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( ・∀・)『 祝福のようです 】(゚、゚トソン
1
:
名も無きAAのようです
:2013/12/22(日) 20:22:03 ID:EsrHRRWU0
祝福祭り用の作品です。よろしくおねがいします
2
:
名も無きAAのようです
:2013/12/22(日) 20:23:04 ID:EsrHRRWU0
僕が生まれて、確か3年ぐらい経った頃だろうか。
ある日突然、夜中に目が覚めたんだ。
やけに眩しい光を放つものが、枕元に立っていた。
……いや、浮かんでいた。
( ・∀・)「……おねえちゃん、だれ?」
从 ゚∀从「アタシは、神に使える天使だよ」
( ・∀・)「てんし……? でも、おかおがこわいよ?」
从;゚∀从「顔は生まれつきだ! 失礼だな!」
( ・∀・)「……」
从 ゚∀从「おっといけねえ。こうして現れたのは、ちゃんと意味があるんだ
オメーに伝えることがあってな」
( ・∀・)「?」
3
:
名も無きAAのようです
:2013/12/22(日) 20:24:29 ID:EsrHRRWU0
从 ゚∀从「おめでとう。
世界でも稀な存在として、まぎれもなく偶然にお前が選ばれたんだぜ」
( ・∀・)「???」
从;゚∀从「あー、悪い悪い。まー、そのつまりだな」
从 ゚∀从「オメーは、『天使の祝福』を受けられるんだ。よかったな」
( ・∀・)「……てんしの……しゅくふく?」
4
:
名も無きAAのようです
:2013/12/22(日) 20:26:11 ID:EsrHRRWU0
( ・∀・)『 祝福のようです 】(゚、゚トソン
.
5
:
名も無きAAのようです
:2013/12/22(日) 20:28:23 ID:EsrHRRWU0
小さい頃の、朧気な思い出。
そこから先は覚えてないし、多分意味がないのはわかってる。
けれど、『そこから』だった。
僕の人生は一辺したんだ。
親が宝くじを当てて、急におんぼろアパートから大きな家に住むことになったり
運動会に出れば、どの競技でも一位だったし
学芸会では、いつも主役だった。
もちろん、テストはいつだって一位。悪くて三位ぐらいだ。
クラスの委員長を任されることも多かったし
友達も、同性異性問わずに交流が広く深かった。
驕るのはあまり好きではないけど、容姿だって悪くない。
欲しいものは、望めば手に入ったし
求める結果は、常に出してきた。
そう、その『天使の祝福』とやらの日から、僕の人生は完璧なほど完全な形になってしまった。
6
:
名も無きAAのようです
:2013/12/22(日) 20:28:40 ID:mjCK.fAU0
支援
7
:
名も無きAAのようです
:2013/12/22(日) 20:31:38 ID:EsrHRRWU0
( -∀-)(……つまらない)
だからこそ、こんなことを思ってしまったのかもしれない。
だからこそ、あんなことになってしまったのかもしれない。
『願望を叶える能力』を持った僕が、安寧と安泰から見える退屈に不満を漏らした時。
『彼女』と出会った。
(゚、゚;トソン「うわわわ!?」
( ・∀・)「!」
その子は、僕の目の前で盛大に転んだ。
手に持ったペットボトルのジュースを、地面に飲ませてあげてるかのようにひっくり返している。
よろけた時点で『危ない』と察知した僕だから、身体が濡れるのを避けられたのだろう。
常人なら転んだ際に拳の一撃でも喰らいながら、蟻の恰好の餌場になるほど糖類を浴びていたのではなかろうか。
8
:
名も無きAAのようです
:2013/12/22(日) 20:34:16 ID:EsrHRRWU0
( ・∀・)「……大丈夫です?」
(゚、゚;トソン「ええ、大丈夫です。すみません。
……ああ……またジュース買ってこないと……」
むくりと上げた顔には擦り傷がついていた。
割と綺麗な顔立ちをしているのに、もったいないなぁとふと考える。
手を差し出すと、首を振って拒否してきた。
(゚、゚トソン「一人で立てますので」
慣れた仕草で立ち上がる。
膝もすりむいて、制服のスカート下から覗く膝小僧が紅い化粧をしてしまっていた。
( ・∀・)「血、出てますよ」
(゚、゚トソン「あぁ。またやっちゃった……。でも、大丈夫です!」
これまた慣れた動きで、鞄から消毒液と絆創膏を取り出して貼った。
本当に日常茶飯事レベルに、経験しているのでは……?
