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('A`)ドクオは凄腕ハンターのようです
1
:
名も無きAAのようです
:2015/11/22(日) 17:30:33 ID:z4hc9iRU0
('A`)
ウツタ・ドクオは、間違いなく最強のハンターであった。
数々の大魔法を使いこなし、剣捌きも並のものでは目で追うすらかなわないだろう。
頭脳も明晰で、体術も国一番と言われる。最近は錬金術に手を出し始めた。
所属する王国からは何度も表彰され、確か先月も国の危機を救った。
それでも尚、国の依頼のみを受ける正式な騎士ではなく、誰からの依頼も分け隔てなく受ける一般ハンターとして生きることを決めた謙虚さもあった。
彼は、今日も魔物と戦う。
2
:
名も無きAAのようです
:2015/11/22(日) 17:31:48 ID:z4hc9iRU0
1.火竜
(;'A`)「まずい…まずいぞ…」
ウツタ・ドクオは、悩んでいた。
今日の敵は、火竜が二体。
つがいであろうこれらが、国の近くの山に巣を作ろうとしていた為の依頼であった。
しかし、悩みの種はそれではない。
(;'A`)「鍵…かけたっけ…」
彼は、家の鍵をかけ忘れていたかもしれなかった。
水と氷の魔法を巧みに使い、火炎の息を消し去りながら考える。
今この場で確認に帰ることはできるのか。
否、できない。
ここで王国に帰れば、怒り狂った火竜を二体も連れ帰ることになる。
一人でなら何ともないが、流石に建物や市民の完全な安全までは保証できない。
3
:
名も無きAAのようです
:2015/11/22(日) 17:33:19 ID:z4hc9iRU0
自慢ではないが、彼は金持ちだった。
というか、ハンター稼業を極めるにつれ、自然と金は貯まっていた。
それでいて、彼は召使いやメイドなどは雇っていない。
彼は一人が好きだった。
決して人との会話が苦手だからではない。
彼は、一人の時間が好きなのだった。
そう言い張っている。
そんなドクオの家が空いていれば、空き巣が入るのは最早必定。
そして、調べに来た警察に家の中を見られるのも必定。
(;'A`)「金は…金はどうでもいいんだ!」
雄の火竜にひときわ大きな斬撃を見舞う。
咆哮が上がる。
主な心配は別にあった。
(;'A`)「俺の嫁たちさえバレなければ!」
家には、たくさんのフィギュアがある。
名高い職人たちが精魂込めて作った、フィギュア。
しかも、「魔物っ娘」という割と特殊なジャンルの、ちょっとだけえっちな、フィギュア。
これらを見られる訳にはいかなかった。
ちなみに一番のお気に入りは、まさに目の前にいる、火竜を模した子である。
何というか、強気な感じがよいのであった。
さらにこう、赤い髪とかも、割と好みであった。
4
:
名も無きAAのようです
:2015/11/22(日) 17:33:25 ID:A/dY4I360
凄腕ハンターの悩みちっさwwwww
支援
5
:
名も無きAAのようです
:2015/11/22(日) 17:34:05 ID:A/dY4I360
いや大きかったわ
6
:
名も無きAAのようです
:2015/11/22(日) 17:35:32 ID:z4hc9iRU0
彼はモンスターハンターである。
たくさんの魔物を倒してきた。
そんな彼が、そんなフィギュアを持っていると知れたらどうなるか。
あいつやべーぞ、とか。
まー怖いわ、とか。
倒錯している、とか。
これだからオタクは、とか。
そう思われる危険性は十分にあった。
警察にマークされることすらあり得た。
彼がハンターだというだけで!
女の子が、ほんのちょっと、ちょっとだけえっちなポーズをしているというだけで!
パンツが見えている、ただそれだけで、である!!
(;'A`)「こんな世の中…間違ってる!!」
魔法で氷の大槍を撃ち込みながら世の中を呪うが、問題解決を優先させるべきだと思い出し、冷静になる。
作戦は、一つだけあった。
(;'A`)「『デコイドール』!!『ディフェンド』ッ!!」
敵の気をひく分身を作り出し、それを限界まで強化して丈夫にする。
(;'A`)「『スピード』!!」
さらに、彼の脚力を強化する。
準備は整った。
迷う暇はない。
(;'A`)「急げっ!!!」
竜巻のような速さで、彼は戦場から逃げ出した。
7
:
名も無きAAのようです
:2015/11/22(日) 17:37:22 ID:z4hc9iRU0
疾風の速度で山を降り、森を抜け、街へと走る。
門番には忘れ物をしたと言い、およそ五分で自宅へとたどり着いた。
奇跡的なタイムだ。
(;'A`)「……!!!」
肩で息をする彼が見たものは、絶望だった。
家の前の人だかり。
国の警察が誰かと話をしている。
やはり、泥棒が入ったのだ…。
そのうちの一人が、ドクオに気付いて近づいてきた。
(;`・ω・´)「あ、ウツタさん、ご苦労様です。あのですね、どうやらお宅に泥棒が入ったようでして…中の確認をしてほしいのです。私も入らせて頂きますが、よろしいですか」
(;'A`)「あ、は、はい」
よろしくない。
入ってほしくはない。
自室だけは見られたくない。
しかし、時間がない。
魔力で伝わる分身の体力は、どんどん減ってきている。
勇気を出して家に踏み込み、中を改める。
予想通り、金庫はない。
金など盗まれようが構わない。もっと大事なものがある。
荒らされたリビングを踏みこえ、自室に入る。
8
:
名も無きAAのようです
:2015/11/22(日) 17:39:19 ID:z4hc9iRU0
(;`・ω・´)「あー…ここもひどく荒らされてますね」
('A`)
なかった。
('A`)
部屋の棚は、かつて黄金など足下にも及ばぬ価値の者たちが並んでいた棚は、今や空っぽだった。
(;`・ω・´)「ウツタさん…?やっぱり、大事な研究書とかもあったのでしょうが、どうか、お気を確かに…」
これなら、この人に見られて広まった方がどんなに良かったか。
彼女らの安全に代えられるものなど、なかった筈なのに。
('A`)
(;`・ω・´)「ウツタさん?大丈夫ですか!?ウツタさーん!?」
空虚だけが頭を支配している。
何も、考えられなかった。
9
:
名も無きAAのようです
:2015/11/22(日) 17:40:22 ID:z4hc9iRU0
.
('A`)
そこから先は、よく憶えていない。
気付いたら火竜の目の前にいて、気付いたらそれを倒していて、気付いたら被害に関する書類を書いていた、気がする。
('A`)
書類に、彼女らのことは書かなかった。
他の男(かどうかは知らないが)の手を知った上で帰ってきても、それを愛することはできないだろう。
ただ、哀しかった。
10
:
名も無きAAのようです
:2015/11/22(日) 17:41:08 ID:z4hc9iRU0
書類を提出し、魔物退治の報酬を受け取り、荒れた家に帰ってくる。
('A`)「…?」
ポストにチラシが入っていた。
ただのチラシなら見もしないが、その時の彼の目に何かが見えた。
『隠れた人気を誇る、魔物っ娘フィギュア!ついにver.2(30種)発売決定!!ご予約は…』
('A`)
('A`)
('∀`)
心に一筋、光が射した。
11
:
名も無きAAのようです
:2015/11/22(日) 17:41:56 ID:z4hc9iRU0
とりあえずおわり
続く予定
12
:
名も無きAAのようです
:2015/11/22(日) 17:47:31 ID:1kKrNfqw0
なんだこれwwwww
13
:
名も無きAAのようです
:2015/11/22(日) 17:52:21 ID:A/dY4I360
本格バトルものか何かと思ったら、オタクものだったでござる
14
:
名も無きAAのようです
:2015/11/22(日) 18:27:44 ID:kgH6ir.A0
チートレベルなのに所帯染みた悩みばかりで好感が持てる
続き期待
15
:
名も無きAAのようです
:2015/11/22(日) 19:54:00 ID:HA8wZajw0
くっそなんだこれwwwww
期待してる!!頑張ってください!!
