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('A`)百物語のようです2013( )

1名も無きAAのようです:2013/08/17(土) 00:17:46 ID:z2vK43pU0
('A`)おーす


('A`)前スレと区別がつきやすいように今回は俺がメインだぜひゃーはー


('A`)ではルールのおさらいといこうか



・開催日は八月九日(金)から十八日(日)まで
※ただし投下できるのは金土日のみ。投下期間以外の本スレは作品の感想などご自由に使用してください
・作品はホラーでなくても幽霊、妖怪、人外などが出るならギャグでもなんでも可
・レス制限は一作品30レスまで。それ以上は個別スレ建てをお願いします。
・ながらはNG。個別スレを建ててそこでやるのは可。
※個別スレ参加の場合
  レス制限無し。

  スレ立て
  ↓
  百物語スレにて投下開始報告、URLを貼る
  ↓
  投下終了後、百物語スレにて投下終了報告(その際、前の人の数字を引き継いで話数宣言)

・1人何話でも投下可!
※連続投下→次に投下する人がいないか確認を取り、無ければOK
※作品の投下間隔についてはルールはありませんが少し間を開けることを推奨します
・イラストでの参加も可!一話としてカウントします。
※ただし作品への支援絵は作品としてカウントしない
・開催時間は18時から翌朝7時まで
・話が終わったら本スレ(自分でスレを立てた人はそのスレでも可)で蝋燭のAAを貼る


前回百物語のスレ
( ^ω^)百物語のようです2012 in創作板( ω  )
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/internet/13029/1344607128/
( ^ω^)百物語のようです2012 in創作板( ω  )
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/internet/13029/1345353530/

前スレ
( ^ω^)百物語のようです2013( ω  )
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/internet/13029/1372396645/


('A`)祭りはあと少し......百まで残り約半分......行けるか?

2 ◆MgfCBKfMmo:2013/08/17(土) 00:36:34 ID:EjYAGugM0
次スレ乙です!

46本目いただきます。

3 ◆MgfCBKfMmo:2013/08/17(土) 00:38:14 ID:EjYAGugM0


  .,、
 (i,)
  |_|

4鬼の話のようです 1/15 ◆MgfCBKfMmo:2013/08/17(土) 00:39:28 ID:EjYAGugM0
川 ゚ -゚)「これは鬼の話」

川 ゚ -゚)「話を聞いた後に良くないことが起こるかもしれないけど、いいか?」

川 ゚ -゚)「……答えられないなら、肯定と受け止めよう。それじゃあ話す」


     ★     ★     ★


ある村に姉妹がいた。

姉のシュールは小さい頃から利発で、ショートヘアの似合う健気な少女だった。
それでいて他人への気配りも絶やさない人で、人づきあいが上手い人だった。

妹のキュートは天性から非常に可愛らしいふるまいをする少女だった。
やや自分が一番でなければ気に食わない節があったが、綺麗な長い髪が自慢の人気のある人だった。

小さい頃から二人はいつも一緒に遊んでいた。
遊び場の限られた村だったが、小さな山でハイキングをしたり、河川敷で戯れたりすることはできた。

成長して村の外に遊びに行くこともあった。
電車で数分も行けばそこそこ栄えた町に出ることができた。
二人の性格も相まって、友達を作ることに苦労はしなかった。

5鬼の話のようです 2/15 ◆MgfCBKfMmo:2013/08/17(土) 00:40:25 ID:EjYAGugM0

時は流れて、二人は同じ高校に通った。
シュールが三年生、キュートが一年生。町にあるほどほどの進学校である。

キュートが入学したとき、シュールには既に彼氏がいた。
キュートは入学して初めてその頃を知り、ひどく怯えたという。

なぜならば彼女たちの育った村には、ある掟があったからだ。

二十歳になる年の一月、村のお社に純粋な身体の一部を捧げなければならない。
それが昔からの神事として伝わっていたのである。

身体の一部とは例えば髪の毛や爪などのものでいいという。
はるか昔は生贄を捧げていたらしいが、今時そのような風習は残っていない。
それでも純粋な女性であることは欠かしてはいけないそうだった。

