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( ・∀・)君と可愛いあのこの内緒話のようです
123
:
名も無きAAのようです
:2013/09/15(日) 05:15:36 ID:23xpiZMg0
( ・∀・)「あった」
川*゚ー゚)o「あった?」
( ・∀・)「うん、良く考えたら、脳みそは僕の頭の中にあった」
川*゚ー゚)o「よかったね」
( ・∀・)「うん」
(;-∀・)「ほっとけば良かったのに」
川*゚ー゚)o「暇だったの、何にもしてないと背中が痛くて」
( ・∀・)「重そうだ」
川*゚ー゚)o「重いよ、似合う?」
( ・∀・)「全然!位置も毛艶も悪いし、左右の色が違うなんてださいし
ごちゃごちゃしててサイアク はやく取ったほうがいいよ」
川;゚ー゚)o「まーぼろかすに言ってくれちゃって……
腕のときは褒めてくれたのに」
( ・∀・)「そうだっけ」
川*゚ー゚)o「忘れたんだ」
( ・∀・)「ごめん」
川*゚ー゚)o「いいよ、それより本棚起こして
アタシじゃ持ち上がんないよ」
( ・∀・)「はいよ、あっ!似合ってないけどさ
でも、天使っているなら、きっと君みたいに可愛いのかなとは思った」
124
:
名も無きAAのようです
:2013/09/15(日) 05:16:31 ID:23xpiZMg0
川*゚ー゚)o「天使みたいに、じゃなくて?」
( ・∀・)「天使より絶対、君のほうが可愛い
見たことないけど」
川*゚д゚)o「やだー!モララー君のばか!恥ずかしいひとー!
もうっ!ちょっとグッときちゃったじゃん!」
(*・∀・)「今の良かった?良かった?気に入った?」
川*゚ワ゚)o「ちょっとね!ちょっとだけね!」
( ・∀・)+「神様は君が天国から逃げてきたって事、知ってるのかな?」
川*゚ー゚)o「それはサムイ」
( ・∀・)「ごめん」
川*゚ー゚)o「サムイ」
( ・∀・)「ごめん」
125
:
名も無きAAのようです
:2013/09/15(日) 05:17:37 ID:23xpiZMg0
―
――
( ・∀・)ハッ!
( ´_ゝ`)「起きた」
川 ゚ -゚)「おはよう、トースト何枚食べる?」
( ・∀・)「そんなにいらない……五枚くらいで」
( ´_ゝ`)「よく食うなぁ」
(;・∀・)「ぁ痛っ!上むくと首が痛い!」
川 ゚ -゚)「寝違えたのか
紅茶にミルクいれる?」
( ・∀・)「コーヒーは?」
川 ゚ -゚)「ない」
( ・∀・)「じゃあ牛乳だけ欲しい」
126
:
名も無きAAのようです
:2013/09/15(日) 05:30:02 ID:23xpiZMg0
目が覚めると、僕の周りで食事が始まっていた、いや終わろうとしていた。
起こしてほしい、そういうときは起こしてほしい。
ぐるぐる、部屋を見渡す。
窓の外。まだ暗い。挨拶がなければ朝だとわからないほどだ。
アニジャ。もう身支度を済ませている。朝だというのに、ゾンビみたいに生気がない。
クーちゃん。トースターとにらめっこをしている。こんな時間なのに、しゃっきりしている。
僕の朝食を、用意してくれている。冷蔵庫から牛乳を出す。
牛乳のボトルを支えるクーちゃんの手首が沈む。重いのだろう。
青いキャップを外し、牛乳が皿に注がれる。皿に。ちょっとまて。
(;・∀・)「皿って」
川 ゚ -゚)「カップがないんだ」
( ・∀・)「嘘つけ!……あっほんとだ無いね、ごめんね」
この家には無いものが多すぎる。
127
:
名も無きAAのようです
:2013/09/15(日) 05:31:41 ID:23xpiZMg0
残っているサラダとスクランブルエッグを指でつまんで食べた。
リーフレタスの柔らかな葉の感触、水っぽくて青臭いトマト、火の通りきっていない卵は少し抵抗がある。
ぬるぬるしてるし、冷めてる。きたないという印象が強い。
クーちゃんがテーブルのフォークを指さしたが、無視しておく。
誰でも君を甘やかしてくれると思ったら大間違いだ。
もちろん、いくら僕だって手づかみで食事をするほど野蛮ではない。
でもフォークは二つとも使用済みで、それなら自分の指の方が清潔、ではないことは知っているが気分的に清潔だ。
きつね色の熱いトーストにたっぷりとバターを塗って塩をふる。
暖かくてしょっぱい、二枚目はジャムにしようかな
川 ゚ -゚)「かけすぎ」
( ・∀・)「味がしないんだもん」
128
:
名も無きAAのようです
:2013/09/15(日) 05:33:55 ID:23xpiZMg0
( ´_ゝ`)「今日は遅くなる」
川 ゚ -゚)「わかった、昼は多めに食べておく」
( ´_ゝ`)「クー」
川 ゚ -゚)「ふん、私を餓死させたくないならはやく帰ってこい」
( ´_ゝ`)「善処しよう」
川 ゚ -゚)「いってらっしゃい、あ、待って靴ひも」
( ´_ゝ`)「はいはい」
クーちゃんはやっぱり、バランスの良い子だと思う。
結びやすいよう片足を浮かして差し出していても、体はまっすぐ伸びていて揺らがない。
解けていた靴ひもを二つともリボンの形に整え、アニジャは立ち上がる。
床に垂れていた青いコートがはためいて死臭が届く。
朝っぱらからヤな臭いしてるなぁ、嗅ぎ慣れちゃいるけど、食事時に嗅ぎたいものではない。
病院は無法地帯だったが食卓に死臭はなかった。
129
:
名も無きAAのようです
:2013/09/15(日) 05:42:04 ID:23xpiZMg0
まだ暗い外に染み込むようにアニジャは出て行った。音を付けるなら、ぬるぬるっと。そういう感じで。
あいつは不思議なくらい、音がしない。
スクランブルエッグの皿を遠ざける。ぬるついていて、汚い印象がして、冷たいものは好きじゃない。
少なくとも、清々しい朝には見たくない。日はまだのぼってないけど。
( ・∀・)「餓死ってなに」
川 ゚ -゚)「朝は私、昼は外で、夜はアニジャが担当だ
アニジャがいないと夕食がとれない。私は育ちざかりなんだ死んでしまう」
( ・∀・)「夜も作るか、買えばいいじゃん」
川 ゚ -゚)「一日に二回も料理はしたくないし、外食も昼だけで充分だ」
( ・∀・)「わがまま」
川 ゚ -゚)「知ってる」
130
:
名も無きAAのようです
:2013/09/15(日) 05:45:54 ID:23xpiZMg0
川 ゚ -゚)「家の朝は見ての通り早い。
暖かい朝食が食べたいなら早起きしろ」
( ・∀・)「はーい」
川 ゚ -゚)「家事、教えてやるから手伝えよ
はやく終わらせて、お前の食器を買いにいかなくちゃ」
( ・∀・)「りょーかい」
川 ゚ -゚)「何か希望は」
( ・∀・)「トイレ掃除は僕にやらせて」
131
:
名も無きAAのようです
:2013/09/15(日) 05:49:12 ID:9pc2dQ/s0
おお来てる!
132
:
名も無きAAのようです
:2013/09/15(日) 05:58:40 ID:23xpiZMg0
―
――
ソファに倒れ込む。明日また首が痛むことになるんだろうけど、もう立っていられない。靴を脱ぐ気力さえない。
熱を持った瞼で目が焼けそうだ。夕飯が妙に不味かったのは熱のせいかもしれない。
今日は情報が多かった。排水溝に吸い込まれていく水みたいに、今日一日が頭の中をぐるぐる回る。
市場のざわめきが蘇ってきて、ぐっと胃が締め付けられる気がする。気だけ。
確実に清潔な便器への感謝はさっき済ませたから、もう大丈夫。今はからっぽ。
新しいことを知り過ぎた。だから発熱はわかる。
でもこの程度で済んでいることはわからない。もっとドギツイのが出てもおかしくないんだ。ほんとは。
関節が痛くって、動くのは億劫だけど、クーちゃんが絶対にそうしろというから水をのむ。
めんどくさい。塩とレモンが入っているらしいが、僕にはぬるいということしかわからない。
今思い出したことがある。
こういう時、ナースコールを押すだけで良かったこと。
点滴をうつから、ひたすら眠っていればよかったこと。
溶液が血管にはいるときの、ひいやりした冷たさ。
落ちる速度に追いつかず、痛む腕 そのなにもかモギャッ!
