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( ^ω^)ブーン系突発イベント場のようです
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ブーン系突発イベント用のたまり場としてこのスレを立てました。
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J(∩ー∩)し「……」
('A`)「カーチャン。一体、どうしたんだ?」
J(∩-∩)し「……笑わない?」
('A`)「ん」
カーチャンは俺の言葉に、顔を隠していた両手をどけたみたいだった。
それから、なんとか聞こえるくらいの小さな声でいった。
J( '-`)し「カーチャン、おしゃれで色気があって、洒落たお料理も作れるようになりたかったの」
('A`)「なんで?」
J( 'ー`)し「だって、そうしたらカーチャンのことで恥ずかしい思いはしないだろ」
('A`)「誰が?」
J( '-`)し「……」
俺は大馬鹿だ。
聞かなくても答えはとっくにわかってるのに、こんなことを聞いている。
.
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俺は中学1年生。
趣味はゲームをすること。新しいのは買えないから、いとこの兄ちゃんのお下がり。
好きな食べ物はカップラーメン。カーチャンに何かあった時のためにいつも置いてある、非常食。
そして、カーチャンのたった一人の家族。
J( 'ー`)し「カーチャンいい年だから。
ドクオと仲の良いブーンくんや、ツンちゃん。それに他のお母さんよりずっと年上だろ?」
('A`)「……」
J( 'ー`)し「この前の授業参観……カーチャンのせいで困らせちゃったから」
(;'A`)「……あれはっ!」
J( ー )し「……ごめんね」
俺の背中にコツンとカーチャンの額があたる。
震えるカーチャンの声はなんだか、泣いているみたいだった。
.
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( ・∀・)「ドクオのカーチャンってさ……」
('A`)「え?」
( ・∀・)「ドクオのカーチャンって来てないの? ばーちゃんだけだよね、来てるの」
(;'A`)「いや、あの」
( ^ω^)「おっおー、ドクオのお母さんなら……」
(;'A`)「ぶ、ブーン、それよりモララーのカーチャンって誰か気になるよな!」
(;^ω^)「え、僕は」
( ・∀・)「え? 僕の? あそこにいる……」
( ‘∀‘)ノシ モラー
_
(*゚∀゚)「モララーの母ちゃんあれ?
すげぇー、おっぱいでけぇ!! すっげー若いし、超お色気っ!!」
(;・∀・)「どこがだよー。外じゃ自分のことお姉ちゃんって呼びなさいって言うんだからな。
それよりジョルジュの、カーチャンはどうなんだよ」
_
(;゚∀゚)「う、ウチのババアか?」
.
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从#゚∀从「このクソガキっ! 親に向かってババアとは何だババアとは!!」
_
(#゚∀゚)「うっせーペチャパイババア!!」
|゚ノ;^∀^)つ从#゚∀从アノガキ 「奥様ぁー、落ち着いてぇー!」
(;^Д^)「あ、お母ちゃん」
( ^ω^)「おー、あれがプギャーのお母さんかお? おしゃれだお」
( ・∀・)「うん。すごくおしゃれだね」
(*^Д^)9m「そそそ、そんなことねーし! う、嬉しくなんかねーし!」
_
( ゚∀゚)「ウチのババア。あれですっげー、飯作るの上手いんだぜ!
フランスーとか、イタリアーとか外国の変わった料理すっげぇ好きなの」
从#゚∀从「変じゃなくて、洒落た料理! 女子力バリバリのやつ!」
(*^ω^)「ツンのお母さんは来てるのかお?」
ξ;゚⊿゚)ξ「もう中学なんだから呼び捨てにしないでよ!
えーと、あれ? アンタ私の親の顔知ってるでしょ?!」
(;'A`)「……」
.
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授業参観のあの日、俺はみんなにカーチャンのことを言えなかった。
カーチャンを自分のカーチャンということが恥ずかしかった。
だって、みんなのカーチャンは若いから、綺麗だから、おしゃれだから、ちょっと怖くても料理上手だから。
俺のカーチャンみたいに老けても、くたびれても、昔の服を着ていもしないし、惣菜ばっかの手抜き料理もしなさそうだから。
(;^ω^)「ドクオ……いいのかお?」
(;'A`)「……う」
(; A )「何のこと? それより、もう授業はじまるぜ」
( ^ω^)「……ドクオ」
J( 'ー`)し
(; A )「……」
J( 'ー`)し「……」
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J( ー )し「プギャーくんのお母さんみたいにおしゃれでも、モララーくんのお母さんみたいに色っぽいわけでも、
ジョルジュくんのお母さんみたいにお料理が上手いわけじゃないけど」
('A;)「……ぅ」
J( ー )し「それでも、カーチャンがんばるから」
仕事を休んで授業参観に来てくれたカーチャン。
あの日のことをそれからずっと気にしていたカーチャン。
( ;A;)「ぅ、ぅ」
J( 'ー`)し「カーチャンのこと、許してね」
目が熱くなって、気づいたら俺は泣いていた。
本当に悪いのは、あれが俺のカーチャンだって言えなかった俺なのに。
本当に変だったのは、カーチャンではなくて俺の方だったのに。
( ;A;)「ごめん。ごめん! ごめん、カーチャン!!!」
J( 'ー`)し「ドクオちゃんはもう中学生になるんだから、母親のことがちょっと嫌になるのは当たり前なんだよ。
だから、悪いのはカーチャン。ドクオが胸を張って言える母親じゃなかった私の方」
( ;A;)「――ちがうっ!」
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ドクオ……気持ち分かるよ……
-
( ;A;)「カーチャンはばーちゃんなんかじゃない!」
J(;'ー`)し「う? うん」
( ;A;)「プギャーやジョルジュやモララーのカーチャンなんかより、ブーンやツンのカーチャンより、
ずっとずっとスゴイ立派だし頑張ってるとにかくすごくてすごいカーチャンだか゛ら゛!」
J(*'ー`)し「うん」
( ;A;)「ミニスカートが年甲斐なくても、実は乳が垂れ気味でも、食事の味付けが薄くても、カーチャンは立派なカーチャンだから」
J(∩-∩)し「ごめん、カーチャンちょっと泣きたくなってきた」
( ;A;)「カーチャンが背中がらあきの服来てても、昼ドラが録画できなくても、俺ガマンするから!」
J(∩-∩)し シクシク
(;'A`)て「ど、どうしたのカーチャン!
カーチャン! ごめん! ごめんカーチャン!!!」
(;'A`)ノJ('ー; )し
俺のカーチャンは45歳。俺は中学1年生。
たった二人の家族だけれど、毎日それなりに楽しく幸せに暮らしている。
だからもう、俺は間違えないし大丈夫だ……たぶん。
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――――――――――――――‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐
('A`)「あのさ、モララーこの前の授業参観の時の話だけどさ」
( ・∀・)「ん?」
.
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ξ゚⊿゚)ξ「まったく、ドクオはアホなんだから」
(;^ω^)「もうゆるしてあげるおー」
('A`;)「……ごめんなさい」
あの時、俺が言えなかったことは、いざ口にしてみればとても簡単なことだった。
俺は怒られたり笑われたりしたけれど、誰もカーチャンを馬鹿にしなかった。
だから俺は、みんなに一つだけ頼みごとをした。
ξ゚⊿゚)ξ「ま、とにかく女の人に喜んでもらうなら、アクセサリーよやっぱ!」
_
( ゚∀゚)「女ねぇ。だってドクオん家のバ……母ちゃんだろ?」
( ・∀・)「女はいくつになっても女だって、カーチャンがいってたからな!
