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( ゚∀゚)ジョルジュはスタンド使いのようです。
1
:
◆N91v81g8eE
:2013/04/30(火) 16:26:09 ID:lYpVEdIM0
( ω )「ねえ、ジョジョ」
_
( ∀ )「そのあだ名やめろっての。なんだ?」
( ω )「どうしてキミは、そんなに『人助け』が好きなんだお?」
_
( ∀ )「どうしてって言われてもなぁ……お前、肉は好きか?」
( ω )「肉? もちろん好きだお!」
_
( ∀ )「それはなんでだ?」
(; ω )「なんでって……そんなの、好きだから好きなんだお」
_
( ∀ )「だろ? 一緒なんだよ。
オレはオレがそうしたいから、お節介でも大きなお世話でも」
_
( ∀ )「オレの中にある、揺るぎない『心の正義』を全うして生きていたいんだ」
242
:
◆N91v81g8eE
:2016/07/24(日) 22:17:10 ID:tmMWZ58E0
川 ゚ -゚)「『わかっていても、対処が難しい相手』の方だ。
だろう? 長岡ジョルジュくん……!」
女子生徒はゆっくりと、胸ポケットからボールペンを取り出した。
そして、真っ黒な手袋で覆われた手を、包み込むように握りしめる。
同時に、氷が形成された。
ピキピキと、何かを作るように伸びていく。
完成したのは、鋭い刃。
かつて、インドで使われていた武器『ジャマハダル』(アルファベットの『A』に似た形の剣)のような、凶悪な凶器へと早変わりしたのだ!
_
(;゚∀゚)・∀・)「お……おいおい……あ、あんた……もしかして……」
ノパ⊿゚)「? どうした、ジョルジュ……
初恋の人がいつの間にか彼氏作って街中を歩いてるのを見つけたよーな顔して……」
ド ド ド ド ド ド ド ド
_
(;゚∀゚)・∀・)「い、いや……その……なんつーんスかね……先輩。オレ……知ってるんスよ。あいつ」
ド ド ド ド ド ド ド ド
ノパ⊿゚)「は? まさか本当に」
ド ド ド ド ド ド ド ド
_
(;゚∀゚)・∀・)「いやいや。そこまでではないけど、それでもよぉ〜〜〜っく知ってるんですよ!
だって、『同じ学校に通うクラスメート』なんスからねぇ……ッ!!」
ド ド ド ド ド ド ド ド
243
:
◆N91v81g8eE
:2016/07/24(日) 22:18:05 ID:tmMWZ58E0
ズズズズ……
川 ゚ -゚):::ー゚)「そう。私の名前は」
_
( ゚∀゚)・∀・)「あいつは……」
ズキューン!
川 ゚ -゚)爪゚ー゚)「『空条 素直(くうじょう しろな)』だ。友人には親しみを込めて『クー』と呼ばれている。
そして、この子は『スターホワイト』……『七天柱』に選ばれるほどのスタンドだよ。以後お見知りおきを」
見えた。
スタンドの像が。
『空条』と名乗る少女の背中から、まるで作り出されるように顕現する。
手には長い柄と幅広の刃を備えた槍を持ち
全身を覆う装甲はまるで鎧のような形状と、固さを保つ鈍い輝きを持っている。
けれど、スタンド名の如く真っ白なそのボディは凍りに覆われているせいか、神秘的な煌びやかさも備えていた。
羽飾りのついた頭部と優しげな笑みを蓄える表情……まるで、戦乙女のようだった。
川 ゚ -゚)爪゚ー゚)「特に恨みがあるわけではないが、『命令』なんでね。
どうしても、キミ……いや、キミ達を倒さないといけないらしい。
部下(ギコ)の落とし前という名目もあるが」
川 ゚ -゚)爪゚ー゚)「そういうわけで、お互い恨みも何もなくてスッキリしたものだな。
存分に張り合おうじゃあないか!」
244
:
◆N91v81g8eE
:2016/07/24(日) 22:18:50 ID:tmMWZ58E0
飛び出してきた。
空条は、紛れも無く前進してきたのだ。『スタンド使い本人が』、だ!
ジョルジュがそうであるように、また他のスタンド使いがそうでもあるように。
通常ならば、考えられないあまりにも奇怪染みた攻撃手段。
命が惜しくないのか。はたまた戦闘慣れしていない愚者なのか。
答えはもちろん……どれも『NO』!
_
( ゚∀゚)・∀・)「!?」
ノパ⊿゚)「!!」
射出されるようにスターホワイトも攻撃態勢にはいる。
長い槍を構え、正確に急所を穿つ……敵を倒すことを心得ている所作でジョルジュへ襲い掛かった。
そして同時に!
空条はヒートに斬撃を浴びせていてた。
これも迷いなく、牽制ではない殺気の篭った動きである。
_
(;゚∀゚)・∀・)(おいおいお〜〜〜い……? 器用にも程があんだろーがよぉ……)
ノパ⊿゚)(まさかこの子……もしかすると……いや、間違いなく)
川 ゚ -゚)「ふむ。やはり波紋使いといえど……人間なのだな」
爪゚ー゚)「……」
奇妙な行動に驚き、遠くない距離とはいえ分散されてしまったジョルジュとヒートは同じ結論に至った。
この空条という女生徒は……
『自身の動きとスタンドの動きを同時に成せる』のだ、と。
245
:
◆N91v81g8eE
:2016/07/24(日) 22:20:05 ID:tmMWZ58E0
_
( ゚∀゚)・∀・)(そりゃ、オレも頑張ればキャッチ・ザ・ハンドと別行動ぐれぇ出来るけどよぉ……
そんなことすりゃ、必ずどっちかが疎かになる。精密さも落ちる。
スタンドが傷つけばダメージはオレに還ってくるしな……つまりは、普通ならありえねぇ)
ノパ⊿゚)(遠隔操作型でもない。自動追尾型でもない。間違いなく、あのスタンドは『あの子の意思で動いて』いる)
_
( ゚∀゚)・∀・)(……やれやれ。モナーの野郎といい『七天柱』ってのは、予想通りやっかいなスタンド使いなわけか
つっても、パワーやリーチならまだしも、スピードならオレのが上……それならやれる自信は……)
ノパ⊿゚)(ともあれ、あたしの相手はスタンド使い本人……やれないことはない。勝算は……)
_
( ゚∀゚)・∀・)ノパ⊿゚)(『ある!』)
川 ゚ -゚)「やれやれだな。双方とも、やけに光の篭った眼をしている。
そういう人は『やるときはやる』から嫌いなんだ……」
スターホワイトが槍を回転させてから構えを取る。
投擲のような姿勢に入ると、助走をつけずに、けれど力強く射槍した。
_
( ゚∀゚) ・∀・)つ「!」
長物相手では、弾くのは難しい。そもそも、キャッチ・ザ・ハンドはパワーの強いスタンドでもない。
持つのは危険だ。凍ってしまう。
様々な思慮を加えたうえで、攻撃対象にされたジョルジュは能力で回避した。
246
:
◆N91v81g8eE
:2016/07/24(日) 22:20:49 ID:tmMWZ58E0
爪゚ー゚)
_
(;゚∀゚) ・∀・)「!?」
速い。
判断した時には、すでに自分の射程距離内にスターホワイトは存在していた。
投げつけた槍が地面に刺さり、さらに凍結範囲を広げていくよりも早く引っこ抜くと
ジョルジュの体めがけて、斜めに一閃、穂先を浴びせていた。
辛くも回避する。
_
( ゚∀゚) ・∀・)『モラモラァッ!!』
回避の合間に、隙を見てジョルジュもキャッチ・ザ・ハンドのパンチで反撃していく。
だが、当たらない。
いや、正確には『外されている』!
プリズムのように、空間に形成された氷が微妙に、けれど確実に拳をそらしているのだ!
_
(;゚∀゚) ・∀・)つ(おいおい、なんだぁ? この応用性……範囲、スピード……化け物染みてんぞ)
そして気づく。
攻防の応酬をするうえで、どんどんとヒートとの距離が離されていることに!
_
(;゚∀゚) ・∀・)つ(まずいぜ……。離れると、先輩の波紋が届かなくなる……!
スタンドは別にして、オレ自身が足を取られちまったら機動力も落ちる……
つまり、『負けは必至』! どうにかしねえと!)カッコヨク キメタ バカリ ダッテ ノニ ヨォ
247
:
◆N91v81g8eE
:2016/07/24(日) 22:21:47 ID:tmMWZ58E0
考える。けれど、救いを求めるようにジョルジュは、ヒートを見た。
何かやってくれるんじゃ? 何かしてくれているんじゃ?
そう思って、意識を外さない程度に視線を移す。
ノパ⊿゚)「ふっ!」
刺突をかわしながら、ヒートはスカーフをからませた。
そのまま波紋を流し込んで、一発KO!
