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【備えあれば】本スレが落ちた時用【憂いなし】
1管理人★:2013/05/15(水) 17:15:34 ID:???0
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2名無しさん:2013/06/01(土) 22:29:38 ID:Jfel1XAU0
【山の麓――――岩々に囲まれた場所にある、一つの秘湯】
【語り広められる事も無い其処は、訪れる者も少なくて】
【――そんな場であっても、今宵は入浴者が居るのか、時折響く水の音】


「ふぅ……今日も、何とか……なりました……けど……
やっぱり……お姉ちゃんは見つからず、ですね……」

【綺麗に畳まれた巫女の服が、一つの岩の上に置かれていて】
【其れを見れば、現在入浴している者の性別は疎か、職業も知れる事だろう】
【湯煙故に身体は見えないけれど――――落胆したような顔。そして金色の尾と尻尾が見れるだろうか】


「折角、今日一日だけ許された外出……守女も居ない事ですし、ヒトガタで無く自分で見つけたかったのですが……
何処に……居るんでしょう……」

【ぶくぶくと沈ませていく顔。その表情は、何処か不安げで】
【そのまま、チャポンと頭のてっぺんまで沈めてしまうけれど】
【ふんわりとした尻尾が、ゆらゆら揺れて、水面から出された耳が動いている所を見れば警戒を怠っていない事が分かるであろう】
【辺りに漂うのは妖気。即ち妖狐の気だけれど、それに惹かれる者は居るのだろうか】



【とある大きな病院。小さな怪我から大きな怪我、果ては大病にも対処してくれると有名で】
【日々昼夜問わずに沢山の患者で賑わっている事だろう】
【その一角――――入口付近に備えられた食堂。その扉の前で喚く人物が一人】


「む……な、何故私は駄目なのです!
確かにお金は持っていませんですが、飢えた人々への施しもあなた達の使命な筈なのです!」

【真っ白な服。患者が纏う其れを身につけて、車椅子に乗った少女がギャーギャーと喚き立てている事だろう】
【額には一角獣染みた角が生えてはいるけれど、それ以外は至って普通の人間】
【――――“交じり者”の気配を覗けばだけど】


「大体にしてです!何なのですこの店のハンバーグは!
ハンバーグと言うのはもっとジューシィーであるべきが……あ、まだお説教は終わって――――
こら、勝手に押すなです!も、戻せですよ!」

【笑顔ではあるけれど、しっかりと青筋を立てた看護師達】
【後ろに立てばカラカラと車椅子を押して、やがては待合室で車輪を固定されてしまうのだろう】
【――――やっぱり猛犬の様にガミガミと噛み付くけれど、最早聞く耳持たず】
【ふて腐れたように頬をぶぅと膨らましていたけれど――――】
【さて、近くを通りかかった者には「おい、お前。お前です」なんてやけに偉そうな少女の言葉が浴びせられるか】

3名無しさん:2013/06/29(土) 20:26:46 ID:w/ub8V4k0
【──近頃、水の国の一部に不思議な噂が流れている】

【何でも、『夜、ある公園に行くと青白い火の玉が見える』というのだ】
【しかし、一歩公園に入ると何も見えず、公園の外からしか見えないという】

うん?また人の子が集まって来ておるようじゃなぁ
しかし未だ余の元へ来られた者もなし。つまらぬ奴ばかりよのう……

【金の長髪を指で弄びながら呟くのは一人の女】
【胸元を大きく開けた撫子襲の豪奢な衣を身に纏った女が、その公園で酒を呑んでいるのだ】
【──そう、この女が例の『火の玉』、狐火の元凶である】

そろそろ面白い輩が出てきても良い頃ではないかのう……
ただ呑んでおるだけでは飽きてしまうぞぉ、と

【さて、この公園にはちょっとした結界が張ってある】
【一般人の野次馬程度では彼女には会えないだろうが、多少でも"力"のある者ならば彼女の元へ辿り着けるだろう】


/お待たせしましたー

4名無しさん:2013/06/29(土) 21:02:57 ID:tN07gSgg0
>>3

【――噂。ティータイムのケーキに添えるジャムのよう、女の子ならば大体が好きだろうそれ】
【きっとぼうとたゆたって踊るのだろう蒼白い怪奇、いくつか見つめて囁く瞳は、至極一般的な野次馬と呼んで差し支えないだろうひとびとのもの】
【公園に入ってみては不思議だねと笑う声、初夏を前に、軽い肝試し気分のひとたち、楽しそうで】

【――かつ、ん、と。そんなすぐ傍で、見止めて惹かれたように留まる足音ひとつ、ふたつ】
【まぁるい瞳が一度二度と瞬くなら、ついと向けられる足先。またひとつ、釣られた様子のひとかげ。――けれど、立ち入ったのは、】


【ふらりと立ち入る姿、隠れようとする気概もなければ警戒も薄く、ならば、その姿を見つけるはひどく簡単なこと】
【地面を踏む足音がさくさくと鳴くのが至極軽い音、華奢な見てくれ、――どうやら少女であることを考慮しても、多少軽すぎるようにも思えたけれど】

【真夜中色をした髪、膝を通り越すほどの長さは素のままに降ろされて。細身のシルエット、暗闇の中に誤魔化そうとするかのよう】
【長めの前髪越しに覗くのが黒と赤で艶めくオッドアイ、丸い瞳を覗き込めば蛇の目模様、冥い色した瞳孔の丸さが、浮いていて】
【深い真紅色を基調に黒で飾ったようなワンピース、左右で長さの違うアシンメトリー、フリルで飾った裾がひぃらり揺れて】
【長い黒のソックス、裾の短い方にだけ留めたガーターリングの赤色、肌の白さを余計に目立たせるようで――足元、ヒールの高いストラップシューズ】

――こんばんは

【ヒールが砂粒をすり潰す音、立ち止まるのは女の傍ともそうでないとも言い切れないような、曖昧な位置】
【敵意も殺意も害意ひとつ匂わせないままに掛ける声が鈴の音のような金属質の余韻を引いてよく響く。少しだけ、不思議な声音】

何してるの? 綺麗だったから、……来ちゃった。

【玩具みたいに細く白い指先が頬に口元を隠し込むように触れても、好奇心めいて煌く瞳は、隠せなくて】
【左手の薬指に指輪めいた痣が在る。黒蛇を模ったもの、――そうと首傾げれば、流れる髪のさらさら鳴く音、涼しげで】

 【おかしなぐらいに澄んだ水の気配がした。それと同時に、ヒトから外れたナニカの気配も――そのどちらもが、彼女から、漂っていた】

5名無しさん:2013/06/29(土) 21:49:03 ID:qBptIzOw0
>>4
【公園に踏み入れたなら、目に入るのは地べたに座って猪口を持った女の背中と多量の狐火】
【派手な衣装や崩れた座り方など、遊女か何かのようにも見えるか】

【ゆっくりと顔を少女の方へ向けると、切れ長の蒼い目でゆっくりとその姿を眺めて】

おや、人が来るとはのう
しかも斯様な小娘とはまた何とも……

【まるで予想外の来客であったかのように、わざとらしく笑って】
【ほんのりと朱に染まった頬は、女がそれなりに呑んでいる事を示している】

ん?面白い人間でも居らぬかと思ってなぁ
こうして入ってくる者を待っておったのじゃ

【少女を見上げながら甘い声でそう言うと、徳利から酒を注ぎ】
【そしてどこからか手拭いを取り出すと地面に敷いて、座れと言いたげに顎でそこを指す】
【その姿には敵意は見えないが、それに従うかは少女次第。】

──しかし、お主、何やら不思議な感じがするのう
人の子とは少し違った……何じゃろうなぁ、これは

【そういう女自身、傍から見れば人間らしくないのだろうが】

6名無しさん:2013/06/29(土) 22:17:34 ID:tN07gSgg0
>>5

【切れ長の瞳、じぃと見つめられるなら、見つめ返すのは対極のかたち】
【硝子玉でもはめ込んだように丸いオッドアイ、童顔染みた造形には、よく合っていて】

……もうお酒飲んでも、怒られないよ?
この間で二十歳になったの、賭け事とか、煙草とか、興味ないけど――。

【赤い顔と、漂う酒のにおいと。それを見れば、――どれぐらい呑んだかは分からずとも、酔っていることぐらいは】
【頬撫でるような指先がついと顎に触れて、若干の勝ち誇るような表情、小娘なんて言わせないとでも言うかのようでも】
【大人から見ればずーっと子ども。態度や立ち振る舞い、精神年齢の面でも突飛しているよな素振りなんてまるでなく】
【――寧ろ。顔つきや身体つきも、態度も、自称する年齢よりはずーっとずっと、幼く見えるぐらい】

【――賭け事、煙草、興味ないとは言うけれど。ならば、目の前で呑まれているそれはどうなのか】
【相も変わらずきらきらした瞳がじぃと見つめていた。駄目とは言われていないし、少しだけなら、バレない気も――】
【(欲しがっているようにも見える、かもしれない。他者の風船を羨む子どもみたいな、――見つめているだけ、だけれど)】

じゃあ残念、人間じゃないからハズレ……居ていいの? ちがうのに。

【この女性は面白い人間を待っていたという。それならと隠すでもなく紡ぐ言葉、僅かに下がる眉が、残念がるようで】
【地面に敷かれる手ぬぐい、女性の仕草、――きょとんとする表情へと、ころり変わるのも、また、どこか子どものよう】
【――尋ねたなら、数秒窺うようにして。それでもいいと言うならば、そうと手ぬぐいの上、腰を下ろすのだろう】
【ちょんと膝を抱えるような体育座り、なるべく服を汚さないようにしているような、素振りが見えた】

……――、ご先祖様が蛇なの

【考えるような仕草の女性、僅かにきょとんとして浮かべるなら、普段余り意識するわけでもないこと、分かるだろうか】
【思いつめるような挙動もなく黙るのが数秒ばかしのこと、やがて、紡ぐのは。ちょっとしたことを話すような、そんな声色】
【蛇がヒトを孕ませるような昔話、櫻のほうにはよくあるというけれど――真実かどうかはさておいて――その末裔とでも、言うのか】
【嘘を言っているような素振りはない。ただ、あっさり信じてやるほどの仲でもない。――結局の判断は、女性に委ねられて】

7名無しさん:2013/06/29(土) 22:26:58 ID:Hgh9HvRc0
【水の国、公園】

【都市部の疎らな人通り。幾つもの鼓動が擦れ違っては、それぞれのゆく先へと消えてゆく。】

【腰までの伸びやかな黒髪が、濡れ羽烏と呼ぶに相応しい色合いで】
【銀の混ざる橡色の瞳をして、濃藍のトレンチコートを纏った―――少女、だろうか】
【移ろい行く刹那を留め、硝子の様な雰囲気を漂わせる。】

【焦茶の木地のベンチに座すのは、そんな形容の出来る人影だった】
【行き交う人々に目を遣る訳でなく、隣にある空隙を気にする訳でなく。少女は、一人、思索に耽っている様で】

(……ヴェルメーズの戦いから一週間、か。)
(あの街はもう洗い終わった。機関については、それなりには調べられたけど……)

(………何処に、いる? ……裁き司――――……。)

【―――― ゆったりとめくるのは灰青のアルバムのページ。】
【この街に関する情報だろうか、何やら書き込まれた地図や記事、自作と思われるメモが配置されていたが】
【一通りの確認を終えたのか、手の力を抜けば、ひとつ小さく息を吐き――― 】

【目を瞑り、流れゆく時の再動に備える様に瞳を開けて。】
【視界に飛び込んで来るのは如何なる光景だろうか。予定通りの次頁の一幕か、或いは街角の未知なる一瞬か。】
【風は誘い込む様に吹き抜けて。座す小さな影をくっきりと、月明かりに浮かびあがらせる様であった。】

8名無しさん:2013/06/29(土) 22:57:47 ID:whMNo/iM0
>>6
【勝ち誇ったように言われても、全く態度は変わらず】
【寧ろ小馬鹿にするように、ココ、と笑って】

余に言わせれば皆ちんちくりんの幼子ばかり、二十も百も変わりはせんわ。

【見た目は若い女性なのだが、その口振りは永きに渡り生きてきたかのよう】
【はだけた胸元に滴った酒も気にかけず、軽く手を打つと突然手のひらサイズの黒い狐が現れて】

【「ほれ、クロ、も少し持って来。」と言うと狐は消え、代わりに出てきたのは数本の徳利】

──ほう、人間ではないのか。
面白いではないか──ん?お主も呑むかえ?

【人ではないと言われても気にする様子はなく、却って興味が湧いたようで】
【酒を勧めるのは、人でなくとも構わないということで】

蛇……蛇とな。あやつらとはあまり関わることがなかったからのう……
しかし余らとは違って蛇が人に化ける話は聞いたことがないなぁ

【何かを思い出すように蛇の話をする様は、まるで実際に見ていたよう】
【そして続けた言葉が意味するのは──『女は人に化けた何かである』ということで】

9名無しさん:2013/06/29(土) 23:10:25 ID:Jfel1XAU0
>>7
【――――きっと、少女の視界に映っているのはいつも通りの町並み】
【談笑していたり、或いは楽しそうに友人等と買い物をしていたり。そんな、変哲も無い日常であろう】
【だけれど、視界の隅に映るであろう人物は別。ボロボロの衣服で、浮浪者じみた格好であるけれど、その眼光は虚ろに見えながらも何処か不気味で】
【にたり。生理的に嫌悪感を覚える笑いを浮かべたその刹那、近場を通りかかっていた自警団の一人が倒れて】

【ざわつき始める人々。その自警団の仲間であろう一人が首筋に指を添えたならば、強ばった表情を覗かせて】
【「逃げろ」。現状を表す、実に簡潔な一言。恐らくは何らかの能力を持っていて、倒れた同僚が病等々では無く、“何者かの攻撃”によって殺されたと察知したのだろう】
【慌ただしく逃げ始める人々。先程までの穏やかな日常なんて、面影すら残すこと無く散ってしまって】


【人々が四方八方に散る中、件の浮浪者も立ち上がってフラフラと何処かへ歩き出すのだろう】
【この男が原因という根拠は、何も無い】
【けれど――――隠しきれない、不穏な気配。何よりも、つい先程、意味も分からずに人が死んだというのに、未だニタニタとした表情】
【この騒ぎ、力を持たぬ者達はそんな男に注意を払えるはずも無く】
【――――ずりっ、ずり。右足を引き摺りながらこの場を去ろうとするけれど、追いつくことは容易な筈】
【もし、声を掛けたならば、欠けた歯を覗かせながら其方を見遣るはずで――――】

10名無しさん:2013/06/29(土) 23:18:16 ID:nt9fR7G60
>>7
【ぺったぺった、夏の入り口の夜を軽い足取りで歩く足音】
【ぬるぬる絡み付くような暑い空気を、『暑苦しいんだ馬鹿どもが』と風切って、歩くその姿───】

【まず目に付くのは、月に吼える狼がプリントされたアロハシャツ。内側に着たタンクトップに燃える炎もあいまって暑苦しい】
【疲れた眼をした無精髭面は心なしか明るいようで、膝下まで捲ったズボンと素足クロックスに、胸ポケットに引っ掛けたスポーツサングラスがいかにも夏らしく見える。撫で付けた黒い短髪の男だ】
【その右目には眼帯を───『紅い剣を咥えた黒い狼』の紋章が刻まれた黒い眼帯を掛けていて】
【機械的な柄を持つ刀を、これまた機械的な鞘に納め、ベルトの左側に挿している】

…いやー、もうすっかり夏だな
こんな季節にスーツなんか馬鹿げてるぜ、いくらあれが快適でもよ

【道行く人々に混じって歩いていた男は、少女の前で立ち止まると、月を見上げるように空を仰いで独りごちた】
【いくら夏らしい服装でも、その見た目は非常に人々の目を引いて、それでも彼は自身の格好についての疑問は無く、それが夜にする格好でもないのにも少女の存在にも気付いておらず】
【ただ、いつもと違う格好ができる事自体を楽しむ様に、能天気にご機嫌であった】

11名無しさん:2013/06/29(土) 23:19:00 ID:nt9fR7G60
>>10
/被ったんで無しで!

12名無しさん:2013/06/29(土) 23:23:47 ID:tN07gSgg0
>>8

【年齢を誇示してみても変わらない態度、それどころか、子ども扱いすらされているような】
【――むうと微かに不満を示す頬。けれど、無意味に突っかかることはせず、――だって、そもそもに嘘がある】
【(二十歳というのは嘘ではないけれど、彼女の年齢としては不適切。数え始める位置を変えて、八つというのが、正しい年齢)】
【(残った十二年分は他者の記憶を貰い受けたに過ぎず――だから、そんなに、強く言えるわけもなく)】

変わるもん……、

【――返せたのは、不満げな声でのたった一言だけ。ついと逸れた視線、きっと負けを示して】
【どこかに余裕を感じさせる態度もそう、百すらも幼子と言い切る言葉も、そう。この少女の紡ぐものとは、きっと全然違っているから】
【胸元の布地を弄くる指先。――或いは、豊かさも負けるのだろうか。まな板よりも洗濯板、どうしようもないぐらいの平坦、そこに】

【拗ねたような顔、拗ねたような声、けれど。掌に載るよな狐、唐突な可愛らしさに、びっくり眼が瞬けば】
【言葉にはならない言葉、なぁにそれと尋ねるような視線。じぃと女性へ注ぐのが、少しばかし無遠慮で――】

――いいの? ……あ、でも、お父さんに、……いい、かな? いいよね、ちょっとだけ……欲しい、な

【――そんな表情がぱぁと咲うように変わる、気にするような素振りだけ見せても、意識は最初から傾きっぱなし】
【成人しているくせに真っ先に父親を気にするのはお父さん子らしいと察することの出来る材料、それでも少しだけ欲しい――なんて、おねだり】
【体育座りの足を開いて僅かに身体を前にやる、スカートの中身を気にしないのはスパッツだからか、同性だからか】
【初めての酒らしい。ならば、どちらにしろ軽めにしておくのが吉だろうか――適度な呑んだ感、それで満足もしそうなものだし】

ん……、でも、便利だからって。――お父さんぐらいにね、おっきいの。
それでね、名前くれたのも、そのひとで――……、……、あなたは、なに?

【例えば狐や狸のように化けるわけではないのだろう。それでも、彼女の知るのは、どうやら化けることもあったらしい】
【参考にとばかり“お父さん”を持ち出しては見ても、女性には如何せん分からない事柄だろうか。――語る笑顔、とても嬉しそうなもの】
【名について話すときだって、嬉しそうなのに。次の刹那には何か嫌なことでも思い出したように下がる眉、テンションもするり、落ちて】
【――尋ねたのは、まるで話題を変えるためのようだった。揺らめく蒼白の舞、なんとなーく、分かるよな気もしたけれど――】

13名無しさん:2013/06/29(土) 23:57:57 ID:ti70xNzI0
>>9

(……思えば遠くへ来たものね。だけど、)
(この街でも、こんな日々は続いてる、か……。)

【――― クスリ、小さく笑う声。】
【好きなもの。願っていたこと。擽ったくなる様な優しい喧騒が、訪れたこの街角では続いていて】
【だから、視界を掠める “違和” 。明らかなそれすらも気のせいだと、無意識に片付けてしまったのかも知れない】

【浮浪者の指先が男に触れた/目を見開く、】

(―――――ッ!?)

【途端、鍛え抜かれた体躯が倒れた/斃れた。】

【……“死” が起こった。胸のなか、心の臓揺らす様に浮かび上がるその感覚は、自警団の言葉に直ぐに確信に変わって】
【立ち上がる/少女は元凶の元へと足を早める。人の流れに逆らう様に、ひどく急くリズムが運んで行った】
【それは、当然、男と、人々の耳にも届く筈で―――】



  ………停まりなさい。

自警団員の首に触れたそこの男――――――
振り向いて、今すぐにその場で足を留めて。

さもなくば、このまま首を刎ねる……!

【何かを押し殺す様な呼吸の音、透りながらも険を孕む声。】
【周囲の人々には戦場の気配を。浮浪者の男には、足を留めるための言の葉の杭を。放ち、少女の動きは一旦停まる】

【―――― 確証があった訳ではない。だが、其れ以上に “この男でない” 要因が存在しない。】
【未だ正体不明の能力に対してか、或いはその只ならぬ悪意―――― 少女は、そう直感していた―――― に対してか、敵意と抜身の刀身じみた警戒が、鋭い視線には宿されていて】

【既に “ひとり” は臨戦を終えた。男がこの場に取り残されれば。誰もが、周囲に居なくなれば。】
【直ぐに、刃を己は揮える―――――― 撃滅の意志を解き放つ、此処でこれ以上の犠牲は赦さない。】
【葛藤は瞳に封じ込める。恐怖を、生むことを最早忌みなどしない――――】

【死ねばそれすらも感じられない。迅く――――――― その指先が新たな犠牲者を生むより速く、人々の移動を少女は願った】


/>>10-11
すみません、それではまたの機会にお願いします……っ!

14名無しさん:2013/06/30(日) 00:10:37 ID:zuVfRKhQ0
>>12
【彼女の吐いた嘘の十二年、それすらも女からすればほんの僅かなものに過ぎないのだろう】
【故にきっと、それを知っても酒を飲ませない、なんてことはないのだろう】

【もう少し煽って遊ぼうか──なんて意地の悪いことも思ったが、敢えてその一言は聞き流して】
【酒の滴が胸の谷間に流れ落ちていく。女のバストは豊満であった。】

何じゃ?クロが気になるかえ?
あれは余の従者でな、本来はもっと妖狐らしい姿なのだぞ?

【それはさておき、どうやらあの黒い狐は妖狐で、あくまで仮の姿であるよう】
【しかし、妖狐を従者として扱うなど───】

呑みたければ呑めば良いのよ。
人の子らは儚いくせに我慢をする、よくわからぬ生き物じゃ。
──と言ってもお主は人ではなかったかの

【そこまで言うと一人でまたココ、と愉快げに笑って】
【差し出される徳利の中身は日本酒で、しかもこの女が呑んでいるのと同じもの】
【ならばその強さもそれなりのものだが……まあ、少しなら問題ないだろうか】

先から「お父さん」ばかりではないか、そんなに父親が好きかえ?

ん?余か、余は天狐の瑚蝶。永き時を生きてきた一匹の狐よ。

【さらりといい放つ女の正体。それは千年以上を生きる妖狐の称号】
【そして証拠だとでも言わんばかりに、いつの間にか九本の尾が現れている】

15名無しさん:2013/06/30(日) 00:34:12 ID:Jfel1XAU0
>>13
【駆け寄ってくる足音か、或いはその気配か。何を材料にしたのかは、分からない】
【けれど、少女が声を掛けるその前に、男は脚を止めて】
【焦点の定まらない双眸。あっちへ行ったりこっちへ行ったり、忙しなく動いたならば、やっと少女へと向けられて】


「……ヒヒッ、わわわわ、私の、事かい?
ずずず、随分、ぶぶ物騒じゃないかぁ。そそ、そんな危ない物を、ききき急に向けるななななんて
はは、早くにににに逃げないと、君もこここ殺されてししししまうよ?」

【脅されようとも、警戒も怒りもにじみ出す事は無く】
【止まる所か、少女との間を詰めようとして――――引き摺る脚が、ゆっくりと迫り】
【少女の刃が届くであろうギリギリの範囲まで詰め寄れば、不愉快な笑みが歯の隙間から零れて】
【何事か、と逃げながらも振り返る人々。少女が留めた事を機に、全力でその場から逃げる人々】
【――――そんなの、まるで眼中に無いかのように、浮浪者の様な男はただ少女へと視線を向けていて】


「ままま、まあ、私に、うう疑いを持って居るなら…………ヒヒッ
だーめだ。だだだ、だめだめ。きき君には、ううう嘘は通じないみたいだ
だだ、だから、死んで、ししし死んでくれないか
あああああの男みたいに、なな、泣きながら心臓をととと、止めてくれないか」

【下手な嘘。通じないと自己判断すれば、唇を吊り上げて】
【――――男の動作の一挙一動を逃さない様にしていたならば、この場では其れが仇となるだろうか】
【取り出されたのは手鏡。面がキラリと一瞬光って――――其れを見てしまったならば、ほんの一瞬ばかり脱力感に襲われるだろうか】
【さて、その僅かの時間の後に辺りに訪れる変化。無音】
【逃げ惑う足音だって、悲鳴だって何にも聞こえない無音の世界――――何より、目前の男を除いて誰一人として見当たらないのだ】


「よよよ、ようこそ。ききき虚構のせせせせ世界へ。わわ、私は目立つ事がききき嫌いでね
き、君は勘がすすす、鋭いみたいだから……ああ、あそこで、わわわ私の事をばらされちゃあせせせ、世話も無い
あああ、あの場でこここ殺してしまったって、私のししし仕業とバレてしししまうからね
だだ、だから、きき君には此処でしし死んで貰う事にした。ああああ、あの男みたいに、泣いて、わわ喚いて、命乞いして……ヒヒヒ」

【曰く、此処は鏡で作られた虚構の世界であると】
【あの男を殺したのは自分だと認める言葉と共に、少女にも同じ運命を辿って貰うと言い放てば、欠けた歯の隙間から通る風がヒヒヒと笑っていて】
【――――自警団男をこの場で殺した。その言葉が確かであれば、現実の世界では外傷は無かったようにも思えるけれど】
【兎にも角にも、少女が心配していた周りへの被害は無くなった様だが――――男が懐から取り出したのは、一体の木偶人形】
【コレが得物なのだろうが――――直ぐ様発動は出来ない様で、必然的に先手は少女へと渡される事だろう】

16名無しさん:2013/06/30(日) 01:01:43 ID:tN07gSgg0
>>14

【――総てにおいて負けた。少女が女性に勝てるようなこともあるのかもしれないけれど――少なくとも、今は、】
【立て板に水、まさに体現できそうな胸元でぎぅと布地を握る感情は嫉妬か何かだろうか。じとり、胸元を視線が一度撫でた】

【それでも。自ら掘り返せば余計に突かれる気がした。ならば、選ぶのは黙り込むこと、会話を変えてしまうこと】
【それすらも見通されるのかもしれないけれど――幼子の頑張りと見れば、まあ、可愛らしくも見えるのか】

クロ……、妖狐。あの子クロちゃんって言うの? いいなぁ、かわいい……。

【妖狐。あやかしの部類で言えばよく聞くほうで、それなら、聞けば何となくのイメージもつくというもの】
【――かわいいだなんて言い放った。何の躊躇いもなく。先ほど見かけたのが掌サイズだったからというのもあるかもしれないけれど】
【それにしたって妖狐に向かってかわいい。あわよくば抱っこしたい。なでなでしたい。多分、考えていることは、そんな風で――】

【――差し出される徳利、猪口もあるなら受け取って。覗き込む暗がりの水面、月明かりをそうと落としこむよう、傾けてみたり】

【そうして戯れること、しばし。波紋を数えるように落ちていた視線は、結局上がらないまま】
【きちと揃えなおした膝の上に乗せた猪口、たくと流し込む薄琥珀色の液体、日本酒のつんとしたような香り、拡がって】
【徳利は倒さないようにそっと地面に置いて。そうと毀れものでも持つかのように摘んで持ち上げる猪口、すんと香り、確かめて】

【むっとするのとつんとするのを混ぜたような甘いようで酸っぱいようで、不思議な匂い――料理で使ったりもするから、匂いばかりは知っているけれど】
【好奇心はあっても約束ごとは地味に守ろうとする生真面目さ、舐めたりしたことはなく。ならば、味の想像なんて、つかなくて】
【躊躇うような間が少し。すんと匂いばっかり確かめるのがどこか初々しくて――いや、まあ、初めてなのだけれど】

【――時間としては一分も経たないぐらい。それでも、無言で貫き通すには、少々長く】
【ようやく付けた口、口を濯ぐことも出来ないような微量、傾けて、】

……酸っぱ、――甘い? えっと……、……。

【……ぐぅと顰める眉、お子様めいた食べ物ばかりが好きなことを思えば、こうなるのも分かっていた気がするけれど】
【甘いとか、酸っぱいとか、なんだかいろいろな味。それよりも――飲み込んだ後、喉に燻る熱さ。自分から酒の匂いがする違和感、】
【美味しいのか美味しくないのかが良く分からなくて微かに傾げる首、不味くない気はするのだけれど――曖昧】

……――お父さん? 好きだよ、好き、だいすき。
これね、お父さんがお誕生日にくれたんだよ、ずーっと傍に居て、くれてるの

【何だろうこれ。もう一度味を確かめるように舐めていたとき、尋ねられたなら。ふわと上げた視線、笑うのが、子どもめいたもので】
【年齢相応なんてとてもじゃないけれど言い切れないような、それで居て、恋人に向けるような甘さを孕むのが僅かな違和感】
【膝に杯を置いてついと差し出す左手、白肌にくっきりと目立つ薬指に巻きつく黒蛇の痣、これを貰ったのだと示すなら、どう見えるのか】
【左の薬に指輪を嵌める意味。――分かっていてやっているのか、本当にしあわせそうに笑うから、余計に曖昧にするようで】

あの蛇(ひと)より、年上なんだ……ふーん。
わたし……、りんねって言うの、鈴の音って、書いて……わぁ、

【千年の歳月、自分には到底想像もつかなければ、過ごすことすら赦されないような時間】
【その時間の重さ、自らの祖先たる蛇に聞けば分かるのだろうか、――最早、出会うことなんて出来やしないけれど】
【そんなことを考えていたから、語尾が少々おざなりな風がある。悪気はないのだが――】
【――名乗り終える前に視線が九尾を捉えた。ならば、中途半端に断ち切られる言葉。煌く瞳、初めと同じもの――】

17名無しさん:2013/06/30(日) 01:11:53 ID:ti70xNzI0
>>15

(……戯けたことを。殺しておいて、よく言うわ―――)

【視線は拒む様な影を孕む。歩み寄る姿に声を生んだ。】

……“停まれ” と言ったわ。
拒むのなら――――

【虚空より黄金の焔が顕れ、その内より白銀の太刀を取り出す。重ねられる警告にも男は歩みを停めず】
【ならばと踏み込む/間合いに捕らえる、】

【――――― 男の能力が接触発動型ならば問題はなかった。卓越した反射速度を有する彼女には、譬え遠隔攻撃であれ一定の回避が望める。】
【だが、】
【敵対能力の発動が少女自身の知覚に依存する場合、】

 【その知覚こそが、牙を剥く逆向きの脅威に変ずる―――――】

(……っ……!?)

【鏡の光が瞳を捉えた。】
【先ず感じたものは脱力だった。斬りかかるためにたわめた肢が、がくりと無力な柔らかさに揺らいで】
【状況を理解するより早く無音が訪れる。微かな眩暈を感じたが、気取られぬ様にと声は普段の色を保っていた】

……何者なの、貴方は……?

あの男みたいにと言ったけれど、彼は……本当に死んでいるの――――?

【少女は務めて無感情に問いを向ける。鋩は男の喉元へと向けられて、今にも衝き貫かんばかりにその両腕が構えられるのだろう】

【―――― 指一本を動かすより速く。この距離なら、この体勢からでも一撃を以て “斬り落とせる”。】
【高速戦闘を得意とするゆえの確信であり、男の身体能力を常人程度と見積もっての計算だった。歩みの遅さからの推測でもある。】
【男が木偶人形に干渉するなら、少女は男の空いた腕への斬撃を以て妨害を図るのだろう。急角度の変化による、背後での構えからの不意討ちだ。】

【だが、それも、その前提に立った上での事――――】
【この空間内でそれが果たせるのか。男の躰は、本当に少女の予測した範疇の速度しか持ち得ないのか。】
【空間の主はこの男。双眸の橡色でその影を射抜く表情は、恐怖など感じるものかとでも言いたげに揺るがぬもので―――】

18名無しさん:2013/06/30(日) 01:42:36 ID:whMNo/iM0
>>16
【そんな視線に気付いているのかどうなのか、目は細められ、口端は吊り上がって】
【──所謂笑み、である】
【天狐は千里眼を持つとも言うが、果たしてどうなのか。それは定かではないが、瑚蝶が笑っているのは確かである】

可愛いとな、おいクロ、お主が可愛いらしいぞえ?
『…………』

【笑いながらまた黒い狐を呼び出せば、行ってみろ、と尻をつついていたが】
【笑われて腹が立ったのか、それとも主以外には懐かないのか、結局帰ってしまい】
【「連れないやつじゃのう」なんて、浮かぶのは苦笑い】

【さて、彼女が酒を口にするまでの一連の光景を自分も呑みながら眺めていたが、零れた感想を聞けばまた笑って】

やっぱり小娘にはまだ早かったのではないかえ?
味もようわかっておらんのではないか。

【それから近くに置いていた簪を取り上げると、髪を緩く纏め上げて】
【月明かりに煌めく簪は、まるでそれ自身が光っているようにも見える】

う……お、おおう…………
……何ともまた、変わった物をくれたようじゃのう…………

【簪から離れようとしていた手が止まる。あまりにも率直な言葉や言い方に少し狼狽えて、痣を見ると軽く引いて】
【何か言おうかとも思ったが、至ったのは本人が満足そうだからいいか、という結論】

余より旧い者がそうそう居る筈もないであろうしのう。
ふむ、鈴音か。覚えておこう……って何じゃ?尾がそんなに気になるかえ?

【尾を見ていることに気付けば、わざとらしく尾をそれぞれ色々な方向に揺らして──】

19名無しさん:2013/06/30(日) 01:51:39 ID:Jfel1XAU0
>>17
【再び四方にグルグルと向けられる視線。ダラリと口から出した舌が、左右に振られる身体より少し遅く、体幹に着いていって】
【少女をこの世界へ誘い込んだ嬉しさか。最早勝利宣言でもしているかの様な、耳障りな呼吸音】
【顔が書かれているわけでも無く、関節球だけが少し特殊な其れを指先で弄んで――――】


「なななな、何者?わ、私は私だよ……ヒヒヒ
てて、テラス嬢に、ちちちち誓った一人。ななななな、名前なんて、ずずずっと前に忘れたさ
そそそそ、そうだなぁ……強いていいい言うなら、裁き司のひひひ一人。そそ、それ以外に名乗れるものがなななな無くなってしまってね」

【自分の名なんて、とうの昔に忘れてしまった――――代わりに紡がれる言葉は、奇しくも件の組織】
【少女が攻撃を仕掛けてくる事は読んでいたのだろうけれど、それは動作が伝えるものと考えて居て】
【だからこそ、人形を弄りながらも余裕を見せながら問いに答えるのだろう】


「しししし、死んださ。むむむ向こうの世界では、しし心臓発作だろうね
だだだただけど、こここっちの世界では、手足の腱をききき斬って、さささ先から少しずつけけけけ削っていって
それはもう、すすすす凄い叫びようだった。ととっても、いい痛そうだったね。ああ、後はけけ削った物を這いつくばらせて自分で――――ヒッ?!」

【外傷が無かったのはこの為か。この世界でどんな悲惨な死に方を迎えようとも、結局はただ心臓の鼓動が止まったという事だけで済ませられてしまう】
【死んだのか。との問いには嬉々として其れまでの過程を語って――――迎えたその時を口に出そうとしたその時、少女の不意打ち】
【推察通り、男の反応速度はそう鋭くも無い様で……少女の手に伝わるのは、肉を斬った其れ。切断とまでは行かずとも、半分ほど断った所を見れば、片手はもう使い物にならないと考えていいだろう】
【虚構の世界。そして、其れを作り出した主。そうであっても、痛覚は存在したままで――――都合良く、傷口を塞いだりといった事も出来ぬ様】
【額からあふれ出す汗。だけれど、何処か嬉しそうに唇を歪めているのが分かるだろうか】


「ヒヒッ……よよよよくも、良くも、わわわ私の腕を……!
にに、人形師の、いいいい命の腕……だだだ、だが、良い。ききき君を殺してももも元の世界に戻れば、うう腕の傷だってなななな無くなるさ
そそそそ、それに、ききき君の技はももももう見たからね。君も、あああの男と同じ様にじじじ自分に殺されればいいいいさ!」

【男の手から放された木偶。人間大へと変わって地面に着いたかと思えば独りでに立ち上がり、一振りの白刃を携えて少女と対峙するのだろう】
【溢れ出す血を少量にしようと、傷口に添えられる手。だが、少女の実力を目の当たりにしてもその場から逃げ出さない所を見れば、余程自分の能力――――“木偶”に自信があるのか】
【――――対峙していた木偶が動きを見せたかと思えば、右脇腹から左肩口に掛けて瞬く間の一閃。即ち、少女と同じ剣速】
【そして、まるで少女の不意打ちを“真似る”かの様な其れ。あの男と同じ様に自分に――――とは、この事か】

20名無しさん:2013/06/30(日) 02:23:21 ID:tN07gSgg0
>>18

【おいで、なんて。口の動きと柔らかな視線が、そうと誘うなら】
【動物が好きだということは十分以上に分かるはず、ついでにかわいいものも好きなパーフェクト】
【来てくれたら嬉しい。――けれど、まあ、フられてしまったようなら、残念そうでも、きちと諦めて】

……早くない、もん、だって――…… 何か食べるもの、あれば、違うかも。

【だって、もう、大人なのだから。――飲んでもいいとされる年齢に達したから、そうなれるとも限らないのに】
【笑われたと拗ねたような表情、せめて肴でもあれば美味しいかもしれないなんて、いいわけ染みているけれど】
【初めての酒を単品だけで嗜むというのもどこか辛いものがあるのかもしれない。――結局、子ども舌であることに変わりはなく】

【――それでも貰ったものは貰ったもの。ひとくち、ふたくち、口中を湿らす程度でも飲んでいくのは、】
【或いは。笑われたことで意固地になっている部分もあるのかもしれず――薄らと赤い頬、潤む瞳、またひとくち】

変わってないもん、ずっと一緒なの、ずっと一緒なんだから……っ
お父さんはわたしのモノで、わたしはお父さんのモノなの、ぜーったい、なんだから。

【空っぽの杯から口を離して。退屈になった口元が紡いでいくのは、少しずつ平常から外れていく、言葉たち】
【ひらひらと錆の剥がれて行くように声量が狂っていく、言葉の紡ぎ方だって、幼さ拙さをつけたして行くようで】
【――強めの酒だろうとすぐにぶっ倒れるわけでもないぐらいには酒には強いよう。ただ、どうしようもなく慣れていない】

【意識が霞みかけたようにぼぉと揺らいでいく、喉も通り越して身体が熱くて、指先の方からじわじわと暈けていくようで、】
【味のほうの評価は未だに明確なものは保留、美味しいのかどうか、繰り返して飲むたびに分からなくなって、いくけれど】
【酔っ払う感覚。多分これがそうで、それならば別に嫌いじゃないらしいと自己判断。伏せた眼、長めの睫毛が縁取って、瞬きひとつ】

だってふかふかしそう……、いいなぁ、冬は暖かいのかな……。
……冬は嫌いなの、夏も嫌い。暑いのも寒いのも、ぜーんぶ嫌い……。

でも、冬はぎゅってしてもらって眠るの、暖かいから、だいすき――。
おんなじお布団で寝るの、いっぱいいっぱいお話して、撫でてくれて、おやすみって ―― でもこれから、暑いのかなぁ……

【ばらばらに揺らされる九つを、ぼうと霞めたままにふらふら追いかける視線、やがては諦めたよう、瑚蝶へと戻されて】
【追加するか悩んだよな仕草の後に空杯をそっと地面に置いて。立てたままの膝、腕を枕にするように顔乗せたなら】
【くすくすと鈴を転がすような笑い声、紡いでいくのはどうにもふわついた声のトーン、酔っている以外の何でもなく】
【――こうして語るのも父のことなのだろうか、指先が愛おしいように黒蛇の痣を撫でる、やはり、どこかおかしな関係性であるらしい】

【むきになって飲んだからだろうか、急に回ったらしい酔い。もういいやーとばかしに空杯を置いたのは安心できるポイントだけれど】
【せめてまともに言葉の紡げるうちに取り上げてしまった方がいいのだろうか――薦めて潰してみるのも、楽しそうではあるのだが】

21名無しさん:2013/06/30(日) 02:45:14 ID:oVY/77JU0
>>19

【男の様子に拒絶感はあれど言葉にはしない。だが、続く其れは到底無視できるものでなかった。】

(…………!)

……テラス……それが “裁き司” の主の名かしら?
私に話せるのはそこまででしょうね。………覚えているかも分からない、か―――― 

【“裁き司”。その名を聞いた瞬間に、少女の表情が確実に変わった。】
【敵意、害意、虚無的に凪ぐことを強いられる、トラウマチックな一瞬の絶望――――】
【――――……ならば良い、朽ち果てろ。持ち前の無表情を取り戻しながら、屑鉄を斬り捨てる様に胸中で紡いだ瞬間、】


【耳に届く、男が、愉しみながら自警団員を嬲り殺したことを伝える言葉―――――】

(…………ッ!)

【半ば無意識に斬撃していた。溢れ出るこの男の悪意を、躰が害意として感じとったのかも知れない。】
【だが結果的には最善だろうか】
【穢れたものを見る様に顔を顰め、口をつぐんだまま男を映す瞳―――】
【……僅かに乱れた呼吸も思えば、これ以上は危険ですらあったのだろう。既に疲弊の色が見え隠れした。】

【木偶の変化には僅かに目を見開いて。男の言葉に警戒を再び増して。】
【隠しきれなかったその驚愕を越えて、少女は、表情に冷徹のいろを纏い直して口を開くのだろう】


……言いたいことはそれで御終い?
あなたの腕にも悪趣味にも、私は微塵の興味もない……!

此処で “終わる” のは貴方独りだけだ―――――
……“裁き司” の先触れとして、斃れるべきさだめのままに消えて逝け!

【狙うのは木偶。標的に向けて疾走し、僅かに躰を浮かせて踏み込む。】
【着地点で横薙ぎに太刀を振るい/敵手の刀を避けて跳ね上がる太刀が、木偶の右の手首を狙った。】

【横一文字ならば凌がれやすくとも、いったん低空を進みつつ、防御を躱す様にふわり浮く軌道が単純な先読みを困難にする。】
【そして “かたちあるものを斬る” 概念を得た無垢の刀身―――― 】
【―――― 並みの重合金装甲程度ならば、薄紙同然に断割する。】

【だがやはり此処は彼女には未知の空間だ。この斬撃を放とうとも其れは変わらずに】
【踏み込みの死角も、攻撃後に生じる隙も。或いは、実世界との違和が増大させるのだろう】

【――――― そして技巧までもを盗まれたならば、斬撃は決して読めないものではない。】
【横一文字の一閃ならば不要な手首の所作。それさえ知覚すれば、同等の剣速を有する木偶は、予測した斬撃を迎え撃てるはずで】

22名無しさん:2013/06/30(日) 03:22:41 ID:CKi.CPxM0
>>20

……やれやれ、欲張りな小娘よ
ほれ、持ってきてやれ

【出てきたのは大福や煎餅など、肴とするには少しずれたような"お菓子"】
【これで十分じゃろ?なんて言葉を添えて差し出して】

……まあ好きにすればよいわ。
昔から色恋沙汰に首を突っ込むとろくなことがないものだからのう

【呆れたように苦笑い。新たに酒を注げば徳利が空になって】

毛皮があろうと寒いものは寒い、そういうものじゃなかろうかのう。
余は人の貌で居ることが多いからな

───しかし、随分と酔いが回ってきておるようじゃが、家に帰れなくなっても余は知らんぞ?

【止めるわけでも、勧めるわけでもなく、ただ警告に止めて──警告しただけマシなのかも知れないが】
【猪口に入った酒を飲み干せば、】

さて、そろそろ持ってきた酒も無くなるし、余はもう引き上げることにしようかのう

短い時間ではあったがわざわざ出てきた甲斐はあったわ。
もし余に用ができたなら、その時は油揚げを用意することじゃ。

では、またな、鈴音よ。

【酒が無くなったから帰る──行動の中心に酒があるかのようで】
【去り際にした要求は、正に狐といったもので】

【それから出口へ歩いて行った胡蝶の姿は、公園を出た瞬間に見えなくなるだろう】


/少々強引かもですがここらで〆ということでー!

23名無しさん:2013/06/30(日) 03:26:45 ID:Jfel1XAU0
>>21
「おや、しししし、知っているのかい?
ヒヒ……ここ、困ったな。ももももう、知られている何て
ままま、まあ、良いだろう。きき君が此処でしし死んでしまえば、それですすす済む話だ」

【珍しく驚いた様な表情を覗かせれば、自分等の組織の存在を知っているのかと、改めて問うて】
【――――けれど、答えを待つことも無く勝手に続きを紡ぎ】
【何よりも、自分とはまた異なった少女の変化。組織を知っている理由の“何か”を掴んだのだろう、ヒヒ――――と漏れて】


「ああ、きききき君に伝えるべき事はここここれでお終いさ
まま、待てよ……?確か、あああアイツが言ってたな……けけけけ一人の剣士と、ももも、森の中で闘ったって
くくく黒髪で、ああ、あああああ……き、君だったのか……ヒヒヒ……そのすす素早さといい、そうか、ヒヒ……
アイツも怒ってたよ……「ぼぼぼ僕の身体にきき傷を付けるばば馬鹿」って……ヒヒヒ……面白かったなぁ……そうか、君かぁ…………」

【少女の振るう太刀の技術を幾分か盗めても、躱す、或いは弾く為の技術は未だ揃っていなかったのだろう】
【――――切断できる。そう思いきや、木偶の腕が全く逆の可動域へと動いて】
【人間ならば出来る筈の無い事。真逆に動かして、太刀の軌道から逃れるなんて芸当】

【少女の姿をジロジロと見つめたならば、不快な笑みが一層濃くなって】
【“アイツ”から仕入れた情報を飄々と語れば、何か考え込むような仕草を見せるのだろう】
【――――もう一度懐から鏡を取り出せば、その中を見つめて一人ブツブツと呟き始め】
【やがて訪れるのは、何時の日かの森と同じ様な光景。聞いた話から作り出したのか、全てが全て同じという訳では無いけれど――――それでも、似たような場所に変わりは無く】


「ほほほ、殆ど、はは話を聞いたよ
ななな名前、なんていいい言ったかな。おお狼の子を、いいいいたぶっていたら君があああ現れたって
お腹に大きなあああ穴が出来て、めめめめ目玉も一つなくなったみみみみみたいだけど、ちちちちゃんと死んだかな?
君が……ヒヒッ……ききき君が抱えて“逃げていった”んだろ?ししし、死に様を、おおお教えてくれないか?
いいい痛くて痛くて、こここ転げ回って死んだかい?そそそ、それとも、呪いの言葉を、ははは吐きながら死んでいったかい?
ななな何だったかなぁ……あの子のととと特徴……」

【“この場”で語るのは、あの日の事】
【傷の具合も殆ど正確に口に出来るほどには聞いているのだろう。或いは、少女の性格も】
【逆撫でする様な言葉。怒らせて更に技術を引き出すためか、それとも本当に只の“嫌がらせ”か】
【――――木偶の持つ刃自体は少女の物には遙かに劣っていて、ただの無銘刀なのだろう】
【能力まではコピーする事が出来ない様で……更には、男自体に戦闘能力が無い所を見ると、この木偶さえ何とか出来れば決着は早いであろうか】

【関節を戻して、縦に振るう刃――――けれど、本当の目的はその刃で叩き切る事では無く、その先】
【柄を使っての、引き際の打撃。機動を削ぐために、狙うは鎖骨】
【コレをいなすことが出来れば、木偶といえども流石に隙は生じて、チャンスが生じるけれど――――その後ろに居る男が、不吉にほくそ笑んで】

24名無しさん:2013/06/30(日) 03:49:04 ID:tN07gSgg0
>>22

【酒の種類によってはチョコレートなんかで嗜む類のひとも居る、それに、彼女の欲したのは別の味であるのだし、】
【ならば肴がお菓子類であること、何の問題があるのだろうか。――いや、あるのかもしれないけれど、彼女は知らない】
【「ねーこれお米米……」だとか。米がダブってる的文句を言ってみたりもするのだけれど、まあ、酔っ払いの戯言】

そうかな……、……

【ぼうと霞む声音、何か言いたげにしていた気もするけれど、酒に犯された脳は結局、何も吐き出さなくて】
【腕に口元を埋めて囁くような声、どうにも聞き取りがたいのに、――鈴の音色に似た声は、それでもどこか、きちと聞き取れるようで】

……狐も冬は寒いの? ああ、猫って……、そっかぁ、炬燵……入る、よね
お布団だって入ってくるし……、……前に飼ってた猫がね、顔の上で寝るの……まーっくろで、くろちゃんって呼んでたんだけど、
…………えっと、狐の話だっけ。――でも暑いんでしょ、絶対……髪だって熱いんだから。夏とか、触れないぐらい、熱いんだから……。

分かんない……、飲ませたの瑚蝶だもん、わたしじゃないもん、……

【「えー」なんて不満げに零す声、どう間違えても毛皮なんて持たない血筋からすれば、ある種の幻想を打ち砕かれたようでも、どこかあって】
【しょんぼりした風の表情、――それでも身近な毛っぽい生き物を思い出してみたなら、なるほど、やつらも寒がっているような仕草だった】
【それでいて夏は暑そうにしていたことを思い出せば尚更の絶望、――ただ、冬の時期に撫でたりするだけならば十分か、と。勝手な完結】
【――真っ黒の髪は確かに日光に晒せば熱いのだろう、今から憂うような声上げて、……なら切ってしまえばいいのになんて、思うのに】

【ぎゅっと目を閉じて紡ぐ不平、無理に強制されたわけでもないくせに――慣れない感覚、今更どうできるわけもないのだけれど】

……油揚げって昔はネズミの素揚げだったって本当?
えっと、……また、ね、

【ふらと揺らぐ頭が重くて腕と膝に沈めこんだなら、暗黒に変わる世界。つい眠ってしまいそうにも、なるけれど】
【精一杯に眠らないようにと頭を持ち上げたなら、――ふと、思考に過ぎる疑問。ただ、投げかけるのに答えを求める様子もなく】
【帰るというなら引きとめもしない。というより、そんな頭も回らなかったのだろうか、緩く紡いだなら、見送って、沈黙】



【そこから数分後のこと。ゆらと立ち上がったひとかげ、ふらついても倒れるほどでは――ぎりぎり、ないらしい】
【ずっとお尻に敷いたままだった手ぬぐいに気付けば四隅そろえた(つもり)で畳んで、そうと端に寄せて、】
【パラパラ漫画に描き忘れられたように、脱落するように、掻き消える姿。残すのは黄緑色の残滓だけ、夜に煌かせて】

【――放っておけば醒める、明日に響くでもない、記憶も残る、ただ、いくらか箍の狂った挙動、明らかにおかしくて】
【父親に飲酒がばれることを気にした最初なんてなんだったのか。大人だから……だとか、供述していたと、言うけれど――】

/おつかれさまでした!

25名無しさん:2013/06/30(日) 04:40:04 ID:cVw0qi.U0
>>23

……悪趣味なもの同士気が合う、か。
あの男は確実に斬る―――――……あなたは傷だけで済むのかしらね?

【腕を断つはずだった斬撃は不発に終わった。人形の球体関節特有の柔軟さか、確かにそれなりの脅威ではあるのだろう。】
【―――― だがそれだけだ。二度目は無く容赦も動揺もしない。そのまま意識の片隅に追いやるが、】
【人形の首を斬り飛ばす筈だった “構え” の瞬間、】

……っ、…………
…………あ、あ…………!

【展開される光景がその手を停めた。動き出そうとしても腕が従わない。】
【時が悪夢の様に引き延ばされる。切り刻まれた一瞬が、克明にあの映像を焼き付けていた。】

(幻だ。幻だ……幻、でしかないんだ……!)

【呼吸が乱れる。】
【取り澄ましている筈なのに、痛々しく表情が歪んで瞳が揺れる。】
【……本当にただの少女のように。震える心はそのままで、噛みしめてもなにも変わらずに、】

(…………っ!)

【かぶりを振っても。苦しみが離さない。】
【――――― 弱さは要らない。軋む心など持ち合わせない。その筈だと……ただ最速の剣たれと己に言い聞かせる。】
【無理に求めた鋼の強さは、狂うことも逃げることも許さずに、紡がれる悪夢を現実として】
【大事な友達は本当は生きているというのに、“あの日” の絶望ばかりが、どうしようもなく心には浮かんで――――】

……うる、さい……黙……ッ、れ……ぇええッ―――――――――――――!

【ぎちり、総てを堪えて抑え込んだ表情と激情の発露。】

【赫怒と苦悶の其れ。だが心と乖離したかの如く、剣戟の技術は異様なまでの冴えを見せる。】
【斬り上げの一閃を寸でで躱し、柄頭に鎖骨を捉えられても攻撃を優先――――】
【前に進む勢いで芯を殺す。圧された首筋が痛むが頓着しない。】


【その瞬時の踏み込みから両手で振り抜き、右から左へと胴近く目掛けて刀を揮う】
【――――― 直後、斬撃の中途で右手が離れ。結果的に増大する加速度が、僅かにタイミングを早めて刀身を標的の数ミリ手前にまで瞬間的に届かせる。】
【投擲の要領と剣戟の一致。特異な急加速を特徴とする必殺の一手が、この斬閃の本質だった】

【瞬間的な殺傷能力と奇襲性に於いては圧倒的なものがあるが、その分反動もまた甚大――――】
【……二の太刀は望み得る筈もなく、反撃の一刀を受けるのすら容易ではない。片手にかかる大きな負荷が、瞬時の建て直しを彼女に許さない。】

【“隙は大きい”/“だが彼女の右手は空く”。】
【それらの情報を活かせるか否か。ここまでの攻防で如何に技術を盗めたか、何処まで原型に追いつけるのか。】

【胴体を両断する筈の一撃だったが、木偶が二、三歩分前に進めたなら、ロクに威力は発揮出来ず―――】

/そろそろ眠気がキツく……っ! 一応続けることも出来るのですがどうしましょう……!?

26名無しさん:2013/06/30(日) 04:47:22 ID:Jfel1XAU0
/こちらも睡魔さんの勢力が大きくなってきた所でして……!
/持ち越し、或いは置きレスのどちらかで如何でしょう!

27名無しさん:2013/06/30(日) 04:51:02 ID:cVw0qi.U0
/どちらでも大丈夫ですが、明日(というか今日ですねっ…)は10時くらいから来られそうですー。
/もちろん別の日に通常ロールで再開でもっ。
/こんな時間までお付き合い頂けて本当感謝です……!

28名無しさん:2013/06/30(日) 04:54:01 ID:Jfel1XAU0
/自分も10時から10時半の間には来れるかと思いまする!
/遅くなりそうな場合は改めて連絡を入れますね!
/こちらこそ感謝感謝なのですよっ!本日の方、お疲れ様でありましたー!

29名無しさん:2013/06/30(日) 04:55:06 ID:cVw0qi.U0
/了解です……!
/それでは、一旦お疲れ様でしたー!

30名無しさん:2013/07/17(水) 22:06:12 ID:Jfel1XAU0
【薄暗い森の中。がさがさと動く影が一つ】
【濃い青色をした其れを纏っている所を見れば――――修道女であろうか】
【月の光を鋭く反射させる銀の髪。困った様に、ウロウロとさせる双眸】


「あの……そろそろ、離れて貰えませんか?
私も飼いたいのはやまやまなのですが……あなたを育ててあげれるだけのお金も無いのです
それに、野生のままの方があなたにもきっと……と言っても、分かりませんよね」

【悩みの原因。其れは、頭の上で丸まっている奇妙な生き物】
【ふわふわとした毛並み。まるで、ハムスターの様にも思える外見】
【眠っているのだろう。時折心地よさそうな小さな寝息が聞こえて】


「このままこの子を置いて行くと、獣や魔物に食べられてしまいそうですし……
かといって、連れて帰るわけにもいきません。……どうしたものでしょうか……」

【その毛玉を乗せたまま、ウロウロとする姿は何とも滑稽】
【時間も時間。そしてそんな奇妙な行動が合わされば、自然と目立つ事になろうか】








【参拝客も居なくなってしまった、廃れた神社】
【だけれど、今宵ばかりは不思議と二つの気配があって】
【一人は、その身なりから考えるに巫女であろうか。もう一人は――――さて、確かに存在はしているのだけれど、まるで存在感が薄い少年】
【巫女とは言え、纏うのは妖気。狐の耳と尾が生えている所を見ると、妖狐の部類で在ろう】


「――――ええ。きっとお母さんもお父さんも待っていますから
大丈夫ですよ。何にも、怖い事なんてありませんから……もう、行ってあげましょう?」

『――――。――――?』


【何か言葉を発してはいるのだろうけれど、其れが明確な言葉になる事は無く】
【だけれど、巫女には聞こえているのだろう。少年が口を動かす度に頷いて、微笑んで】
【その手を優しく握ったならば、澄んだ声で祝詞が紡がれ始めるのだろう】
【――――やがて、少年が白い薄らいで消えたかと思えば、天へと上っていって】


「…………長い間、よく一人で頑張りましたね。きっと、お母さんも褒めてくれますよね……
……えっと……私も、そろそろお姉ちゃんを探しに……ひゃっ?!」

【其れが完全に消えてしまうまで、優しげな微笑みで見送り】
【――――気配が自分の物だけになったならば、ポツリと漏らした呟き】
【自分の姉を探すために、その場を後にしようと踵を返したならば――――不運にも、石畳の歪みに躓いて、ビタン!なんて音】
【……先程の様子から一転。果たして、その一連の流れを見ていた者が居るならば、どの様に見えるだろうか】

31名無しさん:2013/07/18(木) 01:42:00 ID:IFYXdH420
【地下バー】

【繁華街を外れた先の細道、階段を下りた先には店名を下から照らす開店中の合図のライト】
【街路に向けた看板は無く、ひっそりと静かに佇む店の中】
【意外にも薄いアルコールの匂いと、かすかな香の薫りの漂う中で】
【カウンターの奥に一人だけで座り、小声で電話に応対する男の人影】

……決行するので?
そうですか、ですが彼が阻止しに来ないとは限りませんよ
“今なら大丈夫”……ですか。また、そんな根拠の無い事を

【豪奢な長い金髪は高い位置で括られ、聖別銀のロザリオを首に掛け】
【紫の瞳を隠すように、スポーツタイプのサングラスがぴったりと目元を覆う】
【パイソン柄のロンTにワインレッドのストール、スキニーデニムに黒の革靴】
【一見誰も注目しないようなシルバースタッドのピアスには、側面に“No.13”と彫られている】
【嵌められた赤色は、表面の反射を逃れ強く内部を照らすほどの光を当てられた時のみその奥に五芒星を垣間見せた】

ええ、ですが価値はあるでしょう。最初から、それが目的だったのでしょう?
今は少し、手の内を離れていただけ。これ以上幸せな夢を見るのは、酷です
またの機会を。あまり話していては、酒が温くなる

【小さな笑みと共にスマートフォンの通話を切り、尻ポケットへと薄っぺらい板をしまい込む】
【会話の内容も会話自体も無かったかのように、“No.13”は一夜の休憩を続ける】

32名無しさん:2013/09/01(日) 20:09:00 ID:Fs2rVboU0
【創世戦団の最終決戦に遡る〝夜の国〟の動乱―――中心的な貿易都市であったカンバラの占拠、北部のエルモ永久凍土の生態系破壊】
【首都ルルーメンの襲撃、住民の拉致………拉致された住民を救出のための〝幻影城〟攻撃………その後は各地で小規模な戦いを連続してきた】
【救出された住民も、拉致された全体の三分の二の人数しかおらず―――人々はカノッサへの恐怖に身も心も疲弊しきっていた。】

【このまま泥沼の戦いが続くと思われたが………新たな警察組織〝SCARLET〟の発足、度重なる〝六罪王〟の消滅に伴い勢いに乗っていた自警団は―――】
【現在〝夜の国侵攻〟においてカノッサの重要拠点となっている貿易都市カンバラ………その奪還作戦である―――。】
【今夜、カノッサ機関、そして〝六罪王・魔縁の蛇王―――レギン〟をこの地から退かせる………そのために数万規模の兵力が集まったのだ】
【そして今宵集められた能力者達………貴方達はこの作戦において最も重要な任務………都市中心部にある〝貿易タワー跡〟】
【現在では謎の研究施設が建設され、地中深くまで巨大な窯のようなシェルターが建設された地区の潜入・及び制圧を任せられている】

【―――恐らくあの男………〝六罪王レギン〟もその内部にいると思われるが………。】

33名無しさん:2013/09/01(日) 20:09:22 ID:Fs2rVboU0
【〝貿易都市カンバラ〟―――上空・輸送ヘリ内。】
【既に一般兵や兵器はカンバラの市街地へと突入し、強制労働されていた市民の解放・誘導や機関の兵との交戦が始まっている】
【相次ぐ爆炎と閃光が視界を包む………現在の機関の状況を考えれば当然だが、機関の兵の数は思ったより少なく、自警団側が優勢のようにも見える】

【―――とそこで事前に配布されていたインカムから連絡が入る………今回の特務部隊の指揮を務める人物からの通信だ】
【〝幻影城攻略戦〟に参加した者なら聞き覚えがある声かもしれないが―――この声は〝ラインアーク財団〟からの特派員、〝ヨシュア・セイクリッド〟である】
【ザザザ―――とノイズが混じってはいるが何とか聞き取ることが出来るだろう。】

『ガガッ―――やぁ―――皆…ん……少し通信状態が………いが………聞いてくれ―――これより君たちには――ガッ……都市中心部の施設へ と向かってもらう―――ズズ………恐らく………機関の、、、精鋭が………守っている………と思われる―――ガガガガガ』

『それに―――ガッ………何の施設なのか………これも―――明ら…ではない―――だから充分に………注意を払って―――ガガガ、くれ
 この闘いが………夜の………おいての………命運を…る―――山場であることは間違いない―――だから、………』

                           『〝武運を〟』

【引き絞るように戦士たちへと激励を送ると通信は切れる………通信中も絶えず銃声と爆音は聞こえていた、彼も何処かで戦っているのだろう】
【通信が切れるのと同時に………輸送ヘリは件の施設の直上へと到達した………見れば見る程、地獄の窯のような光景だ………地下深くからは黒い靄のような炎が立ち込めている】
【その穴を取り囲むように重厚な装甲が折り重なるようにして形作られている―――どうやら螺旋状の構造のシェルターのようだ】
【この先で待ち受けるのは一体何なのか………コクピットの操縦者がグッと親指を立てて合図する、どうやらゴーサインが出たようだ………】
【ガコンッ!!っと輸送ヘリの両サイドが開口し、胴体に取り付けるワイヤーが各々の目の前に吊るされる―――これより降下の開始だ】
【このワイヤーで降りれば、後の行動は各人の判断にゆだねられる………〝戦いの時は来た〟】

【―――と、ヘリの近くに存在する鉄塔………そこに何者かが………〝立っている〟】

【シャギーのかかった肩ほどまで伸びている金色の髪、眼は切れ長の糸目で縁のハーフフレームの眼鏡でそれを覆っているが】
【その奥には細長い瞳孔を持つ金色の〝蛇の瞳〟が潜んでいる、服装は細いダークグレーのスーツをきており高級そうな革靴を履いている】
【背は180m程でスラリと高く顔には柔和な笑みが浮かんでいるがどこか〝歪な雰囲気〟を纏っている青年………そう。】


【元水の国支部の支部長にして、現六罪王………創世戦団の戦いから裏で暗躍していた〝魔縁の蛇王〟………レギンッッ!!】

【レギンは鉄塔に立って、輸送ヘリの内部にいる戦士たちへと一度、まるで舞台挨拶をする劇場の支配人のように丁寧にお辞儀をして】
【それから―――黄金に輝く蛇のような〝魔眼〟で、一度邪悪な狂気を戦士たちへと向けると………攻撃もせず、そのまま黒いオーラに包まれて姿を消した】
【挑発か………誘っているのか、ともあれこの先にレギンがいる事は間違いない―――ならば、行くしかない。】

                     【〝蛇の巣〟の内部へと―――。】

//これよりイベントを開始します!各人所定のフィールドに防衛側から投下してください!
//VS主催は次レスの指定されたフィールドに投下お願いします!!



34名無しさん:2013/09/01(日) 20:10:01 ID:Fs2rVboU0
【―――巨大施設最下層・〝煉獄の墓場〟】

【以前は貿易タワーが存在し様々な人種の人々で賑わっていた場所も今は昔………現在はご覧の通りの魔窟となってしまっている】
【何かの実験の〝残骸〟だろうか…?無数の、人形のような………異形の〝骨〟がフロア全体を埋め尽くしている―――】
【床は埋もれてしまっているが、その〝骨〟自体があまりにも巨大なためそれが足場の代わりとなっている広大な空間………。】
【所々に立ち込める黒い炎のような靄も相まって、視覚的には完全に冥界のソレだ。】

【これより下はなく、ここが最下層のようだが―――既にフロア全体には〝歪な気配〟が立ち込めている………喉から胃液がせり上がるような悪寒…。】
【この気配は………両名とも一度経験した事のある………〝あの男〟の………絡み付く様な気配だ。】
【靄で視界が開けていないが―――さて、どう来るか。】

【―――巨大施設上層・巨大隔壁前】

【下に伸びるような構造のこの施設では、下層に向かうためには巨大なエレベーターリフトで降りていかなければならない】
【その為、エレベーターリフトは厳重な警備の元運用される、使用するには戦車でも通れそうな巨大な隔壁を越えなければならないのだ】
【今回〝傭兵〟として雇われた高野の配置はこの隔壁の前………すなわち〝内部〟までは見せる事はない、という事だろう】

【さて―――敵の姿はまだ見えないが、報酬の額に相当する程度の相手は現れるのか…?】



35名無しさん:2013/09/01(日) 20:14:07 ID:bqaXRJC.0
【貿易都市カンバラ――巨大障壁前】
【そこには大量の自警団の死体がある】

【そしてそこには一人の男が居た】
【茶色いコートに白く長袖ワイシャツ、白くベルトつきの袖の長いズボン】 
 
 何であっしみたいな雇われがここに配置されるのでしょうねえ

【男、高野正和そう愚痴った】
【そして、その隣には道化師風の格好をしていて足がキャタピラになっている】
【そしてこの人形には二つの銃が両腕に内蔵されており、さらに背中には剣がある】
【その人形の名前は〔トリガー〕高野が持つマリオネットの一つだ】

(ま、こいつは奥の手で武装パージなども出来るんだが
 攻撃力がだいぶ下がるな腕の銃もパージするし)

【そして、あらたな攻めての足音が聞こえると】
【正和は〔トリガー〕に迎撃体制をとらせる】

 ま、払われた金の分は、働きましょうかね

/高野正和の中身ですよろしくお願いします

36名無しさん:2013/09/01(日) 20:25:38 ID:ntPf9zXA0
数ヶ月前、機関によって支配された貿易都市カンバラ。その地下、中層。
まだ下層が有るが、襲撃に当たり、この魔窟を隅から隅まで調べない、そんなことは出来ないだろう。

この層。何かしら戦闘があったのか、何かの実験の失敗か、はたまた、元々こういった設計だったのか。
壁や柱が乱雑に交差し、障害物が多いこのフロアは天井すらも抜け落ち、まさに崩壊区画と呼ぶのが正しそうなモノだ。


「――――――……ただ単に崩壊している、そういう訳でも、無さそうだがな」


そしてこのフロアに佇むのは、カノッサ機関の手先、アンダーナンバーの剣士だった。

まず目を引くのは女の纏う黒のコートか。前面のボタンが全て開けられており、その下に着る、白地に紅い花が幾重にも描かれたシャツも分かるだろうか。
下に穿いたベージュのカーゴパンツにおいても、シャツと同じような紅い花が描かれていた。
コートと同色の髪は腰まで伸び、顔は人形のように白い肌だ。右目を縦断する痛々しい大きな斬り傷は、この女の顔には嫌に似合っていた。

奥から突き出た巨大な機械の腕。必然的にそれを背にして襲撃者を待ち構えることとなる女。
腕を見上げ、何かした思う事すらもないかのような抑揚のない声。表情も、氷と形容するのが適切なほど「無」だった。

内に有るのは、戦闘の欲求。
六罪王……レギン、とか言ったか。彼が支配するこの元貿易タワーの防衛も、女にしてみればその言い訳に過ぎなかった。
故にそんなものに対して大した感情も抱かないままに、崩壊区画、その入口へと視線を移す。誰かが、姿を表したようで。


「―――……クク」


女自身にしか、その笑みは聞こえない。強者とやりあえる事は、女にとって、最高の愉悦なのだった。

/梔子 冴です。改めて、今日はよろしくお願い致します!

37名無しさん:2013/09/01(日) 20:26:55 ID:ZCHlt7mo0
【――――夜の国 カンバラ 施設入り口ゲート前】
【既に警戒態勢は厳重に敷かれており、幾筋ものサーチライトがそこここを照らして回っていた】

…………おじいちゃんの命令とはいえ、随分と入れ込んだ警戒ぶりね……
「……生物兵器たちも、連れてこようと、してたよね……」
そうね……いくら六罪王レギンに肩入れしてるとはいえ、『セードムシティ』の守りが手薄になるのは、良くないわ……
まぁ、その分私たちが、相応に結果を出さなきゃいけないんだけどね……!
<…………ウゥゥゥゥ…………!>

【施設内外の通行を点検するゲートの前に、特に周辺を警戒している、3つの小さな影があった】

【艶のある黒髪を肩ほどに垂らして、茜色の瞳を鈍く輝かせた、東洋系と分かる顔立ちに特徴がある】
【左手に、逆五芒星のプリントがされたハンドグローブをはめている、身長150cm前後の少女と】

【ブロンド色のさらさらした髪を短く切り揃え、炭団の様に濁った灰色の瞳をした】
【首筋に、逆五芒星の刻印を刻みつけている、身長130cm前後の少年と】

【短いボブカットの赤髪に、奇妙な笑みに近い表情を見せる、ぎらついた紅色の瞳をした】
【右の頬に、逆五芒星の刻印が刻みつけられている、身長160cm前後の少女】

【東洋系の少女と少年はそれぞれに、身の丈に合わせて設えられたと思しき、ハードレザーとソフトレザーを組み合わせた黒いスーツで全身を覆っており】
【赤髪の少女の方は、くすんだ赤胴色の鈍い光沢を放つ、金属製の鎧を着込んでいる】

【一見、幼い子供2人と、どこか常軌を逸した少女1人の、奇妙な3人組に見えない事も無いが】
【その身につけた機関の紋章と、ピリピリした緊張を保ちながら周囲に視線を飛ばすその様は、間違いなく戦闘員のそれだった】

……意地でも、ここを通しはしないわよ……!
絶対に、私たちは勝つんだから……勝つために戦ってるって事を、忘れないでいるわよね、2人とも……!?
「……勿論、分かってるよ、シュバルツガイスト……!」
<ゥウオォッッ!!>
……ベイゼさんの言う通り、『GIFT』は大したことなかったし……私たちが、勝ちの座を手に入れなきゃいけない……!
どんな事があったって、負ければ負け犬!! ……ブラックハートの二の舞にだけは、ならない様に……!

【――――遠く、微かに戦闘の余波と思しき音声が耳に届いてくる。どうも、相当に激しいぶつかり合いになっているらしい】
【ならばこそ――――自分たちの持ち場であるこの地点は、死守しなければならないのだ】
【負ける事は、即ち存在意義を失う事――――拳に力を、瞳に意志を、そして魂に狂気を込めて】
【3人の『食人鬼兵(グールソルジャー)』は、いずれ現われるであろう敵に備えて、ひたすらに警戒と己の内なる熱を高める事に、専念していた】

/ネバーランド中身です。よろしくお願いしますー!

38名無しさん:2013/09/01(日) 20:37:15 ID:bojIptn60
【地下下層部、ジオフロント】
【そこは巨大な空洞が広がっている、天井からは無数の柱が飛び出していた】

【そこに一人、男が立っている】
【茶色のガウンコートを着込み、ヘルメットとゴーグル、口元はネックウォーマーで隠れている】
【異様なのは、両足がまるで棒の様な鉄製の義足になっている】

このあと数十m下も、きっと戦場になることだろう……
さて、侵入者は……

【男にコツ、コツと足音が近づく】


/遅くなりましたすみません
/コルトガです、よろしくお願いします

39名無しさん:2013/09/01(日) 20:40:11 ID:FAA38KFA0
>>37

【轟音がかき消す、少女たちの淡い音色、かき乱すノイズは炸裂音のよう】
【そしてそれは〝聞き覚え〟のある音であろう、聞き慣れたシャンソンの如く】
【耳にこびり着いて離れない、狩人の警笛みたいに――――――】

【何事か、視線を凝らしたなら、サーチライトが破裂するように破壊される音が聞こえるだろう】
【硝子が割れ地面に落ちる、白銀の結晶が宵月に照らされたならきっと】
【その先に映る小さな人影の残り香を嗅ぐことができる、って】


……Разочарование(期待外れ)……何もかも……
そんな守りでね〝狙撃手〟から逃げられるって、思ってたの……?
だとしたらね、それはね、とってもダメなこと、思うの――――――

鍵穴さえあればね、塵も残さず撃ち尽くしてあげる、から


【翼が煌めいた、硝子細工の大きな翼が彼女の背中を修飾したなら】
【ふわりと彼女の身が空中へと浮かび上がって、少しだけ前へと飛ぶだろう】
【1mほど上空で、貴方達との距離を10m前後にまで縮めるのだろう】

【仄かに金色の混じったプラチナブロンドの長い髪、大きなマリンブルーの瞳】
【透き通るような素肌に女性としてはやや小柄で華奢な体躯、それでいて膨らんだ大きな胸】
【ゴシック調の紅いミニシルクハットと同じくゴシック調の白いブラウス、首元には紅のリボンタイ】
【紅いチェックのミニスカートの上から黒いコルセットで細いウェストを締め上げ】
【編み上げブーツに黒いニーソックスの雪のように儚い印象の少女】

【銀の十字架のロザリオを首につけて、その先端は膨らんだ胸元に乗って】
【――――――その姿はきっと、見覚えのある、姿】


Добрый вечер(こんばんは)――――――
収穫には少し……早かったかな……

いくよ〝GammaStrahlung〟――――――光らせて、進むべき……場所へ


【マリンブルーの瞳が捉える、その3つの人影、小さな表情に冷たさを溶かしながら】
【彼女は左手で握った巨大な銃の銃口を、まっすぐに向けるのだろう】
【右手はスカートの裾をぎゅっと握りしめて、やや内股加減にその華奢な両足を曲げる】

【彼女の身長はあろうかという長い銃身のバレットM82に類似した狙撃銃】
【細身ではあるが漆黒に彩られたその形は刀剣が如く鋭い色合いを見せて】
【それはさながら彼女の手に収まる刃みたいに、切っ先を研ぎ続けるのだろう】

【〝GammaStrahlung〟と呼ばれたその銃は、彼女の使っていた〝RaumKrankheit〟とはまた違うようで】
【間髪入れずに引き金を引いたなら、銃声が響き渡るだろう、だが銃弾は発射されず】
【刹那、貴方達のうち誰かが気づくだろう、風を切る銃弾の気配を感じることに】

【――――――上だ、銃弾が〝3発〟上空から一人一発ずつ襲い掛かってくる】
【速度は速いが軌道は直線的だ、気づけば回避は難しくないだろう】


/こちらこそよろしくです!

40名無しさん:2013/09/01(日) 20:45:46 ID:U3ha9gIM0
>>33-34

 (貿易都市カンバラの、その解放……何時ぶりかしらね、〝こういうの〟って。)
 (……ブランクがどうとか、関係無い。自分のやれることを全力で……!)

 ――――――待ってなさい……レギン…ッ!!!

 【戦士たちがヘリからワイヤーを用いて降下する――その中に一つ、目立つ〝白〟があった】
 【ソレは自由落下に任せるかのようにヘリから飛び降りて、僅かに数瞬、レギンを睨み】

 【やがて、かの〝魔窟〟――その入口付近へと、埃を巻き上げながら降り立った】
 【もっとも重力に任せて、ではない。ソレは真白な翼で身を覆い、『舞い降りた』のである】
 【直後、まるで魔法のようにその翼は消え去って。立っているのは、ただ一人の女性だった】

 【先ず目に付く特徴といえば、それは薄赤色のロングツインテールであろうか】
 【その髪型に加え、服装は白い将校服。紛うことなきUT所属のアンジェル・ベルジュロンであった】

 【ただどうも、以前に姿を晒した時よりも背が伸びて、顔立ちも大人びた風であり】
 【胸元に煌めく無数のバッジは鈍く力強い光を秘め、一方で袖を肘までめくり上げ】
 【唯一黒い手袋をはめた両掌は、その決意か、或いは憎しみのようなものか】
 【何かしらを帯びていて、彼女は出来る限り素早く、地獄の窯の奥底を目指していく――】


【やがて辿り着くのは、まさに地獄――否、〝冥界〟が相応しいような穴倉の底】
【ブーツを進める度に足下でパキリと骨が軋みを上げ、得体のしれない靄も漂って】

【空気までも死んだような其処に、アンジェルは思わず口元に手を当てる】
【けれども――その原因が光景や空気ではない、〝彼〟のものと理解すれば】
【一つ、自分を奮い立たせるように。呼吸をしてから肩を開き、背筋を伸ばして眉根を顰め】

……居るんでしょ?わざわざご挨拶までして、隠れてばっかりなハズ無いものね
それとも……小娘一人相手に怖気づいて帰る準備でもしてるのかしら?

【周囲をキッ、と睨めつけて、挑発するような言葉を広い空間に投げかける】
【彼女は武器を持っていない。胸元のバッジは兎も角――傍から見れば、自殺行為だ】
【それでも当人は何も気にする様子はなく、同じ戦場に居るはずの味方に目配せをする余裕さえも垣間見せる】

【アンジェル・ベルジュロン――以前の邂逅とは様子が違う。少女ではなく、女性として】
【示威としての将校服もいつしか、似合いの衣装として――全てが凛として、濡れた刀身のようだった。】

/主催の方、ギア・ボックスの方、よろしくお願い致しますっ!

41名無しさん:2013/09/01(日) 21:01:15 ID:ZCHlt7mo0
>>39

<――――ッ!?>
「サーチライトが、壊れた、どうして……!?」
……狙撃!? ピンポイントで射撃されてる……!!

【周辺警戒に及んでいた3人の兵士――――ネバーランドは、すぐにその異変に気づく。もっとも、強力な光芒を発していた光源が破壊されれば、気付かない方がおかしいのだろうが】
【しかし、それは敵の接近を感知する為の重要な設備であり、それを破壊される事はより直接的な危機が近付いている事でもある】
【――――遠距離からのその攻撃に、一行のリーダー格――――シュバルツガイストの脳裏には、1つの存在が掠めていた】

<……グァウ!!>
「……シュバルツガイスト、あれ、あれ見て!!」
――――ッッ!! やっぱり貴様ね……ソニア!!

【そして襲撃者の姿を認めた時――――シュバルツガイストの予感は、現実の物となっていた】
【――――ソニア=エカチェリーナ=ドラグノフ。かつて手痛い痛み分けを演じさせられた、怨敵の1人】
【高められていた戦意は、宿敵の運んできた風に煽られ、今大きく燃え上がった】

…………分かってるわよね、ソニア!?
私は、二度は負けはしない……負けて無意味な存在に、成り下がったりはしないわよ!?
……今度こそ、その心臓に噛みついてやるから、覚悟しなさい!!

【冷たく冴え切った、スナイパーとしての姿を見せるソニアに対し、熱く轟く、改造兵士としての姿を見せるシュバルツガイスト】
【要所要所を撃ち抜かれ、無様な敗北を喫したあの夜の姿が、望まぬままに思い出されて】
【シュバルツガイストは、固く誓ったのだ――――次は負けない、と】

「……あの時と、銃が、違う……?」
――――ぐああああああッッ!!
「ッ、シュバルツガイスト、正面から飛び出したら……ッ!?」
<グァ!?>

【遠目に、ソニアの携えた得物が前と違う事に違和感を覚えるジ・エンブリオン】
【だが、それを勘案するよりも早く――――シュバルツガイストは、真正面からソニア向けて飛び出して行く】
【思わず、クロス・ザ・ルビコンはそれを止めようとしてか、あるいは孤立する事を防ぐためか、その背を追いかけるが】

「――――ッ、危ない!!」
<グッ!? ウゥゥ……!?>
「うあっ!!」

【後方に置いて行かれる格好となったジ・エンブリオンは、思わぬ角度から襲い来る銃弾を察知。咄嗟に前を行く2人に警句を叫んで】
【その為に、自分自身の反応が遅れる形となってか、ジ・エンブリオンの左手首が、バシャリと打ち砕かれた。特殊な細胞で全身を構成しているジ・エンブリオンなら、そこまでの重傷ではないのだが――――】
【一方、中途半端に飛び出したクロス・ザ・ルビコンは、警告と、自身の反射神経に物を言わせてか、頭上で両手を交差させて、銃弾をガードする】
【――――機動力よりも、防御力を重視したその重装備が、防御を重ねる事によって銃弾を跳ねのけるという荒技を、成さしめたのだろう】

――――喰らえぇぇぇぇッ!!

【一方、全く他を顧みることなく前進するシュバルツガイストは、頭上からの銃弾すらを振り切って、ソニアへと接近する】
【もっとも、元々10mは空いていた距離を、一気に詰め切る事など不可能で、その間は完全に的になる可能性すらあったが】
【そこは、シュバルツガイストも勘案していたのだろう。両肩から、2条の『スピードレーザー』をソニアに向けて、牽制として発射する】
【威力よりも速度を重視したレーザーが、ジャッ――――と言う中低音と共に、ソニアへと迫る】

/すみません、開始早々ですが風呂行ってきます

42名無しさん:2013/09/01(日) 21:04:12 ID:L.dSH.gA0
>>36

【闇のように無音。驟雨のように淀まぬ足取りが運ぶ。】

【腰までの伸びやかな黒髪が、濡れ羽烏と呼ぶに相応しい色合いで】
【銀の混ざる橡色の瞳をして、濃藍のトレンチコートを纏った―――少女、だろうか】
【移ろい行く刹那を留め、硝子の様な雰囲気を漂わせる。】

【人工の修羅道(しゅら)に足を踏み入れる影は、そんな形容の出来る探訪者だった】

……―――――― 貴女は、この地に “攻め込んでいる”?
それともその私たちを排撃するのか――――― 双つにひとつでしょうね、今宵は。

【影は口を開く。張る糸を裁つが如き流麗で、透る声が女の隻眼に宿る意志の所在を問う。】
【―――――“あちら”であるならば己の果たすべき意味を。“こちら”であるならば為すべき施しを。】
【或いはその端的な記述は、いっそ直線的ですらもあっただろうか。黒曜の静謐を宿す双眸は、退くこと識らぬ若い獅子の色をしていた。】

【何れ、その言動は “機関” にとっての敵対であって】
【ならばそれ以外の意味など彼女には不要だろうか―――― 剣の狂う夜に舞うのは、剣の翼もつ鳥に他ならない。】

/襲撃側、八攫 柊となりますっ。改めてよろしくお願いします……!

43名無しさん:2013/09/01(日) 21:04:41 ID:esWFXgE60
>>32>>33>>34
【夜の国。国土全体を包み込む常夜の闇すら塗り潰す、邪悪のもたらす闇が、今なおこの地に君臨している】
【しかし、希望は潰えてはいない。新たな正義の発足、ここ最近で起きた事件で機関が受けた影響】

【今日この日。決戦の時が来た。その闇を打ち払わんとする、有志たちが集う】
【決戦の地は、貿易都市カンバラ。乗り込んでいく正義の使徒たちの中に、一人の――いや、一体の人形がいた】

【見た目は、少し長めの茶髪と丸い目に青の瞳の青年だった。中肉中背で、面長な顔】
【白いシャツの上に青いジャケットを羽織り、深緑のカーゴパンツと黒いスニーカー】
【一見すると普通の人間だが、その肌は人のそれとは異なった質感。よくよく見れば、その青い瞳もガラス玉めいた無機質さ】

【その身体は動くたびに奇妙な軋みを発する。その四肢を動かす関節部分。服の下で見えないが、それらは人ではありえない球体関節となっている】
【そう、彼は人形なのだ。生ける人形。人に似ていても、それとは違う】
【苦悩もした。叫びもした。自分で鉄火場に飛び込んでおきながら、己の運命を呪いもした】

【しかし。まだ、折れてはいない。葛藤の時を乗り越えて、青年はここにいる】



【輸送ヘリの内部。眼下に広がるカンバラは、すでに戦場と化している。今まで、幾度この光景が、この世界に描き出されてきたのだろう】
【そう思いつつも、攻め手側の優勢を見てわずかに安堵する。直後、インカムから耳に飛び込んでくる声】
【ノイズ混じりの、指揮官の声。幻影城には参加していなかったために、聞き覚えはなかったが】

(……そうだ。これが、この国命運を分ける戦いになる。今度は、あの日のようにはさせない――――!!)

【脳裏に交錯する、ルルーメンでの惨劇。あの日受けた恐怖と無力感。今日、それを清算してみせる】
【〝武運を〟。絞り出すような彼の声を胸に刻む。意識を下へと落とせば、広がるのは都市部にも勝る地獄の光景】
【重厚な装甲、黒い靄のごとき炎。螺旋状に地下へと伸びるそれは、まるでかの蛇王の腹の中へ通じる穴のように思えた】

【操縦者の合図にうなずきを返し、吊るされたワイヤーを胴体に取り付けた】
【わずかに間を開け、意を決して下へと降りようとした、その時――】


…………!!!!!

【鉄塔の上。それはいた。忘れられない、その黄金の瞳。人形となり、夢を見ることさえ叶わなくなったというのに】
【それでも、彼の姿は〝悪夢〟そのものとして焼き付いていた。それが、突如現れたのだ】
【レギン。〝魔縁の蛇王〟。コーネリアス亡き今、六罪王で最も活動的であろう男。舞台あいさつのような、優雅なお辞儀。その動作すら、寒気を誘う】
【その〝魔眼〟が自分と、居並ぶ戦士たちを射抜く。しかし、自分とて以前とは違う。人形の瞳で必死に睨み返す】

【やがて、彼が姿を消す。ほんの一瞬のことだが、とても長い時間に感じた】

(……行こう)

【静かに、自分にそう言って。生き人形、ギア・ボックスはワイヤーを伝って、地獄の釜の底へと降りて行った】


これは……

【辿りついた先の光景に、思わず声が漏れる。異形の骨。残骸。まさに、〝魔窟〟だ】
【人形の足で、巨大な骨を踏む。黒い靄。ここは、果たして生けるものたちの世界なのか、それすら怪しく思えてくる】

【しかし、人形の身でもはっきりと感じる絡みつくような歪な気配と、悪寒が、かえってギアを現実に引き戻した】


……レギン。僕のことなんて、覚えてもいないかもしれない。でも、僕は忘れない
あの日、お前がしたことを。あの日、噛み締めた無力感を

――出てこい、蛇。今度は、あの時のようにはいかない

【靄の奥に広がる空間へと、ギアが言葉を投げかける。正直、心中は恐怖に満たされている】
【にも関わらず、よくこんな大口をたたくな、とどこか他人事の様に思う。だが、ギアとてあの日のままではないのだ】

>>40
【チラ、と彼女の目配せに返す。一方的に見知った相手。風の国の一件で、テレビに登場していた少女】
【おそらく、自分と同じ正義の組織に属しているのだろうが……さて、今は目の前に集中すべき時だ】
【しかし、この場において味方がいるのは心強い。彼女の存在に感謝しつつ、ギアは戦闘態勢を取った】

/ギア・ボックスです。主催様、アンジェルの方、よろしくお願いします

44名無しさん:2013/09/01(日) 21:12:51 ID:nt9fR7G60
>>38

チッ、もっと下か…やっぱり自警団に乗っとくべきだったか…
…つーか、いくらなんでも上から降下はねぇよな…もっと方法あったろ…

【ブツクサ文句を言う声は、張り詰めた雰囲気に似合わない程に気怠げである。しかしこの状況に呑まれていないという事はつまり…】
【右手に持った白銀の機械刀も、右眼に掛けた眼帯も、シルエットを際立たせるに一役買っている】

つー事で、だ…テメーに構ってる暇はねぇんだよ、わかるか?
さっさと退けるかどかされるか、早く選びな

【黒いビジネススーツ、黒い革靴、爪痕みたいな模様の超絶にダッサいネクタイ】
【疲れた目をした、無精髭面、黒い髪を後ろに撫で付けた髪型の男だ】
【その右目には眼帯を───『紅い剣を咥えた黒い狼』の紋章が刻まれた黒い眼帯を掛けていて】
【機械的な柄を持つ刀を右手に持ち、これまた機械的な鞘をベルトの左側に挿している】

【男───ラッシュ・ワンスドッグはコルトガの姿を認めると立ち止まり、刀の先端を突き付けて怠そうに話し掛ける】
【『どうせ大人しく従わないだろうな』と半ば諦めた思いを抱きつつ、想像すると溜息が出た】

45名無しさん:2013/09/01(日) 21:15:56 ID:Fs2rVboU0
>>35

【ヒュンッ!ヒュンッ!新しい襲撃者の姿が露わになる前に、その襲撃者からだろうか、二発の銃撃音と風を切る音が聞こえてくる】
【迫りくるのは二発の銃弾、一発は高野の右肩、もう一発はそばにあるマリオネットの胴体部分を狙って放たれたようだが―――】
【あくまで牽制のつもりか狙いは甘く、注意を払っていれば回避する事は容易いだろう】

どうやらそう易々と侵入はさせてくれないようだね………だがここで君を倒して侵入する経路を確保させて貰うよ………
―――ああ、名乗り忘れていたね、僕は〝ヨシュア・セイクリッド〟………ラインアーク財団に所属する特派員さ………よろしく。

君はカノッサの兵かい?口ぶりからしてどうやら違うようだけど………。

【そして姿を現す侵入者………ウェーブのかかった美しい碧の髪を持ったスーツ姿の青年だ………どうやら他の兵とは毛色が違うようだ】
【青年は二挺の銃を両手で構えたままゆっくりと高野へと歩を進めていくだろう―――その姿に目立った隙はない。】



46名無しさん:2013/09/01(日) 21:20:40 ID:FAA38KFA0
>>41

【銃弾の軌跡が煌めきを孕む、夜空に撒き散らす細氷のような断片】
【察しが良ければ気づけるだろう、彼女の銃弾が上空から来た理由が】
【〝鏡〟だ、姿見サイズの長方形の鏡が、空中に3つ、浮いていた】

【――――――彼女の鏡の能力、以前の戦闘でいくつか見せたその片鱗】
【最初から彼女はそれを余すこと無く活用するのだろう、すなわち、それだけの相手ということ】
【呼吸を整える、その一瞬に胸を締め付けるような悪寒を感じた】


……そう、ソニアのこと……覚えてて、くれたんだ……
でもね、ソニアにとってはね、そんなこと……どうでも、良いの

狩人は獲物の名前なんて知る必要はないの
獲物が何であったかだけ、知れば良いから……

貴方達がソニアの狩りを邪魔する、そんな人達ならね
――――――全部撃ち抜いて、雑音に還してあげる


【翼が大きく前へと折り曲げられたなら、後方へと羽ばたいた】
【硝子細工が輝きを導かせたなら、そこに落ちるのは無数の彩りで】
【月光を孕んで光を留めたなら、彼女の白い素肌を強く強調して】

【彼女へと向けて放たれたレーザーその直ぐ側をすり抜けるように回避するだろう】
【左方向に僅かに身体を傾かせたなら、胸部の直ぐ目の前をレーザーが駆け抜けるだろう】
【首元のロザリオ、その銀色が強く揺れて、彼女のプラチナブロンドの残照を揺らす】

【そのまま身体を右側へと捻りながら急上昇数mほど上空まで一気に飛び上がるだろう】
【〝狙撃手〟のアドバンテージである距離、接近戦に持ち込まれたなら覆せない弱点】
【その機動力を補うための翼であろう、並大抵の速度では取り残される、ほどに】


〝GammaStrahlung〟はね……連装型のレールガン……なの
この長い銃身の中にはね、六つの射出機構がつながって、配置されてて
その機構一つ一つに、ソニアの鏡を置いてるの――――――

……分かるかな、貴方達がどこにいようと、何人いようと……
一口で、飲み込んだげる――――――


【空中で待機した状態で再び翼を大きく羽ばたかせるだろう、硝子の羽根をいくつも落としながら】
【前方へと飛んだなら、ジ・エンブリオンの更に後方、ゲートの直ぐ側にまで進んで】
【くるりと姿勢を回転させる、上下逆さまで空中に浮かんだなら――――――】

【左手で握った〝GammaStrahlung〟の銃口が真っ直ぐに三人を捉えるのだろう】
【ちょうど位置を反転させた、その状態から、彼女は銃弾を掃射する】
【銃口からは銃弾は出ない、出るのは――――――彼女の〝翼〟であった】

【翼から六発、銃弾がやや荒い狙いを持って発射されるだろう】
【それぞれ二発ずつ、三人の腕と足を一発ずつ狙う形で発射される】
【高い機動力を活かして、三人の背中を狙う形での狙撃だ、対応に時間がかかるかもしれない】

【くるりと翻った彼女の姿は、天空から落ちてきた天使が如く幻想的で空想的】
【プラチナブロンドがふわふわと風に浮かんだなら、右手でぎゅっとスカートの裾を抑えこんで】
【内股でその右腕をはさみながらも、視線は真っ直ぐその三人を捉えていた】

47名無しさん:2013/09/01(日) 21:24:22 ID:Fs2rVboU0
>>40

【パンパンパンパン―――規則正しい拍手と共に、ゆっくりと前方から足音が聞こえてくる………同時に増大する気配】
【そして奥からゆっくりと姿を現すスーツの男………金色の髪をゆっくりと揺らし、口元には深い笑みを浮かべながら現れる】
【ニュースなどでも幾度となく目にした事があるだろうその姿………〝六罪王・レギン〟ッッ!!】

ようこそいらっしゃいました………えーと、アンジェルさんでしたっけ………?
以前は違う姿でお会いした事があったのですが、覚えておいででしょうかねぇ………?フフ―――。

丁度、貴方にはお聞きしたい事もありましたし、手間が省けましたね………。

【先ほどと同じように丁寧にあいさつをして、柔和な笑みを崩さないまま襲撃されているというのに非常にリラックスした物腰で佇んでいる】
【六罪王という立場故の冷静さか………はたまたただの慢心か―――間合いにして10m程の地点でじっとりとアンジェルを見つめる】
【輝く黄金の〝魔眼〟が、アンジェルの身体に巻き付くようにして厭な気配を送っている。】

>>43

【チラリ、と新たに現れた者の言葉を聞いてそちらへと視線を向け―――〝笑った〟。】
【その黄金の瞳は、まるで長年熟成させてきたワインの栓をいよいよ開けると言ったような、愉悦に歪んでいる】
【三日月型に歪んだ口元からは今にも蛇の舌が覗きこんできそうな………そんな邪悪で、狂気を孕んだ魔人の笑みだ………。】

これはこれは………〝ルルーメン〟の際はどうもご苦労様でした………あーところで、どうしてここへ?
〝あの時〟も恐怖でへたり込む事しか出来なかった貴方が―――底なしの絶望を味わった貴方がどうして、また、戦場へ?

フッ…クククククククククッッ!!ヒャハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハッッッ!!!
また絶望を味わいたいドM野郎って事ですかねぇぇぇぇ!?

あの時とは違う?強くなった………?0.1が0.2になった所で一体どんな変化が訪れたんでしょうかねッッッ!

【ゲラゲラゲラとフロア全体に響き渡る様な笑い声を上げながらギアボックスへ指を差す………明らかな挑発だが】
【この厭な笑い声はルルーメンの惨状を思い出させるには十分なのかもしれない。】

>>40>>43

それでは、始めましょうか………この国を〝死の国〟へと導く、最後のトリガーをねッッッ!!

【そう言うとレギンの全身から漆黒のオーラが炎のように噴出し、邪悪な魔人の気は一層にその強さを増し、空気がビリビリと振動する】
【そしてそのオーラがぐにょぐにょと変化していき、やがて8m程の漆黒の大蛇が二体、レギンの纏うオーラから現れた】

【二体の大蛇はそれぞれアンジェルとギアボックス目がけて異形の骨の間をすり抜けるようにして移動しながら迫るッッ!!】
【ある程度接近させればそのまま首元へ喰らいつこうとするだろうッッッ!!もし噛みつかれればその瞬間に歪な魔力が毒のように身体に流し込まれる】
【それは精神を汚染する邪悪な因子………自身のトラウマや恐怖を脳裏で幾度となくフラッシュバックさせる悪夢のような効果がある】
【レギン本人は、いまだ最初の立ち位置から動いてはいない。】




48名無しさん:2013/09/01(日) 21:25:00 ID:ntPf9zXA0
>>42

壊れた天井の所為か、嫌に透き通った声。もちろん彼女のその声は、女の耳にも届いて。
見れば、まだ年端もいかない少女。しかしその雰囲気といえば、まるで同年代の少年少女とは違った、雰囲気を感じさせる。

「――――――……『私にとっては、その問はあまり意味のあるモノでも無いのだが』……。
 今日は貴様らを打ち倒し、地面へと沈めるのが私の役目、だと聞いたな」

彼女からしてみればその言葉は、この女が己が敵対する機関に所属する者だと確信できるそれだろう。
しかし、少し奇妙に思われるかもしれない。攻めこむ正義、守衛する悪。その違いは、多大なるものだというのに。
それがあまり意味の有るものではないと、女は言うのだ。

首を曲げてコキリと音を出せば、女は右手をスッと水平に上げる。
其処からビームやら、何かしらの飛び道具が出てくる気配は無い。が、其処から『次元』が、割れ始める。


「私の名は梔子 冴。カノッサ機関、No.110。
 そしてコレは、今宵貴様を叩き斬る剣の名だ。―――――――――創虚」


次元が大きく裂け、女の手に収まったのは黒い刀だった。
唯の刀ではない。それは、恐ろしいほどに長い。目測、3m程。到底女性が持てるものとは思えないが、柄を女はしっかと両手で握り、保持する。
顔に、変化など無かった。

「さぁ、殺り合おうか強者。 貴様を殺すのは、この剣に他ならぬ」

彼女と対峙するは、黒衣の剣士。この女も、彼女の強者の風格を、既に感じ取っていた。

49名無しさん:2013/09/01(日) 21:26:36 ID:bqaXRJC.0
>>45

んお、っと

【高野はヨシュアが撃った銃撃を回避する】
【〔トリガー〕のほうに放たれた銃弾も回避する〕

おいおい、ラインアークの人材が来るんですかい
……名乗りをどうも、ですがこっちは名乗り返しはしませんよ。

【高野はヨシュアと名乗った青年に〔トリガー〕の両腕を向ける】

あっしですかい
あっしはそうですねえ、雇われですよただのねっ、と

【そして、高野は〔トリガー〕の後方へ移動】
【それと同時に〔トリガー〕に内蔵されている銃を発射する】
【銃弾は両腕それぞれ二三発を発射した】
【良く狙ってないため容易に回避は可能だろう】

50名無しさん:2013/09/01(日) 21:39:00 ID:Fs2rVboU0
>>49

【相手のマリオネット・トリガーから放たれた弾丸、おそらく高野にとって牽制であろうそれをヨシュアは右横に飛ぶようにして回避する】
【だが遮蔽物もなく両腕同時の砲撃であったため、弾丸の一つは右腕を掠りダラリと鮮血が地面に滴り落ちる。】
【「ちっ!」っと一度舌打ちをするが、それで止まる筈もなく、そのまま旋回するように走り出す。】

それはそれはご丁寧にッッ!!雇われなら闘いの美学も礼儀も―――分からないだろうねッッ!!
カノッサなんかに雇われて後悔するようにしてあげるよッッッ!

まずはその―――、

【マリオネットを回り込むようにして走りながら銃口を向け、相手の注意を引こうと挑発的な言葉を向けながら標準を定める】
【そしてトリガーを素早く三回、一気に引き絞るッッ!!】

            〝人形兵器/オートマタ〟から行かせてもらうとするよッッッ!!

【タタタタンッッ!!今度は計三発の銃弾が、連続するように一点集中でマリオネットの頭部を撃ちぬこうと放たれる】
【今度は牽制ではない、本腰の攻撃だ………さらに側面からという事も相まってマリオネットの機動性次第では厭な攻撃となるかもしれない】




51名無しさん:2013/09/01(日) 21:46:32 ID:ZCHlt7mo0
>>46

「……あの時、グレネードを、出してきた鏡……!」

【後方に取り残される形となり、そして銃弾のダメージを浴びた左手首の再生に注力しながらも、ジ・エンブリオンはそれを認める】
【今の攻撃と合わせて、それが転移装置の役割を果たしていると言う事は、もう疑いがないだろう】
【空からの銃撃――――只でさえ厄介なスナイパーと言う敵に、その能力を合わせては、もはや『鬼に金棒』である】

――――よくも……よくも言ってくれたわね……ッ!
あなたは狩人なんかじゃ無い……私たちの獲物なのよ……今から、それを思い知らせてやるわ……!

【流石に疾走する中、怒号を飛ばすような無駄に呼吸が乱れる真似は出来ない。それでも、シュバルツガイストの怒りは、埋み火の様に漏れ出る】
【――――往く道の邪魔をするのなら、全て打ち負かしてやる。皮肉にも、その意志はソニアのそれと似通っていて】
【取るに足らない存在などと一蹴させる事は、どうあっても認められなかった。勝つために存在しているのだと、自負している以上――――】

くっ……逃げるの!?

【2発の牽制を、見事に外されて――――それは、単にスナイパーでは終わらないソニアの実力ゆえだろう――――更に距離を取られる事に、焦りを覚える】
【距離と言うのはこの場合、絶対に近しいイニシアティブとなる。銃撃に長けたソニアに距離を空けさせる事は、それだけ状況が不利になる事だ】

「…………ッ、不味いよ、シュバルツガイスト……!」
――――どこから如何様にでも、射角を関係無しに狙える銃……!?
……ふざけた、能力を…………ッ!!

【自ら銃の仕組みを説明するソニアに、同じく焦りを共有するジ・エンブリオンと、言いようのない苛立ちに呻くシュバルツガイスト】
【――――改造兵士である以上、直接的な戦闘力はかなり高められていると自負してはいる】
【だが、この様な絡め手の戦闘能力は――――確かに、能力者相手には一歩譲る事になる】
【この場合、どうやって自分たちは戦えば良いのか――――ほんの一瞬、その先にビジョンが見えず、シュバルツガイストは悔しさをすら感じたのだ】

<アァァァァァァゥッ!!>
っ、クロス・ザ・ルビコン……!

【さらに追撃される6発の銃弾。中間的な位置に居たクロス・ザ・ルビコンは、咄嗟にシュバルツガイストに飛びつき、押し倒す】
【それほどまでに――――フォローの必要すら感じさせるほどに、シュバルツガイストは虚心し、対応が遅れてしまっていたのだ】
【咄嗟に庇い、その身に纏う鋼鉄の鎧で銃弾を受け止める。バキャッと装甲の一部が砕ける音が聞こえた】

<……グ、ウァ……>

【鎧の内側のパワーアシストが一部、機能不全に陥ったらしい。どこかやりづらさを覚える様に関節を曲げて起き上がるクロス・ザ・ルビコン】
【防衛任務と言う事で選んだ重装甲が、スピードを殺した半面、シュバルツガイストの盾となって機能したのである】

「う、ぐぅ……痛……っ!」

【そして、結果的にソニアに一番近づいた格好となるジ・エンブリオンは、対応し切れずに腕と足に銃弾を撃ち込まれる】
【思わず身体をよろけさせ、先ほどまでの再生に到底追いつかないダメージをその身に浴びたが――――その痛みと共に、脳裏にある考えが浮かんだ】

「(……あいつ、シュバルツガイストしか、見てない……………………だから、僕の手の内が、見えないかも…………!)」

【前回の戦闘、そして今回も、常にソニアの前面に飛び出していたのは、シュバルツガイストだった】
【しかし、自分たちとて決して飾りの存在ではないのだ。ジ・エンブリオンは、自分が積極的に攻撃に出れば、ソニアは対応し切れないのではないかと、よぎったその考えを実行する】

「……その翼、僕が、もいでやる!!」

【回復し切らぬ両腕を、叫びと共にぐっとソニア向けて突き出すジ・エンブリオン。その瞬間、両腕が眩いほどに赤熱し】
【そして、細胞変換によって撃ちだされた強力な熱線が、ソニア目掛けて発射された】
【両腕が溶け去る程の細胞操作、そしてそれによって発生した熱エネルギーを全て撃ちだした、切り札的な一撃である】
【自分の印象が、ソニアの中では希薄なのではないかと言う、1つの思いつきに賭けた、ジ・エンブリオン捨て身の一撃である】

/ただいま戻りましたー

52名無しさん:2013/09/01(日) 21:51:21 ID:bqaXRJC.0
>>50

ちい!

【ヨシュアの放った弾丸は〔トリガー〕の頭部へ向かう】

(回避は困難か、ならば!!)

【高野は〔トリガー〕を側面に居るヨシュアへと移動させる】
【キャタピラの方向を変え、全速力でヨシュアへと走らせる】

(なら、そのまま轢かせてもいやしょうか!!)

【その過程で〔トリガー〕の頭部に一発もらったものの、たいした被害ではない】
【さらに、腕の一方をヨシュアが入る方向へと向かせて】
【ヨシュアへと牽制目的で銃弾を二発ほど発射させる】

【やはり、良く狙ってないのか回避は容易である】

53名無しさん:2013/09/01(日) 21:51:53 ID:bojIptn60
>>44

ふむ、いきなり刃を向けるとは、礼儀がなっていないな

【刀を向ける男、ラッシュ・ワンスドッグに対し、余裕のある言葉を放つ】
【コルトガは、さらにこう続ける】

悪いがその選択に答えは無い、私の答えは……

「お前を消し去る」だ。
此処まで来れるという事はなかなかの実力だということ
だが、私に勝つにはあと最低2〜3人は必要だったな

【コルトガの身体から、黒い煙が湧き始める】

だが、ここまで散歩に来れた実力を認め、私の全力ヲ見セてやろウ

【黒い煙がコルトガを包み込み、やがて煙は渦を巻きながら巨大化していく】
【そして煙の中から現れたのは、先程のコルトガの姿ではなく、巨大な兵器の様な姿であった】
【目測で10mはあろうその姿は、四足の亀の様で、身体はとても強固な装甲に覆われており、いくつものミサイルポッドを装備している】
【そして、生物で言う頭の部分には人間の骸骨が、下半身をその兵器と融合させて乗っている】

貴様にハ、絶対的ナ絶望ヲ与えテやろウ

【兵器の両肩のミサイルポッドから、無数のミサイルを発射した】
【スピードはそこそこだが、数で圧倒されるであろう】

54名無しさん:2013/09/01(日) 21:56:24 ID:esWFXgE60
>>47
【拍手。恐ろしいほど、規則正しく聞こえてくる。さらに、足音。〝魔窟〟に反響するその音】
【やがて、眼前に現れるその姿。金色の髪。深い笑み】
【その姿を見た途端、ギアの中にあの日の恐怖がフラッシュバックする。人の物ではない歯が、人の物ではない唇を噛み締める】
【神経は通わずとも、魂はある。痛みは感じる。それが、恐怖を抑え込む一助となることを願って】


【その視線が、こちらを向いた。自分の覚悟など、あっさりと踏みつぶされそうな、どこまでも邪悪な視線】
【彼にかかれば、この戦いなど熟成させたワインを開けるのと同じ程度ということか】
【だが、かつてのようにあっさりと折れはしない。足も震えてはいない。あるいは、それは人形となった故なのか】

【レギンの魔人の笑みに、青く無機質な瞳からの視線を返す】


……覚えていたのか
そうだ、あの時僕は何も出来なかった。ただ、絶望の虜だった

それを、繰り返さないために、来たんだ。お前の振り撒く絶望を、止めるために
好きなだけ嘲笑え。せいぜい、0.2に足元をすくわれないように気をつけろ

【少なくとも、減らず口は見に付いたらしい。だが、その眼光はそれだけというわけでもなさそうだ】
【文字通り、自分を指さして笑うレギン。その笑い声が想起させる、ルルーメンの悪夢。今も、自分を苛む、あの日の光景】

【しかし、ギアは恐怖よりも強く、静かな怒りと闘志を滾らせていく】


(〝最後のトリガー〟……? まだ、何かするつもりなのか!?)

これ以上、好きにさせるか!!

【叫ぶ。レギンに対してではない、己に向けて】
【生き人形の瞳に映り込む、漆黒のオーラ。無機質な肌が感じる、震える空気】
【現れたのは、8mにも及ぼうかという、漆黒の大蛇。初手から、桁が違う攻撃】


【骨の隙間を擦り抜けて、大蛇が迫る。牙が剥き出される】
【ギアの球体関節が回転し、右腕が動く。それが腹の中にめり込む。引き出される】

『デコイ・バルーン』!!

【その右手が開く、と同時に急速に膨れ上がる物。それは、風船だった。ギアそっくりの姿をした、等身大の風船】
【地を這い、首へと食らいつこうとする蛇の前に、風船人形が立ち塞がる】
【魔力毒を湛えた蛇の牙が突き刺さり、派手な破裂音と共に、風船人形が弾け飛んだ】

【精神を侵す毒の脅威から一時逃れたギアが、隙をついてその脇をすり抜ける。その両手で握っているのは、ちゃちな拳銃だった】
【先端にはボクシング・グローブが取り付けられている。人形を盾とした時、素早く取り出したのだ】


――――おォッ!!!

【口から短く声が漏れ、引き金が引かれる。打ち出されるグローブ】
【『パンチング・ガン』。ギアの持つ玩具武器の一つ。ワイヤーに繋がれたグローブは一直線に、その場に留まるレギンの顔面めがけて飛ぶ】

【命中すれば、成人男性による殴打程度の威力の打撃を受けるだろう】
【しかし、所詮は玩具武器。軌道も単純な直線。レギン相手に、果たして効果はあるのか】

【また、逃れはしたものの、また蛇が襲ってくるかもしれない。かわした蛇は視界の端で捕えてはいるが、果たして――】

55名無しさん:2013/09/01(日) 21:58:08 ID:U3ha9gIM0
>>47

覚えているか、って?まさか……忘れられるはずもないもの
その〝蛇の瞳〟に加えて慇懃無礼な態度。ガスマスクは飽きでもしたのかしら?
直接こうして顔を合わせるのは初めてだけれど……お返しは、させてもらうわよ…ッ!

【レギン――六罪王が現れるやいなや、アンジェルは眉根の皺をより濃くして彼を睨んだ】
【それはいっそ邪視とでも言うかのほどで、弱毒が強毒を跳ね除けるかごとくであり】

【どこか〝妖かし〟のような、暗くも堕落しない力強さとでも言おうか】
【それを秘めた視線はレギンの魔眼に負けること無く、明らかな心根の硬さが見て取れる】
【正義に固執した、以前の強さではない。単なる人のそれでも無いように思えたが――】

【―――察するより早く、レギンの先手である漆黒の大蛇がアンジェルへ、ギアボックスへと向かっていく】
【アンジェルはそれを空色の瞳で捉えるやいなや腕を振り上げ――――ただ刻を合わせて、一閃】
【すると突っ込むに任せた大蛇は頭部からその身を両断され、アンジェルは深く息を吐いた】

フゥ〜ーー……、……それで貴方、さっき何か言ったかしら…?
〝聞きたいこと〟とか言っていたような気がしたけど……私に一体、何の用?

【タネは簡単だ。見ればその手には一本の刀があって、どうにか隠していたそれで蛇を斬ったのだろう】
【そして、レギンほどの猛者であれば察せられるのは『刀が妖刀である』ということ】

【となれば――成程、だ。六罪王の威圧を跳ね除けたのも、大蛇をさも紙でも切るように裂いたのも】
【ひとえにかの妖刀のお陰とすれば話は速い。問題なのは、アンジェルがそれに呑まれていない、ということか】
【大会でも使っていた刀、なれば扱いに慣れたか別の要因かが在るのだろう。とにかく、注意すべきは唯一つということであり】


【―――さて、ここからは大蛇を切り抜け、アンジェルが言葉を続けた辺りの話】
【それは〝反撃〟であり、簡単に言えば彼女が『飛ぶ斬撃』をレギンに差し向けた、という事についてである】

【アンジェルは大蛇を切り裂くとそのままの勢いで刀を振るい、斬撃をレギンの上半身目掛けて飛ばした】
【刃には、いつの間にか右手から流れでて、柄から刀身へと伝っていた血液を使用しており】
【大きさはおよそ30cm。真っ赤な斬撃は速度もかなりの物があり、切れ味などは言うまでもない】

【ただ――あくまでも斬撃は斬撃。避けられればそれまでであり、攻撃に何か付加属性が在るわけでもない】
【レギンほどの人物ならば対処に困ることはない筈だが――或いはアンジェルからの挑発か何か、か。】

56名無しさん:2013/09/01(日) 22:01:55 ID:FAA38KFA0
>>51

【くるり、銃弾を放ち終えたなら彼女の体勢が反転、正位置に戻る】
【半身を向ける形で、空っぽのマガジンを地面へと落とし、新たな銃弾を装填する】
【向ける横顔はとても静かで、それこそまるで氷が如く】

【斜め下方向へと傾く銃身、鎮座する騎士の手に握られる大剣のよう】
【細雪のように静かな頬の色は、霧氷のように静かなプラチナブロンドに溶ける】
【その様子を美しいと形容するのであれば、彼女は狙撃手の名すら捨ててしまうのだろう】


……良いよ、狩人って言うのならね、見せてあげるの
ホントの狩りが、どれだけ凄惨で、どれだけ残酷で、どれだけ悲惨かって……
そうして初めて、銃を持つことが、できるから――――――


【くるりと再び身を翻す、真正面に向き直す彼女】
【やや開き加減の両足は、編上げブーツに包まれた細い足先をふらふらと揺らして】
【左手に握る〝GammaStrahlung〟の質感を、彼女はどこまでも大切にして】

【返す言葉はどこまでも静かな――――――まるで、彼女らしくない、と思えるほどに】
【冷たいマリンブルーの色合い、冬の寒空の下の海辺が如く、海原と呼ぶには淡すぎる】
【それこそまるで溶ける時期すら知らぬ初雪のよう、どこまでも純粋な彼女の姿】

【――――――故にその視線は、何者をも捉えてはいなかった】


っ……!!――――――熱……っ……速い……のっ……!


【相手にダメージを与えた隙のリロード、彼女の一挙手一投足はそこに集約していた】
【故にジ・エンブリオンの一撃を彼女は見きれなかった、決して注意を弱くしていたわけでは、なかった】
【誤算があったとすれば彼女が〝狙撃手〟であった、ということ――――――】

【彼女の見る世界は地平線よりも遠く、世界をも見透かしそうなその先の憧憬】
【直ぐ側にある雲間の刃に対応しきれるほど、良い目を持っては居なかった】
【翼をもがれた鳥は、地に落ちるだけ、それは彼女であっても、同義であって】

【放たれる熱戦が彼女の右の翼を燃やし尽くす、彼女の表情に焦りが見えた】
【重力に惹かれ落下する彼女、地面に激突する際に右腕を前へと差し出す】
【そして着地の瞬間に右側に転がることでダメージを軽減するのだろう】

【――――――軍隊育ちのなせる技、だがその代償として、立ち上がるのが遅れる】

57名無しさん:2013/09/01(日) 22:04:26 ID:Fs2rVboU0
>>52

突っ込んでくるかい………それならこちらも受けて立つとしようかッッ!!

【向きを変え、自身へと向かってくるマリオネットを視線に納め尚不敵に笑って銃弾を避けながら真っ向から迎え撃つ】
【ガゴンッ!!という凄まじい轟音と共にヨシュアにマリオネットが激突するが、ヨシュアはなんとかその場にふみとどまっている】
【激突した腹部や腕からはダラダラと血液が流れ出るが―――ヨシュアはまだ、笑っている。】

肉を斬らせてなんとやらってやつだよッッッ!!吹き飛べッッッ!

                ≪〝風撃疾走/エアリアル・ブラスト〟≫ッッ!!

【そして銃口をマリオネットの頭部へと押し付けるような形にして―――同時に銃口のの前面から魔法陣を発生させる】
【―――集約していく膨大な魔力………そしてそれを一気に解き放つッッ!!】

【銃口から放たれるのは風のエネルギー波、その威力はマリオネットの頭部を吹き飛ばすに足る威力だろう】
【加えてその先にいる高田をも攻撃に巻き込もうと考えている―――さて、どう乗り切る…?】




58名無しさん:2013/09/01(日) 22:15:15 ID:bqaXRJC.0
>>57

(回避間に合わない、か)

【膨大な魔力たしかに〔トリガー〕の頭部を破壊するにたりるだろう】
【だが、高野にはまだ武器があった】

ならこちらも、肉を切らせて骨をたたせてもらいやしょうかッ!!

【高野は隠し持っていた自動式拳銃をヨシュアの脚に向けて発射する】
【今度は良く狙っており回避は難しいと思われる】
【発射と同時に、風のエネルギー波を食らい〔トリガー〕の頭部を破壊し吹っ飛ばされる】
【さらに、高野も巻き込まれ後方へ吹っ飛ばされる】

59名無しさん:2013/09/01(日) 22:22:59 ID:ZCHlt7mo0
>>56

<……ハァァァァ……!>

【庇い立てたシュバルツガイストを解放し、起き上がるクロス・ザ・ルビコン。鎧――――『バーサークヘリオス』が、徐々に彼女のボルテージを上げていく】
【――――鎧としての機能と、もう一つ、そこには正にこの騒乱の張本人であるレギンが求めた、本当の機能が備わっている】
【即ち――――装着者の、感情の操作。強敵であるソニアを前にして、まだ前へと踏み込み切れてなかったクロス・ザ・ルビコンの瞳に、不自然な程唐突に、凶暴性が集っていた】

……何とかは兎を狩るにも全力……そう言いたいのかしら……!?
私たちを、そんな無力で甘い存在だと考えているなら…………いずれ絶え果てる事になるわ……私の父の様にね……ッ!!

【初めから、ソニアは自分たちを『単なる敵』以上の存在と見做していないのだろう。あるいは『抵抗してくる獲物』程度の、動物を前にした感覚を持っているのかもしれない】
【だが――――もしそれが事実なら、シュバルツガイストは絶対に認める事は出来なかった。自分たちを兎か何かの様に思っているのなら、それは絶対に否定しなければならない】
【ライオンは野牛に殺される事がある。相討ちになり、その角で刺し貫かれて、獲物に殺される事があるのだ】
【狩人だって同断だろう。ソニアが自らを狩人と言うのなら――――自分たちは、それを返り討ちにしなければならない】
【それが――――自ら望んで人間である事を捨てた、シュバルツガイストの全てとも言えるのだから】

「……分からない、1人ぼっちの、スナイパー……? ……僕らは、あくまで1つの、チームだよ……?
……孤独に狩られる、獲物なんかじゃ、ない……………………孤独な狩人を、取り囲んだ、プレデター(肉食獣)だよ……!」

【両腕を失い、自ら放った高熱の余波と、腕の欠落に苦しげな呼吸をしながらも、ジ・エンブリオンは晴れ晴れとした笑みを浮かべる】
【足の損傷を手伝い、その場に膝を付きながらも、彼はハッキリと自分たちを『チーム』であると口にした】
【数の優位――――そこにチームワークが加われば、力は倍化――――あるいはそれ以上に増加していく】
【前回の戦いでは、シュバルツガイストの怒りが、他の2人の助力をすら断ち切って1人で戦わせていた。だが今は、彼らは3人の戦いの本分を、発揮する事が出来る】
【そこに賭けた強烈な一撃は、見事にソニアの翼を奪う事に成功したのだ】

ッッ!! 今よ行って、クロス・ザ・ルビコン!!
<ガァァァァァァァッッ!!>

【体勢を立て直しながらも、ソニアが逆に体勢を崩す姿が、シュバルツガイストには見えた】
【咄嗟に、現在最も状態の良いクロス・ザ・ルビコンに、ソニアを追撃させようと指示を飛ばしたシュバルツガイスト】
【――――興奮状態にさせられていたクロス・ザ・ルビコンは、ウォークライを叫びながらその手に、節を持った剣――――『蟷螂剣』を抜き放ち】
【倒れたソニアを追撃せんと、思いきり振りおろした――――狙いは右肩。腕を痛めさせてしまえば、もう銃を使う事が出来ないだろうと、そう考えたのかもしれない】
【そして、真っ向から急所を狙わなかったのは――――やはり、捕食者としての本能――――なのだろうか?】

……私たちは…………負けはしない…………!

【立ち上がりながら、両肩・両腰からエネルギー砲台を展開して構えるシュバルツガイスト】
【もし、クロス・ザ・ルビコンが仕損じれば――――前の戦いと同じ、自分が矢面に立つ事になるのだ】

60名無しさん:2013/09/01(日) 22:25:38 ID:fA3aUeqY0
>>48

【梔子―――― 櫻の姓だ。死合う或る種の礼というべきものか、その名乗りと銘とが耳に届いて】
【ふ、と応じる様に橡色が和らいだ。】

……八攫 柊。剣の名は金翅鳥――――――――……私であり、私となった櫻の一刀。

殺すことも人を斬ることも、その興味には程遠い。
この剣に懸けた誓いゆえに生きて、斬り裂く―――――……その道を阻むために此処にある貴女が、もしも正義を謳ったとしても。
…………ただ、それだけの事だ……!

【少女が名乗りとともに返すのは、彼女にとってただの事実、】
【……求める“目的”。それさえ果たせたのならば、異なる“正義”にもそれは刃を揮うのだと】
【修羅の在る世界が紡がせていた。それは、彼我に奇妙な相似を見せたのだろう】
【…………だが感じたものは埋め難い違和、】

(――……強者、か。  )

【――――― その響きに覚えた虚無を、再び殺して“機能”に徹した。】

【構えるように振り抜く右手。その前腕に顕れるのは、継ぎ目のない漆黒の鎧だ。手の甲にまで張り出した先端部が、三角形に耀きを映して】
【―――― 同時、もう一つの変化が訪れる。】

【霊鳥の形をした炎が虚空より生じ、その内より赤熱の如き光が浅い孤を描きながら伸びる。少女が其れを両手に取り、】
【その光が纏う、黄金の火の粉が音無く爆ぜ散って。現われたのは―――何処までも清冽に美しい、古様の白銀の太刀だった】
【冷たく澄んだ刃の輝きは無謬。極限域の鋭利さを持つ刀身には金象嵌が施されて、】

―――――――――――……はぁあッ!

【刹那それら陰陽は融け合って一つの斬光と化した。異様な速度の踏み込み―――――― そこから放たんとする横一文字の一閃。】
【真正面からではなく、一つの動きとして右に跳び、攪乱を図りつつ行う“本命”の接近―――――、】
【……“創虚” の間合いの内側へ、一挙に踏み込まんと突破を図る】

【一連の強襲は叶うのか。或いは、中途で迎撃を受けるのか。】

【少女の揮う刃は並みの一刀ではありえまいが、“創虚”で受ける事ならば可能なのだろう】
【……ならば、これは彼我の力量を識るための問答だ。少女の動きを捉えきる事は能うか、どちらかが受けに回ったとして、どれだけの重圧が襲うのか――――、】

【速度は大、だが初撃ゆえか“受ける”ことも困難でない。】
【何より間合いに大きな差がある――――― 脅威に触れるのは濃藍が先か、】

61名無しさん:2013/09/01(日) 22:26:06 ID:nt9fR7G60
>>53

てめーらに礼儀を語られたくはねぇな

…はん、やっぱり大人しく聞きはしねぇよな
いいぜ、こちとら毎晩百人分の仕事してんだ、楽勝だぜ

【向けていた刀を引き寄せ、背を撫で、一振りすると怠そうに肩に掛ける】
【刀の背で肩を軽く叩くと、溜息をついて虚ろな視線を投げ掛けつつ、コルトガの変化にも臆さず歩み寄り始めた】

知ってるか?巨大化っつーのは負けフラグだぜ?
大体たかが数m程度、なんで……も…───

【黒煙に巻かれて巨大化した、だからどうした?こちとらロボットだの巨大な化け物だのとやり合っている】
【それくらいで───と、啖呵を切るも、巨大化に釣られて視線を上げるにつれて勢いが段々と無くなって…】

…で、デカくね?

【最早、今までの余裕は吹っ飛んだ。苦笑いしか出ない】
【どうしようか考える───為に頭を切り替える暇も無く、ミサイルポッドから次々にミサイルの雨嵐が襲い掛かるッ!】

う、うおおおおおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぁ!!待て待て待て無茶言うなオイ!!

【ダッシュで逃走、選ぶ手札はそれ一択】
【コルトガを回り込むように走り、ミサイルから逃げながら何か足掛かりを探す】


【…余裕なんて全くないが】

62名無しさん:2013/09/01(日) 22:37:09 ID:Fs2rVboU0
>>54

【あの時とは違う―――様々な経験を乗り越えた強さを持ったギアボックスの信念の眼差しを受けて、一度「ほう」と声を漏らす】
【レギンも相手の変化を感じ取ったのか、先ほどまでのあざ笑うかのような高笑いは止めて鋭い眼光でギアボックスを睨みつける】
【―――〝敵〟として相手を、獲物を認識したような鋭い眼光のまま一歩、前へと踏み出す。】

【デコイによって躱された大蛇は、そのまま元の魔力へ還るように消滅していく―――どうやら持続性はそれ程ではないようだ】

フフ………どうやら口だけではないようですね………それに―――その身体、〝私と同じ〟………ただの〝器〟ですか
貴方も人の身を捨てた〝人外の魔人〟へと変貌したと言う事ですか………これは面白い。

後でじっくりと観察させて貰うとしましょうか………っとその前に。

ショーを活性化させる新たなパフォーマーを追加しましょうかッッッ!!

【ギアボックスの肉体を絡み付くように見ながら分析し、〝自身と同じ〟といった表現をする………この男の肉体もただの〝器〟なのか?】
【そしてギアボックスから放たれる攻撃に対し、回避行動も防衛行動もとらずそのまま直撃しようと―――】

【ド ゴ ォ ォ ォ ォ ォ ン ッ ッ ッ ! !】【凄まじい音と共に〝黒い雷撃〟が降り注ぎ、〝パンチング・ガン〟を焼き払う】
【そしてその黒い雷撃はそのままギアボックスの元へも、頭上から放たれるッッ!!―――これは以前ルルーメンで見た………ッ!】

>>55

おやおや覚えて頂いて光栄ですよ………いやーあの時はいい〝実験〟になりましたよ………クク
それはそうと――どうやら貴方も〝人の理〟から外れた存在になりつつあるようですね………その〝刀〟が引き出しですか?

全く。〝人間離れした化物〟ばかりでほとほと困り果てますよ………これはリリア嬢もコーネリアスさんも退場するわけだ。

【自身の放った〝魔眼〟をはねのけ、さらに黒い大蛇を一瞬で両断する姿を見て、肩を竦めて苦笑しながら視線を送る。】
【そう、この場には人の身を超越した存在が集っている―――だがその二人を相手にして、まだこの男は嗤うのである】

いえ………貴女が〝風の国〟の一件の際に一緒にいた〝ある男〟のついて少し知りたくなりましてね
まぁどこかでのたれ死んでいると非常に助かるのですが………どうやらまだ〝健在〟のようですからね………。

少し気になってしましまして………ああ今答えなくて結構。―――後でじっくり〝頭の中〟に聞きますから………クク。

【あの男とはつまり〝金獅子〟の事だろう………どうやらレギンとは浅からぬ因縁があるようだが―――。】
【レギンの声色からは少し警戒したような印象も受ける】

【そしてアンジェルから放たれた〝飛ぶ斬撃〟に対しては無造作に右手を振って打ち払う………わずかに手の甲にかすり傷が出来るが、それだけだ】
【それからユラリと体を前に進めると―――次の瞬間ッッ!!】

【凄まじいスピード、それこそ目に留まらぬような速度で向かってくるアンジェルに接近、そのまま右脚で腹部を蹴り上げようとするだろう】
【まさに疾風迅雷の一撃………凌げるか。】




63名無しさん:2013/09/01(日) 22:39:18 ID:FAA38KFA0
>>59

【地に落ちた天使が、地に伏せた少女が、ゆっくりと姿勢を上げるのだろう】
【表情には焦りが見えていた、マリンブルーに弱々しい色合いが浮かんだなら】
【ハァハァと肩で息をするその形、上下する小さな身体は悲しいほどに精一杯で】

【それでも両足を肩幅に開いて、前のめりになりながら左手の銃を強く握りしめる】
【強い――――――目の前の三人は明らかに、以前戦ったよりも強かった】
【けれども負けるわけにはいかなかった、負けられない理由が、そこにあるから――――――】


……っ……ソニアはね……知らないの……貴方達の、お父さんが……どんな人かって
それにね……それに……考えてないの……無力だなんて、そんな甘い存在だなんて……
怖いの、とっても……震えるの隠すの、できないぐらい……

人の生命を奪うのも、人に生命を奪われるのも……とっても――――――とっても
でもね、それでいいと、思うの……恐怖のない、狩人なんて……ただの勘違い、さん
――――――恐怖を持って初めて、人は、狩人で、あれるの……


【〝チームワーク〟との言葉、なるほど、と心のなかで同意するだろう】
【狙撃手はどこまでも孤独だから、その仕事上、仲間とも離れて行動し、決して信頼はされない】
【だからこそオーバーワーク気味とも言えよう、どんな状況に置いても、全てのことを一人でしねばらならないから】

【もがれた翼、地につける両足、触れれば砕けそうなほどに――――――精巧な硝子細工のような少女】
【銀雪とも思えるその素肌に僅かな汚れが滲んだなら、処女雪を穢す雑多な足あとにも思えて】
【岸壁に咲いた雪月花のよう、護る手さえも、そこには無いように、思えた――――――けど】

【なんとか立ち上がった、けれども体勢を整えるよりも速く、クロス・ザ・ルビコンが彼女に迫った】
【翼をもがれた狙撃手に対抗できる相手ではなかった、踏みしめられる雪の果てを怯えながら待つだけ】
【――――――ただそれだけの、ことでしかなかった――――――】


――――――……分かるよ〝その程度〟……チームワークだなんて、初歩の初歩
三人が相手だったら、どういう風に役割を分けるか、どういう風に攻めるか
そんなものずっと、貴方達が遊んでる頃から叩きこまれてるの――――――!!

Не lick выпускник армии!!
(軍隊育ち舐めてんじゃないよ!!)


【やや俯き加減の彼女の顔が上がった、月を見上げる確かな百合の花のよう】
【両足が地面を踏みしめる、振り下ろされる〝剣〟それが彼女の身を抉るより先に】
【左手で握る銃を強く、強く――――――確かめて】

【貴方の剣が彼女を抉るより先に、彼女は〝GammaStrahlung〟の銃身をクロス・ザ・ルビコンの腹部に突き立てようとするだろう】
【長い長い銃身はさながら槍のよう、これ以上ないタイミングで放たれるその一撃は、軍隊格闘の一種と言っても良いだろう】
【成功したならそのまま引き金を引くだろう、銃弾が発射される代わりに凄まじい衝撃が、そこで爆発する】

64名無しさん:2013/09/01(日) 22:51:08 ID:bojIptn60
>>61

どうしタ?逃げるだけでハ勝てんぞ?
やはり、お仲間ヲ連レて来た方ガ良かっタのでハナいカ?

【骸骨がカタカタと、まるで笑うかのように揺れる】
【ミサイルが柱や機材などの障害を次々と爆破していく】

【男がしばらく逃げると、ミサイルの発射を停止する】
【あたりは一瞬でデコボコになり、あちこちで煙があがっていた】
【そして、骸骨の乗った兵器の下部から熱風が吹き出す、おそらく、排熱しているのだろう】

【熱風の為に、近づくことは出来ないが、遠距離からなら攻撃も出来るだろう】
【もっとも、生半可な攻撃ではその分厚い装甲を破ることは出来ないだろうが】

65名無しさん:2013/09/01(日) 22:52:12 ID:Fs2rVboU0
>>58

フフ………これで君を守る兵隊はいなくなったわけだね………それじゃあ……本丸へ……!?


なッッッ!!しまっッッ……!

【〝トリガー〟の頭部を吹き飛ばし、手ごたえに顔を弛めながら高野の方へと視線を向けた瞬間、自動式拳銃が目に入る】
【先ほどのダメージと、加えてマリオネットを撃破した事による油断が、回避を遅らせた―――。】

【ドンッ!!という音と共にヨシュアの右ひざは撃ちぬかれ、ガクンとそのまま地面についてしまう】

グ………くそ、何をやっているんだ僕は………こんな油断をするなんて………勢いに乗っていたからか…!?
だが―――まだ、まだだッッ!!まだ終わってはいないさ!!

                 魔力回路………全力解放ッッ!!

【おびただしい量の血液が流れる膝………もはや立つ事もままならないだろう、だが未だその瞳は戦意を捨ててはいない】
【同時に放出される碧い魔力………それによってか高野の両脇の空間が歪み、まるで鏡のように風景を反射するようになるだろう】
【ヨシュアはそこへと向けて両手の銃から銃弾を放つ………狙いは高野から外れて―――だがッ!】

【その鏡のように変化した空間に銃弾が到達した瞬間、それがまるで鏡に反射した光のように軌道を屈折させたッ!】
【これにより二つの弾丸は一斉に高野へと向かう………挟み込むような銃弾をどう回避するッ!?】




66名無しさん:2013/09/01(日) 22:54:19 ID:ntPf9zXA0
>>60
ふむ、と自分と同じ櫻の姓に一瞬反応する。八攫。さて、聞いたことが有るような無いような。
が、ただそれだけのこと。同じ国の出だからどうしたというのだろうか。唯、斬るだけ。

「ほぉ。まるで、剣に取り憑かれたかのような。修羅と呼んだほうが正しいか?」

彼女が口に出す『目的』は、例え女が何であっても、道を阻むなら斬ると、そういった物か。
この際、女が尋ねるまでもない悪で有るというのは、言わずとも彼女には分かっているだろう、女は口に出さず。

その言葉に確かな重さを感じた女は、哂った。吹き出しそうになる物を堪えるように、静かに哂った。

現れる漆黒の手甲と、黄金色の炎が生み出した刀。奇しくもこの階層、同じ武器を持つ物同士の対決となりそうだ。
白銀の刀身は、今にも女を斬り刻みそうな光を生み出しているように見えて、女は少し、目を細めた。
対してこちらの刀身は、柄も、鍔も何もかもが黒。光など反射しない、吸い込まれそうになるほどの漆黒。
――――――何かしら考え事なのか、数秒女は目を閉じて、傷の入っていない左目だけを、カッと彼女へと向けた。


(――――――疾い……ッ!!)

それを女が捉えられたのは、長年の剣士としての勘のおかげでも有るだろう。コチラから見て左に跳びながら空を掛ける、煌く太刀。
一文字を描くように横へと振るわれたその閃光は、しかし女の体へと到達する前に『創虚』の刀身で受け止められる。
異様なほど長いそれは自らを守る巨大な盾としても機能しているようで、だが女はその剣撃の重さに目を見開いた。

それもまた一瞬。その長大な刀を動かそうと、女は強く強く柄を握る刀へと力を込めた。
動かす方向は上。彼女の『金翅鳥』を上へと弾き飛ばそうとする算段か。そしてその持ち上げた―――いや、振り上げた『創虚』を、一気に彼女へと振り下ろさんと。

刀身こそ大きいが、女もまた初撃ということで様子見のためか、隙は大きい。後ろへと下がることも、追撃を加える事も可能だろう。
ただ―――振り下ろした『創虚』が地面を叩けば、其処は大きく凹むこととなるのだが。

67名無しさん:2013/09/01(日) 23:02:30 ID:ZCHlt7mo0
>>63

(……あいつ……ただのスナイパーなんかじゃ無い…………能力者だから、って言う以前に……!
……こっちも、余裕なんて見せられない…………早く、撃滅しなきゃ……!)

【数の優位を用いて、ようやくここまで互角の戦いを演じる事が出来る――――今までの感情が時間によってある程度冷まされると、シュバルツガイストはその事実に気づき、また違った焦りを感じる】
【――――今さらながら、認めない訳にはいかない。ソニアは強い。スナイパーとして確かな能力。それを引き上げる、スタイルに絶妙にマッチした能力】
【だが、何より――――戦場での、根本的な地力と、技術。それを確かに備えている】
【そう言う人間は『戦士』と呼ばれるものだ。ソニアは、紛れもない『戦士』だった】
【ここにきて、ようやくソニアの等身大の実像に行き当たったシュバルツガイストは、その事実に知らず口元を引き攣らせていた】

「……何を、言ってるの……ソニア……?
人の命を奪う……そんな事に、恐れてなんていられない…………怯える指なんかで、引き金なんて、引けないはずでしょ……?」

【相変わらず、苦しげな呼吸を繰り返し、ようやく少しづつ細胞を増殖させながら、ジ・エンブリオンはソニアの言葉を拾い、訝しげな表情を覗かせる】
【――――戦いにおいて、感情や本能を戦闘目的と一致させ、強力な戦意を生みださせる兵士】
【わざわざ人間を『食人鬼兵』へと改造する、一番大きな理由は、そこにあった。戦う事そのものを、本能的な欲求と一致させる事に】
【だからこそ、それを忌避して捨て去った彼らには、ソニアの語る言葉の真意が、分からない。少なくとも、見た目通りに幼いジ・エンブリオンには――――】

――――甘い、甘いのよ!! 高潔であろうとして、敵に手心を加えて、そして死んだのよあの男はッ!!
あなたも、同じ様に殺してやるわ…………何度でも言う……負ければ等しくクズだってね!!

【砲台を展開し、クロス・ザ・ルビコンに遅れながらも駆けだしたシュバルツガイスト。だが今度は――――己の思いの丈を、叫びと化して吐き出す事に、躊躇しなかった】
【そこには――――シュバルツガイストが『食人鬼兵』となる前の、そして正にその時の、強烈な思念がパルスとなって焼き付いていた】
【狂気に駆られているクロス・ザ・ルビコンとは違い――――それこそが、正にシュバルツガイストを押している、戦いの理由なのだろう】

<!?>

【振り下ろされた剣――――だが、それを振り切る前に、ソニアの向けた銃口が、自分の腹に突き刺さる事を知覚するクロス・ザ・ルビコン】
【だが、その動作は今さら変えようがない。意識と肉体は、常に100%ぴったりと寄り添っている訳ではないのだから】
【――――既に、引き返せるポイントを、振り下ろされようとしている『蟷螂剣』は過ぎていた】

<――――グゥアアアアアァァァァァァ――――ッッ!!>
なっ…………ば、馬鹿な……!?

【ゼロ距離射撃を腹部に負い、思いきり吹き飛ばされるクロス・ザ・ルビコン。身に纏っている『バーサークヘリオス』の腹部には、大きな損傷が見えて】
【そこから、鮮血をまき散らしながら、クロス・ザ・ルビコンは数秒宙を舞い、そして地面に投げ出される】
【その光景を――――信じられないと言った様子でシュバルツガイストは見ていた】
【――――銃を専門に扱う人間でなくても分かる。銃口に、あるいはその目の前に何かがふさがっている状態で銃を撃てば、銃弾の衝突のエネルギーがすぐそばで暴発する事になる】
【謂わばそれは、自爆と隣り合わせの一撃で――――いくら進退きわまったとはいえ、そんな無茶を行う事が信じられなかったのだ】

<グォゴ……ァ、ハガッ……>

【仰向けに地面を転がったクロス・ザ・ルビコンの口から、圧縮された息と共に、血液の飛沫が飛び散る】
【腹部への一撃は、かなり重篤なダメージとなった様子で、すぐには立ち上がれそうもなかったのだ】

68名無しさん:2013/09/01(日) 23:08:45 ID:U3ha9gIM0
>>62

【飛ばした斬撃が弾かれる――「やはりか」と思いつつ、アンジェルは直ぐに思考を切り替える】
【相手の言葉に反応するでもなく、続けざまの攻撃をどうするか、でも無かった】

【考えたのは〝防御〟である。というのも、レギンの――以前のスワンプマンの戦い方は】
【一部では傀儡を使ったとはいえ、体術や先ほどの大蛇の一撃に似たものが主であった】
【同一人物なら『戦闘のクセ』が存在する。となれば、自ずと次の展開は想像出来る】

【――結果は、正解だ。アンジェルは相手が一挙に前進するのを確かめると直ぐ様胸元のバッジを手に取った】
【行われるのは〝召喚〟。喚び出されるのは〝獅子〟――意趣返しとでも言いたげな選択である】

【その獅子は体高1,2mほどで、成体にはまだ遠い。それにしても、何処で仕入れたのだか分からないが――】
【件の獣は召喚されるや、蹴りとして繰り出されるレギンの右足へ喰らいつこうとする】
【勿論、そのまま蹴り抜かれれば頭部ごと吹き飛ぶのは必然。レギンからすれば障害にすらなりはしない筈だ】
【だがアンジェルからすれば、時間は稼げる――少なくとも自分への直接攻撃を防ぐ事ができるわけである】

(問題はここからどうするか……!単純な接近戦じゃ勝てないのは目に見えてる……とすれば)
(まだ使いこなす以前に、不安はあるけど……〝お姉さま〟の力を借りて、奇策に出るしか無い……!)

っ……フフッ。彼の事が怖いのかしら?六罪王が、ただの男性一人を?
別に貴方が執着するのは良いけれど……、…―――眼前の相手を侮らないで欲しいんだけど―ッ!!!

【言葉の直後、アンジェルは盾替わりの獅子の、その影から刀を〝両手〟で構えて躍り出た】
【狙うは妖刀によりレギンを袈裟斬りに切り倒すこと。相手の左肩から右脇腹へ刃を振り下ろすのである】

【―――ところが其処にもう〝二撃〟ほど、追撃があった。場所は、アンジェルの左右から】
【果たして、レギンであれば捉えられるだろうそれは〝髪の毛〟――朱いそれが、まるで刃のように】
【いうなれば『ペンデュラム』のように固まって、ちょうど下方から〝X〟を描くように迫るのである】

【その正体は、言わずもがな妖刀の気――言わば『妖気』によるものであり、切れ味は真剣にも劣らない】
【〝髪を自在に操る能力〟とでもいおうか。計すると三つの刃が、レギンの肉体を切り裂こうと一挙に迫る】
【刀を両手で持ったのもこの奇策の為。両手ならば更なる策はないだろうと、そう思わせるため――!】

【しかし、だ――もしもこれを避けられると、獅子の召喚に妖刀の力といった大火力を放った直後に】
【アンジェルが如何に心を強くしたからといって耐えられるか、隙を作らないかといえば――そうではないと、記しておく。】

69名無しさん:2013/09/01(日) 23:11:48 ID:nt9fR7G60
>>64

くっそ…舐めやがって…

【次々に後を追ってくる爆風を、地面を転がる事でダメージを抑え、砂埃に噎せながら悪態をついた】
【ミサイルの掃射は止んだ、しかしあの巨大な体に加えて甲殻となれば、簡単にダメージを与えられるようには見えない】
【弱点らしきものとなれば頭だが───近付くだけでも一苦労そうだ】

うおぉぉぉ!あっちぃぃぃぃ!!

【安心する暇もない、ミサイルが終われば熱風がラッシュを襲う。防御不能の熱エネルギーが体を包み込むのだ】
【左腕で頭をガードして踏ん張るが、このままではいつかは消耗してやられてしまう】

【せめてもの反撃───刀に赤黒い光を纏うと、地面に先端を突き刺した】
【その瞬間、赤黒い光が稲妻のように地面を滑り、コルトガの右前脚に向かって行く】
【光が何かに当たれば、その瞬間地面を滑る光が巨大な牙のような形となり地面から飛び出す。まずは足元を崩してみる魂胆だ】

70名無しさん:2013/09/01(日) 23:12:30 ID:esWFXgE60
>>62
【レギンの嘲笑が、止まった。自分の変化を感じ取ったのか。その鋭い眼光】
【それは、確かに自分を取るに足らない獲物ではなく、明確に敵として認識していた】
【さすがに六罪王、相手が以下に格下であっても、戦闘者相手に油断はない】

【そこまでをわかってなお、ギアの視線は揺らがず。しっかりと蛇の眼光に人形の瞳で対峙した】
【視界の端で、大蛇が雲散霧消したのを確認し。改めてレギンへと意識を移す】


〝私と同じ〟……? お前の身体も、人の物じゃない、のか

でも、〝人外の魔人〟なんて大層なものじゃない。僕は、〝生き人形〟だ
人形にだって、魂は宿る。魂さえあれば――魔人とだって、戦える

【レギンの言葉に眉をひそめる。圧倒的な存在感を持った眼前の男の身体が、ただの器に過ぎないというのか】
【だとすれば、この男は一体なんなのか。恐らくは、最早人ではないのは確かだろう。肉体を捨て、魂だけの存在、とでもいうのか】
【そんな相手を、どうやったら倒せるのか。傍らの女性に放った、〝人間離れした化物〟という言葉は、なにより彼に当て嵌めるべきだろう、などと思いつつ】

【そんな思考を、雷鳴が掻き消した】


ぐぅっ!!

【地下で、落雷。常識など、六罪王の前では通用しない。〝黒い雷撃〟が『パンチング・ガン』を消滅させる。主を失ったワイヤーが地面に落ちる】
【次の瞬間、視界を埋める光。頭上から降り注ぐ、とわかった時にはもう身体が横へ跳んでいた】
【しかし、その凄まじい速度と威力から完全に逃れることは叶わず。左足を一部焼かれる】

【人形の身ゆえに、肉は焼けず、出血もない。しかし、人形の足は焼け、内に宿るギアの魂は苦痛に蝕まれる】
【機動力低下。戦闘においては致命的。だが、諦めるわけにはいかない。左足をわずか引きずるように体勢を立て直す】


(ルルーメンの時と同じっ……!! 黒い稲妻……でも大丈夫だ、まだ動ける!!)

【フラッシュバックする悪夢。無力な自分。猛威をふるうNo.2の少年。そして、自分の首に手を駆ける蛇の王】
【それら全てを振り払い、闘志を滾らせる燃料へと変えて】


『サプライズ・キューブ』!!

【両手がそれぞれ逆側の肩に突き込まれ、引き抜かれる。一連の動作のスピードも、わずかながら早くなっている】
【右手に握られているのは、プレゼント包装をされた箱が一つ。左手は、握り込んだまま中は見えない】


【左手が、地面に向けて振るわれる。そこから解き放たれたのは、色とりどりのスーパーボールが数個】
【玩具としての領域を超えた不規則な跳躍をしつつスーパーボールが向かっていく。アンジェルに超高速で肉薄してたレギンへ】

【玩具武器、『スライムボール』。不規則に跳ね回り、やがてターゲットへと収束する。命中すれば、スライムのような粘着性の液体となり】
【相手の体にまとわりついて、行動を妨害する。アンジェルに接近しているレギンの動きを阻害して、アンジェルの反撃をしやすくしようとしたらしい】

【右手の『サプライズ・キューブ』はまだ握ったまま。今放てば、アンジェルに当たる恐れもある】
【まだ痛みを訴える左足をかばいつつ、ギアはレギンの動きを目を皿にして追っている。隙あらば、『サプライズ・キューブ』の鉄球を叩き込むために】

71名無しさん:2013/09/01(日) 23:17:15 ID:bqaXRJC.0
>>65

なら、こちらも最終手段をとりますかねえッ!!
           
                     武装パージッ!!

【そう、高野が叫ぶと〔トリガー〕のさまざまな武装が外れてゆく】
【まず、両腕が真っ二つに外れ、中から〔トリガー〕より一回り小さな腕が出る】
【そして、胴体がまるで川が真っ二つになるように綺麗にはずれた】
【次にキャタピラが吹っ飛び、二足歩行の脚が見える】
【最後に破壊された頭部から、新しく頭部が出てくる】
【なぜ小さいほうの頭部は無事かというとその頭部はパージされる前の頭部に守られていたからである】

【そして、その姿は貴公子のような姿だった】
【名は〔スカイ〕と言う】

【そして、〔スカイ〕は飛んでいる剣をつかみ、高野の方へとダッシュした】

【屈折した、一方の弾丸は高野の胴体に直撃した】

…ごはッッッ!!

【しかし、もう一方の方の弾丸は〔スカイ〕の持った剣に防がれたしまう】

……ッ!!……ハァ…ハァ

【高野は肩で息をしつつも気合で立つ】
【しかし、高野も相当にダメージを、負っている】

72名無しさん:2013/09/01(日) 23:20:27 ID:FAA38KFA0
>>67

【それは最早〝狙撃〟と言った技術でも何とも無く、もっと荒っぽいやり方で】
【彼女の左腕へとかかる負担は、それこそ狙撃手の許容範囲を超えていて】
【クロス・ザ・ルビコンを吹き飛ばしたなら、かくんと膝を折りかけるだろう】

【右足を外側へとついて、踏みしめる、その小さな背中】
【指先で触れれば消えそうなぐらい、雪よりも儚いその姿をどこまでも消さずに】
【マリンブルーだけが漣の中、ずっと消えずに瞬くように】


……うん……そうだよ……でもね、それでも、引かなきゃ、ならないの
恐れてるから、奪いたくないから……だから引く引き金もあるの……
それが狩人の条件、たったひとつの残酷な……条件なの

――――――ソニアはだから狙撃手なんだよ
人の生命を奪いたいならね、兵士になれば、いいんだから……
絶対に、絶対に……もう誰も、殺さない――――――から


【彼女の言葉の意味、自身を狩人と称し、貴方達を狩ると言っていた言葉の意味】
【彼女にとっての狩りとは殺戮ではない、相手を無力化し、武装解除させること】
【根本的な認識の違いであろう、彼女は最初から殺すつもりでは戦っていない】

【手加減などではない、むしろ精一杯――――――限界ギリギリの綱渡りでもあった】
【ソレほどのことをすると云うことはつまり、ソレほどの理由があるということ】
【咲き続ける雪の華が、溶けない意味を、分かって欲しかった】

【返される言葉、その言葉を聞いて彼女は唇の端をぎゅっと噛み締めた】
【ソレは紛れもない本音であって、故に彼女は、その言葉を聞き逃したくなかった】
【負ければ屑、その言葉は彼女も何度も聞いた言葉、だったから】


違う……違うの――――――優しさは、潔さは……否定されちゃ、いけないの
それを否定できるのはね、その人たち以上にね、優しくて、潔い人だけ……っ
ソニアは……尊敬するよ……その、おとーさん……だからね……

貴方達が間違ってるってことを、証明するの――――――完膚なきまでに、論破したげる


【左手の銃口を向けるだろう、暴発したにしては無傷に近い〝GammaStrahlung〟】
【恐らく内部の鏡を使い衝撃を分散させたのだろう、故にクロス・ザ・ルビコンへのダメージも軽減される】
【両足で地面を踏んで、左手をすっと伸ばして銃口を向けても、なお、僅かに震えているのが見えるだろう】

【それでも彼女は引き金を引いた、銃声が弾け飛んだ、なら】
【左手を引くと同時に彼女の右手が彼女の目の前に翳される】
【その動きに連動して、シュヴァルツガイストを四方から取り囲むように四つの鏡が出現するだろう】

【彼女の細く小さな指先が舞い踊る、ピアニストが如く細く華奢な指先】
【閉じたなら、ソレが合図と言わんばかりに四方から銃弾が襲い掛かるだろう】
【狙いは足下――――――貫くことはできるだろうか】

73名無しさん:2013/09/01(日) 23:44:44 ID:Fs2rVboU0
>>68

【獅子が召喚され、自らに喰らいつかんと迫るが―――前回の熊と同様にその事など気にも留めないようにそのまま振り切る】
【が、その瞬間にレギンの脚へと>>70ギアボックスが放ったスーパーボールが付着し、動きが制限され獅子を撃ちぬくに留まる】
【どうやら当初の目論見ではそのまま、蹴り抜いたままアンジェルをも巻き込もうとしたようだがなんとか事なきを得たようだ………。】
【レギンはそこで一度間合いを取ろうとするが………。】


ッッッ―――!!
………やるじゃねェか小娘が………流石はあの〝金獅子〟のお仲間って所か………。

いいだろう………まずは手前を血祭りに上げて―――奴への見せしめにでもしてやるとするか………。

【最初に放たれた刀の一撃、それは後方に一歩下がるようにして回避するが、直後に放たれた〝髪の毛〟による攻撃は想定外だったのか】
【それが視認できる位置に出てきた時に回避行動を取るが………間に合わず、一つが頬を切り裂いてダラリと一滴血液が頬を伝って落ちる】
【レギンはそれを下で舐めとりながら、スワンプマンとしても見せた野蛮な口調と共に〝蛇の瞳〟でアンジェルを睨みつけて呟く】

【そして―――今度はこちらの番だとばかりに先ほどよりも〝速く〟………一歩を踏み出して両手を頭上に上げる】

おら………今度も上手く凌いで見せろ………戦いはまだこれからだぞ………?
               じぁねぇと―――ボロ雑巾になってこの地下深くで永遠に嬲り続けて殺すぞ………―――ッ!!

【ズズズズズッッ!!と振り上げた両腕に漆黒のオーラが集まっていき、巨大な蛇の牙のような形状へと変化していく】
【そしてそれをそのままアンジェルの両肩へと振り降ろす………同時に腹部へ右の膝蹴りを入れて壁際まで吹き飛ばそうとするだろうッ!!】

>>70

オイオイ………玩具屋、お前もただ突っ立てると………〝引きずり込まれる〟ぞ………それにな
                                   
                   ほら―――〝後ろ〟だよ………

【アンジェルへと攻撃を加えながら、自身へと攻撃しようとしているギアボックスの姿を視界に入れて、冷たい冷気のような視線を向ける】
【そしてギアボックスの背後へと―――視線を………】

                        【ダンッッ!!】

【直後に頭上から何かがギアボックスの背後へと落下してきた………そして背後には〝ソレ〟が放つ死の気配が………】
【視線を向ければ………そこには】



≪アー………アー………ッ!ヴァァァァアアアアアアアアァァァァァァァァァァァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア
 ガァァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッッ!!≫



【咆哮。ギアボックスの背後に落下したのは………白髪の少年………No.2としてルルーメンで猛威を振るったあの怪物が立っている】
【全身は赤胴色の鎧で覆われており、グルンと定まらずに動く視線、口からダラダラと流れる涎………あの時とは明らかに〝違う〟】
【ドンッッ!!〝ソレ〟は耳を破かんばかりの咆哮を放つと、そのままギアボックスの背後からその身体を尋常ならざる力で殴りつけようとするだろう】

【どうやら先ほどの黒い雷撃もこの〝怪物〟とかしたNO.2が放ったようである―――。】



74名無しさん:2013/09/01(日) 23:46:19 ID:bojIptn60
>>69

【排熱が終わると同時に、右前脚に光の牙が噛みつく】
【脚の装甲が5cmほど凹んだが、貫くまでには到らなかった】
【だが、僅かに揺れる巨体、ダメージこそ無いが脚に衝撃を受けたのが効いたのだろう】
【その攻撃を避けられなかったのも、やはりその巨体の為であろう】

ほう、なかなカの攻撃ダ
ならバ、今度はこちらノ番だな

【骸骨の乗る兵器の前面装甲が開く】
【そこには、先程のミサイルの約3倍はあるミサイルが並んでいる、その中の一つが飛び出した】

【先程のミサイルとは違い、速く、そして一寸も狂わずに敵を追尾するだろう】

75名無しさん:2013/09/01(日) 23:50:52 ID:ChoKtNPw0
>>66

……さあ、どう呼ぶべきなのかしら。
“正義”でないことは確かだけれど――――それ以外なら、特に拘りは無いわね

【……“目的”の如何によっては、それは正義とも為り得るのかもしれない。だが、少女はその可能性を否定していた。】
【拘りであり―――心の楔か。剣ほどに徹しきっていられたのなら、そんな無為はないのだろうが。】
【……美しい刃。銀が閃きを想わせるなら、黒は死を確信させるのだろう。】
【何れ、その意味の果たされるときは訪れて――――――、】


【爆発的な加速が生み出され、一気に彼我の距離を詰める―――――だが黒衣の剣士は眼で追っている、】
【迎撃される――――――予想の範疇だと対応して剣を繰るが、漆黒の伸びは確実に迅速い。】

【重なる風切り――――――――――― 金属音。刀身が斬撃を捉える音が、衝撃の激甚さを加えて炸裂した。】
【組太刀のかたちは巴に近い。だが、それも一瞬のこと。】


――――――――ッ……!

【旋風が解ける様にその拮抗が終わる。黒刀の跳ね上げた上方に、凄まじい勢いが柄越しに加わっていた。】

【――――― 悟ったことは“力”の質量の違い、】
【斬撃の威力こそ凄まじいが、少女の膂力は“それだけ”だ。持続的な力の大小に於いて、それは黒衣の女に遠く及ばない。】
【一斬に込めた力が効力を失すれば、あとは、見たままの細腕を示すだけで―――、】


【強引に跳ね飛ばす勢いが襲った―――――逆らわず空中で方向を反転、刀身を柄とともに留め置く、】
【だが振り下ろされる“創虚”はその隙にこそ割り込む。躱せない、】

……く……ッ!

【左に躱すが、刀身が右前腕の鎧甲を掠った――――それだけで痺れが右腕に、肩に、腱にまで走り、“無傷” だった筈の目論みを崩した。】
【少なくとも数瞬は使えまい。……警戒を、越えられたという事か。】


【右手を離して左手に刀を託す。……動きは、未だ停まらない。】
【全身を廻しての加速・抉り込む様に、さらに“創虚”の間合いの内側に踏み込まんとして】
【その勢いから放つのは斬撃後の右腕への斬り上げ――――手首を返して、そのスナップを利かせて放つ、斜め上への回転斬撃だった】


【……“届けば”、大きい。躰の動きも相応に大きかったが。】
【“かたちあるものを斬る” 概念を得た神速の剣、】
【―――――並みの重合金装甲程度ならば、薄紙同然に断割する。】

【……超常の切断能力を誇る太刀を、その剣速と精密性を以て最効率で運用する斬撃の嵐――――】
【それが少女の闘法なのだろう。それが、一瞬に総てを賭けるこの一手だった。】

【だが“創虚”ならば受け得るのは先の通りだ。加えて、今度は左手一つでの斬り上げ――――、】
【……“狙った”箇所に放てなければ、趨勢を決する一撃には程遠い。】
【躱されるか凌がれれば、一定の隙を晒す筈で――――、】

76名無しさん:2013/09/01(日) 23:53:58 ID:ZCHlt7mo0
>>72

「……!?
…………なんだ、それ……分からない……………………殺されかけて、それでも、殺さないなんて……
……死にたい、の……ソニア……………………殺されたく、ないなら……殺すんでしょ……!?」

【――――分からない。全く分からない。強化の弊害か、見た目以上に精神の幼いジ・エンブリオンには、ソニアの言葉は、どうしても解けない矛盾の様に響いていた】
【戦場とは、即ち命のやり取りをする為の場で。そんな所に居る以上、殺さなければ殺されるはずで】
【完全に『敵』でしかない自分たちを、殺さない様に戦っていると言うソニアの言葉は、ジ・エンブリオンにはどうしても理解できなかった】
【――――特殊な細胞の持ち主である為に、もはや2つの意味で人間を逸脱している彼には、無理からぬ話かもしれない】
【簡単な命なら、己1人の力で生み出せるジ・エンブリオンには――――生命の定義が、曖昧なものになりつつあったのだから】

…………許さない、認めない…………!!
守るものがあったのに、それを顧みないで、自分の生き方を貫いて、そして母さんやみんなを死なせたあの男をッ!!
背負うものがある人間が、そんな言葉を口になんてできるもんかぁぁぁッ!!

【――――何を背負っているのか。戦場に立つ人間は、みなそれぞれ戦場に立つだけの理由がある】
【望んで人間である事を捨てて、自らをサイボーグ化の材料として差し出したシュバルツガイストも、強さを求めるのに相応しい理由があった】
【――――自らを狩人と名乗り、ただの路傍の石として狩ると言っていたソニアにとっても、背負う理由と言うものはあるのだろう】
【だが、それは相容れないもので――――だからこそ、互いの意志を力に変えて、相手を否定する為に戦うのだ】
【シュバルツガイストの知る、全てを不幸に貶めた存在。それと近しい存在であるソニアを、シュバルツガイストは肯定する訳にはいかなかった】

(あの銃…………嘘だ、まだ使えるなんて……! でも…………ハッタリなんかじゃ無い、多分……そんな後の無いハッタリを、ソニアは仕掛けてこない……!
まだ使えるんだ、あの銃…………それに、どこからでも撃って来れるあの力も…………!)

【シュバルツガイストの打つ手は変わらない。とにかく接近しなければ、ソニアとの戦いは始まらないのだ】
【だが、接近しながらも、先ほどの暴発が嘘の様に銃を向けてくる様には、シュバルツガイストも一瞬気後れする】
【――――能力の実像からではなく、ソニアの気性故に。その銃がまだ機能を損ねていない事を確信し、それでもシュバルツガイストは進む】

うああああああああああああッッ!!

【接近が完遂しないうちに、再び現われる鏡。しかもシュバルツガイストを取り囲む様に。だが、シュバルツガイストは止まらない――――止まれない】
【ここから攻撃を仕掛けるなら、理想的なのは義足からの『ショットガンレッグ』だろう。だが、ソニアは恐らく、大打撃を食わせたその一撃を警戒しているはずで】
【それは、先ほどから展開している砲台からの射撃も同断。これでは、クロスレンジ以遠からの攻撃手段が、失われたに等しい】
【否――――まだシュバルツガイストの札は、種切れではなかった。その眼は、何も諦めてはいなかった。例え、刺し違えに近い形になろうとも】

【――――自らのスーツの前面をびりびりに破き、露出させるシュバルツガイスト。そこには、サイボーグ強化の結果として埋め込まれたのだろう、『箍』がいくつか突き出ており】
【そこから前方へ、まるで霧状に散布される様なエネルギーが発射される】
【――――本来、その機能『シールドオーラ』は、前方からの攻撃に対する防御、あるいは胴体部の砲口空の一撃をチャージする為の力場として使用されるのだが】
【敢えて、前方広範囲を薄く広く焼き払う為に、本来の仕様とは違う方法で攻撃として用いたのだ】
【例えソニアに直撃したとしても、到底致命傷には至らない。だが、不意打ちと合わせて、あるいは戦闘不能にする事は、出来るかもしれないと踏んで――――】

【そうして、完全に回避や防御を捨てたシュバルツガイストの足を、4発の銃弾はしっかりと捉える】
【ビシッ、ビシッと銃弾は鋼鉄の義足に叩きこまれ、その内1発は、左足首の関節を撃ち抜いた】
【しっかりと足を踏みしめていた為、前の戦いの様に反動で転倒するまでには至らなかったが、機動力はかなり制限されたと言って良い】
【思わず、『シールドオーラ』を停止させて、左足を折り曲げてしゃがむシュバルツガイスト。まだ戦力は健在だが、その足はかなり傷んでしまった】

77名無しさん:2013/09/01(日) 23:59:08 ID:Fs2rVboU0
>>71

グ………ハァ―――ハァ―――………強い、な………だが、まだ終わらない。
まだ僕は………生きている………〝獅子〟は………最後の瞬間まで、手は抜かないッッッ!!

            魔力………200%供給ッッ!!アアアアアアッッッ!!!

【肩で息をし、膝から血を流して崩れながらも最後の力を振り絞りもう一度銃口を高野へと向ける………そしてありったけの魔力を銃へと注ぎ込む】
【凄まじい量の魔力が循環する銃身はオーバーヒート寸前まで高まり、〝碧く〟………輝くッッ!!】
【全身全霊………全ての力を込めているのだ………そして碧の光も、魔力も臨界点へと達した瞬間………引き金は………引かれた。】

終りだ………名もなき〝傭兵〟―――これで堕ちろッッッ!!

                ≪〝獅子王碧閃/ライオネル・クルセイド〟≫ッッッ!!

【ドゴォォォォォォォォォォッッ!!という凄まじい轟音と共に、二つの銃口から獅子の形をした碧の特大エネルギー波が放たれる】
【その二つの〝碧い獅子〟は螺旋を描いて混ざり合おうようにしながら、高野、マリオネット、そして後ろに聳え立つ隔壁を吹き飛ばそうと迫るッ!!】

【正真正銘最後の一撃だが………果たして高野はこの脅威に対してどう相対する…?】


78名無しさん:2013/09/02(月) 00:09:04 ID:FAA38KFA0
>>76

【宵闇が深さを増した、包み込むいくつもの闘いの痕をかき消すかのように】
【交錯する思いと思い――――――突き立てるには少し、物足りないほど】
【こぼれ落ちたのは彼らの本心にも思えた、だから受け止めても尚、返せないぐらいに】

【霧散するエネルギー、彼女にとっては完全に予想外であった】
【四方を囲まれ銃弾が迫るのに〝止まらない〟――――――その姿に】
【言葉が出たのは少し後、エネルギーが彼女を撃ち抜いた、後で】


っ……ぁっ……くぅ……ぁ――――――


【限界であった、かくんと膝をついたなら、そのまま倒れこんでしまいそうな、ほどに】
【上がる視線、白雪の頬が歪んだなら、そこに浮かぶのはノイズの中に均等を刻んだかのように】
【動く度に身体の節々が痛かった、視界が白濁し、前が見えないくらいに】

【それでも、倒れることはなく、彼女の足は確かに地面を踏みしめた】
【落としかけた左手の銃を強く握りしめて、そしてそのまま、離さないように、と】


……これ以上……無理、みたい……だね……っ……
今のね、ソニアにね……貴方達に間違ってるって……言える力は、ないの……
でもね――――――間違ってるって思うこと、間違ってないの

護るものを護ること、それはね、とっても大切なこと……でも……
それでも曲げちゃ、いけないもの、あるの……ソニアには、否定できないな……
……生き方を曲げたら……何のために生きてるか、わかんなくなっちゃうよ


【彼女にとっての生き方、それは人を殺さないこと――――――】
【狙撃手として、銃を握りながら人の生命を狙いながら、それでも人を殺さない】
【矛盾であろう、それはどこまでも、相容れない言葉と思想と行動とが形を為す】

【けれども彼女は信じていたかった、彼女はソレをなさなければならないと】
【それは岸壁で歌い続ける鎮魂歌のよう、既に来ぬ難破船を待ち続ける】
【セレナーデと呼ぶには悲しすぎる歌声を、ずっと、そっと――――――】

【何とか地面を踏みしめたなら、強く蹴って、空中にジャンプするだろう】
【背中に出現する新たな硝子の翼、そのまま空中に腰掛けるように背中をもたれかからせたなら】
【マリンブルーの瞳を注いで、そのまま夜空へと飛び上がっていくのだろう】

【〝襲撃〟――――――その行為は、瀬戸際で食い止められた】
【けれども彼女は後悔はしないのだろう、この闘いの意味は、あったと信じたいから――――――】


/この辺りでしょうか!お疲れ様でしたー!

79名無しさん:2013/09/02(月) 00:13:39 ID:nt9fR7G60
>>74

チィッ!やっぱこの程度じゃ足ンねーか!!

【だが、ダメージは一応はあると見る。足りないというのは事実だが】
【巨体なら足元を狙うのはセオリーである、それに加えてあの形なら、倒してしまえばそう簡単には起き上がれないはずだ】
【一つの脚に集中攻撃で脚を崩す───狙いはそれであった】

…やるしかねぇか

【大きな一撃を食らわせてやりたい…が、あの強力な攻撃相手ではダメージのチャージすら難しい、一発一発が致命傷になりかねない】
【刀を構え直し、コルトガの次の動作に注意する。顔を出したのは巨大なミサイル───】

───無理かも

【あゝ無情、いくら心を折られまいと身構えようと、相手はそんな発想を簡単に超えて来る】
【打ち出されたミサイルが炎の尾を引きながら迫って来る、対するラッシュは回避や防御の構えを取らず、弱音を吐きながらも両手で刀を構えて】

【一閃ッ!】

【振り下ろした白銀の刃が紅い残光を引きながらミサイルをすり抜ける。刹那真っ二つに割れて分かれたミサイルが、ラッシュの両脇を抜けて飛んで行く】

【───が、次の瞬間ラッシュの背後で二つになったミサイルが爆発ッ!キメ顔のラッシュは背後からの爆風に吹き飛ばされるッ!】

【いや違う、ラッシュはこれを狙っていたッ!背後からの爆風を追い風に使い吹き飛んで、右前脚に向かって一気に接近ッ!】

ぅおおおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉるぁぁぁぁぁぁっっ!!

【雄叫びを上げながら右前脚へと、赤黒い力を纏った刀を突き刺そうとする。赤黒い力は刀に纏わり付き、その攻撃のスケールを一回りも二回りも大きくしているッ!】

80名無しさん:2013/09/02(月) 00:17:02 ID:esWFXgE60
>>73
【放った『スライムボール』は、レギンの脚に絡みついた。少女が召喚した獅子が撃ち抜かれ、しかしそれ以上には及ばない】
【そのレギンを、少女の髪の毛が襲う。彼女の能力なのか、それはわからなかったが】
【あの蛇の王が、血を流している。慇懃無礼な仮面をかなぐり捨てたレギンが、凶暴な本性を露わにする】

【その腕にオーラが集まっていく。今だ。ギアは右手の『サプライズ・キューブ』を叩き込もうと――】


なん、だって……!!?

【レギンの冷たい瞳と言葉が、『サプライズ・キューブ』よりも先に放たれえギアを貫いた】
【自身の背後へ注がれる蛇の視線。その瞬間。ルルーメンでの光景が、鮮烈に蘇った】


(……そうだ。あれは、あの男が……アベルが放ったものだった)
(でもあいつは、あの大聖堂で倒れて……)

【甘かった、と言わざるを得なかった。なぜ、最初に雷撃を食らった段階で気付かなかったのか】
【いる。その少年は、ここにいる。ナンバーズ現NO.2。アベル・バチカル・ハインライン――――!!!】

【そんなギアを嘲笑うように、頭上からの落下音。背後からの死の気配】
【ギアは、視線を背後へ向けた。そこに、いたのは】


な……!! なんだ、これは……!!
(前とは、明らかに違う……ジャッキーさんのように、何らかの改造を……?)

【現れたその白髪の少年。あの日、大聖堂で激闘を繰り広げ、四肢をあわや引きちぎられる寸前まで追い詰められた】
【しかし、記憶の中の彼とは違った。赤胴色の鎧。焦点が定まらない瞳。口からこぼれる涎。何かの中毒者かのよう】
【ギアの脳内に疑問符が跳ね回る。また、シレーナ島で死んだ仲間、ジャッキーのことが想起される】

【アベルも、レギンに何らかの改造を施されたのか。そんな考えが頭に浮かび、すぐに消える】
【次の瞬間には、鼓膜が破れるかというほどの大絶叫と、人の域を超えた拳の一撃が――】


がふっ――――!!!!!

【衝撃で、声が漏れた。振り向きかけたギアの身体を、アベルの拳が完ぺきにとらえた】
【右手に握った『サプライズ・キューブ』が衝撃で暴発する。振り向きかけていたために、アベルのいるほうへと向かってはいるが】
【狙いはつけられない。アベルの右わき腹より少し逸れた部分を通過するであろう軌道だ】

【ギアは、そのまま吹き飛ばされ、異形の骨に叩きつけられる】
【器である、人形の身体が軋む。球体関節がひび割れる】

うう……ぐ……
(あの雷撃は、レギンじゃなくアベルが……。クソ、なんて迂闊な……)

【ギアはどうにか立ち上がろうとするが、身体が言うことを聞かない】
【体勢を立て直すには、少しかかる。致命的な隙だ】

81名無しさん:2013/09/02(月) 00:18:21 ID:U3ha9gIM0
>>73

【自らも巻き込まれることは避けられたものの、獅子が蹴り抜かれることにより】
【周囲へと散らばった血の飛沫がアンジェルに降りかかり、直後、髪の刃がレギンを捉え】
【僅かにでも手傷を負わせたことへの充足か、彼女はほんの一瞬だけニヤリと嗤った】
                                                   ―――【何処か〝彼女〟に似た笑みだ】
『血祭』ですって!?やれるものならやってみなさい、紳士面した獣めッ!
悪いけど私はそう簡単にはやられない……それは、もう体験済みでしょ、ッ――!

(ぐ、うっ……さすがに六罪王っ、速ッ……――!!!)

【だが言葉は所詮言葉でしか無い。人知を超えた存在であろうが、アンジェルはレギンよりも格下だ】
【まして隙を見せた今、攻撃を避ける事は出来ず――深く両肩を牙が刺し貫くと、ほぼ同時】
【内蔵をシェイクして背骨にノックするような一撃を喰らい、一挙に後方へ吹き飛ばされる】

【鈍い音――壁に彼女が叩きつけられる音がして、埃が晴れる。白い将校服は真っ赤に染まりきっていた】
【両肩に突き立った牙からの傷で、腕からは多量の出血。吐血も酷く、何より―――】


         【―――〝手にした妖刀が彼女の喉元を刺し貫いていた〟―――】


【――衝突の衝撃でこうなったのかと思われるかもしれないが、それは全く持って見当はずれだ】
【何故ならアンジェルの右手は柄をしっかりと握っていたし――何より。なによりも、彼女は笑っていたから】

 【この妖刀――名は無いが――血を吸うと、その切れ味を増すという性質を持つ】
 【それに同化し始めたアンジェルが、例え己のものとはいえ多量の血液を〝浴びた〟らどうなるのか――?】
 【或いは、〝あの女〟――〝半魔〟にも似た―寧ろ殆ど其れとも勘違いしそうな程の魔力が、静かに溢れて】


【妖刀が、壁から抜け落ちる。アンジェルは〝剣呑〟な動作でそれを首元から引き抜いて】
【いつしかツインテールはリボンが解けていた。奇しくも血と全く同じ色の頭髪は、ゾクリと蠢き】

【次の瞬間、彼女は足下の骨を踏み砕きながらレギンへと、真正面から突っ込んでいった】
【そして接近しながら刀を振るう――放たれるのは、最初のものとは比較にならない剣圧の〝飛ぶ血の斬撃〟】
【今回は『当たれば何か在る』と分かるだろう。直撃はそも、身体を両断しかけないというサイズ――】

【―――ただ、剣撃もアンジェルも真っ直ぐだ。速度は桁違いだったが、見きれさえすれば――?】

82名無しさん:2013/09/02(月) 00:19:53 ID:bqaXRJC.0
>>77

【特大衝撃波が高野へと襲い掛かってくる】

ああ、畜生こうなるとわかっているんだったら
 ――あの剣、持ってくるべきだったなあ
【高野は後悔の言葉をはいた】
【だ が、まだあきらめてはいなかった】

【体はもうズタボロだ、だが動ける】
【脚も動くが遅い、だが動かせる】
【腕もまだ、動かせる】
【ならば!!】

それが、どうしたあッッッッ!!!!

【そして、高野は全力で〔スカイ〕を動かす】
【なけなしの魔力を剣に送り少しでも強化する】

【そして、〔スカイ〕を真正面から特大エネルギー波に突っ込ませ】
【そして、剣を振りかぶさせ】

【高野が操る〔スカイ〕が持つ剣とヨシュアの≪〝獅子王碧閃/ライオネル・クルセイド〟≫が真正面から衝突したッッ!!】

【まず剣が軋みをあげ折れたそして〔スカイ〕の腕がちぎれ、胴体ごと木っ端微塵になる】
【しかし、≪〝獅子王碧閃/ライオネル・クルセイド〟≫の威力をそぐことには成功した】
【威力をそがれた≪〝獅子王碧閃/ライオネル・クルセイド〟≫は高野に直撃することはなかったものの】
【高野を吹っ飛ばすには十分だった】
【そして、高野は吹っ飛ばされた】
【しかし高野は】

(勝ったッッ!)

【内心でそう思い障壁に衝突した】
【気絶はしてないものの、骨が何本か折れているかもしれない】

83名無しさん:2013/09/02(月) 00:20:14 ID:ntPf9zXA0
>>75


「まぁ、どんな風でも構わん。――――――それに、剣に憑かれているのは私の方だからな」


斬った……いや、掠った。常人ならば届けば手首が斬れるか折れるか、どちらにしろ一生使えなくもなりそうなこの斬撃は、
彼女の俊敏性と腕を覆う鎧に阻まれる。一筋縄では行かないなと、当たり前の事を再確認する。

創虚。75kgもの超重量は圧倒的なダメージを与えると共に、躱されれば攻撃後の致命的な隙を晒すのも明白だ。
それを補うためか、創虚は女にその重さを感じさせない。あたかも、彼女と同じように一般的な太刀を振るっているかのような感覚を与えるのだ。
だが。それを持ってしても尚、彼女の動きは風のごとく速かった。
地面を砕く創虚、それを振り戻す一瞬の隙――――――女も刀身を太刀筋へと滑り込ませようとするものの、彼女の剣速には到底敵わない。

「―――……チ、……ィッ!!!」

コートがバッサリと斬れる。元々女は、刀以外に武器、武具を持たない。防具など、元から持っていないのだ。
空気に晒された白い細腕は、赤い太線を描いていた。其処から漏れだす生暖かい液体。傷は、浅くないようで。

それでも、血液が垂れる右腕を庇うように左腕を前に、彼女を見据える眼光は正に獲物を前にした狩人の様。
だが一転、女は右にステップを踏みながら黒刀を振り上げると、右から左へと、その脇腹を薙ぐように創虚を斜めに切り下ろす。
創虚の長いリーチを活かした、距離を取りつつ相手への攻撃も兼ねた刀捌き。

だがその刀は、彼女が適切な方向へと動けば回避されてしまう程に危ういモノだ。加えて、彼女のその俊敏性。
回避どころか、迎撃されてもおかしくない状況だが、さて。

84名無しさん:2013/09/02(月) 00:26:21 ID:ZCHlt7mo0
>>78

……クッ、また……なのか…………!

【足の負傷に想いのままに動けない。その事態は、前回の戦いとよく似ていた】
【鋼鉄と化した自らの足を、鋼鉄と化した自らの腕で支えながら、シュバルツガイストはソニアを睨みつけていた】
【次の一打が来れば、もう回避など出来ない。どう対処するのか、それが問題だった。先ほどの『シールドオーラ』が、どこまでソニアを削るのか、不透明だったから――――】

…………悔しいけど、確かに……ここでも、決着は、つきそうにないわね……!
これ以上の無茶も、やってやれない事はないでしょうけど…………死ぬわけにはいかない理由が、ある……!
……私にはまだ、仲間がいるんだから…………!

【ソニアのダメージを受ける姿、そして続く言葉に、静かに頷いて見せるシュバルツガイスト】
【これ以上の戦いは、もう意味の薄い消耗戦にしかならない。ましてや、既に重傷を負っているクロス・ザ・ルビコンがいるのだ】
【ここで意地を張って、無理に戦線を維持すれば、その仲間が死ぬ事になりかねない】
【――――死は、全ての終わりであると認識しているシュバルツガイストは、ここで終わる選択肢を選ぶつもりはなかった】

「…………生き方を、曲げる…………」

【両腕も肘辺りまで再生して、ようやく立ち上がりながら、ソニアの言葉を反芻するジ・エンブリオン】
【――――生きるとは、はたしてどういう事か。今までまともに考えてきた事も無かったその問いが】
【ソニアの、解けない矛盾をはらみながらも一切ぶれる事のない、力強い言葉と行動に見せられて、どうしても頭の中から引きはがす事が出来なかった】

……正しさなんて、どこにもないわ…………でも、間違ってはいないと、断じれる……!
この生き方が真実でなきゃ…………あなたの言った通りよ、ソニア……何のために生きてるか、もう分からないわ……

【飛び去っていくソニアの後ろ姿を見送るシュバルツガイスト。やろうと思えば、まだ無傷の砲台で追撃も出来ただろうが、それはしなかった】
【――――認めるしかないのだろう。もう自分たちにとってソニアは『ただの敵』と割り切れる存在ではなくなっている事を】
【もっともそれは、初めての邂逅の時、意地になって1対1の戦いを貫こうとしたあの時から、既にそうなのかもしれないが――――】

「――――――――あ、シュバルツガイスト、クロス・ザ・ルビコンが……!!」
分かってる……! あなたのその腕じゃ、どうしようもないでしょ…………私も、歩くのが少し辛いんだけど…………ともかく、私が運ぶしかない……急がなきゃ……!
<…………>

【既に、クロス・ザ・ルビコンのアーマーは、半分以上脱がされていた。何とか起き上がろうと奮闘した結果なのだろう】
【だが、その出血量は、既に処置なしでは危険な域に達しており、シュバルツガイストも損傷した義足を引き摺りながら、その身体を抱えあげる】
【そうして、ジ・エンブリオンが先導して、一行は防衛を完遂した拠点より脱出した】

【――――改造兵士たちによる、満身創痍の撤退。目的は達したが、それが勝利と言えるかは、微妙なところだったのかもしれない】
【少なくとも言える事は――――負けない限り、未来の可能性はまだ残っていると言う事である】

/乙でしたー!

85名無しさん:2013/09/02(月) 00:45:59 ID:bojIptn60
>>79

【凹んだ部位に刀が突き刺さる、コルトガの巨体はズンという音とともに地面に座り込む】
【しかし、身体についたポッドの一つから筒の様な物が複数個射出される】

この程度デッ……私に勝てるト思ウなよ……!

【以外な一撃を食らい、体勢を崩しはしたが、未だその兵器は破壊を止めない】
【先程の筒から小型の爆弾がバラ撒かれた、クラスター爆弾だ】
【ラッシュの頭上からは爆弾の雨が降るだろう、さらに別のポッドが開き、そこからも小型のミサイルが大量に発射された】

【これを凌ぐ手は果たしてあるのだろうか、それとも、爆撃による集中放火を浴びてしまうのか】

86名無しさん:2013/09/02(月) 00:59:07 ID:Fs2rVboU0
>>80

さて―――今回の為に調整を重ねた〝獣〟の力はどうでしょうか………?
それこそ純粋な破壊衝動の塊………この国を覆う〝死の象徴〟となりえる存在ですよ………まだまだゆっくりとお楽しみ下さい。

               まだ―――〝贄〟となるには不十分ですからね。

【アンジェルを吹き飛ばした後、再び丁寧な物腰の口調に戻り………吹き飛ばされたギアボックスへと笑顔を向けてそう言葉を吐く】
【やはりレギンによって、元々〝壊れた存在〟であったアベルは限界までのその負の波長を増幅されたようである―――。】
【右脇で爆発したサプライズ・キューブの爆風を背に、〝アベル〟はユラリと身を揺らしてギアボックスへと歩き出す。】
【全身を包む赤胴色の鎧は赤い光を放ち、それに呼応するように一層アベルの身を包む凶悪は波動は強さを増していく………】

≪シヲ………スベテノセイブツニ………ビョウドウナル………シヲォォォォォォオォオオオオオォオオオオォオオオオォオオオオッッ!
 アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッッッ!!!!≫

             ≪シヲッ!!シヲッ!シヲシヲシヲシヲシヲシヲシヲッッ!!≫

【ガタガタと震えながらアベルは再び標的をギアボックスへと定め、そのまま異形の骨を踏み砕きながら疾走し】
【ドンッッ!!っと数m程ジャンプし―――そのまま獣のように落下の衝撃を含めてギアボックスを撃ち砕こうと踏みつけようとするだろう】
【凄まじい勢いと速度を持ってはいるが………その動きは単調、単純であり、理性が残っているギアボックスなら回避できるだろう】
【尤も………肉体が間に合えば、の話ではあるが。】

>>81

【アンジェルを壁際へと吹き飛ばした後、一度ギアボックスへと視線を向けて何か言ってから再びアンジェルへと歩みを進める】
【そして埃が晴れ―――再び姿を現したアンジェルの異様な姿に一度眼を見開くが、口元には同様の笑みが生まれレギンも歩を進める】
【より異形に、より凶悪に変貌していくアンジェルに対して興味が湧いたのか………その顔には歪な笑みが張り付く】

おやおや恐い恐い………この場には〝獣〟がもう一匹いましたか………全く、もはや〝魔族〟のソレに似通っていますね
雰囲気も―――風貌もね………全く、これは骨が折れそうだ………クック―――。

                   さて………いかほどの力か………。

【再び丁寧な物腰で聞こえているか分からない相手へと語りかけながら接近する………そこへ放たれる特大の斬撃波。】
【レギンはパチンと一度指を鳴らす………すると異形の骨の隙間から………奇しくもアンジェルの能力と同じような〝生きた髪の毛〟が飛び出す】
【これはどこから………?そうこれはアベルの〝髪〟だ、本人はギアボックスへと突撃しているが、恐らくレギンが遠隔で発動させたのだろう】
【それは斬撃の前へ、レギンの盾となるように展開されると―――斬撃波を受け止める………が、幾ら硬度があろうと所詮は〝髪〟】

【斬撃波はそれを貫通する、だが僅かに軌道はそれたのか斬撃波はレギンの右肩を切り裂くにとどまる。】

やはり………さらに〝上がっているか〟………クク、これは〝共鳴〟として利用出来そうだな………ッ!
さぁ見せて下さいッッ!!その妖魔の力がどれほどまで高まるかをねッ!!

【轟ッッ!!右肩口から血を流しているにも関わらずレギンは笑い、妖魔と化したアンジェルへと興奮気味に言葉をぶつけながら接近する】
【そしてその肉体を覆う漆黒のオーラは再び形を変形させて、今度は4体の大蛇と化して、アンジェルの四肢に噛みついて動きを阻害しようとするだろう】




87名無しさん:2013/09/02(月) 01:09:25 ID:Fs2rVboU0
>>82

………ハァ、ハァ………グッ…―――糞………ま………まだ……だ
僕は、まだ………まだ銃を握る事が出来る………だから、この命が、尽きるまではッッ!!

【全身全霊で放った最大の一撃………だが隔壁、高田共に未だ健在………その事実に顔を悲痛に歪ませる】
【だが………全身の魔力を使用し、肉体の力がゼロに近い今でも、まだ銃を握り続けて、そして震える銃口を高田に向ける】
【カタカタと定まらない手でトリガーを引き絞ろうと………。】

うおおおおおおおおおおおおおおおおッッッ!!傭兵ッッ!!守り通したければ僕の屍を超えてみせろッ!
その覚悟がないなら、ここで………消えろおおおおおおおおおおおおッ!

【そして銃弾が発射される―――狙いも甘すぎる、苦し紛れの攻撃………だがこの青年、まだ戦意が消えていないのだ】
【これが覚悟を背負った力なのか………とうに限界にきた肉体を酷使して青年は未だ立ち向かう。】

【さて―――〝傭兵〟高田の残力は………そして覚悟はいかほどのものなのか………?】





88名無しさん:2013/09/02(月) 01:28:46 ID:nt9fR7G60
>>85

【重々しい音を立て、コルトガの体制が大きく崩れた。半ば叩きつけられたように刀を突き刺したラッシュは、骨に響く衝撃でそれを感じる】
【装甲に脚をかけ、刀を引き抜いたラッシュは、コルトガの次なる動きに顔を引き攣らせた】

おいおいおい…俺はサイボーグじゃねえまんだぜ…?

【次なる攻撃は爆弾とミサイルによる物量攻撃───しかし、人の身であれば一発ですら致命傷になりかねない】
【さて、この場で能力者が取れる行動はなんだろうか?】
【或いは能力でバリアを、或いは能力で薙ぎ払う、或いは能力で逃げる───そのどれもが、ラッシュには出来ない】
【武装は刀一本、盾も広範囲に使える技も無い、逃げ出そうにももう遅い】

…くっそ……!

【万事休すだ、このままでは一矢も報いる事が出来ない───…】



【───だが───】


…諦める訳にはいかねぇよなぁ……!

【ラッシュの眼は、勝利を見失ってはいなかった!】
【次の瞬間、ラッシュの持つ刀が白銀の光に包まれ、紅と白銀の混ざり合う光となって形を変えて行く!】

ミーメ…力を貸してくれ……!この為ならあんたも納得出来るだろ…?

【語るは、力を授かった嘗ての敵の名、英雄だった、男の名】
【彼の残した調停の力が、今カタチとなってラッシュの手の中に───!】

【発言するは巨大な剣。白銀でありながら紅い光を放つ長柄の大剣だ】
【その剣は切っ先から中心部にかけて隙間が開いており、根元で丸く開いた隙間に宝玉が収まっている】

【発言させた大剣を両手に握り、振り上げる様に空中に向かって振り抜く。紅い光が剣先より薙ぎ払われ、降り注ぐ爆弾とミサイルを斬り裂いた】
【爆発する兵器達が次々に爆発を誘発させ、降り注いでくる前に空中で一斉に爆発させる】
【爆風と破片によるダメージはあるが、直撃よりは大分ましだ】

【───あとは】

…トドメの時間だ、鈍間野郎

【ラッシュの背に、白銀で縁取られた紅色の光の翼が六つ、発現し、ラッシュは大剣の先をコルトガの頭に向けた】

89名無しさん:2013/09/02(月) 01:29:59 ID:bqaXRJC.0
>>87

…まだ…やるか

【高野に向けて発射された銃弾は、高野には当たらなかった】
【銃弾は高野からとても離れている壁に当たった】
【そして、高野はぶち壊された二つのマリオネットを自宅に送還した】


…あきらめろヨシュア・セイクリッド
この戦いはあっしの勝ちだ。

【高野はそう言いきった】
【そして、高野は最後の人形を召還した】
【その容貌は聖母のよう、背中には翼がついていた】
【人形の名前は〔マリア〕だ】

…ああ、この人形には戦闘能力なんてないぞ
第一…戦闘なんて……もうできるはずがねえ

【そして、高野はその人形〔マリア〕に抱えられる】

…ああ…それと、ヨシュア早く…逃げておいたほうがいいぞ
…これからここは地獄になるかもしれないんだ

【なぜ、高野がヨシュアにこう言ったのかはわからない】
【きっと本人もわかってないだろう】
【そして〔マリア〕は高野を抱えてジャンプし、飛び上がっていった】

…依頼は完遂したぜ

【そして高野は〔マリア〕を自動設定にし気絶した】

/明日も早いので、ここで締めさせてもらいます
/お疲れ様でした

90名無しさん:2013/09/02(月) 01:32:27 ID:URO9Fhn60
>>83

…………そう。それじゃ――――――ここから先は孤剣(つるぎ)として、か

【接近、斬撃、凌がれる――――― 反撃に返す追撃は、決して小さくない手傷を与えている。……だが、生じる反撃はなお重い。】
【本来両手で扱うべき太刀の“片手”の構えは、斬り返しを著しく困難にする。加えて自らの躰に残る、先程の斬撃の余韻――――、】


【封じるには到らなかったのか反撃が早い/戻す刀身も間に合わない、】
【見開いた橡色の瞳に映り込むものは、自らの脇腹に喰い込む漆黒の刀身だった。】

……あ――――――、……く、ぅぅっ……!

【噴き出した鮮血に身を濡らされながらも、超重の圧力が躰を吹き飛ばす。幾本も肋骨が砕けたが、勢いに逆らわず左に跳んだ。】
【返す刀―――― 左手首を狙った、左から右への横薙ぎの一閃を少女は放つが、対処にそう苦労はしないだろう】
【牽制の意味合いの強い一撃―――――――体力の消耗を押してなお、それを要するほどに追い詰められていた。】


……っ―――――――は、ぁっ……ッ――――――

【跳躍――――― 衝撃を利用した一挙動が遠く運ぶ。】
【“創虚”の間合いのさらに外側、二間ほどの距離に少女は到り、彼女に向き直るとその場に留まって】   

【歪む表情は苦悶の其れ―――――紅黒く染まりきったコートの脇腹を押さえる事もせず、荒い呼吸を繰り返す。】
【だが絶えぬのは双眸に宿るかの光―――――灼熱を理性で抑え込んだ決着への意志は、未だ紛れもなく戦士のそれであった】


【狙うのはただ、この負傷を巻き返し得るほどの一撃。……今、この瞬間にも突破口を捜し求めている。】

【―――――“起こり”に其れに僅かに先んじての疾走を、持続する踏み込みに反撃の斬撃を。】
【それぞれ合わせようとするのだが―――――……後者は、この時点では未だ現実に出来ない。】

【……少女の疾走に斬撃を合わせられたなら、先に対応を迫られるのは少女の方、】
【そして“起こり”のタイミングを読み、僅かに制する機先からの一撃である都合上――――僅かでも読み違えれば、それで、相討ちか敗北か――――濃藍の剣士は、相応の代償を払うことになるのだろう】


【黒衣の剣士は先に踏み込むのか。……踏み込んだなら、如何なる一手を以て、対抗する様に接近する少女を迎え撃つのか。】
【或いは少女と同じく“待ち”、自らの距離に徹するのが上策であろうか――――何れ、この張り詰めた拮抗が崩れるのも遠くはないか】

91名無しさん:2013/09/02(月) 01:33:03 ID:U3ha9gIM0
>>86

【レギンの身から伸びる四ツの大蛇は、最初ばかりはアンジェルの四肢を完全に捉えた】
【噛み付くか絡みつくか、どちらにせよその目的を達成することが出来るのである】

【もっとも、〝捉えた〟だけ――真っ赤な髪の先が『ふわり』と浮いたその直後】
【幾千本もの髪束は血が滴り落ちるように伸びていって、足下の骨々の隙間に入り】
【時折骨の一部に絡みつき、木の根の如く広がり、また絡みを繰り返していく】

【これがどういう意味を持つのかは、未だわからない。ただ言えるのは】
【アンジェル・ベルジュロンはこの間、確かに四肢を拘束されたままであり】
【僅かに右手の妖刀を振るおうとして大蛇の首を落とそうともするが、それは叶わないだろう】
【言わば〝磔〟の状態――接近するのであれば、攻撃には絶好のチャンスだった】





【いや寧ろ、接近してくれなければ困る。アンジェルの、妖魔としての考えはこうだった】
【『自らの髪を周囲の骨に絡め、相手が近付いた瞬間に骨を引き寄せ、圧迫して潰す』】

【その作品の肝は、相手が近づこうとするか否か。そして接近し始めている今が好機】
【射程距離まで入ったなら――即座に自在の髪を操って骨を手繰り寄せ、相手を叩く】
【それだけが彼女の今打てる手。罠ではあったが――同時に動きを封じられた、危険な一手】


【―――そう、それからもう一つ手があった。レギンの右肩に出来た傷のことである】

【思い出して貰いたい。この妖刀の性質と、レギンも感じたはずである『食らってはマズい』という感覚を】
【今、それが蘇るだろう。血の刃で負った傷に、刃の――アンジェルの血液が染み込んだなら】
【まるで動脈から静脈を巡り心臓に戻るソレのように、レギンにとっては明確なる〝毒〟として】

【彼の肉体をにわかに『支配』しようと――〝宿主の元に向かう〟という指令を、六罪王の肉体に下そうとするだろう】
【勿論、これは絶対的な効力を持たない。指示できることは上記の一つだけであり、ソレもまた】
【魔人として、人ならざるものとして強大な力を持つレギンに効果的かは―――なんとも言えない、弱手だった。】

92名無しさん:2013/09/02(月) 01:35:00 ID:esWFXgE60
>>86
獣……〝怠惰なる獣〟とか名乗ってたけど、本当に獣になってしまったんだな……
NO.2すら、お前にとっては駒の一つ、か……

〝死の象徴〟……? これで、何をするつもりなんだ……ぐ……
(〝贄〟……この上、まだ何かを……?)

【変わり果てたアベルを前にして、ギアが呻きつつ言葉を絞り出す】
【レギンの語ったこと。破壊衝動の塊にして、この国を覆う〝死の象徴〟。これほどの強者を作り出しておきながら】
【〝贄〟。その意味するところ。今、この状況すら、踏み台に過ぎないということだ。一体、レギンは何を企んでいるのか】


【アベルが、元から〝壊れた存在〟とは知らず。しかし、魂に響く負の波長の強大さは感じる】
【暴発した『サプライズ・キューブ』か背後に消え。〝アベル〟が迫ってくる】
【鎧が放つ赤い光、それに伴って纏う波動すらより大きなものになっていく】


く……お前がわざわざやらなくたって、死は誰にだって平等、だっ!!!

【異様な震えを発しながら、アベルが走り出す。そのまま跳躍。常識離れの身体能力】
【数mを一度に飛び越え、頭上に迫る脅威。このままでは、踏みつぶされる】

【ギアは、アベルの口にする言葉に叫び返し、その最後で自分の身体を無理やり起こした】
【生身ではない、この人形の身体は、人間だったころに比べて多少は無理が効く】
【苦痛はまだ残っているが、動けないほどではない。ギアは、アベルに踏み潰される寸前で、その場から転がって逃れた】


う、ぐあ……!!!

【しかし、踏みつけによって周囲にまき散らされた異形の骨の残骸からは逃れられない】
【ギアの身体が削られる。血は出ない。もう、流れていない】
【だが、今度は体勢を立て直すことに成功。そのまま、アベルに対峙する】


(でも、あのパワー相手にこのまま戦っていれば、いずれはこっちが力尽きる……)
(相手は鎧を着ているし……一撃で、大きなダメージを与えられれば)

【踏みつけ直後であろうアベルへと視線をやって、ギアは思考する】
【圧倒的な攻撃力と、鎧の防御力。身から放たれる凶悪な波動】
【彼と真正面から戦ったとして、いつまで持つかどうか】

(……なら)

【ギアの右手が、腹部へ。めり込む。引き出す。握られているのは、ナイフ】
【そのナイフを腰だめ構えて、ギアが走り出す】


おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!

【向かう先は、アベル。レギンが手ずから調整した〝獣〟。それに、ナイフ一本でどうするつもりか】
【目的は、別にあった。ギアの背中から、少しずつ何かが突き出してきている】

【『サプライズ・キューブ』。ギアの持つ玩具武器の中で、現時点で最も高い殺傷能力を持ったもの】
【ギアは、手を使わずとも少し時間をかければ、能力で収納した物が勝手に身体から飛び出してくる形で取り出すことも可能だ】

【やがて、アベルの近くまで接近することが叶えば。その寸前で、『サプライズ・キューブ』は背中から空中へと跳ね上がり】
【その場で破裂して、7つの小さな鉄球を撃ち出すだろう。狙うは、アベルの顔面だ。鎧の防御が及ばない位置】

【ナイフを持った自分自身をおとりとした、不意打ち狙いの攻撃。結果は、〝怠惰なる獣〟の次の行動に委ねられるだろう】

93名無しさん:2013/09/02(月) 01:36:48 ID:Fs2rVboU0
>>89

く………そ………まだ、足りない………のか。

【立ち去っていく高野を見送る事しかできず、そこから一歩も動くことが出来ないまま、ヨシュアは倒れた】
【彼はその後自警団の部隊に回収された―――人生で始めって味わった、苦い敗北の味をかみしめながら………】

//お疲れ様でした!ありがとうございました!



94名無しさん:2013/09/02(月) 02:00:56 ID:bojIptn60
>>88

【コルトガは驚いていた、ラッシュの背後に現れた虹色の翼、そして腕に現れた大剣】
【一瞬で爆撃の嵐を薙ぎ払ってみせたその力】

ヌウゥ、図に乗るなよ
すぐニ消し去っテくれル……!

【そう言い放つと、骸骨の口から機関銃が飛び出る】
【そして全てのミサイルポッドを開き、ラッシュに狙いをつけ、大小様々なミサイル、バズーカ砲、機関銃を一斉に発射した】
【まるで津波の様にラッシュへと襲いかかる】
【砲撃の手を休める気は無いだろう、完全に相手が消えるまで】

95名無しさん:2013/09/02(月) 02:05:03 ID:ntPf9zXA0
>>90
手応えがあった。肉に食い込む刃物の感覚。それをいつも、女は追い求めてきた。
加えて、相当の強者である彼女の脇腹を切り裂くとなると、女の口角は酷く歪んで、ただ静かに哂う。

「……ッ!! ……ックク」

右手を庇って左手を前に柄を握る。先ほどの彼女の攻撃でそうせざるを得なくなった刀の握り方だが、
そのせいか何時もと刀の動きが緩慢だ。―――返す刀。またも、隙を突かれた。……いや、哂う女。隙は、何時もより大きい。
左手首どころか、コートとともに左腕半ばまで走る白銀の線。生まれた紅い切り傷は女の腕に、直ぐに血のカーテンを創りだした。

僅かに苦い表情を作る女だが、未だその大刀は確りと彼女の方を向いている。
……いや、彼女のその剣に依る斬撃は無駄ではない。女の腕へと、手へと、確かにダメージは入っているのだから。
失われる血液の所為か、創虚の切っ先が震える。余りある腕力で抑えこもうと思えば思うほど、震えは止まらない。


「――――――来ないのか? ……ならば、此方から行かせて貰うぞッ!!!」


強者と戦う。それが女の目的。刀でも銃でも、拳でも良い。魔法だって良い。とにかく、強い者がその妙技を見せてくれれば良い。
故に、『待つ』という行為に女は抵抗が無い。待つくらいなら、此方から行く。

だから今踏み込んだのも、女の方が先だった。何の種もない走り、創虚を振り上げて、踏み込みからの振り下ろし。
酷くシンプルで、また相手の行動を思考の内に入れない攻撃だが、間違いなく、女が持つ「業」の中では最大の威力だろう。
特に狙ったわけでもないが、このまま彼女が斬られるとすれば右半身を縦に一閃、だろうか。

だが彼女は気づくだろうか、先ほどの女の剣撃よりも、その速度が遅くなっていることを。
やはりダメージは入っている。女の動きを確りと見ていれば、回避もできないことはないだろう。――――――その決着はもうすぐ、なのだろうか。

96名無しさん:2013/09/02(月) 02:05:28 ID:Fs2rVboU0
>>91

クク………どうしました………その程度なのですか貴女の力は―――所詮は刀の………借り物の力か………?
これでは―――何の足しにもなりませんよ………ッ!?

【アンジェルを拘束したレギンは、余裕の表情を浮かべまるで自身が作った芸術作品を眺めるように笑うが】
【直後に肉体に異変が起こる―――自身の肉体を何か強力な暗示が支配しているのだ………これは一体………?】
【先ほどの余裕は消え去り、烈火の如く怒り狂った表情をしながら、一歩、また一歩と接近していく】

この俺を………〝支配〟するだと………?貴様にそんな事が………この俺を制御できるとでもぉぉぉぉッ!?

いいだろう………このまま死ねェぇぇぇぇぇ!………ッ!?

【強力な暗示に必死に抗いながらアンジェルを睨みつけて、そのまま力任せに止めを刺そうと腕を振り上げた瞬間………】
【―――巨大な質量が、レギンを押しつぶした。】

>>92

≪グルルルルルルルルルルルルルルルル―――ガァァァァァァァアアアアアアアアアアアアアッッ!!≫

【アベルは対峙したギアボックスへ向けて、クラウチングスタートのような体勢をとって、そして再び食らいつこうとするだろう】
【そしてナイフを構えたギアボックスをその手で喰らいつくそうと飛び掛った瞬間ッッ!!】

【空中で、『サプライズ・キューブ』が炸裂、突進してきたアベルの顔面に複数の鉄球が激突し、弾けるッッ!!】
【その直撃を受けたアベルは、そのままふらりと一度揺れると、異形の骨の上へと倒れた。】

【―――どうやら、アベルを制御していた〝鎧〟の方が損傷したようで、それに伴いアベルも電源が堕ちたように動かなくなった】

>>ALL

がぁああああああああああああああああああああああああああッッッ!!
舐めやがって………舐めやがってぇぇぇぇええええええええええええええええええええええッ!!

【轟ッッ!!という音と共に、レギンを押しつぶした異形の骨が砕け散り、その下から血だらけのレギンが現れる】
【怒りの権化と化したその顔でアベルの状態を視認すると、一度大きく舌打ちを放つ。】

糞が………アレじゃあ使い物にならねぇな………この場は………いや、もう辞めるか………。
手前等………いつか、いつかまた………だ。

【レギンはそれだけ言うと倒れたアベルを転送し、自らもその場から姿を消していく………次第に歪な気配は消えた。】
【なんとあっさりと………まるで空虚な、肩透かしのように、戦いは終わった。】

【他の機関員も徐々に撤退し………やがて、機関は〝夜の国〟から敗走した。】

//これにてVS主催及びイベントの〆とさせていただきます!
//終盤はかなりグダグダで申し訳ありませんでした!ありがとうございました!



97名無しさん:2013/09/02(月) 02:21:29 ID:U3ha9gIM0
>>96

【レギンが、自身の目の前で異形の骨によって圧潰する――否、したように思えた】
【少なくとも己に振りかかるはずであった攻撃は止み、僅かな静寂が場を包み】

【――直後、崩壊。粉々になった骨がアンジェルの身体を傷つけるが】
【最早そんなもの、虫に刺されたようなもの。傷だけで言えば既に致死でも可笑しくない】
【尚も生きているのは妖刀の――そして変容したアンジェル自身の力の所為か】

【そして、そして。後はアッと云う間の撤退劇。アンジェルはその間、何事も言わず】
【力を使い果たしたとでも言いたげに、周囲に妖気のようなものを振りまくばかり】
【ただしその妖気――或いは魔力は――レギンであれば、かつての〝同僚〟と同質と分かるはずで】


【以降は――語るところは多くない。敵が消えると、アンジェルは直ぐ様倒れ伏して】
【そのままギアボックスか、或いは自警団に救助されることになるのだろう】

【また、喉の怪我は治っていたが両腕や腹部の傷は深刻で】
【長い時間の手術を要したものの―――最終的には、術後の経過はすこぶる順調】
【治るには長い時間をかけることもなく、精神面でもさほどの問題点は見られなかった】

【―――――問題があるとすれば、朱い髪が一層濃く。〝マグマのように〟なった、という程度である。】

/お疲れ様でしたー!!

98名無しさん:2013/09/02(月) 02:34:02 ID:nt9fR7G60
>>94

…ったく、バカすか撃ちまくりやがって、俺は戦車かっつーの



───それ、以上だよ

【身を屈め、先端を前に向ける様に剣を構えると、剣が切れ込みから開き大きく口を開いた獣のような形状となる】
【そこに更に赤黒い力が纏わり付き、正しく狼系の獣の頭の様な形を取った。只管に巨大な獣だ】

【背に生えた翼が大きく力を噴き出し、獣頭となった剣をラッシュが突き出すと、獣のエネルギーだけが打ち出される】
【銃弾、爆弾、ミサイル全てを噛み砕きながら突進する獣の頭。それが攻撃を受ける度に巨大に、力強く成長していく】

───俺の力は、攻撃を受ければ受けるだけ強くなる…そいつに形を与えて撃ち出した
テメーが撃てば撃つだけそれはデカくなるぜ…つっても、もうおせぇか

【開いた剣が閉じて、それを肩に掛けながらラッシュは背中をコルトガに向ける】
【ラッシュに向かっていた火器を喰らいながら巨大に成長したエネルギーは、最早コルトガよりも大きくなり、今まさに開いた大顎でコルトガを装甲ごと噛み砕かんと喰らい付く───!】

99名無しさん:2013/09/02(月) 02:53:18 ID:esWFXgE60
>>96
【今度は、ギアのほうから接近していく。アベルも、体勢を整えたようだ】
【クラウチングスタート。その身そのものが凶器。正面から受ければ、原型を留めることすら叶わないか】
【だが、ギアはこうした相手に正面から突っ込むほど無謀ではない】

……やっ、た!!

【背中から飛び出した『サプライズ・キューブ』が、アベルの顔面に叩き込まれる】
【アベル自身の接近の勢いも含めれば、かなりの衝撃だっただろう】
【アベルがふらつくのを確認し、あわててそこを離れると、。さっきまでギアがいたところにアベルが倒れ込んだ】


……ハァッ!!

【大きく息をつく。実際には人形なので呼吸はしていないが、生前の習慣は抜けないだろう】
【見れば、レギンも大きなダメージを受けたらしい。異形の骨の下から飛び出すその姿は、鮮血に彩られている】
【アベルを見て舌打ち、すぐにアベルの身体が消える。レギンもまた。追おうとするが、ギアのダメージも大きい】

……ああ、レギン。いつかまた、だ


【だから、最後に言葉一つ吐きつけて。歪な気配と共にフェードアウトしていくレギンを見送った】
【あまりに簡単に、だからこそ不気味。これから、また何かが起きるのだろうか】


今は、考えても仕方ない、か

【ポツリと呟くと、>>97のアンジェルに目を向ける】
【その身に纏う妖気。彼女にも、何か異変があったらしい。しかし、それを知ること叶わず】
【すぐに、彼女は倒れ伏す。ギアはあわてて彼女に近寄り、その身体を担ぎあげた】


よいしょ……さて、早く戻ろう……

【アンジェルを丁重に扱うよう気をつけながら、ギアは一歩踏み出した】
【今の彼には、帰る場所があるのだ】



【貿易都市カンバラ 都市部】
【撤退していく機関員たち。自警団や正義の使徒たちの猛追をかわしながら、逃げ散っていく】

【その中に、一人の大男がいた。身長2メートルを超えるその姿は、散り散りになっている機関員の中でも目立った】
【薄汚れた灰色の作業着の上に黒いラバー地のエプロン、足には黒いゴム長靴】
【返り血に塗れたその太い腕には、黒と金がベースカラーの巨大なバトルアックスを握っていた】


(……レギン様が主導されたにしては、ずいぶんとあっさりしたものだな)
(お考えあってのことか、不測の事態の発生か。いずれにせよ、今宵は幕、か)

【大男もまた、機関兵らに混じってカンバラを後にすべく行動する】
【今宵の事件への一抹の疑念を、胸の中に潜ませながら】

【そんな大男が握る、バトルアックスの柄。そこに供えられた、カートリッジ接続部分】
【組み込まれた大きなマギタイトが、常夜の国の中で白い光を発していた】


/最後に、特に意味のない蛇足など加えてみて、締めとさせていただきます!!
/主催者様、アンジェルの方お疲れさまでした!!

100名無しさん:2013/09/02(月) 03:02:19 ID:bojIptn60
>>98

【装甲が潰れ、中から熱が吹き出す、これ以上の戦闘は困難だろう】
【コルトガは撤退することとなった、黒い煙をまき散らしながら、煙の中へと消えていく】

【煙が消えてしばらくしてから、このエリアの崩壊が始まった、あれだけの戦闘、崩れるのは当然か】
【急げばラッシュも脱出できるだろう、エレベーターまで走れればではあるが】


/それではこの辺りで、
/ありがとうございましたー
/たぶんお礼は後日になります

101名無しさん:2013/09/02(月) 03:14:28 ID:nt9fR7G60
>>100

…ち、最初っからこれしてりゃ良かったぜ

【装甲が噛み砕かれる音と、コルトガの気配が去って行くのを背中に感じながら、大剣が元の刀へと戻ったのを鞘に押し込んだ】
【低く無いダメージを負ってしまった、本命はまだいるが…この状況では撤退が推奨されるのはよくわかっていた】
【腑に落ちないが、命あっての物種だ】

早いとこ逃げ───


ガッフッ……!

【走り出そうとした脚がもつれ止まる、胸から異物感が込み上げてきて、湿った咳を吐き出した】
【最初は何かわからなかった、抑えた掌に赤い血がべっとりと着いてるのを見て、ようやく自分が喀血したと悟った】

……おいおい勘弁してくれよ…

【自覚すると、まるで連鎖するように体の不調が感じられる───眼の霞、体の痺れ、倦怠感】
【宝玉の力を引き出した為による反動がついに爆発した、最悪のタイミングだ】
【崩れゆく意識と施設の中で、最後にラッシュが見たのは───】




【見た事のある、姿だった】

/お疲れ様でした

102名無しさん:2013/09/02(月) 03:25:46 ID:PYWGFnKU0
>>95

【未だ呼吸は整えられない。……だが創虚の鋩が、震えながらも少女を離さない。】
【重傷を負っているのは互いに、か。驚嘆すら覚えるべき無謬の戦意――――――だが、その情動すら生じる隙がない。】

……決着、か―――――   

【――――――――――千億に切り刻んだ一瞬の 。総てのときを“今”へと変え、全霊を投じて“起こり”を知覚する。】
【 ――――“今しかない”、鼓動する命が駆り立てれば】
【言葉はもうない。既に踏み出している己にはけして躱せぬ、あの刃に正面から立ち向かうしかないのだと理解する。】

【……もはや遅い。けれど、】


……はぁああァァッ――――――――――――!!

 【走り居合の要領で解き放つ横一文字の神速――――――右から左へと白銀の刃を振り切って行く。】
 【……肩口から深く斬り込む刃に先に返り討たれ、口が血を溢す感覚があった。けれど、留まることなどありえなかった。】


【座して死を待つ心など、この刃は持ち合わせていない―――――――――――!】
【最早その魂に躊躇いはなかった。ただ、何処までも自由であり――――― それは、一刀の求めた疾駆であった。】


【この一撃が届くか否か――――――――― それが、少女にとっての最後のラインだ。】
【“振り切られる” 前に刃は届くのか。慣性だけで断たれかねない創虚の振り下ろしを、最後の踏み込みで置き去りに出来るのか。】
【何れ“届き” なにかを“斬った”感触は創虚に残るであろうし、少女の刃が届ききらなかったとなればそれはより深く――――確実に命を危うくさせると、柄越しの手応えが伝えるだろうか】


【 舞い散る鮮血の華――――――その深紅の花弁が滴った音は、果たしてどちらからだったのだろう】
【……刹那の交錯は既に終わって。あとには、闇が訪れるだけ。】

【背を向けあった黒と濃藍――――― 此処に結末が訪れるなら、それは、如何なるものとなっただろうか】
【総て、それぞれの一閃に賭けられて。……少女は、血に濡れた躰を佇み、抱えて――――】

103名無しさん:2013/09/02(月) 03:55:30 ID:ntPf9zXA0
>>102

そうだ、と女は思った。
向かってくる敵に自らも駆け、真っ向から対決を挑む彼女のその姿。
過去、そのようにして女へと向かってきた強敵は数々居るし、彼女もまた、女の中でその強者の仲間入りを果たしていた。
ただ、今回の彼女―――八攫の感情は、そして思いの重さは、過去戦ってきた相手でも頂点に近かった。

先に駆け出した女。2m50cmという鋭いだけの鉄の塊はいとも容易く振り上げられ、確実に八攫の命を削り取らんとした。


「――――――……ハッ……アアァァァッ――――――!!!!!」


その漆黒の刃は、確かに彼女の肩を捉えた。後は、その重量と腕力で下まで断ち切れば良いと。理論的には、戦術的にはそういうこと。
けれど、その刃がそれ以上進むことはなかった。創虚の太刀筋は、彼女の肩を切り裂くだけに留まったのだ。

何故か。

交差する一瞬、女はやはり静かに哂って。動きが止まれば、コートも、シャツも無視して、臍と胸の中間で女の体を横断するように紅い線が入った。
直後、女のその線は夥しい量の血を吹き出させ、バタリ、無言で、女の体は地面へと沈んだ。


彼女は肩へと剣を受けながらも、その剣は―――金翅鳥は創虚が彼女の身体を縦断する前に女の体を切り捨てたのだった。
女は崩壊区画最大の特徴である巨大な機械の腕の前で倒れ伏す。体の周りが血の池へと変わっていく中で、創虚と呼ばれた刀も次元に飲み込まれるかのように消えていく。
こうして、剣士2人が織り成した元貿易タワー中層での戦いは、正義の剣に軍配が上がったのだった。

【崩壊区画での戦い Winner:八攫 柊】

104名無しさん:2013/09/02(月) 04:58:08 ID:Xr3jVZMY0
>>103


【命の灯を振り絞る白銀の刃。流麗にして至大なる一撃を振り下ろす漆黒の刃。交差する剣たちの一瞬は、幾つもの焔の舞う様に終わりを迎えて―――――、】
【最後まで、濃藍は立ち、息を、していて――――。】

……はっ、……っ―――――――……

【ゆえに紅のゆく先を最後まで映した。……朦朧とする意識が霞をかけたが。】
【挙げる袖は口元の血を拭って―――― 未だ消えぬ生の感覚とともに、限界を越えた消耗に、必要となるひとときの休息に目を瞑った】


【……脇腹を斬り裂かれ。肋骨を砕かれ。肩口を深々と斬り込まれた末の勝利――――】
【相討ちに限りなく近い結末であったが、相応しい剣客であろうとした。……それが、剣士としての、かの剣士に対する礼であったのかもしれない。】

【―――――今宵激闘を演じた相手が如何なったのか。今は、彼女は知る事はない。】
【どちらかが先に動き出すのだろうし、それが少女ならばひとり、告げぬままに立ち去る筈――――、】
【けれど黒の剣士の存在は、その命にまで刻まれていたのだろう】
【どうあっても消えない感覚――――――戦いに生きるものの共有した、躍動する命たちの灯であった。】

/この辺りでしょうか……遅くまでお疲れ様でしたー!
/剣士同士の激戦、本当にありがとうございましたっ……!

105名無しさん:2013/09/02(月) 10:28:55 ID:ntPf9zXA0
>>104

「――――――……あーあ、こっ酷くやられちゃって」


彼女がこのフロアから立ち去った後。勿論カノッサの使徒達は既に撤退を始め、もうこの区画に来る者など居ないはずで。
しかし、無音であるはずのこの場所に、誰かの声がした。声質的には、若い男の声と表現するのが適切だろうか。
それは入り口から現れてくるわけでもなし、床やワンフロア増えの天井を打ち抜いてくるわけでもなし、ただただそれが普通であるかのように、

―――唐突に其処へ、立っていた。

「……あのさ、冴。相手はかの有名な八攫 柊だよ? そんな化け物に君が勝てるとでも思ったの?」

男の問いかけに、女は答えない。答えられる力などとうに有るはずもなく、しかし女は紅い液体をその身に受けながら、僅かに呻いてみせるのだった。
瀕死の状態で答えられるとは流石に男も思っている筈もなく。フゥと小さくため息を吐くと、女から生み出される血の海へと足を伸ばす。
生暖かい液体に半身を濡らす女にニコリと笑いかけながら、男は女の体を軽々と担ぎあげるのだった。

「でも、まぁ善戦したんじゃないかな? これもま、素体が良いからかもね。剣術の名家の長女なんて言ったら、そりゃ剣に心得があるし。
 其処に妖刀が加わると、どんな能力者が生まれるのか……なんて」

物言わぬ女に独り言のように問いかけながらカラカラと笑い、女の方をさも友人のようにバシバシと叩く男。
その度傷跡からは僅かに血が漏れだすのだが、それが当たり前かのように気にする素振りもなく、そして2人の体はやがて、細かな粒子となっていく。

自分自身を褒め称え、また自分でも照れるようにその白い髪をワシャワシャと掻き、最後に金属フレームのメガネを指で持ち上げると、完全に姿は掻き消えた。


「―――――――――……うーん……。やっぱり僕って、秀才!」


/お疲れ様でした。なんか冴の上司的な存在を出してみましたが、あんまり気にしないで下さい。自分でも考えてる途中なので……
/それでは、ありがとうございました!

106名無しさん:2014/02/17(月) 19:01:41 ID:91a1Dd7U0
【深夜のカフェテラス】

【白亜の港町、なだらかな坂道の途中に看板を出す喫茶店】
【日の出の頃は入り口を飾る花々も夜は店内へと仕舞われ、】
【暗闇や静謐から離れられる場所としての華やかさを演出していた】

【そんな店内は今宵盛況の中にあって、空席を探すには苦労するだろう】
【唯一余裕がありそうなのがテラスの一角、四人席のテーブルのみ】
【その内の一席は、既に若い男性が珈琲を片手に占めてしまっていた】

【白皙痩躯で三十代手前程に見える、何処か冷たい彫像に似た顔付きの男】
【オールバックにし後ろで一纏めにした髪は、赤毛と栗毛の境にある紅茶色】
【紺のチェスターコートに、深緑のタータンチェックのスラックス、スニーカー】
【左耳には宝玉製のピアスを付け、左手薬指には、銀の指輪を嵌めている】

【脚を組ませて落とし気味に下げる視線の元、その両目は少々特徴的だ】
【グリーン系統とブラウン系統の境、オリーブ色の瞳は右が散瞳、左が縮瞳】
【その事を目立たせないようにするためか、ブラウンのグラスを掛けていた】

【撿撿他のテーブルにも空きはあれど、グループで談笑している所が多い】
【その輪にいきなり入りづらいともなれば、自然と選択肢は彼の居るテーブルになる】
【男は考え事でもしているのだろう、静かな様子で、時折珈琲を口に運んでいた】

107名無しさん:2014/02/18(火) 22:38:24 ID:buu1lXlY0
【街中――イルミネーションの施された広場】
【星が天から降りてきたような煌きに溢れた広場、見れば至るところに天使の飾りが点在していて】
【本当に天使が降りてきたらこんな景色になるだろうかと思わせる、この場所ばかりは満月から欠けゆく月も主役を譲って】
【がやがやとした人気が満ちていた。そうすれば、なんだか寒さすらも和らいでいくような錯覚――】

……わあ、綺麗――……、

【――こつんと鳴らされる足音がひとつ、視線を向けてみたならば、この場に少々目立つおひとりさまが居た】
【カップルだらけの中ではいやでも目立ってしまう、ひとりで自由気まま歩き回るのは、それらの動きとは違うから】

【ふわーと白い吐息は感嘆のあかし、地上に降りてきた星座のような煌きに瞳と視線を奪われて、】
【かつこつとふらふら歩きまわるのが水に放った蛇の泳ぐよりもずっと、好き勝手だった】

【真っ黒色の髪は腰ほどの長さ。リボンで纏め上げたハープアップにしたなら、少しだけ優等生ぶったように】
【まるい瞳は黒色と赤色のオッドアイ、露出した耳元は右耳だけにピアスが嵌められて――宝玉をあしらったもの――】
【長いマントで隠しこんだ服装は赤基調に黒を散らしたワンピース、腰元に大き目の懐中時計を提げていて】
【厚めのタイツで覆った足元、続く足先はリボン飾りのついたロングブーツを履いていた。かつんと厚い底が地を打って、】

いいな……、こういうところに一緒に来ればいいのかな――。

【そろりと鞄から携帯電話を取り出す幕間があった。ぱかりと開いた画面、じいっと視線を落とすことしばし】
【そんなままでも足の動きだけが止まらないなら――或いは、誰かと正面唐突!なんて、あり得ない話ではないのだった】

108名無しさん:2014/02/18(火) 22:46:41 ID:H2DR/gUQ0

【今日も今日とて、風が吹く。誰が呼ばずとも、誰が望まずとも、ただ其処にある様に、風は息吹を連れて来る。】
【だんだんと寒さが増す中で、正反対に日が落ちる速度は下がっていき、静かに春が近づくことを告げる季節。】
【未だ見ぬ桜を想い、冬の終わりに恋焦がれる夜、『風』の名を持つ国土の端で陽気な店が明かりを灯した。】


 「よう、セリーナ。こないだの港の件見たぜ? 随分ひでえやられ様だったな!」

 『おうおう、それなら俺も見たぜ。なんだあの様は、あれじゃおめー、海賊の方が目立ってたくらいだぜ!』

 「ッハハハハハ! そりゃ違ぇねぇ。なんだ、病み上がりで不調だったか? しょっちゅう怪我してるもんな、どれちょっと見てやるから―――」

 ―――ハイハイ、ナチュラルにセクハラするのはやめなって。相手がアタシだから許してやってるけどねぇ?
 最近ウチの店、結構こわ〜い女の子の店員が入ったから気をつけたほうがいいよ?
 セクハラなんてしようものならそれこそ―――そういえば、ベイゼどしたんだろ。ま、出かけてるのかな。

【UNITED TRIGGER―――店の名はそう言った。静かな夜、まだ降り積もった雪が溶け切っていない幻想的な光景の中】
【ランプから明るい光が漏れるこの店の外観は、いかにも古風な酒場―――それこそ西部劇にでも出てきそうな程だったが】
【実は出来て一年が経った"正義"を掲げる団体の拠点であるのだが……控えめに見ても、事務所兼酒場、という感じであった。】

【中には客が数人、そしてこれまた時代錯誤なテンガロン・ハットに土気色のベスト、ダメージジーンズとウェスタンブーツに身を包んだ】
【いかにも、という格好の女ガンマン―――この組織の創設者たるセリーナ・ザ・"キッド"がカウンターでくつろいでおり】
【恐らくは旧来の仲間であろう、賞金稼ぎの男達と会話をしながら、自身もウィスキーをぐい、と煽っていた。】


 『なんだよなんだよつれねぇなぁ? で、新入りの店員が女の子だって? おい、可愛いんだろうな。』

 「少なくともセリーナよりは愛嬌あるだろーよ、そもそもこいつ以下なんて探してもみつからねーか! ッハハハハハ!」

 ……はぁ。陽気なのは有り難いけど、客を選ぶ権利くらいそろそろ欲しいもんだねぇ……。
 『アタシ以外の賞金稼ぎは入店禁止! 主に地の国で仲良かった連中!』って看板でも作ろうか……。
 まあいいや、今日はベイゼのおかげで仕事も片付いてるし、依頼もひと段落ついてるから久しぶりに飲んじゃおうかな〜♪

 『お! なんだ、T・スタッグでも空けるのか? それなら俺達も手伝うぜセリーナ、なぁ?』

 「一人じゃ飲み切れねぇだろ、ケチケチしてねーで分けろ分けろ!」

 ん〜……そうだね、じゃ分けたげるよ! 二人ともギア君捜索に情報収集と色々手伝ってくれてるしね。
 今日はお礼を込めて、パーッと空けようか! パーッとさ! ね?

 『「…………おい、隕石でも落ちてきてねえよな?」』

 ……大変息があってて宜しい事で。でも残念、今夜はよく晴れた空が広がってるよ。星が綺麗だから見てくれば?

 「おい! セリーナ、なんだお前!? 素直だとなんかこえーぞ! なんか裏があるだろ裏が!!」

 『そうだそうだ!怪しいぞ! あ、なんださては恋人か!? そうだろなぁそうだろ! どんな男だよちょっと見せてみろって!』

【わーきゃー、と騒いでいるのは大変よろしいことだが、どうにも気の抜けた、凡そ正義を名乗る者達の集会所とは思えない光景。】
【話している内容などそれこそ場末のスナックで繰り広げられる酔っ払いの会話のそれと大差ないものだが―――実を言えば】
【会話に参加している賞金稼ぎ二人もそれなりに名の知れた腕の立つ人間であるのは確かであったし、なにより三人は】
【こうしてふざけている間にも彼方此方で集めた情報を交換し合っていたりと、案外バカに出来ないものであった。】

【最も、『恋人なんかいないよ!』だの、『嘘付け! 絶対いるゾ!』だの本当にくだらない会話が飛び交っているのは事実であったが。】
【今宵もまた、誰かが来るのをひっそりと待ちながら。陽気な組織は寒い季節の夜、暖かな雰囲気を作り出していた。】

109名無しさん:2014/02/18(火) 22:49:11 ID:A89md4kk0
【某国山中・周囲一帯を見下ろせる崖の上】

【寒い夜。獣も穴蔵に潜み、誰も出歩かないような月明かりの夜、一人の男がそこに居た】
【白いローブにマントを着こみ、脚はグラディエーターサンダルという、些か薄着の長身で】
【艶やかな黒髪を肩ほどまで伸ばした彼は、その背に3m近い豪槍を背負っており】

【――それで何をしているのかと言うと、何もしていない。ただ、外界の森を見下ろすだけだ】
【暗い森は所々に雪が見え、また遠くには街の明かりも見えるが――如何せん、人里離れているのは否めない】

ふン……哀れな子羊とはまさに貴様のことよな、メアリー……。
我が騎士団に属しながら思想を……〝神〟を理解できぬとは、実に愚かなやつ

……貴様の忠勤は忘れぬ。だが今はしばしこの地で眠るが良い……
いずれ我が大願が成就する日には……その時には、改めて墓碑も建てよう。
一時ばかり天に身を委ねて待つがよかろう。―――さて、私も何時迄も此処に居るわけには行かぬ、か……。

【彼は――何か、人によっては聞こえるかもしれない、そんな程度の声で文言を紡ぐと】
【ローブの中から取り出した一つの麻袋を、崖の方へと放り投げた】
【中には石でも入っているのだろうか。あっと言う間に、それは崖下へ消えて、砕ける音が聞こえた】

【――時に、誰かがその袋をよく見ることが出来たのなら、興味深いものが見えたに違いない】
【それは〝絶望に歪んだ女性の顔〟だ。――勿論、見えたのならと言うのは、大事な条件だった】

110名無しさん:2014/02/18(火) 23:15:58 ID:F52AoKs20
>>108
【ギィ、と扉が軋む。そして、ひょこと中を覗く顔。そして、その影は一歩酒場に踏み込んだ】
【空気がざわりと揺れる。敵意や悪意を含んでいないというのに、どことなく危うげな気配を従えてそれは酒場に現れた】
【服装は、アウトドアメーカーの登山用マウンテンパーカーに、ダメージジーンズ、見るものが見れば分かるが合金板を仕込んだ靴】
【そして、何より目立つのは――薄暗い店舗の中で、無機質に輝くライムグリーンの右目の僅かに狂気を孕んだ光】
【外の風で乱れた白い短髪をかきあげ、いつもどおりのハリネズミのような鋭い髪型に整えなおして、息を吸い込み――】
【けほん。酒場に満ちる紫煙を吸い込み、空咳を響かせて、カウンターへとおもむろに歩いて行き、椅子に座り一息】

「うっわ――大分雑多だな、こりゃ」

【そうひとりごちて、何を頼んだものか一瞬眉間にシワを寄せ、アーリータイムズをロックで頼む】
【出てきたそれを一口含めば、青年は目を細めて空間の喧騒に耳を傾ける】
【ベルトポーチから取り出し眺めるのは、びっしりと書き込まれ大量の付箋が付けられた、メモ帳だ】
【その文字列の群れを指先でなぞりながら、青年は意識を常に店内の会話に傾け続ける】

「……こういう組織は……知らなかったな、俺ァ」

【ぼそりと呟き、僅かに口元に笑みを浮かべて。青年はウィスキーを口に含み、ゆっくりと喉に流し込んでいく】
【静かに酒を舐める青年は、不審な気配こそ無い、が。UTの所属ではなさそうで賞金稼ぎでもなさそうな青年は少々目立つかもしれない】

/*まだおりましたら&1時頃に中断するかもですが……!*/

111名無しさん:2014/02/18(火) 23:43:06 ID:H2DR/gUQ0
>>110

 『で、相手はどんな男だよ? お前も結構ひでー経験ばっかしてるからな、今度こそはイイ男を―――』
 
 「おいボレロ! おま―――流石にセリーナ相手だからって口が過ぎるぜ。"マット"のこと、忘れたのかよ。」

 『……あ! いや……その、なんだ。上機嫌だったんだ、口が滑ってな。悪かったなセリーナ、気分害したなら―――……セリーナ?』

 「……ほうれ見ろ、知らねーぞ。黙りこくっちまった、幾らなんでもセリーナに対して過去の恋愛話を茶化してやろうなんて……」

【カウンター端に座った賞金稼ぎの二人―――マスターであるセリーナとは旧知の仲であろう男達は、なにやら自分達が失言をしたせいで】
【セリーナが黙りこくっているのだと勘違いしているようだが、それは違った。酒が入っていようが彼女が熟練の"ガンマン"である事に変わりは無い。】
【黙りこくっていたのは、新しく入ってきた一人の客―――にしては、少し異様な雰囲気を放つ青年を、ほんの少しだけ見つめていたから、であった。】

【決して、過去に"色々とあった"恋愛経験を詰られたからなどではなく―――なく、と言いたい所であったが。気を取り直した彼女はすかさず】
【ボレロというその失言男に対し滅茶苦茶な値段の書かれた請求書を突きつけ、ニッコリと笑った。どうやら今夜ばかりは、親友同士といえど】
【"ツケ"で飲み放題、という訳には行かない様だ。地雷を踏んだボレロは肩をがっくり落として、隣の仲間へと泣きついた。セリーナは、と言えば】


 (―――綺麗な白髪だなあ、それになんだか不思議な色の瞳。グリーンの目をした人は何人も見てきたけれど)
 (というか、アタシ自身も翡翠とブルーが交じり合ったような色味だし―――って、そうじゃなくって。)
 (ここら辺では見ない顔だし、勿論常連でもない。それにこっちの会話に聞き耳を立ててるような感じ、だよね。なにより……)

 (―――アーリータイムズ。そう、ウィスキーだ。ウィスキー好きに悪い子はいない、ってね!)

【少し賞金稼ぎの仲間達から離れ、セリーナが椅子に座る彼の元へと歩を進め、カウンター越しに話しかけた。】
【キュ、キュ、とグラスをふき取りながら、初めて出会う青年に対し興味を持ったのは間違いないだろう、】
【これもまた、一つの出会い、一つの情報収集であると考えて―――彼女は、声をかけた。】

 
 珍しいでしょ? こういう"場所"。
 組織―――というには少し雑多だし、かといって完全なバーと言うにはデスクや書類が煩わしい。
 何より壁にウィンチェスター・M1887やらライフル・マスケットをぴかぴかにして飾ってるようなバーは、物好きでもそうそう経営してない。

 なぁんだかさ、他人事みたいな話だけど、始めてみる人は困惑しちゃう造りだよねぇ、改めてみると―――ふふっ。
 はじめまして、青年君。綺麗な髪の色をしているね、ここいらじゃ見かけないけれど、ウチの店は初めて、だよね?
 アタシはセリーナ! セリーナ・ザ・"キッド"って言うんだ、もしかしたら名前くらいは知ってるかもしれないけれど―――……って
 これは少し慢心が過ぎたかな、有名人面して相手が知らなかったときって、結構恥ずかしいんだよねぇ。えへへ。

 よければ名前を聞いてもいいかな、アタシはウィスキーを頼む客に悪い人は居ないって思っててね。
 そのメモ帳、すごい付箋だね。まるで新聞の記者さんみたいだけど―――そういうお仕事をしてる、のかな。

【フレンドリーなものだ。初対面、それも最初の一言が『珍しいでしょ』―――という一言から始まっている。】
【その後に自己紹介を重ねて、丁寧にテンガロン・ハットを一度脱いでからニコリ、と笑った。】
【彼女がセリーナ・ザ・"キッド"、この世界では色々な意味で有名になった人物の一人だ。】

112名無しさん:2014/02/18(火) 23:53:58 ID:Qa8AXHgU0
【とある国。夜と言っても繁華街に夜など無く、どちらかと言うとこの時間帯の方が賑わっているとも揶揄されるが】
【そんな繁華街から一歩入った――だから、表通りからもよく見える――路地裏。其処には数人の男達が居た】
【横たわる男が4人ほど。奥の突き当りで身体を震わせながらへたり込むのが1人。そして――立ちながら横たわる男達を見下げるのが1人】


―――……ったくよー。テメーら、ふざけんじゃねーぞ……。


【横たわる男達……派手な出で立ちの不良達を見下げるのは、これまた奇抜な風貌の銀髪の男だった】
【魔女が被るような紫色の大きな帽子に、同色で縁に金色の刺繍が施されたローブ】
【そして手に持つのは、男の身長ほども有る木製の大きな杖。……詰まるところ、お伽噺の魔法使いのような格好だ】

【何故か無性にイライラした表情の男は、持っている杖で不良達の身体を表通り側へと文字通り叩き出す】
【チンピラ達は直ぐ様立ち上がって喚きながら逃げ出すも、男の顔が晴れることは無い。むしろ何だか悪化しているような……】

「……あ、あの、ありがとうございまs」

……御託は良いからさっさと帰って家族団欒でもしてろリーマン!

【先ほどのチンピラに襲われていたのであろうサラリーマン風の男性も、そんなよく分からない怒気に押されてまたこの路地から逃げ出して】
【残るは銀髪の男一人だけ。はぁ、と溜息一つ着いて、男もこの路地から去ろうと歩き出した。勿論先ほどの出来事の後だから、よーく目立つ】

……なんで可愛い子ちゃんじゃなくてリーマンなんだよ……。

【正義の味方を名乗るにしては……というか、正義の味方らしからぬそんなセリフを呟きながら】

113名無しさん:2014/02/19(水) 00:02:11 ID:F52AoKs20
>>111
【己に近づく気配。それに機敏に反応し、ライムグリーンのネオンライトのような瞳をスライドさせる】
【ずれていく視線は、此方に近づいていくセリーナを捉えて。僅かに見定めるように細められた】
【緊張で固まっているわけでもなく、かと言ってリラックスしているわけでもなく。薄く研ぎ澄まされた刃の様な印象が、そこには有る】

「ああ、珍しいな。俺の事務所も大概汚ねーけどよ、ここはここで拘りっぽいのが有って悪くないよ。
ま、銃器類はそんなに詳しくないからよくわかんねェけどよ」

【店内を見回しつつ、素直にこの店の有り様を好ましく思っていることを口にする】
【一口、僅かに融けだした氷の加水によって味の変わったウィスキーを嚥下】
【ちなみに、青年は銃器に詳しくないとは言っているものの、腰に一応リボルバーを下げている。それも中々のゲテモノだ】
【名前は、タウルス・ジャッジ。世の中にもそうそう種類の無い『散弾拳銃』である。腰から下げたベルトポーチを見れば、他にも何やら色々とつめ込まれていることが分かるだろう】

「セリーナ・ザ・"キッド"。UNITED TRIGGERの創設者――だよな? んでガンマン――っと。
なんつーか、なんだ。……justiceとかとはちょいと雰囲気違うもんだな、お固い奴って印象が有ったんだがな、この手の組織ってのは」

【相手の名乗りを聞き、青年はわずかに口元に笑みを浮かべながら、女の名前とその肩書を照合してみせる】
【その上で、組織の構成員全体に感じる、風通しの良さ、気負いのなさに青年は好ましさを感じていた】
【清濁併せ呑むその有り様は、ある意味己にも通ずる振る舞いだったからだ】

「谷山基樹。……ま、一応フリーのジャーナリストしてるよ。
ずっと前からカノッサ機関の最前線は追い続けてんだが――最近はGIFTとかも追っかけてる、かな。
……紙に書かなくても覚えはいいんだけどな。紙に書くって工程してると、ちょっと人間臭くて――良いなとか思うんだわ」

【手元の手帳には、びっしりとミリ単位の文字が神経質に綺麗に揃えられて書き込まれている】
【それは、まるでタイプライターで打ち込まれたかのように正確だが、それと同時にインクの滲みなどでそれが手書きであることが分かる】
【人の手で機械のような正確な所業をしてみせる青年。異質な雰囲気の持ち主は、口角を僅かに釣り上げて、己の名前を口にした】

「酒場とか割りと行くし酒も嫌いじゃないんだが――弱いんだよなァこれが、情けない」

【ちびりちびりと舐めるようにウィスキーを楽しむ青年は、鋭さを僅かに軟化させて苦笑をこぼし】
【血の気の薄い、血色悪い顔に僅かに朱を差しながら、目を細めて、店内の喧騒をその外から見ているような傍観者の視点で一瞬眺めて】
【ぱたん、とメモ帳を閉じれば、ごそりとベルトポーチにしまいこんだ】

114名無しさん:2014/02/19(水) 00:19:18 ID:Jfel1XAU0
>>109

【気配を隠す事も無く近寄るのは“聖”】
【さて、なれば男性と同じ職の者かと問われれば答えは是。然れど、同じ騎士団に所属する者かと問われれば答えは否だ】
【寧ろ、教会と呼ばれる大きな屋根の下に共に居ながらも敵対する側の人間。月光を金色の髪が鋭く反射させながら歩く姿は、何も知らぬ者ならば様にも見えるのだろうが】


「――――あれ。供物を捧げるならノアを見習ってちゃんと手順を踏まなきゃ
子羊を捧げるなら尚更だよね?」

【所謂、修道女。神に仕える女性。若かしながら、女の腰には銀の双銃が提げられていた】
【月光の下より一層その存在を主張する其れはどうにもその女の異質さも際立たせ居て】
【緊迫だとか怒気だとか、そんな表情では無い。それ所か、緩い笑みを浮かべれば数歩分の距離を空けて立ち止まり】


「しっかし、奇妙な子羊も居たもんだよねぇ。まるでどっかの誰かが作った“叫び”みたいな顔
……ボク等は…………教会は、偶像崇拝を禁止してたと思うんだけどな。まーるでどっかの石細工の職人に作らせたみたいにリアルだったね
――――ねえ、団長サマ?」

【教会の下に居ながらその身を赤く染める女。死神だとか色々とらしからぬ渾名もあれば、真偽も分からぬ黒い噂だって多々纏わり付いている】
【クスリクスリと嗤えばその場から崖の下を覗き込む様に背伸びをしてみたり】
【砕けた音が聞こえたならば身を竦める素振りを見せたりしていたが――――その言葉を聞くに、男性がこの崖から放り投げた物が何であったのかを見ていたのだろう】
【一度限りだが副団長との、石屋と接したこともある。能力を深くまでは知らないが――――少なからず“石”に関係する事までも把握している】


「いやあ、自警団とかUTとかさ、SCARLETとかに梯子を作ろうとしてるんだけどコレが中々難しくてさ
後悔先立たずなんて櫻にはあるみたいだけど、正にこの事だよね
まっ、最近はSCARLETの人や自警団の人とかとも接触が出来たし――――ほら、君達のヴァルゴの一件のお陰でさ。それとも、月を落とす事に関わっていた一件と言った方が良いのかな?
そりゃあもう待ったよ。謎々の問い掛けをされたまま逃げられた子供みたいに答えが出るのを待ってたさ
――――君達がしたい事とか、カノッサの襲撃とか、あの無愛想なメイドの事とか…………ああ、そうそう。さっきのボクと同じ修道女の石をこーんな暗い崖から落とした事も、かな」

【言葉だけは敵意が剥き出しだ。だが、今は銃を抜く気配が見られない――――が】
【男性ならば分かるだろう。この女も又曲者だ、と】
【緩んだ笑みの下で銃を突きつけていても可笑しくは無い程に、殺しに対して躊躇は無い人間】
【戯れに答えてやるか、邪魔だと言わんばかりに殺しに掛かるか――――どんな反応であったって、其れに応じた反応を返すのだろうけれど】

/もしもまだいらっしゃいましたらっ!

115名無しさん:2014/02/19(水) 00:39:18 ID:H2DR/gUQ0
>>113

【瞳が、と言うよりは視線そのものが、此方へと動くのが見えた。なるほど、機敏だ。ボーっと酒を飲んでいる人、ではない。】
【むしろ感覚を研ぎ澄ませている様はどこか、無頼のような雰囲気すらも醸し出しているほどで―――そう、つまるところ】
【セリーナはセリーナで、彼を"カタギ"では無い、何か異質の―――しかして、決して攻撃的ではない"存在"だと、感じ】

 へぇ、お客さんも事務所を開いてるんだ! 其れはいいねぇ、片付けが出来ないことに関しても同意だよ。 
 ウチもこれで大分片付けた方で、アタシの寝室はそれはもうゴチャゴチャしてて大変で……って、何を話してるんだか、アタシは。
 っと、詳しくない、だって? お客さん、その割には随分と"凝った"エモノを持ち歩いてるじゃない。

 確かそれは―――トーラス・ジャッジ。レイジング・ブルで有名なブラジル製の大型リボルバー、しかも弾丸は散弾。
 散弾が撃てるハンドガンなんて、他には『レ・マット』くらいしか無いんじゃないかな、相当な"好き物"じゃないと、持たない武器だ。
 いいねぇ、本物を見たのは初めてかも! お互い"変わった銃"とウィスキーが好きな同志、気が合いそうだね。ふふっ!

【そう言って彼女が腰元にぶら下げたホルスターをひょい、と持ち上げると、そこには旧式の―――否、むしろ"古式"と言った方が良いか】
【今時持ち歩いてる人間はそう居ないであろうパーカッション式のコルト・M1851 Navyが鎮座している。どうやらお互い、変わっている様だ】
【銃には目が無いのか、カウンターからひょっこりと身を乗り出して、男の腰元にぶら下がったそれをまじまじと見つめ、嬉しそうな表情。】
【しかし、自分の名を、そしてこの組織の事を知っている口ぶりの彼に対し、今度はきちんと瞳を覗き込んで、その言葉に答えた。】

 そう、アタシがセリーナ・ザ・"キッド"。確かに、聞く限りじゃ今までの組織とは色々違ってるみたいで―――『緩過ぎる!』なーんて
 よくそう言われたりもするくらいだよ、実際緩いとは思うんだけど、それがウチの醍醐味でもあるからさ。えへへ。
 貴方はアタシと違って、過去の組織についても結構知っていそうだね。もしかして―――、、やっぱり。

【谷山基樹。知らない名前ではあったが、フリーのジャーナリストである、という彼の自己紹介には『なるほど』と頷いた。】
【これで先ほどの突き刺すような観察眼、そしてその情報集能力とメモ帳にも納得が行くというもの。彼はまさしく、戦場の記者だ。】
【自身もウィスキーを少しずつ煽りながら、彼の肩書きとその職業の危険さ、そして貴重さに対し彼女は感銘を受けていた。】

 谷山さん、ううん、"基樹"さん、って呼んでも良いかな? アタシの事は、"セリーナ"って呼んで欲しいな。
 GIFTに、カノッサ。それも前から追いかけているって事は、やっぱりアタシの先輩に当たるわけだね、凄い経歴だよ!
 貴方みたいな存在がいてくれるおかげで、UTがUTとして活動していけるってものさ。
 どんなに戦場で命を張っても、其処に居る人間にしか努力が伝わらないんじゃ、中々世界は変えられないからね。
 そういう意味で、戦場を駆ける記者さん、ってホントに稀有で、そして貴重な職業だって思うなあ。ある意味、アタシ達よりも、ね。
 
 でもそれじゃ、命を賭けて挑む仕事、って事だよね。一度聞いてみたかったんだけど、例えばその―――
 なんていうか、戦場に立つだけの覚悟とか、決意があるのなら、戦いを専門にしてみよう、って思うことは無かったの?
 どうして記者を続けられるのか、アタシがライターだったら中々怖くて出来ない事かもしれないな〜なんて、思うからさ。

【酒が弱い、と漏らす谷山のその姿勢は、先ほどまでとは少し変わって人間臭さを感じさせる柔和な物だった。セリーナも吊られて笑い。】
【どうして命を張ってまで報道という道を進むのか、自分のような"戦士"とは少し有り方の違う彼に対し、セリーナはそんな質問をぶつけた。】
【勿論、それは純粋な興味からくるものであって、決して批判等ではない。世間的には危険であるとされる職だからこそ―――】
【セリーナは何故、彼が過去から現在に至るまで、ジャーナリストという仕事を続けられているのかが気になったのだった。】

116名無しさん:2014/02/19(水) 00:43:48 ID:A89md4kk0
>>114

―――ほォう。まさか貴様に説法を食らう日が来るとは思わなかったぞ…?

グリース・イムリンパルス……ラグナールではご活躍だったじゃあないか
〝テレビ〟で全国に中継されていたからなぁ……つい夜更かしして魅入ったよ…。
あれほど巨大な機兵を、まさか貴様を含めても僅かに五人で止めるとは、な――?

ククッ……暗殺専門だと思っていたが、存外にポテンシャルは高いらしい
そこは純粋に褒め称えよう、グリース……だが私の前に現れたのは愚策だったと言わざるを得まい…。

【ピクッ、とかけられた声に巨躯が揺らぎ、徐ろに背後へと振り返る】
【こちらの顔もまた微笑。厳しいその表情で、口元だけが雪解けのように歪んでいて】
【そして、紡ぐのは形ばかりの賞賛の言葉。両手はローブの内に秘めたまま、布の端が風に靡き】

あァ、そうとも……私の部下には腕の良いのが居るからな。
貴様と違って血の一滴も、悲鳴も残さないし……こうして砕けば、ただの石塊だ

おっと、一応断っておこうか?あれは単に老朽化した石像だ――フ、フッ。

……それで?お前は何が聞きたいのだ、今並べ立てた言葉の全てか?
ならば少々長くなる。もっとも此処まで来た貴様の為だ、答えてやらぬとは言うまいて
〝2つ〟だ……―よく考えて質問したまえ、グリース……よぉく、考えてな……?

―――ああ、それと一つ先に言っておこうか。此処での会話、忘れろとは言わぬ。
仮に録音や、外部への通信をつなげていても構わぬ。好きにしろ、貴様の自由を許しておく
……疑問が増えたか?なに、別に他意は無いさ―――〝ご褒美〟だと思え、私からの――。

【威風堂々、という言葉が、ただ立っているだけで似合ってしまう男というのも珍しい】
【彼が立つのは崖の淵。風も決して弱くなく、常人は立っているだけで脚も竦むに違いない】

【だがフレデリック・シャリエールは何も動じず立っていて、相手が持つ銃も見はしたが】
【己の槍との射程差も理解できているだろうに『一歩も引かず』――布の隙間から出した手で、『2』を示した】
【一見して、撃てば倒れるようにも思えた。だが、彼の雰囲気と、それから着飾ったローブとが――】

【―――月光に映って、寒風をも味方にして居るように思えてならなかった】

/居りましたー!

117名無しさん:2014/02/19(水) 01:10:16 ID:F52AoKs20
>>115
「あー……こりゃなァ。俺は剣士でもガンマンでもましてや拳法家でもなくてよ。
正しい打ち方のフォーム自体は出来るんだが、あんまりこの手のは才能なくてな。
狙わなくても至近でぶっ放しゃとりあえず当たるし、散弾って派手だからビビらせるには丁度良くてよ。
……あ、レ・マット以外だとMILのサンダー5とかもだな。弾種の打ち分けで俺はジャッジを選んだけどよ。
そっちもまた、中々アンティークなもん持ってんじゃねーの。確り手入れもされてるみたいだし――さすがガンマン、って所かな?」

【青年の立ち居振る舞い。それは、武人や軍人のそれでは決して無い。死線をくぐり抜けた人間特有の臭いは有るのに、戦いを生業にするものの臭いが薄いのだ】
【わざわざこんなマイナーな拳銃を選択した理由も、好みなどではなく己の実用性を満たすものを選んだ上で、このピーキーを選択している】
【青年にとっての銃は、命を預ける道具ではあっても、決して相棒ではない。それがおそらく、セリーナとの大きな差と言えるだろう】

「ん、構わねェよ。じゃ、俺もセリーナって呼ばせてもらう。敬語とか敬称付とか取材以外じゃやらなくてな。
一応――今は抜けてるけどな、昔はそういう組織にも居たよ。……つっても、当時ァ何も分かってねえジャーナリスト志望の高校生のガキだったけどさ。
ジャーナリストって基本悲劇とか事件を食い物にして日銭を稼いでっからさ、セリーナみたいに言ってくれるヤツは割と貴重なんだぜ?
……最前線でこの世に善が有ることを示して、悪の所業を伝えていく。どんな能力よりも魔法よりも兵器よりも、世論ってのは最強の力になるからな。
やりがいは有るぜ、死にかけるし危険職だから健康保険にも入れねぇし、寝る暇も無いけどよ」

【割りとフランクな口なのか、相手を呼び捨てにすることを躊躇うこと無く、己についてさらりと口にしていく】
【かつてはUTやSCARLETの様な組織にいた事、そして己の仕事を認めてくれる人が貴重であること】
【そういう感謝の言葉を聞くと、戦場を巡りゆく中で荒んだ心も、多少は癒やされるような錯覚すら抱く。有りがたかった】
【そして、口にするのは世論こそが最強の力であるという己の持論。いくら強かろうと、人一人では組織一つでは国や世界を相手取るのは困難である】
【その点、文字通りにペンは剣よりも強いのだ。そう、誇らしげに青年は語り、己の仕事の意義を語る】

「いっや――戦いとか怖いし痛いしよ、専門にするのなんかまっぴらごめんなんだわ、俺。
ただでさえガッタガタの体なんだから、四六時中戦ってばっかいちゃ死んじまうよ。
……だが、まあ――それでも世の中の一番汚くて一番辛くて一番知られていない所を暴かなきゃならないと俺は思っている。
――――そういう、平和じゃないことを知ってもらう事で、平和を大切にして欲しいのさ、俺ァ。
剣でも銃でも能力でも魔法でも、人を万人変えることなんか出来やしない。
ましてや、一度二度の演説でも、たった一人のカリスマでもそんなことが出来るはずはない。
俺はだからペンを執ってる。俺の言葉で人を変えるんじゃない、俺の力で人を煽動するんじゃない。
俺が伝えたことで、皆が平和について考えてくれるって事が何より大切な事なわけだ――、そして戦地に善意を届けるためにも、な」

【青年の体は、良く見てみれば無数の傷跡がびっしりと付いている。特に目立つのは、ライムグリーンの右目の周囲】
【皮膚の引き裂けたような痕、そして――人のものとは思えない、無機質な光を湛える瞳。その瞳は、生身ではない】
【そうなってまでも戦い続ける理由を、そしてあくまでも賞金稼ぎや傭兵ではなく〝ジャーナリスト〟である理由を、谷山は朗々と語っていく】
【谷山が戦う理由は、平和の貴重さを見なおしてもらうため、そして戦地の悲惨を伝えることで戦地に人の善意を届けるため】
【――突き詰めてしまえば、世界平和なんていう壮大かつ荒唐無稽な夢こそが、この若いジャーナリストを支える信念で】

「ペンの強さは人の強さだ。
あんたら戦う人を悪く言う訳じゃないが――武力で戦うだけなら犬にも出来る。
人の本当の強さは、考えて学習していける事――だと俺は思っている。
……前に立ち続けて後ろの人を変えていくってのが、俺なりの戦いな訳、だな――。……っと、どーも酒が入るとうっかり口が回る」

【つらつらと垂れ流した己の持論。そして、大分長く熱く語ったことに、恥ずかしそうに俯いて、ウィスキーを煽る】
【からん、と氷が揺れて。カウンター奥のボトルへと、青年の視線はずれる。銘柄を見て、僅かに迷っている様子】

/*ゼミの発表とか有るんで一端中断お願いできれば!*/

118名無しさん:2014/02/19(水) 01:13:26 ID:H2DR/gUQ0
>>117
/了解いたしましたー!明日午前中に此方もお返事いたしますので、またよろしくお願いしますっ!

119名無しさん:2014/02/19(水) 01:22:49 ID:Jfel1XAU0
>>116
「なぁに、誰が殺したかが分からなければボクにとってはもう暗殺だよ。だから、見た人も全部殺すなり喋れなくしちゃえばそれで成功さ
その分働く手間も増えるけど…………上からの指示なら仕方ないよ
――――ボク達と、後は彼処の自警団達と。まあ、ボクが何かを出来たかと言えば…………精々あの身体に飛び移ってみる程度だけどね
其れだって、みんなが居たから何とか出来た事だし

ああ…………そう言えばボクも一躍有名人になれそうだったのかな?
折角だし臭い台詞でも言えれば良かったんだけど…………生憎、それだけの余裕も無くてさ」

【銃口を突きつける事は無い。特別別な魔力を漂わせる気配も無ければ罠を仕込む様子も無い】
【相変わらずの表情だが――――其れこそ、警戒している証だ。何かがあれば直ぐに回避できる様にと身体に聞かせて】
【ただ、強面の表情、その口元が緩んだ様子を見せられれば拍子抜けといった所か】
【相手は騎士団の長。真正面から戦った所で勝ち目が無い事は分かりきっている。故に、飛びかかる事も強硬手段に出る事も無く】


「団長サマが角を切り落としたっていうあの櫻の国の妖怪の事かな。だとしたら厄介だよねぇ…………ボクだって石の枷を嵌められたし、そのまま十字架を背負って歩けなんて言われたらまるでゴルゴダだよ
深くは分からなかったけど…………容易に触らせない方が良いことだけは分かった。で、君が態々断りを入れる位だ――――“石像”だって事も分かった
君がこんな所まで運んで捨てる位大切にしてた石像って事もね
…………じゃあ、そのその事を除いて二つの内で何を聞きたいかと言われれば、さ」

【彼の団長が自ら否定する様な発言を聞けば、捻くれたこの女は“石像とは異なる”と判断したのだろう】
【尤も、こんな時間に態々こんな辺鄙な場所まで持ってきて放り投げるのだ。其れも、こんな場所に捨てられるに相応しい表情を浮かべた像を】
【――――自分なりに答えは出せた。確信まで行かずとも、其れを改めて問うのは愚問】
【言ってしまえば、本当に石像であろうと嘗て人間で在っただろうと砕けてしまえば同じ事。其れを咎め、殺しに掛かる正義感を持っては居ない】


「君達が依頼したなら知ってると思うけど、あのヴァルゴに乗り込んでたメイド――――今は、逮捕されてるんだっけ
確かにボクと対峙した時は女だった。だけど、アサドと一緒に乗り込んでみたら…………不思議だよね。確かに服装とかの面影はあったけど、男だった
何だか凄い形相で睨んできて人間らしかったと言えばらしかったけど
――――で。事が終わって倒れればあの無愛想なメイドに戻った訳だ。その前までは命令は絶対とか、あの時みたいにだとか訳の分からない事を喚かれたけど
……つまり、ボクが聞きたいのはあのメイドの事。色々と紐解くのに必要そうだし、友達がぎゃんぎゃん五月蠅いし」

【――――まるで真似するかのように人差し指を立てれば、言葉を句切る】
【コレが一つ目、とでも表しているのだろう。無論、何故口封じをしようとしないのかも問い質そうかと思ったが】
【―――――其れ自体を録音して聞かせた所で、正義の組織の者達へと提供する材料としては心許ない】
【以前までの話とで、これまでの巨大生物の騒ぎとの関連性も分かった。ならば、知るべきはその先であって、何をしでかすかだ】


「――――もう一つは、ボクが一々言わなくても分かるよね?」

【だから、吹っ掛ける。明確な問いを口にせず、相手に答えさせる】
【確かに自分で質問を考えれば其れに対してこの団長は詳細に語ってくれるかもしれないが、それよりも自ら重要だと思う、この女が聞きたい事を考えさせて語らせた方がきっと有意義な答えが返って来る】
【そう踏んだからこそ不明瞭な問い掛け。また、指が一つ立てられて】

120名無しさん:2014/02/19(水) 01:50:39 ID:A89md4kk0
>>119

【相手が銃を構えないのを見て、また小さく笑った。そこに侮蔑の意味は無い】
【むしろ逆だ。相手が逆上したり、そのまま仕掛けるような短慮の輩であったなら――】

【――豪槍の刃がぎらりと光った。偶然月の光を受けただけだが、宛ら意志すらあるようで】

ンー……良い態度だ。少しは謙虚さというのを知ったようじゃないか
表の顔はさぞ高い評価だろうな――『美貌の修道女、機兵を破る』とでも言った所だ
もっとも、有名になるのは望まぬところだろう?仕事柄、あまり向いた事ではあるまい

……さて。…おや、カガヤか?あれは櫻の〝石鬼〟という種族だからな
正確には、その能力の深淵は私も知らん。……あぁ、この事は除いて答えるとしよう
私が勝手に答えたことだ……それで――――まずは『メイド』の事、だったな?

