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( ^ω^)オッサンズオーシャンのようです
1
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/11/07(土) 02:00:46 ID://hkCpgk0
( ^ω^)「…………」
空の下に、何があるのか。
海。
大地。
それを踏みしめる人。
オッサン。
どれも、それら見下ろす空にとっては等しく価値のない物だ。
( ^ω^)「……ブーンはもう……」
しかし、自分にとってはどうなのだろうか。
等しく価値がない? 冗談じゃない。
人を人として括ること自体、馬鹿馬鹿しい。
2
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/11/07(土) 02:01:42 ID://hkCpgk0
ならオッサンは?
彼らは、オッサンとして括るべきなのか。
それこそ、難題だ。
( ^ω^)「…………」
……無駄な事だ。
こんなこと考えても、無意味じゃないか。
自分になんの利益をもたらさない。
決して自分の心が救われるようなことは無い。
( ^ω^)「…………」チャキ
――もう、終わりにしよう。
グチャッ
.
3
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/11/07(土) 02:03:09 ID://hkCpgk0
――――
( ^ω^)オッサンズオーシャンのようです
――――
4
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/11/07(土) 02:03:56 ID://hkCpgk0
第1話「街の終わりはすぐそこに」
.
5
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/11/07(土) 02:07:00 ID://hkCpgk0
( ^ω^)カタカタ
( ^ω^)「面白いスレないお……」
インターネットの掲示板を眺めるのが好きだった。
自分には、これと言って趣味がない。
あえて言うなら、パソコンだ。
( ^ω^)カタカタ
( ^ω^)「おっ……」
( ^ω^)「……“駅でオッサンに噛み付かれた件”?」
(*^ω^)「なんだおそれ、馬鹿みたいなスレだお」
( ^ω^)「どれどれ……」カタカタ
ピコーン
( ^ω^)「おっ、ツンからLINEかお」
( ^ω^)「“明日はちゃんと学校来なさいよ”……だってお」
( ^ω^)「……まあ、明日は行くかお……」
6
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/11/07(土) 02:07:43 ID://hkCpgk0
ここ数日、高校へ行っていない。今日もサボってしまった。
いや、元々休みがちだったのだ。
面倒だから。
( ^ω^)「もうお昼かお……カーチャンご飯まだかお……」
コンコン
( ^ω^)「お?」
J( 'ー`)し「ブーン、ご飯できたわよ」
( ^ω^)「……置いといてくれお」
J( 'ー`)し「……わかったわ。お母さんパートがあるから、出かけてくるわ」
( ^ω^)「わかったおー」
( ^ω^)カタカタ
玄関の扉が閉まる音が聞こえた。
母が出ていったのだろう。
( ^ω^)「ご飯にするかお」ガタッ
( ^ω^)「今日のお昼は〜……トンカツかお」
( ´ω`)「最近揚げ物ばっかだお……」
7
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/11/07(土) 02:08:37 ID://hkCpgk0
( ^ω^)「ま、トンカツは好きだからいいお」
( ^ω^)モグモグ
( ^ω^)「でもピザも食べたいお」
( ^ω^)モグモグ
ピコーン
( ^ω^)「おっ? 今度はドクオからLINEかお?」
( ^ω^)「“オッサンスレ見たか? やばいぞ”だってお」
( ^ω^)「ドクオもサボってるのかおww」
( ^ω^)「えーっと、“今ご飯食べてるお、後で見るお”と」ポチポチ
( ^ω^)「送信」
( ^ω^)「うわもう既読ついたおww」
( ^ω^)「返信早いお」
( ^ω^)「……“今すぐ見ろ”……?」
( ^ω^)「ご飯ぐらい食べさせろお!」モグモグ
( ^ω^)モグモグ
8
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/11/07(土) 02:09:49 ID://hkCpgk0
ガシャーン
ウワー
(;^ω^)「なっ、なんの音だお!?」
突然耳に飛び込んできた、ガラスの割れる音。誰かの悲鳴。
ただ事ではないと感じさせるには十分だった。
(;^ω^)「外かお……?」
カーテンを少しだけ捲り、恐る恐る外を見る。
しかし、これと言っておかしな様子はなかった。
(;^ω^)「な、なんなんだお……」
不安だ。しかし好奇心もあった。
(;^ω^)「バット……バットはどこだお……」カラン
(;^ω^)「おっ、あったお……! 一応、持ってくかお……」
(;^ω^)「ちょっと、様子を見るだけ……だお……」
何も起こっていなければいい。でも、何か起きていてほしい。
そんな感情とバットを握りしめて、玄関の扉を開けた。
9
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/11/07(土) 02:10:32 ID://hkCpgk0
(;^ω^)「……おっ……!?」
玄関先で自分が目の当たりにした光景。
それはあまりにも日常とかけ離れすぎていて、理解するのに時間を要した。
Ω「ウガァァ……」グチャグチャ
Ω「グルルルル……」グチャグチャ
二人のオッサンが、破けたスーツを身に纏った男性に噛み付いて、肉を引き千切っていたのだ。
(;^ω^)「えっ……おっ……」
カラン、と音を立ててバットが地面を跳ねる。
Ω「オ?」
その音に反応して、二人のオッサンが血で真っ赤に染まった顔をこちらに向けた。
自分を見るその目は、まるで獲物を見るようにギラついていて、思わず脚が震えた。
Ω「ワカイオトコダ……」
Ω「……クイモノダァ……」
(;^ω^)「ひっ……」
いや、この二人はまさしく自分を獲物と捉えている。
震える、なんてもんじゃない。
恐怖で腰が抜けそうだ。
10
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/11/07(土) 02:11:47 ID://hkCpgk0
しかし、まだ死にたくない。
そう思うと鉛のようだった身体は不思議と軽くなった。
(;^ω^)「ばばばバット……!!」
足元に転がっているバットを拾い、再び強く握る。
小学生の頃、ドクオとよく野球をしたものだ。もっとも、ドクオは嫌がっていたのだが。
そんな思い出のあるバットを、こんな形で再び握りしめる事になるとは思ってもいなかった。
(;^ω^)「きき、来たら殺すお……!!」
Ω「……コロス……?」
Ω「……コロシテミロォォォォ!!」
自分に向かってきたのは、叫び声をあげた一人。
その一人の頭に向かって、バットを思い切り振り回した。
(;^ω^)「おおおおっ!!」ドカッ
Ω「ウグッ……」
適当に振り回したものの、バットは見事オッサンの頭に命中した。
Ω「ナ、ナグッタ……」
11
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/11/07(土) 02:12:30 ID://hkCpgk0
後ろにいるオッサンは、殴られて倒れたオッサンを見て、そう言った。
Ω「イテェ……イテェ……」
Ω「ヒトマズニゲヨウ!」ダッ
Ω「オレヲオイテクナ!!」ダッ
(;^ω^)「…………」
オッサン達は、一目散に逃げていった。
どうやら効果はあったらしい。
(;^ω^)「なんなんだお……」
目の前には、血塗れの男性が倒れている。
恐らくもう息はしていないだろう。
(;^ω^)「警察に……連絡しないと――――!?」
Ω「グルルル……」
Ω「キシャァアア!!」
見間違い、ではない。
通りの遠くから、複数のオッサンがこちらに向かって歩いてきている。
六人、いや七人はいるだろうか。
12
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/11/07(土) 02:13:20 ID://hkCpgk0
Ω「ウウウウゥ……」
先程のオッサン達と同じだ。
すでに顔中が血塗れで、鋭い目つきで自分を睨んでいる。
冗談じゃない。
一人や二人ならばともかく、あんな数のオッサンを相手に勝てるはずがない。
(;^ω^)「さよならだお!!」ガチャン
危険を感じてからの行動は早かった。
自分はすぐに玄関の扉を開けて、家の中へと逃げ込んだ。
( ^ω^)「……ふーっ……なんなんだお……」
( ^ω^)「やばい事が起こってるのは、わかったお……」
ドアの鍵をしめて、深く深呼吸をする。
普段と変わらないこの家を、ありがたく思った。
( ^ω^)「意外と冷静でいられるもんだお……」
( ^ω^)「それに……なんだか……ちょっと……」
( ^ω^)「わくわくしてるお……」
13
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/11/07(土) 02:14:03 ID://hkCpgk0
ドンドン
(;^ω^)「おっ!?」
グオオオ
ドンドン
(;^ω^)「やっぱ追い詰められると焦るお……。この様子じゃいつ窓から入ってくるかわからんお……」
(;^ω^)「荷物まとめて逃げるかお……」
家の中に篭って戦った方が安全だろうか。そうも思ったのだが、一人でいるのは不安だ。
小さなショルダーバッグに財布やらを詰め込んで、部屋の窓から外を眺める。
( ^ω^)「こっちは安全そうだお!」ガララ
( ^ω^)「よいしょ」シュタッ
( ^ω^)「自転車は……」
(;^ω^)「おっ!?」
Ω「ミツケタゾォォオオオ!!!!」
Ω「ウガァァァァァア!!!」ダダダッ
(;゚ω゚)「おおおおおお!?!?」
14
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/11/07(土) 02:15:30 ID://hkCpgk0
オッサン達は自分を見つけると、すぐに走ってきた。
まさか、こっちにもいるとは。
窓からは見えなかったのに。
(;゚ω゚)「おおおおおおお!!!」ダダダッ
Ω「マテコラァァァァ!!」
Ω「ヒルメシィィィィィィ!!!」
(;^ω^)「昼飯にはなりたくないおおおおおお!!」ダダダッ
全力で、逃げる。
乱暴な走り方をしているせいかすぐに息が上がり、全身の筋肉は悲鳴を上げている。
しかしそれどころではない。
後ろには、研ぎ澄まされた牙を煌めかせて、食い殺そうと自分を追いかけてくるオッサン達が。
Ω「ウオオォォォォォオオオ!!!」
(;^ω^)「ヒィィィィィ!!」
Ω「ウオォォ…………オ?」
(;^ω^)「!?」
すぐ後ろまで迫っていた複数の足音は、不意に消えた。
それがわかると自分は走る速度を落とし、ゆっくりと後ろを振り返った。
15
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/11/07(土) 02:16:52 ID://hkCpgk0
Ω「……ワカイ……オンナ……」
Ω「オオオッ……オンナァァァ……!!」
(;^ω^)「おっ……」
あろう事か今まで自分を追い掛け回していたオッサン達は、恐怖で立ち竦んでいる女性を見て、その場に止まっていたのだ。
Ω「オンナダァァァア!!!」
Ω「ウオオオンナァァァアアアア!!!」
「きゃあああぁぁ!!!」
(;^ω^)「…………」
助けるべきか?
