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('A`)は野球選手のようです
1
:
◆5Ws6J0OZQE
:2014/09/13(土) 15:51:51 ID:RZRi8KZI0
こちらでVIPと同時投下します
http://viper.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1410590996/l50
114
:
◆5Ws6J0OZQE
:2014/09/14(日) 01:18:51 ID:uOWrqJcM0
しかし、内藤のほうが早かった。
両手を広げ一塁ベースにダイビングする。
ボールが一塁手の朴にわたるほんのわずか一瞬早く。内藤の指先がベースを捉えていた。
『セ―――フ!!』
審判のコールに球場が沸く。
内藤が一塁ベースを叩くようにして喜びを表現する。
( ´_ゝ`) 「……ふん」
ランナーは1・2塁。またも得点圏にランナーを置いた。
( ><) 『内藤セーフ!! 内野安打です!』
(´・ω・`) 『気合の入った走塁でしたね。微妙なタイミングでしたが全力疾走が活きました』
( ><) 『さあ、打順は1番に帰って川島から! このチャンスを活かすことができるか!』
115
:
◆5Ws6J0OZQE
:2014/09/14(日) 01:21:57 ID:uOWrqJcM0
しかし、その川島の1球目。
(;K‘ー`) 「しまっ……」
(´・_ゝ・`) (ラッキー!!)
初球のチェンジアップを打つもボールは力なく兄者のもとへ。
もちろん、川島も全力で走るが、先ほどとは違い、内野安打になるべくもない。
( ´_ゝ`) 「助かったぜ、川島君」
難なく捕球し、一塁へ。
川島がベースを駆け抜けるころには、一塁手の朴はベンチに帰り始めていた。
116
:
◆5Ws6J0OZQE
:2014/09/14(日) 01:25:53 ID:uOWrqJcM0
(;K‘ー`) (何をやってるんだ、僕は……! バカか……!)
顔が上げられない。初球打ちは狙っていた。内藤が出塁して動揺していると思ったから。
しかし、兄者は涼しい顔で先ほど打たれたのと同じチェンジアップを投げてきた。
動揺して、止めようとしたバット。それにボールが当たってしまった。
(;K‘ー`) 「……」
ヤジも飛んでいる。しかし、内容までは分からない。
それぐらい、川島の頭は真っ白になっていた。
「おい」
それに、声をかける一つの声。
117
:
◆5Ws6J0OZQE
:2014/09/14(日) 01:29:53 ID:uOWrqJcM0
('A`) 「慶三」
毒田だった。同衾してから会話がなくなった男。
体を許しても心は許していない。そんな気持ちからのことだった。
そんな男が何の用だ。帰れ、僕の息子(18センチ)はあなたのものじゃない――
(;'A`) 「いや、地の文――!! 今、シリアスだから!!」
(;K‘ー`) 「……なんですか」
顔は上げずに、答える。
上げてしまえば、潰れてしまいそうだ。
('A`) 「まだ、終わってない」
118
:
◆5Ws6J0OZQE
:2014/09/14(日) 01:32:57 ID:uOWrqJcM0
(K‘ー`) 「……え」
顔を上げる。毒田の目線の先には、内藤がいた。
投手なのに、ユニフォームを泥まみれにして、それでもマウンドに向かって走っていた。
自分に気づいたらしく、道すがら、声をかけてくる。
( ^ω^) 「慶三、ドンマイだお。絶対にこの回抑えるから、任せてくれお」
('A`) 「言ったな? 絶対だぞ」
(#^ω^) 「お前には言ってないお童貞!」
(#'A`) 「違いますー! 素人童貞ですー!」
口喧嘩を始める2人。これも、この2人なりの励ましなのだろうか。
(K‘ー`) 「……わかりました。打球はセカンドじゃなくてショートにお願いします!」
( ^ω^) 「おう、もとよりそのつもりである!!」
('A`) 「ふん。いいさいいさ。……ほれ」
119
:
◆5Ws6J0OZQE
:2014/09/14(日) 01:36:11 ID:uOWrqJcM0
そういって手渡された川島のグラブ。
遊撃手用のそれは、今年初めて身につけたものだが、徐々になじんできた。
今では立派な自分の体の一部だ。
(K‘ー`) 「……はい」
それを左手につける。
切り替えろ。引きずってエラーでもしたら明日から僕のあだ名は『毒田』になるだろう。
それだけは、避けなきゃな――
('A`) 「……」
('A`) 「慶三は気づいて無いっぽいけど全部口に出てるぞ」
(K‘ー`) 「わざとです」
120
:
◆5Ws6J0OZQE
:2014/09/14(日) 01:58:41 ID:uOWrqJcM0
あかん、さるった。やばい
121
:
◆5Ws6J0OZQE
:2014/09/14(日) 02:03:09 ID:uOWrqJcM0
あ、00分になったら解除か……
122
:
◆5Ws6J0OZQE
:2014/09/14(日) 02:06:36 ID:uOWrqJcM0
『8回の表、ビックバンズの攻撃は、9番、ピッチャー流石』
( ^ω^) 「……変わんねーのかお」
( ´_ゝ`) 「もう休んでベンチ裏でアニメでも見たかったんだけどな」
( ><) 『流石は続投ですか』
(´・ω・`) 『普通なら交代でしょうけどね。ビックバンズは中継ぎも悪くない。
――でも、これは大一番です。原監督の中で心中してもいいと思えるような選手が、流石君だったのでしょうね』
( ><) 『……そうですか』
結局、兄者はショートゴロに倒れる。
そして、続く坂本、松本も打ち取った。
勝負は、8回の裏へと入っていく。
123
:
◆5Ws6J0OZQE
:2014/09/14(日) 02:09:39 ID:uOWrqJcM0
【途中経過】
123 456 789 RH
B 000 000 20 23
V 000 000 0 05
本塁打 松井50 盛岡11
B 流石‐盛岡
V 内藤‐比木
124
:
◆5Ws6J0OZQE
:2014/09/14(日) 02:12:15 ID:uOWrqJcM0
(#・∀・) 「おおおっ!」
(;´_ゝ`) 「く……」
8回の裏は2番の茂等からだ。
茂等は散々粘った後にレフトへのポテンヒットを放つ。
(´・_ゝ・`) (いいところには来ていたんだが……ノーアウトのランナーか)
( ´_ゝ`) (構わん。今の腑抜けたこいつなら大丈夫だ)
125
:
◆5Ws6J0OZQE