この儀式は山の鬼を鎮めるためのものである。
もし関係をもった女性の一部を捧げれば鬼が降りてきて災いをもたらすという。
村の女性である限りその教えには従わなければならなかった。

だからこそ、シュールの行いを見てキュートは怯えた。
もし二十歳になる前にシュールが男と関係を持ってしまえば、鬼の祟りにふれるのではないか。

6鬼の話のようです 3/15 ◆MgfCBKfMmo:2013/08/17(土) 00:41:27 ID:EjYAGugM0
キュートはシュールに何度もそのことを問い詰めたそうだ。

lw´‐ _‐ノv「なに、今はもう21世紀、そんな古い村の風習気にすることはないさ」

シュールは頑として聞かずにいたそうだ。

ある時、その彼氏は姉妹の村に来た。
ちょうど村で夏祭りが行われていたので、それにシュールが呼んだのである。
夏祭りには近隣の市町村からも大勢の観光客が訪れてきていた。
なので村の外の人が参加すること自体は特段変わったことではなかった。

当然、シュールは親にも彼氏のことは告げていなかった。
とはいえ、付き合うだけならば別に問題は無いので、
彼氏が一緒にいるところを見られる程度なら問題はなかった。
気が気でなかったのはキュートばかりだった。

そうして、事件は起こった。

夏祭りのあった日の翌日、未明、河川敷で一人の女性の死体が見つかった。
頭には大きな打撲痕があり、頭皮が破けて血が流出していた。
その衝撃は頭蓋骨にも影響が及んだとみられ、直接の死因と考えられた。

7鬼の話のようです 4/15 ◆MgfCBKfMmo:2013/08/17(土) 00:42:26 ID:EjYAGugM0
女性の顔はぐちゃぐちゃに潰されており、判別するのに時間がかかった。
歯形の検証からようやく、その死体がシュールであることがわかった。

村の人々は震撼した。
特に古い伝承を知っている人は、口々に鬼の祟りと噂した。
しかしそのような言葉で片付けるわけにもいかず、警察は殺人と解した。


     ★     ★     ★


川 ゚ -゚)「これが妹、キュートの証言から考えられた事件の粗筋。何か質問はある?」

川 ゚ -゚)「捜査のこと、覚えているのか」

川 ゚ -゚)「ええ、そう、よく考えれば当然」

川 ゚ -゚)「確かにすぐに犯人は見つかった」

川 ゚ -゚)「キュートが自らの犯行を自供したから」

川 ゚ -゚)「事件は終わったかのように見える。話を蒸し返す必要は無い、ともいえる」

川 ゚ -゚)「でも私はそうは思っていない。まずはキュートの証言を再現する必要がある」


     ★     ★     ★

8鬼の話のようです 5/15 ◆MgfCBKfMmo:2013/08/17(土) 00:43:25 ID:EjYAGugM0
o川*゚ー゚)o「あの祭りの日、私は姉と彼氏が一緒に離れていくのを見たんです。
 それで、嫌な予感がして、私は後をつけました。
 姉たちは祭りを外れ、山に向かい、それで例の河川敷にたどりついたんです」

o川*゚ー゚)o「二人は河原の傍の、少し緑が茂った場所にいました。
 姉たちは何事かを話し合っている様子でした」

o川*゚ー゚)o「少ししてから、突然姉が彼氏の方へ身を寄せました。
 ええ、姉の方からです。二人が深くキスをしているのは遠目からでもよくわかりました。
 月も出ていたし、それなりの明るさはあったんです。
 そのまま二人は抱き合いながら、横になりました」

o川*゚ー゚)o「私は姉が関係を持とうとしていると直感しました。
 私は村の伝承を信じていた、というか、それなりに守らないと良くないと思っていました。
 なので姉を止めようと思い、姉の元へと駆けていきました」