16
:
名も無きAAのようです
:2015/11/22(日) 20:09:43 ID:2RTrU6yI0
乙w好きな感じだ…
17
:
名も無きAAのようです
:2015/11/22(日) 20:19:37 ID:3oZzkI3c0
単芝とか久しぶりに見たわ
18
:
名も無きAAのようです
:2015/11/22(日) 21:32:15 ID:2h1rl2MU0
2.メイド
(;'A`)
ウツタ・ドクオは迷っていた。
かれこれ十五分は、とある人通りの少ない店の前で迷っていた。
ここは、人材の斡旋所である。
彼自身は、ここに世話になる必要はない。
先日の空き巣事件以来、やっぱメイドか何かが要るかもしれない、と強く思うようになったのだ。
(;'A`)
しかし、彼は不安だった。
お世辞にもイケメンは愚かフツメンとも言えない顔、下手くそな会話で、さらに人に言えない趣味。
少なくとも、好かれるとは思わない。
それだけではない。
そんな彼がメイドなど雇って、周りからも変質者扱いされることは間違いないと思っていた。
メイドとあんなことするんだろ、とか。
そんな度胸ないのに。
しかしともかく、家の番は要る。
もう、愛するものを失う痛みは感じたくなかった。
(;'A`)「…!」
覚悟を、決めた。
さながら、初陣に発つような心地で店に入った。
19
:
名も無きAAのようです
:2015/11/22(日) 21:33:20 ID:2h1rl2MU0
(-@∀@)「いらっしゃい」
眼鏡をかけた、物腰柔らかな店番。
年齢は自分より少し上だろうか。
小さい店だし、店主かもしれない。
(;'A`)「あ、あ、 あのっ、」
(-@∀@)「メイドの斡旋ですね?」
まだ何も言っていないのに、当てられた。
(;'A`)「え、あ、分かる…んですか」
(-@∀@)「そりゃもう、有名人じゃないですか。ウツタ・ドクオさん。大きな家に一人暮らしなのも知ってます」
確かに家は、一人暮らしにしてはそこそこ大きい。
というか、一人で贅沢してもバチは当たらんだろ、と思い切って一軒家にした。
(-@∀@)「噂によると空き巣も入っちゃったみたいですし、もう来るかなと」
なんという洞察。
なんという慧眼。
ドクオは心底驚いた。
そんなに驚くことではないのだが、彼は彼自身の名声をよく知らなかった。
街中には、必要なときの買い物ぐらいにしか出ないのだ。
20
:
名も無きAAのようです
:2015/11/22(日) 21:34:12 ID:2h1rl2MU0
(-@∀@)「じゃ、メイドですね。なにかこう、注文とかはございますかね? 条件に合うのを見繕いますよ」
(;'A`)「あっあの、こう、気に、気にしない人がいいな、と…」
(-@∀@)「気にしない?」
('A`)「いや、自分、こんなんですし…その…」
(-@∀@)「魅力的だとおもいますけどねー、頭もいいし、強いし謙虚。騎士より市民の味方!って感じの評判ですよ、ドクオさん」
(;'A`)「あ、そんな…あくまで評判っていうか…」
彼が謙虚だという評判は確かにあった。
どんな依頼も断らず、危険をかえりみず魔物を倒す。
が、それは単に断りきれない性格故だった。
しかし、それでも騎士にならないかという誘いをどうにか断っているのは、騎士の連中の体育会系っぽさに合わないと思っているからだ。
暇があれば引きこもって研究に没頭しているのも、人に会わなくていいからだった。
実際、よく会う人(門番など)に「性格さえ普通なら完璧なのに」と言われているのだが、彼はそれを知らない。
知らない方がいい。
21
:
名も無きAAのようです
:2015/11/22(日) 21:35:21 ID:2h1rl2MU0
(-@∀@)「…ま、大丈夫ですよ。雇い主を選ぶようなメイドは、メイド失格ですからね」
(;'A`)「は、はい」
店長は手元の本を開く。
登録されているメイドの情報でも載っているのだろうか。
ぱらぱらと繰って、とあるページで止めた。
(-@∀@)「じゃあ、明日あたりに向かわせます。明日一日様子見て、それから決めましょう」
(;'A`)「あ、ありがとう、ございます」
彼は内心、心躍っていた。
無理もない。
メイドである。
ワクワクしない男性はいなかろう。
家への帰り途、彼は知らず笑顔だった。
22
:
名も無きAAのようです
:2015/11/22(日) 21:36:16 ID:2h1rl2MU0
翌日。
(゜д゜@「あらやだ!!男の人の家って皆こんなんなのかしら!!」
('A`)
(゜д゜@「ちゃんと食べてるの!?仕事が仕事なんだから食べないと!ね!!」
('A`)
(゜д゜@「あっらァ〜〜〜……アンタ、こんな本も……あっらまァ〜〜〜〜〜〜〜お人形さんまで………」
('A`)
(゜д゜*@「やだ…男の人って皆こうなのね…」
('A`)
かくして、希望は撃ち砕かれた。
23
:
名も無きAAのようです
:2015/11/22(日) 21:36:44 ID:A/dY4I360
ここで執事とかじゃなくてメイドを選ぶのがドックンだな
24
:
名も無きAAのようです
:2015/11/22(日) 21:37:24 ID:A/dY4I360
って、あらやだかよ
25
:
名も無きAAのようです
:2015/11/22(日) 21:38:08 ID:2h1rl2MU0
翌日、彼は斡旋所に駆け込み、全てを話した。
もっと若い子がいい。
さらに言うと可愛い子がいい。
仕事っていうか癒しを求めてのメイドが欲しい、等々。
自分の心の内を、正直に話すなどいつ以来だろうか。
一時間三十分にもわたる心情の吐露を、店長は全てを受け入れる表情で聞いてくれていた。
気づけば、涙が流れていた。
(-@∀@)「ーーーなるほど」
('A`)「すみません…なんか…取り乱しました…」
(-@∀@)「いいんです。お気持ちはよぉく、分かります。実は、僕がこの商売をはじめたのも、たくさんのメイドを見たかったからなんですから」
('A`)「…でも…」
(-@∀@)「そう、現実ではメイドなんてオバサンばっかです。たまにいる若い子に癒されながらの仕事ですよ」
(-@∀@)「こんなこと普通、人には話せませんがね」
互いに心を打ち明けたことにより、今ここに、奇妙な友情が生まれていた。
店長は、再び本を開く。
(-@∀@)「一人だけ、若い子がいます。…お世辞にも仕事ができるとは言えない、見習いです。それでもよければ」
ドクオは、頷いた。
26
:
名も無きAAのようです
:2015/11/22(日) 21:40:08 ID:2h1rl2MU0
翌朝
ノパ⊿゚)「おはようございますッ!!!!」
(;'A`)「お、おはざス…」
ノパ⊿゚)「今日からお世話になります!スナオ・ヒートです!!よろしくお願いします!!」
(;'A`)「お、お、お願いします…」
ノパ⊿゚)「こんな私を雇ってくれてありがとうございます!!!」
(;'A`)「え…?」
ーーーーーー
ノハ;゚⊿゚)「あぁ!!すみません、皿割りました!また!!」
(;'A`)「えっ、今のラス1だけど…」
ーーーーーー
ノハ;゚⊿゚)「サーセン!!セーターめっちゃ縮みました!!」
(;'A`)「えっ、これからの外出どうすんの…?」
27
:
名も無きAAのようです
:2015/11/22(日) 21:40:53 ID:2h1rl2MU0
ノハ*゚⊿゚)「ご主人様!」
(;'A`)「な、なに…?」
ノハ*゚⊿゚)「今日のゴハン、すっごくおいしくできましたッ!!!」
(*'A`)
ーーーこうして、彼の家は少しだけ、賑やかになった…。
28
:
名も無きAAのようです
:2015/11/22(日) 21:41:34 ID:2h1rl2MU0
(-@∀@)「やっぱさぁ、『ご主人様』って呼ぶのを徹底した僕は正しかったと思うんよ…」
('A`)「偉大だわ…」
ーーーあと、初めての友達もできた…。
29
:
名も無きAAのようです
:2015/11/22(日) 21:42:15 ID:2h1rl2MU0
よかったね
30
:
名も無きAAのようです
:2015/11/22(日) 21:43:33 ID:w6O1RJDQ0
良かったなドクオ
31
:
名も無きAAのようです
:2015/11/22(日) 21:58:17 ID:1kKrNfqw0
よかったなあ
32
:
名も無きAAのようです
:2015/11/22(日) 21:58:57 ID:A/dY4I360
良かったなー
33
:
名も無きAAのようです
:2015/11/22(日) 21:59:38 ID:DCY7weBM0
アサピー…www
34
:
名も無きAAのようです
:2015/11/22(日) 22:23:21 ID:TW8gmxuc0
いいねっ!
35
:
名も無きAAのようです
:2015/11/22(日) 22:40:03 ID:HA8wZajw0
なんて良い話なんだ……
36
:
名も無きAAのようです
:2015/11/22(日) 23:26:11 ID:2h1rl2MU0
3.ヘルウルフ
(;'A`)「ぐはぁッ!!」
凄腕ハンター、ウツタ・ドクオは、苦戦を強いられていた。
今回の依頼の相手は、ヘルウルフ。
ただただ大きな、狼である。
本来の彼にとって、こんなものは敵ではない。
(;'A`)「くそ…!」
この魔物を相手にするときは、動き回って的を絞らせないようにするのが定石。
しかし、今日の彼は一点から動かない。
それは何故か。
37
:
名も無きAAのようです
:2015/11/22(日) 23:27:08 ID:2h1rl2MU0
(;'A`)「おまえだけは…俺が護るから…!」
. _ ∩
レヘヽ| |
(・x・) ?
c( uu}
うさぎがいるのだ!
しかも逃げない!この状況で!この状況なのに!!
子うさぎ!すっごい可愛い!!
(;'A`)「たあッ!!」
常時うさぎを背にしながら戦うのは、彼にとって初めてであった。
しかし、絶対にこの場所は動けない。退けない。
今この場で、戦いの中に、一つの無辜の命が懸かっているのだ。
いつも一人で戦う彼にとって、これは大きなプレッシャーだった。
38
:
名も無きAAのようです
:2015/11/22(日) 23:29:16 ID:2h1rl2MU0
(;'A`)「…」
彼は、ハンターである。
自然の摂理は分かっているつもりだ。
食うもの、食われるもの、その連鎖の関係があるのはとうに承知。
この状況下で逃げないうさぎに、自然界で生きていく権利がないことも、とうに承知。
(;'A`)「でも…」
(;'A`)「それでも、ここは退けない…!」
彼には、理屈だけで一つの命を見捨てることはできなかった。
今この瞬間、この瞬間だけは、自然界の掟に逆らうことを決めた。
(;'A`)「退けないんだッ!!!」
孤独な叛逆者の咆哮は、暗い森に響き渡った。
余談ではあるが、彼は戦闘中は割と喋る方である。
39
:
名も無きAAのようです
:2015/11/22(日) 23:30:36 ID:2h1rl2MU0
そんな彼に、さらなる災難が降りかかる。
視界の端に、何かが見えた。
二体目のヘルウルフだ。
(;'A`)「嘘だろ!二体いるなんて聞いてないぞ!」
そもそもおかしかったのだ。
依頼に来たのがヨボヨボのおばあちゃんだった時点で、情報の正確さは疑うべきだったのだ。
(;'A`)「何が『ここじゃないと山菜とれんから』だ!!買えよ!!!!」
彼の叫びは、依頼主には届かない。
今頃犬の散歩でもしているのだろうか。
孫と楽しく話しているかもしれない。
狼の魔手がうさぎに迫るのを、間一髪魔法で牽制する。
範囲魔法は使えない。
このうさぎを巻き込む可能性もあるし、さらに言えば、うさぎが一羽とは限らないからだ。
狼を倒しても、その後焼きうさぎを一羽でも見つけてしまえば、その時点で彼の中では任務失敗である。
(;'A`)「そらァ!」
狼に向け剣を振る。
軽いステップで避けた狼は、結果的にドクオから離れた。
その隙を逃す彼ではない。
('A`)「燃えろ!『スナイプバーン』!!」
対象のみがピンポイントで燃え上がる、高位の火炎魔法。
熱さにのたうちまわる狼は、じきに動かなくなるだろう。
('A`)「まずは一体!」
40
:
名も無きAAのようです
:2015/11/22(日) 23:31:29 ID:2h1rl2MU0
(;'A`)「…しまったッ!!」
いつの間にか、もう一体の狼がドクオの後ろに回り込んでいた。
腕を向けるが、狼はうさぎとの直線上の向こうにいる。
この一瞬で放てる攻撃魔法では、うさぎも巻き込んでしまう。
最早、一瞬の逡巡すら許されない。
(;'A`)「『防符』!!」
狼の爪がうさぎに達した瞬間、甲高い音を立てて弾かれた。
うさぎの足元に落ちている紙は、高価な魔法符。
魔法符とは、予め魔法式を書き込んでおき、ノータイムで発動できるようにした紙だ。
今回は、短時間ではあるが強固なシールドを張る魔法符を使用した。
今ここに、世界一防御力の高いうさぎが存在している訳である。
41
:
名も無きAAのようです
:2015/11/22(日) 23:32:16 ID:DCY7weBM0
ドクオ優しすぎワロタ
42
:
名も無きAAのようです
:2015/11/22(日) 23:32:29 ID:2h1rl2MU0
(#'A`)「覚悟しろ!!」
体勢を崩した狼との距離を一瞬で詰め、その口に剣を捩じ込む。
そのまま風の魔法で吹きとばし、木に激突させて止めを刺した。
(#'A`)「よっしゃ!!」
振り向き、うさぎの姿を確認する。
今ちょうどシールドが剥がれたうさぎは、見事に無傷。
無垢な目をこちらに向けていた。
(;'A`)「はぁ…疲れた…でも」
(・x・)
(*'A`)つ「無事で、よかった」
ドクオは、手を伸ばした。
これからは自分の力で生きろよ、と。
どうか強く生き残ってくれ、と、願いを込めて。
撫でることで、その願いをうさぎに伝えようとした。
43
:
名も無きAAのようです
:2015/11/22(日) 23:33:18 ID:2h1rl2MU0
(*'A`)つ
x・ )三 シュダァッ
(*'A`)つ
逃げられた。
(*'A`)つ
('A`)つ
ドクオは、しばらくその手を下ろせなかった。
急に、うさぎ如きに話しかけていた自分が馬鹿らしく感ぜられた。
しかしーーーーー
44
:
名も無きAAのようです
:2015/11/22(日) 23:34:18 ID:2h1rl2MU0
('A`)「まあ、いいか」
ーーー彼は、どこか満足げな表情をしていた。
.