……というわけにはいかないのだ。
川 ゚ -゚)「……ほう。なるほどな」
ノハ;゚⊿゚)「……ッ!」
スピード。その違いだけだった。
波紋伝達率100%のスカーフには、間違いなく波紋は流れている。
けれど、届かない。
液体に対し、波紋はよくなじむ。
対し、固体には上手くなじまない。だから遅れる。
到達する前に新しい氷が生まれ、結果的に波紋は鈍化されたのだ。
届くより早く氷が這ってしまっては、100%の力は伝わることは無い。
空条の操るスターホワイトの能力は『氷』だ。
氷を生み出し、操る力。
遠隔操作ではないそれは、条件達成によりパワーがあがるタイプではない。
248
:
◆N91v81g8eE
:2016/07/24(日) 22:23:02 ID:tmMWZ58E0
純粋に、スタンドに近ければ近いほどパワーがあがる。
更にスターホワイトの範囲は広く、凍結のみならば30mは効果を発するのだ。
スタンド像としての力ならば、もっと距離は近くなるが……。
今のジョルジュと交戦している程度の距離は、彼女にとって決して遠いわけではない。
ゆえに、スタンドの能力は! 十全ではなくとも、十分に発揮できるのだ!
ノハ;゚⊿゚)(やべぇ。波紋を流し続けるにしたって限度はあるぞ……
この女のスタンドパワーはどれだけ持つ? どれぐらい長い?
持久戦で勝負できるのか?)
ノパ⊿゚)(い、いや……違う。そんなつもりは……『どっちでもあった』のか!
こいつは最初に奇襲をかけてきた……そして近くまで来たのにも関わらず逃げもしなかった!
つまり……結局はこいつ……どっちもできる『糞ナマイキな器用女』ってわけかぁ〜〜!?)
だったら、分は悪い。
ヒートは武術にもある程度、たしなみはある。
稽古だけではなく、昔から実戦も多くやってきた。
だからこそ、目の前の空条に驚いている。
こいつも……同じなのか、と。
凍ったスカーフを破り、次の手を打つ。
腰のベルトの裏に、無数に挿してある針を取り出す。
そこには植物の蔓が巻かれており、波紋を帯びたまま投擲できる代物だ。
249
:
◆N91v81g8eE
:2016/07/24(日) 22:24:08 ID:tmMWZ58E0
ノパ⊿゚)「!」
わかっていたのか、はたまた勘なのか。
わからないが……バレていた。
ヒートがそれを取り出したと同時に、針は穿たれた。氷の刃が飛んできたことで。
とっさに流れていた波紋で防いだものの蔓はボロボロと崩れ、それはもう単なる金属でしかない。
急いで針を投げ捨てる。
その動作をする間、空条はさらに一歩、前に踏み込む。
いつの間にか生み出していた、左手に握る氷の柱をヒートの脳天めがけて振り下ろした!
ノハ;゚⊿゚)
寸でのところでヒートは回避した。
しかし、回避方法が悪かった。
絡まって凍ったスカーフを破りながら、なおかつ後ろ手に跳躍した。繊細な防衛手段を行う余裕がなかったから。
川 ゚ -゚)「これはどうする?」
表情一つ変えず、空条は追撃を放つ。
刺さった柱から手を離し、右手の刃も砕く。
そして指の間に、無数に持っているのは、小さな氷の棒手裏剣。
空中ならば回避はできまい。
それは、まぎれもなく事実で、実際ヒートも投擲された数えるのも面倒なほどの氷刃。
ノハ;゚⊿゚)「〜〜〜〜〜ぁあーッッ! もう!」
250
:
◆N91v81g8eE
:2016/07/24(日) 22:25:23 ID:tmMWZ58E0
一瞬で考え、対処。
焦りつつも乱れない波紋の呼吸法で生み出されたエネルギーを手に帯びたまま、スカーフをつかむ。それも両手で。
そして力任せに引きちぎった!
細々とした繊維が空中に舞い散っていくが、それは単なる糸片ではない。
ノパ⊿゚)「バリアーだ!」
一つ一つ、すべてに波紋が流れている!
飛んできた氷を相殺するように、それぞれが独立したまま防壁となるのだ!
滑るように、弾かれるように氷の手裏剣は無効化される。
それを見て、空条は
川 ゚ -゚)「面白いな」
と余裕たっぷりに感心していた。
ノハ;゚⊿゚)(呆れるくれぇ、とんでもねえヤツだなこりゃ。
『何かやった』ら、『何か返して』きやがる。しかも、一辺倒じゃあない。
多彩な戦法を持っている、『強者』のする戦術だ!)
着地。
ヒートは考えた。
このままでは『まずい』と。
251
:
◆N91v81g8eE
:2016/07/24(日) 22:26:28 ID:tmMWZ58E0
見るに、持久力も瞬発力も、適応力すら勝っているとは言い難い。
近づくに近づけず、離れるに離れられず。
いったい、どのように攻めれば突破口が開けるのか。
昔から波紋の鍛錬をし、街のごろつきや武芸者との戦闘経験があるヒートですら、困惑する現状。
チラリと、一瞬だけ目線を外した。
_
( ゚∀゚) ・∀・)「!」
ノパ⊿゚)「!」
目があった。
スタンドを前に、同様に苦戦しているジョルジュと。
それだけで、二人はわかったのだ。
付き合いの長さではない、お互いがお互い戦いの場に身を置くものとしての直感として!
川 ゚ -゚)「!」
爪゚ー゚)「!」
揃って、使い手もスタンドも戸惑う。
目の前の敵が、突如として攻めから一転、後退を始めたからだ。
川 ゚ -゚)(ふむ。この状況でその行動……逃げの一手……というわけか?
いや、違うな。彼らの目は、死んでない。むしろ『熱』を灯したまま……。
ということは、これは『戦略的撤退』……退かせるのはむしろ『マズイ』か)
252
:
◆N91v81g8eE
:2016/07/24(日) 22:27:52 ID:tmMWZ58E0
川 ゚ -゚)「させない。」
走り出す。
手に持った氷を刃に変えて、ヒートに投げ放つ。
それも無数に、数に際限なく、まさに『殺すつもり』で!
ノハ;゚⊿゚)
ヒートは呼吸を整えた。
しかし、破かれたスカーフは面積が少なすぎる。
防ぎ切れるかわからない。
が、それでも彼女は実行した。
ノハ;゚⊿゚)「くっぅぉおおお!!」
糸で弾き、拳でいなし、頬や足にを凍傷と裂傷を負いながら、致命傷を回避する。
_
(;゚∀゚)・∀・)「ふぃ〜〜。見てて冷や冷やするッスね」
ノパ⊿゚)「上手いこと言える余裕ぐれーはあるようだな」
そして、合流した。
ジョルジュは、身体にダメージはない。
確かに鉄壁の防御と多彩な攻撃を持つが、キャッチ・ザ・ハンドで『負ける』ことはなかったのだ。
能力を駆使しつつ、しっかり防ぎ切り背走できたわけである。
だが、彼自身もわかってはいるのだ。
『負ける』ことはなくても『勝つ』ことが、このままではできない……と。
故に、協力を仰ぐ。昨日今日知り合ったばかりの、無二の戦友へ!
253
:
◆N91v81g8eE
:2016/07/24(日) 22:28:52 ID:tmMWZ58E0
_
( ゚∀゚)・∀・)「先輩、このままじゃ」
ノパ⊿゚)「わかりきったことを言わなくていいよ。それより、次の手を考えるんだ」
川 ゚ -゚)爪゚ー゚)
空条は冷めた表情で攻撃を続けている。
スタンドが傍に来たことで、意識を両断しなくてすむからか精巧さが増した。
また、素手よりもスタンドのパワーが強いのは当然なので、飛んでくる氷刃の威力も強くなっている。
突如として空中から巨大な針が飛び出してくることもある。
それでも、二人は捌きつづけた。
ヒートが波紋で軌道をずらし、ジョルジュのスタンドで距離を稼ぐ。
防御と移動を一体とすることで、なんとか時間を作ることが出来ているのだ!
ノパ⊿゚)「ジョルジュ、あいつのスタンド能力だけど……」
_
( ゚∀゚)・∀・)「ええ。ちょっぴりだけど、わかってきましたよ。あいつの『能力』が」
ジョルジュは手の甲を見た。
凍っていた場所は、赤く霜焼けになっている。
_
( ゚∀゚)・∀・)「先輩も、もう感づいてたんじゃあないですか?
