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('A`)百物語のようです2013( )

1名も無きAAのようです:2013/08/17(土) 00:17:46 ID:z2vK43pU0
('A`)おーす


('A`)前スレと区別がつきやすいように今回は俺がメインだぜひゃーはー


('A`)ではルールのおさらいといこうか



・開催日は八月九日(金)から十八日(日)まで
※ただし投下できるのは金土日のみ。投下期間以外の本スレは作品の感想などご自由に使用してください
・作品はホラーでなくても幽霊、妖怪、人外などが出るならギャグでもなんでも可
・レス制限は一作品30レスまで。それ以上は個別スレ建てをお願いします。
・ながらはNG。個別スレを建ててそこでやるのは可。
※個別スレ参加の場合
  レス制限無し。

  スレ立て
  ↓
  百物語スレにて投下開始報告、URLを貼る
  ↓
  投下終了後、百物語スレにて投下終了報告(その際、前の人の数字を引き継いで話数宣言)

・1人何話でも投下可!
※連続投下→次に投下する人がいないか確認を取り、無ければOK
※作品の投下間隔についてはルールはありませんが少し間を開けることを推奨します
・イラストでの参加も可!一話としてカウントします。
※ただし作品への支援絵は作品としてカウントしない
・開催時間は18時から翌朝7時まで
・話が終わったら本スレ(自分でスレを立てた人はそのスレでも可)で蝋燭のAAを貼る


前回百物語のスレ
( ^ω^)百物語のようです2012 in創作板( ω  )
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/internet/13029/1344607128/
( ^ω^)百物語のようです2012 in創作板( ω  )
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/internet/13029/1345353530/

前スレ
( ^ω^)百物語のようです2013( ω  )
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/internet/13029/1372396645/


('A`)祭りはあと少し......百まで残り約半分......行けるか?

606名も無きAAのようです:2013/08/19(月) 04:13:44 ID:kvTNQZZI0
これがムカデ人間か.....

607名も無きAAのようです:2013/08/19(月) 04:14:17 ID:O6WuuAK60
('∀`)「いやぁ、隣がドタバタうるさいって思ってたら、まさか俺と同じ事をしようとしてた奴がいたとはな」


目の前の男は嬉しそうに笑う


('∀`)「ビデオカメラ見さしてもらったけど、くだらねー理由でムカデ人間創ろうと考えたなおいwwww腹ねじ切れるまで笑ったわwwwwま、人集めが楽になったから万々歳なんだけどよwwwwww」


私は、今の状況に呆然とするだけで
何も言い返せなかった


('∀`)「俺?俺かい?決まってんだろ」

('∀`)「ムカデ人間が好きだから!!大好きだからああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!」

('∀`)「俺ってばこだわるオタクでな、ファンになったらとことんやんなきゃ気が済まんのよwwwwwwww」

('∀`)「さ、起きろ起きろ!!!!!!俺の目の前で歩いてみせてくれ!!!!!」


そういうと男は自らの『モノ』を取り出し、扱き始めた


「…」


後列も目を覚まし、愕然としながら起き上がる
全裸になって、四つん這いで、口には他人の尻が、尻には別の他人の口が繋がっているのだ
これ以上無い絶望の表情を浮かべながら、『ムカデ達』が立ち上がる


('∀`)「ふひっ、ふひひひひっwwwwwww」


男のモノから白濁の液体が飛び出す
だが、一向に治まる気配は無かった

608名も無きAAのようです:2013/08/19(月) 04:14:18 ID:VsBIKW7w0
吐き気が…

609名も無きAAのようです:2013/08/19(月) 04:16:27 ID:O6WuuAK60
私は今になって
『ムカデ人間』となった今になって、やっと心の高揚の『本当の意味』を理解した


私は、『先頭に立ちたかったんだ』


後ろの人間は、何が何でも先頭に従わなければいけない
私が歩けば、そこに着いていかなければならない
私が食べたものは、後ろの人間も食べなければいけない


決して逆らうことの出来ない、絶対的なヒエラルキーの最上位に、私はなりたかったんだ


「フヒッ…」


念願叶った私の口から、笑い声が漏れた
自慰に夢中な男の耳にも
絶望に打ちひしがれる後列にも聞こえない、小さな笑い声が


ああ、なんだか『もよおして来た』ぞ
みんな腹を空かしていることだろう


さぁ、餌の時間だ


私は、腹筋に力を入れ―――

610名も無きAAのようです:2013/08/19(月) 04:17:52 ID:O6WuuAK60



『つ・な・げ・て・み・た・い』


改め


『つ・な・げ・ら・れ・た・い』


終わり


.

611名も無きAAのようです:2013/08/19(月) 04:18:34 ID:O6WuuAK60



※ムカデ人間及びこの物語はフィクションです。絶対に真似しないようにしましょう。



.

612名も無きAAのようです:2013/08/19(月) 04:19:42 ID:O6WuuAK60
  (
   )
  i  フッ
  |_|

613名も無きAAのようです:2013/08/19(月) 04:19:42 ID:kvTNQZZI0
ま、マジキチだああああああああああ

614名も無きAAのようです:2013/08/19(月) 04:20:18 ID:Jj1JIBWg0
あぁ、うん、乙……

615名も無きAAのようです:2013/08/19(月) 04:20:54 ID:FSG.adoM0
乙乙
81本目もらいます

  .,、
 (i,)
  |_|

616名も無きAAのようです:2013/08/19(月) 04:20:59 ID:OU2K1w3U0
こわい

617名も無きAAのようです:2013/08/19(月) 04:21:16 ID:8ytUi/KEO
乙乙……うええ……
最近ブーン系でムカデ人間よく見るから何かと思えば、作品スレで取り上げられていたんだな……
あれ先頭と真ん中はともかく、最後尾は全然栄養とれねえよなって気になってた

618名も無きAAのようです:2013/08/19(月) 04:21:23 ID:bSjWwjx20
乙wwwwwwwwwwwwwwwwwwww

619名も無きAAのようです:2013/08/19(月) 04:21:49 ID:FSG.adoM0
( ・∀・) 「松明流し」……ですか?

(#゚;;-゚) はい、それがうちの集落で行われている祭りの呼び名でございます

氷の入ったグラスに麦茶を注ぎ、少女は僕の問いに応える
「どうぞ」と差し出されたそれを受け取ると、少女は押入れから座布団を取り出して、僕の斜向かいに腰を下ろした

(#゚;;-゚) 毎年お盆に行われる祭りなのですが、他所様からは「奇祭」などと呼ばれることもございまして

(#゚;;-゚) 時々あなた様のように「詳しく話を聞きたい」と訪ねていらっしゃる方々もございます

(#゚;;-゚) 決して華やかな祭りとは言えませんが、その程度には見所のある物なのでしょうね

麦茶を飲んで、一息
玄関の方に目をやると、少女は僕の心情を見通したように言った

(#゚;;-゚) ……祖母が来るまでまだ時間がございます

(#゚;;-゚) もしお望みでしたら、祭りについて、私が知っている範囲でお話致しましょうか?

( ・∀・) それじゃあ、お願いしてもいいですか?

そう言って麦茶を飲み干すと、少女はにこりと微笑んで空のグラスに二杯目を注ぎ込んだ

(#゚;;-゚) 北国でも、夏は暑いのですよ?

何気なく放ったであろうその一言が、僕にはなぜか酷く印象に残っている

620名も無きAAのようです:2013/08/19(月) 04:22:00 ID:O6WuuAK60
皆さんお疲れ様でした

ムカデ人間、ムカデ人間2はこれ以上の狂気とグロとスカトロを味わえるので是非一度ご覧ください

621名も無きAAのようです:2013/08/19(月) 04:22:51 ID:FSG.adoM0
.




             奇祭の夜のようです




.

622名も無きAAのようです:2013/08/19(月) 04:23:38 ID:FSG.adoM0
「叔父の住む集落には、奇祭と呼ばれる祭りがある」

今からつい3日前、夏休み真っ盛りの僕は、あまりの暑さと退屈さに耐えかねて何らかの変化を求めていた
所謂「なにか面白いこと無いかなぁ」というやつだ
そんな状態の僕の耳に入ってきたその情報は、まさに朗報というべきか、天の恵みというべきか
とにかく僕は急いで準備を整えて、祭り当日、今日の始発列車でこの東北の片田舎へとやって来たのである

( ・∀・) というわけで2、3日ほどお世話になります

( ´∀`) 久し振りモナね。最後にあったのは5年くらい前モナ?

