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( ^ω^)達はアインクラッドを生きるようです。
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立ったら投下がある。
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どーもです。
新しく作らせてもらいました。
もう少しの間、お付き合いいただければ幸いです。
お世話になっているまとめ様
ブーン 芸 V I P 様
いつも本当にありがとうございます。
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第十七話 君が嘘をついた
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0.
浮遊城アインクラッド。
第一層 はじまりの街。
初めてこのゲーム、『Sword Art Online』の世界にログインした者は、
数々の設定をこなした後、このはじまりの街に降り立つ。
ゲームを始めた者の、『始まりの場所』
そして、ゲームの中の死が現実の死と繋がったこのデスゲームの中で、
この街には『終わりを記す』物があった。
巨大な建造物。『黒鉄宮』。
その中にある、『生命の碑』。
それはこのデスゲームに囚われたプレイヤー全員の名前が刻まれた巨大な碑。
そしてゲーム内で死亡すると、名前に横線が引かれ、その原因が刻まれる。
ゲーム内の死。
それは現実世界において、ナーヴギアにより脳を焼かれ、死亡することを意味する。
そして、今日もまた、生命の碑の前で、少女が、泣き叫んでいた。
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冷たい、黒い床に膝をつき、碑に向かって土下座をするかのような姿で。
涙が、床を濡らしている。
両手が、床を、自らの身体を、叩く。
それまで、ただ見守ることしかできなかった横に立つ和装の武装をした少年が、
少女を横から抱きしめるように支えた。
「……ぼくはそばにいるから」
少女は小柄で、年端もいかないようにも見える。
その泣き叫ぶ姿と、声は、同じように生命の碑を見に来た者の心を、重く、黒くする。
見守るように、隠れるように少女を見ていた黒い影も、そっと視線をそらし、柱の陰に消えた。
『 e-YOU 』
『floor 43 Player kill』
少女の視線の先の名前。
横線の引かれた、名前。
少女の泣き声が、黒鉄宮の中をいつまでも響いていた。
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1.
朝の日差しが部屋に差し込む。
対面式のキッチンからは芳ばしい香りが漂っていた。
(*゚ー゚)「おはよう、ヘリカルちゃん」
*(‘‘)*「おはようですよ」
部屋に入ってきたしぃがヘリカルに声をかけつつキッチンに近寄った。
*(‘‘)*「今日の食事当番は私ですから座っていてくれていいんですよ」
(*゚ー゚)「そう?あ、じゃあお茶はいれちゃうね」
*(‘‘)*「お茶当番はギコなのに…。
……しぃねぇはギコに甘過ぎですよ」
(*゚ー゚)「待ってたらいつになるか分からないからであって、
甘やかしている訳じゃありませーん」
ヘリカルの呆れたようなつっこみに少しだけ頬を膨らませて答えるしぃ。
*(‘‘)*「そういうことにしておいてあげます」
ワンプレートに盛りつけた食事をテーブルに置くヘリカル。
(*゚ー゚)「嘘じゃないもん」
*(‘‘)*「はいはいですよ」
続けてテーブルの中央に木製の篭を置く。
山盛りのパンが芳ばしい香りのもとだったようだ。
(*゚ー゚)「ヘリカルちゃんの作るパンはほんとに美味しいよね。
レシピはもちろん一緒だし行程も同じなのに、かなわないな」
*(‘‘)*「しぃねぇの作るキッシュも美味しいですよ。
それこそかなわないのです」
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初遭遇!支援だ
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(*゚ー゚)「えへへ。
じゃあ明日はキッシュにするね。