あいつのスタンド能力は『氷』だって」
ノパ⊿゚)「ああ。波紋で弾けている時点で、そういう類ってわかってはいたよ。
多分だろうが……いや、確信を持って言える。
スターホワイトは『凍結』ではなく『氷』のスタンドだ」
254
:
◆N91v81g8eE
:2016/07/24(日) 22:30:02 ID:tmMWZ58E0
冷えているから気づきにくかったのだが、二人は対峙したからこそ理解できている。
スターホワイトの力は、別に何かを『凍結』させるわけではない。
つまり、『温度の低下』というのは『氷の副産物』なのだ。
だからこそ、防げている。
もし仮に、『凍結』が副産物ではなく主能力だったならば、彼らは階段の時点で完封されていたことであろう。
・ ・ ・
凍りつく能力ではなく……『氷付く能力』。それが二人の結論だ。
_
( ゚∀゚)・∀・)「とすれば、勝算はある。」 コンドコソ ネ
ノパ⊿゚)「ほう、言ってみなよ」
_
( ゚∀゚)・∀・)「そのためには、先輩の力が必要不可欠なんスよ……。
あのスタンドは……いや、『空条素直』は『強敵』だ。
残念ながら、オレ一人じゃ勝てっこない」
_
( ゚∀゚)・∀・)「だから頼んます。先輩で、本体の方をなんとかしてください」
ノパ⊿゚)「はっ。なんとかってなんだよ、なんとかって」
_
( ゚∀゚)・∀・)「隙を作ってください。そうすれば、オレがなんとかします」
ノハ-⊿゚)「随分とざっくりした作戦じゃあないの。そんなんで勝てるとでも?」
_
( ゚∀゚)・∀・)「勝てるから、言ってんスよぉッ!」
先の鋭い、まさに相手を行動不能にするためだけの氷が大量に降ってきた。
防御行動をするには、あまりにも暴力的な数。キャッチ・ザ・ハンドで防ぐには多すぎた。
具体的な案も決まらず、二人は再び分断。
255
:
◆N91v81g8eE
:2016/07/24(日) 22:31:05 ID:tmMWZ58E0
川 ゚ -゚)爪゚ー゚) ザッザッザッ
迫ってくる空条の面持は、冷たく。
これ以上の猶予を与えるつもりもない。今回作った、この状況で勝負をつける。
そんな決意を、瞳に秘めていた!
_
( ゚∀゚)・∀・)「……」
川 ゚ -゚)「?」
ノパ⊿゚)「!?」
その時とったジョルジュの行動は、二人を困惑させる。
空条から、ジョルジュは距離を取った。
横軸方向ではなく、真正面にまっすぐ退避。それはわかる。
だが、その行動に対して彼は短く簡潔な指示を出す。
『このまま仕掛けるぞ』
そう、隣の戦友へ。
ジョルジュは波紋の呼吸をもたない。
『幽波紋』は『波紋』とは似て非なるもの。現在、彼は氷への防御の手段を持たない。
だが。だからこそ、これで終わらせるつもりにしたのだ。
_
( -∀-)・∀・)スゥ-……ハァ……
_
( ゚∀゚)・∀・)つ「いくぜ、キャッチ・ザ・ハンド……ッ!」
スッ
256
:
◆N91v81g8eE
:2016/07/24(日) 22:32:09 ID:tmMWZ58E0
┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨
=つ≡つ =つ≡つ =つ≡つ
_ =つ≡つ =つ≡つ =つ≡つ
(#゚∀゚)(# ・∀・) =つ≡つ =つ≡つ =つ≡つ
=つ≡つ =つ≡つ =つ≡つ
=つ≡つ =つ≡つ =つ≡つ
┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨
『モォラモラモラモラモラモラモラァッッ!!』
この、彼のもっとも得意とする『ラッシュ』にすべてを賭けてッ!!
257
:
◆N91v81g8eE
:2016/07/24(日) 22:33:42 ID:tmMWZ58E0
川;゚ -゚)「……!」
初めて空条の表情が曇った。
その行動はあまりにも突然で、対処をするには時間を要するから。
川;゚ -゚)(突きのスピードが……思っているより速い……!)
氷を生み出して、氷結を狙う……その速度を上回っている。
拳の動きを逸らすこともできるが、確実性を持てない。それほどに速い!
なおかつ、ジョルジュは拳だけではない。今度は、足も動かしているのだ。
突進しながら高速の突きを繰り出しているわけだ。
つまり、このままでは攻撃を食らう!
決して耐久力に優れているわけではない。あの高速ラッシュを受けて立っていられる自信もない。
ここで迎撃をしなければ負ける。
空条の思考に決定的な判断を生み出させるには十分な、ジョルジュの捨身策であった。
そう、これは彼の持てる最大最速のラッシュ。
これを防ぎきられたらもう打つ手はないぜ、と果敢に語りかけてくるような気迫。
もちろん、それは受け手の空条にも伝わっていた!
川 ゚ -゚)(……やるならば、こちらも一か八かだ……。
こいつが、こんな高速ラッシュを隠していたとは予想外だが……。
逆を言えば、これを凌げれば長岡ジョルジュの無効化は出来る……)
258
:
◆N91v81g8eE
:2016/07/24(日) 22:34:51 ID:tmMWZ58E0
川 ゚ -゚)「だったら!」
ノハ;゚⊿゚)「!?」
空条は冷静だった。ヒートを強く睨んだのだ。
頭の回転の早さは、余裕を生む。
ジョルジュへの対応を一度置き去りにし、この一瞬で懸命の速度を発揮し駆け寄っていた。
だからこそ、そちらの迎撃に力を尽くす。
ジョルジュは助走の分だけまだ距離はある。スタンドの射程距離にさえ入らなければ問題はない。
距離感とスピードを見るに、約7秒。そのわずかな時間さえ満たさなければ、攻撃を食らう前に倒しきれる。
ヒートは違う。射程距離が読めない上、奇妙な波紋という力……。
未知数なのはこちら。ゆえに、先に封じ、次にジョルジュを倒す! それで終わり!!
川 ゚ -゚)「スターホワイトッッ!!!」
スタンドを傍に近づけ、パワーを上げる。
握る拳に携える刃を投げつけ、スタンド自身からも無数の氷柱を発生させた。
隙を作らない。合間を埋め尽くすような、無数の冷気。
壁のように、まっすぐ攻撃が飛んでいく!
259
:
◆N91v81g8eE
:2016/07/24(日) 22:36:00 ID:tmMWZ58E0
ノハ;゚⊿゚)(……!!)
焦った。
手が思いつかなかったから。
どうする。防ぐ? 避ける? 突き抜ける?
……最善策考えるより先に、身体が動いていた。
ノハ;゚⊿゚)「くぅおおおおお!!」
ヒートは、滑っていた。
足先から入り込み、視線の確保の為にわずかに持ち上げた頭部以外は、天を仰いでいる。
ほぼ倒れこむレベルな決死のスライディング!
ノハ;゚⊿゚)(接触面積を最低限にして! 足に波紋も伝わらせて、くぐりぬける!!)
全身に弾く波紋を纏ったところで、この近距離ではスタンドパワーに押し負ける。
ゆえに、氷柱に触れる部分を足先だけにすることで、被害を最小限に抑えるのだ!
……しかし波紋で防ぐとはいえ、それでも数に負け出来た無数の切り傷から、血が流れていた。
川 ゚ -゚)「だが、それだけでは届かないよ」
空条は既に次の手に入っていた。
防がれる、避けられる、突き抜ける。
どうであれ、一撃では終わるわけがない。
だからこそ、スタンドを動かしていた。
260
:
◆N91v81g8eE
:2016/07/24(日) 22:37:19 ID:tmMWZ58E0
爪゚ー゚)
スターホワイトは、柔らかく微笑みながら、手にもつ槍を振りかぶっていた。
そう、今のヒートの姿勢はまさに絶好の的。
上部から攻撃を仕掛けるのであれば、全身がすべて有効範囲になるちょうど良い角度。
それを狙っていた。
だから、読めていた。
もちろん、ヒート自身も!
ノハ;゚ー゚)「ッ!」
額に脂汗を流しながらも、普段より数倍動く鼓動の中でも、ヒートは尚、不敵に微笑んだ。
瞬時に体を起こす。
そこまではいい。
けれど、足が追い付いていない。腰が低いまま。
胡坐をかく形で、ヒートは笑っていたのだ。
川;゚ -゚)「!?」
空条は対照的に驚いた。
余裕は消える。かき消される。焦りで満たされる。
あまりに奇妙なその動きにッ!
261
:
◆N91v81g8eE
:2016/07/24(日) 22:38:58 ID:tmMWZ58E0
ヒートは、そのままだった。
ノハ;゚⊿゚)「そう、わかるよ。あんたが今思っているのは……」
身体の勢いや構造など無視した、完全に理を無視したアクションを起こしていたのだ。
それは……
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
ノハ;゚⊿゚)川;゚ -゚)「(す、座ったままの姿勢でジャンプした……のか!?)だ!」
川;゚ -゚)
ハッ!