( ´∀`) お父さんから話は聞いているモナ。ゆっくりしていきなさい

( ・∀・) はい、ありがとうございます

( ´∀`) お祭りについて知りたいなら、タヌさんのところに行ってみるといいモナ

( ・∀・) タヌさん?

( ´∀`) モナ、狸娘だからタヌさん。この集落の長老みたいな人モナ

( ´∀`) すごい人モナよー、叔父さんが子供の時からずっと婆さんやってるモナ

( ´∀`) どうする? もしも行くなら、叔父さんから話を通しておいてあげるモナ

「叔父さんこれでも、ちょっとは顔が利く方モナよ?」
そう言って誇らしげに鼻を鳴らす叔父に苦笑しつつ、僕はその言葉に甘えることにした
見知らぬ外部の人間として訪ねるよりはそちらのほうが幾分かやり易いだろう。そう思ったのだ

623名も無きAAのようです:2013/08/19(月) 04:24:22 ID:FSG.adoM0
( ´∀`) 今電話してみたら、オーケーが出たモナ

( ・∀・) ホントに?

( ´∀`) モナモナ、「いづでも来なが」って言ってたモナ

( ・∀・) ……なんて?

( ´∀`) 「いつでもいらっしゃい」って意味モナ。方言モナよ、方言

( ´∀`) この辺りの人、特にお年寄りは訛りが強くて大変モナ

( ´∀`) 孫娘のでぃさんが通訳してくれるらしいから、挨拶はしっかりしておくモナよ?

( ・∀・) 通訳って……

そうしてお話は、冒頭へ戻る

624名も無きAAのようです:2013/08/19(月) 04:25:14 ID:FSG.adoM0
(#゚;;-゚) そうですね、それではまず松明流しの内容について……

(#゚;;-゚) さらに細かく言うと松明流しがどのようにして行われるのかについて、お話し致します

( ・∀・) はい

(#゚;;-゚) 松明流しはその名の通り、大量の松明を用いて行われるお祭りでございます

(#゚;;-゚) この祭りでのみ演奏される独特の囃子を先導に、藁で出来た松明を持った参加者が集落内を周回します

( ・∀・) 囃子……お祭りの時に演奏される音楽のことですよね?

(#゚;;-゚) はい。松明流しの祭囃子に使う楽器は和太鼓、篠笛、摺鉦の3つです

(#゚;;-゚) 曲目は登り囃子と下り囃子の二部構成となっておりますが、これは順路が往路と復路に分かれているためです

( ・∀・) 往路と復路ですか

(#゚;;-゚) ええ、そうです

( ・∀・) ということはただ漫然と集落内を歩き回るわけではなく、明確な目的地があるということですね?

(#゚;;-゚) ……?

( ・∀・) 往路と復路なんて言葉を使うということは、「行き」と「帰り」を分ける何かが存在するということですから

(#゚;;-゚) ああ、なるほど。納得です

625名も無きAAのようです:2013/08/19(月) 04:25:56 ID:FSG.adoM0
(#゚;;-゚) 確かにあなた様の仰る通り、この祭りには目的地がございます

(#゚;;-゚) この集落の外れには、小さな塚がございます

(#゚;;-゚) 集落内では蛇塚などと呼ばれておりますが、正しい呼び名は「天明供養碑」

(#゚;;-゚) 天明の飢饉の犠牲者を弔うために建てられた、碑を祀る塚でございます

( ・∀・) ……へぇ

天明の飢饉
江戸中期、東北地方を中心として起こった大飢饉で、日本最大級の飢饉とされている
食料不足による集落間の殺し合いや「間引き」による口減らし、果ては人肉食まで、様々な伝承が存在する伝説的な災害だ

( ・∀・) なるほど。つまり松明流しとは、飢饉の犠牲者を供養するための祭りなのですね

(#゚;;-゚) はい、左様でございます。慰霊、鎮魂、回向……そのような意味を持つ祭だと聞いております

626名も無きAAのようです:2013/08/19(月) 04:26:56 ID:FSG.adoM0
(#゚;;-゚) そして辿り着いた蛇塚にて、祭りは山場を迎えます

山場……「松明流し」の山場となると、予想するのは難くない
闇の中、静かに揺れ動く幾つもの灯。水面は朧気に炎を映し、人々はその炎に亡き者の姿を見る
僕の脳裡には、世界各地で行われている「灯篭流し」の光景が浮かんでいた

(#゚;;-゚) ……いいえ、先程申し上げた通り、この祭りはそのような華やかなものではございません

( ・∀・) え……?

(#゚;;-゚) 蛇塚の周囲には、塚を取り囲むように掘り下げられた溝のようなものがございます

( ・∀・) 溝ですか? 川ではなく?

(#゚;;-゚) 環状に掘られた穴、と言っても良いでしょう。深さは……2メートル前後といったところでしょうか

(#゚;;-゚) 参加していただければ分かると思いますが、水はなく、草木も生えていない、ただの穴です

(#゚;;-゚) 参加者はその穴の前に等間隔に立ち、順番に穴の中に松明を投げ込みます

( ・∀・) それで、その後はどうするんですか?

(#゚;;-゚) それで、終わりでございます

( ・∀・) はい?

(#゚;;-゚) 後は下り囃子の先導に従って集会所に帰還。そこで祭りは終了でございます

(#゚;;-゚) 祭りの後はささやかながら宴会の準備をしておりますので、よろしければそちらもご参加ください

627名も無きAAのようです:2013/08/19(月) 04:28:04 ID:FSG.adoM0
( ・∀・) 終わりですか……

(#゚;;-゚) 全体的な流れとしては、そうなります

(#゚;;-゚) 祭りの雰囲気や宴会の内容等は実際に参加していただいて、ということで

( ・∀・) 宴会の内容? それは祭りと関係があるんですか?

(#゚;;-゚) ええ、私はよくわかりませんが、大人の方々は宴会まで含めて祭りと考えている節があるようです

( ・∀・) なにか特別なことをしている、というわけではないんですか?

(#゚;;-゚) いえ、何も。あえて言うなら……そうですね……

(#゚;;-゚) 内容自体は普通なのですが、非常に長時間……翌日の昼頃まで宴会は続きます

(#゚;;-゚) その時間の長さに関しては「特別」と言っても差し支えないのではないでしょうか

( ・∀・) なるほど、確かにそれは少し変わってますね

話が一段落ついたところで、がらがらと玄関の戸が開く音がした
狸娘さんだ。僕が慌てて立ち上がり部屋を出ようとすると、でぃさんがそれを引き止めた

(#゚;;-゚) 私が呼んで参ります。少々こちらでお待ちください

628名も無きAAのようです:2013/08/19(月) 04:28:50 ID:FSG.adoM0
<バッチャ!! モナサンノドゴノキテラヤ!! ヘグ!! ヘグ!!

<ンダガ!! マヅロ!!

玄関から二人の会話が聞こえてくる
狸娘さんはともかく、でぃさんの言葉さえ、何を言っているのかよくわからない
僕と話していた時の過剰な程の敬語はこれを隠すためのものだったのだろうか

(#゚;;-゚) お待たせ致しました。こちらが祖母の狸娘でございます

しばらくして戻ってきたでぃさんは軽く頭を下げてそう言った
背後には老婆。長年の農作業によるものだろうか、ひどく背中が曲がっている

从´ヮ`从ト モナどごのわらすだべ、きでらや

( ;・∀・) え?

(#゚;;-゚) 「モナーさんの所のお子さんですね、聞いていますよ」と

( ;・∀・) は、はぁ……。甥のモララーです、よろしくお願いします

从´ヮ`从ト ンダガンダガ ハダゲスゴドステラ エマデアサグノテギダーテギダ-テラキャギコノドゴノワラハンドガノセデケデロ-?

( ・∀・) ……今のは?

(#゚;;-゚) ええっと、畑仕事から歩いて帰るのが面倒だと思ってたら近所の人が車で送ってくれた……みたいな……

(#゚;;-゚) 申し訳ありません、祖母は特別訛りが強く、私も完全には……

629名も無きAAのようです:2013/08/19(月) 04:29:31 ID:FSG.adoM0
从´ヮ`从ト すて、わはなんの話ばせばいのや?