( ´_ゝ`)「おい、どけよ。そこは俺の場所。
昨日は貸してやったけど今日からは遠慮しろ」
133
:
名も無きAAのようです
:2013/09/15(日) 06:06:01 ID:23xpiZMg0
このクソ人でなし。
口の中だけで呟く。声を出すのがつらいだけだ。
別に怖いとかそういうのじゃない。ぜんぜん怖くない。マジで、ほんと。
いや、嘘だ怖い。風呂あがりでも死臭がするとかなんだよお前こわい。
(ill・∀・)「口で言えよ、床で寝ろってか……
僕は熱があるんだぞ」
( ´_ゝ`)「なんでそーなんだよ、ベッド行けベッド」
実に器用に、足だけを使って僕をソファから追い出したアニジャはドアを指した。
昨日、僕が手をひっこめたドアノブがくすんだ光を放っている。
( ・∀・)「気を使ってくれてるんなら、そういうのは別にいいぜ
僕が熱を出すのって日常のことだし、君には充分、世話になってる」
( ´_ゝ`)「単にこっちの方が寝やすいんだよ」
( ・∀・)「嘘だぁ。ソファが?」
( ´_ゝ`)「そう、寝慣れてる」
ソファだとか廃車のシート、あるいは椅子、そういった所でばかり眠っていたとアニジャは言った。
僕には良くわからない感覚だ。
ベッドで寝ればいいのに、椅子は座るためのもので、ベッドは寝具だ。意味が解らない。
134
:
名も無きAAのようです
:2013/09/15(日) 06:14:47 ID:23xpiZMg0
ドアを開けると、クーちゃんがいた。
まぁ、当然だ。僕はクーちゃんがおやすみ、と言って寝室に引っ込むところを見ていた。
( ・∀・)「」
川 ゚ -゚)「こっちで寝る事にしたのか、うん、その方がいい」
( ・∀・)「」
川 ゚ -゚)「モララーは奥な。私は壁側すきじゃないんだ」
(;・∀・)「まって!まってくれ!ベッド一個しかないじゃん!!!」
川 ゚ -゚)「お前ずうずうしいな。もう一つ買えってか」
(;・∀・)「これはだめだろ、だめすぎるだろ!」
川 ゚ -゚)「うるさいなぁ、そんなに嫌なら床でねるか?
底冷えしてさぞ快適だろうな」
( ・∀・)「ご一緒させていただきまーす」
別に僕が嫌なわけじゃないし。大人しく潜り込む。
僕は床とか椅子で寝る趣味はない。寝るならベッドがいい。
あんまり騒いで、やっぱり床で寝ろと言われるのは、ごめんこうむる。
135
:
名も無きAAのようです
:2013/09/15(日) 06:28:26 ID:23xpiZMg0
リビングと同じ、ここにも余計なものどころか必要なものすらない。
ポン、と大き目のベッドがあるだけだ。
作り付けのクロゼットにだって、きっとほとんど何もないだろう。
体は疲れ切っていて、すぐにでも眠りたいのに、脳が変な風に冴えていて眠れそうにない。
観察しようとする目をいなして、口を開く。
気を紛らわせるのに、お喋りは有効だ。僕は疲れていて、もう一度寒いトイレに行きたくはない。
( ・∀・)「なんでベット一つしかないの」
川 ゚ -゚)「使わないものを買う必要ないだろう
アニジャはベッド使わないし」
( ・∀・)「あいつ、どこで寝てるのさ」
川 ゚ -゚)「ソファーだよ、見ただろ」
( ・∀・)「見たけど……」
川 ゚ -゚)「はじめの部屋なんてすごかったぞ、ソファーしか置いてなかった」
( ・∀・)「嘘だぁ」
川 ゚ -゚)「ほんとだって、あの部屋は忘れられない。
狭くて暗くて湿ってて黴臭くて、それ以上に酒臭い
シャワールームは排水溝からどぶの臭いがして、全体的に血なまぐさかった」
( ・∀・)「人間の住む環境じゃないね」
川 ゚ -゚)「ほんとにそうだ、アニジャは必要な家具はソファだけだと誤解してるんだよ」
136
:
名も無きAAのようです
:2013/09/15(日) 06:38:28 ID:23xpiZMg0
意外にもクーちゃんはお喋りにつきあってくれた、どころか積極的に話してくれる。
彼女は彼女で緊張しているのかもしれない。無理もないことだ。
アニジャの話は好都合だ。僕はあいつが怖い。
怖いのは理解できないから。対象について知るということは恐怖を和らげる。
川 ゚ -゚)「それで、酒瓶と缶づめの量にぼーぜんとしてたら、金と缶切りを渡された
次にアニジャを見たのは一週間後だったよ」
( ・∀・)「何でそんな奴について行ったんだ……」
川 ゚ -゚)「もうそろそろ何か食べないと死ぬし、暖かい服を買わなければ凍えて死ぬという状況だった
どうしようか考えてたら、私の腹を殴った男がいたから、なんだか苛立ってきて捨て鉢な気持ちでうったえたんだよ
死ぬよりはマシかなと思って」
( ・∀・)「なんて?」
川 ゚ -゚)「殴られどころが悪くて死にそうだ。私を買ってくれ」
( ・∀・)「えっ」
137
:
名も無きAAのようです
:2013/09/15(日) 06:51:53 ID:23xpiZMg0
川 ゚ -゚)「アニジャは私のことをじーっと見てた、それでいいぞって」
( ・∀・)「まじかよ……ドン引きだわ……」
世の中には知らない方が怖くないこともあるらしい。
川 ゚ -゚)「まぁ売春のつもりだったんだが。年齢を考えてなかったんだ」
(;・∀・)「駄目だよ考えなよ、僕じゃなくてあいつがロリコンだよ……
警察行こう?僕も途中までついてってあげるからさ」
川 ゚ -゚)「む?違うぞ。アニジャはペットとして私を飼うことにしたんだ。ちょうど飼ってたカエルが死んで
次は長生きしそうなペットを探してて亀とインコで悩んでた所に私が来たというわけだ
私なら亀やインコより長生きで、世話が必要ないからな」
( ・∀・)「あっ、だからペット」
川 ゚ -゚)「うん。売春の方は20年たってから出直せって言われた」
( ・∀・)「わぁお。ツッコミが追いつかないぞ」
クーちゃんはもう、いろんなことを教えてくれた。
だから僕は一つ賢くなって、世の中には知らない方が怖くないこともあると知った。
この会話が全部聞こえてたら、僕は死ぬんじゃないだろうか。
パジャマトークにするには題材が重すぎる。
138
:
名も無きAAのようです
:2013/09/15(日) 07:07:45 ID:23xpiZMg0
川 ゚ -゚)「お喋りはおしまい。もう寝よう
何かあったら起こせよ」
( ・∀・)「意外だなぁ。放っておかれるもんだとばっかり思ってたよ」
川 ゚ -゚)「ふん、そりゃあ私だって出来る事なら放っておきたいがな
しかたないだろう、これだって飼い主の責任だ」
( ・∀・)「大丈夫、ちゃんと自分でやるよ。
熱が出るのは普通なんだ、いいから君はゆっくり寝なよ」
川 ゚ -゚)「気にするな」
何度も瞬きをしながら、クーちゃんは僕の毛布を整えた。
彼女は冷たいふうを装っているが、面倒見が良くて優しい。
ほそい手首に嵌った、ふるびたヘアゴムの音が心地よい。カチ、コチ、落ち着く音だ。
内容のことを除けば、クーちゃんとのお喋りは楽しかった。
頭も呂律も回転が鈍くなっても、おしまいにしてしまうのが惜しい。
( -∀-)「クーちゃんと僕さぁ、ぜったい前にも会ったことがあるよ」
川 ゚ -゚)「はいはい、馬鹿言ってないで寝ろ」
熱と眠気でぐにゃぐにゃになった頭でもわかることがある。
天使は優しくて、よく通る声と可愛い腕とピンクのヘアゴムを持って夢に出てくるんだ。
139
:
名も無きAAのようです
:2013/09/15(日) 08:48:42 ID:j7Bqmrn2O
超乙
待ってた
140
:
名も無きAAのようです
:2013/09/15(日) 09:29:22 ID:elp13Eu2O
乙乙!
大好きこの作品
141
:
名も無きAAのようです
:2013/09/15(日) 12:25:59 ID:NHCmJL960
うおお来てた嬉しい!乙乙!
142
:
名も無きAAのようです
:2013/09/15(日) 14:35:27 ID:OUgoDe8g0
おつ!
143
:
名も無きAAのようです
:2013/09/16(月) 03:35:59 ID:mrLoY79QO
好き
おつおつ
144
:
名も無きAAのようです
:2013/09/16(月) 05:10:46 ID:GR07jtRY0
キター!!!
乙!
