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('A`) 本日も旅日和のようです

1名も無きAAのようです:2015/06/22(月) 00:04:23 ID:1Llz5Phw0
何処かへ行こう。

特には決めてないけれど。

2名も無きAAのようです:2015/06/22(月) 00:06:17 ID:1Llz5Phw0

甲府駅構内の駅弁屋のおばちゃんたちは、それはもう元気だった。

やれスマップのあの人に似てるだの、やれイケメンだの、大声で捲し立ててくるもんだから、周囲の視線も相まってかなり恥ずかしかったが、そこまで褒められては悪い気はしない。
だからというわけではない。元々聞くつもりだったオススメを聞くと、牛肉弁当か穴子弁当、と自信満々に言うので、プリップリと評された穴子弁当を身延線のお供にすることを決めた。

今は午後の1時過ぎ。富士に弁当の霧がたつ。

3名も無きAAのようです:2015/06/22(月) 00:07:31 ID:1Llz5Phw0


('A`) 本日も旅日和のようです

4名も無きAAのようです:2015/06/22(月) 00:08:15 ID:1Llz5Phw0


1.身延線

5名も無きAAのようです:2015/06/22(月) 00:09:16 ID:1Llz5Phw0

('A`;)「うおっ、すげぇなこれ!」

と、声を出しそうになった。湯気を腿の上から立ち昇らせ、穴子と生姜の良い香りを車内に充満させている時点で迷惑極まりないのに、だ。
人も少なかったので車内で食べようと思ったのがいけなかった。みなさま、すみません。

反省と食欲は、しかし比例していく。

弁当からヒョロっと出た黄色い紐を引っ張ると、弁当から湯気がじゅわあと吹き出て、五分ほどで食べ頃の温かさになるという、なんとも素敵なギミックを持つこの弁当。
腿も鼻も食欲も、そして弁当もよくよく温った頃、限界と言わんばかりに箱を解く。

おお、これは、いいものだ。

6名も無きAAのようです:2015/06/22(月) 00:09:20 ID:lBQ2q0TQ0
旅行記か
支援

7名も無きAAのようです:2015/06/22(月) 00:10:53 ID:1Llz5Phw0

内容は至ってシンプル。味付けご飯に、穴子の切り身が2枚乗っているだけ。漬物も併せて乗っていただろうか。いや、それよりも。

('A`*)「おばちゃんの評価に偽り無しだな、こりゃ」

なんとも艶やかな身である。プリップリとはよく言ったものだ。
たまらず景気良い音ともに箸を向かわせる。感触がほとんど無いまま、その身は解れた。
期待は留まることを知らず、膨れ上がる。

はて、これはそうだ、弁当だったのだ、そう思い返すのは食べ終わる頃のお話。
一口含めば、作りたてと言われても信じた程に。

('A`*)「ホフホフ。あったけぇ」

咀嚼と共に、身延線が動き出す。

8名も無きAAのようです:2015/06/22(月) 00:11:57 ID:1Llz5Phw0

正直、鰍沢口駅で降りるまで、車外の風景だとか所要時間だとか、外界の事は全く覚えていない。ただただ美味であった、という感想だけだった。
生姜の香り引き立つ炊き込みご飯と穴子の相性はそれは素晴らしく、腹の具合も丁度良い。
そんな夢見心地が解かれたのは、腰の曲がるおばあちゃんに話し掛けられてからだ。

('A`;)「えっ?富士行き?あー、えーと、あっ、こっち側のホームですね」

(;'A`)ノ「…あ!間違えました!こっちです、こっち!あの列車です!」

(;'∀`)ノシ「いえいえ、すみませんでした、お気を付けて!」

( '∀`)ノシ

( '∀`)ノ

( '∀`)

(>'A`)>

こうして、本来ならば乗る筈であった列車は、こちらを振り返る事無く元気に発車して行った。

9名も無きAAのようです:2015/06/22(月) 00:14:05 ID:1Llz5Phw0

('A`)「結果オーライと考えよう」

私を置いて行った列車を脇目に、私はひとつふたつと駅を越す。
特急ふじかわの乗り心地は、軽快。心は軽く、財布も軽く。

('A`)「言うて心はそれほど軽く無い」

後悔先に立たず。おばあちゃんを1人救えたのだから、良しとしよう。座り心地は確かに良いのだし。

('A`)「何より人が少なく、尚且つそのまま静岡まで行けるってのがね」

身延線の終着は富士駅だが、特急に限りそれが静岡駅まで伸びる。快速の無い東海道線に於いて、この延長は大きい。
穴子弁当はここで食すのが1番の様だったが、先と同じで先には立たぬ。
柔らかいシートの低反発を背中に感じ、窓を見る。心安らぐ緑が目の前を流れ行く。