o川*゚ー゚)o「当然姉も怒り、私と揉み合いになりました。
 姉は、しきたりとかそういうものに対する鬱積もあったのでしょう、凄い力で抵抗してきて。
 私もつい頭に来てしまって、激しく乱闘しました。
 彼氏さんはいつの間にかどこかへ逃げてしまいましたね」

o川*゚ー゚)o「そのうち、感情も昂ぶって、つい、手元にあった石で姉を殴りつけてしまったんです。
 姉が動かなくなって、そこで初めて自分がとんでもないことをしでかしたことに気付きました」

o川*゚ー゚)o「私は気が動転して、姉を川に追いやりました。
 それで逃げて、数日たって、自分のしたことの過ちの大きさを感じました。
 このたびはそのような経緯で、こちらに出頭しました」


     ★     ★     ★

9鬼の話のようです 6/15 ◆MgfCBKfMmo:2013/08/17(土) 00:44:27 ID:EjYAGugM0
川 ゚ -゚)「キュートの証言はとても淡々としていてわかりやすかった。
 それから警察はシュールの彼氏とも連絡を取り、証言が正しいことが証明された」


川 ゚ -゚)「シュールの死体が見つかった現場から少し登ったところを調べたら、確かに血痕が見つかった。
 シュールのも、キュートのもだ。
 だから事件はキュートが犯人として幕を閉じた」

川 ゚ -゚)「何か聞きたいことはある?」

川 ゚ -゚)「まだどうしてこの話をするのかわかってないのか。
 これで済んだ話、確かにそうとも受け取れる」

川 ゚ -゚)「でも、私はこの証言にはまだまだ疑いの余地があると思っている。
 だから伝える必要がある。
 実は別の人の証言も集めている。これらは私が直接赴いて集めたものだ。
 それをここで語ろう。証言してくれているのは、シュールの友人」


     ★     ★     ★

10鬼の話のようです 7/15 ◆MgfCBKfMmo:2013/08/17(土) 00:46:21 ID:EjYAGugM0
ζ(゚ー゚*ζ「高校三年の、夏休み前から、あの子の様子がおかしかったんです。
 なんだか何かにイライラしているような。
 いつもそういうのさらっと受け流す子で、良い友達だったから、それが気になって」

ζ(゚ー゚*ζ「それである日の放課後、直接聞いてみたんです。
 最近何かあったの、って。そうしたら、シュールが急に俯いちゃって」

ζ(゚ー゚*ζ「彼氏が……とかぼそっと言っていました。でもよく聞き取れなかったんです。
 それにすぐに首を振って、なんでもないってあの子は言い張りました。
 聞きかえそうとも思ったんです。けど、なんだか無粋かなって」

ζ(゚ー゚*ζ「言っては悪いかもしれないけど、
 彼氏さんと上手くいかなかったり、そういうのって良くあるじゃないですか」

ζ(゚ー゚*ζもちろんあの子に恋人がいるのは知っていました。
 そもそもあの二人は、高校二年のときから付き合っているんじゃなかったかな」

ζ(゚ー゚*ζ「それで二人とも、多少喧嘩することもありました。
 だから今回も、本人にとっては辛いことだろうけど、
 そっとしておくのが一番だろうって思って、追求するのを止めました」

ζ(゚ー゚*ζきっとまた元仲に戻ってくれるって信じたんです。
 でも、そのときばかりはいつもとは違ったんでしょうね」

ζ(゚ー゚*ζ「結局それっきりあの子と話す機会が無くて、もうそのまま夏祭りに。ええ、本当に、残念です。
 あの子の変化に気付いてあげられなくて、どうせまた元に戻るなんて思ってしまって」

ζ(゚ー゚*ζ「あの時あの子がぼそっとつぶやいたのも、きっと助けてほしいっていう気持ちの表れだったんでしょうね。
 私は友達なのに、そんなことに気付いてやれなくて。悔やんでも悔やみきれません」


