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( ・∀・)君と可愛いあのこの内緒話のようです
22
:
名も無きAAのようです
:2012/11/30(金) 20:55:32 ID:sNizUvpw0
>>19
サンクス
23
:
名も無きAAのようです
:2012/11/30(金) 21:01:49 ID:Y2RXtETw0
信じてもらえなかったみたいだけど、彼女の腕は本当に可愛い。
だから、もともとの腕から作り出した、今は無いもう二本が惜しい。
可愛いものはたくさんあっても良いのだ。
川*゚ー゚)o「もう一つ嘘の話があるんだけど
聞いてくれる?」
( ・∀・)「ヤだって言っても、話すんだろ?」
川*゚ー゚)o「バレたか、あのねぇモララー君。最近の検査はおかしいって言ってたでしょう?
理由があるのよ。モララー君ね、移動になるのよ、聞いちゃったんだ……
近いうち……もしかしたら今日にでも……あなた強いから、体力をなるべく削っておこうとしてるのよ」
( ・∀・)「……そうか」
川*゚ー゚)o「うん、驚かないね……」
( ・∀・)「まぁ、そりゃね……」
そんなに不思議な展開じゃない。いつか、訪れるだろうとは思っていた。
確かに、ここで出来る実験はやりつくした感があるし、いい加減薬も注射も取り入れつくした感がある。
そろそろ、入院患者から、脳のスライスだとか臓器のストックにジョブチェンジしてもおかしくはない頃合いだ。
思えば、たかだか人より少し、物覚えが良くて、丈夫なだけの僕が長生きしたものだった。
24
:
名も無きAAのようです
:2012/11/30(金) 21:04:29 ID:kfInt3AU0
そうだよなぁ、二本の腕でって表現だもんなぁ
なんだろかこれは……
25
:
名も無きAAのようです
:2012/11/30(金) 21:09:51 ID:Y2RXtETw0
( -∀-)「どうして僕にこんな話を?」
川*゚ー゚)o「嘘の話よ」
(;-∀-)「嘘の話でも」
川*゚ー゚)o「だって、モララー君のことはきらいだけど
あいつらの事は大嫌いなんだもの」
( #・∀・)「ごまかすな、そうじゃない!君に、メリットなんて!ひとつもないじゃないか!」
(;-∀-)「こんな……ばれたらどうなるか……
なのにどうして……まるで理屈が通らない……」
川*゚ー゚)o「男のひとって、なんでも理屈で片付けようとするんだから、だめねぇ
ううん、男のひとじゃなくって、きっとモララー君がだめなんだわ」
( ・∀・)「フン、なら女の子は嘘と秘密ばっかりだ」
26
:
名も無きAAのようです
:2012/11/30(金) 21:15:16 ID:Y2RXtETw0
川*゚ー゚)o「そうそう、嘘よ、全部ウソなの」
( ・∀・)「……君の、君の名前教えて
嘘のでもいいから」
川*゚ー゚)o「だめー
前に教えましたー」
(;・∀・)「もう忘れない、紙に書いて持ち歩くよ、いいだろ」
川*゚ー゚)o「えぇーうーん……そうだなぁ……」
(;・∀・)「お願い……」
プリーズと、繰り返す僕に、彼女は優しく微笑む。
川*゚ワ゚)o「ヤダ、忘れるから」
27
:
名も無きAAのようです
:2012/11/30(金) 21:22:40 ID:Y2RXtETw0
川;゚ー゚)o「いい加減、泣き止んでよぉ……
意地悪したみたいじゃん……」
( ;∀;)「これが意地悪じゃないなら、なんだっていうんだ」
川;゚ー゚)o「だってぇ……嫌なものは嫌だもん……」
( ;∀;)「じゃぁ、せめて理由を教えてよ」
川;゚ー゚)o「え……嫌」
( ;∀;) 「おに!」
( ;∀;) グスングスン
川;゚ー゚)o
( ;∀;) メソメソメソ
川;゚ー゚)o
( ;∀;) シクシクシク
川;゚ー゚)o「しかたないなぁ、まったく……モララー君はなんにも知らないんだから……
耳をかして、ナイショよ、あのね――」
28
:
名も無きAAのようです
:2012/11/30(金) 21:27:22 ID:Y2RXtETw0
自分の病室に戻ってすぐに、電気を消してカーテンを引いた。
カーテンは鉄格子の影がくっきり浮くほど薄いから、あまり遮光の役割をはたさない。
今は夕方で眩しくはない。でも少し明るすぎる。
ハリーハリーハリー 急がないと、忘れてしまう!
耳栓をつめて、シーツを頭にぐるぐる巻きつける。目をきつく閉じると、許容範囲の静寂ができた。
インスタントにしては上出来だ。
僕は満足してベッドに横たわる。
彼女が名前の代わりに教えてくれた内緒話を、脳みそのしわの隙間にじっくりと染み込ませるのだ。
歯ブラシすら持って行くことを許さないだろう厳重なチェックも、脳までは調べられまい。
何度も再生して、いっそ意味をなさなくなるまで。
慎重な反芻を、体をゆすられるまで続けた。
29
:
名も無きAAのようです
:2012/11/30(金) 21:31:00 ID:ypDHOG.s0
明るく不穏だな
30
:
名も無きAAのようです
:2012/11/30(金) 21:32:23 ID:Y2RXtETw0
乱暴にシーツを剥がされる。痛いなぁ、首がもげたらどうしてくれるんだ……
でも、つないでくれたら彼女とお揃いになるな……それはちょっとイイかも。
( <●><●>)「そのふざけた格好をやめなさい」
( ・∀・)「乱暴はよしてよセンセ
診察は終わったはずだけど、僕に、何か用?」
( <●><●>)「……君の転院が決まりました、急ですが理解してください」
( ・∀・)「わぁ!びっくり!
ほんとに急だね、今荷物まとめるよ」
( <●><●>)「私物の持ち込みは許可されません」
( ・∀・)「チェッ」
31
:
名も無きAAのようです
:2012/11/30(金) 21:42:04 ID:Y2RXtETw0
( ・∀・)「拘束衣なんて着せなくても、暴れたりしないのに」
( <●><●>)「規則です」
( ・∀・)「嫌いなんだよぉ……窮屈だし
第一、本気だしたらこんなの意味ないんだから……いいじゃん」
( <●><●>)「注射をご所望ですか」
( ・∀・)「まさか!センセ
注射ド下手糞なんだもん」
リノリウムの廊下を歩く、腕が使えないと歩きづらい
そういえばセンセ、初めて会ったときはもっと目に力があったな。
今もギョロ目だから、目力はあるけど、そういうのとはもっと別のやつ。
( <●><●>)「……許してくれとは言いません」
( ・∀・)「うん許さないよ」
(;<●><●>)「そう、言われるのはワカッテマス」
( ・∀・)「わかってるなら頑張ってよ!
このみっともない注射痕……あ、今見えないか
瘢痕になっちゃってるし……僕たちが半袖ってことを考えてほしいね」
( <●><●>)「そういうことでは、ありません」
( ・∀・)「じゃあどういうこと、と、聞かれて困るなら黙っておこうよ」
( <●><●>)「そうですね……
その痕は、技量の問題ではありませんよ」
( ・∀・)「知ってる」
32
:
名も無きAAのようです
:2012/11/30(金) 21:46:49 ID:Y2RXtETw0
( <●><●>)「お元気で」
( ・∀・)「センセこそ、お元気で」
白々しい別れの挨拶もそこそこに、僕は車に詰め込まれた。
狭い車内は緊張が充満していて、僕が身じろぐたびに両脇の男が体を強張らせる。
やれやれ、これは最低なドライブになりそうだ。
センセが同行しないのは、まぁ良かったかな
ヤなやつだったけど、べつに、ぶちまけるほどじゃあない。
なんで人気のない道を選んじゃうかなぁ、と僕は彼らの頭を心配しながら
拘束衣を引きちぎった。
33
:
名も無きAAのようです
:2012/11/30(金) 21:53:43 ID:ypDHOG.s0
なんと
34
:
名も無きAAのようです
:2012/11/30(金) 21:53:57 ID:u3CHfhDUO
強いな
35
:
名も無きAAのようです
:2012/11/30(金) 22:09:36 ID:Y2RXtETw0
2、お金がねぇ!身寄りがねぇ!知識もそんなにもってねぇ!
