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( ^ω^) 剣と魔法と大五郎のようです
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懐かしい夢を見た。
体も心もまだ幼くて、それでも、だからこそ幸せだった頃の記憶。
ξ゚⊿゚)ξ (……)
薄暗闇の中、天井に手を翳す。
思えば遠くに来た。
それは、物理的な距離ではなくて。
ξ゚⊿゚)ξ (……)
体のいたるところに出来た傷跡を、死んでしまった両親が見たらどう思うだろうか。
きっと怒るのだろう。そして、悲しむのだろう。
傷を作ったことでは無くて、傷を作るに至った理由を。
ξ゚ー゚)ξ (……ふふ)
いつもそうだった。
二人の心配を無視して怪我をして、母親の手痛い拳骨を貰ったものだ。
よくよく考えれば、きっとあの頃から成長なんてしていない。
ξ ⊿)ξ =3
脳裏にちらつくあらゆる感情を息と共に吐き出して、硬く目を閉じる。
迂闊にあの頃を思ったりしないように。
幸せな夢を、もう見てしまわないように。
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ト、|. ! / /! ,./ ヽlヽ、! | ィォ
| ノ!|_l/:::::::|/i!::::::リ::::::! l!汐
刈从!゙:::::::::::::::::::::::::::::::| /!介
,ミ人i!:::o:::::::::::::::::::::::::::::'!うトヽ、
ぐ'、 ヾ、 ' ,チ'´ ゞ,く
ソ _>: ..´__`...,.<__ `ヽ)
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ィァォ. ´ ´| |ェム
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/| !.:.:.:.: / : .': |:| 剣と魔法と大五郎のようです
/.,' !:.:.: ,' : ,:. リ Second thread.
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支援
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( ^ω^) (ねぇねぇドッグ)
('A`) 『ん?』
( ^ω^) (サロンって、こんな物騒なトコだったっけ?)
( ゚'μ゚) 「でぇい!!」
その男は、武器も構えず棒立ちのブーンに対し剣を振り上げた。
隆々とした筋肉。
握られた剣は刃こぼれが多いものの、肉厚の刀身が破壊力の高さを伺わせる。
高い位置からの、力強い振り下ろし。
重さを感じさせ無い、風切る一撃である。
しかし、ブーンはこれを男の脇をすり抜ける形であっさりと回避した。
地面に打ち付けられた剣は激しい金属音をまき散らし、土を大きく抉る。
男は体勢を大きく崩すことなく、すぐさま剣を引き構えた。
重い武器を使うだけあって流石の足腰だ。
( ゚'μ゚) 「ぬぅっはぁーァッ!!!俺の一撃を躱すとはなかなかやるな貴様ァッ!!」
('A`) 『俺、こういう脳筋っぽいの嫌い』
( ^ω^) (ドッグの魔法の使い方も脳筋だと思うけど)
('A`) 『うるせえやい』
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男が再び剣を振り上げる。
単調な攻撃だが、この男のポテンシャルには非常に見合っていた。
圧倒的な破壊力と間合いの広さは、同時に反撃の困難さの証明。
理解しやすい一撃必殺は受ける側に必要以上の警戒心と恐怖心を抱かせる。
その上、男の筋力は攻撃の威力のみならず、武器の取り回しにも反映されていた。
攻撃後の隙が、思いのほか小さく、機敏。
反撃に対し反撃を合わせることも可能だろう。
これならば下手な小技を多用するよりも、一気に叩き潰した方が効率的だ。
純粋に強い力は、ちょっとした方向性を与えるだけで十分に武力足りうる。
( ゚'μ゚) 「ぶるぁあ!!」
しかし。
( ^ω^) 「―――杉浦双刀流、無刀の型」
それはあくまで、相手が同程度以下の武力しか持たない場合の話。
( ^ω^) 「『陽炎送り』」
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( ゚'μ゚) 「?!ッ」
大剣は一撃目と同様に地面を斬った。
違ったのは、ブーンがその刃を避けなかったということ。
( ゚'μ゚) 「素手で……ッ!?」
分厚い刃が頭を砕くその寸前、ブーンは空の右手を振るった。
男の剣に向けて、男の剣よりも速く、男の剣に添うように、流す。