:2014/09/14(日) 02:15:19 ID:uOWrqJcM0
『3番、セカンド、毒田』
俺の名前に、ライトスタンドは沸かない。
――というと被害妄想にはなるが、宝さんや伊陽に比べれば期待値は落ちるだろう。
('A`) 「……」
手に持ったバットを見つめる。
当然ながら何も答えることはない。
( ´_ゝ`)
マウンドには完全に俺のことを見下している兄者さん。
――なめんな。打ち崩してやる。
126
:
◆5Ws6J0OZQE
:2014/09/14(日) 02:18:54 ID:uOWrqJcM0
(;'A`) 「……と、去年の俺なら言えたんだろうが……」
バックスクリーンには俺の今期の輝かしい成績が映し出されている。
その数字は完全に二流選手のそれだ。去年までの俺とは比べるべくもない。
('A`)
心が、相手に向かわない。
本来であれば、内藤に意見するなんておこがましいことなのだ。
127
:
◆5Ws6J0OZQE
:2014/09/14(日) 02:22:02 ID:uOWrqJcM0
( ´_ゝ`) (まったく、俺は悲しいぜ、毒田)
去年までの毒田は自信に溢れていた。
もちろん敵としての巧打者というのは嫌なものだ。
それでも、挑戦のし甲斐があった。打たれるか、抑えるか。
勝負の醍醐味がそこにはあった。
( ´_ゝ`) (今のお前は残りカスだ。数字じゃなくて、その顔が物語ってる)
ロージンをつけ、毒田をまっすぐに睨む。
( ´_ゝ`) (失せな、腰抜け)
128
:
◆5Ws6J0OZQE
:2014/09/14(日) 02:28:03 ID:uOWrqJcM0
( ><) 『さあ、茂等を一塁に置いての1球目……おっと!』
投じられた球は俺を怖気づかせようとするようなインコース。
普通なら避ける球だ。しかし、俺は違った。
(;'A`) (歯ぁくいしばれ……!)
インコース低めのちょうど膝元に食い込むストレート。
俺は、そのボールの軌道上に、足を少し出した。
129
:
名も無きAAのようです
:2014/09/14(日) 02:31:21 ID:uKDETcUk0
プロ根性だぜ毒男!
130
:
◆5Ws6J0OZQE
:2014/09/14(日) 02:31:29 ID:uOWrqJcM0
(;'A`) 「ぐっ……!」
右ひざに、走る痛み。大丈夫だ。骨とかそんな痛さじゃない。
ベンチから出てくるトレーナーを手で制してプロテクターを外す。
その拍子に、兄者さんのほうを見る。
( )
兄者さんは、もはやこちらなど見ていなかった。
131
:
◆5Ws6J0OZQE
:2014/09/14(日) 02:34:35 ID:uOWrqJcM0
『4番、ファースト宝』
( ><) 『さあ、毒田がデッドボールで出塁。ノーアウトランナー1・2塁のチャンスに4番の宝を迎えます!』
(´・ω・`) 『……』
( ><) 『諸本さん?』
(´・ω・`) 『! あ、すいません……宝ですね。内藤が好投していますから。ここで逆転の一打が欲しいですね』
( ><) 『そうですか。それではこの打席に注目していきましょう!』
(´・ω・`) 『……』
(´・ω・`) (毒田……なにをしているんだ? そんなのは……)
――プロのやることか?
132
:
◆5Ws6J0OZQE
:2014/09/14(日) 03:01:38 ID:uOWrqJcM0
( ^Д^) (形はどうあれ……チャンスだ)
宝はこれまでの3打席、すべて凡退に抑えられている。
ちょうど先ほどの松井と同じように。
( ^Д^) (本当に惚れ惚れするぜ……)
均衡した試合のバランスを動かすその力。
全国津々浦々の野球人たちが欲してやまない力だろう。
( ^Д^) (でも、負けねえぞ)
自分だってプロ球団の4番だ。
しかも、前任は球史に残る大打者、諸本信彦。
それをも超える力を見せつけてやる。
133
:
◆5Ws6J0OZQE
:2014/09/14(日) 03:04:57 ID:uOWrqJcM0
流石が3球を投げてカウントは2ストライク1ボール。
追い込まれて、しかも投手有利のカウントになってしまった。
しかし、宝にひるむ様子はない。
( ^Д^) (松井さんはさっき内藤の失投を打った……)
宝の求める4番。それにはもちろん相手の失投を逃さないことも含まれている。
しかし、自分が目指す4番。見てきた4番。
( ^Д^) (相手の決め球を打ち砕いてこそ、4番)
そして流石の持っているウイニング・ショット。
アウトローへのスライダー。右打者の自分から見ると逃げていくボールだ。
このボールに自分のみならず、多くの打者が空を切っていた。
134
:
◆5Ws6J0OZQE
:2014/09/14(日) 03:07:40 ID:uOWrqJcM0
そして、もう試合は8回の裏。流石も100球を超える球数を投げている。
できるだけ、早く終わらせてしまいたいはずだ。
( ´_ゝ`)(……)
そんなことを考えた、4球目。
真ん中低めへの半速球が投じられる。
( ^Д^) (これは……)
思わず、バットが出かかる。
その動きを、理性で何とか封じ込めた。
(´・_ゝ・`) (……振らないか)
135
:
名も無きAAのようです
:2014/09/14(日) 03:10:07 ID:uOWrqJcM0
(;^Д^) (あぶねえ……)
流石のもうひとつのウイニングショットのフォーク。
落ちる寸前でどうにかバットを止め、見送る。
ボールはストライクゾーンから落ちていき、ボールが宣告された。
(´・_ゝ・`) (一応……)
捕手の盛岡が一塁塁審にハーフスイングのジャッジを求める。
塁審は腕を横に出す。ノースイングの判定だ。
( ´_ゝ`) (ま、そうだな)
136
:
名も無きAAのようです
:2014/09/14(日) 03:13:21 ID:uOWrqJcM0
( ^Д^) (しかし、今のでだいたいわかったことがある)
フォークの落ち始めが早かった。
本来ならば目で見てバットを止めるなど、できない。
疲れか、気負いか。なんにせよ、今はチャンスだ。
( ^Д^) (決めてやるさ)
漆黒のバットを構え、相手を見る。
流石もひるみを見せない。
137
:
名も無きAAのようです
:2014/09/14(日) 03:16:05 ID:uOWrqJcM0
( ´_ゝ`) (読んだくらいで打てるならみんな4割打者だっつーの)
そう思い、5球目を投じる。
球種はスライダー、コースはアウトロー。
お望み通りの球だ。
( ´_ゝ`) (打てるもんなら、打ってみやがれ!)