45
:
名も無きAAのようです
:2015/11/22(日) 23:35:05 ID:2h1rl2MU0
兎ではなく、ウサギでもなく、うさぎ。これ大事。
46
:
名も無きAAのようです
:2015/11/22(日) 23:39:33 ID:HWU5JzTM0
世界一硬いうさぎ…バニーラか幽鬼かな?
47
:
名も無きAAのようです
:2015/11/22(日) 23:50:38 ID:NkCyjZL60
自然は厳しいなあ
48
:
名も無きAAのようです
:2015/11/22(日) 23:53:30 ID:3oZzkI3c0
自演臭い件
49
:
名も無きAAのようです
:2015/11/23(月) 00:05:27 ID:Tq/0IKYg0
ここまでピュアなドクオ久々に見たわ
50
:
名も無きAAのようです
:2015/11/23(月) 00:12:03 ID:1uBdp5sQ0
>>48
どの辺?
51
:
名も無きAAのようです
:2015/11/23(月) 00:13:43 ID:ecRKf39Y0
>>50
荒らしに構うな
52
:
名も無きAAのようです
:2015/11/23(月) 00:27:14 ID:1uBdp5sQ0
すまん
53
:
名も無きAAのようです
:2015/11/23(月) 00:55:47 ID:310ED62o0
笑える
54
:
名も無きAAのようです
:2015/11/23(月) 02:34:49 ID:XjlZgjh60
乙
面白い
55
:
名も無きAAのようです
:2015/11/23(月) 02:39:44 ID:eIkPW/Xw0
「しかしーーーーー 」とかの部分でダッシュ記号じゃなくて長音符使ってるのは何かこだわりがあるのか
56
:
名も無きAAのようです
:2015/11/23(月) 18:42:12 ID:YiBrl3ME0
あると思う?
57
:
名も無きAAのようです
:2015/11/23(月) 18:51:54 ID:Tbo71.xc0
――――――――――
↑ダッシュ記号
ーーーーーーーーーー
↑長音符。スマホだと大した違いは見られないが、PC表示だとカッコ悪く見える(らしい)
参考までにドゾー
余計なお世話ならゴメンネ
58
:
名も無きAAのようです
:2015/11/23(月) 19:19:49 ID:sdfAWnQsO
ドクオ×ハンターは格好いいよね
59
:
名も無きAAのようです
:2015/11/23(月) 22:07:32 ID:pVbaxZRo0
ドクオいい奴すぎる
60
:
名も無きAAのようです
:2015/11/23(月) 23:07:13 ID:GMnzFzqA0
4.騎士
(;'A`)
凄腕ハンターのウツタ・ドクオは、困っていた。
彼は、NOと言えないタイプの人であった。
(,,゚Д゚)「な、いいじゃん。騎士団入ろうって。な?」
とりわけ、こういう人種は苦手であった。
(;'A`)「で、でもですね…」
誤解のないよう言うが、嫌いなのではない。
むしろそのコミュニケーション能力に溢れた爽やかな性格は、見習いたい。
自分にはないものを持っていると素直に思う。
しかし、苦手なのだ。
なんというか、押しの強い感じが。
夜8時に来るというのも、割と常軌を逸しているし。
(,,゚Д゚)「だって、ドクオさん。何度も言うが、騎士の方が色々待遇いいんだからさ!」
(;'A`)「いや、お金は…」
(,,゚Д゚)「いーっていーって!そんな聖人ぶらなくったってさー!別に咎めやしないって!」
苦手であった。
61
:
名も無きAAのようです
:2015/11/23(月) 23:09:00 ID:GMnzFzqA0
彼は、騎士のギコ。
勧誘の仕事を当てられているらしく、週に一度は彼が来る。
彼が敬語ではないのはただ無礼だからではなく、ドクオがたまに仕事の愚痴を聞いているうち、仲良くなった(と思われている)からだった。
(;'A`)「やっぱ、一人の方が気楽っていうか…」
(,,゚Д゚)「実家通いのやつもいるぜ?宿舎にいるのは家が遠い奴だけだぞ」
(;'A`)「でも、街の皆さんの依頼も受けたいですし」
(,,゚Д゚)「街の依頼も騎士団に入ってくるぞ?」
(;'A`)「でも」
(,,゚Д゚)「いやホント、頼むよー。ドクオさん程の力の人なんていないんだから。先日もアレでしょ?火竜二体をサクッとでしょ?」
(;'A`)「あ、それはあんま思い出したくないんで…ちょっと諸事情で…」
これまではのらりくらりかわしてきたが、そろそろ騎士団も本腰を入れてドクオをスカウトしようとしている。
こんなことなら、力試しに街の武闘大会なんかに出るんじゃなかった、と思った。
しかし、あの時はまだハンター駆け出しで金がなく、賞金が欲しかった。
結果的に初出場で3位を獲ってしまい、以降騎士団にマークされるようになったのだが。
62
:
名も無きAAのようです
:2015/11/23(月) 23:09:53 ID:GMnzFzqA0
(,,゚Д゚)「なー、頼むよー」
(;'A`)「でも、剣術ならジョルジュさんがいるじゃないですか。魔法ならペニサスさんとか」
(,,゚Д゚)「その両方を、その二人に次ぐか匹敵できるレベルで扱えるのがすごいんだって!ウチもドクオさんに憧れて魔法始めた剣士が何人いることかって話よ」
(;'A`)「でもぉ…」
(,,゚Д゚)「いやまー、分かるよ?ドクオさんみたいな性格の人って、騎士団の空気苦手そうだもん」
(;'A`)「そ、そうなんです…」
(,,゚Д゚)「でも、じきに慣れるって!!」
(;'A`)
一生分かり合えない。
改めて、強くそう思うのであった。
63
:
名も無きAAのようです
:2015/11/23(月) 23:11:11 ID:GMnzFzqA0
(,,゚Д゚)「だって、ウチは保険も充実してんよ?例えばね…」
(;'A`)「あ…」
彼の目に何かが見えた。
騎士ギコの後ろに、人影。
(-@∀@)
店主…もとい、友達のアサピーだった。
ドクオの目が希望に輝く。
彼なら、この騎士を言いくるめて帰らせてくれる筈だ、と。
(-@∀@)「やあドクオ君。…どうしたの?彼は?」
(;'A`)「あ…」
(,,゚Д゚)「こんばんは!自分、騎士のネコ・ギコと言います!今日はですね、っていうか今日もですね、是非ともドクオさんを騎士団にスカウトしたく参りました!」
(-@∀@)「騎士…団…」
(,,゚Д゚)「はい!ドクオさん程の人なんてそういませんから!」
(-@∀@)
(-@∀@)「ア ソッスカ…が、頑張ってください…あ、じゃ、あの、自分急ぐんで…」ササッ…
('A`)
類は友を呼ぶ、という言葉を、彼はここまで強く実感したことはなかった。
64
:
名も無きAAのようです
:2015/11/23(月) 23:13:49 ID:GMnzFzqA0
(,,゚Д゚)「行っちゃった…悪いことでも言ったかな…」
(;'A`)「いえ…」
最早、彼は絶望に包まれていた。
これからさらに激化していくであろう勧誘に、耐えられる気がしない。
それならいっそ騎士として就職し、その日のうちに退職届を叩きつけることはできないだろうかと考えた。
二秒なくして、無理だと思った。
間違いなく非現実的であった。
(,,゚Д゚)「ねー、ドクオさん!ほんと、ドクオさんのファンがウチに何人いるかって話よ!」
(;'A`)「そ、そんな…買い被りです…」
その時だった。
ノパ⊿゚)「ただいま戻りましたッ!!」
彼の通いのメイド、ヒートが現れた。
現れたというより、正確には帰ってきた。買い物から。
皿は割るわ花瓶は倒すわ料理はマズイわ、諸々の積み重ねで彼の中での扱いは、今や『何故かウチの家事に挑戦している可愛い子』であった。
まだ三日と経っていないが、既に家事への信用はゼロだった。
しかし、選択肢はない。
(;'A`)「あ…」
(,,゚Д゚)「あ、こんばんは!騎士のギコと言います!今日はですね…」
早速ギコが説明をしている。
どうなるかは分からないが、彼女に賭けるしかないようだ。
65
:
名も無きAAのようです
:2015/11/23(月) 23:14:29 ID:ecRKf39Y0
あさぴーwwwww
66
:
名も無きAAのようです
:2015/11/23(月) 23:15:06 ID:GMnzFzqA0
ノパ⊿゚)「ダメです!!!!」
結果として、ヒートは勝利の女神だった。
きっぱりと物事が言える、彼にはない力を持っていた。
この時初めて、ヒートを雇って正解だったと思った。
(;,゚Д゚)「えー!?」
ノパ⊿゚)「え、だってご主人様、フリーで行くって決めてるんですよね?」
(;'A`)「うん、まあ」
ノパ⊿゚)「じゃあダメです!!!!」
(;,゚Д゚)「えーーー……?」
ノパ⊿゚)「どうしてもって言うなら…」
(,,゚Д゚)「言うなら?」
ノパ⊿゚)「勝負して、勝ったら!」
(;,゚Д゚)「えぇぇ!?」
(;'A`)
その手があったか、と思った。
彼にはまず浮かばない、脳筋、いや、粗暴、でもなく、そう、積極的な発想。
やはり自分にはできないことができる人をパートナーにすべきなのだと、再認識した。
NOと言える人、最高。
67
:
名も無きAAのようです
:2015/11/23(月) 23:16:01 ID:GMnzFzqA0
ノパ⊿゚)「じゃ、ご主人様!」
ノハ^⊿^)「バシッとお願いします!!」
(;'A`)「や…やります…?」
(;,゚Д゚)「……」
(;'A`)「…」
(;,゚Д゚)「『ファイア(;'A`)「『サイレント』」
(;,゚Д゚)「っでやぁぁ(;'A`)「『バインド』」
(;,゚Д゚)「…」
(;'A`)「…」
(;,゚Д゚)「すんません…無理っす…」
(;'A`)「あ、はい…」
68
:
名も無きAAのようです
:2015/11/23(月) 23:17:01 ID:GMnzFzqA0
(;'A`)「じゃ、あの…今日は、これで…」
(;,゚Д゚)「スンマセン、失礼します…また来ます…」
(;'A`)「あ、来るんですね…」
ともあれ、騎士ギコは帰って行った。
ドクオ達も家に入る。
彼はこれから、騎士を撃退する毎にボーナスをやろうと決めた。
料理が出来なくたっていい。
NOと言えさえすればいい。
ノパ⊿゚)「じゃ、すぐ夕飯にしますね!!」
(;'A`)「うん…ありがとう…」
ノハ^⊿^)「いえ!いいんです!」
ノハ*゚⊿゚)「家事もできない、こんなメイドを雇ってもらったこと、本当に感謝してますから!ほんのお返しにもなりませんよ!」
69
:
名も無きAAのようです
:2015/11/23(月) 23:18:00 ID:GMnzFzqA0
ノハ*^⊿^)
(;'A`)
『可愛いから雇ったけど、ここまで家事ができないとは知らなかったんだよ』とは、口が裂けても言えなかった。
しかしそれでも、その日の焦げた夕食は、普段よりも美味く思えた。
.
