に折られたんだろう。すでに折れたはずのところまで丁寧に丁寧に、もう二度と治らないんじゃないか、と、思わせるほど】
【ゆえに怯えている。決して自分の力では出ていけない場所に閉ざされたのも、その要因の一つに違いなかった。能力を封じられ閉じ込められている限り、箱の中の猫とおんなじ】
【外から猫の生死は分からず、――何より自分の突発的な衝動的な行動によりその状況が齎された、というのも、また。彼女自身気に入っていない様子であったなら】

警察ですか? ――嘘でしょ。――――そうですね、そういうことにしておきます。ありがとうございます。
ですが、殺されたら死にますよ。風切り羽を切るのと同じです。――あるいは泳ぐ余地すらない水槽。本当にムカつきます。こんな腕輪一つで――。

【嘲るように笑うんだった。――馬鹿にするみたいに。しがない警察官の持てる権限をあまりに超えすぎている。この状況そのものが、それを嘘だと証明する】
【自刃するかについては答えなかった。ただ死ぬかどうかについては、――能力を封じられている限り、単なるありふれた人間と等しい、ゆえに、死ねば簡単に死ぬ。今は】
【本当に憎くって仕方ないように視線を左の手首へやった、――左手というのが余計に嫌で仕方なかった。視覚的に、蛇に首輪が嵌められているように見えるから】

【――けれど左手にすべきだと言った人間は賢かった。右手。右足。左足。――それらの部位であったなら彼女は間違いなく切り落とそうとしたんだろう、硝子でも、なんでも、使って】
【ほかに切り落とせない場所と言えば首でもよかったかもしれない。――けれど左手首が最適であった。そこなら彼女自身が容易に目に出来て、そうやって意識させるから】

――――――最低。でもほんとに合致してるんですね。奇遇。……そうですね、ウヌクアルハイ様は歪められてしまった。よくご存じです。
"失敗"ではない。居合わせた人間の手によって歪められたのです。ウヌクアルハイ様は人間の手によって辱めを受けた。――早く正しい場所へお戻し、しなければ、

【ぱちり、と、一つ瞬き。薄い笑みがもう一度浮かべられる――けれどそれは"真逆"の話をしていた。それでも彼女は確かに同意したのだ、目的そのものは合致している】
【ウヌクアルハイという神の再定義――それが今の彼女の目標だと言った。けれどそれはどこで聞いたんだろう。――今までの間で、彼女がその情報に触れる余地はなかったはず】
【彼女にとって"それ"は崇める神を構成する部品の一つでしかなかった。ないはずだった。――その一つによってすべてが歪められてしまった。憎々し気に、呟いたなら】

――――――――――――――――――――――ち、

【――続けて、舌打ちする羽目になるんだけど。ハメられた。そんな目をしていた。きっと。有無を言わない背中に浴びせかけて、露骨に顔ごとそっぽ向くんだろう】
【であれば――後藤が居た方が都合がいいと本当に思いながら、彼にストッパーというか、見張り役というか、そういう役目を期待していたにほかならず】
【やがて扉が閉まる音がすることには――すっかり最初みたいにアリアに背中を向けるみたいに寝転んでいる。頭まですっぽりタオルケットをかぶって、籠城のポーズ】

【――――それでもまあ、飼い主に直接文句言ってやったので、多少は気が紛れたような気にはなっていたのだけど。それとこれとは、違う話だから】


866 : タマキ ◆KP.vGoiAyM :2018/06/27(水) 22:10:41 VfPzc42E0
>>842
あーたしかに。そんなのもあった…かな?
多脚戦車とかVTOL輸送機の時は楽しかったね。あん時の操縦ライセンスどこやったっけ…

【外務省としても自分ら主導でない作戦であっても、顔だけだしてその存在感は示しておきたい。】
【逆に主導ならメンツがあるため失敗はできないし、他国が絡む場合自分らのせいで国家間が冷えても困る。】
【彼女のような都合のいい手駒は様々なところに飛ばされて上の都合でまた次へ。】
【彼女の居場所が変わるということは官庁の情勢やお偉方に変化があったと言うことだが、そこまでは耳に入ってこないし、彼女は興味もなかった。】

結局どこにいたってやることは似たようなものだからね。

ふーん?なんだガッカリ。さぞかしお稼ぎになっているとばかり。相変わらずお仕事熱心なこと…

…でも、予算随分とついてるみたいだね。
外務は裏帳簿沢山あるからぁ…?どこのヘソクリから持ち出したやら。

ねぇー、ゴトーさん?私にも予算つけてよ。こっちの目、義体にするぐらいはできるでしょ?

【「なんてねー」などとケラケラと笑いながらなんとなくテレビのサッカー中継に目をやった。】
【彼女の左目は眼帯で覆われている。それがどういった経緯のものなのかは目の上の縦に入った傷跡をみれば察することができる。】

【運がなかっただけ。】

【彼女はそれしか言わない。そして、目を義体化するぐらい頼めばいつでもできただろう。】
【だか、彼女はしてこなかった。多分、これからもだ。】

【そして、彼女の回答は少し意外かもしれない】

…じゃーやめよっかな。そんな危なっかしい話なら。
公務員なんてどこの馬の骨かハッキリしていてクビにならないのが唯一の取り柄なのに。
胡散臭い警備会社じゃバイクのローンもとおんないもん。課ごと消されちゃかなわないしねー…いやこれ、大真面目によ?

私らみたいなもんはポリティカルな気まぐれでいなかった事にされかねない。
だから自分の身を守るためには消せないぐらいにアチコチに名前を書いておかないと。
厚生省から話も来てたしな��なんでも異能者の健康と安全に関する新部署だとか。

ま…だからこそガイハチには期待してる。
換えの効かない存在として呼ばれたんだからね。

ともあれゴトーさん。ポリシーと概要はもう十分。
貴方みたいな、カミソリさんにはそれでじゅーぶんなのかもしれないけど生憎私はそういうタイプじゃないのよね。

色々目はもうつけてるんでしょ?
テロ組織、カルト宗教、過激派、軍閥、内部の腐った連中、他国の介入…
どれから手を付けるの?初仕事は。


867 : 厳島の中 ◆zlCN2ONzFo :2018/06/27(水) 22:14:01 6.kk0qdE0
>>863>>864

「久しいね、つがる」
「それに、夕月、確かにあの神の中での時以来だ」

【二人の少女には表情を軟化させた笑みを見せて】
【最も、右目は眼帯をしているため、片目で二人を交互に見る形になるが】

「夕月、いけないな、化粧が崩れている、目も赤い様だが……大丈夫か?淑女は身だしなみにも気を使わねばなるまい、第一、君にはあまり涙の顔は似合わないと思う」
「サーペント・カルト……ああ、その話もしたかった、丁度いいのかもしれないな」
「だが……」

【そう早速本題となる話の前に、溜息を一つ吐いて】
【手近な椅子に腰かけ】
【そして】

「その件、工場や鈴音の中で夕月と出会った件は順を追って話をしよう」
「この話をするには、避けては通れない話だ」
「だが……その前に」
「つがる、その怪我はどうした?」

【先ず気になったのは、その包帯だった】
【包帯の巻かれた腕、返り血、どうにもやはり気になる部分で】
【どうしても、気にかけてしまうのだった、まさか危ない事をしているのではないだろうか】
【そうして、怪我を負ってしまったのではないだろうか、あるいは適切に治療されているのだろうか、と】
【少々過保護に過ぎる気もしないではないのだが、性分と言う物だろうか】


868 : 名無しさん :2018/06/27(水) 22:20:54 xItQXFK.0
【街中――路地裏】
【――そこで、一つ、悲鳴が上がった。といっても若い女のものとかではない。そんなに派手なものではない、――男の声だった。ギャア、と、短いもの】
【もしもそれで誰かが訪れるなら――きっとそこにはおそらく悲鳴の主だろう男が居る。けれど、様子がおかしい、というか、状況がおかしい、と、いうか――】

――――――、

【まず男。茶髪の短髪。背はそんなに高くなくて、ガタイも良くない。わりに、路地裏によく居そうな、軽いチンピラという様子の彼は】
【その頭をぎゅうっと壁に叩きつけられたかのように押し付けられていた。抑え込む掌はそんなに大きくなくって、その爪先には、透明なマニキュアが、塗りつけられ】
【すっかり怯えてしまったようにがたがた震えているのだろう、――そうやって地べたに足を投げ出して座る男の膝の上、人影が一つ、覆いかぶさるように】

【――黒猫のような毛色の女。不健康さを思わせるほどに白い肌に、あんまりに鮮やかな青りんご色の瞳。けれど顔だけ、不自然でないよう化粧が施され】
【けれどもしも覗き込む"誰か"が居たとしたなら――きっと興奮しきったように真っ赤であったと証言するのだろう。ふうふうと荒い吐息、男の震える吐息にかぶせたなら】
【黒いワンピースはひどくシンプルなもの。豊かな胸元をぎゅうと男に押し付けて、薄い黒のストッキングの足もまた男の足元と絡み合うよう、片っ方の靴が脱げてしまっている】
【互いにまだ若かった。男は二十台前半くらいで女も同じくらい。であれば恋人同士だろうか。――それくらいに情事の最中のようでもあった、"ぱっと見た感じ"】

【――――けれど、明らかにそうではなかった。男は真っ青に蒼褪めた顔をして、怯え切った顔をして、冷や汗にまみれて、けれど、それ以上の抵抗をできていないだけであり】
【覆いかぶさるような女は、――彼の肩口に顔を埋めていた。ありったけの力で男の後頭部を壁に押し付けながら。――何をしているのかは女自身の枝垂れた髪に隠されて、けど、】

【その光景の温度感は――――あるいは、"彼"なら、良くなじみあるものなのかもしれない。彼がそうするのを好む好まないの話とは、少しだけ違って】
【"する"か"しない"かは置いておいて。――――良く似ていた、吸血鬼が抱く吸血衝動の成れの果てに。であれば彼女はひどく無防備で、――きっと誰か来るのも、気づかない】
【けれど組み伏せられた男はもちろんそうではなく――震える声で必死に助けを求めて来るんだろう。曰く助けてくれと、――化け物に襲われている、と言って】

/予約のやつですっ


869 : ◆KWGiwP6EW2 :2018/06/27(水) 22:21:57 WMHqDivw0
>>851
【路地裏の最奥にひっそりと佇む廃ビル――廃墟に等しい区画の中の数多の建物の一つを見付けることは簡単ではなかった】
【ここにたどり着くまでに何人の破落戸を脅したか分からない】
【雑然としたビルのテナントの一つのような配置なのに、偶然通り掛かった者がそこを目に留めるようなことなどまずないだろう】
【そのガラス戸を開ければ更に驚愕の景色が待っている】

【意外にも清潔さに気を配っている内装は、仮にも"食料"を扱う店故なのか】
【奥に進むほどに内容が物騒になっていく案内札――真っ当な人間が、ここを訪れることなどまずないのだろうが】
【それでも、うっかり入り込んでしまったのなら、札に人名が入り始めた時点で、踵を返すことだろう】

【凡そと肉と呼ばれる類のものならば何でも。それ以外でも肉体の破片と思しき品々が立ち並び、或いは魔術に携わる者には宝の山にも見えようか】



【しかし、その更に奥――カウンターとショーウィンドウの中は、一層に狂気に満ちている】
【蛇、蛇、蛇――数多の蛇がところ狭しと陳列されている】
【その様相は、間違えて十倍の発注を掛けてしまった肉屋が慌ててそれを捌き切ろうと割引を始めるのに似ている】

【そして、カウンターから姿を見せたのは、それらの狂気の品々さえ超える、異形の様相】
【――が、見事な営業スマイルを浮かべているシーンで有った】



――お、おう。


【三つ目の男が放つ渾身の笑顔を前に、来客たる男は、ひとまずそれしか口に出来なかった】


【閑話休題】


有名人の癖に探すのに随分と苦労した。
ここの連中と来たら少し排他的過ぎじゃアないか?

さて――お噂はカネガネ……
悪名と来たら際限がないくらいの大物だったが……この件にまで関わってるとは思わなかったぜェ、カニバディール。

この店の有様ァ……クヒヒッ、こりゃあどういう有様だ?
せっかく手土産に蛇酒でも持って来たってェのに、余計なお世話になっちまったじゃアないか。

【この蒸し暑い季節にコートとスーツをぎっちりと着込み、汗の一つも浮かべていない白髪の男】
【先日の蛇神教との一件で、顔合わせた男、パグロームは周囲を見回して、鼻を鳴らした】

【不自然と言えば不自然な話だ。先の一件、実物の蛇はそれほどに多かった訳ではなかったはずだが】
【だとすれば、或いはこれは意趣返し――……もしくは、"克服"のために用意されたものなのか】


870 : ◆S6ROLCWdjI :2018/06/27(水) 22:25:10 WMHqDivw0
>>864

あーんー、えっとね……鈴音、こうなっちゃう前。
完全な神様になってたときが一瞬あって――そのとき、「自分の世界」?
みたいなものを創ってて、あたしと厳島さんはその中に引きずり込まれて――――

【「……だめだ説明超むずかしい!」 髪をわしわししながら渋い顔】
【どうも神様の話になると、スケールがでかくなりすぎて、わけがわからなくなる】
【実際夕月自身もすべてを把握できているわけでもなく。うーんと唸って】


>>867

あたしは大丈夫、でもつがるんはダメー。
包丁で自分の手ェざっくり行ってたんだよ!? なのに痛くないとか言っちゃって。
ネー、厳島さんからも厳しく言ってよ、危なっかしいことするなって!

【告げ口。めっちゃ告げ口。……包丁を使って、と言っていた】
【ならばこの少女たち――ふたりは、ここのキッチンを使っていたと言うことになる】
【そうであるなら。きっと、鈴音のいないたんぽぽは。この子たちが回していると察しが付くだろう】


871 : ◆S6ROLCWdjI :2018/06/27(水) 22:40:09 WMHqDivw0
>>868

――――――、ちょっと!

【男にしては高めの声色。それでも張れるだけ張って――制止を呼びかける】
【表通りから現れた人影。線の細い青年だった、肌も白くて、全体的にひ弱そう】
【着ているのはどこかの飲食店、ホールスタッフと思わしき制服。暑いだろうに、それでもベストを着込んで】
【シャツの釦はきっちり一番上まで締めて、その上朱色のスカーフタイだってきっちり締めているんだから】
【与える印象は「生真面目そう」なものだった。重力に沿う灰色の髪、かける黒縁眼鏡も相まって】

【声をかけたあと、つかつか歩み寄ってくる。それで――叶うなら、彼女の手首を取ろうとするだろう】
【そうできたら。組み敷かれた男に「はやくお逃げ」と声をかけ――彼がそれを実行するまで、女を、取り押さえたまま】


……気持ちはわかる、よくわかる。けれど遣り口が拙いよ、……これでは騒ぎになってしまう。
「渇いてる」んだね? それなら、ええと――僕、輸血パックをいくつかストックしているから。
分け与えるよ。だからこういう形で――――ヒトを、襲うのは、やめるんだ。

【――けれど、必死に語り掛ける言葉は男に与えるものより。女に対してそうするほうが、数が多かった】
【それを悟られないように、二人だけに聞こえるように、小声。それでなんとか――抑えようとしていて】
【身分を証明するように口を開ける。上下の歯列に二本ずつ、人間の犬歯とは鋭さのまるで違う、牙が生えていて】

――――――大丈夫、僕はあなたの「同胞」だ。だからどうか落ち着いて、……苦しいのはよく、わかってるから。

【かちかち、とそれらを打ち鳴らして。危害を加えるつもりはないって伝える、それと、落ち着いてほしいって】
【眼鏡のレンズ――実は伊達で、ただの硝子なんだけど――越しに。困りきった色合いの翡翠色、目を合わせようとした】
【瞳術の一種。暗示、……同胞に効くかどうかはわからないが。とりあえずそれで、意識を此方に引っ張ろうと試みる】


872 : ◆XLNm0nfgzs :2018/06/27(水) 22:48:54 BRNVt/Aw0
>>867 >>870

【厳島の工場、という言葉。それから夕月が言う『神様に成りかけた鈴音に自分の世界に引きずり込まれた』という話を聞いてつがるは眉間に皺を寄せる】

んー……全くもって理解が追い付かない……
順を追って、というのならそう……

え゙?
【厳島に怪我の事を聞かれつがるは一瞬固まる】

……やー、ちょっと……ですね
大した事は全然……
【あはは、と誤魔化すように笑う】
【が、その直後に夕月によって包丁で手をざっくり切ってしまった事を明かされるとバネのようにビクゥッと身体を跳ねさせる】
【耳の毛並みが心なしか毛羽立って、スカートの裾からはやはり髪や耳と同じ色をした猫の尻尾が飛び出てきて】

な……何で言っちゃうの夕月ちゃんんんんん!!?
【涙目。すっげぇ涙目。わたわたと夕月の方を見て】
【そうしてから誤魔化すように笑いながらゆっくりと厳島の方を見ようとする】
【顔を見るのが物凄く怖いといった感じで】


873 : アリア ◆1miRGmvwjU :2018/06/27(水) 22:54:54 o6XMS57s0
>>865

【実際のところ、後藤は狙ってもいた。交渉そのものであればアリア本人にやらせた方がいい。蜜姫かえでの心を抉り、そこに水飴を注いだのは彼女だから】
【アリアが与えた言葉には、 ── 然し不思議と、否定も侮辱も含まれていなかった。一度抉った傷に、同じナイフを刺しても仕方がないとばかりに】
【その代わり甘く優しい言葉で、まるで素知らぬ顔をして、それでいて平然と傷口を指先で穿るような真似をした。「 ── 信じてくれるのでしょう?」】
【だから今の彼女は微笑んでいた。少しだけ困ったように眉を曲げて、けれども拗ねた我が子を宥めるみたいな、 ── そういう、笑い方。】




「 ── そう、邪険にしないで頂戴。」「私は今、貴女の味方なのだから。ね?」
「何も怖がることはないのよ。」「嫌なこと、辛いこと、恐ろしいこと、 ─── 私が守るわ。今までも、そうだったでしょう?」




【タオルケットを、 ── 剥ぎ取りこそしなかったけれど、その端っこを握り締めて顔塞ぐ指先を、ショーツを脱がせるみたいに解こうとする。許されるなら、指を絡めて、左手を結び直して】
【分かり切った嘘を囁く。自分は今まで、残酷なことなんて一度もしなかった、 ── そんな顔をして。だからきっと、本人にとっては嘘ではないのだ。】
【顔を見せなくたっていい。抱き寄せて、真白い耳朶に唇を寄せられたのならば。喜怒哀楽が見えなくたって、生温かい呼吸が全て伝えてくれる。】




「ねえ貴女の願いを叶えたいのよ。 ……… 貴女の神さまに会わなければ、ずっと苦しいまま、なのでしょう?」
「かえでの苦しむ姿は見たくないわ。」「かえでの力になりたいの。」「 ── 二度とかえでが、辛い思いなんてしなくてもいいように。"知っている"、でしょう?」




【余りに卑近な距離感だった。少しでも隙を見せようものなら、 ── ベッドの上、後ろから、抱き締めようとしてくるのだろう。性愛なのか慈愛なのかは教えずに】
【最後の一線を踏み越えられないって知っていた。心根は臆病な子だから。一度何かを折ってしまったら、逆らえない領域があると。今までの追憶から、"知っていた"。】
【少なくともアリアは。忘れたと言わなければ、かえでも。 ── けれどきっと続く言葉は、かえでにとっては受け入れ難いもの、だろうか。】






「私たちの目的は、ウヌクアルハイを"白神鈴音"の主格にて呼び出すこと。いま彼女を妨げている、他の神格を押さえ込んで ── ね。」


【何故ならば其の目的は真逆だった。其れは他ならぬ、かえでが排除しようとする神格だった。それが故に苦悩する神格だった。】
【 ── 微笑む白銀の女は、其れを知らないのだろうか。きっと何か反駁しようとするなら、また彼女は、"折ろう"としてくるのだろうけれど。】


874 : 厳島の中 ◆zlCN2ONzFo :2018/06/27(水) 23:10:14 6.kk0qdE0
>>870>>872

「なるほど、話はなんとなく読めた」
「つがる、夕月、たんぽぽの給食は出来る限り私も手伝おう……そうだなカレーライスなんてどうだろうか?」
「軍艦レシピの海軍カレーだ、味は保証しよう、その間に料理を教えよう」

【夕月の話とつがるの反応から、どうにもそういう事だろう、と辺りを付け】
【子供達の給食を鈴音抜きの状態で二人が賄おうとしたが、いかんせん料理経験に乏しく、この日担当していたつがるが怪我をしたと】
【料理は、海軍軍人の嗜みとして心得がある為そう二人に告げるも】
【苦笑とそして呆れ、そして憐憫の表情が入り混じった顔は、やはり隠せない】
【涙目のつがるにも、告げ口の夕月にもそう言って】
【最も、それは鈴音の抜けた穴の大きさを物語る部分でもあるのだが】

「さて、話なのだが……」

【仕切り直し、そう言わんばかりに改めて真剣な片一方の視線を二人に向けて】

「先ず、話は二つの出発点がある」
「一つは、鈴音の精神が複数の要因により限界をきたしていた事」
「もう一つは、イル・ナイトウィッシュ、異世界の旧き神々がこの世界に出現した事、この二つの出発地点からなる」
「この異世界の病魔、イルが精神的に追い詰められていた鈴音を誑かし、かどわかしたこと、ここが事の発端だ」
「そもそも、鈴音は……本人の話を聞く限りでは、既に人の身とは少し違いがあった様だが」
「鈴音は、それ以外にもUT代表のセリーナの事や、自分自身の事、そして何より機関黒幕の婦警によりたんぽぽの子供達を人質に取られ脅迫を受けて居た事、これらが重なり精神を壊してしまった」
「そこに、イルが付け込んだ形となる」

【この前提部分はいいかな?と二人を確認する様に見て】
【そして、一呼吸おいて話を始める】

「本題に入る前に、君達は現状この世界の『勢力』がどの規模でどの位存在するのか、把握しているかい?」

【正義と悪を成す組織、それがどの程度存在し、またどの位の規模でどの程度影響を及ぼしあっているか】
【一見、鈴音とは関係無さそうではあるが、順を追って全てを伝える以上、重要な部分だからだ】
【ともすれば、立ち上がって自分と二人に紅茶を淹れながらの質問となる】
【二人が答えたならば、また話が始まるだろう】


875 : 名無しさん :2018/06/27(水) 23:15:09 xItQXFK.0
>>871

【――――初めに張られた制止の声。くぐもる悲鳴に似た呻き声と荒い吐息のみが反響する世界に、きっとそれは、青空を打つ雷より、鋭く響くのだろう】
【けれど"彼女"はそれに反応を示さなかった。まるで気にするほどのことではないみたいに。――そんなはずはない。ならばよっぽど耽っている、"餓えて"いるんだと伝えて】
【であれば彼女が初めての反応を見せるのは、――手首を掴まれたときであった。びぐりと身体じゅうが跳ね上がったなら、さながら猫のような素振りであったけど】

――――――っ、あ、

【びっくりした瞬間に、彼女は顔を上げていた。すなわち、襲われていた男は解放される。――ゆえに、すぐにでも逃げ出していくのだろう、足をもつれさせながら】
【怯え切った悲鳴を漏らして――それでも路地裏の奥へ奥へと逃げていく。まっとうな人間でないのはそちらも同じだったのだろう、やがて、というか、割とすぐに】
【姿が見えなくなるのなら、声を潜める必要もなくなるだろうか。――女は特に暴れたりはしないだろう。地面にぺたんと座りこんで、焦燥に駆られる目をするばかりなら】
【ふらふらと視線が彷徨って、そして少しの間をおいてから、彼へ向く。――それは間違いなく獲物を横取りされた獣の目であった、ふうう、と、唸るような吐息】

【――けれど、大した量を吸ったわけではなかったのだろう。泥酔したような熱に浮かされたような様子が抜けないのなら、"素面"の彼に敵うはずもなく】
【なにより――言葉を聞いて理解する程度の理性は、まだ、かろうじてあるらしかった。そうして見せられる牙、同胞であると言う言葉、それでもひどく眉をひそめて】
【ひどく苛立ち交じりに鮮やかな瞳を向けた、――――目が合ったなら、すとん、と、彼女はきっと落ち着きを取り戻すのだろう。激情しかねなかった雰囲気が、ふと落ち着くのなら】

【(彼女は正式の吸血鬼ではなかった。その性質は持っていたが、それ以外の力はないに等しい。ゆえに――彼の方が、圧倒的に格が上であったから)】

っつ――、……――――、

【ふうふうと荒かった吐息がわずかに落ち着きを取り戻す。けれどまだどうしようもない渇きが消えるはずないなら、じいと見やる目、ひどく艶めかしく】
【やがてきっと囁き声が求めるんだろう、「――はやく、」、と。――それに、なにより、このままでは難しい話なんて、出来そうもなかった】


876 : ◆KWGiwP6EW2 :2018/06/27(水) 23:17:41 WMHqDivw0
>>854
そう、ジャ=ロは彼らを侮っていたんだ。
故に応手を違えた。

【仮に――ウヌクアルハイの完全なる召喚が成功していれば、彼の教団は本当に用済みとなっただろう】
【仮に――教団が、健在だったので有れば、再び彼らを組織し、強固な信仰を糧に、ウヌクアルハイの再定義を試みることも出来ただろう】

結果として、どちらも達成できなかった。
ウヌクアルハイの召喚は混線させられ、サーペント・カルトは能力者達との戦いで幹部のほとんどを失い、半壊……どころか消滅一歩手前だ。

【あの時の戦いは言うほどの敗北ではなかった】
【しかし、あの時あの場に集まった彼らの認識にはジャ=ロの弁舌が深く浸透し、無力感に満ちていたことだろう】
【ゴーストライターの懸念は正しい。ジャ=ロは、人の心に恐ろしく聡く。地面に染み入る水のように、潜り込んで来る】
【それは神と言うよりも――】

まるで、悪魔のような男だ。
ウヌクアルハイの再定義を行うに当たって、ジャ=ロの討伐は必須と言えるだろうね。
でも、奴の記述はかつての虚構現実にすら、ほとんど存在していなかった。
こちら側で対抗神話を見付けることは――簡単ではない。


【その調査も、遥か以前より続いている試みだ。しかし収穫は皆無と言って良かった】
【どこか苦渋に満ちた声音を続ける彼の様子に、気分を変えるように話を切り替えた】


"白神 鈴音"の関係者へのコンタクトは必要だろうね。
ウヌクアルハイの現状を伝えれば、より彼女の存在を強固にできるし、必要ならば護衛にもつけるだろうから。

疑似対抗神話の調整も急がせよう。
君の協力で仕上げた、急造の物語だが、理論的には機能するはずだ。
こちら側に成立してしまったウヌクアルハイに通じるほどの神話にはなり得ないが……ジャ=ロやシャーデンフロイデ相手の手の一つにはなるだろう。

そして……サーペント・カルトの残党か。虚神達が離反し、それ以外の幹部はほとんど死んだのならば、一応残党を掃除するくらいかな。

【ウヌクアルハイの信奉者――件の元サーペント・カルトの幹部であると言う少女は、確かに警戒は必要だ】
【しかし、それ以外は?――何か見落としが有る気がする。或いはジャ=ロを警戒し過ぎる故に】
【それ以外への対応が、浅くなってしまってはいないか】
【――この男は気付いていない。文字の上でしか報告を聞いていないからだ】
【或いはジャ=ロ以上の脅威に成り得る者の存在に――】


本当に人手が足りないな。
……必要なら、使えそうなメンバーを見繕って置こう。


【それまで理論的に、対策を並べて来た男だが、しかし】
【最後の一言が、酷く呑気に響くことだろう】
【この現実が虚構に飲まれるかどうかの分水嶺】
【これ以上に、"必要"なことなど何処に有ると言うのか】

【事実として、男の言葉には、熱がなく、ただひたすらに平淡だった】
【恐怖は勿論、苦渋も、決意も、享楽さえ、感じられない。あたかもそれが退屈な事務仕事であるかのように】

【サクリレイジは虚構現実の侵攻の阻止を目的とする組織である】
【ただ、その"目的"だけが共有されており、それ以外の全ては、皆バラバラだ】
【組織の長である彼も含め、仮にその能力に信頼を置いたとしても決して、誰一人として信用は出来ないのだと、そう告げるように】


877 : 名無しさん :2018/06/27(水) 23:31:19 xItQXFK.0
>>873

【――だからこそ、だった。否定と侮蔑を塗り重ねられるだけなら、彼女はきっと耐えただろう。ある一点から急に頑なになって、心を閉ざしただろう】
【けれど違った。昨夜に与えられたものはそうではなかった。いうなれば限りない肯定と承認であった、アイスクリームに甘いお酒を掛けて食べるように、甘美な色合い】
【とっぷりと浸されたならどうしようもなく酔っ払ってしまいそうになる。――だから今日の彼女はずうっとアリアに怯えていたのだ。本当にねじ切られる、と、予感して】

――――――――嫌です。アリアさんとは話しません。話したかったらさっきの人呼び戻してください。二人きりじゃ話さないです。

【指先をほどかれたなら、少女は一度その手をぐうと握りこむのだろう。それはささいな反発に似ていた、けど、相手の力に敵うはずもないなら】
【相手にとって"少し"の力で解くことはできるだろう。そうして容易く繋ぐことが出来るだろう。――だから、もしかしたら、居たかったのかもしれなくて】
【布団越しに聞こえて来るのは恨みがましい「嘘吐き」の声。けれど彼女自身が嘘吐きであった。わざわざ出てきた責任者があっさり引き下がったのは、計算違いだった】

…………。

【ゆえに――隙を見せたわけではない。ただ、彼女は、相手の言葉に返さなかった。きっとぎゅうと唇を硬く結んで、聞かないふりをして】
【耳元で囁かれようと、知らんぷりした。抱き寄せられても。――その結果、ずず、と、ベッドの上。身体ごといくらか動かされてしまったとしても】
【ただひたすらに頑なになって黙っていた。――そうするつもりでいたのだろう。相手が困ってさっきの男を呼び戻すまで。何時間でも、そうしてやると言い張るみたいに、けど、】

――――――――ッ、そいつ、がッ! そいつがウヌクアルハイ様を歪めた! ――偽善者どもがウヌクアルハイ様を歪めるきっかけを作った、ッ、
正しいッ――? ――……正しくなんてない! ウヌクアルハイ様はくだらない"少女の神"なんかであってはならない、――正しいお姿に戻らないといけないの!

【――それはカタバミやホウセンカの種がはじけ飛ぶ瞬間に似ていたのだろう、受け入れがたい、――どころではない。それを受け入れるくらいなら死ぬ、とばかり】
【たった今籠城を決め込んだはずなのに思わず振り返ってしまうくらいの言葉であった。相手が告げたのは。――タオルケットがはだけたなら、至近距離、睨まれるのだろうか】
【真っ白な肌に鮮やかなマゼンタの瞳。――――少女は今まさに相手の目的と真逆の言葉を口にした。けれど、目的は同じだと、さっき、言った。であれば】

【何らかの方法で"誰か"とコンタクトを取ったのだろう。あるいは取られたのか。そしてその相手によって、戻って来るようにか、とにかく、言われたに相違ない】
【だからこそ何もかもが急に起こったのだろう。脱走未遂も。外して欲しいと泣いて懇願したのも。戻らなきゃ、と、言って、泣いたのも。全部を、繋ぎ合わせるよう】


878 : ゴトウ ◆1miRGmvwjU :2018/06/27(水) 23:53:34 o6XMS57s0
>>866

「その辺は営業上の秘密だ。 ……… 哀れな栄転組と自主退職者を相当数出させてしまったが、 ── 」
「まあ、自業自得だな。連中もいつかああなると分かっていたろうし、何より俺の部下じゃないし。」
「義体はメンテ代が高く付くぜ。再生手術にしておくといい。 ……… なんて、な。」


【彼女の口ぶりを知っているから、其んな言葉も寄越す。 ── 同僚や部下の過去を詮索するのは、その必要があった時だけ。彼のポリシーでもあった。】
【こと隻眼の魔女については、幼年期の話も経歴も殆ど聞いたことはない。そういうことなのだろう。問い質す必要はなかった。】



「 ── まあ、そう言うなって。」「その為に色々と苦労したのさ。」「別にこの仕事がやれるなら、外務省の『直属』じゃなくっても良かったんだ。」
「自分や部下の首を、文字通り飛ばしたらどうなるか ── そういう保険をかけられる場所に、隠れ蓑を選んだ訳さ。幸い、大臣も大臣で其れに都合のいい奴だったしね。」

「我が部隊は純然たる成果主義だ。 ── ホコリの出そうな金を叩いたら、実質そのままポケットに収まるものと考えていい。しっかり頑張ってくれたまえ。 」



【そうしてやはり、降りようかと言われたのなら引き止めるのだろう。降りられては困る。信頼も少なからず置いている。 ── 気心が知れたとは言わずとも、】
【クギを刺すような忠言には、心配は無用と返しておく。そうして十分に稼ぎたいのなら、十分な成果を挙げるがいい、と。】
【 ── 尤も、ぼちぼちとは言ったけれど、恐らく其れなりに裕福な暮らしをする程度には、ほとんど困ることはないのだろうけど】



「よおし良いだろう。世に盗人の種は尽きまじ、ってね。」「今おれが噛んでる案件は、 ── 」
「サーペント・カルトの残党狩りと、政治屋どもの寄り合い所帯だ。」「 ── 金と権威付けになりそうなのは後者だな。」
「だが緊急性が高いのは前者だ。 ……… その分、難度も高い。おまけに部隊は作りかけ、ときた。前途多難だよ。」



【 ── 何に関わっているかについては、ごく小さな声での耳打ちだった。相手の全容がつかみきれない以上、用心に越したこともなく。】
【残党狩りに緊急性 ── というのは、少々おかしくも思えるかもしれない。ともあれ、当分喫緊となる任務は部隊員のスカウトであるのだろうけど】


879 : ◆3inMmyYQUs :2018/06/28(木) 00:37:32 FGH.zC.k0
>>786


──好きじゃ、ない……?


【麻季音が最後にふと零したその一言を聞いて、何故かエヌは目を丸くした】
【聞こえた言葉が間違いでなかったことを確かめるかのように、反芻して】

【二、三度瞬きをすると、そこで唐突に「……ふ」と口の端が上がった】


────ふ、くくっ、あはははっ!
  ......        ......
 好きじゃない……! そうか、好きじゃない、か──!
 …………くくくくく、あっははははは──!


【どういう訳なのか、それまでの神妙な面持ちが打って変わって、何一つ憚ることのない笑い声を上げた】


────ああ、いや、すまない。
何か馬鹿にしたりするようなつもりはないんだ。

ただ貴女の言うことがあまりにも的確な上に、痛快だったから、つい。


【まだ笑い足りない様子だったが、それを宥めて平静に戻る】
【そうした時の彼の表情は、何かに勇気づけられたような活気を帯びていた】


──貴女が“気に入らない”と思うのも、当然かもしれない。
何故ならこのルールこそ〈黒幕〉の常套ロジックだからだ。


【そして彼は更に情報を積み重ねる】
【初瀬麻季音が天才と謂われる所以の一つであろう、その卓越した知識と思考能力を前にして】
【エヌは彼女がまだ成人前の少女であることを忘れて、伝えるべき情報を惜しみなく開示していく】


【──彼の明かすことをかいつまんで言えば、それは『ロジックを無効化するロジック』】

【────現存在の基盤を過去にも未来にも在り得る状態、即ち因果を円環状に構築することで】
【原因それ自体が結果となり、結果それ自体が原因となる。そしてこの因果的円環の内部にいる限り、】
【存在と時間の変質や改変が事実上観測不能となる────】


────何かが変わったことに気付かない、ということだ。

やつらは何らかの形で、情報のモナドへ直接作用する力を持っている。
誰かの運命が、既に改変されてしまった後でも、通常はそれに気付く術が無い。
歪められた予定調和を、それが唯一の真実であるように認識してしまうんだ。


【「……そのことを理解するまでに、僕らはあまりに大きな犠牲を払わざるを得なかった」】

【彼がここへ辿り着く前にどのような惨状と敗北を通過したのか】
【それを今この場でつぶさに語ることはない。ただ際限ない悪夢を抱きながらもなお、】
【不撓でありたいと望む、そうあろうする覚悟だけがその瞳に滲んでいた】


──────…………、
…………僕がここへ来たのは、本当の真実を取り戻すためだ。

やつらはこのままだと、やがて世界の全てを書き換えしまうかもしれない。
……いや、きっとそうなる。既にもうそうなっている領域もあるはずだ。

……『今』が最後の砦なんだ。

もう、チャンスは過去にも未来にも無い。
この『今』にしか無いんだ。



──だからお願いがある。
どうかこれを【ぷつっ】




【         】




【       】
【            】
【             】




【          】
【           】




/再読み込み↓


880 : ◆3inMmyYQUs :2018/06/28(木) 00:38:42 FGH.zC.k0
>>786





【いない】







【いなくなった、は因果律的に誤りである】
【そんな情報構造体は初めから世界に存在していなかったし】
【これから生起することも有り得ない】



【17時51分44秒】


【初瀬麻季音はそこにいる】
【ただ一人、誰に脅かされることもなく】



【時間は今日も正確に運行されている】
【存在も変わりなくそこに在り続ける】




【彼女の手元には一冊の本があるだろう】

【それを誰かが持ってきたのか、どこかにあったのを拾ったのか】
【そんなことは世界に記述される必要性がない。情報としての質量がゼロであるものは情報たり得ない】

【ただ、本がある。初瀬麻季音はそれを入手した】
【それが原因であり結果である。矛盾は無い】





【 No Paradox 】


881 : アリア ◆1miRGmvwjU :2018/06/28(木) 00:59:42 F.fousmY0
>>877


「 ── あら。どうして?」


【穏やかに笑っていた。それこそ聖母みたいだった。真っ白い膚を静かに緩めながら、どうして怒っているのか分からない ── なんて、言いたげな表情。】
【けれど笑っていた。なんにも怒ってないように。宥めるように背中に掌を添えて、そっと撫で下ろす。そうしてアリアも理解していく。】
【 ── "なにか、吹き込まれた"のだろう。それこそ、迷い揺らいだ信心を再び正当化できるような、なにか。けれど彼女は、逃げなかった。】
【其れが自分のかけた呪いへの執心であることを願って、 ── アリアはひとつの逃げ道を与えようとする、だろう。かえでの体、優しく抱き締めながら、耳元で。】



「ねえきっと何か勘違いしているのよ。 ── 偉大なる力を振るい、信徒の呼びかけに応じ、貴女の生きる道を導いてくれる賢神。」
「それが"正しい"ウヌクアルハイ様の姿、でしょう?  ── そうあれかしと、貴女は望むのだから。」

「であれば、ウヌクアルハイ様は少女の神"でなければならない"のよ。考えてごらんなさい?  偉大なる神が、言語という欠陥に溢れたインタフェースを使うかしら。」
「いいえ使わないわ。だから信仰と祈祷のみが意味を成す。事実、そうしてきたでしょう?  ── 直接に言葉を交わしたことが、あったかしら。」
「貴女の言葉は届かなかった。聞き取れなかったのよ。ただ信心だけが届き報われていた。けれど今は、力ばかりで賢さを持たぬ"不要な神格"のせいで、報うことも出来なくなっている。」

「だから。かえでの願いを、叶えて貰うには ── 人の言葉を解し、其れに相違なく奇蹟を返せる、知性を持った少女のかたちが必要になるの。間違っているかしら、私?」


【つい此の間、神様なんて貴女が願っているだけと、 ── そう断じた女の口にする言葉ではなかった。其処に一切の否定はなくて、ただただ甘い文脈の並ぶばかり】
【信仰心はそのままに、けれど己れの元から離れる必要もない考え方を、アリアは教えようとしていた。聖典を偏屈に解釈して、都合のいい教えを広める宣教師みたいに。】
【もっとも弾けてしまったかえでに、どこまで其れが届くかは、分からないけれど ── 。】


「 ── なにか間違えたのよ。貴女が何を見聞きして、何を思ったのかは、分からないけれど。どこかで、なにかを。」
「ねえ貴女の"過ち"もきっと赦してくださるわ。あんなに辛かったのですもの、 ── 疑ってしまうのは、仕方のないこと。」


「 ── かえでは、神を裏切らない。そしてまた、私を裏切らない。」
「そうでしょう?」「 ──── 貴女の望む場所に、居ていいのよ。かえで。」


        【ただ背中の布地だけは握りしめた。どうしようもない執着心の表れみたいに。】


882 : ゴトウ ◆1miRGmvwjU :2018/06/28(木) 01:17:39 F.fousmY0
>>840

【 ── 目を丸くする。最初は理由が分からずに、それでも機嫌は損ねずに。続いては指を撫で行くと共に、全く読めない記号が並び行く様に。】
【アルファベット以外の何かを読むのに似ていた。けれど其処には何か決定的で冒涜的な違いがあった。それに迫ったら最後、 ── 自分が自分でいられなくなるような。】
【改めて薄ら笑いを浮かべる。空恐ろしくもあったから。自分が"なにを味方につけ"、"なにと敵になり得るか"を再確認したことが。】


「 ── なーるほど。難儀な身の上だねえ。 ……… ま、俺も似たようなもんか。」「サクリレイジ。それがアンタの所属か。」
「覚えておくよ、ゴーストライターさん。」「判押すのと始末書仕上げる能力だけが、おれが警察官として磨いたスキルさ。書類仕事なら任しときな。」


【そう言い終えれば、別れの挨拶もなく彼は去っていく。いや、消えていく。ここではないどこかへ。最初からいなかったみたいに、けれど名刺だけは手元に残り】
【とりあえずは其れを懐に収めてれば、ぼおっと立っている様をウェイターに訝しまれた。フレンチトーストが届いた。しかしカフェオレは飲み干してしまっている。】
【 ── だから覗いたメニューに、ふと珍しいドリンクを見つけた。タンポポのお酒。値段は、時価。勤務中からは呑めなかったので、流石に頼みやしなかったけれど】


/遅くなりましたかお疲れ様でした&ありがとうございました!!めっちゃお世話になりました!!