138
:
名も無きAAのようです
:2014/09/14(日) 03:19:04 ID:uOWrqJcM0
( ^Д^) (来た!)
狙っていたアウトロー一杯から逃げていくスライダー。
しかし、あまりにも最高の球。寸分の狂いもなく最高のコースへ入っていく。
(´・_ゝ・`) (決まった!!)
しかし、最高の球を打ち返してこそ――4番!
(#^Д^) 「やられて――」
漆黒のバットを振るい――
(#^Д^) 「たまるかぁ!!」
―― 一閃。
139
:
名も無きAAのようです
:2014/09/14(日) 03:21:58 ID:uOWrqJcM0
( ><) 『宝の打球はライト線へ――!! 痛烈――!!』
(;´_ゝ`) 「……くそったれ!」
完璧な球だった。それを完璧に打ち返された。
打球はファーストの頭を超え、ライト線に落ちる。
長打コースだ。打球を見た二塁走者の茂等は足の筋肉がちぎれんばかりに疾走する。
(;・∀・) 「うおおおおおおおおおおお!!!」
36歳になった茂等だが、かつては盗塁王にも輝いたことがある俊足である。
ライトの高橋由がホームに返球する。
140
:
名も無きAAのようです
:2014/09/14(日) 03:23:59 ID:uOWrqJcM0
(#・∀・) 「うらあ!!」
しかし、その返球がホームに届くまでに茂等はホームを駆け抜ける。
ライトスタンドはいよいよの反撃に盛り上がる。
(*^ω^) 「よし!!」
ベンチ前でキャッチボールをしていた内藤もグラブを叩いて両手を上げる。
茂等もそれに応える。ヴィッパーズ、反撃の1点をもぎ取った。
B 2 − 1 V
141
:
名も無きAAのようです
:2014/09/14(日) 03:26:50 ID:uOWrqJcM0
しかし、後が続かない。
(;=゚ω゚) 「よぅ……」
5番伊陽が空振りの三振。
J( ゚_ゝ゚)し
6番ガイエルがレフトフライ。
(;-_-) 「ううっ!」
7番の比木がフォークを捉えきれず、三振。
(#´_ゝ`) 「なめんなこらぁ!! 宝に打てたからってお前らにも打てると思うな三下ぁ!!」
142
:
名も無きAAのようです
:2014/09/14(日) 03:29:37 ID:uOWrqJcM0
試合は、9回に突入する。
(´・ω・`) 『今のセリフはアクセラレータのものですね……言ってみたかったんでしょう』
(;><) 『?』
【途中経過】
123 456 789 RH
B 000 000 20 23
V 000 000 01 17
本塁打 松井50 盛岡11
B 流石‐盛岡
V 内藤‐比木
143
:
◆5Ws6J0OZQE
:2014/09/14(日) 03:30:26 ID:uOWrqJcM0
今日の投下はこれで終わり……なんだけど!
VIPのほうはあと1レスなのにさるった! くそったれ!
144
:
名も無きAAのようです
:2014/09/14(日) 03:34:12 ID:4MGVorLA0
乙、この長丁場お疲れ様です
145
:
◆5Ws6J0OZQE
:2014/09/14(日) 03:37:20 ID:uOWrqJcM0
今後だけど創作板オンリーで細々やろうと思います。
さる気にしなくていいし、小出しにしていけるし。
とりあえずイニングごとの投下になるかな。
次回は水曜日の夜ぐらいになると思います。
では、ありがとうございました。
146
:
名も無きAAのようです
:2014/09/14(日) 03:43:34 ID:1L5rpS6s0
VIPからおつ
ドクオ情けねえな
147
:
名も無きAAのようです
:2014/09/14(日) 09:16:28 ID:KgiUZQsc0
ビッグバンズの某キャッチャーに対する悪口はそこまでだ
148
:
名も無きAAのようです
:2014/09/14(日) 12:28:51 ID:CMZOI68c0
乙
久しぶりだけどやっぱり面白い
149
:
名も無きAAのようです
:2014/09/14(日) 12:42:10 ID:7FR9ZVGw0
慶三ソフトバンク行っちゃったね(´・ω・`)
150
:
名も無きAAのようです
:2014/09/14(日) 14:49:17 ID:cm1Hdu.E0
おつおつ
151
:
名も無きAAのようです
:2014/09/14(日) 17:00:09 ID:9Jq7wcAs0
おっつんー
またんきもワザとデッドボール食らって出塁してたけどな
打撃力の差の問題なのか、それとも今回の場合は本来当たらないボールにワザと当たりにいったのが問題なのか
152
:
名も無きAAのようです
:2014/09/15(月) 05:14:05 ID:uqCvmepU0
うわあああああ!!!!!これすげー好きだったんだよ!!!うれしい!!!
153
:
名も無きAAのようです
:2014/09/15(月) 15:11:30 ID:DMO8lMT20
おつつつ
にしこりと内藤が共に高め合えるライバルになれたかとおもったら
兄者と実力を認め合えたはずの毒田がこの低迷・・・ 無念だろうねぇ
154
:
名も無きAAのようです
:2014/09/15(月) 23:15:10 ID:BtX.W3vM0
イップスってのはスポーツ選手を長く続けるなら必ず乗り越えなければいけないよ
ドクオはやっぱり伊藤さんきっかけかなあ……
155
:
名も無きAAのようです
:2014/09/16(火) 12:55:13 ID:/3eOrLJ.0
デットボール…巨人のドラ1捕手…うっ頭が
156
:
名も無きAAのようです
:2014/09/18(木) 01:50:59 ID:Aum4/f4gO
にしこり→松井に感動した、どんだけ先見の明があったんだよ
錦織は今でこそだが当時はそれほどでもなかったと思う
157
:
名も無きAAのようです
:2014/09/18(木) 07:05:05 ID:7tpadwOw0
>>156
いや、普通にネットじゃ有名だったが…
一作目2009年だろ?
