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( ^ω^)達はアインクラッドを生きるようです。

1名も無きAAのようです:2015/06/28(日) 22:31:31 ID:k22M11bE0
立ったら投下がある。

68 ◆dKWWLKB7io:2015/06/29(月) 23:20:40 ID:BL2IwAIc0
('A`)「戦うことは出来る。刃を向けることも、切り裂く事も出来る。
その為の対人戦闘訓練だからな。いざという時に出来るだけ躊躇しない為の。
お前らだって、ショボンから指示されてるだろ?」

( ´ー`)「時々牧場の方でさせてもらってるだーよ」

|  ^o^ |「モナーさん、クックルさん、モララーさんには相手をしていただいています」

('A`)「でも、それは威嚇のためだ。
あれは、相手を殺さないで、相手の戦意を喪失させる為の練習だ。
自分の力と相手の力を出来るだけ正確に分析して戦う為の練習だ。
……人を殺す練習じゃない」

( ^Д^)「ああ」

('A`)「だが、ラフコフの奴らは違う。
殺すことに躊躇が無い。
相手のヒットポイントをゼロにすることに躊躇が無い。
たとえレベル差があっても、その覚悟、躊躇の無さは如実に戦闘にあらわれるだろう」

ドクオの言葉に、言葉を無くす3人。

ブーンとツンはただじっと、中の4人を守る様に武器を構えている。

( ^Д^)「おれ達3人とあいつは、ショボンから、ラフコフ討伐戦の可能性と、
その時の行動に関して少し話を聞いている」

('A`)「ああ、そういうことだ。
周囲の見張りと、ラフコフメンバーが逃げ出した時の連絡をお願いしたい。
追跡や戦闘はしなくていい。
ほんの少しでも危険を感じたら、隠蔽のままクリスタルで逃げてくれ。
三人のスキルに例のフードが合わされば、それが出来るはずだ。
追跡や戦闘は、おれ達がやる」

( ´ー`)「作戦には参加しないって言ってただーよ」

('A`)「討伐戦には参加しない。
だが、逃げた奴を捕まえる奴も、必要だろ」

|; ^o^ |「正直、皆さんがそこまでしなくても良いと思いますが」

.

69 ◆dKWWLKB7io:2015/06/29(月) 23:22:54 ID:BL2IwAIc0
('A`)「……ちっとばかし因縁があるんだよ。ラフコフとは。
それに、ショボンが一人で戦いに向かうのを黙って見ているわけにはいかねえからな。
といっても、ショボンには内緒で隠れてだし、参加するのは俺と兄者と弟者の3人だけだ」

(;^ω^)「!僕も参加するお!」

ξ#゚⊿゚)ξ「ドクオ!あんたまだそんなことを!」

('A`#)「お前らはダメだ!VIPに残れ!」

(#^ω^)「いやだお!」

('A`#)「残ってVIPを守ってくれ!」

( ^ω^)!

ξ゚⊿゚)ξ!

('A`)「討伐戦によって無事にラフコフの主要メンバーを捕まえることが出来れば、
そのあとの尋問によってVIPは窮地に立たされるかもしれない。
おれと兄弟の二人は、その時のために、命を懸ける。
ギルドのメンバーが命を懸けたという事実は、その後に影響を与えることが出来ると思う。
だから、お前らとクーは、その後のために、他のメンバーのために残ってくれ。
残ったメンバーの為に、おれたち全員がいなくなってしまう可能性は捨てなければならないんだ。
お前達の方が辛い役目になるが…頼む…。
ギルドをギルドとして、味方を作って生き残る。それは、おれみたいなコミュ障な奴じゃだめなんだ」

( ^ω^)「ドクオ…」

ξ゚⊿゚)ξ「ドクオ…あんた…」

ドクオの悲痛な叫びと、絞り出すような声と言葉に、何も言えなくなる二人。
沈黙が包んだエリアに、プギャーの明るい声が響き渡る。

( ^Д^)「あの時命を救われたのは、ギコだけじゃない。おれ達もだ」

.

70 ◆dKWWLKB7io:2015/06/29(月) 23:31:03 ID:BL2IwAIc0

ξ゚⊿゚)ξ「………」

|  ^o^ |…?

ξ゚⊿゚)ξ「………」

|;  ^o^ |?

ξ゚⊿゚)ξ「……名前なんだっけ」

|; ^o^ |「さっきまで普通に名前呼んでくれてましたよね!ツンさん!」

ξ゚⊿゚)ξ「いや、なんか突然シリアスな雰囲気に耐え切れなくなって。
それにブーンとドクオがプギャーとシラネーヨを呼んだから、
あたしはこれやんないとまずいのかなって思って」

|; ^o^ |「いや、そこはシリアスなままでよくありませんか!?
ドクオさんとブーンさんも言ってやってください!」

('A`)

(^ω^ )

|; ^o^ |「二人ともこっちを向いてください!
プギャー!ネーヨ!二人も何か言ってやってください!」

(^Д^ )

(´―` )

|; ^o^ |「二人まで!?」

ξ゚⊿゚)ξ「ま、所詮オチ要員ってことよね」

|; ^o^ |「やめてください!!」

('A`)「さて、じゃあそろそろ出るか。話も済んだし」

(^ω^ )「だおね」

.

71 ◆dKWWLKB7io:2015/06/29(月) 23:36:53 ID:BL2IwAIc0
6.


数日後。

青みを帯びた暗い灰色の空。
青銀色の樹木を模したオブジェクトが、くすんだ白い道の両側に、
アンバランスに配置されている。

(アルゴ)「はぁ…ハァ…」

その長く続く一本道を走るアルゴ。
ラフィンコフィンのアジトを探っていた彼女は、構成メンバーに追われていた。

彼女は、βテスターだった。

ソードアートオンライの正式運用前のテストプレイヤー、βテスターであった彼女は、
正式サービス直後から、デスゲームとなったその日から、
情報屋としてこの世界を生きてきた。

βテスターとしての経験と知識があったとはいえ、
情報屋として攻略組を支えながら共に駆け抜けてきた彼女は、
それ相応のレベルとスキルを持っている。

(;アルゴ)「これが絶体絶命ってやつなのかナ」

それほどの力を持った彼女が、複数のプレイヤーに追い立てられていた。

(;アルゴ)「アタシは『鼠』で、『狐』じゃないんだけどネ」

狩人が遊びで獲物を狩るように、
アルゴを追うプレイヤーは一定の距離を置いたと思えば、
すぐそばまで追いついて攻撃を加え、笑いながら駆け抜けるアルゴを見送っている。

振り返ることなく走るアルゴだったが、自分を追いかける者の人数と立ち位置は把握できていた。

(アルゴ)「(四人…いや、六人。
攻撃をしてくる四人と、その後ろで見張る二人)」

.

72 ◆dKWWLKB7io:2015/06/29(月) 23:48:18 ID:BL2IwAIc0
鍛え上げたスキルによる現状の分析。
曲がり角や反射のあるオブジェクトを使い、振り返ることなく後方を確認。

追いつめられ、攻撃され、HPを減らされつつも、
システムのアシストと経験を駆使し、自分を追う者を冷静に分析する。

それは彼女がこの世界で積み重ねた力。
生きてきた強さが、生き残ろうとする思いが、生きる為の行動に繋がっていた。

(アルゴ)「(チャンスは一度。二つ先のエリア。
エリア移動した直後の右、隠れワープポイントに繋がる『穴』
あの穴自体は知られていても、瞬間的に逃げることは出来る。
その瞬間にクリスタルで跳ぶ)」

自分のHPを確認し、半分以上削られていることを改めて確認する。
それと同時に、右腰のポーチの中にある転移結晶も確認した。

(アルゴ)「(スピードだけで切り抜けるのは不可能。
これだけの目に見張られている状態で、隠れるのも無理。
……これが最初で最後のチャンス……ってやつだナ。
キー坊…アーちゃん……また会えるよナ!)」

決意新たに、エリア移動した瞬間に走る速度を上げたアルゴ。

(#アルゴ)!

ただ次のエリアだけを目指して駆け抜ける。

追っている者達も速度を上げる。

振り切れはしないが、少しだけ距離を開けることができた。

(#アルゴ)!!

そしてエリア移動。

出来るだけ小さい弧を描きつつ、穴に向かう。
横目で自分の後ろを確認。
まだ誰も移動してこない。

(アルゴ)「(ヨシ!)」

.

73 ◆dKWWLKB7io:2015/06/29(月) 23:50:28 ID:BL2IwAIc0
その瞬間。

穴に飛び込もうとした瞬間、自分の左胸を、後ろから針が貫き、前に抜けて行ったことに気付く。

(アルゴ)「……エッ」

「穴に逃げ込んだ!」

思わず漏れた吐息とともに、後ろで誰かが叫んだのが聞こえた。

そして気付いた。
自分を追っていた者は六人だったが、それとは別に並走していた者がいたであろうことに。
攻撃されることに、追われることに、そして追われる原因となった掴んだ情報に気を取られ、
その可能性が自分の頭から抜け落ちていたことに。
後ろにだけ気を取られ、横や前に対しての注意が欠けていたことに。

走っていた勢いのまま穴に飛び込む。

視界の隅に浮かぶ、自らのHPバー。
赤くなっていること以上に、その横に浮かぶ状態異常マークに戦慄する。

(アルゴ)「(麻痺…)」

黄色い雷のような印。
おそらくは、先ほどの針に麻痺毒が仕込まれていたのであろう。

スキルは勿論アクセサリーでも対麻痺・対毒処理はしてあるが、
条件が重なると完全に防ぐことが出来なくなる。
おそらくは余程強い麻痺毒が仕込まれていたはずだ。

エリアを移動した。

視線の先、まっすぐに伸びた一本道の、100メートルほど先にあるワープポイント。
あれに飛び込めば、ランダムではあるが、どこかの街の転移門広場に飛ぶことが出来る。
圏内に、非戦闘エリアに行くことが出来る。
けれど、麻痺をした体ではそこまで移動する事が出来ない。

(アルゴ)「ここで終わりかナ……」

もつれる足、動きを止める身体。
地面しか見えなくなる。

.

74 ◆dKWWLKB7io:2015/06/29(月) 23:56:38 ID:BL2IwAIc0




「コリドー!オープン!!!」




.

75 ◆dKWWLKB7io:2015/06/30(火) 00:00:44 ID:oFGQtUTY0

死を覚悟した瞬間に、耳に届く声。
それは、回廊結晶を使う時のキーワード。

(アルゴ)「え?」

( )「こっちだよ !」

崩れ落ちそうになった身体を、突然現れたフードの男が右の二の腕を掴んで支えた。

(アルゴ)「……だれ?」

そのまま右手を引っ張られ、動かない身体を引き寄せられ、
もつれ、なだれ込むように、回廊結晶によって現れた転移ポイントに飛び込んだ。





転移した先は、どこかの街の、どこかの公園だった。

見覚えはあるが頭が働かず、けれども圏内に移動できたことに安堵する。

フードの男はアルゴを引っ張り、公園の樹の後ろ、ベンチの陰に彼女を横たえさせた。

(アルゴ)「あんたはいったい…」

フードの男はフードの中も黒尽くめであり、顔も瞳以外はマスクで隠されている。
黒装束と呼ばれる防具アイテムに似ているそれと、
腰につけた短刀と鉤爪から『忍者』を想像させた。

(アルゴ)「(あの場所での隠蔽スキル…。
麻痺に体の動きを阻害されている私を動かしたパワー…。
そして身に着けた衣服のレベル…)」

混乱しつつも出来るだけ冷静になろうとするアルゴ。
装備が高レベルであることを見抜いたのは、流石と言うべきであろう。

(アルゴ)「あんたは…誰なんだ?」

.

