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乱暴粗悪なディテクティブのようです その2
322
:
名も無きAAのようです
:2015/06/22(月) 23:24:32 ID:upVYtbTIO
〜〜〜
高岡探偵事務所
リビング
(;'A`)
【+ 】ゞ゚) パクパク
( っ=川 o
 ̄ ̄`ーー―′ ̄\
【+ 】ゞ^)「いやぁ、なかなか良いじゃないか助手君!」
(;'A`)「は、はぁ……どうも」
(;'A`)(なんでこの人ご飯まで食べてるんだ……いや、作る僕も僕だけど)
323
:
名も無きAAのようです
:2015/06/22(月) 23:25:48 ID:upVYtbTIO
【+ 】ゞ゚)⊃「おかわり!」
('A`)「は、はい」
('A`;)(図々しい……)
【+ 】ゞ゚)「この、たいしてうまくもないが、食べることに嫌悪感を抱かないまさに普通のご飯、なかなかできるものじゃないよ助手君!」
(;-A-)「そりゃどうも」
【+ 】ゞ゚)⊃=「おお、これは失敗した出汁巻き卵!焦げの部分が哀愁と苦みを引き立て、単に甘すぎない人生のような──」
(;'A`)(ホントに医者かよこの人……)
324
:
名も無きAAのようです
:2015/06/22(月) 23:26:31 ID:u0aCZl2g0
待ってたぜよ!支援!
325
:
名も無きAAのようです
:2015/06/22(月) 23:26:53 ID:upVYtbTIO
【+ 】ゞ゚)⊃「みたまえ、この味噌汁!ネギがつながっている!口内でその煩雑な存在を主張する姿勢!素晴らしいな!」
(;'A`)(あ、この人左利きだ……)
【+ 】ゞ^)「プファー、いつも高級なお店でしか食事を取らない私からすればここはなんという穴場か!」
('A`)「……」
【+ 】ゞ゚)「美味くもなければ不味くもない!すごいぞ!助手君!」
('A`)「あの……」
【+ 】ゞ゚)「さ、お茶!はやくしてくれ、口直しがしたい」
('A`)「……」
326
:
名も無きAAのようです
:2015/06/22(月) 23:27:45 ID:upVYtbTIO
【+ 】ゞ゚)「どうしたのだね、助手君。早くお茶を入れたまえ」
('A`)「……あんた」
('A`)「ホントに"医者"か?」
【+ 】ゞ゚)「……」
327
:
名も無きAAのようです
:2015/06/22(月) 23:29:14 ID:upVYtbTIO
【+ 】ゞ^)「なんだね、整形する気になったのかい」
('A`)「その言動や人を馬鹿にするような人が、医者なんて思えない」
【+ 】ゞ^)「ハハハ、それは世間知らずというものだよ助手君。世の中にはいろんな──」
('A`)「"利き手"」
【+ 】ゞ゚)「……」
(-A-)「前に聞いたことがあるけど、医療器具は右利き用に作られているはず」
('A`)「利き手でないほうで箸を使うなんて無理だ。だから──」
【+ 】ゞ-)「ほう、なるほど。ハインめ、こんな助手君を囲っていたとは」
('A`)「……?」
328
:
名も無きAAのようです
:2015/06/22(月) 23:29:59 ID:upVYtbTIO
【+ 】ゞ゚)「食事を取る私の所作から利き手を推測し、職業上必須な道具との親和性を考慮することによってできたロジック」
【+ 】ゞ^)「素晴らしい」
(;'∀`)「そ、そうでもないけど……」
【+ 】ゞ゚)「まるで私が今食べた"食事"みたいだ」
(;'A`)「なっ」
329
:
名も無きAAのようです
:2015/06/22(月) 23:31:24 ID:upVYtbTIO
【+ 】ゞ゚)「君の理論は、左目でカメラのファインダーを覗くプロのカメラマンなどいないという風に聞こえるな」
(;-A-)「あっ……そ、それは」
【+ 】ゞ゚)「なるほど、カメラのファインダーは本体の中央よりも左側にあり、右目で覗いている場合には左目の視界が開けているが、左目で覗くとカメラ本体が顔に被さって視界を遮られる」
(;'A`)
【+ 】ゞ゚)「ふむ、オートバイで例えれば、右利きが前提の設計であり、スロットル操作が右手であるし、車体の左側から右手で引き上げなければメインスタンドがかけられない」
【+ 】ゞ゚)「だからプロや上手な人はいないと、そう言いたいんだね?」
(;'A`)「いや、それは……」
330
:
名も無きAAのようです
:2015/06/22(月) 23:35:58 ID:upVYtbTIO
【+ 】ゞ-)「そういう人間が、プロになるためにどうするか」
=⊂【+ 】ゞ゚) スッ
=⊂【+ 】ゞ゚)「"矯正"するんだよ」
(;'A`)(両きき……!)
(;-A-)「……だ、だからってあんたが医者かどうかは――」
【+ 】ゞ^)「うん、ま、モグリなんだけどね私。免許持ってないし」
(;'A`)「は?」
【+ 】ゞ゚)「でも腕はすごいよー、整形する?」
(;-A-)「……結局、医者じゃないのかよ……」
331
:
名も無きAAのようです
:2015/06/22(月) 23:38:00 ID:upVYtbTIO
【+ 】ゞ^)「ハハハ、それにしても全く、借金も返さずに男を連れ込んでなにを考えているのやら……」
(;'A`)「借金……保釈金の?」
【+ 】ゞ゚)「うん、まさか保釈金と身元引受人のお願いをされるなんて思ってもみなかったよ」
('A`)「保釈金ってそんなにかかるのか……ハインは、いくら借りたんですか?」
【+ 】ゞ^)「おや、助手君は知らなかったかい?彼女、先日の件以外にも私にけっこうな額の借金があるんだよ」
(;゚A`)(ハインが……けっこうな額の借金を……!?)