卵とチーズと、何がよいかな」
*(‘‘)*「ベーコンは外せないですよ」
(*゚ー゚)「だね。あとはクラム草かな」
*(‘‘)*「クラム草があんなに美味しくなるとは知らなかったですよ」
四人掛けのテーブル。
それぞれのイスの前に置かれた食事の乗った四つのプレート。
中央に置かれた大きめの木の篭。
プレートの横にしぃがカップを一つずつ置き、
ティーポットを篭の横に置いた。
音を立てて開かれるドア。
(,,゚Д゚)「おはようだゴルァ」
(*゚ー゚)「おはようギコ君。
遅刻だね」
*(‘‘)*「おはようなのですよ。
20分遅いです」
(;,,゚Д゚)「すまん。
自主練が調子よくてつい」
*(‘‘)*「さ、朝食にするのですよ。
ギコも早く武装を解除して手を洗ったら席についてください」
(,,゚Д゚)「お、おう」
慌てて防具をはずしてキッチンに向かうギコ。
実際は防具の劣化促進や行動を阻害する『汚れ』ステータス異常はあっても、
圏内の街において『汚れる』といったようなことはシステム上存在しないのだが、
やはりそこは気持ちの問題だった。
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*(‘‘)*「お兄ちゃんのいない家は、少し広いのですよ」
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買い物に訪れたヘリカルの道具屋で、
ヘリカルから同居を持ちかけられたのは、
ギコとしぃの二人がVIPを抜けて半月ほどたった頃だった。
ギルド時代は片手ほどの回数も会っていなかったが、
POT類の補給のために頻繁に立ち寄るようになっていた頃だった。
ヘリカルの店は品揃いもよく値段も手頃なのだが、
低層階ではあるが少し辺境の街にあるため、
一日の客数はそれほど多くない。
しかし来た客のほとんどは買い溜めをするため量を買ってもらえていた。
また一部のプレイヤーには「可愛い幼女のお店」として口コミで話題にもなっており、
そういった客はヘリカルと話すことが目的であるため会話の増える買い取り依頼が多く、
更に多少安い値でも売ってくれるため、店としてはなかなか潤っていた。
そんな中二人は頻繁に通うようになり、三人の中は深まっていった。
ヘリカルから同居の話を持ちかけられたとき、
店の中には三人他の客がいた。
しぃも十分可愛い部類なのだが、
ギコという男連れだからか年齢が範囲外なのか、
三人の男はヘリカルだけを意識していた。
*(‘‘)*「しぃさん、
良ければここに住みませんか?」
よってヘリカルのこの言葉は、各人に波紋を与えていた。
無言でざわめく店内に気付かないのか、
しぃとヘリカルが会話を続ける。
(*゚ー゚)「え、でも、さすがに…」
*(‘‘)*「もちろんただじゃないですよ。
薬草を採ったりしに行くときのボディガードや色々頼みたいこともあるのですよ」
(*゚ー゚)「それくらいならお手伝いするよ、
でも一緒に住まなくても呼んでくれればいいし」
(,,゚Д゚)「そうだぞゴルァ。
遠慮するな」
*(‘‘)*「……それだけじゃないんですよ」
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(*゚ー゚)「?」
(,,゚Д゚)「?」
*(‘‘)*「お兄ちゃんがいないこの家は、少し広いのですよ」
(*゚ー゚)「ヘリカルちゃん…」
(,,゚Д゚)「ゴルァ…」
*(‘‘)*「だから、良ければ…ですよ」
(,,゚Д゚)「良いんじゃないか?しぃ。
せっかくのお誘いだから、住まわせてもらえば」
(*゚ー゚)「え、でもそしたらギコ君が」
(,,゚Д゚)「おれは一人で宿屋に泊まればいいから問題ないぞゴルァ」
*(‘‘)*「もちろんギコさんも一緒にどうぞですよ。
個室も全部で四つあるから、余裕があるのです」
(,,゚Д゚)「…何でそんな広い家に」
*(‘‘)*「たまたまレアアイテムをドロップできて、
それを高く売ることができたのですよ」
(*゚ー゚)「そうだったんだ」
*(‘‘)*「だからどうぞなんですよ」
(,,゚Д゚)「だが女の子一人の家に、俺が住むってのは…ゴルァ」
(*゚ー゚)「いくら私と一緒って言っても」
*(‘‘)*「ダメ…ですか?」
少しだけ悲しげにしぃを見上げるヘリカル。
普段は見せない愁いを帯びた瞳。
思わず息をのむしぃ。
.
