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ジェイソン・クールのようです

18名も無きAAのようです:2013/08/09(金) 23:58:17 ID:oB2iRQPQ0
199X年
イリノイ州『ハドンフィールド』


(´・ω・`)「…」


その日は、酷い大雨だった
いつもなら仕事終わりに来る連中も、こんな天気では外を出歩くのも面倒だったようで
しょぼくれた眉毛のマスターの今日一日の仕事は、終始グラスを磨くだけであった


(´・ω・`)「ま、こんな日もあるよね」


閉店時間には少し早かったが、看板を下げようと
マスターはエプロンをカウンターに置き、扉へと向かった


(´・ω・`)「…」


ふと、足を止めた
掛け流しラジオからとある曲が流れてきたのだ


(;´・ω・`)「『愛しきの人へ』、か。不吉だなぁ」


子供だましの【Urban Legend】なんぞ信じるような歳ではないが
こんな人のいない不吉な夜には、どうしても不気味に思えてしまう


(´・ω・`)「さっさと酒でも飲んで寝ようかな」


再び足を進め、扉を開けた

19名も無きAAのようです:2013/08/09(金) 23:59:00 ID:oB2iRQPQ0
(;´・ω・`)「うっわ…こりゃ酷いや」


夕方から降り始めた雨は未だ止むことなく、勢いを弱めることなく降り続いていた
仕事前に見たテレビによれば、ここ数十年では最も多い降水量だそうだ


(;´・ω・`)「さっさと閉めて帰ろう」


扉に掛けていた『Open』の看板をひっくり返し『Close』にした


(´・ω・`)「…ん?」


顔を上げると


(   )


土砂振りの雨の中、傘も差さずに立ち尽くす男が見えた


(´・ω・`)「…」


自然のブラインドが邪魔をして、その顔を見ることは出来ないが
うっすらと見えるシルエットから、かなりの大男だとわかった
そして、こっちを見ている事も

20名も無きAAのようです:2013/08/09(金) 23:59:08 ID:f3ea1kes0
恐怖!皮剥ぎ男

21名も無きAAのようです:2013/08/09(金) 23:59:42 ID:oB2iRQPQ0
『愛しき人へ』の【Urban Legend】
くだらない与太話の不安を思い出す


(;´・ω・`)「…」


マスターはすぐさま扉を閉め、鍵を掛けた


(;´・ω・`)「まったく、客は来ないし不審者はうろつく。嫌な夜だよ」


ブツブツと文句を言い、件の曲を垂れ流すラジオを消した
いつもは陽気な笑い声が響くこの酒場に、不気味な沈黙が生まれた


(;´・ω・`)「…」

(;´・ω・`)「あーもう!!本当に嫌な」


マスターの言葉は、扉を叩く音で遮られた
いや、叩くと言うよりは


『砕く』、だった

22名も無きAAのようです:2013/08/10(土) 00:00:54 ID:0I6LYgHI0
(;´・ω・`)「ヒッ!!」


まるでホラー・ムービーの『シャイニング』のように、扉には『斧』が突き刺さっていた
そしてすぐに引き抜かれ、もう一撃が叩き込まれる
さらに、二度、三度と
堅固とはいえない扉は、板チョコレートのように頼りなく見えた


(;´・ω・`)「な!!」


マスターは、ここで選択を迫られる
『戦う』か『逃げる』か


彼には、強盗に襲われた経験がある
その強盗は銃社会のアメリカでは珍しく『万能包丁』で襲い掛かってきた
カウンターの下に『マスターキー』があることも知らずに


(;´・ω・`)「さっきのクソ野郎か!!」


一度撃退したものに、二度も遅れを取るはずも無いと
マスターはカウンターへと向かった
扉は既に半壊している
これも、ある意味『マスターキー』だろう


(;´・ω・`)「ベイビー、久しぶりの出番だ…」


取り出したのは水平二連式のソードオフ・ショットガン
銃身を切り詰めたそれを、扉の前に向ける


(;´・ω・`)「そこのケツ穴野郎!!三秒くれてやる!!ミンチになりたくなけりゃさっさと消えろ!!」

23名も無きAAのようです:2013/08/10(土) 00:02:01 ID:0I6LYgHI0
帰ってきた返答は
乱暴に『ノック』して壊されたの蝶番の音だった


(;´・ω・`)「ああ、そうかよ!!」


悪漢の姿を見ることなく、ショットガンを放つ
僅かに原型を留めていた扉を、完全に粉々にした


(;´・ω・`)「どうだクソッタレ…」


(;´・ω・`)「あ…?」


玄関の向こうには

銃で撃たれて『死体』になっている強盗の姿は無く

それどころか、『斧』も『生きている強盗』の姿も見当たらなかった


まるで、最初から『何もなかったかのように』


(;´・ω・`)「嘘だろ…」


一歩後ずさったその瞬間


酒場の灯りが、落とされた

24名も無きAAのようです:2013/08/10(土) 00:02:45 ID:0I6LYgHI0
「うお…な…」

「なんだってんだチクショウ!!」


立て続けに起こる恐怖に、マスターの声は上ずった
膝は笑い、小便が漏れた


「クッソ…」

「き…来やがれクソ野郎が!!ぶっ殺してやる!!」


ガタガタと震える銃を、しっかりと扉へと向ける


「…」

「ファック!!!」



雷が、光った




(キ^ω^)