883 : 名無しさん :2018/06/28(木) 01:22:16 xItQXFK.0
>>881

【――――はじけるように睨みつけた。あんまりに鮮やかなマゼンタ色がマリンブルーを明確に射貫くのだろう、激昂していた、冷静さを喪った】
【であればそれは差し込む隙間を自ら差し出したのに等しかった。――相手のやりようを知っているはずなのに、思わずそうせざるを得ないほど、追い詰められている】
【抱きしめられた身体が強張っていた。そんなのに騙されないと言うかのように突っ張る、耳元に囁かれるのも嫌だと言う風に、逃げるように、しながら】

――そんなはずない、そんなはずない! ウヌクアルハイ様はすべての蛇を統べられる、――偉大な蛇神様であらせられるのにッ!
神話もないほどに小さな神などに歪められてしまうなんてあってはならなかった! ――偽善者どもが引きずり下ろしたんだ、尊い座から!
あの女が存在したせいで偽善者どもがウヌクアルハイ様に触れるとっかかりが出来てしまった! だから言ったんだ、――白神鈴音なんて居やしないのにと!

――――――間違ってる! それを正しいと思うことすらウヌクアルハイ様への冒涜でしょう!?

【互いの身体の間に差しはさんだ脚できっと何度も何度も何度だって相手のことを蹴っているんだろう、蹴る、と言っても、膝でぐっと押すようなものだけれど】
【冷たく甘いスズランの声もそんな風にしてしまったなら台無しだった、激昂に任せて言葉を並べて散らす、――そんなのは間違えている、と、明確すぎるほどに否定する】
【けれどそれは仕様がないとも言えた、――あくまですべての蛇を統べる神へ祈る彼女にとって、ウヌクアルハイの"中身"は強大かつ偉大な"蛇の神"でなければならない】

【――まかり間違っても、辿ろうと思えばその半生のいくらかを遡れるような"実在した人物"であってはいけない】

間違ってない――、私たちはずうとウヌクアルハイ様のためにお仕えしてきたッ、――――私たちのこと知らないくせに!
もう私たちしか残ってないのだからッ――私が戻らないと、ウヌクアルハイ様が、――辱められたまま穢されてしまうのだから!

――こんな場所に居るわけにいかない、ケバルライのもとへ行かないと、――ウヌクアルハイ様が、だって、

【ひどく暴れてその腕から逃れようとする。たとえ逃れられたとしても――それでも彼女に逃げ道なんてなかった。それでもなお、その腕からは逃れると誓ったように】
【けれどどうしようもなく怪我人であった、――利き腕と右足をまともに動かせないなら、戯れでしかなかった。ぎゅう、と、めいっぱいに、左手だけで相手を剥がそうとするけれど】
【――そうして少女が宣言したのは間違いなく離反の言葉であった。そうして同時に漏れるのだ、彼女を唆した存在の名前。――かつての幹部の一人であったなら】


884 : ◆wEoK9CQdXQ :2018/06/28(木) 01:23:58 7HIwhlv60
>>753
脆くぐずぐずと崩れては屍肉を喰らいあい、放つ腐臭にすら意味もなく――――
ヒトの軍勢は、終わるときはいつもそんなものなのかな
頭ひとつ落とされた程度で動けなくなる群れじゃ、それも致し方ないことか。全く、生物として不完全にも程がある……――

【一方的な蹂躙で、当たり前に吹き散らされる木の葉の群れ】
【雑多な火器は煩いばかりで、結局はヒトを狩るためのもの留まりなのだという認識を揺らせもしない】
【蟲を継ぐ者として練磨された技能に比べれば、蹴散らされた兵たちはそんな程度の存在でしかなく。必然として、興味は自陣営の変化へと移る】

(あれが、彼女がヒトの世界へと打つ楔……今なら、指先で捻り殺せてしまいそうな姿だけど――)

【或いは既に、蟲の大半を上回る力をあの幼虫は持っているのか】
【そして、代えは利くのだろうか――ワームシンガーが取り出すその蟲を目に留めて、思い浮かんだのはそんな言葉。】
【細められる薄蒼の瞳に宿る感情はどこか羨望に似る】
【けれど、〝兵隊アリ〟の役目はその希少種の護衛を為すことを前提として含んだ。使い捨てのはずの戦闘生命は、己が妄執を試す機会を渇望して】
【その意識に、弱者の血肉を裂くばかりの状況が蘇る。ああ、なんてつまらない餌食を刻み潰していることだろう!】

【もっと、もっともっともっともっともっとこの先へ――ただ轍となって朽ちるだけの屑共なんかじゃない、研ぎ上げた執念と兇器でしか殺し得ぬ強大なる贄を!】
【そんな強者をこそこんな風にしてやりたいのに、不甲斐ない兵たちは今も抵抗する力すらなく死に絶えてゆく。つまりは、ただの期待外れ】
【くすくすと微笑って。裏腹に、切り刻む肉の脆ささえも不愉快だと、いっそうに肉体の破壊速度を上げて、理不尽な暴虐を振り撒きながら】
【粘つく水音を立てるその屍骸が、芋虫を捏ねた様な肉団子に成り果てた頃。重い音をたてて状況が動いた。歪む口角は、もはや悪意を隠しもしない】

……やっと、本命の戦力たちの御出座しかな?

こんな肉塊さんたちをあるべきカタチにしてあげるだけじゃ、〝僕等〟の狩りとしてはつまらないよね
せっかく手間を惜しまずに。頼まれる前にしてさしあげてるんだから、ね――――?

【最後まで手を伸ばして這いずろうとするあとひとりに、頭蓋を穿ち貫くことで無慈悲に止めを刺しながら。視線は、分厚い扉の先へと向けられている】
【〝救うことなどできなかったよ。みんなみんな死んでしまった。だからもう、ただの肉でできた血みどろの山〟】
【ならば――さあ、どうするの?】

【もしも、――――憎んでくれたならその怨嗟さえ踏み躙れるだろうか?嗤いながら血の雨音に刻み奏でるステップも軽く、破滅の音は彼らに奏るのだと】
【ヒトを圧倒して千切り殺すことに慣れたヒトガタの傀儡は、蟲の尖兵として、最大の虐殺者とならんと暴威を己が肉の内にて蠢かせた】
【端麗な容姿の内奥に、血に飢えた魔種の餓えと、ヒトの暗黒面でしかありえない暗色の歓喜を同居させて――】


885 : 院長中身 ◆zO7JlnSovk :2018/06/28(木) 05:27:08 a2tLjGHk0
>>859




【── 誰かを傷つけても、何も解決しないなんて知ってる】






           【だったら、どうして、こんなに苦しいの】





   【、── 貴方の傷付く姿が、とても、美しい──、】






【    、──── 血溜まりの赤。黒と白と赤の三原色、ゴシックホラーより、質が悪い】






ブラスフェミア様、── 何とも、お労しい、── それでも、貴女様は、とても美しい
ああ、憎いです。ええ、憎いです。そう、とても、とても、── 貴女様の美しさが憎いのです。
私はこんなにも見憎いのに、貴女様はどうしても、被虐される美しさを以てして

ええ、だから、だから、私は探求者の精神を以て、加虐者の精神を真似て、貴女様を傷つけてたくなるのです
ねぇ、ねぇ、ブラスフェミア様──、女性の身体で、一番、敏感な場所はご存知
私も貴女様も知っているでしょう、少し触っただけで、感じてしまう、罪の核を



──、これで、お終い。── だってそれは、人の耐えきれる痛みでは、無くて



人を殺める為の痛みなのですから、知っています。それは正しく、火を見るよりも明らかです。









でも、それでも、── 私は科学者たる探究心を、捨てられないのです。
ブラスフェミア様なら分かってくださるでしょう。99%と100%は違うのですから。
願わくば貴女様が、その唯一の反例になってくださる事を、

そして、生き残ったなら私にお伝えくださいませ








『──── 性器を焼かれる、苦しみを』








【けれどもそれは実行されない。── その寸前に、貴女は気を失って、しまうから】
【掌の中の蝶が、その想像力を以て自死する反射に似ていた。貴女の脳は、意識を遮断する事を選ぶ】
【──、気が付けば、元の住処の近く、とあるホテルのベッドに、寝転がされているだろう】

【傷口には丁寧な治療、傷跡は何処にも、残っていない筈だ】


886 : 院長中身 ◆zO7JlnSovk :2018/06/28(木) 05:55:02 a2tLjGHk0
>>876

【結果として今ある現状は、── まだ世界が終わっていないという現実は、途方も無い奇跡の産物であった】
【私達はそれを賛美する事は出来ない、喜びを以て受け入れる事は出来ない】
【── 大海原も常に荒れ狂う訳でもなく、ほんの僅かな凪が訪れる事さえ在った】

【しかし、船乗りは喜ばない。それが束の間である事を、彼らは十全に知っていた】


残党狩りは他に任せよう、── "虚数渡り" ならば能力も含め適任だろうから、── まぁ、放っておいても彼なら狩るだろうが
関係者へのコンタクト、か── "仕立て屋" が適任だろうな、彼女の人心掌握術は飛び抜けている
……よくもまあ、あんな旦那を持ったものだ、これは私の感想だが。

擬似対抗神話、荒唐無稽極まる話ではあったが、何とか形にする事は出来た、厄介な代物ではあるが。
自己拡散性と絶え間ない成長性を持った、人工の対抗神話、── ミームを殺す、ミーム。
調整の結果、フォークロアとして用いるのが手っ取り早いだろう、早い話が『おまじない』だ。

ジャ=ロやシャーデンフロイデの扱うであろう、クオリアハック、── それを防ぐ為にも、


【擬似対抗神話、── ムラサキカガミに対する、白い水晶といった、】
【殺傷能力を用いるミームに対する対抗神話を自動的に生成する機構、── サクリレイジは既に試作にまで漕ぎ着けている】
【要するに、見れば死ぬ絵画や、音読したら死ぬ詩などに対し、否定されることの無いデマを付け足す作用に似ていた】

【── F.O.A.F. 友達の友達が、それらを行い、今なお生きている、と伝えるのに、似て、】
【ゴーストライターはそして、最も大切な問いに戻った。】



── そう、ジャ=ロの討伐の為には、何としても『INF-5』の報告書を手に入れなければならない
財団が奴を制御していた仕組みを、理解していた認識を、私達は手に入れなければ、明日は無い
その為には、── 失った現実に辿り着き、世界ごと処分された書物を取り戻す必要がある。

ボス、もう一度私に "虚数" を渡る許可をくれ。もう同じ失態は繰り返さない。
"虚数渡り" の能力を媒介に、私を虚数式に分解し、因果律の地平線を越えた、"虚構現実" へ導く。
── 貴方はもう、理論上は辿り着いている筈だ、かつての失敗を受け、改良した未来の為に

私の顔の事なら、気にしなくていい。── 必要な犠牲とは、まさしくこの通りだから。


【ゴーストライターの口調に熱が籠る。ボスの心を何とかして引き寄せる必要があった】
【かつて、パグロームの手を借りゴーストライターは、虚構現実へアクセスしようとした、──結果】
【彼は深いフードの下の顔を失った。正しく、ゴーストと呼ばれる存在になって】

【それでも尚、彼はもう一度主張する。世界の為に飛ぶ、と】


887 : アリア ◆1miRGmvwjU :2018/06/28(木) 13:01:08 ORgClWvc0
>>883


「 あ、 ッ ──── 。」


【"踏み違えた"。知り得ないことを、踏み込んではいけないことを、語ってはいけないことを。誰しも心封じる領域があるなんて、とうにわかっていたはずなのに。】
【きっとそれは錯綜した愛情の結果だったのだろう。相手と自分の境目も解らないくらい弁えられていなかった。それなのに、酷く激しい拒絶の言葉と態度に晒されてしまう。】
【そう悟っても、悟ったからこそ、肌触れていることを止められない。剥き出しの心が激情にあてられて、酔い痴れるように、踏み出していってしまう。】

【もう耳元に唇を寄せるのはやめた。顔を合わせる。きっと無理矢理に。顎を指で掴んで、強引に視線を合わせようとして。】
【 ──── きっと、かえでの見たことのない表情をしていた。なにより悲しそうな、怒っているような、けれど怖がっているような、口許を悔しげに歪ませて、冷酷な青い隻眼は今にも泣き出してしまいそうで。】


   「 …………──── 。 」

「非道いわ、かえで。」「こんなにも想っているのに。」「こんなにも、幸せにしてあげたいって、願ってるのに ── 。」
「私のこと、嫌いになった?」「嫌いだとしても構わないわ。」「だって私が愛しているもの。」


【かえでが何を思うかなんてどうだっていい。反吐泥みたいに澱り重なった自分の感情を打つけたかった。 ── 恨み言みたいに紡がれる言葉の数々が、届かなくったって構わない。】
【そうしてまた怜悧な言葉を理論という建前に突き刺そうとする。閉じた心が弾かぬ切っ尖であるかどうかは、分からないけれど。】


「では、 ── 貴女の言葉を認めるとして。」「 ── 貴女は、その御仲間は、如何やって、白神鈴音を"消す"つもりかしら?」
「彼女を知る人間すべてを殺してみる? 不可能よ。あまりに彼女の名は"知られすぎて"いる。何よりも我々が拡散し続けるわ。」
「白神鈴音というウヌクアルハイの神話に対するカウンターミームを、使い得る限りのあらゆるネットワークを用いて。貴女が人類の全てを滅ぼさねばならなくなるまで。」
「それとも他の神格に対して祈りを捧げてみる? それも不可能。彼女という存在が混ざってしまっている以上、白痴の神の現出からは逃れられない。」


「結局のところ貴女は白神鈴音を喚び出さなければならないのよ。そして向き合わなければならない。望む望まざるに関わらず。」
「凡庸な神格を殺しウヌクアルハイを純粋な虚神に再定義したいならすればいい。だけれど逃げ道なんて最初から有りはしないの。」



【 ── 背中にみっつ爪を立てて、確かな痛みを感じるように、病衣の上から膚を抉ろうとする。ひどく冷たい言葉を添えて、ああ今度は牙でも立ててしまおうか。】


888 : ◆S6ROLCWdjI :2018/06/28(木) 19:35:06 WMHqDivw0
>>872 >>874

わ、カレー!? いいネいいネ、教えてよっ!
ただ食べるの子供だから、うんと甘いやつにして。そんでこう、具も……
……子供の喜ぶ具ってなんだろ? たまごとか?

【つがるの抗議には半ば無視を決め込んで。厳島の話を聞く、そうすればぱあっと笑うけど】
【続く話には顔を渋くして――脇に追いやっていたメモ帳を、見せつける】

……イルの話はおっけー。んで、「勢力」のハナシだけど……
ついさっきあたしがつがるんに教えてたとこだよ。「円卓」、「黒幕」とかの話でしょ?
一通り喋ったんだけど――まだあたしの知らないことがあるかも。

【メモ帳には、三つの円が描かれていた。それぞれ「円」「黒」と書かれたのと、それと斜線で塗り潰したの】
【「円」のところにはお金のマーク。「黒」のところにはドクロのマーク。三角形に並べた三つの円】
【いろんな方向から矢印が引かれて、向いて。……「黒」に矢じりが集中している】

【……厳島は、訝しむだろうか。何故この少女、夕月が。そんなことまで知っているのか】


889 : ◆S6ROLCWdjI :2018/06/28(木) 19:44:15 WMHqDivw0
>>875

【黒革の手袋越しに掴んだ彼女の手は熱かったろうか、それとも死人の温度だったろうか】
【それを感じ取る前に、困り顔をより一層強くした。思っていた以上に「渇いて」いる、焦りを感じて】
【「少しだけ我慢して」――言いながら、一匹の蝙蝠を飛ばす。簡単な使い魔。それの羽搏きが行って、戻ってきたなら】

【――――コンビニ袋に入れられた輸血パックと、ストローをぶら下げている。それを手早く取り出して】
【彼女に差し出すだろう。そうしたら青年は視線を外す――レディの食事風景を、じろじろ見るのはマナー違反だから】
【輸血パック。その中身の味と言ったら――ひどく味気ない。まるで年代物の缶詰、うっすい味のそれみたいな】
【少なくとも「生きた人間」から摂取できるそれとは、鮮度も、風味も段違い。落ちる一方――だけど気休めにはなるだろう】

……こんなことを僕が言うの、本当になんなんだけど……
貴女、どれほど吸血していなかった? そんなになるまで、……我慢でもしていたのかい?
何か誰か、定期的に血を吸えるような環境にはいないのかな――――だったらあの、

【「輸血パックの取引先なら紹介できるけど」。言いながら視線はなおも合わせない、ひどく気まずく思っているらしい】
【それは、この青年が「こんなこと」言うのは本当にばからしい話だったから。吸血が苦手な自分が、こんな小言めいたこと】
【口にするの、本当、可笑しな話――だけど。同胞がこれ以上苦しむのなんて見たくないし。それ以前に】
【「騒ぎ」を起こされて、人間との関係が悪化するのもいやだった。そういうはしたない思惑もあった、……それを恥じていて】


890 : ◆S6ROLCWdjI :2018/06/28(木) 19:49:51 WMHqDivw0
>>885

――――――――それだけは嫌っ!!



【――――悲鳴と共に跳ね起きる。どこかのホテル、きれいなベッド】
【ひどい寝汗をかいていた。髪もぐしゃぐしゃだった。息も絶え絶え、それで、呆然とあたりを見渡して】
【夢じゃなかったと確信してしまう、だってここは住処じゃない。ああ、と呻いてベッドから降りたなら】

【最初にしたのは、着ている服を全部脱ぐこと。たたみもしないで脱ぎ散らかして】
【点々と置き去りにしながらバスルームに向かう。鏡を見る。一糸も纏わぬ裸体を映す】
【……いやというほど見慣れた、貧相極まりない躰だけが映っていた。は、と息を吐いて――その場にへたり込んで】


………………クッソ野郎、ブランル、今度会ったら、…………はあぁあ。


【項垂れて零すのはやっぱり「男」への怨み言だった、魔女へのそれは、一言も出さずに】


//ここらへんでいいですかねっ!?続きもできますけど!!


891 : 院長中身 ◆zO7JlnSovk :2018/06/28(木) 21:28:58 IOm5i1oI0
>>890
/取り敢えずはここまで、ということで! お疲れ様でしたー!


892 : ◆KWGiwP6EW2 :2018/06/28(木) 21:48:46 WMHqDivw0
>>886
【結果だけを見れば、世間に取っては、ただ秘密裏に存在していた悪の組織が一つ消えたのみ】
【あの場にいた能力者達からしても、何も変わらない世界が今も続いていることに拍子抜けしているかも知れない】
【しかし、事は継続し続けている。そして、思っているほどに、時間はないのだ】


残党狩りは適宜進めておこう。万が一にも妙なカリスマを持った者が新たな教祖になどなられては困るからね。

関係者へのコンタクトは――少し慎重に進めるか。
先のカウンターミームの件だが、一つ懸念がある。

"白神 鈴音"の件は、既に事情を知っている人間だけの周知に留めるべきだ。

【男は変わらず淡々と答える】
【そう、ゴトウと言う男の提唱したカウンターミームは、確かに虚神に対抗する上で重要な一手と成り得る】
【だが、同時に、順序を誤れば最悪の一手へと変じる得るものだと、男は考えていた】

先も言ったが――大衆の認知は容易に歪む。
偶々、今追い風になっているからと言って、自分達の味方だなどと思わない方が良い。
八課との交渉は引き続き君に任せたい。彼らのコントロールも兼ねてね。


【擬似対抗神話――それもまた、ある種の非人道的な実験の元に創り上げた、人工の伝承】
【決定打と言えるほどの効果を期待するには、まだ不足はしていたとしても】
【虚神達の持つ、打ち手のいくつかを防ぐ手立てにはなるだろう】

ヴェロニカの能力が完成に至れば、ジャ=ロの"行き来"を妨げることすら可能になるかも知れない。
次の戦いの前には、調整を終わらせて置きたいところだね。

ただ、それでも――

【奴を真の意味で"殺す"ので有れば、禁書の入手は避けては通れない課題であった】
【彼の声には、熱意が篭っている。それは彼の半生を彩っているであろう後悔と、苦悩だった】
【この基底現実の行く末を憂い、自らの世界を滅ぼした者達への復讐心も兼ねた、強固な決意】

【しかし――】


ゴーストライター。
もうあの場所は、君の故郷ではないんだ。


【言われるまでもない言葉だった。だが、敢えて口に出した。男の声は湖面のように静かだった】


君の作り上げた渡航のプログラムは完璧だった。
だから、虚構現実の探索も君が最適であると、私も考えていたよ。

だが、"逆"だった。元はあの世界に住んでいたからこそ――君は容易に、あちら側の法則に引きずられてしまった。
その結果……君の素顔を奪い、精神のいくつかを変質させてしまったのは私の失態だよ。

次に行けば、君は人の形と心を保って戻れるかも分からない。……そうだろう?


【普段、組織員達のやり方に口を挟まない男が、明確に否定を告げた】
【今、この段で彼を失うのは余りにも大きなリスクであるが故に、だ】


――そんな"顔"をしないでくれ。
虚構現実の探索が必要なことは異論はない。
そして、それに適した人員も見繕った。

もっとも、彼が乗ってくれるかどうかは分からないし、間違っても気を赦せる相手ではないけれど、ね。

【そう、先の報告で"彼"が関わっていることを知ったのは幸運だった】
【いるのだ。パグロームと同等か、或いはそれ以上のエゴを持った男】
【幾度もその身を変質させ、時に失い、それでも未だ自分自身を保ち続けている者が――】


893 : 名無しさん :2018/06/28(木) 22:04:33 WVzMYTc.0
>>887

【相手が"気づいた"その時、きっと少女は泣いているだろう。うんと鮮やかなマゼンタの目から――とうてい可愛げないくらい大粒の涙、ぼたぼた落として】
【顎のところを無理やり掴まれて目線を合わされる、――ひどく睨みつけて来るだろう。瞬きのたんびにうんと大きな涙つぶ、ぼたぼた、落としながらであったなら】
【激昂すら通り越してしまいそうな怒りがきっとそこにあった。――けれどそれとはまったく別に、ひどく生きている顔をしていのだろう、鮮烈すぎるくらいの感情を湛え】

【――真っ白の頬は興奮しきって真っ赤になっている。涙に潤んだマゼンタ色はそのせいか余計に鮮やかに見えて、柔らかな頬っぺた、歯列もきれいに整って】
【もちろんかみ合わせが悪いなんてありえないなら、左右対称のきれいなかんばせ。それこそお人形さんのように整えられて――それが限りなく怒るのだ。美しくない"はずがない"】

――――ッ、嫌い! 嫌い、嫌い、――私のことなんて何にも知ってない、何にも分かってない! 
私たちが――私、が! ――どれだけあの日を待ちわびていたのか、知らないくせに! そのためだけに、生きてきたこと、知りもしないで!
その儀式を妨害しただけに飽き足らずウヌクアルハイ様を辱めて――よりいっそうの屈辱で縛ろうと、まして、それを、私のためだと!?

――――――――――嘘吐き! こんな人に出会なければよかった! そうしたなら私はウヌクアルハイ様のために正しくあり続けられたのに――ッ、
こんなふうに穢されてしまわなかったのに! ――非道い!? 非道いのは、私じゃ、ないでしょう!? どんな気持ちでいたらそれが言える!?

【どうしてアリアがそんな顔をするのか。それをひどく責めるような目をするのだろう、――被害者は自分であると主張していた、悪いのは限りなく相手であるのだと言っていた】
【顎を掴む手を爪まで立てて引っぺがそうとする――あるいはその時に玉のような肌に瑕さえつけてしまうかもしれなかった。かあと頭に血を昇らせているなら、気遣うはずもなく】

――――――お前たちの言うことだなんて聞くものか、ウヌクアルハイ様を貶め辱める行為に手なんか貸さない!
逃げ道なんかじゃない。ウヌクアルハイ様を尊い座から引きずり降ろして辱められたのを正しい場所までお導きするのの、――っ、!

【短く切られた髪がそれでも涙と汗で肌に張り付くなら、彼女からはいつもと違う香りがした。浴室に備え付けの物を使っているんだろう、違う女の匂いがする】
【またなにか言葉で噛みつこうとしたところを、爪で先に抉られたなら。びくりと身体がその痛みに反応するように跳ねた、――瞳に殺意すら過ぎらせている、だろうか】


894 : カニバディール ◆ZJHYHqfRdU :2018/06/28(木) 22:26:23 IBKicRNQ0
>>855
まあ、そのくらいはあって当然だな。ふ、ふ。お前をここに閉じ込めている連中が何者なのかは知らないが
お前ほどの危険人物にプライバシーをくれてやるほど、楽観的ではないらしい

さあて、感知系の能力者のシフトに穴を空けるような迂闊な連中だったら私としてもありがたいのだが
……どうやら、安眠妨害を不快に思う程度には、一般的な人格も残っているようだ

正式の手続き、儀式は正しく……か。ふ、ふ! アレクサンデルの亡霊にでも憑りつかれたのかね?
ああ、彼奴とは昔馴染みなんだ。当時、もう少し強く勧誘しておけば良かったな。私の下にいれば、長生き出来ただろうに

【彼女と、彼女を取り巻く現状を作り出している者たちのことは知らない。あるサイボーグの心中も、未だ信仰を抱く眼前の少女のことも】
【そして、恐るべき外務八課の存在も。彼らとかえでの間に起きた、脱走騒ぎの末の妥協のことなど、当然知る由もない】
【異形にとって重要なのは、彼女が握っている情報。そして、今この時病院側の監視の目が外れているという事実だ】


【受ける視線の秘める不快感や怒りなど、どこ吹く風だ。カニバディールはそんなものには慣れ切っている】
【ふざけた言葉を口にしつつも、その三つ目は観察する。まだ彼女が信徒としての心を失っていないことを】
【少女と大人の狭間にあってまだ意志を湛えるその瞳。追い詰めているとは、まだ言い難い】

サーペント・カルトでの生活がどのようなものだったのかは知らないが、流石と言うべきか儀式以外のことは眼中になかったらしいな
それでも、名前くらいは伝わっているとは、悪党としては自慢に思うべきかね

確かにそのタオルケットは悪くない品だが、ここまで入り込んだ対価というには足りない
今日狙っているのは、金よりも価値のある代物だよ

ふ、ふふ! 口の回りはなかなかじゃあないか。残念ながら、私は色気より食い気なのだがね
お言葉はごもっともだが、今この世界で動いているあらゆる事態、その裏側にいる連中の巨大さを思えば、卑下の一つもしたくなるさ
お前たちもそうだ。長い歴史を持ち、近年に急激に活動を活発化させたカルト教団……私など問題にならない巨悪だ。本来ならばな

【サーペント・カルトの壊滅は、あの儀式の場で中核たるオフィウクスたちが集い、各個撃破されたこと】
【そして、オフィウクス同士がそれぞれの感情や思惑に従い、組織力を生かすことが出来なかったことに理由があるとカニバディールは見ていた】
【逆に言えば、それを生かしてさえいたら大きな脅威になっていたはず。それだけの組織を、まるで踏み台のようにした存在がいる】


ほう? 我々が〝インタビュー〟した蛇教徒たちは、その若さで幹部にまでのし上がるほどの強い信仰の持ち主だとお前を評していたがね
……あの儀式は、お前たちの思惑通りにいったものだと思っていたが。どうやら、質問事項が増えたな

――――カルトでの『修行』は過酷なものだとも聞いてはいたが。どうやら、苦痛や恐怖には相応に慣れているらしい
でなければ、この状況でその態度を保っていられるはずもないだろう。これは困ったな……思った以上の難敵らしい

【いくつもの負の感情を複雑に混ぜ合わせた彼女の様子に対して、異形はむしろ困難を見出す】
【そう、まさに狂信者の強み。未だ彼女の中に息づく、蛇の教え。その脅威】
【向けられた瞳が語る。その真っ直ぐさが、そのマゼンタの鮮やかさが、その奥の死の覚悟が、彼女の強靭さを雄弁に伝えてくる】

心配のないよう、先に宣言しておこう。殺すつもりはない。そこまでしてしまうと、お前をここに閉じ込めている連中が黙ってはいまい
これだけの厳重な環境をポンと用意できるだけの奴らだ。まあここまで来た以上、敵対は不可避だがそれでも程度の問題というものがある

犯すつもりもない。私に言わせれば、盗賊仕事の現場や潜入先での強姦など、愚の骨頂だ
事の最中は隙だらけ、無意味に時間を食う上に、手に入るのは一時の快楽のみ。どう考えても割に合わない

だが、そうだな……場合によっては質問の過程で〝味見〟くらいはするかもしれないな
何せ、ここ最近手に入る肉は、悪食な私から見ても不味いものばかりだったのでね……

【少女に向く視線。カルト内で『修行』の過程で獣欲を向けられた経験のある彼女ならわかるだろうか】
【これは、性的欲求によるものではない。食欲だ。皿の上の料理を見る目だ。文字通りの意味で】

さて、まずは一つ聞かせてもらいたい。マルタの戦いに参加した、サーペント・カルトの幹部は七人
三人は死んだ。一人はここにいる。なら、他の三人はどこにいった?

お前を含んだ四人は、異質ではあれど人間の範疇だ。だが、他の三人。あれは何者だ?
あの儀式を経て、今いったい何を企んでいる?


895 : 名無しさん :2018/06/28(木) 22:27:34 WVzMYTc.0
>>889

【――掴まれた女の手は、まあ、普通の温度だろう。しいて言えば少し体温が低いようにも思えたけど、それでも、よほど異質なほどではない】
【真っ赤な顔はけれどどこかで蒼褪めても見えた。ふうふうした呼吸は少し落ち着いたが、それでも、平常時の呼吸というにはあんまりにも乱れて】
【蝙蝠が戻って来るころには――あるいは彼女は彼から離れて壁に背中の位置で体育すわり。顔を膝に埋めて、しーん、と、しているだろう。疲れてしまったみたい】

【――――けれど"目当て"の"粗悪品"を受け取ったなら。――いや、それは、けっして、悪い意味じゃないんだけど。悪い意味なのだけど。悪気はなくて】
【どこまでいっても気休めでしかないような血液で彼女は潤すのだろう。潤むのが喉であるのか存在であるのか、は、よく分からないものの。変わらず、壁に頼ったまま】
【そのくせあんまり量は飲めないのか、がっつくような勢いは最初の少しの間だけ。すぐに様子は今度こそ今度こそ落ち着いていく、一度ストローから口を離したなら】

……二ヶ月ぐらい、です。おそらく、ですけれど。とても――忙しかったものですから。"そのような暇"がなかったくらいに。
――――人を探していて。ご迷惑をおかけしました。せっかくの申し出をお断りするのも、とても、とても、心苦しいのですが……。
普段はもっとうまくやっておりますの、……ですから。ごめんなさい、こうしている時間もあんまりなくって。

お礼というほどのものでもないのですが、――お金でよろしければお支払いいたします。如何ほどお支払いすればよろしいでしょうか?

【まだどこかずるずる残る倦怠感に似る感覚に重たそうに頭を揺らす、結局飲みさしの吸血パックの底の方には血が残っているまんまで、女は不要に思ったらしかった】
【指先でつまんでぶら下げたままで――もう一度突っ伏す姿勢。それでも隙間から声は聞こえて来るから会話に支障はないだろう。けれどすぐに頭は持ち上げて】
【――小さな吐息。あるいはため息だったろうか。どうやらこの女は人探しをしているらしい。それがゆえに吸血行為――というか、摂取することを怠って。"こうなった"】

【であればよっぽど大事な人を探していると見るべきなのだろう。それでもあんまりに迂闊が過ぎた、――発見したのが正義の人間であったなら、間違いなく戦闘になっていた】
【そのくせに彼女は"普段はうまくやっているから"と言って彼の提案を拒絶する、――いくらか申し訳ない顔はするのだろう。でも、声音までもは変わらなかったなら】
【ふらりと立ち上がる――それでも眩暈のようにふらついて。相手に尋ねるのだろう、――借りも貸しも引き継ぎたくないから、と、言外に伝えるかのよう】
【言い値でいいから、というような顔をしていた。――けれど"追い詰められた"目をしているのもあったなら、あんまり信用ならない。――金を払うかどうか、とかではなく】

【――――またすぐに似たような状況に陥るんじゃないだろうか、というような、そういう"信用ならない"】


896 : 院長中身 ◆zO7JlnSovk :2018/06/28(木) 22:28:34 IOm5i1oI0
>>892

【── 思わず声が上擦った。あってはならない事、── ゴーストライターは無心で著者を真似なければならない】
【自分の文体を曝け出す事は禁忌であって、それでも彼は抑え切れなかった】
【ボスはいつだって正しい判断を下す、一見してそれが、どれだけ残酷な答えであっても】


──── 断る。私は最早、何処の誰でも無い、只の一介の、ゴーストライターでしか、無い。


【言葉に力が籠る。極夜の下で瞑目しようと闇は変わらず、ただその暗示があっただけで】
【彼は想起する、かつての記憶を、── 平穏であった在りし日の姿を】
【ボスに逆らう事、それを然りとすべきではなかった。── けれども止められない、道理があった】

【故にその道理を妄執と呼ぶ事に、誰も異論はないだろう】


私の "現実" は失われた。家族も、居場所も、仲間も、── 世界すらも、奴らに奪われてしまった。
ボス、貴方には、分かるだろうか。── いいや、きっと、誰も、この現実の奴らには、分かるまい。
私は死んだ、── 此処に居るのは、虚数の意思を書き記す名も無きゴーストライターだけだ

── 私は私以外の何者にも、私の筆を渡さない、ゴーストライターとなった私の最期に、書き記さねばならない
奴らの敗北を、奴らの死を、── 煉獄を渡り、地獄を見た私の物語を、そう締め括る
答えは変わらない、ボス、── 私は、虚構現実に向かう


【暫しの沈黙があった。言い切った上で、彼は少し落ち着いた声色を見せる】


──、分かっている。私の言葉は単なる八つ当たりだと、ボスの冷静な判断に従わない愚かしい行いだと、
だが、── 之は私の郷愁でもあった、あの、あの懐かしい憧憬を追い求める巡礼の度でもあるのだから
望郷の念に駆られてしまう、この現実は些か、私には刺激が強すぎた

安いセンチメンタリズムだ、── 三文オペラの脚本家にすら鼻で笑われてしまう
……従うよ、最終的な貴方の結論に、私は従う


897 : カニバディール ◆ZJHYHqfRdU :2018/06/28(木) 22:54:50 IBKicRNQ0
>>869
【彼の通った後には、この後しばらくの間は破落戸どもが避けて通るようになったという】
【無謀で愚かな者も多いが、臆病で鋭敏な者も多いのがこの路地裏だ。肉屋が店を構えるのに選んだほど、排他的なこの地区の住人は特に】
【故に、彼らにはわかる。自分たちを脅しまわった男の恐ろしさが。当然、彼が訪ねた店の主人にも】

【倫理も人格も歪に破綻した悪党だが、いやそれ故にか、肉屋としての自分には生真面目なほどに気を遣った】
【定期的に自ら清掃に訪れ、商品の管理を行い、設備の整備点検を欠かさない】

【失った自分の過去を、そこに保全しようとするかの如く。この場が、この異形の心象の具現であるかの如く】


【狂気の店の来客は、彼の想像通りまともではない。魔術の材料を求めてくる者もいれば、変態的欲求を満たしに来る者もいる】
【おおむね、そうした狂気的な需要に答えるためのラインナップであったが、その大量の蛇は店主自身のここ最近のトレンドだ】
【無論、その大半は店主自身の胃袋の中に消えていたが。奇特な客が買っていくことも数回あった】
【今回の来客には、それが望めるのかどうか】

【それはともあれ、少しの間。かのパグロームさえも引く営業スマイルは、ゆっくりと引っ込められた】


……探すのに苦労するからこそ、ここを選んだんだ。排他的であればこそ、情報も出回りにくくなるからな

こちらこそ、恐ろしい評判はいくつも耳にしているよパグローム。商売柄、裏社会の勢力としてカルト教団の噂を聞くこともしばしばだったが
それを徹底的に蹂躙し、破壊し尽くす男。どこぞの可哀想な巫女様に、言い放ってやったそうじゃないか

〝お前らの信仰は無意味で、お前の存在は無価値だってただそれだけを知って欲しいんだ〟
……痺れるね。大物だなどと、とんでもない。お前のそれに比べれば、私の悪名などちっぽけなものだ

ふ、ふ。マイブームといやつだ。私は臆病なものでね。恐ろしいと思ったものは、可能な限り排除したくなる
蛇が新たな恐怖の象徴、神話の礎になるというなら、まずは蛇そのものに慣れるべきだと考えた
そのためには、やはりこれが一番手っ取り早い。食するということは究極の消費であり、その対象をより身近にする有効な手段だ

……何より、ここ最近は下水道のドブネズミか、私ですら口にしたくないほど不味い蛇教徒どもの肉しか食っていなかったのでね
あれらに比べれば、蛇肉はまだしもマシだ。蛇教徒どもは『修行』生活のせいで本当に肉の質が落ちていたからな……
研究を重ねて、ようやくあの脳みそシャーベットを開発したところだ


いやいや、それはありがたい。是非いただきたいね。肉の加工には慣れていても、酒作りには疎くて蛇酒はまだ研究途上なんだ

【あの決戦の折も、彼の余裕は崩れてはいなかった。汗の一つもかかず、全てが日常の延長だとばかりに】

(何より……この男は背後関係がまるでわからない)
(単独で活動しているのか、組織だっているのかすらも。正体がわからないものほど、恐ろしいものはない……)

それで……わざわざ私を探してやってきた以上は、何か用があってのことかね?
お前が叩き落すはずだった生贄たちが、私の横槍で生き延びたことで彼奴等の儀式は完成してしまった……
そのことに対してのお礼参りかと、正直今も肝を冷やし続けているのだが。そういうわけでもないらしいな?