【質問を受けるとすぐ、フレデリックはローブの内から一束の書類を取り出して相手に放り投げた】
【そこそこの重みと厚みを備えた品だ、風で流れることもないだろう】
【それともうひとつ言うなら、一々そのような品を持っているはずもない。転移の術式が得意と見え】

……ハッキリ言って、私も他の物も、あのメイドの正体は知らぬ。
実に有能、そして小柄、黙秘も得意だ。特徴らしい特徴は、あの変わらぬ表情位だろう

年もわからぬ……だが、なぜ男になっていたのか。それは恐らく〝ヴァルゴ〟の所為だろうな
あれの動力源、何だか分かったか?火力でも魔力でもない……人の心の力とでもいおうか…――。
その者が持つ精神力を以って動くのだよ……そして、それは人の本性をむき出しにする

あの女は、こと心を保つのには長けているように見えたがダメだった……それだけの事だろう
何かしらの理由があって、男に……あるいは女に化けていて、その均衡が崩れた。
私はそう見るがね――真相なんぞ本人に聞け、私は奴が使えるから起用したまでのことだ――

――それとそれはカノッサ機関のデーターベース……その片隅に転がっていた、ある施設の資料だ
ある実験を行っていたそうだが、そこに乗っている被験者の頁……〝AA〟と有るのが分かるな?
私見だがな……そいつがクサいぞ。何より特徴が一致している。異世界の出来事だ、ということを除けばな……?

【内容は――wikiのとある研究所のページに詳しい。そこを見れば、それがほぼ資料の内容と同じとなる】
【ただし日付があまりに古かった。AAの頁が書かれたのは、紙の資料によれば――】
【――『およそ35年前』の事となっている。それも、異世界で死亡されたとあるし、別人であるとも言い切れて】

……おやおや、ご丁寧に答えて差し上げれば付け上がるのが貴様という女の悪い所だな?
だが答えると言った手前、嘘を吐く私でもない……さて何に答えたものか……?

私とダグラスの、あるいはカガヤとの馴れ初めか?私が騎士団長に成り上がった物語か?
それとも我が槍カテドラルの逸話か、でなければかの〝橋姫〟とかいう鬼の事かな?

―――違う?では、私達の……〝ダグラスの目的〟か?

数多くの化け物を退治させ、一体何を成し遂げたいのか……端的に言えば、〝神〟だよ。
だが我々の教義に元を見るような存在ではなく、お伽話の〝美を愛でる神〟……

アイツはそれに会いたい。…いや、その神に見初められたいのだよ、グリース…。
何せ美を愛するヤツの事だ、世界で最も美を知る神に見てもらえれば、それだけで喜悦の涙を流すに違いない
……言っておこう。その神は実在する。なにせ、物語の通りの存在がすべて実在したのだから
アリギエ、テナー、ハビギス、橋姫、そしてヴァルゴ……全てが、物語の通りに出現したのだから。

私は奴の手伝いをする。何故か、それは古い友だからというより他にない
私もまた美を愛でる。しかし造形よりも、人の心が好みでな……貴様の向こう見ずさも嫌いではない
そして、奴――ダグラス・マックスウッドは輝かしい心を持っている。……していることは、その際には全く関係無い。

【―――長い語りを終えて、フレデリック・シャリエールは『ご満足いただけたかね?』と静かに言う】
【到底信じがたい――恐ろしいというよりも、馬鹿げている。だが、その語調にも、表情にも】
【まして彼という人間性からも、一切の嘘くささは嗅ぎ取れず――また同様に、真実の香りだけは鼻が曲がる程強かった】

121名無しさん:2014/02/19(水) 02:18:31 ID:Qa8AXHgU0
>>112
/取り消しますです……

122名無しさん:2014/02/19(水) 02:38:08 ID:Jfel1XAU0
>>120
「ボクが知られた所でもう一つのボクの顔が知られる訳でも無いさ。何処かのりょーめんすくなみたく同じ顔が張り付いてる訳でも無いんだから
『お前はあのグリース』なんて言葉を言わせる前に、もうきっと天国地獄煉獄にでも行ってるよ
――――表でも裏でも評価は高いさ。現にこうして失敗をした事が無いからボクは此処に立ってる
一度でも失敗すれば今頃冷たい土の下にでも居て黙示録がくるまでの間睡眠を満喫出来ただろうけど…………っと」

【宙で受け止めようとすれば、存外の重量に腰を落として】
【それでも何とか土で汚さずに抱えれば、パラパラとページを捲り――――奇しくも、目的の所で指が止まり】
【不真面目な外見とは裏腹に、理解するだけの力があるのだろう。言葉を耳に入れ、目からも情報を入れ】
【実にあっという間の出来事だ。其処からペラリペラリとページを捲っていったかと思えば、直ぐに終わる】


「ふーん……なる程ねぇ。何だか他にも色々と面白そうなのがあるけど、あんなのが一気にカノッサから攻めてきたら面倒な事になるのは間違い無さそうだ
悪への忠誠が正義にすり替わったとか特に、ね
それで、精神が原動力っていったっけ?なら、あの錯乱染みた言葉も納得出来るけど…………って言うか、この博士大丈夫なのさ?
まー兎にも角にも、確かに団長サマの言う通り特徴は合っていそうだ。でも、さっき放り投げたアレみたいに断崖から落ちてって書いてあるよ
と考えると、もう少し頭を捻らなきゃいけないかな…………確かに本人に聞ければ良いんだけどさ、また攻撃されたらたまったもんじゃ――――ん?BC…………ああ、あの沢山居た子か
そう…………か」

【断崖から落ちて果たして助かるだろうか。それに、どの様に見たって歳は35を過ぎている様には見えなかった】
【――――いや、しかしこの世界にはケミッシュが存在している。何より、“死亡”では無く“消えた”だ】
【更には作った本人が渡界とも書いてある。確かに年代は違えど――――有り得ない話では無い、のだろうか】
【直に問うのが一番。最もでありながら一番難しい答えだと、苦笑と共に返して】


「まだ若いからねぇ。どうも、ボクは世間知らずでさ
…………ボク達は一神じゃなかったかな、団長サマ
例えお伽噺だとしても、君が其れを許すだなんて珍しいね?それも部下達の為じゃ無くて“古くからの友人”の為になんてさ
…………そう言えば、今日は君のお守り相手が見えないね

関係無い、筈が無い。教会だって潔白じゃないし宗教戦争やらと色々と“汚い”けど…………だけど、君達は殺しすぎてるし壊しすぎてる
――――そうだろうね。きっと君の言う神様は存在するんだろう、けど」

【資料の束を何処かへと転移させれば、金の双眸が向かう先は団長だ】
【珍しくもその表情からは緩んだ笑みが消えている。きっと、何時も重要な殺しをする前はこんな表情なのだろうと思わせる程で】
【ただ一つ違うのは、銃が抜かれて居ない事だ。冷たい風に髪を遊ばせたならば、言葉が途切れ】


「ボクはね、そんなのを認めない。君が言う人の心なんて物も認めない
血で汚した物から生まれるのが美しいなら、カノッサの兵達でも引き連れて全部の街を壊してしまえば良い
其れを守るそんな人の心が好きだなんて言うなら、君の騎士団でも動かして今まで通り偽善ごっこでもしれば良い
ボクはね…………認めないよ?だから、君達の事も邪魔をする。――――なーんて言っても、テナーだって殺したり副団長サマの通りヴァルゴを壊す手伝いをしてるけどさ」

【その言葉を真実として受け止めたのだろう。今までがそうだ。これまでの事を考えれば、そうだ】
【だから、言葉を返す。許さないとか巫山戯るなとか正義の叫びでは無く、ただ淡々とその神を認めないとだけ】
【――――どの様に聞こえたかは分からない。だが、最後にはクスリと笑んで茶化せば何時も通りだ】

123名無しさん:2014/02/19(水) 03:05:30 ID:A89md4kk0
>>122

表でも裏でも評価は高い……そうかね。これは、これは――失礼した
生憎と私は、これでも高潔な精神を持ち合わせているという自負がある……
……無論?君の定規ではどう計ってもそういう答えは出ないだろうが。

それと、加えて言うなら私は寛容だ。確かに我らの信じる神は唯一。
だがだからといって他の神が存在しないわけでもない……櫻など、特にそうだ

それにな、現実的な話をすれば〝美を愛でる神〟と言うのは
『あくまでも強い力を持った存在』でしかないと……つまり神には及ばぬ存在だと私は思っている。
便宜上〝神〟とは呼ぶが、それを全面的に支持するのは単なる異端だ。私は……違う――。

【一括りにして、フレデリックはそう答えた。徐々に鋭さを増すグリースの言葉に大して――】
【この騎士団長はあくまでも泰然自若――落ち着いて対応を重ねていく。不遜とも取れるだろうが】

さあて……これでおおかたの質問は片付いたか。あのメイドについては嫌というほど話したからな
おっとそれから、その資料――流出には気を付けた方が良いぞ、シスター
何せ乗っているメンバーがメンバーだ……UTに、機関……抜けたものも居るが……

……まあ、お前自身には関係の無い連中だ。一言告げたが、忘れてもいい
あくまでも貴様の好きにできるという訳だな……さて、さてさて……それで――?

【フウゥ――、と白い息を彼は吐いて、山並みを背に修道女の視線を受けて立った】
【彼女のように輝かしい色の瞳ではない。しかし、石のように普遍的な強さが見て取れて】
【またあくまでもこちらも武器は抜かなかった。相手が抜かないのだから当然というような、余裕の表情であり】

フッ……捻くれ者め。人を殺しすぎて脳が何処かに偏ってしまったか?
それとも教義の枠にハマって抜け出せずに終わってしまったか……。

……なんとでも言え。我が心と行動に一点の曇りも無い……!
貴様ごときに愚弄されようが、善と偽善の解釈を交えようが、理解し合うつもりもない…!
認めなければそれもまた自由だ、好きにしろと何度も言わせるなよグリース・イムリンパルス……。

〝それで〟――貴様は何がしたい。私に聞くだけ聞いて、帰って紅茶でも飲むか?
それともワルツでも踊るかね、月光の照らす断崖の上だ……中々乙な舞台ではないか
或いは……私の前で、その銃が飾りではないことでも証明するか?

―――もう二度と言わんぞ。然程暇じゃあない……お喋りに付き合う時間は、持ちあわせておらん。

【騎士団長の表情は、不動であった。笑みでありながらそれを思わせない、鷹のような強い瞳】
【ローブをなびかせる風すらもその威圧感に屈するかのように、一時的に〝凪〟が周囲を包む】
【遠く、雪に覆われた針葉樹でかさりと音がした。何匹かの子リスがその場から逃げる音であった】

124名無しさん:2014/02/19(水) 03:39:00 ID:Jfel1XAU0
>>123
「まさか。そこら辺にでも置いておく訳でも無いよ
紙飛行機にしたらよく飛びそうだけど、紙飛行機にするには勿体ない位に面白い文章だ
――――だけど、UTか。ふぅん…………親交を深めるために手土産に持って行くのも悪くは無さそう
まっ、結局は気分次第さ。行くも行かないも、語るも語らないも。今はただ、面白そう。そう思っただけ」

【殺さない。動かない。構えない。素振りを見せない。そして、威圧を出さない】
【ただ、一触即発である事は事実だ。それも当然の事。袂を分かつ二人が穏やかにお喋りだなんて場面が可笑しいのだ】
【――――半身になるのは、動くためか急所を隠すためか。“聖”が消えないのは、スムーズに攻撃へ移るためか説教でもする為か】


「あはは…………奇遇だねぇ。ボクも、もし君がその美の神様の事を語り始めたら同じ事を言うつもりだったよ
曇りがあっても無くてもさ、そんな景色を見せる窓が邪魔なんだ。だから、叩き割るだけ
騎士団長だとかどうでも良いんだ。ボクにとっては相手が生きているか死んでるか。もっと端的に言えば存在してるかしてないか
――――君は生きて、ボクの前に立っている。だから、邪魔だ。ダグラスも、フレデリックも」

【強すぎる聖は毒だ。眩しすぎる光は失明させる】
【――――ニヤリと女は嗤った。其処からは一瞬の事だ】
【クイックドロー。オートマグに似た其れの癖に、引き抜き、狙い、発砲までにラグが無い】
【撃鉄を自分の速度で起こせる物にも劣らない速度、とでも例えられるだろうか】
【集中して狙ったわけでも、回避するであろう先を狙って発砲した訳でも無い其れは、警戒さえ怠っていなければ避ける事が出来る筈だ】
【狙いは大腿部。機動性を削ぐことと、血管をも撃ち抜いて致命を狙ったのであろうが――――】


「――――偏る?抜け出せずに終わる?
ボクのお母さんは試験管だからねぇ。言葉のあやで抜け出せなかったと言っても不思議じゃ無いけどさ

…………この銃を君に見せつけて自慢しながら踊って、満足して終わったら帰って紅茶でも啜るよ。ゆっくり楽しみたいから焦る必要も無い
生憎だけど、仕事も終わったしボクは時間が余ってとっても暇なんだ。年頃の女の子が暇を持て余してるんだ、少し位お喋りに付き合ってくれても良いんじゃ無いかな?」

【被弾しようとしまいと関係無い。その場から後ろへと下がれば、更に距離を空ける】
【自分に有利な距離へと持ち込もうとするが――――見たところ、先程の資料は転移を用いていたから油断も出来まい】
【更にはその槍だ。果たして異能を持っているのかは分からないが…………確かに、双眸は警戒色を浮かべて居た】

125名無しさん:2014/02/19(水) 03:57:42 ID:A89md4kk0
>>124

【――グリースが銃弾を最速で撃ち放つと、フレデリックもまた動いた】
【初動は見えない。おそらくはローブの内で豪槍の側へと手を回したと思われた】

【だが第二の動きは分かった、実に単純で何もわからないことはない――槍を振り下ろしたのだ】
【そうやって、ただ一度切りの攻撃とも防御ともとれる一撃で、彼は銃弾を〝切り落としていた〟】
【微笑の顔は変わらない。獲物を見つけた肉食獣のように歯列が覗いたのが唯一の変化点であろう】

【また特筆するのなら、弾丸を切り裂いたその一瞬ばかりだが、槍の先から電撃が走った】
【もしかすると聞いたこともあるかも知れない。ゼン=カイマ秘蔵の大槍――〝カテドラル〟】
【一説には街の成り立ちと同じ歴史を持つもので、神の力の一端――つまり雷撃を司るとか、なんとか】

ン〜……!実に良いぞ、グリース・イムリンパルス……!
貴様とこうして楽しむのを幾度夢想したか知れん……それほど貴様は厄介だ
脳裏にこびり付いて離れないカビのような奴だ――切り裂くところまで、想像通りよ

……だが、中々どうして、やはり出来る…!……そらどうした?
お喋りの相手をしてやろうではないか、このフレデリック・シャリエールが――

―――都市の守護を一手に担う、近衛騎士団の長たる私がッ――!!

【僅かにローブから血が滲む。ニヤリという笑いが出た――そう、弾丸は確かに切り裂いた】
【だが綺麗に両断されたそれが僅かにローブの奥の腿を掠めたのに違いなく】

【次に、下がる彼女を見たフレデリックは豪槍を持った右腕をグイ、と背後に下げる】
【まるで槍投げの体制だ。まさか武器を初手から捨てるとも思えないが――嫌な予感は、するだろうか】

【しなかったのなら対処は難しいだろう。彼は次の瞬間、身体をぐるりと動かして右腕を前に突き出して】
【するとそのまま、まるで腕がスライムか何かにでも化けたように伸び――槍のリーチも手伝って】
【およそ10mか、それ以上の距離にまでグリースを追って、胸部なり腹部なり、深く突き貫こうとするだろう】

【何より怖いのはその速度。まるでバネのように延びる一撃は、初速だけで言えば弾丸にも匹敵する】
【流石に伸び始めればそれも落ちるため、見てからの回避も決して不可能ではない、が――】

【――それに加えて、彼は口元を動かしていた。何かの術に違いないが、読唇術を持ってしてもそれが何かは測れまい】
【こういう話もある。騎士団に歴々と受け継がれる幾つかの秘術がある、というような都市伝説だ】
【それだとしたらどんな高僧も知り得ぬ術に違いなく――平然とそれをこなすこの男は、やはり化け物じみて強かった】

126名無しさん:2014/02/19(水) 04:29:53 ID:Jfel1XAU0
>>125
「カビっていうのは君が思うより厄介さ。増えて増えて壁一面を汚染しちゃうくらいに
――――ボクを切り裂くかい?ボクを殺してみるかい?
君なら出来るだろうね。死神たるボクを殺す何て事は実に簡単だろうけど…………今日はボクにも助っ人が居てね。だから、こうして君に弾丸を向けた訳だけど」

【避けるわけで無く真っ正面から裂いたとなれば相手の技量も計り知れよう】
【尤も、一騎士団を治める者だ。造作でも無い事だったのかもしれないが――――僅かに滲んだ血を見れば、完璧で無い事も分かる】
【さて、揺さぶりか否か分からないが女は“助っ人”と言った。然れど、他に影が見当たらなければ気配すらも感じない】
【ホラでも吹いて動揺を誘おうとしたのか?いや、しかしこの程度の嘘で相手は揺るがない筈は良く知っていようが…………】


「厄介なら石にして落としちゃえば良い。何日か後に復活なんて真似はしないから安心してよ
触れただけで人を治せないし、皆の罪を一身に背負う事なんて出来やしないけど――――殺す事は得意だ」

【範囲が伸びたことを確認したならば、チッと舌打ちを一つして】
【着いた爪先が直ぐさまに地面を蹴って距離を作る。が、僅かに遅かった】
【深々と刺さる事は無いにしても、ダメージとするには十分だ。後ろへの跳躍が幸いしてか、その勢いで自然と抜けるが――――なる程、厄介】
【助っ人とやらは、修道女が傷を負わされても現れる事は無い様だ。やはり、虚勢であったか?】


「くっ――…………は……っ。ハハ…………ハハハ。化け物が都市を守っていちゃ駄目だよ
守るべきは人間じゃなきゃね。何だい、その腕は。まるで溶けかかった人間みたいだ
――――そうだ。化け物が人間の振りをしちゃあいけないんだ」

【呟かれるのは“ルカ”の言葉。そう、福音書の一つだ】
【手にしていた双銃は短剣へと姿を変えて――――修道女は白い光を纏い、其の光は熱を放つ】
【男性の様にリーチを伸ばす術は無く、折角の得物のリーチを無くしてまで短剣を持つ必要が有ったのかは疑問だが、現にこうして女は得物の姿を変えている】

【形態が変われば身体にも変化が訪れるのか、得るのは常人よりも優れた身体能力】
【力めば当然腹部に痛みも走ろうが、関係無い。目指すはその詠唱めいた唇の紡ぎを止める事だ】
【開いた距離が大きければ大きいほどに加速する時間も増える。例え女の軽い体重であったとしても――――男性へと到達する頃には、相当な衝撃へと化している事だろう】
【其れが二振りの短剣に集中されるのだ。右手は首へと、左手は下腹部へと。加減すれば忽ちにして殺される。理解して居るからこそ、加減をする事が出来ない】
【詠唱を続けられたならば――――そして、止められたならば。少ない距離にせよ、有利は男性に働く事は間違い無い】

127名無しさん:2014/02/19(水) 04:54:28 ID:A89md4kk0
>>126

【槍の先に慣れた感触を掴みとる。この一撃で生憎なのは、深押しが出来ない点だ】
【伸びきった腕は戻ることしか出来ない。触手のように延々伸びるのとはわけが違う】

【自然、フレデリックの右腕は元の――全く普通の人間と同じ位置に戻り】
【一方で当人は僅かに瞳を細めた。助っ人という単語に反応したのは言うまでもない】
【しかし焦って周囲を見回したり、額に汗を浮かべたりするようなことはなく、僅かに警戒を厳にして】

フッ―――く、フハハハハハハッ――!面白い冗談を言うじゃあないかっ!
人の身から生まれてすらいない貴様が、この私に〝化け物〟とはな!

あぁー、確かに私は化け物じみてはいるッ!それは事実だと認めざるを得まい
我が父も、そして母もこれを実に不気味がったものだ。お陰で私は教会という素晴らしい場所に……
……二人との〝離別〟という形で行き着くことが出来た――だから化け物で結構だ、『人でなし』め。

【やがて迫る修道女の手には短剣。距離が詰まると大槍とはすこぶる相性の悪い武装だ】
【その選択と才気に心のなかで口笛を吹きながらも、フレデリックは屈しない】

【まず彼は下腹部を狙う一撃を、そして突進の様な勢いを止めるために槍を使用した】
【なんてことはない、地面を思い切り突き刺しただけだ。それによって刃は柄で受け止め】
【また槍を離さずに置くことで衝撃も殺せる。人一人の体重で折れるほど、やわな槍では無いようで】

【そして2つ目、首を狙う短剣が迫るとフレデリックはニヤリと笑って――〝首をズラした〟】
【これも言葉のままである。彼の肉はことごとく薄緑のスライムと化し、脊椎までが透けて見え】
【どうやらその骨や神経までは動かしきれないようだったが、肉の。つまり首元は違うらしく】

【背後におよそ、4cmもずれたろうか。そうなると首を狙う一撃はかすめるだけに留まってしまうハズで】

―――ンッン〜!今のは危なかったなあシスター・グリース、まさに首の皮がどうのというやつだ
お陰でチクリと喉元が痛むぞ。まあもっとも……こうして話している以上、詠唱がどうなったかは理解できよう……?

【何故そんな物言いなのかは、背後で響く轟音によって理解できるだろう。振り返れば、炎熱――!】
【そう、爆発が起きたのだ。それも両者の競り合う場所よりももっと奥、崖の入り口とでも言おうか、そんな場所で】
【〝ビシッ!〟という、寒気を誘う音がそれに続く。やがて下降がゆっくりと始まる中――】

フフッ……〝そうなる前〟に言っておくが、此処の崖は一枚岩だ。実によく切り立っていて……
そして、何だ……年季が入って脆そうではないか。そうは思わんかね、お嬢さん――?

【――フレデリックは後方、崖の先端までバク転で距離を離す。首の位置を戻し、人肌に色を戻し】
【背後の風景を月から暗い森へと変化させながら、改めて槍を両手に持ち直した】
【今から安全圏まで逃げるのは――やや難しいか。大きな岩の舞台は、徐々に斜面へ向けて落ち始めていた】

128名無しさん:2014/02/19(水) 05:30:11 ID:Jfel1XAU0
>>127
「そうさ、ボクは人じゃ無い。教会が人を殺めるという業から逃れる為に作り出した“人で無し”だよ
だから、ボクは何人殺そうが天国にも地獄にも行かない。司教だろうが皇帝だろうが全部ただの“生き物”だ
今を一緒に楽しもうか、化け物サマ?幸い君にもボクにも死んだところで悲しんでくれる人は居なさそうだ
――――嗚呼、グロリアと蛍くらいなら花でも添えててくれるかな」

【その一手を止められてしまえば、後は女の膂力だ。其れでも福音の効果か、些か強いのだが】
【只の刺突程度では有効なダメージが入らない事を悟る。十分だ。この強敵相手に、其れだけの情報を得ることが出来れば十分】
【そして何よりも、スライムに似たモノと知る事が…………肉までは変化出来ても、脊柱頸椎までは難しい事が知れた】
【勝てる確信は無い。だが、“助っ人”が有効打となる可能性が僅かにでもある事が知れた。だから、女は嗤う】


「全く、面倒な事をするよねぇ君も。確かに人間じゃ無いけど、足場が無いと歩きにくいのは同じなんだよ?
ペガサスじゃ無いんだから空を駆ける訳にもいかないしさ
――――まあ、良いよ。もう少し付き合ってくれるんでしょう?寛大な団長サマは
まっさか、女の子一人こんな寂しい所に置いて帰る筈も無いもんね」

【何が起きたのか理解するのに時間は掛かったが――――理解すれば、その先は早い】
【下手に逃げようとするよりも、滑り落ちる足場に留まる方が良いと判断してか、その場から飛び退きもせず】
【滑り落ちる中、もう一度短剣を構えて男性に切っ先を向ける――――否。人差し指を向けた】


「君達の下らない美的感覚に巻き込まれた生き物からの復讐だよ――――テナー」

【女は、確かにテナーと言った。もう居ないであろう存在の名を告げたのだ】
【特別懐かれていた訳で無く、寧ろ討伐した側だ。だが、確かにその名を告げた】
【――――女が報酬として貰ったのは何だったか。あの寄生虫と…………そう、恐水鳥の瞳だ】
【水流を操るとされる其れ。だが、肝心の水は?――――溶けた雪。女の“福音”の熱とつい先程の炎熱】

【男性一人を飲み込むほどの量は無いにしても、幾つかの弾丸代わりに使うには十分だ。狙うのは、同じ首――――と、腕】
【何よりも“物体”では無く“水”。そして、もしも被弾させる事が出来ればスライム状の肉を進み神経を犯そうとでもするだろうか】

【扱いには慣れていない。落ちながらテナーの目玉を使い、更に追撃をするなんて芸当を出来る程のスキルはまだ持ち合わせておらず】
【故に、同時に好きも晒す事となっているが】

129名無しさん:2014/02/19(水) 05:55:22 ID:A89md4kk0
>>128

言うではないかグリース・イムリンパルス……!良かろう、受けて立とう!
この身は確かに、既に人という枠は抜け出ている……認めようとも、私はバケモノであるとッ!
悲しむ者など必要あるまい?そのような未練、とうの昔に置いてきているわ

――さあて続きと行こうではないか、舞台はちょいとグラつくが
そうそう味わえない『落ちる崖』の上!我々のダンスには相応しかろうが、グリース…ッ!

【崖が落ち行き、やがて斜面に轟音を立てて着地。しかし岩のサイズがサイズだけに】
【なおも舞台は砕けず、止まらず、そして上に立つ二人も吹き飛ばされることはない】

【その状況を楽しむようにフレデリックは完全に笑みの表情を作り、犬歯まで覗かせて】
【まずひとつ、構えた槍を踏み込みながら突き出した。速く鋭い一撃だ、しかし回避はまだ出来る】
【問題はその後――回避されたなら、更に追撃とばかりに幾度か槍を突き出すのである】

――ほう、テナーか!懐かしい名だ、ヤツに寄生虫を仕込むのは実に容易い仕事だったっ!
ちょいと古巣を突き回して湖に誘導すればそれで終わり……哀れで無知な害鳥よな
そうか、ヤツの力を手にしていたか……だがまだまだ、甘いのではないか……!?

【融雪を用いた流水の弾丸は、攻撃に身を賭していたフレデリックの喉と手元を確かに穿った】
【しかし物理にはめっぽう強いのがスライムというものである。体表を即座に組み替えれば、直接のダメージは消え】
【それでも尚体内に残留して、動きまわるのを感じれば――彼はカテドラルに多量の魔力を送り込み】

く、クッ――不思議には思わんのか……スライムという、極端な属性を備えた私が――
〝一体どうして最大の弱点を持ち歩いているのか〟と……そうだ、カテドラルだよグリースッ!

私はな、この雷槍を持ち歩くことによって己の弱点を常に晒しているッ!
それによって身を傷付けられるのは、自らの鍛錬が足りぬせいだという訓戒よ―!
……そして今まさに、それを使う時……!些かのダメージは……致し方あるまいな……?

【――直後、凄まじい音と光が周囲を包む。カテドラルに蓄積された魔力が、電流となって周囲を駆け巡ったのである】
【これはグリースをも襲う可能性があるし、そうなるとダメージは大きなもので身体も痛烈に痺れるに違いない】

【だが、フレデリックの狙いは別――体内の水流を、全身を電流で焼くことによって打ち消そうとしたのである】
【とはいえその身そのものも電気には弱い。光が止んで見てみれば、槍を支えにしつつも膝を付いて項垂れる彼が見えるだろう】
【これは隙だ――動けるのなら攻撃も出来るだろうし、体内の水流も残っているなら迫撃をかけることも出来るはずだった】

/っとそろそろ一時休息を頂いてよろしいでしょうか…!
/本日は夕方からバイトなので、そこまで置きレス風→深夜再開とか
/でなければ明日は空いてますので、そちらに再開という形でお願いしたくッ!

130名無しさん:2014/02/19(水) 06:00:14 ID:Jfel1XAU0
>>129
/丁度同じ事を書こうかと思って居たのでグッドタイミングであります!
/モチのロンで大丈夫でありますよ!進行の方も把握致しました!今日返せれば、お返しさせて頂きますです!
/それでは、お休みなさいませですよー!

131名無しさん:2014/02/19(水) 06:06:55 ID:TEkDCuO.0
>>130
/おぉ良かった、でしたらそのようにお願い致します!
/ではまた後でっ。お休みなさいませ〜

132名無しさん:2014/02/19(水) 13:19:51 ID:Jfel1XAU0
>>129
「悪い、けどね…………ボクは未練タラタラなんだ…………
ボクは人じゃあ無い。だけど、人の真似事程度はしてみたい――――命を奪うボクがそう思うなんて、我が儘だよねぇ……?
でも、ボクはボクだ。化け物であろうと人でなしだろうしボクはグリースだ。この考えはボクの考えだ
教会の道具だけで終わらないさ。ボクはボクで終わらせる。しちゃいけない人間の振る舞いをして、死ぬ時は人として死んでやる!」

【幾度か躱し、幾度か貫く。まるで重力に逆らうかのように血は上り――――いや、遅れて滴り】
【だから、修道服だって下へと染まるのでは無く上へと向かってそまる不思議な光景】
【上手い具合に急所への攻撃を避けはするものの、女は屈強な戦士というわけでは無い。受ければ受ける程、華奢な身体では体力を消耗する事となる】
【その証として額に浮かぶのは汗。自分を直ぐさまに癒やせる、そんな都合の良い異能を持ち合わせている筈も無く】


「これで良いさ。これで――――――ああ、君の能力を見た時から考えて居たよ
水と雷だ。確かに相性が悪い。そして刃も銃弾も難しい。…………だから、突破口を探してた
君が幾らスライムに変わっても良い様に、逃がさない様にする為の攻撃を――――――――ッ!!!!」

【こんな場所だ。こんな状況だ。この女には放電から逃れる術は無いに等しい】
【先ず、激しい痛みだ。斬った焼いた等とは違い、慣れぬ痛み。当然、意識だって持って行かれそうになるが――――】
【一定では無い電流なれば、意識を無くすことも難しい。今となっては其れが良い方向へと働いていたが】
【耐えきった、と表すよりも何とか意識だけは留まっていたと表すべきか】

【爪が、岩を引っ掻く。まるで辛うじて残った意識を無理にでも覚醒させるかの様に】
【カリカリカリ――――ガリ。漸く、その顔が上げられた】
【満身創痍に違いは無い。だが、何故“聖”が強くなっているのか】
【今は短剣も消え、一本の剣と化す。即ち、再び形態を変えた事を伝えるのだろう】
【いや、態々得物を見なくとも――――女の背に白い翼が生えた事を見れば一目瞭然か】


「……………………君は…………厄介だ
流石は団長を務める…………だけの事は、ある…………けど…………――――」

【ゆっくりと起き上がり、震える手が剣を掴んだ】
【白い翼を持って居ながらも、その顔も身体も自分の血に汚している姿は果たしてどの様な存在に見えるか】
【徐々に距離が詰められる。落下する舞台は何れまた別な地にぶつかるのに、一歩一歩の歩みが遅い】
【――――当然だ。貫かれ、強力な雷撃も浴びている。それで俊敏に動ければ、それこそ本物の化け物】


「ボクだって…………今はまだ、人で無しだ…………
終わらせないし…………終わら、ない…………よ……!!」

【やがては、その剣が振られた。性懲りも無く斬撃か?――――強烈な“聖”によって強い熱を持った剣は、ただの斬撃で済むだろうか?】
【まるで白い焔だ。悪魔と対峙する者が振るう一振りの刃】
【スライムの身体には単純な斬撃は意味を為さない事は今までの事で分かった。だが、水分を奪うだけの熱量を持つ其れならどうであろうか】
【首を切り落とせるだけの力は残っては居ない。故に、背中を深く斬る為の一撃】
【相当上手く行かなければ命は奪えまいが――――今は戦えなくすれば良いのだ。何より、先も記した様に剣を掴んでから振るうという動作までには時間がある】
【それまでに対策を練ることだって、難しい話では無い筈で】

133名無しさん:2014/02/19(水) 14:11:10 ID:A89md4kk0
>>132

【グリースの発想は――正しい。スライム状と化す肉体には属性の使用が必須だ】
【特に伝達力の高い電撃か、水分を飛ばす火炎か。一刀のもとに切り捨てるのなら、後者】
【まして刃その物が白焔であれば申し分ない。事実、剣を振るったのならば】

【フレデリックの大いなる隙もあって、それはローブを斬り裂き、肉も深く断つ事となるだろう】
【感触もある。血が流れないのが攻撃の特性上不気味で、場所柄背骨にも引っかかるかもしれない】
【不気味なほどあっさりと行くはずだ。―――勿論、それで彼が終わるはずもないというのは】

――――〝覚悟の上〟だろうな…?ふ、ククッ…この……死にぞこないがァーー!!!

【咆哮と共にフレデリックの術式が展開する。それは〝転移〟――得意のモノだ】
【では何を転送するのか。考えるより速く、グリースはそれを目の当たりにすることになるだろう】

ふふッ…!く……フハハハハハハッ!!最後の最後で弱みを見せたなァ…グリースッッ!!!
散々利用されッ!生まれた時から骨の髄まで〝道具〟の貴様がッッ!!
『死ぬときは人間のふりをして死にたい』だとォ〜!!?……笑わせる、実に面白いじゃあないかッ!

貴様はなァ、グリース……此処で私に殺されて、崖の下で朽ち果てるのがお似合いの玩具に過ぎん…ッ!
教会の勝手気ままに翻弄され、教会の騎士によって殺されるのが似合いの〝オチ〟だッ!

……〝理解〟できたか?いいや、出来ても反抗するだろうなァ……ならば理解すら必要あるまい……。
まともな判断を下す余裕もなくしてやるッ!ワケもわからぬままに――死ねい、グリース・イムリンパルス――!!!

【答えは――〝複数本の短刀〟が〝フレデリックの背面〟から〝飛び出して〟来るのである】
【確かに彼は傷を負った。しかし電流が逃げた今、再度肉をスライム状に変形させることは可能であり】
【傷を避けて、短刀を――内臓も脊柱も避けてそれらを転送した、それだけの攻撃だ。】

【――が。狙いも付けていないとはいえ、複数の刃が飛び出すとなると、近距離で剣を振るった彼女はどうなるか】
【飛べるのならばなんてことはない――良ければそれでいいだけの、ちょっとした奇襲である】


【それでも特に一本が、彼女の腹部を目指していた。いずれもよく研がれて、月光を浴びてイヤに輝いている】
【加えて――崖の岩が斜面を滑り落ちるのももう終わり、攻撃の成否が分かるその頃に、すさまじい衝撃が二人を襲うだろう】
【何十本もの木々が勢いで折られ、その一部が両者を襲い、或いは周囲に吹き飛ばすに違いない】

【フレデリックは――まず、自分から飛び降りていた。側には小さいながら、半ば凍った滝があって】
【そのそばに、彼は槍を携えて佇み、相手を探すだろう。――と言っても、ダメージが大きいのも確かだ】
【自分で放った電撃と、確かに受けた背中の傷と。口の端から溢れる血液を拭い、額の脂汗を払い】
【槍を杖のようにして体を支えることでやっと立っている様な有り様だったが――フレデリックは、まだ生きていた】

134名無しさん:2014/02/19(水) 16:49:58 ID:Ma6AGWLw0
>>117

【銃は何処まで行っても、命を奪う武器である―――そう考えるセリーナは、いやそう考えるからこそ彼女は】
【自前のエモノを"相棒"と呼び、信頼し、こうして命を委ねている。銃は決して、神聖な存在でないと理解した上で、だ。】
【無論その真価は持ち主の使い方によって大きく左右されるが、だからこそしっかりと認識を持って扱うべき、と考えていて。】
【そういう思想の持ち主であるセリーナの瞳に、目の前の谷山と言う青年―――若々しい見た目に反し、どこか達観した様な彼は】
【割り切った考えを持っているけれど、かと言って希望を失って居る様でも無くて、年齢や人相の割に、大人びた人物の様に思えた。】

 へぇ〜! まだアタシよりも若そうなのに、随分と達観してるっていうか―――色んな経験を積んでるんだね、基樹君はさ。
 高校生の頃にそういう組織に所属してたっていうと相当だよ、アタシはその年の頃はまだ、金に煩い賞金稼ぎだったから。ふふっ。
 例え未熟だったとしても、そんな時分からこの世界について考えて、行動してたのはとても尊い事だって思うよ、アタシはね。
 それに―――基樹君の言う通り、単純に剣を振るうだけじゃ世界は変わらない、残念な事にね。
 その点、世論を動かそうっていうのは本当に賢明で、それでいてとても勇気のいる事だと思うよ。

 ―――だって、逆に風が吹く事があれば、その最強の"武器"は、"凶器"にも成りえちゃうから、ね。
 自分で操る"武器"と違って、世間の声は大きな効力を持つ代わりに、全てを思う方向に動かす事は、とても難しい。
 アタシが撃とうとしている銃と、何十万、何百万、何千万の声じゃどっちが強いかは一目瞭然だ。
 だから基樹君の言う事はとても正しいし、アタシ達の"戦い"は確かに、それこそ犬でも出来るモノかもしれないけれど。

 ―――貴方が持っているそのペンの"力"、大きなその力を過信してはいけないって、そう思うな。
 やり様によっては特定の"誰か"を、悪人に仕立て上げる様な事だって出来てしまう訳だからね。
 勿論、基樹君がそんな偏向的な報道をする様な人間とは思わないけれど、でもそれを言うならアタシだって
 罪のない人間に銃を突きつけるような女には見えない、っていう話になってくる訳だ。けれど、その可能性はゼロじゃない。

 あくまで仮定の話で、アタシが悪人以外に銃を向ける事も、不用意に命を奪う事も絶対にしないけれど。
 けれど、思わぬ方向に弾丸が飛ぶ事があるかもしれない―――だからアタシはアタシの武器を、怖いとも思ってるんだ。
 基樹君。正直な話をすれば、アタシやアタシの仲間の戦いは、貴方の様な存在がいてくれなきゃ、きっと永遠に終わらない。
 貴方の様な人間が、今この世界で何が起きて、誰が傷ついて、そしてそれを誰が止めようとしているのか、その真実を伝え続けない限りは
 絶対にこの戦いは終わらないって、アタシもそう思ってる。だからこそ、アタシは戦う時に常に、"覚悟"するんだ。

135名無しさん:2014/02/19(水) 16:50:21 ID:Ma6AGWLw0
>>117


 『この戦いを、アタシの姿を、"護るために人を傷つけるアタシの姿"を―――小さな子供も含めて皆が見ているんだ』って。
 『だから、アタシは絶対に、非道な事は出来ないし、そして絶対に負けられないんだ――――』って、ね。
 只闇雲に銃を振り回して、正義の味方ごっこをしている訳じゃあ、ないよ。少なくともUTの―――アタシの仲間はね。
 UTは普遍的な正義を掲げる組織じゃない。むしろアタシは、此処は"象徴"<シンボル>であるべきじゃないかなあ、なんて
 そういう風に考えてるんだ。アタシの姿を見て、アタシの仲間を見て、少しでも多くの人々に立ち上がる勇気を持ってほしい。
 
 アタシは皆にそれを伝えるだけの技術を持っていないから、こんな事を言うのはおかしい話かもしれないけれど。
 アタシの戦いは、戦いの為の戦いではないんだ。むしろ、貴方と同じ、『気付いてもらう』為の戦いが、一番近い。
 でもそれにはまず、今ある護るべき物を護らなくちゃいけなくて、そこには必ず『武力』が必要になってしまう。
 矛盾しているようだし、それこそ同じ所をぐるぐる廻っている犬の様でもあるけど―――でも、忘れないで。

 今ある世界を『変える』為に、貴方の大きな力は不可欠。そしてそれと同じように、今ある何かを『護る』為には
 武力で敵を"倒す"っていう、野蛮で、原始的な、人間の嫌な部分も必要なんだって事をね。
 それに目的もなく戦っている訳じゃないってことも、覚えておいてほしいな! だって―――
 これから沢山、報道してくれるんでしょ? 貴方の見た、アタシ達の戦いを、さ!
 その為に、アタシ達『戦う』側の事も、少し分かってて欲しいなと思って。

 ―――お酒が入ると口が回るのは、どうもお互い様みたいだね、あっはははは!

【谷山の指摘は、鋭い。結局、戦いのみを手段としている状況ではこの世界を変えていく事は、出来ないだろう。】
【だから知って貰う必要があるし、立ち上がるべきは民衆、つまり世論である。これもまた正しい。だが―――】
【それには正しい姿を認識してもらう必要がある筈だ。セリーナは、『銃』を握るその責任と、重みを】
【どこか遠くを見る様な瞳で、諭す様に谷山に告げるだろう。人を変えていけるその力もまた、恐ろしい物である、と。】

 と―――そうそう、ジャーナリストで情報にも詳しい基樹君を見込んで一つだけ、お願いがあるんだけど―――いいかな?
 アタシの仲間に関する、とても大切な話なんだ。よければ話だけでも聞いて貰えると、有り難いんだけど……。
 勿論、金に煩い賞金稼ぎ出身のアタシからの"お願い"だから、報酬は弾むよ? タダで、とは言わないからさ!

136名無しさん:2014/02/19(水) 20:14:42 ID:ZCHlt7mo0
【――――世界は、絶えず時の流れと共に移り変わっていき、今を生きる人の数だけ、物語もまた時の流れと共に紡がれていく】
【今を生きる人の数だけ紡がれる、幾百億編の物語――――】



【――――風の国 郊外】

……やっぱり、人と戦わなきゃ、いけないんだよね……
「(こっちで生きてく為にはどうも、それは避けられねぇみたいだな)」
<(しょうがないわよ。元の世界でだって、いつそうなるかは、時間の問題みたいなものだったでしょ?)>

【灰色のフード付きパーカーに、さっぱりした色合いのチェック柄の入ったスカートを履いた】
【額に、正三角形の形に、赤・青・緑の点が浮かび、それらを繋ぐ様にぼんやりと光の円環が浮かび上がっている】
【少し癖のあるオレンジ色のショートカットが印象的な、身長140cm前後の少女が】
【わずかに息を弾ませながら、身体の熱を発散させるように、襟元をパタパタと開閉させている】
【それなりに身体が温まっているのが、夜に白んでいく呼気を見れば分かるだろう】

<(今は、ともあれ揉め事を避けてるだけじゃ、手掛かりの1つも掴めないわよ……
だから、これも多少は必要って事になるでしょうね)>
「(しょうがねぇな……そこは割り切れ、としか……なぁ。無論、俺らだってサポートはするからよ)」
うん……もう少し、頑張ってみないと……

【虚空に対して、見えない誰かに語りかけるように独白を呟くと、すっと瞑目して意識を集中させる】
【緩く冷たく吹く風が、少女の周りで微かに逆巻き始めた――――】



【――――所変わって、水の国 山林】

……苦しまずに死のうなどと、甘えた話ですわね……まぁ、火葬の手間が省かれた事は、感謝してもらっても良いのではないですか?

【白を基調とした修道服でほぼその全身を覆い隠し、ケープの付いた帽子の中に、明るい空色の髪が覗く】
【手には、頭部に幾つかの小さな鈴と、銀でメッキされたと思しき翼の装飾が施されている細長い杖を携えている】
【豊満と表現されるだろう胸部が目立つ、身長160cm前後の女性が】
【燃え盛る車に背を向けて、白けたような表情でその場を離れようとする】
【熱で溶けた窓ガラスの隙間からは――――黒く燃え盛る人間の手が、ぎこちなく外へと伸ばされようとしていた】

死ぬ事すらまともに出来ない人間に……この世界での席はありませんわ……
『次』があるとするのなら、その時に頑張ってみるのですわね……?

【死者を弔う様に、その場で杖の鈴をしゃん、と打ち鳴らす。そのタイミングと前後して――――燃料に引火してか、車が轟きながら爆ぜた】
【女性の胸元で揺れる金十字を象ったネックレスが、爆炎に照らされて眩しく輝いていた】



【――――どの物語も、今と言う時の中に、確かに存在している物である】
【もし変化が訪れるとしたら――――それはどの物語なのだろうか】

137名無しさん:2014/02/19(水) 20:16:22 ID:F52AoKs20
>>134,135
「よくある。ジャーナリストってヤツは、段々自分に酔って、自分の見ているものがこの世の全てとか思い始めてな。
そして、なまじこれまでに成功を積み重ねてきたせいで、あながちそれもそこまで嘘じゃないような連中こそが、武器を凶器に変える。
銃が暴発するのと一緒で、俺達は言葉ひとつで暴動を起こしちまうことだって時にはある。少なくとも、その銃と同じくらいにはペンが重いことを知ってるよ」

【正義を掲げるジャーナリストというものは、大抵において己の思想に溺れるものだ】
【そして、往々にしてそういう人間は、己の正義に押しつぶされて消えていく。報道者として、己を俯瞰する視点は必要であることを認識していた】
【己の持っているものは、尊いと同時に誤れば国家を転覆させることすら時にはあるのだという事の重みを改めて心の中に刻み込む】
【表面上は冷静でも、一度過熱すると止まらないタイプの青年は、特に冷静さというものを身につけるべきだと思っていたから】

「得てして、自滅する野郎ってのは大抵自分の力に飲まれちまって酔っちまう連中だと思う。
だから俺は、俺なりの責任を持って筆を執っているし、俺なりの覚悟を持って戦場に立ち続けている。
あんたらの事を悪く言う訳じゃないんだ、戦うってのもひとつの〝手段〟である事は確かだし、そうしなきゃならない時だって有ることは分かっている」

【相手のことを悪く言うつもりはなかった。ただ、戦いを嫌うその感情から、その棘の含まれた言葉が吐露されたわけで】
【ただ、戦うことが必要であることを認めはしても、それが正しいとは決して青年は認めない】
【そこだけは、青年の決して譲れない思想であり、己がジャーナリスト『である』ラインだと思っているからだ】

「ただ――あんたらがそうしていることが、間違っているとは言わないけど、正しいとも思えない。俺が戦うことだってそうだ。
俺なんか罠だって仕込むし嘘は付くし、人質だって取るし――――連中の力だって使ってる。ある意味、あんたらより汚いよ。
そうでもしなきゃこの最前線に張り付いていられない、あんたらのその姿を追いかけていられないから――そうしてるんだけどよ。
だが、いつだって戦うのは辛いし悲しい。『必要』だって事は分かってるし、納得をしていても――だ。

戦うことを否定するわけじゃないし、人の汚い所とか醜い所なんか絶対なくならないって思ってるし、人の世界から戦争はなくならないと知ってんだ。
――――それでも足掻く連中を、俺は支えてみたいんだ。戦うことを選ばなきゃならない奴らを、な。
割りと口悪ィから、気ィ悪くしたらすまんかった。……互いによく話すな、キャラじゃねェんだけど、こういうの」

【己の戦い方は、罠を仕込み、策を弄し、思考の間隙を突き、相手の意表を突く奇術のような戦闘】
【きっと汚いし、非道に映るだろうし、そしてその上で時には負けることだって有るし、何度も負けてきた】
【意識の変化から、最終的な勝利の為に敗北も辞さない主義になった。だからこそ、セリーナの姿は、眩しく映る】
【泥を這いずってでも正義を貫こうとする己とは違う『正義』。眩しく、そして――真似できないと思い、尊敬の感を覚えて】
【僅かに口元を歪めると、右目を細めてくつくつと喉を震わせて低い笑い声を響かせる。少しむせて空咳を零して、体をくの字に折り】
【わずかに深呼吸をすれば、顔色の悪い顔には、大分砕けた表情が浮かんでいただろう】

「……聞けるかどーかは話を聞いてから、だなァ。
出来る事と出来ないことが有るし、金は生活できるくらいありゃこまんねェからさ。
あ、ウイスキーもう一杯――なんかオススメとか有る?」

【出来ないことは出来ないと言う青年は、無責任な事は言えないと先ず話を聞く意志を見せて】
【グラスの底にたまった水を口に含むと、二杯目のロックに何が良いかをセリーナに問いかけた】

138名無しさん:2014/02/19(水) 20:35:40 ID:u1BkeEnA0
【街中】


「ふぅむ、なにやらよく判らんが"ちょこれーと"が大安売りだったのだ」
「何か祭り事でもあったのか?」


【夜も更け、人気も少なくなった来た街中】
【大きな噴水がある広場のベンチに座る、小柄な人影があった】

【身長の頃140cm程度であろうか】
【裾に金糸の文様が施された白いローブに身を包み】
【顔にはフードをすっぽりと被って鼻下から上を隠している】
【肩口からは漫画の吹き出しを彷彿とさせる形状のボードが生えており】
【言葉を発さずボード上で黒い粒子のようなものを動かして文字として意思を表現していた】
【全体的に怪しく奇妙な人物に見えるであろうか】

【ローブの人物の周囲には、包装された箱や袋などが無数に散らばっており】
【それら全てから、チョコレートの名前やブランド名などが伺えた】
【恐らく、バレンタインで売れ残った在庫が安価で並んでいたのだろう】


「"ばれんとり"……"ばんあれんたい"……だったかの?」
「市井の風習というものはよくわからんが、ちょっと得した気分なのだ!」


【どこか上機嫌そうに、足をぷらぷらと揺らしながら】
【大量にある内からひとつのチョコを選んで、自らの口に放り込む】
【広がる芳醇な甘味に思わず口元を緩めつつも、その人物は一人夜の街の風景を眺めていた】


【周囲を窺っている為、何かしら目につくものや出来事があれば】
【この人物はそちらに注意を向ける可能性があるだろうか】

139名無しさん:2014/02/19(水) 21:20:29 ID:ZCHlt7mo0
/>>136取り消しでー

140名無しさん:2014/02/19(水) 21:50:19 ID:Jfel1XAU0
>>133
「そうさ、ボクは所詮道具だ。それが事実で変えられない真実――――だけど
ふっ…………あはははは!!コレが君にとって弱みに映るんだ?
だから駄目なんだよ“元”人間サマ。生粋の人でなしの考えなんて君には分かりっこない。知った振りをした所でそんなのは的の端も射止める事は出来ないよ、

君達教会の人間が神サマ気取ってイヴを作り出したのが間違いさ。聖書の彼女は過ちを犯した
そんな子孫の君達がボクを作り出したなら――――その子供だって、過ちを繰り返すさ」

【バサリ、と羽ばたけば純白の羽が辺りに散る。月光と、崩れ落ちるこの舞台と。こんな場面でさえ無ければ、宗教画の一つにでもなれただろうか】
【無論、飛んだのは短刀を避ける為でもあるが――――一番は落下による衝撃を受けない為だ】
【辺りに飛び散る細かい石は避ける事など出来やしないだろうが、それでも落下の衝撃を直に受けるよりは良い】

【直前に飛沫したのは朱色の液体。言わずもがな、幾本かの刃が身体を貫いたのだろう】
【今までの蓄積した分のダメージも有る。ともなれば、翼を羽ばたかせてその場で留まり続ける訳にも行かず――――】
【結果が明らかとなる前に、女の姿は土煙の中へと消えていった】

【さて、漸く視界が晴れた頃。女の死体は見えただろうか?否、だ】
【ならば翼を用いて宙に舞っているか?いや、所々にすさまじい落下の名残は見えども白銀の翼は無い】
【では、何処に居るのか。―――――残った樹。その、太い枝の上】
【腹部に刺さったままの短刀。引き抜かなかったのは、其れが辛うじて止血の役目を果たしている事も知ってか。それでも尚ドクドクと溢れる血液は、大きな血管を傷付けた証左】
【一秒一秒の間に命の源は身体から流れ出て、然れど得物は離さずその手に収められていた】
【――――剣から、槍へと変わる。まるで教会の象徴めいた其れだ。…………若かし、リーチに優れる其れでも相当離れた距離で届くはずも無かろう】

【だが、女は構え――――同時に、男性の前に現れるは転移陣。何をしでかすかと思えば、槍の先端部分が胸を貫かんとその転移陣から勢い良く突き抜けてくる筈だ】
【最早移動するだけの体力は無い。文字通り、最後の一振り。…………最後の力を振り絞ったそんな一撃を態々真正面から仕掛けるなんて血迷ったか】


「ボクは馬鹿だからね…………理解出来ないし、しようともしない
――――ふ、ふふふ…………信仰深い君の事だ…………。何処かの救世主様がさ…………荒れ狂う海を鎮めて、海の上を歩いた話を知ってるでしょ…………?」

【流れる血はそのままに。口に広がる鉄の味は吐き出さずに】
【人一人貫くには何とも頼りない力。“熱”があったとしても、余りにもか弱い。避ける事なんて容易…………だが、其処にこそ狙いが有る】
【滝の表面を覆っているであろう氷を突くのだ。そして、男性の背中に向かいテナーの瞳を用いて中の水を一気に押し上げる。宛らランス。違う点と言えば、“貫いてもまだ留まらない事”】
【穴が小さければ小さいほど、まるでホースの口を窄めて放水した時の様に威力は上がるし、それこそ万全の体調で振るった女の槍など比では無い威力だ】
【――――やがては水の動きに耐えられなくなった氷は砕け、何時もの“滝”となるだろうか】


「死神たるボクは、逆だ…………海を荒れさせて、底に君を沈める…………
君と其処とで同じ水同士だ。きっと仲よく出来ると思う…………よ…………――――?」

【氷が全て砕けたら、テナーの瞳の本領を発揮だ。数多くの触手めいた物が水面を漂って――――男性に向かい、一気に迫る事だろう】
【気にすべきは其れで貫かれるとかのダメージでは無い。“水温”だ。氷が張る程に冷たい気温に、水温。蒸発させたかと思えば、今度は男性の異能を“凍結”でもさせるつもりか】
【触手に貫かれたならば、危険だ。そのまま幾本の物が連なって、やがては冷たく暗い底へと誘おうとするのだから】
【人間相手ならば血を流して窒息、スライム相手ならば凍らせてしまう。そんな算段なのだろう】

【――――然れど女は見たとおりの状態だ。精密に狙ったり、深追いするほどに水を操る事は出来ない】
【幾ら男性を狙っているとは言え避ければ其れまでだし、素早く動けるならば無理に発動を止める事も出来よう】
【何にせよ、正真正銘の最後の一撃だ。成否に関わらず、コレが終われば女は倒れるだろうし――――もし滝に飲まれても、暫し時間が経てば何時も通りの穏やかな物へと戻るだろう】
【耐えきれば、そして邪魔が入らなければ唯一無二のチャンスが到来する事となるのだが――――?】

141名無しさん:2014/02/19(水) 21:52:31 ID:Qa8AXHgU0
/test

142名無しさん:2014/02/19(水) 21:54:27 ID:Qa8AXHgU0
【とある国。夜と言っても繁華街に夜など無く、どちらかと言うとこの時間帯の方が賑わっているとも揶揄されるが】
【そんな繁華街から一歩入った――だから、表通りからもよく見える――路地裏。其処には数人の男達が居た】
【横たわる男が4人ほど。奥の突き当りで身体を震わせながらへたり込むのが1人。そして――立ちながら横たわる男達を見下げるのが1人】


―――……ったくよー。テメーら、ふざけんじゃねーぞ……。


【横たわる男達……派手な出で立ちの不良達を見下げるのは、これまた奇抜な風貌の銀髪の男だった】
【魔女が被るような紫色の大きな帽子に、同色で縁に金色の刺繍が施されたローブ】
【そして手に持つのは、男の身長ほども有る木製の大きな杖。……詰まるところ、お伽噺の魔法使いのような格好だ】

【何故か無性にイライラした表情の男は、持っている杖で不良達の身体を表通り側へと文字通り叩き出す】
【チンピラ達は直ぐ様立ち上がって喚きながら逃げ出すも、男の顔が晴れることは無い。むしろ何だか悪化しているような……】

「……あ、あの、ありがとうございまs」

……御託は良いからさっさと帰って家族団欒でもしてろリーマン!

【先ほどのチンピラに襲われていたのであろうサラリーマン風の男性も、そんなよく分からない怒気に押されてまたこの路地から逃げ出して】
【残るは銀髪の男一人だけ。はぁ、と溜息一つ着いて、男もこの路地から去ろうと歩き出した。勿論先ほどの出来事の後だから、よーく目立つ】

……なんで可愛い子ちゃんじゃなくてリーマンなんだよ……。

【正義の味方を名乗るにしては……というか、正義の味方らしからぬそんなセリフを呟きながら】

/使い回しですが

143名無しさん:2014/02/19(水) 22:45:42 ID:1WzZKwog0
>>142
【四六時中賑やかな繁華街の営みの音は、確かに間近に聞こえてくるというのに】
【表通りからも見える路地裏は、すでに闇への入り口。とはいえ、ここはまだ表に近い境界線なのだろう】

【展開されるのは、穏やかではないが常人の範疇に入るだろう喧嘩。だが、その当事者の一人の風体は】
【物語の中から、抜け出してきたかのような姿だった。魔法使いがチンピラを叩きのめしてサラリーマンを救い出す】
【何が起きてもおかしくない路地裏の中に会っても、珍奇な光景と言えるのではないだろうか】


いやあ、かっこよかったねえ。あの数相手に、杖一本で……
言動は、正義の味方っぽくはないけど、さ

【と、そこから去ろうとするその当事者、銀髪の魔法使いにかけられた声は、路地裏の奥の方からだった】
【闇の奥から現れたのは、男と同じ銀色の髪を腰ほどまで伸ばした、鉛色の瞳の少女だった】

【濃紺のスクールブレザーにグレーのチェック柄プリーツスカート、白いハイソックスに白い運動靴】
【顔立ちは整ってはいる。魔法使いの男も望んでいた、若い女性なのかもしれない】
【だが、彼女の肌は、路地裏の闇に溶ける暗い青色をしていた。瑞々しい肌であるが故に、その不気味な色は余計に際立つ】
【さらには、その青肌の至る所に、様々な形の傷跡があった。異様。そう言わざるを得ない姿だ】


こんばんは、魔法使いさん。人助けついでに、ちょっと私にも手を貸してくれないかい?

【にこりと微笑んで、そう言った。鉛色の瞳は彼から逸らされることはなく】
【その足は、路地裏の闇がかかる位置から、決して踏み出そうとはしなかった】

/まだいらっしゃいましたら、よろしければ

144名無しさん:2014/02/19(水) 22:59:50 ID:Qa8AXHgU0
>>143
―――……あ?

【不意に掛けられた言葉、だからイライラしたその表情と口調のままに振り返ってしまう】
【けれど、「彼女」を見れば直ぐに機嫌を直したかのように表情が戻った。勝ち気な笑みのそれに】
【何故なら、それが若い女性であるからに他ならない。欲が人一倍強いのは当の本人も自覚していたりする】

……まーな、伊達に俺も"カノッサ機関ハンター"やってねーからなー……。
何、アレぐらいお茶の子さいさい――――。

【言葉が途切れる。男の顔が、少しニヤけも入っていたその顔が少し引き締まった】
【彼女の肌。服装も肌の質も何の問題も無いのに、彼女の肌が青いというだけで、それは男の本能へと警鐘を鳴らす】
【……いや、正義の味方……もっと言えば"カノッサ機関ハンター"としての本能だろうか】


……まずは要件を言ってもらおうじゃねーか。不健康な嬢ちゃん。
幾ら俺でも、目に付いた女の子全員についていく訳じゃねーからな……。

【不気味な彼女の容貌に、口調に、そしてその闇から動かない体に、ついつい語調が荒くなる】
【でもそれは、この1年で身に付いた正義の味方として妥当な行動なのかもしれない】

145名無しさん:2014/02/19(水) 23:18:54 ID:H2DR/gUQ0
>>137

【紡がれる言の葉は、どれも全てが不思議と説得力のあるものであって。其れは多分、彼が苦難を多くを乗り越えた上で】
【自身の中の善悪の概念―――いや、むしろ彼の認識で言えば善悪よりも自身の信ずる『正義』と表現した方が正確だろうか】
【そういった物をしっかりと確立させ、そしてそれを忠実に実行し生きているからこそ生まれる説得力なのだろう。セリーナは頷いた。】

 ―――自分の力に溺れて、呑まれてしまう、か。
 確かに、基樹君の言う通りだね。結局の所、この世界に溢れる"能力者"っていう存在だって、最初から悪人って人ばかりじゃない。
 持ち得た"力"の魅力に執り憑かれて、自分を見失い、そうしてせっかくの"力"を恐ろしい"凶器"に変えてしまう―――……。
 全員が全員、そうではないんだろうけど……悪人は、何処かに弱さを抱えた人達が多い。つまりは、そういう事、なんだろうね。

 勿論、基樹君がアタシ達を軽視してるとか、批判してるとは思ってないよ。君の言葉はどれも真実だし、それに真っ直ぐだから。
 だけど、貴方が貴方の戦いを持つ様に、アタシ達にはアタシ達の戦い方があって、そしてそれは完全に異なった物ではなくて
 むしろ根っこの所では近しい部分にあるんだよ、って事を知って欲しかったから―――此方こそ、つい熱くなっちゃって、ごめんなさい。

 過去に組織を見てきて、ペンだけでなく銃も握る君には、ちょっとおせっかいで、五月蝿い話だったよね。
 戦うことは辛いし、アタシも自分の事を100パーセント肯定するのは不可能だ。だって、どんな理由であれ
 武力を―――ううん、もっと言えば"暴力"を行使している事には、広義で見れば変わりないんだからね。
 ヒーローって言葉は、あんまり褒められた物じゃない。それはつまり弓弾く者の事で、そして背負っているのは正義よりもむしろ
 悪との間で揺れる弱い心の方―――なのかなって思うよ。手段であっても正当化は出来ない、基樹君の考えはもっともだと思う。
 
 だから、その譲れない考えはアタシ達に常に、向けていて欲しい。例えばアタシが、万が一道を大きく踏み外しそうになったとき。
 弓弾く相手を間違えたとき。正義が別の何かに化けてしまった、そんなときに―――基樹君のフラットな"正義"が、きっと道を正せるから。
 勿論、そんな事にならないよう、精一杯努力はするけどね! でも、さっきも言った通り君の存在はとっても、貴重だ。

 若くしてこの考えと、経験―――頭が下がる思いだよ、基樹君。君とこういう話が出来て、アタシは嬉しい。
 少し道は違うかもしれないけれど、同じ方向を見る者として―――これから宜しく!
 貴方が支えてくれるなら、百人力だよ。こっちも貴方をサポート出来る様、尽力するさ!

146名無しさん:2014/02/19(水) 23:19:13 ID:H2DR/gUQ0
>>137


【違える正義。であれど、セリーナは其れでよいと思っていた。弓弾く英雄が実は危険な存在であること、それを一番知っているのは】
【当の本人でもあるし、そして谷山のような鋭く、外部からの視点を持った存在でもある―――であれば、両者は片方だけでは、いけない。】
【谷山のような"正義"も、そしてセリーナのような"正義"も、原点を違えぬ限りは混在しているべきであると―――そう、考えているからだ。】

 ふふっ……それじゃ、おしゃべり記念に最高級品を開けちゃおっかな! T・スタッグって言ってね、これは一年に一回しか造られない、
 結構な値の張る代物で―――ああ、勿論今日はタダでOKだよ! アタシとこうしてお話してくれる人なんて、そうそういないからね。
 御代はもう頂いた、って事で二杯目はこのウィスキーをプレゼントするよ。度数は高いから、ゆっくり味わって飲んでね!
 と、そうそう……他のお客さんには、くれぐれもバレないようにね♪ っふふふ!

 お金には困ってない、か……ううむ、それじゃあ色々と報酬は考えておこうかな!
 で、お願いって言うのはね―――……実は、探して欲しい人間が居るんだ。
 名前は『ギア・ボックス』。ウチの正式なメンバーの一人で、少し前に起きた鉄の国での戦いで消息を絶ってるんだ。
 今アタシの人脈を駆使して全力で情報を集めてるんだけど、なかなか上手くいかなくてね……。
 と言うのも、どうやら戦闘後に傷ついた所を、カノッサの―――……そう、カノッサの手先に誘拐されたみたいなんだ。
 卑怯な連中だよ、まったく……名前は『スクラップズ』、どうやらナンバーズも関わってるカノッサの盗賊団らしい。
 近い内に昼の国を襲撃する、なんていう情報は入ってきてるんだけれど―――まだそれじゃ足りない。
 もしよければ、戦場を駆け回ってるジャーナリストの基樹君にも、情報収集を手伝ってもらいたいんだ。
 どんな些細なことでもいい、彼の名前や、スクラップズという単語を耳にしたらアタシに連絡して欲しい。
 これ、連絡先が書いてあるメモだから、何かあったら直ぐに連絡をくれると嬉しいんだけど―――どうだろう、このお願い、受けてくれるかな。

147名無しさん:2014/02/19(水) 23:21:47 ID:1WzZKwog0
>>144
【イラついた表情と声音にも、少女は動揺する様子を見せることもない】
【自分を見てすぐに機嫌を直す、という側面を見ても油断することもまた、なかった】

【自分の姿を視認して、表情を引き締めた彼を見れば、その判断が間違っていなかったこともわかる】


ふ、ふふふ……"カノッサ機関ハンター"、か……
なら、間違いないようだね……

【少女の右手が動き、懐から携帯端末を取り出す。少女の青い指が、端末のボタンを押し込んだ】
【コール音が一度、それからすぐに切られる。仲間への合図】
【すかさず端末をしまい込むと、自身に対峙する魔法使いに向き直る】


ふ、うふふふふぅ……!! 簡単についてきてくれたなら、もう少しやりやすかったのだけれど……仕方ないね

実は、先日のラグナールの件を始め、私たちは最近景気が悪い事態が続いていてね
ボスの機嫌があまりよくないんだ……


【少女の両腕が上げられた。その両腕の肌を押し破って、何かが飛び出してきた】
【鎖だった。両腕から一本ずつ、二本の赤い鎖。先端には、鉤爪が付けられている】
【少女の腕から生えた鎖は生き物のように蠢いて、空中で不気味にのたうつ】

そういうわけで、用件は一つだ。君の首をくれないか、ライラ=フェルンストレームくん
私が君の首を持ちかえれば、ボスも……カニバディールもきっと機嫌を直してくれる

【両腕が、振るわれた。赤い鎖が、鉤爪を彼へと向けて伸びていく】
【狙うは、魔法使いの両腕。鉤爪は不安定に揺らめきながら、迫っていくだろう】

【もし、この鉤爪に抉られたとしても、痛みを感じることはない。少女の有する異能の特性故だ】
【だが、傷であることに変わりはない。無痛であることに戸惑って対応が遅れれば】
【うねる鉤爪に、より深い傷を付けられることになる】

【鎖の速度はさほどでもなく、大きさも一般的な範疇だ。対処は可能だろう】

148名無しさん:2014/02/19(水) 23:48:01 ID:Qa8AXHgU0
>>147

―――……ッ!!
テメー……何を……!

【彼女が携帯端末のボタンを――何をしたかは容易に想像できる――押せば、違和感は確信に変わる】
【この不健康を越した青肌の少女は明らかに……自分へと敵意を、悪意を持っていると】
【そしてこの後何が行われるかというのも直感的に分かってしまうのであって、手に持った杖を強く握りしめる】

ラグナール……テメーもその襲撃に――――――……!!

【男……ライラも、ラグナールで起きた出来事についてはテレビ放送などを通して知っていた】
【自分自身はある事情で参加できなかったのだが……この少女はあの襲撃に、悪として参加していたというのか】
【両腕から這い出た鉤爪付きの鎖、それが空中で蠢いているとなると流石に彼女が能力者だと理解するのは容易く】
【ライラが身につけた5つのブレスレットがそれぞれ発光する。杖を両手に持ち、来るべき攻撃に備えようとして―――その単語を聞いた】


『カニバディール』……?
……なるほど、テメーアイツの手下か。確か……「スクラップズ」とか言ってたな。

……"ぶっ倒す"ッ!!

【振るわれた両腕から迫り来る揺らめく鉤爪。左右に回避するのは得策ではないと判断して後ろへとステップするも、右側の爪に腕が掠った】
【血がじわりと滲み出るも、痛覚が叫ぶことはない。……しかし、それに意識を傾ける事はできない】
【躱した直後、少女に向けて右腕を翳す。ブレスレットの緑が2段階に分けて減光し、同時に現れたのは薄緑色の物体】


S  2  !  ! W i n d   C u t t e r  ! !

【薄く三日月状のそれらは、ライラがそう叫ぶと同時に彼女に向けて一直線に放たれた】
【速度はそれなりに早いが、動きは直線的だ。回避することも不可能ではない。それに、直撃しても皮膚を軽く裂くくらいだ】

149名無しさん:2014/02/20(木) 00:17:20 ID:1WzZKwog0
>>148
ふふふ……ごめんよ、でも私も見かけによらずか弱い乙女だからね
君を逃がすわけにもいかないが、一人で立ち向かうのも恐ろしいんだ

【もはや、その笑みから滲む悪意は隠そうともしていない】
【青い肌が紅潮する。何かを期待しているかのように。笑みはますます深まり、悪意は増長していく】
【連絡は通った。しばしの後、この場に彼女の仲間が訪れるはずだ】


その通りだよ。私たち総出で二度とも参加して、二度とも邪魔された
私を含め、仲間たちもずいぶんな目にあってね。ギアくんに負担をかける奥の手を、二度も使う羽目になって……

【眼前の男、ライラも驚きと共に戦意を増しているというのに、まるで世間話でもしているかのような気安い口調】
【自身が悪として事件に加担していたことも、あっさりと認めて見せる】
【発光するブレスレットを鉛色の瞳で捉えて、少女が目を細める。ライラの力は、ボスから聞いているのだろう】


そうとも。盗賊団『スクラップズ』が一人、蓮華院 美鈴だ。よろしくね
おっと、さすが威勢がいいね。ボスから聞いていた以上だよ

んんっ……!! んふうぅ……まだ痛みが足りない、な……!!

【的確な判断のもと、青肌女・美鈴の攻撃をかわして見せるライラ】
【鉤爪がライラを掠めた途端、甘い声で美鈴があえぐ。鉤爪で傷つけた部位の痛みを、代わりに感じているためだ】
【苦痛を快楽として享受する少女の異常性。緑に光るライラのブレスレットを見て、興奮はますます高まる】


んんっはああああああああああ……!!! ああ……風の刃、か……!!
ナイフで切る時とは、また違った趣だね……!!

【かわすことも出来たはずの三日月状の刃を、美鈴は自らその身に受けた】
【青い肌に新しい傷が重ねられ、法悦の喘ぎが路地裏に響く。地面に垂れ落ちる鮮血は、赤だった】


【快楽に浸りながらも、美鈴が反撃を姿勢を取る。鎖が飛び出したままの両腕を、クロスさせた】
【その動きに引かれ、二本の鎖が空中で互いに絡み合う。その動きが静止した、次の瞬間】
【美鈴が組んだ腕を解いた。絡み合っていた鎖は回転しながら勢いよく解けていく】

【二本の鎖を回転させ、ライラのいる空間を鎖と鉤爪で薙ぎ払おうという魂胆だ】
【いわば、先の攻撃の連続版。まともに受ければ、その身を鉤爪に刻まれ、痛み無き傷をいくつも受けることになるだろう】

【鎖の回転速度は早く、攻撃範囲も広めだが、美鈴の予備動作を見ていれば、この攻撃の予想もできるかもしれない】
【先ほどよりは捻られた攻撃だが、ライラが冷静に対処すれば、どうにでも出来るはずだ】

150名無しさん:2014/02/20(木) 00:21:51 ID:F52AoKs20
>>145,146

「いや、気にすんな。自分自身で分かっているつもりでも、誰かに言われて改めて見つめなおすこともできるしよ。
――俺は、俺の正義の敵の敵をやっている訳だ。って、事はだ。俺の正義とあんたらの正義が違えば自然、あんたらの正義とぶつかることとなる。
だから任せとけ。同じ方向を見ている限りはあんたらの味方で、道を違えばあんたらを正しに行くからさ。
……って訳で、まだまだ若造で、青臭いかもしれねェが……よろしく頼むぜ?」

【高校生から、卒業後の今に至るまで駆け抜けていた日々の濃厚さが、少年から青年へと谷山を鍛え上げた】
【それでも、まだまだ若く、青く、熱い青年。故に、己の未熟を良く知る青年は、褒められても素直にそれを受け入れられない】
【苦笑を浮かべつつ、青年は相手と向きが同じ限りは味方をする事を確約した。少なくとも、セリーナは間違えないだろうという信頼も抱いて、だ】

「へぇ、良い酒じゃん。ガキの時分からこんな良いもん飲んでると、将来困りそうだが――――頂かせてもらう。
俺も……なんだ、ここんところ正義の話をする事が多くてな、なんつーか自分を見直す良い機会になってるよ。
瑛月はこっちとSCARLET両方に入ってるんだったっけ、確か。……ま、それはともかく、頂きます」

【酒を飲むようになって、青年はそれほど時間が立っていない。良い酒もそれほど知らないのに、こんな良い酒を飲んで良いのかとふと思い】
【ただ、年を取れば劣化していくばかりの味覚を考えれば、若い今のうちに良い物を飲んだり食うのも一興だろうと考えなおす】
【二杯目に貰う、T・スタッグ。濃厚な琥珀色が美しく、球形に削られた氷が静かに溶けこんでいく】
【グラスを傾け、ちびりと口にふくむ。舌の上で転がし、その広がる香味を味わい、嚥下。思わず、笑い声が鼻から漏れる】

「――――旨いっ」

【此処の所忙しくて栄養食品ばかりだった身に、その味は極めて染みるもので】
【度数の高さが分かっていながらも、二口目に口をつけることとなった。そして、加水によって変わりゆく香味を楽しんでいく】

151名無しさん:2014/02/20(木) 00:22:08 ID:F52AoKs20
>>145,146
【そうして酒をちびちびしつつ、青年は己に対する依頼の内容を聞いていき。目を細める、鋭さが次第に増してきた】

「スクラップズ――スクラップズなら、一回戦ったことが有るぜ?
そんときのヤツは首領でNo.29のカニバディール、んでもって構成員の蓮華院 美鈴ってヤツだな――。
連中については能力と人相、注意点くらいしか今のところ提供出来ねぇが――まあ、とりあえずそれだけでも、な」

【スクラップズ――一度、路地裏で異形同士の殺し合いを演じた相手。あの時の屠っておけばと剣呑な思考が鎌首をもたげる】
【鋭さを増していく気配、細めた右目からは、煌々とライムグリーンの光が漏れ、底冷えする気配がざわめき始める】
【氷がからんと鳴り、グラスを手に取り一口含み一息つくと――青年は左腕を前に伸ばす。掌は上を向いていて】

「――――Hello World」

【己の異能。アートマンの名前を名乗りあげれば、青年の左腕の手首から先が粉砕し、再構成されていく】
【人のそれではなく、失った身体の部位をアートマンで補っていることが、それを見れば分かるだろうか】
【そして、掌から照射され空中にホログラム映像として表示されるのは、谷山が戦った経験を持つ、スクラップズのメンバー二人との交戦の光景】
【肉体を変貌させ、肥大化した肉塊を振り回したり、腕に口を生やして肉を食いちぎったりする、単眼の男がカニバディール】
【痛みに快楽を感じ、血液を材料に相手に与えた痛みを己が受ける鉤爪付きの鎖を操る女、蓮華院 美鈴】
【その、異形とすら言える戦いぶりを余すこと無く谷山はセリーナに見せて。顔を拡大したものや、身体の特徴をピックアップし画像化】
【空中に浮かぶ幾つかのスライドを指で動かし、セリーナに見せていく】
【映像に映る戦闘は、途中で中断されているのだが――その中断の直前。〝哲学者の卵〟を、有ろうことか谷山が握りしめていたのが見えたかもしれない】
【谷山が映像を唐突に切ったのは、その直後であった。そして、空咳を零して、ウイスキーを口に含み、嚥下】

「その依頼、受けるぜ。頬の肉えぐり取られたり、足の肉食いちぎられたり脇腹千切られたのを忘れちゃいねぇ。
ましてや、他の連中にまで手ェ出してるっていうンなら――もう容赦はいらねェわなァ。
情報収集は任せな。んでもって、もし連中に会ったら叩き潰した上でこっちまで首根っこ引っ掴んで引きずってきてやる」

【苛烈な言葉。僅かに発露する狂気の気配と、それをコントロールする理性の色】
【綱渡りのような不安定な気配は、非常に不安定ながらも高いレベルで安定し、精神の不調をひた隠しにして】
【青年は、己の敵をスクラップズと定め、彼らの情報を集める依頼を受けることを、承諾するのであった】

152名無しさん:2014/02/20(木) 00:32:28 ID:A89md4kk0
>>140

―――く、フフッ…!何を言い出すかと思えば世迷い言を……!
黙って死んでいれば良い物を、此処に至って尚も神を馬鹿にするとはな…。
だがよかろう、その気概だけは買ってやる……来るが良い、貴様の本気を見せてみろ――!

(……ふん!だがもっとも、口と違って身体は正直なものよ……)
(なんだァ?この一撃はまるで児戯ではないか……期待しただけ――)――ぬッ、これは…――ッッ!!!

【フレデリックが見つけた時、既に相手の状態は酷いものであった】
【自分がそうせしめたとはいえ――槍で幾度も突き、雷撃を与え、短刀を繰り出し】
【それだけ出血して尚も木の上まで落ち延びたのは全く以て、彼の中では賞賛以外の言葉が浮かばない】

【故に、最後の一撃はあまりに儚いものだったのが―ーここでは幸いというべきか、過ちと言うべきか】
【フレデリックは相手の槍を自らの獲物で横に弾いて、動くこと無くそれを避けた】

【しかしそれによって軌道を逸らしたグリースの槍は、そのまま滝へと向かい、氷を貫き】
【やがて目論見通りに無数の触手と化して、圧倒的な手数でフレデリックに迫っていく】
【対する騎士団長も途中で相手の行動には気付いて飛び退こうとするものの――ダメージが大きすぎた】
【満足に身体が動くか。背の傷は引き攣らないか。どちらも否であり、すなわち回避は――出来やしない】

【――声を上げる暇もなく、彼は全身を極寒の水流が貫いて。そして、水中へ引きずり込もうとする】
【フレデリックは槍を地面に立てて抗おうとしたが、もう無駄――氷で滑るように滝壺に誘われれば】
【凄まじいまでの力を秘めた双眸をグリースに向けて、それが最後となって、槍ごと水底に消えていった】

【僅かに、静寂。やがて水流も元の滝に戻ったなら、氷と雪混じりに川がせせらぎを奏ではじめ】
【周囲には森らしい環境の音が戻り始めるだろう。風のささやき、音にはならない月の光――】
【いずれも肉体の傷を癒やすには至らないけれども、心の慰めくらいにはなるだろう】





【――それで満足したのなら、一環の終わり。突如として彼女に迫るのは、まさしく雷槍カテドラル】
【その巨大かつ鋭利な刃が女性の胸部を狙って真っ直ぐに、滝の底から飛び出したのだった】

【更に、次いで底から放たれるは〝熱波〟である。周囲一体、何十メートルかを焦がす火力】
【そして爆風のように衝撃を伴った熱の並が、水流を蒸発させるほど強烈な放たれる】
【これは木や岩の影に隠れればなんとでもなる――だが、グリースなら何故、どうしてこれらの事態が起きたのか――】

―――――想像に難くあるまい、機敏に富んだ貴様の事だ……えェ、グリース・イムリンパルス――?

【男が、激烈な蒸気の中に立っていた。その手に有るのは、丸く赤い物体だ。まるで、そう――】
【〝恐水鳥の瞳〟に似た――〝瞳〟に違いない。その巨大さ、火炎の強さ――嗚呼、そうだ】
【まだ居たではないか。属性を司る生き物が。そしてその炎が使役者に牙を剥くことは――無いのだった】

153名無しさん:2014/02/20(木) 00:51:49 ID:Qa8AXHgU0
>>149

チッ……、だが何人来ても同じ事……纏めてぶっ潰してやるぜ!

【ライラの舌打ちは、「ヤバイ」と思ったからこそ反射的に出たものなのだろう。しかしその口からは真逆の言葉が飛び出す】
【その挑戦的な表情は、その言葉が口から出任せではなく本気なんだと彼女に分からせるには十分すぎるほどだろう】

―――……ギア? ギア・ボックスの事か……?
……まさかテメーら、ギアにまで手を―――……!!!

【怒りがこみ上げ、杖が一層強く握りしめられる。共闘した仲であるギアを彼らは拉致し、あまつさえ何かに利用しようとしている?】
【許せない―――想いが強くなる。彼女に向ける視線も、一段と鋭い物となった】

……ッ……!
(何だ……? 確かにかすり傷だったが痛みを感じずに、アイツは痛がってる……? いや、痛がってるのかアレは……?)

―――クソ、ドMか、テメーは……ッ!

【この殺伐とした戦闘の現場では全く不似合いと言ってよい、嬌声。一瞬驚いた顔をして……そして苦虫を噛み潰したような、そんな顔をした】
【相手の受ける痛みを自分が受ける。そしてその痛みは彼女にとって、快楽以外の何物でもない】
【彼女が回避出来たはずの「Wind Cutter」を自分から受ければ、その推測は確信に変わった。自然と、口が悪くなる】


……クソ―――……ッ、この前の頭チェンジ野郎もだが、やりにくい相手だなテメーら……ッ!!


 『  F  2  ! ! F r a m e   B a l l 』! ! ! 

【彼女の繰り出す奇怪な攻撃もそうだが、その顔――愉悦に塗れたそれ――から放たれる攻撃が一層ライラをやり辛くさせる】
【その所為か回転する鉤爪に胴体を薙がれ、ローブも、その下の服も、肉体にまで幾つもの傷が及ぶ。痛覚の無さが、またライラの顔を曇らせた】

【反撃とばかりに翳す手。詠唱と同時に出現するのは1m程の火球だ。鉤爪から逃れようと後ろへまたステップするのと同時にそれを発射する】
【動きは先程と同じく直線的だ。速度も其処まで早くない。だが今度は見た目に違わず、火傷という持続ダメージのおまけ付きだ】
【……しかしながら、彼女の特性を考えれば――――――】

154名無しさん:2014/02/20(木) 01:00:14 ID:zhlacM2.0
【街中、大通り。ある程度人気のある夜の道に佇むは一人の人間】
【容姿の彩りは余りにも夜の闇に溶け込んでいて、今にも消えてしまいそうだった――のだが】
【生憎と、普段とは違い今宵の彼女は『ある事情』が原因で、いつも以上に人目を引いていたのだった】

『…やっぱり目立つよなー。昼でないからまだいいと言えど、完全に見られないのは至難だよね』
『ホントはおまえも昼に散歩したいだろうけどなぁ…まあ、それは私じゃなくてハミィに期待しなよ』

【グレーのフリルブラウスと黒いカーディガン、黒のジーンズと茶色ローファー】
【腰には細い革ベルト。黒く光の無い、だがそれでいて素直な瞳。背丈は160cm程か】
【大きめなライトブラウンのキャスケットを被った金髪ショートカットの少女】

【―――人差し指を喉に当てれば、口を動かさずとも奏でられる可愛らしい声。それだけでもかなり異常と言えたが】
【この時だけは、通行人が見ていたのは少女ではなく、少女の“連れ”の方だった】

【その少女の傍に居たもう一人―――否、もう一頭と言うべきか】
【全身にビッシリと角が生え揃った凶暴そうな外見―――前足が小さいので恐竜にも似ている】
【背中には特に大きな角が二本生えていて、その間に専用の黒い鞍が装着されている、そんな大型の爬虫類】

『あー、おまえはあれだな、よく見ると本当に可愛いカオしてるよな』
『最初は肉食だとか思ってたけど、サボテンとか食べるらしいし…割とゆるふわ系?』

「――――――――――――ぐるる」

【生物としての正式名称はハーダスフィリア――――愛称としてハーダなど、ここではなく砂漠の地で親しまれている生物】
【だからこそそれを連れて歩いている少女は、他の通行人より数倍は目立っていたのだった】

/予約ですー

155名無しさん:2014/02/20(木) 01:18:21 ID:H2DR/gUQ0
>>150

【仮に―――本当に、仮にの話ではあるが。彼の正義と彼女の正義、その二つが違えてしまった時が来るとして。】
【セリーナはこの、真っ直ぐでそれでいて逃げずに汚れを見つめることが出来る青年の瞳に、果たして勝てるのだろうか、と】
【少しだけそんな想像をした―――恐らく、今までのどんな相手よりも彼は強敵と成り得るだろう。そう感じさせるだけの、信念。】

【強い青年だ、と彼女はそう思う。と同時に、自分が彼と同じ年齢であった頃の事を思い出し、思わず苦笑いした。】
【成るほど、時代は間違いなく良い方向へと進んでいるではないか。こんなに強く、頼もしい世代が育つ程には。】
【セリーナは今夜、初めて会ったこの谷山基樹という青年に深い感銘を受けた。真実を見つめ、其れを伝える緑の瞳。】

 (見れば分かるくらいに、痛々しくて大きな怪我―――この"瞳"を見ただけで、彼の信ずる物の強さが伝わってくる。)
 (安心しちゃったよ、こんなに心強い味方が、アタシにはいるんだって。青臭いなんてとんでもない話さ、むしろ―――そう。)

 これ以上無いって位に、基樹君は立派で、そして心強い味方だよ。きっとこれからお世話になるから、宜しく頼むね、青年!
 それはそうと、やっぱり文字は勿論だけどジャーナリスト、ってくらいだし画像とか映像媒体にも戦場の事を残したり、するよね?
 あいやその、しないならしないで良いんだけど、ほら、やっぱりアタシも性別は女だし、例えばの話で写真写りとか―――ね。
 
 も、もし撮る時は是非一声かけてね!? なんていうか、アタシって戦い終わった後は大体血塗れか汗びっしょりで
 とても写真に写れるような状態じゃないことが多いから―――……

【―――数秒前まで、本当にほんの数秒前まで、物凄く真剣に、真面目な話をしていたと言うのに、ウィスキーを入れた途端にこれだ。】
【まったく信じられない醜態、真実を写して欲しい等と言っている割に写真写りを気にしてベスト・ショットで頼むよ! なんて言い始める始末。】
【どうにも、真面目な一面はあくまで彼女のの多彩な表情の本当に"一面"でしかないらしい。恥ずかしそうに基樹に語る様は、まるで子供だ。】

【だが谷山の呑みっぷりには『おお! イケる口だねえ、この美味しさが分かるとは!』等と感嘆しているがちょっと待った。待った。】
【記憶が正しければ青年、君は確か未成年の―――いや、この話はここまでにしよう。セリーナは彼が未成年であると、知らないのだから…。】
【さて、話はスクラップズの方へとシフトしていく。成るほど、まさか邂逅を果たしているとは―――流石の情報網だ。既にその片鱗が見える。】

 え―――うそっ! 基樹君、戦ったことがあるの!? うわ、それ凄いね流石にジャーナリストを名乗るだけあるよ!
 まさかもう既に会った事があるなんて思いもしなかっ―――おおっ!?
 ……なるほど、これが基樹君の"能力"、ってワケだね。所謂"アートマン"っていう類の力かな?
 ホログラムで映像を再生できるなんて、基樹君のお仕事にピッタリだね、時代はとうとうスター・ウォーズに追いついてきたか……!
 
 それにしても―――……カニバディール、アタシはリリア討伐の時に一度会ったきりだけど、とんでもない奴みたいだね。
 あの時は共闘してたからそれどころじゃなかったけど、こうして見ると彼も強力なカノッサ構成員の一人、って事か。
 厄介なのは近接戦闘力が高そうな所だねえ、前は確かでっかい銃を使ってたから分からなかったけど、こりゃ強そうだ……。
 
 ―――よし、スクラップズの構成員、顔は覚えたよ。ありがとう、これもまた大きな情報源の一つだ。
 アタシは一度見た顔は決して忘れないって言う、賞金稼ぎ独特の記憶スキルを―――……、

【スクラップズ、そして彼がその件のナンバーズと交戦していたという事実を、セリーナは映像で追いながら実体験の様に感じ取った。】
【さながら映像は現実に今、ここで彼らが戦闘をしているかのようなリアリティを保っていたが―――刻銘過ぎる映像が、仇となったか。】
【セリーナの言葉が止まる。解像度の高い映像と、鋭い視覚を持った彼女の目が合わさり、谷山が何を持っていたか分かってしまったからだ】

156名無しさん:2014/02/20(木) 01:18:31 ID:H2DR/gUQ0
>>150


 ―――……うん、ありがとう。それじゃ、情報収集とそれに関する一連の報告、バッチリ頼んだよ基樹君!
 心強い仲間が出来て嬉しいよ、ウチはいつでも開店してるから好きなときに来てくれて良いからね。
 ただ―――これもまた、御節介かも知れないけれど。

 さっきの映像、後半の方に少しだけ"嫌なモノ"が映ってた様な、そんな気がしたんだ。勿論、思い過ごしならそれで構わないんだけど、ね。
 だけどどうにも、アタシにはそうは思えない。それは多分、基樹君が強い信念、そして危険を冒す覚悟を持ち合わせているから。
 ―――"アレ"は決して、優れた発明なんかじゃない。人が縋って良い物でもない。麻薬や核兵器よりも恐ろしい、最悪の武器だよ。

 ―――止める事はしないよ。君が決めたことなら、アタシはそれを止められないから。けれど、忠告だけはさせて欲しい。
 コントロールするのは難しいし、容易に使うことだけは絶対に避けて。もし、今もう使ってしまっているのなら―――……。
 決して、己に負けないでね基樹君。アタシはギア君同様に、君のことも心配してるから、さ。

【哲学者の卵、という直接的な単語は決して出さずに。それでもセリーナは、あの兵器を使うことの恐ろしさを、やんわりと説く。】
【無論過去に正義の組織に所属していた谷山であれば、その危険性は重々承知しているだろうと、増してや彼の明晰な頭脳なら】
【この悪魔の発明がどんな効力を持つのか、よく理解している筈だと信じてはいたが、それでも―――矢張り、声をかけた。】

 さーてっ! せっかくのお酒が不味くなっちゃうし、難しい話はここら辺にしておこうか! 
 丁度夜も更けてきたし、ちょっと大人な内容の会話にシフトするかい? 基樹くん!
 君も大分ハンサムな顔立ちだけれど、ほら、やっぱりガールフレンドはいたりするのかい? なーんてね! ふふっ!

【何もなければ、良いのだが。このまま幸せな時間が過ぎることを祈りつつ、新しい協力者を得たセリーナの心には】
【戦わないでいられる訳がない、という矛盾した事実も確かに残っていた。それでも、夜はまた一日、更けていく―――……。】

157名無しさん:2014/02/20(木) 01:25:15 ID:1WzZKwog0
>>153
うふ、うふふふふ……どうやら本気らしいね……
私たちは、しぶとさにかけては自信があるんだ。そう簡単にはいかないよ……?

【舌打ちして見せるライラに、にたりと口の端を上げて見せる。が、それでもなお、折れないその心】
【彼は本気で自分たちを、ひいてはカノッサ機関を打倒しようとしているのだ】
【美鈴が軽く舌なめずりをする。自分たちの因縁を別にしても、相手にとって不足はない】


ん? 君は彼と知り合いだったのかい?
これは口が滑ったな……まあ、いずれはわかることだからね
そうだよ。ギア・ボックスは私たちが誘拐した。彼はボスの企みに必要不可欠なのさ

誰がどう言おうと、返すわけにはいかないね。ふふふ……

【ライラの純粋なまでの怒りに、返ってくるのは邪悪な笑いのみ】
【向けられる鋭い視線に、盗賊特有の欲望が煮詰められた瞳で睨み返す】


ああっはあああ……そうとも、私は苦痛が大好きなんだ
自分の痛みも、他人の痛みもね

【自分の身体を傷ついた両手で抱きしめながら、美鈴が身体をくねらせる】
【刻まれた快感を、少しでも長く己の内に押し留めようとするかのように】
【ライラが感じている気味の悪さが、よりいっそう助長されることになるだろうか】


ああ、グランツではオールドベビーを倒したのだそうだね。彼はまだ根に持っているよ
うふふふ、私にとっては褒め言葉だ。さあ、もっと罵倒と痛みを浴びせておくれ――――!!

【ライラに刻まれた傷から伝わってくる痛みに、美鈴が身体を震わせて快楽に浸る】
【そこへ、ライラの反撃。放たれる火球。後ろへステップした彼を、鉤爪が追うことはなかった】
【ライラの読み通り、美鈴はそれをかわそうともせず、両手を広げて迎え入れた】


あうっ!! くはあああああああああああ!!!

【その身を焼かれながら、美鈴が路地裏の闇の方へと吹き飛ばされる】
【青い肌に真新しい火傷が刻み込まれる。精神が痛みを是としても、肉体の方はそうもいかない】
【持続的に皮膚を、筋肉を蝕む火傷に、美鈴の身体は尻餅をついたまま動けず、精神のみが快楽を享受していた】


『……呼びつけられて来てみれば……いつぶりだろうな、てめぇの姿を直に見るのはよ』
「レナールの件以降も、カノッサ相手にずいぶんとご活躍らしいな。ライラ=フェルンストレーム」

【そんな美鈴の背後から、新たな声がかかる。援軍が到着したのだ。その姿、ライラは一度目にしていたはずだ】

【一つの身体に、二つの頭と四本の腕。中央から向かって右が白、左が黒に色分けされたスーツ】
【向かって右側の頭は、病的に青白い肌にほっそりとした顔つき。後ろで一つに束ねた白い長髪。落ちくぼんだ目。白濁した瞳】
【向かって左側の頭は、浅黒い肌に突き出た顎のがっしりとした顔つき。ボサボサに乱した黒い短髪。吊りあがった目。爛々と光る黒い瞳】
【スーツの両胸のポケットには、白地の側が黒い糸で、黒地の側が白い糸で、それぞれ「No.50」と刺繍されている】


「……性懲りもなく、また敵の攻撃を好んで受けたのか。少しは自重しろ、美鈴」
『ちょっと下がってろ、マゾアマ。病み上がりだが、こいつは逃すにゃ惜しい獲物だ』

う、ふふふ……こればかりは、悲しい性というやつだよ……
分かった、お言葉に甘えるよ、デュアル……

【異形の双子が、美鈴の前に出る。その身体のところどころに、傷が見えるはずだ】
【恐らくは、ラグナールで負った傷だと推察できるだろうか。だが、異様なのはその傷全てが、身体の左右に均等につけられていること】
【通常、戦闘においてこのような傷がまずありえない。一対を追い求める双子が、自らつけた傷だった】

【美鈴とはまた異なる異形の持ち主が、ライラに対峙する。その四本の腕が持ち上がる】
【すぐに仕掛けてくる様子はない。四つの瞳は、ライラの動向を伺うようにじっと彼を睨んでいた】

158名無しさん:2014/02/20(木) 01:28:41 ID:oMGWYcYk0
>>154

【街中の大通りというのは、それこそありとあらゆる人間が其処を行き交う物だ。】

【バレンタインの余韻から傍若無人に振る舞うカップルやら、何やら怪し気なアタッシュケースを提げたスーツ・サングラス姿の男性やら、】
【或いは明らかに未成年と思える見た目にも関わらず、大瓶の酒を右手にぐびぐびと徐ろに飲みながら、その辺りをふらつく少年まで、だ。】
【……特にこの危なげな彼は、爬虫類、見た目としては恐竜にも近いそれと散歩中なのだろうかという彼女と、中々、良い勝負をしていたと言っても良いだろう。】

【月の輝きに反射してやたら艶めく銀色の髪に、惹き込まれそうな程鮮やかな紅色の双眸。整って大人びては居るが、未だ幼い顔付き。】
【少し黒ずみ掛けてもいる赤色のオーバーコートを身に纏って、下には黒色のレザーパンツ。……やっている事も見た目も、それなりに派手だ。】
【右手の薬指には銀の指輪―――その道に親しければ、衝撃を防ぐ魔法が吹き込まれている事に気づけるだろうか。】
【茶色のレザーグローブを両手に装着している事も大きな特徴として挙げられるだろう。170cmに届かぬ身長も加味すれば、16歳辺りだと判断できる筈だ。】
【然しまあ、見た目でも、纏っているオーラでも良い、そこら辺の不良とは一味違う、と言うか―――そんな印象を感じ取る事が出来る少年とも見える。】


―――…………あー………?
………やっべ、飲み過ぎた、か………―――?

【ただ目の前の生物、余りにも街中には似つかわしくない存在があれば、少年は思わず目を擦って―――何度も何度も確認し直す事だろう。】
【然しどう見直そうが結果は同じ、其処には一見すると如何にも凶暴そうな恐竜とも言える何かが立っている……ならばそれは幻覚だと、彼は勘違いするのだ。】
【こんな経験初めてだった、酒の強さに関しては右に出る者は居ないなんて自負しておきながら、……たった2本目でコレ、とは。】

【……はぁ、と深い溜息を付きながら近くのベンチにへたり込む事だろう。その仕草はさながら酔っ払ったおっさんがするそれと、余り変わらぬ物だった。】
【二人と一匹の距離は5m程だろうか、少年は天を仰ぎ、ふーと溜息を付く。酔いも十分に醒めてきた、ならばもう一度、その方を見れば、……未だ居る。】
【やがて少年は『やべェ……やべェ……』なんて呟きながら、頭を小さく右に左に振り出す事だろう。……稀に見る、哀れな姿だっと言えよう。】


/よろしくお願いします!

159名無しさん:2014/02/20(木) 01:34:39 ID:Jfel1XAU0
>>152
【最後の力を振り絞った一撃。ならば、次の攻撃を避ける余力なんて残っては居ない】
【身体は熱で焼かれ、更に体力は奪われよう】
【故に、その刃は胸部を貫いて――――心臓に達する寸前に止まった。いや、止められた】
【見れば、別人の銀髪。その者が槍を掴んだ訳では無い。槍に指先を触れさせて、止めていた。膂力だ何だでは無く――――ともすれば、異能か】


『話があるとか言うから苦労してこのガキの意識を消して来てみたらよォ…………あァ?態々教会のガキ同士の喧嘩を見せつける為に俺様を呼んだのか?』

【その人物もまた修道女だ。然れど、乱暴な言葉遣いは正しく男の其れ】
【声質も容姿も紛う事無き女ではあるのだが――――男性ならば、微かに“瘴気”に似た物を感じ取れるだろうか】
【最早戦えまいというのに、荒い息を吐きながら立ち上がろうとする女の額に指を当て――――其れだけだ】
【完全に意識を失ってしまえばその場で倒れ、血の海を作り始める。辛うじて一命を取り留めているといった状態であろう】

【――――さて、新たに現れた修道女を仮に“悪魔”とするが】
【倒れた女には見向きもしない。止血をしようともしない――――正確には、もう止血済みだからか】
【額に触れたその時、既に失っている血液を戻せずともそれ以上失われない様術が掛けられていた】
【何より、血溜まりが一定の大きさで止まった事を見れば分かり易いか】


『よォ、教会の犬。嗚呼――――さっきからテメェ等の話を聞いてたが、この言い方は違うか
私欲の塊と表した方がピッタリか?ハハハハ――――そんなんだと櫻の国じゃあ極楽浄土に行けねェぜ?』

【熱に対しては、“障壁”で防ぎきった。ニィと口角を上げれば“赤色”の双眸が男性へと向けられる事だろう】
【女の胸に突き立ったままの槍を乱暴に引き抜けば、掌で感触を味わって】
【やがては、転がした。文字通り――――投擲やらでは無く、コロコロと男性の元に届くように転がしたのだ】


『第三近衛騎士団長フレデリック・シャリエールだったか?
教会に気を向けてねェ間に随分と仰々しい肩書きを人間に寄越す様になったじゃねェか

尤も――――俺様はテメェ等が宗教戦争だの都市を一つ壊そうだのしても目は向けねェし干渉もしないけどな
悪魔同士なら兎も角人間同士の争い事は見てた方が楽しいからなァ?
それで、フレデリック。まだ続けてみるか?このガキもダウンしちまったから代わりに俺が踊ってやるぜ?
テメェもこのガキと同じ面白そうな物を持ってるみたいだしなァ』

【体格だって更に華奢だし、得物だって無い。だが…………何かが、不気味だ】
【悪魔やそれに類似した生物と対峙した事があるならば、本能的に察する事も出来よう。面倒な異能持ちである、と】
【ただ、戦闘狂という訳でも無く自らは襲いかかっては来ない。クツリ、クツリと嗤いながら楽しそうに問いかけるのみである】

160名無しさん:2014/02/20(木) 01:39:35 ID:F52AoKs20
>>155-156
【確かに未成年で、青年は今のところ善の地点から正義を語る側なのだが――この手のちょっとした悪いことは気にしない主義】
【もともと、清廉潔白である事にこだわらず、清濁併せ呑む主義である青年は、飲酒もする。タバコは体質上合わない故に吸わないが】
【慣れた態度で酒を嗜みつつ、会話を続けていく青年。その瞳は、酔っているだろうに淀む様子を微塵も見せず】

「アートマン、Hello World。情報支配の力があってな、攻撃力は低いけど結構便利なんだぜ?
このホログラム投射も応用の一つ――こんぐらいで驚かれても困っちまうさ」

【青年のアートマン。それ自体から、じわりと滲みだすのは狂気の気配】
【元々持ち得た異能が、哲学者の卵によって変質して目覚めたアートマンは、悪性の性質を多分に含むもの】
【肉体に3度哲学者の卵を受けたその身には、消しきれない災禍の残滓が未だに残り続けている】
【そして、己が映像を止めそこね、そしてセリーナがしっかりとそれを見てしまったことに、わずかに表情を硬直させ】
【無言でウイスキーを含み、セリーナの言葉を耳で受け取り。数秒の後に、口を開く】

「まともに動ける数年の間だけでも、って思ってる。
3度も食らってるし、アレで俺の人生は様変わりしたし、持ち歩いてるだけで怖くて怖くて堪らねェよ。
だが――俺にはこれしかない。使えるなら、毒だって使うさ。……安心しな、負けないさ。
それに――何度も負けたが、負ける度にボロボロになっても立ち上がってきた。俺は――負けてからが強いんだぜ?」

【肉体の一部を失い、幾度と無く手術を繰り返し死地に挑み続けるその人生は、能力を持つとは言えど普通の人間である青年には過酷に過ぎた】
【武の才は無く、持ちうるもので挑み続け、劣化していく肉体を補う術として、己が良く知る己の人生を崩した力に青年は手を伸ばした】
【幸いとして、数度の経験のおかげである程度の制御は出来る。危険で最悪の武器ではあるが、それだけのリターンを得られるならば、用いるのだ】
【そのなりふりの構わなさは、一種自殺的とすら言える無謀さだが、死ぬ気は毛頭ない。それは、ギラつく右目が如実に語る】
【犬歯をむき出しにする、僅かな狂気を孕む笑顔。その双眸には、幾度もの絶望を経て宿った、絶望とそれをかき消すほどの希望】
【正気によって狂気を支配する。正義の為なら、悪の力すら手に握るその様は――――危うくも、気高いものだったろうか】

「――いっや、大人な内容つっても? ……まあ、なんだ、昔は居てだなァ――」

【夜は更けていく。正義と正義の邂逅、得た依頼、新たな友】
【この先の未来に希望があるかはわからない、それは谷山の右目ですら見通せない】
【だが、見通せずとも、その先に希望をつくろうとすることは出来る。ウィスキーをちびちびと減らしながら、夜の中で己の意志を強く固めていくのであった】

/*ではこのような感じで、お疲れ様でしたー!*/

161名無しさん:2014/02/20(木) 01:55:24 ID:Qa8AXHgU0
>>157

―――……テメーら……ッ……!

【ギア・ボックスの誘拐という新たな事実、そして彼女の不敵な笑みがライラの怒りを助長させる】
【仲間を奪われた事、それはライラにとって悲しくも有り、屈辱的でも有り……色々な感情が交じり合って】
【最終的に怒りとなって、彼女を刺し殺すかのような視線でもって見据えていた】

こっの……マゾ野郎……ッ!!

【彼女の喘ぎ声が、快楽に震える青い体が、ライラの気力を徐々に減衰させていく。もしやこれが狙いなんじゃないのかと思わせるほどに】
【しかし、相手はあのカニバディールの手下。女だろうが何だろうが逃す訳にはいかないと、ライラは固く心に誓っていた】

やったか……?
――――――……!!

【鉤爪の反撃も無く、火球に飛ばされる彼女を見送るライラ。なるほど、体と心の痛覚の感じ方が違うのかと察し】
【尻餅をついて動けない彼女にトドメを刺すために歩き出そうとした瞬間―――見た。また違った、そして見た事の有る異形の姿を】


……よぉ、No.50。お陰様で"ハンター"を名乗らせてもらってるってもんだ。
そういやテメーらも、カニバディールの手下だったな……。此処に抜け抜け出てきたこと……―――後悔すんなよ?

 『  W  2  S  1  !  !    I c e   S p e a r 』 ! ! ! 

【最初に遭遇したあの日、彼らはカニバディールを庇って現れた。そして『スクラップズ』をも庇おうとするなら、ライラにとってやるべきことは一つ】
【実質二対一。それでもライラが挑戦的な笑みを彼らに晒したのは、自信の表れなのか】
【詠唱とともに減光する青と緑のブレスレット。そして出現したのは、全長150cm程の氷の槍だった】
【ライラの手の動きと共に槍が放たれる。動きは直線的だが速度が早く、またそれなりの質量を持っている】
【そしてそのコースは彼ら兄弟はもとより、彼らが回避すれば後ろにいる彼女を刺し貫くそれを取っていたのだった】

162名無しさん:2014/02/20(木) 01:57:55 ID:A89md4kk0
>>159

【ザリ、ザリ――石塊の転がる水底を、水その物を蒸発させながらフレデリックは陸に上がる】
【周囲の葉土は瞬時に焦げ、雪は自ら蒸気へと姿を変える。凄まじきはその手の内の力だ】
【〝炎獅子の眼球〟とはそういうものだ。一属性に限って見れば、宝玉にも劣らぬ力を見せる】

【それもこの男の場合、使いこなしているようだった。倒して既に数ヶ月――耐えず鍛錬でもしていたのか】
【或いはスライムという融和性のなせる技だったかも知れないが、今はそれはどうでもいい】

……ほう、悪魔か?いや、近いものは感じるが……何か違うな、何者だ貴様?
人の名と肩書を知って尚もその物言い、平時であれば即斬首といった所、だが……

まあ良かろう……しかしどうだ、中々良い見ものだったのではないか?
貴様が居なければ完全に決着も付いたものを、面倒なことをしてくれる
もっとも武器の扱いは心得ているようだ、悪くない。殺すのは今ひと時ばかり見送ってやろう―……。

【火の勢いを僅かに弱め、足下に転がってきた大槍を左腕で拾い上げる】
【その際、既にボロボロのローブの切れ間から覗く背の傷は焼いて塞がれていて】
【ただそれだけでなく、恐らく〝瞳〟から魔力の供給を受けたのだろう。ダメージも幾分回復しているように見えた。だが――】

喧嘩の売り方が下手だな……ククッ、私はそう安い人間ではないぞ、異形。
何せ騎士団長……あぁ折角だ、教えてやろうか。第三と言うのは、都市の成り立ちから
数百年で僅かに三人しか就任していないからそう呼ぶのだよ――私が死ねばただの近衛騎士団だ

つまりな、貴様……私はあの女…グリース・イムリンパルスや、他の司教どもから見れば敵だろうが
私の実力はその肩書一つで十分と言うことだ。証明してやってもいいがな……

……それよりも貴様、先ほど『意識を消して来た』と言ったな?
私の経験から察するに人に取り憑くような意味合いだと思うが……その『苦労』を消してやらんでもないぞ

なァに……ちょいと混乱が多いほうが、私も……そして我が友も助かるのだ
本来であれば邪を救うはありえない話。だが、私とて全く貴様らの類に無理解というわけではない
別に――味方になれ、敵対するな、だの……そういう生ぬるいことを言うのではないさ――どうだ?

【そして、問いかけへの答えはNO――むしろ、フレデリックの方から新たな問を投げかける】
【相手の言葉尻を捕らえての提案であった。無論、彼自身は相手のことなど全く理解も出来ていない】

【戯れと言ってもいいだろう。彼は右手に持った真赤な眼球を、自らの額に押し当てると】
【それをグイと押し込んで――宛ら第三の眼。そんな言葉を思わせるように、体内へと取り込み】
【また尚も槍は下ろしていなかった。相手が来るのなら致し方なし、そういう態度も微笑の内に滲んでいた】

163名無しさん:2014/02/20(木) 02:03:50 ID:zhlacM2.0
>>158

【ああ視線が痛い、街中に行くのは確実に失敗だったな―――そういう後悔の念も一入ではあるが】
【ふと目に入ったのはこちらを、正確にはこちらの連れている動物を見ている少年であった】

【魔術の知識はある方…というより彼女の専門分野は完全にその道で、曖昧ながらも指輪に仕込まれた何らかの魔法には気付いて】
【飲酒したであろうと思われる発言と若々しい外見を見て怪訝そうにしつつも、ただの不良少年ではなさそうだと判断】
【―――そんなこんなで観察中に、あらぬ勘違いをされているようだと気付く。せめて誤解をといてやろうかなとそちらへと出向いた】

『―――――その歳での飲み過ぎはちょっと感心しないなぁ。しょっ引く身分でもないけどさ』
『残念ながら幻覚じゃなくてホンモノなんだよねぇ。さ、諦めて現実と向き合うんだ少年』

【かく言う彼女も、まるで腹話術のように口を一切動かさずに喋っている。それすら幻に見えてもおかしくはない】
【喋る際に、右手の人差指を喉元にあてがう姿は何とも妙。何かの能力なのかただの癖なのか、恐らくは前者なのだろうが】
【最初からある程度ゆったりとした歩調を保ちながら、その一人と一匹が近づいてくるのだろう】

『そんなにヤバい子じゃないよー、ホントの草食系ってやつさ…実際は雑食らしいけど』
『なんなら触ってみたらどうかな。大丈夫絶対噛まない、絶対可愛いから、絶対可愛いから』

【別にその動物自体をヤバいと言ってるのではないと思うが…ほれほれと、手招きするように左手を振って】
【多少、飼い主バカっぷりを醸しながらその生き物を指さし、何故か「爬虫類?ふれあい初体験」の提案を申し出る】

【彼女らが近づいたあたりでもう分かると思うがこの生き物ハーダスフィリアは体長1.8m―――デカい】

164名無しさん:2014/02/20(木) 02:30:36 ID:1WzZKwog0
>>161
【様々な感情がないまぜになったライラの表情が、やがて激しい怒りを伴った視線へと収束する】
【彼もまた、仲間を思う心を持ち合わせる戦士。それを醜悪な悪意で蹂躙する異形ども】
【正義と悪が、交錯する。表と裏の境界線で】


んん、ふふふふふうううう……野郎とはひどいな、私は女だよ……?

【相手の気力すら削ぎ落とす美鈴の異常性は、同時に弱点でもあった】
【自らの肉体への負担を省みずに苦痛を追い求める姿勢は、継戦能力の低さに繋がっていた】
【体力の低下は激しく、長期戦は不利ということ。自ら相手から奪った傷の痛みもあり、この戦闘ではまともには動けないだろう】


「覚えていてもらえたようで光栄だな。最初に聞いた時は、何の冗談かと思ったものだが、〝ハンター〟の名は最早、伊達や酔狂ではないようだ」
『抜かせ!! てめえこそ、尻尾巻いて逃げなかったことを後悔すんじゃねえぞ!!

【彼と邂逅した時は、すでに勝敗は決していた。すなわち、戦闘に及ぶのは初めてのこと】
【様子見に出た兄弟に向ける笑みは、どこまでも不敵。短気な弟は、すでに忌々しげな表情を浮かべている】

【そこへ、放たれるライラの詠唱。ブレスレットの光。そして、氷の槍】
【以前、グランツでオールドベビーを打倒した魔法。話には聞いていたが、実際に見るのとでは段違いだ】
【背後には、手傷を負った美鈴。初手から逃げ腰になるわけにもいかず。四本腕が、構えを取った】


「ぐうっ!! ……芸達者と聞いていたが、その通りらしいな」
『があっ!! クソガキが、今度はこっちの番だ!!』

【細い腕から吐き出された泥のガードを破り、咄嗟に身体を逸らした双子のわき腹付近を氷の槍が掠めた】
【飛び散る鮮血。双子が揃って苦痛に顔を歪める。胴体の感覚は共有しているらしい】

【動きが鈍りつつも、双子は反撃した。四本腕が合わさり、吐き出される泥と砂がその中で融合して】
【一つの玉となった。バスケットボールほどの大きさの、泥砂が混じり合った重い色の玉】

【それを、ライラへと放った。速度は氷の槍に比べればはるかに遅い。だが、この玉の真の狙いは、かわされた後】
【地面でも壁でも、何かに着弾すれば玉は弾け、周囲に小さな泥の玉と砂の刃を散弾のように撒き散らすだろう】
【打撃と斬撃をばらまく範囲攻撃。威力はさほどでもないが、不意を突かれれば回避は難しいか】

165名無しさん:2014/02/20(木) 02:30:50 ID:oMGWYcYk0
>>163


―――……あー、俺はこんままでいーの……酒も修行の一環ってやつ……

【未だ現実を見ようとせず、眼を両手で覆う少年、然しよく受ける説教には思わずテンプレートな答えを返してしまった。】
【酒を飲む事は、彼にとって、どうやら修行となり得るらしい。……稚拙な言い訳にも聞こえるが、果たしてその真意や如何に。】

【さて、彼女と一体がこちらに近付いて来れば、……その足音、確かに聴き取ったのなら、少年は『幻聴までもが……』なんて症状を悪化させる事だろう。】
【然しゆっくりとその方を見たのは、もう現実逃避に疲れたと言うか、吹っ切れたという事なのだろう、少年は今度、両方に虚ろな視線を送る。】
【―――彼女も彼女だった。話すという行為には、必ず口を開くという行動を伴う筈、……加えて、腹話術にしては、余りに出来すぎであって。】


………じゃー………これ食う?………サボテンじゃー腹の足しになんねーだろ………

【もうどうにでもなってしまえ。ええい、ままよ……少年が隣に置いていたビニール袋から取り出すのは、案外値の張るビーフジャーキである。】
【酒の肴にと近くの店で買ったのだろうという事は、その袋にプリントされている文字から分かる。……更に言えば、その袋の大きさからして、】
【大瓶を買ったのもそのお店なのだと推測出来る筈だ。……まあ、今はそんな事、どうでも良いのだろう、が。】

【さて、謎のふれあい体験を提案されたのなら、少年は案外ノリノリで受け付ける事だろう。ビーフジャーキーの包装をベリベリと破ったなら、】
【一枚、一番大きいのを取り出して、与えてみる。生育環境から仕方なく草食になっているだけで、見た目を考えれば明らかに肉食の類だ、】
【だとすればそういうのではなく、こういった物の方が旨そうに食うのだろう……なんて思考を働かせた結果が、今の行動に繋がった。】


……うまいかー……案外たけーんだ、てきとーに食うんじゃねーぞ、ホラ………

【その1.8mのその巨体っぷりに、然し少年が慄く事はない、敵意を剥き出しにされたのなら別だが、案外フレンドリーに接する事だろう。】
【可能なら、犬であれば心地良いであろう脇腹辺りを擦ってやる、……其処までするのだ。明らかな見た目とのギャップ、然し勿論、一連の行動には訳がある、】
【……それは単純に、今こうして遊んでいるのは、当然"夢の中の出来事"なのだと思っている、故。……呆れた話だが、彼がそう信じているのは現実だ。】

166名無しさん:2014/02/20(木) 02:33:41 ID:Jfel1XAU0
>>162
『あァ?何でテメェら人間はそう決まり切ったように一々尋ねて来るんだ?
ンな事を聞いた所で退屈凌ぎにもなりゃしねェよ。――――礼儀か?ハッ、お行儀良く環境破壊をしてる奴等が言えた義理でもねェ
俺様は俺様だ。テメェ等の肩書きなんざ関係ねェ所に居る存在なんだよ
別にアスモデウスやらダンタリアンやらみたくソロモンに仕えてた訳でもねェ。それだけ知れたらお前等には上々だろ?』

【戦闘が無いと知れば、その場で胡座を搔いて戯れに雪を握った】
【言葉に対してはぶっきらぼうに答えながらも視線は月へと送られていて】
【不変の其れにも見飽きたならば、大きな欠伸を一つして元に戻すのだろう。何とも不吉な赤の色合いを】


『今のを喧嘩の売り言葉に取っちまったか?ハハ、面白い人間だな
俺様がくれてやった言葉は同情だよ。遊び相手が壊れちまって手持ち無沙汰だと、幾らガキ相手でも哀れに見えてくるだろ?

――――――なる程なァ。教会の玩具に踊らせるには荷が重すぎたかもしれねェな
だがまァ、五月蠅いガキが喚いてる所は確かに良い見物ではあったな』

【憎まれ口を叩きながら、語りは続き】
【確かに串刺しにされかけた女を助けはしたが、その先は介抱するなんて事も無く】
【戯れか、それとも何か意図があったのかは不明だが――――今は、特別興味も抱いていなのは確かだ】


『消せたら苦労はしねェよ。何で態々この俺様がこんなガキの身体ン中に入ってなきゃいけないんだって話だ
――――エクソシストや教皇がどうこう出来る話じゃねェ。何処ぞのチビ悪魔のせいでこうなって、憎たらしい事にそのチビに解かせなきゃどうにも出来ねェんだよ

あの爺の名前は何だったか…………ああ、ストムか。アイツにも一度解かせたが、やっぱり面倒な呪いなんだよ
それにな、さっきも言った様に俺はテメェ等が何をしてようがどうでも良い事だ
この身体のガキや、其処でくたばりかけてるガキは知らねェけどな。解かれれりゃさっさと魔界に帰ってやるよ
で、気が向けば昔の様にこっぢ混乱を起こす。その中でテメェの友人が助かろうがどうなろうが知った事じゃねェ
でもな…………暫くの間は“苦労”を楽しむしか無ェって訳だ』

【――――つまりは、生半可な事では解けないのだろう。術を掛けた悪魔本人がどうにかせねば、何ともならないと悪魔はぼやいて】
【傲慢な性格であろう悪魔が言うならば、やはりそれ相応の術が掛けられているのだろうか】
【忌々しく舌打ちを一つすれば、立ち上がって】

167名無しさん:2014/02/20(木) 02:53:14 ID:A89md4kk0
>>166

ふン、我儘な奴……もう少し万全であれば叩き斬ってやりたいところだ
生きる大罪とでも言おうか、全く貴様らは度し難い――では〝貴様〟と呼ぼう。

……ところでその女、貴様はどうするつもりだ?
私としては是非とも殺して滝壺にでも放り込んでやりたい、が……
大方、『興味はなくても一度助けたのを無駄にされるのは嫌だ』だのと言うのだろう?

だから――こうして一応、伺いを立てておこう。そいつを寄越せ、貴様。

【相手は人ではない。だからというのが唯一の理由ではないが、今まで話した相手とも調子が違う】
【ともあれ、一先ずは槍を下ろすと左手を差し出した。つまり『そいつを寄越せ』のジェスチャーだ】
【本気というようにも見えないが―― 一応、と本人も言っている通りなのだろう】

【そして後、ストムという名前を聞けば何処かで見聞きした名だが――と首をかしげるも】
【今は然程重要ではないと踏んだのだろう。微笑という矛も収めながら、動作と共に首をコキリと鳴らし】

成る程……それほどの呪いとは、流石に私でも聞き覚えのない類だな……。
余程強力な思念を籠めて施されたか、或いは別に原因があるのか知らないが――

――どちらにせよ役に立たんのなら知ったことではない。精々苦しめ、悪魔
フッ……話をする間に、はや朝も近いという頃合いか……
どうせ貴様も帰るのだろう、その〝檻〟に。……では、悲しい悲しいお別れというわけだな……?

【やがて相手が立ち上がるのを見ると冗談めかしてそう言って、小さく転移の術を口ずさむ】
【するとやや離れた足場に魔方陣が出現し、フレデリックはそちらを向いて――】
【『他に何かあるまいが…?』と、これまた一応の確認を取った。何もなければ消える、無言でそう告げていた】

168名無しさん:2014/02/20(木) 03:05:29 ID:Qa8AXHgU0
>>164

【彼らデュアル兄弟が出現すれば、彼女……美鈴にはもう目を合わせることはない】
【最後に「野郎でもどうでも同じだバーカ」と小さく呟いて、ライラの視線は目の前のデュアル兄弟へと向けられた】
【厳しい視線は、そのままに】

(泥と砂……カニバディールを庇った時と同じ。ってことは、これが彼奴等の能力か……!)

【彼らの大きな特徴である、2つの頭と4本の腕。胴体の感覚が分離でもしていれば完全に2対1なのだが】
【感情は熱く燃えていても、相手の観察だけは冷静だ。2人が同時に顔を顰めた所を見れば、感覚の共有が理解でき】
【それと同時に彼らの能力も視覚的に判断できた。……だが、単に泥と砂を吐き出す能力だとは思えない】
【カノッサ機関No.50。コレが何を意味しているか、数回高ナンバーズと戦った経験のあるライラは身を持って分かっていた】


―――……ッ、ぐあぁッ……!!?


【彼らの放った土砂色の球。ただの牽制だと思って油断したのが拙かった】
【後ろの地面へと着弾した球は何の抵抗もなく弾け……また何の抵抗もなく、無防備なライラの背中へと多段的にヒットする】
【打撃の泥、斬撃の砂。勢いに押されて前へと倒れ、強引に体勢を立て直して立ち上がるも、彼らには見えるはずだ】
【奇襲の一撃が直撃したことを示す、ローブへの大きな穴と服への細かな傷跡、そして血を垂れ流すライラの背中が】


ごほ……ッ、チッ……流石No.50、つえー訳だ……だが……ッ!!
俺も信念ってもんがあんだよ……テメーらに負けるわけには行かねー……!

お返しだ……ッ!!!  E 2 S 1 ! ! !   『 S a n d   K n i f e 』 ! ! !


【咳き込むライラの口元には、確かに赤い血痕が見て取れる。だが、ライラの精神力は一向に衰える気配を見せない】
【その表れか、彼らに向かってそう強気に言い切ると、翳した右手、ブレスレットの黄色の緑が消灯し】
【ライラの前に出現したのは大きめの砂のナイフが3本。手の動きに連動し、彼らへと放たれる。二本は左右から、そして一本は救い上げるように彼らの腹を狙う】
【速度は早い。が、数の多さに気を取られなければ、彼らの砂や泥で押し返すことも不可能ではない】

169名無しさん:2014/02/20(木) 03:07:59 ID:zhlacM2.0
>>165

【呟かれた言葉に、やれやれと肩をすくめる―――その上で、終始彼女は無表情。傍から見ればとても不気味だ】

『幻聴じゃねーよどれもこれも現実だっつーのに…っつか酒が修行の一環って一体何の話さ?』
『無理して飲んでんなら止めた方がいいと思うけど…アルコールが強さの素なら世の酒豪たちは大喜びでしょうねぇ』

『――――ああ、私も幻覚じゃないから。現実現実…能力だから気にしないでよ。もちろん腹話術でもない』

【少年の言い訳じみた言葉にすかさずツッコミを入れる。まあただの言い訳、とも彼女は思っていないのだが】
【世の中には酒に酔えば酔うほど強くなる武術もあるというらしいし、そういうメカニズムも不思議ではないから】
【ただ、需要のある人は多いんだろうなとか、なんとなくそう思って皮肉を語ってみたりしたくもなる】

【そういえば自分も人からすれば奇異な存在であった。そのことに気付いて、しまったなぁとか思いつつ】
【会話方法を変えることこそ無いが、その不思議な発声術のタネを明かして自分の存在を現実だと主張する】
【そして差し出されたビーフジャーキー、あれは酒のつまみだなと簡単に推測出来た。やや首を傾げたのは飼い主である彼女】

『あらら…そういう系統って食うのかな。まあ雑食らしいけど、人間食うものって動物に良くないって聞くしなぁ』
『それに主食がサボテンとかの上に絶食状態でもある程度耐えれるコイツに、空腹なんてのは――【ぱくっ】――あ、食べた』

「―――――――――――ぐがっ」

『――――――ありがとう、美味しい…だってさ。ああ、勿論意訳…というか適当だけどね』

【食わないんじゃないかとか思ってた矢先、ハーダが匂いをジャーキーに鼻を近づけて―――ぱくり】
【ビーフジャーキーの端に齧りついたら、器用に口の中へと、ジャーキーを引き摺りこんで―――ゆっくりと咀嚼していく】
【その様子を見て、ややニヤついた淡い笑みを浮かべたなら、少年へと振り向いて自分なりの通訳をする。原文は完全無視である】

【脇腹を撫でられれば気持良さそうにその鋭い眼を細めて―――ぐるぐると、喉を鳴らす。案外と人懐こい生き物】
【生き物故の好奇心からか、ハーダもくんくんと彼の匂いを嗅ぎにいくことだろう。あわよくば、顔とか舐めようとする】
【心なしかジャーキーとサボテン(?)の匂いがするような、そうでもないような】

170名無しさん:2014/02/20(木) 03:27:06 ID:Jfel1XAU0
>>167
「あン?添削してやんなら、お目付役をぶっ殺すと面倒になるから嫌だ。だな
教会の奴等がこぞってやってこようが殺される気はしねェが、こんな身体じゃ苦戦するのは目に見えてるしな。大体俺様は面倒が嫌いだ
こんなんじゃなけりゃテメェよか先に嬲り殺してるんだよ
――――滝壺に放り投げるよか浮浪者の巣窟にでも放り投げりゃ面白いんだろうけどなァ

それとな、テメェは何か勘違いしてねェか?
大罪だの些細な罪だの勝手に秤を作り出したのはテメェら教会だ。俺様達はな、そんなのが出来るずっと前からこんな調子だ
好きな事を好きな様にやってんだよ。テメェ等が勝手に介入してきて、変な尺を押っ立てたんだろ。知った事じゃねェ。もっと言や、テメェ等の母親と父親がだらしねェからそんなのが出来たんだけどな?」

【やはり本質は悪魔か、教会と聖書とを悉く愚弄して】
【――――修道女が身体に悪魔を宿しているなんて矛盾。どう考えたって教会の威厳に関わる問題】
【それでもこうして生きているという事は…………何らかの事情があるのか】
【手を翳せばサイコキネシス染みた力で女を持ち上げ、顔に滴る鮮血には不快そうに顔を顰めながらも拭い去り】


「応。俺様は光が嫌いだからな。眩しくて敵いやしねェ。さっさと帰らねェと太陽の光に焼かれちまう

――――無駄に足掻けよ人間。幾らテメェ達が何をして何を守ろうが、数百年も経ちゃただの“昔話”だ
正義だ悪だ下らん争いだしても結局は何も残らねェんだよ
お前が死んで骨も砂に変わった頃、この悲しい悲しい出会いも喜劇調にして伝えてやるから楽しみにしてろ

――――他に?コイツ等は知らねェが、俺様からは何もありゃしねェよ。誰が生きてようが死んでようが関係ねェしな」

【悪魔が太陽を嫌うなんてありふれた話だが、どうもこの悪魔に関しては真剣みが感じれず】
【其処から考えられる事は一つ。所詮太陽の光だってただの眩しい光程度にしか感じていないという事だ】

【こちらを向いて確認した頃には、もう悪魔は何処かへと歩き始めているのだろう】
【ただ、声が聞こえたから振り向く事無く声だけを返した。この身体の持ち主だったら、或いは気を失った女ならば何か問いかけるのだろうか】
【――――今は、それすらも分からない。気ままに歩けば…………背から、漆黒の羽を持った翼を生やし】

【バサリ、と一度羽ばたけば其れだけで崖の上まで上昇して】
【――――最後に一瞥すれば、女を連れたまま何処かへと飛翔するのだろう】
【空から舞い落ちるのはまるで堕天使の羽だ。もし、手に取る事が出来たならば――――大きな負の魔力が秘められている事に気付いたかも知れないが、もう関係の無い話】

/この辺りでありましょうか……!
/二日間、お相手有り難う御座いましたですよっ!

171名無しさん:2014/02/20(木) 03:29:39 ID:1WzZKwog0
>>168
【ライラの呟きを聞きつけて、もうこちらを見すらしない彼を見て】
【美鈴は最後にもう一度、甘い声を漏らした。彼の態度すらも、美鈴は快楽の材料として受け取ったようだ】

【さて、交代したデュアル兄弟。ライラに負けず劣らずの鋭い視線で彼を射抜く】
【一度、わずかではあるが能力を晒した相手。油断を見せる様子もない】
【カノッサ機関ハンターを名乗るだけのことはある。ラグナールの件で病み上がりの身では、少々きついか】


『ハッ、どうだ俺らの泥砂の味はよ!!』
「ほう、まだ立つか。見上げた根性だ」

【ローブと服がダメージを受け、彼自身も血を流している。その様を見てもなお、双子の瞳は警戒していた】
【彼もまた、幾度となく死線を潜り抜け、カノッサに敵対し続けてきた男。その実力と信念の固さは今目にしている通り】
【確実に打倒するには、全力を持って臨まなければならないだろう】


『伊達にナンバー名乗ってるわけじゃねえんだよ』
「あまり調子に乗るなよ、ギュスターヴ。本人の言う通り、この男はまだ折れていない」

【双子が身構える。せき込み、血反吐を吐くその姿はしかし、今なお並々ならぬ精神力と魔力を湛えている】
【光るブレスレットは黄色。現れるは砂のナイフ。自分たちの能力への意趣返し】
【双子が、特に砂を操る弟が、目を剥いて怒りの表情を形作る】


『チィッ!! 猿真似しやがって、この……うぐっ!!』
「(まずい……今の傷が、胴体の動きを……)ぬうっ……!!」

【四本腕が泥と砂を吐きだし、流体状にして解き放つ】
【左右に迫る二本は、これによって押し流した。だが、蓄積したダメージと氷の槍に削られた胴体は】
【腹部狙いの一本への対処を許さなかった。またも異形どもの苦鳴が漏れ、鮮血が溢れ出す】


『クソが……味な真似しやがってえ……!!』
「……早期にケリをつけねばなるまいな」

【双子が、一人分の数の足で一歩踏み出した。その歩みはダメージのために遅いが、確実に一歩】
【続けて、弟の腕から吹き出されるのは、レナールでの撤退にも用いられた砂嵐】
【攻撃力はない。だが、相手の目をくらますには十全な効果を発揮するはず】

【そこへ、痛む身体に鞭打って、双子が接近を試みた。相手は魔法使い、近接戦は不利と判断した上で】
【近付くことに成功すれば、そのまま四つの拳を泥で覆いつつ、ライラに殴打を加えようとするだろう】

【目くらましからの物理攻撃。単純極まりない攻撃だが、互いにダメージが尾を引く上場では効果はあるか】
【これを凌げば双子は、ライラに明確な隙を与えることになるだろう】

/申し訳ありません、眠気が限界に近く……
/持ち越しなどお願いできますでしょうか……? 明日は、今夜と同じくらいの時間には来られます……

172名無しさん:2014/02/20(木) 03:34:46 ID:Qa8AXHgU0
>>171
/大丈夫ですよー、ゆっくりお休みになってください
/自分は明日も、というより一ヶ月ほど暇なので始める時間は何時でもおkです!

/レスは後から書いておきますので、今日は一旦お疲れ様でした!

173名無しさん:2014/02/20(木) 03:36:25 ID:1WzZKwog0
>>172
/ありがとうございます、今夜は失礼させていただきます……
/了解です、では来られる時間になりましたら、呼びかけさせていただこうと思います

/いったん、お疲れ様でした!!

174名無しさん:2014/02/20(木) 03:39:37 ID:oMGWYcYk0
>>169

―――――見たい か?


……いや、冗談。……見せられるモンでもねーんだ、わりとマジで。
………アレだ、ココまで言われんなら説明してやるけどよ、……俺の身体は、アルコールと魔力の循環に相関関係があんの。
……ホラ、酒飲むとカーッと暑くなって、顔真っ赤になんだろ、それ、全身の血流が良くなってんだよ。俺の魔力も大体そんな感じ。

………実験で見せてやりてートコだけどよ、ココらへん一帯吹っ飛んじまうから、な。……いや、流石に、嘘だけどよ。

【初めのセリフにこそ、紅眼がギラリと輝きはしたが、逆に言えばそれ以外は、唯の酔っ払いのおっさん―――否、少年だ。】
【……まあ確かに、酒には案外強いのだろう、既に大瓶の半分程が無くなっているが、其処に顔色の変化は窺えない。】

【さて、酒を飲む事が何かの修行―――少年は魔法関係について言及したが、然しその実証は、どうやら出来ないらしい。】
【故に、此処までダラダラと説明された所で、それが全て嘘、子供の放つ戯言だと信じてしまえば、それまでなのだろう。】
【但し、矢張り初めの四文字だ。これに関しては、客観的に見ても、割とホンモノ、なんて印象を受けても可怪しくない迫力だったとも言える。】


……動物はよー……人間と違って、全部、表情にだすんだ、……嘘偽りなくってやつ……―――
………意訳もけっこーだけどよ、……この顔見れば、旨かったか不味かったか、分かんじゃねーの、みたいな………

【はぁ、と深い溜息を付きながらやがて言葉にするのはそんな事。受け取り方によっては、何と言うか、愚痴にも近い物だった。】
【人間は大きい物から小さい物まで含めて、嘘を付く動物だなんてしばしば耳にするが、少年はその事を良く思っていない……らしい。】
【だからこそ、こういった動物にも親しみを込めて接するのだろうが―――因みに、彼の心は未だ、夢の中、である。 】


―――………あー……マジ何なんだよ………

【少年は後頭部をくしゃくしゃと掻きながら、やがて背凭れに身を預ける。その内容は口にしないが、何やら不機嫌そう、で。】
【勿論其れは、ハーダが自分の匂いを嗅ぎに来た事に対する、と言った軽い物ではない、寧ろ、もっと深刻な内容……にも見える。】
【ハーダが顔を舐める様なら、それをも少年は許すのだ、……敢えて理由を言うなら、それは動物にしか出来ないスキンシップだから、か。】

175名無しさん:2014/02/20(木) 04:09:28 ID:A89md4kk0
>>170

元は貴様らとて神の使いであったものを、勝手に堕落していったのだろうが
一体その成り立ちの何処に我らの教義と人の祖に非があるのか……
……生憎と私の頭脳では理解に苦しむ。いやなに、悪魔にはそのくらいの解釈が丁度良かろう
発想も思っていたとおり実にゲスだ、しかし、それでは生きて帰ってきそうではないか?

……ま、よい。今日のところは流石の私も疲れた、というのが実のところだ
貴様との問答は頭痛がする……このまま朝日を拝みたくもないのでな

ただひとつ言うのなら……我々人間は、決して貴様らの玩具ではないということだ
精々長生きでもしていろ。虚勢を張れ、人を謀り暇を潰して安穏と生き延びていろ
我らは確かにその間に死ぬだろう――だがな……いや、その先は言うまい…――。

【――やがて悪魔は空に飛び立ち、それと共に激戦を交わした修道女も見えなくなった】
【フレデリックの顔に笑みはもう無い。ただ、はらりと落ちてきた羽を一枚手にとって】

……よもやこれで終わりではあるまい、グリース・イムリンパルスよ…。
?予感?がするからな…いずれまたどこぞの戦場で会うのだろうが……
その時こそ決着をつけるッ!貴様の死と、古き教会との決別をな……ッ!!

【僅かに沈黙――それから、やや離れた位置に転がった麻袋を見やると】
【その中身がキチンと砕け散っているのを確かめてから、フレデリックもまた転移陣で姿を消した】
【後には何も残らない。破壊の痕跡と、物言わぬ石像の欠片が転がっているだけだった】

/こちらこそ2日間ありがとうございましたっ!お疲れ様でした〜!

176名無しさん:2014/02/20(木) 04:22:36 ID:zhlacM2.0
>>174

【少年の一言に纏った雰囲気、その鋭さにはっとしたような、そんな面持ちで言葉の続きを待つ】
【やはり修行というものは本当の話なのだろうか。少なくとも、彼は「出来る」部類の人間なのだろうと感じて】

『何だ、見せらんないんだ…ちょっと期待したんだけどな』
『その話聞くだけなら、確かに理に適ってるとは思うけど…理解は出来ないね、そういった理論があるのも初めて知った』
『ああ、別に疑っているワケじゃあないから…私は一応魔術師みたいなものだから、ちょっと興味深いなって』

【職業柄、魔力などその手の話題には少し敏感で…食い気味にそんな真面目な考察】
【最初の一言の雰囲気から、少年が実力ある人なのだろうとは思う。今の段階では、推測の域を出ないのだろうけど】
【故に、見たいかと聞かれれば答えはイエス。彼女の好奇心】
【嘘と言われたらまた澄ました顔で「そう、残念」とだけ紡ぐのだろう。少年を疑っているようには見えない】

『―――――――へぇ、君って動物好きなの?』
『私は動物なんて飼うの、この子が初めてで…そこまで生き物に詳しいというか、知らないんだけどさ』
『純粋、とかいう意味なら何か分かるかもね。あとついでに言えば、そこが可愛いとも思う』

【声色は感心しているような、面白がっているような、そんな声。元々生き物に興味あったわけではないよう】
【砂漠でのサンドワーム討伐の報酬にて貰った生き物。飼うことになったのは「一目惚れ」みたいな衝動によるものらしい】
【少年の様子に関わらず生き物談義。何にせよ、夢の中の人物とされているとは思ってもいないし、普段通りに接するのだけれど】

『――――どうしたのさ。別に、嫌なら止めてもいいんじゃない?私は止めようとはしないけどね』

「―――――――――――ぐるる、る?」

【やや不思議そうにその顔をやや離れた位置から覗く少女。少女はその少年の不機嫌そうな様子の真意が分からないようで】
【気付けばハーダは舐めるのを止めるだろう。伸ばした首を少しだけ元に戻し、少年の顔を真っすぐと見た】

177名無しさん:2014/02/20(木) 04:32:11 ID:Qa8AXHgU0
>>171

ごほ……流石のお前らでも……っ、泥砂を全て操れるって訳じゃなさそうだな……ッ!

【砂を扱った事にだろうか、明らかな怒りを見せる彼らの片割れの舌打ちを聞いてまたその不敵な笑みを強くするライラ】
【そしてまた咳き込み、血の混じった唾液を地面へと撒き散らすも、ライラが折れることは無かった】
【砂を使った攻撃。相手のそれまでも自分の支配下におけるのならば強力だが、幸いな事にそれはなかったようで】
【相手の能力の片鱗を掴んだ、蓄積したダメージが多かろうが、それだけでこの攻撃には大きな収穫が有った】


……ッ!! くっそ、あの時と、同じ……!!

っがァッ!? ぐぅッ……!!


【よく覚えている。レナールでカニバディールと彼らが撤退した際のあの砂嵐。威力は体が覚えていた】
【撤退か? ……いや、そんな筈はない。彼らは言ったのだ、「逃すにゃ惜しい獲物」だと―――】
【砂嵐に囲まれて下手に動けないライラに、突如として襲い掛かる強大な拳撃。そのダメージは一発でも体力を大幅に削り取っていく】
【2発目もヒットする。超人的な体力を持ち合わせないライラに、回避する術はもう残されていない】


ご……ッ……。
――――――……調、子にィ……―――ッ……。


【3発目もヒットするが、彼らは気付くだろうか。ライラがこの期に及んで、まだ杖を持っていること】
【魔法使いの矜持? ……いや、それは違うだろう。何故ならライラがその杖の上半分を握り、軽く回して上に引き抜けば―――】
【―――其処にはスラリとした『刀身』が有るのだから。白銀色に輝くその刃。「仕込み杖」という物を、彼らは聞いたことが有るだろうか】



――――――…… 乗 る な ぁ ぁ ぁ ぁ ぁ ぁ ――――――ッ!!!!



【殴打の4発目が放たれると同時、ライラは引き抜いた勢いのままに僅かに見える拳が襲い掛かる方向へと刀を振るった】
【刃が直接彼らへと当たれば、刃の斬撃は勿論のこと、刃に流されていた「無」の魔力によって衝撃波が発生し、大きく体を吹き飛ばすことだろう】
【当たらずとも、刀からは純白で三日月型の衝撃波が飛び出て彼らを襲うことだろう。それにヒットしても、直接斬られた際と同じダメージを食らう】

【大きな危機の中で繰り出した逆転の一手。だが、攻撃の成功失敗に関わらずライラは蓄積したダメージによって膝を着くこととなる】
【背中は血塗れ、前面は大きな打撃痕が残り、口からは血が流れ出る】

【――――――……しかし、そんな状況でもライラが彼らに向ける視線は鋭い。まるで、獲物を狙う狩人《ハンター》の様で】

178名無しさん:2014/02/20(木) 04:52:16 ID:oMGWYcYk0
>>176


―――何だよ、どーいう見た目してよーが、別に関係ねーだろ……あ、あと地毛だからな、コレ………

……そーだな、動物は、好きだ。……もう理由は言っちまったけどよ、嘘、付かねーだろ……?
………いや、俺も嘘吐かねーバカ正直っつーわけじゃねーけどよ、……なんつーか、……‥
……あ、やっぱ分かるよな、………そう、良い意味で、純真無垢なんだよ、こいつら……

【彼女が何やら面白がる声色を紡ぎ、恐らくそれが、髪を染めた不良らしからぬ行為による物なのだろうと推測を立てれば、】
【少年は透かさず反論を挟む。……街灯の暖かい光にも反射して艶やかに輝く銀髪、確かにカラーリングで付けられる様な物ではない、か。】
【……その後、どうやら諦めた様に話すのは、矢張り生き物談義に関して、である。一貫して、嘘を付かない故、動物は好きなのだと語る。】
【最終的には自分の理論が纏まらず、相手の理解力に任せる事となったが、……幸い彼女も同意してくれた様で、少年は一息付く。】


……お前のペットだろーが……っつーか、最初から何か良く分かんねー怪獣飼うって、………いや、別にいーんだけどよ、
………デカい奴になればなる程、散歩やら色々大変なんだろ? 足の筋肉みりゃー、何kmでも走れんだっつー事ぐらい分かる、しな。

【動物好きを豪語するだけあって、生き物を飼う事の難しさをある程度知っているらしい。呆れた表情を見せたのは、それ故、だ。】
【然し足の筋肉を……という部分に関しては、その知識で賄える判断ではないだろう、少し詳し過ぎるのではないか……】
【……と思い良く見ればこの少年、中々引き締まった身体をしている様にも見える。魔法だけでなく運動も出来そうな、そんな感じだ。】

【嫌がらなければ、少年は今度、足を擦ってみる事だろう。……『俺もこんなんだったらなー、』なんて呟きも聞き取れる事か。】


………いや、ちげーんだ……お前は、やりてー様にやっていいんだ、………けどよー……

【ハーダの頭をポンポン、と軽く2回叩く。匂いを嗅がれるのにも、舐められるのにも、どうやらあまり抵抗はない様子で、】
【確かに彼の言う通り、ハーダは気の趣くままに、少年と接して良いらしい……、空いた時間を縫う様に、少年はもう一度ビーフジャーキーを取り出し、】
【1枚は再びハーダの口元へ、もう1枚は自分でカブりと齧っていた。……高級なだけあって、中々に肉厚、普段食さない人間でも、意外と美味しそうに見えるか。】


――――食うか?

【と言葉を紡げば、もう1枚、取り出し、今度は彼女に差し出すのだろう。受け取るか受け取らないかは自由、もし断られてしまえば、】
【それはやがてハーダによって咀嚼され、食道へと……というだけの話だ。齧ったビーフジャーキーを左手に、少年は再び酒を煽り、ぷふぁーと息を吐き出す。】

【……大瓶とハーダに目線をやり、やがて『いや、さすがにな……』と言葉を漏らしたのは、……どうやら、ハーダに酒をも与えようとしたらしい、】
【勿論彼の呟きの通り、飼い主が目の前にいる、流石に思い留まった様だが、……ハーダが関心を寄せれば、どうなるかは分からないだろう。】

179名無しさん:2014/02/20(木) 05:42:42 ID:zhlacM2.0
>>178

【ただ只管無表情であった彼女の顔がやや驚いた様子へと変化した。やや目を見開いたかのような、些細な変化】

『―――地毛なんだ、別に染めててもどうこう言うわけでもないけど。染めてる私の方が不良みたいじゃん、何か』
『まあ人は見た目じゃないって言うしね…中身だけ重視っていうのもどうかとは思うけど』

『―――――嘘つきはキライ?いや、まあ、好きな人が居るとは思わないけどさ、聞いてみただけ』
『さっきからの言動とか聞いてたら何となくそう思っただけだから、別に応えなくてもいいけど』

『―――――あ、ちなみに私は嘘つきだよ。こんな「喋り方」してる時点でお察しだと思うけどね』

【反して、彼女の金髪はどうやら染めてるらしい。そんな彼女が、飲酒にどうこう言うのもおかしいか】
【背丈は大して低くないのに、言動や童顔から学生のようにも見える少女だが、もう少しで成人する事実は変わらない】
【瞳の黒色とかも含めて―――もしかしたら櫻の国とか、その方面の血が入っているのかもしれないが】

【最後、嘘つきについての話題を振ってみた。意図はなく、ただの好奇心による質問でしかない】
【ただ彼の動物に対する行為の根本が「純粋」というその一点なら、逆は?というだけの興味本位】
【強いて言うなら、嘘つきな自分は嫌いですか、という遠まわしの質問でもあった、のかも】

『衝動っていうの?なんていうのかな…気付いたら既に手綱を握っていた、って感じで…後先考えず、だね』
『確かに大変なんだけどさ、手間がかかる分愛着が湧いたりとかさ…するじゃん、思わない?』
『あ、でもこの子のことに関してはきちんと勉強したんだ。私でも責任もって育てられるようにさ…!』

【ハーダと会った慣れ染めについての談。動物飼育の際の責任感とかはともかく、愛だけは伝わるだろうか】
【「ちゃんと世話するから」と親にペットをせがむ子供のそれと似ている。要するに、ガキっぽい】

【呟いた少年に「それで充分だろ」とかモヤシ同然の少女は思ったが、黙っていることにした。きっと基準が違う】
【ハーダはと言えば矢張り、嫌がるそぶりは見せず。恐竜然としたその脚を触ることを無言で許可するのだろう】

「―――――――ぐる?ぐがっ」

『んー?一体何が気に入らないんさ。なんか良く分かんない子…話してみれば?』
『―――――貰えるんなら、エンリョなく。結構好きだしこれ…ありがと――――あ、おいしい』

【がぶがぶと新しいジャーキーを咀嚼するハーダを軽く撫でてやって―――途中、差し出されたジャーキーに気付く】
【貰えるものは貰っておく、というスタンスの少女はそれを左手で受け取るとそのまま口にするだろう】
【本来なら食事中に雑談などはしたないが、彼女の場合は能力上、食事中でも言葉を発せられる…奇妙な光景だが】

「――――――――――――――――ぐるっ?」

『――――――うん、流石にダメだね。はーちゃん、君が飲むもんじゃないの』

【ハーダも最初、彼の持つ酒瓶に興味を示したようではあったが、流石に人間でも死ぬ場合がある代物は見過ごせず】
【飼い主によって制止され、ハーダが少しだけしゅんとしたようなのはきっと気のせいではない】

180名無しさん:2014/02/20(木) 06:17:26 ID:oMGWYcYk0
>>179

……あー、そういう意味じゃ、人間は漏れ無く嫌いだ。……そこ歩いてるアイツも、アイツも、アイツも、お前も、………俺も。
………何だろーな、嘘っつー概念があるせいで、必要以上にややこしくなってねーかって言うか、……うん、そんな感じ。


【それは気付ける程に、少年が徐々に饒舌になって来る。先程からやたら飲んでいる酒の効果と、後は、好感度、だろう。】
【今、自分の事を嘘吐きだと言った彼女の事を軽蔑する目線は、一切として注がれる事はなかった。先程も言った通り、寧ろ親近感、だ。】

【嘘を付かない人間は居ない―――のなら、全人類は、それを自覚できているかどうか、の2パターンにしか分けられないのだ。】
【少年と、目の前の彼女は、同じグループに属した。……どちらが良いと言えるのかどうかに関しては抜きにして、】
【お互い一緒の立場にあると言うのは、別に悪い気がする訳ではない……そういう事だ。まあ飽くまで、この少年が思っている事に過ぎないのだが。】


……今まで突っ込まなかったけどよ、……その喋り方、どーなってんの? スピーカーでも付いてんのか、喉の中に。
………お前、能力者とか? あー、先に言っとくけど、俺は能力者な、……さっきちょろっと言ったけどよ、掌からボカンって爆発出来るんだよな、

……魔術師なら分かんだろーけど、爆発属性習えるトコ、滅多にねーんだよ、マジで。まあ、需要ねーんだろーけど……一回使ったらマジ止まんねーから。
………あ、お前は、……んー………火じゃねーし水でもねーな……土か風か、その辺りっぽい、……うん……

【次に指摘するのは、彼女の話し方だ。今も夢と思っているのだろうが、―――否、流石に今になってはどうか分からないが、】
【尋常では無い腹話術を……なんて魔法、聞いた事がない。ならばそう言った能力を持ち合わせているのだろうか……と推測を立てた。】

【人に名前を聞く際には先ず、自ら名乗るのが礼儀であるように、少年は自ら能力者である事を打ち明ける……ほぼ、分かっていた様な物だが。】
【どうやら、爆発属性なる、極めてマイナーな属性を扱う、飽くまで魔法使いらしい。……先程も言った通り、身体も十分に鍛えられている、が。】
【然しその扱っている魔法の種類、彼の仕草やら話し方、或いは見た目から、何となく、納得は行くだろうか、……まあ、其の通りである。】


………いや、別にいーんだ、……他人に話してどうこうなるもんじゃねーし、ましてや怪獣に話しても、な……
……思春期のガキには色々あんだよ、……いや、そんなつまんねー事じゃねーんだけど……

―――……あ、何だ、やっぱだめ、か。…………んー……待ってろ………

【酒が駄目なら……と再びビニール袋を漁り、何やら取り出そうとするのだが、……どうやら直ぐには見つからない様子だ。】

181名無しさん:2014/02/20(木) 06:59:23 ID:zhlacM2.0
>>180

『―――ははっ、まぁそうなるだろうね。私はその素直さ、結構評価するよ』
『ま、仕方ないことだよ、人って単純で複雑だし。人のための嘘なんてのもあるから、余計ややこしいだろうさ…』

【言葉の割に大して自分への対応が変わらなかった辺り、嫌われてはいないんだろうなとか勝手に判断する】
【或いは態々自分を嘘つきと言ったことを訝しんでいるのか、とも思ったが、そういう風にも見えず】
【無表情で語られる己の価値観、少女の紡ぐ声のトーンは見た目に反して満更でもなさそうではあった】
【元々、こう見えて好意とか仲間意識だとか、捻くれた少女はそういうものには弱いらしい】

『――――そうそう、能力。人の声を「録音」して、代わりに発声してもらう能力ってトコかな』
『指を喉に当てたら、違う声で喋れる―――人差し指ならこんなで…』『で、中指なら男の声だ』
『…他と、君とかと比べたらホント地味な能力だけどさ。ま、なんだかんだで結構気に入ってんだ』

『確かに爆発の属性を使ってる人、ってのは見たことないね。危なっかしそうだし』
『私は――――多分闇なんじゃない?見方を変えたら、火でも水でも、土でも風でもあるんだけど』
『私が扱うの魔法って、ホント特殊でさ。正直、私以外に扱える人間はいないって自負出来るね』

【要するに、声を変えられる能力らしい。解説の途中、喉に当てる指を中指へと変える】
【すると声が「ハスキーな青年」のような声へと変化。それだけで彼女の能力の本質は掴めるだろう】
【だとすれば今彼女が紡ぐ声は全て偽り。本当の声は使わず、別人の声に代弁してもらっているらしい】

【自分が扱う属性にも関わらず、あやふやな解答。妙な含みを持たせて自身の魔術を語る】
【詳しいことは言わないが、場合によって彼女は魔力の属性を変える術を持っている―――風に見える】

『思春期ねぇふうん…まあ大いに悩め若者、事情はなんだか知らないけれど、私は応援しなくもないぞ』
『…今の私とってもババ臭かったかしらね、年食った気分…ん、何探してんのさ?』

「―――――――――ぐる、ぐるるる…」

【少年がビニール袋をがさごそと探しているのを見て、ジャーキーと酒以外にまだ何かあるのかと】
【ハーダもそれに飼い主の反応に釣られ、共にその様子をまじまじと眺めるのだろう】

182名無しさん:2014/02/20(木) 07:29:22 ID:oMGWYcYk0
>>181


………ほー……自在に声を操れんだろ? 俺だったらー……すげー人混みの中で、『この人痴漢です!』とか叫んでみたり、……いや、つまんねーな……
……まあその、それはそれで、全然違って面白そーじゃん、……こう、俺みたいに、スカッとするっつーことはねーんだろーけど。

………闇? あんまそんな雰囲気じゃねーな……ん、何でも変えられるっつーのは、何だ、全属性使えんのか………?
……同業者としては、すっげー気になんだけど、……まーいいわ、………うん………

【『―――じゃあ、お前の声は?』……言葉の流れに思わず聞きそうになった。然し止めておいたのは"何となく"であって、特に意味は無い。】

【満更でない彼女の言葉の調子に、少年は意識せずとも良く思うのだろう。ただ表情の変化が全く無いのは、何と言うか、掴み難い……と思ってはいるが。】

【扱える魔法と言うのは、その人そのもの、例えば性格だとか、為人だとか、そう言った物を表してるのだと少年は理解している。】
【彼女は自在に自身の声を操る事が出来、―――恒常的に嘘を付いている。ならばその様な類の魔法使いでも、何ら可怪しくはない。】

【ただその含みを持たせたと言うか、直接自分のように"何が使える"と公言しない話し方には違和感を覚えるのは当然の事だろう。】
【考えるべきは何故そんな風にしか言えないのか、だ。……勿論、ズバッと答えが出る訳ではない、何となく言えない理由でもあるのだろうと解釈し、】
【ならば、確かに、"見方によっては"の指す真意を気になりはするのだが、これ以上深追いするのは御法度だろう、……少年は口を閉じる。】


……あ、今の、2年前、掃除のババアからもきーたわ、どいつもこいつも、同じフレーズしか出て来ねーのな………

―――………何だ、そんなイイもん出ねーぞ……ただの水だ、……いや、ただの水じゃねーけど………これならいーだろ……?

【ラベルには『高濃度水素水 ―毎日をハッピーに!―』なんて書かれてある、ビーフジャーキー同様、確かに安物では無さそうだ。】
【これを何の味も分からぬ怪物に与えるのは勿体無いと、世間はそう思うかも知れないが―――少年は迷いなくキャップを片手で開けると、】
【酒の代わりと言わんばかりにハーダにぐびぐびと飲ませてやる。……そもそもこの時間に酒浸りでフラフラしている少年、一体何をしているのだろうか?】

183名無しさん:2014/02/20(木) 08:10:02 ID:zhlacM2.0
>>182

『―――――その発想に感心はすれど、やろうとは思わないね。やった後の悲惨さを考えたら…さ』
『ま、お褒めに預かり光栄ですわ…けど、やっぱり爆発させたら気持ちいいんだろねぇ、一回やってみたいな』
『一度、能力を交換してみたいって思う時あるんだよね…あの能力使ったら、どんな気分なんだろ…とかさ』

『まあ所謂―――企業秘密、というヤツよ。個人の特別な技術ってのは、割とデリケートだからね』

【自分にないものには興味を持つし、憧れる。それが重なってそんな他愛もない願望を言ってみたりして】

【気になると言われれば、都合のいい言葉で片付ける。嘘の言葉ではなさそうだが、それだけでもなさそうで】
【技術を知られたくない他に、彼女の適当さや性格など要素はいくらでもある。探せばそれこそいくらでも】
【もしかしたら、どこかで人のことを信用していないなんてこともあるのかもしれない。或いは、自分自身】

【包み隠し、掴みどころのないように振る舞うその様子こそ―――彼女を“闇”たらしめるのだろうか】

『―――結構傷つくわーそれ、私まだ19だってのにさ…ああ、けど二十歳越えたらあっという間に三十路なんだっけ』
『若い若い言ってるのももう少しで終わりかぁ…あーあ、まぁ別にいいっちゃいいけど』

【やれやれ、と言う風に頬を掻いて―――時の早さに何か思わずにはいられず、ため息をついた】
【差し出された水を惜しげもなく飲むハーダは、無論、水のそんな価値など分かっていないんだろう】
【水を飲むハーダ、というよりその飲んでいる物を見て、訝しげに眉間にしわを寄せる少女が見られる】

『――――ジャーキーといいその水といい、割と金かかりそうなものばっかだけどさ。もったいなくない?』
『ボンボンな感じには少なくとも見えないけど、何者なのさ…あ、そもそも名前すら聞いてなかったか…名前は?』

『ついでに言うなら…私は、喋り屋に、トーカー…あとはゴンザレスとかミケとか…』
『まあその中から選んで呼べば、私ってことに間違いはないから…御好きにどうぞ』

【飲酒の時点でいいところの坊っちゃんなんて可能性は彼女の頭からは消え去っていた。だとすれば彼は何者なのか】
【彼の普段に興味が向いたところで、そういえば名を知らないということに気付き、思い立ってすぐ名を聞くだろう】

【一応、名を聞くなら自分も―――とはいえ並べられたそれらの単語は全て、本名とは言い難いものばかりで】

184名無しさん:2014/02/20(木) 08:50:53 ID:oMGWYcYk0
>>183

……別に。………たまに、さ、カノッサの侵略防いで報酬とか、そういう話あんじゃん、………
……アイツら、バカにする訳じゃねーけど、毎日コツコツ働いてーってヤツ、俺は向いてねーんだわ……
……一晩でウン百万、やらねー理由がねーからさ………まあその、あーいうので、生計立ててる、………

……武器使うわけじゃねーから、維持費とか、ほとんど0だしよ、……
………金貯めんのは、逆に貯まり過ぎて色んなトコから狙われんじゃねーかってな、………
……要る様になれば直ぐかき集めるし、……まあ適当にバラ撒きながら使っとくんが一番なんだわ、今んトコは、な……


【日はすっかり昇ってしまった。大通りには多くのスーツ姿のサラリーマンが急急と道を往くのだろう。】
【少年はそういう人々、―――毎日同じ様な生活をする類に、飽き飽きしている、言い方を変えれば馬が合わないのだという。】
【これも何となく、納得出来るだろうか……、然し少年がやっているのは、時折、生命をも賭け得る闘いの仕事であるらしい。】

【そう言われて見れば、例えば少年のオーバーコート、黒ずみ掛けているというのはつまり、傷付き易い場所に良く立っているという事だ。】
【……どちらかと言えば少年の性格に反し、大事に大事に手入れがされてあるのだが、先程の話は……まあ嘘ではないという判断に行き着くのだろうか。】

【だとすれば、確かに、となる筈だ。最近はカノッサやらGIFTやら、或いは知恵を付け始めた魔物まで、ありとあらゆるものが世界を破滅へと導かんとする。】
【そういった勢力に立ち向かうには、死をも覚悟する事は必要不可欠だろう。……故に、報酬も、たった一晩で、彼らの年俸程はある。】
【銃火器等に必要な維持費も必要なければ、貯金するのは、異なった意味で危険なのだと言う。……もし大金が要る様になれば、仕事を重ねれば良い、】
【ならば今はこうして、買いたい物は買うだけ買って、……飲みたい物は、飲みたいだけ飲む、そうするのが一番なのだと少年は言う、が……。】


………俺は、ねこむら……何だ、一杯あんのな……じゃあ喋り屋でいいわ、……よろしく………

【……まあ、彼女が偽名を大量に持っている事位、予想の範囲内だ、寧ろ、本名をいきなり言われようなら、逆に身構える程、であろう。】
【どれか一つと言われても―――なんて表情を見せるが、結局選んだのは彼女が一番最初に挙げた物だ。……尚、よろしくに深い意味は無い。】

【逆に、少年が伝えたねこむらという名前……その語感はさながらあだ名というか、ペンネームというか……そんな感じがしなくもない、】
【勿論今証明する事は出来ないが、然しこれは本名に他ならないのだ。……まあ彼女とは状況が全く違うのだから、態々自分の名前を偽る必要は無かっただけなのだが。】


……じゃー俺は、色々やる事あっから、……これで。………またな……

【遅めの自己紹介も終われば、少年はやがて背伸びをしながら立ち上がる。食べ物飲み物を介してすっかり仲良くなったハーダにも、別れを告げると共に、】
【……あ、思い出したようにと残りのビーフジャーキーを取り出せば、一度に全てを口に突っ込んでやり、『よーく噛んで食えよ……』と再びポンポンと頭を2回軽く叩く。】

【……朝は何時も、こんなに眩しかっただろうか―――歩けば"血流が良くなり"頭もスッキリし始める。ああ、夢と現実の区別、どうも付かなくなって来たが、】
【まあそんな事どうでも良いと言わんばかりに鼻で笑ってしまえば、派手なオーバーコートも、やがて街の中に溶けて行くのだろう、……真っ黒なスーツに覆われて。】


/こんな感じで締めでお願いします! 長い間ありがとうございましたー!

185名無しさん:2014/02/20(木) 09:30:13 ID:zhlacM2.0
>>184

『――――成程ね。そっか、その可能性もあったんだ…何で気付かなかったんだろ』
『私も、君と同じ感じ…いや、ちょっと違うのかもしれないけど、大体同じ。本業ではないだけで…』
『実力さえあれば、馬鹿みたいに金もたまるか…納得したよ。そんでもって君、強いんだねやっぱり』

【恐らく喋り屋は最初の方で既に驚いたかのような顔をするだろう。それも当然、自分と似た状況だから】
【彼女もまたそうやって生計を立てている人間の一人。得物が魔法である所にも少し共感を覚える】
【道理で、その若さで酒やらなんやら買う金を持っているはずだ。少女は自分が気付かなかったことに、逆に不思議に思った】

【とはいえ、それをやってのけるのは大したものなのだろう。今ここで生きて話をしていることが何よりの証拠だ】
【条件としては喋り屋も同じなのだろうが…こちらは実力というより強運のほうが要素として大きいから、余計にそう思う】
【運は実力のうちとは言うものの、彼女には純粋な強さなんてあってないものだから】

『―――――ねこ、むら?そっちはそっちで何ていうか、可愛い名前だことね。響きがなんか素敵…』
『またよろしくする時が来るのかは知らないけど…じゃあ、その時はよろしく?』

【可愛らしい名前、とりあえず出た感想はそんな感じで。あの鋭い雰囲気を出せてこの名前というギャップが大きすぎた】
【複数の名を持つ自分と同じように、偽名かもしれないとおもったが、本名かどうかはともかくどうでも良くて】

『…ん、じゃあまたねねこむら。もしかしたら次は同じ戦場で、なんてこともあるかもしれないけど』
『そうなったらよろしくね…あんまりそう考えたくはないけれどさ』

「―――――――――ぐ、ぐがががっ」

【願わくば、普通に会ってまた雑談でもしたいところだが、其れを決めるのは自分ではなく】
【ハーダは口に入れたジャーキーを程良く咀嚼しながらも、ねこむらのスキンシップに応える様に、鳴いてみせた】

『――――――じゃ、私たちもいこっか…おいおいはーちゃん、喉に詰まらせるなよ?』

【ねこむらが去っていった後、ふと見ればジャーキーに夢中になっているハーダの姿があって】
【苦笑いして、ある程度飲み込んだか否かを確認しつつ、ハーダの首筋を撫でながら散歩を終えて帰宅するのであった】
【明るい空を見れば、留守番しているもう一人に怒られてしまうかも、とかそんな他愛もないことを考えて、一人と一匹が帰路につく】

/乙でしたー、ありがとうございました!

186名無しさん:2014/02/20(木) 14:00:26 ID:VvRwMKXY0
【その日は生憎の雨だった】
【天気予報では晴れが続くと言っていたのだが、】
【どうやらあの天気予報士はただの天気マニアであまり信用できないらしい】

「ちょっと…!どうなっているのさ!もう!」

【せっかく頂いたお休みにと、外出したのはいいけれど】
【これじゃあ予定も何もあったものじゃない】
【どうにも運が悪いのか、とある少年は雨の中走っていた】

【小柄で線の細い華奢な白髪の少年】
【雪のように白い肌と赤色の瞳は全体的に薄い色素を思わせる】
【年中無休で灰色のコートを身に纏い、フードを被って日の光から逃げているような】
【初めて目にすれば女子のようで、子犬のような印象を受けるだろう】


「雨宿りは…あそこかなっ!」

【そこは教会だった】
【とっくに使われていないのか、軽い廃墟のような建物】
【この天気の中、雨風を凌ぐにはうってつけの物件だ】

「あー、濡れちゃったな……寒っ」

【教会の入り口、きっと礼拝堂と繋がっているであろうその扉の前で】
【すっかり冷えた体を少し震わせていた】

【雨脚は強くなる】
【あの天気予報で少年と同じ被害を受ける人も少なくないだろう】
【この調子なら同じ雨宿りをする場所を探して誰かが来るかも知れない――――】

187名無しさん:2014/02/20(木) 17:51:37 ID:aLIm98xg0
【白髪のショートカットに藍色の瞳
裾の部分に桜の花びらの模様の付いた白い着物を着て
帯に瓢箪をぶら下げた女が一人】


ぶはぁ!!
むぅ…
この酒はハズレだな…

【公園のベンチに腰掛けて口から酒を吹き出してぼやいている】


/返信遅いですがそれでもよければよろしくお願いします

188名無しさん:2014/02/20(木) 21:18:00 ID:NhfmW/NA0
【公園】


【そこそこに大きな公園。今は緑も少なく、代わりに雪で白色の割合を増している】
【近道や散歩、ジョギングにも使われる公園の中には、緩やかな道が伸びていた】
【それを辿っていけば、今日は道の端にちいさな雪だるまを発見できるかもしれない】

【雪だるまの目の前にはベンチがあった】
【今はひとり分のスペースが埋まっているようで、すぐ隣の街灯がその人物の輪郭を照らしていた】

【パールブルーの長髪に同色の瞳、雪のように白くつばのないファーハットをかぶり】
【白いコートと黒いロングブーツを着用している、そんな――温厚そうな顔つきの少女だ】
【傍らに大きめのショルダーバッグを置き、手に持った〝スケッチブック〟を見つめている】

【色鉛筆を持っているところを見れば――どうやら絵を描いている様子】
【だとすれば当然描いているのは目の前の雪だるまか】
【石や木の枝で装飾されたそれはきっと、昼間に子供たちが作ったのだろう】
【形は少しいびつだが、懸命に作ったことが伝わってくる出来栄えだった】


(冷えてきましたね……。まだ途中だけど、どうしようかな
 ……いや、せめてこれを描き終わってからにしましょうか)


【ふと筆を止めたなら、忘れていた寒さを思い出しぶるりと肩を震わせる】
【色鉛筆を顎にあてて思考すること数秒、またスケッチブックに目を落とした】
【どうやらまだもう少し続けるつもりらしい】

189名無しさん:2014/02/20(木) 21:18:20 ID:z6tqZqxU0
【街中、高層ビルの屋上】

【車のライトが描く光の帯を眼下に収められるその場所は、落ちればまず命は無いであろう高さを誇って】
【その外縁に座るは一つの影。少女の様な、小さな影】

【カナリア色の髪。流した前髪を花のヘアピンで留め、後ろは三つ編みハーフアップにして】
【黒い上衣はヘソ出しのノースリーブ。黒のアームウォーマーと紅いスカーフが見える】
【黒スパッツに重ねるは、また黒のタイトミニスカート。ニーハイソックスも黒く、左腰の短刀二振だって黒鞘で】
【右腰のポーチは白。それから瞳は翠色をして、ぼんやりと遠くを眺めていた】

────後ろの正面だーぁれ……っと。

【柵に背中を預け、静かに紡ぐは童謡の一節。長く一息吐いて、女は空を見上げ】
【ここは随分と星が少ない───そんな事を内心に思い、夜空を抜ける風を、その身に浴びていた】

190名無しさん:2014/02/20(木) 21:58:01 ID:iHwvTGxk0
>>188
【市民の憩いの場は綺麗に雪化粧。夜の暗闇の中に雪の白が良く映えて、綺麗なコントラストを浮かび上があらせている】
【この寒さだ、わざわざ外に出て遊ぼうだなんて奇特なことを考える人はそう多くはなく、公園内の人影はまばらのようだ……】
【……とはいえ子供は風の子とはよく言ったもので、昼間はこの公園もなかなかに賑やかだったらしい。そこかしこ名残の足跡が残っている】
【もう一つ、子供たちの名残といえば……ベンチの前の雪だるまも、きっとそうに違いない。ちょっと小ぶりな可愛らしいサイズのそれは、手作り感満載のいびつさだ】
【そして、ベンチに座っているのは―――見覚えのある綺麗な色の長い髪とショルダーバッグ。ああ、久しぶりに会った気がする……】


【――――少女は、公園の入口で見覚えのある姿を見かけて足を止めた。散歩の道順変更、今日はこの公園を通ることにしよう――――♪】

【前髪を切り揃えたショートカットの黒い髪、やや小柄で華奢な体格、ややタレ目で茶色い瞳。丁度十六・十七歳程の背格好か】
【首元には燕の型を取ったペンダントを下げ、背には「薬」と書かれた大きな鉄の箱を負う。彼女が歩くたびに背負った箱がカタカタと音を立て、中の荷物が多いことを伺わせる】
【チャイナドレスに似たような燕の模様をあしらった緑色のワンピースの上に、鼠色のロングコートを羽織る。その下からちらっと覗く白い足と可愛らしいブーツ】
【コートの肩口には以前は付いていなかった赤いワッペンが貼り付けられている。鷲のマークが誇らしげに覗き、鮮やかな朱色が暗闇にも映える……】


【そんな少女は足音がしないようにそーっと歩き出した。気づかれないように静かに、静かに、雪を踏みしめてベンチの裏側に近づいて……】
【……やがて、気付かれないままベンチに座る彼女のすぐ後ろに辿り着けたなら……そっと彼女の頬になにか温かいものを当てる】

―――趣味に没頭するのも良いけド、あんまりやりすぎると風邪をひくヨ!
これ、あげル。ちょっと温まろウ♪

【―――温かいものの正体はカイロ。芯から冷えるこの寒い夜、カイロの暖かさはなかなか心地よいものではないだろうか?】
【彼女がカイロを受け取ってくれたならば、少女は横に腰をかける。――――なるほど、ここならあの雪だるまがよく描けそうだ】

久しぶりだネ!……絵、好きなノ?とっても上手だヨ!
……でも、どうして雪だるまを書こうと思ったのかナ?他にも色々あるのニ……

【書きかけの彼女の絵を見てみると、なかなか上手い。少なくとも自分では描けないぐらいには……でも、どうして雪だるまを?】
【何か惹き込まれるものでもあったのかな?なんて、どうして画題に雪だるまを選んだか、ちょっぴり気になる少女。首をかしげて、訊いてみる】
【……まあ、特別な理由なんて無いのかもしれないけど。それならそれでもいい……なんとなくだって一つの理由だ】

191名無しさん:2014/02/20(木) 22:29:28 ID:NhfmW/NA0
>>190

【人は誰しも、夢中になれるものを前にすれば視界からそれ以外のものを無意識に消してしまう】
【例えば彼女の場合はさっき忘れていた寒さ。それから時間、近くから聞こえる車の音、などなど】
【そんな一面は誰しもあることだろう。彼女も例外ではない。つまり何が言いたいかというと――】


―――――!!


【背後から迫る気配に彼女は気付けなかった……それだけ。少女の悪戯は見事成功するのだろう】
【頬に温かさを感じた瞬間、声を出すことはないものの彼女の背筋がぴーんと伸びた】

【動揺しつつも、その正体を確認しようと首をひねれば見えたのはカイロ】
【言われたままにそれを受け取れば、彼女はスケッチブックのページを捲って】
【バッグからペンを取り出すと、いつものようにそこに文字を書き込んでゆく】


『びっくりしました。カイロ、ありがとうございますっ。つばめさん、ですよね。お久しぶりです!
 絵はちいさい頃から暇さえあれば描いてました。スケッチブックは友達みたいなものです。

 雪だるまを選んだ理由は……たまたま、目についたので。
 かわいらしいなぁと思って……久しぶりに絵を描きたくなったんです。』


【素早く書ききると、それを隣に来た少女――つばめに手渡して示すだろう】
【その間冷え切った指先をカイロで温めるのだろう。ほんわかとした温かさに息を吐いた】
【これが冷たい缶ジュースだったら飛び上がっていただろう】
【ちょっとした悪戯にもつばめの優しさが感じ取れた】

【スケッチブックは声の代わり。彼女にとって一番長く触れ続ける物だ】
【ならばそれを用いる趣味を持っていても不思議ではないか】
【上手だと言われると照れたように笑みを浮かべて目を伏せた】

192名無しさん:2014/02/20(木) 22:36:49 ID:oMGWYcYk0
【怪しげな宝石店にて】

【……敢えて定義し直すのなら、其れは、"奇妙と奇妙が交錯する場"と言えるのではないか―――、】

【薄暗い、薄汚い路地裏に、反して一際輝く色彩の粒が集積された場所があった。】
【それは古今東西、人類がやたら愛して止まない物だ、今日も其れを買い求めんと訪れる客は、そう少なくない。】

【一般には其れを宝石と呼ぶ、然しその店が何故、通行量の多い通りに面していないかという疑問を自分で投げかけたのなら、】
【結局は矢張り、"曰く付き"なのだろう、という結論に至る事になる筈だ。より事情に詳しい人ならば、……その入手ルートに注目するのだろうか。】

【と言う訳で、"ソッチ"の方面の人々には、"何でも"買い取ってくれる事で有名な店だ。……良くも悪くも。】

【此れが一つ目の奇妙だ。……加えてもう一つ、と言うのは―――其処に来ている、"客"。何処からどう見ても、それは少年の影をしていた。】
【加えて言うのなら、その服装も、だろう。頭以外の全てを忍者装束に身を包み、口を隠す為か、真っ赤なロングマフラー……長過ぎて地べたを引き摺っている、が。】
【まだあどけない目も、或いは160cm程かと言った小柄な身体も特徴的だ、……どう見てもまだ子供、それも、……なんて言う姿しているのだ。】

【あるのは月明かりだけだ。良くもそれで"仕事"が出来るなと言った具合、然しまあ見た目は忍者、恐らく中身もそうなのだろうと納得する事になるが、】
【ただ先程述べた仕事というのは勿論、真っ当な物ではなく、……端的に言ってしまえば、泥棒だ。ショーケースを外し、一つ一つ……と言った丁寧な作業を行っている。】

【確かに、一般的な人から見れば、何をしているのか全く分からない位の明るさだ。然し、"夜中の宝石店"、"人影"、"店内も真っ暗"、の3点を融合させれば、】
【寧ろ、泥棒の被害に遭っているのだろう、と言う以外の考えを発想する事の方が難しい……と、思われる、が。】


/2時まで募集でござるー

193名無しさん:2014/02/20(木) 23:11:25 ID:DkwfHDbs0
>>191

【集中していた彼女―――ブライトはいつまで経っても近づく自分に気づかない。人とは不思議なもので、集中していればどんな音も耳に入らないらしい】
【プロのスポーツ選手は超一流にもなると大声援も気にならないという。研ぎ澄まされた感覚は、ただプレーにのみに向けられるということだ……】
【ブライトの集中力がその域に達しているかは分からないが、少なくとも自分の気配は気にならない程には集中していたらしい。背後に近づくのは容易くて】
【やがて背後にたどり着いて柔らかい頬にカイロを当てると、びくんと小さな背中が大きく震える。―――首尾よく悪戯は成功したようだ♪】

【―――――振り返れば春燕の少女らしい笑みが見えるだろう。外があんまり寒いから、風邪をひかないように……そんな気持ちも込めた悪戯だ】
【ベンチの雪を払い、横にちょこんと腰を掛ける。……隣にいればもっとあったかいかな、なんて。春燕の体の暖かさはカイロには敵わないかもしれないけれど……】


【―――ブライトは前と同じようにスケッチブックにさらりと文字を書いて寄越す。慣れたもので、各時間が気にならないほどにて早く文字が綴られてゆく……】
【文面を見れば、春燕も微笑んで言葉を返す。スケッチブックは友達……か。確かにブライトらしいや……】

そっかそっか、小さい頃から描いていたのカ……そりゃあ上手いわけだネ。エヘヘ……ワタシなんてちっとも絵心がなくテ、ちょっと羨ましいナ。
でも、ワタシも小さい頃からやってたことはあるヨ!薬は小さな頃から触れてるから、薬の知識なら誰にも負けないネ!
……そのカイロも、ワタシの手作りヨ。カイロを作るのに、特別な薬品なんていらないからネ……簡単だヨ!

……そうだネ、確かに可愛らしい雪だるまダ……子供が作ったのかナ?ちょっと変だけど、なかなか良く出来てるネ♪
――――そうダ。ねね、ちょっといい案があるんだけド……

【……自分も小さな頃から薬を扱ってきた。それに関しては誰にも負けない自信がある。……だからといって、毛ほどもない絵心の代わりに自慢するのはどうかと思うが】
【ちょっぴり意地っ張りな春燕は自分の才能を自慢して、……それから、何かを思いついて声をかけてみる】

―――今からワタシも雪だるま作ろうと思うノ!で、もし良かったらブライトはそれを絵にして欲しいナ……なんて、ダメ?

【おもちゃをねだる子供のように上目遣いでブライトの方を見て頼んでみる。折角こんなに絵が上手いんだ、何か書いて欲しいなーと思ったのだ……】
【もし快諾してくれたなら、春燕は真っ白な公園の中を緋色のワッペンのついたコートを脱ぎ捨てて走り出す。――――十分もすれば大きな雪玉が二つ、春燕の足元に並んでいるだろう】
【それをブライトのいるベンチの前、ちょうどブライトが描いた雪だるまの横で組み立てる。……子供たちが作ったものより一回り大きな其れは、並べると親子のように見える……】
【やがて適当な枝で手や顔を作ると、ちょっぴり自慢げな笑顔でブライトに手を振る。「出来たよー!」と言わんばかりに振る。……ブライトと比べて、何と子供っぽい……】

194名無しさん:2014/02/20(木) 23:21:58 ID:CX9dekr20
>>192

ええ、はい。お陰さまでコチラは元気にやっていますよ。
……あの、そちらはどうですか、エドガー局長? 何やら先ほどから少々元気がないようにお見受けしますが………。

【――――その男がそこを通りかかったのは、単なる偶然だった】
【仕事帰り、路地裏を通り抜けて帰宅しようとしていた途中だった。一般人が取るには少々危険なルートではあるが】
【この男の場合は少し特殊。路地裏という危険な場所にも慣れている、というかそもそも、その仕事自体がこの路地裏で行われたところで】
【そして、更に特殊なことに――――宝石店の中にいる泥棒〝らしき〟少年にとっては、不都合かもしれないことに】
【この男は路地裏の住人ではなく、路地裏の住人を取り締まる側の人間。仕事として〝正義〟を背負う側の人間だった】

すみません、余計な気を回してしまって。しかし局長には日頃お世話になっていますから、何か僕で力になれるようなことがあれば――――、
…………っ! すみません局長、ちょっと一仕事入ってしまいました。ええ、また夜にでも掛け直させて頂きますので!

【その男は、前髪を左側だけ上げた藤色のミディアムヘア、赤紫色の瞳に黒縁メガネが特徴の、いかにも怜悧な印象の青年であるだろうか】
【フォーマルなスーツの上に紺色のトレンチコートを着込み、首元には黒いマフラーを巻いていた】
【コートのシルエットには少し膨れている箇所がいくつかあり、その下に〝何か〟を隠し持っているようにも見える】
【……そうして青年は、宝石店の目の前を通りかかって。若いながらも〝刑事〟として磨いてきた勘は、暗闇の中でも悪事の臭いを逃さなかった】
【恩師との楽しい会話を一旦打ち切ると、宝石店の入り口の横に体を張り付ける。気配を殺しつつ中を覗き込めば】
【ショーケースを外す少年の姿。着込んでいるのが櫻の忍装束だと言うことも知っていた。若いが、相手は〝プロ〟である可能性もある】
【あまり長く様子見していると、いずれ気づかれる――――青年はそう判断すると、一瞬のうちに体を翻し、入り口から中へ突入するだろうか】

警察です! そこの少年、動かないで下さい!

【警告を叫びつつ、青年はコートの下に隠した銃を右手で引き抜いて少年へ構える。引き金を引くより先に、鋭い赤紫の双眸がそちらを射抜いて】
【構えた銃の構造は、白と黒のパーツで構成された奇妙なものであるだろう。各所に緑色のエネルギーラインが走った近代的な様相だ】
【現存する如何なる銃とも違う外見。上部に填め込まれたマガジンに長大なストックと小さな砲身、ややアンバランスな見た目のハンドガンだ】
【青年は同時、左手でスーツの内ポケットから警察手帳を抜き取って提示する。それによって青年の身分が端的に証明されるだろう】
【――――水の国警察刑事課所属、アルフレド・フェリシアーノ。そこにはそのような情報が書かれている】
【果たして少年は、この青年、アルフレドが取り締まるべき〝悪〟であるのか――――?】

195名無しさん:2014/02/20(木) 23:28:26 ID:DSSmjtdA0
【某都市の病院。大きな怪我から些細な怪我。死に至る其れすらも治療してみせるとの謳い文句であり、常日頃患者が絶えず】
【そんな中、食べ物の自販機があったり飲み物の自販機があったりと少しばかり豪華な待合室で事は起きていて】


「だ、か、ら!ボクは大丈夫だって言ってるでしょ?!
君達はさっさと戻って仕事でも―――――上に報告?適当に階段で転んだとでも伝えてくれれば良いからさ」

【金髪の女が一人、数人に囲まれていたのだ。とは言っても、争っている風でも無く寧ろ心配を向けられて居る様に見えるが】
【更に言えば、女を囲む面々は全て修道服を纏っていて。――――故、この女もまた教会に属する者であろうと判断するのは容易な事】
【心配の言葉を投げかけてくる者達に対して適当な言葉を吐けばぷいとそっぽを向いて】

【――――――しかしその傷。胸部に巻かれた包帯から未だに血が滲み出ていたりとしていて、とても“階段で転んだ”風には見えないのだけれど】
【よく見ればその他にも切り傷や、また同じ様な包帯が腹部に巻かれていたりして。だからこそ皆心配の声を掛けたのだろうが――――】
【最早意味も無いと悟ったのか、了承の言葉のみを伝えればその場から立ち去り】


「――――ふん。全く…………こんな時だけ…………
大体にして、ボクにとってはこの程度怪我にも入らな――――ッ」

【小さく悪態を吐いて病室に戻ろうと立ち上がれば――――やはり強がっていても傷が痛むのか、渋い表情を浮かべながら再度腰を落とし】
【新たな血が滲み始めた傷口を怨めしそうに睨んだ後に溜息が一つ漏らされる】
【奇しくも、この待合室にはこの女が一人だけだ。ともなれば、誰かの見舞いついでに訪れた者や、病院に用があって訪れた者と鉢合わせする可能性だって十分に有り得て】



【人々から忘れられ、後は時間の流れと共に朽ちてゆくだけの神社】
【嘗ては村の子供達が遊んでいたであろう名残が哀愁を漂わせるも、現代に於いてはその近くにあった村すらも無くなっており】
【ならば、訪れる者が居ないのも必然。普段ならば風が吹き抜ける音だけが聞こえようが――――】
【今宵、其れに交じる一つの童唄。無論、唄っているのは子供では無く…………女の其れだ】


「全く、あの九十九も律儀なのねぇ…………確かにあの子を作らせたのは私だけれど――――
まぁ…………元気そうだったから良いわね」

【着物を纏い、艶の有る黒の髪。姿こそ二十代の女だけれど、纏うのは正しく人外の気配だ】
【賽銭箱を椅子代わりに使うなんて罰当たりな事をしているが、本人は微塵も気にしている様子は無く】
【漆黒の双眸が空を見遣れば一つ呟きを漏らして】

【神社ならば、聖を放っていても不思議では無い。しかし、一際強い“聖”は女性自身から放たれている事が分かるだろうか】
【童唄に誘われてか、或いは他の要因があってかは分からないけれど】
【石の階段を上ったならば、真っ先に女性の姿が視界に収まる筈で】

196名無しさん:2014/02/20(木) 23:44:51 ID:oMGWYcYk0
>>194


【ああ……それと、もう一つ。この店の壁は、宝石店と言うだけあって、勿論中を見せる為のガラスなのだが、防犯用も兼ねて、非常に厚い。】
【何が言いたいのかと言うと、電話中の彼の声は、中の少年の耳には響かなかったという事。……心の準備も全くと言った所なのだろう、】
【突然の警告に、少年は丸で仔犬の様にヒィッと身体を飛び跳ねさせた。その際、もう一つのショーケースに頭を打つけて居た。】


『んもー……だからバレるって言ったじゃーん……』
「どーすんのー? 俺、帰っておしるこ食べたいんだけどさー……」
『あ、俺もー……』

え、えっとね……とりあえず、こういうときは、両手をまっすぐ上げて……
ごめんなさいっ! って言えば、たぶん、ゆるしてくれると、おもう……

「何それー……やれって言われたら、やるけどさー。」
『なんか、ダサいよねー……いや、じゃあやらないのかって言われたら、まあ、やるんだけどさー……。』

……う、うん、……じゃ、じゃあ……いくよ……1,2,3,はい!

『「ごめんなさいっ!」』

【奥から出てきたのは、三人の影だ。矢張り暗くて、その詳細が上手く掴めないかも知れないが、……全員瓜三つ、全く同じ姿をしている。】
【この装束から櫻の国の〜と推測が出来たのなら、この現象は、所謂影分身の術……なのではないかと読む事も出来るだろうか、】
【然し彼らはどうも、性格に違いが有る様で……。否、今はそもそも、そんな事より、シュールな現状に注目すべきだろうか。】

【恐らく分身を作ったのであろう彼は、一番飲み込みが早かった。フリーズの警告に、少年は直ぐ様その動きを止め、両手を挙げてみせた。】
【もう二人は、何と言うか、色々ふざけた、と言うか……然しマスターの命令は絶対の様で、間違いなく其れに従うのだろう。】
【全員、あろうことか、警察に向かって、ごめんなさい、である。差し込む月明かりに照らされた幼い目、ある意味ではそれに相応しい行動だった。】

【今の所は、何の抵抗も無い様に見える。……忍者とは何かを知っているのなら、"今の所は"と条件付けた意味が、理解出来るだろうか。】

197名無しさん:2014/02/20(木) 23:58:09 ID:NhfmW/NA0
>>193

【どうやら今自分が手にしているカイロはつばめの手作りのよう】
【薬剤師は体の調子を良くするばかりを作るものというイメージがあっただけに、その事実に目を丸くさせた】
【改めて手に挟んでみる――市販のものと区別できない】


『薬剤師さんって色んなものを作れるんですね……。寒さに困らなさそうです。
 病気になったときつばめさんが居てくれたら安心ですね。

 もちろん、いいですよ! 少し時間はかかってしまいますが、それでもよければっ』


【文章を書き終われば、またつばめにそれを示すだろう。薬剤師は生涯勉強を続けなければいけないと聞く】
【材料も増えるし、増えれば調合方法や効能も覚えなければいけない】
【それを幼少の頃から行ってきたのならば、尊敬すべきことだ】
【きっと、絵が描けるようになるのとは比べ物にならないほどの努力が必要なのだから】

【つばめのお願いを断る道理もなく、ブライトは快く頷くのだろう】
【先程のページにはまだ真中にひとつ雪だるまを描いただけ。変更はいくらでも利く】
【だが、その隣に雪だるまが増えれば――構図的にアンバランスになると思考する】

【そうしているうちにつばめは駆けだしていってしまうのだろう】
【ベンチに残されていったコートを畳んでどうすべきか考えた結果――彼女も立ち上がって】
【駆け足気味で広場の方へ出たのならば、つばめと一緒に雪だるまを作り始めるのだろう】
【つばめがもしそれに気付いてこちらを見たのならば、にっ、と笑み向けるかもしれない】

【出だしが遅かったためにあまり大きなものはできなかったが――これで大中小と、三つ揃うはず】
【時間的につばめよりも早く出来上がってしまうだろうか。冷たくなった手をカイロで温めながら彼女を待つ】
【やがてつばめが戻ってくれば、がんばりますとでも言いたげに小さくガッツポーズを取るのだろう】

【数分もすると、絵はほとんど完成する。3つの雪だるまを描き終わるとスケッチブックを傾けて見せようとするだろうか】
【ページのまんなかに仲良く三つ並んだ雪だるま。輪郭がぼかした淡い絵は、冬の絵なのにどこか暖かさすらあるかもしれない】
【見せようとした理由は、単に見せたかったのか感想が欲しいのか、はたまた違う理由か――声無き行動故、わからないけれど】
【楽しさを共有するくらい、できるはずで】

198名無しさん:2014/02/21(金) 00:02:00 ID:1WzZKwog0
>>177
【ライラの言葉、その不敵な笑みに双子が返したのは、憎々しげな視線だけだった】
【沈黙は肯定に等しかった。双子が操れるのは、自分たちの身体から絞り出した泥と砂だけである】
【赤色を含んだ唾液が吐いて、なお立ち続けるライラ。そこへ、異形の双子が二重の悪意を叩きつけようと殺到する】


『ハッ、ざまあみやがれ魔法使い!! このまま叩き潰して――』
「…………!!! 止まれ、ギュスターヴ!!」

【弟が放った砂嵐は、見事ライラの動きを止めることに成功する。続いて、接近にも成功】
【立て続けに放つ拳に伝わる感触に、弟が凶暴な笑みを浮かべて叫ぶ】
【一発、二発、三発。だが、最期の一発を放つ前に、兄が異変に気付いた】

【だが、遅かった。未だ手放されることのない杖は、彼の信念の固さゆえだと思っていた。だが、それだけではなかったのだ】
【杖が、引き抜かれた。現れるのは、輝く抜き身の刀身。路地裏に差し込むわずかな光を、白銀に反射する】


『仕込み杖……!! ク、ソがあああああああああああ!!!』
「ぬう、おおおおおおおおおおおお!!!」

【最後に繰り出した殴打と入れ代わりに、伸び来る刃が双子の身体に届いた】
【路地裏の闇に飛び散る鮮血。異形の身体に、刀傷が刻み込まれる】
【だが、それだけではとどまらない。加えて発生する無の魔力。衝撃波】


「『が――――!!!!!』」

わわわ、ちょっとちょっと!!!

【双子の口から、同時に声が漏れた。衝撃波をまともに食らい、異形の肉体が後方へと吹き飛んでいく】
【そのまま、後方に待機していた美鈴を巻き込み、路地裏の地面に三人の異形が叩き付けられた】

【ライラが手にした新たな武器。それによる、起死回生の一閃。完全に決まった】
【膝をつくライラが、戦意を失くさない眼光を向ければ。異形の双子もまた、傷から血を垂れ流しながら、なお立ち上がる】


「ぐう、ぬ……小癪な、真似を……それ、は、貴様の、新しい、得物、か……」
『ぬぐ、が……魔法、使いが使う武器かよ……ふざけやがって……』

【ダメージは甚大。体力で劣る兄の方は、青白い顔をさらに白くし、身体を立ち上がらせるだけでやっとのようだ】
【弟は残る体力を振り絞って反撃に転じようとする。浅黒い両腕が持ち上がり】
【砂の刃が、掌から吹き出した。二本。先のライラの攻撃への意趣返しか】

【速度はあるが、威力は低い。当たったとしても、肌が切れる程度だろう】
【さらには、ダメージのためにその軌道は読みやすいはずだ。単純な遠距離攻撃しか、彼らのなす術はなかった】

【砂の刃を放ったのを最後に。双子も、壁に身を預けながら、路地裏の地面にズルズルと崩れ落ちるだろう】

199名無しさん:2014/02/21(金) 00:14:59 ID:CX9dekr20
>>196

【取り敢えず、想像以上に若い。暗がりでよく見えなかったが、アルフレドは現れた少年の背格好を改めて流し見て】
【それと、三人というのも予想外。全員同じ顔をしているのはこの際『忍者だから』で納得するとして、集団で襲われると厄介だなと冷静に分析する】
【…………もっとも、今のところ。両手を上げて陳謝の構えを取る三人から、抵抗らしき抵抗は感じられないのだが】

君達………何でこんなことを?

【取り敢えず、アルフレドは構えていた銃を下ろす。と言ってもあくまで下ろしただけ、やろうと思えば再び構えて引き金を引くまでに一秒も掛かるまい】
【同じ顔をした三人を「君達」と呼んでいいものかはわからないが、ともかくアルフレドは警察手帳を戻すと、そちらへ歩み寄っていって】
【あっさり謝罪に転じた三名に若干呆れつつ、とりあえず動機を問いただす。その傍ら、横目で彼らの服装と彼らの行った被害を確認するだろうか】
【窃盗未遂はほぼ確定的だが、進入のために建物を破壊していたりショーケースを叩き割っていたりすると更に罪は重くなってしまう。その辺りがどうなっているか…………】

(……あまり気は進まないが、仕方ないな……)

【もしそちらへ歩み寄ることに無事成功したのなら、アルフレドは運良く三人のうち一番聞き分けの良かった一人、つまり本物の少年の前に立ち】
【左手を背中に回し、ごそごそと何かを探る。………次の瞬間に手錠が出てくることは、少年にも予測できるだろう】
【相手は若いし、見た感じではあるがそこまでの悪人にも見えない。表情はあまり気乗りしなさそうだが、これも職務だから仕方がなく】

200名無しさん:2014/02/21(金) 00:42:18 ID:oMGWYcYk0
>>199


『「えっとー………」』

『……何でかぶせてくんだよー……』
「………え、だって俺たち……」
『……あ、そっか……』


【素人目では分からないであろうが、経験を積んだ警察なら気付けるかも知れない。三人の少年は全員、高価な宝石を"ピンポイント"に盗んでいる。】
【ショーケースはどれも壊されていない、否然し、鍵は確かに付いている筈なのだが……と考えれば、ピッキングの技術が思い出されるだろうか。】
【他にも何処かを破壊して侵入した跡は見られない、……確かに、破壊という行動には必ず"音"が発生する、泥棒には他の手を使うのがベターだろう。】
【少なくとも少年達はそうしていた。まあ一貫して、慣れている、という印象を受けても何ら不思議でない、全体的にそんな形跡が確認できるか。】

【こちらに歩み寄られる、左手に背中を回される、……現時点で行ったアルフレドの全ての行動は成功する事だろう。】
【但し、だ―――その間に、残りの二人にも注意を張り巡らせたかどうか、それが今夜の事件における、大きな決定打となる。】


………ごほん、……えっと、その……これは、お兄さんと同じで、おしごとだから、です……
……おれたちは、こういうしごとで、せいけいを、立ててるので……

【彼らの片方が持っているのは、銀色に光るワイヤーだ。丁度、アルフレドが先程まで構えていた銃のトリガーに引っ掛かるように伸ばし、】
【若し其処まで成功したのなら、最終的には釣り上げる形で、銃は彼らの物……という風になってしまう事だろう。】


………そ、その……ほかに、どうしようもなかったんです……あたまもわるいし、うんどうもできないし、で……

『……お前きのう、飯なんばい食ってたっけー?……』
「………いや、アイツ今さ、ひっしにこび売ってんだから、だまっとけよー……」
『……あ、マジ? ごめんごめーん、……はは、はははは!!』

【作戦中も、彼の話は止まらない。……僅かに発生し得る音まで、自分達の声で掻き消そうとしている……そういう事だ。】

201名無しさん:2014/02/21(金) 00:46:04 ID:DkwfHDbs0
>>197

エヘヘ……

【ブライトが驚いたような表情を見せると、春燕はまるで満点のテストを褒められた子供のように笑う。……技術は熟練していても、中身は子供だ】
【―――もっとも、卓越した技術を盾に不遜な態度を取るよりもこうやって普通の少女と変わらない子供っぽい笑みを見せる方がずっと健全な気もするが】

ブライトが病気になったら、ワタシはスグ駆けつけるヨ。どんな病気も絶対に直してあげるカラ!
……ア、絶対はちょっと難しいカモ。治らない病気もあることはあるカラ……でも、全力で治すヨ!

【病気になったら任せてネ!と言わんばかりに自信たっぷりに無い胸をポンと叩く。友達の為ならたとえ火の中水の中……たぶんどこにいても駆けつけちゃう】
【――――いくら手を尽くしても治らなかった患者もこれまで何人か見てきた。だから、絶対なんて断言はできなかったのだけれど……】
【……それでも、ブライトのためならきっと春燕は全力を尽くすに違いない。まあ、もちろん病気になんてならないのが一番なのだが……】


【―――ブライトが頷いたのを見れば、春燕は嬉しそうに雪中へと駆け出すだろう。この寒いのに上着も着ずに、元気いっぱいに走り回って雪をかき集める……】
【……と、小さな雪玉が出来かけた頃にふと横を見れば、そこにはブライトの姿が。―――雪の中一緒に作ってくれるのが春燕は嬉しくなっちゃって、ブライトがにっと笑えば此方も満面の笑みを返す】
【言葉を介さずとも通じる心根。こうやって一緒に楽しい時間を過ごすのが心の底から嬉しい……そんな思いはきっとブライトにも伝わるだろう】

【――――やがて、ゴロゴロと大きな雪玉がふたつ出来上がった。すっかり楽しくなって舞い上がっちゃった春燕が作った雪玉は、それはそれは大きなもので……】
【それを転がしてブライトの元へと帰れば、其処には中ぐらいの大きさの雪だるまが。言わずとも分かる、これはブライトが作ったものだ―――】

【少女の足の長さ程もある大きな雪玉を抱えるようにして持ち上げて、もう一つの腰ほどの高さの大玉に載せれば……春燕特製、特大雪だるまの完成!】
【―――子供たちの作った小さな雪だるま、ブライトの作った中くらいの雪だるま、そして春燕の作った大きな大きな雪だるま……大中小と並んで立つ】
【……その姿が親子のようだったから、春燕はクスリと微笑む。――――雪だるまの家族か、冬なのに暖かいナ……なんて思って】


【そして、ブライトがそれを描き出す。雪の家族を描くては軽やかに、描かれる絵は暖かさを孕んで――――数分すれば、絵も完成するのだろうか】
【―――ブライトが絵を見せてくれた。大中小の雪だるま、ブライトの手で描かれた其れは、雪で出来ているはずなのになんだかとっても暖かそうで】
【思わず笑みがこぼれる。――――ああ、こんなにも素敵に描けるなんて。本当に、暖かな家族みたいだ――――……家族、か。】


――――あったかい絵だネ。本当に、あったかイ……


【家族。春燕が持ち得なかったもの。――――この絵が持つ家族を感じさせる暖かさが、何だかひどく羨ましい】
【春燕は微笑んでいるが、その表情は少し寂しさも含んでいる……家族の愛ってどんなものなのだろう】

――――ねエ。ちょっと傍にいてイイ……?

【ポツリとつぶやくと、春燕はブライトに寄り添うような形で座り、身を預ける。まるで、母に甘える子供のように……】
【――――自分は寂しいのか。もう何処に居るかすらも、生きているかすらも分からぬ母が恋しいのか。自分でもよく分からないまま、なぜかブライトに寄り添っていたくて……】

202名無しさん:2014/02/21(金) 00:55:33 ID:Qa8AXHgU0
>>198

―――どーだ……、ぐっ、う……!!

【膝を突き、紅く濡れた口元を拭う。格好はボロボロで走ることすら儘ならない】
【だが、精神の炎は未だ煌々と赤く燃えていた。吹き飛ばされた彼らに、片目だけで不敵に笑むライラ】

……ハッ、何とでも言えよ……クソ兄弟が……。
ホントは……ゴホ、カニバディールを倒す為に取って……おきたかったんだけどな……!!

【彼らを見据える視線は変わらないまま、膝をついた体勢で刀を軽く振り、血を飛ばす】
【昨年末に討伐隊が組まれた"橋姫"。彼女が去り際に残していった一振りの刃。魔法使いのこの男がその刃に流れる魔力に注目しないはずはなく】
【そのまま仕込杖へと加工した。杖を切断するのは、チクリと心が傷んだが】


チッ……まだ、やるかよ……ォラァッ!!

【お返しのお返しか、襲いかかる砂の刃を刀で持って叩き落とそうとするが、一本は捉えきれず脇腹を抉る】
【威力は確かに低い。だがその攻撃は、タダでさえ少ないライラの体力を一際削ることに等しく】
【表情が一層厳しくなる。――――――つまりそれは、ライラにある決断を迫ることとなった。彼らを……どうするか】
【本当なら倒しておきたい。だが、体力が残り少ない上に2対1……いや、3対1か。2人は満身創痍とはいえ、確実に倒せる保証は無かった】

【ならば――――――。ライラは何とか立ち上がり、3人の異形へと背を向けた】


――――――……ハァ、ハァ……カニバディールに……伝えとけ。
ギアは必ず奪還する。そして、テメーら全員を地獄に叩き落す……。お前の好きにはさせねーぞ……ってな……!!


【彼ら3人へと聞こえるように絞りだす声。歯を食いしばっていても、その口角は僅かに上がっていた】

【ズリズリと右足を引き摺りながら、ライラは最早誰もいなくなった表通りへと去っていくことだろう】
【それと同時に、遠くから何やら騒ぎ声が聞こえるはずだ。今はまだ遠いが、アレは……自警団の声だと分かるはずだ】
【だが、まだ遠い。此処に到着するまでには僅かながら時間が有るだろう。逃げることも、十分可能なハズで】

/遅れました、申し訳ありません!

203名無しさん:2014/02/21(金) 01:24:14 ID:CX9dekr20
>>200

(……………………)

【少年の態度はしおらしい。悪人には見えない、という印象は変わらないが…………かといって善人という訳ではないことも確実のようだった】
【店の物を何一つ破壊することなく進入し、盗みを働く手管。売れる宝石をピンポイントで選び抜く審美眼】
【表情には出さないが、心中も若干険しくなる。さすが忍者というべきか、ずいぶんと手慣れている様子で】

仕事、ですか。どうやら君にも色々あったようですね。
けれど、僕の仕事は〝悪〟を取り締まること。申し訳ありませんが、見逃すわけには行きません。
窃盗の現行犯で逮捕します。ああ、それと????、

【アルフレドは無事手錠を取り出すと、にこやかではあるが取り付く島のない頑なな態度を崩さず、少年の両腕を掴んで手錠を掛けようとするだろう】
【この手錠、対能力者用にかなり硬質な素材で出来ている。とはいえ、目の前のアルフレドから鍵を奪えば簡単に脱出できるだろうし】
【工場機械などの大きな機材があれば破壊も可能だろう。……そもそも掛けられる段階で、抵抗の余地は幾らでもあるが】
【まして、アルフレドは次の瞬間????伸びてきたワイヤーを弾き飛ばす方に気を引かれることになるのだから】

安心して下さい、手錠は形式的なものですよ。そちらにも事情がおありなのでしたら署でじっくりお伺いします。
それにこの店、あまり合法的なものとは思えませんしね。警察と関わる事を避けて大事にしない可能性も十分にあります。
悪くても罰金刑、次点で示談。全てがうまく行けば、不起訴処分になってしばらく留置所で過ごす程度で済むかも知れません。

????さぁ。三人とも、大人しく盗んだ物を返しなさい。

【手錠を掛けるのに成功したにせよそうでないにせよ、アルフレドはバックステップで後退し、守りきった銃を構え直すだろうか】
【事務的な笑顔を浮かべて、相手を安心させるための方便を並べ立てる。手慣れているのはこちらだって同じだ】
【実際のところ、まずもって少年たちは明らかに初犯ではない。処分は確実に拗れる、アルフレドの言ったのはほぼ希望的観測である】
【だがそれでも、ここで降伏すれば罪が軽くなるのは事実????アルフレドは全てを言い終えると、にこりと笑って】

【????その表情とは裏腹に、三人へ向ける赤紫の双眸は険しい。今なら、こちらの銃を奪おうとした事を見て見ぬフリするぐらい、してやれるが】
【彼の視線の苛烈さは、「舐めたことしやがってクソガキが潰すぞ」ぐらい言いたげである………頭良さげな見た目に反して結構怒りっぽいらしい】
【何にしても、ここが境界線だろう。そちらが抵抗すればアルフレドは引き金を引くし、素直に降伏すればこの場は穏便に収まる、かもしれない】

204名無しさん:2014/02/21(金) 01:26:30 ID:U9/z0a8E0
>>202
【双子の呻き。立て続けに刃に切り裂かれたその身は激痛に震え、苦しげな息を吐くばかり】
【対するライラは、それでもなお笑っている。肉体は傷つけられても、その精神にまで悪意の刃は届かない】

『ぐ……クソガキ、が……』
「…………」

【兄はろくに言い返すことも出来ず、弟の暴言もキレを失っている。振り飛ばされた刃から飛んだ自分たちの鮮血が】
【路地裏の地面の汚れを上塗りするのを、眺めるので精いっぱいだった】

【ライラが手に入れた新たな武器。魔力が流れる刃。ライラ愛用の杖と融合したそれは】
【彼の信念そのものの鋭さを持って、悪を切るための一振りとして、ここに初戦を白星で飾った】


【最後の悪あがきに放った砂の刃は、ライラに一矢報いるに至った。二本、一対の刃が牙をむき】
【片方は仕込み杖に撃退され、もう片方が彼に傷を刻む。低威力の一撃はしかし、ライラに撤退を選択させる功績を果たした】

『ぐ……う……』
「……ぐ……」

……ああ、伝言は承った
こちらこそ、そう簡単に君らの好きには、させないよ……

【背を向けるライラに、双子からかけられる言葉はなかった。限界を超え、その身を路地裏に横たえた】
【代わりに、ようやく身を起こした美鈴がその言葉に答える。今なお、笑みを絶やさぬライラへ向けて】

【騒ぎのためか、人の姿も失せた表通りへと、ライラが帰っていく。入れ替わりに、聞こえてくる声】
【まだ距離はある。だが、この状態では動きはどうしても鈍くなる。美鈴がここにきて初めて表情を焦燥に歪めた】
【この場で自警団に捕縛されるわけにはいかない。いざとなれば、自決してでも……】


〝――――伝言の必要はないぞ、美鈴〟

【重い声がした。路地裏の闇に沈んで、その姿はほとんど見えない。だが、もしライラが振り向けば】
【だが、うっすらと浮かび上がる灰色の作業着と、悪意を秘めた巨大な一つ目は見て取れるはずだ】


〝お前との因縁も、よくよく深いなライラ……。この広大な世界で、偶然私の手下たちと遭遇することになろうとは〟

〝やってみるがいい、ライラ。ギアと共に待っているぞ。全力を持って、我々を倒しに来るがいい〟
〝我々『スクラップズ』は、我ら全員かお前か、どちらかが死ぬまで決してお前を忘れない〟

〝お前も忘れるな。『スクラップズ』を。我々の『邪悪』を……〟

【不気味な音と共に、路地裏の奥から伸びてくる肉塊。変形した両腕】
【片方が、倒れ伏すデュアル兄弟を掴む。もう片方に、美鈴が無言でしがみつく】

【肉塊が、引き戻されていく。異形どもが、闇に溶けていく】
【自警団らが到着する頃には、ここには誰もいないだろう。戦闘の跡が色濃く残るのみ】
【それはこれから起きる、更なる戦いの予兆であったろうか――】

/キリがよさそうですし、締めとさせていただきたく!! 二日間のお付き合いに感謝です!!

205名無しさん:2014/02/21(金) 01:29:33 ID:NhfmW/NA0
>>201

『頼りにしますっ。私はあんまり、病気にならないですけど。
 でも、怪我をすることがしょっちゅうあるので、切り傷に効くお薬があればありがたいです!』

【一年に数回風邪を引くことはあるけれど、それよりも怪我をすることの方が多かった】
【どこかにぶつけて作る傷もあるが――戦って負う怪我の方が大多数】
【傷が塞がるような薬は無いだろうけれど、痛みや治りを良くするものがあれば欲しい】

【どちらにせよ、病気も怪我もしないのが一番なのは確か】
【それに怪我はともかく、病は気からとも言う。寝込んだときつばめが居てくれたら――】
【その明るさはきっと一番の薬になるだろうな、なんて思うのだろう】


(……つばめ……さん?)


【確か今に至るまでの経緯は聞いたはず。それ以前――つばめに親が居ないことは知らない】
【だから、彼女の突然の行動にブライトは驚くのだろう。以前つばめは友達ができて喜んでいた】
【だけどこの行動はそれが理由ではないような気がする】

【ブライトの表情に宿るのは、僅かな動揺の色】
【彼女は拒絶する訳でもなく言葉をかけるわけでもなく、つばめの行動を受け入れるのだろう】
【この状況で自分が何かすべきことはあるのだろうか。考えつかない。なら――】


………………。


【ブライトはこのままを維持しようとする。別に悪いことをされたのではないのだから】
【でも、何かしら理由があるのならば――それがつばめ本人すら解らなくとも、満足するまで傍にいれればいい】

【その間ブライトは描きかけの絵を完成させようとするのだろう。雪だるまは描いた】
【あとは背景だ。できるだけゆっくり手を動かすが、つばめを揺らしてしまうかもしれない】
【出来上がっていくのは夜なのに昼間の絵。写真とは違って好き勝手描けるのは絵のいいところのひとつ】

【道の端、太陽を受けて白く光る三つの雪だるま――傍らに猫を付け足してみたりして】
【彼らに口は無いけれど――どこか団欒を楽しんでいると感じられる絵かもしれない】

206名無しさん:2014/02/21(金) 01:43:36 ID:Qa8AXHgU0
>>204

【最早その声は、ライラにとって聞き慣れたものとなっていた。反射的に振り向くその先には、やはりその姿がある】
【灰色の作業着に、グランツで見たあの一つ目。あの時も既に、邪悪な気配は強い物だったのだが】
【今回、彼がその身に纏う『悪』のオーラは一層濃いとライラに思わせる】


――――――カニバディール……ッ!!
俺の『正義』……必ずテメーらの心臓に突き立ててやるよ……!!


【―――再びを後ろを向いて、右腕を掲げて中指を突き立てる。次は斃すと明確なサインを残して、その路地裏からライラの姿は消える】
【直ぐ様病院へと駆け込み――徒歩で来る大怪我人とは、また滑稽な物だが――適切な治療を施してもらうライラ】
【今すぐ動けないのはライラにとって辛い物だったが、今は後の災厄と戦いに備え、身体を休めることも重要かもしれなかった】

/ロールお疲れ様でした! & ありがとうございます!

207名無しさん:2014/02/21(金) 01:59:08 ID:oMGWYcYk0
>>203


(あの銃はどうも普通じゃあ、ない……強硬的な手段に出るのは、もうちょっと後が、良さそう、……かな?)
(手錠を掛けられるのは……いや、多分、まずは一人を落とせたっていう油断の方が、大きい……かな?)
(手錠はいつでも外せるけど……相手の油断は、今しか買えない、……たぶん。……実は、まったくわかんない。)

(……とにかく、相手は普通の自警団の程度を遥かに超えてるから……俺も、穏便に済ませたいけど……それでもやる時は、やろう。)

【一人がワイヤーでハイリスクな釣りを楽しんでいる様は、丁度、アルフレドに背中を向けた事で、見えなくなるのだが……、】
【自分が出した分身だ、やろうとした事は、何となく分かる。この少年は飽くまで穏便に済ませたいのだろう、『すみません、うちの子が……』と謝罪を挟む。】
【加えて、手錠も掛けられるのを許す。……一貫して事務的な彼、然し僅かでも良い、少年はその心理的な部分に期待していた。】

【―――さて、後二人。然しその残りが寧ろ、厄介な方なのだ。……どうも、未だに、自分の置かれた立場が分かっていない様な、そんな感じで。】


『うっわー、早速つかまってんじゃんー……てじょう付けられてるトコ初めて見た、だっさー……』
「え、まじで? いっつもは、こんな感じじゃないじゃん。あの人におなみだちょうだい、聞かないの?」
『あれ、今、結構ヤバいんじゃないの? 俺、あの銃、取れなかったしさー……?』

『「どーすんのー?」』

……え、えっと、ほら、ぽっけから取ったもの出して、このけいさつの人に、わたすだけだから、……
………ね、二人とも、"同じコト"、すればいいからさ……

【性格の違いはあれど、彼らは一心同体、僅かなサインも見逃す事は無いのだろう。】

【手錠を先に付けられてしまった少年は、アルフレドに向かって、『右のポケットに、3つと、……左の胸に、2つ入ってます……』と説明、】
【確かに、背中に両手を固定された状態で、取り出せるはずはない……故に、アルフレド自身に取らせるという事だ。】

【若しそのまま成功したのなら、2人の少年も近付く。大人しく、宝石を返す為に―――否、……彼に同時、蹴打を食らわせる為だ。】
【たかが少年、されど少年、といった所だろうか、狙ったのは彼の両足の付け根。一人が右足、一人が左足といった感じで、そのタイミングは完全に一致。】
【受けたのなら、威力は大した事無いが、そのまま頭から転倒をしかねない……3人の息の合った、抜群のコンビネーションであったと言えよう。】

【勿論、蹴打というからには、その前兆……蹴る足に勢いを付けると言った動作が必要になる。完全に気付け無い……という訳では、無いはずだ。】

208名無しさん:2014/02/21(金) 02:08:24 ID:DkwfHDbs0
>>205

【ずっと、ずっと、遠い遠い昔……掠れた記憶の向こうに、僅かに両親の記憶がある。今は顔すら思い出すことも出来ないけれど】
【気が付けば自分はひとりだった。どうして両親と離れてしまったのかも知らぬまま、たった一人で、右も左も分からぬ地にいた――――それからはずっと、一人で生きてきた】

【どんな苦境にあってもめげない底抜けの明るさと、どんな立場にあっても他人を思いやれる優しさと、天から授かった藥師としての才能を頼りに何とか道を切り開いてきた】
【その間に、幾つもの人の助けに支えられてきた。確かに人の支えなしにはここまで生きてこれなっただろうし、それはとても有難いことなのだが――――】
【―――――母から送られる無償の愛だけは、父から送られる無言の激励だけは、春燕は知らない。分からない。手に入らない――――】
【春燕という少女は、人の暖かさに触れることが少なかった。―――人が一番愛を受けるはずの親が、いなかったから】

……――――

【じっと寄り添ったまま、離れない。まるでブライトの、人の暖かさに縋るように……】

【人の暖かさが欲しいのか?私が欲しいのは何?どうして私はこんなに寂しさを感じてしまっているのだ?】
【――――分からない。自分でも困惑したまま、ただブライトの持つ暖かさだけがひどく恋しい……こんな自分を拒絶せずに受け入れてくれたから、なおさら】
【もうしばらく、ブライトの暖かさを感じていたい。この人なら、自分の求めている何かを持っている気がする……】
【ブライトがどれだけ春燕を揺らそうが、離れない。――――離れたくない。寂しい―――――】



【―――――十分程そうしていただろうか。ようやく春燕は頭を上げると、笑顔を見せる。――――うっすらと目が赤く腫れているのは、気のせいだろうか】
【ブライトの方を見れば、絵は大方完成している。冬の寒空には合わない、陽気に包まれた三つの雪だるま――――暖かそうに、見事に描かれていて】
【それをみるなり、春燕はポツリと呟く。口から漏れた一言、遠い人の暖かさに思いを馳せるように――――】

――――ねエ。ブライトはサ、家族ってどんなものだと思ウ?
暖かイ?優しイ?―――――ワタシはネ、分からないんダ。
――――たダ、ブライトはワタシの知らない家族みたいな暖かさを持っている気がしたノ。その絵みたいな、お日様の暖かさに似たようナ……
……ごめんネ?ちょっと、迷惑だったよネ……アハハ、ワタシこんなしみったれた性格じゃないのにナ。



//すみません、今日はもう遅いので凍結させていただいてよろしいでしょうか?
//ブライトさんの方は明日イベントに参加されるようなので、続きは置きレスという形にして頂ければ嬉しいのですが……

209名無しさん:2014/02/21(金) 02:12:43 ID:NhfmW/NA0
>>208
/了解です!では次のレスは置きスレにお返ししますね
/それでは一旦お疲れ様でした。自分も返レス書いたら就寝しますっ

210名無しさん:2014/02/21(金) 02:38:11 ID:CX9dekr20
>>207

右のポケットに2つ、左の胸に2つ、ですね。わかりました。

【表面上は大人しい目の前の少年はともかく、残り二人が厄介なのは間違いない。警戒を募らせつつ、背後から飛ぶ何とも暢気な会話に内心怒りをため込んで】
【アルフレドは言質を取るかのように少年の言葉を復唱すると、もう一度少年へ近づいて、空いた左手でまずは左胸に手を伸ばすだろう】
【そこに本当に宝石を仕舞っていたのならアルフレドはそれを没収するし、嘘だったのなら少年を強く睨みつけるだろうか】
【だが、どちらにしても――――この状況で相手の抵抗を予期していなかった訳がない。蹴りの〝前兆〟を見た瞬間、アルフレドは素早く後退した】

ち…………っ! 交渉決裂のようですね!!

【三方向からの同時攻撃の結果、目の前の少年の蹴りは後退によって回避。右足を狙ってきた蹴りは銃身を使って防御】
【だが左足を狙った攻撃は防げず、直撃してしまうだろうか。転倒こそしないが、踏ん張った分ダメージは直に伝わる】
【アルフレドは痛みに顔をしかめながら、三人の包囲を突破するように更に大きくバックステップを行うだろうか】
【そして後ろに飛ぶ傍ら、両手を突き出して目の前で交差させる――――そうしたなら、右手だけでなく左手にも、銃が握られている事に気づけるだろう】

そちらがその気なら、もう容赦はしません――――。

【左足の攻撃を防げなかったのは、そのもう一つの銃をホルスターから引き抜く手間のせいだったようだ】
【新たな銃の外見は、下部にマガジンが填め込まれた、四つの砲身が連なる回転式多砲身機関銃。一言で表せばハンドサイズのガトリングガンである】
【後部が護拳のように広がっており、その中にグリップが隠れている構造のため、まるで銃を直接左手に取り付けているようにも見えて】
【緑のエネルギーラインが両手の銃に迸り、そこから多量の魔力が漏れ出れば、銃の側面にそれぞれ刻まれた文字が読みとれるだろうか】
【――――左のガトリングガン、『Nara(ナール)』。右のハンドガン、『Kibrit(キブリット)』。アルフレドは二丁拳銃の引き金を、同時に引いた】

拳骨程度で、済むと思うなよ――――――ッ!!

【そして刹那、緑色に光る小さな球体――――風属性を帯びた〝魔弾〟が一斉に空間を埋め尽くす!】
【この弾丸は高圧縮した空気を魔力製の弾殻に閉じこめたもので、着弾するなどして弾殻が割れた瞬間、中身の圧縮空気が炸裂する仕組みだ】
【発射された弾の内訳は、まず右の『Kibrit』から一発。狙いは本物の少年の右足、制圧用であるため殺傷力はないが】
【それでも暴徒鎮圧用のゴム弾程度の威力はある。直撃すれば強度の打撲のようなダメージとなり、機動力を殺ぐだろうか】
【そして、左の『Nara』からは一気に数十発。流石にガトリングガンだけあって連射力と拡散力は半端ではない】
【加えて今の三人は、近寄ってアルフレドを狙った代償にある程度近い位置にいる筈だ。回転する砲身から射出される弾幕は、三人全員へ及ぶだろう】
【ただしこちらは、弾丸の数が多い分ひとつひとつの威力が小さい。全身へ纏めて浴びれば危険だが、数発当たった程度なら大した傷にはならないだろう】

211名無しさん:2014/02/21(金) 02:40:13 ID:CX9dekr20
>>210
/oh、数間違えとる……右のポケットに「3つ」でした、すみません

212名無しさん:2014/02/21(金) 03:13:29 ID:oMGWYcYk0
>>210


『あーあ……今のは、どー考えてもお前のせいだろー?』
「……え? 俺はちゃんとやったんだけど、……絶対0,1秒くらい遅かったって、お前が。」
『うるせー! 俺はアイツ蹴ったからいーんだよ、大体お前何でしくじってんだよー!』
「……お前が遅れたからだろーがー! あーもう知らねー! お前もう守ってやんねーからなー!」
『あーあー!聞こえなーい! 聞こえませーん! ばーかばーか!』

あ、あのさ……今は、その、そういう時間じゃなくって………
ほら、その、僕一人で勝てる相手ならいいけどさ、結構あいて強いから…… みんなで力合わせてしないと、負けちゃうし……

『あー………、別に、お前のためにやる訳じゃねーからな!』
「はー? 俺だってアイツがいなかったら今ごろおしるこ食ってるし!」
『あー、あれ俺が作ったやつだからな、お前にはやんねーから!』
「いいですよーだ!帰る途中でイレブンセブン行くもんねー!お前のよりずっとうめーから!」

いや、……あの……二人とも―――ッ!

【以心伝心は出来ても、統率は出来ず……彼らは二人歩きで喧嘩を始める。精神年齢も、どうやら見た目相応の物であるようだ。】
【然しそれでもプロ、手錠で両腕を縛られた少年は、反射的な動きだろう、直ぐ様近くのショーケースの影に隠れやり過ごす。】
【銃によるダメージはないが、その際勢い余って、顔を打つけてしまった。結果的に、部位は違えど、打撲レベルのダメージとなったか。】

【逆のもう2人は、別の事に気を取られていたからか、素早い回避が出来ず。同じくショーケースに隠れたのだが、その間にどちらも2,3発を被弾する。】
【然し彼らは"分身"―――銃弾は確かに貫通し、痛がっているが、どうやらそこから血が出ることは無い様。……実体のあるホログラムという表現が適切……か?】


「あー! いってー! アイツ、小さい子に向かって銃打っちゃった!」
『うぇーん……僕達何もしてないのにー……』
「コレって、えっと……かじょうぼうえい ってやつじゃないの?」
『それはちかんとかに使う言葉だろー! お前ばかじゃねーのー!』
「うっせー!」

(たぶん、あの人は油断しないタイプ……手錠掛けられちゃったのは、ミス……かな?)
(けど、だからって、何が変わるわけじゃないし……ここは、数の力を、使うしか無い……かな?)
(……皆で一緒に戦うっていうのは、初めてだから……正直なところ、……うん、まったくわかんない。)

【本来なら、手足を縛られた状態で起き上がるというのは相応に難しいのだが、少年はすんなりやってのける。素早いアイコンタクトを済ませれば、】
【四方八方から少年が襲って来る。―――先ず右から、分身の一人が跳躍力を活かし、頭を膝蹴り、側面から狙って来る事だろう。大した威力はないが、矢張り転倒が危険だ。】
【もう一人はワイヤーを使う。先程と殆ど同じ様にするのだが、どちらかと言えば威力がありそうなガトリングガンを狙っていた。】
【最後の少年は、……手錠を解除する鍵が有りそうな部分を目掛けて、体当たり。此方も所詮、小さな子供のソレに過ぎない。】

【今迄とは違い、今度は不規則な攻撃。どれも大した事はないが、然し3方向からやって来るその処理の難しさが、決め手となるだろうか。】

213名無しさん:2014/02/21(金) 04:00:40 ID:CX9dekr20
>>212

(流石に忍者、素早いな。あっちの二人は…………分身、か?)

【撃ち放った弾丸の成果を確認しつつ、アルフレドは思惟を巡らす。手錠を付けられてなおこの素早さ、やはり相手は小さくてもプロだ】
【それに残りの二人。弾丸の着弾反応を見る限りは分身、身体能力は少年と同程度か。単なる分身にしてはなんだか個性的だが】
【どちらかと言えば有り難い。二人とも子供っぽい性格のようだし、多少は扱いやすいか――――】

ご安心を、僕が使っているのは全て〝魔弾〟です。殺傷能力はありませんよ。
…………勿論、当たれば痛いですけどね?

【右手で眼鏡を押し上げつつ、アルフレドは分身たちへ言う。二人の場違いなやり取りに自分が舐められている気がして、視線はやはり苛烈だ】
【ただ、言っている事は事実。右の『Kibrit』も左の『Nara』も使用されるのは制圧用の魔弾、圧縮空気の炸裂によって着弾地点に打撲を与えるものである】
【そこに実弾のような〝貫通力〟はない。例え頭部をブチ抜かれたって死ぬことはないだろうが…………】
【ゴム弾だって、当たれば相当痛いものだ。この魔弾もまた同じ、迸る痛みは体だけでなく、相手の戦意そのものをへし折る】
【とはいえ少年は忍者だ、多少の痛みで参ってくれるとも思わないが――――だったら、参るまで撃って撃って撃ちまくればいい】
【相手が子供だろうが、アルフレドには油断も容赦もない。こと〝能力者犯罪〟において、年齢など何の意味も持たないのだから――――】

ぐぉっ…………!?

【直後、右から分身の一人が飛び出す。アルフレドは先程と同じく、右の『Kibrit』の銃身を使って膝蹴りを防ぐだろうか】
【……しかし。アルフレドとて油断していた訳ではないが、三人相手では当然手の回らない部分も出てきてしまう】
【左から迫るワイヤーは、今度は見事『Nara』を捉えるだろうか。咄嗟にグリップへ力を込めて奪い取られることだけは防ごうとするものの】
【こんな状態で引き金を引いても照準など定まる訳がない。これで『Nara』は一時的に封じられた、大きな戦果と考えていいだろう】
【そして最後の体当たりも、ワイヤーで左腕を突っ張ってしまったせいで回避できず、まともに受けるだろうか】
【一応アルフレドも成人男性だ、受け止めるぐらいは出来たし、大したダメージではないが――――ちゃりん、という音が聞こえるだろうか?】
【よく観察すれば、ベルトの背中側の部分に手錠を収納していたケースが取り付けられている。音の発生源はそこ、恐らく〝鍵〟の音で間違いない】

…………舐めるなよ!!

【が、アルフレドもこのまま棒立ちで居るわけがない。それを奪うためには、この反撃を越えねばならないだろう】
【アルフレドはまず右手に全力を込め、膝蹴りを押し返すだろうか。そして同時、分身の頭部へ向けて容赦なく引き金を引く!】
【発射された風の魔弾は眉間へと飛翔し、着弾に成功すれば圧縮空気を解放。普通の人間なら気絶する程度の強い衝撃を頭部へもたらすだろう】
【そして同時に、体当たりしてきた少年の鳩尾へ蹴りを叩き込もうとする。銃ほどではないにせよそこそこ威力はある、当たれば吹き飛ばされてしまうか】

【なお、左の『Nara』がワイヤーに繋がれているせいで、もう一人の分身へ攻撃する余裕はない様子だ。彼にしてみれば間違いなくチャンスであって】
【――――だが、この時。アルフレドが膝蹴りをしてきた分身へ『Kibrit』の引き金を引いた後、それを〝引き続けている〟ことに気付けるだろうか】

214名無しさん:2014/02/21(金) 04:35:38 ID:oMGWYcYk0
>>213

【分身とはいえ、忍者、矢張り中々の身体能力を誇る。防がれた膝蹴りはそのまま反作用力を活かし、途中で手を付きながらもバク転、瞬間に距離を取ってみせた。】
【もう一人、『Nara』を捉える事に成功した方は、引っ掛かったのを見るやいなや、アルフレドを中心に、円を描きながら走り始める事だろう。】

【然し真正面で体当たりをした少年は、殆どゼロ距離、鳩尾の蹴りをそのまま受け、小さい体故に吹っ飛び、―――初めて、その衝撃でショーケースがバラバラに割れた。】
【粉々になったガラスで切ったのだろう、少年は頭から血を流し、ピクリとも動かなくなった。……息は有るが、本当に、ピクリとも、である。】

【2人、その方を見れば、何と言うか、初めて哀しい顔付きを作った。……加えて、込み上げてくる怒りも感じ取ったのなら、極めて優れた洞察力だ。】


『………―――あのさあ。』

『……多分、俺ら、もうちょっと戦えるんだよね。別に、このまま、やるだけやってもいーんだけどさー。』
『このお店、グチャグチャになっちゃうよ? 後、俺らが捕まった所でさ、どうせ少年院とかそこらに入って、』
『でも、すぐに出れちゃうわけじゃんか、……今やってることって、釣り合わなくないかなーって、ね?』

『つまりさ、俺らはどう拷問でも受けようが、反省して、金輪際こういうのから足洗うって事は絶対ないし、』
『でもこの店はこれから、メチャクチャになるしで、……結局、今お兄さんがやってることは、大して意味が無いってこと。』

『―――わかるかな?』

「あ、確かにー……やるじゃーん!」
『……これが兄ちゃんの実力だ、えっへん!』
「うわ、今の引くー……何えっへんって……」
『うっせー! 適当に流しとくんだよそこはー!』

【……自分達はこういう事を止めるつもりはない、例え捕まったとしても、未成年故にすぐに出所出来るのだから、こんな事止めようではないかという、】
【泥棒側から取引を申し出るというまさかな事をやってのける。……だが然し此れも、ある意味では、ブラフ、……動かなくなった少年が、アルフレドの目を盗んで動き出す。】
【腰に付けた吹き矢を透かさず取り出し、フッと飛ばす事だろう。喰らったのなら、勿論ただ痛いという訳ではなく、即効性の有る睡眠薬が次第に効いて来る事になる、が……?】
【当然、こちらを見ている間、或いは警戒されている場合は、動く事が出来ない。本当に、気絶したかの様、ピクリとも動かず、へたり込んだ少年が其処に居ることだろう。】

215名無しさん:2014/02/21(金) 05:18:07 ID:CX9dekr20
>>214

(………――――――。)

【ショーケースが砕ける。鮮血が散り、少年が動かなくなるのがわかった。一瞬焦りはするが、傷の程度を確認すれば平静に返る】
【そこまで強い一撃ではなかった。息はある、頭を怪我してはいるが大量出血はない。手当てすれば十分だ】
【一方、分身の頭部へ向けて放った筈の『Kibrit』の弾丸は、膝蹴りを弾いた勢いを逆利用した素早い身のこなしで回避されてしまうのだろう】

…………意味がないから、見逃せと?
例えここで見逃したとしても、君達が足を洗わないなら、きっと僕達はまたこうして戦うことになるでしょう。
その時会ったときも、同じ事を言って見逃して貰うつもりですか? その次は? 不当に物を盗まれて悲しむ人を前にして、いつまで僕は君達を見逃せばいい!?

釣り合う釣り合わないではないんですよ――――罪を犯した者は、法によって裁かれなければなりません。
――――もし君達が出所してまた同じ事をしても、僕は君達が罪を犯すたび、何度でも送り返します。僕は、警察官ですから。

【――――少年を傷つけられて、二人の雰囲気が変わったのを感じ取る。感情を読み取る余裕はないが、恐らく怒りを覚えているのだろうと推測して】
【だが、怒っているのはお互い様だ。開き直るかのような文言を、いち警察官として黙って聞いている訳には行かなかった】
【言い分は真っ当だ。確かに捕まえたところで収監期間は短い、それで同じ事を繰り返すのでは全く無意味だし、周囲に被害だって出るかもしれない】
【だが、何度も何度も送り返されて完全に反省の色なしと判断されれば。あるいは時が過ぎて未成年でなくなれば。いつかどこかで、限界は必ず来る】
【途方もなく気の長い話だが――――それまで、絶対に諦めない。そんな愚直なまでの〝意地〟が、アルフレドの中にはある】

なっ………!? クソッ!!

【だが…………今はその意地が少々悪い方向に働いたかもしれない。刑事としての熱意が行きすぎて、アルフレドはほんの一瞬戦局を見誤った】
【動かなくなった筈の少年が動き出す。すぐに気づいて銃を構えるが、既に遅い。吹き矢の口がこちらに向くのをアルフレドは見た】
【――――そして、次の瞬間。空中で、吹き矢と弾丸が交錯する!】
【少年の放った吹き矢は、見事アルフレドの左腕に突き刺さり、睡眠薬を注入することに成功するだろう】
【しかし、同時に。引き金を引き続けることでエネルギーをチャージし、威力を引き上がった『Kibrit』の風の魔弾もまた、少年へと解き放たれる】
【狙いは腹部。炸裂すれば肥大した圧縮空気の炸裂が強烈な衝撃を叩き込み、少年の意識を今度こそ刈り取ろうとするだろう】

ち………っ、薬か…………!?

【もちろん、その攻撃が成功するにせよ、そうでないにせよ。即効性の睡眠薬が効果を発揮し、アルフレドは膝を付く】
【残りの二人からして見れば、これは大きな隙であろう――――】

216名無しさん:2014/02/21(金) 05:53:17 ID:oMGWYcYk0
>>215

『へー、面倒くさい組織だねー……だってさ、不当に得たものは、不当に盗まれても文句言えないだろー?』

『……あ、あと俺らさ、良い忘れたけど、ここで稼いだの、結構イイ事に使うんだよねー。』
『なんだっけ、ラグナール? あそこ、ヤバいんでしょ? ちょっと、手貸してやろーかなーって、ね。』
『ザコどもがクスリやら女やらに使うより、よっぽどマシ、じゃないかな? 違う?』

『今やってるのが悪い事ってのは、重々承知、でもそれはあくまで"社会的に"なだけで、……俺ら自身は、悪いことやってるって認識は皆無だねー……』

「……なんか今日、やたらしゃべるね……」
『いや、だってさ? こんな見た目賢そうなやつ、論破してみたいじゃん?』
「んー、まだ無理だと思うなー……やっぱ俺ら、まだガキだし、……う―――ッ!」
『ちょ、おま――――ッ!』

【チャージで増幅された『Kibrit』の威力は凄まじかった。恐らく、比較的ダメージを受けている少年に当たれば、それこそ確実に意識を飛ばせた筈だ。】
【然し、其処に盾となる存在が現れたなら、話は別―――、分身の一人だ。彼は少年の代わりに魔弾を有りの侭に受け、……吹っ飛び、即座に意識を手放す。】


『―――あー、ちょっとさ、俺、こいつボコボコにしたい……』

……それじゃ、"ほかのヤツらと、かわんない"、でしょ……?

『……分かってる。 けど、やっぱ、コイツの治療したくねーから、……そっち頼んだ、俺は後処理する。』

………うん、……やっぱり、おこってる?

『いや、なんつーか、……忘れてた、本体の意識飛んだら、俺らも消えるってコト。』

……だから、すぐみがわりになろうって思ったあの子は、………

『………今寝てるから言うからよー、2番目のクセに、結構やるよなー、ってな?』

………うん。

【何とかという思いでアルフレドに吹き矢が命中したのなら、安心して残った分身の一人は再び作業開始、という事になるのだろう。】
【但し、もう一人、本体は、膝を付き尚耐えているアルフレドに近付く。腰から何やら和紙で覆われた緑色の粉末を取り出し、】
【恐らく自分達が原因で出来てしまったであろう怪我に、それを塗りたくって行く。……一時的には鋭い痛みが走るが、然しその効果は絶大、】
【睡眠薬の効果が薄れてくるであろう朝には、既にそもそも痕が無くなってしまうのだ、つまりは良薬口に苦しという奴である。】

【3人は結局、自らの仕事を完遂する事になるのだろう。高価な宝石は根こそぎ盗られ、然しその証拠は、指紋一つでさえ丸で残されていないといった具合。】
【勿論、アルフレドによる証言は有るのだろうが―――状況は闇の中での戦闘、口元は赤いマフラーで覆われている事もあり、最小限の情報しか無い、か。】

【但し、分身が最後にしてみせた話だ。少年達も少年達なりに、自身の正義という物を持って活動している。その正義と正義の食い違いによって、今回の戦闘に発展していった訳だが】
【だとすれば、"一体何が正義なのか"―――彼らが残したのは稚拙な表現ではあったが、全く考えさられる物は無かった、なんて事は無い筈であって。】


/こんな感じで〆でお願いします! ありがとうございました!

217名無しさん:2014/02/21(金) 07:07:54 ID:CX9dekr20
>>216

違うッ…………!
不当に得た物を不当に取り返して、その次はどうなる!? また不当に取り返されるだけだ!
あくまで社会的に、だと!? ふざけるなよ…………社会というのは、そんなに軽いものじゃない!!
やっていることが結果的に正しければ、何をしてもいい訳ではない????!!

【????多分。法の正義に生きるアルフレドと、自分達の正義に生きる彼らでは、徹底的に相容れないのだろう】
【殴ったから殴り返す。それも真っ当な正義だ。だが、それには終わりがない。その後もう一度殴り返されて、もう一度殴り返して、どちらかが死ぬまで繰り返される】
【アルフレドの守る〝社会的な正義〟とは、つまりは〝人の繋がりの為の正義〟だ。他人同士の間にルールを設けることで、その戦いを終わらせるものだ】
【罪と罰を天秤に乗せる。罪が重すぎる事も罰が重すぎる事もない。そうやって平等に、憎しみの連鎖を止める】
【法は抑止力となり、社会にモラルを作る????警察という組織は、人の心を守るものでもあるのだから】

(クソ、意識が…………)

【……だが、それは所詮綺麗事。この世に絶対の基準など、ありはしない】
【天秤が完璧に釣り合ったことなんて一度たりとも無い。幾らでも不当に奪えるし、幾らでも不当に殺すことが出来る】
【そういう理不尽にぶち当たったとき????各々の手で正義を執行する事の、果たして何が悪いのか】
【どれだけ強い睡眠薬だったのか、急速に意識が途切れていく。少年が近づいてきて薬を塗った瞬間には激痛が走るが、数秒もすれば意識はまた薄まって】
【〝正義〟とは何か。子供の頃からずっと考えていて、警察官になった今でも明確に答えの出せていない、永遠の命題が頭の中をぐるぐると回転し????】
【……やがて、アルフレドの意識は途切れる。正義のために盗みを働く少年達を前にして、社会の正義は力及ばず、倒れ果てた】


????……………。

【そうして、次に目が覚めて。アルフレドは高価な宝石類がすべて消えた宝石店の内装を見て、自分が職務を果たせなかった事を知ると】
【????声はない。ただ皮が裂けるのも厭わず、全力で壁を殴りつける音だけが響き渡るだろうか】
【結局の所、誰にも彼らを否定する事なんて出来はしない。苦しみの中にあるラグナールの人々は、彼らの施しできっと喜ぶのだろう】
【それでも????認められない。認められるわけがない。自分の正義が不完全なことを痛いほど自覚しても、彼らのそれが正義であるとも思えなくて】

(相手は忍者だ。痕跡なんて全部消されているかもしれないが……消せない物もある。
 ????顔は、覚えたぞ)

【重くのし掛かる悔しさを強引に背負い直し、アルフレドは彼らの足取りを追うべく応援を呼ぶ】
【例え何も掴めなくても…………諦められない。ここで折れたら、自分はもう刑事ではいられなくなる】
【マフラーの下に隠れた唯一の手がかりを、心に強く刻んで。アルフレド・フェリシアーノは、少年達の正義に挑んでいった】


/お疲れさまでしたー!

218名無しさん:2014/02/21(金) 11:50:27 ID:VvRwMKXY0
【その日は生憎の雨だった】
【天気予報では晴れが続くと言っていたのだが、】
【どうやらあの天気予報士はただの天気マニアであまり信用できないらしい】

「ちょっと…!どうなっているのさ!もう!」

【せっかく頂いたお休みにと、外出したのはいいけれど】
【これじゃあ予定も何もあったものじゃない】
【どうにも運が悪いのか、とある少年は雨の中走っていた】

【小柄で線の細い華奢な白髪の少年】
【雪のように白い肌と赤色の瞳は全体的に薄い色素を思わせる】
【年中無休で灰色のコートを身に纏い、フードを被って日の光から逃げているような】
【初めて目にすれば女子のようで、子犬のような印象を受けるだろう】


「雨宿りは…あそこかなっ!」

【そこは教会だった】
【とっくに使われていないのか、軽い廃墟のような建物】
【この天気の中、雨風を凌ぐにはうってつけの物件だ】

「あー、濡れちゃったな……寒っ」

【教会の入り口、きっと礼拝堂と繋がっているであろうその扉の前で】
【すっかり冷えた体を少し震わせていた】

【雨脚は強くなる】
【あの天気予報で少年と同じ被害を受ける人も少なくないだろう】
【この調子なら同じ雨宿りをする場所を探して誰かが来るかも知れない――――】

219名無しさん:2014/02/21(金) 19:01:46 ID:CX9dekr20

「確認するぞ――――。
 今回の主目的は先遣隊の救助だが、連絡が途切れて時間も経つ、食糧の備蓄も限界の頃合いだろう。
 まして先遣隊の連中は研究者が多数で、武力も乏しい……生きている確率が高いとは、言えねぇ」

【――――暗い地下洞の中。今日ここに集まっている者なら、多かれ少なかれその不気味さを体感していることだろう】
【設置された松明の明かりが、そんな彼らの眼前に立つ褐色肌の男を照らし出す。銀色の双眸が、人の上に立つ者特有の迫力をもって全員を見渡した】
【筋肉質の長身にボサボサの短い黒髪、ややタレ気味の目に、鼻が高く彫りの深い顔立ち】
【黒いタンクトップの上に真っ白なジャケットを羽織り、ぶかぶかのズボンをポーチや無線のついたベルトで腰穿きして】
【首からはドッグタグを下げ、片腕だけで身の丈程もある巨大な?銃砲?を抱えた、そんな男だ】

「だが、俺達は行く。誰かを見捨てるって事は、誰かに見捨てられるって事だ。
 誰かに助けて貰う代わり、自分が誰かを助ける。この厳しい砂の世界の中を生き抜いていくために、俺達はそういう流儀に従ってる。
 今回も同じだ、俺達はヤツらを助ける代わりにヤツらの持ってる遺跡の情報を得る。要はギブ・アンド・テイクだ、簡単だろ?
 ……ま、ついでに食い物渡して労ってやるぐらいのサービスはしてもいいかもしれんがな」

【アサド・アル=アーデル――――砂漠の獅子。『ヘイダル』の部隊長であり、砂の国自警団小隊長】
【前回のサンドワーム討伐に続き、今回の任務も彼が全権を担っている。今この場には五人の他に、彼の部下の姿もある】
【……が、今回は危険な場所と言うことで、特に戦闘力に優れた少数精鋭である必要があった。彼らの今回の仕事はバックアップだ】
【実際に遺跡に突入して救護活動を担当するのは、五人にアサドを加えた六人。そして最後に――――アサドの隣に並んで立つ、七人目】

やはりダメ、ですね。ここから出ている何らかの?波長?が通信網に干渉しているようです。
一度中に入ったら、外と連絡は出来ません……今更かもしれませんが、皆さん、覚悟はしておいてください。

【前髪を左側だけ上げた藤色のミディアムヘア、赤紫色の瞳に黒縁のメガネを掛けた、いかにも怜悧そうな雰囲気の青年だ】
【服装は灰色のカッターシャツに白色のアフガンストール、下はジーンズと膝丈ブーツ。上半身や腰、太腿などにはポーチ付きのベルトを装備している】
【シャツの左肩部分には水の国の警察を示すエンブレムが、ストールで隠れた右肩には?SCARLET?のエンブレムが、それぞれ縫い付けられているだろう】
【また、左胸の上と腰の左右にはホルスターがあり、左胸には派手な金色をした大型拳銃が心臓を守るかのように吊り下げられ】
【腰の左右には、既存のどんな拳銃にも当てはまらない奇抜な外観の銃器が二丁、白と黒で構成されたフレームを僅かに覗かせていた】
【――――アルフレド・フェリシアーノ。『ヘイダル』の副隊長にして、前回の討伐戦でもアサドから指揮を預かって勝利に貢献した男である】

【『ヘイダル』の隊長と副隊長が、同時に五人のバックアップに当たる構成というわけだ。少数精鋭というなら、これ以上のものはあるまい】
【しかし逆に言えば、それだけの布陣が必要な程、この?ラズワルド地下遺跡?は危険ということでもある。この先何が起きるか、誰にもわからない――――】


/続きます 


220名無しさん:2014/02/21(金) 19:03:44 ID:CX9dekr20

「さぁて、そろそろ御託も飽きてきた頃合いか?
 んじゃまあ、行くとすっかね! 最近うまい店を見つけたんだ、こんなきな臭ぇところはとっとと抜け出して、皆でカレーでも食いに行くとしようぜ!!」

カレーって……いや、いいです。殿は隊長が勤めます、僕と皆さんで前方と左右の警戒を。
どこから、何が出てきてもおかしくはありません。その上通信障害のせいで救援も呼べない……くれぐれも、油断なさらないでくださいね。

【アサドは楽しげに五人に語り掛ける。前回の任務で見知った顔が多いというのもあるが、何より隊の指揮を上げる為、その口調は敢えて軽いものであって】
【一瞬呆れたような顔をするアルフレドも、すぐに気持ちを切り替えて前列に出る。最後尾にはアサドが付いてくれるようだ、背中の心配はしなくていいだろう】
【そうして、これから五人の行く先には――――崩落して大穴の空いた壁面。半ば砂に埋まっているが、明らかに人工物と解る黒色の外壁が覗いていた】
【所々崩れているところはあるが、そこから狭い道がずっと奥まで続いている。心なしか、長い道の先が青色に光っているように見えるかもしれない】

【まず、アルフレドが先陣を切った。そのまま一歩踏み込んだなら、そこはもう古代文明の只中。現代の常識の行き届かない、未知の世界だ――――】


では、先遣隊の反応が途絶えたポイントを目指しましょう。最初はこの道を突き当たりまで歩いて、分かれ道を右です。

【アルフレドは腰から近代的な外見の二丁拳銃を抜き放ち、それを油断なく構えると、左の壁面へ注意を遣りながら五人へ最初の目的を通達する】
【この先の分かれ道までは一直線なので、迷うことはないだろうが……道の横幅は狭い。五人もの人間が横並びで通れる広さではないだろう】
【光源は奥の方から発せられている淡い青色の光のみで、視界も悪い。その上地面は砂が混じって転びやすい為、注意が必要だ】

【――――さて。このまま一行は歩き続け、最奥部の分かれ道に到達するまで進むわけだが】
【今のところ、アサドやアルフレドから注意の言葉はない。ここは既に先遣隊が抜けていった道ということもある、しばらくは安全とみていいだろう】
【この時間を使って壁や床の材質や崩落度合いなどの調査をしてもいいし、道が暗いと思ったなら能力等で光源を確保してもいい】
【その他、現状解っている遺跡のデータ等をアサドやアルフレドへ質問してみたり、あるいは参加者同士での情報交換に時間を使っても構わない】
【歩きながらにはなるが、五人にはある程度行動の自由がある。恐らく全員が何か一つ行動を終えた辺りで、分かれ道まで到達するだろうか】


/今日のイベント開始文です、参加者の皆さまは全員こちらに返レスをお願いします!
/本日は宜しくお願いしますです!!


221名無しさん:2014/02/21(金) 19:18:29 ID:CKwgAcf.0
>>219-220

【――5〜6m程の小型恐竜――口先は嘴の様で、一部に羽毛を持ち、鞍かと思えば恐竜自身の部位だったり――】
【そんな、乗りやすそうな恐竜に乗ってきたのは、身長2mを超える謎の怪しげな者だった、少し人ならざる禍々しさを持っている】
【頭部には黒蛇とジャガーをモチーフにした被り物をしており、その被り物は鏡のような銀色の鎧のようである】
【手袋は鱗製で赤色、運動靴も同一で、首には紫色の毛のマフラー。被り物のふちはマフラーに埋もれていてわからないし、手袋と靴のそれも服に埋もれている】

「サンドワームの時は良ォいモノを頂いたぜ――……弟かァらな」

【そして、全身を覆う服は、どれだけあて布をして直したのか、元が何であるかすらわからない状態だった】
【あて布――とは言ったが、何も服を構成するのは布だけでなく、例えば皮だったり鱗だったり――とりあえず、カオス】
【また、右脚の膝から下はこの者の被り物の様な素材に覆われていて、まるで義足のようである】
【他の装備として――色々と準備してきたのだろう、登山家のように大きな赤い鱗製リュックを背負っている】

「ククッ、弟が"誕生と光"なァら、今ォ日の……いィや、いィつもだが、俺様は"死滅と闇"――とでェも言ィっておォこうか」
「闇を歩くのには慣ァれている、俺様には松明も何も要ィらねェぜ」

【この者――横島 真賀雄、とか名乗っていたか】 【サンドワーム討伐時にいた横島 真賀樹の兄、との事だが】
【……その実態は、同一の存在。つまりは数々の犯罪で指名手配されている悪魔、邪禍である】
【無論、"邪禍とも真賀樹とも違う"声を使っているため、簡単にはわからないが……性格はどいつもこいつも一緒だ】
【なお、地下通路を歩く際は、悪魔は他の者との距離を離して後ろのほうを歩く】 【ちなみに恐竜は、謎の肉塊を渡して入り口に待機させてある】

「そォーだ、世ォの中ギィブアンドテェェーイク!」 「――やァられたらやァり返すんだよ、わァかってんじゃアねェか、テメェー」

【着膨れしている上に大きなリュックを背負っているためか、少々歩きづらそうである――しかし、寒さ等とは無縁、かもしれない】

「……おォまけにもォー1つ」 「俺様の嗅ゥ覚に、誤ォ魔化しは効ィかねェーから安心しなァ」

【――それは誰宛に言ったのか明確ではない、が……一つ言えるのは、この悪魔の嗅覚は犬が尻尾を巻いて逃げ出すレベルと言う事か】
【まあ、前向きに捉えれば……見えない罠とかを発見してくれるかも知れないとかそう言う事になるが、……イントネーション的に、そう言いたいわけではなさそうである】

「(ヒャハハ、――"変異"……"アビスゲート"に"足りない味"が拾えるかァもとなァれば、二ィ度会ァう事で生ゥまれるリィスクにも十ゥ分見ィ合う)」

【――そこには、邪悪な念が渦巻いていた】

222名無しさん:2014/02/21(金) 19:19:07 ID:F52AoKs20
>>119-120
(――くーぅ、SCARLETの連中まみれだけど、この仕事、金払いはいいからな……!
いざとなったら私以外全員見捨てて逃げりゃ良いし、こりゃもう完璧完璧、宝物とかありゃそれちょろまかしゃいいだろーし、な)

【地下道の前に立つ、女が一人。金髪をポニーテールにし、耳には大量のピアスを付けた外見が目立つ】
【眼の色は本来はエメラルドグリーンなのだが、カラーコンタクトによってその色は銀色に変えられていて】
【服装はといえば、作業服のような色気の欠片もないつなぎに、腰に巻いたベルト。ベルトには、幾つかのポーチと二振りの斧が括りつけられている】
【手には防弾防塵防刃防火防水繊維で作られたグローブが有り、手首部分の機械部品からはアンカーが射出される機構が有る】
【右手に持っていたライト付きヘルメットを頭に被り、顎の下に紐をつけて固定して。フィット感の調整を開始】
【装備を確認しつつ、暗闇の奥に双眸を向けてその瞳を細めて警戒心を顕とする】

「……」

(通信は不可能。ってー事は、部下連中を動かしは出来ない訳だな――厄介厄介。
こりゃもう――、本気でヤバかったら全員犠牲にしてでも逃げなきゃな)

【二人の説明を聞きながら、有ろうことか自分以外を全部犠牲にしてでも、いざとなれば自分だけでも生き残ろうとかんがえる】
【真剣な表情の奥では、只管なリスクヘッジと、己の引き際を見極める思考が回り続けていた】
【比較的端正な顔は、引き締まって表面上だけはまじめに見えていたことだろう】

「――ふ……ぅ」

【洞穴の中を歩みながら、女は静かに息を整える。己の意識を研ぎ澄ませ、来る危険に対する恐怖を抱く為】
【能力と言える能力を持たず、武力にもそこまで秀でない女ではあるが、危機察知能力だけは異様に高い】
【何らかの伏兵や、何らかの罠、危険が存在するのであれば、女はそれとなくそれが近いことくらいは感じられるはずである】

【危なげなく道を歩む。体力とバランス感覚に優れ、身軽な女は探索や斥候に向いた適性を持つ】
【特段大きな行動を見せはしないが、何があっても直ぐに対応できるように、腰から提げた手斧に手を伸ばしておく】

「そーいや、波長ってどーなんデスかねー?
放射線とかみたいにー、なんかー、無能力者が能力に目覚めたりとかそんなの有ったりしたら夢いっぱいなんデスけど」

【へらへらとした薄っぺらい笑顔を浮かべながら、波長についての話題を口にする女】
【己が無能力者であることは既に依頼を受けた時点で伝えており、その姿は能力者に憧れるありふれた無能力者にしか見えなかったろう】
/*コジマです、よろしくお願いいたします!*/

223名無しさん:2014/02/21(金) 19:26:41 ID:A89md4kk0
>>219>>220

―――大丈夫よ。こういう状況での油断が一番危ないって、身体で覚えてるから。
まあ、こういうこと言ってる時点で多分心構えとしては失敗なんだろうけど……

それにしても狭い場所ね……久しぶりに自分が自分でよかったと思うわ、色々とつっかえないし。
砂嵐も前よりはだいぶ収まってたし、寒さは着こめばなんとかなるしねっ!
どっちかって言うと、問題点は天候や地形よりも……って気がしないでもないけど――。

【副隊長、アルフレドの声に応える女性が一人。朱色のロングツインテールが特徴的な若い人物だった】
【名前はアンジェル・ベルジュロン。純白の将校服と外套、そして一振りの刀は所々砂の汚れが目立っていたが】
【その顔は尚も覇気に満ちている。環境の劣悪さより、仕事の使命感に燃えているなんて様子だ】

(……一応ロープやハシゴも能力で小さくして持っては来たし)
(よっぽどの事がなければ大丈夫、とは思うけど……隊長さんの言葉も、その通りなのよね)

【それと、その胸元には幾つかのバッジがあった。よく見ると一部は縄だのハシゴだのツルハシだの】
【〝それっぽい模様〟があるのだが――彼女はそれに、模様の道具を自身の能力で〝封印〟して持ってきていたのだった】
【物体に別の物を封印する。こういう使い方が最も便利なのだが、実践的に使うのは初めてであったりする】

ふぅん……奥には何か、青い光。遺跡って言うぐらいだし、発光装置かしら?
化け物の目玉だったりしないと良いんだけどね。それから黒い壁……は、遺跡そのもの?

……となると目下のところ気になるのは壁とか、床とか……私達が歩く場所の強度よね
副隊長さんの方はどう?急に足元が抜けて暗闇に真っ逆さまとか、大丈夫そうかしら?
っと……私の方も調べて置かないとね。言った後にその状況に陥ったら笑い話にもならないもの

【――と、まあそれはさておき。彼女が最初に重視したのは周囲の状況を把握することだった】
【目で確かめられるもの、手で確かめられるものを入念に。特に足元の強度やらは慎重に調べてみる】
【冗談めかしてああ言いはしたが、実際床が抜けて死ぬだなんて言うのは救助隊・調査隊としては愚行もいいところだ】

【ブーツでそっとそこらの床を踏んづけてみたり、副隊長の方にも声をかけてみたりとしつつ】
【その安全性が確かめられれば、アンジェルは刀を片手に持ったまま、皆と共に奥へ進むことになるだろう】
【――ちなみに、同行者達の一部にはなんとなく懐疑的な目を向けてはいたが】
【特殊な仕事だからと言うのを思い出してか、何も言わずに居た。そういう面で、一人での行動がやや目立つか。】

224名無しさん:2014/02/21(金) 19:34:11 ID:NhfmW/NA0
>>219>>220

【陽の光が届かない、暗い地下洞の中――常人ならば潜在的な恐怖に縛られるのだろうか】
【しかし調査に参加したこの女性は違うようで、地上にいるのと変わらず、堂々と佇んでいることだろう】

【オリーブ色の瞳を持ち、後ろで二つの太い三つ編みにした髪は茜色】
【そばかすの上には丸眼鏡があり、頭には柔らかい素材の黒いハットをかぶっている】
【裾に緑色のよろけ縞が入った白衣を羽織り、その下に暗い緑色のセーターとタイトスカートを着た】
【そんな――研究者のような風貌の女性】


じゃあここから先に踏み込んだらシュレディンガーの猫みたいになっちゃわね
ふふ、行きましょうか。私としてもこの遺跡は興味深いし……ギブ・アンド・テイクってことで、ね?


【むしろ緊迫したこの状況を楽しんでいるかのよう。口元には薄い笑みが浮かべられている】
【アルフレドに言葉を返したなら、私は前に出て戦えないからと最後尾、アサドの隣へとつくことだろうか】


アサドさん、だったかしら。一応確認しておきたいのだけど可能であれば遺跡の調査をしてもいいのよね?
あ、もちろん救助もちゃんとするわ。そこは安心してね?


【最後尾へと来たならば、隣にいるであろうアサドに問いをかけるのだろう】
【遺跡への単純な興味だろうか。こんな質問をするのだ、救助より調査の方を重視していると取られても文句は言えないか】

【答えが返ってきたのならば、彼女は適当にその辺りを調べようとする】
【傍から見ればただ屈んで石を拾ったり壁を見つめたりしているだけに見えるが――】
【どうやら“波長”に関心を持っているようだ】

/カーディなかみです、よろしくお願いします!

