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【能力者学園も】能力者スレ外伝【その他本スレで出来ないネタも】

1 名無しさん :2013/02/06(水) 23:54:30 ID:w6sP5Gcc0
おいっす! (´・ω・`)
よーこそ、外伝へ。
ここの生活は外伝だから、まずはゆっくりして行ってくれよな。
おう、「本スレとちょっと違った生活」なんだよ。済まん。
「学園風」とか「第七世界風」とも言うし、謝って許してもらおうとは思って無ぇ。
でも、この生活を見たとき、アンタは、きっと言葉では言い表せない
「平和」みたいなものを感じてくれたと思うんだ。
殺伐とした新世界で、そういう気持ちを忘れないで欲しい。
そう思って、この世界を作ったんだよ。
そんじゃ、注文でも聞こうか。

次スレは>>950が立ててくれよな。

470 ◆3inMmyYQUs :2018/06/07(木) 07:00:52 ID:LevMp5MM0
>>461-462


【『『前回までのプロデュ〜スっ!!』』】


【スーパーびしょーじょ夕月チャンはすごくすごいのでPにスカウトされました】
【スーパーびしょーじょ夕月チャンはすごくすごいので早速Pを殺しました社会的に】

【担当アイドルからの初手裏切りというあまりにも惨い初見殺しに出くわして】
【Pチャンの胸は彼女をブレイクさせる前にむしろブレイクしたい気持ちでいっぱいになりました】


【『ゆづきをプロデュ〜スっ』】

【第二話──】
【「ゆづきをブッころスっ!」】


【──────】


【学園・屋上・包囲網】
【空は青く、雲は白く、Pの顔はそれらを混ぜたような色をしていた】

【とんでもない裏切りをかました夕月への怒りは沸々と煮えていたが】
【この学園の教師陣はとかくヤバイし何か家に帰ってからももっとヤバイ気しかしなかった】


「……このご時世に、何かとセンシティブなことを真っ向からやりますなあ──」


……おい待て、やめろ、違う、誤解だ──


【ここは五階ですか? いいえそれはトムです】
【もはや逃げ場のない屋上、じりじりと躙り寄る教員その他たち、】
【男は嫌な汗をつうと頬に伝わせながら後ずさり、無慈悲な社会的死がすぐそこまで迫った──そのとき】


【 『♪ワルキューレの騎行』 】


【何か唐突に勇壮なクラシックが流れ始めたのであります】
【しかしその音色は何かのスピーカーの限界を振り切った大音声であり、酷い音割れを伴っていて】


【 バ バ バ バ バ バ バ バ バ バ バ ──── 】


【同時に、何か妙にその旋律に似合う大きな羽音が】
【──ヘリコプターの飛翔音が、そこへ近付いてきていた】

【そうして地上の方からぬうっと迫り上がるようにして】
【真っ黒なヘリの本体が、屋上を見下ろすように現れた】
【どうやら音割れワルキューレはそのヘリのスピーカーから流されているよう】
【そしてお約束のごとく、ヘリからは縄はしごが垂れ下がっていて】


ッ、間に合ったか──

──おい[ピーーー][禁則事項です][らめぇぇっ!][あぼーん]野郎、行くぞ。


【暴風と爆音の乱舞が場を掻き乱す中、】
【声が響かぬのを良いことに夕月へメタクソな罵詈雑言を浴びせつつ】
【憤怒に燃える鬼のような足取りで(いや事実それそのものなのだが)彼女へ近付いて、その首根っこを引っつかむ(確定)】

【そしてもう片方の手で縄はしごを掴めば──】


────暴れンなよ。妙なことをすれば殺す。


【極悪人の定型句のような台詞をひとつ吐いて】
【ヘリは一切の躊躇いなく、上昇していくのである】





【「あーっ! 生徒が攫われた!」】
【「おのれテロリスト!」】 【「ユヅキチャン!」】
【「狙撃犯はまだか!」】 【「警察と自衛隊を!」】【「みえ」】

471 ◆S6ROLCWdjI :2018/06/07(木) 22:00:39 ID:WMHqDivw0
>>470

【あっやべっやりすぎたかな。そう思ったときには、何もかも、遅くって】
【鼓膜を揺さぶるクラシック。引っ掴まれる首根っこ、ひゅっと絞まる咽】
【やっぱり校則無視してる厚底靴が、地面から離れていく。ばたばたばたって無駄な抵抗をして】

【――――――うすい水色。人をバカにしてるみたいな色合いの服ばっかり着てるわりには】
【ぱんつ、めっちゃ、大人しい。かざりも控え目なレースと、小さいリボンがちょっとついてるだけ】
【まあ、それを見られて慌てたり恥ずかしがったりする余裕も、なかったのだが】



   【まったくの余談。教室の窓からこの光景を見て、叫んでいた白髪の後輩ちゃんが】
   【この事件を機に、将来、対テロリスト組織――「Justice」の一員になったりならなかったり】
   【するかもしれないしそうじゃないかもしれないけどまあどうでもいいよね! 話戻しますね!】



【ヘリの中。ばりばりばりばり羽音の煩い中で、彼女は、正座していた】
【実際ヘリの中で正座できるかどうかは(中の人が)知らないけど――とにかく正座していたのだ】
【だらだら汗を流しながら。どう考えても調子乗りすぎちゃった、みたいな、後悔の色合いを見せる顔】


……………………あっあの、プロっ……ぷろでゅーしゃ、……このヘリ、どちらに……


【向かって、飛んで行っているのでしょうか。声はどんどんデクレッシェンド、窄まって】
【ごめんなさいより先にこういう台詞が出るあたり、よっぽどおめでたい頭をしているらしい】
【まさかとは思うけどこのままどっかの海の真ん中に突き落とされたりとか。そんなこたあないでしょ、って】
【まさかとは思うけど、思いますけど、……そうですよね? そう言いたげな表情で、視線だけ上げて問う、上目遣い】

472 ◆3inMmyYQUs :2018/06/09(土) 08:55:00 ID:LevMp5MM0
>>471

【(赤じゃないのか)】 【(赤じゃないんだ)】

【(赤じゃないのね)】 【(赤じゃないんかーい)】

【遠ざかるヘリを見上げ、ギャラリー達は銘々に思った】


【────】


【こちら上空600mほど、ヘリの中】
【空気は薄いのに重かった】


……………………


【Pは無言と共に、腕と足を組んで後部座席に座っていた】
【視線は窓の外、遙か彼方。顔色は心なしか、ゆづきのぱんつ色】


(────終わったな)


【悪との戦いが? いいえ、人生とかその辺が】

【真実はどうあれ、JKを誘拐してしまったのだ】
【助けを求める未成年を。教師達の目の前で。真実はどうあれ】
【早くも第二話にしてPの社会的人生が終了してしまった】


 【──そうか、これは“そういう”物語だったか】
 【ゲPと夕月が二人三脚でアイドル界をのし上がるとかそういうサクセスものではなくて】
 【夕月が色んなP達の人生をザミエらせていくというサスペンスショートストーリー群なのか】

 【だとしたら俺も今日で降板か】
 【何か俺のところには違う番組の台本届いてたみたいだなあ】
 【家族にはレギュラー番組決まったって言ってきたのになあ】


【──その横顔は何故かひどい哀愁を帯びていた】


(…………────)


【遠い青空を背景に、愛する家族の顔が浮かぶ。さながら走馬灯の如く】
【もう会えなくなるのか。妻は一人になり、子どもたちは犯罪者の子と罵られ】
【俺は一生罪と借金を背負って孤独に彷徨う運命だというのか────】


【──クソ! クソ! クソ! クソ of クソッタレ!】
【そんなことさせるか! 台本が何だ! クソ食らえ!】
【監督と脚本家を海に沈めてでも俺は生きる、俺は生きるぞバカ野郎!】


【Pはこみ上げてくる色んな切なさを押し込めて、】
【急に何かが吹っ切れたように、カッと修羅の如く夕月の方へ振り向く】
【二度見する】

【えッなんで床に正座してるんだこいつ正気かおいシートベルトしろ】

【と思ったが、これはこれで気味が良いので敢えて触れないことにした】
【※良い子も悪い子も絶対にマネをしないでください】


(────とりあえず、だ)

(済んだことをウダウダ言っても仕方ない)
(今は考えろ、考えるンだ、こいつを使って生き延びることだけを──)


【何かその周囲が蜃気楼で歪む程の圧と共に夕月を見下ろすP】
【そのまま数呼吸、じっと思案するように黙していたが──】


────おい、お前の保護者と連絡先を教えろ。


【と、低く震える声でそのように言い出した】
【まるでこれから身代金を要求しにいく犯人のごとき仄暗さを伴っていたが】
【何と言うべきか、そこには悲哀すら滲む切実さが滴る程にたっぷり含まれていた】

473 ◆S6ROLCWdjI :2018/06/09(土) 13:45:03 ID:WMHqDivw0
>>472

【Pの心境、知ってか知らずか。顔色悪くも正座し続けていた彼女】
【シートベルト、そういうのもありましたね。ようやっと気づきつつも、びくり】
【保護者。連絡先。教えろって言われたら怯えたように――それでも無言で従って】
【ぷるぷる震える手で、スマホを、差し出した。トークアプリのグループ画面】
【「おうち」ってタイトルの、三人からなるグループだった。さて、そこには】


「おい」

「おいてめえ」

「おれの煙草パクったのてめえだろ」

「何してくれてんだクソガキがよお」

「喫煙所行ってからないの気付いたわ」

「スーちゃんには爆笑されるし、あーりんには『あなた本当にどこまで阿呆なの』とか言われるし」

「散々だったんだぞ、どーしてくれんの」

「おい」

「返信しろ」

「……おいって、既読くらいつけろや」


【ひよこのアイコン。「おむおむ」って名前の誰かが、少女に向けて連投、爆撃をかましていた】
【文字の感じからして、成人の彼。そこから読み取るならおそらく兄、的な立ち位置の人らしい】
【冒頭、少女が吸おうとして大失敗していた煙草は彼のものらしい。相当ご立腹なようであるけれど】
【既読すらつかないことに心配もされている。ならばそれなりに、仲は悪くない、みたい。口はすこぶる悪いけど】

474 ◆wEoK9CQdXQ :2018/06/11(月) 07:07:58 ID:1BMnu70w0
>>468-469

【触れあうこの距離が好きだった。触れられるのも、触れるのも好きで。その後の、少し増した暖かさが好き。……今は、血の香気に穢されてしまっていたけれど。】
【場違いなまでに穏やかな時間に、このひと時に何もかも救われるかの様に。か細い笑顔とともに、温もりを抱きしめる直後】
【怨念の類を欠くような、けれど何処までも悪意に満ちた声が。表情を奪うよう、急く櫻の少女の脳裏を犯して】
【狼の少女と共にある意識の片隅で。決して交わらぬ想念が密やかに、揺れ動く心の裡に拒み、答えた】

(うるさい……‼ したくないのに殺したことも、自分より大事なものも……何もないくせに、勝手に私を、喪くしたがりの化物なんかにするんじゃない……ッ!)
(だから、あなたが私たちを苛むの? 余計な世話よ、血に飢えた悪魔……私一人なら勝手に死ぬから、黙って見ていれば愉しむこともできたのだろうけど……――――)

【あの苦しみを望んだのなら断ち、必ずや刻み墜とす。弄び、嘲笑う高みの視線を、抉り抜いてでも引きずり下ろす。誓う決意は、真に兇き刃(モノ)へと少女を到らしめる】

【……自分自身だけならばともかく。絶対に巻き込んではならないひとりの友達と、数多の“生”を巻き添えにした惨劇の元凶――――】
【そう彼女の推測するあの声は、押し殺していた情動を一気に引き受けることになる。敵意。斬意。憎悪。憤怒。悲嘆。追憶――――】
【黒曜の断面を思わす少女の闇は、どれもがかつての想いと結びついた表裏一体で。冷涼なまでに澄み渡る湖面の内側の、柔らかな血肉を晒してしまうのだろう】

【それを抱きしめる友達には見せぬままで。けれど内外から揺れ動かしにかかる“今”は、涼やかに薫るような、澄んだ容貌を何時までも保たせなかった】

……終わら、ないで。終わらせないでよ、ヨハン―――――
したいこと、したくないことももっと言い続けて……――最後まで全部聞いてみせる、増えつづけるならその間中ずっと死なない……‼
だから……手放さないで。いつかまた笑えるのなら、ばらばらにされたって、他に何も残らなくても……私のなかから残ったものが、あなたが願ってくれる限り、“私”のままでいてみせる。

……諦める貴女をただ見ているのに比べれば。一人きりで厭なもの全部連れていく方が、私には、ずっと楽なくらいなのよ――――?

【過去形で語られる言葉が、共感できるからこそ胸を震わせる。寄る頬に、穏やかな想いと同時に思い浮かべてしまう“最後”(ことば)が、こんなふうにさえ堰を切って。心が、言葉になってゆく】

【違う意味を含む感謝と……続く否定の言葉に、芯から力が抜け落ちる様な錯覚を覚えて。その距離のままなれど、橡色が潤むのは、きっと本当に珍しいこと】
【受け入れきれずに桜色の唇を引き結ぶ姿は、痛切に瞳を揺らすだろうか。いや、と……声になれずに抱き留める腕に力を籠めれども。不意の衝撃が、躰中を揺さぶりながら腹部を突き抜けた】


……あ、…ぐう……ぅっ――――――――‼

【内臓が圧された。攪拌される様な感覚とともにこみ上げるひどい吐き気を堪えるも、脚を刈られたかの様に視界が足場を失う】

【滲む視界を埋め尽くす空に、空中に投げ出されたことを理解する。そして出迎える黒い狼の群れが、もう帰れないことを示す様で――――。】

……、――――――――。

【ずきずきと灼熱感とともに痛みを五体に拡げる腹部より、開くその距離が何倍もつらかった。本来の心は、原型を留めることすら難しかったのかもしれない】
【光を掠れさせるような双眸に、絶望的なまでの霜が降りる。動揺が、その余地のない状況に塗り潰され始めて】
【俯く様に、虚空より、冷たく耀く太刀を掴み取り――――、】

475 ◆wEoK9CQdXQ :2018/06/11(月) 07:08:36 ID:1BMnu70w0
>>468-469

【解き放つ黄金の火は手段としての変容を示した。蹈鞴の火に自然の砂鉄が刃の礎となるように、見慣れた炎熱が生身から兇器を生み】
【視線が変わる。触れて、死が切断される。その筋書きをなぞる様に、遥か上回る圧力を以て迫る魔獣へと、切断概念の体現たる刃を――――“刃先ではなく刀の腹を合わせる衝突の業を、衝撃を呑ませる様に揮い”、】

【激突の衝撃を、弧を描いて逆方向に投げ出す様に刀を手放すことで相殺――――牙に罅一つ入れぬまま迎撃と抑制を遂げ、飛びかかったがこその隙を晒すであろう魔狼の肉体を置き去りにする】
【衝撃を受け持った太刀は執る者自身の手で放され、“召還”――】
【本体の内奥たる、焔の異界へと帰還して】
【間髪入れず迫る二体目を目前に。再び虚空を灼く黄金火、黒髪靡かす櫻の剣士は慣性を残す太刀を再召喚/抜刀――――――――】
【身を躱しながら、虚空へ噛み合わされる顎門へと滑り込ませ、人外境の咬合力を逆用することで静止させる。補助程度に異能を利用した、追撃による切断を前提とする制動の業】
【瞬間、空いた左手で喉笛を殴りつけ、顎を開かせることで武装を開放せんとして――鞘走るがごとく純粋に、斬り裂かずに“抜き放つ”、】

【叶えば喉への打撃の反動が許す初動から、全方位より襲い来る狼たちへの対応を開始】
【一体目への対処の要領で牙に“打撃”を合わせ、刀身を跳ね返される反動を利用しながら、祓いの神火を纏うが如く、流麗に壮烈に雨霰と剣閃が舞う】
【横殴りの雨にも等しく雪崩込む鉄塊を、持ちうる限りの力と業を以て、ヒトの細腕が捌こうとすればこんな様相を呈するのだろうか。研ぎ上げた業は、惨死より遥かに異常な光景を顕して】
【防ぐと同時、狼たちに何らかの魔力を付与しようとする様子もあるが、気付ければ身を躱すことは決して難しくない。回避されたなら、程無く大気へと霧散するだろう】