身を飾るものといったら、きっと嬉しいと思うよ」
(*^ω^)「僕はツンに賛成だお!」
( ^Д^)「アクセサリーならお母ちゃんに聞いといてやるよ! 安いのな、ドクオにも買えるような!」
――カーチャンに喜んでもらいたいのだがどうしらいいのか、相談に乗ってもらいたい。
そんな子供っぽい内容にもかかわらず、誰も俺のことを笑ったり馬鹿にしようととはしなかった。
みんなは真剣に考えてくれて、それがなんだか恥ずかしくて、とっても嬉しかった。
.
-
‐‐‐‐‐‐‐‐‐
ξ#゚⊿゚)ξ「シュシュ! 絶対にシュシュよ!」
(^Д^#)「時計! 鞄に飾れるちいさいやつ!」
(;'A`)「……」
‐‐‐‐‐‐
( ・∀・)「ラッピングはちゃんと頼んどけよ!」
_
( ゚∀゚)「あの、おっぱいの大きいお姉ちゃんのいる店がオススメだ!」
(*^ω^)b「検討を祈るお!」
‐‐‐
('A`)ノ◎
('A`)「髪飾りか。
ツンは女の人なら絶対に喜ぶって、何度も言っていたけど……」
(;'A`)ノ◎「でも、カーチャンだしなぁ」
('A`)「……よし、行くか!」
.
-
('A`)ノシ
J( 'ー`)し
('A`)ノ◎ J('ー` )し
(*'A`) J('ー`*)◎ヽ
「ありがとう」
J( 'ー`)しカーチャンだって女のようです おしまい
.
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泣いた
カーチャンきめぇwwwwwwとか言ってごめんなさい正座してくる
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投下は以上です
タイトル>>355 J( 'ー`)しカーチャンだって女のようです
イラスト前半戦>>432
イラスト後半戦>>493
ありがとうございました!
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すまん酉つけたままだった
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絶対ギャグだろwwwwとか思ってた俺を殴ってください
俺、カーチャン大切にするわ
乙乙
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おつ
じんと来た
-
乙
カーチャンは大切にしないとな
というか一生懸命やってるカーチャンが可愛い
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ギャグだと思いきや心温まる話だった
乙乙
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泣いた
-
乙乙
スイーツをつくるようですもカーチャンもほっこりした
-
乙ありがとう
ギャグじゃなくなったのは>>498のファインプレーのおかげ
http://mzkzboon.blog.fc2.com/blog-entry-383.html
まぜこぜさんで宣伝してもらってたので、うrl置いとく
まぜこぜさんありがとう
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まぜこぜさんスゲー
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ありがたいな本当に
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誰もいない……
投下するなら今のうち
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この世で最も簡単な仕事とは何だろうか。
同じことだけを繰りかえす仕事か。
一度見れば誰もが理解できる仕事か。
欠伸をしてしまうような仕事か。
上記からも分かるように、簡単という定義は非常に曖昧だ。
また、簡単と楽は意味が全く異なっている。
単純作業を繰りかえすことを簡単に思えたとしても、何十時間と続けるとなれば精神的には辛い思いをすることもある。
人によって得て不得てがあるのも問題だ。
とある人物にとっては簡単であっても、別の人物からすればとても難しいものである可能性が存在している。
( ´_ゝ`)y-~「しっかし、この仕事は簡単だなぁ」
故に、男の言葉を真に受けない方がいいだろう。
彼にとっては簡単な仕事であっても、他者にとってもそうかと問われれば、
答えは間違いなく「ノー」なのだから。
http://boonpict.run.buttobi.net/up/log/boonpic2_540.jpg
( ´_ゝ`)のただ待つだけの簡単な仕事のようです
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煙草をふかしている男は気楽に言う。
まるで片手間にできる仕事をしているかのような口ぶりだ。
しかし、背後からは硝煙の臭いと爆音が聞こえてくるような状況だ。
彼と同じ場所に置かれて、心を軽くできる人間などそうはいないだろうし、
そこで働かされるような仕事を簡単だという人間も普通はいない。
軍人であったとしても、命の危険に晒されるような場所は好まない。
彼らこそが世界中の誰よりも平和を愛しているとはよく言ったものだ。
右手には煙草を持ち、左腕の下には鞄を置いてある。
服装は軍人のようにも見えなくはないが、それにしては簡素な装備だ。
( ´_ゝ`)y-~「欲を言えば、もう少し面白いことがあればいいな」
楽しいと思える仕事にめぐり合うのは難しい。
簡単だといえるもので満足するべきなのだろうけれど、彼も人の子だ。
欲は深く、今以上の環境を求めずにはいられない。
( ´_ゝ`)y-~「そうは思わないか?」
煙草の煙を吐き出しながら、虚空へ向かって問いかける。
いや、彼には他者の存在がはっきりと認識できていた。
以前は家であったのであろう瓦礫の影から、男が現れる。
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(,,゚Д゚)「貴様。VIPの者か」
男は逞しい体に軍服をまとっていた。
考えるまでもなく、彼は軍人だろう。
それも、煙草を持っている男とは敵対している国の軍人。
二人の服に縫いつけられているエンブレムが、まったく違うものであることからそのことが推測できる。
軍人の問いかけは、それらのことをすぐさまに理解してのものだった。
鋭い眼光と共に、黒光りする銃が向けられる。
躊躇のない行動は無慈悲にも見えるが、ここでは日常茶飯事であり、正しい行為でもある。
( ´_ゝ`)y-~「そういうあんたはソーサクの者か」
軍人の男に銃を突きつけられながらも、彼は煙草を吸うのを止めない。
吐き出した煙を丸くして、それを見守っている。
まるで自宅のようなリラックスっぷりだ。
(,,゚Д゚)「そうだ。故に、オレは貴様を始末する」
見ているだけで気の抜けそうな光景だが、軍人は厳しい口調を変えない。
同じように殺意の度合いも一切変化しない。
軍人の手に力が入る。
引き金を引くつもりだ。
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ソーサクとVIPは戦闘状態にあった。その最前線が今、二人のいる場所。
戦争の理由を知っているのは国のお偉いさん方だけだ。
兵士は今日も国を守るために働いている。
時には泥土に塗れ、血に塗れ、仲間の屍を踏みつけながら今日も生きている。
もはや理由などいらないのかもしれない。
爆音が響く度に、何人もの兵が死んでいく。
それは、ソーサク兵もVIP兵も変わらない。
誰が死んでも、何も思う必要がない場所。それが戦場だ。
誰かを殺す罪悪感など、とっくに朽ち果てている。