76 ◆dKWWLKB7io:2015/06/30(火) 00:16:31 ID:oFGQtUTY0
( )「追っては来ないようだよ 」

彼女の横にうずくまって周囲を伺っていた男が立ち上がった。

背はそれほど大きくは無い。
声も高くは無いが低くは無い。
男だと思うが、少年…女性かも知れない…。

ぼんやりと自分を助けた忍者を観察するアルゴ。

すると忍者は腰のポーチからシートを取り出し、彼女にかぶせた。

( )「被っていれば身を隠せるから、助けが来るまで隠れていると良いよ 」

(アルゴ)「まってくれ!」

圏内に入ったからといって、麻痺は消えない。
動けない彼女をシートで覆うと、忍者はその場を後にした。

(アルゴ)「待って…」

まだ警戒を解いてはいけない。
そうは思っていても、緊張が途切れた彼女は、その意識を手放した。






目を開けたアルゴは、どこにでもある天井を見た。
建物のテクスチャーも数多く用意されているが、
今見ている天井は基本設定の一つだ。

(アルゴ)「ここは…」

ベッドに寝かされている自分。
自分がどこにいるのか。なぜ自分がここにいるのか。
全てが分からないが、その寝心地から、かなりの品だということだけは分かった。

.

77名も無きAAのようです:2015/06/30(火) 00:18:03 ID:YLYbfXwg0
まだ顔は出さないか… 支援

78 ◆dKWWLKB7io:2015/06/30(火) 00:18:13 ID:oFGQtUTY0

左の壁側の窓から外を見て、安堵の吐息をつく。

(アルゴ)「まだ夜…。間に合ったようだナ」

起き上がろうとして、止める。
そして目を閉じた。

すると、部屋の扉が開いた。

随時発動させているスキルのおかげか、
普段からの警戒心か、
扉の前に何かが来たのを感じ、アルゴは寝たふりをしていた。

扉のしまる音。

ベッドに備え付けられたサイドテーブルに何かが置かれた音がした。
何者かが、自分を覗き込む気配を感じる。
そして離れたのを感じ、ほんの少しだけまぶたを開いた。

(アルゴ)「フサギコ?!」

ミ;,,゚Д゚彡「ハイだから!」

何度か見たことのある横顔を見て、思わず叫んで上半身を起こしたアルゴ。

いきなり名前を叫ばれ、背筋を伸ばして返事をするフサギコ。

(アルゴ)「あんたが助けてくれたのカ!」

ミ,,゚Д゚彡「元気になってよかったから」

(アルゴ)「いや、でも、あの黒尽くめはあんたじゃなかったようナ…」

自分を助けてくれた記憶の中の忍者と、
目の前で完全武装した姿でにこにこと笑っているフサギコを重ねるアルゴ。

しかしすぐにウインドウを開いた。

(アルゴ)「!すまない。礼は後でゆっくりとする。
すぐにキー坊とアーちゃん達に連絡をしないと」

.

79 ◆dKWWLKB7io:2015/06/30(火) 00:20:56 ID:oFGQtUTY0
とりあえず見知った顔で安心したのか、早口で呟きながらウインドウを操作し始める。

(アルゴ)「……メッセージが、届かない?」

ミ,,゚Д゚彡「アルゴさん。アルゴさんは、ほぼ一日寝てたから」

フサギコの言葉に一瞬動きを止めるアルゴ。
そして画面上のカレンダーを確認し、青ざめる。

(アルゴ)「…そん……な……」

ミ,,゚Д゚彡「もう、ラフコフ討伐は、始まってるから。
参加している攻略組の人には、届かないから」

(アルゴ)「そんな…だって……。この作戦は、洩れてるんダ……。
どこからか、リークされてて、ラフコフは、迎える準備をしていタ…」

ラフィンコフィン討伐戦。
アジトの場所や、構成メンバーの全体数などは、アルゴを中心に調べ上げたと言っても良い。
そして討伐戦前日の昨日、彼女はその作戦が漏れていることを知り、
慌てて戻ろうとした時にミスをしてしまい、ラフィンコフィンのメンバーに追われていたのだった。

(アルゴ)「で、でも、最後にアタシからの連絡も無く作戦をするなんて…。
!!!
も、もし、あの中に、攻略組の中に、裏切り者がいたら……」

ミ,,゚Д゚彡「…討伐戦は、行われているから。
少なくとも、アジトのある迷宮に、入っていったって聞いたから」

(アルゴ)「何故あんたが知っている!!?
討伐戦の日程は、討伐に参加するメンバーしか知らない!」

ミ,,゚Д゚彡「……うちのギルマスは、ショボンだから」

答えになっていない答えに、思わず口を開けて固まるアルゴ。

しかしすぐに我を取り戻し、自嘲気味に笑った。

.

80 ◆dKWWLKB7io:2015/06/30(火) 00:23:55 ID:oFGQtUTY0
(アルゴ)「答えになってないのになぜか納得してしまうのは、
アタシもあいつの術中に嵌っているってことだネ。
だいたい、情報屋はアタシだけじゃなイ。
あの男に子飼いの情報屋の一人や二人いても、おかしくは無い…カ」

ミ,,゚Д゚彡

アルゴの言葉に、困ったように笑うフサギコ。

(アルゴ)!

ミ,,゚Д゚彡!

ほぼ同時に、二人がウインドウを開く。
視界の端で光ったメッセージ到着のシグナルを見ての行動だった。

送ってきた相手を見て、まずは安堵の吐息を吐くアルゴ。
そしてメッセージを読み、一度ほっとした顔をした後、すぐに引き締めた。

(アルゴ)「アーちゃん。いや、血盟騎士団副団長から連絡が来た。
ラフィンコフィン討伐戦、終了したそうだ。
犠牲者は両陣営に出たけれど、それ以外は一人を除いて牢獄送りにできたようダ」

ミ,,゚Д゚彡「……『PoH』」

(アルゴ)「……ああ、あいつだけは…捕まえられなかったようだナ」

ウインドウを閉じるフサギコ。
そのままドアへと向かおうとする
アスナへの返事を打とうとしたアルゴは、フサギコを見て動きを止めた。

.

81 ◆dKWWLKB7io:2015/06/30(火) 00:30:02 ID:oFGQtUTY0
(アルゴ)「フサギコ?」

ミ,,゚Д゚彡「出掛けるから。ゆっくりしていてくれていいから」

(アルゴ)「…どこに行くんだ?」

その強張った表情を見て、アルゴは眉間に皺を寄せて問いかける。

フサギコは動きを止め、少しだけ考えた後、振り返った。

ミ,,゚Д゚彡「………決着を、見届けに。
良ければ、一緒に来ると良いから。
……できれば、アルゴさんにはショボンの事を知っていて欲しいから」

(アルゴ)「!」

アルゴは何も聞かず、まずすぐさまベッドから降りた。






.

82名も無きAAのようです:2015/06/30(火) 01:00:57 ID:V369HJSw0
ん? 終わり?

83 ◆dKWWLKB7io:2015/06/30(火) 01:20:59 ID:oFGQtUTY0
以上、残りは明日投下します。

よろしくお願いします。

84名も無きAAのようです:2015/06/30(火) 01:21:37 ID:V369HJSw0
そかそか、乙!
すごい気になる展開過ぎて続きが待ち遠しい!

85名も無きAAのようです:2015/06/30(火) 01:26:19 ID:YLYbfXwg0
乙 どうなるどうなる

86名も無きAAのようです:2015/06/30(火) 07:18:39 ID:uqxGHe5w0
3日連続で投下とかあつすぎる!乙!

87 ◆dKWWLKB7io:2015/06/30(火) 22:36:15 ID:oFGQtUTY0
こんばんは。

昨日は寝落ち失礼しました。

続きの投下をしたいと思います。


乙と感想、本当にありがとうございます!
とても励みになります!!


それでは、始めます。
よろしくお願いします。

.

88 ◆dKWWLKB7io:2015/06/30(火) 22:37:56 ID:oFGQtUTY0
7.


フィールドダンジョン『常夜の森』

横に広く葉を生い茂る木々は、空を隠す程に高くそびえ立ち、
鬱蒼と茂る草花は、人の背の高さを超え、視界を邪魔している。

昼の時間さえ闇が支配するその森。
夜ともなれば、暗闇の世界となる。

彼と彼は、中央の少しだけ広い、ほんの少しだけ空から光が差し込むエリアで、
向かい合って立っていた。

(PoH)「……」

一人は、ラフィンコフィンのリーダー。
『PoH』
体全体を覆い尽くすようなフード付きのマント。
右手に持った愛用の武器、『友切包丁』だけが鈍い鉄の光を放って揺らめいている。

(´・ω・`)「……やあ」

(PoH)「俺と共に来る気になったか?」

(´・ω・`)「そんなわけ、無いでしょ」

一人は、VIPのギルドマスター。
ショボン。
装備は、刺繍の施された黒いインパネスコート。
左の腰には細い片手剣、右側には円盤型の投擲武器を三つぶら下げられている。
線の細い銀縁の眼鏡が、光を反射させた。

(´・ω・`)「今日で、君との関係もお終いだ」

.

89 ◆dKWWLKB7io:2015/06/30(火) 22:39:07 ID:oFGQtUTY0
(PoH)「俺との関係?」

(´・ω・`)「君のフレンドリストから、僕の名前を消してくれ。
僕も君の名を消す。それで、君のことを見逃す。それで、終わりだ」

一瞬ののち、面白そうに笑いだすPoH。

心の底から楽しそうに、
けれどどこか軽蔑しながら、
そして怒りを含め、
喉の奥を鳴らすように笑っている。

(´・ω・`)「……何がおかしい…。
もう、ラフィンコフィンは終わりだ。
お前一人なら、今ここで僕が攻略組を呼べば、倒すことが出来る」

(PoH)「ああ、確かに『Laughing Coffin』は無くなった。
だが、俺がいる限り、『Laughing Coffin』は終わらない。
そしてお前が来れば、もっと楽しい夢が見られるだろう。
こちらにこい、ショボン」

(´・ω・`)「僕は、行かない」

(PoH)「気付いているはずだ。自分の事に」

(´・ω・`)「確かにぼくは目的のために手段なんか選ばない。
守りたい人を守るために、見ず知らずの誰かを犠牲することなど厭わない。
その自信も、自覚もある。
その本質は、おそらく、君と同じだ」

(PoH)「楽しめばいい。この世界を」

(´・ω・`)「でも僕は、知っている。
僕の守りたい人達は、その犠牲にした『誰か』の為に悲しむ人だということを。
そして、僕を憎まず、自分を憎んで、自分を戒める人だということを。
だから、僕は、出来るだけ誰も傷付けない道を選ぶ。見付けてみせる!」

(PoH)「世迷言だ」

.

90 ◆dKWWLKB7io:2015/06/30(火) 22:40:57 ID:oFGQtUTY0
(´・ω・`)「かもね。僕もそんな気はするよ。
でも、理想だ。それが、理想なんだ。
理想は、追い求める為にある。
現実にするために、頑張るためにある。
だから僕は、頑張る。頑張れるんだ」

(PoH)「ならば、その理想、砕いてやろう。そして、現実を知れ」

(´・ω・`)「それでも、誰かを犠牲にしなければならないなら。
その『誰か』には、僕がなる」

それは、静かな決意だった。

そして、再びPoHが笑う。

人を嘲るような、笑い声。

(PoH)「戯言も、お前が言うなら面白い」

ショボンを見ながら、武器を構えるPoH。
愛用のレア装備。『友切包丁』が鈍く光を反射させている。

(PoH)「だが、もうそれも終わりだ。
選べ。共に来るか、仲間の死か」

(´・ω・`)「僕が選ぶのは、君との決別だけだよ」

右手を片手剣の柄に添え、左手をケープに差し込むショボン。

.

91 ◆dKWWLKB7io:2015/06/30(火) 22:42:25 ID:oFGQtUTY0



(PoH)




(´・ω・`)



.

