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( ^ω^)達はアインクラッドを生きるようです。
-
立ったら投下がある。
-
( ^ω^)「あんな無謀な戦い方をしちゃ、ダメだお。
僕もまだうまく戦っているわけじゃないけど、
昨日は、見ていてい凄く怖かったお」
('A`)「そうだな」
(`・ω・´)「ああ。その通りだ」
川 ゚ -゚)「昨日は、すまなかった」
ξ゚⊿゚)ξ「クー」
頭を下げるクー。
そしてゆっくりと顔を上げる。
川 ゚ -゚)「私は、これからもっと冷静になろうと思う。
少なくとも、戦いの場では」
('A`)「クー」
ξ゚⊿゚)ξ「私も、ごめんなさい。
昨日は、周りが見えてなかった」
ツンも頭を下げ、すぐに顔を上げて六人を見た。
ξ゚⊿゚)ξ「だから、もうあんなことにならないように、
戦い方を知りたい。
どんな時でも、自然に動けるように、
身に付けたい」
( ^ω^)「ツン……」
(`・ω・´)「そこまで戦いに身を投じなくてもいいと思うが……」
二人の真剣な顔とその言葉にうなずくことしかできない面々であったが、
シャキンは軽く、けれど少し困惑しているような表情で口にした。
('A`)「え?」
.
-
( ゚д゚ )「シャキン?」
(`・ω・´)「いや、基本的には生きるための狩り、
生活のための戦いをするわけだから、
できる時にやればいいし、
調子が悪いときは休めばいい。
折角のチーム、パーティーなんだから」
( ゚д゚ )「あー。
まあ、そうだな」
ξ゚⊿゚)ξ「いやなの」
シャキンの言葉にうなずいたミルナ。
その言葉にかぶさるようにツンが言葉を吐き捨てる。
( ^ω^)「ツン?」
ξ゚⊿゚)ξ「それじゃ、いや。
生きるために戦う。
レベルを上げる。
お金を稼ぐために戦う。
もちろんそれが一番かもしれないけど、
でも、それだけじゃ、いやなの。
何かの時に、逃げるだけの女になりたくない。
ただ守られるだけじゃなくて、
守ることは出来なくても、
せめて、隣で戦えるようになりたい」
川 ゚ -゚)「私もそうだ。
危険な目に合わないのが理想だが、
何かあった時に、足手まといになりたくない。
守られるだけじゃなく、
ともに戦える者になりたい」
( ^ω^)「ツン……」
('A`)「クー」
.
-
(`・ω・´)「なるほどな」
( ゚д゚ )「ふむ……」
(´・_ゝ・`)「言いたいことは分かるが……」
自然と全員の視線がショボンに向かった。
(´・ω・`)「ん?どうしたの?」
(;^ω^)「え、あ、いや」
('A`;)「いや、今のを聞いてどう思ったのかとか」
(´・ω・`)「どうって言われても……」
不思議そうに首を傾げたショボン。
(´・ω・`)「僕のスタンスは変わらないよ。
『元の世界に戻るまで、
皆でこの世界を出来るだけ笑って過ごす』
その為になら、何でもする」
(;゚д゚ )「それはまた」
(;´・_ゝ・`)「なかなか難しそうだな」
二人の言葉に微笑むショボン。
(´・ω・`)「ここにいる皆が無事に生きて帰ることが、
僕のしたいことです。
その為に出来る事なら何でもするし、
皆のしたいことの為に力を貸す」
( ^ω^)「僕も頑張るお」
('A`)「もちろんだな」
ξ゚⊿゚)ξ「私も」
.
-
川 ゚ -゚)「自分のできるすべてを」
ショボンの言葉に追随する四人。
(´・ω・`)「……ありがとう。
だから、ツンとクーがそれを望むなら、
僕は出来る限り力を貸すよ」
ショボンは少しだけ躊躇した後に、
そのすべてを拭い去るように笑顔で四人に語り掛けた。
そして視線をシャキン達三人に向ける。
(`・ω・´)「おれはおれのやりたいようにやる。
その中にはお前たちと遊ぶってのも含まれる。
遊ぶためには、やるときはやらないとな」
にやりと口の端で笑った後に、
満面の笑みを浮かべるシャキン。
それをみて全員が苦笑いを浮かべた後、
ショボンの視線はミルナとデミタスに向かった。
( ゚д゚ )!?
(´・_ゝ・`)!?
(`・ω・´)「残念ながら、既にこいつの中ではお前たちも『みんな』に含まれるみたいだぞ」
(´・ω・`)「『残念ながら』?」
(;`・ω・´)「ほ、ほら、ミルナ、デミタス、どうするよ」
慌てたように二人を促すシャキンだったが、
ミルナとデミタスは輪をかけて慌てていた。
いや、戸惑っていた。
( ゚д゚ )「いや、いや、おれは、その」
(;´・_ゝ・`)「仲間とか、ほら、まだ数日だし」
.
-
(´・ω・`)「僕達の事が嫌いですか?」
( ゚д゚ )「そんなことはないが、その」
(´・_ゝ・`)「おれ達まで守ってもらうとか……」
(´・ω・`)「本当は、ここにいる四人は圏内の安全な場所で、
ただじっとしていてほしかったんです。
でも、残念ながら四人共それをよしとはしない」
悲しそうに四人を見るショボン。
視線の先では四者四様の表情でその視線を受け止めていた。
小さくため息をつくショボンだったが、
すぐに表情を引き締めた。
(´・ω・`)「ただ、
もしかするとこの世界に『安全な場所』なんてないかもしれないと、
今回の事で思いました」
('A`)「圏内とか、モンスターの出ないエリアはあるだろ?」
(´・ω・`)「……所詮システムで決められたことならば、
いつそのシステムが書き換えられてもおかしくはないよ」
ショボンの言葉に全員が顔をこわばらせる。
(`・ω・´)「何故、そう思うんだ?」
(´・ω・`)「今回のトラップ。
滅多にないことだとしても、
今回のように力量が足りないプレイヤーが
間違ってやってしまうことがないとは言い切れない。
そんなイベントがあるなら、
システムが書き換わるイベントがあったとしても、
不思議じゃない」
(`・ω・´)「可能性は?」
.
-
(´・ω・`)「現時点では、ゼロではないレベル」
(`・ω・´)「つまり、現時点ではないと思うってことか?」
(´・ω・`)「今のところはね」
(`・ω・´)「『今のところ』は?」
(´・ω・`)「……考えた。
天才、『茅場晶彦』になったつもりで、
色々考えたんだ。
彼の目的を、何をしたいのかを」
(`・ω・´)「……分かったのか?」
(´・ω・`)「どうだろう。
天才の考える事なんてわからないよ。
でも、頑張って想像した。
時間はあったから。
彼のインタビュー記事や、実際会った時の雰囲気を、思い出した。
僕の中の彼の情報を総動員して、考えた。
この、自分が作った世界に、意思を持ったプレイヤーを閉じ込めたら、
何をしてほしいかって考えた」
(`・ω・´)「……おい?」
(´・ω・`)「この世界を生きてほしい。
満喫してほしい。
ゲームの世界じゃなく、
現実の世界として、生きてほしい。
そしてそれと同時に、遊んでほしい。
戦って、攻略して、命のギリギリで、
上の層を目指してほしい……」
うっすらと笑みを浮かべ始めたショボン。
シャキンが立ち上がろうとした瞬間、
( ^ω^)「ショボン!」
.
-
ブーンが名前を呼んだ。
(´・ω・`)「え、あ、うん。
ごめん、ちょっとぼっとした」
瞬きをして、
首を横に振るショボン。
そして話をつづけた。
(´・ω・`)「……だから、
もし、プレイヤーがはじまりの街に籠って外に出ようとしなかったら、
或いは、攻略をしようとせず第一層だけをだらだらと過ごしていたら……」
('A`)「街を戦闘エリアにしてしまうってことか?」
(´・ω・`)「可能性はあると思う」
ドクオの言葉に工程をするショボン。
その内容に、全員の顔に緊張が走った。
(´・ω・`)「ま、大丈夫だと思うけどね。
既にこうやってはじまりの街を出て先に進もうとしているプレイヤーがいるわけだし」
ξ゚⊿゚)ξ「でも、
システムを変えることが出来るあの男が何をしでかすかは、
分からないってことよね」
(´・ω・`)「……うん」
ξ゚⊿゚)ξ「ほんとムカつく。あの男」
川 ゚ -゚)「可能性はあると思うか?」
(´・ω・`)「さっきも言ったけど、ゼロではないレベルだよ。
茅場晶彦の目的がこの世界を楽しむことならば、
プレイヤーは生きていてくれないと意味がない。
この試みは、一回失敗したらもう次はないからね」
.
-
(´・_ゝ・`)「二度も三度もこんな事件が起きたら社会が崩壊するな」
(´・ω・`)「そうですね。
VR技術の普及がどうなってしまうか……」
(`・ω・´)「そんなことを今おれ達が気にしてもしょうがない」
シャキンが一回柏手を打ち、
視線を自分に集めた。
(`・ω・´)「つまり、今の状況なら『圏内』や『安全エリア』がちゃんと機能しているが、
茅場晶彦の機嫌を損ねたら、無くなる可能性がある。
その時に備えて、自分を鍛えて置く必要がある。
それを抜きしても、
この世界を生き抜くためには、
自分が戦えることが重要だ。
ってことでいいか?」
(´・ω・`)「……。
うん。僕は、そう思う」
(`・ω・´)「そのうえで、
どう考えているんだ?」
(´・ω・`)「?」
(`・ω・´)「一緒にこの世界にやってきた四人以外、
おれと、ミルナと、デミタスも守るって言ったお前の気持ちだよ」
(´・ω・`)「……。
全員が戦えるのなら、
戦える仲間なら、
多い方が良い」
シャキンとショボンを順に見ていた六人の視線が、
ショボンで止まった。
.
-
(´・ω・`)「もちろん、
誰でもいいわけじゃない。
お人よしが良い。
この、今のこの世界で、
自分以外の誰かを気にすることのできる人が良い。
……仲間を、大事に思ってくれる人が良い。
自分の命を大事にしてくれる人が良い。
そして、
……僕達を、仲間だと思ってくれる人……」
( ^ω^)
('A`)
ξ゚⊿゚)ξ
川 ゚ -゚)
(`・ω・´)
自分を見る友人と、
兄と慕う血縁者を、
一人ずつ見つめ返すショボン。
そして、彼らを見た。
( ゚д゚ )!