898 : 名無しさん :2018/06/28(木) 23:00:03 WVzMYTc.0
>>894

【――彼の言葉に少女はきっと舌打ちをするのだろう。思い出してしまったというような目だった。気に入らないことがあるみたいに、鋭くなって】

ロングスリーパーなんです。八時間睡眠が人権あるとか嘘ですね。
…………あれ。マルフィクと知り合いですか。世界狭いですねえ、――…………。

【であれば――次いで浮かべるのはどうしたって鋭さの残る/目立つものになる。よく研いだ刃みたいに鋭く冷たい笑み、浮かべたなら】
【言葉のお終いはきっと隠し通せない怒り、無念、みたいなものに彩られる。――であれば分からすかもしれなかった、"その話"はきっと、後がいい】
【情報を聞き出すのが目的であるならば、余計に、だ。――それらの話をしたならきっと彼女は怒り狂って話になんてならなくなる。特に――――彼が手にかけた"サビク"のことは】

そうですね――――美しく気高いウヌクアルハイ様のためにお仕えできるのです、それ以外のことにどれだけの価値があるでしょうか?
カノッサにも神が居ると聞きましたが。――その様子だと我らがウヌクアルハイ様には到底及ばぬ神格であられる。蛇でないことを祈りましょう。
全ての蛇神はウヌクアルハイ様が持つ化身の一つに過ぎず。――あなた方の神がウヌクアルハイ様の中に存在することを思うと、なんていうか、ムカつくので。

ただでさえ――――――。

――あははっ、色気も食い気も一緒じゃないですか。どっちだって"喰う"って言うんだから。

【思い返してしまったなら少女は嘲るように神への言葉を連ねる。分かっていて相手らのもとに"おわす"神を嘲笑するのだろう、それはどこか仕返しにも似ている様子であったなら】
【――この場所に閉じ込められてから何度か自身の信じる神を他者によって侮蔑されているから、なんだけど。どこかやけっぱちにも似ていた、いっとう憎い顔をしたなら】
【それを誤魔化すかのように笑ってやる、――次の刹那には冷え切った無表情になっている。睨みつける色合いだけが変わらず、闖入者をじっと見据えて】

インタビューですか。そんなのに応じる目立ちたがり屋が蛇教(うち)に居たんですね、知りませんでした。…………。

【――――――返した言葉が、途切れる。質問事項が増えた、との言葉のせいであるように、見えたなら】

そうですね。朝を迎えたときに私が死んでいたら"狼"が発狂するかと思いますよ。――――あはは、賢いですね。善い決断です。ていうか、笑っちゃいますもん。
こんな夜更けにダクトから出てきた闖入者がヤることヤって帰ってったらギャグにすらなりませんよ、――ですのでそれがよろしい。
――――――味見ですか。文字通りの意味合いですかね? 殺るより犯るより"どうかと"思いますけど。

【マゼンタの瞳が細められるのだろう。殺すと犯すは理解がある。――理解、というか、まだ"分かる"。けれどそこで食欲を向けて来る人間は、初めて見るのかもしれない】
【わずかに表情が褪めたように見えた――どうかと思います、と、伝えるときの声。どこか冷たくなって、転瞬】

…………知りませんよ。ほんとに知りませんね。これが嘘を吐いている顔に見えますかね? 名前と顔ぐらいしか知らないです。
今どこに居るのかが分かるのは"私だけです"。――私はここに居ますから。それ以外の幹部はウヌクアルハイ様の下へお呼ばれになったか、――行方不明です。

離反者が居るとは聞きました。――愚かしいことです、その程度の信心でオフィウクスの座に居た、ということのみで断罪されて然るべきかと。

【――少しの間。けれど彼女は答えるのだろう。答えぬというのを許されていないのを分かっている。味見――という言葉の意味も言葉通りであるなら、あまり良くはない】
【本当に知らないことでへずられ食われるくらいなら答えてやる、という顔をしていた。――といっても表情はひどく軽やかで、本当だか嘘だかもよく分からない、のだけど】
【"なんにもしらない"――それが彼女の答えであった。しいて言えば役職名でない名前を言えるくらいだ。機密主義が過ぎる――彼の推測はただしかった。ゆえに、壊滅した】

【――――ただ、知っていること全部は、言っていない。特に彼女が把握している"そのうち一人の目的"については、全く触れずに】


899 : ◆XLNm0nfgzs :2018/06/28(木) 23:02:21 BRNVt/Aw0
>>874 >>888

【つがるは夕月が抗議をスルーして厳島と話し始めたのを見ると、夕月ちゃんってばー!もうー!なんて頬を膨らませて】
【厳島が何やら少し呆れてる事にも気付くと】

ち、違いますからね!?さっきはボーッとしてただけで本当は野菜とかちゃんと切れるし!お魚だって開くくらいなら出来ますから!
【料理が出来ないと思われた事がちょっと心外だったのか慌てて弁明する】

【そうして話は仕切り直し、鈴音の精神が参っていた話、それからイルという病魔の話をされて】

……えーと、鈴音ちゃんの事はそのイルって奴も一枚噛んでるって事なんですね?
精神が参っていたのは知ってたけどそこまでは知らなかったな……


この世界の勢力!
まずは『黒幕』と『円卓』ですよね!
さっき夕月ちゃんに教えてもらいました!
後は黒幕派に付随する形で『機関』があって……それから今だと『蟲の魔族』もいましたっけ?
【敵対する組織とかはそんな感じですかね?とつがるは首を傾げて】


900 : ◆S6ROLCWdjI :2018/06/28(木) 23:11:16 WMHqDivw0
>>895

二か月……。それは、また、……探し人?
それはそんなに厳しいものなのかい、ふたつきもそうして探して、まだ見つからないなんて……
……あの、よければ僕。こう見えても顔は広いほうなんだ、だから、

【「よければ手伝わせてくれないか」――言ってみるけど、正直、素直に受け取ってくれる精神状態じゃないような】
【そんな気もする、目の前の彼女。ひどく憔悴しきった顔。見るだけで此方も具合が悪くなりそう】
【それでもなんとか助けたいと思う、同胞であるからとか、それ以前に。見ていられない、あまりにも痛々しすぎて】

……代金なんて構わないよ。それこそ「そんな場合」じゃないだろう?
ねえ貴女、貴女自身が思っているより――状態が酷いよ、……休め、とは言えないけれど。
その探し人、よほど大切なんだろう? そんなになるまで、……なるんだったら。

やっぱり僕も手伝うよ。ね、その人の情報を教えてはくれないかい?
見た目とか、名前とか――僕の「仲間」にそれを拡散して、何か情報が入り次第貴女に伝えよう。
約束する。僕はエレイン、姓は切添、名がエレインと言うんだけど――貴女の名前は?

【――――決意すればややも強引に話を進め始める。名乗るは櫻の響きが含まれる姓で】
【そうであるなら――見た目によらず頑固な面も持ち合わせる、というのにも多少納得はいくだろうか】
【それにしては少々価値観が古臭いような。どこか年寄りめいて意固地っぽいところも見えるというか】
【……そういうお節介が、「要らぬ世話」として受け取られるかどうか、とか。まったく考えてないっぽい】


901 : アリア ◆1miRGmvwjU :2018/06/28(木) 23:27:21 o6XMS57s0
>>893



「 ── 私を、嘘吐きと罵るのなら」「貴女も立派な嘘吐きよ。かえで。」



【最早それは交渉の体を為していなかった。隠せないものをただただ打ちまける、乱暴な繰言みたいなもので。】
【白銀の髪が、かえでの流す涙に濡れる。いつかの夜みたいに、藤色と白色が絡み合う。けれど其んなのは未練がましい追憶だったから。】
【 ── そんな感情に縋るくらいにはおかしくなっていた。理由なんて分からない。勢いのまま言葉だけが溢れてくる。チタンの脳殻の奥で、刺し抉るように脳が痛んだ。】




「ねえ貴女の願いは何なのかしら。貴女の信じる神を呼び戻すため、貴女は何を望んでいるの。」
「ねえそんな顔をしないで。」「泣かないで。」「叫ばないで。」「怒らないで。」「 ── 私も、そうしたくなってしまうから。」




【 ── 次に瞬きをした刹那には、泣き出してしまいそうな顔をしているのだろう。振り払われた真白い手指の甲から、微かに擦れた傷口より、真っ赤な血が一筋だけ】
【手首まで伸びて、ぽたりぽたり、シーツに落ちて紅く彩る。破瓜の跡みたいに。だからアリアは、 ── 血に濡れた指先を、唐突にかえでの首筋に伸ばし】
【そのまま掌ごと鷲掴みにして、締め上げようとするだろう。泣き出しそうな顔のまま。自分のモノにならないのなら、いっそ殺してしまえばいいって、言わんばかりに】
【かえでの身体をベッドに押し付けて、 ── そのまま背中に刻んだ指先、もっと抉り出すように、心臓まで捕らえてしまえるくらいに、力を込める。】
【白い喉は不気味なくらいに歪ませて、容赦なく気道を塞ぎ脊椎さえ軋ませて、ほんの少し少し力を入れれば/あと少し長く続いていれば、間違いなく死んでいたくらいに】
【 ── けれども其れは本当の殺意ではなかったのかもしれない。最後の最後、虚脱感という静脈注射を打ち込まれたみたいに、 ── ふ、と指先、刹那のうち、力が抜ける。】
【そして縋るように抱きつこうとするのだろう。涙でも流すみたいに、嗚咽を止められないみたいに、時折ばかり身体を震わせる。きっと赤く染まった肩口に、そっと唇を寄せて。】



「ねえ貴女の願いなら叶えてあげられる。」「貴女への償いになにか裏切ったっていい。」
「 ── これから、貴女が、何をしたいのか。」「それだけで良いから、教えてほしいの。」



【 ─── ならば思い出すかもしれない。今のかえでが如何ばかりであっても、少なくともアリアはかえでに対して、特別に目をかけていたということ。】
【利用することは、 ── できる、だろうか。或いは泣き言に等しい言葉の数々さえ、彼女の偽りであるのかもしれないけれど。ただ呼吸だけが荒かった。】


902 : 名無しさん :2018/06/28(木) 23:28:37 WVzMYTc.0
>>900

…………そうです。いろんな場所を探したのですけれど、――……一向に、見つからなくて。
同い年の子なんです。この間が誕生日で。――――あら、まあ、"手伝って"くださられるんですか? …………結構です。

そのような案件ではないかもしれませんので。――わたくしが自分でやります。これでも"こちら側"ですの、ですので、――今回のことは迂闊でしたわ。

【焦燥しきった目元――を手でぐしり、と、拭う。そうしたなら大きめの溜息一つ。――そうしてぽつぽつと並べたのは、――ひどく愛しげな声であった、ささめくよう】
【――だった声が、一気に冷え込んで、彼を拒絶する。――顔が広い程度でどうにかなる案件ではないかもしれないと口にした。続く言葉は、ひどく嘘みたい】
【だからこそきっとひどく言葉通りの顔をしているに違いなかった。――迂闊だった。自分自身を責めたなら、肩甲骨ほどまでの髪の毛、ぐしゃりと自分の手で乱す】

………………いいえ。休んでいる暇などありませんの、お気持ちはありがたいのですけど。
……その"お仲間"とやらもよく分かりませんので。ひどく申し訳ないのですけれど、――――――信用できないです。

"あの子"を出どころも分からぬ方々にお任せしようと思うほど、落ちぶれてはおりませんので。

【――――少し伸びたままにされた髪越しに鮮やかな青りんご色の瞳が彼を見るんだろう。ならばきっと拒絶の色をしていた。言葉を重ねて何度も彼を拒絶していく】
【今度の理由は"彼の言う仲間が信用できない"――というものであった。どこか言い捨てるような口ぶりは心底そう思っていると言う証拠になるだろうか】
【助けてもらったことに恩は感じている。その分くらいは礼として金を払うつもりはあるが、それ以上のことは干渉してほしくないし放っておいてほしい。主張していくなら】
【ひどく執心であるのを透かしていた。――よほど大事な人物であるのだろう。そしてよほど変な状況に巻き込まれているのかもしれない、と、思わせるのだろうか】

…………――はあ、二谷音々子です。今宵のことは感謝しております。ですが、それとこれは別の問題ですわ、……このことはわたくしがやります。

【――けれど彼女は最終的に根負けしたように、自身の名前は伝えるだろう。もし彼が裏側のことに精通しているなら、――娼婦であった。それも割と特殊な、というか、】
【噂によると人当りが悪すぎて人付き合いも悪すぎてそのくせ客相手にはすっごい人懐こくてという二面性がひどすぎてハブられまくって――めっちゃハブられて、】
【路地裏の中でも特に治安の悪い地域あたりまで縄張りを追い込まれたとか、なんか、いろいろ好き勝手言われている人物の名前、であったから】

【――――――もう一度重ねる。であればアプローチの仕方の問題かもしれない。信用できない、と、彼女は重ねて彼に言っていたのだから】


903 : ◆S6ROLCWdjI :2018/06/28(木) 23:47:22 WMHqDivw0
>>902

迂闊なことをしてしまうくらい余裕がなくなっているんだろう、だからだよ。
猶更貴女ひとりでやらせるわけにはいかない――――はっきり言うよ、「迷惑」なんだ。
また迂闊なことやられてしまえば、「僕ら」と「人間」の間、長年かけて築いてきたものが、壊されてしまうかもしれない。

【拒絶されたら多少むっとしたようで。それでも困り顔はそのままに――今度ははっきり言ってしまう】
【こうだから困るっていうこと、包み隠さず。そうすれば多少はたじろいでもらえるとでも思ったのか】
【弱気そうな顔から出るには少々当たりの強めな言葉だった。……それも受け取ってもらえるか、わからないが】

……、……出処がわかれば、安心できるかい? ならば言おう、……そうだ、貴女も同胞なんだから。
隠す必要なんて最初からなかったのかもしれないな。――――「Freaks Fes」。表向きには大衆食堂。
だけど本当の顔は――店員が「ひとでなし」だけで構成されている、「ひとでなし」のための組織だよ。

どうかな、こういう組織に属しているんだけど――言った通りに顔は広いよ、……知り合いの種族も様々。
僕らのような夜の眷属は勿論、人間では出入りできないような文字通りの異世界に行けるような者まで。
各種取り揃えておりますけれど――――如何かな、まだ信用できない?

【――――これで信用できないと言われても、まあ、仕方のないことではあった。秘密結社的な組織であるなら】
【その名前を出したところで知らないって言われるだろうし、知らないものを信用しろというのもどだい無理な話だろう】
【けれどこれは、こればっかりは本気だって。困りきった顔がそれでも意地になって言い張っていた、信じてくれ、と】


904 : 名無しさん :2018/06/28(木) 23:59:49 WVzMYTc.0
>>901

――――――っ、っっ、被害者ぶるなよ!

【すでに頭に血が昇りきったあとであったなら。いろんな思考は無意味であった、ただぱっと思い浮かんだ言葉を吐き出すだけの、子供の喧嘩のような様相】
【真っ赤に染め上げた顔を涙で濡らしたのを薄い薄い藤色の毛先で彩る。――かぁと真っ赤になった思考の中に自分が加害者であるという意識はない、ううん、多分、ずっと前から】
【自分はずうと神様のために頑張ってきた。うんとうんと頑張ってきた。だから報われるはずだった。救われるはずだった。――――その神を横から攫われてしまった】

【――それが彼女の怒りであった、丁寧に丁寧に育ててきたセーブデータ。それをある日まったく無断で以って"改造"されてしまって、全部、全部、ちぐはぐな数字にされたような】

私が望むんじゃない、――ッ、お前たちが穢したんだ、私たちの望んでいたウヌクアルハイ様を! それを取り戻すだけなのに!
自分たちが壊したくせして偉ぶるな、譲歩してやるみたいな顔して囀るなよッ、――だったらあの日に来ないでいればよかっただけでしょう! 
――――あの時来なければっ――、違うやつだったなら! 殺せた、私なら、問題なかった、――ウヌクアルハイ様の儀式をお護りすることが出来たのに!

どうしてそんな顔が出来るの!? ――"おまえたち"はそんな顔する権利なんてない! 私たちが、――私たちが傷つけられた、傷つけたのはそっちなのに!
――こんな結果では死んだ者たちに顔向けできない。正しいウヌクアルハイ様を今すぐにでも取り戻さないといけな――――――――ァ、かっ、

【――――――あるいはそれは堂々巡りであった、決して交わらない平行線のやり取り。そもそも彼女は自分たちが被害を受けた、と信じているなら】
【今更ながらに取り戻すために何を願う、と、聞かれても。――そんなのはあの日に妨害されぬIFでしかなかった。"こう"なったなら、他に道はない、すなわち】
【"正しい神様"を取り戻す。――最初に邪魔をしたやつが。壊したやつが。今更何を言うのかと喚く、涙でぎらぎら光る眼で睨みつけた、その瞬間、伸びる手に気づいたなら】

――――――――ぐ、う、ぅ、――っ、ぁ゛、――ッ、っ。

【――首筋を掴まれる。そのままベッドに押し込まれたなら、ベッドのスプリングの軋む音。あるいは少女の首の骨が軋むような感覚、伝わるのだろうか】
【相手がほんの力を、或いは体重を、籠めたなら。そのままボキリと折れてしまいそうだった、――絞める手に爪が立てられる、身体の中に残った空気が行き場をなくして喚く】
【その半分に包帯の巻きつけられた真っ白の足が苦しげにもがいて純白のシーツを乱した、――怒りによる興奮とは違った色合いで真っ赤になった顔、首筋を解放されれば】
【内臓を全部吐き出してしまいそうなくらいに咳込んでえずく、白いシーツにぽたぽた、と、唾液を滴らせたなら。――ぎりぎりと音さえしそうなほど、歯を噛み締めて】

――――はッ、あ、――、は、――――ふ、ッ、あ、……、っ、っ、つ、――、ッ、ッ、
あはっ、あははっ、――あははは! じゃ、――ふふっ、私の犬になってくださいよう、ねぇ? 私のとこで、尻尾振ってください、よぉ。――、
私ね、"躾ける"の"上手"なんですよ。だから――――、――、

――――――――さっきの人、裏切ってください。

【――――それこそ犬みたいに舌まで覗かせて呼吸する、その口元に溢れた唾液をきらめかせて、呼吸を整えるのは数十秒ほどだろうか、ひどく眉をひそめて】
【けれどその表情が全く差し代わる瞬間がある、――そうして少女は笑っていた、馬鹿げてることを言うみたいに、――それこそどうかしちゃったみたいな声、甘くささめかせ】
【ひどく追い込まれた獣みたいな目をしていた。だからこそひどく暴力的に笑うんだろう、――それこそ唆す蛇みたいに、獰猛でありながらどこか狡猾に、けれど――】

【(――きっと限りなく甘美に。それはあるいは罪の味を思い浮かべてしまった、脳みその幻想なのかも、しれないんだけど)


905 : ◆KWGiwP6EW2 :2018/06/29(金) 00:10:32 WMHqDivw0
>>896
【トンネルは、続いていく――互いの姿も見えない闇の中だからこそ、男の声音がまるで、火がついたように熱を感じる】
【全てを、そう文字通り、"全て"を失った彼。こちらの世にもあちらの世にも最早しがらみなどないのだと】
【彼の"自己"は、最早、虚神達に抗うと言うその意志のみ。これだけが彼の存在証明なのだ】
【だからこそ――彼の虚構の世界に一度は侵食されて尚もこの場に留まり続けている】

【凡そ人の感情と呼べるあらゆる要素が渦巻いて混ざり合っている】
【それは狂奔とも言えるだろう――そう、彼もまた、そうだ。男の率いるこの組織に、狂っていない者など一人もいないのだから】


つくづく人望がないな、私は。
本当にウチの連中は言うことを聞いてくれない。

良いよ。君が真にそれを実行するつもりならば、他の誰にも止められないだろう。
今や現実と空想の半ばにいる君の姿は、虚構の住人にすらおいそれと捉えられはしないだろうからね。


【咎めるような口調ではなかった。この男が怒るところなど見たことがないだろう】
【いつだって、どこぞの会社の事務員のような有様で、言葉を繋いでいく】

【今だって、決して男の気持ちに理解を示したりはしないのだ】
【まるで、あのジャ=ロの方が余程、人間の感情を知っているかのように】

【そうこの男にはカリスマ性はない】
【アジテーターとしての才は全く無いと言い切れるほどに、その言葉は誰の心にも全く響くことはない】
【この男と話すことは、自身の思考を口に出して考える作業にも似ていた】


勿論だ。
それが、かつて君を拾い上げた時の、契約内容なのだから。
約束しよう。最後にペンを執るのは君の役目だと。


【ひとしきりの気炎を吐き出して、幾分か冷静になった彼に、男はかつての約束を繰り返す】
【出会った頃から一歩も動くことのない座標に立ったままで】


でも、もう少し待って欲しい。
我々の道行きはまだ長い。生き急がずとも――彼らに立ち向かう機は、必ず訪れる。
ウヌクアルハイの打倒の先にも、戦いは続いているのだから。



【この男が戦うところを見たことがない】
【対人交渉で言えば、先に出会った八課の男の方が余程に上だろう】
【組織で運用されている技術も各々の組織員達が自らの分野で執り行っていて、この男が独力で組んだものなど、何一つないのだ】


【それでも、サクリレイジの長はこの男が務めている】
【組織の中の誰一人、それに異を唱えることなく】
【あらゆる技術を、あらゆる正義を、あらゆる悪行を淡々と浪費して、虚構の神々に立ち向かうためのプロトコルを組み上げ続けている】


【まるで、機械の仕掛けのように】


906 : 名無しさん :2018/06/29(金) 00:19:04 WVzMYTc.0
>>903

【その言葉を告げられた時。――きっと彼女はひどく"むっ"とするんだろう、彼がそうしたみたいに、――けれどそれより色鮮やかに】

――――そんなの関係ありませんわ、わたくし、"どちらでもないので"。
どちらの方々も純血がお好きでしょう、――後天的なハンパものですので、お気になさらず。どうぞ、都合が悪くなったらば切り捨ててくださいませ。

……。

【それは拗ねた子供のような仕草であった。明確に強い言葉で指摘されたならば、表向きに態度はそう変わらないのだけど、どうしたって、そんな色合いが混ざって来る】
【であれば紡ぐ言葉もまた、――どちらつかずであるのだからどちらにも配慮しない、と、無法者の意見。であればやはり"迂闊"なのだ、そんなのは"いうべきでない"】
【まして裏に生きているという女が言う言葉ではないはずだった。――どちらにも所属しないからどちらのルールにも縛られない、なんて、そんなズルいことは許されないのだから】

【――よってやはり彼女はどこまでも冷静ではない、という証拠になってしまう。変に取り繕って話すものだから、その違和感が余計にひどく浮彫になって】

――あら、聞いたことないです。人間のいらっしゃられない組織ですか、そうですわね、――それで、"そう"だったらば、どうなるのでしょう?
正義側であるのか違うのかさえ教えていただけない御様子ですので、余計にわたくしには分かりません、ヒトが居ないことは分かりました。ですが――、
各種取り揃えて、どちら側を向いていらっしゃられるのか教えていただけねば分かりませんことよ、――――。

【――そうして女はあんまりにあっさりと切り捨てた。それでいて――けれどこれもやはり一つの証明であった。いくらも調子のよくなった様子であったなら】
【本当に信用できずに気に喰わないなら立ち去ってしまうこと、出来たはず。――それでもまだそこに残っていることこそが、もはや、彼女自身自分の手に負えない気づきの証明であり】
【ただしく信用できると思ったなら、――あるいは、と、思っている証明。ぎりぎりの分水嶺を歩くみたいな賭けに近かった、出来るだけ、――そう、出来るだけ、誰かに頼りたくない】

【――――それでいて、もう、本当に、一人ではほんのちっちゃな灯すら見えないくらい、絶望しかけている。けれど素直でないのは、彼女の性格の損なのだけど】


907 : 院長中身 ◆zO7JlnSovk :2018/06/29(金) 00:39:20 IOm5i1oI0
>>905



【──、それでも、だからこそ、私は貴方に付き従うとゴーストライターは告げるのだろう】



【有能な人物も、カリスマのある人物も、山ほど居た。狂気の研究者など掃いて捨てるほど】
【だが、滅んだ。けれども滅亡した。それならば、彼の生きる道理は最早理ではない】



【狂ってなどいない。── 最初から、間違っていたただけのこと】



すまない、ボス。── 恩に着る。私には最早、その言葉を正しく捉えられてはいない、が
また直ぐに虚構現実への橋渡しを準備する、── 折衷案と行こう、私もボスの顔を立てたい。
何人か使える人物を見繕ってくれ、私が虚構現実に惹かれそうになったなら、それを止める人物

そして虚数と虚構の狭間で尚、正気を保てる逸材と── 使える人材ならば、サクリレイジの外でも構わない

これは私の妄執だ、けれども、私の妄執であらせてくれたのは、ボス、── 貴方の作用だ。
私は知っている、貴方は、この基底現実に於いても異分子である、と
そして、── 私は知っている、その異分子こそが、私にとっての実数である、と


【長いトンネルの終わりが見えた。差し込む月の灯り、それは果てしない朝焼けに似て、】
【靡くかすかな可能性を描く、静かな、どこか静かな心持ちをしていた】
【座り込む凪の湖畔。── 美しきせせらぎを、ずっと聞いていたかった】


分かった、分かっている、── 死に急がないよ、大丈夫。全ての準備が整うまで
その時が来たなら、私は再び虚構現実へと向かう。すべてを打開する方法は、そこに残っている
険しい道のりだろう、けれども、── 待っているより、何倍もマシだから




── ありがとう、信じてくれて。貴方と会えて、良かった、




【­


908 : ◆X6pHyBiUKs :2018/06/29(金) 00:40:10 WMHqDivw0
>>897
【盗賊団『スクラップズ』の首領、カニバディール】
【今までにも数多の事件を引き起こし、或いは関わって、敵も、味方も数多に築き上げて来た男】
【その人脈の豊さと、それを利用して来た悪行の数々は枚挙に暇がない】

【組織から提供された資料は、表向きのものだけでも分厚い紙束であり、読むのにうんざりした程だ】
【最早人間と形容して良いのかすら分からない、その異形の有様を見て、男が思ったのは】

【――こいつひょっとして年下か?と言う有り触れた感想であった】


クックック……意外と自虐的な男だなんてのも聞いたモンだが。
そのでかい図体でノミの心臓じゃア、不便だろう?

って、そんな恥ずかしい話を知られているとは不覚だな。アレは失敗だったんだよ。
あの巫女は殺し損ねちまった。
自分を祀り上げる信者どもに騙されて、身も心も自分の居場所も、何もかもを犯され奪われ搾取され、それでも神を信じたあの娘が、何だか哀れになっちまってよ……
正義感で、教団を追い込んでやったら……あいつらと来たら、全部の責任を巫女に押し付けて、殺しちまった。口々に"お前のせいだ"、"騙されたんだ"って叫んでな。
連中が俺に差し出した生首のツラと来たら……イヤァ、カナシイ。悲劇だなコレは。

そう言えば、サーペント・カルトの幹部にもそれくらいの美少女がいてなァ……ちょっと懐かしくなっちまったよ、ボカァ。クヒヒッ……


【横柄に椅子に座った。人肉を食べる趣味はないのだが。せっかくだから蛇の料理の一つでも頂こうかとショーケースを眺めている】
【傍目には異常さばかりが際立っているのだが、用意されている品の中には値千金の価値を持つものもある】
【この男がもしも商売に誠実であるのであれば、垂涎ものの逸品も有るに違いない】


エコ精神が豊かじゃないか、カニバディール君。
俺には真似できねェェエェよォ!ゴミの喰い方を研究するなんてよ。
ドブネズミの方が、まだこの星の仲間だって分喰い易いってモンだ。

【男に取って、その死体は人肉ですらなく。この世に肉片一つでも遺っていることが許容し難い、芥なのだ】
【苛立った目端のヒクつきを隠そうともしないその様、今にでも銃を取り出しそうにさえ見えたが】
【しかし、この男と話しに来たと言う最初の目的を、忘れることはなく、男にしてみれば最大限、相手に取っては最低限の礼として武器を持ち出すことはなかった】



……あん時はしてやられた。
これは忠告なんだがな、カニバディール。
悪党が慣れないことをするんじゃアねェよ。
大体そいつは上手く行かないんだ。


【それは過日の己にも言うべき言葉だっただろう】
【名も知らぬ連中と共闘しようなどと】
【普段ならばまず考えないその思考に至ったことが失態だったと、この男は思っている】


あー、言いたいことね。ウン、アルヨ。
舌の根も乾かん内からのご提案なんだがね。


――この肉屋の商品に、神の肉を並べてみる気はねェかい?


909 : 院長中身 ◆zO7JlnSovk :2018/06/29(金) 00:41:59 IOm5i1oI0
>>905

>>905



【──、それでも、だからこそ、私は貴方に付き従うとゴーストライターは告げるのだろう】



【有能な人物も、カリスマのある人物も、山ほど居た。狂気の研究者など掃いて捨てるほど】
【だが、滅んだ。けれども滅亡した。それならば、彼の生きる道理は最早理ではない】



【狂ってなどいない。── 最初から、間違っていたただけのこと】



すまない、ボス。── 恩に着る。私には最早、その言葉を正しく捉えられてはいない、が
また直ぐに虚構現実への橋渡しを準備する、── 折衷案と行こう、私もボスの顔を立てたい。
何人か使える人物を見繕ってくれ、私が虚構現実に惹かれそうになったなら、それを止める人物

そして虚数と虚構の狭間で尚、正気を保てる逸材と── 使える人材ならば、サクリレイジの外でも構わない

これは私の妄執だ、けれども、私の妄執であらせてくれたのは、ボス、── 貴方の作用だ。
私は知っている、貴方は、この基底現実に於いても異分子である、と
そして、── 私は知っている、その異分子こそが、私にとっての実数である、と


【長いトンネルの終わりが見えた。差し込む月の灯り、それは果てしない朝焼けに似て、】
【靡くかすかな可能性を描く、静かな、どこか静かな心持ちをしていた】
【座り込む凪の湖畔。── 美しきせせらぎを、ずっと聞いていたかった】


分かった、分かっている、── 死に急がないよ、大丈夫。全ての準備が整うまで
その時が来たなら、私は再び虚構現実へと向かう。すべてを打開する方法は、そこに残っている
険しい道のりだろう、けれども、── 待っているより、何倍もマシだから




── ありがとう、信じてくれて。貴方と会えて、良かった、




【­


910 : カニバディール ◆ZJHYHqfRdU :2018/06/29(金) 01:06:23 IBKicRNQ0
>>898
【わからないことには触れない。彼女の舌打ちにも視線の変化にも意味はあるのだろうが。自分は全知などではないのだ】

意外と健康的じゃあないか。アレクサンデルは十日も寝ずに儀式の仕切りをやってきたと聞いていたから
てっきり、誰しも寝る間を惜しんで信仰に勤しんでいるものだと思っていたよ

彼奴が蛇教入りする前、『泥の街』に居た頃のほんのわずかな間の縁だったがな
(……こいつらに仲間意識などというものがあったのかどうかは知らんが……マルタで私がやったことに関しては、最後の隠し玉にしておくべきか)

【その笑みの鋭さは、やはりまだ彼女が自分に届き得る刃を持っていると思わせられる】
【同時に、言葉の裏の無念さも確信は出来ずとも感じ取れた。他がどうだったのかは知らないが、少なくとも彼女は】
【他の幹部の戦死に対して、少なからず悔しさを覚えている。ならば、〝アレ〟を使うのは最後の最後だ】

……信徒という存在には幾度かあったことはあるが、お前たちはその中でも飛び切りだよ
まるで競走馬の斜眼帯だ。前しか見ていない

ああ、こちらの神は自称だったり都合よく使っていたり、その程度だ。当然、蛇神でもないからそこは安心してくれていい
機関はそのものが混沌とでも言うべき、あらゆる人種が集う玉石混交だからな。みんなで同じ神を信仰するなど、出来ようはずもない

……どうやら、ここの連中もお前の信仰を尊重してはくれないらしいな
ふ、ふふ、言われてみればそうだな。色欲も食欲も、表裏一体かもしれない

【神への嘲笑も、この異形には大した影響はない。内側にひそやかな信仰心は抱えていても、それはカノッサの神へのものではなく】
【嘲り、怒り、誤魔化し、無とコロコロと変わる彼女の表情に、醜悪な笑みのみで答えて】


ああ、お前の部隊とは別に生贄調達に来ていたところをな。強情だったが、自白剤まで使ってどうにか多少は聞き出せた

〝狼〟……お前の死で発狂までいくとは、よほどお前のご執心の奴がいるらしい
ふ、ふ。全くだ。女一人襲うために、こんな労力をかける奴がいたら喜劇だよ

そうだとも、文字通りの意味だ。お前たちのところの下っ端は、揃って味が悪かったのでね
若いお前なら、多少は肉質にも期待が持てる。この通り、殺ったり犯ったりの範疇に収まるほど、〝まとも〟じゃあないのでね

【ジト目、とでもいうのか。ともあれ、絵面としては自然だろう。彼女は確かに今でもカルトの幹部の一人だが】
【少なくとも見た目の上では、異形の怪物とか弱い少女。どちらが正常に見えるかなど言うまでもない】


……そうだな、少なくとも〝言っていること〟に嘘はないようだ
同じ組織の幹部を名前と顔くらいしか知らない、というのはどうかと思うが。そういうところが、お前たちの組織としての弱点だったのだろうな

離反者……それは初耳だ。幹部の一人が壊滅に際して裏切りとはな

【狼。その存在を知ったカニバディールは、さらに慎重を期する。出来れば、傷つけない方が後々が楽そうだ、と判断した】
【軽い態度はそのままで、どうにも疑念はぬぐえないが。少なくとも、彼女の信仰にとって不利なことでなければ、答えは得られる】
【盗賊らしい、損得勘定の考え方である】

……マルタでの儀式に際して、中心にあったケバルライとやらは違うだろうな
残る二人……離反したとしたら。ラサルハグェ。イル=ナイトウィッシュ。当たっているかね?

彼奴とは、カルトとは関係なく私の敵だ。彼奴のことについてなら、話してくれる気もあるか?
蛇教の教えに背いてまで、彼奴は何をするつもりだ? お前たちの神が変質させられたことと、何か関係があるんじゃあないか?

【強引な推測ではあったが、同時に根拠もあった。あの奔放で、どこまでも人間を見下していた病魔なら】
【己の思惑の為に、カルトを最も露骨に使い捨てることもあり得るだろうと】


911 : ◆KWGiwP6EW2 :2018/06/29(金) 01:07:56 WMHqDivw0
>>909
ああ、ああ、準備は全て滞りなく進めよう。
グランギニョルを終わらせるために。

お礼など必要ないよ、"プッチーニ"
君にも感情を吐き出す場が必要だ。

例え、君が不要だと口にしてもね。

【何の由来か。それは男がゴーストライターにつけた愛称だった】
【無論、二人の時以外に口にすることなどないのだが】


【やがて、トンネルを抜け、再び車内に光が灯る】
【"外套の男"の姿は既になく――その証のように、先程まで書き差していた召喚状も消えてなくなっていた】


【後に残されたのは、組織の長である、平凡な容貌をした、黒髪の女のみ】
【女は静かに椅子に背を預け、水の国に至るまでの列車の音に、耳を澄ましているのだった】

そう、"滞りなく進める"。
足りない部品が有るのなら、私は何者にでもなろう。


//お疲れ様でした!


912 : 名無しさん :2018/06/29(金) 01:45:11 lVI2.Eko0
>>910

"彼"は特殊でした。――私はお肌が荒れるので。これでも十七歳なんですよ? 未成年です。
学校に行っていたら女子高生なんですよ。――女子高生の寝ている部屋に忍び込むだなんてハンパありませんね、やっぱり変態ですか?

【――その言葉には隠せぬ敬意があった。彼女の場合は、――どうしても寝ておく必要があったのだ、"能力の精度が著しく低下する"ゆえに】
【けれどそれをいいやしなかった。その代わりにどうでもいい話題にすり替えて、――その癖に溢れてしまいそうな豊かな胸元も白い下着も隠さない、大雑把に見せつけて】

そうですか。誉め言葉として受け取っておきましょう。では尾っぽにリボンも結んでおきましょうか?
――あはは、よくもまあ、それで、やっていけますね? 私利私欲のために群れているだけではないですか? 蚊柱みたいですね――。

そうです。ひどいんです。祈っても怒られないので、それはいいですけど。

【少女はベッドの淵から足を垂らすようにして座っていた。彼がまだそこに立っているなら――まだじっと見上げているのだろう。であれば、】
【まーっしろな胸元の谷間なんて丸見えみたいなものなんだろうけど。――それにしたって本当に"そういう意味では"おじけづいていなかった。ふらり、と、爪先を揺らしたなら】
【――その違いはどこにあったんだろう。全く違う方向を見ながらもいつまでたっても滅ばぬ機関と、全く同じ方法を見ながらに、壊滅したカルト。それを辿れやしないけど】

でも、怖くないですか? 自分が殺してない村人が朝死んでたら狼もビビると思いますよ。まあ――、自分で言うのもなんですが、割と上玉だとは思いますよ?
おっぱい大きいですし。顔もかわいいですよね? 肌だって真っ白です。すべすべだし――いい匂いだってしますよ? まあ、いつものシャンプーじゃないですけど。
それに何にも準備も要らないですよ。――孕まないので。後腐れなしです。一回ヤったくらいで彼女ヅラもしませんよ、割と好物件かと――、

……――はあ、レイプ魔の方がよっぽどマシですって。

【冗談めかして笑ったなら少女はキャミソールの中にゆるく収まった双丘を腕で挟んで寄せるんだろう、真っ白な柔らかさをきゅう、と、持ち上げて】
【それから見上げる目つきは、――こんな場でなければ、男のほとんどが"誘われた"と思うような顔であるのだろう。もちろんそれが相手に通用すると思っていないけど】
【指先が胸からついと降りてきゅうと細いウェストを撫ぜてから太ももへ。それから伸ばした足先までつー、っと、愛撫のように擽っていく。にんまり笑った、――嘲るように】

……そうですね、ラサルハグェは離反したと聞きましたが。敵ですか、そうですか、私も割と嫌いですが。
………………知りませんよ。ラサルハグェとは一度しか話したことがありません。目的はあるようでしたが――、――そうですね、叶ったのでは?

前以って知っていたなら殺していました。――それが答えではいけませんか?