70
:
名も無きAAのようです
:2015/11/23(月) 23:19:12 ID:GMnzFzqA0
―――とーーーをとりちがえて辞書登録してたことを今知った
割と恥ずかしい、いっそ殺せ
あと今回からは二日に一話とか投下できたらラッキーです
サービス期間は終わったのさ
71
:
名も無きAAのようです
:2015/11/23(月) 23:26:42 ID:WvpQkIlo0
乙
次のサービス期間に期待
72
:
名も無きAAのようです
:2015/11/23(月) 23:27:34 ID:c09FobJs0
乙
73
:
名も無きAAのようです
:2015/11/23(月) 23:28:38 ID:ecRKf39Y0
乙乙
ひーにゃんマジ天使
74
:
名も無きAAのようです
:2015/11/23(月) 23:38:18 ID:1uBdp5sQ0
俺はわりとアサピーのキャラも好きだわ
75
:
名も無きAAのようです
:2015/11/24(火) 00:24:48 ID:5XgAx8ls0
「また来ます…」からの「あ、来るんですね…」がツボだった
乙
76
:
名も無きAAのようです
:2015/11/24(火) 01:41:27 ID:pQIhP2rc0
おつおつ
勧誘からして騎士団入れないドクオェ…
77
:
名も無きAAのようです
:2015/11/24(火) 01:43:06 ID:y8wUfFRQ0
こういうバトル物な設定でのほのぼのな話って好きだわ
期待してます
78
:
名も無きAAのようです
:2015/11/24(火) 03:54:34 ID:arrxwdEA0
>>48
今ブーン系の目立つ層に臭い奴しかいないんだ、それでも存続の為に必要なんだ、察してやってくれ
79
:
名も無きAAのようです
:2015/11/24(火) 07:45:05 ID:tg6D0t7M0
自己紹介してんじゃねーよ
80
:
名も無きAAのようです
:2015/11/24(火) 14:40:16 ID:JBlbZwEk0
むしろそれは自演臭いわ
遠投はやっぱバレやすい
81
:
名も無きAAのようです
:2015/11/24(火) 16:46:01 ID:sqe.Al1A0
それも自演臭いわ
82
:
名も無きAAのようです
:2015/11/24(火) 18:08:09 ID:za/M7qN20
スレタイと設定で遠慮してたけど読んでみたら面白い
83
:
名も無きAAのようです
:2015/11/24(火) 18:46:32 ID:RwSNsPyg0
5.レイス&はぐれなんたら
(;'A`)
深い森の中、凄腕ハンターと呼ばれるウツタ・ドクオは、選択を強いられていた。
目の前には、魔物。
今回の依頼の目標、レイスである。
布の塊のような幽霊のくせに、生意気にも畑を荒らすとの依頼だった。
彼を迷わせているのは、その横。
ドロドロとした、なんとも言えない銀色の魔物。
年に一回見られるか見られないかの、希少な魔物だった。
彼は選択を強いられていた。
今少しだけはじめている錬金術に、あの銀色の魔物の体が必要だった。
どうしても必要だった。
レイスも、倒さなくてはならない。
放って行っては逃げてしまうだろう。
しかし、今ここで銀色のこいつを逃したら、次会えるのはいつだろうか。
彼は、選択を強いられていた。
84
:
名も無きAAのようです
:2015/11/24(火) 18:47:55 ID:RwSNsPyg0
(;'A`)
思えば、以前もこういうことがあった。
負け知らずのハンターが、未だ世間を知らぬ子供の頃であった。
お母さんがアイスを二つ買ってきてくれて、どっちか選んで食べていいと言ってくれた。
残りは明日だ、と。
彼には、選べなかった。
結果的に両方を一口ずつ交互に食べ進め、お腹を壊した事があった。
('A`)「人は、変わらないな…」
自分はあの頃のままだ、と独りごちた。
彼の人生の課題を体現するように、魔物たちはじっとこちらを見ている。
ここで、結論を出す必要がある。
あの時の、選べなかった自分の為にも。
あの時の手は使えない。
交互に攻撃すれば、両方逃してしまうだろう。
大魔法で両方を消し飛ばすことも考えたが、銀色のやつが消し飛んでは意味がない。
というかそもそも、銀色のやつには魔法が効かないのだ。
85
:
名も無きAAのようです
:2015/11/24(火) 18:50:23 ID:RwSNsPyg0
('A`)「何にせよ、考える時間が必要だ」
刻一刻と変わりゆく戦闘の中で、そのような選択をするのは困難であった。
しかし時間を稼ごうにも、銀色のやつに魔法は効かない。
…が、しかし。
ドクオは考えた。
('A`)「この空間そのものを制圧してしまえば、それも関係ない…!」
集中を高める。
久しぶりの大魔法に、少しだけ緊張した。
(;'A`)「よし」
魔力を込めた腕で、目の前の空間に円を描く。
空中で光り輝くその奇跡は同じく円となり、彼の思念に合わせて紫色の魔法陣へと変化した。
(;'A`)「『滔々たる時の流れよ、揺蕩う我等とその理よ』」
(;'A`)「『今、我が名において命じる!』」
(;'A`)「『鎖を緩めろ!タイムストップ』!!」
魔法陣が溶けるように消え去った瞬間。
世界が、魔物達も含めて凍りついたように動かなくなった。
成功したようだ。
ドクオの周り、半径10メートルほどの空間の時間が止まった。
(;'A`)「ふー…」
相変わらず、詠唱は恥ずかしい。
86
:
名も無きAAのようです
:2015/11/24(火) 18:51:25 ID:RwSNsPyg0
さて、考える時間はできた。
('A`)
仕事を取るか、私事を取るか。
ドクオは、これは大きな問題だと考えた。
『仕事と私、どっちが大事なの!?』という有名なセリフがある。
どちらかを立てればどちらかは成らない。
難しい問題だ。
例え自分が両方を大事にしていても、選ばなくてはならない。
さらに言えば、片方がより大事であっても、もう片方、然程大事ではない方を取らなくてはいけない場面も、往々にしてある。
レイスを倒せば、錬金術はうまくいかない。
銀色のやつを倒せば、任務は失敗。
片方は仕事、片方は趣味。
('A`)「この戦いは、全男性の悩みを背負う戦いも同然なのか」
凄腕ハンターのウツタ・ドクオには、妙なところで少々考えすぎる癖があった。
87
:
名も無きAAのようです
:2015/11/24(火) 18:52:29 ID:RwSNsPyg0
('A`)
凍った世界で考える。
仮にレイス、仕事を取った場合。
先程の男女間に置き換えて考えると、『彼女より仕事を優先するつまらない奴』になってしまうのではないだろうか。
どうあれ、彼女の心が離れていってしまうことは必然的とも思えた。
ならば逆に、もう片方の魔物、趣味を取った場合は?
男女間に置き換えれば、『仕事より彼女を優先する不誠実な奴』になりかねない。
確かに、彼の住む国の経済は割と潤っている。
だがしかし、流石にそこまでは許されないだろう。
仕事を失ってまでご機嫌を取るものなのだろうか。
(;'A`)
女性などとロクに話したことがないドクオには、分からなかった。
最早、詰みの状態に思えた。
早急に王城の賢者に相談すべきだと思った。
いやしかし、と考え直す。
どこかにある筈だ。
どちらもそこそこ上手く取っていける、冴えた答えが。
88
:
名も無きAAのようです
:2015/11/24(火) 18:53:09 ID:l6S0GzmY0
('A`)
長考すること、十五分。
覚悟は、決まった。
腕を一度振り、時間停止を解除する。
周りの世界が、再び動き出した。
ドクオは剣を構え直す。
魔物達も向き直る。
(#'A`)「ってやぁぁぁぁぁっ!!!!」
一瞬で速度上昇の呪文をかけ、もう一瞬で距離を詰め、無防備な体に剣を振り抜く。
彼が選んだのは――――――
.
89
:
名も無きAAのようです
:2015/11/24(火) 18:53:58 ID:l6S0GzmY0
(#'A`)「らぁっ!!!!」
―――――レイス、仕事だった。
ドクオは、『お前が大事だから、お前を養うために好きでもねぇ仕事してんだよ!!』という究極の言葉で、この問題にけりをつけたのだ。
この答えが、今回のドクオの迷いに適用される訳ではないと気づくのは、少しだけ後の話である。
90
:
名も無きAAのようです
:2015/11/24(火) 18:54:40 ID:RwSNsPyg0
('A`)「…よし」
やはり、銀色の魔物の姿はもう見えない。
しかし、ドクオは満足だった。
ドクオが斬ったのはレイスだけではない。
あの時の不甲斐ない自分の迷い。
ひいては全男性の迷いさえも、真っ二つに斬ったのだ。
レイス討伐の証を袋に入れ、彼は踵を返して歩き出した。
柔らかな森の木漏れ日が、彼を祝福しているように感じた。
大きな選択を終え、彼のレベルは確実に上がったのだ。
91
:
名も無きAAのようです
:2015/11/24(火) 18:55:28 ID:RwSNsPyg0
(;'A`)「あ、あの、はぐれなんたらの体ってあります?」
( ^ω^)「ありますお」
―――銀色のやつの素材は、近所の魔法道具屋さんが持っていた。
頼んだら売ってもらえた。
.