【一手しくじれば終いの一連の闘争の過程を、獣群を統べる少女の状態を確認しながら遂行し。与えようとする打撃は喉への、鋭くも、致命打に成り得ない一打だけ】
【それはかつての狼の少女には、それでも加えたくなかった惨い仕打ちで。それを何処までも冷静に遂行し、魔狼から伝播するか否かを確かめようとした】

……っ、――――――――

【どこまでも人間性を残しながら、巡らす視線は今や兇器にも等しい】
【解体するものと守ろうとするものを等しく見詰め、必要とあらば必要なだけ断ち切る。こんな兇器(もの)を振り翳す葛藤や、彼女と闘う苦しさは消えそうにないけれど】
【此処で躊躇っていい理由など、戦うことにしかあれない一個の命は持ち合わせない。守り通すためにこそ鋭利に、破壊すべき状況を斬り裂く刃となった】

【数多の歯車を噛み合わせ、戦場を統べる運命となりて魔獣の群れさえもこの瞬間には真正面から捻じ伏せてみせる。心技体を十全に機能させればこそ作り上げた状況だった、が】

【――――それはただ一撃で内臓を圧潰せしめた彼女に、あらゆる行動の余地を残すという愚挙と同義でもあった。そして戦端を開いたあの一打が、今もその心身に重く圧し掛かる】
【腹部の打撲と内側で弾けた出血に、身一つで策を実践する少女の表情が苦しげに歪む。けれどひどく重く伝った心が、痛み以上に心を焔にくべるよう、四肢に力を漲らせて】
【消耗を代償に、逸る心をも組み込んで迅く侃い体術を繰る。それでも精細を欠くことのできない、完成された剣技は――――どこか悲鳴にも似た高回転で、際限なく鋭利さを己が内で研ぎ上げてゆく】
【それが肌を破ったなら、状況は刃迸らせ誰かに嘆きを強いようとするのだろう。それをあの悪意の主へと定めるかの様に、声を漏らすこともなく総身を駆り立てていた】

476 名無しさん :2018/06/17(日) 22:51:49 ID:PYq7bHtM0
>>474-475
【黒の狼、如何に一介の魔物より遙かに優れていようとも熟練されたその動きには対応出来ないのか一匹二匹と散らされていく。狙い通りに魔力の付与も出来る事だろう】
【――狼の少女の状態に変化が訪れる事は無い。と、なれば恐らく狼と感覚的に繋がっていない事を察する事が出来ようか】
【それが良い事と言えば、何体の狼を斬り捨てた所で少女に対してダメージが及ばない事。逆に言えば、何体斬ろうが消耗させる事が出来ない事でもあるのだが】
【そんな様子を観察していれば気付くだろうか。先程とは異なり狼達を統べる少女の瞳孔が開いている事に】
【大切な友達では無く、敵として在る為。守るべき存在では無く、斬るべき存在として其処に立つ為。正しく、櫻の国の少女を見る人物は此度の大虐殺を行った元凶に他ならず】

【最初から分かっていた事だ。多少のダメージを与えた所で、柊は反撃をしてこない位。それ所か、何か別な解決方法を探ろうとする事何て】
【ただ、“想定して居る結末”以外のモノだって自分も何度も何度も考えた。何時か、こうして出会う事を予期していたから】
【何処かに逃げ出すか、そうで無ければ――幾つも考えたって、最初に考えた事こそが最善手なのだとの結論に至のにそう時間は掛からなかった】
【友人が自分の事を考えてくれるのと同じく、自分も友人の事を考えて居るからこその答え】

やっぱり柊は強いなぁ……でも、それ位じゃ無きゃ色々な人を守れないんだよね、きっと

【改めて知るのはその強さだ。きっと自分が知らない場所で沢山傷付き、沢山の人々を救ってきたのであろうその力】
【打撃を受けた獣達も、最初こそ痛みに悶えているように見えたが直ぐにまた牙を剥いて唸り出して】
【――変化が起こるのは、果たして何匹目の狼に対処した頃だろうか。不意に狼達が遠吠えを始めた――次の瞬間】
【黒い霧の様な魔力を纏い、やがてその姿が四足歩行の動物から2足歩行の人へと姿を変えていく】
【其れは一寸の違いも見当たらぬ狼の少女。本体と同じ様に“獲物”を観察する様な視線が何重……否、それ以上に向けられて】
【厳密には一体一体は口から臓物をぶら下げていたり、手を血肉で汚していたりと異なるが――そんなものは些細な事だ】

【『貴女だって“自分より大切な物”を守ろうとしていた人達も斬ったでしょう?あら……それとも、その事自体も知らなかったかしら』】
【また、声が響く。葛藤する少女をまるで嘲笑うかのように、苦しむ姿を愉しむ様に】
【『そんな貴女だけが幸せになる事は誰だって許してくれないの。きっとこれは貴女に対しての罰。沢山奪ってきた貴女が今度は奪われる番』】
【くつくつ、クツクツ。少女の答えを聞けば、より楽しそうに】
【『――さあ、面白いお話を紡ぎましょう?ふふ……手を血に濡らす事しか出来ない剣士の物語はどんな結末を見せてくれるのか楽しみ。とっても、とっても』】
【傍観者。姿を見せず――或いは、姿なんてものは初めから無く。ただこの状況を一つの本でも読むかのように】

477 名無しさん :2018/06/17(日) 22:52:27 ID:PYq7bHtM0
手加減なんかしたら、絶対に許さないからね?
……此処で逃げようと思えば、キミは逃がしてくれるかもしれないけど……でも、何時かは捕まって殺されちゃうからさ
だから――……ね?

【――君の手で、殺して欲しいな。それは贅沢な我が儘である事は自覚している】
【自分が殺めてきた人々は面識すら無い。何の感情も抱かれる事無く殺され、その亡骸すらまともな状態で残る事が珍しい程】
【それに比べれば、友人の手で一生を終える。大好きな温もりを側で死ぬ事が出来るなんて。】

【獲物に危害を加えた感触が身体に残るなんて、最初の日以来だ。これは罪悪感なのか、それとも……】
【狼少女へと姿を変えた魔獣の群れが、柊へと向かい一気に駆けだす事だろう】
【膂力も何も、全てが本人と大差無い。――ならば、一体一体の戦闘能力も高い事が覗えようか】
【ある個体は掴みかかり動きを封じようとして、またある個体は虎爪に見立てるかのように立てた指で柔らかな腹部を割ろうとする】
【其れ等を斬って対処したとすれば、断末魔も無く。血にも似た朱い魔力を散らしながら倒れる筈だ。――人間で言う致命傷を与えたら、の話だが】

【もし、頑なに致命的な攻撃を加えず防ぎに徹するのだとすれば。その背部に向かって、遠慮の無い掌底を振り抜こうとする姿が一つ】
【紛れも無く狼の少女本人……否、本体とでも表すべきか。脊椎を砕き、脊髄を再起不能なまでに破壊する為の一撃。溜めも無く放った膝蹴りが彼の威力であれば、“殺すつもりの一撃”は果たしてどれ程の威力に成り得るか】
【“殺気”がある故に、数々の死線を潜り抜けてきた少女ならば直前であっても察知する事が出来ようか】
【――或いは、まるで攻撃を知らせるかの様に隠す事の無い害意に戸惑うか。本来ならば殺気をある程度抑えて奇襲も可能なのだろうけれど】
【放つ一撃は、防がせる……若しくは反射的にでも“反撃”させるかのような。】

478 ◆wEoK9CQdXQ :2018/06/24(日) 21:19:13 ID:a4WAyh0M0
>>476-477

(……私の罪なら……私だけを、そこで、欠片も残さず終わらせて……――――。)

【存在すらも定かでない何者かに、関係のなかったはずの狼の少女ではなく、自分だけを苛むことを求める声】
【それは責めるというよりは痛みを滲ます滴のようで――けれど】

(……そう、言ってしまえればよかったのにね)

【〝境界が砕けた〟。領域が冒された/閾値を越えた/限界が蹂躙され滅却され、底の見えぬ亀裂から噴き上がる劫火が生きた薪を求める】

(だけど、あなたは彼女を巻き込んだ。だから、“終われ”――――あの子にこんなものを負わせた愚に、絶望しながら朽ち果てて逝け……‼)

【滑稽なものかもしれないこの激情を、魂さえ捧げる覚悟で焔にくべて。異界にあろうと非存在であろうと、あの声を絶つに如くは莫し】
【黄金の火を血で染めた様な赫怒を、黒曜の瞳に宿らせながら。法則さえ砕き、神と魔を諸共に屠る鏖殺の刃は此処に成る。】
【それが唯一つを――――〝大切な友達を歪めたものを〟斃すためのものだと、果たして誰が想像できただろうか?】
【異なる世界であれば、あらゆる巨神と暴虐を鎧袖一触に弑するであろうその力も――けれど今は、友達一人を救い出すにも足りなくて】

……、……、ッ――――――――。

【……生きることがつらいと、一度も思わなかった訳じゃない。それでも、大切なものは大切だった。だから、剣執る腕は鈍ること等許されず】
【奪おうとする者たちより、自分の守りたいものが大切だったから斬り裂けてしまった。そこに、どれだけの罪があっても変わりなく……】
【奈落へ千切れ落ちる翼と成り果ててゆく意識に逆らう様に、そうしてでも守りたかった陽が神経を灼いていた】
【穏やかな日々を、賑やかに楽しんでいたあの少女のかけがえのない笑顔を覚えていた。忘れられる訳も、なく――。】

【幾度かの暗闇も、きっとその度に安心させてくれたなら。いつしか、ずっと離れずにいられる証として灯となっていった】
【……それを幻想と突き付ける様なこの闇に、強くかぶりを振って否定を浮かべる】

【思い出から突き進む力を取り出しながら、その記憶ゆえに苛まれる。されど黒い狼たちの猛攻を叩き潰さんとする剣技は一切の綻びなく、執行され】

【火照る躰はその動きの激しさのためか。……けれどその身を底冷えさせる光景が、その眼前で現出する】
【躍りかかる数多の姿――――ただひとりを示すその造形に、今度こそ、少女は、心底から戦慄した】

479 ◆wEoK9CQdXQ :2018/06/24(日) 21:20:18 ID:a4WAyh0M0
>>476-477

【躰も、心も、裂けてしまいそうで。そうして揺らぐ橡色の瞳に獲物を狩り殺そうとする狼たちの姿を映したなら――行動する】

【“時”の鎖――――付与した〝時戒の宝玉〟の魔力を“停滞”の力として行使、同時に励起させることで】
【狼の少女の似姿の群に、互いが互いを呪縛し静止させる構造を成立せしめる。個々へ向けた力の一つ一つさえもが過去最大、出力において〝焔翅剣葬〟にさえ匹敵した】
【そうして仮に狼たちを停めたなら、あとは据え物斬りも同然で】
【内臓を掴まれたいつかの白昼夢の再現めいて。こわしたくないかたちへと、無数の斬閃を降らせ続けていった】

――――、――――――――‼

【一撃ごとにいっそう切実に張り詰める表情は、もしも朱が散ったなら逸らすこともなく瞳を震わせるだろう】
【声のない叫びに喉を潰したかのよう、一切声を漏らすこともなく】
【さりとて他とは違う“ひとり”だけには、決して刃を届かせぬように計算された軌道。隠されない殺気の意味を過つなら、愚かな娘がその報いを受けるだけ――。】
【ずたずたに解れた心の破面さえも、過去を願う嘆きへと換えて。それを呼び水に起動される新たな機構が、行使者の意志とともに急襲に対峙する】

……手加減なんて、出来るはずもない――――見縊らないで、ヨハン。

私の力を何より引き出せるのが何者なのか……知らないなんて言わせない――――‼

【一歩で攻撃線から体幹を外し、突き破られ爆ぜた大気に身を揺られる。万一のために急所を庇った左肘は、掠めただけで容易く砕かれて】
【脳を直に揺られた様な激痛と、躰中を灼く電流に呻く声をあげかける。――――以て、打った布石はその完成を見た】

【何らかの手段で防がなければ。獣たちの枷を成した魔力の残滓が空間より殺到し、突き出すその腕へと絡みつくだろう】
【それは何ら逆行を引き起こせるほどの力を残さず、決定打にはなり得ない。物理的には、せいぜいが先の殺し技への警戒が、一瞬の怯みの余地を生む程度で】
【だからこそ目的は“原因”を探ること――――過去へ遡る“時”の魔力が真実に到るなら、何がこの変容を齎したのか視る可能性を櫻の少女は得る】

【けれどまともに反撃を行うことすら難しい今、この距離を保つことは極めて危険だった】
【一方が決して望まず、他方が他にないと受け容れてしまおうとする……せめて終わりをその手に願う結末も、】
【そして配役を入れ替えた異なる惨劇さえも齎しかねない兇器は、双方の手に携えられて深紅を撥ねさせている――――。】

480 ◆3inMmyYQUs :2018/06/26(火) 19:57:48 ID:r.wSiS960
>>473

【スマホを受け取ったP、それを両手で掴みながら画面を食い破るかのように見入ります】

【先公どもはどうでもいい、だが家族には筋を通さねばならぬ】

【昔は結構ヤンチャをしておりましたどーしょーもない下男ですが、】
【いつの間にやら隅っこに生えた無駄毛みたいな義侠心がそう告げておりました】

【おむおむ。何をどうやったらそんな哀しい名前が人間に付くんだ? などと】
【平時であれば思うところですが、今はこの男、それどころではないのでありまして】

【『おむおむ』氏がとりあえず保護者的な、少なくともまともに人語を介する身内であろうと認めるや】

【タッ、トッ、タ】

【PRRRRRRRRRRRRRR…………】

【ほとんど間髪入れず、おむおむ氏宛に通話を試みるのでありました】


(出ろ出ろ出ろ出ろ出ろ……………)


【とりあえず保護者にさえ話を付けておけば、これ以上事態がこじれることもないだろう】
【最悪、土下座ミエルでも何でもかまして、何が何でも夕月の芸能界入りを承諾してもらうのだ──】

【と、そのように心中で思いを滾らせながら、電話が通じるのをじっと待つのですが】

【PRRRRRRRRRRR……………………】
【思いのほか、コールが長い。焦っているからそう感じるだけなのでしょうか】

【いいえ、そうではありません】
【恐らくこのコールは、しばらくの間、繋がることはないでしょう】
【何故ならPが掛けるより先に、お兄様宛に電話を掛けていた人物がいたからですぞ】



「────もしもし?」
「どうもこんにちは、学園の長谷部でございますが。お世話になっておりますぞ」

「────はい。はい。いや、ええと、あのう。少しばかり申し上げにくいのですがあ────」


【「お宅の夕月さんが、攫われました」】


【そうです、私です】
【この混沌たる学園に勤め続けて早十数年、この保健体育教師・長谷部銀之助金近が】
【どこぞの弱小もやしPごときに遅れを取ることなどこれ、まったく有り得ないのですな】

481 ◆S6ROLCWdjI :2018/06/26(火) 21:09:25 ID:WMHqDivw0
>>480

【――――――おむおむ君ことオニイチャンことオムレツくん。ちゃんとした名前ありますけど】
【それは「源氏名」であった、……いや源氏名にしてもひどすぎるんだけど、とにかく】
【そういう偽名をあつかう職業。であればあんまりろくでもない職種であって、……でもここ平和な外伝時空ですから】
【アブナいことは一切ないです! たぶん! ……そういうわけで、真昼間、「だれかの」部屋でごろごろしながら】
【彼は電話を受け取りました。すっごいだらけた格好で。…………知らない番号だったから最初は無視しようと思ったけど】