(#゚;;-゚) 「それで、私は何の話をすればいいのか」と

( ・∀・) そうですね、「松明流し」について、起源や歴史、伝承などを教えていただきたいのですが……

从´д`从ト ……わいはー。ねのおじかしからきでねだが

(#゚;;-゚) 「あらま、お宅の叔父さんから聞いていないのか」と

( ・∀・) はい、狸娘さんに聞くのがいいだろうと言われました

从´д`从ト わい! なんぼからぽねやみだだべ!

(#゚;;-゚) 「本当に面倒臭がりなんだから」と

从´ヮ`从ト すたばたてかででけろてさいだんだばかでねばまねべな

(#゚;;-゚) 「とは言っても面倒見てくれと言われたならそうしないといけないだろうなあ」と

从´ヮ`从ト へば、あだまがらしゃべてぐが……

(#゚;;-゚) 「それじゃあ、一番初めから話していこう……」

そうして狸娘さんが語ったのは、松明流しに関するなんとも悲しいお話だった

从´ヮ`从ト むがーすむがす、このあだりできぎんがあってろー……

(#゚;;-゚) 「昔々、この辺りで飢饉がありまして……

630名も無きAAのようです:2013/08/19(月) 04:30:22 ID:FSG.adoM0
昔々、この辺りで飢饉がありまして
天明の飢饉というのですが、冷害などの影響で、全く作物が取れなくなってしまったのです
周囲の集落でも沢山の人々が亡くなりました。消えてしまった集落もあるほどです
人々は飢えのあまり、道に生えた雑草や木の根、仲間の死体、ついには家の壁土まで口にしたといいます

しかしながら私達の住むこの集落だけは、充分な食料を確保することが出来ました
この辺り一帯を治めていた地主様が、飢饉を見越して大量の作物を備蓄していたためです

     ( ,,^Д^) この米を集落の皆に食べていただきましょう

     ( ,,^Д^) 恩など感じる必要はありません。皆がいなければ私だって生きていくことは出来ないのですから

地主様は集落内の者に作物を分け与え、集落内の者はそれによって飢えをしのぐことが出来ました
この噂は他の集落にまで伝わり、多くの飢えた民が地主様のもとへやって参りました
地主様はそれらの民を客として招き入れ、全員に充分な食料を与えました

631名も無きAAのようです:2013/08/19(月) 04:31:08 ID:FSG.adoM0
さて、少し話は変わりますが、ここから山を二つほど越えたところにNという集落がございました
この集落は住民の殆どが工業を生業としており、農具や武具を作っては売り、そのお金で食料を手に入れていたそうです
当然ながら飢饉の影響は、この集落にまで及びました

      (;´_ゝ`) どうして売ってくれないんだ!? 金ならあると言っているだろ!

      (;@∀@) 冗談じゃないよ。あんたらに売ったら、俺が飢え死にすることになるじゃないか

      (;@∀@) 僅かに収穫できた米もお上にほとんど持って行かれちゃって、他人にやる分なんて残ってないよ!

皆、自分達が生きるのに必死です
いくらお金があっても、食べ物を売ってくれる人が居なければ何の意味もございません
N集落の人々は一人、また一人と倒れ、300人ほどいた住民も、とうとう50人足らずになってしまいました
そんな時でございます。私達の集落の噂が彼らの耳に届いたのは

      ('A`) 山を二つ越えた先の集落では地主が食料を分け与えているらしい

      (;´_ゝ`) 本当か!? 急いで行かなくては!

      (´<_`;) いや待て、そんなうまい話があるわけがない

      (;´ー`) どっちにしろ、このままじゃ飢え死にだーヨ……

      ('A`) 行くしかない、か……

N集落の、命懸けの行進が始まりました

632名も無きAAのようです:2013/08/19(月) 04:31:16 ID:8ytUi/KEO
支援

633名も無きAAのようです:2013/08/19(月) 04:31:58 ID:FSG.adoM0
今はもうどこの山でも整備された山道がありますが、当時はそのようなものはございません
足場の悪い獣道、飢えた野犬の群れ、山特有の気候
様々な障害がN集落の住民を襲います
何ヶ月もの間まともな食料を口にしていない彼らにとって、それらはなんとも耐え難い苦難であったことでしょう
無事にこの集落まで辿り着くことが出来た人数は、出発時の半分以下、20人余りだったと言われております

      (ヽ゚_ゝ゚) とうとう……着いたぞ……

      (ヽ゚A`) 米を……米をくれ……

      ( ,;^Д^) なんと皆さん、どうなさいました!?

      (ヽ゚_ゝ゚) 私達はN集落の住民だ。ここに来れば食料がもらえると聞いてやって来た

      (ヽ゚A`) もうずっと物を食べていないんだ。お願いだ……食料を分けてくれ……

      ( ,;^Д^) それはいけません! 早速ご用意いたしましょう!

      (ヽ;A;) ありがとう……ありがとう……

地主様はN集落の住民のために大釜いっぱいの白粥を作り、それを振舞いました
彼らは一心不乱に白粥をかき込んで、あっという間にそれを平らげてしまいました

634名も無きAAのようです:2013/08/19(月) 04:32:53 ID:FSG.adoM0
――しかし、それが間違いなのでした
何ヶ月もの間碌な食事をしていない彼らの体は極限までに衰弱しておりました
そんな状態で大量の白粥を消化することなど、できるはずもありません
どれだけ食べたいと思っていても、体が受け付けないのです

白粥を食べ終えて間もなくして、N集落の住民は激しい苦しみに襲われました
腹を押さえてのたうち回り、口からは先ほど食べた白粥が、大量の血とともに溢れ出します
血と涙と吐瀉物に塗れながら、N集落の住民は地獄の苦しみの中で息絶えました

(#゚;;-゚) ――彼らを哀れに思った地主様は、その死体を一処に集め、埋葬なさいました」

(#゚;;-゚) 「それが現在のへび塚なのでございます」と

「とっつぱれ」という言葉をもって、狸娘さんは話を締めた
でぃさんによると、昔話の結びに使われる文句であるらしい

(#゚;;-゚) あえて標準語に直すのであれば、「めでたしめでたし」……は、適切ではありませんね

(#゚;;-゚) なんと言えばよいのでしょうか……

( ・∀・) いえ、言いたいことはわかりました。ありがとうございます

从´ヮ`从ト たいまづながすはそのつぐのとすがらはづまたみてだやなー

(#゚;;-゚) 「松明流しはその次の年から始まったみたいですね」と

635名も無きAAのようです:2013/08/19(月) 04:33:50 ID:FSG.adoM0
( ・∀・) なるほど、勉強になりました。ありがとうございます

从´ヮ`从ト なもなも、えだ、えだ

(#゚;;-゚) 「いえいえ、いいんですよ、いいんですよ」と

从´ヮ`从ト すて、なはたいまづながすさかだるだな?

(#゚;;-゚) 「それで、あなたは松明流しに参加するんですか?」と

( ・∀・) はい、そのつもりです

从´ヮ`从ト とす、なんぼだ?

(#゚;;-゚) 「何歳ですか?」と

( ・∀・) 先月20になりました

从´д`从ト ……こごののわらすだな?

(#゚;;-゚) 「この集落の人間の子ですか?」と

( ・∀・) ええ、母がここの生まれです。18で上京するまでここで暮らしていたらしいです

从´д`从ト ……あいったー

(#゚;;-゚) 「あちゃー」と……え? ばっちゃ、どうかしたの?

636名も無きAAのようです:2013/08/19(月) 04:34:54 ID:FSG.adoM0
从´д`从ト なも、いだ。して、さぎにえさけるだな

(#゚;;-゚) ……

(#゚;;-゚) 「なんでもありません。ところで、先に家に帰るんですか?」と

从´ヮ`从ト えさけるつもるねだばままくてがなが

(#゚;;-゚) 「家に帰るつもりがないならご飯を食べていってください」と

(#゚;;-゚) お祭りが始まるまで、あまり時間はありません

(#゚;;-゚) 特に用事がなければここでご飯を食べて、真っ直ぐ会場に向かわれてはいかがでしょう?