今までの攻撃的な部分とは違う、また不可思議な行動は驚愕以外の何も生み出さない。
だから、外した。
弧を描くような跳躍は、正確性のない槍の一突きをかわして確実に接近した。
川;゚ -゚)「くっ!!」
追撃をしようとしたが、もうそれですべては終わっていた。
ヒートは、腰に巻いていたベルトを外して波紋で進展。そして空条の身体に設置させた。
王手である。
だが、ヒートの口から出た言葉は『波紋疾走』ではなかった。
ノパ⊿゚)「あとは頼んだよ、ジョルジュ」
262
:
◆N91v81g8eE
:2016/07/24(日) 22:42:09 ID:tmMWZ58E0
川;゚ -゚)「なっ!?」
そう。
そこには、もうジョルジュが居たのだ。
スタンドの振るパワーとスピードの叩き込める射程距離内に!
間はたったの5秒。空条の見立てより、2秒も早い到達であった!
_
( ゚∀゚) ・∀・)「空条。おめーの敗因は、単純(シンプル)だぜ。
オレに対する攻撃の手を、ほんのちょっぴり緩めたこと。
先輩の行動に対処しきれなかったこと。
自分の力を過信しすぎたこと……そう、つまり」
_
( ゚∀゚) ・∀・)つ「オレ達より弱いから負けるんだぜ〜〜〜〜ッッ!?」
川;゚ -゚)爪゚ー゚)「くっ……!!」
最後のあがきに、スタンドを呼び寄せる。
敗北が浮かんだせいか、その動きは遅く、パワーがなく……。
精神を具現化する『スタンド』のあり方が、まさに見て取れた。
……空条の意識は、そこで途切れた。
263
:
◆N91v81g8eE
:2016/07/24(日) 22:42:57 ID:tmMWZ58E0
爪 д )
スタンド名 『スターホワイト』
本体名 ― 七天柱・空条 素名(くうじょう しろな)
力量差に精神を折られたのち、波紋を流されて完全敗北。
/└────────┬┐
. < To Be Continued... | |
\┌────────┴┘
264
:
名も無きAAのようです
:2016/07/24(日) 22:44:08 ID://.tibrg0
きてるー!
265
:
◆N91v81g8eE
:2016/07/24(日) 22:44:10 ID:tmMWZ58E0
ああ、更新しなくては。書かなくては、と思い続けて2年近く経ってしまっていました。
少しずつでも時間を作って、最後までやりきりたいです。
266
:
名も無きAAのようです
:2016/07/24(日) 22:44:35 ID:RM.dcgDo0
乙
待ちわびてたぞ
267
:
スタンドパラメータ
◆N91v81g8eE
:2016/07/24(日) 22:49:19 ID:tmMWZ58E0
スタンド名 スターホワイト
使用者 川 ゚ -゚) 空条 素直[くうじょう しろな](七天柱)
スタンド像 爪゚ー゚)
破壊力 B スピード B 射程距離 B 持続力 B 精密機動性 B 成長性 B
氷を生み出し、操るスタンド
温度を低下させて凍らせる、のではなく凍らせて温度を奪うので
炎系のスタンドとは相性が悪い。
自身の手は常に厚手の手袋やインナーを身につけており、ないと寒さで自身にもダメージを負う。
ある程度体温調整は出来るので、春夏秋冬常に同じ服装でいられるのが、ひそかに気に入っている。
スタンドの能力より、本体とスタンドを同時に扱えることが真の強みでもあるが
意識を両方に向けないといけないので、集中が削がれると途端に崩れる。
268
:
名も無きAAのようです
:2016/07/24(日) 22:54:29 ID://.tibrg0
おつー!
269
:
名も無きAAのようです
:2016/07/25(月) 01:00:49 ID:Fy4RIQFo0
やはり面白い
270
:
名も無きAAのようです
:2016/09/30(金) 08:28:16 ID:WXzULkH60
書いてもほぼ何の反応もないんだからそりゃやる気もなくなるよな
271
:
名も無きAAのようです
:2016/09/30(金) 10:37:55 ID:a2ZYRRoA0
めちゃめちゃ面白いんだけどな
272
:
◆N91v81g8eE
:2017/02/13(月) 20:51:08 ID:dmdlaOJ.0
九話 「長岡ジョルジュ」という人間
川 ゚ -゚)「……」じぃ〜〜〜〜〜
_
( ゚∀゚)
_
(;゚∀゚)
_
(;-∀-) =3
ミ
それでも、空条 素直(くうじょう しろな)は、凝視続けた。
同じクラス、同じ授業を受けるクラスメートの長岡ジョルジュが
例えその、名前や能力と裏腹な熱い視線に気づき、呆れ面をしようと構いなく。
ただ、彼女は知りたかったのだ。
長岡ジョルジュが、一体どんな人間なのかを。
273
:
◆N91v81g8eE
:2017/02/13(月) 20:52:04 ID:dmdlaOJ.0
川 ゚ -゚)(身長は178cm 体重は72kg。見た目はやせ気味の体形。
分厚い筋肉というより、引き締まった肉体(ボディ)の持ち主……)
川 ゚ -゚)(運動神経は良く、かつては色々な部活に引っ張りだこで、性格も明るく人気者……。
頭も悪いわけではなく、良好と言える方……家族は父母のみの一人息子。
最近、日曜日になると朝早くから父親に釣りへ誘われ睡眠妨害されるのが、小さな悩み……)
川 ゚ -゚)「……ふむ」
パタン、と空条は小さな手帳を閉じた。
そこには、彼女が自分なりの情報網を使って得た、ジョルジュの「人間性」が書きしたためられている。
なぜ、彼女がそこまでして彼を知りたいのか。
それには、数日前に受けた「情け」に理由があった。
――――――
――――
――
274
:
◆N91v81g8eE
:2017/02/13(月) 20:52:57 ID:dmdlaOJ.0
川 - )「…………う」
川 ゚ -゚)「……!」
ハッ!
目を開くと、そこは木製建造物の屋根裏だった。
ところどころ、湿気によって変色している梁が見える。
川 ゚ -゚)「……」
ゆっくりと起き上がる。
額は、じんわりと汗でぬれていた。
普段からスタンドで体温調節を行っているので、夏季であろうと空条は厚着をしている。
しかし、それは先ほどまで出来ていなかった。
胸の奥に、ズンとくる重たい鈍さのある痛みが残っている。
その原因は、きっと波紋とやらの力だろう。
得体のしれないものが、身体に残っているのは気色が悪い。
重たい頭で考えるが、それはきっと仕方のないこと……。
自分は、負けたのだから。
275
:
◆N91v81g8eE
:2017/02/13(月) 20:53:50 ID:dmdlaOJ.0
ぼんやりとする直前までの記憶が鮮明になる。
_
( ゚∀゚) ・∀・)つ
目の前にまで近づいていた、ジョルジュのスタンド。
拳は、睫毛すら削り取れるほどのスピードで放たれていた。
だが……けれども。
彼は『攻撃をしなかった』のだ。
直前でラッシュを止め、そして波紋使いに決着を委ねた。
川 ゚ -゚)
ギリッ
手に握りしめたまま気絶していたペンを、空条は力任せに折った。
その心にあるのは、彼への憎悪。
何故、あの瞬間に攻撃を止めたのか。
余裕の表れだったのか、女は殴らないという甘さなのか。
理由はなんであろうと、空条にとってそれは屈辱以外の何物でもない。
ポケットに忍ばせていた携帯電話に『ボス』から送られた『短い文』を読むと、彼女は立ち上がった。
276
:
◆N91v81g8eE
:2017/02/13(月) 20:55:00 ID:dmdlaOJ.0
川 ゚ -゚)(……許せん)
・ ・ ・ ・
解雇通告を受けて、彼女はもう戦う理由も関わる道理もなくなっていた。
長岡ジョルジュとはただのクラスメートとして、後は過ごすだけでよかった。
けれども、空条はそんなのでは『心』が納得できなかったのだ。
――
――――
――――――
_
( ゚∀゚)「……」
川 ゚ -゚)「……」
_
( ゚∀゚)「あのなー、空条サンよぉ〜〜〜……」
川 ゚ -゚)「なんだ」
_
( ゚∀゚)「一応聞きたいんだが、お前はオレの『敵』なんだよな?」
277
:
◆N91v81g8eE
:2017/02/13(月) 20:55:44 ID:dmdlaOJ.0
川 ゚ -゚)「ついこの前まではな」
_
( ゚∀゚)「そんじゃあ、さらに質問を重ねさせてもらうけどよぉ〜〜……」
_
(;゚∀゚)「なんで、まるで『仲良し』みてぇに、こうして昼飯を共にしてるんだよ?」
それはとある昼下がりだった。
ジョルジュは、いつものように離れの運動場で昼食を展開しようとしていた。
誰とも関わらないように、一人でひっそりと昼休みを過ごす絶好の場所。
今日は、その『いつも』ではなかった。
同じ学校に通い、同じクラスで同じ授業を受ける、同級生が目の前にいる。
相手は、ほんのちょっと前に激しい戦闘を繰り広げた相手。
空条 素直という名の女生徒は、ジョルジュの前で自作の可愛らしいサイズをした
手製と思われる弁当箱を広げつつあった。
川 ゚ -゚)「質問の意味がわからないな。別に、私はキミと仲良しになった覚えはない」
_
(;゚∀゚)「ものの例えだろーがよ! そーじゃなくって!」
川 ゚ -゚)=3「まどろっこしいなキミは。いったい、何がそんな疑問なのだ。おかしな奴め」
_
(;゚∀゚)「えぇ〜〜〜〜!? それ、お前が言うのォ〜〜〜〜!?」
278
:
◆N91v81g8eE
:2017/02/13(月) 20:56:26 ID:dmdlaOJ.0
川 ゚ -゚)「……まぁ、冗談はさておき。疑問内容は、大方わかってはいるがな」
_
( ゚∀゚)「え?」(というか冗談なのか、今の)
川 ゚ -゚)「『敵意があるはずなのに、なぜ攻撃を仕掛けてこないのか』」
_
( ゚∀゚)「おっ?」
川 ゚ -゚)「『七天柱ではないなら、どうして付きまとうのか』」
_
( ゚∀゚)「……」
川 ゚ -゚)「『思っていることが、どうしてそこまでわかるのか』」
_
( ゚∀゚)(ホントだぜ)
川 - --)「『遠くで、同じく昼食を過ごそうとしているヒート先輩は、なぜ近づいてこないのか』」
_
(;゚∀゚)「えっ?」
木の陰]パ⊿゚) そ
木の陰]パ⊿゚)
木の陰]⊿゚)))
スス……
279
:
◆N91v81g8eE
:2017/02/13(月) 20:57:25 ID:dmdlaOJ.0
_
(;゚∀゚)「ちょっとちょっとちょっと、せんぱいぃ〜〜〜〜〜!?」
_
(;゚∀゚) ピロン♪
_
(;゚∀゚)「え? LINEの通知……」
ノパ⊿゚)【ま、仲良くどうぞ】
_
(;゚∀゚)「おいおいおいおいおいぃ〜〜〜〜〜!?