2006~2009年くらいまでがイチマツ戦争の全盛だからそこらへんのネタは大体このころに生まれた
実質打率ノンタイトルツーベースとか会釈さんとか天狗に乗るとか。面白いぞ
158
:
名も無きAAのようです
:2014/09/20(土) 14:07:45 ID:O/bu95KM0
にしこりって単に松井の顔のAAってだけで、テニスの錦織はまっっっったく関係無いけどな
今日の投下に備えて昼寝するぜ!
159
:
◆5Ws6J0OZQE
:2014/09/20(土) 18:02:20 ID:ErwSuGJY0
9がつ 20にち
きょうぼくは、
>>158
のかきこみをみて、
「ああ、そうか。投下に備えて寝れば夜更かしできるぞ」
とおもって、おひるねをしました。5れすしかかいていないのにです。
「でも、まあ頭の中では構想できてるしなんとか寝てる間にできてるやろ」
とおもっていたのですが、ようせいさんはぜんぜんはたらいていませんでした。
きょうもまたひとつかしこくなりました。
「5レスしか書いていなくて昼寝をしたら投下時間に間に合わない」
これってトリビアになりませんか? タモリさん、お願いします。
ってわけでながらでいくぜヒャッハー
160
:
◆5Ws6J0OZQE
:2014/09/20(土) 18:03:45 ID:ErwSuGJY0
( ><) 『さあ、試合は2−1、ビックバンズリードで9回の攻防を迎えます!』
(´・ω・`) 『ビックバンズの攻撃はクリーンアップですか。
ここでさらに点を入れることができればビックバンズはかなり有利になりますよ』
( ><) 『マウンドに上がるのは引き続き内藤! 球数はすでに100球を超えています!
諸本さん、ヴィッパーズにはトリプルSと言われる強力な中継ぎ陣がいますが、内藤が続投ですね?』
(´・ω・`) 『今日の内藤は調子がいいですからね。大一番の試合のマウンドは誰でも経験できるものじゃない。
そういったことも考えて荒巻監督代行は内藤を送り出したんじゃないでしょうか』
( ><) 『そうですか。さあ、バッターボックスには3番の高橋由! 内藤、正念場を迎えます!』
161
:
◆5Ws6J0OZQE
:2014/09/20(土) 18:09:15 ID:ErwSuGJY0
しかし、高橋に対する内藤の6球目。
低めに決まったと思われたカーブをレフトに弾き返される。
伊陽の前に落ちるヒット。内藤が追加点のランナーをノーアウトで出してしまった。
(;^ω^) 「くっ……」
(;-_-) (まずいな……そんなに悪い球じゃなかったんだが持っていかれた……)
( ><) 『高橋ヒットで出塁です!』
(´・ω・`) 『追い込んだ後の決め球でしたがうまく弾き返されましたね。
先ほどの失投ではない分、逆に切り替えづらいところではあります』
( ><) 『そうですか。さあ、打席には先ほど先制のホームランを放ったこの男!
4番、松井秀喜です!』
162
:
◆5Ws6J0OZQE
:2014/09/20(土) 18:14:40 ID:ErwSuGJY0
『4番、レフト、松井』
ウグイス嬢が名前を読んだだけで球場に歓声が走る。
正真正銘のスーパースター。さっきは失投をバックスクリーンまで運ばれた。
気の抜けた球を投げたら、間違いなくこの試合を決定づける一打が出るだろう。
( ^ω^) 「……」
(-_-) (内藤……)
マウンドに立つ内藤。その顔に怯えや怯みは感じられない。
しかし、その気合いとは裏腹に球数は100球を超えている。
握力の低下、下半身の疲れ。そのどれもが噴出してもおかしくない。
にしこり 「……」
そして、この男はそれを逃しはしないだろう。
163
:
◆5Ws6J0OZQE
:2014/09/20(土) 18:20:07 ID:ErwSuGJY0
(-_-) (とにかくこの打席は集中だ! 絶対に抑えるぞ!)
( ^ω^) (了解ですお!)
その気合い通り、内藤は力強いフォームで球を投げ込む。
しかし、ボールが手から離れた瞬間、球場が動揺に包まれた。
( ><) 『さあ、第1球……あーっとワイルドピッチ――!!』
(;^ω^) 「しまっ……!」
164
:
◆5Ws6J0OZQE
:2014/09/20(土) 18:29:08 ID:ErwSuGJY0
ボールが、指にかからず抜けていった。
コントロールが定まらないまま投じられたボールは比木の頭上の遥か上を通り過ぎる暴投。
比木がボールを取りに行く間に1塁走者の高橋由は悠々と2塁に到達した。
( ><) 『さあ、これは大変なことになってきました! ノーアウトランナー2塁!
ビックバンズ追加点のチャンスです!』
(´・ω・`) 『気迫自体は内藤には十分感じられるんですがね。
ここでどういう気持ちで松井に臨むかでこの後の展開は大きく変わっていくでしょう』
( ><) 『そうですか。カウントは0ストライク1ボールになりました! 内藤の心中はどうか!』
165
:
◆5Ws6J0OZQE
:2014/09/20(土) 18:40:20 ID:ErwSuGJY0
(;^ω^) (キツイ……)
野外に設置されているブルペンを横目で見る。
ヴィッパーズには球界最高峰と言われる中継ぎ陣が充実している。
そのため、先発投手は6回、あるいは7回までしか投げないのが常であった。
(;^ω^) (でも、もう9回……)
内藤にとってはプロになってほぼ初めての領域。
しかし、ブルペンで投げている投手はいない。
つまり、内藤は少なくとも松井までは投げ切らないといけないということ。
166
:
◆5Ws6J0OZQE
:2014/09/20(土) 18:45:57 ID:ErwSuGJY0
( ><) 『さあ、第2球……いや、荒巻監督代行がベンチから出てきました』
(´・ω・`) 『審判のところには……行きませんね。マウンドに向かうようです。
珍しいですね。こういう時は荒巻代行は投手コーチに行かせることが多いのですが』
荒巻代行がベンチから出てきたのを見て、内野陣が内藤のもとに集まる。
今季はピンチの場面では投手コーチが出てくることしかなかった。
それが、代行自らマウンドに出てきた。
/ ,' 3 「ピンチじゃのう、内藤」
( ^ω^) 「……はい」
167
:
◆5Ws6J0OZQE
:2014/09/20(土) 18:47:45 ID:ErwSuGJY0
やっぱりVIPでも投下しようと思います。すいません。
168
:
名も無きAAのようです
:2014/09/20(土) 19:17:40 ID:epENfv9A0
きににゃるところで切るなー!