「…………………………新手の詐欺ッスかぁ???」


【なんとなく気まぐれで取っちゃったのでした。そして開口一番、それが出た】
【「いやあんなちんちくりん誘拐してどうすんスか、身代金とかウチ払えないッスよ、まじまじ、一文の得ナシ」】
【ぜんっぜん信じてない声色だけを銀之助先生(論者ですか?)に伝えつつ。ふあーっと欠伸、出勤までまだ時間があるなって】
【隣でまだ寝ているお姉さん――名前のないMOBおねえさん。この部屋の主――を見下ろしながら、ぼんやり思ってました】


【――――――オムレツくん。外伝時空では、売れないホストくんでした。売れないので色恋枕、なんでもやるタイプのクソなやつ】



【…………そんなヤツにかけてもあんま意味無いんじゃないかなあって。思ってるけど。口に出さない】
【未だにヘリの中で正座し続け、顔を真っ青にしたままのユヅキチャン――どどど、どーなっちゃうの!?】
【……ユヅキチャンよりPのほうがどうなっちゃうの感強いっぽい。とにかくオムくんは電話に出ないので】
【残るよすがはあとひとつしかなかった。3人いるトークルーム、ユヅキチャンとオムを除いたら、あとひとり】


【――――――「ふぇみあ☆」とかいう名前にしてる時点で地雷感半端ないんだけど。こいつに連絡するしかないだろう、Pは】

482 ◆3inMmyYQUs :2018/06/28(木) 22:15:30 ID:WFKxT5bU0
>>481


「…………それは私も知りたいですな」


【夕月を攫ってどうするのか、なんてことは長谷部先生にも分からなかった】
【身代金目当てならもっと他に適役がいただろうことは彼も内心で同意せざるを得ない】
【だからおむおむ氏の気の抜けた調子にこちらも自然と同調してしまう。流石にあくびまではしなかったが】

「……詐欺だったら良かったのですが、残念ながら本当のことですぞ。
 警察には連絡してありますので、そちらにももうじき連絡が行くかとは思いますが────」


【────────】


【さて、着実に大事へなりつつある一方で】
【Pの心労ゲージも順調に貯まっておりました】


(………………出ねェ)


【めっちゃ鬼メッセ入れてた割に通話には出ないお兄様】
【何なのだこの家族は、一体どうなっているんだ、とやり場のない憤懣を抱えつつ】
【さりとて通じないのは不味い、不味すぎる。警察にでも先回りされたらそれこそ終わりだ】

【どうする、どうする、と密かに冷や汗を垂らしていると】
【ふと、その名前が目に入る────『ふぇみあ☆』】


(…………………………………)


【見たら分かる、やばいやつやん】
【身内こんなんばっかりだったらそらグレるわ】
【最早怒りを飛び越えて妙な納得と同情心すら湧いてくる始末】

【しかしもう選択肢は無いのだ。生きたければ、押すしかない】


【 せっ‥‥せっ‥‥押せ‥‥っ!! 】


【ぐにゃあ〜〜〜〜っと周囲が歪む幻覚となんか急かしてくる幻聴まで聞こえてくる】
【なんで‥‥なんでこんな目に‥‥だが、悔やんだところでもう遅い。これがゲーム、これが人生】

【Pの微妙に震える指が、ついに意を決して画面をタップする】
【せめて相手が人間であることを祈って‥‥P、通話‥‥っ!】

【PRRRRRRRR‥‥‥‥‥】

483 ◆S6ROLCWdjI :2018/06/29(金) 20:46:53 ID:WMHqDivw0
>>482

「…………ケーサツ? えっは、ちょっマジで言ってんのそれ。……ちょっとちょっと」

【そこまで言われたら流石に焦り始めたらしいオニイチャン。ベッドから抜け出して服を着て】
【起きて文句を言い始めた「営業相手」への挨拶もそこそこに――帰路についちゃう】
【なんだかんだ言って妹のことはそれなりに可愛がっているらしい。早足で繁華街を通り抜けて――】


【――――】


【――――「ふぇみあ☆」のアイコン。プロデューサー業を営むゲ……アルスさんなら知っているかもしれない】
【金髪碧眼の美少女――だけどまだ駆け出しアイドル、「クーラ」ちゃん。彼女がにっこりダブルピースしている写真】
【間違っても「ふぇみあ☆」の自撮り写真ではないってことだけはわかるだろう。なんでそんなのアイコンにしてるんだって】
【思うかもしれないけど――それより前に通話ボタンが押されるだろう、鼻と顎めっちゃ尖ってるPの指によって】


【(コール音)】【(コール音)】【(コール音)】【(コール音)】【(コール音)】【(コール音)】【(コール音)】【(コール音)】



『………………なぁに夕月。僕まだ仕事中なんだけど。ていうかおまえも学校じゃないの?
 まーたサボってんの。もう、ダブっても知らないよ……それで何、用があるならさっさと言って。
 ずっと離席してたら怒られんの、僕はおまえと違ってまともな社会人だから……ほら早く!』



【――――ようやく出てきたアルトボイス。それは「思ってたよりまともそう」だと思うだろうか】
【少なくともおかしなことは言ってない、多分。きちんと昼にやる仕事をしていて、その間に電話をかけて来られたら疎ましく思う】
【きわめて普通のことだから――Pはガッツポーズでもキメちゃうだろうか。まだ不安要素は、あるけども】

484 名無しさん :2018/06/29(金) 22:55:08 ID:PYq7bHtM0
>>478-479
【柊が宝玉の力を解放したその時――――辺りのモノが、全て止まった。まるで再生していた映像を停止させるかのように】
【少女を殺め様としていた狼の少女は当然、空気さえも。葬った狼達の断面から絶え間なく溢れ出ていたどす黒い液体だって、まるで途中で凍り付いたかのように】
【無音。そんな世界が数秒……数分。果たしてどれ程まで続くだろうか?否、止まった世界で時間なんかは存在しない。ならば、その表し方も適切では無いか】
【唯一その時間から外されているのは、櫻の剣士のみ。全てが止まった中で、一人だけが外される。ある意味では究極の孤独】
【そんな中――簡素な紅いドレスを着た一人の少女の存在に気付くだろうか。この一体の全てを瘴気で包み込むような存在に】

「こんばんは、櫻の剣士さん。とっても苦しそうね?それにとっても悲しそうね?
大丈夫、貴女の斬った仔達はアノ子じゃ無いの。だけれど、アノ子の一部でもあるけれど
――守りたい物が在るのって大変ね?だから、人間は生きるのも大変ね?
そして悪魔よりもずっとずっと悪い存在。だって、守る為に他の人の守っていた物を簡単に壊してしまうのだもの。――――そう、でしょう?
貴女達が悪魔と呼んでいる存在は悪いと思って悪い事をしているモノみたいだけど……貴女達は善い事として、悪い事をしているのだもの。そうよね、そう。だから、見ていて楽しいの」

【くつくつ。赤の少女は楽しそうに笑いながら少女を見遣る】
【悪魔、と呼ぶには余りにも“濃い”。悪意の塊。若しくは、悪夢の具現化】
【激しい力を宿して居る少女に対しても笑みを浮かべながら一歩、また一歩と近寄るのだ】
【攻撃を仕掛ける様子も無く、まるで楽しそうに話でもしようとするかの様に】
【無防備な状態故に斬ってしまう事も出来るだろう。そうするならば、きっと刃は難なくその肉体に沈み込み――途中で、強制的に止められる】
【柔らかな内蔵が、まるで人の腕の様な形を取って刃を掴むのだ。それも、万力の如く強固に】

「とっても辛いのならば代わってあげましょうか?とてもとても素敵で良い考えだとは思わない?
貴女の代わりに私がアノ子を“綺麗に”してあげるわ。沢山人間を殺してしまった分も洗い流せるだけ綺麗に――なんて言ったら怒るのかしら?

……貴女のお友達が何故こうなったのかを知りたいのでしょう?知る為のお手伝いをしてあげても良いわ。お手伝いをしてあげても
それとも貴女は一人ですると意地を張るのかしら。今からしたら数年も前の事が原因でこうなっているとしても――……貴女は一人で探すのかしら」

【先程までの激しさなんて嘘の様。――全てが止まった静けさに包まれているのだから、当たり前か】
【狼の少女と二人だけの筈であった空間は、今や悪魔の少女との二人だけの場所】
【櫻の少女の苦しみなど、この悪魔にとっては知った事では無い。身体の傷であっても、心の傷であっても】
【足掻こうとするその姿を見て、愉悦を覚えるだけだ。解決策を探り出し、希望を見出そうとするその姿を見て嗤うだけだ】

「――それとも、こう考えて居るのかしら?『悪魔である私が何かした』って
もしそうなら……それは的外れ。とってもとってもズレてしまっている答え
『血』を覚えてしまった獣は、何時の日か理性の箍が外れてしまうモノよ?どれだけ優しかったとしても、一度知ってしまった味からは逃げる事が出来なくなってしまうの
まるでアブナイお薬ね。魅惑的で、絶対に口にしちゃイケナイ果実みたい

――さあ、どうするのかしら?悪魔の誘いに手を伸ばすのかしら?それともそれともそっぽを向いてしまうのかしら?
私が聞くのはたった一度だけ。貴女を誘うのはたった一度だけ
貴女は自分の知りたい事の為に悪魔の手を取れるのかしら。きっときっと、沢山の人に嫌われてしまうのだけれど」

【クツクツ、くつくつ。少女に向かって伸ばされた手は、穢れも無いような白さ。伝承上の悪魔、とはほど遠い程に】
【――――それを取るのも払うのも自由だ。但し、振り払えばきっと“過去”を遡る事は困難で】
【もし、その手を握ったとするならば。まるで足場が消え去り、暗闇の中無重力の空間へと放り出された様な感覚を受ける事になるだろうか】

485 ◆wEoK9CQdXQ :2018/07/02(月) 01:01:28 ID:Vo9ojA0I0
>>484
【この先が想像を越えていようと、そうすると決めていたのだから躊躇いは無かった。対峙し、燃え盛る劫火に身を投じるよう、刃が閃き】

……、――――――――。

【戯言に聞く耳等持たない――――ただ、朽ちて果てて心潰えるがいいと、構えた太刀に烈しく力が漲る】
【瞳から絶えぬ痛みは、自分があったことがあの惨劇を招いた可能性を否みきれないから、か】
【そしてその手にかけた者たちがいる限り、血の感触が記憶から拭えることもない】

(……守りたいものを、この手にかける感触なんて。あなたが、味わえるはずのないものなのに……――――。)

【兇器としての真実は、やがて奈落で贖うべきもので。あの狼の少女を絶つ絶望ほどではないのかも知れずとも、幾度も繰り返してしまった痛苦】
【あんなものが快いと、なぜ想像できるのか理解できなかった。“最悪”を、思い描くだけで胸が張り裂けそうになる悪夢】
【その当事者になって、代わりに殺す。〝綺麗にする〟なんて言葉で飾ろうと、最悪の所業だと――】
【きっと本能にも等しく〝敵〟と、溢れる心のままに見留めた】

【狼の少女を消し去ることを口にした途端、声の主の五感が裂けて散ろうとするだろう。正真正銘の殺気を叩き付けながら、刃は放たれることがなく】
【あらゆる対抗手段を先に撃たせて潰しながら、確実に骨も臓器も諸共に断つのだろうか】
【未だ命を奪わずに“停滞”させることを択ぼうとする、無感動とさえ見紛う怒りに満ちた瞳】
【その不退転は、体内から掴み返す金剛力の怪腕に見開かれた。……そしてそれ以上に、告げられた真実に。】


――――え……?

【嘲り、弄び、なにより大切な友の殺害を求めるような愉しげな嗤い声。繋がっていた憶測は、けれど他ならぬその声によってかき消されようとした】
【戸惑い、太刀の柄を握りしめ、直観と理性とが鬩ぎあって。救い出すための筋道に、自ら刃を放つ結末だけは必死に阻止する】
【それでも、それが事実であればいっそう苦しむという自らの状況と】
【直ぐに確かめられるであろう言葉を彼女が吐くこの状況が、虚偽の不在に天秤を傾けて――表情に苦渋が滲んで】

486 ◆wEoK9CQdXQ :2018/07/02(月) 01:01:50 ID:Vo9ojA0I0
>>484

【風切るように奏った金属音、】

……あまり、こんなことをからかわないで。今の私は……きっと、貴女が思う以上に抑えが利かない――――

【肉を斬り裂き、一切の容赦なく太刀を拘束から解き放ったなら】
【少女の姿の悪意の鼻先の虚無を通過する黒い刀刃。それは弑するためだけの一閃を、無理矢理に軌道を変えたようで】
【虚空の影さえも消し尽くし、“かたちのない”ものを抹殺する死滅の刃。かつてこの剣の少女が同一存在となった一振りの、対極にして鏡写しの“なにか”への感染】
【そんな闇とさえ繋がるほどに、追い込まれ、けれど諦めていないことを示すのだろう】

【殺意は既に魔の少女へ向けられていなかったが、偽りならば幾倍にも膨れ上がって再燃する。契約を誘う悪魔へと、雨が滴るよう、声を向けて】

……それで、ヨハンに新たな災いが降り掛かることがないのなら。
たとえ世界に忌まれ、呪われたとしても――――……私は、僅かな希望に縋ろうとする愚者でいい――――

…………ううん、そうでなければ。
一番大事なものを守るためにすら、何もかも賭けるほどに、必死になれないなら……生きていたくなんて、ない――――。

【射殺さんばかりの視線。力に満ちた躰。なぜ自分ではないの、と慟哭び出しそうな、“救えない”ことへの張りつめた想い】
【どれもが、絶対的に相容れないものと傍らの悪意を見做していることを示していた。肌が合わない、という類を疾うに通り越して】
【斯様な存在に対して、根本的に滅却することを前提とする様でさえあったか】
【そうであるのに選び続けた“誰にも失わせない”ための戦いが、どれだけの苦難だっただろう。そしてまた一つ、葛藤しながら躊躇わずに】
【その躰が纏おうとする強さに、不安や苦しさが透けるのかもしれないけれど。他に選択肢などないことを証す様、けして震えぬ指先が、悪魔の白い手を取るだろう】

【無重力の闇に浮遊する意識は、果たして何を見るだろうか。逆巻く時の流れに囚われて、行先を見失わぬよう、橡色の視線が幽かな灯を探して――。】

487 ◆3inMmyYQUs :2018/07/03(火) 13:38:55 ID:X0jg/CA60
>>483


【──そのアイコン画像を目にしたとき、Pの嫌な予感は倍プッシュされた】

【彼は知っている。その出来過ぎたような美少女アイドル『クーラ』ちゃんの存在を】
【水を得たスプラウトのように日々生え出ずるアイドルの卵たちの中でも、一際目を引いた一人だ】

【だが『クーラ』はまだ駆け出しも駆け出し、知るのはまだごく限られた人間のはず】
【そんな秘蔵の卵をアイコン画像にしてしまう程の『推し』にするなど、これは余程コアなマニアに違いないのだ】
【そして大抵、そういう輩は情熱を持て余す余り、世間の常識とは外れた枠組みの中で生きる人間が多い(※あくまでのP個人の経験です)】

【つまり、『やべー奴』か『クソやべー奴』の確率が圧倒的に高い────(※あくまでP個人の見解です)】


【ざわ‥‥】     【ざわ‥‥‥】

    【ざわ‥‥】

          【ざわ‥‥】


【いよいよもって空気が不穏さを増す】
【なんかもうこれで冒涜的な狂人みたいなやつが出てきたら絶望の余りプッツンしてしまう】

【────そう、思っていただけに】


(────…………!)