いや、助けられる保証はない。
(;^ω^)(でもここで見捨てたら、あの人はブーンの代わりにオッサン達に食われてしまうお……)
思考する事に時間を費やしているうちに、オッサン達は女性の服を強引に引き剥がしていく。
助けに入るなら、今しかない。
――しかし自分が目の当たりにした光景は、想像していた物とは大きく違った。
16
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/11/07(土) 02:17:34 ID://hkCpgk0
「いやっ……助けて……!!」
Ω「オンナァァァ!!!」
オッサン達は、露わになった彼女の肢体を舐め回し、弄び、そして犯し始めた。
(;^ω^)「…………」
助けなければ。
しかし自分は――
自分は――――
.
17
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/11/07(土) 02:18:28 ID://hkCpgk0
――――
( ^ω^)「…………」
数十分間も走り続けて街中を巡ってみても、自分の心が救われる事は無かった。
街は、オッサンで埋め尽くされていたのだ。
( ^ω^)「一体どうなってんだお……おっ!?」
Ω「キシャァァァ……」
( ^ω^)「危ないお」ササッ
Ω「……ウウウゥゥ………」
( ^ω^)「……よかったお、気づかれてないみたいだお……」
なぜこんな事になっているのかはわからない。
わかった事といえば、街中がオッサンで溢れ返っている事。オッサンは男を食らい、女を犯すという事。
その程度だ。
( ^ω^)「…………」
18
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/11/07(土) 02:19:26 ID://hkCpgk0
数十分前、女性が襲われていた時。
自分は、彼女を助ける事をしなかった。
( ^ω^)「ごめんなさい……だお……」
自分が生き残るためには、危ない橋を渡るわけにはいかなかったのだ。
改めて考えてみても、バット一本では勝ち目はないと思える。
( ^ω^)「……まだ……死にたくないんだお……」
生に執着しているつもりはない。だが、死ぬのは怖かった。
今までに経験した事がないからだ。
( ^ω^)「ひとまずここで隠れてるかお……」
( ^ω^)「体力回復できたら、どこか落ち着ける場所を探さないとだお……」
裏路地のゴミ箱の影に身体を隠して、疲れを取る。
両側からオッサンがやって来たとしても、塀を乗り越えれば退路はある。
とりあえずは、なんとかなりそうだ。
( ^ω^)「とりあえずツンとドクオにLINEを……!」
( ^ω^)「って、ツンから来てるお」ポチポチ
19
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/11/07(土) 02:20:32 ID://hkCpgk0
(;^ω^)「……おっ……」
(;^ω^)「……“学校には来ないで、大変なことに”……?」
(;^ω^)「……まさか……校内にも……」
校内にオッサンが入ってきていてもおかしくはない。
いや、高校なんて人が多い上に入りやすい。オッサン達にとっては都合の良い場所だろう。
入らないわけがない。
( ω )「ツン……」
こんな事は考えたくもないが――、さっき襲われていたのは知らない女性だ。命を投げ出してまで助け出そうという気にはなれない。
だが、ツンは違う。
大切な大切な、友達だ。
彼女の命に比べたら、自分の命なんて安いものだ。
( ω )「助けに行くお……」
高校までは、ここから3km程だろう。
大した距離じゃない。
( ^ω^)「…………」
( ^ω^)「待ってろお……ツン……」
必ず、助け出してみせる。
強くそう思った。
20
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/11/07(土) 02:21:14 ID://hkCpgk0
( ^ω^)「……ドクオにもLINE送っとくかお……」
( ^ω^)「“生きてるかお”……と」ポチポチ
( ^ω^)「…………」
( ^ω^)「……すぐには既読はつかないかお……」
仕方ない、そう思ってスマホの画面を消す。
いつでもいい。返信が返ってくれば安心できる。
( ^ω^)「生きててくれお……ドクオ……」
( ^ω^)「……カーチャンは……」
( ^ω^)「…………、メールだけ、しておくかお…………ッ!?」
Ω「オオ……オオオオォォオオオ!!!」
(;^ω^)「おおおおおお!? もう見つかったかお!!」
叫び声を聞いて振り返ると、そこには一人のオッサンがいた。
Ω「オオオオオオッ!!! オオオオオオオオオッ!!!!」ダダダッ
(;^ω^)「来るなおおおォォ!!」ダッ
21
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/11/07(土) 02:22:20 ID://hkCpgk0
オッサンは全速力で駆けてくる。
自分も急いで塀によじ登る。しかし、疲れからか脚が思うように動かない。
その時。
Ω「オオオオッ!!!」ガシッ
オッサンの汚い手で、左足を掴まれてしまった。
(;゚ω゚)「掴むなおおお!!!」ドゴッ
右足で勢い良くオッサンの顔を蹴る。
Ω「オッ!?」
(;゚ω゚)「あと口調真似んなおおおおおお!!」ドカドカッ
Ω「オオオッ!?」
続けざまに何度も蹴りを入れる。
すると自分の足からオッサンの手は離れ、身体が軽くなった自分は必死で塀によじ登った。
(#^ω^)「このクソジジィ!!」ドカドカッ
なんとか塀に登れた自分は、バットを使ってオッサンの手や頭を殴る。
22
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/11/07(土) 02:23:07 ID://hkCpgk0
Ω「オオッ!! モウヤメテッ!!」
(#^ω^)「次やったらまた痛い目にあうお!!」
Ω「ヒェェェ!!」ダダダッ
(;^ω^)「……行ったかお……」
(;^ω^)「……足掴まれた時はちょっと怖かったお……」
塀の上から小さな倉庫の上に乗り、座り込んで深呼吸をする。
掴まれた部分を見てみるが、傷にはなっていないようだった。
( ^ω^)「……とりあえず、行くかお……」
(;^ω^)「おっ!?」
Ω「アイツガ……!! アイツガヤリヤガッタ……!!」
塀の向こう側を見てみると、先程のオッサンが自分を指差しながらそう言っていた。
23
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/11/07(土) 02:23:50 ID://hkCpgk0
Ω「アイツカ……オレガコロシテヤル!!! ミンナノヒルメシダァァァ!!!」
ΩΩΩ「オオオオオオオオォォォッ!!!!」
大勢のオッサンを連れて。
(;゚ω゚)「さすがにやばいおおおおッ!!!」
Ω「マテコラァァァアア!!!」ダダダッ
⊂二二二(;^ω^)二⊃「さよならだお!!!」ブーン
倉庫から飛び降りて地面に着地した時、足の裏に亀裂が入ったような痛みを覚えた。
焦りすぎてうまく着地できなかったせいだ。
怪我というほどではない。走れない事もない。
痛みに耐えながら、自分は必死で走った。
街の終わりは、すぐそこに迫っていた。
24
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/11/07(土) 02:25:56 ID://hkCpgk0
第1話、以上になります。
闇の次はオッサンです。
よろしくお願いします!