92 ◆dKWWLKB7io:2015/06/30(火) 22:47:32 ID:oFGQtUTY0
PoHが身体を揺らめかせる。
ショボンの左手が針を放ち、それをPoHの友切包丁が弾くと、彼の身体はショボンへと肉薄した。

振り上げられた友切包丁を弾くショボンの片手剣。
しかし弾いた勢いで体勢を崩す。

崩れた体勢を立て直そうとはせず、そのまま横に流れるショボン。
PoHの友切包丁は弧を描いて逃げた体を追うが、
その攻撃範囲から既に距離を取っていた。

立ち上がり、再び構えるショボン。
PoHは両手をだらりと前に倒しながら、身体をまるで音楽に乗せるように揺らめかせている。

(PoH)

(´・ω・`)

(PoH)「ほんの少しでも傷を追えば、麻痺毒が俺の自由を奪う」

(´・ω・`)「一発当てれば奪えると思えるほど、君を甘く見ているつもりはない。
僕にしてみれば、直接攻撃は勿論武器で受けてもHPを減らすそっちの装備の方が脅威だよ」

放たれるショボンの針。
顔を狙ったそれを友切包丁で防ぐ。
追って放たれた二枚のチャクラムが死角からPoHを襲う。
しかし一枚は避けられ、一枚は弾かれた。

チャクラムが弾かれた金属音。
その瞬間にショボンに迫る友切包丁。
左上から振り下ろされたそれを、片手剣で受ける。
ハンマーで殴られたような衝撃を受けた直後、自分の腹を狙って包丁が迫る。

片手剣を放し、盾の様に見える円盤型武器で防御する。
直撃は避けることが出来たが吹き飛ばされるショボン。

しかし想定の内なのか、円盤を放棄しつつ投げた三本の針がPoHを襲う。

.

93 ◆dKWWLKB7io:2015/06/30(火) 22:49:19 ID:oFGQtUTY0
弾かれる二本の針。
一本は左肩を貫いた。

(PoH)

(´・ω・`)

PoHのHPが、一目盛だけ点滅を始めた。
しかし、既にショボンのHPは二目盛減らされている。

頭の上のカーソルをオレンジに変えたPoHが、
口の端をにやりと上げた。

(PoH)「やはりお前は、こちら側だ」

(´・ω・`)

ショボンは荒れた呼吸を整えながら、インパネスコートのケープ部分に両手を入れて構える。

(PoH)「この世界を、楽しめ」

(´・ω・`)「……ふざけるな」

ショボンの両手が鞭のようにしなり、交互に針を放つ。
通常の投擲と鍛え上げた単発の剣技を混ぜ、隙間の無い連続投擲。
しかし通常投擲と剣技の投擲は武器の飛び方に差が生むことが出来、不規則にPoHを襲った。

(PoH)

しかしPoHは危なげなく針を弾き、躱し、徐々にショボンとの距離を詰める。

(´・ω・`)

PoHとの距離をキープしつつ、ゆっくりと移動するショボン。
エリアの外側を、弧を描くように動く。

位置を変えることによる投擲はPoHへの攻撃時の角度をランダムに変え、
何本かを当てることに成功する。

しかし狙いである麻痺を起させることは出来ず、
針の持つ攻撃力では、いくら射手であるショボンのレベルが高くても、
更に高レベルであるPoHのHPを大きく減らすことは出来なかった。

.

94 ◆dKWWLKB7io:2015/06/30(火) 22:53:15 ID:oFGQtUTY0
悔しげに下唇をかむショボン。

それを見たPoHは口元に笑みを浮かべ、三度一気に距離を詰めた。

(´・ω・`)!

身体を投げ出し、地面に転がっていた自分の片手剣を掴むショボン。
しゃがんだままPoHに向かって片手剣を振り上げ、
一瞬動きが止まったのを見つつ後方に飛び、正眼の構えを取る。

しかしPoHは既に目の前にいた。

(´・ω・`)!

真上から振り下ろされる友切包丁。
刃に対して直角に、片手剣左から右に振る。

(;´・ω・`)!!

片手剣の刀身が砕け散る。

衝撃により包丁の軌道を反らすことは出来たが、
友切包丁はショボンの右腕を、二の腕から切り取った。

(;´・ω・`)!

視界の隅で自分の腕が地に落ちてポリゴンに変わるのを見ながら、
PoHの横を走り抜けて背後に回り、左手でナイフを放つ。

振り向いたPoHが無造作にナイフを弾いた。

(;´・ω・`)「ハァ…ハァ…」

痛みが無いと言えば嘘になる。
しかしそれ以上に、目の前の死神に、恐怖を覚える。

(PoH)「最後だ。俺と共に来い」

ショボンは、フードに隠れたPoHの目が、自分の心を貫き、弱い気持ちを捕えたのを感じた。
赤く変わったHPバーが身体を強張らせ、心を凍らせる。

判断を、鈍らせる。

.

95 ◆dKWWLKB7io:2015/06/30(火) 23:00:45 ID:oFGQtUTY0

しかし彼は、最後の勇気を振り絞った。

(;´・ω・`)「……冗談でしょ」

ショボンが言い終わらないうちに、PoHは、何も言わずに動いていた。

ショボンの視界の中、数メートル先でゆらゆらと動いていたはずのPoHが、
右手に持った友切包丁を振り上げて目の前にいる。
チャクラムでの防御も間に合わない。

(´ ω `)「(ごめん みんな)」

ショボンが死を覚悟した。

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96 ◆dKWWLKB7io:2015/06/30(火) 23:04:32 ID:oFGQtUTY0




その時、陽炎が揺らめいた。





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97 ◆dKWWLKB7io:2015/06/30(火) 23:10:41 ID:oFGQtUTY0
刀が、振り上げたPoHの右手首を、切り裂く。
そしてその斬撃を追うように、透明な刃が二枚続いた。

PoHは右腕を振り下ろしたが、切り落とされた右手が武器を掴んだまま空を舞う。

(PoH)!

ポリゴンに変わるPoHの右手。

落下する包丁を左手で掴み、自分の手を切り落とした男の背中を攻撃しようとするが、
自分に向かって飛ぶ二本の武器に気付き、バックステップで避けた。

二本の武器、『苦無』と呼ばれる両刃のナイフを避け、
飛んできた先を見ると更に二本が投げられており、
やむなく更に後方に移動して避ける。

フード付きコートを纏った黒装束の忍者が、自分に向かって更に武器を構えている。

ミ,,゚Д゚彡「ショボンを、殺させはしないから」

そして、剣技後の長い硬直を終わらせたフサギコが、
ショボンの前に立ち、PoHに向かって居合の構えを取る。

先程の剣技も、居合系スキルだった。
体術スキルも上げている者だけが覚えることの出来る『空歩』からの、
居合系スキル『陽炎』に続けた連続技。

システムに設定された連続技の場合、剣技後の硬直時間は使った技の分だけ加算される。
よってどんなに強力な技でも、使い方を誤ればその先には死が待っている。

今回フサギコはショボンを守るためにその技を使い、
自分の身の守りはもう一人に任せたのだった。

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98 ◆dKWWLKB7io:2015/06/30(火) 23:12:17 ID:oFGQtUTY0





ミ,,゚Д゚彡「ギルドV.I.P.のフサギコ。
このまま戦うというのなら、フサギコが相手になるから」





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99 ◆dKWWLKB7io:2015/06/30(火) 23:15:17 ID:oFGQtUTY0

(;´・ω・`)「ふさ!?どうしてここに!?」

ミ,,゚Д゚彡「言いたいことは色々あるから。
でも今は、生き残ることが大事だから」

フサギコはまだ剣技を発動していない。
PoHの戦い方を見た結果、自分から向かうよりも襲い掛かられた時に、
神速の居合抜きを放った方が勝率が上がると判断したからだった。

更に今は、仲間がいる。

(PoH)「……」

フサギコに気を取られ、先ほどの忍者から目を離したPoH。
その隙に闇に溶け込まれ、位置を確認できなくなっていた。

目の前には、高レベルの刀使い。
その後ろには、高レベルの投擲武器使い。
更に自分を狙う、投擲武器使い。

そして、自分を見張るものはまだいる。

そう判断したPoHは、構えを解いた。

(PoH)「このまま戦うほど愚かではない。
ショボン、また会おう」

踵を返し、一度周囲を一瞥してから隣のエリアへの移動ポイントに向かうPoH。

(;´・ω・`)「!」

思わず追おうとしてしまい一歩踏み出そうとしたショボンだったが、
いつの間にか横に立った忍者が自分を見上げているのに気付き、動くのを止めた。

(´・ω・`)「…助けてくれて、ありがとう」

目を細め、照れたように首を横に振る忍者。

その間にPoHは立ち去り、エリアには平穏がおとずれた。

.

100 ◆dKWWLKB7io:2015/06/30(火) 23:23:06 ID:oFGQtUTY0

(´・ω・`)「ふさ…」

自分に背中を向けて立つフサギコに、声をかけるショボン。

(´・ω・`)「助けてくれて、ありがとう。
ふさが来てくれなかった、僕は死ん」

ショボンの左頬が、平手打ちされた。

衝撃に、思わず固まるショボン。

目の前には、目に涙をためたフサギコ。

ミ,,゚Д゚彡「これは、皆の怒りだから。
皆、ショボンの事が大事だから。
それを分かっていないショボンに、怒ってるから」

(´・ω・`)「ごめん……」

ミ,,゚Д゚彡「死んでほしくないから。
ずっと一緒に居たいから。
みんな、誰が欠けても嫌だから。
だから、大変な時は、皆で乗り越えるから。
みんなで頑張って乗り越えれば良いから!
ショボンは、分かってないから…だから…だから…」

(´・ω・`)「フサギコ」

ミ,,;Д;彡「生きてて…良かった…」

涙を流しながら、ショボンに抱きつくフサギコ。

ミ,,;Д;彡「良かった!良かった!良かった!」

(´ ω `)「…ありがとう、フサギコ」

フサギコを、抱きしめるショボン。
そしてすぐに横にいた忍者も、片手で引き寄せ、抱きしめる。

(´ ω `)「二人とも、本当に、ありがとう」



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101 ◆dKWWLKB7io:2015/06/30(火) 23:29:34 ID:oFGQtUTY0




そんな三人を陰から見る、三人の視線。



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102 ◆dKWWLKB7io:2015/06/30(火) 23:32:46 ID:oFGQtUTY0

木に寄りかかっているドクオ。
その足元にしゃがんでいる弟者。
その後ろに立つ兄者。

それぞれに完全武装で、武器を手に持っている。

('A`)「ま、これでとりあえずは一件落着ってところか」

(´<_` )「けど、PoHのやつ、また来るんじゃないか?」

( ´_ゝ`)「来るだろうな。ショボンを片腕にしたいみたいだから」

('A`)「ショボンがPoHの片腕……」

黙り込み、色々と想像する三人。

(´<_` )「終わるな」

( ´_ゝ`)「終わりだな」

('A`)「否定できんのが嫌だ」

三人は、同じタイミングで身震いをした。

( ´_ゝ`)「……追わなくて、良かったのか?」

('A`)「これ以上危険なことをしたら、今度はおれ達がふさに怒られるぞ」

( ´_ゝ`)「それは嫌だな」

(´<_` )「ショボンだから平手打ちで済んだけど、
おれ達だったら強制的に決闘モードで細切れにされそうだ」

('A`)「さすがにそれは」

( ´_ゝ`)「御免こうむりたい」

(アルゴ)「フサギコってのは、そんなキャラなのかイ?」

('A`)「あいつには言うなよ」

.