('A`)「はぁ〜満足満足」

富士川の急流も追い付けぬ速度で、特急列車は海を夢見る。

ああ。東側に座っていれば、緑だけで無く富士山も望めたというのに。
それに気付いたのは、これを綴る今更になってだった。


1.身延線 終

10名も無きAAのようです:2015/06/22(月) 00:14:36 ID:HZAojWlA0
おつ

11名も無きAAのようです:2015/06/22(月) 00:15:53 ID:1Llz5Phw0
次回に続く…といいなっ

支援嬉しいですっ!ありがとうございますっ!

12名も無きAAのようです:2015/06/22(月) 00:29:59 ID:k0wMfO6k0
こういうの好きよ
おつ!!

13名も無きAAのようです:2015/06/22(月) 00:54:54 ID:Op1ZlmEM0
旅ものすごく好き
次も期待して待ってる!


14名も無きAAのようです:2015/06/22(月) 01:17:45 ID:ABMtQLBM0
乙 飯テロだな

15名も無きAAのようです:2015/06/22(月) 04:48:17 ID:h2wAG7mU0
いいね…旅…

16名も無きAAのようです:2015/06/22(月) 09:10:19 ID:YYvMLg120
いいねぇ……旅……
いきたくなっちまう!

17名も無きAAのようです:2015/06/22(月) 10:15:20 ID:gF4f80Ok0
めっちゃ好き
大好き

18名も無きAAのようです:2015/06/22(月) 11:48:16 ID:gByhMQAo0
いいねえいいねえ

19名も無きAAのようです:2015/06/23(火) 19:39:04 ID:SbEvhp2.0
旅はいいよねぇ

20名も無きAAのようです:2015/06/24(水) 14:59:22 ID:O/o5rHsI0
みなさん、コメントありがとうございます!
まさかこんなにコメント貰えるとは思ってもおりませんでした!
これから長らくお付き合い頂ければ幸いです!

ただいまから2話目を投稿しますっ。

21名も無きAAのようです:2015/06/24(水) 15:03:44 ID:O/o5rHsI0

無愛想なおっちゃんが1人で見張る改札をくぐる。
振り返れば、駅の外観。まるで民宿だ。
墨で書かれた看板に“駅”と付いていなければ、もしくは後ろに列車が見えなければ、そこは駅には見えないだろう。

駅向かいには広大な緑山、中腹に岩肌…、いや、あれは墓地だろうか?
流れる川と囀る山鳥の声が耳に入る。
空気が、美味い。

道路を挟んだ向かい側。
何を売っているのかよくわからない古びた商店には、5、6匹の猫がたむろし、寝転び、店主であろう前掛けを掛けたおばあちゃんを囲んでいる。
店前に掲げられた広告看板は茶色い錆の進行を一身に受けている、ボンカレーとかそういう類の、いわゆるレトロな広告だった。

こんなのどかな雰囲気は、都会では味わえまい。

('A`)「でもここ、東京なんだよな」

そう、ここは東京都最西端。山に囲まれた西の最果て。

青梅線終着駅。

奥多摩駅。

22名も無きAAのようです:2015/06/24(水) 15:04:31 ID:O/o5rHsI0

2.青梅線

23名も無きAAのようです:2015/06/24(水) 15:06:37 ID:O/o5rHsI0

中央特快に揺られる事1時間。立川も拝島も全て過ぎ去り、到着したのがここ、青梅駅。
ここで奥多摩行に乗り換える為に降車したわけなのだが。

(;'A`)「な、なんだここは」

ほんの少し前の駅まで、普通の、何を普通と置くかにもよるが、とにかく普通の駅だったのだ。
だがこの青梅駅はどうだ。
まるで別空間、別世界。
時代がここだけ止まっているかの様な、そんな駅だった。