('A`)(なんだろう、すごく納得できる)
332
:
名も無きAAのようです
:2015/06/22(月) 23:39:16 ID:upVYtbTIO
( A )「──いくらですか?」
【+ 】ゞ゚)「ん?」
('A`)「僕は……ハインにたくさん助けられた。だから、困ってるならなんとかしてあげたいと思っている」
【+ 】ゞ゚)「ほう」
(-A-)「100万でも、200万でも……!なんとかお金を作って、借金なんて返」
【+ 】ゞ゚)「"10億"」
(゚A゚)「…………え」
【+ 】ゞ^)「10億円、払ってくれるんだね?」
乱暴粗悪なディテクティブのようです
第六話 『心臓』 前編
333
:
名も無きAAのようです
:2015/06/23(火) 00:06:27 ID:BBq2DyFcO
〜〜〜
(;;゚A゚)「ど、どういうことですか……!?10億なんて借金、とても個人が抱えるものじゃ……」
【+ 】ゞ゚)「んー、もう10年前になるかなぁ。とっても器用な私が、なんとも不器用な男からハインのことを聞いたのは」
───
──
─
10年前
バー ディテクティブ
【+ 】ゞ゚)「いらっしゃい、茂名山さん。新しい酒が入ったよ」
( ´д`)「……オサム、それ山崎の50年じゃないか……どうやって手に入れたんだモナ……100本も回らんだろう」
【+ 】ゞ゚)「医者の仕事がうまくいってね、余興さ」
( ´∀`)「本当にお前は器用な奴だモナ……」
334
:
名も無きAAのようです
:2015/06/23(火) 00:07:39 ID:BBq2DyFcO
【+ 】ゞ^)「飲む?ワンショット8万に負けとくけど」
( ´∀`)「ニコラシカをくれモナ」
【+ 】ゞ-)「ちぇ」
【+ 】ゞ゚)「ニコラシカねぇ……良いことでもあったの。子供でも生まれたのかい」
( ´∀`)「バカいうな……いや、あながち否定できんモナ」
【+ 】ゞ゚)「?」
( ´∀`)「どちらかというと決意って意味を込めたかったんだけど、祝い事ねぇ……」
【+ 】ゞ゚)「50過ぎて独身の鬼の茂名山にも春が来たって?」
( ´∀`)「いや、ありゃ台風だ」
【+ 】ゞ゚)「?」
( ´∀`)「またそのうち……連れてくるモナ」
─
――
―――
335
:
名も無きAAのようです
:2015/06/23(火) 00:09:15 ID:BBq2DyFcO
〜〜〜
茂名山探偵事務所
((从 `∀从))「離せ、離せっつってんだろ!」
( ・□・)「はいはい、大人しくしてくれ」
( ´∀`)「……モナモナ、どうしたの内藤くん」
( ・□・)「すみません、茂名山さん。"依頼"です」
(´∀` )「あっそう、帰っていいよ」
( ・□・)「そういわずに。ほら」
从 ゚∀从「っつ……んだよ、白豚の奴、親使ったと思えばこんなとこに連れてきやがって……」
( ・□・)「息子のライバルには少々お転婆すぎるからね、ちょうどいいところに連れてきたんだ」
336
:
名も無きAAのようです
:2015/06/23(火) 00:10:31 ID:BBq2DyFcO
从 ゚‐从「……まさかとは思うが、この腑抜けた顔のおっさんがヨットスクールもびっくりなスパルタ教育を施してくれるってんじゃねぇだろうな」
( ・□・)「ハハハ」
从#゚∀从「目が笑ってねぇぞ、おい──」
( ´∀`)「おい、どういうことモナ、内藤」
( ・□・)「あ、すみません。いつも息子がこの子に泣かされるっていうんで、叱ってもらおうかと」
(´∀` )「そうか、帰れ」
( ・□・)「"後見人"になってほしいんですよ」
( ´∀`)「?」
337
:
名も無きAAのようです
:2015/06/23(火) 00:11:44 ID:BBq2DyFcO
( ・□・)「この子……高岡ハインっていうんですけどね。息子と同じ施設で暮らしているんです」
( ´∀`)「両親は?」
( ・□・)「亡くなりました」
( ´∀`)「……」
( ・□・)「信頼できる大人っていうのが、あなたくらいしか浮かばなくてね」
( ´∀`)「……うーん……」
( ・□・)「もちろん報酬は払いますよ」
( ´∀`)「いや、金の問題じゃ──」
( ‐□‐)「"M資金計画"」
( ´‐`)「!」
( ・□・)「あなたが警察を辞めた後、ようやく突き止めましてね。その情報をお渡しします」
( ´∀`)「……」
338
:
名も無きAAのようです
:2015/06/23(火) 00:13:22 ID:BBq2DyFcO
( ・□・)「一か月後にまた来ますよ。その時に息子がいじめられていなければ依頼達成としましょう」
( ´∀`)「わかったモナ」
( ・□・)「ありがとうございます」
( ´∀`)「ただひとつ、条件があるモナ」
( ・□・)「ん?なんですか?」
( ´∀`)σ「君の──」
从 -∀从「おい、おっさんども」
( ´∀`)「?」
从 ゚∀从「さっきから聞いてりゃきな臭い話ばっかしやがって」
从 `∀从「ハインちゃんをどうするつもりだ!」
( ・□・)「……」
(; ´∀`)「"ハインちゃん"?」
从 ゚へ从 ムスッ
339
:
名も無きAAのようです
:2015/06/23(火) 00:14:17 ID:BBq2DyFcO
( ・□・)「ハハハ」
从 ゚へ从「なんだよ」
(; ∩∀`)「モナモナ……後見人最初の仕事はその一人称を直すところからか」
从 ゚∀从「あ?ハインちゃんはハインちゃんだろうが」
( ´∀`)「あのね、君。そういうのが許されるのは小学生くらいモナ。恥ずかしいんだモナ」
从 ゚∀从「いい歳してモナモナ言ってるあんたは恥ずかしくないのか?」
(; ´∀`)(正論だ)
( ・□・)(論破された)
340
:
名も無きAAのようです
:2015/06/23(火) 00:15:18 ID:BBq2DyFcO
(; ´∀`)「い、いいんだモナ!ほら、これくらいのナイスミドルがナウでヤングな雰囲気を醸し出すのが世間ではギャップがあっていいって」
从 ゚∀从「ふーーーーん」
( ・□・)(勝ち誇ってる)
从゚∀ 从「ま、どうでもいい。私は帰らせてもらうからな」
( ´へ`)「ダメモナ。訂正するんだモナ。俺は恥ずかしくないモナ」
⊂从-∀ 从「はいはい、そうだね。それじゃ」
( ´∀`)「おいっ」
バタン
341
:
名も無きAAのようです
:2015/06/23(火) 00:16:39 ID:BBq2DyFcO
( ´∀`)「……施設でもこんな感じなのかモナ?」
( ・□・)「ハハハ、ええ、まぁ」
( ´∀`)「こんな時代だ、別に親がいないだの家がないだの珍しくもなんともないが」
( ´∀`)「疑問は一つだけ。お前がどうしてそこまであの娘に執着するのか」
( ‐□‐)「……」
(; ´∀`)「ロリコンだったか」
( ・□・)「怒りますよ」
342
:
名も無きAAのようです
:2015/06/23(火) 00:17:56 ID:BBq2DyFcO
( ´∀`)「まして俺が追っていたM資金計画事件の情報をってなるとますますきな臭いモナ」
( ´∀`)「隠してること、あるモナ?」
( ・□・)「参りましたねぇ、さすが鬼の茂名山。現役時代を思い出させる疑りぶり」
( ・□・)「彼女、ちょっと特殊でしてね」
( ´∀`)「そりゃ、あんな一人称するお転婆娘は現実にいないモナ。いたらハブられる」
( ・□・)「持ってるんですよ、こう……ね。見えない力というかなんというか」
( ´∀`)