【実際に出てきた圧倒的まともな声を聞いて、一瞬だけ理解が追いつかなかった】
【散々前振りをかましておいて、いざ現れたのは普通オブ普通────】


【────僥倖‥‥っ! 圧倒的僥倖‥‥っ!】


【天はまだ自分を見放してはいなかった】
【至って普通、至極真っ当な人間が出てくれた、これでまだ首の皮一枚繋がった──】
【少なくとも今はまだ、そう思っていて】


【ちなみに通話はスピーカーモードにしていたので】
【『ふぇみあ☆』氏の声は夕月にも聞こえるよう機内に響いている】

【するとP、電話の相手に対して自分が喋るでなく、スマホを夕月の方へと近づけて】


(────よし、お前喋れ)

(『わたし、アイドルになります』と言え)


【「──時間が無いンだ、余計なことをうだうだ言っている暇は無い、急げ」と】
【今にも喰らいつきそうな剣幕でもって、一切の文脈やら何やらをすっ飛ばすよう命じた】

488 ◆S6ROLCWdjI :2018/07/03(火) 20:23:38 ID:WMHqDivw0
>>487

【Pに言われてようやく反応するユヅキチャン。びくりと肩を震わせて】
【それから小刻みにぷるぷる震えながら――なんでか知らんがダブルピース】
【加えて今にも泣き出しそうなのに、笑顔。これビデオ通話だったら面白かったですけどね、まあね】
【そんな感じのアレなポーズで、ひくひく震える唇から。言われた通りに、一言だけ】


………………ゆ、ゆづき、……アイドル、やりまぁ〜……あ、しゅ。


【――――】


【――想定される返答としては。「何寝ぼけたこと言ってんの、もう切るよ」とか】
【「ドッキリとかモニタリングとかそういうの? そういうくだらないことやってるヒマないっての」とか】
【「もしかして熱出した? 僕今日残業あるから病院連れてけないよ、オムに頼んで」とか】
【……「ふぇみあ☆」が常人であると思うなら。そういう返しが来たかもしれないが――――】



「――――――は? なんて? おまえが、アイドル? ……ふざけんのも大概にしとけよ。
 いい、おまえ、アイドルって単語の由来知ってる? 『偶像』だよ『偶像』。アイドルってのはさあ、
 ホンモノの神様を信じられないカワイソウな人間、僕たちのためにこの世に生まれ落ちてくれた偽物の神様。
 でもそれでいい、それでも僕らにとってはホンモノの神様なの――――って思わせてくれる、
 いわば信仰の対象なワケ。そういう存在なのアイドルってヤツは。それわかって言ってんの?
 どうせわかってないんでしょ、アレでしょ最近の掃いて捨てるほど居る地下ドルみたいな不純な動機。
 とりあえず芸能界に入りた〜いあわよくばイケメン芸能人とお近づきになりた〜いとかそういう
 クッッッッッソくだらない理由でアイドル始めてアイドルの名を穢す不届き物と同じなんでしょ?
 だったら僕絶対おまえのこと許さないからね、地の果てまで追い詰めて■すし末代まで■うし■る。
 だいたい無理なんだよ学校すらまともに通えないおまえがさあ、アイドルのレッスンとかついていけないでしょ?
 アイドルが普段どれくらい過酷なレッスンして、キラキラのステージに立つまでどれほどの血と汗と涙を
 流してるかって、知ってる? 知らないから言えるんだよそういうこと。結論から言わせてもらうと
 おまえなんかには無理無理無理無理ぜっっっっっっっっったい無理ってわけで諦めな。……もう切っていい?」



【 ※「もう切っていい?」の部分だけ読んでもらえればよいです※ 】


【――――Pが予測した通りだった。この女はクソという冠詞が無量大数ほどつけてもまだ足りないくらいの】
【言わば「厄介オタク」ってやつだった。ガチ恋、同担拒否、過激派、だのに実際にライブに来てみれば】
【後方で腕組み地蔵して「クーラがこんなに有名になって僕も鼻が高いよ……」みたいなツラだけ立派な】
【いわゆる後方彼氏面地蔵。そんな四拍子揃った、「クーラちゃん界隈」ではブラックリストの先頭に名前が載ってる】
【そんな女だった。そんな女に迂闊にも「アイドル」なんて単語を出しちゃったユヅキチャン――完全フリーズ】
【ギギギ、と音を立てる勢いで。ぎこちなくPのほうを振り向いて、「どうすればいい?」って。涙目で、訊いてくる――】

489 『ゆづきをプロデュ〜スっ!』 ◆3inMmyYQUs :2018/07/05(木) 16:51:42 ID:WFKxT5bU0
>>488

【『ふぇみあ☆』氏の熱狂的な高説が、バリバリと煩いヘリの機内でも大きく響いた】
【それはもう雑兵を薙ぎ払う重機関銃のごとき勢いで、機内の空気を一挙に塗り替えてしまった】

【──『やべーやつ』どころじゃない】
【SSSランクの『クソやべーやつ』でした】


【ほんの少しばかり、そこには無言が満ちる】
【そして、夕月が振り向いた先のPの横顔は、】


──────……………………


【何故か、いつの間にか、とても冷たく厳かなものになっていた】
【まるで何者も寄せ付けないような、鋭利で重い、沈黙の権化】

【サングラスをしているせいで目元の表情は窺い知れないが】
【口は引き結ばれ、手は硬い拳を握り、それを僅かに震わせていた】
【まるで何か臓腑の中で煮え滾るものを抑え込んでいるような──】


 【「おい、バカ夕月──」】


【それがおもむろに、地獄の底から響かせるような声を発し】


──最初のレッスンだ、そのふざけた脳みそに良く刻みやがれ。

『アイドル』の語源は……
いいか、『アイドル』の本当の語源は、

『Idola/偶像』じゃない────『Ideal/理想』だ。


【?】
【何か言っているようだ】

【もちろん通話はまだ繋がったままだ。『ふぇみあ☆』氏がまだ切っていなければ、だが】
【向こうからしてみれば、何か急に知らない男が喋り出したという意味不明な状況】
【それにも構わず、Pは電話口の向こうへ向けて、迸る激情を口から一気に噴火させた】


────偽物の神……? 信仰の対象……?


クッッッッッッッッッソ喰らいやがれだそんなものはァ!!


そんなゲロ以下の邪念を押しつける勘違い野郎が一番『アイドル』を腐らせるンだろうが──!!
アイドルはどこまで行っても人間だ、だからこそそいつの反吐をぶちまけるような努力と青臭い信念に意味と価値が宿る──
本当のファンはアイドルそのもの以上にそいつが見ている『Ideal/理想』を一緒に見ているンだ、そうじゃなければファンもアイドルも一つになれる奇跡のモーメントは生まれない、
命を賭けてアイドルが生み出そうとしているその『Ideal/理想』を見ようともせずに、テメェの臭い鳥籠の中に閉じ込めようとする奴は客でも何でもねェただのクソだ──!

────崇拝だと……? ふざけろ、『冒涜者』が──ッ!!
そんなに拝むモノが欲しけりゃ自分のひり出したクソでも神棚に祀っていやがれ────!


【「FxxK YOU!! FxxK YOU!! FxxK YOU!! ──」】


【──と】
【まるで長年追い続けてきた憎き宿敵を前にしたかのように】
【唐突に、そして尋常でない情の熱を一切容赦なくぶつけたのである】

【会ったこともない、しかもこれから担当しようという子の保護者へ。あまつさえ電話越しで】

【言っている内容がまともかどうかはさておき、】
【一社の代表取締役であり、なおかつ家庭を持った大の男がするにしてはあまりに暴挙的】
【そんなに破滅的な性格ではない筈なのだが、一体彼を何がそこまで駆り立てたのか──それを語る者はこの場にはおらず】

【……はぁ、はぁ、──と】
【有りっ丈をぶちまけて上がった息を整えながら、彼は最後に付け加えた】

…………──あァ、申し遅れましたァ。
こちらはRENGOKUプロダクション代表取締役社長、アルス・ソロモニア様だ。

貴様の娘サマはこの俺が預かった。
身代金は必要ねェ、極上のアイドルにして送り返してやるから、
せいぜい後ほど送付いたします契約書にお目通しするンだな────

【ぶつっ。つー、つー、つー……】
【そうして好き放題喋るだけ喋ったPは、最後にスマホへ向けて中指を立てた──】


/つづくのです↓

490 『ゆづきをプロデュ〜スっ!』 ◆3inMmyYQUs :2018/07/05(木) 16:52:34 ID:WFKxT5bU0



【TIPS:数年前のとあるネット記事】

【『地下アイドルプロモーター、スポンサーを殴って逮捕』】

【──都内某スタジオにおいて、(株)ゲーティアンズ社の社長アルス・ソロモニア氏が】
【某大手事務所の大物役員を殴って怪我を負わせ、傷害事件として告訴された】
【その後は示談による和解が成立したものの、ソロモニア氏は全国アイドルプロデューサー連盟からは除名となり、】
【所属アイドル達はその後ステージに立つことが出来ず、ゲーティアンズ社は事実上の廃業、翌年に倒産手続きを行った──】



【──────】



【さて、一方その頃】


【夕月ちゃんのおうちの前にて】

【ピンポーン──と】
【そんな軽やかな音がする】

【一軒家なのかマンションなのかお城なのか河川敷のテントなのかはちょっとまだ良く見えないけれど】


「ピンポーン」


【また音がする】
【というか口で言っている】


「あれ? お留守ですか?」
「もしもーし。ピンポーン────」


【訪れていたのは、一人の婦警さん】
【丸眼鏡に三つ編みおさげ。おっとりとして、人生楽しそうなニコニコ顔で】

【──学園からの通報を受けた警察が、早速、件のおうちを訪問しておりました】


/二場面になってるので、前半のリアクションはテキトーでもいいっスよ。

491 ◆S6ROLCWdjI :2018/07/05(木) 20:38:25 ID:WMHqDivw0
>>489

【Pの慟哭のあと。しん――――――と静まり返るヘリの中】
【夕月は豆鉄砲どころか、機関銃の乱射を喰らった鳩みたいな顔をして。ずーっとそのまま】
【それに対して受話器の向こうの「冒涜者」。彼女もまたずっと黙っていた】
【表情はもちろん見えなかっただろうけど。きっとひどく凪いだ、表情というものがごっそり欠落したような】
【そんな顔をしているのだと思わせるくらいに、静かだった。反論はない。そして――――通話が切られる直前に】



「――――――面ッ白ぇことヌかしてくれんじゃん、何処の会社の誰だか知ンないけどさぁ。
 やってみろよ。僕が思わず飛び付いちゃうほどのアイドルにしてみせろよ、そのポンコツを。
 まあできっこないってわかってるけど。……やれるもんならやってみな、クソ■■■プロデューサーが。
 ねえ夕月、トップアイドルになるまでそいつんトコに居続けるってンならそのまま一生、帰って来れないだろうね。
 まあそれでもいいよ、……一生そこで飼われてな、ポンコツジャンク。それじゃあさよなら、永遠に――――」



【――――――――ぶつん。宣戦布告を受け取ってくれたらしい、……たぶん、たぶん。】
【Pに対しては、やれるもんならやってみろ。夕月に対しては、トップになるまで帰ってくるな】
【そんなハッパらしきものを投げ捨てて――――それきり、「ふぇみあ☆」は何のコンタクトも取ってこなくなる】
【ていうかトークルームから退出しちゃう。それで夕月のアカウントをブロックしたらしい、……それで一旦終わりになって】




【――――】




【一方。帰ってきたオニイチャンが婦警さんと鉢合わせたのは、やっすいアパート、玄関の前】
【「ケーサツっての、ホントだったんだ……」 呆然と呟いて。顔にはびっしょり汗をかいておりました】
【ものすごく慌てて帰ってきたらしい。それで婦警さんを見て、へなへな、と。思わず脱力してしまったようで】


『…………あの、妹、妹は。死んだりケガしたりしてねえッスか、……無事ですか』


【……なんだかんだで、妹思い。一番最初に訊いたのは、そんなことでありました】

492 名無しさん :2018/07/08(日) 12:25:44 ID:PYq7bHtM0
>>485-486
【肉を裂かれ、滴り落ちるのは血。それと……目、だろうか。断面に浮かぶ無数の目玉がギョロギョロと辺りを見回し、櫻の少女を捉えると面白そうに細くして】
【悪魔の口が動くことは無い。それでも確かに聞こえて来るのはアノ声で】

からかって何かいないのよ?親切、とっても親切なお話をしてあげているの
――だって、そうでしょう?人間の信仰する神様なんて、一生掛けてお祈りをしたって一つの願いも叶えないのに私達悪魔はこうして姿を見せてお話をしているのだから
それとも、ずっとずっとこのまま“停めている”のかしら?悪化もしないけれど、解決だって出来ないの
嫌々と首を横に振るだけの小さな子供と同じ事。認めたくないから、目を逸らすのと変わらないでしょう?

【――きっと、この悪魔には時間の概念が無いのだろう。だからこそ、永い……永すぎる時は余りにも退屈だった】
【やがては暗闇が失せ、大地に立った――と、思えば。其処から一気に過去へと遡り始める】
【その最中に様々な悪夢を“体験”する事になるだろうか。とある名も無き旅人の悲惨な最期。人々に尽くしてきた聖職者の無残な最後。国の為にと闘った戦士の残酷な最期】
【一体幾つの人生を体験するかさえ定かでは無い。或いは、少女程の精神力が無ければ直ぐに気が触れていても不思議では無いだろう】
【痛みも苦しみも悲しみも、全て味わう事になるのだ。何度も、何度も、何度も。死に、気付けば別な人生を歩み、また死ぬ】
【実際には其れ等は一瞬に過ぎていく事。そう、悪魔の少女にしてみれば】
【異なる時代のそれぞれの惨劇すら全てが一瞬に過ぎていく事。――全てが束の間の退屈凌ぎ】


【果たして何人分の人生を追体験した後の事だろうか。気付けば、今度は森の中へと放り出されている筈だ】
【今度は少女自身の身体で、そう遠くも無い過去の場面であると知れるだろうか。――目前数メートル先に倒れているのは幼い頃の狼の少女】
【負傷しているのか、全身から血を流し衣類もただのボロ布と表す方が適切とも思える程度に破け】
【その姿を見下しながら仲間内で話して居るのは数人。恐らくは奴隷商、と呼ばれる人物達であろう】
【所詮は過去の出来事で有り、干渉も出来ぬ事。声を掛けた所で反応は無く、刃で斬った所で其れは空を裂く事となろうか】

あの仔が今よりもずっと昔、亜人を狙った“狩り”の所から物語の始まり始まり
知っているでしょう?全ての人達が亜人に対して善い感情を抱いている訳では無いの
子供なら“躾け”てしまえば従順に扱う事が出来るから、ソッチでは人気の様ね?
あの仔は臆病だから、幾ら傷付けられたって反抗する事は無かったの。だから、きっと楽しかったのでしょう?
指を折っても柔らかいお腹を踏みつけても絶対に逆らってこないのだから。罪にだってならないのだから

493 名無しさん :2018/07/08(日) 12:26:30 ID:PYq7bHtM0
【幾本かの指は最早動かす事も叶わず。子供に対して行うにしてはあまりにも残酷な仕打ちではあるが――弱者を一方的に嬲る事に対して愉悦感を覚える輩達だからこそ厄介な話】
【子供とは言え戦闘に長けた亜人。まともに戦闘すれば大して時間も掛からずに立場が逆転するにも関わらずそれが出来ないのは少女の優しさが邪魔するからか】
【――然れど。誰かが振るった、死に繋がる一撃。其ればかりは獣としての“本能”が働き】
【気付けば、次の瞬間には一人の肉塊が出来上がっていた。たった数秒の出来事にも関わらず、攻撃を行った一人が返り討ちに遭う……所か、人の原形すら留めない程に変わり果てた姿へと】
【それで残りの者達も逃げれば良かったものの、逆上して襲ってくるのだから結果は見えた事で】

――――悪い人達はみんなみんな、狼さんに食べられてしまいました。めでたしめでたし
だからあの狼は心の底では人間が嫌い。きっとみんなが虐めてくるから嫌い。また痛くて辛い思いをするからって
結局それも、少しずつ無くなってはいくけれど……それでも、忘れられない事は一つあるの