25
:
名も無きAAのようです
:2015/11/07(土) 02:58:03 ID:/CDtTAKk0
「オオッ!! モウヤメテッ!!」でなんかワロタ
乙
26
:
名も無きAAのようです
:2015/11/07(土) 13:07:39 ID:RnILavkk0
タイトルで登場人物全員オッサンのオーシャンズイレブン的なエンタメかと思った
27
:
名も無きAAのようです
:2015/11/10(火) 08:54:56 ID:jmtpyZq60
6部パロかと
おつ
28
:
名も無きAAのようです
:2015/11/14(土) 15:25:21 ID:6f4T5FVg0
おつ。
29
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/11/17(火) 05:04:09 ID:7OV8E8h20
レスありがとうございます!
オーシャンズ11でもストーンオーシャンでもなくて申し訳ない。
第2話、投下します!
30
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/11/17(火) 05:04:55 ID:7OV8E8h20
第2話「咽返るほどの血の匂い」
.
31
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/11/17(火) 05:05:42 ID:7OV8E8h20
(;^ω^)「はぁ……はぁ……」
(;^ω^)「やっとまいたかお……」
1kmは走っただろうか。
高校にも少しは近づいただろう。
(;^ω^)「さすがに……しんどいお……」
(;^ω^)「なんか休めそうなところ……」
(;^ω^)「おっ?」
( ^ω^)「……“おもちゃのマキマキ”……まだあったのかお……」
自分が生まれるよりもずっと前からある、おもちゃ屋さん。
小学生の頃は、よくここでエアーガンなどを買ったものだ。
( ^ω^)「……ちょっと……覗いて見るかお……」スタスタ
(;^ω^)「……ドアのガラスが……割れてるお……」
(;^ω^)「まさか襲われたんじゃ……」ガチャ
32
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/11/17(火) 05:06:38 ID:7OV8E8h20
ドアを開けてゆっくりと中に入る。
電気は付いているが、薄暗い。
店内の雰囲気は昔と何も変わっていなかった。
( ^ω^)「誰かいませんかお……?」
(;^ω^)「ッ!?」
/ ,' 3「動くなよ……。動いたら、撃つ……」チャキ
(;^ω^)「おおおおっ!?」
カウンターの影から出てきた、見覚えのあるお爺さん。
ここの店主の、荒巻さんだったはずだ。
彼が、自分に拳銃を向けている。
(;^ω^)「撃たないでくださいお!! ブーンは正常ですお!!」
この国に、本物の拳銃を見かけることなどそうそうあるはずない。
ここはおもちゃ屋だし、恐らくエアーガンだろう。
だがそれでも、撃たれたら痛い。
33
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/11/17(火) 05:07:43 ID:7OV8E8h20
/ ,' 3「1+1=?」
(;^ω^)「田んぼの“田”!」
/ ,' 3「……ふむ、そうか、アイツらとは違うようじゃな……。すまないのう」
(;^ω^)「おっ……正解だったのかお……」
荒巻さんは銃をおろして、椅子に腰を下ろした。
自分は安堵からか全身の力が抜けて、床にへたり込んでしまった。
/ ,' 3「言っておくが、答えが2じゃろうが田んぼの田じゃろうが、関係ないわい」
(;^ω^)「おっ!? じゃあ一体……」
/ ,' 3「アイツらなら、答えることはしないと思ったんじゃ」
(;^ω^)「おっおっ」
/ ,' 3「仮にアイツらが答えて、儂が銃を降ろしたら、すぐに襲いかかってくるじゃろう」
/ ,' 3「予めそのつもりで銃を降ろしておけばいい。アイツらだとわかれば、すぐ撃つだけの話じゃ」
( ^ω^)「おっおっ……すごいお……」
34
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/11/17(火) 05:08:26 ID:7OV8E8h20
まだ、この付近にオッサン達が表れてから数時間しか経っていないだろう。
それでも荒巻さんは、この状況に順応できている。
自分なんて、ただ走り回っているだけだというのに。
/ ,' 3「……ところでお前さん、こんな時になんの用じゃ」
( ^ω^)「おっ……。ちょっと、気になったんですお」
/ ,' 3「気になった?」
( ^ω^)「このお店が、ですお。昔、よく来たんですお」
/ ,' 3「……そうじゃったか。すまんのう、子供はいっぱいくるからなかなか覚えられんのじゃ……」
/ ,' 3「もっとも、今日は中年の親父ばっかりだっだがのうwww」
(;^ω^)「おっおっwwww」
35
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/11/17(火) 05:09:16 ID:7OV8E8h20
荒巻さんが、表情を柔らかくして笑っている。つられて自分も笑っていた。
一瞬だけだったが、日常を感じられた。
/ ,' 3「近くにいたのか?」
( ^ω^)「いや、そんなに近くではないですお……。一時間くらい街中を走り回って、たどり着いた感じですお……」
/ ,' 3「……ほう。じゃあ疲れてるじゃろ。休んでいけばいい」
荒巻さんは椅子から立ち上がると、カウンターの下から飲み物を取り出して自分に渡してくれた。
カウンターの下に小さな冷蔵庫があったのだろうか。コーラの入ったアルミ缶は、キンキンに冷えていた。
(*^ω^)「おっおっ、ありがとうございますお……!」ゴクゴク
(*^ω^)「美味いですお!! コーラ最高ですお!!」
/ ,' 3「よかったよかった」
36
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/11/17(火) 05:10:00 ID:7OV8E8h20
( ^ω^)「…………」
( ^ω^)「…………でも……」
( ^ω^)「……休んでる暇はないんですお……」
/ ,' 3「……というと……誰かを探してるんじゃな?」
(;^ω^)「お、お見通しですかお」
( ^ω^)「……学校に、友人がいるんですお。襲われてるようで……助けに行かないと……」
( ^ω^)「ブーンが、助けないとなんですお……」
/ ,' 3「…………」
/ ,' 3「……君は、ブーンというんじゃな」
( ^ω^)「おっ、そうですお」
/ ,' 3「……君に、これをやろう」スッ
(;^ω^)「おっ……これって……」
37
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/11/17(火) 05:11:14 ID:7OV8E8h20
荒巻さんが差し出したのは、先程自分に向けられていた拳銃だった。
/ ,' 3「……これは、本物じゃあない。ガスガンじゃ。じゃが、ちょいと改造しててな……まあそれは儂の趣味なんじゃが……」
/ ,' 3「マガジンのガス容量と、ガスの排出量を多くしてある。弾は当然プラスチック製ではなく鉛製じゃ」
/ ,' 3「こいつなら、近くにいる人の頭くらいは貫けるじゃろうな」
(;^ω^)「――ッ……」
/ ,' 3「ほっほっほww」
そんな物を向けられていたとは。
危うく普通の人間に殺されるところだったようだ。
(;^ω^)「でも……そんなもの貰っちゃっていいんですかお……」
/ ,' 3「構わんわい。儂はあと3丁ほど持ってるからのぉ」
38
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/11/17(火) 05:12:13 ID:7OV8E8h20
(;^ω^)「おっおっ……じゃあせめて、お金だけでも……」
/ ,' 3「……じゃあ、ガスと弾は買ってってくれるかのぉ。銃は、タダでくれてやるわい」
/ ,' 3「友人を、助けるんじゃろ」
( ;ω;)「……たら巻さん……ありがとうございますお……」
/ ,' 3「荒巻じゃ」
( ;ω;)「……荒巻さん……ありがとうございますお……」
舌を噛んだせいで、口の中に血の味が広がる。
それを鬱陶しく感じ、コーラで口直しをした。
/ ,' 3「ほっほっほ。ガスと弾はどのくらい買ってくんじゃ?」
( ^ω^)「弾は……一袋くらいでいいですお。ガスは……」
/ ,' 3「弾は一袋200発入りじゃ。しかし、200発分のガスとなると……いくつ必要になるかのう……」
39
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/11/17(火) 05:12:56 ID:7OV8E8h20
( ^ω^)「……とりあえず二本、貰っていきますお。バッグが小さくて、それ以上入らなそうですお」
/ ,' 3「そうか。じゃあ、3千円でいいじゃろう」
( ^ω^)「3千円ですかお……」ゴソゴソ
( ^ω^)
(;^ω^)「3千円もないですお!!!」
/ ,' 3「金のない客はお断りじゃ。帰ってくれ」
(;^ω^)「そ、そんな」
/ ,' 3「冗談じゃよ。ほれ、もってけ」スッ
( ^ω^)「おっ……いいんですかお……」
/ ,' 3「何度も言わせるんじゃない。どうせこの様子じゃ、いずれ金の価値もなくなるんじゃろうしな……」
40
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/11/17(火) 05:13:39 ID:7OV8E8h20
( ^ω^)「おっ……」
/ ,' 3「さあもう行くんじゃ!」
( ^ω^)「……ありがとうございますお……!!」
( ^ω^)「また、来ますお!!」
ダダダッ
ガチャ
/ ,' 3「……ブーン……か……」
/ ,' 3「……覚えておこう……」
/ ,' 3「……長生きしろよ……若いの……」
41
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/11/17(火) 05:14:29 ID:7OV8E8h20