何を勘違いしてくれちゃってんの、この人ぉーーーー!?」
川 ゚ -゚)「そして、何より」
川 ゚ -゚)「『あんたは、『呟影団』の『ボス』を、どこまで知っているんだ』」
_
( ゚∀゚)「!」
川 ゚ -゚)「そう思っているのだろう」
280
:
◆N91v81g8eE
:2017/02/13(月) 20:58:05 ID:dmdlaOJ.0
_
( ゚∀゚)「……」
ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ
川 ゚ -゚)「……」
281
:
◆N91v81g8eE
:2017/02/13(月) 20:58:56 ID:dmdlaOJ.0
川 ゚ -゚) =3
_
( ゚∀゚)「え?」
にらみ合うお互いだったが、空条の溜息によってその雰囲気は崩される。
川 ゚ -゚)「何を聞いても無駄だよ。残念ながら、私はその疑問に答えられない」
_
( ゚∀゚)「はぁ〜〜〜〜? そんなわけねーだろう」
_
( ゚∀゚)「そこら辺のチンピラを捕まえて、質問してるわけじゃあねーんだぜ?
あんたらの『ボス』が選び、信頼を置いている幹部が『七天柱』なんだろ?
だったら、知らぬ存ぜぬで通るわきゃあねーよなぁ?
まさか、顔も知りません。とか言いだすんじゃあねーだろーな?」
川 ゚ -゚)「そう、質問の嵐をふきかけなさんな」
にじり寄りながら、吐息すら聞こえそうな距離でジョルジュは質問をする。
対する空条は、何も動じないように、手製のサラダを箸で一つまみしながら、淡々と答える
川 ゚ -゚)「知らぬ存ぜぬわけでもないよ。ただ、全容を知らされていないのも、確かだ」
川 ゚ -゚)「私は『ボス』のスタンド像は知っているが、スタンド能力までわからない」
282
:
◆N91v81g8eE
:2017/02/13(月) 21:00:05 ID:dmdlaOJ.0
_
( ゚∀゚)「どーいうことよ?」
川 ゚ -゚)「そのままの意味だ。わからないんだ」
_
( ゚∀゚)「わからないって……会ったことあるんだろ?」
川 ゚ -゚)「もちろんだ。だが、幼い頃の、時期も地名も明確でない風景が脳裏にあるように
忘れた……いや、まるで『奪われた』かのように、記憶が曖昧なんだ。つい最近のことなのにな」
_
( ゚∀゚)「それが『スタンド能力』か? 負けた相手の記憶を無くすとか……」
川 ゚ -゚)「わからないよ。とはいえ、戦ったような記憶はある。
そんなちゃちな能力で『スターホワイト』が負けるとは思えない。
きっと、別の団員の能力かなにかだろう。」
_
( ゚∀゚)「なるほどなぁ……。管理できてんのかできてないのか、よくわかんねぇな」
川 ゚ -゚)「……そもそも、の話をしよう」
川 ゚ -゚)「呟影団は、ご存じのとおり『悪』を重ねる集団だ。
秩序がないことが秩序とされている無法者の集まり……。
その中心にいるのが『ボス』。そして、それを支える『七天柱』なわけだが……」
川 ゚ -゚)「呟影団に入団する条件を、聞いたことは?」
_
( ゚∀゚)「いや、ねえよ。興味もない」
283
:
◆N91v81g8eE
:2017/02/13(月) 21:00:52 ID:dmdlaOJ.0
川 ゚ -゚)「だろうな。とはいえ、難しいものでもないし、確定的なものでもない」
川 ゚ -゚)「単純に『ボス』が気に入ったかどうか。それだけなんだ」
_
( ゚∀゚)「なんだそりゃ。そんなので、よく成り立つもんだ。
ませた小学生だって、損得勘定で動くこともあんだぜ。
そんな不安定な信頼関係程度で、なんだって『団』なんてものになるんだよ」
川 ゚ -゚)「不安定なんかじゃあないんだ。そこには『絶対』がある」
_
( ゚∀゚)「それは?」
川 ゚ -゚)「『恐怖』だよ」
_
( ゚∀゚)「……。」
川 ゚ -゚)「誰だって、人間であるならば感情があるだろう。
けれど、『ボス』は違う。感情より、もっと深い部分……『本能』を掴む」
川 ゚ -゚)「車に轢かれかけた子供が、排気音を無意識に恐れてしまうように。
『究極の恐怖』が、我々団員を制圧し、統制し、秩序を構築しているんだ。
そして、その『恐怖』を生み出す根源こそが、『ボス』のもつ『圧倒的な力量』なのだよ」
_
( ゚∀゚)(……そーいや、モナーも似たようなこと言ってたな)
284
:
◆N91v81g8eE
:2017/02/13(月) 21:01:37 ID:dmdlaOJ.0
_
( ゚∀゚)「けどよ、ちょっと待てよ。じゃあ、空条。
おめーは、『団』を離れて大丈夫なのかよ。
『ボス』とやらは、少なくとも幹部のおめーに対し思うことあるんじゃあねーのかよ?」
川 ゚ -゚)「『圧倒的な力量』を持つと言ったろう。
ボスが欲しいのは、『強者』なんだ。『敗者』は『弱者』。必要ないらしい。
解雇通告も、携帯電話に『お疲れ様』と書かれただけだ」
_
( ゚∀゚)(……『恐怖』を植え付ける際に、屈服させたはずだろう。
結局、『弱者』が必要ないというより……『見損なった』から、捨てられた。
っていう方が正しいのか、これは)
_
( ゚∀゚)「しっかし、まあ聞けば聞くほど、ふわぁ〜〜っとした集団だなぁ。オイ。
入るのは楽だし、抜けても後腐れもない。そんなもんでいいのかねぇ」
川 ゚ -゚)「団を抜けることが、デメリットなしなわけではないよ。
元々、仲間だったものが、ある日を境に『部外者』になるんだ。
団員は団員内で結ばれているが、一度肩書きを失えば他人……。
あとは、呟影団の見境なさを考えれば、わかるんじゃあないか?」
_
( ゚∀゚)「……なるほどな」
川 ゚ -゚)「それより、私からも聞きたいことがある。凄く単純な質問なのだが……」
川 ゚ -゚)「どうしてキミは『ヒーロー』に憧れているんだ?」
_
( ゚∀゚)「あぁ? なんだよ、急に」
285
:
◆N91v81g8eE
:2017/02/13(月) 21:02:46 ID:dmdlaOJ.0
川 ゚ -゚)「気になるんだ。だって、そうだろう。
『ヒーロー』なんて、小さい頃に憧れて忘れる刹那的な感情だ。
現実的には不可能だって、気づいた時点で目指すのをやめるはずだろう」
川 ゚ -゚)「それでも、キミは目指している。他人の願いを、無垢ともいえる感情だけで
『スタンド』が、もし無くても、きっとキミは同じことをしているだろう」
川 ゚ -゚)「それは何故なんだ?」
_
( ゚∀゚)「……」
_
( ゚∀゚)「質問を質問で返す0点満点なことを言うけどよぉ……空条」
_
( ゚∀゚)「逆に、お前はなんで呟影団に入ってたんだ?」
_
( ゚∀゚)「教室の隅で、おとなしく毎日空を眺めながら、当たり前のように日常を過ごす。
お昼のお手製弁当を誰に自慢することなく、極端に友達づきあいもしない。
クラスに一人はいる、無害な優等生みてーなお前が……なんでだ?」
川 ゚ -゚)「…………別に、答えは簡単だよ」
川 ゚ -゚)「怖かったんだ」
川 ゚ -゚)「朧気な記憶になってしまっているが……ボスは確かに、とても凶悪だった。
そんな人間と知り合い、そして不幸にも認められた。