( ´_ゝ`)y-~「引くのかい?」
男の問いかけに、軍人は言葉で返すつもりはない。
行動で示してやればいい。
無駄な時間を消費せずにすむ。
引き金を引く。
聞き慣れた音と臭いが軍人の鼻を掠めた。
撃った反動すら今では心地良い。
-
( ´_ゝ`)y-~「オレは軍の奴とは別だ」
(,;゚Д゚)「なっ!」
引き金は引いた。
発砲音もした。
硝煙の臭いもしている。
だが、狙ったはずの男は生きていた。
先ほどと変わらずに煙草を吸っている。
違うのは、背中を瓦礫に預けて座っていたのが、
軍人へナイフを突きつけ、隣に立っていたことくらいだ。
(,;゚Д゚)「貴様……何者だ……?」
( ´_ゝ`)y-~「オレはVIPの待ち屋だよ」
(,;゚Д゚)「待ち屋?」
聞いたことのない職業だ。
軍人は微動だにせぬまま疑問符を付ける。
今の状況で動いた場合、殺されても不思議ではない。
( ´_ゝ`)y-~「そっ。世界で一番簡単なお仕事さ」
そう言うと、男は煙草を放り投げた。
煙草の火が引火するようなものはここにない。
いつか煙草自身が燃え尽きるまで煙を吐き出し続けるだろう。
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( ´_ゝ`)「オレは兄者。お前さんは?」
(,,゚Д゚)「……ギコだ」
名前くらい割れたところでどうということはない。
死んでドッグタグを見られればバレるようなものだ。
出し惜しみをするほどのものでもない。
( ´_ゝ`)「そうかい。んじゃ、ギコ。
足元を見てみな。顔だけ動かせよ。
手も足も動かすな」
軽い口調。しかし、内側に潜む殺気は隠そうともされていない。
ギコは唾を飲み込み、ゆっくりと足元を見る。
( ´_ゝ`)「ほれ、そこに看板があるだろ?」
(,,゚Д゚)「あぁ」
粗末な板に紙が張りつけられている。
『ソーサク様へ』とだけ書かれた看板だ。
これに何の意味があるのかわからない。
もしかすると、外交官か何かなのだろうか。
停戦のための契約でもしに来たというのならば、看板の意味も、まだわからなくはない。
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( ´_ゝ`)「本当はな、もう一つあったんだけどさー。
この間の爆発で吹っ飛んじまったんだよ」
(,,゚Д゚)「そちらには何が書かれていたのか聞いても?」
( ´_ゝ`)「勿論。
そこにはな、『ここにいる男は軍の者ではありません。しがない待ち屋です』
って書いてたんだ」
だから、その待ち屋というのは何なのだ。
ギコの眉間にしわが寄せられる。
それに気づいたのか、兄者は軽く肩をすくめた。
せっかちな男だと言いたいらしい。
軍人を前にして、人を小馬鹿にした態度を取れる程度には肝が据わっているようだ。
否、小馬鹿にしても殺されない自信があるということか。
( ´_ゝ`)「名前の通り。ただ待つだけさ。
敵を殺す必要もない。味方を助ける必要もない。
ここで、帰還命令が出るまで待つだけ」
(,,゚Д゚)「それだけか」
( ´_ゝ`)「それだけ。食料や嗜好品は適度に送られてくる。
食いっぱぐれる心配はない。することと言ったら待っているだけ。
簡単なお仕事だろ?」
兄者は笑う。
-
見てるぞ支援
-
しかし、ギコはそれが簡単でないことを知っている。
平和な土地ならいざ知らず、ここは戦場だ。
いつ命を落としてもおかしくない。
食料があるからといって、笑って帰還命令が出ることを待てるような場所ではない。
今も兵士達は戦場の緊迫感に耐えられず、精神を病んでいる者が出ていることだろう。
そんな中で、兄者だけが笑っている。
異常にも程がある。
( ´_ゝ`)「お前さんがオレを殺さないというなら、オレもそうしよう。
殺せという命令は受けていない。
ただし。殺すな、という命令も受けていない」
冷たいナイフが少しばかりギコの皮膚を裂いた。
血が出ないほどの浅さだが、その気になれば首が飛ぶだろう。
(,,゚Д゚)「殺さない。あんたがオレやソーサク軍に危害を加えない存在ならば、
オレがあんたを殺す理由もない」
( ´_ゝ`)「そうか。わかってくれて嬉しいよ」
兄者は慣れた手つきでナイフを腰にある鞘へと戻す。
ようやく緊張していた筋肉を緩めることができたギコは、彼を頭からつま先まで素早く観察する。
武器といえそうなものはナイフだけ。
他の持ち物は煙草と、座っていた場所に置かれている鞄くらい。
-
一見すれば簡単に殺せそうだ。
けれども、ギコは己が身を持って兄者の強さを知った。
達人ともなれば、ナイフ一本で幾多の人間を殺すことができる。
戦場において、そういった人間の存在は脅威的だ。
見逃してもらえるのならば、素直に甘んじるべきだろう。
(,,゚Д゚)「それでは、オレはこの辺りで失礼させてもらおう
( ´_ゝ`)「あ、待てよ」
踵を返そうとして立ち止まる。
ぎこちない動作で振り返り、兄者を見た。
( ´_ゝ`)「せっかくだ。少し話していかないか?
煙草を分けてやるからさ」
ギコは目を少しばかり見開く。
煙草なんぞ、ずいぶんと吸っていない。
こんな場所だ。物資はいつでも足りていない。
(,,゚Д゚)「……一本分の時間なら」
( ´_ゝ`)「そうこなくっちゃ」
嗜好品は支給されるものの、話相手がいなくて退屈していたようだ。
その寂しさだけは、何を用意されても解消されるものではない。
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ギコは受け取った煙草に火をつけてもらい、心地良いニコチンに一息ついた。
懐かしい味だと思える程度には、煙草を吸っていない期間が長い。
(,,-Д-)y-~「それで、何を話す?」
( ´_ゝ`)「そうだなぁ。こんな場所だ。平和的な話でもしようか」
(,,゚Д゚)y-~「平和ねぇ。
んなもん、忘れっちまったなぁ」
この戦争は長く続いている。
ギコはすでに時間の感覚を失ってしまっているが、それでも十年近くは戦場にいる気がしていた。
もはや、平和だった時代など遠い過去の話。
( ´_ゝ`)「オレは覚えてる。
平和だった時間なんて、本当に少しだったからな。
忘れられないのさ」
そう言った兄者は、どこか切なそうな目をしていた。
おそらく彼はギコよりも幾分か年が下だ。
年下に甘いなど、今時流行らないな。と、思いつつも、ギコは兄者の話を真面目に聞いてやることにした。
必要がありそうならば、慰めてやってもいいとまで思った。
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オレは捨て子だったんだ。
今じゃ珍しくないけど、当時はそこそこ珍しかった。
もう……。数十年も前になるからな。
VIPは戦争をしてなかったし、それなりに豊かで平和だった。
孤児院だってあったんだけど、オレは荒野に捨てられていてね。
乳飲み子をそんなところに捨てるなんて酷いよな。
そんな不安そうな顔をするなよ。
こうして生きてるってことは、オレは運が良かったんだろうさ。
何とか拾ってもらえてね。ただし、相手は傭兵の糞野郎だったが。
オレを傭兵にして、どっかに売ろうとしていたらしい。
非道だと思うか? でも、手間のかかる赤ん坊を拾ってくれるような奇特な奴でもあったんだよ。
ある程度成長してからは、色んな戦場に連れて行かれたよ。
ソーサクが戦ってるところにも行ったことがある。
何度も死にそうな思いをした。
有り難いことだけどな。
おかげで、今もこうして生きていられる。
そんなわけで、オレは同年代の人間に比べると、ちょっとばかし平和な時間ってのか少なかった。
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平和なお話はここからだ。
オレを育ててくれた傭兵が死んだんだ。
いや、それはよくある話だろ?