225名無しさん:2014/02/21(金) 19:42:07 ID:zhlacM2.0
>>219-220

【暗闇の中、参加者の一人は軽く頷くように話を聞いていた。明りがあっても暗闇に同化しそうな、そんな格好で】

【―――――グレーのフリルブラウスと黒いカーディガン、黒のジーンズと茶色ローファー】
【腰には細い革ベルトをブラウスの上から巻き、黒く光の無いが真っ直ぐな瞳が特徴的。背丈は160cm程か】
【大きめなライトブラウンのキャスケットを被った、ブロンドショートヘアの少女―――『喋り屋』と名乗る人物】

『…先遣隊が行方不明、か。一体この先の遺跡に何があるんでしょうね』
『遺跡って聞くと、侵入者を遮るトラップとか何かがありそうな予感だけどさ…』

【今回は気温の為、更に黒白チェック柄のマフラーを巻いていたが、元々薄手。正直心許ないが、本人は澄まし顔で】
【マフラーをずらすようにして、喉元に右手の人差し指を当てれば―――口を開くことなく少女の声が響いた】

【彼女の主観とか、経験からそんな憶測を呟いてみたり―――正体不明の遺跡のことだ、無くはない話】
【何にせよ、今回の目的は救出だ。自分が罠に引っ掛かるなんて目も当てられない―――慎重に進まねば】

『ははっ、いいねカレー…私チーズカレーね。とろーりした伸びるやつ』

【アサドの語りかけに、口角を釣り上げて薄く笑う。楽しく食事はしたいが―――ならば先にこの探索を終わらせなければ】
【入口に入っていったなら、覚悟を決めて―――スイッチを切り替える様に、またいつも通りの無表情へと】

『―――――その波長とやらに浴び続けた結果、私たちが前戦ったように巨大なサンドワームが出現したらしいけれど』
『ここにサンドワームが居たとするのなら、他の生物もいるのかしら?例えば、サンドワームのエサとなるような…』
『…というかサンドワームって、何食べるの―――土かなんか?』

【彼女が喋り出した瞬間―――彼女の回りを浮遊しだす一つの火の玉。彼女特有の魔術によるものだろう】
【火の玉が照らすのは歩く途中の壁や地面、または頭上など。トラップへの配慮もそうだが、遺跡に関する情報はないかと】
【例えばよくある壁画やマーク、彫刻など―――文明のヒントと成りえるものがあれば、調べる積りで】

【そうやって周りを観察しながら、そんな質問を投げかけるだろう。どちらかというと、知的好奇心によるもので】

/喋り屋です、おねがいします!

226名無しさん:2014/02/21(金) 19:58:42 ID:CX9dekr20

>>221

「横島、前回は弟に世話になった。またよろしく言っておいてくれよ。
 ……にしても、随分デカいの連れてたな。ハーダに若干似てるような……っつーか、お前の顔もどっかで見たような……」

【今のところ、不審な臭いは感じられないだろう。強いて言うなら、虫や小型動物など、?普通の生物?の臭いを感知できるかもしれないが】
【……と、横島へ、アサドが声を掛けにいくだろうか。陽気な音色でそちらの顔を覗き見て……微妙な既視感に首を傾げるが、正体には結局気づけず】
【アサドの声は大きい。若干煩いと感じるかもしれないが……これは、アサドのせいだけではない。彼の声を受けた周囲の壁が、振動するのが感じられるだろうか】
【どうやら音に反応して?共振?しているらしい。その性質は床も同じ。この遺跡、何故だかは解らないが『音が伝導しやすい』つくりなっているようだ――――】

>>223

【アンジェルが心配した通路の強度の方だが、今のところ大きな穴などは見受けられない。強いて言えば、気をつけるべきは?天井?か】
【床板や壁にあるものと違って、天井にある傷は何やら目立つものが多い。上を見上げれば、天井の黒に混じって?黄色いライン?が走っているのに気づくだろう】
【そのラインの正体は、隙間に砂が詰まった?亀裂?だ。恐らくその亀裂の真上には砂溜りがあるのだろう、崩落の危険があるとすればそこだろうか】
【何か大きな振動でも起きない限り、いきなり天井が落ちてくるようなことは無いだろうが……注意するに越したことは無い】

この辺りは先遣隊が既に通った道ですから、平気だと思います。
ただ……この先の分かれ道を右に行った、という所から先遣隊の消息が掴めなくなっています。特に注意が必要なのは、この先ですね。

【話しかけられたアルフレドは警告を発し終わると、最後に「今回もよろしくお願いします、アンジェルさん」と挨拶して締める】
【前回の戦いを間近で見ているだけあって、彼女の実力の高さは把握していた。頼りにしている、ということだろう】

>>225

「サンドワームの主食はハーダぐらいの大きさの動物だな。あのでけえ口で丸呑みにしちまうんだよ」

【『チーズカレー』という言葉に早くも腹を空かせつつ、アサドが『喋り屋』の質問に答えるだろうか】
【お喋りもそこそこに、『喋り屋』の魔術によって光が通路に満ち溢れると……まるで自分が闇の上に立っているかのような印象を受けるかもしれない】
【黒、黒、黒。床も壁も、通路一面が真っ黒なのだ。一体どういう意図でそのような構造にしているのかは不明だが、かなり不気味であって】
【……不気味といえば、もう一つ。光を受けた瞬間、『喋り屋』の隣の壁にビッシリ張り付いていた小さな虫が、一斉に近くの亀裂の中へ引っ込んでいくのが見えるだろう】

【よく見れば他の場所でも、ちらほらと虫やネズミなどの小型生物が光に反応して陰に隠れる姿が垣間見えるだろうか】
【虫嫌いなら相当精神に来る光景だが……それにしても。この遺跡、数多くの生物たちが住処として普通に利用しているらしい】


/続きますー


227名無しさん:2014/02/21(金) 20:01:19 ID:CX9dekr20
>>222 >>224

「おう、構わんが……調査中に見たものや手に入れたものは後で報告してもらう事になるな。手間ぁ掛けて悪いね、姉ちゃん」

現状言える事は、恐らくこの遺跡は数千年から数万年前の古代文明のものであるということ。それと、ここから謎の〝波長〟が発せられていることです。
そしてこの〝波長〟の効果、通信妨害だけではありません。遺跡に入る前、調査隊が付近の土壌を調べたのですが……。

この遺跡の周辺には、異様な程〝生物〟が集まっている。もちろん直上の砂嵐地帯は除いての話ですので、地中に住む生物が中心です。
それに件の巨大サンドワームですが、どうやらここ十数年もの間、ここを冬眠の場所に選んでいたらしい。
調査隊の見解では、長年この〝波長〟を浴び続けていたことで変質が起きたのでは、との事ですが……申し訳ない。
〝波長〟が何なのか、詳しくは解りません。鼓動のように断続的に、〝音波〟にも似たエネルギー波が観測されている、としか。

【まずはアサドがカーディの質問に答え、次いでコジマからの質問にはアルフレドが答える。カーディにも聞こえるよう、音量をやや大きくして】
【通信妨害のせいで先遣隊からのデータも受け取れずじまいで、それほど情報は多くないが――――】
【古代文明の残した遺産が、未だに謎の〝波長〟を発している。つまり、数千年から数万年もの間稼動している――――ということなのだろうか?】

【また、本来サンドワームは決まった住処を持たず砂中を回遊する生物だ。冬眠の場所とて、毎年決して一定ではない筈なのに】
【つまりこの〝波長〟には、生物の生態すら捻じ曲げる引力があるということか。しかも、浴び続ける事で変質する可能性があるというぐらいだ】
【この〝波長〟には、何か特別なエネルギーが内包されていると推測するのが妥当か……とすると、最後に気になるのは人体への影響だが】
【……詳しいことは、何もわからない。アルフレドは軽く頭を下げるだろう。この調査、想像以上に危険なものかもしれない――――】

/すみません、もう一つ続きます


228名無しさん:2014/02/21(金) 20:02:16 ID:CX9dekr20
>>ALL

着きました、ここがその分岐点です。先遣隊の動向は、ここを右に曲がったということ以外は不明……。
ここからが本番です、気を引き締めていきましょう。

【さて、五人の行動もあらかた終わった頃だろうか。順調に着いて来ていれば、一行は分岐点の前に辿り着いているだろう】
【奥に進むごとに青色の光は増して、分岐点付近の壁には青色の光が複雑なラインを描きつつ浮かび上がっていた。まだ何かしらの機能が生きている証左だ】
【分岐はY字状になっており、右側の通路の入り口に棒のようなものが立っている。迷わないよう、先遣隊が目印を立てておいたのだろう】
【アルフレドは全員に重ねて注意を促すと、銃を構えたまま右側の通路へゆっくりと進んでいく。壁や床に反響し、足音が妙に大きく響き渡る】

【コツ、コツ……がりっ。靴音に異音が混じる――――アルフレドは真下を確認したが、それが何かは暗くてよく見えず。ただ――――】


「――――罠だ! 全員避けろ!!」

【それに反応したのは、本人ではなく。微かに漂う鉄の臭いから、アルフレドが踏んだのが『固まった血』だと感づいたのはアサドだった】
【その叫びの直後、左の道の奥で?何か?が光る。それは一直線に高速で迫ってきて、すぐに五人の視界へ入ってくるだろうか】
【……虫の群れ? 否。それは通路に走っているのと同じ青色をした?光の矢?だ――――一つ一つサイズは小さいが、本数が数え切れない!】
【通路全てを多い尽くすような莫大な量の嚆矢の雨が、五人全員を串刺しにするべく一斉に飛翔してくる――――!!】

【軌道は左側の通路から一直線。軌道の先にある壁は青色に光り輝いて、突き刺さった矢を壁の中へ溶け込かして消していくだろうか】
【矢は高熱を帯びていて、ともすれば普通の弓矢より威力が高い。加えて五人の現在地は、順当に行っていればちょうど右の道への途中。つまりは直撃コースである】
【……そして、更に最悪なことがひとつ。矢が飛翔してくるのと殆ど同時、後ろから轟音が響いてくるだろうか】
【トラップ作動による衝撃のせいなのか、それともこれもトラップの一環なのか……今来た道の真上の天井が崩落し、退路が塞がれてしまう!】


クソッ……!! 皆さん、早くこっちへ!!

【――――であれば。残る手は、?前進?しかない】
【幸い、先頭にいたアルフレドは後一歩で右の通路へ到達する所だった。彼は即座に振り返るとバックステップで右の通路の中まで飛び、左手の銃を矢の雨へ向ける】
【構えられるのは、緑色のエネルギーラインが暗闇に映える、四つの砲身が連なる回転式多砲身機関銃。ハンドサイズのガトリングガンのようだ】
【刹那、風属性を帯びた?空圧?の魔弾の雨が矢の雨と激突。だが威力はあちらの方が高い、多少数は減らせるが、素通りとは行かないだろう】
【アルフレドの支援だけでは、到底突破できない……五人が各々の機転で矢を回避しつつ、右の通路へ飛び込むしかない!】

【……なお、周囲の状況だが。この通路は天井が低く、弾幕を飛び越すような上方向の回避は難しいだろう】
【また、今居る通路の傍らの壁、つまり数瞬後に矢が突き刺さるであろう壁には一際大きなヒビが入っているだろうか】
【そこを攻撃して砕く事で大きめの壁板を採取可能だ。軽い代わりに薄く、盾としては頼りないが……それは青色に光り輝いていて】
【そして、最後に。矢の弾幕が飛び出してきている左の通路の天井に、?黄色いライン?が走っているのが見えるかもしれない】

229名無しさん:2014/02/21(金) 20:09:40 ID:buu1lXlY0
【街中――公園、東屋】
【空から降る冷たい空気が地面に積もってゆく、満月を過ぎたお月様がしんと照らす中】
【逆に立ち上る吐息の白さがひとつ、ふたつ、重なって。誰かが居るよと、そっと、周囲に知らせるように】

音々ちゃんの誕生日が明日だから……、明日は朝から準備して、誕生日会して、

【鈴の音によく似た声がりんと響く、東屋の狭い範囲から溢れ出すように零れ落ちたなら、周囲の夜へ溶けていって】
【段取りを描くように設置された机の上を動く指先の仕草、ついついと動き出すのが、やがて落書きのように描き出すのは】
【デフォルメされた猫の絵、だったりするのだけれど――よほど見ているひとでなければ、気付かないような余談だった】

【真っ黒な色をした髪、腰ほどまでの長さは静かに下ろされて、ヘッドドレスのふんわりした彩りがよく映えて】
【黒色と赤色の瞳が瞬く、ついと動いた視線は一瞬だけ遠くを見て、――耳元で煌いたピアス、宝玉をあしらった色合いで】
【黒を基調にしたワンピースは腰元をコルセットできゅうと締めて、前面と背面で長さの違うアシンメトリースカート】
【赤チェックの裏布をちらちらと窺わせて揺れる、するりと続く足元は無地のストッキングと、ストラップシューズに飾られて】
【かわいらしくレースで飾られたフードのついたマントを羽織っていた。華奢な身体付き、遠目でも少女と分かるほどに】

…………はふ、音々ちゃんが二十一だから……、わたしも二十一になるんだ……、……。
天音ちゃん二十二歳かあ、……前まで九歳だったのに――。

【溜息染みた大きさで、大ボスみたいな吐息が漏れる、気付けば指先で描く落書きもすっかりと止まっていて、】
【ずべーっと机に突っ伏しながら呟く言葉、ぱたぱたと虚空を蹴っ飛ばした足先の音、言葉に添える彩りみたいに鳴って】
【「早いなぁ……」なんて呟く声があった。もう一度遠くを見やる視線は、その先に誰か/何かを探しているようでもあって】

早いねえ……、

【もう一度ぽつんと呟いた声が夜に零れ落ちる、誰かに語りかけるような声、けれど誰も居ない現実の温度差】
【耳元から宝玉の気配が溢れてくゆる、人間とどこか違った気配も相まって、なんだか異質な雰囲気を辺りへ振りまいているようだった】

230名無しさん:2014/02/21(金) 20:25:40 ID:A89md4kk0
>>226-228

(……天井に亀裂アリ、か。砂が詰まってるとなると、直ぐ上はやっぱり砂漠よね)
(衝撃には気を付けないと生き埋め必至……落ちるより生き残れなさそうだわ)

ん……そうね、どうやら道そのものは心配なさそうだわ。
どっちかといえばやっぱり、罠とか例の〝波長〟の謎のほうが厄介みたいだし
……あら、覚えててくれたの?ありがたいわね――ええ、まっかせなさい!

【簡単に調査を終わらせると、アンジェルは右手の刀の感触を確かめながら歩みを進める】
【黄色いライン――砂の詰まった天井は不安でもあったが、上手い具合にバランスは保てているようだ】
【でなければまず道自体が崩落しているのだから。そして、コツコツと進んでいくと、背後から響くのは声】

【――そして、無数の嚆矢。おまけに単なる木矢ですらない、高出力が見て取れる青色だ】
【数が少なければまだ何とか出来たろうが、余りに多い。ではどうするか、アンジェルが取った行動は次の通りだ】


【まず第一に、彼女は右の通路に飛び込んでから胸元のバッジを〝2つ〟取った。一つは――〝エレファスゾウカブト〟という昆虫を封じたもの】
【彼女は能力の応用で、その昆虫の特徴を表した鎧を装備できるのだが、今回はそれを使用した】

【結果、僅かな時間閃光が走って。直後にアンジェルの姿は元の二倍は体積が有りそうな大鎧に包まれていた】
【元の作りはフリューテッドアーマーにも似る。兜から角が伸びているのが特徴的だったが、実に堅牢なのが見て取れて】
【彼女はその鎧で矢の降りしきる中、壁になろうというのだろう。右側通路の奥には向かうこと無く、立ち止まり】

【勿論それだけではいずれ鎧ごと貫かれるのは必定だ。如何に堅牢だろうが、熱にまで耐性があるわけではない】
【故に彼女はもう一個のバッジを解放する。――だが今度は姿が変わらない。何か、手の内にあるようだが――】

(――向こうの天井に見える〝黄色いライン〟…ッ!!さっき散々見たものと同じだとすれば……)
(あれは〝裂け目から砂が見えている〟のに違いないわ!だとすれば、丁度いいものを持ってきた…ッ!)

勘でこんなことやるのは本当だったら嫌だけど、緊急時だもの……賭けさせてもらうわよっ!
この間のサンドワームと戦って貰った〝音撃鈴〟……!これの出力を目一杯、爆音が出るようにして…っ!
……ふふっ、こんな狭いところでブチかましたら、脆い天井なんてイチコロでしょ――ッ!!

【――そう、その手の内にあるのは音撃鈴。以前の報酬で受け取ったものの出力を調整し――】
【そして投擲!狙うは矢の向かい来る左側通路の天井――砂が詰まっている、と判断した黄色いラインの辺りだ】

【この目論見が上手く行けば、すさまじい爆音が狭い通路で反響し、それは宛ら山で雪崩を引き起こすかのように】
【天井の裂け目を崩壊させるのに十分な衝撃を生み出すはずだ。過程が全てあっていれば、矢の罠も埋め尽くせるに違いない】
【ただ――何せ場所が場所だ。周囲への影響という問題もあったし、そもそも考えが違うかもしれない】

【それでも緊急時だから仕方ない、と自分に言い聞かせるように――アンジェルは例の鈴を、投げたのだった】

231名無しさん:2014/02/21(金) 20:30:01 ID:F52AoKs20
>>226-228
「はぁ、へぇ……、頭わりーんでちょっと詳しい事はわからないんデスけど、とりあえず凄いっつーことデスねー?
他の生き物居たら、そいつらも巨大化したりしてそうデスね――、あー怖い怖い」

【へらへらしつつ、アルフレドの言葉を受けてこくこくと納得した様子を見せるコジマ】
【目を細め、思考を僅かに鋭くして、その波長の原因かデータをGIFTに持ち帰られればと考える】
【今更己に異能が発現するとは流石に思わないが、それをGIFTに供出する事で己の立ち位置を多少良いモノには出来るという打算だ】
【そして、それと同時に、その波長によっておそらくサンドワーム以外も何らかの変異を起こしているだろうと結論づけた】
【そのまま歩んでいく一行。そして、コジマの背筋にざわりと不気味な感覚が走りぬけ、反射的に女の足が駆動する】

「っだっらァ――――!!」

【矢が放たれたその時点で女は既に右側に移動を開始していた。地面を這う様な動作で駆け抜ける】
【防御力も攻撃力も速度も何もかもが鍛えているものの人並みでしか無い女、しかしことこの場において女は強い】
【己の生存に対する勘の鋭さ。それは、こういった探索や潜入において最大の長所となるのだ】
【腰のポーチに左腕を突っ込み、引き抜き放り投げるのは――指向性爆薬を仕込んだ爆弾。それを起爆させて、爆風を矢の群れに放つ】
【それと同時に右腕のアンカーを射出。壁に食い込ませると同時に踏み切り、巻取りによる急加速で宙を舞う】

「――っはァ……、死ぬかと思ったデス」

【壁に身体を叩きつけるかのような、全力の回避。それによって、事なきを得た女】
【他者を助けるだけの技量は持ち合わせていないものの、自己を自己の実力で守るだけの力は有った】
【アンカーを手首の射出部に戻しつつ、こきこきと首を鳴らしてため息を付いて】

(ま、この程度なら良くやってるし――想定内。
できりゃこの程度で済めばいいんだけどな、無理な話かこりゃ。あー、ガチで見捨てるのも考慮だなこりゃ)

【頭のライトの光量を上げ奥を照らしだしつつ、女は己の右手に斧を握り軽く素振りをして感覚を確かめる】
【いざという時に即座に破壊行動が出来るように、そして左腕はアンカー射出による三次元的軌道を可能にする為に開けておいた】

232名無しさん:2014/02/21(金) 20:30:02 ID:zhlacM2.0
>>226-228

『――――怖っ、私たちよりデカいじゃないのさ…下手したら、丸呑みだったわけかぁ』
『あの巨大なサンドワームも同じなのかな―――ハーダぐらいの動物が、一気に減りそ――――』

【その時は必死であったが、今はもう過ぎたこと。笑い話のように和やかな雰囲気で会話していたのだが】
【――――光の先で見た光景に、さー、と鳥肌が立つような寒気に襲われて】

『――――――今のところ遺跡の情報は無し、良くも悪くも。何だよこの黒ずくめ、気味悪い』
『虫もいっぱいいるし…なんか、すごい泣きたくなってきた。どうしよ…』

『―――――小さな生き物たちは引くぐらいいる。とすればそれらがエサなら聖地とも成り得るかしら』

【はぁ、と一つため息。情報は得られずおまけに見たくもないものまで見えてしまった】
【だがしかし、生き物の生息は確定した。それも結構多いようだ…虫がいっぱい、というのは彼女は嫌いらしいが】
【もしかしたら、他にも何かいるかもしれない。次は可愛いのがいいなあ、とか思いながら】

【――――と、そこで迫りくる罠。青い光の数々に思わず、唖然とした表情で】


『――――――うっわ、最悪だ…!そこまで侵入者に入らせたくないかっての!』
『神よ、我が声に自然の加護を――――数秒でいいから持ってくれよ…!』


【この状況、危険だ。だがこれによって、恐らくこの遺跡が「人為的な何かなのだろう」と推測】
【―――喉元の指を中指に変えて、青年らしき声を震わせる。黄色の魔力が溢れ、浮遊する土の壁と成るが、光の矢ですぐに崩れてしまう】

【やりたかったのは防御より時間稼ぎ、大きさもさほど大きくないが…全身スピードを速めて、アルフレドの元へと】
【右肩や髪など、複数を撃ち抜かれる形となったが、その右の通路に飛び込むころまでは大きなけがはしないだろう】
【その途中、ヒビや黄色いラインに気付いたが―――今は、調べる余裕もなく】

233名無しさん:2014/02/21(金) 20:32:23 ID:CKwgAcf.0
>>226

「ヒャハハハ、ちゃアーんと言ィっておいてやァるよ」
「ほォう、……ククク、奴は"ドスエコロス"――似ィているのは多ァ分先祖が同じとォかそォーいう感じだァろう」

【――なんてはぐらかすのだが、先祖どころか一世代前がハーダスフィリア(の鱗)だったりするらしい】
【あの悪魔のことだ、うっかりで丸々一頭貰えなかった腹いせ(?)に、完全再現ではなく似たような生物を創りだしたのだろう】
【DNA鑑定だとか、この場では出来ない様なそういう類のものでしか証明できないが――】

「……ヒャハッ、兄弟が似ィてなくてどォーするって話だ!」

【流石に感付かれるか――と、内心苦い顔をしつつ、しかし表向きにはいつも通りのトーンを見せて】

「(生物が集まり、浴ァび続ければ変容――こォこでも少しは拾える、ちょォいちょい採集すゥるだァけで、万が一は免れるな……隠し味にすゥらなァるか怪しいが)」

【――眼にも見えぬ波長、エネルギー、そういったものをどうやって採集するというのだろうか】
【その悪魔から、怪しい動きは一切見られない――】

「さァて、……俺様は"左ァ翼"側に行ィきてェとォころだァが、御ォ丁寧に棒をぶゥっ刺されちゃア後回しか……んゥ?」

【――と、左側の通路に目を向ければ……何か、怪しい"におい"がした、そしてそこから放たれたのは青い光の矢だった】
【同時、退路が絶たれた音がした――もとより戻る気など無い、立ち向かうのみ!】

「遺ィ跡と言ィったら罠!」 「はァ……"豪蛇"に"鎧蛇"、話が盛ォり上がって"る"な……」 「……"宵闇の鏡"、跳ァね返せッ!」

【勿論、ここに蛇なんていないし、ましてや蛇が喋るわけもない――なんて細かいことより】
【――悪魔の両手から発せられるのは、闇の霧――僅かな光でも当てれば、それが鏡のような声質を持つことがわかるだろうか】
【そして、それは光だけを跳ね返すのではない、――この霧によって、悪魔に迫る矢"のみ"を跳ね返し、"矢の減衰と己の防御"を同時に行う】
【霧は攻撃を受ければガラスが割れるような音と共に散れて、しかし継続的に出せば問題ない】

【――この霧によって、他のものに来る矢も減るかもしれないが、逆に反射した矢が飛んでくる可能性も無きにしもあらず】

【しかし、数が多い――此処は、霧を出しながら矢の射程から外れる方が懸命だと判断、右側の通路に向けて何度か跳躍して移動】
【その途中、壁にヒビが入っている事に気が付いて――反響しやすい素材な事は先程何となく感じていた、何かに使えるかもしれないと】
【壁を右脚で一蹴り、砕けた壁の一部をリュックの中にへと投入し――】

「――ほォう」

【左の通路に黄色い線が迸っていた、先程の破片は青色に輝いていたが――違う性質でも持っているのだろうか】
【悪魔は気になった、矢が止み次第左の通路に向かって、天井をひとまず観察するだろう】

234名無しさん:2014/02/21(金) 20:34:01 ID:CKwgAcf.0
>>233
/すみません、最後の3行は見なかったことにしてください

235名無しさん:2014/02/21(金) 20:35:00 ID:ds7QzQz.0
>>229

【この寒い中でよく外にいるものだ、と言えるだろう対象が東屋にいる彼女の他にもう一人いた】
【熱心に走り込みをしている体格の良い姿、白のトレーニングウェアが覗く褐色の肌によく映えて】
【被るフードから溢れうねる黒髪、180cmは超えているだろう体躯は良く見れば女性のシルエットをしていた】

【そんな彼の者は相手の近くまで走って、ふと何かに気が付いたようにその足を止めた】

……、……む。……?

【相手の付けた宝玉にだろうか、兎も角女は何かを感じ取ったらしく怪訝な顔つきで相手を見据える】
【女性でこそあれアマゾネスとも言える体躯にそうされては、あまり良いものではないだろうが】
【フードの奥、深緑色の凛とした視線は、相手の耳の宝玉よりもその薬指の方へと向いていたのだった】

/よろしければお願いします……!

236名無しさん:2014/02/21(金) 20:40:56 ID:NhfmW/NA0
>>226-228

了解。もちろん報告はするわ。皆で研究した方が本質とかが早くわかるものね

【にこり、言質をもらったならお手本のような笑みをアサドへと向けるだろう】
【――全部嘘だ。この女は部隊に加わった瞬間から、内心で益を独占しようと企んでいた】


(完璧ね……生態すら捻じ曲げる力――それだけ生物にとって魅力的なものなんでしょうね
 私の身体が変異することもないでしょう。サイズが違うとはいえサンドワームが変異するのに少なくとも数か月はかかるはずだし
 それにしても……その変異したサンドワームとやらも見てみたかったわね)


【生態を変えるほどの“波長”。それがサンドワームの進化に繋がったようだ】
【まさしくそれは、彼女が求めている物のひとつだった。情報を、あわよくばサンプルを持ち帰る以外の選択はない】
【特別な魔力を含んでいるわけでもない純粋な音ならば、再現も可能だろう】
【――周囲の壁、音を伝道させるであろうその構造に気付いた彼女はその望みは薄いと感じるも、希望はゼロじゃない】

【まあ、持ち帰るにしてもここを生きて出なければならないのは変わらない】
【アサドが叫ぶのと同時に、彼女も魔法を発動させるだろう】


“ リンク・ディメンション ”


【足の下に現れたのは魔法陣――どうやら全く違う空間に繋がっているらしい】
【そこからずるりと2匹の何かが出現するだろう。周囲の黒と同化するような、真っ黒い巨大な“ヤスデ”だ】
【ヤスデ達はカーディを矢から守るように、螺旋状に彼女を包むだろう】

【このヤスデ、ただのヤスデではない。皮膚が異常に堅いのだ。流石に熱まで防ぐことはできないが――】
【それでも時間稼ぎはできるだろう。アルフレドとアンジェルの援護により、何とか右の通路へと入ることに成功する】
【……本音を言えば左へと行きたかったが、約束通り救助はしなければいけない】
【それを終えてからでも遅くはないでしょうと思いつつ、彼女は振り返って残りのメンバーを待つのだろう】

237名無しさん:2014/02/21(金) 20:50:06 ID:buu1lXlY0
>>235

【――ぼうと遠くを見つめていた視線が戻ってくる、近場にはどうにも向けていなかったそれ】
【遠くで銀杏の木が伸ばす影を見つめていた、とは余談である。もう葉っぱのない木は何だかも不明瞭なほど】

【ひたすらぼうっとするだけなら家の中に、そうでなくとも室内に居ればいいのに。それこそ、よくも外に居るものだと言われそう】
【机にのべーっと身体を預けていたのをようやっと起こしてくる、気だるげに頬杖をついて、……なんだか、視線が、】

……――こんばんは、?

【ぼーっとしていても、どこか凛とした女性の視線は貫くようで、気付かずに放っておくのは出来ないぐらい】
【それだから気付いてしまう。相手のりんとした様子に感化されたように、そっと背中を伸ばす仕草があって】
【少しだけ相手を窺うようにしながら出した声は、――きっときっと、鈴とよく似た、美しい声をしていたはずだ】

えっと、……なにか、

【友達の誕生日会のことを考えていた。その次は時間の早さに驚いてみていた。自分がしていたことといえばそれぐらいで、】
【何が相手の琴線に触れたのかが分からなかった。違う、視線の先を見れば分かるのだけれど、(それがどうしてなのかが分からない)】
【見られている部位をそっと隠しこんでしまったならそれ以上視線で追及することは出来ないだろう、代わりに見つめる視線】
【猛禽類に見すくめられた蛇よりも可愛らしい上目遣い、ぱちぱちと少しだけ不安そうに瞬いて、――じっと、向けていた】

/だいじょーぶですよ!

238名無しさん:2014/02/21(金) 20:52:04 ID:CX9dekr20
>>230 >>231 >>232 >>233 >>236

「――――っつあ!! 危ねえ危ねえ……全員、無事みてぇだな」

【五人全員が、各々のやり方で見事トラップを突破して見せる。そして最後に、最後尾のアサドもトラップを突破するだろうか】
【機動力の低さが不幸となって少々多くの傷を負っているようだが、矢の勢いはあらゆる手で弱まっていた。彼にもとりあえず深手はないようだ】

【――――そして最後に、アンジェルの読みが正鵠を射た。炸裂した?音撃鈴?は狙い通りラインに向けて飛翔し、爆音が世界を満たす!!】
【音撃鈴の音は遺跡全体を揺らすような勢いで響き渡って、肝心の天井が崩落する音すらも掻き消したが――――目論見は成功だ】
【亀裂は砂の重みに負け、左の通路は大量の砂で塞がってしまう。これでこの通路の突破のみならず、帰りの道の安全も確保されたこととなるだろうか】

【それらの成果を確認すれば、アサドは大きく息を吐いて。振り返った彼が見据える先は、先程アルフレドが踏んだ血痕だった】

「にしても、ここに血痕があったってことは……」

ええ……恐らく、ここで先遣隊の誰かが負傷したのだと思います。
血の量からして負傷者の数は多くないはずですが、早く処置しないと危ないかもしれません。急ぎましょう!

【眼鏡を中指で押し上げながら、アルフレドは通路の先を鋭く睨む。その地面には、ぽつぽつと血の痕が続いているだろうか】
【死体はなかった。負傷はしつつもどうにか全員生き残り、奥へ進んだか。あるいは仲間の死体を置いていけず、一緒に先へ進んだという可能性もある】
【いずれにせよ、この先に進んだ?誰か?は確実に存在する。通路の先は今まで以上に青色の光で満ちているが、今は彼らの軌跡を追うしかない……】


【今度の通路はそれほど長くはない。少し進むと、一行の前に大きな扉が現れるだろうか】
【先程壁にあったのと同じ、堅く閉ざされた扉だ。そう簡単には開きそうにないが……扉の左側に機械のようなものが刺さっている】
【この遺跡の物ではない、先遣隊が持っていた専門機材の一つのようだ。アルフレドがそれを操作すると、扉は全く音も立てず横へ開いていく】
【そうして、現れるのは――――】

部屋、でしょうか。血痕はここで途切れています……近くに、いるかもしれません。

「ちいと広いが、虱潰しに探すしかないな。
 よし、皆手分けするぞ。わかってると思うが罠が出てくる可能性もある、注意しろよ!」

【――――広い、大きな部屋だった。その上いやに状態が綺麗だ。天井も壁も床も、劣化が殆ど見られない】
【先遣隊が扉を開いたことで数千年ぶりに封印が解けた部屋なのだろう。壁面には青色のラインが多数走っており、脈動するように光を発している】
【アルフレドとアサドがそれぞれ銃器を構えて警戒するが……今のところ、罠が発動する様子はない。今のところは、だが】
【アサドが全員に声を掛けると、やはり部屋の壁が僅かに振動するだろうか。音が反響しやすいのはここも同じのようだ】

【ともあれ、アルフレドとアサドの二人は散開し、それぞれ部屋の中を調べに行くだろう】
【残る五人も、各々好きな場所を調べに行くのが望ましいか。無論、アサドの言ったとおり十分に注意は必要だ】

【さて――――室内にある目立つ物といえば、まず部屋の一番奥にある巨大な扉と、その隣にある小さな扉だろうか】
【部屋の中に隠れられそうな場所はない。近くに先遣隊のメンバーが居るとすれば、そのどちらかの先が最も有力な候補だろう】
【次に、左奥にある大きな機材。材質も形状も特殊だが……大型のアームと床と同じ材質のベッドに、多量の血痕。まるで手術台のような様相を呈している】
【それから、入ってきた扉の右隣に並んでいる三つの箱のようなもの。先遣隊が一度開けたのか、真ん中のひとつは半開きになっている。中を調べられそうだ】
【最後に、部屋の中央に転がっているタブレット型の端末。どうやら先遣隊が置いていった物らしく、機能はまだ生きている。情報を引き出せるか】
【主な所はそのぐらいだが……例えば床や壁の材質について改めて調べてみたり、声を出して音の反響を調べてみたり、その他の物を調査しても構わない】
【どこをどのように調べるかは、五人それぞれの自由だ――――】


239名無しさん:2014/02/21(金) 21:04:35 ID:ds7QzQz.0
>>237

【知らされた事に別段興味は無かった。ただ、教えられた特徴に似た姿を見る度確認する程度には気になっていた】
【耳に宝玉のピアス、その条件だけでも精度は高いものであったが、薬指への視線は最終確認のつもりだった】
【隠されてしまえば見る事は出来ない、だが殆どクロだろうと確信を持てば、女は改めて相手に向き直る】
【相手の背筋を伸ばす仕草、凛としたその声に微かに目を細めた様子は、どうやら始めよりかは柔らかい印象だった】

……ああ、すまない。私ともあろうものが、筋の通らない無礼な行いをしてしまったな
なに、知人に聞いた特徴と、お前の容姿が似通っていたのでな……思わず足を止めてしまった。

その耳の宝玉……いや、奪う意思はない。ただその宝玉、……「シュトラウス」という男と、対の物か?

【出した名前と女の共通点は一見すれば見当たらないし何者か知れない、まず彼が好みそうな女でもない】
【警戒に値するかもしれなかった。だが一方で、十四日に聞かされた話を辿ったならば、女のこの相貌は】
【確かに彼の言っていた特徴と合致していた。尤も、体躯についてのみでこそあったのだが】

/ありがとうございますー!

240名無しさん:2014/02/21(金) 21:09:55 ID:F52AoKs20
>>238
(ラインの色に意味が有りそうだな……、あー厄介。考えるの苦手だし……。
黄色が矢で、青が今のところ安全な道、ねえ。……信号だったら次は赤っぽいけど。
……んでもって、他の連中は皆能力とか魔法使える感じ、か。……ま、十分強そうだな、こりゃ)

【一息ついてから、頭の中で状況を整理していく。青が安全なルートであった事を考慮に入れる】
【古代遺跡の頃に信号の様な色分けが通用するかは分からないが、一応頭の隅にでもその考えを入れておく】
【幸いとして殆ど負傷のないコジマは、確りとした足取りで歩んでいき、門の前まで辿り着く】
【音もなく開く扉。そして、コジマは迷うこと無く歩みを進めていく】

「――はーん、成る程……。とりあえずこれ、デスかねー」

(……どーせ扉は後で進むから後回し。タブレットは他の連中にまかせて、機材は持ち込んだ治療器具かなんかだろーし。
こりゃ、なんか入ってそうな箱くらいだな、気になるのは)

【中の状況を確認した上で、迷いなくコジマは扉の右隣りの箱を調べ始める】
【左手を翳し、アンカーを射出。アンカーを蓋に食い込ませて、巻き取ることで遠距離から蓋を外す安全策の取り方だ】
【もし何も起こらなければ開いているものの中を確認し、なにも無かったとすれば他の箱を軽く叩いたりしてその中を確認する】
【罠などの知識は比較的多いコジマ。常識の範囲内のブービートラップであれば、看破するのは難しくはない】

(さっきの分岐路で怪我して、ここで治療したって感じだな。
タブレットの方は誰か確認するだろーし、先ずは金目の物を確認しないとなー)

【己の意識を研ぎ澄ませて――女は危機に対するアンテナを張る】
【例えばここに居る7人よりも足音が多いだとか、何か微細でも良いから振動を感じるだとか】
【ほんの僅かな変化ですら、今のコジマにとっては警戒に値する事象となる】

【また、もし箱にトラップなどが無ければコジマは斧を振りかぶり箱の破壊を試みる】
【特殊な合金で構成された、研ぎ澄まされた厚みのある刃は、ちょっとした箱くらいならば容易く破壊できる筈だ】

241名無しさん:2014/02/21(金) 21:10:42 ID:A89md4kk0
>>238

っ―――――――――――っっさいわねコレぇ!!!

……もう!せめてもうちょっと試してから使ってみるべきだったわ…!
でもまあ、なんとか矢も埋め尽くせたみたいだし、こっちも無事だし……
……結果良ければ全て良し、ね。それに、鈴に紐を付けておいて正解だった…――。

【砂や、他のメンバーによる矢の対策は完璧だった。アンジェル自身も怪我はほぼ無く】
【動きの鈍る鎧を解除してバッジに戻すと、頬の汗を拭ってから左手をひょい、と引っ張った】
【すると砂の中に埋もれた音撃鈴がヨーヨーのように戻ってきて、それもバッジに戻してしまい】

【やがて続く部屋に入ると奇怪な光景が広がっていた。到底、古代遺跡――という感じではない】

……ねえ?もしかしてこの遺跡って、実は宇宙人の実験場だったりしない?
キャトルミュー……何とかっていう、ほら……都市伝説、あるじゃないの

宇宙人が人間を捕まえて、実験と称して解剖したり、食べたり……
別に怖くないっていうか、会ってみたいくらいだけど……なんか、不気味な場所よね
今度は箱を覗きこんだら顔に張り付くモンスターでも出てくるのか、天井が落ちてくるのか……

……私は奥の扉にしとくわ。開いても先には進まないから安心して頂戴っ。

【手術台の様なベッドとアームが特に目を引き、半開きで他は手付かずの箱も気になる】
【或いはタブレット型の端末も気にかかったが――なんとなく、手を伸ばす気になれなかった】

【そのためアンジェルはまず奥に進み、小さな扉の方を刀の鞘で二度ほど叩いてみて】
【材質や厚さ、或いは音の響き――反応。それらがあるかを確かめてから、開けてみようともするだろう】
【開いたなら更に奥を覗きこもうとするし、開かなければ大きな扉の方に向かう】
【どちらにせよ刀は手放さない。大きな部屋ほど何かがある、そう警戒しているのがよく分かった】

242名無しさん:2014/02/21(金) 21:11:25 ID:CKwgAcf.0
>>238

「ククッ、俺様は治ィ療術も多ァ少使える……まァ、頼んでも良ォいぞ」

【――治療はする、但し元通りにするとは言っていない、頼むのには少々リスキーか】
【"死滅と闇"の能力と名乗っておきながら、それとは正反対の"治療術"を持つと自称――】
【正体の割れていない状態ならば疑い辛い部分もあるが――何より、声が明らかに治す気0である】

「さァて、……」

【その部屋には様々なものが置いてあった、――どこにどのような罠があるかもわからない、が】
【だからと言って調べないのは臆病というか、無駄足を運んだだけとなる――】
【――先にこの遺跡に来たものが一体どうなっているのか、悪魔にとってはどうでもよかった】

「……箱を頂いても良ォいが、――」

【ちらりと三つの箱を見てから――悪魔が近づくのは、左奥の機材だった】
【大型のアーム、ベッド、血痕――いかにもマッドサイエンス的な雰囲気に惹かれた様子】
【この機材が一体どうやって稼働するのか、悪魔にはまだわからないが――】

「どォれ、こォいつは何に使えるかなァ?」

【――機材に何かしらのスイッチやレバーと言った類の物がないかを調べる悪魔】
【"あえて"ベッドの上に乗りながら探すのは、この悪魔が危険を顧みない欲望の権化だからなのだろう】
【血は浴び慣れたと言わんばかりである、血がどこに付こうと全くもって気にする様子はない】

【無論、何が起こってもいいように体勢は整えている――が、必ずしも全てに対応できるとは限らず】

243名無しさん:2014/02/21(金) 21:14:16 ID:buu1lXlY0
>>239

【何かをしただろうか。そんなことばかり考えていたなら、生まれつきの性格が少しだけ見えるよう】
【怖がりだというのが根底にあった。弱虫で、怖がりで、それが本当の彼女の顔だったのかもしれない】
【――けれど、守りたいものを見つけた。守りたい日々を手に入れた。それなら、少しずつ、強くなれるはずだった】

…………、?

【女性の語る言葉の途中、誰かに聞いたのだというところに、きょとんと表情が大きく変わるのだろう】
【誰に聞いたのか。それを気にするように瞬く瞳、けれどすぐに答えは発せられると同じで――、】

……そう、だよ、

【――あのひとに聞いたのだろうか。やっぱりはてなを浮かべながらにちいさな首肯を返す、対のものなのだ、と】
【一対のものをふたりで分け合った。あの白蛇を分かつのと同義なら、余計にその意味合いは深くなる】
【ひとりじめしてしまう選択肢だってあったはずなのに。大切なひととだいすきな神様を、ちょうどぴったりはんぶんこして】

【この石が宿す祟りの力は彼の力ときっとよく合っただろう、同じように、水の力は彼女とよく合う】
【はじめからふたりに誂えたようだった。或いは、もう居ない神様がふたりの未来を祝福してくれるように】

セシルの……、……“前のひと”?

【――不思議と思うような、少しだけ訝しむような、そんな視線が向けられていた。少しだけ瞳を細めるようにして、】
【指輪を指で粉砕しそうなひとだ、といってしまうと失礼になるかもしれないけれど。なんだか、実際にやり遂げそうなひと】
【なんとなく――女の勘と言ってしまえば適当だが――そう思って、緩く傾げた首の仕草で、そう尋ねてみた】

244名無しさん:2014/02/21(金) 21:26:49 ID:zhlacM2.0
>>238

【――――――何とか周り全員無事だったのを確認しつつ、息をついて】

『―――――串刺し、いや蜂の巣になるところだった…流石にあれは死ねるわ、生きてるって素晴らしい』

【やけに厳重な仕掛け。この先には見られてはいけないものでもあるのだろうか…】
【おかげで死にかけたこちらの身にもなってほしいと思いつつ、生きている実感を噛みしめると同時、好奇心が更に湧いて】
【救出という目的もあるが、こうなったら意地でも隠された何かを見つけ出したいという、子供染みた衝動に駆られた】

【彼らへとついていくように――途中、また炎を出して辺りを見ながら――進んでいくだろう】
【そして、大きい扉に差し掛かったところで、自身の炎でその扉を照らしながら、またマフラーをずらして喋る】

『―――先遣隊がこの先にいる、のかな。生きているといいんだけどね…ん?』
『うっわ、何この部屋…広くて、やけに綺麗ね。本当に遺跡なの…?』

【―――扉が開いて、大きな部屋に入ったと同時、閉塞感から解放され思わず息をこぼす】
【向こうにまた部屋があるが…部屋があるのは、昔ここに誰かが住んでいたのだろうか?なんて思ったり】

『なんだ、あれ…ベッドのような―――血痕?なんつーか、宇宙人のキャトルなんとかみたいな感じ』
『先遣隊の血なの?それとも、誰かがここで手術か何かしたというのかしら―――誰が?宇宙人?それとも場所的に地底人?』

【キャトルミューティーレーションと言いたかったのだろうが―――長い単語は覚えられないらしく、誤魔化して】
【そんなこんなで、喋り屋が一番気になったのはその手術台らしきものがある機材だ】
【仮にも手術だとすれば、ここには先遣隊以外の「誰か」が居るということも考えられる。が今は推測の域を出ない】
【それ以外なら、ここでまた先程のような罠があり、先遣隊が負傷した故の血ともとれるが―――まずは調べるのが先か】

【喋り屋は手術台のような場所へ近づくと―――その血痕の状態と、機材を調べるだろう】
【見る以外にも、材質や用途を調べるためにこんこんと手で叩いてみたり―――右手で自身の魔力を当ててみたりする】
【これで起動したら面白いのだが―――なんて、なんとも先走った行動】

245名無しさん:2014/02/21(金) 21:31:46 ID:ds7QzQz.0
>>243

【弱い人間というものを全て蔑視している女は、けれど「芯の強さ」というものを除外している訳ではなかった】
【戦う相手とするには容姿から見て、宝玉の有無を覗いても意欲は湧かない。けれど唾棄していい存在かと言えば、違う】
【相対するには無礼だと彼女の中で判断したのだろう、被っていたフードを外せば豊かな黒髪が零れ落ちた】

……聞き及んでいたか。確かに、セシル・シュトラウスは一度婚姻した相手だ
我が名はフラズグズ・スヴァンフヴィード。戦恋しさに夫を捨てたワルキューレの名さ
……済まない、お前についての連絡はあったのだが……何と言う名だったか、

【「結婚した。だからもしこの少女に会ったら、戦闘は避けて欲しい」】
【確かそんな内容だったと思い返す。随分と不抜けた男に成り下がったものだと思う以外に感じる事も無かったために】
【そこに記されていたかも知れない名までは記憶していなかった。一応の盟約を結んだ以上手出し出来ない相手に興味は無く】
【ただ盟約であるがために反古にはできず、一応の容姿と特徴だけを記憶して照らし合わせたのがこの逢瀬】

それで……お前はこんな所で、一人で一体何をしている?
それこそ、夫が心配するのではないか……、……

【そして。会ったはいいが何を話しかけたら良いか迷ったのが今、とりあえず気になっていた事を問い掛けた】
【上手く行ってないのか、などと下らない質問が口から出かけて抑える、そんな事自分が触れる内容ではないから】
【深緑色の双眸にキツい色はなかった。ただ普通に、真っ当に、寒空の下に座る相手を気にしているようだった】

246名無しさん:2014/02/21(金) 21:32:14 ID:NhfmW/NA0
>>238

【通路へと退避したカーディはヤスデ達を異次元へと帰す。この時初めて彼女の表情が曇った】
【どうやら、ヤスデを傷つけてしまったことに心を痛めている様子。だがそのおかげで自身に怪我は無い】


(機械? 魔法? 解らないわね。にしても長い間封印されていた割には綺麗じゃない
 壁が振動して汚れを落としているとか、そんな理由かしら。……それいいわね。私の部屋もそうしようかしら)


【さて、進んだ先に辿りついたのは広い部屋だ。壁には脈動する青色のライン】
【近未来的な施設とも、血管のようだともいえるか。その正体はいくら考えてもわからない】


はいはい。任せなさいな――っと


【もはや救助のことなど頭の隅に追いやられつつあるのか、適当に返事をして】
【できるだけ壁に近づかないように部屋を見てゆくのだろう】


(あら、いかにもな物体が落ちてるじゃない)


【彼女が向かったのは部屋の中心――タブレット型の端末だ】
【先遣隊の誰かが落としたのだろうか。彼女はそれを拾い上げると起動させる】
【指を画面に添えれば画面に光が灯るのだろう。さてさて、どのような情報があるのだろうか――】

247名無しさん:2014/02/21(金) 21:41:24 ID:CX9dekr20
>>240

【箱を調べようとした小嶋へ最初に齎されるのは、情報でも物品でもなく、トラップだ――――】
【三つ並んでいる箱のうち両端の二つが勢いよく開いたかと思うと、卵型の〝砲台〟が二門姿を現し、先端のレンズ状の部分からレーザーを発射する!】
【高熱を帯びた青色の光は、小嶋の頭部と腹部を同時に狙い打つ。まともに当たれば人体など容易く貫通してしまうだろう】
【ただ、箱が開いて砲門が伸びてから発射、という長い前兆もある。十分に注意していれば回避は可能だし、砲門はそう堅くないので破壊は容易だ】

【問題はそれを掻い潜った後、射出したアンカーによって開かれる、残った真ん中の箱だが……】
【中に入っているのは、淡い水色の液体が入った瓶が数本。瓶とは言っても材質は非常に硬く、地面に叩きつけてもヒビ一つ入らないが】
【蓋を開けて中を確認してみてもいいが、粘性の高いスライム状の液体、というぐらいしかわからないかもしれない】
【後で専門の研究機関に持ち込めば詳細も判明するだろうが……これをアサド達に渡すか、こっそり持ち帰ってしまってしまうか、それは自由である】

【また、箱へ振り下ろされた斧の方だが、これは破壊に失敗するだろうか。表面にキズは付いたが、相当硬質に作られているらしい】
【……だが。箱を壊すため、小嶋の視線は必然的に下がることになるだろう。この際、彼女が相応に気を張っていたのなら】
【床の上に――――ここまでの道にはなかった〝浅い溝〟が刻まれていることに、気づくかもしれない】
【箱の周辺だけではない。溝を追っていけば、部屋全体の床が溝によって升目上に仕切られているようだが……】


>>241

「宇宙人か、そりゃあ怖い話だが……どっちかって言うと、そっちの方がありがたいな。
 ……実態が全く解らないってのが、一番怖いぜ」

【近場に居たアサドが呟く。確かに古代遺跡である筈なのに、どうにも文明的というか、人為的というか――――とにかく、奇妙な場所だった】
【さて、アンジェルが調べた小型の扉は、刀で小突いた瞬間に自動で開いていくだろうか。入り口と同じ、横開きだ】
【そして、開かれた扉の先で――――ひっ、という短い叫びが漏れる。ひどく怯えた表情をした人影が数人、奥の方で固まっていた】
【こんな所に偶然人が紛れ込むということもあるまい。まず間違いなく先遣隊の人間達だろう、近づいて安否を確かめなければ、】


『うわああああああああああああああああああ!!!!』

【そこで油断してしまえば……非常に危険だ。アンジェルが扉を開いた瞬間、扉の真横から男が飛び出してきて、鉄の棒を振りかざしながら突進してくる!】
【狙いはアンジェルの頭部。容赦がない、というより見境のない一撃だった。ただ目を瞑って適当に振り下ろしたものが偶然頭に向かっていく、といった感じだ】
【その男の表情を見たなら、彼が錯乱状態にあることも想像できるだろうか。こちらが救助隊である可能性にも全く気づかず、ただ恐れのままに暴力を振るっている】
【果たしてここまで冷静さを失うまでに、どれだけの恐怖を味わったというのか――――?】

【(なおこの男の処遇については、拘束するでも気絶させるでも、確定描写で自由に決定して構わない)】


/続きます


248名無しさん:2014/02/21(金) 21:42:39 ID:CX9dekr20
>>242 >>244

【台に残された血痕は、比較的最近のものであるだろうか。よく見れば包帯の切れ端なども落ちている……幸い、宇宙人の仕業ではなさそうだ】
【恐らく、先程のトラップで怪我をした隊員がここで応急処置を行ったのだろう。血痕には引き摺った跡があり、小型の扉の方へ向かっていた】

【そして、大型のアームの方だが……下部にレンズ状の何かが嵌め込まれている。見た目は作業用の道具に見えるが、どうやらこれは〝映写機〟のようだ】
【アームの下部にはスイッチらしきものもある。横島か『喋り屋』がもしこれを押したのなら、アームにあの青色のラインが迸り、低い起動音を立てるだろう】
【アームは音も無く台の斜め上の位置に移動する。血のせいで手術台に見えたが、この台もまた投射用の器具だったらしく、表面に青色のラインが走って】
【――――レンズから光が放たれると、台の上にホログラムが投射されるだろうか。文字は非常に古いもので読み取れないが、画像は立体の地図に見える】

これは、この真上のイウサール大砂漠の地図みたいですが……。

【近場を調査していたアルフレドが気づいて、そう呟くだろうか。確かに、大陸の形はイウサール大砂漠そのものだが――――地図の上には、緑が溢れていて】
【その上、大陸のそこかしこには巨大な都市が幾つも並んでいる。この場所は昔、これだけの繁栄を見せていたということなのだろうか?】
【そしてもう一箇所、気になる場所がある。〝青い球体〟のようなものが、警告文らしき赤文字をいくつも纏って地図の南端部に表示されているのだ】
【最後に青い球体から矢印のようなマークが伸びて、都市から都市へと繋がっていく。何かの行動予測、に見えなくもないが……】


>>246

【トラップで破損してしまったのか、それとも慌てて落としてしまったのか。タブレットの画面にはヒビが入っているが……】
【幸い内部機能は生きているようだ。リグリングが側面の起動ボタンを押せば、やや見辛いもののちゃんとレポートが表示されるだろう】
【先遣隊が作成したもので間違いない。レポートの前半は、年代計測や内部のエネルギー分布、壁面や床の共振率など、細かいデータが多数書き込まれている】
【そして後半部分は……例の〝波長〟によって外と連絡が取れなくなって以降の、日誌に近い内容になっている】
【どうやら先程のトラップに襲われて隊員が数名負傷した上、それ以降例の〝波長〟が急に強まって、現在の通信異常が引き起こされたということらしい】

【日誌の最初の方は、食料もあるし救助を待つとか、今のうちに少しでも多くデータを集めておくとか、ポジティブなことが書いてある】
【だが日が進むにつれ、だんだんと内容が簡素になり、文字数も減って――――】


「怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い
  怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い
   怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い
    怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い」


【……一番最後には、そんな常軌を逸脱した文章が付記されているだろうか】


/あと一つだけ……!


249名無しさん:2014/02/21(金) 21:49:07 ID:CX9dekr20

>>ALL

「落ち着け! 砂の国自警団のアサド・アル=アーデルだ!」

『ひっ、じ、自警団の……? た、助けて、助けてくれぇえええッ!!!』

【アンジェルが襲い掛かってきた男へどのように対処するにせよ。小さな扉の先での騒ぎに気づいたアサドが、そこで慌てて仲裁に入るだろうか】
【アサドの声を聞けば、扉の奥にいる他の先遣隊のメンバーもようやく事情を察したようだ。彼らは一斉に立ち上がると、アサドへ向かって泣き縋っていく】
【その勢いにやや戸惑いつつも……アサドは、冷静に人数を確認するだろうか】
【いま自身の近くにいるのが三人、アンジェルへ襲い掛かった者が一人、部屋の奥で泣き叫んでいる負傷者が一人……】

「おい、半分しかいねぇぞ……。残り五人はどうした?」

『こ、この扉の先に……。私達は、分断されてしまって………。
 そ、そんな事はどうでもいいのよ! どうせ死んでるに決まってるわ、それより早く私達を助けなさいよぉ!!』

【先遣隊の頭数は、合計十人。残りの五人は――――まだ誰も調べていない、あの大きな扉の先に行ってしまったようだ】
【……それにしても、全員異常な状態だった。いくら場慣れしていない研究者が多いといえど、こうも簡単に仲間を見捨てるような事が言えるか?】
【加えて言えば、ここに居るのは研究者だけではない。彼らが雇った警護の者だっている。だが今や、戦い慣れている筈の彼らですら――――】
【一人は錯乱してアンジェルへ襲いかかり、もう一人は血を流して子供のように泣き叫んでいる有様だ。彼らをここまで乱心させた〝何か〟が、ここには確実にある】

「……とにかく、進まなきゃ始まんねぇな。アル、扉を頼む!」

【アサドの指示が飛ぶ。アルフレドは一言「了解しました」と告げると、緊張した面持ちで扉の横にある穴へ先程の装置を繋げる】
【程なくして、扉は開き始めるだろう。何故かスムーズには開かず、ガギギギ!!と嫌な音を立てながら、ゆっくりとその先の光景が明らかになって――――】


/……すんません普通に紙幅足りませんでした(土下座)


250名無しさん:2014/02/21(金) 21:50:01 ID:CX9dekr20




                                    "WaLtIas"
                                  < 目 覚 め よ>




【…………――――――――――、】
【声、だった。いま居る広場の壁、床、天井、その全てが一斉に共振したかと思うと、〝少女の声〟が全域へ響き渡る】
【それは既存の言語に当てはまる発音ではなかったし、音量もあまり大きくはない。ともすれば聞き逃してしまいそうなほど、儚い声であって】
【……そして、不思議なことに。発音自体の意味は不明であるのに、<目覚めよ>という言葉の意味だけが、何故か理解できるだろうか】
【心に直接意味を刻まれているような、そんな響き。だが同時に刻み込まれるのは、それだけではなく、】

【――――恐怖、恐怖、恐怖、恐怖、恐怖、恐怖、恐怖、恐怖、恐怖、恐怖、恐怖、恐怖、恐怖、恐怖、恐怖、恐怖、恐怖、恐怖、恐怖、恐怖、恐怖】
【――――悲哀、悲哀、悲哀、悲哀、悲哀、悲哀、悲哀、悲哀、悲哀、悲哀、悲哀、悲哀、悲哀、悲哀、悲哀、悲哀、悲哀、悲哀、悲哀、悲哀、悲哀】

【その儚い音色に乗せて、強い〝恐れ〟と〝悲しみ〟…………そして〝孤独〟の感情が、各人の心の中へ直接流れ込んでくるだろう!】
【遅れて、先遣隊の悲鳴が木霊する。彼らがあそこまで追い詰められていたのは、もしかするとこれが――――】
【……だが、それについて考察している余裕は、もはや残されていない】


―――― K`rOcKadu ClJim s/qh ElIar YkRas, N`rOcEruk YtMic s/qh ReHahm TeCad.
        < 蒼 き 天 穹 、微 塵 と 砕 け  母 な る 大 地 は 御 許 へ 還 る >


【ふと、壁や床から〝音楽〟が流れ出すのが聞き取れるだろうか。それに合わせて次々に紡がれる言葉。単なる〝声〟は――――この瞬間に〝歌〟と化す】
【同時、部屋全体から淡い黄緑色の光が発せられる。まるで蛍が飛び交っているかのよう、不気味な遺跡は幻想世界へ塗り替えられ、悲しい旋律が溶け出してゆく――――】

【――――そして、その直後。開き切った扉の向こうから〝青色の雷撃〟が一直線にこちらへ向かってくるだろう!】
【雷撃はまず部屋の壁面に直撃すると、そこを基点に反射して数十本に拡散し、いまこの部屋にいる全員へ一本ずつ降り注いでいく……!!】
【大まかにだが、狙いは胴体のようだ。この攻撃は本物の雷とほぼ同じ性質を帯びており、当たれば全身へ通電して大きなダメージを被ることになるだろう】
【ただ幸い、雷と言っても光の速度で迫ってくる訳ではない。回避も防御も可能だ――――この不可思議な歌に気を取られなければ、ではあるが】

【その歌についてだが、これは能力で言えば『精神干渉系』にあたる。いくつかの方法によって、この『言葉の意味と感情の流入』は防ぐことが出来るだろう】
【まず、それに対する耐性を持っていたり、あるいは防御できるアイテムを持っていること。あるいは単純に耳を塞ぐなどして、媒介となっている〝音〟を遮断すること】
【……そして、各々が強く心を持つこと。言葉の意味の流入こそ防げないが、感情に揺さぶられず動くというだけなら、たったそれだけで十分だ――――】


251名無しさん:2014/02/21(金) 21:52:26 ID:buu1lXlY0
>>245

【真っ先にぴしりと伸ばした背中が少しだけ緊張感をなくす、怖いひとでないと認識したように】
【限りない白色にぽたりと一滴青色を垂らした色合いの宝玉も、今となっては少女を飾るためにあるかのよう】
【戦闘など似合わないような顔で居るのだろう、相手とはまるで違った――平和な場所に咲きたがるような、色合い】

この間聞いたの、ほんのちょっとだけど……――前に結婚したひとが居たんだって、

……りんね。鈴の音って書いて、鈴音。

【机の上で緩く手を弄ぶ、聞いていたのかといわれたなら、緩やかに一度だけ頷いて】
【それでもたくさんのことを聞いたわけじゃない。ほんの少し、思い出を教えてもらっただけ――】
【だから。失礼でない程度に向く視線があった。それと同じぐらいに、興味も向けて】

【――苗字を名乗る必要はないだろう。簡単に自分の名だけ告げたなら、相手に何があったのかなんて気づけないまま】
【そんなやり取りを彼女は知らなかった。気取ることすらできなかったなら、そんなことに思い当たるわけもなく】

明日ね、友達のお誕生日なの……、……だから、その準備の帰りで、――お散歩、していこうかと思って。
――だいじょうぶだよ、ちゃんと待っててくれるもの。いっつもね、おかえりなさいって、言ってくれるんだから。

【始めにひとりごちていたことへの説明、心配してくれてるのかという風に瞬く視線は、じっと見上げたまま】
【そのうち向かい側の席を示してみるのだろう、つまり、「座らないの?」と尋ねていて】
【緩く笑いながら告げることは、――きちんと信頼しているのだろう、信頼して待っていてくれている、と、心の底から】
【気紛れにお散歩に行くのをいつだって許してくれて、待っていてくれる。その顔を知らないのなら、教えてあげるみたいに】

【(一日だけだったというなら、きっと彼のいろんな顔を知らないだろう。それがなんだか誇らしいような、嬉しいような、)】
【(子供っぽく自慢してみたくなるような気持ち。出さないようにかみ締めたなら、ほんの少しだけ悪戯ぽい笑みが覗いていた)】

……明日誘ったら来てくれるかな。セシルもね、知ってる子なんだよ――。

【――ふふと笑いを零しながら言うのが相手にとっては知ったことではないだろう、曖昧に首をかしげて、】
【もしも呼んだならあの子は喜んでくれるだろうかと考える幕間がある、とりあえず、帰ったら話してみようか、なんて思考して】
【そうする頃には大分始めの警戒染みた感情も抜けつつあるらしかった。その態度も、相手がそうしてくれたように、柔らかになって】

252名無しさん:2014/02/21(金) 22:05:10 ID:F52AoKs20
>>247-250
「さーって、何が出るかな――っと」

【警戒をしつつ、じりじりと箱に近寄ったが、直後に嫌な気配を感じて斧を握る手に力を込めた】
【両端の箱が唐突に開き、そこから砲台が二門現れる。そして、それを認識した瞬間に、コジマは前進を開始した】

「――おもいっきり距離詰めときゃ良かった!!」

【両腕を振りぬき放たれる、一対のアンカーは正確に砲台のレンズを狙い打つ】
【ぴきり、とレンズ部分に罅を入れ、発射のラグを生み出すと同時に、斧を振り被りながら加速】
【指向性を失うことで威力を減衰されたレーザーの隙間スレスレを縫いながらも、斧を振りぬき破壊を行う】

「……はァ……、流石に傷ついたッスねー」

【一瞬素に戻りつつ、己の右脇腹のじくじくとした痛みに顔をしかめる】
【脇腹をかすめたレーザーによって、熱傷を帯びていた。幸いとして、直撃ではない為皮膚以外に外傷は無かったが】
【アンカーによって開いた箱。その中に入っていた瓶の内3本を空のポーチにしまい込み、残りの瓶を取り出して】
【斧で箱の破壊を試みるものの、それは殆ど意味をなさず。嘆息すると、他に何か参考になる点が無いか、意識を傾けていく】

「……ふぅん――溝、か。……なんか意味有るんデスかねー?」

【そう呟きつつ。女は、ぞわりと己の背筋に襲い来る、新たな――〝死の危険〟を感知する】
【直後、アンジェルには男が飛び出し、襲い掛かってくる。それと同時に、コジマは入ってきた入り口に向かって迷いなく駈け出した】
【その行動は、部屋の中に何かが起こる。そういう勘であったが、それは数秒後部屋の向こうから雷撃が来る、という事で実現される】
【どちらにしろ、奥の扉から距離を取るという行動は、判断の猶予を生み出すには十分な時間を与えてくれるものであって】

【直後響いた声により発現する、精神への強い干渉。――恐怖、悲哀、孤独】
【己の心を軋ませる、その精神干渉の力。視界がちかりと光を帯び、女の表情が一瞬歪み。怯えるように左手で己の耳を押さえる。和らぐ恐怖】
【そして、同時に己に迫り来る雷撃の光条。それを認識した瞬間に、コジマの思考は〝今眼の前にあるものへの恐怖〟で上書きされた】
【脅威に対する恐怖。死を恐れる心、怯えこそがこの女の力の源泉。真の脅威をコジマが見誤る事はそうありはしない】

「…………ッっしゃァ!!」

【雷撃の方向へと斧を投擲。避雷針のように雷撃の身代わりとすると同時に、コジマは己の腰から取り出す音響手榴弾を空高く投擲】
【鳴り響く轟音が一時的に空間に満ちる歌を雑音として塗りつぶし、また爆轟により耳鳴りなどが起きる事で一時的にだが歌の効果は軽減されるかもしれない】
【先ほど怯える動作で耳を抑えた所から、音が聞こえることが問題であると判断した結果の対処が、それであった】

253名無しさん:2014/02/21(金) 22:09:35 ID:A89md4kk0
>>247-250

あら、自動ドア?やっぱり古代遺跡にしては随分ハイテク、って――!!
―――っ、ちょ…!あっ、………っぶないわねこの――ッ!!

【扉を引いた途端の悲鳴。さすがのアンジェルもビクリを小さく身を震わせたが】
【その手に持たれた鉄パイプに加えて、それが自身の頭を狙うという――これまた非常事態だ】
【もしこれが単なる掴みかかりだとかだったなら、或いはいいようにやられたかも知れないが】

【明確に自分を狙う凶器があるとなれば別。即座に刀の柄を両手で抑え、一撃を受け止めて】
【それでも突然だったからか、先端が頭部に触れて、前髪の影からつぅ、と血が流れ】

【――そこから先は展開が速くて、なんとも言えない。ただ言えるのは、取り乱した男は気絶する、ということ】
【多分、恐らく、推察するに。アンジェルはその刀を即座に振るい、相手の首でも打ったに違いない】
【それによって何とか危機を回避して、そこにアサドが仲裁に入り、奥の部屋の様子が明らかにもなって】

っ……なんだっていうのよ、一体…?狭い部屋に閉じ込められた恐怖……?
でもっ、他に人も居るし動く程度の元気もある……何か、別の原因が……、……っ!?

――――もう何なのよこの遺跡ッ!古いなら古いで壊れてりゃいいのよ、罠ばっかりッ!!!

【次いで起きる異変は音楽、そして青藍の雷撃!次々引き起こる罠の数々に悪態を吐きながらも】
【アンジェルは刀を中腰に持って――迫る雷を見極め、正面からそれを斬って退けた】
【当然に刀は帯電するのだが、これを地面にザクリと突き刺す。なんとか雷を地に流そうというワケだ】

【加えてこれで手が空いた。アンジェルは心が強い方――とは言え、何時迄も耐えられるものではない】
【それを分かって、今度は音楽を聞かぬようにと両手で耳を塞いだ。音が聞こえない分、眼での警戒を怠らない】
【もう何が起きても不思議ではない。まるで遺跡そのものが訪れる物を食らう巨大な罠のように思えてならなかった】

254名無しさん:2014/02/21(金) 22:12:51 ID:ds7QzQz.0
>>251

鈴音、だな。確かに、記憶した
……討伐対象がたまたま夫婦の契りを必要とする神殿の奥にいただけさ。それ以外の何物でもない
お前に何も悪い気は抱いてはいないし……、お前も、構える必要はない

【ろくでもない奴を介した縁でこそあれ、今眼前にいる相手は思い描いていたよりずっとまともな人間だと思った】
【向かい側の席を視線で示されれば軽く頷き、首筋に汗でへばり付いた髪をかき上げて其処へと腰掛ける】
【セシルと近い位の身長で、恐らく彼より重みのあるだろう筋骨隆々とした体躯。醸す気配にも妙な存在感を持っていた】

ほう……友の誕生日か。祝うために前日から準備を構えるとは、良い心掛けだな。
……そう、か。……まあ、ならば良いのだが……、……

【あれが所帯染みた顔をすることを思い描けなかった。それは相手の目論んだ通り、討伐以外接点を持たない女には分からない事】
【気にするなとは言っておきながらも話題にはしづらいのか、誠実な様にらしくもなく曖昧に肯くのだった】

む……その友を、家に呼ぶのか? それは、その……奴も一緒に住まっているのだろう?
友としてはなんだ、その……居づらくはないか? ……、……いや。私の立場だからそう思うだけか……?

【互いの微妙な関係の中で真剣に悩んで見せる姿は、その体躯に似合わず随分と女性らしいものだった】
【友人の夫、それなら別にいてもおかしいものではない、けれど自分が考えるとどうも違和感を覚えてしまう、そんな葛藤】
【褐色の肌をし目鼻立ちのはっきりとした顔に手を添え、長い睫毛の双眸を斜め下に伏せて考え込むのだった】

255名無しさん:2014/02/21(金) 22:18:38 ID:zhlacM2.0
>>247-249

【―――見つけた瞬間、迷わず、スイッチを押す。そして現れる映像に、首を傾げた】

『イウサール大砂漠?これが?―――形はあってるような気もする、いや確かにそうか』
『けれど、緑過ぎるでしょ…大昔の、砂漠でなかったころのここっていうこと?そんな昔に、こんな技術が…』

『これは、この青いのって一体―――――?』

【喋り屋が思ったのは、そんなこと。やけに緑色だし、栄えている。今とは違う、昔のイウサール大砂漠なのかと、推測が沸いて】
【警告文じみたものを纏う青の球体に気を取られ―――其れを調べようとした矢先だった】

【そこで、悲鳴が聞こえてそちらへと移動する。どうやら先遣隊が見つかったようだが】
【どうにも様子がおかしいし、何より分断された、というのが気になったが―――アサドたちを追うように、部屋へと】

『――――― 一体、何があるっていうのさ?』

【部屋が空いた瞬間に、やや訝しげに部屋の奥を見据えて―――その時、少女の声を確かに聞いた。理解した】

【…“目覚めろ”?何にだ―――その言葉を聞いた瞬間に、思ったことはそれだけだ】
【瞬時に、何故意味が分かったのかという疑問、そして―――謎の歌による、負の感情が溢れて】


――――――――――――――――――――――ッッ!!!


【何だこれは、そう思った瞬間に歌が聞こえすぐに耳を塞いだ。成程これが先遣隊を苦しめた原因か】
【おかげで言葉を紡ぐことが出来なくもなったが、まだ冷静に周りを見る。】
【そして追撃―――光る一閃、それが雷のような何かであることに気付くのに、時間はかからなかった】

【雷が飛んでくると同時、大きく右へと跳んで回避行動を取る。その際に雷に触れたであろうマフラーの端が焦げて塵と化した】

―――――…っ…、〜〜〜〜ッッ、ぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅっ…!

【―――静まれ、そう祈るように耳を塞ぎ続ける。その上で、自分にしか聞こえないように声を出し歌を少しでも掻き消さんと】
【しずまれ、うるさい、しずまれ、しずまれ―――唇を動かして、必死にその歌による感情の流れに飲み込まれないよう、耐える】

256名無しさん:2014/02/21(金) 22:18:50 ID:CKwgAcf.0
>>247-249

【もし喋り屋がスイッチを押そうとしてもしなくても、悪魔はボタンを押そうとするだろう――】

「うおっ、眩しっ」

【熱を感じれば台から降りて、投影される映像を見れば――なるほど、緑溢れる古い地図のようだ】
【――3Dホログラムに驚かなかったのは、反応が薄いとかそういうわけではない、原理は違えど似た技術を持っているからだ】
【地図――そう言えば、自分だって計画を立てる時は地図にメモを書いたりするが】

「(おォい、テメェーら――古代文字は読ォめるか?)」 『(俺は夜の国出身だぜェ、ボス? 昔だって言語はいっぱいあったからなァ)』
「(……鎧蛇)」 {(すなのくに、わたししらない)} 「(テメェーの国は国でとォっくの昔に滅びてるしな……)」

【――今、悪魔と融合している二匹の蛇は元々遺跡から一部を発掘して復活させた存在で、魂は同一】
【一部地域で神として崇められていただけあって知能は高く、古代に生きていた存在ならば――もしかすれば、読める可能性もある】
【とはいえ――昔も昔で言語は複数あったはずだ、読めない可能性も高い】

「(ふゥむ、……とォりあえず、こォれは使えそうにねェな)」

【そして、機材自体は――持ち帰るほどの自分には価値は無いと判断したようだ】


【文字が読めたとしても読めなかったとしても、――状況は変わる】


「ほォう……だァれかがパァンドラの箱を開ァけちまったよォーだな」

【――この悪魔にとってマイナスの感情は好物であり、"己の一部"でもある――故に耐性は常人よりも遥かに高く、揺さぶられることは無かった】
【むしろ――"餌"。元々微かににおわせていた邪悪さが増したように感じられて、また、リュックの中からも同じく感じて――】
【……だが、雷は雷で別。――こちらは対処せねばいけない、"厚着"をしているからといって耐性があるわけでもないのだ】

「ちィ、地ィ図で一旦油ゥ断しちまってたか……!」

【機材の罠には備えていたが、一旦備えを解いていた――先程のように黒い霧を生成して防御するも】
【全てを跳ね返すことが出来なかった、身体に電気が流れて数秒ほど動きが止まる――】
【――服からは焦げ臭さが漂い、素材が素材なため、焦げ臭さまでもが混沌としている】

「ククッ、――やァりやがる、どォれ顔を拝んでやァろうか」

【再び宝箱をちら見、――淡い水色の瓶が数本か、なんて思っていたら次には無くなっていた――単純だ、持って行かれたからである】
【もしかすればコジマは欲深ァーい視線を感じたかもしれないが……】
【――さて、今は"殺してでも奪いとる"事が出来る状況ではないし、第一彼女に敵対するつもりはない、まずは扉の中にへと突撃するべし】

【あんなに厚着をしていてしかも大荷物なのに、よくもまあこんな俊足を見せられるものだ――】
【悪魔は突撃兵の如く、先程開けられ"青色の電撃"を発した扉の中にへと駆けて行った】

【繰り返しになるが――悪魔の目的は、"アビスゲートの強化"。この扉の先にはその材料があるような気がしたのだ】

257名無しさん:2014/02/21(金) 22:19:44 ID:zhlacM2.0
>>255の安価先にに>>250も追加で…

258名無しさん:2014/02/21(金) 22:26:51 ID:NhfmW/NA0
>>247-250

【――指で画面をスクロールさせつつ、レポートを斜め読みしてゆく】
【今ここですべて読む必要はない。ただ、この場にて役に立つ情報は必ずあるだ】


(このデータは……何かに使えるかもしれないわね。まぁ、この遺跡の正体がわかってからだけど
 後は日誌、かしら。……きっと外れね。他の子達が調べてる物の方がずっと――)


【情報がデータから日誌に変わると、彼女は興味が薄れたのか大雑把に読み飛ばしてゆく】
【――が、そんないい加減な読み方でも、これを記した者の変化には気付けたのだろう】
【彼女の指がぴたりと、止まる。表情が宿す色は恐怖ではなく――笑み、だった】


…………。


【端末の電源を落とすと、白衣の内ポケットにそれを仕舞うのだろう】
【この者達は如何な脅威に遭遇したというのだろうか。それはどうでもいい】
【だが、人を壊すほどの脅威がここを守っているのだ。さぞ重要なものを隠しているのだろう】


(さて……救出は半分成功ね。これじゃあ約束を守ったとは言えないわねぇ)


【全員救助しなければ自由時間にはならない】
【足を引っ張らないでほしいものだと身勝手な思考をしつつ、扉が開くのを見届ける】
【その瞬間から――“異変”は始まった】

【聞いたこともない言語が響く――なのに理解はできた。何が目覚めると言うのか】
【それを考える間もなく負の感情が襲いかかってくるのだろう。精神攻撃の類か】
【彼女は落ちついて深呼吸をする。だが、意志に反して涙があふれ出し――】


面倒ね――“ リンク・ディメンション ”


【防げないものを対策しても仕方が無い。彼女は何があってもいいように、先程と同じく真下に魔法陣を張る】
【そこから這い出るのはやはりヤスデ。だが今度は尋常ではない数のヤスデ達が彼女を覆ってゆく】
【これで安全かと思われたが――襲いかかるのは電撃。威力をヤスデ達が分散させてくれたが、当然中にいる彼女は無事では済まず】


………………痛いわね


【しばらくしてヤスデが還っていけば、片膝を突いた彼女の姿が見えることだろう】
【少々精神がやられたのか――自我を保つのが精いっぱいという様子だ】

259名無しさん:2014/02/21(金) 22:34:34 ID:buu1lXlY0
>>254

【女性としてはずっと大きな相手の姿、対するこちらのなんとか細いことか】
【ぎゅうと握れば中で骨の折れてしまいそうな腕、一番太いはずの胴すらひどく華奢で、足なんて棒のよう】
【それをマントで隠して辛うじて普通のひとぐらいな錯覚。平均よりも痩せていたのは、ひどく頼りがいのない身体付き】

ん……友達の家でパーティするんだよ、その子と、その子と一緒に住んでる子と、わたしとで。
うちでやっても良かったんだけど、――今年はセシルに聞いてないから、駄目なの。

【少しだけ、誤解があるようだった。自分の住む真っ黒色の屋敷でそれをするわけじゃないのだと、】
【そこを緩く訂正するように言葉を紡いでいく、最後にふらと首を揺らしたなら、来年はそれでもいいかもなんて続くよう】
【相手の家に彼を招いてしまおうかという話だった。それはそれで、あちらが気まずくもなりそうだったけれど――】
【――まあ、冗談なのだろう。いかにも軽い調子だったのだし……ただ、まあ、知らせることぐらいは、と考えて】

ねえ、……昔のセシルってどんなだったのかな。わたしね、戦ってるところなんて、見たことないから――、
いっつもね、優しくしてくれるんだよ。そんなのね、思い浮かばないぐらい――だからね、ちょっとだけでもいいの。

【――まあ伝えておこうと思った。はじめはあのふたりだけで出会ったのだし、教えたって悪いことではないだろうから】
【そんな結論を導き出して数秒、ほんの少しだけ考え込むような顔があったなら、何か企むような気配が続く】
【それから。机ににじりと身体を寄せて、唐突に尋ねたのが、それだ。彼の昔のこと、純粋に興味を持って知りたがる】
【自分にだけ教えてくれた顔があるみたいに、彼女だけが知る顔もあるのだろう。それを、知りたくて、】

【本人の居ないところでは、というなら大人しく従うだろう。少しだけ残念そうにはするだろうが――】
【そう、彼がそうしているところを見たことがなかった。そんな話は聞いていたし、水に住まっていた頃に名残は見ていたのだけれど、】
【強いて言えばその片鱗だけ見たことがある。あの白蛇が居なくなった日、――見たこともない彼の顔を見た。それが、きっと、】

260名無しさん:2014/02/21(金) 22:51:12 ID:CX9dekr20
>>256

【浮かんでいる古代文字だが……確かに文字自体は蛇たちの生きていた古代のものと一致する所が多いものの、恐らく読めないだろう】
【よく文字の並びを観察すれば、もしかすると気づくかもしれないが――――高度に暗号化が成されているのだ】
【これだけの罠に、暗号化された文字。どうやらこの遺跡は、遥か古代の時代においても相応重要な施設だったようだが……】


>>252 >>253 >>255 >>256 >>258

「っぐ――――あぁああああッ!!」

隊長ッ!?

【アルフレドを含む六人は、各々のやり方で雷撃を避けることに成功したが――――ひとり、避けきれなかった者がいた】
【厳密に言えば、避けられなかったのは五人だ。怯える先遣隊の五人を全員小部屋に叩き込んで避難させるた代わり、アサドは背中が雷撃を受けてしまう】
【勢いのまま、アサドも小部屋の中へ吹き飛んでしまうだろうか。アルフレドが瞠目して叫び声を上げるが……助けに入るより先に、新たな言葉が紡がれて】


  PtOcRuem L`oSah WrAy o/qh, SvOcKure E`gYak DwTeu o/qh.
< 愚 者 の 嚆 矢 は 降 り 止 ん で  賢 者 の 杖 は 消 え 失 せ た >


【刹那、開かれた扉の向こうから――――稲妻を纏った長大な斧を携えた、全長三メートルを越える人型の兵器が一切音を立てず高速で飛翔してくる!】

【壁や床と同じ材質の彫刻のような体躯に、その上に青色のラインが巡る外見だ。それに加え、全身が蛍のような淡い黄緑色の光を発しているだろうか】
【人型とは言うが、足が短く腕が長い、重心を下に置いて安定性を追求したフォルム。頭も小さく、兵器として洗練されていることが伺える造形】
【そして、胴体と両手両足、そして頭と、間接と間接とが完全に分離して浮遊している。その間には青色の稲妻が走り、それぞれを接続されているようだ】
【背面にはいくつも穴が開いており、特に腰元ではスラスターのようなものが青色の光を噴出しているだろうか。この突進もこれによるものだろう】
【……もしかすると、横島の勘は正しかったのかもしれない。兵器は「逃がさない」とでも言いたげに、その巨躯で扉を完全に覆って、横島の侵入を防ぐだろうか】

まずい…………ッ!! 皆さん!!

【そして、兵器の隙間から辛うじて見えるその先の光景は――――滅茶苦茶に破壊された、もはや通路とも呼べない破壊跡だった】
【先程扉がうまく開かなかったのも、扉が何らかの力によって歪まされていたかのようだ。また……通路の行き止まりの場所に、大量の血が確認できるだろうか】
【――――それを見て咄嗟に全員へ叫んだアルフレドの警告は、またも後手。兵器の細い両目らしき部分から、淡い水色の光が漏れて】
【その光の狙いは、間違いなくこの場にいる五人の排除。斧が振り上げられると同時、小嶋が見つけた?溝?に沿って、部屋の床中に光のラインが走る!】


T`eAnut EnRoie i/qg VcZim Naz HeKiuh, TpMelot Eflot Naz YlOcEos DsAnus FoItug.
     < 刻 み 響 か す 繋 の 音 色  命 を 絆 し 砂 棺 に 納 む >


【巨大な斧が、目の前の床へ勢い良く振り下ろされた。しかし大質量の斧がぶつかった筈の床板には一切傷はなく、代わりに】
【ごどん、と。重たい音が鳴ったかと思えば、光っていた升目上のラインに沿って、この部屋の床が丸ごとすべて?崩落?する――――――!!】

【床が抜けた下の空間には、辛うじて地面らしきものが確認できる。だがどう見ても数十メートルは下だ、このまま落下すればただでは済まないだろう】
【飛行能力があればそれで事足りる話だが、もちろんそんなものを持っている人間は限られる。このアルフレドもまた、それを持たない一人であって】
【故に――――五人と一緒に階下へ落ちることになる、ブロック状と化した大量の床板。彼は空中でこれを蹴って、目の前の兵器の足にしがみつくだろうか】
【見れば、兵器は背中のスラスターを噴かせて空中で減速している。確かに兵器に掴まっていれば、地面に叩きつけられることはないだろう】

【壁に掴まれるような場所はない。とすれば飛ぶか、アルフレドの使った方法か、一緒に落ちる多数のブロックを使うか、はたまた別の方法か】
【幸い、小嶋が投げた音響弾のお陰で、歌から流れ込む『感情』の影響も少しは小さくなる筈。素早く動けば、この危機は脱せられるはずだ!】

【……そして、数秒後。兵器は轟音を部屋中に響かせながら着地する】
【だが流石にこの巨体だ、着地後すぐには動けないらしい。五人が無事なのであれば、これは反撃のチャンスとなるだろう――――】


261名無しさん:2014/02/21(金) 23:00:50 ID:ds7QzQz.0
>>259

……何だ、そう言う事か……、変に勘ぐってしまったではないか。
む、つまり……奴を呼ぶと? 女三人に、奴一人……ふっ、くくっ……

【勝手に取り違えて一人悩んだ事に、むう、と拗ねる様にした表情がやはり体躯に似合わず面白い姿だった】
【それからその絵面を想像する。彼女位の歳の女性に囲まれてあれはどんな面をするのだろうか、と思えば笑いしか出なかった】

昔の奴、か……? そうだな、十年は前の話になるが……「優しい」からは、程遠かったと思う
まだ奴に護る物が無かった時代だ、死に急ぎのような戦い方ばかりして……見ている此方が肝を冷やしたよ
まあ……強かったのは、確かだな。側で見ていた私が保証してやろう。何度か戦った事があったが、勝てなかった

【興味津々といった体で問い掛けてきた相手に、少々面食らった様子ながらも女は過去の記憶を辿っていく】
【獲物の配分で争うのが日常茶飯事だったギルドである、というのは風の噂に知っているかもしれないが】
【目の前の屈強な女をして勝てなかったという当時の彼は、きっと鈴音の知らない顔をしていたことは確かだった】

……ああ、馬鹿だったのは変わらないよ。強さを過信すると馬鹿な事をしたがるのだろうな、男というものは。
奴は呪術を用いるだろう。其れでな、避ける事もせず敵の攻撃を受けてから、倍にして跳ね返す事に凝った時期があった
この私もその卑怯な手で負けた事があったが……、ある時跳ね返しに失敗して本当に死に掛けて止めたらしい
まさか今はそんな戦法を取ってはいないだろうが……護る物が無いというのも、恐ろしい事だ

【今は相手という宝物がいる、ならばそう易々と命を投げ出すような遊びに興じる事はないだろうと】
【そこまでの馬鹿ではないと知っている、だから最後にそう添えたのは、或いは相手の心配を減らすためだろうか】
【そんな気遣いなどしそうにない外見の女は、過去に敗北した記憶も掘り出してしまったためか若干無愛想だった】

……友の祝いには、何をするのだ? 菓子を摘む程度しか思い当たらなくてな、気になった

【此方から尋ねたのはそんな内容だった。相手程の年頃で家で祝うとなると、その他には思い描けなかったらしい】

262名無しさん:2014/02/21(金) 23:06:44 ID:F52AoKs20
>>260
「……あン?」

【悪魔から己に向けられる視線。それに対しての反応は、視線をチラリと向ける事で実行された】
【目はやたらと冷たく荒んだもの。悪魔が人を見る目を持ち合わせていれば、間違いなくカタギではない事が分かったろう】
【そして、雷撃を防ぐのに斧を使うものの、散った火花で肌の随所に熱傷を負う女。ダメージは決して低くないものの、それでも致命傷は避けられた】
【先ほどから、コジマはダメージを喰らわないのではなく〝死なない〟為の行動を行っている。勝利でも成功でもなく、敗北しない、失敗しない行動ルーチン】
【それこそが、コジマの行動論理の根幹。己の分を弁えているが故に可能となる、徹底した生存特化の行動であった】

「――っは……ァ……ッ」

【荒い息を吐きながらも、雷撃の身代わりとなった斧を拾い上げる女】
【そして、己の恐怖に従うがままに女は駆け出した。それとほぼ同じタイミングで、人型兵器が現れる】
【不思議な外見であるが、今のコジマにとってそれらは些細な問題でしか無い。死ぬのが怖い、だから死なない選択肢を探し続けなければならない】

「喧嘩売るなら私以外にしてくれねーッスかね……!」

【己に迫り来る敵。そして、振り下ろされる斧――床板が軋み崩れゆくその状況】
【アルフレドが兵器の足にしがみついたのを見て、コジマもそれに倣う。左腕を振りぬいた】
【振りぬく左腕から射出されるアンカー。ワイヤーによって兵器の腕――斧を持つ方に固定を成功】
【巻取りによって、急速に兵器との距離を詰めていき、安全な位置取りを成功させる】

「……くっそ、なんで屋内でロッククライミングしなきゃいけないんスか!!」

【荒らげる声。その顔は、苛立ちと状況に対する恐怖に染まりきっており、完全に情けないそれ】
【しかしながら、それでも足掻き続ける当たり、しぶとさという点では一つ頭抜けていると言えただろうか】
【ロボットにしがみついたコジマは、有ろうことかその身体をじりじりと登り始めていた】
【右手の斧はホルダーに固定され、代わりに握られていたのは、爆薬】
【相手の装甲の継ぎ目にそれをねじ込むことが出来れば、あとは全力で離脱すると同時に、それは起爆させようとするだろう】

263名無しさん:2014/02/21(金) 23:11:53 ID:A89md4kk0
>>260

くっ、……!ちょっと隊長さん大丈夫なの…っ!?
あのナリだから一発ノックダウンとは思わないけど、案内が居なくなるのは困るんだからッ!

―――――……今度は人型兵器ってワケね、全く……!

【小さな扉を開けたアンジェルだ、他のメンバーより近い位置でアサドが雷撃を食らうのを見た】
【と言っても、見ただけ。助ける余裕は全くなかったし、気遣うにしても直ぐに意識が他に行った】
【理由は言うまでもなく新たなる敵――いや、正確には一体目か。見るからに凶悪そうな兵器である】

【だが広い部屋とはいえ相手は一体、まして腕が何本もあるだとか、対処に困る様子もない】
【となれば、警戒さえ怠らねば包囲して一気に押しつぶせる。余裕はある――部屋の床が抜けるのはその直後であった】

【――瞬時、浮遊感。けれどもアンジェルには秘策がある。というより、これは使うことも無いだろうと思っていた手の一つ】
【またも胸元のバッジの一つを解放、ハゲワシの様な鎧を纏い、そこには当然のように翼もあって】
【一時でも浮くことに成功すると――今度はどうやって相手を倒すかというところに意識が行って、再度バッジを解放】
【多重の解放と装備は負担も大きくなるがやむを得まい。此処で速攻をかければ、他の負担が減る可能性も高くなる―!】


   ――――うォオリャあああぁァァァァァァァァァァァッッ!!!


【重く硬いエレファスゾウカブトの鎧。それをまとって加速度的に落下スピードを増しつつ、兵器に接近をはかり】
【そしてすれ違いざま、一閃ッ!先ほどの稲妻を僅かにまとった妖刀の一撃は、恐ろしく鋭いが】
【果たして速度と切れ味を掛けあわせたこの一振りが通るか否か。どちらにしても、アンジェルは鎧の装備を解き】
【他の面々や兵器が降りるより先に下層に着地して、結果の次第を眺めることになるだろう】

264名無しさん:2014/02/21(金) 23:18:52 ID:zhlacM2.0
>>260

【アサドが吹っ飛んだのに気がつくも、しかし助けに行く余裕もない。新しい言葉が聞こえて、すぐに前方を向く】

【頭が痛い。脂汗が滝のように流れ、床へと落ちていく。見て分かるように、歌の威力は彼女にとって絶大だった】
【兵器の姿を見た瞬間、喋り屋は臨戦態勢を取ろうとする―――が、すぐに反応が出来るわけもなく】
【間合いを詰められ、振り下ろされる斧―――まずい、これは死んだかもしれない、なんて思った矢先】

【ぐにゃり、視界が下がる。崩壊した床、立ち眩みのように脚がバランスを失い、重力に従って落下した】


―――――――――――――――――――――――っ…!


【そのまま落ちるわけにもいかず、しかし耳を塞いでいるため言葉を紡げない―――魔術以外の方法を駆使しなければ】
【刹那、喋り屋の背中から現れる闇の魔力が『赤黒い翼らしきもの』を形作り、落下速度を緩やかに】
【精神が不安定な状態である故か、精巧に翼を動かすことは出来ず、空を飛ぶなんてことは不可能だったが】
【地面に打ち付けられる、ということはない―――たん、という軽い音を立てて着地するだろう】

【赤黒い翼はまだ健在―――大きく羽を広げると同時、闇属性の魔力がその周りを漂い始める】
【漸く耳を塞ぐことを止めて、その兵器を双眸で捉えると同時―――へたり、と座り込んでしまったが、攻撃はするつもりらしい】

『―――――――――くそ、人の弱いとこ突きやがって…スクラップにしてやるから覚悟しなよ…!』

【喉元に人差し指をあてて、やっと喋れるようになったと思ったら次は暴言――要するに豆腐メンタル】
【翼からざわざわと闇が蠢き…黒い放射が放たれる。衝撃波のようなもので、威力はなかなか強いレベルだが】
【狙いは、先程光っていた両目らしき部分―――視認する機能か何かがあれば、それを遮る効果も持った攻撃】

265名無しさん:2014/02/21(金) 23:26:38 ID:NhfmW/NA0
>>260

【状況を理解する間もなく、現れたのは巨躯の兵器。遺跡の守護者とでもいうのだろうか】
【もはや覇気もなく光が薄れた彼女の瞳がそれを捉えた。……捉えただけで、何をしようという訳でもなかったが】
【そして重い音と共に巨人が床を破壊した――】


“ リンク・ディメンション ”


【だからといってこのまま死ぬような性格でもなく、頭上に魔法陣を張るとまたしてもヤスデを出現させ】
【それに掴まることでゆっくりと着地しようと試みるだろうか。ちなみに今更ではあるが、魔法陣は彼女の意志に従って動く】
【そこから長い体を覗かせるヤスデもまた然りだ】

【無事に着地できたなら彼女は立ち上がるのだろう。仲間のおかげで気分も楽になっている】
【身体の痺れはまだ残っているが――前に出て戦うことのない身だ。どうでもいい】


とりあえず、お仕置きしなきゃダメね。もっとも、さっきの声の子がこの遺跡にいれば、だけど
その前にこれをどうにかしましょうか。しっかり繋がってないから壊れやすそうだしね

――――“ ランダムセット・リンク・ディメンション ”


【眼鏡の位置を直すと、前方に手を翳した。現れるのはいくつもの魔法陣――】
【ひとつひとつの直径は方腕を広げたほどの大きさだが、数が多い】


行きなさい


【合図とともに飛びだすのは、タマヤスデというヤスデの仲間だ】
【この個体は他のヤスデと違い身体は長くなく、ダンゴムシのように丸くなる習性がある】
【だが大きさはダンゴムシの数十倍。さらに体表が凄まじく堅く――つまり、高速で飛びだせば砲弾と化す】

【彼らは巨人を壊すべく、雨あられと巨人に降り注ぐだろう】
【周りが見えていないのか仲間にも当たりそうだが……運がよければ大丈夫だろう】

266名無しさん:2014/02/21(金) 23:31:56 ID:CKwgAcf.0
>>260

【やはり手を出すべき存在ではない――コジマからの視線を受けて、それを確信した悪魔はニヤリと邪悪に微笑み返す】

『(OK、ボス、解読できた)』 「(ほォう)」 『(蜃・>莠九′譖ク縺九l縺ヲ縺・k縲∬ェュ繧√↑縺・¢繧後←・)』
「(…………豪蛇、テメェーの時ィ代はそォれを解読と呼ォんでいたのか)」 『(HAHAHA)』 {(よそうどおりだ)}

【……読み上げるくらいは出来たようだが、無論内容なんてわかっていない】
【もし暗号化に気づけたとしても……この短時間でどのような仕組みで暗号化されていたかを解読するのは厳しいか】


「――ククッ、通ゥ行止めか、さァて、……テメェーは何を護っている?」

【扉の先には行けなかった、――己よりも大きな兵器が目の前に立ちはだかったからだ】
【兵器、僅かに奥に見える血溜まり――何も無い所をわざわざ護る必要なんて無い】
【――兵器が邪魔ならば、どうすれば良いか。――答えを問うまでもない】

【だが、その答えを見せる前に――振り下ろされる斧、崩落する床――斧の回避として咄嗟にバックステップを取ったのだから、バランスを崩したまま落下】
【――肉体を持っている以上、重力の支配からは逃れられない……が、掴み所のない壁は使えない】
【先程俊足を見せたとはいえ、こんなに着込んでいては動きを阻害されるのも当たり前――故に、床板を使うという手もやり辛く】

「(……"弟"で翼を出ァしていた、"兄"が出ァせてもおォかしくはねェだァろう)」

【――少々身バレのリスクがあったものの、翼を一時的に出すのが最善策と考えたのだろう】
【背から生える二つの翼は、まごうことなき悪魔の翼――黒基調、赤い爪、紫色の翼膜――】
【なんとか体勢は立て直せた、後は着地するだけ――と、地面に降り立つ悪魔】

「……ちッ」

【途中まではバランスを崩した状態で落下していた為か、何かにぶつかってダメージを受けていた様子】

「テメェーが奥に行ィかせねーって言ィうなら、俺様はテメェーをぶゥっ壊すだァけだ!」

【――被り物の口部から発せられるのは、サッカーボール程度の大きさの液体の球である、狙いは鎧の胴体と腕の"繋ぎ目の光"】
【物理的なダメージはバケツの水を思いっきりかけられた程度であり、つまりは全然大したことが無い】

【だが……その追加効果がメインである、これが非常に厄介極まりない】
【この液体は"モノを分離させる"魔力を持っていて、例えば人間ならば皮と肉、あるいは肉と骨を分離させたりなど――強力な分離力を持つ】
【しかしこの兵器の、しかも繋ぎ目という実態のない存在に対してどのように作用するかは未知数であり、――】

「(つゥーか、あァっちで召喚術使ってんなら俺様が使っても誤ォ魔化せんじゃアねェ?)」

【なお、液体に数秒触れているだけであれば、人間でも、それに触れていた範囲が靴ずれを起こして皮が勝手に剥けるような現象だけで済むはずだ】

267名無しさん:2014/02/21(金) 23:35:16 ID:buu1lXlY0
>>261

変じゃないよ、だってわたしの旦那さんなんだから。
わたしの友達と会ったってね、何にもおかしくなんてないの――、

【笑い出す相手の様子、一瞬だけ面食らったような顔をするのが、大分素の色】
【その直後に反論してくるのが彼のためのように見えた。決して変じゃないと告げる、その理由がそれ】
【確かによほどおかしいというものでもないだろう。ただ、じゃあ、普通かと言われると少しだけ曖昧なよう】
【それでも少しだけ頬を膨らませて言うのが、――彼女と比べたなら、きっと、子供っぽい色合いだった】

【――或いは。そうしてこの場に居ないひとの話をしたがるのが、女の子らしいと言えたのかもしれない、】
【増して、一日だけとは言えかつての妻と、そのひとについて、語り合うのだから。きっと、面白くないなんて言えないことで】
【面食らったような様子も気にしない。やがてなぞられていく記憶の端っこ、そっと追いかけて――】

そうなんだ、……。……セシルの身体ね、とっても傷だらけなの。そのときの傷かな、――生きててくれて、良かった。

……でもね、ちょっとだけ羨ましかったなあ――、わたしね、傷が残らない体質だから。思い出みたいで、いいなぁって。

【傷痕のつるつるする手触りを撫でたことがあった。或いは、悪戯っぽく爪を立ててみたことや、噛んでみたことも】
【それをふと思い出す、きっとその頃の傷なのだろうと考えたら――無茶をした結果なのだと知れば――考えるのは、】
【その頃に死んでしまわなくてよかったと思う。そうでなければ出会えなかったのだから。見つけ出してもらえなかったのだから】

【(たったひとつを除いてどうしてたって傷痕の残らない身体、思い出みたいで羨ましいなんて言葉は、普通とはかけ離れていて)】
【(だからこそ傷痕を欲しがっていたのだろうとは今さらの話だった。首の痣も、手首の歯型も、全部が、彼女にとっては欲しかった思い出)】
【(例え記憶を失ったとしても傷痕だけは残ってくれる。そうでない身体なのが、少しだけ怨めしかった過去は、もう過ぎたのだけれど)】

馬鹿じゃないよ、わたしよりもずっと……――、……そんな危ないこと、してたの?

……最近は怪我とかしてないみたい。少し前までは、たまにしてたけど……、危ないことしないって、約束したんだよ。

【また反論する。彼のことになると少しぐらい子供っぽくたって反論したくなる性質であるらしい、ただ、その言葉が続く彼女の言葉に止まる】
【――最終的に頬をむくれさせて黙りこんだのは反論できなくなったということでいいだろう。馬鹿というか、大馬鹿というか、】
【死んじゃったらわたしと会えないよなんて昔の彼に懇々と説教したくなる。そんな手段、残念ながら持ち合わせていないけれど――】

【(約束したのは彼女の方だった。どこかで彼にも同じような約束をねだったかもしれないけれど、とは余談)】

――お料理とかお菓子を並べてね、好きなだけお喋りするの。普段よりも豪華にしてね、特別なんだよ。

【――彼女の予想は大分合っていたようだった。たくさんの食べ物を並べて、好きなだけお喋りする、なんて平和な誕生会】
【彼女ぐらいの年の瀬を三人集めたなら、それがきっと一番自然な過ごし方だろう、箸が転げておかしい年頃と言って差し支えない】
【けれどそんなお喋り会はいつだって一緒に居れば開催中、なら普段と何が違うのかって、――並べる食べ物のランク、だ】
【いつもより上等。それがほぼ唯一のルールで、若い女性の二人暮らしにしては金だけはあるから、それも十分叶えられるわけだった】

268名無しさん:2014/02/21(金) 23:53:34 ID:CX9dekr20
>>262 >>263 >>264 >>265 >>266

【無事、着地に成功した六人……そこにアサドと、彼が守った先遣隊の姿はない。床板が崩れたのはあの大広間だけで、小部屋は無事だったのだろう】
【そして一瞬遅れて……ぼとぼと、と。引き千切れた腕やら脚、それに拉げた頭が、地面にぶつかって鈍い音を立てるだろうか】
【無論、この場の誰かのものではない。微かに残る装備からして、あの扉の先へ行ったという先遣隊のものだ。今の衝撃で通路から零れ落ちてきたらしい】
【見るも無惨なそれらのパーツを、数える余裕があるのなら……きっちり五人分。残りの先遣隊は皆殺しにされてしまったのだと、把握できるだろう】

『――――――――ギ、――』

【空中、着地の瞬間、連続で叩き込まれる攻撃。だが全てが止んでも、兵器は未だ健在だった】
【しかし、攻撃が効いていないわけではない。爆薬で焦げ付いた胴の周辺はあちこち欠けているし、重量の乗った斬撃によって右手の指が数本落とされている】
【続く黒い衝撃波も、兵器が僅かに首を傾けたせいで目を潰すことこそ出来なかったが、頭部の装甲にヒビを入れているようだ】
【その次に降り注ぐ蟲の雨の辺りで漸く兵器は動き出し、斧を振り回してタマヤスデを防ぐものの……全ては防ぎきれずいくつかが脚の装甲を欠けさせる】
【最後に放たれた〝分離〟の液体は、間接を繋ぐ稲妻そのものに効果は無かったが、余波が稲妻の出元に当たると、稲妻の大きさが僅かに縮むだろうか】
【全員の攻撃が、何らかの形で効果を発揮している。見た目は仰々しいが……決して、無敵ではない】


【さて、全員が着地した部屋だが――――今までとは、少し様子が違う】
【壁の材質等は同じだが、何か丸い管のようなものが部屋中を満たしているのだ。表面には青色のラインが、まるで血の流れのように脈打って】
【部屋中の管は部屋の最奥部へと繋がっていって、ある一箇所で収束する。巨大なガラス管、のような――――】

……なんだ、アレは……!?

【素早く着地した後、皆の攻撃に巻き込まれないよう地面を転がって兵器から離れたアルフレドが、驚愕の表情を浮かべて呟くのが聞こえるだろうか】

【――――――白い。肌も髪も纏う布切れも、何もかもが白い。いや、それはもはや白を通り越して、透明にすら見えるだろうか】
【小嶋が見つけたのと同じ、淡い水色に輝く液体で満たされた管の中。まるで存在そのものが透き通るような、そんな〝少女〟が浮かんでいる――――】


―――― T`iRse s/qh YtMic VeSay, T`iRse s/qh EcRut FsNeik, T`iRse s/qh RgIad GsReTue.
     < 其 は 神 よ り の 使 者 、 其 は 創 ら れ し 生 贄 、 其 は 大 い な る 歌 い 手 >


【未だ部屋中に流れ続けるメロディ。そしてその口が小さく動いたかと思うと、また不可思議な〝歌〟が紡ぎ出されて】
【全ての攻撃を受けきった兵器は再び動き出し、斧を大きく振り上げる。……今度はもちろん、床狙いなどではではない】
【刹那、横薙ぎに振るわれる雷撃の斧。ただ振るっただけだというのに、武器の長大さから範囲がとんでもない――――五人全員を、斧の一閃が襲う!!】
【威力は言わずもがな、直撃したなら人体など一発でバラバラになりかねない。軌道は中段、まともに受ければ全員胴体を引き千切られてしまうだろう】


……ッ! 皆さん、僕がこの歌を止めます! それまで何とか、その兵器を引き付けて下さい…………!!

【――――勘が良ければ、アルフレドでなくてもそこで気づいた筈だ。兵器を動かしているのはこの歌で、それを歌っているのがあの少女である、ということに】

【アルフレドは兵器の背後に回ることで斧を避け、ガラス管へ向けて走る。その途中で銃撃の雨を浴びせて管の破壊を試みるが、ヒビ一つ入れられない】
【「クソッ!」と悪態を一つ零せば、ガラス管の隣にあの扉にあったのと同じ『穴』を発見し、すかさず扉を開けたのと同じ装置をそこに挿し込む】
【どうにかガラス管を開放できないか、と必死に試すが……やはりすぐには無理だ。アルフレドは流れ込む恐怖を意地で断ち切って、必死に端末を操作する】

【……アルフレドがこの少女をどうにか止めるまで、まだ時間が掛かりそうだ――――あの歌も、それまでずっと流れ続けることになる】
【それまで時間を稼ぐか、可能であれば兵器を破壊するか。全員に強い心が無ければ、この〝最後の試練〟は乗り切れない――――!】


269名無しさん:2014/02/22(土) 00:01:17 ID:ds7QzQz.0
>>267

……ほぉう? もう奴の身体は検分済み、という訳か?
いや、結婚しているとなれば当然の事か……っくく、成程。
羨ましいなら代わりに奴を傷付けてやれ。それこそ、背中に爪を立ててやったり……なぁ?

【今度は此方が意地悪く笑う番だった。頬杖を付いて下世話な台詞を吐けばにたりと笑い、愉しげに相手を見ている】
【傷の残らない体質という点には触れなかった。この能力者世界だ、様々な人種があるのだからと平和的な理解をした】

【それから言葉を止めてしまった相手を見る、大好きな彼を流石に庇い切れなかった様子に面白げにしていたのだが】
【ふっと笑みを零した。それは嘲笑うのではなく、何処か深みのある、静かな微笑み方と言うべきもの】

本当に……、好きなんだな。全く、奴は幸せ者だ

【あの死に急ぎがもうそんな事はしないと約束さえしたのだ、それがどれだけ大きな事かは、今ここでは語り切れまい】
【この身は己が正義のために生き、それ故に世間一般のいう所の「悪」だ。それでも、彼等を祝福する権利くらいは有るだろう】
【何処か、完敗だと言うような気配さえあった。妻として彼女に自分は敵わないと思った。そも自分は妻となった自覚など無いけれど】

やはりな……料理は何を作るのだ? まさかキドニーパイ等では無いだろうが……
お前位の年頃の頃は菓子もたまに作ったよ。さほど甘味を入れない胡桃だけのパウンドケーキとかな、奴にも食わせた事がある

【十年前となれば丁度相手に近い年頃だった。無論その頃からこういう体躯ではあったのだが】
【意外と家庭的な面もあったらしい。「甘味を入れない」というワードがあるという事は、彼の好みを知っていたのだろうか】
【そんな疑問全てを合わせ呑んで語って見せる女は、縁遠そうな誕生日の話題に乗って何処か穏やかにも見えた】

270名無しさん:2014/02/22(土) 00:12:03 ID:F52AoKs20
>>268
【己の仕込んだ爆薬。それの衝撃の煽りを背で受けながら、女は駆け抜けていく】
【そして、十分な距離を得てから女は振り返り、表情を凍らせる。まだ倒れていなかったからだ】
【頭を抱えたくなったが、そうすればきっと死ぬ。だから頭を抱えたいが、頭を抱えること無く意識を、覚悟を決める】

「あーあーあー、これで壊れないとかどんだけ厄介なんスかもー!!
くっそ、重機ありゃ真っ向からタンクローリーぶち込んで爆破してぶっ潰してやんのに……!!」

【口を次いで出る言葉は、愚痴そのもの。どろりとした感情は、鬱々しくそして重い】
【視線が荒む、気配が次第にザラついた、ふざけた気配の無くなったそれへと移り変わっていく】
【息を深く吸い込み、目の前の敵のダメージ状況を冷静な視線で見定める。効いていないわけではない事をそれで理解】
【部屋の奥の管に入った少女こそが、この嫌な歌の源泉であると理解したが、それで十分。己にそれをどうにか出来るわけではないなら、どうでも良い】

「ん・で・く……るゥッ!!」

【振りかぶる挙動。そして、雷撃を纏う所から、危険性を大凡予測。あとは己の臆病に全てを託す】
【目が、すべての感覚が安全地帯を探しはじめる。眼前の脅威からいかに逃げるか、いかに生き延びるか】
【弱者故の敏感さ、繊細さ。女コジマは――弱いからこそ、その危機察知能力には絶対の自信を誇っている】

【地面を転がるような回避。直撃はしないものの付随する衝撃によって、雷撃によって女の体を激痛が駆け抜ける】
【悲鳴を漏らさぬように食いしばる歯。奥歯にびきりとヒビが入るほどに強く噛み締め――女は斧の下をくぐり抜けた】
【全身の骨格を軋ませ、皮膚の随所を通電によって焼け焦げさせながらも――生き残った事に対する喜びを表情に顕とした】

「恐怖がなんスか……! 悲哀がなんスか……! 孤独がなんスか……!
生きてりゃそれで十分ッス――――強かろうと、悲しかろうと孤独だろうと――知ったこっちゃねえんスよォ!!
伊達に……この糞野郎を、この最低女を、不死身の私を――なめてるんじゃねーッスよォ!!」

【与えられる恐怖も悲哀も孤独も、これまで経験してきたもの今も抱き続けているものに比べればどうということは無い】
【強くはない。弱い――だが、雑草にしか無い、弱者にしか無い強さがこの世には存在する】
【開き直った人間の意志は、自棄ではあっても強いもの。10年単位で弱さを貫き続けた女の弱さは筋金入り】
【前傾姿勢のまま、女は這うように駆ける。一直線に、兵器の懐へ――死地を、死線を抜ける動作を】

「――――見えてきた……ッ、いよいよギリギリって事か……ッ!!
だが――――往生際の悪さが私の強み…………ッ!! 死線[デッド・ライン]超えさせてもらうッス!!」

【両手に引きぬいたのは、爆薬。そして、その爆薬を全力で投擲】
【狙いは、斧を持つ兵器の手元。衝撃によって斧を取り落とさせるのが、女の狙い】
【破壊工作用にとっておいた特注の爆薬であるそれの指向性を帯びた爆発だ。一点に集中さえすれば、兵器の手を粉砕することも不可能ではないかもしれない】

271名無しさん:2014/02/22(土) 00:16:48 ID:A89md4kk0
>>268

チッ……!なんて硬いのよ、あの兵器は…勢いつけても指しか持って行けないか……!
となると単純に斬りつけてもダメ、それなら……どうする…ッ!?

【自身が与えた傷を見て、アンジェルは小さく悪態をつく。両断は無理だとしても――】
【もっと大きく斬り落としてやるつもりだったのが、中々上手くいかないこの感覚】
【耳から訴えかける恐怖――負の感情。それが、なおさら気持ちを煽り】

【しかもそういう気持ちになる理由がしっかりと理解できているからこそ、尚苛立つ】
【悪循環だ。それを悟ったアンジェルは一時ばかり呼吸を止め、吐き、また止めた】

【彼女は櫻の国やその流派――つまり剣の道というのには全く知識が無い】
【にも関わらず妖刀などを持っているのはそれが形見だからに他ならないし】
【扱えるのもまた、妖刀だからだった。だがこうして心を落ち着けると、何か見えてくるようにも思う】

【――落ち着けた心で思えば、恐怖の歌は寸時だったがそよ風のようなもの。むしろ振りかかる狂気の方がよく聞こえ】
【アンジェルは目を閉じた状態で前屈――ハゲワシとの結合によって備わっていた翼は切り裂かれるも】

【彼女自身は僅かに苦痛に顔を歪めるままで、やがて裂かれた翼は厚手の外套へと様変わりし】
【ゆっくりと起き上がれば刀を両手に持って静かに歩みを進め、静かに刮目して相手を見れば】

【すうっ――と。風を切る音も立てないほど静かに、彼女は刀の切っ先を相手に向かって突き出した】
【ただそれだけの事、人であれば避けるのはそう難しくもない。ただ、当たれば恐ろしいのはその狙い】
【相手が人型であれば、如何に機械であってもその胴体部分には何かしら重要なパーツが有るのでは、と踏んだのだ】
【故に狙う先は胴体。そして切っ先による突きは実に鋭く、点での攻撃は範囲こそ狭いがよく効くだろう】

【とはいえ、だ。斧の一撃を避けたのは相当にギリギリだったからか、雷撃はしっかりと受けている】
【心を落ち着かせての突きとは言えやはり隙は多い。仮に相手が素早い反撃に出たりすれば】
【アンジェルは此処においては何も出来ずに居ることになるだろう。少しばかり、能力使用の負荷が現れ始めていた】

272名無しさん:2014/02/22(土) 00:30:22 ID:CKwgAcf.0
>>268

「ふゥむ……繋ぐ糸には効ィかねェが……根ェ本か」

【液体が稲妻にあたっても効果は発揮されなかった、――が、悪魔は余波の影響を見逃さなかった】
【――稲妻の出る元に当たったならば、その繋がりを断ち切る事が出来る、そう認識し】
【そう言えば、兵器に気を取られて周りを見ていなかったが――辺りを満たす管は脈打ち】
【収束する先には、あの時見た淡い水色の液体に満ちたガラス管、そして中に浮かぶ少女――】

【歌の出元は彼女からだったのか――悪魔は、邪悪な笑みを浮かべた。被り物をしているので見えないが】
【――あの少女を得ようではないか、だが、兵器が邪魔をするし、管が空いた時どうなるかもわからない】

【そう、己には兵器が振るった斧の一閃が迫っていたのだ、この分厚い鎧で防げるシロモノではない――】
【高さは胴体、ならば――悪魔は、素早く匍匐前進の姿勢を取り、斧の直撃を回避】

【――しかし、この悪魔、大きなリュックに先ほど出した翼に、――斧が引っかかる要素だらけである】
【無論、翼とリュックはあっさりと斧によって寸断され、どちらも吹っ飛んでいく】
【――リュックからは先程拾った壁の破片は出てこない、代わりに"人の顔程の大きさで顔の模様もある蓋付き壷"が転がり落ちる】
【先程の斧の一撃のせいか、若干のヒビが入っているものの……どうやらこの壷、非常に丈夫な素材で出来ているらしい】

「――ちィ、糞がッ!」 「ぶゥっ壊してくゥれるッ!!」

【そして、リュックが吹っ飛んだ衝撃で一緒に吹っ飛んだ悪魔が起き上がれば、怒りに任せた言葉を発して】
【真っ先に壷を拾い上げ抱えて、背中などから多量の邪悪な血液を流しながら――まずは、黒い霧を高めの位置にばらまく】
【次に先程と同じ性質を持つ"剥離の液体"を、被り物の口部から"黒い霧"に向けて発射!】

【量は先程より少し多い程度か――頭部の位置が高いならば、無理矢理当てれば良い】
【その液体は黒い霧に当たれば反射し、――兵器の頭部と胴体の"繋ぎ目"に向けて飛来する】
【反射を使うので当たるまでのラグは大きいし、狙いの正確性等も落ちるが――はたして】


「(そォして、"可ァ能性を高める"為には――ちィ、"正義"共に手ェを貸ァすのは癪だし開ァいて死ィなれても困る……が、回収と修ゥ復は俺様の得意技だ)」

【――さて、アルフレドの顔目掛けて何かが投擲されてくるだろう、……妨害されなければの話だが】
【それは先程もがれた翼――の"右"の方。もしそれにぶつかってしまった場合、翼は溶けて"生命と変化の、混沌の魔力"の濃霧となる】
【その霧は一時的なものであり、おそらくは瘴気に感じられるだろうが――どうやらこの霧、流れこむ負の感情を喰らう力があるようで、ついでに様々なエネルギーが満ちる】
【つまりは、アルフレドへの"支援"――この悪魔にしては珍しいが、……勿論邪念しか無いのは言うまでもなく、負の感情が瘴気に代わるだけとも言える】

273名無しさん:2014/02/22(土) 00:32:36 ID:zhlacM2.0
>>268

【攻撃がやんだ後、尚も動いているであろう兵器。やはり一筋縄ではいかないらしい】
【自分の攻撃は当たったようだが、しかし狙いは外れたらしい。思惑が失敗し、いらついたかのように舌打ちする】

『―――――くそ、ちょっと外したか…せめて、魔力を消耗しないようにしないと厄介ね…!』

【しかし、効果は出ている―――落ちた六人で攻撃を繰り返せば、なんとかなるかもしれない】
【まだ希望があると、そう思っていた次に彼女はアルフレドの声に耳を通し―――それを見た】

【――――そこで気付く。ガラス管に居る、歌の元凶らしき“少女”の存在に、だ】
【余りにも白い、透き通ったようなその少女が口を動かした瞬間、喋り屋の背筋が凍る。嫌な予感がする、と】

――――――――――――――ひっ…!

【―――また鳴り出した歌に思わず、小さな悲鳴をあげる。それを遮ろうとすぐにその両耳を塞いで】
【勇気を出して立ち上がるも、若干足が震えている気もした―――先遣隊と同様、トラウマとなったか】
【だがしかし兵器の一撃は迫っている――斧が来ると分かれば、すくむ脚に鞭打って大きく後ろへ跳ぶ】
【翼を動かして、バックステップの動きに合わせて羽ばたくとその跳躍距離を大きく伸ばし――少し遠くに着地する】

【このままでは埒が明かない。喋らなければ、いつも通り魔術は放てない―――丁度、あざ笑うかのように翼が消えて】
【ここで足手纏いになるわけにはいかない、耳を塞いでいた右手を喉元に持っていき―――強がるように兵器を睨む】
【耳を塞いでいたさっきよりも強く、はっきりと流れ込んでくる感情の波に思わず何かが込み上げてきたが、歯を食いしばり】

『――――――――――ぜんっぜん聞こえないっ!意味不明な歌も、変なメロディも!』
『全部全部、聞こえない…!だから、耐えろよ…耐えてお願い…っ!黙れ、黙れったらッ!!』

【人差し指があてがわれ、奏でられた少女らしい声が悲痛に響くと、喋り屋の回りに炎が現れ何かの形を創っていく】
【それはやや不完全ではあったが大きな鳥の形をしていた―――まさしくそれは「火の鳥」と呼ぶべきもの】

【火の鳥が兵器の方向へと飛翔し――――その大きな胴体に向かう。速度はさほど速くは無いし、避けられもするだろう】
【感情によって威力が大きく左右される喋り屋の魔術、この状況故に火の鳥の威力は最低限のものだったが、それでも普通の一撃より強い】
【あの大きい兵器でも、熱で攻めればあわよくば倒せるかもという淡い期待をもって、火の鳥を放ったのだった】

274名無しさん:2014/02/22(土) 00:33:32 ID:buu1lXlY0
>>269

【或いは、ただの人間であることも羨んでいたのかもしれない。だって、彼女は人間でなくって、】
【よほど傷をつけられたというショックでもないと傷痕が残らない。そうして残った傷は、あまりにも重いけれど】
【彼が一緒にその重さを背負ってくれたから――きっとこれから、立ち直っていけるはずなのだった】

…………――気が向いたら。

【――下世話な話に少しだけ言葉が詰まる、どう言い返したものかと悩む間、ただ、答えが上手に出てこない】
【背中を引っ掻く機会なんていうのも滅多にないだろう、気まずそうに視線を逸らしてみたのは、――どうにも女の子らしい、顔だった】
【手が言葉の出てこない代わりにもじもじと指を弄んでいたのは余談。気まずいようになって指輪を弄りだしたのも、余談なら】
【もうそれが癖のようになってしまっているようだった。そこに指輪があるのが彼女にとっての当たり前に、なりつつあって】

【(今になってまで彼の首や腕を咬んでいることは黙っておいた。彼にも同じ思い出を共有してほしくって、)】
【(ただ最近は甘えの色がずいぶんと強くなったそれ。かつての、追い詰められたような色なんて、最早ないと等しいほど)】
【(肩に近いところを奥歯までがっつり咬むのがお気に入り。それなら洋服は邪魔で、背中を見る機会は思ったよりも多かったりしたのだけれど)】

……わたしのために危ないことを辞めてくれたならね、わたしだって、幸せ者だよ。
一緒に居てくれるってことだもの、危ないことよりわたしのほうがいいって――きっと、そういうことだもの。

【微笑ましいように向けられた視線、気まずい色も失せたなら、ふわぁと笑ってみせた表情のひどく柔らかいこと】
【わたあめみたいにふわふわと甘く蕩けてしまいそうな笑顔は、――彼女の言うように、本当に好きでないときっと出来ない顔】

スパニッシュオムレツとか……キッシュとか、唐揚げとか、いろいろかなぁ――、
それとね、クッキーとかも。バレンタインに作ったオレンジのコンフィもシロップもたくさんあるから……ケーキにするの。

……――おいしいって言ってた? 

【貞操なしだった。国もジャンルも全然違った食べ物の羅列、食べたいものを好きなだけ。そんなところが、女の子らしい】
【下手な男よりも食べるというのが女の子の常だろう。いろいろなものをちょっとずつなんてなったら、それこそいつまでだって食べている】
【当日にメニューを決めるところもあるのだろう、結局最後は曖昧に暈けて、――さらに甘いものまで食べるらしい、なんて】

【――それよりも興味の向いてしまったのが、その話題だった。胡桃のパウンドケーキ、彼はそれをおいしいと言ってくれたのか】
【(言ってくれたんだとしたら、きっと作るのだろう。そう思わせるような気配があって、そんなところが、少しだけ微笑ましいような)】

275名無しさん:2014/02/22(土) 00:36:50 ID:NhfmW/NA0
>>268

って、あら? 意外と近くにいたわね。この子が元凶かしら

【それは一見、神秘的なまでの白を纏った少女なのだろう】
【それにしても――気が遠くなるような年月の間、この少女はずっとここにいたのだろうか】
【一体何歳なのだろうかと、どうでもいい疑問が湧く。だが儚い歌がその口から流れれば、そんな疑問も消え去った】
【まさかこの少女が歌か、あるいは古代の言葉によって遺跡全体を動かしているというのか】


かなり頑丈ねぇ。こういう機械に対してはタマヤスデちゃん達しか有効な攻撃法がないのだけど


【再び巨人が動き出す。蟲の雨でも致命打にならないのなら、彼女にこの巨人をどうこうできない】
【変わりの策が浮かんだが――その刹那、振るわれたのは斧による凶悪な一閃!】


まずい――“ リンク・ディメンション ”!!


【咄嗟に魔法を唱える。魔法陣を前方の地面にセットすれば、】
【互いに絡み合った何匹ものヤスデが頑丈な一本の柱のように這い出て来るだろう】
【もちろん、本能がそれで防げると判断しなかった。コンマ数秒時間稼ぎができればいい】
【蟲を召喚すると同時にカーディは、足を広げてできるだけ屈むのだろう】


……一体私のヤスデちゃん達を何匹傷めつければ気が済むのかしら


【回避できれば、思わず悪態を吐く。少しずつだが語調が強くなってきている。歌の影響だろう】
【ただでさえ大事な蟲達が犠牲となっているのだ。それを思えば悲しくて悲しくて――――怒りが湧く】


大人しくしてなさい?


【自分の火力が決定打になりえないのは悔しいが、仕方のないことだ】
【ならばせめて仲間の攻撃が確実に通るよう、彼女は2つの魔法陣を巨人の足元へと移動させるだろう】
【当然そこから出て来るのはヤスデだ。彼らは巨人の足に絡みつきその動きを止めようとするだろう】
【巨人の力にもよるが――引きちぎるには僅かに時間を要するかもしれない】

276名無しさん:2014/02/22(土) 00:48:20 ID:Jfel1XAU0
【人々から忘れられ、後は時間の流れと共に朽ちてゆくだけの神社】
【嘗ては村の子供達が遊んでいたであろう名残が哀愁を漂わせるも、現代に於いてはその近くにあった村すらも無くなっており】
【ならば、訪れる者が居ないのも必然。普段ならば風が吹き抜ける音だけが聞こえようが――――】
【今宵、其れに交じる一つの童唄。無論、唄っているのは子供では無く…………女の其れだ】


「全く、あの九十九も律儀なのねぇ…………確かにあの子を作らせたのは私だけれど――――
まぁ…………元気そうだったから良いわね」

【着物を纏い、艶の有る黒の髪。姿こそ二十代の女だけれど、纏うのは正しく人外の気配だ】
【賽銭箱を椅子代わりに使うなんて罰当たりな事をしているが、本人は微塵も気にしている様子は無く】
【漆黒の双眸が空を見遣れば一つ呟きを漏らして】

【神社ならば、聖を放っていても不思議では無い。しかし、一際強い“聖”は女性自身から放たれている事が分かるだろうか】
【童唄に誘われてか、或いは他の要因があってかは分からないけれど】
【石の階段を上ったならば、真っ先に女性の姿が視界に収まる筈で】


―――――――――――


【月明かりと、其れを反射させる雪とで明るく照らされた森の中】
【枝々から垂れる氷柱や、凍った葉などが幻想的な景色を作り出していて】
【――――夏には夏の。冬には冬の妖が活発になる、なんて言うけれど…………今宵其処に居る妖は、そのどちらにも属さず】

【まだ足跡の無かった雪に、さくりさくりと自分だけの足跡を作って歩を進める姿が一つ】
【巫女装束に、特徴的な狐の尾と耳。所謂、妖狐と呼ばれる存在であるけれど】
【その妖気を辿ってか、真っ白な雪に刻まれた足跡を辿ってか。――――それとも、首に下げた翡翠の首飾りから発せられる神聖を感じ取ってか】
【何にしたって、白景色の中に浮かぶ紅白のその姿を見るのはそう難しくも無い】


「…………今日は、危ない事が何も無くて…………妖怪さん達と人間が傷付け合わなくて…………とても、良い日…………です
ずっと、こんな日が…………続けば良いのですが…………」

【その巫女装束も飾りでは無いのだろう。ポツリと漏らした呟きと、何処か嬉しそうな表情はこの少女の性格を実によく表していて】
【然れど――――この場に訪れた新たな存在に気付いたか、一度ピクリと耳が動き。嬉しそうな其れを不安げな表情へと変えれば、其方へと視線を移すけれど】

277名無しさん:2014/02/22(土) 00:57:41 ID:ds7QzQz.0
>>274

【(可愛い噛み癖を拒むつもりなど彼には毛頭ないのだから、自然にか狙ってか、寝間着ははだけやすいローブだった)】
【(たまに仕返しのように噛むのは首筋だった。戯れに犬歯を添わせ、肩口までつうとなぞって行く悪趣味さ)】
【(はだけかけた夜色のローブを纏って相手の白い首筋に牙を寄せる様は、伝承の中の吸血鬼にも似ていた)】

【相手の並べる料理の色とりどりな事に呆れるように、けれど理解は出来るという風で女は笑う】
【唐揚げの入っている所が好評価だったりもしたのは余談。そも、オムレツとキッシュも好みが割と近かった】
【頬杖を付いたまま、その選り取りみどりな料理が並ぶ様を描いて女は軽く肩を揺らす。どうもこの時間にこの話題は不味い】

節操なしだな……ふふっ、まあ、それ位が楽しいのだろうがな。
ん? ああ、始めは毒入りかだのさんざ聞かれたがな……結局は悪くない顔で食っていたから、良かったんじゃないか

……くくっ。レシピを教えてやろうか?

【作りたがっているのが見えていた、相手の表情がそれを物語っていて、女は微笑ましくもそう告げた】
【曰く、「後から細かい分量を送るから、携帯のアドレスを教えろ」とのこと。応じるか否かは相手の自由だ】
【そして、それが済んだ辺りで女は帰途に就くだろう。食べ物の話で腹が減ったから、というのは余談だったが】
【相手から何もなければ、今宵の邂逅はこれで幕引きとなるだろう。来た時のようにフードを被れば、女は夜闇へと去っていく】

278名無しさん:2014/02/22(土) 00:58:30 ID:CX9dekr20
>>270 >>271 >>272 >>273 >>275


【相変わらず音は無い。ただ金属の擦れるような音だけを立てて、斧を振り終えた兵器は五人の攻撃を視認した】
【小嶋の爆薬に対し、平気は先程アンジェルに破壊されていた右手の方を突き出す。爆音が部屋中に反響すれば、右手首から先は吹き飛んでいるだろう】
【アンジェルの刺突も、スラスターを使って軌道こそ逸らされるが、右胸の装甲を貫く――――その先で、ぐにゃりという〝軟体〟を突いた手応えを感じるか】
【その刺突に縫いとめられるような形で、継ぎ目に横島の剥離の液体が飛散していくだろうか。胴体と頭部を繋ぐ雷の勢いが、あからさまに減少する】
【すると、全体の動きが一気に鈍化するだろうか。頭部とのラインを叩かれたことで、命令系統に支障をきたしたのかもしれない】
【そこへリグリングのヤスデが絡み付いて、兵器の動きは完全に止まる。最後に、『喋り屋』の火の鳥が胴体へ直撃――――!!】

『ギ――――ギ――、…………』

【……煙の晴れた先には、ボロボロになった兵器の姿がある。装甲の裂け目からは、あの少女を浮かべているのと同じ液体が覗いているだろうか】
【裂けた装甲が歪んだ音を発して崩れる。よく見れば、直接攻撃を受けていない筈の装甲の〝内側〟の部分が、茶色く染まっているようにも見えるが――――】


            P`eRuh RgIad VgKah WoMia o/qh N`iBroh Naz NaEin o/qh Edow.
            < 終 焉 と 永 劫 の 果 て  い ま 御 陵 を 暴 き し も の よ >


【――――その時。歌詞の内容が、今までとは少し変わる。恐怖と悲しみと共に過去を振り返るようだった歌が、明らかにこの場の六人へ向けられる】
【それまで兵器にだけ宿っていた黄緑色の柔らかい燐光が、部屋中に満たされ始めるだろうか。流れ込む負の感情も、より苛烈になっていく――――】

【……そして、同時。ベギベギ、という鈍い音が兵器の全身から響き渡った。装甲のいくつかが自発的に引き裂け、内部に青色の結晶の様なものが覗き】
【怒るような雷轟を上げ、そこから青色の稲妻が迸る。それはやがて形を成し―――――巨大な〝雷の矢〟へと成型されるだろうか】
【露出した結晶は、両腕と両足に一箇所ずつ、胴体の胸部と腹部に二箇所、頭に一箇所、そして背中に三箇所。合計して十箇所】
【それがどうなるのか、もはや言うまでもあるまい……次の瞬間、真上へ向けて十本の雷の矢が射出されたかと思うと、それらは空中で方向を転換】
【ひとりにつき二本づつ、強大な威力を持つ雷の矢が五人を狙う――――!!】

【狙いは胴体であるが、矢はかなりの大きさがある上、性質は電撃と同じだ。まともに刺し貫かれれば、ダメージは胴体どころではなく全身に及ぶだろう】
【威力こそ先程の斧より劣るものの、矢はそこそこ速い上に若干だが追尾性がある。それが、時間差で二本……厄介と言うしかない】

【……その攻撃が当たるかどうかに関わらず。兵器はリグリングのヤスデを引き千切って転進し、アルフレドの方へ向かっていこうとするだろうか】
【ただ小嶋が右腕を破壊してくれたお陰で、兵器は左腕一本では斧を支えきれない様子だ。斧を引き摺りながらの移動は、当然鈍い】

くっ……もう少し、もう少しだ……!!

【アルフレドは作業と感情の制御に一杯一杯で、纏われる瘴気どころか翼を投げつけられたことにすら気づいていない様子だが……】
【横島の行った霧の支援は、確実にアルフレドの作業スピードを早めている。歌も攻撃も厳しさを増しつつあるが、あともう少しだ】
【あともう少しだけ、時間を稼げれば――――】


279名無しさん:2014/02/22(土) 01:12:33 ID:8GX19MPI0
>>276

――――――――

【その視線は遠かった、遥か天上より獲物を狙う鷹の如く夜へと伸びる】
【射抜く瞳は例え木々の乱立する地帯であろうとも標的を逃しはしない】
【右に左に揺らめきながら遠くに小さく淡く浮かぶ紫白の瞳は人魂にも似ていたという】

―――――――…………

【雲間に差すような灯りは微かに銀色の得物を照らした】
【上下に伸び反りをもち、頂点と頂点とを銀糸で結んだ……大弓だと分かるだろうか】
【そしてそれが弓ならば番えられるのは矢に他ならず、弓の形状に合わせた矢がその鏃を向けている】

【例えるならば猛禽だ、姿は違えど「刈り取る」という様は本来のそれよりも遥かに高い】
【深い爪で鷲掴み鋭い嘴で食い破る……捕食者の姿は】

……………いや妖気ではあるけど……違う、?

【しかし唐突に消え、掲げた弓は降ろされてかの瞳は輝きを消している】
【狩人は微かに首を傾げつつ視界以外の感覚を伸ばす、ならば妖狐の首飾りの神聖を受け納得したように頷いた】
【どうやら自分は得物を間違えていたらしい……と】

【見当外れの者に矢を番える、実際に手を出したわけではないがしかし射手としての矜持に反する】
【ならばせめて謝ろうと近づく彼は……その手に大弓を携えたまま】

……おい、そこの……きつね?悪いなちょっと間違えた
妖気が流れてたから条件反射で構えちまってさ……悪いね、どうも

【光が差す場所まで歩いたならば現れる、本来縛っている長く白い髪は揺れ赤と紫白の瞳を浮かべる青年は、その風貌だけ言えば幽鬼】
【ただその表情は申し訳なさそうに困った笑顔のそれであった】

/よろしくお願い致します

280名無しさん:2014/02/22(土) 01:15:59 ID:F52AoKs20
>>278
【5人の攻撃が、確実に炸裂し爆風が、業火が先ほどまで兵器のあった場所を埋め尽くす】
【その暴虐は、己であればまず生き残るすべはないだろうと思えるほどのものであったため流石に無傷はありえない、そう思う】
【意識を整え、構えを取り直しながら――ふと、口が動く】

「やったか……!?」

【爆風の向こうを見やりながら、コジマはそう呟き――しかし次の瞬間、絶望的な表情を浮かべる】
【なにせ、右手を吹き飛ばしつつも、装甲を裂きながらも――それでも、まだ駆動していたのだから】
【その頑丈さに、対抗し切る術を女はもはや殆ど所持しない。後できる事は、そう多くはない】

「オイオイオイオイ……嘘っしょー? ……いや、マジヤバイんスけどコレ……」

【視界を染め上げる、雷轟の群れ。それが束ねられて雷の矢を造り上げる光景】
【引きつった笑みが浮かぶ。当たれば死もあり得るというその事実に背筋が寒くなる】
【ならば、ここからは――コジマの独壇場だ。一歩間違えれば死ぬ場こそ、この女の居場所なのだから】

【襲い来る矢。己に迫るのは二つ、時間差を帯びて迫り来る】
【目を細め、己の意識を研ぎ澄ましていく。死の予感が、時間の感覚を引き伸ばす、脳髄がひりつく感覚】
【足が恐怖によって、すくむのではなく駆動し始める。地面を蹴る、脇腹をかすめる、肉がちぎれる】

「――――っひ……怖い怖い怖い怖い怖いッ!!
死にたくないッス、死にたくないッスよォ――――――!! だから――――生き残るんスよォ!!」

【――コジマに、その雷撃の矢を受け止める術も防ぐすべも無い。ならば、避ける以外には存在しない】
【地面を無様に転がり、這いずり、飛び上がり、顔を恐怖で涙やら鼻水やらでぐちゃぐちゃにしながら】
【有ろうことか、雷の矢の間を縫い、全身をズタズタにしながらも――加速の方向を兵器の方向へと定義した】

「やられっぱなしはムカつくんス。だから…………っ虎の子一発ぶちかましてやるッス!!」

【アンカーを射出。兵器の胴に巻きつけると同時に、巻取り。それによって追尾する雷の矢から距離を取る】
【ギリギリの速度で、己に迫る矢を引き付けながら兵器との距離を詰めていくコジマ。そして、最大加速の時点で、手首からワイヤーを切断】
【地面を思い切り転がりながら、コジマは兵器の股下を転がり――すり抜ける。そして、かざした左腕には、最後の爆薬】
【投擲、起爆。兵器の真正面からの爆薬は――アルフレドの行動終了までの時間を稼ぐ事が目的。そして、この位置取りにはもうひとつの意味がある】

【雷の矢→兵器→己】【という配置を作り上げる事が目的だったのだ。幾度もの回避の上で、そこまで高い追尾性は無いことを看破している】
【ぎりぎりまで引きつけた上で、兵器の向こうに己が居る状況を作れば――雷の矢は兵器を貫かざるを得ない。そういう読みだった】
【そこにあるもので、出来る限りのことをする。この戦法は――古代の兵器に、通じるか――?】

281名無しさん:2014/02/22(土) 01:20:32 ID:buu1lXlY0
>>277

【(咬むのも、或いは咬まれるのも、彼女は好きだった。普通の愛情だけじゃ、時たま足りなくて)】
【(わざと真っ白な首筋を晒して誘うことすらある、さんざ締められた首だが、今ではそれもなくなって、)】
【(なんだか物足りない/寂しいというのがあるのかもしれない。時折ひどく甘えた声でねだってみるのに、彼は耐えられているのか)】

【(彼が吸血鬼だと言うなら、こちらだってとうに吸血鬼だ。とっくに心は彼の眷属で、揺るぎない)】

【ちなみに寝間着はネグリジェだったりベビードールだったりパーカーだったりして日替わりだった。きっと、その日の気分で】

プレゼントもあるんだよ、喜んでくれるかな――……、ふふ、何をあげるのかは内緒なの。

【彼を語るときとは違った、ただ、親愛を篭めた笑顔。大切な友人なのだろう、浮かべるのはひどく穏やかなそれで】
【純粋に喜んでくれるのかを気にしていた、――結局は、しーっと立てた指で、隠してしまうのだけれど】
【あの子と関係ないだろう相手に隠す意味。純粋に恥ずかしかったのだろう、実物を持っていないということもあったし――】

……教えてくれるのっ?

【――嬉しそうな声が跳ねた。今までのいつよりもおっきな声、夜にりんと響く鈴の音】
【ぱぁと喜色を満面に湛えた顔は或いは眩しいぐらいだろう、おっきな眼はきらきらと期待に煌いて、】
【教えて欲しいと十分すぎるぐらいに語っていた。もちろん、アドレスを教えることにもあっさりと了承してみせる】

【上機嫌でその背中を見送るのだろう、そうして後日、詳しいレシピを教えてもらったなら】
【その通りにして作ってみるのだろう。当然彼女の味とは違うわけだけれど、誰の作り方なのかは、そっと内緒にしてみせる】
【十年前の味を思い出せたなら悪戯っぽく笑って見せて。現嫁が元嫁のレシピでものを作ること、なんだか少し怖いようだけれど】
【本人は他意もなんにもなくただ喜んでくれるかを見ていたという。喜んでくれたなら、――そのことを、きっとメールで報告するはずだった】
【ちょっぴり不思議な縁で繋がる二人の邂逅。指輪を指で粉砕するよりも、穏やかなひとに見えたのは、一夜の錯覚かもしれなかったけれど】

【――ちなみに。帰宅した後、考えたことを実践するのだろう。即ち二十二日があの黒猫の誕生日なのだと教えて、】
【お祝いしてあげてねと悪戯っぽく囁いてから風呂だのを済ませに行く。今日の寝間着は、少しだけ露出の多いベビードールだった】

/おつかれさまでした!

282名無しさん:2014/02/22(土) 01:21:09 ID:A89md4kk0
>>278

【何かをしっかりと捉えた感覚。一瞬だけ相手を至近で睨みつけてから】
【アンジェルは後方へ飛びのき、刀をヒュン!と払って、改めて構えを正す】

【一時でも恐怖を無視できた――謂わば明鏡止水の心とでも言おうか、それが功を奏したらしい】
【ふぅ、と息を整えてから相手を見れば、他にも火や虫や――多大なダメージを受けているにも関わらず】
【それでも尚動いているのが分かって、加えて更に結晶が露出し雷撃を放つ―!】

……そう、どこまでも良く出来た兵器ちゃんだこと…!
御陵ってね……!アンタの墓だかなんだか知らないけど、そんな事最初に言いなさいよ!
入ってきた相手をはなっから殺そうとするなら、どんなお偉い人だろうと許せるもんですかッ!

【迫る電撃を前にアンジェルが出来る事は少ない。だが――彼女には奥の手が存在した】

 【ザクリ、っ――己の喉元に刃を突き立てる。口の端から血が溢れ、刃の端を伝ってゆく】
 【そしてそれは、スポンジが水を吸うように消えていって。俄に溢れるのは、強烈な妖気――】

【――?ドッ!?という勢いで溢れだしたそれは、やがて実態を持った血液と化し、それもまた流体として形を持ち】
【ズルズルと斧を引きずりながらアルフレドの方へと向かう兵器を追うように、そしてまずは雷の矢を防ぐようにアンジェルの前に展開し】
【矢を受けると全体がバチバチと帯電するも、消えない。その大量の血液は、やがて怨霊かとも見紛うような動きを見せ】
【次第に刃へと形を変えると、一転して大地を這うようにして兵器を追い、背後から二筋、相手を串刺しにせんと伸長するだろう】

【それが終わってしまえば――相手が止まろうが止まるまいが、歌が止もうが止むまいが】
【アンジェルはその喉に突き立てた刃を引き抜いて。そこに傷がないのが嘘のようだった、が――】
【果たして相手はどうなったかと、膝と両手足を付いた疲労の体で顔をあげることになるだろう、か。】

283名無しさん:2014/02/22(土) 01:35:36 ID:zhlacM2.0
>>278

【今度は直撃した、装甲は壊れてきているし、内部らしき「何か」も見えた】
【喋り屋にはそれが何か分からなかったが―――それが兵器にとって大事な何かだという気がした】
【このまま押せば勝てる―――恐怖の中で、精神的に弱い彼女にも光が見えたのだ】

【だがしかし、希望を打ち砕かんと流れ込んでくる歌。びくりと肩を震わせて】

――――――――――――――…ッッ!!

【強化された恐怖、孤独、負。その状況で無表情でなんていられるわけもなく、苦痛にゆがむ顔】
【帰りたい、逃げ出したい―――首を振って、感情の波に飲まれそうになる自分を気付けて】
【だがしかし、体は言うことを聞かない。耐え切れずに涙が点滴のように、双眸から流れ出してしまう】

【震える足で、次の攻撃に気付く。光の矢が二本、こちらへと向かっていた】
【また斧を避けた時のように、今度は右へとサイドステップ。両方ともそうして回避行動したように思えたが――歩幅が足りず】

――――――――――――――――――ぁ、っは…っが…!

【右へと一本を回避し、何とかなったかというところで―――追尾してきた二本目が迫りくる】
【雷の矢が直撃――――電撃に貫かれた細い身体がびくりと跳ねて、それによるダメージの大きさを物語っていた】
【膝をついて、酸素を全て奪われたかのようなか細い吐息が口から洩れる―――終わりだろうか?】

【―――否、違う。少ししてから、アルフレドの方へ向かう兵器の姿を、膝をつく彼女の瞳が捉えた】


『――――――ああああああああああああああああああああああっっ!!』
『まだ、だッ…ここで終われないんだよ…何時の時代のなに人か知らないけどなぁッ!!』
『こんな地面の下なんかで死んではい終わりなんてなってたまるかってんだよぉッッ!』
『俺にだって、待ってる家族が、友達が居るんだ…こんなところで、死ねるわけないんだよ…!』


【―――――恐怖を乗り越えるべく喋り屋の取った策、それは「雷の矢の攻撃を受けること」】
【ある程度痛みを受ければ、聞こえてくる歌も聞こえなくなるかという自殺行為のようなそれ】
【だがしかし、雷の性質のお陰か一瞬意識が飛んでくれて―――その時だけ、彼女は歌の呪縛から解き放たれた】

【朦朧とする意識の中放った声は意図してか、それとも文字通りの無意識か―――中指の「青年の声」】
【人一人握れるような巨大な「土の腕」が黄色い魔力の泡沫から現れると―――兵器へと拳を固めて、ロケットパンチの如く放たれる!】
【兵器の頭部目掛けて跳ぶは、彼女の持つ最強の魔術の一―――その威力、侮ることなかれ】

284名無しさん:2014/02/22(土) 01:39:22 ID:NhfmW/NA0
>>278

【よくもまあ、これだけのエネルギーを持つ兵器を創りだしたものだ】
【戦闘後に原型を留めていたのならば、別次元に一旦飛ばし、機関内の物好きに譲ってもいいだろう】
【あくまで使える状態ならば、だが――】


五月蠅いわね。私ももういい歳なんだから泣かせないで頂きたいわ


【歌がその効果をさらに強める。これが攻撃の一種だとわかっていても、流れる涙は切れることを知らず】
【胸が締め付けられるほどの悲哀を受けたのは何年振りだろうか。孤独も恐怖も、普段はあまり持たない性格だ】
【それらの感情に懐かしささえも覚える。――が、本来の目的を忘れたわけでは決してなく】
【歌で精神が壊れることもまた――ない】


この子を出すのは気が進まないけれど……出てきなさい
――〝リンク・ディメンション〟


【両の手を地面へと向ける。展開されるのは今までとは比べ物にならない程の巨大な魔法陣】
【そこから――この地球上には存在しない、刺々しい凶悪なフォルムのムカデが姿を現した】
【外見もさることながら皮膚は異常に堅く、またその顎は毒を抜きにしても強い力を持っている】

【それがカーディの身を守ろうと雷の矢に立ち塞がる】
【一本目をその身に受けるが貫通することはなかった。代わりに雷による強烈な痺れで激しく身悶えさせ】
【それにより二本目を防ぎそこない、カーディの元へと飛来する――!】


う、ぐぁぁああああああああああっ!!!


【少しはムカデが防いだのか直撃ではなかった。それでも受けたダメージは身を焦がすほどに大きい】
【しかし、血の煙を上げる腹部を押さえながら――彼女はムカデに命令を下すのだろう】


――砕き、なさい!


【ムカデが動く。魔法陣から完全に出れない程の巨体が、巨人に向かい突進する!】
【残った間接のどこかに開いた顎を突き立てたなら、それを引き千切ろうとするだろう】
【その成否に関係無く、最後にうねり、頭部を巨人の胴へと叩きつけようとするはずだ】

285名無しさん:2014/02/22(土) 01:40:40 ID:ds7QzQz.0
>>281

【(血湧き肉躍る戦いから離れたフラストレーションに重ねて甘ったるい糖蜜のような声で囁かれたなら、一体どうなるだろう?)】
【(それこそきっと一つになって溶け合いたい程の感覚、情欲的な意味でなく、二度と離れられなくしてしまいたくなる欲求)】
【(かつては戯れに締めていた首を今そうしないのは、最早締めるだけでは飽き足らない熱を押さえ込むためだった)】

【後日届くレシピはやはり砂糖を抑えて中身も胡桃のみという簡単かつ素朴なもの、ひとつまみ入れる塩がポイントと付されていて】
【紅茶葉を入れても良いし、少し上手な味付けとしては胡椒粒を粗挽きにして入れても良い、と添えられていた】
【どの作り方でも彼は好んで食べるのだが、プレーンのものを目にしたとき、一瞬動きが止まるだろう事は間違いなく】
【そして口にして固まる事数秒、何かを理解すればその場はにこやかな笑顔で「とても美味しい」という筈だ】
【後で彼女の見ていない所で頭を抱えて、元嫁の彼女に長い長い嫌みったらしいメールを送るというのは余談】

【そのメールを送り終えて気分が些か晴れた頃。二十二日の件を思い出せば丁度その日になる頃合で】
【ついでと言っては悪いけれど、祝いの言葉を送るだろう。「悪い遊びはしないように」なんて添えてから】
【添付した画像は隠し撮った鈴音の穏やかな寝顔。きっとぬいぐるみに囲まれ眠っているのだろうその姿が、幸せに写っている事を願った】

/おつかれさまでしたー!

286名無しさん:2014/02/22(土) 01:40:59 ID:CKwgAcf.0
>>278

「……よォーし、アビスゲートは無ゥ事だな……"中身"が出ェたらリィカバリーに結構かァかって面倒だァからな」

【壷が壊れていないことを――多少のヒビだけで済んだことを確認すれば】
【――そういえば、蓋が僅かに開いていて、中から混沌としたナニカがやはりこれも僅かに漏れている】
【この蓋、貝の蓋の様な板状であり、先ほどの衝撃でよく壊れなかったものである】


「"あァの時"から幾度と無ァく"翼"をもォがれ、だァがそォの度に俺様は新たな"翼"を手ェに入れた――」
「――そォんな俺様に負の感情なァんざ通ゥ用しィねェ、そォんなモン俺様の糧でェしかねェェエエッ!」

【先程もがれた翼は右だけではない。悪魔は左の翼を拾い上げれば――それが変形し、球状の魔力の塊になる】
【そこに注がれるのは、"真賀雄"の能力である"死滅と闇"の力……"剥離と纏の鎧蛇"と"宵闇と鏡の豪蛇の力"である】
【――身体が壊され、何度も繰り返し壊されて、――それは、肉体に対して強力な破壊の作用を齎すエネルギーの塊で、】


 「――"フィーリット・カプテスプ(体砕技)"――"ディルム・レーディスプ(魂吸技)"」


【そして、破壊したモノのエネルギーを"喰らう"貪欲な塊だ――】
【狙いは兵器の中央部。――生命のエネルギーだろうと魔力のエネルギーだろうと、……魂のエネルギーだろうと、味方のモノだろうと何だろうと構わない】
【そのエネルギーの塊は、モノを破壊し、エネルギーを喰らう。単純明快。――それをまともに受けた時、そこに残るものの保証はされない】

【――その身体には2本の矢が突き刺さっていた、分厚い服……もはや鎧であるそれが無ければ完全に貫かれていたはずだ】
【この攻撃を放つ"犠牲"として"回避"を払っていたのだ、――常人ならば、もう死んでいてもおかしくないような当たりどころ】
【悪魔は多量の煙と共にその場に崩れ落ちた、但し……そう、死んではいない、電撃で身体が一時的に痺れた結果倒れたのだ、……多分】

【なお、先程の攻撃が成功しても失敗しても、破壊されなかった分のエネルギーの塊は残り、悪魔の近くを精霊のように漂うだろう】

287名無しさん:2014/02/22(土) 01:42:20 ID:Jfel1XAU0
>>279
【じいっとその正体を確かめるべく視線を注げど己に迫る危機に勘付かず。かといって近づく訳でも無いのだから実に平和ぼけをした妖怪だ】
【相手の正体を確かめようとも、問いかけようともしない。――――やがては、自らに向けられて居る矢の存在に気付いたのか、尻尾と尾との毛を逆立てて】
【然れど、逃げるでも無く攻撃を加えるでも無く、おどおどとその場に立ち尽くすのみ。それだけで少女の気質も知れようか】
【――――迷った末に導き出した選択は障壁を作り出す事。矢を番える者に対して攻撃を加えるなりすれば逃げる隙を作り出せたであろうにも関わらず、だ】


「そ、その…………わた、し。私……………………――――――」

【だが、相手は弓を下げて向かってくる。今度は刀で捌かれるか、突き殺されるか。そんな勝手な想像をすれば後ずさりも無理は無い】
【自分では敵では無い。人に災いをもたらす妖では無い。伝えたいけれど、言葉を上手く出せる事が出来ず】
【未だに幼さの残る顔に恐怖の色を浮かべ、ジワリと目尻に涙を溜めるが――――次の言葉には、その歩みも止まる事だろう】

【妖怪でありながら巫女装束を纏う。そんな矛盾が、青年の前で戸惑った様に立ち止まっていた】
【果たして信用して良いのか、否か。まねで自問自答するかの様に暫しの間を作るのだが…………】
【やがては青年の言葉にこっくりと頷いて】


「ビックリしましたけど…………でも…………何も、無かったので…………大丈夫、です……
えっと、その…………あの…………」

【零れかけた涙を指で掬い払えば、小さな声が紡がれる。良く清んだ声色ではあるが――――人見知りか、僅かな雑音が入れば消えてしまいそうな程の声量である】
【今この場では青年と少女の二人のみ。故に、問題無く聞き取る事は出来るだろうけれど】

【一瞬ばかり青年の顔に視線は移されたものの、次にはずっと其の大弓へと視線は注がれる事となり】
【興味か、恐怖か。或いはその両方が入り交じった様な感情。動悸の激しい心臓の音を静めるかの様に胸に手を当てれば、再び少しの沈黙を作り出して】


「私こそ……すみませんでした…………。こんな所に居たら…………びっくり、させちゃいますよね…………
こうして、怪我も無いので…………気に、しないで下さい…………。ですが、その…………弓、は…………?」

【青年のそんな笑みに応えるのは微笑であって、謝らなくても良いと伝えるのだろう】
【――――弓を携えたままならば、やはり其れへと視線は向けられたままだ。今まで幾つか弓を持った事はあっても、大弓には触れた経験がない。だからこそ、今となっては興味の対象として映っているのだろうか】
【逆立っていた尾も、今はゆらりゆらりと左右に揺れているのだから、何と無く察せるかもしれないし…………若しくは、中途半端に途切れた言葉から感じ取れるかもしれないけれど】
【又別な言葉を投げたって、少女は逃げる事無くピクリと耳を動かして反応を示すはずだ】

288名無しさん:2014/02/22(土) 01:43:38 ID:ds7QzQz.0
>>285
/【そのメールを〜の部分が全く時系列外れてました、すみません……
/【ついで〜の部分も読み飛ばして、メールを送ったという事に読み替えて下さいませ

289名無しさん:2014/02/22(土) 01:59:24 ID:CX9dekr20
>>280 >>282 >283 >>284 >>286

【小嶋が放った爆薬は、今まさに斧を振り翳そうとしていた兵器の胴体を捉え、結晶のいくつかを潰すだろうか】
【更に、追尾性能を利用した雷の矢の誘導が、兵器を貫くが――――こちらは、残念ながら効果はない。雷は兵器に触れると吸収されてしまうだろう】
【アンジェルの切り札もまた、背後の結晶を二つ潰す。それだけに留まらず、血液の刃は度重なる攻撃で弱っていた装甲を粉砕。大幅にそぎ落とすだろうか】
【『喋り屋』の攻撃もまた直撃。もはや相手にも避けるだけの余裕はないようだ、拳が頭部を結晶ごと完全に破壊すれば、液体で構成された〝頭の本体〟が覗いて】
【次いで、リグリングのムカデが右足を捉える。最初のタマヤスデの攻撃が効いていたのだろう、めきりと嫌な音を立てて結晶ごと脚が引き千切られ】
【胴体へ叩きつけられた頭が胴の装甲を完全に削ぎ落とす。そうなれば最早、横島のエネルギー吸収を防ぐものは何もない】
【残る間接を繋いでいた稲妻が一気に小さくなって、光が消えていく――――】

『――――――ギ――…………ギ、ギ、ギ』

【ごどん、と兵器が崩れ落ちれば、砕けた装甲が更に地面に落ちるだろうか。その装甲の内側もまた、茶色い】
【これだけ大量に装甲が散れば、もはや誰の目にも明らかだろう。それの正体は、〝錆〟だ――――当然といえば、当然の話で】
【完全に静止した壁や床ですら、砂の影響を受けて崩落していた。それがこんな機動兵器となれば、磨耗の度合いも半端ではなかった筈だ】
【数千年もの間、この〝御陵〟とやらを守り続けた老練の兵士。そもそも今こうして動いていること自体、奇跡という他無かった】
【傷つく度に外側だけを張り直して、とっくの昔に内側は限界だった。そこまでの酷使を経てまで何故、守り続けなければならなかったのか】

【ここに一体、〝何〟があるというのか――――?】



                   FrGian GsTua RyOcRoskr Fiz Lt;BvUtUraw L`uMita i/qg XhKiut.
                   < 魂 の 尽 く ま で 忘 る る な  轟 き 叫 ぶ 歪 み の 歌 を >



【手掛かりらしい手がかりと言えば、歌い続ける少女だろうか。呟くようだった口の動きが、今や悲鳴を上げるように必死に声を上げていて】
【――――彼女が浸かっているのとは明らかに違う雫が、その頬から水色の光に溶け出していく。怯えて、嘆いて、助けを求めるかのように】
【今までで最大の〝恐怖〟と〝悲しみ〟と〝孤独感〟が、遺跡全体へ伝わっていく。この絶望の感情は全て、この少女の抱くものであったのだろうか――――】

【悪夢の中でもがくように、少女は歌い続ける。その想いに呼応するかのごとく、倒れ伏した兵器が最後の動きを見せるだろう】
【斧や結晶のみならず、兵器の全身に雷撃が纏わり付いていく。砕け散った結晶を更に粉微塵にしながら、再び〝雷の矢〟が生成されて】
【それだけではない――――最期の力で左腕を振り上げ、そこに掴まれた斧には、直視できないほどの輝きを帯びた稲妻が唸りを上げていた】


『―――――、―――』


【最期の最期まで、声はない。無機質な兵器の咆哮はすべて、全身に漲る雷に宿され――――そして、刹那】
【振り下ろされた斧が目の前の床に炸裂した瞬間、斧に宿った稲妻と雷の矢が一気に開放され、部屋中に〝雷の雨〟が降り注ぐ――――ッ!!!】

【数え切れない驟雨の軌道はランダムだ。明確な意思で五人を狙うものなど一つもないが、とにかく数が半端ではない】
【棒立ちでいても数十発の雷を貰う事になるし、考え無しで動けばなおさらだ。だが矢や稲妻一本一本の速度はそれほど高くはなく、見切れない程ではない】
【またこの攻撃と殆ど同時、真上から〝砲撃音〟が響き渡るだろうか。……このタイミング、間違いなくアサドの支援砲撃だ!】
【直後、水色の魔弾が次々に地面へ着弾。背の高い〝氷の壁〟が多数出来上がり、少なからず避雷針代わりの役割をしてくれる筈であって】

【そして、先程の小嶋の行動が証明したことが一つ。この兵器には自身の雷を吸収する性質がある――――つまり兵器の〝真下〟は、完全なる安全地帯!】
【――――もちろん、あの歌の流れるこの状況で兵器の直近まで突っ込んでいくのは、とんでもなく恐ろしい筈であるが】
【雷を凌いで、恐怖を断ち切って、この最期の攻撃を切り抜けられたのなら。攻撃の止んだ後には、無防備に膝を突いた兵器の姿がある事だろう】

【少女の紡ぐ、聞く者全てを悲しませる〝挽歌〟を止めて。数千年に渡った兵器の任務を終結させられるとしたら――――今、この瞬間しかない!!】


/次で〆にしたいと思います!

290名無しさん:2014/02/22(土) 02:11:23 ID:ssG.bvVc0
>>287

……結界の類?へえ―――――――妖気に関係してるのか?

【僅かな感覚に触れ一瞬歩みを止める、浮かべる表情はどこか好戦的なもの】
【自身の結界作成術に似たモノ……同類を見ればどことなく共感を覚えて、嗜虐的に……】

(って……うっわ……泣かせちゃったよ……さいあくだ……)

【さすれば彼の身形だけは戦いに身を置く者達そのもの】
【刃と研ぎ澄ました精神は在るだけで周りを裂かんとばかり……なのだけど】
【涙を溜める者を前にしてただただ声に出さず少し挙動不審になりながら狼狽えるだけだった】

【彼女の沈黙は彼の沈黙、ただどうすれば良いのか分からずの間】
【先に切り出したのは涙を浮かべていた方、なんとも情けなく】

大丈夫なら幸いだけど……ホント悪いね
妖かしめいたものを感じたからつい構えちまってさ……条件反射というか、なんというか
とにかく喧嘩をふっかけたみたいなもんだ悪いのは全面的にこっちだし……なんだ弓に興味があるクチか?

【恥ずかしさを隠すように頭を掻く、どうにも子供めいたそんな態度の中ふと見れば】
【弓へと注がれるその視線に気が付いて】

そんな格好だから破魔矢くらいは扱った事くらいあるんだろ?
なんだったら触ってみる?巫女っぽいナリなら「退魔」の付与があっても大丈夫だろきっと、お詫びって訳でもないけどさ

【彼の身長程もあるどう見ても重量級の弓を片手で軽く扱い少女へと手渡そうと伸ばす】
【壮麗な文様の刻まれた純銀の弓はともすれば博物館にでも飾られても不思議ではない「神聖」さを宿していた】
【「神聖」さとは言うが対義に位置するモノの一切を拒絶するような鋭いモノではない……言うなれば融和に近いそれは】
【触れた少女の皮膚を焼いたりはしないであろう】

291名無しさん:2014/02/22(土) 02:16:07 ID:F52AoKs20
>>289
「――やっと、通ったッスかねえ」

【爆風の向こう。崩れゆく装甲、奥に有った錆だらけの体躯。それを見て、感じたのは、安心】
【全身が激痛で、動かす度に声を上げたくなるほどのダメージを負っている。それでも、無理矢理に身体を動かして立ち上がり】
【まだまだ続くその歌声の方向に、女は冷め切った瞳を向ける。哀れみでも、悲しみでも恐怖でもない、それは――】

「悲しむのも怖がるのも孤独に苦しむのも勝手だけどよ――、人巻き込まないでくれるッスかねェ。
ぶっちゃけ、ウザいッスよ。アンタがいくら辛かろうと私にとっちゃどーでも良すぎて本当めんどいだけなんスから」

【――路傍の石を見るような、荒みきったそれ。女に助けるつもりなど、無い】
【口元に歪んだ笑みを浮かべ、女は両手に斧を引き抜いた。まだ終わっていない、そう感じたからだ】
【空間を満たす威圧が強まる。身体が硬直する、この恐怖は与えられたそれではない、己に迫る死に対する恐怖だ】

「まだ動く――スか。いい加減――くたばって欲しいんスけどねェ!」

【ぎしりと嫌な音を立てながら立ち上がり、左腕を振り上げ雷撃を解き放つ兵器】
【戦慄する。なにがこの鉄くずをそこまで駆動させているのか、理解が出来ない】
【自己を崩してまで動き続けるその感覚は、己が生き残るためだけに生きているコジマにはきっと一生理解できぬものだ】

「――――っ怖い……ッが――――てめェよりも雷撃のが怖いッスよォ!!」

【歌の与える恐怖。だがしかし、女は恐怖を見誤らない。兵器の恐怖よりも、己が死ぬ恐怖がそれを凌駕する】
【死にたくない。その感情が全てを支配する事で、女の肉体は生存の為にその全ての性能を余すこと無く発揮した】
【降り注ぐ雷撃の群れ。隙間を縫い、駆ける、駆ける、駆ける。身をかすめ、肩から腕にかけて激痛が走り、左腕が異様な痙攣を開始する】
【数度の雷撃により、声にならない声を響かせるも――それでも、足だけは止まらない。死にたくないからだ】

「あと一歩…………っ!! ――――死んで貯まるかァああああああ――――――――――――ッ!!」

【恐怖によって、体躯のリミットが解除される。肉体の限界値のスペックを発揮し、コジマの姿がブレる。加速】
【――そして、コジマは兵器の真下に滑りこむ。後は、膝を抱えて恐怖に震えながら状況をやり過ごすだけである】

292名無しさん:2014/02/22(土) 02:25:03 ID:A89md4kk0
>>289

くっ、は……やってやったわ…!どうよ、この……あれ、?錆?……?

(……ただの金属でも無いのに、あそこまで内部が腐食してる……)
(それって、……それこそ何百年も何千年も、此処を……?)
(……、…なんでかなんて分からないけど……忠義深いのは確か、みたいね……!)

―――でもね、アンタの気持ちに殺されるわけには行かないのよ…ッ!!

【顔を上げた先、見えるのは崩れ落ちる尖兵とその身から溢れる幾多もの錆】
【本能的に悟るのはその年期。一体どれだけの年月を此処で過ごしてきたのか――】

【例えそれがプログラムされたものであったとしても、察するに余りある】
【機械に同情というのも可笑しな話だが――きっと歌の所為も有るのだろう】
【アンジェルの心の中には、確かにそれらしい感情が沸き起こったのも確かである】

【だが同時に、それに負けてはいられないという克己心めいたものも、芽吹いていた】
【最後のひと踏ん張りだ。相手は既に身を崩壊しかけた状態、恐らく最後の一撃のハズ】
【ならば自分も踏ん張らねば、やられる。それを察知すると、痺れる身体に鞭打って】

アンタもソッチの女の子も事情は知らないけど、私達はまだ生きて色々やることが有るのよッ!
悪いけどね……こんな所で永遠にオネンネなんて冗談じゃあないって―――ッ!!

【転がるようにとび出すと、雷撃を避け、時に撃たれ、それでもカンカン!と足音を響かせて】
【なんとか勢いづいて兵器の下へと飛び込めば――荒い息を上げつつも、安全な場所であることを確認し】
【果たして顛末はどう転がるのか、あの少女は一体何者なのか、それが分かるかのような気がして】
【地に這いつくばるような格好だったが、また顔を上げ。アルフレドや少女の方を、見遣った】

293名無しさん:2014/02/22(土) 02:35:30 ID:NhfmW/NA0
>>289

【カーディにとってこの遺跡は、自身の益とするための手段でしかない】
【故に何千万年ここを守護した戦士がいたとしても、彼女はそれを蹂躙して進む】

【部屋を埋め尽くさんばかりの雷の雨は最後の悪あがき、といったところか】
【既にダメージを受けているカーディに、兵器の下へと行く力も機動力もない】
【ならば、アサドがもたらした氷の壁の下へと行き、さらに先程出現させた巨大ムカデを引き寄せる】

【ムカデは繭か何かのように彼女を包み、雷の雨から彼女を守るのだろう】
【堅牢な外骨格は、ひとつたりとも雷を通さなかった】


【――やがて攻撃が止んだのなら、変わらず涙を流す彼女の姿があるだろうか】
【凛然たる表情は、あるいは一種の冷酷さを帯びているようにも感じるかもしれない】
【伸ばした指先は正しく兵器へ。今、彼を眠らせるべく――命を下す】


イェイシェラルム……行きなさい


【ムカデがその巨体をうねらせた。幾多の足を蠢かせて突進する】
【そして兵器の前で頭部を持ちあげたならば、巨大なハンマーさながらに叩きつけようとするだろう】
【少女を守るものが無くなれば――後は何が残るのだろうか】

294名無しさん:2014/02/22(土) 02:37:41 ID:Jfel1XAU0
>>290
【一応は一人でも出歩ける程の力は有るのか、それとも今宵は運良く襲われなかっただけか。果たしてそのどちらかは不明だが】
【――――妖かしめいたものを感じたから構えた。その言葉を聞けば、漸く青年と視線を交わす事となる】
【何か言いたげで、それでいて憚れていて。何度か口の中で言葉が生まれては消え、結局は何も言わないままに終わる…………かと、思えば】

【弓を渡せる程に近い距離。ならば手を伸ばせば触れる事も出来ようか。青年が動きさえしなければ、少女の細い指先はその袖口を摘んで】
【弱々しい力で、一度二度と引っ張り。その仕草はまるで自分の話を聞いて欲しいと注意を向けさせる子供そのもの】


「でも…………妖怪さん達も、全部悪い存在では…………無いと、思います…………
だから、えっと…………悪いのが居るのも、分かりますが…………」

【青年が妖怪に対して持って居る意識は分からない。こうして自分と話しているのだから、きっと全てを悪として認識している訳では無いであろうけど――――】
【珍しくも少女が己の考えを主張した。いや、主張しようとした。結局は尻窄みだ】
【巫女と言えば妖怪と対峙する存在であろうが…………少女の言葉は、まるでその妖怪を守ろうとしているとも聞き取れて】

【ふと、目の前に差し出された大弓を見ればその言葉だって無くなる。やはり子供。新たに興味が移ってしまえば忘れる事が出来るのは美点か、汚点か】
【恐る恐る手を伸ばし――――其れを受け取って。見た目通りの重さならばふらりふらりと危ない足取りながらも、その大弓だけは落とさぬ様にと耐え】


「破魔矢は、使った事がありますが…………でも、傷付けてしまうのが…………嫌、なので…………あまり…………
でも、私…………ちゃんと、巫女…………です…………
ちゃんと、術だって…………出来るんですよ……?」

【最初は珍しそうに見ていた物の、元より重い物を持てる様にと鍛えられていない細腕は次第にプルプルと震え始めて】
【力んでいる為か、心なしか少女の顔も赤みを帯び始め】
【巫女っぽいナリの言葉には若干頬を膨らませて言葉を返すも――――そろそろ限界か】


「お兄、さん…………あの、この子…………重くて…………折角、持たせて貰ったのに…………もう、そろそろ…………」

【身体が少しでも負担を分散させようとあっちにフラフラこっちにフラフラ。まるで綱渡りをする芸人の様だ】
【それでも持たせて貰った大弓を意地でも落とすまい汚すまいと頑張ってはいるものの】
【――――そのまま見ていれば、重さに耐えかねて前のめりに転ぶなんて場面が見れるだろうか】

295名無しさん:2014/02/22(土) 02:39:30 ID:CKwgAcf.0
>>289

【――――、――――――】

「リィスクを冒さずして、成果は得ェられねェ――」

【……?】 【確かに悪魔が発している言葉のはずだ、しかし何故――どこからとも無く聞こえるような感覚に陥るのだろうか】

「――俺様はリィスクヘッジもすゥるがな」

【悪魔は起き上がった、胴体に2本の矢が突き刺さったままに――道端の浮浪者の様な座り方で、壷を抱いていて】
【その近くには、エネルギーの塊が浮遊していて――まるで衛生のようにも見えるそれの触り心地は、酷いヘドロのよう。】

【リスクヘッジ――このエネルギーの塊は、先程兵器から喰らったエネルギーによって活動時間が増加していた】
【そう、……例え己の身体が矢で貫かれようと、動かせる"部位"を予め作っておいたのだ】
【先程の複合技で破壊しきれなかったのが残念だが、――だったら、もう一度ぶち壊すのみ】

「(安易に矢ァを引ィき抜けばそォれこそ"肉体が"死ィぬ、こォこは放ォ置して……雷は、"左ァ翼"で防ぐ)」

【その前に雷の雨を防ぐ必要があるか――この状態で今更防いだところで、という感じでもあるが】
【――全ての雨を防ぐことは出来なかった、しかし一部のそれをエネルギーの塊に喰わせることでダメージを抑える】
【今更防いだ所で大差ない、――だが、肉体が死ぬのは、面倒なことだ。それ以上のことなんて、ない】

「――――"矢"ァの対価は、……きィっちり払って貰おうか、"守護者さん"よォ」

【エネルギーの塊が再び動く、兵器を貫かんと。――それはまるで"悪魔の牙"だった】
【先程の性質はそのままに、勢いをつけることで円錐状の様な、彗星のような――そんな形と軌道を描く】
【牙が向く先は、兵器であり――そして、その勢いが止まらなかったとすれば、"少女"の元まで続けて飛翔する】
【――辺りに散れた己の右翼の魔力の回収(といっても1割戻れば良い方)だけが目的でない、――"少女の力"までも喰らってしまおうという欲深い行動だった】

【もっとも、ガラス管の様なものがある以上――それに防がれてしまえば終わりであり、そもそも当たった所で喰らえる保証もない】
【ただ、歌に乗った負の感情も喰らう効果があるので、アルフレドには多少の恩恵がある……かもしれない】

【幾ら己の身体の一部から作り出したとはいえ、――いや、だからこそ、このエネルギーの塊には活動の限界がある】
【こんな便利な存在がずっと活動していられるならば、初めから使っているはずであり――】
【――故に、エネルギーを減らされたり削られたりする何かしらの事が起きれば、限界は早まり威力も衰えるし、途中で消えてなくなる事だって大いに有り得る】

296名無しさん:2014/02/22(土) 02:39:43 ID:zhlacM2.0
>>289

【兵器の光が、小さくなる。全員の攻撃を受けて、まるで命が消えるかのように消えるその光を見た時】
【そして内部の茶色い何か、それが錆だと分かった時―――恐怖の渦の中で、喋り屋は少しだけ安堵した】

【もうこれで、終わりだろう――――兵器のその無残な姿に、喋り屋はそう確信していたのだ】
【あの状態で戦えるわけがない、むしろあそこまで動いたことがおかしかったと古代の兵器を見て、結論付けた】
【しかしまた聞こえる、今まで侵入者を苦しめてきたあの歌がまだ―――それどころかさっきよりも…!】

――――――――――――――――ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあっ…!!

【―――更に増加する嘆きの歌に、また耳を塞いでしまう】
【もはや、自分の声を隠すなんてことすらせず、悲鳴に似た劈くような声でその歌を掻き消そうと】
【しかし完全に聞こえない、なんてことにはならない。微かに聞こえる歌、彼女の絶望の言葉が喋り屋の精神を攻撃する】
【崩壊した涙腺は更に水滴をあふれさせて、震えていた両足がまた機能しなくなり、体勢を崩しかけて】

『―――――寂しかった、ろうね。苦しかったろうね。けれど、知ったこっちゃあ無い…!』
『君のおかげで私だって寂しくて苦しくて溜まんないんだから―――絶対に生きて、帰らせてもらう!』
『地上に帰って、皆に会いに行く――――君がどれだけ苦しんで歌ったって、絶対に折れない!』

【しかしながら、さっき吠えた言葉でまだ恐怖に抵抗する心はあるらしい。まだ死ねない、そんな思いが彼女を奮起する】
【恐怖に苛まれながらも、耳を塞いでいたはずの左腕で零れた涙をぬぐい―――覚悟を決めた瞳で。また動きだそうとする兵器を視認】
【右手を喉元へと持っていき、人差し指をあてがって何時も通りの話術を見せたなら、まだ恐怖に震えた声で紡ぐのだ】


『―――――――――神よ、我が声に…自然の、加護を…ッ!』


【魔力をすべて使い、中指をあてがってハスキーな青年の声で紡いだ言葉が、今度は砂で出来た「盾」へと代わる】
【左手にそれを持ったなら、自分目掛けて飛んでくる光の矢を全て受け止めんと盾を頭上に携えるだろう】
【雷ならば、砂を通ることは無い―――アサドの氷の壁の元へ近づきながら、安全地帯へと】

297名無しさん:2014/02/22(土) 02:57:33 ID:ssG.bvVc0
>>294

……ん、そうだな分かった悪いヤツばかりじゃないよなそりゃ
ちょっとばっかしピリピリしててさ、職業病というかなんというか難儀なもんだね

【瞳を合わせて数秒、引っ張られる感覚と溢れる少女の声】
【良し悪しはその種別に因るモノではない、紫白の瞳側を瞑って返し頷く】
【巫女とは本来は妖怪とは敵対する者、しかしながら彼女は妖怪である……その矛盾、というよりも折り合いか】
【相克する筈のものを内に抱えるならば……彼女のこれまでの道のりは易いものではないのだろう】

だから安心していいよオレは誰かに頼まれでもしない限りは手を出さないし
……まあ、今回は例外として……だけどね

【悪戯っぽく微笑み返す、その言葉の裏は】
【結局の所は善だろうと悪だろうと頼まれさえすれば「殺す」という宣告も含まれる】
【生業ならばそこに倫理観なく半ばマシンのように入力されたプログラムを実行する、オートマトン】

優しい妖怪だな、お前は……
ああ、なんだやっぱり巫女なら術とか出来るのかさっきの障壁?……も、その範疇なのか?

【傷つける事を拒絶する、危ういと思うがそれは尊いものに違いない】
【融和とは彼女の為にある言葉か……清く、とても眩しく思える】

……っと、危ない危ないやっぱ重かったよなホラ転ぶなよな折角の服が汚れちまう

【重さに耐え兼ねてふらつく姿を見て喉を鳴らし笑いながら彼は指を弓に伸ばす】
【つま先が触れた途端に弓は銀の霧へと姿を変えて消える、瞬きの後に彼の手にはひとつのナイフが収められている】
【大弓と同じ色のどこか暖かみもあるナイフは佇むようであったという】

……っと、ごめんごめんやっぱり重たかったかホラ危ない危ない

【】

298名無しさん:2014/02/22(土) 02:58:20 ID:ssG.bvVc0
>>297
/おうふ……下2つは無視してくださいすいません!

299名無しさん:2014/02/22(土) 03:06:39 ID:CX9dekr20
>>291 >>292 >>293 >>295 >>296

【――――歌の響きが、絶望を刻む。しかしこの場に集まった五人の精神は、そんな程度で消えるほど儚いものではなかった】
【三人は兵器の足元で、二人は自らの力で。轟く最期の雷はその勇気によって蹴散らされ、数十秒ほどで完全に消えてしまうだろう】
【そうして、最期の力を絞り終わって。もはや任務を遂行する力など皆無、、兵器が纏っていた装甲は勝手に自壊していく】
【そこへ、ムカデの体躯と悪魔の牙が引導を渡した――――兵器の全ての間接から光が消え、単なる器物と化して地面に転がっていくだろうか】

【…………全ての終わりに、その場に残った最期のものは。淡い水色に輝く、澄んだ軟体の人型――――】


                  Ista M`nAea s/qh ―――――― ,
                    < 我 が 名 は ――――、>


【最後の歌が紡がれて、液体が動き出す。これだけやられてもなお、〝ソレ〟は絶対に諦めなかった】
【装甲を貫いた横島の牙がそのまま少女に飛翔していくのを見るや、その軌道上に自らの身を投げ出し、液体の体で包み込んで勢いを殺す】
【その液体にもまた、あの歌の力が込められているだろう。そのエネルギーを全て吸収され、その身が段々と揺らいでいくが……それでも、牙だけは止めきって】

【――――直後。歌が、唐突に途切れる。場を満たしていた絶望の感情が消えていき、黄緑色の燐光も淡く空気へ溶けていった】
【それに合わせて、ガクン、と。液体の動きも全て停止し、数秒の後にドロドロと崩れ落ちて、床の中へと溶け消えてしまうだろう】


皆さん、こちらは終わりました!! 大丈夫ですか…………!?

【アルフレドの叫びが反響し、慌てて五人へ近寄って来るだろうか――――その両手には、あの少女が抱えられている】
【彼自身先程の雷に巻き込まれてボロボロだが、ガラス管は解放され、少女を浮かべていた液体も消え失せていた。歌を止めるという役割、見事果たしたようだ】
【この場の全員が健在であることを確認すれば、アルフレドも心からの安堵の表情を浮かべるだろうか】
【ひとつ気がかりがあるとするなら、アルフレドの腕にいる少女がどう動くかだが……息はあるが、意識はない。もう何も出来ない筈で】

/続きます!


300名無しさん:2014/02/22(土) 03:07:00 ID:CX9dekr20

「おーい! ゲホッ、全員無事だな!? 支援が遅くなって悪ぃ、こっちもバカどもがゴネて時間が掛かっちまってよ…………!!
 それよか朗報だ、たった今通信が回復したぜ!! 助けを呼んでおいたから、しばらくそこで待ってろ!!」

了解しました! ……聞いての通りです、皆さん。恐らく一時間もすればここから出られるでしょう。
――――本当に、お疲れ様でした……!

【崩落した真上からアサドの大声が響く。最初の雷の直撃がかなり効いたようで、声には辛いものが混じっていたが……】
【少女があの装置から外れたのと同時、遺跡が発していた例の〝波長〟は弱まってくれたらしい。やはりあれも、少女の歌が原因だったのだろうか】
【壁や床を見れば、走っていた青色のラインが全て消えている。この分だと道中のトラップも解除されているかもしれない、救助が来るのにそう時間は掛かるまい】
【アルフレドは全員を見渡して深く一礼した後、壁にもたれかかって大きく息を吐く。激闘を潜り抜けたこの場の誰もに、休息の時間が必要だった】
【先遣隊の半数は死亡となってしまったが……挽歌鳴り響く遺跡の中で、五名の命を守り切った。それだけでも十分、任務は果たされたといえるだろう――――】

【……そして。アルフレドの言ったとおり、一時間程度で救援隊は到着する。彼らは専用の機材を使って全員を大穴から引き上げると】
【怪我をしている者にはきっちり応急処置をして、丁重に病院まで搬送してくれるだろう。五人を見る彼らの目には、きっと尊敬の念が宿っている筈だ】

【後日傷の程度が落ち着いた頃に、砂の国自警団から五人へ調査報告が求められる。そこで遺跡内で見た物やあった事を一通り話し終えれば、任務終了である】
【報酬もそこで支払われるが――――そこまで強く口止めはされないものの、あまり不用意に話を広めないよう、注意程度の事は言われるかもしれない】
【何せ今回の調査、あの少女のことも含めて不明瞭な点が多すぎる。情報が錯綜するのを避けるために、詳しいことが判明するまでは事を表に出したくないのだろう】


【巨大サンドワームから始まった、今回の異変。果たしてあの遺跡は何だったのか、あの少女は何者であるのか。今のところは誰にも、解らないし】
【世界にとって、あの少女が眠りから醒めたことは本当に良いことだったのか。全ては、それこそ〝神〟のみぞ知ると言ったところだ】

【…………だが、少なくとも。少女の歌ったあの絶望の歌が、何かの〝始まり〟であった事だけは】
【この任務の直後に起きた『とある出来事』によって、五人やアルフレド達のみならず、世界全体へと証明される事となる――――】


/これにて本日のイベントは終了です! また後日、最後の〆文を投下致します
/参加者の皆様、お付き合いありがとうございました!!


301名無しさん:2014/02/22(土) 03:16:03 ID:F52AoKs20
>>299-300

「――はァ……死ぬかと思った……ッス……」

【全身ボロボロ。傷だらけの女は、それでも生き延びたことに感謝の念を覚える。神にでもなんでもなく、動いてくれた己の肉体それ自身にだ】
【ポーチに入れた青い液体は、そのまま持ち帰ることにした。きっと、なんらかの効果があるだろうと踏んだからだ】

「はァ――、こりゃ帰って酒だなァ……。百万は後からだけど、飲むっきゃねーし」

【救援隊がやってきてから、気がつけばコジマの姿は消えている】
【砂の国にあるGIFTの地下拠点に向かう、一つの車の中――そこで寝こむ女の姿がひとつ】
【後日、全身包帯だらけながらも、満面の笑みで報酬を頂く小嶋智子ことコジマは、守秘義務を守ると確りと意思表示】
【100万と、こっそりとちょろまかした幾つかの瓶。それが、今回の探索においてコジマが得た報酬であった――】

「割り――悪かったかもッスねェ」

【報告を終え、路地に消えていく女のその呟きは、これから先にある〝危機〟を予見したものだったのだろうか――――】

/*お疲れ様でしたー!!*/

302名無しさん:2014/02/22(土) 03:34:38 ID:Jfel1XAU0
>>297
「…………誰かに頼まれても、命を奪ってしまうのは…………や、です……」

【傷付けたくない、とは妖怪のみならず人間、延いては他の種族にも適応されているのだろう】
【その証左として考えられるのは、青年との出会いの時。術を扱えると明言していながら大弓の存在に気付こうとも、一切の攻撃をしてこなかった事】
【普通ならばそんな性格が災いして食われるか殺されるか。然れど少女は確かに生きて青年と接している。と、なれば――――守り手でも居るのか】

【頼まれればと返されたならば、納得出来ないと示すかの様に拗ねるけれど、納得出来なくても分からず屋では無い】
【価値観を人に押しつける事はならぬ事と弁えているからこそ、其処で留まった】
【自分の同種が殺される云々なんて考えは、きっと微塵も無くて】


「…………私は、優しくなんか無いです…………私なんかより優しい妖怪さんを、知ってますから…………だから、きっとその言葉は…………違うと思います…………
えへへ…………お姉ちゃんにも、良く…………子供だって、言われていたので…………
――…………さっきのも、そうです……。後は、五行とかも…………少しだけ…………ですが…………」

【照れる様に俯けば、力んだ時の赤面とはまた異なった意味合いの朱色】
【褒められれば否定するだなんて、子供では良く見られる光景だ。小さく首を横に振れば、この少女もまた青年の“優しい”を否定する】
【自分はまだ未熟な子供だから、その言葉はきっと合わない。そんな旨を告げて】

【――――若かし、青年ならばきっと詳しいだろうか。妖狐となれば様々な文献にも残されている様に、或いは稲荷信仰とやらも存在する様に中々の曲者】
【歳を経れば天狐だ空狐だと昇華したりする存在。無論、少女は見たとおりの“野狐”】
【然れど、やはり一介の妖怪より五行妖術に長けていると見て間違いは無いか】


「っ――…………ふぅ…………。あと少しで…………落としてしまう所でした…………
…………この子、九十九さん…………ですか…………?さっきと違う形なのに…………その…………同じ、気配が…………」

【大弓の重さから解放されると、全身の疲労を取り去るかの様な深い吐息】
【――――先の弓が一振りのナイフに変わっていた事に気付けば、触れる事こそ無いもののやはり視線は注がれて】
【魔法やらでは無く九十九神の名を出す所が櫻の妖怪らしいか】
【じっくりと観察する最中…………「あ」と小さな声を出せば顔が上げられて】


「あの…………私……天鬼、桔梗…………です……
えっと、良かったら…………“お前”、じゃなくて…………桔梗と、呼んでくれると…………少し、嬉しい…………です……」

【天鬼桔梗(あまき ききょう)。そう大々的に知られている訳でも無いが、櫻の事情に詳しければ一地方で巫女を務めて居る家系と小耳に挟んだ事もあるだろうか】
【或いは、第三回水の国天下一武道会を見ていたならば、奇しくも同じ“天鬼”の名字が三位の欄に位置していた事を見た事があるか】

303名無しさん:2014/02/22(土) 03:45:52 ID:zhlacM2.0
>>299-300

【まずは、歌が聞こえなくなったことに気付いて、周りを見る。良く見れば、抱えられた少女が一人】
【兵器はもう動かない―――それを確認したなら、安心しきったような顔で、今まで取っていた警戒を解く】
【それに伴い土の盾が崩れて、まるで力が抜け落ちたかのように倒れかけて、精一杯踏ん張って事なきを得た】

『――――はーっ、終わったの?やっと…うっわ、まだ脚笑ってるよ…!』

【どさり、音を立てて座り込んだら、全てが終わった実感に大きく息を吸って吐いてを繰り返す】
【はっと気がつけば、また目尻を伝う水滴が流れていて―――勢いよく壁側へ体を向けて、顔を隠すように】

『―――――――――あーもう。今は、今だけは絶対に顔見ないで…絶っ対に』

【左手でその良く分からない液体を拭い、とにかくその顔だけは見られたくないのか】
【ずず、と鼻をすすったり軽く息を零したり―――ずったずたにされかけた精神を落ちつける様に顔を覆って】
【恐らくは救援の来るまでの小一時間、喋り屋はずっとそうしているのだろう…仕方ないと言えばそうだが】
【カレーの話とかも忘れて、それからはずっと、黙りこくって――― 一時間後の帰りを待つばかりであった】


【救出される際にも、彼女は終始無言で―――遺跡でのことを引き摺っているのか、会話をすることは無かっただろう】
【助けに来た彼らの尊敬の眼差しにも応えることは出来ず、疲弊した体を休める様に何度もため息をついていた】

【遺跡に関しての情報報告にて、彼女は恐らく適当に答えるばかりで―――さらにしつこく聞いたら「煩い」と一蹴するかもしれない】
【情報の漏出に関してだけ、ぶっきらぼうに「分かりました」とだけ意思を伝えて―――報酬を貰えば即座に帰るだけだ】
【…ただ一つだけ、あの“歌”についてを聞かれたなら――― 一瞬、先の先遣隊と同じような反応。怯えていたようなそれ】


【―――やがて、何かから逃げる様に直帰する彼女。これから先に何が起こるのかなんて、知る由もなく…】

/乙でした―ありがとうございました!

304名無しさん:2014/02/22(土) 03:48:04 ID:A89md4kk0
>>299-300

……終わった、の…?……あぁ、もう!隊長さんったら遅いじゃない!
危うく死にかけたわよ、この分はカレーの奢りで返してもらうんだからねッ!

(――罠といい、歌といい、人型兵器といい……よく生きてたわね、私…。)
(〝秋雨〟の使い方にも慣れてきちゃったし、本格的にヤバいのかしら――。)
(……そういえばあの女の子。結局起きたことになるわけだけど……)

……、っ……まあ、いっか。そんなことより、今は……――。

【すぅ、と寝息が漏れ始めたのはそのすぐ後。戦いが終わり、救助が来る】
【その知らせを受けるや安堵してしまったのか――砂漠の洞窟、その奥も奥だというのに】
【疲れに任せて寝てしまえば、きっと次に目が覚めるのはベッドの上に違いなく】

【それからちょっとした口止めについて触れられれば、そこは大人しく頷いた】
【なにせ此処ではUTの代表だ。子供という歳でも無ければ、素直な物で】

【――その後はまたしばらく砂漠の街、というものを前回同様に楽しんで】
【お土産だのお菓子だのを買い占め帰る姿は、宛らただの旅行者、だったが――】
【以前は足繁く通った歌劇の天幕には一度も行かなかった、というのが影響の証か】

【そして最後、夕暮れ時に街を出て。去り際ふと広大な砂漠を振り返ったのは――何かの、予感か。】

/お疲れ様でしたー&ありがとうございました〜!

305名無しさん:2014/02/22(土) 03:49:29 ID:NhfmW/NA0
>>299-300

【兵器は無機質の塊と化し、歌が止む。この場を満たしていた絶望が晴れた】
【カーディはムカデを帰した後、痛む腹を押さえつつ、大きく息を吐くのだろう。やはり平常が一番だ】
【――いや待て、これで終わりな雰囲気ではないか? 彼女の目的は兵器を壊しに来たのでは、決してない】


救助が来るのはいいけれど――遺跡の探索はさせてくれないのかしら
約束と違うんじゃない? ま、結局何にも解らず仕舞いだったから探索しても無意味なんでしょうけど


【怪我よりも何よりも、サンドワームが変異した理由を解明できなかったことの方が残念だ】
【救助隊が来るまで彼女はタブレット型端末のレポートに目を通すのだろう】
【全員が一度目にしているはず。拾ってないと言ってもどうせばれる】
【ならば今重要なデータのみを、抜け目なくメモすることにしたらしい】


【後日、治療をきっちりと受け、報酬ももらった彼女は機関の自室でデータを確認する】
【――が、やはり何度目を通しても理解できず、やがて考えるのを止めれば大好きな蟲達と戯れるのだろう】


【彼女にとって蟲達だけが生き甲斐。訪れるであろう出来事など――きっと、関与すべきことではない】
【―――――はずだ】

/お疲れ様でしたっ!

306名無しさん:2014/02/22(土) 03:57:39 ID:CKwgAcf.0
>>299,300

「…………」

【――"悪魔の牙"は悪魔の元へ素早く帰還した、このまま何もせずにいてはただ散れるだけなのだから】
【壷の蓋が開き、牙はその中にへと入っていった、はたして収支がどうなっているのかはわからないが】
【少なくとも常人ならば死んでいるような傷を負っているのだ、というよりこのままだと出血多量で死ぬ可能性が高く】
【――悪魔は歩いた、歩けたのだ、――殆どのモノから死角となる場所にへと悪魔は移動した】

「ちィッ」

【何故この遺跡に来たのか、"欲しいから"手に入れようとした、それ以上の理由なんて無い――】
【今回得たモノがはたして"アビスゲート"の味の一つとして使えるか、どれだけ働くか、それは後々調べるとして】

【――物陰に移動した理由だ、それは"帰還"の為。流出する力の回復も兼ねての行動である】
【……化け物以上の耐久やら、闇属性らしいとは言え管轄外ではないかと思われる技、等……――】
【戦闘中のドサクサで無ければ疑われてもおかしくはない、帰還なんてそれでもバレる、故にドサクサのない今は隠れて行う】

「(あァの地ィ図かァらは混沌の"におい"がしィた、……ククヒャハッ、"作ァ業"が捗らねェーな)」

【――そして、その物陰から悪魔の姿は消えていた、こっそり自力で這い上がったのかと思えば入り口からは誰も出てこなかったらしく】
【その入り口に待機していた恐竜までもが忽然と姿を消していた――】
【そう、悪魔は魔法陣を生成して帰っていて、恐竜も人目につかない所で回収していたのだ、もしそれに気づけるとすれば、僅かに感じる混沌の香りくらいか――】

【――情報得るだけ得てトンズラかと思えば、調査報告の場面……と、報酬金を受け取る時にはちゃんと顔を出す辺りは律儀というか何というか】
【後日の報告には意外と真面目に事実を語るが、己に関する事柄が色々盛られていたりするのは全くもって気のせいでない】
【他には、他の者と違い"歌"に関して悪い印象の事は全然言わないと言う事くらいか――もしかすれば、異質さを感じるかも知れず】
【……そして、この悪魔のことだ、例え守秘義務まで強い言い方をされていたとしても、それを守るかの保証はできない】


【――余談ではないが、アルフレドはきっとこの救援隊待ちの間から悪魔が帰るまで……嫌な気配を感じていたはずだ】
【何かを狙う、何か邪悪な存在の、欲望深き眼差し――そんなような、ナニカ】 【……この蛇の被り物、凄く便利である】
【今の優先順位が"アビスゲート"で助かったというべきか、結局はSCARLETの敵に回るのだから同じというべきか……】

【……夜道でなくとも、気をつけたほうが、……良いかもしれない】

/お疲れ様でしたー

307名無しさん:2014/02/22(土) 04:00:54 ID:ssG.bvVc0
>>302

そんな事言っても世界は生殺与奪で出来ている
……でも、まあそういう甘っちょろいヤツもいてもいいとは思うんだ、戦うならそういうヤツの為が良い
なんて……それこそ耳障りの良いだけの戯言っぽいか

【ただ無垢なまま、それを良しとするように頷き微笑み浮かべる】
【自分には得られないからこそ美しく自分であるからこそその価値を知る】
【認識するというのは即ち「私と貴方は違う」という事に他ならない】

おいおいそれは違うぜ、優しさは比較するようなもんじゃないだろ?
誰が誰よりも優しいなんてのはそれこそソイツに対しての何より自分に対しての冒涜だ、だからあんまそういうことを言わないように

【子供めいた謙遜にどうやら彼は真面目に反論を浮かべる】
【諭すような声色と少しの呆れ、ただ悪戯に頭ごなしに叱るでもないそんな言葉】
【あなたにはきちんとした価値がある、なんて言葉はまっすぐには言えないから】

五行……か、知識としてなら知ってるけどそれ止まりだなあ
もっぱら結界制作専門だし……今度機会でもあったら見せて欲しいもんだ、後学の為にもさ

【相克する螺旋から伸びた五行、どこぞの師は自分にそう教えた】
【無論それは人が理として識る五行でしかなくならば妖術としての五行は違うアプローチによるものか】
【視点がズレれば捉え方も変わろう、興味は尽きない】

そんな大層なモンじゃないよ
例えるなら……そう、ただの墓碑さ誰にでもないエピタフを持った……ただそれだけのモノ
まあ、なんだ……死は尊いものだからコイツはそれを讃えてるというか……あー……ゴメン実は借り物だから良く分からないのが本音

オレとしてはただ使えればそれで良しだし、使い勝手がいいから尚も良しってトコ

【別段意味もなく灯りに照らす銀の肌、寒さと同じく震えるように……】
【それを面白げもなく腰のナイフケースへと納める、彼にとっては武器は武器だった】

天鬼桔梗……ああ、大会でそんな名前を見たような
……となると、お前……もとい天鬼は相当の使い手か?こりゃいよいよ手合わせしてもらわないと損だな
都合がつけばだけど、なるほどそっかそっかコイツはいいや渡りに船とはこのことだ

【忘却の霧から手探りに引き出す、覚えのある単語……とっかかりさえあれば後は芋づる式に出てくる】
【大会三位の実力者、それだけの箔があるならば相手にとっては不足なし……くつくつ鳴らす声は純粋に楽しそうで】
【バトルジャンキーとまではいかないまでも優れた者との死線は彼にとっては肥やしであり求めるものであったのだった】

【余談ではあるが家に戻って湯船に浸かっている時にかの天鬼の】
【櫻のある地域で巫女を務める者達の事を思い出す彼であった】

308名無しさん:2014/02/22(土) 04:26:51 ID:Jfel1XAU0
>>307
「…………私には、難しい事は…………よく、分かりませんが…………
でも、悪い事じゃないという事は…………分かった、気がします…………」

【ピコピコと動くのは特徴的な耳。褒められればむず痒い。けれども、褒められればやはり嬉しい】
【少女にとって優しさの定義なんてあやふやなのかも知れないが、少なからず青年をそんな定義の中で“優しい”と振り分けたのだろう】
【例えその中に呆れた其れが含まれて居ても、きっとその言葉を嬉しそうに受け取る筈だ】


「――――じゃあ、約束です…………絶対とは言いません…………でも、お兄さんが…………
少しでも、他の人を傷付ける事が少なくなったら…………お見せします…………」

【約束か脅迫か。どっちに取るかは青年次第であろうが、この少女の事だ。結局はこの約束が何であろうと、何時かの機会が訪れれば見せるのだろう】
【ただの上辺だけの言葉……でも無いけれど。約束というよりも願い。そうなれば良いな――――その程度の言葉だ】


「借り物、ですか…………?何だか、難しくて――…………

あ……。嫌、です…………私は、お姉ちゃんみたく…………強く無いので…………それに、傷付け合うのは嫌いです…………
お姉ちゃんなら…………他の国に、居ると…………思いますが…………」

【その言葉に対しては首を勢い良く左右に振り、今日一番の意思表示】
【姉ならばもしかしたら――――そんな言葉を漏らすも、何処か表情も渋くなって】

309名無しさん:2014/02/22(土) 04:53:22 ID:X8e/Uc6o0
>>308
/すいません大変申し訳ありませんが眠気に勝てそうにないので明日午前中にレスさせてくださいませ……

310名無しさん:2014/02/22(土) 04:54:43 ID:Jfel1XAU0
>>309
/時間も時間でありますからねっ
/了解致しましたですよ!

311名無しさん:2014/02/22(土) 13:51:04 ID:buu1lXlY0
【街中――児童公園、置かれたベンチ】
【きゃらきゃらと子供たちの笑い声が空高くまで抜けていく錯覚、日の下ではそれがよく似合う】
【ぽーんと飛んで行くボールの影が地面に映えて、てんてんと転がって行った先に、人影があった】

準備が出来るまで外に居ろって言うのもどうかと思いますけれど……、――

ああ、ほら、どうぞ――。

【ぽつと漏れる言葉、口元に手をやって考える仕草は、ただ、その向こう側の薄ら笑みを隠すためのもの】
【何か楽しみなことでもあるのだろうと思わせるには十分な挙動、普段の仕事笑いとも何か、別な色合いを持って】
【――そんなところにボールが転がってくる、遠くからは「お姉さん取ってー!」なんて声が聞こえて、蹴っ飛ばしてやる幕間】
【遠くから聞こえて来る「ありがとー!」の声にひどく穏やかに笑って見せた、――改めてベンチに座りなおして、一息】

【黒猫と同じ色をした髪は肩を僅かに通り過ぎる長さ、真っ直ぐに下ろしたなら、さらさらとした髪質がよく目立つ】
【猫みたいに釣った眼は青林檎と同じ色合い、黒に対して不思議な緑色は、けれどよく映えて、似合っていた】
【きっちりとボタンを締めた黒色のトレンチコート、すらっと伸びる足は気楽なパンツに包まれて、足先のパンプスまで続く】
【少女をようやく抜けただろうか程度の女だった。そっと組んだ足元、コートのポケットから文庫本を取り出して、】

まあ、……わたくしのためにしてくださるわけですから。

【くすくすとした笑いが漏れる、そっと本を開いたなら、栞をすっと抜き取って、】
【目次のところに挟んで読み出す仕草、けれどそんなところにも、また、】

「姉ちゃん取ってー!」

【――ボールが飛んできて、投げてやる。どうにも、静かな午後にはならないようだった】

【(そもそも静かに過ごしたいなら場所選びを失敗しているのだけれど、とは余談)】

312名無しさん:2014/02/22(土) 14:59:36 ID:ssG.bvVc0
>>308

傷つけるななんて結構エグい事を要求するなあ……
それくらいしか知らないってのに、それを禁止されちまったら生活出来ないぜホント
ま、善処くらいはしておいてやるけどさ……

【戦いを縁とする者にとってその約束は果たし難い】
【糧としての戦いは生きるという事と密接に繋がっている】
【困ったような表情はそれを理解しているから、だから善処するとしか答えられず】

え?……なんだ大会の出場者は姉の方なのかソイツは残念
でも他の国にいることはいるんだよなならいいや、こちとら半分渡り鳥みたいなもんだ
縁がありゃあどっかで会うだろ、その時にでも……だな

【見かけによらずやり手だと思っていたがどうやら大会に出場したのは姉の方か】
【納得できるといえば納得できて2,3と頷く……違う国、もし出会うのであれば手合わせしてみたいものだ】
【目の前の少女とは、傷つける事を嫌う彼女とは全く違う在り方は必然その表情さえも正反対であった】

/すいませんレスが遅くなりました

313名無しさん:2014/02/22(土) 16:13:54 ID:CRJOgf.Y0
>>311

【児童公園、ベンチにて】
【本を読もうとする女性の背後から、不意に女児の声が聞こえてくるだろう】

おねーさん、何読んでるの?

【その娘は、薄紫色のショートヘアーに、青い薔薇を象った髪飾り】
【白い長袖のワンピースの上に赤いインパネスコートを纏った7〜8歳程の少女】
【そんな娘がベンチの後ろから女性に話掛けてくる、と、その向こうからも誰かが駆け足でやって来て】
【銀髪のロングヘアー、前髪には一本の黒いヘアピン】
【そして、黒い燕尾服を着ているという執事風の少女、こちらは15〜6歳程か】

「お嬢様ー!勝手に行動されては困ります!」
「申し訳ありません、お嬢様が……お邪魔してしまったでしょうか……?」

【そう言って女性に頭を下げる、一方6お"嬢様"の方はとても純粋な顔をしていて】
【ただ何を読んでるのか気になっただけなのだが……女性の邪魔をしてしまったのだろうか?】

314名無しさん:2014/02/22(土) 16:25:17 ID:buu1lXlY0
>>313

【きゃらきゃらと子供たちの笑い声が響く、そんな中に混ざり込む、自分に向けられる声】
【結局一行だって進まない読書、少しだけ困ったように笑って見せたなら、そっとブックカバーを外して】

あなたさまにはちょっぴり難しいお話ですわ、もうすこし大人になってから……ね。

【タイトルを見せてやるのだろう、書かれているのはとあるお話の名前、ちいさな女の子にはまだ早いお話】
【きしりとベンチの背もたれを軋ませる、そうして本を差し出してみるのだろう、見るなら見ていいと、そんな風】
【けれど開いてみたところで、彼女が見た目通りに子供なら読むのは難しいだろう。昔の言葉遣いで書かれたのは難解で】
【ただ読むだけだって結構疲れる――というのは余談。もしも受け取ったなら、空っぽの手をひらりと揺らして、】

いいえ、邪魔になんてなってませんの。本など別にいつでも読めることですし……、
立ち話もなんですの、良かったら如何? キャンディだってありますわ、貰い物ですけれど――。

【至って人当たりの良いように笑うのだろう、すっかりと完成された笑顔、自分よりもずっと幼い二人へ向けて】
【良かったらベンチの空きに如何なんて誘いまでする。退屈といえば退屈だったのだろう、それを窺わせ】
【飴玉もあるから、なんて。怪しい大人の言うみたいなセリフだが、そこに何も危ない意図なんて、感じることは出来なくて】

【興味を示してくれたならコートのポケットよりキャンディを取り出すだろう。珈琲味のキャンディが数粒、掌に載せられて】
【受け取るというならばそのまま素直にプレゼントする。余った一粒をぽいと口に放り込む辺り、――毒、というのもないようだった】

315名無しさん:2014/02/22(土) 17:07:56 ID:CRJOgf.Y0
>>314

【女性が見せてくれた本の文章は、彼女が言ったようにやはり今の少女には少し難しくて】
【見てもそれこそあらすじすら知らないので、どんな内容かも分からない】

うー……、こういうの私苦手…………でも見せてくれてありがとう、大人になったらきっと読むからね?
……おねーさん素敵、綺麗で物静かで上品で、私もおねーさんみたいな大人になりたいなー。

【少女の言葉は幼くもあり、またこの歳にしては少し大人びた雰囲気もしていて】
【きっと家柄も絡んでいるのだろう、ましてお嬢様なんて呼ばれる家ならば】

「ほ……本当に申し訳ありません……」
「……あ、いや受け取れません、そんな……」

【先程の事を気にしているのだろう、それは本を読もうと女性の隣にいる娘の事であって、この燕尾服の少女ではないのだが】
【だが女性からのキャンディーを、その娘はきっと嬉しそうに貰うのだろう、燕尾服の少女はそれを見るとため息を吐いた】

「あ、私は立ったままで結構ですので、お嬢様をよろしくお願いします」

【そう言って話題はきっと女性に任せるのだろう】

316名無しさん:2014/02/22(土) 17:26:39 ID:buu1lXlY0
>>315

【手渡してもやっぱりというべきか、読めないらしいその姿に、ふわりとした笑いを見せる】
【それを予期していた上で微笑ましいと思っているような表情、休日の午後によく似合う柔らかな色】

ええ、大人になったらお読みなさいな。本はいつまでだって待っててくださいますから。
――あら、褒めてもキャンディぐらいしか出ませんわ、そんなことありませんのよ。
あなたさまだって素敵ですわ、わたくしにはね、お付きの方も、立派なおうちも、ありませんの。

【本を見ているならばそのまま、見るのをやめるようなら、そっと返してもらって、コートへ仕舞いこむ】
【難しい本を無理に読む必要なんてないだろう。いつか、読めるようになった日に読めばいいと彼女は言って、】
【褒められたなら少しだけ面食らったような顔をしてから笑う、褒めても何も出ない手、空っぽの両手を見せて】
【或いは隣を歩いてくれる人さえ手に入れられるのかが分からない人生だ。比べるものじゃないと、心底思う余談】

【(素敵だなんていわれるには汚れすぎている。それを知っているから、どうしたって困ったように笑うしかできなかった)】

こんな安物のキャンディしかなくて恐縮ですけれど……お口に合えばいいのですが、

【どこかの令嬢だろうか、考えて――差し出せたもの、一袋でせいぜい数百程度の飴なのだから、どうしたって不安が残るよう】
【昔からある会社の珈琲飴だ。普通においしいものだが、小さな彼女にとってはどうだろう。それを確認するように、向けた視線】
【つんと猫のように釣ったアーモンド形の瞳だが、視線ばかりはふわりと柔らかだった。午後の休日という空気も手伝って、】

よろしくされておきます、ですが目の前で立たれていても気になりますので……、ほら、まだスペースは余ってましてよ?

【――何よりも上機嫌だったというのがあるのだろう、とは余談。ベンチのまだある空きスペースを示しているらしい言葉は】
【年長者である立場を精一杯に利用して座れというようなものだ。にっこりとした笑顔は、ある種の脅迫にも似ていたかもしれなくて――】
【けれど、それでも座れないというならばそれまでだ。そうなれば彼女はすっかりと諦めて、そこに立っていることを許してくれるはずだった】

317名無しさん:2014/02/22(土) 18:55:16 ID:Jfel1XAU0
>>312
「でも、お姉ちゃんは…………その…………」

【小さな声で告げられるのは“性格に難有り”の意味合い】
【それが何を示すのかは具体的には分からないけれど――――少女の言う事だ。きっと負の物と捕らえても間違いは無い筈で】
【明確な言葉としようにも、流石に身内の其れを言うのは憚られるか、或いは少女の性格故か】

【ふと空を見上げれば、もう朝日も昇る頃。困った様な笑みを浮かべ、懐から取り出したるは一枚の札】
【施されて居た封を解除して、瞬く間に一匹の白い鹿と化し】


「もし、お姉ちゃんに会ったら…………桔梗が探していた、と…………伝えてくれると…………嬉しい、です
――――それでは…………本家に呼ばれたので…………失礼します、ね…………?」

【所謂式神であろう。同時に、少女の足でもあって】
【名残惜しそうなそんな表情を見せるけれど、本家からの指示となれば流石に無視は出来ないのか】
【小さく一礼すれば、鹿に乗ってその場を後にし――――ゆらりゆらりと揺れていた尾も、やがては朝焼けの中に消えていった事だろう】

/こちらこそ気付くのが遅れてしまって申し訳ないです……。切りもよさげですのでこの辺りで失礼させて頂きますねっ!
/お相手、有り難う御座いましたですよー!また機会がありましたら是非お願い致しまする!

318名無しさん:2014/02/22(土) 19:57:01 ID:CRJOgf.Y0
>>316

【どうやっても読めない事を悟ると、少女はその小さな手で女性に本を返して】
【それから彼女が褒めたことで笑ってくれたのなら、少女も笑ってみせて。女性の表情に陰りがあることは今の少女には分からなかった】

【やがて女性が差し出してくれた飴を、柔らかな手のひらで受け取ったなら】
【口に入れて、女性に喜びの表情を見せるだろう、きっと美味しそうに口の中で転がしている事だろう】
【執事風の少女も女性に誘われたなら、断るのも悪いと思い、座ろうとするのだろう】

「えー……、では、お言葉に甘えさせて頂いて……」
「ん……、それでは失礼します…………」

【さて、公園の小さなベンチで、一体どんな話が始まるのだろうか】

319名無しさん:2014/02/22(土) 20:17:16 ID:buu1lXlY0
>>318

【ていんとボールの跳ねる音がする、子供の笑い声が街中に響き渡って】
【「お前が鬼」「触ってないよう」「逃げろー!」だの、元気なことだ】

【――子供が二人とは言え、流石のベンチも手狭になってくる。冬服なら、尚のことだ】
【それでも自分から誘ったこと、文句の一つも言い出さないのは当然で、きちんと座っていた】

そうですねえ……、……わたくし、今日が誕生日なのですよ。
今はね、友達がお祝いの準備をしてくれていて――ですから、家から追い出されてしまったのですけれど。

【「準備が出来たら連絡が来る手はずなんです」】
【コートのポケットから取り出すもの、今度は携帯電話で、今流行りのスマートなもの】
【ついと画面を弄んでメールボックスが空っぽであることを確認する、――その指先が、ふと止まったと思えば】

昔からの友達でね、とってもいい子たちなんですよ。少し――……困ったところもありますけれど。
一人は何かあるとすぐに黙りこむし、もう一人はすぐに泣いちゃうんです。ですが、

【「悪い子じゃないんですよう」――そっと絡めるように指を組ませる、膝の上にちょんと置いて】
【うふふと笑ってみせるなら、よほど大切な友達なのだろうと窺わせるには十分なほどだった。優しい目をして、】
【――画面に表示されているのが、もしかしたなら見えたかも知れない。そこに映し出されているのは、誰かの寝顔で】
【ふわふわのぬいぐるみに取り囲まれて眠るなら童話の中のお姫様のよう。ひどくしあわせそうに眠っている、写真だった】

320名無しさん:2014/02/22(土) 20:42:43 ID:vAFUoims0
【フルーソ街中、某有名ファッションショップ前】

【東西南北と忙しなく動く人々の足音。其れが日常の音となったこの地では、誰もその無数の足音を五月蝿いとは思わない。思うのならば、それはきっと田舎者の証拠】
【今宵もいつものように足音を響かせる街中だが、その中に交じるは喧騒―――ああ、いつものチンピラ共の抗争か……などと思う人も多いだろうが、響く声は男と女、2つの高低音】

【もし近づけば、其れがとんでもなく下らないものであることがわか―――いや、一目で状況を理解できるのだろうか。兎に角浮いていたのは両名が右肩に付けた『緋色の鷹』であった】


―――……絶ッッッ対に俺は入らん〜〜〜〜〜ッッ……!! そんなに恥ずかしい思いをするくらいなら俺は腹を切るッッ!!

「何言ってるのですか先輩!! どうみても今の先輩の格好の方が恥ずかしいのですッッ!! 女子高生と並んで歩く侍……ってミスマッチ過ぎなのですよ!!」
「―――というかっっ!! こうやって駄々こねてる状況の方が100万倍恥ずかしいとは思わないのですかこのアホー!」

〜〜〜〜ッッ、引っ張るなミリアァァァッ着物が破ける……! まずお前は女子高生じゃないし―――
いや本当に着物が破けるからッッ、100kg超えの体重をフルに活かして店に連れ込もうとするのはよせッッッ!!

「〜〜〜〜ッッ、乙女の体重こんな所でぶっぱするのですかぁぁぁッ!? デリカシーの欠片も無いのですッッ、だからモテないのですよッッ!!」
「内面が残念だからこそ、先輩は今日―――『洋服デビュー』すべきなのですッッ!! インバネスも袴も長着も脱いで、シンプルなシャツにジャケットにジーンズで十分ですからッッ!!」


【薄藍のインバネス・コートを白い長着と黒袴の上に羽織り、左腰には刀を履いた所謂「和服」の男が、女子高生に袖を掴まれて引っ張られており】
【―――どうやら男の方は意地でもショップに入りたくないらしい。洋服を着るのが恥ずかしいようで、震えながらも踏ん張っている足がその感情を十分に示している】

【一方女子高生―――ミリアと呼ばれた少女。灰色のブレザーに身を包む彼女は薄い金の両眼を今だけはキッと鋭くして、「先輩」のコートを掴んで無理やり店に引きこもうとしていた】
【彼女は言動とその動きから、「先輩」に洋服を着て欲しいようである。周りの人々が怪訝な視線を送っていることも承知で少し男を引っ張れば、自動ドアが反応して開く】
【男が負けじと店から一歩離れれば、自動ドアが閉まる。そのやりとりを言葉の応酬と同時に繰り返していた。男の黒髪も、女の銀の長髪も激しい運動後のようにしっとりと濡れて】


「和服を卒業しない限り先輩には春は来ないのですッ! 何で怖がるんですかぁっ、カノッサやGIFTよりも洋服を着る方が怖いってことなのですかぁぁぁぁッ!?」

―――そうだッッッ!! 生涯を和服で過ごしてきた男にはジーンズもシャツも尖った靴も怖いのだぁぁぁッ!! しかもお前に服を決められるのが……更に不安を煽っている……!
『アンドロイド』に服のセンスが解るとは思えん……!! だってお前いっつもその制服だろ……女子高生でも無いのにお前は何だ、『こすぷれ』というモノか……!? 

「……こ、これは可愛いからいいじゃないですかッッ!! ア、アンドロイドJK……っていうのも、その……。あの、一度高校通ってみたいっていう憧れですよコレは!」
「……と・に・か・く!! は・い・る・の・で・す〜〜〜〜〜!!」

笑われて心に傷を負ったらどうするのだ……ッッッ!! そういうメンタルは俺実は脆いからな……!? 


【お互い必死の形相で見難い綱引きを繰り返していたが、だんだんとヒートアップする口論とボリュームアップする声量にどんどん騒ぎは大きくなっていて】
【周りの人々からすれば、両名の右肩に貼り付けられている緋色の鷹が、溜息を吐いているかのように見えたのかも知れなかった】

/置きレスにあったやつを再利用したものですが良ければ……

321名無しさん:2014/02/22(土) 20:48:28 ID:CRJOgf.Y0
>>319

【誕生日だという話を聞いたなら、二人は「おめでとう」と祝福の言葉を口にする筈で】
【友人がその準備をしているからここで待っているという事だった、未だ連絡は無い様だが】

へぇー、優しい友達なんだ、じゃあどんな誕生会になるのか楽しみだね!
……そっか、ねぇ、やっぱり嬉しい?

【隣に居たからという理由もあり、興味があって画面を覗いたが、映る誰かの寝顔はとても可愛くて】
【他人なのにこんな感想が思わず出てくるほど。その写真は日常の幸せを切り取った様で】

この人は誰?今話してた友達……?

【執事の少女は見なかったが、この写真をその目で見た少女はそう女性に訪ねてみる】
【勿論、それにどう答えるかは女性次第なのだろうが】

322名無しさん:2014/02/22(土) 20:49:14 ID:CRJOgf.Y0
>>319

【誕生日だという話を聞いたなら、二人は「おめでとう」と祝福の言葉を口にする筈で】
【友人がその準備をしているからここで待っているという事だった、未だ連絡は無い様だが】

へぇー、優しい友達なんだ、じゃあどんな誕生会になるのか楽しみだね!
……そっか、ねぇ、やっぱり嬉しい?

【隣に居たからという理由もあり、興味があって画面を覗いたが、映る誰かの寝顔はとても可愛くて】
【他人なのにこんな感想が思わず出てくるほど。その写真は日常の幸せを切り取った様で】

この人は誰?今話してた友達……?

【執事の少女は見なかったが、この写真をその目で見た少女はそう女性に訪ねてみる】
【勿論、それにどう答えるかは女性次第なのだろうが】

323名無しさん:2014/02/22(土) 21:07:03 ID:buu1lXlY0
>>322

【「ありがとうございます」と紡ぐ言葉があった。それなら、にこりとした笑顔も付属して】
【現状連絡が来るの待ちだ。きっと待ちきれなくて帰ったところで、家には入れてもらえない】
【「どっか行ってて」と追い返されるのが精々いいところだ。だから、大人しく待っているしか出来ない】

ええ、とっても。そろそろね、誕生日を祝われるのも嬉しくない年頃なのですけれど……、
……せっかく祝ってくれるというのですから。仕方ないですわね、精一杯に楽しむしか――。

【――誕生日が嬉しくない年頃なのだと言う。けれど、そのくせ表情は嬉しそうにはにかんだもので、】
【或いは友達がしてくれるからこそ嬉しいのだろう。そんなことが窺える、ほんの少しだけだけれど】
【仕方ないなんて嘘。本当は嬉しくって、楽しみで、――そんな顔を他人に見せるのは、本当は珍しいことだった】

……そうですの。最近結婚したんですのよ、これはその旦那さんから。

【こくりと頷いて肯定する、画面の中ですやと眠る少女は、きっと写真に撮られたことなど気付いていないのだろう】
【よっぽど熟睡しているようだった。その瞬間を切り抜かれて、こうしてこの女の手元に送られてきて、和ませる】
【確かに注視すればその左手に指輪が認められただろう。それにしても、女よりも若い子のようだった。結婚できるぎりぎりの年齢のような、】
【――まあ、友達というものに年齢は関係無いといえばそうだろう。やがて、女はその画像を閉じて、携帯をポケットへ戻したなら】

あなたさまがたは? お散歩かしら……?

【そっと話の向きを変える、こちらは家に入れてもらえないから。では、そちらはどうなのか、とそう尋ねる】

324名無しさん:2014/02/22(土) 21:12:34 ID:ds7QzQz.0
【廃寺】

【かつては荘厳な佇まいであっただろう其処は、最早天井も壊れ朧月を覗かせる程の歳月に侵食されていた】
【雑草さえ疎らに生えた本殿におわす大きな盧遮那仏は、日光菩薩と月光菩薩の間で月明かりを浴びて鎮座している】
【だが今宵は干からびたような其れらを飾り付けるかのように、青藍色の燐光を纏った蓮が咲き誇っていた】

訪ね尋ねて幾千里、貴方離れて閻魔様……

【微かに低い唄声の元を辿れば盧遮那の下、仏に背を預ける様にして座る喪服姿の男が居た】
【黒い紋付羽織に袴、下駄と、櫻の喪服を纏った彼は二十代の後半とおぼしく、線の細い体であって】
【白髪を肩口で切り揃え、黒い彼岸花を差し、葡萄色の双眸は冷たく鋭利で何処か無機質な相貌をしている】

……ちッ

【不意に男が舌打ちをする。其れは此れより訪れるかも知れない何者かに向かってか、はたまた何でもないのか】
【それを推し量ることは出来ずとも、嫌に不機嫌な男の表情は見ればすぐに測り知ることが出来るだろう】

325名無しさん:2014/02/22(土) 21:46:00 ID:CRJOgf.Y0
>>323

【嬉しくないと言いながら、嬉しそうな表情を浮かべる女性に、少女は思わずクスリと小さく笑い】
【同時に羨ましくも思っていた、言葉には出さないが、彼女には義父は居ても母親は居ない】
【執事やメイドが接してくれるが、屋敷の外の友達は居ないのだ】
【寂しくはないが、女性の友達という存在を羨ましく思っていたのだ】

……へー、結婚…………凄く若く見えるけど……
って、その旦那さんから送られてきたってことはこれって自慢……?
……でも、こんな可愛い人と結ばれたのなら、その気持ち少しは分かるかも。

【自分もいつか運命の人に出会うのだろうか、そう思いながら】
【女性が見せてくれるのならもう一度、確認するように写真を覗きこむだろう】

【さて、今度はこちらが聞かれる番、この問いには燕尾服の少女が答える】
【と言っても、既に答えは女性が言ってしまったのだが】

「……はい、その通りでございます。旦那様のお考えで、時々お嬢様を屋敷の外に連れ出してあげているのです」
「そして迷子などにならないよう、こうして私達執事が付き添いをやっているのです」

【それだけなら不思議ではない、だがこの少女はこの歳にして執事だというのである】
【そこが唯一不思議な部分ではあった】

326名無しさん:2014/02/22(土) 22:03:06 ID:buu1lXlY0
>>325

【そんな彼女の気持ちは気付いているのか、いないのか】
【ただ、それがどんなものなのか、彼女に教えてあげるみたいに――そっと、口に出していく】
【その態度の全てから見て取れただろう、彼女らは本当に仲良しらしいと、その事実】

ええ、ちょっと子供みたいな顔をしてますけどね――わたくしと同い年なんですの。今年で21歳ですわ。
……自慢だとしてもね。こうして幸せそうにしてくれているならそれで構いませんから……。

――誕生日がこれというのもね、少しどうかとは思うのですけれど。

【――とてもじゃないけれどそうには見えなかった。今年で21歳だって見るには、少しだけ難しい】
【精々が高校生ぐらいに見える顔の少女だった。ただ、そこを当然どうというわけもなく、ただそうなのだと告げて、】

【(自慢なのだとしてもそれでよかった。あの子が笑っていてくれるなら、それで全部良かった)】

【最後の言葉はちょっとだけ非難のような色を持つ。とはいえ、マイナス感情から来るものでない、ちょっとだけ拗ねるようなそれ】
【高価いものを渡されたりしてもきっと困っただろう。だから、これくらいがきっとちょうどいいのだった】

いいお天気ですものね、雪が降るだとか言っていた気がしますけれど……、降らないようで、何より。
雪なんてものが降るとお仕事が捗らなくなりますもの、こちらとしては死活問題ですし――、

……それとも、雪遊びでもなさるのかしら。それでしたら、是非に降って欲しいのでしょうね。

【ぽかぽかと暖かい空を見上げる、天井にあるお日様は暖かな日差しの帳を下ろして、青空に映えていた】
【雲もない空だ。冬だってこんな日は暖かい。お散歩するには絶好の日和、きっと楽しくお散歩も出来ることだろう】

【友達として同じ年頃の子を連れてくることだってあるだろう。それだろうと判断したなら、無理に聞き出すようなことはなく】
【二人が仲良しそうにしているならそれでいいだろうという判断。口の中で甘たるいキャンディを二つに噛み砕いて、】

わたくしには執事など居ないから分かりませんけれど。大変ですわね?

【どこにでも着いてくるだなんて、きっと自分には耐えられないから――そっと、女の子に話し掛ける幕間】
【すうと片方だけ目蓋を下ろしたウインク、ちょっぴり悪戯っぽく瞬いて、そう首を傾げた】

327名無しさん:2014/02/22(土) 22:42:00 ID:H2DR/gUQ0
【今宵の風は少し、荒れていた。と言っても決して暴風と呼べるような物ではない。】
【静かな流れの中に、唐突に吹く強い風が木々を揺らし、建物を振動させ、ガラスをガタガタと打ち鳴らす。】
【立て付けの悪い店は勿論、それなりの対策が施されている"この場所"にも風は時たま強く、激しく吹き荒んでいた。】

【―――雨は降っていない。不思議と、風の音以外には喧騒すらも聞こえない、静かな夜だった。】
【"風"の名を持つ国土の何処か、普段ならば活気が溢れる街の一角。大通りに面した位置に居を構えるその"店"は】
【ゆらりと燃える暖炉の灯りと、ランプが照らす茶色い光を窓の外、メインストリートへ零しながら、今宵も静かに開店していた。】

 
 はぇ〜……なんだか今日は、寒いと言うか風が強いというか、どうも不思議な天気の日だねぇ。
 常連さんも、今日は店番とかなんとかで来てないし、久しぶりに静かな夜だなあ。
 ま、この天気じゃそうそう出歩く気にもなれないよね。アタシもパトロール以外じゃ外には出たくない気分だし……、

 ……嫌だなあ、まさか雷とか落ちたりしないよね。先週の大雪も大変だったけど、雷だけは本当に勘弁だよ。
 今年の夏は静かだと良いなあ、なんで雨が降る季節なんてあるんだろ……っと、ぼやかないで仕事、しますかね!
 いやはや、書類仕事もベイゼのおかげで減ってきたし、銃の整備に時間をかけられるようになってホント、良かったよ。
 
 じゃ、今日はあっちのウィンチェスターでも磨こうかな―――……


【カチャ、カチャと。壁にかけてあった銃を手に取り、一つ一つ部品を分解していく女。】
【店の中にはラジオの音すら止んでいて、風の音と、銃の部品が擦れ合う音、そして女の鼻歌―――音程が滅茶苦茶だ―――以外は】
【何一つ聞こえていない状況であった。もっとも、それもほんの数刻後に、崩壊することになるのであったが―――今はただ、静かであった。】

【店の名はUNITED TRIGGER。一人銃を磨く女の名はセリーナ・ザ・"キッド"。】
【火薬で薄汚れた白のシャツに豊満な身体を包み、長くしなやかな足をダメージ・ジーンズで覆って、その先にはウェスタン・ブーツ。】
【シャツの上に羽織った土気色のベストがなんとも、時代錯誤な雰囲気を醸し出しているが―――極めつけは頭の上に被ったハット、だろう。】
【年代物のテンガロン・ハットには古びた傷がいくつも付いていて、かなり長い時間に渡って持ち主に愛されてきたことを物語っているはずだ。】
【総じて言えるのは、格好から見て西部劇にでも出てきそうな古風な存在であると言うこと―――手にした銃器もまた、かなり古いものだった。】
【一つ、また一つと部品をはずし、丁寧に磨いていくと、少しクセのある流麗な金色のショート・ヘアが揺れる。しかしそんな様子もまた】
【酒場のようなこの古びた事務所にはよく似合っていて。事務所には彼女以外誰も居ないうえに、裏側にあるガレージからも音一つしない。】
【強いて言えば、その隣に併設された居住スペース―――セリーナが本当にたまに、寝るときにだけ使うソファベッドのみが置かれた部屋の】
【小さな窓が強風でガタガタと揺れる音だけが聞こえてくる、それのみだった。ゆったりとした時間が、流れる。訪れるものは誰も居ない、そんな夜。】

【―――だったはず、なのだが。】

/予約でございます!

328名無しさん:2014/02/22(土) 22:49:28 ID:CRJOgf.Y0
>>326

えっ?これで21歳なの?ちょっと信じられないかなー。
あ、でもでも、私……と言うか私のパパの知り合いにも若く見える人が居たんだよ?
まあ男の人だから今はあんまり関係無いか。それじゃあおねーさんも21歳なんだね?

【写真の娘が21だと聞くと、やはり驚いた表情を見せて】
【しかし知り合いにもそんな風に年齢より若く見える人が居たらしく、取り乱す程のリアクションはしなかった】
【まあ、それでも少女へのインパクトは十分に有ったが】

うん、たまにこうして街に来ると楽しいよ、雪の景色も雨の景色も私には新鮮だから。
……実はこうして街に来れるようになったのは5歳ぐらいからなの、だからまだ見てない景色もいっぱいあるの。
でもこの前沢山雪が降った時は楽しかったよ!……でもやっぱり寒いしたまにで良いかな。

【ウインクを見たら、燕尾服の少女はきっと何とも言えないような気分になって】

「……っ、ま、まあ大変ではありますが、楽しいので苦にはなりません」
「旦那様はお優しいですし、お嬢様のお相手をするのも楽しいです……たまに疲れますけどね」

【と、少女は燕尾服の中から金の懐中時計を取り出して】
【時間を確認すると主人の手を取りベンチから立ち上がって】

「……お時間なので失礼します、またいつかお会いしましょう、では、お嬢様も……」
うん、じゃあまたいつか!誕生日パーティー楽しんでね!
私はエリア・レッドライン、じゃあねおねーさん!

【去っていく時も女性に手を振って、それこそ友達と接するみたいに】
【そうして二人は公園を後にするだろう】

/遅くなってきたのでこの辺りで……!
/ありがとうございました!

329名無しさん:2014/02/22(土) 22:57:55 ID:nHw81SMw0
【酒場】

【寒波の山も過ぎ去って後は春を待つばかりといえどまだ夜も暖かいほどじゃない】
【少し外に出れば身も凍るほどに寒い。それはこのチンピラばかりの裏通りの】
【ゴチャゴチャしてて、大して旨いものも無いこの酒場が繁盛しているのが証拠になる】

ったく……テクノロジーで雪ぐらい何とかしろって

【ボサボサに伸びた黒い髪、とんがったような鼻で古臭い型のサングラスをかけている】
【黒いシングルライダースジャケット、ジーンズに革のバイクブーツ。腰にはピストルベルトを】
【斜めったまま雑に2つつけていて、リボルバーが左右に伺える。まるで馬をバイクに乗り換えた】
【現代版2丁拳銃のアウトローと言った感じである。服装に得物、186センチの身長が威圧感を出す】
【赤レンガの壁とチカチカのネオンという背景にマッチした風貌の男はその酒場のドアを押し開ける】

――『テメェこの野郎!!『るっせえぞこの野郎!『アアッッ?!何だと馬鹿野郎!』

【どういうわけだか大乱闘中だった。珍しいことじゃないが立ち入るべきじゃない】
【意を決して飛び込んで低く身を屈め、テーブルの間を掻き分けて奥へと進みカウンターから】
【缶ビールと安っぽい金属の灰皿を拝借して、彼らが投げたグラスに当たる前に退散する】

【少しの間、中の暖気を浴びて、彼はドアを閉めた。ドアにかけてある『OPEN』を『CLOSED』に返す】
【ため息ひとつついて、ポケットの煙草…赤マルを取り出してライターで火をつける】
【ドアの横、煉瓦の壁に寄りかかって風に揺れる看板と点滅するこの店のネオンを見上げた】
【どうせしばらくすれば自警団でも取り締まりに来るだろう。他に行くのも面倒なので暫く待ってみることにした】

330名無しさん:2014/02/22(土) 23:00:47 ID:buu1lXlY0
>>328

ええ、今日で21になりました。その子はまだ20ですけれど……、

【まだはたち。それだとしても幼く見える顔は、やっぱりそんな年齢には見えなくて】
【けれど女が21だと言うのは納得できるだろう。同じ年頃なのだと言い張るなら、――それを信じるしかなかった】

そう……それでしたらいろいろ楽しいでしょう? 存外、世界は広いものですし――まあ、
適当に引っ掛けた男が昔の友達の父親になっていたりして……時折、世界はとっても狭くなりますけれど。

【――くすりと笑う、“たまにでいい”なんていわれたなら、子供っぽくないセリフのチョイスに、笑みが漏れた】
【子供なら駆けずり回って喜ぶんじゃないか、なんて思いこみ。全部の子供が犬みたいなんて、そんなわけはないのに】
【あっさりと打ち砕かれたのだから。――どちらかと言えば自分は猫。炬燵で丸くなるのが、性にあっていた】

あら……それではまた、気をつけてお帰りくださいな? 転んだりなどしないように……、

【帰るのだと言う。それなら少しだけ寂しくなる……というよりも、退屈になる】
【いくら女とは言え、公園で子供ばっかり見ているのも事案だろう。その背中を見送ったなら】
【携帯電話を取り出してとある電話番号をコール、留守番電話のぎりぎりにようやく出た声に、】

……まだです? そろそろ暇つぶしが尽きてきたんですけど……、

【「もう……、ゆっくり戻って来てね」といわれた言葉。そっと立ち上がったなら無言で立ち去る姿は、誰も見ていなくて】
【わざわざ遠回りをして帰るまでの間、どんなものを準備しているのかって、いたく楽しみにする姿があったという】

/おつかれさまでした!

331名無しさん:2014/02/22(土) 23:49:43 ID:nt9fR7G60
>>327

【───世界とは、ただ一つとは限らない】
【ただ、その世界に生きる人間にはその世界がすべてなだけであって、認識する術がないだけであって、世界とはビー玉のように有り触れて沢山あるのかもしれない】
【それは、そんな事実を裏付けるかもしれない出来事】

【セリーナが静かな夜を過ごす時間に、それは起きた】
【始まりは小さな火花だった、セリーナも気付かないような、小さな小さな火花が居住スペースのソファベッドの脇で揺らぎ、それは確かな予兆であった】
【今宵は静かな夜である───今この瞬間までは】

【───轟音。爆音。破壊音】

【兎にも角にも、めちゃくちゃに物を破壊するような、言うなれば爆薬庫が一斉に爆発でもしたかのような盛大な音がUTの事務所に、嫌、事務所の周辺にまで響き渡った】
【それと同じく、揺れる地面と輝く眩い閃光は、セリーナがもし音を運悪く聞き逃したとしても感じ取れただろう】

【襲撃───だろうか、と思うかもしれない、しかしどうだろう、それにしては音以降に何もない】
【音のした方向の窓を見れば、ガレージ近くの例の部屋があって、何やらそこに光が収束し、消えて行くのが見えるだろう】
【確かめに行くか行かないかは、セリーナ自身の判断によるだろう、確かめに向かった先には、次の様な光景が待ち受けている】

【そこにある扉は、今まであった扉とは全くもって違っていた】
【重々しく、油と煤で汚れた鉄の扉が、壁の材質とはまるでアンバランスに、無理矢理埋め込んだかのように収まっている】
【確かにそこはセリーナが仮眠に使っていた部屋があった〝筈の〟部屋である。しかしその扉には見覚えがないであろう】
【その鉄扉には後丁寧に呼び鈴と『foggy's studio』と書かれた真鍮の表札までついていた】

332名無しさん:2014/02/23(日) 00:18:43 ID:H2DR/gUQ0
>>331

【多次元世界解釈―――所謂、パラレルワールドと呼ばれる存在。SF映画や小説では有り触れた物。しかし】
【現実にそんな事が本当にあるのかどうか、それを確かめる術は元より存在していなかった、筈だったのだが。】
【どうにも、この能力者が蠢く異常な新世界には、時折迷い子となった"誰か"が侵入―――もとい、"突撃"して来る事も暫し、だ。】

【そう。突撃―――そう呼ぶ他無い様な、それはまさに唐突な"邂逅"だった。小さな火花の音がパチパチ、と無人の部屋に響く。】
【さしもの聴覚を持つガンマンですら、気付くことが出来ないほどの音。初期段階においては、まさに静寂その物であったのだが。】
【続く炸裂音が事務所で椅子に座るセリーナの背後から木霊したその瞬間、彼女は掴んでいた部品群、ウィンチェスターを放り投げて】



                               ―――敵襲ッ!!



【―――すかさず、テーブルの前方へと前転。信じられないほどの反射速度と身のこなし、危機回避のための緊急動作。】
【腰に装備したガン・ベルトから魔力を放つ頼れる相棒、"弾"末魔―――Colt NavyM1851をモデルとした魔銃を引き抜き、構え】
【テーブルを速攻で反転、防弾仕様に改造された鋼鉄製のそれを盾代わりにし、セリーナは一旦、身を隠す―――この間、僅か一秒弱。】

【手にしたW-Phoneを素早く操作し、店内の明かりを全て消灯。自動で扉がロックされ、ワインセラーが引っくり返ると武器がズラリと並ぶ棚が。】
【そして床下を突き破り全自動のオート・マシンガン―――セントリー・ガンが現れ、動体探知機が作動。室内に侵入する敵対人物を探し、唸る。】
【更には天井の隠しカメラが起動、内部に装備した最新鋭のマイクロ・ミサイルを展開、此方も室内に動く影があれば即座に攻撃を重ねるだろう。】

【まさに要塞―――そう表現するほか無い装備の数々が、一斉に現れる―――ッ!酒場はあくまで、仮の姿と言うことッ!】
【度重なる襲撃、敵の戦力強化に伴いセリーナは多量の武器を買い込み、こんな装備まで(軍部と交渉したり、"WILD"に頼みこんだりして)】
【用意し、敵の脅威に備えていたのだ―――! 嗚呼、恐るべしUNITED TRIGGER事務所! 動くものは皆、蜂の巣にすべく全武装が敵を探し、唸る!】


【―――と、カッコイイのはそこまでだ。だって、襲撃ではないんだから……。】
【なかなか現れない敵に対し、セリーナは痺れを切らし、テーブルの影から銃を構えたまま、身を乗り出した。】
【"弾"末魔が不穏な空気を放ちながら、セリーナは爆破(と思い込んでいる)が起きた小部屋へと歩みを進めていく。】

  
 (可笑しい―――……確かに爆発が起きたはず、しかも直接、この内部で……スパイか、もしくは内部に誰か内通者がいたか……!)
 (う、ううん。仲間を疑うことは出来ない、それに爆弾をしかける隙なんてある筈がない、なのにどうして―――……ファッ!?)

 な―――な、なになになに……!? なに、これ、え―――どういう、こと!?

【目の前に広がった光景。それは決して、武装したスパイや工作員の待ち構えるバラバラになった部屋、ではなくて。】
【爆発で吹き飛んだ跡はおろか、そこにはむしろ"物"が存在しているくらいであって―――正直、何がなんだかわからない。】
【ぽかーん、としつつも気を持ち直し、セリーナはその"鉄の塊"―――部屋へと近づいていった。正体が何であれ、放ってはおけまい。】

 
 (―――敵襲、と思ってたけどよく考えたらそんなことは不可能だし、なによりこれ……これ、なに?)
 (まるで部屋の中に新しく部屋が出来たみたいな―――……も、もしかして宇宙人!? ど、どうしようスピルバーグを呼んでこなきゃ!)
 (ってああ、そんな事考えてる場合じゃなくて……と、ともかく近づいて……近づいて、でどうするのさ。)

 ……あ、あの〜……もしも〜し。敵ですかー? 敵じゃないですかー? ……なんにしても、ちょっと怖いので
 出てきて貰えると助かるんですけど〜……あ、敵だったら気をつけてね、直ぐ撃つからさ。

333名無しさん:2014/02/23(日) 00:47:05 ID:nt9fR7G60
>>332
【───扉は一言も、セリーナには返答しない、ただしぃんと声を鉄と真鍮に響かせるだけである】
【内部からエイリアンが飛び出して来たりとか、ふらふらな美少女が出て来たりでもなく、ただそこにある扉が見つめ返すだけ】

【さて、セリーナは一体どれくらいまで扉に近付いただろうか、少なくとも近付き過ぎが危ないのは当然だ】
【せめて、扉の横幅の長さ以上には離れていなければ、セリーナは次の瞬間鉄の扉に盛大なキスを貰う事であろう】

───いやーすまない!すまないな皆の衆!大丈夫だ!安心してくれ大丈夫!ただちに影響は無い!!

【扉の奥から、何かが現れた。鉄の扉を奥から思い切り押し開きながら、くぐもった声が急き立て、真っ黒い塊がもわもわと飛び出してくる】
【飛び出して来たのは、真っ黒な煤煙、それとは別に誰かも出て来たようだが、まず煙に隠れてよく見えないであろう】

いやすまないな、実験に失敗してしまった!だが大丈夫だ、被害は最小限に抑えた……筈だ!!
だから皆、頼むからこの事はマリアには黙っていてくれたまえ!あと家賃は来週必ず払うとも!

【真っ黒い煙の中で、慌ただしく騒ぎながら動き回るそれは、そいつは、どうやら周りの状況がよくわかっていないようで、この場に居もしない知人達に声を張っている】
【煙で見えないのか、はたまた普段から〝周りが見えない人間〟なのかはわからないが───】
【もわもわと漂う黒煙がだんだんと散り散りになって、その姿が見えてくる。まずは足元から】

ああ、それと誰か24番街に行く者はいないか!?もしいたらジョセフの店に行って『例の品をあと16個用意しておいてくれ』と───

【油に汚れたレザーのブーツ、煤けた白衣と、二つに結った長い茶髪───と、顔を覆い隠すガスマスク】
【そんな、急な来訪者は、煙が晴れて姿を表すと同時にフリーズし、辺りをぐるりと見回して、それから、はて、と首を傾げた】

……我が街の景色はこんなにも物騒だったかな?

334名無しさん:2014/02/23(日) 01:08:48 ID:H2DR/gUQ0
>>333

【ドクン、ドクン、と鼓動が胸を打つ。身体の中心から鐘の音が鳴る様な、胸が張り裂けそうになる感覚。】
【緊張、とでも言えばいいか。敵と対峙する時も似たような感覚ではあるが、この時ばかりは少々ニュアンスが異なった。】
【恐怖や怒り、そういった負の感情よりもむしろ、好奇心や興味、探究心が刺激されるような感覚が不思議と、脳裏を走ったたのだ。】

【敵ではない、とそう断言できる要素はまったく、ない。だがしかし、セリーナは何故かそんな気がしていたのも確かだ。】
【だからそーっと、忍び足で、一応銃は構えたままなのだが、返事のないその扉に対し一歩、また一歩と近づいて―――。】
【ゴン、という鈍い音。いや、むしろバコン! とか、バァン! の方が近いか……強烈な勢いで扉が開き、セリーナは―――。】

 
                   ―――あじゃぱぁッ!?あ、い、っつつつつ〜……!?

【開いた扉でおでこを強打。こうなるともう、銃を構えるどころの話ではなかった。通路の隅に丸くなり、呻く。】
【なんとも哀しい姿、痛みに震えながらおでこをさすさす、とさするその様は到底、UTのリーダーとは思い難い光景だ……、】
【無論、目の前の人間にそんな物は通用しないのだろう、傷みが支配する中で響く声に耳を貸せば、どうやら彼は襲撃者ではないようで】

 〜〜〜……ちょっと待った、ヘイ、ヘイ、落ち着いたかい"ガスマスク"さん。其れは何? バイオ・ハザードの物真似か何か?
 なんでも良いけど先ず、その―――……はぁ、もういいや。オーケイ落ち着こう。アタシの方も何がなんだか、頭が可笑しくなりそうだよ…
 誰も24番街なんて聞いたことも無いような名前の所には行かないし、ここに居るのは聖母マリアじゃなくて
 ガンマンで賞金稼ぎで正義の味方のセリーナ・ザ・"キッド"! つまりアタシだけさ。状況は飲み込めた?

 それで―――……頭が痛いよ、おでこを打ったからかな……それは追々謝ってもらうとして、貴方はだれ、かな。
 とても侵入者には見えないし、スパイや工作員には―――……微妙にそれっぽいね、いやいや違うか。
 ともかく、動かないで。貴方の身元の確認が取れるまで、ここから出すわけにはいかないと思うしね。 
 
 まず名前を、それからどうしてここにいるのか、それから出来ればマスクは取って欲しいけど―――……
 おにーさん、状況は飲み込めてる?

【立ち上がったセリーナは、目の前の謎の人物―――どう見ても怪しい男に、まず銃を突きつけた。】
【当然だ、襲撃者には見えずとも安全な存在かどうかは不明な以上、こうする他無いのは事実である。もっとも】
【敵対しているものではないことを明かせばセリーナも直ぐに銃をおろすのだが―――……と言っても、先ず何から話すか。】

【ヒリヒリと痛むおでこを片手でさすりつつ、恨めしそうな目でセリーナは男を怪しんだ。】

335名無しさん:2014/02/23(日) 01:23:48 ID:Jfel1XAU0
【寒さも厳しくなり始めた今日この頃。大通りに面した銭湯も実によく賑わっていて】
【親子連れや独り身、カップル等様々な客層が見られる事だろう】
【そんな中、掲げられた特徴的な暖簾の前で悩ましげに行き来する姿が一つあり】

【一切の乱れなく着こなした軍服に制帽。眼帯で右目を多い、軍刀を腰に提げている姿は容易に性格を連想させるだろうか】
【腕には“自警団”所属を示す腕章を通しており、更には其処に“SCARLET”所属を示すバッヂも付けてあって】


「…………悩むでありますね。日々のご褒美と称して温泉に浸かるのも良いでありますが、向こうでは同じ金額でパフェを食べられるであります
なら、向こうで何か食べた方が…………む、むむ…………迷うでありますよ」

【時折財布を確認すれば、銭湯の入口と、また直ぐ近くにあるレストランの入口とを見比べて】
【少しすれば再び歩き始めて、自分の煩悩と格闘するのだろう】
【温泉に入るべきか、それとも甘味でも食べるべきか。優柔不断な少女からすれば其れは中々に難しい選択】
【さて、その呟きを聞いた者が横から声を掛けたり、或いは顔見知りが誘うなりすればまた結果も異なるのだろうけれど――――】







【とある大きな病院。小さな怪我から大きな怪我、果ては大病にも対処してくれると有名で】
【日々昼夜問わずに沢山の患者で賑わっている事だろう】
【そんな中、広い待合室で事は起きていて】


「………………」

【額から一本の角を生やし、汚れを知らないような真っ白な髪を持った少女が一人】
【その病院の入院服を纏い、車椅子に座っていて――――普段は五月蠅いとの評判の少女だが、今日はやけに静か】
【…………其れもその筈。小さな寝息が聞こえているのだから】
【何時も口を閉じてそれなりに絵となるのかもしれないが、そうもいかないのが現実であって】


「…………むにゃ…………――――わっ?!」

【ズルリ――――身体が前に傾いたかと思えば、そのまま重力に従う事になのだろう】
【――――待合室にそぐわぬ、素っ頓狂な悲鳴】
【大怪我をする事も無い故に取り敢えず落下する様を見るのも、落下を止めるのも自由な筈で】

336名無しさん:2014/02/23(日) 01:35:23 ID:nt9fR7G60
>>334

む?むむむ?ん~……?

【首を右に傾げ、左に傾げ、理解の及ばない頭を無理矢理に動かしているような動作をしながら、唸り】
【セリーナから声が上がればようやく彼女の存在に気が付いたようだ、ガスマスクの向こうからセリーナに視線が刺さる】

セリーナ?ふむ、初耳だね、ここにいるのは君だけかな?
うぅむ、まるで西部開拓時代のガンマンのようだな、この蒸気機関の時代になんとも時代錯誤な事だ

【───出会うなりいきなり失礼な奴だ、一応話は聞けるようだが、歯に衣着せぬ正直者らしい】
【しかしまだ勘違いをしているようで、この人物が言う『蒸気機関の時代』なんてものはとっくに過ぎ去っている筈なのだが】

出す、と言うか、私は既に出ている───いや、『出ている筈』なのだが……
私が失敗のショックで記憶障害を起こしていなければ、私の工房の扉を潜れば19番街の通りの筈───

おっと、君は質問が多いね、私は私のペースが一番話しやすいのだが、まあいい
私の名前はDr.フォギー、偽名だ。どうしてと言われても私にも今の状況がよくわからなくてな……
おっとおっと、このマスクを外したいと言うのなら待ちたまえ、好奇心を持つのは大切だが、焦ってはいけないよ

【マスクに篭って、男女の区別が付きにくい声でマイペースに話すこの人物───Dr.フォギーは、まだ状況が理解し切れていないらしい】
【が、セリーナの質問には一つ一つ答え、マスクを外せとの言葉には大きな反応を見せる】
【右手でマスクを抑えながら、左手を出して『待て』のポーズ、大袈裟なジェスチャーだ】

私にマスクを外してほしいのなら、まずは十分な換気施設、なければ屋外が望ましいな
次いでに、私から3mは離れた上で、出来れば君はマスクを着けて自己責任を深くご了承頂きたい、私に一切責任を持たせないと約束してくれたなら素顔をご覧にいれようではないか

……それとも、私の工房でコーヒーでも飲みながらゆっくり語らうかね?多少油が浮いてはいるが、まあ飲めなくはないはずだ
ああそうだ、そして私からも質問させて貰おうか

───ここは一体何処かね?ロンドン市内では無いし、パリ市内とも思えないね

【不意に聞いた質問に出た地名は、どちらもこの世界には無いものであって、だとすればフォギーは諸々の様子や言動からすると───】

337名無しさん:2014/02/23(日) 01:50:11 ID:oMGWYcYk0
>>335


『おォうクソガキ、いい度胸してんじゃねーかァ?』

―――…………

『シカトこいてんじゃねェぞ? お前がやったコト分かってんだろーなァ?』

―――………結構強引に、わざわざ打つかって来たんは、お前……やろ……?

『あァ? ……ぶっ飛ばされてェのかーッ!!』

……ええよ、―――……………


【賑わう銭湯、打って変わって建物と建物の間、丁度影となって他所からは見えづらくなった場所、其処に二人の人影があった。】
【一人は、それこそイカニモな男性。背中には桜の散る絵が刺繍されているスカジャンに、ジャージの様なズボンを履いた、はっきり言ってダサい893。】
【もう一人は少年だった。袖や襟に白いファーがあしらわれた濃い灰色のロングコート。下はチェック柄の黒いパンツ、……まあ普通の身なりだ。】
【10cm以上はある身長差、優劣は明らかに其処から分かる様に思える。響く声に、近くを通り過ぎる人は気付いているのだろうが、まあ当然無視、である。】

【然しながら、この少年は、どうも余裕そうというか、少なくとも体格では明らかに格上を相手にした所で、それを恐れては居ないようだ。】
【ならばその悠々とした態度に、男の怒りに火が付いたのだろう。……少年の右頬、全く動かなければ丁度真ん中を捉えて、拳を振るった。】
【何とも痛々しい音を立てながら、そのまま少年はそれを受ける訳だが、例えばその勢いに吹っ飛ぶ、なんて事はなく……寧ろ、笑ってさえいた。】


……あのな、人の顔ってな、痛く感じるとトコと、そうやないトコがあるんよ。
………例えばこの辺、……ここは、骨がむき出しになっとるから、むちゃくちゃ痛い、けど……
……まあ確かに、狙いやすいんやろけどな、そんな、真ん中殴った所で、見た通り、俺、何とも無いわ、……

【何ということでしょう。謎のレクチャーが始まっているではありませんか。】

338名無しさん:2014/02/23(日) 02:01:58 ID:H2DR/gUQ0
>>336

【ようやっと、此方の存在に気が付いてくれたようであって。勿論、それは有り難い事なのだが】
【其処から先、今度は会話を成り立たせると言う点においてかなり問題点があるように見て取れるこの男。】
【全体的に時代錯誤というか、いやそれは好き好んでフロンティア時代の格好をしているセリーナも正にそうなのだが―――】

【セリーナのこれはあくまで、"趣向"としてのスタイルだ。つまりは、時代に則った上でのカウガール衣装、という訳ではない。】
【むしろ時代で言えば、スマートフォンやハイブリッド自動車が駆け巡り、空中戦艦に巨大兵器が闊歩するこの新世界においては】
【近未来的とも言える様な光景が広がっているわけで―――ともかく、彼の場合はセリーナとは異なっていると言う事に気が付いた。】

【つまり―――この"蒸気機関の時代"という単語―――そのもの、本当の事であるという意味だ。】

 西部開拓時代、確かにその通り。アタシの育った地の国自体が、そういう文化を多分に孕んでいるみたいだから
 そういう格好で育った、ってだけで時代で言えばとっくに通り過ぎてるのは確かだね、だからこれは単なる"趣味"さ。
 けど、其れを言うならスチーム・レボリューションの時代もとっくの昔に過ぎてるんだよ、ドクター……ドクター、フォギー。

 残念だけど工房の扉―――その鉄で出来た部屋を抜けても、あるのはアタシの事務所だけさ。
 ここは屋内なの、屋内。わかるかい? 部屋の中に部屋がある状態、って言うのかな、つまりは―――……嗚呼。
 
 ―――なんとなく、だけど状況が掴めて来たよドクター。何度か聞いたことがある、貴方は―――そうか。
 
【"地の国"なんて言葉は聴き慣れない単語のはずだ。それもそうだろう、世界が違えば国もまた違う。】
【"ロンドン"、"パリ"―――どちらの国名も、セリーナは聞き覚えのある単語だ。それは何故か。簡単な話だ。】
【彼の居た世界では、世界間の移動―――つまり異世界人の存在はあり得ないものだったが、この世界では稀にあるからだ。】

【かつてのUTのメンバーにも、そして現在のメンバーにも、確かに異世界から飛ばされてきた者がいる。】
【つまり、この男―――フォギーもその一員なのだろう。セリーナはそう結論付けて、ようやく銃を下ろした。】
【敵意があるどころか、彼は完全に異邦人である。だが、いくらなんでも部屋ごと移動してきてその場所が事務所とは―――。】

 ―――数奇な事も、あるもんだねぇ。オーライ、ドクター! 貴方のことが何となく分かってきたよ。
 マスクは―――なんだか、特別な理由があるみたいだし取らなくても良いよ。世界が違えば、常識も違って当然だからね。
 まず結論から言うと、ここは貴方の元居た"世界"とは、別の"世界"。

 だから残念だけどロンドンもパリもなければ……
 モスクワもシドニーもニューヨークも存在してない、あるのはもっと大きな大陸の国と海、それだけさ。
 どういう理由かは分からないけど、貴方もこの世界―――"能力者"の居る世界へ、飛ばされてきちゃったんだね。

【セリーナの口から語られるのは、分かりやすく言えば"貴方はこの世界の人間ではない"、という事。】
【彼女がガンマンの、往年のアメリカを彷彿とさせる格好をしているのもあくまで、流れてきた文化としての其れである様で】
【つまり歴史と、世界そのものがまったく異なった場所であると言うことが示唆される―――ついでに言えば、そんな"異邦人"に】
【出会うこと自体も初めてではないのだろう、やっと"納得がいった"というような表情で、セリーナは手持ち無沙汰にこう続けるだろう。】

 あ―――と、その、コーヒーは遠慮しておくよ。それよりも、状況を確認しあおうか! 
 この世界には時折、貴方みたいに"他の世界"から唐突に、何の原因かは分からないけど"流れて来ちゃう"人も居るみたいでね。
 まあでもドクター、貴方の場合はなんていうかその―――……、あ、怪しい研究とかのせいじゃないかなーなんて……えへへ。
 
 ともかく! 落ち着いたらこっちに着てよ。敵じゃないと分かったら歓迎しなきゃね、ここは事務所でもあり、酒場でもあるから、さ。
 
【セリーナはテンガロン・ハットを取って一礼し、フォギーを酒場の方へと案内しようとするだろう。】
【まずは状況の説明をするためにも、時代が違うと言うことを見せなくては鳴らない―――主に、テレビやらなにやらを見せて。】

339名無しさん:2014/02/23(日) 02:08:02 ID:Jfel1XAU0
>>337
「もう少し頑張ればお給料も増えそうでありますが…………このままだと破綻してしまうであります
となると、今日はどちらも我慢すれば――――で、でも。今日位は少し使ってしまっても良い筈であります…………」

【自分に言い聞かせる言葉。確かに生活は苦しい。遊んだりする余裕なんて無いが…………だが、日々人々を守っているのだ】
【強制では無く、自ら進んで守っているとしても命が危険に晒されている事に変わりはない】
【ならば、今日位。今日位少しの贅沢をしたって罰は当たらないはず――――】

【何とも悲しい言葉ではあるが、其れが現実。さて、新たな考えが浮かぶ前にどちらかへ行こうかと再度思案を始めれば】
【耳に通ったのは喧噪とは又異なった音。それと、“物騒な”音だ】
【聞き慣れているとは言え、正義の徒がそんな音を聞き逃す筈も無く――――当然の如く、思案は中断されて事が起きている゛あろう場所まで足が向けられる事となる】


「…………子供相手に何をしているのか自覚しているでありますか?
――――幸いにも、私は今はお仕事が終えた後であります。暴れたければ、存分に付き合うでありま……す…………よ?」

【二人の側に現れる影。小柄であって、軍服と制帽を纏えどこの諍いを止めるには何とも心許ない体格】
【少年が殴られる事を止める事は出来なかった。状況は分からないが、せめて少年が追撃を受ける事が無い様にと男に“警告”が向けられるが】
【安否を確認するかの如く少年へと視線を移せば――――苦悶でも無く、笑み。威勢の良かった声に疑問符が付くのも仕方ない事だろうか】

【先述の通り、少女は自警団所属を示す腕章を腕に通していて――――更には、彼の“SCARLET”を所属している事を示すバッヂも付けられている】
【暗がりで其れ等は見えないかも知れないけれど…………もしも男が“異能者”では無く、ただの“チンピラ”で】
【更には少女を敵として認識して襲ってきたならば、結果も見えよう。例え注意散漫であり、きょとんとした様子で視線が少年に向けられて居たとしてもだ】

340名無しさん:2014/02/23(日) 02:33:20 ID:oMGWYcYk0
>>339

………ああ、あとな、拳作るのはええんやけど、……問題はな、そんときの角度や、
……何も考えんと殴ったんやろーけど、クイッと、ちょっとひねった方がええんやで、……こんな感じ、

『お、お、お……おゥ………』

………よっしゃ、もっかい、……あ、まった、一発殴られたんやし、今度俺も……
……あ、いや、そんなんやったら、受け身も知らんやろ、やっぱ止めとく―――……


………あ、おまわりさんやで、その、あれや、……傷害罪。
……まあその、……中でも、頑張ればええやん?……

『……お、俺……あ、捕まんのが、俺ェ?』

………逆に誰がおんの、…………―――

『な、何か良く分かんねーけどよォ、……じゃ、じゃーなァ!』

……あ―――…………

【予想だにしなかった少年の行動に、男は随分と狼狽えた様子を見せていた。然し目の前に光る腕章、SCARLETの文字が刻まれているのを見たなら、】
【自分が逮捕されてしまうという可能性を認識したのだろう、黙ってはいなかったらしく……兎に角、一目散に逃げ出す事だろう。然し足の早さは一般的、】
【速さに自信のある者なら追いつける程……否、そもそも、男は彼女を抜き去る方向を選んだのだ、例えば足を取る形で転倒させさえすれば良いという状況でもある。】

【一方少年は殴られたのであろう部分の右頬を赤く染めながらも、その走る様子をボーっと眺めたままで、特に行動を取る様子は見られない。】
【男が走り去る姿を見ても『あ……』としか言葉を発さないのだ。果たして本当に、其処で暴力沙汰が起きたのかと疑問に思うぐらい、……異様な佇まいだったと言えよう。】

341名無しさん:2014/02/23(日) 02:43:22 ID:nt9fR7G60
>>338

───はっはっはっはっは、面白い事を言うね君は
まさか、蒸気機関の黄金時代が終わるなど……いや、あり得るのかも、しれないな
いやいや、あり得なくては困る、私は来るべきその日の為に研究をしていたのだから

成る程、よく分かった。いやはや思い当たる節があるとメルヘンな自称もすぐに納得が行く、私が他の頭の硬い研究者と違うのはこの柔軟な頭だ
つまりこう言う事だ、私は元の世界で『別次元からクリーンエネルギー吸い取りマシーン』の実験をしたが失敗、しかし思わぬ方向でマシーンは誤作動し、私は世界を移動した、と
……いやあ、失敗は成功の母とは言うが、まさか異世界への移動を可能にしてしまうとは

【化学者とは、イメージ的に頭が硬く、すぐに物事を受け入れなさそうな物であるが、フォギーに至っては案外簡単に理解し、納得したように頷いている】
【どうやらそれは心当たりがあるからなようで、出てきたワードからして良い研究とはとても思えやしないのだが】

異世界……異世界か……つまりこれは私にとっては幸運だ、幸運ではないか
他の研究者には成し得ない異世界の技術をたっぷりと吸収し、一気に博士号を手に入れるチャンスではないか!……まあ、帰る為に壊れたマシーンをまた作る必要があるが
まあいい!兎に角案内してくれたまえセリーナ君!私はこの世界の技術の隋を見たい!!