だから、従っていたんだ。悪いことは悪いこと……頭ではわかっていてもな」
286
:
◆N91v81g8eE
:2017/02/13(月) 21:03:57 ID:dmdlaOJ.0
_
( ゚∀゚)「そーかい」
川 - )「正直に言えば……だが。大きな集団に守られていることに、安心感を覚えていたのも事実だ。
私は、言うように優等生のような生活をしていたが……不満がなかったわけでもない。
不器用が故に、思い通りに進められなかったこともある。
世間的には悪行だが……少しばかり、胸の蟠りが剥がれていく思いがあったよ」
_
( ゚∀゚)「……」
川 ゚ -゚)=3「こんなに話させたんだ。そろそろ答えを聞かせてくれてもいいんじゃあないか?」
_
( -∀゚)「……いや、話さない」
川 ゚ -゚)「は?」
_
( ゚∀゚)「オレぁよ、言うように正義のヒーローに憧れているぜ。
そんでもって、お前はまだ『敵』だ。
敵となれ合うようなヒーローなんて、居ねえだろ」
川;゚ -゚)「しかし!」
ジョルジュは空条の声を無視するように、すっかり空になった弁当箱をしまい、立ち上がる。
躊躇なく振り向くと、聞こえるように背中越しに言った。
_
( ゚∀゚)「オレにとっては、お前は『悪の心』があんだよ。
だから……『敵』だ」
川 ゚ -゚)「……」
287
:
◆N91v81g8eE
:2017/02/13(月) 21:04:51 ID:dmdlaOJ.0
まだ食べかけの弁当箱を膝に乗せたまま、空条は静かに……さざ波のように怒った。
川#゚ -゚)(……何を勝手に決めつけているんだ、あの男は!)
凍り付いた箸を握りしめて破壊しつつ、空条は誓った。
徹底的に、付け回してやろう……と!
――――――
――――
――
(=゚ω゚)「え? ヒーローを目指している理由?
そんなの知らないよぅ」
(*゚∀゚)「お節介は会ったときから、そうだったぜ」
ξ゚⊿゚)ξ「人助けが趣味みたいなもん、ってみんな言ってるわ」
(*’e’)=3「きみ、可愛いね。LINEやってる? 一年生? 何組?」
288
:
◆N91v81g8eE
:2017/02/13(月) 21:05:50 ID:dmdlaOJ.0
一通り、知っている人間に当たってみたが確信は得られなかった。
別に、そこまでこだわる理由でもない気はする。
戦って、負けた相手のことをよく知る必要なんてない。
もう呟影団と関係も今はない。一般的に見れば、敵にはなっていないはずだ。
それでも、私が『悪』という烙印を押されたことだけが、どうにも気になった。
質問をした長岡の知り合いは、一部を除いてみんなして怪訝な顔をしていた。
『呟影団に喧嘩を売ったバカ野郎』というレッテルが貼られていたからだ。
それもそうだろう。
悪の集団に、挑むような一般人なんて、そういるまい。
当事者であった私が言うのもアレではあるが、本当に大馬鹿だと思う。
みんな、自分の身が可愛いのだ。
それは当たり前だろう。
誰だって、死にたくない。
痛い思いなんてしたくない。
辛いことなんて、したくない。
楽できる方法があるなら、実践したい。
それは『当然の願い』だろう。
だから、みんなして怪訝な顔をしていたんだ。
『あいつに関わると、自分も害を被るかもしれない』
そう思って。
289
:
◆N91v81g8eE
:2017/02/13(月) 21:06:36 ID:dmdlaOJ.0
川 ゚ -゚)(果たして、『悪』とやらの定義はなんなのだろうな)
悪と戦ってくれるはずの人を、まるで悪者扱いするなんて。
おかしなものだ。
――――。
川 ゚ -゚)《なあ、長岡くん》
_
(;-∀-)「……」
川 ゚ -゚)《キミはキミが守ろうとしている人たちから、守られていないじゃあないか。
七天柱を二人も除団させておいて、その仕打ちはあんまりだと思わないか?》
_
(;゚∀-)(あのなぁ〜〜〜〜〜〜空条よぉ〜〜〜〜〜)
川 ゚ -゚)《それでいいのか、キミの正義は。何が目的なんだ、その信念は何処から来ているんだ》
_
(;゚∀゚)・∀・)《授業中にスタンド使って話しかけてくんじゃあねーよ!!!》
英語の授業の時間だった。
ジョルジュは、大声で叫んでいる。もちろんだが、口は動かしては居ない。
そんなことをすれば、先生に当てられてしまい翻訳をお願いされてしまうことだろう。
ゆえに、スタンドを通して会話しているのだ。
スタンドの声や音は、スタンド使い(波紋使いも含む)にしか聞こえることはない。
授業に集中できない、という不利な点を除いたら絶好の会話方法であろう。
290
:
◆N91v81g8eE
:2017/02/13(月) 21:07:24 ID:dmdlaOJ.0
川 ゚ -゚)爪゚ー゚)《おやおや。そういうキミこそ、話しているじゃあないか》
無表情なスターホワイトが、ジョルジュの前の椅子に腰をかけて語りかけてくる。
前席の男子生徒はもちろんスタンド使いではない。せいぜい、何か背中にわずかな重みを感じる程度だろう。
_
(;゚∀゚)・∀・)《オメーが静かにしねーからだろーがよぉ〜〜〜〜!!》
川 ゚ -゚)爪゚ー゚)《別にうるさくはしていないじゃないか。
先生にも生徒にだって聞こえてはおるまい》
_
(;゚∀゚)・∀・)《そういう問題じゃねーよ! お前が話しかけてくるから、全然集中できねえじゃねーか!》
<゚Д゚=>「はい長岡、ここ訳してみて」
ジョルジュの妙にそわそわする動きが気になったのだろうか。
予想通りの結末が訪れる。
_
(;゚∀゚)・∀・)《ほれみろ! 当てられちまっただろ!! どうしてくれんだよ!!
まったく聞いてないから、どこかもわからねーだろ!!》
川 ゚ -゚)爪゚ー゚)《28ページの三行目、ファニー君の会話の部分だよ》
_
(;゚∀゚)・∀・)《え?》
川 ゚ -゚)爪゚ー゚)《訳は『いともたやすく行われるえげつない行為》だ》
_
(;゚∀゚)「えと……いともたやすく行われるえげつない行為、です」
<゚Д゚=>「うん。オッケー。なんだ、ちゃんと聞いてたんだな」
_
(;゚∀゚)・∀・)(げぇ〜〜〜! マジであってんじゃんよぉ〜〜〜〜
流石はスタンドと両立させて戦えるヤツだぜ……恐れ入る……)
川 ゚ -゚)爪゚ー゚)《どうだ。感謝の気持ちがあるなら、この前の質問の答えを……》
_
(;゚∀゚)・∀・)《頼むから、授業くらいは普通に受けさせてくれよぉ〜〜〜〜!!》
291
:
◆N91v81g8eE
:2017/02/13(月) 21:08:13 ID:dmdlaOJ.0
出来るだけ無表情に、ジョルジュは空条と会話をする。
そんな彼を見つめる少女が一人。
ツン(本名 津井出 麗)である。
ξ゚⊿゚)ξ(……)
ξ゚⊿゚)ξ(ジョルジュのヤツ、何一人で焦ってんだろ?)
ξ゚⊿゚)ξ(それにしても……)
ξ゚⊿゚)ξ(なんか今日は変に耳鳴りがするわね……。
声みたいなのが聞こえるし……。疲れているのかしら)
時同じく、三年生の教室ではヒートが幽波紋(スタンド)の揺らぎを感じ取っていた。
ノハ;゚⊿゚)(……ん? なんか遠くで、えらい響く声がすんな……スタンド能力か?)
