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从 ゚∀从ハイマスターのようです

1名も無きAAのようです:2013/03/08(金) 23:37:04 ID:0cYqkOuw0
スナイパー空手講座にようこそ

124名も無きAAのようです:2015/01/12(月) 02:05:22 ID:L8IySgvw0


 その急襲に気付いたシャキンと流石兄者は、一瞬の目配せで役割を分担した。
 兄者はフォックスのもとへ、シャキンは敵の足止めに向かう。

(#`・ω・´)「横割りかいな、ええ度胸やんけ、お前ッ――!」

(#,, Д )「豪ッッッッ!!」

 シャキンと敵が交戦を始める中、兄者は既にフォックスを担いで退避していた。
 兄者はジョルジュの傍に行き、彼に声をかけた。

( ´_ゝ`)「ジョルジュ長岡、お前も来い。逃げるぞ」
  _
(;(#)∀゚)「残る! 師匠残して行けッかよ!!」

( ´_ゝ`)「……分かった」

 兄者は早々に判断し、ジョルジュを視界から外した。
 次にマネージャーの素直キュートに話しかける。この中では彼女が一番の弱者だ、守らなくてはならない。

( ´_ゝ`)「素直キュート、フォックスを連れて今すぐ逃げてくれ。
      そしてすぐこの病院に行け。三万やるからタクシーで行け、いいな」

 兄者はフォックスのズボンに病院の名刺と三万円を差し込み、キュートにフォックスを預けた。

o川;゚ー゚)o「……驚くのは後回しか」

爪; ー )「いってぇ……何が起きた……?」

o川;゚ー゚)o「それも後回し! 撤退!」

 キュートはしっかりとフォックスを背負い、路地を出て行った。
 それを見送った流石兄者は、振り返ってシャキンと敵の様子を窺った。

.

125名も無きAAのようです:2015/01/12(月) 02:19:59 ID:L8IySgvw0



 数十発の攻防を繰り返した末に、シャキンは敵から距離をとって沈黙していた。
 その沈黙を破り、シャキンは真剣な表情で話し掛けた。

(`・ω・´)「……知っとるでぇ。それ、リュウやろ。
      ストリートファイターの、格ゲーのやつ」

(`・ω・´)「てぇ事はお前、元9位のギコやろ。今までどこ行っとったんや?」

(#,, Д )「……殺意の波動、ここに極まれり」

(`・ω・´)「それも知っとるわ。お前、あの格ゲーバカ」

 『(´・ω・`)v ←格ゲーバカ』

(`・ω・´)「と一緒に行方不明になってたんやろ?
      ワイはあれの兄貴でなぁ、ここまで会いに来たんやけど……」

 シャキンは右腕に走る激痛に耐え、冷や汗を流しながら言った。


(;`・ω・´)「……あのバカ、自分の弟子に何しとんのや。
      殴る理由がまた一つ増えてもうたわ、こんちくしょう」

(;`-ω-´)「とりあえずお前、今ここで仕留めるわ。
      もう理性あらへんやろ、半殺しじゃ『それ』は止まらん」

 シャキンはギコに手の平を見せるようにして身構え、じっと集中した。
 彼は『気』の使い手、ひいては浸透勁を扱うファイターである。
 浸透勁は集中力が戦闘力に直結するため、こうして無駄話で気を練り上げるのも戦術の一つなのだ。

.