お前さんだって目の前で友人知人が死ぬところを見てるだろうし。
その頃には、オレも傭兵として働き始めていたから、特に困ったことはなかった。
親代わりがいなくなって寂しくはあったけどな。
そんなオレが、生まれ故郷だと思われるVIPで、煙草やら食料品やらを買っていたときだ。
暑苦しいローブを着た奴が近づいてきた。顔まですっぽり覆われていて、正直、怪しいことこの上なかった。
( )「兄者か?」
そう聞かれて、オレは頷いた。
名が知られるのは悪いことではなかったしな。
(´<_` )「オレは弟者。お前の双子の弟だ」
オレにだけ見えるようにされた顔は、確かにオレとよく似ていた。
一瞬、鏡を出されたのかと思った程だ。
呆気にとられているオレの手をそいつは引いた。
されるがままになっていたら、人気のない路地裏にまで連れて行かれたよ。
ちょっとビビったね。仕事柄、恨みを買っていてもおかしくはなかったし。
-
(´<_` )「……会うつもりはなかった。
でも、あんたの父親代わりが死んで、いてもたってもいられなくなった」
どうして、父親代わりについて知ってるんだ? って尋ねたよ。
知ってるわけがないだろ。オレはあいつのことを知らなかったんだし。
今だからこそ冷静に考えられるんだけど、あのときのあいつは哀れんでしまうほど悲しげな顔をしていた。
失ったのはオレのはずなのに、弟者の方が辛そうな顔をしてたんだぜ?
笑えるだろ。
そうそう。んでな、何で父親代わりが死んだことを知ってるんだっていう質問の答えだ。
(´<_` )「実はな、オレは兄者と視覚や聴覚を共有することができるんだ」
お前、おもしろい顔してるな。
オレも弟者に言われたときは、似たような顔をしてたんだろうけどな。
それから、オレは色々聞いた。
中でも、一番驚いたのは、弟者が国王様だったってことかな。
ははっ。咽るほど驚いてもらえたなら、オレも話したかいがあるってもんよ。
VIPの国王は顔を晒さないことで有名だもんな。
ほれ、よく見ておけ。これが国王様と同じ顔だぞ。
-
双子が不吉の象徴ってのは割りとよく聞く話だ。
両方を殺すというところもあれば、片方だけを殺すところもある。
VIPは後者で、兄を殺すところだった。
その場で殺されるはずだったんだが、産婆がオレを哀れに思ったらしい。
でも、その結果が荒野に捨てるってのも、どうなんだろうな。
普通なら死んでるぞ。
(´<_` )「オレは物心ついたときから、兄がいると知っていた。
何せ、視覚も聴覚も共有できたからな」
一方的にではあるが、弟者はオレのことを兄だと思ってくれていた。
オレは、それが嬉しくてなぁ。
天涯孤独の身だと思ってたのに、弟がいたんだ。
相手は国王様だったけど、そんなことは関係なかった。
肉親がいたってだけで、嬉しかったんだ。
(´<_` )「泣くなよ。うん。気持ちは、わかるけどさ……」
優しい弟だろ。
え? あぁ、本当に泣いてたさ。
感情なんて戦場に捨ててきたと思ってたんだけど、そうでもなかったらしい。
(´<_` )「双子の兄が生きてるってバレたら、兄者が殺されかねない。
だから、一緒に住むことはできない。すまない。オレの力不足で」
馬鹿だよな。あいつ。
そんなの、どうだって良かったのに。
落ち込んで、悲しんで、悔しそうだった。
-
それからのオレは幸せだった。
弟者が用意してくれた小屋に住んでな、週に一度、あいつが訪れるのを楽しみにしていた。
残念ながら、オレには普通に働くっていう能力が欠如してたから、
生活費なんかはあいつに頼りっきりだったけどな。
(´<_` )「兄者はコレが好きだろ?」
そう言って煙草をくれたんだ。
オレはあいつの好きなものなんて何も知らなかった。
それが悲しいって言ったら、弟者は笑うんだ。
(´<_` )「そんなもの、今から知ってくれよ」
今はあいつの考えてることなら何でもわかるぞ。
林檎やマーガレットや小川や、VIPが好きなんだ。
(´<_`;)「腕や足の傷は知ってたが、背中の傷も酷いな」
顔に傷がなくてよかったと思ったのは、アレが始めてだったな。
双子っていう証明にもなってる顔だぞ? 傷がついてたら台無しじゃないか。
背中は流石に自分じゃ見られなかったが、弟者が言うには酷いらしい。
まぁ、傭兵なんてそんなもんだよな。
後ろから撃たれる、切られる、なんて当たり前だし。
-
弟者の立場もあって、あまり外には行かなかったな。
国民はあいつの顔を知らないけど、万が一のことがあったら困る。
小屋の中でボードゲームとかしたな。
あいつ、チェスが強いんだよ。
実戦を経験してるから、戦術ゲームはどうにかなると思ってたんだけどなぁ。
そう上手くはいかないらしい。
あとは、日曜大工みたいなことをした。
二人で椅子を作ってさ、でもどっちもガタガタで、とてもじゃないけど座れるような代物じゃなかった。
城での愚痴も聞いた。
やれ、大臣がうるさいだの。やれ、侍女がお節介だの。
聞いているだけで楽しかったよ。
オレの生活をあいつは知ってるけど、あいつの生活をオレは知らなかったからな。
聞いておかないと不公平ってのもあった。
笑うなよ。だってそうだろ?
オレだって弟の日常生活が知りたい。
-
(,,゚Д゚)「あ? じゃあ、何でお前はここにいるんだ?」
ギコは煙草を吸い終えていたが、まだ兄者の隣にいた。
中途半端なところで席を外すには、少しばかり興味がひかれる話だったのだ。
(,,゚Д゚)「一度は捨てられたとはいえ、お前は国王様の兄貴なわけだ。
なら、こんな命が幾つあっても足りないような戦場に来る理由はないだろ」
生活するための金がなくなるはずがない。
兄者のスポンサーは国王様だ。
金はいくらでもあったはず。
( ´_ゝ`)「あー。バレちゃったんだよねぇ」
(,,゚Д゚)「バレた?」
( ´_ゝ`)「そう。国のお偉いさん方に、オレのことが」
一瞬の沈黙。
しかし、静寂は訪れることなく、遠くでは発砲音と爆発音が響いている。
それらを耳にしながらも、ギコは脳内で整理をつけていた。
(,,゚Д゚)「それって、不味いんじゃね?」
( ´_ゝ`)「不味かったんだよ」
-
ある日、小屋の扉がバーンって開いたんだ。
そこにいたのは申し訳なさそうな弟者と、見るからに偉そうな奴ら。
オレはすぐに悟ったね。
今日、死ぬんだって。
だから、そのまま聞いたんだ。
オレは死ぬのか? って。
話は早いに越したことがないからな。
( ФωФ)「……いや、そうではない」
はぁ? ってな。
いやー。命知らずな言動だった。でも、死ぬと思ってたし、それほどおかしくもないか。
( ФωФ)「お前には戦場へ向かってもらう」
傭兵として働けってことかと思った。
腕には多少の自信があったし、国から雇ってもらえるなら収入も悪くないだろう。
二つ返事で了承するつもりだった。
もとより、オレは傭兵としてしか生きていけないような人間だし。
( ФωФ)「それも違う」
ここで二度目のはぁ? な。
傭兵として以外、何しに戦場へ行くんだよって感じ。
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( ФωФ)「お前はただじっとしていればいいのである」
囮か何かになるのか。
訓練用の的にでもされるのか。
単純にオレがいるべき場所は戦場なので、そこで野たれ死ねということか。
オレの胸はドッキドキだったね。
死を覚悟したときは、全然だったのにな。
思えば、誰かから何かを宣告されるなんて、あれが最初で最後だったかもしれん。
( ФωФ)「戦場の様子をこちらへ送ってくればいい」
弟者がいればそれは可能だ。
向こうが受信。オレが送信。
何の意識もせずに行われる行為。
お、お分かりだね?