36
:
名も無きAAのようです
:2012/11/30(金) 22:33:12 ID:Y2RXtETw0
(;・∀・)「つっかれたー……っていうかさむっ!
破かなきゃよかった!僕半袖じゃん!」
静かな夜、山道の真ん中で僕は震えていた。
ずっと空調の効いた病院にいると季節感をなくす。これ豆知識な。
(;・∀・)「車まだ動くかなー
無理だよなぁ……ぺちゃんこだもんなぁ……」
(;・∀・)「ねー誰か服きれいな人いない?
あぁん!もっと手加減すれば良かった!」
良く考えるとひどい状況だった。
僕は本当に何にも持っていない。あの病院の敷地からでたこともない。
ついでにいうと、まともな服すら着ていない。
( ・∀・)「詰んだ」
血とか糞便とか嘔吐物とかに混じってガソリンの匂いがする。
ガソリンって全然嗅がないから、慣れなくて鼻が曲がりそうだった。
いまからこのぐっちゃぐちゃの何かの山から、お金とかその他を探すのかと考えると涙が出てくる。
先立つものがなくては始まらない。僕、汚いの好きじゃないんだけどなぁ
意を決して、探し物を始めようとしたときに、足首をつかまれて、全身の毛が逆立った。
(;・∀・)「わぁ!」
そいつは僕を見て、ぶるぶる震える唇を不格好に持ち上げると、ライターを擦った。
37
:
名も無きAAのようです
:2012/11/30(金) 22:34:18 ID:Y2RXtETw0
手を振り払って逃げる、逃げる、逃げる!
大きな月が出て視界が良い、寒いし、裸足だと足が痛い。
最高の気分だ。
月をバックに夜道を駆けるなんて、いかにも自由じゃないか!
( *・∀・)「自由サイコー!!」
少し遅れて、同じようにジユウサイコーという声が聞こえた。
やまびこってほんとにあるんだ。
僕の脳みそがフル回転する。
逃げ延びるためだけに、体を動かし続けるためだけに。
体中の感覚が冴えて、情報の大洪水、オーヴァーヒートを起こしそうだ。
何度も発熱、頭痛 鼻血 下痢 嘔吐 こんなに脳みそ使うなんて初めてだ!気分が悪い!死にそうだ!最高!
うるさい映像と派手な音声の嵐が幾度も幾度もザッピング。
もう大丈夫と、体中の力が抜け落ちるまでに、どれくらいの時間が、あるいは日にちを要したか、僕は知らない。
見知らぬゴミ捨て場で目を覚ました僕は、おおよそすべての記憶を失っていた。
【続くよ】
38
:
名も無きAAのようです
:2012/11/30(金) 22:39:52 ID:kfInt3AU0
2が始まったと思ったらここで切るだと……
続き楽しみだわ、おつ
39
:
名も無きAAのようです
:2012/11/30(金) 22:40:32 ID:1L4PQjxk0
なんか癖になる文章だな。乙乙
楽しみにしておく
40
:
名も無きAAのようです
:2012/11/30(金) 22:41:59 ID:eP1DpNmg0
続きがきになるなぁ
乙
41
:
名も無きAAのようです
:2012/11/30(金) 22:44:02 ID:b2wP.KJs0
乙です
42
:
名も無きAAのようです
:2012/11/30(金) 22:50:23 ID:ypDHOG.s0
乙!
続きめっちゃ気になる
43
:
名も無きAAのようです
:2012/11/30(金) 23:47:08 ID:jcG/.E72O
続き気になるなあ……
乙でするー
44
:
名も無きAAのようです
:2012/12/01(土) 02:21:31 ID:OXxzdYdA0
これ相当好きだわ
続き頼む乙
45
:
名も無きAAのようです
:2012/12/03(月) 21:30:09 ID:PrWgd4DY0
>>16
時間がたってしまった上に19が答えてくれてるけど仕様です。
名前欄で回答したつもりだったけど出来てなくてゴメンね。
カーチャン馬鹿でゴメンね。
46
:
名も無きAAのようです
:2012/12/03(月) 21:31:56 ID:PrWgd4DY0
3、いつかどこかで会った、ような……
( ・∀・)「何もわからない」
なにもわからない と声がした。
おお!初めまして僕の声。
( ・∀・)「やっべー、もう何が何なのかさっぱりわからん」
気が付くと、僕はなぜかゴミに埋もれていた。
自分がゴミ捨て場にいるということを認識するまでに、少しの時間を必要とした。
口に入った何かを、生ゴミと認識せず、少し食べてしまった。ひどい臭いだった。
ゴミの味なんて忘れたままの方がいいよ。ん、なんだデジャヴ
47
:
名も無きAAのようです
:2012/12/03(月) 21:33:33 ID:PrWgd4DY0
少し体を傾ければ、にぎやかな市場が目に入る。町だ、初めて見る。初めてみると感じる。
少し凝ったつくりのものから、バンに張り紙をしただけの簡素なものまで。
様々な屋台がひしめいて、行商人たちは寒さに鼻の頭や指先を赤くして、着ぶくれした体を震えさせながら
それでも活気のある声で、自分の屋台へこそ!と客を呼び込んでいる。
肉 魚 野菜 果物 焼き立てのソーセージ
人々は丸々と膨れた買い物袋を抱えてなお、それらの食材たちを覗き込む。
にぎやかで発展した、ありふれた田舎町。と感想を持つ。持つことが出来る。
どうやら僕は、ほんとうに何もかもを忘れてしまったわけではなさそうだぞ。
それでも、記憶喪失であるという状況に腹のおく底から喉へ、上へ、込み上げる気持ち悪さがある。
何しろ、目にするものすべてがアンノウンなのだ。
焦りや不安は当然、だが、飲まれるのはよくない。
こんな状況だからこそ、パニックを起こしてはいけない。
48
:
名も無きAAのようです
:2012/12/03(月) 21:34:32 ID:PrWgd4DY0
( -∀-)「おちつけ」
腹を押さえ、声を出して宥める。
そうすると込み上げるものは、勢いを増して……増して?
ぅ゙ぉぇぇぇぇ゛
〃⌒ ヽフ
/ rノ
Ο Ο_);:゚。o;:,.
ふむ、どうやら湧き上がっていたものは、不安とか焦燥感ではなくてゲロのようだった。
吐いてしまうと、ずいぶんと気分がよくなる。
(ill・∀・)「さっきの生ゴミのせいだなコレ」
49
:
名も無きAAのようです
:2012/12/03(月) 21:36:48 ID:PrWgd4DY0
すっきりしたところで、わかることから調べていくことにする。
まず、自分の体を触ってみる。
頭 首 胴体 腕 足
手足は二本ずつ、指は五本ずつ、目は二つで口が一つ、鼻もある。
ふむ普通だ、変わった様子はない。
全身が小刻みに震えて、むくんでいて、体中、特に肩と足がなんか痛くて、力が入らないと言う事以外は何も問題ない。
そうだ耳、耳は……
( ・∀・)「なんか耳に付いてる?」
耳に固く、平たいものがくっついてる、なんだこれ。
ぐいっと引っ張ると、信じられないくらい痛かった
( ;∀;) モギャー!
なんだよ!さわっちゃダメなものなのかよ!