     ★     ★     ★

11鬼の話のようです 8/15 ◆MgfCBKfMmo:2013/08/17(土) 00:47:29 ID:EjYAGugM0
川 ゚ -゚)「シュールは彼氏と関係が悪くなっていた。
 少なくともそのことがこの証言からわかる」

川 ゚ -゚)「そんなのよくあることじゃないかって?」

川 ゚ -゚)「確かにシュールの友人さんが言うように、そんな争いの理由はいくらでも考えられそうだ。
 少なくともこれだけでは結論は出ない。
 疑いの当否を判断するためには、まだ別の証言が要る」

川 ゚ -゚)「ここでもう一つの証言を語ろう。ある村人の証言。
 その村人は夏祭りの際に出店を開いていた」

川 ゚ -゚)「ん? そうだ、この証言も私が集めたものだ。
 これが私の仕事なものでね。とにかく話を進めようじゃないか」


     ★     ★     ★

12鬼の話のようです 9/15 ◆MgfCBKfMmo:2013/08/17(土) 00:48:28 ID:EjYAGugM0
 _、_
( ,_ノ` )「ああ、あの二人のカップルさんな。よく覚えているよ。
 なんだか人目を気にしている風だったからなあ」
 _、_
( ,_ノ` )「ほら、ここの村って若い女性のあの風習があるし、
 若いカップルが人目を気にするのは良くあるんだけどな。
 二人とも見るからに未成年だったし、親にでも見つかったらどやされるとこなんだろう」

 _、_
( ,_ノ` )「ただ、それにしたって怯えすぎなような気がしたんだ。特に女の方が。
 よっぽど厳しいおうちの人の子だったんかね。
 私は村の外れの方に住んでいるから、誰かはわからなかったよ」

 _、_
( ,_ノ` )「で、何を聞きたいんだっけ。ああ、そのカップルが何をしていたか、か。
 そりゃまあ、普通に遊びに来ていたよ。うちは金魚すくいをやっていたから」

 _、_
( ,_ノ` )「最初は周りを気にしていたその女も、だんだん熱中してきたようでね。
 真剣にやるもんだから、髪の毛が水ん中入っちゃったりしていたよ。
 彼氏さんの方はてんでだめだったから、二人で協力してするようになった」

 _、_
( ,_ノ` )「なんだか随分と初々しくてね、ちょっとでも肌が触れたりしたら慌ててやんの。
 見てるこっちが恥ずかしくなってきちまってなあ。
 それから、結局釣れなかったんだよな。でもかわいそうだから何匹か上げた」

 _、_
( ,_ノ` )「それでも十分満足そうな顔をしていたな。
 結局一緒に何かできてればそれだけで嬉しい、そういう年頃なんだ。
 その他には特に、何も語ることは無いなあ。まあ、事件の後にいろいろ知った。
 あの女の方を覚えていたからさ、あんなことになるなんて思いもよらなかったよ」


     ★     ★     ★

13鬼の話のようです 10/15 ◆MgfCBKfMmo:2013/08/17(土) 00:49:28 ID:EjYAGugM0
川 ゚ -゚)「……どう思う」

川 ゚ -゚)「普通に金魚すくいしていただけ?」

川 ゚ -゚)気になる点は二つ。まず一つ目はなんで人目を気にしていたのか。
 確かにこの村人の言うように風習のことを気にしていたとも取れなくは無い」

川 ゚ -゚)「それと、もうひとつ。なんで髪の毛が水の中に入ったのか。シュールは短髪の女の子だった。
 ちなみに彼氏さんの写真をちゃんと見せたところ、村人は確かにこの男が一緒だったと話していた。
 ついでにシュールの写真を見せたところ、こんな子は知らないと答えた」

川 ゚ -゚)「じゃあいったい誰と、彼氏さんは歩いていたのか」

川 ゚ -゚)「私は、キュートじゃないかと思っている。
 さっきの証言二つを合わせて、推測した。これから私の推理を語る」

14鬼の話のようです 11/15 ◆MgfCBKfMmo:2013/08/17(土) 00:50:28 ID:EjYAGugM0
川 ゚ -゚)「キュートが高校に入学して、シュールの彼氏はキュートと出会った。
 そこでキュートの気持ちが揺らいだのではないか」