一瞬のフラッシュで浮かび上がった、青白いその姿が


マスターが見た見た最後の風景だった

25名も無きAAのようです:2013/08/10(土) 00:02:57 ID:9Sy8fiaY0
ショボンがこういう役どころに回ると勝てる気がしな

26名も無きAAのようです:2013/08/10(土) 00:04:33 ID:0I6LYgHI0
再び雷が光った時



「」



マスターだったものは、頭の中身をカウンターにぶちまけていた

27名も無きAAのようです:2013/08/10(土) 00:05:20 ID:0I6LYgHI0
『上出来よ、ブーン』


男の頭の中で、美しい声が反響する


(キ^ω^)「…」


男は、『ウウウ』と低く唸り、腰にぶら下げた『干物』を愛おしそうに撫でた
黒ずみ、酷く窪んでいるそれには、美しい『ブロンドヘアー』がぶら下がっていた


『ああ…次はあっちから聞こえてくるわ…』

『殺して、ブーン。私の唯一の過ちを』


殺戮は終わらない
次の獲物を見つけ、『レザーフェイス』は動きだした

28名も無きAAのようです:2013/08/10(土) 00:06:03 ID:0I6LYgHI0
『万が一』と言う言葉は、大抵は『ありえない事が起きる』時に使われるものだろう

ここでの『万』は、『大衆』を意味する

ラジオを持っている人間を万、ラジオを賭けていた人間を千、『愛しき人へ』を聴いていた人間を百

そして、運悪く彼…いや、『彼女』に選ばれた人間を、一


これは、ラジオの万が一


続いて、『テレビ』の万が一


番組の放送を終えた局が、通販のCMを流している
年代別のヒットソングを揃えたオムニバスのCDセットだ


その中のひとつに、『愛しの人へ』が入っていた

29名も無きAAのようです:2013/08/10(土) 00:06:47 ID:0I6LYgHI0
(-、-トソン「…」


子どもを寝かしつけた母親が、水周りの片づけを終え
ふと油断をし、机に突っ伏して眠ってしまった


(-、-トソン「…」


まどろみのなかで聞こえる音楽
心地よいメロディと歌声に、頭の中がとろけてしまいそうだった


(-、-トソン「…」


キシリ、と
床が鳴った


(゚、-トソン「…」


ほんの僅かな音だったが、眠りと覚醒の間を彷徨っていた彼女を起すには充分な音量だった
再び、キシリと床が鳴る


(゚、-トソン「ビロード?トイレですか?」


小学校に上がっても甘えん坊な一人息子かと思った


う、゚トソン「…ビロード?」


返事は無い
キシリと床が鳴る


(゚、゚;トソン「…」


キッチンから覗く薄暗い廊下
いつもはなんとも思わないその場所が、酷く恐ろしいものに見える

30名も無きAAのようです:2013/08/10(土) 00:07:28 ID:0I6LYgHI0
「…」



(゚、゚トソン「…」



(゚、゚;トソン「…ビロード?」




(キ^ω^)「…」



(゚、゚;トソン「…」



廊下から現れたのは、『顔の皮』を被った大男
薄汚れた衣類には、赤い液体が付着しており、腰には『干からびた頭』
そして、手には刃渡り20センチはあろう肉斬り包丁
予期しない来訪者に、彼女の体は強張り、喉は空気を締め出した