(´∀` )「オカルト話なら小説にでもしてネットで公表したらどうモナ?例えば主人公が海産物とか。きっと書籍化映像化待ったなしモナ」
( ・□・)「――ヌミノーゼっていうんですがね」
( ´∀`)「……ヌミノーゼ?」
343
:
名も無きAAのようです
:2015/06/23(火) 00:19:25 ID:BBq2DyFcO
( ・□・)「ええ。ドイツの神学者オットーが作った、聖なるものに面した時に生ずる、畏怖と魅惑」
(´∀` )「あー、そういう。はいはい」
( ・□・)「一応、真剣ですよ私」
( ´∀`)「……」
( ・□・)「もっとも、まず発現することはないのですが。それに"あてられた"ご両親が施設にいれたと」
( ´∀`)σ「──つまり、だ。大人になるにつれてそれが表にでてきたらまずいから、しっかり人格形成してくれと」
( ・□・)「ハハハ」
(´∀` )「あー断りてぇ」
344
:
名も無きAAのようです
:2015/06/23(火) 00:20:31 ID:BBq2DyFcO
( ・□・)「そう言わずに。それにもう遅いですよ」
( ´∀`)「は?」
ガチャ
从 ゚∀从⊃「……」
从*゚∀从「帰り道、わかんね」
345
:
名も無きAAのようです
:2015/06/23(火) 01:04:52 ID:BBq2DyFcO
〜〜〜
二時間後
茂名山探偵事務所
カタカタカタカタ
( ´∀`)
_/_ミつ/ ̄ ̄ ̄/
\/___/ ̄ ̄
| ゴロゴロ
|γ⌒X⌒ヽ ∩゙⌒゙⊃
|ヽ_乂_ノ从∀。从⊃
カタカタカタカタ
( ´∀`)
_/_ミつ/ ̄ ̄ ̄/
\/___/ ̄ ̄
| ゴロゴロ
|γ⌒X⌒ヽ⊂゙⌒゙∩
|ヽ_乂_ノ ⊂从。∀从
346
:
名も無きAAのようです
:2015/06/23(火) 01:06:01 ID:BBq2DyFcO
从 ・∀从「ひまだー死にそうだー」
( ´∀`)「……」
从 ゚∀从「あー、暇だ。退屈は人を殺せるって偉い人が言ってたけどホントだな」
从 ゚∀从「つーか、探偵事務所ってわりに客こねぇし暇だし」
( ´∀`)「モナモナ、いいからちょっとは大人しく――」
/ ゚、。 / ガチャ
从*゚∀从「おっ!!誰か来」
从 ゚ε(ムギュッ⊂( ´∀`)「ん、いらっしゃいませ」
/ ゚、。 /「あのぅ……相続放棄とかってどうすればいいか教えてもらっていいですか?」
347
:
名も無きAAのようです
:2015/06/23(火) 01:06:54 ID:BBq2DyFcO
( ´∀`)「相続放棄……?借金でもあるモナ?」
/ ゚、。 /「ええ……父親が借金をして蒸発しまして」
从 ゚д∩スリスリ「うわ、最低だな」
( ´∀`)「こらっ」
/ ゚、。 /「……こちらの方は、助手さんですか?」
( ´∀`)「えっ」
从゚∀ 从「えっ」
/ ゚、。 /「えっ」
348
:
名も無きAAのようです
:2015/06/23(火) 01:07:56 ID:BBq2DyFcO
(; ´∀`)「あ、ああ、この娘は──」
从 ゚∀从「そうだよ」
(´∀` ;)「は?」
从 ^∀从「ここの助手、ハインちゃんでーす」
/ ^、。 /「お若いのに大変ですね」
从 ゚∀从「えへへ」
(; ´∀`)「い、いや、この娘は」
从 ゚、从「話し合わせろよ、居候だなんていったらあんた胡散臭すぎるぞ」
(; ´∀`)「……」
349
:
名も無きAAのようです
:2015/06/23(火) 01:09:09 ID:BBq2DyFcO
( ´∀`)「えー、っと。それで……お父さんの借金でしたか」
/ ゚、。 /「はい。2000万ほど」
从;゚∀从「うっわ、半端ねぇ」
从 -∀从(ぜってーややこしいんだろうな、これ。ましてこんなおっさんだ、何ヵ月かかるか……)
( ´∀`)「なるほど。わかりました。では一週間ほどで」
/ ゚、。 /「え、そんなに早く!?」从 ゚∀从
/ 。、゚/「……」从゚∀ 从
( ´∀`)⊃「すぐに済みます。どうぞ、契約書をお読みください。問題なければこちらに……」
350
:
名も無きAAのようです
:2015/06/23(火) 01:10:38 ID:BBq2DyFcO
〜〜〜
車内
( ´∀`)「事務所で大人しくしてろって言ったのに……」
从 ゚∀从「暇だもん。今からいろいろ聞き込みとか捜査とかするんだろ?面白そうじゃん」
( ´∀`)「相続放棄の依頼でそんなことしないモナ……」
从 ゚ー从「へへん、騙そうたってそうはいかねぇぞ、おっちゃん」
( ´∀`)「お、おっちゃんは勘弁してくれモナ。せめてモナさんとか……」
从 ゚∀从「じゃ、モナー」
( ´∀`)「え、モナー?」
从 ゚∀从「茂名山だし、モナモナ言うからモナーでいいじゃん」
( ´∀`)「……」
(* ´∀`)
351
:
名も無きAAのようです
:2015/06/23(火) 01:11:38 ID:BBq2DyFcO
从 ゚∀从「なぁなぁそれより相続放棄って何だ?」
( ´∀`)「ん……簡単に言えば親から受けた相続を私はしませんって公的に証明することモナ」
从 ゚―从「えー、もったいないじゃん。それって親から貰えるはずの遺産も、貰えなくなるんだろ?」
( ´∀`)「そうだモナ。でも借金だって財産に属する権利や義務だモナ。必ずしもプラスにはならないモナ」
从 ゚∀从「じゃあ遺産も借金も両方あったらどうすんだよ」
( ´∀`)「遺産の方が多ければ"単純承認"、どちらかわからなければ"限定承認"すればいいモナ」
从;゚∀从「はぁ?」
352
:
名も無きAAのようです
:2015/06/23(火) 01:13:14 ID:BBq2DyFcO
( ´∀`)「単純承認はプラスもマイナスも全部相続するってことモナ。なんの申請もせずに放っておいたら勝手にこれになっちゃうから注意モナ」
( ´∀`)「限定承認はプラスからマイナスを弁済して、仮に債務超過の場合は相続人の固有財産で払う責任を負わないって話モナ」
( ´∀`)「遺産の方が多いのか、借金の方が多いのかわからないからリスクを減らして利を取るってことモナね」
从 ゚∀从「……」
( ´∀`)(ふふふ、ちょっと難しすぎたモナ?)
从 -∀从「なぁ、それじゃあさ」
从 ゚∀从「"全部"限定承認でいいんじゃねぇの?」
( ´‐`)(モナ……!)
353
:
名も無きAAのようです
:2015/06/23(火) 01:14:32 ID:BBq2DyFcO
从 ゚∀从「相続放棄は全部捨てる。単純承認は全部貰う。じゃあ限定承認はいいとこだけ貰うって話なんだろ?」
从 ゚∀从「ならわざわざ他の方法よりも限定承認しとけば損はしないし得することもあるじゃん」
( ´‐`)「……」
从 ゚∀从「なぁなぁ」
( ´∀`)「ん……そうだモナね。でも残念がら簡単にはいかないモナ」
( ´∀`)「民法第923条、共同相続人の限定承認モナ」
从 ゚∀从「あ?」
354
:
名も無きAAのようです
:2015/06/23(火) 01:18:36 ID:BBq2DyFcO
( ´∀`)「相続人が数人あるときは、限定承認は、共同相続人の全員が共同してのみこれをすることができる。そういう決まりがあるモナ」
从 ゚、从「んー……?ようするに、反対する奴がいちゃできないってことか?」
( ´∀`)「そうモナ」
从 ゚∀从「なるほどなるほど。それで、この依頼とどう関係してくるんだ?」
( ´∀`)「うん、それで──」
( ´д`)「って何を話させるんだモナ!君には関係ないモナ!」
从 ゚∀从「えー、助手だぞハインちゃん」