103 ◆dKWWLKB7io:2015/06/30(火) 23:35:25 ID:oFGQtUTY0

(;´_ゝ`)「うわっ!」

(´<_`;)「うをっ!」

ドクオの隣、木のそばにあらわれるアルゴ。
兄者と弟者が大袈裟に驚く。

('A`)「驚きすぎ。お前らだって居たのは気付いてただろ?」

慌てて首を横に振る二人。

('A`;)「マジか」

(´<_`;)「おれらはそっち系のスキルは鍛えてないからな」

(アルゴ)「で、フサギコはあんた達を細切れにできるほど強いのかイ?」

('A`)「うちのギルドは大人しそうに見える奴の方が怖いんだよ。
ギルマスを見ればわかるだろ?」

(アルゴ)「…なるほどナ」

(´<_`;)「(うわぁ。納得したぞおい)」

( ´_ゝ`)「(仕方ないといえば、仕方ない。ショボだし。あいつらだし)」

(アルゴ)「VIPは変人ばかりのギルドだからナ」

('A`)「おれを入れるなよ」

( ´_ゝ`)「いや、それは無理だろう」

(´<_` )「兄者も他人事のような顔してるが、兄者が変人筆頭だぞ」

( ´_ゝ`)「え?おれが?どこが?」

(´<_` )「全部だ」

.

104 ◆dKWWLKB7io:2015/07/01(水) 00:02:22 ID:pn4kSDw.0
('A`)「弟者もだぞ」

(´<_` )「え?おれが?どこが?」

('A`)「そういうところが」

(アルゴ)「(ホントに仲が良いな。この子たちハ)」

小声でがやがやと騒ぐ四人。

(アルゴ)「まあ、この世界でそれなりに力を示している奴らは、
多かれ少なかれみんな変人だけどナ」

( ´_ゝ`)「なんとなくわかる。強い武器を買える奴は癖が強いやつが多い」

(´<_` )「そういえばそうだな。強いやつには、癖の強いやつが多い」

('A`)「おれみたいな平凡……ごめんなさい」

自分を見る三人の視線に気付き、途中で謝るドクオ。

頷く三人。

(アルゴ)「そういえば、あの忍者も仲間なのかイ?」

('A`)

( ´_ゝ`)

(´<_` )

(アルゴ)

('A`)「情報屋なんだから、自分で調べたらどうだ?
金になるかどうかは、分からないけどよ」

(アルゴ)「流れで口を滑らすかと思ったが、しょうがない、調べてみるヨ。
助けてくれた、お礼もちゃんとしたいしネ」

.

105 ◆dKWWLKB7io:2015/07/01(水) 00:16:29 ID:xKs0V69g0
( ´_ゝ`)「お礼なら、今言っていけばいいだろ」

(アルゴ)「今あの三人の空間に割り込むほど、空気の読めないことはしたくないんでネ」

いまだに三人抱き合って泣いているエリアの中央を見て、
おどけた様に肩をすくめてから、手を振りつつ木々の中に消えるアルゴ。

その後ろ姿を見送る三人。

そして消えたのを確認すると、兄者と弟者がドクオの顔を見る。
周囲を観察していたドクオが、二人に向かって頷く。

三人の顔から、笑顔が消えた。

( ´_ゝ`)「ラフコフはこれで終わりとして、ショボンは次も見据えているんだろ?」

('A`)「ああ。俺も全容は聞いていないけど、色々と手は打っているようだ」

(´<_` )「NSだけじゃない、今までに培ってきた全部を使うんだろ?」

('A`)「多分。出し惜しみをしている場合じゃないだろうから」

( ´_ゝ`)「あとは、ショボンが一人で危険なことをしないっていう約束を取り付けることだが…」

兄者の言葉に、エリア内にいる三人を見る三人。

( ´_ゝ`)「大丈夫か」

(´<_` )「だな」

('A`)「フサギコ様様だ」

それぞれに柔らかい笑顔を見せ、抱き合う三人を見守る。

淡い光が、六人をやさしい気持ちにさせていた。



第十七話





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106名も無きAAのようです:2015/07/01(水) 00:31:38 ID:uT3QU.aM0
乙でした。みんな無事で良かった(;つД`)ハラハラしました。無粋ですが、忍者はいょう?

107名も無きAAのようです:2015/07/01(水) 00:31:54 ID:EsGqHiKU0
3日連続投下乙乙 
死なずにすんで良かったな、ほんに良かった

108 ◆dKWWLKB7io:2015/07/01(水) 00:33:12 ID:RZhnex0w0





( ´_ゝ`)「ところで、そろそろ帰らないか?」

('A`)「帰りたいな」

(´<_` )「あいつらどうする?」

('A`)「置いていくのもどうかと思うが…」

(´<_` )「おれは嫌だぞ。声かけるの」

('A`)「おれも」

( ´_ゝ`)「おれも無理だからな」

(´<_` )「兄者のくせに何で空気よんでるんだよ」

( ´_ゝ`)「実の弟に今ひどいことを言われた」

('A`)「任せた」

( ´_ゝ`)「いーやーだー」

押し付け合いは、たっぷり20分続いた。





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109 ◆dKWWLKB7io:2015/07/01(水) 00:41:02 ID:RZhnex0w0
以上、17話でした。
ありがとうございました。

とりあえずラフコフを決着?できて安心しています。

予定しているエピソードは残り三つくらいなので、
あと数話で終わる予定です。

20は超えると思いますが、25まではいかないと思います。


いつも乙と感想、本当にありがとうございます。
それを励みにして、完結まで行けるよう頑張ります。


ありがとうございました!

ではではまた。

110 ◆dKWWLKB7io:2015/07/01(水) 00:47:28 ID:RZhnex0w0
>>106

忍者は…誰でしょうww

色々と考えているキャラではあるので、楽しんでもらえたら嬉しいです。

111名も無きAAのようです:2015/07/01(水) 01:38:21 ID:5qa1Y.lQO

現行であんたが一番楽しみだよ

112名も無きAAのようです:2015/07/01(水) 03:10:31 ID:aE7oxsZg0
激しくニンジャとクックルの待遇の差はなぜ生まれたのか・・・

113名も無きAAのようです:2015/07/02(木) 23:28:32 ID:nVTxARwAO

ぃようがPKされたようには見えるがミスリード誘ってるようにしか思えんのよなぁ
結局ギコが抜けた真意もまだ明かされないか

114名も無きAAのようです:2015/07/03(金) 00:38:32 ID:3CcDZ1jgO
ブギャネーヨほんと好き
こういう決して無能なわけではないのに個性が弱いのとメインキャラが出鱈目に強く濃いので霞んでしまうザ・一軍半的なキャラが愛おしくてたまらない

115名も無きAAのようです:2015/07/03(金) 10:35:31 ID:o0oBfeSI0
おおお来てるやんけ検索したりずっと待ってた
今から読む乙

116名も無きAAのようです:2015/07/04(土) 19:23:32 ID:iQ/Y1V6M0
いま1番これがおもしろい 頑張ってね

117名も無きAAのようです:2015/07/07(火) 15:32:39 ID:dwdVAMr.O
むしろ>>75-76で「よ」の後に意味ありげにスペース入れてるのがミスリード
>男だと思うが、少年…女性かも知れない…。
男、女、少年は出てるのに
あえて少女という表現を避けてる事から結論を導くと…

後は明かされてない伏線は15話の最後でショボンと会話してた女か
この辺もどう物語に関わってくるか楽しみ

118名も無きAAのようです:2015/07/09(木) 00:55:39 ID:BUtbaNBEO
忍者に関しては最新話前半と後半の時系列が解らなくなってるからぃょぅでも不思議ではないし別人でもいい
12話ラストで「死んだように見せかけたトリック」と出ているのも「死んだと思わせる方法がある」という伏線っちゃあ伏線といえる
ぃょぅは全部小文字なのにeだけ小文字で碑に刻まれてるというのが引っ掛かるし

にしてもこれ風呂敷畳めるのか?
伏線結構残ってるけど
ブーンが激しく動くと体調を崩す謎
アングラーとワカビロっぽ(と疑える人物)の裏の顔
またんきの消息
ギルドに入ってないショボン達の知人と思われる人物
ギコしぃがギルドを抜けた真相
デレの正体
ざっと思い出したのでもこれだけあるが
まぁいくつかは回収しなくてもいい伏線もあるし俺は原作読んだこともアニメ見たこともないから解らないだけのものもあるかもしれないがな

119名も無きAAのようです:2015/07/13(月) 17:52:00 ID:W4jVdej.O
>>118
ブーンのはただ単に強力な技の反動じゃね?

120名も無きAAのようです:2015/07/14(火) 14:36:27 ID:xKDXgqrYO
>119
ブーン以外の皆が使ってないだけで硬直以上の「反動」というシステムあるいはバグ的な現象が全プレイヤーもしくは一部のプレイヤーに存在するのか、ブーン個人が見た目に反して虚弱だからそうなるのかが原作知らずこれしか読んでない身にはわからんのよ

121名も無きAAのようです:2015/07/14(火) 15:08:30 ID:4jhymCoQO
そういうシステムなんじゃね
ブーンのあれはRPGでたまにあるコストがMPではなく、HP〇割消費+自キャラステ異常しちゃう特大威力技みたいなもんだと思ってる

122名も無きAAのようです:2015/07/20(月) 23:21:18 ID:bZY2XRC6O
>>118
12話ラストのは原作のエピソードで解決されてる
ブーンは脳の処理能力の限界を超えた動きをしちゃうから負荷がかかるみたいな話じゃないかな?
それに近い表現も原作にあったはず


そういえば>>69-70の間のレス飛んでないか?
前後の繋がりが不自然に見える

123名も無きAAのようです:2015/07/31(金) 23:26:36 ID:Y9c1s5bsO
こういうの良いな
正史で語られない程度にほんの少しだけ影響を与えた者達の物語って
ザ・外伝って感じで
原作のターニングポイントとなる大きな作戦の立案に一役かっていたとか物資の生産・流通という形で結果的に原作主要人物の支援を行っていたとか

124名も無きAAのようです:2015/08/21(金) 12:18:21 ID:hKqnmWZo0
盆休みも終わったことだしそろそろくるか?

125 ◆dKWWLKB7io:2015/08/24(月) 22:07:06 ID:ElLvkyBM0
どーも作者です。

乙と様々な感想や考察、本当にありがとうございます。
言葉知らずなため感謝の言葉もいつも同じになってしまっておりますが、
本当に、本当に、ありがとうございます。

読みながら、
おっ!と、おもったり、
にやにやしたり、
ここはもっとわかりやすくしなければ…。と、思ったりしています。

次の話に活かせるように頑張ります。

といいつつも>>124様に見透かされているように盆休みを使って18話と19話の終わり頃までは書き上げてしまっているので、
何とか最終回までには反映させることができればいいななどと、
甘いことを考えたりもしております。

そして>>122様のご指摘通り、抜けてます。

orz

ということで、まずは投下前に補完です。
>>69-70の間に、以下を挟んで読んでいただけると嬉しいです。

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126 ◆dKWWLKB7io:2015/08/24(月) 22:11:03 ID:ElLvkyBM0
その明るい声は、次の声を呼ぶ。

( ´ー`)「あの時みんなが来てくれなきゃ、死んでただーよ」

プギャーのけだるい、けれど決意の籠った声を。

|  ^o^ |「あの時のクエストボス戦が今回のボス戦とは別パターンで良かっただーよ」

ブームの真面目な、けれど出来るだけ軽々しくした声を。

( ^Д^)「ほんとにそうだな」

そして、元気な、心の底から楽しそうに、けれど真剣な声。

( ´ー`)「だから、おれ達を甘く見るのはやめるだーよ」

('A`)「お前ら」

|  ^o^ |「皆さんとラフコフとの因縁だとか、窮地に立つとか、我々には詳しいことはわかりません。
ですが、今までに受けた色々なことは、返したいのです」

( ´ー`)「貰いっぱなしは性に合わないだーよ」

( ^Д^)「そういうこった」

('A`)「お、おい」

( ^Д^)「きっと、おれ達よりもつらい道を選んだあいつも、同じ気持ちだろうよ」

|  ^o^ |「どれだけ力になれるかは分かりませんが、やれることはやらせてもらいます」

( ´ー`)「もちろん死にたくないだーよ。
だから死なないギリギリまでやってやるだーよ」

|  ^o^ |「だからこちらは、私達に任せてください」

( ^Д^)「こいつらが殺されそうになったら、ちゃんとおれらが逃がすからよ」

( ^ω^)「プギャー…」

( ^Д^)「ま、適材適所ってことだ」

('A`)「シラネーヨ」

( ´ー`)「だてにショボンのプログラムで鍛えてきたわけじゃないだーよ」

ξ゚⊿゚)ξ「………」

|  ^o^ |
.