【――――ち、と、心中で舌打ちする。相手の言葉は的確すぎた、――今サーペント・カルトにおいて残っている幹部は二人であった。彼はそれをぴたりと言い当てて】
【相手の言葉に乗りきでなく肯定をくれてやるだろう。――あんまり仲は良くなかったのだろうと思わせた、であれば。顔と名前しか知らない程度の幹部同士、不仲もあったのだと】
【であればより一層組織としては不安定だったのかもしれないと思わせた。――というよりかは、彼の知る限りの"イル=ナイトウィッシュ"は、ニンゲンと仲良くはしなさそうだけど】

【――であれば重大なのはそれに続く言葉であった。イル=ナイトウィッシュには目的があった。――それは叶った。それを前以て知っていたなら、あらかじめ、殺していた】
【それが彼女の答えであった。――憎々しい感情が隠し切れずにわずかに滲む。はあと吐き出した息は、――わずかに荒々しく震えて、だから、本当のことだと思わせる】


913 : 厳島の中 ◆zlCN2ONzFo :2018/06/29(金) 14:34:09 6.kk0qdE0
>>888>>899

「君が料理が出来るとは、意外だな」
「だが、真に料理が上手い者は、包丁を使っている最中考え事はしない物だ、今後は良く気を付けるんだ」

【つがると料理、少々結びつかないイメージのためかここは心底意外な顔と】
【そして念の為の忠告をする、といっても如何に料理が出来るとはいえ何人もいる子供の給食を少女二人で賄おうとはやはり難しいのかもしれない】

「ああ、レシピは完璧だ、勿論子供向けに辛くない船のレシピを選ぼう」
「そうだな、海老や帆立の海鮮具材、意外と豚肉も喜ばれるだろう」
「果物や乳製品、ハチミツも使って、ついでにサラダも付け合わせに作るといいだろう」

【たんぽぽの子供達への給食は、鈴音の帰る場所を守る意味も大きいのだろう】
【夕月やつがるのやる気も十分に感じられる微笑ましい部分だ、思わず頬が緩む】
【だが、もう一方の話では……】

「なるほど、二人とも良く知っているな」
「夕月が教えていたのか……さて、夕月、そもそも君は何故こんな事を知っているのか、聞いても良いかい?」

【一瞬、鋭く反応する一つの瞳、それはそのまま、口調はなるべく優しい物を選んだつもりだが】
【やはり、この少女は普通の境遇では無いのかもしれない、と】
【そして……】

「概ねの大きな世界を揺るがす勢力は、そうだなここに蟲の魔族と、そしてイル達旧き異世界の神々を加えた物になるだろう」
「そしてそれ以外の企業の行動特にオーウェル社、ハルモ二―社、そしてレヴォル社」
「あくまで、現状、私が把握している物だが……」

【ペンで紙の何処にも属さない部分に、その三つの円、蟲とイル、レヴォル社を書き加え】
【黒幕の下の部分にオーウェル社とハルモ二―社の二つの円を書き加えた】
【そしてそこから、対抗する様に幾つかの円を描いてゆく】
【そしてつがるの言葉に】

「ああ、だがそれは表面の結果部分、概要に過ぎない」
「この話を語るならば、その周辺、この部分に関しても深く言及しなければならない」
「つがる、特に君には意図的に隠していた部分でもある」

【しっかりと二人を見据え、やがて深呼吸し】

「この円卓とそしてUTには繋がりがある」
「元々は風国探偵チンザノ・ロッソが持ち込んだ話だったのだが……」
「黒幕の動向に関係し、オーウェル社、ハルモ二―社も動向が怪しくなりUT所属の天才少女初瀬麻希音、オーウェル社製アンドロイドゾーイが組み独自に調査を開始した」
「そこに、黒幕に対抗する一派、そう円卓が台頭、属する機関員カニバディール、を始め正体不明の女ミラ、異世界の悪魔邪禍、元UT所属のユウト、そして……白神鈴音、このメンバーが結集し対黒幕同盟を締結した」
「これがチームM、鈴音が脅迫を受けたのはこのチームMの関係だ、要求はカニバディールもしくは初瀬麻希音の身柄の引き渡しだ」

【円卓の下の円に矢印を引っ張り、そこにチームMと記載、矢印部分には提携と書いて】

「一方、我々魔導海軍は水の国の公安ゼロ、及び自警団と協力関係を結んで行動していた」
「その行動の中、仲間の一人でありゼロの中心人物、黒野カンナが拉致され我々仲間達も重傷を負わされる事件が発生した」
「この手前で、魔導海軍陸戦隊諜報部、我々は邪禍とユウトと接触、チームMとの協力関係を結んでいた」
「その事もあり、また事件の際にミラが居た事もあり、カニバディールとも直接接触し、直接的な協力の関係を築いた」
「また、この際に公安三課の鵺とも関係を築いた……夕月君と鵺は確か接触していたね?」

【欄外の円の中に、公安ゼロ、魔導海軍、水の国自警団、公安三課とそれぞれ記載、繋ぐ線の文字は協力】

「そして、ここからが、今回の事件、イルと鈴音の一連の出来事になるが……二人とも質問はあるか?」

【掻い摘んだ前提の説明、これでも簡単にしたつもりではあるが、いかんせん規模が規模だ】
【前提の知識だけでもかなり長くなってしまった】
【また、話も複雑であるため、少女二人の理解が追い付いているのかも心配された、故に鈴音の話に入る前に間を置いてこう二人に聞いた】


914 : ◆S6ROLCWdjI :2018/06/29(金) 20:20:57 WMHqDivw0
>>906

【青林檎の色よりはいくらか鮮やかさの劣る翡翠の瞳、困惑の色は隠さないけど逃げもしないで】
【つんとはねっ返されたなら眉間の皺をより一層深めた。はあ、と溜息を吐く、これっぽちも懐かない猫、それでも触れようと】

……僕だって純血じゃないよ、だからだよ、だからこそ。
「昔の同胞」と「今の同胞」、その間の溝が深くなるのは――――貴女は嫌だと思わないのかい、音々子。

【変なところで意固地になるところ。事なかれ主義。必要以上に周囲と同調しようと空回りするところ】
【よくもまあここまで、櫻の人間――それも旧い価値観――の悪いところを凝縮したもんだと逆に感心するかもしれない】
【近頃の若い者はってぶつぶつ言ってる老害となんら変わりない。実際彼は、そういう年頃であって】
【……けれど完全にそっぽを向かれたわけじゃないと理解したなら。一歩だけ歩みを進める、革靴の底が地面を舐める】

はたして悪の組織が人探し手伝いましょうかなんて言い出すかな、下心あってそうしているともまあ、とれるけど……
……僕、そういうたぐいの輩に見える? それだったら悲しいな、常に真摯な紳士であるよう心掛けてるつもりだから。

それ以前に、そういう組織が僕みたいな弱っちそうなの、飼うと思うかい。……これでも綽名は「もやし」で通ってる。

【そうして浮かべる表情は、苦笑だった。ハの字の眉はそのままに、それでも、しょうがないなって言うみたいに】
【どっちであるか、とはっきり答えない。言ったところで「そんなの嘘でしょ」って返されればどうしようもないから】
【だから最終的な判断は――音々子に任せるしかないって。それなら自分の無害性をアピールするしかない】
【ちょっとおどけるみたいな仕草で肩を竦める、両腕を広げる――男にしては細い。筋肉もそうそうついていなさそう】
【顔立ちだってなよっとしていてワンパン喰らえば昏倒しそうな、優男。そんなのわざわざ飼う組織もないだろう、保護するなら、ともかく】

【……それもどうせペルソナだろうと切り捨てられるなら、それまでのことだけど】


915 : ◆S6ROLCWdjI :2018/06/29(金) 20:32:56 WMHqDivw0
>>899>>913

【つがるとちょっと打ち解けたみたいなやり取りしたり、厳島とカレーの具材の話で盛り上がったり】
【そういう楽しい時間はすぐに終わってしまった。本当にすぐに、……やんなっちゃうな、って溜息を吐いて】
【それでもそこから逃げ出すなんてことはしない。立派な当事者である自覚、ちゃんとある】

…………鈴音のことを追っかけてるうちにいろいろ知った。そんだけ。

【なぜそんなに深入りしているのか。その問いにはそう返すけど、たぶん嘘。すぐわかるように言うのは】
【「まだ言える時じゃない、だからごめん、いつか言うから」と暗に示しているのと同義だった。……視線を伏せて】


ムシ? と、……オーウェルは初耳。ハルモニー、レヴォルは知ってる。
やぁだ、こんなにあるの、いくつ潰していけばいいのこの丸……ほんとやんなる。

……チームM。そう、鈴音はそこに居て……なるほどそこでミラさんと知り合ったんだ。
それで……黒幕にそんなことされたんだ。腹立つ、なんなの、寄って集ってみんなして、鈴音を……

…………ゼロ? 待って、それは完全に初耳。どこの所属? ……公安、……
だぁあちょっと待って、丸多すぎてワケわかんなくなってきた!
あとこれキモくない!? あたし知ってる、集合体恐怖症ってヤツのアレ! ぞわぞわするってば!

【厳島が書き加えていく円と線、追いかけようとして――――途中でギブアップ。髪をぐしゃぐしゃかき上げて】
【それでもなんとかついて行こうとしているようだった、限りなくスローペースではあったけど】

ヌエ、……鵺ってあの、白い髪の子? うん知ってる、鈴音に会いに行くとき――アナンタシェーシャのとき。
手伝ってくれた子だよね、そうなんだ、あの子公安だったんだ……ううん。
ていうか待って、公安、公安のここの人。カンナ? 早く助けないとヤバいんじゃないの、今どうなってるの。

【爪先でつつく「公安ゼロ」の文字、苦々しい顔をして――――それでも話に次があるなら】
【質問はそれだけだから続けていいよ、と促す。……頭を冷やそうと、水を飲んで】


916 : アリア ◆1miRGmvwjU :2018/06/29(金) 20:51:01 o6XMS57s0
>>904

【蜜で口の中をいっぱいに濡らしたような声だった。 ぞく、 ── コートとスーツの下、白い背筋を震わせるのが、解ったろうか。】
【きっと狂ったのはアリアも同じことなのだろう。泣きそうな顔をして、指を首に減り込ませていた最後の刹那、 ── ほんとうに喜悦に満ちて、彼女は笑っていたから。】



               「 ── かえでが、そう望むのなら。」



【だから余りにあっさりと囁きを返す。いつかの朝みたいに額合わせて、誰よりも近くで見つめあって、嬉しそうに頬緩める。氷像のような顔貌は追い詰められた熱量に融けてゆくように。】
【かえでの唇伝い、首筋に垂れた唾液を右手の指で撫ぜて、 ── 其れは裂かれた肌から溢れる紅い血と混ざり、アリアは口に含んで舐め取ろうとする。それこそ蜜を啜ったみたいに、息漏らし、美味しそうに笑って。】
【そうして、ゆっくりと腰のホルスターに細い指を伸ばした。見られていると判りながら、ともすれば艶美な動きでさえあった。引き抜かれる拳銃も、だから敵意の凶器ではなく】
【抱き締めたまま、銃口をアリア自身の肩に押し付ける。トリガーに指をかけて、セレクターをセミオートに切り替える。 ── 空いた片腕さえ、かえでの背中に回して】




「ねえ。 ─── かえでを抱き締められない腕なんて要らないわ。」「だから、お願い。」
「そばにいて、」「愛さなくったっていいの。」「あなたのもので、 ── いさせて。」





【そして引き金は絞られた。】【くぐもった銃声が、馬鹿みたいに響いた。】




【リコイルの振動がふたりの全身に広がるだろう。鼓膜は暫く、きいんとした揺らぎと縺れを残すかもしれない。真っ白な部屋、紅い色彩が鮮やかに飛散する。】
【鮮やかなるも艶かしく、床を壁を膚をシーツを塗り潰して、フラグメンテーションを起こした弾頭の破片と空薬莢が散らばって落ちる。】
【多少なりは部屋の外にまで響くであろうけれど、 ── 扉は内側からロックされているのだから、例え誰かが来たとしたって、どうしようもできない。】
【其れに今のアリアなら、どうにだってしてしまいそうでもあった。撃ち抜いた片腕は力なく垂れて、ぼたりぼたり、ベッドの上に泥のような血溜まりを広げて行く。】
【呼吸は途端に荒くなって、喉筋の奥には時折苦悶が蠢く。感覚器官を切っていなかった。倒錯の証だった。 演技なんて誰も言えないように、顔を歪ませて ── それでも、慈愛と恋慕をたっぷりに、笑って】
【奪い合えそうな距離で、痛みを紛らわせるみたいに、言葉を紡いでいく。投げ出した両脚を、情事みたいにかえでの脚と絡めながら。】




「貴女に嬲ってほしいの。」「ゆびさきで銃創を抉って」「くちさきで心を躙って」「心も体も痛め付けて、玩具みたいに弄んで。」
「言うことを聞けない狂犬には、狼には、 ── 躾と仕置が必要、でしょう?」「貴女の"もの"に、なったっていい、から ── 。」





【 ── 罪の甘さが、手招きしていた。其処で何かを思い出すのなら、本当にアリアには、どうする手立てもないのだけれど。】


917 : 名無しさん :2018/06/29(金) 21:51:56 pmPjzDr.0
>>914

【――――つん、と、澄ました顔が相手を見やるのであろう。であれば、答えは、きっと分かりやすかった】
【「――別に」と、言葉があったわけではない。けれど彼女の返事はまさしく"それ"であった。あるいはめいっぱいにオブラートを使い倒して、「特に」】

…………探してるのは有名人です。馬鹿正直に騒ぎ倒されたら困ります。居なくなったことさえ気づかれず、――は、まあ、無理なのでしょうけれども。
ですので、本当でしたらどなたにも頼りたくないです。――あら、吸血鬼の見た目がひ弱だからって、見た目通りに弱いとは、思えませんけれど……。
能力者であるならばなおさらです――いえ、どちらかは知りませんが。ですけれど、おそらく能力者ですわね、――勘ですけど。

【――本当だったら、と、口にすることさえ、どこかくたびれた色合いに似ているのかもしれない。本当にそうだった、本当は、誰にも手伝われず】
【その人物が消息を絶っていたことさえ、誰にも気づかれず――けれどそれは無理だろう。立場が立場で時間が時間だ。事実ある界隈では大騒ぎも大騒ぎ、なのだが】
【まったく関わっていない彼女はその流れも知らない。――そう、知らなかった、可哀想なくらいに何にも。だからこそこんなふうに、探して回っているのだけれど――】

【――――同胞、すなわち、吸血鬼。であれば見た目の様相なんてアテにならないと言い切った彼女は、さらにもひとつ、能力者であっても、その見た目では判断がつかないと重ね】
【けれどなんだか頭の固そうな感じ(失礼)、ちょっと小言っぽいところ(失礼)、足並みそろえていきたそうなところ(失礼)。その全部が仮面と言い張るには、あんまりに、】
【生きている温度勘、というか、人生(――?)に根付いた考え方というか、そういう生々しい感じが、いやに、感じられたなら】

……――――――UTの給仕。

【それでも渋る気配がいくつも横たわって――けれど最後に彼女はそう伝えるのだ。自分が探している人間の肩書。そういう意味では、確かに、"有名人"】
【黒幕や円卓の話についてはごく軽くしか触れていない。それについてそれとなく探ったこともあったが、明らかに"深すぎる"ので手を引いていた。ゆえに、ほぼ何も知らないながら】
【その"少女"がおそらく巻き込まれているのは分かっていて、――ああでも、だから、あるいは、むしろ、けれど、しかし? もはや分からないんだけど、ただ、分かるのは】

【――――今すぐにでもその鈴の音の声をもう一度聞きたかったから】


918 : セアン中身 :2018/06/29(金) 22:13:22 e7Qy.m/I0
本スレ>>52

【男に近づきそう問うと少々生きづらいと言っていた】
【男の正体は恐らく獣人の類の者であろう】

目立つ…ね、まぁ俺もこんな腕してるけどよ、そこまで気にしてねぇぞ、
確かに何となく分かるが、隠してるんだから。暴かれたら気分のいいものじゃねーんだろ?
まぁ俺も色々やって来たから、人の事は言えねぇけどよ、
 
【希少金属のみで創られた右腕を示しながら、気にするもんかねぇと言う】
【恐らく嘘はついて無いだろうと感じ、少しだけ気を緩める】
【犯罪者では無い、少なくとも今は、と言った】

チョット失礼するぞ、煙たかったら言ってくれ。

【懐からアークロワイヤルと言う愛用の煙草を取り出し、火を付け銜え紫煙を吐き出す】


919 : 名無しさん :2018/06/29(金) 22:23:38 pmPjzDr.0
>>916

【――――――ぎゅう、と、少女は相手のことを抱きしめる。その首の後ろに手を回すみたいにして、白銀のつむじに唇を寄せた、その真ん中に唇を落としたなら】
【その指先は時々白銀の髪のごく少量だけをつまんでごくごく、軽い力で緩く引っ張るるのだろう。そのたんびに髪の毛一本二本ずつが引かれる感覚、愛撫みたいに幾度も重ねて】
【めいっぱいの甘さを流し込もうとするのは、――けれどあるいはいつかのアリアの行動にも似通うのかもしれない、要らぬ心など折れてしまえ、と、引きずりこむよう】
【だから相手がしたいことは全部そのままさせていた。その結果に相手が自分自身を撃ち抜き、自分の顔にその血が飛び散って、部屋中が赤く染まっても、なお、鮮やかに】

――――――――――あははっ、悪いワンちゃんですね、もう、でも――、
――――あのね? アリアさん。さっきはね、嫌いだなんて言ってごめんなさい。非道いこと言って――、ね。だけどね、ほんとはね、大好きです。
……ううん、愛してます。大好きですよ、――ワンちゃんが飼い主を大好きなのみたいにね、私もね、アリアさんのこと、――だぁいすきです、だから――――。

だからね、言いすぎちゃいました。――だってアリアさんがウヌクアルハイ様のこと、あんまりにひどく言うから。悲しくなって――。

【――けれど、一つ言うなら、彼女はある程度正常であった。何年もカルトに耽った少女が"まとも"であるかは置いておいて。きれいに切り替えたやり口、慣れている】
【傷ついて痛みに喘いで呻くアリアをぎゅうと抱き寄せる、――顔を盗み見ることがあれば、ひどく慈しむような目をしていた。愛しい我が子に手をかけてしまうMSbP患者のよう】
【うんとうんと人生で一番甘ったるくささめく声で囁くよりは染み込ますように。真っ新のスポンジケーキ、蜜に浸して、二度と浮かんでくるなと蹴って沈めるみたいに】
【その頭を撫でる指先は龍のひげ飴を扱うみたいに繊細を極める、――そうしてやがて傷口に口付けるのだろう。あるいは愛するように舌先を沈ませようとまでするはずで】
【それが叶うなら――その口の中を彼女の血の味に満たしてから、甘く深い接吻に誘うんだろう、そこまで受け入れるなら――、あるいはたっぷり一分近くも、】

――ね、今度は私が抱いてあげます。優しいのがいいですか、それとも、痛いのがいいですか? "うんと"痛くしてあげながら、――それとも。
アリアさんは"自分が"したいですか? ――それでもいいんですよ、だって、私は、アリアさんのこと、愛してますから、――――だから、
私が思わず鳴いてしまうところだけ撫ぜて泣かせてもいいんですよ。勝手に跳ねる腰を押さえつけて、果てることしか考えてない男みたいに、私を、犯したって――。

…………――アリアさん。私たち、このままじゃ、一緒に居られないですよ。だからね、アリアさんは、私と一緒に、居たいですよね?

【今更ながらに彼女は真っ白のタオルケットを引き摺り寄せる。止血するみたいに傷口に添えようとするだろうか、けれど、そうするにはあんまりに一般人めいて彼女の力は弱くて】
【なにより能力が封じられているなら、血流を阻害してやることも痛みを阻害してやることも出来ない。禁術もまた同じであった、――ほとんど無意味なほどに出力が抑え込まれ】

――――ね、アリアさん、私はね、本当のウヌクアルハイ様とお会いしたいです。本当に、本当の、――穢れなく、気高い、"本当の"。
今のウヌクアルハイ様はくだらない思惑によって歪められてしまった。――だからね、アリアさん、私がきちんと、正しいウヌクアルハイ様の御許に行けるように。

【「お手伝いしてほしいんです」】
【――耳元に口付ける。そうして囁く言葉は吐息すら音として脳髄までしびれさすように甘たるく蕩けて、脳漿全部を糖蜜にすり替えてしまいそうな、背徳感が満ちるなら】
【ちいさなちいさなリップノイズ――それさえ鼓膜を愛撫するみたいに、それくらいの至近距離で、囁くんだろう】


920 : ◆DqFTH.xnGs :2018/06/29(金) 22:46:09 KRkeK0JA0
>>787
【夕月が笑えば、ミラも遠慮なくゲラゲラと笑う。オムレツの気持ちとか立場とか】
【そんなものは欠片すらも考えやしない笑い方。その笑いひとつで、ミラの性格が透けてみえた】

【その後オムレツが鈴音に膝枕をすれば──何かを察したかのように、何も言わなくなる】
【揶揄うようなことはしなかった。茶化したところで、楽しくない空気になる】
【鈴音が目を開けてしまえば、それこそ自分のことを棚に上げて弄りに行くのだろう】
【写真を撮ってSNSにタグ付き投稿。友人のアンドロイドにも写真を送りつけ──だが】
【そんなものは叶わなかった“今”の話。いつかは叶うかもしれないが】
【(どこフラついてんだよ、なぁ)心の中で、また届くかどうかも分からない言葉を泳がせた】

【後は他愛のない話で場を繋いだ。昨日のランチがマズかったこと、昨日の客が吸ってたタバコの銘柄に】
【他は何だろうか。最近ずっとカジノで流れている、古い映画のアレンジ曲の話とか】
【5分もすれば忘れてしまいそうな話をいくつかして、後は適当な場所に車を停める】
【1ブロック先にはチェーンのカフェ。脇道に逸れたければ5歩で済むような路上だった】
【別れの言葉は実にシンプル。「じゃあな、気をつけろよ」と笑ってただそれだけ。車はまた走り出して】
【そのうち大通りの車列の中に紛れ込んでいってしまう。劇的な事象は、幸い何も起こらずに】


【──────】
【────】
【──】


…………、…………『わたしはここにいるよ』『ここだよ』『ここに、いるよ』


【それはどこか郊外にある廃工場の地下だった。裏カジノとして機能している地下の】
【仮眠所として設置された一室。テーブルと鉄パイプのベッドとシャワーがある小さなワンルーム】
【ベッドに鈴音を、自分は床に寝袋を敷いて寝て。────そして夢を見る】
【鈴の声で呼びかけられる夢。その夢を見た後、鈴音の姿と声を借りて虚空に呼びかけるのが】
【最近の習慣のようなものになっていた。夢を見ない日も勿論ある。けれど】
【夢を見た直後は、必ず応えを返す。『わたしはここにいるよ』────祈りにも似た、鈴の真似事だった】

/このあたりでしょうか!
/長い間お付き合いいただきありがとうございました!


921 : ◆XLNm0nfgzs :2018/06/29(金) 23:11:53 BRNVt/Aw0
>>913 >>915

うぐ……っ
意外とは何ですか意外とはー!櫻の女子たるもの料理と裁縫と掃除は嗜むべき!ですっ!
……まあ料理だけはお手伝いの範囲だからそりゃ不馴れですけどねー?
【意外そうな顔をされぷんすことばかりに頬を膨らませるつがる。それでもすぐに目線を反らしてボソッと呟くのだが】


え、えーと……オーウェル社と
ハルモニー社……レヴォル……レヴォルツィオーン社……ですか
うえぇ……結構複雑……
【次々と足されていく円に思わず顔をしかめるが】
【全ての真相、特に自分には意図的に隠されていた話、と聞くと姿勢を正して話を聞こうとする】

風の国の探偵、UTの少女とオーウェル社のアンドロイド……機関員カニバディール、"元UTのメンバーだった"ユウトさん……

ユウトさんがあの日べろべろに酔っていた理由……カニバディールのカモフラージュともとれる行動の数々……厳島さんが私に初瀬麻希音とゾーイに接触するよう命じた理由……色んな謎が一気に解けました

それから此方側には水の国の公安と自警団……
……ちょっと待ってください?
公安って要するに警察組織でしょう?
黒幕に婦警がいるってことは警察組織も敵って事じゃないんですか?
【そんな奴等信用して大丈夫なんですか?とじとりと睨んで】


922 : 棕櫚 ◆D2zUq282Mc :2018/06/29(金) 23:18:32 JY1GydDk0

【光の当たる場所には、影が生まれる。そしてそれらは突き詰めれば同じ結末を辿る】

【とある路地裏。そこには昼も夜も関係なく暗澹としていた。人の世の淀みを集めたような場所】
【そんな場所に二人の人型が確認できる。一人は猫被りの公安・棕櫚。もう一人は――カリヤと呼ばれる年端も行かぬ少女】

【カリヤと呼ばれる少女は地べたに蹲っていた。その理由は明白で。棕櫚と言う人物暴力を振るわれて】
【今も尚、棕櫚による少女への暴行――主に顔――が続いていた。それも執拗に、頭蓋が割れそうな程に、何度も、何度も】


さてはて。困りましたねえカリヤ。ボクはお前に言った筈だ。"折角生かしてやるんだから役に立て"と
殺したヤツの人格を取り込めるなら何処かで役に立つと思ってたんですが、どうにも使えません。
取り込んでも意味の無い者ばかりを取り込んで、それを"家族"と呼んで戯れて……。


【その瞬間。言葉に宿るのは殺意。殺意が加速させるのは足蹴の頻度とその威力】
【呻き声を上げる事もできない。助けを懇願する事もさせない。物に八つ当たりする様な容赦のない暴威はうねりを上げて――】


――テメエの家族ごっこの為に生かしてんじゃねェぞ。だのにテメエは一回も俺様の役に立っちゃいない。
カリヤ、カリヤ、カリヤぁ……!テメエが取り込んだ有象無象に"カイ"が含まれてないのはどういう了見だ、あァ!?


【一通り吼えた後、頭が冷えたのか。棕櫚の激情は静まりつつあった。だがその静まりは――殺意を研いでいた】


雁の群れとその理屈に期待した俺が馬鹿だった。まあ、いい。テメエはもう用済みだわ。
頭蓋を叩き割って頭の中でも覗き見てやんよ―――ひそみに倣う黒ネズミ、月に喘げや。


【言葉が告げるのは最後通牒。棕櫚の双眸は鈍く、妖しくぎらついて。断頭台の刃を連想させるような鋭い蹴りが】
【カリヤと呼ばれた少女の頭へと振りぬかれようとしていた――その瞬間を止めるのは果たして何か】

//予約ですっ


923 : ◆S6ROLCWdjI :2018/06/29(金) 23:21:53 WMHqDivw0
>>917

【その返しは半ば予想出来ていたものだった、だったとしても、たじろいでしまう】
【そんなあ、と言うような顔。まあそこら辺は置いておくことにして。有名人、だと言われたなら】
【少し目を丸くして――眉の角度がちょっと変わる。斜め向きから水平へ。きょと、とした顔へ】

……まあ能力もない輩がこんなところ出入りするはずもないもの。その通りだよ。
だけどそんなには強くないよ。さっき言った通り純血ではないし――それに、輸血パックなんか飲むようなヤツだし。

……、……UTの? 最近活動しているのを見ないと思ったら、……、
それは想像していた以上に厄介なことなんじゃないか、UTなんて。貴女の言う通りとても有名な組織だ、
だったら「敵」だっていくらでもいるだろう――――ちょっと心当たりが、多すぎるな。

カノッサ機関は勿論、最近ではレヴォルツィオーンなる企業が暴れていると聞くし、
他には……、……なんだったか、カルト宗教? でもあれはもう、壊滅したんだったか……

【ぶつぶつ。脳の抽斗から引っ張り出していく、悪組織の名前、片っ端から】
【それから最近聞いたニュースの話。幹部が軒並み死んで壊滅状態になったという、邪教の話】
【でも潰れたんなら違うのか。そう思い直してまた思考に戻ろうとするけど――――】

…………いずれも水の国に集中しているような気がするな。探すんならそこがいいのかもしれない、
其処ら辺の地理に詳しい者に訊いてみるよ、……ええと、その給仕さんの名前は教えてもらえない?
名前が知れ渡るのが困るなら、何かこう……特徴的な外見の部位とか。


924 : ◆S6ROLCWdjI :2018/06/29(金) 23:28:16 WMHqDivw0
>>920

【走り去っていく車の、背面のランプのきらめきを眺めて。兄妹はずっと突っ立っていた】
【きっとミラなら大丈夫。大丈夫。大丈夫。言い聞かせるようにして――ふたりともに闇の中へ】
【久しぶりにふたりきりになってしまった。そうしたら口の悪さ、戻って来たようで】
【……鈴音の前では何となく喧嘩ができなかった。目が醒めないってわかってるのに】


……、……これからどうする?

「どーするも何もねーだろ。アレが怪しいんだろ? 蛇の宗教。
 そこにブッ込んでいくしかねーよ、おれもお前も、それしか能がねえ」

…………あいつに気付かれたりしないかな。

「そこはまあ、おれがなんとかする。適当に頃合い見計らって帰るよ。
 だからおまえが――――おまえに、任せるから。なあ■■、
 ……頼むぞマジで。折れんなよ、……折れればもう全部終わりだからな」

……わかってるっつの。てかその名前で呼ばないで。あたしは、……夕月だから。


【聞かれたらきっと、「仲良くしないとダメだよ」って。困り顔で言われる気がしたから】
【だからずっとそれなりに仲良しの真似事してたの――今日でいったん休憩。険しい顔に、戻っちゃう】


//ありがとうございましたー!


925 : 棕櫚 ◆D2zUq282Mc :2018/06/29(金) 23:29:16 JY1GydDk0
【光の当たる場所には、影が生まれる。そしてそれらは突き詰めれば同じ結末を辿る】

【とある路地裏。そこには昼も夜も関係なく暗澹としていた。人の世の淀みを集めたような場所】
【そんな場所に二人の人型が確認できる。一人は猫被りの公安・棕櫚。黒のカッターシャツに黒のスラックスと糸目が特徴的な人物。
 もう一人は――カリヤと呼ばれる年端も行かぬ少女。襤褸衣と汚れた黒髪と不健康なほどに痩せぎすな身体が特徴的な少女】

【カリヤと呼ばれる少女は地べたに蹲っていた。その理由は明白で。棕櫚と言う人物に暴力を振るわれて】
【今も尚、棕櫚による少女への暴行――主に顔――が続いていた。それも執拗に、頭蓋が割れそうな程に、何度も、何度も】


さてはて。困りましたねえカリヤ。ボクはお前に言った筈だ。"折角生かしてやるんだから役に立て"と
殺したヤツの人格を取り込めるなら何処かで役に立つと思ってたんですが、どうにも使えません。
取り込んでも意味の無い者ばかりを取り込んで、それを"家族"と呼んで戯れて……。


【その瞬間。言葉に宿るのは殺意。殺意が加速させるのは足蹴の頻度とその威力】
【呻き声を上げる事もできない。助けを懇願する事もさせない。物に八つ当たりする様な、容赦のない暴威は加速し加熱していく――】


――テメエの家族ごっこの為に生かしてんじゃねェぞ、クソがッ!。テメエは一回も俺様の役に立っちゃいない。
カリヤ、カリヤ、カリヤぁ……!テメエが取り込んだ有象無象に"カイ"が含まれてないのはどういう了見だ、あァ!?
テメエのオママゴトが俺様の役に立つと思ったから生かしてやってんのに、"カイ"に返り討ちたぁ使えねえ、使えネエ!


【一通り吼えた後、頭が冷えたのか。棕櫚の激情は静まりつつあった。だがその静まりは――殺意を研いでいた】


雁の群れとその理屈に期待した俺が馬鹿だった。まあ、いい。テメエはもう用済みだわ。
頭蓋を叩き割って頭の中でも覗き見てやんよ―――ひそみに倣う黒ネズミ、月に喘げや。


【言葉が告げるのは最後通牒。棕櫚の双眸は鈍く、そして冷たさを纏い。断頭台の刃を連想させるような慈悲のない蹴りが】
【カリヤと呼ばれた少女の頭へと振りぬかれようとしていた――その瞬間を止めるのは果たして何か】

//予約ですっ&修正板です


926 : 名無しさん :2018/06/29(金) 23:41:05 pmPjzDr.0
>>923

【――あるいは。尋ねたなら答えも増えたのかもしれない、「わたくしはわたくしですから」だなんて、猫っぽい名前と見てくれのくせに、一匹狼】
【そんな彼女が誰かを探しているのだ。――よほど大事な人であると推測させるようだった。こんな女が、――そんなに憔悴するように人探しだなんて、違和感だったから】

――そうですわね、しょうがないのではないですかしら、――――――"あの子"が居ないんじゃあ。
ですから言ってるんですわ、――だれかれ構わず広げまくられても困りますの、お分かりかしら、――。

――――――――そうですね、あとは、黒幕。ですとか。

【相手の言葉に女はいっとう不機嫌そうな目をした。だから言いたくなかったんだって言うような顔、――少数精鋭だなんて高尚な主義じゃない】
【致命的なまでの秘密主義。あるいは人に頼れない性格。もしかしたら友達とかいないのかもしれない。ていうか仲間さえいなさそう。――悪口並べても足りないくらいであるなら】
【UTの価値だなんて"その子"しかないみたいな口ぶりを言って捨てる、――よっぽど執心らしかった。だからってきっと彼にとってはどうでもいいんだけど】
【――有名であることに気づいてもらえたなら。"だから"言いたくなかったんだと眼を細める。――――それから付け加える単語、じっと、相手を見つめているから】

【きっと探るのに似ていた。けど。そんなに詳しくないっていう、顔もしていた】

…………はあ、もう、構わないです。白神鈴音さんです。特徴的ですか、そうですね――、――、目の色が左右で違うくらいでしょうか。黒と赤です。

【――――そうして女はため息交じりに諦める。給仕と伝えた時点でほぼ答えみたいなものだった。見た目の特徴を聞かれたなら、一瞬だけ黙りこみ】
【それから伝えていくんだろう。左右で目の色が違う――オッドアイ。色合いを伝えるときに女は自分の目元を一つずつ差した、左が黒で、右が赤色だと示したなら】

【(――刹那の沈黙の裏側で思い出していたことを口には、しなかった。もう十年以上も前の話になる、やせぎすで色白でいつも泣きそうな顔をしている女の子、の、印象を)】
【(無理やりに呑み込んで。――あんまり特徴的なところ、なかった。そしてあったとしても、きっと、女にとってそれは特にあんまり意味がないものだったから)】


927 : ◆S6ROLCWdjI :2018/06/29(金) 23:41:14 WMHqDivw0
>>925

ひどいことしないであげてよ、かわいそうだよ。

【――――あんまりにも白々しい言葉が、暴力の瞬間に挿し込まれた】
【見ればそこに女が立っている。低身痩躯、蒼白い肌の、不健康そうな女】
【病葉あるいは徒花めいて、きっと可憐に咲き誇る華の美しさ、瑞々しさは見られない】

【首の中程まで伸びた黒い髪。路地裏の闇に融けていきそうな色合い】
【おぞましいほど白い肌の上にふたつ点々と乗っている暗赤色の瞳は、言葉に反して愉しげに】
【笑みの形に細められていた。それで二人を見ているのだ、……割って入って止めるでもなく】
【突っ立って笑ってる、それだけ。まるで映画でも見ているみたい、他人事の距離を保って】


かわいそう。女の子の顔、そんなに蹴るなんて本当にひどい人。
警察だか公安だか呼んできちゃおうかな? それくらいひどいもの、ねえ、お兄さんてば、

――――――取り込むとかなんとか言ってるけど。それどんな話、ねえ、面白そうだから聞かせてよ。


【――――はためく白い布。それは纏う白衣の裾だった、僅かな光を反射して明度を保つそれは】
【暗に女の職業をアピールしていた。研究職。ならば見たものすべてに興味を持ってしまう、というのも】
【わからなくはないだろう。それに加えて、……こんなところに出入りしているんだから】

【どういう「種類」の研究者であるか、というのも。また、すぐわかってしまうことだろう】


928 : アリア ◆1miRGmvwjU :2018/06/29(金) 23:44:19 o6XMS57s0
>>919

「 ── ……… っっっ。」「 ……… 私も、好き。」「好きよ。好きなの。」「 ── 愛してるわ。どうしようもないくらい。」
「いいの。」「かえでが謝る必要なんて、何処にもないのよ。」「私がただ、躾のならない駄目な雌だったから、 ──」


【天蚕糸みたいに透き通るような白銀だった。それでいてどうしようもなく柔らかくて、此れで織物でも紡いだなら、絹と区別も付かないくらいに。】
【全身義体ゆえの人工毛髪であってもキューティクルまで色付いていて、つくりものだとしても其れは矢張り「女」である証明なのだろう。だから抜き取ろうとするのは、全く理に叶っていた。】
【かすかに青褪めた白皙が、ぼうとした隻眼に血塗れの横顔を捉える。 ── かそけき笑い。だから、須臾のうちに、塗り潰されていく。】



       ひゃ、ぁんっ、 ─── っ。



【生白い喉が嬌声を絞り出す。まるきり初物を犯される生娘みたいに身悶えて、鳴いて、背中に愛おしい爪を立てる。遠慮なく犯し貫くみたいな、遠慮のない舌先の傷咎め。】
【粘膜のざらつきが神経をぞりぞりと鑢のように擦り上げて、およそ常人では堪え難い痛みである筈であり、事実アリアの表情は酷い苦悶に満ちていたけれど、】
【 ─── 流す涙はきっと随喜のそれだった。媚びるような悲痛なる叫びは、苦悶と同じくらいに充たされた法悦から震えていた。だから、真っ赤に色付いたかえでの頬に、擦り寄りだってするのだろう。】
【迚も斯くても"塞ぎ合う"のは、余りにはしたないから。くぐもった声も、雫も、鉄の味も、何が垂れたって構わなかった。幾らでもしていられた。終わる頃には、鎖骨まで真っ赤な粘つき、這い落ち垂れ下がっていて。】



「 ……抱かれたいわ。」「痛いのも、苦しいのも、気持ちいいのも、幸せなのも。」「全部かえでに委ねたいから。」「それに、抱きたいの。」
「 うふ ── 」「私知ってるわ。」「かえでの気持ちいいところ。」「好きな愛され方。」「嬲られるのも組み敷かれるのも。」「 ── 無理矢理に、滅茶苦茶にされるの、大好きよね?」
「キスのされ方だって。」「囁かれたい言葉さえ、」「ねえ感じてくれるでしょう?」「 ── 私の、虐めたところ。私の虐めた遣り方で。」「躾け合って、しまいましょう ── ?」

「 ……… ずっと一緒に、いるために。」「私には学がないから、貴女の信じる神様のことは、解らないけれど。 でも、」



        「それでも。」     「だからこそ。」
 

【丹花の唇は耳朶へと接吻ける。返答として。敬意と服従と決意と、 ── 何より愛情を、万感の想いを孕ませて。】
【タオルケットを握り締める。41口径の硝煙反応を擦り付けるみたいに。瞬く間に真っ赤に染まっていく。何かの暗喩であったのかもしれない、けれど。つつやくのは、こんな嘆願。】




 「 ── 殺させて欲しいの。」「貴女の神様を汚した、白神鈴音のこと。」「私の手で。直截に。」
 「概念として殺すなんて生温いわ。」「貴女の目の前で、 ── 貴女と一緒に、貴女の力を借りて、撃ち殺すの。」
 
 「だって、かえでのことを泣かせてしまったのでしょう ── ?」「かえでに今、 ── 辛い思いを、させているのでしょう?」
 「其んなの赦せないわ。許したくないの。 ……… 私、貴女が幸せであってくれればいいから。其れだけで、十分、だから ── 。」




【 ── 今や彼女の神とひとつになってしまった、白神鈴音という存在を、この手で殺したい。かえでによる信仰の顕現を以って。涙と血と涎に濡れた顔は、嬉しそうに笑っていた。】
【病衣の下に潜らせた指が、白磁の膚を静かに滑り、指先が甘く傷痕を抉る。爪の間に肉を刮ぎ取ってしまうために。】


929 : ◆S6ROLCWdjI :2018/06/29(金) 23:53:56 WMHqDivw0
>>926

黒幕、…………黒幕、とは、……カノッサ機関の?
そんなものに狙われるのか、UTというだけで、……戦闘員でもなく、給仕であるというのに。

【愕然とした顔をする。思っていたよりずっと深そうな闇の底、手探る指先すら見えなさそうな】
【それで――答える言葉はカタコトだった。いかにも悪そうな組織の名前=カノッサ機関】
【簡単な推察でしかないってこと、すぐにばれてしまうだろう。……そこら辺に詳しくはないようだった、けれど】

シラカミリンネ……ありがとう、確かに。覚えておくよ、……必要以上に広めない、これも約束する。

目の色、左右、……黒と赤? ええとそれは、……、………………「ちがう」。
…………ねえその子、もしや、褐色肌であったりする? それと、白に近い銀の髪であるとか。
そういったことはないだろうか、……いや、ないのか。特徴としてこれらが上がらないんなら……

【「やっぱり違うのかな……」 心当たりがあるような口振り、それで、もしかしたらって思って】
【出していく情報。それはまるきり「白神鈴音」と違うものであったから――何を言っているんだこいつ、と思うかもしれない】
【けれど。けれど気付くだろうか――それはまるで、「白神鈴音」をそのまま反転させたような色合いであること】
【ましてや目の色、左右のどっちがどっちで、って説明された時点で「違う」なんて呟いたのだ】
【偶然にしては出来過ぎている。そうも思うだろうか、……余裕があるなら、藁にもすがりつく余力があるなら】

【――――彼が思い出していたのは。同じ組織に属する「同僚」「妹のような存在」のことだった】
【そういえば最近顔を見ていない、ような、気がしなくもなくて。……気のせいであってほしいと思い始める】
【なんだかすごく嫌な予感がした。けどもう遅かったのかもしれない、……沼に脚を浸したなら】


930 : 棕櫚 ◆D2zUq282Mc :2018/06/30(土) 00:18:48 JY1GydDk0
>>927

【ぴたっ――と、振り抜かれそうな足はカリヤと呼ばれる少女の頭に触れるか触れないかの境界線で留まる】
【背中を貫き耳朶を震わす研究者の言葉。それは嗜虐の意識をピンで留める様に棕櫚の足を止める】

【加熱しすぎた暴虐を鎮めるのに少々時間を労した。故に、研究者の女性に対する返答に少々のラグが生じていた】

【くるり――と、棕櫚は振り向いた。それはカリヤに振り下ろす筈だった足を引っ込めた事を示して。
 遅れた返答と共に猫を被った獣の視界に入ったのは、明らかな非日常。そして裏社会の人間特有の佇まい】
【所詮他人事と言わんばかりの振る舞いの女性に対して、棕櫚は造った笑みを浮かべながら――女性へと歩み寄り始める】


――さて、はて。何のことでしょう。ひどいとは一体何のことです?
ああ、もしかしてこのクソガキを足蹴にしてる事ですか、だったらその表現は間違いですっ。
このクソガキは能力者で、猟奇殺人者なのですよっ。お分かりいただけますか、お美しいお姉さん。

なので酷いだなんて悠長な事言ってたらこちらが殺されてしまいます、およよ。
ですがぁ、かわいそうだ何て表現は実に理知的な女性らしい心配りだから良いですよ、良い良い。

あぁー、因みに公安やら警察は呼ばなくても結構ですっ!このボクが、何を隠そう公安なのですから。
公安としての職務を、本懐を果たしているだけなのですから。その点も心配後無用ですっ!