31名も無きAAのようです:2013/08/10(土) 00:08:12 ID:0I6LYgHI0
(キ^ω^)「…」


(゚、゚;トソン「ヒッ!!」


大男はゆっくりと近づいてくる


(゚、゚;トソン「あ、ああ…そうか、夢か…」

(゚ー゚;トソン「あ、ありえないですもんね。こんなホラームービーのような怪物…」


眠っていたという行動から、都合の良い解釈をする


(゚ー゚;トソン「し、しかし迫力のある夢ですね。まるで本m


(キ^ω^)「…」


振り落とした包丁が、机を粉砕する


( 、 ;トソン「あぐっ!!」


その衝撃で、戸棚に激突する
頭上からクッキーの型抜きが振ってきた


( 、 ;トソン「痛…」


『痛い』
知りたくなかったその感覚が、今の風景が現実だと思い知らされる


(キ^ω^)「…」


ホラームービーならば、不気味なBGMの一つでも流れていただろう
だが場違いにも、そこで流れていたのは甘い甘い『ラブソング』だった

32名も無きAAのようです:2013/08/10(土) 00:09:14 ID:0I6LYgHI0
「いや…来ないで…」


恐怖と衝撃で足腰は立たない
叫ぼうにも、息が吸えない


(キ^ω^)「…」


青白いマスクの男は、彼女の髪を掴み
頭上まで持ち上げた


「ああああああああああああああああ!!!!!」


痛みで擦れた叫びが挙がる


(キ^ω^)「…」


男は、じっくりと観察するように二度、三度、首を傾げた後


(キ^ω^)「…」


包丁を、振りかざし
首へと叩き付けた

33名も無きAAのようです:2013/08/10(土) 00:09:55 ID:0I6LYgHI0
「ゴッ」


包丁は首の中ほどで止まった
頚椎は断裂され、逆方向から飛び出している
ズッ、ズッ、と包丁を引き抜くと
切断面から血液が勢い良く飛び出し、男の体を塗らした


(キ^ω^)「…」


男は満足しなかったのか
既に絶命しているそれを、キッチン台に乗せ


(キ^ω^)「…」


今度こそ完全に、首を切断した

34名も無きAAのようです:2013/08/10(土) 00:10:36 ID:0I6LYgHI0
『上出来よ、ブーン』


再び男の頭の中で、美しい声が反響する


『でも、まだ残っているわ』


廊下から、ガタンと物音がした


(キ^ω^)「!!」


『あの歌を聴いた奴は、誰だろうと一人残さず殺しなさい』


『それが例え、小便臭いガキでもね』


(キ^ω^)「…」


男は、死体の服で包丁の血を拭い
床に転がった頭を蹴り飛ばして、『次の標的』がいる二階へと向かった

35名も無きAAのようです:2013/08/10(土) 00:11:42 ID:0I6LYgHI0
―――――
―――



(;><)「…」


小学生に上がったばかりのビロードは、真夜中には付き添ってもらわないとトイレに行けない臆病な子どもだった
いつも母親に『いい加減一人でも行けるようになりなさい』と呆れられるが


風でゆれるカーテンが
半開きのクローゼットから除く暗闇が
気温の変化で鳴る屋根が
いつまでも終わらなそうにみえる薄暗い廊下が


臆病者の想像力を掻き立て、すくんでしまうのであった


(;><)「ママ…」


両親の寝室に足を踏み入れるが、人の気配は無い
父親は急患の診察に出て行ったため、ベッドには誰も横たわっていなかった


(;><)「…」


階下から、微かに聞こえるテレビの音


(;><)「きっと一階なんです」


壁伝いにゆっくりと歩きながら、ビロードは階段を目指した

36名も無きAAのようです:2013/08/10(土) 00:12:28 ID:0I6LYgHI0
階段を半ばまで進んだあたりで、突如破壊音が家中に響き渡った


(;><)そ「!?」


音の大きさに腰が抜け、階段に座り込んでしまう


(;><)「マ…」



親の助けを呼ぼうと、口を開いたその瞬間


『誰か』が、ビロードの口を塞いだ

37名も無きAAのようです:2013/08/10(土) 00:13:10 ID:0I6LYgHI0
��(;><)そ「ンンンンンンンンン!!!!!!」


くぐもった悲鳴をあげ、手足をバタつかせる
突然のショックから、我慢していたモノを漏らしてしまった
その時、キッチンからは『何かを斬る音』が聞こえていた


「シィー…」


『誰か』が、ビロードの耳元で沈黙を促す
さらりとした『髪』が、彼の頬を撫でた


(;><)「…」


髪がビロードの鼻先を擽った時、彼は大人しくなった
彼の言葉を借りるならば、『誰か』からは、何故か『お母さん』の匂いがしたからである


「…」


『誰か』は口を塞いでいた手を、目元へと移動させた
そして片手で彼を抱き上げると、二階への階段を登っていった




キッチンからは、重たいモノが床を転がった音が聞こえた

38名も無きAAのようです:2013/08/10(土) 00:13:51 ID:0I6LYgHI0
(キ^ω^)「…」


臭いがする
キッチンから漂う血の臭いだけじゃない
階段の半ばが何かの液体で濡れている
恐らく、それが発生源


そして、この家には『まだ人』がいるということ


(キ^ω^)「…」


『誰一人、見逃さないようにね…』


(キ^ω^)「…」


二階に上がり
手前の部屋の扉をゆっくりと開けた


(キ^ω^)「…」


ダブルベッドの上
シーツに包まった誰かが、寝息を立てていた


(キ^ω^)「…」


包丁を立て、静かに近づく
寝息の主を、一撃で葬り去るために

39名も無きAAのようです:2013/08/10(土) 00:14:32 ID:0I6LYgHI0
まっさらなシーツに、長い黒髪が流れている
細い体だ。恐らくは女だろう


(キ^ω^)「…」


『さ、やってしまいなさい』


包丁を両手で構える
切っ先が天井を削った


(キ^ω^)「…」


(キ^ω^)「…」


ベッドを砕かんばかりの勢いで、振り落とした




聞こえたのは
肉を斬る音でも
骨を砕く音でも
ベッドを砕く音でも無く



『金属音』だった

40名も無きAAのようです:2013/08/10(土) 00:15:13 ID:0I6LYgHI0
(キ^ω^)「…」


薄いシーツを隔てて


もう一つの『刃物』が切迫していた


肉斬り包丁とは違い、シャープなシルエットをしている


(キ^ω^)「…」


シーツの裂け目から






川(゚∴゚)






『ホッケーマスク』が覗いていた



『バケモノ』は二人いたのだ

41名も無きAAのようです:2013/08/10(土) 00:16:13 ID:9Sy8fiaY0
こいつがジェイソン・クールか

42名も無きAAのようです:2013/08/10(土) 00:16:30 ID:0I6LYgHI0
川(゚∴゚)「…」


シーツを押しのけ、男に蹴りを入れる


(キ^ω^)「!?」


二メートル近い大男が仰け反った


(キ^ω^)「…」


男は、腰にぶら下げた首を庇うように壁にもたれ掛かる
信じがたい事だが、このような存在になって初めて蹴りを入れられたのだ


川(゚∴゚)「…」


男は、ベッドから降りたホッケーマスクを観察する
服装は薄汚れたジャケットにジーンズといった男性らしい格好だが、胸の膨らみが『女』だと主張していた
ホッケーマスク、長い黒髪
手には、『マチェット』が握られていた