( ・∀・)「……どうします、これ?」
結構な進学校の、それなりに新しい校舎の階段の踊り場。
そこで僕らは立ち往生していた。
水をはじくコンクリート床に映るのは、天井の照明や窓ガラス。
溜まった薄く白濁したジュースがそうさせている。
9
:
名も無きAAのようです
:2013/12/22(日) 20:35:08 ID:sppXY6gk0
しえ
10
:
名も無きAAのようです
:2013/12/22(日) 20:37:35 ID:EsrHRRWU0
(゚、゚;トソン「ああ、すぐ拭きます。すみません」
汚れなど気にする様子もなく、彼女は床に膝を再度ついて、ポケットからハンカチを取り出して拭き始めた。
( ・∀・)「それじゃ、時間かかりますよ」
たまたま偶然持っていた大き目のハンドタオルを僕は取り出して、手伝ってあげることにした。
せっかくの昼休み。風通しの良い屋上で、のんびり過ごそうと思っていたのは彼女も同じだろう。
その時間が減るのは、僕だって忍びないと思う。
(゚、゚トソン「すみません」
( ・∀・)「いえいえ」
数分にも満たない短い時間。
廊下はワックスがけを怠ったが故に発生する、鈍い照り返しを放った廊下が顔を見せてくれていた。
(゚、゚トソン「手伝っていただいて申し訳ありません。それでは失礼します」
淡々とした風に頭を下げると、彼女は階下へと向かって行った。
……途中、また転びそうになったのを僕は見逃さない。
( ・∀・)「……ん?」
11
:
名も無きAAのようです
:2013/12/22(日) 20:41:21 ID:EsrHRRWU0
人が集まりだしたから、教室へ戻ろうと考えていたんだった。
思い出して僕は階段を降りようと足を動かした時である。
靴に、飛沫がついていた。
指定のゴム製上履きだから高価なものではないけれど……問題はそこじゃない。
僕は確かに『避けた』はずなんだ。
小さなころからの、危機回避能力と幸運性だけはずば抜けている。
というより、正直言えばささいなことだって事故を被ったことはない。
石で転んだこともないし、段差に躓いたことだってない。
なんとなくわかるから、事前に全て回避だって出来るほど。
その僕が『避けたはずの飛沫を浴びた』んだ。
12
:
名も無きAAのようです
:2013/12/22(日) 20:44:59 ID:EsrHRRWU0
( ・∀・)(…………不思議なこともあるもんだな)
なんて、気に留めない風にしていたけれど。
結局、午後の授業に集中できない程度には気がかりだった。
けれど、それはあまりにもあっけなかった。
少し探そうと思えばすぐ見つかる。
いつだって、そうだったから。
(゚、゚;トソン
次の日の昼休み。
僕は彼女を見つけた。
というより、今までどうして気づかなかったのだろう。
多分それについては、僕の体質が関係しているのかもしれない。
13
:
名も無きAAのようです
:2013/12/22(日) 20:46:55 ID:mjCK.fAU0
なるほど
おもしろくなってまいりました
14
:
名も無きAAのようです
:2013/12/22(日) 20:48:09 ID:EsrHRRWU0
『不快なモノ』
本能的に、それは誰だって見たくないに決まっている。
それぞれ、『好み』はあるとはいえ不快指数という数値は万人に設定されているのだ。
だから、見なかった。見ようと思わなかった。
他人にこき使われ、自分というものが感じられない奴隷の如き彼女の姿を。
(゚、゚トソン「ツンデレちゃん、みかんジュースだよね」
ξ゚⊿゚)ξ「えー? あたし、リンゴヨーグルトって言ったよ?」
(゚、゚;トソン「ご、ごめんなさい。あ、じゃあしぃちゃんはチョコクロワッサンで合ってた?」
(*゚ー゚)「ううん。あたしは、ホットココアが欲しいって言ったの」