【糸目の目尻はやや垂れ気味に。表情全体はとても軽薄に。そして身振り手振りは過剰に、大仰に】
【―――"僕たち公安は日夜能力者という脅威から市民をお守りしてるんですっ!"と嘘を塗りたくる】


んで――本当はかわいそうだなんて思っちゃいないでしょう、貴女。
それにぃ、話が聞きたいなら先ずはそちらから名乗るのが礼儀――ではございません?
物騒な現場に出くわしたのにも関わらず先走るのは己が好奇心ですかぁ、研究者さん。

そちらの素性。それをお話頂けるなら。貴女の関心に答えるのも吝かではありません。


【棕櫚の言葉は軽薄で慇懃無礼そのもの。その振る舞いには"強者は勝手を振舞う権利がある"と言う傲慢が絡み付いていた】
【言い換えれば――"公安の俺様が聞いてやってんだ。テメエの質問に答えて欲しけりゃ俺の言う事を聞きやがれ"と言う意味になる】


931 : 名無しさん :2018/06/30(土) 00:31:02 pmPjzDr.0
>>928

【――つ、と、触れる舌先。どこか躊躇うように傷口へ少しずつ近づいてゆくなら焦らす指先のよう、やがてたどり着いたなら、――けれどあんまりに深くまで、挿し込む】
【吸血鬼だって蚊だって山蛭だってもっとうまくやるだろう。――だからこそそれは限りなく人間の行為であった、それが痛むと苦しむと、そしてどこまでも甘いと知っている】
【それはほんの短い時間であった、――はずだった。けれど二人の中でそれは永久に等しく、だからこそ、真っ赤な血を啜り上げてから口付ける、焦らしてしまった詫びみたいに】

【だからきっと傷口にねじ込まれる舌先も。絡ませる舌先も。誰かが見たならば男女が愛し合うようだとでも思うのかもしれない、それくらいに、――きっと、だから】

――じゃあ、抱いてあげます。朝までだって。昼までだって。それとも夜までだって。そのうちどちらともなく疲れ果てて眠ってしまって――。
私たちのどちらかが起きたなら、そちらから勝手に初めてしまえばいいです。――ね。そうですよね? アリアさん、だって、私たち、愛し合っているんですから。
だからね――、アリアさんはね、私のものです。他の誰かに尻尾を振ったら駄目ですよ、そんなの、泣いちゃいます。哀しみのあまりに張り裂けてしまいます。

【扱いきれなかった血交じりの唾液が落ちる、――病院着をじっとり濡らしてその下にある肌を張り付ける。わずかに素肌の色合いを透かす、やらかい胸元に、唾液は全部捕まって】
【ひどく近い距離で見つめ合う視線は、――けれど確かに甘く惚けていた。いくら"分かって"やっている部分がきっと相手より多いんだとしても、それでも、酒のように酔っ払う】
【耳元に口付けられ囁かれる、――ぞくりとけば立つような感覚。想いに逆らって詰まる吐息の中で少女はきっといっとう骨すら蕩かしそうな甘さで笑うのだろう、だって】
【――だって。それを説明するのにこの関係性は"どうにか"しすぎていた。文字数制限のある場所では語りつくせぬほど、そうでなければ、寿命が足りぬほど、折り重なった形】
【世界中で一番美しい天蚕糸で織り上げた衣装のように緻密すぎる感情同士が絡み合ったなら始点も終点も蛇の中に呑み込まれたよう、であれば、終わらぬ出来事の暗喩のように】

――――――――――――――――――――――もちろんです。
私はね、アリアさんのこと、大好きだから。――アリアさんには、アリアさんのしたいこと、してほしくて。
それが私のためだとアリアさんが言ってくれるなら、――嬉しくって果ててしまいそうです、それ以上の幸せは、正しいウヌクアルハイ様をこの世界にお迎えするときしかなくて。
それすらもアリアさんと迎えられるのなら――、ウヌクアルハイ様もきっと喜んでくださる。ウヌクアルハイ様の正しさのために努めたアリアさんを、祝福してくださいます。

――――もちろん、私も。

【――寄せた唇がアリアの耳輪を歯を立てない甘噛みで捕える、尖らせた舌先がわずかに三角窩を撫ぜて、それから、たっぷりの賛美を湛えた声音、まるで歌うように紡ぐから】
【スズランの音色はけれど今ばっかりはどこまでも甘かった。その猛毒を隠そうともしない、ただただ、胎内にぶちまけるみたいに、無遠慮に、無秩序に、ぶつければ】
【胎に宿せない代わりにその心の中にけして堕ろせないものを宿そうとするかのように幾重にも重ねる、重ねて、重ねて、――それでも足りぬ、とばかり】

――――ねぇ、アリアさん。だからね、もう一つだけ、お願いがあるんです。この腕輪。――これがあったら、私は、ただ無力に成り果ててしまいます。
アリアさんと共に行くことも出来なくなってしまう。ここから連れ出してください。だけど、その前に――、これを外してもらわないといけないです。

それはアリアさんにしかできないんです。――さっきの人にお願いしてください。外してあげてって。――"上手くやった"から、って。

そうしたなら一緒に白神鈴音を殺しましょう。必要であれば、"あれ"を知る人全部も。――それでいいですよね? 一緒に居られるのだから。

【――――――至近距離で目を合わせようとする。額同士を合わせるようにして、マリンブルーとマゼンタ、二つまぜて、新しい色を作ってしまいたいように】
【その距離感はキスを期待させた。けれどラテックスに遮られるような距離感で以って、触れ合うことはなかった。――――今は、まだ】

【"だから"】

【――相手が頷いてくれさえしたなら、その時に、さっきより深く深く、口付けるって、予感させるから】


932 : ◆S6ROLCWdjI :2018/06/30(土) 00:39:06 WMHqDivw0
>>930

猟奇殺人だなんて――――そんな、まあ。信じられない、こんなに小さな子が?
お兄さんのほうがよっぽど「そういう」顔してたのに。ふふ、……

……いやだ、公安? それはイヤだな、僕――悪女だから。
捕まってしまうかもしれないな、……本当に、公安? だったら早く逃げないと――

【「なあんちゃって」。その場でくるっと1回転、ターンに合わせて白衣の裾が踊る】
【逃げる仕草の真似事だった。お芝居というよりミュージカルめいて――男が「遊んでる」つもりなら】
【この女とてそれに乗る気満々、であるらしい。公安を名乗っていること、あんまり信じていないぽい】


どうしてそんなこと言うの? 僕はほんとうに、そう思ってるのに。
……、「かわいそう」って言葉ってさ、世界で一番傲慢な言葉だと思うんだよね。
だって勝手に相手のこと不幸だって決めつけて勝手に憐れむための言葉だよ、とってもひどい言葉、
……だから僕が使うには似合いの言葉。ねえ、わかるでしょ? 僕は「ろくでなし」だよ。

――――――「ブラスフェミア/冒涜者」。それが僕の名前だけど――聞いたことある?
「そういう」世界ではそこそこ売り出し、駆け出し真っ最中の今をときめく研究者だよ。
猫だって死んじゃう好奇心でも喰いついてっちゃうイキモノだもの、少々の無礼はご容赦願いたいな。


【水平に円を描く白の軌跡、重力に沿ってだんだん落ちていったなら――静寂】
【そうして女はまた少し笑った、「公安だって言うのなら――――僕のこと、タイホしちゃう?」】
【無抵抗を示すように両手を挙げる、それでも相手は何もしてこないってタカをくくっているようだった】
【だって面白そうなハナシのタネをばら蒔いた自覚がある。喰いついて来てくれるって、信じてるみたいで】


933 : 名無しさん :2018/06/30(土) 00:52:43 pmPjzDr.0
>>929

……いいえ。

【そして女は目を伏せた。――知らないらしいと思ったらしい、それがブラフであるかを疑うことはしなかった、――あるいは、信用したのか】
【けれどきっとそうではなく。――そういう嘘を上手に言える人じゃなさそうだとでも判断したのかもしれなかった、どこか失礼なんだけど、手間は減る】

……――いいえ、真っ白です。真っ白で真っ黒です。そのような方が知り合いにいらっしゃられて?

【――彼の「ちがう」という呟きに、きっと女は怪訝そうな顔をするんだろう。何が違うのか、と、責め立てる様子にもあるいは似ているかもしれなかった、どこか苛立って】
【褐色の肌に、白に近い銀の髪。――どちらも違うと言って彼女は首を揺らす。言葉を辿るに肌は白くて髪は黒いのだろう。それも"真っ"という言葉が付随するほど】
【であれは明確に別人である、はずだった。けれど、いやに反対過ぎた。最初は訝しむ様子であった、けれど彼の嫌な予感めいた顔に瞬き一つしたなら】
【あるいは彼女もまた思い浮かべてみたのかもしれない。――きっと彼がその脳内に見たことない"白神鈴音"を思い浮かべて、違うと、思ったように】

そうですね、あまりに違うかと思いますけれど。――ですけれど、奇遇ですわね? オッドアイの方だなんてめったに見かけませんもの。
あの子も昔は違ったんですの、ずぅと前は、どっちの目も、きれいな真っ黒色をしていて。子猫みたいに泣いてしまうんですの、――子猫は嫌いなんですけれど。

【――――その語られた色合いが反対に似ているのに気づいたらしかった。奇遇だと言って、そんなのは珍しいのに、まして、色合いまで同じとは】
【だからといって――左右で違うオッドアイの様相。白肌と褐色肌、あるいは黒髪と白髪、――そんな要素は確かに何か引っかかるところ、微かにあるのだけど】
【それ以上に至った様子は、――きっとあまりなかった。それより多分むかしばなしをする方が大事みたいだった。――「まあ、どうでも、いいんですけれど」。多分どうでもよくない】

知り合いのお方でいらっしゃられるのですか?

【――人懐こく笑んだ。それがきっと彼女の今宵初めての笑みであった。仕事のための笑顔。――つまり、ものすごく、整った、完成された、作られた笑み】


934 : ◆S6ROLCWdjI :2018/06/30(土) 01:13:47 WMHqDivw0
>>933

【否定されたなら余計困惑の色が深くなる、表情。彼女が思った通りに嘘を吐くのはへたくそ、というか】
【すぐ顔に出る。なんもかんも、……困ってしまったとき、特に。だったら尋問はとても楽にできるだろう】

真っ白、真っ黒、……正反対だ。だったら違うね、……もしや血縁者かと思ったのだけど。
知り合いだよ、同僚、年下の女の子……奇しくもリンネさんと同じだね、給仕をやっている。
そんな子だけれども……、……嫌だな、何かひっかかる。……、……、

【完璧に整えられた笑顔。それを見たら「捉えられた」と思った、今までのつんとした態度が一変したなら】
【何かしら興味を引く部分を晒してしまったのだと理解する。けれどそれは餌でもなく玩具でもなく】
【大切に想っている、家族のようなものであったから。……引き渡すのは少しだけ気が引ける、けれども】
【先に手伝うなんて言い出してしまったのは此方のほうだ。今更退けやしないってわかっているのだ、痛いほど】

……後天性のヘテロクロミア? あまり聞いたことがない例だ、……ずうっと前って、どれほど。
どれほどからそういう色合いになったんだい、何かきっかけでも、……。

【頭がくらくらする気がするのは嫌な予感が止まらないせいか。それとも目の前の彼女の、甘い笑みに浸されたせいか】
【わかりはしないけど、逃げ道を探すように違う話題。でもそれも「どうでもいい」で流されたんなら戻ってしまう】
【黒革がぴったり沿う手の、人差し指を折り曲げて、薄い唇に寄せて。それで少し考え込む仕草――未だ困り顔のまま】

【(そういえばあの同僚の。妹のように思う子が、具体的にどんな種族の亜人であるか聞いたことがなかった)】
【(……気がする。思考がどんどん悪いほうに向かっていってる、気がする。……眩暈がした、全部気のせいであってほしいと願う)】


935 : 棕櫚 ◆D2zUq282Mc :2018/06/30(土) 01:18:08 JY1GydDk0
>>927

【ああ、コイツは危うい。己の心の中に世の理を捻じ伏せた理屈を飼っている】
【にこり、と棕櫚は柔らかに微笑む。肌を僅かばかりちくりと刺す様な警告も心地よい】
【かわいそうと言う言葉の見解一つで、棕櫚は珂珂珂と笑いを零しそうに成る程に】


―――……これは、これは一本取られましたねえ。実に良い見解です。
傲慢には様々な形がございますが、哀れみもまた傲慢。それでいて「ろくでなし」と。
そう解釈なさいますかぁ、良い理屈をまた一つ学ばせて貰いました。


          ―――ブラスフェミア/冒涜者 殿―――


【軽薄な表情はそのままにワザとらしいほどに恭しく一礼する棕櫚】
【伏せた顔には、半月に避けた口元とぎらつく双眸が隠されて――詰まる所、悪人の振る舞い】

(公安五課の資料にあったっけなァ。ブラスフェミア。裏社会で名の知れた研究者)
(報酬さえ用意すれば違法な肉体改造手術や、合成獣の作成を請け負う螺子の外れた逸れモノ)

【思案を巡らせて。出来る限りの情報を引き出せば――】
【冒涜者が此処に居る理屈など直ぐに察しが付く。冒涜者の言動が泰然としているのも合点がいく】
【"―――こいつはカリヤよりは使える。そして話せる。クカカッ、利用しない手立ては無い"】


そうですねえ、その泰然自若とした振る舞いに免じて――いいや、駄目だ。やっぱりタイホしちゃいます!
その振る舞い、公序良俗に反しますからぁ。好奇心で死なぬ様、媚びる様な猫なで声で懇願してごらんなさいっ。


【"なーんてね。冗談ですよ、冗談"と、恭しい一礼をした後。顔を上げた棕櫚はおどけてみせる】
【タカを括っている相手に空気を読まない横暴を振舞うのも悪くないが、それ以上に面白そうな話があるのだから】


さてはて、閑話休題。貴女の関心に触れるとしましょうか。ですが此処では風情が無い。
折角のお淑やかなご婦人と語らうのに路地裏とは風情がござんせん。であるならば。
ブラスフェミア/冒涜者殿の研究室でお話させていただきたい所。――手土産もございますし、ねっ。どうです?


【棕櫚の親指が示す先――それは、先程まで壊す気で居た雁の群れと言う意味合いを持つカリヤと言う名の多重人格者】
【冒涜者へと差し出される供物は、カリヤは。手当てを施せば一命を取り留めるだろう。
 だが雁の群れである多重人格者(=カリヤ)が行き着く先には、実験動物として使われ、壊される未来しかない】


936 : 名無しさん :2018/06/30(土) 01:30:29 pmPjzDr.0
>>934

血縁者――そうだとしても。あの子は"生まれついて"ではありませんから。それに、一人っ子だと聞いてますわ、両親も死んだと。
ですので。――ほかにどなたも居ません、"居るはずがありません"。――そうですね、しいて言えば、"へびさま"って方に、懐いていましたけれど。

あんまり興味なかったので覚えてないです。

【――くす、と、小さな声が漏れでた。そしたらそれはきっと笑みの色合いをしていた。猫撫で声の気配がして、であれば、きっと甘い音色をしている】
【白神鈴音という少女は後天的に瞳の色が変わっている。であればそれについては関係がない。血縁者、というのも、――居ない、と、女は断言するんだろう。"存在しない"】
【けれど続く言葉で、あるいは彼の中の不穏さは増すのかもしれない。――"へびさま"。先日壊滅したというカルトもまた"蛇"を崇めていた。その信徒は、蛇の入れ墨を入れるんだと言う】

【――――女はあまりそちらについては調べてこなかったのかもしれない。あるいはその少女の関係者にはまったく興味がないみたいに、しれ、と、素知らぬ顔して】

……そうですね、十二歳の時の六月二十四日、……あの子の誕生日までは、少なくとも。あとは、そうですね――、――まあ、七年くらい前までは、多分。
伝聞ですので確証はないです。ソースがクソガキなのであんまり信用ならないんですけれども。――きっかけですか、それもわたくしは知りませんけれども。

――――――聞いた限りですと、当時、……同棲。していた男の家に居られなくなった、と言って。その後失踪して。――探せと言われたので探していたんです。
まさか知り合いだとは思わないですわよね? まっさか幼馴染だと思わなかったので。全然手抜きしていたんですけど。――、ち、はあ、――ともかく。
その時聞いた"特徴"の限りは髪と目の色は黒い、ということでした。ですが――――、

――その後会った時にはすでに今の色になっていました。五年くらい前ですわね。おおよそ二年くらいは失踪していたので。

【――けれどそんな女の態度が歪んだ。というかめちゃくちゃ嫌なこと思い出しながら話すみたいな顔をするのだ、言い捨てるような荒い口ぶり、気に喰わない色】
【どうやらこの女、"少女"に執心しすぎているのか"そういうの"が嫌らしい。――とは余談なんだけど、とにかく、思ったよりはわりに情報が出て来る、苛立ちながらでも】

【――――であればそれはきっと何かに繋がるものなんだろう、と、思わせた。なんせ年単位で行方知れずであった人間が、次に再び認識されたとき、"そう"なっていたというなら】


937 : タマキ ◆KP.vGoiAyM :2018/06/30(土) 02:10:10 Ty26k7V20
>>878

あら、ま。…まっ、それならそれでいいんだけどねー。

【正直なところ資金の出処なんてものは興味がなかった。そういうめんどくさいことを全部やってくれる課長の手腕に感心しつつ】
【どうやら思ったよりも懐は深そうだと彼女は、餃子に酢をたっぷりつけながら考えた。シメシメ。これで好き勝手ができるぞ】

あら、でもどうせなら使える武器が増えたほうがマシね。おんなじ景色は見飽きたから。
…ああでも、アナログな色使いを忘れちゃいそうだしやっぱやめやめ。

まあ、私は絵がかければいいから。あとビールとラーメンがあれば。…たまのバカンスと。あとわぁ………・

【彼女は見た目と性格からは想像つかない、絵を書くという趣味がある。作戦の合間や、会議のときなどに話も聞かずによく手元のメモ帳や】
【ときには資料の裏にでもペンを走らせていることが多い。しかも、それなりに上手いのだ。】

『これ(国家公務員)に落ちたら美大行こうと思ってたんだよね。』

【それが唯一彼女の口にする過去だった】

中々ロマンチストね。この仕事がやれるならなんてぇ〜〜?かぁーっこいー。
ま、信頼はしてるよ。私は私で、保険をかけさせてもらうけどね。

ハイサー、ヨーソロー。正義のためにお勤めさせていただきます。

【箸を持ったままの適当な敬礼。多分手も逆だし、ニコニコ笑顔だし。酔っぱらいそのものだ】


サーペント・カルト?壊滅したんじゃないの?いろいろと詳しい話はこっちまで出回ってないけど。
風のUNITEDTRIGGERのメンバーが居たとか。いつもの通りのご活躍で、先越されちゃったって感じ?
残党刈りもいいけど、危険なカルトならいくらでも居るわけだし。

んでんで…公安関連?貴方の古巣の一見だし、私としてはこっちがシリアスだと思うけどぉ?
外務省として、国家安全保障的に見るなら。国家の治安を司る者がゴタゴタしてるなんて、いいカモだよ。
何処の国だってチャンスとばかりに諜報員潜らせるよ。もう何処も気づいてるさ。

――いいや、もはやこれはお家騒動じゃ済まされないでしょ。
実質的なクーデターを法で裁けないんなんて、国家というシステムの不備ね。

【彼女は気にせずに話す。警戒心が無いのではない。経験上、ここで警戒する必要性がないとわかっていたからだ】
【それよりも、余計な気を回して話が疎かになる方が不利益だった


938 : 麻季音 ◆KP.vGoiAyM :2018/06/30(土) 02:44:10 Ty26k7V20
>>879 >>880


ええ。そんな道理は、私の辞書に無いわ。


【いたずらっぽい私のウィンクは少しあざとかったかもしれないが今みたいな状況だとむしろその方が私らしい】
【笑う彼に誘われてこんな冗談を言ってしまうくらいに私も慣れたのか、それとも頭はバグってしまったのかもしれない】


あら?やっぱり、気に入らないと思ったら。

【そして追記される彼からのメッセージ。この世の中の理なのか、黒幕の用いるまやかしなのか。もはやそれすら朧気な】
【円環のうちに閉じ込められてしまったのかもしれないが、やることは決まっている】

【その描く、ゼロを1にする。端的に言えばそういうことなのかもしれない】


――改変の実行者…観測者すら気が付かないとでも?
いや…ノーパラドクスなら、実行者にとってパラドクスでないなら……


【彼の瞳に彼の世界が見えたような気がした。真っ黒に塗れた、変えてしまいたい世界】


あるべきではない大いなる嘘が真実となる前に…か。難解ね。

…確実に存在しうるのは『今』…だけ。


【そうして、世界のゆらぎはほんの少しだけ正常に戻った。彼が言うことが正しいのなら、だ】
【こうして彼の真実が存在しているので私の中の電気信号として残っている】
【記憶データはどの世界にも情報として渡り歩くことができるならばそれは矛盾しない】
【今やこの世界の基準は時間でもエントロピーでもなく、因果なのだ】

…でもそれだと、私は神の存在を肯定しているようでならない。…やっぱり好きじゃない。


【もはやこの時計の差す時間は何の意味もないように感じられた。因果は今も変わっているのだろうか】
【私は観測者なのだろうかそれとも―――】

【私は本を拾い上げる。本がある。それ以外は記述する必要がない。まるでチェーホフの銃のように世界は必要最小限で記述されるべきなのだ】
【おもむろに、ページをめくる。私が居る。

【今、ここに】


939 : カニバディール ◆ZJHYHqfRdU :2018/06/30(土) 04:28:24 IBKicRNQ0
>>908
【派手に悪事を繰り返してきた今、自身が相応の知名度を有していることは自覚している】
【しかし、流石に眼前の男に提供された資料が紙束にまで達しているとは露知らず】

【そんな苦労もどこへやら、ある意味では衝撃的な感想を抱くパグロームの心中もまた知らず】
【ちなみに、彼の想像は恐らく当たっている。見た目は怪物だが、この男は人として生まれ、重ねた歳は30と少しだ】


ああ、全くだよ。総身に血が回りづらくて困る
しかもこの脅威だらけの世界にあっては、しょっちゅう胸の中で跳ね回る始末だ

ほう、音に聞こえたパグロームともあろう男が取り逃したのかね?
――――なるほど。カルト教団の末路など、そんなものか

本当に、なんという悲劇だ。お前の義憤が巡り巡って、そのような……。つくづく狂信とは度し難い
その場に居合わせたかったものだよ。その哀れな女の断末魔と、その首を捧げた信者どもの末路は是非とも見てみたかった

……ムリフェン。蜜姫かえでか

【この男も、かの蛇の聖女のことは知っているらしく。それどころか、何か言いよどむ様子すら見せた】
【ともあれ、彼がショーケースを物色し始めたら、適当なタイミングでお勧めの蛇料理などを紹介する】
【事実、商売には気味が悪いほど誠実だ。偽装された肉は一つもなく、それも鮮度を保っている】
【中には、希少な蛇の肉もあったが、密猟も日常茶飯事なこの男は躊躇うことなく店先に並べる】


悪食なものでね。食えそうにない肉があると、どうにかして食えるようにしてみたくなるのさ
ふ、ふ。それについては同意しよう。少なくとも、ドブネズミ焼きの方が遥かに美味だったよ

【彼の苛立ちを見て取れば、最初に啜り終えたものを含めて三つの脳みそシャーベットを、素早く背後の大型冷蔵庫にしまい込む】
【一瞬見えたその中身も、やはり多くの肉や人体パーツが詰め込まれていた】
【異形の方も警戒は解かねど武器などは持ち出さない。殺し合いとは違った用事できていることは、殺意に敏感なこの男は悟っていた】


……よく肝に銘じておくよ。今まででも思い知らされる機会はあったが
先日の一件は決定的だった。本当に、上手くいかないものだ

【しかめ面をどうにか押し込めつつ、その言葉をかみしめる。あの場にいたかつての宿敵たちにも驚かれたものだ】
【その結果が、今のこの有様である。慣れないことはするものじゃないのだ】

【そんな思考も、続く彼の言葉に打ち消される】


――――詳しく聞こうか

【肉屋としての欲望。異常者としての欲望。悪党としての欲望】
【抑えきれないそれらに三つ目をぎらつかせながら。カニバディールはダボハゼの如く、彼の話に食いついていった】


940 : カニバディール ◆ZJHYHqfRdU :2018/06/30(土) 04:55:14 IBKicRNQ0
>>912
ふ、ふ。お前たちの中にあってもまだ特殊か。まあそうだろうな、いくら何でもあんなになるまで『修行』に没頭していれば
生贄集めに歩くことすら出来なくなるからな

ほう、思っていたよりさらに若いな。確かに、女子高生の病室に天井から這いずり降りてくるなどと
字面だけならひどい変態だ。そのレッテルを貼られるリスクまで負った以上は、やはり手ぶらでは帰れないな

【敬意。彼女にとっても、あの司祭は信徒の先達として尊敬の対象だったということか】
【彼女が能力による都合を示さなかったように、異形もまた示さなかった。アレクサンデルに仕掛けた罠を】
【雑に視界に放り込まれる柔肌には、やはり情欲は示さない。かつて猟奇クラブで働いていた時代で鳴れている】


……そう受け取ってくれても構わない。そうだな、愛らしいワンポイントになりそうじゃあないか
ああ、それについては機関員である私も同意するよ。何故あの有様で、組織としての体裁を未だに保てているのやらな

祈りまで邪魔されるようになれば、いよいよディストピアというやつだな

【彼女の視線を受け止めながら、脳裏に浮かぶは別の敵。『黒幕』たちにとっても、やはり彼女らは邪魔だろう】
【しかし、今は彼奴等に動きはない。少女の見せつけるのに慣れた様子にも構わず】
【異形もまた、己の思考に埋没し。現状を鑑みてすぐ浮き上がる。機関とカルト、相反する二つについても後回しだ】

ルールによっては、そこで妖狐も出てくるのかもしれないが、どう考えても私にキツネの役は無理があるな
……それについては否定はしないとも。確かにお前は大層な上玉だよ

食い応えのありそうな胸に食卓に並べても見栄えのする顔。その白さと滑らかさなら剥ぎ取った皮にも良い値が付きそうだ
前のシャンプーがどんなものだったのかは知らないが、今の香りは少なくとも大いに食欲をそそる

……お前が〝そう〟なった経緯は容易に想像がつくよ。どこのカルトにも性交はつきものだが、蛇教も例外ではなしか
酷いことを言うな。強姦魔と違って、その場ですぐに終わるというのに

【何とも官能的な光景である。17歳の少女によるものとは思えないほどに、色が充ちていた】
【カルトの中にあっても、さぞあらゆる形で有用だっただろうその美貌、その誘惑。彼女の思う通り、それが通じるほど愚かではなく】
【指の動きは追わず、その笑顔だけを見つめる。観察するように無遠慮に】

身内からも嫌われていたのかね、彼奴は。まあ、人間に対する態度が教団内でも同じだったのなら、当然だな
目的は叶った……知っていたなら殺した……そうか。なるほど

イルの執着はただ一つ、白神鈴音だ。お前たちの目的は、白神鈴音を受肉させることにこそあると思っていたのだが
その分だと違ったらしいな。お前たちの神を下ろすための儀式を、彼奴は自分の女を取り戻すために利用したわけかね?

【彼女の消極的な肯定は、いっそうサーペント・カルトの弱点を匂わせる。やはり、彼の組織は歪であったのだ】
【むしろ、あの筋金入りの人間嫌いが一時でも人間と同じ組織に籍を置いた理由。おのずと、その答えも分かる】

【彼女の震える吐息は怒り色。瞳には隠せぬ憎悪の色。イルに対する。そして、鈴音に対する】
【異形の脳内を信号が行き来し、答えを導き出す。儀式は失敗した。降りたのは蛇神ではなく鈴音だった】

で、あるならば……お前は、まだ諦めてはいないのだろうな? 崇めた神を、ただ一人の女になど変質させられて
あれほどの戦死者まで出したと言うのに。その心中や、いかばかりか

【己も邪魔をした張本人でありながら、他人事のように言いつつ。次の瞬間】
【異形の目つきは変わった。相手を脅迫し、踏みにじるためのものへと】

――――それで、お前は何をするつもりだ?
お前たちの神を取り戻すために、どうする? 誰と協力して、何をしでかす?

……私は丸腰だが、お前程度の柔い肉なら。素手でも問題なく毟り取れるぞ
誰と何を企んでいるのか、洗いざらい吐くか。身体のどこかに別れを告げるか。選べ

【小悪党の脅し。しかし、同時に事実も語っている。彼女の眼前に翳された異形の指は太く。動かすたびにバキバキと音が鳴る】
【図体通りの力がこの指に込められたら。彼女の身体を千切るくらいは造作もないだろう】
【カルトの幹部にまで上り詰めた少女相手には、低次元な脅しではあるが。まずはジャブといったところか】


941 : 棕櫚 ◆D2zUq282Mc :2018/06/30(土) 07:52:42 JY1GydDk0
//>>935は無しでお願いします…&安価ミス

>>932

【ああ、コイツは危うい。己の心の中に世の理を捻じ伏せた理屈を飼っている】
【にこり、と棕櫚は柔らかに微笑む。肌を僅かばかりちくりと刺す様な警告も心地よい】
【かわいそうと言う言葉の見解一つで、棕櫚はカカカと笑いを零しそうに成る程に】


―――……これは、これは一本取られましたねえ。実に良い見解です。
傲慢には様々な形がございますが、哀れみもまた傲慢。それでいて「ろくでなし」と。
そう解釈なさいますかぁ、良い理屈をまた一つ学ばせて貰いました。


          ―――ブラスフェミア/冒涜者 殿―――


【軽薄な表情はそのままにワザとらしいほどに恭しく一礼する棕櫚】
【伏せた顔には、半月に避けた口元とぎらつく双眸が隠されて――詰まる所、悪人の振る舞い】

(公安五課の資料にあったっけなァ。ブラスフェミア。裏社会で名の知れた研究者)
(報酬さえ用意すれば違法な肉体改造手術や、合成獣の作成を請け負う螺子の外れた逸れモノ)

【思案を巡らせて。出来る限りの情報を引き出せば――】
【冒涜者が此処に居る理屈など直ぐに察しが付く。冒涜者が泰然自若な振る舞いをしているのも合点がいく】
【"―――こいつは上玉だ。カリヤなんぞより遥かに使える。そして話せる。利用しない手立ては無い"】


そうですねえ、その泰然自若とした振る舞いに免じて――いいや、駄目だ。やっぱりタイホしちゃいますよぉ…!
貴女の存在は公序良俗に反します。なーのーでっ!好奇心で死なぬ様、媚びる様な猫なで声で懇願してごらんなさいっ。
それにボクの方が猟奇殺人者だと言われちゃあ堪ったものじゃありませんしね。ボカァ、結構根に持ってますよぉ。


【"なーんて。冗談ですよ、冗談"と、恭しい一礼をした後。顔を上げた棕櫚はおどけてみせる】
【タカを括っている相手に空気を読まない横暴を振舞うのも悪くないが、それ以上に面白そうな話があるのだから】


さてはて、戯れるのはここまで。貴女の関心に触れるとしましょうか。ですが此処では風情が無い。
折角のお淑やかなご婦人と語らうのに路地裏とは風情がござんせん。であるならば。
ブラスフェミア/冒涜者殿。場所を変えてお話したい所。――手土産もございますし、ねっ。どうです?


【棕櫚の指が示す先――それは、先程まで壊す気で居た雁の群れと言う意味合いを持つカリヤと言う名の多重人格者】

【冒涜者へと差し出される供物は、カリヤは手当てを施せば一命を取り留めるだろう。
 だが猟奇殺人者のカリヤが行き着く先には、実験動物として使われ、擦り切れ、壊されるであろう未来】


942 : ノイン ◆D2zUq282Mc :2018/06/30(土) 08:00:37 JY1GydDk0
//安価ミスのため再投稿

>>753

―――……了解した。それがお前の意志ならば。

【抑揚の無い口調で紡ぐ了承の意志表示】
【何も映さない瞳で見遣るのはワームシンガーが手にする蟲の遣い】

【この戦いはこの蟲の遣いを孵化させる為のもの】
【幾千もの贄を我らが蟲の遣いに捧ぐ為のもの】
【ノインにとって、この戦いの意味はそんなもの。それ以上でも以下でもない】


―――……来る、か。狂った『知性』よ。


【重苦しい扉が開かれる時、それは開戦の合図に他ならない】
【"扉を開ける狂った『知性』共よ、覚悟するがいい。その扉を通って帰れるとは思うな"】
【その意味合いを込めてノインは背負った剣を手に取り、切っ先を扉の向こうへと向ける】


943 : 名無しさん :2018/06/30(土) 10:52:43 pmPjzDr.0
>>940

まあ、学校行ってないんで、住所不定ニートですけどね。
どこぞの正義の方々のおかげで、お家がなくなってしまったので――、

【――冗談めかす声。それでいて"どこぞの正義"に対する明確な感情を孕んでいた。怒りや憎しみに似る、その気持ちの欠片】

ディストピア、ですか。――――本来あるべき神様の姿が歪められてしまうような世界の現状こそが、まさにそうではありませんか?

【馬、とか、機関、とか、それはきっと彼女にとってはどうでもよいことだったのだろう。適当な言葉を並べて、時間稼ぎ、あるいは相手を探るようにする】
【元来どうでもいい話をし続けることは得意なタイプだった。――けれどその時々でどうしたって現状への不満憎しみ怨みみたいなものが漏れて来るのは、やはり仕方がないのか】
【真っ白な足先を揺らしてから、そっと、組む。――やらかそうな太ももの肉がふにりと歪められて、ちょうど大きな口を開けたならぎりぎり含めそうな指先、小さな爪先、示したなら】

狐ですか? 知らないです。やったことないんですよね。いわゆる石鹸の匂いで性欲ではなく食欲を感じる人間が居るのも初耳でした、覚えておきましょう。
――みんなそう言いますね。なんか流行りですか? いいですけど。

【――彼の言葉はけろりと躱される。食材の一つとして食卓に上げられる話をされてもなお、その様子は変わらないなら。ならば、その顔が変わるのは一つの瞬間】
【〝そう〟なった経緯――、どこか睨むような細めた目を、相手に向ける、見上げたならば、その向こう側で、話は進んでいくんだろう。――イル=ナイトウィッシュ】

………………。ウヌクアルハイ様は正しくあるべきお美しい姿より引き摺り降ろされてしまいました。けがらわしい偽善者どもの妄執によって。
イル=ナイトウィッシュは――白神鈴音を知っていた。ううん。知っているなんてものじゃなかったです。デキてます。――それで、自分の女、ですか?

――そんな奴が内部も内部、幹部に居たことが恥ずかしいです。やはり本当に殺してしまえばよかった。

【どこか冗談めかす、ふざけるような態度が、消える。苛立ちが目立つようになる、――そうして紡いでいく言葉は、明確には否定でも肯定でもなく聞こえ】
【けれど遠回しにきっと限りなく肯定していた。――彼女の言葉自身が証明するようだった、あの病魔は、間違いなく、あの少女のために動いていたと。そして彼女もまた】
【彼の言葉から、そのことに気づいたなら。――――いっとう憎くて仕方ない顔をするのだ。"最初からそのつもりだった"と、さらに分からされたように】

【――そして、あるいは、彼にも。このことで突発的に起こった蛇の事件の全部は、あの少女、――白神鈴音のための出来事であったこと】
【病魔の指先によって命が一つずつ摘まれたのなら、それを花束にしてプレゼントするみたいに。跪いてプロポーズの瞬間に、――あの少女は限りなく願われ舞い降りていたから】

――――当たり前です。ウヌクアルハイ様は正しい姿であられるべきです。盲目に白痴を塗り重ねた神様であってはいけない、……正しい座にお導きしなければならない。
そのための正しい行いをしなければならない。それを"壊された"我らがやらねばならぬ、というのが、ひどく気に障りますが――――。

/わけますっ


944 : 名無しさん :2018/06/30(土) 10:53:11 pmPjzDr.0
>>940>>943

……あはは、もしかしてあなたも白神鈴音のファンですか? 機関員UT給仕に執着する理由はなんですか? "あれ"も結構子供みたいな顔してますけど。
もしかしてロリータコンプレックスの方でしょうか、イエスロリータノータッチ。鉄則ですよ、援交は犯罪なんです、ご存知だとは思いますが――。
あんな恰好が好きだったり? もしかして着てみたいですか? ――あはははっ、ちょっとヤバイですね。逆に見てみたい。――。

別に。どうぞ。

【――――彼女たちが本来どんな神を願っていたのかは、さだかではなかった。そもそも組織として内部までも秘密主義が過ぎたなら、同じ方向を目指していたのかすら、釈然とせず】
【ただひたすらに各々がウヌクアルハイという神を、――蛇と信じていた。そういう集団だったのだろう。とにかく確実であるのは"世界はまだ滅んでいないこと"】
【盲目にて白痴の神。到底自らの神に捧ぐとは思えぬ文句であった、ならば、――向けている先は白神鈴音であると思わせて、だからこそ、世界はまだ、ここにあるのだろうか】
【――外に行きたい、と、言っていた。外には出られたんだろうか。世界中全部の"蛇"を知る人間を見つめて居るなら、あるいは今ここにすら白神鈴音は居ると言えて?】

【答えない、と、少女が名言した。誰と、何を、――見上げる瞳は恐怖はなかった。ただ淡々と、そう答えるだけだから】
【――――――あけひろげにされている左手の蛇。蛇教信徒はその刺青を大層大事にしていると知っているだろう。ちょうど良くもぎ取れそうだった、(間違いなく一番の脅しになる)】


945 : ◆S6ROLCWdjI :2018/06/30(土) 15:02:02 WMHqDivw0
>>936

孤児、……であったということか。なら本当に、「あの子」と関係はないんだね。

【ほ、と気の抜けたような吐息の音。だけどまだ何か引っかかっている、あるいは引っ掛けられている感触がする】
【寒暖の差なんて「こんな体」になってからあまり気にならないようになった、はずなのに。汗が一筋つっと垂れて】
【俯く――眼鏡のずれを直す。困り顔から渋い顔へシフトチェンジ、見た目にはあまり変化はないけど】

…………「へび」? それは、やはり……ううん、こじつけにしかならないけど。
先日潰れたという、さっき言ったカルト宗教……も、崇めていたのは蛇の神だと言うよ。
やはり何か、……そこら辺が引っ掛かる気がするな。なんだったか、……「サーペント・カルト」?