(´・_ゝ・`)
(´・ω・`)「ミルナさん、
デミタスさん、
僕達の仲間になってもらえませんか?」
( ゚д゚ )「……んー」
(´・_ゝ・`)「?」
腕を組み、顔をしかめるミルナ。
.
-
(´・_ゝ・`)「ミルナ?」
( ゚д゚ )「なあデミタス、
おまえ、どう思う?」
横を向いたミルナ。
ショボンからは見えない口の端を、
ほんの少しだけ釣り上げて笑みを浮かべる。
(´・_ゝ・`)「……うむ。そうだなあ」
横を向いていたデミタスは、
同じようにショボンからは見えない顔半分で少しだけ呆れつつ、
けれど同じように口の端を上げた。
(´・_ゝ・`)「……うむ」
腕を組み、ショボンを見る二人。
その表情は険しい。
( ゚д゚ )「おれは君が言うようなお人よしではないからな。
デミタスはどうだ?」
(´・_ゝ・`)「そうだな。
おれもお人よしではない」
( ゚д゚ )「自分の命が大事だしな」
(´・_ゝ・`)「うむ。
その通りだ」
じっとショボンを見る二人。
ショボンの表情が、悲しみゆがむ。
( ゚д゚ )「ここに来たのも、
シャキンに救われたからで、
成り行きだしな」
.
-
(´・_ゝ・`)「ああ。
あの時シャキンに会わなかったら、
お前等に会うこともなかっただろう」
( ゚д゚ )「なりゆきで一緒に行動していただけだ」
(´・_ゝ・`)「なんとなくだな」
(´・ω・`)「……そう……ですか……」
( ゚д゚ )「ああ。
だから、悲しい」
(´・ω・`)「え?」
ミルナの言葉に一度は俯いたショボンだったが、
すぐに顔を上げた。
その視界に飛び込む、ミルナとデミタスの笑顔。
( ゚д゚ )「なりゆきで行動を共にしたとはいえ、
もう『仲間』のつもりだったんだがな」
(´・ω・`)!
(´・_ゝ・`)「みずくさいな。
確かにまだあって日数はそれほどだが、
濃厚な時間を過ごしたつもりだぞ」
(´・ω・`)「あ、で、でも」
( ゚д゚ )「どうせまたその頭でっかちな脳味噌で、
色々考えたんだろ?」
(´・ω・`)「それは……」
.
-
( ゚д゚ )「おれもデミタスも、お前を、
お前たちをすげえって思ってる。
仲間になれてうれしいよ。
守ってもらうとかいうのは冗談じゃないが、
ともに戦うというのなら、願ってもない」
(´・ω・`)「ミルナさん……」
(´・_ゝ・`)「お前たちは信用できるからな。
でも、おれ達を信用していいのか?」
(´・ω・`)「今まで一緒に居てそう思いました。
それに、シャキン兄さんに付き合える人ですから」
(´・_ゝ・`)「なるほど」
(`・ω・´)「え?」
シャキンに注がれる全員の視線。
( ゚д゚ )「そうだな。おれとデミタスはシャキンのお守りをしてやろう」
(`・ω・´)「え?」
(´・_ゝ・`)「突然変なことをしでかすからな。
ストッパーやお守りは必要だろ?」
( ゚д゚ )「すーぐ敵に突っ込んでくし」
(´・_ゝ・`)「なんでも触るし」
('A`)「あの宝箱がトラップだったら厳しかった」
ξ゚⊿゚)ξ「そういえば、
見るからに怪しいキノコを採取してたわよね」
( ゚д゚ )「金額見ないで買おうとするし」
(´・_ゝ・`)「持てる容量考えないで買い込もうとするし」
( ^ω^)「おっおっお。
結局みんなで分けたおね」
.
-
川 ゚ -゚)「しかも、
次の店の方が安かったな」
笑顔でワイワイと話し始める六人。
(`・ω・´)「……解せない」
(´・ω・`)「……ありがと、シャキン」
眉間に皺を寄せて眉をひそめたシャキンの顔は、
いつも以上にショボンによく似ていて、
笑いを誘った。
ひとしきり会話をすると、
自然にショボンに視線が集まり、
波が引くように部屋に静けさが訪れた。
(´・ω・`)「みんな、ありがとう」
笑顔で全員の顔を見るショボン。
それぞれがその笑顔に答える。
そしてショボンの視線は寝室への扉に向かった。
(´・ω・`)「僕は、君の事も仲間だと思ってる。
一緒に、この世界を生きてくれないかな?」
全員の視線が扉に向くと、
静かに扉が開いた。
ミセ*゚ー゚)リ「私は……君たちの仲間にふさわしくないよ」
ξ゚⊿゚)ξ「ミセリ!」
川 ゚ -゚)「ミセリ!」
.
-
扉を支えにしてフラフラとした足取りで出てくるミセリ。
ツンとクーは両側からその体を支え、
立ち上がったドクオとブーンの座っていたソファーにミセリを座らせた。
ξ゚⊿゚)ξ「ミセリ……」
川 ゚ -゚)「大丈夫なのか?」
ミセ*゚ー゚)リ「ありがとう……。
うん。……大丈夫だよ」
ドクオとデミタスがショボンの顔を見た。
(´・ω・`)「結構最初の段階で、扉が開いたのが見えたから。
僕の気持ちを聞いてもらったんだ。
みんなも良いよね?」
ξ゚⊿゚)ξ「ええ」
川 ゚ -゚)「もちろんだ」
ツンとクーが声に出して答え、
他の五人は無言で頷いた。
ミセ*゚ー゚)リ「だめ……だよ……」
俯くミセリ。
日罪に置いた両手は強く握られ、
細かく震えている。
ミセ*゚ー゚)リ「私を守ろうとしてゼアフォーとビコーズが……。
私がいたから……。
私があの二人を誘ったから……」
ミセリの両手に涙が落ちる。
.
-
ミセ*゚ー゚)リ「私が行くって言わなかったら……。
もっと二人の思いを考えてたら、
たとえあんな嘘の情報を信じてしまっていても、
私が行くって言わなければ……。
あんな熊に二人が……」
肩を震わせ、涙をこぼし続けるミセリ。
(´・ω・`)「ミセリさん……。
いや、ミセリ。
僕は君が悪いとは思わない。
ミセリは、二人の為に頑張っていたと思うから。
ゼアフォーはともかくビコーズは戦いを怖がっていたように見えた。
でも、それじゃあこの世界で生きていくのは厳しいから、
ミセリは、三人で狩りに出て、
皆で生きていこうって言外で伝えていたと思う。
違うかな?」
ミセ*゚ー゚)リ「ショボン……くん」
顔を上げたミセリ。
涙に濡れた瞳に映るのは、自分に向かって優しげにほほ笑むショボンの顔。
それを見て、ミセリの顔がほんの少しだけ歪んだ。
(´・ω・`)「ミセリ、どうかな」
ミセ*゚ー゚)リ「すごいね……ショボンくんは……。
その通りだよ。
ビコーズは、
戦闘は得意じゃなかった。
アバターの時は良かったけど、
リアルと同じ体型になったら、ダメだったみたい。
でも、それじゃあこの世界では生き抜くことが難しいかもしれないと思った。
それに、彼も三人で動くことを選んだから……。
けど、違ったんだね。
それじゃあ、ダメだったんだ……」
.
-
歪んだ笑みを浮かべるミセリ。
瞳には涙が浮かんでいる。
ミセ*゚ー゚)リ「βテストで出会って、
またこの世界で出会いたいって言って。
噂で聞いた体術スキルを使った忍者プレイなんか楽しそうって話して……」
歪んだ笑顔を浮かべたまま涙をこぼす。
ミセ*゚ー゚)リ「それが全部、間違いだった。
私の独りよがりで、二人を……。
私なんかを守るために、二人があんな熊なんかに……」
ξ゚⊿゚)ξ「ミセリ……」
川 ゚ -゚)「ミセリ……」
両側からそれぞれにミセリの手に自分の手を重ねたツンとクー。
ミセ*゚ー゚)リ「え?」
ξ゚⊿゚)ξ「『わたしなんか』なんて言わないで。
ミセリは、頑張ったと思う。
わたしには想像もつかないくらい、
戦っていたと思うから」
川 ゚ -゚)「今度は、私達も一緒に戦いたいんだ。
生きるために、
生き残って戻るために」
ミセリの手が更に強く握られる。
ξ;⊿;)ξ「ミセリ……」
川 ; -;)「ミセリ……」
ミセ*゚ー゚)リ「二人とも……」
静かに涙を流す二人。
.
-
ゆっくりと首を動かして二人を見た後に、
ミセリは俯いた。
肩が細かく震えている。
(´・ω・`)「ミセリ」
ミセ )リ「……なに?ショボンくん」
(´・ω・`)「今日一日、ゆっくり考えてもらえるかな?
僕達とともに戦うということを」
川 ; -;)「ミセリ!」
ξ;⊿;)ξ「ミセリ!」
ミセ )リ「……うん。わかった」
立ち上がるミセリ。
それに合わせてツンとクーも立ち上がるが、
ミセリが二人に向かって首を横に振ると、
ゆっくりと手を離した。
ミセ )リ「部屋、貸してもらうね」
(´・ω・`)「うん」
俯いたまま寝室に移動するミセリ。
扉がしっかりと閉まったのを見てから、
ドクオが口を開いた。
('A`)「どういうことだ?」
( ゚д゚ )「二人が、
ゼアフォーとビコーズが、
ミセリを守って死んだ?」
.
-
(`・ω・´)「精神的に酷い衝撃があると、
記憶が混同することがあると聞いたことはあるが……」
横目でショボンを見るシャキン。
ブーンたち四人の視線もショボンに向かう。
(´・ω・`)「……いくら医者の息子だからって、
そこまで詳しくはないよ」
( ^ω^)「おー。でもおじさんは」
(´・ω・`)「専門は精神科じゃなくて、脳外科。
他にも色々手は出しているみたいだけど。
で、まあ、僕も事例は聞いたことがある。
辛い出来事を忘れてしまったり、
自分以外の人に起きたことだと記憶したり。
今の彼女が本当にその状況かどうかは分からないけど、
そう考えれば辻褄はあうと思う。
ただ……」
(´・_ゝ・`)「どうした?」
(´・ω・`)「いや、……うん。
なんでもない」
(`・ω・´)「ま、そこら辺の考えることはこいつに任せておけばいい。
調べる手段がない以上、調べようがないし、
知識を持っている可能性のあるこいつに考えさせておけばいいさ」
(´・ω・`)「なんかムカつくんだけど」
(`・ω・´)「はっはっは」
笑いながら、
ショボンの頭を右手でガシガシと撫でるシャキン。
それを見て六人の顔に少しだけ笑みが浮かんだ。
.
