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( ^ω^)ブーン系飯テロ祭りのようです
1
:
◆e5YtmT/gfw
:2015/07/17(金) 09:15:55 ID:DtRyOUKo0
さまざまなジャンルがあるブーン系…各作品のなかで食事シーンがありますよね
読んでいてお腹が空くような描写…今回はそれをメインとした祭りになります
投下期間:7月18日18時〜7月26日1時まで
投下場所
ニュー速VIP
http://viper.2ch.net/news4vip/
ブーン系創作板
http://jbbs.shitaraba.net/internet/13029/
ブーン系小説シベリア図書館
http://mastiff.2ch.net/test/read.cgi/siberia/1428149845/
ブーン系小説板2
http://jbbs.shitaraba.net/internet/16305/
185
:
◆tqhinNTqWw
:2015/07/22(水) 00:28:02 ID:UrBydwWU0
昔々、ある所に、双子の兄弟がいました。
二人が18の歳を迎えると、兄は生贄として、弟に殺される運命でした。
しかし、その運命に抗がおうと、弟は兄を連れて村を飛び出しました。
それが、二人の長い長い旅の始まりでした。
これは、そんな二人の、ある町でのちょっとしたお話です。
( ´_ゝ`)二人の旅路は波瀾万丈のようです(´<_` )・抜粋編 〜二人で朝ごはん〜
186
:
◆tqhinNTqWw
:2015/07/22(水) 00:29:16 ID:UrBydwWU0
オトジャは美味しそうな朝食の匂いで目を覚ました。それだけで何だか幸せな気持ちになれたが、それよりも兄の姿がそこにあることに対する安堵の方が大きかった。
( ´_ゝ`)「お早う弟者。顔を洗って着替えておいで」
アニジャは既に身支度を済ませていた。しっかり眠れたらしく、表情に疲労は残っていない。
オトジャは顔を洗い、ついでに手拭いを濡らして身体を拭き、用意しておいた服に着替えた。昨日はオトジャも湯浴みをしなかったので、それだけでさっぱりした心地になる。
(´<_` )「凄いな。旨そうだ」
身体がさっぱりした所で、オトジャの腹がぐぅと鳴る。テーブルの上には、山盛りのパンケーキの皿とバターが詰まった壺、卵とベーコンを一緒に炒めたものが一杯に乗った大皿、色とりどりの珍しい野菜のサラダ、瑞々しい果物の盛り合わせ、そしてコーヒーが乗っていた。あまり贅沢は出来ない筈だが、かなり豪勢な朝食である。
(´<_` )「これ、どうしたんだ?宿の女将に頼んだのか?」
( ´_ゝ`)「いや、俺が作った」
(´<_` )「材料はどうしたんだ?」
(*´_ゝ`)「朝市とやらがあると女将さんに聞いて、ちょっと行ってみたんだ。面白かったぞ!朝早いから、新鮮な魚介類やとれたての野菜や果物が並んでいるんだ。昨日見た露店の集まりとは、また違った雰囲気だったな」
187
:
◆tqhinNTqWw
:2015/07/22(水) 00:30:14 ID:UrBydwWU0
わくわくした表情で語るアニジャとは対照的に、オトジャの表情は曇る。
(´<_` )「一人で行ったら危ないだろう。そういう時は俺を起こせ」
( ´_ゝ`)「お前、さっさと寝ちゃった俺の代わりに荷物の整理や何やら、色々してくれただろ。いつ寝たのか分からなかったから、起こすのが忍びなくて」
(´<_` )「・・・・・・」
( ´_ゝ`)「心配させてごめん。今度から気を付けるから」
(´<_` )「絶対だぞ。後、俺も朝市を見てみたい」
(*´_ゝ`)「おう、明日の朝は一緒に行こうな!」
オトジャの不安気な表情が消え、アニジャはほっとする。そのまま気分を変えようと、明るい声で「朝食にしよう」と言った。
(´<_` )「そういえばこれ、アニジャが作ったんだよな。もしかしてこれも錬金術か?」
( ´_ゝ`)「そうだ。材料を買って作った方が安上がりだし、多少の魔力は使うが、短時間で調理できるし。それに、ほら」
アニジャは部屋の隅に置いていた四つの鍋を指差した。
( ´_ゝ`)「林檎、マーマレード、無花果のジャムと、マロンペーストだ。今日はこれを売りに行くぞ」
(´<_` )「仕事が早いな、兄者。流石だ」
( ´_ゝ`)「出来る時に出来る事をしておかないとな。もうちょっと稼いで、装備を整えたり旅に必要な物を買い足したりしたいし」
(´<_` )「確かに、今のままでは少々心もとないな」
( ´_ゝ`)「まあ、そこまで長居する訳にもいかないから、一週間を目途にしよう。その間に整えられるだけ整えて、調べられるだけ調べよう」
188
:
◆tqhinNTqWw
:2015/07/22(水) 00:31:05 ID:UrBydwWU0
話しながら、二人は朝食に手を付けた。まだ温かいパンケーキの上に乗せたバターが溶けて、端からたらりと垂れている。それを半分に折って勢いよく口に押し込むのはオトジャだ。口の端に付いたバターをぺろりと舐めつつ、既に二枚目にバターを落としている。それも二口で食べてしまうと、今度はベーコンエッグの半量を自分の皿に取り、これもまた勢いよくかっ喰らう。清々しい食べっぷりを、アニジャは嬉しそうに眺めている。彼自身は、のんびりと果物をつまみ、コーヒーを啜っている。見た目以外も、何とも対照的な二人である。
(´<_` )「それで、何から調べる?」
( ´_ゝ`)「まずは、古の魔神とやらについて知りたい。それから、そいつが以前はどうやって封じられたかも」
(´<_` )「ふむ、対策を立てるには、まず相手を知ることからだな。とりあえず歴史の本を読み漁ってみるか?」
( ´_ゝ`)「古い本や、各地の伝承や口伝もヒントになるかもな。さて、とりあえずどこから手をつけたものか」
(´<_` )「とりあえずは商売だな。金がないと、宿に滞在も出来ないし、装備も本も買えない」
( ´_ゝ`)「だな」
189
:
◆tqhinNTqWw
:2015/07/22(水) 00:31:57 ID:UrBydwWU0
ある程度腹に収めて落ち着いたのか、オトジャは食べる速度を落としている。ただ、彼の皿にはサラダと果物がこれでもかと盛られており、食欲はまだ満たされていない事を示していた。アニジャはその四分の一くらいの量のサラダをつつきながら、自分の分のベーコンエッグを差し出した。
(´<_` )「ん?兄者は食べないのか?」
( ´_ゝ`)「俺の胃はお前ほど大きくはないからな。これはお前が食べろ。しっかり食べて、しっかり稼ぐぞ」
(´<_` )「兄者、そういえば食が細かったな。せめてもう少し食べてほしいのだが」
(;´_ゝ`)「お前と一般人の食事量を一緒にするんじゃない。俺は別に食が細い訳じゃない」
オトジャは困ったようにベーコンエッグの皿とアニジャを交互に見たが、アニジャが自分のフォークでオトジャの口にベーコンエッグを突っ込むと、諦めたように皿を引き寄せた。
ぱくぱくもぐもぐ、よく食べるオトジャを見つめるアニジャの表情は優しかった。
190
:
◆tqhinNTqWw
:2015/07/22(水) 00:32:50 ID:UrBydwWU0
運命に抗い、始まった長い長い旅。
これは、そんな彼らの波乱万丈な旅の合間の、ちょっとした心安らぐひととき。
おしまい
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