169
:
◆5Ws6J0OZQE
:2014/09/20(土) 19:25:28 ID:ErwSuGJY0
>>168
すまぬ。VIPが追いつくまでまってくんろ
170
:
◆5Ws6J0OZQE
:2014/09/20(土) 19:47:21 ID:ErwSuGJY0
VIPが追いついた!
こちらも投下していくぞ!
171
:
◆5Ws6J0OZQE
:2014/09/20(土) 19:52:12 ID:ErwSuGJY0
/ ,' 3 「なぜ自分を変えないのか……そう、思ってたり、するかの?」
(;^ω^) 「そ、それは……」
あまりにも、核心を突いた言葉。
そう聞かれれば、そうだ、と言いたくなってしますが、グッとこらえる。
弱気と思われればこれからの出番が少なくなってしまうかもしれない。
/ ,' 3 「儂はのう、喪名に代行をやるにあたって頼まれていたことが3つある」
( ^ω^) 「……?」
喪名、とは昨季までヴィッパーズの指揮を執っていた監督の名である。
今季は開幕前から病に臥せり、指揮をとっていない。荒巻の肩書が監督代行であるのもそのためだ。
喪名は親族以外は面会謝絶であったため、選手の中に面会しているものはいない。
172
:
◆5Ws6J0OZQE
:2014/09/20(土) 19:57:44 ID:ErwSuGJY0
/ ,' 3 「1つ。ヴィッパーズをなんとしても優勝させること:
( ^ω^) 「……」
/ ,' 3 「2つ。毒田をなんとしても成長させること」
('A`) 「! ……お、俺ですか?」
唐突に出てきた自分の名。
もちろん、優勝するためには自分の力は必要であっただろう。
しかし、今は内藤のピンチだ。自分の名前が出てくるとは思わなかった。
173
:
◆5Ws6J0OZQE
:2014/09/20(土) 20:03:49 ID:ErwSuGJY0
荒巻はそんな毒田の動揺を意に介さず、言葉を続ける。
/ ,' 3 「最後は内藤。お前を“エース”に育て上げることじゃ」
( ^ω^) 「エース……?」
/ ,' 3 「そう、エース。エースになるための条件。考えてみるんじゃの」
( ^ω^) 「……」
/ ,' 3 「責任はすべて儂が取る。お前は目の前のことにだけ集中しろ。
そうじゃな。抑えよう、なんてスマートなことは考えなくともよい。
――めちゃくちゃにしてやれ」
174
:
名も無きAAのようです
:2014/09/20(土) 20:03:55 ID:epENfv9A0
ドックン期待されてんだな
そういやドックン、配球の組立も狙い球の絞り方も知らずに、選球眼だけで3割打者とかいうキチガイなんだよな……
175
:
◆5Ws6J0OZQE
:2014/09/20(土) 20:09:31 ID:ErwSuGJY0
( ^ω^) 「……」
そう言い残すと荒巻はベンチに下がっていく。ブルペンを見る。
相変わらず誰も投球練習は行っていない。しかし、それが頼りないものだとは今度は思わなかった。
内藤は、キャッチャーボックスに下がっていこうとする比木を呼び止める。
(-_-) 「なんだ?」
( ^ω^) 「比木さん、変えられそうになった時、高岡さんならどうしますかお?」
(-_-) 「……」
高岡、とはヴィッパーズが誇る大エースの名前だ。
シーズン20勝を達成した次のシーズン、肩の怪我で戦線離脱。
選手生命も危ぶまれたが、今季復活を果たし、いきなり15勝を挙げた。
176
:
◆5Ws6J0OZQE
:2014/09/20(土) 20:15:26 ID:ErwSuGJY0
これからもヴィッパーズを支えていくであろう大エースの存在。
にもかかわらず、自分にエースになれと、監督は言った。
その意味はいかなるものか。代行の心中までは分からない。
(-_-) 「そうだな……代われ、と言われてもなかなか代わらんだろうな。
後ろに任せるのを嫌うやつだからな。
もちろん、客観的に見て代わったほうがいい場面だったら問答無用でボールを取り上げるが」
( ^ω^) 「……」
高岡が完投にこだわることは知っていた。
その姿勢は毎年200を超えようかというイニング数にも表れている。
177
:
◆5Ws6J0OZQE
:2014/09/20(土) 20:23:55 ID:ErwSuGJY0
だが、自分もそうあろうとは思わなかった。完投は体力もそうであるが、精神力も消費する。
ピンチを迎えずに9回を投げ切れるのは稀だ。それを自分で処理するか他人に処理してもらうか。
今までは自分で投げ切るつもりはなかった。中継ぎ陣が優秀だからである。
( ^ω^) 「……もしこの場面が高岡さんなら、その。
客観的に見て、投げさせますかお? それとも――」
代えますか、とは言えなかった。そうだ、と言われたくはなかったからだ。
(-_-) 「……ん、そうだな。投げさせるよ。
――俺はあいつを、信頼しているからな」
178
:
名も無きAAのようです
:2014/09/20(土) 20:27:58 ID:1iZoKimA0
この作品のヒッキーは渋い
アルファのヒッキー並みの渋さ
179
:
◆5Ws6J0OZQE
:2014/09/20(土) 20:29:29 ID:ErwSuGJY0
( ^ω^) 「……そう、ですかお。ありがとうございます」
(-_-) 「ん。……ああ、そうそう。それは今のお前にも当てはまるからな」
( ^ω^) 「……え」
(-_-) 「今日のお前なら大丈夫だ。松井だろうがメジャーリーガーだろうが。
代行の言うとおりだ。お前は難しいことは考えなくていい。
それは俺がやってやる。だから、お前は俺の構えたミットめがけて腕を振れ」
そういって、今度こそキャッチャーボックスに下がっていく比木。
その前にあるバッターボックスには日本の至宝、松井が立っている。
少し前の自分の精神状態であれば、目をそむけたくなる光景だ。
180
:
◆5Ws6J0OZQE
:2014/09/20(土) 20:35:05 ID:ErwSuGJY0
エースの条件。それはいったい何だろうか。
多分、答えはないのだろう。100人エースがいれば100通りの考えがあるだろう。
しかし。
( ^ω^) (……逃げたいと、思いながら、相手を抑えられる人間はいない)
それだけは確かだろう。
思えば、さっきまでの自分は、高橋にヒットを打たれたあたりから、ちらちらとブルペンを見ていた。
そんな人任せの態度で、うまくいくことなんて、あるはずない。
( ^ω^) (……腕を振る。そして、打ち取る。簡単なことだお)
自分のことは自分でなんとかする。
エースなんて言われるが、所詮はそんなものだろう。
自分の持てる力すべてを出そう。――評価は、他人が勝手にやってくれる。
181
:
◆5Ws6J0OZQE
:2014/09/20(土) 20:42:25 ID:ErwSuGJY0
( ^ω^) (ぶつけるんだお……自分の今まで積み重ねたものを!)