そう。それが、今のオレ。
( ФωФ)「期間命令が出るまで、ずっと戦場で前線の様子を伝えろ」
待ち屋の誕生だ。
-
( ´_ゝ`)「弟者がいつ、どのタイミングでオレと視覚を共有してるのかは知らない」
(,,゚Д゚)「今、されている可能性は?」
( ´_ゝ`)「無論、ある」
敵側の国王に顔を見られているかもしれない。
不思議と、ギコは圧迫感を覚えた。
まるでマジックミラーを見ている気分だ。
( ´_ゝ`)「VIP軍の奴らはオレのことを知っている。
だから、弾薬なんかの補充はオレを通しているな」
(,;゚Д゚)「そうか!」
ギコは立ち上がり、銃を握る。
その顔には焦燥が浮かんでいた。
(,;゚Д゚)「今までずっと謎だった。
VIP軍はどれほど予定外の弾薬や食料を使わせたところで、何のロスタイムもなしに補充を受けていた。
通信妨害は出しているはずなのにだ!」
兄者の仕事の意味を悟る。
物資の補給は戦場でも重要な位置にある。
それを司っている男が、目の前にいるのだ。
-
( ´_ゝ`)「オレを殺すのか?」
(,;゚Д゚)「刺し違えてでも」
( ´_ゝ`)「そうか。残念だ」
兄者はゆっくりと立ち上がる。
彼の強さをギコは知っている。
しかし、兄者はここで殺っておかなければならない。
戦争に勝つためにも。
( ´_ゝ`)y-~「最期まで、オレと仲良しでいて欲しかったよ」
余裕を見せているのか、兄者は煙草に火をつけた。
ギコは銃口を兄者へ向け、引き金に指をかける。
(,, Д゚)「――あ?」
ぐらり。
ギコの視界が揺れた。
空が見え、遠ざかっていく。
次に地面が見えた。やけに近い。
( ´_ゝ`)y-~「さようなら」
爆音にかき消されることなく、その声が届き、ギコは暗闇へ落ちた。
-
( ´_ゝ`)y-~「ごめんな。始めから、お前さんを生かして帰すつもりはなかったんだ」
兄者のナイフには毒が塗ってある。
遅効性のものなので、死ぬのは遅いが威力は確かだ。
皮膚を少し裂く程度の傷でも十分に相手を殺すことができる。
(,, Д )
ギコは返事をしない。
もう、物言わぬ屍だ。
( ´_ゝ`)y-~「墓とか欲しいかな?
でも、このサイズの穴を掘るのは疲れそうだしな……」
兄者は煙草を口にくわえ、置いたままになっていた鞄を開ける。
中には日持ちする食料や煙草などが入っている。
( ´_ゝ`)_~「んー。あった。あった」
雑多な中からお目当てのものを見つけたらしい。
彼が取り出したのは、乾いた藁だ。
それをギコの上へとバラまく。
( ´_ゝ`)y-~「火葬にしよう」
そう言って、煙草を放り投げた。
-
オレの道楽で殺しちゃったから、せめてちゃんと埋葬してやろう。
戦場の兵士なんて、みんなその辺りに積まれて埋められるだけだ。
それなら、こうして骨になって、ちゃーんと自分だけの墓があるほうがマシだろ?
ギコの体が燃える。
煙が上がっているが、こんな場所だ。今更、煙の一つや二つ増えたところで、誰も気にしないだろう、
ドッグタグはオレが貰っておくな。片方がお前の墓に供えてやるよ。
あぁ、今日も硝煙の臭いが酷いな。
もう終わらせてやればいいのに。
これほど無駄な戦争はない。
傭兵をしていたオレが言うことじゃないんだろうけど、戦争ほど無益なものはない。
ギコにだって、好きな奴くらいはいただろう。
待ってくれている奴だっていたかもしれない。
それらを全て捨てさせられるんだ。
昔と違って、今のオレは平和も幸せも知っているから、それがすごく可哀想に思える。
オレがあの戦場へ走って行けばいいのだろうか。
戦果を上げてもいいし、死んでもいい。
どちらにせよ、戦争は驚くべき早さで終わるだろう。
この戦争はオレを生かすためだけの戦争だ。
-
わかっている。
あの日、小屋にやってきた弟者の顔を見たときから、オレはあいつの考えていることが手にとるようにわかるんだ。
戦争が終われば、オレはお役御免。即死刑。
それを回避するために、あいつは御託を並べて、この戦争を長引かせている。
兵士のことなんて、何一つ考えられていない争いだ。
国のことだって考えていない。
いつまで続けるつもりなのかはわからない。
弟者はそこまで考えていない。始めは申し訳ないって思ってたみたいだけど、今じゃそれもない。
顔を見ることもできない場所にいるオレが、一分一秒長く生きられることだけを考えている。
酷い国王様だ。
双子の片割れを殺すことが、どれだけ必要なことかわかったよ。
オレがいなけりゃ、あいつはきっと良い王様だった。
週に一度会っていた弟者は、国民のことをよく考えている奴だった。
ごめんな。ギコ。
ごめんな。兵士達。
お前達が無意味な死を遂げるのはオレのせいだ。
オレはそれを知りながらも、今日を生きている。
死ぬことは別に怖くないけど、弟が悲しむことを思えば死ねない。
というわけで、オレは今日もただ待つだけの簡単な仕事をこなしている。
END
-
以上
タイトル>>341 ( ´_ゝ`)のただ待つだけの簡単な仕事のようです
イラスト>>417 http://boonpict.run.buttobi.net/up/log/boonpic2_540.jpg
ひとまず一つは公約を達成できてよかった
-
乙!
-
うわぁ兄者も弟者も辛い…
乙です
-
すげー設定凝ってるなぁ!そこはかとなく鬱で切ない。乙!
-
これは辛いなぁ
-
面白いの集まってんなあ
他にも書いてる人頑張れ!待ってるぞ!
-
この救いのなさが辛い…
兄弟どっちも幸せになれないのか…
乙でした
-
投下します
lw´‐ _‐ノv森の中の人魚のようです( ´ー`)
-
とある山の麓にある、森の中のお話です。
( ´ー`)
みどり色の、小さな怪物がおりました。
名前も親も知らず、たったひとりぼっち。
( ´ー`)(ここは、どこだよ?)