あ、おめかししてくるからちょっと待ってて!

【そして、フォギーはとてもポジティブなようだ。実験失敗で異世界に送られ、原因の機械は壊れて直るかもわからないとなっても、それは二の次にするくらいに】
【目の前しか見えていないとも言えるだろうが、楽観的主義なフォギーはこの世界に来てしまった事を微塵も不幸とは思っていない】
【工房の奥に引っ込み、汚れたレザーコートと、歯車やゴーグルが引っ付いた魔女帽子を引っ張り出して身に付けると、再びセリーナのまえに顔を出す】

さあ行こうか!蒸気機関を超えたこの世界の技術とやらを早く見させてくれ!

【少々強引に、まだ見ぬ未知にワクワクしながらセリーナを促し、案内を急かしながらついていく】
【一々テレビやその他最新機器を見る度に立ち止まり、説明を要求しながら】

342名無しさん:2014/02/23(日) 02:54:39 ID:Jfel1XAU0
>>340
【男に対して注意は向けていなかったにしても、行動は早い】
【横を過ぎるであろう瞬間に、常に向けて自分の脛骨をぶつけるかのように動かして。見事互いに当たったとしても、少女は痛がる様子を見せず】
【――――下腿が阻まれたのだ。転ぶとなれば――男がコンクリートと熱烈な口づけをする直前、救いの手が差し伸べられる事となる】
【即ち、後ろ襟首を掴んで転倒を止める事になるのだが。男の体重が全て首に掛かれば、常人ならば堪ったものでは無いだろう。転ばせてから其処に至までは正に一瞬の一言】
【その後は特に追撃も無く放し、一度釘を刺せば逃亡を許すのだが…………】

【これらは、上手く行けばの話。もしも男が無事少女の横を通り抜けられるだけの体術を得ていれば、そのまま逃亡する事も可能だろう】
【兎にも角にも、ピンピンとしている男よりも少年が心配だ。…………いや、少年もそこまで深刻には見えないのが幸いか】


「全く…………貴方の様な人がこんな所に来たら危ないでありますよ?
近頃は物騒な事件も多いのでありますから…………ほら、怪我は無いでありますか?」

【ツカツカと歩み寄れば、心配の言葉を投げかけて】
【貴方の様な人がとは言う物の、少女だって少年とそう年齢差は無い筈だ。それでも尚闇の中を堂々と歩けるのは、SCARLETを自覚しているからか】
【歯が折れたり頬骨が折れている訳でも無い。その事を確かめれば小さな溜息を吐いて安堵した様子をみせるけれど】


「それにしても、良く無事でありましたね?
能力者なら兎も角、普通の方だったら結構な痛手だったと思うでありますが…………
まあ、大事に至らなくて良かったで有ります。これからはああいった輩に関わらない様にする事をお勧めするであります
関わったところで得られるのは徒労だけでありますから……ね?」

【事件に発展しなかったならば、それで良い。今日も平和だとは言い難いが、今日は死人が出たなんてニュースを見ないで済むのだから】
【未だに少年を“ただの少年”と認識すれば、ピンと人差し指を立てて】
【始まるのはお堅い少女特有のお小言だ。ああいった手合いには関わらない方が良いだの、こんな場所は歩かない方が良いだの】
【――――結局は自分にも当てはまる事なのだと気付けば、照れ笑いを浮かべて誤魔化すけれど】

343名無しさん:2014/02/23(日) 03:15:58 ID:H2DR/gUQ0
>>341

【―――こういうことを言うのは何だが、セリーナもまあ、往々にしてかなり"ブッ飛んだ"類の人間であるのに違いはない。】
【溜め込んできたお金を全て注ぎ込んで作った酒場と秘密基地、唐突な流れで設立した正義の団体、常軌を逸した飲酒量etcetc……】
【挙げれば限が無いがそれでも、恐らくはこの目の前に居るハイテンションな科学者には適わないだろう。そう、珍しく気圧されていた。】

【出てくる単語はどれも滅茶苦茶で、『別次元からクリーンエネルギーが〜』等と言う文章が飛び出てきた時には】
【『嗚呼、なるほどね、そりゃあ飛んでくるわけですよ……』と、心底そう言いたげな、苦笑いともなんともとれない表情で頷き】
【挙句この世界に来たことを喜んでいる様を見ては、もはやなんと声をかけて良いものやら―――セリーナは頭を抱えてしまった。】

 ……うん、えーっと、その―――……ドクター? あいや、フォギー……さん。
 まず貴方が作ってた"別次元なんたら"〜っていうの、それもしかしてとんでもない発明なんじゃ―――……ま、いっか!
 そうだね、悲観してもしょうがない! ちょっとテンション高くて予想外の反応だけど……ふふっ、そういうの、嫌いじゃないよアタシっ!

 (それに―――……もしかしたら、この人は本当に凄い学者なのかもしれない。だとしたら。)
 (―――……っふふ。い〜こと考えちゃったよ、アタシっ♪)

 ああ、とってもお洒落な帽子で―――わっ、ちょっ!? そんな、焦らなくても一つ一つ紹介するから! ね!?
 まずこれはテレビ、って言って、でこっちは携帯電話、それから―――

【暫くは機器類に付いての説明、引いてはこの世界における化学文明の発達具合に関してレクチャーが入るだろう。】
【蒸気時代からすれば銃器に関してもかなりの進化があるはず、最新鋭のアサルトライフルやロケットランチャーは興味深いだろう。】
【得意な分野の説明から始まり、最後には苦手なスマートフォン―――自身も愛用するW-Phoneや、パソコンについても説明を交えた。】

 ―――とまあ、進んでいるものもあれば、案外変わらないままここまで来てるようなものもある、って感じかな!
 それに、何でもかんでも新しくすればいい、ってワケでもないしね。例えばアタシは、どんなに時代が進んでも
 ハンドガンはリボルバーって決めてるし、リボルバーはシングル・アクションって拘りがあるんだ。

 そんなわけで、色々とごちゃ混ぜになったような世界がここ―――『新世界』って感じ、かな。
 ただね、恐らくだけど文明の発達よりも何よりも、貴方の居た世界と一番違うのは『能力者』の存在と、それに関わる
 『悪の組織』―――テロ行為や戦争を吹っかけることを目的とした危険な集団が、常にうろついてることにあると思うんだ。

 この世界には争いが多い。
 勿論、戦争のない世界を探す方が難しいとは思うけど―――常にどこかで戦いが起こってる、なんて物騒でしょ?
 でも残念ながら、特殊な力を持った一部の人間が、その力を悪用して世界を混乱に貶めようとしている事は確かなんだ。
 
 勿論、民衆の中には傷ついて死んでいく人も多いよ。テロに巻き込まれて家族を失った人だって、沢山いるんだ。
 だけどそういう行為を止める為に、警察や軍は勿論、戦える力を持った人たちが、戦えない人達を護る為に戦ってるんだ。
 それがこのUNITED TRIGGER、つまりは正義の味方が集う『秘密結社』―――って、ワケだね。

 外見はタダの酒場だけど、実はそんな裏の顔を持ってるのさ! とはいえ、世界的に公表しちゃってるんだけど、ね。あははっ!
 まあそんなワケで、争いの多い世界から争いを無くす為、争いを止める為に皆が必死に生きてる哀しい時代でもあるんだよ。
 だからね、ドクター。ここでアタシから一つ、提案があるんだ。

 とにかく外には危険が一杯だ、何も知らない貴方が歩き回るには少々、物騒が過ぎる。でしょう?
 だから、住む場所と十分な研究費用、それに食料を確保できる条件の職場があるとしたら―――とっても、魅力的だと思わないかい。
 実はそんな好条件をもってて、その上メンバーを募集してる"組織"があってね……ふふっ。

 ―――言いたいことはなんとなく、わかるでしょう。言い忘れてたけど、アタシがこのUNITED TRIGGERの創設者でリーダーなんだ。
 もし、ドクターさえよければ―――貴方の科学力を、そのブッ飛んだ知恵を、混乱の時代に終止符を打つために貸して欲しい!
 どうかな、悪くない条件だと思うんだけど―――アタシと、一緒にここで暮らしてみないかい?

344名無しさん:2014/02/23(日) 03:19:04 ID:oMGWYcYk0
>>342

………おー……

【『あー…』の次は『おー…』である。まあ今度は何を考えているのかは分かりやすい、少女の鮮やかな体術に対する感嘆のため息である。】
【……メタな話、いつもはもう少し、目に力が入ったというか、そんな感じなのだ。然し今日だけは、まあ何とも腑抜けた少年。】


………怪我は……何かな、あんま痛くなかったんよ、……素人がやったらこんなモンなんやな、ってな……
……いや、言うても普通の人より、殴った経験あるはずやしな………何なんやろ……

【どちらかと言えば、もっと痛く殴られるのを期待していたかの様にも聞こえる事だろう。勿論、"そういう意味"ではなくて、】
【単純に、彼の強さによっては、久し振りに肩慣らしの相手にもなったのに……と言う事だった。】
【話にならない相手……そういう視点に立ってみれば、何となく残念そうな顔付きも見せたのだろうか。】


………せやけど、今のヤツは、何か、な。……見とって、おもろかったし……その辺は、自由やろ? たぶん……
……あ、俺も、今のとおんなじの出来るくらい、案外強いんや、……その、心配せんでええで……

………せや、お疲れ様コーヒーやるわ、―――……無いやん……買い忘れとるし………
……仕事終わったんやろ、うちの店、なんか、色々食えるで、お疲れ様ケーキとか、お疲れ様パフェとか……

………お疲れ様ってなんやろ………あ、ほんまに、すぐそこなんよ、……あ、見えた、……あれ。

【よく見れば少年の両手にはビニール袋。透けて見えるのは全てが食材、その中にコーヒー缶もあるのだと思い、少年は漁ったのだが……】
【どうやら見当たらないらしい、代わりに自分が働いている店に行けば、まあありとあらゆる料理が食べられるのだという、―――パフェも。】
【それはどうやら見える程すぐ近くに有るらしく……然し、少年の指差すのは、白地に濃い薄いピンクのハートが装飾されたキャンピングカーだ。】
【怪しい。極めて、怪しい。……或いは、何となく、独特の雰囲気を纏っている少年を怪しく感じたという理由でも良いだろう、断ってしまうのもアリだ。】

345名無しさん:2014/02/23(日) 03:40:45 ID:Jfel1XAU0
>>344
「面白いとかでは無くてでありますね…………今はカノッサも活発な時期でありますから、下手に動くと…………
むぅ……もう良いであります。貴方が本当に強いのかどうかは問い質さないとして、あんまり変な輩を付け上がらせない事でありますよ」

【何と言えば良いのか分からない。危ない、危ないが…………どの様に危ないのかを言葉にするのが難しく】
【結局は下手に動くとどうなるか、の旨を告げる事無く言葉は途切られた】
【余計なお節介とでも言うべきだろうか――――然れど、同時に少女の正義感の強さを感じ取れる一片でもあり】


「コーヒーは苦くて苦手でありますよ…………。どうせならもっとこう…………甘い物とか、辛い物が良いであります……」

【大人の振りをしている割には子供舌。コーヒーは苦いから嫌なのだと告げて、続くは少女の我が儘】
【しかし、そのコーヒー自体も出てこないとなれば何処か落ち込んだ様子も見られ】
【ビニール袋から察するに一人暮らしの買い出しでもしているのかと考えてはいたが――――店との言葉に、全てが食材である事にも合点が行き】
【ならば言葉に甘えようと一度頷いて見せて】


「パフェでありますか?ふふ、奇しくも先程まで食べようかどうか迷っていたので丁度良いであります
では、今日は温泉では無くパフェ…………で。これまた随分とファンシーなお店で働いているのでありますね……」

【尻尾があったならば、きっと嬉しそうに振られていたであろう位には明るい表情】
【何だか物静かな雰囲気が漂う少年だ。嘸かし洒落たカフェか何かで働いているのだろうと勝手な想像をして、いざ指の先を辿ってみると】
【――――暫し、少女は凍結する。目の前の少年とのギャップが余りにも激しすぎたのだ。そう、断るとの選択肢が浮かぶほどに】
【それでもパフェの魅力に負けたのか、好意を無下に出来ないとの感情からか。断る事はせず、少年が店に向かって歩むならば後に続き――――入店すれば、続いて入店する】
【恐る恐る、といった表現がぴったりな様子で】

346名無しさん:2014/02/23(日) 03:43:04 ID:nt9fR7G60
>>343

(ふむ───成る程───)

【案内中、追い追い入るセリーナの説明と提示される機器類に、一々大袈裟な反応をしては納得して、どんどんと見た事も無い物が出て来る事にフォギーは喜んでいた】
【同時に、頭の中は驚く程に冷静に───実はずっとそうだったのかもしれない───この世界の技術を元いた世界の技術に当てはめながら、進化の中間を辿っていた】

(基本的に電気で機器類は動き、主だった技術は情報伝達技術が顕著に発達している───)
(……〝魔導〟の力は加わって無いのか?若しくは、〝魔導〟自体が……)

───いやいやいや!なんと素晴らしいのだこの世界は!実に素晴らしい!
このような進化を遂げた技術を応用出来れば私も更なる何かを発明できそうだよ!───まあ、工房の片付けがまず先だが

何にせよ、この世界……『新世界』だったかな?の事は何と無く分かったよ、後は私自身の目で確かめるとしよう
いやしかし、そうとは簡単にいかない理由もあるのだね、なんとも如何ともし難い話だよ
技術が豊かになっても、結局争いは絶えないのだな……ああなんと悲しき事か

……ふふふふふ、良いだろう、その話!乗った!!
どちらにせよ研究室はあそこから動かせないのでな!ならば君の傘下となって遠慮なく部屋を頂こうではないか!
もとより私の研究は争いを減らすが為の物……ならば実け───とにかく!調度いい話ではないか!断る理由が無い!
それに、その『能力者』とやらも見てみたいな、何かのヒントになる可能性もある。ああなんと私を昂らせるのだこの世界は!!

【割とあっさり、ほぼ悩む事なく即答でYESを返したフォギー、断る理由なんて一つも無いと、テンション高く答えた】
【まあ、まだ何やら言動が物騒だし、何を作っていたのか不明だったり、戦いに向いているのか等と不確定要素は多いが、それは追い追い分かる事だ】
【今セリーナが心配するべきは、フォギーがガレージを勝手に改造したり、機器類を分解されたりしないかくらいだろうか】

347名無しさん:2014/02/23(日) 04:08:34 ID:oMGWYcYk0
>>345

………まあ、俺も、ええとは思ってないんやけど……確かに、味は美味いんよ、……その、ギャッ……プ……?
……あ、シェフもあれぐらい奇抜……いや、あれを超えとるんやけど、まあその、害は無いはずや、女の子やし、な。

【どうやら、あのキャンピングカーの装飾は、少年の趣味にも合わないらしい。加えて、店主も勝るとも劣らず奇抜……、】
【然しまあ料理の味は確かな様。……少し歩けば到着、closedになった看板はそのままに、少年は大型車ならではの少し大きめの扉を開いた。】
【内装は相応に小奇麗、こじんまりとした料理店だ。ただ、違和感を感じられるとすればそれは、入ったキャンピングカーよりも、】
【中の広さが倍以上もある、という事だろうか……? 然しそれに何ら触れられる事はなく、店主と少年の会話は始まる。】


『おかえりなさぁ〜い♪ ……あら、またお友達連れて来ちゃったのぉ〜?』

……そこで、チンピラに絡まれたんやけど、このおまわりさんがドガッバキッってな……

『あ、そうなのぉ〜? あら、可愛らしいおまわりさんじゃなぁい? うふふ、いらっしゃいませぇ〜♪』
『アタシ、ここのシェフの、ふぉんてーぬって言うの、……その子は、ウェイターのねこやま君よぉ、……よろしくお願いするわぁ〜♡』
『適当に座ってちょうだぁ〜い! 軍服? カッコイイわねぇ、……あら、それって脱ぐの……かしら……?』

………何かな、パフェ……食いたいんやって。

『パフェ……出したこと無いわねぇ……何か使えるのあったかしら……あ、そうそう、昨日白桃入ったのよぉ〜! 一杯使っちゃおー……』
『アイスはまだあるからぁ……あ、ねこやま君、グラス取ってきてくれるかしらぁ〜?』

……ワイナリーの隣のヤツでええの?

『そうねぇ、アレが一番イイ感じだと思うわぁ……』

『……フォンダンショコラも乗せちゃって、……ソーダかけるのも良さそうねぇ……あぁん、どうしようかしらぁ〜!』

【ウェイターことねこやまは直ぐ様調理場に入り、ビニール袋の中身を手際良く仕分けして行き、やがて其れも終われば、店の奥の方へと姿を消して行く。】

【ふぉんてーぬが途中で聞いたのは軍服を脱ぐかどうかだ。例えば普通のコートなら、店に入って席に付けば、脱いでハンガーにでも掛ける事が多いのだが、】
【そもそも軍服を着ているケースが中々無く、故に、ふぉんてーぬはどうすべきかと疑問に思っているようだ。……まあ、もしも脱ぐのだったら、】
【ねこやまがハンガーを持って来て、壁に掛ける事だろうし、別に脱がないのなら、そうと伝えれば良いだけの話なのだが。】

【どうやらパフェというのは、この料理店で出すことが無いらしく、然し"彼"は楽しんでいる様子、……新たな料理を発掘出来る、その喜びに、だ。】

【やがて再び、少年が出て来るのだろう。パフェに合う形のグラスを持って来た様で……否、その前、この短時間に着替えている事に驚くだろうか。】
【街中のとは打って変わって、随分と"らしい"感じが出た、と言うか、……身長が少し足りないが、格好だけでも、一人前のウェイターに見える事だろう。】
【時間の合間を縫うように、ねこやまはコーヒーを持って来る。ミルクの入った入れ物と、沢山の角砂糖が入った瓶も添えてあるのは、……少しばかりの心遣いだ。】

348名無しさん:2014/02/23(日) 04:10:54 ID:H2DR/gUQ0
>>346

【―――そう、言い忘れていたことが一つ。科学以外に、発展しているものが他にもある、という事。】
【勿論其れは、フォギーが外に出て"彼等"と接触すれば分かることだが―――そう、魔力を用いた道具達。】
【仮にフォギーに"その力"があるのなら、先ほどから鋭く魔力を放つセリーナの腰元の銃にも、気が付くかもしれない―――。】

【ともかく、何もかもが様変わりしているということではないらしい。フォギーの住む世界にもまた、争いはあった様で。】
【セリーナは其れを聞いて少しだけ、残念そうな顔をするが、すぐに笑顔を取り戻して。交渉に乗ったフォギーを握手で迎える。】
【もとより、彼がこうして何らかの研究をしているのも彼女と同じ様に、争いを無くす為である事も判明し、これで条件は揃った、と言える。】

 むしろ―――技術が豊かになったからこそ、かもしれないね。
 大陸間弾道ミサイルや核兵器は、遠く離れた国土を一瞬で焼け野原にする事が出来るし―――
 BOW(生物兵器)や衛星兵器は、ピンポイントで生命を根絶やしにする能力を持ってたりもする……。

 そしてこの世界には、武装や技術に頼らずとも、『そういう事』をやってのけてしまう、強力な能力者が存在してる。
 武器もあるのに、それに加えて危険な使い手と、武器以上に凶暴な存在が居るって言うんだから―――……まったく、笑えないよ。
 勿論、そういう連中の好き勝手にさせないために、毎日頑張っているんだけどね! そしてそれは、ドクターも同じ、と。良いじゃない!

 ―――条件は揃ったね、アタシの仮眠室が吹き飛んだ事は残念だけど、まあ部屋なんて余ってるしいいや!
 研究室が動かせない以上、貴方は此処に住み着く事になると思うけど―――そうだ、メンバーになったからには案内、しなきゃね。
 それに渡したいものもあるし、一通り施設を説明したいから……あ、ドクター! ちょ〜っとこっちに来てもらえるかな!

【少しだけ哀しそうな表情で、現在のこの世界の状況を語るセリーナは、先程までの明るいだけの存在とは違う筈。】
【彼女もまた、こんな世界で―――実感がない分ドクターには伝わりづらいかもしれないが、悪が蔓延るこの世界で】
【勇気と希望を失わずに戦いを続ける事はとても、辛い事である。だからこそ、新しい仲間が加わる事は、有難かった。】
【顔を上げたセリーナは再び明るい表情で、今度は別の場所を案内したいとドクターの手を握り、事務所の裏口へと回った。】
【果たして、そこには通路が広がっているだけだが―――ガコン、という鈍い音と共に、唐突な"浮遊感"が、二人を襲うだろう。】
【それは通路全体が昇降機―――蒸気時代にはあったのだろうか―――となって稼動している為であり、つまりは落下していて。】
【地下何十階まで降りたのだろうか、かなりの時間を降下し続けたエレベーターは、遂にその終着点へと到着した。広がる光景は―――】

349名無しさん:2014/02/23(日) 04:11:14 ID:H2DR/gUQ0
>>346


【一面の銀―――と言っても雪ではない。最新鋭のコンピュータが並び、巨大なスクリーンに数多の情報が映し出される此処は、そう】
【UNITED TRIGGERが誇る地下の秘密基地であった―――当然、目を引くものばかりだろう。セリーナはにんまりと笑った。】
【そして施設を案内しつつ、メンバーの証でもあるW-Phoneを手渡す。彼が選んだ『金』のコインは偶然にも、セリーナと同じ柄であって。】

 ―――とまあ、そっちが中央の管理室、そっちが資料館で、でもってそこが訓練場! 隣はシャワールームで、、
 ま、とにかく広い施設が此処にはある、ってことさ! メンバーとなったからには自由に出入りできるけど、えーっと……
 そうだね、何かを改造したりするときは出来ればそのW-Phoneで一報入れてからにしてくれると、有難いかな!
 なんていうかホラ、ドクターは色々とトンデモない改造を施してしまいそうな予感がするからさ……ふふっ。
 ご飯も用意できるし、衣食住にはとにかく、困らない筈。もし必要な材料とかがあればいつでも言ってね?
 それから―――他にもメンバーが居るから、出来れば彼らとも仲良くして欲しいな、なーんてさ。
 とりあえずはそんな所かな! 上の研究室の寝心地が悪かったら、いつでも地下に降りてきていいからね♪

 さて―――それじゃドクター、これからよろしくおねがいするよ! 貴方のその知恵と、ウチのバックアップ!
 二つ合わさればきっと、すごい事が起こせるはずだ。アタシはそう信じてる。
 初めてのことばかりで不安だと思うけど、安心して。何かあればアタシもサポートするからさ、フォギー博士っ!
 貴方が元の世界に帰って、その研究を役立てられるようにアタシ達も協力するよ。
 だから貴方も、ちょっとの間アタシ達を手伝って欲しい―――信頼してるよ、ドクター!

【―――かくして、説明は終了となった。セリーナは手を差し出す。契約のしるし、という事だろう。】
【この手を取ったその瞬間、博士、貴方はUTの―――正義を掲げる組織の一員となる。その、覚悟は良いか。】
【異世界からやってきた、蒸気を漂わせる一人の天才科学者と、そして時代錯誤のガンマンはここで、何の因果か巡り合った。】
【果たしてこれから先のUTを待ち受けるものは光か、それとも闇か―――。】

/ちょっと駆け足ですが、こんなかんじでしょうかっ!!

350名無しさん:2014/02/23(日) 04:41:08 ID:Jfel1XAU0
>>347
【少女はと言えば――――固まった。比喩では無い。それはもう見事に固まっていた】
【中が広いとか色々と要因があるけれど、一番の要因は何かと問われれば、答えは言わずもがな】
【眼帯に覆われていない片方だけの瞳を瞬かせる事数回。漸く我を取り戻せば、一度咳払いをして】


「私は可愛いと言われるよりも、格好いいと言われた方が嬉しいであります。あ、後!ふぉんてーぬ殿もねこやま殿も私はお巡りさんじゃ無いでありますよ!
…………これは。これは何時問題が起きても対処できる様に纏っているでありますから、脱げないであります」

【ぷぅと頬を膨らませれば“可愛い”と“おまわりさん”に対しての抗議をして】
【確かに奇妙ではある。だが、危険は無いと判断すれば言われた通りに適当な席へと腰を落ち着かせる】
【軍服に着いて問われれば、脱ごうとするけれど――――その手も止まり。やんわりと断りを入れれば再び乱れなく着直す事だろう】
【着痩せするタイプか、その際にチラリと白い肌と所謂良いスタイルが見えたなんてのは余談か】


「ねこやま殿もさっきまでは何とも言い難い程に何を考えているのか分からない様子だったで有りますが…………
やはり此処で働いているだけあって、その衣服だと別人でありますね
――――と言っても、衣服で性格までは変わらなそうでありますが」

【少女の言葉に悪気は無いけれど――――】
【コーヒーが運ばれてくれば、何処か緊張した面持ち。然れどミルクと砂糖の存在に気付けば其れも柔らいで】
【――――苦い物が苦手とは冗談では無かったのだろう。普通の者でも入れすぎだと思う位に砂糖を入れてから飲み始め】
【楽しそうと言うべきか、ふぉんてーぬの言葉が聞こえれば少女の期待も膨らむというもの】
【…………そして、時間の合間を潰すわけでも無いけれど。一つの疑問が思い浮かんで】


「ねこやま殿は何時から此処で働いているのでありますか?
んー…………と言うのもでありますね。外から見ればキャンピングカーでありましたから、各国を移動しているのかと思ったのであります」

【外から見ればあの通りだ。ならば、少年は何時の時から此処で働いているのかなんて些細な疑問】

/申し訳ないですが、眠気がそろそろきつくなり始めまして……
/本日の夜か、後日の凍結。或いは置きレス移動等は大丈夫でしょうかー
/試験等の事もあるでしょうし、もしご都合が悪ければこのまま〆て、この後パフェを頂いて帰宅のしたとの脳内補完でも大丈夫でありまするよ!

351名無しさん:2014/02/23(日) 04:43:40 ID:oMGWYcYk0
>>350
/試験?そんなに知らぬわァーッ!
/明日もずっとおりますので、お時間が空きましたら舞台裏にて……ということで!
/おやすみなさいませ! 返信は後でしておきますー!

352名無しさん:2014/02/23(日) 04:46:08 ID:nt9fR7G60
>>348>>349

いやはや、聞いただけでも恐ろしいね、その兵器も、能力者とやらも
私の技術だけで果たして事足りるか……いや!足りさせてみせようではないか!それが私の役目だからな!

【ぶっちゃけ、フォギーがUTに入ったのも成り行きではある、たまたまUTの事務所に工房が転送されてしまったが故であって、もし一つ違えばカノッサの一員になっていた可能性もある】
【詰まる所、今の時点でフォギーには正義感などと言った物は希薄かもしれ無くて、ただただ新世界への興味だけで了承したのかもしれない】
【いくら争いを減らす研究をしていたとはいえ、結局は別の世界なのだと割り切っていたとしたら───】

(…………)

【巨大エレベーターの中で、フォギーは少し黙っていた、喋り疲れたのかと思うが、ガスマスクで表情は伺えず】
【ただ、実際は何かしらの事を考え、整理しているのであって、この様な巨大なエレベーターに乗るのが始めてだと言う事も忘れるくらいに】

───なんと、まだ氷山の一角だったとは!

【エレベーターが止まり、秘密基地に降りると今まで黙っていたのは何処へやら、また楽しそうにハイテンションな反応を繰り返しながら案内を受ける】
【あまり見慣れない物ばかりだが、そこはすぐに慣れる筈だ、新しい機械のパーツの様に覚えればいい、順応性は高い方だから】

これだけ広ければ、第三、第四ドックまでくらいなら私も貰えるかな?
いやね、実は昔から考えてはいた物の、土地と資材の問題で出来なかった発明が───おっと、この話はまた今度にしようか

今の所は、〝これ〟だけで十分だ、そうだろう?
私の技術の随を集めた発明、必ずや君達の力にしてみせようではないか!

【───案外、早いうちに何かを起こすかもしれない、この物騒な発明家は】
【とにかく今は、セリーナと硬い握手による盟約を交わし、事が済むだろう】


【───夜が明けた頃、フォギーの工房が現れた部分に、『今までは無かった筈の』煙突が刺さっていて、そこからもうもうと煙を吐き出していた】
【早速、期待を裏切らない行動を起こしてくれたようである。果たしてこの発明家の加入は毒となるか薬となるか】

/お疲れ様でした

353名無しさん:2014/02/23(日) 05:02:35 ID:oMGWYcYk0
>>350


……性格は変わらんでも、……びしっと気合入る事はあるで、……初めて着るスーツとか、……武術で言えば、道着とか、な。

―――…………2ヶ月か、3ヶ月か、そんくらい……やろか。この店が出来たんもそれくらいやな、……ああ、せやな、色んなとこ、行っとるで……
……砂の国と、水の国……この前の、ラグナールにもおったんよ、……あ、そん時、カノッサの人と、戦った……あれ、カノッサの人やったっけ……?

『……そうよぉ〜? ねこやま君、相手に名前覚えられてたじゃないのぉ〜……アタシもそのとき、ファンになっちゃったのよね♪』

……筋肉バカやったら、何でもええみたいな、……それどうにかならんの、……いや、ならんか………

『バカって失礼ねぇ……? あの人達は、毎日毎日、食事にも気をつけながら……って、ねこやま君? アナタ毎日やってるじゃなぁ〜い!』
『知ってるのよぉ〜、アタシの試作品の上に、タンパク質っぽい物食べて、後プロテイン飲んでるのも! 後最近、夜にランニングも追加したでしょ〜?』

………いや、せやけど………――――まあその、……そんな感じ、車やから、どこでも行けるし、……気に入っとるで。

【どうやら今は、closed、つまりは準備中であるらしく、他に客は居ない、貸切状態だ。少年は話しながら、テーブルの各々に"Menu"を並べて行く。】
【ちらっと目に入るだろうか、本日のデザートは、フォンダンショコラだ。先程ふぉんてーぬが何故いきなり、それを口にしたのかは、其処で納得が行くだろうか。】

【……ふぉんてーぬも、どうやら構想がまとまった様子、……パフェというのは、案外直ぐに出来る、取り掛かれば、早い。】
【下の方には、白桃がふんだんに敷かれ、間にアイスクリームとソーダ……と言った感じ、上には例のフォンダンショコラをメインに、】
【生クリームが添えられ、それと、ミント。有り合わせの甘い物で作った感アリアリだが、然し一つ一つの味は確か、】
【特にふぉんてーぬが作ったフォンダンショコラは完璧と言っても良い出来栄えだ。然しそれらが全て組み合わさると、果たして、どうなるのか?】

【やたらお洒落な柄の布製のコースター、持ち手が長めのスプーンとともに、出来立てのパフェがねこやまの手によって運ばれて来るだろう。】
【『お待たせ致しました、』の店内のBGMにも掻き消されそうな程か細い声、然しその運び方は、軸が僅かにもブレること無く、力強い物だったと言えよう。】

【直ぐに少年は戻ってしまい、やがて聞こえて来るのは、ピアノの旋律が美しいジャジーな曲と、食器やらが洗われる音だろうか。案外、マッチしている様にも思える。】
【……否、思えないだろうか、……兎に角、街の喧騒からはシャットアウトされて、店内は、ゆったりとした時間が流れるのだ。……車の装飾さえ無ければ……ッ!】

354名無しさん:2014/02/23(日) 12:00:47 ID:buu1lXlY0
【街中――路地裏と大通りの狭間】
【暗がりに続いてゆく道の始まりの位置、大通りからも覗き込めるその場所】
【そんな場所にぎゅうぎゅうと人の詰まっているのは不穏なしるし、やがて罵声が聞こえ出すなら、――ビンゴだった】

……正面向きながら前を見てないキミたちが悪いんじゃあないか、それを私に言われてもね。

わたし? 私は荷物があったから仕方ないのだよ。キミらより本のが1000倍ほど大事なのだし。

【ガタイのいい、とも言い切れない中途半端な体躯、数ばっかりは揃えた街のチンピラ、よく居る連中】
【ぎゃあぎゃあと喚いている内容を聞いたなら、どうやら誰かと正面衝突でもしたらしく、それ由来の騒ぎのよう】
【やれ足が痛いだの骨が折れただの金だ体だ好き勝手喚くのは、大通りの方まで響いていて、賑やかさとは少し違ううるささ】

【――見てみたなら、どうやらちっぽけな少女を数人で囲んでいるようで。白昼堂々、という言葉がきっと似合っていた】

【くるりと巻いた癖ッ毛は毛先のほうへ向かうに従ってピンク色の混じる金髪、肩を通り越す長さで揺れて】
【真っ白色のワンピースはふわふわと布地の多いもの、体のラインを隠すようにふわふわ揺れて膨らんで、曖昧に暈して】
【深い赤色のケープはフードのついたもの、ちょんと被っているのが可愛らしく、さも生娘であるかのような色合いで】
【少女、だった。それも、華奢な線に小さな身長、精々が中学生かそこいらにしか見えないような、か細いすがた】

【――ぎゅうと抱き締めているのは近くにある図書館の袋。どうやらそこで本でも借りてきた帰りらしく、】
【ちっちゃいくせに、たったひとりのくせに、煽る煽る。そのうちにチンピラたちは言語すら崩壊しだして――】
【何を言っているのかすら分からなくなってくる、脅しみたいに蹴っ飛ばしたゴミ箱のがしゃんとした音が、昼間の街に響いた】

355名無しさん:2014/02/23(日) 13:31:31 ID:ZyRhhMNs0
>>354


 ―――― “咬ませ”


 【その一声は、大通りのほうから粗雑な跫音を引き連れて響いてきた】

【数瞬後。チンピラどもに向かって牙を剥きながら飛んでくるのは、幾つかの“白犬の生首”――】
【――否、よく見ればそれは生首ではなく。犬の頭部を模した、“白い魔力の塊”だった】
【何かにぶつかれば魔力は衝撃を伴って風船のごとく爆ぜる。暴漢に対する牽制のようで】


…………おい。喚くな煩いぞ、そこで何をやっている?
通報を受けた自警団の者だがな、話を詳しく聞かせろ


【そうして少女に声を掛けてきたのは、『毒々しいピンク色の鞭』を携えた仏頂面の女だった】

【アッシュブロンドの長髪を高い位置でポニーテールに纏めた、精悍な顔立ちと琥珀色の双眸が特徴的な若い女】
【袖の無いハイネックのシャツにレザースキニーパンツ、長いアームカバーと履き潰したブーツを着用している】
【シンプルな小振りのウエストポーチを携え、左胸に輝いているのは『自警団』の所属を証明するバッジが一つ】
【身に着けているものは殆どが黒色に統一されており、さながら影のごとき黒尽くめの様相を呈していて――】

【――雨の降りしきるある日、東屋の下で、少女に分厚い古書を借りていったその人であった】

/まだいらっしゃればお願いしますー!

356名無しさん:2014/02/23(日) 13:58:32 ID:CKwgAcf.0
【ヤーツァタウン――の端から南へ大体1km離れた所】
【最寄りの街は水の国、それも高層ビルは幾つかあれど大した発展のしていない場所で】
【しかも、そこですら20〜30kmは離れているという……辺境としか言い様がない】

「……ちィ、身体が怠ィな……よォーやく少しは安定しィてきたとは言ィえ、"元"が元だァからな、両翼の操作でだァいぶやァられたか」
「"完全なる安定"さァえ手ェに入ィれればこォーんな面倒な事にはなァらねェし……もォう"追放"なァんざさァれねェ――」
「――――けッ、"混沌"が"安定"を求めるか、まァったく、面白ェ話だよヒャハハ」 「さァて、準備だ準備」

【ここはだだっ広い砂地。多く占める物が夜行性の砂であり、昼間でも反射光が眩しく、冬だというのに暖かい……と、それはさておき、こんな所に何かがいたのだ】
【それは黒い外套を羽織っている、コワモテで奥二重でエルフ耳の、男にみえる者だった】
【身長は約2mの、筋肉質な細身で、黒い白目と血の様に真っ赤な虹彩を持ち、ボサボサとしている長い黒髪だ】
【上下共に長袖黒ジャージを身に着けていて、首に紫色の毛のマフラーを巻いており、手袋や靴下も紫色だ、靴は黒】

「あァ、……OK、後3mm西な……こォこかァ?」 「よォし……」

【その者は見えない何かと会話しつつ、位置を微調整してからその場所へ瓶詰めされた青い魔力インクで印をつける】
【中心に点が打たれた直径2m程の円(垂れ流し式なので正確ではないが、わりかし綺麗)を描いたそれは、一体何をしたいのかさっぱりわからないが――】

「おォっと、やァっちまった――まァ良ォいか、直ちでなァくとも影響はねェ」

【……ぼーっとしていたせいで、一部分にインクがダバダバと厚塗されたりして、ますますなんだかわからない】

357名無しさん:2014/02/23(日) 15:06:14 ID:CX9dekr20
【あのラズワルド地下遺跡での任務から、数日後】

【この日、水の国の大都市・アトラヴェルは生憎の雨であったが、幸い飛行機が飛べないほどの悪天候ではなかった】
【そうでなくとも、ここは〝アトラヴェル国際空港〟だ。国内どころか世界的に見ても航空網の中心といえる、巨大なハブ空港である】
【たったひとつの欠航でとんでもない額の経済損失が出る、そういう場所だ――――多少の雨程度で、世界を繋ぐ空路を断つ訳には行かない】

「っかー、喰った喰った! いやー、お前いい店知ってるな!」

まあ、この街のことは詳しいですからね。
……っていうか、飛行機の中でも機内食平らげて空港でも食事して、その上でまだあれだけ食べますか……。

「いいじゃねえか、細けぇ事は気にすんな。……ああそっか、この街はお前の古巣だったもんな。
 どうする、せっかくだし恩師に挨拶でもしていくか? 時間が取れないこともねぇが」

【――――そのお陰で、このアサド・アル=アーデルとアルフレド・フェリシアーノもまた、予定通りに砂の国から水の国へ渡ることが出来た】
【その旅路の間ずっと、この男は飽きもせず食べて食べて食べて……アルフレドは呆れを禁じえない。もはや恒例行事なので、今更注意する気にもなれないが】
【馴染みの定食屋から外に出て、傘を差す。アサドの問いにふと回想すれば、思い出すのはまだ警察に入ったばかりの頃の事だ】

いえ、結構です。課長も今はご多忙の身ですし、つい先日、電話口でお話もしましたから。
……懐かしいな。昔は課長とよくこの定食屋に行ったものですよ。

「アトラヴェル警察本部長、エドガー・ハーレイか……。この数年で随分出世したもんだなぁ」

【現在でこそフルーソの本局にいるものの、就任当時のアルフレドはこのアトラヴェル警察に配属されていた。エドガー・ハーレイはその時の上司だ】
【当時のエドガーは刑事課長だったが、何十年もの現場勤務を積んだベテランの刑事でもある。アルフレドが今も刑事を続けているのは、彼のお陰と言ってもいい】
【新人時代、厳しい捜査ならいくらでも耐えられた――――だが理想とあまりにも違う警察の現状に幾度もぶち当たり、失望して何度も折れそうになった】
【そんな現実の中でも、エドガーは夢を失っていなかった。アルフレドと同じく、警察の威光を取り戻そうという強い熱意があった】
【アルフレドにとって彼は、恩師であると同時に夢を語り合った同志だ。お互い立場は変わっても、目指している場所はきっと同じ――――】

さて、食事も終わりましたし移動しましょう。研究所まで時間も掛かりますし、早く皆と合流しないと……。
……まさかまだ食べる、なんて言いませんよね?

【――――なんて、暢気に思い出に浸る時間はない。砂の国の研究機関では手に余るということで、わざわざ水の国の研究機関に協力を要請したのだ】
【二人は調査報告を纏めるのに手間取って遅れてしまったが、『ヘイダル』の他のメンバーが既に遺跡のデータを現地に移送してくれている筈である】
【……その〝遺跡のデータ〟には、あの少女の身柄も含まれている。たかがデータの移送に殆どフルメンバーが動員されているのは、その護衛と監視が目的だ】
【未だに目を覚ましていないが、起きた時に何をするか全くわからない。……それにあの任務、今思い返すと〝参加者〟にも不審な点が多かったように思える】
【あの少女が、誰かに狙われないとも限らないのだ……とにかく早急に、調査を進めなければなるまい】

【そうして、アルフレドがアサドに小言を飛ばしつつ、駐車場に向かった――――その時だった】


……ッ!? 隊長!!

「ああ、囲まれてやがる……!」

【――――多数の死線を潜り抜けてきた二人の実力なら、看破は容易だった。駐車場に止まっている他の車の中から、明確な〝敵意〟を感じる!】
【予測は的中。周囲の車から突如拳銃を構えたスーツ姿の男達が数十名も現れ、統率された動きで完全に二人を囲い込む】
【二人は得物に手を伸ばしつつ、アイコンタクトを交わす。数こそ多いが、武器の構え方が甘い者も多い。そこまで場慣れしている連中ではなさそうだ】
【目的は、このタイミングなら狙いはあの少女だろうか。別ルートで移送されていた事を知らず、二人を直接襲撃しにきたのかもしれない】
【アルフレドは、ひとつでも多く敵の情報を読みとれないかと全員の顔を見渡して――――】

【…………あの遺跡の中で、歌に乗せて幾度も押し寄せてきた〝絶望〟を、そこで再び味わうこととなった】



『警察だ! アサド・アル=アーデル――――〝GIFT〟との内通容疑で、貴様を逮捕する!!』



/あと二つ続きます


358名無しさん:2014/02/23(日) 15:07:33 ID:CX9dekr20

【――――提示される警察手帳と逮捕状。昔使っていたのと同じ拳銃。そして、かつての同僚の顔】
【考えの整理が、つかない――――GIFTとの内通容疑? 何のことだ? いや、そもそも何故水の国の警察が、砂の国のアサドを捕らえようとする?】

「おいおい……俺はあんたらに睨まれるような真似をした覚えはねぇぜ。人違いだろ?」

『とぼけてるな! 昨年十一月、レイリスフィード学園極秘調査の件だ!
 かねてからGIFTと内通していたお前は、いち早く極秘調査の話を聞きつけると、GIFTに情報を流して逃亡の時間を作った。
 それだけではない。お前は自らの権力を使って調査隊へ部下を強引に潜り込ませ、部隊を壊滅させる手伝いまでさせた!』

「……何だと?」

『根拠もある。あのレラとかいう子供、途中でマリオン・リヴァーズにやられて戦線離脱したそうじゃないか。
 だが、そいつは生きていた。おかしいと思わないか? あのGIFTの先兵が、たかがガキ一人始末するのにしくじる訳がないだろう!!

 なあ、アサド……お前、普段から随分金稼ぎにご執心だったそうだな。動機はそれだろう?
 GIFTからカネも受け取れる、自分の部下を調査に関わらせることで報奨金もせしめられる。さぞ懐が潤っただろうなぁ?
 ――――少しは心苦しいと思わなかったのか、えぇッ!? あんなガキまで金稼ぎの道具にしやがって!!』

【……アルフレドはひとつも言葉を発することが出来なかったし、ひとつも意味が分からなかった】
【あの極秘調査についてのレポートはアルフレドも読んだが、確かに不審ではあった。極秘の調査であった筈なのに、残されていたのは〝痕跡〟だけ】
【そして、≪旧校舎≫にも≪部室棟≫にも、現場にはまだ新しい〝引きずったような跡〟が大量に残っていた。何らかの器物を、直前に運んでいた】
【何故そんなことをしたのか――――もちろん、GIFT側があの極秘調査に気づいていたからだ。決定的な証拠となる物を、直線に持ち出したのだ】
【あの調査に関わった誰かの中に、内通者がいる……その可能性が最も高いと、そう思われていた】

【――――ようやく話が見えた。その結果内通者だと疑われたのが、水の国自警団主導の調査だというのに何故か砂の国自警団から召集された、夜凪レラで】
【そして真犯人は、その直属の上司であるアサド・アル=アーデルなのだと――――彼らが言いたいのは、そういう意味か】

【だが……この考えには、アルフレドの持っている情報との矛盾が数え切れないほど存在する】
【あの調査の話を持ちかけてきたのは、間違いなく水の国自警団だ。アサドが無理矢理レラを調査隊に捻じ込んだなんて事実は、一切存在しない………!】
【その上レラまでも、GIFTと共謀して調査隊を壊滅させようとしていた? 狙われたのに生きていたから? それは彼女の実力を知らないから言える詭弁だ!!】

黙って聞いていれば、ふざけるのも大概にしろ………! 事実無根だ!!
だいたい隊長が金を稼いでいるのは――――っ!!

「――――やめろ、アルフレドッ!!」

【……いつものように。冷静を失ったアルフレドを止めるのは、いつだってこのアサドの声だった】
【そうして我に返ったアルフレドは、改めて周囲の状況を確認する。警官達の目は二人に対する憎しみに満ちていて、とても引き下がるとは思えない】
【抵抗すれば、確実に戦闘になる――――こちらも無傷では済まない。それに例え突破しても、警察組織から追われ続けることは変わらない】

【それから、重要なことがもう一つ。逮捕状が出ているのは、アサドだけだ】
【こんな虚構をでっち上げるような連中だ……彼と関わりのある『ヘイダル』の全員に逮捕状が出ていても、おかしくないのに】
【それなのに、この場において彼らが逮捕するのはアサドだけ。アルフレドに対する拘束力はない。何故だ――――?】
【――――決まっている、アルフレドが警察官だからだ。アルフレドを捕らえるということは、警察組織の看板に泥を塗るということだからだ】
【例え相手が凶悪犯の側近だろうが、SCARLETなぞに入って自警団に媚びを売る裏切り者であろうが、上は警察組織全体の利権を優先して現場を動かす】
【今の警察が、そういう組織に成り下がっている事を――――アルフレド・フェリシアーノは、この世の誰よりも知っているじゃないか………】

【アルフレドはようやく、自分が〝選択〟を迫られていることを自覚した】
【自分の正義を貫いてアサドを守り、警察と敵対するのか。それとも、ずっと憧れていた男の両手に自ら手錠を掛け、これからも警察官として生き続けるのか】

【アサドの銀色の双眸が、こちらを見据えていた。ただ偏に、今まで積み重ねてきた〝信頼〟を込めて――――】


359名無しさん:2014/02/23(日) 15:12:05 ID:CX9dekr20




――――――連れて行って下さい。



【がちゃん、と。幾度となく悪を捕縛してきた冷たい鉄の輪が、填められる。その音だけが、ずっと耳の中で残響する】
【周囲の?同僚?達が物言いたげにこちらを睨み、最後にの舌打ちを一つだけ残すと、踵を返して】
【彼らはアサドを引き立てると、口々に罵声を浴びせながらパトカーに押し込む。アサドとアルフレドは一言も交わすことなく、断絶された】
【サイレンの音が遠ざかって、消えていく。降りしきる雨音と冷たくなっていく体の感覚だけが、アルフレドに残された唯一のものになる】

(エドガー課長………アサド隊長………)

【………いつの間にか、掌から傘は滑り落ちていた。野晒しになった体に雨水を浴びながら、頭の中が勝手に回る】
【強制逮捕は出来ずとも、任意で引っ張ることぐらい出来たはずだ。いくら逮捕状がなくても、疑わしい者に取り調べぐらいはして然るべきだろう】
【だが彼らは、それすらしなかった。アルフレドを守るよう、間違いなく上から圧力が掛かっている。そしてこの街における?上?とは――――】

【――――アトラヴェル警察本部長、エドガー・ハーレイ。アルフレドがアサドと並んで尊敬する恩師をおいて、他にいるわけがない】


(僕は、正しい選択をしたんだ………)


【それが解っていたから……アサドは笑っていた。引き立てられていった彼は、アルフレドが自分の信頼に応えて正しい選択をしたことを、心から喜んでいた】
【アサドの実力なら、例え無傷では済まないにせよ、実力の低い現職警察官の十人や二十人ぐらい突破して逃げおおせられた筈だ】
【それをしなかったのは、下手に水の国の警察を傷つければ国際問題になると解っていたから】
【そもそもアサドが水の国警察に抑えられたという時点で、砂の国からは抗議が殺到する筈だ。両国の関係には、これで少なからずヒビが入るだろう】
【その上警察官がアサドに怪我をさせられたなんて事になれば、お互いの関係は更に悪化してしまう……】
【アサドはあの状況で、極めて冷静だった。そして敢えて捕まることで、もう一つ重要な布石を張った】

【――――アルフレドを、守ったのだ。大人しく逮捕されることでアルフレドの面子を守り、希望を託したのだ】
【今回の事件の裏には、何か大きな?陰謀?が渦巻いているとみて間違いない。その尻尾を掴む為には、情報が必要だ】
【そしてアサドが捕まり、『ヘイダル』のメンバーが追われる身となった今。その情報を集められるのは唯一、アルフレドだけ】
【そう。アサドを救えるのは、大事な?家族?を取り返せるのは。警察官として内側から組織を調べ、真の黒幕に到達できる可能性があるのは――――】

【水の国警察の刑事にして、SCARLET麾下特務部隊『ヘイダル』の副隊長。アルフレド・フェリシアーノしか、居ないのだ】


(僕は、正しい、選択を、)


【最初の一手を、自分は間違えなかった。アサドの意志に見事応え、?反撃?の為の第一歩を踏み出した】
【ここからが本番だ。直ぐにでも情報収集を開始すると共に、まだ捕まっていない『ヘイダル』のメンバーと連絡を取らなければならないだろう】


(僕は…………)


【………だというのに。体が、動いてくれない。自分は正しい選択をした筈だ、アサドを売ったのは間違いではなかった筈だ】
【正しい、選択をしたんだ。何も後悔することなんかない。それはきっと間違いなんかじゃない】

【なのに………どうして自分はいま、血が出るのも厭わず地面を殴りつけているのだろうか】

【なのに、どうして自分はいま、泣いているのだろうか――――――?】




……ぅわぁああぁぁあああああああああああああああああああああああああああ
        ああああああああああああああああああああああああーーーーーーーーーーーーーーーッッッッッ!!!!!!!




【――――あのラズワルド地下遺跡の調査から、数日後】
【とあるニュースがあらゆるメディアに乗せられて大々的に報道され、全世界に知らしめられることになるだろう】

【砂の国自警団所属のアサド・アル=アーデル氏が、凶悪なテロ組織?GIFT?と通じていた容疑で、水の国警察に逮捕された】
【また、容疑者の息が掛かっていると思われる特務部隊『ヘイダル』についても、その全員が直前に水の国へ入国していたことが判明し、】
【現在水の国警察および水の国自警団が共同で全土に検問を張り、その行方を追っている模様――――】


/これにて?始まりの挽歌?イベントはすべて終了となります!
/皆様、ありがとうございましたー!


360名無しさん:2014/02/23(日) 17:51:36 ID:buu1lXlY0
>>355

【蹴っ飛ばされたゴミ箱が路地裏に転がる、中身の紙くずやらがばら撒かれて、】
【「てめー*******」何を言っているのだかももう分からない、きっと誰にも分からない】
【それでもなおビビる様子のひとつも見せないのについに彼らは痺れを切らしたようだった】

私に分かる言語で喋ってくれるかね。そんな言語知らないのだよ、ちぃっとも分からん。

【思い切り胸倉をつかまれる、引き摺りあげられたなら、足の先っぽが危うく地面と離れそうにすらなって】
【いっそう睨みつける視線が強くなっていった。その刹那に、きらりと瞬いたのは――ゴミ箱が、まるで誰かが動かしたように】
【がろりと音を立てて動いたのである。“勿忘草色の靄”を纏って、ぞろりと持ち上がりかけて――ごす、ばちん、】

【助け舟は少女が動き出すより早かった。街のほうより飛んで来るモノ、犬を模した魔力の塊が、】
【見事にチンピラ共の頭を打ち据えて弾ける! 驚いたのもあったのだろう、彼らはそれぞれにカエルを引き潰したよな声をあげて】
【倒れこむものも居れば耳を押さえたものもいる。少女の胸倉を掴んでいた彼は、びたんと無様にも倒れこんで】

……きゃっ!

【持ち上げられていた少女までもが巻き添えを食らう。即ち、地面に投げ出され、叩きつけられて――】
【数センチほど浮き上がっていたゴミ箱もまた落ちる。痛そうに体を丸める幕間、けれど、殴られるよりずっとマシだったはずだ】

【自警団だと言うその言葉にチンピラの時間が止まる。誰も彼もがしょっぴかれたくないのは当然、自分のなんてかわいいことか】
【ここまで粘った少女を睨んで、現れた女を睨んで、何か喚いているのは負け犬のなんとやら、置き台詞か何かであるらしい】
【立っていた奴らは倒れこんだ奴らを置き去りにして、置き去りにされた奴らも急いで立ち上がって、路地裏の闇のほうへと逃げていく】
【そういう奴らの常として逃げ足ばかりは速かった。地面に倒れる少女を気にかけるなら、追いかけて行くのは難しいだろう、ぐらいに、】

ぐ……――、助かった、どうもね、キミ。
ところで、……本は面白かったかい。

【――痛そうに歪められた顔、元から鋭いものなら、余計に危うい鋭さを足したようで、ただ、感謝ばかりはしているらしい】
【こんな言葉では疑いたくもなるが、続く言葉がそれだったのを思えば、……まあ、元気ではあるのだろう。無傷と言って等しかった】

361名無しさん:2014/02/23(日) 19:03:45 ID:ZyRhhMNs0
>>360


尻尾を巻いて逃げる気か負け犬どもめ、話はまだ聞いちゃいないぞ……!
―――― “逐わせ”ついでに“纏われ”、一人残らず奴らを捕らえるんだ


【仲良く逃げていく彼らへと鋭い視線を向けながら、手元の鞭をしならせ空中を勢いよく引っ叩いた】
【パン!と渇いた音が響けば、『白犬の頭』が再び幾つか女の周囲に出現し、音も無くチンピラを追っていく】
【今度の魔力は追尾性能付きで、接触すればその時点で固化してしまう代物だ。何としてでも捕まえたいのだろう】
【そうしている最中にも、数人の自警団員がやって来て路地裏に駆け込み、追わせた犬の後に続いていった】

【取り敢えず、これにて一段落。チンピラどもは仲間に任せれば良いと判断し、鞭を棒に変形させて腰に提げつつ】
【眼前の少女のことを気にも掛けないように転がったゴミ箱の方へと近付き、律儀に立て直してゴミを片付け始める】


……はて、誰かと思えばアンネリーゼじゃないか、久しいな?
思い切り尻餅をついたのは……ああ、どうやら大丈夫そうで良かった

それはそれは楽しく読ませてもらったとも、一文字一文字の隅から隅まで、一ページずつ丁寧に
生身の人間をそのまま挟み込んで圧し潰したような……濃い物語だったよ。しばらく活字は見たくない


【述べた感想は実に簡潔なものであったが、愛憎の濃密に絡む物語は、どうやら女をひどく満足させたようだ】
【横顔に窺えるちょっぴりウンザリしたような表情も、またそういうことであろう。一通り片付け終えると向き直って、】
【――そのまま壁に寄り掛かった。少女に手を差し伸べることもしないのは、少々冷たすぎやしないか……なんて】


それで、せっかくこうして会えたんだから今返せれば良かったんだが。持ち歩くにはちょっと重すぎるからな
後日返しに伺おうと思うのだが……確か、図書館だったよな? 例の街の、川の傍の。


【そうして問うのは少女の家の場所だ。メモ帳は取り出さず、少々曖昧な記憶の中から断片を集めて確かめる】


/凄く遅れまして申し訳ないです……!よろしくお願いします

362名無しさん:2014/02/23(日) 19:31:11 ID:buu1lXlY0
>>361

【結局、逃げ出せるというのはただの幻想であったようだった。或いは、白昼夢のような淡い期待】
【逃げ出されても別段構いやしなかった少女はさて置いて、女はそれを許さなかったのだから、当然ともいえた】
【そうして再び現れた白い犬の頭。音もなく忍び寄ったのに、彼らはもしかしたら気付くことすらできなかったのかもしれない】

【気を取られて/バランスを崩してそのまま逃げられなくなった彼らがひとりひとりと捕まっていく】
【現れた自警団員を口汚く罵っていたりもしたが。ろくに動けない奴らが怖いなんてことは、ないだろうから】

……それこそ腕でも折れたと意趣返しすればよかったかね、思いつかなかったよ、そんな性質じゃないものだから。
本当に助かったよ、殴られたら死んでたかもしれない、外なんて滅多に出ないなんて殴られるなんて刺激が強すぎる。

そうかい、それなら良かった。――ああいうものをね、いつか書きたいと思っているのだよ。文字が生きているような……、
けれどね、中々に難しい――やっぱりね、小娘には難しいのだろうか。人生経験が違いすぎるのだし――。

【ふるふると首を揺らす、土埃のついた髪を梳くようにして、次いで服についたそれをぱたぱたと払って】
【最後に立ち上がって、最後まで地面に接していた面を払う。そうして、かつりと路地裏の地面を踏みしめて、】

【倒れたゴミ箱のほうへ向かう、ゴミを拾っている彼女の傍に佇んだかと思えば、散らばるものを見つめて瞬きひとつ】
【――ついとゴミが持ち上がった。全てじゃない、片手で数えられるぐらいの数だが、その全てが勿忘草色の靄を纏って】
【ひとつゴミ箱に入れたなら別のゴミを、そうして繰り返しながら、お掃除をして行く現象】
【何かしらの能力だと考えておくのが妥当だろう。やがて、少女本人も座りこんで、ゴミを片付けだすから】
【数人でやっているような速度でゴミを拾ってゆけるはずだった。そのうちに、残るのは凹んだゴミ箱だけになるだろうか】

【嬉しそうだった。やはり自らの薦めた本だ、それをどう思ってくれたのかを気にする程度の乙女心は持ち合わせていたらしく】
【ちょっぴりうんざりした顔に返すのは少しだけ瞳を輝かせたような、――とかく、楽しそう/嬉しそうなものだったという】

ああ、いつだって構わんよ。そう、川の傍の――家は敷地の奥にあるから、入ってくれて構わない。
戸を叩いてくれれば多分気付く。返事がなかったら寝てるか図書館の方に居るから――……、

……晴れの予報だったら家の前に置いていっても構わんよ。図書館のボックスは閉めてしまっているし――。

【確かにあの本は持ち歩くには不向きだろう、それだったなら、それを持ち歩いていた彼女はどうなのかという話だけれど、】
【そんなおかしな点は突っ込ませないぐらいの態度、つらと相手の言葉に説明を少しだけ付け足して】
【家は図書館より奥なのだと言う。別に入っても構わないからというのは、まあ女としても楽だろう。適当に置いて帰ればいいのだから】
【返却ボックスなんて何年も開けていない。それなら、晴れてさえ居れば外に置いていっても、まあ、なんて言葉のかたち】

【(雨の日だったりしたらそれはそれは怒るだろうけれど――なんていうのは、余談だった)】

363名無しさん:2014/02/23(日) 20:16:11 ID:CKwgAcf.0
【ヤーツァタウン――の端から北へ大体1km離れた所】
【最寄りの街は水の国、それも高層ビルは幾つかあれど大した発展のしていない場所で】
【しかも、そこですら20〜30kmは離れているという……まあ、辺境としか言い様がない】

【ここは幾つもの少泉が点在する薄暗く不気味な湿地帯。しかし泉に反射した月明かりは美しく、まるで鏡のよう……と、それはさておき、こんな所に何かがいたのだ】
【それは黒い外套を羽織っている、コワモテで奥二重でエルフ耳の、男にみえる者だった】
【身長は約2mの、筋肉質な細身で、黒い白目と血の様に真っ赤な虹彩を持ち、ボサボサとしている長い黒髪だ】
【上下共に長袖黒ジャージを身に着けていて、首に紫色の毛のマフラーを巻いており、手袋や靴下も紫色だ、靴は黒】

「あァ、……OK、後1mm東な……こォこかァ?」 「よォし……」

【その者は見えない何かと会話しつつ、位置を微調整してからその場所へ瓶詰めされた黒い魔力インクで印をつける】
【中心に点が打たれた直径2m程の円(垂れ流し式なので正確ではないが、わりかし綺麗)を描いたそれは、一体何をしたいのかさっぱりわからないが――】

「……新たなる道への階段を"確実に"作り出し、俺様"も"更なる力を手ェに入ィれてやァろう」
「さァて、準備だ準備――」

「……おォっと、まァーたやァっちまった――まァ良ォいか、直ちでなァくとも影響はねェしな」

【……ぼーっとしていたせいで、一部分にインクがダバダバと厚塗されたりして、ますますなんだかわからない】

/あまり長くはいれません

364名無しさん:2014/02/23(日) 20:43:21 ID:ZyRhhMNs0
>>362


ふん、意趣返しだなんてそんな下らないことをするもんじゃないさ……きっとうっかり言語崩壊も避けられない
それくらいの強い刺激があれば生きた文字を書けることもあるだろうけども、死んでしまっては元も子もないのだしな
……と、そういえば能力者だったか。それなら幾ら引き篭もりとは言え、奴らに簡単にトドメを刺されることも無いだろ

まあ確かにあのようなモノは小娘には難しかろうが、……ただその小娘にしか描けないようなモノもあるんじゃないかな
とかくがむしゃらに生きたらいい、あの作者だって多分そうしてただろう。まずは人生経験を積むためにニートを辞めてみたらどうだ?


【掃除中に視界に入る、勿忘草色の靄。そういえば、と以前に得た情報を記憶から引き摺り出して、納得した風に頷くと】
【フッと右口角だけを吊り上げて笑ってみせる。「死んでいたかも」だなんて言葉が、冗談めかしているように聞こえたのだろう】
【女はくそ真面目な顔をしながら似つかわしくないアドバイスを送るが、どうにも的確なソレに思えないのは気恥ずかしさからか】
【手伝いに対してどうもと一言感謝を告げ、先のチンピラどもに呆れたように凹んだゴミ箱を一瞥したのち、少女へと視線を移した】


………許可があると言っても、お前の大事な子を置き去りにしたり勝手に入ったりするのは少々憚られるな……
ふむ、そうだな、じゃあ――こんなところで立ち話も何だ。確認や警護のついでに、図書館へ案内してくれないかな、アンネリーゼ。
先はしばらく活字を見たくないとは言ったけどもね、暇潰しも兼ねて少し調べたいことがあるんだ。……きっと帰り道だろう?


【本を適当に返却する――、というのは己の性分から、どうやら出来そうにもないらしい。女――バーサは相変わらずお堅い奴だった、が】
【珍しく気が向いたのか、彼女はそれらしい理由を付けて図書館へ行きたいと願い出た。アンネリーゼの抱える袋を指差し、背を壁から離す】
【図書館という場が好きというのもあるが、何より「大事な子」のためだ。確実に返すべく、場所を確かめておきたいという気持ちがあるのだろう】

365名無しさん:2014/02/23(日) 21:04:22 ID:buu1lXlY0
>>364

そうさな、私がやったところで迫力などないのだろうし……、身長がないだろう、これじゃあね。
活きのいい若者数人にボコられて生きている自信などないよ、私は……普通の女の子だから。
……うん? 本を整理するのに長けているぐらいだもの、戦いなどキミらに任せるよ、頑張って。

ずいぶんと難しいことを仰る……本も読まずに外に出ろと言うのはね、魚に水から出ろというのと同義なのだよ。

【146センチの身長。これでは確かに迫力などないだろう、或いは――たくさんの刃物でも操れば、別かもしれないが】
【そんなもの持ち歩いているわけもない。持っているのなんて精々本、或いは原稿用紙とペン、平和なものばかり】
【ペンは剣より――なんて言うが、戦場の真ん中に放り出されてはそんなことを言ってる場合でも、ないのだから】
【――確かに本の整理と言う点では便利な能力だろう。自分は動かないまま、本が動いてくれるのだもの】

【(自称普通の女の子だった。普通の女の子? 少しだけ、危ういようではあったけれど――まあ、普通の女の子、)】

【彼女にとっての本/家の中というのは魚にとっての水の中なのか。そんなことを言っているなら、まだまだやめる気もないらしい】
【親の置いて行った金をちまちまと食いつぶして生きていく。――いつか絶対に詰む暮らし方、分かっていて、やめない生き方】

……そうかい、それなら日時を決めて待っていようか、別に――用事などないから、キミのにあわせられると思うのだし。
それとも家の鍵でも開けておこうか? いや、返却箱を開けようか。埃まみれだろうが掃除すればいいのだし――、
――おや、まあ、構わんよ。うちのでいいのだろう? それなら、どうせこれから帰るのだし……、大したもてなしも出来んが。

【敷地内に踏み入るのも、勝手においていくのも、駄目なのだと言う。彼女がそう言うなら、どうしようもなくそうなのだろう】
【真面目なことで、なんて思う一瞬があった。ぱちりと瞬いて見せたなら、こちらは対して真面目な性質でもないのかもしれない】
【代替案を口に出す、――そんなところに彼女からの提案があった、この後に寄らせてくれと――あっさりと、頷く】

【(よほど真面目ではないが、誰かが来てくれるということに喜びを見出す性質ではあった)】
【(本が寂しくないように読んでやる。そんなことを前にも言っていた気がするが――きっと、その延長線上なのだった)】

366名無しさん:2014/02/23(日) 21:55:05 ID:nt9fR7G60
【街外れのスクラップ置場を、明るい月が見下ろしている】
【打ち捨てられ、物言わぬ機械たちが眠る無機物の共同墓地に、こんな時間だと言うのに歩き回る人影はなんだろう】
【大柄でもなく、小柄でもなく、しかしシルエットでもよく目立つ頭と背中をしている】

いやーはっはっは!私も昔はこうやってスクラップ漁りをして資材を集め回った物だよ!
ふむ……これはいる、これもいる、これも、これも、これもこれも───

【長い茶髪をツインテールに纏めて揺らしている人物だ、ガスマスクに覆われて顔は見えず、性別は判断し難い】
【油汚れに塗れた白衣に重ね着した革のコート、真鍮や銅の飾り歯車が着いたそれと同じ素材の尖り帽子にはゴーグルがかけられていて、頑丈そうなブーツと革製の指貫手袋を履き】
【背中には鉄と部品と歯車が色々と見え隠れするバックパックを背負っている】

これも、ああ駄目だ!どれもこれも私にとっては魅力的過ぎる!!
しかし流石に全部は持ち帰られないな……そうだ!ガレージにあった車両を借りよう!!
そうと決まれば……えぇと、連絡はどうやったかな?

【ポイポイとスクラップをバックパックに放り込んでいたが、霧が無いと見たのか一度収集を辞めて、ある物を取り出した】
【汚れたコートから取り出したのはコインの紋章が刻まれたW-phone、先日手に入れた最新機器だが、この人物はどうもまだ使いこなせていないようで】

367名無しさん:2014/02/23(日) 22:15:06 ID:DSjvlKJ.0
>>366

【暗澹とした曇天の烟る宵月の形、明るさに影指す斜光】
【深々と降り積もる冷気は、寒空を囃し立て、その肌を責めるのだろう】
【けれどもゾクリと感じさせる冷たさは、周囲の温度だけでは、無くて】

【――――――羽ばたく風の音、屋根に積もった一束の雪が、落ちたような音】
【夜を引き裂いたなら、凪は既に嵐へと代わり、単色の世界に艶を含む】
【それが銃声だと気づくのに、そう時間は必要ないだろう】

【視線を傾けたなら、貴方の足元、つま先のほんの少し前の地面】
【突き刺さる銃弾の痕に、気づくことが出来るだろう】


……答えて、ほしいの、貴方の持ってる、それ……どうしたのって
それはね、ふつーのものじゃ、ないの、持ってる人、とっても少ないの
だからね〝証〟なの、それを持ってる事が、教えてくれるの

ソニアの護る人だって、伝えてくれるの

――――――Это ответы и стреляет
――――――(答えて、さもないと、撃つ)



【月が影を落とす、視線の先、小高い山のようになった瓦礫の上に立つ道背】
【言葉の主の紡ぐソプラノ、か細い声は、良く響く透き通った風鈴のよう】
【互いの距離を感じさせないほどに耳元へと流れこむのだろう】

【仄かに金色の混じったプラチナブロンドの長い髪、大きなマリンブルーの瞳】
【透き通るような素肌に女性としてはやや小柄で華奢な体躯、それでいて膨らんだ大きな胸】
【ゴシック調の紅いミニシルクハットと同じくゴシック調の白いブラウス、首元には紅のリボンタイ】
【紅いチェックのミニスカートの上から黒いコルセットで細いウェストを締め上げ】
【編み上げブーツに黒いニーソックスの雪のように儚い印象の少女】

【瓦礫の上に立った少女は、両手で少女の背丈程ありそうな狙撃銃を抱きかかえている】
【銃口を瓦礫に押し付けているその姿は、身の丈に合わぬ背伸びをする少女のようでもあって】
【どこか異質な存在感が、彼女がこの距離を〝狙撃〟したのだと伝えるだろう】

【彼女はどうやら、貴方の持つ〝W-phone〟を盗品か何かのように思っている、よう】

368名無しさん:2014/02/23(日) 22:21:47 ID:evZhySE20
/>>324で再募集します

369名無しさん:2014/02/23(日) 22:29:42 ID:zhlacM2.0
【噴水を中心に広がる円形の広場。周りにはカフェがあったり、大通りからも繋がっており人気は多い】
【そこの一つのベンチにて、一つの影が座っていた―――正確には寝っ転がってベンチを陣取っていた、だが】

――――――――――――――…。

【―――グレーのフリルブラウスと着崩した黒いカーディガン、黒のジーンズと茶色ローファー】
【腰には細い革ベルトをブラウスの上から巻いて。黒く光の無い、だがそれでいて素直な瞳。背丈は160cm程か】
【大きめなライトブラウンのキャスケットを被った金髪ショートカット。暗い配色で、闇に溶けてしまいそうな少女】

【脚を組み、キャスケットを深く被り直して、寝易いように体勢を整える。途中、空を仰いで軽くため息をついた】
【そんな無愛想な彼女が居るためか、その他の利用者らは気分良くないようで、ベンチがなくしかめっ面で広場を後にする者もちらほら】
【当の本人はそれを気にすることなく―――ぼんやりと、空を見上げているだろう。ベンチを使いたい者にとっては、とても邪魔で】

370名無しさん:2014/02/23(日) 22:33:30 ID:ZyRhhMNs0
>>365


……くフフ、本が好きなだけの、普通の女の子か。……ああ、間違いないやもしれない、な
魚を水からあげてしまうと死んでしまうなら、仕方がない。言われなくとも任されるさ、心配するな
たまには水中から飛び出してみるのも悪くないとは思うがな、なんなら図書館の一部だけでも開放してみるなんてのも良いんじゃないか


【抑えきれなかったように軽く笑声を漏らして首肯をまた一つ。しかしながら、相手を嘲るようなそれではない】
【「普通」とは懸け離れて達観したように見えていたから、そう自称するのを聞いて思わず笑みが零れたのだろう】
【意外とかわいらしいところも持ち合わせている――という以前の邂逅からの印象をそっと頭に浮かべながら、】
【それならば、と提案したのは、少女から聞いた話を思い出してのことだった。両親のことには、直接触れずに】


……そうだな、その返却箱を開けておいてもらえると私としては助かるよ。こう見えても忙しくてな
最近に限らない話だが襲撃やら何やらが絶えんでな、呼び出しも少なからずあるだろうし、約束を反故にしかねん

もてなしなど不要だとも、寧ろこちらが少しばかりの無理を言っているのだから掃除の一つでもしてやりたいところさ
それじゃあ、早速。……後ろに居るけどもあまり気に掛けないでくれ、隣に並ぶのがちょっと苦手なだけなんだ


【そう言って女はまた右口角だけを吊り上げぎこちないスマイルを浮かべる、相手が気を遣わなくていいように、と】
【それから足を踏み出して、彼女の後ろへと移動するだろう。気は早いが、準備が整うまでは急かすこともない】

371名無しさん:2014/02/23(日) 22:35:53 ID:F52AoKs20
>>324
【かつり、かつり。地面を靴底が叩く、硬い音】
【月明かりに照らされて、白骨のような白髪が、夜闇に映えた】

「――へェ……、いい感じに趣有る感じじゃねーか」

【暗闇で煌々と光る瞳の色彩はライムグリーン。どう見ようとも有機というよりは無機に寄った色彩だ】
【かつり。また、地面を叩く音が続き――青年は、朽ちた寺を見上げて、感嘆の声を漏らす】
【雲が風に流され、光量を増した月光が、ついに青年の姿を完全にさらけ出す】

【逆立てた短い白髪、くすんだ鉄色の左と人工的なライムグリーン右のオッドアイ】
【右目には、裂傷を主とした酷い傷跡が目立ち、他にも肉体の随所にそういった傷が見えるか】
【服装は、カーゴパンツにベルトポーチ、マウンテンパーカという動きやすさを重視したそれ】
【どことなく不吉な気配を従えた青年は、そのまま寺の中へと歩みを進めて――】

「……えーっと、なんだ。こんばんは……でいいか」

【――舌打ちを漏らす男と出会い、なんとも言えない顔をしつつ、軽く会釈をするのであった】

372名無しさん:2014/02/23(日) 22:50:16 ID:buu1lXlY0
>>370

そうだとも、荒事とは至極無縁の場所に暮らす、“ごく普通の”――ね。
何かに巻き込まれたらインタビューで答えておくれな、ただの女の子だった、と。

何も言わずとも助けに来てくれるものだからね、見直したよ。さすが自警団。
それとも誰かが助け舟を出してくれたのかね、“通報を受けた”と言っていたのだし……、
……ま、どちらにせよ助かったよ。ありがとう――、……、

【わざわざ強調してみせる語、それがあるなら、さもそうであることを願っているかのようでもある】
【――まあ、わざわざ荒事に巻き込まれたい性質ではないということだろう。能力者とは言え、非力な女子でしかない自分】
【ゆっくり本を読んで暮らしたい。それはどうしようもない願いで、ある種の本能のような――眠るように本を読む少女の、目指すところ】

【(ただの女の子になんてなれなかった。なれるはずがなかったのだ、ただの女の子は両親に置いてけぼりになんてされたりしない)】
【(そうなった原因だって――考えてみたなら、彼女の周りにあるのは“普通”とか“平穏”と違う。だからこそ、それが欲しかったのかもしれない)】

【笑われたことに対して不機嫌になったような様子はなかった。ただ、その提案には一度ぱちくり瞬いて、】
【「今更誰かが来るのかしらん」――呟いてみせたのは、少しだけ前向きに考えてみた結果のような、不安がる一言だった】

分かった、今度来るまでには開けておくようにするよ、仕事ということじゃあ無理にだなんていえないのだし……。
まして、キミの仕事に助けられた直後ではね。なんなら自分で掃除して行くかい、雑巾ぐらいなら貸すけれど?

【ひらりとスカートの裾を揺らす、純白を燻らせる土ぼこりの色は、もう洗う以外では取れないぐらいに染み込んで】
【それを改めて確認するような挙動の中で、やはりあっさりめに納得して了承してみせた。今度までにと曖昧な言葉で、だが】
【続いた言葉にくすりとした笑みが零れる、それなら今日この場で掃除してくれたなら、その曖昧も確固なものになるだろうと言いたげに】
【かつんと街のほうへ足を向ける、146センチの小柄な体躯ではどうしたって歩幅が小さい、しかも歩く速度もゆっくりめと来たなら、】
【場合によっては些かいらつくことになるのかもしれなかった。それでも目的地は対して遠くもない、適当に駄弁ってでもいればすぐにつくはずだった――】

373名無しさん:2014/02/23(日) 22:50:37 ID:Jfel1XAU0
>>353
「気合い……入って居るでありますか?
…………それと、ここの店主は趣味が悪いであります……」

【砂糖たっぷり、コーヒーを嗜好品とする者が見たならば珈琲への冒涜だと喚かんばかりの其れ】
【然れど少女には関係の無い話。飲めるようになれば其れで良いのだから、甘いに越した事は無い】
【最早商品名に珈琲と付けられなくなってしまった物を飲みながら、“ファンになった”との下りにはビシリと虚空に突っ込みを挟んで】

【そのまま二人の話を耳に入れつつ、改めて店内を観察する事だろう】
【――――やはり、奇妙だ。外から見れば狭そうな、所謂立って食事などを摂る形式の場所かと思ったが】
【実際にはこの様に座る事が出来るし、調理を行うだけの広さも確保されている】
【故に、何らかの魔術か何かが掛けられていると考えた方が良いだろうか…………そんな事を思って居た時の事】

【軍服を着ようと、SCARLETに所属していようと。やはり、中身は少女に変わり無く】
【運ばれて来た其れに気付けば隻眼の瞳を輝かせる。温泉かパフェかと選びに選んで待ちに待った時間】
【日々頑張る自分へのご褒美であって――――色々な物を盛りつけしてもらった其れに対し、渡されたスプーンを沈めて行く】


「ん……美味しいであります……!」

【其れが、口に含んでから最初に出した言葉】
【世辞でも無く本心の言葉であると察するのは容易な事であり、或いはそのがっつき様からうかがい知る事が出来よう】
【日々の疲れを癒やすかのようにゆったりと過ぎる時間を楽しみ、経過に従ってパフェの中身も減る事となるが――――】

374名無しさん:2014/02/23(日) 22:52:38 ID:evZhySE20
>>371

……、……

【男は相手を一瞥し、その問い掛けに無視で返すとふと月を仰ぎ見る】
【蒼白い月光は尚更男の作り物めいた皓い肌を透かし、無機質な表情を浮き彫りにした】

そッち……、戦いが好きなんか

【不意に投げ掛けた言葉は、相手の容姿に生々しい傷跡が目立ったからだろう】
【漸く視線を相手に合わせるもその貌には一切の感情は浮かんでおらず、ただ静かに眼前の彼を見据えている】

【彼の周囲で青藍色の燐光を零す蓮の群れは、この世のものとは異なる神聖な気配を抱いている】
【魔力により召喚されたものであるらしかった。その力の出処は、知覚出来るならば容易く検討はつくだろう】
【同じ青藍色の燐光を髪に挿した彼岸花から微かに零す、相手の目の前にいる男のものであると】

/発見遅れましたっ

375名無しさん:2014/02/23(日) 22:57:14 ID:nt9fR7G60
>>367
これは確かボタン操作ではなかったのだな……ふむ、技術の進歩はやはり素晴らしい!
連絡は……と───

【なれない手付きで、早くも油汚れの付着したw-phoneを操作していた、が】
【空気を斬り裂いた、乾いた音に動作がピタリと急に固まった、機械のスイッチを切ったみたいに】
【足元にある銃痕を眺めてから、ゆっくりと向けた声の先、ガスマスクのレンズに不気味な輝きが反射する】

狙撃は苦手かね?私の急所からは大きく逸れているよ?
いやしかし参ったねぇどうも、今は武器を持って来ていないのだが

【当てるつもりは無いと知っていてわざと、挑発するような冗談を言い返しながら、w-phoneを隠すようにポケットにしまいこむ】
【目の前にいるのはか細い少女である、が、彼女が射撃してきたのは明白であって、それが敵か味方か分からないのも事実】
【警戒はするべきである、何たって彼女の持つ狙撃銃は、いとも簡単に自分を貫けるから】

何、貰い物さ、何やらメンバーとやらに配られているようだねこれは
もしかして君も欲しいのかな?うんうんそうだろうそうだろう!!こんな最新鋭の機器をタダでくれるとなれば欲しい物なあ!!
……まあしかし、いきなり撃ってくるような子には私は意地悪をしたくなる人間でね。嫌なに、発明家は偏屈な物さ

さあ挨拶をしようか、私の名前はDr.フォギー、こちらの世界ではUNITED TRGGERの新米となるのかな?

【ただ警戒しているのではなく、それを茶化した様に語りながら、バックパックがガチャガチャと音を立てて中から何かが現れ始めた】
【───何が『武器を持って来ていない』だ、中に詰まったスクラップを押し退け、バックパックから出て来たのは巨大な鉄の両腕だ】
【これが武器と言わずとしてなんと言うのか?二本のアームを自分の肩の高さでガチャガチャと音を鳴らせながら、Dr.フォギーは問い返す】

では、君の名前と所属を聞こうか?

376名無しさん:2014/02/23(日) 22:59:32 ID:F52AoKs20
>>374
【目の前の男に話しかけられて、青年の右目に宿る光が俄に光量を増す】
【サーチライトのようなその光は、蓮の群れの燐光とは対極の、ネオンライトのような不自然なもの】
【そして、青年はその問に関して、目元の傷を指でなぞりつつ、なんとも言えない顔をして】

「――あァ? いや、どっちかっつーと大っ嫌い、だな。
ただ、しなきゃならない時にはやるってだけでさ」

【傷だらけの身体を抱えて、戦いは嫌いだが戦っていると口にした】
【右目の光は、蓮の燐光を冒しながらも、その本質を暴いていき。青年にそれが通常のものでない事を看破】
【表に出さぬ僅かな警戒を抱きつつ、青年はぐるりと寺の中を見回した】

「……にしても、ずいぶん綺麗な能力だな、こりゃ。俺のと大違いだわ」

【それが魔力を帯びたものであることを理解した上で、それの効果は未だ理解しては居ない、が】
【己の力の無粋な光に比べて、目の前の花の群れはこの光景に似合っていると、そう思った】

377名無しさん:2014/02/23(日) 23:13:40 ID:DSjvlKJ.0
>>375

【機械の両腕を取り出す貴方、紡ぐ言の葉は煙に巻かれたかのよう】
【少女の細い眉が歪んだ、大きなマリンブルーの双眸が揺れたなら、そこに感情を乱して】
【頬が揺れた、白雪のように無垢なほっぺたに淡い色合いが滲んだ】


……苦手じゃないもん、わざと外しただけ、なの
ソニアが本気だったらね、一発で撃ち抜いてるの


【返す言葉は年相応の言葉、小柄な人影がその輪郭を揺らして】
【むぅと刺を強めた言葉の尾っぽ、それはさながら、薔薇のように微かな針を零す】
【プラチナブロンドの毛先に抱かれる、雪銀の色合いを白く細める】

【そんな彼女も、貴方の〝所属〟を聞いて、大きく目をぱちくりとさせるのだろう】
【長い睫毛が水面をなぞる、頬の濡れ色に滴る艶先が、流麗な欠片を残して】
【わぁ、ぇっ、なんて言葉がちらほら、言葉の隙間に見え隠れ、して】

【――――――刹那、彼女の姿が消えるだろう、まるで雪が、朝になって溶けて消えてしまうかの、ように】
【同時に香りが零れた、貴方へと流れこむ甘く柔らかな少女の香り、髪がふわりと風に溶ける芳香】
【桃色が新雪に映ったなら、その味わいさえも、舌先に広がるように】


認めないのっ!ソニアね〝UNITED TRIGGER〟のせんぱいとしてね!認めないの!
フォギー意地悪なの、嫌な言い方するの!そういう人、やなの!


【えいや、と貴方が何もしなければ、両手で抱いた狙撃銃で、バックパックを突こうとする】
【視線を向けてみれば、今の一瞬で、彼女が後方へと移動している事に気づく筈だ】
【目尻の端を傾けて、マリンブルーの瞳の中に幾重もの感情を篭める】

【いきなり狙撃してきた彼女が悪いのだろうが、貴方の言い方が意地悪だ、と感じたようで】
【むぅと唸る少女の様子は、手のひらサイズに収まる少動物みたいな感情】
【ぬいぐるみの代わりの狙撃銃だけが、違和感を訴えるのだろうか】

378名無しさん:2014/02/23(日) 23:21:42 ID:evZhySE20
>>376

【相手の右目の光に少し眩しげに目を細めて、何かしらの察知する類だろうかと胡乱げな視線を送ったのだったが】

……気が合うな。あッちもそうや

【廓言葉めいた訛りがあった。特徴的な一人称で自身を指しそう呟けば、自嘲めいたものでこそあれ初めて男は薄く笑う】
【始め舌打ちして相手を無視した時よりかは取っ付きやすい空気を醸して、その相手の右目も興味深げに眺めていた】

此れは仙界から喚んだ花……、御仏の力を持って、全てに慈悲を与えるモノ。
……元来戦う為の力やない。護る為の、救うための力……せやけれど。あッちは何処で、間違えた……?

【迷っている、と表現すべきだろうか。数多の戦いをくぐり抜けて来ただろう相手の前で、微かな弱味が露見する】
【救うための力と言った其れを、その通りに使えていないと言った。ならば、男が悪人である可能性も出て来る】
【相手の目から視線を落とせば、男はその双眸を伏せ、僅かに考え込んだ】

……悪党なんよ。悪党だった、あッちは。

【誰とも知れない相手に吐き出したその告白が、冗談なのか否かは男の持つ空気が語っていた】
【男の容姿はとある指名手配犯の容姿に酷似している。青藍色の植物で人をくびり殺す、連続殺人犯と】

379名無しさん:2014/02/23(日) 23:26:09 ID:6bpq1X060
>>373

……いや、今は入ってへんよ……なんかもう、慣れてもうたんよ、………
………せやけど最初はまあ、ガチガチやったわ、………気合半分、緊張半分で、な……―――

……趣味が悪い言うのは、……男やのに男好きやっちゅうとこ?……それは、しゃあない……
………いや、カノッサのファンになってもーた言うやつのこと、やろ、……何かあの人な、色々達観しとるんよ……
……その、正義とか、悪とか関係無しに、見た目が気に入ったら、好きやー言う感じ、……"悪"のファンになったわけ、ちゃうねん……

【それでも未だ何処か腑抜けた雰囲気を纏っているのだが……、然し、彼女の表情の変化は確かに読み取った。】
【恐らく、其れは、"SCARLET"の一隊員として、すべき反応だったのだろうと解釈し、少年は代わりに弁明する。】
【どちらかと言えば、彼は正義や悪との二項対立には、興味が無いのだと。……ルックス至上主義、とでも言っておこうか。】
【故に、我々二人、特にふぉんてーぬが"悪"に染まった訳ではない、飽くまで自分の欲望を満たす為の、愛を注ぐ為の、対象でしか無いらしい。】

【ねこやまは表の看板を、"open"にひっくり返す―――瞬間、開店を待っていたかの様に入店してくる、三人組の男性が居た。】

【全員アタッシュケースを持ち、黒いスーツ姿……怪しいかどうかと言われれば、彼らは間違いなく、―――怪しい。】
【然し少年、先程豪語したのは嘘ではないらしく、熟れた誘導で席に案内していた。何を考えたのか、そのテーブルは丁度店の真ん中……目立つ場所だ。】

【注文を取りに行く様子が見られないのは、そもそもコースが一つしか無いから。先程各々に並べた紙に書かれてあるのは、その料理の詳細で、】
【まあ普通に暮らしていれば、全くと言って良い程、何が出て来るのか分からない品名がズラリと並べてある事だろう、少女もその一人……か?】

【恐らくパフェの中身も残り半分程となった時か、少年が前菜、季節野菜のカポナータと定番のカプレーゼを三人に運び、まあ其々口にしていく訳だが……】
【―――瞬間、机を割れんばかりに叩きつける音が聞こえる筈だ、続けて店内を襲うのは、怒号とも称すべき罵倒の数々。】
【矛先は料理、それを運んだ少年、さらには店主にまで広がり、止む事はない。……やがて、彼らは"慰謝料"なるものを請求しだす。】

【二人が狼狽えるのは、当然の事だろう。そうこうしている間に、三人はエスカレートしていき―――、アタッシュケースを開いたかと思えば、】
【随分と大きなライフル銃を抱え、今度は机の上に乗って暴れ出す。恐らくはコレが入店の目的、言ってみれば"強盗"と何ら変わりない手段、だ。】

【さて、ねこやまは物陰に隠れているのだが―――、顔が何だか、ニヤついているのは見て取れるだろうか。……変わった少年、である。】

380名無しさん:2014/02/23(日) 23:29:47 ID:F52AoKs20
>>378
【その男の視線を、青年はまっすぐに受け止める】
【綺麗な瞳ではない。世間に汚れ、悪意を宿す――どこにでも居る人間の汚さを持った双眸】
【そして、その汚さをそのままに、光もまた同居させている、渾沌とした色彩。それが、青年の眼に宿る意志だった】

「……おう、そーみてーだな」

【に、と皮肉げな笑み。その皮肉は、嫌いでも戦い続ける事を選んでいる己に向けられるもの】
【相手の態度の軟化に合わせて、此方もまた少しだけ鋭い気配を引っ込めてみせる】

「……悪党、ねえ。確かアンタは――――」

【男の独白。それを聞き、また目の前の相手の独白を聞いた上で、青年は己の持ちうる情報との照合を開始する】
【ライムグリーンの右目が、忙しなく痙攣するかのように動作した。そして、輪郭、髪色、眼の色、雰囲気、服装】
【それらの要素を、己の脳内に要する膨大なデータで編みあげられたデータベースと照合。その正体を暴き出す】

「――――墨廼江 月彗、か?」

【己の中で、弾きだした名をそのままに口に出す】
【その上で、目の前のその男が――その指名手配犯そのものなのに、そう見えないと感じた】
【眉根を寄せ、敵意を見せるでもなく、青年はただ問いかけた】

「……後悔してるのか?」

【問う。迷いながら、己が悪である事を吐露したものに】

381名無しさん:2014/02/23(日) 23:46:55 ID:ZyRhhMNs0
>>372


…………ふん、私がインタビューに答えなくてもいいように善処することだな
それに任されたとは言ったが、我々はやるべきことを遂行しているだけに過ぎんからな?
「守るべき力を持つ者が守らなければならない」“使命”がある、仲間の受け売りだが……ただそれだけのことさ

通報は確かに受けたとも。さすがに大通りの近辺だったからな、見過ごせん者が居たんだろう
感謝されるべくはそちらの人間だよ、顔は知らんからこの晴れ空にありがとうとでも言っておくといい


【平穏を守りたいならば自分でもそう努めるように―― 一つ目は、そのような意味の小言を述べて】
【二つ目は、どうやら照れ隠しのようだった。顔を僅かに逸らす辺り、分かりやすいと言えば分かりやすい】

【嫌いな面倒事を避けたいからではない、職業柄故の念押しだ。わざわざそうなるように行動しないということは分かっていても、】
【一言伝えずにはいられなくなる。素直でないから尊大に振る舞っているだけで、本当は何処となく少女のことを心配しているのだ】
【 (至って普通の、平穏の――そういう人でありたいと願う気持ちは、恐らくこの女も同じことだったから。) 】

【――「もし開館するということになれば、私がそれとなく宣伝しておいてやろう」】
【前向きがちな不安に対しては、冗談めかしてそう言っておいた。これに関しては余計なお世話――というやつかもしれない】


はは、そうだ、それがいい。調べ物の前に軽く掃除をしようか、掃除は嫌いじゃないからな
雑巾を幾つかと、……それからバケツと水を貸してくれればベターかな。新品同様に綺麗にしてやる
その間にお前は着替えるといい、汚れが落ちなくなると大変だろうから


【一方、掃除に対する情熱は結構なもののようで、いつになく正直なやる気を表している。どれほど掃除好きかが見て取れるほどに】
【見回りを兼ねた「清掃活動」を自主的に欠かさず行っているという一面があるというのは余談であるが、それを抜きにしても積極的だ】
【少女の緩慢な足取りにも気を取られないくらい楽しみにしているようで――そうしている間に、目的地へ到着するのであろう】

382名無しさん:2014/02/23(日) 23:47:36 ID:X8e/Uc6o0
>>317

濁した言い方、成る程な結構なヤツな訳だ
でも別にいいよ要するに強ければいいんだ相応ならこっちもやり甲斐がある
性格なんて二の次ってヤツ、ナイフを振るう相手に差別もないよ……ああ、勿論本気の殺し合いじゃなくてな

【腕を組み察したように微笑み浮かべる、好戦的なそれ】
【まだ見ぬからこそ期待も高まり昂ぶるというもの、戦士としての心のあり方がそこにはある】

夜明け、へえ……!なんだ式も使うのか凄いないよいよ陰陽師めいてきた
白い鹿なんてそうそう拝めやしないぜ、縁起があるかは別としてだけど
…………見栄えもそれなり、オレも式の一つや二つ欲しくなっちまった

【その驚き様はマジックに目を奪われる子供のように、見た目に似つかわしくない動作はつまり中身を伴わないともとれる】
【ただしかし彼女の技巧に関して感銘を受けているのは紛れもない事実である】
【でなければこの天邪鬼が手放しにここまで褒めるなどないのだから】

伝言くらいはお安い御用だ、代償にしちゃあ小さいくらい悪いねなんか
ともかく極めて了解したよ、まあ縁がありゃ多分会うだろ今から楽しみなくらいだし
任せとけそれじゃあな桔梗。気を付けて帰れ……ってのは余計なお世話かアバよ!

【伝える、繋ぐ働きは縁を結ぶ】
【姉妹の絆はいかほどか垣間見るは何か、朝焼けの中に彼は何を思うてか】
【去りゆく背中に軽く手を振り別れ行く……縁があるならばまたの機会に】

/遅くなりましたがお疲れ様でした!

383名無しさん:2014/02/23(日) 23:49:49 ID:evZhySE20
>>380

……御名答。

【かつては機関に居た身だった。策謀に破れ追われる身となり、其れも収束した筈の今、月彗は古巣に戻る事を選ばなかった】
【代わりに重ねていくのは意図も見えない殺人ばかり。はっきり言ってしまえば、とんだ小物に成り下がったものだった】

後悔……そうやな、始めはそんなモノは無かったわ
唯唯、健常なヒトが恨めしくて……けれど殺しても殺しても、何の満足もせんかった
何処にいようが何をしようが、恨み以外に目的もない、正しい力の使い道も選べない……

【相手が察知能力に長けているのならば、更にもう一つの月彗の姿を、或いはその内部に確認出来るかも知れない】
【端正な姿は周囲の蓮と同じ植物がヒトに擬態したもの、もっと言うならば、欠けた部分を足して覆っているのだ】
【多い包まれているのは、手足のない醜い人間。それこそが核であり、実際体温などの生体反応も、頭と胴体からしか確認出来ない】

……今は、……後悔、しとるのかもな。せやけれど……
仰山殺して来た。後は誰を殺せば、この恨みが晴れるのか……分かりそうなんや

【誰か。分かり切っている。静かに俯いた姿には依然として抗う意思は見えず、ただ立ち枯れるのを待つ野菊にも酷似していた】

384名無しさん:2014/02/23(日) 23:56:10 ID:DSSmjtdA0
>>379
「むむむ…………余計に訳が分からないであります
達観と言うよりも、ちゆ姉とはまた違った大食らいにしか見えないでありますよ
他の方の趣味にまでとやかく口を出すつもりは無いでありますが…………」

【よく分からない感性だが、分からないからと全てを否定するほどまで愚かな人間でも無い】
【世の中には建物に惹かれる物が居れば得体の知れない生物に惹かれる者も居る。其れ等と比べれば、ふぉんてーぬはきっとマシな部類なのだ】
【自らの中でその様な結論を導き出したならば、それ以上の言及をする事は無く】
【折角の甘味なのだ。ならば今の内に精一杯味わっておこうと黙々とスプーンを運ぶことだろう】

【だから、新たな客が来たって邪魔をしない様に少年に話し掛ける事はせず】
【多少雲行きが怪しくなった所で介入をしようともしない――――が。暴れ始めたら話は別である】
【身体がピクリと動くが、その最中で思い出すのは先の言葉】


(私と同じ程度の実力ならば直ぐに済みそうでありますね。ねこやま殿が多少相手に怪我をさせた所で、私が証人となれば良いのであります
ねこやま殿の実力にも興味があるでありますし、パフェを食べながら見学でも…………――――ん?)

【自分が出る事も無く終わるであろう。そんな考えの下、男達が暴れようとライフルを取り出そうと黙々と食べ続ける】
【先客がそんな様子なのだ。ある意味では異様な光景とも思えようが――――】
【少女からすれば、少年の方が。この店で働く者の方が異様に映っていた】

【物陰に隠れるのは仕方ない。だが……何故、笑っているのかが分からなく】
【怪訝な表情を浮かべて首を傾げはするが……兎にも角にも、この騒ぎを静めねばゆっくりと残りを食べる事も出来なさそうだ】
【そんな判断をすれば、片目を覆っていた眼帯に手を伸ばし――――外れ、露わとなるのは銀の瞳】


「…………SCARLETの目の前でそんな物騒な物を取り出すなんて良い度胸でありますね?
素手やナイフ程度ならば痛いと感じる程度で済ませるでありますが…………そんな物を持ち出したら、“後悔”するでありますよ」

【そんな言葉を放っても、少女は動かない。代わりとして、銀の瞳が輝き――――その内一人は、まるで弾き飛ばされる様な感覚を味わうだろうか】
【サイコキネシス。正にその言葉がぴったりであろう。違う点を挙げるとすれば、物だけで無く人間にも直接干渉出来る事だ】
【男の一人を飛ばす事が出来れば、続いて残り二人はまるで重力が強くなったかのように床に向かって叩き付けられる事だろうか】
【大男一人に持ち上げられ、力の限り叩き付けられたに等しい痛み。――――当然、これ等はサイコキネシスが男達に及んだならば、の話だが】

385名無しさん:2014/02/24(月) 00:00:11 ID:F52AoKs20
>>383
「――成る程、ねえ。……俺ァ、まあ後天的なアレだけどよォ。
ま、俺も恨み持ってるヤツは居るし、見たら殺す気のヤツは居るぜ?
人なんて、そんなもんだろう。正しく使いたいと思っても思うようには動けなくて、なんてな」

【青年は、己の異能を僅かに崩す。右目のシルエットが崩れ、ガランドウの眼窩を顕とし】
【左腕は硝子の砕けるような音を響かせて、肩から先の存在を空虚に帰した】
【彼もまた、異能によって己の肉体を補っている歪な人間。もし気配に聡ければ、哲学者の卵の気配も共に感じるかもしれない】
【そして、鉄色の隻眼が、まっすぐに相手を睨みつけて。おもむろに言葉が紡がれる】

「もし、……後悔してて止めて欲しいなら俺が首引っ掴んで自警団なりUTなりなんなり連れてってやる。
曲がりなりにも一応俺は善人でも悪人でもねーが、正義ってヤツを掲げてっからよ」

【べきり、べきり。右目と左腕の〝あるべき所〟にライムグリーンの閃光が集い、次第にそのシルエットを取り戻していく】
【中身が空っぽのワイヤーフレームの右目と左腕。その表面にノイズが這いずれば、表面だけはテクスチャによりそっくりに繕われる】
【青年としては、目の前の男をどうするべきか、決めあぐねていた】
【止めて欲しいようにも見えるし、恨みが尽きるのを感じそこまでは止まらぬ覚悟も見えて】

「……どーしたいんだ、お前」

【見下ろすのは、鉄とライムグリーン。欠けた正義と、欠けた悪党が向かい合った】

386名無しさん:2014/02/24(月) 00:00:34 ID:nt9fR7G60
>>377

【一瞬の事だ、目の前にいた少女の姿が掻き消える】
【霊体、高速移動、光学迷彩───様々な臆測が瞬時に脳の神経を駆け巡り、否定しては浮かんでいく】

【次の瞬間、背後から声がしたかと思えば、振り返る瞬間に世界は回り始めていた】
【少女がバックパックを小突いた、ただそれだけなのだが、それが不意に死角から来た物だから、フォギーは足元がおぼつかなくなり、更に足場の悪いスクラップの山の上だったのもあって、足を踏み外す】

うのおおおおおおおおおおおおおおぉぉぉぉ!!?

【ゴロゴロとスクラップの山を転がり落ちながら奇声を上げるフォギー、大きな谷を落ちたかと思えば、また次の山に頭から突っ込んで止まる】
【そこには、スクラップの山に頭を突っ込み、尻を突き出した変人の姿だけが残った】

……成る程、つまりこう言う事か
君はUNITED TRGGERのメンバーの一員!しかも私より先に入った人間だと言う事だね!?
なんと奇遇な!私も調度組織の人間と連絡を取りたいと思っていた所だ!!これは正に幸運だな!

【そのまま、尻を向けたまま理解したままをソニアに語るフォギー、金属のアームが表情代わりに手振りでハイテンションを表す】
【……こんな人間を後輩と認められるだろうか?】

許してくれたまえよソニア君!私は元来性格は良くなくてね!!姉妹に勘当されるくらいにはね!!
だがまあ誤解が無くて何よりだ!一歩間違えていれば大変な事になっていたに違いないからな!!

【ポン!と山から頭を抜き、帽子のゴミを払いながら、ソニアを見上げて愉快に続けるフォギー】
【ガスマスクにくぐもった声は、男女の区別がつかない程に篭っているが、それでも身振りや話し方で精一杯コミカルを表現している、天然で】

387名無しさん:2014/02/24(月) 00:04:19 ID:DSjvlKJ.0
>>386
/ごめんなさい、そろそろ時間なので、この後は置きレススレに移行してよろしいでしょうか?

388名無しさん:2014/02/24(月) 00:17:01 ID:buu1lXlY0
>>381

【「もちろん善処するとも」】
【こくりと頷いて返した言葉、けれど先ほど思いッきりチンピラ共を煽っていた姿勢を見たなら、】
【少しだけ不安になるようでもある。あれはあれで巻き込まれて苛立っていたのだろう、とは言えたけれど――】
【怖いものを知らないような面が確かにあった。考えなしというわけでない、ただ、“こわくない”】

【ぎこちないバーサの心配は伝わっているのか、いないのか。明確に判断させるものは何もなく、ただ、】
【初めて会ったときと比べて解凍済みぐらいの暖かさを持つようになった表情を見れば、どことなくそれも分かるよう】
【きっと二人とも不器用で、けれど根の曲がっているわけではなくて、――不思議とこの距離感が、快いように思えたから】

【「あんまり混んでも困るのだよ――」】
【そっと瞳を細めて笑う場面があった。自警団に所属する女のことだ、下手に宣伝されて人が集まったりなどしたら、】
【親の手伝いはしていたが経営自体はしたことがない。てんてこまいになることは必至であって、けれど、】
【(そうなったらいいなぁと思うような希望がどこかにあって――それが、すこしだけ、発露したかたち)】

……そこまで言うならお願いしようかね。館内は綺麗にしているつもりだけれど、どうしてもね――、
毎日毎日掃除をするほど好きではないわけだし。キミのしたいようにしてくれればいいよ、それで満足するなら。

それなら、お言葉に甘えて。

【――なんて話をしながら歩くのだろう、やがて街の大通りを外れて静かな街並みへ足を進めたなら、】
【すぐに彼女の言っていた川に行き当たる。煉瓦敷きの川沿いを、まるで散歩のようにゆっくりと歩みながら――】

【語りかけることは特にないのだろう。きっと満ちる静寂は、ただ、居心地の悪いものではなかったはずだと、思いたい】
【初めを思えばずいぶんと気を許しているようだった。あっさり背中を向けたのもきっとそうだし、なによりも、】
【その態度に至る要因になったのは彼女が本を読んでくれたからなのだろう。本を好きな人に悪い人は居ないのだと、信じ込んだように】

【――かつりと足が止まる、やがてたどり着いたのは道沿いに面した洋館の前。煉瓦造りで、古びた建物であったけれど】
【アイビーのぐるぐる巻きつく造形はしっかりと建っていて不安さなど感じさせないもの。あと数百年ぐらいはそのまま建っていそうな作り】
【CLOSEの札が掛けられた大きな木の扉は硬く閉ざされていた。その横には、なるほどこれが噂の返却箱だろう、古びた金属製のもの】

【「ちょっと待っておいでな、鍵を取ってくるから」】
【そういって裏のほうへと回っていく華奢な体、覗き込んだなら、洋館の庭というべきスペースは思ったよりも広く広がっていて、】
【離れのように立っている建物があった。そこが居住区なのだろう、――どうみても本来住まうべきは洋館のほうなのだが】
【とかくそこに入って行って、すぐに出てくる。じゃらと重たげな鍵束をぶら下げて戻ってくれば】

雑巾やらは中にあるから……悪いね、この寒空の下で作業させるのも気が引けるのだけれど。
あとで茶を出すから許しておくれ、――まあ大した茶葉じゃないから期待しないでおいていただけるとありがたいのだが。

【がっちょんと重たい音で洋館の扉を開ける、――中は暗黒を詰め込んだように真っ暗で、けれど明かりをつければすぐに暗黒は逃げていく】
【窓という窓に暗幕が掛けられていた。なるほど暗いわけで、僅かに埃っぽく古い空気は少しだけ居心地も悪いようだが、逆にそれがいいということもあるのかも】
【外から見たとおりの洋館だった。変わっているところといえば、いたるところに本棚が設置されているということで、家を無理やりに図書館にしたように】

【迷いなく歩いて行ったと思えば少しの間。着いて行ったところで掃除用具を持って来るだけだから、待っているのがきっといい】
【雑巾を淵にかけた水入りバケツがふわと浮きながら少女より先に戻ってきた。――重たいものは持ちたくないと言う、怠惰の姿勢】
【必要なものがあれば言えば出してくるだろう。とりあえず、一通り女の希望する道具を渡せば、】

それじゃあ……一寸着替えてくるから、……ええと、よろしく頼むよ。そこまできっちりでなくとも構わないから――。

【そういって数分ばかし姿を消すことになるのだろう。そうして誰も居ない部屋を任せるのは、やはり信用していなければ出来ないことで】
【部屋の内部を見渡すもよし――鍵束は机の上に置き去り――返却箱を掃除するもよし――土ぼこりが頑固に積もっていた――何をするも、女に任された現状だ】

389名無しさん:2014/02/24(月) 00:20:16 ID:evZhySE20
>>385

……、お前もか。つくづく似た者同士やな?
嗚呼……例の「卵」もあるやろ。確か、そッちは……

【機関と相対し其れを受けたならば、嘗て相手のデータを何かしらで見た事があったかも知れない】
【昔の記憶を頼りに相手の名を思い出そうとしつつ、実際は欠損していたその体を見据えて目を細めた】

っくく……連れて行ってやる、か。久しく聞かない言葉やな……
そうやなぁ……、それなら……、……決めた

【長い思考の後、すくりと立ち上がれば、月彗は軽薄に笑んでついと指先を動かす】
【同時に周囲の蓮の花が震え出す、溢れ零れる青藍色の燐光が前触れのように徐々に総量を増していく】

勝ったら死ぬ。負けたら、連れて行け

【嫌いだと言った戦いを、最悪の二択と共に月彗は眼前の相手に突き付けた】
【自分が勝ったら一人で死ぬと、相手が勝ったら自警団でもUTでも連れて行けばいいと、そう宣って】

【直後にしゅるりと伸びるのは蓮の蔓による鞭、相手の腹部を狙ったそれは、まともに喰らえば後方に吹っ飛ばされる】
【相手の意思確認ができうる程度の攻撃で併せてその力量を判断し、尚且つ距離を置かせる。そんな初手だった】

390名無しさん:2014/02/24(月) 00:28:47 ID:nt9fR7G60
>>387
/返事が遅れて申し訳ありません、置きレス以降との事ですが、構いませんよ

391名無しさん:2014/02/24(月) 00:30:41 ID:oMGWYcYk0
>>384

【尚も怒声罵倒は止まない。……もう一人の客、パフェを食していた少女が口を開くまで、は。】
【『何言ってんだコイツゥ?』と三人の内の一人が馬鹿にした調子で言葉を飛ばせば、伴って残りも大笑いだ。】
【まあ確かに、見た目だけを考慮すれば、確かにそうなるのも不思議ではない、―――だが、彼女の能力が発動されれば、どうだろうか。】

【予想だにしなかった出来事に、内一人は為す術も無く吹き飛ばれてしまった。またしても少年の『おー……』の腑抜けた声が聞こえただろうか。】
【奥の壁に激突し、ぐったりとして動かなくなったのは恐らく放心状態、脳内が勝手に現実逃避しているという状況だろう。】

【となれば、二人は乱射だ―――彼等の思考は丸でストップされ、……ただ恐怖の対象を"殺める"事しか残っていない。】
【それでもその照準が随分とブレていたのは、気の動転具合から来る物なのだろう。……素人なのだという事が、表情に出ていた。】
【然しまあ、数撃ちゃ当たる、と言うか、―――二人が放った幾発の内の三発が、それぞれ少女、少年、オカマへと突き進むのだろう。】

【オカマは調理台の下に潜り込んでいた故に、問題はなかった。然し少年は其の侭、腕をクロスして自らの身体を守ることしか出来ず、被弾。】
【轟音の鳴り響く店内、然し余裕が有れば、その違和感を覚える"音"に注目する事が出来るのだろうか―――両腕に着弾した際、何か金属がそれを弾く様な響きがしたのだ。】
【加えて、少年は痛がってさえ居るものの、ライフル弾を受けたその感じとは全くと言って良い程異なる物。丸で膝を擦りむいたレベルの、足の小指を角にぶつけたレベルのそれだ。】

【弾が切れてしまえば、敢え無く二人は床に激突してしまうのだろう。然しこちらは未だ、戦闘は可能という感じ、……内一人は銃のリロードさえ行っていた。】
【戦況は限りなく此方に近いのだが、未だ油断は許されない、といった状況だろう。……と思えば、ここから少年が反撃に出るのだ。】

【とは言え、行動は随分とシンプル。手元が狂いつつも再び弾を込めようとした男のライフルを左足で蹴り飛ばし、右足で首辺りを踏み、男を床に打ち付ける。】
【……よっとライフル銃を拾い上げる。何やら熟れた手付きで、少年はリロードし直しながら、彼女の能力によって床に叩きつけられたもう一人に照準を合わせて、】
【もう一つ、彼が持っていた銃を蹴り飛ばせば、『せいあつかんりょー…』と小さく呟いた。―――その数秒後、『あれ、何や今の……?』と首を傾げた表情は、】
【どうやら何故、自分が態々そんな事を声に出したのかという、意味不明な疑問が浮かんだ様なのだが、……まあ気にしなくて良いだろう。】

【……さあこれで、奥に飛ばされた一人を除き、危険因子は解除されたという所。】
【少年は今二人を見張っている、何時動き出すかも分からないもう一人を、どうやら少女にお願いしている様だ。】

392名無しさん:2014/02/24(月) 00:37:25 ID:F52AoKs20
>>389
「……三回だ、それを食らったのは。
俺は、谷山基樹、元Justice。水の国武道会準優勝。――――〝正義の味方〟だよ」

【己の名を名乗る。カノッサだけならず、GIFTや他の組織とも戦い続けてきた存在の名を】
【勝ち続けてきた訳ではない、機関に幾度も人生を狂わされてきた。狂気に飲まれて狂ったこともあった】
【その上で、そうだったからこそ、今此処に谷山基樹という一つの正義が存在している】
【決して華々しい物ではない、寧ろ泥だらけと言っていい道程の果てに立つ、清濁の正義。――双眸が、戦意を宿した】

「良いぜ、この戦い――――〝必要〟と判断した」

【突きつけられた言刃に返答を。端的なそれは、相手の挑む戦いを買ってみせるという意思表示】
【右目に左掌を翳す。意識を集中し――己の存在を、己に混ざりこむ異能の名を、宣言した】

「――――Hello World」

【直後、谷山基樹は人から一歩踏み出した。神経系に異能が混ざり込み、脳髄までもが異能によって強化される】
【五感の感度が爆発的に増大し、それらの送り込む情報を超速で処理できるように脳髄のクロック周波数が強制的に引き上げられる】
【髪の色が純白からネオンのそれにも酷似したライムグリーンに染まる。――夜闇が、一斉に不健康なその色彩に染め上げられた】
【左腕が砕け散り、より戦闘に則した密度の高い存在へと変貌する。全身に馴染む感覚、己と異能が一体となる錯覚】
【アートマン――〝HelloWorld/谷山基樹〟は、眼前に映るムチを見て、全身を駆動させての前進を選択した】

「おうよ……ッ。死ぬ気から何から、ポッキリ折り砕いてやるよォ――――!!」

【右目が忙しなく動く。ムチの材質、そしてその曲がる限界、迫る速度。それらから、安全地帯を算出する】
【左腕に纏わりつく、テレビの砂嵐のようなノイズ。騒音が、空間を満たし始める。――それは、膨大なデータの集積体】
【加速。転身――脇腹を鞭が抉る――飛び散る鮮血、肉――迷わず前に進む、睨む――拳を振りかぶる】

「ッだァ!!」

【相手の胴を目掛け、放たれる左拳。洗練も何もないそれは、人の域を脱しないそれ】
【肉体をアートマンで補おうとも、谷山のアートマンは正確性以外は全て人並みでしかない。故に、何かずるでもしない限り身体能力で人を超えることは無い】
【だが、相手の挙動を複眼と化した右目で見抜き、最良最高のタイミングを狙い放たれるそれは、それ自体が凡庸であっても強い】
【当たった場合の物理的威力は、鍛えていない素人に土手っ腹を殴られる程度のそれ。しかし、威力を目的とした攻撃ではない】
【拳に纏わりつくノイズ、それが一番の武器だ。……もし触れたならば、そのノイズが神経系に情報を流し込む――〝激痛〟という情報を】

【当たってもダメージは然程無いそれ。そして、タイミングこそ絶妙だが速度威力ともに凡庸。回避も防御も不可能ではない】

393名無しさん:2014/02/24(月) 00:51:20 ID:Jfel1XAU0
>>391
【目の前に迫る弾丸には、事も有ろうか“避けた”。常人の反射神経では成せない業。やはり、銀の瞳には何らかの力が備えられているのか】
【少年が被弾した事を知れば流石に冷や汗一つ流れるけれど――――出血が、無い。何故かは分からないが、腕が千切れ飛んだ何て事は起きていないと安心して】
【ならば、次に心配すべきは男達だ。未だ弾丸が残っていれば、自分や少年は兎も角店主が危ないかもしれない――――けれど】
【そんな心配も無用と悟れば、吐息が一つ。目前の二人はもう手出しは出来ないであろう。残るは一人だけ】


「本当に強かったのでありますね。見事な体捌きだったであります
取り敢えず、この二人はもう心配要らない様でありますから――――私は、残りの一人を捕まえるでありますよ」

【少年の動きに対し、素直な称賛の言葉を贈った。俊敏な動きに正確な判断。…………撃たれた事についても問うてみたかったけれど、今はその余裕も無く】
【制圧完了の言葉。正しくその通りの状況だ。下手に大きな怪我をさせる事も無く犯人を鎮圧させたのだから】
【クスリと一度笑えばそのまま奥へと歩んで――――】


「さて、大人しくするであります。私も軍人でありましたから、痛みの“加”減方法は知っているのでありますよ
――――殺す、とは言わないであります。ただ、反抗するならばそれなりの覚悟をしてもらうであります」

【制帽を頭直せば、今日二度目の“警告”となろうか】
【未だ眼帯は外されたまま。即ち、能力を扱えるという証左の他ならず】
【駄目押しする事は無い。ただ側に近寄って――――可能ならば、手錠が嵌められるだろうし】
【もし反撃しようとするならば、咄嗟に飛び退く事になろうか】

394名無しさん:2014/02/24(月) 00:55:13 ID:evZhySE20
>>392

【にたり、と泥濘のように嗤う気配があった。相手が乗って来た事に対する感情の発露か、其れは曖昧に暈され分からないが】
【前進してくるのに対して月彗は微動だにせず、代わりに複数の広い蓮の葉を前方に手繰り寄せた】
【蓮の葉による大盾、だが通常の植物に在らざる強度であって、その拳さえも受け止めてしまうのだったが】

……っ、!

【召喚物に、相手の異能によるダメージが与えられる。植物であっても、召喚主とのある程度のフィードバックがあるらしい】
【そして神聖である植物は、それ故に汚されやすい。ノイズを受けた場所が明確に痛み、萎れていく】
【激痛の余波も受けてか、月彗は僅かに蹈鞴を踏むもやはりその場から大きく動く事は無かった】

そうか、谷山 基樹……妙な能力やな、ッ……!

【一言吐き捨てるようにして厄介げに表情を歪め、月彗は次なる植物を手繰る。咲き誇っていた蓮の花がむくりと伸び上がり】
【その花弁を鋭利に尖らせて、急速に回転する。それにより剃刀のように鋭い花弁が、相手を目掛け飛来する】
【掌程の大きさの薄い刃物と同義のそれが十数枚、相手の身を裂かんと舞うその影で、月彗は先程から溢れる力を一点に集中していた】
【召喚中は動きが鈍る、そんな術者の弱点は明確に見えている。ならば今接近されてなお殆ど動かないのは、余裕の表れなどではない】

395名無しさん:2014/02/24(月) 01:10:26 ID:F52AoKs20
>>394
【青年の動きの全てが、惰性ではなく理性の元に支配されている】
【身体を動かすことを意識し、筋肉の繊維のその一本一本までをマニュアル操作するその異常】
【秀でぬ身体のスペックは、秀でた脳の処理速度によって最大までそのスペックを引き出されていた】

「――――ッ足りねぇか……ッ、ならよォ!!」

【拳を撃ちこめば、蓮の葉に防がれて。しかしながら、その時点で既に青年は右腕をベルトポーチに伸ばしていた】
【引きぬいた手に握られていたのは、大容量のUSBメモリが三つ。それをおもむろに己の脇腹の傷口にねじ込んだ】
【ぐちり、と肉に食い込む端子。そして、傷口からあふれだすのは、ノイズ。――アートマンHello Worldの構成材料はデータだ】
【本来は、脳で動作させたアルゴリズムによってデータを生成し、アートマンの構成を成しているが、こうして一時的に外部から情報を足してさえすれば】

「…………今ッ」

【細められるライムグリーン、閃くワイヤーフレーム、響いたのは轟音、飛翔するのは都合30発の鉛弾】
【〝Taurus M513 JUDGE MAGNUM〟。裁きの名を冠する、〝回転式散弾拳銃〟――――それが左腕に握られていた】
【タイミングは測り済み。そして、この銃の癖とこの弾種、バードショットの弾の散らばりは既に100度の試行で脳内に叩きこんである】
【人に撃つ為ではなく、人のスペックで対応しきれない攻撃を裁くためのその銃撃。十数枚の刃の群れが、砕かれ逸らされ】

「っしィ――――ッ!!」

【銃の衝撃を殺すように、身をひねる。捻った身体の勢いに合わせて右腕を伸ばす、ベルトポーチに指を引っ掛ける】
【眼前に迫りゆく、刃の群れは散弾でその狙いを逸し、身を捻る事で己の的としての面積を最小にする】
【脳髄のスペックを活かした、分析的戦闘。最良の選択肢を選び続ける事で、相手の懐に喰らいつき続ける苛烈な様】
【身が裂かれる。受けた裂傷は4つ。ノイズが傷口から吹き上がる、痛覚が爆発的な激痛を与えるもそれを、強制的に遮断】
【捻った身体に込めた力を開放。螺旋の動作でベルトポーチから引き抜いたそれは、刃の群の間を縫い、相手の身を貫かんと飛翔

【――ノイズの纏わりつくスローイングナイフ。それに付加された情報は、莫大なもの】
【ダメージこそそれほどではないものの、当たればその情報が神経系に流れ込み、他の命令を遮断する】
【いわば神経に対するDOSアタック。人体をハッキングするかのような嫌らしい戦い方、それが谷山基樹の戦闘法だ】

396名無しさん:2014/02/24(月) 01:12:32 ID:ZyRhhMNs0
>>388

【緩やかに満ちる静寂は、そこに存在する音だけを耳障りよく響かせた。足音、風音、鳥の囀り。なんと穏やかな昼下がりだったことだろう】
【身を包む温もりに欠伸の一つでも零しそうになりながら――少女についてそのまま歩みを進めた先に、一軒の古めかしい洋館が見えてくる】
【そっと面をもたげればその佇まいを見上げて、古風な外観が窺わせる堅牢さにただ目を見張るばかり。凄いな、との一言が口から自然と出て】
【やがて女は充分に躾けられた犬のごとく、言われた通りにその場で待機しながら、少女の動向や周囲の様子などをしばし眺めていた】

【浮遊してやって来たバケツを手にすると簡単に目視で確認し、「これだけあれば大丈夫だ」と呟いて早速返却箱の方へと足を運ぶ】
【アンネリーゼが着替えに一旦去ろうとした時には、もう既に両腕のアームカバーを外し、濡らして固く絞った雑巾を片手に持っていて】


……何、お構いなく。訪ねたいとか掃除がしたいとか言ったのは私の方なんだ、そんなに畏まらなくていい
ただ――やるからにはきっちりと最後までやらせてもらうぞ、そこだけは譲れんところだ。いいな


【自分のやる掃除に関して有無を言わせまいとしているところは、そこに積もった土ぼこり並に頑固な人間であることがよく分かるだろうか】
【そうして相手を見送る前に拭き掃除を開始する。普段の仏頂面は更に寄りがたい鋭さを増し、一段落するまで女は終始無言を貫いていた】
【アッという間に水も雑巾も茶色く濁り、手指もふやけて皺が寄る。その一方で返却箱は、丁寧に拭かれることで輝きを取り戻してゆき――】




――……よし。これならいつでも返せる状態だな、うん


【――少女が戻ってくる頃には、普段から使われていそうな程度には綺麗に磨かれていることだろう。さすがにぴかぴかとまでは行かないが、】
【それでも土ぼこりが取り除かれ、外も中も一点の汚れなく拭き取られている箱は、かつてあるべきだった姿をそこに現しているようでもあった】
【バーサはやり切ったという顔をしながら、「水はどこに捨てればいいか」とか「用具はどこに仕舞えばいいか」なんてことを尋ねてくるだろう】

【「全てを綺麗に片付けるまでが掃除だ」――それが彼女のポリシーの一つだった。相変わらずお堅いやつである】

397名無しさん:2014/02/24(月) 01:15:53 ID:oMGWYcYk0
>>393

………今のは別に、度胸あれば"誰でも出来る事"や……いや、ライフルのリロード方法は知らんか、……―――
……それと、銃弾も、今、避けとったやろ……最近、勘が鈍ってもうて、でけへんねん、……まあ、しゃあないんやけど………

【謙遜ついでに、少年も少年なりに彼女を褒める。自分のやった事は、ライフルを恐れない限り、まあ誰にでも出来る行動だ。】
【然し彼女の制圧方法―――サイコキネシスとも称すべき能力を使えるのは、恐らく彼女だけしか居ない。】
【加えて、銃弾を避けるという芸当は、自分にも出来ない行動だ。二つの彼女の素質、その事に対する素直な賞賛を、少年は惜しまなかった。】

【さて、彼女だけでなく、この少年も……となれば、勝ち目は無いに等しい。依然としてぐったりしているものの、其処に反撃の意志は見られないだろう。】
【手錠を見れば、男はライフルを手放し、寧ろ素直に自分の両手を差し出す。……綿密に練った作戦が、こうも台無しになるとは……そんな表情だった。】

【少年はその間、先程手に取った銃を裏表、或いは角度を変えながらと言った具合に観察していた。】
【『コレ何か懐かしいわ……SCAR-Lやったっけ……?』等とぶつぶつと呟きながら、然し彼女が手錠をかけるパチンとした音で目が醒めて。】


……お疲れ様やで、………―――あ、アイス、溶けてもうとる………

【ふとパフェに眼をやれば、確かに、上から順に食べていれば露わになっている筈のアイスが既に液体になっていた。】
【勿論、冬が故に店内は暖房が効いてあって、丁度過ごしやすい位に暖かい。まあそれが原因なのだ、が……。】

398名無しさん:2014/02/24(月) 01:37:08 ID:evZhySE20
>>395

【鉛弾が飛び散る怒濤の轟音、その凄まじさと相手の能力の特異さに一瞬見開かれた目は、直後にその鋭さを取り戻す】
【今此処だけの覚悟に命運全てを掛けたその表情は、何もないと呟いた虚ろな様など消え失せた、強いものだった】

死ね……ッ、……!!

【ぞわりと廃寺全体が震え上がる、月彗の背後より沸き上がったナニカが、後方に居た盧遮那と二菩薩を壁ごと突き倒した】
【その正体は、木製の筋骨隆々とした大きな不動明王だった。かの巨大な掌が一対、左右より相手を叩き潰さんとしたが、】

……、……っ、は……

【映像を遮断した瞬間のスクリーンの様に、廃寺に巣食っていた全ての神聖な植物達が消え去っていく】
【其れは不動明王も同じく、まさに相手を掌で叩き潰そうとした直前に静止し、ふつりと姿を消す】
【残されたのは相手と、壁ごと三仏がひっくり返った襤褸の廃寺と、そして。腹部にそのナイフを受けた、月彗】

……負け、やな……ッ、……連れて行くなら、UTに……、あの女に、せえな……

【UTのリーダーたる彼女の事だろうか、そう最後に言い残せば立ち姿がぐらりと揺らぐ】
【消え去るのは、月彗の偽りの姿を保っていた植物もだった。萎れ崩れた体はやがて相手の前に、黒布に包まれた本体を晒す】
【四肢はなく、顔は醜くへしゃげて痘痕だらけ、目は開けず声もまともに出せないひどい奇形の姿が、其処にあった】
【それでも、ナイフの刺さる腹部からは鮮血が見えており、それが生きた人間である事の証左となっていた】

【こうなってはもう、月彗に何が出来るわけでもない。言い残した通りにするか否かも、全ては相手に委ねられた】

399名無しさん:2014/02/24(月) 01:37:22 ID:buu1lXlY0
>>396

【それなりに広い家だった。否、誰も住んでいないのだから、家とは言えないだろうが、】
【確かにこの建物を全て図書館として解放してしまうと扱いきれないというのも頷けるだろう、少女一人では難しい】
【それでも。言われたことで気付いてしまったのだ、――前ほどでなくても誰かが来てくれたら嬉しいなんて、本心に】

……構わんよ、助けられた礼というには足りんだろうがね、キミがそれでいいのなら。

【――そんなに掃除が好きらしいという印象に変わりつつあった。仏頂面で、ドの付くぐらいの真面目で、掃除好きで】
【或いはこれも真面目さの一環なのだろう。とかく、彼女はバーサに掃除を任せてしまうことにして――立ち去る】

【やがて庭のほうから戻ってくる、華奢なのを服装で誤魔化した姿を見せれば、その顔は驚いたような瞳の丸みを持っていて】
【この短時間でそこまでやったのかという驚きを示していたのだろう、絶句と言うか、言葉を失ったような幕間があって――】

驚いた、……近頃は土色なのばかり見ていたからね。こんな色だと忘れていたよ、ありがとう。
ああ、捨てるのは庭の水道にでも……、……いや、私が持って行くよ。用具も私が片そう、……ええと、
待たせてばっかりで悪いね、ちょっと中で待っていておくれな、右にキッチンがあるから――手でも洗って。

【そうだこんな色だった。懐かしく思えば自然と緩まる表情、珍しくあどけなく笑って見せた顔の色合い】
【ちっちゃな掌がぺたんと返却箱に触れる、ぺたぺたぺた、磨いた直後なのに指紋を付けるようだが、】
【ずっと埋もれていた懐かしいものが掘り出されたのだ。なんだか、嬉しくなってしまったようで――珍しい、様子だった】

【――それでもそんな様子は長続きしない。バケツを渡すように求める仕草、渡せばぐうと重たげに持つ幕間】
【今度は能力を使わないのだろうか。ふらふらと庭のほうへ消えていく姿は、――なんだか、ずるをする気になれなくて】

【持ち帰ってきたバケツを物置部屋に仕舞いこむ。その頃にはバーサも手を洗い終えている頃だろうか?】
【おきっぱなしにしていた鍵束を回収してじゃらりと鳴らす、ずいぶんと重たげなのは家主の好みだと思われた】

……――で、調べたいものというのは何かな、キミの知りたい知識がここにあるといいのだけれど……。
児童書から医学書から一通りは揃っていたはずだよ、いくらかはあっちに持っていってしまったけれど、……まあ。

ああ、お茶を淹れてからのほうがいいかい? お湯だけ沸かしておこうか、……火は使わないようにしているのだけれどね、
たまに本を借りに来る鬼が居てね。彼がたまに料理など作っていったりするのだよ、そう言うときは仕方なく貸しているのだが――。

【鍵束をじゃらつかせながら腰に手をやる、見上げながらもどこか偉そうな様子は、この場の知識量について自信を持つように】
【言葉ではそういいながらも、見つかることを信じているようでもあった。かわいいかわいい“うちの子”たちのお披露目の時間】
【そんな価値観を受け入れてくれた相手だからこそ、――それが失敗するだなんて思えなくて、実際、取り揃えは十分なはずだった】
【一通りを揃えながらも彼女の両親の好みを反映させた本も数多くある、そんなところが妙に暖かで――】

【――顔にあまり出さないけどうきうきしているのが言葉の端っこから見て取れた。それなら、もっと笑ってみせればいいのに、なんて】
【ちょっと待ってといい置いてキッチンの方へと駆けて行く、電気ケトルに水を入れて、電源を入れて――戻ってきたなら、】
【「さあどうする?」と聞くような瞳でバーサのことを見上げるのだった。彼女がどんな本を求めているのかを知りたがる、少女の顔で】

【(――というより、来客が皆無なわけではないようだった。仕方ないなあという態度だけは取っていたけれど、)】
【(つっけんどんに追い払わないのだからよほどいやでもないらしい。まんざらでもない、とは少し違うが――まあ、余談だ)】

400名無しさん:2014/02/24(月) 01:47:51 ID:F52AoKs20
>>398
【相手が己を一撃で屠る攻撃を使えるならば、それを使わせぬように】
【己が相手を倒すすべを持つならば、それを確実に届かせるために】
【それこそが、谷山基樹が戦場で戦い続けるために作り上げた――戦闘理論】

「…………ッ」

【背筋が震える。全身から吹き出す冷や汗――届いたから良かったものの、これが来たならば恐らく死んでいた】
【紛れも無い強者。己の奥の手、ベルトポーチに収まる哲学者の卵を引き抜かずに住んだことに僅かの安心を覚える】
【神経系から、アートマンの干渉が抜けていく。目も腕も砕け散り――ノイズが集積して、再生成された】

「おう。月彗――アンタの負けだ」

【冷たい瞳で見下ろし、に、と変わらぬ皮肉げな笑みを浮かべて】
【ベルトポーチから応急処置具を取り出すと、そのまま腹部の傷の処置を始めるだろう】
【手際よく治療をしつつ、ぽつりぽつりと言葉を零していき】

「……正直超強かった。死ぬかと思った。……もう二度とアンタとは戦いたかないな。
さってと、こんなもんで良いが――身体作れるか? 作れないなら担いで連れてく事になるんだが……」

【相手の畸形の肉体を前にして、青年は嫌悪も同情も見せはしない】
【畸形だから仕方ないなどと言う積りは毛頭もない。それは、相手に対して失礼だと思った】
【治療を終えれば、動けるかどうかを聞き。身体が作れないなら、そのまま担いでUTまで連れて行く事だろう】

401名無しさん:2014/02/24(月) 01:48:27 ID:Jfel1XAU0
>>397
「ふふ……謙遜でありますか?ねこやま殿の言う“誰にでも出来る事”は、恐怖を消さなきゃ出来ない事でありますよ
そして――――恐怖を消すなんて事は、誰にでも出来る事、とは異なるであります。そして、狙いを正確に定めるなんて事も難しい事でありますよ」

【手錠を嵌め終えれば男をそのままに、自分の席へと戻って来て】
【少女からすれば、少年の行動は誰にでも出来るから遠い位置に定義されているのだろう】
【事が終わったと見れば眼帯を付け、後は普段通りだ。何事も無かったように――――とは流石に行かないが、それでも幾分か落ち着いている様子】


「私のは能力のお陰で見切れるだけでありますよ。普段だったら、避けるのは難しいであります
幸い、相手が銃を持っていると知っていたから能力を使えたでありますが――――」

【争いが終われば、席に着いてデザートの続きだ。スプーンを手に取り、いざ続きを食べようとするが】
【…………何だか、アイスにしては抵抗感が少ない。余りにも易々とスプーンが飲み込まれ行くのである】
【自分の目で確かめるのと少年の言葉が耳に入るのとは同時であって、何がどうなっているのかと知れば落ち込んだ表情を見せるも】
【――――響く携帯の着信音。途端に真面目な表情になった事から、恐らくは“仕事”の事だろう】
【溶け居るにも関わらず。そして、男達に対して八つ当たりしたい気持ちをグッと堪え】


「申し訳ないでありますが、何か大きな事件が起きたようであります
余裕があればもう少し話してみたかったでありますが…………どうやら、緊急性が強いようであります」

【もう少し色々と聞いてみたかったが、仕事は仕事だ。更に人命が掛かっているともなれば其方を優先する他無く】
【困った様に笑いながら立ち上がれば、懐から取り出される財布。正規の値段よりも少々高い程度の金額を支払えば、その場を後にしようとして――――】


「私の名前、オラークル・スティンガーであります。又今度、食べに来るでありますから……ふぉんてーぬ殿もねこやま殿も、元気にしていて欲しいで有ります」

【そんな言葉を吐けば、少女は掛けだして。小さな正義の味方は、あっという間に姿を消す事だろう】
【さて、残った男達についてだが。少女が手配でもしていたのか、暫くすれば自警団達が引き取りに来るはずだけれど――――】

/今日は早起きしなければいけないので、申し訳ありませんがこの辺りで失礼させて頂きますね……!
/二日間、お相手有り難う御座いましたですよー!

402<お の れ 邪 鬼 王 !!>:<お の れ 邪 鬼 王 !!>
<お の れ 邪 鬼 王 !!>

403名無しさん:2014/02/24(月) 02:03:33 ID:evZhySE20
>>400

【相手の笑みに、微かに奇形が笑った様に見えた。目も開かず耳も聞こえているのか定かではなくとも、何かを感じたのか】
【大人しく治療を施される最中の賞賛の言葉も聞き入れていたのか否か、ただ静かに押し黙っていたのだが】
【体を作れるか、と問われると微かに左右に首を振った。よほど相手の最後の一撃が効いたらしい】
【成人男性の胴体より一回り小さい程度の体ではあるが、負傷した相手が運ぶには少し苦になってしまうだろうか】

【そしてUTへと辿り着いたなら、その素性を伝えれば一応の処置として月彗は内部の部屋に監禁される形になるだろう】
【もし後日様子を見に来ることがあったなら。元通りの姿の月彗が、扉の窓越しに誰かの真似のように皮肉に笑んでみせるだろう】

/この辺りでしょうか、遅くまでお付き合いありがとうございましたっ!

404名無しさん:2014/02/24(月) 02:06:04 ID:F52AoKs20
>>403
/*うぃうぃ、お疲れ様でしたー!!*/

405名無しさん:2014/02/24(月) 02:17:40 ID:ZyRhhMNs0
>>399

【嬉しそうな様子の少女を眺めながら、ふと女の頬が緩んだ。片方だけが不器用に引き攣らない、自然な笑み】
【それが浮かぶのは一瞬のことだったけれど、見えたかもしれないほんのひと時――柔らかな時間が流れていった】
【さて、そこらに置いてあったアームカバーを摘まんで持ち上げれば、アンネリーゼの言葉にウンと頷いてみせるだろう】


ふ、どうも――それじゃあ、今度は家主のお言葉に甘えようかな。
……っと、大丈夫か、倒れやしないだろうな? 足元に気を付けるんだぞ?


【もう片手でそっと彼女にバケツを手渡すと、ふらふら危なっかしそうな足取りに見えて思わず案ずる言葉を投げ掛ける】
【内心ハラハラしつつ庭の方へ歩いていくのを見送ったなら、バーサも中に入ってまずは手を洗いにキッチンへと行き】
【その後、用を済ませると広い広い部屋の中に置かれた沢山の書物をぐるりと見渡して――二度目の「凄いな」が零れた】

【肩まである長いアームカバーを嵌めながら、きっちりと一本一本の指先まで確認しつつ。少女の問いに】


そうだな、私の調べたいことというのがこの世界における“魔物”のことなんだが……
図鑑だとか、史書でもいい。出来れば“火の国”のソレについて調べたいんだ
茶を淹れてくれている間に探そうと思うから、場所さえ教えてくれればありがたいな


【と。特定の国の魔物についての本を求めていることを答えた。恐らくは興味だけでなく、何か特別な思い入れでもあるのだろう】
【長年住まう家主の知識に頼りつつも、場所さえ分かればあとは探すからと伝える。が、無論、アンネリーゼが“紹介”したって良い】
【かわいい子供たちのことだ。お披露目のためにあれやこれやと勧めるのだって、きっと両者にとっても楽しいハズで――】


……へぇ、鬼の知り合いが居るなんて珍しいな。というか、わざわざ料理を作っていくとか……結構親密な仲なのか?


【――ふと興味本位で問うのは、話題に出てきた“鬼”のこと。バーサに人外の知り合いは今のところ居ないから、少しばかり物珍しげだ】

406名無しさん:2014/02/24(月) 02:42:14 ID:oMGWYcYk0
>>401


……そーなん? 俺は……―――その逆が怖い、んやけど……

【途中で言葉を詰まらせる。緊張が解けてしまえば、先程の様に腑抜けた少年に戻る訳なのだが、何とも意味深な発言をしてみせた。】
【最近はこうしてふと思い付く事案に延々と腰掛け、ボーっと悩んだりもする事が多いのだが、今は彼女が居る、流石にそんな事はしなかった様で、】


……オーラクルさん……じゃあ、また……あ、お代はええよ……―――あ、いってもーた……

『忙しいのねぇ……おまわりさん……』

………ほんまやなー……ああ、せや、穴だらけなってもーたし、また模様替えするん?

『うぅん……何だかこのままでも、アブナイ感じが出て、スリル満点、いいと思うんだけどぉ……』
『これ、実弾……だしねぇ……やっぱり、模様替えかしらぁ〜? なぁにねこやま君、ご希望がございますのかしらぁ?』

……あのな、あのな、中華料理みたいに、してみいひん? 丸いやつが、ぐるぐる回るあれ……

『あら、アタシ、中華も出来ちゃうからぁ……イイわよぉ、今月はそういう事にしましょ♪ ……で。』

………え、何や、……

『このコたち、どうするのかしらぁ? 何なら、居候でもイイわよぉ〜♪ 特にあのコは、アタシの部屋でも……』

……自警団のひとが、引き取りに来てくれると思うで、……あ、あのな、それよりな……
………何回も言うんやけど、あのキャンピングカーな、あれも、模様替えせえへん?

『……んー………―――却下ねぇ。』

…………アカンか。


/お疲れ様でしたー!

407名無しさん:2014/02/24(月) 02:44:13 ID:buu1lXlY0
>>405

【ふらっふらとしながら庭先に消えていった姿、けれど、転んだような音がしなかったなら大丈夫】
【戻ってきた頃には若干息が切れていたように思えたけれど。きっと気のせいか何かだろうから大丈夫】
【まさかこれだけで顔面が蒼白くなっていたなんて絶対に絶対に気のせいだから、とりあえず大丈夫なのだった】

【――まあ、軽度の貧血だった。この程度で起こすなんてあまりにも貧弱だが、能力のことを思えば仕方ないのかもしれない】
【能力を維持する気疲れと重たいバケツを運ぶのでは使う部位が違うなら疲れる部位も違う。とかく、放っておけばすぐに直るはずだった】


【点々と置かれた本棚たちにはぎっちりと本が詰め込まれていて、ひとつひとつがしゃんと胸を張るよう、自分をアピールするよう】
【全ての本が意識を持っているような錯覚だった。当然、そんなことはないのだけれど、あんなにかわいがっているのだから“ありえそう”だと思わせる何か】
【間取りはただの家なのに本棚が詰め込まれているというのも不思議な光景だった。しばらく眺める間も、飽きないだろうぐらいには】

魔物。火の国のものかね、……それだったなら、あっちかしらん。あんまり分けて置いていないから、探してもらうことになるけれど……。
あとはそこに神話に出てくる魔物についてだけ集めたものがある、有名どころなら書いてあるだろうが――……ほら、

【こくりと頷く仕草、口元に手をやって考え込むこと数秒、隅から隅までの配置を暗記している脳は、その答えを導き出す】
【そういった本ならあっちだ。生き物全般を纏めてある部屋、猫や犬の本に混じってペット魔物についてだとかの本の混ざる空間】
【そこに連れて行けば大丈夫そうだと判断して足を動かす、――その前に、ぴっと指差す本棚、上段の本を見れば】
【神話に出てくる魔物を考察などした本。勿忘草色の靄が纏わり付いてするりと抜かれれば、隣の本がぱたんと隙間に倒れこみながら】
【すーっとバーサの前に下りてくることだろう。手にとってみたなら、図解入りで書かれたそれは、確かに細かく神話の魔物を説明していた】

なぜだか私を気にかけていてね、時折食事を持ってきたり作って行ったり誘ってきたりするのだよ。
私は別にいいと言っているのだが――本を借りにも来るものだから、邪険にするのも出来なくて。
恐竜の本が好きでね、そうかと思えば古書も借りていく。とかくね、鬼とは言ってもそう野蛮でもないのだよ――。

【絨毯敷きの床、ほつほつとした足音が響いていく。窓という窓に暗幕を下ろした室内は、何か出そうな雰囲気もあるが、古びているだけとも言え】
【それなりに綺麗にされてはいるが埃っぽいのが仕方ない。空気の入れ替えも頻繁ではないのだろう、角なんかに行くと空気が澱んでさえいたが】
【本棚の状態ばっかりはおおむね良好だった。そんな意識の偏りは、けれど、彼女を見れば仕方ないとさえ思えるようで――】

【――鬼というにはずいぶんと平和な人物のようだった。とかく、ひたすらに餌付けされているらしいということを言葉に乗せて】
【それでも懐いた風の薄いのが食べ物に興味の薄いらしいのを示す、――痩せた体つきを見れば、食わせたくなるのも分かるようだったが】
【そしてその鬼は本を借りて行ってくれるのだと言う。なんだか彼の話をするときにも上機嫌のようだったのは、どうやらそこから来るらしく――】

縁と言ってね、まあ悪い奴ではないから。もしも出会ったならよろしくしてやっておくれな、――ほら、ここだ。

【がちゃんと錠前に鍵を差し込んで開ける、ごうと部屋の中に空気がなだれ込む感覚、僅かに埃を舞い上げて】
【部屋に明かりを灯しながら室内に入るように促すだろう、――“生き物”について書かれた本ばかりの詰め込まれた、この部屋に】
【猫犬ハムスターからスライムワームドラゴンまで、多種多様生き物についての知識で溢れる書架の集うなら、きっと求める知識もここにあるはずだった】

408名無しさん:2014/02/24(月) 03:38:08 ID:ZyRhhMNs0
>>407

【顔色が悪い、どう見ても。戻って来た姿を見た第一印象がそれだった。大丈夫か、と問い掛けたけれど、】
【なんとなく、何を言っても「大丈夫」の一言で済まされそうな気がして――結局、言葉には出さずにいた】
【それでも少女の様子には気を付けながら。案内されれば、その後ろを着いていく姿は水鳥の雛のように】


はは、いや、……やっぱり凄いな――もしかして細かに覚えてるのか、この子たちのそれぞれの居場所を
さすが好きなだけあって一味も二味も違うな、私なら数か所覚えるだけでも頭痛と眩暈がしてしまいそうだ

……ああ、そうそう、こういうモノだ……こういうのを求めていたんだよ
書物が基本とは言え、実はヒトの欲するモノを察するのに長けていたりしてな?


【手元に降りてきた本のページをぱらぱらと捲れば、まさにこれだと頷いて一旦閉じ、脇に抱えることだろう】
【そうしながら、目線はあちこちへと移る。何処を見ても本の群れ、しかしそれぞれが様々な姿をしていて――さながら生物のようだ】
【これらに囲まれながら一緒の時間を過ごしてきたアンネリーゼがいたく可愛がるのも、なるほど頷けるような――】


ふ、……本好きでお節介な鬼のようだな。縁という者の話を聞くだけでも悪い奴には感じないよ、寧ろ好印象だ
もし会ったら……恐竜の話でも聞きながら飯を食うのも悪くないな、お前を気にかけているのも気になるところだし――


【穏やかな鬼の話に興味は尽きない。人付き合いは苦手だが嫌いではないから、いずれ会ってみたいとも心の隅で思いつつ】
【案内された室内に一歩足を踏み入れ、こうした部屋があることにまた目を丸くする。蒐集癖がどうとは言っていたが、まさかこれほどまでとは】
【先程と同じようにぐるりと周囲を見渡して、本棚に歩み寄り、ひとつひとつの背表紙を――たまにその手に取りながら、丁寧に確かめていく】


――ふうむここまでとは中々……ご両親もかなりの本好きだったようで……
なあ、この間のように借りて行ってもいいかな、数冊ほど。とても役に立ちそうだから


【呟いた言葉は意識せずに発された何気ないモノだった。書物の豊富さに対して純粋に驚いているだけで、特にコレといった意図は無いのだけれど】
【さて、装丁や内容を確かめながら手に取っていく本は“犬”や“狼”に関するものばかり。彼女の能力を見る限り、実は隠れた愛犬家でもあるのだろうか】
【どうにも一見ペット関連ではないようだが――――数冊手元に置いた本を借りたいと、アンネリーゼに相談を持ち掛けて】

409名無しさん:2014/02/24(月) 03:58:04 ID:buu1lXlY0
>>408

凡そなら覚えているよ、もう何年も場所変えなんてしていないのだし……、
ただ読んでいるだけでもね。流石に事細かに順番までは言えないけれど。

……それなら良かった。……さあ、どうだかね。本以外のことなどちぃっとも分からんよ。
本に貰った知識も使わなければ意味もない、かといってどこかで活用する予定もなし――、
勉学というものに励んだことがないからね、本ばかりは読んで過ごしてきたけれど。

【毎日のようにこの場所に入り浸っている、けれど、流石にこれらを並び替えるとなると骨だから】
【ちまちまとあいうえお順にしてみたり、著者順に並べてみたり、そんな手遊びめいたことはしたことがあったけれど】
【そのどれもが大雑把なものでしかない。どこに何があるのか自体は、そうそう変わっていないのなら】
【どこに何があるかをさっくりと覚えこんでしまっていた。流石に全て、とまでは行かないようだけれど――】

【――柔らかに表情の緩む間。ほんの少しだけ浮かべた笑みは恥ずかしがるよう、ほんの目の錯覚のように現れて】
【けれど続く言葉に隠れてしまう。紡いでいくのは、過去から今までの間の僅かなお話、そっと読み聞かせるように】
【学校というものに行ったことがなかった。両親が居なくなって以降、一人きりで取り残された少女は、】
【ただ本を読むことだけを楽しみに今日まで過ごしてきた。知識ばかりはあるのだろう、ただ、使う術を知らないだけ】

【装丁の特に豪華な本がある。シンプルにタイトルだけが書かれた本がある。分厚さも、幅も、全部が全部違っていて、同じ本などなく】
【滅多に来ない客人に喜んでいるかのような錯覚は、当然だが全部がしゃんとまっすぐ本棚に収まっているからかも、しれなかった】

そう、おせっかいなのだよ。世話焼きと言うか……――母親のような、――いや、語弊があるか。
ちゃんと食事をしているかやらね、会うたびに聞かれるのだもの。そんなに駄目なように見えているのかしらん。

【母親のようだった。血筋など繋がっていないし、そもそも、性別が違うのだけれど。それでも、どこかで認めたくないように思えたのは】
【ほんのちょっぴりのプライドのせいだったのかもしれない。自分は大丈夫だと思いたくて、――そういうことを言う人ほど、駄目なものである】

どこに出かけて行っても本屋を真っ先に見るような人たちだったよ、よほど好きだったのだろうね……家の方にもたくさんある。
……もちろん構わないよ、都合がいいときにでも返してくれればいい。カードも期日も何にもないけれど、キミのところなら安心できる。

【親のことに話が及べば、少しだけ言葉が硬くなったようだった。ふと伏せた視線は、けれど、不機嫌な色を映す前に本棚を見つめて】
【ついと木枠をなぞりながら指先が一冊の本を捕まえる、猫の飼いかたの本だった。見るでもなしに、ぱらりとページをめくりながら】
【親の話よりも本の話のほうが好みなようだった。今度は声音を柔らかにしつつ返答する、この前貸した本はまだ帰ってきていないけれど――】
【――彼女ならばそれでも大丈夫なように思えた。かつてはあった貸し出しシステム、既に停止しているけれど、覚えておける分なら大丈夫だから】

410名無しさん:2014/02/24(月) 04:02:36 ID:buu1lXlY0
>>408>>409
/すいません、そろそろ眠気がひどくなってきたので明日にしていただく事は可能でしょうか?
/明日は用事がないのでそちらの時間に合わせることが出来るかと思います……

411名無しさん:2014/02/24(月) 04:05:18 ID:ZyRhhMNs0
>>410
/分かりました!長時間お付き合い頂き本当にありがとうございます
/こちらは次で締める予定でしたので、その後のお返事はご自由にしていただければと……!
/それではお疲れ様でした、ありがとうございました!

412名無しさん:2014/02/24(月) 04:06:44 ID:buu1lXlY0
>>411
/了解しましたー、ではひとまずですがおつかれさまでしたっ
/お返事は明日のうちに返させていただきます、ありがとうございました!

413名無しさん:2014/02/24(月) 05:09:10 ID:ZyRhhMNs0
>>409


……果たして意味が無いものだろうかね。人生は長いんだ、こんな私でも数十年は猶予があるのだし
そういう、……知識を活かす場面は、生きながら探せばいいと思うんだがな。 だってまだまだうら若き小娘だろう?
何も勉学とか学校だけがすべてじゃない、得たものを殺すのは自分だぞ――っと、すまん。つい説教臭くなってしまった
まあ、思うに……私としてはもっと話を聞いてみたい、というのがあるけども。 たとえば語り手なんか似合いそうだろ


【言葉の端からどうにも説教臭くなってしまうのは、相手へ真剣にアドバイスを送りたい気持ちがあるから……なのだろう】
【途中でそれに気付いて自制を掛けつつも、マジメな口下手の性ゆえか。やや口籠りながら、それでも言葉を続けて】
【手に取った本を大事そうに抱えるようにして持ち上げ、いつものぎこちない真顔のような笑顔を浮かべてみせた】


……駄目、というかいかにも不健康そうに見えるのではないか? 少なくとも私にはそう見えるぞ、うむ
それはさておき、どうもありがとうアンネリーゼ。 お陰でこちらの調べ物も色々と捗りそうだ、何せ――――


【――と、何かを言い掛けたところで電子音が鳴り響く。独特の甲高いそれは、本来ならば御法度な電話の呼び出し音らしく】
【悪い、とジェスチャーを見せながら、ポーチから携帯電話を取り出して通話相手と二、三言だけの短い会話を交わせば】
【通話を終えてから軽く溜息をひとつ。どうやら何か面倒事でも起こったようで、ウンザリしたような表情を再び覗かせる】


――――すまんな、茶の一杯でも飲みたかったんだが急遽仕事が入った、これから早速行かねばならん
それじゃあ、必ず、またいつか。 本ばっかり読むのもいいが、飯はきちんと食うんだぞ、……いいな


【最後の一言はまるでお節介だと思えるものだったかもしれない、一応はこれで別れの挨拶として、バーサは忙しなくこの図書館を後にした】
【ぱたぱたとせっかちな足音が響いて、それからはまた静寂が戻ってくる。数冊分の本の隙間と、磨かれた箱が女の存在の痕跡となって残るだけ】

【――そうして数日も経たぬ内、晴天の続くある日のこと。返却箱には、あの分厚い書籍が返されていることだろう。渡したあの日と、一切変わらぬ姿のまま】


/それではこちらは〆とさせていただきます、お疲れ様でした〜!

414名無しさん:2014/02/24(月) 12:59:04 ID:F52AoKs20
【公園。平時であれば、子どもたちが遊んでいるだろうそこに居たのは、今は一人】
【紫煙が空に向かって伸びる。風に吹かれてちらりと崩れていき。それをボンヤリと女は眺めていた】

「――……ふ……ぅ」

【女の姿は一言で言ってしまえばボロボロだった。全身に包帯を巻いた姿は、入院していても可笑しくなさそうなもの】
【包帯の随所に血を滲ませた姿の女がそこに居ることで、子どもたちは公園に近寄ることが出来ないでいた】
【フィルターギリギリまで吸ったゴールデンバットを地面に投げ捨て、履きこまれたブーツの靴底で踏み潰す】
【突風。風に煽られ、シャギーの掛かったプラチナブロンドのボブカットがばさりと揺れる】
【胡乱なエメラルドグリーンの双眸は細められ、色素の薄い唇に瓶の口を運び、中に入っていた安酒を迎え入れる】

「あ゛ーーーーーーーーーーー……だっる――――――」

【空になった酒瓶を地面に投げ捨てる。足元にはそうして捨てられた酒瓶が幾つか転がっている】
【己の座るベンチに置いてある酒屋の袋から、何本目になるか分からない酒瓶を取り出して、手元の手斧で瓶の首を切り飛ばす】
【惰性でその酒瓶を口に運び、鋭い切り口で唇を傷つけて。僅かに鮮血が透明な蒸留酒に混ざりこんだ】

「……平和なのは悪かないんだけど――暇、過ぎる……なあオイ」

【ベンチの背もたれに背中を預け、エビ反りになって空にエメラルドグリーンの瞳を向けて】
【ダメ人間中のダメ人間は、薬剤と安酒と紫煙の匂いを漂わせて、そこに座していた】

/*予約絡みです!!*/

415名無しさん:2014/02/24(月) 13:13:02 ID:VvRwMKXY0
>>414
「えっと…、お久しぶりです…」

【その詰まって緊張の抜けてない声は女性の耳にも届くだろう】
【御伽噺にもありそうなハープを思わせる透き通った声の主は女性の視界の端にいた】
【いつから居たのだろう。遊具から頭を僅かに出して、隠れるように話しかけたのだ】

【小柄で線の細い華奢な白髪の少年】
【雪のように白い肌と赤色の瞳は全体的に薄い色素を思わせる】
【年中無休で灰色のコートを身に纏い、フードを被って日の光から逃げているような】
【初めて目にすれば女子のようで、子犬のような印象を受けるだろう】
【数週間前に出会った世間知らずの少年、岸織詩織だ】

「こんな時間に…あ、会えるなんて思ってませんでした…」

【緊張しているその声は、明らかな警戒なのだろう】
【だが、決して戦おうとは思っていないらしく雰囲気から感じられる】
【拳銃を防ぐ不可視の盾を持っているのに、いろいろと残念だ】

【だが、そんな彼が戦う目的もなく話しかけたのは何か別の理由があるのか…?】

416名無しさん:2014/02/24(月) 13:19:25 ID:F52AoKs20
>>415
「――ん……?」

【己に近寄る気配。それを感じ、むくりと背もたれに預けていた身を起こす】
【挙動で奔る疼痛に僅かに顔を歪めつつも、酒で上気した赤ら顔でを少年に向ける】
【淀み、曇り、汚れきった、泥水のような瞳。綺麗な点など、微塵もないそんな瞳だ】

「……あー……、それはアレか。
平日の。こんな時間に。こんな所で。酒を飲んでる。
……私に対する当て付けって事で……良いのか?」

【言葉を一言一言区切りながら、少年の発言に対してあてつけかと言って見せて】
【左手で手斧を持ち上げると、手元でそれをくるくると回し弄び始めて】
【酒をまたかっ喰らえば、空になった瓶を、投げ捨てる。投げた瓶は、少年の足元で砕けて】

「仕事でもなけりゃ愛想振りまく事は無いよ。
……お話がしたいんなら、これでもやっからキャバクラにでも行って来いよ。そのほうが万倍楽しい」

【ポケットに手を突っ込み、くしゃくしゃの札を一枚ひらつかせて】
【口元には冷め切った笑み。瞳には、冷酷な色彩が映り込む】

417名無しさん:2014/02/24(月) 13:31:00 ID:VvRwMKXY0
>>416
「ヒッ…!」

【砕けるガラス音】
【その音は少年の影に刺さりながら、明らかな恐怖心に変わる】
【小心者で、臆病者。その名が本当にピッタリだ】
【再び顔まで遊具に隠して震えが止まらぬうちに、また顔を出す】
【その顔は、蛇の前の蛙に等しい】

【だが、差し出された金を少年は手を伸ばしさえしなかった】

「そ、そんなもの…!いりません!」

【強がり、そうとも受け取れるだろうか】
【怒りか、それに近いものを少年は訴えている】

「ぼ、僕は…! お、お話が…したいんです!
コジマさん…! 前みたいな怖いままじゃ…いやなんで…す!」

【相変わらず、子供みたいな事を真剣に言う】
【前にあったときも、今も】
【精神的な成長の時計でも止まってるのではと思うほどに、彼は変わり者だろう】

418名無しさん:2014/02/24(月) 13:40:24 ID:F52AoKs20
>>417
「っへ……そうかい」

【嘲笑。それは、いい人であろうとする相手に対するものか、金で解決しようとする己に対するものか】
【殺意にも似た、ざらついた感覚。それが、先ほどから少年に向けられ続けているものだ】
【無能力者であっても、修羅場を、死線をくぐり抜け続けてきた者特有の、錆びついた気配――血臭】
【エメラルドグリーンの淀んだ瞳は、感情を表出させる事無く相手を睨みつけていた】

「……話、ねえ。……面倒臭い――」

【残りの酒瓶がもう無いことに気が付き、ポケットからくしゃくしゃのタバコの箱を取り出して】
【とん、と指で叩き飛び出してきたそれを咥えて引き抜いた】

「怖いなら逃げりゃいいだろうに――理解できないよ、アンタの事が。
……怖いなら逃げるし、危ないなら近づかないし、頭を下げて許されるなら媚びへつらう。
悪いか? そういう生き方が。……私ゃそうは思わない。だから怖いままでいいからさっさと消えろ。――殺すぞ」

【安タバコに火を付けて、紫煙を吐き出しながら女は少年を見据える】
【逃げれば良い、諦めれば良い、近づかなければ良い、負ければ良い】
【あらゆる妥協を、女は否定しない。だから、今此処にいれば殺されるかもしれないが、逃げればその危機はきっと無いだろう】

419名無しさん:2014/02/24(月) 14:00:17 ID:VvRwMKXY0
>>418
「い、嫌です…!」

【遊具から出てきて、言い放った】
【怖い、帰りたい、逃げたい】
【そんな気持ちで埋めつくされてるだろうに、詩織は震える足で遊具から前に出た】
【もう、自分を守るものはもう自分しかいない】
【この上なく危険な状況と知って、前に出る】

「ダメですか…? もっと、あなたの事を知りたいのに…もっと仲良くなりたいのに…
僕は…あなたを怖い人と思いたくない…! 怖くていいなんて言葉…僕は嫌です…!」

【信念も感情も概念も、きっと二人は両極だろう】
【相容れない水と油】
【混ざり混ざったとしても、いずれ分かれる】
【そんな存在なのに、詩織はあきらめない】

「だから……だから………!」

【思いが届かないのが原因か、―――――――悔しそうな声だ】

【年甲斐もなく泣きそうな顔で言葉を繋ごうとする】
【よく見れば、詩織の手には一枚のハンカチが握られていた】
【詩織と同じで白く、新品であろうハンカチだ】
【涙を抑えながら詩織の目線はコジマの僅かに切れた唇を見ていた】

【本当に面倒な――――子供だろう】

420名無しさん:2014/02/24(月) 14:11:02 ID:F52AoKs20
>>419
「……お前が私をどんな人間と思っているかはわかんないけどよ。
少なくとも、学は無いし品も無いし金も無いし地位も無いし力も無いし良心も無い正真正銘のクズなんだよ私は。
お前みたいな奴が、なんで私みたいなのと仲良くしたがるのかが分からないのさ、私ゃ。少なくとも、メリットが無いのは間違いないしな」

【コジマの厄介な点は、己が底辺であるという自覚を持ち、またそれから脱する事を望んでいないという点にある】
【己がクズであるという開き直りは、何よりも頑なな精神性を作り上げる。そして、それ故に今まで生き延びている】
【浮世の汚れが染み付き尽くしたその存在は、精神は――汚れた言葉を、感情を淡々と吐き出していくのみで】

「――で、何が欲しいんだ? 仲良くなりたいなんか嘘だろ?
金か? それともGIFTの情報か? 貧相な私の身体か?」

【冷め切った瞳、そして口から吐出されるのは、これまでの人生で繰り返し続けてきた打算の言葉】
【己の命の為なら、金も払うし仲間も売ったし身体を捧げた。そういう人間が、コジマという女】
【目の前の少年の澄んだ瞳に、己の汚れた身体が映っていると考えると、どうにも不快でならなくて】

「…………ごほ……」

【一瞬咳き込み、疼痛に眉間にシワを寄せて。紫煙を吸い込み、ゆっくりと吐き出す】
【負傷した肉体。今の女であれば、少年でも万が一の確率でも制圧は可能であろう】
【が、その鋭さはあらゆる光を拒むほどには刺々しく、そして威圧に満ちたものだった】

421名無しさん:2014/02/24(月) 14:30:06 ID:.ZaZhwYg0
>>420
「違います…! どうして、どうしてそんなこと言うんですか!!」

【握り締めたハンカチを、震わせて言い放つ】
【詩織自身も、この女性に対する感情は良くわからない】
【危険を省みず話しかける理由も、よく分かっていない】
【ただ、彼女を理解したいだけなのか】

「どうして!そんな風に突き放すんですか!!」

【それはただの迷惑で、彼女の感情を侵す不快に感じるだけかもしれない】
【いや、実際そうなのだろう】
【コジマは詩織を嫌っているに違いはない】
【それは、十分に知っている。でも、例えそうであっても】
【諦めたくはなかった】

「お金とか…情報とか…身体とか…! そんなものいらないんです…!
そんなもの…なんて…!!」

【その涙まみれのぼやけた視界では、何も視えない】
【もう自分が何を言ってるの分からない】
【感情の波から解き放たれる言葉を、放つだけ】

「どうして…! ハンカチの一つすらも…受け取ってくれないんですか…!!」

【爆発した感情を、その言葉で解き放った】

422名無しさん:2014/02/24(月) 14:40:42 ID:F52AoKs20
>>421
「……しつこい、てめェ。……あーもう、なんでこんなクズに構うかな」

【視線に多分の険を含んで、相手を睨みつける女。疲れたような態度だ】
【突き放し続けるにも、体力がいる。相手のそのしつこさに、僅かながらも根負けしてきた様で】
【それでも、光の側にいる相手に近づきたがらない様な、そんな気持ちはずっとそこに有った】

「良いか?
一つ、私が死んでも誰も悲しまない、寧ろ喜ぶ奴が多いような人間だ。
二つ、人殺したり脅したり拉致ったりが仕事のクズ野郎だ。
三つ、そんな生き方しかできない徹底的なダメ人間だ。
……私なら間違いなく触れたくないどころか、視界にも入れたくないようなクズ野郎だぞ。
絡んだ所で得もなにもありゃしないんだからよ――もうちょいアレだ。お前くらいの見た目ならもうちょい良い女引っ掛けられるだろうに」

【諭すように口にする。己は触れるべき人間ではない、と】
【触れた所で損しかしない、仲良くした所で何の意味もない、時間をもっと有意義に使えと】
【だるそうな表情の女は、そのままゆっくりと立ち上がり、僅かにふらつきながらも少年の元に歩いて行き】

「……あーめんどい。分かった分かった、貰えるもんは貰う主義だし。
そのハンカチくらいなら、貰っといてやんよ。……で、結局お前はどーしたい訳だ」

【少年の手元のハンカチを、包帯の巻かれた右手で鷲掴みにし、奪い取ろうとしながら】
【最後通牒のように、問いかける。お前はどうしたいのだ、と】

423名無しさん:2014/02/24(月) 14:57:16 ID:wZp7I0Fo0
【此処はとある炭坑の跡地】

【時折冬の冷たい風がかつて人の居たその地を吹き抜けるが、そんな風も届かない筈の炭坑の奥深く】
【錆びたレールが奥へと続き、隣にはその上を通っていたであろうトロッコが倒れたままになっている】
【その奥深くから、何故か時々微風がやってくる】
【奥へと進めばそこには開けた空間が広がっており、打ち捨てられたツルハシや湿って爆発もしない爆薬の入った木箱などの機材が所々にあった】
【しかし空間の中央にある岩、そこにたった一人だけ男が鎮座していた】

【麻の布を頭巾のように頭に巻き、長身で筋肉質な肉体】
【肩から胸の辺りまで色褪せた首飾りをしており、旧文明を連想させる外見をした男の姿】

……誰が入ってきた…………

【ここは既に廃坑となっている、しかしその昔は金も採れたという話】
【そして何より、入口から吹く謎の微風に誘われてやってくる人間が居るかも知れない】
/予約です!

424名無しさん:2014/02/24(月) 15:05:58 ID:gzU3mgN20
>>386

【斜面を転がり落ちる貴方の姿、そんな気持ちが無かったようで、ビックリした色を表面に映す】
【淡雪に混じる桜色の破片、じんわりと濡れた花弁のようにその頬に紅潮を蔟て】
【大丈夫かな、なんて心配してみれば、響く声にびくっとその身を竦めた】


わっ……ぅ……変な人、なの……
その通り、なの、だからね、ソニアの方が、フォギーより、せんぱいなの
せんぱいの言う事、こーはいが聞くって、ソニア、知ってるの


【動揺した顔色を隠すようにぱたぱたと頭を振ったなら、じぃと瞳を向ける】
【深海のようでもあって、また同時に水面のようでもある、マリンブルーのその先】
【映る貴方の姿は、彼女の出会ったどんな人よりも?奇妙?に映って】

【狙撃銃をよいしょと抱きかかえたまま、上から下へと声を下ろす】
【響くソプラノは、今にも掻き消えそうな春先の雪のようであれど】
【その奥に秘めた思いは、結晶のように堅い】


むぅ……性格良くないって、わかってるなら、変えれば良いの
ソニアね、おうちにやな人いるの、とってもやなの!


【駄々をこねるような声色、むぅと膨らんだほっぺたはクリームのように淡やかで】
【人形のように繊細な輪郭が乱れて、言葉を返す様子、子供っぽい姿だけども】
【普段の彼女を知る人間が此処にいたなら、そんな彼女の側面に驚くかもしれない】

【貴方につられてペースを乱す、少女の零した横顔は、ひょっとしたら紛れもない素顔かもしれなくて】
【?UNITED TRIGGER?をおうちと表現するくらいには、本気みたいに】

425名無しさん:2014/02/24(月) 15:10:42 ID:VvRwMKXY0
>>422
「どうして…! 突き放して………って、え?」

【受け取られたそのハンカチに不意をつかれた顔】
【その行動に、さっきとは別の涙が溢れ出す】
【笑顔で満ちたその涙は、相変わらず苦手なものだろう】

「あ…、と…その…ありがとうございま"す"ーー!!」

【詩織も諦めていたのか、その白い頬を伝うものは本物の涙であった】
【涙もろくて、意地っ張りで、わがままで。本当に子供っぽい】
【その涙を自分で拭きながら、ちゃんとした笑顔を取り戻す】

「コジマさんが何と言っても…僕の知るコジマさんは、僕の知るコジマさんですから…
得とか損とか、後悔とかダメ人間とか良い女とか……そんなこと別にいいんです。
それに…なんて言われても…僕はコジマさんと仲良くなりたいんです……ダメですか…?」

【彼女が僕にくれたもの】
【殺気、嫌悪、脅しに弾丸、血生臭い臭いと紫煙】
【並べるだけで震えが止まらないそれらを、詩織は気にしてもいなかった】
【ただ、放っておきたくなかった】
【忘却という、無関心という、無意識の海に。悪に生きる彼女を落としたくなかった】

【それは無駄な憐れみとか嫌なお節介かもしれないが】
【真っ黒なキャンバスに白い絵の具を垂らすように】
【塗りつぶされて黒に還元されたとしても】

【そんな変化を何処か望んでいたのかもしれない】

426名無しさん:2014/02/24(月) 15:16:26 ID:buu1lXlY0
>>413

ま、ね……、私の知識は私の中にあるのだし、殺すとしたら私自身だろうよ。
誰かが何をしてくれるわけでもなし――、精々何かを頑張るよ、そうさな、差し当たって本を読むのを頑張ろう。

人を殺せそうな本が一冊書庫の底から出て来てね。かわいそうだから読んでやらねばならぬのだよ。

語り手? ……どうだろう、私の声は、通らないから。

【前向きなのやら、後ろ向きなのやら。いたく曖昧な言葉を吐くなら、それ以外の何かをまるで知らないように】
【知らないのを分かっているように宣言するのが、やっぱりというべきか、それだった。ぱたんと手元の猫の本を閉じて、】
【ぐうっと元の隙間に押しやりながら言う、――それが専ら最近の楽しみであるかのように、釣った目を瞬かせ】
【――こんなに静かな図書館の中が似合いそうな声質だった。人前で、増して語り手なんて、叶うものなのか】
【それでも無下に切り捨てたりしないで考えてみるのは、女が真剣にそれを言っていたからなのだろう、悩みながらも】

【――そっと、笑んで見せたのだ。相手のそれに返すように、微かでも、それでも確かに】

……そうかね、こちらとしては健康体のつもりだが――、……。

【まあ、体調を崩しては居ないのだろう。けれど、彼女の生活は続けていてはいつか絶対に破綻するもの】
【一斤の食パン、8枚切りのそれで一週間余裕で持つような暮らしぶりだった。それこそ彼の鬼がくれる食べ物で生きているようなもの】
【――電子音が鳴り響く。何か言い続けようとした言葉を途切れさせたなら、ちょんとその会話が終わるのを待つ間がしばし】

なに、構わんよ。仕事なのだろう? また今度来ておいでよ、そのときは……今度こそ、茶でも出すから。
分かっているよ、バーサ。きちんと食べればいいんだろう、……――食べているのだけれど。

――それじゃあ、また。

【もしかしたら残念がっていたのかもしれない。気持ち伏せられた瞳、ミリ単位で下向きになった睫毛の流れは】
【それでも全体的に見れば微細な変化過ぎた。なんともないような顔で再来を願ったなら、今度こそなんて言葉が続く】
【やっぱり食事の心配をされれば少しだけ困ったような顔をして――頷くなら、まあ、気をつけてはくれるのだろうから】

【玄関まで見送っていく、道中手にする本を纏める袋が要るかと聞いて、要るのだといわれればそれを裏方より引っ張り出しつつ】
【入れてやるところまでやるのだろう。そんな様子を見ていれば、なるほど確かに図書館の人みたいで、ちょっぴりだけ面白い】
【扉の向こう側に消えていく姿を見て、やがて閉じてしまう扉、ごうと真新しい空気が流れ込んできたのを、そっと吸い込んで】

【台所できっと湧いているのだろうお湯を消費しに向かう。いつもと同じティーバッグだけれど、少しだけ、いつもよりおいしいような気がした】

/遅くなりましたがおつかれさまでした! ありがとうございましたー!

427名無しさん:2014/02/24(月) 15:17:48 ID:3HA7Kbp60
>>423

【かつりかつりと、レールを踏むような音。正しく、誰かが入ってきたようで】
【靴音の主が近づくにつれて音は大きくなり、やがて炭鉱の暗がりからその誰かがやってくるだろう】


――――――――――――――…。


【―――グレーのフリルブラウスと着崩した黒いカーディガン、黒のジーンズと茶色ローファー】
【腰には細い革ベルトをブラウスの上から巻いて。黒く光の無い、だがそれでいて素直な瞳。背丈は160cm程か】
【大きめなライトブラウンのキャスケットを被った金髪ショートカット。闇に溶けてしまいそうな暗い配色の少女】

【そんな、ここには似つかわしくない人物が一人、不思議な風に誘われたのか姿を現した】

『…人気の無いとこがあったから、一人で居られるかなって思ったのだけど』
『意外だね、誰かが居るとは思ってなかった―――失礼、邪魔しちゃったかな?』

【男を見るなり彼女は目を見開いて―――すぐに無表情へと戻ると、言い訳染みた言葉を紡ぐのだが】
【少女の口は動いておらず、しかし声は聞こえる。腹話術のようにも見えるがそれにしては発音が綺麗すぎて】
【開かない唇の代わりに、喉に当てられた人差し指。それはまるで、レコードに針を落としているような雰囲気だった】

/お願いします!

428名無しさん:2014/02/24(月) 15:22:11 ID:F52AoKs20
>>425
「……言っておくけど、真っ当な生き方の出来る人間じゃないよ、私は。
お前がどう諭そうと、私は人を殺すし拉致るし騙すし脅す。そうやって飯を食っていく。
それは、私なりのけじめだ。……深海魚は深海から出たら死んじまうしな」

【仲良くなりたい。そう言われて、女は答える。お前がなんと言おうと改心する気は無いと】
【幸福になれば、そこから転落して不幸になるのが怖くなる】
【そして、後ろめたさ。強くなど無い女は、己の積み重ねてきた罪は、死をもって贖う他ないものだと知っていた】
【だが、死にたくはなかった。死なないために、殺してきたし、身を売ってきた。その生き方は、今更変えられない】
【頑ななまでに弱者で在り続ける事にこだわる女。しかしながら、僅かに口元を動かして、問う】

「……で、お前名前なんだっけ」

【相手の名前を、問いかけた。悪のままで、クズのままで良ければ】
【大嫌いだし、そばにいれば惨めな感覚を覚えはするが。それでも、名前くらいは覚えておいてやろうと】
【そんな、殊勝な考えが浮かんだのは、本当に稀な気まぐれか、はたまた面倒だっただけか】

「あー、糞。泣くな、みっともねー」

【奪いとったハンカチを、鷲掴みにしたまま。少年の顔に手を伸ばし、ぐいぐいと力任せに顔を拭く】
【下手に拒絶するよりは、こうして多少でも理解してやった〝ふり〟をするほうが楽だ。と、言い訳】
【面倒くさくなったらドロンして、元通りの悪党だ】

429名無しさん:2014/02/24(月) 15:36:50 ID:1WzZKwog0
【水の国 郊外の廃墟】

【目まぐるしく発展してきたこの国には、同時にその過程で打ち捨てられた物も多くある】
【路地裏を抜けた先に佇む、このマンションもその一つ。壁に植物が絡み、ところどころが崩れ】
【それでもなお、この場に留まり続けてる。マンションの入り口から狭い道を少し行けば、そこには】
【路地裏への入り口が複数、ぽっかりと口を開けている】


【そんなマンションの裏側、朽ちた遊具が散らばる公園。マンションの住民の子供のためのものだったのだろう。そこに、一人の男がいた】
【ボロボロのベンチに腰掛けて、新聞を広げている男。それだけならば日常の光景だが、このようば場所にいることが異様だ】

【新聞が降ろされる。露わになったその姿は、身長2メートルを超えているであろう大男だった】
【薄汚れた灰色の作業着の上に黒いラバー地のエプロン。足には黒いゴム長靴】
【角張った顔付きに短く切り揃えられた黒髪。両の目玉は生気がなく、見ればそれは黒い瞳の義眼だった】
【新聞を眺めていた目は、額に存在する巨大な一つ目だ。ギョロリ、と動いて一度周囲を睥睨する】


(……やはり、どのメディアも伝えていることは大差ない、か)
(水の国の警戒が全土で突然強くなったと思えば……このような事態が起きていたとはな)

【大男が再び新聞の記事に額からの視線を落とす。載っていた記事は、先日逮捕されたアサド・アル=アーデルについて】
【そして、現在容疑者として手配されている特務部隊『ヘイダル』についてのものだった】


……あのアルフレドは、見る限りGIFTに通じるような男には見えなかったが……となると、嵌められたか
なんにせよ、こちらまで煽りを食らう羽目になった……

一度、この件も調べてみる必要があるな……

【大男がゆらりと立ち上がる。公園の出口へ向けて、巨大な足で踏み出す】
【警戒は怠っていない。誰かが来れば、互いにその存在を感知するはずだ】

/予約です!

430名無しさん:2014/02/24(月) 15:38:46 ID:.ZaZhwYg0
>>428
「それなら、泳いで会いに行きますよ。それこそ…深海まで」

【それじゃあ死んじゃうかな、と笑って誤魔化したように台詞を断ち切った】
【その言葉の真意は分からないが、変わった男だと思う】

「岸織詩織…、前にも言ったつもりだったんだけどね…コジマさん」

【その名を答える】
【その女みたいで発音しづらい、名前を二回言ったみたいな不細工な】
【そんな覚えやすくも言いにくい変わった名前だ】

「あっ、そんな…もっと優しく拭いて下さいよ…」

【力を入れたおかげでその白い肌が赤くなる程度に拭いてもらう】
【言葉は嫌がっても、その顔はとても嬉しそうだった】
【拭いても拭いても溢れ出てくる涙は決して悪いものではない】

「えっと…コジマさん…」

【神妙な面持ちで口を開いた】
【迷ったような様子だが、思い切った様子でその言葉を切り出す】

「ま、また会ったら、今度もお話して良いですか…?」

431名無しさん:2014/02/24(月) 15:45:22 ID:F52AoKs20
>>430
「詩織、ねえ。……ま、覚えておくかどうかはわかんねーな」

【憎まれ口を叩きつつ、少年の名前を復唱して】
【ぐいぐいと、少年の顔を拭き終わると、適当にハンカチをしまい込む】
【ポケットの中でぐちゃぐちゃになったそれをそのままに、女は少年の脇を通り過ぎて歩き出し】

「――――気分による。以上」

【明確な断りを口にだすこと無く、女は紫煙を燻らせながら歩き去っていくのだった】

/*こんな感じですかねー、おつでした!*/

432名無しさん:2014/02/24(月) 15:46:25 ID:gzU3mgN20
>>429

【警戒心に揺れる風は微動だにせず、その凪を絶やさない】
【水面に触れる指先は、白妙の如く眩く、それでいて華奢な様に】
【紛れ込んだ彼女の断片すらも、欠けて消えそうなぐらいに】


――――――〝Dead Memories〟


【ふらり、公園へと紛れ込んだ小柄な人影が、小さく声を漏らしたなら】
【公園中の朽ちた遊具が、淡い光に包まれ始めるのだろう】
【それはさながら絵本の中の如き映像、幻想的な光の瞬きで】

【光が陽光に滲んだなら、そこには新品同様となった遊具があるだろう】
【場所は変わっていない、けれどもそのどれもがピカピカに光る、真新しい品となって】
【まるで過去の姿をそのまま写したかのような、そんな色合いに】


……いつまでも汚れたままじゃ、淋しすぎますもんね……


【木漏れ日が日差しを落とす、橙色の日差しは先ほどまで男が腰掛けていたベンチを映す】
【新品となったベンチはまだ塗りたてのペンキの色を、鮮やかに写しているだろう】
【呟く声一つ、寂しげな音色を揺らしたなら、風鈴のように凛と鳴り響いた】

【腰まで届くような紫苑色の長い髪を白いリボンで一本に結って】
【純白のブラウスの上に臙脂色のケープを羽織って、胸元には大きなリボンをあしらう】
【同系色の短いスカートとニーソックス、しなやかな脚のラインをくっきりと示す】

【特徴的な紫苑色の瞳は彼女の童顔に似合っており艶やかに映る】
【純白の素肌はやや弱々しげだが、知的な印象と幼気な印象を与えるスラリとした体躯の少女】
【小さな手を包む白磁のような手袋がその手にピッタリとあっている】

【公園へと歩み寄った少女は、静かに空を見上げ、ボーっとしているのだろう】
【直ぐ側の大男の姿には、まだ気が行っていないみたいで】

433名無しさん:2014/02/24(月) 15:49:04 ID:VvRwMKXY0
>>431
/乙でしたー!

434名無しさん:2014/02/24(月) 15:51:09 ID:wZp7I0Fo0
>>427

【足音を聞き、大男はそちらへと視線を向けて】
【場所に似合わぬ外見の少女を捉えると、期待外れだと言いたげな表情で】

女……此処はお前の様な人間が来る場所ではない、とっとと失せろ……
……にしても、その外見から見て随分と人間の時代は進歩したようだな。
そして……その不思議な話し方、お前が特別なのか……それとも……この時代の人間、全員そうなのか。

【男は彼女の特殊な話し方に興味を抱いていた】
【しかし男の言動は何やらおかしい、時代の進歩だとか彼女以外もそうなのかと疑問に思っている】
【そんな事無いというのは今の人間にとって常識、腹話術の経験があっても全く口を動かさずに話せるなどあり得ない】
【ならば何故、この男はそんな言葉を使うのか、考えられる理由は……】

おい女、お前は戦えるか……?準備運動をしたい。

【そう言って男は腕を振るう、と同時に辺りの壁に立て掛けられたランタンが燃え始め】
【このフロアを明るく照らす、当然この誘い受けるかの相手次第】

435名無しさん:2014/02/24(月) 15:55:07 ID:7w00KprU0
【街中――表通り】

【表通りでも端の方、言われなければ気付けないようなペットショップがあった】
【その店には、ほとんど客の出入りはない。なぜなら――所謂エキゾチックペットの専門店、だからである】
【しかしそこから、ひとりの女性が出てくるだろう。冷たい空気に、ドアの軋む音が響いた】

【オリーブ色の瞳を持ち、茜色の髪は後ろで二つの太い三つ編みにしていて】
【そばかすの上には丸眼鏡があり、頭には柔らかい素材の黒いハットをかぶっている】
【裾に緑色のよろけ縞が入った白衣を羽織り、その下に暗い緑色のセーターとタイトスカートを着た】
【そんな――研究者のような風貌の女性だ】

【彼女は歩を進める。別段美人でもないが、すれ違う人が一瞬彼女に注目していた】
【そして、ほとんどの人が彼女とぶつからないよう細心の注意を払っているように感じるだろう】
【その原因は、彼女の手にあった】

【そこには――体長30センチはあろうかという〝ヤスデ〟が鎮座していたのだ】
【つやつやとした真っ黒い長い体に、数多の赤い足が特徴的なヤスデだ】
【もちろん生きており、彼女の手の上をわさわさと移動している】

【女性はそれを、愛おしそうな目で見つめながら歩み続ける】
【視線は一点に集中しているため、当然前方不注意】
【幸運にもぶつかっていないのは、周囲の人のお陰といえた】

【さて、運悪くぶつかってしまうか――彼女の気を引きつけるような事態が発生するのだろうか】
【余談だが彼女は爪にネイルアートを施している。それも左手の親指のみに】
【描かれているのは〝逆五芒星〟だ。これが何を意味するかは――言わずもがなだろう】

/2回目の運用で通常ロールに慣れていませんが、よければカムカムです

436名無しさん:2014/02/24(月) 16:02:29 ID:1WzZKwog0
>>432
(…………!? なんだ……?)

【大男の警戒に引っかかる、何者かの気配。そちらへと素早く向き直る、と同時】
【一つ目に飛び込んでくる光景。遊具が突如、光を発し始める。いや、光に包み込まれている】

【次の瞬間には、遊具のすべてが傷一つないものに変わっていた。あれほどボロボロだったというのに】
【この場にだけ、過去が戻ってきたかのような。このような幻想的な現象も、この世界では起こり得るのだ】


【視線を巡らせれば、自身が座っていたベンチまでもが。次いで耳に飛び込む音色】
【そこでようやく、一つ目の動きが固定された。その先に少女が一人。この現象を起こした張本人であることは察せられた】

【見れば見るほど、このような場所には似つかわしくない可憐な姿。いや、公園がかつての光景を取り戻した今】
【異質なのは自分の方か。そんな思考を頭によぎらせつつ。大男は動く】


……何者だ。何をしにここへ来た?

【素早く取り出したのは、一本の肉切り包丁だった。広い刃が陽光を反射して空間を裂く】
【公園をよみがえらせ、静かに空を見上げる彼女の時間を踏みにじるような行為】

【しかし、大男にすればこの警戒下の水の国の廃墟に、突如出現した相手】
【それも、今の現象を見れば間違いなく能力者。のんきに構えてはいられなかった】
【中距離程度に間隔を置き、少女の姿をじっとりと睨み付けた】


【一方、少女の側が大男の姿を見たなら、何かに気が付くかもしれない。かつて彼女が一戦交えた悪魔、邪禍】
【彼と同じく、手配書に載っていた犯罪者の一人。手配書にあったその連続殺人犯の特徴が】
【眼前の大男にも見られたであろうことを】

437名無しさん:2014/02/24(月) 16:10:59 ID:gzU3mgN20
>>436

【瑪瑙細工の声色、手繰られるように振り返ったなら視線に映る男の姿】
【少女の顔が張り詰めた、細く長い眉が歪んで、大きな瞳を揺らす】
【紫苑色の瞳の奥、映る貴方の姿は紛れも無く悪人のようで】


……お言葉を返します、ただ公園に来ただけですから
それとも、病人のせめてもの慰めに、散歩する事が悪とでも――――――っ


【細い首筋が揺れた、くるりと向き直ったなら長い一纏めの後ろ髪が舞う】
【紫苑色をまき散らす少女の横顔、幼気に見える表情にも芯があるようで】
【紡ぐ言葉には確かな意味合いを秘めて、貴方を見上げるのだろう】

【言葉を言い終われず、少女が咳き込んだ、口元に当てる白い手袋をした手】
【陽光を溶かす肌の色は、透けてしまいそうなぐらいに白く、手首は潰れてしまいそうな程に細い】
【硝子細工のように繊細そうな、そんな形をした少女であろう】

438名無しさん:2014/02/24(月) 16:20:29 ID:nHw81SMw0
【路地裏】

【ブラインドの隙間から差し込む陽の光は弱くなってオレンジへと変わる頃】
【真っ昼間より変に夕日のほうが鋭くて明るく見えてしまうから一概に物悲しいとも言えない気がする】
【まあそんな詩的な表現が出来るのは昼間っからビールを飲めている日だけの話だ。あゝ、悲しいかな…】

あー……やることなくても時間は平等だな…全く…

【路地裏の壁をなす立ち並んだ雑居ビルの一つ、その錆びた非常階段を降りてくる1人の男】
【カンカンとブーツの踵で金属を叩きつつ降りて、手に持ったハットを軽く手ではたいてからかぶり直した】

【ボサボサに伸びた黒い髪、とんがったような鼻でダークグリーンのレンズのサングラスをかけている】
【黒いシングルライダースジャケット、ジーンズに革のバイクブーツ。腰にはピストルベルトを】
【斜めったまま雑に2つつけていて、リボルバーが左右に伺える。まるで馬をバイクに乗り換えた】
【現代版2丁拳銃のアウトローと言った感じである。服装に得物、186センチの身長が威圧感を出す】

【治安が良いとは余り言えない場所だが…まあ、昼間からでる幽霊もサイコ野郎も居ないことだろう】
【眠そうにあくびをして、階段を降りきれば気だるさを引きずったまま、大股でゆっくりと歩き出した】


/予約有りです

439名無しさん:2014/02/24(月) 16:23:18 ID:3HA7Kbp60
>>434

【―――あからさまに、お呼びでないというような表情をされて、無表情であった眉間に少し皺が寄る】

『―――ズイブンな言い草じゃん、ここって君の私有地かなんか?』
『っつか、全員が全員私みたいな喋り方だったら気味悪いよ。これは私の能力、特別かどうかは知らないけど…』
『なんか不思議なこと言うね君…まるで、この時代の人間じゃない、みたいなさ…』

【何なんだこいつは、というような雰囲気を包み隠すことなく、率直に感想を述べていく。先の反応に対する仕返しみたいなものか】
【男の言動、その要所要所のおかしさに首を傾げて訝しむ。当たり前だが、まだ男の正体は予想出来ておらず】

【――――突如燃えだしたランタン。これはこの男の能力なのだろうか、と推測しつつ】

『―――失せろと言ったり戦えと言ったり…女と思って、甘く見てんのかどうか知らないけど』
『まぁいいよ、売られた喧嘩は買わせてもらう。けど、いいのかな―――準備運動なんかじゃあ済まないよ?』

『―――今私結構、イライラしてるからさぁ…!』

【叩きつけられた戦闘の誘いに、やや機嫌悪そうな声でぶつぶつと文句を言いつつも承諾の意思を見せ】
【自分を舐めているのなら、それを正してやろうという―――何とも子供らしい意地が彼女を動かした】

【彼女が苛々している原因自体は、実は他のことにあったが―――事情なんて知る由もないだろう男の言動に丁度、逆撫でされたようで】
【言葉を紡ぐと同時、放たれる一つの「火炎弾」―――手のひら位の大きさであるそれが、男の胸部中心目掛け飛ぶ】
【下級魔術の類、速度もさほどなく軌道も直線。避けるのは容易いし、当たっても威力はそれほどない。様子見、といったところか】

440名無しさん:2014/02/24(月) 16:32:44 ID:1WzZKwog0
>>437
【自身の姿を見て表情を引きつらせること自体は、まったく正常な行動だ】
【だが、この反応を見る限り、逃走中の容疑者を追っている、というわけでもないらしい】
【大男が、いったん包丁を降ろした。が、すぐにも戦闘が出来る体制は崩さず】


病人が散歩をするに、適した公園とは思えないがな。路地裏の奥、忘れられた廃墟。何が起きてもおかしくはあるまい
増して、今は砂の国でならした特務部隊が容疑者として逃走中……お世辞にも穏やかとはいえない状況だ
まさか、それを知らなかったわけでもあるまい?

それに、今起きたことは、お前の能力だろう? 少なくとも、只者には見えないがね……

【矢継ぎ早に繰り出す言葉は、相手の反応を伺う一つ目と常にセットだ】
【その邪悪な眼光が捉える彼女、幼気でありながら確かな芯を感じられる】
【だが、同時に響く咳。演技とも思えなかった。見れば、そのあまりに白すぎる肌に細すぎる手首】

【恐らく、自分が片腕一本伸ばせば、容易に彼女の命に届くだろう、というほどの】


……私は、見た目通りの悪党で犯罪者だ。悪いが、その姿を見ても容易に警戒を解くわけにもいかない
だが、本当にただ散歩に来た病人だと言うのなら、こちらとしても不必要に危害を加えるつもりはない

【そう告げると、大男はゆっくりと後退し始める。視線は彼女から逸らさずに】
【生暖かい風が一つ、両名の間に吹き抜けた。路地裏の死の臭いが運ばれてくる】
【大男が足を止めた。それに伴って、路地裏の方からこちらへと近づきつつある数名の気配に気が付いたからだ】
【少女から大男が目を逸らす。あるいは、それは隙となるか――】

441名無しさん:2014/02/24(月) 16:40:10 ID:buu1lXlY0
>>438

【遅くまでゆっくりと寝ていた朝、ようやく起きてきて、眠気覚ましにと外に出たはいいけれど、】
【ゆったりと居座る眠気はオレンジ色に傾きだした夕陽にだって覚ませない、或いは、夜を期待させるばかり】
【ふああとあくびが漏れる、――大通りはあまりに賑やか過ぎて、眠たい思考にはちょっぴり、難しすぎたから】

うあ――……くうぅ、

【賑やかさから逃げてきた影、なんだかんだでこんな場所が落ち着いてしまう性分、どうしようもない性質だが、治らない】
【ぐーっと伸ばした身体の指先が震える、心地いい一瞬を終えれば、またもうひとつ、あくびを漏らしたりする】
【――どうしようもないぐらいにのんびりだった。こんな場所だと言うのに、ただの少女みたいなのに、まるで気も張らずに】
【さもここにいるのが当然ですよって顔で――そのうちに、ばったりと、出くわすのだろう】

【真っ黒色の髪がオレンジ色のハイライトを抱く、腰まである長さ、すらりと落として】
【黒色と赤色のオッドアイが少しだけ驚いたように瞬いていた、けれどそのうちにこりと可愛らしく笑って見せて】
【黒色のブラウスに黒色のコルセットスカート、羽織るマントまでが真っ黒なら、さも夜に似合いそうな服の色合い】
【足を包むタイツや爪先のまあるいストラップシューズまでもが真っ黒だった。――本当に、夜に隠れようとするような】

あ……、ねえねえ、指輪ね、貰ったんだよっ――、

【かつかつと嬉しそうな足音で近づいて来る、ほらほらと見せるようにするのは、この前に話したことの続き】
【自慢するようにした指の付け根に蛇を模った指輪が嵌められていた、きらりと煌くのは瞳の黄緑色】
【本当に嬉しそうに笑っていたのだろう、幸せそうにしていたから、だからこそ、次の表情がよく目立つ】

ドレスもね、着せてくれて……、初めて会った場所でね、結婚式みたいにしたの。それで、――っ、

【ころころと笑っていた表情が止まる、その原因は視線の向かう先、彼の腰元でぶら下がる二丁の武器】
【はくと息の詰まるような瞬間があった。銃に対しての反応、怖がるようなそれで――ただ、それも、少しの間】

……一緒にご飯も食べたんだよ、美味しかった……。

【少しだけテンションが落ちたようだけれど、言葉は続く。――銃が怖いと知られたくないわけではないけれど、】
【それでも少しだけ詰めそこなった距離があった。いつもよりもちょっぴりだけ遠い距離感、銃の作った隙間】
【怖いくせにちらちらと窺うような仕草があったなら、……銃が怖いらしいと察することは、ひどく容易なのだった】

442名無しさん:2014/02/24(月) 16:46:24 ID:gzU3mgN20
>>440

【警戒心を読み取った、空気に混じる闘気がピリピリと感じさせる】
【間違いなく目の前の相手は強敵であろう、勝てるどころか戦えるかも怪しい】
【視線は逸らさず、それでも瞬きを何度か、呼吸のように羽ばたかせた】


……あいにくと、世間からは疎いものでして、初耳です
けれども、周りを〝読んで〟いれば、何かあったというのは分かります
ですから此方の方に来たんです、此方なら、人通りが少ない分、喧騒は無いでしょう

能力とも言えない稚拙なものですが、そんなものに興味が?


【紡ぐ言の葉、夏に咲く青葉の如きしっかりとした言葉、淡い声色にはあまり合わないけども】
【刺の奥に秘めた花弁のよう、不思議と調和のとれた音色となって貴方に響くのだろう】
【伏せ目がちに視線を足元に傾けたならば、そうでしたか、と一言重ねる】

【言葉に嘘はなく、恐らく本当に今、そういう事情を知ったのだろう】
【けれども〝読んだ〟――――――との彼女の言葉、何かしらの秘密はあるようで】
【只者に見えないとの貴方の言葉に軽く微笑んでみせる】

【朝もやの中に溶けていく吐息のよう、白い微笑みは、今にも溶けてしまいそう】


――――――っ……!!


【大男が視線を外した、貴方の反応から一歩遅れて彼女も死の臭いに気づく】
【完全に無害な少女というわけではなさそうで、覗かせる表情は、死線を超えてきた経験を思わせる】
【足音が響くだろう、一つ大きな音が奏でられたなら】


……前、注意してください、わかってるとは、思いますけど


【引っ張られるような感触、貴方の大きな背に隠れる小さな彼女の影】
【視線を向けたなら、縮こまって見上げる彼女と視線が合うのだろう】
【大きな瞳をじぃと向ける彼女の様子は、あまりにもか細いソプラノ色】

443名無しさん:2014/02/24(月) 17:04:01 ID:wZp7I0Fo0
>>439

それは間違ってはいない、しかしその昔もお前のように不思議な者共が居たものだ。
……そう能力者、お前達を相手にするのは実に楽しかったぞ。
ならばお前も楽しませてくれるのだろうな……?

寝起きの体操といったところにしようと思ったが、半端な加減は必要ではあるまい。
せいぜい簡単に壊れぬようにしてくれよ……!

【先手は少女、彼女の火炎弾が男に迫る】
【しかし男は其れをフッと鼻で笑い、火炎弾よりもやや大きい掌で受け止めようとする】
【結果、掌をやや焦がすものの、男は何故か平然としていて】
【例えダメージが僅かであっても肉が焼ける感触を何とも思わないなど、とても人間ではない、更に良く見ると焦げた部分が遅くではあるが、再生しているのだ】

【これでこの男が人間ではない事は明確、少女の目の前に居るコイツは怪物なのだ】

フン……火力不足か……?人間は昔に比べ退化したのではないか?
そんなものではあるまい、もっと力を見せてみろ……!

【次は男の攻撃、岩から降り、少女に向けて手をかざす】
【周囲のの灯りで良く分かるが、男の腕に渦を巻いて空気が集まっている】

ヌウゥゥン…………ッ!!

【そして男が腕を振るうと、小型竜巻が少女に襲いかかる】
【攻撃自体は単純で速すぎるということはないが、威力は成人男性のパンチといったところか】
/ちょっと席を外します
/遅くても7時頃には戻ります

444名無しさん:2014/02/24(月) 17:04:11 ID:nHw81SMw0
>>441

【けだるい気分を吹っ飛ばす為に煙草でも吸おうかふと思ったが】
【先程まで散々ふかしていたのだ、三杯目のコーヒーのほうがよっぽど効いていたのだから】
【意識的にやめられるのなら暫くは吸わないに超したことはない。そんな風にもやもやしていれば】
【ふと、見知った顔が――正確に言えば見知った眼だ。これまではもう少し暗い中でだったので】
【彼の中で印象に残っているのは外見は眼だけで殆どはキャラクターだった】

お……あーっと……何時ぶり……まあ、いいか。暫くぶり
……指輪。……そりゃあよかった。……おめでとう

【いつもと同じしゃがれた声。覇気がないのもいつもどおりだがそれ以上に元気が無いのが】
【散々西日にやられちまった後だからなんだろう】

ああ…うん………そっか。まあ…幸せそうで何よりさ…チョコなんてのもあげた?
……ほら、あったでしょ。この間…なんかそう云うヤツ…

【バレンタインディという単語を彼が思い出そうと視線を泳がせ、ちょっと思考を戻せば】
【相手がいつもと様子が違う感じ…まあ、自分の得物を気にしているのに気がつくのは容易だった】

……ある程度は受け入れてもらいたいな。俺は『そういうヤツ』で世の中は『そういう場所』なんだ
…別に銃はひとりでに踊りださないしさ……ま…いっか。適度な距離感ってのも大事なものさ…声が届かない訳じゃないしね

【自分という人間は銃も含まれていると彼は言う。暗にわかっているであろう事だが彼はそういう人間だ】
【だから受け入れろとも拒絶しろとも言わない。まあ、のんびり行こうそんな雰囲気だ】
【彼の気の抜けた性格は多少なりとも銃に対する嫌悪だとかそういうものを中和させることができただろうか】

445名無しさん:2014/02/24(月) 17:16:30 ID:buu1lXlY0
>>444

【硝子玉みたいに丸くてつやつやとした瞳も、こんな西日の中では少しだけ表情を変える】
【色のある光を受けて黒色も赤色もほんのりと色合いを変えていた、いつもよりも温かみのある色へ】

あげたよ、あげたの。オレンジのね、とっても美味しかったんだよ――、バレンタイン。

【銃に気付いてしまった後なら言葉がほんのちょっぴりぎこちない、ふらと視線が泳いで】
【両手をぴったり合わせて口の前に添える、直後にそっと指を絡ませて、今度はおなかの前に落としながら】
【それでも一度にっこりと笑ってみせた、彼が思い出せなかった名前も、そっと付け足しながら――、】

……うん、でもね、苦手なの……見てるだけで、じりじりする……。

【へにゃと笑顔も萎びてしまう。それなのに曖昧に笑みの色を残すから微妙としか言えない表情の中】
【ここがそういうそう言う場所なのだとは分かっている。ここに居る彼がそういうひとなんだというのも理解できる、ただ、】
【どうしたって苦手意識だけが取れなかった。じとりと睨むような視線を腰元にやって、――】

とっても喜んでくれたんだ、それでね、いろいろお話して――、
そうだ、……ヒライは誰かにもらえたの? 何か持ってたらね、あげても良かったんだけど……。

【――できれば気にしないようにするらしかった。ついと無理やりに逸らした視線、彼の顔を向いて】
【一瞬途切れた話を繋ぎなおす、或いは、朗らかな話題にすることで、気を逸らそうとしたのかもしれず】
【やがて尋ねる言葉があった。つまり、ヒライは誰かにチョコレートをもらえたのかと――尋ねて、】
【――ぱたとスカートのポケットを探す仕草があった。残念ながら空っぽ、あげられるものなんて、なかったけれど――】

/すいません、ちょっとご飯食べてきますー

446名無しさん:2014/02/24(月) 17:19:32 ID:1WzZKwog0
>>442
【高まりゆく緊張感。かつての姿を取り戻したばかりの公園が、震えているかのようだ】
【大男も、彼女が見た目通りの少女とは思っていなかった。どんな場合も油断は禁物】
【病人の少女に敗北する、などということも、ありえない話ではないのだから】

そうかね。あらゆるメディアで、大々的に報道されているようだがな
〝読んで〟……? それも能力か、あるいは己で磨いた感覚か……?
なるほど、鋭いというのも考え物だな

ああ、見たこともない力だ。実に興味をそそられるね
私は、今の現象だけでも、稚拙とは思えないのだがな

【声色は、儚いほどに響き。対称的に言葉はしっかりと確立されている】
【黒ずんで歪んだ大男の両耳には、過ぎているとすら言える音色】
【視線を落とす彼女に、嘘はないようだと再確認しつつ】

【それでも浮かべて見せる微笑み、気丈とも希薄とも取れるその笑顔。そこへ割り込む、侵入者たちの気配】

(あの表情……今はともかく、少なくとも戦闘者としての経験はあるらしい)
(あの目は、まだ死んだものとは思えないな……)

……ああ、ご親切にすまないね

【言葉少なに返しつつ、大男の一つ目が彼女のソプラノ色のそれと空中で交錯する】
【さりげなく後ろに隠れる彼女に向けた視線を切り、大男が完全に足音の方へと向き直った】


【現れたのは、若い男女が7、8人。着崩した服はあちこちが汚れ、染めた髪が路地裏に浮かび上がる】
【見開かれたような目には、路地裏をうろつく者特有の凶暴性と酷薄さが浮かんでいた。見れば、真新しい返り血らしき跡も見える】
【下品に笑い合いながら公園に入り込んできた彼らが、二人に気付いた。下卑た笑い声が上がる】

〝へ、へへへ、なんだこのおっさん。バケモンかよ。おおい、これは俺の幻覚かあ?〟
〝いや、俺にも見えてるぜ……でっけえなおい〟
〝アハハハ、おじさんこっちむいてえ〟

【最初に目に入るのは、やはり大男のほうだった。薬でもやっているのか、異形を見ても動じた様子もなく】
【その一つ目に、携帯端末のカメラなどを向けていた若者たちが、その背後の少女に気が付いた】


〝おお……? へ、へへ、おっさんいい女連れてんなあ〟
〝女? 女……〟〝お、かわいいじゃあん?〟
〝なあ、おっさん。そいつ、くれよ〟

【一番前に居た一人が、返事も聞かずに動き出す。その手には、すでにナイフが握られていた】
【それを、大男の腹目がけて突き出した。突き出そうとした。その手が、大男の太い右腕に掴まれた】

〝ああ!? おい離せおっさん、いてえだろ……ぎゃあああああああ!!!〟

……この女は、私の連れでも何でもない。余計なことをしなければ、くれてやったのだがね
こうなっては仕方あるまいな


【大男は、一切の情け容赦なく動いた。掴み上げた男のナイフを持った方の腕に、鋭い牙で噛み付いたのだ】
【肉を噛みちぎられて、男が地面に落ちた。残りの若者の表情が怒りに歪む】

〝てめぇ……!!〟

【一斉に武器を取り出す若者たち。ナイフ、スタンガン、粗悪な改造銃、など】
【だが、大男の方が早かった。口を開くと、その奥から赤黒く太い舌が伸びて来たのだ。大男の有する異能】
【銃を持った男が腕を絡めとられ、引き倒される。悲鳴を上げて飛びのいた背後の女に、大男の拳が叩き付けられる】

【その隙をついて、一人の若い男が紫苑色の少女の方へと動いた。この期に及んで彼女を襲うつもりらしい】
【電撃を発するスタンガンを突き出して、少女の首筋へとその手を伸ばそうとするだろう】


【大男は目の前の残りを排除すべく動いている。紫苑色の少女の方へ向き直ることはない】

447名無しさん:2014/02/24(月) 17:36:10 ID:gzU3mgN20
>>446

【一音一音に意味を篭める、無意味な音など無いように】
【そうして研磨される和音の果て、響く旋律は深く、それでいて荘厳】
【目を瞑って聞いたならば、脳裏に情景が浮かんでしまいそうなぐらいに饒舌な風】

【――――――声が震えるよう、呼吸の拍動がその音を早める】
【現れた男女、異常性を剥き出しにする様子に、横顔に怯えが浮かぶ】
【服の端を掴む手、それが強くなって、また弱くなった】

【気がつけば目の前に居た貴方が、走りだしていた、一片の無駄なく舞う男の姿】
【巨躯の刻む轟音と跫音、その姿はどこか雄々しくそれでいて、軽やかで】
【躊躇なく容赦なく他者を傷つける様子は、明らかに〝慣れていた〟】

【固唾を呑んで見守る彼女へと、近づく影一つ】
【視線が動いた、その瞬間に、男は機敏な動きで彼女へと接近するのだろう】
【首筋へとスタンガンが触れ――――――そして】


……他人を傷つけて、襲うこと、そんなものの為に、命を使わないで下さい
戦うこと、殺すこと、もう、そんなの……そんなの!!沢山です!!

〝Dead Memories〟――――――!!


【首筋にスタンガンが触れても尚、彼女は倒れない、何らかの方法を使って無力化したのだろう】
【彼女の返す言葉、胸の奥底から振り絞ったかのような、声】
【それは彼女の前方、争いを続ける貴方にも、届くかもしれない音】

【白百合が揺れる、白磁の指先はピアニストのように細くしなやかで】
【手袋に包まれた柔肌が白鍵を叩くように乱れたなら、白銀が日差しを浴びて煌めく】
【幾重にも輝く銀閃、若い男の視力では、影を追うことすらも困難な程】

【彼女が一歩前に出て、右の手を手元に引く、その刹那、男の身をワイヤーが拘束するだろう】
【彼女の指先を離れたワイヤーは既に男の身に絡みついて、縛り上げている筈だ】
【錯乱した一般人程度であれば、これで無力化できるだろうか】


――――――そうだ、あの人は……大丈夫、でしょうか……!!


【男を拘束できたなら、ぺたんと座り込む、鳶座りの体勢、右の手でケープの胸元を抑える】
【肩で呼吸をする表情、小さな背が何度も何度も揺れて、乱れた呼吸のリズムを唄う】
【あまり派手な動きが出来ないのだろう、何度か咳が呼吸を乱す】

【それでも心配するのは貴方、目の前で戦い続けるであろう貴方】
【立ち上がり顔をあげる、心配そうな横顔が憂いの色に染まったなら】
【絡みつく足元、あっ――――――という声もそのままに、前のめりに倒れこむだろう】

448名無しさん:2014/02/24(月) 17:38:12 ID:nHw81SMw0
>>445

【彼は眠そうに首を掻きながら、彼女の話を聞いて】

あーそう、それ。それだ…バレンタイン………オレンジ?…酸っぱいの?

【一つ悩みは解決したのだが次はオレンジのが謎になって頭のなかでもやもやと埋め尽くした】
【なんとなくぼんやりとしたものが浮かんだがそれは果物のオレンジっぽいので自分の中で不正解を出す】
【気の抜けたままの彼も相手が銃を気にしないようにしているのを気にしないようにして話を続ける】

ま、仕方ないさ……気持ちのいいもんでもないしね……俺だって好きなワケじゃないんだ
…まー……色々あるんだけれど……五月蝿いし、当たんないし…お守りみたいなもんさ
気にしないで、ま……よろしく頼む

【いつもならスーツなので上着で隠していたのだがただいま仕立て中でこれから取りに行こうってところでだ】
【運が無い自分にガッカリしたが、大体運が良かった試しもないと後々思い返した】

うん……そう…良かった。…俺がなんかしたわけじゃないんだけどね。…いいものはいいしさ…ね?
……俺?俺かぁ……チョコは貰ってないかな……もっと複雑なもんなら貰ったのかな……なんだろ
…んまあ、チョコはいいよ。食べるけど…進んでってほどでもないし……酒のツマミになるモノのほうが良いかな?

【なんだか歯切れの悪い感じである。言葉を濁しているというより、彼も丁度良い言葉が見当たらないという感じだ】
【というより理解しきれていないというんだからそれよりももっと質が悪い。そして、見た目通り甘党というわけでもなくて】
【アタリメがいいかなあなんてニヤリと笑いながら言っているのだった】

449名無しさん:2014/02/24(月) 18:01:22 ID:buu1lXlY0
>>448

【彼女もはじめは眠たそうだった。それでも、見知った顔に出会えばいくらも元気は出るもので、】
【まだ少しだけ余韻は残るけれど――とりあえず、会話するのに不都合のないぐらいには、元気だった】

オレンジを砂糖で煮て乾かしたやつにチョコを掛けるの、オランジェって言うんだよ。
セシルは甘いものが苦手だから……だから、甘くないチョコレートにしたの。

あんまり酸っぱくないよ、皮がね、ちょっぴり苦くって――おいしいの。

【オレンジのチョコレート。どんなものなのかわかっていない風なら、そっと補足の説明を足していく】
【まあ手間の掛かったもののようだった。だいすきなひとの好みまでを考えた、取っておきのバレンタイン】
【おいしいんだよと告げたなら、いつか食べてみてとオススメするようでもあった。その日が来るかは、不明でも】

【「うん……」と少しだけ元気なく頷いた、銃があるから帰りますというのも、相手に失礼な話だろう】
【それをしないぐらいには前向きに頑張ろうという気持ちがあるようだった。それなら、こくんと頷くのが精一杯】
【それでも見ただけで泣きじゃくって話にならないというわけでもない。話が出来るなら、きっと大丈夫】

……複雑なもの、? なんだろ、知恵の輪とか……、……バレンタインに、もらったの?

あれ、……でも、ウイスキーとかはチョコで飲むんでしょう。ウイスキーは嫌い?
わたしね、ウイスキーの入ったチョコなら食べたことあるけど、結構好き――かな、

【それは物理的に複雑というだけで、言葉に詰まるようなものでは無いのだろうが――彼にだって分からないもの、分からなくて】
【何か複雑なものを貰ったのだろうか。そう尋ねる仕草、首をかしげる頃には、ざらざらと長い髪が揺れている】
【チョコレートをツマミにするという話は聞いたことがあった。やったことはないけれど――まあ、アタリメのほうがいいだろうとは思いながら】
【あの味なら飲めると思った。本物のウイスキーに手を出したことはないけれど、なんとなくそんな風に思うのが、子供っぽく】

【――まあ、それでも。甘い甘いチョコレートを食べるならホットミルクのほうが好きな性質だった。お酒というのも、あまり似合わない性質だったのかも】

450名無しさん:2014/02/24(月) 18:07:59 ID:3HA7Kbp60
>>443

【「そうかい」とだけ呟いて、自分の撃った火炎弾の結果を見てその後の行動を考えようと】
【しかし、見えた事実は彼女の予想の右斜め上を行くものであった】

『―――はぁ!?受け止めるって普通あり得ないでしょ…どんな神経してんのさ…!』

【受け止められた瞬間を見た時、少女は目を疑った。少しずつ再生する怪我を見たなら、余計に】
【それと同時、小細工は通じないということを確信する。少女にとっては癪な言いぶりも、嘘ではないらしい】

【成程、ただの人間ではない―――否、正確には「人間ではない」のだろうか?】
【人間にあれほどの再生力はないし、熱に耐え切るような精神力を持つ人間なんて稀だ】
【能力か、それとも根本的に違う何かなのかは分からない。ただ一つだけ分かるのは、目の前の男が強い…ということだ】

【少女にとって分かればいい事実はそれだけ―――まずは、再生が間に合わぬ程の火力で攻めるという作戦を決め】

『――――――――――――――ぐっ…言ってなよ、どうせ後で後悔するんだ…!』

【右へと体を傾けるようにして、放たれた竜巻をかわす―――がしかし、タイミングがずれた】
【やや無理な体勢を取った上、竜巻が体を掠め、少しだけ気流に体の自由を奪われてしまう】
【それは大きな隙であった―――がしかし、少女自身はまだ男だけを見据えて攻め続けようという魂胆で】


『神よ、我が声に自然の加護を―――――!』


【人差し指を喉につけたまま、何時も通りの話術で謡われた呪文らしき言葉】
【声が赤色の魔力へと変換されて、炎を生み―――気付けばそれは高温の「火炎放射」となる】
【強い魔術の割にタイムラグは余りない、が…やはり軌道は直線状、避けられやすいのは事実である】

451名無しさん:2014/02/24(月) 18:17:27 ID:1WzZKwog0
>>447
【大男は、もはや彼女を見ていなかった。たかがチンピラとはいえ、数はいるし容赦もない】
【そちらにまで意識をむける余裕も、そのつもりもなかった】
【彼女の震える声も早まる鼓動も、怯えも服を掴む手も。意識のうちに入れるのは、終わった後】


〝ああ!? 説教のつもりかよお!! いいからこっちこいって……うお!?〟

【若い男は、目を剥いて叫んだ。またいつもの薬による幻覚かと疑った】
【スタンガンを確かに叩き付けた、にも関わらず彼女は立ったままだったのだから】


【彼女の言葉は、濁り切った若者たちの心に届くことはなく】
【それを聞いたのは、血だまりの上に立つ大男だけだった。振り絞られる声。悲しげな、それでいて力強く】

【若い男は、彼女の優雅なまでのワイヤーに抗うべくもなかった】
【ただ、沈みかけている陽光の反射を見ただけ。次の瞬間には、わけもわからずその身を縛り上げられていた】
【振り向いた大男の一つ目は、閃く銀光を捉えていた。が、それでも動きを追うのがせいぜいだった】


【若い男が地面に縛り上げられて、彼女が座り込んで視線を向ければ】
【そこには、すでに動きを止めている大男の巨躯があるだろう】
【足元に倒れ伏す男女は、全員が身体のどこかを食い千切られ、凄惨な傷口を覗かせている】
【まだ息はあるらしいが、このまま放っておけば出血で死ぬだろう】

【一つ目が、激しく呼吸を乱して、それでも憂いを秘めた表情でこちらを心配さえする彼女へ】
【立ち上がり、足をもつれさせて倒れ込む。病に冒された身体にはこれでも酷な戦いだったか】


……先ほどの口振り。今の動き。やはり、只者ではなかったな。戦歴も浅くはないはずだ

多くの争いを知り、私やこいつらのような者が、どれほどのことをしているかも知ってる。そうだな?
それでもなおそう言えるのか。私を気遣うような真似さえしてみせるのか

……興が削がれたな

【若者たちに止めを刺そうとしていた大男が、その動きを止めた】
【ゆっくりと少女の方へと歩みより、やはり距離をとって立ち止まる】


……お前の所属と名前は?
私は、カニバディール。カノッサ機関の現No.29だ

【重々しい声で、少女に問いかけた。返り血に塗れた、醜悪な姿で】

452名無しさん:2014/02/24(月) 18:31:18 ID:gzU3mgN20
>>451

【倒れこんだ少女の姿、ブラウスには汚れが着いて、その白を穢す】
【頬についた汚れを拭おうともせず立ち上がるのだろう】
【向ける視線、弱々しい体つきでも、その瞳だけはどこまでも、澄んで――――――】


……元?Justice?構成員
シオン=エルミオール=オルテンシア

?機関?のナンバーズだったんですね、どうりで……強いのですね
……どんな状況でも、どんな人でも、誰かが傷つくことも、死ぬことも嫌なんです


【紡ぐ彼女の言葉、そこに響くのはかつての正義を冠した組織の名前】
【?機関?と剣を交わした事は一度や二度ではない、彼女自身も参加した経験もある】
【それでも尚彼女は語る、傷つくこと死ぬこと、それが誰であっても、嫌だと】

【吹き抜ける風、夕暮れの色滲む、やがて告げる宵闇の表情】
【冷たい風は病弱な身には辛く、その頬の色をまた、薄めていくのだけど】
【紫苑色の髪に溶ける、あわやかな表情だけは、色を失ってはいない、から】


――――――ごめんなさい、少しだけ面倒、お願いします
?Dead Memories?――――――!!


【見上げた彼女の瞳、映る貴方の姿は返り血に塗れた姿】
【それでも彼女は微笑んでみせた、紋白のように柔らかいほっぺたの彩り】
【手を伸ばせば掻き消えてしまいそうな笑みだけど、確かに――――――】

【刹那、周囲を先ほどのような光が包む、消えたなら、そこには?傷一つ無い?男女の姿があるだろう】
【否、正確に言えば貴方もだ、返り血が消え、汚れ一つなくなっている筈であろう】
【しかし?回復?したわけではない、受けたダメージや疲労は身体に残っている】

【つまるところ?綺麗にした?だけなのだ、それだけでも、出血死は防げる分、男女にとっては十分だろう】
【刹那、彼女の身が崩れ落ちる、前のめりに再び倒れこむ様子、このままいけば、貴方へとぶつかる形、だが】

453名無しさん:2014/02/24(月) 18:32:37 ID:nHw81SMw0
>>449

【黙って話を聞きながら、もやもやとしたオレンジだったものが高級そうなチョコレートにイメージが代わっていく】
【それでもまだなにか遠そうな物体なのだがその想像を見られることはない。完成度6割といったところだ】

へえ……なるほど……マーマレード見たいな感じかな……それは良さそうだ…そうか
……なんか……へえ……色々考えるもんだなあ…

【チョコ業界に感心しつつ美味しいというなら美味しいんだろうというような感想で】
【そうは言われても素直にそんな美味しいものをくれるような相手は割りと広めに考えても居なかった】
【まあ、食べたいなら買えばいい。見かけたら買ってやろうと微妙に趣旨から外れた結論に至った】

あー……なんだろ……知恵の輪の方が簡単かな。…あれは答えがあるわけでしょ?俺の場合は
答えがないって結論出てから……答えを探さなきゃならないんだ。…なにか貰ったんだけど、何なのかはわからない
…でも、貰ったのは確かなはずなんだよ……ま、いいさ

【いつかみつかるさ。なんて脳天気ななげやりは彼の十八番である。不確かなんだけど絶対な自信があるようなそんな雰囲気】
【尋ねたところでなんの理由もないんだけれど完全な理論よりも信頼できる直感みたいなものが見え隠れしている】

ウイスキー…飲むよ。飲むけど…ねえ……ヘッへ、まあ…そんな上品な飲み方はしないかなあ
わーっと飲んでうわーって酔っ払って、そんで寝るか…ビールに変えるってかんじだから

【ちょっとばかし恥ずかしそうに笑っている。こんなところでだけ恥ずかしがる彼も彼だ】
【その様子じゃあたりめの方が良さそうだし、それよりもメインのアルコールを上げたほうが良さそうだ】
【酒なんて酔っ払うために飲むものだというのが彼の主義で、酒場での口癖でもあった】


/一時間ほど離席いたします。すみませんがお待ちいただくか
/いい感じに切り上げてくださいませー

454名無しさん:2014/02/24(月) 18:34:45 ID:CKwgAcf.0
【ヤーツァタウン――の端から西へ大体1km離れた所】
【最寄りの街は水の国、それも高層ビルは幾つかあれど大した発展のしていない場所で】
【しかも、そこですら20〜30kmは離れているという……まあ、辺境としか言い様がない】

【ここは草原。鬱蒼と茂る緑達は活き活きとしていて、穏やかな香りの風が流れていて……と、それはさておき、こんな所に何かがいたのだ】
【それは黒い外套を羽織っている、コワモテで奥二重でエルフ耳の、男にみえる者だった】
【身長は約2mの、筋肉質な細身で、黒い白目と血の様に真っ赤な虹彩を持ち、ボサボサとしている長い黒髪だ】
【上下共に長袖黒ジャージを身に着けていて、首に紫色の毛のマフラーを巻いており、手袋や靴下も紫色だ、靴は黒】

「あァ、……OK、後8nm南な……こォこかァ?」 「よォし……」

【その者は見えない何かと会話しつつ、位置を微調整してからその場所へ瓶詰めされた白い魔力インクで印をつける】
【中心に点が打たれた直径2m程の円(垂れ流し式なので正確ではないが、わりかし綺麗)を描いたそれは、一体何をしたいのかさっぱりわからないが――】

「……よォし、こォこで最後だァな、……どォのくゥらい置ォけばエェネルギーが良ォい感じだァろォーなァ?」
「さァて、準備だ準備――」

「……おォっと、まァーたまァたやァっちまった――まァ良ォいか、直ちでなァくとも影響はねェしな」

【……ぼーっとしていたせいで、一部分にインクがダバダバと厚塗されたりして、ますますなんだかわからない】

/あまり長くはいれません

455名無しさん:2014/02/24(月) 18:36:23 ID:.EYXGKEY0
【とある国―――市街地にて】

【活気溢れる街もまもなく日が沈もうとしているが、その人気はいまだ静まる気配がない】
【悪の存在も度々正義組織の力でねじ伏せられ、誰もがその力を信頼しているからこそかつて以上の活気あふれる街となったのだろうか】
【その街の車道を走るトラックを――――道の真ん中で真っ直ぐ見据える大男がいた】


「―――――指定の輸送マーク発見だぜぇ、あのトラックで合ってるな……そんじゃあ暴れるとするかよぉ!!」


【突如、その男の顔に獣の文様が浮かび上がったかと思えば――――次の瞬間男の体が異様な形に変貌した】
【ただでさえ大柄な体躯は一回り大きく、その筋肉は肥大化し、皮膚は通常の弾丸をも寄せ付けぬほどに硬質化していく】
【そしてその頭部からは二本の角が生え、まるで牛の様な顔面へと変貌、そしてその腰部分には逆五芒星のバックルがくっついている】

【まるで大牛と人間を足して二つに割ったような異形の"怪人"が現れると同時、そのままトラックめがけ正面衝突する――――!】


『う、うわあああああああ――――――――――――――ッ!!』


【ドゴォンッ!!という轟音と共に真っ直ぐ走っていたトラックが無理やり停止してしまう】
【そしてその牛の"怪人"が無理やり力技で向きを変えると、そのまま車体は無理な挙動で横に倒れ込みながら近くの建物に激突した!】

【だが牛の"怪人"はそこで止まらない、そのままトラックに近付くと横たわったトラックの運転席の位置に立ち、無理やりドアをむしり取って運転手の胸倉をつかみ引きずり出す】


「このトラックをよこしなぁッ!!トラックもろとも積み荷のレアメタルはいただいていくぜぇ!
ブレンヒルトお嬢様が必要って言ってるんだからよ!痛い目見たくなかったらおとなしくキーをよこしやがれてめーッ!!」

『や、やめてくれ!い、命だけはどうか……!』


【牛の"怪人"は運転手から彼が運ぼうとしていた積み荷を強奪するため、力技でねじふせてトラックごと奪い取ろうとしているらしい】
【積み荷を開けるためのカギをひったくり、運転用のキーが刺さったままなのを確認すると、彼は運転手を力任せに投げ飛ばし、馬鹿力でトラックを起こそうとしている】
【投げ飛ばされ、建物に叩きつけられた運転手を見て恐慌状態に陥る民衆たちだが】

【皆は見る、その運転手を叩きつけたその建物が誰もが知る正義組織、『UNITED TRIGGER』の酒場である事を……】

456名無しさん:2014/02/24(月) 18:46:49 ID:Ma6AGWLw0
【―――風は、どこから吹くと言うのだろう。】
【冷たい風が、全ての温度を奪っていく。街や建物の、そして人間の体と心の温かさをも】
【全てを凍て付かせるように厳しく、悲しく吹き荒ぶ。冷え切った風は、一体どこから吹くのか。】
【探せど訪ねど、其処には風があるのみで。彼等が何処から生まれるのか、それは彼等にすら分からなかった。】 

【―――その名を"風"と言う、この国土の端に住む者にさえも。風が何処から吹き、何処へ去っていくのか、知る物は居ない。】
【今日もまた、寂しい温度を響かせて。夕闇が降りてきたこの地にも、冷たい風が吹いていた。ぴゅう、と吹き付けガラスを鳴らす。】
【揺れる暖炉の火が窓辺に移り、正面の大通りに影を下ろす。温かな光が宿るその『店』もまた、どこか静かに息吹を受け容れていた。】

 ―――ええ、了承しています。その件でしたら、明後日は決着がつくかと思います。
 それから例の襲撃予告ですが、―――そうですそうです、一部では噂になっている"アレ"ですね。
 あれの対処についてですが―――……

【古びた外観のその店は、酒場のようにも見えるだろうか。しかしながら、店内には生真面目な書類や資料が散らばっており】
【どういう訳か"事務所"のような印象を、見る者に与える事もあった。総じて言えるのは、現在客が賑わっている事は無い、と言う事】
【只一人、デスクに脚―――オールドな雰囲気のダメージ・ジーンズに包んだその長い脚を乗っけて、電話口に何者かと会話をする女が】
【"はい、はい"と相槌を打っているだけであり―――それ以外には、風の音以外には何も聞こえない状況であった。静かな、時間が過ぎる】
【やがて電話を終えたその女は、暖炉の火を消し店の外へと出る。看板の向きを変え、"パトロール中"という表示に変えると】
【特徴的なテンガロン・ハットを深く、被り直して。店の中へと再び戻って行った。どうやら今日は閉店、らしい。】
【そのまま女が店内を通り抜け、裏口へと歩を進めると、唐突に響く機械音―――ゴォンという鈍い鉄の音が響き】
【やがて彼女の姿は地下の世界へと消えていく。暗闇を通り抜け、視界に広がった基地と呼ぶ他ないその施設に、舞い降りた。】
【止まることなく、食堂らしき場所へと彼女は向い、一つのプレート―――ホットサンドとコーヒーが乗ったそれを手にすると】
【少しだけ神妙な面持ちで、ブルーとも翡翠とも見て取れるその神秘的な瞳を閉じ、息を吸い込む―――覚悟を決めた様に、彼女は】
【"監禁室"―――と、そう書かれた部屋のドアを一度、二度とノック。返事があるかは分からないが、彼女は内へと踏み込んだ。】

 
 ―――……こんばんわ、って言ってもまだ夕方だけど。
 今、少しお話をする時間はあるかな? ―――月彗、さん。

【―――女の名を、恐らく貴方は知っているだろう。一度はあの強大な魔を相手に、共闘もしたのだから。】
【セリーナ・ザ・"キッド"は珍しく、彼女にしては本当に珍しく―――少し複雑な表情で、ドアの前に佇んでいた。】 

/予約ですー!

457名無しさん:2014/02/24(月) 18:53:42 ID:buu1lXlY0
>>453

【彼の脳内で変わっていくイメージなんて知りもしなかった。ただ、何となく通じればいいだろうなんて、思考】
【そもそも輪切りのオレンジだとか大切なことを言わなかったのだから、きちんと伝える意思は薄かったのかもしれない】

作るのが大変なんだよ、それこそ一週間とかかかるの……でもね、その分とっても楽しいから。
今度暇だったら作ってみたら――? バレンタインの本とかにレシピ書いてあるよ。

【持っていたらあげもしたのだけれど、とは余談。けれど流石に手作りチョコを持ち歩くような類の人間ではなく、それなら、】
【想像にお任せしつつ彼自身に見つけてもらう他なかった。というわけで、最終的には彼に丸投げになってしまう】
【一週間掛かるといわれて作りたくなるのかどうかは謎。洒落たケーキ屋なんかにはあったりするから、それを狙うのがきっといい】

……? そんなに変なものを貰ったの? よく分からないけど……、……わたしで良ければ、一緒に考えるよ?
いいならいいけど……、……そんな不思議なもの、誰がくれたの? 特別なのかな――いいなあ、

【そっかーなんて顔をしていた。彼がそういうのならそうなんだろう、きっと答えだって、いつか見つかるはずで】
【猫の手ぐらいには役に立てるだろうか。こっそりそう進言しながらも、ただ、本当は興味本位からだったのかもしれない】
【そんなに分からないぐらいには特別なものなのだろう、羨んで見せた風なのは――くすりと、ちっちゃな笑みと一緒に】

そうなの、? ……飲みかたとかよく知らないの、セシルと一緒に飲むのがほとんどだから……。
一緒にお喋りしながらね、ちょっとずつ飲むの。そうじゃないとね、わたしは平気なんだけど――、

【お酒は嗜む程度には飲む。けれど、だいすきなひとと飲むばっかりで、ひとりでとか、他人ととか、それがない】
【それはそれで楽しくってだいすきだけれど、少しだけ他の飲み方にも興味があった。ぱちりと瞬いて、続く言葉は】

……ねえ、楽しいお店とかって知ってる? わたしがひとりでいてもおかしくないようなところ――。
まだ夕方だけど……ちょっとだけお酒、飲みたいな。ヒライも一緒に行く?

【――ほんの少しだけ興味を持った。それは彼がお酒を飲むところにかもしれないし、彼の知っているかもしれないお店にかもしれないけれど、】
【精々が高校生ぐらいの外見をした彼女が言うのだから少しだけ難しい注文、成人済みにはとてもじゃないけれど、見えない】
【それでもどこか知っているなら教えてやるといいだろう、そんな気分になってしまった気紛れに、そんな誘いまで投げて】
【彼女はひとのものだけれど、――まあ本人が誘っているのだからそれぐらいなら許されるだろう、ちょっと首を傾げて、返事を待った】

/了解ですー、お待ちしております!

458名無しさん:2014/02/24(月) 18:55:42 ID:7w00KprU0
>>435
/まだ募集中です。あと一時間くらい粘ってみますー

459名無しさん:2014/02/24(月) 19:04:19 ID:1WzZKwog0
>>452
【こちらへと投げかけられるその目は、澄み渡る強さを備え】
【汚れた姿で立ち上がる彼女はしかし、どこまでも美しかった】
【わずかに、大男が一つ目を細める。直視するには眩しすぎる、と言わんばかりに】


元〝Justice〟……なるほど、腕が立つのも道理だ
お前の仲間には、私の手下たちともども、幾度か手ひどくやられたよ
識槻 朔夜と谷山 基樹……それに、あのロボメイドもお前たちの関係者だったか

どんな相手でも、か……私がこの先、多くの命を踏みにじるとしても、か?

【Justice。その組織のことは、大男も知っていた。今となっては姿も見ないが、かつては正義の旗頭だった組織】
【その関係者と刃を交えたことも数度。そのいずれもが、恐ろしいほどの実力者だった】
【眼前の彼女もそうであることは間違いない。だが、今までの誰とも違う信念】

【闇がこの場にも降り始める。誰であっても、止めることのできない時の流れ】
【吹き抜ける風が、死臭と冷気を運んでくる。それでも、色を失わない彼女の表情】


……ああ。構わないとも

【静かに、そう返しつつ。彼女がすべてを光に包み込んでいく様を見つめる】
【若者たちも、自分すらも。自分が、機関員だと分かったうえで】
【やがて、全てが終わる。悪漢どもの身体からは、全ての悪行の痕跡が消滅していた】
【受けた苦痛と疲労のために、若者たちは動けずに呻くばかりだが。少なくとも、一命はとりとめた】


【それが終われば、彼女はゆっくりと崩れ落ちる。自身の身体にぶつかりそうになった彼女を】
【大男はその太い両腕で支え、地面に倒れ伏すことを防いだ】

……私は救いようのない悪党だ。しかし、自分が受けた恩は忘れない
私の服はしょっちゅう汚れるのでね。綺麗にしてくれたことには、礼を言おう

【彼女の身体を地面にゆっくりと横たえようとしつつ、大男は携帯端末を取り出した】
【かける先は、警察・自警団と救急。この場に倒れた若者たちの回収と、彼女の搬送のため】

【かけ終えれば、彼女の様子を見た上で、なるべくその柔い身に刺激を与えないよう】
【彼女から離れようとするだろう。自分のいるべき穢れた世界へ戻るために】

直に、警察と自警団、それに救急が来るだろう。私はここに留まるわけにはいかない
それまで、持ちこたえていられるかね?

460名無しさん:2014/02/24(月) 19:06:03 ID:evZhySE20
>>456

【薄暗い部屋の奥の寝台から何者かが立ち上がる気配があった。一歩、二歩とその影が歩みを進める毎に輪郭が鮮明になっていく】
【運ばれてから数日の間は酷い奇形の姿だった。恐らく相手もそれを目にしただろう、これが月彗と言われた所で頓に信じ難い程】
【真偽はともかくとしても此処へ収容された芋虫のような醜い肉塊は、今確かに相手の眼前で、人の姿を成していた】

……お久しゅう。件の半魔の時以来、やな……セリーナ。

【櫻の喪服を纏った若い男。肩口で切り揃えた白髪に、青藍色の燐光を零す漆黒の彼岸花を挿し】
【彫像めいていやに整った相貌の、冷え切った剃刀に似て鋭い葡萄色の双眸を、ただ静かに相手へと向ける】
【既に名は承知の上、そも一度二重スパイたる彼、悦那の記憶を介してある程度の情報を得ていたのだから。だが、】

こんな大層な地下設備があったとはな……、あれから抜いた情報には無かったんやけれど。
途中から気付かれとったんやろうな……、攪乱の為に、意図的に記憶を偽装したんやろ。死人の癖にようやるわ

【悦那から抜いた情報にはこの設備の情報はなかった。だからこそ、かつてベイゼ奪還の際、機関は此処の事に気が付かなかった】
【そこだけは、悦那が守り通したという事か。其れだけ話せば静かに押し黙る彼は、相手の言う「話」が来るのを待っていた】

/よろしくお願いします!

461名無しさん:2014/02/24(月) 19:22:37 ID:Ma6AGWLw0
>>460

【部屋の前で一瞬、入るのを躊躇したその理由。息を吸い込み、覚悟を要したその要因。それは簡単な事だった。】
【運び込まれて直ぐの彼は、多くの戦を見てきたセリーナですらも、とてもではないが平然としていられない程で】
【今、再び扉を開けて彼に相対した時、組織の頭として相応しい態度が取れるか、そういった緊張も含まれていた】

【―――が、どうやら心配は杞憂で終わった様で。セリーナは少しだけ安堵したような表情を見せるだろう。】
【それもその筈、自分には彼を治療する技術等無いのだから、こうして自然に回復してくれるのを待つ他無いのだ。】
【今現在、理由はどうあれ人の形を成している彼を見てしっかりと眼を見開き、セリーナはようやっと言葉を紡いだ。】

 ―――そうだね、お久しぶり。敵同士ではあったけど、あの時はありがとう。
 改めて御礼をさせて貰うよ、リリアの命を、奪わないでくれた事も含めてね。
 ―――……一緒に戦ってくれて、心強かったよ。ありがとう月彗さん。

 さて、色々と聞きたい事もあるし、それにお腹もすいたでしょう?
 これ、アタシの手作りだからヘタッぴだけど、よければ食べてくれると嬉しいな。
 あ、コーヒーは流石に自信あるから、そっちは期待してくれていいよ! なーんてね。はい、どうぞ。

【まずは、共に武器を取ってくれた事に関して、感謝の意を述べる。当然だ。あの場に居た全員が、あの場では仲間であったのだから。】
【勿論、その後の諸々で仲間へと攻撃を加えたカニバディール等を、許す事は出来まいが―――それでも、それはそれ、これはこれだ。】
【確かに敵であった月彗にも、"ありがとう"、とそう言って。頭を下げ、プレートをテーブルへと置くだろう。食すも食さずも、自由だ。】


 ……ふふっ。そうだね、悦君はとっても強い人だから。そう簡単には、人を裏切る事はしないよ。
 アタシと別れるあのときだって、彼はずっと―――……ずっと、悲しい眼をしてた。
 でも、彼はきっと負けないんだ。アタシはそう信じてる。いつか、帰ってきたらアタシが一発、殴ってあげなきゃだしね!

 ―――それで、聞きたいのは主に貴方と、そして悦君の事なんだ。
 貴方達がどういう関係で、一体どういう人生を歩んできたのか。
 そして今、悦君が何処にいて―――もっと言えば、貴方も今後、どうしていきたいのか。

 重要な話なんだ、食べながらで良いけど―――偽らずに、応えてほしい。

462名無しさん:2014/02/24(月) 19:27:59 ID:gzU3mgN20
>>459

【支えられる彼女の身体、貴方の腕の温もりは、血に塗れていたとは、思えないほど】
【でも実際は、貴方は彼女にとっての敵であるのだから】
【吹風は一葉、巻き上げる言の葉の裏、意味すらも尊い中で】


……私の身体はもう、強くないです、戦うことも殆どできません
でも、命を踏み躙る行為を、見逃してなんて……いられないんです

だから……止めます、貴方が悪の道を進むのなら、私が止めます

……ですから今日は、ありがとうございました
救いようのない悪党に、私は間違いなく救われたのです


【横たえられた彼女、上半身だけを上げて、ぺたんと鳶座りの体勢に移行する】
【左手はケープのりボンを握って、小さな背を丸める動作は儚さを強めて】
【それでも紡ぐ声色はしっかりと、向ける意味合いを孕んでいて】

【微笑みが零れた、穢れのない少女の微笑み、ありがとうの意味を込めた色】
【紫苑色の乱れる白妙の頬、僅かに紅が差したなら、そこには夕焼けよりも深い朱を彩って】
【静かに零す言葉が、いつか貴方に届けば良いと思った】


……ええ、大丈夫です、気をつかってくださって、ありがとうございます
お元気で、というのも……何だか変ですね、貴方は機関の方、なんですから
なのでどうか、死なないようにと……それだけ、送らせて下さい

――――――さようなら、カニバディール


【やがて貴方は立ち去るのだろう、後に残るのは夢の跡の残り香】
【すぅーっと胸いっぱいに吸い込んだなら、生新しい血の香りと】
【確かな質感を持った、貴方のいた残香を確かめることができるのだろう】

【木漏れ日はやがて月夜の灯火へと代わり、揺らめく月光の輪郭を写して】
【月下に彩られる少女の花弁、うつむく仕草は蕾のように可憐で】
【助けが来るまでじっと、今日のことを思い出していた――――――】


/この辺りでしょうか!お疲れ様でしたー

463名無しさん:2014/02/24(月) 19:40:42 ID:1WzZKwog0
>>462
【彼女の身体は、ひどく軽く感じられた。だが、どこまでも尊くも思えた】
【間違いなく、敵同士。だが、この公園においてだけは、そうとも言えなかったらしい】

……度し難いな。だが、それがお前たち、正義という存在だ
いいだろう、止めて見せるがいい。待っているぞ

……そうか。その感謝の言葉は受けておくよ

【重々しく、そして静かに大男は告げた。やはり、あまりにまぶしい者を見るかのようなその目だけは変わらず】
【やはりどこまでも儚く、しかしどこまでも強く。己の醜悪に対するには、可憐すぎる微笑み】
【彼女の微かに紅の差す頬。零れ落ちる言葉。だが、それを目にした途端】
【呻きだす、己の内なる怨嗟の声。自分たちの命を奪った大男を、光に逃がすまいとする声】

【それを心中で一笑に付しつつ、大男は歩を進めた】


それなら良かった
……そうだな、互いに敵同士だ。本来なら、その言葉も似つかわしくないものだろうにな

……お前も命ある限りは生き抜くことだな。さようなら、シオン

【一つ目で彼女を見つめ、やがて踵を返す。奇妙な邂逅を、胸にとどめながら】
【やがて、夜が来る。逢魔が時が近付いてくる。大男の住む時間が】
【やがて来るであろう、助けの足音が聞こえてくる前に。大男は路地裏の闇に消えていった】

/ですね! お疲れ様でした!!

464名無しさん:2014/02/24(月) 19:42:29 ID:.EYXGKEY0
/>>455は余裕がなくなるまでは待ってます!

465名無しさん:2014/02/24(月) 19:55:19 ID:wZp7I0Fo0
>>450

フ……人は未だ神など信じるのか。
救いを求める姿勢はどの時代も変わらんな……まあ、それもまた自由。
今この俺にとって大事なのは、この戦いで勝利することのみ……!

【声を操る能力かと男は頭の中で仮定する】
【呪文の様な言葉によって焔の魔力が生み出され、それが灼熱の火炎放射となって男を呑み込もうとする】
【その攻撃に男がとった策とは】

はアッ……ッ!!

【男の背中から、突如2本の管が突き出る、それは背後の空気を吸い込んで】
【すると今度は男の胸の辺りからまた2本の管が突き出て、吸い込んだ空気を放出する】
【それによって彼の肉体を包み込むように風のプロテクターが出現した】

ッ…………ハッ……!なかなか良い火力よ……!
良いぞ!もっと私を満足させろ……!!

【しかしそのプロテクターを炎はある程度貫通していて、包んでいる男の前面を焦がす】
【それは確かなダメージ、殺すには至らないが、十分な傷を負わせることに成功する】
【だが、男は風のプロテクターを纏ったまま、少女にそのまま突っ込んで行く】

【そして男は焦げたままのその腕を、少女の肉体に突き刺そうとし】
【指が身体の何処かに刺さったなら、その指を通して相手の血液を吸おうとするだろう】
【当然これも、人間の出来そうな技とは思えない】

466名無しさん:2014/02/24(月) 20:01:11 ID:nHw81SMw0
>>457

……いや……俺はいいかな…作るのはちょっと…いや、かなり面倒だし…向いてない
暇は暇なんだけどね……ほら、時間を有効に使うのが苦手というか……そんな感じでさ

【ハットの縁を触りながら苦笑いを浮かべつつ気の抜けた返事をする。まあ、こんな男が】
【チョコレートを作るはずもない。面倒だし小っ恥ずかしいなんて大したことのないそんな理由だ】
【とはいえ洒落たケーキ屋に行く予定もないので偶然に出会うのは相当まれな確率のなることだろう】

……うーん…貰ったといえば貰ったんだけど……まあ、そっちはそんなに問題でもないんだ
…まあ…友達…かな?なんか色々あったのか肺だか怪我しててもう死ぬって言うから
まあ……それは嫌だし、妙薬でも探してやろうってとこなんだけど…これが問題で。…検討もつかん
これだけ能力だとかそういうもののある世の中で一筋縄じゃいかないのかどうなのか…

【何一つパッしない物言いにパッとしない表情を浮かべたまま話をする】
【兎に角、怪我を治す薬だとか秘術だとかは鍵となるらしいがそれもまたぼんやりした目標で】
【いつもよりも多めにこの男は路地裏を各地で歩きまわらなければならなくなりそうな様子であった】

……好きに飲むのがいいとは思うけど……少なくとも、俺のはおすすめしないし良いとも思ってないよ
しょうがないって感じさ……店?楽しい……陽気なとこ?……1人で居ても目立たないぐらい陽気なとこか…
…みんな独りだから誰も気にしないところか…どっちがいい?どっちもあるけど……

【どちらにせよ彼の行くようなところだから立派な店じゃない。金さえ払えば何だって出すだろう】
【とはいえチンピラばっかりのところに送り出すのもなんだ。知り合いの娘――もとい、嫁さんをそんなとこにやっては】
【こちらにも責任がある。男は後者に勝手に決めて、急に歩き出す。数歩歩いて、手招きすればまた路地の奥へ歩みを進めた】

/遅れましてすみません只今、帰りましたー

467名無しさん:2014/02/24(月) 20:12:38 ID:evZhySE20
>>461

……止め。別にそッちの為に戦った訳やなし……、あいつを殺らんかったのは、気紛れや
……手作り……? ……、……ふん

【自分でさえ、あの時何故リリアを生かす手段を選んだのかは分からない。故に言葉を曖昧に暈して濁した】
【そんな状態で無かった事もあり、数日の間食事を摂っていなかった。じとりとプレートの上のホットサンドと珈琲を見遣る】
【暫しの間があってから手近な椅子を引き寄せ、月彗は無言で其処に腰掛ける。相手の側にも椅子は置かれている筈だ】
【それからホットサンドに手を伸ばし、一口囓る。咀嚼し嚥下して、一言】

不味い。

【殴って構わないだろう。適当にそう吐き捨てた彼はそ知らぬ顔で珈琲を口にし、こちらには特に何も言わないままだったのだが】
【その後も悪く言った割にホットサンドを齧っていた。空腹だったのか不味いのは嘘なのか、結局話を聞く間に完食してしまう】
【それから。自分達の事、悦那が何処にいるか、自分がどうして行きたいか。其れを問われれば、珈琲を飲み干してから徐ろに口を開く】

……その、此処を悦那が離れた時。セシルゆう男も、側におったはずや
その時のセシルは操られた状態やった……、あの時、あッちら三人は、レイシーゆう亡霊の支配下にあった
能力を得る代わりに亡霊に忠誠を誓って、好きに利用されて……けれど、そいつがとある小娘に心絆されて。
さんざ弄んだあッちらを放り投げて、成仏したんだか勝手に姿を消しよった。だから今は、何にも縛られとらん

元はあッちらは、泥の街の孤児やった。悦那がセシルを見付けて、セシルがあッちを見付けて。そうして三人で生き延びて来た
それがレイシーに見初められて能力を与えられて、悦那が一人出ていったのもあって、それぞれの道を歩き出した
悦那は泥で革命を目指し地下活動、セシルは幻獣討伐に水のギルドへ、そしてあっちは……機関に付く事で、この体を隠した
機関本部の更に奥、そんな所まで攻め入れる奴なんぞおらんからな……幾ら力があっても、この体が最大の弱点やった

悦那に会いたいなら……、セシルが居所を知っとる筈や。確か、あッちと共闘する前に会うとったんやろ……?
で、……そのセシルとは、あッちが連絡を取っとる。つまり、今此処に悦那を連れて来る事も、可能ゆう訳や

あッちは……、……今は、何もない。
此処に来た理由も、谷山ゆう男に賭けただけの話……
負けたら自警団でもUTでも好きに連れていけ、言うてな。もし奴に勝ってたら、一人で何処かで死ぬつもりやった
さんざ殺して来た……、けれど、恨みは一つも晴れやしない。……もう……、……疲れた

【長い長い話だった。元は泥の街の孤児だった三兄弟が、亡霊に惑わされながらそれぞれの道を歩いた軌跡】
【ただ深い部分では干渉を受けていても、正義を選んだのも悪を選んだのも各々の思いからであって】
【悦那がUTを離れたのも、結局は自分の意思。ただその原因が、目の前の男にあった】

468名無しさん:2014/02/24(月) 20:22:42 ID:F52AoKs20
【水の国――――とある高層ビルの上、一つの人影が存在していた】
【暗闇に煌々と輝く琥珀色の双眸。月明かりが差し込み、その人影の全貌を暴き出す】
【白、だ。その少女を表す言葉は、白という他になかったろう。白いスカート、白いブラウス、白衣という徹底した服装】
【蒼白な肌に、あらゆる色彩が混ざりこむことを拒絶するような、純白の長髪。右耳につけている琥珀のピアスにはカノッサを示す文様が刻まれていた】
【下半身は付随なのか、継ぎ目のない有機的なデザインの電動車椅子に少女は座している】

「ここを落とし、あと4つ。5つを結べば、私の意志は……徹る」

【視界の先に有る、山の奥。そこには、巷を騒がせる琥珀の杭が浮かんでいる】
【目を細めれば、その視線の先で発光現象が起こる。そこにいたカノッサの少女は、ただ沈黙を保ち佇んでいて】
【吹く風に髪を乱されて、女は僅かに鬱陶しそうに、髪を払う】

「Going for the One――――」

【ゆるやかな動作で、天空へと女は右腕を翳す。手の先の空間が歪む】
【区切られ、虚無に満ちていくその世界に、新たな理論が定義づけられ、手のひら大の世界が構築されていく】
【その世界の完成を待つこと無く、女はその世界を握りつぶし。わずかに上気した顔で、己の手に視線を向ける】

「あと、僅か――だ」

【確認するように、ぽつりと零すその言葉】
【触れれば崩れ去りそうだというのに、そこに有れば誰もが忘れぬだろう矛盾を孕む存在感】
【――この場に訪れる闖入者があれば、少女は琥珀の瞳を静かに向けることだろう】

469名無しさん:2014/02/24(月) 20:22:48 ID:buu1lXlY0
>>466

【オレンジ色の太陽がゆっくりと傾げていく、ころころと変わる影法師の長さ、路地裏にだって差し込んでくるのだから】
【そうでない開けたところで見ればきっと綺麗な夕陽だったろう、それが少しだけ残念で――ただ、出会えたことでチャラだった】

そっかぁ、……まあ大変だから。理由がなかったら作るのは大変――かも。

【例えばバレンタインとか、それがよほど好きだとか、彼のチョコレートはそんな理由が必要な類だった】
【ちょっとした気紛れで七日も掛かるのは大変だろう、そう言うのが好きというならさておいて――】
【だから。勧めておきながらもそれに対して不機嫌になるだとかそんなことはない、ただ、ぼうと息を吐いた】

肺……胸の怪我? ふうん、……女の子? ――まあ、いいかな……。
わたしね、自分の怪我なら治すのは得意だけど……、……ひとの怪我は治せないし、妙薬とかも、分からないけど。
美味しいもの食べて、暖かいお布団があって、一緒に居て楽しいひとが居たら……死にたいとか、わたしならなくなっちゃうな。

【胸元の怪我。ふと浮かぶのは友達の顔、真っ赤な髪が記憶の中にちらついて浮かんで】
【それでも詮索しなかったのは無理繰りにというのも気が引けたのだろう、尋ねておきながら、話題を流す】
【治せる怪我は自分のものだけだった。その代わり、自分の怪我なら跡形もなく治すことが出来る、――“魔力さえあれば”】
【――口に出したのはそれはそれで楽観的な意見だった。特に大切なものは最後のひとつ、これが一番たいせつなこと】
【一緒に居たいひとを見つけてしまえばどんなことでも乗り越えられる気がしたから。――あくまで、彼女は、だけれど】

うーんと――オススメなほうでいいよ、静かなのも、賑やかなのも、嫌いじゃないし……。
……あ、危なくないところがいいな。みんながみんな銃持ってるところとかだといや――帰っちゃう。

【彼の持っているものについてはなんとなくだが慣れつつあった。というよりも、気にしないようにするのが上手に出来ているようで――】
【ずっと緊張し続けるのだって疲れるだろう、それなら、このひとは大丈夫だって信じて気にしないほうが、ずっと楽だから】
【けれど知らない他人が持つのなら別だ。賑やかさについて指定はしないけれど、そんなところについては指定して】
【大事だからねと目が語っていたから本気なのだろう。――手招きされたなら、ぱたぱたと小走りでついていく足音】

どんなところに行くの?

【夕陽が伸ばす影を踏むような距離を保って後ろをついてくる。その様子は子犬とか子猫みたいでもあって、】
【それでいてこれから酒を飲みに行くのだからちょっとだけ違和感。自分よりも大きな背中に問いかけたなら】
【どこでもいいとは言いつつ気になるものなのだろう。かつかつとした足音が、等間隔で並んでいた】

/おかえりなさいですー

470名無しさん:2014/02/24(月) 20:24:23 ID:3HA7Kbp60
>>465

【男の言葉に、ふん、と鼻で笑うような態度。隙が出来た体勢をやや整えるようにあがきつつ】

『あったり前…信じる心ってのがなけりゃ人なんざ脆いものよ…!』
『戦うだけの奴になんか負けてたまるか…神は信じるし、私は私の力を信じる―――――ッ!!』

【目の前の男、再生力もさることながらやはり頑丈―――しかしダメージは入っている】
【更には風による防御行動をとった―――今の火力が彼にとっての「軽減しなければならないレベル」と推測しつつ】
【同時、彼の能力もとい戦闘方法は「風」であると判断した。ならば「炎」での攻撃は些か分が悪いか――?】

【少女が考えるや否や、男は接近していた―――その鋭利そうな指を指し向けて】
【無論、隙の出来た少女に避けることは出来ない。ここは】

――――――――――――――――――っ、…ぅぅぁっ…!

【小気味良い音を立てて右肩を貫かれる。噴き出し、零れていく血が何よりその悲痛さを物語っていた】
【びくりと肩を震わせて、血液を吸われる。我開口せずを貫いていた彼女も、そこで声にならぬ悲鳴を上げて】
【―――このままだと不味い、というのは目に見えていた。故に彼女は、喉元に当てていた指を「中指」に変える】


『――――――どきやがれ、この…バケモノッ!!』


【紡がれた声はいつの間にか、ハスキーな青年の声に変わっていて――そこから生まれた魔力は黄色だった】
【魔力は地面に侵食し、そこから「土の右腕」を一本生やしては、男の斜め下から抉りこむようにアッパーを放つ】
【狙いはその顎、殴り飛ばす要領で男の指も同時に抜いてしまおう、という算段。見えづらい角度から放たれたそれは少し避けづらいか】

471名無しさん:2014/02/24(月) 20:37:12 ID:F52AoKs20
/*>>468で一応日付変わるまでは待機しております*/

472名無しさん:2014/02/24(月) 20:54:25 ID:wZp7I0Fo0
>>470

【少女の言葉を聞けば、男のとる態度は】

ク……クク、フフフフフ……ッ!

【嘲笑であった、この男は人間を何処か小馬鹿にしているようで】
【何故なのかはきっと直ぐに分かること、人間の血液を吸い取るということはつまり、彼にとっては人間も食料の一つだということか】

やはり人間はどの時代も変わらんようだ……
信じる、信じる……!手製の偶像に過ぎないものをそうやって信じて誇りのように抱く。
だから私は笑ったのだ……!

【血液を吸い取る事に成功すると、男の肉体の痛々しい火傷が退いていく】
【完治とまではいかないが、戦闘に差し支えない位には】
【しかしその後、少女の意外な能力に驚かされる事になる】

なに?声が変わった……だと……?
……!こッ……これはッ!

【地面からの土のアッパー、思わぬ攻撃が男の顎を砕かんと直撃する】
【脳が揺れ体勢がグラグラと不安定になる、流石にこの巨体、吹っ飛ぶまでにはいかなかったが】
【それでもダメージは大きい、仰け反る形で少女から指が抜けた、これは少女にはチャンスだろう】

473名無しさん:2014/02/24(月) 21:03:05 ID:nHw81SMw0
>>469

【路地を右へ左へとどんどんと進んでいく。こんなところに飲める場所があるのか】
【繁華街からは離れていくが彼は臆すること無く何気ない話を続ける】

あーうん、そそ。……そうかい。それでも治せるだけいいじゃないか…俺は別に
なーんもないし…二日酔いも治せるならすごくいいと思うんだけどね……

…まあ、俺も……基本的にはみんなそうだと思うんだけどさ…でも、
スポーツ選手がスポーツできなくなったら、すごく寂しいんじゃないかな。たとえお金を持ってて
友達がたくさん居たとしても……もっとこう…自分が自分を納得させる力というか…そういうものが無いとさ
お金だってずっと眺めててもしょうがないし、友達だって24時間永遠に一緒に居るわけじゃない。んでも
自分は自分とずっと一緒に居なきゃいけないわけだから……

【アイデンティティというものは他者からの承認もあるが基本は自分自身で支えるものだと思う】
【故にその根拠になっていたものを失ってしまうというのはとてつもなく大きな損失だと彼はいうが】
【そんなに短くまとめられるほど彼は口がうまいほうじゃない。雰囲気から何かしらだけ伝われば御の字だ】

なら、大丈夫…そこまで悪い人たちの集まるところなんてそうそうないだろうし…
……ここから近いほうは静かな方だから…っとこっちだ

【路地を歩けば、小さいランプに照らされたローズウッドのドアがある。すりガラスからは店内の明かりも見えて】
【どうやらここが店らしい。看板らしい看板はなく、元はネオンがあったようだがそれは明かりが切れていて店名すらわからない】
【彼はグイッとドアを押し開ける。申し訳ばかりといったシケた音色のベルが鳴る。板張りのアンティークな内装だ】
【少しのテーブル席に、小さいカウンター。飲み屋らしく各種銘柄が棚に並び、大きな暖炉がパチパチと暖かく燃えていた】
【落ち着いた感じだが電気は明るめでちょっとボロくて敷居が高い感じはしない。客も居ない。店主は椅子に座ってテレビに釘付けだ】

や、マスター何時かぶり……大丈夫だって、問題も無いし。モラルもオッケー…まあ贔屓に

【問題というのはトラブルを起こすような相手じゃないということ、モラルは未成年じゃないってわけだ】
【彼が挨拶すれば店主はちょっと目を向けるだけでじっと見た後、すぐにテレビに戻った】
【小柄な七三分けに白いちょびひげと往年の喜劇王のような見た目なのに愛想もやる気も無いようだった】

474名無しさん:2014/02/24(月) 21:32:00 ID:3HA7Kbp60
>>472

【手応えあり。彼にクリーンヒットした土の腕はその後見事に粉々になって、宙へと舞っていく】
【右肩から引き抜かれた指に従って、鮮血が飛び交った。大分痛む、がこれで体は自由だ】

―――――――――――…っぅ…!

