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('A`)人生は選択だ!のようです

1 ◆tDN4QF.obM:2013/06/06(木) 06:32:40 ID:ZNVpn/g20
嘘予告に捨てられてあったのを拾いましたがかまいませんね!!

31 ◆tDN4QF.obM:2013/06/07(金) 19:34:44 ID:XVp8R31Y0


そう、溶け込めると思っていた



∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵



        ('A`)人生は選択だ!のようです 第2話



∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵

32 ◆tDN4QF.obM:2013/06/07(金) 19:35:25 ID:XVp8R31Y0
【2】

('A`)「うーっす」


いつものように出勤時間の十数分前にタイムカードを切る
着替えの時間もあるためこの時間に切るのは妥当ともいえる


( ゚∀゚)「うす!なーなー今週のジャンプ見たかー?」


先に着替えて休憩所でくつろいでるジョルジュ、一応同じ同僚だ
もうじき30にもなるというのに未だにジャンプ読むのはどうかと思うが人の事は言えない


('A`)「悪い、まだ見てない」

( ゚∀゚)「ンだよ今週のNARUTO面白かったぜ?特にさ……」

('A`)「ネタバレ止めろし」


作業服に着替えながらジョルジュのネタバレ話を適当に阻止する
三年もこんな調子で言われていれば話の受け流しなんか慣れたものだ


( ゚∀゚)「くそう、久々に見てない日だったから今度こそバラせると思ったのに!」

('A`)「はいはいワロスワロス、ほら、作業行くぞ」

( ゚∀゚)「うーっす」

33 ◆tDN4QF.obM:2013/06/07(金) 19:36:06 ID:XVp8R31Y0

今日から次の休みまで、再びおもちゃを組み立てる単調な作業が始まる
最初こそ失敗が目立ち弁償くらうハメになることが多くてブラック企業だと思ったが、
もうそんなこともなくなって普通の会社だと思っている

まぁ普通の会社はバイトに責任を取らせないはずだがな


ウィーン ガコン
        ウィーン ガコン

('A`)「……」ガコン


機械音が工場中に鳴り響く
皆がみな作業が始まると集中して、さっきまで喋ってたジョルジュすらも静かに作業をする

俺は目の前に流れてくるこれから何かのおもちゃになるであろう基礎的な部品を、
ミスが無いように最低限の注意を払って組み立てる作業をしていく


('A`)「……」ガコン


そういえば、なんて作業をしながら考える
あの時の俺、今こんなことをしてる時より集中してたんだよな
カードを手に取ってからは周りなんか目に見えてなくて、あの二人をどうするかでいっぱいだったし


('A`)「……俺、今日捕まるのかな」ガコン

34 ◆tDN4QF.obM:2013/06/07(金) 19:36:49 ID:XVp8R31Y0


ビー!! ビー!!
        ビー!!  ビー!!

(;'A`)そ ビクゥ!!


そんなことを考えていると、突然目の前のコンベアが止まり、警告音が鳴り響く

しまった、他のことを考えすぎてミスをしてしまった
そう思って部品の一個一個を入念にチェックしたが、どれも全てきちんと組み立てられている


('A`)「じゃあ誰が……「おいビロードぉ!!!!!」


工場長の怒号が響き渡り、どかどかという足音がコンベアの先から地面を伝ってくる
その先に目をやると、今年入ったばかりの新人が肩を震わせて、工場長に怒鳴られていた


「おまえなぁ、何度同じミスをしたら気が済むんだ、えぇ!?」

(;><)「え、あの、だって」

「だっても何も無いだろ!これで今月入ってから20回目だぞ!?20回目!
  こんなに組み立てる部の中で簡単なのはここだけなんだぞ、分かってるのか!?」

(;><)「うぅ……」


そういえばあいつ、あの場所に就いてからミスが多くなったなぁと考えていると、
ビロードは一瞬こっちを見ると、工場長に震え声で反論をした

35 ◆tDN4QF.obM:2013/06/07(金) 19:37:31 ID:XVp8R31Y0

(;><)「で、でも、僕、ここ、ぁあんまり得意じゃない、です……」

「……何ィ?」

(;><)「僕、ドクオ、さんのい、いるところが、一番、やりやすかった、んです……」

('A`)「……え?」


確かに少し前ビロードに此処の組み立てを教えはしたが、それでもミスは多かった
それにこの担当は全体の二三を争うくらいに難しいとされているところだ


「そんな訳あるか!!あそこは全体の二三を争うぐらい難しいところだぞ!?
  言うなればウチの工場でいう内臓!それをそんなミスが多くて任せられるか!!」

(;><)「うぅ……」


工場長が俺が思ったのと同じ言葉を口に並べ、青筋を立ててビロードを責めたてる
工場内はすでに凍り付いたように空気が冷たく、誰もがビロードと工場長の様子を見ていた

36 ◆tDN4QF.obM:2013/06/07(金) 19:38:13 ID:XVp8R31Y0

(;゚∀゚)「お、おい誰かアレ止めねぇの……?」ヒソ


気づくと俺の隣にはジョルジュが立っていて、誰が工場長を止めるかを相談してきた


(;'A`)「いや……だってお前あぁなった工場長止められるか?」ヒソ

(;゚∀゚)「……ムリ」ヒソ

(;'A`)「……だよなー」ヒソ


周りを見ても、どうやら俺たちみたいに誰が止めるのか相談する人はいても、
止めようと動く人がいないか見ている状況だ

これじゃあビロードがあんまりだ


(;'A゚)「……ッ!?」


そう考えていると、俺が昨日感じた、もう二度と感じないであろうと思っていた感覚がよみがえる。

世界はビロードと工場長、そして自分以外が再びモノクロになり、近くで話しかけていたジョルジュすらも
白黒で構成された人間になってしまっている。

そして、俺の前に現れたのは





 【説得】 【傍観】 【反論】 【便乗】 【謝罪】





(;'A`)「な……なんで……!?」


破り捨てたはずの、5枚のカード。
しかし、昨日見たときとはうって変わって、『傍観』以外はすべて変わっている。

37 ◆tDN4QF.obM:2013/06/07(金) 19:38:54 ID:XVp8R31Y0
カードに浮かぶ、1つ以外がすべて変わった、5つの文字。

俺とビロード、工場長以外が、同僚のジョルジュすらもモノクロな世界。

そして、破り捨てたはずのカード。


(;'A`)「……また選べってのか、この選択を」


この、5つの選択を。


to be >>41

38名も無きAAのようです:2013/06/07(金) 19:41:09 ID:vAHpDXog0
ksk

39名も無きAAのようです:2013/06/07(金) 19:41:56 ID:YApXRvuw0
説得

40名も無きAAのようです:2013/06/07(金) 19:42:12 ID:MHtjqJCM0
【説得】

41名も無きAAのようです:2013/06/07(金) 19:51:28 ID:6OP6FK9E0
謝罪

42名も無きAAのようです:2013/06/07(金) 22:19:33 ID:2nq6E.76O
おーい、続き早よっ!