――――
(;^ω^)「店の中で入れればよかったお……」
少し歩いた先にあるファーストフード店の影に隠れて、ガスをマガジンに注入していく。
ガスが漏れないように慎重に押し込むが、意外と難しい。
(;^ω^)「弾も詰めないとだお……」
ガスの注入が終わり、今度は弾詰めだ。
一発一発詰め込むのは非常に手間だ。だが他に方法もない。
(#^ω^)「めっちゃイライラするお」
こんな事なら、BBローダーを買っておけばよかった。
あれほど便利だと思えるツールはそうそうない。
( ^ω^)「でも戻って買うのも……かっこ悪いお……」
( ^ω^)「……我慢だお……」プチプチ
やがて弾詰めも終わり、マガジンをセットして構える。
標的は近くの木だ。
42
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/11/17(火) 05:15:32 ID:7OV8E8h20
( ^ω^)「狙って……撃つ」バスッ
(;^ω^)「おっ……」
(;^ω^)「めっちゃめり込んでるお……」
これなら威嚇や攻撃にも十分使える。
そう思うと、心の奥に潜んでいた恐怖心のようなものが少しだけ拭われた気がした。
( ^ω^)「さて、どうするかお……」
( ^ω^)「何か乗り物を手に入れたいお」
(;^ω^)「でもこんな非常時に盗んでいいのかお……」
(;^ω^)「……いや、非常時だからこそだお! 生きるためには必要なんだお……!」
Ω「アァ……アァ……」チャリチャリーン
(;^ω^)「おっとぉ……自転車に乗ってるタイプのオッサンだお!(新種)」
43
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/11/17(火) 05:16:15 ID:7OV8E8h20
( ^ω^)「銃で撃つかお」バスッ
バスッ バスッ
( ^ω^)「あれー? 何にも当たらんお」
何度撃っても、発射された弾丸はオッサンの横を通り過ぎていく。
当たり前だ。初心者が素早く動いているものに当てるなんて、不可能なのだ。
Ω「……アァー!! アアアアアア!!」チャリチャリーン
(;^ω^)「うわこっち向かってきた」
Ω「アアアアアア!! アアアアアア!!」チャリーン
(;^ω^)「くそっ……当たらんお……!」バスッ バスッ
(;^ω^)「こうなったらバットで……!」
44
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/11/17(火) 05:16:59 ID:7OV8E8h20
Ω「アアァー!! アアァーァ!!」
(;^ω^)「おおおおっ!!」ブンッ
Ω「アガッ……!」バキッ
ガシャーン
(;^ω^)「おおおっしゃ!」
Ω「……ウゥ……」
(;^ω^)「ゴメンだお、オッサン。チャリ借りるお……!!」ガシャン
Ω「……ウ……ウオオオオオオ!!」スクッ
(;^ω^)「おおおおおっ!? にっ、逃げろぉぉぉおお!!!」ギコギコ
45
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/11/17(火) 05:17:42 ID:7OV8E8h20
――――
(;^ω^)「……はぁ……はぁ……」
(;^ω^)「逃げてる途中で他のオッサンにも見つかるから、どんどん増えて大変だったお」
グゥゥゥ
(;^ω^)「お、お腹空いたお……」
(;^ω^)「……でも……ツンのところへ急がなきゃ……だお……」
( ^ω^)
(*^ω^)「コンビニがあるお……!!」
(*^ω^)「ちょっと寄るくらいならいいかお」
この通りにはオッサンがいないようだ。
だが、建物の中に潜んでいる可能性もある。
警戒しつつ、腹の虫をなだめつつ、ゆっくりと自転車を引いてコンビニへと向かった。
( ^ω^)「……店内には誰もいないのかお……?」
46
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/11/17(火) 05:18:27 ID:7OV8E8h20
( ^ω^)「……失礼しまーす」ウィーン
( ^ω^)「自動ドアも使えるのかおww」
( ^ω^)「……おっ?」
中に入ると、ようやっとその異変に気づくことができた。
店内は、まるで強盗に入られたかのように荒れ放題だ。
(;^ω^)「オッサンの仕業……? いや、これは……」
明らかに、食品だけ少なく見える。
恐らく、この非常事態に誰かが食料を確保しに来たのだろう。
(;^ω^)「考える事は皆同じかお……」
( ^ω^)「でもまあ、食べ物が何もないわけじゃないしいいかお」
( ^ω^)「おー……、なんかピザとかないんかお」
47
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/11/17(火) 05:19:08 ID:7OV8E8h20
( ^ω^)「ピザなんてあるわけないかお……おっ!?」
(*^ω^)「こ……これは……冷凍のピザ……!!」
( ^ω^)「コンビニって……こんなものまであったのかお……」ゴソゴソ
(*^ω^)「おっ、在庫が4つもあるお」
(*^ω^)「全部食べるかお」
ピザを抱えてレジカウンターの中へと入る。
特殊な電子レンジの使い方に手間取ったが、なんとか動かす事ができた。
ピー
(*^ω^)「おっおっ、待ってましたお」
四台の電子レンジが時間差で電子音を鳴らす。
扉を開けるとピザのいい匂いが店内に広がり、腹の虫は暴れだす。
48
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/11/17(火) 05:19:58 ID:7OV8E8h20
( ^ω^)「あっつつ……。どっか、食べるところ……」
( ^ω^)「この中なら椅子とかありそうだお」
レジカウンター内にあるドアを開けると、中は事務室になっていた。
予想通り机と椅子が並んでいて、自分はそれに腰を降ろしてピザを取り出した。
( ^ω^)「ほんとならオーブントースターとかで焼きたかったけど……仕方ないお……」
(*^ω^)「とりあえず、いっただきますお〜」モグモグ
(*^ω^)「うっ、うま〜! ピザ、やっぱりピザが一番うま――」
――省略――
49
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/11/17(火) 05:21:01 ID:7OV8E8h20
( ^ω^)「ふぅ……よく食べたお」ギコギコ
(;^ω^)「食べた後に運動はしんどいお」
( ^ω^)「それに、意外と時間経っちゃったお……」
( ^ω^)「……ツン……」
( ^ω^)「急がなきゃ、だお!」ギコギコ
見慣れた道だ。通学のために通る道なので、迷う事なく全力で走れる。
途中でオッサンやそうでない人にすれ違う事もあったが、今の自分には興味がなかった。
(;^ω^)「はぁ……はぁ……」
(;^ω^)「……ようやっと……着いたお……」
大きな鉄の門の向こうに昇降口が見える。どうやらドアは開いているようだ。
あそこから入ればいいのだが――、そこまでの道程には何人ものオッサンが彷徨いていた。
やはり、すでに中は危険な状態のようだ。
50
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/11/17(火) 05:21:47 ID:7OV8E8h20
(;^ω^)「どうするかお……」
(;^ω^)「自転車はここにとめて……」
コロン
( ^ω^)「お?」
( ^ω^)「……ビール瓶、かお……」ヒョイ
( ^ω^)「……! これで、オッサンの注意を逸らせるんじゃ……!」
( ^ω^)「……昇降口の反対側に向かって……」
( ^ω^)「おっ!」ブンッ
ガシャーン
Ω「ナンダァァァアア!!」
Ω「アッチダァァァァ!!!」ダダダッ
(;^ω^)「今だおっ!!」
オッサン達が一斉に音の方へと駆けていく。
その隙に自分は門を乗り越え、大急ぎで昇降口へと向かった。
51
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/11/17(火) 05:22:32 ID:7OV8E8h20
(;^ω^)「……ふぅ……」
( ^ω^)「なんとかなったお」
( ^ω^)「おっ!?」
Ω「……アァア……」
( ^ω^)「やっぱ中もいるかお……。どうしたもんかお」
( ^ω^)「そうだ、こいつで……」チャキ
ベルトに挟んでおいたガスガンを握り、階段の前を歩き回っているオッサンに銃口を向ける。
幸い音は殆ど鳴らない。何回か打ったうち、一回でも当たれば十分だ。
( ^ω^)「ゆっくり歩いてるうちに……!」バスッバスッ
四回、引き金を引いた。
銃口から発射された四発のうち三発は、オッサンの横を通り過ぎていくだけだった。
しかし残りの一発。それだけが、オッサンの身体へと命中したのだった。
Ω「アウッ……」
52
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/11/17(火) 05:23:51 ID:7OV8E8h20
脇腹を抱えて倒れ込むオッサン。当然まだ息はある。
自分は再びガスガンをしっかりと握りしめて、痛みに悶えているそのオッサンに向けて何度も引き金を引いた。
( ^ω^)
――やがて、オッサンは動かなくなる。
( ^ω^)「……死んだかお……」
人を殺したという実感はない。
だが事実、人を殺したのだ。
しかし生き延びるためには仕方のない事だ、と自分に深く言い聞かせ、死体を一瞥し階段をのぼった。
自分やツンの教室は、二階の階段からすぐ近くだ。
そこに辿り着くまでにオッサンに出くわすことは無かった。
( ^ω^)「…………」
しかしすでに校内にもオッサンはいたのだ。
この教室のドアを開けたところで、ツンに会えるとは限らない。
――期待はするな。
心にそう釘を刺し、自分はゆっくりと教室のドアを開けた。
53
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/11/17(火) 05:24:44 ID:7OV8E8h20
そこに広がっていたのは
地獄だった。
.
