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( ^ω^)オッサンズオーシャンのようです

1 ◆3hXbKaGZvg:2015/11/07(土) 02:00:46 ID://hkCpgk0
( ^ω^)「…………」

 空の下に、何があるのか。

 海。
 大地。
 それを踏みしめる人。

 オッサン。

 どれも、それら見下ろす空にとっては等しく価値のない物だ。

( ^ω^)「……ブーンはもう……」

 しかし、自分にとってはどうなのだろうか。

 等しく価値がない? 冗談じゃない。
 人を人として括ること自体、馬鹿馬鹿しい。

2 ◆3hXbKaGZvg:2015/11/07(土) 02:01:42 ID://hkCpgk0



 ならオッサンは?
 彼らは、オッサンとして括るべきなのか。

 それこそ、難題だ。

( ^ω^)「…………」

 ……無駄な事だ。
 こんなこと考えても、無意味じゃないか。
 自分になんの利益をもたらさない。
 決して自分の心が救われるようなことは無い。

( ^ω^)「…………」チャキ



 ――もう、終わりにしよう。



グチャッ



.

3 ◆3hXbKaGZvg:2015/11/07(土) 02:03:09 ID://hkCpgk0
 ――――

 ( ^ω^)オッサンズオーシャンのようです

 ――――

4 ◆3hXbKaGZvg:2015/11/07(土) 02:03:56 ID://hkCpgk0

 第1話「街の終わりはすぐそこに」
.

5 ◆3hXbKaGZvg:2015/11/07(土) 02:07:00 ID://hkCpgk0
( ^ω^)カタカタ

( ^ω^)「面白いスレないお……」

 インターネットの掲示板を眺めるのが好きだった。

 自分には、これと言って趣味がない。
 あえて言うなら、パソコンだ。

( ^ω^)カタカタ

( ^ω^)「おっ……」

( ^ω^)「……“駅でオッサンに噛み付かれた件”?」

(*^ω^)「なんだおそれ、馬鹿みたいなスレだお」

( ^ω^)「どれどれ……」カタカタ

ピコーン

( ^ω^)「おっ、ツンからLINEかお」

( ^ω^)「“明日はちゃんと学校来なさいよ”……だってお」

( ^ω^)「……まあ、明日は行くかお……」

6 ◆3hXbKaGZvg:2015/11/07(土) 02:07:43 ID://hkCpgk0
 ここ数日、高校へ行っていない。今日もサボってしまった。
 いや、元々休みがちだったのだ。
 面倒だから。