恐々、触ってみると耳に穴が開いていること、硬い輪っかが連なっていること、その先にひらぺったい何かがついていることが分かる。
ピアスだろうか。
50
:
名も無きAAのようです
:2012/12/03(月) 21:39:04 ID:PrWgd4DY0
そうやって、少しずつ確かめていくと、どんどん状況が確かになってくる。
僕、僕というおとこ。
体中汚れていて、爪まで真っ黒、嫌な臭いがする。
パンツは履いてない。
サイズの合わないジーンズに靴底の取れかけたスニーカーを履いている。
それだけなら、僕は自分を記憶喪失の浮浪者だと断定しただろう。
その他
生地の薄いパーカーの下に検査着を着てる。
手首にはバーコード付きのリストバンド
腕の内側に、赤く腫れた発疹。 黄色や紫、青といったカラフルな内出血 つまり、気持ちの悪い痣がたくさん、それこそ無数にある。
ついでに「逃げてきた」「自由になった」という二つの確信
これらの持ち物から、僕は自分を逃亡者だと推理した。
51
:
名も無きAAのようです
:2012/12/03(月) 21:40:37 ID:PrWgd4DY0
おそらく僕はどこかの病院から、メシが不味いとか、注射がイヤだとか……まぁ理由はなんだっていい
とにかく入院生活に嫌気が差し、脱走してきたのだろう。
こんなみじめな恰好になるのも構わないくらい、死にものぐるいに。
と、なると、病院や警察に保護を求めるのは良くない。
( ・∀・)「さて、どうしたものか」
52
:
名も無きAAのようです
:2012/12/03(月) 21:45:13 ID:PrWgd4DY0
転がっていた缶詰ゴミを鏡に見立て覗き込む。
多量の情報が流れ込んできて、脳をつまんで引っ張られるように、頭が痛んだ。
ああ、でも思い出せた。よかった。
( ・∀・)「僕には妹がいる」
いっしょに食べたスナックのバーコード、僕とそっくりな顔立ち。
たったそれっぽっちの記憶でも、自分のルーツが明らかになると、安定感がある。
クリアになっていく、わからないと思っていたことが整理されていく。
焦るな、大丈夫、僕の頭は特別製だ。
ふむ、僕の頭は特別製らしい。
53
:
名も無きAAのようです
:2012/12/03(月) 21:46:25 ID:PrWgd4DY0
整理してわかったこと、思い出したこと
長い間、劣悪な環境に望まずにいたこと、もう自由だということ。
妹がいること、何も持っていないこと、生活の知識がまるで無いということ、物覚えに癖があるということ。
頭の中を、隅々までさらってみたけれど、出てきたものはこれだけだった。
もとあったものは頭から、でろりと出てしまったのかもしれないし、ただ思い出せないだけかもしれない。
だが、どちらでもいい。これだけで充分だ。
残りは少しづつ思い出していけば良いし、そのまま忘れてしまっても良い。
分からないことの方が圧倒的に多いが、もう、不安はない。
そうさ、きっと思い出せないことなんて、どうでも良いことばっかりなんだ。
忘れたって、構わないから、忘れてしまっているのだろう。
気にする必要はすこしもない。
何かとんでもなく大切なことを、すこんと全て無くしてしまった気がするが
これはおそらく、記憶喪失に対する不安が錯覚させるのだと思う。
焦らなくてもいいし、悲しまなくてもいい。
( ・∀・)「大丈夫、錯覚だ」
54
:
名も無きAAのようです
:2012/12/03(月) 21:48:10 ID:PrWgd4DY0
安心すると、眠気が出てくる。
疲れているし、何をすればいいのかさっぱりわからないし、すこし眠ってしまいたい。
しかしこんな場所で、ゴミと自分のゲロの側で眠るなんて良くない。
とか、言ってられないくらい眠い。
∧_∧
/i\( ・∀・) 「五分だけ、五分だけ、目を閉じるだけ」
⌒⌒ (∪魔 つ
←し―J
⊂⊃
∧_∧
,へ(; ・∀・)「寝るなー!寝たら死ぬぞー!おきろー!」
'^^^ (∪天つ
し―J
55
:
名も無きAAのようです
:2012/12/03(月) 21:52:00 ID:T/4Fsl3M0
天使と悪魔可愛いなww
56
:
名も無きAAのようです
:2012/12/03(月) 21:54:04 ID:PrWgd4DY0
( -∀-).。 ウトウト
川 ゚ -゚)「アイスコーヒーひとつ、ミルクもシロップもなし。 ポイントカード?いらない……ヤダよ忘れるから」
天使と悪魔の、もみくちゃの大乱闘を蹴散らす声が僕の鼓膜を打った。
ザワザワと煩いのに、その声だけ特別に、なんの障害もなく、少し離れた僕の耳まで届く。
呆然とその光景を見つめるしかなかった。
ちいさな女の子が背伸びをして、スタンドでコーヒーを頼んでいる。
爪先立ちでもふらつかず、姿勢良く、腕を伸ばす。
大きな瞳 長い睫 可愛い腕 よく透る声 ピンクのヘアゴム 僕は知っている。僕は、可愛いあの子を知っている。
アンノウンの寄せ集め、知らないものだらけの中で見つけた、ただ一つの知っているもの、安穏の欠片!足がふらつくが知ったことか!
57
:
名も無きAAのようです
:2012/12/03(月) 21:56:48 ID:PrWgd4DY0
( ・∀・)「ねぇ君!そこの可愛いお嬢さん!僕たち、どこかで会った事ない?」
川 ゚ -゚)「無いな、その汚い手を離せ」
( ・∀・)「あぁ ごめんねぇ!
それで、初めて会った気がしないんだけど、どこかで会った事ない?」
川 ゚ -゚)「無いと言っているだろう 人違いだ
ナンパなら他をあたってくれ、私は急いでいる」
( ・∀・)「えーない?絶対?
ざんねんだなーところで君可愛いね!」
忌々しいとばかりに僕の手を振り払う彼女の長い睫の下、
ぎろりと不満を乗せて睨み付けてくる瞳を、僕はやっぱり、見たことがある。
58
:
名も無きAAのようです
:2012/12/03(月) 21:57:00 ID:1Nr3OtyI0
これってもしかしてラノベの?
59
:
名も無きAAのようです
:2012/12/03(月) 22:00:28 ID:PrWgd4DY0
川 ゚ -゚)「鬱陶しいぞロリコン
この町の警察が無能じゃないことを、そんなに教えてほしいのか?」
( ・∀・)「いやいやいや!ほんとにナンパじゃないんだよ!
ちょっと君とお話ししたなーって!そう思っただけ!
僕、今とっても困ってるんだ!おねがい!助けると思って!」
川 ゚ -゚)「お前に構っている暇はない」
( ・∀・)「待ってよ!どこに行くのさ!」
彼女は走り出した。
手に、蓋付きの大きな紙コップをもったまま、中身をこぼしもせずに軽快に駆ける。
狭い道、ごったがえす人々、障害物などものともしない軽い足取り、小さくて細い脚からは想像もできない、しなやかな筋肉のバネ
追いかけるのに、少し苦労する。
60
:
名も無きAAのようです
:2012/12/03(月) 22:02:21 ID:PrWgd4DY0
(; ・∀・)「君、足早いねー
そうだ、名前なんていうの?」
川;゚ -゚)「な、んで、ついてこれるんだよ!」
(; ・∀・)「え?ああ、君足早いよね、でも僕も頑張ってるから」
川;゚ -゚)「信じられない」
さらにスピードアップ 手首にはめられたヘアゴムもカチカチ音を立てて弾んでいる。
息を荒げて、明らかに僕を撒く意思を持って走る彼女。
屋根の隙間を飛び越えたり、洗濯物につっこんだり、わざと人ごみに突っ込んだり。
跳んで走って潜って回って、実に手馴れている。
僕が気配というものに聡くなければ早々に、彼女を見失うか、チンピラにぶつかって大変な目にあっていたことだろう。
ε=ε=ε=(ノ・∀・)ノマテー三川;゚ -゚)ヒーン
(- ゚;川イヤダー!ΞΞレ(・∀・ )ヘ=З=Зマッテヨー
61
:
名も無きAAのようです
:2012/12/03(月) 22:05:35 ID:PrWgd4DY0
川;゚ -゚)「ついて、くるな、よぉ!」
カチカチ音をたてる物を持った、ぴょんぴょん跳ねる子を追いかけるって、これってあれだ、童話みたいだ
話しにのっとれば、僕はもしかしたら首を跳ねられてしまうかもしれないな!