ξ゚⊿゚)ξ「まーた注文間違ったのーあんた? いいから、さっさと正しいの買ってきなよ」
(゚、゚トソン「ごめんね。じゃあ、これ返品してから……」
(*゚ー゚)「そんなの手間だよ。いいから、行ってきて」
(゚、゚;トソン「で、でもそれじゃ……お金……」
ξ゚⊿゚)ξ「聞こえないの?」
( 、;トソン「……ごめん。すぐ行ってくるね」
(*゚ー゚)ノシ「早くしてよねー」
15
:
名も無きAAのようです
:2013/12/22(日) 20:51:19 ID:EsrHRRWU0
( ・∀・)(…………)
別に、だ。
僕は他人がどう生きようと勝手だと思っている。
望んだように、願ったように生きているなら
例え泥水を啜って埃を食べていても気に留めない。
でも、間違いなく僕の目には
その現実は、願望と異なっているのが明白だった。
自分の手間のついでに、友達の案件を済ます。
とは、ほど遠い。
関係性を見ただけで、腹が立つを通り越して戦慄してしまうほど。
同じ学年の、少し離れたクラスの中で起こっている事実を、僕は今はじめて見知った。
( ・∀・)(望んで見たがる人間がいるなら、僕はガンジー先生にだって喧嘩売りたい気分だよ)
ざらついた気持ちを宥めながら、コンクリートの床を歩いていく。
向かう先は、使いっぱしりに出ている、あまりにもあんまりな隷属人間の足跡であった。
16
:
名も無きAAのようです
:2013/12/22(日) 20:54:39 ID:EsrHRRWU0
雲が流れるのが早くなった。
天は高い。
昼下がりでも、こんなに寒くなったんだなぁ。
頭の中で独りごちて僕は歩く。
時間はないだろうから、と残り少ない栄養補給ゼリードリンクを思い切り握りしめ嚥下運動をした。
( ・∀・)「お昼はいつも一人なんですか」
それから、こう切り出した。
屋上端のフェンス際で、唯一安寧が得られる時間だと安堵している彼女へ。
(゚、゚トソン「え?」
ビックリしたのか、口にしていたあんドーナツの塊がポロリと落ちて、セメントとキスをする。
( ・∀・)「お友達がいるのに、不思議だなぁと思いまして」
気にしないで僕は、隣に腰を下ろした。
チラリとみると、おっかなびっくり、それでいて困惑気味に彼女はこちらを見ていた。
(゚、゚トソン「……」
( ・∀・)「……」
(゚、゚トソン「な……」
( ・∀・)「?」
(゚、゚;トソン「なんで、そんなこと知っているんですか?」
17
:
名も無きAAのようです
:2013/12/22(日) 20:57:47 ID:EsrHRRWU0
至極当たり前の質問だけど
僕にとってはそれが周知の事実じゃないと思っていることに驚きを隠せなかった。
思わず笑いがこぼれる。
( ・∀・)「ははは。面白いですね、あなた」
(゚、゚;トソン「な、なんですか!? いきなり初対面の人に言われたのは流石に初めてです!」
その言い方だと、初対面じゃなくなればよく言われるのだろうか。
( ・∀・)「別に初対面じゃないですよ。この前踊り場で会ったじゃないですか」
(゚、゚トソン「え?」
( ・∀・)「ここへ繋がってる階段ですよ」
(゚、゚トソン「…………」
本気で思い出せないようだ。
そこまでインパクトもなかったろうから、覚えてないのも無理はないか。
( ・∀・) =3
(゚、゚;トソン「あ、すすすすみません! あの、違うんです!」
諦念や怒りのため息ではなく
単純に僕が冷たい外気へ、息を思いきり送り込むのが好きなので、そうしただけだったのだが。
どうやら何か勘違いされたようで、慌てて彼女は弁明をする。
18
:
名も無きAAのようです
:2013/12/22(日) 21:02:35 ID:EsrHRRWU0
(゚、゚;トソン「私、その昔から『自分に都合の良いことを覚えにくい癖』があって……。