“室合待”
そう書かれた小さな木造の小部屋がホームに2つ。
小さなステンドグラス風の窓が付いている。
下町に有りそうな、そんな風景。

看板も看板で、どれもこれも年季がいっている。
昭和の街、青梅。駅の造りも拘りを感じる。

('A`)「居酒屋半兵衛に飾ってあっても見劣りしないな」

過去に耽る私を、奥多摩行きの列車は、間もなく警笛と共に呼び込んだ。

24名も無きAAのようです:2015/06/24(水) 15:08:05 ID:O/o5rHsI0

時間があれば全駅降りてみたかった。
そう思えるような魅力ある駅が、青梅駅以西には続いていた。

緑がここまで美しい山を見たことがあっただろうか。やまびこもすり抜けるような山々に囲まれた、御嶽駅。

小綺麗にまとまった可愛らしい姿をした改札口。割りと近代的な様相をしていたのは、川井駅と古里駅。

昔ながらの姿を保つ鳩ノ巣駅も、上の2つとはまた違って良い。

('A`)「軍畑駅は?」

知りません。

25名も無きAAのようです:2015/06/24(水) 15:09:58 ID:O/o5rHsI0

('A`)「そしてここが、冒頭の奥多摩駅と」

さて、何の気無しに左側、ええと、南を見ているから、つまり東側に歩いてみる。
今日は色々回った後の奥多摩だったので、もう夕方近く。あまり奥地へは行けないという事で、それなりに栄えている方に足が向いたのだと思う。

小腹も空いていたので、近くにあった蕎麦屋に入る。年季の入った渋いお店だった。
その割にはビーフシチューだとかナポリタンだとか、蕎麦屋にしては幅広いメニューを揃えていた。

('A`)「無難にたぬき蕎麦にするか」

奇抜なメニューも面白そうだが、万が一、ということもある。
出てきたそれは、至って普通のたぬき蕎麦。わさびが名産と言う奥多摩だが、なるほど、確かに良い風味だ。
聞けば蕎麦は自家製だとか。するすると口の中を潤してくれる。天かすの砕ける音が心地良い。
特別美味い、とは言えないけれど、郷土の味と言うのは何とも良いものだ。

途中、近所の人と思しきおっちゃんが、その嗄れ声で景気のいい笑いとともにやってくる。
暑いね、いやなに、この間の、そうかそれで、これは旨いぞ、がははは。

断片的に聞こえてくる話し声。店のおばちゃんも集まりだす。店内で繰り広げられる井戸端会議。
これが、たまらなく好きだ。

26名も無きAAのようです:2015/06/24(水) 15:11:14 ID:O/o5rHsI0

('A`)「さーて酒屋は、っと」

腹に8分目程食物を拵え、食後の運動がてら更に東へと歩く。
私は旅に来た時、お土産をほとんど買わず、なるべく郷土料理や地酒をいただく事にしている。
お土産なら他所でも買えたりする。しかし、飲食はその土地でしか味わえない。
まあ、地酒は他でも買えるけれど、やっぱりその土地の人から買って、その土地で呑んでこそじゃないですか。

('A`)「お、あったあった」

歩いて直ぐの交差点。その一角のスーパーマーケット。店内には数人の外国人客と地元のおっちゃん、そしてレジを打つおばちゃんが見える。
自動ドアを潜ってさっそく地酒を探す。入った目の前左側、それは良い感じで冷えていた。

27名も無きAAのようです:2015/06/24(水) 15:13:41 ID:O/o5rHsI0

('A`)「はい、蓋は開けちゃってください」

みんなここに来たらこれを飲んでいくのよ、と閂を持ちながら、笑いながら店のおばちゃんは言う。
明治復刻地ビール。石川酒造から出ている“JAPAN BEER”であるとラベルには書いてあるが、私はその辺りの知識は疎い。