小さな怪物は、森をさまよいました。
すると狐に会いました。
イ从゚ ー゚ノi、「きみはなんて変な生き物なんだ。鼬にしては小さいな」
( ´ー`)「いたちってなんだよ、しらねーよ」
イ从゚ ー゚ノi、「みすぼらしい格好をしていない生き物のことさ」
狐はそう嘲笑って言いました。
小さな怪物は悲しくなって、逃げ出しました。
その次に、小さな怪物は狸に会いました。
从´ヮ`从ト「やぁ、君の毛色は随分気色が悪いね。苔でもはやしているのかい?」
( ´ー`)「苔ってなんだよ、しらねーよ」
从´ヮ`从ト「そこらへんの石にくっついてるものさ」
狸は、小さな怪物を前足で踏みました。
(;´ー`)「痛いよ、なにするんだよ」
从´ヮ`从ト「おや、あんまりにも小さいから石と間違えてしまったよ」
狸はじわじわと力をこめます。
小さな怪物は、その前足に噛みつきました。
从;´ヮ`从ト「あいたっ!」
そのすきに、小さな怪物は逃げ出しました。
-
逃げた先で、小さな怪物は狼に出会いました。
リi、゚ー ゚イ`! 「ふむ、小腹を満たすにはちょうどいい大きさだ。旨そうな匂いまでする」
( ´ー`)「旨そうってなんだよ、しらねーよ」
すると狼はなにも言わずに、小さな怪物に飛びかかりました。
(;´ー`)「うわっ!」
小さな怪物は狼に噛みつきました。
けれども狼はせせら笑うばかり。
リi、゚ー ゚イ`! 「こんなの痛くも痒くもないな」
小さな怪物の体に、爪が刺さります。
しかも狼は、ゆっくりと、小さな怪物を歯でなぶり始めました。
(;´ー`)「あ、ぐっ……」
小さな怪物の体はどんどん傷が増えていきます。
どれも痛くて仕方がありません。
(; ー )(だれか、)
助けてほしい、と小さな怪物が祈った時でした。
「こらこら、食べるのはいいとして、無駄にいじめることはないでしょう」
静謐な、女の人の声がしたのです。
狼はあわてて、小さな怪物を離しました。
リi、゚ー ゚イ`! 「ごめんなさい」
「いいえ、ゆるしません。遊びで奪っていい命はないのですから」
リi、゚ー ゚イ`! 「…………」
それを聞いて、狼は小さな怪物を襲うことはもうできないということを悟りました。
ですから、しぶしぶその場から離れました。
-
小さな怪物が顔をあげると、
lw´‐ _‐ノv
そこには、とても美しい異形のひとがいたのです。
髪はみずみずしいみどりの蔦で、左腕はすべらかで茶色い樹皮でできていて、指にあたる部分は枝分かれしていました。
極めつけに、彼女はこのはの尾びれを持っていて、ひらひらとそれを揺らして空に浮いていたのです。
森の中なのに、人魚がいたのです。
lw´‐ _‐ノv「ここでは、見たことのない動物ね」
と、ゆっくり人魚はいいました。
lw´‐ _‐ノv「どこから、来たの?」
( ´ー`)「しらねーよ、気づいたらここにいたんだよ」
lw´‐ _‐ノv「そう」
小さな怪物の言葉に、人魚はそう返して、それから左腕の枝を、器用にしならせて、小さな怪物を抱き上げました。
(;´ー`)「なにするんだよ」
人魚は言いました。
lw´‐ _‐ノv「怪我の手当て」
人魚は、小さな怪物を抱き上げたまま、すべるように泳ぎます。
そうして人魚は、切り株に座り、小さな怪物の怪我を手当てし始めました。
(;´ー`)「痛いよ」
lw´‐ _‐ノv「でも、このままじゃもっと痛いよ」
その言葉を聞いて、小さな怪物は痛みを我慢しました。
lw´‐ _‐ノv「はい、終わり」
-
( ´ー`)「……どうして、ぼくに優しくするんだよ?」
小さな怪物の質問に、
lw´‐ _‐ノv「きみはひとりぼっち。わたしもひとりぼっち。似たもの同士」
lw´‐ _‐ノv「このままじゃあ、寂しいだろう?」
lw´‐ _‐ノv「どうか、一緒にいておくれ」
人魚は呟くように、そう答えました。
lw´‐ _‐ノv「わたしはシュー。この森に住む、人魚」
( ´ー`)「人魚」
lw´‐ _‐ノv「きみは、そうだね。なにもしらないから、シラネーヨだ」
( ´ー`)「シラネーヨ?」
lw´‐ _‐ノv「そう。名前は、あったほうがいいんだよ」
そう言いながらシューは、やさしくシラネーヨの頭を撫でました。
それがなんだな心地よくて、シラネーヨはついウトウトしてしまいました。
( ´ー`)「シューとシラネーヨ……」
lw´‐ _‐ノv「そう、シュー。よろしくね、シラネーヨ」
( ´ー`)「よくわかんないけど、よろしくだよ」
寝ぼけまなこで、シラネーヨはそう言いました。
lw´‐ _‐ノv「……うん」
それに対してシューは返事をしたのですが、眠ってしまったシラネーヨには伝わりませんでした。
-
ューは、不思議な人魚でした。
( ´ー`)「いつからここにいるんだよ?」
lw´‐ _‐ノv「森とわき水ができてから、かな」
( ´ー`)「わき水?」
lw´‐ _‐ノv「こっちに、いらっしゃい」
のんびりと泳ぎ始めたシューの跡を追い、シラネーヨは短い足でシューを追いかけました。
しばらくすると、小さな川にたどり着きました。
lw´‐ _‐ノv「きみと同じさ。気づいたら、ここにいた」
( ´ー`)「ぼくと同じ……?」
lw´‐ _‐ノv「ええ。姿は全然違うけど、きっときみもわたしと同じ仲間なんだ」
その一言がとても嬉しくて、シラネーヨはぽかぽかした気分になりました。
(*´ー`)「仲間って、なんだかあったかい響きだよ」
lw´‐ _‐ノv「それは幸せ、というんだよ」
水の流れを見つめながら、シューは言います。
lw´‐ _‐ノv「逆に、冷えた気持ちは悲しいというんだよ」
( ´ー`)「へぇ」
lw´‐ _‐ノv「きみは、なんにも知らないんだね」
そうつぶやいて、シューはほんの少し考え込みました。
lw´‐ _‐ノv「いろんなことを教えてあげよう」
( ´ー`)「いろんなこと」
lw´‐ _‐ノv「森のことや山のこと、それから季節のことを」
lw´‐ _‐ノv(きみがひとりになっても生きていけるように)
-
シラネーヨはシューとたくさんのことを教わりました。
木の実や花の種類、美しい毒草、森の動物たちのこと。
凍える冬を耐え、春にみどりは目覚め、夏は森を駆け抜け、秋にはシューの尾びれが赤くなり、また雪が降り始めて……。
二人をとりまく時間はあっという間に過ぎていきました。
lw´‐ _‐ノv「昔はこんなに小さかったのに」
シューは笑いながら、シラネーヨを見つめます。
もうそこには、動物にいじめられて食べられかけていたような弱々しい生き物はいませんでした。
( ´ー`)「でも中身は変わってねーよ?」
lw´‐ _‐ノv「知ってる」
シューは、静かに言いました。
それがなんだか面白くなくて、シラネーヨが反論しようとした時でした。
地面がぐらぐらと揺れたのです。
(:´ー`)「な、なんだよ!?」
シラネーヨは不安げにシューを見つめました。
lw´ _ ノv「…………」
lw´‐ _‐ノv「大丈夫だよ」
その言葉のとおりでした。
まもなく地面はもとの通り、静かになったのです。
lw´‐ _‐ノv「ねぇ、シラネーヨ」
( ´ー`)「なんだよ?」
lw´‐ _‐ノv「この森で一番好きなものを教えておくれ」
そう言われても、シラネーヨは困りました。
だってこの森のすべてが、シラネーヨにとって大事でしたし大好きだったのですから。
-
( ´ー`)「うーん……。リンデン、が一番好きだよ」
迷ったあげく、シラネーヨはそう答えました。
彼とシューは、よくその木の下でおしゃべりをしていたからでした。