【引き抜かれた時の痛みに顔を歪めるも、喉元の指はまだあてがっていた】
【この少女、喉に当てた指によって声を変えることが出来るらしい――そして声によって扱う魔術を変えることが出来る】
【それ故、彼女の攻撃性能は恐ろしいもの…しかし、彼女の使える魔術の大体が燃費の悪いものらしい】

『はっ…どうだ?その人間ってのにやられる気分はッ!』
『自分が馬鹿にしたヤツにやられる姿なんてのは、結構みっともないぜ?』

【強がりつつも、男の言動に対する仕返しも含め挑発的な発言をする】
【そろそろ彼女の魔力は限界に近いようだ―――出血も相まってやや立ち眩むも、目だけは隙の出来た男を捉えて】


『――――――やっぱり炎よりは、こっちのが食らうみたいだな?』
『なら今度はもっと、大きいやつをお見舞いしてやるよッッ!!』


【そして少女がまた言葉を紡いだなら、先程と同じ黄色の魔力が生成される――先程よりも多く】
【また先程のように地面に魔力が宿ると、前の右腕とは比べ物にならぬほど大きい『土の右腕』が生える】
【使用した魔力が大きい分、大技はもう撃てない状態となったが…炭坑内では使いづらいくらいには大きい腕だ】
【その握りかためた土の拳を真っすぐ男へと放つ。速度は無いが、申し分ない威力―――当たったなら、果たして彼は耐えられるのか】

475名無しさん:2014/02/24(月) 21:34:14 ID:buu1lXlY0
>>473

【どんどん街明かりから離れていく。けれど、彼女は別段不安がってるわけでもないようだった】
【眼前の相手を信用しているのだろう。少なくとも、自分を害する人間の群れに放置はされないだろうと】
【彼に比べたら小さい歩幅でとことこ歩く、彼の身長はだいすきなひとのそれと似ていて、不思議と心が和む】

それは……そうだと、思うけど。でも、……それ以外なんにもないなんて、ないと思うの。
駄目なのかな、これが自分だって言えるものがなくなったら、ごはんもお布団も、効かなくなっちゃうのかな……。

【――自分ってなんだろう。これがわたしだって言い切れるようなものが、今考えただけじゃ出てこない】
【違う、それはあったのだ。自分の存在する理由だといえるもの、いえたもの、けれど、もう、なくなってしまった】
【上手く乗り越えられたのはどうしてだったか。仕方なしに受け入れた使命だったからなのか、もう分からなくって】

【(初めから殺されているのが決まっている存在だった。それを、死ななくていいように助け出してもらった)】
【(そもそも比べてしまうのが間違っていたのかもしれない。どれだけ意欲的だったのかが、こんなにも違うのだから)】

【なんとなく分かったような顔をしていた。実際分かったのかどうかはさて置いて――】

ほんとう? ならいいの。

【ふわあと安堵したような吐息の音、こっちだと誘われたなら、視線をそちらへちょっと動かして】
【名前も分からないなら店かどうかもよく分からない。ひとりぼっちだったなら、何もなく見過ごしていただろうから】
【ちりんとちいさなベルの音、踏み入った店内は柔らかく暖かで――視線を巡らせる、数秒間があった】

こんばんは、

【その途中で店主を見つける、ちょうどそれは視線を向けられていた頃合で、ほんのちょっぴり頭を下げる仕草】
【彼の座る傍についていって座るのだろう、そうすれば少しだけ緊張したような顔を見せて、――】

甘いお酒がいいな……、……ううん、やっぱりおすすめなのがいい。何がおいしいの?
あ……ちゃんとお金、出すからね。だいじょうぶだよ、自分の分は払うから――、

【始めの希望が相当素の声音だった。その後、思いなおしたように彼のオススメを、と方向性を変えて】
【飲みたいと言い出したのは彼女自身だがどれだけ飲めるのかが分からない。きっと、軽いのから飲ませるべきで、】
【潰してしまっても面倒臭いだけだろうから。適当に、子供っぽい彼女に似合いそうなものを見繕ってやれば満足するはずだった】

【――お金については何の心配もないらしい。えへんなんて胸を張るわけでもないけれど、きちんと言っておく、几帳面さ】

476名無しさん:2014/02/24(月) 21:40:02 ID:gzU3mgN20
>>468

【夜空に浮かぶ幽幻が如き月、舞い落ちる光の欠片が貴女の白を歪める】
【蒼白とも言える素肌に夜光が混じったなら、そこに浮かぶのは幻想のように尊い白】
【髪に靡く夜風が呼吸を止めたなら、音も立てず気配が現れるだろう】

【出現というよりも顕現という言葉が相応しい、貴女の目の前の空間に布が現れる】
【丁度貴女の髪のよう、無垢で穢れ無き白狼のように白い、巨大な布】
【空中で独りでにその身を捩り、収束していったなら】

【――――――布の中から人が出現する】
【階段から降りるように、空中の布から脚を出し、地面を叩く】
【捩られ開かれた布は、マントとして、その人影の背中に巻き付いた】


……仕事中失礼、強い気配を感じたと思えば、そなたであったか

先の戦闘の影響で飛ばされていた筈だが……なるほど
空間の出現と消失、磁場に引き寄せられたようだな、周波数が書き換えられたようだ
――――――すまない、独り言が過ぎた


【貴女を白と形容するならば、彼もまた白と形容されるべき存在で】
【違いがあるとすれば、彼の白は、色としての白ではなく、欠落としての白】
【透明色に近いそれは、あまりにも無機質と言えようか】

【高くしなやかな身体を白皚皚とした甲冑に身を包んだ男】
【決して分厚いわけではない鎧は傷一つ無い純白であり、穢れ無き皚】
【背中になびく巨大なマントもまた、その身を包む鎧と同じ雪の如き白】
【顔には騎士然とした仮面が一つ、顔全体を覆うソレは真っ白で凹凸すらなく目すら開いていない】

【語りかけるような口調、それは目の前の貴女に話しているというかは、それこそ語り手のように】
【自身へと向けた言の葉すらも、広げて見るに相応しい大型本みたい】
【車椅子に座す貴女を見下ろしつ、言葉を重ねた】

477名無しさん:2014/02/24(月) 21:50:33 ID:F52AoKs20
>>476
【眼前に現れる、白い布。そしてその内から現出するのは――騎士と言えるか】
【純白の甲冑。無機質な印象、少女のそれにも近いが、また違うそれだ】

「――いや、気にすることはない。私も良く独り言を口にする。
済まないな、私の戯れの結果、君を此処に導いてしまったようだ」

【甲冑姿の男を見上げつつ、少女は小さいながらもよく通る声を響かせる】
【淡々と紡がれる、機械音声のような無機質な言の葉。性別も、体格も違うが、どことなく月夜の二人は相似して見えたか】
【左手を車椅子の手摺部分におけば、無音で車椅子は駆動し高さを調整。男と同じ視点と移行】

「……ふむ。それにしても、空間の転移、か?
私であっても事前準備の無い限りは領域外で行うことは出来ないが――真、興味深いな。
……ああ、名乗るのを忘れていた。私は、エインセル・〝アンバライト〟・ゼラズニイ。
カノッサ機関の所属で、六罪王〝アンバーブラッド〟などと呼ばれているようだ――……まあ、よろしく頼む」

【表情こそ仏頂面だが、案外話好きなのか、此方から話を振ってくる】
【会話の中身こそ、なんとも言えない技術論的なものではあるが、それは研究者の性と言えよう】
【何の気負いもなく語られる少女の名は、この世界においては悪のレッテルそのもの、それも最上級のものだ】
【白い悪は、弱々しくそして、気高い強さを持ちあわせて、目の前の騎士を見据え続けていた】

478名無しさん:2014/02/24(月) 22:03:32 ID:gzU3mgN20
>>477

【騎士の仮面は表情すら辿れぬ白塗りの表層で】
【それでも世界は見えているよう、同じ高さの貴女へと視線を交錯させて】
【揺れるマントの鼓動が止まったなら、夜風が凪を作り果てて】


――――――その通り、流石の洞察眼だ
最も、私自身制御のできない力であるが故、留まる事すら難しい
先程も別の次元を転々としていた

此方に来れたのもそなたの力によって、歪みが生じた為のこと
……導かれたという表現は、間違っていない


【見抜かれる彼の力、嘆息めいた言葉一つ賞賛に重ねる】
【心の奥底は分からない、それでも表層は伺えるぐらいには、言葉は強い】
【静かに言葉を重ねる様子は、騎士のそれに近い】

【響く貴女の名前、それを聞いても尚何一つ色を見せず】
【宵月の光すら、透けて奥に見えそうなほど――――――】
【深い月光がため息を一つついたなら、彼の身体が揺れた】

【――――――跪く、計ったかのようにその動作には僅かな乱れもない】


存じ上げている、私の方は〝あちら〟で情報を知ることが出来る
お初にお目にかかる、そなたの話はよく耳にする

そして改めて名乗ろう、私の名は〝白〟<HaKU>
〝六罪王〟が末席が一人、この度馳せ参じた――――――

そなたの命令であれば、我が命を賭して、それを果たそう


【風が吹き抜ける、仮面の表層を叩く夜風の音、それはどこか空々しい喧騒に似て】
【〝六罪王〟と名乗る騎士の姿、それでも尚傅くその様子は、騎士のそれであり】
【忠すべき主君へと敬意を示す、そのような様相でもあった】

479名無しさん:2014/02/24(月) 22:08:36 ID:wZp7I0Fo0
>>474

ムウウ……ッ

【少女からの侮辱を受け、この男は身体中の血管をひくつかせ、更にはそこから出血する始末】
【間違いない、今この男は怒っている、だが冷静に怒るといった表現が正しかった】
【一見矛盾しているが、これは怒りに身を任せず、且つそれを力の糧にしようとする様子だ】

良いだろう……準備運動などと称した発言、撤回しよう……
お前の強さ……それも認めよう……しかし…………

【巨人の如き土の腕、いくら怪物でもこれをまともに喰らえば致命傷は確実】
【大地の鉄拳が男へと迫る、その時】

最後の勝者はこの私……!
それは決して揺るぎはしないッッ!!

【男が両の腕を突き出し、掌と掌の間に周囲の空気が集められ……】
【空気が圧縮されたそれは、彼がその手を離した瞬間 前方へ一気に放たれる!】

ヌグウゥラアアアァァァァァァーーーーッッッ!!!

【小型の大嵐とでも言うのか、それは土を先端から削り、粉々に粉砕していく】
【その衝撃は凄まじく、男自身の腕もズタズタになっていた】

【それが少女に届くのかは分からないが、収まったのなら、周囲は破壊の跡が生々しく残っているだろう】
【そして、偶然か必然か、たった一つ、レールの上にトロッコが乗っている】
【乗ったのなら向かう先は恐らく外、ここから逃げられる、いや逃げなければあれだけの衝撃】
【既に周囲は揺れが始まっていて、ここが落盤するのも時間の問題か……】

480名無しさん:2014/02/24(月) 22:20:17 ID:nHw81SMw0
>>475

さて…ね。……案外、腹が減ってただけだったのかもしれない
今は割と元気そうだし……落ち込んでばっかりも居られないさ

【大層落ち込んだ人間をそれなりに立ち直らせる程の何かしらの技術か力を彼は持っていた…らしい】
【らしいというのは本人もそれに気がついていないからで効果の程もはっきりしないのだが】
【まあこんな飄々と気の抜けた事ばかり言う奴が近くにいたら悩むのも馬鹿らしいというもの】

ああ、ここの店主。見ての通り無口で無愛想なんだよ……そりゃあもう凄いぐらい…
5年通った常連にもまだこんな感じらしい。まあ、慣れたら寧ろ安心するもんだよ。いつでも開いてるしさ

【彼女を席に座らせて、彼はまだ座らずに棚からグラスとアルコールを何本かカウンタに持ってくる】
【店主はそれに目もくれずテレビドラマに夢中のようだ。彼は店主の横のカウンタにポケットから取り出した】
【紙幣を置けば、店主はそれをレジスタに放り込んだ。一連の動作に会話はない】

軽くて甘いのはこのへんかな……ん、ああ…店主、やる気ないから自分でやんなきゃダメなんだよ
一杯の値段は瓶に書いてあるから…まあ、適当な額を置いてって勝手に飲む。そういうルールなんだ
ツマミも適当に、軽食は奥のキッチンで自分で作る。頼めばやってくれるけど……ドラマと映画の時は絶対無理だね
グラスとか片付けるぐらいは流石にやってくれるから…まあ、ある意味『アットホーム』ってやつさ

【雑誌類にカクテルの作り方や料理本が多いのはその為だろう。常連の持ち込み品と思われるものも多い】
【それでもやっていけているのは場所柄か人柄か……彼同様に行く店も一癖ある場所だった】
【アットホームというより自宅である。不便までホーム感を出さなくても良いのだが自由にできることはいいことだ】

お代も大分適当なんだよね…まあ、丁度いいぐらい置いてみて、多かったらお釣りが来るし、少なかったらちょっと睨まれる…
まあ、店を真っ黒焦げにしない限りはマスターはびくともしないだろうし……他のお客さんも何も言わないんだよ

【これとこれ割って飲むといいよなんて言いながら自分もグラスに氷を入れて席についたところで、携帯電話のバイブレーション】
【音の発生源は彼のポケットで、今どき見たことないような機種のシンプルな電話を取り出せば相当使い慣れていない感じで】

あっ……なんだ…なんだこれ……何処押すんだっけ……ああ……ん…ああ…ん?…あー…よし……………もしもし?

【極手短に話しを済ませてまたわたわたとしながら電話を切れば(何故か電源も切れた)腑に落ちないような顔で】

あー…ごめん!そういや用事があって出かけたんだったんだよね…いやぁ……なんだろ…忘れっぽくって
ま、兎に角……元気で。なんか皆にもよろしくね。あと…あとなんかあったかな…?…よし、じゃあ…それじゃまた

【今までのらりくらりだったのだが急にわたわたと動き始めて余計な動作が増える。焦っているが目の前のウイスキーを】
【一杯飲んでから店を出るのは忘れない。この分はツケでね!なんて言い残して慌ただしく店を出て行くのだった】

【彼女と店主だけになったが決して寂しいわけじゃない。暖炉の明かりは揺らめいているしテレビは今面白いところだ】
【もう少し暗くなれば路地裏にも明かりが灯る。それをたどれば迷うことはないのだからもう少しゆっくりするのが良いだろう】


/すみません!ちょっと駆け足ですが明日は早起きなのでここらで〆にさせていただきます
/お付き合いいただいてありがとうございました!お疲れ様でしたー

481名無しさん:2014/02/24(月) 22:21:00 ID:F52AoKs20
>>478
【人としては、あまりにも造形が整いすぎているその外見は、有機でできているにも関わらず、無機の様であって】
【徹底した無表情は、隠れていようがいまいがもはや仮面と変わらない。仮面同士が、見据えあった】
【滑りだすように、自然にこぼれだしていく音律。か細いその声は、空間を泳いで相手の耳朶へと辿り着く】

「見れば、分かるさ。大したことはしていない。それに――別次元を歩む力、か。極めて興味深いよ。
異なる次元における物理法則、此方の次元での現象は多次元に影響を与えるのか――まあ、私のそれが影響の証明にはなったようだが。
私の力は私の視点においては、今此処にある世界にしか、その力を及ぼすことが出来ない故に、な。
まあ、なんだ。――互いに、色々面倒事を抱えているようだ」

【己に投げかけられる賞賛には、静かな礼を。見識は学者として持ちあわせて当然のもの】
【故に、当然のそれを褒められたとて、特段誇れるようなものではない】
【それよりも、女が興味を示したのは別の次元を歩むというその力のあり方】
【世界の中に手のひら大とは言えど別世界を作り上げる術を持つ女は、世界に関わる相手の異能に、強い興味を示した】

【そして、眼前に跪く騎士の姿。それに狼狽えること無く、ただ黙して見下ろす少女】
【騎士の忠を思わせるその名乗り。吹き抜ける風――その上で、エインセルはゆっくりと口を開く】

「白。美しい名だ。
同じ円座に集う六席の一人として、君との今日の遭遇は、必然だったと評させてもらう。
……残念ながら、ダグラスと異なり美醜を見抜く鑑定眼も持たぬし、コマチのような話術も持たない私だ。
六罪王などという肩書も、必要故に背負うだけのもの。……君の命を託されるような者ではないよ、私は。
ただ――時折、命令ではなく頼み事をする時が有るだろう。コマチにも、ダグラスにも――かつて頼んだ事が有るんだが」

【己が、忠に値する物ではないと口にして、しかしながら命令ではなく頼み事はしたいと口にする】
【無機質でありながら、人を捨てては居ないそのアンバランスさ。罪を掲げる六の王の一柱としてはいささか特殊な人間性か】
【そして、女はゆるりとビルから見える山の向こうを指さす。その先には――一つの遺跡が存在していて】
【次元を歩む男であれば、そこには先ほどエインセルが起こした歪みとは比べ物にならない程の歪みが生まれていることが分かっただろう】

482名無しさん:2014/02/24(月) 22:22:04 ID:JE2zERC20
【夜風が音を立てて窓を揺らす】
【少し長めに髪を伸ばしたの黄色人種らしき男がスーツ姿でその狭い部屋にいた】
【窓縁に手をかけて呆けた面で窓から見える夜景を眺めている】

寒いなぁ。お腹空いたなぁ

【どこかれっきとした組織のあずかる施設の一室らしいが部屋は完全に男が私物化していて、散らかっている】
【床に落ちているチョコレートを拾って貪り食うと、またうとうとと眠そうにし始めた】

483名無しさん:2014/02/24(月) 22:31:16 ID:gzU3mgN20
>>481

【夜が満ちる、宵の色を深めたなら、そこに潜むのは無数の星空】
【潜在意識の下の灯に映る皚が、静かに揺らぐ欠片を残して】
【貴女の声を聞きながら、紡ぐ一片を探す】


面倒事、確かにその通りだ、故に私が〝カノッサ〟の名を冠す理由ともなっている
だからこそ私は忠を果たそう〝機関〟の技術力が故だ、私が此処に居れるのは
〝Nonexist〟――――――これが無ければ私は、悠久の旅を続けるのみ


【ひらりとマントへと視線を落とす〝Nonexist〟と呼ばれたのはこの事であろう】
【次元を行き来する能力、そんなもの人に扱える力ではない】
【だからこそ、機関の技術力によって、何とか固定している状況と言う】

【戦いに於いては必要ない、むしろ足枷ともなるそのマント】
【恐らくはその技術には、貴女の知識が直接ではないにしろ関わっているのだろう】
【だからこそ、と彼は言う、忠を果たすと、言葉を重ねる】


先に述べた通りだ、私は〝機関〟の力によって、此処に在る
そなた達は私に持っていないものを持っているのだと、私は知っている
だからこそ私は私の持つ、ただ純粋な力をそなた達に返そう

――――――私は剣であり凶器だ、ただ一つ目的を与えてもらえれば、それでいい


【根本的な認識の差であろう、彼にとっては貴女の知識や能力は必須であり】
【それはまた別の罪を冠する者達にも繋がる事と言えよう】
【ならば彼は何が誇れるのだろう、そう考えた場合、力しか残らないからこそ】

【騎士として命令を受ける、その事を第一とした】
【貴女の視線の先を追従するように、その遺跡へと視線を向けるだろう】
【言葉を向けることはしない、ただ貴女の言葉を待って】

484名無しさん:2014/02/24(月) 22:36:48 ID:gzU3mgN20
>>482

【――――――爆音が響いた、部屋の外、施設内部から聞こえるであろう音】
【夜を震わせる轟音は、容易に人々の意識を囃し立て、煽り、捲し立てる】
【やがて音が消えたならば、ゆっくりと近づく足音が響くのだろう】

【扉の開く音、舞い降りた影が貴方を染めて】
【狭い室内を見渡すその仕草に僅かな歪みも無く】
【そして漸く気づいたように貴方へと視線を落とした】


……何を大層に隠していると思えば、ただの人か
抵抗はするな、今この場所は完全に俺が掌握している
おかしな動作を見せたならば、殺す、それだけだ



【白銀のセミロングの髪を靡かせて、長い前髪から鋭く青い眼を覗かせる】
【やや長身でスラリと伸びたボディラインを濃い青のストライプのシャツで包む】
【燕尾服調の高級そうな黒のスーツとネクタイ、細く長い指先はシャツと同じ色の手袋】

【男性らしからぬ女性的な端正な顔たちは、まるで仮面を貼りつけたかのように無表情で】
【陰鬱な雰囲気を纏う、儚い印象を与えそうな青年】

【整った姿をしても尚、紡ぐ言葉はただひたすらに冷たく】
【声を向けたなら、貴方の返答を待つのだろう】

485名無しさん:2014/02/24(月) 22:37:21 ID:buu1lXlY0
>>480

……――元気ならいいなぁ。

【ふわと吐息が漏れる、そうして呟くのは、――詮索しなかったくせに、誰だかを決めているような、言葉】
【本当に彼女なのだとしたら元気で居てほしかった。笑っていてくれたらいいなと、自然に思えるぐらいには】
【死んでほしくなんてない。また一緒にお茶をしたかったし、どこかへ行きたいし、お話をしたいし、】
【――まあ、この場で口に出すには多すぎるお話だ。だから、ちょっぴり黙りこむぐらいでちょうどいいはずだった】

そうなの? そう……、……変わったお店。
好きにしていいの? そっか……、――食材も? 全部?
おうちで飲むときみたいね、アットホームって言うのかな――、うん、多分アットホーム。

【ひとりだけでぽつんと座る、きょとんとしているのは、至極一般的な店の形態に慣れきっていたから】
【初めてだったのだろう、お店というよりは皆で寄り合う自宅のような、こんな雰囲気の場所は】
【元からまぁるい瞳を余計にぱちくりさせながら説明を聞いていた。結局、フリーダムな場所なのだと理解して、】

【持って来てくれた瓶からコップにお酒を注ぐ、言われたとおりの分量で言われたものを割って、出来上がったそれ】
【両手でそっと持ってちまと舐めるようにして飲んでみる。――気に入ったらしい、次のひとくちは大分量が増えていた】
【何か作ろうかと尋ねようとした、そんな折に響く携帯のバイブレーション。ちまちまと飲み進めながら、その様子を見ていて――】

ん……、またね、

【なんて軽い風に言うのだけれど、その内心では置いていかれることに少しだけびびっている、知らない店に置き去りにされるのが少しだけ怖くて、】
【そんな心中があったならどこか挙動不審でもあった。それでもコップを机に戻して、口を付けたところを指で拭ったなら、】
【さもいい子の顔で見送るのだろう。そうして誰もいなくなった店内、もう一度見渡してみて――沈黙、ただテレビの音だけががやがやと店に満ちて】

【――とりあえずおなかが空いたからと立ち上がる、台所借りますなんて恐々と口に出して――何か作って、食べるのだろう】
【普段ひとと飲むばかりだから初めてのお酒はちょっぴり新鮮だった。適当に作ったものをもぐもぐと食べて、飲んで、お金を置いて、帰る】
【なんだかちょっぴり成長したように思えて――帰り道で上機嫌だったのは、つまり、酒のせいもあったのだろう】

/おつかれさまでした!

486名無しさん:2014/02/24(月) 22:43:31 ID:3dtd.KoE0
>>479

【男の言葉を聞けば「戯言だ」と呟く―――少女もまた自身の土の腕を信じ、その上で勝てると思っていた】
【だがしかし、それでも眼前の男からは異様な雰囲気を感じて―――否、これは…風だ】


―――――――――――――――――――――ッッ!!


【土の腕が破壊されていくと同時、激しい嵐によって少女はその軽い体を吹き飛ばされる】
【地面に勢いよく叩きつけられ、頭から血を流しつつも―――近くのトロッコを見つけ、その中に倒れこむだろう】
【血染めになった服が、ぺしゃりと吸った血液をトロッコの中へ吐き出した。傷に響いたのか少しだけ呻いて】

【やや意識が朦朧としてくる中で、少女は貫かれた右肩を鞭打ち、右手を喉元へと持っていく】
【今度は人差し指でも中指でも無く、小指。弱々しくそれを喉に当てて―――途切れ途切れに言葉を紡いだ】

『―――まだ、だっ…まだ、僕は…死ねない…ッ!』

【炭坑内に小さく響く、幼い少年のような声。持っている気力を全て使い、淡い緑色の魔力を生みだしたなら】
【それはやがて空気へと馴染んでいき、トロッコを押すための「突風」へと変わるのだろう】
【男が作り出した嵐によって起こった衝撃と、今少女が生みだした精一杯の風。それによってトロッコが押し出される】
【レールに従い、最初に来たあの入り口まで向かうために、漸くトロッコが走る―――少女はそこで一旦意識を失った】


【―――嵐が止む頃、もうそこに彼女の姿は無いだろう。見事逃げきったかどうかはその時点では分からない、が】
【良く見れば、レールの上にあった筈のトロッコも無い。その先を想像するのは容易いか】

487名無しさん:2014/02/24(月) 22:46:58 ID:JE2zERC20
>>484
やべぇ
うちの警備をどうこうできるって事は能力者だな?

【男は慌てふためいて目を泳がせる】
【おびえたように後ずさりして、窓を背にして立ち止まった】

落ち着け
日本人じゃないな
目的は何だ

【条件反射でマニュアル通りの対応をしているが、寝ぼけていて意識がはっきりとしない】
【卑屈にすら見える作り笑いを浮かべてこちらの恐怖を気取られまいとしている】

貴方が強いのはもう解った
取引したい
こちらに寝返って日本の為に働いてみる気はないか?

488名無しさん:2014/02/24(月) 22:50:13 ID:A89md4kk0
【水の国・街中】

【既にどの店舗も店仕舞いの時間とあって人も見えない、繁華街の一角】
【そこに一軒の店が尚も明かりを灯して営業を続けていた。のぼりは――〝茶〟】
【つまり櫻の国のお団子屋とでも言った所か、木造平屋の趣きのある一店舗だった】

【ただ、妙なのはその店が余りにも周囲の風景や並びの店々とマッチしていないことか】
【先に述べた通り周りは店仕舞い。なのに此処だけ、窓の奥には満席の客が見えていて】

……うむ、やはり茶は少し濃い方が妾の舌には合っているのう
これで雪でも降ればまた風情もあろうものの、街では高望みであろうなあ…――。

【ただ、一人だけ――外の席に座って、湯のみを手にする女性が際立って妙だった】
【白に赤い下弦の丹頂柄という着物を着こなし、艶やかな黒髪はさらりと長く後ろで束ね】
【何よりその面立ちが、ハッキリ言って美しかった。微笑などはまるで一枚の絵画のようでもあって】

【―――それから、もし誰かが通りかかって、その人物が魔力や妖かしの力に聡ければ】
【店から煙のように立ち上るその力と、何より女性自身か最も強いモノを感じ取れるだろう、が――。】

489名無しさん:2014/02/24(月) 22:50:46 ID:F52AoKs20
>>483
「――成る程。……確かに興味深い、次元関係、時空関係は私の専門分野。
君が真に忠を果たすというなら、いつか君という存在を暴かせてもらう事もあり得るが――まあ、今はその積りはない。
……そのマント、〝Going for the One〟――いや、幾つかの私の研究成果も、絡んでいるかもしれんな」

【己の手元に、琥珀色の澱を生み出しつつ。それを空間の空虚に返す】
【存在していても、〝それがそれである〟という属性を与えぬ限りはそこに現出しない不確定な物質〝Amberite〟】
【己の異能の残滓であるそれと、目の前の騎士の存在はどことなく似て取れて、不思議な既視感を感じた】

【忠。その言葉は、己にはあまり馴染まない言葉だ】
【人は己の意志で動き、己の意志で進む以上――それを他者に委ねる事はあまり好まない】
【彼女の配下は、彼女の為に死ねる人間ばかりだが、それは命令されたからではなく、己の意志故に】
【ただ、その忠が己の意志からくるというならば、エインセルは目の前の騎士のそれを否定する事はしない】

「――なら、今暫くの間。君に、白に目的を与えよう。
既にカノッサには通達を出し、風の国各組織に声明を出しているが、私はあの遺跡で現在活動中だ。
表向きの目的は宝物の奪取だが――本来の目的は、私の目的のための儀式を完了させるため、だ。
後数日で、私の行う儀式は終わる。……それまでの間、君にはあの遺跡に襲いかかる者から遺跡を守ってほしい」

【語る言葉は、助力の願い。与えるのは、エインセルとエインセルの儀式場である遺跡を守るという目的】
【語られる目的は、あくまでも表面的な物であるが、普通に表に流れている情報は、彼女の目的ではない様で】
【感情を写しこまぬ、琥珀の双眸は――遥か彼方遠くの山奥に有る、陵墓を見据え。そこに己の異能で干渉をした】
【空間に波濤が生まれる。異能の波はそのまま山奥まで広がっていき――僅かに彼方遠くの空が揺らめいた】

「本当の目的を。語れる時が有れば、必ず語る。
……達する時には、もう語れなくなっているかもしれないが」

【吹く風に、蒼白な顔を更に青白く変え、僅かに咳き込む少女。見た目通りにどうやら少女は貧弱な肉体を誇るようで】
【白衣の前を閉じて、両手に息を吐きかけ手を擦り始めた】

490名無しさん:2014/02/24(月) 22:52:55 ID:gzU3mgN20
>>487

【燕尾服の裾が翻る、互いの距離を一定に保つため、貴方の後退と同じ距離を歩む】
【無機質な表情を向けながら、たどる貴方の言葉の一片一片】
【眉を潜める、その動作すらも華麗と形容すべき、だが】


……〝日本〟とは何だ、新手の組織か
悪いが俺には〝ナンバーズ〟としての矜持がある
〝No.4〟の名を冠されたならば、そこに他の道はない


【心の中に飛来する疑問、けれどもそれは歯車の間に挟まった砂粒のよう】
【研磨する気も、照査するつもりもなく、ただひたすらに無感動で】
【言葉を返したなら、貴方との距離を詰め始めるだろう】


これも任務だ、殲滅の命を受けたならば、全て残らず屠る
取り残しなどあってはならない――――――死ね


【彼の身体が揺れたなら、視界から消える、そう錯覚させるほど早く、目の前へと距離を詰める】
【無駄のない動作、刀剣のように鋭い殺意をそこに込めたなら】
【右の手で貴方の首筋を強く、握りしめようとするだろう】

491名無しさん:2014/02/24(月) 23:02:54 ID:gzU3mgN20
>>489

【貴女ならば、彼がこれほどまでに貴女に対し、忠節を尽くす意味が理解できるだろう】
【彼の言う〝Nonexist〟には貴女の力が必要不可欠であったからこそ】
【貴女に対しかける最良の言葉と、彼は自身を認識している】

【〝目的〟と返されたなら、彼がそれを拒否する道理はない】
【遺跡を護れと命じられたなら、彼はその命を果たすだろう、これ以上無く誠実に】
【その日が来るまで微動だにせず、そこを護り続けることも可能だと、言いたげに】


……承知した、ならば私はその目的を果たすために尽力しよう
そなたが語らないのならば、それで良い、行動に意味合いを保つ必要など、無い
私にとっては、行動それ自体が目的であるのだから


【振動する空間、彼の意識はその様子をその細部まで確実に認識しているのだろう】
【仮面の下の表情、伺えないだろうが、その意味する先は分かる】
【強大な力、その行使する少女の、素顔――――――】

【咳き込む貴女を捉えたなら、一歩踏み出し、貴女の両手を右手一つで包み込もうとする】
【巨大な手だ、大柄な身体にフィットしたその手は、鉄塊すら容易に振り回せるのだろう】
【白い甲冑、その篭手に包まれた手で、貴女の手を抱擁しようと言うのだ】


仕える身として一つ忠告をしよう、外に出ている場合ではない、と
私に医学の心得はない、だがそなたの身体は、あまりにも脆弱だ
過ぎた言葉と思うのならばそれでいい、だが、本心だ


【返す言葉はただひたすらに真っ直ぐ、僅かな飾り立てもなく】
【機能だけを突き詰めた凶器の如く、言葉を重ねた】

492名無しさん:2014/02/24(月) 23:04:37 ID:H2DR/gUQ0
>>467

【恐らくではあるが、これから大変難しい話に突入すると思われるので、ほんの少しだけ、閑話休題。】
【まず、セリーナと言う女は独り身だ。という事はつまり、自分の事は全て自分でしていると思われる。】
【この事から考えるに、家事が致命的にへたくそ、という事は先ず、ないと思われるが―――】
【現実は中々に非常である。洗濯や掃除は別として、いや別としなくてもそもそも部屋は―――……。】
【ともかく、料理は余り上手な方ではない。(断言)上手ければサンドイッチなど簡素な物で済ますはずもない(断言)。】
【がしかし、逆に言えば簡単なものであれば普通に作れる、という事でもあって。味が壊滅的である事もない、というわけだ。】
【いやむしろ「ハンバーガーとバーベキューとサンドイッチなら!アタシでも!」と意気込んでいたほどで、つまりは―――……、】


 ―――月彗さん、アタシは素直な人が好きだ。でも……よ、世の中には優しい嘘が……あっても、いい……と思う……。

【仮に嘘であろうと、無かろうと。乾いた笑顔で頭を抱え、セリーナは死にそうな声で呟いた。そう、こんな女である。】
【組織を設立し、運用し、大会で勝利したガンマンも、蓋を開けてみればこんなもの。余りにも馬鹿馬鹿しい、と言えた。】
【だが自身も月彗に合わせて椅子に座り、対面に向かい合った状態になってからは、彼の話を熱心に、真面目に聞き届けるだろう。】
【茶化す事も、笑う事も、泣く事も無く。ただ、ありのままを伝える彼と、彼の兄弟達の歩んできた、余りに悲惨なその生涯を―――……】
【ただ、聞いた。黙って。何も言わずに、最後まで口を挟む事も無く。彼女は自分用のコーヒーを口にし、やがて沈黙の後、口を開いた。】

 セシル……知ってるよ、アタシが知ってるのは『ギムレット』って名乗ってるときの彼、だけどね。
 最初に出会ったのは酒場だったなあ、もう結構前になるけど―――……そっか。
 彼も、悦君も、そして貴方も。―――皆、必死に生きてきたんだね。それはとても、尊い事だと思うよ。

 ―――けれど、その為に貴方や、貴方の兄弟がしてきた事は、そう簡単に見過ごせる物でもない。
 ただそれはきっと、もう貴方自身が一番良く分かっているんだと思う。だからこそ、死のうなんて考えたんだよね。
 
【ここまでは、同情の言葉を紡いでいく。決して否定せず、優しい言葉を選び、その半生を共に振り返り。】
【悪い事をしてしまったのも、悦那を巻き込んだのも、自覚がある筈だから。セリーナはそれもまた、認めるだろう、だが。】

 ―――冗談じゃない。
 もう一度言おうか。月彗さん―――冗談じゃない。"疲れた" だって?
 "何もない"だって? アンタ、今そう言ったかい。ねえ―――ふざけるな。

493名無しさん:2014/02/24(月) 23:05:06 ID:H2DR/gUQ0
>>467

【神秘的な蒼の瞳に、明らかな怒りと、そして悲しみの綯交ぜになった輝きが灯り、月彗を正面から睨み付けるだろう。】
【"ふざけるな"―――その言葉にはしっかりとした、憎悪の念が込められていて。とても、先ほどまでの同一人物とは思えない、程に。】
【セリーナは今怒っていた。そういえば簡単なものに聞こえるが、実際はそこまで単純でもなく。ただ―――彼女は、目を逸らさず続ける】

 泥の街に生まれた事、親も親戚もいなかった事、そしてそこを亡霊に取り憑かれた事―――どれも哀しい事だよ。
 だけれど、その後に貴方が歩んだ道は決して褒められた物では無かった筈、そんな事貴方だって知ってるのに、
 それなのに貴方は、"何もない"と、そう言ったんだ。冗談じゃない……よく見てみろ、この腕をッ!!

 さんざ殺してきた……そうさ、貴方が言うとおり、貴方はこの手で、この腕で、貴方の意思で、沢山殺してきたんだ!
 その過去を、血に塗れた半生をも、貴方は死ぬ事でチャラにしてやろうと思ってるんだ。
 だから"何もない"なんて、そんな無責任な―――残酷な事を言えるんだ。

 いいかい、月彗。よく見ろ。目をそむけず、疲れたなんて言わずに、自分をよく見てみるんだ。
 
 貴方には決して他人には譲れない、大切なものがある筈だよ。
 決して赦されない過去。まだ生きている貴方の兄弟。
 そして、これから貴方が生きていく未来。これらを全部踏まえて、見た上で、貴方はそれでも"何もない"なんて―――
 そう、言えるのか。言えるのか、言わせないよそんな事は。

 悦君の事も、セシルの事も、貴方達兄弟はもっと手を取って生きていかなければいけない、でしょう?
 恨みを晴らすよりも前に、貴方には歩むべき未来がある。そしてそこに、手を差し伸べてくれる人が居る。だから―――だから……。

 もう二度と、"疲れた"なんて、言わないで。その言葉を、悦君やセシルが聞いたら、どう感じると思うの。
 原因が他にあれど、この結末を選んだ一人一人は貴方達なんだ。だったら、それにしっかりとケリをつけなくちゃいけない。違う?
 逃げて良い筈がない。アタシがそんな事赦さない。もう一度でも、言ったら―――悦君より前に、貴方をぶん殴るからね。

【怒涛のような、否定。彼が言った"疲れた"というその単語に関して、堰を切ったように言葉が雪崩れ込んでくる。】
【セリーナには赦せなかった。人を殺してきた事でも、悦那を裏切った事でもない、そういった全ての過去に対して】
【何の責任も負わずに、自分は辛いからという理由で逃げ出そうとしたその、諦めの視線が―――暗い心が、憎かった。】
 
/大変遅くなりました、ごめんなさい。宜しくお願いしますorz

494名無しさん:2014/02/24(月) 23:07:40 ID:JE2zERC20
【驚いて目を見張る】
【男は全身の筋肉がこわばるのを感じた】
【瞬時にありとあらゆる仮説と選択肢を頭で処理する】
【突然男から表情が消え、目から光が消え、その体から力が抜けた】

これ以上の情報の開示は私の権限では行えん
すまないが……まだ死ねないのだよ

【いつの間にか抜身の日本刀が手に握られている】
【明りの消えた部屋の中、外からの光を刃が艶っぽく反射する】

【刃先を相手の首元に向け中段に構えた】

495名無しさん:2014/02/24(月) 23:13:55 ID:gzU3mgN20
>>494

【手を退いた、男の纏う雰囲気が一段変化したのがその理由であろう】
【目を細めると、感情の篭もらない視線の先に映る男の姿を捉える】
【認識を改めるのだろう、少なくともなめるような事はしない】


――――――奇遇だな、俺もだ


【刃の触れる間合い、状況的に見れば貴方の方が有利であろう】
【だが彼は気にせず脚を踏み入れた、右足が貴方の左足のつま先の直ぐ前に落ちる】
【左膝が跳ね上がる、刀を握る手を直接狙った一撃だ】

【歪みのない動作は一片の無駄もなく、何千と繰り返されたのであろうと想像させる】
【一人で施設を殲滅しろと命じられる、一体どれだけの力をその身に秘めているのであろうか】
【白銀の髪が月光に反射し、煌めいたなら――――――その色を歪ませる】

496名無しさん:2014/02/24(月) 23:15:31 ID:F52AoKs20
>>491
【己の手を包容する、大きな手。その巨大さを、無無感動な双眸で見据え、僅かに首を傾げる】
【籠手に包まれたその双手は、骨が浮き、筋張った体温を感じさせぬ、生気の無い手】
【文字通り、箸より重いものを持てば砕けてしまいそうなほど余りにも脆弱で余りにも弱々しい、その腕】

【無機の仮面から放たれるその言葉は、紛れも無い事実】
【だが、その上で少女は返答をする。一言として淀みを孕むこと無く、意志を携えて】

「ああ、確かにその通り。このままではそう長くないが――、それで十分だ。
先のアヴェロニアで目的は前進し、この後の儀式は此処を含めてあと五度。
それまで生きていれば、それまでこの体の維持さえ出来ていれば、それで良い――それまでは、外を。この世界を見ていたいんだ」

【透徹した表情。己の体のことは、己の洞察力と知識が有れば既に理解できている】
【二足歩行が困難、肉は日に日に削げ、この先日常の活動すら次第に介助が必要となるだろう】
【だが、それでも目的の達成までは体が持つ。その試算が出来ていて、そしてそこで己が終わる予定だからこそ、それまでにこの世界を見納めておきたかった】
【それが、この脆弱な肉体を押してまで外に出張り、こうして不意の出会いを楽しむ理由】
【星空を見上げながら、エインセルはぽつりと言葉を零す。僅かな人間味を、含んだ声だ】

「――この世界は美しい。この美しい世界の為に、きっと私は生まれてきた。
善も、悪も、老人も幼子も男も女も――私は全てを愛している。当然、君もそうだ。
アヴェロニアも、そして――リジルも。その先も、私は愛故に悪を背負う、愛故に世界を敵に回す。
……そんな私についてきてくれるのならば、私は私が朽ちるまで、君に目的を与え続ける事を誓うよ――白」

【口元には、僅かな微笑み。平時に表出しない人間性、博愛と言っていいその性質】
【それを語った上で、今後己が朽ちるまで、相手に目的を与え続けると――――要するに、利用し続けるとそう誓った】

497名無しさん:2014/02/24(月) 23:20:09 ID:buu1lXlY0
>>488

【誰も居ない街はひっそりと静まり返っていて、何か違う世界に迷い込んでしまったような、そんな錯覚を抱かせる】
【太い三日月が落とす影が長く長くつう――とどこまでも伸びていくようだった。人気がないなら、誰ともぶつからないまま】
【ひとっこの失せた道ではただ歩いているだけでよく目立つ、ましてこの時間に不釣合いな少女のかたちだったなら、それは余計に】

……――あれ、

【そっと続いていた足音がとある店の前で止まる、この街並みにひどく浮いた茶屋の前で、磁石に吸い付けられたように】
【硝子玉のように艶めくまん丸の瞳が店のほうに向けられていた、ぱちくりと不思議そうに瞬いたなら、何かを不思議がるかのよう】
【――というよりも、真っ直ぐにその視線は外の席に座る女性に向けられていて。或いは失礼じゃないかと思うぐらいだったという】

【(魔力の流れには敏感な性質だった。ゆらゆらとくゆり立ち上る、或いは女性が発するその力に興味を持って、)】
【(甘味は好きだがそれだけでは興味を持たなかっただろう。大事なのは先に記した二点、そこだった)】

……こんばんは、

【ふらりと踏み出した足は存外考えなし、惹かれたままに近寄っていくのは夏の夜の羽虫のようでもあるが、それよりはか弱く】
【そっと掛けた声は鈴の音色とよく似た声音、それが冬の寒い夜に不思議とよく似合って、彼女の存在を飾り立てるようだった】

【真っ黒色の髪は腰ほどまである長さ、何でも飾らず流したなら、夜風が時折膨らませるのを色気として】
【風が髪を退かした刹那に耳元に露出するのは右耳だけのピアス、それが宝玉をあしらったものなのだから、異彩を放ち】
【硝子玉のように丸く艶めく瞳は左右で色の違うオッドアイ、左が黒で右が赤、まるで神様が取り違えたよう】
【黒のブラウスに黒のコルセットスカート、赤くリボン飾りのついたスカートをひらりと揺らして、羽織るマントまでが黒の色彩】
【足元のタイツとストラップシューズも黒かった。かつんと高いヒールを鳴らして佇むのが、いたく華奢なシルエット】

【(とっても綺麗なひとだったなら、少しだけ話し掛けるのも気が引けた。それでも、どうしたって気になるから――】

となり、いい? ほんのちょっぴりでいいの、隅っこでいいんだけど――……。

【見えない何かを辿るように女性を見つめていたこともある、或いは男だったなら、その美貌に惹かれたのかもしれなかったが、】
【同性。まして左手の薬指に指輪を嵌めた少女なら、色恋に関連することではないように思えた。それなら何を気にしたのか、】
【――それよりも。そうして声を掛けてきた少女からも、なんだか不思議な気配がしたのだ。清い清い水の気配は宝玉から、】
【どこか蛇と似通った“人間と違った”気配は少女から。僅かに不安げに返事を待つ様子は、どう見たって人間のそれだったけれど】

【許諾してやったなら嬉しそうにするだろう、実際ちまとひどく端っこに座ってみせるよな幕間があって、】
【何か注文しろといわれるなら餡蜜だなんて言うはずだった。――ほんのりと酒の臭いがしたのは、まあ、余談か】

498名無しさん:2014/02/24(月) 23:23:21 ID:wZp7I0Fo0
>>486

……やはり、勝者は私であったな……
しかし、久しく身体を動かしたせいか……私の疲労もピークになりつつある……

【好敵手との遭遇、長く眠りについていたが為に久しぶりに味わう勝利の余韻】
【これが男の戦士としての性、敵を逃したのは惜しかったが】

ふん…………せいぜい人間のその短い寿命を有意義に使うのだな……

【点々と続く血痕、そしてそれはトロッコのあったレールまで続いていて】
【だが追うようなことはしない、去るものは追わずが男の価値観】

もし次があるとすれば、今日より強くなってみせるのだな……
その時また打ち砕いてやる為に、俺も強者のままで待とう……!

【そして炭鉱が崩れ始め、この戦いの跡は埋もれてしまうのだろう】
【落盤と共に、男も闇へと姿を消していった】

/この辺りでしょうか
/お疲れさまでしたー!

499名無しさん:2014/02/24(月) 23:30:29 ID:gzU3mgN20
>>496

【感情は読み取れない、けれども目の前の彼は、それほど白に染まっていないように見える】
【むしろもっと感情的な、どこまでも人間的な、そんな存在のようで】
【それは空を反射させた水面、海原の色合いはきっと、まだ見ぬ色に染まるから】


……次元を旅するという事は、時間軸すらも超越するという事に相違ない
私は既に時間の環から離れた存在であり、人を逸脱した存在だ
だからこそ、そなたを羨ましく思う、その身で、それだけの事を思えるそなたを


【脳裏に浮かぶ憧憬をかき消す、あの日もまた、このような光景であったから】
【手の中に包み込む貴女の手、それでも尚、紡ぐ声は高らかに、響く音は徒然に】
【星を辿る貴女の言葉、それは間違いなく遺言になるであろう言葉】

【言葉に嘘はない、語りかける口調は変わらずとも、手に孕む熱は変わる】
【暖かい温もりの断片、指先に宿るのは確かな感情】
【騎士としての彼を飾り立てるその意味を、知ろうとも思わなかった】

【――――――人を辞めた者として、人の身で何かをなそうとする貴女を、羨んだ】


ならば私はそなたと共に道を歩もう、そなたの目的の為に力を貸そう
私は既に凶器でしかなく、その柄を握られたならば、そなたの意に沿おう
それがそなたの願いであるのならば、私はそれを叶えよう

〝Mors Principium Est〟死は始まりに過ぎない、それが私からの返答だ


【左の手で仮面を外す、その下には端正な顔とセミロングの金色の髪が零れる】
【けれども彼にとっての意味合いはそこに無く、彼の持つ仮面にあって】
【貴女へと見せる仮面の裏、刻み込まれた〝Mors Principium Est〟】

【貴女の望む事、貴女の実行する〝儀式〟それが何であっても、意味はあると】
【例えその後で、貴女が朽ちたとしても、彼はそれを見届けようと、返した】

500名無しさん:2014/02/24(月) 23:37:18 ID:JE2zERC20
>>495
【殺気を感じて回避行動を起こす】
【窓に向けて体当たりをしたかと思うとそのまま落下していく】
【下には何故か事故防止の為のクッションが置かれている】
【着地と同時にクッションの空気が抜ける音が鈍く響いた】

さてどう来るか
ナンバーズ、といったかな
できればもう少しあちらの世界のことを聞き出したいが

【素早く体勢を立て直すと携帯の操作をした】
【緊迫感に耐えるように歯を食いしばる】

自分で言うのもなんだがね
私は相当強いんだ
戦えば必ず私が勝つだろう
しかし市街地での戦闘は公務員である私にとってもデメリットが大きい
仲間にならないまでも対話をしてお互いが納得できる条件を探したほうが賢いと思わないか?
うん?
そういえば、まだ私は君の目的を聞いていないぞ
聞かせてくれれば最大限の譲歩をしよう

501名無しさん:2014/02/24(月) 23:38:04 ID:A89md4kk0
>>497

――――――……うん?

【夜空――うっすらと雲のかかったそこを見ていた瞳が、ふと声の方に向いた】
【目が合ったなら気にかかるのはその双眸となるだろうか。髪同様に黒で、澄んでいる】
【少女のそれがまじりっけのない硝子の様な美しさとするなら、こちらは湧き上がる清水の様な透明さだ】

【さて、その瞳は次第に相手の目から顔、そしてピアスに移り、最後は気配を捉え】
【僅か数秒にも満たないその時間が過ぎたなら、ふと赤らんだ唇を動かして】

……うむ、よい。妾は一人も好きだが、お主のような者と共に居るのも好きでな
まあ立っておらぬで座ると良い。あまりのんびりしていると席が埋まってしまうから――。

【そんな事を伝えてまた、手にしたままの湯呑みを口元へと動かした】
【言葉に応じて少女が座ったなら、それを見て店の中に居た店主が出てきて、注文を取り】
【餡蜜という答えに頷いて――精々二分か三分か、混んでいるにしては早々とそれを持ってくるだろう】
【お盆には温かなお茶も添えられている。何とも和風で、近代的な町並みとはリンクしない】

【――時に、かの店主。見れば一目で分かるのだが、その顔には全くのパーツが無かった】
【鼻も目も唇も、毛の一本もないのっぺらぼう――声もしたのだが、普通のお店、というわけではやはり無いらしかった】

502名無しさん:2014/02/24(月) 23:43:21 ID:3HA7Kbp60
>>498

【―――しばらくして、入口付近へと差し掛かったトロッコがバランスを崩し横転する】
【それに伴い、トロッコの中身であった少女が吹き飛ばされて―――潰れたような悲鳴を上げて転がり落ちた】
【痛みによって意識を取り戻したものの、体はまだ重く、血も足りていない感じがして】

【―――目を覚ますと同時、先程の戦闘で敗北したことを思い出し歯を食いしばる】

『――――ふ、ざけんなっての…一人で戦ったらコレかよ…味方が居なきゃ何にも出来ないのか私は!』
『あぁぁぁっくそっくそ…!何で、何で私は、こうも弱いのさ…っ!』

【立ち上がる気力もなく、土と血で体を汚しながら地面を這いつくばり、携帯端末を取り出して知人に救援を依頼する】
【必要最低限な文面を書いたなら送信―――を押したところでまた、意識が朦朧としてきて】


『―――――ああ、強く、なりたいな…っ誰にでも、勝てるような…!』


【無意識に呟いた言葉は、男とまた戦う可能性を見たのか、己の無能さに絶望したからかは分からない】
【キャスケットを深く被り直して空の光を遮ったなら、目を瞑って、そのまま意識を手放した】

/乙でしたーありがとうございましたー

503名無しさん:2014/02/24(月) 23:44:28 ID:gzU3mgN20
>>500

【――――――落ちる、彼の姿、燕尾が羽ばたいたなら夜を切り裂く一陣を響かせて】
【両の手に大型拳銃FN Five-seveNを握り、クルクルと手元で回転させる】
【クッションを持って勢いを殺した貴方に対し、彼は生身で着地してみせた】


……御託はいい、貴様の口上に俺は何の興味を持たない
抹殺し、殲滅し、消滅させる、そこに僅かな狂いもなく俺はやり遂げる
いずれにせよ貴様の死は、必須の条件だ――――――!!


【まるで話を聞く気はない、と言った様子、両の手を肩幅に開き、両手を外側に向ける】
【弾ける銃声、貴方の両側を撃ちぬく軌道で銃弾を放ったなら、同時に地面を蹴って加速、直線距離で間を詰める】
【銃弾はその場に居れば当たらない、回避を防ぐための牽制と見るべきか】

【接近したならば、両手の拳銃を目の前で交差させる、銃を地面と平行に向け身体の前に構える】
【間髪入れずに次の銃弾を放つだろう、貴方の腹部を撃ちぬかんと、攻撃を続ける】

【言葉では興味ないと言いつつも、貴方にのせられるように語尾が荒々しくなっている】
【全てを無視できるほど、彼もまた、冷静な人間ではないようで】
【無機質な仮面の下、そこにあるのは、存外激情かもしれない】

504名無しさん:2014/02/24(月) 23:44:50 ID:evZhySE20
>>492

……ッ、……

【セリーナの怒濤の気迫に、流石の彼も思わず言葉を失った。逃げ出そうとしている、それは、余りに的確な言葉だった】
【見開かれた目はそれでも相手から離さない。瞼が微かに震え、握り締めた拳がぎゅうと音を立てた】

……目もろくに見えない、耳もまともに聞こえない、声すら出せない
足掻く手足もなければ……、顔は痘痕だらけの、醜い、醜い身体に
こんな……こんな身体に生まれ落ちて、ゴミの中に捨てられて、やっと死ねる思うたら
勝手に同情されて、拾われて! 醜いまま生きながらえて!! 挙句の果てに見放された!!
誰にこの気持ちが理解出来る!? 手も足もあるお前なんぞに何が分かるッ!!

こんな、身体でも……死に切れなかった、生き延びたかった……その気持ちが、お前なんかに……ッ、

【恐らく初めて、彼は人生の中で今初めて、心中に抱え続けた感情全てを吐露した】
【こうして叱られた事が無かったからだ。今までの人生において、ここまで真摯に自分に向き合おうとした人間がいなかったからだ】
【彼もまた、人間に向き合うことをしなかった。本当は健常な人間が憎いのではない、この体に生まれた、自分自身が憎かったのだ】
【震わせた肩がやがて僅かな落ち着きを取り戻したものの、それでも絞り出すような言葉は酷く震えていた】

能力で作る、この体は……日にせいぜい数時間が限度、それも、週に一度出来るかどうか
何より亡霊に与えられただけの能力……だから、いつ使えなくなるかも、分からない
組織の中に潜んで、誰かに匿われて、そうしないと殆ど生きられない……だのに、
その人を殺す事だけが、自己認識だった……いま自分が生きている実感が、欲しかった

……は、はッ……、こんな奴に……毀れた人間に……、お前は何故、そこまで……
これだけ人を殺めてきて、この手はさんざ血に汚れて……その罪を、死ぬ以外に、どう償う?
これから生きていく、未来? そんなもの、あッちにある訳が、無いやろ……ッ

【それ以上の言葉が出せなかった。喉が詰まる感覚があって、せり上がる熱に体が追いつかない、声にならない】
【自死以外の償い方など知らなかった。いや、矢張り死ぬ事で逃げたかった、赦された気分に浸りたかっただけだ】
【荒らげた息が静まっていく、目を逸らし俯いた月彗の頬を、一筋伝うものがあった】

505名無しさん:2014/02/24(月) 23:47:16 ID:F52AoKs20
>>499
「朽ちると知ってからだ――きっと、朽ちぬ身体ならば、永久を約束されていたならば。
どれだけ強い力を持とうと、権力を持とうと。きっと私はこうしていない。
人の身だからこそ、なんだ――。きっと、それが人という種族の、強さだ」

【人を愛し、人の強さを知り、人を信じるが故に――――人として意志を貫く】
【〝人としての生〟は後僅か。そして、それまでの間、目の前の騎士に人としての生き様を見せてやろうと思った】
【手に通じる熱。騎士の持つ温もり、羨み。表に出さぬも、人の心を知る白い少女は、その手を弱く握り返す】

「――ああそうだ、私が死する事で、私の望む世界が始まっていく。
君のような者が、私の朽ちた後を見てくれるなら、それは私にとって何より好ましいことだ
私は……狂気ではなく理性を以て凶器を振るおう。六罪王〝アンバーブラッド〟として、存分に君を使わせてもらう」

【死の先を見届けてくれる者が居る。それだけで、エインセルの心は安らいだ】
【己の成した物事が、誰かの記憶に残るという事が。何よりも、少女にとっての救いとなった】
【僅かな微笑みは、意志によって覆い隠され。次の瞬間には、博愛的な少女から冷徹な六罪王へと転身を遂げ】

「……また会おう。数日後、リジルにて」

【車椅子を移動させ、ビルの端までたどり着くと。薄い手をひらひらと振り――空中へ滑りだした】
【次の瞬間、少女の座する空間に蛍光グリーンの回路模様が駆け抜けて、少女の姿は閃光と共に消えていった】
【男の次元移動とは少々異なるその移動は、見抜けたのならば――世界と己を一体化させた故の所業と理解できただろうか】
【空間を歪ませたわけではない。その瞬間既に少女はそこに居らず、その瞬間既に少女は遺跡に居たのである】

【そして、先程まで少女の居た場所には一欠片の琥珀が転がっている】
【透き通ったそれに触れれば、それが少女そのものの欠片だということが理解できたろう】
【これを持っている限り、少なくともこの世界に少女がいる限り、琥珀と少女のつながりを辿れば、きっとこの世界に現れることが出来るだろう】
【僅かなりともの、少女なりの忠義への返礼――であったようだ】

/*このような感じで、お疲れ様でしたー!*/

506名無しさん:2014/02/24(月) 23:57:46 ID:buu1lXlY0
>>501

【あどけなさの残る顔立ちをしていた。すらりと伸びる手足も、少女期特有のバランスを保って】
【少女として一番美しい瞬間を切り取って作った人形のような、そんな儚さがそこにあった】
【それは女性の持つ美しさとは方向性が違っていて――けれどよく出来た人形に宿るような、確かな造形美】

ありがとう――、

【そんな顔を綻ばせて嬉しそうにする、先に記したとおりに隅っこにちまりと座れば、余計に華奢なのが目立つよう】
【膝に手を揃えておいたと思えば店員に注文を告げて。一息ついた頃合、ちらりと横目で女性を見つめ、】
【ふわとその美しさに吐息を漏らしてみせた、――その息が白くもやのように渦巻いて、すぐに透明にほどけていく】

【そうしているのが少しの間あった。何か話題を探しているような間、まさか真正面から魔力に釣られたとも言い難く】
【何かちょうどいいそれは無いのかと黙り込んでいた幕間、思っていたよりもずっと早くに注文の品を持ってきた店員を見て、】

……きゅっ。

【――変な声が出た。どう見たって人間じゃない店員さんにひどく驚いたのだろう、元からまぁるい瞳は余計にまるくまるく変わって】
【驚いた分だけ余計に対応が丁寧になる、わたわたしているのは自分だけ、きっと淡々と進んでいく接客の中で、】
【ぺこぺことひとり頭下げたりしていたのがどうにも櫻のほうの気質に見えた。ほわーっと最後まで驚いたような調子を保った】

……今日は変なお店に縁があるみたい、さっきもね、ちょっぴり変わったお店に連れて行ってもらったところなの。
お店のひとがいるんだけどね、全部自分でやるお店――……、ここは、……人間じゃないひとばっかりのお店?

【見送った背中を見つめていた視線が逸れる、それでも甘味を前にすれば嬉しそうに笑う幕間、けれどまだ口は付けず、】
【変わった店員さんを皮切りに言葉が紡がれていくのだろう、ころころと鈴の音を転がる声音が、やがて尋ねてみるのは】
【結局始めに気にしたことを比較的真っ直ぐに問いかけるものだった。それを聞けば、はじめに何を気にしていたのかもはっきりするよう】

いただきますっ、

【言い終えればぺたんとあわせる手、匙で餡子をすくい上げてひとくち、甘味に頬を綻ばせて】
【美味しかったらしい、今度は寒天と餡子を匙の中に乗せて、ぱくりとひとくち口に入れて――ふわりと、瞳を細めて嬉しそうにした】

507名無しさん:2014/02/24(月) 23:58:43 ID:gzU3mgN20
>>505

【消えた少女の名残、琥珀を拾い上げたなら、その意味合いを理解した】
【感謝の言葉を述べたい、悠久の旅人たる彼にとって、それは何よりも気高き道標であるから】
【止めどない感謝を、ただ一つの静かな思いに込めた】


――――――還ろう〝Eternal Tears of Solow〟


【マントを翻す、空中で捩れるその白片】
【巻き取られるように身体をその中へと沈めたなら、溶けていく】
【やがてそこには何の痕跡もなく、ただひたすらに夜が在った】


/お疲れ様でしたー!

508名無しさん:2014/02/24(月) 23:58:42 ID:JE2zERC20
>>503
死を選択するようなものだと思うがね

【目の前に巨大なコンテナが現れ銃弾を受け止める】

これは嫌でも手並み拝見しなければならないようだ

【滑らかな動きで刀を腰の鞘に納めた】
【コンテナのうらで男は拳を構えた】
【コンクリートを踏みしめて足の感覚を確かめる】

ただ殺してしまうのは惜しいな

ナンバースというのは君のようなへなちょこりんの集まりなのかね
何のための組織なのだ?

509名無しさん:2014/02/25(火) 00:07:21 ID:gzU3mgN20
>>508

【銃弾がコンテナへとめり込む、ほう、と唇の端で言葉が揺らめいた】
【なるほど、と言葉を紡ごうとした、けれどもそこに音はなく】
【一つ降る夜の白片に、僅かな揺れが生じた】


……囀るな、貴様のような存在が?ナンバーズ?を語るな
?No.4?こそが俺の証左であり、矜持でもある
それを貴様が踏み躙り、穢すのであれば――――――


【ミシリ、と音が漏れる、貴方なら気づけるだろう、受け止められた筈の銃弾が、動いているのだ】
【動くはずがない、巨大なコンテナを撃ちぬくにはあまりにも質量が小さすぎる】
【だが実際に響く音、確かな音律が、そこにはあって】

【男の声色が変わる、激情が表情の下から漏れたなら、その焔は仮面を焼く】
【やがてそこに現れるのは怒り、確かな思いをそのナンバーに込めて】
【返す言葉が弾けたならば、決壊する音が響き渡るだろう】


――――――まずは貴様から、死ね
?Liquid Tension Experiment?!!


【コンテナに何の仕掛けもなければ砕け散るだろう、銃弾が役目を終えどこかへ消える】
【立ち尽くす男、眉を潜めるその様子は、激しい怒りをその表情に宿し】
【左半身を貴方に傾け、左腕を上げ、左手に握る銃から銃弾を放った】

【間髪入れずに走りだす、地面を蹴り、互いの距離を詰めようとする】

510名無しさん:2014/02/25(火) 00:13:55 ID:A89md4kk0
>>506

【女性は少女の感謝の言葉に、にこりと笑って頷くだけ。続く言葉はなかった】
【人付き合いは好きだが無口――静かなタイプの人、ということなのだろうか】
【沈黙は決して重たい空気ではない。どこか温かな、確かに櫻らしい物が流れていた】

【それから店主を見る目、そして上げた声。これにはクスリと笑い声が聞こえたが】
【やはりそれ以上馬鹿にするだとか、からかうだとか、逆に安否を気遣うのも無くて、楽しげで】

ほほう、変わったお店とな?……なに、全て自分が…?
となれば料理も、茶もか…。……ううむ、妾が行くと何も頂けなさそうだのう

……この店か。此処はの、来る者も居るものも人ではないお店よ。
本来は櫻に構えておるのだが、ちと妾に付いてきてしまったようでな?
無碍にするのも悪い――それでこうして休んでおったと、まあそういう訳で。

【話しかけられたならちゃんと答えるし、質問にも嘘偽りもなさそうに返事が帰ってきた】
【確かに――店内をよく見てみれば、オンボロの傘に手足が生えたのやら、毛むくじゃらやら】
【所謂〝妖怪〟か。そのたぐいの者ばかりがやんやと騒ぎをしているようで、何処かでは竪笛の音も漏れていた】

【――それからこれは事実ではなくて類推。どうもやはり、この女性は相手の少女がどういう者かを分かっている様子だった】
【質問への返事がまさにそれだ。決して居るものだけが人間じゃない、とは言わなかった――】

良ければ団子なども在る。妾も頼んだはよいが、あまり食べる方ではないのでな
要るようであれば食べておくれ。……こんな時間に、とも思うがのう?

【餡蜜の美味さは言うまでも無かったか。あの店主、顔はなかったが腕は確かなようだ】
【今は奥で焼き鳥を炙っている――その串と同じ物に刺さった幾つかの色団子が、皿に乗って女性の側にあり】
【彼女はそれを、少女との間に置きながら声を掛けた。如何にも美味しそうに食を進める少女を見るその目は、なんとも楽しそうで―。】

511名無しさん:2014/02/25(火) 00:18:23 ID:JE2zERC20
【逆上した相手を見て覚悟を決める】

【向かってくる相手の動きに合わせて右の拳を突き出した】

何かを遠隔で操作するタイプかと思えば肉弾戦を所望しているらしい
能力の実態が掴めんな
神でもない限り法則がありそうなものだが

まぁ跪かせて吐かせるまでだ

512名無しさん:2014/02/25(火) 00:24:35 ID:gzU3mgN20
>>511

【突き出される右の拳、存外に早いと感じつつも、避けきれない早さではない】
【相手に対し横向きで突進する身体を後方に倒し、拳を胸にかすらせる形で回避する】
【狙いは単純、その拳を、右脇で挟み込むように拘束しようとするのだ】


ほざけ!この程度の力、俺にとっては障害にすらならない!
〝カノッサ機関〟の〝No.4〟の力、とくと味わえ!!


【左手を伸ばす、伸ばされた銃口の先、貴方の身体があるのだろう】
【至近距離に於ける接射、単純ではあるが、威力は大きい】
【拳銃の反動を殺しきる筋力の賜物とも言える戦い方であろう】

【狙いは明確、貴方の右肩を狙って彼は銃弾を放つ】
【通常であれば避けられる可能性も高い】
【だが彼が右手の拘束に成功していれば、その限りではないだろうが】

【吼える彼の声、響く意味合いは強く彼を飾り立てる】

513名無しさん:2014/02/25(火) 00:39:20 ID:JE2zERC20
カノッサ機関、ね
熱くなると自制が聞かないのか

【静かに決して速くはない動きで銃口を抑え向きを反らした】

見えてきたぞ
接近戦においてなお銃に頼る傾向がある
どうやらその銃が君の能力のカギのようだな

だが、ここまでだ


【ひるまずにつかまれた腕をひっかけるようにして相手を捕え、頭部に向けてヒジを振り下ろす】

514名無しさん:2014/02/25(火) 00:41:17 ID:buu1lXlY0
>>510

【対する少女も、その実沈黙をあまり苦にするほうでなかったのだろう、無理に話題をひり出さなかったのもそのせいで】
【針のむしろに座るような沈黙ならともかく、暖かなものだったならば尚更だった。不思議と賑やかな場の空気というのも手伝って】
【結局話し掛けたのは数分後のことになった。甘い甘い餡蜜を食べながらの会話というのも、きっと穏やかなもの】

でも忙しくなければ作ってもくれるみたい。店主さんがね、テレビをずっと見てるから……、
……あんまり頼むのも悪くって自分で作ったの。美味しかったよ、わたしの作るご飯の味だった――。

【くすりと笑ったならきっと脳裏で思い返している、知り合いに連れて行ってもらった不思議なお店――名前も知らない店のことを】
【自分で作ったのだから当然だが、どこか冗談めかして言う。薄らとする酒の臭いというのも、そこから来るものなのだろうが】
【意識をスッ飛ばすというほど飲んでいるようでもないらしい。というより、どう見たって未成年にしか見えなかったのだが――】

櫻のお店なの? やっぱり、不思議だなって思ったの……、この辺りには、ちょっぴり似合わない風だから。
ついてきちゃったって――不思議なお店。やっぱり、今日は不思議なお店に出会う日みたいね――。
……とってもおいしい。そっかぁ、櫻のお店なんだ――、……わたしね、櫻のほうには行ったことがないから……。

……――わたしのご先祖様ね、蛇なんだよ。蛇の神様なの。

【人間ではないことを見抜かれているようだった。ぱちりと瞬いてみせたのは、きっと敵わないとでも言いたげな風で】
【お店が後をついてくるというのも不思議な話だった。ああやっぱり今日はそう言う日なんだなと、ごく普通のように受け止めて】
【にこりと笑いながら味についての感想を述べる。嬉しそうに食べていたところからも分かる通り、やはりおいしいと感じていたようで】
【その後にはどこかほうと感嘆交じりに店へ改めての視線をやる、――そうしてみれば、なるほど、中身は人外だらけだった】

【――ばれているなら隠すまでもないだろう。お茶を啜る少しの間、ぽつんと口に出してみるのは、そんな事実だ】
【蛇の神様の子孫であり許婚。けれどその役目から解き放たれた今は、ただ、こうして人妻をやりながらふらふらしている】
【それでいて指輪やピアスのデザイン、どちらも蛇なら、完全に解き放たれた、というわけでもないようだったが、】

いいの? それなら少し――いただきます、
甘いものが食べたかったの、いい時間だけど……、あんまり太らない体質だし、いいかなって。

【――勧められたなら断ることもない、それが失礼だと思ったのか、それともただ欲しかっただけなのか、不明でも】
【ことんと餡蜜の器を脇に避けて彩りも綺麗な団子をひとくし取り上げれば、はむとひとつめを咥えて、ずりと引き抜いて】
【それにもまた「おいしい」と笑うはずだった。よほど甘味が好きと見える、――太らないから夜中に喰うと言うのも、どうかと思えたが】

515名無しさん:2014/02/25(火) 00:41:55 ID:gzU3mgN20
>>513
/すいません!そろそろ時間ですので一端凍結お願いできますか?
/置きレスの方に移行できたら嬉しいのですが……

516名無しさん:2014/02/25(火) 00:43:04 ID:JE2zERC20
>>515
了解です
ではお暇なときにそちらに投下しておいてください

517名無しさん:2014/02/25(火) 00:44:44 ID:H2DR/gUQ0
>>504

【ぶつかり合う言葉が、静かな監禁室の中に木霊する。浮かんでは消え、そしてまた言の葉が宙へと舞う。】
【結局の所、セリーナは健常者だった。ある一つの欠陥を除けば、月彗の生まれ持ったその肉体に比べ遥かに頑丈で】
【そして健全な身体を持って生まれてきたのは確かだった。そしてその後の、環境についてもまた、同じと言えよう―――。】
【月彗の謂うと通り、セリーナに彼の感情を完璧に理解する事など不可能なのだ。だから彼女もまた、その言葉を真摯に受け止めた。】

 ―――わからない。分からないよ。きっと、どんなに苦しい思いをしても、きっとアタシには
 貴方の味わった地獄を理解する事は、出来ないと思う。残念な事だけど、それが事実だ。貴方の指摘は、正しいよ。
 偉そうに何を言うか、そう思うでしょう。でも、もう一度考えて欲しい。

 ―――それじゃ貴方は、アタシの事を理解できるかい。月彗。
 10歳よりも前の記憶が何も無くて、物心付いた時には誰かに拾われて、そしてそのまま過ごして来た。
 貴方と違ってアタシは見捨てられなかったけれど、それでもアタシの人生は決して順風満帆の幸せに満ちたものじゃ、ないよ。

 皆そうさ。アタシに限らず、貴方に限らず。この世界にはどうしようもないような悲しみが溢れてるって、知ってるでしょう。
 そういう物の犠牲になるのはいつだって、抵抗する術を持たない弱い者たちで。そうして悲しみはどんどん、連鎖して不幸に繋がる。
 だからこの世界は―――まるで病気に罹ったみたいに、何時まで経っても中々、健全さを取り戻す事が出来ないんだ。

 ―――貴方だけじゃない。この世界には、悲しみが溢れてる。そしてその悲しみの度合いは、一定の基準で大きいか、小さいかなんて
 語る事が出来ない。だって、人間はみんな、一人一人が違う人生を、違う意味合いで生きているんだもん。
 だから―――貴方の痛みは、貴方以外が理解する事は出来ないよ。悔しいけれど、それが現実さ。

 でもだからこそ―――その痛みと、苦しみと、辛さと、貴方が味わってきた屈辱は、貴方だけが理解できる、
 "大切なモノ"の筈なんだ。他の誰でもない、貴方だけがその辛さを知っている、本当の意味で理解している、
 そういう―――"現実"でしょう。だから、大事にしないといけない。確かに感じた筈の、生きたいと言う気持ちを
 貴方にとっての現実を、大事にしなくちゃいけないよ、月彗さん。

【先程までの怒りとは、少し違う、悲しみを帯びた声で。『何が分かる』とそう告げる月彗に、彼女は言うだろう。】
【分かる筈がない。でも理解し得ないその気持ちこそ、貴方にとって唯一の現実であって、そしてそれは】
【簡単に放り投げる事も出来なければ、捨てたりしていいモノでもないんじゃないか、と―――。】
【確かに感じた筈の悔しさを。生きたいと願う、泥の中でもがこうとした意思を、どうか捨てないで欲しい、と。】
【月彗が憎む自身の事も、自分でなければ愛せないのだ。震える月彗の手を取り、セリーナは逃げず、告げる。】

 ―――貴方が、誰かの未来を奪った事が、赦されないように。
 アタシだって、まだ生きたいと願う"貴方の未来"が、奪われる事は赦さないよ。
 月彗。自分に未来を進む『権利』が有るのか、それとも無いのか―――そんな事を、悩む必要は無いんだ。

 未来は常に其処にある。貴方の目の前に広がっている。貴方にだけ未来が閉ざされているなんて事は、ない。
 何故だか分かるかい、月彗。人間っていうのはね、皆自分の未来を、自分で決める事が出来るからさ。
 悪に染まるも。善に生きるも。全て、自分の未来は自分で創り出して、そして切り開いていくものなんだよ。

 償いの未来が想像できないのなら、"創造"すれば良い。
 生きていく姿が思い描けないのなら、誰かを頼って泣いて見れば良い。
 だって貴方は――――……

 ―――貴方は今、"生きている"じゃない、月彗。


【―――そう。生きている。どんな姿になっても、どんな過去を背負おうとも。今確かに、月彗は生きているのだ。】
【セリーナも、この世界の人々も皆、生きている限り自分の未来を自分で選び、そうして生を紡いでいくのだ。】
【死んでしまっては。死してしまっては。こうはいかない。生きてこそ、今を選択し、未来を紡ぐ事が出来るのではないか。】
【そしてその権利が、月彗にはある。紛れも無く今、セリーナが手を握る貴方は―――生きて、いるのだから。】
 
 ―――あるよ。未来は有る。貴方が生きてさえ居れば、ずっと生き続ければそこに、必ずあるよ。
 だからもう、弱気にならないで。約束できるかい、月彗。

518名無しさん:2014/02/25(火) 00:46:00 ID:gzU3mgN20
>>516
/ありがとです!ではお疲れ様でした

519名無しさん:2014/02/25(火) 01:06:43 ID:A89md4kk0
>>514

……ふむ。それであれば、一度目にしてみたくも有るのう
店というとやはり品は出てくるものという印象……それをどう変えてくれるのか。
ま、機会があればに過ぎぬが――うん?あぁそうか、やはりな……?

妖怪でも無ければ獣人でもない、かと言って大陸らしい洋の気配も乏しい
ともなればとは思ったが……また珍しい。蛇か…蛇は賢い、良い先祖ではないか

【そうでもないか?と続ける女性。ただ話し、そして茶を手に持ち時折飲む】
【それだけであったが、甘味を楽しむ少女同様に笑みは欠かさず、表情も柔らかく】

【――そんな折、通りを真っ直ぐにこちらへ向かってくる影があった】
【見れば人型。しかし月光が照らしだすと、今度は顔はおろか身体の起伏が全くなく】
【全身がぶよぶよの肉で膨れた――何とも言いがたい、指も無いような妖怪が現れる】

【本来、こういう場所に出現する存在ではない。となればやはり、彼女に付いてきた店と同じような状況なのだろう】
【肉の人型は挨拶するように頭部――と思しき場所を下げて、店内に姿を消してゆき】

……妾は鬼での。まあ今は不要にそれを見せるでもないが、ちとこの辺りに用がある
やらねばならぬ事でな?その前にお主のような童に……いや、可愛げのある娘に会えて良かった
中々こうして落ち着くことも最近は少ないのでな。見知った地でもなし、月に愛でられたのやも知れぬ

【そんな事を語りながらまた茶を一口。前から居たからか、もうその中身は無いようで】
【ことり、と湯呑みを盆の上に置いたなら、ふと思い出したように「時間はよいのか?」と尋ねた】

【彼女が太らない体質、というのに加えて時間と言ったので思い起こしたに違いない】
【相手は少女――見た目だけとわかっている様子だったが、自分ほど暇な身でも無いようにでも感じたか】
【確かに夜半ではあった。ただ―――店は閉じる様子もない。鬼だという彼女も、時間は持て余しているように見えた】

/っと申し訳ない…!自分で投下しておきながら眠気が強くなってきまして……
/このあと別れたことにしちゃうか、凍結か置きレス移行をお願いしたく…!

520名無しさん:2014/02/25(火) 01:18:31 ID:buu1lXlY0
>>519
/了解ですー、凍結ということでお願いできたらなって思います!
/明日は7時から9時ごろに一度居なくなるのですが、それ以外なら空いてますので
/そちらの都合のいい時間に呼んでいただけたらなと……ひとまずおつかれさまでしたっ

521名無しさん:2014/02/25(火) 01:23:43 ID:A89md4kk0
>>520
/ありがとうございますっ!明日は昼間は居るのですが
/15時以降はちょっと日が変わるまで来られないので、できればその辺りとか……
/でなければ明々後日ぐらいになってしまうかと思います。
/ともあれ、お互いの都合のよい時間ということで!では、お疲れ様でした〜

522名無しさん:2014/02/25(火) 01:44:33 ID:buu1lXlY0
>>519

少し奥まったところにあったから、次も行けるかな……? ヒライってひとにね、教えてもらったの。
だからね、きっと聞いたら教えてくれるよ――でも、あなたみたいに綺麗なひとが行くのは、大変かも――。

【初めての形式だった。店主に思い切り放置されるというのも、中々ない経験だろうから】
【はじめこそ戸惑ったがそれなりに楽しかった。食材などを好きにしていいというのも、気楽ではあったし――】
【――もしも彼に出会えたならば聞いてみるのもいいかもしれない。曖昧なまま道案内するのも、気が引けてしまう】
【何より。連れ歩いたりしてしまっては路地裏のちんぴら共が放っておかないだろう、こんなに美しい姿のひとは、あんな場に似合わない】

とっても綺麗な蛇 (ひと)だった、真っ白な鱗の一枚までが宝石みたいにきらきらして――、瞳が、真っ赤な血の色で……。
いつもわたしのことを気にかけてくれて、優しかったんだよ。……――でもね、居なくなっちゃった。

……宝玉に喰われたんだって言ってた。この石ね、――月白色は、あのひとの色なの。元はね、綺麗な赤色だった。

【――先祖を褒められたなら、自分のことを褒められたのと同じように思えてうれしくなる、にこりとあどけない顔を笑わせて】
【お茶の椀、その淵を指先でそっとなぞる。少しだけ伏せた視線は、――少しだけ不穏なその先を、辿らせるように】
【神というのは不安定な存在だ、ひとに信じられることで存在を確固にして、逆に信じられなければふにゃふにゃとぼやけてしまう】
【ましてひとですら心を乱される宝玉相手だ。喰われてしまったというのも、――実際、ここにありえた話なのだから】

【ついと持ち上げた指先が右耳の元でピアスに触れた。月明かりに煌く月白色、懐かしい色を脳裏に浮かべて】
【だいすきだった白蛇はいなくなってしまった。けれど、今もこんなかたちで、傍に居てくれる。それを安堵するように、瞳を細めた】

【(静かに水の気配を湛える宝玉、その力はどこか優しげに彼女へと向いていた。まるで、そっと抱き締めて守ってやるように)】
【(先祖が霊体で背後に立ってやるようなものなのだろう、愛すべき子孫とその伴侶を守ってやる存在に、生まれ変わっただけ)】

【――そう言う場だと覚悟してしまえば、ぶよぶよと現れた肉塊のようなひとがたにも対応できるというもの】
【それでもぎょっとしたような顔はしたが、今度は声に出さなかった。失礼と思ってか凝視することもないまま、ぱくりと団子をひとつ食べて】
【最後に店に入っていくのをちらりと横目で見て、――それで、反応はおしまいだったが。横の女性と比べれば、ずいぶん大きなものだった】

鬼――、

【ぱちくりと瞬いた瞳が女性を改めて見つめたのだろう、――ついと視線が頭上に動いたのが、どうにも分かりやすく】
【ほえーなんて風の吐息がひとつ。むぐりと団子の最後のひとつぶを食べて、串を邪魔にならない場所へ退かし、】

あなたは、……お仕事の途中なの? わたしはね、ずうっとすることもなくて、暇だから――……。
毎日平和に生きるのをお仕事にしようって思うの。セシル――あ、わたしの、結婚したひと――のお仕事を手伝おうかなとも思うんだけど、
……きっとね、危ないから駄目って言われちゃう。だからね、……普通に帰ってこられる家を作るのが、わたしの仕事かなって、……。

【急がしいのだと彼女は言う、それなら仕事の途中なのかと尋ねるのも、ずいぶん簡略的な思考回路だったようだけれど】
【ぺたと足を持ち上げて落とす仕草、かっつんと硬い足音がして――つらと、言葉を並べていくのは】
【ほんの少し先の穏やかな未来を描いて微笑むような刹那、荒事とは無縁の場所で咲く花のような、笑顔で】

……でもね、お仕事って言って変なの連れて帰って来たこともあるんだよ。なんかね……黒くてうねうねした寄生虫、?
なんだっけ、おっきな鳥を斃してきたって……、――急にだったからね、本当にびっくりしたの。

【――続いた言葉が少しだけ拗ねたようなものになる、「もー」とでもいう風に、ぱくりっと餡蜜をひとくち食べて、】
【「でもね、素敵なひとなんだよ」なんて言葉まで続いて一区切り。なんだかんだ文句は言いつつ、そのひとを想っているらしかった】

【「時間は大丈夫だよ、お散歩して帰るって言ってあるから――」】
【――どうやら、時間に関して問題はないようだった。許されるなら、もう少しここでお話して行こうという気であるらしい】
【なにせまだあんみつだって食べ終わっていない。ピンク色の求肥餅をもちもちと食べながら、そう返した】

/返しておきますー、昼間は空いてるのでその頃合にお呼びくださいなっ

523名無しさん:2014/02/25(火) 01:47:35 ID:evZhySE20
>>517

……お前の、事……?

【震える手を取ったセリーナの手が、暖かい。それは紛れもなく自分以外の人間の、けれど確かに生きている体温】
【他人になど興味を持った事は無かった。いつも自分の苦しみばかりを訴えて、人の痛みなど気付きさえしなかった】
【つまるところ、自分以外の人間などMoBでしかないと思い込んで、ひたすら自分の世界だけに閉じこもっていたのだ】

生きている、……未来が、ある……、なら……

【つう、と頬から伝いしたる雫が床に落ちて青藍色の燐光を放ち、其処から不可思議な植物が蔦を伸ばし生えてくる】
【静かにその先に開いた花は御仏の力を纏い、慈愛を授ける仙界からの力。実に強力な、「癒し」の力だった】

この力で……別の生き方を、選ぶ
人の痛みを、理解する……そういう、生き方を
……約束、する。セリーナ・ザ・キッド

【機関にいた頃、同じナンバーズであったベイゼが傷付き倒れていた時、無意識に取った行動は彼女を救う事だった】
【傷口を塞ぎ、精巧な義手を取り付けて。思えばその時から、己の適正に気が付いていたのかも知れない】
【この力は、人を救う為のものだった。ただ棘だらけの心が、ずっとそれを否定して殺人の道具に変えていたのだ】
【その棘が、セリーナの言葉で瓦解してゆけば。後に残るのは、人を癒し救える、この力だけだ】
【再び弱ったベイゼに遭遇した時にも、月彗は治療の手を施した。その時抱いた強烈な違和感の正体に、やっと気が付いた】

【長い、長い沈黙の後。漸く顔をあげた月彗の表情は、深い覚悟を決めたものだった。負の方向でなく、正の方向へ】

……携帯、返してくれ
セシルに掛ける……其処から、悦那に繋がる

……、……謝りたい

【不意に呟いたのはそんな言葉。外部と連絡出来るものは預りとなっているだろう、それを返して欲しいと言った】
【消えかけるような微かな声で添えた言葉は、この男が口にするなど誰が想像しただろうか。だが紛れもなく、本気だった】

/大変お待たせしました……!

524名無しさん:2014/02/25(火) 02:08:04 ID:H2DR/gUQ0
>>523

【―――月彗の持ち得る力。植物の慈愛を司る、花を咲かせる命の息吹。】
【誰よりも優しく。誰よりも気高く。そして誰よりも、愛しい力だ。傷ついた他を癒し、迷える者を導く。】
【命が咲き誇り、そこに生命の力強さが感じられる。そしてその尊い命を、決して踏み躙ってはいけないのだ。】

 ―――優しい力、だね。アタシみたいに、野蛮に銃を撃つようなそれじゃない。
 月彗さんの持つ其れは、誰より優しい、そして美しい輝きを持った力だよ。
 ほら―――花が開く。どんなに固い蕾も、やがて必ず咲き誇るんだ。
 アタシの好きな映画に、こんな言葉が出てくる―――『Life will finds a way.』
 『生命は必ず、道を見つけ出す』―――ってね。

【踏み躙られた花が、立派に咲き誇る。雨で萎れた草木が、陽の光浴びて再び生き返るように。】
【月彗もまた、この慈愛の力と同様、きっと立ち上がる事が出来る筈だ。今度こそ、誰に奪われる事無く。】
【自分で決めた自分の未来を、自分の足で、歩む事。約束、と言う言葉が響いた。セリーナはそっと、微笑むだろう。】

 ―――……うん。いいよ! 携帯電話くらいなら、無料で貸し出しさせてあげる。
 流石にお金に五月蝿いアタシでも、今日ばかりは通話料タダって事にしておくよ、月彗さん。
 ―――はい、使って。

【差し出された携帯電話―――W-Phone。あらかじめ入力画面に設定してある為、番号を入力すれば通話が始まるだろう。】
【今までであれば、こんな事は無かったのかもしれない。敵同士であって、悦那が離れた原因の一つでもあって。】
【そんな彼とも、こうして判り合うことが出来た。そう、これもまた、一つの未来なのだろうとセリーナは思う。】

【―――笑う事は無い。彼の本気の言葉を信じて。セリーナは月彗の懺悔を、最後まできちんと見届けるつもりだろう。】

525名無しさん:2014/02/25(火) 03:54:24 ID:evZhySE20
>>524

【預かった端末の画面をなぞり、耳元へ当てる。数コールの後に出た声は、知らない番号への疑問を孕んだものだった】

『……どちら様で?』 ……、……月彗。
『っ、お前……今まで何処に、』 悦那に……繋いでくれ
『……分かった。その前に、ずっと伝えようとしていた件だが、』 ……、……?
『結婚した。鈴音と』 ……おめでとう。
『今、繋ぐ』 ……ああ。

【会話の声はセリーナにも聞こえるだろう。セシルが鈴音と結婚したという事も、それを素直に月彗が祝福した事も】
【それから悦那に繋がるまでに数コールの間があった。緊張しているのだろう、唾を飲み込む喉の動きが見て取れた】

「……誰だ?」 ……、……月彗。
「月彗……!? お前、今何処に、」 ……っ、くくっ……
「な、何だよ……?」 いや……兄貴二人共、同じ事聞きよるなあ、って。
「っ、……どうした。何が言いたい?」 ……一度しか言わへんから、その腐った耳ようかっぽじって聞けや
「あぁ!?」 ……今まで、悪かった
「っ……!? ……、……」 ……? おい、
「それは……、俺の、台詞だろ。お前らの事、見捨てて逃げて、」 ……もう、ええ。
「許して、くれるのか……?」 ……っ、くくっ……本当に、馬鹿な兄貴やな……、

【互いに、それ以上の言葉が出せないようだった。電話越しに鼻を啜る音がするし、眼前の月彗は顔に手を当て俯いている】
【それからどちらともなく、始めこそぎこちないものであれ、他愛もないような会話が続いていくだろう】
【悦那からの安否を気遣う質問攻めに始まり、月彗からの現状に至るまでの長い説明と、間に終わりの見えない謝罪のやり取り】
【「俺が悪かった」、「いや、そもあっちが、」そんな繰り返しの果てに、再会の約束を取り付けて長い長い通話は終わる】
【まず間違いなくかなりの通話料が掛かった事だろうが、これで、月彗の抱えていたしがらみは全て、取り払われたのだった】

【後日。月彗との再会の約束と、セリーナへの謝罪の為に、あの死体の男がUTを訪れる】
【勿論殴られるのは覚悟の上、死んでいるのだから怖いものは無いはずだったのだが、門前でしばらく悩んでいたというのは余談】
【殴って事務所へ引きずり込んでやったなら、心ここにあらずな謝罪の後、飛ぶように月彗の監禁された部屋へと向かうはずだ】
【やっと対面を果たせば死人の腐敗臭がする涙をさんざ流して、馬鹿兄としての醜態をセリーナの前に晒すこととなるのだが】
【それからちゃんとUTを勝手に抜けた件についての謝罪をして、ただ、再び戻る意思はない事も告げる】
【もう仲間も増えて立派な組織になったんだから、などと理由をつけてはいたが、出戻る事が嫌だったのが正直な所だろう】
【帰り際にはセリーナに連絡先を渡して、それから神妙な顔で今後の月彗の処遇について尋ねる】
【それがどのような形であれ、月彗も拒む事なく受け容れるはずだ。ただ悦那から、時折面会する事の許可を求められる】
【セシルについても、事の顛末が本人達から伝えられ、その後にUTに10,000,000の金が彼名義で贈られる事となる】
【ずっと二人の狭間にいながら何も出来なかった、それを成し遂げてくれたセリーナへの、彼が出来うる最大限の御礼だった】

【かくして、泥の三兄弟の波乱は収束する。月彗をUTに拘束するならば、メンバーの治療役を担わせる事も出来るし】
【もし解放するというならの話。各地の戦場や貧困地域で、傷を癒してくれる不思議な草花が咲くという噂を耳にするかも知れない】
【何れにせよ、改心を果たした月彗だが、その性格と毒舌だけは改善の兆しが見られなかったという】

/度々遅れてしまい申し訳ありませんでした……!
/長引かせてしまうのも申し訳ないので、ここで〆とさせて頂きます!
/深夜に渡ってお付き合い頂き、本当にありがとうございました!

526名無しさん:2014/02/25(火) 10:46:05 ID:A89md4kk0
>>522

なぁに、そんな珍しい店なのであれば人に聞けばすぐ見つかるだろうて。
うん?……あぁ。それなら問題は無いとも、彼らが味方してくれるからのう?
お主は少々驚いたくらいだったが、世間には見るだけで泡を吹くものも居るし、それに――ふふっ。

【最後のところは皆まで言わず、という具合の含み笑い。ちょっとした怖さが覗く気がした】
【それより気になるのは綺麗な人、と言われて否定も肯定もせず居たところだろうか】
【自分がそうであるという自覚がある――けれど誇らない。なんとなく、妙な不思議も沸き起こる】

……どうやらお主も良いご先祖を持ったが、ご先祖も良い子孫を持ったらしいな?
今時、自らの祖をそこまで好いて褒める者は少ない……櫻でもそれは同じよ

宝玉に、というと……察するに余りある。神なればこその苦労も多いと聞く
それでも尚となれば…、……あぁ。ほんに良いご先祖だの、羨ましい限り…――。

【先祖を特に敬う櫻の国でも――というのはやはり、少女の言葉がイヤに詳しいからだろう】
【語るに何か物語があったのは察したのか、深いところは聞かなかったが】

【どうも、それで彼女には十分だったらしい。宝玉の力が少女の加護のようになっていて】
【彼女もまた、恐らくそれを理解できている――そういう関係を分かっての言葉だったに違いない】

うむ、鬼だのう。……角は普段出しておると不便なのでな、今は無いぞ?

お仕事か、と言われるとまあそれもそうなのだが、もう少しばかり大事な用でな
妾の旦那様に関わる話…――おや、やはりお主にも良い人が居たか。
よいよい、女はそれで良い。疲れた夫を癒して出迎えるのが妻の仕事という物よ

――――ところで今、大きな鳥と言うたが。その鳥……名前は分かるか?

【話が続いて視線に気付けば、くすりと笑って額の二点を指さした。恐らく、本来はそこに在るのだろう】
【ただ、確かにあったら邪魔そうだ。店の暖簾をくぐるだけでも迷惑なのは容易に察せられる】

【更に話が男女の――というよりも最早夫婦の話か。それに変われば、一家言あるような事を言って】
【次いで彼女の話に出てきた寄生虫、そして鳥。これに興味を惹かれたようで、言葉の最後に詳細を訪ねてみた】
【といっても、恐らく少女はあまり仔細を知らないだろうが――ニュースなどでもある程度は流れた話だ】
【櫻に居て知らなかったということであれば、簡単な内容でも伝えるのには差し支えは無いだろう、か】

/おまたせしましたっ、本日もよろしくお願いします!

527名無しさん:2014/02/25(火) 14:32:48 ID:buu1lXlY0
>>526

【ぱちりと瞬いた、途中で途切れた言葉の冷たさ、続く言葉はきっと辿ろうとするまでもない】
【何かを思うような間は、それを察したのだろう。傍に居たから少しだけ慣れてしまった力の流れを、思い出して】
【相手はただの人間じゃないのだと今更ながら再確認する。それなら、振るう力もあるのだろうから】

みんなね、会ったことないから分からないんだと思うの、だって普通は――先祖になんて、会わないでしょう?
わたしのところはね、わたしに会いに来てくれたから。わたしのために、出て来てくれたから。会うことが出来た。
だからね、あのひとがとっても綺麗なことも、優しいことも、知ってるの――全部じゃないけれど、たくさん、知ってる。

【そう、会ったことがあるような口ぶりで話していたのだ。真っ白な鱗に赤い瞳、先天性の色素異常だろうが、】
【そうだと伝えられたのを知っているのでなく自分の目で見たという顔をしていた。続く言葉は、それを証明してゆくもの】
【会いに来てくれたのだという、耳元に添えた手を優しく握りこんで――思い返す、ほんのりと柔らかくなる表情を付け足して】
【よほど好いているらしいと思わせるには十分だった。その瞳には僅かの寂しさが過ぎる、けれど、それはぎゅうと飲み込んだ】

……そっかぁ、

旦那様……、旦那様が、居るの……? そう、旦那様のため――頑張ってねって言うの、ちょっぴり偉そうかもだけど――、
……とっても素敵なひとなんだよ。お仕事の時はね、いっつも暖かいスープを作って待っててあげるの。

え……、――なんだっけ、……あ、テナー? そう、たしか、そんな……。

【つのは普段は見せていないのだという。ほうと吐息を吐いた返事は、――もしかしたら、少しだけ見たかったのかもしれない】
【けれどもちろん駄々を捏ねて無茶を言うわけでもない、放っておいてやればそのまま我慢するのだろうから、】
【それよりもその先の話題の方に意識を向けるべきだろう。スープを作って待つのだというよりも、鳥の名前のほうに】
【急に言われたから浮かばない。そもそもその名前は軽く聞いたぐらいで、残りは彼の読み終えた新聞を読んだかぐらい】
【それでもやっと思い出す、ぺたんと打った両手、やっと思い出せたことを喜ぶように、――それでも首を傾げながらだったが、まあ許容範囲内だろう】

528名無しさん:2014/02/25(火) 14:49:19 ID:Ma6AGWLw0
>>525

【聞こえてくる言葉はどれも、とても優しい物であって。本当の兄弟同士が語らう様な、そんな印象をセリーナに与える。】
【今までどれだけの困難を、彼等は共にしてきたのだろう。共に乗り越えてきたのだろう。そんな事を考えさせられる、一時。】
【結婚という単語が聞こえてきた時には、セリーナの顔に驚愕の表情が浮かび。その後少しだけ遅れて、ぱあ、と笑顔が広がった。】

【言葉が紡がれていく中、彼等の結び付きを強く感じさせるような互いを気遣う会話の内容に、ゆっくりと耳を傾ける。】
【謝罪が重なり、『俺が』『あっちが』と言い合う様は、なんだかとても安心させられる物であって、むしろもっと言うならば】
【少しだけ面白い様にも見えてしまう程―――そう、既にわだかまりもしがらみも、無くなっているのだと言う事に彼女は気付いた。】

【きちんと会話をする、その切っ掛けや勇気さえあれば、決して分かり合えないと言う事は無いのだ。何故ならば。】
【月彗と、セシルと、そして悦那の三人は―――UTのメンバーにも負けないくらいに、強い、強い絆で結ばれているのだから。】

 ……よかったね、月彗さん。それと、アタシからもおめでとう、ギムリー……ううん、セシル。
 こりゃ、何かプレゼントでも用意しておかないと―――って、やっぱりお酒が良いかな。また忙しくなりそうだね、ふふっ。

【電話を終えた月彗に、セリーナも声をかけて。結婚祝い、何にしようかなあ、なんて―――月彗に問いかけるのだろう。】
【もう、何も怒る事は無い。訴える事も、怒鳴る事も、何も。月彗は自ら選び、今こうして、『兄弟』の未来を紡いでいるのだから。】

【そしてこれはまた、後日の話ではあるが―――……悦那の久しぶりの邂逅を出迎えるのは、宣言通りの強烈な右ストレートの筈だ。】
【ただし拳はぶるぶると震えて、殴りとばしたその後には、大粒の涙を流す世にも珍しいセリーナの泣き顔が見れるのだが―――……。】
【その日は悦那も、そしてセリーナも泣きっぱなしの、なんだかとてもしんみりとした日になったという。まあ、それも良いのだろう。】

【誰かを想って流す涙は、美しい。その美しさを忘れなければ、きっともう、迷う事は無いだろう。】
【だから悦那の謝罪に対し、セリーナ自身も焦っていた事や、右ストレートはやり過ぎだったなんて謝ったりして。】
【ゆったりとした、平和な時間が流れる。だが別れは確実に来るもので、セリーナは今度こそ、悦那の組織脱退を認可した。】
【彼自身がけじめを付け、そして熟考の末に選んだ結末がこれであるのなら、もはやそれに文句は言えまい。悲しいが、それもまた未来だ】

【さて、ここからは月彗の処遇についてであるが―――まず、監禁は解かれた。彼は自由に、UT内を闊歩する事が出来る。】
【そして加えて言うのなら、彼さえよければ『メンバーに加わらないか』なんて勧誘すらもしていた程で―――つまるところ、】
【もはや月彗を縛る物は何もない、という事。拠点が無いのであれば、部屋を一つ二つ貸すことくらい余裕であるし、なにより】
【彼には類稀なる才能と、その才能を他人の為に活かしたいと言う意思があるのだから―――仮にメンバーに加わらずとも】
【月彗であれば基地内に入る事も許される様、セリーナは手配をしておいた。これは一重に元メンバーを兄に持つが故、かもしれない。】
【共に歩むもよし、独りで誰かを助ける道を行くも良し。セリーナはその選択を、彼に任せる事にした。彼ならどちらを選んだとしても】
【きっともう誤る事無く、進んでいけると確信していたからだ。だから、いつでもUTに来る事は出来るし、ある意味『同盟』状態だ。】

【―――勿論それは基地のみならず、表の酒場の方にも言える事だ。もし顔を出す事があるのならば、快く出迎えられるだろう。】
【酒好きの店主が、集まった陽気な酔っ払い達が、貴方を拒む事は無い。自由とはきっと、そういう事だろう。】
【もっとも、仮に『呑む』事があれば、とんでもない時間を付き合わせられる事になるだろうが―――……】
【そんな『未来』も、あっていい筈だ。今はただ、そう思えた。風は今日も、静かに吹いている。】

/と、此方こそお付き合い頂きありがとうございます!
午前中に反せたら良かったのですが、ちょっと遅くなってしまい申し訳ないです。
これにて〆とさせていただきます、ありがとうございましたー!

529名無しさん:2014/02/25(火) 19:05:57 ID:CKwgAcf.0
【路地裏――袋小路】

「ヒャハハ、俺様のヴォーイスCDが出ェ来たとォな!」 『左様でございます、邪禍様』
「さァっそく再生しィてみィな……出ェ来によォっては、新作フゥルーツを作ってやァろう」 『では……』

【それは黒い外套を羽織っている、コワモテで奥二重でエルフ耳の、男にみえる者だった】
【身長は約2mの、筋肉質な細身で、黒い白目と血の様に真っ赤な虹彩を持ち、ボサボサとしている長い黒髪だ】
【上下共に長袖黒ジャージを身に着けていて、首に紫色の毛のマフラーを巻いており、手袋や靴下も紫色だ、靴は黒】

【その者が手に持っている物は――CD、だろうか、思いっきり掴んでいて大丈夫なのだろうか?】
【そして、もう1つ――CDレコーダーの様な物も持っていた、蝙蝠色でその羽根もある】
【――そう言えば、『』の者の声の主はどこにも見当たらないが……】

【その者がCDをそのレコーダーに入れれば、クリアーでリアルな、その者の超高音質な声が流れだす】

「[グゥルアアッ、……疼く……俺様の邪ァ気眼が……......]」

【…………以下、こんな調子の音声が続く】

「[……ククッ、第三の眼を持ォたねェ奴にはわァかんねェーだァろう……......]」

「――新作フルーツは無ァしな」 『梨で御座いますか』 「何番煎じかも知ィらねェギャァアーグは要ィィらねェッ!」
「良ォいか、……もォーっと、人間共が釣ゥれるよォーにだァな……」

【なんて言いながらも、音声に合わせたモーションを取る辺りは……ノリが良いのだろうか】
【一つ気になるのは……数々の罪で指名手配されている悪魔、邪禍によく似た体型と顔等を持っている事か】

530名無しさん:2014/02/25(火) 20:41:33 ID:0.CUd3zw0
【ここはとある国のとある小さな街】

【その街の路地裏に、二つの人影があった】
【片方はそこらのチンピラであろう男、だかその姿は異様だ】
【なんと地面に足がついていない、その原因はチンピラの上半身に絡み付いた何かにあった】
【それは薄く透けていて、ドロドロとしている気色の悪い物質、スライムのようなもの】

【それがチンピラを持ち上げ、更には顔を塞ぎ息も出来ぬようにしている】
【そしてそのスライムは、もう一人の男から伸びていたものだった】

テメェ……よりにもよってこの俺をカツアゲしようたァ舐めた真似しやがって……!
このまま楽じゃないように殺してやっからな……ッ!

【やや茶色に近い黒髪をオールバックにし、後ろで一本に結んだ髪型】
【黒いワイシャツに青いジーンズといった、いかにもラフな服装】
【しかしそのワイシャツの胸ポケットには、機関の所属を示す逆五芒星の刺繍があった】

ついでにお前の財布も頂いとくぜ、慰謝料な?ケヘヘ……!
……あぁ、死んだか……?

【この男いかにも悪人、しかもかなり性格が悪い、それはたった数秒で分かるほど】
【チンピラの息の根を止めたなら、近くにあったダストボックスに投げ入れるのだろう】
【男はスッキリしたような顔をして、それからスライムは彼の中に染み込むようにして消えるのだろう】

【こんな最低な悪党と出会う人物は……?】
/予約です!

531名無しさん:2014/02/25(火) 20:57:23 ID:F52AoKs20
>>530
【チンピラの息の根を止め。ダストボックスに投げ入れてから数秒後】
【ずるりと、そのダストボックスから死体を引きずり出す影が有った。何一つの躊躇いもなく、だ】

「――お、これ割りと高く売れる奴じゃねースか。財布やるんで、他のもん貰って良いッスか?」

【声を発したのは、一人の女。甲高く、そして異様にハイテンションな声色】
【倒れたチンピラの口内に指を突っ込み、金歯銀歯を引き抜き、首からネックレスを、手指からは指輪腕輪を奪う】
【答えを待つこと無く、財布以外の細々とした小物を奪い取れば、それをポケットに仕舞いこんで、ほくほく顔】

【――路地を路地たらしめる、高いビルとビルの隙間から差し込む月光】
【それに照らしだされた女の姿は、一言で言えば、普通に美人な普通の女といったところか】
【大きなシルエットのロングコートにブーツという格好で、前を閉じているその姿は、特に目立つ様子は無い】
【鮮やかなプラチナブロンドはアシメ気味なボブカットにされ、前髪の奥からは比較的くりっとした愛想だけは良さそうなエメラルドグリーンの双眸】
【口元には、張り付いたような薄っぺらく卑屈な笑みが浮かぶ。――そして、耳に揺れているピアスには、GIFTの所属を示す文様が刻まれていた】

「……ってカノッサのヤツッスか。まー、あれッス。
財布はそっちで、他はこっちって事でよろしく――って感じッスかね? 始末こっちでしちゃうんで」

【チンピラから身ぐるみを剥ぐ、まるでハイエナのような行為を終えれば用が済んだ様で】
【女は首根っこを掴んで、またチンピラをダストボックスに送り返した】
【ポケットから携帯を取り出すと、女は素早くどこかへと電話を掛けて】

「――おー、おうおう、そうそう、私私。うん、今どこ? なに、寝てた?
いや、知らないし。うん、休日出勤な。GPS分かる? おう、そこに死体有るから片付けておいて。
ここから向かいの通り左に行った所にもあるから纏めて、な。おう、臨時収入入ったから飲みいこーぜ、後でな」

【けらけら笑いつつ、女は恐らく部下に連絡をして。通話を切って】
【へらり、となんとも言えない媚びた笑いをしつつ、盛大に揉み手をしながら相手に擦り寄り始めるのだった】

「いやあ……それにしてもさすが天下に轟く悪の組織カノッサ機関! って所っすね!!
……いやはは、もう鮮やかな手口で、拷問とかもうばっちりって感じでもー私なんかビビってビビって漏らしそうだったッスよ!」

【部下がやってくるまで、間をもたせる事と、恐らくあまり柄の良くない相手から身を守るためにおだて始める女】
【この女に、プライドはない】

532名無しさん:2014/02/25(火) 21:25:48 ID:0.CUd3zw0
>>531

【表れた死体を漁る女に、男は一瞬嫌悪感を抱く、まあ当然か】
【だが、彼女の耳のピアスを良くと見たのなら、それは興味の色へと変わった】

なんだテメェ……GIFTの奴は"ゴミ"漁りまでするのか……?
それと、まだ俺は持っていって良いとか許可してねえぜェ?ヘヘヘ……

【正しく最低な奴だ、いくらチンピラとはいえ人をゴミ扱いとは】
【それだけでなく、男の女を見る目付きも薄気味悪いが、理由はこの後に分かるだろう】

ハハハ……!こいつは良いねェ、お世辞を言われて悪い気はしねぇ。
ついでに自己紹介しておくぜ、俺はアルビノって呼んでくれや……
……しかし なかなか顔は良いじゃねえか……どうだ、一つ交換条件でも?

【そう言うと男は自分の手の甲を舌で舐める、不気味だ】
【……さて、この男は女に漁った金品を持ち帰れる為の交換条件を突きつけるだろう】

今から俺と楽しいことでもしねぇか……?
どうやら部下にここを教えたようだから、そいつが来るまであんなことやこんなこと……
今度はお前を本当にチビらせてやるからさァ……どうよ?

【要するにこの男は、物品の代わりとして身体で払えなんて言っているのだ】
【どこまでもゲスな男だが、普通こんな等価交換にすらならない条件、断るだろう】

533名無しさん:2014/02/25(火) 21:36:44 ID:F52AoKs20
>>532
【男のその、人をゴミ扱いするような言葉を受けて、女は笑顔を崩さない】
【ゴミ扱いも、クズ扱いも慣れたもの。元より、己の命に価値を認めているものなど、己以外には居ない】
【故に。誰にどのように思われようと、誰にどのように罵られようと――笑顔の阻害にはならなかった】

「あっはは、そりゃあもう私ゴミッスからねー。ゴミがゴミ漁っても誰も気にしないッスよ!
……っとと、申し訳ないっす、いや……っはは……どーにも人の話聞かないって巷じゃ評判ででしてッスね……」

【クズと言われて容易く己をクズと認めて、その上でへらへらと笑いつつそのまま揉み手を欠かさない】
【此方に粘りつく、粘質な視線。それは、これまで己に幾度も向けられてきたもの】
【相手の自己紹介と、交換条件の提示を受ける。そして、女はへらりと笑顔を浮かべて】

「あーっと、コジマッス。名だけで、姓は無いッス。
ま、GIFT最底辺、『最低最悪最弱のコジマ隊』の隊長なんかしてたりするッスよー」

【正しくは『最低最悪最弱、不死身のコジマ隊』――なのだが、普段は不死身部分を外す】
【己は下げ、己を下げ続けることで他者に媚びへつらい、靴を舐めそうして生き延びてきたのがこの女】
【そして、目の前の男が口にした、下卑た要求。それを受けて、女は僅かな逡巡を覚える】
【それは、この男に身を捧げるか否かではない。男の機嫌を損ねて、己の命に危険が及ぶかどうか】
【此方は鍛えているとはいえ、単なる無能力者。そして相手はわずかに見たとはいえど、正体不明の能力者。答えは決まっていた】

「あーっはは……、いや、こんなひんそーな身体でいいならもう存分にッスよ……ははは。
ただ、直ぐ来るみたいなんで、まあ、一回戦くらいで勘弁してくれないッスかね?」

【有ろうことか、女は己の身体を容易く売り渡す。生きていれば、あらゆる拷問もあらゆる恥辱もどうでも良い】
【生きるためなら、股も開くし仲間も売るし裏切りだってする。それがこの女】
【商売女の様な、劣情を煽る表情をしつつ、僅かにコートの一番上のボタンを外してみせた】

534名無しさん:2014/02/25(火) 21:44:15 ID:vAFUoims0
【路地裏】

……―――辻斬りが最近出没すると聞いて張り込んでみたが、まさか此程までの下手糞だとは思わなかったぞ。
力任せの汚い動き……まるで「武」を感じない。人を殺めて笑う下衆野郎は、武器と生まれ持った体格……力だけに頼り弱者だけを襲った―――と。

―――……貴様には『御代櫻』を抜くまでも無かったな

【鋭い口調で言葉を吐き捨てると、黒髪の男は振り向いて薄藍のインバネスコートを翻した。刃の如き言葉を浴びせられたのは奥でふらつく大男】
【白刃が鞘から半分だけ抜いてある状態―――所謂居合途中の状態で動きが腕が止まったまま、ゆっくりと後方に倒れこみ―――どすん、と言う重い音が響いた】

……―――二度と居合を語るな、未熟者め。鍔の位置だけ既に『甘さ』が駄々漏れだ……本気の命のやり取りをしたことが無い事など一目見れば解る。

【軽く黒髪に手櫛を入れ、彼は左腰に佩いている茜色の鞘に納まる刀を軽く握った。腰に差さるその刀の鍔の位置は、我々がイメージする位置よりも手前・身体の中心に近かった】
【櫻の国のドラマもTVでは度々放送されているが、その中の武士は左腰に深く刀を差している。しかし今の黒髪の男は其れに比べると浅く、正中線の位置に鍔が来ていた】

【―――大男が刀を抜かんと腕に力を入れてからの一部始終を見ていたのなら、鍔の位置が大男の『甘さ』を物語っていたと解るだろうか】
【その大男は岩のような右手で深く左腰に差した刀の柄を握り締め、腰を沈め―――大きく右足を踏み出すと同時に居合を彼に放とうとしていた】
【だが、彼は相手の踏み出しよりも疾くそして静かに距離を詰め相手のやや右に回り込みながら、刀を抜きかけているその右手首を左手で掴み居合の流れを止めれば―――】
【右肘で相手の顎を思い切りかち上げたのだ。左腰に深く差さる刀を抜こうとすると、右半身に大きな隙ができる。この大男は見た目には猛者だが、彼から見れば論外甚だしかった】

【そしてその後、冒頭の光景に繋がるということだ。黒髪の男は「どすん」と言う音を聞き届けると、汚らわしい物を触ったかのように右肘の部分をパッパッと払った】
【コートの右肩には、緋色の鷹の紋章が貼り付けられていた】

535名無しさん:2014/02/25(火) 21:58:36 ID:ZCHlt7mo0
【――――世界は、絶えず時の流れと共に移り変わっていき、今を生きる人の数だけ、物語もまた時の流れと共に紡がれていく】
【今を生きる人の数だけ紡がれる、幾百億編の物語――――】



【――――風の国 公園】

私……役に立ててるのかな……?
ここのところ、傷を負って戦線離脱ばっかりだ……今のままだと、本当に何か、言われるかもしれない……

【ラベンダー色の肩ほどまで伸びた髪で、赤と青のどこか虚ろなオッドアイを持ち】
【白いワンピースの上から、明らかに身の丈に合っていないボロボロのコートを着込んだ、10歳くらいの少女が】
【明かりの下のベンチに、松葉杖を伴いながら腰掛けて、ぼうっと虚空を見上げている】
【その額には、ほとんど額が隠れきる位に厳重に、包帯が巻き付けてあった】

【その身からは、尋常ならざる量の魔力が感じ取れるかもしれない】

……次は誰と戦う事になるんだろ……敵なんて、一杯いるんだろうけど
……どうするつもりなのかな、セリーナさん……

【膝の上に添えてある紙袋の中から、ビスケットを1枚取り上げると、そっと口の中に放り込む】
【サクサクとそれを頬張りながら、何を見るともなく視線を再び空へと向ける】
【恐らく、取り留めなく考えごとに耽っているのだろう。寒さ故に澄み渡っている夜空を、ぼうっと見上げていた】



【――――所変わって、水の国 路地裏】

「――――ったく、今日は不発だったなぁ……なぁ兄貴?」
そうですね。寒さをしのぐ術でも身につけているのか、あまり出くわしませんでしたね……見所のある子供は……

【こげ茶色の無地のスーツとスラックスを着込み、首元にはダークグリーンのネクタイを締めている】
【さっぱりした短めの暗い茶髪に、切れ長の目元にすっと引き締まった鼻梁が映える】
【全体的に細身の印象がありながら、どこか所作に重々しさの目立つ、身長170cm前後の青年と】

【灰色のセーターの上から、黒のごつい厚手のベストを装着し、両腰に金属製と思われる黒塗りのトンファーをぶら下げている】
【さらさらした短めの銀髪と、やや不格好なレベルで大きいサングラスが印象的な】
【どこか威嚇的で近寄りがたい雰囲気を宿している、身長180cm前後の青年が】

【小汚く様々なモノが散乱しているその一角に陣取りながら、肩をすくめている】
【浮浪者の類が屯していたであろう事を表すその場所に、今は2人の青年以外の人影は存在しなかった】

……ところで、私は明日、戦技教導に回る事になってましてね……少し早めに上がりたいのですが、後を任せても良いですか?
「兄貴……自分1人だけってのは無しじゃねぇのか? こっちだって寒い中、駆けずり回ってんだぞ……?」
……やはりダメですか。まぁ、仕事が上がったら、またコーヒーでも御馳走しますよ
『ACADEMIA』の方への言い訳など、いくらでも効くでしょうしね……
「……夜にコーヒーなんて飲んでるから、朝が弱いんじゃねぇのか?」

【他愛のない会話を交わしながら、サングラスの青年はそばのコンテナを思いきり蹴倒す】
【古い食器などのガラクタがガラガラと散乱し、辺りはより一層雑然としてしまう】
【そんな中にあってなお、2人の青年は何かを探す様にキョロキョロと視線を滑らせている】
【――――2人の首元には、金十字を象ったネックレスが揺れていた】



【――――どの物語も、今と言う時の中に、確かに存在している物である】
【もし変化が訪れるとしたら――――それはどの物語なのだろうか】

536名無しさん:2014/02/25(火) 22:08:04 ID:0.CUd3zw0
>>533

【素直に従うのかと内心驚きつつも、男はヒューと口笛を吹いてご機嫌な表情】
【ボタンを外すのを見れば、男はゆっくりと歩み寄って】

そそるねぇ…………んじゃあお言葉に甘えて。
まっ、直ぐに終わらせてやるからよォ……

【そう言った男の身体から、先程のドロドロとしたスライムが女を包もうとするのだろう】
【だがそれは、彼女の顔にまで達していて、それは前のチンピラのように窒息させようとしているのだ】
【膜のように覆い被さるであろうそれは、間違いなく、殺す為にあった】

グヘヘ……最底辺なら死んでも良いよなァー、コジマちゃん?
残念ながら商売敵を生かして帰すほど俺優しくねぇんだ、悪いな。
……じゃあこのまま俺の『ショック・ジャム』で楽しい楽しい天国へ連れて行ってやるよ!

【ショック・ジャム、それが男の能力の名前か、なるほどジャムのようにドロドロとしているこの気持ちの悪い物質に相応しい名前だ】
【そして、この男は助けるつもりなど無い、身体で払うとは、つまり殺して内臓でも売ってやろうという意味か】
【しかしこのスライム、動きづらいだろうが強度はデザートのゼリーと同じ位で、やろうと思えばある程度の抵抗は可能だ】

ヘヘヘ……こういう奴が溺れ、苦しむ様子はやっぱ最高だな。
オラオラ、苦しいか……?

【どの道、このままでは窒息死も時間の問題だろう】

537名無しさん:2014/02/25(火) 22:09:08 ID:7w00KprU0
>>534

【固い靴底が乾いた心地よい音を響かせて止まった】
【どうやら男の背後から誰かが来たようで、男が振り返れば次のような人物が立っていることだろう】

【パールブルーの長髪に同色の瞳、雪のように白くつばのないファーハットをかぶり】
【白いコートと黒いロングブーツを着用している、そんな――温厚そうな顔つきの少女】
【大きめのショルダーバッグを肩にかけ、手に〝スケッチブック〟を持っている】

【今スケッチブックの一ページが男に向けられているはずだ。そこにはこう書かれている】


『あなたが噂の辻斬りで間違いない…ですね?
 武器を置いて大人しく捕まってください。怪我は、させたくありませんので。』


【一瞬にして勝負が決まった――もしこの一連の流れが群衆に見られていたのなら、誰もが彼の動きを讃えるだろう】
【だが見られていなければ意味は無い。彼女が来たのは、大男が倒れてからのことだった】
【故に、彼女は何か勘違いをしているようで――緋色の鷹にも、気がついていないらしい】

【凛とした表情には誰が見てもわかる明らかな警戒の色が滲んでいて】
【その言葉は、抵抗するならば力ずくでも連れてゆくと言っているようなものだった】

538名無しさん:2014/02/25(火) 22:18:16 ID:F52AoKs20
>>536
「そっすね――さっさと終わらせちまいましょッス」

【媚びた笑いを浮かべつつ――直後。眼前に現れるスライムの群れ。凍りつく表情。絡みつくスライムが、完全に女を捉える前に、動作は開始する】
【コジマの常軌を逸した速度の反応は――、スライムが包む前にその地点からの離脱を成功した】
【後ろに飛び退るどころか、転がっていくような、無様極まりないむちゃくちゃな退避。しかしながら、無理矢理のその挙動のおかげで回避を可能とした】

「――っぶな」

【コジマは異能を持たない。だがしかし――死に対する嗅覚に関しては、圧倒的な勘を誇っていた】
【ひとえに、死にたくないという強い生存への欲望。そして、その上で死地に送り続けられ、生還し続けてきたその経験】
【それが、強くないのに死なない存在を作り上げていた。コートの内側に突っ込む手。引き抜けばグローブが装着されて】

「――ったく……死ぬかと思ったぞ糞が……!
成る程成る程、そういう――ねぇ。悪いけど死ぬのだけは死んでも勘弁なんスよねェ、私。
……悪ィが、逃げさせてもらうッスよ……!!」

【コートの前ボタンが完全に開かれ、コートの内側に手を伸ばし、引き抜けば肉厚な二振りの手斧が握られる】
【全てが洗練されているわけではない、だがしかし、妙に力強い】
【腰を落として、女は相手の出方を見る。この瞬間より、女の全神経は、生存に傾けられていた】

/*包む所確定気味だったので、微妙に後手キャンセルさせてもらったのですが、大丈夫でしょうか?*/

539名無しさん:2014/02/25(火) 22:23:27 ID:u1BkeEnA0
>>535

【コロコロ……と、少女の足元に向けて横合いから小石が転がってくる】
【もしその転がってきた元を視線で辿ったならば、近づいてくる人影に気づくであろうか】


「そこの御主、そんな幽霊みたいな格好で何をしているのだ」
「こんな寒空の下におらんで、病院にでも行ったほうがいいのではないのかの?」


【その人物――身長は140cm前後であろうか】
【裾に金糸の文様が施された白いローブに身を包み、顔にはフードをすっぽりと被って鼻下から上を隠している】
【肩口からは漫画の吹き出しを彷彿とさせる形状のボードが"生えて"おり】
【言葉を発さず、ボード上で黒い粒子のようなものを動かして文字として意思を表現していた】
【全体的に怪しく奇妙な人物に見えるであろうか】

【文面を読んだならば、近づいてきた目的を察する事は容易であろう】
【こんな夜更けにボロボロの格好でいる少女に対し、何事かと心配しているのだ】
【声を発さず、顔を隠しているだけに感情は読みづらく怪しい風貌ではあるが】
【素直に受け止めるならば、悪意を持った接触ではないと判断できるだろうか】

【もし阻止されなかった場合】
【少女から一歩ほどの距離まで近づいて】
【松葉杖や包帯を見ながら「ほー」だの「ふむふむ」だの妙な言葉をボードに表示させる】

/いらっしゃいますかー?

540名無しさん:2014/02/25(火) 22:25:20 ID:0.CUd3zw0
>>538
/はい、ちょっと展開を焦りました、
/全然大丈夫です。

541名無しさん:2014/02/25(火) 22:26:42 ID:F52AoKs20
>>540
/*うぃ、ではこのまま進めましょうかー*/

542名無しさん:2014/02/25(火) 22:30:33 ID:vAFUoims0
>>537

……―――む。

【まだ救援を呼んではいないのだが―――と思い怪訝な顔をして振り返れば、其処に居たのは小さき姿。先程倒した大男は女子供を狙った犯行を繰り返しており―――】
【……つまり、自分が来ていなければ彼女が大男の凶刃に倒れていた―――のかも知れなかった、ということなのだが】
【その彼女は、どうやら大男を捕まえる気概を持っていたようである。……しかも、自分を辻斬りであると勘違いをして】

【男は目を細めて彼女を凝視しながら、諫めるように言葉を飛ばした】

……どうやら声を出せないようだが、助けも呼べない状態で危険に自ら近づこうとしたのか。……唯でさえ路地裏に君のような娘が一人で来ること自体許されないのに。
―――正義感が強いのだろうが……事件は自警団や警察に任せればいい。君のその行動が余計に周りに迷惑をかけることもあるのだ……!

【彼は釈明よりも先に彼女に対し説教臭い言葉を鋭く浴びせる。格好の獲物である彼女が、自ら大男に近づこうとしていた事実を、そう簡単に男は流せなかった】
【キッと睨みつければ、覇気が一気に彼の背後を覆う。敵と仲間に対しては本気で怒ることもあるが、この男が其れ以外の……一般人に怒ることは稀である】
【―――が、一時の感情で命を放り投げると同義の行為を取った彼女には怒らないといけない理由があった】

543名無しさん:2014/02/25(火) 22:38:59 ID:ZCHlt7mo0
>>535

……今考えてもしょうがないか。なにもかも、傷が治ってから…………?

【あてどない思索を打ち切る様に、少女は肩をすくめると、再び膝の上の紙袋に視線を下ろす】
【その先の地面に、小石の転がるのを見て――――そこでようやく少女は、近づいてくる人物に気が付いた】

…………っ、…………?

【ひょいと視線を上げてその人物の姿を認めると、少女は一瞬何事かと顔を顰める】
【――――言っては悪いが、少女から見てその人物の格好は珍妙なものであり】
【自分の認識が、何か間違っているのではないかと、そう確認をせざるを得なかったのだ】

…………ただの入院患者です。今は外出許可を取って散歩をしているだけ……
言われずとも、遠からず病院に帰ります……別に問題はありません

【何物かは分からないが――――ともあれ、その肩口の『文字』が、意志疎通の手段なのだと言う事は了解して】
【そこに返答となる言葉を返す様に、少女はどこか冷めた口調で答える】
【――――どこか、警戒しているのだろう。その目は明らかに怪しいものを見る様にローブの人物を見据えていた】

…………なんですか、そんなに珍しいですか……?

【それに留まらず、至近距離まで接近してくる相手に対して、少女は尚更表情を固くして、問いを向ける】
【じっと向けているその視線は、明らかに警戒心を伴って睨みつけているそれだった】

/ちょっと眠気が来て、あまり長くは出来ないかも知れませんが……それでも良ければ

544名無しさん:2014/02/25(火) 22:40:36 ID:ZCHlt7mo0
>>543
/安価ミス>>535>>539

545名無しさん:2014/02/25(火) 22:48:47 ID:0.CUd3zw0
>>538

チッ…………間一髪でかわしやがったか……
ヘヘッ、死ぬのは勘弁か……だがお前はここで死ぬッ!
それは、俺に出会ったからだァーーーーッ!!

【コジマの持つ斧などお構い無し、スライムが男の身体に纏わりつく】
【それはジュルジュルと動いていて、完全に戦闘態勢に入ったのが分かる】
【男の最初の一撃は、ゼリーで作られた腕だ、その拳で相手の腹を強く殴ろうとゼリーは伸びる】
【だがこの攻撃、やはりただのゼリーではない、拳が岩のような強度となっているのだ】
【恐らくこの男の能力は、ゼリーの強度をも自在に操るのだろう】

くたばりやがれ!クソGIFT野郎がーッ!

【狙いは腹部と単純、攻撃の速さも人間のパンチと同じ位、だがその一撃は重い】

/すみません、こちら時間が迫ってきてしまいました。
/なので凍結か置きレスをお願いしたいのですが、よろしいでしょうか?

546名無しさん:2014/02/25(火) 22:57:17 ID:u1BkeEnA0
>>543

「……む、既に入院しておったとはの」
「しかし確かにこれは、本で見たことがある治療具なのだ」
「嘘をいう理由もないだろうしの、そこのところは信じておくのだ!」


【うむうむ、とでも言いたげに一人納得したように腕を胸の前で組み首を振る】
【観察していた理由は、松葉杖などが物珍しく見えたのだろうか】
【とすれば非常に世間離れした人物である】


「いやなに、最近は"かのっさ"だの何だの悪党どもの活動も盛んだからの」
「後の英雄として経験を積むのも兼ねて、少し街の見回りをしておったのだ!」

「子供を攫う下郎がいつどこに居るかもわからぬし……」
「怪我をしているのならば尚更悪意に抗うことは難しかろう」

「まあなんだ……つまりは御主が目に付いたから声をかけたのだ!」
「大丈夫かの?今なら特別にこのシーナ様が病院まで送り届けてやっても良いぞ!」


【少女から一歩離れたあと、ローブの人物――シーナは任せろと言わんばかりに、自身の胸を拳でポンと叩く仕草を見せる】
【言葉といい仕草といい、どこか幼く間が抜けている】
【よくある英雄ごっこの類であろうか?】

/了解です!

547名無しさん:2014/02/25(火) 23:02:26 ID:F52AoKs20
>>545
【男の体に纏わり付いていくスライム。それを見て、眉間にしわを寄せる】
【異能を持たず、異能を持たぬ故に人以下の扱いを物心ついた時から受けてきた女】
【――故に、異能に対する恐れと鬱屈は強く。そして、それ故、恐怖故――その対処は、早い】

【右腕を斜め後ろに伸ばす。グローブの手首から射出される、ワイヤー】
【絡みつくワイヤーは、そのまま電柱に絡みつき腕が伸びる瞬間に既に巻き取りを開始する】
【数瞬回避が遅れ、内蔵がせり上がるような気色悪い感覚が来るものの、致命となるダメージを受けるわけではなく】

「っへへへへ……! 伊達にどんな手使ってでも生き延びてきた訳じゃないッスよ――!!」

【空中に位置し、巧みな体重移動で更に他のものにワイヤーを飛ばし、自在に飛び移る女】
【これは、女が特別強いわけではない、有能なわけではない。GIFTの戦闘兵、その比較的上位であれば可能な芸当】
【生存への欲望以外の全てが平凡な女は、しかしそれらの全ての能力を生存に生かすことに関しては、その実力を十二分に発揮する】
【コートの内側に右手の斧をしまい込み、手に持ったのは――携帯。そして、どこかの番号に掛けて即効でワン切り】
【空中でワイヤーを巻き取り、自由落下を開始した瞬間、勝ち誇った表情で女が笑う】

「――必殺ッ……! ゴミ収集車ッス――――!!」

【唐突。路地を塞ぐように現れた、ゴミ収集車。そこに乗り込むのは、二人のGIFT戦闘兵】
【がりがりと路地を塞ぎ、止まる車。そして、コジマは車の運転席の真上に立ち、斧で天井を切り飛ばし、二人を外に出す】
【ゴミ収集車の上で勝ち誇る、女】

「……さーって、悪いが逃げさせてもらうッス。
いやァ……、カノッサともいい関係築かせて貰えると思ったんスけどねェ――。
ま、ナンバーズにも慣れない無能じゃ意味無しっすよね――あっははははははっはははは――――!!」

【いかにも正確の悪い煽りをした上で、ゴミ収集車に塞がれた路地の入り口で更なるエンジン音】
【女は意地の悪い表情を浮かべた上で、部下から受け取った何かを放り投げる――。それは、閃光弾で】
【炸裂する閃光。そして、それと同時に足音が三人分続き――光が消える頃には、エンジン音は遠くへと消えていくのであった】

/*私明日予定有るので、では此処らへんで切り上げる感じで……! お疲れ様でしたー!*/

548名無しさん:2014/02/25(火) 23:03:56 ID:7w00KprU0
>>542

【男の言葉を聞くと彼女は僅かに眉を吊り上げた。恐怖も当然あったが、それを上回ったのだ】
【言っていることは正論極まりないが、なぜ突然それを言われなければいけないのか、そんなところだろう】

【そもそも、辻斬りに説教される筋合いはない。……いや、ひとつだけ可能性がある】
【彼女はそれに気付くとバッグに手を突っ込むのだろう。取り出したのは一枚の紙。指名手配書だ】
【急いで広げて顔を見比べる。――当然、全く似ていない。自分としたことがうっかり状況で物事を判断したようで】


…………。


【体温が急速に下がっていく感じがした。申し訳なさよりも、情けなさが込み上げて来る】
【だがこのまま何も言わなければますます状況は悪くなるだろう。とにかくペンを握る】


『ごめんなさい、人間違いでした。それからひとりでここに来たことも、重ねて謝ります…ごめんなさい。』


【まるで父親に叱られた子供のようにしゅんと頭を下げつつ、スケッチブックを向けるだろう】

549名無しさん:2014/02/25(火) 23:17:05 ID:ZCHlt7mo0
>>546

…………?
……確かに、そんな強がりを言う事もあるかもしれませんが……少なくとも今は、そんな事をする理由はありません

【松葉杖を知らない、とも取れる発言に、尚更訝しげに表情が染まる】
【だが、その事は些細な問題であるし――――そうした、どこかずれた人物と言うのに、覚えが無い訳でもない――――わざわざ取り上げるほどの事もでもない】
【それよりも、少女の額の傷だが――――ちゃんと清潔な包帯で、しっかりと巻き付けられているのは、相応の治療を施されている事の証左である】
【強がる事もあり得なくはない、と少女は口にしたが、少なくとも今はちゃんとした治療を受けている様だった】

…………つまり、自主パトロールって事ですか?
――――確かに、私は子供ですけど……子供扱いされるのはともかく、庇護は必要ないですよ……
怪我をしているって言っても、ただの人攫いぐらいにどうこうされる様な事もありませんし……

【どうにも人物が掴めないが――――とりあえず、悪人と言う訳ではなさそうだと言う事は分かった】
【それで少女はわずかに表情を緩めながらも、ローブの人物――――シーナの言葉にはかぶりを振ってみせる】
【歩行補助具を携えていると言う事は、額の他にも負傷個所がある事の証でもあるのだが、それでも少女の言葉はある種の確信の様なものに満ちていて】

……私は、いざとなればこんな事も、出来るんです……!
――――『サキュバス・フォース』!!

【ただの子供の怪我人として遇される事は、少女としてはあまり気分の良いものではない】
【そこで、ちょっと大げさではあるのだが――――自分自身の持っている力の一端を、その場で使って見せる事にした】
【ベンチに腰掛けたまま、何事かを唐突に少女は叫ぶと、その全身が一瞬、眩く発光し――――】

【背中にラベンダー色の翼膜をした、悪魔の様な翼が生えた事を除けば、素体そのままの姿だが】
【身に纏う魔力は質量を増大させており】
【翼からは、光の粒の様なものが燦々とこぼれている】

【ベンチに腰掛けていた少女の背には、その閃光が引くと、光を放つ翼が備わっていた】
【ただの強がりの言葉でもなく、何らかのこけおどしの様なものでもない――――少女は、確かな力を持っていたのだ】

……この通り。この怪我も戦場で受けたものですが……今でも、傷を癒しているとはいえ、身を守る位は出来ます。ですから、私の事は心配ありません

【多少見せびらかす意図のあった少女は、小さく頷きながらそう言葉を向けた】
【シーナの態度は、どこか浮世離れしたものに感じられる。なら、あるいは軽く安請け合いしようとしているのかもしれない】
【だったら、こうして力の存在を見せたら、どう思うのだろうか――――軽く翼を開閉させながら、少女はシーナの瞳を覗き返す】

550名無しさん:2014/02/25(火) 23:19:53 ID:vAFUoims0
>>548

人間違いは別に構わないよ……で、其れはこっちの方だ。
―――まぁ、後者は立場上厳しく言わなければならなかったのでな。

【彼女が自らの過ちに気付いた事が分かれば、彼は仰向けで倒れている大男を指さして告げた】
【立場上―――というのは水の国自警団として、そしてSCARLETとしてのモノ。彼女に冷静な判断が戻ったのなら、右肩の緋色の鷹にも気付くかも知れないか】
【恐らく最初、彼女はこの倒れている大男が辻斬りに会った犠牲者だと思ったのかも知れないが―――何処にも切り傷はない】
【ただ大きく口を開け、涎を垂らして失神しているだけだ。そしてその顔は彼女がバッグから取り出した指名手配書とピッタリ一致する筈で】

―――まぁ、今回は君に危険が及ばなくて良かった……と言う事だ。
……というか、君はコイツを捉えようとしていたのだろう?―――……何かしらの策はあったのか? 流石に無策で挑む訳は無いと思うが……。

【見るからに落ち込んでいることが分かると、少々申し訳ない気持ちも出てきて。彼女が喋れないせいか、続く無音も重く感じられたのか男は口を開く】
【最近更に物騒な世の中になってきており、巷では護身術や護身魔法……まぁ、初歩的な魔法の本が小さなブームを起こしているらしい】
【最近は自警団が主体となり護身術を教える仕事も増え、各地を飛び回ることも少なからずある。……一見良いことだが、其処で得た技を試したいと思う者も多い】
【戦いを避ける事が第一の護身術の筈が、驕りにより自ら戦いを作ってしまう……そのような問題もあることから、彼女もそうなのではないかと口に出さずとも想像した】

551名無しさん:2014/02/25(火) 23:36:33 ID:7w00KprU0
>>550

【立場上――となれば警察かそれに準ずる組織の人だろうかと思考する】
【瞳が動く。その証明となるものが衣服のどこかにあるかもしれないと】
【すると一秒もかからず緋色の鷹が目に入った。さらに情けなくなる。穴がなくても掘って入りたい気分だった】

【〝そっちの方〟を確認しようと彼女は少し横へと移動する】
【何歩か前に出て覗きこめば、今しがた紙で確認した男の顔を見ることができた】
【それ以上見たくなかったので身体ごとSCARLET隊員である男へと向ける】


『私は能力者です。護身術等の心得は無いですが…一応それなりに戦えます。
 自分か誰かに危険が迫らないと影響を与えることはできませんが…。』


【短く書ききったなら文字を示すだろう。男が文章を読み終わったならば、彼女は能力を発動させるはずだ】
【首に青い光のリングが浮かび上がれば、まるで結界を張ったように周囲の空気が淀みを失うだろう】
【――だから何だという話だが、彼女いわく危険な状況でないと能力は意味のないものらしい】
【これでは策があったと言われても、少々信憑性は低いか。信じるかどうかは男次第だ】

552名無しさん:2014/02/25(火) 23:42:55 ID:u1BkeEnA0
>549

「――おおっ!初めて見る異能力なのだ!」
「いいのぅいいのぅ、私ほどではないが中々格好いいではないか!」

「私もこうバッ!と翼を広げて飛びたいものだの〜!」


【少女の能力を見て、シーナは玩具を前にした子供のような反応を示した】
【見せびらかす意図に関しては成功とも言えるだろう】
【また、驚かず、畏怖することもないという反応は】
【こうした異能に対してある程度の"慣れ"を察する要素にもなるだろうか】


「戦場……戦場、のぅ?世に言う子供兵の類かの?」
「それともほれ、最近よく名を聞く"すいかれっど"とかいう組織だろうか?」

「……まあ何にせよ、異能を持とうと怪我人は怪我人なのだ」
「多少なりとも力があれば、確かに凡百の輩に遅れを取らんだろうがの」
「"力"を持っているなら尚の事、御主を欲しがる存在もおろうよ」
「だから……その……う〜〜む……」


【そこまでボードに表示させた後】
【シーナは納得させるに足る言葉が思いつかないのか、悩むように顔を俯かせる】
【そして数秒後……】


「ああもう!うだうだ話すのは面倒くさいのだ!」
「このシーナ様が送ると言っておるのだから、大人しく好意に甘えるが良いわ!」


【……いきなり逆上すると、自身の横に何やら小石のようなものを放る】
【すると、それを中心として周囲の地面が粒子状に分解され】
【石を核として砂のように変質した物質が収束、虫の繭のようになりグニグニと形を変え始めた】
【そして――数秒の間に、其処には土偶のようなデザインの大きな"馬"誕生していた】
【地形を掌握し、対象範囲の物体を素材に己の好む形状に再構築する】
【ゴーレムクリエイトと呼ばれる技能の一種であろう】

【シーナは己の作ったゴーレム馬に颯爽と乗ると】
【パカパカと馬の足を操作して少女の前に立ち「ほれほれ、遠慮するでないぞ〜」】
【などとボードに表示させながら、右手を差し出して誘う】
【非常に強引で、恐ろしく自分勝手な人物である】

553名無しさん:2014/02/26(水) 00:07:29 ID:ZCHlt7mo0
>>552

……えぇ。いざとなれば空を行く事もできます。まぁ、流石に何時もの調子とはいきませんが……
それでも、多少の相手なら、振り切れますので……

【あっけらかんとした反応が返ってくる事は、ちょっと予想外だったと言って良い】
【実際の荒事に、シーナが慣れているのかどうか、果てなく怪しいものだと思って、少女はこの力をこれ見よがしに発動させてみたのだが】
【どうやらある程度、こうした事象には免疫が出来ているらしいと言う事は理解できた】

…………『SCARLET』ではなく、『UNITED TRIGGER』の方です。そこの末席で戦っているだけです

【明かす必要もなかったかもしれないが、しかし少女は訂正の形で自らが『UNITED TRIGGER』の所属である事を明らかにした】
【当たらずとも遠からずであるし、完全にシーナを信用し切っている訳でもない以上、そう明け透けに何もかもを語るのも良くないのかもしれないが】
【少女にとっては、所属の認識を間違えられたままと言うのは、あまり愉快な事ではなかったのかもしれない】
【『UNITED TRIGGER』の一員である事には、それなりに特別な意味を見出しているとも言えるだろうか】

……………………
(……こう言うのって……なんだか妙に、話しにくい……)

【ボード(?)に、次々に切り替わっていく言葉を見、何とも反応する事も出来ずに少女は押し黙る】
【言わんとする事は分からなくはないのだが――――そもそも自分は気分転換に外出しただけであり、また軽い散歩による運動もしておきたかっただけに過ぎない】
【そこにこうして良く分からない親切を向けられても、受け取るのもどこかしっくりこないのだが――――】

――――っ!?

【今までとは全く異なる、言葉の選定をかなぐり捨てた様な文言に、少女は思わず目を見張る】
【どうやら、今の一幕で悩んだ事で、フラストレーションがたまったらしいと言う事は理解できたが】
【音としてではなく、文字としてそれを目の当たりにするのは、またそれを上手く飲み込むのに苦労する、シュールな事態と言えた】

っ……生成……!
……鉱物を使って、使い魔を生成する能力……!?

【だが――――次にシーナがとった行動は、シュールとは言い難く、むしろ明らかな驚きを以って迎えられる】
【組み上げられたゴーレムに、少女はようやく、シーナもまた相応の力を身につけた人物である事に気づく】
【言動の特異さに飲まれて、その事に今まで気づかなかったのだが】

…………分かりました。じゃあ、今日のところは……お願いします

【ここまで来た以上、少女としても頑なに拒み続ける訳にもいかなくなってしまった】
【せっかくのゴーレムを無駄にするのも良くないし、何よりこうしたマイペースさを持つ相手に、無理に我を通すと、無用な軋轢を生む事もあり得る】
【仕方が無いという風に、少女は再び閃光を発して翼を消すと、松葉杖と紙袋を携えて、シーナの伸ばす手を握る】
【そうしてゴーレムに跨る時、背中に力が入り――――ギリッと表情に一瞬の苦痛が走った】
【だがともあれ、松葉杖を携え、紙袋はポケットにしまい、少女はシーナの言葉に従って、送ってもらう事にした】

/そろそろ限界です……持ち越すか、ここで〆るか、お願いします

554名無しさん:2014/02/26(水) 00:08:46 ID:vAFUoims0
>>551

……能力者か。―――それならば、少々言い過ぎたかも知れないな。
―――……能力者であるだけで、ある程度の強さは保証されるから―――

【その3文字を目に通し反射的に呟けば、濡羽色の瞳がやや細まり眉間に皺が寄った。ならば彼女の行動も、ある程度は理解できる】
【倒れている大男の実力から見ても、戦闘に活かせる能力であるならば問題なく倒せるレベルだろう。……もし、能力を持っていると言う事実に彼女が驕っていたとしても】

【最後の言葉は多少刺のあるというか、皮肉にも聞こえる響きであった。……だが、其れは事実だ。格闘技を身につけ武器を手にした男も、鍛えていない能力者には敵わない】
【―――鋼の肉体を持つ男でも、マシンガンを持った子供には何も出来ないように。能力というモノは、見えないマシンガンだ。……そしてこの男は、そのマシンガンを所持していなかった】
【そして目つきの悪くなった眼光をスケッチブックに向けながら文章を読み終えると、蒼い輝きが起こり―――路地裏特有の湿った空気が姿を消した】

……嘘を付く必要も無い筈なこともある、君は本当に能力者なのだろう。で、その能力でコイツを押さえつけられる自信があった……と言う訳か。
―――実際、出来ただろうな。……コイツは辻斬りを語っておきながら剣は未熟極まりない。腕力で振り回し、全ての動きが大きく固い。
威圧されなければ、見切るのは武術に精通しておらずとも可能だ。 唯この男は大きな身体と刀という巨大な力を振り回し驕っていたに過ぎない。

【先程のやり取りを思い出す。大男が踏み出し、刀を鞘から抜こうとする一連の動作―――正中線は振れ、動きの予備動作は大きく力をスムーズに伝えきれていなかった】
【―――其れでも、単純な剣速は彼と同程度……下手をすれば大男の方が速いまである。彼も体格は戦うものにすれば170前半と小さく、大木のような腕を持っているわけでもない】
【……大男は恐らく今まで恵まれた体格が齎す怪力だけで戦えて来れたのだろうが、本物の「武」にはその怪力はちっぽけすぎた。能力者に勝てる代物でも勿論なかった】

……そしてこの男と同じような能力者も、少なくは無い。能力と言う巨大な力を振り回し優越感に浸り……己の技を磨こうともしない奴が。
―――そのような奴にでも多くの無能力者は蹴散らされてしまう……現実は非情だ。

あ、ああ……済まない。変な愚痴を聞かせてしまったな……君を悪く言っている訳ではない。能力者犯罪を取り締まる中で、そういう奴もいたという話だ。

【―――先程の言葉からは、彼が少なからず能力者に良い思いを抱いていない事が解るであろうか。そして彼が―――無能力者であることも】

555名無しさん:2014/02/26(水) 00:12:28 ID:u1BkeEnA0
>>553
/では、短いですがここで〆ましょう!
/こちら最後にもう1レス返して終わりますので、おやすみなさいです

556名無しさん:2014/02/26(水) 00:18:45 ID:ZCHlt7mo0
>>555
/了解しました。ありがとうございましたー!

557名無しさん:2014/02/26(水) 00:39:55 ID:u1BkeEnA0
>>553

「ククク……!この天才魔術師シーナ様の力、驚いたか!」
「世界広しといえど、"地の理"に関して私に並ぶ者はそうはおらんのだ!」


【少女の驚いた様子に、気をよくしたような文面を記す】
【己の術に相当な自信があるのだろうか?お気に入りの秘密基地でも自慢するかのように得意げである】
【良くも悪くも、シーナは背丈通りの"子供"といった風情である。……頭に"我侭な"と付きそうではあるが】


「む?すまぬな、乗りにくかったかの?」
「ふぅむ、もっと背は柔らかくするべきか……粘土質にしてみるのもよいかもしれんのだ」
「世に言う"低反発"的なモノを再現できれば良いかもしれぬな」


【苦痛の表情を捉えたのか、少し心配げに文字を表示させたあと】
【一人でなんともいえない改善案などを考え出す】
【即席でテンション任せに作ったため、ゴーレム馬は色々と荒い造りであるのをシーナは理解しており】
【そのため怪我が痛んだのではなく、乗り心地が悪かったのかと認識してしまったようである】


「それにしても、御主のような小さな子供が武勇で知られる"ウニ獲りがー"の一員とは……」
「正義とはそうも人を惹きつけるものなのかの?」


【少女を病院に送る道すがら、シーナはポツポツと文字を変化させていく】
【以前から考えていた"正義"への想い】
【知らない他人のために、世界のために命をかけて戦う"正義の味方"】
【いつの世も絶えず、蔓延る悪と戦い抑止力となり続けた数多の勇士達】

【――英雄。魔術師シーナの目指すその頂に存在する者には、それに属する者が多いと考えていた】
【人々に賞賛され、認められ、世界に愛される者たち】
【それを想い、シーナははぁ……と重い息を吐きだした】


「正義の味方とは……どういう気持ちで戦っておるモノなのか」
「まずはもう少し其れを知っていくところから始めて行こうかの?」


【以前聞いた話だけでは、未だに漠然としたイメージの域を出ない】
【もっと多くの言葉や、出来事……出会いがあれば、いつの日か理解できるだろうかと】
【そんな事を考えながら、少女を落とさないよう操作しつつ】
【安全運転でゴーレム馬は、病院に到着し】


「ではの〜!元気にするのだぞ少女よ!」
「今度はゆっくりと話を聞かせて欲しいのだ!」


【馬の胴、足を変形させ滑り台のようにして下ろすと】
【ブンブンと手を振りながらシーナは夜の街へと、どこか間抜けなパカパカとした蹄の音と共に消えていった】

/お疲れ様でした〜!

558名無しさん:2014/02/26(水) 00:44:25 ID:A89md4kk0
>>527

それはそうとも、普通の人は……いやいや、妖怪であっても、だの。
己の先祖とはどういう者だったかを聞き及んでいるのが精々で
実際に目で見て耳で聞いて――話をしたかは知らぬが、やり取りする者はそう居らぬよ

まあ、かくいう妾も先祖は知らぬ。居ないかもしれないし、巫女だったやもしれぬ
……ただひとつ言えるのは大事にしろということだが――…その必要はないらしいのう…?

【最後にクスっ、とまた笑いを覗かせたのは、言うだけ言ってふと思い返し】
【如何に少女が己の先祖について嬉々として語っていたかが浮かんだからであろうか】

【ただ、さも全てを知っているように話した彼女でも実際に先祖と会ったことは無いという】
【それを自分の経験が如何に貴重なものなのかとして再認識に傾けるか――】
【或いは。会ったことがなくとも何かと物を云う彼女の知見の広さに傾けるかは少女次第であろう】

……旦那様な。うむ、居るとも。ただ、もう何百年か何千年か……
はっきりとは思い出せぬほど前に働きに出て、今も妾は家を守りきりだがの。
ちと移り気なのが玉に瑕だが、見初めた女は妾一人であったし……

……ま、そんな古い夫婦の話は置いて置こうぞ。お主らの話を聞くほうが愉快じゃ
思うにお主らは新婚であろう?初々しいのが実に面白い……まだ痴話喧嘩はせぬのかな?

あ、と……――――そうかテナーか。…うむ、であろうと思うたよ
なに、だからどうというわけでもない。特にお主には関係も無いこと……
……そういえばお主はなんという名だったかな?妾の名はな…―――。

【――はて、一体どんな旦那様なのか。語るに浮気や家出というわけでもないようだったが】
【数千年単位でのお仕事とは――はて、或いは蛇とは違った類の神かなにか、か】

【そして話の最後、夫婦という話題を通り越してようやくというように名前を尋ねた】
【同時に相手に告げる女性の名は――『橋姫』と。そう最後に付け足すのだった】

559名無しさん:2014/02/26(水) 01:01:03 ID:7w00KprU0
>>554

【彼女の外見だけを見れば、言い過ぎたということもない】
【戦闘のせの字も知らないような見た目だ。誰が戦う姿を想像できるだろうか】

【男の言葉には――否定や自嘲が多分に含まれていた】
【彼に責めるつもりがなくとも、自分のことを指している気がしてならなかった】
【確かに自分は驕っているのかもしれない。筋力も体術もない自分が、戦場に出るなど傍から見れば馬鹿げている】
【彼女は大男を捕えに来たが、うまくいっていた保障などどこにもない。何ひとつとして、返す言葉がなかった】

【いわば能力とは天から授けられるもの――それが戦闘に向いていれば、それだけ無能力者とは実力差は生まれる】
【男は埋められない差に命を落とした者を何度も見て来たのだろう。言葉の端から漏れる無力さも、それを物語っていた】


…………。


【だが彼女が今湛えている表情は――明らかに反省の色ではなかった】
【むしろ唇をかみ、悔しさを覚えている様子ですらある】
【頭では男が正しいことなどわかっていただが――〝何か〟が彼女を追い詰めていた】

【やがてスケッチブックに向かうと、殴り書きをするようにペンを走らせてゆく】
【書き終えると乱雑にページを破いて、紙飛行機を作って男へと飛ばすだろう】
【それを開けば――次のように書いてあるはずだ】


『いえ…無茶をしてしまったのは私です。私にしか、非はありません。
 でも、私はこの能力を誰かの役に立てるって決めたんです。
 この能力は、私は、決して誰かを傷つけないって、むしろ誰かを守るためにあるって。だから』


【書いていて自分でも訳がわからなくなったのか、言葉も途切れていて気持ちの整理がついていないようだった】
【攻撃的な能力を宿しているのか、気付けないだの守るだのと宣っている。それも矛盾しているだろう】
【彼女はここに大男を捕まえるために来た。つまり他者を守るために誰かを傷つけるのは許されると言っているようなものだった】

【何にせよ紙飛行機を飛ばした時点で彼女は踵を返し、逃げるように立ち去ろうとする】
【走って追いつくことは可能だが、そうしなければそのまま姿を消すだろう】

/すみません…猛烈に遅くなりました…

560名無しさん:2014/02/26(水) 01:25:27 ID:buu1lXlY0
>>558

だからね、特別なんだ――わたしだけの、とっておきの思い出なの。

【ふわと浮かべた笑みの取っておきに柔らかいのを見れば、思う強さはいやでも見て取れるぐらいだった】
【改めて片方だけのピアスに触れる、ひたん、――と水に波紋が生まれるように魔力が揺れて、指先の触れたのを示し】
【きっと冬の中でも暖かな水の温度を持つのだろう、実際に触れたわけでもないのにそれが、きっとよく分かるように思えて】

【特別な思い出なのだと言うことに余計に気がつくことができた。それは眼前の女性のお陰であって、運のいい自分のお陰でもあって――】

【(殺される運命から助け出してくれるひとを見つけ出したのだから運がいい。そうでなければ、こんなこと言ってなんていられない)】
【(きっととっくに自分という自己を消されていた。身体は生きたままでこころを殺されるところだったのだから。けれど、そんなことをされかけても、)】
【(何より辛く苦しい場所から助けてくれた唯一の存在だった。どうしようもない恩を感じて懐いているのは変わらず、結局は先祖思いに見えた)】

【きっと自分よりいろんなことを知っているだろう女性ですら知らないのだという。それなら、ちょっぴり誇らしいような、恥ずかしいような】
【唇を咬むようにして笑っていたのが何よりも照れたのを隠すような色、そんな顔をすれば、いやに初々しい生娘のようだった】

ずっと帰ってこないの――? そんなの、……寂しくないの? わたしなら、とっても寂しいな……。
……、そうだよ、去年の秋に結婚しようって、言ってくれたの。式を挙げたのは、クリスマスで――、――、

喧嘩したくてもね、出来ないの。いっつもね、わたしより大人で――……わたしなんてね、子供扱いされちゃうの。
駄目なところなんて全然ないんだよ、たまに甘えん坊なぐらい。……だからね、喧嘩になんて、ならないの。

【しゅんと元気なく垂れる眉が分かりやすかった。寂しがりやなのだろう、そんなのは自分なら耐えられないとでも言うかのように】
【それから急に元気を取り戻したかと思えば自分の話。彼女の予想通りに新婚だと告げて、改めて指輪を見せるようにする】
【蛇を模った銀の指輪だ。瞳の位置では黄緑色の魔力が絶えずきらきらと煌いていて、それが、彼女とは違う魔力の波を示す】
【それならきっと彼の者の魔力なのだった。そうなれば、相手の指輪には彼女の魔力が瞬いているのだろうか】

【――数百年や数千年、時間すら曖昧になるぐらい続く夫婦関係というのも、興味深かったのだろう。なんせ、きっと他人事じゃないのだから】
【誰かにぴったりと寄生して生きていくイキモノである彼女は、ずーっとくっついてさえ居られれば時間なんて関係なく生きていく】
【まして白蛇の監視もなくなった今では余計に、だ。そして、そうしてくっついた相手もまた、亡霊に時間を止められた存在】
【時間なんて関係のないふたりなのかもしれない。けれど、考えるにはあまりにも途方のないことだから、考えないで過ごしていた】

【彼はいつだって自分より大人だった、どんなときでも、どんな瞬間でも、大人びて、こっちの意見なんて上手に流してしまう】
【ましてこちらに合わせてくれることばかりなら、言い争いの種すら生まれてこないぐらい。だから、喧嘩というものをしたことがなかった】
【そうなるとちょっぴりしてみたくもある。けれど、実際してみたらすぐに泣いてしまう気もして、――結局、しないまま】

……まるであなたには関係があるみたい。そうなの、わたしはそういうの、全然関係ないから――ちょっとだけ、寂しいな、?

鈴の音って書いて、りんねって読むの。鈴音・シュトラウス。それが、わたしの名前。

【自分の感情も曖昧という風に首を傾げる、戦いというものにあまり関わってこなかった生き方なら、比較的平和なように暮らしてきた】
【悪意の子を孕ませられたりもした、が――それでも、争いの中に生きてきたということもない。それなら、僅かに瞳を細めて】
【やっぱり家を守っているのがお似合いだとも思う。ぐずぐずしながらでもだいすきなひとを待って、抱き締めてやるほうがきっと性に合っている】

【――「はしひめ」と鸚鵡返しする幕間、それが神の名であることに気付いているのか、居ないのか、また餡蜜をぱくんとやって】
【夜中だと言うのにそれなりのペースで食べ進めていたから、そろそろ量も減ってくる。大分冷めつつある茶をひとくち、唇を潤していた】

561名無しさん:2014/02/26(水) 01:32:24 ID:vAFUoims0
>>559

【―――少し自分に嫌気が差した。会ったばかりの少女に皮肉を飛ばすなんて、最低の人間じゃないか―――などと軽い自己嫌悪に陥り、目を伏せる】
【もしかすれば、彼女は相当の努力を積んで居るのかもしれない。その努力の有無を図らないままに、まるで彼女が能力に奢っているかのような彼の口調】
【言葉の刃で人を傷つけるなど、民を護るSCARLETにあるまじき言動だ―――などと後悔が倍増することに我慢ならず、更に謝罪を続ける】

……本当に済まない。行き成りこんな事を言う俺に、君を叱る資格など無かったよ……。
―――と、兎に角用心してくれとだけは言っておく。助けも呼べないのだから、少しでも危険だと思ったら逃げてくれ……。

【頭を少し下げながらも濡羽色の瞳は彼女の表情を確認しようと上を向いた。―――見えたのは、唇を噛みしめる顔。……やはり怒らせたか、と心なしか頭が更に落ちた気がした】
【下げた頭に「こつん」と何かが当たった。―――紙飛行機、つまり彼女からのメッセージなのだろう。何故飛ばしたか訝しげにしながらも紙を開いて文字を流す】
【―――「誰かの役に立てる、誰かを守るためにある」……まさしくSCARLETの精神であった。男は視線を上げて彼女へと向けるが、彼女は既に立ち去ろうとしている】

……―――待ってくれないかッ!

【男は叫ぶと同時に駆けた。―――もし追いつけたとしても、暫く男は何も言わない。何も言わずに、懐から1枚の紙を取り出した】
【―――何か書いてあるが、彼女からは裏側しか見えないために内容は分からない。男は何故か、その紙で先程の彼女のように紙飛行機を作って―――そして、渡そうとする】

……―――もし良ければ、訪ねて見て欲しい。中邑瑛月の名を出せば、君の意志さえあれば皆は歓迎してくれるだろう。
興味がなければ、そこら辺に飛ばしたり破いても構わない。……―――済まなかったな、では。

【彼女がその紙飛行機を受け取り広げたのなら、SCARLETメンバーの募集要項が書いてあるだろう。最寄りの自警団に行き彼の名前を出せば、入団面接を迅速に行ってくれる筈だ】
【―――つまり、この紙飛行機は半ばスカウトのようなものだった。彼女の飛ばした紙飛行機に記された言葉は、SCARLETに必要不可欠な要素。能力よりも重要な、護るという意志】
【……其れを渡せば、男は薄藍のインバネスコートを翻し、最後に再度謝罪の言葉を付け加えて去っていく】

【コートを翻した瞬間に、緋色の鷹の紋章が彼女の眼に映り込むだろうか。そのマークは、彼女が開くであろう紙飛行機の中にも映し出されていた】

/いえいえ、構いませぬよー! 
/ありがとうございました楽しかったですー!

562名無しさん:2014/02/26(水) 02:05:51 ID:7w00KprU0
>>561

【ぴた、と彼女の足が止まる。すぐに振り返ろうとはせず、振り返っても男の顔に視線を向けようとはしなかった】
【ただ偶然手元に向かっていた視線は、小さな紙を捉えるのだろう。疑問に思いつつも、紙飛行機を受け取る】
【だが、スケッチブックを捲ることもなければ頷くことさえなかった】

【別れを告げられ、男の姿が完全に見えなくなった後、彼女はそれを開くのだろう】
【そこには緋色の鷹のマークが描かれていて――】


…………。


【彼女はそれを数秒ほど見つめれば、バッグに仕舞いこむ】
【だが――何日経過しても、彼女が訪ねて来ることはないだろう】


【確かにスカウトされたこと自体は嬉しかった。その場で返事したいほどには】
【しかし彼女にはそうしないだけの理由があった。どこにも所属せず、自分の信念を貫く決意が――】
【やがて彼女は歩み始める。自分の住処へと帰るために。暗い路地裏を抜け、そして雑踏に紛れてゆくのだろう――】

/お疲れ様でしたっ

563名無しさん:2014/02/26(水) 02:40:52 ID:A89md4kk0
>>560

うむ、帰ってこぬ。だがそれも夜のため人のために働きづめで
向こうも妾の事を思って精一杯にしておるのやも知れぬと思ったなら……
……ふふっ、もう何千年でもかかってこいと言った所よな

――アっ、ハハ…――。喧嘩をせぬではなくて、出来んと来たか!
それはまた……なんとも可愛らしい夫婦の姿と言うものだのう
一度覗いていたのう。お主らの生活、窓でも開けてぼうっと眺めて――なに、やるとは言っておらぬよ?

【どうやら存外、何千年と経っていても信頼さえあれば夫婦関係は成り立つらしい】
【――お互いの顔も声も分からない状況を、信じるという一点だけで夫婦、と呼ぶならばだが】

【それでも彼女の言葉によどみや迷いは無かった。よほど夫である相手を信じているのだろう】
【一方で言えば喧嘩が出来ないという一点ではついに呵々として笑顔を見せ】
【冗談めかして――出来そうなのが恐ろしいが――彼らの生活を見てみたい、とも付け加えた】

【その時に自分たちがどうだったかと言わないのは、もうこれは喧嘩なんて無かったからに違いなく】
【ただ彼女の見せる指のリング、こればかりは当時の櫻には無い風習だったから、何処か羨ましそうではあった】

妾には関係がある。だがお主には無い……いや、無くて良いような関係じゃ
お主は餡蜜を食べ、良き人と共に長い時間を過ごす方が幸せで、向いておる。それだけの、な?

……そうか、そうか。鈴音というのだな……名は櫻の系統と見たぞ。
続くのは夫殿の姓だの?指輪と言い、そのようなモノは無かった故……羨ましい、良い名ではないか。

――――さて、どうだな?そろそろ食べ終わるともなれば、妾もちと行く場所がある
しばし休んでいくのであれば店主にもそう告げ、妾について来ぬようにするが……
……あぁ、そうそう。鈴音は代金の心配は要らぬでな。それを言うのを忘れておったわ。

【やがて、少女の食べ物飲み物が底を見せ始めるのに気付いたようで、橋姫はそんな風に一つ、問いかけた】
【どう応えるのも自由に思える。お金の心配も無いというし、それこそ残っていくら食べたって構わないようだった】

564名無しさん:2014/02/26(水) 03:04:01 ID:buu1lXlY0
>>563

【彼女の言葉。素敵だと思った、何千年だって掛かって来いなんて、自分ではとってもじゃないけれど、言えない言葉】
【一日だって放って置かれたらいやだった。毎日一緒に居たくて、ずっと顔を見ていたくて、そんなの、ひどく寂しがりだったけれど】

…………だいすきなんだ。

【本当に好きならば我慢できるのだろうか。それだとしたら、自分だって出来るはずなのだった。だって、本当にだいすきだから】
【――でも出来ればずっと一緒がいいなぁなんて思ってしまう。それでも、彼女の言葉を聞いたなら、不思議と勇気をもらえた気がして】
【そっと瞳を細めて笑っていた。少しだけからかうような声、表情だってどこか悪戯っぽい色合いを持つようで、そんな、平和な刹那】

何があってもね、文句なんて言わないんだよ。でもね、無理して頑張ってるんじゃないんだと思うの。
わたしがすることなんてね、きっと全部わかってて――それでもいいからって、好きでいてくれるんだと思う――。

……、そんなの恥ずかしいよ、だって、……おうちに居るときはずっとべったりだもん。

【彼はいつだって上から目線。身長もそうだけれど、態度でも。でも、それは、決していやなものでない、大人の目線】
【おいしい餡蜜に笑顔を蕩かせたりしているような彼女では到底食べられない大人の味、苦い珈琲も普通に飲めちゃうような、歳の差が】
【ふたりの間にちょうどぴったりと嵌まっているのだろう。どちらも無理しない自然体でいられて、心地よい温度でいられる、絶対的な相性で】

【――頬にぺたんと手を当てて言う。心なしか頬が赤い気がしたのは言葉通りということなのだろう。やがて恥ずかしげに言うのは、】
【憚る目線もないだけに枷の外れる甘えっぷりをどこかで自覚していた。歩く変わりにお姫様抱っこをしてもらったりだとか、そんなの】
【見られたら恥ずかしくって――と思う程度には冷静なつもりだった。けれど、見られるかもしれないとやめられないぐらいには中毒】
【結論としては「見ないで」とお願いしてみるのだった。冗談めいていたって、彼女にならば、出来そうな気がしてしまうから】

……そう、かな――……、気をつけてね? わたし、なんにも関係ないし、何があるのかも分からないけど……。
せっかく綺麗なんだもの、怪我したらもったいないよ。旦那さんだって、心配しちゃうよ――……だから、

ありがとう、……この名前ね、どっちも大切なひとに貰ったんだよ。鈴音って名前は白蛇様から、シュトラウスって名前は、セシルから。

【そういうものなのかと納得するのに一瞬だけ時間が掛かった、けれど納得してしまえば言葉の方向性が変わる、彼女を気遣うものへ】
【何にも知らないし何にも分かっていない。きっとどうしようもないぐらいに無知なのだろう、けれど、心配するぐらいは許されるはず、と】
【“気をつけて”の言葉を贈る、それが、関係のない彼女からの精一杯の言葉の贈り物、出来ることだった】

【――自分の名前がだいすきだった。そう言い切れる、宝物。にこりと自慢するようだったのが、少しだけ子供っぽい色合いだったという】

あ……、それじゃあ、えっと、……もうすぐ行くよ、あとちょっとだし……、むぐ、
ふぇ、――そうなの? え、あ、……ありがとう……、?

【彼女はそろそろ行くようだった。それなら、ゆっくりしていけばいいとも思うのだけれど――なんだか、気を使わせるようで】
【残っていたものをちょっぴり急いで口に含む。甘い甘いのを嚥下して、もう一口食べて、そして、びっくりした顔をした】
【彼女が何か計らってくれたのだろうか。それが分からないなら、ぱちくりしながら紡ぐお礼の言葉、ちいさく下げる頭の仕草があった】

565名無しさん:2014/02/26(水) 03:39:16 ID:A89md4kk0
>>564

【『嫌いなら夫婦になど――』 と、いうのが少女の一言に対する女性の答だった】
【至極当然の答えだ。あまりにも当たり前だった、けれども――そこに重みがある】
【伊達に木の遠くなるような年月を過ごしていないと言ったところだろうか】
【少女のどこか悪戯めいた色合いも受け止める程度の余裕すらも見て取れて】

ほう……聞くに、お主らは宛ら『水魚の交わり』という具合かのう?
いやいや、と言うよりは単に〝型〟がピッタリと合ったというだけの話、か……

……ふふっ、良いではないか。惚気話は妾の好きなモノの一つでな
というのも、言葉や形に出来ない人の愛や美しさがそこから垣間見える気がするからじゃ
話す様子一つ取っても、まるで互いを支えあう気持ちが湧き出る愛の泉といったところか――

―――見るのは楽しみでも在るのだが仕方あるまい、話で勘弁してやろうぞ

【今度は悪戯めいた色合いで意趣返しのように言葉を切る。何とも良い趣味を持っているものだ】
【そしてしばし、彼女は鈴音の話に耳を傾けて。所々くすりと笑うも、馬鹿にするつもりは何処にもなく】

【やがて最後に少女が「見ないで」と言ったなら、渋々というより、焦らすようにゆっくりと】
【「分かった」と告げて、破顔した。よほど彼女の話が気に入った様子が、口元を見るだけで分かるだろう】

――…うむ、気を付けるとも。なあに、安心せい……妾はこれでも強いのだぞ?
この着物も旦那様に頂いた品、汚すわけにはいかぬでな。

さて……、…おっと急かしてしもうたか。焦らずとも良い、しっかり食べて差し上げえ
この店は妾に付いて回る、謂わば〝常連〟……お代を寄越せというほど業突張りの店主でもない
タダなのよ、タダ。とはいえ一級品の餡蜜、彼の手際も含めて全て味わってやっておくれ

それが終わったら……そうさなあ、妾は南へ行くが、旅立ち位は共に行こうか。

【と、言うところによると然程何かを取り計らったというわけでもないらしい】
【良い良い、と手を小さく振って答えれば、後はのんびりと彼女が餡蜜を食べるのを待ち】
【やがて準備が整ったなら立ち上がって、持ち物も何も無しに街道の南へ足を向けるだろうか】

【それからこれは物も言わず、ついでに顔もない店主のことだが――少女も発つと見たか】
【まるで『またお願いします』とばかりに店内から出てきて、低く頭を下げるのであった】

566名無しさん:2014/02/26(水) 04:04:12 ID:buu1lXlY0
>>565

【返って来たのは至極当たり前の言葉、というよりも、当然過ぎて意識から抜け落ちていた言葉】
【嫌いなひとと一緒になるというのは昔ならばともかく、今となっては絶滅危惧種のようなものだった】
【――どうしたって叶わないようだった。生きてきた時間があまりにも違いすぎるのだろう、悪戯ぽいのもそのうち失せて】

見つけてくれなかったら、わたし、駄目になってた。きっとね、何もかも捨てちゃってた。
教えてくれたし、思い出させてくれたんだよ。いろいろなこと――とっても、とっても、大切なことも。

……お話ならいいよ、恥ずかしいけど――見られるよりは、ずっといいもん。

【暗くて、辛くて、怖くて、ひたすらに何もない世界。いきなり放り出されて、迷って、何度泣いたかも分からない中で】
【彼が見つけ出してくれた。暗がりの中の姿を見つけ出して、連れ出してくれた。明るくて、暖かくて、楽しい世界へと】
【眩しさに目がくらんで何度も転んでしまったことがあった。そのたびに優しく起こしてくれて、ぎゅっと手を引いて導いてくれた】
【だからこそこんなに明るい場所までやってこられた、彼が居なかったなら、――あの時のまま、暗がりの中に消えていただろう】
【――ある種の恩人とも言えた。あの蛇がそうして助けてくれたように、彼もまた、彼女を助けてくれたやさしいひと】

【ふわあと赤くした顔で返すのだろう、こんなところでも彼女の言葉に負けてしまって、頬の真っ白も消し飛んでしまった】
【顔が赤いんだろうなと思えば思うほどに恥ずかしい、ごまかすようにだいぶ冷めてしまったお茶を飲む、湯のみを戻して、】

【――それなら大丈夫だろうと思った。根拠は何もないけれど、勘みたいなものだろうか、強くそう思えた】
【強いちからを持つのだろうことは一番初めから分かっていたことだけれど、改めて言われると余計にそう思えたのもある】
【旦那様に――という辺りでは瞳を細めていた。或いは、羨むような様子で橋姫のことを見つめたのだろう】

うん、とってもおいしい……、こんなにおいしいの、はじめて食べたかもしれない。
通りがかってみて良かった、橋姫とお話できたし――おいしいもの、食べられたもの。

……ちょっと待っててね。

【ゆっくり、といわれたら言われたとおりにゆっくりと――というより、本来の食べやすい調子へと戻すのだろう】
【それでも待たせている手前少しだけ急いでいる風があったが、まあよほど急いでいるというわけでもない。放置がきっと得策で、】
【機嫌のいい風に残り僅かを食べ進めていた。子供っぽく顔に出やすい性質らしいのを見れば、本当のことを言っているのだろうとすぐにわかって】
【いいお散歩だった。そう心底から思っている様子で、――数分も待たせずに、残りの分を食べ終えて、茶までを飲みきって、】

【ふらりと立ち上がる、スカートの形を手でざっくりと整えて、忘れ物がないかと一応の確認をする】
【出てきた店主には「ごちそうさまでした」と表情の綻んだ笑顔で言うのだろう、それだけできっとこころは伝わってくれるから】

【――どっちの方角に行ってもやがて家にはたどり着くのだった。だからどっちに行っても良かったのだけれど、】
【用事があるというならついていくのも悪い、結局足を向けたのは、南以外の方角だった】
【別れ際に一度ちいさく頭を下げて、「また」と言うのだろう、そうして向けた背中は、ひと通りのない道沿いをしばらく歩いてから】
【ぱらぱら漫画の世界から描き忘れられたように、ふつりと。黄緑色の燐光に彩られて、消えたという】

/こんな感じでしょうかっ、おつかれさまでした!

567名無しさん:2014/02/26(水) 04:36:51 ID:A89md4kk0
>>566

折角美味しいのだ、ゆっくり食べてやらねば品の方も寂しかろうて
妾はいつまででも此処に居る。……いや、真に良い夜よ。

櫻にいる間はやはり秋の頃、月と薄の色が映える夜が好みであったが
こちらでは誰かと共に時を過ごすだけでもそれよりどれほど良いものか。
好みの話を聞けたから尚更という具合かな?…ふふっ、忘れぬぞ?

【少女が残りの分を食べる間、橋姫はのんびりと空をみあげていた】
【別段綺麗なわけでもない。星の輝きは弱く、群青の夜空には雲もかかりかけている】
【それでも尚ぼうっと見ていられるのは、或いは――そんな事をぼやきつつも】
【やはり最後、少しだけ意地悪のような事を言って、時を過ごし】

……うむ、忘れ物も無し。では気を付けて帰るのだぞ、鈴音や。
セシルというお主の夫も、きっと首を長くして帰宅を待っておるに違いあるまいて

では……あぁ。また、のう――さて、妾も征かねばなるまいな。葬儀の用意をせねば―――。

【やがて二人して店を出る頃には月もすっかり翳ってしまい、外套の明かりが頼もしさを増す頃合い】
【去り際に振り向いた橋姫は、人工のそれが横顔に当たるのも画になっていて、やはり微笑が見て取れた】

【――また、二人の女性が居なくなった妖怪の店は、まるで蝋燭の火を吹き消すように明かりが落ち】
【次に此処を通りかかった酔っ払いには、既にその存在は認識できなくなっていたという、が】
【この後も都市伝説のように、時折街の一角に出現しては人妖問わずに饗しを尽くすのだ――とか。】

/お疲れ様でしたー!

568名無しさん:2014/02/26(水) 13:08:15 ID:VvRwMKXY0
【紅く染まる肉も、血に濡れる臭い】
【そんな殺伐とした雰囲気とはかけ離れた日常がそこにあった】

【そこは日常を象徴した公園】
【緑の芝生や遊具で遊ぶ子供たちは見ていれば自然と笑みが溢れる光景だ】

『お兄ちゃーん!ボールとってー!』
「あ、ほら…気をつけてね」
『うん!ありがとー!』

【ベンチに座り、その日常を眺める少年がいる】
【小柄で線の細い華奢な白髪の少年】
【雪のように白い肌と赤色の瞳は全体的に薄い色素を思わせる】
【年中無休で灰色のコートを身に纏い、フードを被って日の光から逃げているような】
【初めて目にすれば女子のようで、子犬のような印象を受けるだろう】

「……………羨ましい……な……」

【とても小さく弱弱しい背中が、そこにあった】
【小さく呟くその声はとても儚くて――――】
【――――その姿は通りがかる人たちにも見えるだろう】

569名無しさん:2014/02/26(水) 14:46:58 ID:SbMyfX/s0
>>568
/まだいらっしゃいますでしょうかー?

570名無しさん:2014/02/26(水) 15:27:01 ID:VvRwMKXY0
>>569
/返事遅れましたー!いますー!

571名無しさん:2014/02/26(水) 15:30:26 ID:SbMyfX/s0
>>568

【同じ公園の中。少年が居るベンチとは少しばかり離れた場所に、やや珍しい服装の者がいるのが見えるだろうか】
【黒いブレザーに赤いネクタイ、隣には学生鞄。時期的には春休みも真っ盛りといったところだろうに、そこには制服姿の高校生が居る】
【ワックスで流した茶髪に、前髪を上げた髪型。制服は適度に着崩されており、手元では携帯を弄っている。それはそんな少年だった】

ふぅ…………。
……ん?

【しばらくして用事も終わったのか、その学生は携帯を仕舞うと大きく息を吐く。一仕事終えた、といった感じだろうか】
【暇になったのか、はしゃぐ子供達の姿をぼんやりと観察していた少年だが……そこでふと、ベンチに座っているコート姿の人影に気づいて】
【一瞬不審者か何かと誤解しそうになるも、僅かに覗く中性的な顔つきを発見すると、不思議そうな顔をしてその人影を観察し始める】
【学生は、しばらくの間そうしていたが――――何かを決意したように、ふと笑みを浮かべて立ち上がると、そちらに近づいていくだろう】

やあ、こんにちは。隣、座ってもいいかな。
きみは遊ばないのかい?

【やがてお互いの顔が見える距離まで近づくと、まず学生は軽い挨拶をするだろう。浮かぶ笑顔と黒色の双眸は、見た目に反して柔和なものだ】
【ベンチを指して確認を取り、もし了解を貰えたのなら少年の隣に座るし、そうでなければ立ったままで】
【続いて視線を子供達へやると、少年の発した「羨ましい」という呟きを聞いてか聞かずか、そんな風に問いかけるだろうか】
【……フードのせいで相貌もよく見えず、全体的な体格も小柄なので、学生は少年の事をあの子供達と同じぐらいの年頃だと思っているのかもしれない】


/よろしくです!

572名無しさん:2014/02/26(水) 15:44:24 ID:VvRwMKXY0
>>571
「え?…あ、ど、どうぞ…!」

【いきなり話しかけられて驚いた様子を見せるがすぐに理解する】
【少年はすぐに自分の右隣のスペースを開けるように寄って座る場所を与える】
【あまり人と話すことは慣れていないのだろう】
【ただでさえ小柄な体が人にスペースを与えてさらに小さくなっている】
【内気な少年だろうと一目でわかる】

「えっと…子供は好きですけど…年が年なので…」

【少年の小柄な体と中性的な顔立ちだと年齢がわかりにくい】
【発育のよい小学生でもありそうで、小柄な高校生とも考えられる】
【ただ、言葉を聞く限り前者ではないようだ】
【では何歳なのだろうか、身長は学生のほうが上であろう】

「ただ…僕にはああやって遊んだ記憶がないので…」

【そう言って再び目線を子供に向ける】

【ボールや遊具で笑顔を振りまく子供たちに向けている目線はとても楽しそうで―――】
【――――とても悲しそうでもあった】

573名無しさん:2014/02/26(水) 16:04:51 ID:SbMyfX/s0
>>572

【隣に座って改めて容姿を確認し、そして声を聞いたことで、学生はようやく少年の風貌を正しく認識したようだ】
【中性的ではあるが恐らく少年。喋り方や挙措から、内気な性格だということも一目瞭然だった】
【一方の学生の方は、相当人と話し慣れている様子だ。少年を怯えさせないよう緩やかな動作で近づくと、「ありがとう」と礼を言って着席する】

……あれ、ごめんごめん。勘違いしてたみたいだ。
本当はいくつなんだい?

【しかし、こうして近づいてみても……性別や性格は解ったが、年齢だけはどうにも判然としない】
【この学生の身長は高校一年生の平均身長とほぼ同じだが、相手はそれより一回り小さい。その上女性のように細い輪郭が、余計少年を幼く見せて】
【学生は非礼を謝りつつ、少年に問いかけるだろう。……結局、自分より年下だろうという先入観は捨て切れなかったようだが】

うーん……そっか。
でもさ、別に今からでも遅くないんじゃないかな? 遊びなんて、したい時にするものでしょ?

【少年の赤色の視線にどこか悲しい色合いが混じっているのを察すると、学生は空気を重くしないよう、敢えて深いところには触れずに】
【代わりに笑顔を向けると、明るい調子で話しかけていくだろうか。それから自分も、もう一度子供達に視線を向ける】
【黒色の双眸は、楽しそうでいて――――どこか、眩しそうに。視線に二つの色合いが混じっているのは、この学生も同じだった】

574名無しさん:2014/02/26(水) 16:22:28 ID:VvRwMKXY0
>>573
「えっと…19…です…き、君は…?」

【なんと成年目前だったりする】
【高校生程度であろう学生からしたらもう大人みたいな年齢だ】
【きっと、年上であろう。容姿とは時に年齢を支配できる】
【女性の年齢は化けると聞くが、男性でも有効であるらしい】


「そうかも…ね。本当はそうするべきなんだろうけど…」

【目線の先の子供がお互いに遊具に登って遊んでいる】
【一人が先に登って後からついてくる子に手を差し伸べて登るのを手伝っている】
【一生懸命登って遊具のてっぺんから一緒に周りを見渡している】

【とても微笑ましいその光景を、少年は複雑な表情で見ていた】

「でも…僕には、友達がいたことがないんだ。
だから…一緒に遊ぶとか、一緒に笑いあうとか…どうしたらいいのか分からないんだ」

【「僕の周りに、同年代の人は居ないから…」と、呟く】
【周りはいつも大人ばかりだった、生まれてからずっと――――友達なんて】
【きっと彼の性格は生まれつきとかの先天的なものではないのだろう。】
【孤独が少なくなかった人生と感じられる】

575名無しさん:2014/02/26(水) 16:49:42 ID:SbMyfX/s0
>>574

えっ――――19!?
ぼ、ぼくは高一だから、15歳だよ。もうすぐ16歳になるけど…………。
うーん……敬語使ったほうがいいかな?

【やはり完全に年下だとばかり思い込んでいたようで、学生は驚愕の表情を浮かべるだろう】
【もう一度少年を上から下まで流し見て、さらにもう一度驚く。実は年上だなんて、やっぱり見た目からは全く推測できなくて】
【戸惑いつつも、学生は自分の年齢を告げる。その言からするに、四月からは高校二年生ということらしい】
【……相手が年上と解っても、敬語を使うのはかなり違和感がある様子だ。特に使えと言われなければ、このままの口調で話し続けるだろうか】

友達、か…………。
あんまり偉そうなことは言えないけど、そういうのって年齢とか立場とか、そういう細かい理屈は関係ないと思うんだ。
何にも考えずに、まずは話してみたらどうかな? 少なくとも、ぼくはそうしてるよ。

【「ちょうど今みたいにね」――――と、最後に冗談めかして付け加えて。学生は空を仰ぎながらそんな台詞を口にした】
【学生というぐらいだ、同年代はもちろん先輩後輩や先生とも話す機会があるのだろう。少年とは違って、彼は確かに人の輪の中で生きている――――】
【人と話すことに、楽しさを感じている様子だった。多分この学生は、それこそ今がそうであるように、年齢で相手を判断したりはしないのだろう】


――――そういう訳だからさ。
ぼく、ちょっと仕事が終わって暇なんだ。よかったら一緒に遊ばない?

【そして学生は、ここで自分が少年に話し掛けた目的を打ち明ける――――最初から、一緒に暇を潰してくれる相手を探していたのだった】
【相貌には笑顔が浮かび、双眸は期待を帯びて軽く細められる。そこに敵意や悪意の類は、きっと感じられないはずであって】
【もし、少年が承諾してくれたのなら……「何して遊ぼうか?」なんて明るく言葉を投げかけるのだろう】

576名無しさん:2014/02/26(水) 17:08:05 ID:VvRwMKXY0
>>575
「け、敬語なんて…! いいよ、好きな風に呼んでも…」

【こう同年代の人間に話しかけられた経験のなさが緊張感を生む】
【何歳だろうと、彼の謙虚というか引っ込み思案な性格が言葉を詰まらせる】
【台詞の後半にかけて恥ずかしそうにデクレッシェンドをかけていた】

「きっと…何かに乗り遅れたんだよ…今も、乗れないままで居る…
その、僕みたいな地味な人は誰かと歩くよりも一歩後ろから見ているほうが合ってると思うんだ…」

【でも、と付け加えて】

「君を見てると…そんなに難しいことでもないのかな…って思っちゃった…かな」

【決して前には出ない、端に居て影から人と見るような】
【そんな内気を生きる彼でも、学生の少年を見て笑っていた】
【何かに憧れるような、そんな眼差し】


「えっ…遊ぶ…?僕と?」

【学生の少年の提案に戸惑う】
【根っからの内気な性格が、彼を迷わせているのだろうが】
【答えは、ひとつだった】

「えっと……うん…! ありがとう…僕でよかったら…!」

【それは肯定と受け取れて、少年は眩しいばかりの笑みを浮かべた】
【透き通るような声に少女とも受け取れそうな整った顔で、とても嬉しそうに」
【ベンチから立ち上がっている】

「あ、あの場所行きたいです…! 街の中心街にあるえっと…でっかい建物の!」

【その場所にあるのはゲームセンターだ】
【少年の言うとおり、でかい建物で学生にも場所は分かる有名どころで行ったこともあるかもしれない】
【そこに興味があるようで、学生が了承すればすぐにでも向かうだろう】

577名無しさん:2014/02/26(水) 17:32:12 ID:SbMyfX/s0
>>576

そうそう、友達なんてさ、居ても居なくても生きられるものじゃない?
あんまり深刻に考えることでもないさ。こういうのは、乗りたいと思った時が乗り時だと思うよ。

【少年のようなタイプには、やはり変に堅苦しい付き合いは見合わない。そう感じていた学生は、一言礼を告げるとタメ口のまま台詞を続ける】
【確かにこの学生は友達の多い人間だが、だからといって人生において絶対必須のものであるとも考えていないらしく】
【だったら何故、こんな風に人に話しかけていくのか――――答えは単純。ただ楽しいからという、たったそれだけのことだ】

……あぁ、良かった。断られたらどうしようかと思ってたよ。それじゃあよろしくね。
ぼくの名前は鳴子一颯だ。きみは?

【自分のした提案に対し、少年が嬉しげな笑顔を浮かべてくれたのを見ると、学生は安心した様子でそれに応え】
【鳴子一颯、と自分の名前を名乗ると、そちらの名前を問いかける。多分これが、〝友達〟として第一歩であるのだろう――――】


中心街のでっかい建物……あぁ、もしかしてあのゲーセンかな。大丈夫、行った事ある場所だよ。
それじゃ、さっそく移動しようか!

【そうして、学生――――鳴子一颯は、少年の言葉から街中の施設を類推していく】
【一颯は普通の学生と比較しても交友関係の広い方だ。昔遊びに行ったことのある大きなゲームセンターが思い当たるのに、そう時間は掛からなかった】
【場所に当たりをつけると、一颯もまたベンチから立ち上がる。学生鞄を肩に担いで少年へ元気良く笑い掛けたなら、少年を先導して歩き出すだろうか】

【……どうやら近道なんかも知っているようで、ゲームセンターに着くまでそれほど時間は要さない筈だ】
【無事辿り着いたなら、柄の悪い連中が居ないかどうか一通り周囲を見渡した後、まずは「どれで遊びたい?」と少年の希望を聞くだろう】

578名無しさん:2014/02/26(水) 17:52:12 ID:VvRwMKXY0
>>577
「名前は岸織詩織です…よろしくね、鳴子くん」

【地味に発音しにくく、女性らしい名前だ】
【彼は男性ではあるがとても似合った名前だった】

【今までこの名前をどう名乗ってきただろうか―――】
【殺されそうになって、勧誘されて、助けられて】
【そのどれにも属さない、新しい名乗り方が詩織のなかにあった】

「うん…!行こう!」

【もし、詩織のことを知っている人物が今の彼を見たら驚愕するだろう】
【楽しそうに、誰かと歩いている――――それほど大きい変化が彼にはある】

【店内に入るなり、詩織は周囲を見回して目を輝かしている】

「うわー…たくさんゲームがあるね…すごいなー」

【今まで興味はあっても、一人では怖くて入ることができなかったのか】
【周りのあらゆるゲームに詩織は興味を隠さずにはいられなかった】
【どれも今までやりたくて仕方なかった物ばかりで、選ぶのには時間がかかるが―――】

「これ!これがいい…!」

【指差したのはクレーンゲームだった】
【なかにはそれなりのサイズがある脱力系犬のぬいぐるみが入ったものだ】
【店内で一位二位を争う高難易度クレーンゲームだが、詩織は中のぬいぐるみに目を輝かせている】
【子供らしいというか、女々しいというのか、可愛い物が好きみたいだ】


【もし、引き止めなければすぐにでも挑戦して――――あっけなく撃沈するだろう】

579名無しさん:2014/02/26(水) 18:15:32 ID:SbMyfX/s0
>>578

岸織詩織――――それじゃあ、詩織、でいいかな?
こちらこそ、よろしくね。

【道中少年から名乗り返されたのなら、一颯は少年の名前を復唱すると、満足そうに笑った】
【友達が増える瞬間というのは、いつだって何だって、楽しいものだ。もちろん今日もまた、その通りになってくれた】


いつもはもうちょっと混んでるけど、平日だから今日は空いてるね。変な人も……良かった、居なさそうだし。
ちょうどいいや、ゆっくり選びなよ。

【一颯自身、ここに来るのは久々だ。ゲームセンターの中の様子を伺うと、大丈夫だと判断して詩織と一緒に中へ入っていく】
【それにしても、普段は馴染みの友達と行くことが多いだけに、詩織のような反応は新鮮だ。輝く瞳は、見ていて飽きないものであって】
【ここに来るまでの道とは反対に、今度は一颯が詩織に付いていく。せっかくこれだけ楽しそうなのだから、今日は彼の希望を出来るだけ叶えてあげたかった】

…………あぁー、これかぁ。
い、いや。大丈夫、ぼくに任せて!

【――――そして、これはその最初の難関。一応クレーンゲームにも慣れてはいるが、かといって別に達人級の腕前というわけでもない】
【見た目だけじゃなく中身も女の子っぽいなぁ……と思ったのはもちろん口には出さず。一颯は詩織が撃沈したのを見るや、覚悟を決めて台の前に立った】
【早速ゲームを開始し、リベンジを試みる。……何だか女の子の前で張り切ってるような気分だ、とも思ったがやっぱり口は出さなかった】

よ、よし――――取れた!!
……コホン。はい、これはプレゼントするよ。

【……結局、詩織が欲しがっているぬいぐるみは無事に手に入り、一颯の手からプレゼントされるだろう】
【そこに至るまでの苦労や時間や金銭の事は咳払いと一緒に全部水に流して、一颯はそちらの反応を伺った】

580名無しさん:2014/02/26(水) 18:31:44 ID:VvRwMKXY0
>>579
「ぬいぐるみ…あれ、可愛いのに…」

【無残にも撃沈し意気消沈する詩織】
【ただでさえ詩織にとって初挑戦のクレーンゲーム】
【それを難なくクリアすることなど不可能に近いのをは分かりきっているだろうが興味はとまれないのだ】
【うなだれているところの鳴子の挑戦】

「あっ、いける!すごい!後少し!少し! …取れたー!」

【彼のクレーンゲームの腕に興奮を抑えきれずに、子供らしい反応を示す詩織】
【出会った時とはまったく違う雰囲気を醸し出しているが、これが素なのだろう】
【少し子供っぽいが元気で活発な、そんな一面】

「すごいね、鳴子くん…僕なんかじゃとても…
……えっ!? くれるの!? ほんとに!?」

【彼からの唐突なプレゼントは予想していなかったようで、声が裏返って確認を取る詩織】
【何度も何度も確認し、そしてそのプレゼントを受け取った】

「可愛い……ありがとう鳴子くん。」

【その顔は、とても年上の男性には見えない仕草だった】
【そのぬいぐるみを胸で抱きしめて、僅かに顔を傾け、上目遣いで鳴子を見て言った】
【一切の迷いも、誤魔化しもないまっすぐな感謝の言葉は鳴子の胸に届くだろう】

「あ、次!次は何する?」

【そう言って、詩織は鳴子の服の袖を摘んで、次のゲームへと誘っていくだろう】


581名無しさん:2014/02/26(水) 18:33:28 ID:VvRwMKXY0
>>580
/最後の【は誤字なので無視でおっけーです!

582名無しさん:2014/02/26(水) 18:39:20 ID:CKwgAcf.0
【闇市通り――合法なものなんてほんの一握りなこの場所に、一際目立つ店があった】

「ヒャハハハ!」 「さァー、買ァえ、買ァえ!」

【形容しがたい、混沌とした趣味の悪い屋台――並ぶのは、肉とか果物とか何かの素材とか小動物っぽいものとか、とにかく雑多である】
【それを運営するは黒い外套を羽織っている、コワモテで奥二重でエルフ耳の、男にみえる者だった】
【身長は約2mの、筋肉質な細身で、黒い白目と血の様に真っ赤な虹彩を持ち、ボサボサとしている長い黒髪だ】
【上下共に長袖黒ジャージを身に着けていて、首に紫色の毛のマフラーを巻いており、手袋や靴下も紫色だ、靴は黒】

「対価は……混沌の為になァるもォのなァら、貨ァ幣じゃアなくても良ォいぞ、"いィつも通り"な」
「特に、"アビスゲート"で熟成さァせているモノに足ァりねェなァにかの情ォ報かそォのモノをよォこせば、"良ォい値"を付ォけてやる」

【値札はない、ただ、怪しげで曖昧な表記で正体の分からぬ謎の商品群が立ち並ぶのみ】
【一つ言えるのは……どれもこれも、この世界では見たこともないような品だということか】
【そんなものを堂々と出せるのも、闇市だからこそか――たまに"常連"が訪れている様に見えるのは、きっと気のせいではない】

【――あなたはこの店に立ち寄っても良いし、指名手配されている悪魔"邪禍"にそっくりなこの店主から事情徴収などをしても良い】

/あまり長くはいれません

583名無しさん:2014/02/26(水) 18:54:36 ID:SbMyfX/s0
>>580

うん、それだけ喜んでくれれば頑張った甲斐があるよ……。

【ぬいぐるみを抱きしめての上目遣いはどこまでも女の子らしくて、一颯は若干照れつつも感謝の言葉を受け取る】
【何にしても、これだけ楽しそうにしてくれるなら本望だ。袖を引く力を感じれば、何か面白いものはないかと周囲を見渡して】
【やがてひとつに目を付けると、「あれやってみようか」と言って詩織を促すだろうか】

……あ、そういえば。
岸織詩織って、櫻の国の名前だよね。きみも櫻の国出身なの?

【その途中、一颯はふと思い出したかのように質問をぶつけてみる。折角だし、もう少し詩織の事も知ってみたかった】
【きみも、と言っていることから、少なくとも一颯は櫻の国の出身であるようだ。同じ出身だとしたら、中々の奇縁といえるかもしれない】


じゃ、次はこれかな。体動かすだけだし、楽しいと思うよ?

【――――そんな質問もそこそこに。やがて辿り着くのはリズムゲームのコーナーだろうか】
【初心者の詩織に配慮して、画面の表示に合わせてパネルを叩くだけの簡単なもの。……クレーンゲームと違って、これならそこまでお金は掛からないという理由もないではない】
【何せ彼は無自覚なのだろうが、詩織といると何となくいいところを見せたくなってしまうのだ。一颯は隠れて溜息をつくと、お手本がてら先にプレイを始めるだろうか】
【……抜群に上手いわけではないが、そこそこの高得点。ゲームとは言えそれなりに体力を使うものだが、一颯は息ひとつ乱していない。運動は得意のようだ】
【ゲームが終わると、一颯は「やってみて?」と言って詩織に交代しようとするだろうか】

584名無しさん:2014/02/26(水) 19:15:21 ID:VvRwMKXY0
>>583
「……………」

【出身国の質問】
【その質問を聞かれた時に一瞬、止まった気がした】
【その場が、雰囲気が、 ――――――――岸織、詩織が】

「…う、うん。そうだよ。最近帰ってないけど… 鳴子くんもそうなのかな…?」

【その言葉はぎこちなかった事に気づくことは決して難しくないだろう】
【顔は先ほどの笑顔のままだが、どこか固いところがあって】
【何か、核心を突く質問だったのかも知れない】

「で、できるかな…?」

【目の前のリズムゲームに好奇心かつ出来るかどうか不安が過ぎっているようだ】
【お金を投入して、挑戦】
【始まる音楽と流れるリズムに焦りつつスタート】

「えっ、あっ…ちょっと…! 速い速い…! 待って待って…!ちょっと…!」

【決して難易度を高くしたわけでも無いが、やはり難しい】
【最初から躓いたのが原因でズルズルと失敗が続いていって残念な結果に】

「うぅ〜…」

【それこそ周りの目線を集める程度にはとんでもない結果を出してしまった詩織】
【「ずーん」とネガティブなエフェクトが見える程度に落ち込んでいた】
【いろいろ悔しそうな顔をしている詩織の顔はとても年頃の少じ…少年らしい顔だ】

「…もう一回やる」


【素が出た彼は負けず嫌いなのか】
【新たにお金をつぎ込んでまだまだこのゲームを続けるだろう】
【それなりの結果を出すまで頑張り続けるだろう…】

585名無しさん:2014/02/26(水) 20:04:51 ID:SbMyfX/s0
>>584

…………そっか、奇遇だね。ぼくの方もそんな感じだよ。

【自分の質問が、何か深い部分に触れてしまったのだと気付くのは簡単だった。詩織の態度もそうだし、一颯は元々そういうものに聡い方だ】
【だから申し訳なさそうにするでも更に追求するでもなく、一颯は隙のない笑顔を浮かべてあっさりと話題を流してしまうだろうか】
【詩織の態度に対して抱いた一抹の関心すらも、話題と一緒にまとめて切り捨てる。切り替えの早さだけは、何よりも秀でた少年だった】

あぁ、そんなに落ち込まなくても平気だよ。初心者なんだし、あんまり意地にならなくても……。
…………もう、〝仕方ない〟なぁ。
そこはもうちょっと早めに、ここで一度右手と左手を????。

【自分の番が終わり、詩織が台に立つ。後ろでどうなることかと眺めていたが……点数はお世辞にも高いとは言えないもので】
【落ち込む詩織の肩を叩いて励まし、もう一度お手本を見せようかと台に立とうとしたが、詩織は更にお金をつぎ込んでいく】
【挙措や外見は女の子らしくても、やっぱり男の子だ………諦めず挑んでいく背中に親近感を覚えつつ、一颯は口癖を呟きつつ苦笑いを浮かべ】
【周囲の目も構わず、後ろからアドバイスを送る。もちろん、詩織が高得点を叩き出すまで付き合い続けて…………】

【そしてついに、詩織が良い結果を出して喜んだのなら、一颯も一緒になって喜ぶだろうし】
【もちろん、その後も同じく。まだまだ遊び道具は尽きない、きっと二人は更に施設内を回っていくのだろう】
【詩織と共に一喜一憂しつつ、一颯は今日一日を娯楽に費やす????】


【だが、時間は有限だ。日が落ちてきた辺りで、一颯は「そろそろ帰ろうか」と言って詩織を外へ連れ出そうとするだろうか】
【一颯自身学生の身分だ、あまり夜遊びもしていられないし……何より夜になると、こういう場所には柄の悪い連中も集まり始める】
【それに詩織だって、家に帰らなければならないだろう。ゲームセンターを出たところで、今日のところはお別れとなる筈だ】

あぁそうだ、最後に一つ…………。
ぼくも詩織とおんなじだ。子供の頃、あの公園の子達みたいに遊んだ記憶はないよ。誰とも関わり合いにならず、ずっとひとりでいた。
それがさ、いまはこんな風になってるんだ。故郷じゃ苦しいことばかりだったけど、いまはもう違う。

????まあ、いまが楽しいことばかりって訳でもないけどね。多分、きみもそうなんだろ?
だからさ、またこうして遊びに行こう。きっとまたこうして会おう。そしたら、これからも頑張れると思うんだ。

【別れ際、どこか陰のある調子で、一颯はそんな事を告げる。故郷に〝何か〟を置いてきたのは、詩織一人だけではなかった】
【微妙に苦労の滲んだ語り口。昔も今も、順風満帆の人生を送ってきたわけではない。けれど????】
【たまに、詩織のように楽しい人がいる。そういう人と、こうして楽しい時間を過ごせる。それはとても、幸せなことなのだと】

詩織、きみは今日からぼくの〝友達〟だ…………だからまた、よろしくね!

【……一颯は、そんな事を語った後。最後に手を差し伸べて、詩織に握手を求めるだろうか】
【そして、詩織の反応がどういうものであるにせよ。一颯は大きく手を振りながら帰路についていくだろう】
【最後に「バイバイ!」と叫んだ声は、夜を迎えてにわかに賑わい始めた街の喧噪にも負けず、ずっと大きく反響するだろうか????】


/お疲れさまでしたー!

586名無しさん:2014/02/26(水) 20:05:42 ID:DkwfHDbs0
【山の中の大きくて静かな神社―――境内の丁度真ん中辺り差し掛かる場所には、親子らしき女性と少女の二人組の姿があった】
【母親らしき女性は、時折通り過ぎる寒風に鳶色の長髪を揺らし、優しそうな垂れ目は広く暗い境内で我が子を見失わない様に娘へと向かられている】
【身に纏うのは濃緑色のマフラーと若草色のコート、ロングスカートから覗く足は、先日の賑わいも落ち着いて閑静な境内の敷石を踏みしめる】

【娘らしき少女は可愛らしいピンクのセーターに黒いスカート、頭には動物の形をしたこれまた可愛らしい耳あてとニット帽】
【子供なのだから当然だが、母に比べて華奢な体。広い境内ではぐれて迷子にならぬよう小さな手はしっかりと母親の手を握り締めている】


――――ね?今日来て良かったでしょ?

「うん!ちょっと前は人で一杯やったのに、今日は全然おらんね!
 ……なんか、凄く静かな神社やね。どうして神社ってこんなに静かなんやろ……」

【――――時折風が吹き、木の葉が身を揺らしカサカサと音を立てる。が、それだけ。他に聞こえる音は何も無く、その静けさには厳かな雰囲気さえ感じられる】
【二人の靴が敷石を刻む音だけが境内に響き渡る。このご時世で誰もいない、何も動かない空間というのも珍しい……】

そうねぇ……ここの神社は緑に囲まれてるでしょう?森の木の葉が周りの音を遮るんじゃないかな
……でも、神社の閑静さって、きっとそれだけじゃない気もするなー……なんだろ、神様がいるから神聖な空気があるのかな?

「そうかも!……ね、ホントに神様っているんかな?」

うーん……本当のことは分からないけど……きっといるんじゃないかな?
いないなんて決めつけちゃうより、もしかしたらいるかもしれないと思った方が楽しいと思うな!

「えへへ……そうやね!さ、お参りしていこーか!」

【二人は本殿へと歩みを進める。人っ子一人見当たらないとはいえ流石は大きな神社、立派な狛犬が鎮座する本殿は神様の存在を感じさせる……】
【二礼、二拍手、一礼……作法に則りお参りを済ませる二人。さて、どんな願い事をしたのか……それは二人の胸の中にしまっておく】

【静寂の中、人が二人も訪問すれば嫌でも目に付くことだろう。――――果たして此処は本当に誰もいないのか…… 人?はたまた妖しの類?二人が気づかない誰かがいるかもしれない】
【或いは時を同じくして参拝に来る人もいるかもしれない。いずれにせよ、二人に出会いはあるのだろうか……?】

587名無しさん:2014/02/26(水) 21:09:52 ID:SbMyfX/s0
>>586

【人気のない神社に、母と娘の足音が響く。和気藹々としたやりとりが、流れ出す厳かな空気を僅かに明るく染めていた】
【周囲には人の気配も、まして妖の気配もない。そこにいる二人と流れ落ちる枯れ葉だけが存在を許されているかのような、神聖な雰囲気だ】

【――――いや、少しばかり〝神聖〟過ぎはしないだろうか?】
【二人が本殿に近づいてお参りをする、その最中。霊感の無いものでも感じられる程に濃い〝聖〟の香りが、二人の背中を撫でるかもしれない】
【一切の綻びが存在しないが故に、何者の存在も許さない――――そこに人間が立つには、あまりにも恐れ多すぎる】
【そんな、清浄すぎて排他的としか言えない、いっそ暴力的なまでの〝神聖〟。その発信源は、どんどん二人に近づいていくだろう】

『……………………』

【振り返って確認するのにすら、普通の人間であれば労を要するかもしれない。穢れというものが消え失せた世界の中を、ひとりぶんの足音が続く】
【それでも振り返って、その存在を確かめたのなら――――黒いブレザーにチェック柄のプリーツスカート、赤いネクタイという学生服が、目に入るか】

【そこにいるのは、白い肌とうっすら紅に染まった頬、短く切り揃えられた眉に枝垂れるように長い睫毛が特徴的な〝何か〟だった】
【やや長めの前髪、顎までで揃えられたもみ上げ、胸までの長さの後ろ髪と、そのすべてが一直線に揃えられた髪型に】
【髪の色は漆で染めたような黒。日に焼けてほんの少し赤紫色を差してはいるが、今はそれすらも後光じみた威容に錯覚させる】

【――――何か、明らかに様子がおかしくはあるが。それは娘の方にとって、確かに見知った顔であるはずだ】


『…………………こんばんは』

【見た目上は女子高生だし、発せられる声も少女のものだった。ただやはり、それはどう見ても〝人間〟とはかけ離れている】
【それは――娘の知っている少女であればあり得ないことに――、花が咲くように清楚な笑みを浮かべて二人に挨拶を送ると、フラフラと神社の中を歩き出すだろうか】
【……やたら大仰な雰囲気と違って、歩調は何とも頼りない。あちらへ行ったりこちらへ行ったり、まるで子供のように漂って】

【このおかしな闖入者、まったく詳細は不明だが……少なくとも、人でも妖でもない。合致する言葉を探すとすれば、それはーーーー】
【ーーーー〝神〟と。そう表現するのが、一番的確であるかもしれない】

588名無しさん:2014/02/26(水) 21:15:58 ID:3HA7Kbp60
【水の国、都市部から少し離れた場所にある森。その中の、清らかな泉にて】
【名称は不明であるが、魔力が籠められているとされるその泉の水は、体の傷を癒してくれるとされているらしい】
【その噂話は街の人々にも届いており、ついには「入ったら能力覚醒が云々」なんて迷信さえ生まれたのだとか】

【そんな話を知ってか知らずか、泉にて水浴びをする人影が一人―――水深がやや浅めのところで、腰を落とし体を水に潜らせていた】

『―――やっぱり時期が時期だし、寒いな…傷を癒せるなんて聞いたから来たけど、長居は出来ないかな』
『でも、傷は治ってる気がする…魔力も回復してるみたいだし、夏場なら結構いいんだけどな』

『――――――いっ…!…まだ、痛むなぁ。もうちょっと休んでよっかな』

【それは若い少女であった。金色のショートヘアは染めているようで、髪の根元に黒色の部分が見えるだろう】
【肌はやや白く、対比するように瞳は烏羽のように黒い。髪と瞳の色から察するに櫻の国の血があるようにも思える】
【―――何が、とは言わないが、大きくは無い。ただし、平たくもない。やや残念そうなくらいである】

【だが何よりも目を引くのは、どのような独り言も口を動かさずに呟くという奇怪な発声方法で】
【腹話術にしては発音が完璧すぎる、恐らく能力か何かだろう―――癖なのか、喉元に右手の人差し指があてがわれていた】

【グレーのフリルブラウス、黒いカーディガンとジーンズ、茶色のローファー、細い革ベルトにライトブラウンのキャスケット、その他諸々】
【彼女が身に纏っていたであろう衣類が、泉の近くにある木の根元に置かれていた。傍から見れば、何の装備も無い彼女は些か無防備で】
【都市部から離れている、とはいえ人が全く来ない訳でもない。少なからず、噂を知っている人間はここを訪れてもおかしくないのだから】

589名無しさん:2014/02/26(水) 21:22:33 ID:DkwfHDbs0
>>587
//っと、開始早々で申し訳ありませんが夕飯に呼ばれたので遅れますー……
//1時間もすれば帰ってくると思います!申し訳ありませんが、しばらくお待ちください……

590名無しさん:2014/02/26(水) 21:36:01 ID:SbMyfX/s0
>>589
/はーい、了解致しました!

591名無しさん:2014/02/26(水) 21:40:24 ID:lGVaaR5g0
【街中の休憩施設】

【空き店舗のスペースに自販機とテーブル、椅子、灰皿を設置した屋内の休憩施設は、寒い季節に有難い暖かさを保っている】
【其処へと入っていく作業着姿の年若い女性がいた。機械油で少し汚れてはいるが、被るキャップやスニーカーが今時らしい物で】
【オレンジのセミロングに栗色の瞳、それを縁どる華やかな化粧と耳の銀のピアスが矢張り若者といった雰囲気を醸していた】

【来慣れているのか真っ直ぐ自販機へと向かえば、いちごオレとで少し悩んだ後にブラックコーヒーを選び、缶で悴む手を温める】
【それから空いたテーブルの椅子に腰掛けて、ポケットから取り出した薄っぺらい携帯の表面を数度なぞるもすぐに机の上に置く】
【仕事帰りなのだろうか、取り敢えず一時の休憩をしているのだけれども、どうも退屈そうな様子だった】

……はー。とりま次の電車までいよっかなぁー……、50分もあるし
店もー、……あちゃー、みぃんな閉まってんじゃん。怠いなーコレ……はぁ。

【ぱきゅり、とプルタブを上げれば缶を口元に運んで一口嚥下、ほうと暖かい息をついて、しばし缶を両手で包み暖を取る】
【ガラス戸から見える街中の通りも人通りが減ってきた。退屈げに行き交う人を眺めながら、彼女は何とはなしにぼうっとしていた】

592名無しさん:2014/02/26(水) 21:43:07 ID:F52AoKs20
>>588
【がさり、がさがさ。茂みが揺れて、人の足音が近づいていく】
【木々の間を縫う気配。そして、その気配は次第に泉に近づき、姿を現した】

「――ここが、か。……ま、迷信なのは間違いねーだろうけど、な」

【木々の隙間から見える月明かりに目線を向け、泉に目を向けるのは、一人の青年だ】
【白骨のように白い短髪は、ハリネズミのように些か過剰なほどに逆立てられて】
【左は鈍色、右は蛍光色のライムグリーンという、少々以上に不自然なオッドアイ。右の目元は生々しい裂傷が目立つ】
【服装は、登山系メーカーのオレンジのマウンテンパーカー、カーキのカーゴパンツ、ベルトポーチ、合金板仕込みのエンジニアブーツと言った格好】
【こういった、入り組んだ所を歩んでいくには、十分過ぎる程度の装備であって】

「――っとと、悪ィな。邪魔したか」

【少女の背後から掛けられる、バツの悪そうな言葉】
【もし振り向いたのならば、青年はしっかり視線を少女に向けること無く眉間にしわを寄せて腕組みをしているのだった】
【逃げるのも逃げるのでアレだが、見るのもアレなため、逃げも隠れもせずに腕組みをして堂々と立つことにしたようだ】
【青年の身体は、見える肌の部分だけでも傷が多い。その姿を見れば、ここに来た目的が少女と同じであることは分かることだろう】

/*まだいらっしゃればー!*/

593名無しさん:2014/02/26(水) 22:05:12 ID:3HA7Kbp60
>>592

【がさがさと、揺れる音に体をびくりと震わせる。何か、動物でも居るのだろうか、と辺りを見回して】

『―――ん、誰か…いるの?動物…かな?』
『流石に、モンスターとかじゃなければいいけど…今は戦いたくないし―――?』

【と呟いたあたりで、声が聞こえた。どうやら人がいるらしい、それも男性のもの】
【念のため(ない)胸を隠して、声の聞こえた方向へと振り向く。青年からはきょとんとしたような顔が見えただろうか】

【―――その顔、青年が覚えているかは分からないが会ったことのある人物だ】
【鉄の国、GIFTのW/ダブル―――もといディック・ホワイトと戦った際、防衛陣に参加していた少女である】
【少女は、ぱちくりと目を開かせて見たことある青年の姿を視認すると―――「こんばんは」と軽く会釈して】

『――――とりあえず、立ってないで入れば?多分、君も怪我、治しに来たんでしょう?』
『ここの効能は私が保証するよ。今日初めて入ったけれど、噂通り傷は大体治せるみたいだね』

【「能力とかは、流石に嘘だろうけどね」と付け足して、泉の効果はあるらしいということを説明】
【羞恥心というものを持っていないのか、青年にその姿を見られても目を細めて彼を見るばかりで】
【躊躇いも無く無表情のまま、泉に入ることを促すだろう。小首を傾げる様子を見れば、冗談ではないようだが】

/いますともー

594名無しさん:2014/02/26(水) 22:06:00 ID:7w00KprU0
【櫻の国――山の麓】


【樹から樹へと、森を縫うように影が駆ける】
【猿とも忍者とも違う身のこなしだが、その影は危なげなく移動してゆく】
【やがて彼女は高速の移動を止め、くるくると回転しながら地面に着地した】
【靴が雪に埋もれるも全く構うことなく、凍えた空気を思い切り吸い込めば――彼女は叫ぶ】


迷ったにゃ――――!!!


【……叫び声が響き渡れば、驚いた鳥たちもぱさぱさと飛んでゆくのだろう】
【声がしたところには、途方に暮れたひとつの小さな影が佇んでいるはずだ】

【デニム生地のホットパンツ、足には運動靴を着用し、アーモンド形の大きな瞳を持った、精悍な顔つきの少女】
【薄い緑色のTシャツの背には〝肉球があたいにもっと輝けと囁いている〟という意味不明なフレーズが印字されている】
【背中にはさらに黒いしっぽが伸び、そしてくっきりとした銀色の短髪の間からは、黒い猫耳がちょこんと生えていた】


そんなことよりお腹空いたにゃ……


【叫び声の残響がやまびこみたく消えてゆけば、しょんぼりとその肩を落とす】
【追い打ちをかけるように、無駄に消費されたエネルギーが空腹に止めを刺した】
【ぐぅ、と情けない音が鳴る。何か食べたい】

595名無しさん:2014/02/26(水) 22:15:28 ID:F52AoKs20
>>593
【少女から、苦言の一つも呈されよう、と覚悟をしていたが、予想に反してそういう事は無くて】
【此方も、それならば別に気にするまいと前を向き、挨拶には会釈を返し】
【入るように、との言葉に対しては、一瞬狼狽えるも、最初の目的は貫徹したいという気持ちも当然持ち合わせていて】

「あ――っと、確か喋り屋だったか。
……ま、アレだ。ちょいとまってな、着替えてくる」

【そう返答すると、青年は茂みの奥に向かって歩いていき】
【がさごそと衣擦れやら草の揺れる音を響かせて、数分もしないウチに戻ってきた。海パン姿で】
【その肉体は、随所に火傷痕や弾痕、裂傷、縫合痕の目立つもの。そして、何より目立っているのは、隻腕である事だろう】
【左腕のあるべき所に左腕はなく、切り取られたというよりかは引きちぎられた様な、余りにも醜い傷跡】
【右手を右目に翳し、数秒の間を置いて手を外せば、右の眼窩には何も収まること無く、空虚だけがそこにあって】

(……ま、温泉地の混浴と同じようなもん、か)

「古傷には効くのかねェ……、流石に腕生えたり目出てきたりはしねーと思うんだが」

【開き直ったか、もう特段期にすること無く、泉の縁に向かって歩いて行き】
【一瞬の逡巡の後に、とうっ、と小さい掛け声を漏らしながら、水の中に飛び込んだ】
【首元まで浸かりこむと、顔をひきつらせて、ぶるぶると身体を震わせ】

「――ッ、寒ッ! いやいやいや……不味い不味い不味いコレ……Hello World!!」

【寒さにも暑さにも弱いこの青年。冷水に絶えることは出来ず、即座に己の異能を発現】
【ばちりと、表皮を駆け抜けるノイズの群れ。そのノイズが消え去っていけば、青年は涼しい顔で水に浸かるのだった】

596名無しさん:2014/02/26(水) 22:38:30 ID:DkwfHDbs0
>>587

【二人が各々の願い事を秘めて神様にお祈りしようとしている、その最中……背後から近づく気配は、注意しなくても分かるほど濃いもので】
【不審な妖の気配ではない。人の気配でもない。何とも形容しがたい、一種の神聖さを秘めた近寄りがたいものだ。それが、人の歩むような速さで此方に近づく】

【――――耳鳴りがしそうな程に、辺りの静けさが増す。葉の掠れる音が発せられることすら許されないような、あまりに力の強すぎる〝聖域〟……】
【皐月も、衣織も、その強すぎる力を感じない筈はなかった。一瞬にして周囲の空気が変わる程、霊感がなくともわかる「力」だったのだから】

―――!

【思わず二人は振り返る。姿は見えないが、尚もその存在感は足音を伴って速度を緩めることなく此方へと近づいて来る……】
【皐月は衣織を庇うような形で咄嗟に前に出る。此方にどんな影響を及ぼすのか判らない正体不明な圧倒的気配を前にして、反射的に体が動いた】
【――――一方の衣織は、このあまりに清廉な聖なる気配に覚えがあった。以前同じ気配を持った少女と出会ったことがある筈、と】

【やがて、その気配の持ち主の姿が見える距離まで歩みを進める。……―――やはり〝其れ〟は衣織にとって見覚えのある少女だった】
【……いや、何かが違う。姿は出会ったことのある少女―――佳乃のモノだったが、何かが決定的に違う……!】
【衣織は佳乃から感じた違和感を突き止めるべく目を配る。……――――あ、分かった。】

【―――笑っているのだ。いや、少女なのだから別に笑っていてもおかしくないだろうと思うかもしれないが、こと佳乃に限ってはそうではなかった筈だ】
【衣織の知る限り、佳乃は根は優しいけれど笑顔が苦手で仏頂面だった。誤解されやすそうな素直じゃない性格も相まって、笑うことなんて滅多に無かった】
【無理してぎこちなく笑うことはあっても、こんな清楚な笑みを浮かべるはずは無い!(……自分で書いておいてアレですが、佳乃さんすみません……)】

【目敏い衣織は佳乃の異変をいち早く察知。何が佳乃をそうさせたのかは知らないが、明らかに「変」だ……!】

【爽やかに挨拶をする佳乃に気味が悪い程の違和感を覚えつつ、衣織は境内に響き渡る大きな声で佳乃を呼び止める。】


「こんばんは……とちゃうやろ!どないしたん、佳乃ちゃん!?なんか変やで!」
ちょ、ちょっと衣織!お友達に何てこと言うの!―――――あ、その制服……


【同時に、「彼女の纏う制服は」皐月にも見覚えのあるものだった。黒いブレザーにチェック柄のプリーツスカート、赤いネクタイ……】
【それは、レイリスフィード学園のものだ。皐月の勤めるレイリスフィード大の付属校であるが故に、制服は何度も目にしていた】
【「佳乃」という名前も娘から聞いていた。衣織は佳乃が自分を助けてくれた話やお礼に浴衣を贈った話を聞いた事がある】

【何故レイリスフィード学園の生徒がこんな夜遅くに神社でひとりフラフラしているのか、そもそもあの存在感は何なのか、疑問は山ほどあるが】
【とりあえず娘の言葉から察するに、彼女は娘の知り合いのようだ。……まあ、娘の友人なら滅多なことはしないだろうと、皐月は少しばかり警戒を解く】

//続きます!

597名無しさん:2014/02/26(水) 22:38:52 ID:DkwfHDbs0


【「とにかく、話を聞かねば……」皐月も衣織も意見が一致する。】
【皐月は先生として彼女がなぜ夜に一人で出歩いているのか気にかかる。衣織は友人として、いつもと様子が違う彼女のことが気にかかる。】

【しかし、彼女の事情を知るろうも何もヒントが無い。ここは、彼女の口から訊く他あるまい……】
【ふたりは佳乃を呼び止めると、会話ができる距離まで近づいて……まずは皐月が口を開いた】


――――佳乃さん、でしたか?衣織の母の皐月と申します。娘と仲良くして頂いていると娘から聞いてます。
……一人の親として、佳乃さんに質問と小言です。あなたはこんな時間にどうして一人で出歩いているんですか?
あなたが娘を助けていただいた話は聞いています。その節はありがとうございました……しかし、夜は女の子一人では危険です!
己の強さを過信しては、そのうち痛い目に遭いますよ。……友人の母のお説教として、どうか覚えていて下さいな。

「答えられない理由があるならええけど、何でこんな時間にこんな所を歩いてるん?なんか様子もおかしいし……良かったら理由を教えてくれへん?
……ちょっとでも力になれることがあったら、わたしは何でもしたるから。」

【皐月は優しく、しかし毅然とした口調で佳乃に語りかける。母親・皐月の言葉の孕む優しさと身を案ずる心は、近寄りがたい神聖さをも凌駕する力を持つ】
【佳乃が小言に耳を傾けるかは分からないが……皐月は娘の友人を案じて声を掛けずにはいられなかった】

【衣織はいつものように明るく、しかし心配そうな口調で佳乃に問う。友人として、出来ることなら相談に乗りたい……そんな思いと共に】


【二人に共通する問いは、「どうしてこんな時間に一人で歩いているのか」。答えるか無視するかは佳乃の自由だが……】


//お待たせしました!

598名無しさん:2014/02/26(水) 22:40:55 ID:3HA7Kbp60
>>595

【声で返事することはなく、小さく首を縦に振るとその姿を見送って】
【また現れた彼の体を見てすぐ、無表情であった彼女も大きく目を見開いた。正しくはその体の状態を、だが】
【―――それから目を逸らし、触れない方がいい、と結論付けた。多分そんなことを聞かれて気分のいい人はいないだろうし】

『さあ、メカニズムが分からないから何とも…多分、効かないと思うけどね、もしくは効き辛いか…』

【それを聞いていたのか、彼女なりの推測を気だるげに呟いて。縁に凭れかかるように、息を軽く吐いた】
【右手を喉元にやって偽りの声を鳴らしながら、余った左手を水の中で伸ばしたり回したりしているだろう】

『…何それ、羨ましい能力だね。そんなこと出来るんだ…いや、何をどうしたのかは分かんないけどさ』
『今はもう寒くない訳?半分くらいその力分けてほしいんだけど、夏とか特に…』

【こちらは寒い水の中、まだ何とかやっているようだ―――寒がっていた彼を見て、少し笑いそうになっていたが】
【ノイズが現れ、そして消えた後に見えた、何ともなさそうな青年の姿に、能力だろうかと推測して】
【言葉の内容から察するに、彼女は暑がりな人間らしい。声を変えるだけの少女、その能力が羨ましく思えて】

『―――そっちは確か、谷山、だったかな?…下の名前、なんだったっけ』

【記憶から、相手の名前を引っ張り出してくると―――ふとそんな質問をするだろう】
【どうにも下の名前で呼びたいらしく、尋ねたようだが…何にせよ、自分は本名を名乗るつもりがないらしい】

599名無しさん:2014/02/26(水) 22:44:27 ID:H2DR/gUQ0
【―――騒々しい夜が続いている。だがそれは、決して悪い意味での騒々しさではなかった】
【むしろどこか賑やかで、小さいながらも喜びを感じられるような、そんな幸福な日々の連続。】
【争いは絶えねど、吹く風が逆風という事もなく。ただ、嵐の前の静けさにも感じられる平穏な夜。】

【今宵もまた―――風の名を持つこの国土の端。小さな酒場に、新たな風がぴゅう、と吹き込むだろう。】


 ……珍しいね? "師匠"の方から電話をかけてくるなんて。大丈夫、最近は上手く言ってるよ。
 え? まっさかー! このアタシが経営する酒場―――じゃなかった、防衛団体だよ? 赤字経営なんてないない。
 利益は出る所か最近はちょっと懐暖かくなってきたくらいでね、それより"師匠"の方は―――ん?

 ……ふふっ、やだなあ。流石にもう、『おじいちゃん』なんて呼ばないよ。……なっ!? ぱ、『パパ』ぁッ!?
 呼ばない呼ばない! なんで今更そんな風に―――っていうか、今までだって一度もそんな呼び方してないでしょっ
 "師匠"で何か問題あるの? 実際問題その通りなんだし……ええ、そういわれてもなぁ……、、

【店の中は少し賑やか。調子はずれなアイドルの歌と、それを揶揄するラジオのDJの語り、そして店主と思わしき女の】
【電話口での相手とのやり取り―――恐らくは親類との会話だろうか、そんな色々な音が店内に満ちていた。どれもこれも】
【この店の"本質"からは少し遠い、どこかのんびりとした印象を与えるものだが―――それでも矢張りただの酒場という訳でもなく】
【ワインセラーが並ぶカウンターの真向かい、店内の壁には古式な銃器や刀剣類がズラリと並んでいて―――有体に言えば物騒その物】

【だがしかし、それもこれも此処がタダの酒場ではない事を意味していて。UNITED TRIGGER、それがこの店の持つ名前だった。】
【一年ほど前に設立された、民間営業の正義を掲げる組織、団体―――その本拠地と呼べる場所が此処、であった。】
【内装は正に酒場と事務所、それとウェスタンな雰囲気を織り交ぜたような独特の世界観を持っているのだが】
【一度戦闘が始まれば素早く要塞と化すという一面も持っていて。一見するだけでは分からない利便性も持ち合わせていた。】

 ……じゃ、じゃあ"ジェリコ"さん、とか? いや、他人行儀なのは分かるけどそう入ってもさぁ〜……
 だ、だからこの年齢でおじいちゃんとか流石に―――……ちょっと! あの時の話は関係ないでしょっ!

【店主と思わしき女性―――彼女もまた、少し時代錯誤な、変わった格好をしていた。】
【火薬で薄汚れた白のシャツに豊満な身体を包み、その上には土気色のベストを羽織って、長い足はダメージジーンズで覆って】
【特徴的なのは年季の入ったテンガロン・ハットとウェスタン・ブーツ。どちらもかなり長い間愛用されているであろう事を感じさせる。】
【ついでに言えば腰元にぶら下がったガン・ベルトにはこれまた古式なパーカッションタイプのリボルバーが吊り下げられていて】
【全体的に言えば西部劇にでも出てくるような、所謂ガンマンに近い格好をしていた。少しクセのある金のショート髪が揺れる。】
【ブルーとも、翡翠とも見て取れるような神秘的な瞳を輝かせ、思い出話に花を咲かせる彼女こそが】
【この不思議な酒場の経営者にして設立者、UNITED TRIGGERリーダーのセリーナ・ザ・"キッド"であった。】

【―――客はぼちぼちと帰り始め、店内は彼女ひとりとなった。まだ閉店時間ではないが―――はて、今宵此処を訪れる者がいるか】

/よやくですっ!大変遅くなりごめんなさい!!

600名無しさん:2014/02/26(水) 22:56:56 ID:F52AoKs20
>>598
【少女の視線。僅かに気まずそうなそれを見て、なんとも言えない曖昧な笑みを浮かべる】
【己の身体の事情など、言ってしまえばこの世に無数に溢れる不具者の内の一人にすぎない】
【一般人からすれば特殊だろうが、一般人でないものからすれば、どうってことのない普通の欠損者でしか無いのだから】
【言及されたとして、青年は特段気を悪くする事は無かったし、そうして目を逸らされても、ただ納得するのみだった】

「……うーん。ま、いいや。
最近調子悪かったしな、これで多少でも体調良くなりゃ御の字って事で。
っつーか、どうせなら誰かここから水引いて温泉作ってくれねーかな。……特集記事でも組めば誰か目ェつけて開発してくれねぇかね」

【最初から腕や目が復活するなんて事はありえないことは分かっていたため、さらりとそれは流して】
【噂になるくらいの場所であれば、この資本主義社会どこぞの企業が土地を買い取って開発を始めても可笑しくはない】
【この寒さが軽減されるなら、開発が入ってくれるように世にここの情報を広めてみるのも有りかもしれないと、呟いて見せて】

「コレか? まー、なんつーか、今温度を感じる神経遮断してるからさ。
どんだけ寒くても、寒さを感じていないってわけだ。する気になれば100度の熱湯に飛び込んで涼しい顔も出来るぜ? やらねーけどよ。
便利っちゃ便利だけど、結構これ面倒なんだぜ? 逐一、皮膚から来る情報選別して遮断してるしさ。ま、ほぼオートだけど」

【少女の問に対して、青年が解説する己の能力の一端。一言で纏めてしまえば、『情報を支配する』という異能であるそれ】
【しかしながら、その情報の支配の可能性を引き出せる所まで引き出した結果が、戦場でのこの青年だ】
【単純に、寒さや暑さを感じなくする以上の事こそが、この青年の本領で。そこを詳しく語らない当たりは、主義の問題だった】

「あー、戦場での名乗りなんざ良く覚えてねぇわな。
谷山基樹[タニヤマモトキ]。フリージャーナリストで、事件の最前線追っかけてる感じの馬鹿だよ。よろしくさん、喋り屋」

【少女の質問に対して、己の名と職業を口にして、癖になっているだろう皮肉げな笑みを浮かべて】
【ひらひらと少女に手を振ると、青年は水に潜って、思いっきり沈み込み。ゆっくりと浮上して、水面に飛び出した】
【逆立てていた髪が降ろされれば、実際の童顔さと相まって右の眼窩を除けば、割りと青年は幼く見えただろうか】

601名無しさん:2014/02/26(水) 23:12:46 ID:Jfel1XAU0
>>599
【そんな場所に新たな客を告げる音。――――疲れを癒やすために酒を求め来た男か、何かを語らう為に老年か。それとも、この組織の加入者か口説きにでも来た者か】
【見遣れば、そのどれでも無く音の主は女性だ。其れも、まだ二十歳を迎えていないであろう事はその容姿から分かるけれど】
【何より特筆すべきはその纏い物。所謂シスター達が纏う修道服なのだ。清楚とされる職の者が、果たして酒場に足を運んで良いのか疑問であるが――――此処は、ただの酒場では無い】
【正義を謳う“UNITEDTRIGGER”の其処だ。なれば、この女もまた正義を求めて訪れたのか――――】


「いやぁ…………何だか面白いところだとは聞いてたけど、こりゃ本当に一見酒場だよねぇ…………
やっほ。“おじいちゃん”とのお話は終わったかな?もし終わったならさ、今度はボクとお話して欲しいんだけどな?」

【一体何時の頃から女性の話を聞いていたのか“おじいちゃん”の言葉をからかう様に言えば、後ろ手で店の扉は閉められた】
【金の髪に、金の双眸。腰に提げた銀の双銃だって物騒だし――――何より、所々に巻かれている血の滲んだ包帯は修道女らしさを失わせていて】
【――――クスリ。人懐っこい笑みを浮かべたならば小首を傾げつつも改めて通話を終えた事を確かめ、気ままに女性へと一番近いカウンターの席にでも座るのだろう】
【物騒を一つ増やす要因となった銀色の双銃をゴトリを見える場所に置いたのは、敵意の無い証でもあろうか】


「あー…………疲れた…………
まっ、お話前に確かめておきたい事もあったりするんだけど――――取り敢えず
此処はあのUNITEDTRIGGERで、君はそのリーダーであるセリーナ・ザ・"キッド"…………で、間違いは無かったかな?
ふふふ……大会に出てたり、色々な場所で活躍している君の映像は見てるから間違いは無いと思うけど、念の為――――さ
あ…………後。可愛い子を侍らせながらお酒を飲める場所って小耳に挟んだんだけどそのオプションってボクも使えるの?」

【そのままマイペースで話せば、問うのは女性の名。セリーナその人物で間違いは無いか否か】
【あくまで確認であり、問い質すような其れでも無い。ただ、名を尋ねるだけの物だ】

【――――机に突っ伏す様にして伸び、顔だけ上げているその体勢は果たして人に問う姿勢であるか否かは置いておき】
【思い出した様に、そして真顔で最後に語るのは果たして何処で手に入れた情報なのだろうか】
【じぃっ、と見つめる双眸は実にキラキラとしていて――――正に、期待の眼差しとの表現がピッタリだけれど】
【そんな言葉に一々反応していては切りがなさそうだ。ズバッと否定して仕舞うなり、無視して答えを返すなりしても批判なんて女の口からは出無いであろう】

/よろしくお願い致しますですよ!

602名無しさん:2014/02/26(水) 23:19:28 ID:SbMyfX/s0
>>596 >>567

『……………………はて?』

【時に神社の敷石を珍しそうに、時に本殿の前の賽銭箱を訳知り顔で、時に敷かれている砂利を拾い上げて楽しそうに…………】
【人気のない世界を、人っ気のない〝何か〟が歩く。一歩一歩の足音が、破魔矢で弦打ちでもしたかのように空気塗り替えていく】
【……と、神域の次元にいた彼女を、二人の声が現実世界へ引き戻すだろうか。不思議そうに振り返った少女こと、幸徳井佳乃は――――】
【――――なんというか、普段の素行を知っていればいるほどに、気持ち悪い。お嬢様じみた容姿のくせにどこか粗暴だった挙措が、一切消失し】
【まるで深窓の令嬢のように頬に手を当て、可愛らしく首を傾げる。そこにあの無愛想で不器用な少女の陰は、どこにもなかった】

『な、なんと………………。
 どうして、言われましても…………少々、物見遊山に出掛けたところですが………………』

【そんな佳乃らしくない佳乃は、何かご用かしらとでも言いたげに、嫋やかな動作でそちらに近づいていったが】
【突如投げ掛けられるお小言に、目を白黒させるだろうか。まさかそんな事を言われるとは思っていなかった、とはっきり顔に書いてある】
【それは友達を心配する女の子としては当然の意見であるし、こんな時間に出歩く不良女子高生へ贈る大人の女性の言葉としても至極真っ当だった】
【しかもその理由が「物見遊山」である。要するにこんな夜中にフラフラと遊びに出掛けたわけだ、怒られたところでまったく文句は言えないだろう】
【しかしそういう当たり前のことを、こんな異様な雰囲気を纏う女相手に言える者が、果たしてどれだけいるか――――】

【……しばらく面食らっていた佳乃だが、一言『心配をおかけして申し訳ありません』と優雅に一礼して謝罪し】
【やがてもう一度頭を上げると、そこにはやはり彼女らしくない心底嬉しそうな笑みを浮かべ、可憐に笑っている少女が居るのだった】

『衣織、皐月。重ね重ね申し訳ありませんが、少々教えて頂きたい事が…………』

【その相貌が、きっと引き締まる。肌に突き刺さるような〝神聖〟が更に強まり、黒色の瞳に只ならぬ威容が宿るだろうか】
【――――その様相は、やはり人間の枠を大きく越えている。紛うことなく、〝神〟の眼光だった】
【枯れ葉の一枚すらも不動を命じられたように、世界が止まった。そう錯覚させるだけの何かが、周囲を包んでいって】
【そして艶美な唇からは、頼み事という名の〝神託〟が下される――――】


『…………これは一体、どのように使えばよろしいのでしょうか?
 道行く者に幾度も訊ねたのですが、みな私を見ると逃げ出してしまって…………』

【制服のポケットに無造作に突っ込まれていた質素な財布が取り出され、佳乃は困り顔でお金を抜き出した】
【何の変哲もない、どこででも使われている紙幣である。そしてもう片方の手を、お腹に添えて……………………ぐぅ、とお腹が鳴った】

【どうやら神谷親子に下された最初の〝神託〟は、この常識の吹っ飛んだ佳乃にお金の使い方を教授し、何か食べ物を供えてやることのようだ…………】

603名無しさん:2014/02/26(水) 23:27:11 ID:SbMyfX/s0
>>602
/567じゃなくて>>597でした……我ながらどんなミスだよ!!

604名無しさん:2014/02/26(水) 23:34:01 ID:3HA7Kbp60
>>600

【深く考えるのはよそう、と自分に言い聞かせる様にして、また息を吐いて】
【力を抜くようにして顔を半分沈めると、水中で吐き出された息がぶくぶくと泡になって浮かんできた】

『ああ、それはアリかもね。折角、近くに人が多いんだから、利用すればいいお金にもなるのに』
『それに…偶然女の人と遭遇して、気まずくなっちゃうなんてこともないしねー』

【少女の口は相変わらず水の中に沈んでいれど、声は普通に喋っているように澄んで聞こえてくるだろう】
【こんな不思議な効果を持った泉が注目されない、というのも不思議なもので。使う側としては、その提案は同意できるものだった】

【最後の方はからかうような悪戯っぽい笑みを含んだ声で、谷山へと告げられた。大人びて見えて、結構悪戯好きなようで】
【声のトーンと、変化の見えづらい表情。会話方法もさることながら、やはりこの女は不思議な存在である】

『感覚神経遮断、か…じゃあ痛みにも使えるのかな、聞けば聞くほど面白い能力だことで』
『私なら…嫌いなもの食べる時にでも使うかしら、ピーマンとか…私には使いこなせないな、うん』

【暑さ、寒さが遮断出来るなら、痛みも―――或いは触感以外も操作出来るのだろうか、とか考えて】
【結局それは、少女が聞いた部分からの推測であって、可能不可能やその他の力はどうなのかなんて分からず】
【何ともどうでもいい使い方しか思いつかない彼女にとって、彼の力の本質を想像するのは容易では無くて】

『基樹、基樹ね…ん、よろしく。戦うジャーナリストってのも、中々かっこいいね』
『―――なら、あのニュースについてはどう思うのかな。アサド・アル=アーデルが、捕まったことについて』

【彼が笑みを見せたなら、それに返すようにほんの少しだけ微笑んでみせる。薄く、本当に淡い笑み】
【水が滴り髪の降りた彼を見て、思ったより割と若いのかと思考するも、見た目だけの情報ではあまり分からず】
【この少女も学生のように見えて、実はもう成人一歩手前だし―――見た目なんてあてにならないな、等と打ち切った】

【そして一つ、質問をしてみるのだった。最近のニュースであり、また彼女と同じく戦場に居た人の名前】
【どう答えるのかは、ともかくとして―――彼女は真剣そうに、彼を見るだろう】

605名無しさん:2014/02/26(水) 23:51:23 ID:F52AoKs20
>>604
「あ゛ー、知らねー知らねー。紳士なんだよ、俺ァ。
それに、お前さんが気にしないなら俺も気にしねーし? 気にするなら気にするだけだっての」

【眉間にシワを寄せながら、此方に対するカラカに言葉にはなんとも言えない声を返す】
【戦場での苛烈な振る舞いや、古傷の見せる物々しい印象に反して、案外にもこの青年は人間臭い】
【頬をぽりぽりと掻きながら、ぼんやりと空を見上げて。どうやって声を出しているんだろう、と素朴な疑問を抱いたりして】
【その上で、此方に突っ込んでこなかったのだから、此方も突っ込まないようにしよう、と結論づけた。こうして会話出来ている以上大した問題でもないのだから】

「痛みを遮断するのも、痛みを感じさせるのも自由自在。……なんていうか、拷問とかに超最適なんだよなァ。しねーけど。
俺は、見たものとか聞いたものをデータ化してUSBに記録したりとかしてるぜ? カメラもレコーダも要らなくて便利なんだこれが。
そっちも、魔法とかすげーと思うけどな。俺なんか魔法使えねーもん。理論は最近勉強中だけどよ」

【情報の支配、というのは本当に広範に渡る異能だ。肉体に微塵の傷を付けること無く、激痛だけを与え精神を疲弊させる事すら容易い】
【青年の戦闘においても、神経系へデータを送り込むことによる強制的な感覚への干渉として、それらの力は役立っている】
【そして、己の持たぬものに興味を持つというのは此方も同じで。魔法というものについて、青年はどうやら勉強中の様だ】

「戦場の最前線取材しに行くなら、戦うっきゃ無いだろ――、戦うのめっちゃ怖いけどよ」

【戦いは好きではない。だが、戦いを止めさせるために青年は戦いに赴く】
【怖く、嫌な戦いを。それでも青年は、最前線で見つめ続けることを、生業として選んだのだった】
【少女の微笑みに対して、表情の皮肉さを僅かに引っ込めて、素に近い気取らぬ表情を一瞬見せて】

「アサドか――。先ず間違いなく嵌められたんだろうがなァ……。
色々思惑は見えてくるが――、とりあえず俺のする仕事は、真実がどうこう考える事じゃあない。
考えるより、この手に引っ掴んで持って帰ってきたほうが早いから――ま、つまり取材しなきゃならんって事だ。
兎にも角にも、今後のカノッサとかとの戦争でヤツって戦力が無いのは大分困るから、出来るだけ早く脱獄させてやったほうが良いとは思うぜ?」

【真実について、まだ明かされていないのに己の視点で物事を語ることをこの青年は好まない】
【故に、青年は宣言する。アサドの事件を、追い真実を暴き出すという事を。なぜなら、それがこの青年の職業だからだ】

606名無しさん:2014/02/27(木) 00:23:03 ID:DkwfHDbs0
>>602
(「も、物見遊山て……というか、「はて?」って佳乃ちゃんアンタそんなこと言わんやん……佳乃ちゃんなら「ハァ?」とか言いそうなもんやのに、ホンマにどないしてしまったんや……」)
(あらあら、衣織の話とはちょっと違うような……ぶっきらぼうな所があるなんて話だったけれど、優しそうなお嬢さんじゃない……)

【衣織は気味の悪い違和感は先程からひしひしと感じていたが、たった今彼女の応答でそれが確信に変わった。先刻までちょっと変だなとは思っていたが……】
【「ちょっと変」どころではない……?この人?は神谷衣織の知っている幸徳井佳乃ではない!全くの別人―――いや、人ですらない何かだ!】
【(……そんなナニカにお説教をする母も母だが。まあ(少なくとも見た目は)娘の友人を心配する心は、相手が神であろうと不変ということか)】
【(娘やその友人を想う皐月という名の母の愛は、神の力をも凌駕してしまうらしい。佳乃は目を白黒させている……まあ、お節介な小言だと思って頭の隅にでも置いていてください。)】
【――――柔らかい物腰。(普段とは全く違う)端麗な容姿によく似合う丁寧な口調。平素の様子を知っている者から絶対「誰だコイツ」と思われそうな……まさに、別人格】
【衣織の知っている佳乃もどこか神聖な空気を漂わせる不思議な少女ではあったが、「この人」はそれ以上……―――――神そのもののような雰囲気さえ覚える】

【一礼を受ければ皐月は「いえいえ、分かればいいんですよ。お母さんって心配性なものですから……」と相も変わらず優しい穏やかな笑みを浮かべて応える】
【……もちろん皐月も異様なまでの神聖さを感じていないわけではない。何かあるとは分かっているが、それでも心配性が上回ってしまうのは母の性といった所か……】
【――――と、次の瞬間。可憐な少女の周囲の空気が「止まった」。微動だにできぬ程の荘厳さを纏い、神を前にしているかのような存在感が衣織を、皐月を、覆ってしまう】
【流石の皐月も表情が変わる。これはただ事ではない……さっきわが子と「神がいるか」なんて話をしていたが、もしや――――】
//申し訳ありません、また長くなってしまいました……続きます

607名無しさん:2014/02/27(木) 00:23:13 ID:DkwfHDbs0
【――――が、その後の言葉に衣織と皐月は肩透かしを食らったかのように脱力する。なんと、「お金の使い方が分からないから教えて欲しい」なんて質問が飛び出て】
【いくら世間知らずなお嬢様でも紙幣すら知らぬなんてことはありえない。――――まさか。】

【元々大学教授になれる程の頭脳を持っていた皐月は、神聖な空気のせいかさらに冴えていた。】
【金の使い方を知らないという非常識極まりない言動の上に、あまりに強烈な神の気配……今の彼女は神が「憑いている」のでは―――――】
【そう考えれば娘の話と余りにもかけ離れた言動や今も感じる神聖さにも合点がいく。確信はないが、そんな予感がする……!】

【衣織に「今の佳乃ちゃんはあなたの知っている佳乃ちゃんとは別人と考えたほうがいい」と告げると、衣織は何かを察したかのように頷いた。衣織もまた薄々感づいているようだ……】
【もう一度佳乃の方へと向き直ると、先程と同じ笑顔を見せつつ頷いて】

……分かりました。教えて差し上げましょう……ですが、こちらも質問があります。
――――「あなたは『幸徳井佳乃さん』をご存知ですか?」

【皐月と衣織も質問を投げかける。もし眼前の少女の人格が二人の知っている佳乃とは全くの別とすれば、当の佳乃は何処へ行ってしまったのだ……】
【……衣織の口調が変わっている。それは親しいものを相手にした時のものではなくて、知らぬ人へのもの……今の彼女は姿は同じでも完全に別人と認識したようだ】

【質問に答えるか否かは分からぬが、どちらにせよ腹の虫が鳴る少女を放っておくわけにもいくまい。質問への応答が終われば、「付いてきて下さい」と告げて】
【向かう先は商店街。何か買っていこうということだが、佳乃(仮)の神聖さが街ゆく人を困らせねば良いが……誰もが衣織や皐月のように彼女と平然と応対できるわけではあるまい】
【スーパーで食品を選んでレジに並んで購入。至って普通の一連の流れを、金の使い方すら知らない彼女は見ているのだろうか?】

【無事食品を買い終えたら、向かう先は二人の家。二階建ての至って普通の家だ……ドアを開ければ入るように促す】
【中に入れば、ダイニングへと案内する。白い壁に木製のダイニングテーブル、おしゃれなカウンターキッチンなどなどが見えるだろう……】

どうぞ、入ってください。すぐにお料理を作りますから食べてくださいな。
「……母が作るので、不味くはないと思います。どこにでも座って下さい。」

【ダイニングに並んだ4人分の木製の椅子。適当な場所に座ってくれればあとは料理を待つだけだ……】
【……ダイニングが神殿みたいな空気を纏うのも、なかなか不思議な感覚だ。家族の憩いの場が今は荘厳な空気に包まれている……】

608名無しさん:2014/02/27(木) 00:24:16 ID:H2DR/gUQ0
>>601

【変わった客が多いのもまた、この店の一つの特徴であった。】
【時間が遅くなればなる程、そういった客層と言うのは増えていく。銃を持つ者。剣を持つ者、カメラを持った記者】
【ナンパ好きの酔っ払い等々―――勿論そういった人間に対する対応も得意と言って良い筈の店主である彼女ですら】
【唐突に自身の目の前に現れた彼女に関しては、なんとも言えない表情で出迎えて。電話を早々に切ると、カウンター越しに話しかけた。】

 ―――みんな最初はそう言うよ、でも賑やかなのは見た目だけじゃない。
 ここに集まる人間はそんなに悪い人ばかりじゃなくてね、きっと貴女も―――……ちょいとばっかし怪しいけど
 "ドンパチ"やりにきた悪い娘、ってワケじゃあない筈だ。歓迎するよシスター? ようこそUTへ。

 生憎その―――……うん、どこから聞いてたのかは知らないけど、"師匠"との話はもう済んでるから。
 お話が目的なら何時でも相手になるよ、でも先ずは一杯くらい、注文を伺っちゃおうか。
 見ての通り酒場じみた事務所だからさ、シスターさん。

【―――おじいちゃん、という単語にはぴくりと耳を反応させて。『はて何の事か』とでも言いたそうに誤魔化して。】
【あくまで『師匠』であると語調を強めつつ、取り敢えずは物騒とはいえ少女の来店を歓迎するだろう。】
【武器を引き抜いて争う気があるなら話は別だが、どうやらそういう事でもない様だし―――。】
【ともあれ『注文は?』と聞き返すその様は流石に鳴れた物。カウンターに置かれた銀の双銃は決して視界から逃さず。】
【何か飲み物を注文すれば即座に用意するのだろう、例え其れが炭酸飲料水でも珈琲でも金色の麦茶だろうとなんでも、だ。】

 (―――銃。傷。アタシだって人を笑えたものじゃないけど、どう見ても"カタギ"じゃあ、ないよね。)
 (とはいえ敵意があるわけでもなし―――……となれば、目的は別に有る筈、か。)
 
 ご名答♪ アタシがセリーナ・ザ・"キッド"本人だよ。よく聞かれるんだけど、どうだい? テレビで見るよりずっと、
 ナイスバディで綺麗な印象でしょう? ―――なんて冗談。こんな時代にガンマンの格好してる女なんてアタシ以外いやしないからね。
 見間違いはないよ、ただその―――……"オプション"っていうのに関しては、まあ……正解半分、間違い半分っていうか。
 
 んー、普段なら確かに! 侍らせる事も出来なくは無いけど、今夜はメンバーもお出かけ中みたいでね。
 残念だけどいるのは25歳の酔いどれガンマンだけ、ってワケさ。申し訳ないけどアタシで我慢して欲しいな、修道女さん。
 ……ふふっ。なかなか良い性格してるみたいじゃない? 嫌いじゃないけど、そうそう、アタシだけ名乗るってのも変な話だ。
 お嬢さんの事は何て呼べば良いかな、それと此処に来た目的―――ただ、お酒を飲んで美少女と語らうのが目的、って
 そういうワケじゃあないんでしょう、シスター? その両腕は、"そういう事"だと思ってるんだけど。
 
【クス、と笑う少女の其れに合わせて、セリーナは冗談交じりにそう答えるだろう。『いるにはいるが、今日は居ない』、と。】
【だから侍らせると言うよりも、美人と一対一で独り占め♪―――なんてくだらない冗談を言いつつも、話はきちんと進めて。】
【ただ遊びに来た訳ではあるまい、でなかればその"銃"や"両腕"の説明がつかない―――と、逆にそう聞き返してみるだろう。】

609名無しさん:2014/02/27(木) 00:27:24 ID:3HA7Kbp60
>>605

【からかいも程々に、「そう、ならいいけど」と目を閉じて笑う声。良く見れば、ニヤついた顔も見えたかもしれない】
【いつもこうやって悪戯じみたことをしてるからか、人間らしいその反応には少し愛着もわいた】

『あら怖い…まぁ紳士なら、やましいことには使わないでしょうけどね。私の貧相な体記録しても、だし』

『―――別に、私のは何て言うか…我流?普通のじゃないというか、非公式というか』
『お師匠様のを真似て、勉強して、それでも才能なかったから…自分なりに改造したって感じ』

【「ホントは駄目だけど」なんて最後に呟いて、あの魔法群が完成するまでの経過を語る】
【要するに、あの魔法は全て彼女オリジナルの技らしい。教わるより、そっちの方が明らかに難しいと思うが】
【魔法を自作してしまう辺り、魔術に関する知識自体は相当にあるらしい】

『…戦うのが怖くない、よりは断然いいんじゃない?私はそう思うけど』

【戦いが怖くなければ、命を失うこともまた同様―――それは一番恐ろしいことだろう】
【怖くても戦う、という谷山の発言は、少女が好感を持つには十分な言葉であった】
【告げた彼女の顔はそれでも、また普段通りに無表情で。顔に感情を出してはいけない呪い、でもかけられたのだろうか】

【―――続く、アサドについての話題。静かに、そして深く彼の話を心の中で反芻して】

『―――やっぱり、そう思う?結論を早めるのもいけない、とは思うんだけど…そう信じたいね』
『…ともかく、君の考えは分かったよ。そしてそれには私も賛成…ってとこかな』

『うん、お話ありがとう。取材に関しては、私には出来ないからさ―――その点頼りにしてるよ、基樹』
『私に出来ることって言ったら…なんだろね、とりあえずアサド帰還までに二人分くらいの活躍はしようかな』

【彼女もまた、シロでないかと考えているらしく―――それが感情論か根拠あっての意見かはさておき】
【本来なら真実についてを聞きたいと思っていたところだが、谷山の言うことにも一理あって】
【だからこそ、彼女もまた自分が出来ることについてを考えたがしかし、そう簡単に思いつくものでもなかった】
【こればかりは少女もどうしようもなく、一先ずは、容疑が晴れるのを願うばかりで】

610名無しさん:2014/02/27(木) 00:45:18 ID:F52AoKs20
>>609
「――成る程なァ。武術も魔術も使えない俺としちゃ、大分すげーと思うぜ? そういうの。
……ただ、魔法も武術も勉強しておくと対処法が身につくからな。今度時間有ったら基礎から教えてもらえたら有りがてぇ、なんてな」

【素直に、少女の才能とそれを具現する努力に対する称賛を口にする青年】
【なまじ、己が誰かの為したことで日々の糧を得て、己の奥の手すら他者の力の模倣であるという事から、余計彼女が輝いて見えたようだ】
【己は今のところ、何かを生み出せているのだろうか。と、ふと己に自問自答。そしてまた、皮肉な笑みが溢れだした】

「まあ、なあ。世の中いろんな奴が居るが、長生きしてる死にたがりはそうそう見たことねーし。
あ、俺の往生際の悪さは筋金入りだぜ? 腕千切れようと目ん玉潰れようと、性懲りもなく連中に喧嘩売り続けてっからな」

【戦うのが、死ぬのが怖いという思いは持っていて当然だと思う。だがしかし、その上で死と戦いに挑む道を選ぶのもまた人生】
【腕と目を失っても、戦場に出る当たり、この青年の意志の強さは確かのようで】
【少女の無表情に対して、青年は案外感情豊かに表情をコロコロと変えて見せる。クールに振る舞おうとする癖が有るが、内面はどちらかと言うと激情的だ】

「んじゃ、俺も二人分、な。……おっと、これじゃアサドの分以上になっちまうか、ッハハ。
ま、なるたけ早く潜入でもしちまうかねェ。しつこいのも俺の性分だからな、徹底的に調べ尽くすさ」

【にぃ、と鋭い笑み。これまで見せていない種の笑みは、善性だけではない混沌さを含むもの】
【善悪に割り切れないその印象こそが、きっとこの青年の本質と言えたことだろう】
【泉から上がり、髪を掻きあげてぐぐ、とノビをする。平時は顔色の悪い青年に、多少血の気が通ったようで】

「――んじゃ、またどっかで。何かありゃ俺の事務所にでも遊びに来な」

【一瞬左目を瞑り。精神を集中していけば、青年の左腕のあるべき場所と、右目のあるべき場所にライムグリーンの閃光が集っていく】
【べきりべきりと、無機質な音響を響かせながら、次第にその閃光はワイヤーフレームによって形作られた張りぼての腕と瞳を形成】
【その表面をノイズが撫でていけば、皮膚と眼球を殆ど完全に再現したテクスチャが貼り付けられて、偽物の瞳と腕が完成する】
【しばらく掌を握って開けば、最初はキシキシと発砲スチロールがこすれるような音が響いたものの、次第に音は小さくなっていき】
【茂みの奥で服を着れば、左手には小さな紙片。どうやら名刺の様で、それを少女の服の所に置いておき】

【ひらひらと手を振ると、振り返ること無く青年は歩き去っていくのであった】

/*ねむいのでココらへんで、乙でしたー!!*/

611名無しさん:2014/02/27(木) 01:09:14 ID:Jfel1XAU0
>>608

【この世界ならば傷が癒えぬ内に出歩く者も多いであろう。然れど、動けば血が滲むほどにまだ傷が新しいのに出歩くなんて者は――――果たして、何人居るか】
【更には新たな六罪王が名乗りを上げた今、機関も活発になっている事だろう。其れを承知の上で態々出歩くならば余程重要な何かであろうが】
【この女からは、そんな雰囲気なんて感じ取れず。寧ろ、ただ世間話でもする為に訪れた様にさえ思える】
【――――そんな雰囲気を醸し出せるのも一緒の才能なのかは、分からないが】


「“怪しい”だなんて酷いなぁ…………こう見えてもちゃんとした修道女だよ?
そりゃ、銃を持ったり血塗れになったりする其れなんて殆ど居ないだろうけど――――でも、ボクは確かにシスターさ
君達に傷を付けるつもりなんて無いし、変な風評を流す為に来た訳でも無いから安心してよ
神には誓わないけど…………ボクの名誉を賭けてあげるから」

【気怠そうに突っ伏すのは、鈍痛の為。そしてセリーナと視線を交えるのは、人格を測る為】
【適当な事を言いながらも、しっかりとすべき事はしているし――――そんなだらしない姿勢に反して、隙がない】
【“カタギ”では無いという考えは間違いでは無く。寧ろ、手練れだ。教会の者がそんな動きや気配を身に付けられるのかは疑問かも知れないが…………傷付け慣れた者の動きだ】

【とは言え、敵意が無いのは真らしく。“怪しい”には頬を膨らませて返しながらも身を起こし上げて】
【キョロキョロと辺りを見回したならば、この場には二人しか居ないことを改めて確認する】


「飲み物はー…………うーん…………紅茶でいいや。苺ジャムとかもあったら嬉しいかな

…………じゃあ、また来店なんて事をしなくていい訳だ。ボクも最近は忙しくて出歩けないから――――ん?
ああ、確かにナイスバディ…………と言うか大きいねぇ。ボクの友達に見せたら妬みに妬んで一週間は塞ぎ込みそう
まー……ボクも大きさは敵わないけど、スタイルにはそれなりに自信が――――って、態々こんな話をしに来た訳でも無かったね」

【飲み物は何とも平凡。セリーナが其れを準備する間に投げかけるのは冗談に対しての応え】
【自分のとセリーナのとを見比べれば溜息を吐き、掌でお椀でも作れば目測で比べたりもするが――――自分に突っ込みを入れれば、その手もカウンターの上に乗せられる事だろう】
【それから暫しの空白。まるで、語るべき事を頭の中で纏めている様でもあって】


「んー?ボクの事は名も知らない美しきシスターでも良いんだけど――――ああ、嘘うそ。本気にしないでね
グリース・イムリンパルス。ぐーりちゃんでも何でも好きな様に呼んでくれてもいいよ?」

【緩んだ笑みでの軽口と共に最初に告げるのは自分の名だ。グリース・イムリンパルス】
【――――もしかしたら、その名を見聞きした事があるだろうか?】

【彼のラグナ―ルで起きた事件。ヴァルゴの侵攻や六罪王ダグラスが名乗りを上げた場所。そして、月が落とされた其処での事件】
【その時、ヴァルゴの侵攻を食い止めようとした者達がカメラで映し出されたであろうが――――その中の一人】
【或いはテナーの時などでも何かで名が載っていたかもしれないが、其れは明確では無く】
【兎にも角にも、少しでも思い出せたならば――――少なからず、この修道女も正義と見て良いか】

/続きますー!