-
ξ゚⊿゚)ξ「……仲間になって、くれるかなぁ」
ソファーに座ったツンがぽつりと呟く。
( ^ω^)「きっと、なってくれるお」
斜め後ろに立ったブーンが肩に手を置いた。
( ^ω^)「大丈夫だお」
ξ゚⊿゚)ξ「……うん」
肩にのせられたその手に、そっと自分の手を重ねるツン。
('A`)「あつい、あつい。
それで、今日はどうする?」
ドクオの言葉で慌てて手を離す二人。
(´・_ゝ・`)「全員で行くか?」
(´・ω・`)「大丈夫だと思うけど、
ミセリを一人にするのは……」
( ゚д゚ )「うむ。そうだな」
川 ゚ -゚)「……すまない、私に残らせてもらえないか?
先程ということが変わって申し訳ないが」
ξ゚⊿゚)ξ「あ、私も!」
(´・ω・`)「クー。ツン」
(`・ω・´)「それが良いんじゃないか?ショボン」
(´・ω・`)「そう……だね。
一度お昼には戻るから」
川 ゚ -゚)「ああ」
ξ゚⊿゚)ξ「ええ」
二人が頷き、
残りの六人もそれぞれに言葉を交わしながら、
出発の準備を始めた。
.
-
その後、悩んでいたミセリをツンとクーが説得し、
彼ら九人は仲間として過ごし始めた。
最初は流されるままに戦闘や生活をしていたミセリであったが、
徐々に活動的になっていった。
ミセ*゚ー゚)リ「ブーンくん!一歩目をもう少し早く!
ツンちゃん!二歩後ろに!」
戦闘時の指示は、ある点においてドクオよりも優れていた。
ミセ*゚ー゚)リ「シャキン!出すぎ!
ミルナさんとデミタスさんはあと一歩ずつ左右に!」
それは連携。
ミセ*゚ー゚)リ「ショボンくん!後ろすぎ!
槍の長さを考えて!
クーちゃんも槍の長さを考えて移動!」
ソロとしての戦い方はドクオの方が優れていたが、
複数戦での連携に優れていた。
ミセ*゚ー゚)リ「ドクオくんはアルルッカバーくんの時と戦い方を変えたんだよね。
でもなんか、今の方が『ハマってる』感じがする」
決まった形ではなく、
どの相手でも連携が取れるように、
戦うことが出来るように練習を重ねていった。
ミセ*゚―゚)リ「ここのモンスターは、
相手の武器を落とさせるスキルを使ってくるから注意だよ」
知識もドクオに引けを取らず、
二人の記憶によって一層を進んだ。
.
-
ミセ*゚ー゚)リ「武器を落とされても慌てないで!
下を向いたら襲ってくる!
まずは一歩下がって相手の動きと武器を視界に入れるの!」
敵に合わせたその指示は的確で、
無理をしないその歩みは、
彼らの糧となり、
レベル以上の経験を与えた。
そしてゲームに閉じ込められてからひと月が過ぎた。
ミセ*゚ー゚)リ「!フロアボス戦!?もう!?」
('A`)「『もう』といっても一か月過ぎてるから、
βの時に比べたらかなり遅いけどな。」
ミセ*゚ー゚)リ「あの時と一緒にしないでよ」
('A`)「とりあえず参加者を募る集会をするみたいだ」
ミセ*゚ー゚)リ「……どう思う?」
('A`)「レベル的には、問題ないと思う」
(´・ω・`)「そうなの?」
('A`)「まあ。
参加しようって奴なら、
βテストの時に攻略した時よりはレベルは上がってるだろ」
( ^ω^)「βの時はドクオも参加したんだおね?」
.
-
('A`)「最初はな。
今よりレベルは低かったし、すぐ倒されたけど。
そして結局一層のボスを倒したときは、
パーティーに入れなかった。
だから二層の時にリベンジした」
ξ゚⊿゚)ξ「入れなかった?」
('A`)「ボス戦は最大参加人数が決まってるんだよ」
川 ゚ -゚)「人数無制限ならのんびり交代で戦えるのにな」
('A`;)「ゲームとしてはなかなかつまらないから。それ」
ミセ*゚ー゚)リ「そんなことどうでもいい!
……まだ早いよ。私は止めた方が良いと思う。
フロアごとのレベル上限なんてないはずだから、
もっと上げてからやれば良いのよ」
('A`)「……とりあえずその集会を見に行こうかと思うんだけど」
ミセ*゚ー゚)リ「まさかドクオくん、やるつもり?」
(´・ω・`)「ドクオ?」
(`・ω・´)「なんだ、βテストのリベンジ狙ってるのか?」
('A`)「い、いや、やらないけどさ。
どんな話し合いをするのか見に行こうかなって」
ミセ*゚ー゚)リ「反対」
(´・ω・`)「僕も」
('A`;)「え?べ、別に聞きに行くくらい」
ミセ*゚ー゚)リ「……私達はβテスターだよ。
今テスターがどんな風に言われてるか知ってるでしょ?」
.
-
('A`;)「知ってるよ。
流石におれもそれをばらしたりはしない」
(´・ω・`)「何かの拍子に聞かれたときに、
挙動不審になりそうだから反対。
リスクは避けるべきだよ」
ミセ*゚ー゚)リ「その通り」
(´・_ゝ・`)「あー。墓穴掘りそう」
( ゚д゚ )「想像できるな」
('A`;)「みんなして……。
でも、さ。気にならないか?」
(´・ω・`)「それは……」
ミセ*゚ー゚)リ「気にならないと言えばうそになるけど」
('A`;)「だろ?きになるよな?
でも聞き耳とか鍛えてないから、
そばに行けないと聞けないし」
(´・_ゝ・`)「聞き……」
( ゚д゚ )「……耳?」
(´・ω・`)「あっ」
(`・ω・´)「ふっふっふ。
おれの出番のようだな。
安心しろ、鍛えてあるから」
ミセ*゚ー゚)リ「え?持ってるの?聞き耳スキルを?え?」
ξ゚⊿゚)ξ「聞き耳スキルを……」
川 ゚ -゚)「鍛えてる?」
.
-
(´・ω・`)「そういえばそうだったよね」
('A`)「おれも鍛えるかな……」
ξ゚⊿゚)ξ「え?」
川 ゚ -゚)「え?」
('A`)「え?」
川 ゚ -゚)「その聞き耳ってのは、
聞き耳スキルの事だよな?
人の会話を盗み聞きする」
('A`;)「そういわれると身も蓋もないというか」
川 ゚ -゚)「私たちには知らない使い方があるのかもしれないが……」
ξ゚⊿゚)ξ「ドクオが鍛えてるっていうとね……」
('A`;)「なんでだよ!」
(`・ω・´)「……(良かった。おれから話がそれた)」
ミセ*゚ー゚)リ
(`・ω・´)「ん?ミセリ、どうした?」
ミセ*゚ー゚)リ「別に。
鍛えてるんだーと思って」
(`・ω・´)「まあ、ちょろちょろと」
ミセ*゚ー゚)リ「ふーん」
(`・ω・´)「なんだよ」
ミセ*゚ー゚)リ「いや、シャキンはそういうのも覚えてるんだなって思って。
ま、これでドクオくんも参加しなくていいし。
ショボンくん、それならいいよね」
.
-
(´・ω・`)「そうだね。
一応一人だと目立つかもだから、
三人か四人くらいで聞けるギリギリで打ち合わせをしているふりでもして」
( ゚д゚ )「近くにフリーの建物でもあればいいんだがな」
('A`)「それならおれもそのカモフラージュ役に」
ミセ*゚ー゚)リ「却下」
(´・ω・`)「不許可」
('A`)「……ハーイ」
集会が行われた直後に、第一層ボス戦は
行われた。
その最初の戦いでボスに勝利した知らせは、
全てのプレイヤーに喜びを与えた。
そして、
その戦いで一人死亡したことは、
大多数のプレイヤーに衝撃をもたらした。
更に、その戦いの場である言葉が生まれた。
('A`)「『ビーター』ね……」
第二層の最初の街で拠点となる部屋を借りた九人は、
一つの部屋に集まっていた。
ミセ*゚ー゚)リ「『ベータテスター』と『チーター』で『ビーター』か。
内容はともかく、うまいこと言うわね」
('A`)「感心している場合じゃないだろ」
.
-
ミセ*゚ー゚)リ「あら。私とドクオくんだって、
充分『ビーター』と呼ばれる立場にいると思うけど」
('A`)「だからだよ」
ミセ*゚ー゚)リ「今まで通り隠し通せばいいだけよ。
目立たず、ひっそりとね」
('A`)「……だな」
一つの書類を回し読みしている九人。
最初に読んだショボン、ドクオ、ミセリが会話の口火を切った。
(´・ω・`)「この『キリト』って人は、すごい人だね」
('A`)「ああ。話によればこいつともう一人の女の子で、
ほぼ二人でヒットポイントのラスト一本を削ったみたいだ」
ξ゚⊿゚)ξ「女の子?」
('A`)「ああ。しかもレイピア使いって話だよ。
名前は……『アスナ』だったかな。
あ、一応買った情報だから、他言は無用だぞ」
川 ゚ -゚)「買った?」
('A`)「アルゴから買った」
ξ゚⊿゚)ξ「アルゴって、あの……」
ミセ*゚ー゚)リ「情報屋のアルゴさん。
あの時、私を助けてくれた人だよ。
そして、店で無料配布している『攻略本』の製作者。
明言はしてないけど、おそらくは『βテスター』」
ξ゚⊿゚)ξ「βテスター……。
ビーター……」
.
-
( ゚д゚ )「βテスターへの風当たりは強いからな。
一部では、βテスターがテスト時の知識を利用して、
自分達だけが生き残るために私益を得ているなんて話まで流れてる」
川 ゚ -゚)「……ひどい話だ」
ミセ*゚ー゚)リ「私たちの知ってる情報なんて、
アルゴさんが配ってる攻略本と大差ないのに」
( ^ω^)「ショボンが前に言っていた通りになったおね」
(´・ω・`)「当たってほしくなかったけど」
(`・ω・´)「今のところβテスターであることを公言しているのは、
この『キリト』だけなのか?」
ミセ*゚ー゚)リ「多分。
テスター同士では分かっている人たちもいると思うけど。
アルゴさんを含めて明言したのは彼だけだと思う」
(´・ω・`)「アルゴさんもβテスター絡みの情報は渋るしね」
( ^ω^)「お?何か買ったのかお?」
(´・ω・`)「うん。現時点で亡くなった方のうち、
βテスターだった人はどれくらいいるか」
ミセ*゚ー゚)リ「は?」
('A`;)「おまっ。そんなデータ買ったのか!?」
(´・ω・`)「うん」
(´・_ゝ・`)「だが、
βテスターかどうかだなんて、
分かるのか?」
.