交差し、刹那に満ちぬその時間に剣閃はブーンの体を大きく逸れる。
勢いづいた剣は男の制御を振り切り、より深く地面へ。
伝わる衝撃は掌を痺れさせる。
( ゚'μ゚) 「!」
驚愕し平静を失った男の目の前、ブーンは一気に間合いを詰めた。
男は反射的に後退。
しかし地面にしっかりと食い込んだ剣がその動作を妨げる。
打撃の破壊力を持ったまま、ブーンの左手が男の顔面を鷲掴みにした。
鼻の潰れる感触。
その流れを殺さず、左の踵で男の軸足を掬い上げる。
地面を離れる男の体。
ブーンは全身の力を籠めて、掴んだ男の頭を地面に叩き付けた。
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( ゙'μ゙) 「ッカァ!?」
男は目を剥き、唾液と鼻水を吹き出す。
受け身を取らない地面との衝突。
彼の脳みそが意識の支配から切り離されるのは、必然であった。
( ^ω^) 「さて」
男の戦闘不能と、とりあえず死亡していないことを確認し、ブーンは懐からスキットルを取り出す。
中身はもちろん大五郎(焼酎。不美味)。
キャップを片手で外し、大きく一口呷った。
('A`) 『何者だろうな、って、何となくわかるけどよ』
( ^ω^) 「たぶん、禁酒党かその類だと思うけれど」
男は、ブーンが大五郎を補充しているのを見て迷いなく勝負を挑んできた。
酒類根絶法がどうのこうのと本人すら理解していないような口上を述べていたので、禁酒党の同類で間違いないだろう。
( ^ω^) (僕らがちょっと外してるうちに、随分急変しちゃったみたいだおね)
(;'A`) 『……ああ。問答無用だったもんな』
サロンシティに戻ってまだ間もない内に襲われたことを考えると、各地でこれに似た事態が頻発している恐れがある。
現に以前の穏やかな雰囲気とは異なる、不穏な臭いが風に乗ってブーンの鼻に届いていた。
鉄錆に似た、血の臭い。
戦場には遠く及ばないが、平常では感じない程度の濃度がある。
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( ^ω^) (どうする、ドッグ?)
('A`) 『面倒だし、リッヒの家で荷物引き取ったら、さっさと出ていきたいところだが……』
( ^ω^) (一応、街中の様子だけ見てみるかお?)
('A`) 『そうだな。酷いようなら』
( ^ω^) (手を出す?)
(;'A`) 『その後の厄介を招かない程度にな』
基本的には、ブーンたちは酒類根絶法と大五郎の対決には首を突っ込まないようにしてきた。
他人の揉め事よりも優先するべき事柄が、彼らにはあるからだ。
一度手を出してしまえばその渦中に巻き込まれることになってしまう。
それは、望ましいことでは無い。
('A`) 『行くか』
( ^ω^) (あ、ちょっと待って)
馬車や家畜に轢かれて絶命するというあんまりな事態を避けるため、伸した男を道の端に寄せる。
地面に食い込んだ剣も引き抜いてその傍へ。
目覚めてすぐに振り回すことが出来ないよう、落ちていた家畜の糞を柄に塗っておいた。
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キター支援
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('A`) 『……ふーむ』
足早に訪れた市街地。
予想に反し戦闘が起きている場面は少ない。
ただし、その一歩手前はいくらでもある。
武器をちらつかせ、睨みあう大五郎と根絶法側の兵士。
中には口汚く罵り合う者もおり、緊張感のある空気が漂っていた。
長閑な農の街サロンの姿はどこへやら。
ブーンは筋骨隆々な男たちを見て、小さくため息を吐く。
有象無象の半端者ばかり出なく、中には相当の実力を感じさせる者もいた。
( ^ω^) (おーん、あの鉄腕甲の男、どっかで……)
('A`) 『しっかし、なんで支店から遠いこんな中心地に大五郎の兵士がいるんだ?多すぎだろ』
( ^ω^) (お?ああ、確かに)
疑問は路地を一つ曲がって、すぐに解消された。
二人はでかでかと『大五郎』の看板を掲げている店を発見する。
以前どんな所だったか記憶は少々虚ろだが、間違いなく大五郎の支店では無かったはずだ。
( ^ω^) (うーん、完全に禁酒委に喧嘩吹っ掛けてるおね)
大五郎酒造の販売する『大五郎』は比喩抜きでブーンたちの命の水である。
故にどちらかに加勢せねば収まらない状況に立ち会ったならば、大五郎側にすると決めていた。
しかし、これを見てしまうとその気持ちが揺らぐ。
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まるで、自ら諍いを起こすことを目的にしているようだ。
市街地に店を出せば、闘争が激化することは予想できたはずである。