( ´∀`)「その一人称を止めたら考えてやるモナ」
从 ^∀从「マジ?」
( ´ヮ`)「嘘だモナァ!」
从#^∀从「殺すぞおっさん」
355
:
名も無きAAのようです
:2015/06/23(火) 01:20:37 ID:BBq2DyFcO
( ´∀`)「さて……ついたモナ。大人しくしてるモナよ?じゃ」
从 ゚д从「あー!ま、待ちやがれ、私も捜査に──」
从 ゚‐从「ってここ」
从 ゚―从「役所じゃねぇか」
356
:
名も無きAAのようです
:2015/06/23(火) 01:22:03 ID:BBq2DyFcO
〜〜〜
したらば市役所
窓口
(゜д゜@「こんにちは」
( ´∀`)「こんにちはモナ。この人達の戸籍謄本の写しをもらいたいモナ」
(゜д゜@「失礼ですが、委任状はお持ちで……?」
( ´∀`)「ああ、それなら──」
\从 ゚∀从/「いたー!」
(゜д゜@「?」
( ∩д`)「あのバカ……」
357
:
名も無きAAのようです
:2015/06/23(火) 01:23:29 ID:BBq2DyFcO
从 ゚∀从「なにやってんだよ、モナー!」
( ´∀`)「それはこっちのセリフモナ。大人しくしててって言ったのに」
从 ゚ー从「やーだね。っていうか、なに?謄本?本人でもなけりゃ委任状も持ってないのに戸籍謄本の写しなんて貰えるわけないじゃん」
(; ´∀`)「おい……」
(゜д゜@「あらやだ、お持ちでない、のですか?」
(; ´∀`)「あ、いや、ですから」
(゜д゜@「……」ジーッ
从;゚∀从(うわ、めっちゃ睨んでる)
358
:
名も無きAAのようです
:2015/06/23(火) 01:24:30 ID:BBq2DyFcO
( ´∀`)⊃□「はいはいはいはい、これ、これ」
〃ヒョコ从 ゚∀从「なんだそりゃ……職務上請求書?」
(゜д゜@「あら、行政書士の方でしたか」
( ´∀`)「ええ、申し遅れました」
( ´∀`)「"行政書士の茂名山"です」
359
:
名も無きAAのようです
:2015/06/23(火) 01:25:43 ID:BBq2DyFcO
〜〜〜
車内
从 ゚ο从「すげぇ……依頼人から親兄弟のまで……赤の他人の戸籍謄本全部手に入れやがった……」
( ´∀`)「モナモナ、これでオッケーモナ」
从;゚∀从「やっぱ面倒なんだな、相続放棄って……」
( ´∀`)「いや、普通に放棄するだけならここまで手間はかからんモナ。」
从;-∀从「じゃあなんで……っていうかモナーって……なんなの?探偵じゃないの?」
( ´∀`)「ん、探偵の茂名山モナ」
从 ゚∀从「でも行政書士って」
( ´∀`)「ん、行書の茂名山モナ」
从 ゚д从「どっちだよ!!」
360
:
名も無きAAのようです
:2015/06/23(火) 01:27:05 ID:BBq2DyFcO
( ´∀`)「どっちもだモナ。行政書士の業務遂行に必要な職務上請求書があれば、こうやって謄本の写しを手に入れることだってできるモナ」
从;゚∀从「……それって、あれじゃね。職権乱用じゃねぇの?」
( ´∀`)「そうモナね。探偵業としてやるなら」
从;゚∀从「はぁ?」
( ´∀`)「探偵事務所とは別に賃貸で行書の事務所を持っているモナ。行政書士の仕事としてまっとうなことをしているだけモナ」
从 ゚∀从「屁理屈だ……バレたらどうなるんだよ」
( ´∀`)「えらいことモナ。まぁ、バレないようにやってるからいいんだモナ」
361
:
名も無きAAのようです
:2015/06/23(火) 01:28:30 ID:BBq2DyFcO
从 -∀从「はぁ……あれだな、あんた。まともそうに見えてずいぶんとまぁ……」
从 ゚ε从「むちゃくちゃだなぁ、おい」
( ´∀`)「モナモナ、お褒めに預かり光栄ですモナ、助手君」
从 ゚∀从「……え?」
( ´∀`)「こんな場面見られちゃ、タレこまれても困るモナ。これからしばらくはよろしくモナ」
从;゚д从「い、いやだ!こんな探偵、ハインちゃんいやだ!」
( ´д`)「こら、うちに居る以上、その一人称を止めろモナ」
从;゚∀从「やだぁーー!!」
( ´∀`)「モナモナ。さて、次はこの謄本からどういう家庭事情になっているのか調べるモナよ、ハイン」
362
:
名も無きAAのようです
:2015/06/23(火) 02:02:20 ID:BBq2DyFcO
〜〜〜
高岡探偵事務所
【+ 】ゞ゚)⊃Цズズー
【+ 】ゞ゚)「っと、まぁ、あの子も小さいときは可愛かったんだよ、うん」
('A`)「あ、あの」
【+ 】ゞ゚)「それがどうしてあんなじゃじゃ馬に……ああ、続きだったね。それで──」
(;'A`)「あの!」
【+ 】ゞ^)「ん、整形するかい?」
363
:
名も無きAAのようです
:2015/06/23(火) 02:03:54 ID:BBq2DyFcO
(;'A`)「そうじゃなくて!その……ヌミノーゼってなんですか?」
【+ 】ゞ゚)「ヌミノーゼ、またはヌミノースか……時に助手君、君は宗教に入っているかい?」
('A`)「え……」
(-A-)
( A )「……宗教は嫌いです」
【+ 】ゞ゚)「そうかい。あれほど金を稼げる──失礼、人を助ける集まりはなかなかないのだがね」
('A`)「人を助ける?逆でしょう、人を苦しませるものだ」
【+ 】ゞ゚)「ふむ。なにか嫌なことでもあったのかね」
('A`)「……」
364
:
名も無きAAのようです
:2015/06/23(火) 02:04:49 ID:BBq2DyFcO
【+ 】ゞ-)「"聖なるもの"」
('A`)「は?」
【+ 】ゞ゚)「概略を説明しても仕方あるまい。ヌミノーゼというものは、非合理的な概念と思いたまえ」
('A`)「意味が──」
【+ 】ゞ゚)「例えば。君が体験した言葉にできない感情や、言いようのない出来事」
【+ 】ゞ゚)「それがヌミノーゼ。ラテン語でいうヌーメン──神威をもじったものだよ」
(;-A-)「理解できないです」
【+ 】ゞ゚)「当然だ、理解できるものならこの世の宗教は全て合理的に説明できる」
(;'A`)「……」
365
:
名も無きAAのようです
:2015/06/23(火) 02:06:41 ID:BBq2DyFcO
【+ 】ゞ゚)σ「君が作ってくれたご飯、私なら一銭も払いたくもない。絶対に嫌だ」
('A`)(悪かったな……)
【+ 】ゞ゚)「でも、君がもし何らかの宗教組織の中で、二番目に偉い立場の人間ならば」
【+ 】ゞ゚)「この食事には大きな金額や、貴重な価値がつく」
(;'A`)「そんな大げさな……」
【+ 】ゞ゚)「そういった、説明のできない概念というものを彼女は持っているんだよ。君も心当たりはないかね?」
('A`)(そういえば……)
366
:
名も無きAAのようです
:2015/06/23(火) 02:09:24 ID:BBq2DyFcO
───
|゚ノ ^‐^)「そうですわね……ショボンヌ、どうしましょうか?」
(´・ω・`)「できれば高岡探偵と"ケリ"をつけたいのですが」
('A`)(ケリ?)
|゚ノ ^∀^)「ああ、"ケンカ"の続きでしたわね。勝てますの?」
('A`;)(おいおい、ケンカって……ハインとショボンヌさんが?冗談だろ、体格差どころか)
(-A-;)(マンガじゃないんだから勝負になるわけが──)
(´・ω・`)「わかりかねます」
(゚A゚;)「えっ!?」
(´-ω-`)「ですが、もう一度見てみたいのです」
(´・ω・`)「"見えない魅力"というものを」
('A`;)(見えない、魅力?)