92
:
名も無きAAのようです
:2015/11/24(火) 18:56:39 ID:RwSNsPyg0
( ゚д゚)
_(__つ/ ̄ ̄ ̄/_
\/ /
 ̄ ̄ ̄
( ゚д゚ ) <自演なんてしてない
_(__つ/ ̄ ̄ ̄/_
\/ /
 ̄ ̄ ̄
93
:
名も無きAAのようです
:2015/11/24(火) 18:57:32 ID:ptr5LEp20
タイムストップしてる間に両方殴ればいいんじゃないですかね……
94
:
名も無きAAのようです
:2015/11/24(火) 18:59:41 ID:RwSNsPyg0
>>93
タ、タイムストップ中は敵の体が硬まってて殴れないっていうアレだから…
95
:
名も無きAAのようです
:2015/11/24(火) 19:09:01 ID:J3ltwwtE0
魔法道具屋にすごいデジャブ
96
:
名も無きAAのようです
:2015/11/24(火) 19:14:15 ID:tg6D0t7M0
魔法道具屋クッソwwwww
>>92
さっき言われてた自演は作者のことちゃうと思うで
自分のコメントにレス付けてたっていう意味だと思われ
乙でーす
97
:
名も無きAAのようです
:2015/11/24(火) 20:48:50 ID:H1eTPJDI0
乙乙
98
:
名も無きAAのようです
:2015/11/24(火) 21:06:32 ID:SeWWrMD.O
皆さん、オワコン社長をよろしくお願いします。気に入ったらチャンネル登録!!
http://www.youtube.com/watch?v=aSMLi2uOkvk
http://www.youtube.com/watch?v=cbwrnLKERpA
http://www.youtube.com/watch?v=gPevsHpSj-Y
http://www.youtube.com/watch?v=9ekKaVB5uHg
http://www.youtube.com/watch?v=cP0NAOzKQAE
http://www.youtube.com/watch?v=hekgfuTcX6o
http://www.youtube.com/watch?v=1uzYFjN7z5E
99
:
名も無きAAのようです
:2015/11/24(火) 23:47:39 ID:sB0pME9o0
えーもーなにこれめっちゃよいじゃん。
もっとくれ…
100
:
名も無きAAのようです
:2015/11/25(水) 00:39:12 ID:rEntLBSM0
魔法道具屋の下りはパロディじゃね
101
:
名も無きAAのようです
:2015/11/25(水) 10:54:33 ID:u92jQ9qc0
読みやすくてこの作品好きだわ
ここのアサピーなんだかかわいいな
102
:
名も無きAAのようです
:2015/11/25(水) 19:56:26 ID:jFCv16tI0
6.お仕事
ノパ⊿゚)「ふんふふーん」
新入りメイドのヒートは、歩いていた。
今日も今日とて、楽しく仕事である。
主人であるドクオにも言っていないが、彼女の家は貧乏であった。
何でも、祖父だか曽祖父だかの借金が返しきれていないとか。
ヒートの上に三人の姉がいるが、それが理由か全員働きに出ている。
ついに私も家計の役に立つことができる、と意気込んでいた。
労働時間は7時から20時。
時間としては長いが、ドクオ家でのんびりする時間も長いので激務という訳ではない。
ノパ⊿゚)「おはようございます!!」
渡されていた合鍵を使い家に入る。
ノックなどは、特に要らないと言われていた。
そもそもこの時間、主人はまだ寝ている。
だから挨拶も必要ないのだが、そこは一応。
103
:
名も無きAAのようです
:2015/11/25(水) 19:57:32 ID:YIj08ZrU0
ノパ⊿゚)「よし」
朝ご飯は、大抵がサンドイッチ。
具は毎日変えているが、たまに彼女の気まぐれで納豆ごはんにメニューが変わる。
納豆が苦手な主人ドクオはその気まぐれの発動を心底恐れているが、そんなこと彼女は知る由もない。
ちなみに、今日は納豆ご飯にしようと思った。
それだけではさすがに職務放棄なので、他に一、二品作る。
目玉焼きと焼きウインナーに決めた。
朝ご飯は、まだそれしか作れない。
フレンチトーストは、まだ練習中であった。
ノハ;゚⊿゚) ジュゥゥ…
ノハ;゚⊿゚)
ノハ;゚⊿゚) パッ!
…焦げていない。
黄身も割れていない。
ノハ*゚⊿゚)「おっしゃ!!」ガシャァン!!
皿は割れた。
104
:
名も無きAAのようです
:2015/11/25(水) 19:58:15 ID:YIj08ZrU0
('A`)「お早う…」
ノパ⊿゚)「おはようございます!」
大抵、朝ご飯を作っている途中に主人は起きてくる。
やはりハンターたるもの、眠りは浅くなくてはならないのだろう。
たぶん、有事か何かに備えて。
実際は家に入るときの「おはようございます!!」で強制的に眠りから引きずり出され、
料理を作る物音や歓声で完全覚醒を余儀なくされているのだが、それも彼女は知る由もない。
('A`)「今日は…納豆ご飯?」
ノパ⊿゚)「と、目玉焼きとウインナーです!」
('A`)「…そう…」
ノパ⊿゚)「? 何か?」
('A`)「…いや、何も…」
ノパ⊿゚)「そうですか?」
('A`)「いただきます…」
主人の繊細な心情に、メイドが気づくのはいつになることか。
粗野なメイドに、主人がはっきりものを言えるのはいつになることか。
105
:
名も無きAAのようです
:2015/11/25(水) 19:58:57 ID:YIj08ZrU0
ノパ⊿゚)「今日は仕事でしたよね?」
('A`)「うん。バジリスクだって。遠いから夜まで帰らないかも」
ノパ⊿゚)「バジリスクってアレですか。目ぇ見ちゃ駄目なやつ」
('A`)「そう。即石化、とかはないけど見続けると危ないんだ」
ノパ⊿゚)「へー…毒とか吐くんですか」
('A`)「吐きはしないけど、牙にあるから飛ばしてくる。なんかピュッて」
ノハ;゚⊿゚)「うへー」
('A`)「正面にいなきゃいいんだよ」
主人と食事のときに、魔物の話を聞くことが多かった。
まだ来て一週間程だが、「対策が分からない」と言われたことはない。
凄腕と呼ばれる訳である。
106
:
名も無きAAのようです
:2015/11/25(水) 20:00:02 ID:YIj08ZrU0
('A`)「じゃあ、行ってくる」
ノパ⊿゚)「行ってらっしゃいませー」
借りた馬で発つ主人を見送り、家事に取り掛かる。
ノパ⊿゚)「おしっ!!」
彼女の信条は、日々成長、である。
どれだけ何ができなかろうが、三日前よりも今日、今日よりも三日後の方が少しでも上手くできるようにする。
そうやって生きようと思っていた。
それが反映されているのであろう、最近は皿洗いであまり皿を割らなくなったし、掃除で物を倒さなくなった。
はじめは日に6枚割っていた皿は、今や日に2枚にまで留めておけるようになった。
初日に蹴倒した観葉植物も、今や華麗に避けて箒がかけられる。
だから、主人の研究を止めない姿勢は好きだった。
人は皆、何かが一定までできるようになると、成長をそこで止めてしまう。
しかし主人は、仕事がなくても部屋に閉じこもって研究をすることが多い。
そんな主人の見えない姿は、他の人とは違って感ぜられた。
実際は人と会いたくないが為に、部屋で暇潰しに研究するなりフィギュアを眺めるなりしているだけなのだが、やはり知る由もないことである。
107
:
名も無きAAのようです
:2015/11/25(水) 20:00:43 ID:YIj08ZrU0
ノパ⊿゚)「おわったー」
掃除が終われば、もう昼時だ。
今日は主人がいないので、散歩と買い物がてら、外に食べに出ることにした。
申し訳ないことに、その為の小遣いも給料とは別に貰っている。
しっかり仕事をしよう、と思った。
メイド服から外行きの服に着替え、しっかりと施錠して外に出る。
流石にメイド服では出られない。
ノパ⊿゚)「!!」
チーズの焼ける、香ばしい匂いが漂ってくる。
もとを辿ると、一軒のパン屋。
綺麗な店員さんが迎えてくれた。
ξ゚⊿゚)ξ「あら、いらっしゃい。ちょうど焼きたてよ」
ノハ*゚⊿゚)「焼きたて!」
昼ご飯は、とろけたチーズの載ったパンにした。
安いし、大きいし、何より美味しい。
できたてということもあり、すぐに食べ終わってしまった。
勢いでもう一つ食べてしまい、店を後にする。
ぜひともまた来ようと思った。
108
:
名も無きAAのようです
:2015/11/25(水) 20:01:47 ID:YIj08ZrU0
またぶらぶらと歩き始める。
夕飯はどうしよう、とか考えながら。
ノパ⊿゚)「あ!」
大通りの掲示板で、よく知った顔を見つけた。
自分の仕事を斡旋してくれた、アサピーだ。
何かの紙束を持っている。
(-@∀@)「やあ、ヒート。久しぶりだね」
ノパ⊿゚)「お久しぶりですアサピーさん!」
(-@∀@)「元気だったかい?…と聞くまでもなく、元気だね。結構結構」
ノパ⊿゚)「はい!ここで何してたんですか?」
(-@∀@)「いやー、ビラ貼りだね。これがそう。メイドと執事しませんか、って。あと、スカウト」
掲示板を見ると、確かに広告が貼ってある。
『メイド・執事求む。経歴・年齢不問、まずは相談から。でも個人的にメイドは若い方がいい』
ノパ⊿゚)「…最後の一文が個性的ですね!」
(-@∀@)「正直に生きようと決めてるんだ」
109
:
名も無きAAのようです
:2015/11/25(水) 20:02:35 ID:YIj08ZrU0
ノパ⊿゚)「スカウト、って?」
(-@∀@)「知らないっけ。君はお姉さんの紹介で入ったんだもんね。そうそう、クールさんはいいメイドだよ、相変わらずね」
ノパ⊿゚)「クー姉、あまり帰ってきませんから寂しいです」
(-@∀@)「ほぼ住み込みの形式だもんね。心中お察しするよ。…スカウトの話だったね、実践してみせよう」
言うなりアサピーは周りを見渡す。
手慣れているような口ぶりだ。
(-@∀@)「なんとなく、暇そうな人を探すんだ。このお昼時だからね」
やがて、カフェの方へ近づいていく。
外に備え付けられているテーブルでコーヒーを飲んでいる若い女性に目をつけたようだ。
ζ(゚ー゚*ζ
ノパ⊿゚)「あの人ですか?」
(-@∀@)「好みのタイプだから」
ノパ⊿゚)「正直っすね」
110
:
名も無きAAのようです
:2015/11/25(水) 20:03:38 ID:YIj08ZrU0
(-@∀@)「こんにちは。今、お時間よろしいですか?」
ζ(゚ー゚*ζ「え? はい、大丈夫です」
(-@∀@)「単刀直入に聞くんですけども、今、決まったお仕事とかってやってらっしゃいますか?」
ζ(゚ー゚*;ζ「いや、たまに家の仕事のお手伝いをしてるだけですけど」
(-@∀@)「あぁすみません、いきなり不躾に…。いやね、メイドに興味はありませんか、と聞きにきたんです。要はスカウトです、スカウト」
ζ(゚ー゚*;ζ「スカウト…」
(-@∀@)「いやー、見たところお綺麗ですし、引く手数多ですよー、きっと。いかがです?あ、これチラシなんですけどね、良ければ」
