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▼・ェ・▼その男、所詮、『犬』のようです。
63
:
名も無きAAのようです
:2015/02/24(火) 17:54:48 ID:k5vExvik0
その表情はネズミを弄ぶ猫を思わせた。
くりくりとした可愛い真ん丸お目目をニンマリ細め、ちらりと舌を出して見せる。
愛らしく、それでいて、サディスティックな優越感を孕んだような、猫の顔。
(*゚∀゚)「彼がどうして、娼婦を切り裂く時にメスを使ったか、あなた、知ってる?」
(# ゚∋゚)「……!!」
クックル、弾けるが如く跳躍。
空中で軽く1回転し勢いをつけ、戯れ言をぺらぺらと語り続ける女の頭上に隕石が如く踵落としを放つ。
64
:
名も無きAAのようです
:2015/02/24(火) 17:55:42 ID:k5vExvik0
大地が抉れる音が空を裂くように響き、砕けた大地は粉塵となり宙に舞う。
その威力、周囲に半径3メーター程度のクレーターを作る程に強大。
だが彼の脚から人間の身体を破壊した手応えは獲られなかった。
(*゚∀゚)「私ね、思うんだ」
女はいつのまにかクックルの後方、10メーター程の距離を保ちながら涼しい顔で立っていた。
そして再び攻撃態勢をとるクックルなど気にする様子も見せずにこう続けた。
(*゚∀゚)「きっと彼がメスを使ったって言われる理由はね、手近で1番切れ味が良い刃物が、それしか無かったからなんだろうなーって」
(*゚∀゚)「私ね、それって、可哀想だなって思うの」
65
:
名も無きAAのようです
:2015/02/24(火) 17:57:02 ID:k5vExvik0
身体の重心を低く構え直し、鬼のような形相で睨み付けるクックルを挑発するかのように女は続けた。
(*゚∀゚)「だってさ? メスなんかじゃあさ、切るの時間かかるしさ、骨まで切れないじゃない」
(*゚∀゚)「私、嫌だな、そういうの。だってさ、相手の身体を刻む時に」
(*゚∀゚)「スパッて音を立てて、相手の肉片が宙に舞う、あの独特の快感が無いんじゃ、勿体ないじゃない」
ペロリとわざとらしく舌を出した女の顔。娼婦の顔。牝猫の顔。愛らしい……
(* ∀ )
――獣の顔。
66
:
名も無きAAのようです
:2015/02/24(火) 17:59:23 ID:k5vExvik0
それを見た時、クックルの額にはち切れんばかりの青筋が浮かびあがり、灼熱のような憤怒が沸き上がった。
(# ゚∋゚)「くたばりやがれ……」
腰を落とし、右手をだらりと脱力させ、地面に着ける。
怒りに燃える瞳にをゆっくりと閉じ、全身の力を宙に蒸発させるかのように、あらゆる力を無に溶かす。
( -∋-)
( -∋-)
(# ゚∋゚)
―――そして覚醒。
67
:
名も無きAAのようです
:2015/02/24(火) 18:01:12 ID:k5vExvik0
(# ゚∋゚)「糞ったれの淫売がああああああぁぁぁ!!」
(*゚∀゚)「!」
咆哮。目にも止まらぬ速度で右腕を宙に振り上げる。
瞬間、彼の目の前の大地が音を立てながら真っ二つに割れ、その衝撃波は粉塵と轟音を舞い上げながら女に向かって獅子が如く一直線に突き進む。
夜空につきだされるように振り上げた彼の指先は鋼鉄の芯が入ったかのようにピンと揃っており指先1つまでに全神経を集中させているのが分かる。
全身の力を右腕1つに集結させた、手刀。
それは、風も、大地も、人間も、一瞬で全てを両断する、破壊王ガリアーノ・クックルの奥義だった。
( ゚∋゚)「……」
霧のような粉塵が月明かりに照らされている。
やがてパラパラと音を立て、砂埃が晴れていく。
68
:
名も無きAAのようです
:2015/02/24(火) 18:02:08 ID:k5vExvik0
大地は地割れが起こったかのように深く抉れ、大きな溝を作っていた。
その威力、絶大。
絶対なる破壊の象徴。
( -∋-)「……ふう」
クックルは静かに息を吐く。
長い戦いだった。瞳をゆっくりと閉じ、静かに自らの肉体を労る。
勝ったのだ。
失った右耳の熱を忘れる程に、彼は深く勝利の余韻に浸っていた。
69
:
名も無きAAのようです
:2015/02/24(火) 18:03:00 ID:k5vExvik0
「貴方って、凄いのね」
クックルの背中から、牝猫の声がした。
70
:
名も無きAAのようです
:2015/02/24(火) 18:04:50 ID:k5vExvik0
「大きくて、激しくて、その上、すっごく硬いんだもの」
「でも、ね……」
(;゚∋゚)「……ぅあ……!!」
クックルの指先が、まるで野菜が輪切りにでもされたかのようにポロポロっと宙を舞い、後を追うようにちょろちょろと真っ赤な血液が漏れだした。