【「その辺りに少し探りを入れてみるよ、危険だから、貴女はあまり深入りしないで」 ――言ってみるけどどうなることやら】
【こんなになるまで探していたのに、今更「あぶないから」なんて理由でひっ下がるような相手だろうか。……思わない】
【勝手に未来を思い描いて、はあ、と溜息。「荒事は僕らがやるから」なんて付け加えてみるけど、さて】

当時住んでいたところに居られなくなってその後、……失踪? ではこれが二回目の失踪か。
それが……二年も!? それはもう警察沙汰にしてしまったほうがよかったのでは、……、……。
……その間になにかがあって、……ヘテロクロミアに。……聞いておいてなんだけど、まったく、わからない……

【なんでそんな大事件、しかるべき機関に捜索を任せなかったのかって。非難めいた口調、だったけど】
【彼女の様子を見てそれも引っ込める。だって今回だって大事にしたくないと、口酸っぱく言われているのだ】
【「そういうこと」なんだろうと、なんとなくでもわかる程度には長生きしていた。そうか、と言いながら俯いて、唇に指を当てて】

…………うん、わからないけど、わかった。この件はきっと貴女ひとりで探し続けるのはどだい無理な話だよ。
僕らはさっき言ったカルトについて何か調べていくとする。貴女は――大人しくしていて、なんて言っても無駄だよね。
別に家に籠っていろなんて言わないから、……どうか無茶はしないでほしい。
治安の悪い場所に単身乗り込んでいくだとか、そういうことは間違ってもしないでくれよ。……何かあったら、言ってくれればいいから。

【次に顔を上げたときには、ベストの内側ポケットから一枚名刺を取り出して。渡そうとした、所属と名前が書いてある普通のやつ】
【ついでに「表の顔」である大衆食堂、のアクセス――地図とか電話番号とか。そういうのが載っているというのは、余談】


946 : ◆S6ROLCWdjI :2018/06/30(土) 15:17:29 WMHqDivw0
>>941

【それは理屈というよりは捩じくれた価値観、偏見と呼べるものだったろうけど】
【それを面白いと思われたんならそれでいい。興味を持ってもらえればそれでいい】
【だって此方もあなたに興味ありありなんだもの――そう言いたげに、微笑み返して】

理屈っていうか、考え方っていうか、……なんだろうね?
とりあえず僕がロクデナシであるってことはわかってもらえたみたいで、嬉しいよ。

やだ、やっぱり逮捕されちゃうの? いやだ、やめて、「ごめんなさい」――――
……あはは! 意地悪なヒトもいるんだね、公安ってのには。ねえお兄さん、
どうせだからお名前教えてくださらない? 僕のこといずれ捕まえちゃう人の名前、知りたいな。

【懇願してみろと言われて返した、謝罪の言葉――戯れの芝居の台詞にしては、やたら迫真めいた響き】
【きっと「言い慣れている」とわかるのだ。なればこの女、これまでに沢山沢山――公安、警察】
【その他、「取引相手」にまでも。そういう言葉を那由多ほど使い続けてきたのだと、わからせる】
【けれどそれもさらっと流す。此方が名乗ったんだからあなたも名乗ってよ、と要求する】

場所を変えたいなっていうのは僕もそう思う。
……って言ってもここから遠いんだよね、僕のラボ。氷の国にあるから、防寒具もいるだろうし――
ね、お暇な日を教えて頂戴よ、そしたらその日に「お迎え」に行くから。……お土産、そこで受け取るよ。

【言って示すのは北の方角、さむいさむい常冬の国が根城であるという。そこに行くには準備も要ろう】
【だから後日――万全の準備を整えて「ランデヴーしましょう」なんて、お誘い】
【実際彼が指定した日、「手土産」を携えて氷の国の空港だかターミナルだかに着いたなら】
【言の通りに「冒涜者」は現れるのだ、「来ちゃった」なんて言って――お迎えに。楽しそうに笑って、めかし込んで】


947 : 厳島の中 ◆zlCN2ONzFo :2018/06/30(土) 17:59:06 6.kk0qdE0
>>915

「……そうか、解った」

【夕月の表情と言葉に違和感を感じつつ】
【しかし、これ以上言及しても少女は答えてくれないだろう、そう考え】
【だが、確実に夕月には何かの秘密がある、それを話してくれるのはまだまだ先の話なのだろう】

「蟲の魔族だな、詳細は不明だが魔界と呼ばれる場所からこの世界に侵攻している様だ」
「レヴォル社での事件の際に、魔界との道が開きその際に侵攻が始まった様だが……どうも詳細な情報が掴めていないのが本当の所だ」
「オーウェルとハルモ二ーはそもそも、表の世界でも提携した企業だが」
「黒幕とオーウェルが裏の世界でも結び、そしてハルモ二―とも関係している様だ」
「水国特区を調べている内に、証拠と情報を掴んだ」
「オーウェルには先ほども述べた、麻希音とゾーイが現在侵入調査をしている……」

【蟲の魔族と、そして暗躍する企業に関してはやはりと言うべきか、情報はあまり伝わっていない様子だった】
【解り易い様に知る限りの情報を、掻い摘んで簡潔に伝える】
【話は、公安の件になる】

「ああ、そうだまさにその子だ」
「夕月と歳は同じくらいだったか、公安の罪人懲罰部署三課に属する人物だ」
「最初は、私の部下が接触して、私とはあの日、黒野カンナが捉えられた事件の日に初めて出会った」

【ここで少し、片方の瞳が遠くを見る様に一呼吸おいて】

「カンナは……すまない、解らないんだ」
「あの日、俺とミラ、鵺とディミーアは其々が情報を掴み、共通の場所を調査をしていたのだが」
「それは、罠だった、黒幕に仕掛けられた巧妙な罠だった」
「誘き出された俺達は、まんまと捉えられ、軽くは無い怪我と、そして黒野カンナを奪われた」
「……カンナは、何処に捉えられているのか、またどのような状態なのかすらも解らないんだ……」

【頭を振るように、苦痛に満ちた表情を見せる】
【そしてあの日、血の処断と称されたその事件の事を、簡単にではあるが話すも】
【やはり、思い出すことも苦しい様だ、それ程の事件だったのだ】
【あるいは、黒野カンナとはそれ程に信頼され頼られている仲間であることも、同時に示唆している】

「ああ、話を続けよう……」


>>921

「ああ、すまない、あまり君と料理は結びつかなくてな」
「だがいい心構えだ、研鑽すれば直ぐにでも良い花嫁になれるだろう」

【どうにも、表情を緩ませてそうフォローする様に話し】
【最も、それは良い相手に恵まれればの話ではあるのだが……】
【やがて、表情を険しい物にして】

「レヴォル社の件は話したかな?ああ、そのレヴォル社で間違いはない」
「UTの代表、セリーナが捉えられている企業だ」
「開発主任のブランル、この人物が目下この企業では、立ちはだかる最大の敵となっている」
「オーウェルとハルモ二ーは、簡潔に言うならば黒幕の関連企業だ」
「黒幕に技術と製品を提供、研究し人類の思考や意思を統一し操作する計画『ソラリス』を画策している」

【さらりと述べている事だが、これ自体もかなり極秘の情報と言えるだろう】
【つがるには意図的に隠していた情報、その一端で】
【それはつがるを危険から遠ざける意味合いがあった、知る事は近づきそして呼び寄せてしまう事なのだから】

「つがる、君は鋭い子だな」
「そう、公安は警察組織の一部分だ」
「公安内部には、と言うよりもそもそも公安その物が黒幕の根城と化しているのは否めないな」
「だが……」
「だが、中にはゼロのカンナや、そしてまさにその時だったな、夕月ともう一人を運んだび我々の危機を救った鵺の様に」
「この組織の腐敗を良しとしない、信頼できる人物や組織も存在する、これもまた事実だ」

【つがるの疑問も最もな物だ】
【婦警擁する水国警察組織は、黒幕の陣営が根を下ろす伏魔殿】
【だが、小さな抵抗勢力も中には存在している、そう語り】
【口ぶりから察するならば、公安の、特に黒野カンナに関しては特に信頼を置いている仲間の様だ】


//続きます


948 : 厳島の中 ◆zlCN2ONzFo :2018/06/30(土) 18:00:01 6.kk0qdE0
>>915>>921

「そして、そうだな、鈴音の事だ」
「俺と夕月、カニバディールとユウト、そしてアーディンと言う裏社会で名のある人物は、あの日失踪した鈴音を追って水の国旧市街に向かった」
「そこでは、かつて存在した精肉工場が我々を迎え入れたのだが、それこそがイルの、いや、イル達異世界の神々の罠だった」
「我々を待ち受けたイルと、そしてレッド・へリングと言う神と戦う事となった」
「結果としてレッド・へリングは消滅、イルはそのまま逃亡を図ったが、我々は当初の目的である鈴音の足取りは全く掴むことは出来なかった」
「これが、我々とグランギニョルの虚神達との最初の接触であり戦闘となった」
「この時には、異世界からの関連資料を入手出来たのが、ある意味不幸中の幸いかもしれないな……」

【何も知らされていないつがるに向けて、事の経緯を噛み砕きながら説明していく】
【鈴音を追い、そしてその虚神達の存在を最初に認識する事となった出来事】
【二人にも紅茶を注ぎながら、そう淡々と、努めて平静に話して行く】


「次にイルと、いや、虚神達とそして鈴音本人と遭遇したのは、先ほども夕月が話したように彼女の内部」
「意識世界とでも言うべき場所なのだろうか、そこだった」
「UTのラベンダァイスと言う少女と、そして私はその日他幾人かの仲間達と共に、旧市街のレテ・ビーチに赴いた」
「無論、鈴音の情報を追っていたのだが」
「そこで、鈴音に本来憑りついていた蛇神を媒介とし、出現した巨大な蛇の虚神、アナンタシェーシャと遭遇、これに飲み込まれた」
「飲み込まれた私とラベンダァイスが見たのは、その内部の意識世界に存在する鈴音だった」
「その言動は本人も語っていたが、まさに神となった鈴音だった……勿論だが、対話を試みその救出を画策したが、話は決別した状態だった」
「それもその筈で、その鈴音は鈴音の姿こそしているがその本来の存在とは、また少々異なる存在だった」
「幸いにも夕月ともう一人が鵺により内部に運ばれてきた事によって、それを看破して鈴音の本体は奪還出来、虚神の一柱アナンタシェ―シャも消滅させた」
「だが、それはあくまで魂の無い身体のみ、確か夕月ともう一人が現在その身体を保管していると思ったが……」

【最後にちらりと夕月の方に視線を向けて】
【最も、この話はあくまで厳島個人の視点で語られるものであり、その情報はある意味一方的だ】
【夕月の所持する情報や、他に知らない事実、知識、見解があるとしてもおかしなことは無いだろう】

「認識と言う概念が、この話をして行く上では重要な事柄かも知れない」
「二人は、鈴音と言う少女をどの様に認識している?」

【話に一区切りをつけて、こう二人に聞いた】
【鈴音は君達二人の中では、どの様な存在なのだろう、と】


949 : 棕櫚 ◆D2zUq282Mc :2018/06/30(土) 18:02:04 JY1GydDk0
>>946

(随分と言い慣れてやがる。それにその迫真は舞台の上でも通じるな。――キヒヒッ、そそるぜ)

ステレオタイプの正義漢も居れば、僕の様な"意地悪なヒト"も居ますから。
まあ公安もピンキリです。ただ、僕は職務熱心故に意地悪になるだけですからねっ、ホントですよ?

おやおや、殊勝な心がけですねえ。身の程を弁えてる方は嫌いじゃないですよ。
なので、特別に教えて差し上げましょ。当方、棕櫚と申します。悪い事をする時や悔い改める時は一報くださいな。

【お目溢しの一つや二つ。要相談ですが、検討してあげますよ――とニヤついた糸目は絡みつくような目線を送る】
【そして、棕櫚の提案を飲むブラスフェミア。ただ、彼女が提示した場所は遠い場所にあって。やや渋い顔を浮かべる棕櫚】

氷の国……ですか。確かにそれは遠い。けれど、貴女のラボと貴女の研究、それに貴女の内に飼われた理屈。
ぜぇんぶに興味がありますんで、此方から足を運ばせていただきやす。

【徐に懐からスマホを取り出し、スケジュール表のアプリを起動し、日程の確認すれば――】
【今から一週間後。氷の国への出張が合った。しかも氷の国入りする前日は休暇だったから、それを宛がう事にした】
【棕櫚はブラスフェミアに告げる――"一週間後の貴女とのランデブー、楽しみにしております"と】

――――

【棕櫚とカリヤが氷の国の空港にいるのは――その様な経緯からだった】

【白色のカッターシャツと紺色のネクタイ以外は防寒具のトレンチコートから革靴まで真っ黒に染まった棕櫚の姿と】
【化粧を施され、綺羅を纏い、黒髪に唐紅の蝶を模した簪を挿した煌びやかな日本人形の様なカリヤの姿が氷の国の空港内に在った】

おお、寒い寒い。流石は氷の国。まるで神話に出てくるニブルヘイムだ。
避暑地にはいいかもしれませんねぇ、蒸し暑くなるこの時期なら特段そう思いますよ。

【"――なぁ、カリヤ。お前もそう思うだろう?おめかししてまで来て良かったろう?"と】
【車椅子に座るカリヤの耳元で囁く。車椅子に乗せられ、棕櫚に押されるカリヤは視線を虚空に移ろわせ、か細い声を洩らす】

【棕櫚が車椅子を押して空港内を散策している内に、白衣の女性に、冒涜の名を冠する同類に行き着くのだった】

くふふっ、"来ちゃった"だなんてお茶目な言葉を耳にするとは思いませんでしたねぇ。
その台詞とその仕草、とても似合っておりますねぇ。これだけでも疲れが吹き飛んじゃいますよっ。

ほら、カリヤ、キミも"挨拶"をしなさい。こんな見目麗しいご婦人に失礼でしょう?

【人懐っこくなる様に表情を崩した棕櫚は、ブラスフェミアの微笑に併せて声を弾ませながら。
 手土産(=カリヤ)の細腕を握り、ブラスフェミアに向けてひらひらと振ったのだった】

【一見すれば微笑ましい遣り取りに見えるだろう。だが、棕櫚とブラスフェミアは両者共にロクデナシ】
【そして――ひとでなし。人で無し。人の形をしたヒトデナシ。この遣り取りに暖かみなど存在しない】


950 : アリア ◆1miRGmvwjU :2018/06/30(土) 18:12:20 o6XMS57s0
>>931

【肉付きの薄い耳たぶを唇で挟まれ、ちろり幽けき舐りを受け、 ── アリアはまたも切なく鳴いた。ひゃんッと、およそ不意を打たれた声で、けれど其れを何より嬉しむ声で】
【抱いたことがあるのならば分かるかもしれない。聴覚を虐められるのは、いっとう彼女の好む嬲られ方だった。なまめかしい呼吸を喉肉の蠢きを、ざらりとして粘っこい愛撫を、五感の鋭敏な所へ差し向けられ、】
【剰え脊椎から震えるような愛の言葉を囁かれるのであるから堪ったものではない。どこまでも堕ちて、沈んで、だれかの胎の中で蕩けていけるような、そんな気がした。】


【だから、も一度見つめ合うとき、 ── きっとかえでの知るどんなアリアよりも、冷たく凍った白皙を融けさせ頬さえ熱帯びて笑むのは、偽りになんて見えやしない。】




        「ありがとう。」「 ──── かえで。」



【澎湃たる愛情は洪水のようで、スタンダールの退廃的な恋愛論を、たった一度の囁きで完結させた。】
【孕んだのだろう。孕んでいるのだろう。或いは出会いからしてそうであったのかもしれない。どうしようもない想いは、一言愛情と斬って捨てるには余りにも錯綜していた。】
【だから答えも解り切っている。ハッシュパピーに飛びつかない猟犬がいないように。湿り切った喉から漏れる言葉は、穏やかなようで切望していた。】


「 ── くす。」「ええ。もちろん。」


【 ── 徐に、そっと左手を取って、その甲、爪先へ、ちゅ ── と服従の口付けを落とす。生々しい蛇の刺青を汚さぬように、けれど白い膚、紅い彩りが与えられるなら】
【手首に付けられた忌まわしい腕輪を握るのだろう。静かに握り潰そうとするのだろう。チタンの骨格と高密度の人工筋肉が詰まった細指にとって、其れは余りに脆弱で】
【 ── そう時間も手間も係らずに、何処かで塑性の限界を超え、散り散りになって破断する。残片は全てアリアの手に突き刺さるだろう。かえでの一番たいせつにしている場所を、彼女はよおく知っていたから。】
【血が漏れる前にするりと手を離すのなら、かえでの左手は汚れ一つない。全てアリアの手が請け負ったから。其れでいて白皙の微笑みは、かえって一層の悦びに笑むようでさえあった。】




「私がかえでを自由にしてあげる。」「そうして使命を果たしましょう。」「貴女のため、私のため。」「遮るものは私が全て、この手で潰してみせるわ。」
「だから今夜は、いえ次の朝も、次の次の昼も、 ── 貴女の全てを頂戴。」「もう膚を離したくないの。」「私の全て、貴女に捧げてしまう、から ── 。」




【そうして彼女は本当にそうしたがるのだろう。来るべき白痴の神の顕現まで、貴腐するように身体も心も夜も重ねていたいって、子供のように強請るのだろう。】
【もうアリアにはかえでを連れ去る備えがあった。 ── 血塗れの首筋に、見慣れない黒いチョーカー。熱光学迷彩。外套の中の少女。】


951 : ゴトウ ◆1miRGmvwjU :2018/06/30(土) 18:30:55 o6XMS57s0
>>937

「少なくとも八課成立前の事案だったから、手出し出来なかったってのもあるが。 …… 退っ引きならない理由もあってね。 ── 連中、厄介なモノを置き土産にしていった。」
「タマキ君は魔導神学や文化模倣子学あたりの知識はあったかな。ないならマァ、軽く聞き流して貰って構わんが ── 。」
「認識災害系のミームだ。特性上あまり詳細は言えないが、奴らの神は一般大衆から魔術的な影響力を得ている。」
「彼奴らの悪業は聞き飽きるくらい、少なくとも水国中には広まってるからねえ。要するに早く手を打たないと、近い内に"ヤバい神様"が現出する ── って事だ。」

「幸い、不安定だが切れるカードはある。協力者だ。そいつがどう動くかが問題だが、 ── まあ差し当たりは良いように焚き付けて、後は出たとこ勝負、だな。」


【滔々とした長台詞をゆったりと、 ── けれど途中で言葉を挟ませない静かな威容をもってして、ゴトウは語った。言い終えればジョッキを煽る。】
【 ── "神様"なんて単語が出てくるくらいには、八課の活動というのは手広いものだった。無論のこと優先度は有るとしても、喫緊に差し迫る状況であれば、】
【例え神秘を相手取ることさえあると。「 …… 呪術や魔術の方面からアプローチできる人材、欲しいんだけどねえ。」麺を、一口啜って。】

【そうして話題が「公安」へ移るなら、 ── 切れ長の双眸にて濁った横眼を向ける。ぎらりと残光ゆらめくような、剃刀の刃を翳すような。】


「無論ながら公安絡みの騒動は是非ともウチから噛んで行きたい所だねえ。 ……… 向こうも此方もパラミリである以上、共食いは必至だ。如何にせよ何れ潰す必要はあった。」
「全容が明らかになれば、本庁総監の首が飛ぶだけじゃ済まんだろうね。政治屋連中どもとの癒着も、今は何とか揉み消せてるみたい、だが ─── 。」
「 ……… その分、クソほど闇は深いぜ。おれが今しがた掘ってる地面だけでも、カノッサの御歴々が見えてやがる。手を付けるなら、腹ァ括んな。タマキ君。」


【そう言いつつも、手を付けたくないと言ったところで、この男は手を付けるのだろうけれど。 ── 公安の存在は目障りだった、とさえ言ってのけて】
【そうしてまた"共犯"を強いるのだ。くつくつ喉から笑って、声音だけならよっぽど悪人の其れだった。】


952 : ◆S6ROLCWdjI :2018/06/30(土) 18:55:27 WMHqDivw0
>>921>>947>>948

あたしにはその、「カンナ」を早くどうにかしないといけないように聞こえるネ。
だって黒幕に捕らえられたんでしょう、本当に何されてるかわかんないじゃん、……、
…………まあ打つ手なしってんなら仕方ないか。はぁ、ほんと、……やんなる。

【今日何度目かも分からない「嫌になる」の文句、吐き出したらテーブルに頬杖】
【それでもだ。どれだけ嫌でも今回ばかりは逃げられない、ましてや自分から首を突っ込んだことだ】
【「鈴音」のことは。他の何をどれだけ放ったらかしにしても……やらなきゃいけないと思ってる】

【続く厳島の言葉。レッド・ヘリングとアナンタシェーシャ――ここら辺は夕月自身経験したことだから】
【話半分に聞き流す。知らないことがあっても、そうだったんだ、くらいで流してしまって】
【「鈴音の身体は、いま安全なところに隠して――もらってるよ。そこらへんは大丈夫」言い加えておく】



…………………………子供が好き。料理が好き。よく笑うけど、すぐあたふたもする。
何でもかんでも「わたしがわたしが」っつって抱え込もうとする、そのくせ誰にも頼らない。
ずーーーーっと周りのことばっか見て何かあればすぐ飛び出そうとしていく。……そのくせ、
自分のことは、ほとんど何も、考えない。心配しない。……ほんっと、ばかばかしいくらい。

そういう娘だよ、鈴音は、……少なくともあたしの中ではそうだった。

【厳島に言われて返す言葉の中、思い出していた――旧市街であった日のこと】
【既にもう限界を迎えて久しかった鈴音、とっくに壊れきっていて、ぐしゃぐしゃに泣き続けて】
【それでも確かに言っていた。「あなたのことを助けてあげる」って、そういうことを言ってくれた】
【その光景だけが網膜に、鼓膜に、脳漿に、こびりついて離れない。痛々しいほど鮮やかに】
【深く深く刻まれて――――夕月の中に残っていた。それはもう、妄執と呼べるものだったろうか】

【兎角、夕月の「鈴音」に対する評価はそんなもの。――――神様だとも人間だとも言わなかった】


953 : アリア ◆1miRGmvwjU :2018/06/30(土) 18:56:43 o6XMS57s0
/踏んでたの気付いてませんでしたすいません!次スレです!

/【火は陰り】能力者スレ 置きレス用【王たちに玉座無し】
/ttp://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/internet/14029/1530352545/


954 : 院長中身 ◆zO7JlnSovk :2018/06/30(土) 19:04:21 1pgTrv3.0
>>753

【── "Conductor" の手元へ羽ばたく蝶。辿り着くその先は枝葉の様に細い指先】
【彼女は辿り着いた彼らを見る、一流のアンサンブルには上等な観客が相応しいから】
【瞑目し言葉を探した、ワームシンガーへと注ぐ、最初の一葉】


またキミと、こうして戦える喜びを私は嬉しく思うよ、──


    ──、さあ唄ってくれる? 私の為に、皆の為に


【喜びに言葉はいらない、クワイアを尽くして、動きを待った】


955 : ◆S6ROLCWdjI :2018/06/30(土) 19:13:26 WMHqDivw0
>>949

棕櫚、シュロ――――なんだか不思議な響きの言葉。口に出すと楽しいね。
じゃあいつか誰かに捕まっちゃうってなったときに呼んじゃおうかな、……助けてくれる?

【「まあそんなのハナから期待してないけどね」。言葉には出さなかったが、笑顔が確かにそう言った】
【信頼も信用もしていない。けれどそれは棕櫚も同じことだろう、こんな女にそんなのするだけ無駄なこと】
【だけど――――つるんでいてきっと楽しい。それだけは二人の感情に共有されるのだから】
【それだけで十分だ、笑い合う、敵対しない理由なんて。それがいつ引き裂かれたって、少なくとも今のうちは】

【「それじゃあまた、一週間後にね」 ――――その日はそれだけ言い残して去っていく、カリヤの傷もそのままに】


【――――】


――――――や、ようこそようこそ! 寒いだけが取り柄の国だもの、つまんなくてごめんね。
それで……やあ、とても綺麗に飾られてるじゃない。可愛い、……櫻の国のお人形みたい。

【現れた女もまたコートを羽織っていた。ただ、彼らよりは寒さに慣れているからだろう、ちょっとだけ隙がある】
【カリヤにひらひら手を振り返して。そしてそれから案内する、車に乗せる。――運転手の男は一言もしゃべらない】
【それで連れて行くのは廃墟街。最初は訝し気に思うだろうけど車は迷いなく進んでいって、ひとつの建物の前に止まる】
【廃教会。屋根に突き立っている十字架は折れて朽ちて錆びきっていた、……そんな場所、内部へ進んでいったなら】

【朽ち果てているのは内部も同じことだった。けれどその中、パイプオルガンだけは何故か「生きている」】
【それの蓋を開いて、讃美歌の一節を慣れた指さばきで弾いたなら――――瓦礫の下から音が響く】
【そこを見やれば、地下へ続く階段が現れるのだ。……無駄に面倒臭い方法で隠しに隠した、日の当たらぬ室へ続くそれ】

……車椅子で来ること、考慮してなかったから、階段面倒臭いかな?
抱っこして降りて行こうか? 綺麗な御着物、皺になっちゃうかもしれないけど――

【下へと降りる一段目。そこに足をかけながら――女は振り向いて首を傾げた】
【着物の皺なんか気にしてる、バカらしい話だった、「手土産の包装なんてびりびりに破り捨てられるしかないだろうに」】


956 : ミレーユ ◆1miRGmvwjU :2018/06/30(土) 20:29:12 o6XMS57s0

【水の国、 ── とある大都市の、とある喫茶店。】
【休憩時刻も終わった昼下がりの店内はひどく閑静だった。午後2時の気だるい太陽光は、ガラス越しでなければ茹だるくらいに眩しい。】
【なのに片隅のテーブル席には、ひとり座り込むゴシック・ロリータの人影があった。腰まで伸びて、先端で少しだけカールする黒髪。】
【陶器のような肌は上品な化粧の産物。フリルに覆い隠された指先は、 ── 紙束に纏められた、なにかの資料を握っている、ようで。】

【そうして相席に人が来るなら、カチューシャを揺らして視線を上げる。円くて大きな青い瞳。気恥ずかしいくらい純真なはにかみ。「こんにちは。」 ── 滔々と彼女は語り出す。】


「 ─── えーと。」「君が八課の新人クン、でいいかな?」
「はじめまして、ボクはミレーユ。」「楽にしてもらっていいよ。」

「本当は本部でやりたかったんだけどね。」「なにぶん出来たばかりの部署だから、色々と整頓もままならなくって。」
「まあ面接ってのも形式的なものだし、あまり気負わなくっていいからね。うん。」



【「経費から出るから、好きなの頼んでいいよ。」 ─── そう言う彼女のテーブルには、既にいくつか空いたグラス。】
【冷たい溶けかけのプリズムは、夏色の陽光をテーブルに投影していた。紅色の唇が、徐に言葉を紡ぐ。】


「 ─── 早速だけど。」「君は"外務八課"がどういう組織なのか、理解できているかな?」


957 : 厳島の中 ◆zlCN2ONzFo :2018/06/30(土) 20:50:13 6.kk0qdE0
>>956

【茹だる様な、そして気怠い、そんな表現がまさによく似合う夏の昼下がりだった】
【この喫茶店に足を運んだのは、何の事は無い業務命令で】
【公務員特有の事務的な指令で、指定された時間指定された場所で、指定された人物との面会】
【だが、眼の前の人物はそんな事務的一辺倒の中に合ってかなり特異に見えた】

「は、はい、その初めまして……ライガ・カシワギと申します」
「この度は外務八課への所属となりました」

【少々あっけにとられながら、そう名乗り】
【一礼して椅子に座るのは、グレーのスーツ姿にオートバイのシステムヘルメットを小脇に抱え】
【肩掛けのビジネスバッグを持った、まだ若い男性】

「お構いなく、僕……私も建物内の配置もまだ覚えられていない始末で」
「しかし、驚きました、書類の不備でしょうか、ミレーユさんは男性と伺っていたのですが女性だったとは……」

【甘やかな香水、上品な化粧の香り】
【流麗に佇むゴシック調の衣服は、文字通り一糸乱れておらず】
【紛う事無く完璧な女子に見えた、見えたのだった】

「す、すみませんでは……アイスカフェオレと、甘い物も大丈夫でしょうか?」

【恐縮はしている様子だが、こういう部分はどうにも天然と言うかズレていると言うか】
【礼儀こそは丁寧だが、少々間が抜けている部分だ】

「はい、概要はスカウトされた際に聞かされました」

【窓からの光源はやや強めに、レンブラントに目の前の人物をライティングし】
【それは、その美しさをより際立たせて見せた】
【質問には、はっきりとそう答え】

「秘密裏に召集、構成されたメンバーによる外務省法執行機関、それが外務八課ですね」
「メンバーは独自に調査、スカウトされた精鋭を揃え、各分野部門における不正不義を正す事を任務とし」
「あらゆる機関、政治、組織の圧力に屈しない部隊、そう聞き及んでおります」


958 : ミレーユ ◆1miRGmvwjU :2018/06/30(土) 21:16:46 o6XMS57s0
>>957


【「 ─── じゃあボクは、パフェでも頼もうかな。」 ── 自分の性別について、ミレーユは答えなかった。問われたのなら、躊躇いがちに話すだろうけれど】
【とはいえウェイターが来たのなら、彼の頼む分も含めて注文を出すのだろう。 ── 卓上に組まれた手指の先は、淡く円い桃色の爪に彩られていた。】


「うん ── 正解だ。」「外務八課は、少なくとも対外的には"存在しない"組織であることは、先ず絶対の前提として貰いたい。」
「表向きキミの身分は民間警備会社の職員ってことになる。警察や軍の現場に介入する時は、公安辺りの名前を借りるだろうけど。」


【彼の答えに満足したように、やさしくミレーユは微笑んだ。 ── 微笑んだまま、言葉を続ける。白磁に揃った穢れない歯先を煌めかせながら】


「そして。織り込み済みなら構わないが ── ボクたちは、"正義"の執行のためなら、各国の法に反する行為だってやる。」
「窃盗、住居侵入、銃刀法違反、凶器準備結集、 ── 暴行傷害、殺人、最悪の場合は外患誘致。」
「無論これらは組織の規範と権力により不問とされる。だが時として其れにより反感を買ったり無辜の誰かを傷付けたり"しなければならない"というのは、覚えておいてほしい。」


【 ── 静かな語調だった。誰かを傷つけるのに、殺すのに、きっと何の躊躇いもないのだろう。必要であれば。】
【ミレーユはそういう人間だった。万人に受け入れられる価値観でないことも知っていた。だから其れは念押しであった。】



「さて、もう一つ質問だ。ボクの専門は ── ハッキングを主とした情報収集、欺瞞工作、または外部からの不正アクセスに対する攻性防御。」
「あとは暗殺や潜入捜査なんかの実働もやる。つまり少数精鋭かつスタンドアローンな組織構成である以上、個々人にはオールラウンドな働きが期待される訳だ。」


「君には"何ができる"?」「ライガ君。」



【 ── 少しだけ、身体を乗り出す。深く澄んだ青い瞳が覗き込む。濡羽色より清潔なシャンプーの香りは、柑橘系の香水と仄かに入り混じって、漂った。】


959 : 厳島の中 ◆zlCN2ONzFo :2018/06/30(土) 21:45:52 6.kk0qdE0
>>958

「頂きます……」

【注文の際にライガが頼んだ物はフルーツタルト】
【性別に関しては、完全に女性だと思っている様子で、特に追及等はしなかった】
【その髪も、指先も含めて、まさに隅々まで完璧に綺麗だった】

「はい、そちらの説明も受けております」
「了解しました……」

【機密、極秘の組織故の工作】
【身分の秘匿は、やはり絶対の様で、白い歯が眩く強調され静かな微笑みが安堵を与える】

「はい、聞いております」
「勿論……覚悟しています」

【事前に受けた説明の中で、やはりその部分は触れられていて】
【だが、改めて目の前のミレーユに言われれば、ゾクリとした感覚が走る】
【戸惑いも躊躇も無く、それらを実行する、ミレーユはそんな人物の眼だった、おそらくかなりの場数を踏んでいる】
【一方のライガは、そうは答えるもやはり煮え切らぬ部分はある様で、回答は些か躓いていた】
【各方面全てに、敵としても君臨出来る、それはやはりそういう事で】
【純粋なる正義の執行は、恐ろしく冷酷かつ冷静なのだろう】
【外務八課は、そういう組織なのだと改めて感じさせられる】

「僕、いえ、私は……」

【ミレーユの明確な役割分担】
【淡々としつつも強い口調からは、その実力の程が伺る】
【自分の役割を明確に知っていて、そして尚且つ完璧に熟し切る人間】
【自然と背筋も伸び、引き締まった顔立ちで答える】

「前線における、『masked soldirシステム』を活用した対個人、あるいは集団あるいは対能力者との戦闘行動、あるいは破壊工作」
「侵入任務全版、機動力を活かした迅速な作戦行動です」

【武装勢力の鎮圧や能力者戦闘における前線任務】
【暗躍行動や後方を得意とするミレーユとは、真逆とも言えるだろうか】
【彼に施された改造手術『masked soldirシステム』こそ、彼がこの組織のスカウトを受けた所以なのだ】
【彼に関する書類が手元にあるならば、そう詳細情報は記載があるのだろう】
【ミレーユの、男性ならば鼓動と緊張を隠せないであろう甘やかなシャンプーの匂いと少し近づく端正な顔立ち】
【しかし、話が話故に、静かな冷たさをその中に感じずには居られなかった】

「ミレーユさん、外務八課の情報は良く解りました」
「ミレーユさんの任務も、僕の立ち回りも」
「外務八課の、目下の敵を教えてください……現在皆さんが相手をしている目下の敵を」

【緊張の中で、こうミレーユに質問した】
【八課は現在、具体的に何処と戦っているのか、と】


960 : 棕櫚 ◆D2zUq282Mc :2018/06/30(土) 22:10:23 JY1GydDk0
>>955

【普段は襤褸衣しか着ないカリヤの、櫻の国由来の人形を想起させるお仕着せは棕櫚の手によるもの】
【壊すだけのガラクタは今や手渡す手土産。なれば話は別で。可能な範囲で綺麗に整えて渡したかった】

(――我ながら、変な所で美意識が鎌首を擡げるのは悪ィ癖だな)
(綺麗な物ほど壊す時の愉悦が大きいから――かね。人形みてェに飾り立てたのは、よ)

【ブラスフェミアの居城へ向かう道すがら、沈黙で満ちた車内で棕櫚は懐述する】
【どうせ壊れる運命。なのに、手向けが如くカリヤを煌びやかに飾ったのは他者を慮ってか】
【或いは――と思考を巡らせ、虚ろなカリヤを見遣ろうとしたその時。目的地に辿り着く】


……廃教会。神に祈りを捧げ、許しを請う場所が貴女の居城ですか。くくっ、とても皮肉が利いている。
折れた十字架はさしずめ貴女の二つ名、――冒涜者、それの体現でしょうかね。


【折れた十字架に特段意味は無い。物質が壊れた。折れた。錆びた。所詮その程度の話なのだ】
【けれど、強いて意味を持たせるならば――それは廃教会を居城とする者の心の表れだろうか】

【廃教会の中も同じ様に朽ちている。神に見放された様な荒廃具合。この色(きょうかい)は既に死んでいる】
【けれど、無理矢理生かされてる色が一つだけあった。神様を冒涜する異界の入り口として生かされた色に思えた】


――…んー、そうですねえ。折角拵えた上質の着物。流石に汚すのは気が引けますので。
此処は僕が一肌脱ぎましょう。"猟奇殺人者"には無い気遣いを見せるとしましょうか。


【根に持っていた訳ではない。けれど体の良い言い訳としての言葉。やはり棕櫚には変な美意識が在ったようだ】

【壊すのが自分ならぞんざいに扱えど。しかして、それを行うのは今しがた振り向いている冒涜者であり】
【"――手土産の包装紙なれど、端から破られてるのは気分が宜しくない"と変な所で気を使う棕櫚であった】
【そうして、棕櫚はカリヤの矮躯を持ち上げる。お姫様抱っこと言う形になる。そのまま冒涜者が促すままに歩みを進める】


961 : ミレーユ ◆1miRGmvwjU :2018/06/30(土) 22:14:23 T6pmrpJQ0
>>959


「 ── 結構、結構。」「特にキミの能力は秘匿性が極めて高い。」「軽度の装甲戦力に匹敵するくらいだ。頼りにしているよ。」
「けれど一つ覚えていてほしいのは、」「 ── キミの"出自"さえ、時として八課は利用するだろう、というところだ。」


【しなだれかかるように乗り出していた身体を、 ── するりと再び背凭れに戻して、白い手にスプーンをつまむ。鈍い煌めきを冷たいパフェにさっくりと差し込んで、ひとくち。】
【グラスの中、折り重なったフレークに到達して、底に溜まったチョコレートソースと絡めて。食べ終えるまで、暫くの沈黙。ナプキンで静かに唇を拭えば、白く湿った布地にはぼやけた口紅が残る。】



「調査不足で申し訳ない話だが、 考えてみよう。キミに能力が与えられた経緯、合意か非合意であったかは分からないが」
「少なくとも水国の警察組織全般に対して此れはジョーカーの1枚に成りうる。正義の為という建前があったにせよ ── 」
「組織の構成員へ人体実験を施し、近年では迫害の対象としてさえ扱われがちな"異能者"に変貌させ、剰え其の計画は犠牲に見合った成果を見ていない。」

「タレ込む場所を選べば立派すぎるくらいのスキャンダルだ。 ……… 八課がキミを拾ったのは、単に戦闘単位として優秀であるから、それだけが理由じゃない。」
「古巣の人たちを敵に回す可能性も充分にある。いるとするなら、キミの恩師の顔に泥を塗って晒し首にするような真似だって我々は躊躇わない。 ……… ご容赦願うよ。」


【 ── 賢明であれば気付くかもしれない。其れはつまり、ミレーユらは"警察組織"さえ、自身の"執行"の対象として睨んでいる、ということ。】
【そうしてまた「目下の敵」が何処にいるのか、 ── というのもまた、推し量ることができようというもの。ワイドフレームの黒眼鏡を、指先でずり上げる。】


「よろしい ── だが、他言無用だ。」「ぬれぐれも内密に頼むよ、ライガ君。」「ボクたちが今、喫緊の対処を迫られているのは」
「ひとつはサーペント・カルトの残党。」「 ……… そして、もうひとつ。我が国の公安や政治家連中と、カノッサ機関との根深い癒着だ。」


962 : 名無しさん :2018/06/30(土) 22:19:27 TGGjTYQU0
>>945

ええ。生き別れの兄弟とかも居ないかと。知らないですけれど――知っていたら、気にすると思うので。
――あら、では、あの子が胡散臭い新興宗教に、と、おっしゃられますの? ――――まあ、そうですね、調べてみましょうか。
深入りするな――、荒事はあなた方が。申し訳ないのですが、――嫌です。正直、他の方に話すこと自体嫌なのですけれども、――しょうがないようなので。

…………そうですね、依頼という形で金を出したらば、わたくしはわたくしのやりたいようにやらしていただけますかしら?
いくらくらい必要でしょう、すぐにでも用意いたしますわ。

【血縁者は居ない。その言葉を彼女は重ねる。その理由というのも、自分が知らないから。――そして彼女自身が知っていたら、きっと、気にしていただろうと言って】
【続く言葉には――けれど、どこか嘲るような色合いがあった。そんなことあるはずないって言うような口ぶり、あなたがあの子の何を知っている、というふうな、様子なら】
【よほど入れ込んでいる。入れ込んでいるし、むしろそれはきっと崇めるのに似ていた。――でもきな臭さみたいなものは感じたんだろう、調べてみる、と、口にすれば】

【――相手の言葉に、わずかに眉を顰める。それで提案するのは正式な依頼としたなら。そうしたなら。――相手はそういう風に干渉してこないか、というもので】
【彼女自身そうやって金のやり取りにしてしまえば楽だと思っていそうだった。――いくら欲しいか、と、尋ねるなら。言い値がそのまま出て来る予感だけ、させて】

その当時はわたくしももっといろいろなことでお金を稼いでいましたので。なんていうか、ほら、なんでもやるって言うといろいろ来るんです。
人探しとかもよくありましたわ、――そういう事情でしたので、特別口出しとかはしませんでしたの。"あの子"だって知っていたなら、――、

――――多分、言いたくないんです。きっと。誰にも。

【彼女が最初"そのこと"に触れたとき。それは全く他人としてであった、他人としてな上に、仕事……非合法に片足突っ込んだなんでもや、みたいなものだったなら】
【客の事情に口出しすることはない。それがたとえ年単位で行方不明になっている人探しであっても、ただ言われた通りにするだけであって。――雇い主の事情もまた気にしない】
【――ふっとどこかで悲しいような目をした。全く分からないと呟いた彼の言葉に返すように。――きっと誰にも言いたくないことが理由であるんだと、察しているように】

仕事場の治安が悪いんです。もっと"奥"なので。……はい、ありがとうございます。"なんにも"ないでしょうが……――。

【治安の悪い場所に単身乗り込んでいくかどうかは全く以って守れない約束であった、――どこにも所属しない娼婦。人当り悪すぎてハブられすぎて、いっとう奥まで追いやられ】
【――その口ぶりは言うこと聞きませんって言っているみたいでもあった。けれど名刺はきちんと受け取るだろう、それから、自分の連絡先、何かに書いて渡すだろうか】
【名前と電話番号とメールアドレスだけ。――幾分シンプルすぎる気もしたけれど、最初みたいに突っぱねないくらいには、だいぶ信用、したんだろうか】


963 : ◆S6ROLCWdjI :2018/06/30(土) 22:26:32 WMHqDivw0
>>960

――――――昔はここで暮らしてたんだよ、なんて言っても、信じてくれる?