127 ◆dKWWLKB7io:2015/08/24(月) 22:14:22 ID:ElLvkyBM0

三人の決意とか、思い的な大事なシーンだったのに、痛恨のミスでした。

プギャー、ネーヨ、ブーム、ごめん。


それでは、18話の投下を始めます。

今回もなかなかの長さなので、何日かに分けて投下になると思います。

ではでは、よろしくお願いします。

.

128 ◆dKWWLKB7io:2015/08/24(月) 22:17:23 ID:ElLvkyBM0


第十八話


はじまりの日 〜NerveGear〜



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129 ◆dKWWLKB7io:2015/08/24(月) 22:19:12 ID:ElLvkyBM0




0.彼と彼女




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130 ◆dKWWLKB7io:2015/08/24(月) 22:21:15 ID:ElLvkyBM0

その日は、朝から灰色の雲が空を埋め尽くしていた。

朝の情報番組で、可愛いだけかと思いきや、
気象予報士の資格をちゃんと持っているお天気お姉さんが、
降水確率を100パーセントと言っていた。

『あの人局アナじゃないんだよ』

親友が、特に必要じゃない知識を披露してくれたのを、彼は覚えていた。

昼前には雨が降り出して、帰宅する頃には本格的な雨だった。

傘をさしていてもほんのりと濡れてしまう雨。

通っている高校には徒歩でも自転車でも通える距離に住んでいる彼と彼女は、
帰り道の道路をならんで歩いていた。

「ドクオと本城は?」

「ドクオは本屋、ショボンは生徒会だお。
そっちこそ、今日は来島さんは一緒じゃないのかお?」

「久美子も生徒会。書記も大変みたいね。
あんた、今日部活は?」

「体育館も武道館も渡り廊下も使われてて、お休みだお」

「そっか。吹奏楽部が使ってたわね」

「そういうことだお。
ショボン達もその関係だおね。多分」

「まだ部活に入ってない生徒向けの、文化部発表会か。文化部は大変よね」

「運動部系は今から入る一年生はまれだけど、文化部系はそれなりにいるみたいだお。
あれ?茶道部は出ないのかお?発表会」

.

131 ◆dKWWLKB7io:2015/08/24(月) 22:23:47 ID:ElLvkyBM0

「出るわよ。でもうちがやれることなんてたたかが知れているし、
私も久美子の付き合いで入っているだけだから、そこまでね。
だいたい発表会で人を増やせる部活なんて、合唱部とかそこらへんくらいよ。
あ、でもそうそう、あさ美、知ってるわよね」

「大垣さんだおね?」

「そうそう。大垣あさ美。
あの子華道部なんだけど、華道部は派手なパフォーマンス計画してるらしいわよ。
音楽にのせて花を活けるとかなんとか」

「そういえばドクオが音楽の事で話しかけられたって言ってたお」

「え?まさかアニソン使うつもり?」

「なんかロックバンドが主題歌やってたアニメがあるらしくて、
それならロック好きにもアニメ好きにも知られてるから良いんじゃないかとかなんとか」

「ドクオ、ちゃんと喋れてた?」

「……それはノーコメントだお」

「あさ美、見た目はギャルだからねー」

雨音が大きいため、傘を寄せ、肩が触れ合うような距離で会話をする二人。

男と呼ぶにはまだ笑顔が幼い少年は、
隣の少女が濡れないように傘を逆側に傾けている。
女と呼ばれるのを嫌がっている少女は
身長差から傘によって彼の顔が見えなくなってしまうのを嫌がって、
傘を逆側に傾けていた。

お互いがお互いを思っているのは周りから見れば一目瞭然なのだが、
何故か本人達は、気付かないでいた。

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132 ◆dKWWLKB7io:2015/08/24(月) 22:25:22 ID:ElLvkyBM0

「……あんた、ここ右でしょ」

「青になるまでいるお」

「良いわよ別に」

「雨酷いし、送っていくかお?」

「えっ!?……い、いいわよ。別にそんなことしなくて。
もう家まですぐだし。まだ明るいし」

「でも…」

四つ角の横断歩道の前で立ち止まる二人。

彼女は前に進むため信号が青に変わるのを待ち、
彼は彼女が渡るのを待つ。

「明日は晴れるって言ってたし、風邪ひかない様に早く帰りなさい。
昔から雨の日に外で遊んで風邪ひいてたアホなんだから」

「……高校に入ってからは無いお」

「中三の時に入試の前に熱出してたじゃない」

「そ、それは雨とは関係ないお」

「38度越えたっておばさんに聞いて、みんな心配してたんだから」

「……ごめんなさいだお」

「体力はあるのに、昔から風邪は良くひいてたわよね。
だから、寄り道せずにさっさと帰りなさい」

「……わかったお。あ、青だお」

「やっと変わった。じゃあね。バイバイ」

「また明日だおー」

.

133 ◆dKWWLKB7io:2015/08/24(月) 22:26:56 ID:ElLvkyBM0

「はいはい。また明日」

「…………」

「…………」

「行きなさいよ」

「渡らないのかお?」

「あんたが行ったら渡る」

「ツンが向こうの角を曲がったら帰るお」

「ば、バカなこと言ってないで行きなさい!
後ろを見てるだなんて、あんたストーカーと一緒よ!」

「す、ストーカーって」

「早く行きなさい!」

「はいだお…」

「まったく…」

とぼとぼと歩道を歩き始める少年。

「また明日だお―」

しかしすぐに振り返り、傘からはみ出した手を大きく振った。

「はい。バイバイ。気を付けて帰りなさいよ!」

少年の後ろ姿を見てから、横断歩道を渡り始める少女。

歩行者専用信号は、既に点滅し始めていた。

.

134 ◆dKWWLKB7io:2015/08/24(月) 22:28:25 ID:ElLvkyBM0

少年が後ろを見たのは、ただ彼女の姿を見たかっただけなのかもしれない。

そして彼は、傘と鞄を放り出して駆け出した。



「    朋ちゃん!!!!!!   」



視界の悪い雨の中、左折しようとした普通乗用車が、加速して交差点に進入した。





.

135 ◆dKWWLKB7io:2015/08/24(月) 22:30:04 ID:ElLvkyBM0





1.病院  少女一人





.

136 ◆dKWWLKB7io:2015/08/24(月) 22:33:10 ID:ElLvkyBM0

彼女は目を開いたとき、自分がどこにいるか分からなかった。

自分の部屋、自分のベッドではない。

少し清潔すぎる白と、穏やかなベージュの壁。
そして周囲には柔らかい薄いピンクのカーテン。

頭と、頬が痛み、身じろぎをすると体の至る所にも痛みが生まれた。

ξ■゚⊿゚)ξ「なに…これ…」

眉間に皺を寄せながら上半身を持ち上げる。

そして、唐突に思い出した。

雨の日の横断歩道。
自分の名を呼ぶ少年の声。
抱きかかえられるその力強さ。
耳障りなブレーキの音。

ξ■ ⊿ )ξ「あっあっあっ……」

倒れた車道で、自分を抱きかかえ、血を流しながら笑った彼の顔。

ξ■   )ξ「いやーーーーーー!!!!!!」

顔を覆い、叫んだ。

腕につけられていた点滴の針と、胸と頭に取り付けられていた計器の配線が外れ、
警告を意味する電子音が部屋に響いた。





.

137 ◆dKWWLKB7io:2015/08/24(月) 22:35:29 ID:ElLvkyBM0





ξ■ ⊿ )ξ「ねえ、ブーンは!?ブーンは!?ブーンはどこにいるの!??」

看護師に身体を抑えられつつも、やってきた母親に抱きつく朋美。

(看護師)「落ち着いて、朋ちゃんも怪我してるから」

(朋美母)「朋美、まずは寝なさい。あなたも頭を打ってるから、まずは寝て!」

ξ■ ⊿ )ξ「だって!だって!」

(看護師)「武士君も大丈夫よ」

ξ■ ⊿ )ξ「本当ですか!!あ、おば……さん……」

朋美は看護師の言葉を聞いて、初めて自分の身体を抑えるその顔を見た。
そしてそれが見知った者だということに気付き、少しだけ身体から力が抜ける。

(看護師)「久しぶりね。朋ちゃん。いや、もう朋美さんって呼ばなきゃだめかな」

その瞬間を見逃さず、看護師は彼女をベッドに寝かしつけた。

ξ■ ⊿ )ξ「そんな……、あ、ブーンは!ブーンは!」

(看護師)「武士君も無事よ。ただ朋美ちゃんよりも怪我が激しかったから、まだ治療中なの。
明日になれば面会も出来ると思うけど、二人とも検査をいっぱいしてもらわなきゃいけないから、
落ち着いて会えるのは明後日くらいになっちゃうかも」

ξ■゚⊿゚)ξ「そうですか……よかった……」

(看護師)「二人とももう大人だから部屋も別々になっちゃうしね。
あ、一緒の方が良ければお願いしてあげようか?」

ξ■///⊿///)ξ「ば、バカなこと言わないでください!」

(看護師)「遠慮しなくていいのよー」

.

138 ◆dKWWLKB7io:2015/08/24(月) 22:37:42 ID:ElLvkyBM0

ξ■///⊿///)ξ「おこりますよ!」

(看護師)「もちろん冗談よー。相変わらず朋ちゃんは可愛いわね」

軽口を叩きながらも寝かせた朋美に点滴を繋ぎ、脳波や心電図の配線を取りつけていく看護師。

(看護師)「さて、先生もそろそろ来ると思うから、簡単な診察をさせてね。
この病院の先生は変人ばかりだけど腕は確かな人達だから、安心して。
そしたら、今日はゆっくり眠っちゃいましょう。
先生からOKでたらご飯も食べられるから、お腹すいてたら声かけてね」

ξ■゚⊿゚)ξ「はい」

(医師)「変人はひどいなぁ」

(看護師)「あら先生。遅いですよ。
あと、変人なのは本当の事ですから、ちゃんと自覚してくださいね」

(医師)「徳永さんが担当なら大丈夫だと思ったからね。
来た時の容態も安定していたし。
宇佐木さん、こんばんは。救急の磯貝です。
いくつか質問と、診察をさせてもらいたいけど、気分はどうかな?」

ξ■゚⊿゚)ξ「は、はい。大丈夫です」

(磯貝)「ああ、そのままそのまま。寝たままでいいからね。
じゃあえっと…」

横になっている朋美に質問を始める磯貝医師。

その様子を少しだけ見てから、徳永看護師は朋美の母親を廊下に促した。



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139 ◆dKWWLKB7io:2015/08/24(月) 22:39:28 ID:ElLvkyBM0



(朋美母)「徳永さん、ありがとうございます」

(徳永)「あの様子なら頭への衝撃は問題がなさそうですね。
もちろん精密検査は行いますが、ひとまずは安心してよいかと。
身体の傷は細かい診察と治療が必要ですが、
今の医療技術なら大丈夫だと思います」