43 ◆tDN4QF.obM:2013/06/07(金) 22:47:51 ID:XVp8R31Y0
【3】>>謝罪

(;'A`)「……」


俺は右手で一瞬『謝罪』のカードを取りかけたが、手を一度引っ込める。

違う。
ビロードが『謝罪』するならまだしも、これでは俺が謝ることになるではないか。


('A`)「やっぱここは『説得』か」スッ

('A`)「……」

(;'A`)「う、動かねぇ……!」


しかし俺の右手は、『説得』のカードの前でピタリと止まったまま、動こうとしない。

それどころか、先ほど取りかけた『謝罪』のカードにゆっくりと向かっているではないか。
どれだけ手を指を動かそうと必死になっても、全然いうことを聞いてくれない。
左手も動かそうと力を入れてみるが、こちらも動く気配がまるでない。


(;'A`)「と……止まれ!『説得』、『説得』だ!!」


とにかく『説得』に向かわせようと、叫び、もがき、意識を集中させたが、
右手はついに『謝罪』を掴み、思い切り引き抜いていく。


(;'A゚)「や……止めろおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」

44名も無きAAのようです:2013/06/07(金) 22:48:41 ID:bgS5favg0
続きあくしろ

45 ◆tDN4QF.obM:2013/06/07(金) 22:48:45 ID:XVp8R31Y0
 
 
 
 
 
  ・・・・・・

46 ◆tDN4QF.obM:2013/06/07(金) 22:49:28 ID:XVp8R31Y0

('A`)「……」


世界がすべて元通りになっていく

さっき俺はその世界の中で「『謝罪』するのを止めろ」と叫んでいたようだが、

なぜそう思ってしまったのだろう?


(;゚∀゚)「……おい、ドクオ?」


ジョルジュが気にかけたのを無視して、俺は二人の前に歩み寄る
工場長は俺に気が付いたみたいで、ビロードに叱るのを止めて俺を見た


「なんだドクオ!?俺はいまビロードを……」

( A )「」スゥーッ

47 ◆tDN4QF.obM:2013/06/07(金) 22:50:11 ID:XVp8R31Y0






(゚A゚)「すんっっませんっでしたあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!」







「はぁ!?」

(;><)「はっ!?」

(;゚∀゚)「ええええぇぇぇっ!!??」


決まった
カンペキな土下座だ

カンペキすぎて周りが明らかに動揺している
工場長ですら怒りのオーラをどこかに忘れて俺を「なんだこいつ」みたいな目で見ている


「いや、どうしてお前が謝るんd(゚A゚)「本当に、申し訳ありませんでしたああああああああああああああああああああああああああああああ!!!」

「いやだからお前g(゚A゚)「ビロードもおおおおおお、ほらあああああああああああああ!!!!」

(;><)「は、はいいいいいいいいいいいい!!!!」


(;><)゚A゚)「もう二度としませんのでえええええええええええええええ!!!!ゆるしてくださあああああああああああああい!!!!!」

48 ◆tDN4QF.obM:2013/06/07(金) 22:51:26 ID:XVp8R31Y0

それから何分経っただろうか




「すいませんでしたあああぁぁぁ・・・・・・」









(、'A`)「……」ガコン

(丶><)「……」ガコン


俺とビロードはあの後ひたすら謝った、もうそれは全精魂を込めて大きな声で謝った
ジョルジュに揺さぶられ我に返った時には工場長はもう消えていて、「ビロードはドクオの担当する
部品に試験的に配置する」と書かれていた紙だけがそこに置かれていた


(;、'A`)「あ、それ間違ってる……」ガコン

(丶><)「え……あ」ビー!! ビー!!

『おいドクオー、ビロードぉー……お前ら、今日帰っていいぞー……』


工場長の声がアナウンスで聞こえてくる
俺とビロードは黙って頷き、軽く職場の奴らに一礼をしてから工場内を後にした

49 ◆tDN4QF.obM:2013/06/07(金) 22:52:18 ID:XVp8R31Y0

(、'A`)「……」


黙って二人で着替える俺たち
ノックがドアから聞こえてすぐに、工場長が顔を出す


「ドクオ、お前どうした……?」


さぁ……俺も一体全体どうしたものか分かっていませんが


「……まぁいいや、俺も家族のことでピリピリしてたんだ、すまんな」


これは奢りだ、と休憩所のテーブルにコーヒーを2つ置き、そのままタバコを取り出して一服を始める


「ビロード」

(;丶><)「は、はぃ!?」

「お前次ミスしたら給料抜きな」

(丶><)「は!?……はい……」

「冗談だ、ドクオの給料から引かせてもらうから安心しろ」


何せ有望な社員希望だからな、と黄ばんだ歯をニカっと見せながら工場長は笑みを浮かべる
工場長、それは俺が困るわけなんですがそこについてはどうなんですか


「お前ら今日は早めに返してやるけどな、二度目はないぞ?ゆっくり休めよぉ『土下座ブラザーズ』!」

50 ◆tDN4QF.obM:2013/06/07(金) 22:53:24 ID:XVp8R31Y0

大声で笑いながら、工場長は去っていく
ていうかなんだ『土下座ブラザーズ』って、明日からそれ流行るのかよ止めろよ


(*><)「……プッ、『土下座ブラザーズ』ですってドクオさん!」

('A`)「いや笑えないぞ、つーか全部お前のせいだからな?」

(;><)「そ、そりゃそうですけど……」


( ><)「でも意外でした!」

('A`)「……あ?」

( ><)「何ていうか、ドクオさんって静かな人だと思ってましたから……」


『意外だ』と言われて俺は立ちすくんだ
波風の立たない『無難』な生活を望んだ俺に、その言葉は痛くしみ込んでくる


('A`)「止めろよ、俺は普通でいたかったんだ」

(;><)「そ、そうですよね、工場長止めるために仕方なくやったんですもんね」


ビロードは何か勘違いして受け止めたようで、
「それじゃあ明日から宜しくなんです!」と何度も礼をしたあとそそくさと帰ってしまった


('A`)「……ハァ、明日からマンドクセぇな……」

51 ◆tDN4QF.obM:2013/06/07(金) 22:54:05 ID:XVp8R31Y0

工場を出た後はコンビニに寄り、今日の夕飯になるコンビニ弁当を買って家に帰る
面倒事を避けるために今日は裏道を使って自宅に着いた

面倒事なんか早々起こる事もないと思うが一応保険だ


('A`)「いつもより帰る時間が遅くなった……」ハァ


俺は改めて出てきたカードを眺める
何度眺めてもそのカードは正真正銘俺が拾ってきたカードそのものだった

俺はとにかく細かく破り、灰皿の上にその破片を盛ってライターで火を着ける
これで今度こそこいつとはオサラバだ、もうあんな感覚にはならない


(;'A`)「……と思ったが、あれ?」


ところが、このカードはいくらライターで炙っても煙すら立ってくれない
どれだけ時間を掛けて火をかけようが何ともならないのだ

52 ◆tDN4QF.obM:2013/06/07(金) 22:54:46 ID:XVp8R31Y0




「無駄だお、そいつは『神様』が作ったカードだからね」




突然後ろから声が聞こえてきたので、俺は慌てて振り返る


(;'A`)「……!アンタ、たしか……!」


そこにいたのは




( ^ω^)「やあ、お久しぶりだお!」




昨日俺にぶつかってきた、デブのオッサンだった


第2話 「選択はつねに非常である」  続く

53名も無きAAのようです:2013/06/07(金) 23:03:12 ID:MHtjqJCM0

すげぇ面白い

54名も無きAAのようです:2013/06/07(金) 23:13:44 ID:Sn0PIDtA0
時間が止まる演出がいいわー

安価で進めるのは大変だろうが楽しみにしてる

55名も無きAAのようです:2013/06/07(金) 23:18:31 ID:cRgfF.920
おつ
やっぱおもしろい

56 ◆tDN4QF.obM:2013/06/07(金) 23:40:37 ID:XVp8R31Y0
処女作なので投下の時結構手が震えてますが、ちょっとした番外編投下します

57 ◆tDN4QF.obM:2013/06/07(金) 23:41:23 ID:XVp8R31Y0
【番外編】(*゚ー゚)と( ´_ゝ`)の人生の選択!のようです