【車の中に運転手を置き去りにして。女は笑って、そんなことを宣った】
【曰くここで暮らしていた、ならば毎朝神に祈ってその御手によって育てられていた】
【そんな人間が、こんなことするようになるんだろうか。……冗句にしたって悪趣味が過ぎる】
【そう思うかもしれないけれど。そうであるなら、彼女は正しく「冒涜者」でもあると。わかってしまうのだ】

【一段一段降りていきながら。「もしかして相当根に持ってる?」とか言いつつ――最下層まで】
【到達したなら扉が一枚。その向こうは――まあよくありがちな、「闇の研究者」っぽい部屋だった】
【たとえばホルマリン漬けの何かしらとか。赤錆た汚れの残る手術台とか。机の上に散らばる走り書きの紙とか】
【壁を天井を問わず縦横無尽に走り回る何かの管とか――そういう。ありがちな、映画のセットみたいな】
【あるいは「この女なんてこの程度」と思わせるくらいのありきたり。……だと思う感性が、棕櫚にあるかどうか、だが】


……さあて。連れてきてもらったはいいけれど――僕まだこの子について詳しいお話聞いてないよ。
「取り込む」って言ってたよね、それは……どういうこと? 人の魂? 心? イノチ?
どういったものをこの子は食べて――――そしてそれをどう扱っているんだろう。

【その中にぽつんと置いてあるソファ。そこにカリヤを座らせるよう促して――隣に座ってしまう】
【彼女のぼんやりとした横顔をじっと見て。叶うなら輪郭をなぞろうとする、細い指先、冷えて凍り付いたみたいな温度のそれで】
【訊くのはあの日路地裏で聞いたことの、続きだった。この少女は具体的にどういうイキモノなのかって――そういうこと】


964 : ◆S6ROLCWdjI :2018/06/30(土) 22:41:33 WMHqDivw0
>>962

可能性の話だよ、そのカルトに誘拐されたかなんだかで――。
そういうことをよくやる団体だと聞く、リンネさんが「へび」と縁があったと言うならなおさら。
何かしら目をつけられて連れ去られたのかもしれない、そう、思っただけだよ……、

………………はあ。まあ、そう言うだろうとは思っていたけど。……必要ないよ。

【勿論「リンネ」のほうからカルトに近づいてった、なんて邪推したわけじゃないと。慌てて言うけど】
【続く言葉にはあからさまに肩をがくり、落とした。素直に聞いてもらえると思っていたわけじゃない】
【だからと言えど、金で解決して――情的な縁を切ろうとされるのは、やっぱり、悲しい。そう思っていた】
【首を横に振る。金は要らない、だけど「……本当に無茶はしないでくれよ」とだけ、付け加えて】

……そうか、なら、……難しいね。本人が言い難いことなら……完全な部外者である僕に何もわかるはずはないか。
とはいえこれも情報といえば情報だ、しっかり覚えておくし――誰にも広めない、約束する。

【悲しんでいる、あるいは寂しがっているみたいな顔。見て――ここまで慕っている(レベルに収まっていると、今は思っている)人に】
【隠し事をされる。その辛さはなんとなくわかって、でも、なんとなくでしかない。だから何とも、上手く言えずに】
【代わりにこれは自分だけで取っておく情報にすると誓う。ここまで話してくれたこと、ある意味奇跡だとも思ったから】

そうだね、「なんにも」ないのが一番だけど――――もし何かあったら、でいいから。
いつでも力になると約束する、これは「Freaks Fes」の一員としてではなく、……「同胞」としてでもなく。
「切添エレイン」個人が約束すると言ったことだから、……覚えておいてくれると嬉しいな。

【連絡先。そこまで貰えるとは正直思ってなくて、最悪一方通行になるとさえ思っていたから】
【ちょっと目を丸くしながらも――受け取ったら、笑顔。約束するのは、これが「自分」がやりたいことだと思っている、ということ】
【伝えたらまた――鬱陶しがられるだろうか。年寄りのお節介。微妙な味のする駄菓子を大量に押し付けてくる、みたいなやさしさ】


965 : 名無しさん :2018/06/30(土) 22:47:59 TGGjTYQU0
>>950

【そうして聞き取るのは、普段とはあまりに剥離した声。下品に言うなれば雌みたいな声に、少女は少しだけ気をよくする、仕返ししてるみたいな気になって】
【今の思惑も未来の思惑もとりあえず無視してしばらく戯れてみようかと思ってしまいそうな背徳だった、強い存在を好き勝手にするのは快い、無垢な暴力性が満たされるから】
【それはさながら子供がありんこを踏みつぶしてみるみたいに。だんごむしを無理やりまるくするように。どこまでも無垢な嗜虐性、このままこの場で耽ってもいいかと思うほどに】

――――――――――――、わ、ぁ、

【――けれどそれだけの猶予はなかった。やがて破壊される腕輪に、少女はひどく嬉しげな息をする、邪魔するもののなくなった左手を、明かりに透かすようにして】
【きっとひどく無邪気に笑んでいるんだろう――見せたことのない顔だった。子供が欲しかったおもちゃを買ってもらったみたいに。その瞬間みたいに。愛しげに、嬉しげに】
【左手の蛇に頬寄せる。あるいは口付けを落とすように口元を埋めて、刹那目まで閉じてしまう。であれば浮かぶ感情は――母に抱かれて眠る子供のような、安堵にも、どこか】
【そうしたなら少女はそのままの顔を相手に向けるんだろう。そうして幾度目か抱きしめようとする、――正しく健全な親愛を示した、頬擦りしたなら、いっとう喜ばしく綻んで】

――――アリアさん。アリアさん、――ありがとうございます、

【――――――――であれば、きっと、その声は、限りなく。どこまでも。本当の色合いをしていた。いろんな考えも思惑も置き去りにしてしまうくらい、嬉しかったから】

うん――もちろんです。ずうっと、ずっと、――――、……一緒ですよ、私たち。

【――――だけど、多分、そのままで居ない方がよかった。そう予感させた。あるいはすでに予測されていただろうか、けれど、そうしないのはもはや不自然であり】
【"解放"された少女は――あんまりに流れるようにそのまま相手を"阻害"しようとした。抱きしめて囁いた瞬間に、その魔力を相手の身体に、流し込もうとするはずで】
【そうしたなら――それこそ今日一日をかけて二人で演じてきた形を"ほんとう"にしてしまおうとするように、相手の感情、かいつまむようにして、それ以外を阻害しようともくろむ】
【けれどやはり他人の感情に関与するのは不得手であった。――ゆえに妨害する余地はある。ぞっとするような冷たい麻酔の感覚が"こころ"に満ちるのだ、明らかに異常であり】

【――そしてあるいは予感通りであった。腕輪を外したならその瞬間に逃げ出そうとすると誰かが予感したみたいに、あんまりに当然に、絡めとろうとしてくるから】
【"おいた"にしては過ぎている。相手を本当に本当の"自分の忠犬"にしてしまおうとして。――けれど二人の距離は近すぎた。近すぎて、もっと言えば、血みどろすぎた】
【この場には相手の血が散らばりすぎている。――きっと分かっているんだろう、分かっているから、その瞬間、彼女はうんとたくさんの魔力、相手に吐き出そうとするんだから】

【――――――薄幸の令嬢みたいな顔して、実はアクセル全開するタイプ。もうとっくにバレてる手札は、けど、うまく刺されば凶悪すぎて】


966 : 厳島の中 ◆zlCN2ONzFo :2018/06/30(土) 22:53:15 6.kk0qdE0
>>961

「ありがとうございます」
「はい、任せてください……悪を、この国の悪人共を、根絶やしにして見せます」

【今度ははっきりと、情熱ある返答を成した】
【いや、情熱と言うよりももはや狂気的な部分かもしれない】
【瞳に宿った闘志は、間違いなく正義の為だが、それは幾分にも独りよがりな部分を含んでいる、そんな危うさがある】

「出自、ですか?」

【背の高いガラスのパフェ用容器に、さくりさくりとスプーンを差し込み】
【妖艶さすら感じる所作で、口に運んでいく】
【思わず生唾を飲み込むほどに、美しい光景だった】
【だが、裏腹に最後の言葉には思わず聞き返してしまう】

「はい、改造に関しましては……」
「切り札、警察組織への?」
「つまり、外務八課は警察への行使行動も厭わない、と?」

【国民にとっては最大にして最後の治安の盾】
【それすらも、法務行使の対象として睨みを利かせる】
【その為の切り札が、この自分である、そうミレーユは言っているのだ】

「……いえ、問題ありません」
「正義の為であるならば、幾らでも使って下さい」
「例え、かつての上司や部下や同僚を敵に回しても……」

【少々の間はあったものの、再びミレーユを見据えてこう答えた】
【それは暗に、警察にもその悪の魔の手が潜んでいる事を伺わせる内容だった】
【外務八課、問答無用にして冷酷無比な正義組織、その鱗片はミレーユの話から十分に感じ取れ、理解できる内容だった】

「他言無用、解りました!」
「話して下さい、敵は、何処に居るんですか?」

【フルーツタルトにデザートフォークを差し込みつつ、この話には身を乗り出して】
【やがてミレーユの口からは、敵となる相手の情報がもたらされた】

「サーペントカルト、つい先だって壊滅した筈の国際手配カルト宗教ですね?」
「あいつら、まだ活動していたなんて……」

【公式には大規模な戦闘行動により、複数の幹部と信者達が死亡】
【その活動を停止、事実上壊滅したと伝えられている】
【だが実際には、残党が跳梁跋扈し闇に潜っているのだと言う】
【明確な怒りを含んだ瞳と声で、そう言って】

「公安!?機関が、警察に!?」
「それに政治にも……機関はそんなに根深く?」

【思わず何度もミレーユの顔を見返して、そして聞き返してしまう程の衝撃だった】
【まさか、警察組織や政治に、八課が暗躍するほどに根を生やしているとは】

「許せない……ミレーユさん、直ぐにでも命じてください」
「機関もサーペントカルトも、全部叩き潰してやります!」

【怒りと熱のこもった返答だった】
【直ぐにでもこの場を飛び出してしまいそうな、そんな危うい怒りと熱】
【そこには、戦いの意思をありありと募らせて、ぐうと拳を握って】

「僕の……最初の任務は何ですか?調査でも潜入でも、戦闘でも……言って下さい!」


967 : 名無しさん :2018/06/30(土) 23:11:47 TGGjTYQU0
>>964

ですけど――そうだとしても、もう、壊滅されたのでしょう?
だったら、今戻って来ていないのだから。――あんまり関係がないのではないかしら。

【――あるいはそれは楽観が過ぎると思わすだろうか。けれど同時に、それは、きっと、祈りに似ているって、気づかせるのかもしれない】
【どうあれこの女は少女に執心している。そしてその結果限りなく少女の無事と平穏を祈ってもいるのだ、――それがどれだけ歪んでいても彼女自身は気づかぬのなら】
【そうあってほしいという願望がわずかに漏れていた、――青りんご色を瞬かせたなら、相手の言葉と様子に"分からない"顔をするんだろう。本当に分からぬ、という風に】

【(だって彼女には本当に分からなかった。情とか優しさとかそういうのは彼女の人生に今まであんまりに疎遠すぎて、いろんなこと、金で解決してきたから)】
【(それはきっと不幸なことだったんだろう。――だって今まさに誰かの優しさ、気遣いに触れておきながら、この人よく分からないことを言っているな、という顔、してしまうなら)】
【(――――けれど、もう、きっと、戻れない年齢だった。いまからそれに出会う奇跡は、あんまりにあんまりに、大きくなくちゃ、彼女はきっと救えないのだろう)】

……そうしていただけると助かります。

【相手の言葉に、どこかで吐息が綻んだ。――安堵したのかもしれなかった、少女がひた隠しにしていること、泣きじゃくりながら腕の中に隠す失敗のような、こと】
【きっとそれはあの少女にとってどうしようもない悲しみなんだろう、と、それくらいは分かっていた。分かっているつもりだった。誰にも知られたくないと願うから隠していた】
【――そうだと予想していたから。であれば。それは叶えばいいなとも思う。――歪んでいたとしても少女が嬉しそうにしている光景、彼女は、どこかで、大好きだったから】

そうですか――、では、そうですわね。代金分くらいは覚えておきます。……本当に要らなくって? よく分からないです。
"あの子"だってそうです、お金にもならないこと。――あんなふうに。して。

【――――ぽつりとつぶやいた言葉は、相手にとってどんな風に聞こえるんだろうか。聞いたことない海外の菓子を説明された人みたいに、不可解な顔して】
【言葉だけで思い浮かべてみたけれど、結局何にも分かんないって匙を投げるような、表情をしていた。――どこか困ってしまったみたいな表情が、滲むのなら】
【あるいは後で彼も知ることになるんだろうか。――白神鈴音という少女はUTの活動の一つとして孤児の子らに無償で食事を振る舞っていた。何年も前から、一人きりで】
【きっと彼女はその話をしていた。優しさを全く理解できないのかもしれなかった。――はあとため息一つ、青りんご色がどこか寂しいみたいに、瞬いて】


968 : ◆XLNm0nfgzs :2018/06/30(土) 23:16:17 BRNVt/Aw0
>>947-948 >>952

【表情を軟化させてフォローする厳島】
【その姿に、やっぱり父親みたいだなぁ、なんて思ったりして】


レヴォル社……厳島さんから聞いた事はないですけど一応どんな所かは
お薬とか機械とか……そんな会社って聞いた事ありますけど
それでもってセリーナさんは其処に囚われている……と……
でもってオーウェルとハルモニーが黒幕に関係して……

だー、もう!また信用出来ない奴が増えた!ゾーイってのもオーウェルのアンドロイドなら怪しいじゃないですか!
【何でもうそんなんばっかり……とつがるはじとーっとため息を吐く】

公安は黒幕の根城だけれどもゼロのカンナって人と三課の鵺って人は信頼出来る……ですか……

……甘いですよ厳島さん。此方側を安心させる為に演技してるとかだったらどうするんですか?
人間簡単に嘘を吐くんです。相手を騙すためなら何だって口にするし本来の味方に唾を吐く事すら厭わないんです
……少なくとも、私はそのゾーイってのと公安の方々を信用出来ません
【まあ、この話はここで終わりにしましょう?と相も変わらずじとりとした目のまましめる】
【どうやら人間に対して大分信用が出来なくなっているようだが、言及しないのが吉だろう】

【そして話は鈴音の事へ】
【旧市街の精肉工場に於ける異世界の神との戦い】
【レテ湖に於ける鈴音との邂逅】
【そしてその後の出来事──】
【語られたつがるはただじっと俯いているだけで】

【そうした中で厳島は鈴音がどんな存在なのかと問い掛けて】

──鈴音ちゃんは、お姉ちゃんみたいな人だって思っています

優しくて、他人想いで、料理が得意で
世界の変化の所為で目的を果たす事に専念するべきなのか迷っていた私に「そのままで良いよ」って言ってくれて
蛇神様の末裔なのに半端者な私に「敬語じゃなくても良いよ」って言ってくれて
凄く、凄く優しいお姉ちゃんみたいな人で

……でも、色んな事を抱え込んでてとても心配になる人
少しでもその苦しみを分けて欲しいなって……心配になる人……
【何処か寂しそうにつがるは笑って】


969 : 棕櫚 ◆D2zUq282Mc :2018/06/30(土) 23:40:31 JY1GydDk0
>>963

――…さぁ、どうでしょうね。
その言葉を信じるには判断材料が足りないので何とも言えませんとしか……。


【作り笑いを浮かべながらの、はぐらかした言葉。表面上は明言を避け、曖昧なままお茶を濁す】
【けれど目に見えない心の内では、"随分と面白い冗句だな"と嘲笑い――流石は冒涜者、と嘲笑う】

【かつん、かつん、と鳴らす靴底は規則正しく一段一段歩みを進めて】
【最下層に行き着いた時、"如何にも"な扉が目の前に在って。扉の向こう側もまた"如何にも"が広がっていた】
【最初に抱いた感想は映画の舞台にでも迷い込んだか、と言う物見遊山めいた驚嘆。正しく、異世界】
【この"如何にも"こそが――冒涜者を冒涜者たらしめている理屈の手がかりなのだろう】

【冒涜者に促されるままカリヤをソファに座らせて。冒涜者のなす事をそのまま見届けた後】
【棕櫚は"あの日"の続きを語るのであった――カリヤという少女に関する詳細を】


―――……「取り込む」と言う現象。それの対象になるのは「人格」です。
その意味では人の魂、人の心、人のイノチ。どれもこれも正解と言えましょう。

「取り込む」その現象の根底に在る理屈は――"私を護ってくれる家族が欲しい"そして"殺した命は、私の中で生き続ける"というもの。
そんなの妄執だとお思いでしょう?ですがカリヤは違うんです。本当に殺した人間の心や人格といったものを取り込んで"家族"としています。

殺された当人しか知りえない情報、殺された当人が無意識に行う癖や思考、振る舞いを。それらを再現している。
まぁ、カリヤを護るという大前提に則った上での再現なのですが、ね。それでも高い精度を以て再現されている。

その意味で「魂」「心」「イノチ」を取り込んで、その者の根幹を成す「人格」の擬似的な蘇生が成されています。

カリヤという生き物。それは雁の群れ。または群集。或いは総体。殺した数だけその数を増す人格収集マシーンと言った所でしょう。
どれだけ"家族"を増やしても満足する事無く飢え続け、失う事に怯え続ける生き物。故に、貴女とは違う意味で冒涜者と言えるでしょうねぇ。
奪われたものにとって、カリヤは盗人そのもの。そして死者から生者まで冒涜する不届き者、不埒者です。


【棕櫚の口調は今までの軽薄なものではなく、腰を据えた様にどっしり構えた真面目なものだった】
【そして、棕櫚が目論んでいた事。それは"カイ"を"カリヤ"に殺させて"カイ"の中に潜む白桜を手中に収めた後】
【白桜以外の人格を悉く殺しつくす算段だったのだが、ここに居るという事はそれが失敗したという事に他ならない】


970 : アリア ◆1miRGmvwjU :2018/06/30(土) 23:54:00 o6XMS57s0
>>965

【対してアリアはきっと被虐を望んでいた。自分が良いようにしてきた愛しい人に、逆に良いようにされてしまう愉悦。ゆがんだ信頼。ひずんだ愛情。】
【ページの抜け落ちたフリップブックみたいに、一瞬のうち感情の色を変えてしまうのも愛おしかった。きらきらした瞳で手を透かし、幼気な少女のように笑うのなら、】
【本当に純粋な思春期の愛娘であるようにさえ思えて、だから抱擁に爪を立てたりなんかしないで、血塗れの頬を重ね合わせて、 甘いささめきに心委ねて ── 】

【寸断されるシナプス。遮蔽されるネットワーク。排斥される倫理観。マスクデータに書き換わる記憶野。小さく震えて、力なく呻いて、俯いた。】



    「ぁ、う」



【「こうされるかもしれない」 ── というのは、解っていた。封じられていた異能を解き放ったのだから。自分が同じ立場だったら、間違いなく同じことをした。】
【けれどもアリアが其れを甘受したのは、最悪の場合でも自分は此の作戦に不可欠な要素ではないから。"あの銃声"を符丁にするよう課長には伝えておいた。】
【だったら後はどうにでもなる。キャストが入れ替わるだけだ。白神鈴音の顕現に際して八課を立ち合わせ、自分とかえで或いはケバルライなる幹部、全員を拘束させる。】
【愛情以外を忘れさせられたのは好都合でさえあった。其れは今のところ、自分が蜜姫かえでを縛れる唯一の方策であったから。】

【 ────、 それでも何処か、引っかかるものがある、のは。けれど其れさえも、抗いようのない鈍麻に塗り潰されていくから。】
【 ────、このまましばらく、溺れてみるのも、いいかな。なんて。そう、思ってしまうのだろう。】


【そっと顔を上げる。変わらずアリアは穏やかに微笑んでいた。少しだけ力なく、気だるげに、けれど青い瞳は澄み渡っていた。 ── きっと其の奥、幾ばくかの天文単位の先には、神様だって棲んでいるのだろう。】



「 ……… 愛してるわ。」「愛してる。」「貴女以外、忘れてしまう、── くらいに。」


【もしも、かえでがアリアの心を覗くことが出来たのなら ── 或いは何かの間違いで、阻害の刹那、感情の逆流なんて、起こる筈もないけれど】
【ともあれ其処は余りに混迷と苦悩に満ちていた。血を流す曇天。折れて墜ちた摩天楼。人のいない都市。笑う信号。眼球の取り付いたミサイル。孤独な上陸作戦。溶けてゆく指先。音もなく崩れる両脚。消えゆく追憶。】
【愛情以外に、彼女は余りにも多くの感情と記憶を抱え込んでいた。 ── だからきっと、全て塞いでしまうには、相応に手間がかかる。それだけ。本当に、それだけ?】


【外套の中に、かえでの身体を招き入れる。包み込むような抱擁。其処でもう一回、今までで一番深く、ほんの少し血の乾いた唇で、接吻けるのだろう。憂う睫毛を朝露に震わせ、目を瞑って。】
【 ──── 眼を開ければ、きっと外套に隠された2人の身体は、"消えている"。けれど触れ合う感覚はそのままで、赤褐色の首元で静かに甲高い音を鳴らす光学迷彩(チョーカー)が、其の理由だった。】



「さ、 うふふ。 ── 行きましょう。」「 ─── 何処へだって、いいけれど。」
「それでももう、離れたくないの。」「 ……… 分かるでしょう?」



【ふわり、掌で顔を軽く撫ぜれば、互いの顔さえ"見えなくなる"。阻むものなんてもうなかった。だからアリアは連れ出そうとするのだろう。御伽噺の悪い亡霊みたいに】
【誰ひとり気付かせずに病室を出て、夜闇に満たされたビルの谷間を縫って、いずこへ連れ往くのかは分からない。それでも、きっと、何処に行こうが同じことで】
【 ────── 終わりなく貪り合おうとするのだろう。互いに打つけるのはどろどろの愛情と欲望。自分の尻尾を呑み込む蛇のように。終末の戦争に駆り出された狼のように。次の朝も、次の昼も、次の夜も。】



/こんな感じでシメで、いかがでしょう、か ── ?


971 : ◆KWGiwP6EW2 :2018/07/01(日) 00:11:14 WMHqDivw0
>>939
【出された蛇料理の数々にはどれも料理人らしい工夫が施されており、蛇肉の扱いも十分に研究が重ねられている】
【自身とも相対した教団の幹部、"マルフィク"の末路についての詳細は知らないものの、毒でも仕掛けられているではないかと警戒もしたが】
【どうやら肉の扱いには相応の礼を持っているらしい】
【翻って冷蔵庫の中に仕舞い込まれた人肉のパーツの数々は、彼の狂気をこれでもかと言うほどに表現していたが――】


オマエの方が、余程に社会の脅威だろうが。
もっと怖いモノでも有ったかねェ?


"狂信"だの"信仰"だの胡散臭ェ話は嫌いなんだよ。偶像崇拝ってなァあんまり流行らんだろ?
形を持ったら、必ずケチがつくからさ。

これは半分想像だがね。
マルタで晒し首にされる前に信仰されてた蛇神様ってェのは、自然崇拝だったんじゃねェか?


【蛇料理を箸でつつきながら、取り留めなく喋る。この男から"仲間"なんて言葉が出て来ることが最も驚くべき点なのかも知れないが】
【ただ狂信者が嫌いなだけの単独犯ではないことはそれで知れるだろう】


オヤ、ご存知で?
俺が言うのもなんだが、アレは中々に狂った"フリ"が上手い。遊び甲斐が有る相手だったな。
話によると、先の戦いでくたばっちゃあいなかったようだが、一人でおめおめと生き残ってどんな心境なのか是非ともインタビューしたいところデスねェ。

俺は"白神 鈴音"とやらのコトはロクに知らねェが…
クククッ……世界を滅ぼすべき神様が、"何もしない"ことで世界を救うたァ、中々に神様らしい。
だが、熱心な信者どもにはウケが悪そうだ。


【先の戦いでしてやられたことは男にとっても気持ちいい話ではなかった】
【だが、思い返すほどに、あの場での人質に皆殺しにするのは無理の有る配置だった】
【偶然か、仕組まれていたのかは分からないが、なるほど、"上手く行かない"訳だ】


……まァ、アレはケバルライにしてやられたと思うしかねェがな。
流石、ペテン芸で世界を滅ぼした野郎だ。中々に手慣れてやがる。


【戦いの最中では、狂気に身を浸す男では有ったが、常の男は然程に話が通じない訳ではない。今もいくらかは落ち着いて会話を続けている】


オマエだって腹に据えかねてるだろォ?
悪党に、善行の手助けをさせた挙句、それを裏目に使われるなんざ、ナメた真似をされたんだ。
こんな"八つ当たり"で留飲は下がったかねェ?

オマエとオマエ達がかつてレッドへリングを仕留めたって話は聞いてる。
だが、ケバルライ……いや、"ジャ=ロ"の野郎は、もう少し勝手が違う。

奴の殺し方を教えてやる。
ギスギスと利用し合おうじゃアないか、カニバディィル君。


972 : 厳島の中 ◆zlCN2ONzFo :2018/07/01(日) 00:28:52 6.kk0qdE0
//>>968>>952
//つがるちゃん中さん、夕月ちゃん中さんすみません
//>>948「鈴音に本来憑りついていた蛇神を媒介とし」の部分削除修正お願いします
//申し訳ございませんが、よろしくお願いします


973 : ◆9VoJCcNhSw :2018/07/01(日) 01:08:41 wn2rqSVw0
>>656

【緊張と、女性らしさというものに恥ずかしさを覚えて強ばる表情は】
【よく出来ました、という言葉を受けて休息に緩む】

【何かを成し遂げた時は誰しも喜ぶものだが】
【それが自分の目標であり、敬愛する母親に認められたものなら】
【尚更嬉しい――そういう事だろう。はにかんだ顔を見せながら】


お、おぅ……ぁ、いや……、……うん。

……素敵かどうかは、正直良く分からない
けど……まあ、イケてる……かな。


【素敵に見えると言われれば、躊躇いながらもそれを認める】
【年頃の少女なりに、確かに考えて出した答えは納得のいくもので】

【もっとも、どう感じたかと言われれば】
【出てくる答えは少々呆気ない――というより、経験の浅さゆえなのか】
【判断基準が「イケてる」かどうかである辺りは、まだ改善の余地ありだったが】


……母上は、新しい服……選ばないのか?


【ぽつり、と呟いたのはそんな言葉。子供の自分から見ても】
【既に十分すぎるくらいに完成された服装を、母はしているのだが】
【言うなればお手本が欲しいらしく。かといって、無論強制するようなそれでもなく】
【純粋に疑問を浮かべたような表情で首をかしげた】


974 : ◆9VoJCcNhSw :2018/07/01(日) 01:08:53 wn2rqSVw0
>>918


暴かれて気分が悪いとは言いませんが
無闇に人目を引くのは好きじゃありませんので。


【――ゆったりと椅子に腰掛けて、往来の激しい道路へ】
【正確にはその向こう側へと視線を向ける】
【議員会館。その前のロビーに黒の高級車が停車し、誰かが乗り込んだ】
【偉い"先生"だろうか。しかし車はすぐには走り出さず】
【何か、窓越しに駆け寄ったスーツ姿の人物と話をしているようで】


む……ちょっと、すみませんが離れてもらえます?
私、鼻が効くものでして。嫌いなんですよ、煙草の臭い。


【その言葉はやや刺々しい。実際、よほど煙草については嫌いなのだろう】
【用が無いなら他所へ行けと言わんばかりの口ぶりで】
【手で鼻を抑えつつ――ふと、スマートフォンを取り出した】


975 : 名無しさん :2018/07/01(日) 01:12:16 TGGjTYQU0
>>970

【――――――――――――――――くす、と、少女の笑みがその耳元でささめいた、ならば改めて力を籠める両腕は優しく優しく、抱き留めるように】
【間違っても崩れ落ちてしまわぬように。――本当にそうなってしまうなら彼女の腕では相手のことをとどめてあげられないのだけれど、それでも、そう、努めるように】

――ね。アリアさん。私のこと、"知ってる"んですよね? ――――だからね、私も、アリアさんのこと、"知ってる"んですよ。
だから一緒に居ましょう、それでね、いっとう優しく抱いてあげます。それから――そしたら――、いっとう優しく抱いてください、――ね?

【――――あるいは、予感されていたとしても。通ったという事実が重要かつ重大であったなら】

【蜜姫かえでがアリアを利用しようとするのが、とうに、バレていたみたいに】
【アリアがまた蜜姫かえでのために動いてくれること――そのことを少女は分かっていた。みたいに】

【少女は物事を阻害することにのみ長けている。だから、――あるいはそれは神様の奇跡だったのかもしれない、全部を辿れぬとも、茫洋とした予感だけだったとしても】
【たしかにその一瞬、少女は相手の何かに触れた。――それは何度も何度も伝えた痛みの返礼にも似るのだろうか。本来知り得ぬものを辿る感覚はひどく、ひどく、不思議で】
【ほんの刹那少女は眉をひそめた、――それらに干渉するには時間が足りなすぎる。時間がいくらあったとしてもそれでもなお難しいと理解させた、ゆえに"放っておく"】
【それが正解か過ちであるのかは分からないんだけど、――どちらにせよ少女は他者の感情に干渉することを得意としない。いつどんなきっかけで解けるか分からぬ衣装のよう】
【はだけてしまったなら元通りのアリアがそこに現る手品、――だからいっとう大きな賭けでもあった。それを成すまで持つだろうか。――持たない気がする、でも、好きだから】

【――――このまましばらく溺れていたっていいかな、って、思ってしまう】

【(別に彼女だってしつけのなってない犬みたいなアリアを見たいわけじゃなくって)】

【それから先のことは――誰にも観測されないのであれば、わざわざ記す必要もきっとあまりないのだろう、勢い余った逃避行に似て、けど、現実はもっと辛辣で】
【けれど一つだけ確かなことは、――こればっかりは本当に少女は相手のことを好いていた。なるだけ手元に置いておきたいと願った、本当の最後に一点譲れぬこと以外】
【ウヌクアルハイを正しい姿に戻す、――その目的以外であれば、べつに、投げ捨ててもいいかと思ってしまいそうなくらい。それは決して欠けた蛇教の戦力として引き入れるんじゃなく】

【本当に本当に蜜姫かえでという人間として、――アリア自身の意思に反したとしても、一緒に居たいと、願ってしまった。愛しているから】


【――――――――――】

【"ケバルライさん、どこに居ますか?"】
【"今度はもう誤りません"】
【"ウヌクアルハイ様を、過誤なき正しい神格へ――"】

【――スズランの音色は明確に鈴の音色を否定しつくす。であればそれは、人間の間違いを受け入れられない蛇の神様の逆さま構図、割れた鏡が万華鏡然とするように】
【いつかの間違いを清算したいと願う、――たったのそれだけのために、世界なんて滅んでしまえと、神様も、人間さえも、思ってしまうなら。ちりじりの鏡面越し、きっと蛇が見ていた】

/おつかれさまでした!


976 : テレサ :2018/07/01(日) 01:56:39 XqQAhkbc0
>>753

【手元の『鉄球』は回転させたまま、テレサは扉の奥に佇む者達を見ていた】
【敵性反応は5。その中心にいるのが―――そしてこちらの最も近くにいるのがワームシンガーであると直感で感じ取っていた】
【続いて従える"蟲"の練度の違いにも目を通す。先ほどとは違って今度は鉄球の回転そのものだけでは破壊できそうもないほどに強大なのが見て取れる】


どうやら……本日の主賓にようやくお目にかかれたようですね
始めまして。"教会"より参りました異端狩りの者です。洗礼名はテレサと申します……

……最も、すでにここに来るまでに多くの犠牲者を確認しました。貴方がやった事はすでに情状酌量の余地なしと判断しております
よって、この場で自分の無実を証明しない限り、即座に戦闘行為に移ります。何か言いたいことはございますか?


【おそらくまともな言葉を交わすのはここが最初で最後となる事をテレサは理解していた。最も、シスターらしく最初に慈悲を与えるようにはしてるのだが】
【すでに頭の中では先に相手が攻撃してくる事を想定し、殲滅する事だけを頭に浮かべている】

>>775>>838>>847

【味方に視線を向けるのは一度だけ―――すでに戦闘体勢に入る者たちがほとんど。ならば言葉もなく各々の戦闘を任せるのみ】
【唯一心配だったのは、リオシアか。彼女だけは明らかに動揺している】


―――リオシア……構えなさい
引き金を引けとまでは言いません。しかし、あの場にいる時点で『叩きのめさなければ』
まともに会話もできないでしょう。戦闘の準備を


【反応から、彼女の知り合いがいたのは察していた―――ゆえにいう事は一つ】
【殺す覚悟ができないなら殴り倒す覚悟だけでも決めておけ。かなり凶暴な助言だがそうでなければ死地は乗り越えられない】

>>758>>884>>942>>954


(……あちらはあの蟲使いの手駒、といった所でしょうか
おそらく全員能力者。一人では相手しきれない。各個撃破が望ましい所ですね)


【ヘッドギアの奥の瞳がワームシンガーの元に集う戦力たちを品定めする】
【突如現れた者達。明らかに味方ではない。そう確信できるくらいには敵意に満ちていた】
【ならば殲滅するのみ。どの敵を真っ先に始末するべきか。今頭の中で浮かべるのはそれひとつだけだ】


977 : タマキ ◆KP.vGoiAyM :2018/07/01(日) 11:11:41 Ty26k7V20
>>951

言わんとしてることは…わかるような…わからないような……へへへ。
18から現場入ってるし…まあ、知らなくていいなら好都合

【そうやって照れくさそうにごまかすように笑ってビールのジョッキを持ち上げたが、後藤の次の言葉には手を止めた】

――――『出たとこ勝負?』

……いちおーゴトーさんに言わせてもらいますけどね。『出たとこ勝負』じゃ私らは動かないからね。
そんな、曖昧で不確定な情報と作戦で、危険を犯すような真似は出来ないよ?まあ、わかってるだろうけどさ。
機材もそうだけど、人材は疎かにできない。そりゃ、私はそういう臨機応変さを求められてるんだろうけどさ
もっと情報はおろしてもらって、何処から切り崩すかは………よろしくね?ゴトーさん。
命をかけるのと無駄に捨てるのは違うのよ?他の“アマチュア”とは違うんだから。

【ニコニコと、いつものくだを巻くような明るい話し方は変わらないが、その言葉はリアルを見つめていた】

【不明瞭な情報、詳細が曖昧な作戦、ずさんなリスク管理、情報連携、物資、人材。】
【どれだけ考えても晴れない戦場の霧を取り払うのには準備が全てなのだ】

【そして、彼女は他の正義組織や、自警団なんかを“アマチュア”と言った。それが彼女のプロ意識の現れか】

そうねー。どうしよ。…ウソウソ!これについては私も結構、調べてるのよ?公安内部の話は貴方のほうがうまく取り入るかもしれないけど
私は現場のつながりが結構あるしね。公安内部については貴方に任せるとして……

【そういって彼女はカウンターの下、足元に頭を突っ込んだ。そこには彼女のミリタリー用品のブランドのバックパックがあって】
【取り出したのは観光地の包装されたチョコレート。そしてA4サイズの茶封筒。】

よいせっと…あ、こっちはバカンスのおみやげ。これからお世話になるし、ゴトーさん、てんでリゾートとは無縁だろうからぁ?ふっふっふ
あっ、後何人ぐらい居たっけ?数足りるかな…飛行機の時間ヤバくてテキトーに買ったから…

少しは思いを馳せてくださいな。…んで、こっち。今回の関連しそうなデータ。公安関係の…まあ、知ってるのも幾つかあるだろうけど
オーウェル社関連の資料。他にちょろっとharmony社とかも…後は、“新楼市”あたりの報告書。

【中身はまずは公安関係の概要。そして関連する企業のデータ。異能や親能力派の行方不明者と関連性、そして新楼市の調査情報】

端的にいうとこの火薬庫に火をつけようとしている馬鹿があちこちに居るみたい。


978 : ◆S6ROLCWdjI :2018/07/01(日) 16:30:24 WMHqDivw0
>>967

ニュースが言っていた、生き残りの幹部が少なくともひとり――――行方不明、と。
それにまだ身柄を拘束されているとも……考えられるのは、少し、ネガティブがすぎるかな。

【「よくない癖だ」と言ってまた苦笑、杞憂であってほしいと思うのは此方も同じこと】
【だけどまだ可能性が残っている。それが在る限り――気は抜けないと言っていた、良くも悪くも用心深い】

【――――きょとんとした、分からないという顔をされたなら。また困り顔をしてしまって】

……そんなに信用できないかな? たしかに、「お前みたいなもやしには期待できない」
みたいなことよく言われるけど――まあ、うん。腐っても亜人だよ、最悪、ヒトが死ぬような傷を受けたって
そうそう死なないのだけが取り柄だ。…………だから荒事、任せてほしいって思うんだけど、ね。

【ちょっと違う受け取り方をしたらしい。頼るにはちょっと不安すぎると思われてる、そう解釈して】
【それでも大丈夫だって、塗り重ねるみたいに。いざとなったら使い捨てるみたいにしてくれても構わない】
【そうしたって壊れないのだけが取り柄だからって。……あんまり、不安を払拭できなさそうな言葉で言った】

さて。じゃあ音々子――――今宵はここらで別れようか。
「応急処置」をしたとはいえ、まだ本調子ではないだろう? ……今度は「上手く」やってくれよ。
何度も言ったけど、無茶はしないで、……何かあったら呼んで。それでは、

【情報と、連絡先の交換。それを終えてしまえば――もう互いに深入りしすぎるのもなんだと思ったんだろう】
【それでも最後に未練がましくお節介。残して去っていこうとする、……何かあるなら後姿が残っているうちに】


979 : ◆S6ROLCWdjI :2018/07/01(日) 16:44:05 WMHqDivw0
>>969

「人格」――――、ふうん。その人そのもの、というわけ、へえ……
……家族っていうのはそうやって作るものだっけ? まあ、そこらへんはどうでもいいけど。

――――カリヤちゃんはとても寂しがりなんだね。僕もわかるよ、寂しい気持ち、よくわかる……
辛いもんね。悲しいもんね。苦しいもんね。会えなくてお腹がキリキリしてしまうもんね。
……あれ、ちょっと違う? まあいっか、ふふ。…………興味深いお話聞かせてくれてありがとう、


それで。カリヤちゃんが「取り込んだ」「ヒト」は――――何処にいるの? あるいは何処に行く?
カリヤちゃんの心だとか魂だとかそういう、概念的なところに閉じ込められてしまうのかな。
それともこの身体を拓けば出てきたりする? なあんて、…………すっごく興味がある。


【「ミスタ・シュロ、あなたに出会えて本当によかったよ」 ――――まだ話しかしていないというのに】
【冒涜者は、ひどく嬉しそうに笑っていた。ずーっと欲しいと思って探していた本だか、玩具だか】
【見つけて喜んで、後ろにいる親に振り向いて「これこれ!」って指差してぱあっと顔を輝かせるような】
【――――童女めいた笑みだった。こんな場所で浮かべるにしては、悍ましいとも言えるほど、無垢な表情】

【それを浮かべながら訊くのは、カリヤが殺した人の「人格」が。カリヤの身体のどこに閉じ込められるのか】
【そういうことだった。冗談めいて言ったけど、切り開いたなら出てくるとだけ答えれば、すぐにでも】
【メスでもなんでも持ってきてこの場でカリヤの肉を裂きだすだろうとすぐ予測できるくらいに】
【はしゃいでいる、見て取れる、すぐわかる――ずうっと追っていたこと、その答えに近しいモノに出会えたから】
【暗赤色の瞳がきらきらめいて華やいでいた、早く続きを聞かせてって、御伽噺を強請って寝る気ゼロの子供みたいに】


980 : ◆S6ROLCWdjI :2018/07/01(日) 16:45:34 WMHqDivw0
>>968>>972
//あいあい!此方はたぶんそこら辺に触れておりませんので、そのままレス書いてもらって大丈夫です!