───
('A`)(どう考えても勝負にならないショボンヌさんとのケンカ)
───
367
:
名も無きAAのようです
:2015/06/23(火) 02:11:44 ID:BBq2DyFcO
───
( <●><●>)「主文」
( <●><●>)「被告人、宇都宮ドクオは」
( <●><●>)「無罪とする」
───
(-A-)(その前の公判でもう判決文は仕上がっているはずなのに、覆った判決……待てよ……ハインが特別弁護人になれたのもまさか)
【+ 】ゞ゚)「心当たりがあるようだね」
(-A-)「……はい」
368
:
名も無きAAのようです
:2015/06/23(火) 02:12:53 ID:BBq2DyFcO
【+ 】ゞ゚)「それがヌミノーゼさ。絶対他者の存在っていう、不可侵の領域」
【+ 】ゞ^)「簡単に言えば"化け物"さ」
(#'A`)「ッ……ハ、ハインは化け物なんかじゃない!」
【+ 】ゞ゚)「そうだね、子供の時は少なくとも薄幸の少女だったろう」
【+ 】ゞ゚)「でも今は違う。ある程度、意図的に相手を屈服させる力があるといっても過言ではない」
(;'A`)「なんで……なんでそんなこと……」
【+ 】ゞ゚)「ん?なんでって」
【+ 】ゞ゚)「整形したから」
(;゚A`)「……は?」
369
:
名も無きAAのようです
:2015/06/23(火) 02:14:39 ID:BBq2DyFcO
【+ 】ゞ゚)「制御することができないものだったのは間違いないけどねぇ、ちょっと手術したらさ……」
制御可能
【+ 】ゞ^)「化け物になってしまったんだよね」
(;゚A゚)「ちょ、ちょ、ちょっと待ってくれ、整形!?手術?どういう意味なんだ!?」
【+ 】ゞ゚)「ああ、別に顔や体は変えてないよ。中身はいじったけど」
(;-A-)「わ、わけがわからない……!教えてくれ、ハインは、ハインはいったいどういう」
从 ゚∀从⊃ ガチャ
(゚A`;)「あっ」
【+ 】ゞ゚)ノシ「おかえりー」
370
:
名も無きAAのようです
:2015/06/23(火) 02:17:00 ID:BBq2DyFcO
从 -∀从「……ったく、どこにいるのやらと思えば……」
从 ゚∀从「人のいないところでベラベラベラベラ」
从 ゚∀从「ヤブ医者でも刑法134条第1項くらい知ってんだろ」
('A`;)「ハ、ハイン……」
【+ 】ゞ^)「ハハハ、秘密漏示か。私は一般人だよ。ちょっと手先の器用なね。おしゃべりくらい構わんだろう」
('A`)「なぁハイン、どういう事だよ!手術って……整形って」
从 ‐从⊃ガッ ゞ゚)
(゚A゚) ヒッ
371
:
名も無きAAのようです
:2015/06/23(火) 02:17:48 ID:BBq2DyFcO
从 ゚‐从⊃;ゞ゚)「え、そんなに怒る?」
从 ゚‐从「答えろ、オサム。師匠の遺品に私のドナーカードがあった」
(;'A`)
从 ゚‐从「こいつはどういうことだ」
从 ゚‐从⊃;ゞ゚)(…………)
从 ゚‐从⊃ ゞ-)「フフ、おやおや、怒りを通り越して激おこプンプン丸か」
('A`;)
372
:
名も無きAAのようです
:2015/06/23(火) 02:19:12 ID:BBq2DyFcO
从#゚д从「オサムッ!」
⊃ゞ゚)「借金返してくれたら教えてあげよう」
从 ゚‐从⊃「……」
「……」⊃ゞ゚)
373
:
名も無きAAのようです
:2015/06/23(火) 02:20:36 ID:BBq2DyFcO
从 -、从⊃≡「チッ……!」【+ 】ゞ゚)
('A`)「そ、そうだ!借金!ハイン、借金が10億ってどういうことなんだよ!?なぁハイン!」
从 ゚、从
【+ 】ゞ゚)
从 -ο从「……ハァ……お前はまたそういう……」
【+ 】ゞ^)「助手君、君、空気読まないって言われない?」
('A`)「え、あ……ぼ、僕は、ただ……」
从 -∀从「──わかったわかった、話してやる」
【+ 】ゞ゚)「ほう、どういうつもりだね。君が身の上話とは珍しい」
从 ゚∀从「うるせぇ、ヤブ医者が。こいつは」
从 -∀从「うちの助手なんでな」
後編へ続く
374
:
名も無きAAのようです
:2015/06/23(火) 02:26:17 ID:BBq2DyFcO
ぶつ切れでごめんよ…
後編はテンポよくいきますのでまたまたお待たせしますが、よろしくお願いします。
ちなみにアウトテイクは最終話が終わったらヒィヒィ言いながら一気にやります。
ではでは!
375
:
名も無きAAのようです
:2015/06/23(火) 09:14:27 ID:A7NSAG7w0
乙
376
:
名も無きAAのようです
:2015/06/23(火) 10:16:26 ID:boCwzmYA0
乙!続き待ってます
377
:
名も無きAAのようです
:2015/06/23(火) 11:36:38 ID:QbRutu.c0
おつ!
378
:
名も無きAAのようです
:2015/06/24(水) 14:28:03 ID:sGLhJQq20
ついにゴールデンウィークが終わってしまったのか
379
:
名も無きAAのようです
:2015/07/25(土) 08:22:34 ID:22eaCaNcO
そして1ヶ月も経ってしまったのか…
月曜日か火曜日に出来れば投下したいところですが、うーん…
頑張るしかありませんっ!前進だ!
380
:
名も無きAAのようです
:2015/08/03(月) 06:45:45 ID:CHymfWdk0
頑張ってね!
381
:
名も無きAAのようです
:2015/08/21(金) 20:02:57 ID:2qWEcbfUO
たいへんお待たせしております。後編ですが、出来上がりました。
しかし、時間の都合上、一度には投下できないので、キリのいいところまでにさせてください。
では、途中まで頑張るぞ!
382
:
名も無きAAのようです
:2015/08/21(金) 20:05:26 ID:2qWEcbfUO
〜〜〜
茂名山探偵事務所
リビング
从 ゚∀从「ただいまー!」
( ‐∀‐)「おかえりモナ」
从 ゚∀从「……」
( ´∀`)「どうしたモナ?」
从 -∀从「……」
从 -∀从⊃ポンッ(´∀` )
从;゚∀从「嫁さん貰えよ。寂しすぎんだろ、おい」
(; ´д`)「ぐっ!!あ、あのモナね、大人には色々と事情というものが」
从´∀从「あー、疲れたー、モナー、ジュースー」
( ´∀`)「……ハァ……冷蔵庫から取ってくるといいモナ」
从゚∀ 从〃「わーい」
383
:
名も無きAAのようです
:2015/08/21(金) 20:07:34 ID:2qWEcbfUO
( ´∀`)「あ、俺もコーヒー飲みたいから入れてきてモナ」
从゚∀ 从「はーい」
(´∀` ;)(……やけに素直だな)
( ´∀`)「ま、いいか……さて」
( ´∀`)⊃□(あとはこの謄本の写しを使って相続放棄の手続きをするだけだが)
ペラッ
( ´∀`)⊃□(……やっぱり、そう簡単にはいかないモナね)
从 ゚∀从⊃▽コトッ
( ´∀`)「お、ありがとうモナ」
从 ゚∀从ジィーッ
( ´∀`)「なんだモナ?気になるのかモナ?でもハインにはちょっとばかし早い気もするモナ」
从 ゚∀从ジィーッ
384
:
名も無きAAのようです
:2015/08/21(金) 20:09:27 ID:2qWEcbfUO
( ´∀`)「あ、でもかといって、こういう施設では教えてくれない世間の常識っていうのを教えてるのも後見人である俺の務め……」
( ´∀`)+
⊃▽
「そうモナ。言ってみれば先生モナ。さぁ、なんでも先生に相談するモナ。なんならモナーじゃなくて先生と呼んでもいいモナ?」
从 ゚∀从「いや、あのさ」
( ´∀`)
⊃▽
「うんうん」
从 ゚∀从「"師匠"って呼んでいい?」
( ´З`)※∴;:...
⊃▽ ブゥーーーーーーッ!!