54
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/11/17(火) 05:25:26 ID:7OV8E8h20
赤い部屋だった。
日の光に照らされた床は赤く、赤く濡れていて、臓物の山があちらこちらに飛散している。
思わず咽返るほどの血の匂いに、目眩がした。
そして、文字通り血の海となっている教室の中心に立っている、一人の男。
彼はゆっくりと振り返り、自分へと顔を向ける。
あの顔はよく知っている。
超ブサイクだ。
(;^ω^)「ど……ドクオ……?」
('A`)「…………、ブーンか……」
55
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/11/17(火) 05:26:59 ID:7OV8E8h20
第2話、以上になります。
とあるパロディを入れさせてもらいました。
すみませんでした!
次回もよろしくお願いします!
56
:
名も無きAAのようです
:2015/11/17(火) 06:28:02 ID:hhGHqPRI0
おつ
57
:
名も無きAAのようです
:2015/11/17(火) 15:13:30 ID:Lt6wgWzk0
安定のピザ
乙
58
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/11/23(月) 04:51:16 ID:xSrbxp9o0
レスありがとうございます!
酒飲みながら第3話いきます。
59
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/11/23(月) 04:54:52 ID:xSrbxp9o0
第3話「僅かな希望がそこにある」
.
60
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/11/23(月) 04:55:39 ID:xSrbxp9o0
自分を見つめる彼に対し、何と言ったらいいのだろう。
言葉は見つからない。だが、自然と口が動いていた。
(;^ω^)「ドクオがやったのかお……」
('A`)「……いや……」
(;^ω^)「いくら学校が嫌いでみんなにいじめられてたからって……」
('A`)「いや、だから」
(;^ω^)「教室内で全裸にされてヒロシのモノマネやらされたからって……」
('A`)「ちょっと何の話」
(;^ω^)「みんなを……殺すなんて……」
('A`)「お前は耳ついてねーのかよ」
(;^ω^)「そんな事より、この状況はあまりに酷いお……。一体何があったんだお……」
('A`)「なめてるな、お前なめてるよな」
(;^ω^)「ペロッ……これは……血……!」
('A`)「見たまんまじゃねーか」
61
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/11/23(月) 04:56:26 ID:xSrbxp9o0
こんな現場を目の当たりにしてよく吐かずにいられるものだ、と自分に感心した。
日常とはまるで縁のない非日常。恐らく自分は、この状況を受け止めきれていないだけなのだろう。
(;^ω^)「ツンはどこだお……!?」
('A`)「切り替えはえーな」
(;^ω^)「まさか……この死体の山に……」
('A`)「いや、それはない。一通り顔を確認したからな……。もっとも、顔が無い奴もいるが……」
(;^ω^)「そうかお……。でも、一体何が……」
('A`)「わかんねぇ。でも、こんな事になってるのは俺らのクラスだけなんだよ……」
(;^ω^)「じゃあ……クラスの誰かが……?」
('A`)「……人間に出来る芸当じゃねーよな。となると、誰がやったんだか……」
('A`)「オッサンか、また別の何かか……」
スタスタ
(;^ω^)「おっ……誰か来るお……」
('A`)「くそっ……身構えとけ……」
62
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/11/23(月) 04:57:34 ID:xSrbxp9o0
(;^ω^)「…………」
腰のガスガンを抜き、強く握りしめる。
いつでも撃てるよう、セーフティは外して。
そして開かれたままの扉の影から、足音の犯人は姿を現した。
(´・ω・`)「おやおや、サボり二人組が今更何のようだい?」
( ^ω^)「……おっ、なんだショボンかお……」
現れたのは、同じクラスメイトのショボンだった。
ガスガンを握る力が緩む。やがて自分は、セーフティをかけてガスガンを腰へと戻した。
( ^ω^)「びっくりしたお……」
('A`)「…………」
(´・ω・`)「全く酷いもんだよね……こんなになるまで……」
( ^ω^)「ほんとだお……。一体何があったんだお?」
63
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/11/23(月) 04:58:17 ID:xSrbxp9o0
(´・ω・`)「それが……わかんないんだ。僕がトイレに行っている間に、あの変なオッサン達に襲われたみたいで」
( ^ω^)「……なるほどだお……」
(´・ω・`)「君たちはどうしてここへ?」
( ^ω^)「おっ、ツンを探しに来たんだお」
(´・ω・`)「ツンさんか……確か、すぐに何人かと一緒に逃げ出していったよ」
( ^ω^)「やっぱそうかお……! よかったお……この中にいなくて……」
(´・ω・`)「そうだね……無事だといいんだけど」
('A`)「おい」
(´・ω・`)「ん?」
('A`)「その血はなんだ」
(´・ω・`)「血? ……ああ、これの事か。トイレから戻った時にオッサンに襲われて、抵抗してる時に付いたんじゃないかな……」
64
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/11/23(月) 04:59:04 ID:xSrbxp9o0
ショボンは自分のシャツを確認し、そう説明した。
確かに返り血のようなものが付着している。
この血だらけの室内にいたせいか、自分は気付かなかった。
('A`)「……そうか。それよりお前、トイレに行ってたんだよな?」
(´・ω・`)「うん、そうだけど」
('A`)「どれくらいで戻ったんだ?」
(´・ω・`)「さあ……お腹痛かったから、五分か十分はトイレに篭ってたんじゃないかな」
('A`)「当然、叫び声が聞こえたわけだ」
(´・ω・`)「……うん、そうだよ……。何事かと思ったけど、うんこしてる途中だったから、すぐには戻れなかったな」
('A`)「じゃあなんでお前、ツンが逃げた事知ってんだ?」
(´・ω・`)「っ……それは……」
(´・ω・`)「窓から見えたんだ、ツンさんが走っていくのが」
65
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/11/23(月) 04:59:50 ID:xSrbxp9o0
('A`)「窓からぁ? ツンだって確証はあるのかよ」
(;^ω^)「ちょっ、ドクオ一体何言ってんだお」
('A`)「お前は黙ってその銃握ってろ」
(;^ω^)「おっ……」
銃を握ってろ、とはどういう意味だ。
わけがわからない。だが、自分はゆっくりと腰のガスガンに手を伸ばした。
(´・ω・`)「……やだなあ、僕がみんなを殺したとか言いたいわけ? 無理でしょそんなの」
('A`)「……俺はツンが逃げたっていう確証が欲しいだけだよ。そんな事言ってねーだろうが」
(´・ω・`)「っ……」
(´・ω・`)「ああもう面倒くさいなあ」
(;^ω^)「……?」
(´・ω・`)「殺してあげるよ」
(;^ω^)「――ッ!?」
66
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/11/23(月) 05:00:38 ID:xSrbxp9o0
一瞬。
まさに一瞬の出来事だった。
ショボンの姿が視界から消え、同時に自分は壁に叩きつけられていた。
自分の首根っこを握りしめるショボン。
その力は、もはや人間のものではないと思える。
(;^ω^)「ガハッ…………」
(;'A`)「……!?」
手からはガスガンが離れ、床を滑って遠ざかっていく。
(´・ω・`)「なんなんだよ、せっかく生きて帰らせてあげようと思ったのにさぁ」
67
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/11/23(月) 05:01:25 ID:xSrbxp9o0
動脈はきつく締まり、呼吸はできない。
自分は後何秒意識を保っていられるのだろうか。
混乱、不安、様々な感情が、自分の心に押し寄せてくる。
(;'A`)「どうなってんだ一体!」ダッ
ドクオがガスガンの元へ駆け寄り、それを握りしめてショボンへと向ける。
ショボンはそれに気づくと、自分の首を握り締める力を緩めた。
(;^ω^)「カハァッ……ハァ……」
(´・ω・`)「……ブーン、君はこの世界にとって貴重な存在になり得るかもしれないんだ。……男としても、ねぇ……」ジュルリ