lw´‐ _‐ノv「そう」
( ´ー`)「でもおれは、リンデンと同じくらいシューのことが好きだよ」
lw´‐ _‐ノv「……ありがとう」
シラネーヨの言葉に、シューは緩やかに微笑んでそう返しました。
シラネーヨはシューの笑顔が大好きでした。
でも、なぜか今日の笑顔はあまり好きではありませんでした。
( ´ー`)(どうしたんだよ、おれ)
そのわけを、一人で考えてみましたが、シラネーヨはまったくわかりませんでした。
その次の日、シューはシラネーヨに言いました。
lw´‐ _‐ノv「頼み事があるの」
( ´ー`)「おれにできることならなんでも」
lw´‐ _‐ノv「これを持って、五日間西のほうまで旅をしておくれ。中身は見てはいけないよ」
そう言いながら、シューは木の皮と蔦で作ったかばんを、シラネーヨの首にかけました。
( ´ー`)「旅?」
lw´‐ _‐ノv「そう。なるべく全速力で遠くまで行くの」
-
( ´ー`)「それまたどうして?」
lw´‐ _‐ノv「わたしは森の外を出たことがないんだ。だからシラネーヨ、きみが代わりに森の外を見てほしい」
シラネーヨはシューの頼み事を受けました。
lw´‐ _‐ノv「土産話、楽しみにしてるから」
( ´ー`)「うん」
そうして、シラネーヨは山とは真反対の西に向かって走り始めました。
一日目は森の中。
二日目はまだまだ森の中。
三日目は段々岩が多くなっていって。
四日目は砂利の道。
五日目は枯れた大地にたどり着き。
-
聞いたことのないような轟音を耳にして、ようやくシラネーヨは背後を振り返りました。
(;´ー`)「!?」
山が、赤く燃えていました。
空にもうもうと白煙をのばし、山肌をまがまがしい赤い光を帯びた液体が嘗めていって。
(;´ー`)「シュー……!」
シラネーヨは、もと来た道を引き返しました。
けれども、五日かけてきた道を一日で帰ることなんてできやしませんでした。
それでもただひたすら、シラネーヨは走り続けて。
そうしてやっと、森にたどり着いた頃。
そこにはほとんどなんにも残っていませんでした。
( ー )「…………」
( ー )「シュー、」
森の中にいた人魚は、きっと燃えてしまったのでしょう。
火の水はすべてを奪ったのです。
( ー )「…………」
ふと、シラネーヨはシューのくれたかばんを思い出しました。
首からはずして、蔦をかみちぎると、中から小さな種が出てきました。
( ー )「……シュー」
きっと彼女はなにもかも知っていたのです。
知っててシラネーヨを森の外に出したのです。
( ´ー`)「おれは、もう一度、シューに会いたいよ」
-
それから幾年の時が過ぎて。
ほんのすこしずつ、山の麓にみどりが戻ってきて。
けれども、誰も名前を呼ばないものですから、みどりの怪物は自分の名前を忘れてしまいました。
それでも怪物は、覚えているのです。
( ´ー`)「また春が来たよ、シュー」
( ´ー`)「早く、戻ってきてくれよ」
自分にリンデンの種を託した、森の中に住んでいた美しい人魚のことを。
今までも、これから先も、ずっと、ずっと。
lw´‐ _‐ノv森の中の人魚のようです( ´ー`) 終わり
-
lw´‐ _‐ノv森の中の人魚のようです( ´ー`)
使用イラスト
>>441
http://boonpict.run.buttobi.net/up/log/boonpic2_553.jpg
>>461
http://boonpict.run.buttobi.net/up/log/boonpic2_558.jpg
>>693
コピペミス
一行目は「シューは、不思議な人魚でした。」です
-
すげぇよかった
投下お疲れさん
-
寂しくも綺麗な話だ
乙!
-
乙乙!
綺麗な文章で余計寂しい気持ちになったよ
-
| \
|Д`) ダレモイナイ・・トウカスルナラ イマノウチ
|⊂
|
-
とくんとくん
殻の中から聞こえるのは、鼓動。
確かに聞こえるその音が、そこに命があることを教えてくれる。
とくんとくん
今日もまた卵を抱え、新たな生を心待ちにしている。
( ´_ゝ`)卵が孵らないようです
※若干閲覧注意※
-
( ^ω^)「兄者ー!今日の放課後ゲーセンに行こうお!」
('A`)「またゲーセンかよ。たまにはカラオケにも行こうぜ」
(´・ω・`)「えー、今月はピンチだから誰かの家にしようよ」
( ´_ゝ`)「俺もショボンにさんせー」
( ^ω^)「ぼくの家はきったねーから無理だお」
(´・ω・`)「ぼくの家は狭いから無理かも」
学校からの帰り道。
いつもの調子で、仲良し四人組は本日の遊び場を決める。
-
('A`)「おい、あんまり汚すんじゃねーぞー。
特にブーン。菓子カス落とすなよ」
結局、ドクオの家に決まり、四人はだらだらと菓子を食べながら漫画を読んでいる。
( ^ω^)「一応これでも気をつけてはいるんだお」ムシャムシャ
(´・ω・`)「食べながら喋るのはやめなよ、ブーン」
( ´_ゝ`)「流石に行儀が悪いぞ」
( ^ω^)「食べてる途中に話しかけるドクオが悪いんだお」
( ^ω^)「…お?兄者、それ何持ってんだお?」
ブーンの言葉に、残りの二人が兄者の手元に視線をやる。
その手には手の平サイズの丸いものが握られていた。
(´・ω・`)「そういえば、最近よくそれ持ってるね」
( ^ω^)「そうなのかお?僕は今知ったお」
('A`)「おもちゃかなんか?」
( ´_ゝ`)「これ?」
兄者が手に持っていたものを皆に見せる。
真っ白な卵型のプラスチックケースにビニルテープがぐるぐると巻き付けられている。
( ´_ゝ`)「内緒ですー」
へらりと笑うとそれはポケットの中に仕舞われた。
他の三人があれこれと尋ねるが、へらへらと笑い流すだけで兄者は答えない。
兄者が何も話すつもりがないことが分かると、三人は仕方なく諦めた。
その日は、黙々と各々が漫画を読み耽り、解散した。
-
( ´_ゝ`)「ただいまー」
@@@
@#_、_@
( ノ`)「はやく着替えといで。夕飯だよ」
( ´_ゝ`)「はいはーい」
部屋に戻ると、制服を脱ぎ部屋着にと着替える。
そして制服のポケットを漁り、ドクオ宅で見せたプラスチックの卵を取り出す。
それを両手で包み、胸に当てる。
とくんとくん
とくんとくん
鼓動を伝えるそれを愛おしげに指で撫でた。
-
その夜。
兄者は夢を見た。
目の前には人が一人入ってしまうだろう大きさの卵がある。
触れてみれば、温もりを感じる。
卵の表面は薄く色づきピンク色をしている。
真っ赤になるまで、あと少し。
とくんとくん
とくんとくん
兄者は卵に両手を回し抱きしめる。
涙がひとすじ頬を伝う。
とくんとくん
とくんとくん
( ;_ゝ;)「もうすぐ生まれるんだな」
( ;_ゝ;)「お前が生まれてきてくれること待ってるよ、 。」
http://boonpict.run.buttobi.net/up/log/boonpic2_551.jpg
-
( ^ω^)「やっと終わったおー!」
('A`)「お前殆ど寝てたじゃないかよ」
授業も終わり、帰りの支度を始めた生徒たちで教室は賑やかだ。
(´・ω・`)「今日はどこで遊ぼうか」
( ´_ゝ`)「今日もドクオん家でいいんじゃないか?
コナンの続きが読みたい」
('A`)「て、またそれかよ」
( ´_ゝ`)「ん?」
(´・ω・`)「兄者の手の中のもんだよ」
( ^ω^)「授業中もずっと握ってたおね」
(;´_ゝ`)「見てたのかよ」
(´・ω・`)「それいつから持ってるっけ?