【幾つかの人だったモノが散乱したその場。本能に支配された状態の狼からすれば、狩りが終わったも同然】
【ならば、する事は一つだ。狩った獲物を食す。例え相手が人間であったとしても、行う事に変わりは無い】
【指が折れているのも構わずに臓物を手で掬い、或いはまだ溢れ出る鮮血を啜り。其れ等が無くなればまた新たな部位を割り――】
【きっとそこには櫻の少女が知る狼の姿は無い。まるで人間の味に取り憑かれた様な食人鬼。まだ僅かに意識が有り、痛みに呻く様な相手すら新鮮な肉の他ならず】
【やがては手で持つのも億劫になったのか、獣の如く四つん這いになって喰らい始め。聞こえるのは水っぽい咀嚼音のみ】

一度人肉の味を覚えてしまった獣さんは、ずっとその味を忘れる事が出来ないそうよ?
どれだけ理性で我慢していたって、何時かは爆発してしまうの。貴女だって知っているでしょう?少しでも我慢するために、あの仔は人の血を分けて貰う事で何とか抑えていたの
首筋に牙を当てて、新鮮な血を啜って。でも、何時かは我慢でき無くなってしまう事
一人が二人、二人が三人――一度また食べてしまえば抑えが効かないと分かっているのに、ついつい食べてしまいたくなるの
分かるでしょう?過去を変える事は出来ないのだから、助ける方法だって無いの。何にも、一つだって――人間には、だけれど

【其処でこの世界の時間は止まり、また狼が喰らい始める所から同じ場面が繰り返される。何をしようが何を捧げようが救う事など出来ない、と嘲笑うかの様に】
【しかしながら含みを持たせるかのような話し方。人間には出来ない――ならば、悪魔であれば、果たして】

494 ◆wEoK9CQdXQ :2018/07/08(日) 23:59:20 ID:SrDGlGkk0
>>492-493

……誰かが最悪に忌むことを持ちかけることが親切なら、どれだけ多く殺すこともやさしさになるでしょうね。
“罪”なんてものも、きっと存在しなくなる――――

……私は何からも逃げ出さない。

あなたの退屈凌ぎが何であれ、間違えないで。
私は誰かの愉しみや慰みのためじゃなく、自分の意志で。
守りたい誰かがあるからこそ、この先の闇を、けして停まらずに歩み続ける……――――。

【それが罪と、身を穿たれる応報を意味するとしても構わない。“やさしさ”の所在を自分に認めぬよう、悪意に満ちたあの言葉にも認めずに】
【きっと願うまま守ろうとして傷つけてしまう細い月。陽を想い燃ゆる心は、冷たい月光の色調を仄かに変えていた。魔の視線を意に介さず、けれど自分にとってより大きな引力を瞳に映す儘に】
【そうあるまま、蝕まれることさえも択ぶがごとくその掌をとった】

【そうして闇に呑まれ。降り立つ大地から、刃の少女の意識は過去へと廻りだす】
【幾つもの灯は出逢うたびに願いと、その先に訪れた惨劇を繰り返し再生してゆく】
【……“他人”と割り切るには識りすぎてしまう、数えきれない命の軌跡たち。】
【自分より、自分の大切な人たちの傷が痛い類の者であればこそ、数多の最期の記憶は内側から棘のように苛んでいった】

【自分が何者で、なにを果たさなくてはならないのか。強く胸裏に留めれば留めるほど、意に反して死へと向かう五体が拒絶を導く】
【致命。被虐。力の差。数の暴威。この兇器であればなお挑める脅威でも、きっと生きるべきだった人たちだからこそ……鉄杭の様に動きを止めさせて】
【……数多の絶望を己が内に遺され、その度に心の内に爪を裁てられる。引き裂けても、血を溢れさせても。それでも、前へ、そして皮肉にも過去への遡航を続けて】
【やがて訪れる幻燈の終わりに、森の土と草を少女の嗅覚が感じた】

…………は、……ぁ……っ――――――――。

【蹂躙されつづけた感覚が重力に従って四肢を投げ出させ、睫を震わせて視界をぼやけさせる】
【けれど危機感が消耗を圧して。警鐘めいて脳裏を貫く感覚が、躰に芯を取り戻させた】
【はっと顔を上げ、眼前の“ひとり”と野獣たちの織り成す光景を直視する。疲弊の色は意志一つに灼き尽くされ、同じ焔が内燃機関のよう総身を衝き動かした】

【迎え撃つ、斬り落とす。時の鎖さえも掛けて加虐を阻害する――――相手が存在したならば総て遂げたであろう、黒を溢れさす白銀の兇器】
【実体を持たない存在にこそ滅びを強いるその刃は。網膜に数多の粒が映り込むだけにも等しい、ただの映像を滅ぼすことはなく】
【庇おうとしても、何ら効を奏することもない。壊されていく大切な友の姿を、ひどく表情を歪めながら見届けるだけの経過】

【……生存と、捕食。それらの根源だというのなら、この先は、もう決まっていた様でさえあったのだろう】

495 ◆wEoK9CQdXQ :2018/07/08(日) 23:59:59 ID:SrDGlGkk0
>>492-493
【致死の一撃を狼の少女が凌ぎ、容易く肉塊を生産する。それが、四肢を斬り潰してやりたかった〝加害者〟の数だけ繰り返されて】
【あとには、誰の手も届かぬ闇のなかに、獣の理だけが残る】

……やめて、…………。
やめて、ヨハン……――――……!

【届くはずのない言葉を、そんな理屈を越えて口にしていた。続けたかったその先の言葉は、きっと、瞳の奥底に沈み、渦巻くだろう】
【その傷が、癒やされてほしい。今すぐ、その身に寄り添わせて。心を狂わす血みどろの餌食なんかじゃなく、一緒にあれたあの日のように】
【……また、いつか。報いの闇さえも歩み抜けたなら。なんでもない食べ方だとか、好きなものだとかで笑いあいたい……――――。】

【星屑のようなささやかな願いたちは、幾度も零れた声とともに、叶えるものもなく闇夜に吸い込まれ続けてゆく】
【……そうして、】

……代償に、何を求めるというの……?
こんなものを見せ続けてしたいことなんて。……どの道、正気でいさせない様なことでしょうけれど……――――

【自分を穢すことのない流血も、或いは現実であってさえも無視していたのかもしれない】
【そう思わせるほどには躊躇いなく、狼の少女の映像に寄り添えば。魔の誘いへとその返答を紡ぐ】
【座り込む姿は一見して年相応に華奢で、命さえも儚げで。然し、何処か掠れた様な橡色の瞳を覗き込めば】
【守り抜くという意志の灯も、害するものを排撃する“害意”という情動も、いっそうに強まった様でさえあることが見て取れるだろうか】
【他者を弄ぶことは、相応の報いを導かんとする。悪魔の少女に対する敵意は、抜き放たれぬからこそ】
【それを抑え込もうとする想いと、血を炙る様に焼き込まれたその熱を共に孕んでいる様だった】

496 番組の途中ですが ◆3inMmyYQUs :2018/07/09(月) 23:24:48 ID:FGH.zC.k0

【〜CM〜】



   【「ゆづき、アイドルになるってよ」】



【Flavor Song】
【『アイドルレース』- 夢みるアドレセンス】
【ttps://youtu.be/zxu8WlFUjFk?t=48】




【素行不良だけれど根はピュア?なイマドキJK、ユヅキチャン】
【彼女の元へある日、全身黒ずくめのアヤシゲな男が声を掛けてきた】


  【「──────お前、『アイドル』になれ」】


【なんとその男は地下アイドル事務所の社長にして『プロデューサー』】
【たまたま見かけたユヅキチャンを『アイドルの卵』としてスカウトしたのだった!】


  【「暇つぶしで天下とったげるよ────アイドルの」】


【案外呆気なく始まった二人三脚、】
【そこから二人のサクセスストーリーが始まる──はずだったんだけれども?】


  【「────センセー助けてっ!!
    あたし、このヤクザに脅されて────」】

       【「────暴れンなよ。妙なことをすれば[ピ―]」】

  【「新手の詐欺ッスかぁ???」】

       【「FxxK YOU!! FxxK YOU!! FxxK YOU!! ────」】


   【「────おまえが、アイドル? 】
   【 ──────おまえなんかには無理無理無理無理ぜっっっっっっっっったい無理────」】



【なんでだろう、会う人会う人、全員敵になっていく】
【しかもこのP、実は過去に暴行事件を起こして資格剥奪されたブラックプロデューサー?】
【もしかしてこれって超絶ハードモード、っていうか無理ゲーなんじゃ!?】


【気付いたときにはもう遅い、既にレースは超特急で猛加速────!】
【────行き着く先は二つに一つ、社会的にデッド オア アライブっ!】

【果たして二人は生き延びてトップアイドルのステージへ立つことが出来るのか──?】



【──問題児だらけの新世界アイドル激闘録──】



   【 『ゆづきをプロデュ〜スっ!』 】



【この後すぐっ!m9】


/↓

497 ゆづプロ ◆3inMmyYQUs :2018/07/09(月) 23:26:48 ID:FGH.zC.k0
>>489


「ああ、あなたがお兄さんです?
 どうも、こんにちは〜、警察ですよお。

 ──いやあ、実はまだ状況が詳しく分かってないんですよお。
 一応、こっちでも追いかけている途中なんですけど────

 ────あれ?


【もう気が気でない様子のオニイチャンとは対照的に、かなぁりなマイペースで語る婦警さん】
【ところが、そこで何かに気付いたのか、おもむろに空の方を見上げて眼を細め────】



【──────────】



【──────→ 再び上空ウン百メートル】


──────………………………………………


【最早そこにある沈黙は、爆撃が終わった後の焼け野原さながらだった】
【Pがたまたま生き残った最後の兵士だとするなら、ユヅキチャンは孤児といったところだろうか】
【草一本残っちゃいない中、これからどうすればいいのかという果てしない虚脱感の塊が二人の間に横たわっていた】

【──Pは、通話の切れたスマホをしばらく茫然と見つめていたが、やがてそれを無言で夕月に返すだろう】
【何かもっと他に言うべきこともあるだろうに、言葉の使い方を一切忘れてしまったように口は閉ざされていた】

【あれだけ威勢良く罵声を吐いたのに、今や打って変わって、苦いものを奥歯で噛み潰したような表情をしていた】
【その嫌悪感の矛先は、今し方通話していた相手というよりも、自分やその過去に対して向けられている、ような──】


【──とか、一人で陰のある横顔をするPはカメラ映えして大変結構だろうけれど、】
【ユヅキチャンからしてみれば、なんか勝手に保護者の一人と絶縁させられたという状況なのを忘れてはいけない】

【それなりに勘が働けば気付くだろう、何やらこのPは結構な『ワケアリ』な様子】
【このヘリの行き先だけではなく、今後の未来に関しても何やらきな臭いものが漂うのは無視しがたい】


【あ、そうそう】
【『きな臭い』と言えば、何か先ほどからヘリの中に香ばしい匂いが漂っている、ような】
【匂いだけじゃなくて、何か煙とか、それも結構黒い系のやつが、もくもく漂っている、ような】

【そんな気が、しなくもないかもしないかもしれない】


「────主様。
 ちょっと何か、エンジンがヤバイかもしれませんで御座います」


────あァ?


【もくもくもくもく…………】
【まるで二人の未来を暗示するかのようだね。うっすらと黒い靄が機内に満ちてきた】


──……おい、ヘリはこないだ修理したはずじゃ

「いえ、あれはもう古かったので買い換えました」

──どこ製のだ

「カプ○ン──」


【「──────クソバカ野郎がっッ!!!」】


【大人しかったPがまた吠えました】
【何だかよく分からないけれど、緊急事態なのは確かな様子】
【Pは急にシートベルトを外して立ち上がって、】


────おいっ、夕月、パラシュートを取れ、
そこのっ、ちがっ、その下、ゲホッ、おい急げ────!!!


【何やらまたぞろ喚き立てる。さっきから叫んだり命令したりばっかりで本当に勝手な男である】
【いくらプロデューサーとは言え、そんなに言うことばっかり聞く義理もないだろう、ねえユヅキチャン】
【うるさい輩は別に放っておいても構わないよ】


【──────────】



「────何か燃えてません?」


【婦警さんは遙か上空を指差しました】

498 ゆづプロ ◆3inMmyYQUs :2018/07/09(月) 23:55:01 ID:FGH.zC.k0
/安価まちがえてたごめんなさい。
/一応>>491宛ですよろしくおねがいします。

499 ◆S6ROLCWdjI :2018/07/12(木) 20:27:26 ID:WMHqDivw0
>>497

【――――ヘリの中。息苦しいほど静まり返ってしまった空間】
【夕月は何度も何かを言おうとして、やめて、を繰り返し繰り返し――て、それでようやく放った言葉】


………………ぁの、プロデューサー、……ごめん。


【何に対して謝っているんだか。屋上でPを隠れ蓑にして自分だけ逃げようとしたことに対してか】
【それとも、自分の保護者がPにひどいこと言っちゃったことに対してか。……おそらくどちらでもあったけど】
【今更過ぎる謝罪、言ったときにはもう、Pは痛々しげな表情をしていて。それに気付いてまた何か言おうとして、】

【――――――――言おうとしてやめた。なんか暑い。ヘリって空調ついてるもんなんですかね?】



…………………………ん、え? なにこの煙、……ぇえ゛ッ!?
パラシュート!? えっどれどれどれどれ、あっこれかな、……違うこれロケランじゃん!!!
なんでこんなの積んであるのっ、ワケわかんないちょっと、えっちょっと待っ、





【――――――】


【――――場面変わりまして、地上。婦警さんが指差した先を、呆然と見やるオニイチャン】
【ほんとだ燃えてる〜、とか呑気に言ってたのは少しの間だけ。その表情はどんどん険しいものになっていって】


「…………燃えてるうえになんかコッチに向かってフラフラ飛んできてるように見えるのも、気のせいッスよネ?」


【ですよネ? 重ねて確認するけど、さて。】

500 名無しさん :2018/07/13(金) 22:16:54 ID:PYq7bHtM0
>>494-495
見せ続ける?貴女が、知りたくて此処に来たの。自分の意思で、コレを見る為に此処に来たの
……もっと“都合の良いお話”だと思ったかしら?誰かに騙されていて、呪いを受けた所為であの様になってしまったんだって
それさえ無くなれば、昔みたいに楽しくお話が出来るんだって

簡単なお話よ。とっても簡単なお話
貴女も悪魔になる、ただそれだけ。……それだけ?いいえ、違うわ。もっともっと楽しい事。この仔が味わっている衝動を貴女が受けるの
人間なら直ぐに飲まれてしまうけれど、きっときっと悪魔になってしまえば“少しは”良いかもしれないわよ?
――それに、貴女が幾ら強くたって人間のままではずっと守る事も出来ないでしょう?だって、今となっては全てがこの仔の敵なのだから

【全てを食い散らかした獣は正気に戻る。果たして其れが良い事であったのか――或いは、ずっと獣としての理性に犯されたままであった方が良かったのか】
【初めは自分の行った事を理解して居なかったのだろう。だが、手が紅く染まり口内に広がる嫌な味。そして、目の前の惨状。嫌でも、理解する事になる】
【その後の出来事など分かりきった事。取り返しのつかない状況、自身の性、罪悪感、嫌悪感。泣き叫んだ所で変わりもしないのに、疲れ果てるまで泣き続ける】
【隣に大切な友人が居る、その事も知らず。ただ一人で。其処には救いも無く】

【悪魔はしゃがみ込んで視線を合わせれば、その頬を優しく包み込んで顔を上げさせ様とする】
【それは甘い毒なのか、或いは更に少女に熾烈な怒りを与えるかは分からない。ただ、紅の双眸が櫻の少女の瞳を覗き込む様で】
【狼の衝動を代わりに受ける、ともなれば。其れは誰かを斬る度に何とも言えぬ満足感を得ると言う事】
【最初こそまだその“満たされる”感覚もそう大きくは無いだろう。だが、やがては其れは大きく膨れあがり、抑える事も出来ない衝動へと変わりゆく】
【殺して殺して、それが愉悦となっていく。残忍な殺し方になればなる程に興奮も高まっていく。呪い、と言うには余りにも――……】