追いかけていると、お話をひとつ思い出した。
これはほんとに、失った記憶の手がかりは、彼女が持っているのかもしれないぞ!
川;゚ -゚)「アニジャぁ!」
高いフェンスをものともせずに飛び越えた彼女が叫んだ
( ・∀・)「ん?」
( ´_ゝ`)「遅い」
コーヒーを受け取って、変わりに彼女の頭を叩く男の手を視界に収めるまで、僕は彼の存在に気が付かなかった。
62
:
名も無きAAのようです
:2012/12/03(月) 22:09:50 ID:PrWgd4DY0
えらいところに来てしまった。僕は心から後悔した。
壁の塗装が剥げ、シャッターもひしゃげている今にも崩れそうな廃工場
僕の靴、と呼ぶのもはばかられるほどオンボロだが……は赤黒い液体でさらに汚れてしまっていた。
ひとの気配は三つ……からたった今二つになった。
一つ、僕 この状況に途方に暮れている。
二つ、彼女 涙目で僕を睨んでいる。
先ほどまでの三つ、男 なんらかの機材に頭を挟まれて、水揚げされた魚のように痙攣し、たった今足を跳ねさせるのをやめた。
男の体と、それを押しつぶす機材から血が滴り、地面をぬかるませている。
3、フェンスを越えるとそこは殺人現場でした
63
:
名も無きAAのようです
:2012/12/03(月) 22:11:47 ID:PrWgd4DY0
>>58
そうです、ちょっと遅刻しました
64
:
名も無きAAのようです
:2012/12/03(月) 22:11:58 ID:T/4Fsl3M0
えっ
65
:
名も無きAAのようです
:2012/12/03(月) 22:14:53 ID:T/4Fsl3M0
そうかラノベ祭りの作品か、あの絵かなー
66
:
名も無きAAのようです
:2012/12/03(月) 22:22:47 ID:qZLhIpcU0
わあやっぱり 耳にタグで怪しいとにらんでいた
67
:
名も無きAAのようです
:2012/12/03(月) 22:35:23 ID:PrWgd4DY0
( ´_ゝ`)「追手は撒いてこいと言ってるはずだ」
川;゚ -゚)「だって、ついてきたんだ!」
( ´_ゝ`)「へぇ、お前に……」
(; ・∀・)「ひぃ!」
僕の混乱の原因である、気配の無い男が首を傾ける。
能面のような、表情という表情が何もない顔。怖い。
こんなに近くに居るのに、気配がなんにも感じられない 怖い。
丁寧に隠された、それでもこびりついた死臭がする 怖い。
あと単純に、持ってる銃が怖い。
( ´_ゝ`)「こいつに何か用?」
( ・∀・)「いや、ちょっと知り合いかなーってアハハ……ハハ…ひぃ!すみません!ころさないで!」
観察しているのに、次の行動が何も読めない。
下手したら首が飛ぶんじゃなくて頭が爆ぜるぞこれ……
あの子が見ていたドラマにあった、俺の女に手を出すとどうなるか教えてやる!うんぬん。というやりとりを再現してしまうのかもしれない。
あれ、あの子って誰だろう。
68
:
名も無きAAのようです
:2012/12/03(月) 22:36:54 ID:PrWgd4DY0
僕の本能すべてが近づくなと逃げろと、警報をならしている。
僕も、僕の理性も大賛成だ。こいつは何かおかしい。逃げるべきだ。
彼女を見失ってしまう事になるのは惜しいが、命はもっと惜しい
作戦!いのちをだいじに!
大丈夫、大丈夫 逃げられる、逃げられるはずだ 次に視線がずれた時、走り出せばいい。
逃げるタイミングを計るため男を観察する僕の目は、光るネックレスに釘づけになった。
知ってる、見たことある。
( *・∀・)
僕はなんて運がいいんだろう!ほんの少しの間に手がかりを二つも見つけるなんて!
近くで観察すると、顔もなんだか知ってる気がする。
69
:
名も無きAAのようです
:2012/12/03(月) 22:38:22 ID:PrWgd4DY0
( ´_ゝ`)「ちけぇよ どけ」
押しのけられる、怖い。しかし恐怖は捨て置く。
だって、知ってるのだ!
( *・∀・)「あぁ!なんてことだろう!これって運命かもしれない!
ねぇ!僕たちどっかで会ったこと、ない?」
( ´_ゝ`)「無い川 ゚ -゚)「殺す」
男の答えを遮るように、鋭い声がした。
彼女が坐った目つきでナイフを構えている。
さっきまで僕に向けていた怯えの様子など、その堂々とした姿からは想像もつかないほどだ。
川 ゚ -゚)「お前……私だけならばいざ知らず……
許さん、掻っ捌いてやる!」
(; ・∀・)「ひぃ!危ないよ!しまって!」
70
:
名も無きAAのようです
:2012/12/03(月) 22:40:27 ID:PrWgd4DY0
僕が知らないうちにこの国は、ちいさな女の子まで刃物を手に取るまでに荒廃したのか!恐ろしい!
オレンジの子供らしい上着と彼女の身のこなしはあまりにもアン・バランスだ
ふらつく足では、どうにかよけるので精一杯
川 ゚ -゚)「人のものに手を出すとどうなるか教えてやる」
(; ・∀・)「もっと恐ろしい誤解をされてる!違う!違います!ナンパじゃないったら!」
隙のない動きでナイフを繰り出す彼女も、変わらない無表情で眺めている男も怖い。止めろよ!