43名も無きAAのようです:2013/08/10(土) 00:17:10 ID:vMSbw6KA0
ホラーなのに燃える

44名も無きAAのようです:2013/08/10(土) 00:17:13 ID:0I6LYgHI0
(キ^ω^)「…」


一見、無表情な男であったが
ほんの少しだけ驚いていた
激しい抵抗にはなんども遭遇したが、このように静かに待ち伏せされたことは無かった


つまり、『自分がここに来る事に気が付いていた』


彼女は


川(゚∴゚)


自分を『狩りに来た』のだ


(キ^ω^)「…」


男は、ここで選択を迫られる
『戦う』か『逃げるか』

彼にはこのような経験が無い
先ほど殺した女のように、その前のマスターのように
『恐怖し、慌てふためく人間』だけを殺してきたのだ

彼は怯えた
すぐ傍の窓から逃げようと身構えた


『ダメよ』


その行動を、『彼女』は許さなかった

45名も無きAAのようです:2013/08/10(土) 00:17:54 ID:0I6LYgHI0
(キ^ω^)「…」


『誰だろうと殺しなさい』

『殺されようと殺しなさい』

『あの曲を聴いた人間を、一人残らず殺しなさい』


(キ^ω^)「…」


ブルブルと震える右手の包丁を、目の前の女に向けた


川(゚∴゚)「…」


対し、女はマチェットを翻す
刀身は赤黒く汚れていたが、刃は鋼色に研ぎ澄まされていた

46名も無きAAのようです:2013/08/10(土) 00:18:34 ID:0I6LYgHI0
『殺しなさい、ブーン』


彼女の声が頭に響く


『殺して、ママ』


息子の声が頭に響く





(キ^ω^)「…」




川(゚∴゚)「…」

47名も無きAAのようです:2013/08/10(土) 00:19:17 ID:0I6LYgHI0




『『殺せ!!!!』』




同じ言葉が反響したその瞬間


二体の『バケモノ』は同時に動いた

48名も無きAAのようです:2013/08/10(土) 00:20:12 ID:0I6LYgHI0
(キ^ω^)「オ゙ッ!!」


女の胴体を狙い包丁を横なぎに振るう


川(゚∴゚)「…」


前転で回避し、すれ違いざまに男のわき腹に一刀を入れた


(キ^ω^)「ヴヴッ…」


服と肉が斬れるが、血は流れない
人外であることを指し示していた


(キ^ω^)「ガァ!!」


振り向きざまに一閃
的外れなその一撃は、クローゼットを粉砕した


川(゚∴゚)「っ…」


その破片が、女の肩に突き刺さった


(キ^ω^)「オ゙オ゙ッ!!」


隙を突き、左手で女の首を掴み壁に叩きつけた


川(゚∴゚)「…カ…」


手からマチェットが離れ、床を踊る
万力のような力が首を圧迫し
骨がミシリと音を立てた

49名も無きAAのようです:2013/08/10(土) 00:21:07 ID:0I6LYgHI0
(キ^ω^)「…」


右手の包丁を振り上げる
狙いは脳天


川(゚∴゚)「…」


男は一つ見落としていた
女の武器は、『一つ』では無かった
右手で男の手首を掴みながら、左手で
『脚に巻いていたナイフ』を抜き取り


川(゚∴゚)「ッ!!」


男の目に突き立てた


(キメω゚ )「あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙!!!!!」


首から手を離し顔を抑え床を転がり、苦痛の悲鳴を上げる


川(゚∴゚)「カフッ…」


マスクの隙間から粘液が零れる
それを袖で拭い、マチェットを拾い上げた

50名も無きAAのようです:2013/08/10(土) 00:22:10 ID:0I6LYgHI0
(キメω゚ )「オ゙ッ!!オ゙ッ!!」


錯乱した男はむやみに包丁を振り回す
ベッドの脚が折れ、壁に穴が空いた


川(゚∴゚)「…」


(キメω゚ )「ヴーッ!!ヴーッ!!」



川(゚∴゚)「…」


女は片足を上げ、男の手を踏み抜く
床と骨が粉砕され、折れた枯れ枝のように皮膚を突き破っていた
すっぽ抜けた包丁がドアに突き刺さった


(キメω゚ )「オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙!!!!」


川(゚∴゚)「…」


怨念の篭った目が女を見上げる
皮の仮面から、唯一見ることができる男の表情


川(゚∴゚)「…」


女はマチェットを両手で握り締め
男の頭に向かって


川(゚∴゚)「ッ!!!!」


『突き立てた』

51名も無きAAのようです:2013/08/10(土) 00:22:52 ID:0I6LYgHI0
(キメω )「あ゙……」


男は痙攣を繰り返した後
静かに息を引き取った



川(゚∴゚)「…」


マチェットを引き抜き、男の右目からナイフを抜き取る
鉈を二、三度振り、汚れを払って腰の鞘に収めた



(キメω )



しばらく、息絶えた男を見下ろした後



踵を返し、扉へと向かった

52名も無きAAのようです:2013/08/10(土) 00:24:09 ID:0I6LYgHI0





(キメω )





(キメω゚ )




.