501 名無しさん :2018/07/13(金) 22:17:33 ID:PYq7bHtM0
「柊に聞くのは一回だけ。――……直ぐにでも嫌だと言ってくれると嬉しいんだけど……」
でも、お茶会だって楽しいのよ。人間なら壊れてしまっても、悪魔になってしまえば壊れないのだもの
「ボクの事は忘れて、柊には他の人を助けてあげて欲しいな。……ボクも、沢山の人を傷付けちゃったから。もう自分の手で助ける事は出来ないけど、柊なら……」
私は優しい悪魔だもの。貴女が嫌だと言えば直ぐに帰してあげるわ。そして、ずっとずっとこれから先も会うことは無いの
「――……少しだけでも、キミと一緒に居られて楽しかった。……えへへ。ボクみたいな悪い人がちょっとでも幸せだった、なんて言ったら罰が当たっちゃいそうだけどね」
貴女にとってはとても良い提案でしょう?もう誘惑にだって抗わなくて済むのだもの
「……だから、ね。柊……ばいばい」

【気付いた頃には、少女の両頬に手を添えようとしていた――或いは添えていた悪魔の姿が狼の少女の其れへと変わっているだろうか】
【匂いだって体温だって全く同じ。当然、その笑みだって“変わってしまう前のもの”で】
【拒絶をする事が無ければ、少女の頭を優しく胸に抱こうとするだろうか。危うさを孕んだ少女に対し、自身の心音を聞かせて落ち着かせるかの様に】
【当然、此処に居る狼は本人では無い。ただ、きっと本人に近い思考を抱いた虚像ではあるのだろう】
【若しくは、それすらも揺さぶりを掛けようとする悪魔の遊びか。嫌だと、悪魔にならないと、眷族になんかならないと拒絶すればきっと元の世界に戻される】
【そして、決して変えられない結末を何処かで眺めるのだろう。どちらかが死ぬまで、終わらない死闘の行く末を】
【少女を抱き留めようとしながら拒絶を囁く声と、其処に混じる承諾を囁く声】
【――やがて、狼の少女も微笑みながらその存在が失せていくのだろう。目に見える全てが消え失せ、辺りは虚無のみ。悪魔の姿だって見えず】

さあ、どうしましょうか。決めるのは貴女自身
どっちを選んだって、もう元には戻れないのよ?この仔を殺してしまうか、代わりにもっと沢山の人を殺してしまう楽しみに溺れていってしまうのかしら
お話ってスゴクすごく残酷ね。だけれど、ハッピーエンドばかりのお話だけでは退屈でしょう?
貴女にとっての救いはどっち?私は神様何かよりもよっぽど優しい悪魔。だから、どちらかを叶えてあげるの

【悪魔と契約してしまえば。眷族となってしまえば、何時かはきっと狂気に飲まれるのだろうか。そうで無かったとしても、この悪魔の玩具として扱われるのに間違いはあるまい】
【そうなれば全ての敵として生きる事となろう。人では無く、悪魔として生きる事――それは、多くの存在を屠ってきた少女ならばどの様な意味を持つか分かる筈だ】
【此処には時間が無い。だから、考える猶予は無限にある。現実世界で例えるに、一時間だって一日だって一年だって】
【……何であれ、答えを紡いだ時。目の前に紅い少女が現れて「それで良いのね?」なんて悪戯っぽく微笑んで】

502 ◆3inMmyYQUs :2018/07/14(土) 09:21:22 ID:qo/HyX5s0
>>499

【夕月に謝られたとき、Pはサングラスの奥で視線を動かして彼女をちらと見た】

【返事は無かった】
【──気にするなとか、もうそんなことには怒っていないとか、むしろ謝るべきは──、とか】
【心中に渦巻く思いは決して少なくなかったけれど、それを容易く口に出せる程素直だったならば、きっと今までこんな苦労はしてきていない】

【胸の中が熱くなればなるほど、それが大事なことであればあるほど、】
【考えよりも先に身体が動いてしまう質だった。現に今もそうなのだ】


【だってヘリが燃えているから】

【上空ウン百メートルの、火事だから】



──────っッバカこっちに向けンじゃねェ正気か貴様!!?!?
どう考えたって違うだろうが良く見やがれッておいスコープを覗くなそういう意味じゃねェ゛!!!

「主様」

ア゛あ゛ァ!?!

「ご安心ください。
 パラシュートは全てルイ・ヴィ○ン製です」

ア゛あ゛ あ゛ ぁ゛ あ゛ あ゛ こいつらァ゛ア゛ア゛ア゛ア゛────!!!!



【落ち込んだりもしたけれど、Pは元気です】
【ハバネロソースを口に突っ込まれた怪獣みたいに暴れていたけれど、その甲斐もあってかパラシュートらしきものがいくつか転げ出てきた】
【見つけた途端それを喰らい付くように一つひったくると、がこん、と音を立ててヘリの扉を開く。ごッ──と空気の塊が機内へ飛び込んでくる】


【──美しい世界だ】
【どこまでも広がる青い空、燦々と照る太陽】
【輝くビルの群れに、雄大に聳えるランドマークタワー】

【そう、ぼくらはこの街で生きている】
【楽しいことばかりじゃないけれど、】
【こんなに大きな街だから、色んな人がいるさ】


「ではお先に」

【主人を差し置いてちゃっかり一番に飛び降りていく執事兼操縦士とか】


クソッタレ……また借金が……────

【担当アイドルを差し置いていそいそとパラシュートを装着し終えるやそのまま降下しようとしてるプロデューサーとか】


【それはそれは、色んな人間がね】

503 ◆S6ROLCWdjI :2018/07/16(月) 19:16:51 ID:WMHqDivw0
>>502

えっえっえっちょっとちょっとちょっとずるいずるいずるい!!!!!
なんでPだけパラシュート? つけてんのっ、
あたしにも付け方教えてよっていうかこれどうしたらいい!?
放り投げていいのこのロケラン、ていうかあれ、これロケラン……?
なんか「Zamieru」って刻印してあんだけどこれぜったい綴りちがうくない?
でもなんかググっても正しい綴りが出てこなかったから仕方ないっていうか
ていうかZamieruってなによ、そーいう武器メーカーあんの?
ってそーいうのはどーでもよくってえ、あたし、あたしにもパラシュートっ、、、


――――――――あっ手ェ滑ったやべッ、




【――――――彼女はその引鉄を引いてしまったのである。】

【魔弾の射手。有名なオペラ。狩人と契約した悪魔は、彼に7発の魔弾を与え】
【そのうち6発は彼の望むままの箇所へ当たるようになっていた。けれども】
【最後の一発、それだけは。悪魔の望む箇所にしか当たらないという】

【だったらこの悪魔は、何処に当たることを願って、このロケランを彼女の手に渡したのだろう――――】


【――――いうてこんな狭い機内でブチかませば全部ブッ飛ぶと思うんですけど、Pはどう思いますか?】

504 ◆3inMmyYQUs :2018/07/31(火) 10:55:50 ID:qo/HyX5s0
>>503



──────────は?



【──何気なく振り向いたときに見えたその光景は、】
【恐らく数回転生しても消えないであろうトラウマとして、Pの脳内へ鮮烈に刻まれた】

【その一瞬はPの主観時間において長く長〜〜〜〜く引き延ばされて、色んなことが脳裏を過ぎりました】



  【──家族──】     【──妻、息子、娘──】

         【──遊園地の約束──】

     【──ザミエる──】      【──あれなんか見たことあるぞこれ──】

 【──打ち上げ花火、下から見るか? 横から見るか?──】

        【──否──】    【──俺自身が花火になることだ──】

 【──また本スレに出たい──】      【──叶わぬ夢──】

         【──溜めてたスタージュエル使い切ってない──】  【──ちくわ大明神──】

   【──どうしてこんな扱いばかり──】    【──シンエウ゛ァ観るまで死ねない──】

              【──スレ十周年おめでとう!──】



【 ─────    ───── 】






【 ──── B O M B ☆ ──── 】






【──────────────────────】
【──────────────】
【────────】
【────】



/↓

505 ◆3inMmyYQUs :2018/07/31(火) 11:02:09 ID:qo/HyX5s0
【〜数ヶ月後〜】


──────『あァ、オチたな』と思ったよ。そのときは流石にな。


 【──本当に色んな意味でオチましたね】
 【──しかし、どうやってその状況を生き延びたんですか?】


──────………………。
さァな。よく覚えていない。思い出したくもない。

ただ一つ言えるのは、あの爆発でもヴィトン製のパラシュートはしっかり開いたということだ。
流石、世界ブランドは違いやがる。

……で、いつからそうなったのかは全く分からないが、
気付けば雑技団じみた構図で二人で一つのパラシュートにぶら下がっていた。

本当に両腕がちぎれるかと思った──むしろちぎれてくれた方が楽だったぐらいにはな。
そのまま風に流れ流され、最終的に海へポチャン──だ。


 【──なるほど。旧スレでよく水に落ちるキャラでなかったら死んでいましたね】
 【──しかし、本当に大変だったのはむしろその後だったと伺っていますが】


──旧スレ? 何の話だ。
……まァいい。そうだ、ここからが本当の地獄だ。


 【──あの大事故が原因で更に借金がかさんだ上、色んなところから追われるようになった、と】


──事務所には柄の悪い取り立て人と関係各所からの損害賠償請求が山のように来やがった。
あんなところにいたンじゃ命がいくつあっても足りねェから、追われるように引き払わなきゃならなくなった。

そして何より、だ。
金はともかく、あんなことがあった後じゃどこもうちの名義ではライブ申請を受け付けてくれなくなりやがった。
本当にどいつもこいつもクソッタレだ……だが俺たちには、色んな事情で、ライブをやって興行収入を得る以外には道が無かった──────


 【──そうして苦肉の策として生まれたのが、この『ゲリラライブ』という形式だった訳ですね】

──……そういうことになる。

そもそもアイドルライブをやるのに『全P連』の許可が必要なんて、そんなシステムがふざけきっているだろうが。
どうして夢と希望を届けるのに利権塗れの老人どもの機嫌を伺う必要があるンだ、クソ喰らえだ、FxxK YOU!! FxxK YOU!!


 【──……スポンサー無くしては『総選挙』も成り立ちませんから】
 【──しかし、何故そうまでして、地下アイドルプロデューサーを続けるのですか?】


 ──────あァ?


/↑読み流していいところ↓

506 ◆3inMmyYQUs :2018/07/31(火) 11:02:58 ID:qo/HyX5s0


 【──いえ、周りを全て敵にしてまで続けるそのモチベーションは一体どこから来るのかと】


────…………………………たいからだ。


 【──はい?】


────イラストを見たいからだ。
SSRアイドル仕様、《ファンタジック・シグナルレッド》夕月 のイラストレーションを見たいからだ。


 【──…………?】
 【──……あの、仰る意味がよく分かりません】
 【──誰がそのイラストとやらを描くんですか?】


──知らねェ。どこかの遠い誰かだ。
自分のキャラクターを達磨にして喜んでるようなどこかの変態がきっと描いてくれる──そんな予感がしてるンだ。


 【──……………………】
 【──なるほど、『ユヅキチャン』のまだ見ぬ可能性に期待しているという訳ですね】


──〔アイスコーヒーを啜る音〕


 【──しかし、昨今の電撃的な人気について、当の『ユヅキチャン』さんはどう思っているのでしょうか】
 【──是非彼女にもインタビューの席を設けさせていただきたいと思うのですが、いかがでしょう】


──『コレ』ぐらいで手を打ってやらないこともない。


 【──……ちょっと高すぎでは……】


──やりたくないなら俺は構わないが。
他にも書きたがるライターは沢山いるからな。


 【──く…………】
 【──分かりました、手を打ちますよそれで】


──フ、毎度。
あァ、そろそろ次のゲリラの時間だ。話はここまでにさせてもらう。


 【──次はどちらでやるんですか?】


──ふん。それを言ったらゲリラにならないだろうが。


【────────】
【────】
【──】

/という長い前置きからの↓

507 ◆3inMmyYQUs :2018/07/31(火) 11:07:46 ID:qo/HyX5s0
>>503


【そうしてA氏は最後に不敵な笑みを浮かべ、喫茶店を後にしました。めっちゃ周りを警戒しながら、そそくさと】
【当然のように、コーヒー代(+ナポリタン大盛り・サンドイッチ・メガ盛りポテト・チョコサンデー込み)はこちら持ちになりました】
【人の金でめっちゃ食うやん。何なん。まあ『ユヅキチャン』とのアポが取れたなら、安いものですが────】


【──そういう次第で、我々取材班(一人)はついに、あの今話題の『ユヅキチャン』へ先行独占インタビューを行うことに成功したのである】


【──】
【────】
【────────】


 【──じゃあまず、年齢を教えてくれるかな?】




 【──どうしてアイドルをやろうと思ったの?】


 【──家族は、アイドルをやることについて何か言っていた?】


 【──ここだけの話、あのプロデューサーの下で大丈夫なの?】


 【──エトセトラ、エトセトラ……】


/ダラダラ長くてゴメンナサイ。
/要するに、そういうことです。ユヅキチャンのモノローグが見たいなあ的な。十周年だからね、振り返ったりね。
/インタビュアーは好きに喋らせてよいです。

508 ◆S6ROLCWdjI :2018/08/08(水) 01:06:41 ID:WMHqDivw0
>>504-507

……………………えっ何? 何が起きたの? 時空歪んだ?
あれっ何っなんだっけえっと……あっそうか、あたしアイドルデビューできたんだった。
そーだったそーだった、なんでそんなこと忘れてたんだろ……えへへへ。

【突然の時空間処理に戸惑うユヅキチャン。しかしすぐに調子を取り戻して】

トシ? 永遠の17歳。
プロデューサーに誘われたからアイドルになったの、それだけのことだよ。

家族は…………正直めっちゃ反対されて、勘当されたんだけど。最近になってネ、
よーやく連絡くれるようになったんだあ。「CD買ったよ」って。それだけだけど。
何の感想も言ってくんなかったけど――――たぶん、たぶん認めてくれたんだと思う。

プロデューサー? ……いや今でも正直怖いけどお、……きっとあの人しかいないと思う。
あたしなんかをアイドルにしようだなんて本気で思ってくれてるのは。……頭おかしいってコト!


それで、――――――えーっとお、アイドルデビューしてから今までの話だっけ?
おっけーおっけー、めっちゃ長くなると思うけど、聞いてくれる? ……ふふふっ。


いやーネ、デビューしたてのころは……ぜんっぜんキャラが固まってなかったよネ。
おちゃらけてるけど根は冷酷みたいなキャラやろうとして迷走しまくって……
…………ここらへんの話してるとゲロ吐きそうになってくる。ここらへんで終わりにしていい?

……んー、で。やーっとキャラが固まったかなーって思ったのは――――
プロデューサーが初めて持ってきてくれた大型ライブだよネ。あの広めのハコでやったやつ。
チョーシ乗り過ぎて天井ブッ壊して出禁になっちゃったけどネ!
でもあれで方向性だいぶ固まったんだよ、「ブチ抜き系アイドル」ってキャラがさ!
だから……プロデューサーにはほんと感謝してるの。……ほんとだよ?

それから――――いろーんなアイドルと出会ってきたんだよネ。
鈴音とつがるんと、「たんぽぽ」組んで活動したり。結成までにめっちゃいろいろあったけど。
でもすっごい楽しかったし、またいつでもやろーねって約束してるから、またやるよっ!

で、他には――――ライバルもたくさんできたよネ。
円卓プロのミラさんとか。最初めっちゃ睨まれてチョー怖かったんだけど、いつの間にか仲良くなって。
あの人のこないだの結婚報告会見、すごかったよネー。まっさか事務所の社長と結婚するなんてさ!

あと……グランギニョル・プロジェクトの、イルとか。……あいつとはまだ喧嘩中だな。
でもいつか仲直りできて、……一緒にステージに立てたらなって、思う。……ナイショだよ?