にしこり 「……」
松井は内藤の顔を見る。根拠のない、自信。
それが今の内藤の顔から滲み出ていた。ついさっきまでは焦りに満ちた表情をしていたのに。
にしこり 「比木……何を内藤に言った? 大した変貌ぶりじゃないか」
(-_-) 「別に……何も言ってませんよ」
それだけ言ってマスクをかぶる。
恐らくだが、荒巻と比木が内藤を発奮させるような言葉を言ったのだろう。
そうでもなければあの表情の変化は起きないだろう。
182
:
◆5Ws6J0OZQE
:2014/09/20(土) 20:47:59 ID:ErwSuGJY0
にしこり (まあ、メジャーへの手土産だ。君のその顔を後悔の顔にしてから旅立つとしよう)
松井は左打席でバットを構える。
2塁には走者の高橋。ワンヒットで十分、帰ってこれる。
にしこり 「来な」
( ^ω^) 「勝負……!」
183
:
名も無きAAのようです
:2014/09/20(土) 20:55:19 ID:1iZoKimA0
これってながら?
184
:
◆5Ws6J0OZQE
:2014/09/20(土) 20:58:39 ID:ErwSuGJY0
( ><) 『さあ、内野陣が自分の守備位置に戻ります!
ノーアウトランナー2塁、カウントは0ストライク1ボールから再開です!』
(´・ω・`) 『勝負のターニングポイントですね。どちらが勝つか見物です』
(#^ω^) 「おおおっ!!」
にしこり 「!」
投じられた実質この打席初めての投球。
甘ければ初球からでも、と思っていたが目を見張るほどのストレート。
それがインコースぎりぎりに入ってきた。球速も申し分ない。
にしこり (なるほど……最後の気力を振り絞ってきたか)
185
:
◆5Ws6J0OZQE
:2014/09/20(土) 21:04:48 ID:ErwSuGJY0
球数は100球を超え、試合はすでに9回表。
投手である内藤の疲労は相当なものになっているだろう。
しかし、ここが気合の入れどころだと判断したのだろう。
とてもそんな状況だと思わせないほどの球。
にしこり (いいだろう。相手にとって不足なし、だな)
186
:
◆5Ws6J0OZQE
:2014/09/20(土) 21:10:34 ID:ErwSuGJY0
(#^ω^) 「らあっ!!」
しかし、気合だけでは
2球目はカーブが外れてボール。
3球目もストレートが微妙に外れてボールだ。
( ><) 『さあ、カウントは1ストライク3ボールになりました!』
(´・ω・`) 『普通なら敬遠も考えられるところですが……内藤の顔を見る限りそれはなさそうですね』
(-_-) (一応聞いておくが……敬遠は)
( ^ω^) (責任取るって言ったのは代行ですお! それに甘えますお!)
(-_-) (だろうな)
187
:
◆5Ws6J0OZQE
:2014/09/20(土) 21:16:08 ID:ErwSuGJY0
( ><) 『比木はミットを構えます! どうやら敬遠はないようです!』
(´・ω・`) 『まあ、そうでしょうね』
にしこり (3ボール、ボール球は出したくない……そしてここにきて球威が上がってきたストレート……)
松井は冷静に狙い球を絞る。
勝負には感情を持ち込まない。
それが松井のモットーだった。
( ><) 『さあ、松井に対しての第5球目……投げました!』
内藤の右腕から投じられるボール。
アウトローいっぱいに決まるストレート。
それを捉えようと松井のバットが動く。
にしこり (狙ったボールを逃さないほど……俺は甘くはないぞ!)
刹那、乾いた音が球場にこだました。
188
:
◆5Ws6J0OZQE
:2014/09/20(土) 21:23:19 ID:ErwSuGJY0
『ストラ――イク!!』
音が鳴ったのは比木のミットから。
松井はスイングの勢いからバランスを崩してしまった。
響き渡る審判の声。空振りしたのだ、と松井が気づいたのはその声を聞いてからだった。
にしこり 「……」
今日の調子は悪くない。
その自分が空振りした。カウントは、フルカウントだ。
にしこり 「……上等じゃないか」
189
:
◆5Ws6J0OZQE
:2014/09/20(土) 21:29:02 ID:ErwSuGJY0
(-_-) (松井がストレートを空振りか……今日の内藤は本当に惚れ惚れするな)
比木はミットを構える。コースは松井が比較的苦手とするインハイ。
大丈夫だ。今の内藤の球威なら絶対に空振りを取れる。
( ^ω^) 「……」
比木が出したサインに迷いなく頷く。
セットポジションを取る。左足を上げ、体の全神経を右腕に集中する。
松井を打ち取るため。思い切り、腕を振った。
190
:
◆5Ws6J0OZQE
:2014/09/20(土) 21:36:50 ID:ErwSuGJY0
にしこり (インハイ……!)
投げ込まれた直球。間違いなく、150キロは優に超えている。
コースはインハイ。打てない球ではない。
( ^ω^) (決まれっ……!)
(-_-) (来い!)
バッテリーの思いを乗せた1球。
松井はその魂の1球を――
191
:
◆5Ws6J0OZQE
:2014/09/20(土) 21:45:52 ID:ErwSuGJY0
――振らなかった。
にしこり 「……」
(;^ω^) 「……」
(;-_-) 「……」
ボールはしっかりと比木のミットに収まっている。
コースは、はっきり言えば微妙だ。
審判の判定次第。比木は、祈るような気持ちでコールを待っていた。
192
:
名も無きAAのようです
:2014/09/20(土) 21:51:07 ID:SuDRUBmc0
卍<アウトォ!