71
:
名も無きAAのようです
:2012/12/03(月) 22:44:14 ID:PrWgd4DY0
(; ・∀・)「ネックレス!あれに見覚えがあるんだよ!」
川 ゚ -゚)「それで?」
( ・∀・)「え?」
川 ゚ -゚)「別に一点ものでもない。
ただのネックレスだ、この世にごまんとある」
( ・∀・)「うそぉ!」
( ´_ゝ`)「ホント」
(; ・∀・)「君!それ付けて病院とか行ったことあるだろ!そこで見たんだ!」
( ´_ゝ`)「無いな」
(; ・∀・)「まじで!珍し!健康なんだね!ちきしょー」
川 ゚ -゚)「大人しくしろ」
72
:
名も無きAAのようです
:2012/12/03(月) 22:48:25 ID:PrWgd4DY0
彼女をナンパしたという誤解によって、男に殺されるかもしれないとは予想したが
男をナンパしたという誤解によって彼女に殺されそうになるとは全く予想していなかった。
この世はわからないことだらけだなぁ
( ´_ゝ`)「お前がな」
(; ・∀・)「え」
川;゚ -゚)「え」
男が彼女の髪を引っ張って、手繰り寄せると、がっちりと頭を掴んだ。
小さな形のいい頭にかかった指は蜘蛛のようにも見える。
あんな可愛い子に乱暴できる神経がわからない、怖い。
73
:
名も無きAAのようです
:2012/12/03(月) 22:50:10 ID:PrWgd4DY0
川;゚ -゚)「痛いぃ!離せ!止めてくれるな!」
( ´_ゝ`)「おいお前、なんでこいつをつけた」
(; ・∀・)「え、それは……ちょっと……」
( ´_ゝ`)「頼んでるんじゃない、命令だ」
(; ・∀・)「言います!記憶喪失でお金も無くて途方に暮れてたら
知ってる感じの子がいたから!ついつい追いかけちゃいました!許して!」
( ´_ゝ`)「フーン」
74
:
名も無きAAのようです
:2012/12/03(月) 22:51:25 ID:PrWgd4DY0
( ´_ゝ`)「クー 面倒見てやれ
それから片付けの邪魔だ、さっさと帰れ」
川;゚ -゚)「私が!?なんで!」
( ´_ゝ`)「お前が拾ってきたんだろ」
川;゚ -゚)「む……ぐぬ……」
しっしと犬猫でも追い払うようにして、男は死体に寄っていく。
彼女はとぼとぼ僕のところまで歩いてくる。
川 ゚ -゚)「……お前、臭うぞ……
まずシャワーだ。食事と服はその後」
( ・∀・)「助けてくれるんだ」
川 ゚ -゚)「アニジャの命令だ」
不満 不服を隠さずにボソボソと投げつけて、行くぞと彼女が歩き出す。
少し迷って、僕はその背中を追うことにした。
男のことは恐ろしいが、風呂 食事 服 彼女 すべてが今の僕に必要なものだった。
【続くねん】
75
:
名も無きAAのようです
:2012/12/03(月) 22:55:07 ID:SLJLAiGMO
おーい、書きあがってるなら焦らすなよ
76
:
名も無きAAのようです
:2012/12/03(月) 22:59:15 ID:NlojIfag0
モララーってどうしてこう、病人の役が似合うのか
77
:
名も無きAAのようです
:2012/12/03(月) 23:00:24 ID:T/4Fsl3M0
おつおつ
なんかズレてるモララーが好きだな
78
:
名も無きAAのようです
:2012/12/03(月) 23:23:39 ID:cXhpChvM0
マジでたまらんなこれどんどん引き込まれるわ
乙乙続きはよはよ
79
:
名も無きAAのようです
:2012/12/05(水) 18:22:42 ID:QIQo514E0
全裸待機
80
:
名も無きAAのようです
:2012/12/07(金) 13:53:03 ID:fsNB/tF60
おもろす
81
:
4 名も無き( ・∀・)のようです
:2012/12/14(金) 23:14:28 ID:ulUAyrbg0
川 ゚ -゚)「お前 名前は」
( ・∀・)「人に名前を聞くときはまず自分から」
川 ゚ -゚)「じぶんだってさいしょ、名乗らなかったくせに……
私はクーだ、気さくにクー様と呼んでくれてかまわない」
( ・∀・)「クーちゃんね、おっけ、わかった
僕はね……僕は……」
( ・∀・)
川 ゚ -゚)「おい?」
あれ、そういえば僕の名前ってなんだっけ?
82
:
名も無きAAのようです
:2012/12/14(金) 23:15:37 ID:TT/2AZUc0
きたきたー!待ってたよ支援
83
:
名も無きAAのようです
:2012/12/14(金) 23:16:12 ID:ulUAyrbg0
( ・∀・)「わからない」
川 ゚ -゚)「冗談のつもりなら、つまらないぞ
さっさとやめろ」
(; ・∀・)「ちがう本気!本気で思い出せない」
川;゚ -゚)「はぁ、面倒な拾い物をしてしまった……
じゃあ何か適当に考えろ、名前がないと不便だ……とてもな」
(; ・∀・)「いきなり言われてもなぁ……
クーちゃん、つけてくんない?」
川 ゚ -゚)「嫌だ」
( ・∀・)「何で」
川 ゚ -゚)「面倒くさい」
84
:
名も無きAAのようです
:2012/12/14(金) 23:17:31 ID:ulUAyrbg0
( ・∀・)「面倒みろって言われたくせに……」
_, ,_
川 ゚ -゚)「ずうずうしいやつめ、わかった
今日からお前はジョンな、ジョン・ドー」
(; ・∀・)「テキトーにもほどがある!それじゃあ無いのとおなじだろ!」
_, ,_
川 ゚ -゚)「なぜ、名無しの権兵衛がわかって自分の名前がわからないんだ
嫌なら自分で考えたらどうだ?」
いきなり言われたって、僕は今まで自分に名前を付けるなんてこと
想像したことすらなかったのだ、とっさには思いつかない。
名づけのアイデアなんて、ネズミを飼うならアルジャーノンにしようということしか
あっ、またひとつ記憶が出てきた。
そんなことより名前だ、名前、僕の名前。
何かいい案はないものだろうか。
85
:
名も無きAAのようです
:2012/12/14(金) 23:19:34 ID:ulUAyrbg0
川 ゚ -゚)「しかし自分の名前を忘れるなんてな、脳みそ入ってるのか?
代わりにマッシュポテトでもつめておいた方がよっぽど良いんじゃないか?」
_, ,_
( ・∀・)「僕の頭はそこまでポンコツじゃないぜ」
川 ゚ -゚)「いいや、充分ポンコツ いかれてるよ」『モララー君』
( ・∀・)
( ・∀・)「今、なんて言った」
川 ゚ -゚)「耳まで悪いのか、可哀そうに……
イカレたポンコツ頭だと言ったんだ」
( ・∀・)「違う、そのあと……」
川 ゚ -゚)「何も?」
86
:
名も無きAAのようです
:2012/12/14(金) 23:22:02 ID:ulUAyrbg0
( -∀・)「あ゛ーその
モララー君って、言ってみてくんない?」
川 ゚ -゚)「モララークン?」
( *・∀・)!
( *・∀・)「それにする!」
川 ゚ -゚)「何が」
( *・∀・)「僕の名前さ!今天啓のように閃いたんだよ!モララー君って!
あぁ!僕って天才かもしれない!とてもぴったりじゃないか!」
川 ゚ -゚)「ふむ、モララーか……悪くはないな」
(; ・∀・)「呼び捨てぇ……
君付けてよんでよぉ」
87
:
名も無きAAのようです
:2012/12/14(金) 23:23:11 ID:ulUAyrbg0
( ・∀・)「さっきのことだけど」
川 ゚ -゚)「さっき?」
( ・∀・)「さっきの……その、平たくなった男のことだけど……
あれってやっぱり、彼が、だよね?」
川 ゚ -゚)「そうだ、アニジャが殺した
それが仕事だからな」
(;-∀-)「ああ……やっぱり……」
川 ゚ -゚)「嫌そうな顔」
(;-∀-)「別に、ただ……
とんでもないとこに拾われちゃった気がして」
川 ゚ -゚)「無理に拾われなくてもいいぞ」
( ・∀・)「目撃者を逃がしちゃっていいの?」
川 ゚ -゚)「どうせ警察なんていけないだろう」
( ・∀・)「さぁ?どうかな
僕、あんまり彼のこと好きじゃないし、言っちゃうかも」
川 ゚ -゚)「アニジャに手を出したら許さないからな」
翳されるナイフ、まなざし、言葉、どれも光るほどの鋭さがある。
ピリピリ パチパチ 静電気でも発しているように彼女は僕を敵視する。
冬の空気よりつめたく冴えたその敵意のするどさよ!