だから、あなたのような人と会ったことを忘れてしまってたんだと思います」
( ・∀・)「……」
(゚、゚;トソン「他にも、転びたくないなぁと思ったら、転んだり
この問題わからないから、先生当てないで! って時に当たったり」
(-、-;トソン「考えていることと、逆のことが起こるんですよ、私」
自覚はないようだけど、どうやらさりげなく僕のことは褒めてくれていたようだ。
第一印象だけで、『都合のいいこと』に部類されていたようだ。
いや、問題はそこじゃない。
…………なんだろうか。
不思議な。
奇妙な、奇怪なほど
自分でも確証がないけれど、それでも実感として有る。
『親近感』
19
:
名も無きAAのようです
:2013/12/22(日) 21:05:27 ID:EsrHRRWU0
何故だろう。
何か…………。
実体のない『ソレ』を感じられる人がいるってのは、きっとそれはつまり……そういうことなのだろうか。
( ・∀・)「それは喜んでいいことなのですかね?」
(゚、゚トソン「……どちらでもお好きに受け取ってください。どうせ忘れますから」
( ・∀・)「成績が悪いなら、この学校にも入れなかったのでは?」
(-、-#トソン「……さりげなく失礼なことを言いますね」
(゚、゚トソン「成績は悪くないです、むしろ良い方です」
(゚、゚トソン「勉強なんて『覚えたくない、やりたくない』というのが通念でしょう?
御多分もれずに私もそうです。だからこそ、自然と『良い成績』になるんですよ」
( ・∀・)「ああ、なるほど」
(゚、゚トソン「この高校も、正直私のレベルにはまったく合ってませんでした」
( ・∀・)「だからこそ、ですね」
(-、-トソン「……ええ。やっかいなことに」
( ・∀・)「…………おかしなことを聞いてもいいです?」
(゚、゚トソン「はい?」
僕は少し踏みこんでみることにした。
ばかばかしいと笑われるかもしれないけれど
僕は僕として、間違いなく実体現者なのだから、間違いではない。
20
:
名も無きAAのようです
:2013/12/22(日) 21:07:36 ID:EsrHRRWU0
内容が飲み込みにくいから、単にまず笑って吐き出すのが通常の人だ。
本当に紛れもなく、実際に『そう』であるならば
まず、ゆっくり意味を飲み込んでくれるはずだろう。
若干の不安を覚えつつも、小さな確信を元に僕は口を動かす。
( ・∀・)「天使に会ったことがありません?」
(゚、゚;トソン「え?」
反応を見て、あまりにも自分がバカらしい反応をしてしまったと恥じてしまうほど
確かに、率直すぎて可笑しい。
言動の間抜けさを反省して、誤魔化そうと二言目を口にする前だった。
(゚、゚;トソン「あ、あなたも会ったことがあるんですか?」
……あぁ、ビンゴだった。
昔から無駄に鋭い感は、衰え知らずなようだ。
( ・∀・)「ええ、まだ3つの頃ですが」
(゚、゚;トソン「冗談とかではなく?」
( ・∀・) =3「冗談だったら、二の句で話題変えてますよ」
(゚、゚;トソン「た、たしかに!」
21
:
名も無きAAのようです
:2013/12/22(日) 21:12:22 ID:EsrHRRWU0
( ・∀・)「『天使の祝福を受けられる』と、やけにハイカラな格好をした口調の天使さんでしたよ。
ま、実際その通りになったんですが。それから、良い事ばっかりの人生でしたからね。」
(゚、゚トソン「私もそんな感じでした。やけにハイテンションな天使様が来て」
(*゚∀゚)【おめーに祝福を与えてやるぜ!】
(゚、゚トソン「なんて言って、消えました。10年ぐらい前です」
( ・∀・)「へえ」
(-、-;トソン「まあ、実際祝福は祝福でも……あなたと違い、悪いことばかりですがね」
( ・∀・)「さしずめ『悪魔の祝福』ですか」
(゚、゚トソン「近いですね」