店を出てさっそく瓶に口を付ける。
まず、麦の苦味がぶわっと口に広がった。後味はふっと漉くようだ。喉に入れれば、ふうと爽やかな溜息が出た。
辛い物と合いそうだ。

('A`)「つまみ買えば良かった…」

だが残念、そう思った頃には電車の中。

奥多摩を発つ頃には、外は徐々に暗さを纏い、眠りへと就く準備を始めている。

ほろほろ酔うころ、戻るは東のみやこみち。
ころろ、ころころ、蛙鳴くから帰りましょ。
ごらん、まあるいお月様。夢見てる、ささ、夢見てる。

('A`)「酒は私の子守唄〜」

がらんどうの車内で、ならばと一人替歌を口ずさむ。
夜も更ければ、今日の旅も仕舞いだ。


2.青梅線 終

28名も無きAAのようです:2015/06/24(水) 15:18:47 ID:O/o5rHsI0
小説には入れられませんでしたが、駅出て正面右手側に、川へと続く遊歩道がありました。
細い階段道ですが、降りると綺麗な川を間近で見られます。
また、駅出て右の道を進めば、そこを高い橋から見下ろせるようです。
橋の方は時間の関係で回れませんでしたが、大変眺めがよさそうでした。

奥多摩に行った際は是非寄ってみてください。

29名も無きAAのようです:2015/06/24(水) 16:02:27 ID:jHEzIHRY0
地の文がねぇ、素晴らしいね
情景が目に浮かぶよ

30名も無きAAのようです:2015/06/24(水) 16:29:54 ID:UTZP23IU0

御嶽駅近くにある「渓流」って中華料理がおすすめ

31名も無きAAのようです:2015/06/24(水) 18:05:25 ID:obe9kh4I0
おつおつ
実体験かな?

32名も無きAAのようです:2015/06/24(水) 19:13:51 ID:RB62bV6s0
おつー
東京にもそんなド田舎なとこあんだねー知らんかった
突発で行ってみた行き当たりばったりな感じが好き

33名も無きAAのようです:2015/06/24(水) 19:45:31 ID:/K9LXNuM0
のんべぇだらりの人かな?
乙。

34名も無きAAのようです:2015/06/24(水) 20:31:54 ID:3UBsQGxI0
みなさんありがとうございます!

>>29

35名も無きAAのようです:2015/06/24(水) 20:43:13 ID:3UBsQGxI0
途中で送ってしまった…

>>29
一人称視点の地の文が自分にあってるのだなー、と思っています。
これが三人称視点になると…お察しな出来映えに。

>>30
次青梅線巡りする時はそこで食べてみますっ!

>>31-32
フリーパスだけ買って、後は家出るまで行き先も決めてない実体験の旅を元にしています。
今後はまた趣の違う話も書いていく予定ですが、基本ノンフィクションです!

>>33
小説は総合スレに短編を一度書いたことがあるだけですので、おそらく違う方かと!

36名も無きAAのようです:2015/06/26(金) 12:10:54 ID:XlB8KTmE0
地元がリアルに描写されると別の場所みたいだった…



37名も無きAAのようです:2015/06/26(金) 16:07:27 ID:gLxXri.Y0
面白い。乙

甲府駅の駅弁で穴子弁当か…甲府駅ではよく乗り換えするけど、改札内では見たことないなぁ
今度降りたときに改札出て探してみるか

38名も無きAAのようです:2015/06/26(金) 23:00:35 ID:aT9OJWDc0
>>36
まさかもう地元の方がいらっしゃるとは!その節はお邪魔させていただきましたm(_ _)m

>>37
改札内に屋台がありましたよ!
改札入って右手側でしたが、この前友人が行った時はおばちゃんじゃなくお兄さんだった、なんて言っていたので、もしかしたら屋台自体いつもいるわけではないのかもしれません。

さてっ、これから3話目を投稿します!