先週兄者が休んで、次に来たとき僕は気付いたんだけど」
('A`)「なんか大切なもんなの?」
( ^ω^)「お菓子かお?」
( ´_ゝ`)「まあ、大切なものっちゃあ大切なものだな」
( ^ω^)「兄者、中には何が入ってるんだお?
昨日はうやむやにされたけど」
('A`)「そんなにテープ巻きまくってるし。やっぱ気になるよな」
-
何気なしにドクオが真っ白なプラスチックの卵に手を伸ばした。
( ゚_ゝ゚)「触るな!!」
(;'A`)そ
( ;^ω^)そ
(;´・ω・`)そ
あまりにも鋭い声に、そこにいた三人だけではなく、騒がしかった教室までもしんと静まり返った。
-
(;'A`)「あ、兄者?」
普段温厚で怒ることなどなかった兄者が大声で怒鳴ったのだ。
クラス中の視線が兄者に集まる。
_
( ゚∀゚)「おーい、兄者!なーに怒鳴ってんだよー」
初めに口を開いたのは、クラスに一人はいるお調子者の生徒、ジョルジュだ。
( _ゝ )
_
( ゚∀゚)「お前が怒るなんて珍しいじゃん?ドクオにエロゲでも割られた?」
黙りこくり俯いた兄者を余所に、張り詰めた空気を壊すよう言葉が紡がれていく。
( _ゝ )
兄者は依然黙ったままだ。
_
( ;゚∀゚)「えー、無視すんなよー。泣いちゃうぞ」
ジョルジュが兄者の手の中のものを一瞥する。
まるで護るようにカプセルを握る手には、力が込められている。
_
( ゚∀゚)「もーらいっと」
それをジョルジュが力任せに奪い取った。
彼にとっては冗談のつもりだった。
( #゚_ゝ゚)「返せ!!」
バッと顔が上がり、再び兄者の怒号が響く。
押し倒さんばかりの勢いでジョルジュに飛びかかる。
しかし、運悪く足が椅子に引っ掛かり派手に転んでしまった。
_
( ;゚∀゚)「そんなに怒んなって!どうせガチャガチャのフィギュアとかなんだろー」
_
( ゚∀゚)「見るくらい良いじゃん!ほら、ご開帳ー」
ケラケラと笑いながら、厳重に巻かれていたテープが剥がされる。
-
とくん とくん
とくん とく……
べちゃり
_
( ゚∀゚)「え?」
テープが剥がされたと同時に聞こえたのは、何かが潰れたような不快な音。
それからすぐにとてつもない悪臭が鼻を襲った。
( _ゝ )「あ…あ…あ…」
兄者が落ちた何かの元にずるずると這っていく。
ジョルジュを始め、周りにいた者たちが床へ視線を落とす。
そこには変色し腐りきった肉の塊があった。
-
教室が絶叫に包まれる。
ジョルジュの硬直した手からカプセルが転がり落ちた。
( _ゝ )「あ…あ…あ、おと、じゃ…」
鼓膜が破れるほどの阿鼻叫喚も、鼻が捩れるほどの悪臭も、兄者には届いていない。
彼の目には床に落ち、飛び散った肉片しか写っていなかった。
そこに、転がってきたカプセルの半分が視界に入る。
目。
形だけどうにか原型を留めている、弟者の目。
それと目が合った。
『兄者のせいで失敗した。
もう俺は生まれることができない』
頭の中で声がする。
憎しみの籠った声。
懐かしい声。
また聞きたかった声。
弟者の声。
-
( _ゝ )「ごめ、ごめんなさ…おとじゃ、ごめ」
罪悪感と絶望感に心が死んでいく。
聞こえない。
きこえない。
鼓動の音が。
弟者の鼓動。
生まれてくるはずの命が消えた。
もう、もう手遅れ。
卵は割れてしまった。
卵が割れては孵らない。
生まれない。
二度と
戻って
こない。
( _ゝ )「あ、あ、あ…ああああああああああああああああ!!!!!!!!!」
-
俺には双子の弟がいた。
容姿はまるで鏡合わせのようにそっくりだった。
でも、頭は弟者の方がずば抜けて良かった。
同じ高校に行く予定だったのに、弟者だけ教師からの勧めで遠くの市立高校に入った。
俺たち兄弟は良く比較された。
成績の悪い兄と頭の良い弟。
顔は同じなのに出来が違うのだ、当然といえば当然だ。
しかし弟者は、比較し弟ばかり褒める大人たちを良しとしなかった。
兄は俺の自慢の兄だ、悪口は許さない、と。
毎回言い返してくれた。
弟者は優しい子だった。
俺を尊敬する兄だと仰いでくれて、自身に自惚れることなく誰にでも優しかった。
俺はそんな弟者が大好きだった。
自慢の弟だった。
休日は二人でゲームをしたり、パソコンをしたり。
時には殴り合いの喧嘩もしたことだってある。
弟者といるのは楽しかった。
楽しい日々がずっと続いていくものだと思っていた。
信じて疑わなかった。
-
「弟者が…弟者が階段から…落ちて…意識不明だって…」
病院に駆け付けた時には、すでに弟者は死んでた。
眠ったような顔をしてるのに、凍ってるんじゃないかと思うほど冷たくなっていた。
いじめにあっていた子を庇い、口論の末、階段から足を滑らせたらしい。
そして、最悪なことに打ち所が悪かったと。
俺の日常が音を立てて壊れていった。
-
葬式が終わっても泣くことが出来なかった。
信じられなかった。
信じたくなかった。
弟者がもういないなんて。
死んでしまったなんて。
あんなに良い子で、優しい子が、どうして死ななければならないのか。
死んで良いわけがない。
弟者は死ぬべきじゃない。
俺はある一つの結論に至った。
そうだ、また生まれてくればいいんじゃないか。
-
火葬される前にこっそり、片方の目玉と少しばかりの背中の肉を取った。
その弟者の一部を真っ白な卵型のプラスチックケースに入れた。
完全に密封するためにビニルテープを厳重に巻き付けた。
真っ白な卵に入った弟者。
これで大丈夫。
これで弟者はまた生まれてきてくれる。
きっと弟者も生まれてくることを願ってるはずだ。
弟者は戻ってくる
この卵が白から赤に変わったときに。
そう、あのキリストのように。
>>352>>435
( ´_ゝ`)卵が孵らないようです おわり
-
以上です。
>>352>>435の方、スレタイと絵を使わせていただいき
ありがとうございました!
-
乙!
-
乙!
どうして兄弟は悲しいものが多いんだよ……
-
おつ
悲しいな
-
目玉を持ち運びかよ……ひゅー……
-
ところで今更気付いたんだけど、同じタイトルで書かれた作品って区別、つかなくね……?
あれだよな、俺のミスだよな、これ。
ご、ごめんなさい!
-
スレタイそのまんまだー!!
何の配慮もせずにスレ立てしちゃったけど大丈夫かね!?
-
>>724
タイトルの後にレス番号or作者のIDつければおkじゃね?
( ´_ゝ`)のただ待つだけの簡単な仕事のようです(561-563) みたいな感じで
-
大丈夫じゃね……? 多分あれだ、呼ぶ人が区別付けられれば大丈夫だ!
うん、大丈夫! なーんも問題ない!
-
んでっ、今日はとりあえず中締めになるんだけど、投下がまだできなくって困ってるって人いるかい!?
俺以外に
-
あと一つが間に合わないくさい('A`)
-
一本はもうすぐ投下できそうだけど、もう一本が(´・ω・`)
|
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