88
:
名も無きAAのようです
:2012/12/14(金) 23:24:32 ID:ulUAyrbg0
誓って言う。
僕はこの時たしかに苛立っていたし、意地悪な気持ちだった。
だけど、本当に彼女に、クーちゃんに、危害を加えるつもりはなかった。
事実、力加減にはとても気を使ったし、僕というおとこと路地裏なんて場所を歩いている彼女に深い同情だって抱いた。
でもそれ以上に、僕はむかついていたのだった。
壁に押し付けて腕を捻りナイフをとりあげる。
擦り傷くらいは出来たかもしれない、反省。
しかし、今の疲れ切った僕ではこどもとはいえ、彼女のように腕の立つこをほんとうの無傷で抑えることは不可能だ、ごめんね。
体裁の悪いことをしている自覚はある、つとめて、周囲の気配には注意を払う
どうやら、ここには僕らしかいないみたいだ かわいそうに。
川; - )「あっ、ぐ」
( ・∀・)「君は確かに強いし、とっても動けるよ。君の自信は自惚れなんかじゃぁない
でもね、クーちゃん、体格や性別、年齢なんかも考えて相手は選ばなきゃ」
89
:
名も無きAAのようです
:2012/12/14(金) 23:28:16 ID:ulUAyrbg0
僕は苛立っていた、空腹とか疲労とか、彼女がアニジャというおとこのために必死になる姿なんかに。
だから、ちょっとだけ、ちょっとだけ懲らしめてやろうと思っただけで、そのまま腕を折るとか、ましてや命を奪うなんてことするつもりもなかったし
正直、そこまで夢中で怒っているわけでもなかった。
以上、宣誓。
川#゚ -゚)「離せ!」
( ・∀・)「それにねぇ,
ただの脅しで、こんなもの振りかざすのもよくないよ」
取り上げたナイフの腹をぺたぺた押し付けると、ちいさい体が竦む。
いちペタにつき、に竦みくらい。ヒットマンのパシリができるくらい気丈でも、持ち慣れてるだろう自分のナイフでも、怖いものは怖いらしい。
良いことだ、怖いという気持ちは大事なともだち
これからも仲良くしなくちゃいけないよ、あ痛っ!
( ´_ゝ`)「それはお前もだな」
何か硬いものと平
坦な声が僕の頭を殴った。
( ´_ゝ`)「ヘイ、ミスタ 三秒やるよ
おれの言いたい事、わかるだろ?」
90
:
名も無きAAのようです
:2012/12/14(金) 23:30:44 ID:ulUAyrbg0
この時、僕は自分の脳みそに感謝した。
意識して命令すれば、筋肉のストッパーだって思いのままにできるのだ、凍りついたような気がするだけの指を開くなんて、わけない。
ナイフを地面に落とす、彼女を地面におろす、前に、僕の腕の力がゆるんだとたん、クーちゃんは自力で逃げ出した さっすが
僕は油断なんてしていなかった、彼女を追いかけていたときのように夢中になっていたわけでもない。
なのに真後ろに立たれて、銃を突きつけられるまで、僕が、この僕が、気づくことが出来なかった。その事実に全身の血が冷えわたる。
錆びたブリキ人形よろしく、なんとか振り向くと
既に彼は、なんでもないような顔で彼女に軽く手をふり、僕たちに背を向けて歩き出していた。
91
:
名も無きAAのようです
:2012/12/14(金) 23:31:53 ID:ulUAyrbg0
(ill・∀・)「おしっこちびるかと思った」
川*゚ -゚)「私のアニジャはカッコいいだろう」
(; ・∀・)「彼って、おばけとかサムライニンジャとかだったりする?」
川 ゚ -゚)「両方ともハズレ
私にピンチに駆けつけるヒーローが正解さ」
(;-∀-)「ああそ、ご忠告どーも」
川 ゚ ー゚)「いいや、こちらこそ、さっきはどうも、ありがとう」
サンクス ベリー マッチ 一言ずつ区切ってゆっくりと発音する彼女が差し出した手を握る
僕たちはかたい握手を交わした。それはもう、うんと情熱的なやつを。
川 ゚ -゚)「 私に手を出すとどうなるか肝に銘じておけ」
虎の威を借る子ぎつねめ!
92
:
5 名無しに変わりましてモララーがお送りします
:2012/12/14(金) 23:38:48 ID:ulUAyrbg0
川 ゚ -゚)「使い方わかるか?」
( ・∀・)「さっぱり」
川 ゚ -゚)「石鹸はこれ シャンプーはこっち
ここを捻るとお湯がでる 逆に捻ると止まる 」
( ・∀・)「トリートメントないの?」
川 ゚ -゚)「リンスで我慢しろ」
全身を隅から隅まで念入りに洗い、爪の間の汚れまでを、ようやく汚落とせたとき
熱いお湯と石鹸のために体中が乾燥して、ちくちく痒いったらないのに、ずっと張り付いていた苛立ちがおさまった。
そうして、渡された歯ブラシの包装を剥いているとき、僕は不潔に慣れていないことを知った。
新しい自分の記憶と、シャワーの勢いがつよく排水溝から嫌な臭いもしない、良いバスルームに満足した僕は、ここである問題に気が付く。
( ・∀・)「服がない」
物理的にはもちろんある。さっきまで着ていたやつが、脱衣所の床で丸まってる。
が、僕はこの汚い布を服とは、特に風呂上りでさっぱりした気分のときに着る服とは、絶対に認めたくない。
( ・∀・)「クーちゃーん」
93
:
名も無きAAのようです
:2012/12/14(金) 23:42:53 ID:ulUAyrbg0
( ・∀・)「おーい」
彼女が案内してくれたフラットは良いところだ、だと思う。
静かで日当たりが良くて、適度な広さがあって、多少古びているけども手入れが行き届いている
物がなく、すっきりしているのも良い。
良いけど、でもこれは行き過ぎだろ、さすがに。
僕は一般的な生活空間を知らない。
でも目立つ家具が大きなソファが一脚 ローテーブルが一卓 小さな本棚が一台だけというのは殺風景にすぎると思う。
クローゼットの中には掃除用具しかない。花もなければカレンダーもない。いっそ時計があるのが不思議なくらいだ。
それでもキッチンの方にはいくらか生活のにおいが香ったが、まだ、僕の病室の方が面白みもあろうというもの。
空調のかすかな唸りと床板をあたためる窓から差し込む光さえ、ここではひどく寂しい。
94
:
名も無きAAのようです
:2012/12/14(金) 23:45:22 ID:ulUAyrbg0
人の気配にドアノブにかけた手をひっこめる。
家主がいない間に部屋を物色する後ろめたさは、僕だって持っている。
( ・∀・)「おかえり、僕がドロボーじゃないことに感謝したっていいよ」
川 ゚ -゚)「ただいま、盗ったところでお前じゃ活用できないだろ」
川 ゚ -゚)「まぁ、そんなことはいい
とりあえずパンツをはけ 買ってきたから」
( ・∀・)「……ごめん」
川 ゚ -゚)「いや……いい、私も気が利かなかった」
僕は頭のタオルを股間にあてがいパンツを受け取った。
たっぷり水分を吸いこんだタオルでは少々、いまさら感が拭えなかったが 僕のモラルがそうしろと言うので大人しく従う。
クーちゃんが無表情ながらに瞼をふるわせ目を反らした。持ってて良かった、僕のモラル。
95
:
名も無きAAのようです
:2012/12/14(金) 23:47:03 ID:ulUAyrbg0
( ・∀・)「これどう着たらいい?」
川 ゚ -゚)「どうって……
そのまま、普通に」
( ・∀・)「このシャツの前をどうしたらいいのか、よくわかんない」
川 ゚ -゚)「ふむ、わかった
しゃがめ 見ておけよ」
ちいさな手が手際よく、これまた小さいボタンをかう。
上のみっつだけを残して、彼女は顎で僕を指す。
やってみる、指がつりそうになったが、僕にもできた。
シャツというものはセンセはよく着ていたし、見たことはたくさんあるが、実際に着るのは初めてで感動がある。
このチマチマしたボタンというものさえなければ、褒め称えたいような気持だ、ところでセンセってなんだ
川 ゚ -゚)「バスの時間までもうない、急ぐぞ」
( *・∀・)「バス!乗りたい!」
ま、いいか
96
:
名も無きAAのようです
:2012/12/14(金) 23:54:19 ID:ulUAyrbg0