それでも強行したということは、つまり街の治安よりも自社の利益を優先したということ。
('A`) 『ツンはいねえのかな』
( ^ω^) (臭いは少しするけど、沢山人がいる上、なんか別の臭いのせいで把握できないお)
(;'A`) 『あいつ、また変なのに絡まれて大怪我してないだろうな……)
( ^ω^) (ありそうで困る)
(;'A`) 『な』
( ^ω^) (なんていうか、危険を呼び寄せる才能みたいなのがあるおね)
(;'A`) 『半分は自分から首突っ込んでる気がするけどな』
( ^ω^) (油被って火事場に飛び込むタイプ)
(;'A`) 『せめて水にしてほしい』
周囲を見渡すが、知った顔は居ないようだった。
適当な相手に話を聞こうとも考えたが、全員が警戒心丸出しの顔でこちらを見ている。
ブーンが腰に剣を差していることを見抜いて、敵か否かを判断しようとしているのだ。
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( ^ω^) (どうしよ。あんまりうろついてるとまた襲われそう)
('A`) 『とりあえず、店に入ってみるか。酒も補充できるときにしときたいしな』
( ^ω^) (おっおー)
ブーンは再びスキットルを取り出し、一口呷った。
目の前で酒を飲むことで、「自分は敵でない」ということを手っ取り早くアピールしたのだ。
兵士達の警戒が少々弛んだところで、ブーンは店に入る。
両開きの木の扉。
金具が新しいようで、音も無くスムーズに開いた。
ξ゚⊿゚)ξ 「いらっしゃいま……」
入って一歩目。
入口に背を向けてテーブルを拭いていた少女が声をあげた。
目が合って、彼女とブーンは、動きを止める。
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( ^ω^) 「……」
ξ゚⊿゚)ξ 「……」
( ^ω^) 「……そんな格好もするんだおね」
ξ;゚⊿゚)ξ 「……うっさいわね」
テーブルを拭いていたのは、紛れも無く流れの傭兵、ツン=ディレートリ。
一目で彼女であると分からなかったのは、店に漂うアルコールの香りと、彼女の身に着けている衣服のせいであった。
( ^ω^) 「一瞬気付かなかったお」
ξ;゚⊿゚)ξ 「ええい五月蠅い。似合ってないのは自分が一番分かってるっての!」
( ^ω^) 「いやいや、似合ってる似合ってる。別に変では無いお」
ξ;゚⊿゚)ξ 「ぐむぬ……」
憮然とした顔のツン。
白いブラウスとロングのスカートを身に纏い、その上からエプロンをしている。
普段は高い位置できつく結われていた髪も、今は低い位置で、ゆるくまとめられているだけ。
少し見ただけでは、そこいらにいる町娘のようだった。
初対面であれば関係者の娘が手伝いに来ているような印象を受けただろう。
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(’e’) 「つんちゃ〜ん、お客さん?」
ξ゚⊿゚)ξ 「あ、えっと」
やや低い位置から、ツンの目がブーンを伺った。
小さく頷いて返す。
ξ゚⊿゚)ξ 「そうらしいです」
(’e’) 「いらっしゃいませ〜。ごゆっくりどうぞ〜」
補充用の大五郎を買って出てゆくつもりだったが、カウンター席に案内される。
ツンに聞きたいこともいくつかあったため、大人しく従っておいた。
店内に客は一人。
恰幅のいい農夫がソーダ割りを飲んでいる。
ξ゚⊿゚)ξ 「注文は?」
( ^ω^) 「とりあえず、ロックで。あと適当につまめるものを」
ξ゚⊿゚)ξ 「レモンかライム」
( ^ω^) 「どちらも無しで」
ξ゚⊿゚)ξ 「はいはーい。お客いなくて暇だからすぐに出せると思う。ね、ジョーンズさん」
(’e’) 「店員の言葉がストレートで辛い」
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(’e’) 「はい、こちら焼酎のロックで〜す」
( ^ω^) 「おっおー」
言葉の通り、品はすぐに提供された。
店長、ジョーンズの手さばきに無駄が無く、一連の動作が流れるよう。
このがら空きの店がもったいない速さだ。
(’e’) 「こちら〜ナッツの盛り合わせです〜」
木の器に盛り付けられたナッツを、一つまみ。
塩気の利いたいい味だ。
口の中に残る香りと仄かな甘みを大五郎でつぅっと流す。
( *^ω^) 「ふ〜」
美味い。
体質上大五郎の補給は脱水時の水分補給に近い感覚があるが、こうして味わうのもまた良いものだ。
確かに質のいいものでは無く、酒としての個性は薄いがその分適応力が高い。
果汁で割って飲むのも良いだろう。
肴によっては、本来以上の奥深さを生み出すことは十分に可能だ。
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