川 ゚ -゚)「その気持ちの揺らぎをシュールが知ってしまった。
 だからシュールはイライラしていた。それが友人の証言にも表れている」

川 ゚ -゚)「そしてお祭りの日。シュールが彼氏を呼んだのはたぶん合ってると思う。
 だけど、少しの間キュートは彼氏と一緒にいたのではないか」

川 ゚ -゚)「シュールのいない隙に遊びまわっていた。金魚すくいもその一例だろう。
 でも当然シュールには見つかりたくない。だからキュートは必要以上に周りを気にしていた。
 それが村人の証言にも表れている」

川 ゚ -゚)「そして憶測だがシュールはそのことを知ってしまったのではないか。
 そして彼氏がキュートに取られてしまうとも思ったのだろう」

川 ゚ -゚)「だから早々に彼氏と関係を持ってしまおうと考えた。
 河川敷で話しあっていたのも、そのことだろう。
 そしてシュールが強硬手段に出るところをキュートが襲いかかった」

15鬼の話のようです 12/15 ◆MgfCBKfMmo:2013/08/17(土) 00:51:29 ID:EjYAGugM0
川 ゚ -゚)「キュートが出頭までに時間がかかったのは、彼氏と話し合ったからだ。
 事件の口裏を合わせるためのもの。証言がやけに淡白なのも、そのため」

川 ゚ -゚)「キュートはきっと、彼氏を守ろうとした。
 自ら罪を被ることで、彼氏から疑いの目を反らしたのだろう」

川 ゚ -゚)「さっきから憶測だって? そうかもしれない。
 でも、だったら教えてほしいものだ」

川 ゚ -゚)「なんでシュールの顔はぐちゃぐちゃに潰されていたのだろうか。
 キュートがシュールのことを恨んでいる節があったとは考えられないだろうか」

川 ゚ -゚)自分の好きな人がすでにシュールの彼氏であり、最初から手が出せない人だった。
 キュートは元々人の上に立ちたがる人だった。
 そのようなことから恨みを積んでいても不思議ではない」

川 ゚ -゚)「ああ、そうか」

川 ゚ -゚)「憶測に聞こえるのは、そういう話し方をしているからだな。
 もっとはっきり言おう。私にはすべてわかっている」

16鬼の話のようです 13/15 ◆MgfCBKfMmo:2013/08/17(土) 00:52:30 ID:EjYAGugM0
川 ゚ -゚)「そうだな、村の風習から説明しよう。
 あれは別に、鬼の祟りを鎮めるためのものではない。
 本来の目的は女性の加護を祈るためのものだ」

川 ゚ -゚)「鬼子母神という神様を知っているかな。
 元々鬼だったが、釈迦の説法により改心し、安産や子育ての神となったという。
 この村の伝承の由来は、その仏教思想が村独自の伝統と混じり合ってできたものだ」

川 ゚ -゚)「いわば鬼によって女の子を不幸から守ろうというものなのだよ」

川 ゚ -゚)「身体の一部を捧げることにより、
 この女性はこの村の人です、どうかお守りください、と示しているのさ」

川 ゚ -゚)「そして今はお社に捧げているが、
 鬼は山にいるから、基本的に山に捧げれば問題は無い。
 鬼はきっと守ってくれる」

川 ゚ -゚)「キュートがシュールを殺した時、キュート自身も若干の傷を負った。
 そのため二人の血が現場や川へと流れていった。
 そのとき鬼たちはそれを捧げられたと解釈した」

17鬼の話のようです 14/15 ◆MgfCBKfMmo:2013/08/17(土) 00:53:37 ID:EjYAGugM0
川 ゚ -゚)「だからこの二人の身を守るため、行動に出た。
 その事件の元凶を追い求めることにしたんだ」