( ・∀・) うーん

家に帰る用事はないけれど、少し悪い気がしないでもない
そんな僕の気持ちを察してか、でぃさんは立ち上がり、押入れの襖を開けた
中を見るとそこにはハムやら酒やら高級そうなお菓子やら、沢山の食べ物が積まれていた

(#゚;;-゚) 私共はこの辺りでは名家などと呼ばれておりまして、この時期はお中元の処理に追われます

(#゚;;-゚) 厚かましいお願いとは存じますが、よろしければお力を……

( ・∀・) ……それじゃあ、ごちそうになります

从´ヮ`从ト んだんだ、それでいいだ

637名も無きAAのようです:2013/08/19(月) 04:35:37 ID:FSG.adoM0
食事を終えて一休みしていると、町内放送のアナウンスが聞こえてきた
「今夜の祭りの参加者は、集会所に集まるように」だそうだ

(#゚;;-゚) それじゃあ行きましょうか

从´ヮ`从ト んだんだ、いてこい

从´ヮ`从ト わもあどでのみさいぐはんでろー

(#゚;;-゚) 「私も後で宴会に行く」と

( ・∀・) そうですか、それではまた後で

そう言って僕とでぃさんは集会所へ向かった
集会所は歩いて5分ほどの場所にあり、僕等が着いた時にはもう沢山の人で賑わっていた

( ・∀・) 思ったより人が居るんですね

(#゚;;-゚) はい。それぞれの家から最低でも一人以上の参加が義務付けられており、毎年80名ほどの参加者がおります

( ・∀・) 義務? もし参加しなければどうなるんですか?

(#゚;;-゚) ……さあ? 前例がないので

( ・∀・) 前例がないって、そんなことありえるんですか?

(#゚;;-゚) ええ。少なくとも祖母の記憶にある限り、そのようなことは起こったことがないそうでございます

638名も無きAAのようです:2013/08/19(月) 04:36:41 ID:FSG.adoM0
と、その時、人混みの中からひとつの影が飛び出してきた
恰幅の良い男性。歳は僕より少し上といったところだろう

( ^ω^) おっおっ、でぃちゃん遅かったじゃないかお?

(#゚;;-゚) うん、ちょっとね

( ^ω^) ……お? 隣にいる人は誰だお? この辺りじゃ見ない顔だおね

(#゚;;-゚) えっと、モナーさんの親戚のモララーさん。お祭りに参加するんだって

( ・∀・) よろしくお願いします

( ^ω^) ふーん……僕はブーンと申しますお。こちらこそよろしくおねがいしますお

( ^ω^) ところでモララーさん、歳はいくつだお?

( ・∀・) 20ですが、どうかしましたか?

( ^ω^) ……ああ、いやいや、この後宴会もあるから、お酒が飲める歳か聞いておきたかったんだお

( ^ω^) 宴会は集落の大人のほとんどが参加して、明日の昼まで賑やかに飲み明かすんだお!

( ^ω^) 当然僕も参加するお! 困った事があったら僕のところに来てくれお!

(#゚;;-゚) お祭りに参加する大人は皆、宴会の話ばかりするんです

( ^ω^) でぃちゃんは今19歳だおね? 来年になればわかるお……うん……

( ・∀・) ?

639名も無きAAのようです:2013/08/19(月) 04:37:42 ID:FSG.adoM0
( ^ω^) さ、お祭りが始まるお! 向こうで松明配ってるから、貰ってくるといいお!

(#゚;;-゚) そうだね。それじゃあモララーさん、行きましょうか

( ・∀・) うん、そうしましょうか

集落の老人に軽く挨拶をして松明を受け取ると、どこからか拡声器のハウリングが聞こえてきた
それを聞いた住人は音のする方へと移動を始める。どうやら、いよいよ祭りが始まるようだ

(,,゚Д゚) 『皆さん聞ごえますがー!? それでは今がらたいまづながしを始めますー!』

(,,゚Д゚) 『まンず、囃子の人、先頭さあづまってください! そいでー、あどの人はその後ろさ一列に列んでくださいー!』

(,,゚Д゚) 『囃子がはづまりましたら運行はづまりです。それではがんばりましょう!』

周囲から歓声が上がり、それが止むと前方で祭り囃子の演奏が始まった
往路の囃子は、確か上り囃子と言っただろうか
ゆったりとしていて、それでいて力強い、荘厳な音色だった

(#゚;;-゚) 私達はこれから、蛇塚とは反対の方向へ向けて出発致します

(#゚;;-゚) 集落のすべての家を一筆書きに経由して、それから蛇塚へ向かうのでございます

(#゚;;-゚) それぞれの家の前には燭台が置かれておりまして、参加者は自分の家の燭台を使って松明に火を灯すのです

(#゚;;-゚) あなた様は私の家の燭台をご利用ください

640名も無きAAのようです:2013/08/19(月) 04:38:34 ID:FSG.adoM0
囃子の先導に従って、薄暗がりの中を幾つもの影が歩く
一つ、二つ、民家の前を通る度に明かりが増える
両手で抱えるほどの大きな松明が、歩調に合わせて上へ、下へ
炎の揺らめくその様子は、まさに「奇祭」と呼ぶに相応しいものだった

(#゚;;-゚) 次は私共の番ですね。家の前で祖母が火を焚いて待っております

その言葉の通りでぃさんの家の前では、狸娘さんが燭台を持って立っていた

从´ヮ`从ト わい、すったでったらだたいまづもってあさいで、まんづおどごめだやなー

(#゚;;-゚) 「そんな大きな松明を持って歩くなんて、なんて男前なんでしょう」と

( ・∀・) はは、ありがとうございます

从´ヮ`从ト おー、はえぐひーつけでら、おぐれればまねや

(#゚;;-゚) 「早く火をつけて、おくれてはいけませんよ」と

( ・∀・) そうですね。それじゃあ……うん、これでよし!

(#゚;;-゚) よいしょ……では、行きましょうか

从´ヮ`从トノシ 火傷すなやー?

641名も無きAAのようです:2013/08/19(月) 04:39:40 ID:FSG.adoM0
(,,゚Д゚) 『せば、みんな火つけだどごで、蛇塚さ向がいます』

(,,゚Д゚) 『小さい子は大人がら離れねんでください』

囃子の曲調が少し早まって、行列は蛇塚へと歩き出した
沢山の炎が不規則に上下して、それはまるで怪談に登場する人魂のようにも見える
しばらくすると前方に高さ15メートルほどの、小さな山のようなものが現れた

(#゚;;-゚) あれが蛇塚でございます。N集落の住民はあの塚を越えてこの集落にやって来たと言われております

( ・∀・) なるほど、あれが……

蛇塚が視界に入ると、囃子の音色は少しづつ弱まり始めた
行進が続き、蛇塚が近づくに連れて、摺鉦の音が消え、太鼓の音が消え
そしてとうとう蛇塚に辿り着き、篠笛の音が止んだ時




声が、聞こえた




.

642名も無きAAのようです:2013/08/19(月) 04:40:38 ID:FSG.adoM0

蛇塚の周囲を取り囲み、環状に掘られた穴の底

光の届かぬその場所で悲痛な呻き声を上げている







彼らは一体、誰なのだろう





.

643名も無きAAのようです:2013/08/19(月) 04:41:22 ID:FSG.adoM0
祭りの後の宴会場
僕は会場の片隅で、膝を抱えて震えていた

( ^ω^) おっおっ、飲んでるかお?

(ill・∀・) ブーンさん……

( ^ω^) でぃちゃんはどこに行ったんだお?

(ill・∀・) 狸娘さんに呼ばれて、厨房の手伝いに

( ^ω^) おー、それは大変だおね。ところで……

(ill・∀・) 何ですか?

( ^ω^) 見えたかお?

(ill・∀・) ……はい

( ^ω^) そうかお……



( ^ω^) ちょっと、煙草でも吸いに行くお?

644名も無きAAのようです:2013/08/19(月) 04:42:10 ID:FSG.adoM0
( ^ω^)y━・~ 夜風が気持ちいいおね?

(ill・∀・) ……

( ^ω^)y━・~ 安心するお。古来より煙草は魔除けの効果があるとされているんだお

(ill・∀・) そうですか……

( ^ω^)y━・~ さて、君には昔話をしないといけないおね

( ^ω^)y━・~ 松明流しの起源、その真実を

(ill・∀・) 真実、ですか?