そこそこ大きなバイクにちょこんと座り、男の人の肩にしっかりつかまる。
涼しい風がバイクの風も巻き込んで、薄着の私には寒く感じるほどに全身を包む。


(;´_ゝ`)「……」ブロロロ…

(;*゚ー゚)「……」ブロロロ…


バイクを運転している男の人は、さっき私を強引に連れ去ろうとしていた誘拐犯。
それが誘拐犯よりも変な男の人に気おされて、なぜか私からこの誘拐犯のバイクに乗っていた。

この訳の分からない展開に頭を冷やしたいところだけど、その前に身体が冷えてしまって仕方がない。


(;*゚ー゚)「あの……寒いんですが……」ブロロロ…

(;´_ゝ`)「ハッ!?あ、あぁ、そうだな、ゴメン」ブロロロ…


男の人は少し困った顔を見せると、ちらりとファミレスの看板に視線を送る。


(;´_ゝ`)「とりあえず、あそこのファミレスで暖まろうか」ブロロロ…

(;*゚ー゚)「あ、はい……」ブロロロ…


ファミレスのある方向へとウィンカーを出し、駐車場の適当な場所へとバイクを止める。
私はとりあえず誘拐犯の言う通りに、おぼつかない足でファミレスまで歩く。

彼はなんだか手を繋いだほうが良いのか、後ろから支えてあげたらいいのか分からない
というような感じで、ファミレスまで前に出てきたり後ろに下がったりしていた。

58名も無きAAのようです:2013/06/07(金) 23:41:41 ID:bgS5favg0
いいよ!来いよ!

59 ◆tDN4QF.obM:2013/06/07(金) 23:42:04 ID:XVp8R31Y0


(’e’)「いらっしゃいませー、2名様でよろしいですか?」

( ´_ゝ`)「はい、あ、禁煙席でお願いします」

(’e’)「かしこまりました、お好きな席にどうぞー」


ファミレスの中はちょうどいい感じに暖かくて、冷えた体に染み渡る。
私は誘拐犯の指示で窓際の席に案内されると、メニューを開いて私の前へとゆっくり差し出してきた。
どうやら、先にメニューを頼んでいいらしい。


(;*゚ー゚)「……あの」

( ´_ゝ`)「あぁ、なんか好きなの頼んでいいよ」

(;*゚ー゚)「で、でも」

(;´_ゝ`)「……もうあんなことはしないさ、それにここを出たらすぐ返すよ」


ちょっとトイレに行ってくる、と席を立つ誘拐犯。
私は彼がトイレに入った後、窓から見える建物からどこにいるのかをぼーっと考えてみる。
だけど、私の知ってるとこ建物が少ないところを見ると、けっこう遠いところまで連れていかれたみたいで。

警察に通報してもいいけど、寒いし、そういえばおなかも減ったしで、通報する気にもなれなかった。


(*゚ー゚)「……好きなの、頼んでいいんだよね?」ソワソワ

60 ◆tDN4QF.obM:2013/06/07(金) 23:42:53 ID:XVp8R31Y0

・・・・・・

(;´_ゝ`)「……あ、あのさ、しぃちゃん?」

(*゚〜゚)「なぁひ?あにしゃしゃん?(なぁに?兄者さん?)」

(;´_ゝ`)「いや、何ていうかこういうのもなんだけど」


(;´_ゝ`)「よく食べるね……」


数十分後、狭いテーブルの上にはところ狭しと食事が並んでいた。もちろん全部私のだけど。
兄者さんは遠慮しがちにコーヒーをすすりながら、私が食べる姿を眺めている。

テーブルに食事が来る前に、お互いのことについて軽く話した。
誘拐犯の名前は『兄者』さん。このファミレスの近くで働いている25歳。
そして私も自分の名前が『しぃ』という名前であること、現役の17歳の高校生であることを明かした。

そのあとしばらく沈黙が流れていたけど、次々と出てくる料理に驚いたみたいで、今に至るというわけだ。


(*`ー´)「ふん、私を誘拐しようとした罰だと思ってくださいよね!」エッヘン!

(;´_ゝ`)「反省してます(あぁ、俺の財布が軽く……)」

61 ◆tDN4QF.obM:2013/06/07(金) 23:43:35 ID:XVp8R31Y0

兄者さんはコーヒーを飲むのを止めて再び私の食事を眺めたかと思うと、
私にぽつりと呟くように話しかけてきた。


( ´_ゝ`)「……しぃちゃんさぁ」

(*゚〜゚)「はい?」

( ´_ゝ`)「俺の格好、どう思う?」


とりあえず頬張っていたスパゲティを飲み込んだ後、傷つけないように優しく感想を述べた。


(*^ー^)「チャラいです!」

(ill´_ゝ`)そ「ドストレート!!!」


ガクっ、とその場に突っ伏す兄者さん。
その拍子にミートボールが一つ転がっていくのが見えて、もったいないなぁと感じる。
兄者さんはしばらくそのままの体制でいたけど、その顔を上げた時に私は驚いた。


( ;_ゝ;)「やっぱ、俺は弟者には、なれないんだなぁ……」グスン

(;*゚ー゚)「な……泣いてるんですか……?」

62 ◆tDN4QF.obM:2013/06/07(金) 23:44:15 ID:XVp8R31Y0

……話を聞くと、兄者さんには『弟者』さんという人がいて、
自分よりもずっとかっこよく、女の子にもモテるというのだ。

そんな弟者さんについ最近、兄者さんが「お前は良いなぁ」なんて愚痴をこぼした時に、


(´<_、` )「じゃあ兄者も俺と同じ格好してみたら?モテルかもよww」


とほくそ笑んで言われたのを、その通り実行してみたというのだ。

結果は惨敗。
街にかり出てナンパをしても、合コンに誘われて行ってみても、
女の人には笑われるばかりだという。


(*゚ー゚)「それで、やけになって兄者さんは誘拐なんかを考えちゃったっていう……」

( ;_ゝ;)「ごめんなさい」


何ていうか、羨ましかったんだろうなぁ、弟者さんのこと。
兄者さん、けっこう純粋な性格してるみたいだし。

よし、ここは少しアドバイスをしてあげよう。

63 ◆tDN4QF.obM:2013/06/07(金) 23:45:20 ID:XVp8R31Y0

(*゚ー゚)「えっと、なんで『弟者さん』になりたいんですか?」

(;´_ゝ`)「それはさっきも言ったでしょ、弟者はカッコよくて……」

(*゚ー゚)「ストップ!」


(*゚ー゚)「私が言っているのは『どうして弟者さんになりたいか?』ってことですよ?
     兄者さんは兄者さんの性格があるし、顔も私から見れば悪くないと思うよ?」

(*゚ー゚)「だけど弟者さんを真似するあまりに、もともと持ってるいいところが全部ダメになってる。
     兄者さんは『弟者さんのようになりたい』んじゃない。『弟者さんになりたい』って思ってる」

( ´_ゝ`)「!……た、たしかにそうかも」

(*`ー´)「弟者さんみたいになりたいなら、まずは自分の一番似合う服を選ぶこと!」

(*゚ー゚)「そうだな、兄者さんならクールにキメたほうが似合うんじゃないかな?」


そのあとも兄者さんに似合いそうなファッションを次々と挙げていくけど、
当の本人は首を傾げていくばかり。


(;´_ゝ`)「……すまない、『ふぁっしょん』には疎いんだ……」

(*゚ー゚)「じゃあいつもどんな服着てるの?」

( ´_ゝ`)「ジャージ」

(;*゚ー゚)「……」

64 ◆tDN4QF.obM:2013/06/07(金) 23:49:02 ID:XVp8R31Y0

駄目だこの人。
こーいうタイプって私、どうしても手を焼きたくなるんだよね!