145
:
名も無きAAのようです
:2013/11/30(土) 15:53:46 ID:bDMEjs5EO
すごい面白い
待ってる
146
:
名も無きAAのようです
:2013/12/07(土) 19:50:28 ID:ww5rQaUQ0
7 お兄ちゃんのパンツと私のパンツ、一緒に洗わないで
当分は私の後をついてこい、慣れてきたら好きにするといい。
クーちゃんの言葉に従い、僕は朝から晩まで、クーちゃんの後を追いかけて過ごしている。
だからもう、生活に必要な知識なんてばっちりだ。
僕の特別な脳みそは、乾いたスポンジが水を吸うように知識を吸収していく。
名誉のために、言わせてもらえば僕の脳みそはスポンジとは似ていない。
頭蓋骨に守られた臓器は、皺が深く、ハリと潤いのある淡いピンク色をしている。
この目で見たことがあるから確かだ。
けして、黄色くてかすかすで、そのくせ油でぺちょっとしているスポンジなんかとは違うのだよ。
( ・∀・)「このフライパンべたべたが取れない!!」
川 ゚ -゚)「洗剤を少し垂らして、放置してから洗うんだよ」
147
:
名も無きAAのようです
:2013/12/07(土) 19:52:52 ID:ww5rQaUQ0
クーちゃんは、よく働くおんなのこだった。
朝早くから、しっかりとした朝食を用意して、部屋を掃除する。
洗濯をして、買い物へ行き、時々は裁縫をする。
部屋は物がないし、時々はアニジャも掃除をしているから、そこまで汚れることもない。
洗濯ものも少ない方で、買い物も頻繁にする必要はないし、あったとしても、そう手間ではない。
品揃えは悪いが、少し歩いた所にちいさなマーケットがあるから、毎日バスを使わなくてもいい。
市だとマーケットより物があって、スーパーよりは近いからそっちを使えばいいのだけど
クーちゃん一人だと、市場で買い物をするのは大変らしい。
クーちゃん一人で充分賄える事ばかりだが、何分、クーちゃんの手はちいさいので、一度に出来ることは少ない。
だから、僕がクーちゃんの代わりに洗濯物を乾燥機のドラムに詰めたり、ひっぱりだしたり、荷物を持つようになると
ランドリーと家の往復は一度で済むし、買い物も、手近で品揃えの良い市に時々出かければ済むようになった。
洗剤と油、牛乳のボトルと豆の缶詰を詰めた袋を持ったとき、シーツを取りあえず、たたむとき
彼女は目をぱちぱちさせて、不思議そうに自分の手と僕の手を見比べたりする。
僕とクーちゃんの手の違いによって
僕たちには何にもすることが無い時間が一気に出来たけど、不思議と持て余すことは無かった。
148
:
名も無きAAのようです
:2013/12/07(土) 19:53:41 ID:ww5rQaUQ0
( ・∀・)「なにしてるの」
川 ゚ -゚)「かけはぎ、向かいの通りにクリーニング屋があるだろ
あそこが、たまに仕事をくれる。小遣い程度だが、なかなか割りがいい」
( ・∀・)「何、アニジャってお小遣いもくれないの?ケチなやつ……」
川 ゚ -゚)「違う。アニジャが暴力と売春と薬にかかわらないことで何か、仕事を覚えろと言うから」
( ・∀・)「ふぅん」
川 ゚ -゚)「なんだか不満そうだ」
( ・∀・)「あいつ、クーちゃんばっかり働かせてるじゃん」
川 ゚ -゚)「いいんだよ」
( ・∀・)「はぁ?なんで」
川 ゚ -゚)「そのうち交代するから」
( ・∀・)「交代?」
川 ゚ -゚)「私が大人になったら、私が仕事をする
代わりに、アニジャに家事をやらせる。今はその逆」
_, ,_
( ・∀・)「ふぅん」
川 ゚ -゚)「不満そうだ」
_, ,_
( ・∀・)「別に」
149
:
名も無きAAのようです
:2013/12/07(土) 19:55:48 ID:ww5rQaUQ0
( ・∀・)「ほんとに靴ひも結べないの」
川 ゚ -゚)「結べないよ」
( ・∀・)「縫い物は出来るのに」
川 ゚ -゚)「必要なものが違うんだ」
( ・∀・)「紐じゃないやつ買いなよ」
川 ゚ -゚)「こっちの方が似合う」
( ・∀・)「でも結べないじゃん」
川 ゚ -゚)「アニジャに結んでもらうからいい」
( ・∀・)「大人になったら困るよ」
川 ゚ -゚)「問題ない。私は死ぬまでアニジャといっしょにいる
ずっと結ばせればいい」
( ・∀・)「わがまま」
川 ゚ -゚)「それでいいんだよ。私はペットなんだから
わがままで可愛くあるのが仕事さ 」
( ・∀・)「横暴だ」
川 ゚ -゚)「年上の横暴を許すのが年下の務めだ
あっ!私の苺!」
( ・∀・)「年上の横暴は許されるんだろう」
_, ,_
川 ゚ -゚)「屁理屈!」
( ・∀・)「君がね」
150
:
名も無きAAのようです
:2013/12/07(土) 19:57:28 ID:ww5rQaUQ0
( ・∀・)「だから、豚肉と鶏肉と牛肉に違いなんてあるのって言ったんだよ」
川 ゚ -゚)「お、お前、それは本気で言ってるのか」
( ・∀・)「うん?」
川 ゚ -゚)「まったく……しょうがないな
そのうち私の淹れた紅茶じゃなきゃ飲めないようにしてやるから覚悟しろよ」
( ・∀・)「紅茶って匂いと色があるお湯だろ?どれもいっしょだよ」
川 ゚ -゚)「」
( ・∀・)「あれ」
川 ゚ -゚)「失礼、カエルには理解がむずかしかったかな」
( ・∀・)「カ、カエルとか言うのやめろよ……君だってライミーとか言われたらいやだろ……」
川 ゚ -゚)「別に?お前は雨が降っても外に行って泥まみれになるんだ、ぴったりじゃないか」
( ・∀・)「拗ねるなって」
川 ゚ -゚)フン
151
:
名も無きAAのようです
:2013/12/07(土) 19:59:34 ID:ww5rQaUQ0
川 ゚ -゚)「こら!ジャムにするんだ、つまみぐいするな」
( ・∀・)「いいじゃん、まだ93粒もある」
川 ゚ -゚)「よく数えられるな」
( ・∀・)「そりゃ数えたら数はわかるよ」
川 ゚ -゚)「ふぅん」
( ・∀・)「ブルーベリーってちょっと生臭いね」
川 ゚ -゚)「お前は何を食べてもそう言う」
152
:
名も無きAAのようです
:2013/12/07(土) 20:01:25 ID:ww5rQaUQ0
( ・∀・)「今日のスコーン、胡桃じゃなくてアーモンドだった……」
川 ゚ -゚)「クルミ、切らしてたんだよ」
( ・∀・)「スコーンにチョコとナッツを入れるなら胡桃だろ……
せっかく、林檎の木でいぶしたベーコンだってあったのに……
食べたらアーモンドで僕はすごく悲しかったよ……」
川 ゚ -゚)「そんなに落ち込むなよ、また作るから」
( ・∀・)「クーちゃんは朝食のレパートリーが多いから、同じメニューが回ってくるのに随分時間がかかるんだ」
川 ゚ -゚)「わかったよ。明日もベーコンを焼くし、林檎のサラダも作る。スコーンはチョコとクルミだ」
( ・∀・)「いいの!?」
川 ゚ -゚)「良くは無い。でもリクエストなんて初めてだからな、聞いてやってもいい
二日続けて、同じ朝食なんて、随分つくってないんだぞ、感謝しろよ」
( ・∀・)「ありがとう!」
川 ゚ -゚)「なんだよ、素直だな」
( ・∀・)「だって嬉しいもん」
川*゚ -゚)フン
153
:
名も無きAAのようです
:2013/12/07(土) 20:02:42 ID:ww5rQaUQ0
( ・∀・)「ピーナッツバターも買おうよ!この前作ったジャムで
ピーナッツバターアンドジェリーサンドだ!」
川 ゚ -゚)「いやだよ。私もアニジャもあんまり好きでもないし
おまえだって絶対、途中で飽きる」
( ・∀・)「それじゃあ余ったピーナッツバターでケーキを焼いてよ
本で読んだ。バナナいれてさ」
川 ゚ -゚)「わ、わたし」
( ・∀・)「なぁに」
川 ゚ -゚)「お菓子は、つくったことない」
( ・∀・)「じゃあ僕もやる。一緒につくろ」
154
:
名も無きAAのようです
:2013/12/07(土) 20:06:03 ID:ww5rQaUQ0
川 ゚ -゚)「いや、元々だよ。基本的に家にいる方が珍しいんだ」
( ・∀・)「最初の方はずっといたのに?」
川 ゚ -゚)「あれは、お前を見張ってたんだ。
私に何かしないようにな。ナイフか銃をいつも持ってただろ」
( ・∀・)「あの時期ってそんなに危険な状況だったの……」
僕は時々、一人で散歩に出かけて、外の事を勉強したりもしたけど、だいたい、クーちゃんと過ごしていた。
そういう風に過ごしていると、どうしてクーちゃんが僕のような怪しい男に二日という短さで、親しげな様子をみせたのかもわかった。
彼女は一日の大部分を、いや、ほぼ丸々を「僕と」二人で過ごしていた。
二人で、家事をして、買い物にいって、遊んで、お喋りをした。
彼女は今まで、誰と、パンケーキにはジャムかメープルシロップかと言い合って、
誰と洗濯機を回す前にポケットの確認をしていたんだろうか。
考えるまでもないことだった。
155
:
名も無きAAのようです
:2013/12/07(土) 20:16:41 ID:ww5rQaUQ0
――
アニジャは、僕の想像よりはるかに、生活に根差していない。
朝の暗いうちに外に出て日が沈んでから帰ってくる、食事の後は
窓辺に座ってずっと酒を飲みながらナイフを研ぎ銃を整備し靴を磨いていた
のは最初の十日ほどだけで、朝、クーちゃんの靴ひもを結びに帰ってくるのと、
夕方にクーちゃんの食事を用意しに帰ってくる以外では見かけないことも珍しくなくなっていた。
だから僕はクーちゃんがかけはぎでかまってくれないので一人で散歩をおえてエントランスへ帰ってきた時
アニジャのコートを見かけて、驚いたね。
アニジャという男は日の光が無い時にしか現れないじゃないかって、僕はどうやらそんなことを考えていたみたいだ。
「ショーンさん」
後ろで大家さんの声がした。
クーちゃんにブルーベリーをくれた人だ。
鮮やかな濃いブルーの丸い粒を彩る白い粉。まだブルームが覆っている、
微かに甘酸っぱい、爽やかな匂いがする果物は美味しいジャムになった。
その節はどうも。
なんてことはどうでも良いんだ。ショーン?誰?僕?あいつしかいないだろ。
家賃の話をするミセス・ブルーベリーとミスタ・ショーンを見る僕は、たぶんアホ面を晒していた。
156
:
名も無きAAのようです
:2013/12/07(土) 20:20:24 ID:ww5rQaUQ0
( ・∀・)「ショーンって何?」
大家さんが立ち去って、この場に僕以外の人の気配がなくなってから、アニジャはカードを一枚、放ってよこした。
( ・∀・)「アラン・ネイシャ・ショーン」
カードの、一番目立つ文字を読み上げる僕。
アニジャは一つ頷き、カードを再び懐に仕舞い込む。
アニジャが寄越したのは何の変哲もないただのIDカードだった。
そんなに珍しいものじゃない。この国じゃ、ホームレスでも持っている。
僕はもってないけど、全国民が持っている。ということになっている。
まぁ、考えたら、そんな不思議でもない。
ちょっと古びてはいても、アニジャは、こんなにまともな所に住んでいるのだ。
ID無しじゃ、まず無理だ。
157
:
名も無きAAのようです
:2013/12/07(土) 20:26:00 ID:ww5rQaUQ0
( ・∀・)「ID持ちのくせに、あんな仕事してんのかよアブネー」
( ´_ゝ`)「お前そんなんじゃ、そのうちカモにされるぞ」
( ・∀・)「は?」
( ´_ゝ`)「ID持ちが殺し屋なんて割に合わない仕事、やるわけないだろ」
僕は咄嗟に、両手で自分の口を塞ぐ。叫びそうだった。
動揺は、ぼくの喉でふくれて、頬を痙攣させた。
アニジャは呑気に、吐きそうなのか。と尋ねてきた。
僕は「死ね」と吐き捨てる代わりに、周囲の気配を慎重に探り、それから出来るだけ小さい声を出した。
(;・∀・)「犯罪者……」
( ´_ゝ`)「なにをいまさら」
まったくもってそのとおり。
158
:
名も無きAAのようです
:2013/12/07(土) 20:40:10 ID:ww5rQaUQ0
(;・∀・)「アラン・ネイシャ・ショーンだからアニジャ?」
( ´_ゝ`)「いや、逆だ。アニジャだから」
( ・∀・)「センスないね」
( ´_ゝ`)「言うじゃないか」
( ・∀・)「だってさ、逆ってことはなんでもいいんだろ?