( ^ω^)y━・~ そう。成人した者しか知ってはいけない真実だお


( ^ω^)y━・~ フゥ……


( ^ω^)y━・~ 君が見た物、あれは、この集落の人間が背負っている「業」なんだお

(ill・∀・) 業……?

645名も無きAAのようです:2013/08/19(月) 04:43:07 ID:FSG.adoM0
( ^ω^)y━・~ その昔、天明の飢饉の時代、Nという集落の人間が食料を求めてこの集落にやって来たんだお

( ^ω^)y━・~ 当時この辺りを治めていた地主が大量の食料を備蓄していて、それを住民に分け与えていたんだお

( ^ω^)y━・~ N集落の人間はその噂を聞きつけてやって来たんだろうおね

(ill・∀・) その話は聞いています。地主は白粥を振る舞い、それを食べたN集落の人間は死んでしまったと

( ^ω^)y━・~ ……おー、それは子供に話すために改変された、作り話だおね

(ill・∀・) 改変? それじゃあ、元となった話が別にあるんですか?

( ^ω^)y━・~ おっお、よくあるお? 本当は怖い昔話ってやつ

( ^ω^)y━・~ 現実はもっと残酷で、人間はもっと醜いんだお

(ill・∀・) ……どこからが改変なんですか?

( ^ω^)y━・~ N集落の住民がここに来たところからだお

( ^ω^)y━・~ 実際の彼らは、一粒の米を口にすることもなく死んでいったんだお

646名も無きAAのようです:2013/08/19(月) 04:44:30 ID:FSG.adoM0
N集落の住民が向かってきているという情報は、彼らがここに辿り着く前に既にあったんだお
数十人単位での移動なんだから、誰かの目に留まるのは考えて見れば当然のことだお
そしてこの集落では彼らの扱いについて、「地主抜きでの」会議を始めたんだお
まあ、会議と言っても結論は最初から決まっていたらしいけど

      (´・ω・`) N集落の人間が食料を求めてやってくる

      ミ,;゚Д゚彡 うちの集落に向かって歩いている集団をニダーの奴が見たらしい

      ( ;ФωФ) なんと、それでは我らの分の食料が……

      爪;'ー`) 地主様の蓄えだって無限じゃないんだ。誰にも彼にも分けてらんないよ

浅ましいおね。地主の蓄えをまるで自分達の者のように扱って
そんな浅ましい人間が集まると、物事は恐ろしい方向へ進むんだお

N集落の住民がこの集落へ入るには、小さな山を超える必要があったんだお
山と言っても大したことのない、公園のドーム状の遊具を少し大きくしたような、本当に小さな山だお
うちの集落の住民は、その山に沢山の藁を積み上げて――――

( ^ω^)y━・~ N集落の住民を、焼き殺したんだお

( ・∀・) え……

647名も無きAAのようです:2013/08/19(月) 04:46:21 ID:FSG.adoM0
( ^ω^)y━・~ 死体はそのまま大量の土を覆い被せて埋葬し、碑を立てて大きな墓にしたお

( ^ω^)y━・~ それから山を通らなくても集落の外に出られるように迂回路を作り

( ^ω^)y━・~ そして間違っても墓に立ち入るものが居ないように周囲を深い穴で囲んだ

( ^ω^)y━・~ 後は言わなくてもわかるおね?

( ・∀・) それが今の蛇塚……ということですね?

( ^ω^)y━・~ そうだお。君が蛇塚で見た物は、N集落の住民だお

( ^ω^)y━・~ この集落の血を引いている人間は、成人するとあれが見えるようになるんだお

( ^ω^)y━・~ 穴から這い出そうとするN集落の住民を、松明の炎で穴の底に突き落とす

( ^ω^)y━・~ 彼らは松明に焼かれながら己の不幸を嘆くんだお

( ^ω^)y━・~ だから「松明流し」。……おっと、これじゃあわかりにくいおね?

( ^ω^)y━・~ この辺りの訛り、どれくらいわかるかお?

( ・∀・) ……正直、よくわかりません。ただ少し濁音が多い言語だなと

( ^ω^)y━・~ うんうん、それで充分だお。濁音が多い、具体的には「か行」が「が行」に変わるんだお

( ^ω^)y━・~ 「松明ながし」は訛った呼び名。正しい呼び方は「松明なかし」

( ^ω^)y━・~ ……つまり、「松明哭かし」だお

648名も無きAAのようです:2013/08/19(月) 04:47:21 ID:FSG.adoM0
( ^ω^)y━・~ この祭りには欠席の前例がないお。奴等が穴から出たら大変なことになるのを皆理解しているからだお

彼は煙草を地面に投げ捨てて、それを踏み潰した
それから大きな溜め息を一つついて、話を続けた

( ^ω^) でぃちゃんは今年で19。できるならば今年中に嫁に出てもらいたいところだおね

( ^ω^) 彼女の家は地主の家系。何も悪い事してないのに、かわいそうだお

( ・∀・) 地主って、もしかして……

( ^ω^) お、今の話にでてきた地主だお

( ^ω^) まあ、本人は知らないと思うけれど、集落の大人は皆知ってるお

( ^ω^) 知ってて、申し訳なく思ってるお。ブーン達の先祖のせいで悲しませてしまうって

( ・∀・) ……

( ^ω^) 君はどこに住んでるんだお? 県外だったら、もらって行ってくれないかお?

( ;・∀・) えっ?

(  ^ω) ……なんて、冗談だお冗談

(   ^) まあ、本当にもらって行ってくれるなら、それに越したことはないんだけれども……だお……

(   ^) さ、帰るお。煙草消したから、奴らが来るかもしれないお?

649名も無きAAのようです:2013/08/19(月) 04:48:12 ID:FSG.adoM0
その夜僕は、集落の大人に混ざって、飲んで、歌って、踊って、暴れた

湧き上がる恐怖を抑えこむように。すべての不安を掻き消すように

日付が変わり、外が明るくなっても、それは止まなかった

一瞬でも音が止むと、どこからかあの声が聞こえてくるような気がした

この世の全ての悲しみを詰め込んだような怨嗟の声

僕達を呪う、呪詛の声

いまでもほら、光の届かないあの闇の中から、きっと――――

650名も無きAAのようです:2013/08/19(月) 04:49:10 ID:FSG.adoM0
.





奇祭の夜のようです


                                   (
                                     )
                                    i
                                         |_|

651名も無きAAのようです:2013/08/19(月) 04:50:09 ID:FSG.adoM0
おしまいです。ありがとうございました

652名も無きAAのようです:2013/08/19(月) 04:50:24 ID:8ytUi/KEO
乙乙
こういう土着的なのいいね

653名も無きAAのようです:2013/08/19(月) 04:51:20 ID:Jj1JIBWg0

82本目貰っていきます!

654名も無きAAのようです:2013/08/19(月) 04:52:02 ID:Jj1JIBWg0

ざぁざぁ。

ざぁざぁ。


(゚、゚トソン「・・・」


一人の女の人が、とあるパン屋で
立ち尽くしています。

パン屋の入口から先は、雨。


(゚、゚トソン「今日も、雨ですね」

.

655名も無きAAのようです:2013/08/19(月) 04:53:09 ID:Jj1JIBWg0




(゚、゚トソン 雨降る街角のようです


  .,、
 (i,)
  |_|

656名も無きAAのようです:2013/08/19(月) 04:53:49 ID:Jj1JIBWg0

ざぁざぁ。

ざぁざぁ。

強い雨が、女の人の視界を遮っています。


(゚、゚トソン「今日もまた、このパン屋で雨宿りですか」


ここのところ毎日降り続ける雨。

彼女は毎朝焼きたてのパンを買うのですが、
パン屋から出ると、なぜか強い雨が降りはじめるのです。

.

657名も無きAAのようです:2013/08/19(月) 04:54:30 ID:Jj1JIBWg0

ざぁざぁ。

ざぁざぁ。


そして雨が降り始めると、決まってあることが起こるのです。

( ・∀・)「やあ」

( ´_ゝ`)「やあ」

どこからともなく現れた傘を差した男性が二人、
女の人に話しかけてくるのです。

.