193
:
◆5Ws6J0OZQE
:2014/09/20(土) 21:52:31 ID:ErwSuGJY0
『……』
(;-_-) (頼む……! 入ってるだろ……?)
受けてきた自分だから分かる。あれは、内藤の最高の球だ。
確かにコースは微妙だった。だが、それは裏を返せばどちらとも取れるということ。
にしこり 「……」
松井も、確信は持っていないのだろう。
審判の判定を待っている。一塁に歩き出そうとはしていない。
(;-_-) (頼む……!)
審判が判定を出す一瞬の間。
比木にはまるで永遠のように感じられた時間だった。
194
:
◆5Ws6J0OZQE
:2014/09/20(土) 22:00:51 ID:ErwSuGJY0
『……ボール! フォアボール!』
そして、その永遠の時間は審判のボールの判定によって終わった。
195
:
◆5Ws6J0OZQE
:2014/09/20(土) 22:07:53 ID:ErwSuGJY0
(;-_-) 「……」
ボールで、フォアボール。ランナーは1塁2塁。
それはまだいい。敬遠したと思えば大した傷ではない。
それよりも問題なのは、内藤の集中が切れてしまったことだった。
(;^ω^) 「……」
間違いなく、最高のストレート。
恐らく、内藤の野球人生を通してもあれほどの球を投じたことは無かったのではないか。
あと数センチ。数センチずれていれば打ち取っていた。
(;-_-) (その思いは、俺よりも内藤のほうが……)
196
:
名も無きAAのようです
:2014/09/20(土) 22:08:09 ID:SuDRUBmc0
ちくしょおおおおおおおおお
197
:
◆5Ws6J0OZQE
:2014/09/20(土) 22:15:33 ID:ErwSuGJY0
もともと疲れが出始めていた。もし、投手が高岡なら切り替えて次の朴に照準を合わせてきただろう。
しかし、投手は内藤だ。鼓舞されて、勢いづいたはいい。
しかし、その分、意気消沈するのも早い。
(;-_-) (松井への球を投げることができれば後のメンツは抑えられるんだが……)
内藤の表情を見る。先ほどよりも、浮かない表情に見える。
打席には、5番の朴。昨季までともに戦った選手でもある。
その分、怖さもよく知っている。
(;^ω^) 「……」
(;-_-) (エースを目指すんだろ、内藤……! ここで潰れるな……!)
比木はヴィッパーズの正捕手である。何人もの投手の球を受けてきた。
その中には高岡のような大エース、杉浦や斉藤のような中継ぎ陣まで様々な投手がいる。
――もちろん、“エース候補”と目されながら期待を裏切り続け、解雇されてしまった選手も。
198
:
◆5Ws6J0OZQE
:2014/09/20(土) 22:20:54 ID:ErwSuGJY0
(;-_-) (頼む、持ちこたえてくれ……! もう、エース候補を潰すようなことは御免だ……!)
( ><) 『いい球でしたがフォアボール! 打席には5番の朴が入ります!』
(´・ω・`) 『少し内藤君が動揺しているように見えますね。立ち直ってくれればいいのですが』
内藤がセットポジションに入る。さっきと変わらず、変わらず――。
そう思うときはたいていが上手くいかない。要求されたのはシュート。
それが、甘く入ってしまった。
( ><) 『打った――!! 痛烈な当たり――!!』
(;^ω^) 「!!」
199
:
◆5Ws6J0OZQE
:2014/09/20(土) 22:26:59 ID:ErwSuGJY0
打たれてしまった。大事な場面で。
エースへの条件。それは心構えでなく、結果。
それを出せなかった。
(;^ω^) 「くっ……」
打球を目で追う。
左打者の朴が流し打ちした球はそれでも球威を衰えさせず左中間へライナーの軌道を描く。
はずだった。
(#K‘ー`) 「ああああああっ!!」
ショートの川島が、飛ぶ姿。
200
:
◆5Ws6J0OZQE
:2014/09/20(土) 22:32:31 ID:ErwSuGJY0
( ><) 『取った! 取りました――!! 川島の魂のダイビングキャッチ――!!』
(´・ω・`) 『これはすばらしい。内藤を助けるビッグプレーです』
朴が放った鋭い打球。それに誰よりも早く反応したのが川島だった。
トレーニングで鍛えた脚力をあらん限りに使い、飛びつく。
ボールは、川島のグラブの先に飛び込んできた。
(;K‘ー`) 「ぐっ……!」
しかし、そのプレーには代償もある。
まともに体から地面に落ちてしまった川島は一瞬動きが止まる。
打球が速かったこともあり、走者はその間に戻ってしまった。
201
:
◆5Ws6J0OZQE
:2014/09/20(土) 22:37:33 ID:ErwSuGJY0
とはいえ、抜けていれば1点、2点もあり得た打球である。
その勇気にライトスタンドからは喝采の嵐が吹いていた。
('A`) 「慶三!」
川島は、倒れたままだ。ビッグプレーはいい。
しかし、怪我でもしたらどうにもならない。心配して、慶三のもとへ駆ける。
(;K‘ー`) 「だ、大丈夫です。少し体は打ちましたけど、どうってことないです」
('A`) 「そうか、なら安心だ」
少し、安堵する。俺たち野球選手にとって一番怖いのが怪我だ。
プレー中に負ってしまう選手もいる。慶三がそうでなかったのは喜ばしい限りだ。
202
:
◆5Ws6J0OZQE
:2014/09/20(土) 22:43:58 ID:ErwSuGJY0
(K‘ー`) 「セカンドじゃなくてショートに打たせてくださいっていうの、覚えてたんですかね」
('A`) 「? ……ああ、お前が凡退した時の」
(K‘ー`) 「……長岡のビデオを見ていた甲斐があったかな」
長岡とは、シベリアレールウェイズ所属の遊撃手だ。俺と内藤の高校の後輩でもある。
走攻守すべてがトップクラスというチート野郎で、一気にスターダムをのし上がった野球選手だ。
川島とは、確か同級生だったと思う。
(K‘ー`) 「……セカンドに飛んでくるかもしれません。ミスは、ダメですよ」
('A`) 「わかってらい」
同じ年、同じポジション。きっと、思うところはあったのだろう。
大丈夫、お前のほうがイケメンだよ。
203
:
名も無きAAのようです
:2014/09/20(土) 22:48:21 ID:SuDRUBmc0
>>大丈夫、お前のほうがイケメンだよ。
慶三と一夜を過ごしたドックンが言うと別の意味にしか聞こえないwwwww
204
:
◆5Ws6J0OZQE
:2014/09/20(土) 22:49:37 ID:ErwSuGJY0
( ^ω^) 「……」
忘れていた。代行のエースという言葉を、勘違いしていたのかもしれない。
マウンドでは、確かに自分一人だ。
しかし、戦っているのは自分一人ではない。
( ^ω^) 「……慶三! サンキューだお!」
(K‘ー`) 「ハイ!」
グラブを慶三に見えるように突き上げる。
慶三はそれにこたえる。
( ^ω^) (……打たれても、後ろを信じるんだお)
甘えるのではなく、信頼する。
それもまた、エースとしての能力なのかもしれない。
205
:
◆5Ws6J0OZQE
:2014/09/20(土) 22:57:14 ID:ErwSuGJY0
(#^ω^) 「おおおっ!!」
(;´・_ゝ・`) 「うっ……」
( ><) 『6番盛岡、打ちましたがこれは平凡なファーストフライ!