385
:
名も無きAAのようです
:2015/08/21(金) 20:10:22 ID:2qWEcbfUO
从;゚∀从「あっぶな、資料にかかるところだったぞ!?」
(; ´∀`)「なな、いきなり何を言い出すモナ!?」
从 ゚∀从「だってさ、施設にいる先生みたいな人って、当たり前のことしか教えてくれねぇんだもん」
从 ^∀从「だから師匠だ。モナーは師匠!決まりっ!」
( ´∀`)「安直な……」
从 ゚∀从「で、質問!」
从 ゚へ从「師匠はなんで依頼を断らねぇんだ?」
( ´∀`)⊃フキフキ「いや、なんでって仕事だから」
从 -∀从「そうじゃねぇよ。例えばだな、その、なんだ?」
( ´∀`)「ん?」
从 ゚―从「全く関係のないガキの世話を頼まれてもこうして居られるのはなんでかなぁって」
从 ゚∀从「金に困ってるわけでもないのに」
( ´∀`)「……」
386
:
名も無きAAのようです
:2015/08/21(金) 20:11:33 ID:2qWEcbfUO
从;゚∀从「あ、か、勘違いすんなよ!?別にハインちゃん嬉しいとかそういうのじゃないからなっ!ただ気になっただけ──」
( ´∀`)「そりゃ、泣いてたら助けてやらないと」
从;゚∀从「えっ、は!?な、泣いてねーし!」
( ´∀`)「ん、別に君のことを言っているわけじゃないけど」
从;-∀从「うっ……」
( ´∀`)「いつまでも泣き顔のままじゃうっとおしいモナ」
从 -∀从「ううぅ……!」
从 `∀从⊃「泣ーいーてーまーせーんっ!」
⊃<; ´д`)「いたい!痛いモナ!ほっぺを引っ張るなモナ!!」
从∀´从「バーカッ!バカ師匠!もうハインちゃん寝る!」
∩ ´д`)ヒリヒリ
( ´д`)「……」
( ´∀`)「……弟子は取らないつもりだったんだがなぁ……」
387
:
名も無きAAのようです
:2015/08/21(金) 20:12:30 ID:2qWEcbfUO
〜〜〜
依頼から三日後
バー ディテクティブ
【+ 】ゞ゚)「いらっしゃい。おや?」
从*゚∀从「わー……」
【+ 】ゞ^)「これはこれは、可愛らしいお客さんだ」
【+ 】ゞ^)「誘拐してきたのかい?」
(# ´∀`)「潰すぞこの店」
388
:
名も無きAAのようです
:2015/08/21(金) 20:13:27 ID:2qWEcbfUO
从*゚∀从「なぁなぁ!これがバーって奴か!」
( ´∀`)「静かにするモナ。こういう店は雰囲気が大事──」
从 ゚∀从σ「あーーーーーー!!!」
( ゚ω゚)「おっ?おおおおおおん!!」
从 ゚∀从「こら、白豚ァ!!なんでお前がここにいるんだよ!」
( ^ω^)「そっちこそなんで来てるんだお!!」
(; ´∀`)「……大事なんだけどモナ」
【+ 】ゞ-)「なるほど、彼女がこの間言っていた"台風"というわけかい」
( ´∀`)「超低気圧の大型台風だモナ。オレンジジュースでも出してやってくれモナ」
389
:
名も無きAAのようです
:2015/08/21(金) 20:15:18 ID:2qWEcbfUO
从 ゚ε从「えー、師匠、私お酒がいい」
【+ 】;ヾ゚)「ブッ!し、師匠!?」
从 ゚∀从「そう!ハインちゃんはモナーの弟子だ!」
【+ 】ゞ )「も、モナー!?ああ、茂名山さんだから……プッ……ククク……モナー師匠……クククッ」
( ⊃д∩)「こうなるってわかってたら連れてくるなんて言わなかったモナ……」
【+ 】ゞ゚)⊃「フフフッ……これはこれは。じゃあ面白い話を聞かせてくれたハインちゃんにはこれをご馳走してあげよう」
从 ゚∀从「……ラムネじゃん」
【+ 】ゞ゚)⊃「普通ならレモンソーダを使うんだが、日本人になじみのあるこれをパッションフルーツシロップと、ライムジュースで割ったところに入れると……」
从*゚∀从「おお、きれいだ!」
390
:
名も無きAAのようです
:2015/08/21(金) 20:18:40 ID:2qWEcbfUO
【+ 】ゞ゚)「アイ・オブ・ザ・ハリケーンの出来上がりだよ。ノンアルコールだから気にせずに飲んでくれたまえ」
从 ゚∀从⊃「センキュ!えっと……」
【+ 】ゞ゚)「私はオサム。よろしくね」
从 ゚ο从ゴクゴク
从 ^∀从「ぷはぁ!酸っぱ甘くてうまっ!おう、私はハインちゃんだ!よろしく!」
( ´∀`)「まったく、相変わらず何が本業なのかわからないほど器用モナね……」
【+ 】ゞ^)「茂名山さ……モナーはどうする?」
( ´∀`)「おい」
从 ゚ー从「モナーは大五郎でいいじゃん!んで魔女を倒す!」
( ´∀`)「……すまないが、今日は仕事で来ているんだモナ」
【+ 】ゞ゚)「それにしてはずいぶんとキュートな助手を連れてきたね」
( ´∀`)「依頼に関係があるんだから仕方がないモナ」
391
:
名も無きAAのようです
:2015/08/21(金) 20:22:19 ID:2qWEcbfUO
( ^ω^)「……あのぅ」
( ´∀`)「ん?」
( ^ω^)「も、もしかして茂名山さんですかお?」
( ´∀`)「そうだモナ」
( ゚ω゚)「おっ、おおおおお!!」
(; ´∀`)「モナ!?」
从 ゚∀从「な、なんだよ白豚!?」
(* ^ω^)「感激ですお!お父さんからお話はかねがね伺っておりますお!!」
( ^ω^)「あらゆる事件を解き明かし、平泉成もびっくりの人情派!でも一度怒らせると誰も手がつけられない鬼の茂名山!お会いできて光栄ですお!」
( ´∀`)「そうモナか。一度君のお父さんとしっかり話をする必要があるモナね」
392
:
名も無きAAのようです
:2015/08/21(金) 20:24:02 ID:2qWEcbfUO
( ^ω^)「現役を引退されてもある事件を追っているそうですお?ぜひ詳しく聞かせてほしいお!」
从 ゚ο从「待て待て!今はハインちゃんの師匠だぞ!勝手に話を進めるんじゃない!」
(; ^ω^)「えっ!?そんなバカな!ハインの師匠だなんて嘘だお!」
从 ゚∀从「嘘じゃないもん、ねっ、モナー」
(; ´∀`)「モナ……」
(* ^ω^)「おっ!じゃあ俺も弟子になるお!」
( ´∀`)「モナッ!?」
从 ゚‐从「じゃあハインちゃんの舎弟な、お前」
( ^ω^)「じょ、上等だお!茂名山さんの弟子になれるならハインなんて怖くないお!」
从 ゚∀从「言ったなぁ!」
(; ´∀`)「頭が痛いモナ……」
393
:
名も無きAAのようです
:2015/08/21(金) 20:24:45 ID:2qWEcbfUO
【+ 】ゞ^)「ハハハ、いいじゃないかモナー。人気があって」
( ´∀`)「うるさい。それより、内藤はどこに?」
【+ 】ゞ゚)「そろそろ来るとは思うんだけど……」
カランカラン
( ・□・)「おや。お待たせしてしまったようで──」
( ´∀`)「とりあえず一発殴らせろモナ」
(; ・□・)「えっ!?」
394
:
名も無きAAのようです
:2015/08/21(金) 20:25:47 ID:2qWEcbfUO
〜〜〜
バー ディテクティブ
テーブル席
( ・□・)「ハッハッハッハ!」
( ´∀`)「本当に殴るぞ」
( ‐□‐)「すみません、いやはやなかなかに面白い状況だったようで、遅れてしまったことが悔やまれますね」
( ´‐`)「笑い事じゃないモナ……全く」
( ´∀`)「で、どうなんだ。例の件は?」
( ・□・)「……」
( ・□・)「順調ですよ」
( ´∀`)「……」
395
:
名も無きAAのようです
:2015/08/21(金) 20:26:45 ID:2qWEcbfUO
( ´∀`)「"M資金"……第二次世界大戦の混乱期、日本軍が秘匿した金塊や財宝の情報が、ブラックマーケットに流れるとはモナ」
( ・□・)「本来であればこんな与太話、我々はおろか一般人でも鼻で笑う話なんですけどねぇ」
( ´∀`)「だが、限りなく事実に近い」
( ・□・)「ええ。ましてや額が額だ。万や億どころの話ではありませんからね。誰が手に入れたところで良い方向に転ぶとは思えない」
( ´∀`)「国家復興のためだモナ。自国以外、何人もそれを手にすることは許されないモナ」
( ・□・)「我々も含めて、ね」
( ´∀`)「……」
396
:
名も無きAAのようです
:2015/08/21(金) 20:28:15 ID:2qWEcbfUO
( ・□・)「とはいえ、私とあなたは違いますがね。こんな危険が伴うヤマを、あなたに至っては周りに配慮して結婚すらせずに追いかけているのですから」
( ´∀`)「よく言うモナ。君だって、子供を施設に預けるなんて馬鹿な真似をして……」
( ・□・)「……」(´∀` )
( ´∀`)「バカな刑事とアホな探偵だモナね」
( ‐□‐)「フッ──ですが、だからこそたどり着けた」
( ・□・)⊃[]スッ
( ´∀`)「?」
( ・□・)「これがすべての答えです。茂名山さん」
(; ´∀`)「……まさか、もう」
( ・□・)「はい。この封筒の中に、すべてが」