658名も無きAAのようです:2013/08/19(月) 04:55:13 ID:Jj1JIBWg0

ざぁざぁ。

ざぁざぁ。


( ・∀・)「"とそん"さん、お入りなさい」


"とそん"と言うのは、女の人の名前でしょうか。


( ´_ゝ`)「"とそん"さん、お入りなさい」


男性二人は繰り返すように、二つの傘を"とそん"さんへと差し出します。
"とそん"さんは、その傘を受け取らずに、呆れたように答えます。


(゚、゚トソン「また、その傘なんですね」


.

659名も無きAAのようです:2013/08/19(月) 04:55:56 ID:Jj1JIBWg0

差し出された傘は、二つとも大半がやぶれていて、
ほとんど骨組みだけの傘。

そのため、男性二人は傘を差してくるにも関わらず、いつもいつもずぶ濡れ。

"とそん"さんが受け取っても、取らなくても、濡れてしまうでしょう。


( ・∀・)「お入りなさい」

( ´_ゝ`)「お入りなさい」


こだまのように言葉を繰り返し、
傘を差しだし続ける二人。


(゚、゚トソン「遠慮します」


"とそん"さんはそう言うと、続けて言いました。


(゚、゚トソン「晴れるまで、待ちますから」


.

660名も無きAAのようです:2013/08/19(月) 04:56:36 ID:Jj1JIBWg0


二人は少し間を置いて、クスクスと笑いながら言いました。


( ・∀・)「この雨は、やまない」

( ´_ゝ`)「あなたが傘を取らない限り、永遠にやまない」


二人が告げた言葉に、"とそん"さんは戸惑いました。


(゚、゚トソン「それってどういう……」


( ・∀・)「あなたは忘れたふりをしている」

( ´_ゝ`)「この日この場所で起きたことを、忘れたふりをしている」


"とそん"さんはその言葉に、さらに戸惑います。
だって、忘れたふりも何も、身に覚えがないのです。


(゚、゚トソン「そんな、私忘れたふりなんか

.

661名も無きAAのようです:2013/08/19(月) 04:57:16 ID:Jj1JIBWg0







どんっ







.

662名も無きAAのようです:2013/08/19(月) 04:57:56 ID:Jj1JIBWg0

それは、突然のことでした。

どこからともなく車が現れて、男性二人をひきとばします。
そして車はそのまま勢いよく"とそん"さんを巻き込み、パン屋にぶつかりました。


( 、 ;トソン「あ」


"とそん"さんは、体中血みどろになりました。
車の中にも、なぜか血みどろになったもう一人の"とそん"さんがいます。


その時、"とそん"さんは思い出しました。


こんな強い雨の日に、いつもみたいにパン屋に寄ったことを。

そして、ぬかるんだ地面にタイヤを取られ、スリップしたことを。

あまりのことにパニックになり、ブレーキを踏み遅れたことを。


そして、"とそん"さんのように雨宿りをしていた男性二人を、轢いてしまったことを。


.

663名も無きAAのようです:2013/08/19(月) 04:58:36 ID:Jj1JIBWg0


( ・∀:::「僕らは、失ったんだ」

( ´_ゝ:::「僕らは、失ったんだ」


顔や体がぐちゃぐちゃになった二人が、"とそん"さんに語りかけます。
ぐちゃぐちゃになってもなお、傘を差し出し続けます。


( ・∀:::「さあ、お入りなさい」

( ´_ゝ:::「一緒に、お入りなさい」




( 、 ;トソン「やだ……」


( 、 ;トソン「私は……私は死んでなんか




ざぁざぁ。

ざぁざぁ。


・・・・・・
・・・

664名も無きAAのようです:2013/08/19(月) 04:59:59 ID:Jj1JIBWg0

ざぁざぁ。

ざぁざぁ。


(゚、゚トソン「・・・」


一人の女の人が、とあるパン屋で
立ち尽くしています。

パン屋の入口から先は、雨。


(゚、゚トソン「今日も、雨ですね」


いつまでも、何度でも。

彼女は雨宿りを続けます。




(゚、゚トソン 雨降る街角のようです

  (
   )
  i  フッ
  |_|

665名も無きAAのようです:2013/08/19(月) 05:06:32 ID:bSjWwjx20

今蝋燭何本目なんだ?

666名も無きAAのようです:2013/08/19(月) 05:07:07 ID:8ytUi/KEO
乙乙
トソン……


八十三本目もらいました

  .,、
 (i,)
  |_|

('、`*川潰された犬のようです
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/internet/13029/1376854723/

  (
   )
  i  フッ
  |_|

667名も無きAAのようです:2013/08/19(月) 05:18:41 ID:mtmv.fjI0
>>650
乙!悲しい話だな……。雰囲気がすごく好き

668名も無きAAのようです:2013/08/19(月) 05:20:08 ID:bSjWwjx20
>>666 乙です

八十四本目、拝借致します。

  .,、
 (i,)
  |_|


.

669名も無きAAのようです:2013/08/19(月) 05:21:10 ID:bSjWwjx20
例え悠久の餓え渇きに震え藻掻き苦しむことになろうとも、私はただひとつの魂《ゴースト》で在りたい。在りたいのです。







荷電子性ゴーストのようです









.

670名も無きAAのようです:2013/08/19(月) 05:22:09 ID:bSjWwjx20
趣味も。
嫌いも。
思考も。
夢も。
目的も。
将来も。
過去も。
記憶も。
見てくれも。
人格も。
存在も。
魂さえも。
確たる私などどこにも存在しない。
揺るぎないものを持っていない。
なぜならそれは曖昧だから。
すべてが曖昧。
すべては曖昧。
曖昧の便利さは記憶に残らない事。
過ぎ去れば誰も私にこだわらない。
曖昧の苦痛さは記憶に残らない事。
過ぎ去れば誰も私をこだわらない。

願わくば私の最期は歩き疲れ倒れ伏した荒野の真ん中で塵芥に。
世界に遍く風と砂に成りたい。
どこにでもいて、どこにもいない。
そんな存在に。

671名も無きAAのようです:2013/08/19(月) 05:24:15 ID:bSjWwjx20
なにか特別なことがあったわけではない。
ただただ何かが削れていく毎日の中で、私はそんな削りカスのような想いを積み上げてきたのだ。

なにか特別なきっかけがあったわけではない。
ただただ過ぎ去っていく日常の中に唐突に終わりを告げたくなったから。

決定的な結末を迎える勇気があるわけでもなく、惚けて日常を投げ出す図太さを備えてるわけでもなく。

だから、こんな世界から一歩、ただの一歩、足を踏み外してみたくなったのだ。

672名も無きAAのようです:2013/08/19(月) 05:24:55 ID:bSjWwjx20

( ・∀・)「なぁ、心霊スポットいかね?」

('A`)「あ?あぁ車出せってか。この近くにそんなのあるの?」

( ・∀・)「美歩山に廃墟ホテルあんだろ、その奥に行った泉?池?だってさ」

('A`)「ほほーう、近いようで遠いな。いつ行く?」

( ・∀・)「TODAY」

(;'A`)「TODAY!?今日!?急すぎんだろ、誰が来んだよ」

( ・∀・)「だーれも」

(;'A`)「野郎2人だけで行って何が楽しいんだ」

( ・∀・)「いいじゃん、大勢で行っても大して怖かねぇし暇なのはドクオぐらいだろ」

('A`)「さり気なくバカにされた」

673名も無きAAのようです:2013/08/19(月) 05:25:35 ID:bSjWwjx20
うだうだとマンドクセだのウツダシノウだのごちる旧友に、にじり頼むこと十と数分。
そんな交渉とも呼べぬ交渉を以ってして今夜の探索は決行される運びとなった。

男二人での狭い車内は、ほとんど無言だった。

('A`)「で、件の廃墟に着いたわけだが。まずはここ見るのか?」

( ・∀・)「いんや、先に本丸を攻めようじゃないか。」

草の茂る廃墟の庭をぐるりと進み、ガザリガザリと道無き道を行く。

674名も無きAAのようです:2013/08/19(月) 05:26:20 ID:bSjWwjx20
(;'A`)「あーマンドクセ、人の手が、入って、ねぇのかよ」

(; ・∀・)「そのほうが、フインキ、出るだろ」

(;'A`)「つってもコレは……おっ」

( ;・∀・)「っ」

木々の間にひっそりと水面が横たわっていた。
風もなく、月明かりもなく、どんよりとしたその水は池と呼ぶには恐れ多い深さを感じてしまう。

('A`)「いかにも出そうな雰囲気だが、池以外何もねぇな。どうすりゃいい?」

( ・∀・)「……………………」

('A`)「なんか曰くつきなんだろ?モララー、おいモr

675名も無きAAのようです:2013/08/19(月) 05:27:30 ID:bSjWwjx20
.