ショボンは舌なめずりを見せつけ、鋭い眼光で自分を睨みつける。
寒気がした。なんだこいつホモだったのか。
68
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/11/23(月) 05:02:08 ID:xSrbxp9o0
(´・ω・`)「ここで殺すには惜しい。だから、やっぱり生かしといてあげるよ」スッ
ドサッ
ショボンの手が首から離れ、自分の身体は糸の切れた操り人形のように床に崩れ落ちた。
脳に血が足りていないのか、身体は思うように動かない。視界も、普段より暗く感じる。
(;'A`)「……お前……何者なんだよ……」
(´・ω・`)「さあ? ただのホモってとこじゃないかなぁ」
やっぱりホモなのか。
(´・ω・`)「ドクオ……君は生かしておく必要がないんだけど、まあこの機会に見逃してあげるよ」
(;'A`)「……そうかい、そいつはありがたいね……」
ドクオはガスガンをショボンに向けたまま、しっかりと握っている。
しかし、足が小刻みに震えているのがわかった。
(´・ω・`)「また、近いうちに会うことになるさ。それまでは生きていてくれよ、ブーン」スタスタ
69
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/11/23(月) 05:03:15 ID:xSrbxp9o0
(;^ω^)「…………」
やがて、ショボンの姿は見えなくなる。
それと同時に、ドクオはゆっくりと床にへたり込んだ。
(;'A`)「……なんだよ……あれは……」
(;^ω^)「……わ……わかんないお……」
(;'A`)「人間の動きじゃなかったぞ……」
(;^ω^)「…………」
自分に飛びかかった時のショボン。
あれは明らかに常人の動きではない。
超人的、とでも言うべきだろうか。
(;'A`)「わけわかんねぇよ……どうなってんだよこの世界……」
(;'A`)「街中オッサンだらけで……母さんも父さんも殺されて……」
(;'A`)「……どうすりゃいいんだよぉ……」
(;^ω^)「……ドクオ……」
70
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/11/23(月) 05:04:14 ID:xSrbxp9o0
ドクオの両親は、すでに亡くなってしまったようだ。
自分の母親は、どうしているだろうか。生きているだろうか。
……望みはないだろう。
( ^ω^)「……ブーンは、ツンを探すお……」
('A`)「……そうか……」
( ^ω^)「ドクオは、どうするんだお……?」
('A`)「……ついていくに決まってんだろうが」
( ^ω^)「……よかったお」
('A`)「……でもよ……」
( ^ω^)「お?」
('A`)「俺はここに、クーを探しに来たんだ……。でもどうやらここにはいないみたいだし、死体もなさそうだ」
('A`)「だから、ずっと一緒にはいられねぇかもしれねぇ……」
71
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/11/23(月) 05:05:18 ID:xSrbxp9o0
クーとは、同じクラスメイトの一人で、ドクオが密かに行為を寄せている人物だ。
自分自身の命を賭けてでも探しに来ようとするほど好きだったとは、思っていなかった。
( ^ω^)「……わかってるお!」
( ^ω^)「ブーンはドクオが生きていてくれただけで嬉しいお!」
('A`)「……ブーン……」
( ^ω^)「おっおっ」
('A`)「……チャック開いてる…………」
( ^ω^)「おっwwwwwwwwこいつは失敬wwwwww」ジー
('A`)「ぷははっ…………あー、お前はやっぱ面白ぇな」
( ^ω^)「おっおっ、元気が一番だお!」
('A`)「ああ、全くだな……。さて、どうすっかな……」スクッ
72
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/11/23(月) 05:06:32 ID:xSrbxp9o0
足の震えが治まったのか、ドクオはゆっくりと立ち上がって窓から外を眺めた。
('A`)「ツンは一体どこに逃げたんだか……」
( ^ω^)「……わかんないお……」
('A`)「ショボンは多分嘘をついてねー。だから、どっかにいるはずだ」
( ^ω^)「……そうだといいお」
('A`)「ま、ここにいても仕方ねー。とりあえず、まずはここから出ないとな……」
ガシャーン
('A`)「ほら、さっきの音で来やがったぜ……」
Ω「アァア……アア……」
廊下から、微かにオッサンの声が聞こえる。
一人、いや二人ほどだろうか。
(;^ω^)「おっ……でも、それがあれば……」
('A`)「あ? ああこの銃か……。ただのガスガンだろ?」
73
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/11/23(月) 05:07:14 ID:xSrbxp9o0
( ^ω^)「驚くなお……それはすごく強いガスガンなんだお!」
(;'A`)「すごく強いガスガン」
( ^ω^)「そうだお! すごく強いんだお!」
(;'A`)「そ、そうか。まあこれはお前が持っとけ、俺はモップで戦うわ……」スッ
( ^ω^)「了解だお! さあ切り抜けるお!」
Ω「アァー!! ワカイオトコ!! ワカイオトコ!!!」
74
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/11/23(月) 05:07:57 ID:xSrbxp9o0
――――
('A`)「いやマジですごく強かったな」
( ^ω^)「だから言ったお! すごく強いガスガンだって!」
自分とドクオはなんとか高校を出て、狭い路地で一息をつく。
オッサンの数は、数時間前よりも増えたように感じた。
('A`)「あんな銃どこで手に入れたんだ?」
( ^ω^)「あそこだお、おもちゃのマキマキ」
('A`)「……? あー、あの古いおもちゃ屋か! どういうこっちゃ」
( ^ω^)「なんか知らないけどくれたんだお。改造してたらしくて」
('A`)「は、はぁ……謎だな……」
( ^ω^)「お陰で助かったお、武器があると安心できるお」
('A`)「それもそうだな。オッサン相手にも効果あるみてーだし……」
ダッダッ
75
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/11/23(月) 05:08:43 ID:xSrbxp9o0
('A`)「おっと……言ったそばから来たぞ、構えろ」
(;^ω^)「おっ……」スッ
路地の向こう側から足音が聞こえる。それは段々と近づいてきて、やがて自分達の前に姿を表した…。
ダッダッ
(;-_-)「はぁ……はぁ……危なかった……」
(;^ω^)「おっ……オッサンじゃない……?」
(;-_-)「うわっ……く、来るな!!」
(;'A`)「まてまて落ち着いて、俺らはオッサンじゃないですから」
(-_-)「……ほんとだ、よく見たら……」
(-_-)「よかった……普通の人か……」
自分達の前に姿を現したのは、スーツを着た二十代くらいの男性だった。
('A`)「逃げてきたんですか?」
76
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/11/23(月) 05:09:53 ID:xSrbxp9o0
(-_-)「ああそうだよ……。会社に変なオッサンが現れて、次々に人を食い殺していったんだ……」
(-_-)「……そしたら……殺された同僚まで……」
(;^ω^)「……おっ……? 何があったんですかお……?」
(-_-)「……食い殺された後、すぐに生き返ったんだ。傷も何もかも回復してね。……ただ――――」
――四十代くらいまで、老けたんだ。
彼はそう呟くと、瞳に浮かべた涙を裾で拭い、深呼吸を数回繰り返した。
(-_-)「……そしたらもう、次々にオッサンが増えていったよ……」
(;^ω^)「そ、そんな事が……」
('A`)「……やっぱり……感染症なのか……」
(;^ω^)「感染症……かお……」
('A`)「じゃあ、女性はどうなるんですか? 俺、道端で犯されている女性を見かけたんですが……」
(-_-)「女性は犯された後、すぐに死んだよ……。でも、生き返らなかったんだ。誰一人としてね」
77
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/11/23(月) 05:11:14 ID:xSrbxp9o0
(;^ω^)「そうなんですかお……」
('A`)「……ってことはつまり……このオッサン病は、男女ともに感染するが、オッサン化するのは男性のみって事だな……」
('A`)「恐らくどちらも感染したら、死に至るんだろう……。死んだ後にオッサン化して生き返るのは、男性だけって事だ」
(-_-)「……多分……そういう事だね……」
(;^ω^)「そんな……」
じゃあ自分が見捨てたあの女性は、もう亡くなっているのだろう。
(;^ω^)「ブーンが見たオッサンは、男性を食べようとして、女性を犯そうとしてたお……」