(; ・∀・)「もしかしてさ、路地裏でのこと
まだ怒ってる?」
川 ゚ -゚)「いや、そんなには」
(; ・∀・)「わるかったよ、初対面のおんなのこにする事じゃなかった」
川 ゚ -゚)「アニジャのときよりは紳士的だった、気にするな」
( ・∀・)「何があったか聞いても?」
川 ゚ -゚)「財布をスッてやろうとしたら腹を殴られた
あんまり痛くて、死ぬかとおもったよ」
(; ・∀・)「サイテー!」
川#゚ -゚)「アニジャの悪口いうな!」
(; ・∀・)「君、めんどくさい性格してるな!」
97
:
名も無きAAのようです
:2012/12/14(金) 23:56:15 ID:ulUAyrbg0
(; ・∀・)「怒ってないならさ
靴とかマフラーとか上着とか貸してくれても良かっただろ……」
川 ゚ -゚)「意地悪じゃない、余分はないんだ
帰りには全部揃う、我慢しろ」
(; ・∀・)「ありえないほど寒い」
川 ゚ -゚)「さっきまで平気そうだったじゃないか」
(; ・∀・)「さっきまではね、意識し出したら、寒すぎて凍りそうだ」
川 ゚ -゚)「冬だからな」
( ・∀・)「あとこれ!これさ、裾おらないと駄目なの」
川 ゚ -゚)「折らないとひきずるだろ、痛むからだめ」
_, ,_
( ・∀・)「なんかさ、よくわかんないんだけどこの折り目を見るの、すごく嫌だ」
川 ゚ ー゚)「よく似合ってる」
(;-∀-)「どーも」
彼女は皮肉がお好きなようでいけない。
98
:
名も無きAAのようです
:2012/12/14(金) 23:59:17 ID:ulUAyrbg0
川#゚ -゚)「今から、服を買う
が、その前に言っておくことがある」
バスに乗るまでは笑っていたというのに、たった十数分の間に彼女の機嫌は急降下したらしい。
女の子は気分屋で困る。僕ははやく自分の服が欲しいのだ。
僕が借りたアニジャの服は清潔だし、状態もいいけどもサイズが合わない。
それが、猛烈に悔しい。クーちゃんが僕を見てはニヤニヤ笑っていたのも悔しい。とにかくこの服を脱ぎたい。
( ・∀・)「なーにー
寒いからはやくしてよー」
_, ,_
川#゚ -゚)「いいか、店の中では おとなしくしてろよ
バスの中での態度を繰り返すならお前に服はやらん」
(; ・∀・)「オーボーだ!バスの中でだって大人しくしてただろ 言いがかりはやめろ!」
_, ,_
川 ゚ ー゚)「ほぉ、大人しく!大人しくね。いいか、大人はバスで座席のシートを外したり
つり革にぶらさがったり、他人のカツラを取ったりはしないんだ」
( ・∀・)「ごめん」
川 ゚ -゚)「よろしい、言い訳を聞こう」
( ・∀・)「好奇心」
川 ゚ -゚)「自分の見た目をかえりみろ、目立つことはするな、いいな」
( ・∀・)「何が目立って何が目立たないのかワカンネ」
川 ゚ -゚)「周りの人間がしていないことをしなければいい」
( ・∀・)「観察なら得意だ」
川 ゚ -゚)「その観察も、もっと控えめに
そんなじろじろ見てちゃ不審者だ」
(; ・∀・)「外に出たら、何もかも自由だと思ってたけど
そうでもないんだなぁ」
川 ゚ -゚)「嫌ならいつでも帰ってくれてかまわないぞ」
( ・∀・)「冗談」
99
:
名も無きAAのようです
:2012/12/15(土) 00:05:14 ID:ZVpXviNs0
('、`*川「よくお似合いですよ」
( *・∀・)「そう?じゃあこれも」
一時間という無情なリミットに追われて、言われるままカートに放り込む。
ちっとも心がこもっていなくても、褒められると気分がいい。
試着室をでるたびにクーちゃんの眉間の皺が増えている。
下着 靴下 セーター Tシャツそれからジーンズ
必要なものは意外と多い、加えて僕は初心者だ、寛大な心を持ってほしい。
黒いムートンブーツとカーキのダウンジャケットをカゴに詰めたところでジャスト一時間
( *・∀・)「厳しい戦いだった」
川 ゚ -゚)「ボサっとするな、次は会計だ」
100
:
名も無きAAのようです
:2012/12/15(土) 00:05:56 ID:ZVpXviNs0
せんとんでごじゅうきゅうどる
レジの女の子が初めて、心のこもった目を僕たちにむけた。
試着に付き合ってくれた時とは大違いだ。疑いと困惑を隠そうともしない。
横にいるクーちゃんの表情は動かない。
僕はお金のことがわからない、だからその呪文がどういう意味をもつのかわからない。
が、レジの女の子の表情と、一つ一つの値札から察するに、壊れた靴を履いた手ぶらの男や、ちいさな女の子が持っているような金額ではないのかもしれない。
( ・∀・)「もしかして僕、やらかした?」
川 ゚ -゚)「さぁな」
101
:
名も無きAAのようです
:2012/12/15(土) 00:07:15 ID:ZVpXviNs0
川 ゚ -゚)「ダウンとブーツの値札は切ってくれ」
クーちゃんは涼しい顔で会計を済まし、レジの女の子の表情をさらに複雑なものにした。
( ・∀・)「これってどうなの?」
川 ゚ -゚)「どう、とは」
( ・∀・)「使いすぎたのか、そうでないのか」
川 ゚ -゚)「使いすぎだな」
( ・∀・)「まじかよ なんでだ」
川 ゚ -゚)「ダウンとブーツが原因だろ」
(; ・∀・)「それアニジャの財布だよね」
川 ゚ -゚)「そうだよ」
(; ・∀・)「……もしかしてマズイ?」
川 ゚ -゚)「かまうものか、アニジャは面倒をみろと私に言ってこの財布を渡した
まともな衣服を用意するのだって、面倒のうちさ」
クーちゃんはどうやらアニジャの言葉をずいぶん根に持っているらしい。
彼はこうならないように、面倒をみろと言ったのだと思うが
あたたかくて軽いダウンの着心地と、しっかりしたブーツの履き心地に満足している僕は口を噤むことにする。
102
:
名も無きAAのようです
:2012/12/15(土) 00:10:34 ID:ZVpXviNs0
川 ゚ -゚)「……平気か」
(ill ∀ )「無理 死ぬ」
川 ゚ -゚)「サンドイッチやめとこうか」
(ill・∀・)「それは食べたい」
連れていかれたスーパーマーケットから、ものの数分で逃げ出して、僕はベンチで膝を抱える羽目になった。
スーパーマーケット、そこは素晴らしかった。
市場とはまた違った活気があり、整頓されて、何でもあった。
色 物 音 匂い すべてが大きな棚にみっしりと並んで、一歩踏み出すごとに僕になだれ込んできて
ラベルの洪水に僕の脳は悲鳴をあげた。目の奥の神経と筋肉もいっしょになって叫ぶ。
(ill・∀・)「うるさすぎる!」
103
:
名も無きAAのようです
:2012/12/15(土) 00:14:02 ID:ZVpXviNs0
( ・∀・)「くさい!」
川;゚ -゚)「はぁ?」
( ・∀・)「このチーズ、ひどい臭いがする」
齧ったサンドイッチはラットの寝床の匂いがした。
挟まれたチーズ、その白色!ラットの毛皮の色じゃないか!
川;゚ -゚)「確かに、においはすこしキツイが言うほどか?
それにおいしいじゃないか」
( ・∀・)「味するかなぁ?」
川;゚ -゚)「あきれた、文句は言うくせに食べきった」
( ・∀・)「おなかが空いてるんだ
全然たりない」
川 ゚ -゚)「しょうがない、すこし待ってろ」
104
:
名も無きAAのようです
:2012/12/15(土) 00:17:12 ID:ZVpXviNs0
( *・∀・)「この飴もっと欲しい」
川;゚ -゚)「結局、一番気に入ったのはそれか」
( *・∀・)「ほら見て、舌が青色になった」
川;゚ -゚)「そんな絵の具と砂糖をいっしょくたにしたような飴や、脂ぎったチャイニーズがよくて
美味しいチーズがだめな理由がわからない」
フラットまでの帰り道、彼女は大部分を困惑顔ですごしていた。
だけど、困惑するのは僕も同じだ、動物の臭いがするチーズよりは刺激的なチャイニーズだとか
いい匂いがして舌が面白い色になるキャンディの方がよほどいい。
川 ゚ -゚)!