( ^ω^)「もうお昼かお……カーチャンご飯まだかお……」

コンコン

( ^ω^)「お?」

J( 'ー`)し「ブーン、ご飯できたわよ」

( ^ω^)「……置いといてくれお」

J( 'ー`)し「……わかったわ。お母さんパートがあるから、出かけてくるわ」

( ^ω^)「わかったおー」

( ^ω^)カタカタ

 玄関の扉が閉まる音が聞こえた。
 母が出ていったのだろう。

( ^ω^)「ご飯にするかお」ガタッ

( ^ω^)「今日のお昼は〜……トンカツかお」

( ´ω`)「最近揚げ物ばっかだお……」

7 ◆3hXbKaGZvg:2015/11/07(土) 02:08:37 ID://hkCpgk0
( ^ω^)「ま、トンカツは好きだからいいお」

( ^ω^)モグモグ

( ^ω^)「でもピザも食べたいお」

( ^ω^)モグモグ

ピコーン

( ^ω^)「おっ? 今度はドクオからLINEかお?」

( ^ω^)「“オッサンスレ見たか? やばいぞ”だってお」

( ^ω^)「ドクオもサボってるのかおww」

( ^ω^)「えーっと、“今ご飯食べてるお、後で見るお”と」ポチポチ

( ^ω^)「送信」

( ^ω^)「うわもう既読ついたおww」

( ^ω^)「返信早いお」

( ^ω^)「……“今すぐ見ろ”……?」

( ^ω^)「ご飯ぐらい食べさせろお!」モグモグ

( ^ω^)モグモグ

8 ◆3hXbKaGZvg:2015/11/07(土) 02:09:49 ID://hkCpgk0
ガシャーン
ウワー

(;^ω^)「なっ、なんの音だお!?」

 突然耳に飛び込んできた、ガラスの割れる音。誰かの悲鳴。
 ただ事ではないと感じさせるには十分だった。

(;^ω^)「外かお……?」

 カーテンを少しだけ捲り、恐る恐る外を見る。

 しかし、これと言っておかしな様子はなかった。

(;^ω^)「な、なんなんだお……」

 不安だ。しかし好奇心もあった。

(;^ω^)「バット……バットはどこだお……」カラン

(;^ω^)「おっ、あったお……! 一応、持ってくかお……」

(;^ω^)「ちょっと、様子を見るだけ……だお……」

 何も起こっていなければいい。でも、何か起きていてほしい。
 そんな感情とバットを握りしめて、玄関の扉を開けた。

9 ◆3hXbKaGZvg:2015/11/07(土) 02:10:32 ID://hkCpgk0
(;^ω^)「……おっ……!?」

 玄関先で自分が目の当たりにした光景。
 それはあまりにも日常とかけ離れすぎていて、理解するのに時間を要した。

Ω「ウガァァ……」グチャグチャ

Ω「グルルルル……」グチャグチャ

 二人のオッサンが、破けたスーツを身に纏った男性に噛み付いて、肉を引き千切っていたのだ。

(;^ω^)「えっ……おっ……」

 カラン、と音を立ててバットが地面を跳ねる。

Ω「オ?」

 その音に反応して、二人のオッサンが血で真っ赤に染まった顔をこちらに向けた。
 自分を見るその目は、まるで獲物を見るようにギラついていて、思わず脚が震えた。

Ω「ワカイオトコダ……」

Ω「……クイモノダァ……」

(;^ω^)「ひっ……」

 いや、この二人はまさしく自分を獲物と捉えている。
 震える、なんてもんじゃない。
 恐怖で腰が抜けそうだ。

10 ◆3hXbKaGZvg:2015/11/07(土) 02:11:47 ID://hkCpgk0
 しかし、まだ死にたくない。
 そう思うと鉛のようだった身体は不思議と軽くなった。

(;^ω^)「ばばばバット……!!」

 足元に転がっているバットを拾い、再び強く握る。

 小学生の頃、ドクオとよく野球をしたものだ。もっとも、ドクオは嫌がっていたのだが。
 そんな思い出のあるバットを、こんな形で再び握りしめる事になるとは思ってもいなかった。

(;^ω^)「きき、来たら殺すお……!!」

Ω「……コロス……?」

Ω「……コロシテミロォォォォ!!」

 自分に向かってきたのは、叫び声をあげた一人。
 その一人の頭に向かって、バットを思い切り振り回した。

(;^ω^)「おおおおっ!!」ドカッ

Ω「ウグッ……」

 適当に振り回したものの、バットは見事オッサンの頭に命中した。

Ω「ナ、ナグッタ……」

11 ◆3hXbKaGZvg:2015/11/07(土) 02:12:30 ID://hkCpgk0
 後ろにいるオッサンは、殴られて倒れたオッサンを見て、そう言った。