それとあとは……そうそう、プロダクション・エイトのミレーユさん!
あの人が男子トイレ入ってくの初めて見たときマジ悲鳴上げたから! だってあんな綺麗なのに
オトコってマジ卑怯じゃない!? しかもそれを売りにしてさっ、……結局、仲良くはなれたからいいけど。
……………………んえ? 彼との週刊誌報道についてのコメント……? ……それ今言わなきゃダメ?
ノーコメントだよノーコメント! 同棲とかまだそこまでは行ってないしっ……あっやべっ今の墓穴?
……………聞かなかったことにして。ここらへん絶対オフレコにしてて、プロデューサーに怒られちゃう。

それからね、えっと――――えっもう時間? ヤバいヤバい、次のライブ始まっちゃう!
ごめんここで取材終わらせてっ、また続きがしたかったらプロデューサーに話通して! そんじゃーネ!

【ばたばたばた。慌ただしい足音を立てて去って行っちゃうユヅキチャン。クリームソーダ代、もちろん払ってません。】


//↓

509 ◆S6ROLCWdjI :2018/08/08(水) 01:07:08 ID:WMHqDivw0
【――――――そして。ライブ会場、屋外。天井のないひろーい舞台にて】


――――――――――はいっ! みなさまお待たせしましたっ!
イメージカラーはシグナルレッド! ブチ抜き系アイドル、夕月ですっ!

ドームよりもー? \野外が大好きー!!!/
そうそう、だってー? \天井、ないんだもーん!!!/

………………そうっ! 天井あったら落としちゃう! それがあたし、夕月だからっ!
ひろびろお空の下で、今日もやっちゃう超絶ハイテンションラーイブ!!

――――――――天井の代わりに、みんなのハート、撃ち落としてっちゃうから!
そんじゃー今日もよろしくネっ、……………………一曲目ぇ――――っ!!!


【今日も彼女のライブは始まるのでした。天井ないとこ、最高ですね!!!】




//ttps://i.imgur.com/dv5mWbp.png / ttps://i.imgur.com/ropn91z.png
//約束のお品です。結局デレマス風あきらめて微妙な感じにしました。
//加工とかめちゃくちゃやっちゃってください。ありがとうございました!!

510 ◆wEoK9CQdXQ :2018/08/11(土) 13:54:32 ID:BpkC9xjk0
>>500-501

……、――――――――

【無関係なはずの嗤う声を憎みそうになる心を、内心で必死に押し止める】
【声を漏らせばなにかが抑えきれなくなりそうな――重々しい激情は、沈黙に、噴火寸前の火山の鳴動に似た灼熱を抱えて】

……ヨハン、……、……‼

【その終わりは、真逆の――けれど奥底で酷似してもいたちいさな呟きと。ヒトに狼の少女が強いられた、涙と声が齎した】

…………っ‼―――――――――

【……思わず、なれるはずのない“共にあれる場所”になろうとした。 】
【けれど、何も何も何も届かずに。触れる指先は透けてしまう。呼びかける声が虚しく消える】
【こんなにすぐ傍にいるのに、声も、温度も、一つすらも届かずに――ただ変えることのできない過去だけに、生み出された感情が取り残されて】
【頬に触れる感触が、のたうつ様な苦悶の/窶れ果てた視線を向けさせる。面を上げて晒される表情は、腕を折り砕かれた時よりも遥かに傷に満ちたもの】


【瞳を覗き込まれ、表層の温度と鋭利さは微塵も揺るがなかった。けれどその内側にある生身、罅割れた隙間から、追い込まれきった色が覗けば】
【振れる指を忌む様に。人形に体温を与えたような白磁は、侵し難い拒絶の感情を、その細やかな肌理の、柔らかな感触越しに返した】
【肌を刺す敵意は、やり処のない想いを自分の内に留めようとしたかの様に自我を保ったもので】
【……それらが一時に崩れ去ろうとする、紅からあのだいすきないろへの流転が。そして心弾ます筈だったひとりの声が――意識を、瞬く間に埋め尽くした】

……ぁ、ぁ――――――――、

【目を見開いて、あまりに懐かしい金色に橡色が向かい合う。覗き込まれる瞳の内に、引き裂かれ尽くす感情が氾濫して】
【……絶対に聞きたくなかった、離別の言葉。予感してしまっていた想い。カタチになれば、最後の箍は、震え、捩れて、容易く砕けて】
【堰を切って。心そのものが言葉にもなれず、溢れた声になる】

……ああ、うああッ――ああああっ、いや、嫌ぁっ!
駄目、やめてよ……――――お願い、……かえして、……もう、消えようとなんてしないで――ここにいて……!

【抱きしめて、縋る様にこの幻想を確かめる。泣き叫ぶ声。倒れ込むように、凡てを委ねた】
【ただの虚構や虚飾であったなら、躊躇うことなく振り切って進めた。それでも】
【この悪夢のなか紡がれる言葉は、彼女のものと思えてならなかったから。心のままに、想ったのだ】

【救いたい、救いたい――譬え世界を犠牲にすることだとしても、何を切り捨ててでもこのひとりこそを守りたい。】
【躊躇いながら、血を流しながら、その通りにあれたことだろう。……そうあることが、どれだけ邪悪でも己が真実だから確と瞳に映し続けて、】

511 ◆wEoK9CQdXQ :2018/08/11(土) 13:55:01 ID:BpkC9xjk0
>>500-501

【けれど、あまりに穏やかな別れの言葉を聞いた途端に】
【無謬であった決意さえもが、硝子のようにもうかたちを失っていた。〝これ以上、苦しませたくなんてない〟……――――、】
【せめてこの手で終わるなんてささやかな安らぎが。最後の、ひどく残酷な現実を残す、けれど看取ることだけを許す願いで――――。】
【“生を縛りつける鎖になることが、何より友達を傷つけてしまう”。殺されたがる様な明け透けな殺意の意味を、誤解も逃避もする余地は、消えた】


【生きたからこそ苦しむ水底の窒息を識る身は――ヒトの世という茨の森に彼女を残すことを、あるべき結末なんて言葉に託せずに】
【だから、これはただの独り善がり/関係ない、】
【――自分自身を贄としてでも、あの安らぎと笑顔を取り戻したい/八攫柊である限りそれは叶わない――――……自分自身であることに定義づけられた痛みが蠢いて】

【返答の機会なんて、漏れる嗚咽と舵を取ろうともがく心の間に擦れ、もう見えずに。ただ一方的に、願いだけぶつけてしまう】

……もう……見捨てさせようとなんてしないで……私がどうなるかなんてどうでもいい、あなたが救われなきゃ意味なんてないっ!!
“解き放たれたい”って、本当は助かりたいって、今すぐ言ってよ、……ねぇ……!

……私、は……あなたの願いだけは。裏切ることが、できない、から……ッ―――――――――。

【悪魔になることなんて、きっと何でもなかった。血への餓えがいつか自我を壊したとして、遺る残骸は終わりに笑える】
【どれだけ遠くても、願ってくれたなら歩み続けられた。この躰が砕け散ることも恐れずに】
【一握の灰になってさえも進んでゆけると、こんな風になった今もなお信じられる】
【けれど苛まれ尽くしても生きるためにしか抗わなかったやさしい狼は、この躰を代わりになんてしてはくれないと知ったから】

512 ◆wEoK9CQdXQ :2018/08/11(土) 13:55:26 ID:BpkC9xjk0
>>500-501

【兇器でしかあれないからだを抱かれながら、否応もなく、剣の少女は涙を溢れさせるのだ。抱き留められ、震える唇をか細く結んで】
【包まれるような、逢瀬の幻に身体を抱かれる】
【あしきゆめに怯えるただの少女のよう、仄かな安らぎが、焼けつく魂の傷痕を静かに癒していった】
【体感としてはほんの僅かな、一雫の宝石が転がるような時間。けれど永遠にも等しく覚える、幾つもの彼女の徴を刻みつけて、心は四肢を取り戻す】


【そうして――やがてはたった、ひとり。行き着く果てを暗示する様な孤独に、焼け跡のように寂びれた、陽の墜ちる彩に煌めく瞳は】
【終わりゆくこのひとときの夕闇のさき、誰かを沈め、久遠の果てへと連れ去ろうとする常闇を見据える】
【……自分か、彼女か。下す決断は、たったそれだけの意味だったのなら】

【いつしか覚悟を決めてしまったかの様に、冷たく鋭く、光の褪せた瞳が前を向くだろう】
【陽の光は今や此処になく。心凍てさす夜に、身を窶して】

……最期に一つだけ、聞かせて
どうやって、あの衝動を私に移すの……? “悪魔だから”できるなんて言葉だけじゃ、想像も……信じることも、出来そうにないの……――――。

【零下の視線が、未だ約定を結ばぬまま、虚空を抉り込む】
【接続した黒き理に侵され尽くしたかの様、月蝕のいろの瞳が悪魔を見つめていた。距離も次元も、存在の有無さえも殺し尽くして捉え――問いを投げて】
【確証が得られない限り、魔の少女の呪縛を受け容れることは永劫、ない。それは譲れない一線で、最後の最後まで、削れ落ちた魂に残る彩なのだろうか】
【――もしも、その心さえも狂わす言葉を紡げるのなら。最期の願いを歪める未来も、或いはその先に待つのだろう】

513 名無しさん :2018/08/13(月) 16:26:55 ID:PYq7bHtM0
>>510
【櫻の少女の問いを聞いた時、悪魔は実に楽しそうに嗤って見せた】
【この悪魔に理は無い。世界の摂理も、常識も全てが通じない。柊が問うた事は尤もであろう】
【若しかすれば、魔族へと変えるだけ変えた後にそのまま消える可能性だって否めないのだ。他人の不幸を楽しみとして生きるのだから】
【――然れど。そんな問いにすらまるで何でも無いように答えるのだ。そう、縛る事の出来る理は無い。故に、殆ど不可能という事が無い】

簡単なお話よ?とってもとっても簡単なお話
それをする方法は何個だってあるの。例えば、昔を書き換えてしまう事。あの狼が殺されてしまいそうになっていた過去を変えてしまうの
だけれど、そうね。それだときっと、あの子はあの子で無くなってしまうわ。貴女と会う未来だって変わっているのだから、貴女の事だって知らなくなってしまうの
それでは貴女の望みとは異なってしまうのでしょう?貴女が戻ってきて欲しいのはこの世界のアノ仔。貴女が前まで知っていた仔なのだものね?

【過去を書き換える――それは有り得ない力だ。まるで作家がシナリオが気にくわないからと書き直すが如く、全てを“作り替える”】
【気付けば漆黒に塗りつぶされていた世界は変わり、何処かの城内へと――柊が此処に至るまでに体験した無数の人生の中の一つへと】
【それは、敵の城で孤軍奮闘し最後は嬲られながら果てる筈だった者の人生。クスリ、と少女が笑い一冊の本を召喚し何かを呟く】
【……すると。止めを刺されるその寸前、“敵軍には不幸な事に”一匹の巨大な龍がその城を襲撃してこれから迎える筈だった運命がねじ曲がり】
【奇跡的に助かりたったその人物は、やがては国の英雄として迎えられ幸せな生涯を過ごす事となる。現代に続くその一族は今となっては多くの騎士を先導して――……】
【――パチン。指の鳴る音。そして、また城内へと場面は戻り。無残に、その人物の首が落とされ、転がり。当初の予定通りのシナリオへと再度修正され】

【狼の少女の存在その物。そして人生自体を変える行為。現在とは過去の積み重ねにあるものだ。故に、過去を無かった事にしてしまえば“今”に通じる事は無くなるだろう】
【櫻の少女と出会うその機会が消えるかもしれない。それ以前に、今の彼女を彼女たらしめる経験が全て別な物へと変わっているかも知れない】
【結局、問題の分岐路を無事に回避出来てもまた新たな分岐路が生まれる。下手をすれば命を落としかねないようなものだって中にはあるのだろう】


何かを守る為に、誰かを傷付けてしまっても構わない。それって、とっても身勝手な考えよね?たった一つを守る為だけに沢山の“仲間”を殺してしまうのでしょう?
どんな気分なのかしら。後悔?苦痛?それとも悲しいの?……ああ、きっとそんなのは的外れかしら
今回も守る事が出来て良かったという安心。それでも、貴女が守る為に斬れば斬る程どんどんと自分を追い詰めて居るの。貴女が斬れば斬る程に危険だと思われてしまうから

そんな身勝手な人間は悪魔となーんにも変わらないの。だから、悪魔と人間なんてよっぽど似た者同士でオトモダチになりやすいのよ
人間が悪魔になるのは簡単な事。だって、沢山殺してしまうだけで貴女達の世界では悪魔なんて簡単に呼ばれるのだもの

【再び、本を指先で撫でながら何かを呟けば――少女の腕の痛みすらも“無かった事”になる】
【それは治癒とは異なり、過去の改竄。そうともなれば、打撃を受けた筈だった記憶も少しずつ変わっていくのだから奇妙な感覚を受けようか】
【まるで打撃を受けた/受けない記憶の二つを併せ持つかの様な何とも言えない感覚であろうが……やがてそれだって違和感が無くなる筈だ】

514 名無しさん :2018/08/13(月) 16:28:08 ID:PYq7bHtM0
>>510-512
――――ふふ。ごめんなさい、お話が逸れてしまったわね。ごめんなさい
あの“衝動を媒介にして”貴女を悪魔にするの。人を殺したくて殺したくて堪らない、殺すのがとっても楽しくて仕方ない。そんな人間はもう人間じゃ無いでしょう?
アノ仔の人生のお話から悪い部分だけを切り取ってしまって、貴女の人生に張り付けてあげるだけ。本の最初にある登場人物の紹介文を少し弄る様なものよ?

それに。アノ仔は既に死ぬ事を受け入れていた。それでも、貴女はそれを拒絶したい
……ねぇ、気付いているかしら。生きたい、それはアノ仔の願いじゃ無く……自分の為に生かしたい。其れは“貴女の願い”
神様にお願いしてみても良いかも知れないけれど……本当に神様なんて居たなら、こんな目に合わされる貴女はよっぽど嫌われしまっているでしょうから……叶えて貰えるのかしらね?
人間の場所にも居られず、常に逃げ続けるだけの生活。今更落ち着ける場所なんて何処にも無いでしょう?
――別な世界を除いて、だけれど

【さも簡単に“血の衝動”を媒介にして悪魔にしてしまうなどと言うが。――いや、この悪魔にとっては実際簡単な事なのだろう】
【過去を改竄せず、衝動のみをそっくりそのまま移し替える。何も変わる事が無く、ただ変化があるとすれば狼は血への渇望が無くなり……櫻の剣士が代わりに蝕むだけだ】
【続けた言葉は、まるで言い聞かせる様に。そう、これ等は狼が直接願った事では無く……柊の“願望”では無いかと】
【それを叶える事が出来るのは神でも何でも無い。皮肉な事に、忌むべき相手。多くの善き人間を陥れてきた悪魔】
【耳元で囁くかのように、渇いた心に黒い水を染みこませていくかのように】


誰にも奪われたくないのなら、奪われる前に全てを奪うしか無い。殺しに来るのなら、その全部を殺してしまわなきゃ終わりも来ない
アノ仔は貴女に人間として生きていて欲しいから、貴女に殺される事を望んでいるの
貴女がそのままの貴女で居て欲しいために、血に飢える獣となった自分を斬り捨てて欲しがっているのよ
でも――“貴女の願いは何かしら、八攫柊”

【――問うたのは、眷族になるか否かでは無い。“八攫柊と言う少女の願い”】
【それは甘い誘いであろうか。それとも、叶える事が出来なかったはずの祈りが叶う希望だろうか】
【死ぬ定めにあった誰かを運命を変えてまで救うのが罪なのならば、それに与えられる罰は――……】
【何かを守る為に、誰かが守ろうとする何かを壊す。自分の愉悦の為に、他者を殺す。どちらも自分本位。悪魔と人間なんて、そう変わらない】
【その問いに対して、悪魔に近い答えを返したならば――……何処からか湧いて出来た無数の狼が、櫻の少女に向かって牙を剥く】
【抗っても良い。無抵抗に身を任せても良い。何であっても、其れは肉体を傷付ける事は無いのだから】
【獣が喰らうのは、少女が今までに培ってきた人間性。理性。善意。与えるのは、悪魔としての理。そして――悪魔、と言う種族以外に対しての血に飢える衝動】

515 ◆wEoK9CQdXQ :2018/09/08(土) 17:28:27 ID:9AImRqzs0
>>513-514

【簡単なことだ、と。その言葉は、悪魔の少女にはきっと事実でしかなかったのだろう】
【目の前で書き換えられる結末と、再びなぞられる筋書きは、まるで紙の上に綴られる物語のように】
【指先で全てが変わるだけの、薄紙のような軽さを思わせて。何もかも零れ落ちてしまう結末が、あまりに容易く想像できてしまう】

【けれど、その一生を生きるものにはそれが全てで――――、】

【……だから、逃げ場なんてどこにもなかった。足場すらも覚束ないこの悪夢の涯てが、自分があれる、ただひとつの現実】
【涙に濡れて揺れる瞳は、弱りきりながら繊細な造形の口許を引き結ばせて。激しい葛藤に心を裂かれながら、本当に映したいものから、目を逸らすことはなく】


……わたし、は――――

【吐息ひとつ、万感の痛苦と、愛しさと。引き絞る様に、願いを零した】

……あの子が、いつか幸せになれる世界がほしい。
今もあの子を呪う運命も、あの子を傷つける野獣たちも……ヒトの世界の理さえも。
全部、この躰に取り込んででも、痛みだらけの世界から連れ去りたい……――――

もしもひとときの苦しさがあったとしても……その闇の先で笑えるように。
忘れられてでも、拭えるように――――――――

……そのためなら。
怪物になるのも、もう人でいられなくなるのも――――なにひとつ、恐れることすら、私には、出来ないのよ……――――。

【ひとりを想うこと。そして、誰に繰り返させることも許さないこと。自分の存在すら必要としないから、抱く願いのさきに、この少女はいない】
【忌まわしい過ちだとしても、心の底から願ってしまう。“人でいてほしい”という狼の少女の想いと相反するような、けれど、全く同じ相克の願いを。】
【……そうして。都合のいい夢想に金のノイズが混じるように、どこまでもどこまでもあの願いが消えない――――】
【そんな自分自身のまま、己が身に迫る牙の群れを、その肌へと溶け込ませた】

――――……あ、は……ッ――――!