( ´∀`)「ちょっと待つモナ。君の"依頼"はまだ完了していないだろうモナ」
(・□・ )「そうでしょうか」
397
:
名も無きAAのようです
:2015/08/21(金) 20:29:20 ID:2qWEcbfUO
(* ^ω^)「おっ!俺は絶対に刑事になって、お父さんの跡を継ぐんだお!ヒック」
从*゚∀从「じゃあ私は探偵になるぜ!師匠の跡を継ぐ!ヒック」
(* `ω´)「真似するなお!ヒック」
从*゚∀从「そっちこそ!ヒック」
【+ 】ゞ^)「さぁさぁご両人。どんどん飲みたまえ。ところで、あの二人って何か弱みとか握ってないかな?お兄さんに教えてくれないかな?ん?」
398
:
名も無きAAのようです
:2015/08/21(金) 20:30:14 ID:2qWEcbfUO
(´∀` )「おい、あいつら酒飲んでるぞ」
(・□・ )「ハハハ」
( ´∀`)「ハハハじゃないモナ、刑事さん。止めろよ」
(・□・ )「いつも、あの二人はケンカばかりしていたんですがね、初めて仲が良いところを見ましたよ」
( ´∀`)「いや、止めろよ」
(・□・ )「これで十分です」
( ´∀`)「だから止めろって」
(‐□‐ ) 「私の依頼は十分に果たしてくれた」
( ´∀`)「……」
399
:
名も無きAAのようです
:2015/08/21(金) 20:31:13 ID:2qWEcbfUO
( ´∀`)「いや、しかし……」
(・□・ )≡「これからも、頼みます。茂名山さん」
( ´∀`)「……」
(* ^ω^)「あ、お父さん。もう帰っちゃうお?」
( ‐□‐)
从*^∀从「内藤の親父さんも飲もうぜ!」
( ・□・)「――文太郎。ハインちゃんのことを守ってやれよ」
(* ^ω^)「おっ?おんっ、任せろお!女の子を守るのは警察の使命だお!」
从*゚∀从「はぁ?むしろ私がまもってやんよ!」
( ^□^)「フフ、じゃあね」
カランカラン
400
:
名も無きAAのようです
:2015/08/21(金) 20:32:01 ID:2qWEcbfUO
( ´―`)⊃[]
( ´―`)
( ´∀`)「"相棒"ってのは、なかなかどうして」
( ´∀`)「難しいもんだモナ」
401
:
名も無きAAのようです
:2015/08/21(金) 20:34:19 ID:2qWEcbfUO
〜〜〜
高岡探偵事務所
リビング
【+ 】ゞ-)「いやぁ、懐かしいなぁ」
从 ゚∀从「──思えば、白豚とタッグを組んだのはあれが最初だったのかもな」
('A`)「ハインの師匠……茂名山さんと、内藤の親父さんは、その……M資金計画っていうのを追ってたのか」
从 ゚‐从「後からオサムにちょろっと聞いただけだがな。ま、深入りしたくないんでその辺については詳しくねぇ」
【+ 】ゞ^)「ふふ」
(-A-)「そっか。……あれ、でも内藤の親父さんは……」
从 -∀从「なんだ、知ってたか。まぁ今思えば覚悟してたのかもな――」
402
:
名も無きAAのようです
:2015/08/21(金) 20:35:08 ID:2qWEcbfUO
从 -∀从「――その翌日」
从 ゚∀从「内藤の父親は死んだ」
403
:
名も無きAAのようです
:2015/08/21(金) 20:36:27 ID:2qWEcbfUO
〜〜〜
内藤家 告別式
外
( ´ω`)「……」
从 ゚∀从「……」
从 -∀从「あー、なんだ。んー」
( ´ω`)「……」
从 ゚∀从「なぁなぁ、内藤。こういう時にさ、なんだけど歌っていいか」
( ´ω`)「……なんの歌だお?」
从 ゚∀从「シャーマンキングのオープニング」
(# ゚ω゚)
从;゚∀从「わりわりわり、冗談、冗談だよ!」
404
:
名も無きAAのようです
:2015/08/21(金) 20:38:07 ID:2qWEcbfUO
( ´ω`)「……父さんが死んだお」
从 -∀从「……ああ。いい親父さんだったんじゃねぇか」
( ´ω`)「うん。俺の自慢の父さんだったお」
从 ゚∀从「……」
( ω )「なんで……なんで父さんが……ぐっ……」
从 ゚∀从「内藤?」
( ω )「ぐっ、おん、おん……」
从 ゚、从「泣いてんのか?」
( ⊃ω )「な、泣いてなんかないお……」
从 ゚∀从「嘘つけ、泣いてんじゃねぇか」
405
:
名も無きAAのようです
:2015/08/21(金) 20:38:52 ID:2qWEcbfUO
( ω )「う、うるさいんだお。あっちいけお」
从 ゚―从「……やーだね」
( ω )「なんなんだお……!ほっといてくれお──」
从 ゚∀从「探偵になろうと思う」
( ω )「お……」
(゜ω` )「は!?探偵!?」
406
:
名も無きAAのようです
:2015/08/21(金) 20:40:11 ID:2qWEcbfUO
从 ゚∀从「ラッキーなことに、ハインちゃんは今、超名探偵の元で助手をしているのだ、白豚君」
从 -∀从「ここで師匠の技を盗んで、成り上がろうと思う」
(゚ω゚ )「……」
( ω )「プッ」
从 ゚‐从「……おい、白豚。今、笑ったな?」
( ω )「だ、だって……似合わないお。ハインが探偵なんて」
从 ゚∀从「てめぇが刑事になる方がよっぽど似合わんわボケ」
( `ω´)「な、なんだとお!?ふざけるなお、俺は絶対に……」
( ´ω`)「父さんの……」
从 -ー从
407
:
名も無きAAのようです
:2015/08/21(金) 20:41:12 ID:2qWEcbfUO
从 -∀从「あー、わかった、わかった。なら記念すべきハインちゃんの最初の依頼者はお前だ、内藤」
( ´ω`)「お……?」
从 ゚∀从「親父さんが死んだ理由、私が解き明かしてやるよ」
( ´ω`)「いや、無理だお。大人より子供が先に解き明かすなんて。コナンじゃないんだお」
从 ゚皿从「でーきーるー」
( ´ω`)「むーりーだーおー」
从 ゚皿从ガルル
( ´ω`)
408
:
名も無きAAのようです
:2015/08/21(金) 20:42:14 ID:2qWEcbfUO
( ´ω`)「……でも、まぁ……そこまで言うなら」
从*゚∀从「いいか?依頼してもらって!」
( ´ω`)(立場逆だお……)
( ´ω`)「うんお。お願いするお。えっと、報酬は……」
从 ゚∀从「1億万円」
( ´ω`)「この話はなかったことに」
从 ゚へ从「あー、もう。ノリが悪いぞ白豚。じゃあ報酬はな」
从 -∀从「お前が刑事になることだよ」
( ´ω`)「えっ……」
从 ゚∀从「早いうちに人脈作っとかないとな!お前がなったら多少の犯罪は見逃してくれるだろ」
( ´ω`)「あー、これこき使われるパターンだお」
409
:
名も無きAAのようです
:2015/08/21(金) 20:43:00 ID:2qWEcbfUO
从 ゚∀从「絶対になれよ、内藤」
( ´ω`)
( ⊃ω⊂)
( ^ω^)「……そっちこそ、依頼者を大事にするんだお」
从 ゚ー从「……」
410
:
名も無きAAのようです
:2015/08/21(金) 20:44:43 ID:2qWEcbfUO
从゚∀ 从「さーて、そろそろ帰るわ。邪魔したな」
( ^ω^)「おっ、そうかお。気を付けるんだお──」
( ^ω^)「ハイン」
从 ゚∀从「ん?」
( ^ω^)「ありがとう」
从 ゚∀从「……」
从゚∀ 从「勘違いすんな、ハインちゃ――」
从-∀ 从「――"私"は」
从-ー 从「いつまでも泣き顔のままじゃうっとおしいから受けただけだよ」
411
:
名も無きAAのようです
:2015/08/21(金) 20:45:51 ID:2qWEcbfUO
〜〜〜
依頼から一週間後
茂名山探偵事務所
( ´∀`)「──というわけです、鈴木さん」
/ ゚、。 /「はい」
( ´∀`)「で、あとはこれを持って本籍の裁判所にいけばいいモナ」
/ ゚、。 /「仕事が早いですね……」
从 ^∀从「えへへ」
( ´∀`)「君のことを言ってるんじゃないモナ」
从 ゚ε从「……」
412
:
名も無きAAのようです
:2015/08/21(金) 20:46:44 ID:2qWEcbfUO
/ ^、。 /「ありがとうございます。こちら、報酬の──」
从 ゚∀从(おっ!金だぁ!いいなぁ、こんな簡単に金が稼げるなんて)
( ´∀`)「……」
( ´∀`)⊃ スッ
( ´∀`)「まだ受け取れませんね」
/ ゚、。;/「えっ……」
从;゚∀从「ちょ、モナー!?何考えてるんだよ!?」
/ -、。 /「……失礼しました。不調法で、こういった依頼というものは"イロ"がなければいけないということを存じ上げておりませんでして」
( ´∀`)「?」
/ ゚、。 /「とはいえ、持ち合わせもありませんし……」
413
:
名も無きAAのようです
:2015/08/21(金) 20:47:41 ID:2qWEcbfUO
从;゚∀从(マジかよ、こういうもんなのか探偵って……)
从 ゚∀从(待てよ、持ち合わせがないっつーことは、どうすんだ?)