Ω「イテェ……イテェ……」

Ω「ヒトマズニゲヨウ!」ダッ

Ω「オレヲオイテクナ!!」ダッ

(;^ω^)「…………」

 オッサン達は、一目散に逃げていった。
 どうやら効果はあったらしい。

(;^ω^)「なんなんだお……」

 目の前には、血塗れの男性が倒れている。
 恐らくもう息はしていないだろう。

(;^ω^)「警察に……連絡しないと――――!?」

Ω「グルルル……」

Ω「キシャァアア!!」

 見間違い、ではない。

 通りの遠くから、複数のオッサンがこちらに向かって歩いてきている。
 六人、いや七人はいるだろうか。

12 ◆3hXbKaGZvg:2015/11/07(土) 02:13:20 ID://hkCpgk0
Ω「ウウウウゥ……」

 先程のオッサン達と同じだ。
 すでに顔中が血塗れで、鋭い目つきで自分を睨んでいる。

 冗談じゃない。
 一人や二人ならばともかく、あんな数のオッサンを相手に勝てるはずがない。

(;^ω^)「さよならだお!!」ガチャン

 危険を感じてからの行動は早かった。
 自分はすぐに玄関の扉を開けて、家の中へと逃げ込んだ。

( ^ω^)「……ふーっ……なんなんだお……」

( ^ω^)「やばい事が起こってるのは、わかったお……」

 ドアの鍵をしめて、深く深呼吸をする。

 普段と変わらないこの家を、ありがたく思った。

( ^ω^)「意外と冷静でいられるもんだお……」

( ^ω^)「それに……なんだか……ちょっと……」

( ^ω^)「わくわくしてるお……」

13 ◆3hXbKaGZvg:2015/11/07(土) 02:14:03 ID://hkCpgk0
ドンドン

(;^ω^)「おっ!?」

グオオオ
ドンドン

(;^ω^)「やっぱ追い詰められると焦るお……。この様子じゃいつ窓から入ってくるかわからんお……」

(;^ω^)「荷物まとめて逃げるかお……」

 家の中に篭って戦った方が安全だろうか。そうも思ったのだが、一人でいるのは不安だ。

 小さなショルダーバッグに財布やらを詰め込んで、部屋の窓から外を眺める。

( ^ω^)「こっちは安全そうだお!」ガララ

( ^ω^)「よいしょ」シュタッ

( ^ω^)「自転車は……」

(;^ω^)「おっ!?」

Ω「ミツケタゾォォオオオ!!!!」

Ω「ウガァァァァァア!!!」ダダダッ

(;゚ω゚)「おおおおおお!?!?」

14 ◆3hXbKaGZvg:2015/11/07(土) 02:15:30 ID://hkCpgk0
 オッサン達は自分を見つけると、すぐに走ってきた。

 まさか、こっちにもいるとは。
 窓からは見えなかったのに。

(;゚ω゚)「おおおおおおお!!!」ダダダッ

Ω「マテコラァァァァ!!」

Ω「ヒルメシィィィィィィ!!!」

(;^ω^)「昼飯にはなりたくないおおおおおお!!」ダダダッ

 全力で、逃げる。
 乱暴な走り方をしているせいかすぐに息が上がり、全身の筋肉は悲鳴を上げている。

 しかしそれどころではない。
 後ろには、研ぎ澄まされた牙を煌めかせて、食い殺そうと自分を追いかけてくるオッサン達が。

Ω「ウオオォォォォォオオオ!!!」

(;^ω^)「ヒィィィィィ!!」

Ω「ウオォォ…………オ?」

(;^ω^)「!?」

 すぐ後ろまで迫っていた複数の足音は、不意に消えた。
 それがわかると自分は走る速度を落とし、ゆっくりと後ろを振り返った。

15 ◆3hXbKaGZvg:2015/11/07(土) 02:16:52 ID://hkCpgk0
Ω「……ワカイ……オンナ……」

Ω「オオオッ……オンナァァァ……!!」

(;^ω^)「おっ……」

 あろう事か今まで自分を追い掛け回していたオッサン達は、恐怖で立ち竦んでいる女性を見て、その場に止まっていたのだ。

Ω「オンナダァァァア!!!」

Ω「ウオオオンナァァァアアアア!!!」

「きゃあああぁぁ!!!」

(;^ω^)「…………」

 助けるべきか?

 いや、助けられる保証はない。

(;^ω^)(でもここで見捨てたら、あの人はブーンの代わりにオッサン達に食われてしまうお……)

 思考する事に時間を費やしているうちに、オッサン達は女性の服を強引に引き剥がしていく。

 助けに入るなら、今しかない。



 ――しかし自分が目の当たりにした光景は、想像していた物とは大きく違った。

16 ◆3hXbKaGZvg:2015/11/07(土) 02:17:34 ID://hkCpgk0
「いやっ……助けて……!!」

Ω「オンナァァァ!!!」

 オッサン達は、露わになった彼女の肢体を舐め回し、弄び、そして犯し始めた。

(;^ω^)「…………」


 助けなければ。


 しかし自分は――


 自分は――――




.