-
支援
-
(´・ω・`)「もちろん推測も含まれてるみたいだけどね。
それを差し引いてもなかなかなの対価を渡すことになったよ。
ただ、僕がそれを聞いてから返答までの時間がかなり短かったから、
アルゴさんも気になって調べていたか、
前にも同じ内容を聞いた人がいたんじゃないのかな」
川 ゚ -゚)「結果はどうだったんだ?」
(´・ω・`)「……約、300人」
ミセ*゚ー゚)リ「……そう」
('A`)「そうか……」
( ^ω^)「お?」
川 ゚ -゚)「SAOのプレイヤーは最大1万人。
βテストのプレイヤーは1000人。
九割くらいが正式サービスに来たとして、900人。
そしてこの一か月で亡くなった人数は約2000人。
そのうちのβテスターが300人。
元βテスターは、現時点で約3割のプレイヤーが死んでいる。
その他のプレイヤーは2割程度、と、いうことか」
(´・ω・`)「βテスターで正式サービスを始めた人数は、
おそらく7〜800人程度だろうって話だよ」
川 ゚ -゚)「ではβテスターの死亡率は約4割。
その他のプレイヤーは変わらず2割……」
ξ゚⊿゚)ξ!
( ゚д゚ )!
(´・_ゝ・`)!
(; ^ω^)「お……」
( ゚д゚ )「4割……」
.
-
(´・_ゝ・`)「βテスターの方が死んでるってことか」
(`・ω・´)「正式からのプレイヤーも1700人死んでいる。
だが、率で考えるなら倍の差が出るのは問題だな」
( ^ω^)「どうしてそんな……」
(´・ω・`)「ミセリ、ドクオ、どう思う?」
('A`)「変更点、だろうな」
ミセ*゚ー゚)リ「私もそう思う」
(´・_ゝ・`)「変更点?」
('A`)「ああ」
ミセ*゚ー゚)リ「私達はβの時の知識がある分、
敵に会った時に『こうすれば勝てる』っていう行動をとる。
だから……」
(`・ω・´)「βテストの時よりも強くなっていたり、
行動パターンが違っていたりしたときに、
その『違い』に足をすくわれるってことか」
('A`)「うん。実際、そんなことが何度もあった」
ミセ*゚ー゚)リ「私とドクオくんの場合は複数で行動してたし、
皆がいるから無理はしない戦い方をしてたけど、
βテスターはソロや少数で行動してる人が多いだろうから……」
全員が口を開けず、
重苦しい空気が部屋を包んだ。
そんな中、
ほほ笑んだミセリ。
ミセ*゚ー゚)リ「ドクオくんの場合は体形が変わって戦い方も変えたから、
凄く慎重になってるしね」
.
-
('A`)「まあな。リーチとかも変わったし」
ミセ*゚ー゚)リ「初めて会った時は、ほんとにびっくりしたよ」
('A`)「うるさい」
ミセ*゚ー゚)リ「だってひと回り、
ううん、二回りくらい小さく……」
('A`)「そんなに違わねよ!」
ミセ*゚ー゚)リ「えー。
だってβの時には180くらいあったよね」
( ^ω^)「!思い出したお!
最初びっくりしたおね」
(´・ω・`)「初めて見た時はちょっとね。
ドクオはβの時にはどうやって戦ってたの?」
ミセ*゚ー゚)リ「盾持ち片手剣の、
オーソドックスだけど堅実なタイプ。
防御も出来るしもちろん攻撃も出来るし」
( ゚д゚ )「今とは全く違うんだな」
('A`)「まあ……うん……」
川 ゚ -゚)
ξ゚⊿゚)ξ「クー?」
川 ゚ -゚)「なんだ?」
ξ゚⊿゚)ξ「どうかした?」
川 ゚ -゚)「いや、別に」
ξ゚⊿゚)ξ「そう?ならいいけど」
.
-
(´・_ゝ・`)「なあショボン」
(´・ω・`)「はい?」
(´・_ゝ・`)「話を蒸し返すようだが、
何故そんなデータを買ったんだ?」
(´・ω・`)「アルゴさんがどれだけβテスターとつながりがあるかを知りたかったので」
('A`)!
ミセ*゚ー゚)リ!
(´・_ゝ・`)「なら、そう聞けばいいんじゃないか?」
(´・ω・`)「現時点でそんなデータを持っていたとしても、
流石に流さない、売らないと思ったので」
(´・_ゝ・`)「ま、そりゃそうか」
ξ゚⊿゚)ξ「でも、なんでそんなことを知りたかったのよ」
(´・ω・`)「なんとなく……が、ほとんどだけど、
あえて理由を付けるなら、アルゴさんの情報の正確さの根本を知りたいなって思って」
( ゚д゚ )「『情報の正確さの根本』?」
(´・ω・`)「ええ。
攻略本を始め、アルゴさんの情報に僕らは、
いや、プレイヤーたちはかなり頼ってるから。
一応その情報の集め方を知っておきたいなと思って」
ξ゚⊿゚)ξ「それでなんで?」
(`・ω・´)「……つまり、彼女の情報源がどこかを知りたかったと」
(´・ω・`)「うん」
川 ゚ -゚)「そうか。
彼女の情報源がβテスターたちじゃないかと思ったってことか」
クーの言葉に黙って頷いたショボン。
.
-
(´・ω・`)「おそらく、彼女の作る攻略本の内容の多くは、
βテスターの人たちが仕入れた情報だと思う。
真偽の確認はアルゴさんがしているだろうけどね。
変更点がある以上、命がけで手にした情報もあったと思う。
それを惜しげもなく無料で提供してくれているんだから、
感謝しかないよ」
全員が神妙にうなずいた。
(´・ω・`)「ただ、今レベルが高い人たちのほとんどはβテスターだと思うよ。
一層の知識云々よりも、
『戦い方』
を知っているってことは、
スタートダッシュでかなり優位に働いたはずだから。
あと、ホルンカまでとその周辺はβと変更ないみたいだから、
あの頃ホルンカにいた人たちは、9割βテスターだと思う」
(`・ω・´)「というよりも、
あの頃あそこにいた奴らでβテスターじゃなかったのは、
ここにいる7人だけだろ」
(´・ω・`)「……その可能性は、高いと思う」
( ^ω^)「それでショボンはあの頃道ですれ違う人達の顔をじっと見てたのかお?」
(´・ω・`)!
('A`)!
ミセ*゚ー゚)リ!
(´・ω・`)「気付いてたんだ」
( ^ω^)「おっおっお。
普段より落ち着きがないなって思ったんだお」
(´・ω・`)「……うん。まあね。
出来るだけ顔を覚えて、
なるべく名前も見るようにしておいたよ」
.
-
ξ;゚⊿゚)ξ「あんたってほんとに……」
川;゚ -゚)「なんというかほんとに……」
(´・ω・`)「アルゴさんは情報と情報との交換にも応じてくれるから、
そこら辺の記憶も有意義に使わせてもらってるよ」
( ゚д゚ )「はー」
(´・_ゝ・`)「どうせシャキンも覚えてるんだろ?」
(`・ω・´)「おれは基本的に興味ないことは覚えないから」
ミセ*゚ー゚)リ「シャキンはそういうやつよね」
(`・ω・´)「はっはっは」
ミセ*゚ー゚)リ「言っておくけどほめてないから」
(`・ω・´)「眉毛下げるぞこのやろう」
ミセ*゚ー゚)リ「区別できなくなるからやめて」
(´・ω・`)
(´・ω・`)
ミセ*゚ー゚)リ「やめなさい」
川 ゚ -゚)「……フロアボスにも、変更点があったんだよな?」
('A`)「ああ。途中でボスが武器を持ち帰るんだけど、
その武器の種類が変わって、
更にその武器特有のスキルも使ってきたらしい」
.
-
( ゚д゚ )「その技で一人死亡。
更に一度は撤退も考えられたらしいな」
川 ゚ -゚)「そんな敗戦ムード一色の場を持ち直し、
最後にはとどめを刺したのが、
『キリト』というβテスターだったということか」
(´・_ゝ・`)「さっきショボンも言っていたが、
このキリトってのはホントにすごい奴だな」
ξ゚⊿゚)ξ「でもこのキリトって人が、
その『ビーター』って呼ばれてるのよね」
('A`)「……ああ」
川 ゚ -゚)「ビーターか……」
ξ゚⊿゚)ξ「ドクオ、あんたもその『ビーター』って呼ばれたりするわけ?」
('A`)「おれがβテスターだって知られたら、
可能性はある」
ξ゚⊿゚)ξ「そう……」
( ゚д゚ )「そもそも、なんでまたそんな言葉が……」
(´・ω・`)「そういったことも含めて、
このキリトって人は、
本当に凄い人だと思うよ」
( ゚д゚ )「?どういうことだ?」
.
-
(´・ω・`)「今までβテスターは、
『βテスター』ってことで全員が一緒くたにされていました。
でも、『ビーター』って言葉が出来たおかげで、
『βテスター』の中に、ただβテストをプレイしただけの、
『ただのβテスター』と、
βテストをプレイしたことによって、
今この時点で情報を独占して、
他のプレイヤーよりも優位に生きている
『ビーター』の二種類に分けることが出来るようになったんです。
そして、一般プレイヤーにとって、
『ただのβテスター』は自分達とそれほど変わらないけれど、
この世界を自分達よりも優位に生きることのできている『ビーター』は、
憎悪の対象とすることが出来た」
( ゚д゚ )「憎悪の対象にすることが出来たって……」
ミセ*゚ー゚)リ「共通の敵が出来ると、
人って団結するから……」
ξ゚⊿゚)ξ「ミセリ?」
(`・ω・´)「つまり、このキリトって奴は、
憎悪の対象となったってことか?」
(´・ω・`)「うん。
しかも、自分で認めた。
おそらくだけど、『ただのβテスター』ではない自分を憎悪の対象にすることによって、
『ただのβテスター』に向けられる憎しみや妬みといった負の感情を、
自分に向けさせたんだと思う」
(;^ω^)「な、何でそんなことを!?」
(´・ω・`)「おそらくは、
『βテスター』を守るために」
ミセ*゚ー゚)リ!
('A`)!
(`・ω・´)「何故?」
.