-
「ヘリカルちゃん…」
「あんな表情をしたヘリカルちゃん…」
「ヘリカルちゃんのお願いを…」
店にいた三人の客も最初は嫉妬からくる敵意を向けていたが、
いつの間にかヘリカルのお願いを断ろうとしている不届き者への怒りに変わっていた。
(;*゚ー゚)「えっと…そうだなあ」
(,,゚Д゚)「ま、いいか。
ヘリカルがそこまで言うなら。
しぃ、ヘリカルに甘えるぞゴルァ」
さすがに自分達をチラチラと見る視線に気付いて口ごもったしぃだったが、
まったく気付いていないギコがさらりと申し出を受けた。
(;*゚ー゚)「ぎ、ギコ君?」
(,,゚Д゚)「いくら圏内とはいえ女の子が一人で暮らすのは危ないからな。
俺たちはヘリカルのボディガードだ。
それに一人でこの店を切り盛りするのも大変だぞゴラァ。
おれも店番くらいならできるし、採取にも行けるからな」
*(‘‘)*「ありがとうですよギコ!」
(*゚ー゚)「それはそうだけど…」
(,,゚Д゚)「なんだしぃ。ヘリカルと一緒に暮らすのが嫌なのか?」
*(‘‘)*「いやですか?しぃさん」
不思議そうに自分を見るギコの視線。
悲しそうに自分を見るヘリカルの瞳。
憤怒の混じった例えようのない三人の客からのプレッシャー。
(*゚ー゚)「わ、私だって一緒に暮らしたいわよ!」
(,,゚Д゚)「じゃあ決定だなゴルァ」
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*(‘‘)*「しぃさんありがとうございます!」
(*゚ー゚)「ほんともう…。よろしくね、ヘリカルちゃん」
*(*‘‘)*「ありがとうですよ!」
(,,゚Д゚)「それじゃあ引っ越さないとだな。
今借りてるところが明後日で終了だから、それまでに…」
*(‘‘)*「今日からでも大丈夫ですよ」
(*゚ー゚)「それはさすがに」
(,,゚Д゚)「じゃあ今から移動するか。
二人で手分けすれば二回くらい往復すれば持ってこれるだろ」
(*゚ー゚)「……そうだね」
(,,゚Д゚)「どうしたしぃ?」
(*゚ー゚)「なんでもない!よし!やっちゃおう!」
突き刺さる視線を感じながらそれを振り払うように笑顔になるしぃ。
(,,゚Д゚)「ゴルァ!」
*(‘‘)*「楽しみなんですよ!」
その笑顔に、二人も笑顔で答えた。
そして三人の生活が始まった。
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2.
店のドアが開き、ドアベルが鳴る。
手元に集中していた店主が顔を上げると、よく知った顔があった。
途端に店主の眉間にしわが寄る。
ξ゚⊿゚)ξ「何よその顔。
失礼しちゃうわね」
( ・∀・)「おまえがアポなしで来るときには絶対良くない話題を持ってくるときだからな」
ξ゚⊿゚)ξ「あんたにおまえだなんて呼ばれる筋合いはございませんー」
( ・∀・)「おまえにあんただなんて呼ばれる筋合いはございませんー」
ξ゚⊿゚)ξ「ふん!」
( ・∀・)「へっ!」
視線を再び手元に戻すモララー。
その前に置かれているイスに座るツン。
少しだけ興味深げにモララーの手元をみる。
ξ゚⊿゚)ξ「なに?それ」
( ・∀・)「二つのアクセサリーの接合。
アクセサリーは付ける個数が限られているからな。
一つのアイテムが持っている効果をそのまま二つ合わせることができれば、
少ないアクセサリーでいまよりもっと付加効果を得られることができるようになる」
ξ゚⊿゚)ξ「…できるの?そんなこと」
( ・∀・)「昔のスキルなら無理だった。
今のスキルなら、もしかしたら出来るかもしれん」
ξ゚⊿゚)ξ「今の言い方、ただスキルレベルが上がったって言う意味じゃなさそうだけど?」
( ・∀・)「いや、スキルレベルも大事だぞ?
ただ、同じレベルでも昔と今では違うような気がする」
.