ネイシャって女名だし、ショーンってSじゃん」
( ´_ゝ`)「じゃあ アドルフ・ネイシャ・ショーン」
( ・∀・)「そこじゃないよ!なんでまともなとこを変えちゃうのさ!
センスないにもほどがあるよ」
( ´_ゝ`)「良く言われる」
( ・∀・)「アンソニー・ナイジェル・ジャクソン
次はこれにしたら?こっちの方が自然だし、アニジャにも沿ってる」
( ´_ゝ`)「へぇ、良いな。
次はアンソニー・ネイシャ・ショーンにしよう」
( ・∀・)「僕のはなし聞いてた?」
僕は平静を装っていたけど、正直心臓が馬鹿になるかと思うくらい動揺していた。
IDを持たないと、まともには暮らせないが。なくても生きては行けるし、罪にもならない。
何かの事情で持っていなくても発行はとても簡単だ。「お願いします」と言えばいい。
作成の時に色々調べられて、ちょいと臭い飯を食べなくちゃいけないことにはなるけど犯罪者にだって頼めば発行されるんだ。
それくらい気安いものだが、偽装と頭につくと話は違う。
偽装IDは不当なくらいに罪が重い。バレたらタダじゃすまない。
だから持てないやつは持たないまま過ごすんだ。リスクとリターンが釣り合わなさすぎるから。
それを平然と成して、話す男が横にいる。
まったく、嫌になるよ!
159
:
名も無きAAのようです
:2013/12/07(土) 20:48:07 ID:ww5rQaUQ0
――
クーちゃんが早くに眠ってしまったので、まだまだ全然眠くない僕は夜の散歩に出かけていたけれど
早々に切り上げることにした。
この街は、昼間はのどか、少し寂れている、でも案外発達している。良い所。という印象なのに
地面を照らす光が太陽から、消えかけて明滅している街灯と、ぼんやりした頼りない月明かりに変わると
息をするより、他人を虐げることを安しとする奴らがうごめいている糞溜め。という印象に変わる。
印象の話で、実際の治安はそんなに激しさを持って悪いわけじゃないんだけど。
印象って大事だからな。
帰って、更に気が滅入った。ドアを開けると、壁に凭れて酒を飲むアニジャがいたからだ。
( ´_ゝ`)「飲むか?」
( ・∀・)「少し」
好奇心は猫を殺すそうだけど、たぶん人も殺せる。
寝室にひっこまず、この場に留まった理由。
僕は酒を飲んだことがなかった。
160
:
名も無きAAのようです
:2013/12/07(土) 20:53:51 ID:jtuZIhjA0
支援
161
:
名も無きAAのようです
:2013/12/07(土) 20:54:47 ID:ww5rQaUQ0
アニジャが新しい瓶の封を切り、一つだけグラスを持って来て、そこに透明の液体を注いだ。
飲み干して、僕はクーちゃんを少し恨んだ。前ならば、中々面白いね、とだけ思っただろう
飲み物の不味さに、舌と喉を焼かれて死にそうだった。僕は好奇心で死ぬんだ!アーメン!
薬のような味がする。薬というものは僕が最も嫌悪するものの一つだ。松脂の臭いも嫌だ。
歯を噛んでいると飴が投げられた。あのコートのポケットに入っていたと言うことも我慢できるくらい口が不味い。
慌てて、かさかさした包み紙を解いて白っぽい球を口に放る。
(;・∀・)「辛い!」
飴の癖に辛かった。ミントの飴だという。消え去れ。甘くない飴なんて意味がないだろう!
長時間、目標を見張るとき、手軽にエネルギーを補給できて、煙草と違って臭いもなく口さみしさを紛らわすのに飴は良い。
甘くないミント味だから常備している。とアニジャは無表情のまま瓶から酒を飲んでいた。
アニジャは舌か頭がおかしいのかもしれなかった。
包み紙にまだ大きな飴を吐き戻し、とりあえず自分のコートのポケットに入れておく。
162
:
名も無きAAのようです
:2013/12/07(土) 20:58:42 ID:ww5rQaUQ0
(;・∀・)「酒飲むのやめなよ!クッソまずい!
これなら角のジューススタンドでオレンジジュースを頼んだ方がいい
あっちのが安いし、美味しいし、オレンジの果肉を指してくれる。」
そういった僕にアニジャの顔がぐにゃ、と歪む。ひしゃげる。あるいは笑顔の形になる。
僕は慌てて目を反らす。失礼じゃないかって?失礼でもなんでも、ほとんど反射に近い行動を抑えるのは難しいし
出来たとしても、僕はやりたくない。検査の最中、目を瞑ったり、はしっこがめくれたポスターを見つめると同じだ。
アニジャという男は、平素は潔い無表情で不気味でも無愛想でもあるし、怖くもあるが、それだけだ。
問題は彼が表情を作るとき。大体、クーちゃんが胸を張り口角をあげ、それでも無表情を取り繕おうとするとき。
褒めて、頭を撫でて、おそらく笑おうとする。そうするとアニジャは一気に目も当てられないようになる。
きちんとした衣類だとか、呼吸だとか瞬きだのの生理現象でかたどっていたものが崩れる。
崩れて、きちんとした衣類だとか生体反応を隠れ蓑にして人間を装っていた何かの姿が出てくる。
グッドボーイ、クールと発音するそれを、僕はとてもおぞましく感じる。
ぐちゃぐちゃ髪をかきまぜられながら得意気にしているクーちゃんも、まぁちょっとゾッとしないよ。
病院にいたころを思い出す、彼は病院で生まれて、はやいうちに目と耳の検査を受けたから
風に揺れるカーテンとセンセたちを同じカテゴリーに入れてたんだ。
なんとも形容しがたいうめき声を上げてカーテンに懐く様子ったら思い出すだけで背筋が寒い。
163
:
名も無きAAのようです
:2013/12/07(土) 21:10:54 ID:ww5rQaUQ0
( ´_ゝ`)「そういえば、お前はおれを知ってると言ったよな、あれは何でだ」
(;・∀・)「えー今更それ聞く?
昔の記憶だから頭痛くなるんだよなぁ
何か今、頭痛いし、発熱の気もあるし……」
アニジャは、僕が露骨に嫌悪を示した事を、何も気にしたふうじゃなかった。
僕の反応なんかより、瓶にいくら角度をつけても酒が出てこない事こそを気にしていた。
やっといてなんだが、僕なら怒る。怒って、普通に殴る。僕がしたのはそういうような事だ
罪悪感があって、痛むだろう脳みそをなだめすかしながら記憶をたぐりよせた。
( -∀-)「その日は晴れていて、風が気持ち良かった。敷地内だけど外出許可が出たから、
もう頭が痛くて、視界がぶれてたけどもったいなくて意地でベンチに座ってた。
座面の奥から三つ目の板は釘が飛び出てて、その錆びた釘を手持無沙汰に撫でた。
要点だけ話せ?無理だって、思い出すだけで骨なんだ、整理してたら頭痛で死ぬ。
鳩が三匹いて、地面を突っついてた。頭を押さえたいなって思った、そのとき、香りがしたんだ、花の甘い、
あと死にかけの人間の臭い。それで顔をあげたら君が?あれどうだろ。
え?はっきりしろ?いや……無理だよ。覚えてないわ……
とにかく、後に君だと思った人がいた。僕の座ってたベンチの脇にあるゴミ箱に用があったみたい?
それで下から、なんとなしに見上げながらネックレスが光るのを見てたんだ。
あー!ネックレス!ネックレスだ!うんうん!ネックレスが同じだった、同じだったんだ!
あとは……青だ。青い花を持っていた。たぶん沢山。お見舞いかな。お見舞いだな。病院に花っていったらお見舞いしかないよ。
死人の少し前の匂いも、そのせいだな。元気そうだったし。ああいうの移るんだよ。
僕らの方には、お見舞いなんて来ないから違うけど、僕らみたいなの以外にも入院してる人はいたからな。たぶんそっちだ。
僕のいたとこ、手広くやってたんだ、病気を治したり薬をつくったり。
僕も協力してたんだぜ、昔に流行ってた奇天烈な病気の対処薬とか、作るのにめちゃくちゃ何回も使われた。
除草剤とか飲まされて、死にそうだった。え?もういい?」
164
:
名も無きAAのようです
:2013/12/07(土) 21:14:34 ID:ww5rQaUQ0
(;-∀-)「あー頭痛い。思い返すと、やっぱりあれって君のような気がするな。
ネックレスは絶対に同じものだし、あの臭いは病人の臭いじゃなくて
君が殺した人間の臭いだ。どう?」
( ´_ゝ`)「残念。絶対におれじゃない」
( ・∀・)「なんで言いきれるんだよ」
( ´_ゝ`)「おれは今まで一度も病院に行ったことがないからだ」
( ・∀・)「ちぇ!怪我とも病気とも無縁なんて羨ましいね!