――――
――
―
292
:
◆N91v81g8eE
:2017/02/13(月) 21:09:02 ID:dmdlaOJ.0
川 ゚ -゚) スタスタ
_
( ゚∀゚) スタスタ
_
( ゚∀゚) ピタッ
川 ゚ -゚) ピタッ
_
(;-∀-)「……」
川 ゚ -゚)「……」
_
(;゚∀゚)「あのなぁ、空条」
川 ゚ -゚)「なんだ」
_
(;゚∀゚)「オレ、今なにしようとしてるか、わかってる?」
川 ゚ -゚)「ああ、もちろんだ」
_
(;゚∀゚)「じゃあ、言ってみろよ!!」
川 ゚ -゚)
川 ゚ -゚) =3
川 ゚ -゚)「キミはこれから、ちょいと用事が入ったせいで、どうしても下校時刻と同時に
帰宅を強いられてしまった、我がクラスの図書委員(ξ゚⊿゚)ξ)の代わりに
図書室へ行き、部活動でもなんでもない、交代要員として呼び出される義務すら
ないというのに、何故か、わざわざ、図書委員活動に勤しんでいる。
ちなみに、今は返本作業中だ。」
293
:
◆N91v81g8eE
:2017/02/13(月) 21:10:32 ID:dmdlaOJ.0
川 ゚ -゚)「……これでいいか?」
_
(;゚∀゚)「わかってんなら、さっさと帰れよな、オメーはよ!!
関係ねえじゃあねーか!!」
川 ゚ -゚)「ある」
_
(;゚∀゚)「あぁ!?」
川 ゚ -゚) じぃっ……
_
( ゚∀゚)「……!」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ
川 ゚ -゚)
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ
294
:
◆N91v81g8eE
:2017/02/13(月) 21:11:39 ID:dmdlaOJ.0
川 ゚ -゚)「何度も言うが……気になるのだ。知りたいんだ。キミの行動理念を。
私はただ『納得』したいだけ……。長岡ジョルジュという人間が
どういうものなのか……。それを知りたい……それだけだ」
_
( ゚∀゚)「……」
_
( -∀-)=3
_
( ゚∀゚)「あのなぁ、空条。
オメーは多分賢いんだろうから、色々考えちまうんだろうけど……」
うんざりだ。
それを、ジェスチャー混じりにジョルジュが話しかけたその時だった。
_
( ゚∀゚)「……?」
手を見ると、そこには丸い穴と赤い液体が噴き出ていた。
なんだ、これは……?
そう思う間が、出来きないほど一瞬。
それはまさに瞬く間の出来事。
長岡ジョルジュの掌は、まるで弾丸にでも撃ち抜かれたように抉りこまれていたのだ。
295
:
◆N91v81g8eE
:2017/02/13(月) 21:13:25 ID:dmdlaOJ.0
_
(;゚∀゚)「な……ッ!!」
_
(;゚∀゚)「なにィーーーーー!!??」
川 ゚ -゚)「……『スタンド攻撃』……!?」
溢れ出る血液を、少しでも抑えるべく強く傷口を握りしめる。
脂汗を流しながら、ジョルジュは周りを見渡した。
他の人は、誰一人としていないその空間……。
ジョルジュと空条素直を除いては、他の気配を感じられない……。
普段は勉強にだって使うであろう図書室には、無人の机と大量の本が詰まった棚が並んでいる。
ただ、それだけ。
・ ・ ・ ・ ・
それなのに……!
_
(;゚∀゚)(『撃たれた』……!!)
ジョルジュはそう確信した。
材質まではわからない。だがしかし、それはどうみても弾丸の跡。
一瞬だけ、ジョルジュの脳裏に拳を交えたことのある、銃のスタンド使いが浮かんだ。
_
(;゚∀゚)(だが……ちげぇ! これは違う……明らかに何かが……!)
直感でだが、わかっていた。
スタンドによる弾ではない……それは、決定的に『物理的な』傷。
296
:
◆N91v81g8eE
:2017/02/13(月) 21:14:23 ID:dmdlaOJ.0
川 ゚ -゚)爪゚ー゚)(……しかし……何故だ……?)
空条も既に戦闘態勢に入っていた。
スタンド『スターホワイト』を出して、辺りを見回していたのだ。
その時に、既に気づいていた。
もし、もしもだが……ジョルジュの直感通りに、銃で撃たれたとするなら……
_
(;゚∀゚)・∀・)(『弾』があるはずだ……だが……)
ないのだ。
キャッチ・ザ・ハンドを出したジョルジュも、同様に目を凝らしている。
けれど、どこにもない。
返ってくるのは静寂だけ。
荒い息と、緊張で激しく高鳴る鼓動。そればかりが自分を支配する。
_
(;゚∀゚)・∀・)「……おい、空条」
川 ゚ -゚)爪゚ー゚)「なんだ」
_
(;゚∀゚)・∀・)「オレの後ろに来い」
川 ゚ -゚)爪゚ー゚)「…………? なぜ?」
_
(;゚∀゚)・∀・)「そこに居たら、オメーが見えねぇじゃあねーか」
川 ゚ -゚)爪゚ー゚)「?? だから、何故そんなことをする必要がある?」
297
:
◆N91v81g8eE
:2017/02/13(月) 21:15:19 ID:dmdlaOJ.0
_
(;゚∀゚)・∀・)「当たりめーだろ! 見えなきゃ、攻撃された場合どうすんだ!」
川 ゚ -゚)爪゚ー゚)「…………まさか」
川 ゚ -゚)爪゚ー゚)「まさか……だが……もしかして、長岡。
キミは『私を守るつもり』でいる気か……?」
_
(;゚∀゚)・∀・)「……さっきから、そう言っている」
川 ゚ -゚)爪゚ー゚)「…………。」
_
(;゚∀゚)・∀・)「!!」
空条が沈黙に入った。
ジョルジュの言葉について、考え込んでいたのだろう。視線が戦いに集中していない。
それは、本当に突然現れるように出てきた。
今度はスタンド越しに銀色の弾。
性質はわからない。実物なのか、スタンドエネルギーのものか。
わからない……が。
ジョルジュは躊躇わなかった。
298
:
◆N91v81g8eE
:2017/02/13(月) 21:16:13 ID:dmdlaOJ.0
_
(;゚∀゚)・∀・)『モラァッ!!』
速度だけならば負けはしない。
自分ではなく、空条に向けて飛んできた弾丸を、キャッチ・ザ・ハンドの拳が叩き落とす!
キィン、と甲高い音が鳴ると、それは若干の慣性を持ったまま地面へ転がっていった。
_
(;゚∀゚)・∀・)(やっぱスタンドじゃあねえ……これは実物だ……)
感触と目視でわかった。
コロコロと転がる、鉛玉。人にぶつけるにしては、怪我で済むか不安なレベルの質量。
危険な物体を、あからさまな敵意を持って放ってきた。
_
(;゚∀゚)・∀・)「……ゆるせねぇなぁ……オイ」
川 ゚ -゚)爪゚ー゚)「そこだ」
_
(;゚∀゚)・∀・)「は?」
怒りに拳を震わせていると、何か合点のいった空条が声をかける。
299
:
◆N91v81g8eE
:2017/02/13(月) 21:17:15 ID:dmdlaOJ.0
_
(;゚∀゚)・∀・)「見つけたのか、スタンド……」
川 ゚ -゚)爪゚ー゚)「そういう意味ではない」
川 ゚ -゚)爪゚ー゚)「そこが、不明な点なんだ」
考え込むように組んでいた腕を解き、空条はジョルジュを指さしながら続ける。
川 ゚ -゚)爪゚ー゚)「キミの『行動理念』……それがわからない。
私を『敵』だとみなしておきながら、攻撃対象とわかるや否や
『守ろう』とする……更に、敵への『怒り』すら沸いている」
川 ゚ -゚)爪゚ー゚)「なぜなんだ? 普通の人間なら、あるべき『精神的支柱』が
キミの場合、さっぱりわからない……。キミの言う『ヒーロー』とはなんなんだ?」
_
(;゚∀゚)・∀・)「……」
川 ゚ -゚)爪゚ー゚)「……」
_
(;-∀-)・∀・) =3
300
:
◆N91v81g8eE
:2017/02/13(月) 21:18:26 ID:dmdlaOJ.0
ジョルジュは空条の目を見た。
引き下がらない。質問に答える、それが果たされるまで決してあきらめない。
意志の強さを感じた。重みを感じた。納得できないなら、動く気すらおきない。
そんな目をされると、ジョルジュも諦めて口を開かざるをえなかったのだった。
_
( ゚∀゚)・∀・)「なんか勘違いしてるかもしんねぇけどよぉ、空条……」
_
( ゚∀゚)・∀・)「別に、そんなカッコつけた『信念』とか『精神的支柱』? とか
そんなもん、ねーよ」
川 ゚ -゚)爪゚ー゚)「は?」
_
( ゚∀゚)・∀・)「オレは……単に『気に入らねぇ』って思ったから、そうしてるだけだ
広い目で見れば『呟影団』となんら変わりはしねぇよ
思ったように動いて、思ったように考えてる……ただそれだけ」
_
( ゚∀゚)・∀・)「けど、その中で一つだけ。結局は主観になるが、それでも一つだけ。
オレは譲らないものを持っているつもりだ」
川 ゚ -゚)爪゚ー゚)「……それは?」
_
( ゚∀゚)・∀・)「『誰かの為になる正しい行いをする』ってことさ」
301
:
◆N91v81g8eE
:2017/02/13(月) 21:19:47 ID:dmdlaOJ.0
_
( ゚∀゚)・∀・)「オレが生まれ、そして育ったこの場所で……力を振りかざして
好き勝手する奴がいる……。『悪』がいる。
そんなものをゆるせねぇ、ってオレの心が叫んでる」
_
( -∀-)・∀・)「幸いなことに、オレにはスタンドっつう力がある……。
『誰かの為に振るえる力』がある。だったらよぉ……」
_
( ゚∀゚)・∀・)「オレが『誰かを守りたい』って思うのは、フツーなんじゃあねえのかよ」
川 ゚ -゚)爪゚ー゚)「……!」
_
( -∀-)・∀・)「んでもって、今の状況でいうなら……オメーは決して『敵』じゃあない。
それだけだ」
川 ゚ -゚)爪゚ー゚)「………………」
302
:
◆N91v81g8eE
:2017/02/13(月) 21:21:06 ID:dmdlaOJ.0
空条は確信した。
ただ、その言葉を聞いただけでわかったのだ。
長岡ジョルジュは……『底抜けのバカ』なんだと。
ある意味考えなしと言っても過言ではない。
無鉄砲さ、お節介、自らを犠牲にしてでも突き動かす。
それは全うな理由じゃあないか。
川 ー ) フッ
爪゚ー゚) スッ……
_
(;゚∀゚)・∀・)「どぉあ!?」
凍結した! 一瞬で!!