( ・∀・)「僕は間違いなく『天使の祝福』でしたよ。
とにかく物事が良い方に転がるんです。臨めば望んだようになる」
(-、-トソン「羨ましい限りです」
ちょうど予鈴が鳴った。
そろそろ教室へ戻らなくては。
22
:
名も無きAAのようです
:2013/12/22(日) 21:14:53 ID:EsrHRRWU0
もう少し話していたい、と思っても
別に時間を止められるわけではない。
僕の祝福だって万能ではないのだ。
不可逆や自然の摂理などを覆すほど強烈でもない。
流れる時間は、みんなと同じだ。
( ・∀・)「さて、そろそろ行きますかね」
(゚、゚トソン「ええ。さようなら」
( ・∀・)「……またお会いしたいのですが」
不思議な挨拶だ、と思う。
だって、ふと遠方の地ですれ違った、まったくの他人と言うわけでもあるまい。
同じ校舎で、知らなかったけれど同じ学年の人間に対して『さようなら』とはおかしくないだろうか。
(゚、゚トソン「ええ、それは私も同じです。けれど、『思ってしまった』からそれは実現しません」
(゚、゚トソン「同じような経験をして、結果は違えど
それでも仲間と呼べる人が見つけられて嬉しかったです」
(゚、゚トソン「けれど、もうお会いすることはないでしょう」
( ・∀・)「そういう『祝福』だから。ですか?」
(-、-トソン「その通りです」
23
:
名も無きAAのようです
:2013/12/22(日) 21:18:11 ID:EsrHRRWU0
(゚、゚トソン「きっと私も、ここで会ったことだって、話した内容だって。
楽しかった記憶も、嬉しい思いすら全て忘れることでしょう」
(゚、゚トソン「思えば思うほど、それは強固なまで現実として実体化してしまうんです。
残念なことに。だから、さようなら。で良いんですよ」
僕は小さくため息をついた。
そして透き通るような青い空を見上げる。
冷たい息をもう一度吸って、それから思いついた言葉を彼女へ告げた。
( ・∀・)「僕の名前、モララーって言うんです」
(゚、゚トソン「そうですか」
( ・∀・)「あなたの名前は?」
(゚、゚トソン「……」
(;・∀・)「そんな『言っても意味ありません』って表情しなくても……」
(-、-トソン「事実ですから」
24
:
名も無きAAのようです
:2013/12/22(日) 21:21:53 ID:EsrHRRWU0
( -∀-)「……そうですね。じゃあ、僕と『賭け』をしましょう」
(゚、゚トソン「はい?」
( ・∀・)「僕は絶対に今日のことを『覚えたままでいる』
あなたは、今日のことをすっぱり『忘れてしまう』」
( ・∀・)「明日、もう一度あった時。果たして、どちらが適応されるのか
場所と時間は、今日と同じにしましょう。」
(゚、゚トソン「……」
( -∀・)「どうです、面白いと思いませんか?」
(゚、゚トソン「……仮にそうしたところで。勝てば何が貰えるんです?」
( ・∀・)「その暁にはぜひ」
( ・∀・)「僕とお友達になってください」
25
:
名も無きAAのようです
:2013/12/22(日) 21:24:14 ID:mjCK.fAU0
うおおおおお
支援
26
:
名も無きAAのようです
:2013/12/22(日) 21:25:24 ID:EsrHRRWU0
手を差し出して願う。
彼女は、複雑そうな顔をして。
若干考える間を置き。
顔を逸らしながら、少し恥ずかしそうに。
それから僕の手を取って、言う。
(゚、゚トソン「私は、トソンといいます」
温かい手の持ち主は、そんな名前だった。
――――――――次の日。
心地よい気候だった。
冬にしてはやけに温かい気温と日差し。
屋上に居るのに風も弱い。
とにかく、居心地が良い。
そんな日。
27
:
名も無きAAのようです
:2013/12/22(日) 21:28:37 ID:EsrHRRWU0