17 ◆3hXbKaGZvg:2015/11/07(土) 02:18:28 ID://hkCpgk0
 ――――


( ^ω^)「…………」

 数十分間も走り続けて街中を巡ってみても、自分の心が救われる事は無かった。



 街は、オッサンで埋め尽くされていたのだ。



( ^ω^)「一体どうなってんだお……おっ!?」

Ω「キシャァァァ……」

( ^ω^)「危ないお」ササッ 

Ω「……ウウウゥゥ………」

( ^ω^)「……よかったお、気づかれてないみたいだお……」

 なぜこんな事になっているのかはわからない。

 わかった事といえば、街中がオッサンで溢れ返っている事。オッサンは男を食らい、女を犯すという事。
 その程度だ。

( ^ω^)「…………」

18 ◆3hXbKaGZvg:2015/11/07(土) 02:19:26 ID://hkCpgk0
 数十分前、女性が襲われていた時。
 自分は、彼女を助ける事をしなかった。

( ^ω^)「ごめんなさい……だお……」

 自分が生き残るためには、危ない橋を渡るわけにはいかなかったのだ。
 改めて考えてみても、バット一本では勝ち目はないと思える。

( ^ω^)「……まだ……死にたくないんだお……」

 生に執着しているつもりはない。だが、死ぬのは怖かった。
 今までに経験した事がないからだ。

( ^ω^)「ひとまずここで隠れてるかお……」

( ^ω^)「体力回復できたら、どこか落ち着ける場所を探さないとだお……」

 裏路地のゴミ箱の影に身体を隠して、疲れを取る。

 両側からオッサンがやって来たとしても、塀を乗り越えれば退路はある。
 とりあえずは、なんとかなりそうだ。
 
( ^ω^)「とりあえずツンとドクオにLINEを……!」

( ^ω^)「って、ツンから来てるお」ポチポチ

19 ◆3hXbKaGZvg:2015/11/07(土) 02:20:32 ID://hkCpgk0
(;^ω^)「……おっ……」

(;^ω^)「……“学校には来ないで、大変なことに”……?」

(;^ω^)「……まさか……校内にも……」

 校内にオッサンが入ってきていてもおかしくはない。

 いや、高校なんて人が多い上に入りやすい。オッサン達にとっては都合の良い場所だろう。
 入らないわけがない。

(  ω )「ツン……」

 こんな事は考えたくもないが――、さっき襲われていたのは知らない女性だ。命を投げ出してまで助け出そうという気にはなれない。

 だが、ツンは違う。
 大切な大切な、友達だ。
 彼女の命に比べたら、自分の命なんて安いものだ。

(  ω )「助けに行くお……」

 高校までは、ここから3km程だろう。
 大した距離じゃない。

( ^ω^)「…………」

( ^ω^)「待ってろお……ツン……」

 必ず、助け出してみせる。
 強くそう思った。

20 ◆3hXbKaGZvg:2015/11/07(土) 02:21:14 ID://hkCpgk0
( ^ω^)「……ドクオにもLINE送っとくかお……」

( ^ω^)「“生きてるかお”……と」ポチポチ

( ^ω^)「…………」

( ^ω^)「……すぐには既読はつかないかお……」

 仕方ない、そう思ってスマホの画面を消す。
 いつでもいい。返信が返ってくれば安心できる。

( ^ω^)「生きててくれお……ドクオ……」

( ^ω^)「……カーチャンは……」

( ^ω^)「…………、メールだけ、しておくかお…………ッ!?」

Ω「オオ……オオオオォォオオオ!!!」

(;^ω^)「おおおおおお!? もう見つかったかお!!」

 叫び声を聞いて振り返ると、そこには一人のオッサンがいた。

Ω「オオオオオオッ!!! オオオオオオオオオッ!!!!」ダダダッ

(;^ω^)「来るなおおおォォ!!」ダッ

21 ◆3hXbKaGZvg:2015/11/07(土) 02:22:20 ID://hkCpgk0
 オッサンは全速力で駆けてくる。
 自分も急いで塀によじ登る。しかし、疲れからか脚が思うように動かない。

 その時。

Ω「オオオオッ!!!」ガシッ

 オッサンの汚い手で、左足を掴まれてしまった。

(;゚ω゚)「掴むなおおお!!!」ドゴッ

 右足で勢い良くオッサンの顔を蹴る。

Ω「オッ!?」

(;゚ω゚)「あと口調真似んなおおおおおお!!」ドカドカッ

Ω「オオオッ!?」

 続けざまに何度も蹴りを入れる。

 すると自分の足からオッサンの手は離れ、身体が軽くなった自分は必死で塀によじ登った。

(#^ω^)「このクソジジィ!!」ドカドカッ

 なんとか塀に登れた自分は、バットを使ってオッサンの手や頭を殴る。


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