ζ(゚ー゚*ζ「………あ、なんか聞いたことあります、この事務所の名前」
(-@∀@)「この辺だとウチぐらいですから、こういうことやってるの」
ζ(゚ー゚*;ζ「いやでも、忙しいので毎日はちょっと…」
(-@∀@)「ああ、メイドっていうと毎日ってイメージですけどね、実際は週三か週二ぐらいで欲しいって方が割と………」
111
:
名も無きAAのようです
:2015/11/25(水) 20:04:48 ID:YIj08ZrU0
ノパ⊿゚)「…どうでした?」
(-@∀@)「家の仕事がひと段落したら来るかも、って」
ノハ*゚⊿゚)「おー!スカウト成功!」
(-@∀@)「いやいや、来てくれるのはほんの一握りだよ。そんな世の中甘くないのさ」
ノパ⊿゚)「へー…でもアレですね、アサピーさんって喋るの上手いですよねー」
(-@∀@)「いやー…そうでもないよ。仕事のときはできるけど、これがプライベートになるとどうも、ね……ははっ……」
アサピーが暗くなってきたので、適当に切り上げて別れた。
仕事に戻らなくては。
ノパ⊿゚)「ふむ」
夕飯を考えながら買い物をする。
ノパ⊿゚)「今日は」
ノパ⊿゚)「オムライスにしてみよう!」
オムライスを作ったことは、まだないが。
なんとなく、出来る気がした。
112
:
名も無きAAのようです
:2015/11/25(水) 20:05:30 ID:YIj08ZrU0
ノハ;゚⊿゚)「……」
そして、失敗した。
アサピーの言う通りだった。
世の中は甘くない。
(;'A`)「これ…何?」
ノハ;゚⊿゚)「あ、オムライスです」
主人が一口。
ヒートはじっと見守っている。
(;'A`)「卵、なくていいかも…その、チキンライスっていうか…」
ノハ;゚⊿゚)「…それは、チキンライスって扱いならいけるってことですか」
(;'A`)「…」
(;'A`)「ギリギリ滑り込みで…」
ノパ⊿゚)
(;'A`)「……アウトかな」
ノハ;゚⊿゚)「精進します…」
チキンライスも初めてだった。
頑張ろう。
113
:
名も無きAAのようです
:2015/11/25(水) 20:06:21 ID:YIj08ZrU0
ノパ⊿゚)「ごちそうさまでした!」
('A`)「ごちそうさまでした」
夕飯を食べ終わって、皿を洗って片付けてしまえば、その日の仕事は全部終わり。
あとは帰って、自分の家の家事をして、眠る。
毎日こんな感じだが、今のところは楽しい。
まだまともに役に立てているかは分からないが、少しずつ役に立つようになれればいいと思う。
一歩ずつでいい。
('A`)「あ、ヒート?」
ノパ⊿゚)「はい!」
(;'A`)「これから仕事の時にさ、昼ご飯の弁当、作って欲しいんだけど…できる? 本当に簡単なやつでいいからさ」
ノパ⊿゚)
ノハ*゚⊿゚)
ノハ*^⊿^)「はい!!!!」
そう、こんな風に一歩ずつ。
114
:
名も無きAAのようです
:2015/11/25(水) 20:07:02 ID:YIj08ZrU0
けふはここまで
115
:
名も無きAAのようです
:2015/11/25(水) 20:10:21 ID:HJ6OGQLc0
乙!
ヒート可愛い。
116
:
名も無きAAのようです
:2015/11/25(水) 20:12:27 ID:QJKWZtoE0
乙
117
:
名も無きAAのようです
:2015/11/25(水) 20:14:32 ID:7yer7A720
いいねえ
118
:
名も無きAAのようです
:2015/11/25(水) 20:15:57 ID:aIMvBgAw0
乙
ヒートかわいい……うちで働いてくれ……
119
:
名も無きAAのようです
:2015/11/25(水) 20:41:07 ID:rYGXv0UU0
おつつ
120
:
名も無きAAのようです
:2015/11/25(水) 22:30:35 ID:t1gBmq3g0
いろいろやって完結できないパターン
121
:
名も無きAAのようです
:2015/11/25(水) 23:27:18 ID:7rRxy7pQ0
>>120
こいつ完結してほしくないんだろうからこんな事言ってる荒らしなんだぜ
以後俺含めスルー
122
:
名も無きAAのようです
:2015/11/25(水) 23:28:17 ID:mfHQpn6Y0
こういう日常系は本当に完結してほしくない
常に見ていたい
123
:
名も無きAAのようです
:2015/11/26(木) 02:44:15 ID:KPfSZYJk0
こういうタイプは完結する位なら適当なタイミングで失踪してくれる方がありがたい
124
:
名も無きAAのようです
:2015/11/26(木) 02:56:40 ID:gr0GEp2I0
俺はこういうタイプの作品でもなるべくならしっかり完結してほしいわ
125
:
名も無きAAのようです
:2015/11/26(木) 03:27:40 ID:Fc6i93vE0
なんでもう終わりの話になってるの??
126
:
名も無きAAのようです
:2015/11/26(木) 23:10:14 ID:jrQLXXF60
7.エビルスパイダー
(;'A`)
凄腕ハンターウツタ・ドクオは、今、覚悟を迫られていた。
事の起こりは三十分前。
ちょっと見た事のないキノコでも食べて、グルメ気取ってみようと思ったのが間違いであった。
食べたその瞬間から、一切の魔法が使えなくなってしまったのだ。
毒なら魔法で解毒しよう、とか軽く思っていたが、流石に予想外というものだった。
それだけなら、まだいい。
彼には国の騎士団長にも劣らぬ剣捌きがある。
その剣も、今しがた溶けた。
127
:
名も無きAAのようです
:2015/11/26(木) 23:11:01 ID:jrQLXXF60
(;'A`)
前に見えるのはエビルスパイダーという魔物。
大きな蜘蛛だ。
この魔物、本来は巣を作るだけである。
無毒な魔物の筈だった。
それが、酸を吐いた。
咄嗟に剣で守ったが、剣は失う結果となってしまったのだ。
(;'A`)「新種かな…」
国の魔物調査委員に要報告だ、と頭の中に留めたが、まずは目の前。
彼は徒手空拳の武術においても、ナンバー1と言ってもよい実力を持っている。
攻撃手段を二つ失っても尚、負ける要素はなかった。
(;'A`)
蜘蛛が、苦手でなければ。
128
:
名も無きAAのようです
:2015/11/26(木) 23:13:44 ID:jrQLXXF60
そう、彼は蜘蛛が苦手であった。
(;'A`)
昔のことだ―――
駆け出しの頃にまさにこのエビルスパイダーを相手取ったことがあった。
怖いもの知らずのハンタードクオは、魔物を二つに切り裂いた。
それが、間違いであった。
切り裂いたその断面、特に腹から数百数千の子蜘蛛(手のひらサイズ)がわらわらと飛び出し、波濤となって彼を襲ったのである。
ドクオは半狂乱に陥り、所構わず剣を振り、火炎を放ち、雷を落とし続けた。
しかし圧倒的な物量にはそれでも足らず、結果的に半径50メートルを消し飛ばす大爆発を引き起こし、事態を収束させた。
そのせいで、その山はそこだけ未だに岩肌である。
129
:
名も無きAAのようです
:2015/11/26(木) 23:14:49 ID:jrQLXXF60
そんな彼が、素手での戦闘を強いられる結果となった。
平素であればこの魔物は、極大火炎魔法で灰と化すか、闇の魔法で存在ごと消し去るか。
どちらかであった。
それが、素手。
心中は察しても察しきれないというものである。
(;'A`)「何でキノコなんか食っちまったんだ…」
もともとこの魔物だと知らされていれば、そんな無謀は犯さなかった。
『なんか大きいやつがいた』というだけの依頼だったのである。
今日に限って、魔法符は切らしてしまっている。
これを慢心と言わずに何と言うのか。
彼はもう気を抜かない、見知らぬキノコなど食べないと、彼は固く誓った。
130
:
名も無きAAのようです
:2015/11/26(木) 23:15:59 ID:jrQLXXF60
(;'A`)「…」
ともかく今は、素手でやらなければならない。
剣も、魔法も、ないのである。
しかし、考え無しでは行けない。
できたら一撃で、安全に仕留めたい。
溶毒を持っているが、分泌しているのは内臓であろう。
ならば胸でも、もちろん腹でもなく、一撃で頭を砕きたい。
もちろん、ドクオなら可能である。
一瞬で間合いに入り、毒を吐かれる前に頭に一撃を見舞い、離脱。
しかし、理論上可能でも実行できるかは、別である。
思考と実行は、違うのだ。
気合を高め、一瞬で、いや一瞬すら生温いほどの速度で、自らの触覚をも騙す速度で拳を打ち込む必要があった。
さもなくば、恐らくぬるりとした、じゅるっとした、生暖かくて臭い何かを、思う存分拳で感じることになる。
131
:
名も無きAAのようです
:2015/11/26(木) 23:17:11 ID:jrQLXXF60
(;'A`)「っっ………」
(; A )「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおッッッッッッ!!!!!!!!!!!!!!!」
咆哮。
人体の限界を超えるための、自らの慢心を清算する為の。
かつてない叫びは、少し離れた彼の街にまで届いた。
それを聞き「新種の魔物だ」と勘違いした人が、ドクオ討伐依頼を書き始める程だった。
そして。
(;'A`)「!?」
気合十分のドクオは、何かに気づいた。
体に、変化が訪れている。
自らの体から、金色のオーラが迸っているのだ。
(;'A`)「まさか…」
(;'A`)「覚醒…!?」
そう、覚醒、であった。
ここにきて。いきなり。なんの前触れもなく。
このスペックの上、覚醒であった。
132
:
名も無きAAのようです
:2015/11/26(木) 23:18:51 ID:jrQLXXF60
何が何だか分からないが、これがあれば蜘蛛に触れずに倒せる。
希望が見えた。
彼は蜘蛛に右腕を向けた。
勝利を確信した笑みが浮かんだ。
('A`)「ふふ…蜘蛛風情が、覚悟を決めな。終わりだ!」
('A`)「破ッッッ!!!!!」
('A`)
('A`) ?
何も起こらない。
エネルギー波とかが出る予定であった。
('A`)「なるほどな…。『破』じゃなかったか 」
('A`)「滅ッッッッッ!!!!!!!」
('A`)
('A`)「邪ッッッッッッ!!!!!!!!」
('A`)
('A`)「セイッッッッッッ!!!!!!!!!」
('A`)
('A`)「ほぉんッッッッッッッッ!!!!!!!!!」
ちなみに、ここまでの行動は、全て蜘蛛の攻撃を避けながらの動作である。
凄腕と呼ばれる所以である。
133
:
名も無きAAのようです
:2015/11/26(木) 23:19:50 ID:jrQLXXF60
(; A )「…………」
かれこれ五分。
何も、起こらない。
間違いなく、二度目の慢心であった。
もう本当に、物理攻撃しか残されていない。
(; A )
(;'A`)
('A`)
覚悟を、決めた。
元はと言えば、自分の油断から生じた状況。
ケリを、つける時だ。
('A`)「行くぞ!!」
覚醒によって、身体能力は極限まで引き出されていた。
光にさえ届きそうな速さで、距離を詰める。
魔物がそれに気づく前に、脳天に一撃を―――――!!