【苦しみごと脳髄が痺れ、意識が混濁する。衝動に心を蝕まれる感覚はどこか甘く。笑うような妖艶な音色をたてて、肺腑から呼気が漏れた】
【深紅と橡色が混じりあう。けれど断ち切る様に淡い光を横切る、泡の様なゆらめきが瞳を混じり気のない黒に染める。狼は、無抵抗なその身を貪って】

516 ◆wEoK9CQdXQ :2018/09/08(土) 17:28:52 ID:9AImRqzs0
>>513-514

【全てを包む様な夜。穢し尽くされる白い肢体がうち震え、心の内奥までも冒され溺れる様、華奢な躰がもがく】
【肌を破られる、鮮血の幻視は開花に似て。牙は確かに打ち込まれ、ずたずたに引き裂けた心が、揺蕩う黒を充たされていった】
【この闇へと同化したかの様に、剣の少女の輪郭が朧になる。俯き、揺らめき……上げるのは昏く、悔いるような、悦ぶような、声】

……ああ、きっと――――……こんなものを、誰も受け入れるべきじゃなかったんだわ。
……誰かが肯定してしまったから
苦しむまま、誰かを救おうとする人が、どこまでもまた、別の誰かの嘆きを連ね続けて……――――

“私みたいなものに、大切ななにかを壊されてしまう”――――
……でも、構わない

奪わなければ、奪われてしまうだけだもの。
なくなるのが、誰かの願いや歓びだとしても……守りたいものだなんていえないものね……――――?

【紡ぐ言葉は、黒く堕ちた望みに心を明け渡したかの様で。他者に災いを撒くことを、もう、拒みきることは出来ない】

【だが――この現象は何だ? 鋭い害意が、確かに観測しているはずの“悪魔でないだれか”ではなく、打ち寄せる波のよう、触れるものを突き刺し、苛む】
【理性が削れない。善性が、微塵も失われないまま闇を膨れ上がらせる。殺到する狼たちが、確かに衝動で少女の自我を冒しながら、その内へと消えていく】
【口許には釉を塗り込めた様な欠けの無い笑みを浮かべて、自分自身としての言葉を、遂に、柊は口にする】


……だって――――

最後には、必ず殺させようというのでしょう?
それは、私には余計なものでしかない……――――姿形も願いすらもないただの悪意なんて、拾い上げたかった命の産物ですらない……!

【悪意が向く先は、悪魔の少女。大切なものを殺させようとするかの様な悲劇への誘いを、呪うがごとく嗤う】
【少女は、〝奪われている〟のではなかった。悪魔という存在の理、同種以外への殺戮衝動、他者の構成要素を貪る牙――】
【すべて諸共に〝奪い取る〟】
【……だからこそ、ただ邪な囁きに従ったなら辿る結末もまた。ひどく鮮明に、脳裏に思い描けてしまうのだ】
【衝動を己に移そうと、過去は過去。この手で守り続けることが求められる限り、死の影は彼女らへと絶えず追いすがる】

【そうして外敵は押し寄せ続け、櫻の少女は心を失い続けて――――結果として現出するのは、何より守りたい、大切なひとりを苛み続ける地獄の具現】
【そして受けた牙より理解した性質は、心を置き換える様に獣の衝動を増すもの――――……やがて到る未来は、きっと見え透いていて】

517 ◆wEoK9CQdXQ :2018/09/08(土) 17:29:44 ID:9AImRqzs0
>>513-514

【……ならば。狼の少女が拒んだ、最悪の未来の焼き直しを許容する理由がなかった】
【魔へと言葉にした想いそのまま、心を手放さず、何一つ委ねずに堕ちることさえも選べる。】
【それを、己が邪悪を以て証さんとする様に】
【自我を食い千切る魔狼の顎門を、心の輪郭を保ったまま、一つとて逃さず己が内へと取り込み続ける。魔へと変容し、八攫柊を構成するすべてを、この飛翔へと擲った】

【其は、捕食。其は、完成。地獄の熱に焦がされながら、剣打つものに連なる血脈は、裔たる剣自身を真なる兇器へとつくり変える】
【纏わりつく闇を己が衝動で絡め取って、異端の剣が新生する。金の翼は骸となって、夜天さえも蝕む無形の翼を虚空に拡げた】
【光と影の終わりを此処に。けれど、なおも金の灯を零しながら勇壮に、終わりゆく焔が闇に迸り――――】

誘いは要らない。
堕ちることにも、振り下ろす兇器の描く軌道にも……私の意志ひとつがあればいい――

痛みと嘆きの物語を読み進めることが唯一の望みなら……ただ、頁を捲りながら見詰めていなさい

……私は――――獣たちの運命を断つためにこそ、この墜落の未来(さき)に理想を布く‼
それが私の答えだ。この心を支える熱がある限り、願う誰かがいる限り――――勝利も罪も、敗北さえも……何一つとしてあなたに譲りはしないッ‼

安い悲劇になってあげられるほどに、私も彼女も、代えの利く生涯(いのち)でなんてあるはずがないのよ――――――――‼

【宣戦の言葉は、高らかに常闇の領域に響き渡った。ひとを守るためにこそ生きた、ひとりの少女の人格の、きっと最後になる暁光と焔】

【その眸は標的となった魔の少女を完全に捕捉し、世界規模にまで拡大された闇黒の刀刃を以て、この異界をも斬り裂き帰還しようとするだろう】
【だが対峙する彼女もまた、遍く理を蹂躙する極限の魔】
【ゆえ死の刃が狙うのは討滅でなく、斬り裂くその僅かな断片を己が内へ取り込むこと。理があるならば侵食し、理すらない存在ならば異界もろとも貪り、呑み尽くす】
【自壊寸前のその在り様は、ただ願いを遂げるまでの時を求めるようで。その先で……また、己が命とさえ呼べる、やさしい狼に逢えたなら――――】
【滅ぼしあう理由は消えたのか。それとも“奪われる”過程を歪めたために、狼の少女に、衝動を残していただろうか】

【どちらでも構わなかった――――どれだけの苦難や絶望が待ち受けたとしても、柊は、もう、諦めるつもりなんて微塵もなかったから。】

【砕けゆく五感に、“人”としての最後の願いを託しながら。ふたつの想いを束ねた清冽な声は、欠け落ちてゆく身を、一振りの刃と成して果てなき距離を裂いた】

518 名無しさん :2018/09/15(土) 23:00:35 ID:PYq7bHtM0
>>515-517
【“衝動”が僅かにでも身体を穢したならば、其れを抑える事がどれ程に困難であるかは理解出来よう】
【極限の空腹の中、目の前に肉があるならば喰らいたくなるに等しい事。決して満たされない飢餓ならば、どれだけの命があっても足りない事】
【……それ故、あの狼が少女を喰らいたい、然れど其れを抑制していた事がどれ程までに苦痛であった事か】
【一番大事な存在だからこそ、これ以上に無い極上の獲物として。自害する事を本能が許さなかった。喰らえ、喰らい尽くせと其ればかりが脳裏を埋めていく】
【――もしかすれば、呪いが共有されるが故の記憶の繋がりか。そんな事が、牙を突きつけられる度に鮮明に見えるだろうか】

【悪魔は――少女の理を裂く様な刃を見て、悪魔は楽しそうに口元を歪めてみせた】
【無駄に抗うからでは無い。人間らしく希望を見出すからでも無い。明ける事の無い夜を必死に生き抜こうとするからこそ】
【自身の為では無く、誰かの為に生きるのならば。その“誰か”を何度も殺してしまえば少女を何度も殺めるに等しいのだろうか】
【そうして心を折っていき、従順な下僕に仕立て上げる事だって幾度と行ってきた。それならば――……嗚呼、良い事が一つあった】


「どうかしら?それは貴女次第よ?そう、貴女次第
もしかしたら直ぐに殺したくなってしまうのかも知れない。そうじゃ無いなら、デザートの様に後でじっくりじっくり食べたくなってしまうのかもしれないわ
貴女にとって大事な友達を自分のものだけにしたいから自由を奪ってしまう事だって

――――……私はページを捲ってお話を読むだけ
何も知らず、何も見えず、何も聞こえなかった方が幸せだったと知った貴女のお話を眺めるだけよ?
だけれど……そう、ねぇ……貴女は結局何も守れず、全てに絶望しながら死んでいってしまう。そんなお話も楽しそうね
だから、八攫柊。――“また”会いましょう?貴女が自分自身に塗りつぶされていなければだけれど」

【まるで神を名乗るかのような――……いや、人智を遙かに凌駕した存在は須く神であろう。それが例え邪神であったとしても】
【少女は角を生やした女性へと姿を変え、まるでその刃すら“無かった事”にするかの様に世界を――理を捻曲げんとするが】
【途中でそれを止め、自ら斬られるかの様に放棄して】

【……少女の考えは正しかったのだろう。或いは、この悪魔には人間の考える死は無いのだろうか】
【刃は抵抗も無く悪魔を断ち、霧散させる事に成功する事だろう。同時に、残った悪魔の僅かな一滴血液すらも吸収しようとするのなら――其れは、余りにも強い毒の様】
【“純粋な人間であったなら”自身の存在そのものが消え去ってしまうほどには。だけれど、人間と異なる種族――悪魔に近い種ならば耐える事は可能だ】
【尤も、それであっても幻覚に犯されたり自身の声で悪意を促す言葉が脳裏に響きはするが……“この空間からの脱出”をするのに必要な力を得る事は出来る】



【さて。あの空間から抜け出したならば――もう、現実の世界に悪魔の姿は無く】
【狼はと言えば、まるで糸が切れた人形の様に倒れているのだろう。脈がある事からまだ生きている事は確かな様だけれど】
【街一つを破壊したその反動か、それとも呪いが自身の身体すらも滅ぼし始めたか】
【抱き抱えでもしてやれば、無意識ながらも安心した様に頭を寄せるのだろう。血に飢える其れが無くなったのかは分からない。だけれど、その姿は以前の姿と変わり無く】
【血に濡れている事を除けば、大好きな友人の側で眠る少女以外の何でも無かった】

【――……遠くから聞こえて来るのは多くの人々の声。恐らくは援軍で在ろう】
【最初に投入した其れ等が壊滅した事から、より高性能な装備と共に多くの能力者達で構成された一団。無論、悪しき狼を殺害する為だけに投入された部隊】
【それが対象が昏睡していようが、無力化されていようが構わずに殺し掛かる事だろう】
【或いは、数多くの命を奪った者の見せしめとして嬲られるか】

【決して叶わない説得をするか、見つかる事を覚悟で狼の少女をかかえて逃げるか。――それとも、全てを叩き伏せるか】
【若しくは一人で逃げる事だって。何であろうと残された時間は少ない。明るい未来が待つのかさえも分からず】
【それでも藻掻くのだとするのならば、きっとあの悪魔は何処かで楽しそうに眺めて居るのだろう】
【刹那の安らぎのために生き続ける。決して拓けない未来を求め続ける。――隊長格の人物による号令。仲間達の仇、と隠される事の無い無数の殺意。何であっても、この世界はきっと優しくは無い】

519 名無しさん :2018/09/15(土) 23:01:56 ID:PYq7bHtM0
>>515-517
―――
――

「ふふん。どうかしらっ!今度のコ○ケに当選したからコレを作ったのよ!今の時代はただのバトルものよりもこういった暗いお話が受けるのっ!
親友同士の殺し合い、報われない願い……そう、ハッピーエンドに飽きた人達は不幸なお話を求めてるのよ!
そうね……今なら貴女達を特別に売り子として雇ってあげても良いわよ?
私の売り子なんて凄く人気なんだから、光栄に思って欲しいものね!」

【場面は移り変わり、とある学園】
【所謂放課後の時間、八攫柊とヨハンは中等部のアリスに誘われ――或いは強制的に引っ張られ――部員が少ない……と、言うよりも。アリスと他数人しか所属していない“漫画部”に呼ばれていた】
【「特別に読ませてあげるから、感想を言いなさいっ!」なんて得意げに渡してきたのは今までの殺伐とした内容が書かれた漫画。絵は万人受けする様な其れで、コマ割もプロと読んでも遜色ない程】
【但し……登場人物のモデルが、其れなのだ。明らかに二人……否、作者本人を含めて三人】
【さあ褒め称えろ、と言わんばかりに偉そうに腕組みをしながら丁度読み終わった二人に言葉を掛けたので在る】
【――対してヨハンと呼ばれる少女は“パァンッッッ!!!”とその冊子を机に叩き付けて】


『ぜっっっっったい、ダメっっっっ!!!ボクはまだしも、柊が可哀想な事になるのはダメ!!!
大体にして何でボク達がモデルなのさ――え、他人の空似?嘘でしょ、名前だって思いっきり同じだよ!!
って言うか何コレ、どう見てもエヴァンゲ○オンの補食シーンのパクリでしょ!』

「ギャンギャン五月蠅いのよ馬鹿犬っ!アンタは全然ニーズを分かって無いんだから黙ってて!
エロティック、バイオレンス、ダークな雰囲気……これが今求められているのよ!
ちょっと柊、貴女からもこの駄犬に何か言ってよ!貴女ならこの良さが分かるわよねっ?!」

『な……っ!柊だってコレはダメだよね?!』

【ひたすら抗議の声を上げる少女に、それに対して真っ向から反論する少女】
【バチバチと目線をぶつけて、それ所か頬を引っ張り合ったりしていたのだが……二人の視線が同時にもう一人の少女へと向けられ、ずいっと距離を詰めて】
【一人はこの内容は素晴らしいだろうと。もう一人はコレは絶対にダメだと】
【そんな真逆の意見に挟まれれば迷惑だろうけれど、この論争を終えるには少女の意見が鍵である事も間違い無く】


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