('A`)「俺が見たのもそうだ。だから多分、この考えで間違いはないはずだ……」
(-_-)「……すごいな君たちは……。どうしてそんなに冷静でいられるんだ……?」
78
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/11/23(月) 05:12:03 ID:xSrbxp9o0
(;^ω^)「いや、冷静なんかじゃないですお!」
( ^ω^)「……ただ……」
('A`)「……オッサンよりもヤバイ奴を見たからな……」
(-_-)「……オッサンよりもヤバイ……?」
Ω「……ウオォ……ウオォ……」
('A`)「おっと、オッサンが来ちゃいましたね……。詳しい事は後で話しましょう」
( ^ω^)「とりあえず逃げるお……!」
79
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/11/23(月) 05:12:46 ID:xSrbxp9o0
――――
(-_-)「やっぱ君たちすごいね……、オッサン達に対してうまく立ち回れているというか……」
('A`)「そ、そうすかね。なんか照れるな」
( ^ω^)「おっおっ」
(-_-)「さっき聞いたオッサンよりヤバイ奴の話も……。よく生き残れたね……」
( ^ω^)「よくわかんないんですお。なんか見逃してくれて……」
(-_-)「何が目的なのか……。あ、そうだ、君達は聞いたかい?」
('A`)「何をですか?」
(-_-)「避難所の場所さ」
( ^ω^)「避難所!? そんなとこがあったんですかお!?」
(-_-)「うん。ラジオで放送してたんだ。ここからそう遠くない、“APO”って建物があるだろう? 警察が取り締まって、避難所として開放しているらしいんだ」
80
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/11/23(月) 05:13:32 ID:xSrbxp9o0
('A`)「そ、それなら……」
( ^ω^)「……ツンもいるかもしれないお……!」
(-_-)「君たちの、同級生だったか……。もしかしたら、いるかもしれないね」
( ^ω^)「そこに行きたいですお!!」
(-_-)「じゃあ、一緒についてきてくれるかい? 複数人でいたほうが、僕としても安心で……」
('A`)「もちろんです。ここから、案内してもらえますか? 地元とはいえ、この辺りはあんまり詳しくなくて……」
(-_-)「もちろん。じゃあ、早速向かうとしよう」
ツンが無事にそこに辿り着いているかはわからない。
いや、そもそも避難所の存在を知らない可能性すらある。
だが、僅かな希望がそこにあるのだ。
縋らずにはいられなかった。
81
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/11/23(月) 05:14:15 ID:xSrbxp9o0
――――
(´・ω・`)「ただいま。遅くなってごめんね」
「――――。―――――、――――――?」
(´・ω・`)「そうみたいだよ。彼からは、僕と同じ匂いがするんだ……」
「―――――――。――――、――――――」
(´・ω・`)「うん、まかせて」
「――――、―――――――――」
(´・ω・`)「叶えてあげるから。僕が絶対、叶えてあげるからね」
(´・ω・`)「……ああ、楽しみだなァ……」
82
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/11/23(月) 05:15:46 ID:xSrbxp9o0
第3話、以上になります。
しばらくピザを食べていないと発作が出そうになります。
次回も一週間後くらいに投下します。
よろしくお願いします!
83
:
名も無きAAのようです
:2015/11/23(月) 09:32:56 ID:1uBdp5sQ0
初めて読んだけど全然想像と違ったわ
おもしろい乙
84
:
名も無きAAのようです
:2015/11/23(月) 12:15:11 ID:vaUC2X7w0
乙。ホモは強いな…
85
:
名も無きAAのようです
:2015/11/23(月) 17:22:53 ID:eIkPW/Xw0
乙
86
:
◆yzpE5hYGyk
:2015/12/12(土) 10:38:58 ID:VfomURQA0
長い一週間でした。
第5話投下します。
87
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/12/12(土) 10:39:58 ID:VfomURQA0
酉間違えた…
88
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/12/12(土) 10:40:46 ID:VfomURQA0
第4話「涙のように血が溢れ」
.
89
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/12/12(土) 10:41:28 ID:VfomURQA0
( ^ω^)「やっとついたお……」
入り組んだ交差点の前にある建物。
そこには大きくバリケードが張られ、ヘルメットをした警官が何人も立っていた。
(-_-)「やっと……やっと来れた……」
(-_-)「ここまでくれば安心だ……!」
('A`)「とりあえずオッサンからは逃れられそうですね……」
(*-_-)「うん、うん。君たちのおかげだよ」
(*^ω^)「おっおっ、むしろヒッキーさんのおかげですお」
ここに来る道中、彼の名前や生い立ちなど、様々な話を聞いた。
特に面白みもない平凡な話だったが、自分は何故かとても鮮やかなものに感じた。
彼の、生き残るための意思のようなものが含まれていたからだろうか。
バリケードに近づくと、拳銃を携えた警官が自分達に気づき、その場から動かずに問いかけてきた。
90
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/12/12(土) 10:42:11 ID:VfomURQA0
(´・_ゝ・`)「生存者ですか?」
( ^ω^)「おっおっ、そうですお」
(´・_ゝ・`)「間違いなさそうですね。ではこちらに」スタスタ
('A`)「えっ、そんな適当なんですか? これって、感染症か何かじゃ……」
(´・_ゝ・`)「え? ああ、大丈夫ですよ。今問題になっている病気は、感染するとすぐに死に至りますから」スタスタ
(´・_ゝ・`)「一分前に噛みつかれた、などでなければ、特に問題はありません」スタスタ
(-_-)「ああ、そうなんですね……。僕の同僚は、みんな食い殺されてましたから……」スタスタ
(´・_ゝ・`)「まあ殆どが食い殺されてしまいますけどね。稀にいるみたいですよ、噛みつかれたけどオッサンを倒した、とか」スタスタ
(´・_ゝ・`)「こんな事話してもしょうがないんですが、オッサンに噛みつかれた男性は、死後3秒で生き返ります。“オッ3秒ルール”なんて、僕らは言ってますけど」
( ^ω^)「オッ3秒ルールwwwwwwwwwww」
(;^ω^)「おっ」
(-_-)「…………」
91
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/12/12(土) 10:42:55 ID:VfomURQA0
そうだった。
彼は、同僚がオッサンになるところを目の当たりにしているのだ。
こんなことで笑ってしまうなんて、自分はどうしようもないやつだ。
(-_-)「……気にすることないよ。仕方ない事なんだ」
(-_-)「しかしオッ3秒ルールはちょっとww」
( ^ω^)「おっ……」
無理をしているのだろうか。
自分には彼の心の中を読むことは出来ないが、何故だがひどく悲しくなった。
(´・_ゝ・`)「……さて、こちらです――――おっと!」ドンッ
( ・∀・)「いてっ……」
(´・_ゝ・`)「ああ、すみません。大丈夫ですか?」
( ・∀・)「ああ、平気ですよ。こちらこそすみません……。あ、そっちは新入り?」
警官とぶつかった青年は、自分の方を向いてそう言った。
整った顔立ちだ。年齢は、二十歳前後だろうか。
92
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/12/12(土) 10:43:44 ID:VfomURQA0
( ^ω^)「おっ、新入りですお」
( ・∀・)「おー、よろしくな。俺はモララーってんだ。……あ、よければ僕が彼らを案内しておきますよ」
(´・_ゝ・`)「ああ、本当ですか。すみませんねなんだか……」
( ・∀・)「いいんすよ俺らは暇ですし。あなた方のおかげでこうしていられるんですしね」
(´・_ゝ・`)「ふふ。じゃあ、私は持ち場に戻らせていただきます。……あ、これを」スッ
警官はそう言うと、胸のポケットから三枚の紙を取り出して自分たちに手渡した。
(´・_ゝ・`)「ここでの身分証だと思ってください」
(-_-)「……数字が書いてあるだけですね」
(´・_ゝ・`)「はは、数字を印刷したただの紙ですけどね……。では、あとはよろしくお願いします」スタスタ