(#*゚ー゚)「もう!仕方がないなぁ兄者さんは!ほら行きますよ!」

(*゚ー゚)「あ、お勘定お願いしまーす!」

( ´_ゝ`)「行くって……どこに?」

(*゚ー゚)「決まってるじゃないですか!兄者さんのファッションセンスを磨きにですよ!」

(;´_ゝ`)そ「えぇ、今からぁ!?」

(*゚ー゚)「今から、って、まだお昼ですよ?ジャンジャン回っていきましょーよ、ジャンジャン!」



「ちょっと待って、まずはお金を下ろさせて!」

「お金なんか持ってなくても、見て回れれば面白いですよー!」

「でもそれ絶対買う流れになるじゃないか!!」

「なりません!……いやなるかも?」

「どっちだよ!?」


私は兄者さんの手を引いてファミレスを後にする。

こーいうのは男の人がやるものだけど……たまには私がやってみても、いいよね!



【番外編】(*゚ー゚)と( ´_ゝ`)の人生の選択!のようです おわり

65名も無きAAのようです:2013/06/07(金) 23:49:41 ID:MHtjqJCM0

爆発しろ

66名も無きAAのようです:2013/06/07(金) 23:52:47 ID:6OP6FK9E0


67名も無きAAのようです:2013/06/08(土) 00:28:09 ID:Sedk7DxI0
いいね、乙

68名も無きAAのようです:2013/06/08(土) 01:33:53 ID:Wm59KyNk0
こういう彼女欲スィ乙

69名も無きAAのようです:2013/06/08(土) 12:13:30 ID:ToJGyxCc0
イケメンはイケメンなんじゃないか…

70名も無きAAのようです:2013/06/08(土) 12:37:39 ID:FbZFnDNU0
なんだ、イケメン無罪か(ヽ´Д`)

71名も無きAAのようです:2013/06/08(土) 13:47:37 ID:IazPDbzo0
おのれ……

72 ◆tDN4QF.obM:2013/06/09(日) 13:11:32 ID:LNtDV8Xo0
投下します
選択後の投下は明日以降になるのでご了承ください

73 ◆tDN4QF.obM:2013/06/09(日) 13:12:34 ID:LNtDV8Xo0
【1】

俺の前に突然現れたかと思うと、意味不明なことを話すデブのオッサン
あまりの意味不明、電波な話につい口が半開きになる、つーかなんで仁王立ちなんだオッサン


( ^ω^)「あーそうそう……君さぁ、そのカード返してくれるかな?」


オッサンは先ほどまでカードを炙っていた灰皿を指さす
おかしい、さっき細かく破いたはずなのにいつの間にかカードが傷一つなく元通りになっている

だが、これで俺に『無難』な日常が戻ってくると分かったので、ほっとして5枚のカードを返す


( ^ω^)「……」


何故かオッサンはカードを受け取っても何も言わない、それどころか顔はだんだんと青ざめていくようだ


(;^ω^)「……君さ、もしかして……体験した?」

('A`)「何を?」

(;^ω^)「ほら、アレだよ、……『世界が変わる感覚』ってやつ?」

('A`)「あー、うん二回ほど」

(;゚ω゚)「なっ!」

74 ◆tDN4QF.obM:2013/06/09(日) 13:13:15 ID:LNtDV8Xo0


「なんだってえええぇぇ!!?」


∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵



        ('A`)人生は選択だ!のようです 第3話



∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵

75 ◆tDN4QF.obM:2013/06/09(日) 13:13:55 ID:LNtDV8Xo0
【2】

( ;ω;)

(;'A`)


なんか大声を出したかと思うと、めそめそと泣き出すオッサン
とりあえず気まずいのでさっき工場長から貰った缶コーヒーをオッサンの前に差し出す

オッサンは泣き声で「ありがとう」というと、缶を開けて一気に飲み干す


( ^ω^)「……ふぅ、落ち着いたお」

( ^ω^)「紹介が遅れたお、僕は『神様』の使いをやってる『天使』、ブーンだお」


落ち着いたかと思うと、再び電波な話を始めるオッサン、もといブーン
驚いた、『天使』ってもっと可愛い女の子がやってるもんだと思っていたがこんなオッサンもなれるんだな

俺の名前を聞かれたのでドクオであること、ここの近くにある工場で勤めていることなどを自己紹介する


( ^ω^)「ふむ、僕の事や神様の事は後で話すとして……今ドクオが置かれている状況について話すお」


ブーンは目を伏せてから軽い深呼吸をして、俺に満面の笑みで向き直る


( ^ω^)「おめでとう! ドクオ くんは しゅじんこうに レベルアップした! ▼」

('A`)「……」

(;^ω^)「ちょ、ちょっと、無言で灰皿をもって振りかぶろうとするのは危ない!」

76 ◆tDN4QF.obM:2013/06/09(日) 13:14:57 ID:LNtDV8Xo0

('A`)「……で?俺が主人公になったとはどういうことだよオイ」ブン

( ゚ω゚)「そのままの意味だお、って振りかぶった!!」


ブーンは間一髪俺の攻撃を避けると、落ち着いてと言わんばかりのジェスチャーをする
ぶん殴っても何も変わらないだろうし灰皿を手元に置き、とりあえずブーンの説明を聞くことにする


(;^ω^)「はぁ、全く気性が荒いおドクオさんは……」

( ^ω^)「いいかお?もともとこのカードは死後の罪人同士を戦わせる、
      天界で一番白熱するカードバトル『ソーサク血戦』のカードなんだお」

('A`)「おいそれじゃ天界、つか天国ってそんな物騒なのかよ」

( ^ω^)「いつまでもほのぼのしていられるほど天界も阿呆じゃないお、下手すりゃ地獄より血気盛んだし」


昨日や今日の件で早々天国には行けないんじゃないかと思っていたが、話を聞いたら死ぬのが怖くなってきた
ため息をついているうちにブーンは話を続ける

77 ◆tDN4QF.obM:2013/06/09(日) 13:16:18 ID:LNtDV8Xo0

( ^ω^)「本来これは血気盛んな『罪人』に使用して、
      攻守ともに敢えて『手段』を制限することで戦略性を上げる役割を果たしているんだお」

( ^ω^)「当然、戦うためには動かなきゃいけない……
      血戦の組み合わせ次第では万引き犯VS万引き犯ていう動かない典型的な組み合わせだってよくあるお」

( ^ω^)「だから、『身の回りで波風を立たせる』。
      ……血戦中ならヤジが飛ばされるとか、酷いと親を殺したという嘘の記憶が盛られることだってあるお」

( ^ω^)「ドクオは世界が変わったその二回ともに、何かあったんじゃないかお?」


たしかに世界が変わるその前に、俺はトラブルに巻き込まれていた
おそらく人生で経験することがないであろうトラブルや、あっても何もしそうにないことなんかも


( ^ω^)「よくある典型的な主人公は、『普段なら見過ごす、ありえない』トラブルに巻き込まれる。
      ……そのカードには、そんな効果があるんだお」

( ^ω^)「そのカードを、『罪人』でもない、ましてや僕たち天界の人間でもない『人間』が使ったら」

(;'A`)「……今まで過ごしてきたような日常が、『平凡』な毎日が送れなくなるのか……」ハァ

( ^ω^)「……」


正直この話は心に堪えるものがある
俺はテーブルに手をついてうなだれる、もう静かには暮らせないんだな

ブーンはそんな俺の様子を黙って見ていた

78 ◆tDN4QF.obM:2013/06/09(日) 13:17:35 ID:LNtDV8Xo0

そういえば、と俺は顔を上げてなぜカードが返せないのかブーンに問いただす
ブーンは何か気付いたような顔をすると、「そのことなんだけど」と再び話し出した


(;^ω^)「どうやら僕より上の存在……『神様』が、そのカードを使っちゃったみたいなんだお」


ブーンの話によると、プリントされたカードの柄で『天使』が使ったか『神様』が使ったか分かるらしい
『天使』が選んだ罪人には『青いチェック柄』に、『神様』が選んだ罪人には『赤いチェック柄』に変化するようだ