134
:
名も無きAAのようです
:2015/11/26(木) 23:20:48 ID:jrQLXXF60
(;'A`)「!?」
拳がヒットした瞬間、魔物が消え去った。
(;'A`)
否、違う。
そんな訳はない。
空を見る。
まとめて粉々になった蜘蛛と子蜘蛛の体が、今まさに天から降り注ごうとしていた。
魔物が内側から破裂したのだ、それがこのオーラの力だ、と理解できた頃には、遅かった。
纏っていたオーラは、もうない。
その一撃で、既に疲労困憊だった。
( A )
ドクオにはもう、立ち尽くすことしか――――――
135
:
名も無きAAのようです
:2015/11/26(木) 23:21:36 ID:jrQLXXF60
この日の彼のお風呂は、普段より二時間長かった…。
.
136
:
名も無きAAのようです
:2015/11/26(木) 23:22:21 ID:jrQLXXF60
えっ…?
そういえばこれって、どうやったら完結できるんだ…?
137
:
名も無きAAのようです
:2015/11/26(木) 23:33:50 ID:Fc6i93vE0
蜘蛛テロやめろよ…………俺も苦手なんだよ…………
乙です、ドクオの凄腕っぷりと小市民っぷりが面白い
138
:
名も無きAAのようです
:2015/11/26(木) 23:40:59 ID:GKifrQRU0
蜘蛛はマジでやめてよ……
139
:
名も無きAAのようです
:2015/11/26(木) 23:45:03 ID:qMNhAD3.0
>>136
書くことなくなったら適当に50年くらいジャンプして孫に昔話をするじいさんオチでいいよ
140
:
名も無きAAのようです
:2015/11/26(木) 23:50:39 ID:gr0GEp2I0
ドクオ討伐依頼わろた
141
:
名も無きAAのようです
:2015/11/26(木) 23:51:16 ID:WMppDlqE0
乙乙
142
:
名も無きAAのようです
:2015/11/27(金) 00:04:47 ID:H0LSJ.T20
面白いな
乙乙
143
:
名も無きAAのようです
:2015/11/27(金) 07:21:41 ID:nwBF2RQ60
ここまでハイスペックとは…
144
:
名も無きAAのようです
:2015/11/27(金) 18:00:17 ID:Otd0tVQY0
>>122-124
どの気持ちもわかる
>>136
ドクオをトラックに突っ込ませろ
145
:
名も無きAAのようです
:2015/11/27(金) 22:10:55 ID:kGOiR2..0
8.賢者の石
(;'A`)
凄腕ハンターと呼ばれるウツタ・ドクオは、驚いていた。
彼は最近、錬金術に凝っていた。
普通の魔法とは違う仕組み、違う力のそれが面白くて、色々と練成しては楽しんでいた。
ふとした思いつきで、賢者の石を作ってしまうまでは。
(;'A`)「どうしよう…どうしよう…」
本物である。
これに触れた金属は、皆黄金に変わる。
焦りすぎてちょっと落としてしまった時に、ベルトのバックルが黄金に変わったので本物である。
握って少し念じると、石から液体が出てくる。
おそらくこれを飲むと不老不死になれるが、怖いので流しに捨てた。
タレ眉のホムンクルスのお方に怒られそうな気がした。
146
:
名も無きAAのようです
:2015/11/27(金) 22:11:45 ID:kGOiR2..0
(;'A`)
さらに、目の前。
ノハ;゚⊿゚)
(;-@∀@)
目撃者がいるのである。
二人も。
(;-@∀@)「え…ちょっと、貸して」
(;'A`)「あ、う、うん…」
賢者の石を受け取ると、アサピーはズボンのチャックにそれを押し当てた。
彼の股間がまばゆく輝きはじめた。
(;'A`)「あの…いちおう凄いものだから、股間とかはちょっと…まずいかな、って」
(;-@∀@)「失礼…手近な金属がこれしかなくて…」
147
:
名も無きAAのようです
:2015/11/27(金) 22:12:36 ID:kGOiR2..0
ノハ;゚⊿゚)「それって、売ったら高いんですか?」
(;'A`)「バカ高い…っていうか値段もつけられないとは思うけど…色んな国から刺客が沢山来ると思う…」
ノハ;゚⊿゚)「まずいっすね…」
売れない理由は、それだ。
賢者の石は、未だどこの国でも製造に成功していない。
また、製法も確立されていない。
売れば、そのルートを嗅ぎ付けられることは確実だった。
(;'A`)「ほぼ運でできたものだから捕まっても製法とか教えらんないし再現もできないし…」
ノハ;゚⊿゚)「なるほど」
(-@∀@)「しかし、上手く使いたいところだね」
(;'A`)「…えっ使うの?」
(-@∀@)「おかねほしい」
(;'A`)「あっ正直…」
148
:
名も無きAAのようです
:2015/11/27(金) 22:13:59 ID:kGOiR2..0
ノハ;゚⊿゚)「なんとか、こう、国とかにバレずに…」
(;'A`)「第一、どこが賢者の石買える大金持ってるの」
ノハ;゚⊿゚)「…」
ノハ;゚⊿゚)「国?」
(;'A`)「いやいや」
(-@∀@)「石自体を売ることは考えなくていいんじゃない?」
ノハ;゚⊿゚)「でも…賢者の石ですよ?」
(;'A`)「だからでしょ」
突然、ヒートの動きが止まった。
何かに気づいたようだ。
おずおずと、話し出した。
ノハ;゚⊿゚)「…、ちょっといいですか」
(;'A`)「どうぞ」
ノハ;゚⊿゚)「今、すっごい犯罪のプラン練ってるっぽくてちょっとかっこいいです、私達」
(;'A`)「限りなく近いからね、その例え」
149
:
名も無きAAのようです
:2015/11/27(金) 22:14:44 ID:kGOiR2..0
(-@∀@)「まあ、聞きたまえよ。君達」
今度はアサピーが話し出す。
メガネを指で押し上げ、インテリらしさを醸し出している。
ちょっとだけ期待できそうな気がした。
(-@∀@)「石自体は、確保しとけばいいんだよ。金を売ればいい」
(-@∀@)「鉄のものを手に入れて、金にする。それだけでいいんだ」
(-@∀@)「実家の蔵から遺産が見つかりまして、とか言えば自然だし、そこまで詮索されないだろう」
(-@∀@)「あとは、以下無限ループ。石さえあれば、ね」
(;'A`)「えっ待って…なんでそんな冷静になっちゃってんの…」
(-@∀@)「じゃ、スプーン借りるよ」
(;'A`)「自分ちのでやって!」
(-@∀@)「大丈夫大丈夫、倍にして返すよ」
(;'A`)「ダメな台詞!」
150
:
名も無きAAのようです
:2015/11/27(金) 22:15:39 ID:kGOiR2..0
ドクオの制止もむなしく、アサピーは行ってしまった。
ドクオ家の金属食器を、根こそぎ金に換えて。
ノハ;゚⊿゚)「成功するんですかね…」
(;'A`)「…わからない」
ドクオが立ち上がったところ、ヒートが不思議そうな顔をした。
ドクオの股間を凝視している。
ノハ;゚⊿゚)「………?」
(*'A`)「あ、何…?」
ノハ;゚⊿゚)「……ご主人様、ベルト…?」
見ると、普段と同じベルト。
なんの変哲もない。
('A`)「…なんの変哲もない?」
ノハ;゚⊿゚)「一回、金に変わりましたよね?」
('A`)
('A`)「あれ?」
151
:
名も無きAAのようです
:2015/11/27(金) 22:16:54 ID:kGOiR2..0
(;'A`)「あ、じゃあ、もしかして…」
(;'A`)「一定時間で元に戻る?」
ノハ;゚⊿゚)「はい」
(;'A`)「やっぱり賢者の石としては不完全だったのかも…」
ノハ;゚⊿゚)「じゃ、石からでてきたあの水は…」
(;'A`)「不老不死には、なれないのかな…多分…」
二人の間に、沈黙が流れた。
ノパ⊿゚)「…夜ご飯、作りますね」
(;'A`)「あ、うん…。今木の皿と木のスプーンしかないから、それで食べられるもので」
ノパ⊿゚)「頑張ります!」
152
:
名も無きAAのようです
:2015/11/27(金) 22:17:42 ID:q2ey3gsw0
一瞬でも金に出来るって普通にすごくね……?
153
:
名も無きAAのようです
:2015/11/27(金) 22:17:48 ID:kGOiR2..0
アサピーが詐欺の罪で起訴されたのは、また別の話である。
.
154
:
名も無きAAのようです
:2015/11/27(金) 22:18:38 ID:kGOiR2..0
二日に一回とか言いながら毎日できてるけど、そろそろペース落ちるんじゃないかと思う今日この頃
155
:
名も無きAAのようです
:2015/11/27(金) 22:19:26 ID:5KjnEdSw0
おつおつ
VIPで紹介されてたよ
156
:
名も無きAAのようです
:2015/11/27(金) 22:21:14 ID:kGOiR2..0
>>155
現在進行形でスレ見てます
わりと恐れ多いです
157
:
名も無きAAのようです
:2015/11/27(金) 22:29:10 ID:fwuRfEm60
アサピーェ…
158
:
名も無きAAのようです
:2015/11/27(金) 22:43:25 ID:QNNG5Hro0
ペース早いけど無理せずな
面白いから嬉しいけど
159
:
名も無きAAのようです
:2015/11/27(金) 23:54:23 ID:2Zf9XGlM0
唯一の友人がwww
160
:
名も無きAAのようです
:2015/11/28(土) 00:29:16 ID:T3gM12uE0
アサピー…
161
:
名も無きAAのようです
:2015/11/28(土) 15:48:31 ID:H0x3s8hk0
友人のアサピーが前科持ちに...