( ・∀・)「……というわけだ。あ、君達にも紹介しなくちゃな」
彼はそう言って、後ろを振り返った。
よく見ると、彼の後ろにはもう一人小柄の男性がいたのだ。
93
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/12/12(土) 10:44:28 ID:VfomURQA0
_、_
( ,_ノ` )「…………」
( ・∀・)「……あー、無口だけど、俺の親父」
_、_
( ,_ノ` )「…………」
(;^ω^)「おっおっ……。よろしくお願いしますお」
そう言うと、彼の父に鋭い目つきで睨まれる。
だが何も言わず、視線をドクオやヒッキーさんへと移して、そのまま俯いた。
( ・∀・)「ってなわけで、行くか」
('A`)「どこへですか?」
( ・∀・)「腹減ってるだろ? 配給をもらいに行くんだよ」
('A`)「……ああ、それでさっきの紙か……」
( ・∀・)「そういうこった。一日一回しか貰えねーらしいけどなぁ。俺はもう食っちまったから、明日まで食えねーんだよ」
(-_-)「まあ、これだけの人数がいればね……」
この広いフロアには、大勢の人がいる。
床が絨毯なので、皆座り込んだり寝転んだり、割と自由気ままに過ごしているようだ。
94
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/12/12(土) 10:45:18 ID:VfomURQA0
フロアを抜けた先にある小さな机の前に、数人の警官が立っていた。
彼らに先ほど貰った紙を提示すると、手に持っているバインダーに何やら記入してから、缶詰を渡された。
( ^ω^)「おっおっ……これは……」
('A`)「……乾パンって……」
(-_-)「…………」
( ・∀・)「まあまあそんな落ち込むなよ。今は準備が間に合わなかっただけで、何日かすりゃ乾燥してないパンも食えるようになるだろうよ」
(-_-)「……今はこれで我慢しよう……」
( ・∀・)「そんじゃま、後は戻って適当なとこに座ってろよ。寝転んでもいい。俺も親父のとこに戻るわ」
('A`)「あ、ありがとうございました」
( ・∀・)「ちなみにトイレはあそこな。じゃ、もし何かわからん事あったら聞いてくれ」スタスタ
乾パンを受け取ってから、自分達はまた元のフロアへと戻った。
自分は待ちきれずに缶詰を開けて、乾パンを一つ口の中に放り込んでいた。
95
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/12/12(土) 10:46:00 ID:VfomURQA0
('A`)「……さて、このへんでいいかな」ドサッ
(-_-)「ふぅ、やっと座れるね……」スッ
( ^ω^)「おっおっ、ホントだお……」ズシーン
('A`)「乾パン食うか……」
(-_-)「そうしよう……」
( ^ω^)「おっおっ、じゃあブーンはちょっと一回りしてくるお」
('A`)「え? お前食わないの?」
( ^ω^)「もう食べちゃったお。ほら空っぽ」カンカン
(;'A`)「うわっ、マジだよ……だから太るんだよ……」
(;-_-)「すごいね……。まあでも、お友達を探すんだろう? 行ってきな」
('A`)「あー、じゃあ俺も」
( ^ω^)「いいお、ドクオはゆっくり食べてろお。ガリガリだし」スタスタ
('A`)「うっせデブ!」
(*^ω^)「おっおっ」スタスタ
96
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/12/12(土) 10:46:42 ID:VfomURQA0
( ^ω^)「…………」スタスタ
(^ω^三^ω^)「…………」キョロキョロ
( ^ω^)「…………」
( ^ω^)「ツン……」
( ^ω^)「どこにいるんだお……」
ξ゚⊿゚)ξ「呼んだ?」
( ^ω^)「おいすー」
ξ゚⊿゚)ξ「乾パン食べた? 何よあれ、不味すぎでしょ」
( ^ω^)「ブーンもそう思うお……」
(;^ω^)「おっ!?」ズシーン
ξ゚⊿゚)ξ「驚きすぎでしょ……。ま、当たり前か……」
なんという、ご都合展開だろうか。
必死で探していた相手が、いとも簡単に見つかってしまった。
これが小説なら、作者が書いていてあんまり面白くなくて、展開を早めてしまったような感じだ。
97
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/12/12(土) 10:47:24 ID:VfomURQA0
ξ゚⊿゚)ξ「よかった、生きてて」
( ^ω^)「……おっおっ……」
( ^ω^)「……ほんとに……よかったお……」
ξ゚⊿゚)ξ「何泣きそうになってんのよ……。さっき見えたけど、ドクオもいるんでしょ?」
( ^ω^)「おっ、そうだお! こっちだお」スタスタ
ξ゚⊿゚)ξ「よくここまで来れたわね」スタスタ
( ^ω^)「それはツンもだお。そういえば、なんでライン返してくれなかったんだお?」
ξ゚⊿゚)ξ「ああ……携帯は落としちゃったのよ」
( ^ω^)「おっ……そうだったのかお……」
ξ゚⊿゚)ξ「まあ時期に使えなくなるだろうし、別にいいかなって感じよね……」
('A`)「……おいおい、もう見つけたのか?」
ξ゚⊿゚)ξ「ドクオー、随分と久しぶりじゃない。見ない間に痩せたわね」
('A`)「一日ぶりだし体型は元々だわ」
( ^ω^)「二人ともブーンくらい肉つけろお!」
ξ;゚⊿゚)ξ(;'A`)「いや……それは遠慮しておくわ……」
98
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/12/12(土) 10:48:06 ID:VfomURQA0
つい数日前にも同じような会話をしたというのに、何故だかとても懐かしく感じた。
ξ゚⊿゚)ξ「……そちらの方は……?」
(-_-)「ああ、僕はヒッキー。ここに来る途中で、二人に会ったんだ。おかげで辿りつけたよ」
( ^ω^)「ヒッキーさんのおかげで、こんな場所があるって知ったんだお」
ξ゚⊿゚)ξ「なるほど、そうだったのね。私は二人の同級生のツンです」
(-_-)「うん、話は聞いてるよ。でも良かったね、見つかって」
( ^ω^)「ホントですお……ありがとうございますお!」
(-_-)「いやいや。じゃあ僕はお邪魔に――――!?」
ウワー
バタン
(;'A`)「なんだ!?」
突然、フロアに響いた叫び声。
驚きながら声のする方へ視線を向けると、そこには――
99
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/12/12(土) 10:48:49 ID:VfomURQA0
Ω「ウウウウガアァァァアア!!」
――1人のオッサンが、男性を襲っていた。
ξ;゚⊿゚)ξ「なっ、なんでオッサンがいるのよ!?」
(;-_-)「わ、わからない……とにかく逃げよう……!!」
自分達は急いで、出口に向かおうとする。
しかし、ここにいる人達は皆同じことを考えている。
すぐに人の波に飲まれ、思うように動けなくなった。
(;^ω^)「おっ……!?」ドンッ
ドサッ
ξ;゚⊿゚)ξ「ブーン!?」
(;^ω^)「あ……脚が……」
(;'A`)「大丈夫か!? ほら、肩貸せ……って重!!!!」
100
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/12/12(土) 10:49:36 ID:VfomURQA0
(;^ω^)「ブーンは大丈夫だから、逃げるんだお!!」
ξ;゚⊿゚)ξ「でも……って、きゃぁあああ!!」
Ω「ウウゥゥアアアアア!!!!」
(;-_-)「危ないッ!!」ドンッ
Ω「アアアアァ!!」ガブッ
(;-_-)「ぐぅっ……!!」
(;^ω^)「ヒッキーさん!!!」
(;'A`)「ヒッキーさんから離れろクソジジイ!!」ドカッ
Ω「グッ……」バタッ
(;-_-)「……す、すまない……」
(;^ω^)「ヒッキーさん……」
(;-_-)「……噛まれてしまったよ……」
ヒッキーさんの腕には、大きな歯型がついていた。
そこからポタポタと、涙のように血が溢れ出ている。
101
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/12/12(土) 10:53:59 ID:VfomURQA0
(;'A`)「なんとかなりますよ!! 逃げましょうヒッキーさん!!」
(;-_-)「……無理だよ……僕は置いていくんだ……」
(;^ω^)「…………そんな……」
Ω「イテェゾコラァァアア!!!」スクッ
(;-_-)「ほら、行くんだ!! こいつは僕が足止めする!!」
(;'A`)「…………」
( ω )「…………ごめんなさいですお……ヒッキーさん……」
(;-_-)「……年上は、年下を守らないとね……!」
('A`)「さようなら……ヒッキーさん……」ダッ
( ω )「……ありがとうございますお……」ダッ
ダダダッ
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