川 ゚ -゚)「アニジャ!」
走り出す彼女を追って顔を向ける。やっぱり気配はないけど、もう慣れた。
105
:
名も無きAAのようです
:2012/12/15(土) 00:19:28 ID:ZVpXviNs0
川 ゚ -゚)「迎えにきてくれたのか」
( ´_ゝ`)「酒を買いに来たついでだけどな」
川 ゚ -゚)「そこはただ一言そうだ、とだけ言えばいいんだ」
( ´_ゝ`)「気を付けよう 夕飯は何がいい」
川 ゚ -゚)「バーガー屋のやつじゃない、分厚いアップルパイが食べたい」
( ´_ゝ`)「それはお菓子だ、また今度な」
川 ゚ -゚)「うむ 約束だぞ」
今日の晩御飯を話題に、手を繋ぎながら夕暮れの町を進むオレンジと青の背中は悪くないなと思った。
クーちゃんは甘えているのか、表情が幼くて可愛いし、クーちゃんの歩幅に合わせてちまちま歩いているアニジャはそこまで怖くない。
( ・∀・)「僕、メニューはなんだっていいけど
量はたべたい」
川 ゚ -゚)「お前には聞いてない」
( ´_ゝ`)「量か……
お前、けっこう食いそうだもんなぁ」
_, ,_
川 ゚ -゚) ゲシゲシ
(; ・∀・)「痛いよ、八つ当たりするなって」
一時はどうなることかと危ぶんだが、僕は案外、この二人と上手くやっていける気がする。
106
:
名も無きAAのようです
:2012/12/15(土) 00:20:15 ID:ZVpXviNs0
( ・∀・)「気になってたんだけどさ、二人はどういう関係なの?」
川 ゚ -゚)「ヤブラカボーに何だよ」
( ・∀・)「藪から棒?これからいっしょに生活するんだから気になるじゃん」
川 ゚ -゚)「そう、それヤブカラボウ」
( ・∀・)「ごまかさない!」
川 ゚ -゚)「ごまかしてない」
( ・∀・)「いいよ、アニジャに聞く
ねぇ、クーちゃんってどういう存在なの」
( ´_ゝ`)「ペット」
( ・∀・)「えっ」
( ´_ゝ`)「だから、ペット」
( ・∀・)「なにそれこわい」
えらいところにきてしまった。
107
:
名も無きAAのようです
:2012/12/15(土) 00:23:56 ID:ZVpXviNs0
川 ゚ -゚)「その表現は誤解を生むといつもいってるだろう」
( ´_ゝ`)「一番適切だと思うんだがなぁ」
( ・∀・)「あ、あぁ!そうか誤解か!よかった!」
川 ゚ -゚)「きょうだいのようなものだよ
あくまで例え話だけど」
( ・∀・)「最初っからそう言ってくれたら良かったのに」
川 ゚ -゚)「アニジャの例えではわかりにくい
駄目な弟を持つと苦労するよ」
( ・∀・)「弟?」
川 ゚ -゚)「弟 私が姉だ」
( ・∀・)「なにそれもこわい」
( ´_ゝ`)「こどもの言うことだ、付き合ってやれ」
( ・∀・)「念のため聞くと、見たままの年齢だよね?」
( ´_ゝ`)「そうだ」
川 ゚ -゚)「聞こえてるぞ!だって同じシスターなら姉のほうがいいじゃないか」
108
:
名も無きAAのようです
:2012/12/15(土) 00:29:55 ID:ZVpXviNs0
( #・∀・)「ジィィィザッス!!!」
川 ゚ -゚)「おい、叫ぶなよ」
( ´_ゝ`)「スプーンねぇや……
なぁ、今日はティースプーンで我慢してくれ」
( #・∀・)「聞け!理由を聞いてくれ!!」
川 ゚ -゚)「どうした」
( ´_ゝ`)「カレー冷めるぞ」
( #・∀・)「どうしたもこうしたもあるか!アルコール消毒も!手袋もなしに料理!
テーブルは水拭きのみ!信じられない……そのテーブル……
今まで買い物袋のってただろ……ない……さすがにない……これはない……」
川 ゚ -゚)「とても言いにくいんだがなモララー」
( ´_ゝ`)「アルコール?ラムならあるぞ」
川 ゚ -゚)「アニジャは黙っててくれ」
( ´_ゝ`)モグモグ
109
:
名も無きAAのようです
:2012/12/15(土) 00:30:52 ID:ZVpXviNs0
川 ゚ -゚)「モララーこれが普通だ」
( ・∀・)「あのさ……まさかさ……まさかとは思うんだけど
今日、買ってくれた食事って……」
川 ゚ -゚)「言いにくい、言いにくいが……
ああいうとこのはもっと雑だ」
( ・∀・)
川 ゚ -゚)「モララー?」
( ・∀・)
川;゚ -゚)「アニジャー
モララーが気絶した」
( ´_ゝ`)「そっとしといてやれ」
【つづくよ】
110
:
名も無きAAのようです
:2012/12/15(土) 00:32:28 ID:R9bI/IeUO
言い回しが堪らん
おつ、待ってる
111
:
以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします
:2012/12/15(土) 00:33:27 ID:EMbgnOFc0
乙!
毎回続きが気になる
112
:
名も無きAAのようです
:2012/12/15(土) 01:34:10 ID:S.DARzDsO
雰囲気がすごいいいな
113
:
名も無きAAのようです
:2012/12/15(土) 01:35:04 ID:xh61z38Y0
乙!初めて読んだけど面白いな
兄者とクーかわいい
114
:
名も無きAAのようです
:2013/01/12(土) 00:27:43 ID:E63uxTsoO
これめっちゃ好き
続き待ってる
115
:
名も無きAAのようです
:2013/04/01(月) 23:00:43 ID:ZRP3HFGA0
た、たのしみだからまってるからねっ
116
:
名も無きAAのようです
:2013/05/02(木) 02:41:56 ID:DNwjNJ0E0
続き期待
117
:
名も無きAAのようです
:2013/06/23(日) 00:30:46 ID:YPaGfEYI0
まってるんだからなっ
118
:
名も無きAAのようです
:2013/08/23(金) 22:57:36 ID:LpAjdveAO
待ってる
119
:
名も無きAAのようです
:2013/09/02(月) 15:32:21 ID:A0FCGatQ0
待ってる
120
:
名も無きAAのようです
:2013/09/02(月) 15:49:33 ID:C68iGw5E0
>>100
121
:
名も無きAAのようです
:2013/09/15(日) 05:11:09 ID:23xpiZMg0
6. 夢の世界で会った人でしょ
( ;∀;)「でていけ!さわるな!さわるな!さわるな!」
喚き散らす男、牛の大群でも通ったのかというような有様の、しっちゃかめっちゃかな病室。
見ていられない惨状に、出来る事なら目を覆いたかった。
残念ながら僕に今、手は無い、瞼もない。だから、コイツ頭おかしいんじゃねぇの、ってうんざりしながら俯瞰している。
( ;∀;)「僕の脳みそがない!なくした!なくしちゃったんだ!」
無くしたわけないだろボケが。
僕は今こそ泣きたかった。だって、僕にだって羞恥心はある。
僕は脳みそをなくしてしまったという妄想にとりつかれていた。そうして、同時にそれが妄想だということも理解している。
ただ、感情が高ぶって、体のコントロールがきかない。
僕は探す、憐みと蔑み、怯えの声を跳ねのけながら ありもしない 無くした臓器を泣きながら探している。
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