612名無しさん:2014/02/27(木) 01:10:05 ID:Jfel1XAU0
「で、侍らせる方の答えだけど。君しか居ないなら逆に都合が良いよ
皆が居る時に来て、お客様は神サマだー。なーんて言ってセクハラ三昧も楽しそうだけどさ…………今は、そんな気分でも無いし。大体、こんな怪我じゃ出来ないし

セリーナ。今までの君の活躍を辿ってみたけど、君がどれ程力を持っているのかは分かってるつもりだ
そして、君が仲間をとても大事にしてる事はボクにも分かってる。まるで家族みたいに扱っているんだろうって、何となく察しもつくよ
――――ふふ、正直羨ましい話だけどね。仲間とか、家族とか」

【ニィ、と実に怪しげな笑みを浮かべて指をワキワキと動かすも――――気分じゃ無いと否定すればそんな自分の手に視線を落とし】
【改めて女性の名を――――セリーナのなを告げれば、言葉が綴られる】
【自分なりの考察だ。UTのリーダーが仲間をどの様に見ているかと。間違っている気はしないし…………もしかしたら、それ以上に大切にしているのかもしれない】
【ただ、それなら良い。いや、寧ろそうでなければ“警告”染みた物を行いに来た意味が無いのだ】


「――――そして、君はその仲間の事をどれ位知っているか教えて貰ってもいいかな?
ああ、別に個人情報を把握したい訳じゃ無いよ。そうだね、例えば…………アンジェルって子の事とか
その子がUTに居る事は知ってる。君と同じ様に、大会とかにも出てたからね。――――じゃあ、セリーナはその子について何を知っているかだけ教えてくれないかな
家族の事でも、昔住んでた場所でも。何でも良いからさ――――リーダーだもん。知ってるよね?」

【緩い笑みが、ふと真剣な表情へと変わって。告げられた名は、セリーナもよく知るであろう彼の人物】
【たった今この場を訪れた新参者が、その者について何を知っているかと問うのだ】
【挑発する様な口調とは程遠く、本当にただ問うだけ。彼女の出生地や、何か知っている事は無いかと】
【―――ー急にそんな事を問うのだ。しかも、ただ一人だけの事を。どの様な感情を抱くかは分からないが…………答えるも答えないも。嘘でも真でも何も知らないといってしまうのも、勿論全て自由で】
【らしからぬ真面目な表情は、きっと冗談の類で無いと察するには十分か】

613名無しさん:2014/02/27(木) 01:12:17 ID:SbMyfX/s0
>>606 >>607

【佳乃らしき何か――――いや。もう親子も察したとおり、この少女は佳乃でもなければ、少女ですらもない】
【〝それ〟は皐月の微笑みを正面から受け止め、衣織と皐月を見比べて、なにやら嬉しそうにはにかんでいるだろうか】
【嬉しそう、というより、厳密に言えば「微笑ましがっている」とでも言うべきか。何か一つ上の次元から、二人を楽しそうに見やっていて】

『ありがとうございます。何分、人の世に出るのは久方ぶりですので…………。
 昔は貝だとか、金だとかを使っていたものですが。いまはこの紙切れに、そんなに価値があるのでしょうか?』

【また〝それ〟は丁寧にお礼を述べると、過去を振り返るように遠い目をする。何年という小さな単位ではない、人の身には到底余る太古を眺めるように】
【それから紙切れ呼ばわりした紙幣を不思議そうにつまみ上げ、矯めつ眇めつ回し見る。透かしの細工に気付けば『なんと!』と感嘆の声を上げた】
【……最早、正体を隠す気もない仕草。というより、最初から隠しているつもりなど無かったのだろう】
【衣織の口調が変わったのに気付いて視線を向ければ、二人からの質問は佳乃の脳髄を通じて、〝それ〟の中で咀嚼され――――】

『…………あぁ、申し訳ありません。人間相手に自ら名乗る習慣はありませんでしたので…………。
 はい、知っています。佳乃は私の騎士であり、巫女であり…………そして〝娘〟である、大事な子ですから。
 私の名は天限(てんげん)。〝聖〟を司る龍神です――――二人とも、どうぞよしなに』

【――――余談だが。天限と名乗ったその人格の一人称は私(わたくし)であり、やっぱり佳乃とは似ても似つかぬ、優美な口調であった】


【その後、佳乃改め天限は、皐月に付いてこいと言われれば素直に付いて行くだろう。下位の存在である人間相手に驕る感情などは、特に見受けられず】
【むしろ向かう先々で子供のように興味津々に町並みを眺め、何か疑問があれば無邪気に二人へ問いかけていくだろうか】
【佳乃を娘と言うからには、皐月と同じ母親のような面もあるのかもしれないが…………少なくとも今は、単なる世間知らずのお嬢様だった】
【そんな風だから、スーパーに行く道すがらも入って買い物をしている時も、当然周囲からはやたら視線を集めるわけだが……】
【『崇められるのは慣れていますから』なんてぶっ飛んだ理由を述べ、まったく気にしない。変なところで人間くさい癖に、こう言う所はしっかり神様だった】

【――――衣織と皐月が、そんな彼女の無防備な振る舞いをどう思うかはさておいて】
【彼女はどうにか買い物の様子を観察してお金の使い方を覚え、嬉しそうな様子で神谷家の敷居をくぐるのだろう】
【名前の感じや放つ雰囲気から何となく察せられるだろうが、彼女は櫻の国方面の神だ。洋風の家は物珍しいらしく、暫くきょろきょろ辺りを見回して】
【ようやく落ち着いたなら、楽しそうに席に着く。人間と共に食卓を囲うなど、そう経験のあることではあるまい】

『ふふ…………しかし、皐月。先程は驚きましたよ?
 まさか〝神〟を相手に説教とは………人間には「釈迦に説法」なんて言葉もあるようですが、まさか実行される側になるとは夢にも思いませんでした。
 ふふふっ、人とはやはり、いつの時代も楽しいものです…………』

【まだ料理も出ていないのに、天限は既に満足げだ。浮ついた冗談を料理をする皐月の背中へ飛ばし】
【それが終わると、何故だか衣織の顔を優しげな顔で眺め出す。もちろん佳乃の顔なので違和感は強いが、微かに母性らしきものは感じられるだろうか】
【神と言うだけあって、行動はさっぱり読めないが…………なかなか愉快な性格をしているようである】

614名無しさん:2014/02/27(木) 01:13:23 ID:3HA7Kbp60
>>610

『―――死のうと思ったらすぐ死ねる世界だしね。思わなくっても、だけどさ』
『…ふふっ、確かにそのようだねぇ。ホント、敵には回したくないというか…ああ、褒めてるんだよ』

【彼が生き様を、戦いでの自身を語る姿に思わず、笑みがこぼれた。これなら怪我に配慮なんてする必要無かったのかな、とか思えて】
【表情の推移も違えば、戦いや精神においても正反対で―――その分羨ましいと思ったことは、口に出さないけど】

【あの体の傷たちは、言葉通り彼の信念を貫いた結果―――だとしたらそれはとても誇らしいことなのかもしれない】
【怪我、欠損自体が良いとは到底思えないけど、彼がそれをネタに出来るのなら、それでもいいなんて思えて】

『ははっ、じゃあ何人分でも頑張っちゃいますか…帰ってきたらご飯でも奢らせて、チャラにしましょ』
『じゃ、またね基樹。暇ならいつでも行くよ―――別に、魔術の勉強とかやるんでもいいけどさ』

【悪だくみでもするかのような、喉を鳴らすみたいな声で紡ぐ。こうなったら、意地でも帰ってきてもらわなければ】
【やはりポジティブに行動を起こした方がいいのかな、と、最近の自分を見つめ直しながら思うのだった】

【―――彼が去った少し後、彼女も漸く泉から上がり、金髪に纏わりついた滴を右手で軽く拭って】
【持参していたタオルで体を拭こうと、自身の衣類の元へ歩いて―――そこで、彼の置いていった名刺に気付いた】

【―――谷山基樹。名刺に書かれているだろうその名を再度、自身の記憶に刻み込む】
【今度は戦場ではないところで話がしたいものだと思う。彼の所に遊びに行くのもいいし、魔術を教えるのでもいい】
【時が許せば―――なんて考えてる途中、風が吹いて。一糸纏わぬ状況だと思いだして、濡れないようなにと離れに名刺を置いた】

/乙でしたーありがとうございました!

615名無しさん:2014/02/27(木) 02:24:41 ID:DkwfHDbs0
>>613

【彼女は(何度見てもまだ違和感の拭えない)丁寧且つ優美な口調で応える。姿は同じなのに口調が違えばこうも印象が違うものなのか……】
【紙幣を物珍しそうに観察する姿はまさに世間知らず。当然といえば当然か、人の世に出るのは久方ぶりと言っているのだから……】
【――――それにしても気の遠い話だ。人が貝を通貨にしていた時代って……いくらなんでも「久しぶり」の度合いが桁違いだ】


【……佳乃の姿を借りた「其れ」の名は天限という名を持つらしい。やはり皐月の睨んだ通り、神―――〝聖〟を司る龍神とのこと】
【彼女(?)が言うには、佳乃は騎士であり、巫女であり、そして〝娘〟である……成る程、佳乃の姿を借りているのもその為なのだろう】
【……やはり違和感が残る。本当に佳乃はこの神に仕える巫女なのだろうか……いや、言葉への疑問があるわけではないが……性格的に。】

【――――そんな「天限様」も、佳乃という少女の姿を借りて町に出ればまるでただの世間知らずのお嬢様。辺りを物珍しそうにキョロキョロと見回して】
【なにせ前に人の世に出たのが「貝を通貨に使っていた時代」なのだから、全てが初めて見るものなのだろう。神様だというのに、まるで好奇心一杯の子供だ】
【……いつもより視線が集まって、買い物がやりにくいのなんの。有名人でもないので視線が集まるのは慣れていない……】

【適当なひき肉、玉ねぎ、ピーマン、タイムセールの卵等等買い揃え、足早にレジに向かう。……早くこの視線を抜け出して帰りたい。】
【其方が慣れていても此方は慣れていないのだ。全く、とんだ買い物になったものだ……】

【……衣織はというと、よく見知った姿の全くの別人を興味津々といった様子で見つめている。不思議な感じだ、同じ姿なのに中身が違うなんて……】

616名無しさん:2014/02/27(木) 02:24:53 ID:DkwfHDbs0
【さて、足早に家に到着すれば彼女を家に招き入れ、防犯対策でしっかり施錠。】
【――――なぜこうもこの家を訪れるのは「常人ではないもの」ばかりなのだろうか。以前は狼の妖怪、少し前には忍者、今回はついに神と来た】
【皐月は自分でも変わった家だなぁと独り言を漏らしつつクスリと笑ってみせる。神谷家はそういう類に縁があるのだろうか?なんて……】

【当の彼女はやはり、またまたキョロキョロとしている。つくづく現世のものがもの珍しいらしい……】


【ダイニングに案内して座って貰うと、彼女は楽しげに話しかけてきた。神様もこんな嬉しそうな声をするんだなぁ……なんて】


あはは……そりゃあ神様でも女の子の姿で一人で歩いているのは危ないですもの!
お母さんって心配症なんですよ。いつも我が子や同じぐらいの歳の子供のことを考えて……同じお母さんなら分かるでしょう?
ごめんなさいね、まさか中身が神様だなんて分からなくて……

……ずっと昔にも私のような人がいましたか?
母親の子への愛や心配性は、いつの時代も変わらないもののような気がするんです。
私は昔のことなんて分かりませんが……どうですか?

【料理を作りつつ、此方も言葉を返す。神様とおしゃべりなんて機会、そうそうあるものではないのだから興味は尽きない】
【投げかけるのは時を越えた存在だからこそ分かり得る質問。きっと太古の昔にも変わらぬものがあるとすれば、それは母の愛なのではないだろうか……】
【今でも遺跡などで出土する文の中には子への愛を綴った物が数多くあるらしい。ならば、彼女の知っている太古の昔にも皐月に似た心配性で子煩悩な母の姿があったのかもしれない……】

【さて、キッチンから良い臭いが漂ってきて料理は完成。フワリと口でとろける卵が絶妙のオムレツだ―――】

さ、出来ましたよー!
「神様もお母さんのお手製料理を食べればビックリしますよ!それはもう美味しいんですから!」

【もう一つ、此方もきっと太古の昔から不変のもの……子の親への慕情。母親の手料理を自慢する衣織の姿は、遠い昔の誰かと同じなのだろうか……】

【ディッシュをテーブルに並べて、親と、子と、それから神様と……3人が揃えば「頂きます」と一言】
【……恐らく初めての洋食。口に合えば良いのだが……】

【手料理を食べつつ、話は進む。神様と人とはいえ、同じ母同士。通じる部分も多いにあるわけで……】


―――やっぱり神様でも子供は可愛いのですか?
私は娘の為なら何でもします。自分はどうなってもいいから娘に幸せになって欲しい……そう願っています。
……不思議ですよね、お母さんって。今思い返せば、私の母も私の為に色んな物を与えてくれました。優しさや知恵……本当に色んな物を。
そして、今の私も娘の為に出来る限りの事をしてやっているつもりです。……こうして、優しい子に育ってくれたのが今の私の一番の幸せでしょうか。
人ってつまりこの繰り返しなんじゃないかなって最近では思い始めています。こうやって次の代、次の代へと愛を伝えて行って……

それは神様でも同じですか?佳乃ちゃんの幸せの為なら何だって出来ますか?

//遅くなって申し訳ありません……おそらく今夜はこれで最後のレスになると思います
//明日も明後日もこちらはフリーですので、凍結ならいつでも対応できます!

617名無しさん:2014/02/27(木) 02:42:16 ID:H2DR/gUQ0
>>611

 (―――……怪しいんだよねぇ。いや、シスターかどうかはともかくとして、だよ。)
 (よくまああの怪我で平然と会話を続けるだけの度量が―――……やっぱり放って置くのも可笑しな話、か。)

 ……オーライ。それじゃ、シスターだって事は信じてあげるよ、修道女さん。
 それから危害を加えるつもりが無いって言うのも、信じてあげる。貴女はそういう殺気、放ってないもんね。
 ―――……タダ申し訳ないけど、こういう場所にそういう格好で来た以上は、手ぶらで返すわけにも行かない。
 簡易的かもしれないけど、応急手当はさせて貰うよ? シスター……シスター・グリーム。

【そういって彼女がカウンターの下、隠し倉庫から素早く取り出したのは応急処置を施す為の簡易キットであった。】
【中には注射やら、新しい包帯やら、軟膏やら色々と入っているのだが―――これに際してもまた、一応ではあるが】
【彼女の許可を貰う為にチラ、と瞳を覗き込むだろう。例え正義のメンバーが集う拠点といえど、勝手に応急処置は出来まい。】
【そうこうしつつも、手際よくお湯を火にかけて紅茶のポットを用意している辺りが、器用な所というか店主らしいというか―――。】
【ともあれ、話をしつつにはなるが、彼女の手当てをさせてくれ、とそう申し出たのは確かだ。其れに対してグリームはどう答えるか。】

 ありゃりゃ、美少女侍らせられないと分かった途端、そういう事を言われちゃうとはね!
 アタシ、貴女に良く似た事を言う"男の人"を知ってるけれど、遊び人も程ほどにしておかないと、その内大変な事になるよ?
 そんでもって友人さんには、『のびのびと生きて!』って伝えておくと良いさ、あと『牛乳は効果薄し!』ともね。
 ……グリーム、貴女さえ良ければそのまんま、『美しきシスターさん』って呼んでも良いんだけど―――ふふ、冗談。
 確かにグリームも良いスタイルをしてるね、アタシが男で、グリームが修道女じゃなかったら、きっとナンパしてたよ!
 ……なんていうと、アタシも貴女と同類、かな。あっははは!

 (さて―――グリーム・インパルスね。どっかで聞いた名前、と言うよりも此処最近はよく見る名前だね。)
 (なる程、確かに肝の据わった修道女さんだ。聞きしに勝る活躍をしてるみたいだし―――おまけに敵じゃあ、ない。)
 (随分のんびりしてるというか、どこか気怠るそうではあるけれど、彼女もきっと―――胸に抱えるモノは同じ筈、か。)

 ―――……怪我が治ったら襲われそうなのは、とっても心配だけどね。
 とりあえず処置はさせて貰うよ? 思い出したグリーム。貴女の名前は報告資料で何度か、目にしてるからね。
 ウチも自警団やSCARLETとは協力体制を敷いてる。アタシ自身は件の戦闘に顔を出せなかったけれど
 貴女の活躍に関しては此方も少しだけ、把握してるつもりだよ。
 
 ―――そうだね、家族。……アタシにはきちんとした"家族"がいないから、もしかしたら仲間をそんな風に
 どこか暖かいものとして捉えてる部分もあるのかもしれない。命を預ける関係なのに、少し甘いって思う事もあるんだけど、ね。
 ……どうしても、そんな風に接していたいって思うのが―――……、アンジェルの、事?

【さて、此処で一度セリーナの言葉は止まるだろう。家族がいない、ならば先程の"おじいちゃん"とは、誰の事か。】
【一見すると創設者として気善に振舞う彼女にも、何かどうしようもなく盲目な―――"ダメな"部分があるのかも、しれない。】
【そして恐らくであるが、今回に関してもその優しさや、家族に近しい感覚と言うものが足を引っ張っているのは間違いない筈だ。】

618名無しさん:2014/02/27(木) 02:42:26 ID:H2DR/gUQ0

【―――踏み込まないようにはしていたが、其れが間違っていたのかもしれない。セリーナは彼女のことを余りに、知らな過ぎた。】
【共に闘う前の話。セリーナが彼女に踏み込まないのと同じ様に、彼女もまた過去を話したがらない人間であったが】
【それであれば家族などと感じているのは到底、無配慮もいいところ。セリーナはしばしの間、沈黙していた。】 

 ―――UTが発足する事になった発端の事件、彼女との出会いは其処での事。
 最初は操られてた。宝玉に取り付いた悪い神様っていうのかな、そういう"良くない存在"にね―――そう、アタシと彼女は敵対してた。
 洗脳が解けてから、アタシは彼女を仲間に出迎えて、今日まで一緒に戦ってきた。
 人一倍、正義って言うのに敏感で、正しくあろうとしている真っ直ぐな女の子―――能力は他の生物を操ったり、同化したりするもの。
 
 ―――そこまで、なんだ。アタシの彼女に関する知識は、其処で止まってる。
 ただ一つ引っかかってるのは、かつての六罪王―――リリアが言ってた、『アンジェルは都合のいい存在』って言葉。
 『最初から運命が決められてる』―――とも、言ってたね。それって、一体どういう意味なのか、アタシには分からなかったけど。
 詮索をするのも難しくて、と言うより彼女はその時、記憶を一時的に失ってたのもあって、すっかり期を見失ってた、と言うのが本音。
 ただ―――何処まで行っても、アタシが彼女を"家族"としながら、何も知らないという事実に変わりは無い。
 

 言い訳をするつもりは無いよ―――……グリーム。どうしてそんな事を聞くのか、その意味を知りたい。
 ……貴女はアタシが知らなくて、そしてとても重要な何か……アンジェルに関する情報を、知ってるのかい。

【流石に、何かが思い当たったのだろう。このタイミングでグリームがアンジェルに関して質問を、ピンポイントで重ねると言う事。】
【その意味は、恐らく『分かっていないことを警告する』目的が多分に含まれているはず―――もっと言うなら、セリーナの考え自体が】
【目指す所に比べて少し、お粗末なのではないか―――という、批判も含まれているのだろうか。彼女も今、真剣な目をしていた。】

619名無しさん:2014/02/27(木) 03:00:41 ID:SbMyfX/s0
>>615 >>616
/こちらも眠気ががが……
/今日は凍結ということで、一旦お疲れ様でしたー!

620名無しさん:2014/02/27(木) 04:02:33 ID:Jfel1XAU0
>>617
【応急処置との言葉には文字通りにキョトンとした表情を覗かせて、目を数回瞬かせた】
【まさかそんな言葉を掛けられるとは思いもしなかったのだろう。だからこそ、反応に戸惑い】
【――――言葉は無い。けれど、微笑と共に僅かに頷いたその行動が答え】

【もし手当をするならば好きにしろと言わんばかりに無抵抗。ただ――――傷に触れたならば、違和感も感じるだろうか】
【何しろ、傷が熱を持っているのだ。細胞云々がどうだとか、そのレベルを越えた熱】
【其処から分かる事は彼女は人間とは異なる種族という事であり、又は魔力を感じ取れるならばその傷から溢れる強い“聖”を感じ取れる筈だ】
【そして、数々の戦いに身を置いてきたセリーナならば分かる事。処置を施した所で、身体の機能の方が其れ等を上回っているのだから意味が無いという点】
【なれば、何故断る事も無く処置を受けようとしたのか。其れは、後に分かるかもしれないけれど】


「別に良いんじゃ無いかな。家族だから全てを知って居なゃいけない訳じゃ無い
皆臆病で、全てを打ち明けられる仲なんてそうそう居る筈も無いんだから
――――沢山の修羅場を一人で潜ってきたボクが言う事だ。間違いは無いと思うけどな」

【自警団やUT、SCARLETに所属する者達とは違い、少女は常に一人で戦ってきた】
【仲間が信用できないとか、作れないとか色々な理由はあるけれど。再び戻った笑みの下では何が考えられているのか】
【今までの事を思い出しているのか――――それとも、仲間の存在という物を自分なりに想像しているのか】
【後者であれば、分かる筈が無い。頼られる事こそあっても頼る事は無かったから……知らない事を知っているだから羨ましくも思うのだ】


「ただね、家族っていうのは互いに信頼関係が成り立ってる上で出来る存在だとは思うよ
ボクは君やその仲間達の事を詳しくは知らない。知らないから、こうして君達とは違う目線から言う事も出来る
――――余計なお節介かも知れないけどね。確かに君は信用されている事は間違い無い。でも、家族なんて考えを持って居るのは君だけかもしれない
家族が居ないから、憧れを抱いてそんな風に見ちゃうのは…………ふふ。ボクも良く分かるけどさ
でも、それだけに脆いんだ。誰かが死んだ時、家族を思いすぎた余りに廃人にならないようにね?
中途半端が一番危ない事は君の方がボクよりも知っていると思うけどな。“接したいと思う”じゃなくて、実際にそうするか…………それとも、もっとドライに生きるか
君の知っている事は、少なくとも“仲間”としての知識。確かにボクは全てを知ってる必要は無いと言ったけど…………もう、この先は言わなくてもいいよね」

【説教とは遠い様な言葉。しかし――――しかし】
【家族だと思うなら、本当にその様に接しろ。思い留まっているならば、いっその事ただの仲間とて見ろ。そんな言葉】
【全てが全て、生きて終わるわけでは無い。正義の組織ならば悪と激突する事は必然で――――もし、その仲で仲間が死んだらどうなるか】
【理想論とはまた異なった現実。沢山の命を奪ってきた。それ以上に多くの命を救ってきた。生と死の大きな壁に阻まれる事となった者達の悲劇も、だ】

621名無しさん:2014/02/27(木) 04:02:53 ID:Jfel1XAU0
「…………らしくないなあ、セリーナ。人から情報を聞き出すのにそんな顔をされたんじゃ、弱気なボクは逃げて行っちゃうよ?
だからほら、笑って……さ。

君の知っている事は分かった。君が知らない事も同時に分かった
とても重要かそうじゃないかは取り方次第だ。今の彼女は確かにUNITEDTRIGGERの一員で、悪を罰する存在に代わりは無いんだから
…………これから先もそうなのかはボクには分からない。そうであるなら良いんだけど……コレばっかりはボクも調べようが無いしね」

【真面目な表情を見たならば茶化すように小さく笑い、やがて小さな転移装置から取り出すのは書類の束だ】
【内容はwikiの「APO研究所」のページと大差は無いらしく、詳細はそちらを見た方が良いか】
【何やら色々と書かれているけれど――――セリーナならば、アンジェル・ベルジュロンの名と……それと、ベイゼ・べケンプフェンの名が真っ先に目に留まるだろうか】
【必要なページを一番前に持ってきたならば、見やすい位置へと移動させて】


「全部がカノッサ機関なら、ボクは此処には来なかった。こっちで処理するなり自警団に渡すなりすれば良いだけだからね
でも、アンジェルは違った。この資料を寄越した人がUTに居るって言ってたらもしかしたらと思ったんだけどさ
――――最初は本人に直接言っておこうかと思ったよ。だけど、それじゃあきっと何の解決にもならない。色々見てみたけど良くも悪くも純情娘だしねぇ

それに其処はボクの裁量で決める事じゃ無い。セリーナ、リーダーである君が決める事だし…………少なくとも、きっと知っておかなきゃいけない事だ
どうするんだい、リーダー。確かに彼女は君の仲間だ。“コレを見ても”まだ家族かい?
教えるも教えないも君次第。教えたいけど言いにくいならちょっとだけ似たよしみとしてボクが伝える事も出来る
嗚呼、それとも…………ついさっき会ったばかりのボクの手の込んだ悪戯だと判断して、根っから否定しながら逃げるかい」

【そこに書かれていた事は、もしかしたらセリーナにとっては衝撃的な物であっただろうか】
【何よりも、仲間の出生記録みたいな物だし――――作られた理由が理由なのだ】
【加筆されていない所を見れば、それ以上に知る事は出来なかったと覗える】

【修道女が問うのは、セリーナの心だ。コレを見ても仲間を仲間と思えるか。そして、これを見て何を思うか】
【逃げ道も用意されてある。コレを見なかったことにして、修道女に対して馬鹿にするなと罵声を浴びせて追い返す方法だ】
【緩んでいる笑みは、何を考えているかは悟らせない。例えその書類を見た反応でセリーナのリーダーとしての資質を見極めようとしていても、きっと分からない】

【ただ……まだ、頭が冷静ならば。カノッサの極秘とも思えるこの資料を果たして何処から手に入れたかと疑問が生じるだろうか?】

622名無しさん:2014/02/27(木) 13:05:23 ID:VvRwMKXY0
【その日は生憎の雨だった】
【天気予報では晴れが続くと言っていたのだが、】
【どうやらあの天気予報士はただの天気マニアであまり信用できないらしい】

「ひどい…雨だな…もう」

【せっかく頂いたお休みにと、外出したのはいいけれど】
【これじゃあ予定も何もあったものじゃない】
【どうにも運が悪いのか、とある少年は雨の中走っていた】

【小柄で線の細い華奢な白髪の少年】
【雪のように白い肌と赤色の瞳は全体的に薄い色素を思わせる】
【年中無休で灰色のコートを身に纏い、フードを被って日の光から逃げているような】
【初めて目にすれば女子のようで、子犬のような印象を受けるだろう】


「雨宿りは…あそこでいいかな…?」

【そこは教会だった】
【とっくに使われていないのか、軽い廃墟のような建物】
【この天気の中、雨風を凌ぐにはうってつけの物件だ】

「あー、濡れちゃったな……寒っ」

【教会の入り口、きっと礼拝堂の入り口であろうその扉の前で】
【すっかり冷えた体を少し震わせていた】

【雨脚は強くなる】
【あの天気予報で少年と同じ被害を受ける人も少なくないだろう】
【この調子なら同じ雨宿りをする場所を探して誰かが来るかも知れない――――】

623名無しさん:2014/02/27(木) 13:42:49 ID:JE2zERC20
やぁやぁまた会えたね

【協会の中から男が欠伸をしながら現れた】
【けだるそうにどこを見ているかわからない目であたりを見回す】
【日本刀を携えている】

ちょうど飯時だね、ご飯おごるけど一緒にどうだい?

【傘を少年に差し出した】

624名無しさん:2014/02/27(木) 14:04:13 ID:VvRwMKXY0
>>623
「あ、あなたは…」

【教会から現れた男性に少年はその顔を思い出す】
【一度出会い、まだ名前を知らない男性だ】
【こんな場所で出会うのも何かの縁だろうと思う】

「えっと…お食事ですか…」

【急にな誘いに少し戸惑った様子】
【確かに時刻は飯時だ、この雨で未だに昼食にありつけていない】
【どうしようかと迷ったが、少年の腹の音は正直だった】

「…おごりと言うなら…お世話になりましょうか…
どこか良いお店を知ってるのですか?」

【その渡された傘を受け取り、傘を差す】
【少年はこの辺りのお店にはあまり詳しくなく、エスコートを望んでいるらしい】
【近くの店なら洋食、和食、中華と様々な料理を食べることができる】
【少年も、よほど変わった料理でない限り男性の選んだ店に着いていくだろう】

625名無しさん:2014/02/27(木) 14:24:09 ID:JE2zERC20
>>624
この辺のことはよく解らないんだ
君のほうが店にもくわしいんじゃないかな?

【ネクタイをしめなおすと、男は歩き出した】
【月明かりで青く染まった街を起源よさそうに眺めた】

じっとしてるのもなんだ歩きながら店を選ぼう

626名無しさん:2014/02/27(木) 14:41:18 ID:VvRwMKXY0
>>625
「僕もあまり詳しくないんですけどね…」

【そう言って男性の少し後ろをついていく】
【振り続ける雨は止む気配がなく、勢いは増すばかりだ】

「雨宿りしている人が多いのでしょうか…? どの店も混んでいますね…」

【街中には飲食店はそれなりの数があるが、どれも人混みで賑わっている】
【どれも雨宿りついでに食事。という人が多いようだ】
【どこもかしこも人が多い中、一つの和食専門店が比較的空いていることに気づく】

「あ、あそこはどうでしょうか…? おいしそうなご飯が多そうですよ!」

【値段も決して高くはない、メニュー数も和食専門だけあって中々だ】
【少年はガラスケースの中にある「肉そば」の食品サンプルを目を輝かせている】
【すでに食べるものに目星をつけているようだ】



【男性がこの店で了承するなら。少年は喜んで店内に入り、すぐにでも注文するだろう】

627名無しさん:2014/02/27(木) 15:39:55 ID:JE2zERC20
和食かぁ
久しぶりにいいかもねえ

さぁ入ろう
好きなだけ注文したまえ金なら国からいくらでも出る

【背中を押して少年を促す】
【男はちらりと食品サンプルに目をやった】

海外……って言っていいのかわからないけど、日本の外にはこういうなんちゃって和食店みたいなの多いなぁ
中華とかだと割と完成度高いのに

【苦笑いをした】

628名無しさん:2014/02/27(木) 15:59:59 ID:VvRwMKXY0
>>627
「お金持ちなんですね…羨ましいです…」

【少し羨ましいのか奢ってもらうのが悪い気がするのか】
【少しだけ苦笑いをした】

「じゃあ、この肉そばよデザートに抹茶アイスを…!」

【ずいぶんボリュームのあるメニューに子供っぽい注文】
【抹茶アイスが和風か洋風か微妙だが、その二つを注文するだろう】
【値段も決して高くない、リーズナブルだ】

「…? そういえば、前にお会いしたときも言ってましたね?
にほん…?ですか? どこかの地名ですか?

【少年は思い出したように男性に問う】
【前にも口にしていたその名を】
【少年にとっては聞きなれないもので、首を傾げて質問する】
【彼の知っている、彼の生きる、生まれ育ったこの世界に】
【そんな名前の場所は存在しないのだから仕方がない】

629名無しさん:2014/02/27(木) 16:18:53 ID:JE2zERC20
一般人じゃ門は越えられないんじゃないかなぁ
まぁその辺は国家機密なんだ

俺は寿司で

【店員に注文をすます】
【肘をついてだらしない姿勢になった】

君の世話に名あてる人ってのはどんな人なんだい?
何なら会わせてくれよ

630名無しさん:2014/02/27(木) 16:39:13 ID:VvRwMKXY0
>>629
「国家機密ですか…」
(もしかして聞いちゃいけないことだったのかな…)

【この世界で生きる上で大切なのは切り替えの速さだ】
【下手に危険かもしれないことに首を突っ込んでいれば、すぐに三途の川を渡ってしまう】
【少しでも何か触れちゃいけないと感じたらすぐに手を引く】
【この世界の鉄則だ】

「僕…少し前まで家も働き口も何もない浮浪者だったんです。
そんな僕に住める家と仕事を下さった…恩人です」

【注文した肉そばが届く】
【その料理を前を少しずつ頬張りながら続ける】

「その人…宿屋をしようとしているんです…屋敷がボロボロになってしまったけど…
あきらめ切れなくて…脚も不自由で車椅子を使って生活しているのに…僕を助けてくれた…優しい人です」

【脳裏に浮かぶその恩人のことを思い出す】
【堕ちてしまった自分をここまで立ち直らせてくれた大恩人】
【未だにその恩を十分に返しきれていないと、心で思う】

「…宿屋が再建できたら、いらして下さい。
僕が受付で出迎えますよ」

【かわいらしく笑顔でそう言った】
【宿屋が始めれるのはいつになるか分からないが、それでも】
【始まったときに、炒ってみるといいだろう】

631名無しさん:2014/02/27(木) 18:41:40 ID:CKwgAcf.0
【闇市通り――合法なものなんてほんの一握りなこの場所に、一際目立つ店があった】

「ヒャハハハ!」 「さァー、買ァえ、買ァえ!」

【形容しがたい、混沌とした趣味の悪い屋台――並ぶのは、肉とか果物とか何かの素材とか小動物っぽいものとか、とにかく雑多である】
【それを運営するは黒い外套を羽織っている、コワモテで奥二重でエルフ耳の、男にみえる者だった】
【身長は約2mの、筋肉質な細身で、黒い白目と血の様に真っ赤な虹彩を持ち、ボサボサとしている長い黒髪だ】
【上下共に長袖黒ジャージを身に着けていて、首に紫色の毛のマフラーを巻いており、手袋や靴下も紫色だ、靴は黒】

「対価は……混沌の為になァるもォのなァら、貨ァ幣じゃアなくても良ォいぞ、"いィつも通り"な」
「特に、"アビスゲート"で熟成さァせているモノに足ァりねェなァにかの情ォ報かそォのモノをよォこせば、"良ォい値"を付ォけてやる」

【値札はない、ただ、怪しげで曖昧な表記で正体の分からぬ謎の商品群が立ち並ぶのみ】
【一つ言えるのは……どれもこれも、この世界では見たこともないような品だということか】
【そんなものを堂々と出せるのも、闇市だからこそか――たまに"常連"が訪れている様に見えるのは、きっと気のせいではない】

【――あなたはこの店に立ち寄っても良いし、指名手配されている悪魔"邪禍"にそっくりなこの店主から事情徴収などをしても良いし、他の選択肢もあるだろう】

/あまり長くはいれません

632名無しさん:2014/02/27(木) 21:13:24 ID:nHw81SMw0
【高架下の屋台】

【高架下の太いコンクリートの柱以外何もないような空き地に建てられた…】
【いや、建てたと言ってもトタンと簡単な木材で構成された掘っ立て小屋が幾つかある感じ】
【簡単にいえばガード下の飲み屋群で。そのうちの一つ、赤提灯でなくクラシカルなランプが出ている店】
【席なんて両手で足りるぐらいだが他とは雰囲気がちょっと違ってビールとウイスキーが似合う感じだ】

【店主がヴァイオリンなんて弾くイカした店だが客が殆ど居ないのは店主が身長が2メートル半はある】
【青い肌のオークみたいな人だからなんだろうか。その中で先客は1人。店先にオートバイが停まっている】

んで…今回も同じようなもんだ。市場はいつでも買いだからな…新品がどんなにタダ同然に配られようと
…世の中は能力か武器なしじゃ生きられないってことさ…

【ボサボサに伸びた黒髪にとんがったような鼻、ダークグリーンのレンズのサングラス】
【黒に白い裏地のボアジャケットのボタンは留めず、シャツの胸元から聖母を模したネックレスがぶら下がっており】
【スレたジーンズの裾をエンジニアブーツにねじ込んで背を丸めながらポケットに手を突っ込んでいる】
【服装と185以上はありそうな身長がちょっとばかし威圧感がにじみ出ていることだろう】

……ま、そういうことだ。宜しく頼む…

【男は店主となにか話していたようだったが、カウンタの灰皿の上、吸いかけの煙草をくわえて黙った】
【古びたラジオからは今日のベースボールの結果を伝えるニュースが流れていた】

633名無しさん:2014/02/27(木) 21:14:45 ID:u1BkeEnA0
【平原】
【虫の鳴く声も響かない冬の平原で、ガシャガシャと何かが擦れるような音がしていた】
【それは規則的なリズムで鳴らされ続け、薄らと積もった雪に足跡を刻んでいく】

【その正体は、砂色の全身甲冑を身に纏う180cm程の人影】
【身の丈ほどの長大な斧槍の柄を右手で掴み、背筋を伸ばした姿勢で】
【行進のように足を大きく振り上げながら歩行していた】

【何度もこの周辺を歩き続けているのか、その甲冑の周囲には無数の足跡が刻まれている】


「ふむ、やはり歩行までは支障ないのだ!」
「ククク……調子が良い気がするぞ、今日こそは成功させるのだ!」


【甲冑から少し離れた位置に、小柄な人物がポツリと立っていた】

【身長の頃140cm程度であろうか?裾に金糸の文様が施された白いローブに身を包み】
【顔にはフードをすっぽりと被って鼻下から上を隠している】

【肩口からは漫画の吹き出しを彷彿とさせる形状のボードが生えており】
【言葉を発さずボード上で黒い粒子のようなものを動かして文字として意思を表現していた】
【全体的に怪しく奇妙な人物に見えるであろうか】


「それ――今こそ地を駆けるのだ"雑兵くん112号"よ!」


【ローブの人物が、甲冑を指差しそう指示を出す】
【応えるようにして甲冑は腰を落とし、足を前後に大きく開くと】
【後ろに伸ばした足の爪先で強く地を蹴り、勢い良く雪の大地を風のごとく駆け抜けようとして】

【――二ほど歩進んだところで、足首がグキリと妙な方向に曲げて派手な音を立てながら転がった】


「ぬああーー!何故いつも姿勢制御がうまくいかんのだー!?」
「立て!立つのだ"雑兵くん112号"よー!」


【ローブの人物は手をメガホンを真似るように丸めて口に当てながら、そんな言葉をボードに表示させる】
【甲冑は斧槍を杖にして体を支えながら、生まれたての子鹿のようにぷるぷると立ち上がっていこうとする】

【遠くからも目に付きそうなそんなシュールな光景は、通りかかる者の興味を引くこともあるだろうか?】
【もしくは、近くで何かがあればローブの人物が反応を示すかもしれない】

634名無しさん:2014/02/27(木) 21:43:47 ID:JE2zERC20
>>630
いいねぇ、それが君の物語な訳だ
すべてのけじめをつけた後
また旅に出る理由になる

【遠い未来に思いはせる視線を遠くへ飛ばす】
【ふと、思い出したようにまた懐からお金を差し出す】

店の復興やその人の治療につかいたまえ

【懐からどんどん札束が現れた】

635名無しさん:2014/02/28(金) 14:25:42 ID:Ma6AGWLw0
>>620-621

【―――傷跡から伝わってくる熱が、グリースの口から放たれる言葉が、少しずつセリーナを揺さぶった。】
【彼女は紛れも無く戦いの中で生きる言わば自分達と同じ存在であり、事情をよく理解した上でそう言っているのだ。】
【その言葉にはしっかりとした重みがあるが、逆に"傷"からは声にならない声が、種族としての"差異"とでも呼ぶべき物を】
【セリーナに対して訴えてくるだろう。魔力感知という分野に関して言えば、人よりもむしろ劣る程に鈍感である筈の彼女ですら】
【何となくではあるが、そうだと分かってしまう程、その傷の持つ力は大きかった。呼応する様に、"弾"末魔から魔力が―――漏れる。】

 (……普通の人間じゃないのは何となく解ってたけど……それどころか、"人"とは違うんだね、グリース。)
 (これじゃあ、手当の意味も―――……いや、それにしたってこのまま放置、っていうのはさ……)
 なるほど。修羅場、ね。確かにそう言うのを感じられるよ。グリース、貴女は只のシスターじゃないんだろうね。
 だからその言葉にも、凄く説得力があると思う。でも―――……家族の事は知れずとも、貴女の事は知っておきたい。
 この傷……ううん、"貴女"は、一体……? アタシの考えが正しければ、人間ではない筈なのに、なぜ修道女なんかを?
 流石にアルコールが入ってるとは言え、このまま何も知らずに話をするのは気が引けるから、さ。

【傷を放っておくのも、そしてそのまま話を進める事も、彼女には矢張り出来ない様だ。そう言う所もまた―――優しさであって】
【同時に少し"弱い"部分でもあるのかもしれない―――そう感じさせる程、セリーナはこの突然の来訪と仲間に関する話について】
【とても危機感を持っているのであった。自分の仲間の、自分が知らない事を、自分の知らない誰かがよく理解している―――。】
【それはとても誇れる事では無くって。矢張りセリーナは、距離を測りかねているのだろうか。家族と、仲間と、その二つの間で】

 ……そう、だね。アタシ一人が、どれだけそう思っていても、相手にそう思って貰えてないなら。
 確かに中途半端って事になるんだろうね、現にアタシは今……仲間が一人行方不明になって、混乱してるから。
 けど、アタシはそれでも―――……

【『それでも』、という言葉に続く台詞は、出てこなかった事だろう。何故ならば、彼女の視界に入った"それ"は】
【とても言葉で言いあらわせる様な物では無かったし、何よりその中身が衝撃的過ぎた。『これは、何。』だとか】
【『こんなものをどこで?』だとか、疑問は渦巻いていたがセリーナは―――セリーナは、微動だにせずその資料を見つめた。】

【―――湯が沸いて、芳醇な香りのウバが際立つ。湯気が立ち込める二人の間に、ポツンと置かれた資料と紅茶。】
【片方は来客への信頼や優しさを象徴する、美味しそうな紅茶。そしてもう片方は、来客を思わず疑いたくなる様な】
【出来れば今直ぐにでも眼を逸らしてしまいたいと感じてしまう程の書類の数々。記載された事実は、余りに過酷すぎた。】
【単純に出自がどうこう、という話ではない。それを本人が知らずに生きてきて、そして仲間とは言え他人であるセリーナや】
【グリースの様な存在だけが真実を知っているというこの状況、その物がとても恐ろしく、またやりきれない想いを孕んでいた。】
【更に言うなら―――セリーナがこの真実を、『ある意味』で自分自身に重ねていたのも、沈黙と重々しい空気に拍車を掛けていて。】

 ―――……。

【クシャリ、という音が二人の間に響くだろう。それは握り締めていた書類の端を、セリーナが苦しそうに握り潰した証拠だった。】
【息を吸い込み、ゆっくりと吐き出す。それだけの行為がとても長く、そして苦しく感じられるのは、なぜか。簡単な話だった。】
【―――長い長い、熟考の末に。セリーナは振るえる様な声を抑え、手にしていた書類を静かに、カウンターへと置いて。】


  ―――なんで、そんな事を聞くの。
 『コレを見ても、まだ家族かい』って……どうして、そういう事を言うんだい、グリース。
  それはとても意地悪で……ズルい質問だよ。こんなの見て……っ、平然としてられる、ワケないじゃん……。 

 
【瞳を閉じて、下を向きながら。まるで『酷いじゃないか』とでも言うかのように、セリーナはそんな言葉を吐き出した。】
【誰かが言わねばならぬ事、其れは頭では分かっていても、直接尋ねられるのはきっと、辛いに違いない。セリーナはそれを認める。】
【辛く、苦しく、そして声を震わせながら。弱気になって嫌になって、しかしながら、其れに続く彼女の言葉はなんと――――。】

636名無しさん:2014/02/28(金) 14:26:09 ID:Ma6AGWLw0

 ……けれど、何れは"誰か"が問わなきゃいけない。この書類に書かれた事実と、アタシの覚悟っていうのは、そういう物だ。
 

 ―――アンジェルは、家族だよ。

【すっ、と視線が上がり。今度こそ、グリースの瞳を真正面から逃げずに、捉える。潤んではいる。涙も零れそうだ。】
【だが、決して逸らす事は無い。唇を噛みしめ、この真実に尚、彼女は恐れず踏み行った。】
【『家族だ』と、そう力強く答える様は、貴女にはどう映るだろう。】

 
 家族さ。"何を見せられようと"、"何を突きつけられようと"、彼女はアタシの仲間で、UTのメンバーで、
 そしてアタシは彼女も含めたアタシのこの組織に―――たとえ一片たりとも、恥じらいを感じる事は無い……!

 だって―――だって、こんなに……こんなに、胸が苦しいんだ!
 彼女の事なのに、まるで自分の事みたいに、どうしても……どうしても、苦しいんだッ!!
 この胸の痛みは、何ッ!? これが―――この感情まで"まやかし"だって言うなら、アタシが、本物にしてみせる!
 
 どんな出自があろうが、彼女の正義が造られたものだろうが、アタシは―――絶対に、拒まない。
 こんな真実に、打ちのめされる様な弱い心なんて……ッ! アタシは、持ち合わせちゃいない!
 誰にも否定なんてさせない! こんな事で、滅茶苦茶になる程……ッ! 

  ―――UTの絆は、ちっぽけじゃないッ!

【まるで、自分を鼓舞している様にも聞こえるだろう。額面通りに受け取ってはいけない。彼女が動揺しているのは確かなのだから。】
【だが現状、重要なのは其処ではない。この事実を前にして、平然とそれを認めて、何の反応も示さずに受け入れられる様であるなら】
【そこにもはや絆はないだろう。少なくともセリーナは、一度恐れて、負けそうになりながらも、折れぬ様に踏ん張る選択をしたのだ】

【辛いのは―――苦しいのは、当然である。セリーナは言うだろう、それこそが家族であると感じる事の、何よりの証拠だと。】
【大事なのは辛くて苦しい時に、自分ならどうするか、相手ならどうするか考え、現実に負けぬ様立ち上がる事の方ではないか】
【叫ぶように言葉を吐き出す彼女の姿は、きっとリーダーに相応しい威厳なんて、ない。むしろそんなものは要らないのだろう】

【彼女が、リーダーという名称に、(仮)をつけていた理由、其れは此処にあるのかもしれない。】
【そんな肩書や、実際の指揮系統よりもっともっと重要な事がきっと、ある筈なのだから。】
【リーダーでも、創設者でも、店主でも酔っぱらいでもガンマンでも賞金稼ぎでもなく。】

【ただ、一人の人間として。】
【一緒に歩む仲間として。】
【共に生きる、家族の様な存在として―――セリーナは決意するだろう。】

 
 ……アタシが、伝える。この事実は、彼女に……アタシの口から、アタシの言葉で、伝えるよ。
 そうするのがベスト、とかそうするのが正しいとか、そんなんじゃなくって……アタシは、そうしたいんだ。
 そうしなくっちゃ、嘘になるんだ……その時に彼女がどうするか、その答えも含めて。

 ―――……受け容れるさ。それが……アタシの役目だ。
 文句はあるかい、グリース。

【半ば涙を流しつつも、彼女はそんな自分を弱いと認めて尚、抗う事を選んだ。】
【グリースに任せるのではなく、自分の口から、自分の言葉で。アンジェルには伝えるぞ、と強く言い放つ。】
【別にグリースは何も悪い事はしていないどころか、むしろUTにとってとても貴重な、情報提供者であるのにも関わらず……、】
【なんだか吠えている様にも思える程、彼女は勢いよくそう言ってしまうだろう、だが決して悪意がある訳ではないのだ。】
【怒鳴っている訳でも、怒っている訳でもない。ただ、辛い気持は確かに存在する事を伺わせるその様子は、痛々しくも凛々しい筈だ。】

637名無しさん:2014/02/28(金) 15:25:09 ID:Jfel1XAU0
>>634>>636
【セリーナの語る言葉を耳に入れながらも紅茶を啜るその仕草は、何処かずれている様で】
【それでいて、彼女らしい一面でもある。或いは、まるで返って来る言葉を大体察していたかのよう】
【――――実に深刻な場面だ。何しろ、書類の内容が内容なのだから。そんな状況に於いても、頬杖を突きながら修道女は確かに言葉を聞いていて――――笑った】


「…………君なら、そう言ってくれると思ってたよ
ただ淡々と『そっか大変だねー』で済ませてたらボクは冗談で終わらせるつもりだった
何で聞くのって?そりゃ、君を見る為だよ。ボクはその内容を読んだ、けど。共感は持てるし何を望んで作られたのかも大体分かった――――でも
結局ボクはその人達の仲間じゃ無い。だから、君に揺さぶりを掛けなきゃいけなかった訳だ」

【静かにカップを置き、漸く返された言葉。ただただ穏やかなに並び立てられる言葉は感情論なんかでは無い】
【涙を浮かべながらも視線を交えようとするならば正面から受けるし、逸らすならば適当に紅茶にでも落とすだけ】
【ただ――――“そう言ってくれると思ってた”。それはセリーナに対して抱いて居る信用も表すのだろう】

【だから態々完治していない傷を背負ってまで此処に訪れた。仲間の事をどうでも思うような相手だったならば、この書類に載った名の者達を自警団に公表するなりすれば良いのだ】
【もしかしたらその名を調べて捕らえるために動くかも知れないし、ただ警戒を強めるだけかもしれない。いずれにせよ、好転なんて可能性は皆無だろう】
【――――其れをせず、UTだけに告げに来る。その意味は組織内で物事を収めさせる機会を作るに他ならず】


「でもね、セリーナ。本当に無茶苦茶にならないと言い切れるかい?
確かに此処に載ってるアンジェルがずっと正義の味方だったならそうはならない。めでたしめでたし――――みんな喜ぶハッピーエンドさ
…………もし。もし何時かカノッサに対する忠誠が蘇ったときに君は同じ事を言えるかい
君の銃で彼女を撃って、君の拳で傷付ける事が――――…………その、ちっぽけじゃない絆の下に
神サマ何て居やしないんだ。祈ったところで全部解決する訳じゃ無い。結局は自分たちの手で解決していかなきゃいけない
――――ボクが聞きたいのは君の威勢の良い声じゃ無い。こんな血を滲ませて君の心意気を聞きに来た訳じゃ無い
……其れを“出来るか”“出来ないか”を聞きに来たんだ」

【この世界は何事も最悪の事態を想定すべきだ。杞憂に終われば喜ばしい事。だって、徒労こそあっても不幸がある訳では無いのだから】
【――――己を鼓舞するセリーナに対して向けられる声は、実に冷静だ】
【そして其処に込められている意味は、セリーナに取っては残酷であろうか。杞憂に終わらなければの話――――もし、想定した自体が起きたらの話】
【セリーナはつい先程まで仲間だった存在を“敵”として認識出来るのか。何時も悪を滅している時の様に、トリガーを引く事が出来るのか】
【残酷な問いでもあろうか。「それなら良かった」だけで終わらせない、極めて現実的な問い】


「――――文句なんて無いさリーダー。君に決めて貰う為に此処に来たんだ
でも、一つだけ言わせて貰うなら…………涙、拭きなよ
これじゃあまるでボクが君を泣かせたみたいだ。美女泣かせの美少女なんてのも中々良いけど…………ふふ、こんな場所を見られたらボクが咎められちゃうからね
あー……それと。ボクの話なら――――」

【そう、文句なんて起こる筈が無い。涙を流しながらも語る事に苦笑を漏らせば、手を伸ばして涙を拭い】
【軽口一つ零せば紅茶啜り、一呼吸置くのだろう】
【適当にティースプーンで渦を作ったりして――――やがて紡がれるは】


「君の決意を改めて聞いて、紅茶のお代わりを用意して貰って――――で、こうしてカウンター越しじゃなくて隣にでも座ってくれれば話すよ」

【確認だ。本当にセリーナに“其れ”が出来るか否かの】
【自らの言葉で伝えて――――“万が一”の時に対処できるか否かの】
【コトンと置かれたカップの中は既に空。「どうしよっか」と言わんばかりに小首を傾げて】

638名無しさん:2014/02/28(金) 16:49:30 ID:Ma6AGWLw0
>>637

【―――全てを言い終えたセリーナは、零れる涙を拭きもせず、鼻を啜りながら拳を握りしめるだろう。】
【今までの人生で、ここまで感情を露わにし、人前で涙を見せた事等何回あっただろうか。恐らくは、片手で数えられる筈。】
【自分の中にあった激情に少しだけ驚きつつも、グリースの冷静で落ち着き払った反応には思わず息を呑む―――まるで対照的だ。】
【本来ならば、お互いに張り詰めた表情をしていても可笑しくは無いこの状況において、笑顔を見せるグリースは確かに、強者と言えた】


 ―――……分かってるさ……別に、貴女が意地悪する為だけに此処に来ているじゃないってことくらい……わかってる!!
 けど……けどっ……平然と言葉を並べたてられる程、アタシは―――……出来た人間じゃ、ないんだ……
 だから―――っ!……だから……。 ごめん、なさい……、


【熱くなって、滅茶苦茶に言葉を吐き出してしまった事を―――勿論、内容は毅然とした物ではあったが、それでも】
【折角の情報提供者に対し、『意地悪』だの『ズルい』だのと、見当違いな敵意をぶつける様に激しい態度で言葉を投げかけた事を】
【まずは謝罪し、悔しそうに眼を逸らす。セリーナも分かってはいて、ただ―――何時もの様にクールに、とはいかなかったのだろう。】


 ……感謝、してる。この情報を、もっと別の……例えば、自警団とか、警察に持っていく事だって出来た筈だから。
 熱くなって……ごめんなさい。でもっ……此処に、この紙に書かれた内容は、落ち着いていられるような物なんかじゃ、ない。
 ……ありがとう、グリース。貴女がアタシを訪ねてくれなかったら、きっと―――……大変な事になってたと思う。

 だけど―――……答えなら、さっき言った通りだ。


【『神は居ない』―――堂々と言い切る姿の修道女は、果たして本当に修道女なのだろうか。いや、重要なのは其処ではないのだが……】
【しかし彼女の言う事は最もだ。神と言う存在が居るにしろ居ないにしろ、結局人間は自らの手で、自らの道を選ばなくてはいけない。】
【もし本当に、『やっぱりダメだったじゃないか』―――と、誰かがそう言う様な結果になった場合。一体誰が、責任を取るというのか】

【彼女の指摘はまさに、真意を突いていると言っても過言ではない。―――が、しかし。セリーナは今度こそ冷静に。】
【落ち着き払った声で、腰元に携えたガン・ベルトをぱちり、と取り外して―――そして、テーブルへと置くだろう。】
【もうその手は震えていない。静かに告げる、『先程言った通りだ』―――と。それはつまり、そういう事なのだろう。】



           『それがアタシの役目だ』―――それ以上の言葉が、居るのかい。



【冷たく。鋭く。重い。そんな言葉が中へと放たれて―――持ち主のその意思に呼応する様に、"弾"末魔から魔力が湧き出た。】


 ……アタシの引き金は、その為にある。もし、アタシが本当に、彼女の仲間で……家族であるのなら。
 引くのは、アタシだ。アタシが―――……その時はアタシが、そんな悪夢はアタシが、"終わらせ"る。

639名無しさん:2014/02/28(金) 16:49:44 ID:Ma6AGWLw0
【"仮に"ではあるが、もしそんな事になった時。セリーナは撃つ、という事を明確に示す。そこには悲壮な覚悟と】
【そして幾多の絶望を乗り越えてきた決意が、見て取れるだろう。だが―――そこに連なる言葉はまた、少し違った。】
【彼女が撃てるという事を示したいだけなら、一々銃を引き抜いて、テーブルに置く必要など無かった筈。】
【それを態々そうしてみせた、という事は―――。】

 ―――ただね、良いかい。良いかいグリース。これだけはハッキリとさせておくよ。
 そんな事には―――そんな、クソッタレの、最悪な事態にはアタシが……させない。
 絶対に、させない。絶対にだ。引き金は引くとか、引かないとかそんな問題じゃないんだ。

 "―――……仲間に銃を向ける事態になる前に、全てを丸く納める"。
 
 綺麗事だと笑ってもいい。哂われても良い。
 それが本当の意味でのハッピーエンドで、アタシが目指すべき答えは其処にあるんだから。
 ……撃たせないさ。仲間にも、そしてアタシにも、この銃<相棒>にも……撃たせない。引き金は、引かせない。
 撃つ事は出来る、けど―――撃たなくて済む未来を、アタシが作るさ。それもまた……一つの、覚悟だってアタシは思う。


【―――置かれた銃から放たれる魔力は、収束していく。まるで殺気が消えて、其処に優しさが溢れていく様に。】
【セリーナ・ザ・"キッド"。彼女は正義の士でありながら銃を使う存在だ。命を奪う覚悟はある。"撃つ"事も出来るだろう。】
【だが一番難しいのは、"撃たない未来"を作る事、であって。そして難しいからこそ、全てを賭けて挑む価値が、きっとある筈だ。】
【だからセリーナは言うだろう。『出来る』。けれども、『やらせない』と―――誰にも、自分にも、絶対に彼女は撃たせない、と。】
【そこまで言い切って、いい加減に頭も冷えたのだろう。ようやっと、グリースの指摘に、涙でぐちゃぐちゃになった顔を鑑で確認して。】


 ―――……! な、泣いたっていいじゃん! ていうか、アタシだって別に泣きたくて泣いてるワケじゃ―――……!
 ……うぅ、わかったよ……だから、ごめんね? この涙はなんていうか、いっぱいいっぱいになったから出てきただけで、
 決してグリースのせいだとか、そういう……ああもう! ……調子、狂うなあ。

【直ぐにカウンターに置いてあったタオルで、しゃくりをあげながら顔を拭いて。矢張り恥ずかしかったのだろうか】
【暫くはタオルに顔を埋めたまま、考えると言うか、反省するかのようにテーブルへと突っ伏して……】
【やがて顔をあげて、腫れた目で再三、『……ごめん』と言うだろう。重ねて言うが、グリースは恩人だ。】
【そしてカラになってしまったカップに御代りを入れる為に、もう一度ポットへとお湯を入れつつ。】
【自身も少し飲み物を飲もうと思ったのだろうか、新しいカップを取りだし、珍しくアルコールでは無くて】
【グリースに差し出した紅茶を自分のカップにも淹れて。そうして、少しだけばつが悪そうに、彼女の隣へと行くだろう。】
【そっと椅子に座っても、まだ視線は合わせられないまま。それもその筈、冷静になって考えれば失礼も失礼。無礼千万なのだから……】

640名無しさん:2014/02/28(金) 18:05:06 ID:Jfel1XAU0
>>638>>639

「――――正義だ悪だ何だってあるけどさ」

【カップの縁を撫で、終えたばかりの言葉に応えるかのようなタイミング】
【まるで見当違いな内容。――――いや、本当に見当違いだろうか】
【カウンターで寛ぎながら話す姿はどうも真面目に語る者にも見えはしない】


「結局は全部我が儘なんだよね。君達の言う弱者を助ける正義だって所詮我が儘さ
全てを混沌にだとか争いを無くすだとかも全部全部。世の中聞いて居る方がむず痒くなる綺麗事なんてそこら中に転がってるんだから一つ二つ増えたところで誰も気にはしないよ
…………だから、セリーナ。其れが君の我が儘なら貫けば良い。結局その先に辿り着くのが君達にとっての正義なんだから

正義なんて本当に細い橋で、ちょっとズレただけで悪に落ちちゃう位に不安定なバランスだし、場所によっては正義が悪に見られてるなんて事も腐る程ある
だったら面倒な事を考えてないで、やりたい事をやっていれば良いさ笑われようがからかわれようが関係無いんだしさ
――――別に気にしてないよ。君が謝る事でも無い」

【確かに撃たないで済むなんて甘い世界】
【然れど、冗談めかす事も無くその言葉を受けて――――肯定する事だろう】
【きっと、修道女の中には悪や正義の概念が薄く、故に“我が儘”として例えられ】

【ヒラヒラと手を振って気にするなと動作で示しながらもその書類をズイとカウンターの奥へと押し出して】
【まるで持って居ろと言わんばかりの態度。例え固辞しようとも、無理にその場に置くことだろう】


「何にせよ…………其れは君が持ってるといいよ。ボクも大体必要な場所は書き写してるし
君に梯子があるならもっと詳しい人から話を聞けるかもしれないからね
アンジェル本人はどうやら忘れてるようだしさ
ヴァルゴを止める時にAA“らしき人”は見た…………と言うか、その“らしき人”が操縦してたんだけど、今は病院か自警団の詰め所だろうから深くも聞けなくて」

【もう自分は主要な部分を全て書き写している。だから、その書類はセリーナが管理する様にと】
【謂わば託したにしい形。コレを用いて説明するも言葉のみで説明するも、全ては任せられたといった所か】
【お代わりも注がれ、注文通りに隣に来たとなれば――――そして未だ視線を合わせられないとなれば可笑しそうに笑い】


「だから、ボクは気にしてないって。それにさ、ボクからすれば羨ましいんだよねー……ほら、そうやって感情がいっぱいいっぱいになって泣いちゃう事とか
それだけ仲間を大事に思ってる事でもあるし、一匹狼さんには分からない感情だからさ

それで何だっけ。…………嗚呼、思い出した
さっき君はボクの事を人間じゃ無いと言ったよね?――――うん、ご名答
でも、ただ淡々と言うのもつまらないから…………
セリーナ。君は武器に求められるのは何だと思う?

確実に敵を殺せるとか、範囲が広いとか色々あるだろうけど――――銃でも何でも一番は丈夫さだ
ここ一番で武器が壊れたなら何にも出来なくなっちゃうからね。だから、ボクにも其れが求められた
――――つまり、ボクも作られた命。教会の武器って訳さ。何処かの団長サマの言葉を借りるなら、人で無しって所かな」

【視線を合わせる事無く紡いでゆくのは自身の事。先程答えなかった、セリーナの問いに対しての応え】
【グリースとは何か。作られた命であり、教会の武器】
【ちょっとの事では死なない身体である事は、先の傷から分かるであろう】
【人間で言えば致命一歩手前にも関わらず歩いているし、この様に笑っていられる】
【見た目こそ、どこから見ても人間。――――そんな女が、セリーナの横に座っていた】

641名無しさん:2014/02/28(金) 20:01:55 ID:F52AoKs20
【――遺跡最深層〝星見の間〟】
【空から降り注ぐ、星の光。それは、琥珀色の色彩に染め上げられてこの空間を満たし尽くす】
【ぎぃ。軋む車輪の音。部屋の中心に座するのは、一人の少女。――白と琥珀の色彩の、君臨者】

「――始めよう。私の路を」

【ゆるやかに天空に向かい手を伸ばす。――そして、星空を握りしめるように、拳を作った】
【息を吸う。そして、己の異能を――発現する。少女を中心として生み出される、空間の歪み】
【波濤にも例えられようその波は、しかしながら穏やかに遺跡を駆け巡り、浸透していく。その軌跡に回路模様を残して】
【遺跡が鳴動する。――そして、この遺跡に存在する者は理解するだろう。ここが今、彼女の胎内である事を】
【――唐突に、声が響き渡る。小さく、耳元でささやくようなその声は、しかしながら遺跡の全域に確りと響く】

『……私は、私の名は。エインセル・〝アンバライト〟・ゼラズニイ。
〝君たち〟も良く知る、カノッサ機関に所属する者で。所謂六罪王という座に収まる者だ。
……君たちを、私は憎んでいない。君たちは、私にとっての敵ではない。故に、君たちが立ち塞がらない限りは、私は害を及ぼさない。
だが、認めよう。君たちが私の敵でなくとも、私が君たちの敵である事を。故に、躊躇う必要は、無い。
さて――〝私たち〟。君たちは私の朋友であり、私は君たちの助力に感謝をしている。
命令は一つ。私が撤退するまでこの場を守ってくれ。……それ以外は、全て君たちの自由だ。
己の意志に従い、成すべきことを成せ。その先の結末に、決して後悔などしないように。――私も、成すべきことを成させてもらう』

【己の敵と、己の味方に対して、静かに語られる文句。敵にも味方にも、等しく鼓舞の声を駆ける少女】
【――遺跡最深層にたどり着くものを。待つ、待ち続ける】
【琥珀の光の下、白髪、白衣、白いブラウス、白いスカート、白い電動車椅子。琥珀色の瞳の少女は座している】
【琥珀色の瞳は、爛々と強い光を宿し、押せば壊れる如きその身体に対して、異様なまでの強さを見せつける】
【未だ語られぬ、この六罪の女王の意志。ここで暴かれるのか、ここで折れるのか、ここで秘されるのか】
【全ての結末は、神も、この少女も預かり知らぬ所。すべての結末は、未だ未確定――NULL値の未来に少女は思いを馳せる】

「……ダラ、そして〝パターンズ〟。
儀式が成るまで、私を守ってくれ。……ダラ、君の仕事は分かっているね?
……なら、良いんだ。私達は、血盟の元に此処にある。……善だけが絆を持つ訳ではないと――示してやれ」

【己の傍らに控える、黒色の副官。ダラ・ベネディクト】
【豊満な身体をダークカラーのパンツスーツで包み、一つ縛りの艶髪が目立つ帯刀した女】
【そして、銃器を構える5人の兵士〝パターンズ〟。彼らの肉体には、所々に回路の模様が浮かび上がっている】
【全身黒色、フルフェイスヘルメットのその兵士たちは、男女混成ながらも、練度の高さが伺えるそれであろう】
【そして、白と琥珀の六罪王。異名〝アンバーブラッド〟。本名エインセル・〝アンバライト〟・ゼラズニイ】
【この7名が、今宵この場に来たる正義を迎え撃つ、悪の布陣。この布陣を万全と信じた少女は、己の繊手を空に向け翳す】

「――――Blood Line〝Circuit〟」

【天空に向かい、駆け抜ける少女の意志。無数の水晶板を貫き、歪めるその波濤は、宝玉の力を孕んだもの】
【神波の宝玉。――津波を起こし一つの国家を滅ぼした逸話をもつその宝玉から、少女は波動の力として引き出した】
【己の力を存分に伝える、存分に振るう為の補助としてのその力。その波動が駆け抜けるとともに――水晶の天井には回路の模様が浮かび上がる】

「……――来い、私は君たちを、拒まない」

【琥珀色の瞳を茫洋と前に向け。六罪王は静かに手を祈りのように合わせ、ゆっくりとその瞳を閉じていく】
【直後、彼女を守るように副官は前に出る。そして、散会し銃器を構える兵士たち】
【12の眼光が、入り口を射抜く。――今宵の闖入者との、盛大なる戦いを待ち望むかのように】

/*ではイベント開始でございます! 防衛側から順次投下をしていって下さい! 皆様よろしくお願い致します!*/


642名無しさん:2014/02/28(金) 20:05:34 ID:ArtzINQc0
【不落陵墓リジル――遺跡深層?星見の門?】

【場所は既に奥深く。大理石で形作られた巨大な門と、鋭い槍のような装飾が天井に在る、一室】
【名は星見の門と云う。周囲をみれば門の他には石像や様々な装飾が目に止まり、美しく荘厳な造りであった】

【ここに居るのは一人の男、仮面の男。豪奢なマントを羽織ってはいるが、その奥は実に薄着】
【シャツにジーンズという平凡を重ね着したような衣装の、金髪の男が門を撫でながら待っていた】
【他に付き人は居ない。気配もない。強いて言えば、この場全てが彼の?舞台?のような空気が立ち込めていて】


いやぁ、素敵だよねぇ…?僕、もっぱら人の作る芸術品の方が好みなんだけど……
こういう、自然の作り成す景色とも結晶とも違う……そう、原初の持ち得る美しさ?
そんな美しさが有ると思うんだよ、大理石ってヤツにはさ。

だから金持ちは床をコイツで敷き詰めたがるし、個人的に僕も好きだ
人を引きつける不思議な……形容しがたい魅力がコイツにはあるんだ。

君たちはどう思う?子供がそこらに落ちてる黒曜石や、川で磨かれた丸いだけの石ころを拾って
そして喜ぶような無邪気な感情を今、この陵墓に対して抱いているかい?
そうなのなら結構だ。僕と此処で語り合おうじゃないか、武器なんか捨ててさ
分からないのなら……まあそれも構わないよ。理解できるまで堪能すれば良いんだからね

……おっと。そうそう、君たちこの間のテレビは見てくれたかな?
僕の自己紹介さ、折角だからクイズでもやろうよ。問はたったの一つ――…。


        ――――――――さあて、僕は誰でしょうか?


【くるりと振り返ると、見えるのは仮面。どうということはない、舞踏会用の物だった】
【だが此処にまで踏み入った彼らは知っている筈だ、先日水の国で起きた一大騒動を】
【ラグナールの落月。いや、或いは―――「覚えている」のなら、それ以前からか】

【彼は飄々として、楽しげだ。武装も何も無いというのに、何か絶対の安心感を持っているようで】
【それを垣間見せるように、彼と侵入者二人の間でキラリと空間が光を見せた。それは宛ら見えない壁だ】

【そう、その一点――彼の能力についても、彼自信がテレビと言う媒体を使って世界中に?紹介?している】
【それを知ってさえいれば、そうそう彼自身を叩きのめしてそれで終わり、と云う発想には至らぬはず】

【ではどうすれば―?その答えを示すかのように、善と悪を隔てる壁の前に2つの存在が現れた】

【一方はゴーストにも似た、おそらくは女性。しかし芸術的な美しさがあるかといえばそうではなく】
【言うなれば混沌の魔力、とでも表せそうな紫の肌に肌色の光る物が一つ――瞳らしき物があるという】
【些かデフォルメされた下半身の存在しないナニカだった。その肉体は浮遊し、両手は三叉の鍬にも似た形状に変化しており】
【また顔の半分はマリアヴェールで隠されているために、ひどく不気味で滑稽な異相をしているのだった】


フフッ……彼女の名前は?ミス・レアリア?――僕の創作物から生まれた『My Fair Lady』って所さ
本来はとても美人なんだけどね、二面性があってオマケにちょっとばかり気性が荒いんだ。
さあよろしく頼むよレアリア……それじゃあ、僕は僕で身を守るとするかな?


【さて、更に一方だが――これは特筆するところもない、単なる騎士。それもゴーストより後方に居るのを見ると】
【男を防御する保険の意味合いが在るように思えた。とすると、先ず倒すべきはウェディングドレスのゴーストとなるか】
【戦いの火蓋はゆるりと切って落とされた。ゴーストは未だ動かじ――先手は侵入者たる二人に譲られた、ということだ】

/こちらダグラス・マックスウッドです、喋り屋さん&ヒライさんの方、今夜はよろしくですー!

643名無しさん:2014/02/28(金) 20:16:12 ID:CKwgAcf.0
【死の路――】

【遺跡の浅層と中層を繋ぐこの長い階段――今は、道の先が殆ど見えず】
【何故なのか、原因は一目瞭然だった、……大きな生き物がこの場を塞いでいたのだ】

『’まだ水が貴重だった時代、人々にとって雨は"最高の恵み"だった’』
『’乾いた大地を潤すそれは、時には牙を向くこともあった、しかし人々は雨を求めた’』
『’雨が訪れる前によく現れたのは蛙だった、故に人々は蛙を"雨の使い"として崇めた’』
『’その中でも特に強い力を持ち、まさしく雨の使いと呼べる存在が居た、――人々はそれを"神"として崇めた’』

『’それが、"雨雲と稲妻の潤蛙「トラリングス[Tlalingth]」"である――’』

『’……以上、メディアットの"カタリナ・レーション"がお送りしました’』

【――それは大きな蛙だった、体長はおよそ6m程だろうか、体色は水色中心である】
【額から生えるラッパ型の太い角は壷の首のようにも見え、底面や手足の首には稲妻を帯びた雲状の黒いモノが纏われており、それが尻尾のようにもなっている】
【また、雲に覆われていてわかりづらいが顎下からは刺々しい髭が生えていて、真ん丸で大きな眼の上から伸びる硬い眉毛を――何者かが持っていた】

「遺ィ跡と言ィったら……荒ァらす!」
「祀るだァけ祀って結局放ォ置さァれたモノ……そォれを俺様が復元させ、そォして混沌の糧とすゥるッ!!」
「ヒャァァアアーーーーハッハッハッハッハァァーーッ!!」

【それは黒い外套を羽織っていて、頭部から二本の赤い角を生やした、コワモテで奥二重でエルフ耳の、男にみえる者だった】
【身長は約2mの筋肉質な細身で、黒い白目と血の様に真っ赤な虹彩を持ち、ボサボサとしている長い黒髪だ】
【首には紫色の毛のマフラーを巻いていて、黒い褌一丁の服装で、鋭く赤い牙や同じく爪を持ち、いかにも悪魔だと思わせる黒い翼や同じく尻尾を持っている】
【その翼の先端には赤い爪があり翼膜は紫色、尻尾の先の方は紫色で先端には赤い棘があった】

「まァ、こォいつは別の遺ィ跡から回収した奴だァがな、ヒャアハッハッハ……!」

【――蛙に乗り奥へと進むその者は気付いた、己が最も苦手で嫌っているある属性の"におい"に、その上初めて嗅ぐにおいではないことに、】
【そして、その者は……次に会った時には"ぶっ壊す"と言った相手を、そう簡単に忘れられるような存在ではない】

「…………」

【だから蛙が180度横回転+宙返りをして方向転換をしたのだ、眼が鋭くなったのだ、――討ち滅ぼすために!】

/邪禍です、佳乃の方よろしくお願いします

644名無しさん:2014/02/28(金) 20:23:07 ID:bqaXRJC.0
【不落陵墓リジル――生死の境】

【静寂の門扉を越えた先にある、巨大な庭園。】
【その庭園は、半ばまでは季節関係なく植物が咲き誇り、半ばからは全て枯れ果てている。】
【そんな不気味とも思える庭園の中心で自分の隣の地面に能力で作った剣を突き刺し座っている男】

【半袖の服に黒のジャケットを着てい、下に少々長めのズボンを着用】
【ろくに髪を気にしていないのかぼさぼさである】
【特に隠す気もなく服にカノッサ機関の証である逆五芒星刻まれている】

……変わった場所だなぁ、いや不気味って言った方がいいのか?
まぁ、どっちでもいいかぁ。

【そのように座りながら何ごともなさそうにしゃべる】
【ここの守備を任せられて何時間が経過したか、だがそんなことはどうでもよく】
【どのような敵が来るか、どのような正義を抱えてくるかそれは強者なのか、それが彼が興味を持つ唯一のこと】
【そのためならば時間などどれくらい過ぎようと彼にとってはいいのだ】

あの王サマがなに考えてるかどうでもいい、どんな強者がここに来るか
こんどはどんな敵が来る?、ああ、ああ、本当に楽しみだなぁ

【敵が現れる場所を見ながらニヤリとそのように笑って、静かにここにくる敵を待つ】
【座っているとはいえここに彼が迎え撃つ人物が来たのなら彼は静かに立ち上がるであろう】

/リシャール中身ですブライト の方よろしくお願いします

645名無しさん:2014/02/28(金) 20:24:49 ID:RAgYLkdI0
【遺跡第二防衛陣、静寂の門扉】

【此処には特に何かが有るわけでもないが、中央の破壊された門が目立っている】
【まさに静寂だけが包む空間だが、そこに立つ一人の男がいた】
【黒いワイシャツに濃紺のジーンズ、何だか不良のような男だ】
【しかしそのワイシャツの胸ポケットには、機関を表す逆五芒星の刺繍が見える】

ククク……お前を殺れば金がたんまり貰えんだ……!
気絶でもさせた後でゆっくりと消化してやるぜェ……!

【一言で言えば野蛮であった、いかにも悪人といった感じで】
【目の前からやって来るであろう誰かを見定めたのなら、不気味な笑みを浮かべて】

俺の名はアルビノ・ブロス!テメエを腹の中で分解してやるぜ……!
かかってきなァァッ!

【敵の顔が認識出来るほどまでの距離になれば、男の手から何かが湧き始める】
【それはスライムのような、ゼリーのような、液体のりのようなもの……触りたくない】
【半透明で、変幻自在にその形を変える、なかなか妙な能力だ】

/アルビノです、シーナの方、よろしくお願いします!

646名無しさん:2014/02/28(金) 20:25:13 ID:1WzZKwog0
【風の国 〝不落陵墓リジル〟】

【気が遠くなるほどの年月、数えきれないほどの探索、それらを持ってしても未だ大いなる謎と共に佇むその姿】
【まさに、不落の名を関するにふさわしい遺跡といえよう。今、この地に起きている異変は、果たしてその名に最初の土をつけ得るのか】


【遺跡中層〝民の葬列〟】

【遺跡全体の狭間に存在するこの場所は、無数の魂が眠る慰霊の空間だ】
【数えきれないほどの棺桶が並び、静かに眠り続けている。共におさめられた副葬品や財宝、魔道具といった品々が】
【この静謐な部屋に彩りを加えている。足元に散らばる大量の財宝は、ここを訪れるものの機動力を制限する役割も果たすだろう】
【同時に、魔道具が放つエネルギーもここには充満している。それらは、ここに集う戦闘者たちの力を底上げすることにもなるだろうか】


【遺跡全体が戦場となる今宵、この場も踏み荒らされてしまうことになるだろう。だが、ここに眠る死者たちには不幸なことに】
【この場に降り立った悪の勢力は、醜悪にして凶暴な盗賊どもであった】


「ひっひっひっひっひ!! こいつも相当な値打ちもんですぜ、ボス!! 文字通りの宝の山だ!! なあぁ、ブレインデッド!!!」

『ど、ど、同意する』

【不敬にも棺桶を次々に開け放ち、副葬品を取り出しては袋に放り込んでいる男達】
【床に散らばっている財宝も片っ端から拾い上げていく。襲撃に便乗した盗掘行為だ】

【一人は、鉛色の髪をオールバックにした彫りの深い顔立ちの男だった】
【カーキ色のジャケットの上にポケットがいくつもついた黒いベスト、迷彩柄のズボンに黒く厚い軍用ブーツで身を固め】
【両耳と口元には鉛色のピアス、にやついた口から覗く舌の外周にもびっしりとピアスが付いている】
【欲望にぎらつく鉛色の瞳が、煌めく財宝を次々に見定めていた】

【もう一人は、ピアス男の傍らに浮遊していた。それは人間の生首だった。生首が宙に浮かんでいるのだ】
【ごつごつとした厳つい顔つきに、血色の悪い肌。冷たい鉄の如き無表情。くすんだ鉛色の瞳。太い鼻筋に、縦に並んで刺さっている三本のボルト】
【頭髪のない頭からは、頭頂部に向かってねじ曲がるような形で、短い鋼鉄の角が十数本生えている】
【首の断面はすり鉢状になっており、首周りには鈍い光沢を放つ鋼鉄の首輪が嵌まっていた】

【生首男が鉛色の瞳に不気味な光を灯すと、あちこちに散らばっている財宝が生首男同様に空中に浮かび、袋に自ら飛び込んでいく】
【下卑た笑い声を上げながら、ピアスの男も次々に財宝をかき集めていく。奪われゆく、死者たちの安らぎ】


【その二人の奥、部屋の最奥部にもう一人。身長2メートルを超えているであろう、大男がいた】
【薄汚れた灰色の作業着の上に黒いラバー地のエプロン、足には黒いゴム長靴】
【角張った顔付きに短く切り揃えられた黒髪。両の目玉は生気がなく、見ればそれは黒い瞳の義眼だった】

【その額には、面積いっぱいを埋める巨大な一つ目があった。ギョロギョロと動き回り、自身がかき集めた財宝をまとめて床に置く】
【代わりにその太い腕が取ったのは、黒と金がベースカラーの巨大なバトルアックスだった】
【柄の部分のカートリッジに組み込まれた、白いマギタイトが不気味に光る】


……聞こえたな、二人とも。ゼラズニイ様が開戦を宣言された。もうすぐここに、敵が来るだろう
そろそろ、盗賊仕事は終わりだ。六罪王に組する者としての責務を果たさねばならん
何人たりとも、ここを通すな。スカーベッジ、例の物の準備は?

「バッチリですよ、ボス。動作に不安はありやしたが、この場所の魔道具の力が吉と出たようですな」
「この分なら、戦闘にも問題なく使えそうですぜ。ひっひ、楽しみですなあぁ……」

よし。後は敵の到着を待つばかりだな……

【異形の盗賊どもが、部屋の入り口へと視線を向ける。来るべき敵に、相対するために】

/カニバディール&『スクラップズ』です。ライラの方、剛太郎の方、よろしくお願いします!

647名無しさん:2014/02/28(金) 20:39:41 ID:7w00KprU0
>>644

【おそらく巨大な門扉の前には門番が居るのだろう】
【だけど、その人物が他の人と対峙しているのをいいことに、彼女はこっそりと門をくぐる】
【しばらくしてその先にある庭園に彼女は姿を現すのだろう。入り口で足を止め、異様な光景を視界に収める】

【現れた人物は、パールブルーの長髪に同色の瞳、雪のように白くつばのないファーハットをかぶり】
【白いコートと黒いロングブーツを着用している、そんな――温厚そうな顔つきの少女だ】
【大きめのショルダーバッグを肩にかけ、手には〝スケッチブック〟を持っている】

【さしずめ前半が生の領域、後半が死の領域といったところだろうか】
【一定のラインからごっそりと命が欠け落ちた光景は――まるでその境界線上に死神でも居るかのようで】
【いや、実際には居るのかもしれない。庭園の中心に佇む影を見咎めると、彼女はスケッチブックを捲るだろう】


『休憩しているだけ、なんてことないですよね。
 だめもとで訊いてみますが、先へと進ませて頂けないでしょうか。』


【ペンを走らせたなら、スケッチブックを裏返して文字を示す】
【その際、字を読みやすくするためか生の領域の半ばまで歩を進めるだろう】
【スケッチブックは大きめで、文字は特殊なインクにより発光している――きっと読むのには困らないはずだ】

/ブライトです。リシャードの方、よろしくです!

648名無しさん:2014/02/28(金) 20:43:45 ID:vAFUoims0
>>641

―――っは、はっ……そろそろ、最深部の筈だが……
……く、W-Phoneでも繋がらんとは……これも琥珀色の杭……あの影響なのか……?

【慣れない大地を踏みしめ、遺跡の奥へと近づけば近づく程―――より鮮明に肌に感じられる不思議な圧力。その圧力は電波にも及んで、連絡手段は絶たれた】
【薄藍のインバネスコートをはためかせながら駆ける彼、その濡羽色の瞳に見えるは光―――星見の間が見えてきた、その証拠】
【だが、その光が目に入った瞬間肌に感じられる圧力の量―――否、質も急変した。何かが居る、と周りの自然が彼に語りかけて来たが―――】

【その警告に見向きもせず、男は最後の部屋へと突入する。風に舞うコートの右肩に刻まれた緋色の鷹、SCARLETの紋章が彼に静止を許さなかったのだ】

――――ッフー……始めッ……させない……!! ……ッハァ、ッハー……良く分からないが、間に合った……ということか……?
兎に角、直ぐに止めろ……遺跡の異変は、この鳴動は貴様の仕業だろう……!?

―――さもなくば、斬る……一刀正伝唯刃流、中邑瑛月―――SCARLETの名前を背負う者として、何が何でも止めてみせる……!!

【白い長着に黒い袴を履き、薄藍のインバネスコートを羽織った男―――SCARLET、中邑瑛月。彼女の姿をその瞳に刻み、遺跡の鳴動と同時に左腰の刀を抜いて―――】
【―――そして、中心に座する少女にその切っ先を向け、鋭く声を放った。覚悟を、熱さを、意志の強さを秘めた爛々たる眼光を放ち、君臨者を睨みつけ、そして構える】

【上段に構え、相手を探る―――この少女は、何者なのか。見た目は確かに少女だが―――背負う雰囲気、瞳、声。……今迄対峙してきた何者とも異なる、彼女】
【相手を見つけ次第直ぐに跳びかかってやる―――と密かに意気込んでいたのだが、彼女を目の前にして自分から仕掛けることが何故か出来ない】
【―――其処に飛び込んでくる、驚愕の真実。思わず瞳が見開き、小さく「なっ……」と声が漏れた。六罪王―――罪神を除けばトップの権限を持つ強者】
【六罪王と遭遇するのは、彼は今回が初めてだった。いかに凶悪でいかに残酷なのかは、聞かされていたのだが―――その情報が、彼をやや困惑させていて】

―――ならば、立ち塞がるまで。市民に大きな被害が及ぶ可能性は、可能な限り潰す。それが「世界の盾」の役割だ。
(……本当に、六罪王なのか―――!? この少女が……少女なのに―――いや、其処じゃない……可笑しいのは、発言―――!!)

【―――否、彼女が六罪王かどうかなど関係ない。自分の使命を果たすまで―――と頭に言い聞かせ、冷静に言葉を選び少女に返す】
【恐らく格好から、彼女以外の6人が自分の障害となるだろう。視線を落とし、6名へと刃の如き視線を向けると微かに沈身し、自然体に近い上段の構えを見せた】
【―――6人が守る主、つまり六罪王の少女が手を空へと伸ばす。濃厚な魔力が、波動が自然と共鳴し模様を生み出す】

……―――拒まないなら、受け止めて見せろ。能力も大きな魔力も持たない男が唯一つ磨いた牙……武……―――唯刃流をッッッ!!!

【吠えると同時に、間合いを詰めんと駆ける。―――だが、既に「武」は発揮されている。予備動作が無く、上体のブレも無いその疾走―――最初の1,2歩が、消える】
【人の脳が、「動いた」と判断する判断材料―――予備動作。それが無いために、脳の反応は遅れ、結果的に最初の1,2歩が見えにくくなる】
【韋駄天のような速さは無くとも、この1,2歩は大きい。―――正中線を微動だにせず滑るように距離を詰め、中央の彼女へと接近するが恐らく6人の誰かに阻まれるだろう】

【―――だが、構わない。寄らば斬るの、その姿勢。止めようとした敵に対し、極限まで無駄をそぎ落とした袈裟斬りをその右肩に放つだろう―――!!】

/瑛月中身です、よろしくお願い致します!

649名無しさん:2014/02/28(金) 20:45:06 ID:3HA7Kbp60
>>642

【―――強大な敵を前に、攻撃側として雇われた少女は黙ってその話を聞いていた】
【共感は出来るのだ。それは相手がどうだからということは関係なく、ましてや自分だからということでもなく】
【やや見知った顔が近くに居ようといまいと、今はまだ意識は敵である彼へと向いていて―――】

『――――――分からなくもない、ってとこかな』
『自然の美しさに好感を持つのは万人共通だと思うしね…かくいう私もその一部だよ』

【自分の立つ場が戦場であると分かりつつも、肯定と取れる意見を彼へと投げるのだろう。響く声色は、まだ優しげだ】

『でも、だからって美に浸ってる場合かしら。流石にTPOってものがあるんじゃないの―――ダグラス・マックスウッド』

【ただしそれは、こんな緊迫した場面でなければ―――という前提の話で】
【無表情でありながらも、眼前の敵を見据える。あるいは睨むように、少女はその敵意を仮面の彼へと向けた】

『カノッサ機関の六罪王が、揃いも揃って何をしでかすのかと思ったら…まさか、遺跡鑑賞なんてことないでしょう?』
『ちょっとばかし豪勢過ぎるんじゃないの…君らが何を企んでるのかは知らないけどさ、止めさせてもらうよ』
『そのボディガードがどれだけ不気味で、手強いヤツであってもね――――!』

【少女は、とても不思議な喋り方をしていた。まるで腹話術のように、その口を閉ざしながら言葉を紡ぐのだ】
【細い喉に当てられた華奢な人差し指、それがただの癖でなく能力である、ということに気付くのは些か難しくはない】

【―――グレーのフリルブラウスと着崩した黒いカーディガン、黒のジーンズと茶色ローファー】
【腰には細い革ベルトをブラウスの上から巻いて。黒く光の無い、だがそれでいて素直な瞳。背丈は160cm程か】
【大きめなライトブラウンのキャスケットを被った金髪ショートカット。現れたのは、闇に溶けてしまいそうな暗い配色の少女】

【―――少女は前方、彼の前にある壁らしきものを見る。どうやら、彼自身に攻撃するのは難しそうだ】
【その判断は素早く、現れた二つの影へと視線を向け直す―――がしかし、彼女は依然、棒立ちを続けていて】


『じゃあ、一人の芸術家である君に、聞いておこうかな。ちょっとした、好奇心の話さ』
『さっき言ったみたいに、自然の美しさっての――――だったら、“コイツ”も美しいと思わない?』


【敵意を向けている割には悠長に長話を続けている―――なんて思うだろうが、それは全くの逆】
【その不思議な喋りの合間、彼女の近くで出現し浮遊しだした「赤色の魔力」は紛れもない彼女の攻撃、その前兆】
【魔力が生みだしたるは「炎の球体」―――それも、人を半分くらいは飲み込んでしまいそうな大きさであった】
【真っ直ぐな軌道でそれを、レアリアと呼ばれた異形へと放つ―――相手はかの六罪王、手加減は無しと言った風で】

/喋り屋中身ですー、ダグラスさんの方、ヒライさんの方、よろしくお願いしますー

650名無しさん:2014/02/28(金) 20:53:25 ID:u1BkeEnA0
>>645

【静寂の門に、重い足音が響き渡る】
【闇から抜け出るようにして男――アルビノの前に異様な人影が現れた】


「――ほほう、どんな者が待ち構えておるかと思えば」
「今日の相手は随分と"らしい"格好をしておるものだな」


【身長の頃190を超えるだろうか?】
【漆黒の外套を羽織り、緑色の法衣のような服を内に着た男だ】
【服の上からもその逞しさが伝わる、太く筋肉質な身体をしており】
【手には体躯に見合う大きなバトルハンマーを握っていた】

【その男の異様な部分は、肩を見れば判るだろうか】
【肩からは漫画のフキダシを思わせる"ボード"のような物体が生えており】
【声を発さず、代わりにボード上で黒い粒子が蠢いて文字として言葉を表していた】


「しかし、こういった輩の方が気兼ねなくぶっ飛ばせるというものよ!」
「ククク……名も知らぬ悪党よ」
「貴様に恨みはないが、このシーナ様の英雄譚の一ページになるがよいのだ!」


【男――シーナは、バトルハンマーをアルビノに向け】
【どこか容姿とはそぐわぬ口調でそう宣言すると……戦闘を開始した】

【腰を低く落とし、バトルハンマーを担ぐようにして構えると】
【「ふん!」と文字を表示させながら、ハンマーを"その場に"叩きつけた】
【瞬間、爆音と共に前方の地面が陥没し――魔力が流れ出す】

【アルビノから左右30cmほど離れた"地面"がボコ……と凹む】
【狭い円周状に地形が"分解"粒子状に変換されたあと再構築】
【瞬く間にそれは槍のような形状となって、左右からアルビノに向けて伸び突き刺さろうとするだろう】

【槍は岩石程度の硬度であり、ある程度の威力の攻撃であれば破壊が可能であり】
【また、発生までにタイムラグが存在するため避けることも難しくはない】
【射程は約2m程度、到達した時点で槍は伸びるのを止め、命中しなかった場合砂のようになって地面に落ちていく】

/よろしくお願いします!

651名無しさん:2014/02/28(金) 20:54:19 ID:SbMyfX/s0
>>643

【不落陵墓リジル、遺跡浅層?死の路?――――】

【長い長い階段を、下から登ってくる人影がひとつ。周囲は外壁によって閉ざされている、多少距離は遠くとも、流れ出る声は良く響いた】
【仰々しい名前の示すとおり、そこは普段なら誰も近づかない場所なのだろう。瓦礫のように散らばる武具の残骸が、明確に?死?を連想させる】
【例えあの?六罪王?が関与しているとあっても、並の覚悟であれば尻込みしてしまう。そんな闇の中を行く、この人影の目的は――――】

――――――臭う。

【上る階段の先に、満ち満ちる死の気配――――それを途中でせき止める?邪?の気配。彼女は一段一段ごとに、それを?聖?によって塗り替えていった】
【少女は「?招?」と小さく呟いて、符を持った左手を中空に翳す。直後、その周辺の空間が闇をも曲げて歪みを生じ、一振りの薙刀が呼び出されるだろうか】
【浅い反りと波打つ刃紋、散りばめられた金剛石の破片が輝く玉鋼製の刀身に、赤い縄による意匠と金箔で描かれた紋様を持つ柄で構成される、そんな美しい武器だ】
【ざわり、と空気が揺らぐ。少女の全身から白色の力の波が沸き立ち、闘志と共にその体を覆ったなら、直ぐにその正体は判明するだろう】

こんな辺境までやって来て、出会ったのが雨の?神?とはね。
私の仕える聖の龍神と、一体どちらが強いのかしら――――ねぇ、悪魔?

【――――?神気?という名の力に覆われて現れたのは、黒いブレザーにチェック柄のプリーツスカート、赤いネクタイという学生服に身を包んだ少女だ】
【白い肌とうっすら紅に染まった頬、短く切り揃えられた眉に枝垂れるように長い睫毛が特徴的。漆で染めたような黒髪は、日に焼けてほんの少し赤紫色を差す】
【やや長めの前髪、顎までで揃えられたもみ上げ、胸までの長さの後ろ髪と、そのすべてが一直線に揃えられた髪型をしており、艶やかな黒が歩くたび嫋やかに揺らいだ】
【そして何より、あの時と変わらない?神聖?なる雰囲気――――いや、否。彼女の纏う光の力は、以前よりもずっと高まっているはずだ】


そう言えば前回、名乗り忘れていたわね。
――――私の名は、幸徳井佳乃。神気に焼かれて地獄に落ちながら、せいぜいこの名を刻んでおくことね。

【そうして、少女は。巨大な蛙と悪魔の目の前まで辿り着くと、いつか必ず滅すと決めていた宿敵へ、強気な挑発と共に己の名を投げつけた】
【同時、薙刀の刃紋に沿って、天を目指す龍のように白色の力が滾っていく。事ここに至って、最早言葉など必要あるまい――――】

【現在地は、そちらが階段の上側、佳乃が下側の状態だろうか。佳乃は階段を二段使って半身の構えを取ったまま、こちらから仕掛ける様子はない】
【だが、しかし。ゆるやかに構えられる薙刀、沸き滾る聖の力、少女が浮かべる不敵な笑み。それら全てが、無言で?戦?の始まりを告げている――――!】


/幸徳井佳乃です、本日はよろしくお願いします!

652名無しさん:2014/02/28(金) 20:55:29 ID:shaFXvRY0
>>641>>648

【不落陵墓リジル──遺跡最深層〝星見の間〟】
【透き通り突き抜ける天井の彼方、夜空を見上げればさぞかし美しいのだろうが……】
【琥珀の杭───彼方に聳えるそれは、神秘的ながらも不気味でもあった】

【そこへ新たに辿り着いたのは、男。黒い軍服と制帽を乱れなく着込み、胸には何処かの自警団のバッジ】
【長めの金髪をヘアゴムで一纏めに、もみあげの二房は長く垂らしたままにして】
【身体の周り、宙を漂うのは無数のトランプ。全てが男の動きに連動するのは、能力か】

(通信は…………切れた、か。この感じ、何かの干渉を受けてるってところか……?)

っと……自警団、及びUNITED TRIGGER所属、ディハート・グリムジャック。
そこのお嬢さんが六罪王?できれば大人しく捕まってほしいんだが──流石にそれはない、よな。

【視界に捉えるは今回の首謀者、〝アンバーブラッド〟の名を持つ六罪王。そして、その配下の者達】
【あのカノッサ機関の幹部ともいえる存在を前にしようと、遺跡に何が起ころうと、】
【ここで今、やるべき事は一つ。〝正義を貫く〟、それだけだ】
【故に、男──ディハートは、言葉を繋げる。己の意志を、明確にする為】

お嬢さん、君が何を目指してるのかは知らないけど、機関の行いを黙って見過ごす訳にはいかねえ。
だから───俺は立ち塞がって、敵になる。ケガしても、文句言わないでくれよ?

───中邑 瑛月?UTの名簿にも名前あったか──ってそれはいいんだ。
大の男二人で女の子の相手、って感じだったら気が引けるが、向こうは大勢。
戦況的には知らねえが、気分的にはありがたい──とにかく何だ、ヨロシクな!

【この場のもう一人の正義、瑛月へと、駆けていく背中に言葉を投げて】
【表情を引き締め、向き直れば───“敵”へと放つは赤のスートを持つトランプ】

【最初に狙ったのは、5人の〝パターンズ〟。それぞれに2枚ずつ、肩の辺りを狙いとして】
【直線的な軌道ではあるが、瑛月の攻撃への介入を妨げる事も目的の内。こちらへの対処に気が向けばそれで幸い】

【とはいえ、大気を裂いて飛んでいくカードは、紙とは思えぬ硬度で以て刃の様に襲い掛かる───!】


/ディハート中身でございます、お二方とも宜しくお願いします!

653名無しさん:2014/02/28(金) 20:57:29 ID:nHw81SMw0
>>642

【足音がやって来る。革靴よりも重い。ラバーソールのブーツの踏みしめる音だ】
【合わせて、薬莢が2つ。カランカランと大理石の床の上を転がった。…元折れの水平二連式散弾銃】
【片手で撃てる小型のもの。人物はジャケットのポケットに手を突っ込んでみたが弾薬は既に”カンバン”だ】
【銃を投げ捨てて、スラックスのベルトに挟んだ銀色の金属のリボルバー拳銃を右手に握りしめた――『READY』】

【男はこのような場所に不釣り合いな黒いストライプのスーツを着ていた。目には黒いレンズのサングラス】
【白シャツに細身の黒ネクタイ。喪服にしては気取りすぎている。そして簡単なリュックサックを背負っていた】
【リュックサックの中身はシンプル。輸血パックが何個か入っているだけだ。あまり、嬉しくはない保険だった】

【リロードが終われば、口にくわえていたチビた煙草を指で摘んでそこら辺に投げ捨てた。…男はこの荘厳を汚す】
【暫くは煙草を吸わなくても大丈夫そうだ。所在のない空いた片手は軽く拳を握って。緊張が肌で感じる】
【彼はかけていたサングラスを外して、胸ポケットに収めた。大理石は明るすぎる。だが、今はこの目が頼りだ】
【白眼は赤く、瞳は黒黒と。手配犯がこんなところにいるなんて今は誰も構いはしない。―――『STEADY』】

…生憎、俺はコイツを真っ黒に塗りつぶしてその上でダンスするのが趣味でね

【適度な距離で男は立ち止まる。特殊な目は辺りをぐるりと見回して目の前のゴーストで止まった】
【彼のしゃがれた声は酷く冷静で、相手の問いかけにプログラムで適当に返す人工無脳のようだった】

アンタとは大分…それなりに縁があるようだけれど……まあ…どうだっていい。ベルが鳴るまでドンパチやって
金もらって帰るのが俺の仕事だ……悪いな。正義の味方じゃなくて。……伝言ぐらいなら伝えられるけど?

【クックックと軽く顔を背けつつニヤけるように笑えば銃をゴーストへ向けて】


>>649

嬢ちゃん、悪いが俺は敵の弱点見破るようなタマじゃないし…ロクな能力もない
馬鹿みたいに鉄砲ぶっ放すだけだ…まあ、せめて…地獄で降る雨よりも強くやってやるさ

【親指で撃鉄を起こす。白銀の銃身は薄く朱を帯びて、全体に彫られた装飾用のエングレービングには】
【濃く赤…血の乾いたような赤が流れクッキリと浮かび上がっていた。独りでにシリンダは周り――――『GO!!』】

【幕開けを知らせる銃声は真っ直ぐにゴーストへと向かっていった】


/ヒライです。ダグラスさん、喋り屋さん、本日はよろしくお願いします!

654名無しさん:2014/02/28(金) 21:01:05 ID:Qa8AXHgU0
>>646


「―――六罪王の、ゼラズニイ……とか言ったか。前にも1回戦闘を起こしたみたいだが……」

【三人が蹂躙する陵墓の中層、〝民の葬列〟。彼らの声に、ガシャリと地面の財宝か何かを軽く蹴飛ばした音と共に、一つ異質が混じった】
【頭に被るのは、魔女のような大きな紫の帽子。カジュアルな服装の上に羽織るのは、同色で縁に金色の刺繍が施されたローブ】
【そして左手に持っているのは、『男』の身長程もある大きな木製の杖。詰まる所、それはお伽噺の魔法使いの様で】

【―――そしてその姿は、彼らと再三戦闘を繰り広げてきた男の姿に他ならないだろう】

「……まー、今はそのゼラズニイはどうでも良い。目の前の敵を倒すしか俺には出来ねーからな。
 それより……」

【男は彼らと……いや、前方の二人とある程度距離をとって足を止めた。邪魔な足元に散らばるものは、やはり軽く蹴っ飛ばして】
【足元への不安があったのか、少し下を見ていた顔を彼らへと向ける】
【一人……浮遊する生首の彼は見たことがなかった。しかし、残る二人は記憶に強く残っていた】
【―――特に奥に控える大男は。何度も何度も顔を合わせてきたのだから半ば当然とも言えるが、とにかく】

「カノッサが絡む事件だ、絶対にテメーらは現れる……俺の予想は当たったわけだ。『スクラップズ』さんよ。
 そんでもって――――――カニバディール。テメーもな」

【彼らから見えるこの男の表情は、以前と全く変わらないだろう。相手を必ず打ち倒す、そんな意志が透けて見える様な挑戦的な笑み】
【左手に持った杖をゆっくりと上げ、その頭を前方の彼らへと向ける。その明らかな敵対行為に彼らが反応してもせずとも】


「さーて……今度こそテメーらの首とってやるよ。……"カノッサ機関ハンター"の、ライラ=フェルンストレームがな!!」


【男はそう声を張り上げて、何度目かの射殺すような視線を彼らへと向けるのだった】

/ライラです。カニバディールさんの方、剛太郎さんの方、今日はよろしくお願い致します!

655名無しさん:2014/02/28(金) 21:15:20 ID:F52AoKs20
>>648
【最後の部屋へと躍り込む、インバネスコートの男。それを迎え入れる、純白の六罪王】
【名乗り。そして、向けられる強い戦意、意志。それを受けて、少女は口元に僅かな微笑みを浮かべてすら見せる】
【静かな会釈。友好的な雰囲気すら漂わせるこの六罪王は――しかしながら、悪の権化。その一柱を担う存在だ】

「――初めまして中邑瑛月。……その通り。
この私が君の敵。そして、――この異変も、この鳴動も全ては私の起こしたことだ。
……君が来るならば、私は命ずるよ。――――?私達?よ」

【少女が返答をする。欄と輝くその瞳――その様は、ブレることが無い】
【無機質に感情を見せることのないその瞳、そして部下たちに意識を向ければ、空間がざわりと揺れる】
【直後。彼らが皆一歩前へと歩む。身体に浮かぶ琥珀色の文様を輝かせ、全てが?六罪王と同質の存在感?を感じさせながら】

「先へ」/「前へ」/「進み」/「貫く」/「為に」/「我々は」/「戦う」

「――試すんだ。私がこの世界に何が出来るかを。私がこの世界に生まれてきた意味を。
……その為の障害ならば、私は叩いて潰して前に進む。それだけの事。それだけを、成せ。私の端子よ」

【微塵も乱れぬその言葉。ここに居るのが真に悪かは定かではなく、しかしながらここに居る者が引く気が無いのもまた確か】
【――構えを取る剣士。起こる初動。それに対して、?影?が動いた】

「……ッ、六罪王エインセル。?武?の代行筆頭……!!
ダラ・ベネディクト――――任された命は、命を賭して遂げさせてもらう…………ッ!! 故に――――死ねッ!!」

【――金属音。黒色の刀身には、びっしりと浮かぶ回路模様。その黒色の双眸は次第に琥珀色に染まりつつ有る】
【苛烈なまでの戦意。それを持ってして、女は瑛月の刃を受け止める。ぎしりと軋みを上げる。――その初動に、対応してみせた】
【六罪王と重なるその双眸。それが俄に細められた直後――つばぜり合いを離すべく、前蹴りが放たれる】
【大地を振動させながら放たれるその蹴りには、虚実が無い。何の迷いも何の淀みも無い、ひたすら一直線のその襲撃は、愚直な武の体現】
【何も考えず剣を振り続けなければ、何も考えず五体を振り回し続けなければ至らない――――荒く削られた巨岩の武】
【それは技の対極。袈裟斬りを1億回繰り返せば必殺技になると信じて振り続けた、純粋なまでの武に対する信仰が生み出す、白痴の武】
【虚実無し、細工無し、迷い無し、弱さ無し。――――?ただの蹴り?が?奥義?となって相手へと迫った】
【が、瑛月であれば防ぐことも回避することも可能だろう。単純な前蹴りは、速度と威力と練度が脅威であるだけの、唯の前蹴りだからだ】

656名無しさん:2014/02/28(金) 21:15:33 ID:F52AoKs20
>>652
「初めましてディハート・グリムジャック。ああ、私が六罪王だ。
……らしくないとは良く言われるが、一応矜持という物はある。
おとなしく捕まるつもりも無い故に――君たちの暴力から私の身を守らせてもらおう」

【静かな瞳。それが、ディハートを見据える。穏やかな、客人をもてなすかのようなその気配】
【しかしながら、男が戦意を見せた瞬間に、空間を歪ませる存在感が発露する】
【ここに居るのは六罪王。それだけは間違いなく――――ディハートがトランプを引き抜けば、少女は掲げた手の一つ、右手を〝パターンズ〟へ向ける】

「〝パターンズ〟。それぞれ個の意志を放棄、統合人格〝パターンズ〟としてコネクションを確立。
統合意識の接続を完了し次第――――連携行動を開始すること。では、私は儀式を続けさせてもらおう」

【空間を泳ぐ異能の波。それが、5人の兵士に干渉すれば、直後に彼らの存在感が六罪王と同質となる】
【一斉に乱れぬ動作で、銃を構える。3人が後衛。2名が銃器をしまい込み、両手にナイフを引き抜き、駈け出した】
【駆ける二人がナイフを振るい、カードを弾く。一枚が捌ききれずに脇腹を裂こうとするも、それは後衛が撃ち落とす】
【前衛が事前にカードを払い落とし、後衛が撃ち漏らしを叩き潰すその対応。互いの連携が、異質とも言える正確さを発揮する】
【軍隊でもこうは行くまいというその連携、個の意志が欠如しているかのようなその不気味さ。否、彼らは5人という個なのだろう。軍隊ではなく群体なのだ】
【それでも対応しきれぬ、撃ち漏らしのカードが2枚後衛に襲いかかり、ボディアーマーを貫き、鮮血を零す。その負傷の応急処置に後衛1名が移行】

【無傷の前衛は、その加速を増す。――真正面から突きこまれるのは、両手の二刀。みぞおちと腹部を貫こうとする一撃は、直線的で対応は不可能ではない】
【――同時。その前衛の背を駆け上がり、真上から迫る〝かかと落とし〟。その踵からは仕込みナイフの刃が飛び出す】
【一言の合図も、一瞬のサインすらない、一般兵のその連携。そして、脇への移動を塞ぐように放たれる3点バーストの鉛弾】
【決して前へと進めはしない。そんな意図を感じさせるようなそのコンビネーション。しかしながら、後ろに下がるなり何らかの手段で防ぐ事は可能だろう】



657名無しさん:2014/02/28(金) 21:17:17 ID:RAgYLkdI0
>>650

はっ……!随分とたんぱく質が多そうな身体だぜ。
見かけ倒しじゃなければ良いんだがなァ!

【そんな挑発を吐くと、アルビノの腕には完全にゼリーが纏わりついていた】
【ハンマーで地面を叩くと、アルビノの周囲を大地の槍が挟みうちにする】
【アルビノを突き刺そうと遅い来るそれらだが、彼は避けようとはせずに】

……この程度……!俺の能力の敵じゃねェぜ!

【ゼリーで直ぐ様 自身を包み込み、槍に対しては盾の形状に変化したゼリーで応戦する】
【貫くどころか表面に軽く突き刺さる様子を見ると、ゼリーはその強度も変化させることが出来るらしい】
【攻撃を受け切り、槍が消えたのなら彼は腹の立つ顔で】

こんなんで倒せるわけねーだろーが!
お前じゃ俺にはどうやっても勝てねーぜ、ゲヘヘッ!

【そしてスライムがまたうねうねと動いたかと思えば、シーナに向けてゼリー弾を放つ】
【一見して柔らかそうだが、実際の強度は岩石並、それを連弾のようにして撃ち出した】
【速度は投球マシーンから放たれるボールと同じ程度、それが合わせて5〜6弾ほど】

【良く見れば連弾であっても対処することも可能だろう】

658名無しさん:2014/02/28(金) 21:18:04 ID:.EYXGKEY0
>>646

【―――ずる、ずる、と音を立てて、盗人たちが群がる遺跡の内部、その墓地へ新たな遺骸を運ぶかのように】
【大きな棺桶を引きずりながらその場に、二人の敵の内、一人が駆けつける】
【彼らの目に飛び込んで来たのは……どこかおっとりした印象を与える線の細い"優男"、とでも表現できそうな若者だった】


―――よお、お前たちカノッサ機関の手の連中だよな
六罪王の命令で動いている戦闘メンバーって所かな、そこそこやりそうな体格してるしよ

「……墓場泥棒とはバチ当たりな野郎共じゃのう、おい若造共、『襤褸は来てても心は錦』って言葉をしっちょるか
みずぼらしい姿に成り果てようとも心意気までは落ちぶれるなっちゅう意味じゃが……そう、どんなに貧しくとも
人様の、それも死んだ人間の墓に捧げられた気持ちのこもった物を盗ろうなど人として恥ずかしいとは思わんのか?」


【柑橘系の整髪料の匂いが漂うさらっとした茶の短髪にきりっとした目に真っ赤な瞳に整った鼻筋】
【水色の質素な短袖シャツを白い柄シャツの上から羽織り、ひざ下まで伸びた黒よりの灰と黒のストライプのハーフパンツに赤のスニーカーの青年】
【肩にはリュックサック風のバックを持ち、首には赤いマフラーを巻いている】

【そして、その青年が引きずってきた棺桶の上に居座る赤茶色の体毛に覆われたトイプードルがちょこんと腰掛けており】
【その愛くるしい見た目とは裏腹に……まるで初老の男性のような声色でその墓前の盗人たちに喧嘩腰で説教を叩きつけて来た】

【整った顔立ちで柔らかく微笑む青年、しかしどこか自信に満ち溢れた目で真っ直ぐ見据えながら】
【懐に手を伸ばし、中から六角形のやや大きめな錠前を手に持ちながら彼は言う】


おまえたちに指示を送ってる、エインセルだっけ?そいつの目的はよくわからないけど……
俺たちに堂々宣戦布告叩きつけて喧嘩を売ってくるなんていい度胸してるよなアイツ

―――とりあえずだけど売られたケンカは買うよ。やるからには徹底的にぶちのめす


【―――その柔らかい形の目元が、変わる】
【盗賊たちの脳裏に浮かびあがるイメージは、抜き身の人斬り包丁―――鋭く、静かな威圧を込めて睨みつけながら戦闘態勢を取る】
【一方、彼の連れて来た子犬が辺りを見回しながら、ひく、と鼻を動かして場の空気を感じ取っている】


「……剛の字、この空間全体に魔力磁場、一種のパワースポットができちょる
ワシやローブの若造>>654の魔術も地形効果により増強が見込めるじゃろう、よってお前は難しい事を考えずに
存分に暴れる事だけを考えい」

わかった、今日もまかせたぜムク
……じゃあいくぞライラ!―――『葉隠流』、剛田 剛太郎……推して参る!


【ぱちん、とムクと呼ばれた犬が己の首輪から赤い宝石の付いた鍵を咥えてはずし、剛太郎の手元に投げると】
【彼は無駄のない動きでその鍵を右手で掴み、盗賊たちの方向へと足を運んでいくだろう】


/剛太郎です!お二方、本日はよろしくおねがいします!

659名無しさん:2014/02/28(金) 21:23:02 ID:bqaXRJC.0
>>647

【一人の女子が現れたとき、それを目撃した彼は静かに立ち上がる】
【隣に刺しておいた剣を抜き出し、それを目の前に来た彼女に対してむける】
【彼は彼女から見れば死の領域といった場所にいた、座る場所はどこでもよかったのであろう】

はっ、わかってんなら、聞くなよ時間の無駄ってやつだ

【鼻で笑い、彼女の問いに対して明確な拒否をする】
【当然だろう、彼もまたカノッサという一つの組織の構成員、ならば妨害するのは当然である】
【そして、この彼女がどのように?強い?のかそれにも興味がわいているのだ】

しっかし、ここに来たのがガキかよ、はぁ、ちょいと残念だ
……そうだなお前は?強い?のか?

【彼女を見てからの彼の言動は最初の方こそはまだ子供っぽいという自分本位の価値観でしょうしょうらくたんし】
【あとから少し考え強いのかとそう彼女に対して聞いたのである】
【彼が基準とする強さはなにも能力や戦闘能力だけではない】
【メンタリティの強さ、信念の強さ、そのようなことも含むのだ】
【だがいきなりそのようなことを聞かれた彼女には意味不明に聞こえるかもしれないが】

まぁ、今はいいか、ここで戦えば自然とわかるもんだ
んじゃ、まぁ――はじめようか楽しい楽しい戦いってやつおよぉ!

【最後に言葉を言った後に足に力を入れて彼女に対して接近しようとしていく】
【だが、その前に剣を握ってないほうの手に一本のナイフを生成して彼女に向かって投擲する】
【そのナイフは牽制であり、相手が回避か防御か迎撃か――それを見るためのものであった】

660名無しさん:2014/02/28(金) 21:26:37 ID:ArtzINQc0
>>649

おや、本当かい?それは良かった、君とは話が合いそうだ
それに君はとても不思議な話し方をするし、そういう意味でも飽きない人だね。
あと、は……そう、初めまして?僕を知っていてくれるとは嬉しいよ。よろしく、お嬢さん?

―――それで、ソレの美しさが理解できるかって問いだったっけ?

【先ず一人目の相手は少女。その話し方に興味を示しつつ、男は――】
【〝ダグラス・マックスウッド〟は、平然と会話を続ける一方で、レアリアが動き】

【己と、そして背後の騎士と主とを守るために自ら巨大な火球へと向かって行って】
【何をするかと思えば、三叉の両腕で火球を受け止め、腕を突き入れ、そして左右に引き裂けば】
【全身に火傷や煤や焦げを作りながらも、異形は異色の顔色一つ変えずに尚も浮遊を続けていて】

答えるなら……僕は火球よりも、同じ火であれば焚き木の方が好きでさ
パチパチと音を立てながら時折崩れるんだ、篝火が。そういう経験、あるかい?
無いなら今度やってみると良いよ。あぁ僕、『生かして帰すわけには』とか、言わないからさ。

【仮面の奥で見えずとも、その語調で分かるように彼は笑い――カラン、という音に視線の先を変え】

>>653

――君とは以前も会ったよねぇ、その時もエインセルの作戦の時だったけど……
今日は〝彼〟は居ないよ。というわけで三人仲良くやろうじゃないか、ダメ?

ふふっ、まあ良いじゃないか――そっちの彼女の言葉に返すようなもんだけどさ
僕ってエインセルとは友達で、彼女の作戦に参加するのは正直義理みたいなトコロ、在るんだよね。
別に誰を殺すわけでもなければ、お互いにどれそれを成し遂げたいから協力しようってワケじゃない
ただなんとなく力を貸したくなるからそうしてる。で、今回だって単に時間を――あぁ、まったく気忙しいねッ――!

【ズガァン!という銃声が周囲に響き、その弾丸はゴースト・レアリアの腹部を捉えた】
【こぼれ落ちるのは血の代わりに黒い霞のようなもの。どうやら、幽霊のような見た目のワリに――】
【効力があるのは物理的な攻撃らしい。それでも効き目は人体よりも薄いと見え、僅かに呻いたレアリアは―――!】

>>ALL

―――さあ、役者は揃ったね。生憎と美を理解するものとしないもの……いや、独自のセンスを持つ者、か
そんなメンバーが揃ったんだ、華麗に行こう!さあ先ずは〝お返事〟だ――…ミス・レアリアッ!

【ダグラスの声が響くと、腹部から霞を垂れ流し、両腕を焦がしたゴーストが悍ましい叫び声を上げ】
【直後、打って変わってくるりと回る。無い足をもカヴァーするドレスの裾がゆらりと動いて、大理石に影を落とした】
【すると――その影が大理石の中を這いまわるように二人の侵入者の周囲へ向かって進んでゆき】

【やがて彼らの足元にたどり着けば三方に別れ、瞬時に三本の長剣と化して地面から突き出し、相手を貫かんとするだろう】
【些か地味だが攻撃性は強いものだ。避けずに居れば全身の風通りがさぞ良くなることだろう】

【――それから、影の一部は天井にも向かった。そのせいかわからないが、槍のような装飾には明かりが灯り】
【まるでシャンデリアのようにおぼろげな光を周囲に広げながら、しゃらんしゃらんと揺れては鳴った】

661名無しさん:2014/02/28(金) 21:28:59 ID:CKwgAcf.0
>>651

「ちィ、気ィに食ゥわねェ臭いがすゥると思えば……やァはりテメェーか……!」

【ギロリ、と悪魔は相手を睨みつける、それと同時に張りあうがごとく邪悪なにおいを放出して】

「ククッ、……聖の龍ゥ神だァろォーと何だろォーと、俺様はぶゥっ壊す、テメェー"ら"をな」
「――俺様の雨神が喰ゥらってくれよう!」

【――悪魔は感じた、身の毛がよだつその聖があの時より高まっていることに】
【ギリィ、と歯がこすれ合う音がした、何故なのか、それは悪魔が自称する自分を唯一の退けられる方法なのだ】
【――だからと言って怖気づく訳にはいかない、己の求む混沌を得る為には滅ぶ訳にはいかない、だが此処で退く弱さは持っていない】

「――人間共の名ァを覚える気ィはねェ、まァしてや"聖"となァればな……俺様は"悪しき闇"の邪禍様だァからな」
「ククッ、あァいにく俺様は"地ィ獄からすらも"追ォい出された身ィでなァ、……"聖はとォもかく"堕ォちるに堕ォちて堕ちきィった俺様を落ォとすなァーんて」

【蛙の口部がゆっくりと開けば、二股に割れた長い舌が見えて、円錐状の牙がずらりと並んでいて、特に2本の鋭い犬歯は眼を惹いて】
【――そして、吐き出されるのは黒い雲の塊で直径50cm程度だろうか、しかし狙いは現在地から真っ直ぐであり、どうあがいても当たる要素はない】

「――無ゥゥーー駄な事よッ!!」

【だが、"雨神"と言う事を予め知っているのであれば意図を察せるかもしれない、その黒い雲の塊が少女の真上付近に差し掛かれば――】
【そう、降ってくるのだ、"雨"が、数秒の間だけ。】 【無論、ただの雨な訳はなく――鋭い水の短槍と行っても良いだろう、つまりは槍の雨である】
【一つ一つの威力はそこまででは無いものの、無数に降り注ぐそれを全て無防御で浴びれば――そこに残るのは、"穴ぼこチーズ"だ】

【迫る速度は台風の如き速さだが、迫るにも降るにも距離がある――故に、防御や回避の時間が無いわけではない】

662名無しさん:2014/02/28(金) 21:43:01 ID:u1BkeEnA0
>>657

「むぅ、思った以上にカチカチなのだ!」
「貴様のような穢らわしい輩には近づきたくないが仕方ないのぅ……」


【地面の槍は防がれると砂のようになって散っていく】
【シーナはスライムの高い防衛能力と、その性質を観察しながら】
【足を前後に大きく開き、バトルハンマーを担ぎ直すと】


「……私が直接叩き潰してやるのだ!」


【アルビノに向かい"移動"を開始した】

【その"移動"は、常人の其れとは全く違う奇怪なモノであった】
【シーナの周囲の地面が崩れて砂状になり、その砂が前方に向かい河のように"流れ出す"】
【足を一切動かさず、地面を操作することによって高速で前進する】
【それはさながらホバー移動のようであろうか】


「ハッ――豆鉄砲など物の数でもないのだ!」


【アルビノに向かい疾駆しながら、シーナはハンマーを振り回す】
【それによって最初の3発を明後日の方向に叩き返し】
【1発がシーナの肩を掠め外套を後ろに吹き飛ばす】
【残りの弾を、細くくの字を描くように足元の地面を変化させて】
【移動経路を変更し、身体をずらす事で回避に成功する】

【外套を吹き飛ばし、肩に命中した際……血液や皮膚ではなく微かに砂のような物が周囲に散らばった】
【それに気づくことが出来たならば、"シーナの身体"に気付く要素にもなるだろうか】

【シーナはアルビノに向かい近接戦闘を挑もうと試みる】
【接近することに成功したならば、シーナは太い腕でハンマーを振りかぶり】
【ブゥン!と風を裂きながら横薙ぎに思い切り振り回すだろう】

【しかし元々ある程度の距離が有り、回避によって若干の遅れが生じているため】
【シーナの接近を妨げる行動を取ることも可能であろうか】
【もしシーナの移動が妨害された場合、上記のハンマーによる攻撃は行われない】

663名無しさん:2014/02/28(金) 21:50:09 ID:ZnpOmj8.0
>>652 >>655

【この空間は良く足音が響く。―――よって、もう一人の来訪も直ぐに察知できた。問題はその人物が敵か味方かということだが、どうやら後者らしく】
【―――緊張の糸を切らさない中での、僅かな安堵。もし彼女が六罪王ならば―――きっと一人では、太刀打ち出来ないだろうから】
【自警団、UT所属―――実は瑛月も一応自警団、UT所属なのだが、実際の所はSCARLETが忙しく名前だけUTに置いているも同然なので瑛月自身は彼の事を良く知らない】

【……だが、SCARLETとUTは先日協力関係を結んだ。ディハートがUTに入っている、その事実だけで心強い。瑛月は視線を送ること無く、声だけで注意を促す】

―――あくまで俺達が狙うべきなのは中心の彼女……!! 一刻も早く彼女を止めなければ、大変なことが起こってしまうかも知れない……!!
つまり、隙があればあの少女を狙う……ということだ―――が、当然他の連中は其れを拒んでくる……―――油断せずに行こうッ……!

【そう告げた後、改めて彼女と他の6人を見据えて目を細める。……突き刺すような圧力は、誰か一人からではない】
【彼女が零した「私達」と言う言葉を聞くに、この統率の取れた動きと全員から放たれる威圧―――やはりタネは、彼等が守る「女王」にあるのではないか。そう瑛月は予想する】
【―――兎に角、今問われるは速さ。無駄な思考を、そして動きを取り除き、武が躍動し袈裟が唸った―――……鳴り響く金属音は、激しい火花を一瞬散らす】

―――……っぐ―――!!

【間髪入れずに放たれる前蹴り。―――確かに速い。迷いもない。彼とは違った方法で、無駄を削ぎ落とし極めた一撃。だが其れでも、その一撃には足りないものがある】
【―――苦悩、葛藤が生み出す工夫。恐らく瑛月が考える「武」と、彼女の考える「武」は異なる。「武」が齎す動きは、「本能」が齎す動きとは対局にある】
【……何億回振っても、本能が齎す動き―――すなわち一般的な動きから脱しなければ其れは「武」ではない。……中邑瑛月は、そのような考えを常に抱いていた】

【「武」―――其れは、本能とは別次元のメカニズム。どれだけ疾くとも、その動きは軸足で体重を支えてから、もう片方の足を浮かして放つ蹴りだ】
【……―――唯刃流にも、前蹴りはある。剣術だけではなく、体術も。身体を「武」で動かすには、剣だけでは足らないから。―――その動きは、全く異なるメカニズムだ】
【支えるのではなく、軸足の膝を抜き、一瞬身体が前方に僅かに沈むと同時にもう片方の足を上げる。―――全ての動作を同時に行うこのメカニズムから、予備動作は「消える」】

【―――先程も言ったが、確かに速い。確かに鋭い。だが―――予備動作は、確かにある。瑛月は挑発の意味も込めて叫ぶだろう】

……―――其れを俺は……「武」とは呼ばんッッッッ!!!

【金属音、2回目。―――剣の腹で防ぐことには成功したが、愚直な彼女の武は彼を後ろに押しこむ程の大きな威力を持っていた】
【倒れすまでには至らないが、そのまま5m程滑るように後退させる。両手に残る、強い痺れ。唯の前蹴りが、全身の骨を軋ませる程の威力】
【……瑛月の「武」は、前蹴りは、そんな威力を抱いていない。―――身体を縮こめた状態で受け止めると、瑛月はダラ・ベネディクトへと視線を突き刺した】

……凄まじい。凄まじいが―――違う。……違うな―――!!

【―――武に対するプライドは、誰よりも高い。濡羽色の奥に、青の炎が見えた】

664名無しさん:2014/02/28(金) 21:57:18 ID:H2DR/gUQ0
>>640

【"我侭"―――真実を射抜いた言葉が、同時にセリーナをも貫くだろう。正にその通りと言えるのだ。】
【人を助けたい。弱いものいじめが赦せない。彼女の根本にあるそんな"想い"も、見方を変えれば、いやむしろ】
【正しい見方をすれば一つの"願い"であって―――そして往々にして、願いとは即ち当人の望む事を成したい、という"我侭"なのだ。】
【本質を突いた言葉が鋭く鈍く、セリーナの心へと侵入していく。知っては居ても、分かってはいても、こうして再認するのは少々、厳しい物】
【だがグリースの言葉はただ虚しい響きを持っただけで終わるわけではない。そうであるのなら―――ただの我侭でしかないのであれば。】
【それこそ誰が何を言おうと、誰が笑おうと、気にする必要は無いとそう肯定され。彼女は伏せていた目を上げ、髪をわしゃわしゃ、と掻いた】

 ……参ったなぁ。もう、ずっと昔に―――……"そういう大事な事"も含めて、色々勉強してきたと思ってたのに。
 今の今になっても、まだこうして誰かに―――……大切な事を教えて貰う機会がある。これって幸せな事だけど、
 その分、アタシがポンコツリーダーだって証明にもなってるよね〜……ふふっ。言ってくれるじゃないさ、グリース。
 
 そうだね。アタシやアタシの仲間のやってることだって、極限まで言ってしまえばその通り、我侭なのかもしれない。
 でも―――それでいい、って今は思える。アタシの我侭で、みんなを―――護りたい人を、アンジェルを救えるかもしれないなら。
 我侭で、構うもんか。貫くさ、アタシは銃使いだよ? グリース。"コイツ"の38口径は、何でも撃ち抜くんだから、ね。

【―――カウンターに置いていた"相棒"、"弾"末魔を手に取り、再び腰のガン・ベルトへと携えて。】
【そうして誓うだろう、絶対にブレない、と。自分を貫く―――それはきっと、真っ直ぐに放たれた弾丸にも等しいのだろう。】
【唯ひたすらに速く、鋭く、そして重く。真っ直ぐな線を描きながら、それは直進を続ける。止まる事は無い、彼女はきっと、"弾丸"だった。】

 オーライ、グリース。それじゃ、この書類の処置に関しては、任せてもらうよ。……ギア君の件と併せて、忙しくなりそうだねえ、こりゃ。
 やーっと悦君の件が片付いたと思ったら、これだもんなぁ〜……『正義の味方も案外楽じゃない』〜って歌があった気がするけど
 あの歌詞はやっぱり間違って無かったね、今日もう一度、自分の背負ってる物の大きさに気が付いたよ、グリース。

 ―――ありがとう。勿論、二重の意味でね。書類を持ってきてくれた事と、そして……貴女について、話してくれたこと。

【セリーナは黙って、グリースの話を聞き続けるだろう。途中、『武器で一番重要なことは』という質問に対して】
【少し考えた上で何かを言おうとしていたのだが―――其れよりも先に、グリースの言葉が全てを、持って行ってしまった。】
【兵器―――造られた存在。それはつまり、彼女が元来の人間ではないという事を意味していて。なんとなく、分かってはいた物の】
【こうして語られる事実は―――それもまるで気にしていないかの様に語られる事実は、少し不気味で、そして同時に哀しくもあった……】

665名無しさん:2014/02/28(金) 21:57:21 ID:3HA7Kbp60
>>653

【見知った顔に気付けば、戦場とはいえやや嬉しそうなトーンで声が響く】
【だがすぐに気持ちを切り替え、咀嚼するように彼の言葉を聞いて】

『――――――りょーかい。最っ高に気持ちいい弾丸のシャワー、よろしく頼むよ』
『こちらも期待に沿えられるかは分かんないけど…ね。流石に足手纏いにはなんないからさ―――』

【とだけ、いつも通りのトーン、いつも通りの会話方法で告げれば―――また視線は敵へと向けられた】


>>660

【悪の幹部、というには余りにも軽い彼のトーンに、怪訝そうな表情を見せて】

『―――そう、見逃してくれるなんて、親切にどうも。こちらは、そうとはいかないんだけどね…!』
『生憎と私、センスが悪いってことに定評があるらしいんで、言うのもどうかと思うけど…その亡霊っぽいのは、頂けないかな!』

【見えたのは自分が放った魔術を引き裂くゴーストの姿。言った通り手加減はしていない、となると―――】
【―――もう一人の味方が撃った弾丸が、やや効果的であるようにも見えた。ならば、炎を使うのは得策ではないか】

【そんな考え事の途中、己を狙う三本の刃。すぐさまバックステップで回避行動を取って】
【しかしながら完全に避けられる訳ではなく―――服から切り離された黒い布切れと、腰回りの血肉が舞い散った】
【苦痛にやや、表情を歪めるも―――次に起こった、不思議な現象を見逃すはずもなく】

『―――――風?吹くわけないよねこんなところで…!』

【揺れる装飾、風でも吹いたのかとも思ったが―――明かりが灯った天井のそれを見る限り、恐らくはあのゴーストによるものかと】
【それが一体、何の前兆であったのかは未だ分からないが、少なくとも何かの狙いはありそうだと彼女は考えて】
【後々不利に響かぬよう、こちらも反撃を―――喉に当てた指を、今度は中指に変えた。まるでファックユー、とでも言うかのように】


『―――――――――神よ、我が声に自然の加護を!』


【放たれた声は、容姿に似つかず掠れた青年のもの。黄色い魔力が生み出された次の瞬間には、『土で出来た右腕』が出現】
【地面から這い出る様にして現れたそれは、レアリアへと真っ直ぐ伸びて―――奇怪な顔面へと、固めた握り拳で殴りかかるだろう】
【威力は高いが何より、軌道が直線的。それなりの速度があれど、避けることは容易い】

666名無しさん:2014/02/28(金) 21:57:30 ID:H2DR/gUQ0
>>640

 "―――武器で一番大切な物"……ね。

【噛み締める様にそう、言葉を紡ぐ。セリーナも沈黙し、酒場には静かな時間が流れる。】
【紅茶をぐい、と飲み干して。カップをことん、とテーブルに置いた彼女は、しっかりとグリースの顔を見つめ、こう言うだろう。】

 『頑丈さ』……確かに、重要だ。機構が複雑でメンテナンスが大変な銃ほど、信頼性の低いモノは、無い。
 ベトナム戦争だって兵士はみんな、AR-15よりAK-47を選んだ、って言うしね。最も、アタシ自身はARも好きなんだけど―――っと。
 つい、話が逸れがちだね。でも言ってる事は正しいと思うよ、アタシも銃は稼動性を重視してる。
 そうじゃなきゃ、このオートマチック全盛の時代にリボルバー拳銃なんて持ち歩かない、ってワケだしね。

 ただ―――アタシが、ガンスリンガーにもかかわらず、おんぼろリボルバーを愛用しているのはね。
 『スペック』のみを追求して、アタシの理想と、この銃の腕にマッチする武器を使う為―――
 なーんて、もっともらしい理由より、もっともっと重要な理由があるからだよ。何だと思う? グリース。

 これ―――このS.A.Aはね。アタシに銃を教えてくれた、"師匠"が昔使っていた銃なの。
 そんでもってこっちのColt M1851 Navyは、"弾"末魔っていうんだけど―――何度もアタシの命を救ってくれた、凄い銃なんだ。
 もう相棒、って言っても過言じゃないくらいにね。そしてこれ! このライトニングは、誕生日に仲間から貰った物で―――えへへ。

 ……銃も同じだよ。みんなみんな、"造られた命"だ。戦う事を運命付けられて、人を殺す為に生まれてきた、哀しい鉄の塊だ。
 弾が無ければ鉄屑同然で、弾があったらあったで重いし、夏は暑くて嫌になるし、オマケにとっても偏屈だ。すぐへそ曲げちゃう。

 ―――けれど、彼等は時々語りかけてくれる。『ありがとう』―――ってね。嘘だと思うかもしれないけど、
 アタシには時々、聞こえるんだ。銃の声が、持ち主に何かを訴えかけてくれるのを。本当だよ? グリース。
 不思議ちゃん認定してくれても良いけど、アタシは銃に感謝をしてて、愛情を持って接してる。たとえ武器だとしても、ね。

 "愛着"―――もっと言えば、"情"って言うのかな。そういうものもきっと、武器には必要だよ。
 アタシはこの銃を大切に思ってる。武器だからって、特別な扱いはしない。
 だってこれはアタシの―――相棒だから、さ。

【つまりは、どういう事か。彼女が話しているのは『あくまで』自分の持っている銃に対する、想いである。がしかし、】
【其処に続く言葉には『武器』という、銃を総括した単語が含まれる。きっとそこに、グリースも含まれているのだろう。】
【中には、武器をただ武器として、道具として扱うだけの人間もいるかもしれないし、きっとそちらの割合の方が大きいだろう。】
【だけれど、セリーナは少し違う。武器を選ぶとき、武器を使うとき、もっと重要な理由があって、もっと愛情を持って接していて。】
【造られた物であっても、其処に宿るのは紛れも無い"魂"だと―――そう、説くだろう。グリースを見て微笑む様は、少し悪戯っぽくて。】
【言った後、自分が一体何を言ってるのか、これだとまるでグリースにも愛情を持ち接しているような言い方ではないか、と恥ずかしくなり】
【少し顔を赤くするが―――きっと、それでも撤回はしないだろう。彼女は武器を、人を殺める宿命の武器を、その宿命ゆえに、愛していた】

667名無しさん:2014/02/28(金) 21:59:27 ID:7w00KprU0
>>659

【通してやろう、そう言われれば彼女は間違いなく通ったのだろう】
【例え後ろから刺される可能性があろうが、一度は相手を信じる。彼女は、そういう性格だった】
【同じ問いかけを何度もして、もはや落とす肩もなくなったが――それでも、争いになるのが残念でならない】


『わからないです。自分が強いかどうかなんて、考えたこともないですから。
 でも、私だって生きて帰りたいですから。だからきっと、あなたを倒すことくらいはできますよ。』


【素早く書ききったのなら男へと文字を向ける。ある意味挑発とも取れる発言だった】
【強者を求める男の闘争心に、火を点けるかもしれない言葉。見た目はただの少女だが、案外力は強いのかもしれない】


【男が発した声によって戦闘の幕は上げられる。同時に彼女も能力を発動させるだろう】
【首の周りに青い光のリングが浮かび上がり、周囲の空気からよどみが失われてゆく】
【例えるなら聖の性質に近いか。しかし、それだけ。これは準備段階のようなもの】

【彼女はバッグを地面に捨てた。そして迫るナイフを、スケッチブックでガードしようとするだろう】
【ナイフは貫通するかと思われたが、青い光が弾けると共に地面へと叩き落とされる】
【すぐさま彼女は手を翳し光を溜めてゆく。そして溜めた光を空にばらまくと、それは弾けて矢を形取った】


(一気に決めさせて頂きますよ――!)


【細い指を前進する男へと伸ばす。それを合図にして矢は放たれるだろう】
【数は4本。いずれも狙いは足だ。速度も強度もそこまで脅威ではなく、技量があれば捌くことも可能か】

668名無しさん:2014/02/28(金) 22:01:40 ID:SbMyfX/s0
>>661

…………お生憎様。
私と"神"との絆、あなた程度に壊せるものではないわ…………!

【威勢良く叫びながら、まき散らされる"邪"の臭い。無論、悪魔がこちらの"聖"に退かなかったように、佳乃もまたその程度で退きはしない】
【宿敵と合間見えた喜びか、はたまた別の何かがあったのか。少女の口はいつにも増して回り、同調するように神気が唸る】

ふん…………悪魔に武人の矜持を期待する方が間違いだったわね。
だったら、私が勝手に覚えておくわ。今日、この剣の錆になる悪魔の名前――――。

【蛙の口が開き、黒い塊が発射される。階段という高低差のある地形だ、直接当たる軌道ではないのは簡単に読めたし】
【雨神の名から、それが"雨雲"であると察することもまた、容易。吐き捨てるような言葉を投げつけ、佳乃は両足に力を込めた】
【雲の動きは存外速い――――嵐の夜に空を流れる、巨大な大河の一筋を連想する。今まさに、佳乃の真上に鋭い驟雨が降り注ぐ、その瞬間】

あなたが閻魔様にも嫌われるほどの"邪悪"だというのなら……この私が魂ごと消滅させてあげるわ、邪禍ッ!!
白刃龍紋流・壱の太刀――――『一矢』!!

【佳乃の取った行動は、後退。瞬時に反転して真後ろへ踏み切り、十段も下へと一気に飛び降りて雲から逃れる!】
【それだけではない。跳ぶ瞬間に体を捻り、佳乃の体は空中で反転。振り上げた薙刀に強い白光が宿れば、かつて邪禍も聞いたことのある奥義が叫ばれる】
【覚えているだろう、薙刀の軌道に沿って"聖なる刃"を飛翔させる技だ。そして今回は、"高低差"という地の利がある】
【跳躍から着地までに振り下ろされる薙刀の軌道、生成される刃の大きさは、十段分の高低差をプラスしてとんでもなく肥大化――――】
【結果、縦に6mもある巨大な"聖なる刃"が、高速でそちらへ飛翔していくことになるだろう!】

【その軌道上には、もちろん件の雨雲もある。それが普通の雲と同程度の強度しかないのであれば、刃はそれを貫通し】
【必然、奥にいる邪禍と蛙にまで到達することになるだろう。威力の程は薙刀による縦一閃と同程度だが、忘れてはいけないのが"神気"の効果だ】
【以前と同じく、『種族として邪の属性を持つ者』に対しては"浄化"、それ以外の『生物』には"治癒"の効果が発動する事になる】
【邪禍に当たった場合は言わずもがな、『一矢』自体のダメージに加え、激痛を伴って当たった部位を灼く火傷ような追加ダメージが発生するだろう】
【そして、蛙に当たった場合だが……前回の"蛇"と同じ。一度死んで甦ったというのであれば、邪禍に当たった場合と同じ"浄化"が牙を剥くだろうが】
【いかんせん、元が"神"である。もしまだ蛙に雨の神としての"神格"が残っているのであれば、その分だけ浄化の力も弱まってしまうかもしれない】
【こればかりは、蛙の出自を知らない佳乃にも予測不能だ。果たしてどうなるか、この攻撃にはそれを試す意味合いもある――――】

669名無しさん:2014/02/28(金) 22:02:23 ID:1WzZKwog0
>>654
【現れた一人目の敵。財宝が踏まれる音に盗賊どもが目を向ければ、そこには彼らにとっても見知った姿】
【おとぎ話から抜け出てきたようなその姿は、この遺跡には映えるといえるだろうか】
【彼を確認した途端、三人の異形どもの表情は忌々しげに歪んだ】

ライラ……相も変わらず機関ハンターというわけかね。必ず現れる、とはお前の方こそだ
初めて会った夜、私はお前にこう言った。お前の未来は血塗られた修羅の地獄だ、と
あれから一年近くにはなるか……そろそろ、本物の地獄に落ちてもいい頃じゃあないかね?

「ひっひっひ……病院送りになったことも一度や二度じゃあないでしょうに、懲りない御仁ですなあぁ……」

『し、し、しつこいやつめ』

【杖をこちらに向け、鋭い視線と挑戦的な笑みを湛えた彼に、異形どもが牙を剥く】


>>658
【そこへ現れる、二人目の敵。鎮魂の間に、さらに新たな棺桶を引きずって現れた男】
【優しげにすら思える印象と線の細さ。しかしながら、見た目で油断するほど、盗賊どもも愚かではない】

ああ、その通りだ。カノッサ機関参加の盗賊団、『スクラップズ』。首領のカニバディールだ。よろしく
そちらこそ、見た目によらずかなりやるようじゃあないか?

「ひっひっひ、首領代理のスカーベッジ・トラーシュってもんでさあ」

『ブ、ブ、ブレインデッド……』


……言葉を話すトイプードルとは。初めてお目にかかったな
ふ、ふ。知っているとも。良い言葉だ。だが、我々はそういうまともな段階は、当の昔に踏み越えている
今更、死人の尊厳を踏みにじることなど、何とも思わんね

【爽やかながらも自信に満ち溢れた様子の青年と、初老の男性のような声で話す犬】
【こちらほどではなくとも、何とも奇妙なコンビだ。犬に説教をされたのは、さすがの異形どもも初めての経験だった】
【だが、驚いているヒマなどない。ここは戦場なのだから。錠前を手にした彼に、異形どもが警戒の姿勢を取る】

さて、彼女の思惑は私も知らないね。あの宣戦布告は実に痛快だったが
しかし、手出しはするな、という寛大なお言葉だったはずだろう? にも関わらず、相手が六罪王と承知で踏み込んでくる……
お前たちこそ、大した度胸じゃあないか……

いいだろう。やってみるがいい。簡単にはいかんぞ

【抜き身の人斬り包丁、そんな印象が脳裏に交錯する。おっとりとしていた彼の気配が劇的に変わる】
【さらに、子犬の方もただの犬ではないらしい。的確に周囲の状況を把握したうえでの助言】

そのパワースポット、我々も利用できることを忘れるなよ
……その口ぶり、ライラとは知り合いかね? ライラ、お前も存外顔が広いのだな?

【ライラに向かって軽口まで叩いて見せながら、異形どもも戦闘態勢を取りつつあった】
【それぞれが放つ闘気がぶつかり合い、死者の眠る場所を戦場へと塗り替えていく】

/続きます

670名無しさん:2014/02/28(金) 22:03:00 ID:1WzZKwog0
>>654>>658
【まず動いたのは、ピアス男・スカーベッジ。彼が軽く指を動かした。その動きに合わせて、棺桶の影から何かが現れた】

【少し長めの茶髪と丸い目に青の瞳。中肉中背の体格に面長な顔】
【白いシャツの上に羽織った青いジャケット、深緑のカーゴパンツと黒いスニーカー】
【人のそれとは異なった質感の肌、ガラス玉めいた無機質な青い瞳。服の上からでもわかる、四肢の球体間接】

【それは、一体の人形だった。スカーベッジの指から伸びる錆色のワイヤーが、その身体のあちこちに繋がり】
【まるで、マリオネットのように動かされていた。見開かれた目は、何も映していない。人形なのだから、当然といえるだろうが】
【ライラなら知っているはずだ。その人形を。ギア・ボックス。この場のパワーによって強化されたスカーベッジの異能が、この芸当を可能にしていた】

「ひひひひひ……まるでここの死人の皆様が乗り移ったかのようですなあぁ……ここなら、存分にマリオネットになれますぜ」
「さあて、上手に踊って見せてくださいよおぉ、ギアの旦那!!」

【スカーベッジが指をクロスさせる。その動きに合わせるように、操り人形と化したギアが宙を滑りながら、>>654のライラへと飛びかかろうとする】
【繋がったワイヤーの動きに引かれ、勢いのままにライラの胸部目がけて、殴打を食らわせようとするだろう。攻撃の動きそのものは単純だ】


さて、こちらも始めるかね。ブレインデッド!!

『り、り、了解した』

【一方の大男・カニバディールが手にしていたバトルアックスを振り上げた。柄に組み込まれたマギタイトが、この場の力を吸収して一際強く輝く】
【鍵を手にしてこちらへと迫りくる>>658の剛太郎へ向けて、バトルアックスが縦に振り下ろされる。と、そこから光の刃が発生した】
【バトルアックスが本来持ち得る攻撃方法。それをこの場の力で強化したのだ】
【地面を這うように剛太郎へ迫りゆく光の刃、海面から飛び出したサメのヒレのような形状。速度はそれなりだが、見切ることは可能だろう】

【生首男・ブレインデッドは、周囲の床の財宝を空中に浮かべ始めた。浮遊物の速度は遅いが、数は多い】
【浮かべられた財宝が、ゆっくりと周囲に展開していく。ブレインデッド自身は、最初の地点からまだ動いてはいない】

671名無しさん:2014/02/28(金) 22:07:38 ID:mlgSnGd20
>>656>>663

「らしくない」、か……そいつは奇遇、俺もよく言われる───って、な、何だ?この感じ───

【ニヤリと笑い、普段の調子で紡ごうとした言葉が止まる。少女の放つ、外見からすれば異常なまでの存在感】
【そして、突然にそれと同じ質へと変異した五人の存在感。これらが、言葉を止めさせたのだ】

【見事な連携───まるで彼ら全員が、一つの意識の下に動いているかの様な動き】
【これを見事と言わずして、何をそう言うか。それ程までの光景に、ディハートは息を呑んだ】

ぐっ……いってえじゃねえか───双子ちゃんでもここまではできねえっつーの……!何なんだよてめえらは!

【突き込みの二撃、上からの一撃。左右への回避には牽制があり、後退では少女から遠ざかってしまう】
【故にディハートは、それを“受けた”───破砕の音が、重なり響いて】

【割れ砕け、舞い落ちるのは、黒のスートを持つカード。枚数にしておよそ8】
【それらは二刀の前に4枚ずつ重なり並び、その勢いを喰らい殺した。しかしそれでも、刃は届いていて】
【だが、深い傷ではない。問題なのは、寧ろ右腕。踵落としへの対応として翳した腕に、刃が突き立っていた】

───ああ!あっちを狙わないといけねえのはわかってるが……
やっぱりコイツら、早く何とかしないとキリがねえな───!

【瑛月に言葉を返しつつも直ぐ様、左手が踵落としを行った一人の足首を掴もうとする。成ったならば、刃を引き抜くとともに、】
【そのまま下方──即ち二刀を繰り出したもう一人目掛けて、その身体を叩き付けようとするだろう】

【それと同時にディハートは、もう一つの攻撃を行う。前衛二人には体での攻撃であるのに対し、】
【距離のある後衛に向けるのはやはりトランプ。今度は3枚ずつ、合計9の赤のカードが飛んでいく───】
【だが狙いは確かではない。前衛の対処と並行して行ったが故の結果である】

【───例え前進が難しくとも、後退さえしなければ、道は開ける】
【急がばまわれ、とでもいうべきか。この場で焦りを得れば、それは命取りだ】
【とにかく今は、この五人を何とかしよう。という考えが、ディハートの行動を決めていた】

672名無しさん:2014/02/28(金) 22:10:41 ID:RAgYLkdI0
>>662

【奇妙な移動方法を見ると、アルビノは少々ではあるが驚いていて】
【そして外套を吹き飛ばし掠めた筈の箇所から血ではなく、代わりに砂のようなものが散る様子を見ると、これまた意外そうな顔をして】
【だが推理しているような時間が無いのも確か、アルビノは迎え撃とうとスライムを身に纏い、防御姿勢をとる】

【シーナの振るうハンマーを、そのスライムで野球のミットの様に受け止めようとして】
【どうやら柔軟なそのゼリーは、物理的衝撃を緩和してしまうようだ、アルビノ本体へのダメージは余り無い】

倒せねーっつってんだろ、この田ゴ作がァーーッ!!
このままテメーの顔を殴って、ブサイクになるぐらい変型させてやるぜェー!

【ふと、アルビノの肩の辺りからスライムが湧き出て、それが拳の形を生成する】
【そしてその拳をシーナの顔面めがけて振るうのだろう】
【ゼリーによる唯のストレートパンチ、狙いは単純で人が殴る時の速度ともさほど変わらないが、やはり先程の様に岩石のような強度を持つ重い拳なのだろう】

673名無しさん:2014/02/28(金) 22:13:05 ID:nHw81SMw0
>>660

悪いがある程度、働いているところを見せなくちゃ仕事にならないのさ
そっちのようにお友達同士なら好きにやってりゃいいかもしれないが…
こっちは雇い主と雇われ……金で繋がってるビジネスドッグなもんでな

【赤い目を細めながら銃口の先、ゴーストに目線を向け続ける】
【幽霊相手なら相当厄介なことになると思われたが…ダメージがあるのなら良し】
【ただちょっと人間相手より時間がかかりそうなのがマズそうだった。長期戦ならば此方が不利だ】
【自らの血を弾丸にするこの男は撃てば撃つほど体力が消耗していく。特殊な体をしているにも関わらずだ】


―――クソッ!ゴーストらしい事しやがってっっ!

【ズルズルと這い寄る影に向かって闇雲に何発か撃つ。かすりもしないし、当たったところで無意味だろう】
【そして、づっと長剣が現れれば、男はバランスを崩したように後ろに何歩かとっさに飛び退けた】
【どれも避けきるのはギリギリで格闘はあまり向いていないのが見て取れる。目の良さでそれをカヴァーしてる感じだ】

【少し後ろに下がり、目は揺らめく天井の槍を捉える。彼はもう一つ拳銃を取り出す。対になるリボルバー。色は黒だ】
【それを左手に握りしめて撃鉄を起こす。同じように装飾が赤くにじむ。一旦は、レアリアに銃を向けたが撃ちはしない】
【コツコツと下がって視野を広げつつ、銃は構えたまま。目は忙しく動いている。額に汗がにじむ】

【トーカーが攻撃に出ていると知れば、(不甲斐ないが)今は彼女を前衛にして、敵の動きを距離をとって広範囲で見ようというスタンスだ】
【銃弾の節約というのもあるが天井が気になったというのもある。銃を構えたまま大きく息を吸い込んで、まとめて吐き出した】

674名無しさん:2014/02/28(金) 22:27:27 ID:F52AoKs20
>>663
「ほう。だが――――貴様の武は、妥協ではないのか?
唯の一撃で巨岩を砕けはしない、唯の一斬で山を切り崩せはしない。だから、〝特別な技〟を考えよう、と。
――――私は妥協しない。貴様の〝妥協の武〟とは違って、な」

【女の体捌きの全ては、極限までに鍛えぬかれ肥大化した――――技量なき力】
【荒削りのそれは、確かに武と呼ぶには無骨すぎるもの。なにせ、全力で剣を振り下ろし、全力で足を前に叩きこむだけだ】
【師を持たず、孤独に、ひたすらに孤独に力を求め。拾った剣を只管、何も考えず振り続けた幼稚の極み】
【――積み上げた石の山は、いつしかそのサイズを増していき、巨岩の山と化した】

「――私の武が、貴様より優れているとは言わん。だが――貴様に劣る積りも微塵も無い。
……我が主に捧ぐ武を――、見せてやる。テァ――――――ッ!!」

【下がり、構えを取る瑛月。にやりと、不敵に笑う女。その瞳の琥珀の奥には、漆黒の火が燃える】
【震脚というには余りにも稚拙な、足の叩きつけ。それで大地が歪み、軋み、足元に罅が起こる】
【もう一度叩きつける。ひび割れた床の石畳が衝撃で飛び上がる。そして、飛び上がったそれらを、正確に蹴り飛ばす】
【それらの動作は、どれも稚拙極まりないもの。だが、早く強い。――砲弾の如き勢いで迫る岩石の群れ】
【防がれる事、潰されることは既に織り込み済み。――その上で、女は大上段に刀を構え――駈け出した】

「ウゥゥゥウォォォォォォオォォォ――――――――ッ!!」

【空間を震え上がらせる如き、戦意の雄叫び。――――意識を、眼前の敵に注ぎ込む、その苛烈さ】
【武というには余りにも醜いそれ。速く相手の元に潜り込み、速く斬りつけ、全力で殺し尽くすだけの技と言うにもおこがましい物】
【だが、それの反復回数だけは異様な回数で。稚拙の練度が異様に高い。だからこそ、技が無いが技に匹敵する】
【岩石の砲弾の群れ。そして、それを後追う、唯の袈裟斬り。どれもが、回避も防御も不可能ではないもの】
【瑛月の語る〝武〟には程遠いその一撃。――――信仰とも言えるその愚かさ故の、異質な圧力が迫りゆく】


675名無しさん:2014/02/28(金) 22:27:48 ID:F52AoKs20
>>671
「「「「「――〝パターンズ〟」」」」」

【ディハートのその問に答えるのは、5つ同時の一つの回答。声質も何もかもバラバラだというのに、全てのテンポが一つに繋がる】
【まさに群体たるその連携。それが、〝パターンズ〟の強さ。それぞれがバラバラでは、ディハートの敵ではなかろう】
【武器も防具も、良いものではあるが特別ではない。しかし、それらを活かす連携によって、脅威と化す】
【届いた刃。しかしながら、防御によって深手にはならず、また同時にもう一人が掴まれ二刀の持ち主に振るわれる】

「――」「――」

【前衛二人の、息遣い。互いに何一つの声も視線もサインも交わさぬこの一瞬】
【足を掴まれる方がナイフを捨てる。同時にもう一人もナイフを捨てる。足を掴まれる方が拳銃を引き抜く】
【もう一人が徒手にて振るわれる相手を待ち構える――衝撃。しかし、吹き飛ばない】
【受け止めたパターンズが、受け止めたそれを抱きかかえ、抱きかかえられる片方がそのままに銃を構え、銃爪を引いた】
【発射される鉛弾。その向こうの後衛は】

「――」「――ッ」「――」

【――前に出る一番傷の深い片方。そして、それを援護する二名。銃弾がそれを撃ち落とす】
【他の二名に襲いかかるそれに対して、片方が肉壁となって全てを受け止める。全身に突き立つ5つのトランプ】
【崩れ落ちる身体。そして、後衛二人は無言で銃を構え、ディハートの前衛に対する牽制を続ける。淀み一つ、無く】

>>ALL
「――――コネクション、確立。……空間位相の安定化を、――図る」

【天に腕を掲げる女。そして、それに応じて空の琥珀の杭はその光量を増していく。降り注ぐ光が、その強さを増す】
【空間に満ちる、圧力。しかしながら、それは妙に穏やかで安らげるもの。――母に抱かれているかのような、安息】
【エインセルの全身に、次第に文様が浮かび上がっていく。目からこぼれ出す、琥珀色の涙。地面に落ちる頃には、それは結晶化して硬い音を立てる】

「――――Going for the One」

【掲げる手の間で生まれる。小さな球体。その中に存在しているのは、〝無〟】
【ゼロですらない、〝未定義/NULL〟という本物の無。無という概念をその場に生成し、その中に情報を書き込んでいく】
【琥珀と呼応し、その場に生まれていくその圧力。その中に満たされていく、膨大な力。地脈を吸い上げ、星辰を引きずり下ろし肥大化する力】
【遅々としつつも次第に満たされていく、直径10cmのその球体の存在に酷似したものを知っているかもしれない】

【――宝玉、だ】

【今この場において。エインセルの手の中には、宝玉が生まれようとしていたのだ】


676名無しさん:2014/02/28(金) 22:30:46 ID:Qa8AXHgU0
>>658

【駆けつける、共に戦う戦友。幸運にもその姿は、ライラが二度顔を合わせたことのある友人であった】
【その瞬間、ライラの顔が少し和らいだ。彼が戦闘をしている瞬間をライラは目にしたことは無かったのだが】
【彼のそのおっとりとした戦闘には不向きそうな外見とは裏腹に、何か「もの凄い力」が有ることをライラは前の邂逅で感じ取っていた】

「ゴウ、そんで……ムクだったか? 元気そうで何よりだぜ。
 あー、やっぱりな。なんだか力が湧いてくるような……そんな気はしてたが。やっぱこの中に魔道具でも入ってんのか?

 兎に角……今日は宜しくな!」

【軽く手を上げて簡単に挨拶するも、それまで。敵を目の前に、悠長に挨拶なんてしていられるはずがない】
【以前手を噛まれたトイプードルのムクの言葉に、自身の疑念が確信に変わった。魔力増強、自分には好都合だ】
【とりあえず、目下の目標は盗賊団3人の撃破。ゴウは近距離型、自分は基本遠距離型で相性も良いようで】
【気合を入れるようにそう大声を出して、前方の敵の動きを見据えるのだった】

>>669

「懐かしい話だな。あー、確かに血塗られはした。沢山血を浴びた。
 ――――――けど、地獄に落ちるのはテメーらの方だぜカニバディール! そこのピアス男と生首男共々、仲良く並んで倒されな!」

【カニバディールの予言は、半ば当たっている。修羅へと、地獄へと突き進んでいるのがライラ自身よくわかっている】
【だが、だからこそとライラは思う。だからこそ、修羅へと片足を突っ込む自分がコイツらを倒すんだ、と】
【ピアス男、スカーベッジ。生首男、ブレインデッド。そして首領のカニバディールへと、淡く発光するブレスレットを通した右手の親指を逆さに倒し】
【言葉では飽きたらず、あくまで不敵に、「地獄に落ちろ」とサインを送った】


「――――――……!! ギア……ッ!!」


【カニバディールの軽口に軽く舌打ちして。そのイライラした表情が一気に塗りつぶされた】
【スカーベッジの動きに合わせて出てきた人影に、驚愕を顔に浮かべる。その姿は見紛うはずもない。共闘した青年、ギア・ボックス】
【『スクラップズ』のメンバー、美鈴に戦闘を仕掛けられた際、去り際に現れたカニバディールが発していた言葉。『ギアと共に待っているぞ』】
【マリオネットと化したギアが此方へと襲い掛かってくるのと、ライラが強く歯ぎしりをするのはほぼ同時だった】


「クソが……ッ!!!  S  2  !  !  ! 『W i n d   C u t t e r』 ! ! !」



【まだ様子見のつもりか、ギアの動きが単調なのが幸いしてライラはバックステップで殴打を回避】
【返す刀で右手を掲げ、呪文を詠唱。途端、出現するのは薄緑色で三日月型の刃。魔力強化により、その数は一枚増えて三枚となっている】
【ライラが腕を振り下ろすと同時に刃を飛び出し、ニ枚がギアの横をすり抜けてスカーベッジへと向かうだろう】
【そしてもう一枚は、眼前に居るギア―――の上方。ギアを操っているワイヤーを、どれでもいいから切断しようとする魂胆か】
【速度は速い物の、その動きは直線的だ。回避の可能性は大いに有り得るだろう】
【それに、その切れ味もそこそこ。ワイヤーをぶった切れるかは、スカーベッジが操るワイヤーの強度にかかっている】

677名無しさん:2014/02/28(金) 22:32:56 ID:u1BkeEnA0
>>672

「ほほう、これも耐えきるか!」
「ククク……一撃で倒せぬならば二撃!二撃でダメならば百発叩き込んでやるのだ!」


【シーナは清々しいまでに脳筋的な台詞をボードに記すと】
【アルビノから放たれるゼリーのストレートパンチに対処した】
【命中すれば強力で重い一撃であるが、単純な軌道あったが故に反応に間に合い】
【シーナは地面を操作し、己の身体を少し後ろにずらし】
【放たれたストレートを服に微かに掠らせる様にして回避に成功した】

【そしてハンマーを大きく振りかぶると】
【脳天を叩き割るように勢い良くアルビノ目掛け振り下ろした】

【しかし、この行動は先程の横薙ぎの一撃とさほど威力が変わらない】
【アルビノの能力であれば余裕で受け切れる範囲の攻撃だ】
【シーナの意図は……】


(あの粘液が自分の意思を持っておるならばちと面倒なのだ)
(しかし、あやつ自身が操作しているなら……)


【……振り下ろすと同時に、シーナは"アルビノの後方の地面"を操作する】
【アルビノから30cmほど後方の地形を分解、砂状にして再構築し】
【鋭い剣のような形状へと変化させ、アルビノの背を刺し貫こうとするだろう】

【前方の派手な攻撃で意識を引きつけてからの後方からの奇襲】
【物理耐性が高く、真正面からぶつかれば突破することは困難であろう】
【故に――虚を突き意識の外を狙い打つ】

【シーナの最初の術、地面を操作する能力を警戒していた場合】
【この奇襲に反応できる確率は飛躍的に上がるだろうか】
【そうでなくとも後方からの攻撃に能力が対処できた場合、最初の槍同様ダメージが通ることはないだろう】

678名無しさん:2014/02/28(金) 22:38:04 ID:ArtzINQc0
>>665

――『センスが悪い』なんて言葉は信用しないほうが良い。世間の評価なんて所詮戯言さ
君は自分で絵を描いたことは?一枚くらいはあるはずだ、ならその評価はどうだった?
街の展覧会で賞を取ったかい?それとも何も言われずどこかの壁にでも貼られたのかな?
どっちにしろ他人が勝手にその価値を決めた筈だ。でもさ……思うだろ、オカシイって。

だってさ……その絵を描こうと思ったのは君で、完成させたのも君だ
だからその絵がナンバーワンなんだ、でも世間なんてのは……それを理解もしないで口を挟む。

……あぁ、彼女のデザインに関しては僕も悪趣味だと思うよ――ふふッ…――。

【何か〝裏〟でもありそうな笑みを浮かべたダグラスだったが、言葉を吐く以外には何もしない】
【攻撃をするのも受けるのも――全てはゴースト。そして、そう。レアリアは攻撃を受けた、のだった】

【土の腕が出現したのが丁度〝影〟を発生させたのと前後するからか、隙もあったのだが】
【それ以前にやや動きが鈍いように思えた。結果的に、土で出来た巨大な右腕の拳はレアリアの顔面に叩きつけられ】
【またぐるりと空中で一回転しつつ、その目の様な肌色の一点をくらりくるくると回していた】

【何処か、アニメのキャラクターのようなコミカルさ。美術とは掛け離れた感の強い反応だ、けれども――】
【他に一つ感じるだろうことは、余りにも打たれ弱いということか。効き目が薄いにしろ、何か怪しくも思えて】

>>673

【銃を撃たない男をレアリアの瞳が捉えると、それはまるで笑うかのように口元をガチャつかせた】
【不気味で奇妙なのは声がないこと。そういえば先からそうだったか――そして天井に目を向けたなら】
【そして目が良いのなら見えるだろう。槍のような装飾が既に全て天井から剥離し、尚も落ちていないことを】

【では落ちない理由は何か?天井と槍の後部を結ぶ黒い影を見れば、それでもう答えは出ただろう】
【〝狙いを定めている〟のだ――装飾を、槍の雨そのものとして機能させようとしていることがすぐに分かる筈で】

ふぅん……大変だね?まるで芸術家とパトロンだ、だから気持ちは分からなくもないよ
だから一つ助言するけど、別に手を抜いたって良い。なんなら、そっちのお嬢さんが死んだら
『それくらい大変だったんだ』と言い張れるしね?どう?君に背中を見せる彼女を撃って、素直に帰るってのはさ?

……ふふっ、そんなに焦ることもないだろ?自分で言うのもなんだけど、僕は戦いってのが苦手なんだ
その点じゃ君にとてつもない利がある。そう汗を流すことも無い……簡単な話さ、ほら。やらないのかい?

【――本気の申し出か、或いは精神的な揺さぶりが目的か。ダグラスの性格を考えると遊んでいるだけかもしれない】
【どちらにせよ彼はヒライへと声をかけつつ、不意にその指を器用に、そして高らかに〝パチン!〟と鳴らした】

【するとレアリアの下部に再度濃密な影が出現し、拡散。周囲八ヶ所へ向かって伸びてゆく】
【影の先には何が有るか――暗がりではあったが見えるだろうものは、それぞれデザインの異なった石像だ】
【恐らく次の攻撃の準備に違いない。黒い霞が、既に石像をオーラの様に覆い隠しつつあった】

>>ALL

【既に次の――いや、次の次、か。その予兆すら見せるレアリアの影は、先ず第一波として天井を利用した】
【ぶら下がる装飾、その槍の如き形状を無数の影で操って、二人の勇者へと一挙に叩き落とすのである】

【例え方はもう先に述べた通り――〝槍の雨〟だ。避けねばこれまた全身串刺し――そういえば剣も串刺しが狙いだったが】
【――或いは何か意味があるのか。いや、それはともかく先ずは自信に振りかかる凶器の数々を何とかせねばなるまい】
【幸いこの広間は軽く走れるだけの空間がある。でなければそこかしこにある彫像を盾にしても良いかも知れず】

【また余裕があったなら、影が伸びている八方向の石像にも意識を向けるべきだ。先ず間違いなく、これは次の攻勢に用いられるだろう】
【ならば壊してしまえばいいのだ。〝余裕があれば〟だが――それに、影を操っている今のレアリアは全くの無防備】
【ダメージは通りづらいが、確実に効果は有る。何か怪しいところはあったが、他所の悪党に比べれば大分良心的な『弱さ』が見えていた――気が、した】

679名無しさん:2014/02/28(金) 22:42:15 ID:CKwgAcf.0
>>668

「ククッ、絆なァんざ案外脆いモノよ、ちィィぎり飛ォばしてくゥれるッ!」
「素晴らしい邪悪であると同ォ時に、閻魔に嫌われているのは事ィ実!」 「だァが、俺様もあァの糞共は大嫌ェだ、問題はねェ」

「…………ほォーう、俺様の"魂"を消ォ滅さァせると――ヒャハハハ!」
「――面白い、やァってみな」 「"可ァ能性"の塊であァる俺様にな……!」

【――――悪魔の挑発的な指先から何かが数秒の間だけ生えた、遠くからではわかりづらいだろうが】
【それは、人間の魂の一部だった、……但し、"消化"の途中のようで、形は崩れている――】
【――魂を喰らうことで自身の魂を強化する、だから己を"可能性の塊"と喩えたのだろう】
【"魂"、"可能性"、――もしかしなくとも、この悪魔はその二つの単語で同じモノを指しているのかもしれない】

「ちィ……小ォ回りの効ィかねェこォいつには厄介な高さだ」
「そォの上、俺様の記ィ憶が正しければ……――("壷に入った腐敗液が乾燥したもの"は……"アウト"だァろォーよ、壷ごととは言えな)」

【あの時の蛇と同じだった、この蛙も"死んでいた状態から復活させた"存在だった】
【――神として崇められていた、そう、"神として"である、あの蛇もそうだが元々は強力な生き物の一種でしかない】
【崇められる内に多少は神としての格を得ていたのかもしれないが、己を崇める者が居なくなればそれは静かに衰える】
【故に、悪魔よりは効き目が薄いとは言え、通常の生き物よりもそれは浄化の力を発揮してくれる】

【雨雲に強度は殆どない、故に容易くすり抜ける――さて、まともに喰らってしまえば悪魔は真っ二つになりかねない、だから回避行動を取る】
【流石"蛙"と言うべきか――跳躍力は、かなり強い】 【だが、いかんせん刃には高さがあった、その脚力をもってしても回避しきれなかった】
【雷雲に覆われたその腹部がちゃんと斬られたのかはよく見えないが、悪魔へのフィードバックを見れば一目瞭然】
【顎から一気に引かれた赤黒い一本線、邪が聖に蝕まれる音。――直接斬られていないが、実質当たったも同然】

「ウガアアアアッ!!」 「……糞がッ、くゥゥゥウウウそがッ!」 「雨神、見ィィせつけてやれェェエエッ!」

【蛙が元の位置より数段下がった所へ半ば落下する形で着地すると同時、階段に紫電が流れた】
【また、落下の衝撃によって散らばっていた軽めの棘や矢も吹き飛び落下、一部が少女の元へと飛来する】

【その紫電は――ただの漏電とかではない、しっかりとした方向性を持ったそれは、少女の元へと一直線に迸る】
【落雷。そしてそれは本物の雷のようで、しかし流石にそれよりは速度も威力もかなり劣る――】
【だからと言って当たっても問題ないような威力でもない、電気が流れれれば少しの間痺れるだろうし火傷も負いかねないだろう】

680名無しさん:2014/02/28(金) 22:46:27 ID:.EYXGKEY0
>>669

【鍵を器用に薬指と小指で挟み、赤い剣の装飾の付いた「W-Phone」を取り出して親指で画面をタップ】
【すると画面に異形の盗賊団の顔が浮かぶ、―――新たに同盟を結んだSCARLETのサーバーから警察が全国に手配しているこの盗賊団のデータを取り出したのだ】
【その特徴も何もかも、『説明された通り』の特徴、こいつらで間違いなさそうだ】


「……ふん、そのようじゃのう、その様子では汚い手を使ってさぞかし私腹を肥やし懐を豊かにしてきたようじゃな
そちらの人形はたしかUTの行方不明になっちょったモンじゃのう、異能による呪縛で身をあやつっておるらしい」

『スクラップズ』のカニバディール……お前たちがそうか
『財団W』のジャンクちゃんが世話になったな、いい具合に3対3だし存分に暴れてやる……
ライラはギアを頼む、俺たちはアイツを叩くぞ……ムクッ!

「応さ!―――魔導回路起動、戦闘駆動用意……『炎牙』爆現ッ!!」


【ムクが棺桶の蓋の小窓から内部に入り込むと、剛太郎がW-Phoneを懐にしまうと六角形の錠前を前に突き出した】
【すると、彼の腰回りに光が灯り、ほんの一瞬で彼が引いてきた棺型の魔術礼装と同じ装飾のベルトが発現する】

【錠前とカギを持った両手をクロスして前に威圧するように差し出して…次に肘を引いてカギを持つ右手を顔の横まで引く】
【そしてその錠前を持つ左手を右手へと持って行きそのままカギ穴に差し込んでガチャリとひねった】
【するともう一度錠前の外殻が凹凸状の溝にそって割れ、内側から赤い輝きを放つ】
【そのまま引き抜いて錠前を前に威圧するように差し出すと、錠前の内側から吹きこまれたような声が響く】


「―――『Flare≪フレア≫』 Lock-free』


変 身 ッ !


【内側から赤く開いた錠前をベルトの中央部に押しこむと金属を叩き割る様な甲高い音が鳴り響く】
【ブル、と空気が震え剛太郎の身体が銀色の、というか鉄の色をした何かのエネルギーに包まれる、そしてその同時に棺桶型の魔術礼装が彼の後ろに移動した】
【錠前に連動するかのように棺桶が開くと……そこから赤いエネルギー玉に包まれた炎のナイフのような物が姿を変えて行く剛太郎に接触する】

【バリン!と割れると…無機質でのっぺりしたシルエットの戦士が登場すると同時、赤い炎のナイフが入ったエネルギーが肩や胸のプロテクター、仮面のパーツになる】
【胸と肩などでつなぎ合わせその顔の前面に仮面のパーツががっしりとはまれば…】

【顔の正中線を赤い刃が突き出した横縞の溝のついた防護の鉄仮面の下から赤い複眼を覗かせた異形の顔立ち】
【肩や胸に肩衣半袴を思わせるデザインの堅いプロテクターで覆われた肘や膝に鮫肌のようにザラリとした手触りのサポート】
【手の淵や踵は鋭く尖った鉄となっており……本気を出して叩きつければ本当に斬れそうなデザイン】

【―――そこにいたのは先ほどまでの剛太郎ではなく、魔術の鎧を身にまとった異形の武者、『炎牙』が君臨していた】


―――来い!受けて立ってやるッ!!―――葉隠流 『紅葉』!


【両腕を引き、基本の構えを取るとまずカニバディールがその斧より光の刃を正面からの軌道で放つ】
【彼もその動作から来るのはわかっていた、即座に足捌きを持って斜め前に回避しながら前進、そのままカニバディールに踏み込んでいく】
【攻撃と自分の身が交差する中、確かにここの力場が互いの力を高めている事を確認すると、自分の技にもこの強化が付与されるはずだと認識】


いくぜカニバディール、受けてみな――――葉隠流 『蒲公英』!


【己の技があてられる間合いまで踏み込んだところで彼は右から脇腹めがけ中断回し蹴り、そしてそれを放ってすぐに後ろに身を回転させながら】
【カニバディールの顎めがけサマーソルトキックのように蹴り上げる二段蹴りをかましてくる!】
【その両脚には炎の魔力がこめられており……威力もこの場の地形効果により上がっていることが分かる、この連撃をいかに対応するか?】

681名無しさん:2014/02/28(金) 22:47:32 ID:.EYXGKEY0
/>>669>>670>>676とちゃんと全レスしておかなくてはだめですね……失礼しました

682名無しさん:2014/02/28(金) 23:01:35 ID:p42mgBRU0
>>667

【彼女の挑発的な文章は彼の闘争心にさらに燃料が注がれた】
【もともとやる気がありさらにそんな状態の彼に対してそんなことを書けるのならば強いのだろうとそう思う】
【ただの少女が強いというのはこの世界では珍しくともなんともないと彼は思っている、だからこそ戦いがいもある】

ならよぉ証明して見せろよ――俺を倒せるかどうかをな!


そいつがお前の能力か……!

【ナイフを防いでさらに矢の形にまでなっていく、それが彼女の能力かとそう思う】
【どのように応用してくるのかは気になるが戦えばそれも明らかになってくる、だが今は目の前の攻撃に対処する】

【足を狙ってくる矢は速度も強度も脅威ではない、だが当たればものすごく厄介になる】
【まず最初に足に近くなってきた矢の一本を自分の持っていた剣でガードする、そして来る二本目は足をジャンプさせて回避】
【そして三本目、これ素早く横にステップして回避して最後の矢は加速し思いっきりの大ジャンプで回避した】
【ジャンプ中にも彼はナイフをまた一個生成する、そして無論のこと彼女に向かって投擲する】
【それは先ほどと同じようなナイフであるが、彼女に接近すると――爆発を起こすのである】
【先ほどと同じような行動をするのならばナイフの爆発をもろに食らう可能性がある】

【そして彼もまた目の前の敵に対して接近しようとするのをやめてはいない】

683名無しさん:2014/02/28(金) 23:07:02 ID:RAgYLkdI0
>>677

チッ……!またあのおかしな術でかわしやがったッ!
デケェ癖に動き回りやがって、頭にくるぜ……!!

【パンチがほぼ空振りに終わると、舌打ちして眉間にシワを寄せる】
【シーナの次なる攻撃は、またしてもハンマーによる打撃】
【降り下ろされるハンマーを、恐らくシーナの思う通りゼリーでガードする】
【受け止めればアルビノはまた挑発的な言動を繰り返し】

学習しろやデカブツ、頭脳がマヌケかこのトンチキがァー!
この俺の『ショック・ジャム』はお前には破る事なんてねェーぜ!!

【ショック・ジャム、それがこの能力の名前か、成る程この気色の悪いジャムのような能力にはピッタリな名前だ】
【だがアルビノは、正面の敵を見据えるだけで背後にまで気を配ってはいなかった】

……!がァ……ッ……!!
……なッ……なにィィッ!!?

【結果、アルビノは背後からの意外な攻撃をガード出来ず、剣が彼の背に突き刺さる】
【そしてややよろめきながらも、なんとゼリーで傷口を塞いでいく】
【それはさながら絆創膏の様で、止血程度の応急処置には十分であった】

…………テメェ……よくもやってくれたな……!?
ショック・ジャムで息の根を止めてやらァー!!

【もう一度、ゼリーの拳による攻撃、今度の拳の数は二本】
【狙いは右からの拳が頭部、左からの拳が腹部を狙っていた、拳はやはり硬化していて】
【しかし今度は学習したのか、後ろに身を引くだけではこの拳はある程度伸びて追ってくる】
【勿論、それ以上に速く距離をとれば避けられるだろうし、それ以外にも対処法はある筈】

684名無しさん:2014/02/28(金) 23:07:36 ID:Jfel1XAU0
>>666
「フフ――――皆がそんな風に思って居たなら、きっと誰も悲しまない世の中が出来上がってたかもしれないね
君の聞こえる銃の声っていうのも信じてるよ。物に魂が宿る事は知ってるつもりだからさ
ボクにとってもコレは相棒と言って間違いは無い物。だけど、ボクには聞こえないし――――これから先も聞こえないだろうけど。でも、相棒である事に変わりはない」

【クツクツと声を漏らして笑ったならば紅茶を飲み干し、立ち上がるのだろう】
【時計を見ればもう良い時間だ。入院先からひっそりと抜け出してきた手前、早く戻らねば叱られる】
【カウンターの上に置いていた銀の双銃に指先が触れたならば、瞬時に銀の短剣と変化して】
【武器の特製か、修道女の異能か。どちらにせよ、其れは戦闘の多彩性を示す証左】

【今まで幾人の血を啜ってきたのか、それでも尚鋭い銀を放つ其れは一種の神器にも見える程】
【彼女が教会の武器たる所以。人で無い証であり、これからもその事実に変わりは無い】
【人の命なんて所詮は“モノ”程度にしか見ていないのだろう。救い手であるべき修道女が人を葬る暗い暗い矛盾】


「さて、君に伝えるべき事は全部伝えた。最後にボクからお願いするとしたら…………もし、その時が来たなら
君が救ってやって欲しいって事かな。仲間でも無く敵でも無く、一人の女の子をさ
ボクの手は誰かを闇から引き上げるには赤く汚れすぎているから――――…………君なら、きっと血で滑る事も無く引き上げられるだろうから」

【そして、同時に自覚している。自分は様々な命を奪いすぎているのだと】
【世の中には赦されない罪も存在している。其れを犯した者達に裁きを下すのが彼女の役目】
【人間では無い。だから、真っ当な信徒では無い。殺した所で教会の罪にはならない、都合の良い武器】
【神なんて居やしない。毎朝毎晩祈ったところで人間に成れやしない。結局は、自分次第なのだ。祈る暇があるならば、懺悔する暇があるならばその一分一秒を別な行動に使った方が有意義だ】
【そんな自分を自嘲するかの様に鼻を鳴らせば退店すべく扉に手を掛けて――――ふと、止まる】


「一つ、言い忘れてた。最近巨大生物が暴れ回ったり、櫻の国の妖怪の噂が流れたり――――ヴァルゴが暴れ始めたり
何だか不思議だと思わない?…………どうやら全部がとあるお話に関与してるみたいでさ
その全てが無くなったとき、美の神サマだかが出てくるんだってさ

あのダグラスが其れに会いたいが為に今までの騒ぎを起こして――――其れには、あのゼン=カイマのフレデリック・シャリエールも関わってる
それも、とっても深くね。となるとカノッサと関わってる事はもう明白だし…………もし彼を見る事があったなら、警戒した方が良いよ
何しろ、その資料だってフレデリックから貰ったんだ。友達の妹の友人を槍で刺したり、ボクにこの傷を負わせたりと彼には……団長サマには恨みがあるから今度必ず“殺す”けど
身体をスライム化させたり、化け物染みた強さだったけど…………でも、殺せるなら問題は無い
――――美の神サマが見えた所で何が起きるのかは分からない…………碌でもない様な事が起こる気もする
確かSCARLETとかとも提携しているんだよね?なら、ボクが行って一から説明するよりも君が連絡した方が信頼も厚いだろうから、宜しく頼むよ
どうせまた、何かしでかそうとするんだ。其れを止めようとする人は、一人でも多い方が良いからね」

【最後に伝えるのは、これまでの騒ぎの事だ。巨大生物の騒ぎは、彼の六罪王と――――そして、その六罪王と繋がりのある第三近衛騎士団長】
【修道女の負った傷は、全てその者と戦った時に出来たもの。胸を抉る其れも、火傷の跡も】
【扉の前で立ち止まれば、最後に紡がれるのはその事を他の組織の者にも伝えておいて欲しいとの言葉】
【きっと、また何かを仕掛けてくるのだから――――その悪事を止める存在は、少しでも多い方が良いのだと】
【頷くも頷かぬもセリーナ次第。じっと向ける視線の奥には、果たして何が隠されている事か】

685名無しさん:2014/02/28(金) 23:09:48 ID:vAFUoims0
>>674

―――人と獣、その最も大きな違いを知っているか。

【熱く鋭さを秘める瞳とは裏腹に、冷静な声色で瑛月は呟いた。熟練の老兵を彷彿とさせるような闘気を静かに放ち、そして再度構える】
【―――先程とは異なった構え。刀を軽く右に倒し、脇を締め肘を曲げて刀(両拳)を身体に引きつける。両拳は左胸の位置で、左足を引き、膝を緩める様に曲げ腰を落とす】
【印象としては随分と縮こまってしまった、とでも言おうか。―――だが縮こまっていても、その姿からは剣気が緩やかに漂う。……唯刃流、玄武の構え】

―――っっふッ!!!

【―――襲い掛かる礫の嵐を、縮こまりながらも滑らかな動きで捌いていく。その動きに「静」はなく、流れる川の如き重心移動に、全身の筋肉が一体化して一挙動を行っていた】
【其れでも全てを捌くには足りない。彼には岩を砕く筋力もなければ地が砕けるほど強く蹴りこみ韋駄天のごとく駆ける事も出来ない。否、目指していない】
【―――そして、其れこそが彼女が「指摘」する妥協だろう。その結果かは知らないが、右肩、右脛、右太腿が赤く染まる。彼の表情も強張り、汗が額を通り血に濡れた床に落ちた】

           ……っぐ―――最も大きな違い……其れは「工夫できるかどうか」―――そして其れを怠った貴様の剣はッッッッ!!
                                   ―――「武」ではなく獣の剣だッッッ!!!

【強張る表情の中で、彼女が迫り来る姿を見た。速いが、その動きに気配を殺すという意識は全く見えない。その走りに、彼女の「武」が現れている】
【―――走りだけではない。全ての挙動に、使い手の努力が見える。袈裟斬り、走り―――自分と同等または其れ以上の量を積んできたのだろう。ただ、重ね方が真逆なだけだ】
【……瑛月は、認めない。「武」とは工夫だ。弱者が強者に勝つための工夫こそ武だ。老い、性別、体格、才能……その壁を覆す為の知恵。其れが武なのだと言い聞かせる】

【―――そして教えこまんとする。唯刃流の奥義によって、その人たる、弱者たる者が苦悩し見つけ出した「武」を……!!】

―――うぉおおおおおおおおおあああああああッッ!!! ―――唯刃流奥義……『影牙』ぁぁぁぁッッッ!!

【目には目を、と青狼が吠えて相手の左肩口に沿う袈裟を繰り出す―――のだが、お互いの袈裟がかち合う直前ギリギリの所で、瑛月は刀を振り下ろす動きを一瞬停止させる】
【そして同時に左手首を右に押し込むようにして刀を回し、袈裟に振り下ろされる相手の刀を外から飛び越えるように避け、相手の小手を切り落とそうと剣の軌道が急変した】
【力でしようとすればスムーズにいかず失敗する。一瞬停止した時に生まれたエネルギーを、100%ロス無く使い減速なしで軌道を袈裟から相手の刀を飛び越えた小手に変化させる】

【更に打ち込みと同時に瑛月の膝は抜かれ、身体は沈み―――瑛月は左、彼女から見て右へと回りこむことで相手の袈裟を躱す。この動きまでが『影牙』】
【まるで相手が打ち込んだ袈裟が、いつの間にか逆袈裟の軌道になって最終的に小手を襲う。相手の剣が消えることから、付いた名前が『影牙』―――!!】

686名無しさん:2014/02/28(金) 23:15:12 ID:1WzZKwog0
>>676
まったく、懐かしい話だ。私の予言は、当たってはいたようだな
ふ、ふ。口の減らない男だよ、お前は

確かに、この世にいるうちからすでに首まで地獄に浸かっている我々を倒せるとしたら
それは、お前のような存在だろうな……やられるつもりは、毛頭ないがね

【一つ目を細めてライラに語り掛けるカニバディール。敵とはいえ因縁深い相手】
【不敵に笑うその姿、親指を逆さに倒して挑発的なサインを送って見せる彼に】
【カニバディールも醜悪な笑みを浮かべ、中指を立てて返礼して見せた】


「ひひっ、ひっひひひひひ!!! いかがです、良い仕上がりでしょう!! この遺跡の力を借りても、ここまでにするには苦労したんですぜ」
「操り人形……いや、もはやあたくしの身体の一部も同然でさ。どうぞ、楽しんでいってくださいな!!!」

【食いしばった歯を鳴らすライラに、ギアが襲い掛かる。その瞳が、ライラに向くことはない】
【放った拳が空を切り、続けて唱えられるライラの詠唱。解き放たれるは、三枚の刃。『スクラップズ』も苦しめられた、ライラの得意技の一つ】
【スカーベッジが対処すべく、動く。まずは指を軽く動かして、ギアを操作した】

【自分の方へとギアを引き戻す、と同時、ワイヤー狙いの一本を回避しようとする】
【しかし、その速度の速さ。完全回避には至らず、ワイヤーのうち二本が切断された。ギアの左半身が、がくんと地面に落ちる】

「ちぃっ、やってくれますなあぁ!!」

【悪態をつきながら、スカーベッジは自身へ迫る二枚への対処を強いられる】
【身をかわそうとするも、足元の財宝がそれを阻む。一枚は辛くも回避するも、二枚目がその左腕を掠めた】

「っづああぁ!!! っひ、ひっひひ!! まあだまだまだ!!」

【後退しながら指を引き、左半身が地面に落ちるギアを引きずった】
【ギアの右手がその腹部に突き込まれ、取り出される。プレゼント包装を施された箱】

【それが、ギアの手の中で破裂した。ライラとの共闘でも使用されていた武器、『サプライズ・キューブ』
【ギアの意志に関係なく、それがライラに牙をむく。放たれた六つの小さな鉄球が、ライラの足元を狙って飛んだ】
【まともに食らえば、身体に鉄球がめり込むことになるだろう。だが、速度は早くとも動きは直線的だ】

687名無しさん:2014/02/28(金) 23:16:51 ID:3HA7Kbp60
>>678

【―――センスに関しての話題、それがただ気を引くためなのかどうかはともかくとして】
【少女は、やや皮肉交じりの笑みが入った声で紡ぐ。まだ青年の声のままだが、彼女らしい語調とトーン】

『――――――俺のセンスがどうなのか、なんてよく、分かんないけど…』
『芸術家ってのは、それを見る人…評価する人あっての芸術家なんじゃあないのか?』
『だから自分で価値を決めるなんてのは理解しかねるよ…まぁ俺は、芸術家じゃないんだが!』

『―――――なんとまあ随分と、可愛らしい反応だことで』

【ダグラスの笑みに何か不気味さを感じつつも、今はそれに構うことなく】
【詭弁をだらだらと述べては、自分の攻撃を見届ける。当たると同時、砕けて消える土の腕】
【当たった、がしかしなんだろうこの緊張感のなさは―――あのデフォルメされたゴーストのせいなのか】
【逆に、今となってはそれが不気味で。また怪訝そうに、回るレアリアの様子を見ていた】

【―――加えて、襲いかかる槍の数々。耐久力のない彼女にとってはあまりにも恐ろしいもので】
【あまり変化のない表情も、その時は眼を開いて驚愕するような様子。やがて、その場から逃げる様に走り出して】
【その際に喉に当てた指を小指へと。あーあーとマイクテストするような声は、少年のような幼子の声】

『――――――あーあー、嫌になるな全く…!』
『僕は打たれ弱いんだって…くそ、これは当たったらシャレにならないぞ…!』

【まずは近くにある彫像、それを盾にするために体力のない身体に鞭打って疾走する】
【同時、紡いだ男の子のような声は、彼女の回避をアシストする追い風、疾風へと変わるだろう】

【―――影の伸びる先、黒く覆われた石像を横目に、尚も槍を避けていく少女。あれは、一体何だろうか】
【ある一本はその白い頬を掠め、また何本かは体を貫通する軌道であったものの―――近くにあった彫像を盾にやり過ごして】

【どうやら、今は石像に気を回す余裕はなさそうだ―――何かあればそれで、対処をしていく腹積もりで】

688名無しさん:2014/02/28(金) 23:20:46 ID:SbMyfX/s0
>>679

(可能性…………? あいつ、何を…………)

【着地の衝撃に耐えつつ、佳乃は眉を顰める。聖なる神に仕え、多くの妖魔を地獄へ送り返して来たからといって、別に地獄事情に詳しいわけではないのだ】
【邪禍の言葉は、少々理解の範疇を越えていた。指先に現れた"何か"についても、階段十段分もの距離を空けたことで余計視認しづらい】
【結局、邪禍が言っている言葉の意味を正確に理解することは出来なかったが――――少なくとも】
【目の前の相手が"ただの悪魔"ではないということだけは……それを見るまでもなく、最初からはっきりしていたことだ】

ふん、そいつへのダメージはあなたに転移するんだったわね…………!
その無駄な巨体、当てやすくて助かるわ!!

【自らの聖が邪を侵す、聞き慣れた音。『一矢』の刃が蛙を抉り、そのダメージが邪禍へと転移したのを佳乃は視認する】
【使役する魔獣と邪禍との間にある繋がりは、どうやら以前と同じようだ。勝ち気な挑発を浴びせつつ、佳乃は階段を蹴った】
【蛙の着地地点も最初の位置より少し前に出そうだ、先程の派手な攻撃の代償に距離は空いてしまったが、詰められないほどでもない――――】
【ここは、攻め時だ。そう判断した佳乃は、薙刀を突き出すように構えたまま、槍兵のように階段を駆け上がっていく】

――――っち!!

【……が、そう都合よく事が運ぶわけもない。蛙の着地の衝撃が地面を揺らせば、階段という足場の悪さが災いして佳乃の足は止まってしまって】
【そこへ、迸った紫電と棘や矢が降り注いでくる――――こうなるともう、前進するのは不可能だった】
【瞬時に敵の攻撃の優先順位を見定めた佳乃は、体を大きく真横へ翻すことで紫電を回避するだろう】
【この足場の悪い場所で、雷撃によって体が痺れてしまうのは不味い……その判断は間違ってはいないが、しかし最良というわけでもなかった】
【残る棘と矢は薙刀で弾こうとするも、紫電の回避によって行動が一瞬遅れる。脇腹と左肩に裂傷が走るのがそちらからでも確認できる筈だ】

陸の太刀――――『六花』ッ!!

【そして、それによって一旦足を止められてしまった佳乃の攻撃は、必然的に飛び道具に限られる】
【叫ばれる声もまた、かつて見せた奥義の名。突き出した薙刀の先に神気が収束し、"式紙"を作成する奥義が発動するだろうか】
【誕生したのは――――これも前回と同じ。巨大な角を持つ、神気の光で構成された真っ白な雄鹿だ】
【ただ今回は、佳乃が搭乗する事はなかった。雄鹿は巨大な角を立てて蹄を鳴らし、単独で階段を一直線に駆け上がっていくだろう!】
【角を使った、ごく単純な体当たりだ。狙いは蛙の右後ろ足のあたり、あの強靱な跳躍力を削ぐのが狙いか】
【巨躯の質量と突進速度が重なって、威力はそこそこ高い。また、この雄鹿も神気で構成されているが故、攻撃を受ければ"浄化"が発揮されるだろう】

【……ただし。速度こそあるものの、軌道は真っ直ぐ一直線に蛙の右後ろ足を目指すという、ごく単純なものであり】
【この式紙自体の強度も高くない。矢や棘が数発当たる程度ならともかく、最初の"雨"や先程の"落雷"クラスの攻撃を受ければ一撃で破壊されてしまうだろう】

(これで――――どこまで近づけるか)

【この攻撃の真の狙いは……巨大な鹿の陰に隠れる形で、佳乃本人が更に邪禍と蛙へ接近することだ】
【鹿が鳴らす大きな足音で自分の足音を隠し、相手から姿が見えないよう身を低くして、佳乃は階段を駆け上がっていく】
【そして――――その最中、制服の胸ポケットから一枚の"符"を取り出すだろう。鹿を隠れ蓑にいくつかの行動をとる少女の姿に、邪禍は気づけるか】

689名無しさん:2014/02/28(金) 23:31:33 ID:7w00KprU0
>>682

【挑発の意図は――彼女にもわからない。ただこれは今回が初めてではなかった】
【驕っているわけでは、決してない。ならば何故か――】
【それはもしかすると、自分を奮い立たせてないと恐怖に負けてしまうからなのかもしれず】

【ナイフを防ぎスケッチブックを下ろした彼女の表情は、余裕が全くなかった】
【動体視力が別段優れているとは言い難い。反射的に動き、結果的に防げただけに過ぎず】
【連撃でもしようものならあっさりと押しきれてしまいそうな姿がそこにあった】


(距離が開いているなら、まだ大丈夫なはず!)


【予備動作から再びナイフの投擲だと判断すると、彼女は同じようにスケッチブックを構えるだろう】
【スケッチブックの面が青い光に覆われてゆく。どうやら、攻撃と防御どちらにもある程度対応できる能力のようだ】


――――――ッ!


【しかし――ナイフの切っ先が面に衝突した瞬間爆発し、彼女は後方へと吹き飛ばされる】
【特にスケッチブックを持っていた指へのダメージが酷く、指先が火傷で赤くただれていた】
【それでもスケッチブックを落とさないのは――彼女が声を出せないが故、なのだろうか】
【自分の声と同義のそれを、今使用することができなくとも落とすわけにはいかなかった】

【苦痛に歪んだ顔が男に向けられるだろう。唇を噛んで痛みに耐えながら】
【まだ諦めていないと言わんばかりに睨みつければ、彼女は天を貫くように手を掲げて――】
【振り下ろしたのならば、男の肩目掛けてつららのような光の塊が落ちて来ることだろう】
【その際、前兆として落下地点の真上が青く光るはずだ。それさえ見切れば回避は難しくない】

690名無しさん:2014/02/28(金) 23:32:52 ID:z6tqZqxU0
>>675

【行動としては成功、攻撃としては失敗、といったところだろうか。叩き付けの衝撃は、受け止められて】
【しかし後衛への攻撃は、敵の数を一つ減らす事へと繋がった。その点は良いのだが、やはり銃撃は止まず】

くっそ……!やっぱり訳分かんねえぞこいつら……!

【答えが返ってきても、それで何かを理解出来る筈もなく。寧ろ、彼らに感じる不気味さが増すばかり】
【そう言っている間にも、拳銃のトリガーは引かれている。近距離から放たれる弾丸】
【満足な防御を取るには、時間が無さすぎた。行ったのは、半ば反射的な行動で】

っっ……────!

【食い縛った歯の隙間から、声が漏れる。単体で鳴った破砕の音では、それは消しきれない】
【黒い軍服の腹部に、三つ目の傷が生じていた。滲み出す血液が、赤黒く染まっていく】

【そして、反撃に移ろうとした、その時の事だった】

何だよ、あれ…………

【光、そして圧力。その光景や与えられる安息に、動きが止まる。しかしそれも、刹那の事】
【止まっていてはいけない。このまま彼女を放っておいては、いけない。そう感じたのは、本能だったろうか】

っ───ふざけんじゃねえ!やっぱり訳わかんねえけど、思い通りにはさせねえ───《赤ノ道化師》ッ!

【〝無〟の中へ満ちていく力。0より1へ、否、無より有へと向かうその行程】
【成される前に、何としても、止めなければ───しかし、あまり時間はあるまい】
【一刻も早く、突破しなくてはならない。故にディハートが切ったのは、一つの切り札】

【放たれたのは、後衛へ向かうトランプ。その数は赤の4枚と、遅れて1枚】
【───その1枚こそが、赤く描かれた道化、即ちJOKER。このカードは、他とは異なる性質がある】
【「当たると、爆発する」のだ。命中したなら勿論、打ち払おうとしても、だ】
【その規模は決して小さくはない。後衛の二人を、まとめて打ち倒すべく。そしてあわよくば──】
【その余波の一欠片だけでも、琥珀色の涙を流す彼女へと、届けようと】


【一方で、ディハートはこの時、前衛に対しては何も行っていない。それは明確な隙だが……】

691名無しさん:2014/02/28(金) 23:33:43 ID:u1BkeEnA0
>>683

「むぅ――仕留められなかったか……しかし今ので底は見えたのだ!」
「ただの"硬い盾"ならば、幾らでも抜け道はあるというものよな!」


【シーナはハンマーを構え直し、少しばかり距離を取ろうとする】
【しかし、その瞬間襲いかかってくるゼリーの伸びる拳】
【先程のように素早い動作で下がり、避けようとするが】
【リーチが伸びるという変則的な其れを回避し切ることは出来ず】
【2発の拳打の内一つ――頭部を狙った攻撃がシーナを捉えた】


「ぐ、ぬっ――!」


【硬く重い拳をクリーンヒットに近い形で喰らう】
【屈強な身体を持つシーナであっても安く済ませることは出来ず】
【強い衝撃に大きく上体を仰け反らせる】

【岩石の如き一撃を喰らったシーナの顔の半分が醜く崩れ】
【先ほど同様"血や皮膚ではなく砂がパラパラと零れ落ちていった"】

【地を操る術に、砂となって崩れる身体】
【何より砂を"自由な形状に組み替え操作する"技能というヒントを合わせれば】
【このシーナという術師の正体に勘付くことも可能であろうか】



「よくも私の顔に傷をつけおったな下郎めが!」
「百億万倍にして返してやるのだーーー!!」


【シーナは、アルビノから数歩分の距離を取った後】
【ハンマーの頭をゴルフスイングのような構えで地面につけると】
【一度振りかぶった後、前方目掛けて勢いよく地を叩いた】

【その動作に合わせて魔術を発動】
【ラグビーボールほどの大きさの"砂の球"が3つ、アルビノに向けて射出される】
【目で見切れないほどではないが、速度はなかなかのものであり】
【威力は――無いに等しい】
【命中したならば、球は弾けて大量の砂を浴びせかけるだろう】


(流石に先の奇襲が二度も通用するとは思わないのだ)
(ならば次の手を打つ、液状ならば――これも通用するのではないかの!)


【これは"攻撃"と呼べるほどのものではない】
【ただ単純に、ゼリーに大量の砂という"不純物"を混ぜようとする為の行動であった】
【シーナはこれを打ち出した後、すぐさま接近を図る】
【距離があるためすぐに攻撃を届かせることは出来ないが】
【何事もなかったならば次のレスには近接の間合いに入るだろうか】

692名無しさん:2014/02/28(金) 23:35:52 ID:nHw81SMw0
>>678 >>687

【レアリアと目があったような気がしたが、そうならば事態は悪い方に向かってるってことだ】
【ちょっとばかし良いこの目は相手の次の一手が何なのか先に知ってしまったんだから】
【撃鉄は上がっている。だが動いたら、やられる。奴はタイミングを見計らっているようだった】

ハッ……生憎、そこの嬢ちゃんを撃ちぬくよりアンタを追っ払うほうがウン百倍簡単そうだ
言われなくたって、仕事をして、定時のベルで帰るさ。…専門職の派遣ってのはその辺がプロなのさ

【戦闘が始まるより前より相手の言葉には聞く耳を持っちゃいない。それにその手の揺さぶりはこちらもする側だ】
【自分と似たような手を使われても対策は万全だ。…まあ、そんな姑息な心理戦を行ってくる相手じゃないのだろうけれど】

―――クッ!!上からくるぞっっ!

【来たっ!来やがった!両手の銃を上に向けて撃ちまくる!目は捉えている。血を吸わせればリロードは早い】
【そこらのフルオートの銃よりも正確で、自動拳銃よりも速い。自分の周辺の槍を正確に撃ち当てて行く】
【男は避けやしなかった。嬉々として立ち向かっていったワケじゃない。必死な形相で叫びながらだ】
【だけれど、その銃を撃ち鳴らす姿は狂騒に駆られた狂人そのもの。地獄の雨は逆さに降らせてやるのさ】

【手がしびれる。トーカーの方も気になる。目についたものは全部撃ち落とす気合だ。砕ける破片をふざけたリズムのダンスを踊るように】
【避けていく。槍の破片が頬や服を裂く。――生き延びた頃にはアドレナリンも薄れてきて。体力の消耗も大分激しかった】

ハァ………!!ハァァア…………クソッ!

【コレほどまでに連射したことはなかったはずだ。息が切れ、次の一手に踏み出せない】
【目は辺りに侵食する影が延びているのは見えている。ダグラスの顔まで見えそうな気分だ】
【だけれど、相手に対応するので手一杯だ。背負っていたカバンを足下に下ろす。今回は出番がありそうだ】


……嬢ちゃん。奴を殺れ。…石像は任せろ
それと……何かあったら、構わず俺も殺れ

【床においたカバンから3つばかし括られた血液パックを取り出せば、それを頭上に持ち上げて】
【グッと力を込めれば…派手さはなく奇妙さと不気味さだけ…破れた袋から流れ落ちる本物の血を彼は浴び始めた】
【大理石のほぼ中心で、頭から血を浴びて…血液パックを投げ捨てれば、次の攻撃をただ呆然と立ち尽くし待っているようだった】

693名無しさん:2014/02/28(金) 23:36:12 ID:1WzZKwog0
>>680
【手に取った携帯端末から彼らへと示される情報。前回のアルフレドの時と言い、自分たちの情報も広まっているという事実】
【思った以上に厄介な事態になりそうだ。彼らがさらに情報の協力関係を強化しているとまでは、知らなかったが】

ああ、その通りだ。どんな手でも使ってきた。だが、まだ足りない。どれほど手に入れても、まだ足りないんだよ
おや、ご存じかね。そうとも、この男はUTメンバーだ。だが、その前に私の旧友だ
私の本性がばれて喧嘩別れになったが、ようやく再会出来たのでね。そう簡単に返してやるわけにはいかん

……『財団W』。貴様ら、例のロボット女の仲間か
世話になった、とはこちらのセリフだ。私の手下たちを手ひどく叩きのめしてくれたな
これはいい機会だ、財団について、お前たちについて、いろいろとしゃべってもらわねばな

『あ、あ、あの女、お、お、俺たちをコケにした……!! ゆ、ゆ、許さんぞ……!!』

【彼らの口から洩れた言葉を聞いて、異形どもの表情が歪む。自分たちを見事返り討ちにして見せたジャンクちゃん、その仲間】
【であれば、怨敵も同然だ。異形どもから立ち上る殺気が濃くなっていく】

【が、その表情も彼らの『変身』を見て、溶けてなくなる。代わりに浮かぶは警戒の色】
【まったくの未知数の力。この場の影響で強化さえされている。油断出来ようはずもない】
【雄々しく叫ばれる宣言と共に、剛太郎の姿が変化を遂げていく。用途の分からなかった錠前が、効力を発揮】

【部屋に響き渡る音、高まりゆくエネルギー、全てが収束すれば、そこには】
【魔術鎧をその身に纏いし、異形のヒーローが立っていた】


……ハ、ハハハハ!! 見せつけてくれるじゃあないかね!!
いわゆる変身ヒーローというやつか? その棺桶は、そのためのものというわけか……
ますます興味深い、貴様を始末したらその魔術礼装をいただいていくとしよう

では、遠慮なく行かせてもらうぞ!!

『こ、こ、殺してやる……!!』

【放った最初の一撃を見事に回避し、迫り来る剛太郎をカニバディールが正面から迎え撃つ】
【葉隠流の見事な体捌き、動きの鈍いカニバディールでは回避は不可能。ならば、すべきは防御だ】
【わき腹狙いの中段回し蹴りには、肉膨張で対処した。この男の異能もまた、この場の影響で強化されている】
【急速に膨れ上がった肉が蹴りを受け止め、炎の一撃は作業着を焼くにとどまった】

【だが、続く二段目はそうもいかない。素早く身をひるがえす彼の動きを一つ目が捉えた時には】
【既に、顎狙いの蹴りが放たれていた。狙い違わず、その一撃がカニバディールの顎を撃ち抜き、その肉を焼く】


がぐっ――!!! ……痛いじゃあないか、剛太郎

【馴れ馴れしく名前を呼びながら、カニバディールが反撃に出る。その口が大きく開かれる】
【奥から伸びてくるのは、カニバディールの舌だった。赤黒く、太い舌。それが、剛太郎の右足目がけて伸びた】
【彼の足に巻き付いて、バランスを崩す狙い。顎を揺らされた状態からでは、これが精いっぱいだった】


『か、か、覚悟しろ……』

【そこへ割り込む生首男。彼の異能も、強化を受けている】
【浮かべられていた財宝が、強い光に包まれたかと思うと。弾丸の如く、剛太郎へと撃ち出されたのだ】
【一つ一つは、大した威力ではない。だが、圧倒的な数と攻撃範囲。世界一贅沢な弾幕が張られた】

【カニバディールの舌で動きを封じ、ブレインデッドがそこを撃つ。二段構えの意趣返しは通じるか】

694名無しさん:2014/02/28(金) 23:49:49 ID:Qa8AXHgU0
>>680>>686

「おうよ! ぜってーギアを取り返すッ!!

 ……うおッ!?」

【ゴウの呼びかけに威勢よく返す。最早それは決定事項、中止なんて死んでもしないと言わんばかりの声量で】
【そしてゴウが突き出した錠前の行方に、思わず声が漏れる。次にライラに見えたのは、赤い鎧に身を包んだゴウの姿】
【魔力が感じられるあの鎧。アレもムクが作ったのか、どうにしろあれには強力な力が宿っている事はライラでも容易に分かることだった】

【そうなると、ゴウに言われた目標も達成しやすくなるというもので。ライラの笑みも、一層濃くなるのだった】


「ギアを操り人形にして俺と戦わせるなんてな……流石の俺も予想がつかなかったぜ。

 ……後悔すんなよ、スカーベッジッ!!!」


【あの心優しかった彼を操り人形にすることで、自分が逆上することは当の彼らも計算の内だろう。いや、それこそが本当の狙いか】
【だが、そうと分かっていてもライラは吼えた。その目線は一段と鋭くなり、まるで、本当に視線で殺そうとするかの様】


「逃すか……ぁぐ――――――ッ!!! クソッ、目ェ覚ませよギアッ!!!

  
  F  2  S  1  ……ッ!!  『 F r a m e   B o m b e r 』 ―――ッ ! ! ! 」 


【後退したスカーベッジとギアを追うように足を進めようとするライラだったが、其処で放たれるのはギアの攻撃】
【ジェスター・M.M戦で見たプレゼント包装の箱。自分の記憶が正しければ、あの箱から飛び出てくるのは―――正解を導く前に、鉄球がライラの足を襲う】
【数は多くない、大きさも其処まで大きくない。だが、だからといって全て避けきれるわけではない。半分がライラの足元へヒットする】
【それで命にかかわる訳ではなかった。だがその攻撃力は予想以上だったらしく、骨が悲鳴を上げる。……ヒビが入った】

【苦痛に顔を歪める。だがその歪んだ表情ながらも視線は一瞬で立ち直り、鋭くギアとスカーベッジを一度に見据えた】
【ギアの意識がないのは承知の上。それでも、ライラはギアに呼びかける。ありったけの感情を込めて、「負けるな」と】

【次に繰り出したのは、サッカーボールほどの火球だ。投げるようなモーションとともに、ギアを飛び越えてスカーベッジへと山なりに飛んで行く】
【その速度は其処まで早くない。だが、だからといって回避しても油断はできない。着弾や衝突など軽いショックでも、それは起爆して炎と衝撃波を撒き散らすからだ】
【威力も底上げされ、高い部類に入るだろう。一刻も早くスカーベッジを倒し、ギアを助け出したいという思いが先行する】

695名無しさん:2014/02/28(金) 23:51:50 ID:ArtzINQc0
>>687>>692

【無数の槍が降り止む頃合いには、門の前に広がる一室はさぞヒドい景観になっていることだろう】
【床が抉れて無数の槍――穂先が潰れて棒きれにしか思えないそれが、さも柵のように立ち並んでいて】
【加えてその槍が光っていたのが消えたがために部屋全体の光量が落ち、実に闇が濃く、暗くなっていて】

【ただ、強いて言うのであれば両者の被害は少なかった筈だ。喋り屋は上手い事石像を盾に出来たようだし――】
【ヒライに関しても、槍は所詮装飾。脆さは本物の武器とは比較にならず、撃てば撃っただけ破片が散ったに違いない】
【故に各々疲労はあるにしろ、ダメージは然程ではない――そう、筈なのだ。だからこそ、此処で何とかしなければならず―!】


……あーれれー?随分と打たれ弱いねえ、これでもミス・レアリアは火力特化じゃあないよ?
この程度で音を上げてちゃ、僕を倒すなんてのは数千年後の出来事になりそうだね

最も、それじゃ君らより時の流れのほうが有能だってことになるんだけどさ
―――ほらほら、まだ終わらないよ?だってレアリア嬢は怨霊だ、恨み晴らさでおくべきか、ってね
何より君らは一応僕の敵なわけだし……今思えば〝戦果ゼロ〟ってエインセルに報告するのも悪いからさ


【ヒライの行動を見やるダグラスの表情はこれまた笑みだったに違いない。その指がまた、パチリと鳴った】
【同時にレアリアが動き出す。呻くように、怨念を吐き出すように声を上げると、石像を包んでいた黒い霞が一挙に溢れ】

【直後――行われる攻撃は実に単純だ。全八方向、つまり一人に付き四方から】
【各々の手に槍やら剣やらフレイルやらを持った石像が、まっすぐに突っ込んでくるだけ、なのだから】

【しかしその破壊力は思っているよりも数段高い。先ず第一に、件の速度での接近は石像だろうが武器での貫通が可能ということだ】
【つまり、またもや串刺しの可能性がある。第二には四方からというものが問題であり――】
【これは避けねば貫かれると同時に潰されるという事になるのである。それほどに、速度は恐ろしい物があった】

【第三はこの速度の弊害。避けねば潰され、避ければそれはそれで石像同士が砕けてしまい】
【凄まじい勢いで破砕したそれらの破片が、まるで手榴弾の鉄片の様に周囲四方に降り注ぐのである】
【これもまた槍の雨を回避したように――とは行かない。なにせ、便りの石像がもう無いのだから】


【――だが、これらの一撃を凌ぎ切ったならば好機がある。チャンスが覗く】

【レアリアはこの一撃を放つと、ほんの僅かにだがぐったりとその身を丸めるのである】
【如何に怨霊、使役されるものであっても疲労はあるに違いない。謂わば絶好の隙というやつか】
【既に銃弾や火球、加えて顔面に土拳も叩き込まれている。消耗しているのは間違いないのだから――!】

696名無しさん:2014/02/28(金) 23:53:33 ID:F52AoKs20
>>685
「――ああそうだ。私は、獣だ……人語を介する獣に過ぎん……ッ!!
愚かな私を、愚かな獣を――人たらしめた主の為にならば――ッ、獣の剣と言われようがなんら構わんッ!!
貴様に……ッ! 無心に剣を振り続ける事が出来るか!? 唯の袈裟斬りを、10年繰り返し続けることが出来るか!?」

【獣であることの肯定。この女、ダラ・ベネディクトは愚かな女だ。愚直に、物心ついた時から機関の元で戦い続けてきた】
【強くなりたいというその一心以外の意志を持たず、無為に、しかしながら信仰を以て剣を振り続けてきた、人の形をした獣】
【そして、剣を振り、振り。工夫を知らぬほど振り続けてきた結果として、もはやその身に染み込んだ澱は技を拒絶した】
【獣のように武とは程遠い、暴を振るい。荒れ狂い、木々を叩き潰し、熊を殴殺するその様は、人のそれではなく】
【今こうして、人語を介するようになった事すら、一つの奇跡。そして今宵、人の技に――――野獣が、牙を向く】

「――――ッォォォォオォォォォォオォオォッ!!」

【振り下ろされる剣。――すり抜ける斬撃の切っ先が、地面に食い込み大地を割断する】
【一念の剣技。技とも言えぬその愚直さ。それが、大地を砕くことすらを可能とする。豪剣と呼ぶもおこがましい様】
【ぎらりと琥珀の双眸がきらめく。眼窩の奥で揺らめく黒い意志、黒き鉄鋼の意志】

【両手を刀から離す。迫る小手、それに対しての行動は、素早かった】
【――視界は、紅で染め上げられただろう。血の雨が、飛び散る。びしゃりと、女のシャツが返り血で朱く染まった】

「――――私、獣だ。だが、私は狼ではなく〝番犬〟だ。――人ではないが、犬にも誇りは有る」

【……ぎしり。朱く染め上がった右手が握るのは――刀身。牙の様に刀身を握りしめる、五指だ】
【五指、そして五体の膂力のみで――無理矢理に女は相手の身体を持ち上げようとするだろう】
【その動作で刃は食い込み、傷は深くなる。だが――――崩れない。愚直な鍛錬が積み上げた、武の無い力】
【〝力〟が振るわれる。一切の迷いなしに、一切の工夫なしに、一切の理性なしに】
【振るわれるのは〝中邑瑛月〟。このままの状態であれば、無理矢理に相手を振り回し、地面にまるで武器の様に相手を叩きつけようとするだろう】
【圧倒的な握力ではあるが、上手く刀を捻るなり、刀を手放すかすれば回避と防御は不可能ではない。〝獣〟は〝人〟にどこまで食らいつけるだろうか】


697名無しさん:2014/02/28(金) 23:54:27 ID:F52AoKs20
>>690
【異様なまでの連携。それが、脅威。彼ら5人が一つの総体として紡ぎだす、その行動】
【一人では実行できないそれらが、5人ならば成り立つそれは、まさしくコンビネーションの一つの完成形】
【放たれる銃弾。そして、その反動を受けて、数歩後ろに下がる二人の前衛。構えを取る】

「――ッ」「ッ――」

【未だ倒れぬ後衛二名。そして――眼前に襲い来る、トランプ二枚に機敏に反応を起こす】
【遅れた一枚。それを通してはならない、そう思い――掛ける。身を貫き、腕を落とす赤の4枚】
【内臓が腹部から溢れだし、腕から吹き出す鮮血が空間を染め上げる。しかし、それによって最短ルートでそのトランプに近づく事が可能となった】
【一人が先にぶつかり、もう一人がその上から覆いかぶさるように跳びかかった。――炸裂音。飛び散ったのは、莫大な鮮血、肉の焦げる匂い】

「――――リンク、解除」「2名ならば――――」
「――――もはや」「群体として――――」
「――――成立」「しない――――」
「――――だが」「エインセル様には――――」
「――――通さない」「絶対に――――」
「「――俺たちは、〝パターンズ〟だから」」

【前衛二人が、言葉を口にする。互いの事を、完全に理解しているような互いの語る言葉の先を互いに補完しあうその独特の口調】
【駆ける。構えは徒手空拳。武器を捨て、銃を抜く暇はないならば、拳と脚で向かう他にない】
【前衛一人がタックルを駆ける。低く、脚を取るようなそれは相手のバランスを崩し地面へと引きずり倒す事を目的としたもの】
【同時に、その低い体勢の上を飛び越え放つのは、飛び蹴り。中々の練度のそれは、当たれば体重と勢いで吹き飛びかねないもの】
【下のタックルに注力すれば上の飛び蹴り。上の飛び蹴りに注力すれば下のタックル。一つ一つではどうということのない一撃】
【だが、それらは補完しあう事で、確実な脅威となってここに顕現しているのであった】

>>685,690
【――鮮血が。白い頬を染める。だが、後衛の尽力によって爆風を浴びることはなく】
【瞳が、開く。射抜く双眸、琥珀の意志が空間を染め上げ、安穏の圧力はその濃度を増していく】

「あと、一歩。……あと、僅かだ――――――宝玉の完成まで」

【手に握りしめる、小さな世界。そこに満ちる、この地の力。そして、逆に――この地からは力が失われていく】
【……そう。この宝玉を作り上げる為に、少女はこの地から力を吸い上げる必要があった】
【大層な儀式もすべて、この地と同化し、この地から力を奪う事を目的としたもの。だが、そうした所で得られるのは――力だけ】
【戦争を起こす様なタイプではないだろうこの六罪王。この地の地脈に出来た、空隙。そこを埋めるように流れ込んでいく琥珀の気配に気がつくだろうか――】



698名無しさん:2014/02/28(金) 23:56:16 ID:CKwgAcf.0
>>688

「ヒャハッ、俺様が本気を出ァせばフィードバックなァーんてねェーんだがなァ――今ォ日は調ォ子が悪いかァらなァ!」

【――その挑発には怒りも乗っていた、己が神気に焼かれているから無意識的に乗せてしまったのだ】
【故に、挑発……と言うよりも負け惜しみに聞こえなくもない、が、まだまだ戦いは始まったばかりである】
【副産物的に飛来した棘や矢が当たったことを遠目とはいえ確認すれば、次の攻撃の準備を取る】

「まッ、身ァ体がでェけェーから良ォいってもォんでェもねェーって言ィうのは否ィ定しィねェ――」

【本来ならば丸呑みにしてもよかった、だが蛙は鹿を喰らうことをためらった、己どころか"主"にも間違いなく"毒"なのだから――】
【触れるのにもためらう、蛙の角先から煙のごとく発生するのは黒い雲――しかし、雷雲ではなかった】
【――"混沌の雲"、だった】 【悪魔が蛙に乗っている理由、それは蛙が己の力を借りれるようにだった】
【別に暴れさせるだけなら自分は遠くに居たって問題はない、そうしたって戦況把握や指示の質が落ちるだけ】

【それは混沌であり、"邪"でもある――酸を"中和"するには塩基だ、ならば"聖"の類も"邪"で中和しようではないか】
【普通の攻撃に対する盾としても有用なそれに雄鹿を衝突させることで、攻撃を防ぐ悪魔――役目を終えた壁は消える】

「ククッ、さァっきの刃もこォっちでよォかったな、糞が……ッ、ちィ、糞、近づいてきて……!」

【――が、気付けば少女の姿が大きくなっていた、その上"嫌なにおい"のするモノを取り出していた】
【全ては過去の話。少女のそれらの行動に気付いた時には、もうそれらは過ぎ去っていた出来事だった】

「俺様に近づくんじゃアねェ、砕かれたくなァかったらなッ!!」 「"ブリザロール"ッ!」

【近づかれればより己が焼かれるに違いない、ならばこれ以上近づけさせない――】
【悪魔の肩に魔法陣が生成されれば、それは形を成し――水色と白色のふくろうとなった、所々に氷が纏われていて、うっすらとダイヤモンドダストが周囲に発生している】
【ふくろうが蛙の口先に移動すると同時、蛙の口部と角先から発せられるのは――"水"だ、太いホースから発せられている程度には太く勢いがある】
【まるで濁流のようで、しかし濁ってはいない2本のそれは――少女に向けて放たれた!】

【――それと同時に、ふくろうが羽ばたいた】 【すると発せられるのは冷気。凍るまではいかないものの、水は冬の様に冷たくなる】
【どうやら、冷水にすることで体力をより奪おうという狙いもあるようである】

【放水はある程度続き、追尾(と言うよりも、少女の移動に合わせて方向を微調整)もする、地面が濡れて滑りやすくなるのも厄介だ】
【しかし、そこまで追尾性能は高くなく、かわしながら接近するのも可能だろう】

699名無しさん:2014/03/01(土) 00:03:30 ID:RAgYLkdI0
>>691

当たったッ!ケヘヘ、やってやったぜ!
……あ?何だ……?妙な手応えだ……それにこの砂は……

【顔面を殴った感触は、ゼリーを通してアルビノにも伝わる】
【おかしな手応えにアルビノが憶測を張り巡らせていると、シーナの攻撃がやって来る】
【シーナの術によって作られた砂の球がアルビノに襲いかかる、それをゼリーで防ごうとするが】

……ッ……!これは実弾じゃねえのか……!?
クソがァ……!!テメーはやっぱジャムにしてしてやらァ!!

【三発全てを受け止めたゼリーは、砂が混じり動きが鈍くなっている】
【アルビノはその様子を見ると、渋々能力を解除してスライムを消す、蒸発するように消えたなら砂だけがザアっと床に落ちて】
【能力の解除、これはチャンスとなるか、だがアルビノもただ立っているだけではない】

ブッ殺してやる……!この砂利クソ野郎がァーーーッッ!!!

【アルビノはポケットから銃を取り出し、シーナに向ける】
【それは携帯出来るように切り詰められたショットガン、二つの銃口から同時に弾丸が発射される】
【周囲にバラ蒔かれる散弾、狙いこそ大雑把だが、前方に範囲攻撃する散弾ならばまず外れはしないだろう】

【今アルビノは半ば自棄になり、怒りに任せた攻撃をとっている】
【だがシーナの能力がどんな物なのかも、少しずつ読めてきている様で】

700名無しさん:2014/03/01(土) 00:14:06 ID:.EYXGKEY0
>>693

【異形の仮面で表情はわからないが……いぶかしげな感情を表に出しているらしい剛太郎】
【旧友という言葉に反応したのだ、UTメンバーと盗賊が『旧友』だと?】


……なるほど、そいつは結構堪えるな
けど悪事を働いた事に怒りを覚えてくれる友達は大切な物だぜ、手荒に扱うべきじゃねえ
友達を操って俺たちにぶつけて来るなんて……よくもまあそんな卑劣な真似ができるなてめぇはよ!

そんなに欲しけりゃ奪ってみろよ!ただしそのころにはあんたは泣きっ面になって倒れ伏せてるぜ!


【最初の一撃、中段回しが入ったかと思ったが手応えがおかしい、なにか防具で防いだような感覚が伝わってくる】
【その複眼に飛び込んでくるのは作業着の下が膨張している状態、肉体変化の能力で一撃目を防いだらしい】
【だがまだ問題ない、『蒲公英』は二連撃の技……本命は二発目の縦の蹴り上げ―――今度はモロに命中!】


そりゃどうも!次のはもっと痛いぜ……おおっと!?

「カメレオンのように舌を伸ばして脚を……!?いかんッ!備えろ剛の字!」

ああ!葉隠流 『梅花』!


【苦しい体制から今度はブレインデッドの攻撃のサポートに切り替えて来たのか】
【連携はあちらにおいても相応に錬度の高い様子、今度はブレインデッドの能力で財宝を浮かせてこちらに飛ばしてくる】
【梅の花を象った守式に構えを持って苦しい体勢からもしばらくはいなしていたが……量が多すぎる!ガードを突破してきたッ!】


やばっ……がっ、ぐあああッ!!

「いかん!『梅花』でも防ぎきれんぞ!『ディフェンド』のキーを使えッ!」

ぐ、わかったッ!!


「――――――『Defend≪ディフェンド≫』 Lock-free』


【彼は攻撃を受けながら一度開いた錠前を閉めると、盾の刻印がされた鍵を取り出し錠前を捻る】
【搭載された呪文音声と共に棺桶が宙へと浮かび、弾幕を遮るように戦士の前へと立ちはだかる】
【そして縦に立ち上がった棺桶がそのまま魔法陣を発動、魔術の防護結界を張り、ブレインデッドの弾幕を防ぎ始めた!】

【そしてこの戦士も捕まったままでいるつもりはない、そのまま自分の脚に絡みついているカニバディールの舌めがけ】


くらえッ!葉隠流 『桜花』ッ!!


【右手で桜の枝の如く鋭く伸ばした炎の貫手を作り、容赦なく付きたてる!】
【刺し傷か火傷か……いずれにせよこの一撃で拘束を外させるためだ】

701名無しさん:2014/03/01(土) 00:21:16 ID:1WzZKwog0
>>694
「ひっひっひ、ギアの旦那も幸せもんですなあぁ、良いお仲間を持っておられる」

【傷を受けた左腕から血を垂れ流しながら、スカーベッジは笑う】
【隣から聞こえた剛太郎の言葉と変身、財団の関係者であり未知の実力者】
【それに対しては、苦い表情を隠せずにいたが。すぐにライラに向き直る。彼もまた、間違いなく強敵なのだから】


「ひぃっひっひっひ!! この遺跡の力あったればこそ、ですがねえぇ。なかなかの趣向でございましょう? ひひひ……」
「あんたこそ、今更後悔したっておせえですぜ、ライラの旦那!!」

【彼らにとっては必要不可欠であるギアを戦場に引っ張り出したのは、ギアの仲間が相手の場合】
【その相手の激情を誘う狙いはあった。だが、ライラの鋭い視線は、その思惑などたやすく踏み越えるかのよう】

「ひっひっひ、仲間の攻撃を受けたご気分はいかがですかい!! っと、のんきに聞いてもいられませんなあぁ……」

【ギアの攻撃が通ったことを確認して、にやりと笑うスカーベッジ。しかし、彼はまだ止まらず】
【向けられる視線から力は抜けていない。叫ぶ声に込められた思いも同じく】
【その思いを乗せて繰り出される火球は、見事なコントロールでこちらを狙っている】


「おおっと、あぶねえ……んな――!!」

【スカーベッジは、どうにか身をかわした、はずだった。しかし、放たれた火球は地面に着弾し】
【起爆。炎と衝撃波がこの場の力に底上げされ、強烈な威力を周辺にまき散らした】
【衝撃波に吹き飛ばされ、身体を炎に焼かれながらスカーベッジが地面の財宝の上に転がる】
【痛みに呻きつつ、その指が動く。ギアを操作するために】

「ぐ……ギアの旦那、早くそいつを……。――――!!?」

【だが、ギアは動かなかった。その身体が微かに震えている。瞳には相変わらず光がなかったが】
【その目は、確かにライラの方を向いていた。意識があるはずはない。スカーベッジの能力の支配下のはず】
【しかし、この時。スカーベッジのワイヤーの動きに、ギアは応じなかった。ライラの心からの呼びかけに、必死に応じようとしているかのように】

「ちいぃ……仕方ありませんな!!」

【それでもまだワイヤーは繋いだまま、スカーベッジは右手を挙げた。その手が、ひじ関節のあたりで折れ曲がった】
【現れた空洞。筒状のゴミとの融合で作り出した発射台。そこから、轟音と共に屑鉄の塊が発射された】

【反動でスカーベッジがひっくり返る。それに反して屑鉄の塊はライラへと飛ぶ】
【質量は大きい。まともに食らえば無傷とはいかないだろう。だが、質量故に速度は遅い。所詮は苦し紛れの反撃】
【ここを凌げば、ライラへ戦局が傾くことになるだろう】

702名無しさん:2014/03/01(土) 00:23:13 ID:3HA7Kbp60
>>692>>695

【眼を見開いて、ヒライの言葉に耳を疑う。だがすぐに、また無表情へと戻るのだが】

『――――任した、と言いたいところだがよ。後半の頼みは聞かなかったことにしたいね』
『冗談にしちゃあ笑えないな。まさかアイツに、諭されたわけでもあるまいに…』

【トーカーは、ヒライの告げた忠告の真意を掴めずにいた。意味が分からない、という風だ】
【心理戦で簡単に負けるような男とも到底思えない、ならば…その他のことに理由があるのか】
【彼の浴びた血液―――その意味が何なのかはすぐ知ることになるのだろうけど、今は二人両方に気を配るばかりで】

【―――パチン、と両手で自分の頬を叩く。気合を入れるというよりは、冷静になるための行為】
【彼女は甘い、優しいのではなく甘い。故に一人たりとも犠牲は出したくない、そう考えるのだろう】

【やがて、冴え切った瞳でダグラスを見据える。指パッチンをした彼が何かの命令を促したのは明らかだ】
【声を上げるレアリア、同時に迫りくる石像達―――こちらには四体、我が身を粉にせんと走り抜けてくる】
【喉元に当てた中指はそのままで、彼女はまた呪詛を紡ぐ準備をした…そう、避けるつもりが端から無いかのように】

『――――――ははっ、誰がだよ。残念ながら、そんなやつに恨み買うような覚えはないね』
『俺は博愛主義者なんだ、嘘じゃない…人に感謝されるようなことはあっても、な』

【黄色の魔力が溢れ、『土の壁』が彼女の四方を覆うように―――そう、盾になろうとする】
【しかしそれは完全な壁とは言えず、精々勢いを殺す程度のものなのだが…それで十分な働きと言えよう】
【彼女自身はいつの間にか背中に大きな『赤黒い翼』を生やして、何も迫っていない上へと跳んだのだから】
【―――やはり、それでも破片の霧散には対処できず、足から順に体を切り刻まれてしまうのだが】


『―――――――だがしかし、博愛主義は人間にだけだがなぁッッ!!』


【しかし、彼女自身もこれで終わりというわけではない、まだ何かを狙っているようだ】
【―――ダグラスは気付くだろうか?石像との衝突によって砕け散った破片達のうち、一部がレアリアへと向かっていることに】
【それは石像の破片ではなく、正しく喋り屋が作り出した『土の壁』の破片だ―――!】
【それらが一つ一つ刃となって、あの怨霊へと襲いかかるだろう。一つ一つの威力は小さいものの、数は多い】

703名無しさん:2014/03/01(土) 00:25:42 ID:u1BkeEnA0
>>699

「ふん!粘液の無くなった貴様など干からびた蛙なのだ!」
「私の渾身の一撃で、成敗してくれるわ!」


【シーナは前進しながらも身体をグルグルと横回転させた】
【ハンマーの柄を両腕で掴み、遠心力をつけて威力を底上げする狙いだ】
【しかし――その進行に対して無数の散弾が襲いかかる】


「ぬっ、そんな玩具まで隠し持っておったとはの!」
「仕方がないの……ここは――」


【勢いをつけたシーナは止めることが出来ない】
【散弾を身体中に浴びたシーナは、顔が崩れ、片腕が吹き飛び】
【身体中に弾丸を受けて服は穴だらけになり、大量の"砂"が飛び散った】

【"真っ当な人間"であれば間違いなく致命傷だ】
【しかし"シーナ"は止まらない。片腕になった穴空きの右腕を思い切り振って】
【回転動作を加えたハンマーの一撃をアルビノの胴目掛け横薙ぎに打とうとするだろう】

【しかし、散弾を受けた結果勢いがある程度殺されており】
【満身創痍の状態で放たれた一撃だ】
【それでも直撃すれば強烈な痛打となる可能性が高いが、致命的なものにはなりえないだろう】
【また、非常に短調で直線的な動作であるため】
【回避、またはダメージを抑えることも出来るかもしれない】

【如何なる結果であろうとも、"シーナ"はハンマーの一撃を放ったあと"大量の砂"になってその場で散っていく】


【……アルビノには、見えただろうか?】
【"シーナ"が散弾を浴びる直前、その大きな背中から飛び降りた"影"が】
【もしその影を目で追うことが出来たならば……】


「頑丈なだけの三下かと思っておったら、私の"剛力くん"を下してみせるとはな」
「……少しはやるではないか、褒めてつかわすのだ!」


【……アルビノから数m離れた位置に立つ者を目にするだろうか】

【身長は140cm程度であろうか、裾に金糸の文様が施された白いローブに身を包み】
【顔にはフードをすっぽりと被って鼻下から上を隠している】
【肩口からは先ほど同様、漫画の吹き出しを彷彿とさせる形状のボードが生えており】
【言葉を発さずボード上で黒い粒子のようなものを動かして文字として意思を表現していた】

【先程までの大男と違い、非常に小柄な人物である】
【砂で作った"人形"の内部に潜んでいたのだろう。これが"地術師シーナ"の正体であった】

704名無しさん:2014/03/01(土) 00:34:23 ID:1WzZKwog0
>>700
……ああ、それについては同意するとも。私には勿体ない友人だよ、あの男は
まったく、卑劣の極みだ。だが、それが我々『スクラップズ』だよ

ふ、ふ。そうさせてもらうとも。盗賊らしく、殺して奪うことにするさ

【膨張した肉が元に戻る。わずかに痙攣しているが、わき腹のダメージは軽く済んだ】
【だが、顎への一撃は痛い。見事にど真ん中を直撃。脳が揺らされた影響は、そう簡単には去らない】
【ふらつく視界を必死に押し留め、剛太郎を一つ目で捉え続けようとする】


『む、む、無駄だ……』

【間断なく財宝を放ち続けるブレインデッド、その表情が邪悪に歪む】
【もともと、多くのものを浮かせることを得意とする能力、強化されればこうしたことも可能となる】
【見事、ガードを打ち破り、さらに邪悪な笑みが深まりかけて、止まった】


ぐ……役割ごとに違った鍵があるわけかね。ますます、特撮のヒーローを彷彿とさせる代物だ……

『こ、こ、小癪な真似を……!!』

【舌を伸ばしているにも関わらず、違和感のないカニバディールの発音。その視界の揺らぎが、戻りつつある】
【この舌の拘束をそのまま生かし、相手を引きずり倒そうしたところで、反撃の一手】


ぬぐ、お――――!!!

『ボ、ボ、ボス……!!』

【炎を纏った貫手。一切の容赦のないその一撃が、カニバディールの舌を突き刺した】
【肉が焦がされ、さらに突き刺され、カニバディールの舌が切断された。拘束は完全に解かれた】

【切断された舌が、痙攣しながら口中へと引き戻される、一つ目に浮かぶ、怒りと悪意】


……お前の鎧と、この斧と。どちらが勝るか、試してみるか――!!

【カニバディールが斧を横に振りかぶった。そのまま、剛太郎へと振り抜こうとするだろう】
【剛太郎から見て、左から右へ。横に振られる斧の刃。速度は遅い。だが、圧倒的な質量と殺意を湛えて迫りくる――】

『し、し、死んでしまえ……』

【そこへ、ブレインデッドのサポート。剛太郎の周辺の財宝を浮かばせ、彼の視界と動きを制限しようと試みる】
【剛太郎を取り囲むように浮かぶ財宝、彼が攻撃の意志を持って財宝を叩けば、それらはあっけなく落ちる】
【しかし、そうせずに触れれば、財宝は空中に固定され、剛太郎を妨害するだろう】

【この一撃、凌げば異形どもは大きな隙を晒すこととなるはずだ】

705名無しさん:2014/03/01(土) 00:39:51 ID:SbMyfX/s0
>>698

はっ、くだらない負け惜しみを…………!

【挑発に重なる挑発、佳乃はそこへ更に挑発を重ねる。操る属性こそ真逆だが、自分に強い自信を持っているという点では似たもの同士だ】
【発生した"混沌の雲"によって雄鹿が中和され、神気を溶かされて悲鳴もなく消えていったのを確認すると、佳乃は一気に歩を早める】
【もはや隠れて走る必要もない。両者の距離は十分に縮まった――――後は、行く手を阻む最後の難関さえ突破できれば】

そっちこそ、私に斬られたくなければせいぜい近づかせないことね…………!
白刃龍紋流、漆の太刀――――『七曜』!!

【薙刀の間合いまで数メートルという所で、佳乃は二体のふくろうの姿を捉えた。かといって、今更歩みは止められない】
【蛙の放つ濁流とふくろうの冷気が重なり、冷水が解き放たれる。流石に水分は斬りようがない、本来は回避するしかないところだが】
【新たに叫ばれた奥義が、薙刀の刀身へ"白い大気"を纏わせる。ふくろうを生み出した張本人の邪禍なら、それが同じ"冷気"である事も気付けるはずだ】
【佳乃は左右に体を揺らして放水を避けつつ接近し、避けきれないタイミングになれば冷気を纏わせた刀身を突き出すだろう】
【元々ふくろうの冷気で冷やされていた事もあり、薙刀の冷気に触れれば放水は即座に氷結する筈だ。それによって、強引に放水を"切り払って"いく――――】
【……とは言っても、迸る流体の全てを凌ぐことは難しい。いまこの瞬間にすぐ体力を失う程の冷水は被らなかったが、少なからず服や床は濡れてしまうだろう】

――――ここっ!!

【ただ――――多少リスクを負ってでも強引に接近を選んだ佳乃は、次の手を打つことには成功した】
【放水を凌ぎきったなら、佳乃は右太股にあるホルスターから"棒手裏剣"を一つ取り出し、口を使って先程取り出した"符"を巻き付け】
【瞬時に邪禍へと投擲。そしてその後を追うように、薙刀を振りかざして今度こそ肉薄を試みるだろう】
【この棒手裏剣、速度も威力も低い。回避も防御も簡単だが――――その真価はもちろん、巻かれた"符"にある】
【走る佳乃が、「"発"!」と叫ぶのが聞き取れるはずだ。そしてその直後、巻かれた"光符"が強い光を発し、邪禍の目を眩まそうとする――――!】


弐の太刀――――『二極』!
……はぁあああああああああああッッ!!

【本命は、その後。邪禍がその光でこちらの姿を見失うかどうかに関わらず、佳乃は一気に邪禍へと接近】
【神気を刀身に一点収束させる奥義を使用し、邪禍の腹部から胸部にかけてを袈裟の一閃で叩き斬ろうとするだろう!】
【光符の光にも負けない"聖"の光を放つ刀身には、これまでにない多量の神気が含まれている――――もし直撃した場合、相当の痛打となるはずだ】

【……ただ、この行動。当たれば確かに強力ではあるものの、目の前には邪禍と蛙、それに背後は濡れて滑りやすい階段と】
【攻撃力に偏重した分、リスクも多大に含んでいる。果たして、結果はどうなるか――――】

706名無しさん:2014/03/01(土) 00:41:48 ID:nHw81SMw0
>>695 

【柵のような槍の落ちた暗闇の中で1人、砕けた槍の破片をジリリと踏んで】
【頭から全身。血をポタポタと垂れ流す姿は異様、異様な光景なことだろう】
【チッ、チッ、チッと一定のリズムを刻むように手の中でピストルを指でまわす】
【項垂れたように頭を下げたまま、戦いの最中に自分の世界に潜っているようだった】

……………

【ダグラスの声にも何一つ反応せずに、教会が13回目の鐘を打つの待つ決斗の様に】
【彼の見える景色は全て赤と黒と輝いた白で構成されていた。嗚呼クソ、だから嫌なんだ】
【ビリビリと全身が震える。銃が体に取り込まれたかのような気分だどっちが何なのかわからなくなってきた】
【余計なものが見えないように下を向いている。来れば音でわかる。撃鉄を起して、再度攻撃に備えた】


……ッッ!!…ッアアアアアアアアアアアア!!!

【迫り来る石像。今の自分にはソイツは容易く見える。顔を起こして銃を構えた】
【両手を逆側に伸ばして、2方向に同時に射撃を行っていく。止めどない銃撃。銃声はまるでやまない】
【ある程度撃てば、今度は他の2体へ。回るように体を動かして石像に銃撃をくわえていく】
【命中率はさして良い方ではない。ただ数撃ちゃ当たるに十分含まれるほど無茶苦茶に撃っていた】
【砕き切ろうと切らまいと4体にとどまらず8体全てに。トリガーハッピーブラッディージャンキー…】

【ここまでで石像をどうにかすることが出来て、且つまだ次の攻撃が来ないのなら】
【両手の拳銃をレアリアに向ける。自分が破片を食らって床にぶっ倒れていたとしても】
【即死してなく、目があって、指が動いているのなら引き金を引くことだろう。】

…そろそろ成仏だ

【震える手。白銀の拳銃を投げ出して、両手で黒い拳銃を握りしめ。撃鉄を起こす】
【銃口からは凄まじい執念、殺気、そして能力的な”何か”が感じられることだろうか】
【天国には連れて行ってやらないぞ。撃つ奴も撃たれる奴も地獄だ。ここもそうだ。…ああそうさ、地獄でなぜ悪い】
【放たれる銃弾はすさまじい威力と回転と熱を持つ。当たればゴーストといえど効果はイマイチじゃすまないだろう】

【ああ、足下に川のように血が流れているようだ。壁からも滲み出ている。男は幻覚がゆっくりと始まっていた】
【そのために命中するかどうかは到底自信がない。それでも、彼は引き金を引いた】

707名無しさん:2014/03/01(土) 00:44:28 ID:vAFUoims0
>>696

―――……出来ない、出来ないな―――!! 貴様の「強さ」への執念は分かった……が、貴様は「力」を求めたに過ぎん。
強くなると言う事は、唯剣を闇雲に振れば良いというものではない……!!考え、工夫して、教わり―――……もしや……!

―――貴様、師は……教えてくれる人は、いなかったのか……?

【彼女の努力は、確かに剣に現れている。その威力は間違いなく努力の賜物であり、未だ両手に強く残る痺れが其れを示している】
【―――だが、何故その努力が工夫に、技に渡らなかったのか。激しい口調で問い詰める中で、瑛月は疑問を零した。―――「武」を学ぶ環境が無かったのか……と】
【その点で見れば、瑛月は非常に恵まれている。瑛月はここ2,3年でも自分で技術を作り、工夫し、改良した。だが其れは唯刃流の技術が土台になってこそ生まれたモノ】
【―――彼女には、その土台すら無いのか?孤独に、何も知らぬまま唯刀を渡され―――独りで強さを追い求めたのかと。そうならば、彼の「武」を問うことは酷すぎた】

【恵まれた環境に本人の努力、工夫、様々な想いが重なり生まれた武が奥義『影牙』となり彼女を襲い―――肉を裂く感覚も確かにあった】
【だが、その感触は途中で止まっている。―――彼女の五指が、赤く染まりながら刃を捉えているのだ……!!】

……―――なッ……!! 無茶苦茶過ぎる……ッッ!? 

【そのまま、彼の身体が持ち上がる。彼には絶対に出来ない芸当、武では辿り着けない領域―――いや、決して辿り着かない「力」】
【―――その純粋な力に対し、瑛月は「武と力の融合」で応戦する。全身を1つにして動かすことで、個々の筋力は劣っていても巨大な力を生み出せる、というもの】
【唐突だが、中肉中背の男―――体重を70kgとして、その男が50kgの女性を後ろから抱き締めているとする】
【女が逃げようと左右に身体を振っても、男の抱き締めから逃れることは難しい。一般的なイメージではそうだろう】
【だが、50kgの魚がバタバタと跳ねれば忽ち腕のロックは離れ男はその力でふらついてしまうだろう。其れがもっと大きな魚なら、遠くまで吹き飛んでしまうほどである】

【この魚と女の違い―――其れは体幹。魚が跳ねる運動は、体幹を動かし全身を動かしている。その運動を人間が行うのは至難の業だが、瑛月には其れが出来る】
【唯刃流の動き、その根底は「体幹」。体幹の動きが末端に伝わり、全身の筋肉が一つの動作に使われ―――凄まじい力を生み出す】
【瑛月は今、「70kgの魚」だ。体幹を、全身を総動員させ―――瑛月は剣を握ったまま、魚の如く全身を震わせた。同時に彼女の指に襲い掛かる、巨大な力】

【その力に彼女が耐えたのならば、瑛月は地面に強烈な力で叩きつけられるだろう。もし耐えられず刀が抜けても地面に全身を打ち付けるが、威力は大分マシなものになる筈だ】

【どっちにしろ恐らく瑛月は地面から立ち上がる形になる。ダメージの大きさには差はあるだろうが、顔を上げるくらいならダメージに関わらず可能だ】
【その時彼の瞳に写ったのは―――女王の手の中。恐ろしいほどに魔力が凝縮された其れ―――彼の友人、ロウが持っているペンダントの玉、宝玉に酷似している……!】
【―――いや、その宝玉とも比べ物にならない程のエネルギー。……凄まじい悪寒が走ったと同時に、軋む全身や礫による痛みが増幅する】

【それでも―――刹那走った危機感とでも言えよう何かが、彼の身体を動かした。右手を剣から離し、腰の鞘へと移す】
【仰向けから片膝立ちになると同時に―――居合の如くフォームで鞘を投擲。鞘は回転しながら彼女の手元を弾こうと飛ぶだろうが―――】

708名無しさん:2014/03/01(土) 00:54:48 ID:sHKYA6gg0
>>697

【血肉は飛び散れど───届かせる事は叶わず。“儀式”は尚も進んでいく】
【ともあれ、これで残るは2名。ここを突破すれば、こちら側の敵はいなくなる───】

くっ…………そこまでして守りたいのかよ……!
何が……何が目的だ、てめえら……命捨ててまで守って、それであいつは何をするってんだ!

【エインセルの目的はやはり、不明。そして彼ら、〝パターンズ〟を何がここまで駆り立てるか、それもわからない】
【それでも、やらねばならない。やらずに後悔する様なことは、したくない】

【駆ける二人。ディハートは回避する素振りすらなく、下からのタックルは確かに足を掬い、転倒させた】
【思わず地に突いた右腕が伝える痛みに、表情が歪む。しかし、飛び蹴りの一人にも何もしなかったかといえば、そうではない】

【飛び蹴りを放った後、彼の顔の前に黒のカードが3枚、重ね並ぶ事になる。さんざ防御に使用している通り、】
【“壁”として使う程度の硬度を、このカードは持っている。強くぶつかれば割れるものの、】
【逆にぶつかった側へは衝撃が返される、というもの。上を狙ったのは、より回避が難しそうな側を選んだから】

【だが、回避できない、なんて事はない。カードが並んでからそこに至るまでには多少、時間があるし】
【そもそも、トランプの大きさはそう大きくはないのだから】

ま……だ、まだいくぞ、オラぁ!

【……ディハートの能力には、一つ利点がある。武器となるトランプが、能力による制御だけで動かせる、という点だ】
【つまり、どんな体勢からでも攻撃は可能───例えばそう、タックルを受けて転んだ姿勢からでも、だ】

【残る攻撃用のカードは僅か。その内の2枚が、タックルの一人、その左右から迫る】
【飛び退るなりすれば簡単に回避が可能な軌道だが、それを選んだのは、単純に余裕が無かったから】

……おまけだ、くれてやる…………っ!

【赤のカード、残る1枚。放つ先は、エインセル。余裕がないながらの、精一杯の足掻きであった】

709名無しさん:2014/03/01(土) 00:56:45 ID:RAgYLkdI0
>>703

【身体を回転させながら迫るシーナに、散弾銃による発砲】
【しかしそれでも止まらないシーナのハンマーによる一撃は、確実にアルビノを捉えた】
【直撃の瞬間、アルビノはスライムの膜を再び発生させ、何とか防御を試みる】

…………グガァ……ッッ……!!て、てめえよくも……!

【しかし遠心力の掛かったハンマーの威力を殺し切れず、そのまま一歩後退りする】
【強力なインパクトを受けてなお立っていられるのは、この男の意地であろうか】

【だが崩れ去るシーナを見るのなら、やはり違和感を覚えて】
【やがて数メートル先から話してくる少女に焦点を合わせると、ああそうかと気づく】

やっぱ本体が居たのか……さっきのは唯の張りぼての身体だったわけだ……
……ふざけやがってこのガキが……ッ!普通に殺すんじゃあ足りねぇ!
ゆっくり生きたまま消化して、俺のジャムの一部にしてやるッ!!

【もう支障はなくなったのか、アルビノの全身からスライムが湧き出てくる】
【潜水服のように身体を包み込み、その状態でシーナに接近しようとする】

【接近に成功したのなら、ブクブクと右腕のスライムが膨張し始めて】
【そこから巨大な拳を生成したのなら、そのままシーナに殴りかかろうとするだろう】
【対処は難しい訳ではないが、その大きさ故に完全に避けるのはやや困難】
【威力も見た目通り、岩を砕く程にはあって】

710名無しさん:2014/03/01(土) 00:57:24 ID:Qa8AXHgU0
>>693>>701

「……ギアが……!?

 ッ……だけどよォ、その旧友を無理やり連れ去って自分達の私利私欲に使うなんざ問題外だろうがッ!!
 そんなもん、友人でも旧友でもねーだろうが!!」

【カニバディールの放った言葉に反応したのは剛太郎だけではなかった。ライラも耳聡くそれを聞きつけ、食いつく】
【怒る。何が旧友だ。ただ利用しているだけ、道具としか思っていないような人間に簡単に友人を知り合い扱いされたくは無かった】


「ッ……テメ、ェッ!! 言葉通りのクズ野郎が……!!!」

【スカーベッジの言葉に乗せられ、ますます激昂するライラ。だが心の中で、冷静さは少なからず残っていた】
【「Frame Bomber」をマトモに受け、ギアを動かそうとするスカーベッジに足の痛みを堪えながらもすかさず構えようとするライラだったが】
【一向に攻撃は来ない。――――――そしてライラは、操り人形だったはずの彼の目が、確かに此方に向いているのを見た】

【闘っている。彼も、自分の意志で必死にマリオネットから抜けだそうとしている。声は確かに届いている】
【そう悟れば、苦しい表情だったライラにも笑みが戻ってくる。そうだ、ギアはただの操り人形ではないのだ、と】


「ギア……ッ!! 今すぐ、助けるから――――――ッグゥ……がァァァッ!!?」


【続けてギアに話しかけようとした刹那の判断、それがスカーベッジの屑鉄がヒットするかの明暗を分けた】
【飛来する鉄塊を完全に避けきることが出来ず、脇腹付近を強かに打ち付け、さらに破片か何かだろうか、何箇所もの切り傷、刺し傷が生まれていく】
【襲い来る激痛。脇腹を押さえた右手には、自らの血がベットリを付着した。吐息とともに吐き出される、痛みからの咆哮】

【――――――しかし、ライラは攻撃を手を緩めない。いや、緩めることが出来ない】
【ギアを取り返し、ここに居る『スクラップズ』全員の首を取るまでは、倒れることは出来ない。……その目が再び鋭くなり、何かを決意した表情のライラは】
【その持っていた杖の上方を軽く捻り、そして上へと引き抜いた――――――現れるのは、室内においても冴える白銀の刃】


「  S  3  /  ……ッ、『 B i g   W i n d   B l a d e 』 ォォォッ!!!!」


【その刃にライラの魔力が流し込まれる。緑のオーラを纏った刃、切っ先を向けるのはギアを操るワイヤー、そしてその先のスカーベッジだ】
【大きく刃を持つ左手を振り被り、これまた大きく振り抜くと緑色の大きな風の刃がワイヤーとスカーベッジ目掛けて飛んで行く】
【速度は変わらないが、その刃の大きさは先ほどの「Wind Cutter」よりも3倍近く大きい。その質量で切断力も上昇している】
【だが、いくら威力がアップしていようと当たらなければ意味が無い。現に放った風の刃はギアを操るワイヤーを1、2本取り残すコースだ】
【スカーベッジも、そのコースを見極めればクリーンヒットは免れるだろう】

711名無しさん:2014/03/01(土) 00:59:44 ID:bqaXRJC.0
>>689

【彼はジャンプからの着地をして再び走り出す彼女に向かって】
【そして彼は彼女の表情を見た】
【その表情は彼からみてもまったく持って余裕がないように見えているが】
【彼女は動体視力がすぐれていないのかとそのように予想しながらも彼は突き進んでいく】

一気に距離を詰めていこうかぁ!

【これは揺さぶりだ、彼女に対しての揺さぶりだ】
【彼女は動体視力が優れていない、ならば接近されれば終わりかもしれない】
【そのような憶測の元に揺さぶりを彼女にやったのだ】
【実際のところ今は速さはあがっていない】
【果たして、このような揺さぶりに引っかかるかどうかそれはわからずに】

やっぱ今のやつは読めねぇか!

【ナイフの投擲爆破、そうそうに見抜けるはずがないなぜなら普通のナイフとなんら変わりないからだ】
【そして彼は爆破で吹っ飛ばされた彼女を走りながらも見た】
【スケッチブックを落とさないようにして苦痛にゆがんだ顔が彼には見えた】
【あのダメージは彼女にとってきついものがあるだろうだがそれでも――諦めずにこちらを睨んでくる】
【その姿に彼は――歓喜した】

ハハハ!、ハッハハ!、ハーハッハッハッ!
すばらしいぜ!まだ諦めない!すばらしい!すばらしいぜッッッ!

【彼は確実に喜んでいた、彼女は〝強者〟だとそう感じたからだ】
【まだ諦めないという気概!、それが彼にとってものすごく喜ばしいことであるから】

【喜び気分が高揚している彼はさらに彼女へと接近するために力を振り絞って大地を蹴った】
【天を貫くように手を掲げ、そして振り下ろす動作】
【何かしてくるとそう感じたがそんなもの一気に近ずけば何とかなると言う思考により注意力が一時的に低下していた】
【だから光の塊が落ちてくる前兆を見逃してしまった】

【そして、その光の塊が彼の右肩に――直撃した】

ぐッ……!

【一瞬のうちに表情をゆがめる、そのゆがみには自分の注意散漫の結果によって受けた自分に対する怒りが含まれている】
【だが、それ以上に彼は面白くなってきていた】
【そこで彼は彼女までの走りをやめて彼女に向かって言う】

ハハ!、こいつはどうやらいけなぇなぁ!
だがまぁ、この攻撃の傷は自分の戒めと――お前の褒美だ
なんせこの直撃だこっちの右肩は今の戦闘には使えねぇからよ!!

【そう、直撃を受けたことにより攻撃を受けた方の右肩は動かなくなっていた】
【いや、正確には動くがあまり大きく動かせなくなっているのが正しいか】
【とにもかくにも彼は剣を直撃を受けなかった左肩の手に剣を持ち替えて――疾走した】

【そして接近したのなら背を低くして胴体めがけての横一閃の攻撃を仕掛けようとするだろう】
【だが、右肩の痛みがあるのかその精度は粗っぽかった】

712名無しさん:2014/03/01(土) 01:06:39 ID:Y8b9tb8I0
>>704

「ふん、ワシと言うより共同開発した"WILD"の若造の趣味じゃがのう
しかしアイディアとしてはええモンじゃったわい、これ以上なくな」

へへっ、ナイスサポートだぜムク!
さて……お互いパワー自慢、短期決着に自信があるタイプと見たぜ、そう考えればこの勝負
受けるしかねえな、試してみようぜ!


【拘束を取り払った所で剛太郎が改めて構え直す、カニバディールが勝負に出たことを感じている】
【先ほどより見せてくる攻撃力なども相当高い、だが彼とてこのレベルのパワーと勝負したことは多々ある】
【今この時を恐れてはいけない、恐怖を我が物にしてこそ勝機は見えてくるのだから】

【す、と先ほど変身に使用した赤色の鍵を改めて取り出すと同時に、両者が動き出す】
【狙いは斧による両断、しかしその直前に自分の目前の財宝が動き出し視界を遮ってくる!】


「―――――剛の字ッ!」


(――――心配はねえ、前にもあの試合で視界を遮られた時も俺は焦りから自爆した
常に五感の全てが使用できるとは限らない事をあの敗北で学んでいるんだからな、もうこれしきで動揺したりはしねえ
こちらを塞ごうと向ってくることが分かっているんだったら……迎え撃つまで!)


『――――――――――――――――≪Open sesame≫!』

葉隠流 奥義ッ!  『七 星 天 道』 ッ!!


【ガチリと錠前に赤色の鍵を差して回すと―――鎧のエネルギーが必殺モードへと移行する】
【纏っているエナジー出力が跳ね上がり、相手に本命の一撃を叩き込むための準備が始まっていく】
【そんな中でも彼は平静を保ち、飛び交ってくる財宝と斧の一撃の軌道を正確に見極めていたッ!】

【剛太郎は放つ―――七の打撃を一呼吸の間のうちに叩き込む我が奥義を】
【一撃、二撃、三撃と財宝を叩き迎撃し、身を低くしてカニバディールの斧を回避、そのまま大きく踏み込む!】
【間合いを詰めていくうちに飛び交う財宝に再び迎撃、四撃、五撃、六撃……そして!】


―――――――……せ い や ぁ ――――ッ!!!


【締めの七撃!魔術強化の拳をそのまま勢いよくカニバディールの胴体めがけ】
【絶妙の間合いとタイミングからその必殺の拳が放たれていく―――まともに当たればそのまま後ろへと撥ね飛ばされるだろう!】

713名無しさん:2014/03/01(土) 01:19:08 ID:ArtzINQc0
>>702>>706

【――まず先に、結果から記すとしよう。端的に述べれば?ノックダウン?だ】

【第一にその身を――物理耐性に弱いゴーストを穿ったのが、喋り屋の攻勢だった】
【レアリアの操る影とその使役物が出来る動作は一度っきり。槍もそう、石像も、影自体もそうだった】
【故に壁の破片にまでは影響が及ばない。つまり喋り屋のやり口は全く以て正解――タイミングも完璧だった】

【そして全身に破片が食い込めば?ドジュッ?という薄気味悪い音と共に黒い霞が溢れだし】
【声にならないかすれた叫びが周囲に木霊すると、ついでそれを掻き消すように】

【『知ったこっちゃない』とでも言うかのようにしてヒライの銃弾が放たれたのである】
【そう、彼の攻撃は通ったのだ。石像はやはり、何百何千という時を重ねたが故にもろく】
【彼の連続射撃によって全て砕かれていた。これは喋り屋の攻撃をスムーズにした一因でもあって――】

【――さて、問題はヒライの一撃だ。それは、苦痛と怨念にもだえ苦しむミス・レアリアの真額を撃ち貫いていた】
【ついぞ溢れるのは――?コポリ?という血のような、黒々とした、ドロドロとした、悪意の液体で】


―――あーあ、やられちゃったね。ごめんよミス・レアリア、君はいつもやられ役なんだ
恋愛モノに出て来れば妄執に駆られた恋敵、ホラーなら……今見る通りだ
我ながらもうちょっと可愛げのあるキャラクターにしてあげたかったけど……残念だね。

僕の能力は、一度発現してしまったものは再度?蓄積?が無いと?具現化?出来ないんだ
あの月をもう一度落とすには10年はかかる、それと一緒でね……――さよなら、レアリア。


【ダグラスの軽快なセリフ回しが沈黙を破る。そして、言葉の切れ目が感情の切れ目とでもいうのか】
【それが止むや、レアリアの全身の傷から真っ黒な液体が溢れだして、やがて体積を超えて周囲に満ちると―――】

>>ALL

【――黒い液体は、一つの顔として形を持った。恨みと悲しみの綯い交ぜになった、苦悶の顔】
【やがてそれは尾を引くミミズのように変形して――ふわりと浮くと、まず喋り屋の方向へと富んだ】

【この液体、触れても直接の影響はない。ただ触れた瞬間ばかりはさぞ胸糞悪い気持ちになるはずで】
【オマケに液体は肉体を透過する。エクトプラズムとかいう物質の名を聞いたことがあるとすれば、それを思い浮かべるかもしれない】
【霊的物質による最後の思念攻撃―――その本質は、約一日後に?呪い?という形で具現化することになる】

【仮に喰らえば、と云う話。全身に、生まれてから今日までの傷全ての痛みがじんわりと蘇るという呪いがかかることになるのである】
【解除方法は一ヶ月か、二ヶ月か――時が経つのを待つ。或いは、高名な僧侶などに解呪を頼むといったトコロ】

【もっとも、避けてしまえばそんなことは関係なくなる。一度避けられればレアリアだった存在は】
【ついでヒライを狙い、それも終わればやがて空中で霧散して叫び声と共に消えてしまうことになるだろう】
【そうなればダグラスも?これで終わりだね?とつぶやいて、マントの裾に付いた埃を払う――戦いの終わり、逃走するつもりのようで】


……さ、それじゃあ僕は帰るとするよ。エインセルの方も今から駆けつけたって遅い筈だ
もう十分に時間は稼いだからね……ただ、このまま帰るのも忍びない。

君たちには一つ、情報をあげようか――近々、ゼン=カイマで大司教の選抜みたいなのが有るらしいよ
世界的イベントだよねぇ。だって宗教の総本山みたいな扱い受けてる場所の謂わばトップを決めるわけだし?
もしかしたら、何か……起こるかもしれない。僕は出席出来ないけど、君らのよく知る人もそこに参列するんだ―――おっと。

……ネタバレは此処までにしようか、マジシャンと芸術家にとって完成品を事前に晒すのは致命的だ
それじゃあ、アディオス君たち。これからも僕の舞台にいつでもご参加下さい、ませ…―――フフッ。


【―――そうして挑発するだけして、不穏を煽るだけ煽って、ダグラス・マックスウッドは足下の魔方陣と共に消える】
【同時に彼を護衛していた騎士も消え、空間の壁も消え、大理石の門への道も開かれるだろう】
【だが果たしてその道を尚も進めるものが居るのか否か――不安の種は、ばら撒かれたままだった】

/ちょっと巻きな感じですが、切りが良さそうなのでこの辺りでっ!
/最後におまたせして申し訳ないです。お二人共、お疲れ様でしたー!