ネックレスは?もらい物だったりしない?」
( ´_ゝ`)「いいや、おれが自分の金で買った」
( ・∀・)「……昼も思ったんだけどさ、君、オカマだったりする?
名前とか、ネックレスとか……あっ嘘嘘冗談イッツモラリアンジョーク!笑って許せよ……」
165
:
名も無きAAのようです
:2013/12/07(土) 21:28:14 ID:ww5rQaUQ0
――
昨日、昔の事を思い出したからだろうか?
今日は朝から頭が少し痛む。胃も気持ちが悪い。
加えて、クーちゃんは構ってくれない。良くないことづくしだった。
( ・∀・)「ねー外いこうよー」
川 ゚ -゚)「一人で行け、私は本を読んでる」
( ・∀・)「ほんとは読みたくなんてないんだろー
なら僕と遊ぼうよー」
川 ゚ -゚)「自分に都合のいい解釈はやめろ」
( ・∀・)「だって、さっきから全然ページ捲ってないじゃないか」
川 ゚ -゚)「難しいんだ」
( ・∀・)「嘘つけ、児童書だろそれ、難しいわけない。飽きてるくせに」
クーちゃんが開いているのは文字が大きくて挿絵もある、内容だって難しいとこなんて一個も無い薄い児童書だ。
そういう本を読み進められない理由なんて、退屈以外はない。
天気の良い日に、読みたくもない本を読んでるくらいなら、僕と遊んでいる方がよっぽど有意義だ。
クーちゃんは目を真ん丸にした後、乱暴に本を閉じて立ち上がった。
( ・∀・)「あれ、どこいくの」
川 ゚ -゚)「ついてくるな。しばらくお前の顔は見たくない」
(;・∀・)「ちょっと、ちょっと待ってよ!
僕が何かしたか?何で怒ってるんだよ」
川 ゚ -゚)「何かしただって?」
(;・∀・)「だって何にもしてないじゃないか!」
川 ゚ -゚)「そうだな、私が勝手に怒ってるだけかもな
でも今は一人にしてくれ」
(;・∀・)「なっ!それはちょっと勝手だろ
理由くらい話してくれたっていいじゃないか」
川 ゚ -゚)「お前にとって、文字が読めるというのは当然のことかもしれないが、私にはそうじゃない」
一拍置いて口を開いたクーちゃんの声は、少し震えていて、静かだった。
静かに話そうとするクーちゃんの白目の青さが、僕を打ちのめした。
166
:
名も無きAAのようです
:2013/12/07(土) 21:40:20 ID:ww5rQaUQ0
(;・∀・)「ごめん」
川 ゚ -゚)「一人にしてくれと言っただろう」
(;・∀・)「聞いてよ」
川 ゚ -゚)「後で聞く、後で謝る。今はほっといてくれ」
(;・∀・)「ごめん、無神経だった。
僕にも、あー……君がしたように、その、させてほしい」
川 ゚ -゚)「なに」
(;・∀・)「君、ボタンをかってくれただろう」
川 ゚ -゚)「?
それがどうした」
(;・∀・)「あと、買い物のしかたとか、バスの乗り方とかさ、味とかも」
(;・∀・)「教えてくれたじゃん」
(;・∀・)「だから、嫌じゃなかったらだけど……」
川 ゚ -゚)「モララー」
167
:
名も無きAAのようです
:2013/12/07(土) 21:47:21 ID:ww5rQaUQ0
川 ゚ -゚)「まて、私のパンツとお前のパンツを一緒に洗うな」
( ・∀・)「もー!クーちゃんはすぐ覚えた言葉を使いたがるんだから
そういう事は、その寝間着にしてるパンツを脱いでから言え!」
川 ゚ -゚)「アニジャー!モララーが私にパンツ脱げって言ったー!!」
(;・∀・)「ばか!やめろ!!」
川 ゚ -゚)「アニジャは今いないよ」
(;・∀・)「いや、なんかその辺から染み出てきそうじゃん……」
川 ゚ -゚)「アニジャをなんだと思ってるんだ……」
( ・∀・)「あ!乾燥機に行ったついでに新しい本を買うから覚えといてね」
川 ゚ -゚)「ん。なんかあの、魔法とか出てくるやつ。ああいうのが良いな」
( ・∀・)「何か良いのあるかなぁ」
168
:
名も無きAAのようです
:2013/12/07(土) 21:48:04 ID:ww5rQaUQ0
今日はここまで
169
:
名も無きAAのようです
:2013/12/07(土) 21:52:48 ID:wQdo7sxE0
乙 待ってたぞ
170
:
名も無きAAのようです
:2013/12/07(土) 23:10:59 ID:3l0PQ/Rk0
おつ
相変わらずモララーのぶっ飛んでる感じ好きだ
171
:
名も無きAAのようです
:2013/12/08(日) 01:21:11 ID:DIs0Nw3E0
乙
初めて読んだけどこういう雰囲気だいすき
172
:
名も無きAAのようです
:2013/12/08(日) 09:51:20 ID:dU43Gk.YO
毎回読み終わるのがもったいないくらい面白い
173
:
名も無きAAのようです
:2013/12/08(日) 13:53:52 ID:9CZ5qVlg0
乙
語り口がおもしろい
雰囲気もいいですね
174
:
名も無きAAのようです
:2013/12/13(金) 16:57:30 ID:0YVwMWbA0
乙
面白かったよ 続き期待してる
175
:
名も無きAAのようです
:2013/12/15(日) 04:34:12 ID:E8UfbXPE0
乙
海外小説の訳文っぽいんだろうか、こういう文章のセンスが欲しい
176
:
名も無きAAのようです
:2013/12/15(日) 19:04:55 ID:VcnJrAN.0
乙
登場人物ら出自がこんなに気になる作品を読んだのは初めてだよ
読みやすいし面白くて大好きだ
177
:
名も無きAAのようです
:2013/12/25(水) 14:27:29 ID:lTCXD3GQ0
8.嘘つきは泥棒のはじまり
( ・∀・)「ジョルジュ!」
_
( ゚∀゚)「おう」
裏から回って店に入る。
煙草を巻いていたジョルジュは待ってたぜ、と手を上げて笑うがたぶん、半分以上は嘘だ。
もっとも、初めは心からの「待ってたぜ」だったのだろうが。
_
( ゚∀゚)「アじめようか」
( ・∀・)「うん」
178
:
名も無きAAのようです
:2013/12/25(水) 14:31:21 ID:lTCXD3GQ0
紙の端を舐めて仕上げると、雑多なレジスペースから立ち上がり、ジョルジュは僕を先導する。
キィンと響くチューニングされたジッポの開閉音の後、ゆったりと流れてくる紫煙。
この時ばかりは、二度とゴメンだと思った煙草への憧れが燻る。
僕には向いてないからやらないけどな。
僕はここにくると、人間は順応する生き物だということについて考えずにはいられない。
絞られた光のオレンジが照らす薄暗い店内は清潔の二文字からは遠く、
商品の並ぶスペースはそうでもないが、ジョルジュの陣取るカウンターの有様はひどい。
口の開いた瓶や缶が立ち並び、灰を積もらせとうに務めを放棄した灰皿の代わりを果たしている。
瓶の向こう側に透ける、ぐずぐずになった紙と葉が黄ばんだ水の汚らしさを強調。
キャラメルスナイダーズのカスが16粒、埃と髪の毛に混じって天板に落ちていた。
重ねられた雑誌の上の食べかけのピザのサラミで蠅が両手をこすりあわせて止まっている。
その混沌の一角が、甘さの混じった饐えたにおいを微かに発してはフレグランスと煙草のにおいに打ち消されている。
そういうここにいて、僕はあんまり不快でもないから自分でも驚きを隠せない。
僕は最近鈍感になって、ドアノブや、テーブルに触れたカトラリーを使うってことにあんまり抵抗がないんだ。
たぶん、その延長なんだろうけど。驚きは驚きだ。
179
:
名も無きAAのようです
:2013/12/25(水) 14:34:57 ID:lTCXD3GQ0
僕は、少し前からジョルジュという男が営む酒屋で、時々仕事を手伝っている。
お金が必要だったし、ジョージではなくジョルジュと名乗った彼に親しみを感じていたからだ。
お金ってどうやって手に入れたらいい?と聞いた僕に
ジョルジュは自分がID無しだから、僕のような人間を放っておけないと言った。
僕に割り振られた仕事はシンプルだった。分かりやすいっていいよ、最高。
ジョルジュが仕入に使っているバンから段ボールたちを下ろしてきて店まで運ぶ。簡単。
箱を開けて商品をしかるべき場所に並べる。ちょっと手間。瓶、あるいは缶のような繊細なものをいくつも急いで触るのは緊張する。
箱をぺちゃんこにして、ゴミ捨て場までもっていく。楽勝。
店の裏に置いてある、空き瓶のつまったコンテナをバンに積む。あくびが出る。
運ぶ荷物は20もないし、中身だって酒瓶だから対して重くない。その積み下ろしをやると1ドル札を一枚くれる。
まぁ簡単なもので「誰にでもできる、簡単なお仕事です!」ってやつさ。
180
:
名も無きAAのようです
:2013/12/25(水) 14:37:10 ID:lTCXD3GQ0
とは言っても何も問題がないわけじゃない。
最初のころこそジョルジュも満面の笑顔でぼくに1ドルを渡していたが、最近はアレだ、押し付けるように渡してくる。
クーちゃんは僕を、空気の読めない男として扱うけどそれが何を意味してるのかくらいわかる。
その証拠とばかり、手伝い始めこそ「いつでも雇ってやる」と言っていたジョルジュだが
最近では僕の方からその話を持ち出しても、「ばか、お前みたいなヤク中、店におけるかよ」と乗り気でない。
ばかりか、しきりに町から出て行って欲しがっている。
_
( ゚∀゚)「ここからもっと南か、北……いや南がいいな。そっちに行くのはどうだ?