-
(´・ω・`)「心までは分からないよ。
でも、そう考えると彼の行動が理解できた。
もちろん全部僕の推測だけどね。
一度、会ってみたいな。
このキリトって人に」
川 ゚ -゚)「なあショボン、
そういったことをすべて公表すれば、
βテスターに対する迫害もなくなるんじゃないのか?」
( ^ω^)「おっ!そうだお!」
(´・_ゝ・`)「いや、無理だな」
( ゚д゚ )「ああ」
ミセ*゚ー゚)リ「ええ」
(;^ω^)「どうしてだお?」
( ゚д゚ )「公表したところで、
βテスターがβテスターを守るために情報操作していると思われるのが関の山だろう」
(´・_ゝ・`)「ああ。おれもそう思う。
この一か月で生まれて蔓延したβテスターへの不信感は、
結構根深いと思うぞ」
(;^ω^)「おー」
(`・ω・´)「身近にβテスターが居たり、
ある程度の恩恵を受けていたらそんなことは思わないだろうし、
落ち着いて考えればβテスターへの迫害など、
愚かなことだと分かりそうなもんなんだがな」
(´・_ゝ・`)「今のこの世界では、
冷静でいることが一番難しいってことか」
ミセ*゚ー゚)リ「みんな若いしね」
.
-
( ゚д゚ )「そうだな。
メインの年齢は20前後……いや、
下手したら17〜8くらいか」
(´・_ゝ・`)「若いなー」
ミセ*゚ー゚)リ「若いよねー」
(`・ω・´)「若いなー」
ξ゚⊿゚)ξ
川 ゚ -゚)
('A`)
( ^ω^)
(´・ω・`)
ミセ;*゚ー゚)リ「あ、えーと、……」
(´・ω・`)「話を戻すけど、
そういったことを全部ひっくるめてβテスターであることと、
ビーターという汚名をあえて背負ったこの『キリト』って人は、
凄いなって思ったわけだったんだけどね」
('A`)「『キリト』……か……」
ξ゚⊿゚)ξ「心当たりないの?
この世界では、っていうか、
ネト充なんだし顔広いでしょ?」
('A`;)「ネト充言うな」
( ^ω^)「βテストの時に知り合った人で心当りはないのかお?」
('A`)「ある……というか、多分あの人だろうな」
.
-
川 ゚ -゚)「知り合いなのか?」
('A`)「いや、一方的に知ってるだけ。
数回喋ったこととか一緒に狩りしたことがあるけど、
多分向こうは覚えてないだろうな。
ミセリ、覚えてないか?
ボス戦でLAボーナス取りまくってた片手剣士のこと」
ミセ*゚ー゚)リ「私はボス戦出たことなかったから。
噂には聞いたけど、顔とか特徴とかは知らない。
その彼なの?」
('A`)「強さとか、アルゴに聞いた限りは」
ミセ*゚ー゚)リ「ふーん」
ξ゚⊿゚)ξ「なにその『LAボーナス』って」
('A`)「うーんとー」
ミセ*゚ー゚)リ「『ラストアタックボーナス』。
この前倒したオオトカゲ覚えてる?」
ξ゚⊿゚)ξ「バートリアース、よね?」
ミセ*゚ー゚)リ「そうそう。
あいつを倒すと、ランダムに木の実とか鱗とかアイテムが手に入る」
川 ゚ -゚)「鱗は結構高く売れたな」
ミセ*゚ー゚)リ「うん。
で、これをドロップって呼ぶのはもう知ってると思うけど、
このドロップは、バートリアースに攻撃を与えたプレイヤーに、
バートリアースを倒したときにランダムに手にすることが出来る。
クーちゃんには鱗、ツンちゃんには木の実、シャキンには何も無しって感じにね。
ただ、モンスターによっては必ずアイテムを落とす奴が居たりするんだけど、
大概それはモンスターにとどめを刺した奴に与えられるように設定されてたりするの」
.
-
ξ゚⊿゚)ξ「ラストアタック!
最後の攻撃ってことか!」
ミセ*゚ー゚)リ「そういうこと。
で、フロアボスとかエリアボスとかイベントモンスターなんかには、
そういうLAボーナスが設定されてることが多いし、
LAボーナスのアイテムはレアアイテムなことがほとんどなの。
しかもこのゲームではボスは一回しか出てこないから、
そのアイテムを手にすることが出来るのは一人だけかもしれない。
だから」
川 ゚ -゚)「ゲーマーはそれを狙ってると」
ミセ*゚ー゚)リ「その通り。
私はそういうのあんまり興味ないけど」
全員の視線がドクオに集まる。
('A`)
視線を逸らすドクオを見て、
全員が苦笑した。
(´・ω・`)「なるほどね。
そういうことなのか」
ξ゚⊿゚)ξ「あれ?ショボンも知らなかったの?」
(´・ω・`)「知識としてLAボーナスっていうのがあることは知ってたけど、
それを欲しがる理由とかはね。
それはほら、心情的なものだから」
川 ゚ -゚)「レアアイテム……か」
(`・ω・´)「βの時はどんなもんが手に入ったんだ?」
('A`)「んー。
まあ高い防御力やその他効果のある防具とか、
凄く強い武器とかそんな感じ」
.
-
( ゚д゚ )「どれくらいの『レア』なんだ?」
('A`)「え?」
( ゚д゚ )「いや、世界に一つしかないとか、
他のところでも手にすることが出来るレベルとか」
('A`)「あー。多分、基本的にはサーバーには一つしかないと思う。
でもその能力が『伝説級』かどうかっていうと、別問題かな。
おそらくボスのラストアタックで手に入る武器防具系は、
その層からプラス10層くらいの間使える装備だと思う。
あんまり強いアイテムはゲームバランスを狂わせるだろうし。
あ、でも、武器防具以外だとあるかもしれない。
特殊能力を持ったアイテムとか。
防具も、毒や麻痺を永続無効化アイテムとかならあるかも。
ほら、うちには一人既に『伝説級』アイテムを持ってるのがいるからさ。
可能性としてはそういうのもあるかも」
( ゚д゚ )「ん?あ、あー。そうだな。いるな」
全員の視線がショボンに向く。
ミセ*゚ー゚)リ「あー。なるほど。
あれは確かに『伝説級』アイテムかも。
っていいうか、『反則級』よね」
ミセリが苦笑気味に告げると、
ショボンの眉が更に下がった。
.
-
九人で戦いを続けて一か月。
九人で生活を始めて一か月。
ミーティングを重ね、
戦闘を重ね、
移動をし、
拠点を決め、
相談し、
戦い、
戻り、
そしてまた移動する。
その繰り返しが彼らを一つのパーティーにまとめていた。
けれど、
それぞれに、
それぞれの思いを、
重ねていた。
.
-
宿屋。
二層になると一部屋にベッドが三つある部屋もあり、
彼らは部屋を三つ借りていた。
ミセ*゚ー゚)リ「攻略ねぇ……」
ベッドの上に寝そべり、
一枚の紙を見ているミセリ。
川 ゚ -゚)「……攻略に参加したいのか?」
ミセリの寝転ぶベッドに腰かけるクー。
ミセ*゚ー゚)リ「しないよー。
クーちゃんは心配しすぎ」
川 ゚ -゚)「む……」
ξ゚⊿゚)ξ「途中で出てくる『フィールドボス』とかはもう倒したのよね」
ツンがクーの斜め前、
ミセリの頭近くに立つ。
ミセ*゚ー゚)リ「うん。倒したみたいだね。
これはその情報なんだけど……」
川 ゚ -゚)「どうかしたのか?」
ミセ*゚ー゚)リ「……人がいっぱい集まると、
派閥とかできちゃうし、
やっぱり争いが起こるんだなって思って」
ξ゚⊿゚)ξ「何それ」
ミセ*゚ー゚)リ「うん……。はい、これ」
川 ゚ -゚)「ん?」
ミセリが差し出した紙を手に取るクー。
ツンがその横に座って覗き込んだ。
.
-
ミセ*゚ー゚)リ「一層でリーダーをしていた人が亡くなって、
攻略に参加した人の中で、
その人を中心に集まっていた人達が二組に分裂してるみたい。
もともとソロや小パーティーで参加していた人は、
そのままみたいだけど」
川 ゚ -゚)「『志を継いだのはおれ達だ』と、
互いに言い張っているわけか」
ξ゚⊿゚)ξ「ふーん」
川 ゚ -゚)「興味なさそうだな」
ξ゚⊿゚)ξ「まあいいんじゃない?
慣れあいでやるより競い合った方が」
川 ゚ -゚)「まあ、それはそうだな」
ミセ*゚ー゚)リ「自分を高めるだけならね。
でも、足を引っ張り合うようになったらおしまいだよ」
ξ゚⊿゚)ξ「それは……そうね」
川 ゚ -゚)「そうだな。
だが、ゲームをクリアするという目標があるのなら。
それに、生死がかかっているわけだし」
ミセ*゚ー゚)リ「そこまで変なことはしないって思ってるけどね。
いや、ううん。信じたい。かな……でも……」
川 ゚ -゚)「ミセリ……」
ξ゚⊿゚)ξ「ミセリ?」
起き上がるミセリ。
ベッドの上ではねるように正座した。
ミセ*゚ー゚)リ「ツンちゃん、クーちゃん、
二人ともできるようになった?」
.
-
にっこりとほほ笑む。
川 ゚ -゚)「?」
ξ゚⊿゚)ξ「?」
ミセ*゚ー゚)リ「もー。忘れちゃった?」
頬を膨らませた。
ミセ*゚3゚)リ「ほえだよ、ほえ」
川 ゚ -゚)「ああ」
ξ゚⊿゚)ξ「はいはい」
川 ゚ 3゚)「これだな」
ξ゚3゚)ξ「これね」
ミセ*゚3゚)リ「ほうほう、ほれよほれ」
川 ゚ 3゚)「何を言っているかさっぱりわからないぞ」
ξ゚3゚)ξ「なんでミセリはちゃんと喋られなくなるのよ」
ミセ*゚3゚)リ「ばはね。ほれがほのはおのひんずいなのよ」
川 ゚ -゚)「だから何を言っているかさっぱりわからないと」
ξ゚3゚)ξ「『ばかね。これがこの顔の真髄なのよ』!でしょ!」
ミセ*゚3゚)リ「へいはい!」
ξ゚3゚)ξ「『正解』!」
川;゚ -゚)「何故分かった!?」
ミセ*゚3゚)リ「ほのはおが友情のあかし!」
.
-
川;゚ 3゚)「これが!?」
ξ゚3゚)ξ「これね!」
ミセ*゚3゚)リ「ほう!ほれが!」
三人の会話は、深夜まで続いた。
ミセ*゚3゚)リ「はだはだはまいはよーー!!