(朋美母)「ありがとうございます、ありがとうございます」

深くお辞儀をする朋美の母親。
クリーム色の床に涙がぼたぼたと落ちた。

(徳永)「宇佐木さん、顔を上げてください。
こちらが恐縮しちゃいますから。
宇佐木さんにはこちらの方がお世話になってますからね。
『ありがとう』は、今日はもう禁止です
それで、今日この後の事なんですが。
点滴の中に安定剤も少し入っていますが気休め程度です。
事故の後ですし、武士君の事もありますから、夜中に目を覚まして不安になることもあるかと。
ですので今日はよろしければ」

(朋美母)「はい、出来れば泊まらせていただきたいです。

(徳永)「よかった。じゃあサブベッドとか準備しますね。
今日は私も詰めますから、何かあったら気軽にナースコールしてください」

(朋美母)「本当に重ね重ねあ…」

(徳永)「友里恵さん?今日はもう『ありがとう』は禁止」

顔を上げていた朋美の母だったが、砕けた口調で名前を呼んだ徳永を見て、
その笑顔につられて笑顔を見せた。

(朋美母)「了解。知佳さん。でも最後に一回だけ言わせて。
ありがと。そして、よろしくね」

(徳永)「かしこまりました」

かしこまった敬礼をして、とぼけた様にこたえる徳永。

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140 ◆dKWWLKB7io:2015/08/24(月) 22:42:23 ID:ElLvkyBM0

それを見て更に友里恵は笑顔を見せ、
徳永も笑顔を見せた。

(朋美母)「あ、でも夜勤にしちゃって大丈夫なの?俊雄君」

(徳永)「大丈夫大丈夫。
それに、私がいない方がゲームできるって喜んでるんじゃないかな。
ただ、もしかするとそろそろ……あ、やっぱり。噂をすれば影ってやつね」

自分の息子が部屋でゲームをしている姿を想像してため息をついた徳永。
しかしすぐに廊下の先に見知った顔を見付け、手を上げた。

('A`)「!かーちゃん!」

J( 'ー`)し「廊下を走るなバカ息子」

('A`)「そんな事よりブーンとツンが事故ったって?!
無事なのか!無事なんだよな!大丈夫なんだろ!」

J( 'ー`)し「まったく…。朋美ちゃんはもう大丈夫よ。
さっき目が覚めて、意識もしっかりしてたし。
精密検査はこれからだけどね。で、挨拶は?」

('A`)「え?あ、ツンのおばさん。
こ、こんばんは。お久しぶりです」

(朋美母)「こんばんは。俊雄君。
久し振りね。また遊びに来てね」

('A`)「は、はい。ありがとうございます」

J( 'ー`)し「まったくこの子はきれいな人の前だと借りてきた猫になっちゃうんだから」

('A`)「うっさいかーちゃん。
あ、ぶ、ブーンはどうなんだよ」

J( 'ー`)し「武士君はまだ眠ってるわ」

('A`)「ね、眠ってるって?」

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141 ◆dKWWLKB7io:2015/08/24(月) 22:44:19 ID:ElLvkyBM0

J( 'ー`)し「看護師にも守秘義務ってのがあるんだよ?俊雄」

('A`)「だーーー」

J( 'ー`)し「救急の治療室にいるから、行ってみなさい。
多分そろそろ病状説明も終わった頃だと思うから、
内藤さん達が病室前の廊下か待合室にいらっしゃるはずよ」

('A`)「わ、分かった!」

J( 'ー`)し「廊下は走らない」

走り出そうとした俊雄の頭頂部に拳骨を一発。

('A`)「いってーなー。分かってるよ!」

競歩の様に歩く俊雄。
そして廊下を曲がった瞬間走り出す。

J( 'ー`)し「まったくあの子は」

(朋美母)「武士君と俊雄君は今でも仲が良いんですね」

J( 'ー`)し「ええ。朋美ちゃんと三人でよく遊んでたのが懐かしいわね」

(朋美母)「知佳さんには、よく遊びにつれてってもらってたわ」

J( 'ー`)し「平日は幼稚園や学校の後をお願いしちゃってたから。
休日くらいは俊雄と触れ合おうと思ったんだけど、
二人だけだと俊雄が私に気を使っちゃうのよ。
私が疲れてるんじゃないか?とかね。
でも武士君と朋美ちゃんが一緒だとよく笑ってくれたから、
俊雄の笑顔が見たい私の我儘だったのよ」

(朋美母)「知佳さん」

J( 'ー`)し「今は笑うと悲しくなるけどね。
あの人は男前だったし、私もそれほど悪くは無いと思うんだけど……。
どこの遺伝子が間違ったのかしら」

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142 ◆dKWWLKB7io:2015/08/24(月) 22:46:04 ID:ElLvkyBM0

(;朋美母)「知佳さん……。母親くらいはその……」

J( 'ー`)し「良いの良いの。家族が真実を伝えなきゃね。
さて、うちの子の事は良いとして、友里恵さんのお泊りの準備はどうする?
すぐに一回戻る?それとも旦那さんが来てからにする?」

(朋美母)「ええ。うちの人が来てから交代にするわ。
朋美のそばに、どちらかはいるようにしたいし。
あと、あの人が来たら改めて内藤さんにご挨拶もしないと」

J( 'ー`)し「それが良いわね。じゃあ病室にいてね。サブベッドとか準備で来たら持っていくから。
もし私が来る前に家に一度戻ることになったら、ナースステーションに一言伝えといて。
内藤さん達も今日は泊まられるだろうから、
武士君の容態が安定したら挨拶出来るわよ」

(朋美母)「ええ、あり……よろしくね」

J( 'ー`)し「それでよろしい」

(朋美母)「ふふ」

J( 'ー`)し「ふふ」

病室に戻る朋美の母。
看護師である徳永は表情を引き締めると、廊下を歩きだした。




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143名も無きAAのようです:2015/08/24(月) 22:46:39 ID:lFC6PVII0
支援

144 ◆dKWWLKB7io:2015/08/24(月) 22:48:59 ID:ElLvkyBM0




2.学校  四人の男女






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145 ◆dKWWLKB7io:2015/08/24(月) 22:52:02 ID:ElLvkyBM0

私立常林学園美ノ付高等学校。
(わたくしりつ じょうりんがくえん みのつきこうとうがっこう)

設立当初は姉妹校である緑葉高等学校に入学するには劣る者が入る学園内の二番手校であり、
県内でも下から数えた方が早い高校であったが、
制服を変えた事やその他諸々のイメージ戦略の成果によって生徒の質が上がり、
いつの間にか県内有数の進学校となっていた。

学校名である『美ノ付』は、
初代学校長であり設立にもかかわった『美野付伴三』の名前から付けられている。
彼は常林学園初代理事長であった来島幸之進の親友であった。

学校のレベルが低い頃から、揶揄されるように生徒は
『美付生(びっぷせい)』などと呼ばれていた。
これは『VIP』とかけた『同じ読みでもお前らは馬鹿ばかり』といった侮蔑的な意味を持っていたが、
最近では学校のレベルが高くなったのと、
卒業生の中に世界的に有名な者が出たことにより、
本来の意味である『VIP』の意味を込めて『ビップ生』と呼ばれることが増えてきた。

そんな、外から見れば進学校の生徒である彼ら彼女らだったが、
ふたを開けてみればただの高校生であり、全員が全員超優秀ということも無く、
会話はそれ相応であった。

今日の朝も、駐輪場で落ち合った男子生徒が二人、
取りとめのない会話をしながら校舎に向かって歩いていた。

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146 ◆dKWWLKB7io:2015/08/24(月) 22:53:34 ID:ElLvkyBM0

('A`)「まだ七月にもなってないっていうのに…あちぃ…」

(´・ω・`)「今年も異常気象だって言っていたね」

('A`)「うん。安曇野さんが言ってた」

(´・ω・`)「ドクオはお気に入りだよね。あのお天気お姉さん」

('A`)「声とか顔とか似てるんだよなー」

(´・ω・`)「なんだっけ。『カオナシ!』の『北条政子』だっけ」

('A`)「……『オレナイ!』の『南佐古田茉理子』な。
ねぇねぇ、わざとだよね。わざとだよね。
四文字しかあってないし、北と南くらいしか共通点ないよね。
全国模試一位の本城さんともあろう方が間違えたりしないよね。
っていうか昔はおれと一緒に特撮の話とかしてたのに、
今は『アニメなんか見ません』みたいな顔して間違えるとか悲しいんですけど」

(´・ω・`)「変身ヒーローと萌えアニメを一緒にされても…」

('A`)「いっしょですー。
両方とも童心に帰るだけですー。
っていうか『オレナイ!』をそこら辺の萌えアニメと一緒にしないでくださいー。
『オレナイ!』はそこらの萌えアニメとは違うんです―」

(´・ω・`)「あ、萌えアニメだってのは認めるんだ」

('A`)「……まぁ…そりゃ」

半袖だがネクタイを締めた、背筋をピシッと伸ばした眼鏡の少年と、
開襟シャツをズボンからも出して猫背で歩く小柄な少年。

一見友人には見えない二人だが、その話す雰囲気から親しいのがよく分かる。

見るからに真面目そうな眼鏡の少年と違い猫背の少年は不真面目そうに見えるが、
今の時刻が始業開始の一時間近く前であることを考えると、
それなりに真面目ではあるのであろう。

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147 ◆dKWWLKB7io:2015/08/24(月) 22:54:53 ID:ElLvkyBM0

川 ゚ -゚)「本城、徳永」

下駄箱の入り口前に、黒髪の少女が立っていた。

(´・ω・`)「来島さん。おはよう」

('A`)オ、オハヨウゴザイマス

川 ゚ -゚)「二人ともおはよう。すまないな、こんな時間に来てもらって」

(´・ω・`)「気にしなくていいよ。起きる時間は変わらなかったしね」

('A`)オ、オレモ

川 ゚ -゚)「そう言ってもらえると助かる」

(´・ω・`)「それで、どこで話す?話があるんだよね?」

川 ゚ -゚)「ああ、もう一人いるから生徒会室でお願いしたいが、良いか?」

(´・ω・`)「基本部外者は立ち入り禁止だけど、この時間なら大丈夫じゃないかな」

川 ゚ -゚)「すまない。見つかった時は本城の『副会長権限』ってやつで頼む」

(´・ω・`)「そんなの無いのは来島さんだって知ってるでしょ」

川 ゚ -゚)「おや、無いのか?それは知らなかった」

(´・ω・`)「まったくもう」

('A`)………

楽しそうに話す二人を後目に、徳永と呼ばれた少年は隠れるように自分の下駄箱に向かった。



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148 ◆dKWWLKB7io:2015/08/24(月) 22:56:45 ID:ElLvkyBM0

生徒会室。

通常の教室の半分程度の大きさのその部屋は、一面が窓である以外は、
三面の壁を本棚とロッカーで埋め尽くされていた。
中央には長机とパイプいすが並べられており、ホワイトボードも置かれている。

三人が部屋に入ると、中には既に一人の少女がいた。

ξ□゚⊿゚)ξ「おはよう、本城、ドクオ」

(´・ω・`)「おはよう。宇佐木さん」

('A`)「おう、おはよ。ツン」

窓辺の壁に寄りかかっていた少女が視線を向け、
少年二人に挨拶をした。

その頬に貼られた、大きなガーゼ。

ξ□゚⊿゚)ξ「ツンって呼ぶなって何度言わせんのよ」

('A`)「おまえだっておれの事ドクオって呼んでるだろうが」

ξ□゚⊿゚)ξ「私は良いのよ」

('A`;)「うわぁ。なんだこの理不尽さ。マジにムカつく
じゃあなにか?おれに『宇佐木さん』とか『朋ちゃん』とか呼ばれたいのか?」

ξ□゚⊿゚)ξ「……マジで気持ち悪い」

('A`)「おまえなぁ」

ξ□゚⊿゚)ξ「しょうがないから『ツン』で良いわよ。許してあげる」

川 ゚ -゚)「二人は仲が良いんだな」

ξ□゚⊿゚)ξ「はぁ!?やめてよこの地球外生命体と仲良いなんて」

('A`)

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149 ◆dKWWLKB7io:2015/08/24(月) 22:58:55 ID:ElLvkyBM0

(´・ω・`)「ブーンとドクオと宇佐木さんは幼馴染だからね」

川 ゚ -゚)「なるほど。そんなことも軽く言える仲なのだな」

ξ□゚⊿゚)ξ「だーかーらー」

('A`)

ξ□゚⊿゚)ξ「あんたも何か言いなさい!」

('A`)エ?オレ?