53名も無きAAのようです:2013/08/10(土) 00:24:51 ID:0I6LYgHI0
男は生きていた
油断し、背を向けた女を仕留めるまで
『あの曲』を聴いた人間を一人残らず駆逐するまで
彼に『永遠の眠り』は訪れない


頭の中では


『殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺こここここここここここここここここkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkk』


彼女の命令が何度も何度も、壊れたステレオのように繰り返されていた


(キメω゚ )


巨体に見合わないほど静かな動作で立ち上がると
彼女の首をへし折ろうと、片手をつき伸ばした

54名も無きAAのようです:2013/08/10(土) 00:25:38 ID:0I6LYgHI0
川(゚∴゚)


(キメω゚ )「…」



女は、扉から包丁を引き抜き



川(゚∴゚)「…」



振り向きざまに投げつけた
狙いは、男の顔でも心臓でもなく
腰の『干首』だった


回転する包丁の刃は、その乾いた顔に突き刺さり
いとも容易く、両断した

55名も無きAAのようです:2013/08/10(土) 00:26:56 ID:0I6LYgHI0




(キメω )「」





瞬間、男の中から

『世界』が失われた



膝を着き、倒れこむ
今度こそ完全に男は動かなくなり
真っ二つに割れた首は、今だに美しいブロンドの髪を残し、風に吹かれる砂埃のように掻き消えた

56名も無きAAのようです:2013/08/10(土) 00:27:37 ID:0I6LYgHI0



川(゚∴゚)「…」



その夜
一つの【Urban Legend】の狂気が終わった

57名も無きAAのようです:2013/08/10(土) 00:28:09 ID:9Sy8fiaY0
そいつが本体

58名も無きAAのようです:2013/08/10(土) 00:28:23 ID:0I6LYgHI0
翌日、三人が無惨な死体で発見された事件が大陸中を駆け巡った
被害者は『ショボン・ローマックス』と『トソン・マイヤーズ』
それと、身元不明の男性が一名

身元不明の死体の衣類から検出された血液から、『ショボン・ローマックス』及び『トソン・マイヤーズ』は彼に殺害されたものと判明
マイヤーズ宅の寝室で死亡していた彼も、頭部の損傷を見るに『別の人物』に殺害されたものと思われる

運よく生き残った『ビロード・マイヤーズ』くんによれば



『ホッケーマスクを被った女の人が助けてくれた』



と、証言している


警察は、その人物を殺人の容疑で指名手配し、現在も目下捜索中とのこと

59名も無きAAのようです:2013/08/10(土) 00:29:15 ID:0I6LYgHI0
川(゚∴゚)「…」



彼女はバケモノ
殺さずにはいられない
標的は、息子を殺した『全てのバケモノ』


頭の中で響くのは、あの子の可哀相な声


『殺してママ、殺して』






『悪ふざけ』はまだまだ終わらない――――

60名も無きAAのようです:2013/08/10(土) 00:29:55 ID:0I6LYgHI0
ジェイソン・クールのようです



次の【Urban Legend】へ続く

61名も無きAAのようです:2013/08/10(土) 00:30:41 ID:0I6LYgHI0
  (
   )
  i  フッ
  |_|

62名も無きAAのようです:2013/08/10(土) 00:31:46 ID:MpiqjW.k0

改行と「見せ方」が抜群に上手いと思った
かなり面白い

63名も無きAAのようです:2013/08/10(土) 00:42:50 ID:vMSbw6KA0


64名も無きAAのようです:2013/08/10(土) 00:51:27 ID:p8nK/.ww0
俺の百物語一昨目だ、初めから飛ばしてるねぇ

65名も無きAAのようです:2013/08/10(土) 00:56:11 ID:UAPzV19o0
ホラーなのにかっこいい……乙

66名も無きAAのようです:2013/08/10(土) 00:59:04 ID:qTTYbP260
ホラーなのにバトルだった乙

67名も無きAAのようです:2013/08/10(土) 01:15:13 ID:n4U8yNaY0
アメリカンなホラーってリアルにありそうで一味違う怖さがあるぜ

68名も無きAAのようです:2013/08/10(土) 02:16:45 ID:aJzsIbacO
前作と同じようなものを書いたのかなと思ってたら、全く違った内容だった

69名も無きAAのようです:2013/08/10(土) 02:48:16 ID:3gCn.meg0
乙乙
さすが、ホラーマニアだけはある

70名も無きAAのようです:2013/08/10(土) 16:22:58 ID:w0pCOu2E0
この作品のおかげでムカデ人間を見る勇気が湧きました!乙!

71名も無きAAのようです:2013/08/10(土) 21:53:29 ID:pC7LEas.0
続いてくれ

72名も無きAAのようです:2013/08/10(土) 23:13:04 ID:cYOs5Hbc0
カッコイイじゃないか……

73名も無きAAのようです:2013/08/11(日) 01:47:25 ID:RE6aG1nk0
乙乙おもしろかった
ところで報告忘れてね?

74名も無きAAのようです:2013/08/11(日) 01:50:52 ID:68AY/e1M0
全部の都市伝説終わったら報告するんじゃね?