126名も無きAAのようです:2015/01/12(月) 02:31:47 ID:L8IySgvw0


(;`・ω・´)「浸透勁をバカ一直線に極めおってからに……死んだジジイ」

 『/#。' 3 ←死んだジジイ』

(;`・ω・´)「がブチ切れとるわ……」


( ´_ゝ`)「力を貸そうか」

 シャツの袖をめくりながら、流石兄者はシャキンの隣に立ち並んだ。
 バカの方とはいえ兄者も流石母者の息子である。その強さは凡人の域に収まらない。

(;`・ω・´)「サンキューな。確実に仕留めたい、手伝ってくれや」

( ´_ゝ`)「さながら『殺意ギコ』か……。
      あれじゃ今にも波動拳とか出してきそうだ」

 波動拳という単語に反応し、シャキンが兄者の顔を覗き込む。

(;`・ω・´)「……出るぞ」

(; ´_ゝ`)「……マジ?」


 その時、不思議なことが起こった。

(#,, Д )「ゴォォォォォォォォォッッッッッッ!!」

 ギコの周囲に赤黒いオーラ的なそれが立ち上り、地面が震え始めたのだ。
 オーラはギコの両手に集まり始め、バスケットボールほどの大きさになって固まった。
 しかもその玉はどんどん巨大化して禍々しさを増し、さらに大気を震わせた。

.

127名も無きAAのようです:2015/01/12(月) 02:37:44 ID:L8IySgvw0


(;`・ω・´)「……あんた、気は扱えるか?」

(; ´_ゝ`)「いや、無理」

(;`・ω・´)「なら逃げえ。こら素人が受けたら終わりや」

(#,,'゚'Д )「うおぉぉぉぉぉぉぉああああッッ――――!!」

 両手に集まったオーラで出来た球体を、力任せに合体させて一つにする。
 そしてギコは身構えると、その波動の塊をシャキン達に向けて打ち出した。

(#,,'゚'Д )「滅ッ! 波動ォォォォォォ拳ンンンンンンッッッッ!!!!」

 ギコの手から放たれた滅・波動拳は、もはや路地を完全に塞いでしまうほどに巨大だった。
 逃げるにも一本道で退路は上にしかなく、シャキン達はエアマスターでもないので上には逃げられない。

(;`・ω・´)「……下がりぃ、流石兄者」

 規格外の巨大さの滅・波動拳。
 それが生み出す烈風を全身に浴びながら、シャキンは両手を前に突き出した。

(; ´_ゝ`)「――骨は拾うッ!」

(;`・ω・´)「死なんわボケ! ただちょっと相打ちになるくらッ――」

 直後、シャキンの姿は滅・波動拳の中に消えた。

.

128名も無きAAのようです:2015/01/12(月) 03:03:25 ID:L8IySgvw0


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━



 ――翌朝、沢近医院。



(=゚ω゚)ノ「……」ペラ・・・

 彼は両手足ボッキボキにされてここに入院中のぃょぅ君である。
 今はお気に入りの漫画・エアギアを読みながら暇を潰しているところだ。

<_*プー゚)フ「そんでよぉこのバトルロイヤル賞金が出るんだよ! だから――」

 こっちはバイト大好きエクスト君。ランキング27位の微妙な男である。
 暇なのでぃょぅの所に遊びに来ていた。

(=゚ω゚)ノ「……エクストさん」ペラリ

<_*プー゚)フ「ルチャさんとお前と俺とで組んでさ、良いとこ目指そうって話!」

(=゚ω゚)ノ「俺、この漫画みたいに動きたくてスケート始めたんすよね……」ペラ・・・

<_*プー゚)フ「三人で賞金が出る順位になれば三十万確定だぞ!? やるっきゃねえだろ!?」

(=゚ω゚)ノ「でもそんな動き出来なくて……頑張ったんすけど、もういいかなって」

<_プー゚)フ「つーか腹へらね? 近くにメシ屋ないか?」

(=゚ω゚)ノ「聞いてないっすよね、ははは……」


爪'ー`)「それ分かるぜ。挫折ってヤツはいつでも辛いよな」

 その時、話を聞いていた反対側のベッドの男がそう言ってきた。
 彼は昨夜いきなり病院に担ぎ込まれ、即座に治療されてベッドに放り投げられた急患である。
 つまりフォックスである。うほほい

.