田舎で何にもないが、住んでる人間はずっといい。このへんには似たようなのばっかりが住んでる。
お前には、あんまり向いてるとは思わないな」
181
:
名も無きAAのようです
:2013/12/25(水) 14:43:56 ID:lTCXD3GQ0
まぁジョルジュの立場からすれば嫌だよな、元々はジョルジュがやっていた仕事だ。
あんな簡単な仕事だと、1ドルじゃ割にあわないんだろう。
しかし僕には目的があって急いで15ドルをためなくちゃいけないから、嫌がられていると知りつつ顔をだす。
友達になれたと思っていたから少しさみしいけど、しょうがないことだってある。
_
( ゚∀゚)「お前な、悪いことは言わねえからさっさと縁を切った方がいいぜ」
( ・∀・)「誰と」
_
( ゚∀゚)「アニジャだよ。気がかりなのはあのチビの事か?」
( ・∀・)「んー」
_
( ゚∀゚)「そっか」
ジョルジュの煙草の先端が、一気に灰になる。
ゆっくりと煙を吐き出して、あのこもいい子なのについてないな、と呟いた。
僕は何も言わず、ポケットの中に1ドルをしまい、それから少し咳き込んだ
182
:
名も無きAAのようです
:2013/12/25(水) 14:48:52 ID:lTCXD3GQ0
( ・∀・)「うぃーうぉんごなんてぃるうぃげっさむっ!」
家々が店が飾り立てられ町中がどことなく華やかだ。
僕は楽しくなって歌ってみたが、どうにも節を付けて喋っただけみたいな格好のつかない音になったのと、
前からの通行人が大きく僕を避けてすれ違ったので、続きは舌の上で転がすことにした。
メロディは繰り返しであるように思うから推測できるけど、続きをしらない、あるいは忘れているので延々と
もらうまで帰らない、さあここに!と延々と何かをねだる有様だ。
一体何がそんなに欲しいんだろう?僕は目下の所アップルパイが食べたい。
183
:
名も無きAAのようです
:2013/12/25(水) 15:04:32 ID:lTCXD3GQ0
まだ売れてるなよ、あと少しなんだ。と念じながら目的地であるショーウィンドウにべたっと顔をくっつけて探す。
窓は冷え切っていて、顔からどんどん体温が逃げていく、ついでにガラス越しの店員がこのキチガイが、という目を向けてくるが気にしてはいけない。
目的のために、時に人は非情にならなければいけないのだ。
並べられているアクセサリーの一つ、ピンクのリボンのヘアゴム。
それがまだ一昨日と同じ位置、ぴったりに鎮座していて僕は安心する。
先一昨日は前に見た時より二センチ奥にズレていて、気が気じゃなかった。
そう、クリスマスにあれをクーちゃんにプレゼントするのだ。
彼女の手首には古びたヘアゴムが嵌っているが、彼女はそれが傷むことを恐れて使わないんだ。
髪を括ると映えそうな顔立ちなのに、そんなのもったいないだろ。
横から声、ちょっと満足に水を差された気分になる。
('、`*川「ねぇアンタ、アンタさぁアニジャのとこのだよね」
( ・∀・)「うん、そうだけど……僕たちどこかで会った?」
青っぽいブルネットを伸ばした、おんな。
胸部の布を押し上げる曲線が豊か。
美人ではあるけど、疲れた雰囲気が目じりにある。
いかにも面識のあるふうに話しかけられたが、正しく、知らない人間だった。
ここにきてからは僕の記憶はまっとうに機能しているから、これは間違いのないことだ。
184
:
名も無きAAのようです
:2013/12/25(水) 15:17:26 ID:lTCXD3GQ0
('、`*川「ううん、でもアンタ目立つから。アニジャのとこの、ちみっちゃい子とよくいっしょにいるし」
そういうブロンド、ここじゃめずらしいし。あのこ、ジャンキーとつるみそうな子でもないでしょ?
ちみっちゃいこ、と彼女は掌を自身の膝のあたりまでぐっと下げた。
彼女は僕より、ほんの少し目線がしたにあるだけだから背は高い。
でもクーちゃんはそんなにちっさくはないと思う、たぶん。
( ・∀・)「クーちゃんはそこまで小さくないぜ」
('、`*川「あのこ、クーちゃんって言うんだ」
( ・∀・)「知らなかったの?」
('、`*川「教えてくれないんだもの」
( ・∀・)「ふうん?それよりさ
クーちゃんに、プレゼントしたいものがあるんだけど
女の子の欲しがるものって僕にはよくわからなくて
ちょっと見てくれないかな」
('、`*川「ええっ、アタシだってわかんないわよぅ
20も離れたら同じおんなでも別の生き物よ」
( ・∀・)「20?」
('、`*川「あ、ヤダ、追及しないで」
( ・∀・)「……若く見えるね」
('、`*川「追及すんなって言ってんだろ」
(;・∀・)「すみません」
185
:
名も無きAAのようです
:2013/12/25(水) 15:39:20 ID:lTCXD3GQ0
('、`*川「ねぇねぇ、アンタはあのこがアニジャの何なのか知ってる?
正解がわかんないからよけい気になっちゃって
アタシは、娘じゃないかなってニラんでるんだけど」
(;・∀・)「ええっと」
僕は迷った。
果たして正直に告げてもいいものだろうか?
ペットと聞いて、引かない人間がいるものだろうか?
どうも彼女はアニジャと親しいようであるし、それはいくらなんでも言っちゃだめな事じゃないだろうか?
自問自答、答えは出ない。
彼女のたれ目が好奇心に輝いている。
さて、どう答えたものか……あっ!
(;・∀・)「姉弟、かな?」
('、`*川「ああ!兄妹!
言われてみれば、話し方とか髪の色とか似てるものねぇ」
(;・∀・)「ね、ねー!」
('、`*川「まぁ、でもあんなのが身内だと、あのこも苦労するわねぇ……」
( ・∀・)「ん?」
('、`*川「ああスッキリした。仕事があるからもう行かなくちゃ。
アンタも溜まったらおいでなさいね、安くはしないけど
アニジャのよしみでサービスはしてあげるから」
( ・∀・)「……?悪いけど僕、酒は飲まないから」
('、`*川「ん?…………
ははは、やだ、純情だぁ!」
186
:
名も無きAAのようです
:2013/12/25(水) 16:13:55 ID:lTCXD3GQ0
――
川;゚ -゚)「もうちょっと、何とかならないのか?」
(;・∀・)「無理!これが精いっぱい!」
川;゚ -゚)「何だか禍々しい……」
( ・∀・)「禍々しいとか言わないで」
キッチンは只今、分娩室に様変わり中。
平らに伸ばしたクッキー・ママに型を押し付けて人型を象る。
焼きあがって冷めたらアイシング。顔やボタンを描けばジンジャークッキーからジンジャーブレッドメンに早変わり、というわけだ。
たっぷりアイシングをしておかないと、ちょっとどうかと思うくらい辛い。
風邪の予防のためだというけど、甘いものは甘いだけでいいのにな、と僕は思う。
そうしておけば、わざわざ後から甘味を足さなくても美味しく食べられるし、禍々しい、などといわれることもなかったんだ。
手元を見る。病院では、わりといた感じだから、大丈夫。大丈夫。
クーちゃんが手掛けたものとは、大分様相が違うが、愛嬌の範囲。
そう、僕が不器用なのではなく、クーちゃんが特別器用なんだ。
特に、ひとつだけ避けられているジンジャーブレッドマンなんか、完璧だ。
その他大勢のクッキーにくらべ形も焼き色もよかったそれはくせ毛とコートを着ていてアイシングが少ない。
187
:
名も無きAAのようです
:2013/12/25(水) 16:15:15 ID:lTCXD3GQ0
( ´_ゝ`)「器用だな上手いもんだ」
そうそう、ちょうどこんな感じのくせ毛とコート。クーちゃんは特徴を捉えるのが上手い。
いつの間に帰って来たんだか、気が付いたらそこにいるからびっくりして、ブレッドマンの目が一個増えた。
川 ゚ -゚)「アニジャ!