何を思ったのか、空条はスターホワイトの凍結能力で辺りを『氷付かせた』のだ!
_
(;゚∀゚)・∀・)「何すんだよいきなり! あぶねぇじゃあねーか!!」
川 ゚ -゚)爪゚ー゚)「危ないのはキミの方だ。振り向いてみるといい」
_
(;゚∀゚)・∀・)「あぁ!?」
303
:
◆N91v81g8eE
:2017/02/13(月) 21:22:13 ID:dmdlaOJ.0
言われたとおりに振りかえると、空中に無数の氷の塊が見えた。
中に包まれているのは、先ほど床に転がった弾丸と同じもの……。
そう、話し込んでいる間でも弾丸は打ち込まれていた。
そして、それを残らず『凍らせて』いたのだ、空条は。
_
(;゚∀゚)・∀・)「…………」
川 ゚ -゚)爪゚ー゚)「キミのことはよくわかった。
ただ、今一つ納得いかないこともある」
_
( ゚∀゚)・∀・)「あ?」
川 ゚ -゚)爪゚ー゚)「私を『悪』とみなしたことだ」
_
( ゚∀゚)・∀・)「……それについては、撤回するつもりはねぇぜ。
小さくても弱くても、増長されて他人に迷惑をかけた。
心の中の『悪』がお前にはあるんだろ」
川 ゚ -゚)爪゚ー゚)「……そうだな。その通りだ……」
川 ゚ -゚)爪゚ー゚)「だから」
_
(;゚∀゚)・∀・)「!」
304
:
◆N91v81g8eE
:2017/02/13(月) 21:23:09 ID:dmdlaOJ.0
本棚から、氷の塊が無数に飛んできた。
自分に向かってくるので、迎撃しようとジョルジュは少し考えるが
すぐに回避行動を起こす。
川 ゚ -゚)爪゚ー゚)つ て パシィッ
その先に、空条がいるからだ。
氷は彼女の能力によるもの……攻撃ではない……。
だから、躱した。
_
( ゚∀゚)・∀・)「……それは……」
川 ゚ -゚)爪゚ー゚)「キミは知らないだろうが、実は私は図書館の常連でね。
本棚にある著書は、ほぼ頭の中に入っているんだ。
その中で、違和感のある数冊……それを取り出したまでさ」
気温差で白く煙を吐く数冊の『本』。
スターホワイトの手にそれは握られ、氷に固められていた。
川 ゚ -゚)爪゚ー゚)「これが『スタンド』の正体だ。
よく見てみると良い。全部、同じタイトルをしている……。
どうやら、これを介して弾丸をどこからか打ち込んでいたのだろう」
305
:
◆N91v81g8eE
:2017/02/13(月) 21:24:07 ID:dmdlaOJ.0
_
( ゚∀゚)・∀・)「……………………ん?」
_
( ゚∀゚)・∀・)「それがスタンド?」
_
( ゚∀゚)・∀・)「ってことは…………もしかして」
_
(;゚∀゚)・∀・)「もう『倒した』ってことかぁ〜〜〜〜〜〜!?」
306
:
◆N91v81g8eE
:2017/02/13(月) 21:24:57 ID:dmdlaOJ.0
あまりのあっさりさに、ジョルジュが声をあげる。
そんなことも気にしないという風に、空条は凍った本を投げ捨てた。
そして、驚いているジョルジュに詰め寄る。
吐息すら聞こえそうなほどの距離で、力強く目を見つめた。
_
(;゚∀゚)「……?」
川 ゚ -゚)「……私は『悪』じゃない」
川 ゚ -゚)「キミに、それを必ず認めさせる」
凍ったスタンド以外の氷を解除すると、空条はそのまま図書室から出て行った。
_
( ゚∀゚)=3「……なんなんだ、あいつ」
307
:
◆N91v81g8eE
:2017/02/13(月) 21:25:40 ID:dmdlaOJ.0
スタンド名『マンハッタン・ラプソディー』
手に持った本を元に複製を作り、その間を自由に行き来できるスタンド。
条件が整えば強力だが、今回は相手が悪かった。
スターホワイトに氷漬けにされ再起不能(リタイア)。
/└────────┬┐
. < To Be Continued... | |
\┌────────┴┘
308
:
◆N91v81g8eE
:2017/02/13(月) 21:26:39 ID:dmdlaOJ.0
なんやかんや、色々とありまして投下が遅れてしまいました。すみません。
そこまで長いお話にするつもりもないので、頑張っていきたいと思います。
309
:
名も無きAAのようです
:2017/02/13(月) 21:27:16 ID:Kh1GW1zI0
おつ
310
:
名も無きAAのようです
:2017/02/13(月) 22:06:07 ID:fp6Zb0KI0
おつ
校内かその辺探せば氷漬けでぶっ倒れてる奴がいるのかな
311
:
名も無きAAのようです
:2017/02/14(火) 14:23:53 ID:LKmMgWtk0
おつ
312
:
名も無きAAのようです
:2017/02/15(水) 01:14:21 ID:OcEMRhKE0
楽しみに待ってた
313
:
名も無きAAのようです
:2017/02/19(日) 21:35:41 ID:9jv330J60
おつ!
続き来たか待ってたんだからね!
314
:
名も無きAAのようです
:2018/02/13(火) 00:09:29 ID:bikO6ykM0
最後の投下からもうすぐ1年か…
戻ってきてくれないかなぁと思いつつ支援age
http://boonpict.run.buttobi.net/up/log/boonpic2_2506.png
315
:
◆N91v81g8eE
:2020/06/01(月) 22:42:44 ID:.nfuLyJY0
誇りのかぶったスレにて失礼。お待たせしてしまい、誠に申し訳ないです。
なんだかんだで、ちゃんとやり切りたいとは思っています。とはいえ、色々衰えているのも事実
とりあえず、2020年の間に5話。短くとも長くとも、自分で納得できる5話を更新予定です。
頑張ります。
>>314
支援絵、めちゃくちゃ嬉しいです、ありがとうございました。
スターホワイトとクーを描いて頂けるなんて思ってもみなかった。
横顔めっさきれいで美しい
316
:
名も無きAAのようです
:2020/07/15(水) 09:28:54 ID:5hDBRYvY0
作者いんじゃん!!!!!!!!いつまでだって待ってんぜ!!!!!!!!!!!!!
317
:
名も無きAAのようです
:2020/08/18(火) 02:49:31 ID:q6PR/V.Q0
まじかよおおおお!!
俺も久々に覗いたらびっくりした!
楽しみに待ってるぞーーー!
318
:
名も無きAAのようです
:2020/09/09(水) 22:48:34 ID:JiQ3aEU60
見返しててラッキー
319
:
名も無きAAのようです
:2021/08/05(木) 01:04:05 ID:Wndak3Hc0
そして2021年ってね
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