ξ□゚⊿゚)ξ「まったく、その人見知りと女の子苦手なのさっさと克服しなさい」

('A`)

(´・ω・`)「まあ、その話はまた今度として、今日はどうしたの?」

ξ□゚⊿゚)ξ「そうね。これと話しても進まないし」

('A`)「じゃあなんで呼んだんだよ」

ξ□゚⊿゚)ξ「……二人にしか頼めないからよ」

(´・ω・`)?

('A`)?

ξ□゚⊿゚)ξ「……明日から、ブーン登校でしょ?」

(´・ω・`)「うん。その予定だね。ギブスもしているし松葉杖か車椅子かは今日決めているはず。
明日は病院から直接学校だから、僕が一緒に来る予定だけど……。
宇佐木さんも、来る?」

黙って首を横に振る宇佐木。

その瞳に涙が滲んだのを、三人とも見逃さなかった。

(´・ω・`)

('A`)?

川 ゚ –゚)

しかし何もなかったように彼女は言葉をつづけた。

.

150 ◆dKWWLKB7io:2015/08/24(月) 23:01:09 ID:ElLvkyBM0

ξ□゚⊿゚)ξ「本当なら、ケガの原因を作った私が率先してそばにいなきゃいけないし、
サポートしたいけど、私じゃだめだから、二人にお願いしたいの」

('A`)「はぁ」

(´・ω・`)「元からサポートはするつもりだけど」

ξ□゚⊿゚)ξ「ありがとう」

(´・ω・`)「何故、『私じゃダメ』なの?
宇佐木さんがそばにいてくれた方がブーンも喜びそうだけど」

('A`)「だなぁ」

ξ□゚⊿゚)ξ「そうね……。言うより、見てもらった方が早いかな」

宇佐木が頬のガーゼを取ると、下には薄い青緑色のジェルシートが現れた。
そしてさらにそれを剥がす。

川;゚ -゚)「!朋美!?」

ξ◆゚⊿゚)ξ「見て、これ」

そこには、赤くただれた肌があった。

(´・ω・`)!

('A`;)「お、おいツン」

ξ◆゚⊿゚)ξ「これが、あの事故で私に残った唯一の跡」

川 ゚ -゚)「朋美…早くこれを」

ξ◆゚⊿゚)ξ「ありがと」

宇佐木のバッグから新しいシートを取り出した来島が、それを手渡した。
そのまま手鏡を宇佐木に向けると、慣れた手つきでシートを貼り、その上からガーゼをのせる。

(´・ω・`)「治療、それで終わりじゃないよね?まだ治るんだよね?」

.

151 ◆dKWWLKB7io:2015/08/24(月) 23:03:00 ID:ElLvkyBM0

ξ□゚⊿゚)ξ「ええ。本城の所の皮膚科の先生達がいろいろ調べてくれてる。
今は再生医療も出来るから、化粧で隠せるくらいには治せるだろうって。
まだ菌が残ってる可能性があるから、一回治ってからそっちの治療に進もうってスケジュール」

('A`)「……跡は、のこっちまうのか?」

ξ□゚⊿゚)ξ「多少はね。
表情筋とか全く動かさずに年単位で治療だけすれば跡形もなくなる可能性もあるみたいだけど、
生活してれば笑って怒って食事して。……そんなの無理よね」

('A`)「そうか……」

ξ□゚⊿゚)ξ「でもね、その程度までには治るし、それだけなのよ」

(´・ω・`)「え?」

('A`)?

ξ□゚⊿゚)ξ「ブーンは骨折して、この夏を棒にした。
私は、ちょっと頬に傷が出来てたんこぶ出来たからちょっと精密検査したくらいなのに、
あいつは足を骨折して、頭も強く打って、切れて、血を流して、一週間も目が覚めなくて。
今だって、まだ入院してて……」

川 ゚ -゚)「朋美……」

ξ□゚⊿゚)ξ「目を覚ましたって聞いて、病室に行った時、
あいつが私に言った言葉、二人とも覚えてる?
私が病室に駆け込んだとき、
笑いながら『無事で良かったお』って言って、その後頬のガーゼに気付いて、
『ごめん』って……。泣きそうな顔で言ったのよ。
こんな傷が何だっていうのよ……。
私を守って怪我して、生死の境さまよって!それでなんで『ごめん』なのよ!
もっと自分のこと考えてよ!注意を怠った私を恨みないよ!怒ればいいのよ!
怒鳴ればいい!罵っていい!!『命の恩人だ!』って偉そうな顔をすればいい!!
何したっていい!!!
夏の大会もダメになって!完治するまでどれだけかかるのか!
来年に間に合うかどうかだって分からないのに!!
あいつは!あいつは!!」

.

152 ◆dKWWLKB7io:2015/08/24(月) 23:04:13 ID:ElLvkyBM0

('A`)「ツン」

川 ゚ -゚)「落ち着け」

俯き、肩を震わせながら叫ぶ宇佐木に寄り添い、そっと肩を抱く来島。

ξ□  )ξ「久美子……。ごめん、ありがと」

渡されたハンカチで顔を抑え、宇佐木が顔を上げる。

ξ□゚⊿゚)ξ「そのあとお見舞いに行っても、
無事でよかったって笑って、私の頬を見て悲しそうな顔をして。
すごく、辛そうな顔をして。
部屋に入った時は今まで通りの普通の笑顔なのに、
だんだんと、辛そうな顔を隠すための笑顔に変わってる」

('A`)「それは…」

ξ□゚⊿゚)ξ「わたしは、もうあんなを顔ブーンにさせたくない。
正直、本当にこの傷が跡形も無くなくなるなら、
二年でも三年でも顔を動かさなくたって良いと思ってる。
どこかに体を固定して、顔を動かさなくして、流動食でも飲んで、顔を動かさなくして。
でも、そんなことを私がするってことをあいつが知ったら、絶対に悲しむ」

('A`)「ああ。そうだな。あいつは、そういうやつだ」

ξ□゚⊿゚)ξ「…今は入院中だから病院に任せてるし、
退院しても家にはおばさんがいらっしゃるから、問題ない。
でも、学校は違う。
本当は、私がそばにいてサポートしたいけど、
きっとあいつは私にはわがままを言わない。
そして、この頬を見たら、きっと辛さを隠すために、私の為に笑顔を見せる。
そんな顔を、ブーンにさせたくない……。
もう、辛い思いなんて、させたくない……。」

苦しそうに話す宇佐木。
それを聞く三人は、ただその言葉に耳を傾けることしかできなくなっていた。

沈黙の後、何度か口を開こうとする宇佐木だったが、口に出そうとするたびに思い悩み止まる。

口を開いたのは、本城だった。

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153 ◆dKWWLKB7io:2015/08/24(月) 23:05:44 ID:ElLvkyBM0

(´・ω・`)「聞いた話だと、右折してきた車は宇佐木さんを完全に見ていなかった。
コース的にそのままぶつかっていたら、宇佐木さんは今ここにいたとは思えないらしい。
出していたスピードを考えても、良くて入院中。あるいはそのままってことも推測できたって。
運転手は歩道を走ってきたブーンに気付き、そこで宇佐木さんにも気付いた。
慌ててハンドルを切ったら、雨によって滑った車はスピン。
宇佐木さんに走り寄ったブーンが、宇佐木さんを抱きしめたまま歩道に飛び込んだけど、
スピンした車がその足に当たって、その勢いで頭を歩道のヘリに打ち付けたらしい。
宇佐木さんの頬の傷もその時にできたんだろうね。
スピンした車も電柱にぶつかって、開いたエアバックの衝撃で運転手も意識を無くした。
丁度人通りが無くて、おそらく10分程度した後に通りかかった近所の人が通報。
これが、事故のあらましみたいだね。聞いてた?宇佐木さんは」

突然事故について話し出した本城に怪訝な顔をする三人。
それでも宇佐木は慌てて首を振った。

ξ□゚⊿゚)ξ「いや、そこまで詳しくは聞いてないけど…」

川;゚ -゚)「なぜ本城がそこまで詳しく知っているんだ?」

(´・ω・`)「人脈と権力は利用しないと」

川;゚ -゚)

ξ;□゚⊿゚)ξ

('A`)「(……こういうことを言っちゃうってことは、二人には結構気を許してるんだな。ショボン)」

(´・ω・`)「まあそんなことは置いておいて」

ξ;□゚⊿゚)ξ「そ、そうね。何が言いたいの?
悪いのは運転手で、私はそこまで気にする必要はないとでも?」

(´・ω・`)「悪いのは運転手だってのはその通りだけど、
人の気持ちはそんな簡単に割り切れるもんじゃないからね。
君が気にするのは仕方ないし、それは周りが何を言っても変わったりはしないでしょ。
おそらく、ブーンが言っても変わらない。
そして、ブーンも変わらない。
何かの拍子に君が心の底からそう思えるようにならない限り、
自分が悪いって気にするんじゃないのかな」

.

154 ◆dKWWLKB7io:2015/08/24(月) 23:07:37 ID:ElLvkyBM0

ξ□゚⊿゚)ξ「…………」

(´・ω・`)「僕が気になるのは、君が顔を見せないことをブーンが気にするんじゃないかってことと、
本当に君はそれでいいのかなってこと」

ξ□゚⊿゚)ξ「?どういうこと?」

(´・ω・`)「宇佐木さんの性格を、ブーンだってよく知っているはずだよ。
お見舞いは部活が忙しくなったって言って、朝チラッと寄っていくだけにしてたみたいだけど」

ξ;□゚⊿゚)ξ「な、なんであんたが知ってるのよ!」

(´・ω・`)「?看護師の皆さんが楽しそうに教えてくれたけど」

ξ;□゚⊿゚)ξ「はあ?」

('A`)「母さんも言ってた」

ξ;□゚⊿゚)ξ「おばさんも!?ちゃんと口止めしたのに!」

('A`)「母さんにそれは無理だ」

(´・ω・`)「若者のうるおいは楽しい話題だからねー」

('A`)「……『あんたにはああいう相手はいないの?』って言われた……」

川 ゚ -゚)「人の口に戸は建てられないからな」

ξ;□゚⊿゚)ξ「あーもう!で、何が言いたいわけあんたは!」

(´・ω・`)「だから、君が来なければブーンが気にするだろうし、
君だって本当はブーンのそばにいたいでしょ?会えないのはいやでしょ?」

ξ□゚⊿゚)ξ「それはそうだけど…でも……」

.

155 ◆dKWWLKB7io:2015/08/24(月) 23:10:49 ID:ElLvkyBM0

川 ゚ -゚)「『でも』とか言っている場合じゃないんじゃないか。
私も本城の言うとおりだと思う。
朋美の言っていることを尊重していたが、
これから先の事を考えれば、避けるのは得策ではないような気がしてきた」

ξ□゚⊿゚)ξ「……どうすればいいのよ…。
私だって、ブーンのそばにいたい。でも……」

('A`)「二人っきりじゃなきゃいけるんじゃないか?」

ξ□゚⊿゚)ξ「え?」

('A`)「おれ達も一緒に居れば、お前の事だけを気にすることも無いだろうからさ」

(´・ω・`)「そうだね」

('A`)「だろ?」

ξ□゚⊿゚)ξ「で、でも」

川 ゚ -゚)「私は内藤君の性格をよく知らないから何とも言えんが、
周りにいる人が気の置けない仲間ならば、徐々にほぐれたりするのではないか?」

('A`)ウ、ウンオレモソウオモッタンンダ

(´・ω・`)「それに、ドクオは同じクラスだけど僕はクラスが離れているから、
休み時間ごとが厳しい。登下校と昼休みくらいしか力になれない。
宇佐木さんはクラスも隣だし、来やすいでしょ?
合同授業もひとくくりになるわけだし」

('A`)「ブーンとツンの仲はみんな知ってるしな」

ξ*□゚⊿゚)ξ「な、仲って何よ!別に付き合ってるとかじゃないし!
ただ幼馴染ってだけだし!」

('A`)「ああ、うん、そういうのをみんな知ってるってこと」

ξ*□゚⊿゚)ξ「そ、それならそう言いなさいよこのバカドクオ」

.