( ^ω^)「本人は『自分で選んでる』と錯覚する時もあるみたいだけど、
      実際は僕たち『天使』や『神様』がその『手段』を選んで行動させる……その『選択』は絶対だお」

( ^ω^)「そして一度使用したら、その人が『ソーサク血戦』で優勝するか……死ぬまで『手段』の選択を迫られる」


ビロードと謝罪したあの時、俺が『説得』を選べなかったのはそのためか
しかしどんな神様が俺にその選択を選ばせたのかをブーンに質問すると、彼は困った顔をする


  _,
(;^ω^)「どんな神様が、と言われても……神様と言っても多種多様な神様がいるんだお?
      その内の一人がたまたまカードを拾ったドクオを見つけて、面白そうだと使ったとしか……」


なるほど、その神様は『面白そうだ』という安直な理由で使ったのか、実にクソッタレな神様だ
多分どこかで見ているんだろうが、今目の前に顔を出して来たらぶん殴ってやりたい

79 ◆tDN4QF.obM:2013/06/09(日) 13:18:53 ID:LNtDV8Xo0

( ^ω^)「もしその『選択』ばかりの人生から逃れたいのなら、一つだけ方法があるお」

('A`)「『ソーサク血戦で優勝する』……だろ」

(;^ω^)「お……そうだお」


さっきブーンが言っていた言葉の中に入っていたからすんなりと答えてやる
正直死にたいと思うことは多々あるが、自殺する気はさらさら無いので死ぬのは論外だ


('A`)「でもそのソーサク血戦って戦わなきゃいけないんだろ?……人なんか殺せないぞ俺」

( ^ω^)「戦いはするけど自らの手で殺すことはないお?
      いろんな戦う方法があって、それで相手を負けさせることが重要なんだから」


ブーンによると、対戦相手次第では頭脳戦だったりただの鬼ごっこになることもあるらしい
その中でもいちばん盛り上がるのが戦闘のようだ

さらに罪が軽い等、不利であればあるほど自分でその対戦方法を選ぶことが出来る事が多く、
現世を生きている『人間』、つまり俺が大会に参加すればほぼ全試合の対戦方法を選べるという

80 ◆tDN4QF.obM:2013/06/09(日) 13:19:45 ID:LNtDV8Xo0

( ^ω^)「で、どうするおドクオ君?損はないと思うけどねー」


ブーンがニコニコ笑いながら俺にどうするのか聞いてくる。
ほぼ全試合を簡単な対戦方式にすれば、罪人相手でも優勝することだって可能だ。


('A`)「でも、俺マンドクセぇの嫌いなんだよな……このカード持っててもマンドクセぇけど」ハァ

( ^ω^)「お、でも君を選んだ『神様』は参加するかどうか『選択』してほしそうだお?」

('A`)「……あれ?」


気付くと世界がモノクロになっている。つーかなんでその世界で普通に喋ってるんだ
ブーン曰く「天界の人間にはこの世界は関係ないお」、らしい。

ブーンが手元に寄せていた俺のカードと手渡してきたので見てみると、



 【参加】 【参戦】 【検討】 【不参戦】 【不参加】



(;'A`)「……同じ意味のあるやつが2つあるように見えるんだけど」

( ^ω^)「事実上参加するか?しないか?それとも時間がいるか?の3択だおね」

81 ◆tDN4QF.obM:2013/06/09(日) 13:20:48 ID:LNtDV8Xo0

('A`)「……まぁどちらにせよ、俺には選べないんだ」


いや、結局手を伸ばして引き抜くのは俺になるんだが細かいことはどうでもいいさ。

姿も名前も知らない『神様』がどう答えを出してくるかは知らないが、


('A`)「とりあえずこの5つから、選んで行きますかー」


to be >>83

82名も無きAAのようです:2013/06/09(日) 13:22:28 ID:LkAnQypI0
参加

83名も無きAAのようです:2013/06/09(日) 13:23:00 ID:xxQbaxF.0
不参戦

84名も無きAAのようです:2013/06/09(日) 13:33:47 ID:L.H3WHx60
物語にあるまじき展開キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!

85名も無きAAのようです:2013/06/09(日) 15:52:24 ID:dk2iux/k0
>>83
っおいっっ!!

86 ◆tDN4QF.obM:2013/06/09(日) 17:19:37 ID:ImfLfD660
やってくれましたねフフフ、フフフ……
考えておきます

87名も無きAAのようです:2013/06/09(日) 17:35:17 ID:LkAnQypI0
ギガゾンビ的なあの展開になるのか

88名も無きAAのようです:2013/06/09(日) 17:52:00 ID:ZQiF5xyA0
不参加wwwwwwww

どうなるんだろうすごく楽しみ

89名も無きAAのようです:2013/06/09(日) 20:40:58 ID:1R/Bd4v.0
おまwwww

続き楽しみwwww

90 ◆tDN4QF.obM:2013/06/10(月) 02:28:43 ID:rH.F8I/I0
【3】>>不参戦

('A`)「……」

(;^ω^)「……」


世界が元に戻っていく
俺が手を伸ばした先、それは『不参戦』のカードだった

ブーンはただ俺の選択したカードを見つめ、そして俺へと視線を合わせる
目を合わせてから、俺は少しだけ笑顔を見せる


('∀`)「……大丈夫だよブーンさん、俺は正直な気持ちで選んだんだ……
    それにこのカードは何が選ばれるか分からない、優勝なんて出来っこないんだ」

(;^ω^)「で、でも……」

('A`)「カードを勝手に使ったことは謝るよ……でもこんな平々凡々な日々を歩んできた
    俺に刺激的な毎日が送られるようになって、俺はとても感謝しているんだ」