僕は昼食を摂り終えた身体で、隅に座していた。
たった一人で。
季節特有の、夏の命を感じる匂いと違う
突き抜ける無機質な空気を、いっぱいに吸い込んで空を見上げた。
雲が流れる。
遠い遠い空の偶像。
形を変えて、人に夢や希望を与える象徴。
と、僕は勝手に思ってる。
けど、月の影が国によって違うように
僕には天使に見えたものが、悪魔に見える人も居るんだろうか。
わからない。
28
:
名も無きAAのようです
:2013/12/22(日) 21:31:24 ID:EsrHRRWU0
だってそれは、どう頑張っても天使にしか見えないのだから。
そういう人間なんだ。僕は。
だから。
違った視点で見える人に聞いてみようと思う。
( ・∀・)「どう思います? トソンさん」
(-、-*;トソン「さあ、どうでしょうかね」
休み時間の終わり際。
息を切らせて、遅れてきた彼女は汗を流しながら照れくさそうに答えた。
29
:
名も無きAAのようです
:2013/12/22(日) 21:35:29 ID:EsrHRRWU0
――――。
それからというものの。
僕は、とにかく飽きることを知らない有意義な生活を送っていた。
(゚、゚トソン「こんにちは」
( ・∀・)「こんにちは。元気でしたか」
ε= (゚、゚トソン「たった一日空いただけですよ。普通に元気でした!」
( ・∀・)「ははは。それはどーもすみません」
屋上での他愛ない会話。
約束をし、指定の時間指定の日時までしっかり決めたのにも関わらず。
昨日僕らが、会うことは決してなかった。
それは、僕の『願望』と彼女の『願望反転』
どちらかがランダムで作用した為であるから。
僕は、『また会いたい』と思った。
トソンさんも、『また会いたい』と思った。
同じ考えであっても、結果はお互い真逆になる。
その頻度は、二人の予想や予感では計り知れない無作為さを持っているのだ。
30
:
名も無きAAのようです
:2013/12/22(日) 21:38:16 ID:EsrHRRWU0
昨日はトソンさんの祝福効果が発揮し
今日は、僕の祝福効果が発揮された。だから会えた。
普通に考えれば、とてつもなく迷惑極まりないけれど
『予想もつかない』
という結果が、僕も、そしてもちろんトソンさんだって心を踊らされたのだ。
( ・∀・)「明日はどうしましょう」
(゚、゚トソン「購買のパンを食べてみたいですね」
( ・∀・)「何が狙いで?」
(゚、゚*トソン「焼きそばパンを!」
( ・∀・)「炭水化物×炭水化物の、魔の食べ物ですか」
(゚、゚トソン「いつも売り切れですからね」
( -∀-)「あなたの『祝福』から考えると……」
(゚、゚トソン「?」
( ・∀・)「太りますよ」
(゚、゚;トソン「ちょっと!! 失礼ですよ!?」
31
:
名も無きAAのようです
:2013/12/22(日) 21:42:23 ID:EsrHRRWU0
( ・∀・)「いえいえ。きっとこれぐらいなら大丈夫……
という考えを綺麗に裏切ってしまうのがあなたの『祝福』じゃあないですかね」
(゚、゚;トソン「そりゃそうですけど、そうならないことも多々ありますから!!」
( ・∀・)「はっはっは。冗談はさておき。
となると、今回は……『3つ』ですかね?」
(゚、゚トソン「えーと……そうですね。3つです」
( ・∀・)「どちらに転ぶか、楽しみですね。成功を祈ってますよ」
(゚、゚トソン「ええ、私もです」
3つ。
『購買でパンを買いたい」
『その中で、人気の焼きそばパンを食べたい』
だけではなく。
そもそも『僕とまた会いたい』
が先に来るので、『3つ』なのだ。
今の所、確率は半々ぐらい。
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