宝が捕球してツーアウトです!』
(´・ω・`) 『この球もそんなにいい球じゃないんですけどね。
腕が振れているのが功を奏していますね』
(;^ω^) (よし……よし!)
かなりのピンチを迎えているが、5番の朴を打ち取り、先ほど本塁打の盛岡も抑えた。
そして次のバッター。今まで動かなかった原監督がここで動く。
( ><) 『ビックバンズ原監督、ベンチを出ます!』
(´・ω・`) 『代打でしょうかね』
206
:
◆5Ws6J0OZQE
:2014/09/20(土) 23:02:37 ID:ErwSuGJY0
『東京ビックバンズ、選手の交代をお知らせします。バッター、木村拓に代わりまして、矢野。背番号48』
( ><) 『矢野です! ビックバンズが誇る代打の神様! 代打率は驚異の3割5分5厘!』
(´・ω・`) 『勝負を懸けてきましたね。ここで踏ん張れるかどうかが鍵でしょう』
矢野謙次。ビックバンズが誇る代打のスペシャリスト。
1打席にかける集中力では他の追随を許さないとまで言われている。
着いた二つ名が“必殺仕事人”。ここ一番で頼りになる選手である。
. /~^~^~^~^゙ヾ
/ ,r------- 、 ヾ
| / ヽ. i
.|| ⌒ ⌒ ||
(⌒| (●) (●) |⌒) 「がんばるでー」
|り ! C !りノ
ー ヽ. r=ニ=、 / - '
\`ー'´/
)ー-(
/ `Y'"\
/ | ヽ
ト__i GIANTS i__l
| | | 48| |
唯一惜しむらくは1行AAがないことだろうか。
207
:
名も無きAAのようです
:2014/09/20(土) 23:03:37 ID:SuDRUBmc0
AAがやる気ねぇwwwww
208
:
◆5Ws6J0OZQE
:2014/09/20(土) 23:09:09 ID:ErwSuGJY0
矢野 「これで一安心」
(-_-) (内藤……)
先ほどの盛岡への球も決して褒められたものではない。
腕が振れているから惑わされて打ち損じてくれただけだ。
後1人。次の攻撃では内藤に打順が回る。恐らくそこで、代打が出されるだろう。
( ^ω^) (大丈夫ですお。……なんだか、今日はうまくいきそうな気がするんですお)
(-_-) (内藤……そうか。愚問だったな。抑えよう。この男を)
209
:
名も無きAAのようです
:2014/09/20(土) 23:10:11 ID:U2OFZnFw0
きあいーのーせーんーしー
210
:
◆5Ws6J0OZQE
:2014/09/20(土) 23:16:17 ID:ErwSuGJY0
(#^ω^) 「いけっ!」
矢野 「むっ……」
初球を矢野は見逃す。
球速は143キロ。コースもそれほど良いところではなかった。
矢野 (疲れているのか……! 予想以上に!)
朴や盛岡を打ち取ったのもなんとか、というところだったのだろう。
内藤の限界は、明らかに近い。
矢野 (ギリギリのところは見逃してもいい。甘い球は必ず来るはずだ!)
211
:
◆5Ws6J0OZQE
:2014/09/20(土) 23:22:03 ID:ErwSuGJY0
(-_-) (細かいことは気にするな! 球威があれば少し位甘くたって打ち取れる!)
(;^ω^) (了解ですお)
額からは汗が流れ落ちる。
いや、額どころか体全体から汗が流れ出ているような気もする。
なんにせよ、長くは投げていられない。ここで、切らなければ。
(#^ω^) 「うらぁ!」
2球目はシュートが外れてボール。
3球目もストレートが抜けてボール。
212
:
◆5Ws6J0OZQE
:2014/09/20(土) 23:30:04 ID:ErwSuGJY0
矢野 (1ストライク2ボール……打つならここだ!)
打者が有利なバッティングカウント。矢野は次の球を打つと決めた。
球種は、今内藤が全力で投げられる唯一の球、ストレートだろう。
(-_-) (読まれているだろうが……関係ない! 内藤、力いっぱい投げ込んで来い!)
(;^ω^) (了解ですお)
しかし、内藤の球数は130球を超えていた。
汗が目に入る。痛みに思わず目をつむり、汗を追い出すように目をこする。
肩が重い。まるで自分の体ではないようだ。
(;^ω^) (集中……!)
213
:
◆5Ws6J0OZQE
:2014/09/20(土) 23:35:41 ID:ErwSuGJY0
しかし、相手は代打のプロフェッショナル。1打席の集中力を武器に生き残っている選手だ。
生半可な投球では、まず弾き返される。
集中。その言葉が頭を支配する。おおよそその状態は集中できているとは言えない。
(#^ω^) (いけっ・・・・・!)
しかし、そんなことを言っても投げなければ始まらない。
自分の力を信じ、バックの守備を信じ、捕手の比木を信じ。
投げ込んだ。
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