(;^ω^)「……それが君の、本心かお……
      本当の君の心は、どう思ってるんだお……!」

('A`)「残念ながらこれが本心だよ、ブーンさん
    『天使』はそんな簡単なことも分からないのか?なら一度『人間』になってみたらどうだ?」

91 ◆tDN4QF.obM:2013/06/10(月) 02:29:25 ID:rH.F8I/I0

俺は素直に思っていることをブーンに伝える
ブーンの表情がその言葉を聞くたびに曇っていくのが俺みたいなものでもよく分かった

やがてブーンは立ち上がったかと思うと、哀しい目をして俺を見る


( ^ω^)「……今日は帰らせてもらうお、気が変わることがあったらまた来るお」

('A`)「気なんて変わらないから早く帰れよマンドクセ」ハァ


見送りはしなかった、ただ黙って帰るブーンの後姿を見ることしかできなかった


('A`)「……ゴメン、ブーンさん」


玄関のドアが閉まるか閉まらないか、それくらいの時に聞こえないようにブーンに謝る
扉が閉まった後には、途方に暮れた俺と遠くで響く電車の走る音しか聞こえなかった

92 ◆tDN4QF.obM:2013/06/10(月) 02:30:06 ID:rH.F8I/I0

('A`)「……」


布団も敷かずに仰向けになり天井を見つめている俺は、ふと物思いにふけっていた

『本当の俺の本心』はどこにあるのだろう

子どもの頃はなんにでもなれると思っていた
大人になるにつれて夢を現実に押しつぶされることが多くなり、気づけば『無難』な生き方を望んでいた


『本当の俺の本心』はどこにあるのだろう
俺はもう一度考える

こんなカードでいとも簡単に本心が作り出されるという現実に落ち込んでいるが、
そもそも俺にはそのカードの意思を捻じ曲げてまで叶えたい思いや出来事があっただろうか


('A`)「……このカードの『意思』を捻じ曲げたその先には、俺の本心が待ってるんだろうか……」

93 ◆tDN4QF.obM:2013/06/10(月) 02:30:47 ID:rH.F8I/I0





( A )「……」

94 ◆tDN4QF.obM:2013/06/10(月) 02:31:27 ID:rH.F8I/I0
【4】

「今日をもって、会社を辞めるだぁ!?」


翌日、俺は工場長の前に立ち、辞表を提出していた。

工場長は驚きを隠せない様子で辞表と俺の顔を交互に見ながら、明らかに動揺した声で答える。


('A`)「はい、ビロードには適当な人材を充てておいてください」

「ンなこと言ってもお前、昨日の今日で辞めるとはどういう風の吹き、ま、わし……だ……」


世界がモノクロに変わり、工場長と俺だけが色づく。
手元には、5枚のカードが文字を浮かばせて輝いている。




 【謝罪】 【無視】 【弁明】 【虚言】 【抗弁】




('A`)「……>>98

95名も無きAAのようです:2013/06/10(月) 03:56:10 ID:lztVNzWA0
ksk

96名も無きAAのようです:2013/06/10(月) 07:51:46 ID:hyUfYDWk0
ksk

97名も無きAAのようです:2013/06/10(月) 08:03:26 ID:oIqKIoWI0
kskst

98名も無きAAのようです:2013/06/10(月) 08:17:32 ID:wd6uWs9g0
抗弁

99 ◆tDN4QF.obM:2013/06/10(月) 12:29:15 ID:rH.F8I/I0
>>抗弁

('A`)「……うんざりなんですよ」

「なんだと?」

('A`)「ビロードの件についても、俺はあんたを止めるためにやったんだ
    もう工場長に振り回されるのはゴメンなんですよ」

('A`)「それとバイトに弁償させるのはどうかと思いますよ?その気になれば訴えることもできますし」


次々と会社に対して文句が浮かび上がり、それを次々と口にする
言葉に出すたびに会社への不満が溜まり、本当にこの会社が嫌な会社だったような、
ではなく、嫌な会社だと再認識させられる


「……もう、いい!!その顔二度と見せるなよ!!
 辞めるからにはこの工場の事は外に出たら何も話すな!分かったか!?」

('A`)「はい分かりました、今までありがとうございました」


一礼をしてから、工場長がいる部屋を後にする
……工場長、俺はこのカードで迷惑を掛けたくないから辞めるんだ

工場のみんな……元気でやれよ


(;゚∀゚)「……ドクオ……お前どうしちまったんだ……?」

100 ◆tDN4QF.obM:2013/06/10(月) 12:29:55 ID:rH.F8I/I0

家に帰ってから俺はテーブルにカードを広げ、一人呟く


('A`)「……俺には心から『自分で変えたい』と思ったことがなかった」

('A`)「めんどくさいだけだし、何より『平凡』に生きたかったからな」

(#'A`)「なぁ、顔を見せないクソッタレな『神様』よぉ」

(#'A゚)「もうめんどくさいなんて俺は言わねぇ!俺はいつかテメェの『選択』を捻じ曲げてやる!」

(#'A゚)「誰かに選ばれる人生なんかまっぴらごめんだ!俺は俺の選ぶ人生にしてやる!」


俺がカードに向かって叫ぶと、カードは俺を馬鹿にするように選択が浮かび上がる




 【無理】 【無謀】 【無意味】 【不可能】 【無駄】




(#'A゚)「……っ!!」

「この……クソカードがああああああああああ!!!!」



第3話 「抗えない選択と足掻こうとする男」 続く

101 ◆tDN4QF.obM:2013/06/10(月) 12:39:17 ID:rH.F8I/I0
あっ 人生 選択!

ソーサク血戦書きてぇ

フラグブレイクって すげぇえげつねぇと思うんですけど

結構 思い通りに行くと思ってたじゃないですか

創作版ってやばいっすか?

うわぁ 頑張ろう

有名作者になろう

頑張ります

102名も無きAAのようです:2013/06/10(月) 13:52:23 ID:YOQy2WqI0
頑張れwww

103名も無きAAのようです:2013/06/10(月) 14:16:54 ID:vG7YfFXs0
それが安価よ

104名も無きAAのようです:2013/06/10(月) 15:20:04 ID:YnvEvfkk0
安価で打ちきりくらった有名作品もあるからな

105名も無きAAのようです:2013/06/10(月) 15:20:38 ID:hyUfYDWk0
書きたかったなら何故安価にしたwww

106名も無きAAのようです:2013/06/10(月) 17:01:26 ID:uR4XQ1/s0
ここで、便利な夢オチ登場

107 ◆tDN4QF.obM:2013/06/10(月) 19:52:19 ID:rH.F8I/I0
【気分転換の再安価】※いわゆる番外編です

>>9から

これは助けないとだめだよな、とか、以下略、とか、
そして無意識に俺は手にしていたカードを眺めると、真っ白な面に文字が浮かんできたのだ。




【救出】 【逃走】 【――】 【無視】 【傍観】




(;'A`)「な……なんじゃコリャ……!?」

('A`)「って、あれ?一つ黒塗りされてあるぞ?」


どうやら【協力】はつかえないようだ、なんでそのカードが『協力』だと分かるのか分かんないけど

カードに浮かぶ、以下略。


('A`)「>>109さんお願いNe!!」

108名も無きAAのようです:2013/06/10(月) 19:56:10 ID:GkOrwfC60
逃走

109名も無きAAのようです:2013/06/10(月) 20:06:52 ID:Zt2tcvaI0
無視

110 ◆tDN4QF.obM:2013/06/10(月) 20:22:19 ID:rH.F8I/I0
>>無視


('A`)「……」

(;*゚ー゚)「誰か助けて、誰かー!!」

('A`)「……」スタスタ

(*゚ー゚)「あ、そこのお兄さんたすkアレ!?なんで行っちゃうの!?」

('A`)「……」スタスタ

(;*゚ー゚)「お願い!助けてちょっと行かないで!助けろって言ってんだろテメー!!」


俺は何も見なかった、見てなかった
そういうことにしておこう

おわり

111名も無きAAのようです:2013/06/10(月) 22:31:26 ID:jID30I2k0
oh ……

112名も無きAAのようです:2013/06/11(火) 15:26:14 ID:Sr6qddO20
次回から毎回、ソーサク決戦へ参加するのカードが紛れ込むんだよな

113名も無きAAのようです:2013/06/11(火) 15:41:04 ID:TZTKwZCQ0
そしてこんなときばっかり空気読んで参戦させないお前ら

114名も無きAAのようです:2013/06/14(金) 20:30:19 ID:V4h0YDuw0
改めてチートの奴って凄かったんだなと

115 ◆tDN4QF.obM:2013/06/19(水) 05:09:43 ID:C73lRth20
どうも久しぶりに僕です、今回は選択が無いのでご了承ください