162
:
名も無きAAのようです
:2015/11/28(土) 23:15:12 ID:xWGPSmkg0
タレマユのホムンクルスというとホムンクルスは生きるようですの主人公かな
163
:
名も無きAAのようです
:2015/11/28(土) 23:20:18 ID:RQgebicI0
なんかワロタ
164
:
名も無きAAのようです
:2015/11/29(日) 13:12:07 ID:Mgx5Qz7I0
股間のチャックを金にしたまま外出したのかアサピーは
165
:
名も無きAAのようです
:2015/11/30(月) 23:05:48 ID:mBvYQh/U0
9.グール
(;'A`)
凄腕ハンターウツタ・ドクオは、対応に困っていた。
それは何故か。
本日の目標はグール。
何故か大量発生しているので、巣ごと殲滅して欲しいとのことだった。
しかし、思っていた以上に数が多い。
さらに言うと、その場所は貴重な草木の茂る森であった為、範囲魔法の使用は躊躇われた。
一匹一匹倒しても時間がかかる。
彼は、最近会得した召喚魔法を使うことにしたのだった。
味方が増えれば、時間は半分で済む。
そう思ってのことだった。
結果。
(´・_ゝ・`)「あっ、どうも…あ痛、いたた…」
グールの群れの目の前に、スーツ姿の頭髪の薄い男性が現れたためだ。
166
:
名も無きAAのようです
:2015/11/30(月) 23:06:41 ID:mBvYQh/U0
(;'A`)「…どうも…」
なにを隠そう、彼には早く帰らねばならない理由があった。
荷物が届くのだ。
それも、ただの荷物ではない。
まさに待ち望んでいたものが届くのだ。
『魔物っ娘フィギュアver.2・火竜モデル』。
一種類ずつリリースされていたこのシリーズにも、ついに火竜に順番が回ってきたのだ。
以前の火竜っ娘と同じと侮るなかれ。
これまでの面影もしっかりと残しつつ、より可愛く、より美しく、より溌剌と。
精密に、鮮やかに、活き活きとしたそれは、今にも元気に動き出しそうだ。
少しだけ見えるパンツはご愛嬌。
今回は、服装面に大きな変化が加えられた。
火竜の持つ、燃え上がるような独特な赤。
以前までは、服装にもその赤がふんだんにあしらわれていた。
民族衣装的な方向性こそ変わらないものの、それを今回は大幅に抑え、あえて地味ともいえる彩色の服装となっている。
しかし、それによって髪色の鮮やかな赤が、そしてその活動的な外見が、とてもよく映えるのだ。
服装単体でもよく見れば、石のアクセサリーなどが追加されており、ただ地味にした訳ではないことが分かる。
手に持つ武器は牙を模した槍から、正統派とも言える大剣へと変わった。
これはアンケートにより決まったことだが、次いで多かった槍派の要望にも答え、槍に装備を変更させることも可能となっている。
ちなみにドクオは大剣に一票を投じた。
やはり正統派、火属性パワー型が好みであることはもちろん、槍はむしろヘルウルフっ娘に持たせるべきだと思っていた。
そちらがアンケートによりクロー装備となってしまったことだけは、残念至極の極みであった。
ともかく、ファンの間では賛否両論あるこれらの変化を、ドクオはいたく気に入っていた。
167
:
名も無きAAのようです
:2015/11/30(月) 23:08:05 ID:mBvYQh/U0
届くはずのこれを、ヒートに見られる訳にはいかなかった。
未だヒートは、彼のフィギュア趣味を知らない。
彼の言いつけを守り、部屋に入っていなければ、だが。
包装はされているだろうが、万が一ということもあった。
(;'A`)「えっと…し、召喚…」
(´^_ゝ^`)「えーと、初めての呼び出しでして、不備があったらすみませんね。いたたた」
グールに噛み付かれながら男性が答える。
予想と違いすぎて戸惑う。
(;'A`)「えっと、お名前は」
(´^_ゝ^`)「あ、真名はちょっと…悪魔デミタスとでも呼んで頂けたら…」
(;'A`)「あ、はい」
(´^_ゝ^`)「いやあ、若い人がとっつきやすいかなってね。タスあたりが、ほら」
(;'A`)
(´^_ゝ^`)「デミたそ〜、みたいな」
(;'A`)
(´^_ゝ^`)「デミたそ〜」
(;'A`)
(´^_ゝ^`)
168
:
名も無きAAのようです
:2015/11/30(月) 23:08:50 ID:mBvYQh/U0
(;'A`)「悪魔って、あの、もっとイメージ的に…」
(´・_ゝ・`)「ああ、召喚斡旋所では黒の服装が規定されてますよ」
(;'A`)「あ、スーツ…はい…」
(;'A`)「いやいや、あの、戦ったり、とか」
(´^_ゝ^`)「いや〜〜〜…初めてですけど、やってみましょうか。えいっ」
言うなり悪魔デミタスは、裾に噛み付いていたグールを殴りつける。
鈍い音がした。
グールに変化はない。
元気に噛み付いている。
(´^_ゝ^`)「あ〜…ダメですねぇ…」
(;'A`)「こう…腕を振るだけで何故か敵が吹っ飛んだり、とか…悪魔ですよね?」
(´^_ゝ^`)「いやあ…ちょっと…」
169
:
名も無きAAのようです
:2015/11/30(月) 23:10:16 ID:mBvYQh/U0
(;´^_ゝ^`)「戦闘に関してはちょっと…娘の方ができるぐらいですから」
(;'A`)「娘さん呼べないんですか」
(;´^_ゝ^`)ゞ「いやあ〜〜〜…最近ちょっと…反抗期で…」
(;'A`)「あ、はい…すんません…じゃあ、魔法とかも…」
(´^_ゝ^`)「苦手ですねぇ…」
(;'A`)「はあ…」
(;'A`)「……?」
ハズレを引いたかもしれない、と半ば落胆しているドクオは何かに気づいた。
先ほどから、グールがドクオの方に来ていない。
デミタス相手に唸ったり噛み付いたりしているだけだ。
(;'A`)「…?」
(´・_ゝ・`)「どうしました?」
(;'A`)「あ、ちょっと…そこにいてもらえますか」
ドクオは魔法の準備をする。
試したいことがあった。
170
:
名も無きAAのようです
:2015/11/30(月) 23:10:57 ID:UvrfCCdo0
フィギュアの描写に気合入りまくってて草
171
:
名も無きAAのようです
:2015/11/30(月) 23:11:13 ID:mBvYQh/U0
(;'A`)「『デコイドール』」
敵の気を引く分身を作り出す。
見向きもしない。
(;'A`)「『プロボーク』」
敵を挑発し、怒りを自分に向けさせる呪文。
効果がない。
(;'A`)「とうっ」
グールに軽く斬りつける。
一瞬怯むが、なぜかまたデミタスを襲い始めた。
(;'A`)「…」
(;´・_ゝ・`)「あいたたた」
(;'A`)「…おぉ…」
ほぼ確実であった。
この悪魔デミタス、やたらめったら『ヘイトが高い』。
魔物が、デミタスしか襲わないのだ。
ドクオは、この悪魔が少しだけ哀れになった。
しかし、それなら話は早い。
無抵抗の敵を切り刻むだけで終わるのだ。
172
:
名も無きAAのようです
:2015/11/30(月) 23:12:53 ID:mBvYQh/U0
―――二時間後。
全ての魔物を掃討し終えた。
本当に、ドクオには見向きもしなかった。
(;'A`)「お疲れ様です…」
(´・_ゝ・`)「あ、お疲れ様です」
デミタスには、何故か怪我一つない。
そこは悪魔と言うべきか。
(;'A`)「あ、じゃあもう結構ですんで…」
(´・_ゝ・`)「ああ、分かりました。それと、言い忘れてたんですけど」
(;'A`)「はい」
(´・_ゝ・`)「悪魔の契約上、これからは召喚時は必ず私が出ますので」
(;'A`)
(;'A`)「えっ」
(´・_ゝ・`)「あ、給料とかはこっちの魔界で出ますんで大丈夫ですよ」
(;'A`)「あ、はい」
(;'A`)「え、じゃあ、攻撃とかは」
(´・_ゝ・`)「いや〜…」
(;'A`)「あ、そっすか…」
173
:
名も無きAAのようです
:2015/11/30(月) 23:13:50 ID:2d3nt.To0
ただの案山子ですな
174
:
名も無きAAのようです
:2015/11/30(月) 23:14:52 ID:mBvYQh/U0
(´・_・`)「ちゃーす、ハンコかサインお願いしゃ…大丈夫ですか」
(; A )「ゼェ…ハァ…だ、ゴホッ…大丈夫です……ハァ……グフッ…」
.
175
:
名も無きAAのようです
:2015/11/30(月) 23:15:33 ID:mBvYQh/U0
正直2レス目が全てと言っても過言ではない
176
:
名も無きAAのようです
:2015/11/30(月) 23:16:29 ID:UvrfCCdo0
乙です、この空気感ほんとすき
そして配達員がショーンで草
177
:
名も無きAAのようです
:2015/11/30(月) 23:21:32 ID:GhFAGUCs0
支援絵が待ち遠しい(フィギュアの)
178
:
名も無きAAのようです
:2015/12/01(火) 00:17:47 ID:jPuzvenU0
>>173
案山子て…言い得て妙だね
179
:
名も無きAAのようです
:2015/12/01(火) 00:30:06 ID:PHvvU.wE0
なんだこの
>>166
の濃密な文章
180
:
名も無きAAのようです
:2015/12/01(火) 00:50:49 ID:23dcWIM20
暗にイラスト描けって絵師を脅してるのか
181
:
名も無きAAのようです
:2015/12/01(火) 01:38:37 ID:uFzc9vfw0
デミたそwwwww
182
:
名も無きAAのようです
:2015/12/01(火) 07:50:11 ID:GZEdfcLc0
やっぱりデミタスは禿げてるのかな
183
:
名も無きAAのようです
:2015/12/01(火) 09:11:01 ID:gFx6XDm20
よく読んでみ
184
:
名も無きAAのようです
:2015/12/02(水) 00:27:04 ID:C85w8TFcO
毛がないから怪我ないのかな
185
:
名も無きAAのようです
:2015/12/02(水) 00:29:59 ID:77t1bygE0
>>184
お前天才かよ
186
:
名も無きAAのようです
:2015/12/02(水) 00:40:21 ID:XSTWUQP20
毛がなくて安全は謎かけの定番なんだよなあ
187
:
名も無きAAのようです
:2015/12/02(水) 09:30:57 ID:P3e1g4n.0
けがなくてよかったね
188
:
名も無きAAのようです
:2015/12/04(金) 12:03:46 ID:E9Be87SMO
反抗期で薄毛デミタスの娘ってもうハインしか思い浮かばないな
189
:
名も無きAAのようです
:2015/12/27(日) 21:59:24 ID:huIQ9J3A0
やっぱり完結しなかったな
190
:
名も無きAAのようです
:2016/01/15(金) 00:15:37 ID:RJjhvlPk0
描写を踏みにじってしまった
反省はしていない
http://i.imgur.com/Hf6FLHg.jpg
191
:
名も無きAAのようです
:2016/02/19(金) 09:12:51 ID:wgilHP1s0
復活しないかなぁ
192
:
名も無きAAのようです
:2018/04/15(日) 00:35:10 ID:Xfq2WKnQ0
ふと読みたくなったので掘り返し
193
:
名も無きAAのようです
:2018/04/27(金) 20:29:01 ID:1D2d731s0
やっぱおもしれーわ
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