(*゚∀゚)「遅すぎると女の子は飽きちゃうんだよ?」
(; ∋ )「うあああああああぁぁぁぁぁぁ!!」
71
:
名も無きAAのようです
:2015/02/24(火) 18:07:16 ID:k5vExvik0
慟哭。
その男、激しく、慟哭。
右手を抱え、叫び回るクックルに牝猫は飛び掛かる。
まず右の爪で男の眼球を抉るように深く引っ掻いた。
(; ∋ )「ひぎゃっ!?」
情けない悲鳴をあげる男を尻目に、向かいの壁を蹴りあげ、身体を翻す。
勢いを殺さぬよう前転しながら着地すると、滑り込むように大男の股ぐらを潜り抜け、ついでとばかりに左の爪でペニスを切り落とす。
(; ∋ )「ぎゃあああああぁぁぁぁ!!」
72
:
名も無きAAのようです
:2015/02/24(火) 18:08:11 ID:k5vExvik0
クックルはかん高い悲鳴をあげながら崩れ落ちた。
その口元からはブクブクと真っ赤な泡を吹きだし、もう存在しないペニスを必死に探しまわるかのように股間を両手でまさぐるようにかばっている。
端から見るとなんとも、無様で滑稽な様であったがそれも無理はない。
何故なら破壊されているのだから。破壊王の肉体が、一方的に。
(*゚∀゚)「おやすみなさい。ハニー・バニー」
牝猫は両爪を構え、独楽のようにくるくると回りだす。
73
:
名も無きAAのようです
:2015/02/24(火) 18:09:04 ID:k5vExvik0
真っ赤なワンピースドレスをフワフワと、はためかせるその様は1種のミュージカルの舞台のようで、優雅でさえあった。
次第にその回転は激しくなり、勢いを殺さぬまま地を蹴り、デカブツのハニー(彼女はペニスを無くした男達を総してこう呼んだ。ちょっと悪戯っぽい感じで、愛らしく、ハニー。と)に穿つかのように突っ込む。
彼女の細身の身体はまるで矢のようにクックルの巨体を貫き、そのまま4、5回ほど宙できりもみ回転すると音も無く、優雅に着地した。
(*゚∀゚)「いい夢、見てね? 私の夢を」
74
:
名も無きAAのようです
:2015/02/24(火) 18:09:58 ID:k5vExvik0
ドレスの裾をパンパンと払い埃を落とし、乱れたヘアーを整える。
そんな彼女の後ろで、ガリアーノ・クックルの巨体はサイコロステーキのように切り崩され、ぼとぼとと音を立てながら崩壊したのだった。
(*゚∀゚)「ん……」
牝猫は爪をドレスの中にしまいこむと、クックルから切り取ったペニスを右手でつまみ、月明かりに透かすかのようにブラブラと弄んだ。
そしてスンスンと鼻を鳴らし、血生臭い独特のアロマを楽しむと、かぶり付くように口に含む。
75
:
名も無きAAのようです
:2015/02/24(火) 18:11:20 ID:k5vExvik0
(* -∀-)「……ん……うふ……」
ぐちょぐちょと音を立て咀嚼する。
グミのような生肉の、あの独特の感触。
それはまさに『男』そのものの感触と言い換えてもいいだろう。
この瞬間、彼女は『男』を完璧に支配し、喰らい、自らのものにした。
(* ∀ )「……っ!!」
2、3回身体を痙攣させ、女は崩れ落ちるように座り込んだ。
76
:
名も無きAAのようです
:2015/02/24(火) 18:12:18 ID:k5vExvik0
その瞳はとろけ、頬は熟れた桃のような色にそまり、彼女のプッシーは地面を濡らす程によだれを垂らしていた。
男を屈服させ、破壊し、食らう。
倒錯した赤黒い至福のオーガズムを堪能していた彼女の耳に、小さな声が聞こえたような気がした。
蚊の鳴くような、小さな声が。
77
:
名も無きAAのようです
:2015/02/24(火) 18:13:06 ID:k5vExvik0
―――わふぅん。
と。
78
:
名も無きAAのようです
:2015/02/24(火) 18:14:44 ID:k5vExvik0
後半へ続くー
個人的にちんこ食べる描写が一番の苦行
79
:
名も無きAAのようです
:2015/02/24(火) 18:18:10 ID:Xbow5L260
乙!
>>78
で吹いた
80
:
名も無きAAのようです
:2015/02/24(火) 18:50:40 ID:2RdgVEy20
乙
81
:
名も無きAAのようです
:2015/02/24(火) 18:51:36 ID:eN.K8dwg0
乙!
82
:
名も無きAAのようです
:2015/02/24(火) 18:55:34 ID:MwV4iWd.0
乙です!
83
:
名も無きAAのようです
:2015/02/24(火) 19:06:59 ID:ji0EZ7gg0
作者の他の作品が読んでみたいが他作品ある?