116 ◆tDN4QF.obM:2013/06/19(水) 05:10:25 ID:C73lRth20
【0】

私は素晴らしいおもちゃを手に入れた。

偶然、本当に偶然の事象が起こって、彼はカードを手に入れ、私はついに『選択』出来る。


『人間を生涯死ぬまで5択のみで選ばせ続けたらどうなるのか?』


人間界でいう『ゲーム』のようなそれは、私の心を昂らせ、

心が見えなくて、操作できるということが、私の至福になる。

それでは、『ゲーム』を始めよう。リセットはないが、きっと私を満足させてくれる。

短い間だがよろしく頼むよ、ドクオ君。

117 ◆tDN4QF.obM:2013/06/19(水) 05:11:06 ID:C73lRth20
∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵



        ('A`)人生は選択だ!のようです 第4話



∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵

118 ◆tDN4QF.obM:2013/06/19(水) 05:11:56 ID:C73lRth20
【1】

〜〜天界の酒場〜〜

ザワ
    ザワ

「おい聞いたか?人間の話……」

「聞いた聞いた!ソーサク血戦『不参加』だってな……!」

(;^ω^)「……」


僕がドクオからソーサク血戦の不参加を言われた10日後(天界基準、人間界では約1か月後)、
何故か天界の民衆の間ではドクオの話がじわじわと広がっていた。

もちろん僕はドクオのことなど口にはしなかったし、口を開いたとしてもただ一人にしか話していない。


ξ;゚⊿゚)ξ「はぁ、すっかり広まっちゃってるわね……」

(;^ω^)「……」


いま僕の横で不安そうに話しているのが、同じ天使のツン。
先ほど言ったドクオの事はツンにしか話していないし、
彼女が言いふらすような性格じゃないことは80年も前から知っている。

119 ◆tDN4QF.obM:2013/06/19(水) 05:14:01 ID:C73lRth20

(;^ω^)「……おそらく、ドクオのカードの所有者が言いふらしているんだろうね」


ソーサク血戦に『罪人』以外の存在である『人間』が参加することは珍しくはない。
数百回にも及ぶ過去の対戦では10回ほど人間が参加したことがあり、みな優勝している。

原則『罪人』を参加させることが条件なので、いずれも僕のように何かしらのドジを踏み、手違いでカードの契約を成立させた者たちだ。
その『人間』たちはみな一様にソーサク血戦への参加を承諾して、呪いとも言えるカードの選択を解いたという。

だが今回はその真逆。
前例の無い出来事に、天界の民衆はざわついているのだ。

ザワ
   ザワ

「最近人間が参加したのがなんだっけ?中世の剣闘士だよな?」

「そうそう!あの頃はよかったなぁ、最近の『罪人』はヒョロくてかなわない……」


民衆はカードを落とした張本人である僕には一切話しかけてこない。
おそらくこれもドクオの行動を選んでいる本人が、「私が選んだ」と騒いでいるせいだろう。

ツンも一緒に酒場に足を運んだのは、そう騒いだ本人の情報を少しでも得るためだ。


( ^ω^)「ツン、僕は向こうの席を、君はこっちをお願いするお」

ξ゚⊿゚)ξ「分かったわ」

120 ◆tDN4QF.obM:2013/06/19(水) 05:14:45 ID:C73lRth20

ツンがテーブル席に聞き込みに行ったのを確認してから、僕はカウンターの席に向かい、客に話しかける。


「何?あぁ、人間の事ならコイツが喋ってたよ」

「え?俺は向こうの奴から聞いたよ?」

「いやぁ、周りの奴らが騒いだのを聞いただけだしなぁ」


が、帰ってくる返答は曖昧なものばっかりで、たどり着けそうな情報は見つからず仕舞い。
一通り聞き終わった僕は、ため息を吐きながらカウンター席に座る。
少ししてからツンが僕の横の席に腰を下ろしたが、いまいち晴れないような顔をしている。


ξ‐⊿‐)ξ「駄目ね、みんな周りからの情報みたい」

( ^ω^)「ツンのところもかお……」


二人で一緒にため息を吐きつつ、とりあえずカクテルを2つ頼む。
瑠璃色のカクテルが置かれてすぐに、僕は一気にグラスを空けた。

121 ◆tDN4QF.obM:2013/06/19(水) 05:15:26 ID:C73lRth20

ξ゚⊿゚)ξ「……ねぇ、ブーン」


どうしたらドクオのカードの所持者に会えるのだろう、と悩んでいると、ツンが僕の肩を軽くたたく。


( ^ω^)「なんだお?」

ξ゚⊿゚)ξ「今更でなんだけど、なんで人間のために動くわけ?」

( ^ω^)「それは……」

ξ゚⊿゚)ξ「やっぱ、負い目を感じてるの?あの時落としてなかったら……なんて」


ツンの言う通り、どこかで負い目を感じているのも確かだった。
僕が急いでなければ、ドクオはあのカードを拾うことなどなかったわけで。
でも僕が一番負い目を感じているのは、その先にあるものだった。


( ^ω^)「でも僕は、もめ事が日常でよく起こるようになって、それを限られた選択で……
      それも下手をすれば犯罪や、最悪死ぬことが起きるような選択を迫られる人生にされるのが嫌なだけだお」

( ^ω^)「それに……彼にも、申し訳が立たないお」


空になったグラスを揺らしながら、
いつかドクオが言っていた『人間』の目線で考えるキッカケを作ってくれた『罪人』と会った時をツンに話す。

122 ◆tDN4QF.obM:2013/06/19(水) 05:16:13 ID:C73lRth20
【2】

〜〜時は少し遡り〜〜


( ^ω^)「……」


僕は不参加を宣言したドクオと別れたその後に、監獄国ソーサクの面会室にいた。

天国にもいくつか国が分かれており、その中で
ソーサク血戦で使われるこの国『ソーサク』は、『罪人』を収容するいくつもの監獄が空中に浮遊している。

その時僕は、もともとソーサク血戦で一緒に戦うはずだった男の元に面会に来ていた。
透明な仕切りで隔たれた白い部屋の扉から見える、暗い空間の向こうから、ゆらりと姿を現す。


(´・ω・`)「……お久しぶり」


『殺人鬼』、ショボン。
彼がまだ『人間』の軍人であった頃に、そう呼ばれていた。
国のためとはいえ、彼が戦争で殺した数は実に600人を超え、そのうちの半数がナイフでの格闘によるものだったという。

そんな彼にも妻がいて、子どもがいた。
戦争が終結したあとに平和に暮らせると思っていた彼は、その命を張った国に危険人物として判断され、
同じような戦績を残した人間を乗せた車に乗せられて、もろとも底が深い崖から落とされ、死んだ。

僕はそんな彼の実力と、彼自身の性格に惚れてソーサク血戦に望むはず、だった。

123 ◆tDN4QF.obM:2013/06/19(水) 05:21:57 ID:C73lRth20

( ^ω^)「……僕の不祥事で、カードを落としてしまったお」

(´・ω・`)「そう……それで、そのカードは見つかったのかい?」

( ^ω^)「見つかったお、だけど、すでに……別の『神様』に使われたお」

(´-ω-`)「……そうか」


ショボンが、悟ったように瞳を閉じる。
ソーサク血戦には参加期間があり、ショボンはその回に参加できない場合、すぐにでも輪廻の輪の中に戻される立場だった。

僕はその時まだ参加する罪人が決まっておらず、時の流れが遅い人間界でツンと一緒に罪人の情報を探していたのだ。
一向に現れない参加者が現れ、僕の心は躍った。と同時に、契約に向かわないとという焦りと、参加応募に間に合うかどうか分からない時間だった。