-
ξ゚⊿゚)ξ「どういうことよ」
( ・∀・)「一つのアイテムを作るとき、
俺たちは素材と大まかな種類だけしかシステム上で指定することしか出来ないだろ?」
ξ゚⊿゚)ξ「ええ」
( ・∀・)「だから昔は出来た後に本当に欲しいものと違うことがあった」
ξ゚⊿゚)ξ「細かいところではそういうこともあったわね」
( ・∀・)「でも最近はほとんどそんなことがない」
ξ゚⊿゚)ξ「時間はかかるけどデザイン通りに作るアイテムを手に入れたわけだし」
( ・∀・)「もちろんそれが一番大きい。
それなりのレベルを持ってないと使えないアイテムだしな。
でも、なんとなく、アイテムやレベル以外の要素があるような気がする」
ξ゚⊿゚)ξ「?なにそれ」
( ・∀・)「確証はないけど、この世界のシステムが更新されているような、
プレイヤーの要望に添った変更をしているような気がする」
ξ゚⊿゚)ξ「そんなことありえるの?」
( ・∀・)「さあな。
ただ、クエストの数が多量すぎるのは、
定期的に増やしているからなんじゃないかってショボンが言ってた。
だからクエストを増やすときにシステムの更新がされていてもおかしくはない」
ξ゚⊿゚)ξ「なるほどね。
もしそんなことがされているなら、試す価値はあるわね」
( ・∀・)「だろ」
ξ゚⊿゚)ξ「でも…」
( ・∀・)「ん?」
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-
ξ゚⊿゚)ξ「そんなふうに干渉しているなら、
いい加減解き放てと声を大にして叫びたい」
( ・∀・)「あー。まあ、そうだな」
ξ゚⊿゚)ξ「どこか、上の方とか、モニター越しとかで、
私達が大変なのを見てニヤニヤしてるとしたら腹が立つ」
( ・∀・)「どうだろうな」
ξ゚⊿゚)ξ「なに?」
( ・∀・)「ツンはもともとゲームとかするのか?RPGとか」
ξ゚⊿゚)ξ「これが初めて。
パズルとか音ゲーはやってたけど」
( ・∀・)「おれもだ。
だからゲーマーの気持ちってのはあんまりよく分からん。
で、この前ゲーマーのドクオが言ってたんだけどさ」
ξ゚⊿゚)ξ「なにを?」
( ・∀・)「ゲームをただ見ているのは、
特にRPGゲームを横で見ているだけなのはかなりつまらないって」
ξ゚⊿゚)ξ「だから?」
( ・∀・)「ただ見ているだけなのか…って」
ξ゚⊿゚)ξ「それで、クエストを増やしたり、干渉しているかもってこと?」
( ・∀・)「…かもな。
ドクオやショボンはなんか色々話してた。
興味があるなら聞いてみろよ。で、ほれ、」
モララーがウインドウを操作すると、ツンの目の前にウインドウが現れた。
ξ゚⊿゚)ξ「何これ」
( ・∀・)「やるよ。加工した鉱石だ。
それぞれに効果を持つ『原石』」
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ξ゚⊿゚)ξ「……わかった。
試してみる。」
( ・∀・)「おう、がんばってくれ」
ツンは腰掛けたままウインドウを消し、店のドアを意識しながら店内を見回す。
モララーはそんなツンを意識せず、ただ手元の作業に集中していた。
十数分ほどしてからモララーが顔を上げると、そこにはカップに口を付けたツンがいた。
(;・∀・)「うをっ」
ξ゚⊿゚)ξ「なによ、変な声出して」
( ・∀・)「いや、まだいたんだ」
ξ゚⊿゚)ξ「本当に失礼な男ね」
( ・∀・)「用事があるなら言えよ」
ξ゚⊿゚)ξ「別に私があんたに用事があるわけじゃないもの」
( ・∀・)「はあ?」
ξ゚⊿゚)ξ「この前買った服に似合うアクセサリーを見立てて欲しいんだって」
( ・∀・)「だれが?……って、デレさんか!?」
ξ゚⊿゚)ξ「そういうこと。
残念なことにこの店の品揃えにかなう店はなかなかないから」
( ・∀・)「そういえばこの前手に入れた鉱石をまた加工して欲しいとか言ってたな」
ξ゚⊿゚)ξ「あら、そうなの?」
( ・∀・)「ああ、新しい服にあわせるとも言ってたから、多分それだろ」
ξ゚⊿゚)ξ「帽子に付ける飾りとベルトの飾り。
あとはペンダントとかって言ってたけど」
( ・∀・)「多分ペンダントだろうな。
帽子とベルトは既製品として、出してない品で良いのがあったかな…」
いそいそと在庫をチェックし始めたモララーを見てため息をつくツン。
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( ・∀・)「なんだよ」
ξ゚⊿゚)ξ「前から聞こうかと思ってたんだけど、