(βテスターとして、私は何ができるだろう。
皆の為に、なにをするべきだろう)」
(´・ω・`)「当分はね、大丈夫だと思うんだ。
今のところ彼等には共通の『敵』がいるから」
隣の部屋。
ショボン呟くと、
手渡された資料を読んでいたブーンとドクオが顔を上げた。
('A`)「敵?」
( ^ω^)「フロアボスの事かお?」
(´・ω・`)「いや、違う。
それは討伐対象ではあるけれど、
もっと身近にいるんだ」
不思議そうな顔をしたブーンと、
眉間に皺を寄せたドクオ。
('A`)「……キリト、いや『ビーター』だな?」
(´・ω・`)「うん」
(;^ω^)「お!それは味方じゃないのかお!?
同じゲームをプレイしている、仲間だお!」
.
-
(´・ω・`)「そう……だね。
うん。そうなんだけどね。
そういう風に思えない人がいっぱいいるんだよ」
(;^ω^)「おー」
('A`)「それで?
『今のところ』ってのは?」
(´・ω・`)「彼の力は、ボス攻略にとって不可欠なものになると思う。
もちろん一緒に居るアスナさんもね」
('A`)「そうだろうな」
( ^ω^)「おー。それなのに……」
(´・ω・`)「それに気付けば、『敵』ではなくなる。
なんとかして『味方』にしたいだろうね」
(;^ω^)「お?もう味方じゃないのかお?」
(´・ω・`)「彼がプレイヤーを襲うような人にならないと願ってるよ。
ま、それはキリトさんの心を信じるとして、
この場合の『味方』っていうのは自分達の陣営に引き込みたいってこと」
( ^ω^)「陣営に引き込む?」
('A`)「……ギルドか」
(´・ω・`)「そう。
ドクオとミセリの情報によると、
3層からパーティーとは違ったもっと大きな組織、
『ギルド』を組むことが出来るようになる」
('A`)「それはそれで面倒臭い条件があるけどな。
ただ、ギルドを作るメリットはある」
.
-
(´・ω・`)「ギルドを作れば、
ギルドを強固なものにするために強いプレイヤーは必要になる。
それに彼はβテスターだ。
βテスト時の情報を、アルゴさんの本が出る前に手にすることが出来る。
今回分裂した二組はおそらく別々にギルドを作る。
キリトさんの強さと情報は、
喉から手が出るほど欲しくなるんじゃないのかな」
('A`)「だけどよ。入るか?
ビーターとか呼ばれて」
(´・ω・`)「どうだろうね。
仲良いプレイヤーが居たりすれば可能性はあるんじゃないかな。
もしくは彼がギルドを作るか……。
うん。そうだね。それが一番かもしれない」
( ^ω^)「ギルドは僕達も作るんだおね?」
(´・ω・`)「うん。そのつもりだよ」
( ^ω^)「おっおっ。クエスト楽しみだお」
('A`)「ブーンはクエスト好きだよな」
( ^ω^)「目標があると楽しいおね」
('A`)「まったく」
(´・ω・`)「(ギルド……。組織……か)」
(´・_ゝ・`)「なるほどな」
二つ上の階の三人部屋にいる三人。
シャキンは備え付けの机で資料を読んでいた。
.
-
( ゚д゚ )「二大ギルドが出来ちまうってことか」
(`・ω・´)「ああ……」
(´・_ゝ・`)「足の引っ張り合いねぇ」
( ゚д゚ )「そこまでアホなことするか?」
(`・ω・´)「しなけりゃいいんだけどな」
(´・_ゝ・`)「ふむ……」
( ゚д゚ )「読む限りじゃ、やりそうではあるな。
しかし、こんな詳しい資料をよく作ってくれたな。
それこそ高かっただろうな。情報料」
(`・ω・´)「ドクオとミセリのβ時の記憶。
あとショボンの作ったマニュアルの内容。
それに例の部屋で手にするクエストの設定なんかを、
細かく切り売りしているみたいだ。
普通にコルで買うこともあるようだけど」
(´・_ゝ・`)「なるほどな」
( ゚д゚ )「……なあシャキン」
(`・ω・´)「ん?」
( ゚д゚ )「さっき、ギルドを強化するために、
二大ギルドが戦力や情報を取り入れるとか言ってたよな」
(`・ω・´)「ああ」
( ゚д゚ )「ショボンとかドクオとかミセリって、
やばいんじゃないか?」
(´・_ゝ・`)!
(`・ω・´)「スカウトは来るだろうな。
存在を知られれば」
.
-
( ゚д゚ )「ん?」
(`・ω・´)「おれ達の事を、攻略している奴らは知らない。
知っているのは情報屋くらいだろうな」
(´・_ゝ・`)「情報屋が知っているってことは、
知られる可能性があるってことだろ?」
(`・ω・´)「そこら辺はショボンが上手いこと取引しているだろ。
あと、当分の間この二つのギルドは『攻略』に力を入れるだろうから、
ボス戦に参加しようとしない人たちの情報を積極的に得ようとするのは考えにくい。
つまり、最前線で結果を出すような真似をしなければ目に止まることは無いだろうし、
存在を知られることもないだろうってことだ」
( ゚д゚ )「なるほどな」
(`・ω・´)「ただ、それ以外で目に止まってしまう可能性がないわけじゃない」
(´・_ゝ・`)「?どんなことだ?」
(`・ω・´)「……それに関して、相談がある」
(´・_ゝ・`)?
( ゚д゚ )?
(`・ω・´)「九人でぞろぞろ歩くのは目立つんだ」
( ゚д゚ )「ああ」
(´・_ゝ・`)「確かに」
(`・ω・´)「今のところ、おれ達以外で集団で動いているのはほとんどいない。
攻略の奴らですら、多くて6人くらいだ。
9人とか大人数で街間の移動やフィールドダンジョンを動いている奴らを見たことがない」
( ゚д゚ )「!それで最近二組か三組に分かれて動いているのか」
(`・ω・´)「ああ」
(´・_ゝ・`)「なるほどな」
( ゚д゚ )「それで?」
(`・ω・´)「ああ。まあそれ以外にも理由はあるんだが……」
.
-
夜は更け、日付が変わる前に明日に向けて全員が眠りついた。
それぞれに、様々な思いを抱えながら。
.
-
以上、本日の投下を終了します。
支援ありがとうございます!
感想、本当にありがとうございます!
やっと二十話の終わりが見えてきました。
また、よろしくお願いします。
ではではまた!
.
-
おつ
また読みごたえのある話だった。
今後のミセリが気になるな
-
乙
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乙
久々に読むと、と言っても1ヶ月ぶり程だけど、やっぱ面白いな
SAOの方はアニメしか見てないけど、キリトの事とか世界内の情勢が別視点から見れるのがスピンオフ感あって良いね
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乙乙
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おつつ
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おお来てた乙乙
ツンとクーはビコーズの下りに関してはもはや何を言ってもお花畑にしか感じないしどんな綺麗事を述べても「でもこいつら人を一人殺してるんだよな」という印象しかなくなってしまった
どう贖罪させて決着をつけるかが楽しみではあるね
死をテーマにするのは難しいよな
丁寧に描くほどに作者の死と真剣に向き合った経験が露呈して少ないとどうも嘘臭くなって白けてしまう
他の場面が秀逸なだけにそこがちょっと残念
そうそう経験できることじゃないから仕方ない事ではあるんだけどね
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おつつつ
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>>973
上から目線の自慰書き込みほんと滑稽。
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おつです
読めば読むほどバッグボーンの全容とか初期メンバー各自の立ち位置が見えてすっきりしてきた
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仮想空間で実際に死体とかを視認できるわけでもないし、むしろプレイヤーからしてみたらホントに現実世界でも死んでるのかどうか確認できない状況なんだから実感が薄い感じでいいと思うけどね
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臭い台詞いうときの改行が気になって仕方ない
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それでは投下を始めます。
おそらく途中で次を立てることになるかと思います。
今回もよろしくお願いします。
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11.旅立ち
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第二層での彼らは、
アルゴからの依頼に翻弄された。
(´・ω・`)「『nezha』……。
確か中国神話神話に出てきた『ナタ』?……『ナタク』?だったような」
('A`)「どうした?」
(´・ω・`)「いや、アルゴさんから言葉の意味に覚えがないか問い合わせが来たんだけどさ。
ドクオ、これに覚えある?