ふふ、私はすごいだろう。
今日はもう終わりか……?」
( ´_ゝ`)「すごいすごい。
いいや、これからもう一つある」
川 ゚ -゚)「そうか…………わかった気を付けて。
これは姉さんから弟へのクリスマスプレゼントだ」
( ´_ゝ`)「ああ、もうそんな時期か
お返しには苦労するよ姉さん」
クーちゃんが差し出した皿からブレッドマンが取り上げられる。
形のよい丸い頭がばきん、と首から離され、クーちゃんの前歯の間に差し込まれた。
_, ,_
川 ゚ -゚)「……からい」
( ´_ゝ`)「アイシングを増やすといい」
アニジャはお馴染みの、口と頬の痙攣にしか見えないようなやりかたでおそらく笑うと、
首なしブレッドマンをクーちゃんに返し頭を撫でて、出て行った。
それが昼の話。
188
:
名も無きAAのようです
:2013/12/25(水) 16:24:59 ID:lTCXD3GQ0
夕方、右ポケットの中身のおかげで僕は浮足立っていた。
誰かに取られないか毎日心配してたんだ、これほど嬉しいことはないね。
クーちゃんが気に入ってくれるといいんだけど
お金は少し余分になったから、ジョルジュにも何かプレゼントしてやろうかな。ビールというやつなら買えるだろ、たぶん。
そういう風に僕の体を覆っていた暖かいような楽しい気持ち、というのはエントランスに着くと、ぱちんと弾けた。
変わりに、ぶわっと鳥肌が立つ。血を抜かれすぎたときのように体温が下がる。
日が落ちて、風は鋭く、身を切るような寒さを自覚する。
エントランスのざらざらのコンクリートで出来た階段に足を投げ出して、クーちゃんは座り込んでいた。
上着も着ていないし、ワンピースからはみ出た膝小僧が赤くなっている。
(;・∀・)「クーちゃん!?どうしたの、中に入ろうよ!凍え死ぬよ?!」
川 ゚ -゚)「モララー」
(;・∀・)「ほら!立って!」
川;゚ -゚)「い、いやだ」
(;・∀・)「嫌とかじゃなくて!」
川;゚ -゚)「まだ、だめだ……いまは……」
目線がふらふらと揺れて、声に力がない。
だけどコートの裾を引っ張る力は強いから、荒いやすりをかけたようにざらついた気持ちになってくる。
189
:
名も無きAAのようです
:2013/12/25(水) 16:42:53 ID:lTCXD3GQ0
_, ,_
( ・∀・)「一体、何が駄目って言うんだ」
質問しておきながら、答えなんて聞かなくてもわかる。
実際の事情なんてものは分からないけど、クーちゃんがこんなに亡羊として寒いところにいる原因くらいならな。
コートから腕を抜いてクーちゃんから逃れるとそのまま部屋へ。
叫ぶように名前を呼ばれたけど、追ってはこない。確定。
ドアを開ける。血なまぐさい。そういう事か。
臭いをたどって、バスルームのドアを開けた。
( ´_ゝ`)「風呂なら後にしてくれ、今忙しい」
べったり濡れた指先が犬を払うように僕を追い立てた。
アルコールと血の臭いが籠っていて、頭が痛くなりそうだった。
僕はここの水回りが好きだったんだよ、いつだって磨き上げられていて清潔だったからな。
白い陶製の洗面ボウルが赤く染まっている。脇に置かれた透明の酒瓶にも、五つの点とそれからのびる筋が同じ色で出来ている。
( ´_ゝ`)「いや、ほんとに出てけよ。おれだって怪我をすると苛立つんだ」
アニジャは少しも感情に波だった様子も見せずにそう言った。
汗の浮いた額と、ぐいぐい煽られる瓶が無ければ、痛みを感じているとすら思えない。
左腕からぷらぷらと糸が伸びている。その先の銀色。僕はそれが何か知っている。
なぜって、ここに来てから僕はそれをずっと見ていたし、記憶は正しく機能しているからさ。
あんなにシンプルなつくりなのに、わずかな違いがある。
それをあのちいさな貝殻の爪は毎回見つけ出すその様子。
これが一番使いやすい、ような気がする。そういって糸を手繰る横顔を僕は覚えている。
190
:
名も無きAAのようです
:2013/12/25(水) 17:03:06 ID:lTCXD3GQ0
( ・∀・)「それは、皮膚を縫うものじゃない」
( ´_ゝ`)「縫う必要があって、出来るなら関係ない」
( #・∀・)「必要なら病院に行けよ」
( ´_ゝ`)「偽装のIDとわけあり丸出しの傷を引っ提げてか?馬鹿じゃねぇの」
( #・∀・)「ばい菌入っておっ死ねクソ野郎!」
メ、ル、ド、いかにも馬鹿っぽい捨て台詞を吐いて、踵を返す。
けっこう真面目に思ったんだけど、あまり真実味がない。
でも本当に、死んだ方がいいんじゃないだろうか?僕は、彼を殺すべきじゃないだろうか?いや、殺さないといけないんじゃないかな?
感謝はしている。実のとこ好意もある。
たぶん、アニジャとだけ関わっていたら僕は彼をここまでは嫌わずにすんだ、あるいはもっと好きだった。
無駄な反芻だった。すでに過ぎ去ったことなのだから。
191
:
名も無きAAのようです
:2013/12/25(水) 17:21:07 ID:lTCXD3GQ0
( ・∀・)「クーちゃん、アイツ大丈夫だよ
全然死んでない。腕から血が出てるだけさ」
川 ゚ -゚)「そうか」
( ・∀・)「中に入る?どっか遊びにいく?」
川 ゚ -゚)「ん、待ってる」
( ・∀・)「そっか」
返されたコートを羽織る、暖かい。
サイズにゆとりがあるから、ついでにクーちゃんも入れておく。
(;・∀・)「うお!冷た!」
川 ゚ -゚)「私はあったかい」
座った階段はやっぱり冷たく、膝に乗せたクーちゃんも冷え切っていて
僕の体温はがんがん下がるけど、さっきまで胃のあたりが煮え立つほど熱かったから丁度よかったかもしれない。
( ・∀・)「クーちゃん、じっとしててね」
川 ゚ -゚)「うん?」
( ・∀・)「これをこう、こうして……」
( *・∀・)「出来た!」
∫*リ゚ -゚)「え?なんだ?何した?」
( *・∀・)「知りたい?」
∫*リ゚ -゚)「知りたい!」
192
:
名も無きAAのようです
:2013/12/25(水) 17:29:46 ID:lTCXD3GQ0
∫*リ゚ -゚)「これはどうしたんだ?」
( ・∀・)「髪の毛につけたら可愛いと思って買ってきた」
∫*リ゚ -゚)「えー……」
( ・∀・)「な、なんだよ。ほんとにちゃんと買ったんだぞ」
∫*リ゚ -゚)「嘘だよ、ありがとう」
( *・∀・)「いいよ!」
∫*リ゚ -゚)「お前、他の事はぶきっちょなのにな」
( ・∀・)「髪を括る才能があるのかもしれない」
窓ガラスに映して見せるとクーちゃんは気に入ってくれたようで
頭を傾けて、様々な角度で眺めている。
本当は明日の朝に渡したかったんだけど、これだけ喜んでもらえたなら
時間なんて些細なことだと言えるだろう。
193
:
名も無きAAのようです
:2013/12/25(水) 17:37:08 ID:lTCXD3GQ0
――
ひゅおおおんと風が細く唸る。隙間風は感じられないが、窓もドアもがったんごっとん音を立ててうるさい。
上体を起こす、暗闇に目が慣れるまで斜め下を向く。
じわじわと黒色が形を結び、やがてクーちゃんの寝顔になる。頬の丸い輪郭を枕で押しつぶしている。
そっと、ベッドを抜ける。突き刺すような冷気がたちまち足首を舐める。ドアを開ける。
くらやみが詰まった部屋、目を凝らせば、ソファのへりから古いが、良く手入れされているブーツが飛び出している。
体じゃなしに頭でやれば、足音ひとつ、物音ひとつ立てずに歩くことなど、造作もない。
足元の酒瓶を一つ掴む、未開封で液体の重さを感じる。
持ち上げる。瓶というものは握りやすい。
最近は酒屋で幾度となく瓶を掴んだからな、力の入れ方も過不足なくわかるんだ。
それはそうとして、750ミリリットルの液体で満たされた分厚いガラスは充分鈍器になると思わないか?
194
:
名も無きAAのようです
:2013/12/25(水) 17:54:33 ID:lTCXD3GQ0
( ´_ゝ`)「やめてくれ、サラだぞ。
そうでなくても床に飲ませる酒なんてない」
(;・∀・)「な、な」
( ´_ゝ`)「お前、人殺しに向いてるな。
いや、でも決断が遅すぎるか。やめとけ、死ぬぞ」
(;・∀・)「じ、自分が死ぬ方だとは思わない?僕より君の方が強いって?」
( ´_ゝ`)「いや、お前の方が強いだろ。でも俺の方が慣れてる」
(;・∀・)「でも、さ、きみ、君も死ぬかもよ」
( ´_ゝ`)「そうだな、それでクーは明日、朝っぱらから男の死体を二つも片付けることになる。ひとりで
クリスマスプレゼントにしてはデカイんじゃないか?」
( ・∀・)「そういうのって卑怯だ」
( ´_ゝ`)「馬鹿言え、卑怯じゃない人殺しなんて
清貧な金貸しくらいありえない」
( ・∀・)「貞淑な娼婦みたいに?」
( ´_ゝ`)「それはいる」
( ・∀・)「マジかよ」
( ´_ゝ`)「そんなことはどうでもいいんだ。おれは出来るだけお前を殺したくはないが、
おとなしく死んでやる気もない、それを置いてさっさと寝ろ」
( ・∀・)「そんだけ?」
( ´_ゝ`)「なにが」
( ・∀・)「僕さ、君を殺そうとしたんだぜ。僕のこと、見逃しちゃっていいの?」
( ´_ゝ`)「人のものを勝手に取り上げるのは泥棒だろ
お前はクーのだし、おれは人殺ししかやりたくないんだ、面倒だからな。」
195
:
名も無きAAのようです
:2013/12/25(水) 18:10:52 ID:lTCXD3GQ0
――
―
川*゚ワ゚)o「あっ!モララーくんだぁ!久しぶり!その帽子どうしたの」
( ・∀・)「誰?」
(;・∀・)「ごめんって、怒るなよぉ」
_, ,_
川*゚з゚)o「べーつーにぃー?アタシ全然怒ってないもーん
久々に会ったモララーくんがアタシのこと忘れちゃってたくらいじゃ怒ったりしないもーん
モララーくんがアタシのこと忘れちゃうのなんて初めてでもないしぃ?」
(;・∀・)「怒ってんじゃん……
違うんだって、忘れてたんじゃなくて髪の毛が違うからびっくりして……」
_, ,_
川*゚з゚)o「ふぅぅーん」
(;・∀・)「ほら怒ってる!忘れるのだって、わざと忘れてるわけじゃないんだぜ」
_, ,_
川*゚Д゚)o「怒ってないよーだ」
(;・∀・)「素直に言えばいいだろ!」
川*゚ -゚)o「ほんとに怒ってないもん、しょんぼりして拗ねてるだけだもん」
( ・∀・)「 」
( ・∀・)「ごめん」
川*゚ー゚)o「いいよ」
(;・∀・)「いいんだ」
196
:
名も無きAAのようです
:2013/12/25(水) 18:15:36 ID:lTCXD3GQ0
( ・∀・)「なんで髪の毛変わってるの?」
川*゚ー゚)o「ん?みつあみの練習してるの
最近ずぅっとしてるから癖がついちゃって」
( ・∀・)「君なら皆より二倍速で編めるね」
川*゚ー゚)o「ん、んんんー!四分の一速かな?新しい方の動かし方まだよくわかんないの
、元の方の感覚と混ざっちゃうから、やになちゃうなー」
( ・∀・)「新しい?元の?」
川;゚ワ゚)o「腕だよ!腕だよモララーくん!見て!増えてるでしょ!」
(;・∀・)「ほんとだ!」
川;゚ー゚)o「そこは気が付こうよ!」
(;・∀・)「気づいてないわけじゃないよ!