あんた、分かってるわよね?」
( ・∀・)「ん?ああ、デレさんのことだろ。もちろん」
ξ゚⊿゚)ξ「ほんとに?」
( ・∀・)「ああ。正直最初は本気だったけど、途中で分かった。
よく見ればなー。だからソロなんだろうけど」
ξ゚⊿゚)ξ「分かってるなら良いけど」
( ・∀・)「おれとの会話も楽しんでるだけだろうから、
良いお客さんだよ」
ξ゚⊿゚)ξ「……あんたも結構割り切ってるのね」
( ・∀・)「人間、いろいろあるからな。
それに、……まあいいだろ」
ξ゚⊿゚)ξ「なによ」
( ・∀・)「んー。
何でもかんでも相手に合わせてやるのが優しさってわけでもないだろ。
優しさってことなら、おまえの方が優しいだろ。多分」
ξ゚⊿゚)ξ
( ・∀・)「なんだよ、そんな鳩が豆くらったみたいな顔して」
ξ゚⊿゚)ξ「いや、まさかあんたの口からそんな言葉が聞けるとは思わなかったから」
(;・∀・)「おまえこそよっぽど失礼な女だなおい」
ξ゚⊿゚)ξ「いや、だって」
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( ・∀・)「はいはい。
……ツンには感謝してるってことさ。
素直になるきっかけをくれたのは、ツンだからさ」
ξ゚⊿゚)ξ「と、突然なニバカなこと言ってるノよ!」
( ・∀・)「バカなことっておまえ、」
ξ゚⊿゚)ξ「ば、バカなことハバカなコトでよ!」
( ・∀・)「おれは本当にそう思って……」
ξ゚⊿゚)ξ「だ、ダイタイあんたがそんなコトを言うなんて似合ワナいのよ!」
( ・∀・)「……もしかしてツン、照れてる?」
ξ゚⊿゚)ξ「ベ、別にテレてなんかいないわよ。
何バカなこと言ってるわけ。
ダイタイあんたはそうやってアホなことを」
( ・∀・)「なるほどね。
誉められるのが苦手なのか」
ξ゚⊿゚)ξ「別にあたしハそんなコト」
( ・∀・)「いやー。
ギルドVIPに咲く一輪の薔薇、
その美しさで有名なツンさんにこんな弱点があったとは」
ξ゚⊿゚)ξ「あんた何馬鹿なこと言ってるの?」
( ・∀・)「…あれ?」
ξ゚⊿゚)ξ「前から馬鹿だ馬鹿だと分かってはいたけれど、ここまでとは」
( ・∀・)「あれー?」
ζ(゚ー゚*ζ「こんにちは」
店のドアが開き、デレが顔をのぞかせた。
ξ゚⊿゚)ξ「いらっしゃい。デレ」
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ζ(゚ー゚*ζ「こんにちはー。ツンさん。
今日はよろしくお願いします。
モララーさんもよろしくお願いします」
中に入るデレ。
ドアを閉めるとペコリとお辞儀をし、
二人に向かってそれぞれ笑顔で挨拶をした。
( ・∀・)「あ、う、うん。よろしくねー」
ξ゚⊿゚)ξ「こちらこそよろしく」
ζ(゚ー゚*ζ「ツンさんの服に合わせるってだけで、
ツンさんの服を買うわけでもないのに、付き合わせてしまっているわけですし」
ξ゚⊿゚)ξ「いいのいいの。
同じギルドの店だし、
ここの売り上げはうちのギルドの潤いになるわけだしね」
ζ(゚ー゚*;ζ「な、なるほど」
( ・∀・)「ぶっちゃけだなーおい」
ξ゚⊿゚)ξ「それにしても、よく似合ってるわ。
結構着る相手を選ぶ服だと思ったけど、私の目に狂いはなかった」
ζ(゚ー゚*ζ「そうですか?えへへへへ。
ツンさんにほめられるなんて嬉しいです」
ツンの前に立ってクルリと一回転するデレ。
膝下までのスカートがふわりと広がる。
ξ゚⊿゚)ξ「デレは凛とした清楚系の中に少し可愛いものをいれたり、
可愛い系の中に少しきりっと締めるものをいれると似合うわね」
ζ(゚ー゚*ζ「そうですか?
そんな風に言われたの初めてだから嬉しいです」
照れたように笑うデレ。
頬が少し赤くなっている。
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ξ゚⊿゚)ξ「ってことでモララー、似合いそうなものを見繕ってみなさい」
( ・∀・)「凄い命令形だなおい」
ξ゚⊿゚)ξ「あんたのセンスを見てやろうってのよ」
( ・∀・)「見て吠え面かくなよ」
ξ゚⊿゚)ξ「はいはい。さっさと出しなさい」
モララーがテーブルの上にいくつかのアクセサリーを出すと、
ツンとデレが顔を寄せ合うようにのぞき込んだ。
ζ(゚ー゚*ζ「うわっ。全部素敵ですね」
ξ゚⊿゚)ξ「ま、良い出来なんじゃない」
( ・∀・)「素直に認めろ」
ξ゚⊿゚)ξ「はいはい」
ζ(゚ー゚*ζ「うふふふふふふ」
ξ゚⊿゚)ξ?
( ・∀・)?