川 ゚ -゚)「何がこの悲劇を生んだ? 原因は何だ? 客観的には善悪は判断できない。
 しかし鬼にとっては姉妹、特に残されたキュートを守るという契約がある」

川 ゚ -゚)なので手っ取り早く、姉妹に問題が生じる原因となった彼氏を始末することにした。
 それがこの姉妹を守ることに繋がると考えたのだ」

川 ゚ -゚)「善悪の問題ではない。価値観の違いだ。
 女性の身に災いが降りかかったら、その災いをもたらしたものこそ裁かれるべきなのだ」

川 ゚ -゚)「そういうわけで、今君の前にいるのだよ。シュールの、そしてキュートの、彼氏さん」

18鬼の話のようです 15/15 ◆MgfCBKfMmo:2013/08/17(土) 00:54:39 ID:EjYAGugM0
川 ゚ -゚)「ん? どうした。ははあ、鬼なんてどこにもいないじゃないかって?」

川 ゚ -゚)「ふふ、最初に言ったじゃないか」

川 ゚ -゚)「これは鬼の話って」



「それでは」




「さようなら」




〜おわり〜

19 ◆MgfCBKfMmo:2013/08/17(土) 00:55:38 ID:EjYAGugM0


  (
   )
  i  フッ
  |_|

20名も無きAAのようです:2013/08/17(土) 01:00:25 ID:bRbjbQHs0
徐々に組み上がっていくこの感じがたまらん


21名も無きAAのようです:2013/08/17(土) 01:19:36 ID:9/Qhpkf60
予想外の展開だった
乙!

それでは47本目、頂きます

22名も無きAAのようです:2013/08/17(土) 01:20:47 ID:SsW4iY9sO
乙〜
シューとキューの心を掴むなんて、羨ましい男だぜ……

23名も無きAAのようです:2013/08/17(土) 01:20:50 ID:9/Qhpkf60

  .,、
 (i,)
  |_|


「「おやすみ、マイベイビー」」のようです

24名も無きAAのようです:2013/08/17(土) 01:22:05 ID:9/Qhpkf60


テレレレッテッテッテー

川 ゚ -゚)「……よし」

蒸し暑い真夜中に、クーラーをつけて快適に過ごすひととき、私は古びたベッドに腰掛けながら最近はまっているゲームを続けていた。
いわゆるロールプレイングゲーム。いささか迫力に欠けるが、私はちまちまとレベルを上げるのが好きなのだ。

部屋の電灯は消しているので、テレビに映るゲーム画面だけが唯一の光源だった。

川 ゚ -゚)「(いい加減にしないと目が悪くなりそうだな)」

しかし、やめられない。

だって面白いんだもの。
仕方ないじゃないか。

さすがにここまで遅く起きていると、母に叱られることがしばしばあった。
最近ではそれが鬱陶しくて、ドアの鍵をかけるようになった。
これで心置きなく、ゲームを満喫できる。

川 ゚ -゚)「(これではまるっきりゲーム中毒者だな)」

実際にそうなのだけど。

25名も無きAAのようです:2013/08/17(土) 01:23:25 ID:9/Qhpkf60



川 ゚ -゚)「よいしょ」

体勢を変えるためベッドに座り直す。


ぎいいいぃぃ


ベッドが軋む、というより沈んでいく。
このベッドは親戚の姉が、私が小さいころに譲ってくれたものだ。
その姉は今年で23になる。確か小学校入学と同時に買ってくれたと言っていたから、15年以上使っていることになる。