ゆらり、風に吹かれて視界の端でで何かが揺れた。






.

676名も無きAAのようです:2013/08/19(月) 05:29:03 ID:bSjWwjx20
(;'A`)「モっ……おい、あれ、アレ、おい、モララっおい!!!!」

( ・∀・)「……」

女がいた。
青い青い服を着た、鈍く蒼く発光する。ぱちっ。
女。髪が長い。背が低い。ぱちっ。水面を。滑るように。こちら、に、

(;'A`)「おいおいおいおいマジかマジかマジかよおいおいおい」

(  ∀・)「…」

(;'A`)「逃げっおいモラ逃げるぞ!車クルマ!!!!」

677名も無きAAのようです:2013/08/19(月) 05:30:13 ID:bSjWwjx20
来た道を猛然と引き返す旧友、草の中を躓きながら駆けていく。
女がゆらりと揺れる。少し近づく。ゆらりゆらり、ひたり、ぱちっ、ゆらり。

(;'A`)「モララー!!!どうした!!!!逃げんぞやべえ!!!!おい!!!!!」

(  ∀・)「」

( ;A`)「どお゛じたんだよお゛おおおおおおおおおおおおおお」

馬鹿だなぁ、何を泣きべそかいてるんだ。
やっと、やっと成れるのに。ここに立っているだけで、ゆらり、あちら側に、行けるんだぜ?

( ;A;)「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ぢぐじょおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお」

ゆらりゆらりゆらりひたりぱちりゆらりゆらりゆらり

(  ∀)「                                ハハッ」

旧友が叫びながら遠ざかって行く音が聞こえた。

678名も無きAAのようです:2013/08/19(月) 05:30:59 ID:bSjWwjx20
女が俺の前に立つ。
髪も腕も服も輪郭も表情もその全てが薄くぼやける。
いや、こいつは本当に女なのか?わからない。どうでもいい。
ゆらゆらとゆれている。ぱちぱちと青い筋が迸る。
そしてその儚い掌がゆっくりともたげられ。
優しく、優しく私の目に。
眼の奥に。意識の向こうを。掴み取るように。
はいっt







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679名も無きAAのようです:2013/08/19(月) 05:32:05 ID:bSjWwjx20
.














ぼたり。

680名も無きAAのようです:2013/08/19(月) 05:32:51 ID:bSjWwjx20
趣味も。
嫌いも。
思考も。
夢も。
目的も。
将来も。
過去も。
記憶も。
見てくれも。
人格も。
存在も。
魂さえも。
確たる私などどこにも存在しない。
揺るぎないものを持っていない。
なぜならそれは曖昧だから。
すべてが曖昧。
すべては曖昧。
曖昧の便利さは記憶に残らない事。
過ぎ去れば誰も私にこだわらない。
曖昧の苦痛さは記憶に残らない事。
過ぎ去れば誰も私をこだわらない。

願わくば私の最期は歩き疲れ倒れ伏した荒野の真ん中で塵芥に。
世界に遍く風と砂に成りたい。
どこにでもいて、どこにもいない。
そんな存在に。




           .∴..../..:
            ."(・).::.
            ..:::-∵ ∴...
           ./: ・∀..∴ (・):.
           .:: <・> .:ノ..
         ..∵:::...:::.....:
         ..<・>_  <・>:::::..



なれた。ついになれた。
おワれタはシハなレたのだ。

681名も無きAAのようです:2013/08/19(月) 05:33:38 ID:bSjWwjx20






荷電子性ゴーストのようです。

682名も無きAAのようです:2013/08/19(月) 05:34:24 ID:bSjWwjx20




僕は知っている。旧友が朝を待って助けを呼んだことを。
多くの人が私を探して探しまわって見つからなかったことも。
遺体のない僕の葬儀には旧友の姿がなかったことも、母も妹もむせび泣いていたことも。
僕は知らない。あの女が何なのかも、あの池に何がるのかも。なぜ僕がこうなったのかも。
私が知らない場所で私が目撃されることも、その噂に怯える旧友が壊れてしまったことも。
僕は知っている。僕は知らない。
私は知っている。私は知らない。
ここにいることも。
どこにもいないことも。

683名も無きAAのようです:2013/08/19(月) 05:35:07 ID:bSjWwjx20










684名も無きAAのようです:2013/08/19(月) 05:36:44 ID:bSjWwjx20
  (
   )
  i  フッ
  |_|

八十四本目の蝋燭を消しました。ありがとう御座いました。

685 ◆MgfCBKfMmo:2013/08/19(月) 06:35:08 ID:Yk3KobIk0

  .,、
 (i,)
  |_|

まだいけそうだから寝起きで書いた。

85本目いただきます。

686メモのようです 1/5 ◆MgfCBKfMmo:2013/08/19(月) 06:36:32 ID:Yk3KobIk0
(`・ω・´)「最近悩みがあるんだ」

('A`)「へえ、お前が悩み事なんて珍しい」

(`・ω・´)「そうだっけ」

('A`)「ああ。いいよ、聞いてやるから続けてくれ」

(`・ω・´)「……わかった。実はどうも、お化けに憑かれているみたいなんだ」

('A`)「……なおさら珍しいな。それで、どんなお化け?」

(`・ω・´)「例えば朝目覚めると、枕元にメモがあったりする」

(`・ω・´)「『かわって』とね」

('A`)「かわって……」

(`・ω・´)「他にも、部屋のあちこちにメモを見つけるんだ」

('A`)「『もうおわり』とか『いいかげんにしろ』とか」

(`・ω・´)「しかもそれが全部ひらがな、怖いよな。なんか」

687メモのようです 2/5 ◆MgfCBKfMmo:2013/08/19(月) 06:37:20 ID:Yk3KobIk0
('A`)「……かわって、か」

(`・ω・´)「気になるのか?」

('A`)「いや、なんかさ。お前って結構変わったなって思ってさ」

(`・ω・´)「変わった? なんの話だ」

('A`)「ほら、小学生のときとかさ」

(`・ω・´)「……そりゃ人間なんだから成長はするだろ」

('A`)「まあ、それも含めてだけど」

(`・ω・´)「それに、その頃のことはあまり記憶にないんだ」

(`・ω・´)「嫌な記憶なんだと思う。そっとしておいてくれよ」

('A`)「…………」

688メモのようです 3/5 ◆MgfCBKfMmo:2013/08/19(月) 06:38:07 ID:Yk3KobIk0
(`・ω・´)「さて、俺はそろそろお暇することにしよう」

(`・ω・´)「今日もいいカクテルだった。またあとで……」

('A`)「……どうした?」

(;`・ω・´)「……なんか、急に眠気が」

('A`)「え?」

(;`・ω・´)「悪い、少し横に」

('A`)「おいおい大丈夫かよ」


     かわって


(;` ω ´)「なんだこれ」

(;` ω ´)「声が」


     いいかげん

     もうおわり




     *     *     *

689メモのようです 4/5 ◆MgfCBKfMmo:2013/08/19(月) 06:39:03 ID:Yk3KobIk0
('A`)「以上が彼と最後にあったときの話です」

爪'ー`)y‐「……先生はそれっきりですか」

('A`)「ええ、ずっと昏睡しています」

爪'ー`)y‐「そうか……選挙には間に合いそうにないな」

爪'ー`)y‐「ずっとこの県のために一生懸命に頑張ってくれた人なのに、可哀想だ」

('A`)「……彼は幼少期、虐待されていました」

爪'ー`)y‐「ん?」

('A`)「虐待されている子どもは、頭の中でもう一人の自分を作ることがあります」

('A`)「乖離性人格障害、俗に言う二重人格」

('A`)「彼はひょっとしたら……」

690メモのようです 5/5 ◆MgfCBKfMmo:2013/08/19(月) 06:39:52 ID:Yk3KobIk0
('A`)「ずっと代わっていたのかも」








こうして

ショボン代表は政治の表舞台から姿を消した。










〜おわり〜

691 ◆MgfCBKfMmo:2013/08/19(月) 06:41:46 ID:Yk3KobIk0

  (
   )
  i  フッ
  |_|

692 ◆953BOunJPk:2013/08/19(月) 06:59:48 ID:Ck9IqzEc0
86本目をいただきたいのですが、もうリミットでしょうか。


  .,、
 (i,)
  |_|

693名も無きAAのようです:2013/08/19(月) 07:00:44 ID:40oH18fU0
とうかしてしまえっ!