84
:
名も無きAAのようです
:2015/02/24(火) 20:26:56 ID:lYwxEAX6O
乙
85
:
名も無きAAのようです
:2015/02/24(火) 22:28:41 ID:NWa/Tr.A0
おつおつ
86
:
名も無きAAのようです
:2015/02/24(火) 23:37:04 ID:5wfHZQQo0
乙
戦闘描写すごくいいな
87
:
名も無きAAのようです
:2015/02/25(水) 01:01:46 ID:QCRcpFyE0
乙 ちんこもげた
88
:
名も無きAAのようです
:2015/02/25(水) 02:38:31 ID:J34Iy5fs0
>>83
絶賛放置中ですがBitch!!!という現行がありまして……
>>86
嬉しいな泣きそう
1です。実は第1話のプロットが出来上がっているので2話目の構想に入りたいのですがストーリー案が多すぎて迷ってます。
来週末には第1話完結予定なので、それまでに読者の皆さんに投票して頂いて話を決めようかと思います。
なお、ストーリーによってエンディングやキャラの生き死にも大きく変える予定です。
ストーリーは東、西、北の3つに別れています。
もしよかったら投票お願いします。
ちなみに主役はビーグルですのでどのストーリーでも登場します。
それではストーリー紹介です。
89
:
名も無きAAのようです
:2015/02/25(水) 02:45:01 ID:J34Iy5fs0
東 『クリムゾンヘッド』
〜暴君と右腕と双子の物語〜
3話までの主なキャラクター
ハインリッヒ、フィレンクト、アニジャ、オトジャ、デミタス
愛するイモジャの超高価な人形を酔った勢いで破壊してしまったアニジャとオトジャは弁償する金を稼ぐために、アウトローの吹きだまり、ソウサクシティを訪れる。
いきなり南の『ドラゴン』という組織の若者に絡まれるが2人はなんなく返り討ちにする。
しかし騒ぎは思った以上に大きくなってしまい、さあどうしたものかと慌てふためく2人の目の前に『ジョニーウォーカー』と名乗る情報屋が現れ、ひょんなことから東の『クリムゾンヘッド』の傭兵として雇ってもらうことになり……
シリアス ☆
ギャグ☆☆☆
エロ☆
グロ☆☆☆
90
:
名も無きAAのようです
:2015/02/25(水) 02:50:02 ID:J34Iy5fs0
西『イエローモンキー』
〜壊れた天使の物語〜
3話での主なキャラクター
ビロード、ワカッテマス、ニダー、クール、ヒート
盲目の老人、ニダーは主に黄色人種で構成されるマフィアグループ『イエローモンキー』のドンでありながら熱心なクリスチャン。
どこの縄張りにも属さない、いわゆる安全地帯と呼ばれる小さな教会で毎週日曜日になると静かに礼拝する。
そこで出会った神父を補佐する不思議な力を持つ少年、ビロードと心を通わせ親しくなるも、老人の見えない筈の瞳には、天使のような少年にまとわりつく黒い影が映っていた。
それはビロードのもう1つの人格。
彼が心の闇に孕んだ殺人鬼という悪魔の人格で……
シリアス☆☆☆☆☆
ギャグ☆
エロ☆
グロ☆☆☆☆
91
:
名も無きAAのようです
:2015/02/25(水) 02:54:25 ID:J34Iy5fs0
北『ナインテール』
〜狐と魔女と食人鬼の物語〜
3話までの主なキャラクター
フォックス、ペニサス、アヒャ、モララー、ギャシャ
北を支配する『ナインテール』のドン、フォックスは謎が多い。
IQ183の頭脳を持ち、あらゆる女を魅了するミステリアスなカリスマ。
だがその実態は、最強の力を持っている癖に引きこもっているニートの魔女や、どこか常識外れで隙あれば人間を食らう食人鬼のファミリーに振り回される苦労人の人生そのものだった。
今日も彼は叫びながらファミリーの秩序を守るため走り回るのだ……
ギャグ☆☆☆☆☆
シリアス☆
エロ☆☆☆☆
グロ☆☆☆☆
92
:
名も無きAAのようです
:2015/02/25(水) 02:56:13 ID:J34Iy5fs0
以上になります。
暇潰し程度で構いませんので、投票よろしくお願いいたします
93
:
名も無きAAのようです
:2015/02/25(水) 03:00:24 ID:6QyynrEUO
乙。さぁ、お前らの好きな投票だぞw
94
:
名も無きAAのようです
:2015/02/25(水) 06:54:49 ID:5bTtbCCk0
くっそ、どれも面白そうじゃないか……!
ちなみに、1話のギャグ、シリアス、エロ、グロは☆いくつぐらい?
95
:
名も無きAAのようです
:2015/02/25(水) 07:21:30 ID:2hTTYK9Q0
順番ではなく1つしか選べない感じか。
なら北に1票!
96
:
名も無きAAのようです
:2015/02/25(水) 07:22:15 ID:Od1wp3Pk0
北のナインテールに一票
97
:
名も無きAAのようです
:2015/02/25(水) 08:23:13 ID:O1xrKi9E0
東に一票!
98
:
名も無きAAのようです
:2015/02/25(水) 09:07:09 ID:Rt24Zaa.0
>>94
まだ後半が未投下ですが仮に投下すると仮定した場合
ギャグ☆
シリアス☆☆
エロ☆☆
グロ☆☆☆
といったところでしょうか?
乙や投票ありがとうございます。
予定が変わりましたので今夜第1話を完結させます。
投票受付中ですのでご協力よろしくお願いいたします。
99
:
名も無きAAのようです
:2015/02/25(水) 09:14:13 ID:b3evk1gY0
西に一票
100
:
名も無きAAのようです
:2015/02/25(水) 09:32:36 ID:qsgBjlFQ0
大佑さん・・・
101
:
名も無きAAのようです
:2015/02/25(水) 09:32:42 ID:QCRcpFyE0
東に一票
102
:
名も無きAAのようです
:2015/02/25(水) 09:51:37 ID:5bTtbCCk0
>>98
ありがとうございます、じゃあ東のクリムゾンに一票!