75◇mkdHuman:2013/08/11(日) 08:30:37 ID:1Tx4z9Tg0
あとがき

二年前のハロウィンに書いた短編のリメイクでした
始めてホラー映画を観て書いた作品になります

当初、ブーンのモデルは『ハロウィン』から、ハロウィンマスクの殺人鬼『マイケル・マイヤーズ』(ブギーマン)にしていました
ですが、ブギーマンだと妹狙わなきゃダメじゃね?ってことでオリジナルのモンスターに
レザーフェイスは『悪魔のいけにえ』から拝借しました

ジェイソン・クールさんの設定は原作に準じています
湖で溺れ死んだ息子の名前は『ジェイソン・ボーヒーズ』で、彼女の名前は『クール・ボーヒーズ』になります

えっ、なんで息子と母親の名前が連結してるんだって?
語呂がいいからだよ言わせんな恥ずかしい

各登場人物の名前もホラー映画から拝借
『ローマックス』は『ムカデ人間2』から
『マイヤーズ』は『ハロウィン』から

全てオススメのホラー映画なので是非ご覧ください

76名も無きAAのようです:2013/08/11(日) 11:56:03 ID:SUP1G.wo0
さらっとムカデ人間勧めるなw

77名も無きAAのようです:2013/08/11(日) 13:09:40 ID:2D4ShbmA0
こいつのレスにケツもチンコも入ってないと違和感感じるようになってきた

とりあえず乙乙。連載で読みたいわ

78名も無きAAのようです:2013/08/12(月) 01:00:09 ID:xu9TDyTI0
これ短編なのか
普通に続き期待してるんだけど短編なのか

79◇mkdHuman:2013/08/12(月) 22:26:01 ID:QExz8.Dw0
ブンツンドーに載ったあああああああああああああああ!!!!!!!ひょおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!

おちんぽシコシコオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!!

80名も無きAAのようです:2013/08/12(月) 22:26:42 ID:Q0fX7XRs0
( ^ω^)

81名も無きAAのようです:2013/08/12(月) 22:36:10 ID:LjbnN/ZM0
うらやま

82名も無きAAのようです:2013/08/13(火) 01:57:07 ID:hf.aT.7.0
現行の方も楽しみにしてるからよろしく
出来ればこれも連載でみたいけど

83名も無きAAのようです:2013/08/19(月) 19:38:18 ID:efSpdZIg0
おいおいまだまだ伝説は続くんだろ?

84名も無きAAのようです:2013/08/19(月) 20:19:30 ID:ZlfKvjrc0
>>1はムカデ人間で一本書くのに忙しいんだよ!いい加減にしろ!

85◇mkdHuman:2013/08/20(火) 00:24:59 ID:3Mq.likk0
おいおいエルム街の悪夢観てたらもう一話書きたくなったじゃねーかふざけんなどうしてくれるんだこのムラムラ

86名も無きAAのようです:2013/08/20(火) 01:07:17 ID:msOmobTg0
書けよ

87名も無きAAのようです:2013/08/20(火) 16:06:14 ID:FrMbex420
夏も終わるしいいよもう

88名も無きAAのようです:2013/08/20(火) 17:46:47 ID:v/NAQumM0
夏短すぎワロタ

89名も無きAAのようです:2013/08/21(水) 23:30:15 ID:xuCF9/pw0
普通に楽しみなんだが

90名も無きAAのようです:2013/09/05(木) 21:10:30 ID:TDI6WkTM0
時たま


川(゚∴゚)


私は『私』を取り返す時がある
『私』が『バケモノ』になる前の自分に
それはまるで、大海を筏で漂流し、地図にすら載っていない無人島へ流れ着くかのような
そんな気分で、それほどの確立で、私は私を取り戻す


川(゚∴゚)


『バケモノ』の間は、自分がどこで何をしていたかなんて覚えちゃいない
ただ、『何かをぶっ殺した』という感覚だけに支配される
それが『善人』か『悪人』か、『常人』か『超人』かだなんて、知る術は無いのだが


だから、『私』を取り戻した私が、何故こんな所にいるのかだなんて
考えるだけ時間の無駄なのだ


case.2

『屋敷幽霊、清掃中』

91名も無きAAのようです:2013/09/05(木) 21:14:09 ID:oInOxeOw0
続ききた!支援!

92名も無きAAのようです:2013/09/05(木) 21:15:06 ID:JiqhhBwc0
期待

93◇mkdHuman:2013/09/05(木) 22:06:20 ID:TDI6WkTM0
ゴメン…誰も見てないだろうと思って即興で1レス書いただけだから続き考えてないんだ…

その内書くから…スマヌ…

94名も無きAAのようです:2013/09/05(木) 22:31:54 ID:oInOxeOw0
まさか投下四分でレスがつくとは思ってなかったかwwww
続き待ってる

95名も無きAAのようです:2013/09/05(木) 22:54:53 ID:JiqhhBwc0
        ヽ
/ ̄マ    _|ア よ
フ _rス__  \ ア く
レソノ |u) \  )ア も
 Lっノ/   ヽ< ア だ
u  T  |  | )!! ま
 u /\ ヽ__|/_ し
 _/ />-/u/ヽ ) た
(z/ /(三/  | /
  /  /   |  ̄)/
  /  /   ノ
  L二二L二二/
  \ ヽ\ ヽ
   \ ヽ ヽ |
    ) | | |
   rイz_) ノ )
    ̄ ̄ (三ク

96名も無きAAのようです:2013/10/09(水) 23:35:57 ID:99BQ50oM0
ここで物語は終わっている……

97名も無きAAのようです:2013/10/17(木) 01:47:47 ID:99Mh/5K60
(現行すっぽかしてハロウィンを目標に二話をうpしたい衝動に駆られている)