今日はいつもより可愛いと思ったんだ!」
川*゚ー゚)o「はぁ?」
(;・∀・)「う、嘘じゃないぞ!僕は嘘はつかない!
君の腕は可愛いよ!だから増えるともっと可愛いんだ」
川*゚ー゚)o「あはっ!モララーくんのドへたくそなサムイ口説きが出た!」
( ・∀・)「ちゃかすなよ、僕は真面目に言ってるんだぜ」
197
:
名も無きAAのようです
:2013/12/25(水) 18:30:00 ID:lTCXD3GQ0
川*゚ー゚)o「えいっ!」
(;・∀・)「あっ」
疑いを晴らそうと躍起になって言葉を考えていたせいで
彼女の腕の、のったりした動きにも反応できなかった。
気が付いたときには既に、四本の腕が引きずりおろすようにして僕の被っていた帽子を頭から払い落とした。
l从・∀・;ノ!リ人「か、かえせよぉ!!!」
川*゚ー゚)o「わっ!モララーくん髪の毛のびたねぇ!」
(;・∀・)「うう、君がとったら帽子を被った意味がなくなるだろ
僕、今回これをご褒美にしたんだぜ……」
川*゚ー゚)o「なんで?明後日には散髪だよ?」
(;・∀・)「だって、こんな、何かおんなの子みたいだろ……
坊主の方がマシだ……君には、君にだけは見られたくなかった」
川*゚ー゚)o「見ちゃってごめんね」
( ・∀・)「まったくだよ」
僕は髪が早く伸びる。髪だけじゃなくて爪も早く伸びる。
体温も高い。代謝の問題らしい。あまり関心のないことだ。
でも髪の毛はいけない。僕には妹がいる、いた?どっちでもいいけど
とにかく僕と妹の顔というのは本当にそっくり、瓜二つで。年齢と性別によって違いがあるほかは同じで。
僕が髪を伸ばすと成長した妹のようになるし、妹が髪を切れば小さい僕になるだろう。
今まで、別に気にしたことはなかったのに不思議なものだ。
帽子をもらうために、僕は自分の臓器の色を観察したけれど正直な所
色がどうとか、形がどうとかそんなことより、果たして帽子伸びたは髪の毛をきちんと収めてくれるだろうか?
ということが気がかりでしょうがなかった。
たった今、僕の頑張りは意味のないものになっちゃったけどな!
198
:
名も無きAAのようです
:2013/12/25(水) 18:31:07 ID:xUj8P7CU0
支援
199
:
名も無きAAのようです
:2013/12/25(水) 18:37:32 ID:lTCXD3GQ0
( ・∀・)「君は髪の毛のびないね」
川*゚ー゚)o「やっぱり、左も切っちゃったほうがいいかな?
えへへ みっともないもんね」
( ・∀・)「なんで?そのままにしとこうよもう伸びないんだろ?
長いの可愛いよ、バランスは、すごく悪いけど……」
川*゚ー゚)o「アタシね、髪の毛はすごくきれいだったんだよ。
もう色も抜けちゃったし、信じられないかもしれないけど
青っぽいブルネットでね、ほんとに、きれいだったの」
( ・∀・)「麦畑を見に行こう。秋がいい。バッタがすごく多いけど……絶対に秋が良い。
君の、かみのけみたいな色をしてる。夕日にあたるときれいだよ」
川*゚ー゚)o「モララー君の話は唐突だし脈絡がないねぇ
それに現実的じゃないよ」
( ・∀・)「しっかりと現実だよ。言っただろ物覚えには自信がある。
それに、元気なゾンビより現実的でないことなんて、そうそうないったあ!禿げたらどうする!!」
200
:
名も無きAAのようです
:2013/12/25(水) 18:55:15 ID:lTCXD3GQ0
( ・∀・)「ねぇ、座ってるの飽きた。僕にもやらせてよ」
川*゚ー゚)o「やだーモララーくん、ぶきっちょだもん」
( ・∀・)「じゃあ次のご褒美にウィッグを頼むよ
毎日練習する。それで一番に君の髪の毛を結ぶ。約束」
川*゚ー゚)o「あなたはまたご褒美を無駄遣いするんだから……いいよ、約束ね」
川*゚ー゚)o「嘘ついたらサブミッションきーめる!指切った!」
( ・∀・)「ふふ、サブでもメインでもなんでもキメていいよ、僕は嘘つかないから」
川*゚ー゚)o「モララーくんの大口叩き」
( ・∀・)「大口ついでに、念を押すけど本当に麦畑行こうね。バッタ対策に君はピンクのリボンを付けるんだ
ピンクと緑なら補色でバランスがいいし、君は可愛いからピンクのリボンが似合うと思う」
川*゚ー゚)o「モララーくん、可愛いとピンクとリボンをひとまとめにするなんて発想が貧層だよ」
そうっと囁く声が耳のそばを通り過ぎる。麦穂の間を抜ける風の音だ。
窓から差し込む夕日にあたって、彼女の笑顔はいっそう眩しい。
夕焼けに染まる麦畑を見せたいと思う。
ちょうど今の彼女の髪のような見惚れる美しさを知れば、もう髪を切ろうなんて言いだせないはずだ。
彼女は嘘だと思っているらしいけど、僕は嘘をつかないんだ。
―
――
201
:
名も無きAAのようです
:2013/12/25(水) 18:56:53 ID:lTCXD3GQ0
今回は終わりメリークリスマス
202
:
名も無きAAのようです
:2013/12/25(水) 19:20:10 ID:dgQEpm7Q0
乙
203
:
名も無きAAのようです
:2013/12/25(水) 19:22:02 ID:fJvJ9Gt.0
おつおつ!
204
:
名も無きAAのようです
:2013/12/25(水) 19:22:11 ID:pckAmeck0
乙
語り口がすごく好み
次も待ってるよ
205
:
名も無きAAのようです
:2013/12/25(水) 19:27:24 ID:xUj8P7CU0
乙
良い文章だ
206
:
名も無きAAのようです
:2014/02/19(水) 22:45:11 ID:2TTtiAkc0
まだかな
207
:
名も無きAAのようです
:2014/02/22(土) 11:50:35 ID:GYaC/V/Y0
まだかなage
208
:
名も無きAAのようです
:2014/04/11(金) 23:54:34 ID:s0vLiuTA0
裸が楽になる季節だからまだまだ待てるな
209
:
名も無きAAのようです
:2014/06/12(木) 19:53:07 ID:6IRg4xFU0
待ってる
210
:
名も無きAAのようです
:2014/06/22(日) 05:55:11 ID:iDHoMjMs0
うおーい
211
:
名も無きAAのようです
:2014/08/21(木) 22:04:11 ID:Gmqc7sLw0
今更読んだ、続き来てたのか
イギリスの生活ってなんでこうかっこいいんだろうな、食事とかスラングとか
次も楽しみに待っとくわ
212
:
名も無きAAのようです
:2014/12/19(金) 19:48:59 ID:.gZ15YsQ0
待ってる
213
:
名も無きAAのようです
:2015/06/25(木) 18:22:23 ID:x2vx14qM0
続き気になる
214
:
名も無きAAのようです
:2015/10/12(月) 00:42:57 ID:YZbZpDzE0
まだかな
215
:
名も無きAAのようです
:2016/01/02(土) 15:56:36 ID:7HNtDEsI0
まだかなーー
216
:
名も無きAAのようです
:2016/06/02(木) 19:12:40 ID:uiQL.qHE0
待ってるからな
217
:
名も無きAAのようです
:2016/09/23(金) 16:53:08 ID:DcKbEMNc0
まってる
218
:
名も無きAAのようです
:2018/10/18(木) 05:22:24 ID:i6Rd06H20
待ってるよ
219
:
名も無きAAのようです
:2019/01/20(日) 01:40:56 ID:iM49s4MI0
まだ待ってるよー
220
:
名も無きAAのようです
:2019/01/27(日) 23:49:41 ID:AeTUxCBk0
今年も待つぞ〜〜
221
:
名も無きAAのようです
:2019/04/07(日) 21:22:12 ID:8JuXTPRs0
平成終わるけど待つよ
222
:
名も無きAAのようです
:2021/04/29(木) 15:11:53 ID:EloHx5ME0
令和でも待つよ
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