129名も無きAAのようです:2015/01/12(月) 03:15:40 ID:L8IySgvw0


(`・ω・´)「ワイもや。でもまぁ頑張った分だけ近づけるもんやで、そういうの」

 急患その2が口を挟んできた。シャキンである。
  _
(//∀゚)「やったもん勝ちみたいなのありますよね、そういうの」

 その3ジョルジュ(滅・波動拳に巻き込まれていた)。


(=゚ω゚)ノ「……そんなもんですかね、そういうの」
  _
(//∀゚)「案外出来たりするから、諦めずに居た方が良かったりするんじゃね?」

(=゚ω゚)ノ「……ランキング上位に言われたら、何も言えねぇや」



    |┃三       
    |┃     、_   「院長総回診で〜〜〜〜〜す!!」
____.|ミ\__*(‘‘)*     
    |┃=__    \   
    |┃ ≡ )  人 \ ガラッ


 そこに現われたるは沢近医院の院長・ヘリカル沢近。
 彼女は小学生くらい小さく、実際小学生である。
 そこそこ天才なので院長だって出来ちゃう凄い少女である。

.

130名も無きAAのようです:2015/01/12(月) 03:33:20 ID:L8IySgvw0

*(‘‘)*「元気ですかァー!!」

(=゚ω゚)ノ「元気でーす」

爪;'ー`)「……元気っす」

(`・ω・´)「おう」
  _
(//∀゚)「元気いっぱい!」

*(‘‘)*「当然だろ! なんせこの私が処置したんだから!」

 ヘリカルは適当な椅子に座り、チェックシートをズババッと書き上げた。


*(‘‘)*「私が治せないのは死人とテメェの粗チンだけってなぁ〜お前らここ笑うとこだぞ〜〜〜」

 彼女は椅子ごとクルクル回転してからピョンと立ち上がった。

*(‘‘)*「っていうか陰気くせぇ! 男くせぇ!」

*(‘‘)*「そんな雰囲気をブッ壊すにはこれ!」カチッ

 ヘリカルはラジカセのスイッチを押した。

*(‘‘)*「今朝の一曲はズンドコ節だぁ〜〜〜全員氷川きよしに染まれぇ〜〜」ズンドコズンドコ


爪'ー`)「院長は元気だなぁ」

(`・ω・´)「ほんま見習わなアカンわ、なあジョルジュ」
  _
(//∀゚)「ウス」

.

131名も無きAAのようです:2015/01/12(月) 03:34:00 ID:L8IySgvw0



    |┃三       
    |┃     、_   「それじゃ帰りま〜すまた昼に来るNE!」
____.|ミ\__*(‘‘)*     
    |┃=__    \   
    |┃ ≡ )  人 \ ガラッ





(; ´_ゝ`)「……相変わらずだな、あの子」

 嵐が過ぎ去っていくと、入れ替わりで流石兄者が病室に入ってきた。
 昨日の一件で無事だったのは彼と素直キュートだけである。
 彼はその無事な体を使い、昨夜突然現れたギコについて色々と情報を集めてきていた。

(`・ω・´)「どうやった? 成果あったか?」

(; ´_ゝ`)「あんまり。ただ弟者と話し合った結果、運営側の方針は決まった」

爪'ー`)「昨日の事は二人に聞いた。ギコってヤツの事、どうするつもりだ?」

( ´_ゝ`)「さすがに二人目のランカー狩りを看過するほど俺らは甘くない。
      このままランキングを荒らすようなら、探し出して排除する」

(;=゚ω゚)ノ「……ランカー狩り……」
  _
(//∀゚)「誰かやられたんすか、あいつに」

 兄者はジョルジュの質問に頷いた。

( ´_ゝ`)「14位のクックル、8位のブームくんが倒された。
      今はここより大きな」


    |┃三       
    |┃     、_   
____.|ミ\__*(‘‘)*     
    |┃=__    \   
    |┃ ≡ )  人 \ ガラッ


(; ´_ゝ`)「……大きいけど無能ばっかの県立病院に送られた」

 ヘリカルは深く頷いてから帰っていった。

.