急に笑いだしたデレを不思議そうに見る二人。
ξ゚⊿゚)ξ「どうしたの?」
ζ(゚ー゚*ζ「いえ、本当にお二人は仲が良いんだなって思って」
ξ゚⊿゚)ξ「はあ?」
( ・∀・)「へ?」
にっこりとほほえんだデレ。
ξ゚⊿゚)ξ「はああああああああああああ?!」
( ・∀・)「デレさん!?」
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ζ(゚ー゚*ζ「モララーさんもいくら接客トークでも、
他の人にあんなことばかり言ってると振られちゃいますよ」
( ・∀・)「ち、違うデレさん!それは思いっきり違う!」
ξ゚⊿゚)ξ「デレ!そのことに関してはこの前しっかりと否定したでしょ!」
ζ(゚ー゚*ζ「はいはい。
何でそんなに隠したいのか分かりませんけど、ワカッテマスヨ」
( ・∀・)「この人ぜんぜん分かってなーい」
ξ゚⊿゚)ξ「違うって言ってるでしょ!
それに私にはブ…」
ζ(゚ー゚*ζ「ぶ?ぶ…なんですか?」
( ・∀・)「ぶ、ぶ、ぶ、ブー、ブー、ブー、………ん、なんだろうなー
ブー、ブー、ブー、……ん?いったい何だろう」
ξ゚⊿゚)ξ「モララー、後で殺す」
ζ(゚ー゚*ζ「ツンさんって照れ屋さんですよね」
ξ゚⊿゚)ξ「デレ!あんたいい加減本気で怒るわよ!」
ζ(゚ー゚*ζ「でも、そういう風にしか見えませんよ?」
( ・∀・)「デレさん、君の目は曇っている」
ζ(゚ー゚*ζ「結構ひどいこと言われた」
ξ゚⊿゚)ξ「言われても仕方ない。事実だから」
ζ(゚ー゚*ζ「えーでもー。あ、じゃあさっきの『ぶ』ってなんですか?」
ξ゚⊿゚)ξ「そ、それは……。
ぶ、ぶ、ぶ、ブサイクすぎて、モララーなんて私には不似合いよ!
ってことよ!」
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ζ(゚ー゚*ζ「うわぁ」
( ・∀・)「ひでぇな」
ζ(゚ー゚*ζ「ツンさん、照れ隠しとは言えそれはさすがに」
ξ゚⊿゚)ξ「うるさいうるさいうるさい!」
( ・∀・)「もうちゃんと言っちゃえよ。ブー」
ξ゚⊿゚)ξ「わー!わー!わー!WAーーー!!」
ζ(゚ー゚*ζ「ツンさん?そんな大声」
( ・∀・)「はぁ…まったく変なところで…」
ξ゚⊿゚)ξ「うっさいうっさいうっさい!
だいたいデレ!あんたが変な間違ったことを言うからおかしなコトになるのよ!」
ζ(゚ー゚*ζ「えーでもー」
ξ゚⊿゚)ξ「よし!今日は予定変更して誤解を徹底的に解くことにする!」
ζ(゚ー゚*ζ「え?いや、別にそこまで…」
ξ゚⊿゚)ξ「異論反論は認めない!」
ζ(゚ー゚*ζ「モララーさん!」
( ・∀・)「ツン!頑張って誤解を解いてくれ!」
ζ(゚ー゚*;ζ「モララーさんまで!?」
ξ゚⊿゚)ξ「さあ行くわよデレ!」
ζ(゚ー゚*ζ「わ、わかりました!
お二人は付き合ってません!
ただ仲の良いってだけで」
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ξ゚⊿゚)ξ「分かってない!
よし!どこかに腰を据えて落ち着いて話すわよ!」
ζ(゚ー゚*ζ「え?あ。いえ、この後用事が…」
ξ゚⊿゚)ξ「異論は認めない!」
ζ(゚―゚*ζ「わ、分かりました。お二人は付き合ってません」
ξ゚⊿゚)ξ「よし、本当にちゃんと分かったか落ち着いて確認する」
ζ(゚ー゚;*ζ「そんなー」
ξ゚⊿゚)ξ「よし!行くわよ!」
引きずられる様に店を連れだされるデレ。
声援で二人を見送ったモララー。
一息つきながら座り直し、そしてウインドウを開いた。
.
-
3.