39名も無きAAのようです:2015/06/26(金) 23:02:02 ID:aT9OJWDc0

散歩が趣味、と言うと、大概友人たちは同じ様な顔をする。そして口を揃えて言うのだ。
老人の様だ、と。

何を言うか。若いからこその散歩だろう。
いやもちろん、ご高齢者を馬鹿にしている訳ではないのだ。現に私は祖父にこう言われた。

元気に動ける内が花だ、と。
萎み枯れては蝶も舞わぬ、色が見える内に外へ出よ、と。
だから私は今日も征く。あの2つの大橋を、この2つの茎を持ってして。

('A`)「まあ、そんな事おじいちゃん1言も言ってないんですけどね」

4月の嘘は青空を衝く。
さあゆかん。神戸空港が待っている。

40名も無きAAのようです:2015/06/26(金) 23:02:48 ID:aT9OJWDc0

3.神戸大橋・神戸スカイブリッジ

41名も無きAAのようです:2015/06/26(金) 23:03:35 ID:.iU8H.as0
お?きてる!しえん

42名も無きAAのようです:2015/06/26(金) 23:05:27 ID:aT9OJWDc0

兵庫と言えば神戸だが、駅で言えば栄えているのはむしろ三宮だ。
だからだろうか、阪急と阪神は共にここの駅を、神戸三宮、と命名している。
さて、その三宮から南へ伸びて行くのは、ポートライナーと呼ばれる無人運転システム搭載の列車が進む路線。
平日の朝には、海に浮かぶ人工島へ大量のサラリーマンを運んで行く。
そんな路線の横を、今日私は歩いているのだが。

(;'A`)「ようやく橋かよ…」

無理も無い。
三宮からならまだしも、今日はその更に北、山麓の新神戸駅から歩いて来ているのだ。
道中日本一短い国道を通った気もするが、今はさして興味は無い。なぜなら、今日の目的は、橋なのだから。

43名も無きAAのようです:2015/06/26(金) 23:06:37 ID:aT9OJWDc0

('A`)「果てしてここは使われているのか?」

第1の大橋、神戸大橋。本島とポートアイランドを結んでいる。
その直前というべきか、始点というべきか。海を渡る前にあるのが、ここポートターミナル駅。
船の発着地の様相をしているが、みどりの広場と呼ばれるテラスはひどく寂れている。
道路に掲げられた標識に書いてある行先地も、何やら消された跡が残り、今や上海の2文字だけ。

('A`)「早朝汽笛が鳴ってたってことは、少なからず船は発着してるんだろうけど」

ガラス張りの入口に人影は見えない。不気味に思い夜に近付くのはよそうと心に誓う。
さあ、ともかく、ようやく大橋だ。

44名も無きAAのようです:2015/06/26(金) 23:09:51 ID:aT9OJWDc0
と、意気込むのも束の間。

ポートアイランドにはあっさり着いてしまった。
大橋とは名ばかりに、いや、実際大橋で差し支えは無いと思うのだが、距離にして300m。新神戸から来たと考えると、あまりに短い距離だった。

('A`)「それでも、自分の足で海を渡るってのはいい気分さね」

思えば、海を徒歩で越えるのはこれが初めてか。

ポートアイランド上陸の際、この場合は何処からが上陸と言えるのだろう、橋の境か、陸の真上か、それとも橋の中間部分かなどと考えを巡らせ、数分考えた後、至極どうでもいいという結論に至り、無事その先の大きな交差点へと辿り着いた。

(;'A`)「なにもねー…」

そう、特に何も無いのだ。
ポートアイランドという名前からしたら何となく観光地の様に聞こえるが、実際観光地とは言い難い気がする。
企業本社、大学、研究施設、ホテル、公園。それらが大半を占めている。
見民家が殆ど見られなかったのも覚えている。

45名も無きAAのようです:2015/06/26(金) 23:10:53 ID:aT9OJWDc0

>見民家が殆ど見られなかったのも覚えている。


>民家が殆ど見られなかったのも覚えている。

46名も無きAAのようです:2015/06/26(金) 23:13:23 ID:aT9OJWDc0

潰れたと思われる古い弁当屋を眺め、閑静な公園内を突っ切り、立派なホテルを見上げつつ、ガリガリ君を歯で砕きつつ。

耳に付いた声援の方に誘われ行けば、少年野球の練習試合。
ふらふらと大通りを目指してみれば、巨大な駐車場とIKEA、そして巨大な公園。
鳥の声に呼ばれるままに、神戸花鳥園(現:神戸どうぶつ王国)の門をくぐったり。

散歩だから許されるこの紆余曲折は、本人にしてみれば楽しいものだが、文章に起こすと何と味気無い事よ。それが散歩の良さでもあるのだが。

待て、そもそもこれは旅行と言えるのか。
まあまあいいじゃないの。頭を横に振って、それよりも、と前を見据える。

(;'A`)「…こりゃあ、想像以上だわ…」

目の前に聳えるのは、太い一本道の、山だった。


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