156 ◆dKWWLKB7io:2015/08/24(月) 23:13:06 ID:ElLvkyBM0

(´・ω・`)「(いい加減付き合っちゃえばいいのに)」

川 ゚ -゚)「(もうちゃんと認めればいいのに?)」

('A`)「(あのブーン相手に告白されるシチュエーションの夢を見ても無駄だと思う)」

三人の白けた視線に気付かずに顔を赤くする宇佐木。

(´・ω・`)「それじゃあ、登下校はドクオと僕。
クラスではドクオと宇佐木さんが。
来島さん、宇佐木さんのこと頼むよ」

川 ゚ -゚)「うむ。頼まれた。ちゃんと連れて行こう」

ξ;□゚⊿゚)ξ「ちょっと、久美子?」

(´・ω・`)「お昼はみんなで食べよっか。
いつもは三人で中庭裏庭屋上なんかで食べたりしてたけど、
ブーンが治るまではここを使えるようにお願いしておくよ。
僕と来島さん二人役員がいれば問題も無いでしょ」

('A`)「あー。それは楽だな。この部屋はどこ行くにも近いし」

ξ□゚⊿゚)ξ「え?ちょ?一緒に食べる?え、何を言っているの?」

('A`)「手作り弁当でも作ってきてやったらどうだ?」

ξ*□゚⊿゚)ξ「ば、ばか何言ってるのよアホドクオ!」

('A`)「バカだのアホだのお前はほんとに」

(´・ω・`)「来島さん」

川 ゚ -゚)「………」

(´・ω・`)「来島さん?」

川 ゚ -゚)「あ?う、うむ。なんだ?」

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157 ◆dKWWLKB7io:2015/08/24(月) 23:16:13 ID:ElLvkyBM0

(´・ω・`)「どうしたの?いきなり何か考え事?」

川 ゚ -゚)「いや、考え事とかではないんだが……」

(´・ω・`)「?」

川 ゚ -゚)「……うちの学校、一般生徒は屋上立ち入り禁止だよな?
通常は鍵もかかってる」

(´・ω・`)「うん」

('A`)エ?ソウダッタンデスカ?

ξ□゚⊿゚)ξ「へー。そうなんだ」

川 ゚ -゚)「なのに何故昼休みに屋上でお昼を食べられるんだ?」

(´・ω・`)「人脈と権力と人の隠し事は利用しないと」

川;゚ -゚)

ξ;□゚⊿゚)ξ

('A`)「(ツンはブーンとおれの幼馴染だしブーンの好きな相手だからわかるとして、
来島さんの方にもここまで気を許してるのか)」

(´・ω・`)「ブーンが回復したらみんなで屋上ランチもしたいね」

ξ;□゚⊿゚)ξ「そ、そうね」

川;゚ -゚)「あ、ああ。楽しみだ」

('A`)「(一見人畜無害だからな。ま、引くよなー)」

ξ□゚⊿゚)ξ「お月見茶会とかもいいわね」

川 ゚ -゚)「野点のセットなら部室から持ってこれるぞ」

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158 ◆dKWWLKB7io:2015/08/24(月) 23:18:07 ID:ElLvkyBM0

(´・ω・`)「それもいいね」

('A`;)「(ツンはともかく来島さんもこういう性格なのか!)」

(´・ω・`)「さて、そろそろ朝礼の準備で会長たちも来る時間なんだけど…」

ξ□゚⊿゚)ξ「ちょ、ちょっとまって!ブーンの事は!」

川 ゚ -゚)「随時隣の教室に朋美を連れていく」

('A`)「みんなでワイワイ……ガンバル」

(´・ω・`)「なるべく僕も顔だすよ」

ξ;□゚⊿゚)ξ「あ、あんたたち!」

(´・ω・`)「続きは昼休みにでも話そうよ。
ブーンのためにも連絡は取り合っておきたいし。
来島さんも、色々頼めるかな」

川 ゚ -゚)「うむ。問題ない」

ξ;□゚⊿゚)ξ「あーもう!勝手に話が進んでく!」

('A`)「じゃ、また昼に」

(´・ω・`)「うん、よろしく」

川 ゚ -゚)「朋美、あとで教室で」

ξ□゚⊿゚)ξ「はいはい!分かったわよ!」

生徒会室を出ていく徳永と宇佐木。
残った本城と来島は、朝礼の準備を始めた。




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159名も無きAAのようです:2015/08/25(火) 07:34:15 ID:Up7GeTvwO
事故の脳への後遺症がブーンの過負荷時の行動不能に繋がるんかね。
続き期待

160名も無きAAのようです:2015/08/25(火) 11:31:56 ID:ifoji4Kc0
乙乙

161名も無きAAのようです:2015/08/25(火) 19:35:10 ID:RZbuQsAY0
アインクラッドきてたー!
続きまってます!

162 ◆dKWWLKB7io:2015/08/25(火) 21:44:35 ID:t6mGuhyQ0
しえん、おつ、色々ありがとうございます!

それでは、今日の投下を開始します。

よろしくお願いします。

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163 ◆dKWWLKB7io:2015/08/25(火) 21:46:17 ID:t6mGuhyQ0




3.電話  朋美と久美子





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164 ◆dKWWLKB7io:2015/08/25(火) 21:49:01 ID:t6mGuhyQ0

川 ゚ -゚)「はい。私だ」

ξ□゚⊿゚)ξ「私…朋美」

川 ゚ -゚)「どうした?ノリが悪いな。
普段なら『神々の遊び』まで続けるのに」

ξ□゚⊿゚)ξ「ごめん。懐かしのお笑いネタシリーズをやる気分じゃないの」

川 ゚ -゚)「そうか……。そうだな。すまなかった」

自室の文机で勉強をしていた来島久美子は、
携帯電話の画面に出た親友の名を確認してから通話ボタンを押した。

そして『普段通り』に話しはじめたのだが、
親友はそれを受けることの出来る状況にいなかった。

ξ□゚⊿゚)ξ「ううん。こちらこそごめんね」

途切れる会話。
二人とも矢継ぎ早に喋る性格ではないが、
会話が途切れるということはあまりない。
話題の切れ目ならばともかく、
電話で最初の挨拶が終わって時点で二人とも黙るのは今までなかった。

久美子は正座をしたまま、背筋を伸ばした。

物心ついた時からこの畳の部屋で過ごしていた。
椅子よりも正座。
足腰が弱くなった祖父の為に作った洋間もあるし、
テーブルと椅子で食事をとる場所もある。
来客用のリビングは板張りに絨毯を敷いてありソファーセットもある。

けれど、彼女は畳と正座が好きだった。

最初は顔色を伺っていただけだったが、今ではこの空間が好きだった。

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165 ◆dKWWLKB7io:2015/08/25(火) 21:52:53 ID:t6mGuhyQ0

携帯電話を耳につけたまま、そんなことを考えていると、
親友がやっと本題を話しはじめた。

ξ□゚⊿゚)ξ「明日、ブーンに会って、私ちゃんと笑顔を見せられるかな」

川 ゚ -゚)「大丈夫だろ」

ξ□゚⊿゚)ξ「……なんでそんなことを言えるのよ」

川 ゚ -゚)「私、本城、徳永。
この三人が朋美と内藤をフォローするんだ。
大船に乗ったも同然だろ?」

ξ□゚⊿゚)ξ「久美子……」

川 ゚ -゚)「それに、学校に来れるようになった内藤を見て、
朋美が嬉しさのあまり笑顔でいることなんて誰でも想像がつく」

ξ□゚⊿゚)ξ「ちょ、な、何言ってるのよ!」

川 ゚ -゚)「あ、いや、約一名はそんな風には思わないかもな」

ξ□゚⊿゚)ξ「え?」

川 ゚ -゚)「まったく鈍感にもほどがある。
一番気付かなければならない人間が気付かないんだから。
本城と徳永もそこら辺をちゃんとフォローしてやってほしいものだ」

ξ□゚⊿゚)ξ「え?え?え?
なんのこと?誰のことを言ってるのよ」

川 ゚ -゚)「……鈍感同士の恋愛と言うのは、
見ている方にとっては面白くもあり、イライラもし、
なかなかつらいものだな」

ξ□゚⊿゚)ξ「え?久美子?」

川 ゚ -゚)「なんでもない」

ξ□゚⊿゚)ξ「???」

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166 ◆dKWWLKB7io:2015/08/25(火) 21:56:27 ID:t6mGuhyQ0

川 ゚ -゚)「ま、T.U.N.と書いてツンさんなんだから、
内藤の顔を見れば自然と笑顔になるだろ?」

ξ□゚⊿゚)ξ「ば、ばか!何言ってるのよ!
外で言ったら怒るからね!
あんたの『Qoo』もばらす!」

川 ゚ -゚)「ふふふ。冗談だよ
二人でばらしあって、ツン、クーと呼び合うのを止めたんだからな」

ξ□゚⊿゚)ξ「そうそう。まったく…」

川 ゚ -゚)「しかし、恥かしさ的には朋美の方が」

ξ□゚⊿゚)ξ「怒るわよ」

川 ゚ -゚)「ふふふ」

ξ□゚⊿゚)ξ「まったくもう」

川 ゚ -゚)「それだけ元気が出てきたなら大丈夫だよ」

ξ□゚⊿゚)ξ「……ありがと。明日、よろしくね」

川 ゚ -゚)「ああ、大船に乗った気分でいいぞ」

ξ□゚⊿゚)ξ「そうする」

川 ゚ -゚)「ま、タイタニックも大船だがな」

ξ□゚⊿゚)ξ「くーみーこー」

川 ゚ -゚)「冗談だ」

ξ□゚⊿゚)ξ「まったくあんたって人は」

川 ゚ -゚)「明日、楽しみだな。学校で会えるのが」

ξ□゚⊿゚)ξ「うん」

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167 ◆dKWWLKB7io:2015/08/25(火) 21:58:24 ID:t6mGuhyQ0

川 ゚ -゚)「朝は病院から来るようだから無理としても、
帰りは一緒に帰るんだろ?」

ξ□゚⊿゚)ξ「まあ。家も近いし。
あ、ドクオも一緒よ!本城も!」

川 ゚ -゚)「後ろから付いていって朋美を観察しようかな」

ξ□゚⊿゚)ξ「なによそれ!来るならちゃんと来なさい!」

川 ゚ -゚)「はははは。
皆で下校と言うのも楽しそうだな」

ξ□゚⊿゚)ξ「久美子はあんまり寄り道とかしないしね」

川 ゚ -゚)「ああ」

ξ□゚⊿゚)ξ「あ、もうこんな時間だ。お風呂入らなきゃ。
ありがと久美子。電話付き合ってくれて」

川 ゚ -゚)「友達だからな」

ξ□゚⊿゚)ξ「……ほんとにありがとうね」

川 ゚ -゚)「では、明日」

ξ□゚⊿゚)ξ「うん。明日。おやすみ」

明日の待ち合わせを確認した後、切れる電話。

待ち受け画面には、朋美と二人で撮った写真。

自分が笑顔を見せていることに違和感を覚えてしまうが、
それを超えて嬉しくもあった。

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