同月同日。攻略層主街区。
転移門広場はプレイヤーが溢れていた。
その多くは最前線を戦い、攻略を進める攻略組と呼ばれる者達。
そして攻略組の大半を占める大手ギルドのプレイヤーは、
同じモチーフのカラーリングを施した防具や制服を着ていることが多いため、
道行く様を見ているだけでどのギルドに属しているのかが大まかに分かる。
('A`)「カラフルだよな」
( ゚∋゚)『そうだな』
( ´∀`)「モナ達も人のことは言えないもなよ」
▼・ェ・▼「きゃん!」
_
( ゚∀゚)「そうだよな」
( ゚∋゚)『特に…』
広場の隅でぼそぼそと会話する四人に近寄ってくる二人。
(´<_` )「悪い、待ったか?
兄者が出がけに駄々こねたから」
( ´_ゝ`)「待ち合わせ時間には遅れてないぞー」
('A`)「金銀コンビだからな」
(´<_` )?
( ´_ゝ`)?
( ´∀`)「そんなに待ってないもなよ」
( ゚∋゚)『大丈夫だ』
.
-
(´<_` )「なら良いが」
不思議そうに輪に加わる二人。
六人が互いの顔と装備を目線で確認をする。
_
( ゚∀゚)「今日のメンバーはこれで終わりなんだよな?
さっさと行こうぜ!」
('A`)「テンション高いなーおい」
( ´_ゝ`)「ま、気持ちは分かるが」
( ゚∋゚)『兄者が?』
( ´_ゝ`)「鉱石は必ず一種類につき二つ以上見つけるぞ!」
('A`)「ああ」
( ´∀`)「そういうこともなね」
(´<_` )「今回は先におれが使える順番なんだ」
(;゚∋゚)『いっぱい見付かると良いな』
_
( ゚∀゚)「何でもいいから早く行こうぜ」
('A`)「フォーメーションと目的の再確認が先だろ」
隣に立つクックルを見上げるドクオ。
クックルは小さく頷き、ウインドウを開いた。
( ゚∋゚)『みんな確認してくれているとは思うが、
念の為繰り返す。開いてくれ』
.
-
クックルの動きに同調する様に、五人が自分のウインドウを開く。
( ゚∋゚)『今回もリーダーはおれがやらせてもらう。
サブリーダーはドクオ。
攻略エリアの出現モンスターデータから、
毒耐性は全員、麻痺耐性はおれとドクオと兄者で。
フォーメーションはトップに兄者とドクオ。
後ろに弟者とジョルジュ。
後ろをモナーとビーグル、おれがつとめる』
クックルの声を聞きながらアイテムの確認をする五人。
腰のポーチの中、POTとクリスタルをそれぞれに見る。
( ゚∋゚)『最終目標は……』
(`・ω・´)「ここにも無かったか」
(´・_ゝ・`)「ああ」
最前線の五つ下の層。
迷宮区に繋がる森に、ギルドNSの六人はいた。
(゚、゚トソン「ですが、これで最終目標を決めることが出来たと思います」
( ゚д゚ )「何か掴んだのか?」
(゚、゚トソン「はい」
行き止まりの戦闘エリア。
大きな樹の情報を読んでいたトソンが振り返り、
ずれていない眼鏡の位置を直しながらニッコリと微笑んだ。
从 ゚∀从「さすがトソン。
で、どうすればいい?」
.
-
(゚、゚トソン「まずは二つ前の安全エリアまで戻りましょう。
そこで先程とは別の道を進んで、南西エリアの巨木まで向かいます。
ルート的には遠回りになりますが、途中で一件採取を行います。
その後辿り着いた南西の大樹、その根元でアイテムが得られるはずです」
<_プー゚)フ「もう南西で良いのか?
確かショボンから送られてきた情報じゃあ…」
(゚、゚トソン「はい。クエストの内容から鑑みて、
最終的に南西の巨木で拾えるのは確実。
ただそれまでにやることがまだ確定されていないとのことでした。
そこで今までにVIPの皆さんが行ったデータと、
情報屋さんから提供されたデータを精査して、
ショボンさんのご意見も参考に本日のルートを決めさせてもらいました。
じつは先程の安全エリアでショボンさんとメッセージさせていただいてまして、
この南エリアの巨木での結果次第では次に南西に向かうのが、
正しいルートであろうという結果になっています」
クエストの問い掛けに、笑顔で答えるトソン。
(`・ω・´)「一発で正解だったってことか」
( ゚д゚ )「やるな」
(゚、゚トソン「実は偶然なんですけどね」
(´・_ゝ・`)「は?」
(゚、゚トソン「いくつか選定した中で、このルートは四番手候補だったんです。
ただ、このルートを潰せば確実なルートを導き出せる予定だったので。
元のルートではこの後南東、そして北東の巨木に向かうつもりでしたから」
(;`・ω・´)「あ、そうだったんだ」
从 ゚∀从「正直に言わなくていいのに」
(゚、゚トソン「偶然も実力です」
<_プー゚)フ「(最近素が出てきたよなこいつも)」
.