今晩楽しみにしてます
103
:
名も無きAAのようです
:2015/02/25(水) 10:55:34 ID:pTPxAvno0
西に一票
104
:
名も無きAAのようです
:2015/02/25(水) 11:38:27 ID:kux1NvMk0
シリアス読みたいから西で
105
:
名も無きAAのようです
:2015/02/25(水) 13:11:11 ID:IqjHirBg0
よし、北で
106
:
名も無きAAのようです
:2015/02/25(水) 13:17:03 ID:xEbffN3I0
同じく北で
ギャシャが出るのか 楽しみだ
107
:
名も無きAAのようです
:2015/02/25(水) 13:21:48 ID:0uzUy01E0
西がいいかな
108
:
名も無きAAのようです
:2015/02/25(水) 13:35:10 ID:m8DmmKCwO
北だな。
109
:
名も無きAAのようです
:2015/02/25(水) 16:38:53 ID:V2VezQWA0
シリアスな西で
110
:
名も無きAAのようです
:2015/02/25(水) 17:23:00 ID:G70FSCNc0
西
111
:
名も無きAAのようです
:2015/02/25(水) 17:34:31 ID:xEbffN3I0
北
112
:
名も無きAAのようです
:2015/02/25(水) 18:17:51 ID:aQ/paZVo0
西に一票
113
:
名も無きAAのようです
:2015/02/25(水) 18:43:38 ID:X9L74FrA0
西
114
:
名も無きAAのようです
:2015/02/25(水) 19:49:17 ID:co3ZVERc0
沢山の投票ありがとうございます。
現時点では東2票、西8票、北6票となります。
恐らく西か北の2択になるかと……
今夜21時で投票締め切ります。
また21:30頃に第1話の後半を投下します。
115
:
名も無きAAのようです
:2015/02/25(水) 19:50:12 ID:co3ZVERc0
書き忘れ、第1話、人によっては胸糞注意かもです。
116
:
名も無きAAのようです
:2015/02/25(水) 19:54:21 ID:qSMzdKJE0
西
117
:
名も無きAAのようです
:2015/02/25(水) 20:09:46 ID:wCYhxRdM0
北で
1話後半も楽しみにしてる
118
:
名も無きAAのようです
:2015/02/25(水) 20:21:34 ID:ekO/m.qw0
北
119
:
名も無きAAのようです
:2015/02/25(水) 20:24:35 ID:fJ9zRN.s0
西で
120
:
名も無きAAのようです
:2015/02/25(水) 20:35:29 ID:yaOv8fbs0
北に一票
121
:
名も無きAAのようです
:2015/02/25(水) 20:55:36 ID:caot02ac0
北で
122
:
名も無きAAのようです
:2015/02/25(水) 20:57:06 ID:HybN6RC.0
西
123
:
名も無きAAのようです
:2015/02/25(水) 21:11:13 ID:4mRI1zpI0
どれも面白そうで選べなかった奴は挙手
抜いたのはノ
124
:
名も無きAAのようです
:2015/02/25(水) 21:32:30 ID:xEbffN3I0
たくさんの投票ありがとうございます!
まさかここまで沢山の投票頂けるとは思わなかったので感激しています!
11票で西『イエローモンキー』ストーリーで決定しました。
また北のストーリーも票が多かったので積極的に組み込む予定です。
沢山の投票ありがとうございした!!
では投下します。
125
:
名も無きAAのようです
:2015/02/25(水) 21:34:17 ID:xEbffN3I0
突然だが、皆様はアルバートフィッシュという男をご存知だろうか?
彼は1910年から約20年以上に渡り、殺人を繰り返したアメリカの著名なシリアルキラーの一人である。
犠牲者の数は今だはっきりと断定されてはいないものの、最低でもなんと400人以上の尊い命が犠牲となり、中には執拗な拷問にかけられ、最終的にその肉を調理され、食されるという悲惨な最期を迎えた被害者もいたそうだ。
その常軌を逸した残忍な犯行、常識では考えられない犠牲者の数。
悪魔も思わず目を背けるであろう凶行は、不思議なことに満月が夜を照らす日に行われることが多かったという。
人々は月夜に漂う怪物、アルバート・フィッシュを恐れ、こう呼んだそうだ。
―――『満月の狂人』と。
126
:
名も無きAAのようです
:2015/02/25(水) 21:34:58 ID:xEbffN3I0
血濡れた娼婦であるアマレット・ツーの趣味に、過去に名を残した異常犯罪者について学ぶ。と言うものがある。
自らもシリアルキラーであるという自覚がある彼女は、世間的に異常と言われる自分自身の事をより深く理解するために、様々なシリアルキラーやスプリーキラーを調べあげたのだ。
もちろん、その中にはかの有名なアルバート・フィッシュもいた。
つまり、彼女が『満月の狂人』と恐れられていた男の存在を認識していたことは、ある意味では当然であったのだ。
ツーは考えた。
敬愛すべきアルバート・フィッシュ氏の二つ名は『満月の狂人』である。
で、あるならば。
―――今自分の目の前にいる男の名は何なのだろうか。
127
:
名も無きAAのようです
:2015/02/25(水) 21:35:57 ID:xEbffN3I0
その男、異常、異質、そして、変態(マニアック)。
ツーは乱れた呼吸を整え、汗をぬぐうと、密かに目の前の男に名前をつけた。
月明かりの舌で荒々しくパンチング呼吸を繰り返し、犬の被り物をした珍妙な姿の男に、心の中で、密かに……
▼・ェ・▼
――『満月の狂犬』と。
128
:
名も無きAAのようです
:2015/02/25(水) 21:37:28 ID:xEbffN3I0
(#*゚∀゚)「……っらあああぁぁ!!!」
ツーはハエトリグモのように姿勢を低くしながら男を少しでも撹乱しようと壁から壁へ跳ね回る。
やがて自身が完全に男の死角である真後ろの『壁に着地する』と同時に音も立てずに跳躍し、犬男の背からその首を切り落とさんと爪を構える。
▼・ェ・▼「わふう!!」
(;*゚∀゚)(なんでこれを避けるんだよ!!)