沈むのは古くなったせいだ。
けっして私の体重が増えたからなどではない。

川 ゚ -゚)「(たとえ増えていたとしてもそれは健全な発育だ!)」

今更、新しいのを買ってくれと駄々をこねる歳でもなく、また、なんとなくこのベッドに愛着をもっていた。

ただ、音のせいで母に起きていることをバレるのが、うらめしいけれど。

26名も無きAAのようです:2013/08/17(土) 01:24:27 ID:9/Qhpkf60







川 うо-) ふぁ~あ


さすがにこの時間帯までしていると睡魔が襲ってくる。
しかし、これしきのことで中断する私ではない。


川 う~`)「あとすこし、あとすこし……あと……」



撿撿撿撿撿
撿撿撿撿
撿撿撿
撿撿

27名も無きAAのようです:2013/08/17(土) 01:26:17 ID:9/Qhpkf60




川 - -) ………

川 ゚ -゚) パチ

不意に圧迫感を感じ、目を覚ます。

どうやらあのまま眠ってしまったようだ。




川 ゚ -゚)「………」



どうしよう




川 ゚ -゚)「(トイレいきたい)」


そういえば寝る前に行っていなかったな、と後悔する。

28名も無きAAのようです:2013/08/17(土) 01:28:05 ID:9/Qhpkf60

川;゚ -゚)「(行くべきか、行かざるべきか……どうしたものか………)」

私がトイレに行くのを渋るのには理由がある。
それは私が所謂『視える』人であるからだ。

幽霊のことなら何でもござれ、足のない人間を今までどれだけ視てきただろうか。
印象に残っている幽霊ならば、悲痛な顔をした少年の頭部だけが、浮いているのを視たことがある。
あの時は、さすがの私も悲鳴をあげそうになった。
最近で言えば、部屋の窓に男の顔があったこともある。

いくら幽霊を視たといっても慣れるものでもなく、できるならば出逢いたくないのである。
それなのに深夜の、灯りもない状態で、トイレに行くなどまさに「飛んで火に入る夏の虫」、自ら会いに行きますと言っているようなものだ。

川;゚ -゚)「(でもなあ………)」

人間は生理的欲求には勝てないのでありまして―――

川;゚ -゚)「(すぐに行ってすぐに戻ってこよう)」

ベッドから立ち上がり、ドアへと向かう。
勝手知ったるこの部屋だ。たとえ暗闇だとしても、なんとなくでたどり着くことができる。

ドアノブを手探りで探し出す。
ドアノブを掴みガチャリとまわす。別室で寝ている家族を起こさぬよう慎重に開けていく。

部屋からでた私は、小走りでトイレへ向かった。

川;゚ -゚)「(なにも出ませんように、なにも出ませんように!)」

29名も無きAAのようです:2013/08/17(土) 01:29:26 ID:9/Qhpkf60





―――
―…

結論から言えば何もなかった。
用を済ましている間は、最近流行っている歌を、頭のなかでリピートさせて気を紛らわしていた。


部屋へ戻るときは、さっきと同じく小走りで戻った。
ドアを開け、部屋に入る。



川;∩ -゚)=3

汗をぬぐい、一息つく。
どうやら今日の私は運がいいらしい。

30名も無きAAのようです:2013/08/17(土) 01:32:03 ID:9/Qhpkf60

川 ゚ -゚)「(よし、さっさと寝てしまおう)」

これからは本当に、夜中までのゲームは自重しなければな。
そう思いながらベッドに腰掛け、横たわる。


ぎいいいぃぃ


ベッドが徐々に沈んでいく










「うっ」




川; - )「っ!」

軋む音に紛れて、男の呻き声が聞こえた。

川; - )「(ああ…)」


今日はもう出逢わないと思っていたのに。
なぜ私は霊感などもっているのだ。それよりも、ついに自室にまで現れるようになったのか。
もはや嘆いたところでどうにもならないが。


川;゚ -゚)「(他のことを考えて、はやく忘れてしまおう)」


川;- -)「(ああと、ええと…そうだ、今日はどこまて進んだのだったかな)」

眠る直前までしていたゲームのことを思い出す。

31名も無きAAのようです:2013/08/17(土) 01:34:10 ID:9/Qhpkf60

たしか、あのダンジョンの最深部まで行って、そこで迷ってしまって……

そこで睡魔が襲ってきて、そのまま寝てしまったのだから………




川 ゚ -゚)「え…――」





窓からは、夜風が吹き込んでいる。

32名も無きAAのようです:2013/08/17(土) 01:35:21 ID:9/Qhpkf60

  (
   )
  i  フッ
  |_|


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