-
(゚、゚トソン「何か言いましたか?」
ナイフを構えてニッコリと微笑むトソン。
<_プー゚;)フ「いーえ何も言ってません」
(;゚д゚ )「とりあえず早く手に入るならそのほうが良いから行くか」
(`・ω・´)「おう」
<_プー゚)フ「行くぜ行くぜ行くぜ!」
駆け出すエクスト。
(`・ω・´)「おれが先だバカ野郎!」
続くシャキン。
(´・_ゝ・`)「まったく…。ハイン、行くぞ」
从 ゚∀从「おう」
やれやれといった仕草で続く二人。
( ゚д゚ )「トソン、行けるか?」
(゚、゚トソン「はい。行けます」
周囲を確認しながら二人が続く。
その二人がエリアを移動したとき、
既に一番前の二人は戦闘を始めていた。
.
-
ミ,,゚Д゚彡「はっ」
完全武装をしたフサギコが流れるように身の丈二メートルを超える牛頭男の懐に入る。
自分を狙った棍棒が空振りして地面を叩くのを見向きもせず、
オレンジ色に輝いた刀を縦に横にと三閃した。
ポリゴンに変わる牛頭男。
剣技後の硬直を起こしたフサギコを狙って針を向けた巨大蜂。
羽音を聞いてフサギコは自分が狙われているのが分かったが、
そのまま動かずにいた。
川 ゚ -゚)「!」
呼吸のみの気合い一閃。
薙刀の先が蜂の肩羽を切り裂く。
バランスを崩した蜂が、自分を攻撃したクーに向きを変える。
しかしそれを狙ったかのように薙刀はもう片方の羽を根元から切り裂く。
地面に落ちる巨大蜂。
その頭から胴体を薙刀が切り裂くと、
その身体はポリゴンへと変わった。
(;^ω^)「相変わらずの戦い方だおね」
川 ゚ -゚)「何か問題があるか?」
(;^ω^)「いや、それは無いけれど」
別の場所で牛男を倒したブーンが近寄る。
ミ,,゚Д゚彡「二匹を分断して倒すのはお見事だから」
二人に笑顔で近寄るフサギコ。
川 ゚ -゚)「二匹で行動する【ツイン・ビーヒール】とはいえ、
うまく誘導すれば分断することは可能だ。
先に一匹倒せば、余裕も生まれるしな。
ま、これも二人がそれぞれ一匹ずつ牛男を倒すことが出来るからだ」
.
-
( ^ω^)「これくらいのレベル差があれば大丈夫だお」
ミ,,゚Д゚彡「何度も倒して経験も積んでるから」
今三人がいるのは、
同時進行でクエストを行っている仲間達がいる上層階からは
十層近く下の階の迷宮区だった。
( ^ω^)「それで、さっき宝箱から取ったのがそうなのかお?」
川 ゚ -゚)「ああ、これが『鍵』だ」
クーがウインドウを開いて操作すると、手のひらの上に水色のカギが現れた。
覗き込むブーンとフサギコ。
ミ,,゚Д゚彡「普通のカギだから」
( ^ω^)「形はよくあるタイプだお」
川 ゚ -゚)「情報を出すと【迷宮の継手1】と名前が出るから、
正解で間違いないはずだ」
( ^ω^)「じゃあ後は、他の皆がゲットできればクリアだおね」
川 ゚ -゚)「そういうことだ」
ミ,,゚Д゚彡「戻るから!」
川 ゚ -゚)「戻る際に採取していくリストがあるから、
寄り道するぞ」
取り出した紙に書いてある内容をチェックするクー。
横からブーンがそれを覗く。
( ^ω^)「……このリスト作ったのクーだおね」
川 ゚ -゚)「ショボンにはOK貰ってあるぞ」
ミ,,゚Д゚彡「……」
視線で『問題があるか?』と問いかけるクーに何も答えない二人。
川 ゚ -゚)「では行くか。
まだ他の組は『鍵』を手に入れていないようだが、
早く戻るにこしたことは無いからな」
ニッコリと微笑んだクーの後ろを、
愛想笑いを浮かべた二人が続いた。
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