981 : 名無しさん :2018/07/01(日) 18:21:34 14n.byzA0
>>978

【――む、と、また女の顔が不満そうになる。であれば本当に追いかけていなかったのだろう、ゆえに状況が分からず、判断しがたいと思ったなら】
【ずうっとこんな調子で突っ走ってきたと想像させるみたいで、――ただ、今日"知った"から、これから調べるんだろうな、とも、思わせるみたいだった】
【良くも悪くも融通のきかないところがある。――ほとんどの場合悪い方に働くんだけど】

信用と期待は別物だと思いますけれど――、……。

【そうして彼は彼女の言葉を少しだけ違ったように解釈した。であれば融通のきかない女は余計にまた分からない顔をしてしまうのだろう】
【それはきっとフリーズ中に連打される×ボタンに似ていて――余計に重ねられていく言葉は、また不可解な感じを与えてくる、善意であればあるほど理解できないから】
【「それはわたくしだっておんなじです」――と、至極困りきった声で、言い訳みたいに、呟くのが精いっぱい。であれば、理解しないままで、認識するにとどまる】
【そういう風に動いてくれる人物だ、だと言うのを、認識はしておく。――そのいろいろな温度感を理解していないけれど、今までだって、そうやって生きて来たなら】

そのようなこと……言われなくても、当たり前です。
ですけれど、それは、わたくしへの心配ではなくって――わたくしがそうでないと、あなたさまが、困るからでしょう?

【――――――だから。誰かはそんな彼女を恩知らずだとか言うのかもしれなかった。立ち去る背中に掛けられるのはどこか困惑した声、そうやって尋ねて】
【もしも振り返ったとしても――その時にはすでに彼女自身も立ち上がって背中を向けている。――ひどく混乱したような横顔だけ一瞬見せて、歩き去る、その間際】
【小さいけれどよく通る声が一言礼の単語を述べてから、歩き出すんだろう。こちらは――よほど呼び止められない限り立ち止まらない、気配ばかりを纏っているものだから】

【ひどく――ひどく不安定なまま生きているというの、どこかで、伝えるような背中であった。ほんの少し間違えただけで崩れ落ちてしまう、そんな、予感だけがあって】

/おつかれさまでした!


982 : ミレーユ ◆1miRGmvwjU :2018/07/01(日) 19:38:00 o6XMS57s0
>>966

【対してミレーユが浮かべるのは、どこか怜悧な笑いだった。誰に対しても銃口を向ける、八課の在り方を肯定しながら】
【それでも諭すように言葉を紡ぐ。ウインナーコーヒーを啜る喉にて、穏やかな声で。けれどリアリズムに両脚を沈めながら。】


「 ─── まぁ、落ち着きなよ。落ち着けない気分なのはわかるけど。」
「ボクたちは個人であり組織である。独立して活動しつつ、けれど総体としては足並みを揃えなければならない。」
「それに社会の宿痾というのは撃って殺してハイお終いじゃあないんだ。 ……… 先走って燃え尽きて、ボクらに尻拭いさせるというのは、勘弁してくれよ。」

「あと、ボクはキミの上司じゃない。八課に階級はなく、故に対等な同僚でさえある。自分で考えろ、 ── とは、言わないけれど」
「少なくとも今、キミが出来ることについては、指針を示唆する程度に留めておきたい。 組織としての柔軟性を維持する為にね。」


【「その上で、ボクがキミに何か言えることがあるとすれば ──」そう前置いた上で、ミレーユは手元の資料に白い指を伸ばす。「 ……… 無くすなよ。」微かに冗談めかして、釘を刺し】
【テーブルの上を滑らせて寄越すのは、幾つかの書類が挟まったクリアファイル。 ── 公安並びに警察関係の監視者リスト。ここ数ヶ月間に彼らが関与したと思しき事件に関する第三者目線からの報告書。ほか、きっと"必要な情報"。】


「キミが培ってきた捜査や執行のルートやノウハウがそのまま生かせるのは、 ── まあ、公安絡みのスキャンダル、だろうね。」
「 ……… 全容の掴めない連中だ。だがどうやら、少なくとも一枚岩ではないらしい。そこから崩していける可能性はある。」
「先ずはその辺から探りを入れていくと良いかもしれない。必要な情報、物資、身分などは提供されるだろう。」

「あ、 ── 面接の結果だが、まあ君はボクたちのセクションには適格だ。ようこそ、『外務八課』へ。」
「ただ一つ覚えておいてほしい。『全ての正義であれ』 ── ボクたちの正義は徹底した功利主義だ。最大多数の最大幸福を追求する組織だ。」
「そして其れは、表立って存在することはできない所以でもある。 ……… 特にライガ君には、意識しておいて貰いたいんだ。」


【優しい微笑を以って、ミレーユは意味深な言葉を残すのだろう。その真意については、きっと問い返されても「何れ解るよ」、と暈すのみなのだけれど。】


983 : ◆S6ROLCWdjI :2018/07/01(日) 20:04:48 WMHqDivw0
>>981

【帰り道。ずうっと考え事をしていた――「同僚」のこと、「蛇」のこと、……「同胞」のこと】
【本当に今日は妙なことばかり口にしてしまった気がする。上手くやれとか、本当に人に言えることじゃない】
【むしろ「粗相」をやらかしがちなのは自分のほう、……だったりするのに。棚に上げてお説教などしてしまって】

…………僕、もう歳だなあ。老害ここに極まれりって感じ、……、
はあ嫌だ。……こういうのばっかりだから「ファラーシャ」にも嫌われちゃうんだろうか。

【零した吐息、最後まで眉はハの字に固定。そのまま夜の闇に融けて消えて――きっと次の夜が来ても、同じ顔】


//おつかれさまでした、ありがとうございました!


984 : ゴトウ ◆1miRGmvwjU :2018/07/01(日) 20:05:17 o6XMS57s0
>>977

「は ─── 御賢察の通り、杞憂だぜ、そいつは。」「全ての行動において、セーフティネットの敷設は暗黙の大前提だ。」
「言い方は悪かったが、まぁ心おきなく足を滑らせてほしい、ってことさ。 ……… 期待してるぜ。」


【思いがけぬ心配であると ── 後藤は静かに笑った。全ては織り込み済みであった。文字通り、"全て"。計画の成否に拘らず、自身の手勢に犠牲は出さない。】
【其れが最終的なダメコンのライン。茶色に濁る瞳に、クラウゼウィッツを学ばぬ愚かさは持ち合わせていなかった。】
【 ──── そうしてまた敬服する所でもあった。こいつは言葉尻を聞き逃さない。多少は強引な交渉をやらせるのにも向いている。成る程アマチュアでは有り得なかった。】


「頼もしく有り難いこった。 ……… そういや、面白いのが引き抜けてね。"警察謹製の人工能力者"。」
「牽制のカードか、スキャンダルの呼び水になりそうな奴だ。 …… この資料と併せて何処まで行けるか分からんが、ひとつ探り入れてみるかね。」

「まあ先ずは感謝するよ。 ── 最近はやけにキナ臭い企業体が多い。おれみたいな人間からすれば、会社の不祥事ってのは、えてして政治屋よりも与し易くはあるが」
「権力との癒着があっちゃ話は別だ。 ……… 怪しい名前が社会貢献掲げて大っぴらに活動してられるって状況そのものが、コトの根深さを物語ってるようでならないよ。」


【茶封筒と菓子包を受け取って、片方は中身も軽く認めておいた。どうにも悩ましげな、愚痴のようなボヤきを漏らしながら。】
【 ── けれど其れの全てを捌いて裁く心構えが、後藤にはあったから。冷やし中華を、また一口。】



    「 ──── それで、新楼市と来る。"人形遣い"か?」



【 ── 或いはタマキは、その名前を知っているだろうか。無論全くそうでない可能性もあるのだけれど、それを知っていて尚も彼は訊ねた。】


985 : 棕櫚 ◆D2zUq282Mc :2018/07/01(日) 20:09:37 JY1GydDk0
>>979

【"おやおや――…その無邪気な仕草、まるで稚児の様で微笑ましい限り。眼福ですねぇ、眼福です"】

【童心を忘れていない様な大人の女性の晴やかで、澄んだ表情は何処か歪に映れど】
【ビジネスライクな笑みを浮かべる棕櫚は、冒涜者の童女めいた笑みを悍ましいとは思わない。寧ろ――その逆】


おやおや、冒涜者殿も寂しがり屋なのですか。屈託の無いその笑みの裏に寂しさを隠しているのでしょうねぇ。
ともすれば、貴女も兎と同じで孤独で寂しいと、――死んじゃう性質なんですかい?乙女ですねえ。


【"クカカッ、もう感傷に振り回される生娘を気取るような歳でも無いでしょうに"】
【棕櫚の笑みと眼差しに含まれた、冒涜者をからかう感情――はしゃぐ子供を微笑ましく見守る大人の様に】
【大人の女性から覗く子供らしさというアンバランスを是としながら、棕櫚は冒涜者の気持ちを汲むのだった】
【―――カリヤという商品に関する説明書に補足事項を付け加える様に】


カリヤが取り込んだ「ヒト」が何処にあって、何処へ行き着くか。
僕はカリヤでは無いので断定は出来ません。故に、憶測でものを語る事を先に詫びておきます。

カリヤが殺した「人格」はカリヤの心や魂といった概念的な場所に行き着くと思われます。
なので、胎を裂いてひょっこり顔を覗かせるような単純なものじゃない筈です。

……仮に取り込んだ人格が、赤ん坊宜しくカリヤの胎に集められてたら――八岐大蛇もヒュドラも言葉として不適格だ。
取り込んだ人格が物理的な形質を持っているのなら、きっと葡萄みたいに頭が実った悍ましい生き物が出てくるでしょうね。


【"肝が冷え冷えですよぉ、身の芯から心の芯まで、ね"と道化の様に。大袈裟に身震いしながら、悪ふざけをして小休止】


と、まあ。何処にあるのかについてはここまで。次に何処へ行き着くか、ですね。
カリヤに取り込まれた人格が何処に行き着くか。それはカリヤの心の糧と言う結果に行き着くかと。

カリヤの本質が寂しがりやですからね。同時に群れの主でありますから。"一人では生きていけない"自身に
迫る外的な脅威、悪意、ストレス等に際して真っ先に消費されるのが取り込んだ人格、心の糧、或いは身代わりです。

カリヤを天辺とした群れの主。主を護るためにそれ以外が消費される。取り込んだ「人格」の貯蔵が空になれば
――こうなります。今しがた、貴女が触れたその人形の様に。無防備な小娘がそこにあるだけとなるのです。
こうなる前にカリヤは自己防衛的に他者を殺して人格を取り込みますが。こうなっては外部からの協力が不可欠です。


【そうしたのは棕櫚当人。あの日、あの時。徹底的に暴力を振るっていたのはカリヤの中に潜む人格を殺し尽くす為】
【それ故に白痴の如き身へと窶す事になってしまったのだ。そして今、冒涜者の興味として品定めをされている】
【まだまだ聞きたい事がございましたら是非にどうぞ――と棕櫚は言葉の〆に付け加える】


986 : ◆S6ROLCWdjI :2018/07/01(日) 20:35:57 WMHqDivw0
>>985

――――女の子なんてみんなそうだよ。誰だって寂しいのは大嫌い。
だからあなたもいつかお嫁さんでもできたら、寂しくさせちゃダメだよ。

【それは冗談で言っているのか、と思うだろう。けれどこれ、本気で言っている、あまりにもマジに】
【会いたくて会いたくて震えるとかマジの素面で言ってしまう人種であった。悲しいことに、それに気付いたなら】
【やばい地雷を踏んでしまった――とさえ思うだろうか。実際そうである。この女は恋のために生きて、それから死ぬだろう、そんなヤツ】

……ふうん? わからないんだ、だったらあなたは「製造者」ではないんだ。
なら何なんだろうね――飼主とか、御主人様的な? ……それもまあ、どうでもいっか。

そう、それは残念――――いや単純にわかってしまってもそれはそれで残念だけど。
その喩え方めちゃくちゃ気持ち悪い、あははっ、葡萄! しばらく食べたくなくなっちゃう!


心の糧、……かぁ。寂しいと思う割に、わりとばっさり使い切っちゃうんだ。
ずーっと閉じ込めて、鍵のかかった箱に厳重に厳重にしまっておくってわけでもない……んだ。
それで今は空っぽ、ということ。成程、お人形みたいになっているのはそういうわけ……

――――ためしに一人、てきとうな人を「取り込ませて」みてもいい? 用意はしてあるよ。
見てみたいんだ、実際に――――カリヤちゃんが人を食べて。それを「甦らせる」ところ――ダメ?

【――――一通り説明を訊いたら、いきなりそんなことを言い出すのだ。本当にいきなり】
【てきとうな人というのも常備しているらしいから、ティッシュ感覚で使い捨ててしまえるらしい。そこは流石と言うべきか】
【とにかくそんなことを訊いて、ダメそうだったら諦めるだろうけど。既に輝く瞳には期待の色が滲んでいた、きらきら】


987 : タマキ ◆KP.vGoiAyM :2018/07/01(日) 21:10:06 Ty26k7V20
>>984

そいつぁ、安心した。…まっ、滑らせるのは酔ったときぐらいにしときたいもんだね。
そいじゃ、ケツ持ってくれる上司を信頼して――――おじさん!!チューハイ頂戴っ!

【さすが、キレ者、抜かりはないな。と、ニコニコの笑顔の酔っぱらいの中の冷めた自分が評する】
【これまで様々な上司上官、先輩と当たってきたが相当当たりかもしれない。今のところは】
【なにしろまだ始まってないのだから。今日は…まだ、楽しめる】


へぇー?!、人工。それも警察謹製ですか。…この“ゴタゴタ”で亡命させられたかな?
それともそれを見越して引き入れたのかな?ゴトーさん。やるねぇ、買い物上手。

【このこの〜と肩でつついて。お互いに自分のペースを崩さず、お互いを尊重しあっている】

【タマキはチューハイの混ざりきっていないグラスに逆さにした割り箸を突っ込んでかき混ぜながら】

公安の方はわからないけど。――どうやらこの話はもっと大きくなるかもしれない。新楼市が面倒なことになってるのは知ってるでしょ?
もともと政府としては目の上のたんこぶ…だけど、共同統治の歪がここで急激に影響している。…これはイデオロギーの問題ね。
人種、経済格差、異能…それを先導する何か――少なくともオーウェルは一枚噛んでいる。それに…


人形遣い――――この火薬庫で火遊びして、何が目的?奴がカノッサならば動機は意味はないかもしれない
けどほんのマッチ一本で街一つ焼け落ちる。そんなところまできているんじゃない?
貴方のほうが詳しいでしょ?――――人形遣い。

【彼女は二度その名を口にした。名と呼ぶに相応しいかどうかわからないが彼女も知っていた】
【だがその足取りは彼女の報告書にはない。収穫はゼロだ。】


988 : 厳島の中 ◆zlCN2ONzFo :2018/07/01(日) 21:25:35 6.kk0qdE0
>>952

「何とかするさ、早急に……だが、肝心の情報も所在も何も無い何も手に入っていないんだ」
「無論、此方も全力を挙げて行方を追っている、だが……」

【カンナの話は非常に苦しそうに、そう静かに告げて】
【激情を隠している、それは恐らく言葉尻や口調からも見て取れるのだろうが】
【それ程に、黒野カンナと言う存在は、白神鈴音同様に重要な人物なのかもしれない】

「そうか……それならば安心かも知れない、そちらの管理は頼むぞ夕月」

【ここで、苦しい表情を幾分か和らげ、少々不器用で不格好ではあるが笑顔を向ける】

「私も、そうだな近い認識だ」
「紛れもなく、それは鈴音が生きて君と接した証だ」
「その認識を、奪われるな、書き換えられるな、何人が何を語ろうとも惑わされるな」
「これから先の局面で重要なのは、その記憶かもしれないから……」

>>968

「ああ、レヴォル社は裏では各地から人間を拉致し、悪辣な研究の結果、決して死ぬことのない不死のゾンビの様な軍勢を製造していた」
「目的は、それを各方面の組織に売り捌き、戦争や内乱をコントロールし結果、世界を手中に収める事だったが……」
「ここに来てどうも、目的はそれだけでは無い、そんな気がする、セリーナの安否も気になる、もう一度潜入しなければいけないだろう」

【ゾンビ兵の製造、開発だけが目的ならば、何故魔界とのゲートを開く必要があったのか】
【ブランルはその後何処へ向かったのか、疑問や疑念はつきないからだ】

「つがる……」

【つがるの続く言葉に、こうため息をついて】

「疑う事は諜報員にとって、あるいはこの時代に生きる全ての人々にとって重要な事かも知れない」
「だが、それ以上に信じる事は、最も重要で尊い物だと私は考えている」
「私は彼女達を信じようと思う、つがる、無理にとは言わない、だがこれだけは覚えておいて欲しい」
「人が人を信じられなくなったら、それはもう世界の終わりなのだと」

【こう、似つかわしくない道徳的な話だが】
【もしかすれば、今のつがるには重要な事なのかもしれない、そう考えてあえてこう話した】
【人間への信用を大分無くしている様子だったのだが、触れずに重要と思われる事だけを短く話す】

「それがつがるの鈴音に対する記憶、認識なのだな」
「鈴音は、つがるに優しく接したのだな……」

【ここで目を閉じる様に、やがて左目をゆっくり開けて】

「夕月と同様だが、その認識と記憶は紛れもなく鈴音が白神鈴音として君に接した真実だ」
「誰に何を言われても見せられても、その認識を歪める事はしない方が良いだろう」
「これから先、重要な鍵となるのは、その記憶だと思う」


989 : 厳島の中 ◆zlCN2ONzFo :2018/07/01(日) 21:26:09 6.kk0qdE0
//>>988続きます


990 : 厳島の中 ◆zlCN2ONzFo :2018/07/01(日) 21:27:45 6.kk0qdE0
>>952>>968

「さて、次に話さなければいけない事は少々語るには情報が欠如し過ぎている話だ」
「故に、私の見たままをそのまま伝えなければいけない」
「結論を言うならば、鈴音がどうなり何処へ行ったのかは、解らないのだ」

【再び、溜息をついて、そして夕月とつがるをそれぞれ見やり】

「あの日、我々はサーペント・カルトが大規模な儀式を敢行するとの情報を受けて嘗ての信仰都市、旧市街マルタに集った」
「さて、サーペント・カルトに関して君達は知っているか?」
「簡単に言うならば、蛇を信仰する国際手配を受ける程の過激派宗教団体だが……」
「あの日、確かに大規模な儀式の準備が行われた形跡があり、恐らく色々な地域から拉致してきたのだろう無数の生贄の人間達の姿も確認されている」
「各所に散る形で侵入した我々は、マルタの各地で教団信者との戦闘が繰り広げられた」
「私も、信者の一人と戦う事となり、儀式の中心となる街の中心部大聖堂へは、かなり遅れての到着となってしまった」
「私が到着した時、既にカニバディールや部下のリオシアは敵の幹部の中心と思われる人物と戦闘、その佳境に到達していた」
「その際の様子、敵の言葉から、サーペント・カルトは鈴音を神として、それも邪神の類として存在させようとしていた、と考えられるのだが……」

【ここでどうにも煮え切らない、珍しくも弱々しい言葉を使う】
【これは、その場に存在しなかった為の情報の欠如故だろうか】

「ここからは、その場の幹部の言葉からの推察だが……」
「サーペント・カルトは鈴音の魂をやはり神として、この世界に降臨させようと画策していたのではないだろうか」
「その為にサーペント・カルトは過激な恐怖の残虐の対象となる様にその活動を活発化し民衆の思考を向けていたと考えれば、辻褄が合う、蛇と言葉に出せば案にサーペント・カルトを連想する様に」
「だが、結果として生贄となる予定の人々は救出、サーペント・カルトは幹部の多くを失いその活動は事実上瓦解……」
「結論に戻るのだが、鈴音の行方も、あるいは異世界の虚神達の行方も知れなくなってしまった」

【冷え始めた紅茶を、一気に喉へと流し込む】

「先ほど認識の話をしたが、一つ懸念があってな」
「神と言うのは得てして、人間の信仰に依存している節があるのだ」
「例えば、これはこの神様は水の神様だ、と多くの人が水の神として信じればその神様は水の神となる」
「あるいは、この神様は悪い神様だ、こう信仰されれば害を与える神様と成り得る」
「もっと言うならば、信仰されなくなった神は非常に弱い存在とも言えるのだが……」
「鈴音が神であると言うならば、その信じる気持ち、先ほどのかつての鈴音の記憶と認識を失わないで欲しい、と思う」
「あくまで、懸念だ、そうでないならそうでないに越したことはない話だが……」

【大丈夫か?と少女二人を隻眼で見据えて】
【幾分にも、この部分は概念的な、推察の部分が大きく、また決定的な足取りも失っている状態】
【だからこそ、この少女二人には要領を得ずに、また納得のいかない部分も大きいだろう、と】


991 : 棕櫚 ◆D2zUq282Mc :2018/07/01(日) 21:46:27 JY1GydDk0
>>986

生きる為に食べる。それと変わりませんよ。心にも壊れぬ為の糧が要る。
カリヤにとって可哀想な自分以外は、自らの寂しさを慰める為の道具に過ぎません。消耗品です。
"家族"になれば誰だって良いのです。老若男女問わずです。例えるならば――『スイミー』ですよ、『スイミー』。ご存知です?


【スイミー。捕食者たる大きな魚に怯えなくても良い様に小魚達が群がって捕食者よりも大きな魚であると装い】
【ついには小魚達が捕食者に怯える事無く海をすいすいと泳げるようになったと言う話】
【スイミーに当て嵌めるなら。カリヤは黒目を装う担当の魚で、取り込んだ人格達は身体を装う担当の魚】
【ただスイミーとカリヤの相違点があって。それは他者を思いやるか冒涜するかの違いである】


【そんな折、冒涜者からの提案を受ける。好奇に煌く双眸ともの感覚での物言いがとてもミスマッチで】
【思わず苦笑を洩らしてしまった。"――失敬"と侘びを入れた上で棕櫚は答える――】


ほぉ…。流石は冒涜者殿。用意が良い。言葉で説明してもピンと来ないと思っていましたから。
渡りに船ですねえ。丁度良いです。なので、カリヤを使っても構いませんよ。何せ――ソレは貴女のモノですから、ね?


【棕櫚は答える――二つ返事で快諾して。好奇心が元で殺される猫を見たくて。冒涜者の好奇が満たされる瞬間を見たくて】
【それ故にこれから行われる凶行を止める事も咎める事もせず。にこやかに見守るだけである】


【誰が言ったか―――"泣き叫べ、劣等。此処に神など居ない"と。此処に居るのは冒涜者"達"である】


992 : 厳島の中 ◆zlCN2ONzFo :2018/07/01(日) 21:56:02 6.kk0qdE0
>>982

「は、はい、すみませんミレーユさん……」
「どうにも、その、警察の時の癖が抜けなくて、色んな意味で……」

【ミレーユに窘められ、そして自分の言動を反省しながら】
【たっぷりの砂糖とミルクを加えたカフェオレを口にして】
【上下社会も、あるいは考え方も、やはり警察時代のそれが抜けない、この思考は癖に近いのかも知れないと自分で痛感して】
【そして……】

「これは……」
「このリスト!?これって!?」

【ミレーユの真白な指が、ファイルを指し示す】
【促されて、中身を開くと、そこには警察関係、公安関係者の監視対象リスト】
【それに付随して数々の情報……】

「凄い、こんなに網羅されて」
「ミレーユさんが調べたんですか?他の仲間も?」

【八課独自の調査リスト、徹底した諜報能力】
【まさに圧巻だった、是ほどまでに完成された情報諜報の組織とは】

「公安絡み、こいつらと黒幕の……はい、任せてください!」
「必ず、この国に巣くう悪を、こいつらを叩き潰して見せます!」

【幾分かの熱情のこもった、しっかりした返答】
【やれる、この人となら、この組織でならば、と湧き上がる熱だ】

「全ての正義で在れ……」
「勿論です、ミレーユさん!って特に?僕に?」

【柔らかい笑顔で、それでいて最後の意味深な、ともすれば未来を暗示させる様な言葉には首をかしげるも】
【ただ、ミレーユからは何れ解る、と、今は全くその意味する所も】
【あるいは、何故も、解らないのだった、少なくとも今は……】

「では、引き続き僕はこの連中の調査を行います」
「別命は、携帯端末に、いつでも駆けつけられる様にしておきます」
「何か、他の要件等はありますか?」

【面接面談を終え、これから本部に戻るのだろうか、再びシステムヘルメットと、ライダーグローブを手にして】
【こうミレーユに聞いたのだった】


993 : ◆S6ROLCWdjI :2018/07/01(日) 22:09:11 WMHqDivw0
>>991

スイミー、……赤い魚と黒い魚の話だっけ。なんかいちいちたとえ話かわいいね。
誰だっていい、か……じゃあ「僕の」とは違うね、少し寂しいな。
だったらこの子はいつまでも孤独なんだ――――かわいそうなカリヤちゃん。

【またも出た「かわいそう」。つゆほどもそんなこと思っていないの、すぐにわかるのだ】
【空虚な表情を浮かべるカリヤの頭を撫でて。少しだけ笑って――そして立ち上がる】
【別の部屋に行く。それからすぐ戻ってくる――「てきとうな人」を連れてきたのだ】
【それは金髪碧眼の少女だった。口枷をされて、手錠を掛けられて、それで引っ張ってこられて――】

【――――あきらかに怯え切った目をしていた。なんで自分がこんなところにいるのかわからない】
【そんな顔をして、おろおろと周囲を見渡して。棕櫚を視線に入れれば、助けを乞うように見つめ始める】
【瞳に涙をたくさん溜めて、お願い、お願い――――焦げ付くような懇願の視線。だけどそれは】
【受け取られることなんてないんだと。わかっているから、冒涜者はその隣で笑っていた】


さ、カリヤちゃん。「ルル」って名前の子なんだけど――どうかな、家族にしたいって思う?
僕は割とオススメするよ、優しいパパとママの下で育った優しいイイ子だから。
趣味はピアノ、好きな科目は社会と音楽、嫌いな科目は数学。学校の成績は中の上。
だけど――少し前に事故に遭って、パパとママが死んじゃったんだって。かわいそうだよねえ、

――――だからあなたの家族にしてあげてよ、カリヤちゃん。


【とん、と「ルル」の背中を押す。前につんのめった少女は涙を中空に零しながら――カリヤの目の前に、倒れ込むだろう】


994 : ゴトウ ◆1miRGmvwjU :2018/07/01(日) 22:18:53 o6XMS57s0
>>987

【よく飲むねえ ── なんて言いながら、彼もまたサワーを一杯頼む。乳酸菌飲料と混ぜた奴。思いのほか甘党らしい。】
【「若いが役に立ちそうな奴だよ。色々と、ね。」くつくつ喉から笑って応じるのだろう。けれど、 ── 話題が其れに移るのであれば。】


「『6つの階級、5つの言語、4つの人種、3つの国家、2つの区画、1つの都市』。 ── だったよな。今の世界史じゃそう教えてるって聞いてる。」
「ただでさえいつ紛争状態に突入してもおかしくない地域だ。 …… 悪党が手を出したがる理由なんて、ありすぎて絞れないくらいだ、が。」

「 ── 国籍、推定水国。」「年齢性別経歴すべて不明。」「去年の冬頃から新楼市はじめ星国圏に出没」「カノッサ機関所属の序列9位。だが本人がそう自称したことはない。」
「株価操作、要人暗殺、機密情報窃取、外患援助および誘致、認識災害漏洩、電脳倫理侵害。」「その他こまごまとした容疑も含めれば、数十件の罪状で国際指名手配中の超ウィザード級ハッカー。」
「複数の義体を同時に遠隔操作、 ── またはサイボーグなら電脳の脆弱性を、生身の人間なら視聴覚系の認識災害を経由し、不特定多数のクオリアに侵入。」
「記憶や意識を改竄することで他者を操り、自身の存在に関する痕跡を一切残さない犯行手法から、ついた渾名が"人形遣い(マリオネッター)"。」

「エヴェレティズム教会なんていう研究団体まで立ち上げていやがる。」「 ……… 不気味な野郎さ。」
「六罪王でないのは何かの意図あってのことなのかね。」「 ─── 火を放つには何時でもやりようがある筈だが、動かないってのも妙な話だ。」


【どこか浮かない表情で訥々と語られる身の上。──── 足取りを追えないのも無理はない。その存在は自分の痕跡を執拗なほどに残そうとしなかった。】
【結果としては消す必要さえ無いほどだった。ただ彼は、あるいは彼女は、"クリス"という名だけを語っている。およそ検討もつかない行動規範と共に。そして、続く言葉。】


「 ……… それと関係するかは解らないが、個人的に少し気になってる案件はあってね。」「新楼市に居を構えてる、ライナー・アビオニクス社って ── 比較的新興の軍事企業なんだけどさ。」
「本国から相応のバックアップを受けた新型戦闘機の開発で随分と派手にコケてるんだが、どうにも妙な動き方してるって話を聞いてる。…… 勘違いなら良んだけど。」


995 : ◆S6ROLCWdjI :2018/07/01(日) 22:38:50 WMHqDivw0
>>988

……サーペント・カルトは、鈴音を神としてこの世に。
それはわかるよ、わかるけど――その中でも「ふたつ」の思惑があったと思うの。

ひとつは「鈴音を」じゃなく、やつらが言ってた「ウヌクアルハイ」を降ろそうとしてた人たち。
鈴音の要素ゼロにして、まったく新しい蛇の神を生み出そうとしてた。

もうひとつは――「鈴音」の混じった新しい神を降ろそうとしてた人。……たぶん「イル」のこと。
なんだか、カルトの中でも内ゲバしてたみたい――それは見てて、わかったの。

【厳島の言葉に付け加えるようにして。あの日大聖堂で見た「ケバルライ」の言っていたことを思い出す】
【何かをひどく焦っていた。であるなら――「鈴音」が「ウヌクアルハイ」に混ざってしまうことに、そうしていた】
【そういうことなんだと思う。結果として、その通りになってしまった。だからきっと――ケバルライはまた現れる】
【それだけは確信していた。ならば絶対、……今度こそ、ヤツを殺さなきゃならない】

……うん、大丈夫。あたしが鈴音のこと間違えるわけない。
だからそこら辺は安心しといて――――絶対に間違えないから。

【とても強い口調ではっきり返す。そこだけは絶対に曲げてやれない、と言うように】


996 : ミレーユ ◆1miRGmvwjU :2018/07/01(日) 22:43:22 o6XMS57s0
>>992

「文字数が多いから凄そうに見えるだけさ。 ……… これだけじゃ何もできない。所詮は監視候補でしかない。」
「全く無関係な人間が混ざってる可能性もある。 ── まあ、上手くやるといいよ。ボクも手伝おう。」


【静かに立ち上がり、片手間にファイルを懐のポーチに収める。所作の一つ一つが悠然であり耽美だった。天使か神様に愛されているくらいに。】
【 ── 手の甲まで伸びたフリルの内側、微かにその手は筋張っているように、見えるかもしれないけれど。けれどでも、錯覚であるのかもしれない。】


「ううん。面接も指示も、するべきことは終わった。あとは、君が"するべき"と思うことに奔走してほしい。」
「 ── 統一された秘匿通信の手段がないと、色々と不便そうだね。課長に申請しておこう。ボクは此れから、個人的推論に基づいた単独捜査に戻ろうと思う」

「期待しているよ。ライガ君。 ─── では、また。」

【最後にそっとミレーユは微笑みかけた。色付いた唇の奥、微かに真白い歯をはにかませて、ぽんと肩を叩いて。】
【 ── そうしてその場を去っていくのだろう。ごく自然に。其れが当たり前であるかのように。 ── テーブルの上に、1万くらいは行きそうな、請求書を残して】
【気付いた時にはもう消えている。勿論本部に戻れば、彼女の言葉通り経費から出るのだけれど ── 問い詰める機会があれば、「あれくらいはスパイの基本技術だよ」とか、困り笑いで抜かすのだ。】


/こんな感じで〆でいかがでしょうか!お疲れさまでした!


997 : 棕櫚 ◆D2zUq282Mc :2018/07/01(日) 22:54:06 JY1GydDk0
>>993


(さてはて――少しだけこの女の理屈が見えてきたぜ。だが、まだ全然足りねェなあ)
(少しでも多く冒涜者の理屈を暴いてくれよ、哀れなマリオネットのカリヤちゃんよお)

【冒涜者が席を離れ、棕櫚は改めて周囲の設備や備品、部屋の全体を見回して。すると「ルル」と呼ばれる少女と目線が重なった】
【ルルと呼ばれた少女の助けを請う視線。それに対して向けるのは、柔和な笑み。それ以外は何も無い。助けはしない】

【その笑みは慈しみの笑みではなく。憐憫に起因するものでもなく。嗜虐心を煽る少女の涙に対して】
【そんな棕櫚の浮かべた笑みの裏では、別の事に思案を巡らせていた――冒涜者の行動原理、そして理屈を】


「か、…ぞ、く?…欲、  し・い―――……わ、・たし。……す、  ご、く……寂しい・の…」
「………ね え。わ・た…し、の……かぞ、く・に、……なっ、て。お・ね…が・ぃ」


【カリヤは幽鬼の如く生気を無くしたまま立ち上がり、ふらりふらりと「ルル」と呼ばれた少女へと歩み寄る】
【目は虚ろ。視線は定まらない。口元からだらりと涎を零しながら。ゆらりゆらりと体を振って、やがて辿り着く】


よかったですねえ、カリヤ。可愛らしい妹が出来て万々歳じゃないですかあ。
"一家離散"してしまったのは気の毒ですがぁ、まぁた作り直せばいいんですよお。

    だから――冒涜者殿の為にもキッチリ取り込んで見せやがれ


【棕櫚はカリヤの背後に立ち、徐に懐からナイフを取り出して。それをカリヤの手に握らせる】
【カリヤの動きは覚束ない。その為に棕櫚は「ルル」の頭を踏みにじりながら身動きを封じて、お膳立て】
【お膳立てをしてもらったカリヤは「ルル」に向けてナイフを振り下ろす。何度も、何度も、なんどでも】

【絶叫が奏でられ。赤い血潮が床を汚す。こんな身体には居られないとばかりに血液は流れ出し】
【やがて、滅多刺しにされた「ルル」は息絶える。それと入れ替わりでカリヤの目に生気が戻り始める】

「――カリヤちゃん。よろしくね。私の名前は「ルル」。いつかわたしのピアノを聞かせてあげるからたのしみにしててねっ。
 ……ああ、こんにちは。お兄さんにお姉さん。わたし、カリヤちゃんの妹のルルって言います。」

【カリヤの言動は先程とは大きく異なり――まるで冒涜者の知る「ルル」と言う少女が宿ったかのよう】
【カリヤの風貌はそのままに。佇まいと雰囲気。それに口調は、立ち振る舞いはまるで別人だった】


998 : ◆S6ROLCWdjI :2018/07/01(日) 23:11:31 WMHqDivw0
>>997

【頭を踏みにじられ、何度も何度も滅多刺しにされたルルは――最後の最後まで泣いていた】
【どうしてこんなことになっちゃうの。どうしてこんな死に方をしなくちゃならないの。どうして、どうして】
【どうして――――こんなところに、わたし、いるの。そう思いながらあまりにもあっさり死んでしまって、――――】


………………っはは、はははっ、……すごい! 本当に取りこんじゃった、「ルル」を――
すっごい、どういう理屈なんだろう、すごおい……ね、ね、ね、ミスタ・シュロ!

「今すぐこの子のナカを見てみたい!」 切り開く、だけじゃあなくて、
脳がどうなってんのか、とか、……全部! 全部全部、どうなってるんだか!
見てみたいよ、こんなの初めてだもん――――すごおい、きゃははははっ!


【――――冒涜者の瞳の輝きが、いっとう強まった。もう好奇心を抑えきれないというように】
【「取り込んだ」カリヤが今、どんな状態になっているのか。見てみたいなどと言うのだ】
【指を差して、カリヤと棕櫚を交互に見て、わあわあと。わかりやすく興奮しているようだった】
【けれど――――切り開いたところでわかるものだろうか。冒涜者の望むもの、そこにあるんだろうか】
【わかりはしないけど。兎角女は駄々をこねるみたいにして言い続けるのだ――「どうなってるのか見たい」って】


999 : タマキ ◆KP.vGoiAyM :2018/07/01(日) 23:17:09 Ty26k7V20
>>994

これでも上司の前だから大人しくしてるつもり。

【チューハイの味のない、けど味のある味…を味わいながら、彼女はニヘラ〜と笑う】


また教科書変わったの?…相変わらず、文部教育庁は暇ねぇ…宗教とスポーツも足したらぁ?
…でもこれまではよそ者から見れば危険かもしれないけど、彼処は特殊な環境だからバランスは取れていたの。
でもそれが壊れつつある。壊したのは馬鹿な政府が無理やりしゃしゃり出て改革だかを進めようとしたのもあるけど…


【どうしたもんかと、大げさに頭を悩ませた。酔っぱらいそのものだが、それでも話は破綻していない】

―――そうとうな曲者ね。犯罪者にならなくても十分有名になれそうなものなのに。勿体無い。
シンパはどれぐらい?“城塞”あたりで一大組織つくられてたら厄介ね。割れても、手出しは簡単にできないよ

貴方みたいに偉くなったら好き勝手出来ないからじゃないの?…まあ、こういうタイプの“ホシ”は自分ルールがあるタイプだから
美学なんかに酔っちゃって、完璧主義。――ってのがまあ、基本だけど。…どうかな。本当にそうだろうかねぇ…

それに…私達が火薬庫に火をつける貧乏くじを引くわけにはねぇ

【たったひとつの手がかりが名前一つというのは心もとないもいいところで、むしろ余計に難しくしているような気もした】

んー調べてるときに企業はある程度…でも、そういう企業はあのへん多いから。
……でも、勘違いならわざわざ、私に言わないでしょ?気づいてるくせに。確証ないからって〜。

【んふふふ〜。とニヤニヤ。】


1000 : 棕櫚 ◆D2zUq282Mc :2018/07/01(日) 23:36:24 JY1GydDk0
>>998

【"うはっ、奇しくも俺と同じ事を口にするかよ。この冒涜者"――冒涜者の好奇心は決壊したのか】
【哄笑とも狂笑とも形容できる感情の奔流が室内に響き渡り、室内を満たして、その色を塗りこんでいく】


んっふふふふっ、此処までウケが良いと僕もつられて笑ってしまいますよぉ。
そして好評な様で何より。重畳、重畳。貴女がここまではしゃいじゃうと僕もはしゃぎたくなりますねえ
あんまり僕の嗜虐心を煽らないでくださいよ―――抑え切れなくなっちまうだろうが……クカカッ!


【狂気に当てられたのか、猫被りの仮面がぼろぼろと音を立てて崩れていく】
【好奇心に瞳を煌かせる冒涜者(ブラスフェミア)に、嗜虐心に心を躍らせる冒涜者(シュロ)】
【言うに事欠いて「今すぐナカを見てみたい」だと――こいつァ、興味が湧く。是非とも――】


良いぜェ…思う存分切り刻みな……!生きたまま切り刻んでも構わねェ。
脳みそから体の隅から隅まで、余すところ無く……っ!もし男手が欲しいってんなら喜んで貸してやんよ。
それによう、俺は言ったろう?――カリヤは既に冒涜者殿のモノだと、な。キヒヒヒッ…!


【破顔――にこやかな表情は崩れて。鋭い犬歯を覗かせるように口元を半月に裂き、目尻は愉悦に歪み】
【二人は共通の玩具で遊ぶ童の様に、年甲斐も無く。悪餓鬼同士の様に言葉と感情を弾ませ、爆ぜさせる】

【そんな二人をきょとんとした顔で見遣るカリヤ。それに向けて棕櫚は獰猛な目付きを向けて竦ませるのだった】
【そうして、カリヤはぺたんと床に尻餅をついて。蛇に睨まれたかのように身動ぎ一つ取れなかった】


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