(卒論しろバカが)

98名も無きAAのようです:2013/10/17(木) 05:25:28 ID:9IyxNbcs0
時には欲望に忠実になることも必要だ

99名も無きAAのようです:2013/10/31(木) 23:07:54 ID:RS./8IMw0
お ま た せ

100名も無きAAのようです:2013/10/31(木) 23:10:14 ID:RS./8IMw0
川(゚∴゚)「…」


五体、満足
今回も四肢が全て残っている事に安堵した
戦っている間は、痛みも苦しみも感じない
つまり、人体の危機信号が無い
どんな状況下でも、目の前の『誰か』を殺すまで、私の体は動き続ける
腕が無くなろうと、足がもげようとも


川(゚∴゚)「…」


マスクを指で擦ると、赤黒い汚れが付着した
返り血、いつものことだ
最初の内は、あまりのおぞましさに嘔吐した時もあったが
今では、あたりまえのように感じている
『人間』という生き物の感覚が、だいぶ失われているようだ


川(゚∴゚)「…」


そして、マスクと共に代わらず傍にあるもの
何人もの『誰か』を殺した、マチェットだ
当然、手入れなどしていないため刀身もマスク同様、血に汚れていたが
刃の部分だけは、異質な輝きを放っていた


さて、自身の確認が済んだ所で
この場所はどこかを確かめるとしよう

101名も無きAAのようです:2013/10/31(木) 23:11:04 ID:RS./8IMw0
川(゚∴゚)「…」


さっきまで寝そべっていたソファーは、黒皮が張られた高級そうな代物
天井には、輝きを放つシャンデリア
窓からは太陽の光が降り注ぎ、子ども達の笑う声が聞こえてくる
ガラステーブルの上には、湯気を上げるポットと、清潔なカップ
三段式のティースタンドにはスコーンやケーキが鎮座していた


川(゚∴゚)「…」


まるで高級ホテルのアフタヌーン・ティータイムだ
私が『普通』であるならば、至れり尽くせりの待遇だと感じるだろう
だが、今の私の格好は、どう見てもB級映画のホラー・モンスター
こんな姿をした人間を歓迎する連中なんて、余程のお人よしか狂人くらいだ
それに、今のように『私』である時ならまだしも
『バケモノ』の状態であった私を誰が招き入れるというのだ?


川(゚∴゚)「…」


『異常』なのは、火を見るより明らかだった
スイート・ルームのような室内も
外の明るい光も
子どもの笑い声も
清潔で美味しそうな食べ物も
全部、罠に思えてくるほどに


川(゚∴゚)「…」


一刻も早くここから立ち去ろうと、ドアの前に向かおうとすると



『コン、コン、コン』



と、規則正しく
三回、ノックがされた

102名も無きAAのようです:2013/10/31(木) 23:11:09 ID:6PBld8zY0
してん

103名も無きAAのようです:2013/10/31(木) 23:12:51 ID:QeOXyaNo0
wktk!

104名も無きAAのようです:2013/10/31(木) 23:13:07 ID:RS./8IMw0
川(゚∴゚)「…」


この部屋の家主か、それとも魑魅魍魎の類か
いずれにせよ、警戒するに越したことは無い
内開きの扉の、蝶番がある壁に身を潜めた
こうすれば、入室してくる『誰か』の死角の位置に立つ事ができる


「失礼いたします」


礼儀正しい挨拶と共に、ドアノブが捻られる
声色からして、妙齢の女性だと思われる
そしてゆっくりと、扉が開かれた


川(゚∴゚)「…」


扉が私の身を隠し、ノックの主が軽い足音を立てながら入室する
黒のロングドレスを身につけ、シニヨン(髪型)に白のヘアカバーを被せている
見たところ、ヴィクトリア朝時代イギリスのハウスメイドの様だった
身長は、一般女性より頭一つ高いくらい
体躯は、一般女性より少し華奢に見えた


川(゚∴゚)「…」


後姿から見て、普通の女性に見えないことも無い
だが、私をここに招いた目的がわからない以上、面と向かってお話する気はない
多少手荒になるが、少し眠ってもらおう

105名も無きAAのようです:2013/10/31(木) 23:14:21 ID:IQ2tWc8M0
卒論おわったんか

106名も無きAAのようです:2013/10/31(木) 23:15:24 ID:RS./8IMw0
川(゚∴゚)「…」


足音を最大限殺し、メイドへと接近
片手で彼女の腕の間接を極め、ソファーへと押しつける
すかさず、マチェットの柄で頭を数回殴りつけた


川(゚∴゚)「…」


手ごたえがあった
流血こそ無いものの、暫くは頭の衝撃で気絶したままだろう
今の内に、この屋敷から出てしまおう
マチェットを鞘に収め、部屋を出ようとしたその時


『パキョ』と


奇妙な音が聞こえた


川(゚∴゚)「…?」


卵を割った時のような、軽い破壊音
この部屋には、そんな類のものなんて無かったはずだ
扉を開ける手を止め、辺りを見渡す
テーブルののティーセットは、そのままの形を保ったまま。よし
窓もヒビ一つ入っていない。よし
シャンデリアも、見たところ異常はない。よし
ソファーは…