しかし、ツーの動きなどお見通しだと言わんばかりに無駄の無い動作で避けられる。
厳密に言うと彼女の爪は、確かに男に届いてはいるのだが、いかんせん傷の深さがまったく足りない。
129
:
名も無きAAのようです
:2015/02/25(水) 21:38:44 ID:xEbffN3I0
犬男は顔をしかめるツーに見せつけるかのように、浅い傷痕から漏れだす、わずかな血液を指で拭い舌で舐め取る。
すると満足そうに、にんまりと笑ってみせた。
その態度に普段は飄々としている牝猫、アマレット・ツーの闘志に火がついた。
(#*゚∀゚)(……こんの!!)
(#*゚Д゚)「マゾ犬がああああぁぁぁ!!」
ドレスを翻すように1回転すると彼女の左手から3本の爪が男の目を狙って発射される。
20メーター程の距離を一直線に突き進む3本爪は月明かりに照らされ#ギラギラと輝く残像を残しながら風を切る。
130
:
名も無きAAのようです
:2015/02/25(水) 21:40:14 ID:xEbffN3I0
しかし、男は何故か避けようとせずに、右腕を盾にして目を庇う。
骨まで届くか届かないかという衝撃が男を襲い、わずかに犬男の口元が歪む。
夜空に彼の真っ赤な血潮が舞い散った。
(*゚∀゚)(狙いどおり!)
その刹那、ツーは地を蹴りだし音もなく一瞬で男の懐に入り込むと、そのまま勢いよく右の爪をその腹に突き刺した。
(#*゚∀゚)(死ね!!)
男の帰り血がツーの右頬に跳ねた。
肉を突き刺す、感触有り。
131
:
名も無きAAのようです
:2015/02/25(水) 21:41:43 ID:xEbffN3I0
だが……
(;*゚∀゚)(……浅い!!)
すんでのところでバックステップをされていたようで、男の内臓を突き刺す程のダメージは与えられず。
瞬時に状況を判断したツーは延びきった右腕を引っ込めると同時に、左手でドレスの下に隠れたパンティから新しい爪を3本取りだす。
流れるような動作でそのまま男の視界を狙って横に凪ぎ払うも、男は軽く自分の首を上げられ、結果的に顎に軽い引っ掻き傷を作るのみとなった。
(;*゚∀゚)(!?)
132
:
名も無きAAのようです
:2015/02/25(水) 21:43:41 ID:xEbffN3I0
(;*゚∀゚)(こいつ……やっぱり……)
男は態勢を低く保ちながらバックステップでツーの間合いから脱出すると、2、3 回後方に宙返りをしてみせ、一瞬で20メーター程の距離を作ってみせた。
牝猫のように俊敏なツーにとってはかの程度の距離など一瞬で詰められる間合いだったが、彼女は動かなかった。
彼女の中での仮説が、先程の攻撃で確信を得たからである。
(;*゚∀゚)(私が最初に爪を投げた時、あいつは腕で庇ってみせた。
この爪はジャパンで有名な『刀』を特別に加工した超小型の特製ナイフ)
(;*゚∀゚)(刀はもともと切る事に特化した得物だからそこまで深くは刺す事は出来ないだろうけど……それでもあの速度で投げ付ければ骨には届く。
その痛みは無視できるものじゃないぞ?)
133
:
名も無きAAのようです
:2015/02/25(水) 21:44:57 ID:xEbffN3I0
(;*゚∀゚)(極め付けはさっきの目を狙った攻撃の時だ。
あいつの動体視力なら確実に避けられた筈なのに、あいつは顎に切り傷をおっている)
そう。目の前の男は動きが早すぎるのだ。
戦闘が始まって20分程経過したが、ツーは無傷。
大して男の全身は切り傷だらけで血まみれだ。
にもかかわらず、男の身体には首や目の周りなど、致命傷になりかねない部分は全くの無傷なのだ。
つまり、目の前のこの男、彼は……
(;*゚∀゚)(わざと私の攻撃をくらってる! 一瞬でも反応が遅れたら即死する私の攻撃を! わざと)
134
:
名も無きAAのようです
:2015/02/25(水) 21:46:33 ID:xEbffN3I0
▼・ェ・▼「ハッ……ハッ……ハッ……ハッ……」
荒々しいパンチング呼吸が静寂に響く。
ツーは確信した。目の前の犬男はただの変態でも、気狂いでも、ましてや自殺願望のあるマゾヒストでもない。
(;*゚∀゚)(こいつ……メチャクチャ強い!!)
その男、被虐趣向。
その男、所詮、駄犬。
しかし、その男……
▼・ェ・▼
―――圧倒的、強者。
135
:
名も無きAAのようです
:2015/02/25(水) 21:47:55 ID:xEbffN3I0
(;*゚∀゚)(何なんだよ!! こいつ一体何なんだよ!!)
今日という日は何て厄日なのか。
娼婦の皮を被った牝猫は小さく歯ぎしりすると自らの運命を呪いながら、思考の海に溺れていった。
――――――――――――――――
.