132名も無きAAのようです:2015/01/12(月) 03:55:40 ID:L8IySgvw0


( ´_ゝ`)「あと、これが重要」

 兄者は指を立て、皆の視線を集めた。

( ´_ゝ`)「なんとあのギコ、ランキング5位にまで喧嘩ふっかけやがった。
      しかも互角に戦った上で生還、今もどっかに潜んでやがる」

爪'ー`)「5位……なおるよの事なら知ってる。顔馴染みだ」

(`・ω・´)「そっちはええ。ワイのクソアホ弟は?」

 『o(´・ω・`)o←クソアホ弟』

( ´_ゝ`)「そっちなら目撃情報があった。
      各地のゲーセンで豪鬼みたいな格好の不審者が目撃されてる」
  _
(;//∀゚)「この期に及んでゲーセンかよ、意味分かんねぇな」

(;`-ω-´)「恥ずかしい限りやわ……」

(; ´_ゝ`)「しかし予想以上にギコが強くなってるんだよ。
      多分、俺の母親くらいはある」

<_;プー゚)フ「えっ……あの流石母者くらい? ヤバくね?」

(; ´_ゝ`)「ヤバイ、だから時間がない。俺がゲーム出来ない!!」

.

133名も無きAAのようです:2015/01/12(月) 03:58:03 ID:L8IySgvw0


 〜〜 一方その頃の主人公 〜〜



从 ゚∀从「桂馬とかザコだろ! 飛車つええええ!!」バチッ!

「継ぎ桂で王手飛車だ」ペチン

从; ∀从「ぐああああ」グシャア 所持金:10円


从;゚∀从「おばちゃんバイトさせてーー!!」ガラガラッ

「また負けたのか……」

 ハインは至極平和的な日々を過ごしていた。

.

134名も無きAAのようです:2015/01/12(月) 04:08:10 ID:L8IySgvw0



( ´_ゝ`)「――とりあえず、近いうちに殺意ギコ討伐隊を結成する」
  _
(//∀゚)「殺意ギコ?」

( ´_ゝ`)v「カッコイイだろ、俺が決めた」


( ´_ゝ`)「出来ればそのメンツには一桁ランカークラスの奴を入れたい。
      ジョルジュ、フォックス、頼めるか」

爪;'ー`)「……ったく、とんだ貧乏くじだよ」
  _
(//∀゚)「断る理由ナシ! リベンジは大好物だ!」

(`・ω・´)「ワイは当然、そのメンツに入っとるんやろ?」

( ´_ゝ`)「もちろん。『気』を理解してるのはお前だけだ、スタメンだよ」


 向こう側で討伐隊の話が盛り上がる中、エクストとぃょぅは完全に放置されていた。

<_;プー゚)フ「……なんかえらい話を聞いちまったな」

(;=゚ω゚)ノ「……」

<_;プー゚)フ「……おい、ぃょぅ!」

 ぃょぅは考えていた――ランカー狩りその人へのリベンジを。
 実力が掛け離れているのは十分に分かっている。しかし、それでもまだ心の中にはあったのだ。

 戦いたい、強くなりたいという闘志。
 ランキング40位のザコなりに、思うことは多々あるのだ。
 一寸の虫にも五分の魂とはまさにこの事だった。ザコ

.

135名も無きAAのようです:2015/01/12(月) 04:10:18 ID:L8IySgvw0

( ´_ゝ`)「現状では話はここまでだ。後は俺と弟者とで作戦を固めておく。
      お前らは十分に回復したら連絡してくれ」

(`・ω・´)「……ま、急いで解決する話でもあらへんからな。
      たっぷり休んで、次はボッコボコにしたるわ」

 兄者は自分達の連絡先を書いたメモを残し、病室を出て行った。
 シャキン、ジョルジュ、フォックスは、それぞれベッドの上で寝たり寝たり寝たりした。





(=゚ω゚)ノ「……俺も、強い奴らと戦いてぇょぅ」

 誰にも聞こえないほど、とても小さく囁かれた、ささやかな願い。



    |┃三       
    |┃     、_   
____.|ミ\__*(‘‘)*     
    |┃=__    \   
    |┃ ≡ )  人 \ ガラッ


(;=゚ω゚)ノ そ ビクン!


    |┃       
    |┃     、_  「――その言葉が聞きたかった」
____.|ミ\__*(‘‘)*     
    |┃\_    \   
    |┃   )  人 \


 その願いを叶えるのは、悪魔か天使か、あるいは天才小学生か――



.


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