確か封神演義読んだよね?」
('A`)「ん?ああ。えーと……なんだ?ネズハ?」
(´・ω・`)「いやいや。せめてナーザって読んでよ」
('A`)「ナーザ?」
(´・ω・`)「ナタクの方がわかるかな」
('A`)「ナタク!それなら知ってる。で?」
(´・ω・`)「……いやもういいや」
('A`;)「え?あ、いや、アルゴがどうしたって?」
(´・ω・`)「いや、この綴りに見覚えはないかって聞かれてさ」
('A`)「無料で答えてるのか?」
(´・ω・`)「コルはもらってないよ」
('A`)「?」
(´・ω・`)「情報と交換」
('A`;)「そうですか」
(´・ω・`)「なにその感じ」
('A`)「いや、考えてみりゃ、
情報屋のアルゴならショボンを手駒にしたいだろうなって思って」
(´・ω・`)「?」
('A`)「だっておまえ、歩く百科事典だし」
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ミセ#*゚ー゚)リ「ちゃんと調査しないでボス戦やるとか馬鹿じゃないの!」
(`・ω・´)「そうなのか?」
ミセ*゚ー゚)リ「クエスト時の会話とか報酬の内容なんかで、
ボスの特徴とか攻略とかのヒントをえられたりするのよ」
(`・ω・´)「ほー」
ミセ*゚ー゚)リ「ビーターとか呼ばれるくらいならそこらへんもちゃんと操作しろっていうのよ」
(`・ω・´)「ははは」
(;゚д゚ )「会話しながらツートップで突き進むし」
(´・_ゝ・`)「案外いいコンビだな」
ミセ#*゚ー゚)リ「さっさと行くわよ!次のエリアで採取すればいいはずだから!」
(`・ω・´)「はーい」
(;゚д゚ )「はい!」
(´・_ゝ・`)「ふむ」
ξ゚⊿゚)ξ「で、なんでこんなに急いでいるわけ?」
( ^ω^)「アルゴさんの仕入れた情報で、
どうやら今攻略してるボス戦に問題があるらしいんだお」
川 ゚ -゚)「それを確かめるためには、
いくつかのクエストをクリアしないといけないらしい。
で、このお使いもその一つってわけだ。
よし、この家だな。行ってくる」
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( ^ω^)「お願いだお」
ξ゚⊿゚)ξ「ふーん」
( ^ω^)「お?」
ξ゚⊿゚)ξ「どうせならフィールド組が良かったな」
(;^ω^)「お使いも重要なクエストだお」
ξ゚⊿゚)ξ「それは分かるけどさ」
( ^ω^)「お?クー、早かったおね」
川 ゚ -゚)「無事に渡せたが、
追加を依頼された」
ξ゚⊿゚)ξ「追加?」
川 ゚ -゚)「ああ。隣の村までいかなければいけない」
ξ゚⊿゚)ξ「よっしゃ!フィールド!」
( ^ω^)「おー」
川 ゚ -゚)「ショボンに連絡するから待っていてくれ」
(´・ω・`)「……なるほど。
アルゴさん、二つクリアで、一つ追加です」
(アルゴ)「追加?」
(´・ω・`)「はい。お使いですけど前の村に行かないといけません。
そのままドクオに合流してもらって行ってもらいます」
(アルゴ)「大丈夫なのかイ?」
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(´・ω・`)「はい。
あと、これが今までのデータです」
(アルゴ)「助かったよ」
(´・ω・`)「いえ。
僕達もフロアボスを倒してほしい気持ちは同じですから。
これくらいのお手伝いはさせていただきますよ」
(アルゴ)「……君たちは攻略には参加しないのかナ?」
(´・ω・`)「……はい。
あと、手伝う代わりの約束は守ってくださいね」
(アルゴ)「君たちの存在は他言無用だネ」
(´・ω・`)「はい。
よろしくお願いします」
(アルゴ)「これだけの統率力を持ったリーダーと、
攻略メンバーに並ぶレベルと経験を積んだパーティー。
売れる『情報』なんだけどナ」
(´・ω・`)「一度承知していただいた以上、
守ってください。
『情報屋』のアルゴさん」
(アルゴ)「もちろんだよ。
この仕事は信頼が一番だからネ」
(´・ω・`)「これからもよろしくお願いします」
(アルゴ)「こちらこそ、ヨロシク」
('A`)「ブーン達と合流か。『了解』っと。
えーとこっちだな」
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ウインドウを閉じると走り出すドクオ。
('A`;)「……ショボンとアルゴの会話とか、
腹の探り合いだろうなー。
この手伝いの報酬も色々交渉してたし」
数分後仲間と合流するまで、
ドクオの冷や汗は流れていた。
第二層攻略戦は、
死者を出さずに勝利することが出来た。
その陰に彼らがいたことは、
アルゴしか知らないことだった。
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(´・ω・`)「お疲れさまでした」
二層のボス戦が行われた次の日、
二層で定宿にしていた農家の一部屋に集まった九人。
九人集まれる部屋はそれほど多くないため、
とても重宝していた。
ξ゚⊿゚)ξ「ほんとよねー」
( ゚д゚ )「ちょっと大変だったな」
(´・_ゝ・`)「クエストは難しくなかったが、
個数と早くやらなきゃいけないってのがめんどくさかった」
ξ゚⊿゚)ξ「ほんとよ。攻略してるやつらも何を急いでいるんだか」
( ^ω^)「おっお。
でも集めた情報が役に立ったらしいから、
頑張ったかいがあったお」
( ゚д゚ )「そうだな。
それは誇ろう」
ξ゚⊿゚)ξ「でも私たちの事は内緒にしたんでしょ?
全部アルゴの手柄なのよね」
(´・ω・`)「まあね。
あまり目立ちたくないからそうしてもらった。
それに、これからそれを取引材料にできるし」
ξ゚⊿゚)ξ「ギルド強化のためのスカウト合戦か。
確かにそんなのに巻き込まれたくはないわね」
(`・ω・´)「あと、こんな細かい情報を手にすることが出来るのは、
そういったコネを作っているおかげだろ?」
(´・ω・`)「うん。そうだね」
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シャキンの手から数枚の資料が、
ブーン、ミルナ、デミタス、ツンの順で渡された。
先に読んでいたミセリ、ドクオ、クーの表情はかなり険しい。
ミセ*゚ー゚)リ「ショボンくん、シャキン、
それ、どう思う?」
('A`)「……マジかよ」
川 ゚ -゚)「スキルやシステムを利用した、
武器の窃盗事件か……」
クーの言葉に顔を見合わせるブーン達未読者の四人。
慌ててそれぞれの手元の資料に視線を走らせた。
(´・ω・`)「よく考えた手口だよね。感心したよ」
('A`)「ショボン……」
(´・ω・`)「だって考え付かないよ?
システムを完全に理解してなきゃこんなの」
ミセ*゚ー゚)リ!
('A`)!
(`・ω・´)「今こんなのを考え付けるのは、
βテスターだけだろうな」
ミセ*゚ー゚)リ「そんな……」
(´・ω・`)「実行犯の彼をそそのかしたこの謎の人が、
かなりシステムを熟知しているのは疑う余地がないよ。
問題は、それを自分でやらないで、他人にやらせたことだね。
しかもかなりうまく誘導したみたいで、
名前はもちろんどんな奴だったかもしっかり覚えていないみたいだ」
川 ゚ -゚)「普通そんな怪しい奴に言われた犯罪を実行するか?」
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(´・ω・`)「『フルダイブ不適合者』。
その実行犯になってしまった人は、
フルダイブ不適合らしいね。
距離感がうまくつかめないらしい」
川 ゚ -゚)「そんなことがあるんだな」
(´・ω・`)「所詮『既製品』だからね。
大多数の人にはフィットするけど、
中には合わない人がいる。
もちろん細かい微調整をすれば大丈夫なんだろうけど、
ナーブギアはそういう風にできてないから」
川 ゚ -゚)「だが、だからといって……」
(´・ω・`)「もちろん犯罪は許されることじゃない。
でも、システムに拒絶された自分なら、
代わりにシステムを利用してやるって思っても、
不思議じゃないかもしれない。
特に距離感がつかめないなんて、
この『剣で戦う世界』においては致命的だから」
川 ゚ -゚)「それはそうかもしれんが……」
(´・ω・`)「うん。何度も言うけど、
犯罪は許されることじゃない。
でも彼はちゃんと謝罪して、
その罪を認めて攻略メンバーを中心に色々と償いをするみたいだから、
まあ許しても良いんじゃないかな。
それに、やっぱり問題はその犯罪方法を教えた奴だと思う」
( ゚д゚ )「本当に分からないのか?
会話をしたんなら顔ぐらい見ていそうだが」
(´・ω・`)「分からないみたいです。
顔まで隠れるフードを着ていたみたいで」
(´・_ゝ・`)「そいつ、また新たな犯罪ネタを仕込んでくるかもしれんな」
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(;^ω^)「やめてほしいお」
(`・ω・´)「ま、やるだろうな」
ミセ*゚ー゚)リ「やるでしょうね」
('A`;)「そんなに思いつくかな」
(;^ω^)「そんなに思いつかないでほしいお」
ブーンの呟きに同意する面々。
何人かは苦笑しつつも、
眉に皺を寄せたブーンを見た。
( ^ω^)「お!
でもこの『チャクラム』は明るいニュースだおね」
ξ゚⊿゚)ξ「明るいニュース?」
( ^ω^)「だって、戻ってくる投擲武器だお!」
ブーンの言葉に何人かが反応し、ショボンを見た。
(´・ω・`)「うん。そうだね。
ちょっと気になるかな。
でも投擲スキルだけで扱えるのかどうか」
川 ゚ -゚)「アルゴに聞かなかったのか?」
(´・ω・`)「聞いたんだけど、はぐらかされたんだよね。
優先順位は低いから追及はしなかったんだけど」
ミセ*゚ー゚)リ「はぐらかされたか……。
なんか使用するには他のスキルとか、
クエストの受注があるのかも」
( ゚д゚ )「特殊な武器だとそういう事もあるのか?」
ミセ*゚ー゚)リ「そういう可能性もあるかもってこと。
エクストラスキルかもね」
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('A`)「あー。かもな」
( ^ω^)「普通では覚えることのできないスキルの事だおね?」
ミセ*゚ー゚)リ「そんな感じそんな感じ。
覚えるのに条件があるスキルね。
今覚えている武器の熟練度が上がると覚えることが出来るとか、
クエストをクリアすると覚えることが出来るとか」
川 ゚ -゚)「それでは投擲スキルを上げていけば……」
ミセ*゚ー゚)リ「んー。可能性は低いかな」
('A`)「そうか?投擲武器だしその可能性もあると思うけど」
ミセ*゚ー゚)リ「うん。ゼロではない。
でも、この彼がチャクラムを使うようになったのって最近みたいだから、
可能性は低いかなって」
(`・ω・´)「どういう事だ?」
ミセ*゚ー゚)リ「だって、『投擲』みたいな趣味スキル、
鍛えてるのショボンくんくらいだよ」
(`・ω・´)「ん?」
('A`)「ああ。まあそりゃそうだな」
ミセ*゚ー゚)リ「ドクオくんはわかったみたいね」
川 ゚ -゚)「どういうことだ?」
('A`)「いや、『投擲』って武器を投げるからさ、
結構な確率で武器が無くなったり当たった時に破壊されちゃうんだよ。
基本的には使い捨て。
だからいっぱい持ってないと意味がないけど、
容量はあるから無制限に持てるわけじゃない。
落ちてる小石とかを投げても熟練度は上がるはずだけど、
モンスターのHPを削るには武器の投擲じゃないと無理だろうし」
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( ゚д゚ )「メインの武器としては役に立たないってことか」
('A`)「そういう事」
ξ゚⊿゚)ξ「どれだけ金があっても足りないと」
('A`;)「ま、まあそういうことだな」
川 ゚ -゚)「つまり、ほとんど全員が『投擲』スキルを鍛えていないと」
('A`)「あー。それはわかんないけど」
ミセ*゚ー゚)リ「ボス戦に参加するような人達の中にはいないでしょうね。
『投擲』スキルを鍛える時間があるなら、
他の武器を扱っている方がよっぽど建設的だもの」
(´・_ゝ・`)「ショボンは敵の出現ポイントをおれ達に教えるために小石とか投げてるもんな」
ξ゚⊿゚)ξ「それでショボンだけってことね」
ミセ*゚ー゚)リ「うん。
日常的に使っているのはショボンくんくらいだと思う。
だから、鍛えてるのもね」
川 ゚ -゚)「?
しかし、ショボンもそんなに使ってはないだろう?
基本的には槍で戦っているわけだし」
ミセ*゚ー゚)リ「ショボンくん、
夜中に一人で石投げたりダーツやったりして練習してるから」
川 ゚ -゚)!
('A`)!
(`・ω・´)!