136
:
名も無きAAのようです
:2015/02/25(水) 21:53:06 ID:xEbffN3I0
アマレット・ツーはイタリアのミラノの出身である。
愛らしく、人懐っこい彼女は両親と1つ上の姉の愛情を一身に受け、スクスクと成長した。
経済的にも裕福で、笑いの堪えない幸せな日常を謳歌していた。
だが彼女が9歳の時、悲劇が起こる。
家族4人でショッピングをしていた帰りの出来事である。
彼女が乗っていた軽乗用車に飲酒運転をしていた大型トラックが突っ込んで来たのだ。
その結果、両親、姉と共に即死。
奇跡的にツーは殆ど無傷であったが、彼女の心の傷は想像もできないくらい深いものとなった。
家族を無くしたツーは母方の親戚にあたる、アメリカに住む叔父に引き取られる事となり、イタリアを去りニューヨークの地を踏む事となる。
137
:
名も無きAAのようです
:2015/02/25(水) 21:54:18 ID:xEbffN3I0
しかし、彼女の不幸はまだ終わらなかった。
40代にして独り身だった彼女の叔父は児童性愛の気があった。
そして皮肉な事に、9歳のツーは叔父の好みにピッタリだったのだ。
叔父はツーを引き取るとすぐさま彼女に悪戯をするようになった。
最初は身体を触る程度だったが1ヶ月もしない内にツーにフェラチオを強要するようになった。
まともな性知識もなく、ただ本能的な恐怖と嫌悪感を感じ、激しく抵抗したツーだったが2、3回殴られると抵抗する気力を無くし、生臭い男の物を小さな口に突っ込まれる事になる。
結局はその後ますます興奮した叔父に挿入までされることとなり、彼女は泣き叫びながら処女を失った。
あまりの痛みに、彼女は失神した。
その後も1週間はまともに歩く事が出来なかった。
138
:
名も無きAAのようです
:2015/02/25(水) 21:55:32 ID:xEbffN3I0
叔父の性癖は偏っており、挿入よりもむしろフェラチオやイラマチオを好み、ツーに毎晩強要した。
非力な彼女には逆らう術も無く、毎日泣きながらも叔父のペニスを頬張った。
叔父は猿のように腰を振り、ツーの口内に射精した。
飲まないと殴られるので、毎晩頑張って飲み込んだ。
著名なシリアルキラーに多く共通するポイントとして、幼い頃、両親の愛情を充分に得られず、虐待を受けていたものが多いというデータがある。
シリアルキラーの多くは男性ではあるが、この悲惨な幼少期が後にツーを女性の身でありながら残忍なシリアルキラーへと変貌させるきっかけになったのは言うまでも無いだろう。
139
:
名も無きAAのようです
:2015/02/25(水) 21:56:53 ID:xEbffN3I0
しかし、彼女が13の時。ある転機が訪れる。
皮肉にも叔父がツーの両親と同じ自動車事故に巻き込まれ、しばらくの間は杖無しでは歩けなくなったのだ。
ツーに希望の光が見えた瞬間だった。
歩けない叔父はいつものように寝る前にツーを呼び出しフェラチオをするように命じた。
本来だったら立ち上がり、無理やり喉奥にペニスを突っ込み、ツーが苦悶の表情を浮かべるのを楽しむのだが、骨折している間だけはツーに軽く命令はするものの、無理やりイラマチオをすることは無かった。
ツーは顔色1つ変えずに命令通りに叔父のペニスを口に含み、勃起させた。
快楽にだらしなく顔をとろけさせる叔父の表情をチラリと確認した彼女は、一際大きく口を開け、口いっぱいにペニスを頬張ると
140
:
名も無きAAのようです
:2015/02/25(水) 21:57:36 ID:xEbffN3I0
―――思いっきり喰いちぎった。
.
141
:
名も無きAAのようです
:2015/02/25(水) 21:58:51 ID:xEbffN3I0
情けなく股ぐらを押さえながら泣き叫ぶ叔父。
ツーを捕まえようにも両足は動かず、杖を掴もうにもあまりの痛みで失神寸前。
ツーはペニスを吐き捨て、口を洗うことも忘れ、一目散に警察に駆け込んだ。
程なくして叔父の悪行がすっかり明るみに出ると彼はペニスを無くしたまま刑務所にぶちこまれる事となり、彼女は叔父の魔の手からようやく開放される事となった。
またこれは余談だが、アメリカの刑務所内では児童性愛者は非常に嫌われており、ヒエラルキーも低い。
するとどうなるのか?
屈強な他の受刑者達に酷いイジメを受ける事となるのだ。
このような刑務所内の情勢もあり、入所してからわずか3ヶ月後。
ツーの叔父、アペロール・トラギコは他の受刑者達にリンチにあって死亡している。
葬儀には誰も来なかった。
142
:
名も無きAAのようです
:2015/02/25(水) 22:00:02 ID:xEbffN3I0
かくして孤児院に預けられたツーは、間もなくしてある富豪の1家に養子に迎えられる。
何不自由なく暮らしていたツーだったか15の時にその生活は終わりを迎える。
寝ていた義父のペニスを喰いちぎるという気狂いじみた凶行により警察に捕まったためだ。
義父は決してツーを虐待などしていなかったし、ツーも義父の事を家族として愛していた。
しかし、自分の中に生まれた倒錯的な欲望を抑えることは、虐待の結果、精神的に未熟なまま成長した彼女には不可能だったのだ。
年齢のこともあり、直ぐに刑務所から釈放されたツーは俗に言う『たちんぼ』と言われる娼婦に成り下がる。
143
:
名も無きAAのようです
:2015/02/25(水) 22:01:18 ID:xEbffN3I0
しかし、ここでも彼女は倒錯した欲望捨てきれず、約1年の間に20人の以上のペニスを喰いちぎる。