714名無しさん:2014/03/01(土) 01:21:43 ID:CKwgAcf.0
>>705

「糞ァッ、出力上ァげろッ!」

【遺跡が水浸しになって行く、散らかるモノも殆ど流して行って、けれど少女は水流に逆らい切り払い迫り来る、――無理矢理凍てつかせて】
【近い方がエネルギーは減衰しない、それに薙刀の射程範囲内になれば纏めて斬られる恐れもあった】
【濁流では止められない、そうわかればその行為は無駄でしかない――放水を止めさせれば、悪魔の左腕に邪悪なエネルギーが溜まってゆく】

「――ちィ、撃ゥち落としてくゥれ……ッ!!」

【悪魔は撃ち落とすつもりだった、――近づかれたのならば、強引に引き剥がすしかない】
【だが、急に目の前が真っ白に染まった――それは光だった、急な光に目が眩み、怯む悪魔】

【ところで、――この悪魔、嗅覚が鋭過ぎるのだ】 【故に、弱点である"聖"の臭いがどこにあるかくらいは眼で追わなくとも十分わかる】
【怯んだ分初動は遅れ、溜めた魔力もやや弱まったが――悪魔は行動に出る、先程の目的である"撃ち落とす"というそれに】 【悪魔は左腕を振るった】

【薙刀のリーチと生身のリーチの差、常識的に考えれば前者が圧倒的有利なことに間違いない】
【――故に、"本来ならば"カウンターをするのには非常に不利な間合いだったと言える、言えた"はず"なのだ】
【そう、"はず"だった――悪魔が左腕に溜めたエネルギーが、拳から伸びて槍のごとく突き刺そうとしてきたのである】

「ぶゥっ砕くッ!!」

【本物の槍の如く鋭いそのエネルギーは"邪"であり"混沌"でもある、故に聖に非常に弱いが――逆に、聖を蝕む存在とも言える】
【なお、槍の本数は3本である】 【狙いは特に定めていないものの、当たるとすれば上半身辺りだろうか】
【また、――この槍の追加効果として、"持つエネルギーを砕く"というモノがある、砕けたエネルギーは辺りに散らばる】
【当たりどころが悪ければ魂を穿たれる様な奇妙な感じを覚えるだろうし、そうでなくとも生命や魔力のエネルギーなどにも被害を受ける】

「――――グゴゴ……ァア……ッ」

【このカウンターが成功しようとしまいと、少女の放った一閃が当たった事に変わりはない】
【蛙にはフィードバックダメージが行っていない様だが……非常に良い成果を上げたと言えるだろう】
【深々と斬られた胸部〜腹部が――焼かれている、蝕まれている、その聖の神気によって!】
【――そして、本来ならば邪悪で満たされた血、それすらもボロボロの状態で滴っていた】

「ッはァッ、糞……"善光"め……やァはり生ィかして、……おォけぬッ」

【瞬間、蛙が数m程一跳ね。――少女が振り落とされようと振り落とされなくても、悪魔はそれによって吹き飛ばされ、階段を強引に下って行く】
【受け身は取らない、代わりに蛙が吐き出した雲のクッションを纏うことで衝撃を和らげる】
【――そして、ふくろうが冷気を階段へ流し込み……濡れていたそれを凍らせてゆく】
【もし階段を下るとするならば、中途半端な氷によって滑らないようにする必要がありそうだ】

715名無しさん:2014/03/01(土) 01:22:17 ID:F52AoKs20
>>707>>708
「――ッ、ああそうだ。師は無く。ただ獲物を喰らい、技無く研ぎ続けた〝牙〟。
それが私の――私の〝剣〟だ――――!! そして、これがあるからこそ――主を守ることが、出来るのだ!」

【師は無く。技はなく。唯一つ、握っていた剣だけが己の拠り所。そして力を求め続けて至ったのが、〝力〟だ】
【武などではない、むき出しのそれは――〝野生化した人間〟とも言える、それ。人のスペックの限界に挑戦したもの】
【環境に恵まれず、工夫を持たず。ただ、剣を振り続ける、拳を振るい続けるという努力と、それに耐えうる肉体という才を持った】

【――その結果が。〝武〟を〝力〟で握りしめるという結論に辿り着いた】

【技微塵も無し。有るのは純然たる力だけ。五指に、腕に五体に力を込めて、相手を持ち上げる、それだけ】
【そして、〝野生化した人間〟にはそれが出来る。人の武器、工夫を捨て去った彼女がたどり着いた、境地】
【強いから強い。力が強いから、強い。それ以上でもそれ以下でもない、細かい理合の全てを投げ捨てた、その〝力〟】
【手の中でのたうつ、技。その動作に、手の中で躍る剣が――女の手をズタズタに切り裂き、骨を削る】

「――――っがァァァアアァァ――――――――ッ!!」

【響く雄叫び――。技で逃れようとする〝武〟に対して〝力〟は――力をより強く込めることで対応した】
【全力での振りかぶり。相手をエインセルから引き離そうとする、全力の放り投げ、叩きつけ】
【相手を吹き飛ばすも、それでもゆっくりと立ち上がり、男は鞘を投擲する。――迫る、鞘】

「……ッ、エインセル様ァ!! 〝パターンズ〟ッ! ……糞ッ!!」

【憔悴するダラ。そして、二人の意図を理解し――ダラは全力で駆け出す、だが間に合わない】
【飛び蹴りを放ったパターンズは、その膝を受け止められ、空中でバランスを崩して、地面に叩きつけられた】
【もはや前進しか思考にない、追い詰められたパターンズ二人。タックルのパターンズが、ディハートのトランプで地面に倒れこむ】


716名無しさん:2014/03/01(土) 01:22:38 ID:F52AoKs20
>>707>>708
【飛翔する、鞘】【飛翔する、赤のカード】【そのどちらもが、エインセルの手元を狙う】
【ダラが動く。カードをその身に受けてでも止めようとする。伸ばす右手、肉が裂けるが、すり抜ける、止まらない】
【――――軽い音が響いた】

「…………宝玉の完成は成らず。地脈と星辰に力は戻る、か。
だが、奪いとった力が戻るまでに時間はまだある。ならば――この地に〝私〟を溶けこませるには余裕がある」

【地面に落ちた、琥珀色の宝玉。――ひび割れた表面からは、じわりじわりとその力が漏れだしていく】
【宝玉の完成の阻止は成った。だが、宝玉の生成は、あくまでも目的達成のための一つの手段にすぎない】
【少女の呟き。そして、空間に満ちていく少女の気配の濃厚さ。――まるで、この土地に元々有ったものと、少女が差し替えられているかのような、不自然さ】

「明かそうか。――私の目的を。だが、その前に。ダラ、命令だ」

【少女は、諦めたかのようにため息を吐く。そして、琥珀色の瞳を二人に向けて、己の目的を明かすとさえ言い放つ】
【語る前に、と。なんてことはないように己の傍らにダラを呼び寄せる。そして、いつの間にか〝パターンズ〟の姿は消えていて】
【琥珀色の瞳が、黒色の瞳と交錯し。少女は、副官に命令を下した】

「――第二プランを実行する事」「――了解しました」

【少女がスカートをたくしあげる。白く細い足を晒した次の瞬間、少女の右足が根本から切り落とされていて】
【吹き出す琥珀色の液体を浴びながら、ダラはそれを部屋の中心へと持っていく。そして、エインセルは】
【――――表情を変えること無く、いつの間にか二人とダラの間に座していた】

「――私は、この世界が好きなんだ。平和を愛しているし、正義や美徳や善性や幸福といった物が好きでならない。
故に、誰もがそれを享受できないこの世界が、私は大嫌いだ。誰も不幸であってはならないし、誰もが幸福でなくてはならない。
……だから私は、そういう世界を創りあげたいと思っている。――――私の力で」

【手に生ずるのは、先ほどのそれよりも大分小さい、5cm程の球体。その中にはまた虚無が有り、そこに有が生じていく】
【それを、二人の方に向けて放る。数秒もすれば、霧散して消えてしまう、余りにも儚い世界】
【目を凝らせば、そこには数多の生物が反映し、数多の文明が隆盛していくのが見えたかもしれない】
【――この少女が、手の中に作り上げていたものは。極小サイズの、一つの世界であったことが分かっただろうか】
【少女の語る、己の思想。己の力で、この世界を救う。まるで夢物語のようなそれを、無表情で、大まじめに少女は語る】

【不可能だと、普通ならば断ずるだろう。だがしかし――――少女のこの力が、この世界を覆う規模で発現したのならば?】
【そして、今は不可能でも。何らかの手段でそれを可能にする術があり、その手段を少女が知っていたとしたら?】
【――背後でダラは、斬り落とした少女の脚を上空の琥珀の杭に掲げている。次第にその脚は存在感を薄め、逆に空間に満ちる少女の気配を増していく】
【まるで、この土地そのものが少女に汚染されていくような、そんな不気味な感覚を――覚えるかもしれない】


717名無しさん:2014/03/01(土) 01:26:25 ID:u1BkeEnA0
>>709

「ククク……面白い!やれるものならばやってみるがいい」
「しかし、ただ振り回すだけで当たってやるほど今の私は優しくないぞ」


【巨大な拳で殴りかかってくるアルビノに対し】
【シーナは先程同様に地面を流す移動法で素早く後ろに下がりながら】
【アルビノとシーナの間の地面に魔力を流し、干渉】
【地表を分解し、砂状にして再構築した】

【斜め下から打ち出されるは、成人男性ほどの大きさもある"砂の拳"】
【砂で出来た巨大な拳を、アルビノのスライムの拳と打ち合わせるようにして放つ】
【もし成功したならば、砂の拳は攻撃を受けた後バラバラに粉砕される】
【形状は攻撃的だが、実際はアルビノの技に合わせただけの防御術である】
【スライムを纏っていることもあり、ダメージが通ることはないだろう】


【鋭い動きで数mほど後退したシーナは、その場で腕を組んで仁王立ちする】
【瞬間――シーナを中心として半径2mほどの範囲の地面が砂化し、膨大な魔力が溢れ出した】
【明らかに何らか大技の予兆であった】


「そろそろ決めさせて貰うのだ――私を下したいのならば最大の一撃で向かって来るがよいぞ」
「真正面から貴様の鼻柱をへし折ってくれるのだ」


【生意気げに顔を逸らし、右手の指先でちょいちょいとアルビノを指し挑発する】
【恐らくこの言葉に嘘はない、シーナも今まで見せていない最大級の術を繰り出すことだろう】
【シンプルな構図である……互いの"必殺技"を打ち合い勝敗を決しようという】

【シーナの周囲の砂が波を打つ。早く解放しろと、早く力を吐き出させろと】
【フードの下から、"砂の眼"を通してアルビノを見据えながらシーナは口元を引き締めた】

718名無しさん:2014/03/01(土) 01:39:48 ID:1WzZKwog0
>>710
く……ハ、ハハ。お前の言う通りだ、ライラ。ギアも最早、私を友人とは思っていまい
いや、元友人だからこそ、許せないのだろうよ……
だが、私は救いようのない悪党だ、ライラ

【剛太郎から受けたダメージに足元をふらつかせながら、ライラへ醜悪な笑みを返す】
【その声音には、どこか自嘲めいた響きもあったが。やはり、その表情、その気配は、どこまでも、どこまでも邪悪】


「ひっひっひ、あたくしにとっちゃ褒め言葉ですぜ!!」

【怒りに叫ぶライラに叫び返すスカーベッジ、だが切り傷と火傷のダメージは確実にその身を蝕んでいる】
【息は荒く、顔を脂汗が伝う。そこへギアの反逆。スカーベッジにとって、戦況はかなり苦しい】
【だが、ライラの秘めた情が皮肉にもスカーベッジの攻撃を通した。舌のピアスを剥き出して笑う】

「ひ、ひひひ……そろそろ限界近いんじゃあありやせんか、旦那……」
「っと、諦める気はおありでない……まあ、そうでしょうなあぁ」

【わき腹をずたずたにされながら、まだライラは立つ。あの屑鉄をまともに受けていながら】
【強い。やはり、この男は強い。抜き放たれる仕込み杖は、彼そのものの如き鋭さ】

「デュアルの兄貴たちをぶった切ったっていう……!! くそったれ……!!」

【スカーベッジが、対処しようと動く。指を動かし、ギアを無理矢理に自分の手元へ引き寄せようとする】
【ギアの身体を盾にするつもりか。だが、その前に放たれた緑色のオーラ、その刃が】
【圧倒的な質量で迫る刃がワイヤーを一本のみ残した切断する。だが、最後の一本がギアを引き戻す】
【笑うスカーベッジの表情は、次の瞬間凍り付いた。ギアの腕が、スカーベッジの足を掴んでいたのだ】


「な……!! バカな、あたくしの支配をここまで押し返して……!!」

【驚愕に歪むスカーベッジを、ライラの魔力を存分に湛えた刃が襲った】
【ギアに抑えられ、sらに先のダメージ。回避もままならず。巨大な刃が、スカーベッジを直撃した】
【鮮血を吹きあげて、声もなく後ろへ倒れるスカーベッジ。同時に、最後のワイヤーに引かれてギアも同じ道をたどる】

【勝敗は決した――ライラの想いを込めた魔力が、そしてギアの抵抗が、見事スカーベッジを下したのだ】


>>712
"WILD"……聞きしに勝る酔狂者らしいな。ぜひ顔を拝んでみたいものだ……断末魔に歪んだ死に顔をな

ああ、その点についてはどうやら共通するらしい。この一撃で決着といこうじゃあないか

【一歩も退かない両者。凝縮されたドス黒い悪意で塗り固められたカニバディールと】
【恐怖に打ち克つ勇気を持って立ち向かう剛太郎。正義と悪が激突する――!!】


(視界の妨害だけでどうにかなる男とは思わん……だが、この一閃当たればそれでこちらの勝ちだ!!)

【カニバディールの一つ目が、剛太郎の命をたたき割る瞬間を見定める】
【斧は止まらない。そのまま。振り抜かれる。だが、手応えはなかった】

な、に――――!!?

『ぬ、ぬ!!』

【二人の異形が、驚愕に顔をはっきりと歪めた。足場の悪いこの部屋で、彼の動きは想定外のレベル】
【赤色の鍵が呼び覚ます、葉隠流の奥義。最大の一撃を放つべく、放たれる攻撃をすり抜けるべく】
【そして、解き放たれた奥義は、異形どもをして目で追うのが精いっぱいだった。斧の一撃を完全にかわし、襲う財宝を完璧に叩き落とし】
【瞬く間に、彼は目の前にいた。最大級の魔力を凝縮した拳が、カニバディールの銅の真芯を貫いた】


が、は――――!!

『ぬ、ががが――――!!!』

【カニバディールの巨躯が後方へと吹き飛ばされた。背後に浮かんでいたブレインデッドが、それに巻き込まれる】
【轟音と共に財宝の上に倒れ伏すカニバディール。その下から、ブレインデッドが転がり出てくる】
【両者とも、息はしているが動く気配はない。もはや、戦闘不能だ】
【剛太郎の勇気は、異形どもの悪意を正面から打ち砕いたのだ】

/続きます

719名無しさん:2014/03/01(土) 01:40:44 ID:1WzZKwog0
>>710>>712
【部屋の奥から複数人の足音がした。扉を開けて現れたのは、他のものに劣らぬ異形】
【一つの身体に二つの頭と四本の腕。中央で色分けされたスーツ。首筋の隙間から覗く包帯】
【その場の正義たちを、特にライラを忌々しげに睨む、白い髪を束ねた頭と、黒い髪を乱した頭】
【スーツの両胸のポケットに、No.50の刺繍。『スクラップズ』副首領、デュアル兄弟が、機関兵らを率いて現れたのだ】


「ライラ=フェルンストレーム……『財団W』……またも貴様らに煮え湯を飲まされる結果となったか」
『だが、何度も何度も言ってきたよなあ? 俺らはしぶとい。何度追い詰めようが、生き延びてまた戻ってくるぜ……』

【機関兵らが、素早く動く。転がっているカニバディールら三人と、財宝を詰めた袋を一つ。そして、ギア・ボックスを抱え上げる】
【デュアル兄弟は、その隙に手にしていたものを床に叩き付けた。広がる煙幕。古典的な手段だが、室内での目くらましには有効だ】

『あばよ、クソども!! 暗い夜道には気を付けな!!』
「いずれ、貴様らの命はいただく。それまで、せいぜい生き延びろ」

【煙幕に紛れて、盗賊どもと機関兵らが消えていく。逃げ足の速さは一級品らしい】
【悪党どもの影が、煙の奥へと消え失せていくその時。微かな声が漏れ出てきた】


<ライラ、さん――すみませ――>

【弱弱しく、だが確かな意志がまだ残っているその声。それも、煙に紛れて消えていく】
【煙幕が晴れれば、後には死者たちの空間が残されるばかり。荒らされはしたが、死者たちがそれ以上踏みにじられることは避けられた】
【財宝も、ほとんどが無事に残っている。いずれそれらも、ここで再び眠りにつくのだろう】

【正義の意志は、異形どもを撃退した。終わり、ではない。物語は続く。信念を持って戦う者たちが、そこに居る限り】
【だが、少なくとも今宵の戦いは、ここに終わりを告げることとなるだろう】

【不落陵墓リジル 遺跡中層〝民の葬列〟の戦い】
【勝者 剛田 剛太郎&ムク&ライラ=フェルンストレーム】

/短めとなってしまいましたが、ここで締めと言う形でお願いします……!!
/遅くまでのお付き合い、ありがとうございました!!

720名無しさん:2014/03/01(土) 01:40:55 ID:7w00KprU0
>>711

【血で熱を持った傷口が赤く染まってゆく】
【もはや文章を紡いだとしても、血が滴ったスケッチブックは文章を隠してしまうだろう】
【何より痛みでペンを握れそうにない。それほど火傷は酷かったが、〝ナイフは爆発する〟ということを知れた】
【彼女は馬鹿ではない。次からは能力でナイフを防ぐだろう】


(満足したなら……それで武器を収めてほしいですけど、だめですよね……!)


【光のつららは直撃したようだが、まだ戦闘不能には及ばないらしい】
【だが相手を見ればそのダメージははっきりとわかった。後は足さえ封じれば、追って来れなくなるはず】
【しかし単純な方法では初撃のようにかわされてしまう――次の一手を考えつつも、彼女は手に光を溜めてゆく】
【そうしている間に男が肉薄する。接近されれば不利なのが自分が一番よくわかっている】


(捉えて――!)


【火傷の痛みに耐えつつも、彼女は細い指を二本伸ばして横に薙いだ】
【その瞬間光は弾け、指の奇跡に二本の糸のような光の斬撃を生むだろう。狙いは両脚か】
【骨を断つ力は無いが、浅く肉に食い込むくらいはできるはずだ】

【何よりこの攻撃の意図は万が一かわされた後にあった】
【もしもジャンプやバックステップなどで回避したならば、それらの動作の後に彼女は腕を振るい】
【糸を操作して男の両脚に巻きつかせようとするだろう】

【避けきるには二度目の攻撃を察知しなければならない】
【腕を振るって糸を操るという性質上、彼女の動きをしっかりと見ていれば回避できるかもしれない】
【そして回避できたならば――両者の距離はかなり近くなっているだろう。剣を振るえば当たる、その位置に来れるはずだ】

721名無しさん:2014/03/01(土) 01:53:51 ID:RAgYLkdI0
>>717

……ハッ!この程度、破壊出来ねぇ俺じゃねえ!
今度こそあの世に逝きやがれェー!

【砂の拳によって勢いを相殺され、その内にシーナは後退している】
【先程と違って、今のゼリーは硬質化しており砂が混じることはない、能力を解除する気もないだろう】
【シーナからの挑発を受けると、アルビノの眉間のシワはより深いものになる】

【相手が誘っているのは読めている、だがアルビノは止まらない】

良いぜェ!?テメエなんぞ正面からでも打ち砕いてやるよ!
死に晒しやがれ!クソガキがーーーッ!

【全身のスライムがどんどんと増えていく、それは厚く巨大な壁となり】
【まるで津波のようだ、それがシーナを呑み込もうと襲い来る】

このまま呑み込んでテメエを俺のショック・ジャムで吸収してやるぜェーッ!!

【スライムの波がシーナを襲う、呑み込まれればただでは絶対に済まない】
【アルビノの全力の一撃、これに対抗するシーナの奥義は……?】

722名無しさん:2014/03/01(土) 01:58:55 ID:3HA7Kbp60
>>706>>713

【自身の攻撃が当たり、チェックメイトと言わんばかりに、向こう側のダグラスを見て】
【もう一人、ヒライが撃った銃弾も直撃したことを見れば―――彼女は勝利を確信した、はずだった】
【弾けて、溢れだす黒い奇妙な液体の存在を、視認するまでは―――】

【攻撃が直撃したのを見届けると同時、彼女の背中に生えていた「赤黒い翼」が消えて、空を舞う術を失う】
【空中から落ちてくる最中、こちらへと向かってくる黒色の液体、その顔と眼があった】

――――――――――――――――――…っ!

【体に触れた瞬間、えも言われぬ何かに鳥肌が立つ。気味が悪い、そう思った瞬間にはもう遅くて】
【体中に走る、何とも言えぬ怖気。それは、謎の物質が体に触れた故の拒否反応だったのか】
【それとも、一日後に起こるであろう彼女の不幸を予知したものだったのかは、定かではないが】
【少なくとも彼女にはまだ、それが何であったのかが分からなかった―――分かるはずもなかった】

『――――――何さ、これ…!おい待ちなよ、私に一体何をしたダグラスッッ!?』

【―――柄にもなく、激昂したトーン、表情で喋り屋は叫ぶ。】
【ここまで感情を顔に出すというのも久しぶりだが、そんな悠長なことは思っていられず】
【まるで憤怒した自分の状況にすら気が付いていないかのように、彼を睨み続けていた】

【尚も彼は話を続けるのだろう。流れ込んでくる情報は、次の襲撃の情報か何かなのだろうか】
【ここまで来ると何を考えているのか、彼女にはさっぱり読めなかった。だが、なんらかの前触れだというのは把握できて】

『――――――――何が、何が舞台だっての…くそ、最後の最後まで見下ろしやがってさ…!』
『結局、止められなかったし…倒せもしなかった…惨めだな、ホントに…!』

『―――次も出会うのなら、絶対…絶対容赦はしない!そのニヤケ面を思いっきり剥いでやるよ…!』

【魔法陣の中、消えるダグラスの姿を最後まで睨み続けて―――視界から彼が消えた瞬間だった】
【まるで保っていた気力の糸がぷつりと切れてしまったかのように、彼女はその場で倒れるのだろう】
【もはや彼女に、先へと急ぐ力は残っていない―――無防備にもその場で、彼女は気を失った】


【―――余談、いつも通り彼女は病院へと搬送され、またいつも通り病院から抜け出すのだが】
【しかし、それはいつも通りの病院嫌いではなくて―――狂ったかのように看護師、医者たちを突っぱねての大脱走】
【まるで死の直前に痛みから逃げて行方を眩ます猫のように、まるで何かに呪われたかのように】

/乙でしたーみなさんありがとうございましたっ!

723名無しさん:2014/03/01(土) 02:00:16 ID:vAFUoims0
>>715-716

……―――恵まれぬ環境の中で、孤独の中で、只管に同じことを繰り返す……か。
―――俺には出来ない……出来ない芸当だ。其処まで渇望して得た力は、やり方に関わらず―――……強い。

其れでも。―――其れでも「武」の方が濃い。武は、技術は引き継がれる。唯刃流だけでも200年。他の流派の技術を吸収すれば更に。
……先人達の努力が引き継がれ、「武」は今でも進化し続ける。―――独りではどう足掻こうか、この「武」の濃度に勝ることは出来まい。
―――君にそれなりの環境が……少なくとも何かの流派に属していれば。―――恐らく「武」の高みに位置していたのかも知れない……っっハァァッ!!!!

【自分がもし彼女の環境に置かれていたとして、剣を振り続けられた自信が無い。武があったから、教えてくれる師がいたから、周りの人々が支えてくれたから―――】
【彼は今も剣を振っている。「武」を身につけている。彼女は独りで、この高みにまで登り詰めた。―――尊敬と、一種の哀れみ。2つの感情が言葉に表れていながらも】
【彼は「武」で彼女の指を裂いた―――と同時に彼の身体が宙に舞い、背中から叩きつけられる。鈍い痛みが全身を回り、ふらつきながらも片膝立ちの姿勢にはなり―――】
【そして投擲した鞘。其れは周りの障害をすり抜け、彼女の手から宝玉を落とすまでに至る。―――止めた、と安堵に浸るも束の間、まだ終わっていないと言う事に気付かされ―――】

……なっ……んだ……とォッ―――!?

【―――少女を見れば。高い忠誠心の見えるダラが、少女の足を切り裂く映像が瞳に映る。理解が出来ない。―――プラン2は、自殺なのか?いや、そんな筈はない】
【吹き出す液体は、自分の其れとは違う。少女の表情は変わらない。―――自分は、幻覚でも見ているのだろうか。そう思ったが、痛みは増すばかりである】

【少女が、口を開く。放たれた言葉は「平和を愛している」などと六罪王とは思えないモノで。だが、嘘を付いている様子は全く感じられない】
【―――本当に六罪王なのか? そもそもカノッサなのか―――そのような思考が染みる痛みの中で渦巻くが、その思考を妨げるように、また怪しげな物体が具現化された】
【まだ宝玉を作れるのか?と思ったのだが、其れにしては小さい。其れを彼女は、此方に投げた。―――躱そうと急いで立ち上がるが、疲弊した身体はバランス感覚を鈍らせて】
【直ぐ様、膝を地面へと付ける羽目になった。礫での出血が、ここに来て効いた。ダラの重い一撃で身体の粘りも消えており、パフォーマンス性能は大きく劣化していた】

【膝を付くまでの間、バランスを崩しながらも瑛月は確かに両瞳で見ていた。ポケットサイズの世界を、その反映を。―――唖然とした様子で、瑛月は口を開く】

……何故貴様は―――六罪王なのだ。何故カノッサに居る。カノッサは……人々から笑顔を、幸福を、全てを奪う―――悪魔の集団だろう……ッッ!!
不幸を生み出しているのは、幸福を潰しているのは―――貴様等、カノッサじゃあないか……ッッッ!!

【そんな事が可能なのか―――ということよりも、瑛月は彼女自身が何故カノッサに居るのか。其れが理解出来なかった。カノッサのテロ行為が、平和に繋がるとでも言うつもりなのか】
【彼自身も、勿論平和を望んでいる。その為に彼女に歯向かっているのだから。世界に混沌を―――其れがカノッサの思想。全てを破滅に導く存在こそが、カノッサ】
【その認識は、異なっているとでも言うのか―――と、困惑の渦で頭の中がかき乱されていた】

724名無しさん:2014/03/01(土) 02:07:03 ID:SbMyfX/s0
>>714

ッ、ぐぅ、うッ…………!!?

【妖魔の血肉を引き裂き、焼き焦がす。何千回と繰り返したその行為の手応えを五感全てで感じて――――そこに油断が無かったとは言えないだろう】
【薙刀を振り切った直後のこと。唐突に放たれる左腕の"カウンター"を、佳乃は届かないと判断してしまった。……槍が突き出される可能性など、予想もせずに】
【咄嗟に上体を逸らしつつ、『二極』の神気集中効果を刀身から槍の着弾地点へ移動させて防御膜を張る。一瞬の判断にしては、上出来の反応だったが――――】
【……それも、悪足掻きに等しい結果に終わる。"持つエネルギーを砕く"という効果で神気は粉砕され、槍の内の一本が腹部を浅く貫くだろうか】

っが、は――――――!!

【腹を貫通する程の傷にはならなかったにせよ、傷口からは多量の血が流れ出る。更に、至近距離で飛び跳ねた蛙に弾き飛ばされる形で佳乃も下へ転げ落され】
【半ば凍った階段のせいで、一度転げ落ちた体はなかなか止まらない――――結局、七、八段も転がったところでようやく、佳乃の体は止まるだろう】
【全身に走る痛みに耐えつつ、薙刀を杖にしてどうにか立ち上がる。まだ、戦えるには戦えるが……この出血では、長期戦は難しいか】


ふ、ん……それは、こちらの台詞よ……!

【それでも、勝気な挑発も不敵な笑みも、決して止めなかった。それは邪禍への意地だけではない、自分を鼓舞する意味だってある】
【負けられない――――こんなところで。黒の双眸に強い闘志が滾るのに呼応して、佳乃の纏う神気も濃密になっていくのが感じられるだろうか】
【佳乃が階段から転げ落ちたことで、互いの位置は最初と変わらず、佳乃が邪禍を見上げる形か。佳乃は新たに、二枚の符を取り出すと――――】

陸の太刀、『六花招来』!
――――行くわよ、邪禍ッ!!

【薄く笑みを浮かべた口元が、新たな奥義を紡ぎ出す。発動するのは先程と同じ『六花』だが、今回は少々発動方式が違う】
【二枚重ねて空中に貼り付けた符へ、薙刀を突き刺す。そこへ神気が集約し、出来上がるのは白銀色をした"鷹"と"狼"であるだろうか】

【そしてそれを発動すると同時、佳乃は傷の痛みに耐えながら邪禍へと突進する。雲のクッションの上に居るであろう彼を下から狙うのは、薙刀による刺突!】
【狙いは腹部。先程のカウンターを警戒してか、今度はかなり薙刀を長く持った状態での振りの大きい攻撃だ。回避するのはそこまで難しくはないだろう】
【――――何より、今回の刺突には"神気"が乗っていない。刀剣に刺されるのだから当たれば痛いのに代わりは無いが、先程より威力は数段落ちるはずで】

(行きなさい…………!!)

【何故そんな迂闊な攻撃をしたかといえば、こちらが囮だからだ――――佳乃が邪禍の気を引いているうちに、残る"鷹"と"狼"が空と地を駆ける】
【まず最初に攻撃目標に到達するのは、素早い鷹であるだろう。ジグザグに飛行して撹乱しつつ、鋭い鉤爪でふくろうの内白色の方を仕留めようと上方から迫る!】
【そして次は、狼。階段の凍った部分を器用に避けて階段を登り、蛙へと迫っていく。こちらは距離があるため、攻撃にまでは至らないようだが……】

【……今回の『六花』が先程の鹿と大きく違うのは、式神に"自我"が存在することだ。"操符"を核として作り上げた式神は、ある程度の自立行動が可能なのである】
【鷹と狼を迎撃することも勿論可能だが、先程の鹿とは違い、彼らは"防御"や"回避"を行うことが出来る――――その点に注意しなければなるまい】

725名無しさん:2014/03/01(土) 02:07:29 ID:Qa8AXHgU0
>>718-719

「……ハ……ァッ、誰が……諦めるかよ……ッ。
 言っただろ、テメーら……全員地獄に落と……すってよ……ッ!!」

【「Big Wind Blade」でスカーベッジが倒れるのとほぼ同時、ライラは遂に膝をついた】
【特に脇腹のダメージが激しい。口からは血が垂れており、もしかしたら肋骨の何本かを持って行かれたかもしれない】
【―――しかし、ライラは首を前へと向けた。瞳に映るのは、決して諦めないという決意を秘めた眼光。蒼い瞳がスカーベッジを睨んでいた】


「……!! くっそ、やっぱ……テメーらも居たか……ッ!!」

【視認したのは複数の機関兵と―――先日相対したNo.50、デュアル兄弟。その強さはまさに折り紙付きと言えて】
【戦うのならばまだ良かった。此方にもまだ戦う意志は有る。絶対に負けないという瞳の炎は、まだ燃え盛っているのだから】
【だが、彼らは違う。撤退という選択肢は、ライラを目標からまた遠ざける結果になってしまう】
【すなわち、ギアが機関の手の内に居続けるということ。それは絶対に避けたかったのだが、身体は、もう現界を迎えていた】
【ギアの「サプライズ・キューブ」が後を引く。加えて煙幕。ライラが彼らを追いかけることは、不可能だった】

【――――――だが】


「ぜってー……、絶対に助けだすから、な……。ギア…………ッ!!」


【その微かな声は、確りとライラの耳に入ったのだった。確かな気の篭ったその声に、無力感に打ち拉がれるライラは僅かに顔を上げる】
【そして絞り出したその声は、何処からともなく吹く風によって虚空へと消えていくのだった】

/お二方とも、深夜までロールお疲れ様でした!

726名無しさん:2014/03/01(土) 02:12:48 ID:SbMyfX/s0
>>724
/若干確定臭い気がしたので一応修正をば……
/【〜残る"鷹"と"狼"が空と地を駆ける】→【残る"鷹"と"狼"がその横をすり抜けようとするだろう】でお願いします

727名無しさん:2014/03/01(土) 02:13:08 ID:kFbTIemk0
>>715>>716

【上体を起こせば、座り込んだ様な姿勢。視線の先で、宝玉が落ち、割れて】

ハンッ──!そんな簡単に、宝玉なんか作らせてたまるか、ってんだ……
……は……?溶け込ませるって……───!何だ、この感じ……

【止めた───そう思った瞬間に湧き出る安堵。しかしそれにより僅かながらも余裕が生じれば、感じる“気配”】
【前だとか後ろだとか、そういう次元の話ではなく。自分や瑛月、ダラ、そして、剰え当のエインセルをも内包する、】
【この〝星見の間〟が、この遺跡が、気配の発信源となっていると。そんな風にまで感じられて】

【そちらに気を取られている内に、いつの間にか〝パターンズ〟が消えていた事にも驚くが──】
【何より驚いたのは、二人の行動。当たり前のように脚を切らせ、当たり前のように脚を切ったのだから】

いや……えっ……な、何して…………っつーか……いつの間にこっち来やがった……

【唖然としている隙に、今度はエインセルが、いつの間にか、その位置を換えていて】
【そして、何事も無かったかのように紡がれる言葉、目的、理想。それは美しく、しかし、ディハートの心に突き刺さるものであった】
【球体の中に広がった世界。それが叶うのならば、それはきっと、素晴らしい事だろう。だが───】

……お嬢さん──いや、エインセル、だったか?俺は……確かにそうだと、その通りだと思う。
ちょっと周りと違うだけで差別を受けたり……そういう事がある世界だし、そうであっちゃいけないとも思ってる。
そんな世界が創れるんだったら、それ以上の事なんてないだろうさ。

俺は───力の強いやつが、弱いやつを虐げるような事が大嫌いだ。
だからこそ、こうして、自警団だったりUTに所属して、戦ってるんだ。

───なあ。何で……機関なんだよ。何で、そっちに行っちまうんだよ。
それは……機関じゃないと成し遂げられないのか?悪に身を置かないと、出来ない事なのか?
────なあ、エインセル。俺には分からねえ。言ってる事は分かるのに、お前のやってる事が分かんねえよ……

【一つ一つ、考え込む様にしながら吐き出す言葉。口調は重く、表情は暗く】
【思い出すは、ラグナールの事。あの夜、月が落ちた夜。一体どれだけの人が、幸福を奪われたのか】
【そしてそれは、目の前で理想を語った少女と同じ組織、同じ肩書きの人間のやった事】

【あまりに──あまりに違い過ぎるではないか。確かに、彼女が起こした事件はどちらも、“遺跡”を対象としたもので、】
【人の住んでいる場所ではなかった。しかしそれでも、彼女が機関の一人で、そして六罪王である事に変わりは無い】

【だからこそ、〝理解できない〟と。ディハートはそう、最後に告げた】

728名無しさん:2014/03/01(土) 02:17:52 ID:Y8b9tb8I0
>>718>>719>>725


――――……ふぃーっ
手ごたえあり、だな……こういう奴はやっぱ徹底的にこらしめないとな

「うむ、如実に成長が溢れてきておるな、大した奴じゃないかお前さんも……おや」


【やがてやってくる救援、彼らの情報も伝わってきている……奴らは確かデュアル兄弟】
【しかし攻撃の意図は感じられない、憎悪と悔しさが漏れ出てこそいるがあくまで彼らは大将の命を救いに来たらしい】
【呪い文句を履いて入った後、彼らはそのまま去っていくのを見た】

【がちゃん、と錠前をベルトから外すと、鎧が消え去り元の剛太郎の姿が顕になる】
【戦闘態勢は解いていた、彼らが去って行った時点でもう危機はこの場から消え去っていたのを感じる】


あれが『スクラップズ』か、アイツらの事はよく覚えておくことにするかな
お疲れライラ……ギアの事はあまり助けてやれなくってゴメンな、これからも何か力になれる事があったら協力するよ
俺はひとまず、他の連中がどうなったかだけ心配だしこれから無事かどうかをムクと確認しに……ムク?

「……………ん?ああすまんのう、ちょっと考え事をしておっただけじゃあ」


【ライラに肩を貸しながら剛太郎はムクの方を見ていたが、彼はしばらく鼻をひくひくさせながら】
【あの盗賊たちの去って行った方向をじっと見据え、何かを呟いていた】



「『フレッシュ・フランメ』……アールグレイの亜種で、ややミントのようにすっきりとした香りに比較的甘めな味、まあその匂いが奴らからしたんじゃあ
高級な茶葉じゃったからのう、ボロを着てる割にずいぶんと趣味のいい紅茶を愛用しちょる連中じゃなと思っただけじゃあ」

へぇ、あいつら盗んだ金品で高級品とか買ってたって事かな……てかよく分かったな、ムクは紅茶とかにも詳しいの?

「―――いいや、昔この紅茶をえらく好んどった奴がおったから偶然覚えておっただけじゃあ
悪党にまで好まれておる品なんじゃのうと感心しとっただけじゃあ、いくぞ剛の字」


【最後に他愛ない話をしながら、彼らはそのままその場から去って行ったのだった……】
【←To Be Continued...】

/お疲れ様でしたー!
/ちょっとせかしてしまってごめんなさいです

729名無しさん:2014/03/01(土) 02:18:03 ID:u1BkeEnA0
>>721

「ほほう――"奇遇"ではないか」
「貴様と思考が合うなど、穢らわしいとしか思わぬがな!」


【襲いかかる超質量のスライムの津波】
【それに対しシーナは"奇遇"と告げた。その意味は……】

【シーナは腕を高く掲げ――指を弾きパチン!と音を鳴らす】
【その瞬間、練り上げられた魔力と分解された膨大な砂が全て前方に向かい一斉に解き放たれた】

【それは暴力的なまでの勢いを持った"砂の波"であった】
【高速で押し流す威力に加えて、周辺に存在した岩石などを含み叩きつけられるその波は】
【アルビノのスライムが"津波"ならば、こちらは"土石流"と例えられる代物であろうか】


「このまま冥府の果てまで押し流してやるのだ――――っ!」


【シーナの持つ内包魔力の大半を注ぎ込んだ、大規模破壊魔術】
【凄まじい衝撃に加え、含まれる多量の岩屑などにダメージを与えられる可能性がある】
【砂とスライム……性質は違えど同じような系統の技の、正面からのぶつかり合い】
【恐らく最もシンプルな"力比べ"であろう】

【二つの波が――遺跡にて爆音を立てて衝突する】


【飲み込もうとする者と、押し流そうとする者の最後の一撃同士】
【一歩上を行くのはどちらになるか――――】

730名無しさん:2014/03/01(土) 02:27:20 ID:bqaXRJC.0
>>720

【彼女が文章を書いても彼には見えることはない、血で隠されてしまうのだから】
【だが、彼女は次の仕込を開始したのだろう、手に光がたまっていくことからも想像がつく】
【だからこそ彼は早急に決着をつけるためにいった】

【そう接近に対しては徐々に距離が狭まっていっていることを知覚する】
【あと少しあと少し、そうそんなところまで近ずいていった、そして後は――攻撃を叩き込むだけ】
【だが、世の中はそんなに甘くはなく、彼はその攻撃を妨害されることになる】

【そう、その妨害となったのは――彼女が作った糸のような斬撃だ】

――ッ!!!

【その糸のような、斬撃を、両脚に食らってしまった】
【そのまま糸のような斬撃が両脚に巻きついて転倒しそうになった】
【油断もしていなかった、警戒はしていた、だがそれはすべていいわけにしかならない】
【だが、だが彼はそのように素直に負けを認めるような輩ではないだからこそ思考した】
【そして、思考して気がついたことがある、それは自分の持っている剣だ】
【これもまた彼によって生成された剣だならばつまり――爆破することが可能である】

ならなぁ!!、負けないためにもなぁ!!!

【だからこそ彼は転倒する前に剣を――爆破させた】
【彼女との距離も近くここであれば彼女も巻き込めるとそう判断した】
【だがそれは自分も巻き込むことを意味したが躊躇などこの男にはなかった】

【爆発、それと同時に彼は吹っ飛ばされることとなる】
【その爆発の直撃を受けるのだ相当吹っ飛ばされることになるだろう】
【そう、彼女の見えない位置にまで飛ばされるとか】

【さて彼は一つの思い違いをしていた、それは距離だ】
【確かに彼女との距離も確かに近かったが、だがそれは剣戟を当てるには足りない距離だ】
【だからこそ彼女は爆発した際に何らかの処置が取れる、そんな位置取りか】

731名無しさん:2014/03/01(土) 02:39:32 ID:F52AoKs20
>>723,727
「――――ああ、そうだ。そして、UTであっても、SCARLETであっても。私の行いは、きっと実行できない。
なにせ、この異能を全世界規模にし、世界を統べるなど――体の良い独裁でしか無いのだから。
考えても見ると良い。この世界が、私の様な一人の少女によって隅から隅まで支配される事を。空恐ろしく無いか? 私は恐ろしい。
――だからこその、カノッサだ。だからこその、六罪王だ。私の意志を貫く場所は、そちらでは無い」

【少女の力、世界を作り上げ、作り上げた世界を支配する力。もしそれによって、この世界全てを手中に入れるとしよう】
【それによって平和になったとしても、それは一人の能力者による、独裁にすぎない世界だ】
【わかりやすく言えば、私利私欲ではなく、世界平和のための世界征服。そんな世迷い事が、少女の意志】
【一人の意志で世界を作り替え、世界を支配する。その危険性を、恐らくSCARLETやUTは見逃さない。なにせこの少女の心変わり一つで、世界が滅ぶのだから】

「機関の人員、機関の力。それを用いなければ、私は〝間に合わない〟。
私にとっての悪は、カノッサ機関は、六罪王は――手段であり、道具だ。
そう、有用であるならば、私の両親を殺したカノッサ機関だろうと――知ったことでは、無い」

【――他の六罪王と異なる理由。それは、カノッサ機関である事を、手段としている、道具としているから】
【正義の組織では、実行できない理由がある。カノッサの圧倒的人員と、力。それが無ければ、間に合わないと少女は口にした】
【見れば分かるだろう。触れれば朽ちる如くに細く、儚いその身体。誰が見ても、長命には決して見えない筈だ】

「私が間違っているのは分かっている。カノッサ機関が数多の人の幸福を奪っているのも分かっている。
だが――――、私には時間が無い。なりふり構う余裕が有れば、別だったかもしれないが」

【――ダラの掲げる脚が。消滅していく。そして、空間に満ちるのは、エインセルの存在】
【この遺跡が。この遺跡を通る霊脈が、エインセルと同化していく。星見の間に、びっしりと回路模様が浮かび上がる】
【少女がおもむろにかざした手に浮かぶのは。直径1mの〝世界〟。規模が、明らかに拡張されていた】

「――――だが。もはや止まらない。止められない」

【作り上げた世界を空間に溶け込ませながら、少女は淡く笑う】
【ダラに左手を翳し、空間を歪ませながら彼女を対比させて。少女は、広間の中心へと車椅子を滑らせる】

「――私の作る世界は〝無〟から〝有〟を作り完成する。――この意味が、分かれば。きっと――理解できるだろう」

【少女のつぶやき。先程から作られる世界が、〝無〟である事を改めて口にする意味】
【全世界をこの少女の異能で満たせば、この世界がどうなるか。その意味を――――考えればきっと、カノッサでなければ出来ないという事は、理解できたかもしれない】
【天に少女が手をかざす。響くのは轟音、琥珀色の光が次第に近づいていく、光量を増していく】

【――水晶の天井を割砕きながら、琥珀の杭が落下してきていた。直径10m、長さ20mの異様な杭】
【これが完全に落下すれば、この広間は完璧に粉砕し、潰れてしまうことだろう。そして、少女の周囲の空間には回路模様が現れて】

「――迷ってくれ。止めるべきか、与するべきか。その結果が私を討つ事ならば、私は君たちに抗おう」

【そう言い残し。少女の姿は消え去った。残るのは――轟音と、衝撃と、流血のみだった】

/*お疲れ様でしたー!*/



732名無しさん:2014/03/01(土) 02:44:31 ID:RAgYLkdI0
>>729

【二つの波がぶつかり合い、凄まじい衝撃が発生する】
【果たしてどちらが勝つのか、しばらくぶつかり合えばその答えは見えてくる】

……グッ……!?まさか俺がこんなカスみたいなやつに……ッ!!
ヌグアァァァァァアーーー!!!

【シーナの魔力を込めた強大な波に、アルビノは圧され】
【そのまま流されれば壁に激突するだろう、そこから動く気配は無い】
【終わったのだ、そう思う次の瞬間に】

「パタパタパタパタパタパタパタパタパタパタパタパタ……」

【大量の何かがアルビノを包み、それらが去ると彼のの姿はいつの間にか消えていて】
【良く見ると彼を包んだそれは大量の蜻蛉、先程のあの音の正体は羽音だ】

【やがてどこかから聞こえる声が、シーナへと話しかけてくる】
【空を大量の蜻蛉が飛び回り、そこから聞こえてくるようでもあって】

「安心したまえ、私はこの男を回収しに来ただけだ、未だ戦う気はない」
「……随分と強いようだが、まだどこか不足しているようにも見える……」
「私といつか出会うことがあるのなら、もっと全力を見せてもらいたいものだ……フフフ」

【そう言葉を言い残した蜻蛉達は、そのまま飛び去っていくのだろう】
【この門の先に進むのか、後の事はシーナ次第】

/この辺りでしょうか!
/お疲れさまでしたー

733名無しさん:2014/03/01(土) 02:52:39 ID:CKwgAcf.0
>>724

【冷気がこの長い階段の全てに回ったわけでなく、少し冷えただけで終わった冷たい水が悪魔の身体にまとわりつく】
【だが、そんなモノを気にしている"余裕"はなかった、――血に混じって、真っ黒なヘドロのようなナニカが滴るのが見えるだろうか】

【それから感じるのは、凝縮された濃厚な悪魔の"エネルギー"――そう言えば、ダメージとは関係なしに頭部に"ひび割れ"が生まれていて】
【そのヒビ割れから漏れる煙もまた、同じエネルギーだった――濃さは明らかに違うのだが】
【また、ヒビ割れや傷口から覗く"消化途中の魂達"。今度こそははっきりと見える――身体はもう"穴だらけ"だった、それは"物理的"な意味でなく――】

「糞が、そォーんな木ェ偶共、容ァァ易く蹴ェ散らさせてやァる」

【けれど、憤怒の眼光だけはむしろ力を増していて――少女へ向けられるそれは、ただ暴力的なだけでなく、おぞましいナニカを持っていた】
【先程の盾で、彼女が生み出した生き物のかたちは容易く崩せるモノと認識していたため、まずは向けられる刃に対策をとる】
【――少し違和感を覚えたのは、今まで感じていたあの"神気"が、己に向く刃からは感じられなかったということ】
【だからと言って無条件に受ける道理はない、大小はともかくダメージを負うのには変わりないのだから】

【ゆっくりとした動きで左へ移動しつつ、右腕を前に突き出し――迫る薙刀の刃の勢いを弱めて止めようとする】
【右手〜右前腕にかけて大きく突き刺さるものの、より弱い部分への攻撃は防ぐことが出来るだろうか】

「俺様は負ァけねェ――世ェ界を混沌に導くまァァでは……そォして、テメェーにも味あわせてやァる、蝕みをな……!」

【もし地面に落ちていたヘドロの様なものの動きに気を配っていたとすれば、それが蠢いていたことに気がつくだろう】
【やがてそれが飛び上がり、少女の顎を下から突き上げようとする――その時、何故か僅かに"聖"を感じるかもしれない】
【物理的な威力は触感が酷く気持ち悪い以外に大したことなく、しかし酷く強い混沌で邪なエネルギーであるそれは身体を蝕む力を持ち】
【更に、少量ながらもエネルギーを"反転"させる力を持っている。――どうなるかは未知数だが、少なくとも聖と反転した聖は相殺しあう関係だ】
【――ということは、もし"聖"をこのヘドロのようなものから感じたとすれば、それは意図せず"反転した邪"なのだろう】

【――ふくろうに迫る鷹。今回は悪魔の命令が届いていないようだが……"自分で考えて"行動した】
【まず吐き出すは"氷柱"――長さ30cmのそれで鷹を撃ち落とそうとするも、おそらくは簡単に回避されるような代物】
【回避された場合は仕留められてしまうだろう、猛禽類としての格が違う。但し……全身から発する冷気の波動によって、最低でも相打ちには持って行こうと試みるはずだ】
【また、仕留められた場合は――悪魔にもダメージがフィードバックする。但し、蛙よりは弱いフィードバックである】

【蛙は――角先から雷雲を放出し、狼の迎撃と同時に……少女への攻撃も試みるだろう】
【どうやらこの雷雲、非常に重たいようで――地面に落ちて、下へ下へと流れてゆく】 【流れた跡に残るは、水気】
【――もしこの雷雲に狼が振れてしまった場合、一気に紫電が放出される】 【振れなかったとしても、蛙から一定距離を離れた時に放出する】

【先程と同じ様な地面を流れる雷属性エネルギーである。但し、伝う速度は冷えて濡れた地面な為先程よりも早く、減衰が減った分威力も実質的にやや増加している】

【なお、悪魔にこの雷属性エネルギーを回避する術はないが、蛙が制御しているため当たらない】
【――当たらないが、先程の回避行為を見ても分かる通りかなり動きが鈍っている、……互いに消耗した状態だ――ここで畳み掛けられれば、勝利は近いか】

734名無しさん:2014/03/01(土) 02:57:33 ID:7w00KprU0
>>730

【攻撃を受けた後に男が取った策は、即反撃に移るという点においては最適解なのだろう】
【彼女も脚に斬撃を受けてなお、捨て身の攻撃を繰り出すとは予想だにしておらず――避ける術なく爆風に舞った】

【鮮やかな庭園の花々の上に、彼女は倒れ込むのだろう。ダメージが大きいのかしばらくは起きないはずだ】
【胴はあまり爆風を受けなかったが、抱くようにスケッチブックを持っていた腕が重傷を負っていた】
【それでもスケッチブックを落とさないのは――彼女の強さとも言えるだろう】


…………っ


【痛みで掠れる視界が、あるものを映しだした――庭園の入り口だ】
【ふと彼女は考える。この状態で遺跡の奥へと行って何ができるだろうか、と】
【戦えるような身体ではなく、もはや言葉を紡ぐことすら叶わない自分に何ができるだろうか】

【――考えるまでもなく、できることは皆無だった。ならば残された選択肢はひとつ。……撤退だ】


【彼女は無力を噛みしめながら立ち上がるだろう】
【そしておそらく後方へと飛んでいったであろう男を一瞥すると、ふらつきながらも庭園を出て行こうとする】
【ほんの十数秒もすれば彼女の姿は見えなくなるだろう――つまり、この場は男の勝利で幕を閉じるはずだ】

/このあたりで〆ますね
/お疲れ様でしたっ

735名無しさん:2014/03/01(土) 02:59:34 ID:u1BkeEnA0
>>732

「ふ、ふん!思い知ったか下郎めが!」
「私が本気を出せばざっとこんなものなのだ!……むむ?」


【砂の波がスライムの奔流に打ち勝ち】
【シーナは疲労と魔力の消耗によって肩で息をしながらそう記した瞬間】
【突如として発生した奇怪な羽音と現れる無数の蜻蛉達】
【新たな敵かと、シーナは姿勢を正し身構えるが】


「どこの誰かは知らんが、偉そうな口を叩きおって!」
「完全無欠の天才魔術師シーナ様に欠点などあるわけがないのだ!」

「いいだろう、貴様にもいずれ私の偉大さを嫌というほど味あわせてやるのだ!」
「首を洗って待っておるがいい!」


【飛び去っていく蜻蛉の群れに対して】
【左手を腰に当て、右手をビシッと向けて指差しながらそう返し】


「……ちょっと休憩するのだ。全く、本当に頑丈な奴だったのぅ」
「もっと強力な術を考えておくべきかの……うむむ」


【その場で座り込むと、大きく息を吐く】
【シーナの術は器用ではあるが決定的な攻撃力を持つものは少ない】
【先ほどの声に促された、というわけではないが】
【一つ課題が出来たかとシーナは心の中に留めておくのだった】

/深夜までお疲れ様でしたー!

736名無しさん:2014/03/01(土) 03:19:39 ID:vAFUoims0
>>731

―――……確かに、そのような独裁が通るわけもない。―――貴様独りが世界を支配するだと……君が作る世界は、本当に平和なのか……!?
君は神にでもなるつもりか―――そうとして……!! 君が巨大な力に、敵のいない世界で欲望に身を任せない保証が何処にある……!?

……信頼しろとでも言うのか……出来るかッッ……本当に平和を望むなら……目の前で苦しんでいる、罪なき人々を救う筈だ……。
何があろうと……損をしても……!! 君は―――違う……!! 理由があろうとも……カノッサに属し、虐殺を容認している……!!
損得を無視して、勝手に身体が動くんだよ……本当に人々の幸せを願うヤツというのは―――!! そういう奴が……いるんだよ……!!

【―――瑛月は消えない光を瞳に宿しつつ立ち上がるが、大きく右に傾いて近くの壁に凭れ掛かるように姿勢を崩す】
【初めに感じていた遺跡の不思議な力は、既に薄まっていた。パワースポットと呼ばれるだけの澄んだ空気や独特の感覚も、既にもう無い】
【消えたのではなく、「女王」が吸い取り蓄えている―――……!! そして得た力で、彼女が支配する世界の規模を大きくしているのだろう】
【―――そしてもし彼女の世界の規模がこの世界を上回るのであれば、女王は神へと進化する】

【―――迷えと彼女は言った。瑛月は―――止めることを選んだ。……だが、心の何処かに、彼女を支持するべきなのかという思いもあった】
【……信頼が出来れば。信頼するに値するなら―――。……否、其れでも。……簡単に崩れる平和は、平和と呼ばない。独裁は、大きな権力は人を狂わせる】
【―――どれだけ信頼できようとも、独裁は許さない。数秒間の中でも、葛藤が渦巻く。後に何度も考えこむだろうが、今出した答えは「止める」ことだった】

……―――違う……やはり其れは、違う―――だから……ッッ、杭が―――!! くっ……今は逃げろぉぉおおおおおおおッッ!!

【答えを告げる途中で彼女の姿は消え―――そして、同時に上の杭が揺れ、落下を開始した。―――瑛月は力を振り絞り部屋を脱出すれば、轟音が後に鳴り響いた】
【―――その数時間後、不落陵墓リジルから少し離れた所で倒れている彼の姿が発見された。W-Phoneで何かメールを打っている最中に気絶したと思われるが】
【その打ちかけの文章には、こう書いてあり―――彼を発見した現地の自警団員は、首を傾げて不思議そうにその文面を見ていた】

『魔力の源を死守せよ マギタイト、宝玉、その他パワースポット 急がなければ新たなる神による独裁が―――』

/ありがとうございましたー!

737名無しさん:2014/03/01(土) 03:32:27 ID:H2DR/gUQ0
>>684

【『武器は武器であっても、決してそれだけに留まらない』―――これはセリーナの大本を成す重要な思想の一つ。】
【であればこそ、グリースに対しても『武器』である事を否定するのではなく、『武器』も悪いものではないと言ったのだろう。】
【当の本人はそんな事、まるで気にしていないという風で笑われてしまったが―――それでも、悪い反応ではなかった、と感じる。】

 ……人を救う、っていうのは難しい事だと思う。その為に暴力が必要になる事も、多々あるからね。
 アタシが甘いのは分かっているけど―――グリース。アタシは貴女の存在を否定したり、悲観したりはしない。
 『武器』っていうのは決して、暗い悲しみを背負うだけの道具じゃないって、そう信じているよ……銃の事も、そして貴女のことも、ね。

【さて、空になったカップを見つめていれば、どうやらお互いにそろそろ『時間』が着たようで―――】
【セリーナも一緒に立ち上がって。帽子を取って礼を言うだろう。重ね重ねに成るが、『ありがとう』と。】
【そして見送る準備をする為に扉まで歩いていったその時。かけられた言葉には戸惑いを覚えるだろう。】

 ……うん。もしも彼女が崩れるような事があったら、アタシが必ず手を伸ばしてみせるさ。
 ……けれど、アタシの腕ももう十分、紅く染まっているのは同じだよグリース。
 それでも、アタシは手を伸ばすよ。誰かを救おうとする意思に、貴賎は存在しないって思うから。

 だから大丈夫。その時が来たら―――……必ず。

【寂しそうに呟いた言葉は、自分だって殺しはしている、というニュアンス。そう、如何に正義を語ろうとも】
【奪うべき時は容赦なく命を奪う、それが銃使い<ガン・スリンガー>だ。勿論、そんな運命に逆らう者も少数、存在するが】
【セリーナは少なくとも紅く染まった腕を持っていて、そう自覚している。だがそれでも、その腕でなければ人は救えない、とそう言うだろう】
【だが、そんな言葉に続いて発せられたグリースの情報は、実に興味深いものであって―――。】

 ……? "とあるお話"って―――……美の神様? 悪いけど、神話に造詣が深いのはアタシよりグリースの方だと思うな。
 そう言われてもなかなか、パッと浮かぶものが無いのが残念な所だけど……オーライ。
 どうにも、悪魔で大騒ぎしたと思ったら次は『神様』とはね。人間の欲望は尽きない、か。
 よく分かったよ、伝えておく。また何か、嫌な事が起きようとしてる、ってね。
 
 ―――もう、あの塔の事件みたいに。大きな犠牲は出させやしないさ。
 それに―――フレデリック"団長"、だっけ? そいつの素性ももう少し、調べ上げてみようかな!
 "アタシの大事な仲間"が、そんなに酷い傷まで負わされたんだ。黙ってるわけには、いかないからね。

 ―――また会おう、グリース。いつでも来てね、今度はきっと……良い話が出来るって、そう信じてるよ。
 今日はありがとう。帰るなら気をつけて、ね? まだ傷も全快していないんだから。
 
【そう言ってセリーナはグリースを見送るだろう。ダグラス・マックスウッドと彼が率いる勢力、そして】
【それらが何を成そうとしているのか、その真実を突き止めて必ず阻止すると、そう誓って。彼女は店のドアを開けた。】
【カノッサ機関の好きにはさせない、と力強く言い放つ瞳には、率直な思いのみが表れている。丁度、グリースの瞳とは対照的だ】
【だが二人は今、お互いにとって重要な事実を共有し合い、そして一つの"関係"を紡ぐ事に成功した。それが吉と出るか、凶と出るか。】
【この世界が迎える未来を想い、夜空を見上げた―――星が美しく、天を埋め尽くす。こんな光景が、ずっと続けば良いと思わせる様に。】 

/大変遅くなりました、申し訳ないです。此方はこれで〆とさせて頂きます!
お付き合いいただきありがとうございました!!

738名無しさん:2014/03/01(土) 03:36:10 ID:bqaXRJC.0
>>734

ごほ……げほ…

【彼は咳をしながら目を覚ましたした】
【どうやら自分はあの爆発のあとに気絶していたらしい】
【だがどうやら自分と相対していた彼女の姿が見えないどうやら撤退したらしい】

どうやら、行ったらしいなぁ
まぁ、それなりに楽しめたしいいとするかぁ

【それから彼は自分の連絡用ツールで回収班を呼び出した後にしばらくたたずんだ】
【自分と相対した彼女を思い出しつつしばらくぼうっとしている】
【そして立ち上がり回収班とともにここを出た】

【余談であるが右肩の痛みに対しては少しばかり忘れており】
【それを指摘されたとたんにものすごく痛くなったとか】

/お疲れ様でした

739名無しさん:2014/03/01(土) 03:45:15 ID:BIoR1Q3U0
>>731

【“異能を全世界規模に”、そして“世界を統べる”。更に、先ほど見た、小さな世界】
【その意味を考える。深く、深く。このやり方は、正しいのか。彼女の力で齎す理想の世界。それは────】

【ダメだ。疲労のある今の状態では、考える程に絡まっていく】
【思考の泥沼に嵌りながら、ディハートは彼女の言葉を聞き続けた。口を開かず、声を発さず】
【考えの纏まらない内に、不用意に語る事。彼女に対し、 それはいけないと、そう思ったから】

【世界的な悪の、その幹部の座。それをも、道具として。儚い己の身を削り、】
【間違った道と分かりつつも歩み、それでも平和な世界を望む、一人の少女】
【最早止まれぬその覚悟に向き合うには、それに相応しい覚悟を持たねばならない。と。】


【───世界が呑まれていくような、そんな感覚。遺跡がエインセルと一つになっていく】
【ゆらりと、ディハートは立ち上がる。静かに口を開けば、小さく、独りごちる様に声を漏らす】

〝無〟から〝有〟──それが成れば世界は─────

【頭上から響く割砕の音。近付いてくる琥珀の杭から逃れる様に何とか、元来た方向へと向かって】
【直後、背後の空間を杭が打ち貫いた。背を向けたまま、またポツリ、言葉が漏れる】

お前は……自分自身も道具にするっていうのか……?

【────その言葉は誰にも届かないず、誰にも届けず】



/お疲れ様でしたー!

740名無しさん:2014/03/01(土) 03:48:44 ID:SbMyfX/s0
>>733

な――――何よ、これは………!?

【薙刀の刺突は敢えなく止められる。それ自体は想定内だ、別に驚くことではないのだが――――】
【今度は至近距離だ、見逃すはずもない。黒々とした液体、立ち上る煙。そこから感じるエネルギー。そして、】
【――――邪禍の体の奥底で蠢く、"ソレ"。長年妖魔と激しい戦いを繰り広げてきた佳乃ですら、まったく見たことのない光景だった】
【疑問ばかりが募り、迸る憤怒に一瞬心が揺らぐ。普通の悪魔ではないとは感じていたが………自分は一体、"何"と戦っている――――?】

――――ッ、が!! う…………あ、あああぁああああッ!?

【………そちらに完全に気を取られてしまった佳乃に、真下から迫る液体を避けることは出来なかった】
【顎をカチ上げられ、一瞬意識が飛びかける――――が、迸る激痛が強制的に意識を引き戻す。感じるのは何故か"聖"、もはや何が起きているのか理解できず】
【"反転"の力を持った邪の力が、触れた顎から佳乃の神気に干渉して一部を"反転"させ、体内で酷いせめぎ合いを起こしている――――】
【そんな理屈は解らずとも、体を蝕まれる苦痛は本物。必死に歯を食いしばって耐えつつ、佳乃は朦朧とする意識で考える】

【………流れ出る血液。そして、先程浴びた冷水。ただでさえ、体温がどんどん下がっていっている】
【それに、この激痛………悔しいが、もう長くは持たないだろう。だったら――――ここで、賭けに出るしかない!】


/すみません、続きます……

741名無しさん:2014/03/01(土) 03:48:57 ID:SbMyfX/s0

――――――はぁあああああああああああああああああああああッッ!!!

【獣の咆哮じみた叫び声が、この"死の路"を満たすだろうか。それは佳乃が自分を鼓舞する為のものであり、最後の攻撃の合図でもあった】
【その叫びと、ちょうど同時――――鷹はふくろうの氷柱を避け、見事に仕留めて見せるだろうか】
【無論、相手も一筋縄では行かない。そちらを倒した後、必死で飛んでもう一匹の方へ行こうとするも、浴びた冷気が祟って鷹は破壊される】
【そして、狼の方。こちらは主を守る為、一気に特攻を掛けるだろうか。鋭い牙が噛みつく先は、蛙ではなく蛙の放った雷雲!】
【雷雲が発射された次の瞬間にはもう、加速をつけて跳躍した狼が雲に触れていた。当然ながら紫電は一気に解放され、狼も消滅するが――――】

っぐぅ……………ッ、まだ、まだ………………ッッ!!

【自らの身を挺し、雷雲を"発射された直後"に解放する。それによって狼は、蛙の自爆を狙うと共に】
【例え蛙自身に雷の効果が及ばなかったとしても、最低限解放される紫電と佳乃との距離を稼いでみせる】
【結果、紫電が佳乃の体へ完全に通電するより先に、佳乃は空中へと跳んでいるだろうか。完全に防ぐことは出来ず、侵食と雷撃の相乗が体を容赦なく貫くが】
【…………少なくとも、これで"最後の切り札"を放つ体力だけは残った――――】

あなたが結局何者なのかは、解らない……。
けれど、私だって負ける気はないッ! これで、終わりよ………………!!

【そして、最後の行動。佳乃の跳躍だが――――雷を逃れるために、ただ跳んだというわけではなかった】
【佳乃は跳躍しつつ、邪禍の腕に突き刺さった薙刀を全力で"引く"。その勢いにより、佳乃の体は邪禍とほぼゼロ距離まで近づくだろうか】
【無論、そんな距離では薙刀は振るえない。最初から、薙刀を使う気はない。彼女の最後の切り札は、振りかざした右の"掌"の中にある!】


           白刃龍紋流・"襲打"――――――――『八重光楔』ッッ!!!


【叫びと共に打ち放たれた佳乃の掌底が、もしも狙い通り、邪禍の胸部の中心へ触れることが出来たのなら――――】
【"神気を物体に流し込む"という奥義と"神気を急速膨脹させる"奥義の合わせ技が、そこを機転に発動するだろう!!】

【――――この『八重光楔』は、掌から対象の体内へ神気を流し込み、更にそれを直接膨脹・爆散させるという合体奥義だ】
【体内に流した神気を、そのまま体内で爆散させる。体を内側から焼き尽くすこの攻撃には、下級の妖魔であれば跡形も残さず消滅させる程の威力がある】
【佳乃にとっても、薙刀の間合いを捨てて敵に直接触れなければならないという危険度の高い技ではあるが、それはまさしく"必殺"の一撃!】
【まともに当たりさえすれば、一気に勝利へ近づくことも夢ではないはずだが――――】

【欠点が、ひとつだけ。この奥義は掌から神気を流し込み、それから爆発させるという二つの手順を踏むがゆえ、その間に"僅かな隙"が存在する】
【流し込まれた神気が爆発するまでの、約一秒間。その間に掌が体から離れれば、神気を爆発させる作業は中途半端に終わり、威力も減衰してしまうだろう】

【邪禍自身の実力と魔獣の手数に押され、その上重傷を負った佳乃。おそらくこれ以上の戦闘は不可能だ】
【これが、通るか否か。勝負の行方は、この必殺の一撃の結果に懸かっている――――!!】

742名無しさん:2014/03/01(土) 04:36:15 ID:CKwgAcf.0
>>740

「――良ォい声だ」

【動揺する少女に対して弱く微笑みかける悪魔――僅かに感じた聖なんてあっという間に吹き飛ばされるような、そんな雰囲気とともに】
【この悪魔にしては珍しく多くは語らなかった、それだけ追い詰められている状態ということなのだろうか】
【事実、弱い微笑みの後に残るそれは憤怒の形相でしかなく、しかし邪悪さはむしろ"剥き出し"になったような、――】

「こォの"身ァ体が崩れる"前に、全てをぶゥっ壊してくゥれるッ!」

【傷口から滴っていた血液がいつの間にか全てヘドロの様なエネルギーに変化していて、身体は僅かに歪んでいるような気がした】
【それは血液よりも明らかに蒸発速度が早く、――ひび割れから煙るそれも、漏れたそれが蒸発してしまった結果なのだろうか】
【――こぼれたエネルギーが形を成して行く、無数の触手のような槍のような、先端の尖った棒状のそれにへと】
【これで串刺しにしてしまおうと考えたのだろう、――触手は一斉に少女に向けて襲いかかろうとして、しかし届く前に止まった】

「――……がッ、……糞ッ、糞がッ、至ィ近距離で炸裂しィやが……っ」

【炸裂する雷雲で狼ごと巻き込み動きを止めることで、より確実に仕留めようとしたことが仇となった――】
【自身が発した攻撃である以上、蛙に対しては――無効とまでは行かなくとも、多少は効いた様子】
【そしてそれはきっちりフィードバックする。相手の動きではなく自分の動きが少しの間止まってしまう】

「……!」

【――その少しの間という時は、少女に触れられた胸部から神気が爆発するのに十分な時間を与えてくれた】
【悪魔が"恐怖"というものを明らかに表す、少なくとも彼女には見せたこともなかったような位には】
【先程の"エネルギー反転"を使うことで、神気によるダメージを減らしつつ、しかし己の身体も反転するため調整が難しく対した減衰にはならない】

【――――――――】


「…………糞ッ、こォれ以ィ上身ァ体を維ィ持でェき??Eェ、崩れ……る…………」

「忌、E??ぁE??め、……だァが俺様??E諦め??Eェ」
「最高??E……混沌を人間??Eに提供し、――――荳悶ぉ逡後r譟薙か繧√k莠九r縺ェ……」

【悪魔の身体はもはや原型すらわからない状態だった、ゾンビの方がまだ可愛げのある位には】
【流石に跡形もなく消滅するほど下級の存在ではないようで――しかし、もはや悪魔と呼んでいいのかすらわからず】
【消化中の魂達が助けを求めている、ヘドロ状のその溶けた身体は……濃すぎるが故にドロドロになったエネルギーの様で、おそらく身体の元はこれなのだろう】

【――生きていた蛙が闇となればその身体に"融合"、しかし能力が増えたとかそういう様子は見られず】

【この状態では長く持たないと判断したのだろう、その存在の下に現る魔法陣にそれは吸い込まれていって――】
【遺跡に邪悪な気を残したまま、何処かへと去っていった】

/遅くまでお疲れ様でしたー

743名無しさん:2014/03/01(土) 05:23:12 ID:SbMyfX/s0
>>742

く、ぅっ……………………。

【全ての攻撃を解き放った後。未だ体を蝕む"反転"の侵食は止まず、佳乃の体はぐらりと崩れ】
【最後の意地で左手の薙刀だけは離さなかったが、今度は杖代わりにすることすらままならず、そのまま階段に倒れ込んでしまうだろう】
【ただ――――確実に、奥義は極まった。神気が体内で反乱する中でも、その手応えだけは確実に掴んでいた】

邪、禍…………ッ!

【目の前でドロドロに溶解する、"宿敵"の姿。だが人に理解し得るカタチを越えた音の群れは、"ソレ"がまだ息絶えてはない事を直感させて】
【……体が冷たくなっているのを強く感じる。あと一撃だけでも放てれば止めを刺せるかもしれないが、その時は佳乃も死ぬことになるだろうし】
【そもそも、本当に放ったところで………この悪魔ならざる悪魔を倒しきれる保障はない。それ程に、邪禍という存在は佳乃の予想を超えていた】
【最後に一度、蛙と一体化して消えていく"ソレ"の名を呼んで、強く睨む。それだけが、佳乃が邪禍に出来た最後のことだった】


(…………あれは…………奴は、一体…………)

【胸ポケットから"木符"と呼ばれる治癒の符を取り出して傷口に貼りながら、佳乃は静かに今日見たものを回想する】
【傷口から零れ落ちるエネルギー。笑う悪魔。喰われ、消化され、助けを求めていた、ナニカ――――いや】

『…………人の、魂――――。邪禍、あの者は…………』

【佳乃ではない何かが、佳乃にしか聞こえない声で言葉を零した。肩口に現れた白い光の一筋が、嘆くように小首を垂れる】
【――――それは単なる"聖"の塊にも見えたし、"龍"を象っているようにも見えた。けれど結局、見ていたのは佳乃だけで】
【ならば、それには何の意味もない。"神"の言葉は少女の耳だけを揺らし、邪禍という存在の謎は佳乃の心に取り残される】
【ただ、宿敵の体に触れた右の掌を一度強く握りしめれば――――体力を回復させるべく、幸徳井佳乃は大人しく眠りに落ちるのだった】

【………"死の路"で見る夢なんて、禄なものではなかったけれど】
【善の光と悪しき闇が、烈しい感情と共に再び刃を交える。そんな質の悪い夢を、少女は病院で目を覚ますまでずっと、見ている羽目になった――――】


/お疲れ様でしたー!

744名無しさん:2014/03/01(土) 10:29:13 ID:nHw81SMw0
>>713 >>722

【彼の連射で粉々になった石像を頭から被り、白と赤と黒い色彩で彼は埋まる】
【彼の見る景色も同じだ、血生臭くて亡霊のような影が幾つも見えた。現実との区別は】
【まだ、つく程度。だが精神の負荷は段々と重くなっていく。振り切るように彼は銃を向ける】

【レアリアを撃ちぬいても。彼はその断末魔を聞きながらまだ撃鉄を起こす】
【ダグラスが何か話しているようだったが彼には聞こえなかった。何が何だかわからない】
【一体、どれが本物でどれを撃てばよいのか。全部、同じような幻覚上のゴーストに見える】
【畜生、畜生とぶるぶるぶるぶる震える手で銃口を自らに向ける。彼がそんな風になっている事を】
【この場の誰も知らないだろう。不規則に呼吸しながら汗をかき、力強く目を見開いている】

…ふっ…うっくっ……アアアアアアッッ!!!

【振り切るように、もう無茶苦茶に。ただ目の前に来るものに6発むしゃくしゃに撃った】
【それは偶々、レアリアの攻撃だったから功を奏した。回避しても、盲目のように辺りに撃ち鳴らした】
【ああそうさ、彼に呪いはもう十分にかかっている。銃を床に投げ出して、喉が異常に渇いたように喉を押さえる】

……ハッ…ハッ……ハァ………クソ………皆殺しにしてやる

【喘息患者のように息の乱れた彼がダグラスの声にただ一言、それだけ返した】
【本来の彼にはありえないような憎しみに溢れた一言。それだけ言って、彼も倒れた】

【搬送された彼は全身血だらけであったもののほぼ無傷だったのだが、ショックにでもかかったかのように】
【病院のベッドでただぼんやりと何も話さずに数日を過ごす事になった】


/本当にすみません。遅くなってしまいましたがダグラスさん、喋り屋さんお疲れ様でした

745名無しさん:2014/03/01(土) 13:56:08 ID:Jfel1XAU0
>>737
「どうやらダグラスは月にご執着みたいだ――――昔から月はセレネ―、ディアナ、色々な名前が付けられるけど…………ふふ。ボクもその中のどれを指してるのかは分からない
大丈夫さ。君なら手を洗えば生暖かくて赤い液体も簡単に落とせるから
…………がっかりはさせないでよ?こうみえても君の事は高く評価してるんだから」

【開いた扉からはまだ冷たさの残る風が、身体に浴びせられる。傷口が収斂して――――疼痛感が、まだ自分は生きているのだと改めて知らしめた】
【己の生を痛みで感じるなんて可笑しな話。ただ、作られた意味から考えれば当然の事でもある】
【こみ上げる何かを堪えるかのように自分の腕をぎゅっと握れば、顔を上げて】


「嗚呼――――そうだね。次に来た時はもっと楽しい話でもしよっか
それこそ、君のメンバーでも両側に侍らせて正に両手に花って感じでさ
…………その時は君を思いっきりコキ使うけど、さっきみたく泣かないでよ?」

【きっと、俯いていたときと今とでは表情も異なる。ただ、今語る表情は悪戯の笑みを浮かべていた】
【心配を掛けたくないだとかそんな高尚な考えからでは無い。自分らしさが其処には無いからだ】
【何時もヘラヘラと笑っているが自分だ。しみったれた表情を浮かべて居たなんて、自分らしくないからだ】
【穿り返すのは先程の一場面。楽しそうに笑ったならば、その身も店の外へと出して】


「大事な仲間、か。そう言われるのは初めてだからどんな冗談を返せばいいのか分かんないや
――――でも、うん。ありがとう

こんな傷でもそこら辺の能力者には負けないよ、ボクは
そんな事よりも……君も気を付けてね。勿論腕っ節についてじゃなくて――――風邪に、さ」

【後ろ手をヒラヒラと振れば修道女は歩き出す。“仲間”との言葉に対して戸惑いを見せ、やがて赤面に至った顔を隠す為でもあったのだろう】
【カツカツと足音を響かせ、店から遠ざかり…………やがてはその姿も、完全に闇夜へと溶け込んだ】


「――――何さ、スパシーチェり。…………あの悪魔の事?知らないよ。大体ボクは今そんな派手に動けない事を知ってるでしょ?
あー、後ね。ふふ……ボク、初めて仲間っていうのが出来たよ。――あれ、珍しいね。君が素直に祝ってくれるなんt――――
ちょ、ちょっと。そんな大声を出さなくても聞こえてるってば。まぁ、直ぐに病院に戻るからその時に今日の話でも…………出来ればそのケーキは残してて欲しいなぁ」

【――――その先での事。水晶を取り出せばその先に映る者と会話をしていて】
【セリーナの“仲間”との言葉がグリースにとっては嬉しかったのだろう。珍しく、純粋な歳相応の笑みを浮かべれば水晶に映る人物へと楽しそうに報告】
【…………それから先の事は全て余談だ。詳細に書き記す事でも無い】

【兎にも角にも、UTに伝えられるべき情報は全て伝えられた。続けて起こっていた事件とその背景についても、大雑把ではあるが然りと伝えられて居る】
【――――正義に対して広められた情報。一つの組織のリーダーに伝えられた情報。果たして、これらがその先どの様に動くのかは今はまだ分からない事だけれど】


「そう心配しなくても大丈夫だって。一人で帰れ…………心配してない?素直じゃないなぁ」

【最良の結果を出せるかは不明。ただ――――正義の徒が最悪の結果を回避しようとするのは、確かな事】
【見上げた星々に対し、眩しそうに目を細めたならばふと口元を緩ませて。やがてはその足取りも病院へと向かうことだろう】

746名無しさん:2014/03/01(土) 14:34:16 ID:7w00KprU0
【街中――表通り】

【表通りでも端の方、言われなければ気付けないようなペットショップがあった】
【その店には、ほとんど客の出入りはない。なぜなら――所謂エキゾチックペットの専門店、だからである】
【しかしそこから、ひとりの女性が出てくるだろう。冷たい空気に、ドアの軋む音が響いた】

【オリーブ色の瞳を持ち、茜色の髪は後ろで二つの太い三つ編みにしていて】
【そばかすの上には丸眼鏡があり、頭には柔らかい素材の黒いハットをかぶっている】
【裾に緑色のよろけ縞が入った白衣を羽織り、その下に暗い緑色のセーターとタイトスカートを着た】
【そんな――ゆるい研究者のような風貌の女性だ】

【彼女は歩を進める。別段美人でもないが、すれ違う人が一瞬彼女に注目していた】
【そして、ほとんどの人が彼女とぶつからないよう細心の注意を払っているように感じるだろう】
【その原因は、彼女の手にあった】

【そこには――体長30センチはあろうかという〝ヤスデ〟が鎮座していたのだ】
【つやつやとした真っ黒く長い体に、数多の赤い足が特徴的なヤスデだ】
【もちろん生きており、彼女の手の上をわさわさと移動している】

【女性はそれを、愛おしそうな目で見つめながら歩み続ける】
【視線は一点に集中しているため、当然前方不注意】
【幸運にもぶつかっていないのは、周囲の人のお陰といえた】

【さて、運悪くぶつかってしまうか――彼女の気を引きつけるような事態が発生するのだろうか】
【余談だが彼女は爪にネイルアートを施している。それも左手の親指のみに】
【描かれているのは〝逆五芒星〟だ。これが何を意味するかは――言わずもがなだろう】

747名無しさん:2014/03/01(土) 19:52:53 ID:CKwgAcf.0
【草原――そこには二人の人物がいた】

『"エコロス"とは、この世界では珍しいですね』 「なんかあのへんにいたんだぜェーッ!」

【1人はガタイが非常に良く、筋肉モリモリな20代前後に見える男性で、2本のアホ毛を持つ深緑色の髪で、それは天へ向けて逆立っており】
【身長約175+髪15cm、青紫色の左目と、白目が漆黒の空洞に見えて瞳や虹彩は狂気を感じる赤色をした右目に】
【黒色に桃色の模様を持つ帽子付きウィンドブレーカー、その中に青のタンクトップ、紺色のジーパンの様なジャージ、黒基調の運動靴】
【もう1人は、20代前後に見える女性で身長約155cm、黒い短髪で、白いローブに身を包み、木製に見える杖を右手に持っていて】
【桃色の右目と、白目が漆黒の空洞に見えて瞳や虹彩は清々しさを感じる空色をした左目で、桃色のシャツとジーパンに青いブーツ】

【男が担いでいるのは、……毛を持った肉食恐竜だ、体長は2m前後だろうか、口先の嘴など鳥の要素も混ざっている】
【――その恐竜と男は既に戦った後であり、前者が負けて今日の夕飯の食材となったようだ】

【女性のポケットから取り出される大型生物丸焼用セットは、明らかにポケットサイズでなく】
【それにセットされる恐竜。――女性は予め確保していた食材で別の料理を作りつつ、焼き加減や調味料の調整をする】
【調味料の瓶は一つ。けれど出てくるモノは一つでなく、中にはよくわからない謎の調味料まで……】

「ヘケヒャハーッ!」 「焼くぜェー、焼いて食うぜェーッ!!」

【美味しそうな匂いが草原を満たしてゆく――】

748名無しさん:2014/03/01(土) 20:52:51 ID:ZCHlt7mo0
【――――世界は、絶えず時の流れと共に移り変わっていき、今を生きる人の数だけ、物語もまた時の流れと共に紡がれていく】
【今を生きる人の数だけ紡がれる、幾百億編の物語――――】



【――――櫻の国 廃墟】

……あいつら、ちゃんとやってるかしら……?
まぁ、私じゃなくても面倒を見るぐらいは出来るわよね……全く……

【艶のある黒髪を肩ほどに垂らして、茜色の瞳を鈍く輝かせた、東洋系と分かる顔立ちに特徴がある】
【左手に、逆五芒星のプリントがされたハンドグローブをはめている、身長150cm前後の少女が】
【黒いローブに身を包み、焼け落ちた跡と思しき古い廃墟の中に佇んでいる】
【――――柱や梁として使われていたと思われる木材が黒く焦げ、徐々に風化が始まっている】
【ボロボロと穴が空いている天井からは、時折雨が漏れだしたのだろう。足元には淀んだ水たまりがいくつか出来あがっていた】

……私は勝つ。勝つんだ……容赦なく……絶対に……!
じゃなきゃ……もう、生きてる意味なんてないものね……負けは、しない……

【そっと足元の木片を拾い上げると、ぐっと握り締め――――そして握り潰す】
【芯まで炭化してしまっているそれは、呆気なくボロっと崩れて足元に散った】

……負ければ……『これ』だ…………

【拳を握りしめたまま、眉間に皺を寄せ、じっと足元の粉末を見つめる少女。その口元が、微かに引き攣っていた】



【――――所変わって、風の国 『UNITED TRIGGER』酒場】

……………………
「(……おい、どうした?)」
<(ちょっと…………そっとしといてやんなさいよぉ……今はあたし達が声を掛ける所じゃないわぁ……)>

【灰色のフード付きパーカーに、さっぱりした色合いのチェック柄の入ったスカートを履いた】
【額に、正三角形の形に、赤・青・緑の点が浮かび、それらを繋ぐ様にぼんやりと光の円環が浮かび上がっている】
【少し癖のあるオレンジ色のショートカットが印象的な、身長140cm前後の少女が】
【テーブル席の1つに陣取り、ぼぅっと物思いに耽っている】
【テーブルの上には水のグラスと、どこかで買ってきたらしい新聞紙が一部、置かれたままになっている】
【今現在、人気の少ない店内で、少女の存在は浮いたものになっているが】
【それでも、酒場に未成年と言う状況としては、むしろ人気の少なさは幸いだったかもしれない――――猥雑な喧噪の中よりは、ずっとマシだろう】

…………もう、ざっと10ヶ月くらいになるんだよね……
「(……そう、か……考えてみりゃ、もうそれだけ……)」
<(……ったく、黙っててやんなさいっての……)>

【新聞を手に取ってざっと目を通すが、それも長続きせずに、再びテーブルの上にバサッと放ると、ため息を1つ漏らす少女】
【沈んだ表情でじっとグラスに視線を注ぐ。ただの水だけのグラスは、ただ素直に照明の光を湛えて身じろぎもしなかった】



【――――どの物語も、今と言う時の中に、確かに存在している物である】
【もし変化が訪れるとしたら――――それはどの物語なのだろうか】

749名無しさん:2014/03/01(土) 21:53:09 ID:ZCHlt7mo0
/>>748取り消しでー

750名無しさん:2014/03/01(土) 21:58:27 ID:buu1lXlY0
【街中――とある猫カフェの店内、】
【道沿いに設置された立て看板が精一杯に存在をアピールする、ビルの上のほうの店】
【立て看板曰く新入りの猫がいるらしい。ミルクティみたいな色の、アメリカンショートヘアーの猫】
【かわいらしく通りすがりを魅了する看板、――時折、入っていくひとが見受けられた】

……ここ暖かいね――、気持ちいいの? そう……、よしよし、

【そんな店内はそれなりの広さを持って、ぼうっとするぐらいに暖かなのが、逆に冬を証明するよう】
【いたるところに転がる猫の玩具、物陰に設置された猫のご飯入れ、水入れ、寝床になっているケージと】
【たくさん設置された本棚には猫関連の漫画などが詰まっていた。それいがいにも、誰も見ていないテレビがあったり】

【店内に放された猫は両手で数えるほど、店の好き勝手な場所で好き勝手なことをして、時折人間に構われて】
【隅っこのほうで暖房に当たっていた猫もうざったらしい顔で構ってくる人間を見ていた、――ふんと溜息を吐いた音】

【――真っ黒色の髪の毛は腰ほどの長さ、けれど今は低くした体制のせいでばらばらと雪崩れたきり乱されて】
【黒色と赤色のオッドアイは楽しげ/嬉しげに細められる、右耳に嵌められた宝玉をあしらったピアスが時折煌いて】
【濃い黒色のワンピースはフリルやレースをたくさんにあしらったもの、けれど猫毛に塗れた今では何の説得力もなく】
【腰元についたリボンが猫又の尾っぽのように垂れていた、――薄手のストッキングに包まれた足はぺたんとあひる座りで】

遊ぼうよう、……だめ? 眠たいもんね……、……。

【手元の猫じゃらしをぱたぱたやってみるけれど何の反応もなし、それならとかわりに猫の顎をもふもふ撫でてやる手つき】
【入り口で貰うペットボトルのドリンクをひとくち飲んでひといき吐く。それからぐるりと店内を見渡してみる、幕間】

【(――何か人間とは違う気配を纏う少女だった。そのせいか、なんだか猫には冷たい目で見られているような気がして)】
【(現実は人間に遊ばれ飽きているだけなのだろうけれど、――ねーねーと話し掛けている姿、客の減った時間なら良く目立っていた)】

751名無しさん:2014/03/01(土) 23:53:07 ID:s0z1wIYo0
>>750

【冷えた外気を連れて店内に入って来る姿があった。小柄な少女、せいぜい十歳程だろうか】
【黒いゴシック調のワンピースの上に、白いファーのポンチョを纏って、猫毛対策は万全と言った顔】
【赤毛の髪をお団子に纏め、猫にも似た丸い紫の目に、薄く化粧を施しているのが妙に大人びていた】

【何処か来慣れた様子の少女は、早速数匹の前に屈み込んで、合わせた丸い目を軽く細めて見せる】
【猫の世界の挨拶なのだという。数度そうすると猫の方も、余程機嫌が悪くなければそれを返して】

久々だねぇお前達っ、元気にしてたかい?
たまの休みに来てやったんだ、もっと良く顔を見せなよっ。
……何だい、眠いのかい? ……、……

【余程猫好きなのだろう、随分とはしゃいだ様子で破顔していた少女だったが、近くにいた相手に気が付いて】
【少しだけ気まずそうにする間があった。きりりとした猫目を取り戻してから咳払いひとつ、】

……新入りの猫が来たって言うじゃないか。あんた、見なかったかい?

【まだミルクティの彼(或いは彼女)にお目にかかっていなかった。故に、先に来た相手へと尋ねる】
【どう見ても相手より年下であるのだが、醸す雰囲気が妙に年寄りめいて、不思議な違和感となっていた】

/まだいらっしゃいましたらー

752名無しさん:2014/03/02(日) 00:10:54 ID:buu1lXlY0
>>751

【少しだけ冷たい空気が入ってくる、暖かな空気の中ではそれはよく目立って】
【また誰か来たらしいと少しだけ考える刹那、ちらと向けた視線は何の意図もなく、ただ見つめるだけだったが】
【たまたま破顔して猫を接しているところを見てしまった。気まずいらしく咳払いするところまでを見届けて――】

【蛇みたいにまあるい瞳が猫のように釣った瞳とぶつかるのだろうか。或いは自然界なら一触即発の事態だけれど、】
【猫に囲まれまくったこの場だと言うのに平然とした蛇の少女は気にしない風に緩く首を傾げて見せたのだろうから】

それなら、この子だってさっきお店のひとが言ってたよ――だいぶね、慣れてきたんだって。
でも今は眠たいみたい、わたしが来た頃には起きてたんだよ……ほら、この子。

【問われたことを考える間がなかった。それなら、もう知ってるよという風で、実際知っているよう】
【よじと身体を退かして見せる場所、たった今構っていた猫は毛の長い三毛猫の女の子だが、その影というべきか下というべきか】
【籠の中にもう一匹猫が居るようだった。そして、それがどうやら相手のお目当てらしく――ミルクティ色の毛足が、僅かに覗いていた】

【三毛の子にむぎゅりと潰されても何も気にした風もなく眠る姿、どうやら新入りらしいがこの店にも慣れつつあるよう】
【暖房器具からの暖かい風に頭の天辺の毛をそよそよと揺らしながら、ぷかぷかと動く柔らかそうなおなかがいかにも和やかで】
【ぐるりと相手に見やすいように籠を回したことで三毛の子がすっくと立ち上がった、まるで鬱陶しいと言わんばかり、女王様気質】

あ……、待ってよう、ごめんね? 動かしてごめんね……――行かないで、

…………あー、

【そのまますたすたと歩いていこうとするのだろう、ちょうど相手の足元を抜けるようにして、何もなければキャットウォークに登っていく】
【最終的には梁の上に座り込んで落ち着いてしまうはずだった。そうなれば、きっともう誰にも手出しできなくて――】
【取り残された少女が寂しげと言うか残念げと言うか、しょんぼりとしていた。男に置いていかれるのをずっとずっと軽くした喪失感を感じながら】

……このお店によく来るの?

【――仕方ないという風にミルクティ色をした毛の猫を撫でてみる。それから、そっと手を繋ぐように手を握って、肉球をふにふにとやりながら】
【切り替えが早くてよろしいことだ。興味があるならば相手も触ってみればいいだろう、深い眠りの最中なら――ある程度までは、許されるようだったから】

/まだ居ました!

753名無しさん:2014/03/02(日) 00:31:55 ID:s0z1wIYo0
>>752

おや。そんなところにいたのかいっ、……
……何だい、船漕いでるじゃないか。来たばかりで疲れてるのかねぇ、っと……

【三毛猫が足元を抜けていってしまうのに苦笑して、小さな背で落ち着いた先を見上げる】
【子供らしからぬ表情だった。やれやれといったようにしてみせるのが母親臭くもあって】
【それから問われれば、こちらも深い眠りの中にあるお目当ての猫をそっと撫でつつ薄桃のルージュを乗せた唇を開く】

休みの時だけさ、滅多にこれやしないよっ。不定期な稼業でねぇ
忙しい事ばっかりだけどさぁ、たまにこうしてこいつらに会いに来るのが楽しみなのさっ。
……あんたも良く来るのかい?

【年上であろう相手にも何ら気兼ねすることない蓮葉な話口調、声だけが金糸雀の様に高く跳ねて、幼い少女のもの】
【問いを返して軽く首を傾げて見せれば、両耳の蜘蛛をあしらった銀のピアスが揺れた】

754名無しさん:2014/03/02(日) 00:42:35 ID:buu1lXlY0
>>753

【全くぐうと呑気なものだ、――まあ、これぐらい図太い方がストレスなく生きていけるのかもしれなくて】
【撫でられたって何もない。返す反応はすやすやとおなかの膨らんで引っ込む動きぐらいなもの、そればっかりで】
【ただ相手が撫でるならと手を引っ込めた少女は、――相手が十歳程度の見た目だと言うのを、今更気にした素振り】
【(いいのかな……)とでも考えているような顔で考え込んでいたことだろう、そんなのが、少しだけ顔に出やすい性質のようで】

……お仕事してるの? そう……、大変だね?
わたしはお仕事とかしてないから――、いっつも家に居るばっかりなの。

【ましてお仕事までしてるといわれたならぱちくりする瞳が分かりやすい。びっくりしたように零す吐息がほわりと漏れて】
【こちらは高校生ぐらいな見た目をしていた。それならバイトぐらいしていておかしくない年頃だが、何もしていないらしく】
【そんなところをちょっぴり申し訳なく思っている様子で――少しだけ自嘲気味に笑ってみせた、刹那があって】

はじめてだよ、下の看板がかわいかったから――、……毛の長い三毛ちゃんが好きなの、かわいくて。
……もちろん他の子も好きだよ? はちわれも、靴下も、ぶちでも、どんな子でもだいすき。かわいいもの。

【慣れた様子の相手に対してこちらはまるで初心者、けれど慣れつつあるのは、それなりの時間いるからだろう】
【渡されたので素直に首から提げたケースに入っている紙にはもう二時間は居るのだと書かれていた、――そろそろ三時間になりつつあって】
【ワンドリンクのペットボトルだってもうだいぶなくなっている。冬だというに減りの早いのは、部屋のこの暖かさがあるのだろう】

でもみんな遊んでくれないね……飽きてるのかな。

【――ぺったんとくつろいで座っていたのを少しだけ正す、つま先の方で余ったストッキングを少しだけ気にする素振りを見せた一瞬だけ】
【手に持っていた羽のわさわさついた猫じゃらしを撫でて、ちょっとだけ残念そうに言うなら、こういう場所にあまり来たことがないのかもしれなかった】

755名無しさん:2014/03/02(日) 00:53:24 ID:ArtzINQc0
【―――〝UNITED TRIGGER〟】

【既に遅い時間だが、酒場としても機能するこの事務所からは尚も明かりと活気が漏れていた】
【店内を見回せば居るのは大概が正義とは似ても似つかぬ荒くればかりだったが――】
【その一角、本当に隅のスミに、一人の女性が雑誌を数冊側において陣取っていた】

【服を見れば古着らしいジーンズと、それから深紅のジャケットという男の様な格好であり】
【それから、髪が赤いのも目立つだろうか。眉間に皺が寄っているのが近付き辛い原因だ、が】

……『スタイリッシュな春の着こなし』……『おしゃれ着こなし108例』……?
ンなもんどーでもいいんだよ、下らねー事ばっかり書いてあるじゃねェか
もっとカタログっぽいの買うべきだったな…、……取り敢えず隠すか。

はァ……柄じゃねェんだよな、こういうの…………飲も…。

【雑誌を適当に流し読みする彼女の近くに、黒い流線型の鎧をまとったヒトガタが居るのも一因だろう】
【如何にも強力そうなソレは、彼女を明確に〝能力者〟だとして客と一線を引いていたし】

【また一方で、その鎧がふわりとカウンターを越えて適当なボトルを掴み取り】
【そのまま女性の元に戻って、ロックのブランデーを提供する様子は何処か滑稽でもあった】

【まあ、ともかくとして――こういう如何にも人を近付かせない様子もあって】
【彼女がいる辺りはズラッと席が空いていたし、逆に言えば店内に入れば――】
【まず彼女が目に付くはずでもあった。――UTのメンバーかと言われれば、柄が悪すぎる気もしたが。】

756名無しさん:2014/03/02(日) 01:03:17 ID:s0z1wIYo0
>>754

育ちの良い子も可愛いけどねぇ、野良も結構いろんな顔や模様が見れて面白いのさっ。
真っ白な癖して顔にだけ八の字の眉毛があったり、ギザ耳に片目の開かないボス面だったり……
……人様に自慢出来る稼業じゃなくてねっ、良く外にいるもんだから、会ったら眺めてんのさ

【仕事に関しては少しだけ言葉を濁した。外にいるとはいえ野良猫に会うような場所、人通りの多い所でないのは確か】
【こちらも来たばかりの証を手に持ったままだったのだが、同じように首にかけてふと相手の滞在時間に目を丸めた】

そりゃあ猫もずっと働いてはいられないだろうよっ。寝るのも仕事さ
見たところあんた、随分長く居るようだし……あんたこそ飽きないねぇ。
膝の上に置いて寝かし付けるだけでも可愛らしいもんさっ、だんだん重くなって来るけどね

【そう言って、籠の中で安眠していたミルクティの猫をそうっと丸い形のまま少女は細い手で掬い上げれば】
【座る相手の膝の上に乗せようとするだろう。近くに布があるならそれを敷いてからの方が良いけれど】
【嫌なら自分の膝に乗せて寝かせ。深い眠りの中なら抱き上げてもうつらとして、丸まったまま再び目を閉じるのだろう】

757名無しさん:2014/03/02(日) 01:18:31 ID:buu1lXlY0
>>756

野良猫もかわいいな、たまに相手してくれる子がいるでしょう? そしたらね、精一杯遊んでもらうの。
ご飯持ってないって分かったらすぐ居なくなっちゃったりするけどね――、それはそれだし。

【仕事について濁された。十歳程度で働いているという彼女ということだ、全うなものではないのだろうと予想がひとつ】
【それなら無理に触れてやることもないだろうと判断する、――少しだけ気になったが、そういうことで心中結論を出した】
【猫じゃらしをみょんみょん揺らしながら話す、野良猫に遊んでもらうときのことを思い出したのだろう、わずかに瞳が細められて】

【蛇の目と猫の目。どちらも丸いことは同じだけれど、そこに宿る温度というものがきっと違うのだろう】
【蛇にしてはずいぶんと暖かな目をした少女だった。耳元で煌くピアスも、指元で煌くピアスも、どちらも蛇を模ったものなら】
【よっぽど好きなのだろう、――少女にしてはずいぶんと珍しい嗜好、なのかもしれなかった】

家に猫は居ないから……、兎とか蜥蜴。馬に蛙に寄生虫。……たくさん居るんだけど、猫は居ないの。
頼んだら連れてきてくれるんだろうけど――なんだろ、猫がおうちに来るのは、運命とか、そんな感じがするから。

……でも家に居たら暖かいだろうね、――わあ、いいの? ……ふふ、よく寝てる。

【長く居る理由は至極単純、家に猫が居ないから、猫成分の補給に来たのだと言う】
【ペットがたくさんいる家だと言うが猫がいないのいうのは少しだけ珍しい気がする、変わった嗜好なのだろうか】
【ペット方面には彼女の意思が反映されてなかった。いるものをかわいいかわいいと愛でる性質だから、というのもあるが】
【買ったりするのは何か違うような気がしていた。それは彼女の経験のせいもあったかもれないとは余談だけれど――】

【膝に乗せてもらえば嬉しそうな声、少しだけ姿勢を変えて、畳んでいた足を伸ばすようにして】
【その上に乗せてもらう、――布も何も敷かなかったなら、もう黒い服が白や茶色に汚されることは既に諦めたらしい】
【くすくすと顎の下を擽る視線がひどく優しげだった。「かわいい」――呟いた声が、ひくりと猫の耳を揺らした】

758名無しさん:2014/03/02(日) 01:22:42 ID:h.aD6gUo0
>>755

うーっす……ってあら?居ないのか。

【扉が開く。飛び込む声は軽い調子に、現れた男は店内をグルリと一眺め】
【迷い無く踏み入るその足取りを見るに、初めて来た訳ではなさそうで】

【服装は黒の軍服に制帽という一見堅苦しそうなものだが、実際は緩く着崩して】
【長めの金髪はヘアゴムで一纏めに、もみあげの二房は長く垂らしたまま】
【そんな男を彩るは、胸元に光る自警団のバッジと爽やかな香水の香りで───何ともミスマッチ】

【──男の碧の視線は、やはりその、隅の彼女、そしてヒトガタを捉えて止まった】
【ミリタリーブーツの底が、床とぶつかり。男の歩みを知らせるように音を鳴らす】

やあ、お嬢さん。何読んでんの?
───勝手に取って飲んでるみたいだけど……UTの関係者、と言うよりセリーナの友達か何かだったり?

【彼女の様子を気にするでもなく、何の断りもなく。更には馴れ馴れしく話し掛けさえしながら、】
【男は彼女のすぐ近くの席へと腰を下ろす。何と言うか……軽い】
【……いや、ここは言葉を選ばずに言おう───この男、チャラい】

759名無しさん:2014/03/02(日) 01:35:18 ID:s0z1wIYo0
>>757

あー、分かるような気はするねぇ。飼うってよりも、居着いたからとか
何かしら出会いがあってのモノ、ってヤツの方が良いのかもねぇ。

あたしは家がないからさ、連れて歩いちゃ仕事の邪魔だしねっ。
定住してれば沢山飼えるだろうねぇ……、……

【妙な生物が出た気がしたけれど触れずにおけば、自分も手近な茶虎を抱き寄せて膝の上に座らせる】
【小さい体ながら割と猫の扱いに慣れていて、それは慣れない人にとっては乱暴な動作にも見えるかも知れないが】
【当の猫はといえば抱かれ慣れた子達だろう、やんちゃだったり不機嫌でなければ素直にされるままでいた】
【家がないという。少女の歳でそれは些細な事とはいえない筈なのだが、いたく何でも無いように言うのだった】

……猫も仕込めば仕事してくれるのかねぇ。泥棒猫なんてよく言うけどさっ
まぁ猫は好き勝手にしてるだけだし、人間の言葉なんか分かりゃしないし、無理さねぇ

【ふと、零すようにそんな事を呟けば、少女もワンドリンクのペットボトルに口をつける】
【思いつきはせどすぐに否定する呟きは何も考えず口にしたのだろう、安息している故の、僅かな過失】

760名無しさん:2014/03/02(日) 01:37:21 ID:ArtzINQc0
>>758

(ん……客か?にしちゃ、自警団ってのが気になるが……)
(……つーかこっち来んなよ面倒くせェ、おい〝ベギー〟――…。)

【新たな来客に、隅の彼女もちらとそちらへ瞳をやった。ちなみに黄土色の力強い目だ】
【だがそれだけ――相手が近付くのまでは見るだけだったが、足音を聞きつければ】
【黒いヒトガタ、おそらくはマインドと呼ばれるソレであろうものを操作して】
【何冊かあった雑誌をまとめ、力づくで雑巾の様に丸めてしまって、買う時に貰ったのだろう袋にぶち込んで】

……なァんも?一人で酒飲んでンだよ、文句有んのか?
それとも自警団ってのは……は?友達…俺がアイツと?

――冗談キツイぜ、俺がなんであんな脳ミソアルコール漬けの
ホルスタインみてェな奴と友達なんだ……居候だよ、ただの。
UTには入ってねーし、酒だって一応金は払ってるし……近ェよ、離れろテメェ

【――既に酒は入っていると見える。元から口は悪いのだろうが、何か輪を掛けた物が感じ取れるだろう】
【男性がチャラいというなら、この女は宛らチンピラだ。能力持ちの、場末の酒場が似合いである】

【ちなみに――まずひとつ、丸めてしまった雑誌だが、彼の居た場所からでも表紙は見えたはずだ】
【所謂女性雑誌、そしてファッション雑誌。少々似つかわしくない――いや、随分と可愛らしい本が数冊だった】
【またホルスタインだのとこき下ろしていたが、彼女もジャケットは前を大きく開けていて】
【下に着込んだチューブトップでは隠せない程度の女性的な膨らみは見えている――とも伝えておこう】

761名無しさん:2014/03/02(日) 01:48:54 ID:buu1lXlY0
>>759

そうなの、猫って勝手についてきたとか、そうじゃなかったら縁がない気がして……、
……ペットショップってあんまり好きじゃないな、見るのはいいけど――、――生きてるのに、ね。

…………、――。

【分かってくれたというのが嬉しかったのだろう、少しだけぱぁと明るくなる表情は、どちらが子供なんだか分かりづらくさせる】
【猫は拾ってくるもの。そういう認識が強いのだろう、それがいつからだったかなんて、分からないけれど、強い思い込み】
【ふわと視線を伏せる、少しだけ遠くを見るような目をしたなら、――少しだけ、何かあるかのような様子だった】
【続く相手の言葉のせいもあったのだろう、しばらく黙り込んでしまった幕間、伏せた視線がふらりと振れて――】
【だがそれも僅かの時間のこと、すぐに膝の上でぐうと余計に身体を丸くした猫の仕草に意識を取られて、瞬いて】

【足の上から落ちてしまわないように支えてやる、ぐぐーっと押して膝の真ん中へ戻して、】
【よしよしって何度も何度も頭を撫でる、――そうしているうちに、考えごとの表情もどんどんと薄れていったのだろう】

分からないよ、かわいいって気取られてる間に――って。……ふふ、無理かな。
わたしなら引っかかっちゃうかもしれない。猫がかわいく寄ってきたら相手しちゃうもの、絶対にだよ。

【それでも家がないらしいというのは少しだけ尾を引く、ちらと時折窺うような視線が混じりこんだのは、気のせいではなく】
【猫に泥棒させるなら精々が魚くらいだろうか、けれど上手に仕込めば利用できるかもと返したのは、こちらもまた何も考えていない故】
【思いついたのをそのまま言葉にしているだけだ、やがてくすりと笑ったのは、やっぱり自分ならやられてしまうだろうと改めて思ったから】
【猫がにゃーんなんて擦り寄ってきたらどうして抗えようか。こんなに猫相手に優しげな表情をする子だ、そんなの無理に決まっていて】

どろぼうさん?

【――家がない子はどうして生きていくのかをちょっぴりだけ知っていた。それは自らの昔の経験にも関わっていて、】
【細めた瞳、ただ手ばっかりは優しく猫を撫でるまま、なんにも変わらない。声音だって、聞きようによっては優しくって――】
【今すぐどうにかしてやろうという様子ではなかった。僅かに顰めた声は、辺りにも配慮しているように見えた。ただ、そう尋ねただけという風で】

762名無しさん:2014/03/02(日) 02:07:46 ID:7N46dg0U0
>>760

あーらら、勿体無い……本は粗末に扱うな、って教わらなかったか?俺?俺は教わってないけど?
というか、そんなに見られると困るものだっけ?ファッション雑誌って。

【ぐちゃぐちゃになった雑誌にチラリと一瞥をくれると、これまた何とも……適当】
【何を読んでいるのか、なんて言ったのもただの話の枕。どういう雑誌かだってわかっていて】
【力強い瞳を向けられようと、チンピラめいた言葉を掛けられようと、不敵な笑みで受け流すばかり】

ああ、居候……メンバーではないのか。誰か会えるかと思ってたんだけどなー……
そうそう、俺、ディハート。最近UT入ったから時々ここで会うかもな。

──しかし、ホルスタイン、ねえ……いや、何か、仲良さそうだなー、って、さ。

【離れろと言われても、やはり動じない。何事も無かったかのように言葉を紡ぐ】
【勿論、移動する気なんてサラサラ無い。このディハートというのはそういう男で】

【一瞬、流した視線が彼女の胸元に向いた。小さく笑ったのは恐らく、思い出し、比較しての事】
【更に、この言葉を聞いておきながら「仲良さそう」と言うのは……どういうつもりか】

763名無しさん:2014/03/02(日) 02:11:01 ID:s0z1wIYo0
>>761

……色気で惑わすようなモノかね、そりゃああんたみたいなのしか掛からないさぁ。
誰も彼も猫好き、って訳じゃあないだろうさ。目が嫌だとか声が嫌とか、わりかしいるんだよう

【呟きを拾われた事に少しだけ間があったけれど、すぐにくすりと笑えばいやに現実的な返しをした】
【可愛くない子供だ、けれど、子供と片付けるには、余りにも。纏う空気は大人びたものだった】

勘の良い子だねぇ。そうさぁ、あたしは女盗賊、ウィドー・S様さ
バレちゃあ仕方ないさねぇ、此処も気に入ってたんだけれど……
あんたが黙ってくれるってんなら、また此処でこいつらにも会えるんだけれどねぇ……。

あとあんた、目上の人には敬語で話せって教わらなかったかい?
あたし、これでもあんたの倍は老けてんだからさっ。

【にいと吊り上げる笑み方が酷く妖艶だった、それは幼子のするものではなくて、恐れる様子も欠片も在りはしない】
【それどころか正体を割れさせておいて、それを逆手に猫達と今生の別れめいて悲しがって見せる】
【幼い泥棒さんならどれだけ可愛かったか、相手の前にいるのは、歴とした女盗賊なのだった】
【歳については相手を十六くらいと見積もっての物だろう、それでも、その幼い外見からは想像出来ない年齢になる】

っと、余りゆっくりもしてられなくってねぇ。それじゃあねっ、可愛いお前達っ。

【来て早々ではあるが、長居出来ない用件があるらしく。正体も割れた折だ、丁度別れるには良い】
【引き止めなければ最後に茶虎をひと撫でして、小柄な体に良く合う身軽さで店を後にして行くだろう】
【通報するか否かは相手の自由、少なくともこの店と相手には損害を与えることなく、後家蜘蛛の少女は去っていったのだった】

/駆け足になりますが眠気が来たので、このあたりで失礼します……! おつかれさまでしたっ

764名無しさん:2014/03/02(日) 02:22:50 ID:ArtzINQc0
>>762

テメェも教わってねーなら別にいいだろ、俺が買ったンだからな
焼こうが捨てようが取って食おうが……食わねーが……俺の自由だ。
……うるせェ、テメェ今此処で見たことセリーナに言ったらブッ殺すからな――…。

【――また随分と素直じゃないらしい。チンピラにしてはドスの利いた声で脅しにかかった】
【が、おそらくそれも彼には無意味だろう、あくまでも女性側も〝マジ〟というだけの話】
【話せばそれはそれで――いや、確実に面白い物が見れる筈だ。ただ、リスクはチョットばかり高いのだが】

……メンバーなら、今アンジェルっつーのがどっかに見回りに行ってるぜ
そのうち戻ってくると……あァ?テメェUTにも所属してンのかよ、自警団のクセに……?

――ハッ!物好きだよなァ、そのナリで正義の味方とはよォ
……ンだよ、ホルスタインだろ。お前アイツの胸見たことあるだろ、そういうツラしてるしな

【尚――サイズに関しては、彼女の。つまりこの赤髪の彼女のほうが少しばかり上だったりするのだが】
【その辺は棚に上げる性格と見えた。それから、どうも話相手くらいにはなってくれるらしい】

【一人で酒を飲むのも飽きたといったところか。杯を半分ほど空かしつつ、小さく『ベイゼ』と言った】
【恐らくは名前。そして自警団所属なら、記憶次第だが――機関の元No.3が同じ名前だったのを思い出すかもしれない】
【どちらにせよ、彼女は不貞腐れた様子。まだかなり若いようだが、厭世家じみた所が垣間見えた】

765名無しさん:2014/03/02(日) 02:26:08 ID:buu1lXlY0
>>763

爪磨ぐのがいやとか――ね、わたしは全然気にしないんだけど……。

【ぴかぴかとした目。鳴き声。どちらにも可愛らしいという言葉をつけたくなるぐらいには猫が好きで、どうしようもないぐらい】
【強いて言えばそこが嫌われるのだろうということだけ分かっていたって自分では気にもならない、それならどうにも曖昧なようで】
【現実的なのに対してこの態度だ。それならやっぱりどちらが大人かって分からなくなるよう、そろそろ相手の年齢のことも気になりだしてくる】

別に……、……わたしたちに関わってこないなら、いいよ――。
わたしのもの、盗ってないでしょう? ……それならいいの、黙っておいたげる。

目上? ……倍、って――、……四十?

【――そんな折だ、彼女があっさりとこちらの言葉を肯定してしまったのは。ぱちくりと瞬いた眼が、少しだけ驚きを示して】
【よしんば本当のことだったとしても誤魔化されるのだと思っていた。そう考えていたなら、その肯定は驚きを生んだのだろうから】
【少しだけ空いた間は考え込むよう、この場で何か叫ぶなりしてとっ捕まえる意味を、数秒間掛けて考え込んで、その結論といえば、】
【自分たち――たちというのが誰かを言わないまま――さえいいのなら別段構わないというもので、少しだけ自分勝手なようだが、こんな世界なら仕方ないのかもしれなお】
【さも特別だと言う風に言うのが負けていない。どこか悪戯めいた目をして、そう言葉を返して――】

【――これで二十歳なのだというから驚きだった。どう見繕ったってせいぜい高校生ぐらいにしか見えないのに、】
【まあそれよりも相手の年齢の方が驚きだろう。倍というからには四十も歳を重ねているのかと、流石に驚いたよな声を出して】
【改めて相手を見つめる視線が上から下まで動く、――少しばかし失礼だったが、やがて気付けたのか、そんな視線もなくなって】

【急に現れたと思えば急に去ってしまう。何か言葉を掛ける前に、その姿は厳重な出口の向こう側へと消えてしまっていて、】
【ぽつんと暖かな室内に取り残されたよう。とりあえずといった風に猫の頭をもふもふと撫でて、――その後、しばらくはいたのだけれど】
【時計がいい具合の時間を示しだした頃には流石に帰り支度をして帰って行ったのだという。さんざかわいがった猫にばいばいと告げて、】
【コロコロで取っても毛のたくさんついた服装で家へと戻る、――誰と遊んで(もらって)きたのかなんて、きっと、一目瞭然なのだった】

/おつかれさまでした!

766名無しさん:2014/03/02(日) 02:51:52 ID:c2LWIspc0
>>764

……流石に食ったらビックリするぜ。それじゃあヤギ……いや、ヤギに食わせると良くないんだったっけ?
食いはするけど何か体に悪いとか何とか聞いたような……まあいいか。

ああはいはい、それならだいじょーぶだいじょーぶ!言わない言わない。

【ニヤリ。確かに口の端が持ち上がった。言葉では“言わない”と言っているが、】
【二回繰り返して言っている辺り疑わしくて。そこにその表情も加えれば──】
【──もはや、疑わしさしかない、と言っても過言ではないほどである】

【……言ってしまおう。“言わない”が“伝える”つもりだ。つまり、口頭以外の方法ならいいだろ、という屁理屈】
【────やっぱり、彼女の声は無意味なのであった】

アンジェル……へえ……女の子?──っておいィ?正義やるのに外見は関係無えだろ?
それに、自警団やりながらでも何とかなる、っつーか何とかするからいーんだよ。

それより何より!そういうツラってどういう事だよ!どういう意味だよ!
───ああ見たさ!見たけどな!自分も大きさ変わらねえだろうがぁー!

【名前を聞いてまず訊く事が女性かどうか───らしいのかもしれないが、何か間違っているような……】
【ともあれ、前半は脱力したような話し方だった、のだが。】
【後半。こちらは逆に早口。そこまで大きい声を出した訳ではないが──「そういうツラ」という言葉が効いたか】

【そんな様子でありながらも、小さく告げられた名前は聞き漏らさない】
【「どっかで聞いたような気がするなー」なんて呟く辺り、本当に記憶していないのか】
【はたまた、適当な事を言っているのか。わかりにくい人間である】

767名無しさん:2014/03/02(日) 03:11:02 ID:ArtzINQc0
>>766

……薬物とか、あまり植物と関係無い作り方してる紙はやらねぇ方がイイって聞いた。
分解自体は出来るみてェだが、やっぱ身体に良くねーだろうし……あぁ、まあいい。

……覚悟出来てンだろうなァ?あァ?もしバラしたら……
あぁ、丁度いい……その邪魔そうなもみあげ引き千切ってやるよ
サッパリしたかったら好きにしやがれ、イロオトコ君よォ…?

【笑う相手に対して、少し本気に過ぎるのではないかと疑いたくなる眼光が強まった】
【というより――もっと恐ろしいのは彼女の背後に居る黒い鎧の方なのだが】
【まるヤクザの子分のように、その鋼拳を慣らす様な動作が見えていた】

【――まあ最も、バラしたところで問題はないだろう。何故なら今、彼女は袋をゴミ箱に叩き込んだからだ】
【それを誰かが拾ったのだとなれば、その時間誰が此処に居たのか――特定は容易。つまり、問題は無く】

……オンナ。確か今年で20……21?クソ生真面目な正義マニアだぜ
お前よりもうちょいとお固い感じの生娘ちゃんでよォ、でも胸まで固いんだよなァ…。
いくら何でもありゃ絶壁だぜ、好みならつまみ食いしてやれよ、初心だぜありゃァ。

……あー、やっぱり見たンだな?ヘヘッ、そうかそうか……だろうな、だと思ったぜ
ハッ、俺か?俺はアイツみてェに見せびらかしたり、恥もしらねー様なマネしねェからな
にしても良いのか?そんな声だして、自警団の兄ちゃんは二人の女性の胸を見比べてるってのが――

【『――バレちまうよなァ?』と、彼女は言った。ふと気付けば店内、これが実に静かになっていて】
【背後に刺さるのは幾つもの視線。ただ、振り向けば自然と誰もがテーブルを眺めているという状況で――】
【――ただ、一方で女性はその後攻めず、酒を一口。名前に対して反応しなかった彼へのお返しとでも言った所、か】

768名無しさん:2014/03/02(日) 03:41:38 ID:8YDbwXY.0
>>767

ふぅん……そのうち戻る俺の髪で済むんだ?言葉の割に随分と安いんだなぁ?
まあ大丈夫だって、女の子との約束は守るから……な?

【あくまで“約束した事は”である。ちなみに、言われたのが「伝えるな」という言葉であれば、】
【“守れない約束はできない”という言葉になる。しかしそんな事より、だ】
【威圧する様なヒトガタに対し、何を考えたか、ウィンクを投げ掛けたのである。いよいよ訳がわからない】
【いや、きっと意味なんて無いのだろう。寧ろそうでなくてはならない】

へえ……貧乳のマジメちゃんか……いいじゃんいいじゃん?
でも───つまみ食いって言い方やめなさい、はしたない。それに人聞き悪いだろ……って何?

……んだぁ?見世物じゃねーぞ?
っつーか、てめえらは全く胸見ねえってのか?オイコラ、そこのあんた、どうなんだオイ。
あぁ?セリーナも言ってたぞ?「下心は隠さない方が印象良い」って。

【振り返れば、テーブルを見る客達に向け「ヤダームッツリトカキモーイ」なんて裏声を出したりして】
【……開き直り、というべきか、破れかぶれというべきか。無駄に煽る様なこの行動】
【一通り言い終えるとまた普通に椅子に座って。それから、吐息を一つ】

769名無しさん:2014/03/02(日) 04:00:18 ID:ArtzINQc0
>>768

誰がいつお前の髪が元通りになるって保証してくれたんだ?
毛根ごとっ…いや何ならその軽そうな頭ごとぶっ潰してもいいんだぜェ……?

……フン、下らねー。好きにしろよ……その代わり面倒になったら二度と口聞いてやんねーからな

にしても何だ……お前アレだろ、オンナなら誰でもいいんじゃねーの?
セリーナに会ったら胸だろ?まな板のマジメに会ったらそれはそれで良し……
……子供にも興味持ったりしねーだろうな?ソニアに手ェ出したら殺すぞ……―マジで。

【――最後の最後だけは、言葉ばかりはありふれたそれだったが――〝凄み〟のような】
【なにか逆らってはいけなさそうな力強さとでも云おうか、それにあふれていた】
【ソニア――彼女の名は知れているはずだ。以前、大会で準優勝を掻っ攫った少女だったか】

……いや、下心は隠すから下心なんだろ。セリーナが明けっ広げなだけだっつーの
そりゃまあ、男ならオンナには興味有るんだろうが……隠せ、うん。
大体困りもんだろ、『女性に会うと胸の品定めをするUTメンバー』……あァ、最悪だよなァ?

『――――ふー、ただいまっ。アンジェル・ベルジュロン、只今帰還、ってね
 ちょっとベイゼ、貴女ちゃんと店番して……あら、自警団の人かしら?』

【先ず、ベイゼの反応はといえばひどく落ち着いたものだった。煽り、裏声、中々のものだ】
【一部では『そうだそうだ!』などという野次も飛んだが、当人は知ったこっちゃないと酒を注いでいた】
【オマケにコメントも妙に落ち着き払っていて――なんとなく、いじりがいの無い女である】

【それから新たに扉を開けて入ってきたのは真っ白な将校服と外套をまとった若い女性で】
【名はもう分かっているだろう。刀を腰に下げていたが、朱色の髪はロングツインテールなのが何処か不釣合いで】
【まあ、確かに胸の方は――少々残念だ。ただ、天性の明るさのようなものが見て取れる人物だった】

770名無しさん:2014/03/02(日) 04:33:12 ID:2vNd.YNk0
>>769

俺の頭が軽いィ?──ハン、冗談はよせよ。ナンパするだけでもかなり頭は必要なんだよ。
それに加えて真面目にお仕事したり……寧ろそこら辺のやつよりは重いと思うぜ?

……へ?子供?……──いきなり人をロリコン扱いしようってのか?
そりゃあ──相手が俺の魅力がわかる様な子であれば、それを無碍にする事はできねえ。
だけど、 基本的に俺は子供にゃ手ぇ出さねえし、俺だって自警団員だぞ?
んな事あったら大問題だろうが、ちょっと考えりゃ分かるだろバーカ。

【半目。これだけの言動をしておきながら、まるで彼女が見当違いな事を言ったかの様なこの反応】
【いや、 本人の中では見当違いなのかもしれないが……。とにかく、話題に登った少女、】
【ソニアに関して多少はディハートも知っていた様子。その点は、恐らく心配しなくてもいいだろう。多分】

はぁ……あのなぁ……勘違いしてるだろ?
セリーナとベイゼの胸を比べたのは、 「ホルスタイン」発言があったからだ。
んで、そもそも、だ。いいか?

『胸の大きさで女性を見る』──これは三流だ。
『女性を見る時に胸の大きさを考慮に入れる』──これは二流。
では一流はどうか───『どんな大きさの胸でも等しく愛す』、 これだ。わかるか?
その点俺は一流だ。胸というのはその女性ありきで、そこに加わるもの。
まるで俺が胸ばっかり見てるような言い方は止めてほしいね……そりゃ少しは見るけど。

【謎の持論である。周りの野次など聞いちゃいない。訥々と語る顔は至ってマジメ】
【正直、何を言っているのか訳がわからない。酔っているのかと疑いたくなる程で───】
【しかし新たな声が聴こえれば、 クルリとそちらへ身を向けながら立ち上がる】

やあ、キミがアンジェルか。
あ、俺はこの前UTに加入したディハート・グリムジャック。
自警団と掛け持ちって形だな。これからヨロシク!

【無駄に爽やかな口調とスマイル──バストについて語っていたのはどこの誰やら……】

771名無しさん:2014/03/02(日) 04:53:05 ID:ArtzINQc0
>>770

【『コイツに妙なことを言ったのが間違いだった』――ベイゼの悔恨はそんな所だ】
【両目を閉じて、左手を拳にして額に当て、そしてうつむく。僅かに歯を食いしばるのも忘れない】
【見事なまでの後悔――或いは『コイツと話すの面倒くせェな』とか、そういうものだったかもしれないが】

いや……なら、いい。ソニアがテメェ如きに魅力を感じるとは全く……ァ
……人懐っこいからって勘違いするなよ?アイツは誰に対しても優しいからな?
クソッ、俺はこんな阿呆が居る組織と戦ってたのか……サイアクだぜ

【――困ったときは酒。そう言わんばかりに、ベイゼはグラスを一気に仰いだ】
【大体二杯。ブランデーをそれだけ飲めば、流石に頬も赤く染まり】

お前、いま誰相手に何語ってるか分かってるか?……俺、ブランデー奢った?
そんなハズねーんだがなァ……ヘッ、結局お前ら女の胸が好きなだけだろォが
デカけりゃそれもよし小さけりゃそれもよし、都合のいいこと言いやがってよォ……

……アレだろ?どうせ未だにママから乳離れできてねェンだろ?
オマケに、だ……テメェら胸もチョットはっつーが、尻だの足だのも――

『――あら、何の話?どうせまたお酒飲みながらお酒の話でもしてるんじゃない?』

【据わった眼で何処が明けっ広げではないのか分からない程度の返事を――いや、管を巻くベイゼ】
【――だったが、その途中でもう少しフレッシュな声が割り込んだ。無論、アンジェルだ】
【外套を側の椅子にかければ将校服姿があらわになる。帽子も取ったならコスプレの様なものだ】
【それからこれはディハートなら先ず確実に、そしてすぐに分かるだろう。何というわけではないが、世界には格差が有るということを、だ】

『自警団と掛け持ち……大変そうね、でもUTに入ったのなら歓迎するわ、ディハートさん。
 私はアンジェル、もっぱら戦闘とか討伐とか、依頼をこなす方が専門ね。
 事務仕事は全然で。……ところで、今日は泊まっていくのかしら?ほら、奥に部屋とか貰ったんじゃない?』

【『――セリーナから。』と、アンジェルは続けた。幸いにして先ほどの談義は聞こえていなかったに違いない】
【ベイゼが酒乱、というわけでもないのもそれを手助けした。むっつりと黙りこんで睨む瞳は、まだ据わっていたのだが。】

772名無しさん:2014/03/02(日) 05:29:42 ID:INHyQEy.0
>>771

あ……何?もしかしてベイゼちゃんは その子にお熱な感じ?
わーったわーった、心配すんなって、な?

【ベイゼの後悔も何のその、勝手に合点して勝手に話を進めて】
【右の掌を向けながら、鎮めるようなジェスチャー。キレられても仕方ない。ああ仕方ない】

ん?奢ってもらった覚えはないけど?奢ってくれんの?
それなら飲んじゃうけど───って、大きくても小さくても、ってのは……何つーかな……
ブランデーも好きだけどワインも好き、みたいな感じ?かな?

というか、胸が好きだとかどこが好きだとか、 そんな小さい話じゃない。
俺は〝女の子〟っていう存在そのものがだな……

【危うく、また語り始めるところだった。そんな危機的状況を免れ得たのは勿論、アンジェルが来たから】
【確かに、ディハートは世界に溢れる貧富の差を目の当たりにした。しかし、】
【このディハート、更なる絶望を目にした事がある。路地裏で出会った忍者。】
【彼女は、絶望的なまでの絶望を抱えていた───どこに、とは言わないが】

ああ、〝ディハート〟でいいぜ?さん、って何か余所余所しいし。
ま、体力はそこそこある方だし、ある程度は掛け持ちでも何とかなると思う。
───しっかし、俺が黒の軍服でアンジェルは白の将校服。ちょっとした揃いみたいだな!

ん?……そうだな、この時間だとそうなるか……
部屋は、まあ。別に場所さえあればどこでも寝られるんだけどな。

【据わった視線を受けながら話す様子は、ベイゼと話していたのと同一人物とは思えない】
【……いや、チャラさが出ている辺りを見ればそうでもないか】

773名無しさん:2014/03/02(日) 05:45:28 ID:ArtzINQc0
>>772

んなワケねーだろ!……別に、ちょっと心配になっただけだ
純粋なガキが居て、そこにテメェみてーなちゃらんぽらんが居るとな。
……大体、っ―――なんでもねェ。あと、酒も奢らねェ

つーか兼業してるならテメェが奢れよ、このボトル一本……6万?
……お前が開けたことにしとくから、やっぱまあ、一杯飲めよ、オラ…。

【ふと手にボトルを取ってみれば、これは存外に高いもの。まあ道理で美味いわけだ】
【胸の話、或いはもっと別の話か。恐らくベイゼはそれを聞き流して酒の世界に逃避することにしたに違いない】
【マインドにグラスを取らせれば、ちゃんと氷も一欠片入れて、ブランデーを注ぎ】

【そしてそれを彼の方に、またマインドが持っていく。コトリ、と置いて話の相手が変わったのを見れば】
【酔いが回ったか、それとも何か疲れでもしたか、赤髪の彼女はカウンターに突っ伏してしまい】

『ん……そう?じゃあディハート、ってことで…うん。せっかく仲間になったんだしねっ!
 体力があるってその言葉、頼りにしてるわよ?ウチって機関とかからも目の敵にされてるし……?
 ……あら、そうかしら?言われてみればそうだけど……ふふっ、なんだか縁を感じるわね

 まあまあ、時間も遅いんだし今から宿舎なり家にっていうのも面倒じゃない?
 ちゃんとベッドも用意されてるはずだし……私も疲れちゃったから、もう寝ようかな、って。』

【――恐らく、アンジェルは完全にディハートという人間を見誤ったに違いない】
【良くも悪くも明るそうな人、そういうイメージだ。そして裏の顔を知るベイゼは今や小さく寝息を立ててダウン中――】
【中々無い、波乱の出会いとでも言うべきか――ちなみにこのアンジェル、ベイゼに自分の外套を掛けてやる程度の優しさはあったのだった】

/むー…申し訳ないっ!そろそろ眠気がやヴぁいので、チョイと強引なんですが
/この辺りで〆として頂けると…!こう、適当に奥に行って別れた的な感じで…ホントすみませんです

774名無しさん:2014/03/02(日) 13:23:42 ID:h.aD6gUo0
>>773

俺みたいなイイ男にちゃらんぽらんとは失礼な……!
……は?6万……?───ああもう、纏まった金が入ったところだから別にいいけどさ……。

……───うめえな。ずっと喋ってたから余計に、かな。

【金に余裕が無いわけではない。しかもさっきから喋り通し。そこへ注がれてしまえば、】
【もはや飲む他あるまい、グラスを傾けて一口。渇いた喉にいい酒。それはもう格別】
【だが、何故か、酒を飲んだ後の方が落ち着いていた。あれは一体何だったのか……】

伊達に何年も自警団やってない、ってな。一応それなりには体も鍛えてるんだぜ?
───縁。いい響きだねえ……。うん、うん。

それじゃ、俺もこれ飲んだら引っ込むかな、っと。

【アンジェルと言葉を交わしつつ、懐から出したのはトランプ一枚。それからペンを一本】
【暫く何かを書いていたかと思えば、去っていく際にベイゼの腕の下に差し入れて】

……いい夢見ろよ、仔猫──じゃない、仔牛ちゃん。

【起きてからそれを見たなら、書いてあるのは『まずはマネキン買いから始めてみれば?』という文字】
【フフン、と小さく笑えば、軽い足取りで奥へと消えて────】

【裏表、というか色々な顔があるこの男。ベイゼに見せた方の顔がバレるのもそう遠くはないだろう】
【……というか本人がそこまで隠す気はなかったりするのだから遠い筈もないか】

【とにかく、今夜の新たな出会い。それが今後どうなるかは……その内わかるだろうからいいか】



/了解です、お疲れ様でしたー!

775名無しさん:2014/09/20(土) 20:25:38 ID:GnyuTh8Q0
【街中――動物園、そのふれあいコーナー】
【時刻は昼も過ぎて夕方頃、日がなんとなく傾いてきた、まだまだ明るいその頃で――人影が疎らになるだす頃合】
【いろんな動物たちに触れるコーナー、触るだけじゃなくておやつをあげたりも出来て……子供たちに人気の場所だが】
【夕方という時間のせいもあってか子供たちはだいぶ減りつつある中。人影が一つ――(というか、山羊と羊に襲われていた)】

きゃっ……、独り占めは駄目だよ、だめだって――!

【山羊と羊にあげる用に売られている藁、小さめのボウルに詰め込まれたそれを胸に抱えて、わあわあ言っているのは、少女が一人】
【腰ほどまである黒い髪を今日は後ろで一つに結わえて、黒と赤の蛇とよく似たオッドアイの眼は、くるくると楽しげに感情を映し】
【黒布のパーカー、裾をフリルで飾ったものに、ふわっと膨らんだスカートもまた黒いなら、なんだか黒尽くめ、みたいな印象を与えて】
【長い靴下とスニーカー、――いっぴきの山羊に突撃されてふらついて、ただ、その足を踏んでしまわないように揺らめいて】

あげるから――、

【もう、だなんて困惑めいた表情で藁を配布していくのは、どうやら動物が好きらしい、だなんて。思わせるには十分な仕草】
【隅っこの方で親に促されて入ったはいいが山羊怖いと愚図っている子供とかを見る限り、動物耐性はそれなり以上に足りているようで――】

【――ひとが減ってくる時間だからなのか、柵の中の山羊と羊は彼女の方に集っている印象だった。わらわらわら、たくさんの山羊に囲まれて】
【スカートを引っ張られたりして大変そう、だけれど、――その分楽しそうだから、どうやらいいらしい(?)】

【(右耳にだけ付けたピアスは宝玉をあしらったもの。澄んだ水の気配を零して、ただ、動物たちには見逃してもらっているらしかった)】

776名無しさん:2014/09/20(土) 21:44:39 ID:ZCHlt7mo0
【――――世界は、絶えず時の流れと共に移り変わっていき、今を生きる人の数だけ、物語もまた時の流れと共に紡がれていく】
【今を生きる人の数だけ紡がれる、幾百億編の物語――――】



【――――風の国 繁華街】

……人の自棄酒を、差し指で嘲笑とは、いい度胸だね……!
喧嘩を売った、落とし前は……つけてもらうぞ……!

【黒いコートをしっかりと着込み、魔術師である事を如実に表す黒のハットを被った】
【手には、頭部に青い石が嵌めこまれて先端を鋭く尖らされている、細い金属製の杖を握り締めている】
【漆黒のボブカットと、幼さを残しながらも憂いを帯びた様な瞳をした、身長160cm前後の中性的な青年が】
【酒に酔っている事を感じさせる、赤らんだ顔と弾む息を伴いながら、相対する3人の男を睨みつけている】
【下卑た雰囲気を湛える風景を行き来する往来も、この時ばかりは緊張感に張り詰めている】

手を折るか……それともこの身にパンチを入れて、くるか……?
無駄さ……口が利ければ、近寄りもしないで、手前はすぐにでもお前らを潰せる……っ、痛い目を見たくなければ、さっさと散れ……ッ!

【グッとその手の杖をかざし、その瞳に怒りをたぎらせながら、青年は叫び、対峙する男たちは明らかな狼狽を表情に見せながら、口々に悪態をついている】
【周囲を緩く取り囲む野次馬たちは、事の成り行きを固唾を飲んで見守っていた】



【――――所変わって、水の国 路地裏】

……こうでもしなければ、自分たちの愚かしさも理解できない様な連中ばかりと言う事だな……
次にこうなる、第二第三のクズも、会うのはそう遠くないだろう……

【傍目にもまともに手入れをしていない事が分かるぼさぼさの赤髪が、険があるものの端正な顔立ちを小汚く彩り】
【デニム生地のベストと枯れ草色のミリタリーパンツ、安全靴と思しき重厚な靴で全身を固めている】
【まるで何かに苛立ちを感じている様な攻撃的な眼をしている、身長170cm前後の青年が】
【足元に、両手両足をぐしゃぐしゃに折り曲げられ、下あごだけを残して頭部を粉砕されている男の死体を、侮蔑と共に見下ろしている】
【下あごの歯並びが綺麗に覗く事の出来る口中で、微妙に反りかえったままで硬直している舌が、その凄惨さを雄弁に伝える】
【――――そばには『この男 婦女暴行の常習犯につき 私刑に処す』と言う血文字が、暗闇の中に沈んでいた】

……さて、この近辺は、しばらくは様子見だな……見つからなければ、見せしめにはならない事だし、な……
遅くとも、3日も待てば……何らかのリアクションは返ってくるだろう……

【パッパッと、服を軽く叩いて居住まいを正すと、青年は死体に興味もないと言った風で、背を向けて歩きだす】
【血文字を描いた右手の人差指と中指の汚れをポケットへと仕舞うと、もはや完全に状況を無視する心算の様だった】



【――――どの物語も、今と言う時の中に、確かに存在している物である】
【もし変化が訪れるとしたら――――それはどの物語なのだろうか】

777名無しさん:2014/09/20(土) 23:06:09 ID:ouB/sQWQ0
>>776
【路地裏の惨劇、と書けば普段通りの事態に思えるが】
【残された死体の凄惨さは、路地裏の中にあってもさらに異質とすら言えるほどのものであった】
【側の血文字の内容も併せて、それはこの闇の中にあってその住人がするには似つかわしくないもの】

【そこに接近してくる足音。その持ち主は、おそらくは惨劇を起こした張本人の言葉で言うところの】
【「第二第三のクズ」というべき存在であった】


『あーあー、随分とまあえげつねえことするなあ、おい』
「この血文字といい、悪のみを討つ私刑執行人気取りといったところか……?」

【足音は一人分。だが、声は二人分。彼がもし振り向いたのなら、飛び込んでくるのは異形の者ども】
【それは、一人分の身体に二つの頭と四本の腕を持つ男たちであった】

【向かって右側の頭は、病的に青白い肌にほっそりとした顔つき。落ちくぼんだ目に白濁した瞳。長い白髪を後ろで一つに束ねている】
【向かって左側の頭は、浅黒い肌に顎の突き出たがっしりした顔つき。釣り上がった目に爛々と光る黒い瞳。黒い短髪をボサボサに乱している】

【 胴体は、180センチほどの身長に、スーツを着ている。スーツは中心から向かって右側が白、左側が黒に色分けされ】
【ネクタイや革靴も同じように左右で色分けされている。 両側にある胸ポケットには、白地の側が黒い糸で、黒地の側が白い糸で、それぞれ「No.50」と刺繍されている】


『おーい、そこの。これ、お前がやったのかぁ? あんま、路地裏でこういう真似されると、俺らみてえなのが迷惑すんだがなあ?』
「正義の味方面をするにしても、不利にしかならんやり方に見えるがな……」

【四つの瞳が、立ち去ろうとする青年を睨む。その異形の身からは、二人分の悪意が立ち上っていた】

/まだいらっしゃいましたら、よろしければ……

778名無しさん:2014/09/20(土) 23:28:51 ID:ZCHlt7mo0
>>777

…………ッ!?

【こうした状況なら、常人はまず気を張って周囲を警戒しているものだが。この青年はまるで自然体に弛緩していたのだろう】
【逆に、それ故に「こうも早く」状況を踏まえたリアクションが返ってくる事は想定外だったらしく】
【背後からの声にビクッと身体を震わせると、その場で身体ごと後ろを振り返った】

……っ、ぁ……!?

【そうして、その姿にも驚かされる事になったのだろう。青年は思わず息を飲んだ】
【1つの肉体に2つの上半身――――常識的な感覚に照らし合わせれば、異形と表現してしまって構わないだろう姿で】
【しかしそれでも、程なく≪No.50≫の刺繍を見つけ、驚きが薄れていくのに反比例して表情に殺意が持ち上がっていた】

…………問題は無い。お前たちみたいのに、迷惑させる為にやっている事だ
それに、他からどう評価されるかを気にしている訳でもない。ただ、俺が俺の正義の為にやっている事だ……
別に英雄願望や、法の手続きに則り、などと……そんな事はどうでも良い

【先ほどポケットにしまった、血に濡れた手を再び取り出しながら、青年は真っすぐに相対する】
【その表情に表われている殺意は、どこか後ろ暗い物――――これだけを切り取れば、額面通りに『正義の味方』となど、言えないのではないかと思われるものだ】
【むしろそれは、人を傷つける人間に近い色を湛えている。それでも、それは『正義』に根差した行為だと臆面もなく口にする】
【どことなく、歪みを抱えている――――そう表現するのが、一番適当だろう】

それに、不利になんてならないさ……むしろ、大物が掛かったと言うべきだろう?
……お前たちを見せしめに出来れば、クズ共に対するこれ以上ないメッセージとなる……!
――――さあ、自分の犯した罪を食い締めて、この場で死に絶える覚悟は出来たか……!?

【血濡れの手でクイクイと招く仕草をして、青年は異形の男を挑発する】
【だが、左手はスッと後方へと引かれており――――単なる無防備な挑発とは趣を異にする、戦闘態勢に入った事を暗示させていた】

/確実に置きスレ移行するとは思いますが、それでも良ければ……

779名無しさん:2014/09/20(土) 23:51:39 ID:ouB/sQWQ0
>>778
【いくら相手が悪人とはいえ、常人ならばまず不可能であろうこの制裁】
【それほどのことをやってのけた相手が、自分たちが突如声をかけたことと、何よりこの異形の姿に】
【確かな驚きを示したことに、まずはにたりと二人揃って笑って見せた。その醜悪さたるや、処刑された男以上ではあるまいか】


『ほーう、つまりは路地裏のいかれ野郎どもに自分からケンカ売ってるわけだ。いい度胸してんなあ』
「自分の正義のため……か。似たようなことを言うやつに仲間が会ったことがあると言っていたが、その男も余程の狂人だったようだな」
『ハッハハ、俺らに異常者呼ばわりされるなんざ、よっぽどだぜ、おい』
「どうやら貴様は、〝よっぽど〟の範疇に入る人間らしいな……。多くの者は、そうしたしがらみを気にするものだが。どうでもいいと来たか」

【交互に言葉を紡ぎ出す異形ども。血に濡れた手といい、その表情といい】
【自分にとっての悪を討つ、という点を除いてはむしろ自分たちの側のようにすら思える】
【自分たちとはまた違った形の歪みをそこに見出し、異形の双子はますます悪意を滾らせていく】


「大物とは光栄な評価だな。だが、我らとて伊達にナンバーを掲げているわけではないぞ」
『見せしめになんのは、てめぇの方だぜ……』
「同じセリフを返してやろう」
『調子乗って裏の連中にケンカ吹っかけた報いを受ける確保が出来てんだろうな!?』

【青年の挑発に、異形どもは応えた】
【本来の腕の位置から伸びる白く細い腕と、脇の下辺りから伸びる浅黒く太い腕とが】
【四本揃って蠢き始め、掌が青年に向けられた。戦闘態勢をとって見せる彼に対し、こちらも油断は見られない】


【向けられた掌から、あふれ出す何か。白い手から出ているのは泥。黒い手から出ているのは砂】
【異形どもの能力なのだろう。次の瞬間、青年に向けて泥と砂が飛んだ】


【泥の球が二つ。砂の刃が二つ。泥は動きが遅いが、見るからに重量がある。当たれば鈍器の殴打に匹敵する衝撃を受けるだろう】
【砂の刃は見るからに軽く当たっても肌が浅く切れる程度だろうが、飛翔の速度が速い。すぐに見切るのは難しいだろう】


/了解です、置きレス移行で大丈夫です

780名無しさん:2014/09/20(土) 23:55:15 ID:ouB/sQWQ0
>>779
/誤字訂正です

/ケンカ吹っかけた報いを受ける確保が→ケンカ吹っかけた報いを受ける覚悟が

781名無しさん:2014/09/21(日) 00:19:20 ID:ZCHlt7mo0
>>779

……ふん、本物に『本物』と言われたか……だが、そんな事はどうでも良い……!
……その為だけに、俺は生きている……っ、その為だけに、俺は生きようと思えるんだからな……!

【自分自身、人から見て異常だと言う事は、既に自覚済みだ。そしてその事で、もう躊躇ったり思い悩む事もない】
【ただ自分の正義を成す。それだけがこの青年に根拠を与えているのだろう】
【それは、正にあらゆる意味での『根拠』なのだろうが――――その言葉の意味を、ここで逐一検証する余裕は、もはやないだろう】
【ただ一つ。そこにあるのは、常人からは良くも悪くもかけ離れた、強靭な意志だけだ】

――――元より、俺が死ぬのはその時と決めているんだ……!
引き裂いて見せろ、俺の肢体を!!

【戦いの中での死は、既に覚悟されている事だ。だからこそ、自分は命のやり取りの場に立っている】
【そうした覚悟を、またも端的な、短い言葉で言い切る青年】
【戦いの場にあって、彼は既に、自分自身には多くのケリをつけてきたのだろう。それは――――いつ死ぬ事になっても構わないと言う、決意の表れだ】

……っ
(見た目通り、尋常ならざる力を持っているか……ましてや、機関の人間なら当たり前とも言うべきか……!
 だが……それで俺は、倒せん……!)

【どこからともなく顕現させる砂と泥。それを認めて青年もすぐにそれが異能の産物であると認識する】
【もっとも、その事はまだ想定内だった。その外見からか、あるいは機関の人間であると言う事からか】
【問題は、それをどう活用して戦闘を仕掛けてくるのか。そして、それを確認する為だけに『見』に回るのも、上策とは言い難い】

――――――――っ、来い……『エターナルトライアングル』!!

【そして、それが弾丸と刃を形成する事に気付いた青年は、後ろに下げていた左手を前方へとかざし、何事かを叫ぶ】
【次の瞬間、微かな閃光と共に、音も無く虚空から何かが飛び出した】

【妖しく光る紅いラインで複雑な文様が描かれた、ハンドボールほどの大きさの、金属製と思われる3つの黒い球体】

【青年の側を付随する様に中空を浮遊するそれも、また青年の異能の技なのだろう】

くッ、全部か……!!

【飛来してくる攻撃の中身を、青年はおおよそ見切る。そして、現状で出来る最適解を選択・実行に移した】
【顔と首筋を両腕でガードし、砂の刃を甘んじて喰らい――――泥の弾丸を2つの金属球で迎撃、叩きのめす】
【どうやら、この金属球は青年の思念による操作が効く様で、狙い違わず泥を打ち砕いて見せる】
【一方で、残った1発を様子見とばかりに、真っ向から異形の男向けて撃ち出した】

【駆け抜けた砂の刃が、ピシュッと軽い音を立てて、青年の右肩と左の脇腹を斬りつけて通り過ぎていった】

782名無しさん:2014/09/21(日) 00:50:48 ID:ouB/sQWQ0
>>781
「そのためだけに、か……。なかなか興味深いことを言う。何がお前をそこまで駆り立てるのだ……?」
『こーいう手合いは一番厄介だぜ……脳か心臓潰さねえと何度でも立ち塞がってくる類の輩だ』

【己の異常性すら飲み込み、ただ一つの己の正義のみを胸に抱いて】
【そのためならば、命すら惜しくないとまでいうほどの決意。悪漢どもにとって、これほどの脅威はそうそうないだろう】


『言うじゃねえかよ!! お望み通り、そこの男よりもっと細かく千切って、表通りにバラ撒いてやるぜ!!』
「そこまで覚悟が決まっているなら問題あるまい。この場でお前の意志に殉じて死ぬがいい」

【誰のものでもない、自分自身の意志でもって戦場に身を躍らせ、命を賭して進み続ける青年】
【対する異形の四つの瞳、澱んだ声音にもまた、青年とは違う形での意志が宿っている】
【骨の髄まで闇に浸かり、泥を啜り砂を噛んで生きてきた異形どもにとって、命奪い合うことはすでに日常だ】


【戦いの火蓋が切って落とされ、異形どもが最初に目にしたのは路地裏を淡く照らす光と、現れた三つの球体】
【自分たちとはまた異なる異能の発現。その形状からは、すぐにはその力を測り切れず、まずは先手の攻撃の行方を見守る】

「(的確な防御で耐えきれる攻撃を受け、本命の攻撃には正確な対処……なるほど、言うだけのことはある)」
『ハッ、便利な玩具だなぁ!? てめぇを殺した後は、戦利品にそいつをいただいていくぞ!!』

【冷徹に観察する兄と、獰猛に吠える弟。それに構わず、青年の攻撃は容赦なく襲い掛かる】
【異形どもの攻撃に見事対処した青年の反撃は、金属球による遠隔攻撃】


【異形が動く。白い手から噴き出した泥が固まり、手から伸びるこん棒のような形状となる】
【それをもって金属球を叩こうとする。これによって球の軌道を反らす算段】

【この行動の成否に関わらず、金属球は異形どもの胴体を貫くだろう】
【成功すれば、右の脇腹を掠める。失敗すれば、脇腹の肉が多少抉れるか】
【胴体に受けたダメージに、二つの頭が揃って顔を歪めたことが、ここへの攻撃が双方に通るものだと、青年に知らせることになるだろう】


【ダメージを引きずっていては、戦場には立てない。異形は痛みを押しのけて、行動に出る】
【無言で足を踏み出して駆けだす。青年への接近を試みたのだ。四本の腕と二本の足、それぞれの先端から砂と泥がまたも溢れてその部位を包み始める】
【このまま接近して、泥や砂でコーティングされた四肢、いや六肢を用いた接近戦に持ち込むつもりらしい】

【一見すれば的だが、青年はこれをどう見るだろうか】

783名無しさん:2014/09/21(日) 01:16:25 ID:ZCHlt7mo0
>>782

……何が……?
――――生まれの故だ。俺は親の罪を背負って生まれてきた。だからこそこれ以上、俺の罪を増やしたくもないし、この身を汚す罪を、滅ぼしてやる……!

【己の命そのもの。いうなればその命に宿ったもの。――――即ち、青年の正義は、文字通りの『宿命』】
【その為に生きて、その為に死ぬ。少なくとも、青年自身にとってのそれは、そう言うものなのだろう】
【ならば、己の正義が己の命と同一と見る、この青年の偏執的なまでの正義も、多少は理解されるのだろうか】

その言葉、そっくりそのまま返してやるッ!!

【互いに、これが死線の上での戦いである事は、了解されているのだろう】
【ならば、最早迷う事は無い。敗北=死の、厳然たる事実を踏まえて、戦い、勝ち――――相手を殺す】
【ただその為だけに、青年は吼える。あるいは自らを鼓舞するウォークライとして。あるいは敵を威圧するウォークライとして】

……チッ

【右肩を流れる血を、左手の指先でツイッと拭いながら、青年は舌打ちをかます】
【然程深い傷ではない様で、痛みさえ無視してしまえば、動きにも支障は無さそうな軽微な傷だが】
【それでも、積み重ねと言うのは時に恐ろしい結果を齎す事もある。軽視はしても、決して無視する事は出来ないだろう】

……く!
(やっぱり、応用性は高いのか……!)

【撃ち出した攻撃に対する迎撃のために、泥で棍棒を形成する姿を、青年は視認する】
【半ば様子見の攻撃であったため、それがダメージに繋がらないのは良いとしても、こうした運用の仕方が出来る能力と言うのは、相手に回すと厄介である】
【相手の泥の棍棒に、軌道が逸らされる事も含めて、青年は苦い声を漏らした】
【もっとも、様子見としては、新たな情報を引き出した時点で善しとも言えるのだが――――】

……っ、突っ込んでくるか……!
(……リリース1、リターン1、ショット1で……リターンの時間を稼ぐのがベターか!)

【青年の戦闘能力は、恐らくはそれが全てでは無いのだろうが、この3つの球体が大きなウェイトを占めている】
【しかし、その制御にはやはり精神的に集中を要するらしく、外れた1発をやや苦々しい表情で見つめている】
【謂わば、この3発の球体は手駒である。これを如何に効果的に運用するか。それに掛かっていると言っても良いだろう】
【故に青年は、体勢を立て直す事を選択し――――既にそう言う事は慣れているのだろう。戦場で必須となる、瞬時の判断と決断を済ませ、行動に移る】

っ、来い!!

【右手を大きく突き出し、再び招く様な動作を見せる青年。だがそれは、先ほどの様な挑発の動作ではなかった】
【標的を外し、遠ざかってしまった球体に対する、制御のための動作。それによって再び自分の手元に呼び戻そうとしているのだ】
【同時に、手元にある2発の内、1発は再び自分の側に付随する様な軌道で『泳がせ』】
【残る1発は――――紅い文様が発光し、そこから1発の光弾を男へと向けて発射した】
【球体から、更に射撃ができる――――ある種の不意打ちとしての効果を期待したのだが、これ単体の威力はそこまででも無かった】
【ただ、接近をしてくる相手に、上手い具合にカウンターとして機能してくれれば、それでなくても時間稼ぎになると踏んだのだ】

【どうやら青年の、球体を操る戦い方は、一度に多くの操作をしようとすると、より集中を要するものらしい】

/すみません、ここで置きスレ移行、よろしいですか? 明日以降、時間が取りづらくなるので……

784名無しさん:2014/09/21(日) 01:20:49 ID:ouB/sQWQ0
>>783
/了解しました、それでは次レスから置きスレに投下させていただきます
/いったん、お疲れ様でした

785名無しさん:2018/03/04(日) 00:15:46 ID:BRNVt/Aw0
本スレ

>>454

【すごすごと立ち去っていく男。いつの間にか立ち上がって小袖についた砂埃などをほろっていた少女は男の背にべーっと舌を出し、そうして女の方を向く】

あっ、助けていただいてありがとうございます!貴女が来てくれなかったらどうなってた事か……

【深々と一礼。その最中、女の呟きの中で「獣人」という言葉が耳に入ったらしく少しばかりきょとんとした表情で「じゅう、じん……?」と言葉を反芻するが不意に何かに気付いたような表情へと変わり月白色の耳をバッと両手で覆い隠す】

あ、あの……もしかして見ました?や、もしかしなくても見ちゃいましたよね!?
うわどうしようどうしよう!お母さんから何があっても隠すようにって言われてたのに!
【おずおずと伺うように女に尋ねる少女。状況からいって恐らく自分に生えている猫の耳を見たか、と尋ねているらしく】

【まあこの状況だし見ていない方がおかしいだろうと自己完結すると目をぐるぐるとさせてちょっとしたパニック状態に陥ってしまう】

【余程母親とやらからキツく言い聞かせられていたのだろう。面白いくらいにおろおろしだし、女の何処か冷たく鋭い瞳に一抹の不安を感じたのもあったのだろう、何とかして黙らせようか、いや流石に恩人にそれはないだろうなどとうーうー声をあげながら呟いて】

【──いる最中に投げ込まれたジャケット。両耳を押さえていた少女は頭からそれが被さる事になり】

【え、だの、あぅ、だの言葉にならない声をあげて】

【何だかんだでやはり寒かったのだろう。ジャケットを羽織ろうとして手を止め、やっぱり頭を覆おうか、いやそれともやっぱり羽織ろうかなどと数十秒程思案し、やはり羽織る事に決めたらしくもそもそとジャケットを肩にかける】

【因みに彼女がこんな小袖姿な理由は別にいかがわしい事があったからではなく脱出の際に一度捕まりかけ、着物を脱いでその手を逃れたからなのだがまあ知る由はないだろう】

【そしてジャケットを羽織ると少女はまた両耳を隠しながら何処か遠慮がちに尋ねる】

え、と……さっき獣人って言ってましたけど……もしかして私みたいに獣の耳とかが生えてるのってたまにいたりするんですか……?

786 ◆ROhV0jlpGg:2018/03/04(日) 00:46:38 ID:qpY1SMsA0
>>785

礼なら結構、こちらが勝手にしたことなのでな。
感謝するのなら、このタイミングで私にここを通らせた、〝神様〟とやらにでもすればいい。

【深々と頭を下げる少女に返すのは、素っ気ない態度。『神様』などと言ってみせたが、そんなものを信じる人間ではなさそうで】
【それから、彼女がジャケットを羽織るまでの一連を黙って見ていたかと思えば。】
【小さく吐息した後に、言葉を吐いた】

少数ではあるが、それほど希少なものでもないだろう。
確か……泥の街、だったか。あの辺りには迫害を逃れた獣人のコミュニティがある、という話も聞く。

―――少なくとも、私からすれば、肌の色の違いと同じ程度のものだと思うがね。

【少しばかり肩をすくめながら、特に興味無さげに回答する。】
【そういえば、何年か前の武道大会でも見かけたような―――などと付け加えて】
【それから、少女に向けて告げた】

―――行くぞ。
いつまでもここを彷徨いているつもりか?

787名無しさん:2018/03/04(日) 01:08:57 ID:BRNVt/Aw0
>>786


【獣人が少数ではあるがそれ程希少でもないと聞き少女は何処か安堵した表情を浮かべ耳から手を離す】

【少しではあるがそのような人間も存在しているという事はあまり耳を隠す必要性もないと判断したのだろう】

【そして『泥の町』や『武道大会』などという言葉を耳にすると興味を惹かれたのかその単語を呟く】

『泥の町』に『武道大会』、か……こっちの国だとそんなものがあるんだなぁ……
【彼女からすれば知らない事だったのだろう、少し声を弾ませて】

【行くぞ、と相手から告げられればまたハッとしたような表情へと変わり】

あ、そういえばそうだ……とりあえずこの場から離れなきゃ……
でもって……ケーサツ?に行かなきゃいけないんですよね?さっきの録画してるんだから
【足を踏み出しながら女の方を見る。先程の「録画している」というハッタリを此方も信じているようだ】

788 ◆ROhV0jlpGg:2018/03/04(日) 01:26:15 ID:qpY1SMsA0
>>787

【女は、少女の先を行くように表通りへ向けて歩く。先ほどの騒ぎの後だ、周囲からは好奇の目で見られるかもしれないが】
【女の方は特に気にするでもなく。もし少女が立ち止まるようなら、『早く行くぞ』と声をかけるだろう】

ああ、そういえば撮影していたと言ったな。――――――あれは嘘だ。
あの暗さで、距離も離れていた。あの条件でハッキリと撮影できるほど、コイツは高性能ではなくてな。

【―――悪びれる様子もない。あの時と同様に、指先がトントン、とフレームを叩く】
【明滅するランプ。その口ぶりからすれば、撮影機材が取り付けられている、ということ自体は事実のようだったが。】

しかし、随分と世俗に疎いように見える。
出身はどこだ?それと―――どこか行く宛はあるのか?

【そうして訊ねるのは、彼女の〝これまで〟のことと、〝これから〟のこと】

789名無しさん:2018/03/04(日) 02:09:20 ID:BRNVt/Aw0
>>788


【女の後をついて歩く少女。通りを行く人々は女と少女をちらちらと好奇の目で見てくるがすぐに視線を戻し行くべき場所へと向かっていく】

【少女はというと周囲の目ではなく表通りの様子の方が気になるようで目を輝かせながら辺りを見回し、時折立ち止まってしまっては女にせっつかれ慌てて後を着いていく】

【歩きながら進んでいく会話。先程の撮影が嘘だと言われれば少女は、なーんだ、と少し可笑しそうに呟く】

嘘だったんですね……でも騙されたって知らないんだろうなぁ彼奴!ちょっとスッキリしたかも!
【少女の脳裏に浮かんだのは先程の売人の慌てふためく様子。思い出したその様子が真相も含めてさぞ滑稽に思えたのだろう。ふふっと笑って数歩だけ足取りを弾ませる】

【だが話題が自分の出身地とこれからの事に切り替わると表情は少し暗いものに変化して】

……出身は櫻です。櫻の国の北の方の山の中!
見ての通り……って言えば良いのかな?たる……あー……うー……化け猫!化け猫と人間の合の子なんですよ!
帰る所は……今の所思い付きませんね。家族がいなくなった山に帰るっていうのも何かあれだし……
あ、でもお母さんも"一緒に来た"んだっけ……でもなぁ……
【それでも明るい表情と声色を作って話すのは自分の生まれた場所の事。どうやら妖怪と人間のハーフのようだが種族の名前が伝わらないと気付いたのだろう。途中で何とか言い換えて、胸を張ってみたりして】

【そしてなおも明るく告げるのは嘗ての住み処にはもう家族がいない、という事。更には小さく不穏な事も呟かれる】

【さて、先程の男がぼそりと呟いた言葉の中には猟師という単語が混じっていた。もしかするとそれらから彼女が置かれてしまった状況というものが何となくだが分かるかもしれない】

790 ◆ROhV0jlpGg:2018/03/04(日) 02:34:20 ID:qpY1SMsA0
>>789

【そんなに珍しいか―――などと漏れる呟き。自分からすれば見慣れた風景であり、世間からしてもありふれた景色】
【それでも、山の中に住んでいたというのならば、少女にはきっと珍しいもので】

【―――目の前の信号が赤に変わる。トラックが走り始め、女は足を止めて】

なるほど。とすれば――獣人、というよりも、半妖、と表すのが正確か。
櫻の国ならでは、といったところだな。
―――帰る場所がない、というわけか。こちらに知り合いは……いそうでは、ないな。
さて……どうしたものか。

【行く宛がない、というのならば、女は暫し、思案する様子を見せる】
【知り合いがいるのならば、連絡を取ることもできるだろうが。少なくとも、雨風を凌ぐ必要はある】
【彼女にこれからどうさせるべきかを考えて―――】

【―――信号が変わる。少女の呟きが耳に届く。】


――――――――――――〝お母さん〟、か。


【周囲の人々が歩き始める中、女は立ち止まったまま。何もない一点をただ見つめていた】

791名無しさん:2018/03/04(日) 03:16:20 ID:BRNVt/Aw0
>>790


【少女の目に映るのは今まで知らなかった世界。行灯や提灯、或いは囲炉裏の灯といったぼんやりとした光ではなく街灯やネオンの刺激的な、目に刺さりそうな光。それでも少女には物珍しくキラキラとした物に思えて】

【人間の生活が珍しいのかと言われればそうではなかった。親は妖といえども人に化けられる類のものだったから時折人里に降りて人間と交流したりもしていた】

【とはいえ、櫻の国のそれも山里しか知らないからネオンサインも信号も見た事すらなくて】

【赤信号を渡りそうになって慌てて止まってしまったりもして】

半妖……まあそうなるんでしょうね
今までは化け猫の子って事すら隠して人に接してきましたからそんな呼ばれ方はされた事なかったんですけど
【そう答えながら少女は女の方をのぞき見る。不意に言葉が止まったのが少し気になったようだ】

【だが、女がぽつりと呟いたのを聞き別段気にしなくても良かったのかと思ったのかその言葉に答える】

ええ、とは言っても私はあの通りドレイ?を売る所へ連れてかれちゃったしお母さんが何処に行ったか分からないんですよねー

でも化け猫の死体って売れるもんなのかなぁ……
【はあ、とため息を吐きながら少女が口にしたのはまさかの一言。珍獣などとしてではない、既に死んでいるのだ。まあ猟師が絡んでいるらしいという事からも予想出来た事ではあるのだろうが】

【少女は「毛皮……否、ハクセー……だったっけ?それか?」などと独り言ちながら歩き出そうとし】

……どうかしました?
【立ち止まった女に尋ねる】

792 ◆ROhV0jlpGg:2018/03/04(日) 03:52:16 ID:qpY1SMsA0
>>791

【ハッとしたように。女の様子を表すならば、まさにそんな表現が相応しいだろう】
【小さく頭を振って、溜息。青く灯った信号を見て、再び歩みを進める】

―――私も、母を亡くしていてな。少し、思い出してしまった。
……とは言っても、私の場合は病死、だったが。

【僅かにズレた眼鏡を、指で押し上げる。機械然とした態度の女ではあったが、少しばかり、人間らしい感情が見えて】
【悲哀とも、郷愁とも、憤怒ともつかない、複雑に入り混じった表情が浮かんでいた】

妖怪の死体であれば、呪術師のような輩ならば欲しがるかもしれない。
状態にもよるだろうが――それこそ剥製のように、観賞用として取引される可能性もあるだろう。

しかし…………母親が殺されたというのに、随分と落ち着いているのだな。
大抵の人間はもっと、怒りか、悲しみか、そういった感情を見せるものだろう。

【道路の端に辿り着けば、背後で信号が赤に変わる。『毛皮』や『剥製』と言った言葉を、少女が平然と口にしたこと】
【それに対し、問いを投げて。それから、「母親を探すのか」と。】

793名無しさん:2018/03/04(日) 13:56:07 ID:BRNVt/Aw0
>>792



【ふと我に返ったように思考から戻り歩き出す女を見て少女も小首を傾げ歩き始める】

【そして女も嘗て母を亡くしているのだと聞くと少し俯き、そうだったんですか……と呟く】

……ごめんなさい、辛い事思い出させちゃって……
【ぽつ、と。そう謝ってからは女の妖怪の死体の行き先に関する見解をじっと聞いていたのだが】

【何故母が殺されたというのにそこまで平然と出来るのか、と尋ねられれば耳と尾を少し揺らし】

【その問いにやっと答えたのは信号を渡り終えてから。不意につと立ち止まって、少し俯きながら】

……別に、悲しくないとかそういった訳じゃないんですよ?

『何で私達が住んでる所だったんだろう』とか『化け猫でもこんな簡単に人間に殺されちゃうんだな』とか『私達この人達に何も悪い事した訳じゃないのにな』とかごちゃごちゃした気持ちがたくさん湧いてきたし、ただ単純に悲しいとかもっと一緒にいたかったのにとかたくさん思って……
【つとめて明るい声で少女が語るのは理不尽や虚無や悲しみ。口にはしないがきっと母を殺した猟師への怒りや憎しみだってあったのだろう】

……でも、櫻からこっちに連れてこられる船の中でいっぱい泣いて、お母さんから離される時もあの建物に連れてこられた時も泣いて、泣いて……その内、思ったんです

──こんなの絶対悔しい、って

【すとん、と少女の声のトーンが落ちる】

……だって、そうじゃない
勝手に不幸にされて、それで一生ずっと泣き暮らすなんて。でもってきっとお母さんを殺して私を異国に連れてきた彼奴らは私達が売れたお金の分け前を少しでも貰って笑う結果になって

だったら笑ってやれって
この苦境から逃げ延びてそうして笑って生きてやれって

だから私はもうお母さんの事で悲しんだりしない
お母さんの事は忘れたりなんかしないけど……前を向いて生きるって、そう決めたから
【女に話すというよりは自分に言い聞かせているのだろう。遠い所をしっかりと見つめて語る】

……って、何か偉そうでしたよね?すみません!
えーと……お母さんを探すのか、でしたよね?
勿論、捜したいと思ってます。たとえ元の形じゃなかったとしてももう一度でいいから会いたい
……それからの事は考えてはないんですけど
【そして慌てて笑ってみせると母親をどうしたいのかを話す】

794名無しさん:2018/03/04(日) 14:06:31 ID:BRNVt/Aw0
/重ねてすみません!用事が入って夜まで帰れなくなってしまったので以降は置きレスの方に移動してもよろしいでしょうか?

795 ◆ROhV0jlpGg:2018/03/04(日) 14:19:21 ID:qpY1SMsA0
>>794
/了解ですー、続きは置きの方にお返ししときますねー

796 ◆zO7JlnSovk:2018/09/04(火) 09:42:02 ID:rMJIo4mo0
本スレ>>519

【彼女は揺らぎのない瞳で貴方を見つめた、正確には、水仙の如く細やかな首筋を持ち上げて】
【戯れに傅く作法に似て、逞しい腕の中で抱かれる乙女の様に、涼しげな目元をとろんと細める】
【潤いに満ちた瞳の水面、並々と注がれた虹彩がその表層一杯に貴方を写し取ってみせた】


それは人間の責任ではなく、世界の責任だと思いますわ、更に言えば社会の責任になりましょう
そして突き詰めて言えば、その社会を指導する立場である、私達政治家が大きく関わる事です
だからこそ私達は責任を取らなければなりませんわ、民を正しく導くためにも

ふふ、札付きの悪党にしては理路整然に話される御仁ですこと、私は不思議な気持ちになりますの

貴方様とお話していると、──── うら若き少女に戻ってしまったかの様な、気持ちに
昔話の狼さんは、存外、言われているほど悪い御仁じゃ、ありませんのよ


【表情が綻んだ、あどけない微笑みが浮かぶ様は、天真爛漫に咲き誇る蒲公英の心地に近くて】
【瞼を伏せたなら神秘的な紫苑色の双眸が隠されて、長い睫毛が少女の如き可憐さを強める】
【何処か童話めいた言い回し、存外にロマンチストなのかもしれなくて】

【──── やがて彼女は、ヒールの踵で地面を叩く、一歩離れて息を吐いた】
【両手を胸元で軽く組んで、片頬に手を当てる、緩やかな動作は白波に揺れる木の葉を想起させて】
【辿る数多の記憶の中に、探し求める情報は山ほどあった】


修羅の道を進む思いをどうして止められましょうか、私個人の意思など関係なく貴方様は進むのでしょう
いいえ、──── 違いますわ、殿方は皆、身勝手な旅人の思いを胸に秘めてらして
女はいつも待っているのです、部屋を暖かくして、来る日も来る日も────

──── そうして何時か、帰らないと知っても、待ってしまうものですわ

さぁどうでしょうか、女性の前で別の女性の名を出すのは些か失礼ですよ
特に貴方様の様に聡明な御仁にしては、配慮の欠ける──── 或いはそれとも
何か別の確信を持って言ったのかしら、次は其方が気になりますわ

私は "違います" ──── 私は "イスラフィール" どうぞよろしくお願いしますわ

797 ◆rZ1XhuyZ7I:2018/09/08(土) 18:50:49 ID:smh2z7gk0
【水の国・海上要塞】

【首都からかなり離れた地方に存在する水の国軍の海上拠点。半世紀以上前に建てられた城砦をそのまま改修したものだ】
【元は古城という事もあってか、周囲に広がる海との景観のマッチも良く。マニア向けの観光地にもなっている場所だ】
【要塞へのアクセス方法は陸から繋がる大きな橋かもしくは船で乗り付けるしか方法はない、そんな要塞から黒煙が上がっている】
【その数は1つ、2つ、片手で数えきれないほどの数だ明らかに何か異常が起きている。】

【ドゴンッ!という音と共にまた一つ黒煙があがる―――中からは激しい銃声と怒号、そして機械の駆動音も聞こえてくる。】
【先述した通り、一種の観光スポットにもなっている場所だ。もしかすれば運悪くここを訪れている者がいる可能性も大いにあるだろう。】

798カニバディール ◆ZJHYHqfRdU:2018/09/11(火) 04:42:30 ID:IBKicRNQ0
>>796
【かつて会員制の異常者たちのクラブで働いていた頃、経験がなかったわけではない】
【だが、あの場所で見て来た狂った女たちのそれとは比べるのもおこがましかった】
【首を僅かに傾げるように見上げられ、その瞳一杯に己の醜悪を浮かべられると、そこに閉じ込められたような気分にすらなる】

この世界に生きる全員の責任であり、指導者たるお前たちはその前線に立たねばならない、と
政治家というのも因果な商売だな。これだけ膨大な数の人間全員分の責任を、真っ先に取らねばならないとは

……昔の習いだ。当時の、悪党の先達たちにいろいろと教え込まれたのでね

私と言葉を交わした相手から、そんな感想を聞いたのは初めてだな
実際、狼というものは別種の赤子を救い育てることすらもある、慈悲深い面があると聞いた
昔話のそれは、人間の作り出したイメージの一面に過ぎないということだろう。私がそれに当てはまるかは別だろうが

【流石の異形も、彼女を相手に年齢を聞くような不作法はしないが、それでも思わずにはいられなかった】
【淑女のようにも少女のようにも見える。老獪にも幼くも見える。遠い神秘にもすぐそばの純朴にも見える】
【ロマンチストな一面とて、その中の一角に過ぎないのだろう。触れれば触れるほどわからなくなる。彼女の底の深さが】


【かつん、と響いた硬質の音が異形を我に返らせた】
【血塗られた異形の歴史を覗き込んだにしては、それを思わせない立ち居振る舞い】
【いや、彼女の前ではたかが悪党一匹の歩みなど、木の葉をわずかに揺らす波紋程度にしかならないか】

――――……。誰かと愛を交わすことには全く縁はないが、男としては耳が痛いとは言っておこう
身勝手というなら、私はその旅人の中でも突出した身勝手だ
まあ、私ならそういう相手は待たせすらせずに、引きずってでも付き合わせるかもしれないが

……これは失礼した。だが、あまりに似ていたものでね。その女の使った能力と、お前のそれが
そう思ってみてみれば、似ているような気がしたが……ふ、ふ。我ながら何を言っているのやらな
かつての敵の面影を、このような場面で思い出すなど似合いもしない

そういえば、名前も聞いていなかったな。お前と話していると、どうにも調子が狂う
ああよろしく、イスラフィール。少なくとも、同じ敵を持っている間はな

それで……私の記憶は、少しはお役に立ちそうかね?

799 ◆zO7JlnSovk:2018/09/11(火) 20:26:39 ID:hvE.Nv4Q0
【水の国、オフィス街────】

【つい一ヶ月ほど前の事であった、嵯峨野 鳴海による夕月誘拐に端を発した一連のインシデント:電波通信】
【その帰結が<harmony/group>の壊滅であり、能力者達による本社ビル襲撃という結果でもあった】

【 『外務八課』 による裏工作は見事で、一連の事件は製薬会社の実験中の事故という形で処理され】
【今も尚本社ビルは手つかずのまま残されていた、 "触らぬ神に祟りなし" とは誰の言葉であったのか】
【兎角、<harmony/group>の本社ビルは事件後大きく捜査の手は入らず、残されている状態となっている】

【幾つか要因はあろうが、その大きな理由は──── 時期尚早という判断であったのだろう】
【 "虚神" がトップとして実質支配していた企業、そのテクノロジーは人類にとって早すぎるという可能性を孕み】
【それ故に繊細な取り扱いを必要としていた、現場管理を担っている『外務八課』にとってもそれは同等である】

【逆説的に言えば、素人であったならば直ぐさま強行調査に乗り込んだとも言える】
【のらりくらりと世論を躱しながら、淡々と最善手を打つ様相は熟練の将棋指しを思わせよう、故に】
【大局はそれで良かった、厳正に管理しつつ、機を伺っている状態だったのだから】


【──── しかし】


【つい先日、全国放送で流れた "悲劇" ──── 生放送中のキャストがいきなり、凄惨な方法で自殺した】
【手に持ったナイフを自分の額に突き刺すという方法、今際の際まで語り続けた意味不明な散文詩】
【それは多くの人々にとっては、意味を為さない雑音であり、一部の人々にとっては、呪詛よりも歪な禍言であった】

【そして、言葉に導かれるかの如く──── ここ数日、世界中で自殺者が飛躍的に増加していた】

【その多くは "サーペント・カルト" の信者達であった、身体の一部に刻まれた蛇の刺青が、その所属を如実に伝え】
【果たしてその死に意味を見つけるかの如く、彼らは皆一葉に凄惨な死に方を選んでいた】
【加えて、影に隠れる様にではあったが、一般人の自殺数も徐々に増加しつつあった、──── それは本当に、違和感に似ていた】

【けれども、それは十分な符号でもあった、『外務八課』の頭脳が<harmony/group>本社への査察を決定するには十分な程に】
【加えて、『サクリレイジ』もまた、協力者たる "彼" に答えるべく、再び "モダンタイムス" を通じて、能力者達へと伝言を飛ばす】


【 "──── 世界を救う手がかりを探す ────" 】


【斯くして、本社ビルの前に各々の能力者が集められた、『外務八課』の要請を受けた者と、『サクリレイジ』の要請を受けた者と】
【前者は十分に事態を理解しているだろう、その場に集められた一騎当千の手腕に滞りは無く】
【然るべき意思と、然るべき遺志を持ったまま、隔てた世界の破片を集めるのだから】

【後者はネットワークを通じて、今回の依頼を受け取った筈だ、日時と詳細とを伝えたメッセージが送られ】
【今日この日、この時間にこの場所へ来るようにと、そのメッセージは伝えていた、そして────】


  " 取り敢えずは頭数だけは揃いましたですか、『サクリレイジ』所属のリーイェンでごぜーます "
  " 任務中の簡単な指示と、後はバックアップとは私に任せて欲しいです"


【集められた能力者の所持するデバイスに出現する、銀髪の少女アバター、人工知能 "リーイェン" 】
【無表情でぶっきらぼうな口調のまま、その場にいる全員へと簡単なメッセージを伝えた】

【ブリーフィングが済めばいつでも突入は可能だろう、立ちつくす時間すらも時には淡い】


/突発イベントの開始になります! 参加者の皆様は此方にレスを下さいませ!

800 ◆S6ROLCWdjI:2018/09/11(火) 20:48:48 ID:WMHqDivw0
>>799

【足音が二人分。ひとつは軽い、ヒールが立てる硬質な音。もうひとつは重くて、柔らかいゴムの底が立てる音】
【そうして現れた一組の男女――いやに身長差がある彼らは。スマホをてちてち叩きながら、まっすぐ歩いてくるんだった】
【進む足取りに迷いなんてないと言わんばかり、一直線。並んで歩くけれど、歩幅はきっちり合っていて】

「――――――――――ここが あのおとこの ハウスね! ……っていうノリで来たら怒られるヤツかなあ。
 まあ本当に僕はどーでもいいんだけど、ロールシャッハさえ殺せるなら。殺すのはあいつだけでいい。
 他の虚神は専門家に任せるからねえ、……だからそのときまで、だけ、みんなとオトモダチ。
 そーいうことにしとこう、ねっ! がんばろうね、オム太郎!」

『へけっ。』

【一ミリも笑わない笑顔をきれいに揃えたふたりは、この場に居る誰かには、見覚えのある顔かもしれなかった】
【ひとりめ。低身痩躯。黒髪、不健康そうな肌色。白衣を着て職業をアピールする――暗赤色の瞳をたたえた女と、】
【もうひとり。それなりの長身、褐色肌に明るい銀髪が映えている、どこにでもいそうな若者ルック――黄色い瞳の男】
【女のほうは「裏」で。男のほうはわりとどっちでも、それなりに顔の割れているやつらだったから】
【あるいは今まで接触したことなくっても、知っていてもおかしくはないんだった。……そんなことも、どうでも、いいんだけど】

「や、お招きいただきありがとう、ミス・エッシャー。来ちゃった! “冒涜者”とそのオトモだよ。
 というわけでさっさと中に入れて頂戴ね、…………こんなところに、あの子の痕跡がまだ残ってたりしたら、
 堪ったもんじゃねェからさァ。全部焼き尽くさせて。全部だ、全部。灰も残さないくらいに、――――焦がしてやる」

【にこにこ。笑いながらスマホの中のリーイェンに話しかける、……その言葉はひどく苛立ちの色を孕んでいた】

//ブラスフェミアとオムレツです! よろしくおねがいしま!

801 ◆1miRGmvwjU:2018/09/11(火) 21:00:59 ID:hEXW.LLA0
>>799>>800

【嘲笑うような初秋の風がコンクリートに溜め込まれた一夏の熱を攫っていく。 ─── 2つの人影が寄り掛かるのは、取り除かれぬバリケードの内側、真新しい廃墟の外壁。】
【銀髪の女。ひどく背と髪の長い女。夏もまだ終わらぬというのに、露出のないスーツとロングコート。白黒の色彩。氷像に似た端整な顔貌に、憂いと焦りを滲ませていた。】
【もう一つは黒髪の女、 ─── であろう人間。上下に揃えたゴシックロリータ。つややかな濡羽色の黒髪は腰まで伸びる。然し黒縁眼鏡の奥、薄笑いの青い眼光は、それだけで誰かを射殺すに十分だった。】



「 ─── ねェ。」「今回の件、どう思う?」

「単純に捉えるなら、複雑な話でもないでしょう。」「 ─── ジャ=ロが動き出した。奴の悲願を成就する為に。」
「だから殺せる人間を殺して回っている。」「 ……… カルトの人間には"仕込み"も済ませていたから、こそ。」
「当該任務の目的は、奴に対抗し得る資料並びに実験結果等の押収、でしょう?」「 ──── 早く済ませましょう。かえでを待たせてるの。」

「それもそう、だけど。」「 ……… 引っかかるよね。杜撰って言うか、泥縄って言うか、さ ──── 。」
「如何にも宣戦布告です、って感じがする。」「 ……… たとえ何かの必要があったとして、いきなり無差別殺人なんて、するかなぁ ─── まぁ、いいけど、さ。」



【「火事場泥棒と洒落込もうか。 ─── 弾、足りなくなったら、貸してよね」「やめておきなさい。 ─── 如何にかなる訳でもなし。」ち、と黒髪の女は舌打つ。】
【およそ堅気の2人組ではなかった。リーイェンからの連絡には、携帯端末越しに軽い首肯だけを寄越しておく。全くもってあからさまに剣呑であった。】
【 ─── そうしてまた、見知った顔を確かめるならば、軽く手振りもするのだろうか。ともあれ薬室に弾は込めてあった。なにかを壊す準備は痛いほどに出来ていた】

/遅くなっちゃいましたがアリアとミレーユてす!よろしくお願いしますっ

802 ◆XLNm0nfgzs:2018/09/11(火) 21:01:36 ID:BRNVt/Aw0
>>799

【一騎当千の立ち並ぶビルの前】

【ざり、という音を起てその一団に歩み寄るは一人の少女】

【月白色の肩にかかる程度の髪に生成色の大きめのキャスケット。デニム生地のワンピースの裾がふわりと揺れて】

えーっと……此処で合ってる、のかな?
確かここって<harmony>の本社……だったと思うんだけど……
【こんな素性の知れない奴に何を?と金色の瞳を不満げに細める】

【先日拐われた友人、その失踪に関わったのが<harmony /group >で、そこにおける噂だとか、あるいはそこと虚神には何か関係があるのではないかと】
【(まあそれは友人が虚神と深く関わった別の友人の名を出して「彼女のようになりかけた」とこぼしたからなのだが)】

【まあとにかく件の会社と虚神の事をネットワークで調べていて、そんな時に奇妙なメッセージが端末に舞い込んできて】

【もしかしたら敵の罠かもしれないけれども取りあえず相手がその気なら乗ってやろうじゃないかと】


【そう思って此処に来た次第、なのだが──】



/銀ヶ峰つがるです、よろしくお願いいたします!

803厳島の中 ◆rZXDD3W69U:2018/09/11(火) 21:11:19 ID:6.kk0qdE0
>>799

【ハルモ二―本社前】

―バイクのエンジン音が二台分
―ビル前にて停車すれば、続いてバイクスタンドを立てる音と、そして二人の人物の足音
―ざっざっ

【同時に二人の男がバイクを置き、そしてその場に降り立つ】
【一台はOD色のクラッシックなアメリカンバイク】
【もう一台は、青い色が鮮やかなフルカウルツアラー】
【降り立った男は暗いネイビーのスーツ】
【かねてから追っていた黒幕ハーモニー社、そして虚神達】
【厳島命と言う男がここに行き付くのは、自然な流れかも知れなかった】
【加えて、先だって、自身のネット回線に割り込むように電文が届いた】
【日時と場所はまさにこの場所を示していた、至急同行者に本件を伝え、そしてこの場所に来たのだ】

【もう一人は暗めのグレーのスーツ、システムヘルメットを取った顔は、まだ若い】
【外務八課、この件を攪乱しこの場所を管理管轄する暗躍組織】
【彼はその現場での立ち回り役、前線役だ】
【ライガ・カシワギ、外務八課捜索員、彼もまたこの場に居るのは必然なのかも知れない】

「で、やはり貴方もこの場に導かれた、と?」
「無論だ、そうでなければこの場にいる理由が無い」
「なるほど、では、何処の誰かは聞きませんが、精々この場ではよろしくお願いしますよ」
「妥当な挨拶だ、丁度いい」

【言葉短くこうお互い交わすと】
【厳島は自身の携帯端末を覗き込む】

「頼むよ、リーイェン……」

【少女のアバターにこう答え、そして眼の前の目的】
【ハルモ二ーの嘗ての本社ビルを睨む】

804 ◆zO7JlnSovk:2018/09/11(火) 21:26:23 ID:hvE.Nv4Q0
>>800

【リーイェンは画面の先の "冒涜者" を一瞥する、きっと向こうは知るまいが────】
【彼女は同時に 『公安三課』の存在でもあった、それはつまり、貴女達とかつて刃を交わした少女】
【 "鵺" を通じて、その存在は認知していた──── 内心、リーイェンは些か不愉快に近い感覚を覚えたが】

【機械たる自分にそんなものがあるのだろうかと、自問自答するぐらいには曖昧な色合いであった】


  " 私には別に止める権限はねーですから、中にあるものは好き勝手弄くって下さい "
  " スタンドアロンなコンピュータとかがあったら燃やす前に接続してください、数秒で丸裸に出来ます "
  " それ以外は興味ねーです、私が欲しいのは情報以外に存在しませんです、ですから "

  " ──── あまり意固地にならねーことですよ、苛立ちは思考を妨げる雑音でしかねーですから"


【言葉は何処までも冷たい様相であった、一応は助言とでも言えるのだろうか】
【兎に角内部へと進入する事への許可は出た、元々出ていたのだろうか、行動に不便は無い】
【感情の作用、ブラスフェミアほどの研究者にもまた、そんな不可思議な色が存在しているのだろうか】

>>801

【リーイェンは画面越しに値踏みする、"後藤" の持つ一対の懐刀──── その能力に】
【しかしまぁ、とそう付け加えたくなるほどに、会話する姿は等身大の若者相応であった】
【それが号令次第で超一流の兵士へと変化するのだから、人間という存在の不可思議さを考えずにはいられない】

【ならば、──── ふとこうも考える、人間も虚神もまた、同一と呼べるのではないか、なんて】

>>802

【つがるの持っているデバイスにはアバターが表示されていた、銀髪の少女アバター】
【メッセージの送り主であるのだろうか、しかし、アバターまで表示するとは一体どんなテクノロジーか】
【少女はひどくぶっきらぼうな表情であった、仏頂面も此処まで行くと見事と呼べるくらいに】


  " そうでごぜーます、この会社のトップ──── 嵯峨野 鳴海こそが、虚神の一柱であるロールシャッハでした "
  " それ故にこの場にはまだ、彼が残したであろう虚神達のデータが残されていると判断できます "
  " だからこそ私は貴女とコンタクトをとったのでごぜーます"

  " 私とゴーストライターが構築したシステム、モダンタイムス──── 虚神を調べる人物にコンタクトを取る術です "
  " 貴女の検索ログから貴女を察知し、こうしてコンタクトを取った次第でごぜーます "
  " 不審に思うかもしれねーですね、けれど、今では一人でも頼りになる人物が必要ですから "

  " 今回お願いしたいのはデータ収集です、内部へと乗り込んで残されたデータをサルベージしてほしいのです"


【できますか、なんて聞いてくる──── とても強引な手腕ではあったが】

>>803

【リーイェンは画面の奥の男達を見つめた、"魔導海軍" ──── 水の国にとって大事な協力者】
【けれども同時に彼女は訝しくも考えていた、少なくとも目の前の厳島という男は信頼できるだろうが】
【その深奥、海軍の上層部へと思考を向けたならば、それは限りなく純然たる白とは呼べないのだから】


  " まぁ現場に慣れている人間がいれば私も助かりますです、そこにちっこい女が居るでしょう "
  " あの娘もまた、貴方と同じくモダンタイムスに導かれた人間でごぜーます、良かったらバックアップしてくださいませ "
  " 幾ら私が優秀でも、物理的な事に関しては殆ど無力です、それに──── "



  " ──── 貴方は幾つも、虚神との戦いを、乗り越えて来たのでしょう "


【経験則に勝る強さは無い、と彼女はそう伝える様であった】

805 ◆zO7JlnSovk:2018/09/11(火) 21:26:39 ID:hvE.Nv4Q0
>>探索者各位

【エントランスから内部へと入り、各々の目的となる階に進むのだろう──── 内部は存外綺麗であった】
【電気も通っており、ついさっきまで稼働していたかの様に、整頓されたビルの内部は非常に探索しやすい】

【研究施設となっている階は幾つかのカルテや実験記録、サンプルなどが存在している】
【その多くは名も知らぬ一般人のものであった、実験結果は言うまでもないだろうが】
【兎に角膨大な量があった、──── それ故に、人物名を絞って探す必要があるだろう】

【紙媒体として保管されているカルテの他、その場にはPCも存在していた、ハッキングのスキルの持ち主か】
【或いはリーイェンと繋がっているデバイスを接続させたなら、内部のデータをサルベージできるだろう】

【実験施設となっている階は殆どもぬけの空であった、──── 尤も染みついた血の臭いは消せないが】
【それは殆ど隔離施設と呼ぶべき階であった、拘束具が付随した独房、ある種ステレオタイプな地下牢といった形で】
【ブラスフェミアならば理解できるだろうか、彼女がかつて拷問を受けた場所もまた、此処であったと】

【同時にその独房群の奥に、一際厳重な扉で隔離された部屋があった────】
【ブラスフェミアならばまた、思い出せるはずだ、──── その奥にある牢獄、そこが "実験室" であった】
【そう、夕月の脚を分解せしめた、──── 忌々しいその場所である、と】

【厳重なロックがかけられており内部への進入は難しいだろう、けれどもその側には備え付けの記録が置いてある】
【冊子を確認するか、持ち帰るかすれば、良い情報源になるだろうが】

【その他社員のオフィス、サンプルの保管室といった様々な部屋がある、────】
【探索者達は各々好きな階層や場所を調べることが出来るはずだ、それぞれの室内にはPCも置いている】
【先述した様にハッキングのスキルを持っていたり、デバイスを接続する事が出来れば情報が収集できる】


/参加者の皆様は【此方のレス】に、【何処を調べるか】【何を調べるか】を明記してレスして下さい
/【研究室の実験記録を調べる】といった形です、一レスにつき一つの場所を調べる事が出来ます
/成功の可否などを踏まえて私が返信いたします、ご了承下さい

/また、<harmony/group>にありそうな場所ならば、ご自由に描写していただいて大丈夫です
/先述した場所以外にも【何処何処を調べる】と指定して下されば判定いたしますので!

806 ◆S6ROLCWdjI:2018/09/11(火) 21:35:23 ID:WMHqDivw0
>>801

「や! 元気してた? あなたたちだけじゃなく、おじさまとか。
 あと赤いバカ娘とかちゃんと生きてる? 今日だってどうせぴいぴい泣いてたりしてたんじゃないかな、
 怖いからひとりにしないでとか言って。あげた薬使った? あれよく効くでしょ、すぐコロッと寝ちゃうんだもんね」

【女のほうが手を振るのは、ゴスロリ姿の「彼」だった。困ったことがあったらとりあえずこれ飲ませとけって】
【そう言って手渡した睡眠薬の効き具合を訊くかぎり、「あの子」を彼のもとに置くことに不安は感じてないんだろう】
【至極軽々しい言葉で挨拶だけするんだった、それだけ。終わったら――瞳に剣呑な鈍光を、宿らせて】

【その隣、男が手を振る先は、銀髪の彼女のほうだった。相も変わらずへらへらした顔つきで笑っていたけど】
【目の奥は全く笑っていないんだった。ひどく疲れ切っているみたいな表情、でも、帰ろうなんて素振りは見せず】


>>802

『……………………つがるん? 何してんのこんなトコで。危ないよマジで、帰ったほうがいーよ』

【猫の少女に声をかける、男。「たんぽぽ」で何度か顔を合わせて、そのたび妙ちきりんな名を名乗ったヤツだった】
【彼はとても不思議そうな顔をしてつがるを見て、……それから僅かに真剣みを帯びた声色にて、警告する】
【帰れ、と。……ただし、平穏を愛するなら。そうでないなら、自己責任で居たいだけ居ればいい】
【そんなニュアンスを含む言葉だった。決して命令口調にはならない、……だけど最後の一線を示すかのような温度感】


>>804

「燃やすってのは比喩だよ比喩! はーやだな、これだから機械はダメだ!
 やっぱ僕ナマモノのほうがずっと好きだな、どう、エッシャーちゃんも生身の身体持ってみたいとか思わない?
 思ったならいつでも言ってね、いい感じのボディ見繕ってあげるよ。あ、お代はちゃんともらうけど」

【冗談なんだかそうじゃないんだかよくわからないことを言う。眼はぜんぜん笑ってないから、おそらく後者】
【言いつつ、忠告はしれっと無視して――するすると中へ入っていく。お供の青年を常に隣に添えながら】
【そうして、最初に手を伸ばした先。あんまりにもわかりやすく、というかそれにしか用事がなかったと言わんばかりに】

>>805

【「冒涜者は、研究室に向かう。そうして実験の記録を漁り始める――特に、“魔女”が残したものを顕著に」。】
【――それが彼女の残した行動結果。青年はあくまでもそれに付随するだけ、じいっと、それを眺めるだけだった】

807 ◆zO7JlnSovk:2018/09/11(火) 21:44:23 ID:hvE.Nv4Q0
【一面の和紙に墨汁を垂らして、染め上げる模様を墨染めと呼ぶのであれば】
【それを天地逆にする事で漸く、表現できる空の色合い──── 】
【夜の帳が降りて、茫漠と広がる夜空の輪郭を瞳の形に切り取ってみせるのだろうか】

【 "貴女" は離れていた、その身があるのはビルの屋上、設置されたヘリポートから階下に降りる階段を見て】
【きっと眼下に映る景色もまた、泡沫の様な彩りに果ててしまうのだろうけど────】
【どの因果かは分からない、自分か他人か、誰が判断したのかは定かではないけれど】



【──── 貴女は別行動を選ぶ、それは多分必然の作用に近い】



【手慰色の昨日が溶けて、朧に迎える今宵景色は無情、──── ただそれでも、それでもと】
【然る形に、然るべき場所にその身を窶す行為を誰も否定は出来ないのだから】
【その脳裏に一片でも、一遍でも、──── 誰かの輪郭があるのなら】



【踏み出した景色が暗転する、──── 特別に用意されたステージへと、誘われるかの如く】



【次の瞬きの瞬間、貴女は "室内に居る" ──── 無機質な部屋であった、大きな姿見と、簡素なクローゼット】
【そしてベッドであった、清潔なシーツに包まれたベッド、そして貴女は、そのベッドへと横たわっている筈だ】
【何故──── なんて思うよりも早く、感じるよりも早く、全ての感覚を遮って、だから】



【──────── 芳香がした、何処までも甘い、秘密に耽る花園の様な香りが】



【直ぐ側、右手で抱くことの出来る位置に、睦まじく眠る恋人みたいな風情で────】


  【プラチナブロンドの長い髪、紅が差したマリンブルーの瞳、白銀のロザリオを首筋に垂らして】
  【零れ落ちそうな豊満な胸を一糸纏わぬ裸体で曝す、悩ましげなプロポーションをありのままに】     
  【子猫の様に細い寝息で眠る、どこか幼げな横顔が印象的な少女────】


【カチューシャが眠っていた、全くの裸で、薄衣のシーツに包まれながら、そして】
【小さく枕にする細い右の手、伸びた左手は切なげに、貴女の身体を探しているみたいに伸びて】

808 ◆zO7JlnSovk:2018/09/11(火) 21:47:13 ID:hvE.Nv4Q0
>>806

【研究室には幾つかの実験記録が散乱している、主任研究員たる "魔女" の記録は容易に見つかるだろう】
【手書きの記録であった、とても丁寧な字で書かれたその様相は、とても彼女らしくて────】
【その実験は──── "反省" から始まっていた】



  【 " ──── 兎に角私は、既に成功した実験を再び成功させる事に躍起であった。 " 】



【その一節が示すように、<harmony/plan>の研究は始まった、そこの一節に違和感を覚えるかもしれない】
【彼女は主任研究員であった、それならば、<harmony/plan>自体は彼女が主導すべきではないのだろうか】
【ページを捲る、最初の実験記録として出てきたのは "ソニア=エカチェリーナ=ドラグノフ" ──── その名であった】

【此処で再び判断は委ねられる、続きを読むか、他を探すのか────】

809 ◆1miRGmvwjU:2018/09/11(火) 21:52:18 ID:hEXW.LLA0
>>803


「 ─── お久しぶり、ライガ君。」「出会いしなに悪いんだけどさ、 ……… 今日、機嫌悪くって。」
「申し訳ないんだけどボクの邪魔ァしないでくれると助かる。」「うっかり撃っちゃうかもしれないから ─── や、冗談、冗談。」

【藪から棒に声をかける人影がひとり。 ─── 気取ったゴスロリに身を包んだ、甘ったるい声の女だった。或いはそれは、彼の同僚でもあったろうか。】
【然し忠告はごく剣呑だった。男に媚びる愛想笑いを知っている女だった。だのに青い瞳には淀んだ殺意が満ちていた。言うだけ言って踵を返すなら、身勝手にも振り向かず】

>>806

「お陰様で、なんとか。」「後藤さんもアリアもどうにかやってるよ。」
「 ─── 今日だって、寝かしつけるのに苦労する所だった。ありがと。」「 ……… その代わり、面倒なことは、皆んなボクらに任せてくれればいいから。」

【いくらか明るく作った表情で"彼"は笑った。このような日でも身嗜みには凝っているらしい。神経質さの裏返しとも呼べた】
【ならばごく平穏な会話の終わり際、 ─── 淀む言葉尻の意味も分からせるかもしれない。だれかの愛した青く透き通る瞳もまた、暗い情念を薪としていたから】
【或いは隻眼の女もまた、ごく機械的に優しさのない表情に、少しばかりの笑みを浮かべるのだろう。誰もが疲れ切っていたし、焦っていたし、急き立てられていたから】

>>805


【銀髪の女が両の手に握るのは、冗談のように長い銃身の拳銃。銀色のスライドが鈍く輝く二挺をそれぞれの手に構えるならば、銃把からは闇を裂く一対のレーザーサイト】
【黒髪の女が両の手に握るのは、サプレッサーの装着された生物的シルエットの短機関銃。 ─── 先ず"ひと"には撃たぬと分かっていても、銃爪に指をかけていた。】


「 ────………… 気に食わない。」「気に食わないね。」「あァくそ、全くもって、 ─── 気に食わない。」


【そうして地下の独房に両者は足を踏み入れた。 ─── 吐き捨てる声。遣る瀬無い片脚が手近な壁を蹴飛ばして】
【それでも為さねばならぬことを忘れる程に2人は愚かでなかった。分厚い隔壁の扉の意味を知って、その前に揃って立つならば】


「 ……… このくらいの電子錠なら、現実的な時間で割れるかもしれない。」「では私は、解錠記録を辿りましょうか。」


【2人は「施錠を解こうとして、付近の記録について調べる。」 ─── 首筋から引き出した接続プラグに、電子錠を接続して】
【八課のセキュリティの4割を構築したのは黒髪の女だった。銀髪の女も、手近な冊子からパスワードの手掛かりを探す。であれば、或いは】

810 ◆zO7JlnSovk:2018/09/11(火) 21:58:55 ID:hvE.Nv4Q0
>>809

【地下室は奇妙な静寂を保っていた、それはまるで嵐の前の静けさと呼ぶのに相応しい】
【或いは逆説的な通俗なのかもしれない、そうであるべきと定義されている一つのプログラムの様に】
【響く音が大きければ大きいほど、其れを受け取る独房は静かであるべきだから】


  【黒髪の女にとって電子錠の解除はそこまで難しい行為ではないだろう、特に複雑なシステムは使われていない】
  【同時に違和感があるかもしれない、此処まで厳重な扉を用意するにしては、杜撰とも言えよう】
  【──── 或いはそう、まるで、この扉を知る者にとっては外側の者が容易に開閉できれば良いと、伝える様に】


【銀髪の女は冊子を読むだろう ──── <harmony/protocol>その為の部屋である、とその冊子は示していた】
【専門用語の羅列であるが、アリアの知能を持ってすれば容易く読み解ける筈だ、そして】



  【その部屋の内部に入ること、それはつまり──── "遺伝子に" 分解される事を意味していた】


【アリアがその記述を読み解くと同時に、扉の鍵が開く音が響いて、厳重なドアは容易く開くだろう】

811厳島の中 ◆rZXDD3W69U:2018/09/11(火) 22:01:26 ID:6.kk0qdE0
>>801>>809

「アリアさん、ミレーユさん!」

【声を掛けない方が不自然とも言える】
【当然の事乍ら、『同僚』に当たる二人】
【最も、経歴からすれば二人の方が遥かにこの職務経験は多いのだが】
【兎にも角にも、見知った二人を見かけて、そう合流に向かう】

「ご安心ください、お二人の身の安全は必ず守ります」

【警戒と、そしてある種独特の緊迫を保つ二人の前に立ちこう言って】
【バイクに備え付けられた、専用装備を引き抜き携行して見せて】
【こう、かっこよく、かっこよく決める筈だった、筈だったのだが……】

「え!?ミレーユ、さん?」
「は、はい……そ、その、すみません……でした……」

【ミレーユの気迫に押され】
【どうにも不機嫌な言動と不穏な言葉に押され】
【完全に委縮してしまった様子だ】

「その……何処から調べますか?」

【そう二人に尋ねた】

>>802

「つがる……」
「来ていたのか?」

【リーイェンに言われたからか、そうはたと気が付いた】
【そこには、よく知る少女、協力者の少女が居たのだ】
【暗いネイビースーツの男、厳島はそう少女に近づき声をかけた】

「つがる、正直君をこの場には加えたくはなかったが……」
「どうしても、ここに来なければいけない、理由があるのか?」

【心配する様な切ない様な、そんな苦悶にも似た表情で声をかけて】
【そして聞いたのだ】

>>804>>805

「安心しろ、少なくともこの場は君の、君の所属する組織の敵ではない」

【リーイェンの不安を見抜いたかのように、こう端末越しに言う】
【不安ももっともな話だ、少なくとも水国の組織では無い、あくまで櫻の国の軍だ】
【いつこの国に仇なす存在となるかは解らない】
【だが、少なくとも今は、自分だけはこの国の、人類の味方で居る、と】

――明日の世界を投げ出さないから――

「無論だ、つがるも危険には晒さないと約束しよう」
「ああ、骨の折れる敵だが、問題ない……問題、ないさ……」

【そう短く答え、端末を一旦仕舞い】
【銃火器類を携行し、ビルの中へと向かう】

【移行厳島は研究施設を調べる事に『嵯峨野』『カチューシャ』『その他黒幕に関連のありそうな用語』に絞り資料を調べる】
【ライガはアリア、ミレーユに同行を選択】

812 ◆S6ROLCWdjI:2018/09/11(火) 22:05:59 ID:WMHqDivw0
>>808

(……、……既に成功? どういうことだ、アレは魔女の技術じゃなかったってこと?)
(まあそれはそれで納得できるけど。あんだけコンプレックス強かったんだもん、僕なんかを羨むくらい)
(じゃあアイツは、……本当に。「筋書」のために生かされてたんだ。…………、)

(――――――――クソ。本当に何やってやがったンだよ、……ブランル)

【心中で舌打ち。そしてどこか遠いところに居る誰かに八つ当たり。しながらも表情は平坦に】
【手繰る指先は止めないで、名前をなぞる。異国の響きを孕む女性名。……見たなら、】
【その先の行動は躊躇なく。捲っていく。「続きを読む」。選んだのは、それだけ】


>>809

「そ。じゃあ、ロールシャッハが物理的に殺せる状態になったら呼んで。解析だの考察だのは面倒だもん。
 だけど殺すときだけは絶対一緒にやらせてね、……わかるでしょ? 独り占めしたら赦さないから」

【そう言って二人とは別れて、彼らは研究室へ向かっていく。――その間際に、】
【地下へ向かおうとする二人の姿を見るなら、声をかける。「そっち、たぶん臭いよ。めっちゃ血ィ出たから」】
【……よく知っていると言わんばかりのコメントを残して、それきり、バイバイ。そうであるなら】
【きっとこの女はろくでもない理由でこの場所に来たことがあるんだろうと思わせた。……それだけ】

813 ◆zO7JlnSovk:2018/09/11(火) 22:09:54 ID:hvE.Nv4Q0
>>811

>>(厳島)

【研究施設にはブラスフェミアとオムレツが居た、彼らは "魔女" に関する情報を調べているだろうか】
【厳島は調べるだろうが、 "嵯峨野" に関する情報はその場には存在していなかった、あくまでこの施設は】
【研究のための施設であり、嵯峨野 鳴海自身の情報は保管されていないのだろう】


  【しかし、カチューシャに関する情報は存在していた、幾つか種類に分かれているが】
  【恐らくは厳島にとって一番興味深い情報が "カチューシャと黒幕" に関する内容であろう】
  【<harmony/plan>の一つとして、カチューシャと黒幕に関する記述は含まれていた】


【 "嵯峨野 鳴海" は黒幕側の一員として、自身の手駒であるカチューシャを "黒幕" の先兵として差し出した】
【それ自体が嵯峨野の意思であるとその記録は示していた、──── もし仮に、厳島がある情報を持っていたならば】
【つまり、カチューシャ=エカチェリーナ=虚神である、という情報を持っていたならば、】


【──────── その記述自体に違和感があるかもしれない】


>>(ライガ)

【アリアは近くの冊子を検索し、ミレーユは鍵の解除にいそしんでいる、ライガの行動はその補佐であろうか】
>>810に示された様に、厳重なドアは開いた、──── 重い雰囲気を携えたまま】

814 ◆1miRGmvwjU:2018/09/11(火) 22:15:47 ID:hEXW.LLA0
>>811

「 ……… ごめん。悪いね。」「でも、手は多い方がいい。」
「 ─── ボクらはどうにかやれるから」「だから今は、キミにしか調べられないものを、調べてほしい。」

【疲れたような愛想笑いだった。ごめんと謝る口先はおよそ口先だけのものだった。 ─── それでも背後を望むなら、】
【ふたりは拒むこともないのだろうけれど、同時にふたりは彼にしか調べられなさそうなものを調べろ、とも告げていた。】

>>812


「分かってるさ。」「そこんとこはお互い様に、 ─── ね。」

【別れ際の一言は、馴れ馴れしいようで冷淡に。 ─── 復讐の業を分かち合う誓約を添えて、やはり疲れたような薄ら笑い。】
【しかし示唆的な言葉は遣る瀬無い苛立ちを助長した。銃爪に指をかけることをやめた。手当たり次第にぶち壊してしまいそうだったから】

>>810

【セキュリティとしては確かに甘いものだった。 ─── 外部からの侵入を考慮していないと言えばそれまでとしても】
【論理防壁を突破してカーネルにアクセスし外部執行プロンプトを立ち上げる。幾らかの埃を立てて重い扉が開くなら、構えた短銃と共にミレーユは踏み込もうとして】


「 ……… 待ちなさい。」「あぐッ。」


【 ─── その首根をアリアが掴み、文句の前に突き付けるのは、向こう側に踏み入ることが何を意味するか示す一文。】
【溜息はふたりぶん。これ以上は人の身で踏み込むことは許されない。ならば神ならば、あるいは。そんな空想はサブルーチンに遣って】


「 ──── 罠のつもり、かしらね。」



【2人は「コンピュータに記録された実験の履歴と、実験室の機構について調べる」。 ─── どれだけの人間が、どのような仕組みで、"分解"されてきたか。】
【そも遺伝子への分解とは何を意味するのか。ヒトゲノムの解析など前世紀に終わった所業であろうし、であればその先に、"彼ら"は何を見ていたのか。】

815 ◆zO7JlnSovk:2018/09/11(火) 22:16:04 ID:hvE.Nv4Q0
>>812

【ソニア=エカチェリーナ=ドラグノフの入手経路については詳しく記述されていなかった、実験体として彼女は現れる】
【そして特筆すべき事項として、彼女は最初の実験記録であったが、最初の実験体では無いという点である】
【 "魔女" の文章から辿るに、実験記録として残すまでもない失敗例が数多あったのだろう】


  【 "全身を遺伝子に分解する" ──── この行程で多くの実験体は正気を失い、廃棄される】


【その苦痛は推し量ることしかできない、人は痛みを共感する存在であったのだが────】
【それがキャパシティを越えたとき、何が起こるのか、何を示すのか想像が付かないのだから】
【兎に角、ソニアはその行程を耐え抜いた、0に分解され、罪の因子を取り除かれる、と────】


  【 しかし、此処までの行程を耐え抜いた実験体は多くはないが、何体か成功していた──── そう、此処までは 】


【 "自我を蝕まれる" ──── とその文章は綴られていた】

816 ◆zqsKQfmTy2:2018/09/11(火) 22:17:59 ID:6IlD6zzI0
>>807

【エーリカが別行動を選んだのは、何かに呼ばれた気がしたから】
【声で呼ばれた訳じゃなくて、何かの意志に呼ばれての事】

【――それは必然と呼び、耳障りの良い言葉で飾れば運命と呼ぶ】
【眼下に広がる景色はさながら上映前のしがない広告の様に思えた】
【彼女を呼ぶ何かの意思――それによって齎される邂逅の前には特に】


―――……なんでさ、カチューシャ。私は未だ完全には信じられない。
……もし彼女に出会ったら、なんて顔をして、どんな言葉を選べば良いんだろうか?

――会いたい。話したい。知りたい。けど、会いたくない。知りたくない。


【でも、話はしたい。ふうっとため息をついて泡沫の彩色に目を細めれば】
【景色は弾ける泡の様に形を失う。始めからそんなものは無かったかのように】


【―――】


【目を閉じれば、自分が知覚する世界はその"暗"と"黒"と同化して】
【目を開ければ、暗がりに慣れた目が眩めど、徐々に曖昧な世界は輪郭を取り戻す】


……ん、ぁあ。此処は……?さっきまで、私は屋上にいた筈……。
そも、なんで私は寝てたんだ……?――って、っっ!?


【鼻腔を擽る耽美に息をはっと飲んで。輪郭を取り戻した世界が最初に認識するのは】
【――カチューシャ。淫靡で可憐で儚げな雰囲気の狙撃手。そして虚ろの神の一つ】

【眼前で一糸纏わぬ姿で無防備に眠る狙撃手はさながら眠り姫のように思えて】
【二人一緒のベッドに横たわっていれば、情事に耽り互いを求め合った後にも思えて】
【兎にも角にも、エーリカは目を細めて愛おしげに子猫の様な少女を見つめて――目に留まる】

【自分を探してる様な左手が。その手を優しく握る。きゅっ、と握って――"私は貴女の側に居るよ"と】
【夢ならば覚めて欲しくない。目を覚まさぬ限りは目の前の少女はカチューシャで居られるのだから】

817 ◆zO7JlnSovk:2018/09/11(火) 22:23:01 ID:hvE.Nv4Q0
>>814

【アリアの想像は正しいのだろう、その奥の独房はある種神聖な雰囲気を携えていた、何処までも静謐に】
【同時に内部を構成する物質に興味が行くかも知れない、それはどこまでも有り触れた石牢に近く】
【或る意味で旧時代的な作りをしていた、それにどんな不可思議な力が宿っているのか、と思うほどに】


  【仕組みについては概略しか書いていなかった、兎に角この部屋は人間を "遺伝子" に分解する部屋なのだと】
  【詳細な情報は別の研究施設に保管しているのだろうか、ネットワークをつなげればより深く知ることができるかもしれないが】
  【実験記録については膨大なリストが出てくる、のだが────】


【多くの場合が失敗例であった、──── 発狂、処分の文字がゲシュタルトを崩壊させる程に羅列され】
【一都市分程の人口を示すのではないかと言うほど、そのリストは長い人物名に汚染されていた】
【そして漸く、初めて別の文字を見つけるだろう、 "ソニア=エカチェリーナ=ドラグノフ" 成功、と】

818 ◆XLNm0nfgzs:2018/09/11(火) 22:23:09 ID:BRNVt/Aw0

>>804
【端末に表示された少女から告げられた言葉につがるは、そうだったのか……と呟く】

そのロールなんと……あー……嵯峨野ってやつが虚神……それでもって多分夕月ちゃんを拐ったのがそいつ……だとしたらやっぱりそういう『案件』だった、って事なんだね……
【……何か気に食わない、と少女はぼそりと呟き口を尖らせる】
【何で自分の友達ばっかりそうなるんだろう、って。二人ともとても良い子なのに何でそんな訳の分からない虚神なんかに目をつけられるんだろう、って】

……んー……うん?んん?
あー、うん!分かった!
取りあえず残されたデータを探せば良いのね!?
【そうして続く相手の言葉。やれゴーストライターだモダンタイムスだサルベージだって、横文字が苦手な彼女の頭にはたちまち幾つものクエスチョンマークが浮かんで】
【それでも何とか任務については理解出来たらしくリーイェンの言葉を遮り気味に返して】
【慌てて入る社内。エントランスから既になんか圧倒されて口を開けっ放しにしていたのだが】

>>806

【ふと耳慣れた声に気付き、そちらを見たつがるは、ぅぐ、と小さな声をあげる】

えぇ……"伊達巻"さん……?
どーして……って、あー、夕月ちゃん関係だもんねぇ……いてもおかしくないかぁ……
【ちょっとだけ苦手な、友達のお兄さん。何だか苦手な生き物に雰囲気が似てるからって】
【それでも嫌いな人ではないのだろう。名前をわざと変な方向に間違ってみて】

……大丈夫ですよ
私、あの時夕月ちゃんになんもしてあげらんなかったし……
だから、せめて夕月ちゃんの代わりに何か情報を掴んで持って帰れたらなって
【危ないからと言われれば此方も真剣な表情になって】
【そうしてまたてくてくと歩いていく】


>>805
【研究施設階、そこで彼女は足を留める】

……えーと……取りあえず虚神!虚神の情報をちょっとでも手に入れないと……
あー……でも色々あるし……取りあえず夕月ちゃんのを探して……ええと……
【兎にも角にも虚神の事を調べなくては始まらないだろう、と思ったのだろうが手掛かりとなるワードがいまいち浮かばなかったのか取りあえず夕月の実験データに絞って探してみる事にしたようだ】


/という事でつがるは【研究施設】で【夕月の実験データ】を調べます

819 ◆zO7JlnSovk:2018/09/11(火) 22:28:34 ID:hvE.Nv4Q0
>>816

【その儚き祈りを信仰と呼ぶのであれば、そのあどけない試みは祝祷よ呼ばれるべきなのだろうか】
【微睡みの横顔が和らいだ、普段見せる表情は何処までも仮面を貼り付けた様な無表情で、でも】
【口元が綻ぶ、それは確かな微笑みの所作であった、静かな凪の水面、落とした小さな波紋は】


  【──── 消えていく、でもきっと、確かに揺れた証左を残して】


【指先が絡まる、握った指先は掌の温度で溶ける柔らかな細雪、隙間から解けて落ちる絹糸細工】
【それでも確かに辿る様に、何度も、何度も握ってしまいたくなる様な、そんな何処か蠱惑的な】
【伝わる体温がとても冷たいから、もしかしたら夢じゃないかって錯覚したとしても】


  ────……んぅ……ねぇ、だぁれ……


【木漏れ日の質感に頬を擽られ、子猫は漸く眠りの名残を脱ぎ去って、その大きなマリンブルーを向けるから】
【とろんと蕩けた目尻に一杯の睫毛を透かしたなら、そこに描くのは神の作った淫らな曲線】
【琥珀よりも深い色に染まった蒼を、真っ直ぐに貴女へと向けていた】

820 ◆zO7JlnSovk:2018/09/11(火) 22:35:46 ID:hvE.Nv4Q0
>>818

【夕月の実験データは直ぐに見つかるはずだ、最新のデータであるから当然なのだろうか】
【否、ある種それは微かな違和感を与えるかもしれない、だとしても、あまりにも幸運とも言えたから】
【仕組まれた意図を運命と呼ぶのであれば、それは挙げ句に満ちる残酷とも呼べるのだろう】


  【──── 実験データは文書作成ソフトで作成された様だ、中々難しい専門用語が羅列している】
  【恐らくつがるの能力では満足に読み取る事は難しいだろう、実験データと呼ぶには些か不自然であるが】
  【分厚いレポートは一切の表や画像が使われていない、──── しかし】


【それでも諦めずに読み進めていれば、最後のページにURLが書いている事が分かるだろう】
【添付データ一覧と書かれたURLである、近くにはお誂え向きにPCが存在しており、検索は容易であった】
【無論、それをせずに解読へ注力しても良いが────】

821 ◆1miRGmvwjU:2018/09/11(火) 22:37:32 ID:hEXW.LLA0
>>817

【微かな苔の湿り気さえ感じるような内部の構造は実験室と呼ぶよりは儀式の聖壇であった。 ─── ゴーストライターと呼ばれた男が、嘗て後藤と語らった際のログを追想し】
【虚構世界とは恐らくこの世界よりも幾許か文明が衰退していた。であれば、この施設は、向こう側から齎された産物であるかもしれない。】
【機構を追った所で現在の彼女たちでは理解しがたい代物であるかもしれなかった。故に今は横に置き、実験記録を照査するならば】


「 ─── そう。」「詰まる所あの子は、"選ばれた"訳ではなかったのね。」
「 ……… 気に食わないわね。」「あァ。 ─── 全くもって、気に食わない。」


【酸鼻を極める犠牲者の名簿。墓ひとつ作られていないのだろう。青い三つの瞳がコンソールの光に目を細める。】
【そうしてアリアは理解した。数多の失敗作たちから偶然に生じた唯一の成功例。 ─── それが、ソニア/カチューシャ/エカチェリーナという少女である、と】
【然し何故に彼女が"成功"したのかは分からなかった。そしてまた何故に彼女が嵯峨野/ロールシャッハに手を貸しているのか、そも彼女の能力の本質とは何なのか?】
【 ─── 幾らかの疑問がふたりに去来する。手始めにひとつ。「ソニアが素体として適合した理由について、検索する」。】

822 ◆S6ROLCWdjI:2018/09/11(火) 22:41:37 ID:WMHqDivw0
>>815

(いやちょっと待てよなんで肝心なとこ書いてねえんだよ、どーやってUTのメンバーをモルモットなんかに)
(クソ、マメに書いとけってんだよあの魔女! …………、ああもう)

【ページを捲る手は一定の速度で。しかし隅から隅まで視線を遣るなら、「そりゃ当たり前だろ」と嘲笑が浮かぶ】
【足首から先だけ「やった」だけでギャアギャア煩かったヤツがいた。なら、全身をそうされるならもっとだ】
【正気なんて保っていられるはずがない。……ないのに、耐え抜いたという。そこは流石、UTのメンバー。内心で褒めてやる】

【――――そうして、】

…………自我?

【読み進めていった先。その点で走り続ける視線が急停止、ぱち、とひとつ瞬きをして。……ようやく指の動きを止める】
【頁を弄る指先とは反対の手で、唇を押さえて。……それからゆっくりと、動きを再開する。「さらに読み進める」】

【それを後ろで見守っていた青年は、手持ち無沙汰に、興味なさげに視線を周囲に彷徨わせ始め――】
【棚かなにかでも眺めはじめるだろう。何かしらファイリングされているものでもあるだろうか。あるいは何かしらの瓶詰とか】
【見つけ次第――それを手に取ろうとするだろう。何もないならまた、小さな女の背中を見守るのに戻るけど】

823カニバディール ◆ZJHYHqfRdU:2018/09/11(火) 22:42:05 ID:IBKicRNQ0
>>807
【その背後からプロペラ音を消して迫っていたステルスヘリが存在した】
【乗っているのは黒づくめの操縦士と、同じく黒外套に黒いゴム長靴の大男だった】

【果たして、盗賊の地獄耳がどこに引っかかったのか。外務八課やサクリレイジが動くという情報を得て】
【この異形の盗賊もまた、動き出していた】

【先を歩く女性に気付かれないよう、彼女が姿を消してからヘリから降りるつもりだった。確かに、その希望通りにはなった】
【しかし、彼女は歩いて去ったのではなく、忽然と消え去ったのだ。少なくとも、異形の三つ目にはそう映った】


……さっそく、お得意の怪奇現象かね。あの女がたまたま巻き込まれたのか、狙われたのかは知らないが
まあいい。こちらとしては好都合だ

【そのままステルスヘリを近づけさせ、ヘリポートに飛び降りる。大男の着地を確認すると、操縦士はその場からヘリを離れさせた】


【すぐさま、異形は足音を殺して移動し始める。階段を下りビル内へ侵入。耳を済ませて他の探索者とかち合わないよう気配を探る】
【やがて、異形は答えを導き出した】

……まずはオフィスだな

【大男は恐らくは、今誰もいないだろうオフィスへと忍び込もうとする。盗賊の得意技だ】
【ざっと室内を見渡すと、異形の大男はまずはパソコンを探そうとする。オフィス内のメインと思しきものを】

【あらかじめ用意してきたハッキングツールで、残された情報を探る。求める情報は】
【嵯峨野 鳴海。ジャ=ロ。そして、カチューシャ。虚ろな神々について】

/こんな感じで大丈夫でしょうか? よろしくお願いします!

824厳島の中 ◆rZXDD3W69U:2018/09/11(火) 22:44:04 ID:6.kk0qdE0
>>813

「harmony/plan?これは一体……」

【記載は、自身が追う物、調べる物、まさにそれその物だった】
【カチューシャと黒幕の関係性】
【そして嵯峨野に関する記述は見当たらなかったものの、関係性は十分に目を引く物だった】
【だが……】

「嵯峨野はカチューシャを黒幕に出向させた?」
「嵯峨野の意思?」
「……オメラスと関係がある事なのか?」

【肝心の鍵となる、カチューシャに関する情報は持ち得なかった】
【故に一抹の違和感を残しつつも核心には至れず、そして】

「すまない、そちらは何を探している?」
「目当ての何かは、見つかったのか?」

>>812の二人、女性と男性にこう聞いた】
【こちらは、件のharmony/planの資料をひらつかせながら】


>>810>>813

「アリアさん、ミレーユさん……」
「解りました、でもせめて途中まで、途中までは一緒に行きますよ」

【せめて、二人が核心の調査に入る時まで同行すると】
【その後は、手分けする様に別の場所の調査に入るのだろうが】
【背後を守り、警戒する様に二人の後を付いて行く】
【やがて……】

「地下、ですね……」

【重厚な扉であった】
【数多くの資料と冊子を当たるアリアと解錠に勤しむミレーユ】
【自分自身は、ミレーユの補佐に回れる立ち位置に陣取り警戒を実施する】
【すると……】

「開いた!?さすがですミレーユさん!」
「え?あ、あの入らないんですか、ここに?」

【解錠されはしたが、中に入ろうとはしない二人に、こう拍子抜けした様子で聞いて】
【PCの記録を調べ始める二人だった】

「僕は……違う場所の調査に、行ってきましょうか?」

【そう訊ねる、あるいはここが核心かもしれないと、思い】
【二人が許可を出すならば、保管室方面の調査に向かうだろう】

825 ◆S6ROLCWdjI:2018/09/11(火) 22:45:24 ID:WMHqDivw0
>>818

『だてまきって何、だてまきって。もっとオシャレな名前教えてあげたでしょーが。
 オムレツおにいさんですうー。……そ、じゃ、止めないけど。ヤバくなったらすぐ悲鳴上げな。
 おれがちゃーっと走って助けに来てやるから』

【そう言って、手をひらひら。付き添いで来ていたらしき女の元に戻っていく、けれど、行先は一緒だから】
【何かあったらすぐに呼べと言いつけておく。……妹の友達だし、「あの子」の友達だし、将来的にはきっと同僚】
【だから絶対、こんなところで危険な目には遭わせない。その決意だけ、固めたようだった】

//ぐえー見落とし! 以後何かあったら呼んでください状態になります!

826 ◆zO7JlnSovk:2018/09/11(火) 22:47:11 ID:hvE.Nv4Q0
>>821

【アリアの推察は正しいのだろうか、確からしいと言う一文は付け加えられそうではあるが】
【兎に角徒手空拳で望む難しさがそこにはある、情報収集を優先する判断は越えてきた修羅場の数が所以か】
【──── 時に辿る道筋が違ったとしても、進んでいたならば目的地に着く作用と似ている】


  【ソニアという人物名は存外に "有用な" 情報であった、社内ネットワークでも大分重用視されていたようで】
  【彼女に関する情報は相応にあるだろう、中でも流れる河川から砂金をすくい上げるように】
  【検索という網の目の中に、確かな値千金を含んでいるのだから────】


【主任研究員 "魔女" ──── ミレーユにとっては、忌々しくも懐かしくもある名前だろうが】
【彼女はこう記述していた "凄惨な実験に耐えうる精神力を持っていた" と、恐らくは彼女の解釈はこうなるのだろう】
【一応は納得できるはずだ、彼女が選ばれた理由を "偶然" とするには十分すぎる証左であるのだから】


【──── 或いは、もっと、それは物事の一面かもしれないが】

827 ◆zO7JlnSovk:2018/09/11(火) 22:54:17 ID:hvE.Nv4Q0
>>822

【些か奇妙な記述だと特にブラスフェミアなら感じるだろう、研究者が記述する内容ではない】
【寧ろそれは哲学者や、心理学者の作用に近かった、あまりにも曖昧模糊とした内容に近く】
【けれども恐ろしいほどに一貫性があった、まるでそう仕組まれているかの如く】


  【 "自我" がその本人を蝕む、と私は結論づけた、嵯峨野もまたその意見に同意であった 】
  【 罪の因子を取り除かれた人間は、本来の自我の他にもう一つの自我が芽生える 】
  【 つまり、新たな自我である、それは変容した遺伝子から生じるもう一つの自分であろう 】

  【 ──── そしてその自我が、現在の自我を蝕むのであった 】


【何ともオカルトチックな話であった、けれども実際、ソニア以外の実験体──── 最初の行程を耐え抜いた屈強な精神力の持ち主】
【彼らの多くはそうして自我を喪失していった、それ程までに強烈な衝動であるのだろうか】



【一方、青年は周囲の棚に目を向けるかも知れない、そして──── 一つ飾られている写真を見つけるだろうか】
【簡素な写真立てであった、けれどもしっかりとした作り、きっと安くはない品物で、そして、────】
【一組の男女が映っている、きっと、貴方には分からなくて、きっと、貴女には分かる筈で】



【──── 無表情のブランルと、少しはにかんだ魔女と、──── 二人のツーショット写真】



【記念写真と呼ぶにはあまりにも寂しかった、けれどもそれが、丁度良いと写真の中の彼女が言う様に】
【固く結ばれた二人の手が、確かな愛を示した】

828 ◆zqsKQfmTy2:2018/09/11(火) 22:54:52 ID:6IlD6zzI0
>>819

【同性相手にドキリとするのはエーリカにとって何ら不思議な事ではない】
【だが、微かに綻んだ口元を始めとして深い蒼の双眸と芸術的な魅惑の肢体は】
【確かに、妖しく心を揺れ動かして。それに併せて心臓の鼓動が高鳴っていく】

【同時に。人のモノとは思えない冷たさはエーリカの心に刺さる棘の様に】
【別の言葉に例えるなら冷却水の様に。宛ら、熱くなる頭を覚ますブレーキだった】


……エーリカ。私はエーリカ。覚えてないのも仕方ない、か。


【苦笑に紛らすのは、自分勝手な期待と失望】
【それでも気を許した相手に見せる慈愛に満ちた微笑を浮かべる】

【"ああ、変わらない。吸い込まれる様な真っ直ぐな瞳と子猫の様な振る舞いは"】
【だからこそ、思い出して欲しくて――エーリカはあの時と同じ行動を取る】


けど、少し悔しいかな。私一人が空回ってるみたいで馬鹿馬鹿しくなる。
だからさ、こうやって――抱擁を交わした相手の事を覚えてないのかい?


【真っ直ぐな眼差しで疑問しか向けてくれないなら、直情的な行動で思い出してやる】
【そんな子供染みた意地から、眼前の少女の身体をぎゅっと強く抱きしめる】
【獣みたいにがばっと襲い掛かって抱きつくものだから、勢い余ってベッドに押し倒す形になるのだろうか】

829 ◆XLNm0nfgzs:2018/09/11(火) 22:58:41 ID:BRNVt/Aw0

>>811

厳島さん……
【よく見知った相手に話しかけられ少女はふと安堵したような表情を浮かべる】
【取りあえず彼がいるのだからこの場はなにやら訳の分からないものを信じても大丈夫なんだろうな、と判断して】

【何故此処に、と尋ねられれば少女はふと表情を曇らせる】

……夕月ちゃんが、先日此処に拐われました
幸い取り戻せたのですが……
私はその時何も出来なかった……その場にすら居なかった……
夕月ちゃんはそれでも良いんだって、待っててくれるだけで良いんだって言ってくれたけど……!
やっぱり……友達としてこの案件は放っておけなくて……
それで……虚神や<harmony /group >の事を調べてたら奇妙なメッセージがきたから……
罠かもしれないけど乗らない手はないって思って……

……危ない事してごめんなさい……
【少女は何処か悲しげに笑って】


>>820

【思いの外簡単に見つかってしまった夕月のデータ】
【少々の焦りもあったのだろう、その違和感にも気付きもしないで】
【少女はそのレポートをパラパラと捲り出す。虚神……虚神……それっぽい名前とか……なんて呟きながら】

あぁぁもう!分かんない!そっちの分野とか全然知らないんだけど!
否、そもそもこっちの大陸の技術とかあんまり分かんないし!せめて画像とかないのー!?
【ぼやきながら閉じかける資料。もしかしたら後ろの方から見たら早いかもしれないし索引とかあるかもしれない、なんて馬鹿な事を思ったのだろう。ふと一番最後のページを捲って】

【目に入ったのは英数字の羅列。パソコンで使うものだ、というのは分かっていて】
【その上にはご丁寧に『添付データ』なんて書いてあるし、もしかしたら画像などは此方に纏めてあるのかも、なんて考えたのだろう】
【近くにあったパソコンを起動し、ネットワークに接続し、URLを打ち込む】

830 ◆1miRGmvwjU:2018/09/11(火) 22:58:45 ID:hEXW.LLA0
>>824


「入ったら死ぬってさ。」「趣味悪いよね ─── 開けて損したよ。」
「 ……… この辺のコンソールじゃアクセス権限足りないかも知んないし、そうだね。」
「ボクたちはこの辺りを漁ってみるから、 ─── 他の所に手を付けて貰えると、嬉しい。」

【 ─── あまりにあっさりと言ってのけた。あと数歩ほど誤っていたら、自身は死んでいた。然しそれは彼女らにとって日常に違いなかった。】
【然し何れにせよ敵襲の可能性は薄いように見えた。ならば人手を無駄にする策はなかった。 ─── コンソール以外にも、調べられそうな物証は転がっているに違いないから】


>>826


「 ……… ワーカホリックめ。」「やる事やっといて、もう少しマシな考察してくんないかな、本当に ─── 。」

【 ─── 遺灰を収めた小瓶は、あの日からずっと懐に収めていた。狂おしいほど憎いのは変わりなかった。死んで当然の人間だと思うのも憚りなかった。】
【それでも最期に演者でなく、人らしく死ねたというのなら、その遺志は己れが継がねばならぬ。そう彼は信じていた。ともあれ、示された"結論"については】
【とても腑に落ちたとは言い難い顔をしていた。アリアも、ミレーユも。 ─── 心折れぬ人間なら、これだけ殺さずとも、それなりに転がっている。】
【であれば矢張り異邦の人間であった事が肝要だったのか。 ……… ソニアの素性について、どこまで彼らが調べられていたのかも、胸裡に引っ掛かったが】


「 ……… ジャ=ロへの"対抗神話"も、探さないといけない、よね。」


【その為に2人は此処に来ていた。故に、「INF-004の虚神としての能力について調べる。」事物に"絶頂"を齎すという異能を、どのように検証し、実証し、確証したのか。】
【具体的な実験とその結果などもあれば御の字であった。 ─── それでもまだ、調べたいことは山とあった、から。】

831 ◆zO7JlnSovk:2018/09/11(火) 22:59:28 ID:hvE.Nv4Q0
>>823

【──── 正しく予期せぬ来訪者であった、もし他の探索者と会えば戦いは回避できまい】
【それだけのリスクを負いながらも来訪するのは如何なる所以か、それを辿るにはあまりにも情報が足りず】
【兎に角オフィスへと忍び込んだ異形は容易にパソコンへと接続できるだろう、お茶の子さいさいである】


  【──── そして、それは正しく "解を得ていた" 彼が忍び込んだオフィス、最上階から最も近いその場所】
  【本来ならば、探索者達から最も遠い場所であった、だからこそ、カチューシャはエーリカを招き入れた】
  【けれども招かれざる来訪者は、それすらかいくぐり、そのパソコンへと辿り着く】


【──── 嵯峨野 鳴海、彼の使っていたコンピュータへと】


  【厳重なプロテクトが掛かっていたが、ハッキングツールを駆使すれば少しずつ解読できるだろう】
  【どうやら嵯峨野 鳴海は幼い頃からマメな性格であった様だ、彼のパソコンには逐一メモが残されている】
  【彼の来歴や仕事に至るまで、情報を集中して調べれば求める内容が手にはいるかも知れない】

832 ◆zO7JlnSovk:2018/09/11(火) 23:04:42 ID:hvE.Nv4Q0
>>824>>830

【ライガが周囲へと視線を向けたならば、別の棚が存在しているのが分かるはずだ】
【あまり趣味の良い品ではなかったが、それは犠牲者の一覧を軽くファイリングしたものであった】
【簡単な顔写真とデータ、そしてどう死んだのか、までが記述されている】

【──── 辿っていけば分かるはずだ、今のところ実験での成功例は "三例" しか記されていない、と】



【 "INF-004" の記述は存在していない、あくまで<harmony/group>としてのソニアの解釈は "カチューシャ" であった】
【だとすれば、ミレーユとアリアならば推察出来るだろう、<harmony/group>内部の力関係について】
【フランツや魔女、彼らと嵯峨野は根本的に違うビジョンを見ていたのではないか、と────】

833 ◆Sls3ncFnzY:2018/09/11(火) 23:08:25 ID:WMHqDivw0
>>805
HAHAHA、少し遅刻してしまったかなあ。
前回余り良いところがなかったし、少しは働いておかないとせっかく来た甲斐がないってものだよ。

【皆より幾分か遅れて姿を現したのは以前もロールシャッハとの戦いの折、姿を見せた金髪の男と、それに付き従う盲目少女の姿】
【男はパッチワークのように様々な柄を継ぎ合わせた民族衣装のような服を、少女は安酒場の踊り子のような露出の高い衣装を纏っている】
【陽気な様子で姿を見せたものの、そもそも探索については門外漢では有って】
【ハッキングの類も必要ならリーイェンに任せっきりでは有るだろう】

【ディーもギンプレーンよりは賢しいものの、如何せん目が見えないことが足を引っ張る】
【要は二人でようやく一人前――いつものことだ】


とはいえ、もうみんな色々調べ始めているし、ボクが調べるところは残っているかなあ?


【掌を額に当てて見回すような仕草をしつつ、緊張もなく、施設の中へと入り込んでいく】
【思ったよりも小綺麗な施設内に隠しきれない不穏な匂い――しかし男は変わらぬ笑顔のまま、研究室へと入って行く】
【先客がいるならば陽気に挨拶くらいはしたかも知れない】


【傍らの少女が裾を引く】


…分かってるよ。ボスのお使いだ。きっちり仕事はしようじゃないか。


【そう言って金髪の男は研究所のデータを漁り始める】
【研究記録でも実験結果でも何でもいい。探すのは、"嵯峨野とロールシャッハの境目"に成り得るような記述だ】
【彼は一体いつから、何をきっかけでロールシャッハに乗っ取られたのか。まずはそこから探すとしよう】


//遅くなりましたが、こんな感じで良いでしょうか?

834 ◆zO7JlnSovk:2018/09/11(火) 23:11:05 ID:hvE.Nv4Q0
>>828

【首筋を透かす、その白磁の色合いは白鷺の羽根に似ていた、何処か雅な彩りを携えて】
【白銀が重なったならそこに浮かび上がるのは、神秘的な無垢とも言える、混ざる幾重もの文化の破片】
【世界中の思い描く美を集めて形取ったみたいに、彼女はその形を示して】


──── んぅ……わぁ……


【押し倒される彼女、投げ出された両脚が絡まって、瑞々しい素肌が重なる】
【前髪が素肌に張り付いて、呼吸が重なるぐらいの距離感にまで顔が近づくのだろう】
【少し眠たげな目尻が擽ったそうに瞬いて、そうしたなら乳白色の柔肌に熱が籠もる】


やぁなの、カチューシャが忘れるわけないの、お姉様のこと、ほんとよ、本当
少し寝起きにぼーっとしてただけだかなの、それはだれでも、そうでしょう
特にカチューシャは朝が弱いもの、早起きするのは殿方の定めだから

──── そうして私は徒に、貴女を寝床に誘うから


【言葉は何処かふしだらに、それでいて何処までも慎ましく、或いは確かに淑やかに】
【呼吸をするかの如く貴女の腕に抱かれる、その温もりが心地よくて────】
【その空間は静謐に満ちていた、絹のこすれる音だけしか響かないみたいに】

835 ◆S6ROLCWdjI:2018/09/11(火) 23:11:53 ID:WMHqDivw0
>>827

(……なにこれ。エッセイ読みに来たんじゃねえんだぞこっちは、……あーもう。めんっどくさ……)

【内心の舌打ちは相変わらず。歯軋りすら起こしそうな勢いで読み進めていく、そうして】
【自我がどうこう言う記述を見る。……率直に、解離症状に似たものだと解釈した】
【似たような症例はいくらでも見てきた。苦痛に耐えきれなくなった被験体が、自身に起こっていることを】
【他人事として俯瞰視し始める。そういうのに――飲まれる、というのなら】

「ソニア」の自我は、……完全に蝕まれたのか、否かだよな。考えるべきは。

【さらに続きを読み始める。「ソニア」は、完全にカチューシャに飲まれてしまったのかどうか、その記述を探して】


【――――一方。青年は当たり前のように写真立てを、何の遠慮もなく手に取ったなら】
【中の写真だけ抜き取って、ポケットに入れた。それだけ。したら、女のそばに戻っていく】

【(どうせこの建物、もっと他の人々にくまなく探されるんだ。そうなったらこの写真だって押収される、かもしれず)】
【(かといって放っておかれても、いつか黄ばんで朽ちるだけ。それなら。……そう思ってのことだった)】

836 ◆S6ROLCWdjI:2018/09/11(火) 23:12:55 ID:WMHqDivw0
>>824

「や、どうも。僕ぁここで主任研究員やってた女の研究ログを漁りに来た。
 ……知り合いだったもんでね。拾えるモンがあるなら、拾っておきたいじゃない」

【そう言う女もまた、白衣姿。なれば彼女も研究職であることがわかる、そして、ここの研究員とも懇意だったと言って】
【其方に目を合わせることもなくずっと資料のページを捲り続けていた。その中身は、今解読している真っ最中】
【だから特に目ぼしいものはない。……そう、「嘘を吐いた」。何のためだったろう、あからさまに正義の味方面した男が気に食わなかったか】
【あるいは――「知り合い」の遺した成果を、誰にも渡してやりたくないと思っていたのか。とにかく女は、にべもない態度を取る】

//ぐえーまた見落とし、すみません……

837カニバディール ◆ZJHYHqfRdU:2018/09/11(火) 23:15:41 ID:IBKicRNQ0
>>831
【新楼市。異形どもの新たな塒には、あらゆる物が集まる。金も人も情報も】
【異形はかねてより、新楼市においてコネクションを築き上げ、可能な限りの情報を集めるよう努めていた】
【あるいは、サーペント・カルトとの敵対を経てサクリレイジの、蜜姫かえでの病室の記憶をアレクサンデルのキノコを通じて見たことで外務八課を】
【それぞれの存在を掴んでいたことも、大きかったのかもしれない】

【ともあれ、相応のリスクを払いつつ異形は己の利を求めて動き出す】
【問題なくオフィスに潜入を成功させる。隙を突いて体内に入り込むウイルスの如くに】
【名も知らぬ女性が先駆けとなったという幸運もあり、異形はそれにたどり着く。求めていた情報は、ここにあるはずだ】

【幸いにして、自分と同じく几帳面な男と見える。記録は詳細かつわかりやすい】
【カニバディールは、嵯峨野 鳴海の情報に集中してパソコンへのハッキングを続けた】
【同時に、その背中から人影が一つ滲みだすように現れる】

……スカーベッジ。見張りも兼ねてオフィス内を探索しておけ

「了解ですぜ、ボス」

【首領と同じく、黒い潜入用特殊スーツに身を包み、両耳と口元の鉛色のピアスと鉛色の瞳だけが薄闇に浮かぶ男】
【カニバディールの腹心、スカーベッジはオフィス内の書類棚を狙って動き出す】

【こちらが探す情報は、<harmony/group>が企業として活動していたことに関するもの】
【金の動き、物の動き、人の動き。表向きの隠れ蓑としてここがあったなら、その表向きの動きの中に隠れているものがあるかもしれない】
【盗賊どものきゅう覚は、果たして何かを嗅ぎ当てることが出来るか】

838厳島の中 ◆rZXDD3W69U:2018/09/11(火) 23:17:21 ID:6.kk0qdE0
>>829

「つがる……そうだったのか……」
「すまない、つがる、夕月、俺はその場に居れなかったばかりか、その事すら知らなかった」
「そうか……そんな事が……」

【そして、再びつがるを見据えて】
【そして、その意思を強さをしかと感じ取って】

「解った、だが、もし何か危ない事があったら、助けを呼んで直ぐに逃げるんだ」

【研究室】

「つがる、何か見つかったか?」

【harmony/planの資料を片手に】
【資料とそしてPCへと調査にかかるつがるを覗き込むように、そう聞いて】

>>830>>832

「……」
「解りました、その、お二人も十分……気を付けてください、今更ですが」

【随分と軽く、そしてあっけなく、命の危険があったのにも関わらずこう言ってのける】
【その様子に、何とも言えない表情を浮かべつつ、こう告げて独自に調べ物を開始しようと周囲を見渡すと】

「!?これって……」
「実験の、犠牲者の一覧……」

【唾を飲み込み、そしてそれを手に取り一枚一枚捲って行く】
【決して快い物では無い、有体に言うならば胸糞の悪い代物だが】
【何か、何か手がかり足がかりは無い物かと、ゆっくりと閲覧して行く】

839 ◆1miRGmvwjU:2018/09/11(火) 23:18:16 ID:hEXW.LLA0
>>832

【梨の礫であった。またも嘆息する。 ─── "彼女"がエカチェリーナであるという認識は、そこに無かった。】
【疲れたような顔を見合わせる。考えていることは凡そ同じだった。それくらいには付き合いが長かったし、分かり合っていた】


「 ……… "魔女"は、虚ろの神なんて知らなかった。そういうこと、なのかな。」
「 ──…… 何故、知らせなかったのかしらね。社長は兎も角、イカれた研究員であるなら、真実を知っていても可笑しくないのに」


【その疑問に回答するには幾らか手掛かりが足りなかった。ならば別の旅程を以って、抗う神話を探さねばならなかった。】
【「嵯峨野、あるいはロールシャッハの記した論文を検索する。」 ─── 特に、"死"や"ジャ=ロ"、"Akzeriyyuth"等の単語をハイライトしながら。】
【少なくともロールシャッハの口ぶりでは、"罪の因子"としての虚神は嵯峨野も認識していたようだった。ならばこのアクセス権限でも、そちら側の思考を辿れると信じて】
【 ─── 即ち、"彼"が"死"を如何様に考えていたのか。敵愾か、恐懼か、或いは ─── 妬心か。揮発性メモリに残された情念の片鱗を、辿る先に見出せるのではないかと】

840 ◆zO7JlnSovk:2018/09/11(火) 23:18:23 ID:hvE.Nv4Q0
>>829 >>838(厳島) >>835(ブラスフェミア、オムレツ)



『ひぎぃいいいい!!! いやぁああああ!!! ぁぁあっ!!! ぎぃ!!!
 っ────!!! ぃぐぅ……!!! はぎぃいぃいい!!!』



【響き渡る絶叫、研究施設に居る、厳島、ブラスフェミア、オムレツにも聞こえるだろう、そして────】
【それは紛れもない "夕月" の声であった、そして恐らく、最も聞きたくない声だろう】
【画面の中には動画ファイルがあった、打ち込まれていきなり流れる点に制作者の悪意があった】


【大きな瞳を限界まで見開いて、狂気の如く髪を振り乱す。嗚咽とも苦悶とも分からぬ声を漏らして】

【画面の中にはい居た、拘束台に四肢を伸ばす形で拘束された夕月の姿が】
【そして、両手と両足の先端にあてがわれているのは "卸し金" であった】
【それも金属で出来た巨大な鉄板に、菱形の突起が所狭しと並んで】

【それはまるで吐き出した臓物に似ていた。時折見える白い残滓は皮下脂肪の名残だろうか】
【手首、足首、摩り下ろしてもまだ止まらない、ビクンビクンと何度も大きく跳ねる】

【大きな瞳を限界まで見開いて、狂気の如く髪を振り乱す。嗚咽とも苦悶とも分からぬ声を漏らして】
【やがて両手両足が摩り下ろされ、四肢をなくした夕月の姿がアップになって映像は終わるだろう】


【──── そして、画面はフォルダ一覧へと戻る、動画ファイルが何十、何百と存在していた】
【サムネイルを見てはいけなかった、その動画ファイルの主が誰であるかはっきりと分かってしまうから】
【そしてつがるは否応なしで、夕月に起こった子細を把握するのだろう】

841 ◆zO7JlnSovk:2018/09/11(火) 23:21:52 ID:hvE.Nv4Q0
>>833

【二人が入ってきたのは何時ぐらいの時間か、その場には既につがる、ブラスフェミア、オムレツ、厳島が居た】
【先述した様につがるが動画ファイルを開いてしまった為、挨拶できる状態ではないかもしれないが】
【金髪の男はデータ収集を始めるだろう、研究施設内には沢山のデータが存在しているが】


【その多くはカチューシャやもう一人の成功例 "トゥイーギ=ラミレズ" に関するものであった】


【嵯峨野に関する記述は殆ど存在していない、空振りと言ってもいいだろう】
【ロールシャッハもまた、出てくる記述は夕月という少女の脚に移植された、という文言ばかりであった】
【或いはまた、別の場所ならば欲しい情報が存在しているかもしれない】


/はい! 大丈夫です!

842厳島の中 ◆rZXDD3W69U:2018/09/11(火) 23:24:22 ID:6.kk0qdE0
>>823

「……そうか」
「研究員だった女、と言ったか、その知り合いは……」

【そう答えたのは、いかにもと言った格好の白衣の女性だった】
【資料を閲覧しつつ、こちらには視線も寄越さずに、そうそっけなく答えた】
【人を寄せ付けまいとするような、その言動だが、ふと何かの違和感を覚え】

「君も研究者の様だが、君とそして知人はどんな研究を?」
「『嵯峨野鳴海』『カチューシャ』この名前に聞き覚えはあるか?」

【引っかかりそうな用語を投げてみる事にした】

843 ◆zO7JlnSovk:2018/09/11(火) 23:28:16 ID:hvE.Nv4Q0
>>835

【──── NTDという記述があった、此方もまたブラスフェミアは思い至るかもしれない】
【オーウェル社、この世界に存在する大企業、そしてその企業が生み出した記憶に関するデバイス】
【一時的な記憶処理を可能とするデバイスであると、裏社会に詳しい人間なら知っているだろう】


  【 "NTD" を用いて自我を忘却させる、そうすることで人格を安定化させることに成功した 】


【端的な記述であったが、NTDを知っていれば理解できるだろう、そうして安定化した人格がカチューシャであると】
【そしてその文言は更に続いた、NTDは未完成であり、定期的に記憶を消去しなければならない】
【加えてそれは非常に負担がかかるものであった、折角の成功例を壊すわけにはいかない】


  【 ──── 故に私達はひどく原始的て、とても効率的な方法を選択した 】


【それが条件付けであった、徹底的な暴力と快楽の刷り込み、──── 歪んだ価値観の押しつけ】
【今のカチューシャという存在を作り上げたのが、その条件付けであったとすれば、何が行われたかの想像は付く】
【鞭やら拘束具やら、或る意味でオペラントな条件付けとも言えるのだろうけども────】

844 ◆S6ROLCWdjI:2018/09/11(火) 23:31:26 ID:WMHqDivw0
>>840 >>つがるちゃん >>厳島さん

【――――悲鳴の、上がる直前の息遣いがスピーカーから流れてきた時点で。女は気付いた】
【そして視線を資料から引き剥がして目を見開く、警告を叫ぼうとして――もう、遅かった】
【見るなと言おうとしたのかもしれない。止めろと言おうとしたのかもしれない】
【けれどそれを言えもせず、口をぽかんと開いたまま硬直してしまうのだから――ああ、だけれど】

【……足音がする。ゴムの靴底、スニーカーにて地面を踏み締める音。女のそばに立っていた青年が】
【静かにつがるのそばに歩いて行って、叶うなら彼女の両肩をやさしく握って、パソコンのそばから離してやって】
【そうできなくても。次の瞬間には――――拳を振りかぶるのだった】


【(轟音)】


【――――パソコンが素手にて破壊されていく。モニターも、本体も、全部、何もかも。がらくたにされてって】


「……………………エッシャー。エッシャー、聞こえる?
 まァだあの動画残ってんだけど。……削除しといて、絶対、痕跡も残さないで。URL、送るから……」

【……のろのろとした動作で青年を追ってきた女が。つがるの見ていた資料を覗き込んで、スマホを取り出し】
【リーイェンにテキストデータを送信する。忌々しき、「添付データ」の痕跡を。……そしたら魔女の資料のもとへ、戻る】


>>842

「どんな研究ってのはお答えできないね、自分からタネ明かす手品師なんているもんか。
 ……嵯峨野はここの偉い人。カチューシャは勿論知ってるよ、カノッサの3番目だろう?
 ニュースで見たことあるだけだけど、聞き覚えって言うなら、これでも該当するでしょう?」

【……やはりどうしても、冷たく突き放すような態度しか取らない。けれど先程の一件で垣間見せた、】
【少女――夕月の悲鳴にいち早く反応した、ような仕草。きっと何か関係はあるんだろう。……それだけは、はっきりわからせる】

845 ◆zO7JlnSovk:2018/09/11(火) 23:33:53 ID:hvE.Nv4Q0
>>837

【<harmony/group>の表向きの活動は一流企業のそれであった、製薬会社としての高い評価】
【少なくとも外聞的には問題のない企業であったのだろう、社長であるフランツのやや強引な手腕は批判を浴びていたが】
【そして、表向き "嵯峨野 鳴海" は企業の経営には関わっていなかった、裏の顔として隠していたのだから】


  【一方カニバディールは嵯峨野の内面を時系列順に辿る事が出来るだろう、それ程までに記述は充実していた】
  【曰く、元々エリート意識の高い人間であった、選民意識とでも呼ぶべきか、自身のこと相当に優秀と思っていた様だ】
  【また、早い段階から "カノッサ機関" の記述が出てくる、──── どうやらそこともコネクションを持っていた様子であった】


【──── 機関のデータベースにアクセス出来たならば、また別の側面から辿れるかもしれないが】
【ある時期までは嵯峨野 鳴海はエリートであった、申し分無い経歴で "公安部" へと配属される】

846 ◆S6ROLCWdjI:2018/09/11(火) 23:37:29 ID:WMHqDivw0
>>843

(………………なるほど。じゃあもう、ソニアは「ダメ」か)

【ぺらり。NTDの記述、そこまで読んだらもう「ソニア」に対する興味は失せたのか、頁を捲るスピードが戻り】
【……けれどそれもまたつっかえる。ひとつの単語を目にする。瞬きの間隔が長くなって、】

……オペラント。オペラント、………………、えっ、

【口にしたのは心理学用語のはずだった。だけどこの名を使う男をひとり知っていた、それだけの話だが】
【偶然、……とはもう思えなくなっていた。だってすでに、偶然だと思っていたことが、仕組まれていたことだったと】
【そう気づかされる過去を味わったから。……目を見開く。口元を押さえる。そうして】

まさか、………………ソニアの「仕入れ先」?

【口をついて出る疑問。まったく根拠のない予想ではあったけど、――――】

847スクラップズ ◆ZJHYHqfRdU:2018/09/11(火) 23:44:27 ID:IBKicRNQ0
>>845
「……ダメですね、ボス。少なくとも表の顔では、徹底的に後ろ暗いところを包み隠してやがります」
「例の嵯峨野ってのが、経営には手出ししてなかったのがでかいようですが……」

流石に連中も、そこまでの迂闊は晒してはくれないか。まあ仕方あるまい
だが、こちらはそれなりの情報が出て来たぞ。元より選民意識の領域にあったエリート思想……我々の嫌いなタイプだな

機関との繋がりがこの時期からとは初耳だが……スカーベッジ、機関データベースと照合だ
「わかりやした!」

【二人の盗賊は、更なる奥への侵入を試みる。エリートとしての道をひた走り、公安部へと配属】
【問題はこの後だ。この男に何があって、神の領域にまで引きずり込まれる羽目になったのか?】
【カノッサ機関のデータベースへのアクセス権は未だ生きている。参謀ソーン、会計係コマチ、円卓の王ジルベール。三枚分の後ろ盾の成果だ】

【ナンバーズ権限で可能な限りの情報を引き出し、並行してハッキングして引き出した情報と照合していく】

848ギンプレーン&ディー ◆KWGiwP6EW2:2018/09/11(火) 23:45:15 ID:WMHqDivw0
>>841
【先客に対して挨拶をしようと思っていたが、聞こえて来る音声に、取込み中であることは容易に伝わった】
【肩を竦めて、資料を漁り始めるも、めぼしい情報はない】
【カチューシャと言うのは、エカチェリーナの元になった少女だったか。興味は有るには有るが、ホットな話題だけに他のメンバーがとっくに漁っていることだろう】
【"トゥイーギ=ラミレズ"……と言うのも聞いた名前だ。…成功例、とは一体何を以て"成功"としているのだろう】
【ロールシャッハに関する記述は――……夕月に移植されたのは、シャーデンフロイデと聞いていたが、ロールシャッハの遺伝子も含まれていた?】


何だか笑顔の男はお呼びでもない雰囲気だし、他の場所を探してみよう。
研究データに分かり易い癖が有れば良かったんだけど、そこまで迂闊ではないか……


【そう言って、男は探索場所を変える】
【公に出来る場所に痕跡を残していないのだとしたら、他の場所はどうだろう?】


うーん、リーイェン。
社員用のPCとかから、ネットワークを辿って嵯峨野本人の日記とかメモとかを見付けられないかな?
研究用のPCとは別のセグメントかも知れないけど。

849 ◆zO7JlnSovk:2018/09/11(火) 23:45:33 ID:hvE.Nv4Q0
>>838

【ライガにとってそれは苦痛に彩られた作業であろう、それは同時に美徳であったのだが】
【──── 諜報員としては、或いはその身を置く存在としては致命的な弱点なのかもしれない】
【どうしようもない優しさは、時に自らを傷つける可能性を持つ、徹底的な刃になりうるのだから】


  【数少ない実験の成功例の一人、"トゥイーギ=ラミレズ" に関してはライガにとって見覚えがあるかもしれない】
  【通り魔として多くの傷害、殺人事件に関与していた、ライガが注意深くニュース等をチェックしていれば、だが】
  【しかし、矛盾している、──── <harmony/plan>とは罪の因子を取り除く計画であった、のに】


【生まれた成功例が犯罪の権化と化しているのだ、一体どういう作用であるのか】


>>839

【──── 正否を判断するには情報が足りない、けれども確からしいのはそうであった】
【そしてアプローチを変えたのもまた正解であった、ロールシャッハはある種、不愉快な事に自身を脚本家とし】
【この試み全てを何処か戯曲であると捉えている節があるのだから────】



【──── 辿り着くのはある種の必然と言えよう】



  【  ──── それはあまりにも唐突な文言であったから、それは十分に意味を持っていた  】
  【  『死に至る病』──── ロールシャッハの名が冠された論文が、そのネットワークに残されている  】
  【  ある種不敵な挑戦状の様にも思えるだろうか、そして何処までも質の悪い病に似て  】



【開いたならば、それは確かにロールシャッハの記した文章であった、ひどく芝居がかった切り口であったが】
【そこに記されているのは "敵意" ──── 明確にロールシャッハがジャ=ロを敵と認識している事実】
【その理由は示されていない、けれども文章からは幾つかの仮定が記されていた、どうすればジャ=ロを殺せるかについて】

850 ◆XLNm0nfgzs:2018/09/11(火) 23:46:07 ID:BRNVt/Aw0

>>838

【研究施設、資料を手にぼやく背に厳島が話しかける】

うーん、夕月ちゃんの実験データは見つかったんですがどうも訳が分かんなくて……やっぱりこーいうのは駄目だなぁ……
あっ!でも今添付データっていうの見つけたんでこっちに何か──
【言いかけてエンターキーを押して──】


>>840 >>844

【突如、響いたのは友人の声】
【画面の中、泣き叫び赤い髪を振り乱す一人の少女】
【似ている──違う、本人だ】
【否、そんな訳はない。だって、あの子にはちゃんと手足があったじゃないか】
【帰ってきてくれたあの日、いつもみたいに赤い靴を履いてやってきた。自分の手をとってくれたその手は初めて会ったあの日と同じ温度で──】

【じゃあ、これは──】

な、に…………?
【少女は呟き、後退る。椅子が倒れてしまったかもしれないけれどもそんなものは気にしなくて】

【こんなの嘘だ】

【だって、これが本当だったら自分は何て酷い事をしていたのだろうって、だから】

【こんなの嘘だ】

【こんなの嘘だ】

【嘘だ】

【嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ】


【優しく掴まれた両肩。それにも気付かないで】

【ふと我に返ったのは、パソコンそのものが破壊された時】

……ぁ……
【少女は小さく声を上げて、そうしてゆるりと周囲を見渡す】


……あー、すみません……今の私です、へへ……
【へらり、と笑って頭を掻いてみせて】

【何でもないような振りをするのだけれども】

【その目は少し虚ろで、涙の膜が張っていて】

851 ◆zqsKQfmTy2:2018/09/11(火) 23:49:38 ID:6IlD6zzI0
>>834

【勢い余って押し倒せば、この世界で目覚めた時と同じ様な距離感】
【いやそれよりも近い。互いの息遣いが聞こえる。互いの熱が通い合う】
【豊かに実ったカチューシャの双丘を押し潰して、其処から自身の鼓動の高鳴りが伝う】

【息は触れ合い、身体は重なって。余す所無く自身の気持ちを伝えてくれる】
【二人しか居ない世界は、子猫の様な少女を独り占めしてる気にさせてくれた】
【"会えて嬉しい。やっと会えた"――などと屈託の無い笑みを浮かべて】


ははっ、この物言い。私の知ってるカチューシャだ。
やっと思い出してくれたか。この愛玩動物め。私は出会ったあの日からずぅっと覚えてたのにさぁ。

それに自分から誘っておいて「貴女だぁれ」なんて言われた日には傷心じゃ済まないっての。
だから抱きついたまま離してやんないもんね。嫌って言われても聞き入れてあげない。

だってあんな事言われたら、私が横恋慕してるみたいだし。
誘ったんだからコレ位は良しとするんだろう?

【親愛の情からの言葉には棘なんて無くて、子猫同士のじゃれ合いの様相で】
【腕に抱いたカチューシャを手放さず。依然として抱き留めたままこの遣り取りを愉しんでいた】

【だがこの抱擁とわがままな言葉は、胸中に渦巻く不安を掻き消す様な過剰なスキンシップでもあり】
【必死にカチューシャが虚神・エカチェリーナである事を認めたくないが故の振る舞いであった】

852 ◆zO7JlnSovk:2018/09/11(火) 23:50:23 ID:hvE.Nv4Q0
>>844>>846

【破壊されるパソコン、──── 其れは確かな、消えぬ怨嗟を伝えてくる様で】
【リーイェンは軽く返事をして了承するだろう、データ上は消したつもりでも、URLまでは見過ごしていた様で】
【──── ブラスフェミアは感づくだろうか、まるで仕組まれたみたいに、つがるが動画を見てしまった事に】


  【 ──── そうなってしまうと、彼女がそう疑うのも仕方ないだろう、その疑問に答えることは出来ない 】
  【 けれども彼女には伝手があった、彼女にはパイプがあった、彼女にとってオペラントは良い "取引先" であったのだから 】
  【 やるべき事、出来る事が一つ増えたと言っても良かった、そして、すべき事を示していた 】


【丁度探索は一息ついたとも言えよう、これからの行いはまた貴女に委ねられる】

853厳島の中 ◆rZXDD3W69U:2018/09/11(火) 23:53:05 ID:6.kk0qdE0
>>840>>844

「そうか……すまなかった、愚問だったな……」

【不快そうに、そしてあくまでこちらへはにべもなく、取り付く島もなく答える】
【どうにも、違和感は残るが保守しなければならない何かがある、そう言うのであればそれ以上の追及は出来ない】
【さらに資料を、必要があればリーイェンに頼みハッキングをと、そう考えたその時だった】

「ッ!!??」
「つがる見るな!!!!」

【叫び、咄嗟に傍らのつがるの視界を覆おうとした】
【だが遅かった、そして彼らは早かった】

「……」
「状況が、変わったな……」

【男により破壊されるPCとディスプレイ、何かの通信を無心で行う女性】
【白衣の女性に拳銃を突き出して】

「夕月の関係者か?」
「知っているな?これは……どういう事だ?」

【明らかにその状況と、その見るに堪えない少女を知るであろう女性に】
【先ほどまでとは全く違う、質問では無く、尋問を開始した】



――何より大事な出来事、生きている、今夜を必ず前に進めなくちゃいけない――




>>841>>833

「……」

【破壊されたPCとその前で佇む少女、男性、そして男女】
【男性は女性に拳銃を突き付けて、その視線だけを二人に向ける】
【恐らく、二人が入って来た時にはこの様な状況が展開されているのだろう】

854 ◆zO7JlnSovk:2018/09/11(火) 23:55:39 ID:hvE.Nv4Q0
>>847

【カノッサ機関のデータベースにアクセスすれば、その側面から "嵯峨野 鳴海" という存在を見ることが出来る】
【どうやら、カノッサ機関、その中枢部に軽くない関係性があった様だ、内容からは示唆するだけに終わったが】
【嵯峨野が<harmony/plan>を考えついたのも、その関係性が所以か、今のアクセス権ではそこまでしか分からない】

【けれども嵯峨野とカノッサの繋がりは示された、それは更に次のイコールを結ぶ】

【カチューシャが "No.3" としてナンバーズに配属されたのもそれ故だろう、或いは "黒幕" へのミッシングリンクが繋がるだろう】
【結局の所、カチューシャの行いも嵯峨野の思惑であるとすれば、それは本来の嵯峨野の目論見か、或いは────】
【既にその地点でロールシャッハが関わってきたのか、判断の基準が難しい点にあった】


【嵯峨野の記述を追っていけば、在る分岐点を見つけるかもしれない、──── <harmony/plan>】


【──── その最初の実験体は、他ならぬ "嵯峨野 鳴海" 本人であった】

855 ◆1miRGmvwjU:2018/09/11(火) 23:59:38 ID:hEXW.LLA0
>>849



「 ……… クソが。」


【ミレーユは吐き捨てた。アリアは微かに瞠目した。 ─── 彼女たちの探していた回答への鍵が、分かり易く其処に示されていた】
【やはり罠であるかもしれなかった。それでも踏み込まねばならなかった。ファイルのコピーを携行する独立式メモリに写して】
【そうして開くのは複製したファイルの方。バックアップを作るのと同時に、起動によって起こり得る被害を最小限に抑える試み。】
【それに失敗するならば仕方なく原本のファイルを開くのだろう。 ─── その内容に、幾度となくミレーユは酷い顔をして】


「 ─── 学部1回生でも書かない文章だぜ。こんなんで気取りやがって、笑わせる。」「中学生からやり直せや。」
「 …………… 片ッ端から校閲して、手前ェの死体にノシと一緒に突っ返してやるからな。 ……… 覚悟しとけよ。」


【語り掛けるような独白だった。遣り場のない感情の行く先 ─── 或いは、それが届き得ると信じていたのかもしれない。】
【とはいえ一先ずは、それを「読み進める」。具体的な方法が記されていればよかったが、この調子では望みも薄いか】
【ウヌクアルハイ。或いはシャーデンフロイデ。この二つを利用する方法ならば既に辿り着いていた。然らば求めるのは、それ以上の情報。】

856 ◆zO7JlnSovk:2018/09/12(水) 00:00:33 ID:hvE.Nv4Q0
>>848
/あ、完全にミスしてます、すいません
/ロールシャッハに関する記述は夕月ちゃんじゃなくて、ミィという少女にしておいてください!