从 -∀从(借金?いや──イロ……いろ……色……ハッ!)
( ´∀`)「いえ、私が言いたいのは──」
从//ο从 彡バチコーン!
∪ ⊂=彡☆-=)´Д`)ガァッ
/ (- =
.し'⌒J
/ ゚、。;/「えっ!?」
从 ゚Д从「ハァハァ……見損なったぞ、モナー!」
(##´Д`)「痛ったぁ……な、なにをするんだモナ!」
414
:
名も無きAAのようです
:2015/08/21(金) 20:48:27 ID:2qWEcbfUO
从 ゚Д从「お、お、お、お前あれだろ!その人に、か、か、か」
从 ゚Д从「体で払えって言うつもりなんだろ!?」
( ´Д`)「!」
/ ゚、。 /「!」
415
:
名も無きAAのようです
:2015/08/21(金) 20:49:14 ID:2qWEcbfUO
( ´д`)「……」
( ´∀`)「あ、あのね、ハインちゃん。君はとてつもない勘違いを」
从 ゚∀从「へっ!ちょっとできるからってエロいこと考えやがって!」
从 `∀从「そんなこと絶対にさせねぇからな!」
( ´∀`)「いや、だから」
/ ゚、。 /
⊃ヌギヌギ⊂
「……わかりました、それでよければ」
(´д` )「脱ぐなモナァッ!」
从 ゚∀从「……あれ?」/ ゚、。 /
416
:
名も無きAAのようです
:2015/08/21(金) 20:50:08 ID:2qWEcbfUO
( ´ο`)「ハァ……仕方がないな。あまりこちらから依頼人の隠したいところをほじくり出すのは好まないのですが」
( ´∀`)「鈴木さん、あなた、"嘘"をついていますね」
/ ゚、。;/「……っ」
从 ゚、从「嘘?」
( ´∀`)「最初にお会いした時、どうにもひっかかるところがあった。むろん、杞憂だと思っていましたモナ」
( ´∀`)⊃「ですが」
バサッ
/ ゚、。 /「……これは、私の……」
( ´∀`)「勝手ながら鈴木さん一家の戸籍謄本を拝見させていただきましたモナ。するとわかったことがある」
417
:
名も無きAAのようです
:2015/08/21(金) 20:52:44 ID:2qWEcbfUO
( ´∀`)「"あなたの実の父親は生きている。さらに、戸籍上に載っている現在のあなたの父親は、実の父親ではない"。つまり、養子縁組が行われたと」
/ ゚、。 /「……」
从 ゚∀从(ん?えっ、養子縁組?ど、どういう意味だ?)
/ ゚、。 /「そ、それがなにか」
( ´∀`)「根本的な問題ですモナ。蒸発したと聞いた時、てっきり既に逝去されていると思いましたモナ。いやぁ、うっかりしていました」
( ´∀`)「第一に、相続放棄っていうのは、被相続人──すなわち、あなたの父親が生きているうちはできないんですモナ」
/ ゚、。 /「!」
418
:
名も無きAAのようです
:2015/08/21(金) 20:54:48 ID:2qWEcbfUO
从;゚∀从「そ、そうなのか!?それじゃ……いや、待て待て。さっきのモナーの話だと、父親が二人いることになるぞ!?」
( ´∀`)「そうだモナ。第二に、養子縁組によって実親と養親の二通りが戸籍法上父親になるモナ」
( ´∀`)「仮に片方が亡くなったとしても、親子関係は認められるから相続放棄自体は可能だモナ。でも双方とも生きている。それだと不可能なんだモナ」
/ -、。 /「やはり……無理でしたか」
/ ゚、。 /「お手数をおかけしてしまい、申し訳ありません。失礼します」
( ´∀`)「大変だったモナね」
/ ゚、。 /「?」
( ´∀`)「きっと、他の探偵や法律テラスとかにも相談したんだろうモナ。でも結果は同じだった」
( ´∀`)「わからないのは一つ。それでもなぜ私のところに来たのか」
/ ゚、。 /「……」
419
:
名も無きAAのようです
:2015/08/21(金) 20:55:55 ID:2qWEcbfUO
( ´∀`)「あなたは金を払う必要がある。それは実の父親の借金だモナ」
( ´∀`)「でも、父親は生きているモナ。かといって、借金の保証人というわけでもないんでしょう」
( ´∀`)「それなのに借金の督促が来ているというのは、おそらく真っ当な人間から借りた金じゃないモナ」
/ -、。 /「……」
( ´∀`)「そこに来て、この養子縁組モナ。これは、あくまで私の推測モナが」
( ´∀`)「鈴木さん。あなた、"ヤクザに脅されてないかモナ"?」
/ ゚ο。 /「!!」
从;゚ο从「えっ!?な、なんで養子縁組からヤクザが出てくんだよ!?」
420
:
名も無きAAのようです
:2015/08/21(金) 20:56:46 ID:2qWEcbfUO
( ´∀`)「例えばネームロンダリング……信用情報が必要とされる借り入れや契約をするために、養子縁組を使って名前――姓名を変えたりする犯罪があるモナ」
从 ゚―从「はぁ?名前なんてそんな簡単に変えられるわけないじゃん。つーか、そんなもん通るわけないじゃん。だいたい役所が──」
( ´∀`)「これぞまさしくお役所仕事。基本的には書式さえ整っていれば役所がそれを断ることはないモナ」
从 ゚∀从「なっ……じゃあ、この姉ちゃんの親父さんは騙されて」
( ´∀`)「いや、そういうわけでもないだろうモナ。それなら単純に親父さんに請求するモナ。まして支払い能力の低い人間に対して無駄な労力は使わないモナ」
/ ゚,。 /「……」
421
:
名も無きAAのようです
:2015/08/21(金) 20:57:41 ID:2qWEcbfUO
从 ゚へ从「んだよ、じゃあどういうことだよ」
( ´∀`)「わからんからお聞きするモナ。……"実の親"がした借金2000万、これはヤクザから借りたものモナ?」
/ ゚、。 /「……初めてです」
( ´∀`)「モナ?」
/ -、。 /「いろんな探偵さんにお話をしました。でも、皆さんやくざの……葉車組の名前を出しただけで聞く耳を持ってくれませんでした」
/ ゚、。 /「だから、せめて話だけでも聞いてもらえるように相続放棄という形で依頼すれば……もしかしたら親身になってくれるかと思って……」
( ´∀`)「嘘をつく依頼は受けないモナ。でも、その先にある真実を明かすのが探偵の仕事モナ」
( ´∀`)「話してみなさい」
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