しかも、捕まる事と大声を出される事を恐れた彼女はペニスを切り取る(もしくは喰いちぎる)と同時に男の喉元を切り裂く事を覚えた。
そして10人目を超えたあたりから彼女はペニスを咀嚼し、飲み込むようになった。
また、彼女の凶行はニューヨーク市内で前代未聞の変態的連続殺人として騒がれることとなり、ニューヨークから逃げ出さざるをえない状況となったのだ。
かくして幼い頃の性的虐待から、残忍なシリアルキラーに堕ちたアマレット・ツー。
彼女は警察の手から逃れる為に、そしてさらなる狩りを続けるために17の時にソウサクシティの『クリムゾンヘッド』の娼婦として働き始めたのだ。
144
:
名も無きAAのようです
:2015/02/25(水) 22:02:14 ID:xEbffN3I0
今日までは何とか周りの目を誤魔化し、狩りを続けてきた彼女だったが、今日はとにかく運が悪かった。
先ず獲物である客を殺害する様を近くに根城を持つホームレスに目撃され、叫び声を上げられた。
その悲鳴を聞き付け、『クリムゾンヘッド』が『チンコ狩りのホモ野郎』を(とは言っても、実際のところ犯人はツーなので野郎では無い訳だが)捕まえる為に雇ったと思われる傭兵どもが集まって来たのだ。
所詮チンピラ崩れの傭兵どもなど、幾度となく狩りをしてきた彼女の前では敵ではなかったが、そこにさらにイレギュラーが混ざり混んできた。
悲惨な最期を迎えた破壊王、ガリアーノ・クックルだ。
145
:
名も無きAAのようです
:2015/02/25(水) 22:03:26 ID:xEbffN3I0
そもそもツーは殺人を犯すものの、あくまで叫び声をあげられるのが面倒だから殺しているだけで、正直な話ペニスさえ喰えれば殺人なんかはどうでもよかった。
ただし、クックルは違った。
あまりにも彼女の好み(マッチョで男らしく、自信と強さに溢れている大男)にマッチングしていため、必要以上に時間をかけて嫐り、切り刻んでしまい、あきらかに無駄な体力と時間を使ってしまったのだ。
そして戦利品であるマッチョマンのペニスを咀嚼し、つかの間のオーガズムにひたる彼女の前に……
ついにその男が現れてしまったのだ。
146
:
名も無きAAのようです
:2015/02/25(水) 22:05:27 ID:xEbffN3I0
▼・ェ・▼
その男、奇妙。
先ず何よりも目につくのはシベリアンハスキーをデフォルメしたような奇妙な被り物。
口以外をすっぽりと隠しており、どう考えても戦闘には不向きな装飾品であった。
そして、その服装である。
痩せ細った上半身は衣服をまとっていない。
首もとには黒い、何かの金属で作られたと思われる首輪をつけており、同じく黒っぽい色の鎖がダラリとぶら下がり、腰元のあたりにベルト代わりと言わんばかりに何重にも巻かれていた。
両胸にはニップルに突き刺さっていると思われる、拳大の髑髏のピアスがぶら下がっており、見ているだけでも痛々しい。
147
:
名も無きAAのようです
:2015/02/25(水) 22:06:31 ID:xEbffN3I0
下腹部にはデカデカと『Slave』という文字のタトゥーが自己主張しており、彼の価値観が常人のそれとは大きくかけ離れているのが見てとれる。
下半身にはレザーのボンテージパンツ。
そしてその上から組み合わせるかのように革と金属で作られている大きな貞操帯が象の鼻のようにぶら下がっている。
足元はロングタイプのベルトブーツにパンツをインしており、全ての色彩が黒か銀で統一されていた。
彼を見たものは口をそろえてこう、言うであろう。
―――変態(マニアック)。と。
148
:
名も無きAAのようです
:2015/02/25(水) 22:08:45 ID:wCYhxRdM0
変態だ……
149
:
名も無きAAのようです
:2015/02/25(水) 22:10:37 ID:yaOv8fbs0
参考BGM聞いてきたら、妥当な変態ぷりだった
150
:
名も無きAAのようです
:2015/02/25(水) 22:14:25 ID:jZwxoD1I0
変態じゃないですかーやだー
151
:
名も無きAAのようです
:2015/02/25(水) 22:17:05 ID:hi404eAI0
まごうことなき……変態……!
152
:
名も無きAAのようです
:2015/02/25(水) 22:18:37 ID:xEbffN3I0
(#*゚∀゚)「っらああぁぁ!!」
壁を蹴り、ひたすら跳ね回り、男の死角を探り、隙をみて飛び掛かり爪を横に振るう。
しかし何度振るっても寸前でかわされ、男の肌に浅い傷を作るのみだった。
(*゚∀゚)(……なら!!)
大地を蹴ったツーは『壁に垂直に着地』し、その態勢のまま『重力を無視して駆け抜ける』。
常識では考えられない曲芸のような動きで翻弄せんと男の背後に回った辺りで足をバネにきりもみ回転しながら突っ込む。
153
:
名も無きAAのようです
:2015/02/25(水) 22:20:48 ID:xEbffN3I0
▼・ェ・▼「わおん!!」
(#*゚∀゚)(チッ……!)
しかし死角からの攻撃にも関わらず犬男は後ろを振り返る事無く後方に身を翻しなから高く跳躍。
男の背中に十字の傷を作るもやはり浅く、決定打を与えるには至らなかった。
▼・ェ・▼「ハッ……ハッ……ハッ……ハッ……」
(;*゚∀゚)「はあ……はあ……」
ツーは焦っていた。自分は無傷だが明らかに体力を消耗し過ぎている。
そして、何より彼女が恐れていた事があった。
それは……
154
:
名も無きAAのようです
:2015/02/25(水) 22:22:31 ID:xEbffN3I0
(;*゚∀゚)(こいつ……まだ1度も私に反撃してきてない!)