694ギリギリ投下します  ◆953BOunJPk:2013/08/19(月) 07:01:58 ID:Ck9IqzEc0
僕の部屋に数日前から君が澄んでいる。

君は部屋の片隅、ベッドの上に縮こまって座る。

lw´‐ _‐ノv「ご迷惑はお掛けしませんから」

電話越しに住んだ声が僕に云う。



僕は学校に通っている。学校に通うためにアルバイトをしている。僕は滅多なことでは部屋に帰ってこない。疲れて眠るだけの部屋。

695 ◆953BOunJPk:2013/08/19(月) 07:03:05 ID:Ck9IqzEc0
( ・∀・)「それだから床で寝てるって?おかしな話だな」

(,,゚Д゚) 「居候にベッド寄越すなんてどんだけ親切だよ」

( ´∀`)「いやぁ女の子なんで」

( ・∀・)「何もないの?」

( ´∀`)「あんたなら襲うか?」

(,,゚Д゚) 「俺なら何もしねぇ」

( ・∀・)「お前は操がエベレスト級だろうが」

(,,゚Д゚)oO(   (*゚ー゚)+*  )   デスヨネー(´∀` )

僕は君が

696 ◆953BOunJPk:2013/08/19(月) 07:04:15 ID:Ck9IqzEc0
僕が只今と言って帰るのを控え目に迎える声がある。おかえり。



lw´‐ _‐ノv「\:\;\/&&\/\8&//&//:\:):):」\:\:3・/\2&/&/\\:\:;4\83/\\:\:):\:」



びりびりと壁が少し揺れた。もしくは僕が。
洗濯物を取り込むと仕草で示してベランダへ出る。僕は君を逃がす気がない。君は縮こまったまま見送る。窓を開ける。出て閉める。

697 ◆953BOunJPk:2013/08/19(月) 07:07:23 ID:Ck9IqzEc0
ピリリリリリリ


ガラケーを開けると君の声がする。非通知。僕は君の名前を知らない。通話ボタンには今回も指が届かないまま。冷や汗なら随分前に乾いた。


『おかえり。』


窓越しに頷く。君の視線、肘の下の布団の感触を感じる。
僕は建物と建物の間に消えて行く太陽の色をした川面の波を見る。川沿いのマンション、ワンルーム。足元で自動車が点滅。フラッシュ。僕は今日も事故がありません様にと願う。川向うで光る街からは時々銃声が聞こえる。立看板に踊る文字、暴力団の追放は未達成だ。遠ざかる流れは地平線の方へ。遠く霞む霧の山へ。青い。赤い。薄紅の夕焼け。星屑。紺碧の空。

698名も無きAAのようです:2013/08/19(月) 07:07:33 ID:OU2K1w3U0
!?

699 ◆953BOunJPk:2013/08/19(月) 07:09:16 ID:Ck9IqzEc0
( ´∀`)「僕はこの世界が好きモナ。」

( ´∀`)「夕焼けが好き。
      朝もいいし、重たい雲が迫るのも悪くない。」

( ´∀`)「道がいい。飽きずに歩ける。
      この部屋も気に入ってる。」

( ´∀`)「バイトはつまらないけど友達はいるし
      つまらないだけ、いい経験モナ。」

( ´∀`)「勉強すれば賢くなるし親が無事なら故郷もある。
      旅がしたいな。卒業する前に電車で遠くへ行くモナ。」

( ´∀`)「君は何処から来たんだい」


『私はあなたの部屋の中央から60平方cm離れた宙空で発生した。』

『それ以外の事実を持たない。』

700 ◆953BOunJPk:2013/08/19(月) 07:16:02 ID:Ck9IqzEc0

~ミ:&o://,::\':):)`,,,


硬化したゼリーか宝石みたいな皮膚にうねる触手と無数の眼を持っている。

君が窓越しに声を発する度にガラスが割れそうな程びりりと震えるから。
君の口は閉じられている。おかえり、いってらっしゃい、伝えるのはそれだけで牙はしっかりと上下左右に合わさって。

君の爪はそっと控え目にいつだって君の傍。固まったブルーのゼリーは最初に僕が君の姿を覗き込んだ時より広がって増えていた。君の体の表面からシーツの上、ベッドの足、床面、壁から網戸へと覗く済んだ塊。
決して外に出ない断片だが昨日より、一昨日より広がっている。
少しずつ確実に。

きっとそれは君の肉と肉の隙間からから流れ出る体液なのだろう。
鼓動を打って流れ出し、固まって光る。
僕と君の意思疎通ツールは電波と裸眼の幻と窓越しの真実、君が僕を欺きながら僕に何もしないこと。

701 ◆953BOunJPk:2013/08/19(月) 07:17:30 ID:Ck9IqzEc0
( ´∀`)「どうして生まれたのかとか分かる?」

/,::\':):)`『個人的な思想なら。でも確実なことは何も言えない。
    あなたなら自分が生きている意味をはっきりと口に出来る?』

( ´∀`)「痛いとこついて来るなぁ」

( ´∀`)「帰るとことか無いモナ?」

/,::\':):)`『あるにはあるけれど、それも天啓というよりは
    夢のように朧げなで不確実なものに過ぎない。』

( ´∀`)「足で行けない所なのかい?」

/,::\':):)`『そう。』

/,::\':):)`『きっと私は今、何か信じれば
    何だって目的地と認識してしまうでしょう。』

( ´∀`)コワ

/,::\':):)`ウン

( ´∀`)「青いの、前より拡がったね」

702名も無きAAのようです:2013/08/19(月) 07:18:31 ID:8ytUi/KEO
何だこのクセになる文章は
たまらん支援

703 ◆953BOunJPk:2013/08/19(月) 07:19:09 ID:Ck9IqzEc0
/,::\':):)`『私にもどうすればいいかわからない』

( ´∀`)「責めてる訳じゃないモナ。
      これ以上拡がるのかなって純粋に興味が湧いただけ。
      それとも何か後ろめたいことでもあるモナ?」

/,::\':):)`『あなたと私は密閉された空間で呼吸をしているから、
    あなたの肺腑やいくつかの臓器は私の皮膚と同様の状態になっている。』

/,::\':):)`『硬くなった幾つかの青い鉱物が針のようなスピネルになって
    あなたに取りついている。』

( ´∀`)フーン

/,::\':):)`

/,::\':):)`『伝えるのが遅すぎたかしら』

( ´∀`)「云う気もなかったくせに」

/,::\':):)`『ごめんなさい。』

704 ◆953BOunJPk:2013/08/19(月) 07:24:06 ID:Ck9IqzEc0
/,::\':):)`『怒る?』

( ´∀`)「別に。どうしようかなって」

( ´∀`)「僕は君のようになるのかな。
      それとも、君の一部みたいなもんになるか、
      単に青いのが一杯に拡がって死んじまうのかな。」

/,::\':):)`

( ´∀`)

聞いてみたいのは、

君がどうしてあの姿に変わったかという事。

だが聞く必要も無かった。君がどんな風に応えるのか僕には想像がつくし、君が姿を偽る前に僕は君の本性を知った。

( ´∀`)「君ちょっと妹に似てるモナ」

/,::\':):)`「そう?」

705(一箇所『』の修正をしくじった) ◆953BOunJPk:2013/08/19(月) 07:26:10 ID:Ck9IqzEc0
目を閉じれば君がいる。



lw´‐ _‐ノv



怖いことは何もありませんと僕に云った。

細い手足と髪。不気味な声も出さないと誓って牙を噛み締め封じた。


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