川(゚∴゚)「…!」


『音の正体』が、そこにはあった
ソファーで気絶しているメイドの、『頭』
柄で殴った部分を中心に、ヒビが広がっている
それはまるで、『卵の中から雛が孵る』ようであった

107名も無きAAのようです:2013/10/31(木) 23:16:30 ID:RS./8IMw0
「…オ」


気絶したと思っていたメイドが、ソファーに手をつき立ち上がる
頭を包んでいた『殻』が、髪とヘアカバーとともにボロリと剥がれ落ちた
中から見えるのは、『青白い球体』


「…オ、ソウ…ジ……」


片言で、途切れ途切れではあるが
『お掃除』と、発言した


川(゚∴゚)「…」


やれやれ、私には心休まる暇も無いらしい




( ∵)「オ…ソウ…ジ…シ…」



『殻』は全て剥がれ落ち、現れたのは目と口が深遠の闇のように蠢く私とはまた『別の異形』
普通の女性の皮の下に、吐き気を催すほどおぞましい者が潜んでいた

108名も無きAAのようです:2013/10/31(木) 23:18:57 ID:RS./8IMw0
( ∵)「汚…葬……除……」


シャンデリアが小刻みに揺れ、カップが振動で音を立てる
『何かが来る』。マチェットを握る手がじんわりと汗ばんだ


( ∵)「ヲ………」


( ・●・) グニャアアア…


川(゚∴゚)「ッ!!」


口がパックリと開いた瞬間
私は反射的に扉を蹴破り、廊下へと飛び出た
すぐさま、私の後を追うように無数の『枝』が扉と廊下の壁を串刺しにした


川(゚∴゚)「…」


これは、『箒』か
巨大な箒が、奴の口から飛び出した
なるほど、『お掃除』ね…私は、この館にとって招かれざる…


『ゴミ』というワケか


川(゚∴゚)「ッ…」


箒が小さくなり、その分『奴』が前へと進む
『バケモノ』の私はこんな魔物と戦っているのか?正直、手に負えん
こういう場合、三十六計なんとやらだ
距離を取りつつ、『起きるのを待つ』しかない

109名も無きAAのようです:2013/10/31(木) 23:20:23 ID:RS./8IMw0
川(゚∴゚)「チッ…」


奴が部屋から出る前に、廊下の奥をひた走る
真っ赤なカーペットと、それを照らすブラケットの灯りが温かみのある空間を演出しているが
今の状況に全くそぐわないのが腹立たしくて、思わず舌打ちをした
そして、そんな内装を掻き回す『ガリガリ』という引っかく音
奴の箒が迫ってきていた


川(゚∴゚)「ッ!!」


質の良いカーペットに足を滑らせつつも、突き当たりの角をなんとか曲がる
次の瞬間、勢い良く壁に衝突する巨大箒
衝撃で折れた箒の破片が髪を掠めた


川(゚∴゚)「…」


前を向くと、照明とはまた別の強烈な光
これは『日光』だ
廊下の先には、一際大きな窓と扉
『出口』が、見えた


( ∵)「ソウ……地…」


奴もすぐそこまで迫ってきている。意外と足が速い
あの箒は私と相性が悪い。わざわざ危険を冒して殺り合う必要は無いだろう
扉に向かって、全力で駆けた

110名も無きAAのようです:2013/10/31(木) 23:21:52 ID:RS./8IMw0
川(゚∴゚)「!?」


視界の端で光が反射し、咄嗟に足を止める
左壁を突き破って飛び出した『刃物』が、首の皮膚を掠め取る


( ∴)「剪…定……」


割れた壁の隙間から、『青白い球体』が顔を覗かせている
目と口の位置が逆転しているそれは、私の腰ほどの身長
私の首を掠めたのは、巨大な『鋏』
どうやら、庭師のようだ


( ∴)「せんて…い…」


川(゚∴゚)「…」


そのまま、ドアを壊しながら私の前に立ちはだかる
切れ味のよさそうな鋏を、シャキリ、シャキリと動かし、迫る


( ∵)「お葬…餌…」


背後には、メイドが箒を持って距離を詰めて来る
八方塞、か…


川(゚∴゚)「…」


川(゚∴゚)「……」

111名も無きAAのようです:2013/10/31(木) 23:22:39 ID:RS./8IMw0
では、私はここで『物語』から退場するとしよう
私は、『体』を貸しただけの、なんでもない人物だ
『バケモノ』を殺すのは、『人間』でも、『ヒーロー』でもない




同じ、『バケモノ』なのだから



.

112名も無きAAのようです:2013/10/31(木) 23:23:32 ID:RS./8IMw0




『川(゚∴゚)ジェイソン・クールのようです』



.

113名も無きAAのようです:2013/10/31(木) 23:25:02 ID:RS./8IMw0
ハロウィンまで…仕上げることは…出来なかったよ…

すまぬ…すまぬ…

114名も無きAAのようです:2013/11/01(金) 00:25:45 ID:HOg8wDiI0
おぉーい! ここで終わるか!
このwktkはどこに持っていけというんだ
乙……

115名も無きAAのようです:2013/11/01(金) 02:42:41 ID:8kyzVw9c0
今からしあげろよお!

116名も無きAAのようです:2013/11/02(土) 21:29:25 ID:MYn31no20
待ってるからな

117gosgoinm:2014/03/22(土) 05:50:22 ID:B2J76P020
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