明らかに目の前の男が、自分に対して手加減をしている事。
つまり、犬男はまだ本気で自分と命のやり取りをしていないということだ。
こちらは、もう、何十回と殺しにかかっているというのに本気を出していない相手になんなく避けられているのだ。
(;*゚∀゚)「くそっ……」
勝ち目は無い。恐らく逃げるしか無いだろう。
どのみちこの男との戦闘にあまり時間をかけ過ぎても、応援に来るであろう『クリムゾンヘッド』の傭兵達に捕まってしまったらもとも子もない。
サディストとして有名なハインリッヒに捕らえられたら2度と5体満足で日の目を浴びる事は出来なくなるだろう。
155
:
名も無きAAのようです
:2015/02/25(水) 22:24:07 ID:xEbffN3I0
どうにかして目の前の犬畜生から逃げ出さねば。
その一心で頭を働かせていたツーだったが……
(;*゚∀゚)(……?)
なんとなく。そうとしか言えない。
もしくは、牝猫の野生の勘としか。
それでもツーは直感的に感じていた。
目の前のマゾヒストの駄犬が、今、静かに覚醒し……
▼・ェ・▼「……」
▼・ェ・▼「……」
▼・ェ・▼「……」
156
:
名も無きAAのようです
:2015/02/25(水) 22:27:09 ID:xEbffN3I0
▼・ェ・▼「GRUUUUUUUUUUUUAAAAAAAA!!!」
(;*゚∀゚)「!?」
―――サディストの猟犬として牙を剥く瞬間を。
犬男は四つん這いになると同時に咆哮。
猟犬が如くツーに向かい駆け出し、一瞬で懐まで入り込んで来た。
(;*゚∀゚)(さっきよりも速い!?)
瞬時に宙に身を翻し、狂犬の突進をかわしたツーは空中で態勢を立て直し、頭上から両の爪を男の襟首に向かって突き立てる。
157
:
名も無きAAのようです
:2015/02/25(水) 22:28:27 ID:xEbffN3I0
しかし、思っていたよりも男のスピードは早く、背中に3本爪の傷痕を残す事は出来たが殆どダメージを与える事は出来なかった。
▼・ェ・▼「GRUUUU!!」
(;*゚∀゚)「はやっ……!?」
高速の突進を避けられた男は前足を軸に大地に弧を描きながらターンする。
ブーツがガリガリと音を立てながら地面を擦り、砂煙を巻き上げる。
隙の無い行動に驚きを隠せないツーの首もとに、男は弾丸の如く飛び付き一気に食らい付く。
(#*゚Д゚)「食らうかあああぁぁ!!」
ツーは軽く跳躍すると身体を少々強引に捻りながら犬男の頭を力いっぱい踏みつけた。
158
:
名も無きAAのようです
:2015/02/25(水) 22:29:56 ID:xEbffN3I0
▼・ェ・▼「!?」
頭を文字通り踏み台にし、向かいの壁に向かって勢いよくバッタのように跳んでいく。
(*゚∀゚)(あんな変態の化物とやりあうなんてゴメンだ!! ここはムカつくけど逃げるが勝ち!!)
そしてあっという間に10メーター以上の距離を跳躍してみせたツーは壁に着地しようと態勢を整えたところで。
(*゚∀゚)(えっ?)
――空中で静止した。
.
159
:
名も無きAAのようです
:2015/02/25(水) 22:32:30 ID:xEbffN3I0
いや、静止させられたという表現が正しいだろう。
右足に何か冷たく、グイッと強い力で引っ張られているのだ。
停止する思考の中、ツーが足元に視線をやると、そこには鎖に繋がれた何か黒い輪っかのようなものが嵌められていた。
(*゚∀゚)(これって……あいつの首輪……?)
そこまで考えた時、視界が急速にブレた。
右足に抗えない巨大な力でがかかり、身体ごと無理やり引っ張られる。
ツーの身体は風を切るように自身の重心とは真逆の方向に強引に飛ばされ、無様な放物線を描くかのように頭から地面に激突した。
ドゴッと痛々しく鈍い男と共に、砕け散った大地が砂煙となって舞った。
160
:
名も無きAAのようです
:2015/02/25(水) 22:34:28 ID:xEbffN3I0
(;*##∀ )「がっ……!!」
スパークする視界の中、自身の右足に再び大きな付加がかかるのを感じた。
(;*##Д )「ひっ……やめっ……!?」
時既に遅し。
その男、鬼畜。
右足に枷を嵌められた哀れな牝猫は力任せに引きずられ投げ飛ばされる。
水ヨーヨーを振り回すかのように犬男はツーを軽々しく振り回してみせたのだ。
ぼやける視界、耳に響く暴風。そして全身が粉々になるような衝撃。
口から血が噴水のようにあふれ、呼吸すらままならない。
161
:
名も無きAAのようです
:2015/02/25(水) 22:36:26 ID:xEbffN3I0
(*##Д#)「」
ガスッ!……ドシン!……ズリズリ……グチャ……ズリズリ……ドシン!
その光景、地獄。
まさに、地獄絵図。
辺りの地面はツーのの血にまみれ、真っ赤な服はズタズタに裂け、ほとんど全裸の状態と変わらなかった。
可愛らしい顔は砂とケロイド状になった傷痕でぐちゃぐちゃで、鼻は陥没。
歯は既に4本は欠けていた。
162
:
名も無きAAのようです
:2015/02/25(水) 22:38:27 ID:xEbffN3I0
(;*##Д゚)「う……あ……」
辛うじて開いた視界の先に、こちらにゆったりと歩みを進める男の両足が見えた。
既に意識は朦朧としていたが、ツーの闘志は死んではいなかった。
(;*##∀゚)(……そうだ。そのままこっちへ来い)
こんなところで死んでたまるか。
瀕死の身体に力を振り絞り、男が近づいてくるのをただ静かにまった。
(;*##∀゚)(……もう少し!)
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