その結果が、この状況を作っている。


( ^ω^)「……すまないお」

(´・ω・`)「何、君が謝る事なんてないさ」

(´-ω-`)「……ただ、もう一度だけ妻と、子どもに会いたかったかな……」


彼の願いは、『妻と子どもに会って、一緒の時間を過ごしたい』というものだった。

罪人は原則で長い間生き返る事は出来ない。
その期間を過ぎるか、犯罪行為をひとつでもすると元の場所に戻されて、輪廻の輪の中に戻っていく。
優勝しても罪人は罪人。いわゆる『最後に夢を見せてやる』のが、このソーサク血戦なのである。

124 ◆tDN4QF.obM:2013/06/19(水) 05:23:23 ID:C73lRth20

僕は少しでも彼の夢に、期待に添えなかったことが悔しくて。
カードを拾ったドクオのこと、それを使った神様を恨んだ。

天使が誰かを恨むなどあってはならないことだ。
僕と彼の会話を聞いていた監察官の天使が、僕から視えた『負』のオーラを感じてこちらを見たので、慌てて考えを改める。


(;^ω^)「ぼ、僕はそのカードの所持者……『人間』と話をしたんだお、『血戦に参加しないのか?』って」

(´・ω・`)「へぇ。 それで、その人は何て?」

( ^ω^)「……『参加しない』、そうだお」

(´・ω・`)「参加したくなかったのか?罪のない生きている『人間』なら優勝なんか簡単なのに」

( ^ω^)「いや……僕は彼から本心が感じ取れなかったお……
      何ていうか、神様の言いなりになっているような、そんな感じで」


ショボンは信じられない、といったように眉をひそめながら考えるような仕草をする。
僕はそれに付け加える様に、ドクオが「これが本心だ」と告げたこと、僕に『人間』の立場になって見ることを勧めたことを話す。
ショボンは僕の話を黙って聞き、時折何かに納得するように頷くと、顔を上げる。

125 ◆tDN4QF.obM:2013/06/19(水) 05:24:29 ID:C73lRth20

(´・ω・`)「彼は随分、平和な世界で育ってきたんだな……それも何もかもが充実したような世界みたいだ」

(´・ω・`)「充実することは良いことだ。僕たちもそのために戦争で勝利を勝ち取ったのだから」

(´-ω-`)「だが……充実し過ぎた世界となれば話は別だ……何もかも満たされると人は何もやろうとしなくなる」

(´-ω-`)「結果、彼は心が決めたことで動くことがない。いや、その世界の人間は何人もそんなのがいるだろうな」

(´・ω・`)「それじゃ神様に良いように操られて当然だ……
      彼が叫ぼうが、わめこうが、本心から思ったことが無いなら、何も変えることができない」

(´・ω・`)「そんな彼には、丁度いい薬になると僕は思うけどね」


でも、血戦中ならともかく、ドクオは一生を限られた選択で過ごさなければいけないじゃないか。
そう言おうと身を乗り出そうとすると、僕の言わんとすることが分かっていたようにショボンは手で『待った』を作る。


(´・ω・`)「ただ、一生そんな生活は送れない。僕だって妻子を危険にさらすような生活になったらと考えるだけでゾッとする」

(´・ω・`)「だからブーン、君が彼を救ってくれ」

(;^ω^)「そんなことを言われても、あのカードは人間が死ぬまで効果が続くんだお?どうやって……」

(´・ω・`)「それを君が考えるのさ。この血戦を作った神様は、こうなることを事前に想定していたはずだよ」


確かに、このソーサク血戦を作った神様なら、何か対策を練っている可能性は十分にある。
しかし、どうして対策を練っていながら敢えて僕ら天界の人間には何も言わなかったのだろう。

126 ◆tDN4QF.obM:2013/06/19(水) 05:25:10 ID:C73lRth20


( ^ω^)「……まさか」


(´・ω・`)「そう……恐らく君が考えたのは……」


「そろそろ時間だ」


ショボンが答えを口に出す前に、監視官が時間を告げる。
……この面会が終われば、ショボンは恐らく、新しい何かに生まれ変わるために消えるだろう。
ショボンもそれが分かってるのか、一瞬どこかもの哀しげな表情をする。


(´・ω・`)「それじゃあ、さようなら」

(;^ω^)「……っ!」

(´・ω・`)「そんな顔するなよ、『罪人には深く関わるな』、これはソーサク血戦の掟にもあっただろう」

(;^ω^)「ショボン……」




(´ ω `)「出来ることなら……妻と子どもに宜しく伝えておいてくれ」

(´・ω・`)「そして……彼のことも、頼んだよ」


ショボンが、再び暗い空間に吸い込まれるように消えていく。

僕はもう何も言えず、ショボンの後姿を眺めているだけだった。

127 ◆tDN4QF.obM:2013/06/19(水) 05:25:52 ID:C73lRth20
【3】

ξ;゚⊿゚)ξ「……ちょっと待ってよ」


ツンが焦燥とした表情で僕を見る。
おそらく、僕の話の中で、ショボンが言いたかった答えがツンにも浮かんでいるのだろう。


ξ;゚⊿゚)ξ「ってことは、あんた分かってたの?分かっててこんな聞き込みを……」

( ^ω^)「……確信が、無かったんだお」

( ^ω^)「でも、もし『彼女』がこんなことを考えていたら、と思うと……」

ξ;゚⊿゚)ξ「……あり得ない、わね、たしかに……」

ξ;゚⊿゚)ξ「でも、もしそうだとしたら、狂気じみてるわ」


僕らは酒場の人間に聞こえないように、しかしお互いが聞こえるようにハッキリと、『彼女』の名前を告げる。



( ^ω^)「彼女の名前は……」
ξ゚⊿゚)ξ「彼女の名前は……」



.

128 ◆tDN4QF.obM:2013/06/19(水) 05:26:38 ID:C73lRth20
【4】


( A )「……」


あれから一か月
俺は、極力一日を寝て過ごすことにした

寝てればどんな選択が出たってかまうものかという俺なりの意地だった
時折窓の外であったり、玄関前であったり、夢の中ですら何かが起こっているような気がしたが関係ない
ただひたすら目を閉じた


( A )「……」

('A`)「……ハラヘッタ」


ただ寝て過ごす、しかし何時間も寝ていられるわけじゃない
腹も減るし、トイレにも行きたくなる
そんな時は仕方がないから何も音がしていないことを確認してから動くようにする

今のところ幽霊に出会うとか、ポルターガイストが起こるとか言った超常現象は出会っていない
おそらくそこまで強力な力は備わっていないのだろう、わざとそうしてるかもしれないがそこは考えないことにする

俺は何もないことを確認して、キッチンに置いてある買いだめたカップラーメンを漁り、封を開けてお湯を張る

129 ◆tDN4QF.obM:2013/06/19(水) 05:27:23 ID:C73lRth20









川 ゚ -゚)「やあ、まだ『ソレ』は出来ないのかい?」


(゚A゚)






キッチンから戻ると、テーブルの前には見たことが無いくらいの美人がいた

130 ◆tDN4QF.obM:2013/06/19(水) 05:28:13 ID:C73lRth20


ガタガタガタガタガタ
((゚A゚))「ま、ままま待て、お、ままお前誰dくぁwせdrftgyふじこlp;@「」

川 ゚ -゚)「おーおーお湯が零れるぞドクオ君」


謎の美人に気にかけられ俺はハッとすると、とりあえずカップラーメンをテーブルの上に置く
ていうかなんだ何が起きた俺はフラグ一級建築士だったか?いや建築できる状態だった


(;'A`)「ハッ!?そういえばなんで俺の名前を、つーかお前はなんだ!?」

川 ゚ -゚)「あぁ私か?そういや名を名乗るのを忘れてたな……」

川 ゚ -゚)「どうも、私はクール」






『このカードの創造神、および君のパートナーだ』






第3話 「パートナー」 続く


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