ミセリの言葉で全員がショボンを見た。
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( ^ω^)「お、夜練習してるのかお?」
(´・ω・`)「たまにね。
練習しておかないといざという時使えないと思って」
川 ゚ -゚)「(知らなかった)」
('A`)「おまえちゃんと寝てるのか?
マニュアルとかも作ってたし」
(´・ω・`)「寝てるよー。
もともと睡眠時間少ない方だから、
遅寝早起きだけど」。
( ^ω^)「おー。ならいいけど……」
(´・ω・`)「大丈夫、大丈夫。
頑張ってるけど、無理はしてないよ」
('A`)「……その言葉、信じるからな」
(´・ω・`)「疑り深いなー」
ξ゚⊿゚)ξ「日頃の行いのせいよ」
(´・ω・`)ショボーン
ミセ*゚ー゚)リ「眉が垂れすぎ」
ミセリの言葉に六人が笑い、
いつの間にか違う話題へと移っていた。
ミセ*゚ー゚)リ「……それで、これからどうする?
三層に狩場を移す?」
.
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一通りボス戦や二層のクエストの話が終わった後、
ミセリがぼそりと呟いた。
(´・ω・`)「いや、当分の間は二層を中心にしよう」
('A`)「え?」
(´・ω・`)「え?そこまで驚く?」
('A`)「いや、だって三層でギルドを作れるクエスト受注できるから」
(´・ω・`)「それは攻略の人たちが落ち着いてからだよ。
とりあえずは彼らがやりつくして、
アルゴさんの作る攻略本が充実してからにする」
('A`)「あー。そういうこと」
(´・ω・`)「そういうこと」
ξ゚⊿゚)ξ「別にクエストはやらなくても、
三層をメインにしても良いんじゃないの?」
(´・ω・`)「それも考えたんだけど、
実は二層の攻略が早すぎて、
全部埋まってないんだよね」
( ゚д゚ )「埋まってない?」
(´・_ゝ・`)「なにが?」
('A`)「!あの本か!?」
川 ゚ -゚)「一層の!」
ミセ*゚ー゚)リ「ああ!あの『卑怯級』アイテム!」
ミセリの発言に噴き出すツンとクー。
(´・ω・`)「何それ」
.
-
ξ゚⊿゚)ξ「いや、この前三人で話していた時に、
あの本とか宿屋が安くなる手帳とかは、
伝説級でも反則級でもなく、卑怯級だよねって話で盛り上がったのよ」
川 ゚ -゚)「私はそんなことないって言ったんだがな」
ミセ*゚ー゚)リ「ちょっとクーちゃん、
自分だけ逃げようったってそうはいかないよ!」
ξ゚⊿゚)ξ「そうよクー!
あんただって笑ってたじゃない」
川 ゚ -゚)「笑いはしたがちゃんと止めたぞ」
ミセ*゚ー゚)リ「うわっ。
きたよこの子。
どう思うツンちゃん」
ξ゚⊿゚)ξ「まさかここで裏切られるとは!」
ミセ*゚ー゚)リ「ひどいよねー」
川 ゚ -゚)「しらんぷりー」
三人が笑いながら話し始め、
呆然とそれを眺める男六人。
その視線に気付いたミセリが慌てて真面目な顔をした。
ミセ*゚ー゚)リ「なるほど、あのアイテムのクエストとか敵のデータが埋まってないわけね」
(`・ω・´)「なかなかひどいな」
ミセ*゚ー゚)リ「うるさいシャキン」
(´・ω・`)「ま、まあそういう事かな。
クエストをクリアすることによって発生するクエストもあるし、
ちゃんと整理もしたいと思って」
.
-
('A`)「駆け足だったし、一回落ち着いて二層を回るのもいいかもな」
( ^ω^)「おっお。わかったお」
ξ゚⊿゚)ξ「ま、良いんじゃない」
川 ゚ -゚)「うむ。無理に先に行かなくても良いしな。
門の有る街には誰かが到達すればいけるようになるから、
武器や防具を最新のものにすることはできるわけだし」
(´・ω・`)「そうだね。街には行こうか」
ξ゚⊿゚)ξ「これを機に、
私も裁縫スキル上げようかな」
( ^ω^)「僕も鑑定スキル色々試すお!」
川 ゚ -゚)「私もまずは基本のPOTの成功率を上げないとな」
('A`)「おれも聞き耳スキルを……」
ξ゚⊿゚)ξ「あんたホントに上げてるんだ」
('A`;)「も、もちろん隠蔽とか索敵もちゃんと頑張るぞ」
それぞれに目標を語りだす五人。
それを眺めている四人。
シャキンが目配せすると、ミルナとデミタスが頷いた。
(`・ω・´)「そこで発表がある」
そしてシャキンが良く通る声話し始めた。
('A`)「シャキンさん?」
(`・ω・´)「おれとミルナとデミタスは、
ここで一度別行動をとる」
.
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('A`)「へ?」
( ^ω^)「お?」
ξ゚⊿゚)ξ「はあ?」
川 ゚ -゚)「どういう事だ?」
( ゚д゚ )「どういう事もない。一緒に行動するのはここまでだってことだ」
ξ#゚⊿゚)ξ「はあ?何言ってるわけ?」
(´・_ゝ・`)「ツンに怒られることじゃないぞ?」
ξ#゚⊿゚)ξ「別に怒ってないわよ!ムカついただけ!」
(´・_ゝ・`)「あまりかわらんな」
川 ゚ -゚)「私は怒ってるぞ」
( ゚д゚ )「冷静に見えるが……」
川 ゚ -゚)「抑えているからな。
理由を聞きたい。
ショボンもそうだろ?」
(´・ω・`)「え?あ?うん。そう……だね」
川 ゚ -゚)「ショボン?もしかして知っていたのか?」
(`・ω・´)「いや、話してないぞ」
(´・ω・`)「うん。聞いてない。
でも、なんとなく、そんなことを言いだすかなって思ってたから」
川 ゚ -゚)「ショボン?」
( ^ω^)「そ、それでどうしてなんだお?
僕達の事が嫌になったのかお?」
.
-
( ゚д゚ )「そんなわけないだろう」
(´・_ゝ・`)「ああ。お前たちといると楽しいからな」
( ^ω^)「それじゃあなんで……」
(`・ω・´)「おれ達にはおれ達で、
やりたいことがあるんだよ」
ξ゚⊿゚)ξ「一緒にやれば良いじゃない」
(`・ω・´)「大人には大人の事情がな」
ξ゚⊿゚)ξ「……なによそれ……」
川 ゚ -゚)「それで納得しろというのか?」
(`・ω・´)「別にしなくてもいいさ。
ただ、おれ達が別行動をとるのは決定している」
( ^ω^)「と、時々別行動をとるのじゃダメなのかお!?」
(`・ω・´)「いちいち集まったり分かれたり面倒臭いだろ」
ξ゚⊿゚)ξ「……面倒くさくてもいいじゃない」
( ゚д゚ )「ツン?」
ξ゚⊿゚)ξ「面倒くさくてもいいじゃない!
一緒に居て、やりたいことがあるときは別行動をする!
それでいいでしょ!」
(´・_ゝ・`)「ツン……」
川 ゚ -゚)「ショボン、ショボンはどう思うんだ?」
(´・ω・`)「……三人がそうしたいなら、
止めることはできないよ」
.
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ξ゚⊿゚)ξ「ショボン!?」
川 ゚ -゚)「え」
(;^ω^)「ショボン!本気かお!?」
(´・ω・`)「三人が話し合って決めたことを止めることはできないよ。
それに、きっと今の情勢を考えて、
それが最良の行動だと思ってのことだと思うし」
ξ゚⊿゚)ξ「ドクオ!
あんたはどう思うわけ!」
('A`)「お、おれ?
おれは……。
一緒に居た方が、危険は減るかもしれない。
でも情報の共有が出来なくなるわけじゃないし、
ずっと会えなくなるわけでもないし。
三人が考えて出した結論なら、
仕方ないとは思う」
ξ゚⊿゚)ξ「いや」
ドクオが喋り終わらないうちに立ち上がったツン。
ξ゚⊿゚)ξ「私はいや」
そしてそのまま部屋を出ていく。
川 ゚ -゚)「ツン!」
クーが立ち上がる。
川 ゚ -゚)「……シャキン、ミルナ、デミタス。
出来れば、考え直してほしい」
そしてツンを追って部屋を出て行った。
ミセ*゚ー゚)リ「ツンちゃん……」
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(`・ω・´)「うむ……」
(´・_ゝ・`)「ちょっと、はやまったか?」
( ゚д゚ )「そうかもしれないな」
閉じられたドアを見る三人。
( ^ω^)「どうしても、別行動をとるのかお?」
(´・_ゝ・`)「別に二度と会えないわけじゃないだろ」
( ^ω^)「おー。
それはそうだお。
でも……」
('A`)「……いくらアルゴが話さないとしても、
九人で動くパーティー。
更に結成時から九人いるギルド。
しかも九人共前線で動けるときたもんだ。
……目立つよな」
( ^ω^)!
('A`)「そういうことだとおもったけど?」
(`・ω・´)「ま、そうだな」
('A`)「で、ショボンもそれを考えていたわけだ」
(´・ω・`)「完全に別行動することは考えていなかったよ。
ギルドを二つ作るとかは考えたけど」
ミセ*゚ー゚)リ「すぐに三層に行かないのも目立たないためだよね」
(´・ω・`)「うん。
冷静に見て、僕達は強いと思う。
下手したら、攻略している人に引けを取らないくらいに」
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('A`)「なんやかんやとサクサク進んでいるしな」
(´・ω・`)「全員の努力に加えて、
ドクオとミセリの知識があるからね。
でも、そろそろ攻略の人たちの目が気になってきた」
( ^ω^)「三人は、それを考えてなのかお?」
(`・ω・´)「それも、考えた。
ただおれ達でちょっとやってみたいことがあるのも本当だぞ」
( ^ω^)「それは何なんだお?」
(`・ω・´)「大人の内緒だ」
(;^ω^)「おー。」
ミセ*゚ー゚)リ「ねえ、すぐ分かれるつもり?」
(`・ω・´)「いや、お前たちが二層を回るなら急ぐこともないだろ。
二層のクエスト回収は付き合わせてもらおうと思う」
ミセ*゚ー゚)リ「そう。良かった」
(`・ω・´)「何がだ?」
ミセ*゚ー゚)リ「だって、一気に四人もいなくなったら、
ツンちゃんとクーちゃんが寂しがるなって思って」
(`・ω・´)「ん?」
('A`)「四人?」
ミセ*゚ー゚)リ「うん。四人」
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