【リーイェンは男の発信を受け取り、男の端末へと出現するだろう】
【相変わらずの仏頂面であった、或いは他の表情を全く知らないと言いたげに】
【待って下さいと少し逡巡する、そしてその仕草で十分であった】


  " アクセス出来る範囲の社内ネットワークだと難しいですね、痕跡も殆どありません "
  " ただ、その発想は悪くねーです、日記やメモに関してはネットワーク上に無いとしても "
  " スタンドアロンなPCや、或いはもっとアナログな方法で残されているかもしれませんね "


【そうして端末上に簡単な地図を示すだろう、ビル内の簡単な見取り図であった】


  " 上の階層に他の部屋と離れたオフィスがありますです、恐らくは嵯峨野本人が使っていたオフィスでしょう "
  " 此方に向かえば少しは求めている情報があるかもしれねーですね "


【──── 今まさに異形の肉屋とその配下とが居る場所を、リーイェンは示した】

857 ◆S6ROLCWdjI:2018/09/12(水) 00:00:39 ID:WMHqDivw0
//順番前後します、また、厳島さんに対してちょっと言い切りっぽく処理しちゃいます。すみません。

>>850

『……………………つがるん。帰んな』

【ぷすぷすと煙を上げ始める機械の残骸から引き抜かれた青年の拳は、あたりまえだがズタズタになっていて】
【血塗れのそれを、どうしようともせず。ただ垂れ流すだけ垂れ流して――つがるにもう一度、忠告する】
【ここから先、「これ」よりひどいものがあるかもしれない。だから。これくらいで泣くなら帰ってしまえ、と】
【……そんなことを言いたいようだった。けれど、怒りで茹った頭では、上手く言葉を紡げなくて】


>>853

「あーもう。……少なくとも、そのムービーを撮った犯人ではない。これはマジ。
 むしろ僕だって被害者なんだよ、……その動画に映ってる子の、保護者なの。……それ退けてよ、危ないじゃん」

【ひどく面倒臭そうに――けれど忌々しげに、厳島にそう返して。手で払うようにして銃口を退けたら】
【ぎり、と睨み付けるようにして弁明する。少なくとも嘘はついていないんだけど】
【そう受け取ってくれるかどうかはどうしても、厳島任せになるなら。はあと大きく溜息を吐くしかなくなるのだった】


>>852

「……、……クソ。どこまで馬鹿にすれば気が済むんだよ、クソ、どいつもこいつも――」

【吐き捨てるように呟いて。魔女の資料はもう、ほっぽりだすみたいに閉じてしまう】
【だけどやるべきことはわかった。「取引先」と近いうち、喋る必要が出てきてしまった】
【収穫はそれだけ。……それだけで十分だと思う、だって、他に何人も人がいるし、誰かが他に何か探してくれるだろうし】

「………………かえる。やるべきことは終わったから、……じゃあね、眼帯のミスタと猫少女。
 さっきの赤い髪の子の動画は――――なるだけ忘れてやってくれ。じゃなきゃ、……かわいそうでしょ」

【そう言い残して。女――冒涜者とお供の青年は、この施設を後にする。無茶な要求をその場に残して】


//というわけでタイムアップです、お先に失礼いたします! ありがとうございましたっ

858 ◆zO7JlnSovk:2018/09/12(水) 00:04:24 ID:hvE.Nv4Q0
>>850>>853>>857

【混迷する状況であった、兎に角つがるが見た動画は正しく意味を持っていたのだろう】
【そして同時に、つがるが認識してしまったのは、虚神による曖昧な謀略に似て】
【──── それこそが、つがるが手にしたレポートの真の意味であったと、誰が知るのだろうか】


  【去っていた二人を尻目に、その場には厳島とつがるの二人が残されている】
  【このまま探索を進めるか、別の場所を目指すか、委ねられた状況であるが────】

859厳島の中 ◆rZXDD3W69U:2018/09/12(水) 00:04:30 ID:6.kk0qdE0
>>849

「……っく」
「こんな事って……」

【資料に綴られた、死、死、死の痕跡】
【実験の記録、まさに苦痛、苦痛を味わい続け見せ続けられる作業に他ならなかった】
【その中で知った存在を見つけた】

「イトゥーギ・ラミレズ……こいつ、確か」

【外務八課データベース上で、何より警察官時代の資料とも重ねて、知っている】
【まさか、こいつも、そしてその資料を丹念に読みこんで行く】
【知っている存在だった、だが同時に違和感が襲う】

「おかしい、罪の因子を除去する実験の筈」
「あいつは、イトゥーギは罪を重ね続ける存在じゃないか、何で……」

【疑問を解消すべく、別の資料は無いか?】
【目を凝らし丹念にその棚を、周囲を調べる】

860ギンプレーン&ディー ◆KWGiwP6EW2:2018/09/12(水) 00:09:38 ID:WMHqDivw0
>>853
【剣呑に過ぎる様子であった】
【こんな場所で仲間割れもないのだろうが】
【見ていた映像が映像なら激昂する者がいるのも無理なからぬこと】


邪魔するつもりはないんだ、ミスター。
でも、貴重な資料が並んでいる場所だ。ドンパチする気なら、壊さないように暴れてくれると嬉しいね。


>>856
良いね。そりゃあ、大事なものをネットワークから辿れるような場所に置かないか。

【肉屋が現在、同じことを探索しているとは露知らず――】
【リーイェンの示す区画へと足を運ぶことだろう】
【気楽そうに見えても敵陣の中。警戒は当然敷いているのだが――】

【パグロームがカニバディールと居合わせたことは知っている。肉屋の部下と出くわしたとしても即激突と言うことはないのだろうが】


【移動する前に一寸気になったのは、ミィと言う少女について】
【現在進行形でロールシャッハの遺伝子を受け継いでいる彼女は一体、どういった立場なのだろう】
【ロールシャッハのバックアップに成り得るのだとしたら、少々ばかり気にかけて置くべきかも知れないが】


ま、良いか。ボスからは特に言われてないし。


【呑気な様子で、口にすると >>847 の現場へと足を運ぶのだった】

861スクラップズ ◆ZJHYHqfRdU:2018/09/12(水) 00:11:06 ID:IBKicRNQ0
>>854
【全てが揃っているわけではない。むしろ、異形どもはこの件について後れを取っている】
【虚神たちの計画に介入出来たのは、工場の一件とマルタでの戦いのみ。それ以外では、黒幕の刺客や数々の敵から無様に逃げ惑っていた】

【ようやく得たこの機会も、今の段階ではそう多くの要素は揃えられていない。しかし、何もないわけではない】

カノッサの中枢との繋がり……これが、長老派か? 黒幕どもとの繋がりはここからか……
「となると、あの元ソニア嬢がいきなりナンバー3に収まったのも、長老派の計らいですかねえぇ? 嵯峨野が引っ張ってきて、その座に据えたと」

恐らくはそうだろう。そうなると、次の問題は虚神の一柱……ロールシャッハの介入のタイミングだな
どの時点で彼奴は虚神の依り代となったのか……

【盗賊どもは、さらに駒を前に進める。そして、そこにぶち当たった】

これは……!? <harmony/plan>の被検体第一号は嵯峨野自身だと――――
「あのイカれた実験を自分自身に課したってんですかい!? なんとまあ……」

【ならば、この実験の直後。ここがロールシャッハの介入時期か。自分にとってはさらに近い脅威たるジャ=ロとの内輪もめの様相は?】
【虚神たちの名も交えて、盗賊たちはさらに調査を進めようとする】

【今、この場に他の探索者たちが迫っているという危機を知る由もなく】
>>860の二人がドアを開ければ、異形どもが弾かれたようにそちらに目を向ける場面に出くわすだろう】

862 ◆zO7JlnSovk:2018/09/12(水) 00:11:50 ID:hvE.Nv4Q0
>>851

【気ままなものであった、屈託のない笑みを浮かべるエーリカに対して、彼女は無表情のままで】
【でもそれは異国の少女に何処か合っていた、仕草をしないのじゃなくて、仕草を知らないだけみたいに】
【貴女ならきっと分かる、貴女ならきっと分かってくれる、これが彼女の微笑みなんだって】


もぅ、お姉様ったら大胆なの、カチューシャまだシャワーも浴びてないの、ふふ、それともね、そーれーともっ
お姉様は此方の方がお好みかしら、変わった趣味を持ってらして、飾らないカチューシャが好きかしら
だって私は下着の一つも付けてないのに、お姉様ってば離してくれないもの

──── でもね、でもね、嫌なんて言うわけないの、だってこんなにも
ええ、こんなにも、ぽかぽか暖かいのだから、他に何もいらないでしょう
ねぇお姉様召し物が邪魔よ、薄布一枚だって、私達の間に欲しくないわ


【押しつぶされる胸元、そうして重なる二粒に一揃いの舞いを踊るかの様に紡いで見せて】
【或いはそれは輪唱に似ていた、貴女の音律を聞いて、彼女の歌声を重ねる作用の如く】
【響き渡るはシンフォニー、二人細工の交響曲は、十分に濃厚さを孕んでいて】


──── でもね、でーも、最初に寝込みを襲ったのはお姉様よ
カチューシャがうとうと、きもちよぉく寝てたのに、邪魔したのかしら、一体どうして
此処がカチューシャのおうちだなんて、分かったのかしら


【彼女はそういって、非難する様に少しだけ頬を膨らませる】

863 ◆zO7JlnSovk:2018/09/12(水) 00:18:44 ID:hvE.Nv4Q0
>>855

【文章ファイル自体には仕掛けはないのだろう、コピーでも容易に開く────】
【そして同時に二人ならば漠然と分かるはずだ、ロールシャッハという虚神にとって】
【物理的な制約は制約になり得ない、それ故に、物理的な試みは極力排除されるべきだ、と】


  【 ──── 読み進めていくのも至難の業であった、内容は何処までも抽象的且つ観念的に 】
  【 何処までも論理的であったと思えば、想像も付かないような具体例を交えてきて──── 】
  【 言葉の暴力であった、少しでも意識を抜けば、ただ文字を目で追っているだけの状態になるの似て 】


【それでも辛抱強く読んでいけば、この 『死に至る病』 をロールシャッハがどう捉えているかを理解できるはずだ】
【即ち、これこそがジャ=ロに対する "禁書" であり、 "対抗神話" となりうる糧であると、そう伝えるように】
【彼は言う、彼もまた、 "死に至る病とは絶望である" ──── と】



  【 "死" をジャ=ロと定義したならば、病とは即ち──── イル=ナイトウィッシュそのものであろう 】



【ならば絶望とは、誰に対する絶望であろうか────】

864 ◆zO7JlnSovk:2018/09/12(水) 00:23:44 ID:hvE.Nv4Q0
>>860>>861

【カニバディール達の推察は正しかった、そこから嵯峨野による記述は "一変する" 】
【恐らくはその主格をロールシャッハが握ったのだろう、ロールシャッハは嵯峨野を真似るように記述を開始する】
【けれども、その内容は何処までも抽象的であった、読んでいるだけで頭が痛くなる様な悪文】

【──── 其れは何処までも、人の形を真似ているに過ぎなかった、文章と呼ぶにはあまりにも脈絡を欠いている】
【同じ言語で書かれていてもそれが示す内容が全く違うかと錯覚するかの如く、これ以上この記述を読んでも理解は出来ない】
【或いは最初から、理解できるように作られては居ない様に────】


【そして、更にパソコンの内部を検索したなら、奇妙な文章を見つけるかもしれない】



【──── 『死に至る病』 ──── それがその文章のタイトルであった、そして】



【彼らがそれを発見したと同時に、新たな来訪者が出現する】

865厳島の中 ◆rZXDD3W69U:2018/09/12(水) 00:25:22 ID:6.kk0qdE0
>>850>>857>>858

「……つがる」
「これは……」

【もう何も、何も言えなかった】
【目を覆う、それは間に合わずPCの破壊も同じく間に合わなかった】
【見てしまった、知ってしまったのだ自分も少女も】

「本当か?」

【拳銃をまだ下すことなく、だが、やがて……】

「解った……信じよう」

【払いのけられた拳銃をそのまま仕舞い、そしてその姿を見送る事となった】
【だが、最後に】

「次は、聞かせて貰うぞ」

【こう、呟くように女性に告げて】
【怒りに満ちた目はそのままに、元来の部分は熱い人物なのかもしれない】


「つがる、君はどうする?」
「……ここで帰ってもいい、まだ調べるならば、一緒に調べよう」

【項垂れたまま、涙を溜めこむ少女にこう聞いて】
【その意思は、この状況でも幾何の物か、と】

「俺は、まだ調べなければならない……」

【つがるの答え以上に、情報が必要だ】
【二度と、この様な事が起きない為に起こさせない為に】

【別の資料のある場所へと移動を希望】


>>860

「すまない、騒がせてしまった」
「無論だ、と言いたい所だったが、すまない、どうにも咄嗟に身体が動いてしまってね」

【部屋を覗いた二人に、こう答えて】
【殺気に近いそれは、消えてはいないが拳銃は仕舞った様子だ】

866ギンプレーン&ディー ◆KWGiwP6EW2:2018/09/12(水) 00:25:32 ID:WMHqDivw0
>>861
【ドアを開く】
【出遅れていたのだから先客がいること自体は驚くに値しない】
【しかし、その異形の姿を見れば、すぐに相手が一筋縄では行かない相手だと知るだろう】

おや、こちらも取り込み中だったかい?
あなたは確か――カニバディール氏だったかな?

【伝聞だとしても見間違えるはずもないその姿】
【しかし、少なくとも分かり易い敵意を出すことはなく】


HAHAHA、ボクはサクリレイジの一員だ。
パグロームと同僚だと言えばわかるかな?
あなた達がどうするかは分からないけれど、ボクの方から手出しをする気はないと伝えて置くよ。
ここには調べ物をしに来ただけさ。


噂通りに行動が早い。
その様子だと目的は同じだとみるけど――その顔は、何か笑える話でも見付けたかい?

867 ◆zO7JlnSovk:2018/09/12(水) 00:35:19 ID:hvE.Nv4Q0
>>859

【他の資料を探すライガ、その棚の周辺にあるのはやはり犠牲者のファイルばかりで】
【あったとしても件のカチューシャに対する実験記録ばかりであった、否──── 実験記録とも呼べない】
【それは三流の官能小説でしかなく、或いは素人のとったポルノムービーでしかなく】

【──── 或いはひたすら趣味の悪い、スナッフムービーの出来損ないでしかないのだから】

【やはり推察するしかなかった、カチューシャに対する実験記録の量と、トゥイーギに関する記述の少なさと】
【或いはそれは、大きな手がかりなのかもしれなかった、進むべき道を間違えなければ、真実へと辿り着く】
【帰納的に考えたなら、やはりトゥイーギは実験されなかった、それはつまり "実験できる状態になかった" 】

【恐らくはこの実験室から逃げ出しでもしたのだろうか、ではカチューシャは何故出来なかったのか】


【──── 或いは既に、トゥイーギは実験する価値を失っていたのか】


>>865

【研究室の側には隣接する様に書架があった、多くの蔵書が所狭しと並べられている】
【医学書を始めとして専門の書物が多いだろう、在る程度目星を付けて探索する必要があるかもしれない】

868スクラップズ ◆ZJHYHqfRdU:2018/09/12(水) 00:35:49 ID:IBKicRNQ0
>>864
……なんだ、これは。頭痛がしそうな文章、いやこれは文章か?
人ならざるものが、無理やりに人の振りをしているかのような……

「露骨なくらいの転換点ですなあぁ……自分を実験台にしたのがロールシャッハになっちまった境目だと思ってよさそうです」
「自分に実験を施した挙句、神様気取りのバケモンに乗っ取られるとは……どういうつもりだったんでしょうかねえぇ?」

あるいは、それすら織り込み済みだったのかもな
まあ、それは考えても仕方のないことだ。この文章もどきと同じく

それより、これだ……いかにもなタイトルじゃあないか?

>>866
【そうつぶやいた時、ドアが開いた。二人は、即座に身構えてそちらに向き直る】
【すぐに戦闘に突入することすら覚悟していたが、ここに現れたのがまだしも話せる相手だったことは、幸いか】

……いかにも、私がカニバディールだ。こちらは手下のスカーベッジという
サクリレイジのメンバー……なるほど。パグロームとの会合は実に有意義だったよ。向こうにとってもそうだったかは知らないがね

そちらに敵意がないなら、こちらからも手出しするつもりはない。ここには殺し合いに来たわけじゃあないからな


……そちらこそ、かなり手が速いじゃあないか。サクリレイジだけならともかく、外務八課まで来ているとは驚いたよ
あの連中とは会いたくないところだがね

ああ、なかなかに興味深いものが見つかったよ。そちらはどうだったかね?
もし良ければ……情報の取引といかないか?

【そう言ってカニバディールはハッキングツールをかざして見せた。傍らのスカーベッジは、控えめに後ろに引いて自分のボスに場を任せている】

869 ◆XLNm0nfgzs:2018/09/12(水) 00:35:56 ID:BRNVt/Aw0

>>857

【機械の残骸から手を引き抜く青年。低く告げられた言葉に少女はゆるゆると首を横に振って】

やだ……やです……だって……私……まだ……
【何も掴んでない、という言葉は空に消えて】
【ただ、去っていくオムレツ達を見つめるほかなくて】



>>858 >>865

【去り行く二人を見送り、尋ねられた言葉】

……調べます……だって……私、まだ何も情報を掴んでない……
こんなんじゃ帰れるわけない……

私は!大丈夫ですから!
【ひきつった笑みを厳島に向ける。本人は上手く笑っているつもりなのだろうが】

/厳島さんに同行する形で移動します

870 ◆zqsKQfmTy2:2018/09/12(水) 00:38:31 ID:6IlD6zzI0
>>862

着飾ってるのも、飾らないありのままも。どっちも好きなだけ。
それを"変わった趣味"だと詰らないでよ。まるで私が可笑しな人みたいだろ。

カチューシャだから、……どっちでも好きなだけ。……察してくれ。
それに服が邪魔って言うなら、カチューシャが脱がしてご覧よ。私は抵抗しないから、さ。


【言葉にした状況を傍から見れば、顔から火が出る程の羞恥の構図があった】
【火に油を注ぐのは歯の浮く言葉――淫らな言葉と心温まる言葉の綯い混ぜ】
【だから照れくさくて。眼前の少女が無症状ながらに微笑んでいるのも解るから余計に】
【けれど引かなくて。唆される言葉に乗っかればきっと二人は飾らない姿になるのだろう】

【それはありふれた恋人同士のワンシーンみたいに】
【アイスクリームに蜂蜜とシロップを掛ける様な甘さの逢瀬】


寝込みを襲ったのは謝るから、ほっぺたを膨らませないの。
でも、さ。カチューシャみたいな魅力的な子が居たら襲うなってのが無理。そこは解ってくれないかい?

【膨らんだ頬をひとさしゆびで突いて、小悪魔みたいな悪い表情を薄く作ってからかって】
【そして、二人しか居ない世界に迷い込んだ状況を語る――きっと、本題への足がかりとなる】

そも此処がアンタの家だって、今の今まで知りもしなかったさ。

ただ屋上で少し感傷に浸って目を閉じたら全てが真っ黒になって。
目を開けたら此処に居てカチューシャと一緒に寝てたって状況だったんだ。信じて欲しい。

むしろ、私が誘われた構図になるんだよ。それもカチューシャ、あんたにね。

871 ◆zO7JlnSovk:2018/09/12(水) 00:43:02 ID:hvE.Nv4Q0
>>869

【つがるもまた、厳島に同行し側の書架にやってくるだろう】
【少女にとってはこれまた厄介な作業かもしれない、単純に自分の身長以上ある本棚ばかりで】
【溜息の一つでもつきたくなるような状態であったが────】


  【 ──── こつん、と頭にぶつかるような軌道で、書物が偶然一冊落ちてくる 】
  【 見慣れない本であった、あまり丁重な扱いをされていないのだろう、かろうじてタイトルを読めるぐらいに 】
  【 『暗黒寓話奇譚-folklore-』──── 異質なタイトルであった 】


【先程の事もある、中々読むには勇気がいるが、果たして────】

872ギンプレーン&ディー ◆KWGiwP6EW2:2018/09/12(水) 00:48:15 ID:WMHqDivw0
>>868
一応、外務八課とは提携した行動を取っているからね。
まー、ボクらはこの調子だからそこまで表立って手を組んでいる訳でもないけど。

【少なくともカニバディールの存在を告げ口するつもりはないらしい】
【取引と言われると、困ったような笑顔のまま頭を掻いて】


いやあ、あなたに提供できるほど有意義な情報はここでは見付けられてないんだ。
どうにも探索は苦手でね。

ただ話すネタなら有ると言えば有るよ。
何かボスがあっちこっちから情報を仕入れてるみたいだから。


【同じくこちらも、少女は後ろに下がってギンプレーンに対応を任せている】
【糸のように細い眼はじっくりとカニバディールの示すハッキングツールを値踏みして】


ボクは嵯峨野が、一体いつからロールシャッハになっていたのかを調べに来たのさ。
ジャ=ロの殺し方もそうだけれど、虚神全体の発祥について調べておかないと、後世に芽を残すことになるからね。

……あなたの方は、何か知りたいことでもあるのかい?


【会話しながらも、どうぞ、と続きを促す。時間は有限だ。交渉で調べ物を止めては本末転倒だろう】

873 ◆1miRGmvwjU:2018/09/12(水) 00:49:43 ID:hEXW.LLA0
>>863


【気休めにしかならない方策だった。 ─── 例え独立したメモリの中にあっても、読解したミレーユが認識を汚染されてしまえばそこまでだった。】
【なれば一種の諦めにも似ていた。諦めとは覚悟の一形態であった。かつて夕月がそうであったように。どれ程に備えても、仕方のない結末も有り得ると】


「 ……… かぶれてんな。」「んな所までリスペクトしてるつもりかよ。 ─── 悪いが、劣化コピーだぜ。」


【碧眼を眇めて悪態を吐きながら、辛うじて論文を読み進めていく。それでも理解していたから。この文章に如何様な意義があるか】
【そして徐に最提示される主題は、有名に過ぎる一節であった。 ─── 思い起こされるのは、哲学者の名前。嘆息のふたつ、重なるなら】


「 ……… "センセイ"の哲学講義概論、どのくらい覚えてるかな。」「 ─── 私も、そこまで厳密には。」
「キルケゴールの言を借りるなら、神は実存ではなく決断の問題 ─── "いるか"/"いないか"じゃなく、"信じるか"/"信じないか"の俎上にある、 ……… だったよね。」
「客体の真理ではなく主観性の真理/心理を追求する実存主義。 ……… 捉え方によれば、認識によって措定される虚神の特質を言い得ている、そういう事になる。」

「 ……… 彼の語る絶望には、幾つかの種類があるわ。」「 ─── 無自覚なもの。」「自己で在ろうとしないもの。」「自己で在ろうとするけれど、そう在れないもの。」
「そこに神への信仰という決断の介在する余地がある。」「彼らは信じる神を喪おうとしている。」「 ……… そも、"病"と"死"を重ね得る演者は、一つしか存在しない。けれど」


【 ───── 死に至る病とは、自覚する神話を持つ神のこと。言うなればそれは、実存主義の化身。】
【然しそう仮定したとして幾つかの矛盾もあった。何より"当然に過ぎた"。ならば過ちの可能性も思考の隅には残したまま】
【「最後まで論文を読み切ろうとする」。 ──── どんな結果が待ち受けるとしても】

874 ◆zO7JlnSovk:2018/09/12(水) 00:51:48 ID:hvE.Nv4Q0
>>870

【──── 言葉に惹かれる様に伸びた指先が止まる、スルリと液体が頬を伝う様に】
【そうしてシャツの襟から内部へと染み込む様に、脱がしていこうとした指先が、虚空を舞って】
【数瞬の静謐の先に、彼女は少しだけ目を細める】


──── そうね、そうなの、だとすればカチューシャがきっとお姉様を誘ったの
いいえ、違うわ、カチューシャがお姉様を "助けたの" ──── そうしなきゃきっと、いけないから
ねぇそうでしょう、お姉様が何を目指しているかなんて、しらないけど

お姉様が進む道は果たして正しいのかしら、カチューシャはあまりそうは思わないの
どうして知らなくて良い事を知ってしまいたくなるのかしら、暴いた秘密はより残酷な真実なのに
穢れを知らないで欲しいなんて都合の良い言葉、お姉様はそうじゃないでしょう

──── 無垢な乙女だけを愛するのは、空想上の獣に任せればいいわ


【両手を伸ばした、貴女の首筋に触れさせて、そのままぎゅうっと引き寄せる様に】
【そうしてもう一度、二つ分の体を重ね合わせようとする、何処までも乳白色に溶けていきたいから】
【夜闇に溶ける影の作用に似ていた、それを願う試みを誰も止められないのに】


  【 でも、違う──── 本当はきっと、エーリカは気付いている筈だ 】


それが恐ろしい真実だと知っているのに、どうして人はそれを探そうとするのかしら
彼女が何時までも真摯に思ってくれていると、そう思いこんでいれば良いのに
どうして見たくもない粗を探してしまうのかしら、あるのは絶望ばかりなのに

──── ねぇ、お姉様は知っているのでしょう、深淵を見た心地を
だとすれば、そこから逃げてしまえば良いのに、だから、カチューシャはお姉様を助けたの
二人でこのまま、心ゆくまで、愛を貪りましょう


【 、 ──── 真実から目を逸らすこと】     

           【其れは即ち、──── 死人の道理だと】

875厳島の中 ◆rZXDD3W69U:2018/09/12(水) 00:53:55 ID:6.kk0qdE0
>>867

「……イトゥーギの資料が少ない、カチューシャの……これは?」
「うッ!?うふぁッ!!??」

【其処に表示されているのは、最早実験映像や記録とは呼べない様な】
【猥褻な映像群と、そして実験体の残酷なスナッフ映像だ】
【カチューシャのその映像に関しては、直ぐに閉じて、そして思わず付近の女性二人(と思っている)の方向を見て】
【そして気付かれていない事に安堵し】
【再び考察へと向かう】

「(イトゥーギは、脱走?)」
「(あのハーモニー社がそれを許すのか?そもそもカチューシャが脱走できなかった矛盾が生じる)」
「(イトゥーギは……カチューシャと違っていた?)」
「……精神性!?」
「イトゥーギは、カチューシャと違い、精神性が壊れていた、だから実験が成立せず価値を失っていた!?」
「では、この実験は、この実験の意味とは?」

【独自の考えで考察を深めるも、決定打に掛けると思う】
【確証にも、新たな疑問が次々と湧いてくるのだ】

「カチューシャの資料とイトゥーギの資料、内容を比較してみよう」

【量は圧倒的にカチューシャが多い、ならば内容は?】
【其々の資料には、どの様な違いがあるのだろうか、と】

876厳島の中 ◆rZXDD3W69U:2018/09/12(水) 00:59:25 ID:6.kk0qdE0
>>869>>867

「そうか……つがる……」

【ややあってか、書架へと移動する最中】
【言葉を詰まらせながら、こう話す】

「こんな状況で言う事では無いのだが、無理をするな」
「無理をして笑う必要も、強がる必要も無い」
「それは……心を削る行為に他ならない」

【短く、静かにだが、こう話し】

「ここは、資料室だな」
「つがる、手分けして探そう」

【其々、資料室の資料を手に取り調べ出すだろう】
【目的は嵯峨野鳴海、そして虚神の関与部分、何よりカチューシャの事】

877スクラップズ ◆ZJHYHqfRdU:2018/09/12(水) 01:00:34 ID:IBKicRNQ0
>>872
どちらも裏側の組織とはいえ、外務八課は一応は正義を標榜する連中のようだからな
過激さでいえばサクリレイジも外務八課も同等だろうが、表向きに堂々と組むわけにもいかないだろうな

【皮肉っぽく言いつつ、少なくともこの場を凌げば厄介なことにはならずに済む】
【そう判断しつつ、彼女の様子を観察する】

あるいは、連中がある程度情報を消していったのかもしれないな
そちらの情報網は魅力的ではあるが、さてどうしたものか……

ほう。それは奇遇だ。我々は今まさに、それについての情報を得たところだ
嵯峨野 鳴海がいかにして虚ろな神にその身体を明け渡したのか

私はこれを渡そう。こちらからは、そうだな……
先日、今いるまさにこの場で起きたという、インシデント。電波通信の一件について
その経緯についての記録があれば、くれないかね? そちらに、例のデータ専門の平面人間がいるなら、やり取りも容易だろう?

【そう言って、まずは異形から歩み寄りを見せるつもりだろう。ハッキングツールを通してデータが送信される】
【たった今、パソコンから引き出した嵯峨野自身の記録。そして、自分自身をあの狂った実験の最初の被検体に選んだことも】

後は……まだ参照していない文章もこのパソコンの中に見つけた
良ければ、一緒に覗いてみないかね?

【データの交換が済めば、異形はパソコンの画面の前に彼女らを促す】
【『死に至る病』とタイトルが表示された画面へ】

878 ◆zO7JlnSovk:2018/09/12(水) 01:01:01 ID:hvE.Nv4Q0
>>873

【論文は徐々に形態を失っていく、パラノイアの書いた箇条書きの方がまだ論理性があると言いたげに】
【或いは文章上に於けるロールシャッハからの挑戦状であり、文章上に於けるロールシャッハからの攻撃であった】
【言い換えなければならない、読み取らなければならない、そうする事でしか道は開けない】


  【 "病" は無自覚であるからこそ忌避される、其れは只の作用として在るが故に、其れが只の作用として在る事を許されない 】
  【 ならば、無自覚である事を許された "病" が嬉々とするのは当然の理屈であった、況や其れを是とする信仰も同様に 】
  【 だからこそ、絶望しなければならない、病は本質を喪っているからこそ、今現在で "死" に対抗出来ないのだから 】

  【 単純な方法論の転換であった、病を用いて死を定義するためには、まずは病そのものを明確に定義しなければならない 】
  【 けれども今まさに病は形態を失っている、まずは其れを確定するためにも、病単体が絶望するべきだ 】
  【 キミ達に求められるのはその一点だ、"確定した未来の為に、確定した過去を変える" 】


【全編がそんな調子である以上、在る程度の読替が必須であった、──── やがて文章は結論に落ち着く】
【何処までも最終的な方法論であった、ジャ=ロを倒すには、絶望が必要だとでも言うのだろうか、そう、あるいは────】
【絶望しなければ、ジャ=ロを倒せないと言いたげに】

879 ◆XLNm0nfgzs:2018/09/12(水) 01:08:23 ID:BRNVt/Aw0
/時系列順に返信しています

>>876

……無理、してませんよ
それにその言葉が必要なのはきっと私じゃないから……

【……なんて、と少女は少しだけ笑って】

【やがて資料室へとたどり着けば彼の言葉に頷いて資料を探し始める】


>>871

【厳島についていくように書架へと向かうつがる】
【手分けして、といえども目星なんてつけられないからと兎にも角にも手当たり次第に探すしかない、と本に手を伸ばそうとするが如何せん151cmと小柄な彼女のこと】
【本を取るにも一苦労で】

【これじゃあ心機一転頑張ろうとした意味がないじゃないか、なんて頬を膨らませた時だった】

……でっ!?
【偶然にも頭上に本が落ちてきて思わず変な声をあげる】
【拾い上げてみればそこには何やら童話物らしきタイトルの本】

……何でこんな所に……
【社内の託児所の……じゃないよね?などと思いながらも辺りを見回し】
【そっと、本当にごくそっと少しだけページを開いて側面から内容を見てみようとする】

880 ◆zO7JlnSovk:2018/09/12(水) 01:08:57 ID:hvE.Nv4Q0
>>875

【カチューシャの資料としての内容は、カチューシャとしての "自我" を確定させる意味合いが強かった】
【強制的に押しつけられる "愛" の苦痛と快楽、人間の許容量を超える性と暴力により、彼女の自我が形作られる】
【或いはそれは自然状態の人間そのものとも言えた、快楽を求めるある種の獣じみた】


【──── データベースに残るカチューシャの言動、愛を唄うその意味合いの根底は、歪んだ倫理観にあって】


【其れに比べトゥイーギの自我は苛烈であった、彼の人生そのものが苦痛と暴力に満ちあふれていたのだから】
【だからこそ、その自我を喪わなかった、彼本来の自我は深くこびり付いたシミのようなものであった】
【それ故に実験が成立しなかったのだろう、──── そう、それはつまり】


【──── <harmony/plan>が現状で行き詰まっていた事を示している】


>>876

【資料室の書物は一般に流通している書物が多く、嵯峨野やカチューシャに関連する書物は皆無であろう】
【その代わり、その書架の一部に奇妙な一帯を見つけるかもしれない】
【──── 哲学書の類がそこにはあった、そう、それは正しく奇妙な一致────】



【インシデント:巡礼の年にて、厳島が探索した "虚構現実" の本棚】
【あそこもまた、医学書の他に哲学書や魔術書が並んでいた筈だ】

881 ◆zO7JlnSovk:2018/09/12(水) 01:14:02 ID:hvE.Nv4Q0
>>879

【その文章は "本来ならば" 読めない書物であった、少しページを開いたならつがるは分かる】
【 "櫻" の文字であった、更に言えば、 "旧字体" ──── 櫻の国でのみ用いられた、古い文体】
【櫻の国に住む者であれば読めるかもしれない、そんな喪われた言語であった】

【つがるにその知識はあったのだろうか、或いは直ぐ側にいる厳島ならば分かるのだろうか】
【書物単体には特に魔術的な痕跡はない、些か不安になる可能性もあったが】
【けれども、この書物がこの場にあるという事実そのものが、確かな証拠でもあった】

882ギンプレーン&ディー ◆KWGiwP6EW2:2018/09/12(水) 01:15:10 ID:WMHqDivw0
>>877
良いよ。
ボクの独断だが、渡して損になるものでもないし。
まー、仮に誰かの損になったとしても仕方ないよね、HAHAHA。
背と腹は――ええと、何だっけ?そんなコトワザも有るからね!

ああ、でも一部残していないデータが有るんだ。それについては概要だけに済ませてくれたまえ。


【男が言うのは、正に中核の少女"夕月"の拷問映像のことだ】
【カニバディールのような人間ならば陰惨な光景は慣れたものかも知れないが】


件の映像を持ち歩いていると、それこそ外務八課に目をつけられてしまいそうだからね。

【そう言ってリーイェンを通して、電波通信のインシデントに関する記録をカニバディールへと渡すだろう】



『死に至る病』
キルケゴールか。死に至る病は絶望である――だったかな?



ん~そうだ、その調べ物のついでに、一応検索して欲しいワードが有るんだけど、手が空いたら頼めるかな?

嵯峨野の記録でもロールシャッハの記録でも構わないのだけどサ。

【実はそれがボスからの頼まれ物だったらしい】
【思い出せなかったらしく、傍らの少女に尋ねたりと何かやり取りをしているが】


そうそう、"鵺"――もしくは、"INF002"、あるいは"暗黒寓話奇譚"だ。


【それは兼ねての会談で、ロールシャッハに聞きそびれたことの一つだ】
【序列2位の虚神――あのアナンターシェよりも格上とされる神格】
【なのにここに至るまで、名前すら出て来ていない】
【エカチェリーナの例もある。ロールシャッハがその存在を認知していたのか、確かめる必要が有った】

883 ◆zO7JlnSovk:2018/09/12(水) 01:24:29 ID:hvE.Nv4Q0
>>877>>882

【 『死に至る病』 ──── その論文の制作者は "ロールシャッハ" であった、しかし】
【カニバディールは頭痛を感じるかもしれない、先程の文章に輪を掛けて難解な内容である】
【抽象的な文章の度合いは強くなり、且つ既存の言語を全く別の文脈で使っていたりする】

【それでも何とか解釈したならば、どうやらその文章は "ジャ=ロ" への "対抗策" として書かれた様で】
【加えて、頻繁に "病" という文言が出てきた、カニバディールならば直ぐに理解できるはずだ】
【 "イル=ナイトウィッシュ" ──── かの気まぐれな病魔を、ロールシャッハは重要視していると】


  【 しかし、肝心の病の役割に関してが非常に分かりづらい、どうすれば良いかの概念論しか示していない 】
  【 それ故に一旦推論を挟まねばならないだろう、ロールシャッハはイルに何を求めているのか、と 】
  【 或いは繰り返し記述される絶望とは、如何なる内容であるのかについて──── 】


【ギンプレーンの言われるがままに検索したならば、前者二つに関しては有力な情報は得られないだろう】
【ロールシャッハが認知していなかったか、或いは意図的に暈かしているのかは定かではないが】
【しかし、後者の一点に関しては確かな記述があった、──── そして、それは】

【 "蔵書リスト" であった、ビル内の "書庫" に納められているという情報を示していた】

884 ◆1miRGmvwjU:2018/09/12(水) 01:25:29 ID:22.yXIak0
>>878

【酷い文章だった。論点は次々と消えては現れて、文脈は転回して破断して交錯して、文意に解釈を与えるだけで限界点に至る】
【その試みさえも掌中の舞踏に似て忌々しかった。 ─── 赤い指輪を薬指にはめて、握り締めた拳がコンソールのキーボードを殴り付ける。】


「 ───………… 本ッ当にクソほど趣味が悪いな。」「手前ェの指図なんて受けたくはないね。 ……… だが」
「くそッ、 ……… 腹立たしい。 ─── 覚えておけよ。お前も必ずブチ殺す。世界で一番惨たらしく殺してやる」


【そうしてまた喫緊に迫った脅威に対して、仇敵の言葉に従わねばならぬとも、ミレーユは理解していた。奴を殺す為の手段が、一つ、消えることにはなるが】
【散逸する思考能力の代替を務めるのはアリアだった。 ──── 透き通った独白が、曖昧な結論を補綴する。】


「 ………… そこで、"調和"という訳かしらね。」「 ─── それとも順番は逆かしら。それでも構わないけれど」
「人間の宿す不完全性を不条理性と換言し、罪の因子と呼んでまで忌避することで、"病"に形を与える。 ……… すれば、死もまた、形を得る?」
「然るにそれだけでは足りなかった。 ─── 現にジャ=ロは未だ健在/顕在している。 ……… 彼と繋がる"病"に、私たちは踏み入らねばならない。」

「 ─── "病"が愛したものを奪えば、彼女は絶望するのかしらね。」「その為に、お前は力を貸せるのかしら。 ……… だとしても」



【だとしても、ジャ=ロを失えば、我々はお前に抗する手段を失うやもしれぬ。 ─── それでも今は、思惟を止めないことだけが最も優先されるべきだった】
【データベースに再びアクセスする。「嵯峨野の記した論文を検索する」次にハイライトするのは、"病"並びに"不条理" ……… それが能わねば、或いは"蛇"。】

885厳島の中 ◆rZXDD3W69U:2018/09/12(水) 01:25:32 ID:6.kk0qdE0
>>880

「自我の確立……」
「これは、まるで……」

【倫理も無く、そして論理も無い極めて原始的ではあるが、紛れもなくカチューシャの内面を形成する自我の確立工程だ】
【対してイトゥーギだが、決定的に欠落している、その部分が】
【故に察することが出来る】

「ハーモニーは、嵯峨野は、彼の自我を無に出来なかった?」
「そして無に出来なかったからこそ、自我を確立させることが出来なかった」
「対してカチューシャは……これは、つまり」

「<harmony/plan>は停滞している?」
「実験は失敗していた、行き詰っていた?」
「では、嵯峨野は?何をしようとした?」

【harmony/planのその全貌を暴くべく、さらに資料を求める】
【あるいは、この場に無ければ他のエリアへの移動を行うだろう】
【現状で停滞しているこの計画が、本来成そうとしていた事は、その目的は、そして虚神の関与は、一枚一枚薄皮をはぐように考察していく調べていく】

>>880>>879

「……つがる」

【資料室へと入り、資料を探す少女を、心配そうな】
【そして切なそうな視線で見つめ、やがて大量の資料群と向き合う】

「嵯峨野やカチューシャの、記述は無いな」
「書物が中心か、これはあの時を思い出すな……ん?」

【書架を観察すると、気になる一角を見つけた】
【それは、既視感を伴って……】

「これは、まるであの場所の……あの研究施設の虚構現実の施設の……」

【そのエリアに陳列されている本を一冊一冊見てゆく】
【まるで虚構現実の、あの本棚ではないか、と】

886スクラップズ ◆ZJHYHqfRdU:2018/09/12(水) 01:26:13 ID:IBKicRNQ0
>>882
助かる。虚神どもの事件に関しては、どうにも出遅れ気味なのでね
事がどう推移していったのか、概要は知っておきたかったんだ

背に腹は代えられない、か? まあ、それが何か損害を出したとしても……
それはいわゆるコラテラルダメージだ。予期せぬ犠牲、というやつだよ

一部……ああ、なるほど。もちろん構わないとも
私も似たようなことをやってのけたことはあるが、あくまで商売としてだ。流石に、好んで見ようとまでは思わない
外務八課から、不興を買うのは御免というのも同意見だ。まあ外務八課との関係は、私に関しては手遅れかもしれないが

【異形にとっても、一度は共闘した相手。いずれ敵になるとしても、その相手が惨たらしい苦痛に晒される姿を見たいとは思わなかった】
【ともあれ、欠けていたピースを異形はまた一つ埋める。この世界で起きたことを貪欲にかき集めていく】


死に至る病は絶望……死や病に関しては、虚神どもが司る要素にも思えるが
絶望か……彼奴等がこの先に何をしでかすのか、手がかりくらいはありそうじゃあないか?

(鵺……? 偶然か?)
ふむ……いいだろう。私としても興味深い話だ。スカーベッジ、"鵺"、"INF002"、"暗黒寓話奇譚"
これらに絞ってもう一度ハッキングをかけろ

「合点でさ!」

私は、その間にこの『死に至る病』とやらを拝読するとしようか
ああそうだ。お前たちの名前くらいは、聞いておいても構わないかね?

【言いつつ、異形は画面の文章に目を向け、その手下は未だ表に出ない虚神についての情報を漁り始める】
【果たして、ロールシャッハはどこまで知っているのか。その情報はここにあるのか】

887スクラップズ ◆ZJHYHqfRdU:2018/09/12(水) 01:31:17 ID:IBKicRNQ0
>>883>>882
【しばし、カニバディールは唸り続けることとなった。ロールシャッハの文才は異次元のそれであるらしい】
【抽象的でわかりにくく、自分たちが使う言葉を全く違う使い方までしている。まさに別の世界のそれだ】

【だが、異形の執念か、盗賊の勘か、ファニー・ゲーム・クラブで培った教養か】
【いずれかが功を奏し、異形はそれをどうにか噛み砕く】

――――ロールシャッハが敵対するジャ=ロに対するための模索として、書いたものらしいな。これは
病……これはイル=ナイトウィッシュことスナークのことと見て間違いあるまい

つまりは、ジャ=ロを潰すにはあの病魔めが必要ということか……あの色ボケのじゃじゃ馬をどう使うつもりなのかは知らないが
この絶望とやらが何なのか、スナークに何をさせるつもりなのか……肝心な部分がわからない

だが、お前たちの求めるところは一つ見つけたぞ。"暗黒寓話奇譚"……どうやら、ここの書庫に収められているようだ

888 ◆zqsKQfmTy2:2018/09/12(水) 01:32:12 ID:6IlD6zzI0
>>874

【きっとここが甘い一時が永遠となるか否かの分岐点】
【カチューシャの言葉がすっと胸に染込んで、安らぎを覚える】
【心地よい。重なる身体が齎す心地よさは彼我の境目を曖昧にする】


……やっぱりカチューシャから誘ったんじゃないか。悪い女だね。

誘われて悪い気はしない。あの時よりも濃厚な抱擁を重ねてさ――…幸せって思う。
このまま一線を越えたいって程に。一線を越えて線引きを曖昧なものにしたいって程に。

正直言うとさ、抱き合ったあの日からカチューシャの事が好きになった。一目惚れってヤツ。
愛を謳って、愛に生きて。それに在るべき自分を貫き通す生き様。それを示してくれたお陰で今の私がある。

私は社会的に死んでる人間で、初めて出会った時の私は二つの立場に板挟みになって在るべき自分を見失ってた。
そんな私を助けてくれた人が居た。それがアンタなんだ、カチューシャ。

あの日言えなかった言葉を贈るよ――"ありがとう。私は貴女に助けてもらった"

【言葉は滔々と紡がれて、感謝の念から恋慕の情まで。愛を謳う狙撃手への愛の告白】
【けれど、言葉は告白で終わればよかったのに。次第に酷薄な言葉を紡ぐ事になる】

けど、恩人の口から"見たいものだけを見て生きる"なんて死人の理を薦められるなんて考えもしなかった。
そしてそれを"助け"や"救い"の類に見立ててるなんて夢にも想わなかった。

確かに深淵(ウヌクアルハイ)に触れた時の心地は覚えてる。今でも思い出すだに身が竦む。
更に言えば残酷な真実が彼方此方に転がってるのも知ってるし、怖いと思う。

だけど――逃げない。生きるってのは綺麗事だけじゃないんだから。
都合のいいものだけを見て選ぶ生き方は死人と同じだ。リビングデッドだ。
……死人の理屈を肯定しないでくれよ。死人からの、心からのお願いだ、"カチューシャ"

【少し前ならきっとこの幸せな監獄で、終わりに至るまでの永遠を絶頂と泡沫で繰り返していただろう】
【そして頑なにカチューシャと呼ぶのは、"エカチェリーナ"である事を認めたくない最後の一線だった】

889 ◆zO7JlnSovk:2018/09/12(水) 01:36:43 ID:hvE.Nv4Q0
>>884

【結局の所ロールシャッハの書いた文章は、ジャ=ロに対する対抗策には成りうるのだろうが】
【同時にロールシャッハにとって有利になる事実は変わらないのだろう、それを鵜呑みにするわけにも行かず】
【脚本家が脚本家を殺めるために、別の著作を用意したとは、些か言い得て妙か】


  【 けれども、記憶の片隅に置いておくほどの価値は認めざるを得ないのかもしれない 】
  【 ロールシャッハにとってはある種諸刃の剣でもあった、自らの存在を定義するような書物は結局 】
  【 自らの身を窶す結果に成りうることは、十分に考えられるのだから──── 】


【 "嵯峨野 鳴海" の論文は多く出てくるだろう、学会で発表されている様な内容も多々あった】
【しかしその多くは "遺伝子工学" に関するものであった、そして同時に自身の提唱する<harmony/plan>について】
【けれどもそこには "虚神" に関する記述は存在しない、嵯峨野はあくまでも、一人のニンゲンとして生きていたとできよう】

【──── ならば、と思考を転換させデータベースをあさったなら、"病魔" ──── スナークに関する記述が出てくる】

【ロールシャッハが用意した "イル=ナイトウィッシュ" の肉体と、"スナーク" の遺伝子と、その二つを中心に今のスナークを作り上げたとしていた】

890ギンプレーン&ディー ◆KWGiwP6EW2:2018/09/12(水) 01:38:49 ID:WMHqDivw0
>>883 >>886
【何とも奇矯な光景だろう。異形の男と金髪の風変わりな男が並んでPCの画面を眺めている様子は】

情報ついでにサービスしておこうか。
ジャ=ロの媒体となっているのが、D.R.U.G.S.のリーダーであるCypressだってことは知っているかい?
彼はイル=ナイトウィッシュと一緒に、"最古の病"とやらを持ち帰ったそうじゃないか。

それが"死"の概念であるジャ=ロの呼び水になったんじゃないか――なんて言われてたりするんだ。
確証が有る、とまでは言えないんだけどさあ。


病と死の因縁浅からぬ関係と言うワケだね!


――ああ、ボクはギンプレーン。こっちの子はディー。
組織の中じゃ、"笑う男"と"盲目の娘"で通ってるよ。

こういっちゃなんだけどパグロームとは仲が悪いんだ。
あいつ微塵も協調性ないからさ!


ああ、しかし何書いてあるのか全然わからないなあ。
こういうのはボスに読んで貰うのが一番なんだけど。
ボク読書とかはキラいだしね。


【そう言って検索結果を見ると、細めた視線を僅かに開いた】


ダメ元だったけど――探してみるもんだ。

891 ◆zO7JlnSovk:2018/09/12(水) 01:41:42 ID:hvE.Nv4Q0
>>885

>>(ライガ)

【そうしてライガは別のエリア──── 粉々になったモニターのある研究室へと移動するだろうか】
【既に先程までいた人物は居ないが、ライガは在る程度の目的をもって調べる事が出来るはずだ】
【再び選択は委ねられる、カチューシャとトゥイーギ、ある点で似ていて、ある点で正反対の二人を結びつけるために】

>>(厳島)

【卵が先か鶏が先か、虚構現実が先にあり、此方が似せたのか、或いは】
【その違和感は正しく記述されるべきであった、製薬会社の書架とは思えないほどに】
【哲学書に不自然な点はない、否、その場にあることそのものが大きな不自然であった】

892 ◆XLNm0nfgzs:2018/09/12(水) 01:42:18 ID:BRNVt/Aw0

>>881

【本を隙間から覗き見たつがるはきょとりと瞬きをする】
【なんというか、見覚えがある、下手すればいつも見る文字よりも親しみのある文字が見えた気がして】
【思いきって開いてみる】
【その紙面に踊っているのは旧い時代の自国の文字だった】

【寺子屋の書庫で見掛けたり、なんなら読んだ事もあるこの文字で書かれた本なら或いは、と思いつがるは内容を読んでみようとする】
【また何かあったらという考えは一瞬過ったが、それでも何かの手がかりになれば、と】

893 ◆zO7JlnSovk:2018/09/12(水) 01:49:59 ID:hvE.Nv4Q0
>>887>>890

【それは正しくカニバディールの功績であったのだろう、そこまで読み解くのも至難の業であったはずだ】
【同時に、ギンプレーンの思考をも呼び覚ます切っ掛けとも成り得た、重なる二つの歯車が加速度的にかみ合って】
【カニバディールの至った結論に、更なるアクセルを踏み込ませて────】


  【 "最古の病" を "死" と定義し、"死に至る病" を "絶望" と定義するのであれば 】
  【 即ちその抱いた絶望とは、原初の存在が抱いたそれに違わないとも考えられよう 】
  【 ならば、イル=ナイトウィッシュはどの地点からその "絶望" を兼ね備えなければいけないのか 】


【此処から先はある種の行き止まりであった、けれども一つの方針として示されたのは】
【絶望を認識する事、それそのものがジャ=ロに対する突破口であると、ロールシャッハが示したという事実だろう】
【これ以上はギンプレーンとの対話を通じた方が、有意義な情報を得られるかもしれない】

【 "暗黒寓話奇譚" が蔵書にあることは分かった、そしてその位置も把握できるだろう】
【だが、『INF-002』の情報があまりにも不足している状態で、その書物だけが存在しているのも不思議であった】
【ならば、きっと、何処かに、前者の情報も在るはずだろうが────】

894スクラップズ ◆ZJHYHqfRdU:2018/09/12(水) 01:50:34 ID:IBKicRNQ0
>>883
死に至る病は絶望である……絶望とは罪である……
罪とは自己の喪失であり、同時に神との関係の喪失だ……

【異形の脳裏を、かつて会員制クラブで読まされた哲学書の記述が駆け巡る】

そして、意識しているかしていないかに関わらず、人は実は絶望している……
自己の本来の姿を知らない無自覚の絶望に始まり、真の自己であろうとするか否かという自覚的な絶望を呼び起こし……
その絶望の深化こそが、真の自己にたどり着く道であり……病を癒すには、神の前に自己を捨て去るべし……

こんなところだったか? 自己の喪失となれば、まさに<harmony/plan>が想起されるが……

>>890
ほう、それは初耳だ……いいことを聞いた。かのD.R.U.G.S.の総元締めも、今や神々の乗り物かね
"最古の病"を持ち帰った……それが死を、ジャ=ロを呼んだ。どうにも薄靄がかかったような話だ……

笑う男ギンプレーン。盲目の娘ディー。覚えたよ。お互いに生きている間はよろしく頼む
ふ、ふ。それは私自身も彼と会話して嫌と言うほどに思い知ったよ。あの男と仲良くしている人間が、むしろいるのかね?

いや、それなりに読書に慣れた人間でもこれには難儀するぞ……お前たちのボスがどこまで読み解いてくれるか
まあ、ともあれ……まずは書庫で目的の物を探すとしようか? 無論、ブツはお前たちに渡す。だが内容は見せてもらいたいところだ

【言いながら、ハッキングを終えたスカーベッジを伴ってカニバディールは書庫に赴こうとする。まだブツブツと呟きながら】

ロールシャッハがスナークを作り上げたのなら、病を持って死を打倒する……。イル=ナイトウィッシュの能力は、精神に感染する病だったか……
自己を捨てることが病の回復……病を回復すれば死も退散する……?

ならば、今スナークが強固な自我を有していることが、ロールシャッハにとって不都合なのか……?

【答えは、まだ出ない】

895厳島の中 ◆rZXDD3W69U:2018/09/12(水) 01:56:03 ID:6.kk0qdE0
>>891

「ここは、研究室……」

【そうして一歩、また一歩とその部屋へと入って行く】
【核心と確信、疑念と疑問が胸で渦巻いて】
【やがて、PCが粉々に破壊されたその部屋へと足を踏み入れ】
【探し出す、カチューシャとイトゥーギに関する記述、嵯峨野に関する事】
【harmony/planの事】
【そして、まだ生きているPCは無いかも、あるならば自身の端末を取り出し】

「イーさんですか、いらっしゃいますか?」
「居ましたら、此方の端末に潜って所定の資料を探して欲しいのですが……」

【こう話し出すだろう】
【最も彼女が此方の携帯端末の呼び出しに応じてくれるか、あるいは反応してくれるかは、全く不明だが】



>>891>>892

「この書庫、虚構現実に似せて作られたのか?」
「あるいは……そうなればあの空間を作ったのは?」
「嵯峨野……いや、まさか」

【此方の空間に似せて虚構現実の書架を形成したのか?】
【ふと、そんな疑問が胸をよぎる】
【存在そのものが可笑しい一角だが、本自体に不振な部分はない】
【存在する事が歪なのだから】
【なれば、あるいは……】

【その本を纏めて手に取ったり、あるいは押し込んでみたり】
【隠された何かや、あるいは扉等の仕掛けが無いか書架のそのエリアごと調べる】
【一方で】

「つがる、何か見つかったか?」

【別に調べものをする少女に、こう声をかけた】

896ギンプレーン&ディー ◆KWGiwP6EW2:2018/09/12(水) 01:58:24 ID:WMHqDivw0
>>887 >>894
ああ、良いよ。ボクも別に持ち帰りたいワケじゃあなくてさ。
後から急に顔を出されて、全てをひっくり返されたら溜まらないからね。
一応、どんな存在なのか知っておきたい、と言うところだね。

それにしても、蔵書の中に普通に置いて有るんだなあ。
INF財団では禁書だなんて言われていたのに。

【カニバディールと共に書庫に向かいながら】
【ギンプレーンの笑みが深いものになる。まだ何か知っていることでもあるのか】


【それまで黙っていた少女が口を開く】
【カニバディールの異形も、目が見えなければ怯えるでもないのだろう】

――虚神は認識を以て、その定義を書き換えられる存在です。
元は固執の特性しか持っていなかったスナークに病と言う要素を掛け合わせたように。

今度はスナークの存在を絶望と死を結びつける要素として再定義しよう、と言うことでしょう。

――ここからは推測も混じりますが、スナークに取っての"絶望"とジャ=ロに取っての"絶望"を同期させることで、ジャ=ロに"死に至る病"を感染させるのではないでしょうか。
偶然か意図的かは分かりませんが現在、その二人に取っての絶望の定義は同じものになっています。

即ち――ウヌクアルハイの消滅です。

897 ◆zO7JlnSovk:2018/09/12(水) 02:04:01 ID:hvE.Nv4Q0
>>888

【安らぎの中で溶けていきたかった、この絶頂を何時までも、無限にしたかった】
【けれどもそれは泡沫に過ぎない、それはきっと分かっている、貴女もきっと、理解していた】
【だからこそなのだろう、紡がれる言葉の一つ一つが、愛に満ちて、愛を満ちて】


──── ふふ、残念、ふられちゃった、こう見えてもカチューシャ、全然ふられた事なかったのに
お姉様は勿体ないわ、勿体ないの、カチューシャとーっても、モテるんだから
殿方にもお姉様方にも、いっぱいいっぱい、愛して貰っているの、それなのに

お姉様ってば、好きになってくれたのに、そんな風にカチューシャにノーって言うんだもの
それは残念ね、とっても残念、でも──── ちょっぴり嬉しいかもしれないの
ほんとは、ほんとはね、そう言って貰いたかっただけなのかも、しれなくて


  【カチューシャは否定されても尚、その言葉を緩めなかった、寧ろ何処か安堵した様に】
  【分かるかもしれない、カチューシャとエカチェリーナは、分離しているのではなく、同時に存在していて】
  【──── 或いは、そう、ソニアだって、その何処かに居るのかもしれなくて】


逃げた方が気持ちよくて、逃げた方が心地よくて、逃げた方がずっとずっと幸せなのに
それでもお姉様は前に進むのね、更なる "絶望" を目の当たりにするに決まってるのに
カチューシャはそんなお姉様、応援できないの、もうほんとに愛想だって尽かしちゃうの

ほんとにほんとにお馬鹿さん、カチューシャがこんなに言っても聞かないの、ほんとに



──── ダメなヒト ────……でも、そういうの、嫌いじゃないの



【朝焼けの体温に溶ける一瞬、微睡みを割く眩き照明、──── 或いはその名残】
【次の瞬きは再び、屋上へと投げ出された状態で、指先にいたカチューシャの温もりもない】
【思い出せるだろうか、最後に見た、彼女の表情を、最後に映った、彼女の色を】

【腕の中で語る彼女は、お馬鹿さんと紡いだあの子の表情は────】



【泣いていたのか、それとも、笑っていたのか、なんて────】



【もう一度戻っても、きっともう会えない、彼女は貴女を見捨ててしまったのか、──── 多分、そうじゃなくて】
【送り出したのだから、そうに決まっている、そうであってほしい、から────】
【生きることを決めた死人に、もうかける言葉なんてないのでしょう】


/こんな所でしょうか! お疲れ様です!

898 ◆1miRGmvwjU:2018/09/12(水) 02:06:47 ID:22.yXIak0
>>889

【死ぬのが神だとしても作者だとしても余り意味のあるコンテクストであるとは思えなかった。 ─── 死んでいるという事実だけが重要だった】
【ともあれ八課のデータベースに加えるには十分な資料的価値があると判断していた。読み終えたファイルをクローズして、居もしない誰かに憎しみの嘆息を遣る】
【実体なき神と相対するにあたって、極めて重要なスキームがそこには示されていた。渡されたナイフを誰に向けるかまで指図を受けるつもりは、誰にもなかった】


「嵯峨野は自らを素体にして、その実験を成功させた。ひとつ理由を挙げるならば、人間の忌み嫌う恐怖を啓蒙しようとして ─── 。」
「 ─── 病を定義し、そして消し去ろうとしたのも、宜なるかな、か。"未だ生を知らず、焉んぞ死を知らずや" ……… そんな所かな。」


【現れる論文の束。 ─── どことなく嵯峨野の人柄が読み取れるように思えた。即ち選民的、独善的、管理的、急進的、革命的。】
【神経質そうな男。然しその正義不義に関わらず、信念らしきものは見て取れた。であらば、ロールシャッハと調和を得たのも、当然の帰結だったか。】


「 ………… そも、奴の言葉を信じるならば。何故スナークは"形を与えられた"のに、肝心の"病"が無自覚なままなんだか。」
「燻り狂いたいのはこっちの方だ。 ─── だいたい何で、"病"と"不条理"を結び付けるなんて発想に至った?」


【小言と疑問を垂れながらも、 ─── 再度、検索する。"イル=ナイトウィッシュに関する実験の記録"。何故彼女が適合したのか、不条理を如何に捉えていたか、そんな所】

899スクラップズ ◆ZJHYHqfRdU:2018/09/12(水) 02:08:57 ID:IBKicRNQ0
>>896
助かる。お前たちの目的だけを見据えるドライさには、こちらとしてもやりやすいよ
知っているか知らないがでは雲泥の差だからな。事前調査は大切だ

……INF財団では禁書と言われていた。知っているような口ぶりだな
サクリレイジの手腕は恐ろしいね。まだまだ底を見せていないと見える



>>893
鵺……『INF-002』に対する情報がやけに少ないのは引っかかる。それでいて、対抗神話と思しきものは存在するとは
普通なら罠かと怯えるところだが、そうも言ってはいられまいな。あるいは、『INF-002』についての情報も、ここのどこかに秘匿されているのかもしれないが

【そうギンプレーンに語り掛けながら、やはり異形の脳裏にはまさに病に感染したかのように、ロールシャッハの文章がこだまし続ける】

イル=ナイトウィッシュとCypressが持ち帰った "最古の病" こそが、死。つまりジャ=ロ……
そのジャ=ロ、最古の病に"死に至る病"たるイルをもって絶望を……認識。そうだ。ジャ=ロに、死に絶望を認識させる

そのために、イルが病を侵す病となる。だが、イル=ナイトウィッシュはそのためにどこかの段階で絶望にならなければならない……
つまり、ジャ=ロに真の自己を認識させる、強固な自我を持たせる……?
我の強いイル=ナイトウィッシュ自体を、<harmony/plan>よろしくジャ=ロに組み込むとでも言うつもりか?

【そこまで呟いたところで、異形はディーの理路整然とした言葉を聴く】

>>896
――――流石はサクリレイジだ。良い人材を揃えている
なるほど、なるほど……他者からの認識でその定義が書き換わる。ならば、その定義づけを都合よく操作しようというわけか

ここで、色ボケの病魔どのとカルト幹部だったジャ=ロに共通する絶望が……ウヌクアルハイ。蛇神
えげつないことを考えるじゃあないか。要は二柱の神、双方にとって大切な物を台無しにしてやれば、絶望した死と病が共倒れということかね

ふっふふ……鈴音の奴め、随分な人気者になったものだ。アイドルが死んで後追い自殺する追っかけでもあるまいに……ふ、ふふふ!!
そうすることで、イル=ナイトウィッシュめがジャ=ロを絶望に引きずり込む定義づけの媒介にされるわけだ……

【ギンプレーンの異名よろしく、肉屋も笑う。そろそろ。書庫につく頃だろうか】

900 ◆zO7JlnSovk:2018/09/12(水) 02:11:32 ID:hvE.Nv4Q0
>>892>>895

【つがるは奇妙な本を読んでいた、古い時代の櫻の言葉で描かれた文字を】
【彼女が読めたのは本当に幸いであった、それは正しく喪われた言語であったのだから】
【一方で厳島の試みは成功しない、あくまでこの書架は単なる書架であった】

【タイトルの通り、その内容はお伽噺に近い内容であった、其れも何処か暗く重い内容】
【救われない子供の話、残酷な結末、──── あまり読んでいて気持ちの良い話ではないだろう】
【一見するとそれだけの話であった、つがるの感想も似たようなものかもしれない】


【──── 或いは厳島が読んだり、つがるが考察すれば別の側面が見えてくる話だろうか】


【この内容は何処までも "寓話" であった、──── 示されているのは、何かしらの教訓】
【改めて読み返すとその内容は皮肉に満ちていた、勘違いやすれ違い、ちょっとした嘘から招かれた破滅】
【誰も不幸になろうとしてなかった、ただ、幸せでいたかっただけなのに】


【──── それなのに、誰も救われない、そんな話ばかりだった】


>>895

【リーイェンは律儀に返事するだろう、仏頂面がやや目に痛いかもしれない】


  " 構わねーですが、何について調べれば良いですか? "
  " 一気に情報提供しても良いですが、人間の脳で処理できる量じゃねーですよ "

901 ◆zO7JlnSovk:2018/09/12(水) 02:14:52 ID:hvE.Nv4Q0
>>894>>896>>899

【考察の進んでいた三者は書架へと着くだろう、そして既に先に着いている人物が居ることに気付くはずだ】
【少女つがると、軍人厳島──── 面識のある人間はいるだろうが、さて】
【問題はつがるが持っている書物、それこそが件の書物であることだろう】

902ギンプレーン&ディー ◆KWGiwP6EW2:2018/09/12(水) 02:17:50 ID:WMHqDivw0
>>893
禁書がここにある以上、"鵺"の情報もどこかに有るとは思うんだけどな。
あるいは、"まだ"創られてないのだとしても、目星くらいはどっかにつけててもおかしくないだろうし。

【だが、この件でリーイェンを頼るのは少しばかり躊躇われた】
【理由は、カニバディールの懸念と同じく】
【同じ名前をもった少女が、公安三課に所属していることを知識として知っているからだ】

【偶然――?それは流石に出来過ぎだろう。もしも台本が用意されていると言うので有れば】
【こんなこれみよがしなヒントに意味がないはずはないのだから】



>>899
新世界のインシデントを覚えていますか?
あの時のジャ=ロの焦燥は演技には思えなかったと聞いています。
ウヌクアルハイの存在は、ジャ=ロに取って取り返しのつかないものになる可能性が高い。

少なくともロールシャッハはそれに近いことを計画しているはずです。

ともすれば近い内にスナークに干渉しに行くかも知れません。


ただ、この策を全面的に信用するのは危険かと。
これはあくまでも、ジャ=ロよりもロールシャッハの方が上手であった場合の話です。


【カニバディールの理解は早い。このくらいに頭の回転が速くなければ生き馬の目を抜く新世界で長年"悪党"をやっては来れないのだろう】
【書庫に辿り着くならば、先客と遭遇するのだろうか】

903 ◆zO7JlnSovk:2018/09/12(水) 02:21:10 ID:hvE.Nv4Q0
>>898

【奇妙な事にイル=ナイトウィッシュに関する記述は存在していない────否、】
【正確には、ロールシャッハが持ち込むまで<harmony/group>内で、イルに関する記述は何処にも無かった】
【つまり、実験をすること無く、ロールシャッハはスナークとイルとを、結び付きせしめたのであった】


  【 そう考えればロールシャッハにとって、スナークとイルとを結びつけるのは予定調和の中にあった 】
  【 だとすれば、彼はどの地点からこの着地点を見ていたのだろうか、そして────】
  【 結局彼の目的意識とは、どの部分へと向いているのだろうか、なんて 】


【思考を中断させるように通信が入った、リーイェンからのものであった】


  " 探索に執着するのも結構ですが、これ以上潜入されると情報封鎖も大変でごぜーます "
  " 腐ってもオフィス街の中心部ですからね、なので撤退を早くしてほしーです "
  " 使えそうな書類やデータ、物品なんかあれば、持ってきてかまわねーですから "

904スクラップズ ◆ZJHYHqfRdU:2018/09/12(水) 02:29:08 ID:IBKicRNQ0
>>902
目星……か。恐らくは……抜け目ないサクリレイジのことだ。お前たちも知っているのだろう?
まさにこの『INF-002』と同じ名……露骨すぎる。こうもあからさまだと、台本を書いた奴の責任を問いたくなるね

【まさに、このことを公安三課に告げるのは危険だという判断もまた同じ。彼らには彼らの領域がある、と信じるほかなしか】

ああ、よく覚えているとも。すかした態度を終始崩さなかったあのジャ=ロめが、ずいぶんと狼狽えてくれた
ロールシャッハがこのわかりやすい弱点を見逃すはずもないな

……その通りだ。ジャ=ロとて、サーペント・カルトを操り裏から己の目的に向けて巧みに駒を進めて来たのだからな
〝死〟を侮ることなど出来ようものか。こうもわかりやすい弱点を、放置しておくほどにジャ=ロも温くはあるまい……

【お互いに闇の中で生きる者としての実力を口に出さずとも認め合いつつ】
【書庫での思わぬ遭遇には、とうとう不意を突かれた表情を零してしまう】


>>895
……その、なんだ。久しぶりだな? 厳島。壮健なようで何より……

【知った顔を相手に、思わず間の抜けた挨拶を零しつつ。視線はしっかりと、つがるの手にある目的の書物を捉えていた】

905ギンプレーン&ディー ◆KWGiwP6EW2:2018/09/12(水) 02:32:10 ID:WMHqDivw0
>>901 >>895 >>892
【書架に来てみれば先程すれ違った男と少女。冒涜者は姿が見えなかった】
【先程とは異なり殺気立った様子はないので、呑気な様子で金髪の笑顔を浮かべた男が近付いて来る】



また会ったね。
さっきは取り込み中だったようだけど、今は状況が落ち着いてそうだ。

ここにはちょっと書物を探しに来たんだけど――ひょっとして君達の読んでいるそれだったりするのかな?


【視線はカニバディールに向く。どうやら知己であるらしい】
【彼を能力者の前に出して良いのかはわからなかったが、むしろ面識のない己が前に出るよりも話が早いのかも知れない】

906 ◆XLNm0nfgzs:2018/09/12(水) 02:33:24 ID:BRNVt/Aw0

>>895 >>900

【ぱらり、と読んでいて思ったのは「かわいそうな話ばかりだな」という事だった】
【ただ幸せでいたいだけなのに不幸になって悲惨な結末を迎えていく子供達】
【何だか子供向けの内容ではないなぁ、なんて苦笑して】

……んー、童話……なのかな?そういう本、なんですけど
旧い文体だからてっきり何かあるのかと思ったんですけど……
【何かあったか、と尋ねる厳島に言葉を返す】


>>899 >>902
【書架にたどり着いた彼らが見るのは一人の男と一人の少女の姿】

【求めていた件の本は、生成色の大きめのキャスケットを被った月白色の髪の少女の手の中にあり】
【件の少女はといえば突如やってきた不思議な姿の一団に驚いたようで金色の目を丸くして固まってしまう】

907 ◆1miRGmvwjU:2018/09/12(水) 02:42:01 ID:WzRDBPas0
>>903

【全ての結論が示唆性に富んでいた。 ─── それを整理するには時間が必要だった。ならばリーイェンの呼びかけは妥当でもあった】
【ロールシャッハの描いているシナリオの全容を把握するには未だ足りぬピースが多すぎた。それでも進める道は、少しずつ、示されていくから】


「 ……… 時間切れ、か。」「結局の所、 ─── 白神鈴音に堂々巡り、とはね。」
「けれど、 ……… ジャ=ロが与えた物を取り上げた理由も、分かった気がする。」
「"邪魔させない為"かしらね。 ……… ともあれ、何故このタイミングで、こんな風に仕掛けてきたのか、解せないけど」

「 ─── メトセラ11、了解(Roger)」「 ─── ヴォーパル02、了解(Roger)」
「目ぼしい物は全て押収しておきましょうか。」「ハードディスクからレポートの1枚に至るまで、やっとこう。」


【そう決断するならば後は早いものだった。 ──── 言葉通りに両者は動いて、地下牢に認めた有用な資料は全て懐に収め】
【きな臭い動きを察知される前に撤収するのだろう。回収用の偽装バンを後藤が寄越していた。最後まで消えぬ嘆息は曇天に似て】
【然し幾ばくかの光明に縋るならば、殺意の行く先も与えられるというものだろうか。 ─── 黄昏の決戦と迫り来る残光を、誰もが自覚していた】


/こんな感じでわたしからは!皆さまお疲れ様でした&ありがとうございました!

908厳島の中 ◆rZXDD3W69U:2018/09/12(水) 02:42:27 ID:6.kk0qdE0
>>900>>901

【研究室】

「あー、やっぱりそんな大量に資料が……リーさん……」
「そうですね、えっと、先ずはカチューシャとイトゥーギ、その自我とharmony/planの関係性に関して」
「実験に関しては先ほど資料を当たりましたから、除外して貰って構いませんがその部分詳しい資料ありましたらお願いします」

【どうにも、仏頂面で話すリーイェンには、こうした話し方になってしまう様で】
【電子上の存在と言えど、女性には弱い様子だ】

>>900>>906

【書庫】

「つがる、一体何を読んで?」
「これは、櫻の国の、童話?寓話?なのか、どうしてこんな物が?」

【覗き込むように、その古文で綴られた書物を読み始める】
【残酷で、不条理とも言える教訓寓話を集めた物の様だ】
【士官学校の教養として身に着けている古典の読み方で、読んで行く】

「一体、これは……」

【胸が悪くなるような、そんな話と結末ばかりだった】
【非常に、非常に重く暗い】
【ふと、ここで気が付いた】

「誰も不幸になろうとはしていない、か」
「誰もが幸せでありたかった、だが、運命が、ちょっとした手違いが、破滅を招いた」
「これでは、これではまるで……虚神達の、あるいはそれに意図せず手を貸してしまっている者達の」
「その姿そのままではないか?」

【そんな感想が漏れた】
【ともすれば、それは自分達にも同じことが言えるのだろうか】
【ここで……】

>>901>>904>>905

「!?誰だ!?」

【開く扉と、そこに居る、出くわす事となった者達】
【思わず拳銃を構えるも……】

「カニバディール!?」
「それに、君達は先ほどの?」

【その姿の主、その相手は良く知った人物だった】
【円卓サイドの機関員にして、現在は同じくチームMに属する異形の能力者カニバディールであった】
【一方の二人組は、研究室で少々顔を合わせた相手だったが名前や所属は全く知らない相手だ】

「どうして此処に?と、そんな質問は愚問か?」
「ここには目ぼしい物は無い、しいて言うならば、このつがるが持っている本位だが……寓話集だ、それも櫻の国の古語で書かれている」

【両手広げるようなモーションで、そうカニバディールとその二人に告げる】
【この資料の意味、真意、これらは読むことは出来たが理解は出来ていない様子だ】

909ギンプレーン&ディー ◆KWGiwP6EW2:2018/09/12(水) 02:48:24 ID:WMHqDivw0
>>908
ボクはギンプレーン。
サクリレイジ――リーイェンの同僚さ。

その本のタイトル――『暗黒寓話奇譚』だったりしないかな?

もしそうだとしたら本を貸して貰うか、できなければ内容をコピーさせて欲しいんだけど。
虚神絡みの本に同じようなタイトルの本が有るんだ。
何かのヒントになるかも知れないからね。


【リーイェンから撤収命令が来ている。腹芸をしている暇はないだろう】
【目的とその理由をきっぱりと告げることにする】


まー、ボクは櫻の国の言葉は読めないけど、読める人に見せるからさ。

910 ◆zO7JlnSovk:2018/09/12(水) 02:50:57 ID:hvE.Nv4Q0
>>908(ライガ)

【そんなライガの様子を意にも介さず、リーイェンは淡々と仕事を進めるだろう】
【知っている人間からは、いつもの調子だと分かるのだが、初対面に近い人間にとっては】
【中々に威圧感のある行動だろうか、特にライガにとっては些か心苦しい】


  " はい、ある程度纏めてデバイスに転送しておきましたです、時間ある時にでも纏めて見て下さい "
  " ミレーユとアリアには伝えましたが、そろそろ情報封鎖も限界です、可能なら速やかに退出してくださいませ "
  " 分かっているとは思いますが、お願いではなく命令ですから、お間違えの無いように "


【とまぁこんな具合で、その場から退出するように促されるだろう】
【一方で仕事はキチンとするようで、ライガの端末にはしっかりと求めていた情報が添付されている】
【けれども内容が内容であるため、正しく之というものはないのだが】

【分かるのは事実だろうか、カチューシャは後から定義された自我、トゥイーギは前から持っていた自我】
【双方は強い自我に差があった、だからこそ対応に差が生まれたのだろう】
【<harmony/plan>が新しい自我を重視していたからこそ、カチューシャを重用し、トゥイーギを蔑ろにしたと考えられる】

911スクラップズ ◆ZJHYHqfRdU:2018/09/12(水) 02:52:28 ID:IBKicRNQ0
>>908
……目的はお前たちと同じだ。虚神どもは、私にとっても敵なのでね
櫻の国の寓話集……なるほど。それこそが暗黒寓話奇譚。『INF-002』の対抗神話だ

【言いながら、カニバディールはこの場の侵入者としてではなく、チームMとして厳島に素早く指輪で情報を送信しようとするだろう】
【上でカニバディールが調べて来た、嵯峨野の件とロールシャッハの企みについての推測。ここに来るまでに、スカーベッジにデータ化させておいたものだ】
【情報は回してこそ有用となる。Mのメトロラインに乗せれば、広がりすぎず有志のみに拡散することになるはずだ、と】


さて、何はともあれ……その書物は記録してここにいるメンツで共有しておくべきだと思うが
お互い、そろそろ長居するにはきつい時間だろう?

912 ◆XLNm0nfgzs:2018/09/12(水) 02:59:32 ID:BRNVt/Aw0

>>908  >>909

誰も不幸に……確かにそう、ですけど……
虚神の姿に重ねられるかっていうと……
鈴音ちゃんは兎も角として他のは鈴音ちゃんどっかにやっちゃったり夕月ちゃんにあんな酷い事する奴等なんですよ?
可哀想とか……重ねられる物語の子達の方が可哀想です
【ぷい、と憤慨したように言うが】
【その刹那入ってきた人々に驚いて固まってしまい】

ぇ……確かにそんな題名ですけど……
うぅん……
【その本を渡してほしいという言葉にどうしよう、とばかりに厳島を見て】

913 ◆zO7JlnSovk:2018/09/12(水) 03:04:03 ID:hvE.Nv4Q0
>>904>>905>>906>>908

【つがると厳島にとって、その内容は単なる "寓話集" であった、そして恐らく】
【ギンプレーンやカニバディールにとっても、その内容は大きくは変わらない、けれども】
【それでもこの書物は 『INF-002』 に対する対抗神話であるのだと、彼らは知っていた】

【厳島の推察もある意味で正しいように伝わるかもしれない、誰も望んで悪事を行うわけではない】
【けれども、その幸せの掛け違いが、結果として不幸せな現実を導き出すという証明】
【──── そして、その内容こそが『INF-002』に対する、禁書であるという事実】


  【 "加えて" ──── この内容は "櫻の国" に関する寓話であった、そこに生じる、違和感 】
  【 何故 "虚構現実" の書物であるべき『暗黒寓話奇譚』に、櫻の国についての言及があるのか 】
  【 奇しくもサクリレイジのボスはその真実に辿り着いていた、この場に居ないことが悔やまれる程に 】


【或いはまた、この場に居る全員は、そこに辿り着くだけの情報を既に持っていた】
【過冷却された状態の水に似ていた、何か一つの切っ掛けが、真実を描き出す結露を作る】
【その違和感に気付いた者にとって初めて、この寓話集は、寓話たり得るのだから】

【──── 或いはこの寓話を、こう読み取る事も出来るかもしれない】

【我々は皆、運命の奴隷であるのだと、──── そこに悪意や善意が介在する余地など無く】
【結局、破滅も成功も運命の導きによって定義づけられるのだと、──── だとすれば】
【正しく暗黒寓話であった、何処までも残酷な教訓がそこにはあって】



【──── 若しくは、──── 何か別の、目論見もあるのだろうか】

914パグローム ◆KWGiwP6EW2:2018/09/12(水) 03:09:14 ID:WMHqDivw0
>>805
【ギンプレーン達が、書架に入っている合間――リーイェンの目さえ盗んで、虚数渡りの男が姿を現す】
【慣れ合うつもりなど更々なく】
【ただ、研究所に入り込むと、その研究データの内に、特定のフレーズが目についたものをアナログデジタル問わずに掻っ攫っていく】


――ハン。身内に同じ名前のヤツがいるだとかァ?
脳味噌茹だってんのかァ?それで調べられるモノも調べられねェんじゃ無能も良いとこだぜギンプレーン。


【悠長にこの場で調べる気などない】
【男は貰うものだけ貰うとさっさと撤収してしまうだろう】



【持ち帰りとして、<harmony/plan>の研究データの内、"Bacikal"と"Iweleth"の名称が記された資料を盗んで行きます】

915厳島の中 ◆rZXDD3W69U:2018/09/12(水) 03:11:30 ID:6.kk0qdE0
>>910

「あ、すみません……ありがとうございます」

【どうにも、余所余所しくなるのもご愛嬌だろう】
【やがて、端末にリーイェンからの情報が送られてくる】
【だが、ゆっくりとこれをこの場で熟読している時間は無い様だ】
【無論、新しい情報の収集も同じように……】

「惜しいですが、解りました」
「直ぐに私も離脱します、リーさんありがとうございました」

【そう端末に告げると、再びポケットに仕舞い】
【建物を離れ、オートバイに跨り外務八課の本部へと帰投するだろう】
【無論、得た情報は本部で共有し考察を重ねるのだろうが、それはまた別の話だ】

>>909

「リーイェンの?なるほど……」
「厳島命、櫻国魔導海軍陸戦隊諜報部、中尉だ」

【そう短く挨拶をする】
【ここまで名乗ったのは、カニバディールと共に現れた事】
【そして、所属に偽りは無さそうだと感じ取った為である】

「この寓話が?」
「解った、つがるに頼みコピーを取る様にしよう、これでこの本の情報は閲覧できるだろう」

【少々訝しげな様子だが、この本に何かの秘密がある様で】
【それならば、コピーを渡し共有すべきだろう、と考えて】


>>911

「なるほど、ああ、間違いなくそのタイトルだな」

【つがるの手にあるその本のタイトルを見て、確かにその名前で間違いは無いと答え】
【やがて自分の指輪が光るのを感じ、端末を起動する】
【そこには、カニバディールの調べたのであろう情報が大量に記されている】

「この本が対抗神話、それは、また随分な話だと思うが……」
「解った、もう撤退の時間でもある様だ、長居は無用だな」
「賛成だ、この本を、コピーあるいはデータ化して共有速やかに撤退、これがベストだろう」


>>912

「いや、子供達がと言うではないが……」
「この場で説明するには、少し時間が足りないな」

【そう言って、つがるから再び視線を戻し】

「つがる、今はこの人達を信用して欲しい」
「その本を渡して欲しい、コピーを取るかデータ化して共有したい」

【そう、いつもの口調と声色で答えた】
【少なくとも、眼の前の人々は大丈夫、だと】

916スクラップズ ◆ZJHYHqfRdU:2018/09/12(水) 03:20:59 ID:IBKicRNQ0
>>913
【寓話集を読み進めたカニバディールは、その違和感をまずは心に留め置く】
【対抗神話と知った上で、別世界から来たと知った上で見れば、櫻の国への言及が不自然だ】

【幸せの掛け違い。ちょっとしたボタンの掛け違い。何かと何かのすれ違い】
【これが何を意味するのか。今はまだわからない。アジトで手持ちの情報を精査すれば、少しは真相に近づけるだろうか】


【運命という巨大な流れ、さらにその奥の何か。そこに至るには、この場ではまだ時が足りない】

>>915
互いに異論はないようで助かる。では、さっさと退散するとしよう

【カニバディールもまた、スカーベッジと共に寓話の内容をコピーして端末に収めると】
【同じく、去っていくだろうギンプレーンとディーに別れの挨拶を意外にも優雅な一礼と共に送った】


さて、我々もそろそろここまでだ。厳島、お互いに足掻けるだけ足掻こうじゃあないか

【知己にそう言って、異形どもは出口へと向かう。その先で恐らくは、かつて戦った因縁の科学者とも予期せぬ再会をするのだろうか】

917 ◆XLNm0nfgzs:2018/09/12(水) 03:24:40 ID:BRNVt/Aw0

【目の前の人物に対し、今は彼らを信用してほしい、と告げ本を渡すよう頼む厳島】
【だが、彼女にとっては少々気の進まない事であった】
【何やら重要なものだとはいうが、だとすればこれが自分にとって唯一手に入れられた手がかりなのかもしれない】
【となるとこれを手放してしまうのは何だか惜しい気がして】
【けれども自分では上手く読み解けないのもまた真実で】

……あぁもう!分かりました!分かりましたよ!
あげますよこんな本なんか!別にいらないし!
【目の前の相手に押し付けるように本を渡し】

……コピーとか別にいりませんしっ
どーせ私なんか何の役にもたたないんでっ
おとなしく人の帰り待ってるのがお似合いなんですよっ……

ばぁか……
【何処か不機嫌な様子でその場を後にするのだった】

918 ◆XLNm0nfgzs:2018/09/12(水) 03:26:58 ID:BRNVt/Aw0
/すみません!>>917>>915宛でした!
/こちらからはこれでしめさせていただきます!お疲れ様でした!

919 ◆UYdM4POjBM:2018/09/12(水) 03:33:07 ID:XqQAhkbc0
>>908>>909>>910>>911>>912


―――諸君。ご苦労だった。まずは此度の調査より無事戻って来た事を喜ぼうか


【出口に集まった面々が最後に自己紹介がてら各々の共有を始めたその場に、凛とした力強い称賛が響き渡る】
【調査を終えた者達を迎えるように―――その男は立っていた】

【新品同様にまっさらな白衣、右耳にはインカム型の機械、右手にはマニピュレーター、その首にはトレードマークの髑髏模様のネクタイを首に絞めている男だった】
【―――正義組織技術提供者、ジンジャー・ユースロット。傍にいるのは黒髪を月の髪飾りでポニーテールにした黒白色が目立つ侍女服の小柄な女性、ジャンクちゃん】


待ちかねたよ。私が駆けつけた時には君たちはすでに情報を手にした後だったとは……話が早くて心強い
約数名どっかで見たことがある様な者達も交じっているようだが……まあいい。この際『君』の顔に免じてとやかくは言わないことにするよ


『―――ほんっとーに、女の子には敵であっても優しいのね~。まあ無論知ってたし!驚いてるわけではないし!
ほらほらカニバ!身構えなくてもいいから!無論話は付けてきたし!正義の味方御一行さんもリラックス、リラックスOK?
私たち、みんなの手伝いに来たのよ!相手が相手だもの……今は各々の主張は一度飲み込んで団結するのが一番かなー?って思ってきてみたりした訳だし!』


【―――そして、もう一人いた】
【ゴールドブロンドのロングヘアに透き通るような碧眼。その頭には『10』と刻印された缶バッチと『カノッサ機関』の象徴である逆五芒星の紋章の缶バッチをくっつけた黒のキャスケット帽】
【真っ白なブラウスの上からクリーム色の秋物のシャツを羽織った黒いスカート。足元は茶のローファー。―――右手には魔術起動用の宝石が組み込まれたグローブを嵌めた少女がいた】

【カノッサ機関ナンバーズ、≪No.44≫から≪No.10≫に昇進。六罪王 音無 小町側近――――ブレンヒルト・フェイタルベルンだった】

【横でぶすっとした顔でジンジャーを睨んでいるジャンクちゃんを尻目にジンジャーは前方のブレンヒルトを追い越し、彼らに言葉を続けるだろう】


では諸君。まずは敵を知るのが第一だ。手始めに本日諸君らが得た情報……どうか我々にも共有を願いたい
虚神の打倒は私にとっても重大な案件だ……今後は私もこの技術を持って諸君らを全面的にバックアップすると誓おう


『そうそう!……んーまあ実は私は正直ピンと来てなくって難しい事はまだほとんどわかってないけど
今は皆の共通の脅威をどうにかすべく団結しなきゃって事でしょ?それは無論私としてもとっても大事な事だから頑張らせてもらうし!

―――……まあ早い話、神を殺せればいいんでしょう?だったら、私の得意分野だし!』


【各々が運命の糸に縛られ、身動きできない中差し伸べてきたのは、『善』と『悪』。二つの救いの手だった】
【混沌とした事件を解決に導くために。各々の主張を一度飲み込み団結を持ち掛ける助っ人は、こうして遅れてやってきた】

【この介入が、どう転ぶかは今はまだだれにもわからない】

/というわけで、最後に少しだけ関わらせていただきます……皆さん、遅くまで本当にお疲れ様です!

920厳島の中 ◆rZXDD3W69U:2018/09/12(水) 03:35:56 ID:6.kk0qdE0
>>916>>917>>913

「ああ、対抗神話、虚神へ抗う一手と成り得るのであれば、なるべく多くに知らせた方が良い」

【つがるから受け取り、そしてカニバディールへと手渡す】
【データ化は迅速に終わり】

「黒幕に加え虚神、敵は多いが」
「無論だ、負けるわけには行かない……絶対に……」

【そう確かな言葉を交わし、そしてカニバディールともこの場で解れ】

「さあ、つがる、帰ろう……」
「ん?どうした?」

【何か不機嫌な様子の少女だった】
【気に障る事でもあったのだろうか、と】

「つがる、一体?」

【確かに色々とあった、夕月のとても二目と見れない様な姿も見てしまった】
【だが、少女の言葉は……】

「つがる、待て、待つんだ!」

【そう声をかけ、追いかけながら自分自身も撤退して行く】

「(だが、何故、異世界の寓話であるこれに櫻の国の記述が言葉があるんだ?)」

【そう、拭いきれない疑問を抱えたまま……】

//お疲れさまでした、こちらもこれで〆レスです

921 ◆zO7JlnSovk:2018/09/12(水) 03:36:01 ID:hvE.Nv4Q0
>>914

【パグロームの手にする情報はあまりにも "少ない" ──── それだけ、彼の選んだフレーズは "禁句" であった】
【手当たり次第に掻っ攫った情報の大半は持って帰って見ても、特に必要な情報とは思えない】
【それは恐らくボスにとってもそうであった、そもそも当たり自体が少なかったのだが】


  【 ──── けれどもほんの僅かにだけ、有用そうな情報が紛れていたのも、事実であった 】


【 "嵯峨野 鳴海" のPCであった、カニバディール達がアクセスした結果として、バックドアが開きっぱなしになっている】
【パグロームの能力を以てすればその中から情報を抽出するのも可能であろう、そうして彼は二つの情報を手にした】
【 『INF-002』も "鵺" も存在しなかった、当然であった、 "嵯峨野 鳴海" は "虚神" を認識してはいなかったのだから】

【けれども、インシデント:電波通信でロールシャッハが示した様に、"Bacikal" と "Iweleth" その二つは紛れもなく彼が用いていた】


  【 "嵯峨野 鳴海" は人間の持つ罪の因子に名前をつけた、 "Bacikal" と "Iweleth" はその一種であった 】
  【 それを "INF財団" がオブジェクトクラスとして流用しているのにも意味があった、虚神は須くその性質をそこに窶す 】
  【 加えて、"嵯峨野 鳴海" は最初の実験体に自分自身を対象にした、それはつまり────】


【彼の定義した罪の因子もまた、彼自身の性質を踏まえた上で、一般化したと考えられる】


  【 "Bacikal" ──── 私はそれそのものを人間のエゴとして捉える、超越的な存在を認めないという精神そのものの罪である、と 】
  【 私は "能力者" を認めない、 けれども事実として、彼らはこの世界に存在している、──── 私の精神の中で最も矛盾している罪だ 】
  【 だからこそ取り除かなければらない、その上で私は世界を、現実をどう定義するか、私はある種の悦びを見出している 】

  【 何故ならその先の私自身を、私自身が想像できないからだ、敢えて言おう、私はこの身を運命に委ねるのだと 】
  
  【 "Iweleth" ──── 私はそれそのものを否定はできない、愚鈍であっても盲目であっても、行いを否定する事は出来ないのだから 】
  【 けれども時として否定しなければならない、私は人の上に立つ人間として、時には勤勉である人間を切り捨てなければならなかった 】
  【 人は善を為そうとする、けれども、時としてその善は他者にとっての悪になりうるのだと 】

  【 盲目の鳥が認識する世界は、我々にとって調和を意味しない、──── それ故に私は、無垢を否定する 】

922 ◆zqsKQfmTy2:2018/09/12(水) 22:13:27 ID:6IlD6zzI0
>>897

【終わりを知るまでの永遠を絶頂と安らぎだけに揺蕩えるならば、どれだけ幸せなのだろう】
【少女の言葉通りに二人しか居ない世界で唇を重ねて、肌を重ねて、爛れた愛を貪れるなら】
【それは間違いなく幸せだ。けれど身も心も溶かしていく甘い死でもあったから――】


……別にフった心算はないさ。

ただ死んでるように生きたくないだけ。
息を潜めて停滞する様な生き方なんて御免なだけ。
心まで死人に成り果てて全てから目を背けるのが我慢ならないだけ。

だから、カチューシャからすれば度し難い生き物にしか見えないだろうね。
……ごめんね、カチューシャ。私は幸せな夢を見て生きられない生き物だから。
………できれば、愛想尽かさないで欲しいな。私は"カチューシャ"を"愛してる"。


【"愛を貪ろうって言ってくれた事。すっごく嬉しかった。願わくばあんたの愛に溺れたかったよ"】
【離れない様に抱きしめた少女はやはりカチューシャだけど、感じ取ってしまったのは虚ろの神の側面】
【加えて水と油みたいに分離するものじゃなくて、表裏一体のコインみたいだと知ってしまったから】

【エーリカは力なく笑って。カチューシャは半ば呆れながらも安堵していて】
【気がついたら、二人しか居ない世界から現し世に送られる形で屋上に出戻りするのだった】


―――……掴ませておいて、手を離すなんてさ。……卑怯だよ、カチューシャ。

【別れ際の、愛する人は泣いてたのか微笑んでいたのか――その両方なのか。もう解らない】
【泡沫の夢の一時は安らぎに満ちていたけど、夢から覚めれば残るのは寂寞の思いのみ】

【抱き合った時の肌の感触も温かさも始めから無かったかのように消えて――その場にへたり込む】
【そうしたら、ぽつりと洩らす言葉を切欠に喪失感に襲われて。その有様、まるで中毒或いは依存か】

      
     【愛する人を、愛を信じて殺せますか?――その答えは未だ持たぬまま】


//お疲れ様です!絡みありがとうございました!

923イスラフィール ◆zO7JlnSovk:2018/09/14(金) 11:19:32 ID:hvE.Nv4Q0
>>798

【それは神秘を一杯に詰め込んだ玉手箱の様で、乙姫から手渡される餞別に似ていた】
【どうしようもなく魅力的に、その質感を撫でたならば、網膜の奥には夢十夜、さりとて戻る術を知らず】
【だからこそ彼女は静謐に佇むのだろうか、友禅よりも雅な白妙に染まりながら】


──── 誇り高い職業と言って欲しいですわ、政とは元来その為の言葉ですもの
私は民を愛しております、この国と、この民とを、私は私の家族同然にも思っていますから
我が子の粗相を嫌う親が何処にいましょう、母は我が子の為ならば、そう────



悪鬼羅刹の如く振る舞う事すらも、あるのですから



【微笑んだ、目尻の残照が瞬きの狭間に消えて、重なる睫毛が蕾の様に溶けていく作用】
【口紅の中に仕込んだ毒、触れたなら死へと誘う黒赤色の薔薇に似た、深い深い笑みの心地】
【多分に意味深で、過分に不可侵であった、その言葉の深奥を探るには世界が満ちていないほどに】


──── ええ、とても興味深いですわ、 "虚神" と、そして──── "黒幕" と


私の主な敵は後者ですわ、中々尻尾を見せない強かな存在でしたが……おかげさまで、片鱗を掴みましたわ
"黒幕" とは言い得て妙ですね、自身の存在を裏方に隠したまま、世界の大半を牛耳る作用には感服いたします
だからこそ、でしょう ──── 政界に於いては発言力を持っていますが、影響力は御座いません

お分かりでしょう、野党の提出した "魔制法" ──── あれのプロットこそは作ったのでしょうが、実際に運用はしていない、と

故に付け入る隙が御座います、民主主義を標榜している我が国で、戦う術は決して武力だけではないのです
ありがとうございます、貴方様のお陰で私が取るべき術がはっきりと見えた気が致しますわ
──── そう遠くはありません、まずは一つ楔を打たねば、と


【そうして彼女は一音節切った、続く言葉を艶やかに沿わす為に】


そして…… "虚神" ですか、何とも荒唐無稽な話ですが、ふふ、荒唐無稽こそが彼らの信条なのですね
現実の裏側にはまた別の現実があり、貴方様方は人知れず現実を守るために戦っている、と
まるでその作用はパラノイアの心境にそっくりですわ、誰かの夢の中ならばどれほど幸運だったのでしょう

けれども、その夢から覚めることは決して幸福とは言いませんわ、──── けれども、治療は続けられなければならない

──── 力になれるかは分かりませんが、一つ示唆致しましょう
貴方様は、これらのインシデントが何故 "旧市街" で起きているかお分かりでしょうか?

或いは斯様な "棄てられた場所" に、彼らがどんな未練を残しているか、知っていますか?

924 ◆zO7JlnSovk:2018/09/15(土) 14:03:50 ID:hvE.Nv4Q0



【 ──── この島を知る者は少ない、地図から抹消された遙か遠くの島 ──── 】



  【 言われなければ気付かない程に、此処が "水の国" にあるだなんて、信じられない位に 】
  【 けれども確かに、この場所は水の国であるのであった、探索者達はきっとそう感じるのだろう 】
  【 フルーソの駅を超えて、中央線から支線へと果て無き旅路を行く、それはまるで巡礼に似て 】



【 "旧市街" に来たならば、陰鬱な雰囲気が満ちていた。病葉でさえ生えない不毛な土地に思えた 】
【 積もる言葉は欠片細工、灯す思いの行方の様に、はらはらと溶けて消えていく芥雪の如く】
【 果てまで歩くのだろう、街を抜け、道を進み、草木を掻き分けその果てに向かうまでに 】




  【 "渡し守" 曰く──────── 】



               “ ここからは舟に乗っていきなさい ”



  【 言葉の通り、言葉の示すその通り、 言葉の征くが通り、貴方達はきっと舟に乗り込んで】
  【 "渡し守" は舟を漕ぐ、古びた木製の舟、水を進むその作用は微睡みの中で見る夢の様に】
  【 やがて歌声が聞こえてくる、──── “ こんな唄を知っているかな ” 】



  “ 二度目の朝を迎えたよ ”  “ 乾きに震えるカエル ”  “ 毎日起こる奇跡に苛まれて ”  “ 逃げてきたんだ ”


    “ 君が最初に笑う理由を見せて ”  “ 見えない手に押されて放り出された ”  " 舞台じゃないから? ”



  【 舟が軋む、波が荒くうねる、──── "まるで何かにぶつかったかの様に" 】
  【 否、君達は知ってい、る ──── その正体が、何なのか、知っている筈だ 】
  【 ──── 導かれて、此処に、来たのだから】



    " 君はかわいい怪物のようだった ”  “ そう容易くは手懐けられない ”



  【 舟底から突き上げられる感触、その淵を握る手の感触、蝕む作用は悪夢に似ていた 】
  【 そう自覚するだろう、そう自覚するでしょう、そう自覚するしかないのだから、現実へと目を向ける所作を 】
  【 ────、目覚めと呼ぶのだから、そうとしか表現出来ないのだから 】


/↓

925 ◆zO7JlnSovk:2018/09/15(土) 14:04:20 ID:hvE.Nv4Q0



    “ 崖の、下を ”  “ 青い ”  “ 風渡る ”  “ 海馬、叫ぶ ”  “ 跳ねるエンドルフィン ”


      “ ここは君の大きな傷口 ”   “ ──── 辿り着いたよ ”



  【 あったのは "死" だけであった、此処に来るまで、見ないようにと目を背けてきただけの 】
  【 "旧市街" の道、町中、路地裏、そこら中、自死して果てた数多の死体が転がっていた 】
  【 ただただ、君達は目を逸らしていただけだった、そうでなければ此処になんて来られないのに 】



    “ 君が最後に笑う理由を見せて ”  “ 見えない手に押されて放り出された ”  " 舞台じゃないから ”



  【 バスは動いていなかった、運転手が舌を噛み切って死んでいたから、その前面には赤い色 】
  【 タイヤの隙間絡まる血肉、腕の切れ端と、髪の残りと、──── 後は静謐に 】
  【 この惨禍を "災厄" と呼ばずに何と呼ぶのだろう、その答えは未だ、見えず 】



  “ 海鳴りが轟いた ”  “ 霊と交わる更衣室で ”  “ 押し寄せる波 ”  “ 血流 ”  “ 言葉無くす司祭達 ”


    “ 赤ん坊の泣き声は ”  “ 海の底から突き上がる ”

       “ 神秘が僕に鞭を打つ ”    “ ──── まだまだ君は生きなさいって ”



  【 舟の側には死体があった、流れてくるそれを貴方達は目視出来る、けれども黙認するのだから 】
  【 そして、その理由を知っていた、何故数多の死がこの街を覆っているかなんて、十全に知っているのでしょう 】
  【 これは呪いで、これは呪いで、これはきっと、当然の帰結なのだから──── 】



    “ 夢から覚めて笑う ”  “ そこはまた夢 ”

            “ 目を開けたまま眠る秘密を見せて ”  ──── “ そして ”



  【 舟は着く、 "渡し守" は朽ちて果てる、彼もまた死体であった、とそれだけの事だから 】
  【 貴方達は歩き出す、舗装された道を外れない様に真っ直ぐと、そうしたなら其れが見えてくる 】
  【 "サーペント・カルト" の本部、──── 瀟洒な館にも見えたし、宗教施設の様にも見える 】



                  “ 君が最後に笑う理由を見せて ”



/↓

926 ◆zO7JlnSovk:2018/09/15(土) 14:04:35 ID:hvE.Nv4Q0



【 貴方達は歩き出す、施設の中は白を基調とした装飾であった、偶像は何処にも存在せず 】
【 ただ道しるべの様に自死した死体があった、其れは最早見慣れた景色の一瞬にも似ていたから 】
【 何も思わず進むのだろう、赤いカーペット、ランドマーク、導には十分過ぎる荒唐無稽 】




                “ ああ 見えない手に押されて放り出された ”


                      “ 舞台じゃないから ”



【 信者達が過ごした施設を抜ける、大広間を過ぎ去る、奥へ奥へ、蛇の胃袋に飛び込んだかの如く 】
【 死者の数は増えていく、積み重なる様に、折り重なる様に、それはまるで強く強く祈る作用に似て 】
【 僅かばかりも躊躇いを許さない、そんな願いにも近い雰囲気を持っていたから 】




                “ 全然しらなかった 誰も教えてくれなかった ”



                 “ 切れた糸電話 此処は屋上 神のプール ”



【 回廊を降りる、かつて "神" と会った場所、貴女は知っていて、貴女以外は知らない、それでも十分良かった 】
【 向かう先は "祭祀場" 祈りの果て、多くの所業を行った、貴き骨粉達の行く末ともなりうる 】
【 努々忘れられず、各々疑り棄てた、勘ぐる試みは、神の所業を垣間見る売女のそれに近く 】



                  “ ふたり行列を離れる ためらう殉教者達 ”



【 その扉を開いたならば、貴方達は "祭祀場" へと躍り出る、上下に広いスペースには数多の道具があった 】
【 人を丹念に、丁寧に、丁重に殺す為の道具、サーペント・カルトがその名に恥じぬ行為を行っていた場所 】
【 その中央に "彼" は居た、丁度そう、読んでいた本を閉じるかの如く──── 】



                “ 君が駆けだして──── ”

                       " ──── 僕は悲しい口を閉じた "



【 白いシャツを着ていた、黒い長髪をしていた、それ以外に形容できず、それ以外の表現を持たない 】
【 ただ彼は "ジャ=ロ" として佇んでいた、 "ケバルライ" として世界に死を蔓延させていた 、そして 】
【 ──── 祈り手として、貴方達と相対するのだろう 】





   【 ──── 此処はスルツェイ、神様の気まぐれで生まれた場所 ──── 】



/イベント、"無垢の祈り" 開始いたします、参加者の皆様は此方にレスを下さい

927 ◆S6ROLCWdjI:2018/09/15(土) 14:22:45 ID:WMHqDivw0
>>924-926

……………………………………気持ち悪い。

【吐き捨てるように少女の声色。モノクロームと赤色だけで構成された街をゆく、その途中】
【何を隠すでもなく飾るでもなく、ただ単純に率直な物言いをするその声は、凪の海のように平坦で】
【同時に鋭さをも孕んでいた。刃毀れのない真っ直ぐな刃。それによく似た、あどけないソプラノ】

【真白い少女だった。肩甲骨を覆う程度まで伸びた髪も、晒す箇所の少ない肌も】
【虹彩でさえ、白に程近い灰青色。着ている服だって似たようなもので、白のカッターシャツに】
【紺色のプリーツスカート、肌を透かす薄い黒タイツ。足元だけが重厚な黒色のコンバットブーツ】
【そんな感じの、彩度に乏しい出で立ち。ともすれば朽ちた街に融けて、そのまま無くなってしまいそうな色合い】

【――――だけど消えてやる気はさらさらないと言うように。眼光だけがぎらめいて、感情に色がついて見えるなら】
【間違いなく激情、赤色にキラキラ輝いていたことだろう。あるいはそう思わせるだけの錯覚を伴い】
【示される道をただ進んでゆく。それしか知らないから。知らないから――だから、居づらさを感じるなんてこと】
【……は、なかったんだけど。だって今日の自分は「正義の味方」だから。「悪」は滅ぼさなきゃいけないんだ】

【祭祀場。そこに佇む彼の姿は、資料の上でしか見たことがない。スカウトされた組織――外務八課の持っていた】
【膨大な、あまりにも膨大な量のそれを読んで「予習」はしてきたけれども。正直なところ何が何だかさっぱりわからない】
【……というのが率直な感想だった。だから彼と対峙しても、いまいちに、殺意も敵意も浮かんでこなくて】

【(だって「あの人」にひどいことをしたのは「こいつ」じゃなくって。また別のやつだって知ってしまったから)】

ええ、と…………どうしましょうか、先輩方。
あの男に積もる話があるのは貴方方でしょうし、私が横入するのもなんだか申し訳ない話ですし――

――――――殺していいタイミングになったら教えてください。援護します。

【だから。この場に居る「先輩方」――アリア、ミレーユ、ライガにそう声をかけるだけに留めて。静かに立ち止まる】


//佳月です!よろしくおねがいします!

928アーディン=プラゴール&レグルス=バーナルド ◆auPC5auEAk:2018/09/15(土) 14:26:16 ID:ZCHlt7mo0
>>924-926

「――――最悪なんてもんじゃねぇな。なんだったんだ一体……」
気を抜くな……まだ『現実』の範疇だ。こんなもの、挨拶代わりに過ぎない……「こんにちは、お元気ですか?」程度だ……少なくとも、奴らにとってはな……
「……胸糞悪ぃな。オヤジ……俺はギリギリまで、見極めなきゃならねぇんだ……そっちも無理はするんじゃねぇぞ……!」
――――誰に言っている。今まで俺たちの中で、一番この連中とやり合ったのは……俺だぞ?

【短いバイオレットの毛皮で全身を覆い、その上からフード付きのマントと半ズボンを着用している】
【左目へとめり込む様な、人相を歪ませている大きな傷跡、更に頬にも大きな傷跡の目立つ】
【ずんぐりむっくりとした体格の、尾の先が不自然に二つ裂きになっている、右目の眼光の鋭い、身長150cm前後の猫の特徴を宿した獣人と】

【前面を開いたままで青いコートを羽織り、魔術師である事を如実に表す青のハットを被った】
【手には指輪と、グリップの部分に赤い石をあしらわれている、金属製の棍を握り締めている】
【がっしりとした体格の、深い眼窩が鋭い視線を放っている、身長180cm前後の偉丈夫】

【散々な旅路を超え、サーペント・カルトの聖堂跡地へと、足を踏み入れる2つの影】
【否応なく、『グランギニョルの一派』に関わる事となり、また自ら望んで戦いに赴いた、2人の戦士】
【『死』だけに、延々と彩られた道を越えて、唾棄すべきサンクチュアリへと乗り込む】

「……どうなってやがるんだ、一体……アホを信仰したアホ共の、死体の山がここでもか……!?」
――――死体の山、か……気を抜くなよ。まずは、奥を目指す――――今のところ、生きてるのは俺たちだけだ……
(……『死』に満ちた異変…………まさか、な…………)

【死体の数は、なおも増え続ける一方だ。あるいは邪気に充てられたもの、或いは自らの心の弱さを証し立てるもの。雑多な死体が積み重なり】
【その中で、獣人は鼻と耳とを十全に役立たせ、慎重に先へと進んでいく――――死と静寂、それだけに満たされているかのような、祈りの残骸とでもいうべき施設を】
【――――予感はあった。その情報に触れていた獣人は、形にならない苛立ちが、少しづつ胸の内に像を結んでいくのを感じていた】
【――――それは、祭祀場と思しき、吐き気を促す空間に踏み込んだ時、確信に変わる】



「っ、誰だアイツ……!?」
ッ、ジャ=ロ……前に話しただろう、5番目だ! 奴の司るは『死』! ……最悪レベルの敵の1つだ、もしやとは思ったが、やはり……!
「そうかよ……なんか、少し安心したぜオヤジ……ともあれ、ぶち殺さなきゃならねぇ奴だってだけで、十分だ……!」

【白い服装と、黒い長髪――――その姿を、獣人――――アーディンが忘れるはずがない】
【異変の中心に、必ず原因はある。それを信じて、仲間を伴って乗り込んできて、正解だった。先に一杯食わされた敵と、再度対峙する事になったのだから】
【咄嗟に身構える2人の男たち。待ち構えていた彼に、自分たちへの備えがないはずがない――――どう、口火を切るべきか。それこそが大事なのだ――――】

/アーディン&レグルスです。よろしくお願いしますー!

929 ◆1miRGmvwjU:2018/09/15(土) 14:28:03 ID:hEXW.LLA0
>>924>>925>>926


【血に濡れた石廊を靴底の叩く音がした。二ツ四ツ六ツ。回転弾倉の銃口残渣。死に体の朝に迎えるロシアン・ルーレット。込められているのは、二発だけ。】
【ステンドグラスから射し込む陽光は鈍い鉛の色をしていた。重金属中毒のような幽鬼めいた足取りで、 ─── しかし確かな殺意と共に、聖壇へ踏み込むは】
【女がひとり。長い銀髪の女であった。黒い外套を纏っていた。ひどく背の高い女であった。その影が粘度をもって、儀式の陰翳を彩った。拝火に臨む篝など無くともいい。】
【男がひとり。長い黒髪の男であった。媚びる雌のような風態をしていた。甘ったるい香水のにおいがした。その胸裡に灰を燻らせていた。】



             「 ──── 言い残す事は、あるかしら。」


【しづかに透き通る声と向けられる青い隻眼は消し得ぬ殺意を燻らせていた。慈悲の言葉であった。懐から引き抜いた長銃の引鉄に、黒い女は指を添える。】
【 ─── その腕の中にひとり少女を匿っていた。あるいは奪っていた。奪い合うことは当然だった。死に限りがないなどと誰の標榜したものか。】
【嘆息を漏らしながら、黒髪の男もまた短銃を抜いた。「 ──── キミにさしたる恨みはないんだけど、さ。」レーザーサイトの紅い残光が祈る男の白い背を刺した】



【遺言の一葉を女は許していた。ならば彼が何かの呪詛を紡ぐなら、その一息でさえ女を灼くには十全な火種であった。 ──── 一刹那の、沈黙。今だけ世界は、足を止めたから】

930マリアベル ◆rZ1XhuyZ7I:2018/09/15(土) 14:31:31 ID:smh2z7gk0
>>924>925>>926>>ALL

【此処に集った者たちはいずれも大きな使命、大きな理由、大きな流れに沿ってきっとここまでたどり着いたのだろう】
【各々が抱える運命の道を進むために。ただそんな中でも異質なものは紛れ込む。それは必然だったかもしれないし取るに足らない事かもしれない】
【その女はストライプの入った赤いスーツに同じ柄のソフト帽、銀色の長髪に赤い瞳といった目立つ風貌であった。 】
【何にせよ、マリアベルと名乗る女は「やあやあ」と軽い調子で集まったほかの面々へと挨拶を交わしていくだろう。】
【そうこうしているうちに死地へとたどり着いた。マリアベルは亡骸となった〝渡し守〟を興味深そうに眺める。】

―――あらら死んでるね。私は初めてだから分からないケド中々トンデモなカルト教団みたいだねぇ。
しかしなんとまぁ、〝そそる〟匂いがするね。イスラフィールにも連絡して誘っておけばよかったかな~アウェイ感凄いし。

【「まぁ、いいか」と死のにおいが蔓延する道を進み今回の目的地である宗教施設へとたどり着く。マリアベルは眉を上げて口笛を鳴らす】
【施設の奥へ奥へと進む。それに比例して増えていく死体へはまるで興味を示す様子はなく淡々と、時には踏みつけて進んでいく】
【"祭祀場" へとたどり着けば、〝彼〟がいる。尤もマリアベルは〝彼〟が誰かなど知る由もない。被っていたハットを取ると丁寧に頭を下げる】

こんにちはミスター。私はマリアベル、自由気ままな旅人さよろしくね。
ええと―――つまりは〝集団自殺〟の黒幕が貴方って事かな?ねぇつまりはそういう事?

【キョロキョロと周囲のメンバーに伺うように顔を振りながら肩を竦める。どうやら〝何も知らない〟様子であった。】
【目の前の存在が〝何〟なのかも、そもそも一連の出来事がどうして発生したのかも、それすらもしらないイレギュラーであった。】

931パグローム ◆KWGiwP6EW2:2018/09/15(土) 14:32:26 ID:WMHqDivw0
>>926
【男が異変に気付いたのはニュースになるよりも少し前だった】
【何しろ平日の業務がサーペント・カルト残党狩りで、もう幾百と隠れて逃げる信者の生き残りを消し去って来たのだから】
【その仕事の顧客が別の業者に奪われてると知れば、それはもう最低の気分であろう】
【競合さんにはこの世からお引き取り願うのが一番穏便な解決策では有るが、情報を追ってみれば案の定浮かび上がったのはいつもの白シャツ男】

【舌打ち混じりに文句を言いに出向いたのがこの島だ】
【元より汗の一つもかいてはいないのだが、過日よりはまだ浮かなくなってきた黒コートの白髪男】
【かつてサーペント・カルトの一人に抉られた目はいつの間にか眼帯が外れている】
【治ったのか義眼なのかは、その爬虫類のように小さな瞳からは伺い知れないが】



【――そんな経緯であったから、向かう先は同じでも他の能力者達と同道はしていなかった】
【到着は他の面々よりも幾分か遅いことだろう】
【以前のインシデントの二の舞は御免だ】



【外務八課との共闘を訴える騙し絵のヤツが煩いので仕事用の携帯は湖の底に捨てて来た】


【さて――】



【能力者達の到着を確認した後、島の中を適当に観光していた彼だが、そろそろ向かっても良いか】
【ジャ=ロにまともな攻撃は通じないのだろうから、まさか能力者どもも無策で挑みに行ってはいないだろう】
【どこかで尻馬に乗れるなら越したことはない】

932名無しさん:2018/09/15(土) 14:35:42 ID:uPi6FY.I0
>>924-926

【――つくりものの蒼い瞳が揺らいで震えた、長い睫毛に毛先が触れてしまいそうな前髪の向こう側に顰められる眉を潜めて、それでも隠しきれないのなら】
【やがて彼女は目を伏せる。そうしたら長い睫毛は薄藤色だった。けれどきっと瞳の青色を映しこんでいるのに違いなかった。――だって彼女の髪は透き通る白銀色をしていたから】
【お化粧で飾った顔は常よりもいくらか大人びて。だのに愛らしく染められたチーク色の向こう側で歯だが蒼褪めているのを予感させた、――あまりに多い死体に狼狽えて】

【だいすきなひととつないだ手をせめてめいっぱいに強く握る。手袋越しなのがひどく悲しく思えた。――だけれどそうでもしないと相手が/自分がふと消えてしまいそうで】
【だから身体までも寄せる、相手が歩きづらいとかはきっと考えていなかった。腕まで絡めてしまいたかった。――相手の手を塞いでしまうから、そうまでは、しないけれど】

【――――だってあんまりに、最後に見た光景と剥離していた。"ここ"は彼女にとって大事な場所だった。家と等しかった。だから/だのに/だからこそ、】
【この光景にきっと嫌悪する、あるいは理解が追い付かなくって惑う。それでも足取りは止めないのだろう、ともすれば止まってしまいそうな瞬間を予感させながら】
【それでも大きな足取りに必死に合わせることだけを考えて。――だからそのたびにひらりひらりとお行儀のいい長さのスカートが翻る、とっておきに誂えられたお姫様みたいに】

――――――――――――っ、あ……、……、ぁ。――あ、……。

【色のない透き通る白銀の毛先は尻も超えて太ももにかかるほどの長さ、瞳は世界中で一番美しいと信じてる青色によく似ていて、】
【生成りのシャツは袖をぎゅうっと絞ったもの。手首から先までもをフリルで隠して、けれど覗く指先は、ほんの少しだって見せたくないように、ドレスグローブで覆ったなら】
【膝よりほんの少しだけ短い丈のサーキュラースカートは深い赤色のもの、――厚手の黒色のタイツに、足元は赤いストラップシューズ。かかとは低くも高くもなく】

【――――――彼女が誰であるかなど、きっとこの場の人間のほとんどに意味はなくて/意味を解するのなら、その人間は彼女が誰だかを理解できて】
【きっとひどく怯えた顔をしていた。いっとう背の大きな女性に連れられて黙りこくったままであった彼女は、まるでお人形さんみたいに澄ましていた顔を、強張らせて】
【だけれどその震えは彼女を抱きしめる貴女にしか通じなくて、――それを他の誰にも気取られたくなくって。それでも、あるいはそれだからこそ、】

ケバルライ、……、……さん、…………――、

【引き攣る吐息に震える声音が混じりこむのなら――あんまりに、あまりに、絶望的な、目をする】
【それはきっと厳格な父親に、めいっぱい隠してきた恋路を辿られてしまった瞬間のようでありながら、――それをうんとうんとうんと煮詰めた、色をしていて】

933名無しさん:2018/09/15(土) 14:37:12 ID:uPi6FY.I0
>>932
/書き忘れたマンです、蜜姫かえでですっよろしくおねがいします

934 ◆1miRGmvwjU:2018/09/15(土) 14:39:05 ID:hEXW.LLA0
>>927

【銀髪の女は答えなかった。一瞥さえくれてやることはなかった。故に代わりに、黒髪の男が答えた。】
【ごく小さな声量だった。 ─── それでも巨魁の女には聞こえているに違いなかった。然し理解することは能わなかった】


「 ──── ご斟酌、痛み入るよ。」「 …………… 今日のアイツは、大分、イッちゃってるから」
「もしもとは思うけど、 ─── ヤバかったら、背中から斬っていい。」「 ……… それじゃ、よろしく頼む。」


【ただそれだけを耳打ちして、彼もまた視線を戻した。 ─── 並ならぬ敵と相対していた。背中を任せるには好かぬ相手でも、確かにその腕は信じていた、から】

935八攫 柊 ◆wEoK9CQdXQ:2018/09/15(土) 14:40:21 ID:r3vWs0bc0
>>924-926

【男とも、女ともつかぬ細い影。一筋の違和が膨れ上がるかのよう、柔らかな輪郭に変容した】
【光を呑む外套は目深に被ったフードを具え、幾度か虚神たちとの闘争の場に在ったものとなる】
【貌の窺えぬその姿は命を賭し、そして果てた或る案内人に酷似していた。ならば、情動はきっとひとつのかたちにしか到らない】

――――――――。


【――――――――ただ、死ねと。無言こそが、何より雄弁な意志の顕れとなった】

【言葉に尽くせぬ億の憎悪と悲憤、嗤う様に積み重ねられた数多の屍の山から立ち昇る死臭のいろ。それらを澄んだ結晶のようかたちに変えたなら、こんな鋭利さで神域を切り刻む】
【余分なもの一切を切り捨てたのなら、兇器は光も影もなく遍く存在に血を流させるだけの禍となろう】

【溢れる金の火さえも、瞬きの間に冷たく刃の耀きと成り果てた。虚空より掴み取る太刀は、正しく命を奪うための特性を示すだろうか】
【今や虚構現実の主神とさえ呼びうる〝INF-005〟、ジャ=ロ。その存在規模からすれば恐らくは虚空の月に等しく、細い耀はされど凄絶に存在する】

【夜が這い出てきたような、幾重にも残影を積み重ねて黒に到らせたような。記憶と情動は、翅もなく、今やきっと燃料で】
【彼我の間に横たわるは絶滅に餓える暴力の理。互いが互いの理由を以て滅ぼしあうはずの、ただ、それだけ】
【数多の新たな死者たちを背に、影は、己が魂に刻み込まれた核たる否定の儘〝死〟と対峙して。儀式の阻害者としての在り様を、無音の敵意こそが示していた】

/八攫 柊となります。よろしくお願いしますー!

936 ◆zqsKQfmTy2:2018/09/15(土) 14:46:01 ID:6IlD6zzI0
>>84

【"嘗て、私は偽りの身分を用いてサーペント・カルトに身を投じていた"】
【"彼の地で、私は"死"を司る虚神に導かれ、深淵に触れて戦慄いた"】


【スルツェイに足を踏み入れた瞬間に蔓延る"死"に思わず咽そうになって】
【嗚咽へと変わりつつあるのを噛み殺して、飲み下して――辿り着くのは"あの施設"】

(――…どこを見渡しても"死"だらけ。"死"で満ちた世界は本当に反吐の出る…。
 祈りの行き着き先が"これ"であるなら、)

【社会的死人にして公安の捜査官であるエーリカ=ファーレンハイトの表情は浮かない】

【灰色を基調にしたパンツスーツ姿と前髪の一部を黒染めした金髪が特徴的な彼女は】
【表情を強張らせながら、重い足取りで施設の中を進んでいく】
【施設の中に充満する"死"は、底なし沼の様に足を引っ張る気がしてから性質が悪かった】


……もう二度とこんな所に来る事は無いと思った。
初めて潜り込んだ時とは比較にならない程に凄惨な空間だね……吐き気がする。


【輪廻の途切れた回廊を降り、祭祀場へ続く扉を開ける――目の当たりにするのは"死"】
【正しくは"死"の虚神・ジャ=ロ。自身が始めて関わった虚神。そして今も終わっていない因縁】


―――……随分な余裕じゃないか、ケバルライ。だがそれも今日で終わりさ。

……アンタとの因縁は此処で断ち切らせてもらう。
加えて、虚構現実でのゴーストライターの無念。――此処で晴らす。


【能力を用いて召還したマチェットの切っ先をジャ=ロに突きつけて、自身の折れそうな心を鼓舞させる】
【けれど、自身の言葉を実現させるのは今この時じゃないのは理解しているから、未だ手出しをしない】

937厳島の中 ◆rZXDD3W69U:2018/09/15(土) 14:50:41 ID:6.kk0qdE0
>>924-926

―死が、死が蔓延していた―
―それは等しく醜悪で、等しく哀しいだけの―
―流行り病の様に一瞬で伝播し、そして覆い尽くす喰らい尽くす―
―はたして、落ちるカップはだれにも止められない―
―止める者はいるのだろうか?―


【水の国スルツィエ】

「また、貴方ですか……」
「……」
「いい加減、此方としては貴方の所在や詳細を暴きたい物ですが……」
「口の減らない潜入員だ、舌を噛むぞ」
「口の悪い諜報員だ、後ろから撃たれますよ」
「ああ、覚悟はしているさ、だが……」
「はい、この場では何かあったら……精々頼みますよ」

【スルツイェ、サーペントカルト本部施設】
【二人の男性が施設入口にオートバイを駐車し、中へと歩み行く】
【一人は暗いグレーのスーツのまだ若い男性】
【もう一人は暗いネイビースーツの男性】
【どちらも武器を携行しているのを見るに、一般人とは言い難い存在だ】
【やがて、その清らかで清浄な、そんな実態や現状とは皮肉の様にかけ離れた施設内部を、カーペットに招かれて進んで行く内に】
【最奥の地へと到達した】


【祭祀場】


「ケバルライ……」
「こうして対峙するのは、二度目か……」

【それぞれ銃を構え構え、ベルトを出現させ、その一見すれば男に対峙する】
【彼こそが、この一件、いや一連の件のもう一人の張本人】

「色々と聞かねばならないことがあるが、先ずは久しいなケバルライ」

【最初に声をかけたのは、厳島命、ネイビースーツの男性だった】

「兎に角も、生きて帰れるとは思わない事だ……」

>>927

「佳月ちゃん、だっけ?」

【こうして会うのは、まだこの少女が外務八課に入ってあまり接触経験が無いためか】
【どうしても不慣れな接し方になる】
【声をかけたのは、グレーのスーツの男性、ライガ・カシワギだった】

「そのタイミングになったら、頼むよ……僕一人では多分勝てないから……」

【そう佳月の横で、こう短くだが告げて】
【この場には他にもミレーユやアリアと言った課員が居る、上手く提携し協力すればあるいは】

938 ◆zO7JlnSovk:2018/09/15(土) 14:57:18 ID:hvE.Nv4Q0
>>ALL

>>(アリア、ミレーユ)

【 "彼" は声のした方向へと視線を向ける、そこに僅かばかりの移ろいは無い、空気よりも無色を見た】
【向けられた銃口にも大した興味はない、きっと、彼も貴女もそれに "今" 意味が無いと知っているのだろうから】
【それでも向けざるを得ないと、──── 或いは避けられない無意識の如く】


私の語る言葉全てが、残される言葉ですよ、──── それは決して変わらぬ道理なのですから
だからこそ観測者たる貴女方へと、私は紡がなければなりません、そうして認識していただくこと
それが今日という日の意味であり、今日という日の価値であり、今日という日の意思なのですから

"彼の言葉は一遍たりとも余すこと無く書き残され、────" そうして今まで残っています
それ故に私は特別な言葉を向けたりもせず、特別な感情を持ったりもしません
そうあれかし、そうあれば良いのです、全てが認識へと繋がるのですから

939 ◆zO7JlnSovk:2018/09/15(土) 14:59:25 ID:hvE.Nv4Q0
>>932>>936>>937

>>(蜜姫かえで)

【向ける視線は変わらなかった、平行線が交わらないのと似ていた、かつてのそれと変わらない】
【それは同時に、ただの仕草でしかないのだろうか、感情など何処にも存在しないかの如く】
【ただ彼は道理に従うかのように、道理で生きるかの様に、その行動をしてみせた】


お久しぶりですね、ムリフェン、元気にしていましたか? 身体に傷がなければ何よりです
祈り手として、信仰の担い手として貴女の働きは素晴らしいものでした、私も一度はその姿に在るべき姿を
ええ、そうです、真実の向かう可能性を見出したものでした、だからこそでしょう

貴女のその名を、私は祈りのあるべき姿と見出していました──── けれども
それを棄てる事を私は嘆きません、貴女の選択と意思と、その帰結でしかないのですから
ならば、私は正しく認識されるべき形として、全てを示さなければ成りません

────、そう、ただそれだけの事です

>>(エーリカ)

【マチェットは向けられる、エーリカの流麗なまなざしと相まって、一種の宗教画と似たコントラストを生み出し】
【また或いは、この世界そのものの風情が、一つのフラスコ画の如く映し出される一端にもなり】
【やがて、この催し全てが神話であると伝えるかの様な、そんな作用であった】


私との因縁とは些か言葉が足りませんね、エーリカ、貴女にはきちんと示した筈でしょう
誰も彼も死から逃れる事は出来ません、と──── それは貴女も同様です
全ての形あるものは一つの帰結へと向かう、この世に生まれ落ちてから、その果てまで

行く末は全て一つで、私はその担い手である、と──── 道理が定めています
それ故に、私は示しましょう、貴女の行く末は、避けることの出来ない死であると
今此処に示す事が、全ての信仰の果てであると、そう伝えるのですから

>>(厳島、ライガ)

【数多の縁であった、虚構現実や、マルタや──── 様々な場所で、彼らは相対した】
【それ故に彼もまた、貴方のことを認識していた、それはきっと、異なる次元での認識ではあるが】
【向けられる言葉を精査する、まるで一つの流麗な動作に似て】


難しい表現ですね、私は何処にも戻りません、ただ存在しているだけなのですから
ならばこそ私は貴方に問いかけましょう、生きて帰るとは、帰る場所があるニンゲンの言葉でしょう
それならば貴方達は如何なる場所を、帰る場所と認識しているのでしょうか

貴方達の生とは仮初めに過ぎず、それならばその家すらも仮初めの場所に過ぎません
貴方達は須く、死に帰るのです、それこそが唯一にして無二の、貴方達の帰る場所です
──── どうぞ還しましょう、貴方達の、在るべき場所へと

940 ◆zO7JlnSovk:2018/09/15(土) 14:59:35 ID:hvE.Nv4Q0
>>ALL


【 ──── "彼" が変容する、序幕を終えた狂言回しが、楽屋でメイクをする所作に似て 】
【 ゴーストライターの最期に似ていた、抑えきれない内面が、怒りと共に噴出するかの如く 】
【 彼という殻が脱ぎ捨てられ、新たな存在を見せるかの様に ──── 否、きっと真実は違う 】

【 それこそが真実であった、結局の所私達は、真実から目を背けて生きるに過ぎない 】


キミ達はそれを認識しなければなりません、何故ならばそれが、観測者たる存在に与えられた光栄なのです
故に私はキミ達を斯うして歓迎しているのだと、改めて伝えましょう、──── でなければ、どうして此処に呼ばれたのか
私はただ待っているだけで良かった、ただ鎮座しているだけで良かった

けれどもそれでは興ざめでしょう、催しとは得てして必要な手順を見せるのです

私は認識の果てに生きる者、それならば、認識する観測者達には最大限の敬意を支払う必要があります
それは観客に向ける最大の賛辞に他ならず、衆生が向けられる最期の褒美でなければなりません
──── そうして得られた真実を、どう形容するかは分かりませんが


【 黒い "捻れ" であった、幾つもの黒い茨が絡みつきその体を為しているかの如く、その形を構成していく 】
【 人の体を模している様で、それでいてどうしようもなく歪であった、黒塗りのヒトガタは、天井に届きうる程の巨大さで 】
【 漠然と分かるだろう、彼の出自を理解してしまった者であれば、十全と分かってしまう 】

【 ──── 落書きなのだ、幼い子供が書いた、黒塗りの "化け物" と 】

【 異形は笑わない、ただ赤い塗りたくった一つ目を向けながら、観察するかの如く能力者達を見渡して 】
【 そうして言葉を響かせる、脳内に直接聞こえる声、──── 脳内で読み上げる自発の作用に似ている 】
【 文字を追う際再生される声、脳内だけに存在する貴方/貴女の声が、彼の声となるのだから 】


認識を歪める行いを私は是とは致しません、何故ならそれば明確に示されるべきなのですから
曖昧な虚飾は不貞を生むだけです、隠された真実を解き明かす試みのみに生きるのでは無いでしょう
刮目して見なければ成りません、真実とは得てして、明快な事実に過ぎないのです

私はキミ達を蹂躙せしめ、その命を費やし、その認識を確固たるものにしましょう
そうして初めて、私の試みは終着へと向かうのです、私の執着が──── ええ、執着です
正しく認めましょう、私という存在の旅路を、今終演へと向かわせるのですから


──── グランギニョルのファンファーレは、高らかに響く必要があるのです


【 異形が手を向ける、かざした掌が黒い轍の様にも見えて────、轟と激しく地鳴りが響く様に 】
【 唸りを上げて現出するのは "蛇" 正確には蛇の形をした魔力が、彼の巨大な腕から幾重にも伸びていく 】
【 蛇は牙を剥き出しにして、それぞれの能力者に向けてその牙を突き立てんと欲するだろう 】

【 "蛇術" ──── "Triumphus Serpentis Magni" の担い手として、ジャ=ロはその手腕を振う 】

【 蛇は苛烈であった、その一筋一筋が高濃度の魔力を孕み、それでいて同時に純然たる存在感を持っていた 】
【 伸ばした指先すら、触れたならばその部位を消し去る程に、その身体全体が絶対的な魔力を帯びている 】
【 単純な接触は大きな傷を生み出すと直感するだろう、或いは無意識に刻み込まれているかの如く 】

【 ──── 蛇が向かう、能力者達の元へと、一直線に 】

【 一つ蛇が唸ったなら、祭祀場の石畳が捲れ上がる、室内全体がまるで藁小屋の様に大きく轟く 】
【 その一つにどれだけの魔力が込められているのか、その全ては如何なる総量になろうか 】
【 想像するだけで途方もなく、それは盛大な徒労に過ぎないと、言葉の裏で伝えるかの様に 】

941 ◆S6ROLCWdjI:2018/09/15(土) 15:14:49 ID:WMHqDivw0
>>934

【一言も答えてくれない、冷え切った金属色の背中を見る。そしてそのかいなに抱かれる、】
【怯え切った少女(>>932)を見る。ここらへんもまた、資料の一行か二行くらいの記述だけで】
【知っただけの人間関係であった。けれど実際に見ってみるなら、それ以上のものであったと知る】
【だから何かに納得したような、それか呆れたような顔をして――はあと息を吐くなら】

斬れますかね。だってアリアさん――お会いしたのは初めてですけれど。
それでもデータ見てちょっとだけは知ってます、どれほどお強いのかとか、そういうこと。
……まあどうでもいいや。「了解」。せいぜい邪魔にならないようには、動きますので。

【「貴女もできるだけ怪我しないでくださいね。じゃなきゃ帰ったときピーピー泣かれますよ」】
【……彼の左手薬指に植わる指輪に一瞥だけくれてやって、すぐ離した。赤色が網膜に焼き付く前に】


>>937

はい。ライガさんですよね? よろしくお願いいたします。
正直私にも、「あれ」をどう殺せばいいものか――まったくよくわかっておりませんもので。

――とりあえずは背中です。お任せしますので、お任せください。……それくらいしかできませんが。

【言葉は少ない。だけどそれだけで十分だと言わんばかりに――当たり前のように信頼を見せて】
【視線を前へ。ジャ=ロへ戻すなら――そこから先にもう言葉は要らなくなるのだろう】


>>940

【そうして。彼の変容を言葉もなく見守る、うず高く積み上がる黒色を見たところで怯えはしない】
【それなりに場数は踏んでいた。人間も、そうじゃないものも幾度となく殺してきた。だけど、】
【今回の「これ」はただ殺すだけではいけないのだと知っているなら。眉間に、幽かな皺を寄せて】

……もうちょっと分かりやすくものを言ってくださいませんか?
私、虚神ビギナーなんですよ。これがこうだからこうする、みたいな、
もっとシンプルな言い回しで言っていただけませんと分かりませんよ。そうだな。例えば、

【――――自身の下腹部に手を置く/右の眼からめりめりと、何かを割り開くような音がする】
【その部位が白色の輝きを帯びる/真紅の涙が垂れ落ちてくる。痛みにかたちを歪める】
【音もなく手を離していく。そこに、一本の刀が握られて/――眼球を割り開いて毒花が咲く】
【構える。音もなく声もなく、ただ静かに/激痛に伴う熱に頭がくらくらする。それでも、前だけを見据えて】


お前の存在が赦せないから殺す。…………みたいな感じで、分かりやすぅくいきましょうよ、ね?


【だ、――――ンっ、地を蹴りつける音。蛇が一直線に向かってくるなら、それを1ステップで回避して】
【それでも追ってくるようならば、手にした刀で斬り伏せる動作を見せるだろう】
【実際に斬れるかどうかは知らないが。そうしながら――まずは距離を詰めようとする、前に駆け出す】
【叶うならば刃が届く距離感まで。叶わないなら――「後ろ」からの援護が届くまで】
【蛇をどうにか斬り伏せようとしながら、確実に、一歩一歩前へ。踏み出すのだけど――さて】

942 ◆1miRGmvwjU:2018/09/15(土) 15:26:42 ID:hEXW.LLA0
>>932>>938>>940>>941

【震える幼子の声を女は護れない。悲しみに暮れる屈服を、今は誰にも見せてやることはできなかった。 ─── ならば、ただ強く抱くのみ。】
【「やるだけやってくれればいい。 ……… "りょーかい"。」何度目かの溜息と共に、祈るように薬指の紅色、彼はリップに湿った唇に口付けた。】
【返る問答の答えには、切れ長の青い隻眼を凄絶に眇めることで応じた。無感情な筋電素子が、少しずつトリガーを引き絞る。シアの歪んで、撃針が震える。】


「 ─── あら、そう。」「 ……… ならば覚悟しなさい。自動書記のメトセラにさえ、矜持も憎悪も慙愧も、宿るのですから。」


【それが火蓋であった。あるいは幕切りであった。 ──── 脱皮のように現れる██(くろぬり)の怪物。罪咎の茨は天高く立ち昇り】
【それでも女は動じなかった。男は忌々しげに舌打ちした。こいつもあいつも、大概ろくでもない人でなしだ。】


     「 ……… クソ、っ」「 ─── ジャバウォックじゃあ、ないんだからさ ……… !!」


【 ─── 男の手弱女なる指先が広げられ、淀み渦巻く大気を凍り付かせる。漆黒の結露が圧縮された黒い氷壁へと変貌するならば】
【瞬く間にそれは処刑への抵抗に変貌するだろう。迫り来る黒蛇の牙に拡げられた、色彩のない凍土の防盾。自身の周囲に立つ幾人かを、極低温のバリケードが守護する】
【然して彼は、それの展開に専心することになるだろうか。 ─── 石畳より幾分も硬度に優れるとはいえ、純粋な魔力の波濤にいつまでも耐えられる代物ではない】
【故に分厚い氷壁の抉られる毎に再び凍結させることで、漸く凌げるかどうかに等しいだろうか。 ─── 軽く更に力を込めれば、断ち割れるような儚い護り。】
【せめてそれを支えるのが女の拳銃であった。 ──── 馬鹿げたマズルフラッシュと共にフルオートで放たれる15.2mmの大口径弾は、防壁越しに紅の単眼へと向けられ】

943アーディン=プラゴール&レグルス=バーナルド ◆auPC5auEAk:2018/09/15(土) 15:27:39 ID:ZCHlt7mo0
>>940

「うっ……!?」
っ…………自らの殻を、脱ぎ捨てた……これが『INF-005』の正体か……!

【炸裂し、新たに像を結ぶ、黒い歪な人型。それこそ、ジャ=ロの正体なのだろう】
【巨大な敵――――体積において、それは間違いない。そしてその内に秘めた力、そして性質――――それも、難しいものだ】
【これから自分たちは、この黒い巨人と、雌雄を決さなければならない――――殺すか、殺されるかだ。その為に彼はここにいたのだから】

「っな……なんだってんだこいつ……何言ってやがる!!」
簡単だ……「世界を滅ぼすために、俺たちを『戦った上で喰らいつくす』」と、そう言っている……!
俺たちを殺す、その手順が重要だと言いたいんだろう……全く、馬鹿げた話だ……ッ!
「……あぁ、そうかよ……じゃあ其れで良い。こいつが死ねば全部終わりだろうが……――――俺たちは、こんなところで遊んでる場合じゃねぇんだよッ!!」

【馬鹿げた話とは言ったが、実際それが重要なのだと、2人共に分かっている。その変化の過程は、理の上に重要な意味を持つ】
【それを用いて、ジャ=ロは滅びを、世界中にもたらそうというのだろう。何を目的としているか、それは分からないが――――否、恐らくは】

――――ゴーストライターには悪いが、やはりあの世界が滅んだのは、世界レベルの自業自得としか、言い様がない……!
そこは、こいつの言う通りだ……死から目を逸らすために、認識を歪め、その為の生贄を強いるなど、許されない事だ……
……贖罪を求めて世界を滅ぼしたのは、もう我々の世界でどうこう言う事ではない……
「オヤジ……――――分かるよ。現実から目を逸らしてる奴に、現実を生きる資格はねぇやな……!」
――――だが、その八つ当たりを俺たちの世界にぶちまけるのは御免被る――――死んでもらうぞ、今度はお前に……ッ!

【『INF-005』の報告書――――アレを読んでいる中で、アーディンは奇妙な感覚に囚われ、それを咀嚼しているうちに――――それを、確信した】
【それは、滅ぼされた『仮想現実』の、許されざる罪業――――それが、今目の前のジャ=ロとして結実したのだという真実】
【確かに、彼の言葉は真実なのだろう。だからこそ、彼は力を持ち、そして世界を滅ぼした】
【だが――――それを、ここでまた繰り返される訳にはいかない。真実は真実として理解し、そして割り切った上で――――なお、許すつもりはなかった】

「ッ、オヤジ俺の後ろに!」
く……ッッ
「――――Natumaini. Sitasamehe ukweli, nuru ya kukata!!」
       (我は願う。許されざる真実を、切り裂く光を!!)

【そして開かれる戦端――――ここからは、ただの殺し合いなど比べ物にならない、死に満たされた運命の時間となる】
【向けられてくる、蛇の形をした魔力。咄嗟に偉丈夫――――レグルスは、アーディンを庇う形で前に出ると、その言葉を、力を、そして光を放出する】
【――――邪なるものを滅ぼす『教会魔術』の光の乱舞。襲い来る破滅の蛇達を打ち払い、切り裂き――――】

「ッ……じょ、冗談じゃねぇ……! これだけの力を込めても、押し返すのが精一杯かよ……ッ!」
余り余裕はない、奴は巨大な『死』そのものだ……どれだけの魂を食らって、肥大化しているのか、分かったものじゃない! 純粋な押し合いでは、まず敵わない……!

【――――力の性質として、死に満たされたそれに対して、強大な力を発揮するはずの破邪の光でさえ、均衡させるのが精一杯――――その事実に彼らは戦慄する】
【こんなもの、まともに浴びてしまえば――――言うまでもない結果が、当たり前のモノとして待っているだけだ】

(――――あの魔力、アレは総体か……それとも、何らかのコアのようなものが……!? いや、恐らくそんな分かりやすくはないはず……
 あの『死』そのものがINF-005のはず……なら、なんだ……どうすればいい……! 『死』を「死に導く」には、どうしたら……!?)

【若干の余裕の中で、アーディンはジャ=ロだったものを観察し、そして思索する。この脅威には、どう対抗するべきなのか、と】

944名無しさん:2018/09/15(土) 15:30:28 ID:uPi6FY.I0
>>938-940

【――――ひッ、と、引き攣る呼吸が強張る。小さな子が口いっぱいのキャンディを喉に詰めたしまったならきっとそんな息をするのに違いなかった、】
【交差されることのない視線に彼女は怯えるのだろう。だのに、その視線が交差することがあれば、その時もまた怯えるのだろう。と。予感させるのならば】
【彼女はもうすでにひどく迷ってしまっていた、決して両立しえない大事なものを見つけてしまったんだった。だから――だから、ふとした時に、裏切りそうになる】

【今この瞬間に、自分を抱きしめる腕を振り払って駆けだしたなら、どうなってしまうんだろう、って、思ってしまう心を殺してしまえなくて】

まって……、いや……、――――嫌、

【――だからこれは悲鳴と等しかった。大好きな人に抱きとめられながら、だのに決してどちらもは選べないって分かってるはずの彼へ、追いすがるのは、ひどく罪深くても】
【捨てないで――要らないって思わないで。願うのはひどい我儘だった。だのにそんな風に求められてもそうと振る舞えないのはすでに分かり切っていて。でも。だけど、】

違うの……。ちがう、の、私は、ひとりぼっちが、いやで……――。

【自分はそんなにすごい子ではなくて。信じていたのもそうすればみんなが一緒に居てくれるから。救われたいから。赦されたいから。――もう誰も傷つけたくなかったから】
【そのためにどれだけの人を傷つけて悲しませてきたのかはまだ考えられなくて。――、だから思考はひどく散り散りになる、だからそれをきっと辛いと、言うのだけど】

――――――――っ、や、ああっ……、――っ、嫌ああああ!

【――――二つに張り裂けてしまった心が目いっぱいに追いすがろうとした、彼が。変質を遂げるのなら、彼女はきっと今際の瞬間よりも無様な悲鳴を、あげるから】
【黒く描き出されたねじくれたヒトガタに真っ青の瞳を見開いて身体を強張らせる、――だけれど、そればかりは、もはや無意識に似ていた。だって、】
【大好きな人を護るって約束したから。――ひとりぼっちだったら、多分、もう、どうでもよくなってしまいそうな瞬間に、けれど、】

【――ばき、と、空間の凍てつく音律。であれば少なくとも彼女を抱き留める貴女には伝わる、現実に一瞬のちに現るのはマゼンタ色の障壁、阻害のみを練り上げた純粋な色にて】
【空間を染め上げるのならば、その内側は護られてほしかった。――だって、だって、護らないといけない、約束した、ゆえに、それはもはや自分のためではないのなら】

っ、っっ、――っ、

【抱きしめてくれる腕を縋るみたいに掴む、――、自分の中で泣きわめいている"だれか"を、あちらへ行かなければいけないって信じてる"だれか"を、】
【消してしまおうか、ああでも、そうしたら。そしたら――あなたを護るための力、足りなくなってしまうから、だから、頑張るから、って、】

>>アリア

……、――、だいすきって言って、ほしいの、ねえ、……、頑張る、から、ねえ――、――――ねえっ、! アリアさん……!

【――だから、だから、泣きじゃくる"だれか"をせめて封じ込めておくためのきっかけ、くれますかって、悲鳴みたいな声が絞られるのだろう、から】

945八攫 柊 ◆wEoK9CQdXQ:2018/09/15(土) 15:33:49 ID:r3vWs0bc0
>>940

【向けられる言葉はなく、その背に負う犠牲が顧られることもない】
【そんなことは、こう成り果てた瞬間からただの真実だった。異形への変容は、犠牲を伴わぬゆえレッド・ヘリングにも、蝶の墜ちた夜のゴーストライターにも遠く衝撃で及ばない】
【なら。未知数が、僅かに手の内を明かしたという程度の話】

【ましてただ強く、悍ましく、力が大きなだけの群成す蛇頭など。ただ、己を殺し得るというだけの現象でしかなかった】


【質量差、出力差――そうした一切を無化する回避と防御、導体を“かたち”として固定し、切断するという技法と足運びの合わせ業が為る】
【体術の練度、観測の精密さ。少なくともこの蛇たちは、影に戦闘者としての技量で明らかに劣った】

【それでもなお致命的なものとなる魔力の衝撃を。閃く太刀は、瞬間的な火の力の開放を以て、噴出する火焔を導線とするかの様受け流しながら、巨人へと接近】

【蛇には〝導線〟の構成とともに魔力を付与――――嘗てレッド・ヘリングに呑まれた魔力に似て、されど決定的な差異を呈する断片だった】
【深化した宝玉との精神接続が、〝力〟の掌握を完全たる域へと到らせて】
【跳ね上がった〝時〟の力に最小単位で固化された魔力はさながらモノに対する素粒子のよう、一切の影響を与えず、受けることなく、流れを辿ることのみを性質としている】

【虚神ジャ=ロの信仰の基盤、死を厭い、死を想い、死を求めるものたちの認識の在処を、】
【すり抜ける影が残す、ひとつひとつは欠片とすら呼べず――それでいて瀑布を成す膨大な量の魔力は探っていった】
【世界にも何ら影響を与えないからこそ、精神接続下にある本体以外には存在を感知することすら叶わない無形の力、】

【心を読むことをジャ=ロが試みたならば、或いは既に心を読んでいたならば、発生する現象はまた別に存在していて】
【それもまた、兇器が神話に対して備えさす機能となるのだろう。今は距離を詰めながら、幾重にも死への罠を夜闇は潜ませ始める】

946マリアベル ◆rZ1XhuyZ7I:2018/09/15(土) 15:36:42 ID:smh2z7gk0
>>938>>939>>940

【〝彼〟そして彼と因縁のある人々のやりとりを、まるで舞台劇を見ているかのように呆けた様子で見つめながらハットを被りなおす。】
【そして巨大な黒い異形へと変貌した〝彼〟を目の当たりにし、その瞳はまるで初めて遊園地へ来た童子のように見開かれ輝く。】
【「素晴らしい」そうポツリと独り言を呟けば黒い異形を澄んだ瞳で見つめる。】

回りくどい話し方が鼻につくけど、この魔力質量なんて巨大な………なんて純度なんだ…!
素晴らしいよ〝ブギーマン〟。君という存在が紡ぐ物語はさぞ醜悪で退廃的で美しいものなんだろうか。
とはいえ私は今はその物語を観測するに値しないようだから、後ろに回らせてもらうとしようか―――。

【「無粋な真似はしたくないからね」と言うと、マリアベルは能力者たちの後方へと下がっていく。】
【これは縁によって選ばれた者たちの物語、マリアベルという存在が前へ出ることは意味はないということか】
【ともあれ彼女は一歩引いた位置まで下がって事の次第を眺めるだろう。】
【しかし無賃での鑑賞は許されないようだ、異形から振るわれた蛇の魔力は例外なくマリアベルにも迫ってくる。】

―――っと、タダ乗りはダメって事かな?まぁ分かったよ。

                  《―――〝縺ゅ>縺・∴縺� ・撰シ托シ抵シ�〟》


【迫りくる蛇の魔力へ向けて、マリアベルはパチンと一度指を鳴らしながら〝聞き取れない言語〟を唱える】
【その瞬間、轟ッ!という空気が破裂するような音と共にマリアベルの両脇から〝黒みを帯びた焔〟で出来た狼が飛び出す。】
【焔の狼に下半身はなく、まるで幽霊のように浮遊しながら蛇の群れへと正面からぶつかる。そして二つの魔力が交わった瞬間凄まじい爆風が舞い上がる】
【床にはクレーターが二つ出来上がり、魔力の蛇の群れもいくらかは削げたがその物量はとどまることを知らない。】
【マリアベルはというと、爆風で砕けた床の破片が頬を掠り一滴血を流しているがそれを愉しむように舌で舐めとって笑う。】

【そして、蛇の波が押し寄せる方向へと幾度となく指を鳴らして黒い焔の狼を出現させて迎撃させていく。魔力を消耗している様子はない】
【―――迎撃はするが、その発生源たる黒い異形には攻撃を加える様子は一切ない。ただ状況を眺めながら機械的に迎撃を繰り返している】

947厳島の中 ◆zlCN2ONzFo:2018/09/15(土) 15:42:39 ID:6.kk0qdE0
>>938
「アリアさん、ミレーユさん!」

【佳月、次いで声を掛けたのは、ライガだった】
【淡々と、静かな怒りを露わにし、その銃口を撃鉄を殺意を向けるアリアに、些か戸惑いつつこう声を掛けた】

「ミレーユさん、アリアさん……戦います、指示をください、戦わなければ、生き残れない」

「マスクドソルジャーへの、変身許可を!」

【ベルトを出現させ、そう2人に、少しでも部隊行動の冷静さを……と】

>>928

「アーディン!」

【その見知った獣人はやはりとこの場にいた】
【チームMとして共に何度も虚神達と戦い、死地を超えた間柄、これ程頼もしい事が他に在ろうか?】

「今日は、いや、今日も頼む……生き延びるぞ、この世界ごと」

【銃器を構えて見せ、そう厳島は短く伝えた】


>>938>>940

「詭弁だ、ただの戯言だ」
「役者的な言い回しですね、ですが無意味です、我々はこの世界で生き死んでゆく、それが理です、人も生きとし生けるもの全て、高みの見物を楽しむ神には理解出来ないでしょうが」

【厳島は一笑に付し、ライガは熱を持って答えた】
【やがて、ケバルライがその姿を変貌させる】

「な!?」

【歪だ、歪で不可解な姿だった】
【だがそれこそが、虚神の虚神たる姿なのかもしれない】

「人間を……」
「この世界を……」

「「舐めるな!!」」

【2人ともその姿を変える】
【厳島は白の詰襟、魔導海軍士官制服に】
【ライガは黒と銀色を基調としたフォルムに、フルフェイスヘルメットの様な頭部に大きな緑色の眼の部分、全身を鎧にも似たパワードスーツの様な、上記のカラーリングのアーマーの姿、Masked Soldier、個体名をEliminator、異形の戦士の姿】

「くっ!?」
「流石は虚神、ケバルライ……強い」

【先ずはケバルライの攻撃が来た】
【魔導砲にも似た蛇の攻撃、純粋で強力な魔力が其処にあると感じる、触れれば無事では済まないだろう】
【それぞれ別の方向に飛び退く形で、回避を試みる】

「……!!」

【飛びのきながら、カウンターと言わんばかりに、厳島は擲弾筒を構え、擲弾を射出する、無論狙いは極めて甘いものになるが】

948 ◆zqsKQfmTy2:2018/09/15(土) 15:49:49 ID:6IlD6zzI0
>>929

【虚構現実で共闘したときの様に、CHAIN GANGで口撃を交えたときの様に】
【怜悧で冷徹なアリアの姿が変わらず在って――それが頼もしかった】

【そして、少女を腕に匿いジャ=ロに対峙する姿に少しだけ羨望を覚えたけど】
【この場に相応しくない感情は切り捨てる――互いの願いの為に。望む未来の為に】



>>932

(――…あれが、ミツキカエデ。アリアが入れ込んでる蛇の幹部様ってか。
 嘗ては同じ蛇のお仲間だったろうに…。もはや私らと一緒くた、か。
 ―――……ほんの少しだけ同情してやる。ほんの少しだけ、ね。)

【横目で一瞥をくれるに留まるのは、協力関係にあるアリアの存在が大きい】
【もし協力関係に無いのなら。埒を開ける為に、容赦なく「蜜姫かえで」を利用していただろう】
【譲歩をするのは、アリアの心境を慮っての事。「蜜姫かえで」が怯える少女としか映らないから】


>>943

【ゴーストライターの一世一代の大博打の成果であるジャ=ロの報告書】
【それに目を通した時に抱く感想は――"アンタ達が滅んだのは必然じゃないか"だった】
【死を恐れ、死の恐怖に怯える事の無い世界を夢想して――行き着いた先は万象滅んだ世界】

【その滅びはラスティネイル(身から出た錆び)と評するしか無くて】
【ジャ=ロの出自が独りの少女だったから。見知らぬこの子にも同情の念を禁じえないけど】
【だからといって滅びを受け入れるかと言えばまた別問題――詰まる所、真っ平御免だった】


何時も通りのご高説痛み入るよ、ケバルライ。教師みたいな口振りは相も変わらずだね。


【ジャ=ロを名乗る人型は、蛇の脱皮を思わせる変貌を遂げる】
【"人の形をした黒い不定形"――脱ぎ捨てた殻は人の形を整えるだけの器】
【ゴーストライターによる一世一代の博打の成果である報告書に目を通したからこそ理解できる】


―――……そうかい。それがアンタの"在るべき姿"ってヤツか。
当然だよな。アンタは人の"とある思い"から生まれた存在だものね。

だからさ―――"死"を齎す先を履き違えてんなよ、ジャ=ロォッッ!


【天井までも突き破る勢いで膨れ上がる巨神、否、虚神】
【際限の無い黒の膨張は死を連想させて、それが唸りを上げれば無機物でさえ滅びを謳う】
【唸りを上げて現れるのは蛇の形をした"死"。暴力という表現が可愛いものに思える程に剣呑さを帯びていた】

【一先ずは迫る"死の脅威"を回避する事に専心を向けて、様子を伺う】
【嘗て刃を交えたときと同じならば、自身の攻撃は通らない。故に他の虚神と同様に突破口を見出す必要があった】
【だから考えなしに切りかからない。活路を拓く為の切欠を掴まねば、自分達の望む結末には辿り着けないのだから】

949厳島の中 ◆zlCN2ONzFo:2018/09/15(土) 15:50:29 ID:6.kk0qdE0
>>941

「わかりました、でも、無茶はしないで下さい……」

【まだ若い少女なのだから、そう出かかった言葉を飲み込む】
【白坂佳月、素性は知れないが例外は幾らでもある】
【杓子定規では語れず、人は決して十把一絡げには出来ないのだから】

「外務八課の、人間の底力見せてやりますよ!」

950アーディン=プラゴール&レグルス=バーナルド ◆auPC5auEAk:2018/09/15(土) 15:55:09 ID:ZCHlt7mo0
>>947

っ、厳島、君も来ていたのか!?
「だ……誰だよオヤジ!?」
……櫻の国海軍の軍人で、色々と貸し借りのある仲間だ、心配しなくていい!!

【呼びかけに、ようやくアーディンも気づいたようだった――――基本的に、他社はアテにしていないが、彼――――厳島なら、別だろう】
【共に同行している、ガタイの良い魔術師は、それを知らないようだが――――彼も彼で、アーディンと手を組んだ戦士である事は、見ればすぐに伝わるはずで】

……そうだな、奴らの裁きを受ける謂れは、この世界にはないだろう……!

【思う事は同じだ――――ジャ=ロを殺して、世界を救う。その為にも、今のこの苦境を、乗り切らなければならない――――】

951パグローム ◆KWGiwP6EW2:2018/09/15(土) 15:56:46 ID:WMHqDivw0
>>940
【祭祀場の壁の高い位置に設置された燭台の上に、トンと足を置いて男は姿を現した】
【眼下に広がる光景は凄まじい魔力と暴力の飛礫であり、迂闊に飛び込もうものならミンチになるのに時間も掛かるまい】
【男は戦闘は本職ではない。こんなドンパチに飛び込むつもりはなかった】
【燭台の上で腰を落としながら戦いの光景を眺めれば、不可解さに眉を顰める】
【見る映画を間違えたと言わんばかりの渋面で、ポツリと呟く】


――何だ、この茶番は?


【絶大な魔力――圧倒的な存在感】
【そんなもの新世界の能力者であれば見飽きるほどに見て来たものだろう】
【それこそ神に等しい力を持った者にさえ打ち勝ってきた海千山千の兵達なのだから】
【"虚神"とか名乗るペテン師集団の持つ厄介さは、そんな当たり前の強さではなかったはずだ】
【それはここに集まった多くの能力者達だって知っているだろうに】
【たまさか、"真っ当に"勝負を仕掛けて来たからそれに乗ってしまうのはある種止む負えない防衛策では有るのだろうが】
【それが、いかにも"らしくない"やり口に見えた】


蛇術、ねェ?
ゴーストライターをブチ殺して存在性を確立させたはずの今をときめくジャ=ロ君が何だって未だにそんな手品に拘ってんだァ?
後から来たからかどうにも話が見えねェな。


あの落書きみてェな落書きは一体何をやってんだ?


【どっちにしろこの戦いの中にまともに参戦したからと言って猫の手にもなるまい】
【以前の人質のように分かり易いランドマークが有れば狙い易いのだが、流石に同じヘマはしないだろう】
【祭祀場全体で、ジャ=ロ以外に視線を巡らせる】


アァ、ありゃあえーっと……そうだ、"蜜姫かえで"。まだ生きてたのかよアレは。
自殺者より、自殺しそうなツラしてんのに、大概しぶといな。クヒヒッ。


【流れ弾に紛れて撃ってやろうかとさえ思ったが。お隣の機械人形の銃口がこっちに向いたら笑い話にもならない】


大体アレも蛇神教だってのなら、自殺した信者どもと同じ理屈で死にそうなもんだがな。

952 ◆zO7JlnSovk:2018/09/15(土) 16:04:52 ID:hvE.Nv4Q0
>>941

【蛇は斬り伏せられ地に墜ちて、そして雲散霧消し、魔力の断片と返る】
【そして、その魔力は異形と化したジャ=ロへと向かっていくのが分かるだろうか】
【それは輪廻の作用に似ていた、それでいてどうしようもなく、無為にも思えた】


──── 私は全てを許容しますよ、貴方達の試みが私の想定にある限り
そして、貴方達の試みは須く、私の想定を出ません、ならば
私が貴方達の何もかもを許容する事に、不思議はないでしょう


【疾走する佳月を阻む様に蛇が降り注ぐ、その一つ一つを貴女は斬り伏せ、回避していく】
【篠突く雨をものともせず、それはまるで一振りの刀剣の如く、僅かな躊躇いも見せず】
【暫く蛇を放っていたが、彼は少し催しを変えよう、右手の人差し指が長く伸びる】

【──── "振り払った" 鞭のように、軌道は高い、首をそのまま刈り取る位置】
【咄嗟の判断が要求される一瞬、高速で振り払われる指先は、触れたなら消失させる程の威力で】
【予備動作すらなかった、最短距離で、その命を奪おうと狙う】

>>942

【蛇たちは打ち付ける、殉教者の苦行であった、何度も何度も、凍結させられた果てから消え、また新たな蛇を生み】
【それはまるで、無知者の治療に似ていた、無知故に過ちを起こし、無恥故に其れを是と捉える作用に】
【──── やがて数多の蛇の骸の果てに、その壁を打ち壊すだろう、朽ちた蛇は魔力の屑へと代わり、ジャ=ロの元へ】


やはり貴女は学ばない、もう少し聡明な女性だと期待していたのですが、些か拍子抜けですね
一体どの様な手段でムリフェンを拐かしたのでしょう、私には其れが解せない
少なくとも彼女の信仰心は、蛇に仕える者の中で比類すべき者が居なかったほどに

──── だとすれば、ええ、因果とは、ニンゲンとは肉欲にあらがえない者
そこに不確かな愛の作用など無く、ただ快に準じただけなのでしょうか、であれば


肉欲もまた、信者の行の一つに加えておくべきでしたね


【愚弄していた、それを挑発として呼ぶには、あまりにもニンゲンの観念が足りなかった】
【ジャ=ロは瞬きをする、それそのもので、その弾丸を消し去ってしまう──── まるで、そう】
【着弾するよりも先に、その役目を終えていたかの如く】

【向けられるのは、右の手、──── 再び放たれた蛇は地面へと潜っていく、一つ、また一つと】
【数秒の時間を於いて、アリア達の足下から、その肉体めがけて蛇が飛び出してくるだろう】
【狡猾に凄絶に、彼もまた何処までも躊躇無く命を狙う】

>>943

【二人組は知っていた、与えられた術は二人の賢人を前に萌芽したのだろう】
【彼は其れを知らない、知っているかもしれなかったが、少なくとも知らないものとして処理した】
【──── ゴーストライター達の残した遺産を、活用できる、など、と】


しかしそれこそがニンゲンの業なのでしょう、私は少なくともそう認識しています
ニンゲンの起こす過ちとは、ニンゲン達が持つ絶対的な可能性に過ぎず、それは誰しもが背負う
だからこそ、誰もそれを責める事など出来ません、私もまた、そう思っています

大切なのは、起こってしまった事の後始末です、私はそれを果たしましょう
過ちは取り返せるのです、一度失敗してしまったら、それで終わりだなんて思いません
またもう一度進みましょう、大丈夫──── 今度は上手くやります


【ジャ=ロの右手そのものが巨大化する、二人をゆうに覆い隠す程の巨大さに】
【一瞬の貯めの後、彼はそれを思い切り振り下ろした、地面に着弾したなら、周囲一体を揺るがすほどの威力で】
【地面へと落ちた右の手は腕の根本から消え去り、再び新たな右手が彼の半身に出現する】

953名無しさん:2018/09/15(土) 16:05:15 ID:233RtaPE0
>>948

【――――横目にて一瞥される少女は、けれど、そちらを見てはいなかった。――あるいは、見ていなくてよかったのかもしれない、余計に惑ってしまうから】
【あるいは――彼女が相手のことをもしも認知していたなら、そうしてしまっていたなら。――そうしたらきっと彼女は"そう"振る舞おうとしてしまうのに、違いなくて】
【偏に彼女がこの場にて"彼"――ケバルライに寝返らなかったのは、彼以外にいつかの自分を知る者が居なかったから、にほかならぬ】

【"裏切者"たる彼女を認識しなかったのは、きっと、幸いだったのだろう。――あるいは>>951の彼についても、同じであり】

【――ならばあるいは予感させるのかもしれなかった、彼女はどうしようもなく不安定なままこの場所に来てしまったって、どちらに転ぶとも分からぬ綱渡りなんだって】
【ゆえにこそ抱き留められ護られる腕の中で、愛しい人に縋りつく声の震えるのが、――聞こえるかまでは分からないけれど、ひどくあどけない子供みたいに思わせる、だろうか】

【ある程度の事情を知るのなら、――彼女はひどく危なっかしい日和見菌みたいに感じられて/そして実際そうなのだろうから】

954 ◆zO7JlnSovk:2018/09/15(土) 16:05:47 ID:hvE.Nv4Q0
>>944

【──── その言葉を聞いても尚、彼の色合いは変わらない、どうしようもなく無力に】


ええ、分かっています、だからこそ私はより一層 "ウヌクアルハイ様" へ貴女は縋るものと
そしてそうあるべきでした、貴女はそれだけ純真な信仰の担い手だったのでしょう
けれども事実は違いました、貴女はただ一人の少女として、その身を委ねてしまいました

私はそれを責めることなど致しません、何故ならそれは私という存在にこそ過ちがあった
信仰とは斯様に脆く、信心とは斯様に肉欲へと委ねてしまう、それはニンゲンの限界なのでしょう
ですから私は手段を興じました、ええ、ニンゲンの祈りなど、最早不要です

──── 故に剪定しましょう、不必要な祈りは雑音と一緒です


【仮に蜜姫かえでが、一人の信者として生き続けていたならば、それはジャ=ロにとっての可能性であった】
【信仰こそが認識の源であり、純粋な祈りは確かな可能性を持つのだと、伝える様に】
【けれども現実は違った、彼の元から唯一の祈り手は消えてしまった、ならば────】

【──── 信仰とは、ニンゲンの持つ信仰とは、意識の上にある信仰とは、無力なのだ、と】

955 ◆zO7JlnSovk:2018/09/15(土) 16:08:17 ID:hvE.Nv4Q0
>>946

【奇妙な音律であった、そう彼ですら認識できないその言語は、異国の歌に似ていた】
【或いはそれは異国の音節に導かれていた、そもそもの音階が違えばそれを正しく認識はできまい】
【故に起こりうるその変容も、彼は受け入れるのだろう、在るべき姿として】


果たしてどうでしょうか、私の紡ぐ物語とは、得てして一つの凡庸な物語に過ぎません
謙遜などでは無く、ただ私はありのまま伝えましょう、それはあり得る一つの形しか示さず
複雑な伏線も、猥雑な関係性もなく、ただ存在する戯曲なのですから

──── 貴女もまた、その終わりの観測者として、存在しているのです


【彼は貴女が舞台に立たない事を許可しない、それはこの場に於いて必要という事を示し】
【再び蛇が群れを成し、貴女へと向かう、──── そして、同時に】
【後方から一匹の蛇が、その首筋へと牙を突き立てんと、地面の中から出現する】

【──── 高濃度の魔力が徒となる、敏感ならば察知できるはずだ】

956 ◆zO7JlnSovk:2018/09/15(土) 16:08:36 ID:hvE.Nv4Q0
>>947

【蛇は回避されながらも、只では消えることなく、地面から再びその攻撃を開始する】
【円運動であった、回避を繰り返していたならば気付くだろう、その動きがひどく合理的な理に導かれていると】
【それは勝算のない堂々巡りに近かった、体力の消耗は巨人とニンゲンと、どちらが先か】


舐めてなどいませんよ、私はニンゲンの行いそのものを正しく認識しているのですから
だからこそ、一つの担い手として、その現実を在るべき姿へと導くのです
そして私も脚本家でありながら、その舞台に立つのです、それを否定する事がどうしてできましょう?


【放たれた擲弾はジャ=ロに近づくに連れ勢いを弱め、落下するだろう──── まるで、推進力を失うかの如く】

>>948

【蛇の動きは回避されていく、けれども、その行動は洗練されていき、貴女の逃げ場を削っていく】
【それは不自由な選択を何処までも迫るものであった、ジャ=ロの不埒な試みを示すかの様に】
【兎も角何かしらの対応策を見せない限り、その首元へとやがて迫るのだろう】


──── はき違えてなどいませんよ、エーリカ、貴女はもう "見てしまった" のでしょう
ならば私の行いの正当性を理解しているはずです、その目的などとうに看破している
けれども、あり得ないと心の何処かで思ってしまった、だからこそそう発言してしまう

私は何処までも純粋に、私の目的を果たそうとしているだけです、──── そして
この行い全てが、その為の言わば必要経費に過ぎないのですから

>>951

【視線が向いたわけではない、けれども、その存在を感知したのだと、第六感が伝える】
【そしてそれ相応に、ジャ=ロの言葉が認識を強める、パグロームという異分子が居ることを】
【言葉は幾分か柔らかくなっていた、それは優越か、それとも────】


けれどもその茶番劇にキミも導かれたのでしょう、キミが立つべきは舞台であり観客席ではない
そうであるならば、キミもまた、同じ舞台の上で道化の様に振る舞う必要があるのです
どうしようもない茶番でも、ヒトは死にます、どうしようもない作り話故に、ヒトが死ぬのです

──── 得てしてグランギニョルとは、茶番のためにヒトを殺すのですから


【燭台が急激に朽ち果てていく、まるでその形態を "死" に染め上げられたかの如く】
【そのまま乗っていれば優に落下していくだろうか】

957 ◆zO7JlnSovk:2018/09/15(土) 16:10:56 ID:hvE.Nv4Q0
>>945

【蛇は柊に触れる事すら出来ない、それは圧倒的な存在の質の違いであろう】
【そして柊ならば分かるはずだ、朽ち果てる蛇は魔力の塊としてジャ=ロへと還元されていく事に】
【故に、辿れるはずだ、蛇を媒介に、その巨人の内部で行われている所業が】

【──── ジャ=ロの手からひとかたまりの闇がこぼれ落ちる、這いずり回りながら、それは柊に向かう】
【コールタールの塊に似ていた、粘つく様な動きで、それは向かってきた】

958 ◆zO7JlnSovk:2018/09/15(土) 16:12:09 ID:hvE.Nv4Q0
>>957
/付け加えです

【巨人の内部では怨嗟の声が渦巻いていた、"虚構現実" に渡り、真実を知った柊ならば分かるだろう】
【それは死ぬ事の出来ない人々の、苦痛に対する怨嗟の声であると】

959 ◆S6ROLCWdjI:2018/09/15(土) 16:29:02 ID:WMHqDivw0
>>952

だァから、意味がわかんないんですってば! ていうかこっちの言ってることの意味、わかってます!?
わかっててソレ言ってるならどうだっていいんですけど――わかってないんだったら腹が立ちます、
許容だのなんだの! そういうのは相互理解できて、はじめて出来ることではないんでしょうかねっ――

【斬っても意味がない。それだけは理解できた、なればその「次」を考える――少女の振るう刃には】
【「呪い」が乗せられていた。斬ったモノを徐々に蝕み、侵して――けれど殺しはしない、苦しめるだけの毒】
【それがジャ=ロに「還っていく」と言うのなら。その本体にも向かっていくのだろうけど、問題は】
【虚ろなる神にそれが効くのかどうかだけ。……正直なところ効くとは思えもしなかった、けれど、確認だけ】

【次の瞬間。目視すると同時に既に放たれていた急所への攻撃。少女はそれに対して、】

――――カミサマも意外と、考えることは単純なんですね。首を刎ねれば終わると思ってんだ。
私たちだっていつも「そう」思ってますよ、思ってるから、……ッ!!

【上体を急激な速度で落とす。ほとんど地面と平行になるような位置まで。そうするならば】
【振り払われる指が喰らうのは空に残された白い髪の毛先だけ。幾許か、音もなく消し飛ばしてしまうなら】
【「きれいに伸ばしてたのにっ!」 場違いが過ぎる文句だって零される。そうして、ぎりと眼前を睨み付け】

【――振り乱した髪の隙間から、きら、きら、煌めく殺意の燐光が覗く。小さな刃の群れだった。それが、】
【少女の白い髪の中に「仕込まれていた」。ばさ、と毛先が重力に負けて落ちてゆく、その瞬間に】
【刃の群れは切っ先を真っ直ぐにジャ=ロに向けて、次の瞬間には射出される。風切り音が鳴る】
【数は十枚そこら。刃の大きさはヒトの女の中指ほど、それらが大した狙いもつけず、大雑把に】
【ジャ=ロの膨れ上がった身体のどこへでもいいから突き刺さればいい。そう願われて、放たれる】
【この刃の群れにも、先の「呪い」――毒はしっかり乗っている。喰らって、効くのであれば、その意識を苛むのだろうが】

【どちらにせよ少女は疾駆を止めない。上体を倒した姿勢のまま、駆けて駆けて――すれば、ようやく近付けるのだろうか】

960厳島の中 ◆zlCN2ONzFo:2018/09/15(土) 16:34:23 ID:6.kk0qdE0
>>950

「ああ、この場に集ったのは必然か、あるいは呼び寄せられたか、この場の全員に理由がある」
「その御仁は、なるほど、仲間というわけか……頼もしい、魔導海軍陸戦隊中尉厳島命だ、共闘よろしく頼む」

【アーディンと、そして彼が連れている良き体躯の男性にこう答え、そして改めて敵、虚神ケバルライに向き直る】
【直後に高密度魔力の蛇による攻撃が飛来し、厳島と横の男性は変身し回避を試みるだろう】

>>956

「くっ、中々器用な真似を!」
「全く、軍人さんはこれだから、見ていて下さい、こうするんですよ!」

【ライガは円運動を持って再びの襲撃を仕掛けて来る蛇に、自身のボディと同色、同デザインに彩られた銃器、E‐blasterを取り出し、向かってくる蛇に狙いを定め、その強力な弾丸を射出する】
【一方で厳島は疑問が浮かんだ】

「(円運動?機械的な動きだが、まさか消える事なく此方を機械的に追い続けるのか?だとすれば……不利?圧倒的に……)」

【そして、放たれた擲弾はケバルライに近づくに連れ、速度を落とし、そして遂にはその場に落下してしまう】

「なんだと……まさか、殺したのか!?速度を慣性を!?」

【これでは、あるいは銃火器は通じないかも知れない、そんな驚愕が厳島の顔に張り付くも、一方で】

「演出、だと?」
「それが人を舐めているって言うんだ!!ただの傲慢だ!!」
「軍用の武器がダメなら……これだ!」

【ケバルライの言葉に怒りの琴線を刺激されたのか、ライガがE‐blasterの銃口を向け、複数発ケバルライに向かってトリガーを引く】

961マリアベル ◆rZ1XhuyZ7I:2018/09/15(土) 16:37:05 ID:smh2z7gk0
>>955

―――クック、アハハハハハハハハッ!これはこれは随分とお節介な指揮者だね。
嗚呼、確かに凡庸だね君の物語は。ただ起きた事象を右から左へと語るだけの〝装置〟のようだ。

ただピリオドへと向かうだけの〝装置〟―――ああ酷く退屈だよ。それともあえてそう自身を定義しているのかな?
感情なき物語。結局のところ人が生まれ落ちた瞬間から持つ〝デストルドー〟が肥大化しただけのようなものだ。


【舞台から降りる事を許さない黒き異形の言葉に、マリアベルは大きく声を上げて笑う。蛇の迎撃は続けたままだ】
【しかし笑い終えたマリアベルはひどく冷めた瞳で黒き異形を見上げる。物語の在り方について二つの存在は相いれなかった。】
【―――少なくとも現段階では、だが。】

おっと―――そんなに終焉の観測に参加してほしいのかい。それなら………

                   《―――〝鐔�鐔�鐔� 鐚醐執鐚�〟》


【「このまま〝続けようか〟」と口元を歪める。そして先程とは異なる〝外語〟を口ずさむと右手に巨大な火球が生まれる。】
【メラメラと黒く光りながら回転する火球はさながら太陽のようにも見えた。そしてマリアベルはそれを後方を確認もせずに無造作に放り投げる】
【火球はマリアベルの後方の蛇の出現地点近くへ落ちると、天井まで届きうる大きな火柱へと変貌する。蛇が想定外の動きをしなければ焼き払われながら天井へと叩きつけられるだろう】

【それを見届けることもせずにマリアベルは前方から押し寄せる蛇の群れへの迎撃を続ける。単調だ。携帯ゲームの周回プレイのように気だるげにマリアベルは迎撃を続ける】
【魔力が減少している様子はない、何故なら理屈は異形と同じく〝歪な性質〟の魔力は放たれ爆散すると再びマリアベルへと吸収され循環されている。】
【不可思議な魔力の性質故にその流れを追う事は容易だろう。しかしこれでは〝互いに〟進展はなかった、少なくともこの盤面は。】

962パグローム ◆KWGiwP6EW2:2018/09/15(土) 16:37:23 ID:WMHqDivw0
>>956
【舌打ち。崩れ去る燭台から即座に飛び退いて別の燭台へと飛び移る――だが、いたちごっこをしても仕方ない】
【壁の無機物を飛び移りながら、祭祀場へと降りて行くことだろう】


俺ァてっきり、この島をうろうろ探し回って、お宝を見付けるようなレクリエーションを想像してたんだがよォ。
"君がここまでたどり着いた真実こそが真の宝物だ!"みたいなオチまで想定してたってのに。


来てみりゃいきなり今週最終号!みたいなノリになっててオジサンついていけねェんだ。
んで、そんなにはしゃいでどうしたんだい、ジャ=ロ君。
今日は何かの記念日か?

蛇神様が復活したら祝日とか増えたりしねェかな?
もっともウチの商売は年中無休なんだがな!ゲハハ。もしも~し、労働基準局?


【相も変わらずペラペラと良く喋る。舞台に降りても、銃を向けるでもなく、ジャ=ロの様子を具に眺めている】
【釈然としない様子は続いているようだった】


アァ?寝言抜かすなよ。茶番で人が死んでたまるか。
映画の殺人鬼を真に受けてくたばるようなマヌケがいるならそりゃ心の病ってヤツだぜェ!


"たまたま"そういう心のよわーい人々がショック死しただけで、こりゃあ自然淘汰ってモンだ。
神様とかいういもしないおっさんに自分の価値観を丸投げするような連中なんざボウフラより死に易いだろうよ!

これで死体さえゴテゴテ転がってなけりゃあお礼を言いたいくらいだったんですがねェ!

963名無しさん:2018/09/15(土) 16:39:11 ID:233RtaPE0
>>954(>>952)

だっ、て、だって! だって……っ、――違うのっ、ちがうの、ちがくてっ。――――、っ、要らないって、いわないで、
――――っ、ごめんなさいっ、ごめんなさぃ、――っ、ごめんなさいい、――っ、――でもっ、! ――、できな。ぃ、――っ、

ごめんなさい、ごめんなさい……、――私、が生きてて、ごめんなさい、っ、――っ、――――、

【ぐちゃぐちゃになった思考が絡まる、頭蓋骨の中にうぞろうぞろと無数のなにかが詰まっているみたいに、そうしてそれが、きっと言葉になって口から出て来るのなら】
【きっと彼女は喉を詰まらせてしまっていた。窒息死する寸前に違いなかった。それでも現実はそうではないから一生懸命に息継ぎをする、吐息と言葉を喉に幾度となく詰まらせ】
【しかして口から出て来るのはひどく不明瞭な言い訳と謝罪だけ、――信じていた、めいっぱいに信じていたのに、助けてくれなかった、助けてもらえなかった、助けてほしかったのに】
【もう頑張れやしないのに。ほんの小さな光明だけでよかった。それだけだって頑張れはずだった。――けれどそれさえも、彼女には、見えなかったから】

【――何もかもが歪んだきっかけの彼女に抱きしめられて、頭の中に直接訪なう声に、ただ無意味に耳をふさぎこんで、あげる声は、きっと悲鳴と等しくて】
【死にたいだなんて思ってしまう。それは何の作用も関係がなくて。純然に彼女自身の気持ちとして。――だけれど、同時に、同じくらい、"死ねない"、なら、】

【だから結局彼女はなんてことない一人の少女としての自分を選ぼうとしているのに違いなかった。――それがたとえ始めこそ消極的な選択だったのだとしても、】
【いまとなっては、このいとしい人と離れることこそ死を意味してしまうから。――。だから死ねないし、死にたくない、だけれどだからこそ死にたくって、喉が詰まる】

――――――っ、!!

【ぎゅうっと目を閉じる、そうすれば再びに瞬くのは鮮やかなマゼンタ色で、――繰り返されるのは同じ作用、阻害そのものを練り固めた、万物を阻害せんとする、障壁であり】
【自分よりもアリアを護るための壁であった、――けれどそれでも結果として彼女もまた護られるのだろうか、単純な防御力だけでいえば、ずっと籠城さえできる異能は、】
【けれどいつかの弊害で衰えていた。何より今の彼女はひどく不安定だった。――それならば、幾度も繰り返されるようなら、きっと、みしりと嫌な音さえ、響くのだけれど】

964 ◆1miRGmvwjU:2018/09/15(土) 16:41:07 ID:hEXW.LLA0
>>944

【どうして自分はここに彼女を連れてきてしまったのかと女は深く悔いるばかりだった。 ─── 強弁を押し通して同行を禁じるべきだった。】
【然して同時に彼女はここに来るしかなかったと知っている己れもいた。歩んできた人生への、踏み越えてきた犠牲への、一つの決着。】
【ならば皮肉にもそれは異教の修験に似るのだろう。 ──── ただ理不尽な苦痛を、信じた情念を以ってして、耐えるばかり。故に、抱き寄せるから】


「 ……… だいじょうぶ。貴女がいるから、怖くないわ。」「 ─── 大好きよ。愛してる。ずっと、ずうっと、 ─── 。」


【憔悴したような白皙の顔貌を、それでも彼女は笑わせるのだ。 ─── どんな呪いもわたしたちを阻めぬと知っているから/願っているから】

>>952


「 ─── お前には、分かり得ぬでしょうね。」「"そうあれかし"と願われた、お前には。」
「 ……… 哀れなばけもの。ならばせめて、その内心にも、無自覚に死んでいくがいいわ。無自覚に、ね。」


【もはや却って女は冷徹でさえあった。 ─── ただ殺す。ここで殺す。絶対に殺す。それがそれだけが私たちに必要なこと。】
【効かぬと分かっていても銃撃を繰り返す。何らかのリソースを消耗させられるのだと願って。重なる黒蛇の強襲には】
【 ─── かえでを抱いたまま飛び退いて、そこにミレーユが懐からの手榴弾を落とし、ごく防戦的な迎撃を試みる。それでも微かに黒い牙が、アリアの片脚を掠めていた。】


「 ──── どうしたものかしらね。」「 ……… 解っちゃいたけど、力量勝負で勝てる相手じゃあ、ないよね。」
「有効打もなければバックアップも望めない。」「 ……… 一先ず今は、消耗しないように立ち回るしかないわ」

「 ……… 一つ、確からしいのは」「アイツの騙る"死"と、ボクたちの見る"死"は、恐らく根本から違うものだ。」
「死を理解しない少女が生み出した、歪んだ希死の観念。」「現に奴は、直接に信者たちを死に至らしめた訳じゃない」
「宛ら誘発されたアポトーシスのように、自刃の願望を増幅させたに過ぎない。 ─── それに、今だって」
「ボクらの事を殺そうとする手段には、物理的な肉体の破壊を選んでいる。 ……… 形而上からの攻撃は不可能でないだろうし、そちらの方が防ぎ難く有用な筈なのに」

「付け入る隙があるとすれば、そこだ。」「"絶望"するか、させることだ。」「 ……… 死に至る病に。」
「奴の知る死を再定義し、以って奴の存在を再定義する。 ─── なら、奴に何かを"教えなきゃ"ならない。」


>>かえで


【されど、如何にして。 ─── 少なからぬ痛みを堪えながらアリアは立ち上がる。これだけの猛攻を繰り返されたのなら、回避も防御も長くは続かない。】
【ふ、 ─── そっと息を吐くように、ミレーユは瞠目した。そうして、紡ぐ言葉は、一つの方法論。】


「 ─── 蜜姫かえで。」「キミの蛇術は健在か。なら、 ─── ヤツに、"Itzamna"を向けることは、可能か?」
「ありったけの苦痛をヤツに伝えれば、ヤツは其の先の"死"を理解してしまうかもしれない。」「 ……… そうすれば、此方に打つ手もある。」


【 ──── 言い終わる前、苦痛さえ塗り潰す激情と共に、アリアは反駁の色合いを浮かべた。何れにせよ其の問いに答えを出せるのは、蜜姫かえでだけだった】

965アーディン=プラゴール&レグルス~バーナルド ◆auPC5auEAk:2018/09/15(土) 16:42:17 ID:ZCHlt7mo0
>>952-958

「――――やかましいッッ!! 責めなきゃならねぇんだよ!! 人として生きるつもりもないてめぇらに、何が分かるってんだ!!
 殺した奴と殺された奴とが、同じ咎を背負うとか、死人の分際で頭おかしい事を抜かしてんじゃねぇッ!!」
……所詮、真実を代行するではなく、妄念から生まれたモノに過ぎないか……!
――――終わるんだよ、森羅万象全てはな……! 取り戻せる過ちなど、この世には存在しない……時間はそれを、俺たちに教えてくれる……!
貴様の存在も……貴様が食い散らかした魂も……いずれ、無用の存在を成り果てて、朽ちていく時は来るんだ……『諸行無常』だよ……!
世界をもう1度、死で満たし直す事を「やり直し」だと思っているのだからな……所詮、お前など死に続けているだけに過ぎん……!

【理屈も何もあったものではない、偉丈夫――――レグルスの怒号が叩きつけられる】
【彼は『ニンゲン』などではない。隣の獣人も『ニンゲン』などではない。彼らは『レグルス=バーナルド』であり、『アーディン=プラゴール』なのだ】
【『虚構現実』の罪をなど、背負ってやる謂れもなければ、そのつもりもない。それを等しく罪だというのなら――――何度でも否定しよう、と】
【だからこそ、彼らは殺し合い、裁き合うのだ。それを行うのは、ジャ=ロの役目などではない。人間の営みそのものだ】

【アーディンもまた吼えた。死人の魂を、永遠に苛んでいる――――『INF-005』の資料を読み込んでいる時に、ふと浮かんできた真実――――ジャ=ロには分からない】
【それが真実の永遠である事など、ありえないのだと。そして、それを以って過ちを清算するなど、妄言に過ぎないのだと】
【究極的に言えば、過ちは償う事などできない。適当に人間の都合で、折り合いをつけているだけだ】
【そこにあっても、主体となるのは人間であって――――虚神などではない】



「――――ッ、一点突破だ!」
っ、任せろ……!

【頭上を覆うのは、虫けらをそうする様な、叩き潰す巨人の腕。これを回避するのは、易しい話ではなく、そしてまともに浴びれば、あっさりと圧死できる】
【ならば、考える事は1つ――――貫通し、突き抜ける事。そうしなければ、凌ぎ切る事は、ほぼ不可能と言って良いだろう】
【2人の戦士の直感は、完全に一致を見ていた】

「――――Natumaini. Mwamba uliosimama, zaidi ya hayo zaidi!!」
    (我は願う。立ちふさがる巌を、越えたその先を!!)
ぬぅぅ――――ッ!!

【振り下ろされる掌目がけて、レグルスは更に術式を構成――――巨大な1本の光線を、頭上へと放つ。掌に、大きな穴を穿つために】
【そしてその穴を越えて、アーディンは高く跳躍した。元よりワーキャットの身体能力なら、それも造作はなく】

(――――いつまでも後手に回っている訳にはいかない。ここで1度、試す――――!)
放て…………『マジックレーザー』……!

【空中で、アーディンは身体を捻ると、回転ざまにジャ=ロへと、白い八面体のクリスタルを投げつけた】
【そこに込められた魔力を、ジャ=ロの虚ろな体に叩きつけ、そして発動させる。命中すれば至近から、何らかの形で回避されてもそこから、光がジャ=ロを焼こうとする】
【此方からの攻撃に、どういう結果が返ってくるのか――――牽制と言うには力を込めた一撃だが、ともあれそれを確かめようと】

ぐぉおッ!? ……ぁ、ぐっ……っく、余波って、レベルじゃねぇぞ……!

【地上に残ったレグルスも、腕の貫通傷を通じて、潰される事は回避できた。だがそれでも、一時魔力に包まれたダメージは、決して軽視できない】
【ジクジクと、肌を溶かすような。腐食性の傷が、まんべんなく全身に出来上がっていた。大した事ではない――――と言えるのも、今だけだろう】

966アーディン=プラゴール&レグルス~バーナルド ◆auPC5auEAk:2018/09/15(土) 16:50:39 ID:ZCHlt7mo0
>>960

――――理由、か……まぁ良い、容易く死ぬ事はないだろうな!?
「ッ、レグルス=バーナルド! 少なくとも、どっちかが死ぬまでは覚えとけ!!」

【――――なんで自分たちはこの場にいるのだろうと、一瞬アーディンは考えた。それぞれに、許せない神格がいるからで――――】
【この事件そのものに対する義憤など、或いは場違いな感情なのかもしれない】
【――――自分は『スナーク』と『ウヌクアルハイ』を、レグルスは『ロールシャッハ』と『エカチェリーナ』を、それぞれに殺したいだけだ】
【――――だが、そんな感傷に浸っている余裕は、残念ながら存在しない。ぞんざいな自己紹介だけを終えて、それぞれの状況に意識を戻していく――――】

967 ◆zO7JlnSovk:2018/09/15(土) 17:10:05 ID:hvE.Nv4Q0
>>959

【還元される蛇の "呪い" と、着弾する刃の "呪い" ──── 受けても尚、ジャ=ロはダメージを見せない】
【或いはその表層と蛇とに差異があるのだろうか、佳月ならば幾らか逡巡出来るかもしれない】
【幾つかの仮定が必要であろう、その身体が何を元に此処まで存在しているか】

【その内部に内包しているのは "信仰" であった、その外側の形が "ある少女" の認識に従うとすれば】
【内部に居る魔力の蛇たちはまた、それを作り上げる "虚構現実" の人々のそれである、と】
【────、けれども、それを知らぬ少女には些か荷が重い想定であるかもしれない】


そう思って下さるのならば、私にとって好都合です、そうでなければならないのですから
首を刎ねればヒトは死ぬ、呼吸を止めればヒトは死ぬ、肉体を喪えばヒトは死ぬ
──── そうであるのなら、どれほど幸福な事か


【攻撃の手が一端止まった、何か言葉に含みを持たせたまま】
【仮定が間違っていたとしても、結論が同じであれば問題は無いのだろう、────】
【ジャ=ロの扱う蛇が、自殺した蛇教徒達のものであると考えたなら、それは相違ない】

>>960

【ライガの攻撃がジャ=ロの身体へと着弾する、けれども決してダメージを受けた様子は見えない】
【或いは何か別の切り口があるのだろうか、幾重も対峙していきた厳島なら察しがいくかもしれない】
【閉塞感のある状況に対する突破口は得てして、予想外の部分から現出するのだと】


現象もまた、定義されている以上死を持つのです、それがこの世界の理なのですから
況や私が死を与える事の出来ないものもまた、存在しないと言って良いでしょう
貴方達はまた、何を見てきたのでしょう、盲目で生きている事は正しくありません


【此方もまた攻撃の手を止めた、何かに備えるかの如く】

>>961

【平行線であるならば、脚本家達はどう向き合うべきなのだろうか、批判の余地を許さない物語など存在しないほどに】
【蛇は叩きつけられる、或いはその行いは一つの示唆に似て、消えていく魔力の果てを追っていく】
【饒舌に語るマリアベル、ある種似た点に於いて二つは存在しているのだろう】


望むとも望まずとも、招かれた以上、その催しに必要とされているのでしょうから
運命だなんて陳腐な表現を私はこの場では使いません、ならばそれは当然の帰結なのです
凡庸と定義される事に不満は御座いません、それが日常であれば尚のこと自然でしょう


【互いに循環する魔力の形、さながら千日手の様に互いに決め手を欠いているとも言える】

968 ◆zO7JlnSovk:2018/09/15(土) 17:10:19 ID:hvE.Nv4Q0
>>962

【パグロームを単眼で見下ろす、殊の外はっきりとその存在を認識しているのだろうか】
【或いは宿敵として、或いは仇敵として、異なる言葉の破片を交わしてもまだ足りないほどに】
【悠然と語るその口ぶりは、相も変わらず不愉快さをもたらすのだろう】


道化の様に振る舞う作用は、ニンゲンの一つの防衛反応なのでしょう
真実を目の当たりにして尚それを信じまいとする心の働きです、そうであるならば
些かキミの振る舞いは道化に "過ぎる" ──── 不要な発言は滑稽でしかなく

──── 役目を果たした存在をいつまでも立たせているほど、私は脚本家として怠惰ではありません


【蛇がパグロームの地面から出現、その両脚を絡め取ろうとするだろう】
【成功したならば地面へと引きずり込もうとする、無論無理なのだが────】
【恐るべき力を持って、蛇たちはそれを実行するのだろう、脚の骨が砕けても、尚】

>>963

【言葉は如何様にも解釈できて、けれども確かに代わり映えの無い行動が虚を示す】
【何時までもジャ=ロは貴女の前ではケバルライとして振る舞おう、それは最後の優越にも似て】
【しかして、どうしようもなく侮蔑に近い扱いかもしれなかった】


謝罪する必要なんて何処にもありませんよ、ムリフェン、──── 貴女の選択は私に一つの学びを与えた
それは喜ぶべき事です、過ちを認め次に進む作用は私もまた、一つ手に入れた実感なのです
学びの悦びこそニンゲンの営みであり、況やそれを得ることはまた、私の悦びです

ですからもう良いのです、貴女は十分、役目を果たしました

>>964

【攻撃は防がれる、それは双方に於いてそうであった、互いの攻撃は互いに届き得ぬ、それはまるで】
【二人の平行線上の関係を示すかの如く、二揃えの対峙を意味しているのだから】
【言葉が一旦とぎれた、それはアリア達の思考の一端を担うのだろうか】

>>965

【二つの苛烈な言葉がジャ=ロへと向けられる、けれどもそれは、苛烈であるに過ぎなかった】


"やり直す" ──── そうとも言えますし、より正確な表現をするのであれば、より正しい方向へと進むのです
だからこそ私はこの行いを続け、貴方達に観測させる必要がある、そうであればこそ目論見を果たせる
ただ貴方達は貴方達の意思故に、無用なあらがいを続けているのですから


【攻撃を回避はしない、光が身体をやけど、直ぐにまたその身体を黒塗りが再構成せしめる】
【やはり単純な力押しは効かないのだろうか、物理的にも魔力的にも、それは不確かで】
【けれども攻撃の手は一度止まる、それは幾ばくかの不自然を孕んで】

969 ◆zO7JlnSovk:2018/09/15(土) 17:10:48 ID:hvE.Nv4Q0
>>ALL


【 ──── 空間が軋む、部屋そのものを強引に押し縮める作用に似ていた、或いは 】
【暴力的な力を持ってして、壁をこじ開けるかの如く、突き立てた爪が巨大な穴を開いていく】
【やがて祭祀場の壁に真っ黒な穴が出現し、そこから一つの存在が滑り落ちた】


  < あはは♪ 汚い汚い醜いカス同士が殺し合ってるよ♪ ボクとしてはどっちも絶滅してほしーんだけどっ >
  < でもさ、今日ばっかしは違うんだ、ボクの目的はキミ達みたいないつでもぶっ殺せるカスじゃなくて >

  < ──── テメェだよ、ボクがどれだけこの瞬間を待ち望んだか、分かってる? >


【鍋の底、こびり付いたカラメルの塊、溶かし損ねた飴細工の片鱗、甘ったるい噎せ返る香り】
【言葉は何処までも甘い甘い淫蕩に満ちて、それでいてどこか不機嫌さは媚びる様にも聞こえる】
【娼婦ですらもっとお淑やかだなんて、思えるぐらいに──── 彼女は存在していた】

【小柄ながら豊満な身体を大きく露出したホルターネックのビスチェ調の黒いビキニ】
【同色のローライズのショーツ以外は白く肉感的な素肌を晒している少女】
【セミロングの藍色の髪の毛にはアホ毛が一本だけ揺れて真紅の瞳を濡らす】

【背中には巨大な悪魔羽根が揺れて彼女が人間でないことを伝えるのだろう】
【ピッタリとお尻に張り付くショーツから飛び出した悪魔の尻尾がキュートに揺れたなら】
【長い睫毛がこれでもかと言うぐらいに愛らしい雰囲気を創りだす】



【──── "INF-009" "Aiyatsbus" ──── "認識する不条理の病魔" ──── イル=ナイトウィッシュ】



【彼女は右の手に巨大な黒い鎌を作り出し、背中の翼を大きく羽ばたかせる、一筋の流星がジャ=ロへと向かい】
【指先で描く螺旋模様に似ていた、弾丸の様にその身を振り絞り、眼前で大きく縦へと飛翔】
【一呼吸、コマ送りで描く世界の中で、加速度を保ったまま、脳天からその鎌を振り下ろした】


なるほど、そろそろ演目に変化が出る頃と思いましたが、まさか "貴女" とは、スナーク
よほどロールシャッハも手詰まりなのですね、"INF-009"──── まさかその数字の意味を知らない訳ではない
貴女はどうしようもなく不条理で、どうしようもなく不確かなのです、それでいて実体を持ってしまうほどに


【ジャ=ロは左手一本でイルの鎌を防いでいた、その掌に微かな傷も付けずに】
【イルの表情が苦虫を噛んだかの如く、──── 苦々しさの果てに僅かな愉悦があった】
【 "此奴はまだ知らない" ──── そんな優越感に満ちた、愉悦であった】


  < 相変わらずバッカみたいな話し方だよね、低脳が透けて見えるよ、ガキの小間使いばっかしてるから脳が腐ったんじゃない? >
  < 少なくとも意思も糞も持ってないアンタより、ボクの方が圧倒的に確かだけど──── さぁ!! >
  < だから嫉妬してるんでしょ? 実体すらもてないアンタが、どうしようもなくね!! >


【とは言え、ジャ=ロに攻撃を防がれたのは事実であった、一端イルはその刃を退き空中で静止する】
【舌打ち一つ、果実のように柔らかな輪郭を濡らしながら、眼下に広がる能力者達へ視線を向け】
【そして彼女は──── 彼女を知る者からは、考えられない程に】


  < カス共に啓蒙してあげるよ、この神様気取りをぶっ殺 す方法をさ、一回しか言わないからちゃんと聞けよ >
  < ロールシャッハの受け売りだけどね、この糞野郎は未だに未練ったらしく "ウヌクアルハイ" なんて信じてるから >
  < だからね、見せつけてやればいいんだ、"ウヌクアルハイ" がもう、"鈴ちゃん" なんだって >


【イルが親指の先を口元で噛み切る、垂れた血液が空中に魔法陣を描き、一つの巨大な力を孕んでいく】
【魔力に聡いものならば、その魔法陣からまた別の強大な意思を感じ取れるだろうか────】
【イルが描いたものであるが、その術式を組み上げたのは、また別の "虚神" ロールシャッハであると】


  < ほらほら、魔力持ってる奴はボクの魔法陣にさっさと注ぐんだよ! そうすりゃ鈴ちゃんが顕現出来るんだ! >
  < 鈴ちゃんはとーっても強いんだからっ! あんな糞野郎一瞬で消し去ってしまえるしぃ! >
  < ────、魔力送れねぇカスはさ、じゃあ祈っておいてよ、ボクが鈴ちゃんを顕現出来るように、って >



  < ニンゲンなんでしょ? たったの一回ぐらい、神様に祈ってみてよ、ねぇ! >


【イルはそう言い放った、言葉は示していた、 "虚神" が "虚神" が葬り去る術を明確に示しているのだから】
【それは同時に委ねられる、彼女を信用していいものか、と、彼女を信用するべきか否か、と】
【──── 今の段階では不確かだった、そう思われる程に、彼女は悪を為していたから】

970 ◆zqsKQfmTy2:2018/09/15(土) 17:13:55 ID:6IlD6zzI0
>>956

だったら何故に死を振りまくのさ、アンタの"殺すべき相手"は"ただの独り"だろうに。
矛先が違うだろ。独りを救う/殺す為に他のすべてを殺し尽くす事を履き違えて無いなんて言える理屈が何処にある。

蛇の信者を片っ端から自殺するように仕向けて、未知の死を、"ただの独り"に相応しい死を探してるのかい?

【未知なる物を遠めで眺めているだけでは何も解らない】
【言葉で問いかけて何かしらの返答があるのなら――ジャ=ロ自身が突破口を口にする可能性だってある】
【仮に自分が辿り着けなくても、頭脳に自身の在る人間は幾らでも此処に居る】
【であれば、自分はその足がかり若しくは捨石で在ればいい。最期にかの者の無念を乗せた刃が届くなら】


それなら、まぁアレだ。アンタが自分本来の目的を果たそうとするのは一向に構わない。
蛇の信者を使ってある種の実験みたいな事をするならゴミ掃除の手間が省ける。

けど必要経費と称して至る所に死を振りまいて、挙句の果てに古巣と同じ景色を築かれるのは許さない。
そして―――"死"を望んで生まれたお前自身が、今しがた"死"を望まれてる事には何の疑問も感じないのか?

さぁここは一つお得意の啓蒙でもしてみせてよ、虚神・ジャ=ロ。
ここは一つ、アンタの"理屈"を唄ってもらおうじゃないか。"死"については一家言があるんだろう?

【縦横無尽に回避行動に専念していくうちに、逃げ場が削られていき不自由を強いられる】
【距離を取って様子を伺えば、何れは終わりに至る。ならば――前に出るしかない。捨て石たる自分の本懐】

【ダッ、っと地面を力強く蹴って前進。自身の活動範囲を広げるための一手。その際に握った武器が蛇に触れて】
【熱した飴の様にドロリと溶けて消えるのを一瞥する事無く、5本の多種多様な刃を召還しそれらをジャ=ロに向けて放つ】
【これは単なる時間稼ぎ。故に、放たれた刃は酷く直線的で何の工夫も無い軌道を描いていた】

971 ◆zO7JlnSovk:2018/09/15(土) 17:20:48 ID:hvE.Nv4Q0
>>970

【エーリカのその言葉は言い得て妙であった、その疑問は確かに正しく捉えていたのだから】
【だからこそそれ故に、ジャ=ロは答えを返すのだろう、或いはそれは褒美にも近く、そして】
【どうしようもない真実の、曝される一つの側面でしかなかった】


そんな夢想家のような試みを私は致しません、私の行いとはもっと原始的で単純です
私が用いた術を再び行うだけの事です、トライアンドエラーはニンゲンの大切な出発点であり
それから私が学ぶ事もまた、必要な手筈なのですから

私はニンゲンの信仰の限界を知りました、意識の上にある信仰は、その肉体により容易に左右される
だからこそ私は、新たな信仰の対象を作り上げる、その為には、既存の信仰が不要です
蛇の信徒は最早役目を終えました、不必要な枝葉は剪定されなければならず、そして

──── 再び無意識の底から、正しき "死をもたらす者" が生まれるのです


【端的な理屈であった、それでいてどうしようもなく荒唐無稽な話でもあった】
【時間稼ぎに過ぎず、攻撃は果てと消える、けれどもそれは十分な価値を持って】


私の死を望む事は即ち、私に新たな死の可能性を見出す、とでも言いましょうか
本質を言えば、貴方達の信仰そのものに、最早用は無いのです、後は────
そう、ただ貴方達を認識させればいい、観測者として、聴衆として必要としたまでです

972八攫 柊 ◆wEoK9CQdXQ:2018/09/15(土) 17:22:23 ID:r3vWs0bc0
>>957-958

……ああ、そうか、

【魔力の行先は、想像した中で、戦況としては一番マシで。】

(……こんなにも、近くに。〝あなたたち〟は、未だ、居たんだ――――――――

【だからこそ、気付けずにいたことがかつての心に重く響いた。衝き動かされそうになる自分自身。無為であったことを、最善を成すための楔として、律した】
【これまでの闘争ゆえにジャ=ロという存在を改めて思う。〝奪われた〟痛みは消えず。それでも――――どこか、自分自身と似たなにかを見つめるように】
【手段は、既に定まっていたのだろう】

【少女の肉体や異形の巨人という器に、極限状況下で収めた切なる願い。他者の生と自己の死、対極なれど紛れもなく相似した彼我の構造を、共鳴・増幅のために利用する】

【刃で語らうことなど稀で、殺しあうことを愛するものの想いを解することはさらに希少で、】
【けれど壊しあって、わかりあえたはずの夢想を今も忘れてはいないから。願うが儘、死力を尽くした】


……焔翅、剣葬――――――――

【傍から見れば、きっと無意味で】
【けれど喪う度、壊させる度、願いを無為に貶める己をこそ憎悪したから――――この闇を終わらす暁を、魂に懸けて在らしめる。そのために、あのかたちを破壊する】

――――――――迦楼羅ァァアッッ‼

【最大火力たる超級の一刀を、躊躇うことなく抜き放つ。影の衣は抑えきれぬ余波に灼き尽くされ、靡く黒髪、橡色の双眸、隙も欠けも無い白磁の相貌――櫻の少女の姿を、忽ちのうちに露にした】
【それは、客観において無為となるであろう破壊の極致。両断してなお再生した〝工場の怪物〟の姿が、今も柊の目には焼き付いている】
【巨星を得物と成すまでに圧縮せしめたがごとき熱量は、世界を灼く域に至ろうとジャ=ロを滅ぼすことはないだろう。けれど、】
【ひととき取り戻す感情が、貫けば、巨人の内へと雪崩れ込もうとする】
【他者の生を望み。その先の希望をこそ願い。そのために、己が身を穿たれ、引き裂かれ尽くしても構わないと死線に踏み出した、想いの器たる“ひとり”の魂だった】

【まるで、虚構現実にあった人々の痛苦と睦みあうことを願うように。その棘を、己が内に取り込むことを想うように、対話のために暴虐は自らも血を流して】

【そのための、極まった出力を振り絞り解き放つ一閃】
【けれどそれは、飽く迄分厚い蓋を僅かに削る鏨に過ぎないのだ。世界のため贄とされた“ひとり”の願った、死という神の設けた檻は、きっとあまりにも分厚く、堅い】
【命尽きるまで放ち、削りきることが叶うかどうか。勝機は、きっと、未だ、ない】

【それでも、――――――――】

【ここから先は未だ見えない。対話のさきに齎し得る或る現象と同様に、朧な光すらも顕わにならない】
【強固な刀身を削り、己が激痛と真実を、さらに味わうことでのみ瞳に映り得たのだ】
【……それを知ってか知らずか。斃れていったものたちを抱いて踏みだした“かつて”が、その肉体へと、再生される様で】


――――――――はぁあああッ――――‼

【シャーデンフロイデと交わしたように、あの工場で子供たちを掬い上げようとしたように。届かせる――――その一念のために必要とした自我。】
【八攫柊の願いのために、八攫柊の肉体が駆動する。幾度となく火の力の開放と圧縮を行い、宝玉との精神接続で秒刻みで摩耗してゆく心を載せながら】
【その度に巨人へと繰り出される刃は、間近に迫る影を拒絶するために振るわれることはなかった。切断概念の刃へと性質を傾け、魔力で消し飛ぶことだけは避けながら、備えて】
【接触したならば、如何なる現象を引き起こすだろうか。まるで、自分の死を受け入れるかの様に。足さえも停めて、剣士が、待つのだろう】

>>969

【黙れと、兇器そのものの鋭さで害意が叩きつけられて】
【虚神スナーク、虚神ロールシャッハ――害意の根源は、この2柱をジャ=ロと同程度には危険視していることも窺えるだろう】
【もしも口車に乗った末にジャ=ロが滅びたとして、その先にはさらなる絶望が待つ――そんな未来を、確信している様だった】

973 ◆S6ROLCWdjI:2018/09/15(土) 17:29:44 ID:WMHqDivw0
>>967

(……やっぱ効かないよなあ、効いたらそりゃ嬉しかったけど)
(それが効く程度の相手だったら、とっくのとうに誰かに殺されてるはずだもん――)

【舌を打つ。眉間に皺を寄せる。右目からだくだくと流れ続ける血の勢いが、ひどくなる】
【けれど足を止めることはなかった。ジャ=ロの放った言葉の意味を、痛みで鈍る頭で必死に咀嚼しながら】

…………まるでそうあることを「祈ってる」みたいですね。不思議。
神様が人間にそうあれと祈るなんて、…………


>>969

――――――新手!? ッ、こいつが、「スナーク」…………!
なんなんですかもう、内輪揉め!? ふざけんのも大概にしてくださいよっ。
お互いに潰し合いたいだけなんだったら私たちを巻き込むな! 本当に腹が立つっ、……、

………………ウヌクアルハイ、……鈴音さん…………?

【少女、佳月は。外務八課から与えられた「虚神」に関する資料を読み終えて、そして思ったこと】
【「どの存在も決して此処に在ることを赦してはならない」。だから、「スナーク」に対してでさえも】
【等しくそう思っていた。だけど、「ウヌクアルハイ」――「白神鈴音」に対して抱いた感情は、きっと】

鈴音さん、を、…………なんだよ、お前たち、……鈴音さんを。
結局道具として使ったに過ぎないってこと? 自分たちの力だけじゃジャ=ロを殺せないから。
だから鈴音さんを――――――「そうした」の? 愛だのなんだの綺麗事並べておいて、

――――――――結局はそうして利用してるだけじゃないかッ! ふざけんなよ!!

【――――ただの一度だけ会ったことがあった。彼女がまだ神としての自覚を持てていないころ】
【冬だった。クリスマスのムードに浮かれる街中で、可愛いお洋服を見繕ってもらって。そのお礼にケーキをあげて】
【それっきり、あまりにも意味のない邂逅だった。……それだけで十分だった、白神鈴音に、好感を持つには】

【だからこそ、だった。「ウヌクアルハイ」を利用してジャ=ロを殺すと言う手段を、少女は「望まない」】
【イルの言には「従わない」。それによってジャ=ロを殺す術を永遠に失ったとして――少女は、願いを、捧げなかった】
【ただ、魔力も持たないただの少女がひとりだけ。イルに従わなかったとして、他の誰かが強く望んだのなら】
【この選択もきっと意味なんかなくなるんだろう。それでも――意志だけは示しておくんだった、「お前なんかには従わない」。】

974パグローム ◆KWGiwP6EW2:2018/09/15(土) 17:31:00 ID:WMHqDivw0
>>968
クヒヒヒッ…!
聞いたぜ、ジャ=ロ君。
虚構現実に行って、自分の存在を完全なものにしたんだってェ?

おめでとうと言うべきかねェ?

でもおかしいよなァ?

何だってじゃあ、未だもって誰一人死んじゃアいないんだ?
とっとと誰か殺して見せりゃあグダグダ屁理屈捏ねるより、何よりも雄弁な証拠になるだろうが。


茶番で、人が死ぬって言うのなら。
今オマエが、殺してみせろよ。
こんな借り物の逸話じゃなくて、オマエ自身の力でよォ!!


【それはあくまでも場繋ぎの攻撃であったのだろう】
【強力な術ではあるが、あくまでも肉体の破壊を目指したものでしかない――】
【ミレーユの語る言葉は真実の一端を突いている】
【結句のところ、死を司ると語るこの男の発祥は"死を知らない少女"なのだ】


無機物を殺せるってか。そりゃあ大したモンだ。
アァ、そこのクソ女に与えた術は仮死を与えるんだって?結構厄介だったぜェ。

んで、オマエの付近にいる人達が次々自殺するからこれは「ジャ=ロの仕業だ!」
……ってか?
クッヒッヒッヒッヒ!ヒャハハハハッ!!!ペテンも良いところだぜ!
それは死を与える力じゃあねェよ。"ジャ=ロは死を操れる"と演出するための力だ。

マヌケどもがそれを信じるからそれが真実みたいに見える。
虚神の力ってのはつまるところ"それ"だろうがよ!


【足元から襲い来る蛇を踏み潰す!】
【彼は蛇に対して一抹の恐怖さえも持ってない】
【蛇はただの蛇――単なる動物でしかないのだから】

975名無しさん:2018/09/15(土) 17:32:27 ID:233RtaPE0
>>964

【――――だからそうやって抱き留められる身体はきっとひどく強張って震えていた、いやな汗がじとりと贋物の毛先を肌に張り付けて】
【彷徨う視線が必死になって道標を探す。自分が行く先が分からなくなってしまって、見知らぬ異国の地で、それでも読めない看板を読み込もうとするように】
【ゆえにその視線が、自身の左手へと落ちるのはどうしようもない必然だったのだろう。そうしてそこに蛇を見出していたなら、彼女は、きっと、――だけれども、】

【そこにあるのは真っ新な指先だけ、さらさらした布地には汚れ一つなくって、まるで純真さを謳うみたいに、そんな穢いことしなくても、ずっと誰かが護ってくれるみたいに】

――――――――――、アリアさん、だいすき……。

【――ならば、彼女が見つけられた道標は、世界で一番きれいだって信じて疑わない青色をした瞳だった、蒼褪めたような肌を、今すぐだって温めてあげたいから】
【きっと頑張って笑ってくれた顔に報いるように、――少女もまた、ひどく強張って凍り付いたような口元、精いっぱいに笑わせるのだろう、震える声にて、宣言して】

……。アリアさん、……もう。私、立てますよ、……十六年くらい前には、もう、立ってましたし……。だから……。

【――――――――――――そうしたなら、いろんな、"こわい"が消えていくみたいだった。溶けていくみたいに。――ああでもきっと本当はちがくて】
【その何もかも冱てつかせてしまいそうな貴女が凍り付かせてくれたに違いないから。――だからそれが溶けてしまう前に。魔法が終わってしまう前に。日付変更線はまだ遠いから】

【――ミレーユへと視線が向くのだろう。そうしたらきっと分かるのだった、彼女のまなざしを偽っている色合いが、きっと、いつか、彼が振り向かせたかった女性と同じ色だと】
【ならきっと生きるためにここに居るんだって思わせるようだった、大好きな人と一緒に過ごしたいって、ただ、ありふれた、願いをかなえるためだけに】

――――、出来ます、よ、……私のこと、なんだと思ってるんですか? ……酔ってるんですか、お仕事中に呑んじゃ、だめですよ、もう――。

【だから取り繕って強気に笑う、――、それでも吐息は細切れで時々震える、"彼"に対峙することそれそのものが、彼女によって、度し難い恐怖なのだと伝えるから】
【判断基準は大きくアリアに傾いて。だけれどそれでもありんこを踏みつぶすようになかったことに出来るはずがなかった。だって彼女はこれまで、"してきたから"】
【信じているって言葉を理由にあまりに残虐なことまでもしてきたから。――ゆえに離反するのはその過去に向き合うことでもあった、ゆえに、怖くて、だけれど、】
【――この瞳の青が大好きだから。理由なんてそれだけだった。ずっとこの青色を見つめていたいから、】

>>967-969

【――――――――ならば、もう、苦しまなくていいのだろうか。熾烈な万能感と優越感を得るために支払う苦痛、死ぬことを自ら阻害して、生き残る練習】
【致死性の毒を飲まされても死なない。不衛生と栄養失調に曝されても死なない。大勢の信者に何時間も蹴られ殴られても死なない。――ゆえに、生きているのなら】
【だってそれこそウヌクアルハイ様が与えてくださった奇跡に違いなかった。蛇の神様が護ってくださっている作用に違いなかった。だって、あんなに、苦しいのに生きてるなんて】
【そうやって信じていることのみが救いだった。こんなに頑張っているの、だから、――だから、救ってくださる、赦してくださる、もう誰も不幸にしなくて、いいように】

――――――――――っ、

【きゅう、と、小さな吐息が詰まる。告げられる言葉は限りなく絶望的で、ああでも、さっきより、堪えられる気がする】
【大好きな人が笑ってくれたから。――くだらないって笑われてしまっても仕方ないとすら思えた。だって、私/蜜姫かえで/ムリフェンだって、くだらないって、思うのに】

――――あ、

【――吐息が漏れ出た、そうしたなら彼女は小さな声で、現れた彼女を呼ぶのだろう。いつかの役職名で。ひどく嫌悪していた、彼女の名前を】
【そうしてそこで思考は止まってしまう。彼女の言葉は聞いていた。理解もしていた。だからこそ、――だからこそ。自ら禁忌とした名前に祈ることを、求められるから】
【どうしようもなく彼女の思考は、一瞬止まってしまうのだろう。――ぱちりと目を見開いて、動けなくなってしまう。処理落ちした、コンピューターみたいに】

【ならば限りなく隙であるのだけれど、――】

976 ◆zO7JlnSovk:2018/09/15(土) 17:33:15 ID:hvE.Nv4Q0
>>972

【──── かつての "マルタ" で対峙した際、柊の刃はジャ=ロに届かなかった】
【其れは彼の存在の所以が、"虚構現実" に有り、その存在がどうしようもなく実体を持たない以上当然で】
【だからこそ合理的であった、柊の刃は幾重もの辛酸から導き出した絶対的な手段となりうる】





【──── 筈であった】




──── 救いたいと貴女は言うのですね、私の中にあるこの者達を、その刃を以て
そうすれば私という存在を消し去る事が出来ると、成程、道理としては悪くないです


──── ですが、貴女の言葉はあまりにも "か細い"




【それは生者の優越に過ぎないと彼は告げた、 "救う" という概念が届きうるのは、その知性の拠所が所以になる】
【 "虚構現実" は既に滅んでいる、或いはその担い手達はもう、無限の責め苦の中に意思すらも喪って】
【だからこそ、ジャ=ロの言葉に付き従う蛇でしかなかった、柊の刃は、現実の差を "埋めない" 】

【──── シャーデンフロイデはある種 "無垢" であった、レッド・ヘリングの内部に取り込まれた子供達もまた、"無垢" で】

【しかして、ジャ=ロの内側にいるのは、自分達の理屈で、自分達の世界を滅ぼした愚か者達であったから】
【彼らは怨嗟をまき散らしはすれど、その呼びかけに答えない、その道理を最早喪っていたのだろうか】
【柊の刃は物質的にジャ=ロを傷つけど、ダメージを与えるまでには、いかない】

【接触した影は、靄のようになり、柊へとまとわりつくだろう、それそのものにはダメージはないが】
【思考を蝕む影であった、それはちらつく "死の影" ──── ありとあらゆる行動に、死の影をちらつかせる】
【並の剣士であれば最早戦えない、刃を振る度に生まれる死の影は、恐怖に繋がるのだから】

977パグローム ◆KWGiwP6EW2:2018/09/15(土) 17:38:28 ID:WMHqDivw0
>>969
【風向きが変わった。空間から這い出して来たその存在は――】
【……誰だったか。確かマルタで会ったような覚えがある】



アァ――"スナーク"か。
何か滅茶苦茶久し振りじゃあねェの。



【パグロームは自身の組織のボスから聞いている】
【ロールシャッハがスナークを使って何を企んでいるのか】
【故に即座に襲い掛かったりはしない。何らかの勝算が有っての試みなのだろうから】


【そして当然だが、ウヌクアルハイにも鈴音にも一切合切の興味がない男は、そのために送る魔力も祈る言葉も持ってはいなかった】
【他の奴がやれば十分だろうし、それで失敗するのならロールシャッハが浅かったと言うだけだ】


【それを蚊帳の外と呼ぶか、高見の見物と呼ぶかは人それぞれなのだろうが】

978厳島の中 ◆zlCN2ONzFo:2018/09/15(土) 17:40:12 ID:6.kk0qdE0
>>967-969

「何ッ!?」
「やはり、か……相手は紛いなりにも虚神、人間を相手にするのとは違う」

【ライガのE‐blasterの弾丸は、着弾しこそすれ傷を負わせた形跡は無い】
【何か、何か別の突破口は、と思考を巡らせる厳島】
【だが、その時であった】

「あ、あんたは!?」
「イル・ナイトウィッシュ……病魔スナーク!!」

【一見すれば可愛らしげな少女である、だがその本質は紛れも無い虚神、スナークだ】

「鈴音を?神として呼び出すのか?」

【その一部を見続けてきた厳島が、問い掛けを始める】

「その話は真実か?」

「疑問だ、そもそも我々の魔力を供給せねば現界出来ない状態とは?虚神である君達が、ゴミ同然と見る我々の、君達虚神から見れば微々たる魔力を態々借りねばならないとは?その程度の魔力量君1人で賄えないのか?そして祈れとは?そもそも、その話は真実なのか?」

【ライガは無言で、厳島は淡々と疑問を羅列しながら】
【理屈としては、正しいのかも知れない、ウヌクアルハイを信仰しこの上なく身を捧げ命を捧げ、その相手に現状を突き付けそして、見せつける、なるほど精神性や根幹を殺す、自我を破壊するには筋の通った様に聞こえる話だが】
【ライガ、厳島共に魔法陣に手をかざし、返答を待つ、答えが納得出来るものならば、即座に魔力供給を開始するだろが、果たして】

979マリアベル ◆rZ1XhuyZ7I:2018/09/15(土) 17:43:47 ID:smh2z7gk0
>>967>>969

確かに、ただ外側から見てるだけってのも不作法だねいくら相手が〝装置〟だろうとも
フフハ―――とことん無機質だね君は。終わりを日常と定義した停滞野郎が。

(とはいえ、〝死の欲動/デストルドー〟の顕現だとすればこのままだとただひたすらに円環を回るだけのやりとりだね)
(〝死の欲動/デストルドー〟の力を弱めるならば〝つながりの深い者〟の中で〝生の欲動/エロス〟を相克させる必要がある)
(状況を見たところこの場でもっともつながりが深そうなのは〝彼女〟だけど―――〝両価感情/アンビバランス〟の狭間にいるようだし)

【もはや機械的とも言うべき迎撃を行いながら、黒い異形の本質について思考を巡らせていく。】
【その中で一度視線は>>975ムリフェンと呼ばれる少女へと向けられるが、しばらくじっと眺めた後視線は再び黒い異形へと戻された。】
【―――そこへ新たな存在が現れる。スナークと呼ばれる新たな存在からの提案にマリアベルは眼を細めてくつくつと笑う】

いいねぇ―――とってもいいよ、やっぱりそうでないと。
〝鈴ちゃん〟とやらが何なのかは知らないケド、面白そうだから私は乗るよ。但し
私のは〝外〟から引っ張てるやつだからちょっと味が違うかもしれないけどそこは勘弁してね?

【「―――それと、神には祈らない」と告げると右手を掲げて魔法陣へと魔力を注ぎ込むだろう】
【あまりにも簡単に承諾。周りの者の反応など気にしないかのように。そして注ぎ込まれる魔力もまた〝異質〟だった】
【普通の人間が体内に持てばたちまち破裂してしまいそうな魔力量もさることながら、魔力の性質自体も〝ズレている〟。ともあれ他の魔力と理屈は変わらないだろう】
【マリアベルは笑いながらイルが満足するまで魔力を注ぎ込むだろう。】

980アーディン=プラゴール&レグルス=バーナルド ◆auPC5auEAk:2018/09/15(土) 17:49:38 ID:ZCHlt7mo0
>>967-969

「――――だから、それは俺たちじゃねぇって言ってんだよッ!! 馬鹿かお前は!?
 『死』を司るだと……てめぇ、ただ振り回されてるだけじゃねぇか!! だったら言ってみろよ、てめぇの正しさってのは何なんだ!?」

【いつまで、『虚構現実』の事を振り回し続けているのか――――怒気が、苛立ちを孕んで更に大きく膨れ上がる】
【彼の中に意味はあるのだろうが――――どう考えても、今のこの行いは『お門違い』なのだ】
【いずれにしろ『無用なあらがい』によって、自分たちは突き付けられた『死』を、叩き返さねばならない】
【現状不要と判断した棍を、背中の金具に背負い直して、レグルスは身構え直した】

(っ、なんだ……ダメージは、あったのか? それとも……何故沈黙する。今の間は……少々、空きすぎに思う……!)
「……オヤジどうするんだ! こいつらには、それぞれに特殊な『殺り方』があるって言ってたろ!? どうすりゃいい!?」
……囚われている死を、解放する……それが現状、最も理に沿ったやり方だ……!
恐らく、アレは――――とは言え……ただ消耗戦を続けるに、それでは圧倒的に不利なのが変わらない……どうすればいい……!?

【その停止を――――アーディンは「囚われた魂が、わずかに削れたから」だと解釈した。つまり、無尽蔵ではあるが無限ではないのだと】
【なら、募り募った『死』の縛鎖を、解き放つ事が一番の対抗策となる――――その手段の不在、それを見つけ出さなければならないだろうと】
【ただ、そうこうするうちにペースは自然と、ジャ=ロの方へと傾いてしまう。答えを出すなら、迅速にしなければならない――――そうした思索が重ねられていた時だった】

「な、なんだ……!?」
――――――――っぐぅッ!!

【乱入者――――深淵から飛び出してきた悪魔、イル=ナイトウィッシュ。それを認識した瞬間、アーディンの瞳に、ジャ=ロへとは比べ物にならない殺意が生まれる】
【まるで獣の様なうめき声を残すと、既にその音すら置き去りにしかねない勢いで、身体は動いていた】

任せた――――『死』を解放しろ!!
「お、オヤジ!?」

――――――――ケェァァアアアアアッッッ!!

【助走、2歩――――それで充分。跳躍、ぶつかる勢いで――――間違いない、単純には届きうる。攻撃――――明確な実体を、破壊する】
【それは――――まるで獣そのものだった。牙は剥かれ、爪は突き立ち、口元から、咆哮に合わせて唾液が散る。獲物に食らいつく獣そのものだった】
【――――背中に光の分身を展開し、自分が前に立つ形で、アーディンはイルへと突撃を見舞い、爪を思い切り振り切った。そして、背後に従う分身は、爪を突き立てんと】
【実体のある体ならば、分身とは違って一撃で無力化される事はない。自分の攻撃は大振りに、そこに引っかかれば、分身の一撃は点で確実に】
【――――どこまでも組み上げた一撃だった。展開される魔法陣に興味など無い。虚神同士の争いなど無用――――ただ、両方殺す、特にイルは殺す――――と】

「……『死』を、解放……こうか、こん畜生!! ――――バルオー(命)・ナコ(阻害)・ミル(慈愛)・ザン(レベル3)――――『ライク・ア・キャンディ』!!」

【残されたレグルスは、ただ状況を理解しつつ――――自分なりの手段で、ジャ=ロに当たるしかなかった】
【咄嗟に、残された言葉の意味を斟酌し、アルベルト流の作法でスペルを組み上げると、ジャ=ロへと向けて、淡いピンク色の光を放つ】
【――――安らかに眠らせる、安楽死の為の光だった。甘き死をもたらす、眠りのカーテンの様に――――それが、死の敵に、有効かもしれないと踏んで】
【――――例え違っても、アーディンが鬼の如き表情で飛び掛かった『新たな敵』の用意した策に、乗るつもりはなかった】

【レグルス魔力残量 8/11】

981 ◆1miRGmvwjU:2018/09/15(土) 17:52:45 ID:hEXW.LLA0
>>975

【 ─── 静かな意志/遺志を、たしかにアリアは継いだ。ならば私はまだ戦えた。まだ立てた。まだ殺せた。】
【 ─── 誰かと同じ色をした瞳/人見を、たしかにミレーユは見届けた。ならばボクはまだ倒れなかった。帰るべき場所を知っていた。】

       「ありがとう。 ─── ずうっと、そばにいるから、ね。」
        「よく似合ってるよ。アリアの隣には、やっぱ、キミが相応しいや。 ……… 悔しいけどさ。」


>>969


【 ─── 銃声が響いた。六発分。容赦ない連続射撃。虚ろの神を標榜する、不条理の少女へ向けられたのは】
【"そいつ"の銃口だった。 ─── 雄を籠絡する術を白磁の笑顔に貼り付けた、ゴシック・ロリータの二挺使い(トゥーハンド)。】
【放たれた454口径のホローポイントは六発すべてが頬を掠めようとするだろう。詰まる所は威嚇射撃だった。だが舌打ちに歪んだ表情は、次がないことを示していた】


「口の利き方に気をつけろよ。縊り殺すぞ人で無し(ファッキン・フリークス)。」
「ボクのシグレがさんざ泣かされたって聞いてるぜ。 ─── 手前ェもあのクソの仲間ってんなら、手は貸したかないね。」

「それに ─── あのクソの復讐劇に付き合うつもりも毛頭ない。お前、手前ェで何やってんのか、解ってんのか?」
「お前が白神鈴音を顕現させた瞬間、ロールシャッハはお前の入れ上げてる女を奪っていくぜ。 ─── シグレが、何をされたか。知らないとは言わせねえよ」
「だったら同じ遣り口でお前からも白神鈴音を奪って、嬲って、支配するだろうさ。とんだフィアンセじゃないか、ええ? クソッタレの童話女。」

「手伝えってんなら其の辺りをエクスキューズしてみせろや。 ─── 次に舐めた事ほざくってんなら、ドタマ吹っ飛ばす銃口は二ツじゃ足りねえぞ」
「ラスト・リゾートを切るまで手前ェに頼るつもりはねえよ。ボクらは役者なんかじゃないし、」「 ……… 悪いがボクは、そういう奴だからな。」


【であれば純粋な敵意を持ってミレーユは応じた。 ─── そのクソ垂れる口を閉じろ。そう命じていた。】
【それでいて手詰まりになったら手を貸してやってもいいと傲慢だった。手段を選ぶつもりは、きっとなかった。】


>>968>>969>>975


「 ─── 行くわ、かえで。」「 ……… "痛み"で足りるかは、解らない。それでも私は、肉薄してみるわ。」
「他の禁術も、死の蛇眼も、蛇念も、阻害の力も」「 ─── 使えるだけ有りったけ、奴に使って頂戴。私が、射程距離内まで掩護する。」

【そうしてアリアはかえでを抱き締める。 ─── その腕の中に抱き締める。両腕に構えた銃を懐に仕舞うのなら】
【疾駆する。チタンアロイのフレームと人工筋肉の限界弾性まで悲鳴を上げて、およそ人間には有り得ない速度と敏捷を以って】
【繰り出される迎撃の牙があったとしても躊躇うことなく、 ─── ひとつの賭けに、彼女は出るのだろう。傷だらけになることも貴女と一緒なら受け入れるから】

982厳島の中 ◆zlCN2ONzFo:2018/09/15(土) 17:57:36 ID:6.kk0qdE0
>>980
「アーディン!!!!」
「くっ、何が何がどうなって……」

【その姿を見るや否や、アーディンは明確な殺意を持ってイルに向かい、レグルスは術式を構成する】
【イルへの問いかけを成す厳島は、その変貌に驚愕しつつも、危ないと判断し大声でその名を呼んだ】

「アーディン落ち着け!単身向かって勝てる相手では無い!まだジャ=ロも居る!!」
「イルがこの場にこのタイミングで出現したのは、何か何か理由がある筈だ!!」

【聲は届くのだろうか……】

983 ◆zqsKQfmTy2:2018/09/15(土) 17:58:42 ID:6IlD6zzI0
>>971

役目が終われば後は切り捨てる。それで私らを此処に誘き寄せて立会人に仕立て上げるか。
機械染みた合理主義め。人間の何たるかを知らない虚ろの神風情が人間を語るなよ。

【引き出した理屈は、確かな手応えがあった。自分自身で答えを口にしたのだから】
【だが正答に至る過程など考え付かぬだろうと言う傲慢と事実に苦い顔を浮かべる】

だから既存の信仰を生み出した人間に"死"を振りまいて信仰のリセットをしようってのか。
そりゃ果てしない労力だろうね。だけどそんな事気にする必要は無い。今、ここでお前の望む死を――


【虚勢を張った言葉を紡ぐ最中――】


>>969

【意図せぬ来訪者が姿を現す。出自を異にするストレンジア。その名は――INF-009 スナーク】
【未知なる虚神の言葉にエーリカは息を飲む――嘗て、あの時何故にジャ=ロは焦燥に駆られていたのか】
【――ウヌクアルハイ。自身にとっての深淵。思い出すだに震えを強いる程に位相の異なる白痴の神】


(――…嵯峨野鳴海に、ロールシャッハに連なる何者か。易々と信じられない)


【前進する足を止めて、中空に浮かぶ存在を見上げる。――鋭利な刃物を思わせる眼光と共に】
【一つ言えるのは、突如現れた存在はジャ=ロを敵対視している。怨敵とさえ認識しているのだろう】


……ものを頼むときには言葉遣いってもんがあるだろうが。
突然現れて高圧的な態度の物言いをされたら協力する気も失せる。

アンタは何者だ、答えろ。嵯峨野、いやロールシャッハの仲間か?
そして何故ウヌクアルハイを知っている――もしやお前も蛇の信者だったのか?

それらを答えて納得出来たなら、協力してやる。見ず知らずのアンタの提案に乗ってやる。

【記憶を辿る。サーペントカルトの本部では見た事の無い人物であった】
【それで終わるならにべもない態度で協力する素振りを見せなかっただろう】
【だが、ロールシャッハの名前が出た。ジャ=ロを忌んでいる。ならばこの場において】
【敵対の意思の無い協力者を名乗るなら、自身の魔力を送る事さえ吝かではない】


ああ、これだけは言わせてくれ

――今はね、神様に祈る暇なんて無いんだよ。祈る暇があるならこの手は武器を取って抗う。
だから――人間を甘く見るんじゃないよ。人間"風情"に助力を請うなら言葉は選ぶこった。

984ギンプレーン ◆KWGiwP6EW2:2018/09/15(土) 18:11:00 ID:WMHqDivw0
前前本スレ >>884
>>969 >>981

【――かくして、"8月2日"の彼は電話を取った】

【かつて仕込んだ罠の一つを、ここで解凍するために】



ゴトウ――ボスからの伝言だ。

9/15の18時に、アリアさんに向けて通信を頼むよ。

985 ◆1miRGmvwjU:2018/09/15(土) 18:15:40 ID:hEXW.LLA0
>>984

【 ──── サーバーからドリップしたばかりのコーヒーは、カップの上で湯気を立てていた。】
【感嘆したように男は頷いた。そうして理解した。ならば携帯端末を起動させる。】


「 ─── ほお。」「そいつは随分、先の事になったもんだ。」
「 ……… 次のインシデントは、うまくやった、って訳だね。」「まあ、いい。 ……… 聞こうか。」


【焦茶色の瞳が真っ直ぐにギンプレーンを見つめた。待つのは、言葉。】

986■■■■ ◆KWGiwP6EW2:2018/09/15(土) 18:20:41 ID:WMHqDivw0
>>985

条件1.
ジャ=ロ、スナーク、白神鈴音、ウヌクアルハイ、そして蜜姫かえで――奇跡的に、必要な駒が全て出揃っている。

条件2.
そして今――ウヌクアルハイと白神鈴音は再定義されようとしている。

条件3.
蜜姫かえでが協力的な状況になっている。

条件4.
ロールシャッハの目算により、この場に揃った人員の魔力で、定義の書き換えが可能となる準備が整っている。

条件5.
だがしかし、ほとんどの人間はスナークに素直に協力する気がない。

条件6.
蜜姫かえではウヌクアルハイと白神鈴音の同一視を否定している。

条件6.
"絶望"こそがジャ=ロに死を与える鍵となる。



かつて、ディーが狐面の人物と企てたプラン。
白神鈴音とウヌクアルハイの親和性を、蜜姫かえでの阻害の力によって、"切り離し"それを"再定義"する。

ジャ=ロにとって、不滅の少女と万能の神の合作が必要かつ、取り返しのつかないプロセスだったと言うのなら。

それを覆す機会は今この瞬間にしかない。



アリア嬢に指揮をお願いしたい。
パグロームの言う言葉など誰も聞き入れはすまいからね。

987 ◆zO7JlnSovk:2018/09/15(土) 18:22:09 ID:hvE.Nv4Q0
>>973

【その言葉にジャ=ロは答えない、なればこそ、それは虚なる神なのだから────】
【人間から生まれた神が人間に対して祈る事に、ある種の正当性が在るようにも伝えて】
【けれども、どうしようもなく荒唐無稽であった、そう言い切るしか無くて】


  < っ────、自分の無知を棚に上げてうっさいカスが!! いいよ、アンタみたいな力いらないしっ! >
  < それに鈴ちゃんの事、大して知らない癖に喋んないでよね! 癪に障るんだから!! >
  < ああもうむかつく!! やっぱりあんな奴の言うこと聞かなきゃよかった!! >


【イルが放つ言葉は理屈としては曖昧で、道理としては滑稽で、それでいて矮小に過ぎず】
【結局の所それが少女の選択であった、イルは──── 受け入れざるをえなかった、けれど】
【そっぽを向く、決別がそこにあった】

>>974>>977

【──── ジャ=ロの言葉が止まった、パグロームの発言は、隠し続けていたペテンの正体のようでもあった】
【彼は死であって、死でなかった、それはあくまでも "歪な死" であった、──── 根本の部分が、既に狂っていたのだから】
【起きる現象は全て、死へと向かう様に仕向けるだけであり、直接的に死へと向かうものではなく】


──── 果たしてそれがどんな真実だと言うのだろうか、キミは現実の一端しか見えていない
ヒトは容易に死へと向かう、過ちも罪も、それらは全て、まやかしに過ぎないのだから────
死を与える事と、死へと向かわせる事と、そこに大きな違いはあるのか


【ジャ=ロの右手が伸びた、再び巨大化した手が、パグロームを握りつぶそうと────】
【彼の言葉の通りであった、直接的な死を与える事ができない、けれども、物質的なものであれば】
【そこに何の違いがあろうか、結果が死であれば、変わらないと言いたげに】


  < 何カスが話しかけてんの? 魔力貸さないんだったら黙って祈れよ >
  < てかくっせーし喋んなって、此処がこの場じゃなきゃ、真っ先に殺 してるし >


>>975

【どんな隙であっても、ジャ=ロは攻撃の手を加えようとしなかった、それはまるで────】
【そうあるべきだと言外に言っていた、貴女に見せつけなければならないと言いたげに】
【この演目の行く先を、貴女は観測しなければならないと伝えていた】

988 ◆zO7JlnSovk:2018/09/15(土) 18:22:33 ID:hvE.Nv4Q0
>>978

【──── イルは冷たい目を向けた、厳島の疑問は最もであった、けれどもそれは】
【向ける相手が違っていた、論理的に話すべきは、論理的に受け取る事の出来る相手にであった】
【彼女は最早そういう次元ではない、理解するとか、理解しないとかそういうレベルではなく】


  < 分かってないなぁ、やっぱりニンゲンに智慧はいらないよね、魔力を捧げろっていうけど >
  < 魔力量が必要なんじゃなくて、アンタ達から貰う魔力が必要なんだよ、言ってる意味、分かる? >
  < 虚神の本質が認識に従うって、もう知ってると思ったけどさぁ >


【イルの言葉は圧倒的に足りない、道理に依って考えるのであれば、多くのニンゲンが、その魔法陣を認識する必要があった】
【ここから顕現する "虚神" がジャ=ロを倒しうるのだと、信じる必要があるのだと、伝えるかの如く】

>>979

【マリアベルの認識は正しかった、ジャ=ロは先導者と呼ぶには圧倒的に無機質であった】
【だからこそ、この状況に於いて誰の心も動かし得ない、けれども、そうであるべきとも思っている】
【それ故に交わす言葉に本質的に変化はないのだから】


  < ふぅん、なるほど、──── たしかに変なもんだね、一体ニンゲンの癖にどっから仕入れてるのやら >
  < まぁいいや、中々いいね! これだったら少しは足しになりそうだから──── >


【圧倒的な量を注ぐマリアベル、けれども先述した様に、量はそこまで重要視されるものではなく】
【寧ろ、神に祈らないと明言している分、その意味合いとしては序列が低くなるのであった】

989 ◆zO7JlnSovk:2018/09/15(土) 18:22:50 ID:hvE.Nv4Q0
>>980

【自分に爪を突き立てんと欲すアーディン、イルはやや面食らったように一瞬表情を曇らせて】
【そして大きく舌打ちをした、右手に持った大鎌を構え直して────】


  < 敵も味方も分かんないなんて! 獣ってやっぱり愚かだよね!! >
  < ──── "Mors Principium Est" ────!! >


【左の手が自身の唇に触れると、キスが実体化し、アーディンの周囲へ降り注ぐ】
【その大きな性質は固執、アーディンの一撃は大鎌で受け止め、そして────】
【分身の攻撃はその軌道を大きく変化させられるだろう、アーディンの背中へと向かうように】

【ジャ=ロへと向かった攻撃は寸刻、その巨体の動きを弱めた、──── 気がした】
【実際にどうであったかまでは伺えない、けれども確かに次の攻撃へと移る動作が消えた】
【思考の行き着く元としては間違いではないのだろう、────】

990 ◆zO7JlnSovk:2018/09/15(土) 18:23:08 ID:hvE.Nv4Q0
>>981

【放たれた銃弾をイルは見据えた、アーディンと近接戦闘している以上対応は後手になる】
【ジャ=ロとの決定的な神格の差でもあった、降りかかる火の粉に翻弄される様相に似て】


  < これだから無知なニンゲンは困るよね、そういうニンゲンが得てして舞い上がって過ちを犯すんだしっ >
  < ボクはロールシャッハとギブアンドテイクの関係なんだから、キミとは文字通り神格が違うんだ >
  < 分かったらとっとと手伝えよ、そんなどうでも言い理屈こねてないでさ! >


【返す言葉はそれだけであった、彼女の言葉は誰にも、届かない様相で】

>>983

【イルは然して、その状態になっても笑った、──── エーリカな確かな理屈に対して】


  < へぇこの状況に於いて、変わった事言うんだね、何様のつもりで話してるんだか >
  < いいかい、ボクは "虚神" さ、そして、その糞野郎をぶっ 殺 したいって思ってる >
  < それで十分でしょう? 分かんないなら、自分の矮小な脳を恨むんだね >


【決して相容れなかった、だからこそ彼女はあくまでも無機質を保っていたから】

991八攫 柊 ◆wEoK9CQdXQ:2018/09/15(土) 18:29:50 ID:r3vWs0bc0
>>976

【願いも救いも届かない。何もかも擲って苦痛を終わらせたくても、この手はもう、きっと兇器を振るう血塗れの指先でしかない。】

(……ぁ、――――――――、)

【それでも、拭いたいと思った。だから……守れたものを、幾つも、幾つも零し続けた、】
【瞳を過ぎる痛みは、その度に刻み込まれたものにきっと等しい】
【そう、願いの涯てはこんなもの。だから、誰かを救えるなんてことを期待することはもう出来なくて――――――――。】


――――なら、貴方たちはもう“終わりなさい”。

もう、誰かを救うことなんてできなかったとしても……既に亡びた世界の影を、〝わたし〟で遮り、消し去るだけの――――
果てなき邪悪を、何処までもこの手で選び取ることは出来るからッ‼


【精神接続に成功させた時点で、虚構現実の残影たちは半ば終焉を約束されていた。もしも――――抗う術も、ジャ=ロが阻む術もないのなら。】
【八攫柊に、櫻の巫としての適性があることはマルタでの一戦で識れていた。他者の想念を取り入れる器となり得るのは、それ以前からで、】
【その性質を拡大した、魂喰らいの怪物として。怨嗟を喰らい、魂魄を貪り、灼き尽くすだけの炉が、肉体を喪失した〝彼ら〟の傍に完成していた】

【強制収奪――――苦痛を拭うという結末のため、燃料として消費されるだけの末路を新たな〝器〟は約束する】
【かつて少女の内に融けた、悲運の残留思念たちの記憶が甘く誘う。ただ、光に焦がれる虫を焼く様に、強く】

【一方通行の弁を仕切りとして、直結された馬鹿げた燃費の軍艦が、根こそぎに燃料を奪う様なものだろう。自己の存続すら前提としないから、維持を要する存在よりも苛烈になることは出来て】
【さらには、数多の棘が〝彼ら〟を駆り立てる】
【より強大な痛苦――――守るために重ねた死闘の傷、守るべきものを嬲られ、時に喪った痛苦。……かつて、生きる理由を与えてくれた“始まりのひとり”の喪失の激痛、】
【そして、】

【白神鈴音の、被虐と痛苦に満ちた生涯が注ぎ込まれたなら。アナンタシェーシャがかつて与えた毒が、過去の亡霊たちを責め苛みだす】
【柊へと流れ込み、燃料として使い尽くされることを渇望するまで。肉体を喪いなお死ねない、今ある痛苦への上乗せを課す】
【まるで、過去の過ちを漱ぐ手段をもたらすように。虚神ジャ=ロの滅びと、】
【或いは悲願と、エーリカとの会話から読み解いた或る少女の終わりを――――そうして、兇器は齎さんと願う】


【罪とともにそうあるからこそ。処刑器具は、今や、何を躊躇うこともきっとない】
【影がその身を襲い、霞がすべてに死の影を這わせる。とりわけ自分自身の死は、これだけの強大な存在を相手取ればこそ、当然で】


だから……どうしたの?
私が死を畏れると――――まさか、本気で期待したのかしら

【自分自身の死への恐怖を棄却した様な闘法は、幾度となく繰り返したもの。ジャ=ロも、それは承知しているのだろう】
【……けれど本来なら、それこそが。そうあれる理由こそが、致命打を与えていたはずなのだ】

【〝他者の死〟が与える激痛は、間違いなく恐怖を齎し続けたはずで――――、】

……それに、ね

私は他者の死を忌み、厭い。……どれだけの痛みを伴おうと、遠ざけたいと願ったけれど
その死を恐れる感性だけは、もう……きっと取り戻すことも出来ないのよ。

当てが外れたわね、ジャ=ロ――――貴方の相手がこんな欠落者だということを、〝知らなかった〟――――それだけの落ち度を抱いて絶望しろ
過去(あなたたち)ごときに、この世界にある生涯(いのち)は譲らないッッ‼


【生を想い、今を願って。未来に繋げることを願った、ひとりの少女の清冽な残骸。】
【怨念を燃料とくべ続ける現象は、阻まれねばどこまでも繰り返されて。滅びを、〝願われた死〟へと齎さんと願うのだろう】

992マリアベル ◆rZ1XhuyZ7I:2018/09/15(土) 18:34:50 ID:smh2z7gk0
>>988

ああ、そういう事か。これでは駄目であればであれば言葉を変えるよ。
―――『私は〝神〟には祈らないが〝スナーク〟という存在には協力し、〝鈴ちゃん〟の顕現を望む』
馬鹿丁寧になってしまったけど、これならもう少し〝観測者〟としては約に立つかな?

【スナークの言葉に合点がいったように頷くと、わざとらしく演技のような口ぶりで言いなおす。】
【これがいかほどの意味になるかは分からないが、ともかくマリアベルはスナークに協力的であった】
【それはこの場のしがらみに左右されない立場だからか、元々の性分か、それともまた別の意図があっての事か】

【―――兎も角としてマリアベルは魔力供給を続ける。】

993 ◆1miRGmvwjU:2018/09/15(土) 18:43:55 ID:hEXW.LLA0
>>986


「 ─── ジャ=ロの脚本は、いよいよ終幕に至った。」「そこで、ロールシャッハが干渉してきた。走狗として迎えられたのはスナーク ……… そういう事、かな。」
「筋としては解決に至りそうだ。切り離したウヌクアルハイの須臾だけは些か気になる所だが ─── 手段も選びがたい状況、なんだろう?」


【手元の携帯端末を起動させる。時限発信式のメッセージを、アリアの電脳に宛てて発信する。そうして、苦笑に嘆息するなら】


「アリアも大概なボケ具合だと思うけどねえ。 ─── ま、蜜姫かえでを助ける為なら、何だってするか。」
「いいだろう。請け負った。 ……… タイムカプセルを送っておこうか。我々が、世界を切り拓くために。」


【 ───── かくして、伏線は描かれた。しかして、あの瞬間まで秘められるならば。そうして、今に至る。】

994 ◆S6ROLCWdjI:2018/09/15(土) 18:44:17 ID:WMHqDivw0
>>987

はァ? それじゃあ貴女は鈴音さんのことどれほどご存知なんでしょう。全部ですか?
でしたら教えてくださいな。「どういうお洋服を好んでます?」「寝るときにどういうことしてます?」
「鈴音さんが子供のころ、御母様からもらったものの名前は」。……私はこれら全部知ってますけど。

ま、そういう揚げ足取りは置いときまして。貴女こそ鈴音さんの何をご存知なんですか?
どうせ自分に都合のいいことしか知らないんでしょう? 人間風情の私が教えて差し上げますよ。

きれいなところも汚いところも全部ひっくるめて愛して、はじめて「愛してる」が成立するんです。
……どうです? 貴女本当に、鈴音さんのこと、愛してるんですか?
私はまだ鈴音さんのきたないところ教えてもらえてないのでなんとも言えないんですけどねえ。
貴女ほどであればぜえええええええんぶご存知なんでしょう? ……それでも、愛してるんですよね?

【右の眼、花の咲いているほうから濁流のように血を流しながら。少女は何かを確信したように口にする】
【白神鈴音が、何を願って何を想って何を愛していたか。知っているはずなら、こんな、ヒトをバカにしたような言動なんて】
【取るはずがないと思うのだ。だからこその罵倒だった。心の底からの侮蔑だった。そして、怒りだった】
【もっとも、決別した子の言うことなんか聞く気もないなら流してしまえる揚げ足取りでしかないんだけど。だけど、】
【言わずにはおれなかった。そして――そこから先、周囲がどう動くかだけを、注視し始める】

【味方も。ジャ=ロも、スナークも――何か下手な動きをするなら等しく「殺してやる」。その決意だけを、秘めて】

995厳島の中 ◆zlCN2ONzFo:2018/09/15(土) 18:46:33 ID:.HpYKAKs0
>>988

「なるほど……良く解った」
「つまり、鈴音を、ジャ=ロを倒せると信じられて居る虚神として、この場に呼び出す、そう言いたいのだな」

【冷たい目を、冷淡な視線を同じく冷たい】
【心底相手を見下した目線を合わせて躱す】

「質問をして正解だった、答えは拒否だ」

【淡々とそれだけ言い放ち、その手を下ろした】

「え!?ちょ、何が?どうして?……」

【ライガもそれに習い、その手を下ろす、もっともこちらは要領を得ないのか、良く解って居ない様子だが】

「悪いが、そんな事をして鈴音が、彼女がどんな存在、脅威となって君臨するか解ったものでは無い、少なくとも我々にとって有益である保証は無い」
「見ていろ、人間は、この世界はその程度の脅威には屈しない、自ら戦って見せる」

996 ◆zO7JlnSovk:2018/09/15(土) 18:47:08 ID:hvE.Nv4Q0
>>991

【 ──── それは果たして効果的であった、古今東西誰も思いつかなかった方法で少女は新たな救いを作る】
【けれどもある種、その身を焼きかねない痛苦に満ちていた、ある種の正当性も整合性も無いまま、成り立つ循環詩】
【限りなく遠い行き先を定義するに似て、それに乗る数多の魂を凄絶に頂くかの如く】

【柊の元へと彼らは征く、怨念を取り込む術に迷いはないのだろう──── しかし】
【誤算があったとすれば認識であった、道理としては悪くないと彼は述べた、而してその通りであった】
【奪えど奪えど、終わりは見えない、──── まるで同じ道を回っているかの如く】

【或いはそう、根本的な認識の違い】


──── 成程、ニンゲンとしては存外に外れた存在であった訳ですね
けれども、それをどうしてニンゲンと定義できましょう、ヒトである限り、それを恐れる道理があります
ならば貴女もまた、私達とそう大差がないのではないでしょうか


【彼の内部にあるものは、彼の一部ではあったが、その燃料とさえも成り得ないのではないか、と】
【更に突き詰めて言えば、彼が攻撃の手段として使うそれすらもまた、一部でしか無く】
【彼という本質そのものに、数多の衆生の死は、ありさえすれど、核にすら成り得ないのではないか】

997 ◆zqsKQfmTy2:2018/09/15(土) 18:47:08 ID:6IlD6zzI0
>>990

【"その傲慢、その嘲笑。まるで何処かの誰か(=棕櫚)の顔がチラつく"】
【怜悧な眼光に絡みつく苛立ちは彼女の未熟さ故か。それだけじゃない】
【出合い頭で理解する――"コイツとは絶対に相容れない"と】


傲慢を隠そうとしないその言動に清清しささえ覚えるよ。
私の問いかけの殆どを無視して自分の都合しか語らないその姿、反吐が出るほど嫌いだ。


【しかし、自身には決定打が無い。ジャ=ロに新たな死の可能性を齎す一手が無い】
【だがアーディンなる人物への言葉から察するに、虚神同士の共食い、共倒れが見込めそうだったkら】
【逡巡の後、エーリカは仏頂面で魔法陣に向けて手を伸ばし。魔力を注ぎ込む】


少なくとも、"ジャ=ロを殺したい意図がある事"――そこだけは信じてやる。
だから受け取れよ、"スナーク"。大口叩いてんだから、"ジャ=ロ"を滅ぼす可能性になるんだろう?


【ただし、注ぐ魔力は自身が保持するものの3割ほどに留めていた】
【露程しかイルの言葉を信じていないから、その言葉に全てを委ねる蛮勇に踏み切る程向こう見ずではなかった】

998 ◆zO7JlnSovk:2018/09/15(土) 19:02:57 ID:hvE.Nv4Q0
>>992

【然りという具合にスナークは頷いた、その表情に微かな笑みを交えて】
【ある種その中立性こそがマリアベルの重要さなのだろうか、誰も彼もしがらみの中で生きている】
【だからこそ、そのしがらみを踏破しうる可能性を、彼女こそが持っていた】

>>994

【イルはかけられる言葉に視線を向けた、──── 歪む笑み、何処か嘲笑に近くて】
【確かに彼女は全ての側面を知るわけではなく、同時に貴女の言う言葉に反論する術を持っていない】
【けれども、それは彼女にとっての真実には成り得なかった】


  < あはは、そうだよね、ニンゲンはそういうそれらしさがなきゃ愛を知れないんだよね >
  < 相手の事を知っているだなんて思いこんで、そうして知ったように愛を語るんだもん >
  < ねぇ、キミ達ってさ、知識量で愛を比べるの? 相手をよく知ってる事が愛なんだ >

  < ──── 分かんねぇならとっとと黙ってろよ、ボクはキミに頼らないし>


【言葉の代わりにジャ=ロがその注意を佳月に向ける、静かな敵意が向いた様に】
【けれども攻撃の動作には移らない、まるで何かを貯めているかの様で】

>>995

【イルはその判断を鼻で笑う、少なくとももう厳島達に興味を失った様で────】
【あくまでも気まぐれな存在であった、そう定義された誤った価値観に生きるからこそ】
【その帰結はどうしようもない別離で、抗う事の出来ないながれであったから】

999 ◆zO7JlnSovk:2018/09/15(土) 19:03:08 ID:hvE.Nv4Q0
>>997

【渋々ながら従うエーリカをイルは満足そうに見つめて、それでいてただ徒に】


  < 可能性じゃないよ、決定的な術だから、まぁキミにはわかんないだろうけど >
  < いいよ、それだけで十分だし、それぐらいで十分なんだよね >
  < まぁ見てなって、キミ達の無力さと、ボクの強さ、はっきりと示すんだから >


【その判断は正しいだろう、全てを投げ出すほどに、彼女は信用のおける存在ではなく】
【其れは彼女自身も分かっていたのだろうか、それ故にその言葉を信頼していた】

1000アーディン=プラゴール&レグルス=バーナルド ◆auPC5auEAk:2018/09/15(土) 19:04:11 ID:ZCHlt7mo0
>>982

――――不都合なのだ、全て!!
『スナーク』は『ウヌクアルハイ』を呼ぶッ、これを何とかしなければ、ここは虚神の戦場と化し、人間など文字通りの虫けらになり果てるぞ!!
勝った側は目的に近づき、より巨大な神格となり果てる――――少なくとも、これ以上になる前に各個撃破し、退けねばならない!!
――――大体、こいつの目的など碌でもないと、考えるまでも無いだろうッ!!

【頭に血が上っている、しかし――――その言葉は彼なりの理屈があった】
【これ以上、神を揃い踏みさせる訳にはいかない。そして、彼らのどちらにも、思惑を達成させてはならない――――怒りと同時に、それだけの理由を抱えていたのだ】

>>989

――――味方のつもりか貴様ぁッ!! その果てに、貴様は貴様の企みを、成就させたいだけだろう!!

【鎌で一撃を防がれながらも、アーディンは吼える。今すぐに殺してやりたいが――――それよりもまず、虚神が2体と言う状況を、解決する方が先だ】
【よしんば、3体目を呼ばせる訳にもいかない。どうあっても――――イルの目論見に乗る選択肢は、ないのだ】
【――――出来る事なら今すぐ、この手でその喉笛を引き裂いてやりたいのだが】

――――ッッ!? っぬ、ぐぅぅッ……!!

【背後の分身の爪が、イルではなく自分に迫る――――咄嗟にアーディンは、振るった腕をそのまま背後へと突き出し、相打ちとする】
【――――外部からの干渉に弱い分身は、すぐに霧散するが。その爪の破壊力はほぼ本物で。アーディンの左拳に、ざっくりと裂傷が走った】
【そのまま、勢いを失いアーディンは着地、咄嗟にバックステップで、イルと距離を取る】

「チッ! 確かに今まで比べりゃ、有効みたいだけどよ……それでも、こんな事いつまでも続けてられねぇぞ……ッ!」

【ジャ=ロの動きは、再び衰えた。どうやら、アーディンの指した方向性は、正解であるらしい。だが、回答として、不足があるのも事実だった】
【今の自分たちの力では、削る事は出来ても、止めを刺すには至らない。同じ方向へ、違ったアプローチが必要となるだろう】

――――させるものか……『ウヌクアルハイ』を、『白神 鈴音』を、これ以上使わせるか……ッ!
『ぶっ壊す』――――レグルス、ジャ=ロは今は良い、奴の術を破壊しろッ!
「っ、いきなり…………オー(土)・サン(拡散)・イム(怒り)・ビン(レベル2)――――『メテオストーム』!!」

【自分の手は、まだイルには届かない。だが、その顕現の術式を使わせては、事態は不味い方向に傾く――――それは、直感だった】
【アーディンは咄嗟に、レグルスに怒号で指示を飛ばし、術を発動させる。術者が、術を行使できない状態にしてしまえば、大抵の魔術は無効化するはずで――――】
【――――地面が抉れ、2つの岩塊が宙へと浮かび、炸裂――――細かい石の礫が、弾銃の嵐となってイルを襲う】
【少なくとも、あの魔法陣を無力化することぐらいは、それでできるだろうと――――】

【レグルス魔力残量 6/11】

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